法務委員会 第17号
- 発言数
- 287 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/06/20
会議録
○委員長(大川清幸君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る六月十三日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として宮本顕治君が選任されました。 また、去る六月十四日、出口廣光君が委員を辞任され、その補欠として石本茂君が選任されました。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 先に警察庁にお尋ねをしますが、最近各紙に、警察署における被疑者の取り調べ室に暴力団の殺人事件の被疑者に愛人である女性を呼んで、しかもその被疑者が愛人を抱いているというような写真まで撮影させたという記事が写真入りで報道をせられておるのであります。これは常識ではとても考えられませんし、私ども本当にこんなことがあるんだろうかと疑ったようなわけであります。通常の刑事事件ですと、正式の妻を会わせるのでも一々私ども弁護人が捜査課長なり警察署長にかけ合って、そして面会させるというほど厳格な処置をしておるのであります。それが一転して暴力団になりますと、愛人を抱かせるなどというような言語道断な措置がとられておる。これでは警察と暴力団が癒着しているという疑惑を国民に抱かせることにもなりますし、ひいては警察の捜査の信用性にもかかわるわけであります。二度とあってはいけないと私は考えるのですが、警察庁のこれに対するお考えはどうでしょうか。
○政府委員(於久昭臣君) 福岡県警察で殺人事件で逮捕いたしました被疑者について、取り調べ室で内妻と面会させ、またその状況を写真に撮影するといったことがあったことは先生御指摘のとおりでございます。このことは、これはいずれも事件が起訴された後のことでありまして、またそのような写真を撮らしたことにつきましては、内妻から産まれてくる子供に父の顔を見せたいと言われて、調べもすっかり終わって起訴されたことでもあるという、つい安易な気持ちからそういったことがなされたことであるにせよ、これは被疑者の取り扱いとして極めて不適切なことであることは言うまでもないところでございます。 私どもは、かねてから被疑者、被告人の取り扱いは厳正、公平になさなければならないということについて指導を徹底しているところでありますけれども、こういった事案が起きましたことはまことに残念でありまして、関係者に厳重に注意するとともに二度とこういうことが起こらないよう、さらに指導を徹底してまいる所存でございます。
○寺田熊雄君 代用監獄制度にも関連をしまして、警察としてもこれは軽く見ないでいただきたいと私は考えるのであります。 それから次は、六月十八日、一昨日のことでありますが、これは新聞にもう極めてこぞって大きく報道せられておりますので、何人も驚いておる事実でありますが、豊田商事の会長である永野一男がそのマンションで白昼刃物で惨殺された件であります。国民がひとしくこのような事件が起きていいものかどうか疑問を感じたところでありますけれども、これは警備に手抜かりがあったのではないかと考えられるのでありますが、これは警察庁いかがですか。
○説明員(清島伝生君) 警察が特定の個人につきまして警戒措置をどのように講ずるかにつきましては、その生命、身体に危険を生ずるといった不穏情勢の内容により判断するということとしております。本件につきましては、結果的に不幸な事態が発生いたしましたことはまことに遺憾ではありますが、当時警察が把握していた情報には永野会長に対する直接的な危害を予想させるものはありませんで、そのため当日は現場での各種トラブルを防止するという観点から所要の重点警戒を行っておりましたが、その間隙をついて事件が発生したというわけでありまして、このような事情からいたしまして、大阪府警の警戒措置に手抜かりがあったというふうには考えておりません。
○寺田熊雄君 警察の情報で、本人の身辺に危険が及ぶようなものはなかったとあなたは言われるが、警察の情報必ずしも万全ではない。その情報よりもむしろ常識を重く見なければいけない。というのは、先日豊田商事の立川支店に元警察官が日本刀を持って押しかけたという事件があったでしょう。それで支店長に刀を突きつけて金取引の解約を迫ったという事件があったばかりですね。そういう事件も現実にあったのだから、そういうことから考えると、また豊田商事に対する国民の憤りというようなものを考えると、これは常識でも、殺すまでは考えないけれども、ひょっとすると危害を加える、あるいは殴りに来る、そういうようなものがあるのではないかと、これは常識上当然考えられる。だからそれは情報がなかったということで言い逃れはできない。もう少し常識上、やはり警察なんだから、国民の身辺なり生命、健康を守るというその使命に徹して万全な措置をとってくれなければ困るんで、私の責任ではありませんというのは少しおかしいと思うが、どうか。
○説明員(清島伝生君) 先ほども申し上げましたとおり、永野会長自身に対する直接的な危害を予想されるというふうな状況じゃございませんでしたが、各種のトラブル発生は予想されたわけでございますので、現地の警察署長の判断によりまして、当日は二名一組によります三時間ごとの重点警らを実施していたという状況でございます。
○寺田熊雄君 これはやはり警察としては反省してもらわないと困る。こういうショッキングな事件が起きて、私どもの責任ではありませんと言って澄ましておられては困るんで、やはり国会でこういう議論があったということだけは、あなたの上司なり警察庁長官によく伝えてもらいたい。どうですか。
○説明員(清島伝生君) 所要の報告をいたしたいと思います。
○寺田熊雄君 それから、この永野一男の死亡によって、あなた方が捜査をしておられる豊田商事をめぐる犯罪捜査には支障がやはり生じますか。それとも何とか犯罪の摘発に努力をすれば所期の目的が達成できますか。その点はどうですか。
○説明員(清島伝生君) 既に兵庫県警におきまして外為法違反として事件捜査に着手したわけでございますので、この事件につきましては永野会長も一応の容疑者として捜査の対象としておったわけでございますので、その限りにおきまして今後の捜査には支障があると考えますが、事案の究明のために努力してまいりたいというふうに考えております。
○寺田熊雄君 なお、この永野一男の惨殺事件につきましては、法的な追及の手ぬるさがこうした無暴な事件を招いたというようなことを言い立てる者もあるのでありますが、この点は法務大臣はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) この案件につきましては何しろ非常に全国的に広範囲なケースでありますし、またそれと取引のある皆さん方に対するいろいろな影響というような問題も考慮に入れなければならない。しかし私自身としましても、どうもこのケースというのは老齢者の皆さん方に対しまして非常に強烈な説得工作をやっておるというようなことを新聞等々で承知をしておりましたので、なるべく早くこの問題の整理を進めていかなければならぬ、そういう考え方で多分警察当局、私はストレートに話をしたわけではありませんけれども、やっておったというふうに思うのでございます。そういう過程でだんだんに問題点が整理をされてきておる面ももちろんありましょうし、それからもう一つは警察当局の方でも非常にたくさんの情報を収集されまして捜査に着手したというのが現実であるわけでございます。したがいまして、私たちは、この種の案件としましてそれを事件としてきちっと整理するまでに相当証拠その他重要な問題が重なっておりましたので、少しく遅延をしたというような感はなきにしもあらずかもしれませんけれども、精いっぱいの努力をして今日までやってきたように思っておるわけでございます。したがいまして、そのことがこの事件を起こしたということとどうもストレートには結びつかないように認識をしておるわけでございます。
○寺田熊雄君 なお、きょうの新聞に豊田商事が香港に大量の商業帳簿を隠匿するために発送していたとか、あるいは外為法に違反をして数十億の資金の隠匿を図ったというようなことが伝えられておりますが、これは警察庁としては捜査の過程で把握しておられるでしょうか。
○説明員(清島伝生君) まず、重要書類を香港に送っておるということにつきましては、けさほど新聞で知ったわけでございますが、現地の県警等におきまして、この事実を把握しておるのかどうかについて私どもまだ聞いておりませんので答弁はできないわけでございますが、資金の流れその他につきましては、これは捜査中の事件でもありますので、その辺の答弁は差し控えさしていただきたいというふうに考えます。
○寺田熊雄君 それじゃ、警察庁、これで済みました。 最高裁の刑事局長がちょっと健康を害しておられるので早くお願いしたいということで、先に質問をいたします。 先般、最高裁で狭山事件の再審の特別抗告が棄却されましてね。これは裁判でありますのでいたし方ないわけでありますが、ただ、被告人、弁護団、それからそれを支える部落解放同盟、これらはいずれもさらにまたこの記録、証拠物等を精査して新しい証拠の収集に努めて、そして再び再審の申し立てをするという決意を固めておるわけであります。 問題となるのはやはり刑事記録の保存の問題であります。これは後で刑事局長にお尋ねをいたしますけれども、記録の保存は無期懲役のあれでありますから二十五年間という保存期間があると聞いておりますので直ちには廃棄されるおそれはない。問題は証拠物でありますが、これは検察庁が持っておられる証拠物と、それから裁判所が保管をしておられる証拠物、二つに分かれるわけであります。裁判所が持っておられる証拠物がもしも所有者に返還をされるというようなことになりますと、所有者の手元で散逸されたり破棄せられたりいたしますと、再審裁判の場合にこれ重大な証拠を失うということで、再審による実体的真実の発見に苦しむわけでありますので、何とかその証拠物の保管に留意していただけないだろうかと、当事者は皆それを希望しております。 本件の場合に起きてまいりますのは、被害者の所有物とせられる万年筆であるとかあるいは時計であるとかというたぐいのものでありますが、そのほかのものは大体検察庁が所有権放棄を受けておる強迫文であるとか警察が入手をした足型であるとか、そういうことでありますので、後でこれは検察庁の方にお尋ねをいたしますけれども、どうでしょうか。裁判所においてはそういう留意をしていただけないでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 御承知と思いますが、裁判所に保管される証拠物というのは、これは本来被害者なり差出人なりに返還するための一時的な保管でございまして、長く保存するというような記録その他は全部検察庁に引き継ぎまして、裁判所ではあくまでも被害者還付であるとか、あるいは差出人にお返しするというために一時的に保管しているということでございまして、この押収物の取り扱いにつきましては最高裁判所の押収物等に間する保管の規定がございまして、それでできるだけ早くお返しするということの建前になっているわけでございます。 特に被害者還付すべきものあるいは差出人に返さなければいけないものというのは、これはいわば裁判のために私人のものをお借りしているということで、裁判が終わったら必要がないからもうすぐお返しすべきもの、こういう筋合いのものでございますので、それを今裁判に使うということでないのにいつまでも裁判所に置いておけるか。これが所有権放棄でもいたしまして、これが国庫に帰属したということになりますと、それは裁判所の裁量でずっと置いておこうということもできないことではないわけでございますけれども、ただいまの被害者に還付すべきものとか差出人に返すべきもの、これはものの内容にもよりますけれども、いわば私有財産椎との関係があるわけでございまして、当然に裁判所でそれを返さないで保管できるかということになりますと、これは非常に大きな問題になろうかと思います。 ただ、現実に狭山の事件の場合で見ますと、今御指摘のありました万年筆ですとか腕時計とか、あるいは身分証明書とございますが、こういうものは被害者還付という判決が出まして、それが確定して被害者に返すべきものであったわけでございます。この前の再審の段階で、弁護人の方から、これは重要な証拠物なのでひとつ返さないで裁判所で押収してもらいたいというような申し出がありましたために、裁判所がそれを入れまして、それで保管している浦和地裁でございましたか、そちらの方に、それは裁判で今使うのだから、この裁判が終わるまでは留保するようにという特別な指示をいたしまして、それで裁判に使ってきたと、こういうことでございます。 この再審が終わりまして、それで、これからいつまででも置けるのかということになりますと、やっぱりそれはおのずから限度があるのではなかろうか。ただ、いろいろな御希望などによって、今申し上げましたような裁判に使うという必要性が高いような場合には運用としてそれを保存しておくというようなことは現にやっているようでございますけれども、それが一般的に返すべきものを返さないでずっといつまでも保管できるのかということになると非常に難しい問題があるのではないか、このように考えております。
○寺田熊雄君 刑事局長のおっしゃることは私なりに十分これは理解するわけでありますが、もし仮に返還をなさるときには、こういう弁護団の希望もあるので、できるだけ保存してもらいたいというような我々の希望をお返しになるときはお伝えしていただく、これはひとつ配慮していただきたいですね。どうでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 個々いろいろな場合があると思いますので、この狭山の事件でどうかということについて直接申し上げるわけにちょっといきませんけれども、いろいろな申し出があれば、それはそれぞれの裁判所でしかるべくいろいろな配慮はする場合が多いのではなかろうかというふうには考えております。
○寺田熊雄君 次は、指紋押捺の問題をお尋ねしたいと思うんですが、外国人登録法に関連する指紋押捺義務の不履行者に対する告発義務の問題で、これは刑事訴訟法の二百三十九条の第二項に関連しておりますが、この告発義務不履行をしておる自治体、現実には市であると思いますが、現時点ではどのぐらいあるんでしょうか。もしお調べでしたら。
○政府委員(小林俊二君) 六月十四日現在でございますが、五十八市十六区七町一村、合計八十二自治体であると承知いたしております。
○寺田熊雄君 五十八市七町一村でございますか。
○政府委員(小林俊二君) 十六区七町一村でございます。区は東京の特別区でございます。
○寺田熊雄君 それから、これは告発義務の不履行ではなくして、局長が都道府県知事に発せられた指導要綱ですか、これは六十年五月一日と五月十四日と六月十一日と三回にわたるようでありますけれども、この通達に従わないで措置をしておる市町村というのもあるんでしょうか。もしあるのでしたらちょっとお教えいただきたいんですが。
○政府委員(小林俊二君) 新聞等の報道によりますと、町田市、川崎市等若干の自治体が五月十四日付の通達を特に取り上げまして、これに従わないといった意向を発言したと伝えられている事例があるようでございます。私ども、この点につきましては現在事実関係を都及び県を通じて調査中でございます。言うまでもないことでございますが、私どもが最も重視いたしますのは発言ではなくて実際にその通達に反するような措置がとられたのかどうかということでございます。この事実を確認した上で、そういう事実があるのであれば、その背後にある理由なり事情なりあるいは意図なりというものを確認して、とるべき措置を検討したいと思っておる次第でございます。
○寺田熊雄君 まだ現段階では通達が厳格に守られているか、つまり通達どおりに市町村が措置しているか、それとも通達が破られているかという点の事実関係は完全には把握していらっしゃらぬわけですね。
○政府委員(小林俊二君) 私どもがそういった事例を承知いたしましたのは報道によるものでございまして、直接の報告によってはその事実はまだ確認されておりません。ただ、何分現在は七月一日からの新しい方式の実施に至る過渡期でございまして、また通達が実際に市町村に届いた時点も区々でございます。そういうことで、またそれと並んで現在さまざまの場において説明会のようなものが実施されておるわけでございます。したがって、一種の過渡期にあるということはこの事実が確認されるに当たりまして考慮すべき点であるとは存じております。
○寺田熊雄君 非常に慎重に事実を調査せられていらっしゃるので、私どもの把握があるいは間違いかもしれないけれども、しかし、この局長通達を守らずして、つまり指紋の照合をなさずして登録証明書を交付したとか、あるいはこの通達にある交付予定期間指定書、これを三回交付して説得して、なおかつ聞かない場合には指紋不押捺の旨を付記して登録証明書を交付しろという通達を守らずして、つまり交付予定期間指定書を交付せずに直ちに登録証明書を交付したとか、あるいは指紋不押捺と記載せずして交付したとか、保証人二名の陳述を聞かずして登録証明書を交付したとか、いろいろな報道を見るのであります。これではやはり局長通達に違反というのじゃなくして、法務大臣の命令に違反したというふうに把握していらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) もとより五月十四日付の通達あるいはその他の通達は、その機関委任事務である外国人登録事務、特に指紋押捺に関する事務の的確、円滑な処理のために指示されたものでございまして、地方自治法のいわゆる主務大臣の処分に当たるものと存じております。
○寺田熊雄君 主務大臣の処分だということになりますと、もしそれに反するような事態が生じました場合、これは法務大臣としてはどういうふうに御処置をなさる御意向なんでしょうか。つまり二つ方法はあるんですね。もしもこれが法務大臣の処分に違反したとお考えになる場合、都道府県知事を通じて処分し、職務命令ですかを出すということも考えられるでしょうし、そういうことはせずして極力説得は努める、指導を強化していくという方法と二つ考えられますね。法務大臣は法律にも非常にお詳しいし、また慎重でいらっしゃるわけですが、どちらの道を選択なさいますか。
○国務大臣(嶋崎均君) 何しろこの七月から始まる大量切りかえを前に、私たち、五月十四日にいろいろな制度、まあ制度というか、やり方を変えることと通達とをあわせて行ったわけでございまして、ある意味ではこれがぎりぎりの限界だということで整理をさしていただいたつもりでございます。したがいまして、どちらかというと私たち事前の十分な説得その他がこの期間では短かったなという感じは私自身も持っておるわけです。したがいまして、今後精いっぱいこの物の考え方、それからいろいろなこれに対する批判についての我々の考え方、それをよく説明をして、どこまでも理解を求めるということが一番大事なことだというふうに思っておるわけでございます。ましてや、御承知のように回転指紋を平面指紋に直すという一連のことは七月一日からということになっておるということもありまして、それと通達の読み方がどうも十分消化をされておらない部面もあるようでございまして、最初そういう意見を申し述べたところも、我々の話を聞いて、なるほどそうですかということで改めていただいたところもあるやに聞いておるわけでございます。したがいまして、今後そういう点の努力を精いっぱい続けていき、またいろいろな事例がありましても私はできる限り説得をして整理をしていくという道を第一義的にはどうしても選びたい、そういう考え方でおるわけでございます。
○寺田熊雄君 直ちに職務命令を出すようなことはしない、あくまでも説得して理解を求めるという方針でいきたい、簡単に申しますと、大臣、そういうことですね。
○国務大臣(嶋崎均君) そのとおりでございます。
○寺田熊雄君 ただ、これは、きょうは法制局の第一部長においでいただいておるわけですが、やはり法律問題を私どもは絶えず念頭に置いておりますので、もしも職務命令を出すということになりますと、これは直接市町村長に出すということはできませんね。これはあくまでも都道府県知事に対して市町村長に職務命令を出せという、そういう職務命令を府県知事に出すわけですか。これはどうでしょうか。
○政府委員(前田正道君) あくまでも地方自治法上の制度の仕組みとしてお答えさせていただきます。 まず、地方自治法の百四十六条の十二項には「都道府県知事は、国の機関としての市町村長の権限に属する国の事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは主務大臣」「の処分に違反するものがあると認める場合」、百四十六条の規定の例によりまして職務執行命令を発することができるとされておるわけでございます。この都道府県知事の事務と申しますのは、地方自治法の百五十条で規定しております「普通地方公共団体の長が国の機関として処理する行政事務」に当たるものと解されますから、地方自治法百五十条が地方公共団体の長が国の機関として処理する行政事務につきましては主務大臣の指揮監督を受けることとされておりますので、その一環としまして地方自治法百五十条の規定によりまして、本件でございますれば主務大臣たる法務大臣が都道府県知事に対しまして地方自治法百四十六条十二項の職務執行命令を発すべき旨の指示をされる権限をお持ちだと思います。
○寺田熊雄君 これは入管局長にお尋ねをしますが、かつて十何年前かに、九州の一市長が国名の記載を韓国とせよという法務省通達に違反して、朝鮮民主主義人民共和国と記載したことについて一度福岡県知事に職務命令を出されたことがあるそうですね。しかし市長がどうしても聞かないというので、結局はそういう朝鮮民主主義人民共和国ですか、そういう名称の国名を書くことを認めたような歴史があるということですが、これはそのとおりでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 記録によりますと、田川市でございますが、田川市の措置は職務執行命令に直ちに沿うものではなかったために地方自治法百四十六条に定める訴訟を準備中のところ、田川市の方におきましてみずからこの指示に従う措置を講じたということで、問題はそこで終結したというふうに承知いたしております。
○寺田熊雄君 何か私の聞いたところではそうじゃなくて、田川市はあくまでも頑張って、朝鮮の国名を書くことを法務省の方が認めるような、和解で解決したというふうに聞いておるんですが、それはいかがですか。
○政府委員(小林俊二君) 非常に話が細かくなるわけでございますが、訴訟を準備中であったところ、田川市長は問題の案件のうち三名の部分については韓国に戻した、それからその他の三名の者について表示を朝鮮とすることについて法務省に経伺を行った、これについてこの経伺は認められないという返事をして、その後若干経緯はございますが、関係者のうち一部が死亡したというようなこともございまして、おっしゃいますように確かに余り明確な結論とはなっていないようにうかがわれますけれども、一部の者についてはそのままとなったということがあるようでございます。それをそのままにされたということが先生おっしゃるような和解というふうに言えるのかどうか若干疑問でございますけれども、時日の経過とともに事実上落着してしまったというような面があるようでございます。
○寺田熊雄君 そうしますと、法制局第一部長にお尋ねしますが、これは県知事としても法務大臣がそういう命令を発したとしても必ずしもそれに従わない、市町村長に対して職務命令を出さないということになりますと、今度は都道府県知事が法務大臣の職務命令に従わないという点で、今度はその都道府県知事に対して法務大臣が地方自治法の百四十六条に従った裁判所に対して措置命令の請求をするというような手続に入るわけですか。これは理論上の問題ですけれども。
○政府委員(前田正道君) これまたあくまで理論上の問題としてお答えさしていただきます。 都道府県知事が先ほどの仮に主務大臣たる法務大臣の指示に従わないというような事態が発生するとは考えられませんけれども、お尋ねでございますので、仮に法務大臣の指示に従わないという事態が発生したといたしますならば、理論的にはそういうような事態と申しますのは地方自治法で申し上げますならば百四十六条一項の「国の事務の管理若しくは執行を怠るものがあると認めるとき」、この事態に当たることになると存じます。したがいまして、そうだといたしますならば地方自治法第百四十六条の規定によりましていわゆる職務執行命令の対象になるということであろうと存じます。
○寺田熊雄君 実際問題としては、法務大臣も慎重にお考えのようでありますし、そういう事態が実際は起きないだろうと私は考えるのであります。もしこれが都道府県知事が命令に従わないということになると、今度は内閣総理大臣の罷免の手続にまで発展しかねない。また市町村長が府県知事の職務執行命令に従わない場合は今度は市町村長の罷免という問題も起きてくる。しかしそれが罷免されても、もう一度市民によって支持されないとも限らない。そうなると、これは大変な問題になる。内閣の信用にもかかわってくるということでありますので、これは法務大臣も慎重にお考えのようでありますし、現実には起こらないであろうと思うけれども、これ理論上の問題としては一応研究しておかなければいかぬと考えたわけです。 それからもう一つ。現実に存日朝鮮人の諸君が毎日生活をして、そしていろいろ金融の便を受けるというような問題がたくさんありますね。それだけじゃありませんけれども、取引をする、そういうときに登録済証明書というものの交付を市町村長に求める場合があります。これは私は市町村固有の事務ではないだろうか。したがって、これは入管局長がこの登録済証明書の問題で通達を出していらっしゃいますね。登録済証明書を発行する場合にはこれこれの措置をとれと。これは例えば六十年五月十四日付の局長通達の第五項、「指紋押なつ拒否者等に係る登録済証明書の取扱いについて」という項がありますが、この中に、指紋「不押なつ意向表明者については、新たな登録証明書を交付するまでは、」「登録済証明書の交付を行わないこととされたい。」というような指示をなさっていらっしゃるのですが、これは市町村固有の事務というふうに考えますと、通達に違反してもこれはしようがないのじゃないか、打つ手はないのじゃないかというふうに考えられるわけであります。 これは地方自治法の第二条第三項の第十六号に、市町村の固有の事務として「住民、滞在者その他必要と認める者に関する戸籍、身分証明及び登録等に関する事務を行うこと。」と、これは市町村固有の事務というふうに規定があります。そうといたしますと、この登録済証明書を発行するということはこれは機関委任事務にあらずして市町村固有の事務と考えられると思うのですが、これはいかがでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 御指摘のとおり、この登録済証明書の交付事務自体は先生ただいま引用された条項に基づく市町村の固有の事務であるというふうに理解いたしております。したがって、この部分につきましては、そのこと自体につきましては機関委任事務ではないということになるわけでございますが、ただ外国人登録原票の管理保管は外国人登録事務の一部、すなわち機関委任事務たる外国人登録事務に属するものである。でございますので、その利用につきましてはその事務の一環として主務大臣の指揮監督が及ぶというふうに理解いたしております。したがって、登録済証明書を交付するということにつきましては、当然のことながら登録原票を利用するわけでございますから、その利用の方法について指示しあるいは制限を付するということは可能であろうと思います。また逆に言えば、登録済証明書を交付しないということにつきまして主務大臣が指揮を行う、交付せよという命令を発することはできないかと存じますけれども、指示に反して交付をする場合、すなわち登録原票の利用を行う場合にはこれに関しての指示は十分なし得る権限の範囲内にあるというふうに了解いたしております。
○寺田熊雄君 なるほど、登録原票の保管というのは機関委任事務である、したがってそれを利用するということに関しては当然指示ができる、こうおっしゃるわけですね。それはなるほど理論的にそうかもしれませんね。ただ、利用して登録済証明書を給するということになりますと、その発給行為自体はこれはやっぱり市町村長固有の事務でありますので、発給したことに対して制裁なり何かということは考えられないように思いますが、これはいかがでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 若干重複になると存じますけれども、登録原票の管理保管が機関委任事務に属するものと考えられますので、その利用の仕方について指示を行うことができるということでございます。したがって、その指示に反した登録済証明書の交付の仕方が行われた、仕方があった場合には、それについて通達に反するものであるということは言い得るわけでございまして、したがってその通達の内容が機関委任事務にかかわるものである限りにおいて通達はその相手方を拘束する、地方自治体を拘束するものと考えております。
○寺田熊雄君 それでは、現実の問題として局長、そうしますと通達に反したからといって、市町村長が、これは身分証明の事項ですよ、だから身分証明の方法はなるほど間違っていたかもしらぬけれども、それ以外に身分証明の方法がないので、私は身分証明は固有の事務だから多少の問題はありましても出しましたよと言った場合に、余りきつくそれを非難するとか、とがめるということはちょっとなさらぬでしょうね。それは無理でしょうね。
○政府委員(小林俊二君) 先生が御指摘されようとしている点は、究極的に例えば先ほど引用されました地方自治法百四十六条に基づく職務執行命令の対象としてその登録済証明書の交付の態様が妥当するかどうかという御質問であるようにうかがわれるわけでございます。私どもはこの登録済証明証の交付の態様について五月十四日付の通達が指示している限度は、この登録原票の管理保管という機関委任事務の枠内に入る事項であると存じますので、究極的には百四十六条に基づく命令の対象ともなり得るというふうに考えておるわけでございます。ただ、もちろんこの点につきましては先ほど大臣から御説明もございましたように直ちにそういう措置にいくということを予見するものではございません。種々指導、説得という過程があることは当然でございますけれども、法律的に究極的な事態を予想するならば、それは不可能なことではないというふうに考えているわけでございます。
○寺田熊雄君 じゃ、それはきょうはその程度にさしていただきますが、第一部長どうも御苦労さまでした。 それでは豊田商事の問題、これに移りますが、何か厚生省の局長が時間の関係で、参ったらすぐお願いしたいということでありますので、途中で切れましてもお許しいただきたいと思いますが、豊田商事につきましては先ほども大臣にちょっとお尋ねをしたのですが、この問題少し手ぬるいのではないかという批判があることは御存じのとおりであります。しかし何分にも警察庁にしろ法務省にしろ、大変慎重に事を処理なさる官庁でありますので、私どもがそれを世論だからといって直ちに同調するものではないのであります。これは全体を眺めてみますと、金の売買という契約を締結する、そして金は結局交付しない、金の賃貸借契約を結んで、そして一年後に返還する、一年が来るとさらにそれを五年に更新するというようなことで結局うやむやになってしまうようであります。今日何万という契約者にその金が戻るという可能性はまずないと見るのが至当のようであります。そうなると、やはりこれは当初からこういうふうな目的でかかったのではあるまいかという疑いが非常に濃くなってまいります。 既にもう一部には詐欺罪で逮捕された従業員もあるというふうな新聞報道があります。それから詐欺の告発もあったというのでありますが、もし差し支えなければ既に何人が詐欺で立件されておるのか、それから今被害者からの告訴はどのぐらいあったのかというようなことについてお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(筧榮一君) 現状から申し上げますと、豊田商事等を相手といたします告訴が現在大阪地検に九件ございます。これはいずれも詐欺及び出資法違反というのを被疑事実として告訴がなされておるわけでございます。それから、ごく最近でございますが、千葉地検にも同種の告訴が一件なされております。したがいまして詐欺あるいは出資法違反ということでは十件が現在係属中ということになるわけでございます。それから、そのほかに過去の例といたしまして仙台地検に同種の告訴がなされましたが、これは告訴が取り消されまして不起訴処分になっております。それから東京と横浜で一件ずつ詐欺で立件された事件、これも現在捜査中でございますが、これはやはり詐欺の告訴でございますが、現場といいますか第一線の従業員の言動等をとらえた面が入っておるようでございますので、本体のいわゆる豊田商法を内容とする告訴としては今の十件が主なものであろうかと思います。 それから、ほかに外務員の勧誘に伴います暴行傷害等の事案、これは各地で合計四件でございますか、これは現在裁判中のものあるいは罰金刑で確定したものということでございます。これらはいずれも勧誘の際に暴行を加えたとか傷害を与えたとかというような事案で、これも本体に対する告訴とはまた別に考えてよかろうかと思います。
○寺田熊雄君 これは商法の五十八条の解散命令の問題ですが、これは民事局長の御所管のように聞いておりますけれども、最初からこういうような不法な、契約者の利益を守る、契約を誠実に履行するというような意図はもちろんなくて、金さえ取れば後はもう何とかなるというような、そういう意図で会社を初めからつくったのじゃないだろうかというような疑いが非常に濃いわけですね。殊に商法で義務づけられている帳簿を、警察もまだ十分把握しておらないようでありますが、きょうの新聞では香港に全部商業帳簿を送ってしまったとか、あるいは各地で証憑書類その他を廃棄しておるというようなこともほぼ事実のようであります。 それから、現実に金がない、取引の目的物が存在しない。もちろんそれがいつでも金を購入して、そしてその購入した金を契約の当事者に引き渡せればいいけれども、それだけの資金もないというようなことになりますと、これはどうも初めからそうした意図を持って会社を運営しているんじゃないだろうかという疑いが非常に強くなります。最近は外国への資金の逃避を図るという事実も明らかになりました。それから、たくさんの子会社を設立したんじゃなくてむしろ買い取っておるようであります。 私は銀河計画株式会社と豊田商事株式会社のこの二つの登記簿謄本しか入手できておらないのでありますが、銀河計画株式会社というのと豊田商事株式会社というのを比べてみますと、目的は半分は共通であります。それから豊田商事の方におって第二の地位を占めておった取締役の北本幸弘という、これが銀河計画株式会社に移って代表取締役になっておるというような事実があって、そしてその銀河計画株式会社というのがこの商業帳簿の逃避を図ったという疑いが濃いようであります。 こういうような諸辺の事情を総合しますと、これは商法五十八条の解散命令の発動に踏み切ってもいいんじゃないか。新聞では法務大臣は非常に慎重でいらっしゃるという報道がありましたけれども、これは過去において発動した実例はないわけですか。そういうことをいろいろお伺いしたいんですが、局長からひとつ。
○政府委員(枇杷田泰助君) 現在の商法の五十八条のような規定ができましたのは昭和二十五年の商法改正によるものでございます。その昭和二十五年以降、法務大臣がこの規定に基づきまして警告を発するとか、あるいは解散命令の請求をするということはございません。 この五十八条には、御承知のとおり一項に解散命令をする場合の要件が一号から三号までございます。一号が「会社ノ設立ガ不法ノ目的ヲ以テ為サレタルトキ」ということでございますので、ただいま寺田委員がおっしゃいましたのはこれに当たるのではないかというふうな御指摘だろうと思います。新聞紙上等でうかがいます事情からいたしますと、この一号に当たる疑いがあるということは私も言えようかと考えております。しかしながら、これをいざ法務大臣が裁判所に解散命令の請求をするということになりますと、立証をしてまいらなければならぬわけでございます。そういう裁判所において立証するような資料を私どもの方としては十分に持っているわけではございません。また、その立証は非常に性格上困難ではないかという考え方を持っております。 それから二号は、これはいわば休眠状態にあるものを解散しようということでございますが、これは本件の場合には問題にならないことだろうと思います。 三号でございますが、これは三号の中にもいろいろな要件がございますが、この豊田商事に関する場合に考えられますのが、会社の代表者が刑罰法令に違反する行為を行っておる、それをやめなさいという警告を法務大臣が発して、それでもなおその違法行為を反復あるいは継続して行っておるというときにこれが当たるわけでございます。したがいまして、まず警告が先行するということになるわけでございますが、その警告をする際も、やはり現に刑罰法令に違反する行為を代表者が行っておるということがありまして、しかもそれが放置しておけば反復されるであろうというような状況があったときに法務大臣が警告を発するということになるわけでございます。ところが、刑罰法令に違反するという事実があるかどうかということにつきましては、私どもとしては直接調査し確認する手段を持ち合わせておりません。したがいまして、このような場合には非訟事件手続法の百三十四条の四という規定で官庁とか検察官から法務大臣に通知をするという仕組みになっておるわけでございます。 そのようなことでございますので、現在捜査当局におきましてそのような問題を捜査中でございますので、私どもとしてはその結果を見守ってこの問題に対処する以外はないという考え方でおるわけでございます。
○寺田熊雄君 局長を初め民事局のスタッフというのは大体裁判官出身の方々だから、廉直公正にお仕事をなさるという点ではこれは信用絶大なわけだけれども、ただそれだけでは、こういう国民の非常に多くの人々が奸悪な事業者によって手痛い打撃を受ける。御承知のように何十年も汗水垂らして働いてため込んだ金を甘言によって全部はたいてしまう。そういう悲惨な事例がたくさんある。それが会社という組織を利用してなされている。まさに五十八条がそれを取り締まる一つの規定だと思いますが、そういう規定があるのにどうも手がない、スタッフが足りないということでほっておかれてもどうかという気がするんですね。アメリカの司法省のようにビビッドに活躍しろということを求めるのはちょっと無理かもしれないけれども、誠実に立法作業に大変な御努力をなさっておられるということはよく私ども知っておるけれども、今それだけではもうとても国民の期待に沿い得ないような事態になってきた。だから、このような規定を活用してそういう国民の被害を食いとめるというような職分もやはり民事局にはあるんですね。 だから、私の方は事実を把握できません、これは警察と検察庁が頼りですと言って澄ましておるわけにはいかぬのじゃないか。もうちょっとこの規定を活用するための調査のスタッフを置くとか、積極的に警察や検察庁に連絡して事実の把握に努めるとか、あるいはこの規定が少しかた過ぎるというならばもう少し活躍できるようにこの規定を改正して国民の利益を守るという何らかの工夫があってしかるべきだというように私は思いますが、これは局長でも大臣でもどちらでも結構ですから、いかがでしょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) 商法五十八条の規定の問題でございますが、その解散をやる場合に今私ども考えられるのは一号、三号のお話だろうと思うんです。御承知のように税法その他の関係もあったのかもしれませんけれども、日本の場合には会社形態のかかわっている姿というものは非常に多いわけでございます。そういうときに我々検察関係の仕事につきましては御承知のように検察庁法十四条の規定があるように、余り政治的にどんどん処理をするということについてのいろいろな意味での判断があるわけです。会社を解散させるというのはやっぱり相当の実は事柄であろうと私は思うのでございます。そうなってきますと、この運用のいかんというのは大変厄介な問題でございまして、私はある程度基本的な民法なり商法なりというような規定があり、それをどうして上手に、治安の落ちついている我が国の場合でございますから、うまく運用していくかということがまず第一番目に必要なことだというふうに思っておるわけでございます。 そういう中で実はこの問題を論議するということを考えてみますと、実は初めから法に反するような目的で設立しているということを頭から決められるようなものは、登記の手続その他のいろいろなことがありまして、全部回避をされて出てきているわけですね。したがって、形の上でそれを処理するということは、もうほとんど一号に当てはまる場合にぎりぎりに詰めていって結果がわかるようになるとそうかもしれないということはわかるかもしれないけれども、一号に該当するということはほとんどもう不可能に近いような形だろうと思うのでございます。 そうすると、第三号のところにいくわけでございます。そうなってきますと、御承知のように警告をする場合でもある程度犯罪の事実というものが明らかでなければいけない。それを非常に抽象的なことで何でもかんでもやれるかということになりますと、私は非常に心配しているんですが、私のところにも相当押し売り販売に属したような話が来るわけでございますね。しかも新聞等の報道によりますと、そういうケースに類したようなものは相当あるのではないかというふうにすら思うのでございます。 その内容を刑罰法規に違反をするような行為をやっているのかやっていないのかということもよくわからぬままに事柄を処理するというのは、これもまた相当危険なお話だろうと思うんです。そうなりますと、どうしてもやっぱり警察における捜査あるいは検察庁におけるいろいろな事件の処理というふうなところから連絡をいただいて、そういうものを受けて警告をし、その警告を行った上でなかなか問題が継続的に行われそうだ、どうにもならないから解散だというのがどうもこの法規を運用するときの基本的な事柄ではないかというふうに思うのでございます。 特に解散命令をやるというようなことになりますと、これはもう最後の手段でございますから、法務大臣が解散命令を出す前に民法的ないろいろな手続でこれを破産に追い込むとかなんとかという別の手段もまたあるわけでございます。そういうことになりますと、法務大臣が出ていってどんどん解散命令をやるということについてはやっぱりぎりぎりの判断をしなければならないのではないかというふうに思います。 それからもう一つは、こういう禍災、全国的な事件になりますと、どうもこれを利用すると言うと語弊あるかもしれませんが、これを活用しようとした人たち、あるいはそういう人たちにどういう影響というものが及ぶのだろうかということをやっぱり考えざるを得ないわけでございます。早くそういう段階でやったらあるいはもう少し被害の範囲が小さくて済んだのかもしれないけれども、結果からそういう場合はあり得ると思うんですけれども、さて、そういうことをやり得るのかどうかということもなかなか難しい問題だろうというふうに思うのでございます。 そういうことを考えますと、やっぱり今民事局長からも説明がありましたように、警察の捜査なりあるいは検察庁のいろいろな事柄、ある程度のデータを置いて相当の話でないと動かない。そうすると、先生おっしゃるように、それじゃ、これは動かないからもっとうまくやって、どんどんやれるようにしたらいいじゃないかというときには、最初申し上げましたそういう基本的な問題がありまして、そうどんどん法務大臣がそういうことをやることが適当であるかどうかについてはよほどの議論を詰めないと私は整理しにくい問題じゃないか。私は逃げ口上で言っているわけじゃありませんけれども、そういう感覚がするわけでございます。 いずれにしましても、本件につきましては、いろいろな情報を早急に入れるというようなことを考えますけれども、その場合にそういう手段に出るのがいいのかどうか。弁護士会なんかへ来ているところでも、最初はこの解散命令というお話だったんですが、きのうあたりの話になると、どうも破産申請の方でやったらどうかというようなやっぱり非常に中でも話が動いているように思うのでございます。そういうことをよく踏まえましてこの問題については今後とも検討さしていただき、また情報収集その他については手落ちであったというような批判だけは受けないように情報を入れて判断をさしていただきたい、こう思っておるのが実態であるわけでございます。どうも私非常にこの問題について消極的だというような評論がありましたけれども、そうじゃなしに、私はどちらかというと、やっぱり捜査なり何なりというのは早くやっていただいて、我々がもしそういうことをやらなければならぬということになれば、そういう事実関係というものを早く把握さしていただきたい、こういう趣旨で言ったわけです。 それから、弁護士の方々が私のところに持ってこられたというのは、私、中を詳細読んでおりませんけれども、いろいろなことが書いてありますけれども、それについて客観的にこういうことだからこうだというようなことが全然ないんですね。抽象的に、まあ抽象的と言うと語弊があるかもしれないけれども、そういう証拠に基づいた議論にはなっていないんですね。したがって、それにすぐ飛びついて事柄を処理する、処理できるのですかと聞いてみると、向こうもなかなかそこのところは問題がありますねというようなことにやっぱりなっているというのが実態であろうと思いますので、そういうことをひとつ御理解を願いたいと思っておる次第でございます。
○寺田熊雄君 アメリカの司法省はよく消費者の保護というようなことに大変活発に動きますが、法務省にはそういう部局というものはちょっと見当たらないようでありますが、できれば商法の活用でもうちょっと迅速に動いて消費者の利益を保護するような活動がなし得るように、スタッフを置く、部局を設けるというようなことについてもお考えいただきたいと思います。これは希望を述べておきます。 厚生省の局長においでいただいたので、これは最近宗教上の理由から親が子の医療に必要な輸血を拒む事件が報道せられました。そのために子供がとうとい生命を失うという結果を招いたのは極めて私重大な問題だと考えたわけであります。よく日本とアメリカが比較されるのですが、日本では夫に捨てられた、夫の不行跡を憤った妻が母親として子供を道連れにして一家心中を図る、自殺を図るというようなケースがあります。アメリカ人などから見ると、それはもう大変な犯罪であって、日本の国民感情といいますか伝統的なものとは非常にいつも食い違いがある。かつて国会と最高裁との間に激しい衝突を生じた浦和充子事件なども、その根底にはやはり子供を道連れにした母親、子供が死んで母親は生き返ったその事件が根底にあったわけであります。 この事件でも、やはり果たして親が宗教上の理由から子供の生命を失わしめるような措置をとることができるか、そういう親の意思があった場合に医師はどういうふうな措置をとるべきものか。私もその点をあえて問題にしたいと考えたわけでありますが、これはこうした医療問題を担当していらっしゃる局長としてはどういうふうにお考えなのだろうか。またどういうふうなお考えで医療関係者を指導しようとしていらっしゃるのか。これをちょっとお伺いしたいと思うのです。
○政府委員(吉崎正義君) 信教の自由と医の立場との価値観の相克という非常に難しい問題であり、そうしてまたお話のございました子供の問題であります。それからまた、いわば少数派の方々に対することでありまして、多数派が形成いたしますところの社会通念で判断していいものかどうか、私は最終的には憲法の判断にまつより仕方がないのだろうと思うのでありますが、当面といたしましては行政府としてこういう課題にどういう対応ができるか、実は甚だ苦慮しておる、これが率直な偽りのないところでございます。 それで、何よりも大事なのは最大限の努力を尽くすことであろうと思います。説得を試みる。今回の場合にも報告を受けましたけれども、大変な説得の努力をされておりますが、頑として承知をされなかった。そうして、またそのときの状況もなかなか無理にできるような状況でもなかったというふうに聞いておるのでございます。それで、外国でもいろいろな対応があるようでございますけれども、今回の場合にはそういう過程を経ておりますし、医の立場から輸血を行っても許されたのではなかろうか。アメリカは裁判所が決定すると聞いておりますが、今回のような場合にはアメリカではそういう決定になったのではないかと思っておるのでございますけれども、なかなか最初に申し上げましたような理由で行政府としての対応が難しいと思います。 聖マリアンナ大学病院では、今回のことを契機といたしまして病院内に委員会を設けて、主治医だけではなく関係者を集めて、どのような治療を行ったらいいか検討して、そうして実施しよう、こういうこととされたと聞いておりますが、当面はそういうことも一つの方法ではないかと考えております。
○寺田熊雄君 局長が非常にこの問題に苦慮なさるのはよくわかるんですが、局長としてはどうあるべきだと、つまりあくまでも子は親の所有物ではないからして、子供の医療に必要な措置を決定するのはあくまでも医師であるとお考えですか。それとも親であると考えられますか。詰めてどちらかという点をお伺いしたいんですが、局長はどうお考えですか。
○政府委員(吉崎正義君) 行政府の意見ではありませんで、個人の意見ということで見解を述べさせていただきます。 今回の場合には、先ほども申し上げたつもりでありますが、子供の問題でありますから医の立場から行うのがよかったと考えております。
○寺田熊雄君 私も同意見ですね。たとえこれは親の意思がどうであろうとも、医師として子供の生命を救うためにはこの措置が必要だと思ったら、私はやはり医師として子供の生命を守る措置をとるべきであったと考えるわけであります。 この場合は子供が当事者でありますが、もし本人が私はもうそういう治療はしてもらいたくないと拒んだ場合、しかしその措置を行わなければその患者は死んでしまうという場合、そういう場合でも医師はやはり本人の意思に従うべきか、それとも医師として生命を救う措置をとるべきか、この問題はどういうふうにお考えになりますか。 これは私から言ってしまったんじゃしようがないけれども、アメリカでも随分こういう問題が論ぜられております。医師は積極的に安楽死を実現する措置をとることができるか、消極的には安楽死の措置はどうかというような問題がありますし、日本でも安楽死協会の末期医療の特別措置法の第一条を見ますと、第一条の目的に「すべての人は自己の生命を維持するための措置を受容すべきか否かにつき自ら決定する権利を有する」という法案を提出しておられるわけであります。これはまだとても国会でこれが通るには多少の時間を必要とするでありましょうけれども、これは私どもとしましても迷わざるを得ないわけでありますが、局長はどうお考えですか。
○政府委員(吉崎正義君) これも今のところ私の考えということで御理解をいただきたいのでありますが、およそ医療はこれまでややもいたしますと一方的に与えるというふうな感じがございましたが、そもそも患者との共同作業で、説明と同意に基づいてやっていくのが医療の質を高め実効を上げるゆえんであろうと思っておるのでございます。そこで、いろいろなことはございますけれども、私自身の今日の考えは、当人の場合にはやはり個人の意思というものは最大限尊重すべきであると考えております。
○寺田熊雄君 これは事が人権に関係するので、人権擁護局長の御意見は。
○政府委員(野崎幸雄君) 御指摘のように、子供の治療行為に関しまして親が自分の宗教上の信念を貫いた、その結果もし子供が生きたいという願いが奪われる結果になってしまったということでございますと、これはもう人権擁護の観点上からは非常に遺憾な問題であるというふうに考えております。このような場合にどのようにするかについては、外国などではいろいろな考えや制度もあるようでございますので、私どももそういった面もこれから考えていきたいというふうに考えておるところでございます。
○寺田熊雄君 最後に、記録の保存と狭山の問題を一括して刑事局長にお尋ねしたいんですが、これは記録の保存では衆議院でも大変議論になりました。私がまず局長にお尋ねをしたいのは、刑事訴訟法五十三条四項に言う記録の保存についての法律が制定せられるよう最大限の努力をなさることは当然でありますが、それができるまで、これは局長通達で刑の重さに従って保存期間を決めていらっしゃるんですね。 これはしかし例えば無罪になった事件、造船疑獄であるとか昭和電工事件であるとか、あるいは仁保事件であるとか松川事件であるとか、あるいは全然刑は極端に軽いがチャタレー事件であるとか、日本の政治史であるとか文化史であるとか、あるいは社会史であるとか、そういう点から見ると、これは文化的な遺産として警察、検察庁、裁判官、弁護人、当事者あるいはその支援団体、そういう人々が入りまじって、これはもう無限大の努力をして一定の結論を得たという、そういう人人の営みというのは、これは大事にしていただかなければいかぬ。そういうものを法律で決めると言っておきながら、法律の規定がないのに勝手に破棄しちゃうということになると、後世からやはり大臣なり法務省当局が責任を問われかねないと思うんですね。だから私はやはりそういう大切な記録というものは、これはできるだけ文化的な遺産として保存していただきたい、こういうふうに考えるわけです。 それから、これは個々の事件でありますが、先ほどちょっと最高裁の刑事局長にお尋ねしましたが、仁保事件の証拠物というようなものはできるだけやはり保存するように御配慮を願いたい、これは刑事局長にお尋ねをするわけですが、今の記録の保存については、これは法務大臣がやはり大きな見地から保存に御努力を願いたいと思うんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) この問題につきましては、私も事案によって非常に大切な記録なり、またいろいろな意味で事件というものを後からいろいろ検討するというようなこともありまして、大事な面も相当あると思っておるわけでございます。ただ、具体的にどういうやり方でやるかということがきちっと整理をされてないじゃないかというようなことを衆議院でも大分議論になったわけでございまして、そういう点につきましては、やはりできるだけきちっと整理をするような方向で事柄を考えていきたいというふうに思い、またそういう考え方から、できるだけ記録の問題については少し真っ当に取り組んでまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
○政府委員(筧榮一君) 保存の点でございますが、御案内のように、今現在は局長通達によりまして内容に応じて期間を定めておるわけでございます。一般論としては、それを終わったものは順次なくしていくといいますか、もう保存をしなくなるわけでございます。ただ、現行の運用におきましても、先生御指摘のような文化的遺産と申しますか、社会の耳目を集めた重大事件であります とか、あるいは犯罪捜査上特に将来の参考になるような事件とか、あるいはその他の参考になるような事件の記録等につきましては、現地の検察庁の長の判断で所要部分を保管、あるいは全記録を保管しているものもございますが、保管されているというのが実情でございます。私どもといたしましても、今大臣のお話ございましたように、そういう方向で今後も運用してまいりたいと思っております。 それに関しまして刑訴法の規定にのっとりまして法律を定めなければならないわけでございます。いろいろの事情で現在まで遅延いたしておるわけでございますが、これは早急に制定しなくてはならないということを考えておるわけでございまして、現在その作業を進めておるところでございます。いつまでということはちょっとお約束はできませんけれども、できるだけ早い機会にそういう法の整備を図りたい。その際には今御指摘の廃棄期間を決めましても、その後に保存をすべきものにつきましても何らかの措置をその中に盛り込みたいというふうに考えております。 それから、第二の狭山事件の証拠物でございますが、証拠物につきましては、先ほど最高裁の刑事局長からお話ございましたように、一般論としては必要なくなった物は廃棄なり所有者、被害者還付という所要の手続が早急にとられるというのが原則でございますけれども、狭山事件のように再審がなされるというような事件につきましては、弁護人、被告人等の御要望もございますので、それに対応した措置を検察当局でも可能な限りとるものというふうに考えております。
○秦野章君 最初に、先月五月三十一日の毎日新聞夕刊と、翌日、つまり六月一日の朝刊なんですけれども、これに首相に職務権限が行政指導についてあるかないかという非常に大きな七段の記事が出たわけですよ。これを私も読んでみたんだけれども、これ記事の中身がどうもおかしいと思うんだけれども、それについてこういう記事が出たもとは、衆議院の玉置代議士の質問書に対する政府の答弁ということに関連するんだけれども、政府の答弁と質問書の趣旨が、何というのかな、私はすれ違っていると思うんだけれども、この記事を見ると、法制局の答弁に対して法務、検察当局の方では、ロッキード事件に直接言及していないが政府見解というものは法務、検察の見解と合致したんだ、そういう判断を法務、検察当局は示している、そもそも論告求刑に当たっても内閣法制局とは十分に相談しており、違う見解の出る余地はないと法務、検察が語っているとなっている。この政府見解は田中被告側にとって決定的ダメージと言わないまでもマイナス材料になるだろう、そういうことで検察は自信を深めている、こういうような記事なんですけれども、検察が自信を深めるか深めないかはともかくとして、質問書と答弁が私はちょっとおかしいと思うんだけれども、これまず書初に法制局から、その答弁書が出た、その答弁書の趣旨に対して答えたわけだから、その要旨をちょっと話してくれないか。
○政府委員(前田正道君) 答弁書の方だけでよろしゅうございますか。質問主意書も両方読み上げましょうか。
○秦野章君 質問の趣旨もちょっと言ってもらわないと答弁がわからない。
○政府委員(前田正道君) 本年の五月十五日に玉置議員から提出されました質問主意書をちょっと読み上げます。 一 昭和五十九年八月十四日付「答弁第三四号」において答弁いただいたところによれば、各省大臣は、当該所管事務について、その行政目的を達成するため必要である限りにおいて、行政指導を行い得る立場にあるものとされているが、我が国が自由経済体制を基本にしている点にかんがみ、国の企業活動の自由への介入は、公益上、必要最小限度のものにとどめられるべきであると理解される。よって民間事業者が主要設備機器等の選定を行うに際し、特定のものを選定購入するよう行政指導を行うことはできないものと考えるがどうか。 二 各省大臣に前記のような特定のものを選定購入するよう行政指導する権限がないとすれば、内閣総理大臣に、各省大臣に対してこのような行政指導をするよう指揮監督する権限もあり得ないと考えるがどうか。 というものでございます。 これに対しまして、本年五月三十一日付で内閣総理大臣から答弁いたしました答弁書の内容は、先ほどの一と二をまとめてお答えしておりますが、 いわゆる行政指導は、相手方の任意の協力を得て行うものであって、国民の権利を制限し、又は国民に対して義務を課するような法律上の強制力を有するものではないから、個別に法律の根拠を必要とするものではなく、行政機関がそれぞれの設置の根拠である法律によって与えられた所掌事務の範囲内において行うことができるものである。行政機関が特定の事項につき行政指導を行うことができるかどうかについては、このような見地から判断されるべきものであると考える。 なお、内閣総理大臣の行政各部に対する指揮監督は、昭和五十九年八月十四日衆質一〇一第三四号において述べたとおり、閣議にかけて決定した方針に基づき、当該主任の大臣の所掌事務について行われるものである。 以上でございます。
○秦野章君 読み上げただけじゃわかりにくいんだけれども、今の書いたとおりの答弁なんだけれども、この新聞の記事、あなたごらんになりましたか。
○政府委員(前田正道君) 見ております。
○秦野章君 それじゃ、その新聞の記事に関連して答えてください。新聞の記事はあなたの方の回答したとおりですか、とおりじゃないですか。
○政府委員(前田正道君) 毎日新聞がどのような趣旨でああいう報道をされたかということにつきましては、私どもといたしまして理解に苦しむところでございまして、ただいまの点につきましては何ともお答え申し上げかねる次第でございます。ただ、私どもが答えましたゆえんのものは、あくまで御質問に対します一般論としてお答えしたつもりでございます。
○秦野章君 毎日新聞の記事がどうしてでき上がったか、あなたが知らぬのは当然だよ。ただ、あなたの方がこういう発表をしたときに、国民に向かって新聞が記事を書くでしょう。その記事があなた方が発表したことと違っているか違っていないかについて無関心たり得ないはずだよ。それは知らぬ、そんなばかなことはないじゃないか。これ違っているのか違っていないのかということははっきりしなきゃおかしいでしょう。役所というところがこれこれの仕事をしたときに、その仕事が世間で誤りとされても困るんじゃないの。そこを聞いているんだよ。
○政府委員(前田正道君) 各紙がすべてあのような報道をいたしたといたしますれば非常に問題でございますけれども、毎日新聞が独特な評論をされたのであろうかと存じます。その点で、先ほどの毎日新聞の記事は私どもが考えておりますこととは全然違ったことを報道しているということでございます。
○秦野章君 それじゃ、今度は法務省、筧君にちょっと聞いておくんだけれども、毎日の記事で、一日の朝刊の解説で、法制局の答弁書がいかにも法務、検察の見解に合致していると、こう言っているんだけれども、こういうことはやっぱりそういうふうに思っているのか、それともこれも何かの間違いなのか。それはどうなんだろう。
○政府委員(筧榮一君) この記事が正確かどうか私もよくわかりませんが、合致したものだと受けとめたという記事でございますので、それがどういう意味であるか、私も今ここでお答えするだけの資料は持ち合わせておりません。
○秦野章君 あなたもちょっと逃げ過ぎるよ、それは。「法務・検察当局は」、「関係者は」とか「当局」とか、そういう言葉を使っているんだよ。だから、正直言ってあなたは当局だろう。当局だったら、その当局はこういうふうに思っているのか、こう聞いているんだよ。だから、当局という抽象論だから、当局にもいろいろあるだろうけれども、やっぱり刑事局長ともなれば当局を代表していると見ざるを得ないじゃないか。こういう記事が特に法務、検察の考えていることと一致しているんだ、全く関係ないという法制局の考えとは違って一致しているのだ、検察当局はこう言っているのだということがわからない。具体的にはわからないといえばわからないかもしらぬけれども、あなたの見解はどうなのよ。
○政府委員(筧榮一君) 私も法務、検察当局の一員であるかもしれませんが、非常に広い範囲でございますので、だれがどういう機会に言ったか、あるいはそれが正確に伝えられたかどうかという点は私どもとしては承知するすべはないわけでございます。この内容が法務、検察、ロッキード事件における意見と合致しているかどうかという点は従来一審でこの点についてもいろいろ主張がなされておりますし、現にこれから第二審においてこの点もいろいろ問題の中心になろうかと思いますので、合致しているとかしないとかという点についての私の判断は差し控えさせていただきたいと思います。
○秦野章君 合致しているということもあり得るという意味ですか。
○政府委員(筧榮一君) この問題をめぐっての論議はいろいろ主張はございますので、この内閣からの答弁とそっくり同じもので、そっくりの場面で答えるというわけではないわけでございます。したがいまして、合致しているかしないかという点についてもちょっと判断をいたしかねるわけでございます。
○秦野章君 それならいいんだ、合致しているかいないか、いるとは言えないではないかというなら。合致している、こういうふうに十分に相談してやっているんだから違う見解が出るはずはない、一致しているんだと、こう明確に法務、検察が言っているということ自体は正確ではないのではないかというのが私の意見なんです。しかも、あなたの言うように審理途上でもあるだろう。しかし審理途上であったとしても論告求刑ということはやったわけだから、そういう見解と一致しているか一致してないかという問題は判断できないはずはないじゃないか。
○政府委員(筧榮一君) 先ほど申し上げましたように、この問題をめぐっての論議はいろいろございます。また、この玉置議員の質問も、質問書に書いてございますようにいろいろな前提を置いての質問でございます。それに対する答え、それからロッキードの公判では申すまでもありませんが、いろいろな面から多岐にわたってこの点についての具体的な問題が提起されて、それぞれ意見なり主義、主張がなされておるわけでございます。ですから、これを比べて合致している合致していないというのには双方違い過ぎますので、部分的には合致しているところもあり合致していないところもあるというふうになるかもしれませんが、比べるというようなものではないというふうに私は考えております。
○秦野章君 随分あんたも頑張るな。あのね。違う見解が出る余地がないと、こう言っているから、そんなことはないだろうと、こう言っているんだ。これ新聞読んでないの。夕べ連絡しておいたんだから。そこを聞いているんだよ。政府と論告求刑に当たった検察当局と違う見解が出る余地はないんだ、もともと相談してやっているんだと、こう書いてあるから、それでそんなことはないだろうと私は言っているんだよ。
○政府委員(筧榮一君) この文章を見ますと、「法務・検察関係者は「論告求刑にあたっても内閣法制局とは十分に相談しており、違う見解の出る余地はない」と語る」と書いてございますが、その前段の「論告求刑にあたっても内閣法制局とは十分に相談」したという事実は全くないわけでございます。したがいまして、その後段もそれに続けておりますので、どういう趣旨で語られたか私にはわかりかねるということでございます。
○秦野章君 それならわかった。要するにこういうことはないわけだ。 それじゃ次だ。 私がこの前に質問したときから随分時間もたって、この前申し上げたように世の中もいささか冷静になってきたんだけれども、そういうふうになってきた今のような段階の中で、最高裁の宣明書、つまり免責を与えて、そして嘱託尋問調書をアメリカから取り寄せるということのために宣明書を出した。この免責を与えた宣明書を出して嘱託尋問調書を取り寄せたというあの一連の行動について、その後学者がいろんな意見を言うようになったんだよね。つまり日本には免責制度はないんだ、そこへ裁判所がその免責制度に乗っかったアメリカで嘱託尋問調書をとって、それをこっちへ取り寄せることをねらった免責宣明書というものは、これは間違っていると言う学者が、有力な学者はほとんど全部そうなってきたんだよね。私が知っている限りでも、東大をこの間やめた平野教授もそうだし、京都の平場教授もそうだし、高田教授から始まって、名立る先生というものはほとんどこれは間違っているというふうに言い出したんだけれども、これについてどうだね。最高裁はどう考えますか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) この最高裁判所の出しました宣明書につきまして、いろいろな議論がなされていることは私どもも承知しているところでございます。ただいまこの宣明書が免責を与えたというお話がございましたけれども、この最高裁判所の宣明書の性格につきましては現に裁判で争われているところでございまして、私どもとしてはちょっとお答えしにくいわけでございますが、これまでの裁判所で判断されてきたところでは、大体裁判所がそういう免責をできるという筋合いのものじゃなくて、要するに検事正あるいは検事総長が免責の宣明をされた、それを事実を確認しただけだというような御認定が多いのではないか、そのように考えておるわけでございます。これの当否ということになりますと、いろいろ御議論があるところでございますが、私としてはちょっと今の段階でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○秦野章君 確かにあなたの方が確認をしたという立場ではあるけれども、確認をしてそれを文書でもって宣明書ということで出したわけだね。これは私がこの前の質問のときに、例の岡原元最高裁長官とか藤林元長官とかがいろんな意見を言っていることに関連して、あなたの答弁で、あの最高裁の最高の立場にあった人たちが自分が以前にかかわった事件でとやかく今言っているということはおかしいではないかと言ったことに対して、前にかかわったのは裁判じゃございませんと、こうあなたはおっしゃったね。それはわかるんだよ。裁判じゃなくていわゆる司法行政だということなんだよね。司法行政はかかわったんだよね。その司法行政というものはそれならどういうものかと言ったら、今申し上げたように、検察の方がやった免責を確認したにすぎない。だけれども、確認したわけだよな。確認したということはそれをそれなりに認めたというわけだよ。そうでしょう。それは認めたわけでしょう。つまりあえて言うならば、その司法行政、あの最高裁宣明書という司法行政を発付する動機、それは何ですか、ああいうものを出したという動機は。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 御承知のとおり、昭和五十一年五月二十二日に東京地裁の裁判官が東京地検からの請求によりましてアメリカ合衆国の裁判所の方に嘱託の証人尋問をした、こういうことでございますが、アメリカの方でいろいろその証人から問題が出されました結果、五十一年の七月三日、現地では二日かと思いますが、カリフォルニアの合衆国連邦地裁のファーガソン判事の裁定があったわけでございます。この裁定によりますと、「本件証人がその証言において明らかにしたあらゆる情報を理由として、また、本件尋問嘱託書に基づき証言した結果として入手されるあらゆる情報を理由として、日本国領土内において起訴されることがない旨を明確にした日本国最高裁判所の決定又は規則を日本国政府が当裁判所に提出するまで、本件尋問嘱託書に基づく証言を伝達してはならない」、こういう決定をしたわけでございます。 いわば東京地裁の裁判官が裁判として嘱託尋問をした、それがこういうファーガソン決定によって結局裁判の目的が達せられないで宙に浮いてしまった、こういう状態で、その裁判を、嘱託をしたそれを実現するというためにどうしたらいいかということで、結局規則をつくるとか、あるいは最高裁判所が決定をするというようなことはできることではないということで、係官を現地に派遣しまして、ファーガソン裁判官などといろいろと面接をして、そしてその感触で、そういう規則だとかあるいは裁判所のいわゆる決定だとかということはできないことはわかったということで、結局はそういう確認のようなもので結構であるというような感触が得られたということのようであります。 結局は裁判所といたしましてはその東京地裁の裁判官のした嘱託尋問、それを実効あらしめるために東京地検の検事正あるいは検事総長がなされたそういう不起訴の宣明によって、そういう宣明があるので日本でそれが起訴されるというようなことはないだろうというようなことを宣明書という形で出した、こういう経緯でございます。
○秦野章君 経過はもっと短くしゃべってもらいたいんだけれども、私が言っているのは動機ね。動機というのは、あなたは要するに地方裁判所が困っているから最高裁はじゃ出してやろうということで自発的に出した、こういうことですか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 結果的に言いますと自発的にということでございますが、それはファーガソン決定があって、それについての対応を迫られたということで、裁判所としては何か出さざるを得ない、それでなければ東京地裁の裁判官のした嘱託が目的を達しない、こういうことで、その裁判の実現に資するためにそういう措置をとった、こういうことでございます。
○秦野章君 贈収賄罪、贈賄、収賄罪ですから贈と収とあるわけだけれども、その贈の方のアメリカの側の方は検察が起訴猶予、将来とも起訴することはないという宣明書を出したということは、最高裁は自発的に認めたわけだよな。私は自発的なのか頼まれたのかという問題は若干効果が違うと思うんだけれども、団藤さんは自分でしゃべった文章の中で検事総長から頼まれたと、こう言っているんだよな。活字になっていますね。あなたも御存じだろうけれども。それから岡原さんはどうしてもお墨つきが要るからという、お墨つきという言葉を使っているから、これはあなたの言うように自発的にお墨つきを出した。地裁の要請によって出したみたいなことになるのかもしれませんが、藤林さんも裏書きが要るとかいろんなこと言うんだよね。 検事総長の宣明書には最高裁判所御中と書いてあるわけだ。御中と書いてあるのは、最高裁判所へ出す文書というのはすべて最高裁判所御中と書くんだという慣例だということはどこかの答弁にあったから、それはそれでいいんだけれども、いずれにしても最高裁判所御中と、最高裁判所にあててその文書を出したわけだよ。頼まれたとは書いてないんだ。検事総長が出した。そういうふうにいろいろのことを言うんだよね。あなたの今の答弁を聞くとやっぱり自発的に最高裁判所がやったんだと、こういうことになるんだけれども、今私が申し上げたようなこととの関連はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) このファーガソン決定というのは先ほども申しましたが、日本時間の七月の三日にあったようでございまして、それがあったということは新聞などにすぐ報道されたようでありますが、私ども最高裁判所の刑事局の方には法務省の刑事局を通じて大体こういう決定があったということはすぐ連絡があったようでございます。それが正式に文書が私どもの方に届いたのは七日か八日ごろであったように思いますが、その間に法務省の刑事局長が最高裁判所の刑事局長のところへ来られまして、こういう決定が出た、これについて最高裁判所として何らかの御検討をお願いしたいという依頼はあったということのようではございます。 ただ、先ほど団藤元裁判官の講演のお話が出ましたが、これは実際にどのような発言をされたかちょっとわかりませんが、この講演の要旨として学士会報の七百六十四号に出ているようでございますが、その部分にちょっと触れますと、二カ所あるようでございまして、「検事総長から「コーチャン氏を起訴することはない」という、いわば宣誓書みたいなものをつくりこれを最高裁判所にもって来て」と、こういうくだりと、「ところが起訴猶予にした上で、検事総長が、これは将来にわたって起訴することはしないという確言をして、それを最高裁に持って来て、最高裁でもこの通り間違いないと宣明した場合、それにもかかわらず起訴するということは、純法律的、純理論的にはあり得ないわけではありませんが、事実上は絶対にあり得ないことであります。」、こういうくだりがあるわけでございます。 この部分の読み方については、今委員が御指摘のように検事総長が持ってきたというふうに読めないこともないわけですが、私どもの承知しているところでは、こういう宣明書が最高裁に届けられたということは承知しておりますけれども、検事総長御自身が持ってこられたというふうには私どもは承知してないわけでございます。
○秦野章君 それは御自身が来たか来ないかということはそう私も問題じゃないと思うんだけれども、刑事局長が行ったというわけだ。それで、刑事局長は法務大臣のスタッフだわな。そうですわな。検事総長が御中といっているけれども、検事総長はまた法務省に属するけれども、独自性のある官庁だよね。これからも御中で行っているわけでしょう。 そこで、だから最高裁は、要するにこの文書を出すに当たっては行政当局から要請があったということになるでしょう。それでなければ宣明書出さないでしょう。要請がなくても出したかね。どっちだね。あなたは独自に出したと、こう言っているんだよ、独自の考えで。非常に気がきいているんだけれども、しかしこれだけのものを出すということは普通は異例に属するんだよ、異例という言葉がいいかどうかはともかく。そこはどうですか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 私どもが聞いておりますところでは、こういうもの、ファーガソン決定があったので最高裁判所として御検討いただきたい、こういう依頼があったというふうに承知しておりますが、いわばこの嘱託尋問はそもそも請求者が検察側でございまして、これはいわば捜査のための資料として請求があったことでございまして、いわば当事者としてそういうことになっているので何らかの方法を検討してもらいたい、こういう申し入れであろうかと私どもは理解しているわけでございます。
○秦野章君 団藤さんの今あなたがお読みになった文章で、私もそれ覚えているんだけれども、法的な行為じゃない、しかし事実行為が重なって、いろいろ事実行為があって、したがって絶対に取り消されるということはないというような趣旨のことが書いてあったな。だけれども、事実行為は法定行為じゃない。法定行為じゃないものが幾ら重なったって法的行為にならないでしょう。ゼロを幾ら足したってゼロだから。そういう意味においては最高裁が不起訴宣明を出したということは、言うならば自主的に出したというあなたの見解が正しいのかもしれぬと私は思うんだよな。なぜならば法的行為、つまり最高裁宣明というものは法的行為でしょう。これは言うならば司法行政という法的行為だと思うんだよね。どうですか、そこは。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) この宣明書の性格ということになりますと、今現に裁判で争われていることでございますが、ただ司法行政ということはみんな法律行為かというとそうでございませんで、いろいろな事実行為もあるわけでございます。私、まあこれ私と言いますとちょっとあれですが、これは今までの裁判なんかで認定されているところでは、これはいわゆる法的な効果をもたらすそういうものではないんだ、要するにファーガソン決定によって阻害されている嘱託証人尋問調書の入手ということのためになされたいわば事実的な行為というふうに解されているのじゃな、か、こういうふうに考えております。
○秦野章君 裁判所法に司法行政は裁判に影響させない、それから司法行政というのはやっぱり監督として、下級裁判所をとにかく監督としての法律効果があるんだというふうに書いてあるじゃないか。だから法的なものであるということは当然言えるわけだよ。そこで、司法行政だから下級裁判所を拘束するわけでしょう。どうですか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 仰せの趣旨が必ずしもよく了解できないのでございますが、司法行政の中にはいろいろなものがあるわけでございます。これは別に法的な効果を持つものではない、それ自体それを目指したものではございませんから、それが下級裁を拘束するとかしないとかという問題は全くないように私は考えておるわけでございます。そのためにも司法行政である、これは下級裁が拘束されるのはいわば裁判についてでございまして、それから先ほど仰せになりました司法行政上の監督権の発動としてなされているものではないわけでございます。
○秦野章君 監督権の発動じゃない司法行政、じゃ、どういう意味ですか、法律上の根拠。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) この司法行政につきましては裁判所法の十二条に規定があるわけでございます。
○秦野章君 それはわかっているよ。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) この司法行政といいますのは、裁判所は裁判をするのが目的ではございますが、職員を何万人も抱えて、それでいろいろな行政事務があるわけでございます。それは全部裁判所の中でやるわけでございます。例えて申しますと、東京地裁が嘱託尋問をするという場合にも、これは最高裁判所を経由する、私どもの方から外務省に通ずるということでございまして、司法行政というのはいろいろなものがあるわけでございます。それは裁判に直接密接に関連するようなものもございますし、あるいは全く裁判と無関係なものもあるということでございますが、ただ、裁判に直接影響を与えてはいけない、裁判の内容に干渉するようなことがあってはいけないというのがたしか八十一条でございましたかに書いてあることであろうというふうに理解しております。
○秦野章君 あなたの方が司法行政の名において、とにかくそれが法的にどうかはさておいて、司法行政ということで宣明書を出して、それがファーガソンのオーダーかルールでよこせといったものにかわって、いずれにしても書類を取り寄せることに成功したわけですね。そういう行政目的というか一種の目的を達成したわけだよ。その内容は要するに検察の行った不起訴宣明に基づいて証言を取った、コーチャン、クラッター、ああいう連中から証言を取った。その証言の調書ですね。それを取り寄せることに成功した、捜査への協力をした、こういうことですな。 そうすると、あなた、法律の根拠がないというけれども、これはえらいことやっているんだよ、そういう言い逃れは。検察の宣明書ということにも問題は実に私はあると思っているんだけれども、それをアメリカから取り寄せるという一種の証拠収集だよね。そういうことに最高裁が、一番トップの裁判所が捜査の要請によって取り寄せをした。これは法律上の根拠から言うたらば、私は余りないと思うけれども、しかしあなたは検察のとった態度は、つまりアメリカから取り寄せる、嘱託尋問調書を免責によって取るという、そういうアクションは不法なものだと思ったら協力しないでしょう。やっぱりそれは妥当なもの、違法なものじゃないということで協力をしたんだと思うんだよね。それは審査もしないでただやるはずはない。 で、検察は疑わしきは罰するだから、できるだけ事態の真相を究明して捜査の目的を達しようとする。その気持ちはわかるんだけれども、ところが日本には免責制度がないというのは常識で、学者もみんな言っているんだよ。これはみんな言っているんだ。法務省も中でそう言っておったんだ。それを異例の措置だからということで、異例の措置だということはどういうことなんだろうと考えてみると、その異例というのが非常に問題なんで、法務省——検察かな。検察の立場から言うと公益的に大きいという趣旨の言葉もあるんだな、公益を比較して。つまりそれを取らないことによる公益の問題と取ったことによる公益の大きさと比較して、この嘱託尋問調書をやって取り寄せることは非常に公益上意味があると、こういうことを言っているんだけれども、よく考えてみると、この公益上というのは捜査の必要のことなんだよね。捜査の必要なことを公益と言って検察が言うのは私はわからぬでもないんだよ。 だけれども、裁判所がそれにそのまま乗っかっちゃって、捜査の必要なら法の根拠になくても、捜査の段階で法律に根拠なくして乗っかったということはどう考えても、これは裁判史上もないし、これはどう言ったらいいんだろう。まあ憲法違反といったって最高裁が憲法違反を判断するんだから、そのほかのものが憲法違反と言ったってしようがないんだけれども、私の法務大臣のときの国会における質問や何かの経過の中でいっても、社会党では嶋崎政審会長があれはやっぱり憲法違反臭いと、こう言っているんだよ。言ったんだ。速記見りゃわかるんだ。憲法違反の疑いがあると、こう社会党では言っているんだ。それから飛鳥田さんと私はテレビで対談やったんだけれども、あれはまずかった、あれはやるべきじゃなかったと飛鳥田さんも言っているんだよな。 それから、学者はほとんどこれ私は余り例外見てないが、もし学者でああいう免責で最高裁が宣明書を出したということに賛成している人があったらひとつその学者の名前を言ってもらいたいんだけれども、私は衆議院の速記録をその後ずっと見てみたんだ。それで見ると、どうも捜査の促進のためを即公益として、そしてこれはいいと、こういう方向の判断をしているのはどうやら共産党の代議士が一人おっただけだな。だからこれはどう考えても私はおかしいんだけれども、私のおかしいと思っているところをほぐしてくれないかな。あんた専門家だ。私はまだあなたよりは素人だから。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 先ほど捜査に手を貸したというような御趣旨の御発言があったかと思いますが、この東京地裁の裁判官のいたしました嘱託は刑訴の二百二十六条に基づく請求に対してなされたものでございまして、この刑事訴訟法の二百二十六条というのは、犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、これこれで供述を拒んだり出頭を拒んだりした場合に、第一回の公判期日前に限って、検察官は裁判官にその者の証人尋問の請求ができると、こういうことになっているわけでございまして、これはもうそもそもが犯罪捜査のためになされるものでございまして、これはいわゆる普通の裁判、公判でなされる証人尋問とは全く性格が違うわけでございます。それも、そのような犯罪捜査のための証人尋問というのがそもそも刑事訴訟法が規定して、これも裁判所の一つの役割になっているわけでございます。で、東京地裁の裁判官は、これによります検察官の請求に対しまして、それを是として証人尋問の嘱託をした、その際には検事正の、あるいは検事総長の不起訴の宣明もなされていた、こういう事情にあるようでございます。 そういうとにかく裁判の是非は別にいたしまして、東京地裁の裁判官がそれができるという判断のもとにそういう嘱託をいたしたわけでございまして、それで最高裁判所では、例えば私の方でそれを外務省に取り次ぐ、これは司法行政として取り次ぐわけでございますが、その場合にもその内容がいいとか悪いとか、それこそ裁判に影響を与えるようなことはいたしませんで、その裁判の実現に資するために私どもは奉仕しているわけでございまして、嘱託の場合にも、そのままそれを外務省を通じて向こうに送っていただくという御依頼をするわけであります。 そういうことで、向こうに行って、それがファーガソン決定というようなもので支障が生じた、それで、そこでは決定だとか裁判のようなことはできないということで、先ほども申し上げましたようなことで、こういうものであればいいんだという感触を得たということでこういうものを出したということでございますので、それが結果的に是認したとかしないとかいうことじゃなくて、東京地裁の裁判官のした裁判の実現に向けてなされたのだというふうに御理解いただきたいと考えております。
○秦野章君 証人尋問に関連して、二百二十六条でしたか、証人尋問で普通の捜査のやり方でございますとあなたは言うけれども、あれは私はあの条文を持ってくるのは本当は間違っている。きょうは言う時間がないが、あれは外国の裁判所まで入らないと私は思うんだけれども、それはそれとして、しかしその二百二十六条を使って、証人尋問だからいい、これは捜査に協力するのは当たり前だと言うけれども、その捜査に協力する場合でも免責制度みたいなものは日本にないんだという前提があると思うんだよな、免責制度は。つまり贈と収がある。収賄罪の方の共犯、おまえさんはこれは何をしゃべっても責任はありませんよと、こう言って、そこからしゃべったその証言をとるということは日本の制度にはないけれども、まあアメリカにはあるらしいが、いろいろ問題あるらしいよ。 いずれにしても、そういう異例な証人尋問でしょう。普通の証人尋問とわけ違うじゃないか。しかも共犯の場合の証人というものは当てにならぬというのが常識なんだよ、これ。アメリカだってそうらしいよ。それはそうじゃないかな。共犯の相手方というものは相手に対して常に正直に物を言うとは限らない。しかも被告人側の弁護士やその他の立ち会いはないでしょう。というようなことになると、あんた、普通の証人尋問だからいいなんて簡単に済ますけれども、免責の証人尋問をそういうような二百二十六条かなんかでもって、まるで何でもない普通のことだみたいなことを言うけれども、それは言い逃れも甚だしいと思うんだが、それを普通だ、当たり前だとあなたは本当に思っているのか、どう。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) この二百二十六条によって外国に対する嘱託尋問ができるかどうかというようなこと、その裁判の是非ということはただいまも訴訟の中で争われているところでございます。それについて私ども今ここで意見を述べることは差し控えさせていただきますが、二百二十六条でやるということは、いわばそれが証拠能力があるとか、それが証拠能力がないとかいうようなこととは直ちには結びつかないことでございますので、それはまたそれで、現に行われている裁判所の中でも全く別の角度からそれは証拠能力の点は判断しているわけでございまして、またそれが当然のことであろうというふうに考えております。
○秦野章君 別の角度と言うけれども、延長線だよ。当然訴追免除、とにかく日本へ再び呼び出されたり日本で逮捕されるようなことは絶対ないという保証をして、そうしてとった調書であるということははっきりしているんだ。そんなことはまた別な話だなんて言ったって、そういうようなことは日本では制度としてもないし、それからそういうようなことのために嘱託尋問したんだということは明らかな事実だよね。 だから、結局訴追免除によって尋問調書を取得する。要するに刑事免責というものはそれを自己目的化しちゃったわけだ。だから、明らかにこれは異例な犯罪捜査に公益の名において最高裁が協力をしたんだと言わざるを得ない。そして、これはいかにも理屈をあなた形式論的に言うけれども、結局私は脱法行為論だと思うんだよ。脱法行為をしているということのあかしみたいな議論だと思うんだよ。むしろ超法規行為かな。超法規行為と言った方がいいかもしらぬ。超法規的にやったんだと言わざるを得ない。 そういう観点から見ていくとよくわかるのは、あの嘱託尋問調書を取り寄せて、そしてそれに対して証拠能力があるかどうかということを判定した三人の裁判官の理由書というのを見ると、よくわかるんだよね。三人が三様のことを言っているんだ。これは裁判の内容になるから、これ以上言いませんけれども、免責という問題は非常にこれは難しい議論であったと。ということのあかしは、三人の裁判官がある人は起訴猶予説をとったり、あるいは公訴権の放棄のような説をとったりしている。その理由たるや、いやそれはもうあえてここで言いませんけれども、七転八倒の苦しみで要するに証拠能力を認めているわけですよ。それだけ無理をしているわけだ。 だから、犯罪捜査というのは私は疑わしき場合には法に基づけばそれはやってもいいんだけれども、手段は選ばぬという感じがして、そして、しかもこれは裁判所が法律に基づかない、免責なんというような制度は日本にない、そういう法律に基づかないで捜査に協力したということは、これは学者が反対するだけじゃなくて、常識的にこれ日本の近代刑事制度の実定法秩序を破壊していると思うんですよ。これはまあ答えにはならぬだろうからいいけれども、破壊していると私は言わざるを得ない。 そして同時に、そういうことは逆に言うならば立法権の侵害だと。法律をもって免責制度みたいなものを日本でやるというんなら話は別だよ。そういうことでなくて、勝手に最高裁がそういうことをやる。最高裁は、外国にいる一種の被疑者でしょう、これに対して罪を免除することに賛成したわけでしょう。それはどうですか。免除したことに賛成した方じゃないか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 先ほども申し上げましたとおり、この二百二十六条によって証人尋問の嘱託をしたことの是非ということは、これは裁判でございますからそれは別にいたしまして、少なくともその段階で、そういうことで外国に——そういうことでと申しますのは、検事正あるいは検事総長が不起訴の宣明をしているという状態のもとで嘱託をしたということでございまして、最高裁判所がそれを是認したとか是認しないということではなくて、そういう宣明がなされていればということで将来起訴されないであろうということを、先ほど申しましたように向こうのファーガソン決定の条件を満足するためにしたということなのでございます。 それから、先ほど何か捜査で入手されたものはそのままストレートに公判で採用されるかのようなお話がありましたけれども、これは捜査の段階というものはあくまでも別でございまして、捜査の段階で入手されたものがストレートに公判に出るわけじゃございませんで、公判では公判の厳しい証拠能力の制限があるわけでございまして、その証拠能力を満足して初めて証拠となるということでございますので、これは捜査段階のものが直ちに公判にそのまま出ることが是認されているという性質のものでないことはもう御理解いただけるかと思います。
○秦野章君 そんなことはわかっているよ。それは当たり前のことだよ。だけれども、最高裁が宣明書まで出して取り寄せた資料が下級裁判所を心理的に拘束するということはあり得ると私は思う。何となれば、最高裁が全裁判官の会議をやって取り寄せられたような資料というものは捜査資料としてそう軽いものではない。だから、それに証拠能力を認めるという問題について、この三人の裁判官の嘱託の理由を見てもわかるように、非常に苦しい論理を重ねて認めておるということは、あなたが幾らそんなことを形式的に言ったって、それは非常に下級裁判所を苦しめているということに私はなると思う。 それからいま一つは、重ねて言っておくけれども、免責制度というものは日本は取り入れていないということがわかり切っておって、たった二百二十六条の証人尋問の嘱託を受けたから捜査の段階で協力したんだなどという簡単な言葉で言うけれども、それによって得られた資料というものは何かといったら、免責制度のない、日本にはないそういうものででき上がった証拠なんだよな。だからこれは非常に裁判所が異例な措置として捜査に協力した。捜査に協力するのは法律の根拠があればいいんだ。だけれども、ああいうものを取り寄せるという問題についてはどう考えたって法律の根拠はない。だから私はこれは超法規かあるいはやっぱり立法、制定法が要るんだと思うんだよ。 それからいま一つは、あえて言うならば罪を免除するというようなことは、これは実際は行政の方なんだよ。司法じゃないんだよ。今法務省が恩赦とか特赦をやっているけれども、こういう恩赦権の中で罪をなくすということがあるんだよ。だから恩赦権は、あなたの方の司法権が、裁判所が恩赦権に食い込んでいるんだというようなことに結論的には私はなると思う。恩赦権というものは、これは政府の権限、内閣の権限として恩赦権があるんだけれども、詳しいことは私は恩赦はわからぬけれども、いずれにしても刑を免除するというようなこと、あの中には明確な犯罪者以外に容疑の者も入っているのだから、そういう意味においては三権分立を乱したと言わざるを得ないんだ。 これはきょうは時間がなくなったから、またこの次にさしてもらいます。以上できょうは終わります。
○委員長(大川清幸君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十三分休憩 ─────・───── 午後一時三十一分開会
○委員長(大川清幸君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○飯田忠雄君 本日は、指紋押捺が非常に問題になっておりますので、日ごろから疑問に思っている点につきまして御質問を申し上げたいと思います。 まず最初に、警察庁の方の御都合で一番初め警察庁の方にお尋ねをいたしますが、外国人登録証に指紋が押してあれば警察で調べられた場合によくわかるから非常に便利だ、こういうふうに言われております。ところで、警察では密入国者であるかそうでないかということを確認するために現実にはどのような方法をとっておいででしょうか、お尋ねいたします。
○説明員(赤木孝志君) 外国人登録における指紋制度の具体的やり方につきましては警察の所管外でございますが、警察といたしましても、指紋という人物特定方法を基礎とした在留外国人の公正な管理が公共の安全と秩序の維持にとっても大きな役割を果たしておると考えておるところでございます。お尋ねの外国人登録制度上の指紋が警察の密入国者取り締まり活動に役立っているかという点でございますけれども、結論から申し上げまして、二つの点から役立っているということを申し上げられようかと考える次第でございます。 一つは、外国人登録制度におきまして指紋による同一人性の確認ということが行われておりますために、密航者のような不法滞在者が他人に成り済まして不正登録を行うとか、あるいは他人名義の登録証明書を不正利用するということが極めて困難であるということが言えようかと思うわけであります。その結果、不法滞在者は登録を受けることができないわけでございまして、また登録証明書を所持していないということになるわけでございますので、警察の各種の活動の中で密入国者等が浮かび上がってくる、こういうことになるわけでございます。 もう一つの側面は、他人の真正な登録証明書を不正に入手いたしまして、その写真を張りかえて登録証明書を偽造し、それを所持している不法入国者がいるということでございます。このような場合に、その登録証明書に押捺されております指紋は真正な登録を受けている方のものでございますので、所持人のものとは異なるということになります。したがいまして、これが密入国者の検挙の決め手となるということがあるわけでございます。
○飯田忠雄君 外国人登録証の写真を巧妙に張りかえまして、そして持っておった、こういう場合には常時不携帯の罪で引っ張ることは最初は困難ですね。そうしますと、そういう者で向こうから船に乗ってやってきたのを尋問するとしましょうね。外国人登録証を見せなさいと言ったら持っておった。その場合に指紋は押してありますが、これは他人のものかどうかわかりませんが、こういう場合に警察では現実にはどういうふうにして見分けられるんでしょうか。
○説明員(赤木孝志君) これは現場の警察官の活動、例えば職務質問をいたしましたような場合でございますけれども、この場合に本人の協力を得て、その御本人の指紋と実際に登録証明書上の指紋とを照合するということもございますし、あるいは事件で、例えばこれは罪名はいろいろな場合が考えられると思いますが、検挙いたしました場合に、その本人の指紋と場合によっては登録証明書上の指紋を比較するといったことはあるわけでございます。
○飯田忠雄君 ちょっと私の質問が悪かったと思いますけれども、こういうことなんです。外国人登録証を持っていますね。見せろと言うから見せました。ところが、その外国人登録証にはもちろん指紋も押してあるし写真も張ってある。写真は巧妙に張りかえてあるから本人の写真が張ってありますね。こういうとっさの場合に、警察官がそれを見られてすぐ指紋照合をされるかどうかという問題ですが、もし指紋照合を一々なさるということになると、すべての外国人に対して一々おやりになることになるはずなんだが、そういうこともなさっておるのかどうか、お尋ねします。
○説明員(赤木孝志君) 警察といたしましては現在のこの外国人登録制度というものが非常にうまく機能しておるというふうに考えておりますので、携帯をされております外国人登録証について常に疑いを持っているということはないわけでございます。ただ、これは例えば写真と御本人の風貌が異なるとか、あるいは周囲の条件から見て多少異常な状況があるといったふうな判断がなされました場合に、警察官はやはり現実に例えばその外国人登録証上の指紋というものを御本人の協力を得て比較照合するということはあり得るわけでございます。その現場における比較といいますものは、これは警察官は少なくとも基本的には第一次的な照合といったものをできるだけの指紋に関しまするところの知識を有しておりますので、絶対的な同一性というものはまたこれは専門的な鑑識を待たなければいけないわけでございますけれども、少なくとも第一次的にこれは他人でございますとか、そういったふうな心証を得ることは現場においては可能であろう、こういうふうに考えるわけでございます。
○飯田忠雄君 指紋照合をいたします場合に、やはり大きな拡大鏡も必要だろうし、それから台帳もなければなりませんね。そうしますと、現場で指紋照合ということは実際は不可能なんで、役場に来てもらうとか、あるいは法務省へ連れていって法務省の倉庫を探してやるとかしかありませんね。そういうようなことを現実に本当におやりになっているんだろうか。そういうことは実際はないんじゃありませんか。どうでしょう。
○説明員(赤木孝志君) 外国人登録制度における指紋につきましては、私どもこれを直接犯罪の捜査に利用するという立場にはないわけでございます。ただし出入国管理に関します法令、あるいは外国人登録に関します法令違反の捜査につきまして、同一人性確認のために必要があるという場合には御照会を申し上げるということはあるわけでございます。ただ、先生のお尋ねの現場における照合というものは、警察官の街頭の活動の過程におきまして、先ほど申し上げましたように繰り返しになりますが、現場で御本人の承諾を得て御本人に指紋を提供していただいたものを御本人所持の外国人登録証明書上の指紋と比較をするといったことは間々あるわけでございます。
○飯田忠雄君 そうしますと、登録証に張りつけてある写真と本人とが別人のように思われるという場合、あるいは本人の写真に間違いないんだけれども、張りかえたような疑いがある場合、そういうような場合には指紋照合をおやりになる。それは警察かどこかへ連れていっておやりになる。こういうことでしょうか。
○説明員(赤木孝志君) これは今先生の御指摘のとおり、あくまでも法的に許された範囲内の手段によりましてそのような照合を行うということでございます。
○飯田忠雄君 それでは別の問題お尋ねをいたしますが、現在の外国人登録証の写真というのは現実に張りかえが大変容易にできておりますね。あれ、めくれるんです。それで、従来からそれを張りかえるということが行われるということは、そういう犯罪を行い得るような状態を日ごろからつくっておるということにも考えられますね。そういうような状態をなくして写真をはがすことができないような状態にすることはどうでしょうか。そういうことをやるということはいろいろ都合が悪いというふうにお考えでしょうか。いかがでしょう。警察の方の御意見どうですか。
○説明員(赤木孝志君) これは先生御指摘のように、はがすといった方法によって偽造をしにくくする、要するに偽造ができないような形で完全なものにするということは治安機関としての立場から申し上げまして大変好ましいことであると考えます。
○飯田忠雄君 交通関係で自動車免許証というのを警察で発行されておりますね。あの自動車免許証には写真が張ってありまして、恐らくあの写真は御本人かどうかを確認するためのものであろうと思いますが、あの自動車免許証で確認なさる確率ですね。御本人に間違いないという確率はどのぐらいの確率があるのでしょうか。
○説明員(徳宿恭男君) 現在の免許証の様式は、免許を受けた者の顔写真と他の免許証の記載部分とを一括して免許証の台紙部分に焼きつける方式を採用いたしております。したがいまして、偽造防止という点では十分なものであるというふうに考えております。正確な確率という点につきましてはなかなか困難でございますけれども、ほとんど偽造されることは困難であるというふうに考えております。
○飯田忠雄君 それでは重ねてお尋ねいたしますが、自動車免許証に張ってある写真は、あれは大体何年ごとに変更さしておられましょうか。
○説明員(徳宿恭男君) 現在、免許証の更新が三回目の誕生日ごとに更新をするということになっておりますので、その都度免許証の写真を張りかえて新しいものにするということになっております。
○飯田忠雄君 そういう程度の張りかえで本人かどうかを確認する手段としては十分だというふうに、経験上そうなりますか、それとも難しい点がございますか。
○説明員(徳宿恭男君) 免許証と本人の同一人性の確認は、ただいま御指摘のように、写真と、それから免許証に記載されております本籍、住所、氏名、年齢等によって行っておるわけでございます。写真では容貌が酷似する者につきましては完全に同一人性が確認できるものではございませんけれども、自動車の免許証というものが自動車を安全に運転できる者に免許を与えるという性質のものでございますので、そうした免許制度の上から見ますと、写真で確認する現行の免許証で行政目的は達せられているというふうに考えております。
○飯田忠雄君 自動車免許証の写真は随分小さな写真ですが、あのような小さな写真で十分でしょうか。免許証の大きさぐらいの大きな写真を張っておく必要はありませんか。
○説明員(徳宿恭男君) 免許証の場合、常時携帯を義務づけられておるものでございますので、正確に申しますと運転する場合でございますが、携帯を義務づけられておりますので、携帯に便利という点から申しますと現在程度の免許証の大きさ、そしてまたそれに応じた写真のサイズということになっております。
○飯田忠雄君 それでは警察の方、御苦労さまでした。結構です。 次に、外務省の方にお尋ねをいたしますが、指紋押捺制度を我が国がとっておるということにつきまして、外国から、あるいは外国の要人から、あるいは外国の機関からそういう制度はよろしくないから、居留民の人権に関するから何とかやめてくれるようにならないかといったような、そういう趣旨の申し出が過去においてあったことはございますか。
○政府委員(有馬龍夫君) 韓国政府からは、従来より在日韓国人の待遇問題の一つといたしまして指紋押捺問題を取り上げ、例えば先般の在日韓国人の地位についての非公式な話し合いの場面でございましたけれども、これの早急な制度の撤廃を要望してきているということがございます。しかし韓国以外からかかる申し入れはないというふうに承知いたしております。
○飯田忠雄君 韓国政府からの申し入れは、これは我が国に在住するいわゆる永住権のある人に対してだけの問題でしょうか。それとも韓国の国籍を持った者全部についてのことでございましょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) その辺が明確に区別された形で要請されているか否かということは私的確に承知いたしておりませんけれども、彼らが従来取り上げておりますのは、いわゆる在日韓国人の法的地位協定に基づいて日本に在留が許されている人たちを対象にしているのであろうというふうに思います。
○飯田忠雄君 永住許可をなさっておる方と、それから帰化をした方ですね。この身分上の違いというものはどういうふうにお考えになっておりましょうか。これは法務省の方お願いします。
○説明員(黒木忠正君) 帰化をいたしますと日本の国籍を取得するわけでございまして、これは国の構成員として日本国民たる地位を取得する。それから在日韓国人で協定移住の資格を持っている人につきましては、これは外国人としての身分のままでなおかつ我が国での永住が認められる、こういうことでございまして、帰化した場合と協定移住の資格を持っている場合は基本的な違いがあるというふうに思います。
○飯田忠雄君 永住許可者につきましては外国人だということで外国人登録を要求されておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○説明員(黒木忠正君) そのとおりでございます。
○飯田忠雄君 今の制度は我が国の制度でございますが、そういう外国人に対して外国人登録をしてもらうという、こういう制度につきまして韓国政府からそれに制約を加えるような申し入れがあるということは内政干渉だという考え方もありますが、そういう点についてはいかがお考えでしょうか。
○説明員(佐藤勲平君) お答えいたします。 在留外国人の処遇をどのようにいたしますかは主権を持っております各国がそれぞれ自主的に判断すべきことであるというふうに考えておりますし、それは申すまでもないことだと思います。そこで、今外務省の方からもお答え申し上げましたように、韓国政府が指紋押捺制度の改正ないし緩和というものを求めてきておりますけれども、それは我が国におります自国民、韓国の方々の待遇改善という観点からの要請だというふうに受けとめておりますので、それは内政干渉ではないというふうに考えております。
○飯田忠雄君 現実に日本の国会が決めておる法律制度を、それを内閣に対して制度の内容を変えるということを外国から要求されるということは、やはり法律に基づいて政府が行っておる内政に対する干渉ではありませんか。どうですか。
○説明員(佐藤勲平君) もちろん先生もおっしゃられるとおり、我が国の内政と申しますか国内制度についての意見であろうとは思いますけれども、それはあくまでも先ほども申し上げましたように我が国におります外国人、その外国人といいますか韓国政府から言えば自国民の保護という観点から意見を申されることだというふうに考えますので、それは内政干渉であるとは思っておりません。
○飯田忠雄君 この点、外務省はどのようにお考えですか。
○政府委員(有馬龍夫君) 今法務省の方から御答弁ございましたけれども、韓国側といたしましてもこの問題が我が国の国内問題であって我が国が自主的に決めるものであることは前提として認めております。
○飯田忠雄君 居留民保護の問題としての申し入れであるということでありますれば、やはり従来の外交慣例上は相互主議によるべきではないかというそういう説がありますが、この点についてはどういうお考えでしょうか。
○説明員(佐藤勲平君) 申すまでもございませんけれども、現行の外国人登録法自身、相互主義ということを前提として構成されておるわけではありません。それからまた、外国人登録制度というものを含みます外国人管理という制度自身は、これも申すまでもありませんけれども、各国それぞれの置かれた国際的な環境や、それからその地理的、場所的な状況、そのほか国内の諸制度その他各般の事情によって決められるものであるというふうに考えておりますが、そのような観点からすれば相互主義というものを導入する余地はないものだというふうに考えております。 それから、外国人登録の分野で相互主義はどうなっておるかという点につきましては、ほかの諸国においても行われておるわけではないというふうに承知しております。ただ、アメリカにおきましては非永住者の指紋押捺について相互主義を採用しておるというふうに承知しておりますけれども、それは非永住者につきましてで、そのアメリカでも永住者については一律にやはり押捺義務を課しておるということでありますので、その点も相互主義はとっていないというふうに承知しておるわけでございます。
○飯田忠雄君 ただいまの法務省及び外務省の御意見は、そういう見解のもとに今後外国人登録法の改正を考える、こういう御趣旨でございましょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) 今両省から答えましたことでございますが、今答弁で申し上げましたように、それぞれの国、長い歴史を持っており、またその国際的な環境やあるいは地理的な条件、外国人に対するいろいろな国内的な処遇あるいはいろいろな政策を考えて、現在までのところ相互主義という考え方には少なくとも立っていないように我々は思うのでございます。今後の問題を考えましても、一部そういう議論がありますけれども、どうもこの問題に関してはそういう慣行がにわかにそういう方向に動いていくというような感じでもないように思うのでございまして、したがいまして、将来の問題といってどうだと言われてもなんでございますが、当面相互主義ということに踏み切るというような気持ちを私は持っておりません。
○飯田忠雄君 地方行政の方の方にお尋ねをいたしますが、外国人登録法による登録事務処理につきまして窓口で混乱が生じておる、こういう新聞その他の報道がございますが、その実情はどのようなものでありましょうか、お尋ねいたします。
○説明員(小川善次郎君) お答え申し上げます。 外国人登録法に基づきます事務処理につきまして、一部の市町村の取り扱いがさきに出されました法務省通達の内容と異なっているというような報道がなされておりますことは承知いたしておりますが、自治省といたしましてはその詳細については承知をしておらないわけでございます。しかしながら、自治省といたしましても市町村の窓口で混乱が生ずるということは憂慮いたしておりますので、地方公共団体等の意見等も踏まえまして法務省の適切な指導のもとに窓口での混乱がなく事務処理が円滑に行われるということを期待いたしておるわけでございます。
○飯田忠雄君 ここに西宮市職員労働組合職員支部が発行いたしました文書がございますが、これはその職員組合が言うのには、外国人登録法で指紋をとることは書いてあるんだけれどもそれの指紋を利用することはほとんどない、また市町村にはそれで指紋照合をする義務もないし、また法務省の方に提出していた指紋登録をするときにとった原紙ですが、これも一時要らないということも言われておった、その程度のものであるので元来指紋をとってもその指紋で指紋照合をするということは現実にはなかった、こういうことが書いてあるんですよ。それで、これは窓口の職員が書いたことなので本当かどうかお聞きしたわけですが、これが本当かどうかそれはわかりませんが、本当だとすると窓口で受け付けはしても構わない、しかし指紋を拒否されたらとらなくてもいいんだ、とる義務はないんだと、こういうことが今日の法制上そうであるならば大変矛盾を生じます。 現場で矛盾に感じますのは、法務省からいろいろ御指示が行っておる、その御指示を別に守る必要はないではないかという見解に窓口の職員は立っておる、こういうわけなんですよ。そういう点について自治省の方ではどのように御見解でしょうか。
○説明員(小川善次郎君) そういうような意見を言う職員がいるということも私ども承知いたしておりますけれども、外国人登録制度におきまして、要するに写真だけでなく指紋が必要だというお話につきましては先ほど警察庁の方からのお話もございましたし、法務省の方からも必要性については私どもお聞きしているところでございます。いずれにいたしましても法令に定められた事項につきましては遵守すべき義務があるというのが私どもの見解でございます。
○飯田忠雄君 窓口事務におきまして違法行為がある場合に、その違法行為をしてはならないという監督する権限は自治省におありでしょうか。それともこれは都道府県知事の権限でしょうか。
○説明員(小川善次郎君) 地方公務員の法令遵守義務につきましては、一般職の公務員の場合には地方公務員法によりまして法令遵守義務が定められております。特別職と申しますか、そういう方方につきましては直接のそうした法規制がずばりの形でないわけでございますが、自治法の百三十八条の二という規定もございまして、地方公共団体の長は法令等に基づく当該地方公共団体、国等の事務を誠実に管理、執行する義務を負うということにされておりますので、市町村長が事務を執行するに当たりまして、法令を遵守しなければならないということは当然であろうと思います。
○飯田忠雄君 そこで、最近窓口で指紋押捺拒否をした人にも登録証を渡しておるということが新聞に載っております。これにつきまして、法律上指紋押捺が職員に義務づけられているかいないか、それもまず明確にしなければいけませんが、現地の職員の理解では、義務づけられていない、また指紋照合も義務づけられていない、ただ指紋押捺をする義務を相手方の申請者に課しているだけであって職員にはそういう義務がない、だから職員にそういう義務がない以上、申請は受けつけるのだから申請を受けつけて、それは合法的に受けつけて、だから登録証を相手に渡す、それがなぜ違法かと、こういう抗議なんですが、この点について自治省ではどのような御見解でしょうか。
○説明員(小川善次郎君) ただいまの御質問につきましては、外国人登録法の体系におきます義務であるかないかというお話でございますので、私の方でお答えするのはいかがかと思いますので、御勘弁いただきたいと思います。
○飯田忠雄君 法務省の方いかがでしょうか。
○説明員(黒木忠正君) 指紋は外国人が押すべき義務ということで定められております。ただし、この指紋の採取につきましては、これは市町村の職員にその指紋の採取をお願いしているわけでございまして、いやがる外国人を市町村の職員が押さえつけてまで指紋をとるという意味での市町村の義務はございませんけれども、この事務を執行するに当たりまして外国人に対して指紋を押すようにという指導と申しますかをすることは、これは地方公務員に与えられた仕事であるというふうに理解しております。
○飯田忠雄君 自治省の方、結構です。 法務省の方にお尋ねを申し上げますが、指紋押捺拒否問題が現在起こってきておりますが、この問題が起こっておるその本質ですが、これは人道上の問題として理解すべきものか、あるいは我が国の国法拒否の問題として理解すべきものか。いろいろ立場があると思いますが、これにつきましては法務大臣はどういうふうにおとりになっておりましょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) 現在の指紋押捺制度というのは正確な外国人登録を維持するためにどうしても必要であるというような考え方でできておるわけでございまして、諸外国でもそういうような制度をとっておるように思うのでございます。したがって、人道を侵害するものであるというようなことにつきましては、これはある意味で指紋をとるということがプライバシーの問題その他の問題に関連をしてくるかもしれませんけれども、そういう制度を維持するための公益的な必要性というものがあれば、当然その法律に従って整理をされなければならぬことであり、そういう観点からするならば私はこれは人道を侵害するものというふうには全然考えておりません。 特に御承知のように、従来からいろいろな議論がありましたけれども、今度は回転指紋を平面指紋にするとか、特殊の黒い色をつけなくて済むとか、そういうような制度まで加味して、従来我々が考えていたところはそういうところにないんだという意思をより明らかにしたというようなことでございますので、そういう意味では全く人道を侵害するものというふうには考えておりません。
○飯田忠雄君 それでは、少し細かい質問になりますが、指紋原紙というのを法務省の方でおとりになっておりますか。
○説明員(黒木忠正君) 外国人から三個の指紋を押してもらっております。一つは登録原票に押す指紋、これは市町村が保管いたします。それから一つは先ほど来お話しあります登録証明書に押す指紋、これは本人が携帯いたします。もう一つは今お尋ねの指紋原紙でございますが、これは法務省で保管いたしております。
○飯田忠雄君 指紋原紙は法務省で、指紋の原簿は市町村とお聞きしましたが、そこで、この指紋の原簿が市町村にあればそれで事足りるのか。それでは事足りないので指紋原紙をおとりになると思いますが、この指紋原紙というものを将来どのように整理されて、法務省のどこの課でどう整理されておりますか。
○説明員(黒木忠正君) 指紋原紙は法務省に送られてまいりまして、私どもの登録課において保管されております。この保管の方法でございますが、指紋制度が始まりました前期の時代は指紋の紋様によりまして換値分類という指紋の紋様を数字に置きかえまして分類整理するという方式をとっておりましたけれども、現在では換値分類方式はやめまして、外国人の登録番号順に保管するという方式をとっております。
○飯田忠雄君 この指紋原紙をおとりになる目的はやはり指紋照合の目的でしょうか。それとも何かほかの目的がございますか。
○説明員(黒木忠正君) 私どもに送られました指紋原紙は、前回押された本人の指紋と、今度二度目、三度目ないしは何回目かになりますけれども、その押された指紋と照合するという目的のためでございまして、これは一つは市町村の窓口における指紋照合を私どもの方で再確認すると申しますか、改めて確認をするという趣旨の照合でございます。他の目的に利用するという趣旨は全くございません。
○飯田忠雄君 指紋原紙を実際に利用されまして法務省で指紋照合をおやりになった件数というのはどのぐらいありますか。
○説明員(黒木忠正君) 外国人が指紋を押しますのは、一つは現在は五年ごと、この五十七年の改正前は三年ごとでございましたけれども、三年ごとに登録証明書の切りかえをいたします際に押された指紋と、それからもう一つは再交付、紛失して再交付するとか、汚損してしまったために引きかえ交付の願い出が出る、こういったような場合の指紋と、いろいろな場合の指紋が送られてくるわけでございますが、この指紋の数が五年間で六十万余りの数になるのではないかと思います。この指紋が市町村から私どもに送られてまいりますと、これを先ほど申し上げましたように、前回の押された指紋と照合する、こういう作業になっております。
○飯田忠雄君 六十万という膨大なものを照合せられるわけですが、登録の切りかえのときには一気に六十万というものをおやりになるわけですか。それとも登録切りかえはぼつぼつ分けておやりになるわけなんでしょうか。
○説明員(黒木忠正君) 外因人登録の切りかえは現在の法制では五年ごとになっておりますけれども、ことしはちょうどその五年目に当たりまして、在日外国人の約三十七万人の人がことし登録証明書の切りかえをするということでございますので、ことしに限って申しますと三十七万人の指紋が送られてくる、こういうことになります。ただ、これは五年ごとに大きい波が来て、ことしはその波ということでございますので、例えば昨年とか来年ということになりますと、この数はぐっと減りまして十万ぐらいというふうに、年によりましてこの切りかえる数ないしは指紋を押す数というのは違ってくるわけでございます。
○飯田忠雄君 現場の人の記録によりますと、昭和四十九年の八月以後、指紋原紙の押捺をやめた、そして再び始めたのが、復活したのが五十七年の十月からだと、こういうふうに言うておりますが、これは事実でしょうか。
○説明員(黒木忠正君) そのとおりでございます。
○飯田忠雄君 それで、指紋原紙への押捺をやめた理由が事務の簡素化、現場の人の労力を省くことと、それから現実に指紋の照合ということが指紋照合する人の数が少なくてなかなかできないのでそういう処置をとったんだと、こういうふうに聞いたということを言うてますが、これは本当ですか。
○説明員(黒木忠正君) 先ほども申し上げましたように、指紋の照合と申しますのは、まず市町村で第一次的な指紋の照合が行われ、さらに私どもの方で行われます指紋の照合というのは二次的な、バックアップ的なと申しますか、再確認するための指紋照合であるということを先ほど申し上げたわけでございますが、昭和四十九年には、一つは事務の簡素化という見地もあったわけでございますけれども、実は大変細かい話になって恐縮なんでございますけれども、昭和五十五年、六年ごろにかけまして全国の外国人登録原票、これは先ほども申し上げましたように市町村に保管するものでございまして、それには実は三年ごとに押された指紋が七個押されている。七回押されるといっぱいになるという登録原票があるわけでございますが、これがちょうど五十六年ごろにほぼいっぱいになる。そうすると市町村においてはこの原票を別にしまして新しい登録原票をつくる、こういうことになるわけでございますが、その指紋を七個押したいっぱいになりました登録原票を法務省で回収するという計画がございました。 私ども、この登録原票を回収いたしますれば、昭和三十年代の半ばから五十年代の半ばにかけて三年ごとに押された七個の指紋を確認できる、こういうことがわかりましたので事務の簡素化を図るためにとりあえず法務省に送る指紋原紙は必要ない、五十六年ごろに回収する指紋によって二次的なバックアップ的な照合をすれば足りるであろうと、こういうことで四十九年に送付を中止したわけでございます。したがいまして、四十六年にこの登録原票を回収いたしましたので、それによってある程度の確認をし、そうしますと今度は五十七年以降になりますとその次に登録原票が私どもに回収されるのには二、三十年先になりますので、それでは余りにも時間がかかり過ぎますので、五十七年に改めて通達をしまして、一たん中断しておりました指紋原紙を再び送るようにという指示を五十七年に出した、こういう経緯でございます。
○飯田忠雄君 事情よくわかりました。 ところで、窓口での指紋の照合というのは、指紋を押されることはやりますが、実際には指紋照合をしろと言われても窓口の人の能力ではとてもできないということを窓口の人が言うておるのですが、それは事実か。あるいはやりたくないのでそう言うておるか、それはわかりませんが、そういうふうに言うておられるのですが、もし言われておるように指紋照合ということが窓口では困難だということであり、また道路上で発見した人で登録証を持っておる人の場合に、それを一々照合するということも実際上は困難だ、結局いろいろな人の話を総合しますと、ゆっくり落ちついた場合に登録原票で法務省で特別の事件についておやりになる、照合されるということだけが意味を持つということになるように思われますが、そういう点についてはどのようにお考えでしょうか。
○説明員(黒木忠正君) 指紋の鑑識という言葉がございます。鑑識と照合と実は使い分けると申しますか、分けて申し上げなければならないと思うのですが、指紋の鑑識と申しますのはこれは大変に技術的に高度な技術が必要でございまして、特に犯罪現場に遺留された遺留指紋と他の指紋との照合というようなことになりますと、これは大変高度な技術が必要になる。こういうことでございますが、外周人登録の指紋と申しますのは本人が役場において丁寧に押す大変きれいな指紋でございます。この二つの指紋、前回に本人が押した指紋と今回本人が押した指紋というものが丁寧に押してありさえすれば、これは素人と申しますか、特別の訓練を受けてなくても、私が見ましても大変にはっきり同じであるかどうか、ちょっと違っているぞというようなことはわかるわけでございまして、私どもが市町村の職員に求めておりますのは鑑識するようなそういうような問題ではなくて、肉眼で見分けがつく程度の照合を要求しているわけでございます。 これは例えば写真も張ってございます。写真の鑑定というのはこれは大変難しいものだと聞いておりますが、似ているか似ていないかということは素人目にもある程度はわかる。しかし絶対的に違っているか合っているのかということになると、これはかなり難しい話になる。指紋も同じようなものであるというふうに考えております。
○飯田忠雄君 よくわかりました。 それで、結局こういうことですね。原票は一つの原票に七つ判が押せる、だから七年間照合ができる、ずっと同じものが並んでいるから、それは同一人か判断できる、だから登録原簿に七つ押せるからきれいに押せば七年間照合ができるではないか、そういう意味で非常に意味がある、現場で照合できないなんていうのはいいかげんな話で、見ればだれでもできるではないか、こういうお話だと受け取りましたが、そういうことでしょうか。
○説明員(黒木忠正君) 七年ではなくて、実は間が三年ごと、現在五年ごとでございますので、二十年ないし三十五年にわたって押されるという意味でございます。あとはその三年ごとないしは五年ごとに並べて押された指紋というものは、素人、特別の訓練を受けてない市町村の職員でも、その指紋が同じであるかどうかということは見比べることが可能である、こういう趣旨でございます。
○飯田忠雄君 わかりました。 七個押してあるから当然わかる、だから非常に有用だ、こういう意味なんですね。しかし、この点が実は現場の市町村の職員の方の中では大変誤解されておるように思いますね。そういう誤解から起こる混乱というものを解決しなければならぬのですが、こういう問題についてはどうお考えでしょうか。指紋を押すこと自体を嫌っている人たちの立場からの問題もありますが、現場での職員の立場は別に自分が押すわけじゃありませんからね。にもかかわらず法務省の方の御通達には従わないということを宣言しておる事態が生じておりますね。こういうことにつきましての御感想はいかがですか。
○国務大臣(嶋崎均君) 実はこの指紋押捺制度を委託してやっていただいているわけでございますけれども、それにつきましては昭和三十年以来のことですから大分長々の経験があるわけでございます。ある意味では割合定着をしてきた状態にありましたけれども、ちょうど五十七年の改正あたりから、実はこの指紋押捺問題というのは非常に厄介な問題になってきたという、ある意味ではぐあいの悪い話というか、どうしてこういうことになったのだかという理屈を尋ねるのに難しいような状態があるような感じがするわけでございます。 しかし最近、特に市区町村の皆さん方でいろいろこの問題について発言がなされておるわけでございますが、一つは、これは余りこういう席で言いたくはないことでございますが、自治労でこの指紋問題について反対の決議をやられまして、それが末端のその関係の労働組合に流れておるのだろうというふうに私は思うわけでございまして、第一線でやる仕事で判断が迷うようなことはどんどん上へ上げて判断をしろというような趣旨のことも中には書いてある。これは私はそこの席でもらったわけではない、別のところから入手した話でございますから恐縮ですけれども、そういうふうなことも書いてある。 それからもう一つは、職員の皆さん方が、それであるとともに、どうもこれが人道上の問題とか、あるいは何というのですか、制度的な検討を我々自身がやっておる。そのことが理由になってどうも指紋をやらないというような主張の方々の発言に結ばれてきたりしておることを私は非常に残念至極なことであるというふうに思っておるわけでございます。やっぱり法治国家でございますし、この問題について弁舌自由の時代でございますから、いろいろな評釈をされることはある程度しようがないということにしましても、やっぱり決まったことだけはきちっと守っていただくことがぜひとも必要なことではないかというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、日本におられる外国人の方々にも、この問題について我々も苦心をして新しい制度運用の改善というものをやっておるわけでございますから、それを理解をしていただきますとともに、それを運用する市町村の皆さん方にもぜひとも我々の趣旨というものを理解していただいて協力していただきたいと思っておるような次第でございます。 そんなことでございますので、何しろ時間的にはさきの運用改善をやってから本当に七月一日までの日時というものは非常に少のうございますし、またこういう大量切りかえのときですから、いろいろな疑問点や問題点があるいは出てくるかもしれませんけれども、ぜひともこの時期、我々も大いに努力をすることにより、また地方公共団体の皆さん方の御協力もいただいて、円滑に運用されることを期待しておるというのが実情でございます。
○飯田忠雄君 指紋押捺につきまして、今大臣のお話はよくわかりましたが、ここで実はお互いに制度がはっきりわからないためからくる誤解というものがどうしても生じておりますので、例えば指紋押捺は外国人登録をやった最初に一回だけとって後は要らないではないか、指紋というものは変わらないんだからそれでいいではないかという考え方があるわけですね。この考え方は先ほど承りました窓口での指紋照合というものは要らないものだという考え方に基づくわけですね。 ところが、先ほど承りましたところによると、窓口における照合が結局一番大事な確認方法だ、五年ごとに押す、その押したのを見比べることによって本人だということがわかるから、その作業だけでも非常に意味がある、こういう御趣旨であったと思うわけです。そうであると、外国人登録を最初に一回だけやっておくということになると、それができないということになりますので、その辺のところの認識が国民の間で十分なされていないという問題、それから外国人の間でも十分なされていないということが一つありますね。それから、指紋をとるということは犯罪人扱いだからもういやだ、こういう御見解が多いわけです。 それで、指紋でもって本人確認をするということになると、もう現行制度しかないが、指紋以外の方法で確認方法はないだろうかという問題が一つあるわけですね。こういうことにつきまして御研究になったことはございましょうか。例えば外国の制度とか、あるいは科学的な何かうまい方法を御研究になるとかいうことはございましょうか。
○説明員(黒木忠正君) 私どもいろいろの制度、方法というのは考えたり研究所に話を聞いたりということはいたしておりますけれども、現在のところ、指紋による人物の確認というのが一番正確であるということが一つでございます。それからもう一つは、先ほど運転免許証のお尋ね等ございましたけれども、結局写真をどのようにうまくビニールコーティングと申しますかいたしましても、これは偽造防止には役立ちますけれども、人物の確認には結局指紋に頼らざるを得ないというような欠点がございます。 それから、最近新聞等に出ております指紋をレーザー光線によって映像化すると申しますか、そういうような方式も出ておりますけれども、これも基本としてはやはり指紋は押してもらう、それを機械的に処理するというだけでございまして、これはやはり指紋制度を前提とした改善方法というようなもの。あるいは液晶カードと申しまして、温度によっていろいろ色が変わるというようなものもあるようでございますが、これにつきましても、偽変造防止には大変有効であるけれども人物の確認には劣る点があるというようなことがございまして、いろいろ研究はいたしておりますけれども、最初に申しましたように、指紋制度にかわるような適切な方法というものは見当たらないという状況でございます。
○飯田忠雄君 最後に一つお尋ねしますが、多数の在日朝鮮人あるいは韓国人につきまして指紋でもって確認作業を加えなければならないような種類の人たち、といいますと、これは密入国者とかそのほかの者以外に何かございましょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) 御質問のいろいろな問題につきましては、実は昭和三十年ぐらいまでの間は非常に外国人登録の問題というのがある意味で荒れた時期というのがありまして、その時分は外国人登録をやる年とそうでない年と四万人以上も人が動くというような、そんなことが繰り返されておりました。そういうことが実はいろいろな配給その他の問題等厄介な問題があったわけでございます。やっぱり一遍整理をしなければならぬということで、二十七年に制度改正をやりましたけれども、それをのみ込んでいただくのに時間的なこともあるというようなことで、三十年から実施されてちょうど四回目の改善が行われたわけでございます。その後、やはり調べてみますと相当何か日本に不法に入国をされるというような方々の数も当初は非常に多くあったわけでございます。 しかし、そういう推移の中でだんだんに改善を重ねて今日まで参ったわけですが、現在の時点でも指紋押捺はやっておいでになりますけれども、外国人登録原票のいろいろな記載事項の変更というのは年に一万八千から二万ぐらいの件数があるわけでございます。その中で氏名を変えなければならぬというのが二千五百ぐらい毎年実はあるというような実情にあるわけです。しかも指紋自体は三十年に実施されて、それから継続的にやってきておりますから、その点は何とかなっておりますが、要するに外国人の登録というもの、すなわち居住関係なり身分関係なりというものを明らかにして、日本における戸籍あるいは現住所その他の証明、そういうようなものがないときに外国人登録というのは唯一の基本になる。基本になるものが現在なおそういう実情にある。これは指紋制度とはあるいは別個かもしれませんけれども、そういう実情にあることと絡んで、実際はその人が特定される人であるかどうかということはまた実は深刻な問題があるわけでございます。そんないろいろな要素がありまして今日まで参っておるというのが実情であるわけでございます。 したがいまして、今度の改正というのはある意味で相当思い切った改正をやったつもりでございますが、そういう背景があるということをよく理解していただきまして、当面私たちは制度の改正というのは非常に難しくてできないでしょう。そういう中でうんと長期的な問題で時代のいろいろな変化なり、また、そういう指紋制度あるいは外国人の地位及び待遇についてのいろいろな運用その他の問題を含めて長期の問題としていろいろ考えるというようなことはできるでしょうけれども、現在なかなかこの問題はそう簡単な状態にあるというふうには思っていないというのが実情であるわけでございます。 もしあと足りないところがありましたら当局から説明させます。
○飯田忠雄君 どうもありがとうございました。終わります。
○橋本敦君 今社会的に大問題になっております豊田商事事件の問題からまず質問をしたいと思います。 何といいましても、去る十八日にいわば白昼の公開殺人のような形で異様な惨劇が行われたわけでありますが、こういったテロや暴力というものはたとえ相手がどんなに悪人であったにしろ断じて許すことができない、そういうことだと思うのであります。この豊田商事事件について次第に大きな問題になってきている中で、ついにこうした殺人劇までが行われたという事態はまことに遺憾でありますけれども、こういった異常な殺人が行われたというこのことについて、法務大臣もかなり衝撃を受けておられるに違いないと思うのでありますが、大臣の所見をまずお聞かせいただきたいのであります。
○国務大臣(嶋崎均君) 十八日に起きましたお尋ねの豊田商事の永野会長殺害事件、ああいう姿の中で行われたということについては、ある意味で非常に残念なことであるというふうに思っております。犯人のいろいろな物の考え方なり、あるいは犯行の背景と申しますか、そういうことについては必ずしも十分承知し切っておるような状態ではありませんけれども、いずれにしましても法治国家である我が国の場合におきましてああいう姿で犯行が行われたというのは非常に残念なことであるというふうに思っておるわけでございまして、今後そういう点については警察当局ともども十分に注意をして対処しなければいけないというふうに思っておるような次第でございます。
○橋本敦君 それと同時に、この起こった事件についても徹底的な捜査と究明、これが急がれていることは言うまでもないと思います。あれだけのマスコミの関係者がいるさなかで、まさに殺し屋そのものが白昼横行するという状態が現出をされる。この事件が起こったことについて、マスコミの姿勢もいろいろな問題が国民の中から批判の意見として出ておる状況もありますが、私はあの報道の仕方そのものについても確かに問題があると思うし、この事件があの現場で防ぎ得なかったかどうかについてもこれはやはり一つの問題を残したというように思います。しかし生命の安全ということについていえば、国民は警察に挙げてそのことをまさに期待をし、生命の安全を警察こそが守ってくれるというそのことに警察に対する国民の信頼もまたあるわけでありまして、今回の事件が起こったこと、そのことについては警察としてどうお考えなのでしょうか。
○説明員(清島伝生君) 特定の個人につきまして警戒措置をどのように講ずるかということは、その生命、身体に危険を生ずるといった不穏情勢の内容により判断することとしております。御指摘の件につきましては結果的に不幸な事態が発生いたしましてまことに遺憾ではありますが、当時警察におきましては把握していた情報の中に永野会長に対する直接的な危害を予想させるものはなかったわけでありまして、そのため当日は現場でのいろいろなトラブルを防止する等の観点から所要の警戒を行っていたところでありますが、その間隙をついて事件が発生したというわけでありまして、このような事情にかんがみまして、担当の大阪府警の警戒措置に手ぬかりがあったというふうには考えておりません。
○橋本敦君 今の点の答弁は私どもとしては納得しかねるのであります。その一つは、豊田商事の問題が大きな問題になってきた最近において、暴力団の動き、あるいは事務所に日本刀を持って乗り込んできたという情報もあり、さらに具体的にはこの前日に犯人の一人が現場に下見に行っておったということも今言われておるような状況でありますから、捜査にまさに着手した過程において不穏情勢があるかないかを意を尽くして慎重に検討しておるならば、私は不穏情勢があったということをつかみ得た状況があったと思われてなりません。ここではその問題はこれ以上論戦はしませんけれども、引き続き本件を起こした背景について警察の一切の手ぬかりがなかったとすることは絶対に納得できないので、みずから謙虚な立場に立って一層の検討を深めてもらいたいと思うのであります。 私がきょうここで捜査当局に対して次にお尋ねしたいことは、この犯行の背景は何か、背後関係は何か、こういうことであります。今わかっている範囲でこの点はいかがですか。
○説明員(藤原享君) 永野会長殺人事件でございますが、犯行の原因、動機といいますか、これについては、かねがね犯人の一人であります飯田が一人一党的な、まことむすび誠心会ですか、こういう会をつくりまして社会時評等を行ってきたといういきさつがあったわけでございますが、そこへ豊田商事という一つの社会問題的なものが起こりまして、会長らの詐欺まがいの商法は義憤を感じたというのがそういった一つの動機になっておるといったようなことではないかというふうに今考えておりますし、またお尋ねの背後関係でございますが、現段階ではそういったものがあるとかないとかということは明らかになっていないという状況でございます。
○橋本敦君 あのテレビで私も見ておりましたが、来ておるマスコミの皆さんに、読売新聞はいるかとかなんとか言って、頼まれて殺しに来たんやというようなことを公然と言っておるわけですね。そして逮捕されたその後の情報でも、人に頼まれてやったけれどもそれは言えない、こう警察で述べたと、こう言っておりますが、この事実は間違いありませんか。
○説明員(藤原享君) マスコミのそのような報道は承知しておりますが、そういった事実については取り調べの上では確認いたしておりません。
○橋本敦君 確認はしてないけれども、捜査の問題としては重要な一つの問題を提起しておるわけですね。確かに一千五百億とも二千億とも言われる莫大な金を国民から巻き上げて、一体それをどこに流したか。それはこれからの問題だとしても、この永野の背後にこういったすべての豊田商法のからくりを知られては困ると考える黒幕がいたのではないかということも、頼まれて殺したんやということから推測され得る状況があるわけですね。永野自身がこの直接の問題にどうかかわったかは別として、この飯田という加害者は被害者ではないことも事実なんです。被害者であれば永野を殺してしまえば元も子もないわけですから、そのはずがないんで、だから単純にこの背後関係は今わかっていないということで終わらせるのじゃなくて、まさにこれは口封じではないのか、徹底的な解明を恐れる何者かがあったのではないのかということも含めて、背後関係は徹底的に捜査を遂げてもらいたいというのが国民の要望だと思いますが、それは努力していただけますね。
○説明員(藤原享君) 御承知のように、十八日に事件が発生いたしまして犯人を逮捕したわけでございますが、そういった段階から、やはり事件の重大性にかんがみましてこの背後関係、動機その他もろもろの供述につきまして現在そういった裏づけを行うとともに、今後とも厳しく追及を行い事案の真相解明に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○橋本敦君 そこで、これから捜査の問題として事案の全面的真相解明ということになりますと、どういう点が中核的に大事な課題になるか、これであります。一つは、今捜査の手が入っているのは出資法違反という海外への送金の問題ですね。しかしこれだけが豊田商事の悪徳商法のすべてではない。むしろ多くの国内の加害者は詐欺もしくは恐喝、あるいは私文書偽造も含むいろいろな不法行為、さらには出資法違反、こういったことで全面的にこの悪徳商法にメスを入れる方向を切り開いていかなくてはならぬのじゃないかということを考えますと、これからの捜査は出資法違反を端緒としながらも、豊田商法の刑法あるいは法に触れるすべての面にわたって全面的に捜査を遂げるという気構えでいってもらわなくてはならぬと思うのでありますが、この点の気構えはいかがですか。
○説明員(清島伝生君) 全国の警察におきましてただいま実態解明を行っておるところであります。世上いろいろな疑惑が持たれまして、いろいろな法令適用が考えられないかというふうなことがマスコミ等でも報道されておるわけでありますが、私どもとしてはそういうものも含めて事案の解明に努めまして、違法行為があれば的確に対処してまいりたいというふうに考えております。
○橋本敦君 今後の捜査の全面的解明ということの中で一つの問題は、千五百億ともあるいは二千億とも言われる莫大な金の流れをどう解明するかが一つあります。第二番目に重要なことは、出資法違反でも出ておりますけれども、約五十五億と見られる莫大な金の海外への出資と送金であります。第三番目に問題なのは、この豊田商事の商法というのは豊田商事だけではなくて、銀河計画を含む莫大な関連会社を巧みに操作しての極めて巧妙なそういう全容を解明しなくてはならぬという課題がありますから、関連企業を含めた豊田商法の全面的解明、これも事案の進展によっては必要になってくる、こう思うのであります。こういった面についても目を離さずに、全容の解明と言うならば今私が指摘した三つの問題も視野に置いて当然捜査は詰めてもらわなくてはならぬと思いますが、この点についてのお考えはいかがですか。
○説明員(清島伝生君) 先ほど出資法というお話でございますが、外為法でございますが、外為法で捜査に着手したわけでございますので、当面はこの違反の立証に努めてまいりたいと思います。その他、先ほど申しましたようにいろいろな疑惑が持たれておるわけでございますので、あらゆる面から違法行為の有無等につきまして実態解明に努めていきたいというふうに考えております。
○橋本敦君 大臣も新聞等お読みと思いますが、今新聞各紙でもこの豊田商法の全容の解明をという声が非常に強くなっております。私ももっともだと思うのであります。この全容の解明を徹底的にやって、その上で対応策ということも出てくるし、財産の保全ということの的確な可能性と範囲という問題も出てくるのですが、まず何としてもこの豊田商事の悪徳商法の全容解明というものを、検察当局も警察当局も挙げて協力して、国民の期待にこたえて徹底的にやってもらいたい。その観点は今私がお話ししたようなことも含めてでありますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) 今御指摘になったようなところを含めまして、やはりこういう全国的にわたる、しかも老齢者の方を対象にした部分が非常に多いというような事柄も考えますと、できる限りこの事犯の全容を一刻も早く解明するように、警察当局とも協力して努力をしていかなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
○橋本敦君 それともう一つ大事なことは、被害者の救済という観点に立っても財産の保全対策が今非常に急がれていると思うわけです。一つには、各新聞も報道しておりますが、証拠隠滅に類するような帳簿その他の海外への移送だ、破棄だ、いういったものが出ておりますが、財産関係についても、これを隠すという処置がとられたのではないかと思われる節はこれまでの状況で随分出ております。例えば仮差し押さえに行けば金目のものはもう全くなかったという事実も支店なり本社なりで出ておるわけであります。 そこで、この財産の保全対策をどうやるかということについて、これは非常に大事な問題でありますが、一つは捜査を徹底的に急速に進める中で必要な証拠物件はどんどん押収していくという、こういう手続を進めるということが一つあります。もう一つは、民事的な措置あるいは行政的な措置で、財産の保全をするために散逸を防止するために適当な措置がどこかとれないかということを検討しなければならぬという問題もあります。 そこで、捜査の問題として必要な証拠は差し押さえその他の手続によって大いにできるわけでありますから、これはやっていただくとして、財産の保全という観点からいってどういう処置が取り得るのか。民事局長のお考えはいかがでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 財産の保全につきましては民事執行法その他におきまして債権者の方で保全をするという手続が定められておるところでございます。したがいまして、債権者が仮差し押さえをするというふうな手続で保全さるべきことが原則であろうと思います。そのほかには、もし債務超過であるとか支払いが不能であるとかというふうな状況であります場合には、破産の申し立てをしまして、破産管財人の手によって財産の保全を早急に図るという方法をとる、そのような方法で保全が図られるべきものだというふうに考えております。
○橋本敦君 それは被害者及び弁護団がそれなりに努力を今やっておるところであります。 そこで、もう一つ私は突っ込んで、それは被害者及び弁護団がそれぞれの自分の努力でやっているということなのであって、国の対応として、国の立場でこの問題を積極的に踏み込んで国民の期待にこたえるという手はないのかという問題について、私は次に聞きたいのでありますが、その一つが、弁護団が申し立てました法務大臣は会社解散の請求を裁判所にやってもらいたいという申し立てを法務大臣がどう受けとめていただけるかということにもかかっているわけであります。なぜならば法務大臣がこれをしっかり受けとめて、会社解散命令を裁判所に請求するという手続をとってくださるならば、商法五十八条の手続によって、法務大臣の請求によって裁判所は職権で直ちに財産の保全に必要な処置をとることができるということにも法律の上では定められているわけですね。 だから、弁護団や被害者が自分の苦労した努力でやるということも結構です。やっています。同時に、この申し立てを法務大臣に受けとめていただいて、今ここまで来た豊田商事のこの悪徳商法を全容解明すると同時に、被害者をしっかり救済するという観点に立つならば、この申し立ては簡単に受けとめられては困る非常に大事な申し立てだと私は思うのです。ところが、この問題について午前からの議論を聞いておりますと、極めて難しいという回答がなされておったわけでありますけれども、私はこの点についてさらに法務大臣並びに法務省としては真剣にこれを受けとめる方向で検討してもらいたいと思うのであります。 そこで、まず第一点を聞きますけれども、この商法の五十八条の会社解散命令を請求できる事情として、まず第一に「会社ノ設立ガ不法ノ目的ヲ以テ為サレタルトキ」というのがありますが、これは今日までの一連の豊田商事の商法を考えますと、まさに不法な行為を積み重ねて二千億という金を国民から巻き上げるということを事実上やってきたわけでありますから、正当な会社の業務が一体これ以外にどこにあるか。全面的にこれをやってきたわけでありますから、まさに事実上、不法な目的で設立された会社だと今認定をしても差し支えない状況が出ているのではないか。そういう意味で、この点についてはこの五十八条の一号に該当するというように見てよい状況があると私は見ておるんですが、民事局長いかがですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 午前中、寺田委員の御質問にもお答えしたところございますけれども、新聞報道等によりますと、かなり計画的にいわゆる豊田商法なるもので会社の経営をやっているようでございますから、そういう面からいたしますと、ただいま御指摘のように五十八条の一項第一号に当たるという疑いが私はないとは申しません。ただ、そういう漠然とした疑いだけで解散命令の請求ができるものではございませんで、裁判所におきまして証拠に基づいて一号に該当するという認定をしていただくだけの証拠を私どもが提出をしなければならぬわけでございます。そういう面におきまして私どもの方ではそのようなことを証明し得るだけの資料を持ち合わせておらない。またその事柄は、先ほど来非常に巧妙なやり方でやっておるというふうな御指摘がございましたけれども、そのような形でなされているだけに、非常に立証は難しい事柄ではないかというふうに考えておるところでございます。
○橋本敦君 その点は第三号の「刑罰法令ニ違反スル行為ヲ継続又ハ反覆シタルトキ」という部分についても、同じように立証上の困難ということは考えておられるわけですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 同じように、三号で言っておりますところの「刑罰法令ニ違反スル行為」ということの立証も難しいだろうと思いますが、犯罪行為そのものをとらえることができるという面では一号よりは比較的立証が容易な面があろうかと思います。
○橋本敦君 そこで、先ほど捜査当局にもお願いしたんですが、出資法違反だけではなくて、その他の法に触れる行為の有無についても急速は捜査をしていただくということでお約束いただいておるわけですが、その捜査の進展度合いによっては、この三号の違法行為の反復、継続という事実を容易につかみ得るという状況が近く出てくる可能性はありますね。いかがですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) まず、現在において刑罰法令に違反する行為を会社の代表者がしておるという事実、そしてそれが反復、継続して今後もなされるであろうという状況にある場合に法務大臣は警告をする、その警告をした後、なお警告にもかかわらず、その刑罰法令は違反する行為を反復、継続した場合に、初めて解散命令の請求ができるわけでございます。したがいまして、まず最初に警告を発するだけの状況が整っておるかということと、その後の推移を見守ってからするという行為に分けて考えなければいけないことだろうと思います。
○橋本敦君 結構です。事は急ぎますけれども、状況の解明を待たねばなりませんから、事情によってはまず警告を発する。そして、その後に解散命令の申し立てということに移行していく状況も今後生まれるならば、それはそれを真剣に考えておやりいただけると、こう伺って大臣よろしいですか。
○国務大臣(嶋崎均君) 現在、捜査が進展しておる状況の中で十八日の事件が起きたわけでございます。どういうぐあいになるか、よくわかりませんけれども、全体をできるだけよく把握していただいて、そういう事実をつかんだら、どう判断をするかということなんだろうと思うのです。ただ、時間的ないろいろな計算というようなことを考えてみますと、弁護士会なんかでもいろいろ議論されていると思いますけれども、要するに破産の方が早いのか我々の段取りの方が早いのかということはよく判断をしなければならぬと思うし、また我々がそういうことをやった場合に具体的に結果としてどういうことになるのかということをよく見きわめて判断をさしていただきたいと思っております。
○橋本敦君 今民事局長から証拠を集めるのがなかなか大変だというお話がありました。つまり立証の問題です。この立証の問題は、これは当事者である被害者あるいは被害者の代理人である弁護士にとっても同じなんですね。だから、この五十八条の申し立ては法務大臣も申し立てできるし被害者も申し立てができるわけですが、こういう大きな事件になりますと被害者は捜査権を持っていませんし、強制力で捜査、探知をすることもできませんから証拠を集めるということは極めて困難であります。そこで、被害者の皆さん及び関係弁護団の皆さんが法務大臣にこの申し立てをしてもらいたいと言っている趣旨は、まさに捜査の進展状況もにらんで、証拠の収集という点についても法務大臣がその気になっておやりいただけるならば一層急速にできるであろうということと同時に、まさに法務大臣は公益の代表者としてこういう場合に商法の規定に基づいて処理ができるというこのことが、こういう大きな社会問題になっている豊田商事の解決と解明にとっては法務大臣に期待するところは極めて大きいということであります。 だから、そういう意味で今大臣は慎重な御答弁ではありますけれども、今後の証拠の集まりぐあい、捜査の進展、そういったことの中でこの申し立てについては真剣にこれも考慮をするということを私は重ねて法務大臣にお願いをしたいのでありますが、その点についてもう一度お伺いをさしていただきたいのです。
○国務大臣(嶋崎均君) 御要望として承っておきたいと思います。
○橋本敦君 この豊田商事についての最後の私の質問ですが、新聞の報道によりますと、政府は来週初めにも対策会議を開催するというように報じられております。これは一つは国として被害者救済にどんな手が打てるかの検討、第二番目は崩壊が予想される同社の資産の散逸を防ぐ方法はないか、今私が指摘したような問題であります。政府の関係六省庁対策会議が二回目の会合を来週早々おやりになるということであります。 この問題については先物取引被害全国研究会を弁護士の皆さんがつくっておりますが、その事務局長の山口健一弁護士も、この点については被害者の救済という現段階ではもう大変な大きな社会問題であると同時に、これまで国がある意味では被害の防止に積極的な手を打たずに放置してきたという、そこのところも国の責任はあるのではないか、そういう面からいっても被害者の救済に国としても積極的に乗り出してもらいたいということを被害者の皆さんの先頭に立って希望しておるのでありますが、先ほど中曽根総理大臣も、この豊田商法というのはまさにお年寄りをねらい撃つ、障害者をねらい撃つ、生涯営々として働いて老後のためと思ってためた金をごっそり持っていく、まさに人道に反する商法だとまで総理が言われておるわけでございますが、私はこの対策会議で法務大臣が積極的にまさに被害者の救済という方向についても政府として一定の方向を打ち出すために御尽力をいただきたいということを希望するのでありますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) この種の事案というのは非常に深刻な話が多いように新聞等で報道をされておるわけでございますが、何か普通の民法上のいろいろなこういう取引というものにつきまして、基礎的な法律の維持というようなことはもちろん大切ですし、またそのためのいろいろな運用というものについては気をつけてやっていかなければならぬということは当然でありますけれども、どうもそういうことがありますと、すべて何か国の責任において問題を解決するという方式がいいものか悪いものか。仮にまたそういう制度というものが現に動き出すというようなことになりますと、そういうことについてのいろいろな物の考え方を整理しなければならぬところが非常に多いような感じを私は持っておるわけでございます。もちろん法務省の中でぎすぎすいろいろな議論をした話題ではありませんけれども、私は何もかも何か国の責任だというようなことで問題が解決すべきものでもないように思うわけでございます。もしそういうことをやるならば、やはりもっと一般的に違ったいろいろな制度の立て方ということがあるような気持ちもするわけでございます。 いずれにしましても、そういう状態にあるということをよく見きわめて、それぞれのこれらについての対策というものは今の制度の中にはいろいろ準備されておるわけでございましょうから、そういうことをいろいろ動員して事柄を考えるべき筋ではないかというふうに思っておる次第でございます。
○橋本敦君 若干私の要請とは違った筋の答弁ではありますが、きょうは時間が少ないものですから、この点については政府の関係閣僚対策会議において問題の全面的な解決に資するような方向で一段の努力をお願いして、国の責任云々の問題についてはまた時を改めて議論をさしていただくことにして、豊田商事関係はこれで終わります。どうもありがとうございました。民事局長、会議中に来ていただいたそうで、どうもありがとうございました。 次は、カネミ油症関係の問題について質問をさしていただきます。この問題も豊田商事問題に劣らず極めて重大な問題でありまして、全く善意の国民がいわれのない重大な被害を受けて多年にわたって苦しみ続けているというこの問題、全く放置できない重大な問題であります。御存じのように、この事件につきましては第二陣の控訴審が去る十四日に終結をいたしまして、後は判決ということになるわけでありますけれども、問題はその判決がどうなるかということではなくて、私はここで国の姿勢の問題として、この問題の救済と全面解決になぜもっと誠実な誠意を示せないのであろうかという問題で法務大臣にお聞きをしたいのであります。 つまり端的に言いますならば、裁判長は、蓑田裁判長でありますけれども、この結審された日に国の代理人に対して、そしてまた原告側の代理人に対しても公式に和解のあっせんをされました。審理はこれで終結するけれども本件の解決について和解による適正な合意を得られる可能性があればあっせんの労をとりたい、こうおっしゃったのであります。会社の鐘化の方は、国が和解に参加するなら社内でも検討する用意がある、国が参加しない単独では無理だと思うけれども国が参加するなら和解を検討する用意があるという回答をしたのでありますが、肝心の国の方が和解を拒否するという態度に出たために、まさに裁判長の期待するテーブルに着いての話し合いという、そのことすら行われないことになってしまったのであります。 これは裁判所の期待をも裏切っただけではなくて、多年にわたって全面的な一日も早い解決を願っている患者の皆さん、患者のすべての家族の皆さんに大きな衝撃と失望を与えたことは否めません。和解の内容はまだ出ておりませんが、なぜこの段階でその以前の問題として話し合いのテーブルに着くことさえ裁判長が勧告したのにこれを拒否したのか、その点をまずお伺いしたいのであります。
○国務大臣(嶋崎均君) このカネミ油症問題につきましては、被害者の御苦労に対しまして、また現在のいろいろな今までの経緯というものを考えまして、心から御同情を申し上げたいというような気持ちでおることは私も変わらないところであります。 しかし、実は本年の二月にカネミ油症の第三陣の訴訟の判決につきまして、それをどう扱うかというようなことにつきまして実は関係省庁の意見も含めて協議をいたしたわけでございます。ところが、どうもその協議の結果におきましても国の法的な責任を見出しがたいことから、裁判所の判断を求めるために控訴をせざるを得ないだろうという判断に至りまして控訴をやった経緯があるわけでございます。この問題の扱いというのは、非常に深刻な問題だろうと思うのでございますけれども、そういう判断をしたときから今日までの様子をいろいろ見ましても、これと別の判断を立てるような状況の変化というようなこともないわけでございますので、今回も裁判所の判断を仰ぐしか方法がないではないかという結論でございまして、そういう考え方で問題の処理をさしていただきたいということで、この和解につきましてはちょっと無理であろうということを申し立てたというのが実情でございます。
○橋本敦君 今大臣がおっしゃった和解に応じないという検討は、関係三大臣、つまり厚生大臣、農水大臣、それと法務大臣、この大臣直接御協議の話ですか。それとも事務レベルでの話ですか。
○国務大臣(嶋崎均君) 実は院内の大臣室で三大臣寄りまして、関係の責任者だけ入れた会議で相談をしまして、二月の処理をいたしたというのが実態でございます。
○橋本敦君 患者の皆さんの話によりますと、去る六日に佐藤農水大臣にお会いしたときは、大臣自身が、何の罪もない被害者がこれだけ苦しんでおる、国は患者救済に精力的に取り組むと涙を流さんばかりにおっしゃっていただいたので、患者の皆さんは本当に心から国が全面解決に乗り出していただけるものと期待をし大臣の言葉を信用していた。ところが、このにべもない拒否は一体何事かと、新たな怒りを燃やしておられるのは私は当然だと思うんですね。 今大臣は国の立場をおっしゃいました。しかし公の立場として、この三月三十日には福岡県議会、三月二十九日には長崎市、三月二十三日には長崎県南松浦郡の玉之浦町、同じく奈留町、こういった自治体が、地方自治法九十九条二項の規定によりまして、もうこの油症事件発生以来十七年、筆舌に尽くしがたい苦しみを味わって既に百二十人の患者が亡くなられておる、こういう健康被害と精神的苦悩を考えますと、生活の安定のためにも早急な治療方法の確立のためにもまさに国が恒久的対策を含めた救済処置をとられる必要があるということを自治体の立場で要請しておる意見書を内閣総理大臣あてにも出されておるわけであります。 こういう要請になぜこたえられないのか。それは大臣がおっしゃったこの判決が国の責任を認めた、そのことがどうしても納得できぬ、だからそれを裁判で白黒を法律問題として徹底的につけたいという、そういう御意向のように受けとれるわけでありますけれども、そうだとすると、それはまさに縦割り官僚行政が批判されたこの判決を地でいくような官僚主義そのものではないかと私は思わざるを得ないのであります。 そうではなくて、まさに今日の患者の皆さんの苦しみ、そしてついこの間も高知の方が将来をはかなんで自殺をされた記事が大きく出ておりますけれども、こういう苦しみをなおかつ続けさせていって、国が国のメンツで国の責任の有無を裁判所の法律判断として仰ぎたいということは本当にこれは冷酷非情な官僚主義的発想になるのではないかと私は思わざるを得ないのであります。まだ判決は出ておりませんけれども、裁判長は国が和解のテーブルにつくという姿勢をとるならばいつでも和解のあっせんをするという立場で待っておられるに違いないし、多くの患者も国がそういう国民を温かく見るという立場に立って、事態の解決に乗り出すことを今もみんな期待していることは事実であります。 したがって、私はこの問題について法務大臣にお願いしたいことは、重ねて国が全面的な解決のために裁判所の和解交渉に応ずるそのことについて、それですべて済んだのではなくて、引き続き関係省庁、各大臣とも検討を重ねていただくことを私は切に皆さんにかわって希望するわけでありますが、今後の検討としていただけますか。
○国務大臣(嶋崎均君) さきの二月十三日のカネミ油症の第三陣の判決に関連をいたしまして、三省庁大臣が寄りましていろいろな相談をしたわけでございますが、そのときも、もう既に御承知だと思いますけれども、国の法的責任を認めた判断に事実認定及び法令適用上承服しがたいものがあるので上級審の判断を求めるというのが基本になっておるわけでございます。これに伴っていろいろ出てくる被害者の皆さん方の御苦労に対しては何らかの方法でいろいろな面の努力をしなければならぬというのが項目として上がっておるということは御承知のとおりでございます。 したがいまして、この問題の処理につきまして、役所の縦割り行政の弊害だというようなことを御指摘になっておりますけれども、それに先駆けてこの油症問題につきましては相当気の配った配慮というものを私たちはやっておるというふうに思っておりますし、また当時そういう人に対する影響というものがこんな形で出てくるということが想像できなかったというような事情も、るるその当時私も資料の中で読ましていただいたというような経緯もあるわけでございます。 そういうことでございますので、今度の取り扱いについても和解という議論もありましたけれども、一刻も早くこの問題につきまして処理をする必要がある。現に最高裁にまで上がっている面もあるわけでございますので、それらの判断もできるだけ早く求めたいというような気持ちで我々も対処してまいりたいと思っておる次第でございます。
○橋本敦君 国が国の責任を認めた判決が出されたということについて、国の責任を謙虚に反省をするという姿勢を私は国はもっと貫くべきであるということが一つと、それからもう一つ、そうやって国の責任の有無を法律判断として仰ぎたい、こう言っている間に多くの患者が苦しみ、また亡くなっていく方もふえるというこの事態について、法律判断ということを盾にとってそういう姿勢で国はいいのであろうかということを幾らお尋ねしてもきょうは結論が出ませんから、重ねて強く申し上げまして、検討をさらに要求いたしまして、この質問は一応きょうは終わります。 それでは次は、厚生省にもお越しをいただいておりますが、午前中に寺田委員からもお話がありました輸血拒否の問題で子供の命が亡くなったということ、本当にお互いに心を痛めております問題が続くわけですが、この問題について聞きたいと思います。 まず厚生省にお尋ねをいたしますが、この問題で厚生省も慎重に医師の側から事情を聴取されて事実をお聞きになり、一定の御判断を今は得ておられるのではないかと思いますが、この事実についてどういう調査に立っての御見解を今お持ちでしょうか。
○説明員(横尾和子君) 事件が起こりました翌日に、聖マリアンナ医科大学の救命救急センターの担当医が厚生省の方に来訪されて事情を説明されました。その後、私どもとして特段の調査というようなことはいたしておりません。 そのときに私どもが承知をいたしました内容は、夕景、傷害を受けたお子さんが救命救急センターに運び込まれた、それから亡くなられたのが九時過ぎでございますけれども、その間およそ三十人の救急センターのスタッフがいつでも手術ができるような態勢を整え、一方、御両親に対して輸血をしながら手術に着手することの説得を続けた、しかしながら御両親の方は、ある場合には手術を始めることを了承されるような御様子もうかがわれたけれども、五分待ってくれ、あるいは十分待ってくれというようなことで、それぞれお身内の方、御友人等と御相談をされたようであった、その間、病院の側はこれでいよいよ御承諾がいただけるのではないかというような期待を持って待っていたけれども、結果としては、そのたびごとにやはりしないでほしいという御返事が返ってきた、その間に患者さんの容体が刻々悪くなって、大変残念な結果になったと、こういう内容のことを報告を受けております。 なかなか難しい問題を含んでおりますけれども、私どもは、本件の問題に限れば、このことをもって医師の方の責任を問うというのは適当ではないのではないかという感じを持っております。
○橋本敦君 わかりました。私もお医者さんが全力を尽くされたことは新聞報道その他によってよく承知ができます。 この問題で、ある意見は、医者の方に医師法違反あるいは業務上過失致死、ひどく言えば不作為による殺人ということが考えられないか、親の方には保護者遺棄致死罪という刑法上の問題が考えられないかという意見もあるのですが、刑事局長、簡単に言って、こういった考え方はいかがなんでしょうか。
○政府委員(筧榮一君) 御指摘の具体的な問題になりますが、輸血断念に至る経緯など、その間の具体的な事情のいかんによって決せられるべきことであろうかと思います。または医療のあり方の基本にもかかわる問題でございますので、今の事実のみで犯罪の成否ということについては一概には申し上げられないと思います。 あえて一般論として申し上げれば、仮に医師の職業倫理上問題となり得るような行為というものがあったとしましても、それが直ちに犯罪を構成するかということになれば、また別の観点からの検討を要するものであろうというふうに考えております。
○橋本敦君 私も刑法上あるいは医師法上の法律判断が必要だということで実はお聞きしたのではなかったのでありまして、そういうような問題もあり得るけれども、まさにこれは宗教、信教の自由という、そういう憲法上の大事な問題が一つはある。一つは親とは独立の生命である子供の命、それとそれにかかわる親権のあり方としてどうなのかという非常に大きな問題がある。そういう意味で私は伺ったのであります。 そういう点から言いますと、今度は子供の命と子供の人権という面から見ますと、これはやっぱり人権問題として見た場合にはどういうように考えるのかという問題が一つありますね。そういう意味で局長、お考えはいかがでしょうか。
○政府委員(野崎幸雄君) 子供の治療行為に関しまして、親が自分の宗教的な信念というものを貫いた結果、子供の生きたいという願いを奪う結果になったということでありますれば、これは人権上まことに遺憾なことであるというふうに考えます。
○橋本敦君 私も信教の自由ということは理解したいと思いますが、やっぱり子供が生きられなかったという点を考えますと、親権というのは本当は子供を保護するべき性質のものですから、親のこういうことで子供が亡くなったということは、やっぱり私は子供の命までも犠牲にしてよいのかということは単純に肯定できないという気持ちで、今の局長と同じような見解を持たざるを得ないのであります。お医者さんが最後の手段として、子供日身に僕は生きたいんだということを両親に言いなさいと、こう言った。大ちゃんは、僕は生きたいんだと親に言った。その大ちゃんの言葉が今も胸に残るような思いがする事件なんですね。 そこで、新聞を読んでいますと、私は気持ちがほっとする一つの記事にぶつかったのですが、アメリカではこれと同じような事件が起こっておる。そのときにお医者さんが裁判所に申し出て、裁判所が一時的な裁判所の命令で一時的に親権を両親から判事に移すという決定をして子供の命を救ったという記事を見たのであります。これは私は本当に救われた思いで読んだ記事でありますが、我が国の家庭裁判所や裁判手続でこういったことが親の親権の問題に関してとれるのだろうかとれないのだろうか。とれないとすればアメリカのこのような制度について裁判所としてはお知りになっている範囲内でどうごらんになっていらっしゃるのだろうか。この点を裁判所にお伺いしたいのであります。
○最高裁判所長官代理者(猪瀬愼一郎君) 具体的な問題については意見を差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論として申し上げますと、親権者が親権を乱用した場合には現行法では家庭裁判所は子の親族または検察官からの請求によりまして親権喪失の宣告をすることができることになっております。これは甲類審判事件として取り扱われます。しかし、この種の事件処理にはある程度日時がかかることから、緊急を要するような場合にはなかなか間に合わないというようなことがございますので、法律はさらに審判前の保全処分の手続を用意しておりまして、親権喪失宣告の申し立てがあった場合に、その申立人からの申し立てによりまして疎明によって一応要件が認められるような場合には親権者の職務の執行を一時停止し、停止の結果親権行使する者がなくなったような場合にはさらに職務代行者を選任する、こういう手続を用意しております。これは緊急の事態に備えての手続でございますから、本案の手続よりはかなり早く処理されておるというような状況でございます。 アメリカの手続あるいは法的な措置につきましては、先ほど委員から御紹介のありましたような親が子の医療措置を拒否したような場合、一定の要件のもとで裁判所が介入しオーダーを出すというようなことがあるやに聞いておりますけれども、この点についての資料の調査収集等は私どもの方で行っておりませんので、その内容について詳しくわかっていないところでございます。
○橋本敦君 今おっしゃった親権喪失宣告の申し立てが審判は時間がかかるということですから、これは間に合いませんので保全の措置が必要だ。この申し立てはお医者さんでできますか。
○最高裁判所長官代理者(猪瀬愼一郎君) 審判前の保全処分は本案の手続のいわば付随的な手続でございまして、先ほど申し上げました保全処分の申し立ては本案の親権喪失の宣告の申し立てをした者しかできないわけでございます。本案の申し立ては民法によりますと「子の親族又は検察官」、こうなっておりますが、さらに児童福祉法におきましては児童相談所長もこの請求をなし得る、こういうふうになっております。
○橋本敦君 そこで、法務大臣お聞きのとおり、おわかりいただいたように、検察官も公益の代表者として親の親権が乱用されるおそれのある場合にはこの申し立てができるということになっているわけですね。果たしてこういう緊急の医療態勢に間に合うかどうかはこれはわかりません。しかし間に合わなければアメリカのような制度の探求をやらなくてはならぬということになるんですが、今の我が国の制度でも検察官が医者からの連絡を受けて、必要とあれば今のような申し立てをするということが可能であれば、ひょっとしたら手続的に可能になるかもしれないということがあるのです。 そこで、私が法務大臣にお願いしたいのは、民事局長や人権擁護局長、あるいは厚生省や裁判所等々も御協議をいただきまして、今後こういう事件が起こった場合に子供の命を救済できるという、そういう道を、これを今お話しがありましたような我が国の家庭裁判所の保全的手続を通じてもやれるのかやれないのか研究をしていただきたい。そして、その研究の結果、アメリカの裁判制度も研究する必要があれば、これもやっていただきたいということで、この大ちゃんという子供の命が失われたことをきっかけにして、将来合理的な子供の命を守る方向をひとつ研究して切り開いていただきたいということをお願いしたいのでありますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) この問題につきましては宗教上の信念をある意味で子供に押しつけたというような感じになりまして、それがああいう不幸な結果になったというのは非常に人権保護の観点から見ましても残念なことだというふうに思っておるわけでございます。 それで、今御指摘の点につきましては、これは何か制度的に処理する形なのか、あるいは運用面で何かぐあいのいい方法というものを見つけられるのか、その辺のところはよく検討してみなければいかぬ。特に緊急的な事態であるし、今御説明受けたところから見ますと、ちょっとこのたびのようなケースのときに間に合うかどうかというのは非常に疑問だというふうに思いますので、運用的にそういうような場合にはどう考えていくのか、またそういう考え方をお医者さんの方でもよく理解をしていただいて、どういう判断ができるのか、そういうところを少し工夫してみたらどうだろうかというふうに思っておる、これは私見でございますが、そういうふうに思っておるわけでございます。いずれにしても、何らかそういうような問題にうまく対処できるような工夫をやってみなければいかぬというふうに思っておる次第でございます。
○橋本敦君 厚生省の方でも、今ここで議論をしたような方向も含めまして、お医者さんに対する指導も含めて御研究をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○説明員(横尾和子君) 具体的に全国の医療機関に指示をするということにはなじまないとは存じますけれども、この事柄についてどういうような考え方の道筋があるかということを医療関係者が承知しておくことは個々の医療の現場で判断するために大いに役に立つのではないかと思いますので、そういう形で私どもも研究をしたいというふうに思っております。
○橋本敦君 じゃ、この問題は終わります。 最後に、時間の関係でもう一、二問ぐらいになりましたが、法務大臣にお伺いしたいんですが、どうしても私は聞いておきたいことがございまして、それは国家機密法に関係をいたしますが、十九日午後、仙台で行われましたスパイ防止法制定促進宮城県民会議というのがございました。定時総会で元外務事務次官の法眼晋作さんが記念講演をなさったのであります。早速その記事が私どもの方に来たわけですが、こうおっしゃっているんですね。「スパイ防止法をやったら、」、つまりこれをつくり上げたら「来年の天皇在位六十年を祝い、そのあと憲法を改正する」、こうおっしゃっている。それからもう一つは、これは大変なことなんですが、スパイを仮に二十年の懲役で処罰すると二十歳で捕まったスパイは四十歳で出てくる、そうするとまた同じようなことをする、だからスパイというのはぜひとも死刑でなくてはいけない、死刑だということになればこれはもう予防効果も出てくる、こういう話をされている。これは大変なことなんですね。しかも、これはスパイ防止法制定促進宮城県民会議、これは石川県じゃございませんで、石川県の方だったら大臣も前には顧問に就任されておったようでございますが、元外務事務次官ともあろう方がこういうことを言っている。 大臣、これは今の政府の方じゃありませんが、元外務事務次官ですが、私は二つの点をお聞きしたい。スパイ防止法ということで一生懸命おやりになっていますが、やっぱりそれは憲法改正ということと絡めてお考えになっているということなんでしょうか。そういうことだとしたらこれは大変なことですが、こういうことについて大臣はどうお考えになりますか。それから、特に今度は第四条で死刑、無期が出てくるんですが、その死刑にするのは初めからスパイは殺せという考え方でやっている。こんなことが、これはもう民主主義の中で絶対に許されぬのじゃないかと思いますが、こういう考えが公然とスパイ防止法制定促進県民会議等の総会でなされるということについてどうお考えなのか。どうしてもこの点は御所見を伺いたいということで、最後ですが、お願いいたします。
○国務大臣(嶋崎均君) 私はその話を全く承知しておりませんので、そのお話を聞いた上にそのお話をまたするという形になるので、ここでのいろいろな論議は避けていきたいと思っておりますが、一般論として御指摘になりましたようにそれがすぐ憲法改正につながるなんというようなこととはどうも結びついておらないような気持ちはしますし、それから今度の法案、ある意味で国家の安全というものをどうして保っていくかというようなことで、なかなかいろいろな論議、いろいろな議論があるということは承知をしておりますけれども、しかし何か死刑を考えなければどうにもならないんだというような物の考え方というのはとてもよく理解できないことである、一般論としてそう考えておる次第でございます。
○柳澤錬造君 きょうはまた難民の問題でいろいろの点御質問してまいります。 三年半前というか、難民条約が批准されたのは昭和五十六年だと思うんですが、あれが批准される前も随分いろいろと予算委員会その他でやってきて、それで批准されるようになったときも、これ批准されて、これでやっと大丈夫かなと思っていたんですが、なかなかそういうわけでもない。それで、その後も、ですから時折ここでもっていろいろお聞きをしてきたわけですが、きょうはこの六月四日と六月十七日の朝日新聞の記事を中心に私はお聞きをしたいんです。 一つはアフガニスタンから脱出をしてきた難民で、三年前にあのソ連が入ってきたときに特定政党への加入というものを断って夫が殺された。これでは自分たちも危ないといって親子が脱出をしてきて、それでインドからずっと経て四月十七日に成田の空港へ着いた。それでカナダに行きたいと言っておったのだけれども、そこでパスポートがにせものだということが発覚して、それでトラブルになる。とうとう行かしてくれなければと言ってハンストまで起こして、それでやっと五月八日ですか、カナダに行けるようになったという一つの事実があるわけですけれども、この辺は法務省としてはどの程度まで把握をなさっておったのか。このときに何らかの御指示をなさったのかどうか。その点をまず第一にお聞きをしてまいります。
○政府委員(小林俊二君) 御指摘のアフガン人六名は成田にトランジットということで入国したわけでございますが、五月六日に至りましてカナダの航空会社に搭乗を拒否されたということで、航空会社の受付カウンターの前でハンガーストライキを始めたということで、空港からの通報で私どもは事態を承知したわけでございます。いずれにせよ、この人々は我が国に入国を申請するということはいたしませんで、あくまでカナダに入国したいということで、その要求が満たされるまでハンガーストライキを行うということであったわけでございます。その間、健康状態が悪化するというようなこともございまして、空港当局は非常に取り扱いに難渋したということがあるようでございます。実際にも病院に一時収容するというような事態になったわけでございますが、その後カナダ政府側が本人らを受け入れるという意向を表明したために、そういう経緯はございましたけれども結局カナダに入国することになったというふうに承知いたしております。 入国管理当局といたしましては直接本件に何らかの措置を講ずるという場面はございませんでしたけれども、事態が私どもの管轄のもとにある成田入国管理局に関連することでもございましたので、事態の推移についてフォローし、適宜私どもとして所要の助言を行ってきたというにとどまった次第でございます。
○柳澤錬造君 この親子の方は一応カナダの方に行けたわけですからよかったわけです。 それに関連をして、また後で触れたいと思うんですけれども、もう一組の方は、これは五日二十日に成田に着いたモハメッド・アクバルさんとナルスラさん、どっちもこれは十六歳の青年なわけです。この二人はアメリカに行って向こうで受け入れが拒否されて送り返されてきた。このままアフガニスタンに送られれば殺されると言って搭乗を拒んでおったわけなんです。国連難民高等弁務官の駐日事務所の方もそれを聞いて乗り出して、日航に対しては慎重な対応をしてほしいと。それで今カラチの方の調査を進めているからといっておったにもかかわらず、日航の方では三十一日にその二人を強引に飛行機に乗せて送ってしまった。その事実も三日まで隠しておいて発表しなかった。その後、国連難民高等弁務官の駐日事務所の方が調べたら、その二人はカラチへ着いたらそのまま身柄が拘束されちゃったという。もちろんこれもアメリカから送り返されて、ある意味においては日本を通過するだけの人だということになるわけだけれども、難民ということについて日本の政府なり法務省というものがどういうお考えを持っているかということがいまだに私にはわからない。 先ほどのカナダのパスポートの問題もそうなんですが、これも今の法務大臣ではない、もう何代も前の法務大臣で名前は差し控えますが、もうずっといろいろとお話をして、それで最終的にそのときに私が、じゃ、なまはんか台湾なり香港なり途中寄って、それで仮というか、にせというか、パスポートをつくってもらって正規なルートでもってエアピープルになって入ってくるがゆえにいろいろ問題を起こすのであって、だったらもうパスポートも何も持たずにそのまま裸一貫でやってきたら、それは難民として扱わざるを得ないことになるけれども、そういうことですかと言ったら、大臣いわく、そうなんですという答えがあったわけです。 もちろんそれは大臣と私との二人だけの話の場だから、そんなことはこういう場での答弁ではないし、またこういう場だったら大臣も言いもしませんし、またそういうお話があったからといって、今まで長いこと何年間もこういう場でも私は持ち出していないんですけれども、しかし、たとえ通過の過程であっても何であっても、日本なら日本に来たときに、そこでもって私は難民なんです、助けてくださいと言って申請をすれば、それを受け付けてどうするかということは、保護するということについて難民条約を批准している以上は日本の政府には責任があると思うんです。なぜそういうことをおやりにならないで、日航側も写真に出ている羽交い締めまでして、そして飛行機の中へ送り込んでやっちゃった。恐らく法務省の方でも全然御存じなかったはずはないと思うんですけれども、その辺についていかがですか。
○政府委員(小林俊二君) ただいま御指摘のあったアフガン人二名は、昨年七月二十九日に偽造パキスタン旅券を持って成田に入国の上、一泊して翌日、航空機でニューヨークに向かったものであります。ニューヨークに到着後、所持していた偽造旅券を破棄いたしまして、ニューヨークの入国管理当局に対して自分はアフガンの難民であると言って難民としての入国を申請したのであります。しかしながら、米国において当局が種々審査の結果、難民には該当しないという結論を下しまして退去命令を下しましたので、その後本年五月に至りまして送還されることになったわけでございます。たまたま米国に参りましたのが日本航空であった関係上、送還も日航がこれを引き受けざるを得ないということになったわけなのであります。したがって、同人らはパキスタンに帰国と申しますか、パキスタンに送還される途次、成田に到着して、その後成田から改めてパキスタン向けの航空機に搭乗の際に搭乗を忌避するという行動に出たものでございます。 私どもが日本航空から提供された資料によって承知するところによりますと、米国において種々調査を受けました結果、確認された点といたしまして、これらの難民の、いわゆる疑似難民でございますけれども、その渡航につきましてはその背後に偽造旅券を製造して売りつける疑似難民送り出しの組織があるということであります。これらの人々は通常一人当たり五十万円相当額の金銭を支払ってこうした偽造旅券を購入し、それを持って先進国に渡航することを図っておるものであるということが確認されたわけでございます。そのために米国の当局は、この種の既に一時庇護国において定着の道を見出している人々が経済的により恵まれた生活を求めて先進国に渡航を企てるという事例については、米国も、またいかなるその他の国もこれを受け入れる余裕はないという判定をしておるわけでございます。 また、国連難民高等弁務官事務所においても、こうしたむしろ経済的に恵まれたいわゆる疑似難民、これらの難民につきましては経済移民という言葉を使っておりますが、こうした人々がそうした組織を背景として先進国に渡航を企てるということは真に保護を必要とする難民の受け入れにむしろ障害となるという意見を表明して、これについて遺憾の念を明らかにしておるという事情もあるわけでございます。
○柳澤錬造君 局長、そういうこと言われるならば、これ、大臣も聞いていてほしいんです。私はこの難民の問題に関心を持つようになったのはもうずっと前ですけれども、カナダの方からのある手紙でもって、そこに書いてあることが何ということが書いてあったかといえば、世界で最も恥ずべき国は日本である、あれだけベトナム戦争で金もうけをしておきながらベトナムから出てくる難民に対して何らそれを助けてあげようとしない、わずかに一家族三名を定住させているだけだといってずっと書いてある。それで、それは日本のことだけじゃなくて、今局長が言われたから私言うんですけれども、その後ろに、その手紙を書いた人は、ベトナムでもって脱出するのを助けるために金を幾ら取っている、それはどういう人物だということまでちゃんともう把握をしておるんです。それで、そういうことについて自分たちはタイの政府にもそういうことを言い、それでそういうものをやはり取り締まらなければ、そういう困った人を利用して金もうけをしているのはけしからぬやつだということも書いてあるわけです。 ですから、今局長が言われるようなこと、高く売りつけて、いわゆる偽造のパスポート云々ということを言うならば、アメリカとかカナダがじゃなくて、日本がこれ一番近いんですから、乗り出していって、そういうふうなふらちなことをしているのを何でとっちめてくれないんですか。元来難民だということになると、大臣お考えいただきたいんですけれども、まともな正規なパスポートを持って出てこられるならば何も難民であるはずないわけでしょう。国を捨てて命がけで脱出してくるんだから。 ある女性なんかは、これは今でもまだ日本におりますけれども、それは大臣、家族が一緒に出たら死ねば一緒に全部死んでしまうから、これはラオスの難民ですけれども、脱出のときはあの川を渡るのにも命がけでばらばらに出るんですよ。それで親たちは渡ってなにする。それで十六歳の娘は娘でなにしていって、それからタイからなにして、台湾でもってパスポートを手に入れて日本に入ってきた。それを日本の法務省は、これは台湾のパスポート持っているから台湾がこの人の保護をすべきだ、それで日本としては難民として認めない。親たちはそれからずっとなにしてカナダまで行って、それでカナダ政府はその親たちはちゃんと難民として認定をして難民の収容所にも入れ、それで、その父親はそういうぐあいで行ったものだから病気になりまして、それで病気でもって生活保護まで受けている。そのことを知って娘の方はもうずっと前に別れたままだから、もしものことがあればその前に何とかして一目会いたいといってなにしたわけだけれども、日本の政府はカナダへやるのを出さないんです。 出ていってもう二度と日本に帰らないならば出してあげる、また帰ってくるならばと言って、そういうぐあいでもって認めないで、当時の法務大臣と私はどれだけ交渉したか。それでやっと最終的に出ていって生きているうちに会えて、それで帰ってきたんです。その人はいまだに日本の政府は難民として認めないんですよ。親たちはカナダで難民と認められ、しかも生活保護までなにしているにもかかわらず日本政府は認めないというのはどういうことですか。 それで、これも大臣に聞いてほしいんだけれども、今のそのパキスタンに送った二人の青年について、法務省の難民認定室の担当者はどなたか知りませんし、それからこれは新聞の記事ですからそのとおりのことなのかどうかもわかりませんけれども、少なくともここに載っているのは「アメリカから送還される途中の不埒なやつ。その不埒なやつをパキスタン行きの機内に戻すのは当然。連中は成田でトンズラしようとしている」、どういうことでしょうか。日本の法務省は、入管は、こういう難民の人たちを扱うところの人たちというものは、私から言わせればそんな非人間性を持った人たちばかりいるんですか。もう少しこれだけの経済力を持ったGNPが云々だと言われる国ならば、それぐらいのことはいろいろなことをもっとやってあげたらどうなんでしょうか。その点でお聞きしたいんです。
○政府委員(小林俊二君) 先生今御指摘の新聞記事のような発言があったとすれば、これは問題であると私どもも存じましたので現地に直接調査をいたしました。しかしながら、これについて現地の説明はそのような応答は全く行われていないということでございました。この記事のもとになった取材は電話で行われたもののようでございます。そこで、そのやりとりの間に何らかの誤解が起こったものと存じます。このような記事が掲載されたことはいずれにせよ極めて遺憾であると考えております。
○柳澤錬造君 じゃ、この点はしていただけたんですか。パスポートを持っていようがいまいが、不法な形で来ようが合法的な形で来ようが、難民としてならば、難民にしてくれという申請があれば、それは取り上げて扱ってそれなりの庇護はしてあげますよというふうな形のそういうことをあなたがお話をして、そのカナダ行きの親子の場合も、パキスタン行きの二人の青年の場合も、そういうことを本人たちに問うたといういきさつがおありになるんでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 私どもとしてはいわゆる難民に該当する者、あるいは該当すると思われる者からいわゆる一時庇護上陸の申請があれば、この申請を審査して、そしてしかるべく申請を認めることが適当と思われる場合には事実これを実際にも認めておるわけでございます。しかしながら、この手続はあくまで本人からの申請を前提としているわけでございまして、私どもの方から申請の意思があるかないかということを照会するということはいたしておらないわけでございます。 事実先ほど申し上げたような送り出し組織の指導の実態を調査してみますと、あくまで日本は中継地として、そこで申請をすることはしないように、その上で目指す先進国に到達した後に所持しておる偽造旅券を破棄して難民であると申し立てを行うようにということをあらかじめ申し含めておるようでございます。そういうことがありますので、これらのアフガン人あるいは先ほどの事例につきましても当局に対する申し出をしなかった、申請をしなかったものと推察いたしております。
○柳澤錬造君 これは大臣に答えてほしい。今局長がああいう答弁なさっているでしょう。十六歳の少年がそういうことをやる方法があるんだなんということを知っているでしょうか。日本人だってそんなもの、まあ日本の国はこういう状態だからいいけれども、そんな難民条約にはそういう道が開かれているんだなどと知らないと思うんですよ。申請があればと今局長は言っているでしょう。申請があればというそういう態度がね。 それでも何年か前にも日本の政府のあれはタイのあすこの難民収容所に行って、日本に来たい人いますかという面接をして、やったでしょう。あのときも私はわざわざタイまで出ていって、あの難民収容所へ行って、そういうことをする暇があるならば、日本の国内にいっぱいいて、それで流民なり何なりの状態でもって、そうして潜って隠れて何とかして生き延びようとやっている人たちをもうちょっと当たって、難民としてそれなりに正当に待遇をしてあげるということが先じゃないですか。何もタイのあそこの難民収容所まで行かなくても日本の国の中にそういう該当者がいっぱいいるんですよ。今入管局長が言われた申請があればと言う。そこら辺のところが大臣、難民に対する態度というか認識に大変な私は間違いがあると思うんですよ。そこら辺大臣にお答えいただきたい。
○国務大臣(嶋崎均君) 結局難民であるかどうかということの認定をどういうぐあいにするのかということで、そういう手続的なものが定まっておるのだろうと私は思うんですが、余り詳細なことは存じておりません。 しかし、いずれにしましても難民条約に加入してからもう三年余の日月がたっておるわけでございますから、法務省においてはもし我が国に庇護を求めてくるというような人があったら、それに対しては十分難民条約の趣旨を尊重して対処しなければならぬというふうに思いますが、その場合に今国内でそういうような方がどういう姿になっておるのか、また中継的に入ってきたような処理というのはどういうことになっておるのか、これらの従来の扱いがどういうふうになっておるのかということを少し勉強させていただいて、何かそういう点について、今私が基本的に申し上げた考え方とどういう点に問題があるのか、調べさせていただいて対処させていただきたいと思います。
○柳澤錬造君 大臣、それで結構です。 それで、大臣が今になって調べさせてなんと言ってもらうのも困るんだけれども、本当にベトナムから留学生で日本に来ていた諸君も、ベトナムであの革命になって、それで全部パスポート、パアでしょう。それだから結局パスポートなしでもって日本にずっとおって、それで私たちが何だかんだやって、そして政府がパスポートなしでそのまま全部永住を認めるといって認めてくれたんです。それで、さっきも言ったとおり、ベトナムの難民たった一家族三名しか受け入れてない。これは何事だといってその手紙の問題で私が国会でやって、そして直後に五百名に枠を広げてくれた。だんだんそういうふうにやってくれて、いろいろ御努力していただいているのは本当にありがたい。 だけれども、今の世界の趨勢からいけば、この間も本会議で言ったように、アメリカが五十七万、五十八万受け入れている。日本がやっと今四千名、〇・七%ですよ。四万人だというならまだ幾らかいいが、それで経済力の関係ならアメリカの次のGNP云々だといってすぐいろいろ話が出てくるわけでしょう。ですから、そういう点で貿易摩擦の関係とかなんか、そういう問題なんかでも、そういうものも絡んで、私たちが東南アジアに行きましても言われるのはそこなんですよ。そういうことをちっとも日本はやらないじゃないかということがあれなんですから。 かつて私は難民問題なにしたときに、三原総務長官が、根本的に改めなければいけない、今の法律でやろうということが間違いだ、それでこれはもう人道上の問題であって人類愛で取り組まなければいけないし、それは国境を超え法律を超えてやってやらなければいかぬ、根本的に今の日本の法律によってやっているのを改めさせますと言ってくれたんですよ。それで非常にありがたいと思った。ところがなかなか進まないできましたんですけれども、ですから、きょうはそういう点で根本的に一回メスを入れていただいて、それで日本の国としてそれは譲れない点も私はあると思うんですよ。しかしやはり譲って、もうちょっと広げて、いろいろな点でもってやはり救ってあげる点は救ってあげる方法をとっていただきたいことをお願いしておきます。局長、御返事をお聞きしたい。
○政府委員(小林俊二君) インドシナ難民の現況について申し上げますと、現在、枠は五千名ということになっております。しかしながら、この枠は一つの目標でございまして、その枠のために難民認定を拒否したという事例は一件もないわけでございます。現在までにこの枠に基づきまして定住を認められたインドシナ難民は四千二百五十五名に及んでおります。そして、このうちに先ほど先生から御指摘のあった元留学生等七百四十二名が含まれておるわけでございます。これらの人々はいずれも本人の申請に基づいて審査の結果定住を認められたものでございまして、現在の状況は先生が御指摘になるような段階における状況とはかなり様相を異にしておるということが言えるかと存じます。 また、我が国は財政的にも国連難民高等弁務官事務所のインドシナ難民を対象とする計画において最大の財政寄与国でございまして、この面においても私どもとしてはできる限りの手を尽くしておるということが申し上げられるかと存じます。
○柳澤錬造君 せっかく官房副長官が来ているんだから、そちらの話はやめようと思っているんだけれども、これだけやっているじゃないかという、その辺の態度を大臣、本当に改めてくださいよ。ここ数年前からお金を出していることは認めますよ。しかし難民収容のあれからいくならば、ニュージーランドやオランダやノルウェーやベルギーなんかよりは少ないんですよ。何でこんな国よりか少ないんですかと言いたくなる。ニュージーランドにしようがノルウェーにしようが、はるかかなたの国。日本は近いんでしょう。だからそういう点で、金さえ出せばいいんだという、これが今日本の国が世界からいろいろと嫌われる原因なんですから、そういうふうなことを改めて、本当にそれこそかつて三原総務長官なり外務大臣なんかが言ったように、人類愛というか、人道上の立場に立って、そして心開いて温く迎えるという気持ちを持っていただきたい。そういう点で根本的に法務大臣の方で御検討をいただくことをお願いしておきます。 せっかく官房副長官がおいでになっているんですから、お忙しいところ副長官、申しわけございません。私がお聞きしたいのは、これは中曽根総理大臣にお聞きしたいことなんだけれども、そうは言ったって総理にここへ来てくれというわけにいかないので、それはどういうことかといえば、衣食足りて礼節を知る、これは昔から私たちも教えられたり、みんなだれもが知っていることなんだ。だが現実はどうでしょうか。かなり衣食は足りてきたようだけれども、じゃ礼節を知るということになってきているか。ますます逆で、いろいろと犯罪は起きる。事件は起きる。 そういう今の日本の世相になってきているんだけれども、そこで、これは朝日新聞社が調べたのですけれども、小学校、中学校が給食をやっている。その給食で食べ残しというのが、全国を調べたら一日でパンが八十トン、牛乳が四十四トン、合計百三十二トンです。そこから類推していって、給食の日というのは年間百九十日ぐらい。それで、そういう計算をやっていったら年間でパンが七千トン、米飯が五千七百トン、牛乳で八千三百七十トン、合計二万一千七十トソです。この牛乳だけでも八千三百七十トンというのは乳牛二千五百頭が年間に生産する量に匹敵するんです。このようなことを放置しておってよろしいんでしょうか。 こういうふうな小学生なり中学生が勝手気ままと言っちゃ適当かどうかわかりませんけれども、そういうことが結局わがままな子供になって、そしてそういうものが育ってきて校内暴力は起こすわ、家庭暴力は起こすわ、それでさらに今度はいろいろと社会的な犯罪も引き起こすようなことに発展をしていっているのと違いますか。ですから、これは単に文部省が学校教育の云々ではなくて、もうちょっと広い視野に立って日本の国の秩序というか、そういう点に立ったときに、政府としてどういうお考えを持ち、どういう対策をお取りになろうと考えているかということを副長官にお聞きしたいんです。
○政府委員(山崎拓君) ただいま先生の御指摘のような、衣食足りてされど礼節を知らずと申しますか、そういう一般的な傾向があるということは私も同感でございます。そういう点は今後の課題だと存じますので、臨教審等でもぜひお取り上げいただいて御検討を煩わしたいと考えるところでございます。 学校給食の問題でございますが、これは当然のことでございますが、文部省で実施基準なるものを定めておりまして、それに基づいて学校栄養士さんが所要カロリーでございますとか栄養のバランスとか考えましてメニューをつくってやっておるわけでございます。しかし実態といたしましては残食の量というものが膨大なものになっているということは事実なんであります。それは偏食があったりあるいは体格の差があったり、あるいは新聞によれば美容上のことを考えて節食すると申しますか、そういう傾向があったり、いろいろな要素で残食が出ているというふうに感ずるわけでございますが、その原因の一つに物を大切にしない心というものがあるとすれば大変残念なことでありますので、そういう一般的な傾向を私も先生のお説のとおり感じておりますので、その辺これからの一つの教育の課題といたしまして改めるように文部省にもその指導方をよくお願いをしてまいりたいと思っているところでございます。 また、偏食を改める指導も当然必要であろうかと思っております。そして学校給食の実施に当たりまして、そういう残食が出ないようにいろいろと工夫が必要なのではないだろうかと思っておりますので、そういう点も留意さしてまいりたいと考えるところでございます。
○柳澤錬造君 難しい問題ですけれども、給食の問題をということだけでなしにお取り組みをいただきたいと思うんです。 これは皆さんも御経験あると思うんだけれども、私なんかでも例えば何か会合があってホテルで食事をする。あのフルコースが出てくる。やっぱりとてもじゃないけれども、そんな食べ切れるものじゃないから、そのパンならパンのあれなんかというのは全然手をつけないでおいて、そして片づけに来たときにボーイさんに小さい声で、これは全然手をつけておりませんからと言うんですよ。そんなこと言おうが言うまいが残飯と一緒にみんなお盆の中にあけて片づけてしまう。私はあれ見ておって、本当にこういうことをしておったら日本の国というか日本人はいつか罰が当たるんじゃないかと思うんですよ。それはそういうものをほかのお客さんに出してはいかぬけれども、ちょっと片づけるときに面倒でもそういう手のつけてないのは別にして片づけて、そして一つのホテルだったら私はその量は相当なものになると思うんです。それを施設の子供でも、いろいろのそういうところがあるんですから、そういうところへ行って毎日とりに来なさいといったら、あのホテルで使っているパンなんか相当いいパンでしょう。本当に何にもつけなくたって食べられるんですよ。だから、そういうホテルのようなところもそういう形になっているんであって、そういう点をぜひ改めるような方法でやっぱりやっていただきたい、御指導いただきたいと思うんです。 もう一つの点は、民主主義国家日本なんですから、社会生活の中でもって市民の目の前でもって暴力事件が起きる。この間も、あれはもう殺人事件が起きた。車内暴力で女性がなにされてもみんな知らぬ顔をしておった。こういうふうな目の前でいろいろと事件が起きたときにどうしなければならぬかということのそういうものを、ひとつばちっと出していただきたい。 この間横浜では、あれは大学生ですか。お巡りさんがなにだから、だから悪いことをしているから行って一緒になってとっつかまえようとやって逆に大学生が殺されちゃったわけでしょう。殺されちゃって、殺されそうになっちゃうんですから、だったらよく車内暴力なんかでも、おってもみんな乗客は見て見ぬふりで知らぬ顔している。その方がいいのか。それで民主主義国家が成り立つんですか。だから、そういうふうな目の前でもっていろいろそういう暴力事件なり殺人事件が起きていく。そういうときに日本人は何をしなければならぬかという、そういうところをどういうふうなことをお考えになって、どういう御指導をなさろうとするか。政府のお考えをお聞かせをいただきたいんです。
○政府委員(山崎拓君) ただいま先生が御指摘をされました学校給食の問題やホテルの問題、そしてまた治安の問題、いずれにいたしましても豊さの中の精神的な貧しさと申しますか、そういう社会の現在の風潮に対しまして非常に厳しい御批判をくださったものと考えております。そういう点につきましてはこれをどうやって改めていくか、真剣に今後も考えてまいりたいと思いますし、また御指導もいただきたいと思っております。 なお、横浜の強盗追跡で犠牲となられました大学生に対しましては、御案内のとおり、その勇気ある行動、また結果として社会のためにとうとい犠牲となられたその正義感に基づく行為に対しまして、総理大臣の顕彰を過日行ったところでございます。
○柳澤錬造君 これは難民対策室に、それから副長官も聞いておっていただいて、そして善処してほしいと思うことは、これは昨年三月、栃木県の足尾町、足尾銅山のあったところ、あそこの町会議員が参りまして、ああいうぐあいで寂れちゃった、それで難民センターを建設したい、土地は町が提供するというんです。だから、センターは政府が建ててくれませんか、それでいろいろ来た難民を受け入れて、日本語の教育というものについては私たちが責任を持ちますと、そういう話がありました。ちゃうど安倍外務大臣に話をしたときにも、外務大臣の方もそれはいいことじゃないかと言ってくれまして、だけれども、そんなところでもって就職はできるのかといって聞かれまして、それで私もすぐまた向こうの足尾の方へ連絡をとってみたら、就職は地元のいろいろ中小企業いっぱいあるんだから、そういうところへ全部責任をもって就職もさせますという返事があったんです。ところが、難民対策室の方は、いえ、今難民収容、さっきも言ったように五千名で今四千名といえば千名あるようなもので、まだ収容に余力がありますから慌ててそんなセンターなんか建てる必要がありませんからと、こういう御返事があったんです。 それで、収容力に余力があるのか収容しようとしないのかということは、先ほどからいろいろ私が申し上げておるように、いかに日本が難民の受け入れが少ないかという点からもおわかりのとおりなんですから、そういう地方の自治体がそうやって協力してやってやろうと言って、建物を建てるまでの金もないから、土地は町として提供して、そしてそういう難民の人たちが来たら、それに日本語を教えたり、また働ける場もそういう形でもって町として責任を持ってやりますということがありますので、対策室の方で御返事があればなにだし、副長官の方はお聞きいただいて、極力そういうことの実現ができるように御努力をいただきたい。御要請を申し上げておきます。
○説明員(飯島光雄君) 足尾町のインドシナ難民受け入れの構想につきましては、私ども既に先生を初め承っておりまして、非常に大変結構なお考えと敬服しているところでございます。 そこで、私どもといたしましても、先生既に御指摘になりましたのですが、難民の受け入れに鋭意努力いたしまして、特に最近非常に順調に定住化が進んでおる次第でございます。その結果、現在我が国に滞留している難民もかなり少なくなりまして、一千百名程度でございます。そこで、他方我が政府側で既に設置してあります国際救援センター、その他三つの定住促進センターで十分に難民の受け入れ、訓練、それから定住までの過程をこなしておりまして、当面特に新しくさらにセンターをつくる必要はございません。したがって、新しく何かまたつくるということは考えておりません。
○柳澤錬造君 だから、そこがさっきから言っているように日本が四千人だからで、四万人も収容しているのならば、これは話は別ですというんです。外国の各国に比べて、四千名そこそこというところに問題があるんで、だからまだ収容力の余力がありますなんという答えが出てくるのであって、もしこれがよその国並みということで四万人ぐらい日本はなにしなければいかぬというなら、余力どころではなくて、もっとセンターをつくらなければいかぬ。だから、もちろんそれはそんなに一遍にいくことではないんですけれども、そういうふうな希望があるならばできるだけして、そしてまた入ってくる人があればそういうところへ収容することができればいいんであって、だから難民というものに対しての取り組みの姿勢というものを対策室の方も法務省の方も政府自体が根本的に改めなければいけないんですよということを私はお願いしているんですが、それだけつけ加えておきまして、それで山崎副長官、お忙しいところ、ありがとうございました。これで終わります。
○中山千夏君 矯正局に五月の一般質疑に続きまして刑務所の処遇の問題についてお伺いいたしたいと思いますが、受刑者の処遇が変わることがありますね。例えば雑居にいたんだけれども処遇上独居拘禁にするとか、その変わるときには、その当人に対してこうこうこういう理由で変わるんだよという説明をする必要があるんだろうと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(石山陽君) 現在の日本の監獄法令の中では、舎房を変えます場合、例えば夜だけ独居、昼間は雑居にしているとか、そういうことの収容の態様を変えます場合に、その理由は具体的に受刑者には告知すべき旨の規定がないわけであります。多くの場合は官側でいわゆる行政処分として裁量行為に基づきましてそのような措置をするわけでございますから、それに基づきまして執行を行っておるわけですが、恐らく行刑施設の中でこれこれの理由でという形では告知しないと思います。ただし例えば懲罰によりまして雑居房にいる者が懲罰執行期間中、厳正独居拘禁になる、こういうときは懲罰の執行だからということですから、事実上相手に理由が告知されたような、そういう形になることはあると思います。
○中山千夏君 この新潟刑務所の一連の経過を見ていまして、やはり法的に規定はなくても、処遇の変更があったときなどには説明をするというようなことはとても重要なんじゃないかと思ったんですね。それはやはり自分の身に置きかえて考えますと、扱いが変わる、日常生活の態様が指示によって変えられるというときに、なぜだろうかということがわからないと非常に不安を持つでしょうし、そのことが原因で管理側との間に、何というか、かたくなな感情が生まれるということも往往にしてあると思うんですね。そういう点で今度の新潟の場合には、これ、ある種処置が非常にまずかったというか、対応が非常にまずかったんではないかなと私思うんです。 というのは、八月の二十日に処遇上独居拘禁というのを言い渡されているわけですね。その後すぐに定規、これは帳簿の勉強をこの受刑者がしていまして、そのために定規を使っていた。その定規が不正に所持していたものである、つまり何か物品カードというのに持ち物は書き込んでなければいけないのにそれが漏れておったという理由で、すぐ懲罰にかけられまして、それで処遇上独居拘禁から懲罰にと移行してしまうんですが、その懲罰の期間が終了した後、なぜ処遇上独居拘禁ということを言い渡されたのかということで説明を求めるわけですね。そうすると、下の方は答えられない。あるいは答えない。そうすると上の方に願せんを出しなさいと。 これは私よく知らないんですが、途中ですけれども、保安課長なり上の方に面接をしたいというときには、どこの刑務所でも一々願せんというものを書いて提出して、それから会うという手続になっているんですか。
○政府委員(石山陽君) とりあえず願せんの問題にお答えしますと、どこでも同じような扱いをしております。と申しますのは願せんを出させる。これを出させます主たる理由は、どういうことについていわゆる面接を求めているかというその面接の趣旨ですね。これを簡明に書いてもらいませんと一々それに対する対応ということが十分に行われないんじゃないか、こういう趣旨から願せんを出して保安課長、あるいは手すきがありますればもう少し上の部長クラスにも会える、こういうふうな扱いになっております。
○中山千夏君 それで、その願せんを九月三日に出したんですね。それから十月二十三日にようやく面接がかなったというんです。その前々から、つまり八月の二十日、二カ月前の段階から、なぜ自分は独居拘禁にされたのかということを非常に不思議に思い不安に思っていた人ですから、言ってみれば、その日から数えれば二カ月もほうっておかないで、忙しい最中だったでしょうけれども、もっと早く会ってあげた方がよかったんじゃないかと私は思うんです。しかも、その二カ月かかってやっと会えた結果のお答えが処遇上独居拘禁の理由は相当の理由によるし回答の限りではな いということだったものですから、余計この方としては納得いかないわけですね。だから受刑者の方が不安なり不満なりを持ったときにはもう少し速やかに会ってあげるようにした方がいいというふうに私は思ったんです。 それからもう一つ、その処遇に付したということの理由で、この間お答え、御説明をいただいたんですけれども、要するに死亡事件の後で刑務所内に非常に不安があった、その最中にこのA氏ならA氏という方が同房者の人だとか工場内の仲間なんかにいろいろしゃべったりして、余計その不安が盛り立てられては秩序が乱れて困る、それでやむなく独居ということにしたのだという御説明をいただいたんですね。ところが、事件の発生から処遇上独居拘禁という処置までの間がかなり長いんですね。事件が六月七日から十二日にかけて起こっています。独居になったのは八月二十日なんですね。これ、私は経過をずっとたどっとみて、かなり不自然に思ったんですが、どうなんでしょう。
○政府委員(石山陽君) やはり一応の処遇を変えます場合には、それは委員も仰せのように、本人にその理由を具体的に告知すべきかどうかの問題点は確かにあると思うんです。例えば全く身に覚えがないのに処遇が急に変わるということは被収容者にとりまして大変不安感を与えることであります。こういうことを申してはなんでございますが、いわゆる塀の中の密室の中の社会はおりますると、なぜ自分が処遇が急に変わるかということについては多くの場合受刑者自身は腑に落ちておる行動があるからであるわけなんでございます。それで、それでもきょうそういうことがあったから直ちにあす処遇を変えるということは我々行刑側としてはできるだけ行いませんで、ある程度一連の行動等十分観察しまして、そしてやはりこういった昼夜独居拘禁もやむを得ないという結論に立つまで、それはやはり一応慎重に審査しなければいけません。そういうこともありましたので、多少時間がかかっているんじゃないかというふうに考えております。
○中山千夏君 それにしても、確かに事件直後というのはかなり伺いますところでは受刑者の間で不安が高まっていたようなんですね。それで、それはなぜかというと、やっぱり雑居房の中で亡くなった方がいらしたことから、その同室の方のお話や何かから不確かな情報が漏れますね。それと、刑務所当局の方で死亡者が出たということで、すぐに応急にいろいろな対策を立てられましたね。それで生活が変わる、工場での働き方が変わる、閉鎖されるところもある、というようなことで、みんなが不安になって、これはどうしたことかと。 六月十四日の段階で、このA氏が工場でうがいの説明があった際に、率先して担当の方にどうしてこういうことがあったのかとか、それから死亡された方がいると聞いたけれどもというようなことを二、三御質問になっているんですね。それに対しては確実なお答えが得られなかった。みんなはっきりしたことはやっぱりわからなかった。それで六月十五日の段階で、その工場の方々三十人余りが願せんを出されまして、それに対して非常にこれは丁寧な処置だったと思うんですけれども、二日に分けて一人一人あるいは二人ぐらいずつ面接をなすって、そしてみんなが一応の安心が得られるようなお答えをなすった。それで大体みんなも動揺がおさまりかかっていたところへ、七月一日に新聞報道があって、これで全貌がわかったことと、それから七月一日の時点でみんなに対しては監房対策というふうに説明されていた特別な処置が終わりになったということがあって、経過を見ると七月一日の段階で大体刑務所内では一段落をしているわけですね。 それから独居拘禁が八月二十日になって急にあったというのは、何かよほど特別所内を荒立てるようなことをするそぶりがあったとかということがなければ考えられないんですね。そういう具体的な事件というのはあったんでしょうか。
○政府委員(石山陽君) その点につきましては、前回、前々回等もまとめてお答えをいたしましたので、個々の事象について具体的にこれ一つだけでということではなくて、被収容者の当時のいわゆる収容施策内におきます日常の生活行動、それから総合して私どもとしては当分の間これはほかの同房者たちと一緒に行動させておいて差し支えがないかどうかということを総合的に判断していったわけでございます。 それには前回申しましたように、この事件を契機といたしまして、私どもとしてはポックリ病というのは現在の医学では何とも対応できないという形のものではございまするが、とにかくこれが四件も続いて起きたということに対しまして非常に私ども憂慮したわけであります。そこで、その病理学的な原因究明を徹底的にやろう、それからまた被収容者の動揺をできるだけ少なくしようといういろいろな措置を講じております際に、その過程の中で、こういうことについて新潟刑務所に医療体制がいろいろ足りない、こういう面をもう少し追及してほしいとか、あるいは人権侵犯事件としてぜひ調べてもらいたいとか、こういう行動がいろいろ収容者の中から起きてしまいますと、他の収容者に対する心理的影響が非常に大きくなる。こういったようないろいろな当時の本人の接見交通の状況等を総合して、やむなくこのような措置をとったわけであります。 ですから、その後それで落ちついておればよろしいわけでありまするけれども、本人自身もまだ私は私なりのやり方でこの点は徹底的に究明したいというふうな意思も当時述べておりましたし、そういうのがありましてこのような措置をとったわけであります。その間の事情はああいう困難な収容者を預かっております者の立場からもひとつ御賢察をいただきたい、こうお願いしたいわけであります。
○中山千夏君 決して預っている方たちの困難というものも考えないわけじゃないんです。十分考えながら、むしろこちら側の状態といいますか、受刑者側の意見というようなものは抑えぎみに抑えぎみにといつも思ってお話ししているつもりなんですが、それにしましても、外部に対して、外部の方が何か大事件が起こったというようなときにその事の真相を知りたい、それは遊び半分とかそういう気持ちじゃなくて、そうじゃなくて、例えば法律に関係をしていらっしゃる方たちがそういうことを調査したいというようなことがあると内部に動揺があるというのは、私はちょっとそれはむしろ外との交通がある方が内部の方たちとしては安心なんじゃないかという気がするんですね。ある程度これは杞憂かもしれないけれども、やっぱり外から遮断されたところにいて上から管理をする人たちしかいないという状態の中で不満とか不安を持ってしまいましたときには、かえって外からも調べていますよということの方が安心だろうと私は思いますが、それはまあ見方が違うのかもしれません。 それはそれとしまして、さっき当人自身には腑に落ちるところが大抵あるものだということをおっしゃいました。まさに腑に落ちるところがありまして、それは、もちろんこれこの間の委員会でも述べましたけれども、自分が対監獄闘争を盛り上げようというふうに呼びかけたからなどとは当人は全然思っていないわけです。というのは当人は全然そういう呼びかけはしてないわけですから。で、腑に落ちた点というのは何かといいますと、つまり弁護人に対してこれを調べてくれという依頼をしたんですね。これは七月十八日のことです。七月十八日に特別な発信を許可していただきまして、それで、まず一つは死亡事件の徹底究明、それから二つ目が腰が痛いということで、その腰痛を専門的に見てもらうための援助、それから三つ目が信書の抜き取り、切り取りの不当処置を撤回させるように行動してほしい、それから四つ目が不適切な医務の実態を調査してほしい、こういう依願を弁護士に出したわけなんですね。その出したことがこれの原因であろうというふうに彼は腑に落ちているわけなんですよ。 それと絡むのですが、医療措置というものを利用して事実上独居にしてしまうというのは、これはちょっと不当なんじゃないかと私は思うんですが、そういう処置は刑務所ではとられがちなんですか。
○政府委員(石山陽君) まず、御質問の第一の前半の問題でございますけれども、外部的に法律関係者等にいわゆる人権問題についての調査を依頼すること、これ自体はどこの施設でも正当な手続を経たものについてこれをとめてしまうという運用は一切いたしておりません。ただ、これにつきましては、再三申し上げておりますように、本件は全く病理学的ないわゆるポックリ病ということにつきましての原因究明でございまして、刑務所の収容者に対し収容施設の職員側が例えば非常に残虐な取り扱いをしたとか暴行を加えたというような案件ではないわけで、やはりこの原因究明には医学の知識のある人に直接あらゆる方面から詳細な資料を分析してもらうという、これが一番大事だったわけであります。それがまた収容者の不安の原因を取る一番最大の近道であると私ども考えたわけであります。 ですから、この点につきまして、事件が起こりました直後に衆議院の法務委員会でも同様のお尋ねがありまして、できればすぐ弁護士さん等にも入っていただいて処遇の実情を調査したらどうかという御提案を議員からちょうだいいたしましたけれども、その際私はあえて申し上げたわけでありまするが、本件につきましては、まず病理的な原因究明に全力を挙げておるから、そういう意味で今すぐこういった法律家等の方々から一般的問題として取り上げられてもすぐに原因究明に役立つ問題とは思われない、そういう趣旨からしばらくその点については後日に待たしていただきたい、こういうふうに申し上げた事情が実はあったわけであります。それやこれや合わせますと、本件につきましては別に弁護士さんに依頼したこと自体が独居拘禁になった原因であるというふうに実は施設側は考えておらない、こういうことでございます。 それから、本人はたびたびその間にも病室に収容しております。これは確かに本人の腰痛の訴えがかなりありましたので、前回御説明いたしましたような経緯でやはり就業にたえられないとか残業にもたえられない、こういう状態がありますならば一応病室で様子を見ようということで入室させましたり、一時的な措置としての病室預かりをしてもらったりして、そして本人の健康状態を診断した、そのために病室で預かっておったわけでございますので、別にそのことと独居拘禁とは関係がなかったわけであります。
○中山千夏君 しかし困ったことに、事実経過を見ると病院預かりを事実上の独居に利用したとしか見えないんですね。 それはなぜかといいますと、まず第一に、先ほど申しましたように七月十八日に弁護士さんに対して依頼書を出しました。それから八日後ですか、七月二十六日。これやっぱり腰が痛いということで診てもらったらお医者さんの勧めがあったんです。お医者さんから、それじゃ病舎に移って少し様子を見てみましょうか、そうしたらどうですかという勧めがあったので、彼は病舎に移ったわけですね。それで、病舎から出役をするというのが最初六日の予定だったんです。六日、A氏が出役を用意して待っておりましたけれども迎えが来ない。そこで問い合わせをしたら、九日に診断をするからそれで出役を判断するというお答えだった。九日までまた療養をしておりました。そしたら今度九日に、医者がお休みなので診断は十日に延びる、こういう回答があったんですね。それで今度十日になりました。そしたら十日には診断がありまして、それから十三日には出役できるという回答を病舎の担当の方が持っていらした。十三日になりました。出役の迎えは来ないんですね。それで担当に聞くと、その午後の診断で決めるというわけです。それで、午後の診断があったときにお医者さんに、もう痛みはないし、腰痛というのは寝てばかりいればいいというようなものでもないようなので、少し動いた方がいいと思うというようなことを当人が言いましたら、お医者さんが触診をして異常がないし、それじゃ、あしたから出役としようというふうに看護士さんに言った。ところが、出役時間を、じゃ、あした何時ですかと尋ねたところ、担当の方は言葉を濁して、それはお伝えにならなかった。この辺で相当に不信を当人は持ち始めるわけなんですね。 明けて十四日、保安課から休養は解除する、出役については追って通知すると。それで、さっきおっしゃった、それまで病舎への預かりという、そういう処遇になったという知らせが来たわけなんです。そしてその翌日の八月十五日になりましたら、病舎へ区長さんが見えまして、幾つか質問をなさいました。外部とのやりとりが最近活発であるがこれはどういうことか、それから最近の手紙に職員に対して批判的な文面が見られるがどういうことか、それから弁護士に依頼書を出しましたが、これを第三者、ほかの囚人などが知った場合にはいろいろなことが起こると思うがどう思うかというような質問をなすった。 これに対して受刑者A氏は、手紙のやりとりは進級をしたので発信回数がふえただけで、あとは弁護士に依頼書を出しただけだというふうに答えた。それから職員に対する批判については前から書いていることであって、きのうきょう始まったことではありません、職員の存在そのものじゃなくて、やりとりの中でやっぱり不明なことがあれば自分も不満を覚えるのでそのことを書いているんだ、それから弁護士に依頼書を出したということについてはほかの囚人の方がどう思おうが僕は知らない、ただ、そういうことは自分は話し合うほど親しい人もいないし、皆さんがおっしゃらなければ伝わらないんじゃないかというようなことを言って出役を希望したそうなんです。そうしたら、二十日になって、出役がないままに、そのまま処遇上独居拘禁という処置になってしまった。 こうして見てきますと、やっぱり病舎に入ったのをきっかけに、ずるずるそのままそれを利用して、その必要があったのかもしれませんが、でも利用してずるずる独居拘禁という処置に運び込んでしまったというふうにどうしても見えるんですね。こういうやり方をしていると、不安や不満を持った方というのはなおさらそれは高まるだろう。例えば私みたいな性格の者で、私がもしその立場であったらきっとそうなると思うんですね、余り従順な方ではありませんから。それを思いますと、やっぱりそういう何となく不明確なやり方で隔離してしまうというようなのは非常にまずかったと私は思うんです。そんな点の反省は管理側の問題としてないんでしょうか。
○政府委員(石山陽君) 委員のおっしゃいます事実、私もよく承知してないようなことまで非常に詳細にお調べになっているので感服しておるわけでございますけれども、再三先ほど来申し上げておりますように、私どもという者の立場から、つまり施設を管理し無事に収容者たちの生活行動を規制しつつ改善更生の道を歩ませるという行刑本来の目的から申しますると、いわば内部で不協和音が出てくるという形、それが個人の問題として個人的に担当者に対しいろいろ説明を求められるということについては私ども誠心誠意対応しているつもりなんでございます。 ただ、本件の性格が、先ほど来申し上げておりますように、これ純粋に医療上あるいは医学上の対策問題として私ども受けとめておりますのに、それが声高に外と内との両方で、いわばこの問題を究明してほしいという呼びかけをされて、そしてまた同収者と一緒にしておった場合にそういう言葉が伝わっていく。御存じのとおり収容者というのは限られました新聞とかテレビとかいうことしか直接情報の手段はございません。それだけにある意味では所内のうわさ話というものはものすごく早く伝わります。それによって一喜一憂するというのは独得の拘禁心理だろうと思います。そういう意味におきまして、私どもは収容者の心情の安定を阻害するということが、これが一番私どもは処遇上の原理として厳に慎むべきこととされておるわけでございます。 そこで、本件の御本人の行動というものは、私は先ほど来腑に落ちるはずだがと申し上げたのでございますけれども、そういう問題という点から考えていただきますれば、御自分自身の例えば風邪を引いた、あるいは腰痛の問題とかいうことに対しては私ども誠心誠意対応しましたし、病舎に入れたというのも本人のためにしたことでありまして、そのことと直接対監獄闘争との関係というものはもちろん私どもはつけるつもりはございません。もしそういう必要があるとなりましたら、病舎は医療処遇としてやむを得ないといたしましても、もっと前に厳正独居拘禁にむしろ移すべきなんでありまして、それをしませんで本人の医療上の措置をまず優先さした。 それから本人の心情等を聞きましたけれども、今委員も仰せのように、本人は個人の問題ではない、収容者一般に対する問題として外部との連絡をしながらこれを取り上げていきたい、こういう希望であったわけでありまして、それが当時の時点におきます所内の管理体制とはまことに相入れざる点があったということが今回の理由でございますので、私どもといたしましては、これは当時の状況下においてはやむを得ない措置ではなかったかというふうに、ここは考えておるわけでございます。
○中山千夏君 この時点ではまだ病気の原因というのははっきりしていないわけですね。ましてや当局の方は監房対策というような言葉を使って特別な措置をしたわけなんです。そうすると、先ほどから個人的な問題というのを強調しておられますけれども、例えばこれが不幸にして伝染病であった場合には、死んだのは自分じゃない、まだ罹患はしていない、だけれども、これ他人の話としては済ませられないわけですね。 ですから、こんなふうに刑務所の中で、自分が収容されている場所の中で自分にも及びそうな物事が起こったとき、これは病気に限らないんですね。例えばそういうことは万々ないと思いますけれども、非常に看守の方が変わった方がいらしていじめをやっている、その被害がもしかしたら自分の方にも来るかもしれないというような問題は決して個人の問題で片づけられることではないと思うんです。やっぱり自分の人権であるとか自分の健康であるとかというようなところから発する問題であろうと私は思います。だからこそ依願書を出すときに担当の方が許可を出して、その依頼書を弁護士に対して出させたんだと私は思うんですね、それが不当なものであれば許可が出るわけはないと私は思いますから。 この経過を見ていきますと、もう一つは、弁護士さんとの面接というものを大変嫌って抑えていらっしゃるというのが経過の中に出てくるんですね。これが七月二十六日にさっきも申しましたように病舎に移っているわけなんですが、七月二十四日、その前の前の日、この日に弁護士さんが新潟刑務所の所長さんあてに面会調査に行きたいのでということを文書で通知しておられるわけです。そうしたら、その明くる明くる日には彼は病舎に移されまして、それからその翌日、二十七日には新潟刑務所から弁護士さんあてに調査面会には応じられないという通知が来ているんですね。どうもこの辺の時間的なタイミングが非常によろしいなという感じが私はどうしてもしてしまうんですね。さっきも申しましたように、決して自分の身に直接起こったことではないけれども、何か受刑者が不安を持つ、不満を持つ、そして自分の人権上あるいは健康上の問題だと思って弁護士に依頼をする、そのとき弁護士がその依頼に基づいて当人との接触を求めた場合には、これはやはり刑務所が拒否をしてはならないのではないか、拒否をするとしたら相当な理由がなければいけないのじゃないかと私は思うんです。 その点から見て、今度の拒否の仕方というのは、私は見ていまして、刑務所側のそれまでの処遇とか行政で非常に刑務所側に自信があったらもう少し弁護士に対してもオープンな対処ができたであろうし、彼が訴訟にまで持ち込むというようなこじれ方はしなかったのではないかと思うんですね。その点どうでしょう。最初にお伺いした弁護士さん、依願に基づいて来た弁護士さんに対して、大した理由もなくとにかく拒否をし続けたという点については少し反省の余地はありませんか。
○政府委員(石山陽君) いろいろ弁護士さんがこの問題に実は関与しておるので、今お尋ねの方と私の答弁が食い違うとちょっとまずいのでございますが、たしか七月二十日ごろでございますが、東京に在住しておられます本人が受刑の原因となりました事件の際の弁護士さんだと記憶しますが、その方あてに調査依頼の発信をしたいというのがありまして、これはうちの方では発信を許可しております。それに対します先生からの折り返し返信がございまして、これが近く調査に行きたいなということで所側の都合も問い合わせるような種々の内容になっておりましたが、この点につきましては実は弁護士さんが個人で人権侵犯事件を調査できるというシステムにはなってないわけでございます。 それと、御承知のとおり刑務所の場合の接見交通は、未決の場合と受刑者になりました既決の場合は格段に差異があるわけでございます。受刑者になりますると原則として親族以外の面会は許しておりません。したがいまして、もとの事件の弁護士さんだったというだけの理由では本来いけないわけであります。それともう一つ、さらに今回の場合には、例えば弁護士会の人権擁護委員長でございますとか、あるいは弁護士会長名義というような形の正式の御調査でありますならばいろいろ事情を御説明する余地があったわけでございますが、そういうこともございましたので、実はこの先生個人としての御面会はこの段階ではお差し控えいただきたいということで不許にいたしたわけでございます。許さないという処分をしたわけでございます。 それから、なおそれに関連しまして、本件が新聞報道等されました直後に、新潟弁護士会から人権擁護委員長のお名前で調査協力方の御依頼を実はちょうだいしております。これに対しましては施設側から今先ほど私が申しましたような理由で、病理学的な原因調査をしております、その結果が判明しませんと人権委員会の御調査いただきましても処遇上の問題という形で直接的な原因究明にならぬと思いますので、もうちょっとお待ちいただきたいというふうにお答えを当時しておりました。 結果的に申しますると、本件につきまして最終的に原因がポックリ病であるというふうに大学病院の方から御連絡を受けましたのが十月の末だったという記憶でございます。そこで、十一月の初めに新潟弁護士会に対しましては一応その旨の御報告をいたしております。それから、その後の場合にいろいろ弁護士さん方お見えになっておりまするが、本人もそういった所内の接見交通規定、そういう点でまだ十分はっきりしてなかったこともあろうかと思いますが、例えば訴訟を正式に依頼しました弁護士さんに対します発信等は一切拒否いたしておりません。ただ本人も例えばその依頼した弁護士さん以外の方に手紙を出そうとされたり、あるいは弁護士さんの方も受任された弁護士以外の弁護士さんが一緒に来られて面会されようとしたり、こういう場合には私どもはいわゆる管理運営上の措置として事情をお話しして、個別に繰り分けて、この方はお会いください、この方はちょっとそういうことで御遠慮願いたいと、こういうふうに応対をしたという事実はございます。 ですから、今中山委員御指摘のように、接見交通の問題を理由にして、一切被収容者の接見交通権を奪うような措置をするような疑いを持たれても仕方がないことがあるんじゃないかという御趣旨のように受け取れますが、私どもは、ちゃんと筋道の通りましたものにつきましては、できるだけその場その場で正当に対応するということに実はいたしてきたつもりでございます。
○中山千夏君 時間がありましたら、その弁護士さんが面会するまでにいかに大変だったか、それは旧弁護人の方にしても、それから新潟県の弁護士会人権擁護委員の弁護士さんにしましても、いかに大変だったか、一つ一つ私が調べたところを聞いていただきたいくらいなんで、でも、その辺のところはある程度御存じのようなので省きますけれども、私が言っていますのは、つまり正当な手続を踏んだとか、ちゃんとした手続を踏んだというお言葉が先ほどから何度も出てきて、前の委員会でも出てきて、私はそこが非常に一つのポイントだなと思うんです。 手続というのはややこしくすれば幾らでもややこしくなるんですね。ですから、正当な手続というのがどの程度であるのか、それから、会いに来る方を限る場合でも、一口に肉親以外はだめだけれども特別の場合弁護人と言っても、その特別な場合弁護人というのをどういうふうに裁量するかというのが、時と場合とそれから相手の方の意思だとか、そういうことで変わってくる。その変わってくる内容の中において、この新潟刑務所の事件においては非常に対応がおかしかったと私は思うわけなんです。だから、この場合にはきちんと弁護士さんにも早目に会わせて話をさせるということがあった方がスムーズにいっただろう。この経過を全部調べてみますと、刑務所側が保身のために一人の受刑者の声を抑圧してしまったという感じがどうしてもしてしまうわけなんです。 それから、ちゃんとした手続というところで私非常に大変なんだな、獄中から何かちゃんとした手続を、ちゃんとしさかげんを非常に強められてしまうと、ほとんど妨害に近いことになってしまうなということを私これを調べていて非常に強く感じたわけなんですね。それは一つには申立書を人権擁護委員会に出しました。それでその申立書が了知されまして、それを下付をしてほしいというので、ことしの二月二十一日に願せんを出したんですね。そうしましたらば、二十五日になって申立書が必要であることの理由を尋ねられた。それで訴訟資料にするためだというふうに答えたんですね。ところが申立書の下付願せんには理由を口頭ではなくて書かなければいけないのだというふうに今度は言われまして、改めて訴訟資料に必要なためと記した願せんを出したんですね。通常の感覚で言えば訴訟資料に必要なためという理由で十分だと思うんです。ところがこれは明くる日に区長さんに呼ばれまして、理由をもう少し具体的に書くように指示されたんですね。それは必要はないんではないか、訴訟資料に必要だからということだけでいいんではないですかというふうに言って断りましたら、以後五月段階にまで申立書については音さたがないというわけです。 それからもう一つ、発信につきましてもいろいろちゃんとした手続あるいは正当な手続ということで難しいことがありまして、先ほども何度も出てきている弁護士さんなんですが、その弁護士さんあてに、面接がやっとかなって面接をしたときに不足な点があったのでそれを手紙で出そうとしたわけなんですね。だけども、これもやはり発信のときの書類に本文の概要という欄があって、そこに申立書の補充とある。それから続柄に訴訟代理人とあるから、この人はその訴訟代理人ではないからだめであるというような非常に厳しい裁断が下って、これも出せなくなってしまった。 それからもう一つの例は、四月三日にやはり弁護士あてに信書を書きました。それを出そうとしたわけなんですが、これは削除の部分が随分ありまして、それと同時に、この信書が特別発信に当たるわけなんですが、それで、その特別発信の場合には一般願せんというのを添えて今後出すことにしなさいというふうにまた規定が加わりまして、そうすると、手紙が急ぐものであった上に削除されたままですと役に立たない。それで出すのをあきらめたわけなんです。そこまではまだ私そんなにびっくりしませんでしたが、それから何日かたちまして、四月二十日になったら区長さんから、三日に提出した弁護士さんあての特別発信を結局出さなかった、そのことについて特別発信を出しませんという旨の願せんを出しなさいと言ってきたというんですね。これは願せんというのは私は何かをお願いするものだと思うんです。そうすると、この間出そうと思った手紙は出しませんというお願いのせんというのはもういかにもこれはちゃんとした手続、正当な手続というものを利用した一種の嫌がらせとしか思えないんですね。 それと、とても忙しい、それから心理的にも負担の多い刑務行政の中で、こういうことの使い走りと言ってはあれですけれども、出さないということの願せんを出しなさいということで看守さんが走り回っていたり、枝葉末節にかかずらわったことの手続でもって看守さんの一々手を煩わせているというのも、これ看守さんの仕事として本当おかしくなっちゃうのじゃないか。ちょうどこの事件の中で、保安課長さんでしたか、ここの方が奥さんを刺し殺されるというような不幸な事件があったようですけれども、これを直接刑務所の労働条件と結びつけて考えることは極端かとも思いますけれども、職員にとってもこういう管理の仕方というのは私非常によくないんじゃないかと思ったんですね。 だから、正当な手続、ちゃんとした手続というところを訴訟などをしようとしたときには異常に厳しくしちゃうというのは少し考え直していただけないものかと私は思った次第なんです。いかがでしょうか。これ最後の質問です。
○政府委員(石山陽君) 手続というのは、要するに法的手続を盾にとって嫌がらせ用のためにそういう手段を使うなんということ、これはあってはならないことであります。例えば、私余り収容者のプライバシーに関することですから実例を挙げたくないわけでありますが、今委員いろいろ御調査になっておっしゃいますので、一つ二つの例を挙げます。 接見交通で、例えば本人が信書を出します際に人権擁護委員会がその代表として施設に調査に来られたという事実がことしの二月ございました。その後で、その調査に対する申し立てを補足したいからという願せんがそれこそ出てまいりまして、手紙を出したい、そのあて名が弁護士さん個人あてになっておるわけです。これは個人に対する申し立てはないんだから人権擁護委員会にあて先をしなさいと、こういう指導はしたことがありました。それで、それを訂正いたしましたので、ちゃんとそれは発信しているわけであります。ですから、私が言っております手続というのは、きちんとした法的手続で外部に意思を訴えたい、あるいは外部からの意見を受け取りたいということは、もちろん私どもこれを拒むつもりはない、こういう意味なんでございまして、決して人権擁護委員会に対する信書を個人名義だからすぐ没にしたなんということはしてないわけであります。 それからもう一つのあとの例でございますが、これも事実でお答えいたしますれば、この場合はやはり個人あてに、面接にお見えいただきました新潟弁護士会の先生にいわゆる補充書を出したいという形でありました。これもあて先の方は指導いたしました。 それともう一つ。そういう人権擁護委員会に対する正規の申立補充書の中に刑務所における自分の近況というのが長々書いてあったわけです。これは正規の申立書ではおかしいから削除した方がいいのじゃないかという指導をしたわけであります。そうしましたら、もう本人はいいですということで腹を立ててしまいまして、もうそれを出さぬ、こう言って帰ったわけです。そこで私どもはそれが一時の感情であるのかどうかという点を確かめなければいけません。それは願せんというふうにおっしゃいますと問題なんですが、それでいいのかどうか、つまり発信願いを出しているわけですから、それは取り下げるという意味の確認をしてもらいたいということを、刑務行政のことですからきちんきちんとしておきませんと、後でゆえなく発信という受刑者の認められた権利をいわゆるつぶしてしまったという非難を受けないために、事後の措置としてあの発信願い出はもう取り下げるんだなということをちゃんと書き物で出しておいてくれという、後日の紛争を防止しようと、こういう趣旨からやったので、出さないことの願せんというとちょっとオーバーになりまするけれども、そういう趣旨でありますので、ぜひ御理解を賜りたいと思っております。
○委員長(大川清幸君) 本日の調査はこの程度といたします。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) これより請願の審査を行います。 第二三六六号外国人登録法の改正に関する請願外五百四十三件を議題といたします。 今国会中本委員会に付託されております請願は、お手元に配布の付託請願一覧表のとおりでございます。 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第七九一〇号訴訟記録保存法制定に関する請願外一件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第二三六六号外国人登録法の改正に関する請願外五百四十一件は保留とすることに意見が一致いたしました。 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) 次に、継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。 集団代表訴訟に関する法律案(第百一回国会参第六号)、刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百一回国会参第一〇号)、刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百一回国会参第一七号)及び人事訴訟手続法の一部を改正する法律案(参第七号)の四案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、四案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。 検察及び裁判の運営等に関する調査のため、閉会中に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認めます。 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十二分散会