法務委員会 第8号
- 発言数
- 254 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/04/16
会議録
○委員長(大川清幸君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十五日、出口廣光君、吉川芳男君、宮本顕治君、藤田正明君及び安井謙君が委員を辞任され、その補欠として園田清充君、徳永正利君、佐藤昭夫君、川原新次郎君及び森山眞弓君が選任されました。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の質疑は前回終局しておりますので、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○寺田熊雄君 私は、日本社会党を代表して、賛成の立場から討論をいたします。反対討論がありませんので、賛成の立場からの討論というとちょっとそぐわない感じがないでもありませんが、本法案につきましてはまだまだ論じ足りない点が多々あるのであります。しかし質疑が既に打ち切られておりますので、討論の場をかりて問題点を指摘して、法務省当局にも御検討を求めたいと思うのであります。 その第一は、質疑の段階でも、また立法に関する法曹三者協議の場でも論議になりましたが、国選弁護人の被告人側からなされます危害に対する補償については単独の法律によるべしとの論議がなされておったことは明らかであります。それが大蔵省当局の反対その他の事情から実現いたしませんで、証人等被害給付法の改正によって国選弁護人に証人と同じ地位に立たせて同じ処遇を受けしめるに至ったのでありますが、その理由として法務省当局では、どちらも刑事司法の一翼を担ってそれに貢献する点においては両者はそう変わりはないと説明しておられるのであります。しかし、そういう点から申しますと、裁判官、検察官も全く国選弁護人と異なるところがないのであります。ところが、それらの人々は国家公務員災害補償法の適用を受けておるのであります。かつ、この国選弁護人につきましては検察官とパラレルに考えるのがむしろ訴訟の構造上は適当のように思われるのであります。 ところが、検察官は国家公務員災害補償法の適用を受けます。また裁判官も単独の法律で結局は国家公務員災害補償法の適用を受けることになっておるのであります。両者は同一原因による死亡の際、遺族の受ける年金につきましてはその計算の基礎が平均給与額ということになっております。ところが、国選弁護人の場合は給付基礎額ということになっておりまして、これは一万円以下ということになっておるのであります。裁判官、検察官の場合の平均給与額というのは、その地位によっても異なるものでありますが、一万円以上になる場合の方がむしろ大きいのでありまして、この両者の経済的な差異というものは歴然たるものがあるのであります。しかも裁判官、検察官の場合はそういう経済的な利点に加えて、さらに国家公務員共済組合法上の年金もそれに加わるのでありますので、国選弁護人との権衡を失することは明らかなのであります。 国選弁護人も裁判所の命令によりまして司法の一翼を担う以上は、その業務に起因する災害につきまして給付を受ける場合には、このように裁判官、検察官との間に甚しい格差を生ぜしめることは適当ではありません。これがまず私が単独の法律によって適切な給付をなすべきであるとすることの第一の理由であります。 第二には、法務当局が将来の検討課題と答弁されましたように、加害者と被害者とが親族関係にある場合に、法第四条は給付をなすべきか否かを法務大臣の裁量事項と規定しておるのであります。ところが第五条を見ますと、これは裁量事項 ではなくして絶対的に給付が不可能なようになっております。これは明らかに一つの法律で法的整合性を欠くことが明らかでありますので、これはやはり本法の一つの欠陥とも申すべきものであります。 第三に、本法により給付を受ける権利は第九条第二項によって二年内に行使しなければ権利を失う除斥期間となっておりますが、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律によって給付を受ける権利は、これは二年間の消滅時効ということになっております。国家公務員災害補償法によって給付を受ける権利もやはり二年間の消滅時効の規定になっておるのであります。 この点、法務当局は除斥期間といたしましてもこの犯罪の加害者が明瞭であるので別段の弊害はないというふうに答弁なさっておられるのでありますが、それは事実いろいろな場合が想定されるので、例えば法廷で国選弁護人が危害を受ける場合には、それは国選弁護人の発言その他弁護活動のゆえに被告人その他の者が危害を加えたということが明瞭でありますが、例えば何年かたった後で家庭内において国選弁護人が危害を受けた場合に、それが果たして弁護活動のゆえであるかどうかなんということは明瞭でありません。それが逮捕されて自白した場合には明瞭となるでありましょうけれども、そのときには既に二年の経過をしてしまって、除斥期間のゆえにこの給付を受ける権利を失うのであります。それも一つの本法の欠陥と申すべきものであります。 これらの点を考えますと、結論において私は本法案に賛成するものの、本法案には以上のような相当の欠陥があって将来当然これは改正を考慮すべきものであると考えますので、この点を指摘して討論とするわけであります。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、石本茂君、河本嘉久蔵君、徳永正利君及び川原新次郎君が委員を辞任され、その補欠として柳川覺治君、水谷力君、吉川博君及び吉村直事君が選任されました。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大川清幸君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案の審査のため、次回の委員会に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) 電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は、去る十一日の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 最初に最高裁判所の方にお尋ねをいたしますけれども、最近、裁判所をだます手形詐欺グループがあるという大きな新聞報道がありました。これは手形の振出人が手形を持ち逃げされたと裁判所に虚偽の申し立てをしまして支払い禁止の仮処分を得る、そして手形所持人への支払いを停止させて不渡り処分を免れる、そういう工作をしておった者が逮捕されたという記事であります。 確かに私どもも日常の弁護活動で、例えば債務名義を得まして債務者に強制執行をしましたときに、債権者がどうも怪しげな公正証書などを持って配当要求をしてくるということがあります。どうもこれは怪しいぞと思いまして、勇を鼓して異議の申し立てをして訴訟に持ち込むという決然たる態度をとりますと、その配当要求をいたしました債権者が申し立てを取り下げてしまう。もし私どもが勇気がなくてその異議をしなければ、そのまま配当要求が生きて私どもの正当な債権が弁済を受け得ないということになるわけであります。そういう日常の経験がありますので、裁判所をだます、そうして仮処分をとるという、この新聞報道が人ごとでないわけであります。この犯人はもう既に逮捕せられたというのでありますので、検察当局におかれて起訴その他の処分はなさったのかとも思うのですが、まずそれをお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
○政府委員(筧榮一君) 御指摘の事件でございますが、東京地検におきまして、本年二月二十四日、高橋功外四名を詐欺罪で送致を受けました。被疑事実については今あらまし先生御指摘のような疑いでございますが、このうち高橋外二名につきましては三月十三日に詐欺罪で東京地裁に公判請求し、その余の二名については処分保留のまま釈放しております。 なお、起訴に係る公訴事実の要旨は、被告人らは共謀の上、手形割引名下に金員を騙取しようと企て、真実は、割引を受けるために交付する約束手形につき、いずれもその支払い期日に手形金を支払って決済する意思がないのにあるように装い、被害者に手形割引を依頼し、その旨誤信した被害者から現金合計千七百二十五万円余及びかねて交付していた手形二通を騙取したという事実でございます。
○寺田熊雄君 それで、この仮処分はもともと振出人とあて名人の間だけというのであればそれは極めて問題はないのでありますが、「決定の主文の書き方がまちまちなため、銀行側が「第三者にも効力が及ぶ決定」と錯覚、ほとんどが「支払いは完全凍結」として取り扱われている」という新聞報道があります。これは実際はどうなっておりましょうか。
○最高裁判所長官代理者(上谷清君) 手形交換所のお取り扱いにつきましては、各地の銀行協会ごとに手形交換所の規則あるいはそれの実施のための細則を定めておられまして、実は各手形交換所で若干お取り扱いが違ったようでございます。現に裁判所の出しました仮処分におきまして、債務者からの支払い請求に応じて支払いをしてはならない、そういうふうに明確な限定を付しているにかかわらず、やはり不渡り届がされなくてもよいというふうな扱いをされた交換所もあるようでございますし、また全面禁止のような形の仮処分でございましても、本来民事訴訟法上債務者に対してのみ効力を有するものであるということを前提に、当該不渡りの届け出が必要でない場合に当たらないというふうなお考えで扱われるところもあるようでございますし、また逆に、現実に債務者からの支払い呈示については支払いをしてはならないという限定をつけていたケースで実際に不渡りの扱いをしたというふうな交換所もあるそうでございます。 これは実は手形交換所規則ないしはそれに付随いたしました細則の規定がやや明確を欠いておりましたために、各交換所で若干の扱いの違いがあったというふうに伺っておりまして、この点につきましては、例えば東京手形交換所の手形交換規則に付随いたしまする細則につきましては去る三月五日付で改正がなされまして、どういう主文であるにかかわらず、いずれにしても債務者からの支払い呈示の場合に限って仮処分の効力がある、したがって、それ以外の第三者からの支払い呈示であれば通常の支払い呈示と同じように取り扱う、つまり資金不足その他であれば要するに不渡りの届け出を要すると、こういうふうに改められたそうでございまして、四月二十二日から施行されるというふうに伺っておりますので、これが施行されますと、どのような主文であるかにかかわらず、債務者からの支払い呈示に限って不渡りの扱いをしない、第三者からの支払い呈示であれば、支払いをしなければ常に不渡りの届け出をする、そういう扱いになる予定だと伺っております。 なお、東京の手形交換所がそのように細則等をお改めになりますと、全国の各地の手形交換所でもそれに倣うのが従前の例だそうでございますので、いずれ近く全国的にそのような改正が及ぶものと考えていると銀行協会の方からは承っております。したがいまして、手形交換所の細則等が明確になりますれば今回問題になったようなケースはほぼ防止できる、そのように考えてよいのではないかと考えております。
○寺田熊雄君 それでよくわかりました。 それからもう一つは、どのような仮処分を出すかということはもう裁判所の専権事項でありますので、事務総局からその点とやかく言うことは適切ではないかもしれませんが、しかし、しばしば裁判所をだますというような手がなされておるということになりますと、これはやはり相当用心をしてかからなければいけませんね。そういう点等は最高裁の事務総局から何らかの注意というものをする余地があるとも考えられるんですが、何かなさっておられますか。
○最高裁判所長官代理者(上谷清君) ただいま仰せのとおり、事は裁判の主文の問題でございます。裁判所が御判断なさることでございますので、その中身等につきましては私どもといたしましてとやかく申し上げる立場にないわけでございますが、しかし現実にこのような種類の仮処分、この種に限らず一般に仮処分通じてでございますが、真に保護される債権者を緊急に救済するために裁判所としては迅速な決断を迫られますると同時に、仮処分を悪用するという例もないわけではない。そこをうまく判断していくために各裁判所の裁判官の方々それぞれ苦労をしておるわけでございますが、今お話のございましたとおり、特にこういう仮処分につきましては新聞にも報道されたとおり間々悪用される例がある。 これも実は先ほど申しましたとおり手形交換所のお取り扱いとの関係もあるわけでございますが、いずれにしましてもその間隙に乗じて悪用する者が現実におるようでございますので、そういうふうな事態を十分認識していただいて事務を取り扱っていただく、あるいは事務をお取り扱いいただく上でできるだけの工夫をしていきまして、真に救済されるべき債権者は救済しながら、第三者に迷惑をかけないというような実務の努力をすべきことはまさに御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、当該新聞報道がなされました後に若干実情等を調べ、研究いたしました上で、そのような悪用事例が新聞に報道されている事実、これを全国の裁判所にお知らせする、それからあわせて大きな裁判所等でどのような工夫がされているか、例えば主文例で誤解を招かないように債務者からの支払い呈示に限るというふうな工夫はされている例がございますので、そのようなものを全国にお伝えするということにいたしました。 ことしの一月七日付で民事局第二課長から全国の民事首席書記官あてにその旨をお伝えいたしまして、実務を運用される上での留意点としていただく、そういうことにいたしました。なお、その後も大都市の裁判所のお取り扱いの工夫例等を集めまして、審理に当たって、あるいはまた主文の記載に当たっていろいろ悪用を防ぐ工夫をされている例を記載いたしまして、やはり第二課長から全国の民事首席書記官あてにお知らせをしたわけでございます。その際、あわせて東京手形交換所で、先ほど申しましたとおり手形交換規則の細則が改正され近く実施の予定となっておると、その旨もお知らせしたところでございます。 今後とも各地の手形交換所規則の改正等の動きがございましたら、できるだけ速やかに全国の裁判所にお知らせするというふうなことで対応をとっていきたいと、このように考えておる次第でございます。
○寺田熊雄君 最後に、総務局長にちょっとお尋ねしますが、今の国家公務員災害補償法、これが究極的には裁判官にも適用されるのですが、裁判官の職務のゆえに危害を受けて、そしてこの国家公務員災害補償法の適用を受けた裁判官というのが過去にございましたか。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 過去に二例ございます。 具体的に申し上げますと、昭和三十七年八月九日、千葉地裁におきまして裁判官が勾留尋問中、被疑者から暴行を受けまして、左手に全治二週間の打撲傷を受けている。これが公務上災害と認定されまして、療養補償が実施されております。それからもう一例は昭和三十九年十二月十七日でございます。東京地裁におきまして刑事事件の法廷審理に臨むため判事室から裁判官が廊下を出たところ、元被告人に襲われまして、右手に全治二週間の刺創を受けた、これも公務上の認定がなされまして療養補償がなされております。この二例でございます。
○寺田熊雄君 次に、電子情報処理組織による登記事務処理のこの法案、見方によりましては、これは事務処理の方法が革命的な変革をこうむると言ってもあながち過言ではないと思うのであります。法務当局がこういう登記事務処理に踏み切った動機はどういうところにあるのか、それをひとつ詳しく御説明いただきたいと思います。
○政府委員(枇杷田泰助君) 昭和三十年代から全国の登記所におきまして事件が爆発的に増加をいたしました。それに対処するため、人員の増加であるとか、あるいは能率器具の整備であるとかということに鋭意努めてまいったわけでございますけれども、ただ、そういうようなことだけではその問題に十分に対処できないのではないかという問題意識がかねてからあったわけでございます。そのためにいろいろな面で検討いたしましたけれども、ブックシステムというシステムを現在の登記制度ではとっておるわけでございますが、これを抜本的に変えることによって隘路の打開ができるのではないかというような着想が昭和四十年代ごろから出てまいりました。 そういうところで、また世間一般にコンピューターの導入という機運が起こってまいりましたので、このコンピューターによって登記制度というものが運営できないだろうかということを考えるに至りまして、昭和四十七年から本格的にその導入の可否について取り組もうではないかということで法務省の民事局においてその研究に着手いたしたわけでございます。そして長い過程を経まして、コンピューターによって登記事務を処理することは理論的にはまた技術的にはできるのではないかという机上の判断ができるようになりました。その過程におきまして一番問題であったのは実は漢字処理の問題であったわけでございますが、この漢字処理もワードプロセッサーの開発、技術の進歩というような面から克服できるという見通しもついたので、そのような考えになったわけでございます。 そういうような経緯でコンピューターを導入して、不動産登記制度あるいは商業登記制度を抜本的に改善できるのではないかということの研究が進んでおったわけでございますが、また一方、最初に申し上げましたように、登記事務の増加とい うものはずっと継続をいたしておりまして、現段階では、先日、渋谷の出張所をごらんいただきましたけれども、ああいうような状況で、もうどうにもならないという状況がますます深刻化してきたわけでございます。そういうことから、ここで思い切って登記制度をコンピューター化に切りかえるというふうなことに踏み切るべきではないかということを考えた次第でございます。 同時に、またコンピューターを導入いたしますについては多額の経費を必要とすることになります。したがいまして、その経費についての財政的な裏づけというものも必要であるというふうなことで、昭和六十年度予算におきまして、登記の特別会計制度の創設ということを考えまして、それのいわば実現が見られたわけでございます。現在、法律的には登記特別会計法を国会において御審議をいただいている最中でございますが、そういうことがあわせ可能になりましたので、具体的にコンピューターの導入に踏み切るということが現実の可能性も出てまいりました。したがいまして、そういう可能性といいますか、方向というものを、非常に大きな改正でございますので、この法案の中でうたって、ひとつ国の責務として推進していくのだということをうたいたいということでこの法案を提出した次第でございます。 以上が概略コンピューターを導入するに至った経緯並びに私どもの考え方でございます。
○寺田熊雄君 なるほど、随分これはそうすると長い歴史を経てあなた方がお考えになったということがわかりましたが、今お聞きいたしますと、渋谷の出張所等のようなああいう混雑、事務のふくそうに対応し切れない、それはひいて国民の迷惑にもなるというようないろいろなことを考えられて踏み切られたということは、これは私としても十分理解ができるわけでありますが、そうすると、一つには速い処理という、事務の迅速な処理ということに重点があるのか、それとも事務処理の適正さを追求するという点に重点があるのか、どちらだろうかという点の疑問を生じたわけであります。 今までのように登記官が手で申請書の内容を登記簿に書き込む、それを目で見て確認して事務を処理する。それはスピードは確かに遅いのかもしれない。しかし、我々は子供のころからそれになれて、かつ習熟している。それが今度コンピューターでボタンを押す、画面に写る映像で正確さを期するというのといずれが正確さにおいてまさるのか。そういう疑問を生ずるわけであります。例えばボタンの押し違いなんというものはないのか。筆で書いた場合はそれがいつまでも残っておるけれども、映像になった場合はすぐに消え去ってしまうのではないか。そういうことによる判定で、手で書いて紙に書き残されたものの確認といずれが適正さを担保できるゆえんなんだろうか、そういうふうなことを考えるわけであります。 これは科学音痴と言われるかもしれませんけれども、結局機械に頼ることの危険などを考えてあえてお尋ねをするわけですけれども、これは局長、結局適正さを追求するんでしょうか、それともスピードを追求するのでしょうか、どちらでしょうピードを追求するのでしょうか、どちらでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) コンピューター化いたしますと、一番効果が出てまいりますのは事務処理のスピードアップだろうと思います。殊に謄抄本作成の関係でのスピードアップが非常に顕著でございます。 しかしながら、その他の面におきまして全く効果がないかと申しますと、そうではないわけでございまして、なるほど、ただいま御指摘がございました登記簿への記載と、それから今度は登記ファイルへの記録、その点だけをとらえますと、私はその点では同じことだという結論を持っておりますけれども、そのほかにも現在の登記所の繁忙の原因となっております登記簿の競合ということがございます。そのことが結果的にはスピードの問題にもなるわけでございますけれども、登記簿がなかなかそろわない、必要な担当のところにそろわないということから非常に事務がおくれるばかりでなくて、そのためにまだ登記がされていない段階で謄抄本が出されてしまう。前の日に受け付けされていますから、当然その所有権移転が謄本の上にあらわれていなければならないその日付で、まだ前主のままでの謄本が出てしまうというような不適正な処理が行われる可能性が現在あるわけでございます。そのことの防止のために大変登記所でも苦労いたしております。そういうような意味での不適正という問題は解消いたします。 その他、閲覧等で非常に残念なことでございますけれども、登記用紙の抜き取り、改ざんというような事件が地面師の手によって時々行われておるわけでございます。そのような不正事件というものがコンピューター化いたしますとこれが解消するというような意味では登記簿の保管が適正になるという面があろうかと思います。 また、現在の状況でございますと、大きな関東大震災クラスの地震が起きますと、もう登記簿が焼けてしまって権利関係を明らかにするものが一切なくなってしまうという状態になるわけでございますが、今度このような方法をとりまして三重構造的に保管をしようということを考えておりますが、そういう意味でも貴重な登記簿といいますか登記情報がどこかでは必ず保管されていて直ちに復元できるというような体制もつくることができます。そういうようなもろもろの点から考えまして、登記簿の保管という面におきましては大変適正といいますか、そういう効果が出てこようかと思うわけでございます。 先ほどの御指摘になりました記入について、書いてそれを点検するという方が確実性があるのではないかという御指摘でございます。確かに手で書くと何か自分の手でやったものでございますから非常に信頼性があるように思われるわけでございますが、これが過去の記入の経過を見ておりますと、タイプライターで打つということにまずしているわけでございます。タイプライターの場合と手書きの場合とでどちらが間違いがないかといいますと、これは日常の文書の作成でも御経験のように、手書きとタイプライターとではどっちが信頼性がおけるかという差は私はないように思います。そのタイプライターをワープロで最近文書をつくっております。ワードプロセッサーによってつくられた文書が一字一字こつんこつんと打つタイプライターで打つのと比べて、どちらが適正に行われるであろうかといいますと、むしろ一字一字打つよりは打つ字数が少ないだけに間違いが少ないというふうなことがワードプロセッサーについて言われているようでございます。 そのワードプロセッサーと同じ方式で今度は登記簿の記入をいたすわけでございますから、したがいまして処理する字数が少なくなるだけ私は間違う可能性が少なくなるのではないかと思いますが、しかしそれは程度の問題だろうと思いまして、その記載の正確さをねらってこのコンピューター導入を考えているわけではございませんで、その点については手書きあるいはタイプライターで一字一字打つのとそれほど違いはないけれども、どちらかといえばワードプロセッサー的に記録する方が間違いが少ないと言えるのではないかという程度の感触でございます。
○寺田熊雄君 一番大きな差異が出るのはスピードの点だというのでありますが、それは局長のおっしゃるのはやっぱり乙号事件を意識しておっしゃっておられるわけですね。
○政府委員(枇杷田泰助君) 登記事務全般にいろいろな影響がありますけれども、一番顕著に効果があらわれてくるのは乙号事件の処理であることは御指摘のとおりでございます。
○寺田熊雄君 次に、何人もこれは気づくところでありますけれども、コンピューター処理の場合に問題は操作をする人々の健康問題であります。よくコンピューターを操作する人について私ども新聞報道等で見た限りにおいては第一番に指摘されるのは目の疲れであります。それからよく言われるのは、コンピューター人間ということであります。コンピューターに取りつかれて、その魅力 のとりこになってしまう。ただコンピューターを愛するがゆえに家庭の団らんも放棄してしまう。それ以外の文化的な事象には何の関心も持たなくなる。いわばかたわの人間が生まれるというようなことさえも報道せられておるわけであります。どの程度コンピューターに埋没するかということにもよるのでありましょうけれども、この電子情報処理組織の導入というのは職員の健康にどのような影響を与えるとあなた方は考えておられるのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(枇杷田泰助君) コンピューターを導入いたしますと、職員の執務環境、執務体制というものにかなりの影響を及ぼすことは当然でございます。 現在書庫へ参りまして所要の登記簿を探し出してそれを事務室に運ぶという、私ども蔵出しとか言っておりますけれども、そういうふうな作業がなくなります。それからタイプライターで記入をして、それをまた原紙を登記簿に刷り込むというような、そういう手作業もなくなります。それから複写機に張りついて謄本を焼くというふうな作業もなくなります。そういう面では、職員のいわば機械的な労務というものがなくなるという面ではかなり私は職員の健康関係上はいい面が出てくるのではないかという気がいたします。 一方コンピューター特有の問題として、ただいま御指摘ありましたように、目の問題であるとか、あるいは肩、腕に特別な障害が出てくるというふうな危険性があるわけでございます。その点につきましては私どもも重要な関心を持っておりますし、それから労働組合の方でも非常な関心を持っておるわけでございまして、板橋でやっております現場実験の際にも、そういう面での検証を相当綿密にやる必要があるであろうということを考えております。そして、この評価をお願いしておる委員の中にそういう面での専門家の方にも入っていただいておりますし、また職員の代表の人にも入ってもらって、そういう面からの検証をいたしておるわけでございます。 ただいまの状況では何分にも板橋の出張所、ごらんになったとおり全体の一割にも満たない程度の事務量をコンピューター化いたしておりますので、職員の健康状態に具体的にどのような影響が起きているかということを検証するだけのデータとしては不十分な状況でございますが、しかしながら板橋の現在における状況ではそれほどの問題は起きておりません。三カ月に一回ぐらい視力検査などをいたしておりますが、悪い影響は出ておりません。 それからまた、一般的に言われております目のぐあいが悪くなるとか、あるいは肩とか腕とかに障害が生ずるとかというふうな例は、主に一日のうちの相当時間を継続してそういう仕事をしている人に起こりがちなんだそうでありますが、現在板橋では事務量が少ないというばかりではなくて、もともと登記事務におきましては一日じゅうブラウン管を見ているとか、あるいはキーをたたくとか、そういうふうな仕事ばかりをするというのではございませんで、判断事項でございますが、添付書類を点検して法律的にどうだとかというふうなことを判断するというふうな要素がかなりございます。したがいまして常時機械に向かい合っているのではなくて、通常のデスクワークと申しましょうか、そういうふうなことをしながら必要なときにコンピューターの方に向かうというようなもともと作業形態でございます。 そういうことからいたしますと、比較的そういう職業病的なようなものが起こりにくい状況ではないかということが言われておるわけでございますが、しかしながら何分にも初めてのことでございますので慎重にそれには対処しなければならない。専門家の方からどういうふうな照明のもとにやったらいいのかとか、あるいはブラウン管の場合の画面はどういうふうな色であらわした方がいいのかとか、それから休憩はどれぐらいの間隔でどれぐらいとったらいいのかとかいうふうな、いろいろな問題の提起もあるようでございます。そういうものを十分受け入れながら職員の健康にはいささかの影響もないような状況をつくり上げていくことに努力をいたしたいと思います。 そういう面でこれからの板橋の出張所のコンピューターの対象部分がふえるに従って問題がはっきりしてきて、それに対する対応策というものが具体的にとれるようになるであろうというふうに考えておる次第でございます。
○寺田熊雄君 今までのようにコピーをつくるのにいろいろ操作に伴う不衛生な問題が指摘されておりまして、それがなくなるということが一つはやはり大変結構なことであると私は考えております。それからまた局長の言われました倉庫に入っていって登記簿を取り出してくる、それからまた済んだらそれをおさめにいく。これは私はかえって職員がそういう肉体を動かすことの方が健康にはまさると考えておるのであります。終日机に向かったりブラウン管をにらんだりするよりは、むしろ歩いたりなんかする方が健康上はまさると思っておるのでありますが、それはそう大きな問題ではないかもしれません。 そこで、局長が大変そういう点に心を砕いて専門家にこれを今研究してもらっておるということは、これは大変結構なことで、何か聞くところによると、局長の私的諮問機関でパイロット・システム評価委員会なるものができておるということでありますが、その説明をちょっとお願いしたいと思います。
○政府委員(枇杷田泰助君) 板橋で行っておりますパイロットシステムはまさに実験でございますので、その実験の結果が多角的に検証されなければ実験をやった意味がございません。その検証というのも、私どもだけがやったのではこれは非常に主観的に陥りがちでございますので、やはり客観的にいろいろな方面からの専門家を交えて検討する必要があるであろうということから、各方面の専門の方にその評価をお願いして、そして集まっていろいろな角度からの御検討をいただくことにいたしたわけでございます。 その構成といたしますと、非常に法律的な問題もございますので民法の関係の学者の方々、それから利用者の側の方々、これは金融機関とかあるいは住宅公団、今ちょっと名前が変わったかもしれないけれども住宅公団の方、あるいは司法書士会、調査士会のそういう方、並びに環境の関係でそういう労働衛生の専門の人、あるいは実際に現場で働く職員の人というふうな方、それから機械そのものでございますが、この機械そのものについて見ていただくというために電子工学の専門の学者の方というふうな形で入っておられるわけでございます。 その評価委員会を実は三つのグループに分けまして、これを第一準備会から第三準備会というふうに分けてございますが、第一準備会というのが機械の信頼性を中心にして検討しておるわけであります。ハード、ソフトの面でございます。それから第二準備会と申しますのが利用者側の方から見てこのコンピューターシステムというのはどうなるのだという形での評価をしていただくものでございます。第三準備会と申しますのが執務環境、内部の関係についての問題点あるいはその効果というようなことを見ていただくということでございます。 その準備会に分けまして、それぞれ現場に行っていただいたり討論をしていただいたりいたしまして、委員会の全体といたしますと五十八年の三月十日から開始されたわけでございますが、現在までに九回行っております。それから、準備会は合計いたしまして十八回行われております。その結果、ことしの三月十一日に一応現段階における中間報告というのをいただいております。 これによりますと、ハードあるいはソフトの関係についての信頼性は高い。ただ、一カ所のパイロットシステムでございますから、全国展開していくときにはまた新たな問題が生ずるだろうというふうなことはありますけれども、板橋のあのパイロットシステムとしては非常に信頼性が高いという評価を受けております。それから外部の関係、それから内部の関係につきましては、先ほども ちょっと申し上げましたけれども、まだ板橋の出張所自体が一〇%に満たない程度の移行度合いでございますので、板橋全部がコンピューターによって作動するようになってみないとわからない面があるということでございますので、まだ非常にデータ不足ではございますが、そういう状況であるけれども、一応従来の問題は解消して、そして新しく出てくる問題というのも、これも改善によって何とか克服できるのじゃないか、明るい見通しはあるという程度のことでございますが、大ざっぱに申しますと、そういうような評価をいただいておるわけでございます。 なお、これは中間報告でございますので引き続き検討を進めていただくということになっておる次第でございます。
○寺田熊雄君 よく研究をしていらっしゃることはわかりましたが、その三月十一日の中間報告というのは私どもにも見せていただけますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) これを見ていただくことは、むしろ見ていただいた方がいいのじゃないかと思いますが、ただもとのものは非常に技術的にわかりづらく書いてあるものでございますが、その要約したものでもさしあたりごらんいただければ御理解いただきやすいのではないかというふうに考えております。
○寺田熊雄君 それでは、これ委員長にお願いしますが、この委員会に、その委員の名簿と、それから中間報告の今局長のおっしゃったそのものでも要旨でも結構ですから、これはとっていただいて、委員会に置いていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○委員長(大川清幸君) 承知いたしました。民事局長、差し支えありませんね。
○政府委員(枇杷田泰助君) 次回までに用意いたします。
○委員長(大川清幸君) それじゃ、そのように取り計らいます。
○寺田熊雄君 これについて、今の評価委員会に職員も入っておるということでありましたが、それと職員の労働組合である全法務労働組合と、そういう労働条件について使用者である法務当局と、団体交渉というのはまた別個な問題でありますが、現になされておるということも聞いておるんでありますが、これがどの程度協議がなされておるのか、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(枇杷田泰助君) この問題は先ほども御説明申し上げましたように、四十年代から私どもが研究をいたしておることでございます。つきまして組合側の方でもそのような状況はよく知っております。したがいまして、いろいろな機会にそのコンピューター問題というのは、まあ団体交渉というわけではございませんけれども、話は常時出ている問題でございます。一つ一つの何と言いましょうか私どもの作業の進みぐあいの節目と申しましょうか、その段階で話し合いをいたしております。板橋に実は現場実験をするというようなときにもよく話をいたしまして、その際に組合の方でも十分に検討してもらって、そして将来ともある段階ごとには十分な協議を遂げていこうというふうなことで進めておるわけでございます。 今回の特別会計の関係であるとか、あるいはこの法案の作成とか、そういうふうな関係につきましても組合の方には常時状況は知らせておりまして、そして格式ばった交渉とかというふうな場とは限りませんけれども、常時話はしておりますし、組合側の方もそれに対して、組合としてはどういうふうに対応していくかということを常時検討いたしておるようでございます。 私どももまた近くこういう問題についてはっきりとした協議をしようということで考えておるところでございまして、これは組合のもちろん協力も得なければならぬ点でございますし、私どもの方からしますと組合員イコール職員でございますので、このような登記制度の抜本的な改革というのは職員全員が十分に理解をし、そして職員が納得するということで初めてできることだと思っておりますので、協議は十分に遂げてまいりたいというふうに思っております。
○寺田熊雄君 聞くところによると、賛成か反対かと強いて問われれば組合としては反対ですというふうに聞いておるのですが、そのことのゆえに局長の言われた協議には何も支障もないわけですね。双方が誠意を持ってそういう話し合いを継続しておられるわけですね。
○政府委員(枇杷田泰助君) 私どもの方は誠意を持って話し合いを続けておりますし、十分に協議はできるものというふうに思っております。
○寺田熊雄君 これは職員の労働条件に極めて重要なかかわりを持ちますので、よく組合の意見というものを聞いて、それを参考にして適切なものは受け入れて、そうしてこれからのコンピューター化を進めてやっていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 今おっしゃいましたような線で私どもも事を進めなければいけないというふうに考えております。
○寺田熊雄君 ところで、渋谷の出張所を私ども見まして、あのような職場環境では必ずしもこのコンピューター化が適切な事務処理方法と言えるだろうかというような疑問を持たざるを得ないのであります。なるほど、かなりの部分を占めている複写機などというようなものは不要になるでありましょう。それから書庫も同じフロアに置く必要がなくなるということになりますと、これはかなりのスペースが得られますので、今のような狭隘さというものはなくなるかもしれませんけれども、しかし何にしてもあの法務局の庁舎というものはこれは余り感心しないわけであります。できるだけもっと快適な職場環境をつくっていってほしいというふうに思うのであります。そこへいくと、この間の板橋の新庁舎、我々としましても、まあまあこれならよろしい、及第点というような感じを持つのであります。また渋谷のような庁舎では単に職員の職場環境が悪いというだけではなくして、何よりも国民、市民に対する処遇の点で、これは落第点をつけざるを得ないということになるわけであります。 まず施設の整備を一方において急いでいただきたいという希望は、これは法務省に関係する何人も一様に持つ希望だと思いますが、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) おっしゃいますように、法務局の庁舎事情は大変悪うございまして、職員の職場環境ばかりじゃなくて、ただいまお話しございましたように、外からおいでになる方にも大変御迷惑をかけている状況でございます。これの整備というものがかねがね懸案でございます。私どもも毎年の予算要求の中では増員と施設の整備というのが二大重点事項でございます。そういうことで、ある程度の整備はしておるわけでございますが、何分にも全国で千二百を数える出先を抱えておりますために、整備をしても整備をしてもまた一方では狭くなる、古くなるという庁舎があらわれてまいりまして、なかなか全体としてのレベルが上がらないというのが現状でございます。 板橋の出張所、今お褒めいただきましたけれども、あれはパイロットシステムの現場実験をやるということで特別にいい庁舎を建てましたので、あれをもし基準といたしますと法務局の庁舎の九九%が落第になってしまうだろうと思います。しかし、あれほどまではいきませんでも、ともかく職員も余裕のある状況で仕事ができ、外部からおいでの方も渋谷のように立って一時間も二時間も待たされるというような、そういう状態でないような状況には早くしたいと思っております。ただ、何分にも対象庁は多うございますので、その整備には苦慮いたしておりますが、特別会計によって、特別会計の予算でその施設の整備をするということも可能になってまいりましたので、そういう面からも従来よりは少しスピードアップをして整備計画が進められるだろう、そしていいものが逐次できていくのではないかという期待を持っておる次第でございます。
○寺田熊雄君 これは私どもも党として、常に法 務大臣に法務局職員の増員と施設の整備を精力的に進めていただきたいという要請を毎年いたしておるわけであります。事務当局も大変苦慮し苦心をしておられるようでありますが、何よりもやっぱり大臣が先頭に立っていただきませんとこれは成就しませんので、大臣よほど頑張っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) 御承知のように、この登記の問題につきましては、今民事局長からも十分お話がありましたように、何か調べてみますと明治十九年ですか、法律の第一号で登記法というのはできたのだそうでございますが、それからブックシステムによってもう百年やってきたわけでございます。ところが、戦後日本の経済というのは非常に充実した姿になり、またそういう経済自体じゃなしに、その中で核家族化が進み、また住宅その他の取得につきましても、御承知のようにアパートその他をお買いになる、あるいは建物を建てられる場合でも、ほとんど借入金で建てられる。したがって抵当に入る。いろいろな複雑な姿になってきておるわけでございまして、乙号事件だけで見ましても御承知のようにもう一年に千六百五十万件ずつふえる。ちょうど愛知県一県分ずつ年々ふえる量があるということでございますから、そういうことに対応しまして、この登記の仕事の立て方についてはいろいろな意味で御不評をこうむっておるというのが実態であるわけでございます。 したがいまして、私たちもこういうことを抜本的に解決していく道をいろいろ考えなければいかぬと思いますが、一つは、やはり登記事務をコンピューター化によりましてスピードを上げた処理をするだけじゃなしに、それが積滞しているためにある意味で非常に事務処理が遅滞をしていたり複雑化している、そういうこともきちっと整理をしなければならぬような状況を迎えておると思うんです。 そこで、今御審議願っておる法案はもちろんのことでございますが、あわせて登記の特別会計というものを設置いたしまして、いっときにこの問題の解決はできないかもしれませんけれども、先ほど来お話がありましたように、四十七年からいろいろな勉強を積み重ねてきました。特にワードプロセッサーが入ることによって難しい漢字の処理も何とか処理ができるという段階を迎えて、そして基礎的な状況というのがそこでできたわけでございますから、これをもう全国的にひとつ組織的にやっていくということをやらなければいかぬということを念願にしまして、六十年度予算、ある意味で百年に一度の画期的な改正をやっていただくということに相なっておるのだと私は思っておるわけでございます。 しかし、これも御承知のように全国的なシステムに動かしていくためにはいっときにできるわけじゃありませんし、後から御説明もあると思うし御質問もあると思うんですけれども、この登記法の改正をやるときには二年後ぐらいのときに正式にまた御審議を願って、そしてこれを定着させていくというような方向で論議をいただかなければならないわけでございますが、それまでの状況を考えてみましても、人員その他についてはやはり時期的なずれもあるわけでございますから、十二分な配慮をしてその確保に努めていかなければならぬと思います。 それとともに、この登記の特別会計を設置することによりまして、ことしは余り宣伝はしておりませんけれども、法務省の例えばいろいろな施設関係の費用、一般会計では一億七千万ぐらい減っておると思います。しかし特別会計では、資料ごらんになればよくわかりますが、ともかく三十億の施設費がのっておるというような状況になっておるわけでございまして、そういう意味でも非常にこの登記の特別会計をつくることによって苦心をしておることだけは御察しいただけるのではないかと私は思っておるわけでございます。 これは発足の当初でございますから、今後やっぱりそれを基礎にいたしまして、今の登記の仕事を見ますと、内部的な事務処理の問題のみではなしに、御来庁いただく皆さん方に大変待ち時間をつくったり、非常にサービスの悪い状況というものもあるわけでございましょうから、そういうことにも十分配慮をしまして、少しでもサービスが向上になる。かつまたブックシステムによって、長い将来を考えてみますといろいろな、何というか、不祥事が起きたときの間違いというものも出てくるでしょう。それを分散化することによりまして、その保全も兼ねていけるというようなことを考えてこの法案を御審議願っておるというのが実態でございます。 したがいまして、私は、御指摘のところでございますけれども、今後ともやっぱり特別会計を通じまして、これらのシステムが充実をしていくように精いっぱいの努力を積み重ねていかなければならぬ。また十五年というような日限で事柄を考えておりますが、私はできるだけ早期にそれを達成できるような気持ちで少なくともこれは対応していかなければならないのではないかというふうに思っておるような次第でございます。そういう意味で、皆さん方の御賛同を得まして、ぜひこの国会でこの法案及び特別会計の成立を期していただく、我々自身もそういう時期をひとつの契機といたしまして、今後ともその充実のために精いっぱいの努力を積み重ねてまいりたいと思っておる次第でございます。
○寺田熊雄君 大臣もよくこの問題を理解しておられるようでありまして、今何か十五年間でという計画であるようだけれども、さらに促進したいということもちょっとおっしゃったようでありますが、法務省としてはこのコンピューター化を十五年間でやるという御計画なんてしようか。十五年間ということになりますと、ちょうど二十世紀が終わるということですね。だから二十世紀のうちにこれを全部完了するという計画ですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 現在は私どもの一応の考え方でございますが、少なくとも二十一世紀には全庁コンピューター化した状態にしたいということで十五年計画を立てております。これがまた、ただいま大臣からお話ございましたように、それでは少し計画が長過ぎるではないか、もっと早くいいものならばやった方がいいじゃないかという考え方も十分あるわけであります。私どももこれからいろいろな工夫を積み重ねてまいりまして、早くできるものならば早くしたいという考え方でおりますが、一方、余り単年度に多くの移行作業を進めていくということになりますと、そうしませんと期間は短縮しないわけでございますが、そういたしますと単年度の移行経費というものが多額になります。そうしますと、それを賄うために受益者に御負担をいただくという建前で特別会計ができておりますから、その手数料の額をまた大幅に上げないと合わないというような事態にもなるわけでございます。ですから、その兼ね合いの問題でございます。したがいまして、これから移行作業の進め方あるいは移行作業のやり方自体も何か合理化、簡素化できないものだろうかという工夫も進めながらなるべく早くしたい、少なくとも十五年の間にはやりたいという、どんなに長くても十五年以内にという意味で考えておるというふうに御理解いただければ幸いでございます。
○寺田熊雄君 十五年というと私どもがもう生きているかどうかわからないような長い期間だけれども、見方によっては革命的な事務処理の変革だから、局長が言われるようにそう拙速でいいというわけのものでもないかもしれない。殊にそれが国民負担と関係があるということになりますと、私どももそう無理なことは要求するわけにはいかぬと考えるのであります。 今度その十五年間でやるコンピューター化完了までの経費としては大体どのぐらいのものと試算しておられるのか、それをちょっと御説明いただきたい。
○政府委員(枇杷田泰助君) これはいろいろな試算の仕方がございます。そしてその試算の仕方によりまして金額が動いてくるわけでございますが、一応大蔵省と折衝する際にいろいろな試算を してみたわけでございますけれども、大体四千億はかかるのではないか。これも作業の年数の大きさによって違いが出てまいりますが、四千億から、多く見積もれば四千六、七百億ぐらいは全体計画として必要ではないかというような試算をいたしております。
○寺田熊雄君 四千億というと、いみじくも代用監獄をつくる、その拘置所の整備といいますか、それの大体費用と一致するということで、大分いい数字ですが、この四千億というのは大部分が移行作業に必要とする費用でしょうか。ほかにいろいろ別個の費用がその中に含まれておるんでしょうか。ちょっと内訳をできればお話しいただきたい。
○政府委員(枇杷田泰助君) 大ざっぱな数字でございますけれども、全体の経費の約半分が移行経費に要するであろうというふうに考えております。この移行経費と申しますのは現在の登記簿に記載されております事項をコンピューターによりまして登記ファイルの方に記録がえをするという経費でございます。その残りの半分の四分の三ぐらいがこれがランニングコストに当たります。これは十五年間で考えておるわけでそういうことになるわけでございますが、これはその機械のレンタル料、それから電気代、そういうようなたぐいのもので、四分の三ぐらいはかかります。あとの四分の一、全体とすれば八分の一程度のものが、これが開発のための経費、システム設計とかプログラミングとか、それから開発センターをつくるとかバックアップセンターをつくるとか、そういったような経費にかかるということが大ざっぱな区分けになるかと思います。
○寺田熊雄君 法務省としてはこれかなり大きな事業だね。余り事業というものを持たない官庁としては、期間は長いけれども四千億の経費をにらんで歩みを進めるということは、法務省としては余り過去に例がないことで大変、何というか、結構なことだと私ども思うんです。願わくはコンピューター化と職場環境の整備とを並行して行ってもらいたいということを私どもは考えておるわけなんです。 それで、今庁舎の改築を必要とするという差し迫ったものも私どもあると思いますけれども、それはどのくらいあるというふうに見ておられますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) これは先ほど申し上げましたように、理想から申しますとかなりの庁数に上るわけでございます。整備庁は多くなるわけでございますが、緊急に整備をしたいというふうに考えておりますのが二百四十庁程度ございます。
○寺田熊雄君 その二百四十庁程度のものを早急に整備するため、大体あなたとしては何年ぐらいに仕上げたいと思っておられますか。また、その経費はどのぐらいを必要としますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 経費を正確に積み上げてはおりませんけれども、法務局の場合には本局、支局、出張所と分かれておりますが、出張所が大部分でございますが、平均いたしまして、目の子勘定で申しますと一庁一億円というふうに私ども考えております。そういう意味では二百億ないし二百五十億の経費を必要とすることになるであろう。これが現在の予算のペースでまいりますと、今後、六十年度を含めまして五、六年はかかるということになるわけでございますが、先ほど来御指摘ございましたように、特別会計の中での施設費をできるだけそこに回すようにいたしまして、そして緊急に整備をする庁は一年でも早く整備ができるようにということを今後は努めてまいりたいと思っております。
○寺田熊雄君 あなた方の持っておられる計画というものが私どもの頭の中に大体入りましたけれども、さて、その次に、私どもがこの点はどうなるんだろうかというふうに考えますのが職員数の問題であります。過去において民事局長がお出しになった書面なり御説明によりますと、甲号事務、乙号事務、それを理想的に処理していくためには大体職員を三千人程度増員する必要があるというような御説明があったように思うのでありますけれども、一体コンピューター化というのはそういう登記関係職員数にどういう影響をもたらすのだろうか。その増員の必要は依然として私どもは減らないと考えておるんだけれども、法務当局としてはこれがどういうふうになっていくと見ていらっしゃるのか、またどういうふうな御計画を立てておられるのか、その辺ちょっと説明していただけますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) ただいまお話ございましたように、私どもは現状におきまして職員数は三千人以上の者が不足をしておるというふうに考えております。現在そのような状況にありながら処理をいたしておりますために、かなりいろいろな面で無理とかあるいは異常な状態が生じております。一つには事務が若干粗雑になっているということがありますけれども、そのほかに部外の方の応援を得ておる。市町村の吏員の方だとか、あるいは土地改良区の職員であるとか、あるいは司法書士、調査士の事務所の事務員の方だとかという方に、これは余り好ましいことではありませんけれども、かなりの方の応援をいただいております。それから、これは正規な形でございますけれども、謄本焼き、これを民間に部外委託をいたしまして処理をしてもらっております。そういうふうな状態がございます。 これがコンピューター化ができますと、乙号事件が比較的簡単に処理ができるということになりますので、乙号関係についての人手がかなり要らなくなるということにはなってまいります。したがいまして、先ほど申し上げました変則的な部外の応援であるとか、あるいは謄抄本のコピー焼きという作業自体がなくなりますので、そういう民間の委託が不必要になるとかというふうな現象がまず出てまいります。それからまた、職員の側に若干でも余力が出れば従来粗雑化されておった仕事が充実してやれるようになるだろう、例えば表示の登記の関係で実地調査に行かなければならないのに行かれない状態であったというものを、これが次第に充実していく等のことができるようになるであろうと思います。 そういう面でコンピューター化によるいわば人的な面での好影響というものはかなりのものが出てまいろうかと思いますが、何分にも現在の職員の不足数というものは膨大なものでございますし、それから将来とも事件は増加をいたしていくだろうと思います。そういう意味で増員の必要だという傾向は少なくとも当面はなくなることはないというふうに考えております。 なお、将来のある一定の仮定の数字を置いてどれぐらい減員ができるだろうかというふうな計算をしたかという意味での御質問でもあろうかと思うのでありますが、そういう面では実はまだ板橋であの程度の実験しかいたしておりませんので、それが数字の上で何人分減るというような計算をするようなデータが今のところはつかまえられておりません。まあかなり楽になるということはこれは言えるわけでございますけれども、それが何人分ということの計算をするほどのデータとしては不十分でございますので、これは将来もう少し作業を実際にやってみませんと何とも言えないだろうと思います。 したがいまして、私どもの方といたしますと、まだ将来何人の職員が十五年後においても不足するとか、あるいは減員が可能だとかいうふうなことは何もその数字を出しておりません。外部にも出しておりませんし、私ども内部でもそのような計算はいたしておらないわけでございますが、ただ、乙号の関係だけで見ますと、これはかなりの省力化は図られるということは問違いないという程度の考え方でございます。
○寺田熊雄君 このことでちょうど昭和六十年度予算の説明がこの間なされましたね。これには「登記事件に対処するため、登記特別会計創設後の増員を含めて、法務事務官百五十六人となっております。」、そういう予算説明がなされたのであります。それに一面定員削減分、定年による欠員不補充分、その他削減分何名なりというような説 明もあわせてあったわけでありますが、結局ことしはこの登記関係職員数は実際にどれだけふえておるんですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 六十年度におきましては登記関係で差し引き純増が二十四名でございます。
○寺田熊雄君 そうすると、乙号事件の処理のために部外の応援者を頼んでいるものは要らなくなる、それから今まで乙号事務増加のために増員が必要であったものも不要となる、それからコピーを焼く委託事務も不要となる、その分はかなりな人員面における省力化といいますか、そういう結果をもたらすということになるわけですね。それで、しかし、そうは言っても乙号事務で実際コンピューター化が進む度合いがわからないから、我々としてもどの程度乙号事務の人力というものが不要になるのかということはちょっと見当がつかない。まあ余りひいきの引き倒しになってもいけないのでありますけれども、やはりコンピューター化によって必要な職員数の増員の意欲というものが減退しては困るわけで、その点をひとつ局長、しっかりと把握しておいてもらいたいんですが、いかがですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) コンピューター化ができましても、若干その増員に対する圧力と申しましょうか、そういうものは減るということは否定できないかもしれませんが、しかし先ほど来お話ししておりますように法務局は全体として非常な人員不足に苦しんでおります。そしてコンピューター化が実際に効果を発揮してまいりますのはかなり先のことでもございます。したがいまして、私どもとしてはコンピューター化があるなしにかかわらず、非常に定員抑制の強い時代でございますので増員は大変難しいことだとは思っておりますけれども、従来どおり法務局予算の最重点事項として要求を続けてまいる。そうしなければ少なくともあすの登記所がもたないのじゃないかというふうな考え方でおりますので、最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
○寺田熊雄君 それで、大臣も局長と同一でしょうね。
○国務大臣(嶋崎均君) 先ほど来御説明がありましたと思うんですが、十五年間といっても最初の二年間というのはどちらかというと準備作業の段階になっておるわけでございます。先ほど来御説明申し上げましたように、登記事務というのは非常に危機的な状態にあるということを我々は十二分に承知をしておるわけでございます。したがって、その間はマイナスのことを考えるというような余裕なんというのは全くないので、いかにふやすかということだけをお願いしなければならぬ立場にあると思うんです。 それから、だんだん切りかえていくにつきましても、繁忙庁から中心にいろいろな整理をしていくのだろうと思います。そうした場合でも御承知のようにいろいろな援助を受けておる部面も相当あるわけでございまして、私はここ少々人員がふえたからといって、それが非常に後に禍根を残すというような状態に現在の登記事務の関係の仕事というのはなってないというふうに理解をしておるわけでございます。そういう切りかえの時点というものをよく見ながら考えていかなければならないし、それから、もっときちっとした登記事務の整理が進むように、そういうバランスをよく考えて今後判断をしていかなければならないのじゃないかというふうに思っております。
○寺田熊雄君 局長、大体よくわかりましたが、コンピューター化は従来の手書きとかあるいはタイプをたたくとかいうような事務と比較して労働密度はどうなりますか。労働密度は高まるのか。もし労働密度が高まるとしますと、休憩時間等をふやすような考慮もしなければならぬと思うんですけれども、これはどうだろうか。これはどんなふうにお考えですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 私は全体から見ますと労働密度はかなり緩和されるものであろうと思います。現在の職員の労働はかなり過重負担だと思っておりますが、その関係は全体としては緩和されるのであろうというふうに期待をいたしております。 先ほどいろいろな点を申し上げましたけれども、何と申しますか、一件当たりの処理の時間が短くなるということは当然出てくるわけでございますので、そういう面で労働密度は薄くなると思いますが、そのほかに渋谷の登記所でごらんになったように、窓口あるいは閲覧席に大勢の方が入っておられまして、そしてその方々が非常にいらいらしておられるわけであります。そのことが職員に全部映りまして職員の気持ちが休まらないという状況では、これはもうごらんになればおわかりになると思いますが、そういう状況から解放されるということは、これは時間測定とかなんとかという問題ではなくて、職員の気持ちの上ではかなり楽になるだろうということが私は非常に大きいものじゃないかと思います。 ただ、その反面、先ほども御指摘ありましたようなコンピューター特有の健康上注意をしなければならぬという問題がございますので、そういう観点からコンピューターから離れてみる、そういう時間を用意するということは必要であろうと思いますけれども、労働密度が重くなるから考えるというふうなそういう側面はコンピューターが入ればむしろ解消するというふうに考えております。
○寺田熊雄君 なお、我々機械の方に弱い者から言いますと、コンピューター化というようなことになると当然これは相当な職員の研修を必要とするのではないだろうかと考えるのでありますが、このごろの子供はそうでもないのだという人もあるわけであります。しかし何しろ登記というのは国民の権利義務に大変な影響を持ちますので、事務がずさんなものになっては大変なのでありますからして、その点、職員の研修についてはどんなふうに考えておられますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) これは二つのグループに分けて考えておるわけでございます。一つは実際の職場におきまして操作をする職員、そういう職員につきましてはコンピューターの扱い方に習熟してもらうために講習会的な研修をする必要があるであろうと思っておりますが、これはそう長期間は必要としないようであります。現に板橋のコンピューターを扱っております職員に聞いてみますと、余り難しいことを聞かなくても、実際のキーの扱い方とか、そういうものを実地に教えてもらえばできるということでございますので、一週間かその程度の講習ぐらいで大体操作ができるのではないかというふうに考えております。 ところが、今度はバックアップセンターとか、中央の開発センターというのを置く予定にいたしておりますが、そういうところで仕事をする職員は、これはある程度のコンピューターの専門的な知識を必要とするだろうと思います。しかし、それは全国的に見ますとそれほど大勢の職員を必要とするわけではございませんが、そういうものにつきましてはまだ具体的なことは考えておりませんけれども、専門のそういう研修をする場などに委託をいたしまして、そしてある期間みっちりと勉強してもらうというふうなこともしなければいけないと思っております。 なお、本当の意味の、何といいましょうか、各ハード、ソフトの関係についての専門家と大体対等に物がわかるような職員も必要だろうと思いますが、これはそういうことに特に興味を持った専門家に来てもらうとか、あるいはそういう方に長期間勉強してもらうとかというふうなことによって養成するということも必要だろうと思いますが、これは法務省あるいは法務局全体を含めて二、三人いればいいということでございますので、特段の研修計画に基づいてやるというふうなことではないのじゃないかというふうに考えております。
○寺田熊雄君 例えば板橋程度の職員が二十六、七人というところ、ここでも一応こういうコンピューターについてみんなを指導することのできる機械関係の指導者といいますか、それはやっぱり必要としませんか。みんなドングリの背比べで、 実際の実務修習だけで、どうにか習熟したという人だけではちょっと心細いような気がするのですが、その点はどうでしょう。
○政府委員(枇杷田泰助君) そういう面で、先ほどバックアップセンター、要するにバックアップする立場にある者はある程度の水準の知識が必要であろうというふうに考えておりますが、各職場ごと、出張所ごとにそういう職員が要るということまでは考えておりません。現に板橋の職員なども最初はかなりの知識がないとやれないものかなと思っていたようでありますけれども、実際やってみますと、少し大げさな言い方でございますが、テレビのチャンネルをいじることができたり、あるいはキャッシュカードで銀行の預貯金をおろしたりすることができるという程度に若干程度が加わるぐらいのことでどうやら操作ができるようでございます。 ですから、今のところ先ほど申しましたようなことで考えておりますが、まだ板橋だけの話でございますので、今後進めた上で御指摘のように各職場ごとにある程度の一段階上の職員がいた方がいいというふうな状況になりましたら、それはそういうような形での養成もしていかなければならないだろうと思っておりますが、現在までのところでは操作の職員だけで職場は一応足りるのではないか、バックアップセンターに専門家を置いておいて、何かあればそれが出かけていくということで足りるというふうに考えてはおります。
○寺田熊雄君 テレビのチャンネルの操作、それからキャッシュカードの操作ぐらいで賄えるなら我々でもできるわけで、そんなに易しいものとは思わなかったけれども、何か一面ちょっと難しそうに見えたんだけれども、そんなもんですかね。ちょっと我々としてもまたこれは検討の必要がある。 それはそうとして、この登記事務に関しては今回新しく登記特別会計を設置しましたね。これはまた法務省にしては大変思い切った改革をやったものだと思って感心したわけで、このようにあらゆる部門が積極果敢にひとつ自己の任務に邁進してくれれば法務省の行政大いに上がるんだと私ども考えたわけだけれども、細かい点はこの次にお尋ねするとして、大蔵省の諸君にも来てもらってお尋ねすることにして、まず登記特別会計を設置したその理由の御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(枇杷田泰助君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、登記関係につきましては非常に問題がたくさんございまして、それを解決するためには予算をかなり投入しなければいけないという状況がずっと続いておるわけでございます。そういうことで、特に先ほど来申し上げておりますように、コンピューターの導入を図るということになりますと、その上にまた画期的に多額の経費を必要とすることに相なってまいります。そういうふうな経費を全体としてうまく財政上確保するということのためには、結論から申しますと特別会計しかないのだということになるわけでございます。 これは現在の予算は御承知のとおり一般歳出をできるだけ抑えて、そして財政再建を図ろうといたしておるわけでございますが、そういう一般会計の仕組みの中にあっては実際上なかなかできがたいという要素がございます。それからもう一つは、このコンピューターを中心とする登記事務の充実化ということにつきましては、これは登記制度を利用される方々、そういう方々がいわば受益者の立場にあるわけでございますので、そういう方に御負担をいただいて、そしてそれによって登記制度を充実していかなければならないという面がございます。 そういうふうなことを考えあわせますと、特別会計ということにいたしまして、そして受益者の方に御負担いただいたものが、すなわちその金額がそのまま登記事務の充実に結びつく、それによってコンピューターを中心とするところの登記事務の充実に充当されるという仕組みにいたしませんと、受益者の方々の御負担も得られない、御協力が得られないというような面もございます。そういう意味でその乙号の関係の手数料を中心とするそういう特別会計を創設しなければ、ますます経費を必要とするような登記事務がうまく円滑に動かないであろうということから、登記の特別会計制度が創設されたということでございます。
○委員長(大川清幸君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十五分休憩 ─────・───── 午後一時六分開会
○委員長(大川清幸君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○飯田忠雄君 法案審議に当たりまして、三つの部面から御質問を申し上げたいと思います。第一が登記の特別会計の問題でございます。それから第二が事務取扱の問題、第三が職員の問題、この三つに分けて御質問を申し上げたいと思います。 まず最初に、登記の特別会計の問題でございますが、登記関係手数料の改正を行いまして増収を図る、こういうふうに説明されておりますが、そこでその基礎になるデータについてお伺いいたしたいわけでございます。まず最初は、登記関係手数料の年度別の金額、これは従来どのようになっておりましたでしょうか、お尋ねをいたします。
○政府委員(枇杷田泰助君) 現在、登記簿の謄本、抄本につきましては一通三百五十円でございます。それから閲覧につきましては一筆一個につきまして百円ということになっております。この現在の手数料額は、閲覧につきましては昭和五十四年、謄本につきましては昭和五十二年からこの金額で今日に至っております。
○飯田忠雄君 つまり私のお尋ね申しましたのは、一件ごとの手数料じゃなくて、手数料として今まで年度別に収入があったわけですが、その収入はどれだけでしょうかと、こういうことでございますが、いかがですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 大変失礼いたしました。 手数料の総額は昭和五十年におきましては九十四億円でございました。それから五年後の昭和五十五年度におきましては二百二十八億八千四百万円、五十六年度におきましては二百三十二億五千三百万円、五十七年度が二百三十八億六千六百万円、五十八年度が二百四十三億九千五百万円でございます。五十九年度の分はまだ集計ができておりません。
○飯田忠雄君 今お伺いしますと、年々額が大体上がってきているように思いますが、これは手数料が改正になったわけではなくて自然増収のように思いました。 そこでお尋ねいたしますが、手数料を改定して増収を図るということになりますと、この従来の手数料をもう少し高い金額に上げるということになるだろうと思いますが、その改定になる金額は大体一件幾らぐらいで、そしてそれで年間どのぐらいの増収を見込んでおられるのでしょうか、お尋ねいたします。
○政府委員(枇杷田泰助君) 謄本の関係につきましては現在三百五十円を四百円に、それから閲覧の関係を百円を二百円に、それぞれ値上げをいたしまして、ことしの七月一日から実施をいたしたいというふうに考えております。六十年度におきましては九カ月がその値上げの効果となってあらわれてくるわけでございますが、その結果、六十年度は全体といたしまして二百四十八億円の収入になるものというふうに考えております。
○飯田忠雄君 登記関係の手数料はお上げになるということですが、これはコンピューター化した登記所扱いの分に限っておいでになるのか、それともコンピューター化しない従来の登記所のもの値上げする、こういうことでございましょうか。 いかがでございましょう。
○政府委員(枇杷田泰助君) 昭和六十年度におきましては板橋の出張所でコンピューターのパイロットシステムの実験を行っておりますが、これもあくまでも実験でございまして、コンピューターが登記簿にかわるものではございません。そういう意味では六十年度におきましてはすべてコンピューターが本格導入されていない庁についての値上げということになります。
○飯田忠雄君 コンピューター化しておればお金がかかったからやむを得ぬということでしょうが、コンピューター化しない登記所の手数料を上げるということについての合理的な根拠はどこに求められたのでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 登記制度全体これからコンピューター化を図っていこうということでございます。したがいまして、具体的には全国の登記所に一挙に一律にコンピューターを導入するというわけにはまいりませんけれども、コンピューター化を逐次導入していくということは制度全体からいたしますと一律の料金で受益者に負担していただいてもいいのではないかということに結びつこうかと思うのでありますが、なお今度の値上げはコンピューター化だけを目指して、何といいましょうか、コンピューター化の経費だけを捻出するために値上げするものではございませんで、登記の特別会計が創設されまして、その特別会計全体で登記事務の事務処理が円滑にいくようなもろもろの措置を講ずるということが予定されているわけでございます。そういうこと全体のために受益者である乙号事件の申請人に御負担をいただくということでございます。
○飯田忠雄君 この問題はまた後でお尋ねすると思いますが、現在登記特別会計制度につきまして予算案が出ておるようでございますが、昭和六十年度の歳入歳出予算案を見ますと、登記印紙収入が二百四十八億四千二百万円、一般会計受け入れが三百七億三千百万円、合計で五百五十五億七千三百万円と、こうなっております。これを見ますと一般会計からの受け入れの方が登記印紙収入よりも多いわけでございますが、これはコンピューター化いたしますと一般会計受け入れの方が減ってくるのでしょうか。それともこの比率は大体将来も続くというふうにお考えなのでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 現在と申しましょうか、昭和六十年度の特別会計におきましては登記の印紙収入の方が少ないわけでございますが、将来は乙号事件の伸びがかなり予想されます。そうなりますと、この比率は逐次登記印紙収入の方が多くなっていくということになろうかと思います。また、長い将来のうちには登記の手数料の値上げということもなくはないだろうと思いますので、そういうふうなことからいたしますと、この比率は急に変わるということはないかもしれませんけれども、逐次、印紙収入の方の率がだんだんと多くなってくる、そういう傾向で進むものと考えております。
○飯田忠雄君 この会計金額のうち、コンピューター化に充てる経費なんですが、私の見方が間違っておればおわびいたしますが、大体三十億円と書いてあるように見るんですが、それでよろしゅうございますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) この特別会計の中でコンピューター関係に要する経費として計上されておりますものは約二十四億円でございます。なお、四月から六月までの一般会計の時代の分がそれに若干加わるということがあろうかと思いますが、大体二十数億円というふうに御理解いただければと思います。
○飯田忠雄君 この特別会計にした意味がコンピューター化するための金の獲得だという考え方から見ますと、これはそのほかの費用の方がはるかに多いので、どうも理解しかねるようにも思いますけれども、それについて反対ということじゃありませんが、疑問に思わざるを得ないわけですが、板橋の登記所のコンピューター化ですね。これに要した費用はどのぐらいだったでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 板橋におきましてパイロットシステムを五十八年から行っておりますが、それに現在まで要した経費は三億ちょっと出た金額でございます。
○飯田忠雄君 そうしますと、三十億円というのは板橋程度のものが十カ所できる、こういう勘定でしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 板橋におきましては、ごらんいただきましたような機械を据えつけて作業をするという機械のレンタル料、それからパイロットシステムのシステム開発、それから現在区分建物を中心として、建物でいいますと一万戸程度のものの移行作業が終わっておりますが、その移行経費というふうなものでございます。 今度進めますコンピューター化の作業といたしましては、まず最初に全体としてのシステム開発、プログラミングというものが先行いたします。それから開発センターの設置ということがなされなければならぬということになりますので、したがいまして昭和六十年度におきますコンピューター経費の中心部分はシステム開発のための経費でございまして、その移行経費というものは、これは板橋の出張所についてさらに拡大をしていくというだけのものでございますから、したがいまして、ちょっと板橋何庁分というふうな比較はできない、別の性格のものの経費だというふうにお考えいただければ幸いでございます。
○飯田忠雄君 先ほど同僚議員からの御質問に対しまして、登記関係のコンピューター化の完成までに至る総経費は四千億と計算しておる、こういう御答弁がございましたが、この細目計画というものは現在お立てになっておるでしょうか、まだこれからでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 午前中にもお答えしたところでございますが、この特別会計を創設するに当たりましていろいろな試算をいたしました。その中で大体四千億とか四千数百億というふうな試算も出ているわけでございますが、まだ具体的などういう作業をどういうふうにして進めていくかということを最終的に決めているわけではございませんので、確たるものではないということでございます。したがいまして、細目という点についてはまだはっきり申し上げるだけの数字を持っておりません。
○飯田忠雄君 それでは、この登記関係のコンピューター化をいたしますというと、必然的に職員の技術化ということが起こってくると思いますが、この職員の技術化計画につきまして特に御計画になっておるでしょうか。例えばこれは場合によれば職員の配置転換も考えなければならぬし、それから特に能力のある人は学校でもつくって訓練をしなければならぬとかいう問題がございますね。そういうような職員の技術化計画、こういうもの、それからこういう関係の人たちを特別会計で賄うわけですが、事務取扱費ですね。職員の給与その他、こういうものも一切特別会計で賄う、こういうシステムでございましょうか。この二点につきましてお伺いします。
○政府委員(枇杷田泰助君) まず第一点の職員の養成でございますが、これは実はまだ現在のところでは板橋の出張所一庁だけでございます。将来登記法の改正が行われまして、各庁にコンピューター化が進んでいくにつれて職員の養成も図っていかなければならないことと考えております。もう少し先のことでございますので、はっきりした計画を今の段階では立てておりませんが、各職場におきましてコンピューターを操作する職員にはそれ向きの研修を、それからバックアップセンターとか開発センターとかで仕事をする職員についてはかなりハイレベルの研修を行わなければいけないだろう、そのためには特定の学校等に委託をするとかいうふうなことで養成することも将来考える必要があろうというふうに考えております。 それから第二点でございますが、登記の関係の事務経費はすべて特別会計で賄うことになります。
○飯田忠雄君 この特別会計で全部賄うといたしましても、結局収入が少ないために一般会計から 受け入れをしなければならぬ、これはもうそうなっていると思いますが、特別会計としたということは、できるだけ一般会計の世話にならないんだという体制をつくるのが目的ではないかと思いますので、そこでお尋ねするんですが、一般会計から補てんすることをもうしなくてもよくなるような特別会計として独立していけるのは大体いつごろか。これは可能であるか、それとも可能でないかということも含めましてお尋ねをいたします。
○政府委員(枇杷田泰助君) 特別会計の中のいわば自主財源と申しますのが手数料収入になるわけでございますが、この手数料は登記法の規定にもありますように、実費を中心として手数料額を決めてちょうだいをするということになっております。したがいまして、その手数料額というものは謄抄本とか閲覧とか、いわば登記情報の公開に絡む経費に見合うものとして上がってくるわけでございます。ところが登記の仕事の中には、そうではなくていわゆる登記簿に記入をする登記事件というものがかなりあるわけでございまして、こういうものにつきましては、これは手数料の実費というものの枠から外れる分野でございますので、この分につきましては一般会計から繰り入れがなされるということになるわけでございます。したがいまして、将来ともこの手数料だけで登記会計の歳入を全部賄うということには至らないと思います。
○飯田忠雄君 特別会計の点、まだ質問したいことがありますがこのぐらいにしておきまして、次に法案に書いてある内容について少しくお尋ねをいたしたいと思います。 登記ファイルに記載されております事項につきまして閲覧をする場合、従来登記簿の閲覧ということになっていましたが、登記ファイルの記録の閲覧というのは実際にはどのような方法でなされるのでございましょうか。そういう点の御説明を願いたいのと、それから閲覧というと、テレビのようなことでやるということになると、そのテレビは随分たくさん購入しなければならぬのですが、そういうものを備えるだけの費用が閲覧費から賄えるのであろうかと、こういう問題いかがでございますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 現在は板橋でやっておりますやり方でございますので、登記簿というものはまだ存在をいたしておりますので、閲覧がなされるわけでございます。将来、登記法が改正になりまして、登記簿というものがなくなって法律的にはそれにかわるものとして登記ファイルだけしかないということになりますと、その際に閲覧をどうするかということが一つの問題になってこようかと思います。 文字どおりの閲覧というのは、登記ファイルそのものを見るといってもこれは無意味なことでございますので、そういう意味での閲覧はございませんけれども、写しみたいなものでその情報を認識するという方法ではなくて、目で見るというような仕組みで現在の閲覧にかわるような制度を設けるということも、それは不可能ではないわけでございまして、ただいまお話しございましたようにブラウン管にディスプレーをいたしまして、そしてそれを見ていただくというふうなことも技術的にはもちろん可能でございます。ただ、そういうふうな閲覧あるいは閲覧にかわる制度というものを登記法を改正する際に導入するかどうかということは今後の検討問題であろうと思っております。 もしそういうような閲覧制度を残した場合には、ただいま御指摘ございましたように、各登記所に相当のテレビのようなものを据えつけて、そして操作をして記録内容を認識していただくということになるわけでございますが、そのような形をとります場合には、謄抄本を発行するよりは場合によっては経費が余計かかるかもしれない、あるいはそれに近いような経費がかかるということになるかもしれません。そういうふうな状況のもとでなお閲覧というものが世間一般から必要視されるであろうかという問題もございます。したがいまして、この問題につきましては法改正の際に十分御検討いただくことになろうかと思いますが、私ども内部的には審議会の御意見も聞いてどういうふうにするかということを今後決めてまいりたいというふうに考えております。
○飯田忠雄君 今の御説明で大体わかりましたが、閲覧制度は研究を要すると、こういう御意見のように聞きました。それで、閲覧制度を研究するということですが、実際には閲覧用の書面をあらかじめ作成しておくのか、それとも閲覧制度そのものをもう廃止してしまって証明書交付制度にしてしまうのか、こういう問題がございます。閲覧用の書面をつくっておくぐらいなら、そのたびにどうせ手数料取るのですから、その書面を相手に渡したらいいではないか、それならば証明書交付制度と同じではないかと、こういうことになりますが、そういう点についてはどのようにお考えでございますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) ただいまのお話のようにいろいろなやり方があろうと思います。一つは、先ほど申しましたようにテレビのようなものを備えつけてブラウン管にディスプレーされるものを見ていただくという方式、あるいはコンピューターから当該物件の情報を打ち出して認証しないでお渡しをするというやり方、それからそういうものを一切やめて謄抄本にかわるような証明書だけに制度を決めてしまうというやり方、いろいろあろうかと思います。それについても一長一短あろうかと思いますので、その点につきましても十分に検討して、国民の方々の需要に一番こたえられるような、しかも経費が余りかからないで済むような方法としてどういうやり方を選択すべきかということを慎重に検討してまいりたいと思います。
○飯田忠雄君 法案の第五条を見ますと「体制の確立に必要な施策を講じなければならない。」とこう書いてあるのでございますが、この条文で書いてあることは、実際にはどういう方法でどういう体制を確立しておいきになるのか、御計画があると思いますので、差し支えなければ御説明願いたいと思います。
○政府委員(枇杷田泰助君) 現在の登記事務はいろいろな問題を抱えておりますが、それを抜本的に改善をいたしまして適正かつ迅速に登記事務が処理できる体制をつくるためにはいろいろなことが考えられなければいけないと思います。その中心に据えておりますのはコンピューターの導入でございます。しかしながら、そのコンピューターの導入だけで事が済むというものではございませんので、午前中にもお話ございましたけれども、施設がよくならなければいけないという問題があります。それから、コンピューターが導入をされるにいたしましてもかなり先のことになってまいります。その間の事務処理体制をブックシステムのままで何とか維持していく、改善していくということが考えられなければいけない。そういう面で高性能の複写機を導入するとかいうようなこと、それから表示登記の面につきましての地図の整備とか、そういうふうなもろもろの施策が講じられまして、そして全体として登記事務を円滑に処理するための体制ができることになるであろうというふうに考えております。
○飯田忠雄君 そうしますと、電子情報処理組織を用いて登記を行う制度というものはそれで確立する、そのほかに別に登記事務を迅速かつ適正に処理する体制もつくる、この二本立てでいくのだと、こういう御意見でございましょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) そのとおりでございます。全部総合的に施策を講じて体制を確立していきたいということでございます。
○飯田忠雄君 それでは、次に第四条についてお尋ねをいたしますが、第四条に「登記簿の謄本又は抄本とみなす。」、こういうふうにありますが、これは関係法律にある該当部分をこの法律で改正するのが本筋だと思うんですが、この第四条でいきますと、各関係法条にあるところの文言はそのままにしておいて、この四条で本家本元の登記簿をこれはみなすものにしてしまう。登記ファイル というものは登記書の本家本元でしょう。それをみなされるものにしちゃって、そしてほかの法律で書いてあることが主になるというそういう法形式はちょっと逆じゃないか。むしろ登記簿のこの法律がもとであって、ほかの法律はこれを引用していくのだから、そういう形式に本来すべきものではないか、このように思われるんですね。 それで、法律のつくり方としては、みなす形式の条文じゃなくて、他の法律を登記のこの法律で一括して訂正するという形の規定の仕方もあるわけなんですが、そういうことをおとりにならないで、みなすという形の法律の形式をとられたということには特に何か特別の意味があるのでしょうか、それともないのでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 先ほど来申し上げておりますとおり、いずれ不動産登記法、商業登記法、その他の登記関係の法令を改正して登記簿を廃止し、そしてそれにかわるものとして登記ファイルを使うのだというふうな法改正をしなければなりません。しかしながら、それまでの間は現在板橋でやっておりますのと同じことでございまして、いわば並行処理でございます。法律的には登記簿というものがある。その登記簿に記載されていることと同じ事項を登記ファイルの方でも記録しておくということでございます。不動産登記法の方で登記ファイルという言葉を現段階では使えるという状況ではないわけです。したがいまして、板橋のようなことを念頭に置いてお考えいただければと思いますけれども、本来は登記簿からの謄抄本をつくるのがこれが現行法の建前上正しいのだけれども、まあ正しいといいますか、それが普通なんだけれども、せっかくコンピューターで記録されているものをコンピューターで迅速に打ち出すことができるのだから、その打ち出したものを証明書として発給できて、それを効果としては謄抄本と同じ効果として各法律の部門で扱ってもらうというふうに規定せざるを得なかったということになるわけでございます。 なお、繰り返して申しますと、将来登記法が改正になりました場合には、これはもうそれが本則でございますので、それに合わせたように各登記法あるいはその関係法令を直していくということは当然必要になってこようかと思います。
○飯田忠雄君 結局法律上の効果が同じだからという点からいけばもういいと思いますけれども、ただ法の体裁からいきますと、やはり他の法律で登記簿とあるところを登記簿または登記ファイルとし、謄本または抄本とあるところは記録されている事項の全部または一部、こういうふうに改める、そういう条文を一つ置けばもう全部それで直ってしまうように思いましたので、ちょっと御質問をしたわけです。こういう点につきましては法務省では余り御関心がないんでしょうか、いかがでしょう。
○政府委員(枇杷田泰助君) 私ども法律の条文というものは非常に重要なものだと考えておりますので、いかように表現をするかということについては慎重に検討をいたしております。この条文につきましても、先ほど申し上げましたように現在の並行処理期間中の特則という形でこの四条の規定を設けるということが前提でございますので、そうなりますとここで要するに証明制度というものをいわば臨時的に置いて、その証明書の効力を謄抄本とみなすという形で表現することが妥当であり、またそれしかないのではないかというふうな考え方でこういう条文になったものでございます。
○飯田忠雄君 じゃ、この問題はそれぐらいだけにしておきまして、次に移りますが、登記ファイルは権利義務に関する公正証書の原本である、こういうことを決めた条文がないわけなんですが、登記ファイルへ登記申請をするに当たりまして不実記載をした場合、つまり申請書にうそを書いて申請したためにそれが登記ファイルにそのまま載ってしまった場合、不実記載に当たるのではないか、このように考える判例もありますね、ほかのことについて。それでお尋ねするわけですが、この場合に刑法百五十七条一項にいうところの「不実ノ記載」に該当するかどうかという問題です。該当するとすると不実の程度はどうかということなんですが、全部該当するということになるとちょっと酷に過ぎはせぬか。刑法で罰する以上は「不実ノ記載」かどうかという実質的な判断を必要とするのではないかと思われますので、この辺の解釈なんですが、どのようにお考えでしょうか。 つまり登記を申請する場合に重要な事項と重要でない事項とあると思うんですよ。つまりほかの第三者の権利を侵害するようなところは重要ですが、侵害しないような部分についてはちょっと間違ったぐらいで刑法の不実記載で罰すべきじゃないじゃないかという問題も刑法の権力主義の立場に立てばございますので、それでお尋ねするわけなんですが、この点について法務省はどのようにお考えでございましょうか。これは民事局より刑事局ですか。
○政府委員(筧榮一君) まずその前段の部分でございますが、今回の法律案による制度は、今民事局長からお話ございましたようにいわゆる並行処理期間ということでございまして、公正証書の原本である登記簿というものは存続させながら、これに記載されていると同じ事項を登記ファイルに転載するというものでございます。したがいまして、その内容につきまして虚偽の申し立てをして不実の記載がなされるということでありますれば、登記簿に不実の記載がなされるということでございますので、登記簿についての公正証書原本不実記載罪というものが適用になることは当然でございますが、登記ファイルそのものについては公正証書の原本ではございませんので、何らの犯罪を構成しないということになろうかと思います。 なお、御指摘のように自動車登録ファイル等に関する最高裁の判例もございますので、将来並行処理期間が終わりまして一本化になりました場合に、その登記ファイルそのものについて虚偽の申し立てをして不実の記載をなさしめたという場合に公正証書の原本と解し得るというふうに考えられますので、その点はその時点でさらに検討したいと考えております。
○飯田忠雄君 本法は、普通登記簿は権利義務に関する公正証書の原本だと、こうなっておりますので、それと同じ内容を持つ登記ファイルも当然権利義務に関する公正証書の原本であるという旨の法の条文がなければならぬのではないかと思いますが、それで、せっかく法律をおつくりになったんだから、こういう条文も一カ条設けるべきでなかったかと、こう考えるわけです。そうすれば判例だとか法解釈とかいって騒ぐ必要がございませんので、内容においては登記簿に不実記載したのもそれから登記ファイルにうそを書いたのも同じことでございますからね。したがって、こういう権利義務に関する公正証書の原本である、登記ファイルはそういうものであるという条文をお入れになる意思はないかどうかという問題なんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) この法律は登記簿のほかに登記ファイルを設けるということでつくられている法律でございます。したがいまして、あくまでも公正証書原本としての登記簿は存在するわけでございます。この登記ファイルと申しますのはその原本のいわば写しに当たる、そういうものでございます。したがいまして、登記ファイルそれ自体をこの段階で公正証書原本と言う必要はないし、もし不実の記載がなされればそれは登記簿に書かれているその分をとらえて考えればいいことであろうと思います。したがいまして、少なくとも並行処理を前提とするこの法案の中で、そのような規定を設けることはこれは適当でないというふうに考えます。
○飯田忠雄君 それでは、今度の新しい制度ができまして、コンピューター化した制度ができたときに従来のものを入れるというのは、従来の登記簿をそのまま写すものはそれはあるかもしれませんよ。それ以外に今後新しく届け出るところの登記ですね。こういうものはわざわざまた登記簿を つくってそれを移しかえるということをなさるのかどうかという問題なんですが、恐らくそうではないでしょう。直接、申請をそのまま入れるでしょう。そうなると、その登記ファイルなるものは移行作業をした登記ファイルと新しく入れる登記ファイルとは別なんですね。両方について考えた場合に、一方は公正証書の原本の写しだ、一方はそれじゃ何だということになると、これ原本がありませんから、おかしなことになるでしょう。こういう点についてはどうですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) この登記ファイルの移しかえの作業といいますのは、ある一定時点でそれまでに登記簿に記載されている事項を一括して登記ファイルに移します。それからその後新しい事件が出てまいりますと、その事件のための記載は登記簿にもするし、それからこのファイルにもするわけでございます。したがいまして、この並行処理期間中の問題といたしますと、あくまでも登記ファイルは写しであって原本は登記簿ということになります。それがさらに進んでまいりまして登記法が改正になりまして、そしてその登記ファイルに記録されている事柄をもって要するに登記だというふうな措置を講じますと、そこでは登記簿がなくなりまして登記ファイルに記載されているものが権利関係のことを記載している原本になるというふうに変わっていこうかと思います。その段階では公正証書原本に当たるということの評価を受けることになろうかと思いますが、この法律の段階ではあくまでも登記簿というものが別にあるのだということを前提にいたしておるわけでございますので、ただいまおっしゃったような問題は生じないかと思います。
○飯田忠雄君 それでは、例えば板橋の登記所で新しい人が新しく登記をする場合、従来登記簿がなかったんです。そういう場合にはわざわざ登記簿をつくってそれを移行するという、そういう二重の作業をおとりになるんでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 観念的には二重の処理をいたします。ただ、実際問題といたしますと、記入の装置で一つは登記用紙に記入をし、同時にそれがコンピューターの入力になるというふうな機械を用いておりますので、作業といたしますと一回でございますが、観念的には登記簿の記入とコンピューターの入力という二つのことが行われるわけでございます。
○飯田忠雄君 念のためにお尋ねしますが、本当に紙に書いた登記簿をつくられて、ほかの登記簿のものと一緒につづっておかれるのでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 並行処理期間中はそれをやらなければ登記の効力が生じませんので、そのとおり行っております。
○飯田忠雄君 そういうことですと、まことにこれは二重手間をおやりになることになりますね。これからどんどんファイル体制をつくっていかれるんですが、そのファイル体制が完成するまでは二重手間をやるということになりますと、二重の人もかかるし、従来の登記所のほかに別の登記所をつくったようなものでしょう。なぜそのような二重手間をやっていかれるのか。その辺のところがどうも理解しがたいんですが、いかがですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) これは登記法を改正しました場合の経過措置で定めることになりますけれども、ある一定時点で登記簿から登記ファイルへ登記簿というものをかえていくという、そういう法律的な措置をしなければなりません。そういうことをするためには従来からの情報をずっと蓄積しておかなければならぬわけでございます。 その蓄積をする間は、これは登記簿というものが法律上存在し、それに記載をしなければ登記の効力が生じないということでございますので、したがいまして、二重の方法をとらざるを得ないわけでございますが、ただいま御説明申し上げましたように、実際は一つの機械で一人の職員が記入の操作を行いますと登記用紙の方には所要事項が印字されてくる、そして同時にコンピューターの方にはその同じ内容のものが入力されるということでございますので、職員が別々に同じことを行うということではなくて一遍で済んでしまう。そういう処理をいたしておりますので、手間としては変わらないというふうに考えております。
○飯田忠雄君 大体事情はわかりましたが、それでも、おっしゃったようなことでも、紙に印刷をして、それをとじるという作業はございますね。これは相当の分量だと思いますよ。そのための人件費その他はふえるし、決して経費の節約ということにもならないし、人の節約にもならないと、こう思うわけですが、それはそうとしまして、今後またいろいろ御研究になると思いますからこれ以上お尋ねはいたしません。 次に、職員の問題についてお尋ねするわけですが、その前に、民事局第一課の法務専門官が民事月報に報告されておるところの「不動産登記情報システムについて」という報告書がございます。これは民事月報の三十九巻二号にありますが、それなかなか細かく報告をされておって貴重な労作でありますけれども、どこに一体この情報システムの問題点があるのか、どういう点をこれから改善しなければならぬのかという点、あるいはそのほかもっとほかの方法がありはしないかといったような問題だとか、いろいろ問題点をつかむのに読みまして非常に苦労するわけですよ。余り上手に表現してあるものだから苦労するんです。もっと素人でもわかるように箇条書きでそういうものは示すことはできないでしょうか、どういう点が問題だということは。
○政府委員(枇杷田泰助君) ただいまお話にございました民事月報の記載といいますか論説は、現在板橋で行っておりますパイロットシステムによる現場実験をどういうふうにして進めるかということを解説したものでございまして、問題点を指摘するということを目的として書かれたものではございません。したがいまして、そういう意味ではただいまのお話のような点については直接に御参考にはならなかったかと思います。いわば板橋の状況の紹介記事に近いような解説でございますので、そういうことになろうかと思います。 ただ、この解説でも直接には触れておりませんけれども、その背後に持っております問題意識といたしましては、移行作業がうまくいくであろうか、移行作業をどのようにしたら合理的にいくであろうかということも、まず最初の関心事といいますか、このパイロットシステムでよく検討してみたい点であるということは当然に前提に置いてあります。それから、もちろん現場実験でございますので、ハード、ソフトの関係が思ったように動いて、そして実際の実務の上でうまくそれが働いていくであろうかということも当然関心事でございましょう。それから、さらにコンピューターを導入することによって、登記所の窓口においでになる申請人の方々に対してどのような影響が出てくるであろうか、それからまた職場内におきまして職員の執務環境等にどのような影響が出てくるであろうかということが関心事である、そういうふうな問題点を認識していくためにこの現場実験を行っているのだということを前提にして書かれておりますので、その問題点といいますのは、箇条書き的にといいますか、項目的に申し上げますと、ただいま申し上げたような項目に集約できるのではないかと思います。
○飯田忠雄君 そこでお尋ねしますが、その報告の中に、移行作業には相当の時間と労力を要するものと、こう言われておりますが、実際にはどのぐらいの時間と労力が移行するために必要なんでしょうか。何冊やるためにどのぐらい要るか、あるいは一件に幾らでも構いませんが、そういう点について御研究になったことございましょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 厳密な時間測定的なことはいたしたことはございません。何分にも初めてのことでございますので、いろいろな試行錯誤を重ねてきております。したがいまして、当初のころから比べますと最近はだんだんと能率よくやれるようになれてきたという面はございますが、まだ大量なものを同時にやるというふうなことではなくて、五十八年の四月ごろから移行作業を初めまして現在に至るまで、区分建物にして約一万戸、その区分建物の敷地、これの移行作業を 進めてまいったわけでございますけれども、その間、これはパートでございますのでちょっとはっきりした人数は申し上げられませんけれども、大体毎日五人ないし六人の臨時職員がずっと来て、そしてコンピューターへの移行の入力、そういうものをしてきたということでございまして、六人の人間が二年間かかってその程度の作業ができたということでございます。したがって相当な手間になる。これを板橋全庁あるいは全国の登記簿を全部移行するという場合には莫大な労力を必要とするだろうと思いますが、なおこのやり方につきましては今後とも工夫を進めていく余地はあるだろうと思っております。
○飯田忠雄君 ただいまのお話で、移行作業にはそういう能力のある人をパートタイムで雇ってやった、こういうお話でございましたが、結局、今まで手で登記簿を写しておった、そういう作業をしておった人をそのまま使うということが実際には職種が違ってきて困難だというふうに思われるのではないかと思いますが、そういう点につきまして従来の職員は不安感を持っているかいないか、あるいは喜び勇んで将来に希望を見出してみんながおる状態なのかどうかという職員の勤務上の考え方の問題ですが、こういう問題について把握しておいででしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 移行作業につきましては、これは職員は最後の点検ということで関与するような方式をとらざるを得ませんので、その点については作業量が出ておりますが、コンピューター化すればそれは避けて通れない必要な作業だということで職員も了解していると思います。ただ、コンピューター化すること自体、日々の事務がコンピューターによって処理をされるということになりましては、これは職員の受け取り方はまちまちであろうと思います。正確にアンケート調査等はいたしておりませんが、若い職員で高等学校にいるときからパソコンなどをいじっておったというような人たちは、むしろなぜ早くやらないのだというふうな気持ちを持っている者もあるだろうと思いますし、また年配の人にとってみると、何か非常に不安だ、なじみがたいというふうな気持ちも持っているだろうと思います。 ただ、何にいたしましても、コンピューター化いたしますとどういう状況になるんだということが各人それぞれにイメージを持っておりまして、それが共適していないという面もあります。したがいまして、まずコンピューターの状況というものを多くの職員に認識してもらって、その上でどうだというふうな感触を得てもらいたいというつもりでおりますので、そういう理解をまず進めてもらうということでこれから考えていきたい。従来からもやっておりますが、次第にコンピューターを身近なものに感じつつはあるようでございますが、全国津々浦々まで十分な認識が届いているとは言えないと思います。
○飯田忠雄君 今、法案の点につきましていろいろお尋ねをいたしたのでございますが、大体私の質問はきょうはそれだけでございますが、関連しまして不動産登記についてお尋ねをいたしたいと思います。 不動産登記を訂正する場合に、不実記載という問題と関連するんですが、訂正する場合に、登記簿には錯誤、訂正というよりも錯誤ということで訂正をいたしております。それで、この錯誤というのは登記申請者の錯誤なのか、あるいは登記簿を作成した人の錯誤なのか、その辺が明らかでありませんが、どちらの錯誤の意味でございましょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 登記簿に記載されておりましたことが実体関係と違っておるという場合には、これは錯誤による更正登記をするという手続になっております。その実体と登記簿とが合わないということには、二つの原因があろうかと思います。その一つは、今おっしゃいましたような申請者側の方の間違いでございます。そういう場合は申請によりまして更正をするわけでございますが、なお、申請書には正しく書いてあったのだけれども間違って登記し、例えば抵当権の債権額が五千万円というふうに申請があったのに登記簿の方は間違って五百万円というふうにしてしまったというふうなケースがございます。これは登記所側の方の間違いでございます。その二通りがあるわけでございます。その二通りとも更正登記の対象になってまいります。
○飯田忠雄君 それでは、登記申請者が錯誤で不実登記をした場合この場合、刑法の百五十七条、公正証書不実記載罪が成立するかどうかという問題でございますが、刑事事件になってからあれは錯誤だったと、こう抗弁をしたとしまして、それは成立するかという問題もございますが、刑法上の罪となるかという問題と、それから錯誤の抗弁は成立するかという問題につきましてどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(筧榮一君) 刑法百五十七条の公正証書原本不実記載罪でございますが、これは故意犯でございますので、登記申請者が過って客観的事実に反する申し立てをして、そのとおり客観的事実と異なる事実が登記されたという場合にはこの罪は成立しないというふうに考えております。
○飯田忠雄君 実際にはそれが一体錯誤なのかどうか、不実登記の場合わからないわけなんですね。うそを書いておいて後で見つかったら、いや、あれは錯誤でしたと、こう言えば済むということであれば、刑法の不実記載罪というのはもう成立しなくなる。常に成立しないということになってしまうんですが、そういう点がどうもはっきりいたしませんので、重ねて御見解を承りたいわけです。
○政府委員(筧榮一君) そういう客観的な事実と反する記載があるという場合に、やはりその申請者の真意をよく調べまして、客観的事実と反し、なおかつそれを認識しながら虚偽の申し立てをし、その結果不実記載をなさしむに至ったという認定があって初めて刑法上の罪が成立するというふうに考えております。
○飯田忠雄君 不実記載かどうかという問題を調べる場合の一つの手がかりとして登記申請書を調べてみるということも起こると思いますが、そこで登記申請書というものは一体どのぐらい保存されておるかということが問題になると思います。この点について、保存期間を過ぎてしまった場合にどういうふうにして不実記載、錯誤があったのかそうでないかということを判定するのか非常に疑わしいんですが、保存期間の問題と絡めてこれはどういうふうに具体的には処理されておるんでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 保存期間は、権利に関する登記の申請書につきましては十年、表示に関する登記の申請書に関しましては五年というふうに定められております。 先ほど錯誤に二種類あるということで、登記官の錯誤、登記所側の錯誤というものもあるわけでございますので、その関係を調べるためには申請書がどうなっておったかということをまず当たらなければならぬわけでございますが、それが保存期間が経過をいたしまして廃棄しているという場合には、これは有力な手がかりはないわけでございますが、なお登記済証というのを登記をした後は申請人に交付をいたします。その登記済証によって申請内容がわかるということがありますので、そうしますと申請内容と違う登記がなされておるということがそれによってわかれば、これは登記所側の錯誤であるという判断ができるわけでございます。しかしながら、その登記済証もないというような場合には、これは登記官の方の錯誤であるということの立証ができませんので、登記の方の手続といたしますと登記官の錯誤による更正登記という手続はとりようがない。したがって、一般の申請人側が間違った場合の手続で処理をしていただくより仕方がないということになるわけでございます。
○飯田忠雄君 わかりました。 その次に、時間が余りないので質問が完了するかどうかわかりませんが、税金の取り方の問題でちょっと質問いたしたいと思いますが、税金をかける場合の基礎になるものは、やはりもうかった利得に課する税ですね。それから権利に課する税、 それから付加価値に課する税と、こうあると思いますが、例えば土地の所有権者から固定資産税を取る。こういう場合に固定資産税の基礎はこれは結局権利ですね。所有権になってしまうわけですが、この所有権者が土地を他人に貸した場合に、所有権者が持っておるところの占有権、使用権、集約権というものは、これは利用権という形で他人に行ってしまうわけですね。例えば借地権者に行ってしまうわけなんです。そうしますと、税金をかける場合に固定資産税の基礎というものは結局処分権についてだけということになりはしないか、そのほかのものについては借地権者から借地権に基づく税金を取るのが筋道ではないか、こういうふうに考えるわけですね。 例えば東京都内で中心地において土地を借りますというと、借りた人の利用権というものは極めて大きなものになっちゃって、地主の権利なんというものは十分の一以下になってしまう。そういうのが現実でございますが、そういう現実を踏まえて、税金を課する場合にどういう根拠で固定資産税をかけ、あるいは利用権者に対する、つまり営業権者に対する税金を課しておられるのか。あるいは土地所有者に支払うところの賃貸料の根拠というものはどこに置いておられるのか。こういう問題につきまして大蔵省の方に御見解を承りたいと思います。
○説明員(山口省二君) お答えします。 固定資産税の関係につきましては、国税でございますので権限外でございますけれども、相続税、贈与税の関係につきまして申し上げますと、借地人の建物の所有を目的とする地上権及び賃借権、これは御承知のとおり借地法によりまして借地権と称されまして保護されているところでございますけれども、このような借地権の付着している土地の売買の実態を見ますと、借地権の付着していない場合の土地の価格、すなわち更地価格から借地権の価格を控除した価格によって取引されているのが実態であろうかと思われます。それで、こういった実態に即しまして税務上もそのとおりに取り扱っているというところでございまして、この取り扱いは買い主が借地人以外の第三者でありましても、あるいはまた借地人自体でございましても、この取り扱いは変わらないのでございまして、借地人が借地権を考慮した価格でその土地を買い取ったといたしましても贈与税等の問題は発生いたしません。
○飯田忠雄君 不動産の貸借によりまして売買価格が低下してしまうという問題が現実に起こっておるわけですね。土地を貸したら貸した日から、その土地を売ろうと思うというと普通のところでも四〇%ぐらいの値打ちになってしまう。東京都内の中心だったら一〇%ぐらいに下がってしまう。こういうような状態になるんですが、こういう状態になった場合の買い主のもうけというものに対して従来は何ら課税措置がなされていない。と同時に、売買関係についての非常な不公平な状態、もしくは不公平な関係が是正されていないという問題があります。 こういう問題についてもう少し御質問したいんですが、きょう時間が来てしまいましたのできょうはこれでやめます。この次のときにまたお尋ねをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中山千夏君 私は、一つには手数料の値上げに関係する問題と、それから労働に関する問題、この二つに絞って伺いたいと思っております。 今度手数料の値上げが行われますけれども、謄抄本現行三百五十円が四百円、それから閲覧、証明百円が二百円ということなんですが、この値上げ幅、過去の例に比べてどうなんでしょうか。かなり大きいように思うんですけれども。
○政府委員(枇杷田泰助君) 現在の謄本の三百五十円というのは五十四年度からでございます。それから閲覧が五十二年からでございまして、かなり据え置かれております。その前の金額は、謄本の場合には三百円から三百五十円という五十円幅の値上げになっております。今度も五十円幅の値上げでございますので、値上げ幅とすれば過去の例から比べて大きいということは言えないと思います。 閲覧の場合には百円から二百円というので倍になっておりますけれども、絶対金額から申しますと百円の増額でございまして、現在の登記の実情から申しますと、閲覧の関係でいろいろな措置を講じなければいけない。不正の登記用紙の抜き取り等がございますので、そういう関係の体制を整えなければならぬということでかなりの予算金額もそれに計上しておる。それから職員もその閲覧席での応待をするというふうなことで、職員もそれに当たるというふうなことがございます。そういうことを織り込んだ実費としては、丸めた数字としては二百円ぐらいが適当だということにいたしておりますので、ちょっと倍という関係では閲覧の関係は多い印象を与えますけれども、絶対金額としてはそれほどでもないのじゃないかという感触でおります。
○中山千夏君 今回この法案とそれから登記特別会計というものが出されるに当たって、値上げも同時に行うという処置がとられたということは、やっぱり登記特別会計を今後支えていくということも十分考えに入った上でのことなんでしょうね。
○政府委員(枇杷田泰助君) これは大体こういう手数料的なものは、一概には申せないかもしれませんが、三年に一回ぐらい見直しするのが適当じゃないかというふうに考えております。そういう意味で、コンピューターを導入することを前提にしまして、将来三年間ぐらいコンピューターの経費もどれぐらい投入しなければならぬだろう、あるいはコンピューター以外でも施設の整備だとか、窓口改善あるいは一般の能率器具の整備とかというふうなことをもろもろ考えまして、そういう三年後ぐらいのところを見通した上で手数料を算定するとすればどうなるだろうかということで計算した結果が四百円、二百円ということになっておるわけでございますので、コンピューターのことも織り込んでおりますし、またそれ以外のものも織り込んでいるといえば織り込んでいるわけでございます。
○中山千夏君 今後だんだんコンピューター化していくに従ってやはり経費がかかってくるということになりますと、先ほどちょっとほかの委員との質疑の中でお話も出ていましたけれども、やはり手数料を少し上げなければならないというようなことが出てくるということでしたね。その見込みといいますか、はっきりしたことはまだわからないと思いますが、その辺はどうなんでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) これは今後のコンピューター化の進め方あるいは移記作業の仕方というものに絡んでくることでございますので、はっきりしたことは言えませんけれども、コンピューターの導入のために多額の経費がかかってくることは間違いないわけでございますので、将来値上げがなしに済まされるということはないのじゃないかという気はいたします。ただ、そのために一挙に多額の手数料の増額ということになりますと、これまた問題でございます。したがいまして、作業の進め方も余り値上げにつながらないような形での進め方をしていかなければならないだろう。そういう総合的なことを考えた上で処理をいたすつもりでございますが、将来何がしかの手数料の値上げは、これは御負担願わなければいかぬことになるのじゃなかろうかと思っております。
○中山千夏君 登記特別会計というのは、私は詳しくないんですけれども、こういうものをかち取ると言ったら変ですけれども、こういうものを設定することは大変な仕事であって、これには法務大臣を初め法務局の皆さんが大変御努力なすって、これ国民のサービスに関係することなんで、私も大変そういうことの経済的な基礎ができたのはよかったなというふうに大変喜んでいるわけなんです。 ところが、確かに値上げが普通みたいな世の中になっていますので、絶対的な金額からすれば、例えば百円が二百円になってもそう大したことは なかろうとかという考え方もありますけれども、逆に登記の関係で手数料とは別に登録免許税というのがありますね。これはかなり多額なものですね。それを考えますと、手数料の方を値上げしなくても登録免許税の方をもう少し、これはもちろん一般会計からの受け入れという形で特別会計の方には入ってくるんだろうと思いますけれども、その額、一般会計からの繰り入れというのを見ますと、登録免許税と比べるともちろんとても少ないわけですね。十倍ぐらいになるのかな。それを見ますと、もうちょっと多く一般会計からの繰り入れがあれば、受益者は今でも負担はしているわけですから、受益者負担という意味からも外れないし、そしてなるべく利用者の負担が少なくなるようにできると思うのですよ。そういうふうにはできなかったんでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 登記所においでになる申請人の方々の意思からいたしますと、売買だとか抵当権設定の場合にかなりの高額の登録免許税をお支払いになりますので、何かそれで賄えばいいじゃないかというふうにお考えになるのはごもっともだと思います。ただ、性格的に申しますと登録免許税というのはあくまでも税金でございまして、そういう不動産取引をする、そういう取引過程において担税力が出てくるというところに着目をされて課税される性質のものでございまして、登記所の経費を賄うために取るというものではございません。まあ冗談話でございますが、もし登録免許税が全部登記所の収入になり得るものならば、税務署は全部税金を自分のところの役所の経費に使っていいじゃないかというふうなことにつながることになる。冗談半分でそういう話もあるくらいで、まあ性格が違うということでございます。 ただ、一般会計の中でもそういう登録免許税が一般会計の歳入源になっておることは間違いないわけでございますし、また、それだけの税金を納めていただいておるわけでございます。したがいまして、従来からそういう面も加味して大蔵省の方ではそういう申請人の方になるべく迷惑をかけないような予算の支出を、これは割り戻すとかどうとか、そういう観念とは別に、そういう気持ちの申請人に対するサービスを向上させるという意味での経費については、ほかのものとは違って比較的好意的に配慮していただいているように思います。今度の特別会計の際の一般繰り入れ経費につきましても、昨年の関係の一般会計分に当たるようなものをさらに拡大をして予算措置も六十年度に図られておるわけでございまして、何%とかというふうなことにはつながらないものでございますけれども、従来からも大蔵省の方ではそういう御配慮をしていただいておりますし、特別会計でもそういう線はなお引き続き配慮していただいておりますので、手数料だけで、あとは余り知らないよというふうなことにはならないと思います。 私どももそういう点については今後とも大蔵省の御理解を深めていただくようにお話はしてみたいと思いますけれども、かなり現状においても配慮をしていただいておるというふうに認識をいたしております。
○中山千夏君 確かに一般会計からの繰り入れというのも決して少額ではないと私も思います。だけれども、余り登録税の方が大きな額で、今おっしゃったように、税金は税務署が使うというような話をしますと、これは一年分でもう十五年分の今度の計画が賄えるというぐらいあるわけですよ。そうすると、そのことを考えてみると、これは大蔵省にお伺いしたいんですけれども、もうちょっと一般会計の繰り入れの方をふやして、そして手数料なんかは上げなくてもいいようにできたのじゃないだろうかという気がするわけなんです。それから、今何%というようなことにはなってないというお話でしたけれども、例えばパーセンテージをとるというような方法は可能なのか。それともそれはちょっと、まあ私は素人ですから、非常識なことなのか。その辺大蔵省にお伺いしたいんです。
○説明員(吉本修二君) 特別会計で手数料収入で賄われる部分を除いた所要額に足りない部分、これをもって一般会計から繰り入れるというのが基本的な建前の今度の特別会計のシステムでございます。基本的に建前はそうですが、観念的に申し上げますと、登記所で謄抄本のサービスとか、証明とか閲覧とか、いろいろそういういわゆる行政サービスを行っています。そういう部分につきましては従来からそれに要する実費を中心といたしまして手数料を徴収する、こういう考え方でやってきておるわけでございます。 今回も基本的なこの考え方は同じでございまして、コンピューター化を中心とする一つの大きな改革はございますが、そういうものに要する経費は手数料で賄う。そのほか先ほどお話ございましたような登録免許税を納めるような権利者の申請に係るいろいろな仕事、そういう関係の仕事については登録免許税というものを納めておられることでもあるし、実費を徴収するというような考え方に立たないで、それは一般会計繰り入れで賄う、こういう基本的考え方でございます。その方法で今後とも特に事情の変化のない限りやってまいる、こういう考え方でございます。
○中山千夏君 とにかくいろいろ国民生活は負担が多いので、なるべく負担が少なくなるように考えて今後やっていただきたいと思います。 次の問題、労働関係の問題に移りたいんですが、派遣の職員が民事法務協会というところから来ているというふうに伺っております。この民事法務協会というのはどういう団体であるのか、簡単なことをちょっと教えてください。
○政府委員(枇杷田泰助君) 法務協会と申しますのは法務省で認可をいたしました財団法人でございまして、昭和四十六年七月一日に設立されております。この財団法人は民事行政、すなわち登記、戸籍、供託に関する制度についての調査研究であるとか、啓発宣伝とかというふうな広いことを目的といたしておりますが、具体的には一番中心になっておりますのが、端的に申しますと謄本焼きの関係でございます。登記所でやっております謄本焼きの関係について協力をするということで、派遣職員を登記所の方に派遣してもらいまして、それでコピー焼きをやってもらっておるというのが事業の中心になります。そのほか職員に対する研修教材をつくるとか、そういうようなこともやっておりますけれども、一番中心の事業はただいま申し上げましたような謄本焼きについての部外委託を受けるという仕事でございます。
○中山千夏君 その謄本焼きというのは、最初寺田委員のお話の中で、一番健康ということの点で登記所の職務の中で問題があると言われている部分ですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 謄本焼きもそれは単純な繰り返し作業的なことでございますので、長時間やっておりますとかなり疲れるということにはなるわけでございますが、登記所の中にはそのほかにもいろいろな労働過重の問題がございますので、これが唯一最高というものではございませんが、やはり職員がやるとすれば、それは張りついてやるということはかなり負担になる作業であることは間違いないと思います。
○中山千夏君 ここから派遣されてきた方は職員の方とほとんど同じだけの時間働くわけでしょうか。それで給与なんかはやはり外部の方だから職員と同じではないと思うんですけれども、その辺のところをちょっと御説明ください。
○政府委員(枇杷田泰助君) 勤務時間は職員と同じにやっておると思います。給与の関係は協会側の方で決めておりますので、公務員の方とは全く同一ではないようでございますが、しかし同じ職場にいるわけでございますので、公務員の給与というものを参考にしながら決めているというふうには聞いておりますが、全く同一ではないようでございます。
○中山千夏君 そして、コンピューター化が進みますと人手が省けていく。その省けていく第一のものに外部からの応援と、それから派遣職員というのがあるということでしたね。そうすると、逆 の見方をしますと一番先にこの人たちが職がなくなってしまう。そうすると、この派遣職員の方たちはこれを大体主たる仕事としていらしたとすると、失職してしまうということになるわけなんてしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) コンピューター化が進んでまいりますと、謄本焼きというふうな仕事はなくなりますので、そういう意味では派遣職員の仕事はなくなるわけでございます。それだけを考えますと失職の問題が出てまいります。私どももその点はないがしろにてきない問題だというふうに認識をいたしております。しかし大体この派遣職員は女性の方がほとんどでございまして、そして勤続年数というものはそれほど長期ではないわけでございます。したがいまして、その作業の進め方を工夫いたしまして自然退職とあわせて作業は減っていくような形を基本的にとってまいりたい、それによって解消いたしたいと思います。それから同時に協会自体がまだほかの面についてもいろいろ活動すべき分野があるというふうに考えておるようでございますので、そういうものも逐次拡大をしていって、それに吸収をするということで、その御当人にコンピューター化ができましたから退職してくださいというようなことにならないような方策を講じていくつもりでおります。
○中山千夏君 実はこの間視察をさせていただきましたときにも、謄本を焼くというようなところに女性の姿が多かったものですから、これは派遣されてくる方には女性が多いのかなと思って数をお尋ねしましたら、大体今六百人ぐらい派遣職員の方が働いていらして、そのうち五百九十人が女性だというんですね。これはもうほとんど全部女性といっても言い過ぎではないと思います。大体派遣職員の問題はこれまでにも国会の中で労基法をめぐっていろいろ議論があったというふうに聞いていますけれども、私は、この女性に関したところで非常にこのありようが思うところがありまして胸痛むというか、もうどうしたらいいのだろうかという感じがするんです。 といいますのは、この派遣職員で来ていらっしゃる方はほとんどが女性である。そうして一方法務局の職員の方を見ますと、これ数いただいたんですけれども一万二千百七十四人、うち女性の数が千三百五十人、これは約一一・一%ぐらいになるんでしょうか。そうすると正規の職員についている方には女性が非常に少ないわけですね。そうして派遣職員というかなり単調で大変な仕事で、そうして正規の職員に比べればやっぱり労働条件にも少し差があるというようなところにはほとんどの女性がついている。こういう労働のあり方というのがやっぱり非常に女性の権利なんかを考える者たちの間では問題になっていまして、今度今ちょうど国会で均等法というのも審議されているわけですけれども、雇用の分野に関する婦人の差別撤廃条約という国際条約を批准しようというところでこういうことについて非常に関心も高まっているわけですね。 一般の企業でこういうことがたくさんあるわけですけれども、それはしようがない。だけれども、やっぱり国の関係したことでこういう形があるのは非常に女性の一人として残念だなという気がすごくするわけです。大もと必要な人員はそういう半ば臨時の形ではなくて、やっぱりこれも政治の上では大変なことらしいけれども、きちんと員数を獲得して、そして正規の職員で仕事をやっていけるようにしていただくのが一番いいわけなんですけれども、それと同時に、この場合は女性の雇用条件という問題も絡んでいますので、何とかこういう状態じゃなくて、これはもう増員を心がけていただく以外にはないんだろうとは思うんですけれども、この辺私自身も悩むところなんですけれども、こういう問題についてはどうお考えになりますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 私どもの方では、女性を低賃金で労働条件の悪いところで働いてもらいやすいということでやっているわけではございません。先ほど公務員給与と同じようにと申し上げましたけれども、あるいは最初の初任給などは向こうの方がいいのかもしれないというぐらいに思っています。 何と申しましょうか、勤務時間は大体公務員と同じでございますけれども、場合によっては若干午前、午後のところなんかの時間のやりくりもできなくはないだろうと思いますし、比較的女性でなければいけないということで募集しているわけではありませんけれども、大勢の方が求職に来られまして、殊に地方の方では家庭婦人などの職場がないというふうなことから非常に大勢の方がおいでになって、むしろそういう職場があることが、基本的な問題は別としまして、現象的にはむしろ家庭婦人のための職場を提供しておるというふうな結果になっておるのではないかと思っております。 その勤務条件が悪いといえば、それは単純作業でございますので悪いのでありますけれども、職場の中では非常に職員と一体になってやっておりまして、レクリエーションなども一緒に行っているようでありますし、非常に大変仲よく、まあ定員職員の方が男性が主なものですから女性を歓迎するという面もあるのだろうと思いますけれども、非常に仲よくやっておりまして、私の方では低賃金な過酷な労働条件のもとに女性を入れるということではなくて、結果としてはむしろ現状の社会の中では比較的女性として働きやすい状況のもとで働いていただいている方ではないかというふうに認識いたしております。
○中山千夏君 もちろん、悪気があって低賃金で安くこき使ってやろうなんというお気持ちがおありだとは全く思いません。それから、そうなんてすね。現象面で非常に女性に職を供給するということは全く現実でして、それと基本的な問題とがどうしても矛盾するというところが我々にとっての一つの悩みなんですね。それで、一つには婦人の労働の問題は単純に言い切れませんけれども、正規にきちんと就職しにくい、さっきおっしゃったとおり就職する場が少ないから、どうしても条件の悪い方でも流れてしまうということも一つあると思うんです。それで、そういう基本的な問題も踏まえて今後コンピューター化を進めていかれる中で、これは一つの婦人の労働問題なのであるということを、婦人差別撤廃条約の批准をしようとしている国の行政としてそういう視点も忘れないで対処していっていただきたいと切に思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 私どももそういう視点で考えていかなければならぬことはかねがね思っておりますけれども、時に忘れることもあろうかと思いますが、御注意いただきましたので今後ともそういう点については十分に注意してまいりたいと思います。
○中山千夏君 いいお答えいただきまして大変ありがたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 それから、これでもう終わりですが、あと二つほど、これ非常にささいな問題なんですけれども、この間、板橋を視察させていただいたときに、ディスクにすべてを記憶させますね。それで何かあったときのために二重にもう一つテープに記憶をさせておく。それで、これが片方がディスクで片方がテープだというところが私には疑問だったんですけれども、それはどういう理由からなんでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) これはディスクの場合にはフルスピードで情報検索して出すのには適しておるわけでございます。そういう意味ですから、しよっちょうやるものについてはディスクが一番適しておりますけれども、予備的な記録の方はそんなにしょっちゅう使うものでもございませんのでスピードの落ちるものでもいいではないか、そしてディスクに比べますとテープの方が経費的には安いわけでございますので、そういう面で使い分けをしておるということでございます。
○中山千夏君 わかりました。 それからもう一つは、抄本を打って、そして出てくるというところをやって見せてくだすったん ですね。そのときに判こ、あれ何というんでしょうか、印章というのでしょうか。それもちゃんと赤く印刷されて出てきたんで、私は随分便利なんだなと思って、そのときはただひたすら感心したんですが、ただ、これから、今もそうですけれども、まだ登記法というのは変わってないわけですね。その登記法がある時点で、それは大もと入れるときには甲号という一つのポイントがありますけれども、それを印刷して出すときにいきなり判こまでついて出しちゃうというのは、これは登記法がある現在、ちょっと進み過ぎてやしないかしらという気がしたんですけれども、これについてはどうですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) それはおっしゃるとおりでございます。そういうことがございますのでこの法案で手当てをさしていただいておるわけでございます。 おっしゃるとおり現在は登記簿が原本でございまして、いわば磁気ディスクに入っておりますのはその写しでございます。その写しから打ち出されたものは原本にあるかどうかということをもう一遍確認をして、そして謄本の認証をしていくというのが、これが一番正しいやり方だと思います。しかしながら、入力する際にきちんと間違いなくやったということは登記機関において確認してやっておりますし、それから後の新規の事件につきましても御承知のとおり同時に登記簿にも打たれ入力もするということですから、点検するまでもないということで、もう機械的に謄抄本作成ということをしておるわけでございますが、しかしあそこで写させたものは、いわばあくまでも登記ファイルに記録さしているものを打ち出しているものでございますから、ですからそれはそれなりに簡明直截にそういうものなんだということを法律的にもうたった方が真っ正直であって紛れがないではないかということで、この法律の第三条でございますかで、そういうもので要するに証明書を出すことができるということになりまして、そして効力的には謄抄本と同じ効力がある、遠回りといえば遠回りですけれども、そういう手当てをしておるわけであります。 したがいまして、板橋の場合には、この法律が制定をされますと、法務大臣にこの法律の規定による第二条第一項の指定をしていただいて、そして今謄抄本という形で発行しているものをこの法律の第三条の規定による証明書という形で発行するというふうに切りかえたいわけです。ですから、現在やっておることはこの法律を前提にしますと、ちょっと何と申しますか、事実上の処理がされておるということでございまして、御指摘のような問題があろうかと思います。
○中山千夏君 わかりました。どうもありがとうございました。終わります。
○柳澤錬造君 これからいろいろお聞きをしていきたいと思うんですけれども、冒頭私が申し上げておきたいことは、この種のことはむしろ賛成です。ただ、時々席もあけましたけれども、午前から聞いておりまして、登記にコンピューターを導入するということは法務省の都合でもっておやりになろうとしているのか、それとも住民というか、国民の皆さん方により便宜を図るためにやろうとしているのかということが、どうも聞いていると、皆さん方法務省というか、法務局の御都合が前面に出て、それでこういうことをしたいんだというふうに聞こえてならないんです。それで、それはまただんだん後でそういう面も解明していきたいと思いますけれども、ともかく、むしろ今も言ったように賛成の立場でいろいろお聞きをしていきたいと思います。 最初は初歩的なことで、登記事件数、何でこれ事件という言葉を使うのか私もよくわからないんですけれども、この経過ずっと見ますと、昭和四十年に甲号のいわゆる登記の申請された数というのが千三百二十八万四千件あった、それが五十八年には二千三百十九万一千件になっている。それから乙号の方の謄抄本の交付等の方は昭和四十年には八千九百八十一万件、それが五十八年には四億一千八百二十四万四千件、大変な伸びをしているわけなんです。こういう量的に拡大をしているので、これを担当しておった職員がどの程度の推移をたどっているのか。一番わかりやすく言えば一人当たりで何件ぐらい担当をしてきたのか、四十年からその後の動きで教えていただきたいと思います。それから今後これは件数がどのくらい将来ずっとふえていくようになるのか。それからそれを担当する職員数というものはどういう推移を歩もうとしているのか、そこからお聞きをしていきます。
○政府委員(枇杷田泰助君) 登記関係の職員数の推移でございますが、ただいま御指摘いただきました年度に合わせて申しますと、昭和四十年度におきましては登記従事職員数は七千八百十八人でございます。それが四十五年は八千三百六十三、五十年が九千百三十四、五十五年が九千五百四十六、それから五十六年が九千五百九十四、五十七年が九千六百二十六、五十八年が九千六百六十一というふうに推移をいたしておりまして、若干はふえておりますけれども、事件の伸びにスライドして伸びておるということではございません。 なお、一人当たりの負担がどうなったかということでございますが、これは甲乙込みの従事職員でございますので、ちょっと合わせた数字で御説明するのも正確でないと思いますので甲乙に分けて申しますと、昭和五十八年におきましては一人の職員が甲号事件を二千四百件処理し、同時に乙号事件を四万三千二百九十一件処理するという数字になるわけでございます。この負担の関係は、甲号におきましては……
○柳澤錬造君 一人当たり、昭和四十年はわからないですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 昭和四十年の負担の件数はちょっと計算いたしておりませんが、甲号におきましても四十年を前提にいたしますと恐らく一・三倍ぐらいの負担件数になっていると思います。乙号につきましては二倍ぐらいの負担増になっていると思います。ちょっと概数で恐縮でございますが。 今後の事件の伸びの予測でございますが、最近の上昇比というのが甲号事件におきましては大体年間に二ないし三%の伸びを示しております。それから乙号事件につきましてはこれは五%ないし六%ぐらいの伸びを示しております。これは年度によって少し動きがございますが、そういう状態で今後伸びてまいりますと、これは複利計算でございますので、十年間でもかなりの事件数が出てくるということが予測されるわけでございます。
○柳澤錬造君 それでは、いろいろの計画を読んでいきますと今後十五年ぐらいで全国の千二百カ所の登記所を全部コンピューター化したいという計画のようなんですが、それが可能なのかどうか。それからそれが全部完了するまでの費用といいましょうか予算といいましょうか、どのぐらいかかるのか。それからずっと十五年も先のことですから、なかなかこれは大変だと思いますけれども、千二百カ所を切りかえるその青写真というものはお持ちなのかどうか。そこはいかがでしょう。
○政府委員(枇杷田泰助君) 何分にも法務局の機構は分散をいたしておりまして、千二百庁に分かれております。そして移行すべき不動産の数、会社数が非常に大きな数でございます。二億数千万という対象でございます。文字数にいたしますと二千億字ぐらいの字数になるようなものを移行作業してまいらなければなりませんので、この作業を短い期間で処理するということはなかなか難しゅうございますけれども、十五年計画でやればこれは可能であろうというふうに考えております。ただもう一つ、財源的な面から申しましても特別会計で処理をいたすことになれば予算面でも可能ではないだろうかと思います。 これにつきまして具体的に今どういうふうにして進めていったらいいかということにつきましては、今のところ十五年計画で、最初の二年間はいわばシステム開発とかプログラミングの作成というふうなところを中心に行いまして、あと十三年間で個々の登記所の移行作業を進めていく、それもなるべく繁忙庁、そういうところから始めてい く方が効率が上がるであろうということで考えておる次第でございますが、それを例えば六十三年度には何庁でどこの庁をやるかというようなところまでは今現在の段階では決めておりません。実はこの法律の第五条の二項にもございますけれども、そういうような点につきましても非常に影響するところが多うございますので、民事行政審議会の御意見も聞きながら細目をだんだんと固めて具体的な計画にまとめ上げていきたいというふうに考えておるところでございます。
○柳澤錬造君 全部の総予算がどのぐらいかというのは。
○政府委員(枇杷田泰助君) これも特別会計の創設に当たりましていろいろな試算をいたしました。四千億ぐらいという試算も出ましたし、あるいは四千六、七百億ぐらいかかるのじゃないかというふうな試算もあるわけでございますが、一つにはコンピューターの機械というのが年々技術開発されてまいりまして、実質的にはコストダウンになるという傾向もございます。それから、移行作業のやり方につきましても、現在板橋でやっております移行作業をもう少し簡便にやる方法はないだろうかというようなことも考えなければなりません。そういうようなことと、それから作業の年次を長くいたしますと、ランニングコストも入れての話でございますので多額になります。短くすればその分は安くなるわけですけれども、そのかわり単年度の経費が多くなって手数料の関係ではまたはね返りが出てくるという可能性もあるからちゅうちょせざるを得ないというふうな、いろいろな要素の組み合わせでございますので、今まだはっきりした全体像というものは出ておりませんけれども、四千億円台の経費はかかると見なければなるまいというふうに思っておるところでございます。
○柳澤錬造君 今大変大事な、コンピューター化によってコストダウンする、また長過ぎれば長過ぎただけ経費がかかる、短ければ設備投資に金がかかるといって、その関係で次にお聞きしたいのが、いわゆるコンピューターを導入しての経済性ですね。今までの、これはもう甲号、乙号別に分けなくても構いませんから、甲号のは登録税というんですか、入ってくる。それが乙号で手数料が入ってくる。その四十年、五十年、五十八年ぐらいでそれがどのぐらい収入があったのかということですね。それで今度はコンピューターを入れるとリース代なり、建物を建てるかどうかはさておいて、施設のそういう整備をするお金がかかる。その辺でもってバランスシートがどういうふうになるというふうにごらんになっているのか。それで、これだけのことをおやりになって、今も言われましたように、コンピューター化によってかなりのコストダウンになるんですから、よもや手数料なんかの値上げということは考えていないと思うんだけれども、その辺についても含めてお聞きをしてまいりたいんです。
○政府委員(枇杷田泰助君) 費用効果の面につきましては、コンピューターを導入した場合に今どういう経費が削減できるかということで考えなければならぬわけでございますが、この点につきましては現在板橋の出張所におきまして実験をやっておりますけれども、対象の量が少ないものですのではっきりした数字をつかまえるというふうな面ではデータ不足でございます。しかしながら、コンピューターに移行をいたしますその過程におきましては、移行作業のための経費というものが非常に多額のものがかかります。これは二千億以上かかると思います。この経費は費用効果の面からいいますと、二十一世紀になってからいわば償却に回るべき金だということになろうかと思いますので、ここ当分の間はむしろバランスシート上は持ち出しが多いというふうに思います。これは国の予算としてはそういうことになろうかと思います。 ただ、これは金銭に直ちに計算はできませんけれども、例えば現在窓口においでになっておられる申請人の方が二時間、三時間というふうにお待ちになっておられるのが二分ないし五分で済むということになりますと、国民全経済的に見ました場合には、その待ち時間というものが不要になるということからくる経済効果というものは、これ計算できませんけれども相当大きな利益であろう。そういうふうな面を全体から考えますと、国民全体としては費用効果はバランスがとれるのではないかという、そういうある意味では楽観的なことを考えておりますが、数字的な意味で申請人の方を含めたバランスシートはもちろんちょっと出しにくうございますし、役所だけの予算の面で申しますと、当分はむしろ持ち出しが圧倒的に多くなるということになろうかと思います。
○柳澤錬造君 それはさっき言った中の甲号の登録税、乙号の手数料の四十年のところの年間でどれだけ収入があったのか、それから五十年、五十八年のところでよろしいですから、ちょっとその数字を挙げてくれませんか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 手元の資料では昭和五十年からということになりますけれども、五十年の登録免許税の歳入額が二千五百三十九億六千六百万円でございます。五十五年になりまして、五年後でございますが四千七十四億五千二百万円、それから毎年の計算になりますが、五十六年が四千百五十四億五千九百万円、五十七年が四千六百二十四億四千九百万円、五十八年が四千八百二十九億一千八百万円ということになっております。それから手数料は五十年が九十四億四千六百万円、五十五年が二百二十八億八千四百万円、五十六年が二百三十二億五千三百万円、五十七年が二百三十八億六千六百万円、五十八年が二百四十三億九千五百万円でございます。
○柳澤錬造君 移行作業の経費に二千億もかかる。今局長は持ち出しだと言う。それで毎年毎年今のように登録税だけでも四千六百から八百億、もうことしあたりは五千億になるわけなんだから、そういう点からいって、持ち出しだと言うんだから、その辺のところにさっき私が冒頭言ったように、皆さん方の法務省の御都合ばかり考えて物の判断をなさっているんじゃないんですかと言いたくなるんです。 そういう意味からも次にお聞きしたいことは、さっきも言いましたようにコンピューター化することによって法務局が便利になる。それから住民側のメリットは何かというのは、先ほど言われたように、それは行って二時間も三時間も、長いところは四時間も待たされたのが二、三分ですぐ住民の方もいただけるようになった。その辺は私はメリットだと思うんですよ。しかし局長、考えてほしいことは、今まで二時間も三時間も四時間も待たすようなことをしておった、そういう行政が悪かったわけでしょう。自分らの都合で、国民が窓口へ来たって、幾ら待っていようがそんなことをへとも思わないで扱ってきた。そこが間違いだったんでして、ですからそういうことを考えていって、移行の経費が二千億かかると言ったって、相当な手数料、登録税入ってくるんですから、それで法務省の側としてもいろいろと事務が便利になってぐあいがよくなるんですから相当なメリットがある。そういう点から考えて、もう少し法務省側のメリットばかりじゃなくて、住民側にもこういうメリットがという点でどういうことをお考えになっていますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 住民側の点から申しますと、まず窓口においでになりまして余り待たないで用件が済むようになるであろう、これは飛躍的になるであろうという点が最大のメリットだと思います。それからもう一つは、それに伴うことでございますけれども、窓口においでになった際に、渋谷での特徴をごらんになったと思いますけれども、ああいうふうな状態ではなくて、板橋と比較されるとおわかりだと思いますけれども、銀行の窓口というわけじゃございませんけれども、非常に落ちついた雰囲気で応対ができるようになるということ、それから職員側の方でも窓口で大混乱というものが解消されますので、いろいろな面で応対が今よりは時間をかけて、そして個別的に応対ができるようになってくるであろうというふうに思います。 それから、これはまたコンピューターの一つのメリットでございますけれども、現在、住居表示と地番、家屋番号が一致しておりません。ところが登記簿の方ではもちろん地番、家屋番号がわかりませんとそれが検索できないという状況になっておりますために現在非常に御不便をおかけしておりますけれども、その住居表示を御承知の方ならば、そこから必要とする物件が検索できるというふうになるということは、これは実際上の大変なメリットであろうと思います。今はそのために市役所の方に行って調べて、また登記所へ来るというふうな二重手間がかかっておったわけでありますが、そういう面からは解放されることになると思います。そういうふうな点が申請人側のメリットということになろうと思いますが、もっと深い意味で申しますと、自分の権利が、登記をされている登記簿の保管状況がよくなるということ、今までのように抜き取り改ざんみたいなことでいつ自分の登記簿に変なことが記入されるかもしれないというふうなことは解消される。 それから、大震災が起きたときに、現在ですと登記簿が一冊しかございませんから、それが焼けてしまったならば後はその権利関係を証明するものがなくなるわけですけれども、二重、三重の保管機構を設ける予定でございますので、そういう面では大震災になりましても、また時間をかけずに復元できるということになるという意味で、広い目で見た場合には権利保全の面でも相当なメリットがあるということが言えようかと思います。
○柳澤錬造君 幾つか今事例をお聞きいたしまして、ただこれも、さっきもちょっと触れましたけれども、窓口へ行って長い時間待たされるという、あれがアブノーマルというか異常であって、そんなようなことに放置をしておったことがいけなかったんでしょう。 だから、そういう点でもう一つ別な角度で私お聞きしたいのは、登記をするときに本人がどんなにきちんと書いていっても登記所は受け付けてくれない。それで司法書士のあそこへ行って代書人に書いてもらっていけば、書き違えば縦に棒引いて横へ書いておっても黙って受け付けてくれると言う。本人が書いて持っていったので受け付けたというのは登記を申請した受け付けの中で何%ぐらいあるものなんですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 登記事件の中での本人申請の割合というのは、そのための統計をとったことがございませんので、はっきりした数字は申し上げられませんけれども、十年ぐらい前にサンプル調査をしたときにはごくわずかな対象庁でございましたけれども、一・四%という数字が出ております。ごく最近またこれ抽出的に司法書士会の方で調べた数字からいたしますと、五、六%ぐらいのところが多いようでございますが、ただ登記の中にもいろいろな種類がございまして、商業法人関係の登記は比較的本人の申請が多い、また多くなりつつあります。それから不動産登記の場合でも比較的簡易な事件、すなわちローンで金を借りて抵当権を設定しておった、それでローンの支払いが終わった場合にその抵当権を抹消するというような、そういうケースの場合には本人がおいでになるということも多いようで、傾向といたしますと、それほど激増はいたしておりませんが、本人申請の割合が少しずつふえているのではないかという感じは持っております。
○柳澤錬造君 大臣、お聞きになりましたか。最近になって大分ふえてきたって五、六%。私の友達なんかでも、かなり間違わないようにちゃんと書いて持っていっても玄関払い食わされて、あの近くにはみんなあるんですが、そこへ行って代書人に書いてもらったら何にも言わないで受け付けてくれたと。元来、本人が書いて持っていったのは簡単に素直に登記所は今までは受け付けてくれないんですよ。だから、そういうところが今回のこういう機械化に伴って皆さんの方の御都合だけじゃなくて、やっぱり住民側のことを考えてのそういう頭の切りかえをしてほしいと思うんです。 税務署の方は何とかかんとか言ったって、あの確定申告というのは、それは大きな会社とか何かはこれは全然別ですけれども、普通の個人というのはみんな自分で持っていって、それで税務署は受け付けるわけでしょう。ことしなんか、私は杉並におりますけれども、一番届けの多い期間、それは駅のところに張り紙が出まして、それで一々税務署まで来るのも大変だといって、いつから幾日までは近くのどこそこで受け付けますといって、そういうことまでやって、税務署が出張ってきて確定申告の受け付けをやるといって、あのうるさいというか、おっかない税務署ですらもそれくらい住民の側の便宜を考えてやっている。ところが、法務省の登記所というところは依然として昔のお上意識で、それでそういうぐあいでもって登記一つ国民が自分でもってできないということがおかしいと思わないんですか。自分がうちを買った。うちを買ってなにしたら、これはおれのものだといって自分でそのくらいの手続ができるような、言うならば登記の内容でなかったら私はおかしいと思うんです。 日本の国民ほとんど最低の学校は出ているんですから、字を書けないなんというのは今いないわけです。それが何か非常にややこしいものを皆さん方がなにして、そして代書人に書いてもらわなければ受け付けてもらえないような、そういうしち面倒くさい難しいものになさっているんであって、だから、そういうこともこのコンピューター化に伴って、もう一応この間も行ってあれ出てくるのも見てきたけれども、なぜ、せっかくこれだけのことをおやりになるならば登記のああいうものももう一回メスを入れて、明治百年からのそういう歴史はあるんだけれども、もう少し簡素な、だれが見てもわかるような登記のあり方というものがどうあったらよろしかったのかということまで考えて、それでこの機械化の機会に、そういうふうな登記のあり方についてもこういう様式でよろしいんだ、国民がだれもが自分で書けるようなものにと、何でそこまでお考えをいただけなかったんですか。その点どうですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) よく司法書士に頼まないと登記所では受け付けてくれないというふうな御批判を受けるわけでございますが、私どもはそういうことがあってはならないということで、登記所の方でも本人申請についても十分親切に対応して処理をするようにということは繰り返し指示をいたしております。ですが、実際問題といたしますと、その次の問題に及ぶことでございますけれども、申請書類を整備するということがなかなか本人では難しいという面がございまして、何遍も往復をするというふうなことがあるものでございますので、つい本人の方は司法書士、調査士に頼むというふうなことになっているようでございます。 ただ、ありようとしては、私はそういう司法書士、調査士の手を経なければできないというふうなことではなくて、もっと通常の事件につきましては本人の方でもできるような仕組みは当然考えていかなければならないだろうと思います。そういう面で申請書だとか、添付書類などについても検討はいたしておるわけでございますが、実は一面またこの不動産というのが相当な財産権になるものでございますので、地面師等がいろいろそこで妙なことをするというふうなことを防止していかなければならないという面での、何と申しましょうか、手続の厳格性というものも避けられないということの間に挟まってジレンマを感じているような次第でございます。 これからの課題としては、もちろんただいま御指摘ありましたように、何と言いましょうか、そう難しいことばかり言わないで、なるべく手続的には簡素化できるようにという方向で考えなければならないと思っておりますが、何分にも現在のこの法案はそちらの方までは及びませんで、コンピューターによって登記所の体制を建て直すということに主眼を置いておりますために、そちらの方に専ら集中した法案になっておるということで御了解をいただきたいと思います。
○柳澤錬造君 私に御了解をと言ったって、別に 私が了解したからといっておさまるものじゃなくて、これは大臣、この間、板橋へ行ってさっと出てくるのをなにしてもらってきたわけだけれども、しかしこれは明治のころに始めたものでしょう。あのころは字を書けない人がたくさんおった。それから今言われるように、いろいろごまかされて大変な国民の財産が人になにされてはいけないといって、そういうものを保護することも考えて、言うならしち面倒くさいものをつくったんです。しかし今日、お月さんにまで人間が飛んで行く時代になって、それは百年昔のあのときに考えたことを後生大事に、これがあれなんだといって何でこれなにしなければいかぬのですか。 さっきも言ったとおり、税務署だってみんな自分で行って確定申告ができるんでしょう。子供が生まれたといって、結婚したといってみんな自分でもって区役所なり市役所へ行って、それでそこでもってちゃんと戸籍のそういう手続は踏むわけでしょう。恐らくこれだけじゃないですか。だから、そういうことを皆さん方がこういうものは当たり前なんだというふうにお思いになっているところの、その頭の切りかえをしていただかないからだめなんですと言うんですよ。その頭の切りかえをまずおやりになるお気持ちがありますか。そこのところをちょっとお聞きしておきたい。
○政府委員(枇杷田泰助君) 登記の手続を考えます際には、ただいま御指摘のような視点でものをとらえていくということは大変大事なことだと思います。それは私どもも十分肝に銘じておりまして、従来からもそういう面での手続の簡素化のことは考えてきたつもりでございますが、ただ、何分にも重要な権利関係を公示するということでございますので、厳密な手続が一方でなければいけないということがどこまで省略できるかということのジレンマがあるわけでございます。そういうことでございますので、今後とも法律の改正をする際にはただいま御指摘のあったような視点での見直し、一つでも二つでも簡易化できないかという視点での検討は加えてまいりたいと思います。
○柳澤錬造君 局長、そういう安直な答弁なさるからよくない。今切りかえをやるわけでしょう。そうしたら新しいコンピューターを入れて、そのところにどういうスタイルのものを入れるかということを覚え込ませるわけだから、そのときに、こんなしち面倒くさいのじゃいけない、もう少し合理的なものにできないかということを、もしもおやりになるなら検討してやらないと、これ言うならば全国千二百カ所が仮に二百でも三百でもそういうところができちゃった、それでこれから十五年かけてやっていくという形になったときに、途中でそんなこと変えられますか。そんなことはできないんですよ。
○政府委員(枇杷田泰助君) 私、御質問を誤解しておったのかもしれませんが、私が先ほどお答え申し上げましたのは手続の方の点について申し上げたのでございまして、登記簿の関係、今お示しの謄本は登記事項をあらわしているものでございますが、その登記事項につきましては、これは権利の主体と権利の内容、それから権利の取得原因、それだけは最小限表現いたしませんことには登記としての意味をなさないことになるわけでございます。それをいかに簡潔にわかりやすく登記事項を表現するかということが百年かかって現在のような形になっておるわけでございます。それ自体でも相当簡素化してはおりますけれども、どちらかと申しますと、もうこれ以上は切り詰めるところはないというようなぐらい、そういう面では整理をしておるつもりでございます。なお工夫の余地がないとは申しませんけれども、極めて簡単になっておると思います。 問題は、甲野太郎という人が今度はこの土地の所有者になったとか、どこそこの金融機関が何千万円の抵当権をつけたとかというふうな関係の登記を実現していく際の申請人側の手続の問題が私は先ほど御指摘になった点の主眼点だろうと思ってお答えをしたわけでございますが、その点につきましても、虚偽の登記ができてしまいました場合には、これは取り返しのつかない事態にもなるわけでございますので、最小限本人といいますか、登記することによって不利益になる者、売買の場合には売り主、それから抵当権設定の場合には設定者、そういう人が間違いなくその登記を申請しているのだということを確認する手段だけは講じておかなければならないという原則がございます。しかも大量な事件を処理いたしますので、裁判所のように一々本人を審尋したり証人を立てたりするというふうなことができませんので、形式的な書類でそれを担保するという方法を一番簡潔な方法でしたらどうだろうかということが絶えず私どもの課題でございまして、そういう場合に、一万人に一人おかしなことをする人があるために、あとの九千九百九十九人にどれほどの負担をかけるということが妥当かというふうな関係で常に悩みながら、できるだけ簡素化していくというふうな方向での視点で問題をとらえておるつもりでございます。 ただ、先ほど申しましたような厳格性というものとの間で、非常に私どもも苦しむわけでございますが、おっしゃったような御趣旨の視点は大変大切なことだというふうに思っておりますので、そういう面でこれからできるだけの努力をしていきたいというふうにお答えをした次第でございます。
○柳澤錬造君 一人悪いのがいて、その事故防止のために一言で言えば九千九百九十九人に大変御迷惑をかけるけれども我慢してくれということですね。そこのところを、今は裁判だってそうでしょう。疑わしきは罰せずということだ。あれは神様だけしか知らないんで、実際はやったかもわからない。しかしいろいろ調べていっても、どうしてもこれが犯人だとわからなかった場合には疑わしきは罰せずといってそれは無罪にするんでしょう。だったら、一人悪いのがいるかわからぬけれども、九千九百九十九人のことを考えたならば、この九千九百九十九人がやりやすいことを主体に置いて、それで一人の悪いのがいたら、そいつはとっつかまえて、そうして、そいつは起訴して裁判にかけるということじゃないんですか、今日は。 午前中も、寺田先生のあれのときも私ちょっと聞いていて、機械化して労働密度がきつくならぬかと言ったら、いや、なりません、緩くなると言ったか何と言ったか忘れましたけれども、そういう御答弁でした。労働密度は濃くなるんですよ、これはこの機械入れたら。簡単に言って、汽車になにしておって、普通の特急なり急行でもって三時間走っているのと新幹線で三時間、なるほど同じ三時間汽車に乗っておったかわからぬけれども、それは普通の特急なり急行に乗っている三時間と新幹線の三時間じゃ違うんですよ。だからその辺のところを、私は午前中寺田先生のお話聞いていて、あなたの答弁そう言ってて、やっぱり機械のことを知らないからああいう答弁しているんだなと。それじゃ困るんですよ。 だから大臣、よくなにしてほしいんだけれども、私は板橋の登記所に行って真っ先に気がついたことは何かというと、機械がどうなっているかじゃないんですよ、あれだけの高度の機械を装置をしている環境が悪いということ。そう言えばあそこは今試験中だからと言うけれども、あれだけの機械の設備をするというならば、それはあれだけの高度な機械をやるんですから、その機械を大切にやって使うような、そういう環境の一つの部屋にすることが第一に大事であって、それから二番目にはそこに働く人たちが、それは何といったってああいう機械をなにしたらば、これはもう労働密度は濃くなるんです。その労働密度の濃くなるのをどうやってきつくならないで、何といいましょうか、働いていただくためにどうするかということをこれは考えなければいかぬことで、その辺はやっぱり局長、自分がああいうところへ行って、一日でも三日でもお働きしてみるとわかるんですけれども、その辺について、だから私はさっきから言っている、どっちかというと基本的な姿勢ですね。 このコンピューター化については私は冒頭に言ったようにもう賛成ですから、ぜひこういうことをやってほしい。やってほしいんだけれども、それは法務省なり法務局の御都合だけ考えておやりになるのは困るんです。国民の貴重な財産であるわけでしょう。しかし、これがきちんとしなかったら大蔵省だって税金取るのに困るわけでしょう。だからそういう点を考えて、もうそろそろこの辺に来たならば、国民なり住民の便宜を図る意味においてこうしていくんです、いろいろ切りかえていくんですという、その頭の切りかえをやってお取り組みいただかなければならないんで、その点最後に大臣の御答弁をお聞きしたいんです。
○国務大臣(嶋崎均君) この登記事務の問題につきましては、御承知のように登記の仕事の立て方というのは一般にこれを利用する人から余り高い評価を受けていないということは我々も十二分に承知をしておるわけでございます。 したがって、その問題をどうして解決するかということ、そのためにはいろいろな工夫があるのだろうと思いますけれども、長年の蓄積の中で不動産の登記なりあるいは商業登記なりというものが育って今日の状態にまで来ておるわけでございます。しかし、そのままの姿でそれじゃ対応し切れるのかといったら、もうとても対応できない。そこで、これを解決する道は何かということでいろいろ模索をした結果が、これはもうやっぱり電子計算機によって磁気ファイルに入れて、そして対処するより方法がない。逆にそれは役所側の対応だけじゃなしに、また利用される皆さん方のお立場というものを十二分に酌んでやらなければならぬことは当然のことだと思うんです。 御承知だと思うんですが、今乙号関係の謄本を一ついただくと平均で四時間近い時間がかかる。そんなべらぼうな話というのは私は本当によろしくないと思うのでございます。これを今度板橋で実験をやっているというような関係から見ますと、これは二分半か三分ぐらいで謄本が出てくるという制度になるわけでございます。反面いいますと、これは逆に法務省の中を考えても、それだけの間いろいろな意味で苦労して働いておるわけでございます。それが一つのコストになっておるわけです。そういう両方の側に非常に私は問題があるということがこの制度に踏み切った最大の理由だろうと私は思っておるわけでございます。 登記の内容あるいはその手続等についてはいろいろな苦労もありましょうけれども、私は現在の登記をされているいろいろな事項の内容から見まして、これは何とか工夫がこらせないものかという努力を随分中でもやっておられるように聞いておるんですけれども、なかなかそのぎすぎすの段階、簡素化しにくい面も非常に多いのだろうと思うんです。とりわけ日本字で事柄を処理するものですから、アルファベットだけで問題を処理するところとは違うわけでございまして、そういう意味で非常な難しさがあることは事実だろうと思うんです。 いずれにしましても、こういう大きな計画をやる場合に非常に大切なことは、役所側のことだけじゃなしに、やっぱりサービスを受けられる皆様方の立場というものを酌んでやることであるということは私も当然この問題を考えるときに最重点的な事項で事柄を考えておるわけでございますし、またそういう意味でこの制度に踏み切るのには、百年に一遍の大改正でやるわけでございますから、今後二年間精いっぱいいろいろな意味で工夫を凝らし、コンピューター化の問題だけじゃなしに、総合的に、何というか、評価委員会の中でもいろいろな部門をつくってそれなりに勉強を積み重ねておるわけでございますから、それらがうまく動くような努力をかち得て、あと短期間の間にどうしてうまく処理するかということを精いっぱい努力して考えていかなければならぬと思うんです。 ただ、こういう設備を入れるということになりますと、今まで人件費に非常に重いウエートのある仕事の立て方であったろうと思うんですけれども、こういう機械を入れるということになればそういう資本費用というものがある程度重なってくるわけでございまして、そういうときのバランスというものをよく考えて、きちっとした制度を早期につくるという考え方で、そうした場合に事によったらただ単に手数料やあるいは一般会計からの繰り入れというようなことだけじゃなしに、時期によっては、あるいは借入金をやってでも措置をした方がうまくいくのかいかないのかとか、そういうような工夫も入れてこの問題は考えていかなければならぬ。何よりも、御指摘のようにこのことによって最大の利益はそれを受けられる皆さん方にあるんだという気持ち、そのことが逆にこちらへ打ち返してきても非常に意味があるんだという、そういう認識で事柄を処理していかなければいかぬというふうに思っておる次第でございます。
○橋本敦君 続きまして私から質問さしていただきます。事柄の性質上、民事局長一人で答弁を引き受けられまして大変お疲れだと思いますが、いましばらくよろしくお願いしたいと思うわけであります。 端的に言いまして今度の法案は、今まで板橋でおやりいただいておりました登記コンピューター導入のパイロットシステムがほぼめどがついたということで、本格的な導入をやる、そのための道を開く法律的措置だと、そういう法案だというように理解をしてよろしいかと思うのですが、間違いございませんか。
○政府委員(枇杷田泰助君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 この法案が通りますと、法務大臣は登記所を御指定になって、その指定された登記所がまさにこのコンピューターシステムによる登記業務をやっていくということになるわけですが、当然のことながら第一号に指定されるのは板橋の法務局だろうというように思うわけですが、それはそのとおり間違いないわけですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) それは板橋が第一号になります。
○橋本敦君 その板橋が第一号として法務大臣の指定を受ける、その時期は大体いつごろだという見当で作業をお進めでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 板橋の場合にはいわば現状追認的な指定ということになろうかと思います。したがいまして、この法律が成立をいたしましたならば余り日を置かずに指定をするということになろうかと思います。
○橋本敦君 そういたしますと、今年中にも指定されるというように伺ってよろしいわけですね。
○政府委員(枇杷田泰助君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 ということで、いよいよ本格導入が始まるわけですが、何しろ局長も先ほどからおっしゃっておられますように、登記業務というのは大変な数だし、複雑で大変な仕事でありますから、これを本格的にコンピューターに移行するということにつきましては、まことに大作業であることは言うまでもないわけですが、全国で千二百四十九の法務局登記所がございますね。これを全部やるということについては一体どういうような基本構想でいくのか、そこらあたりは踏まえておられると思うので、先ほどからもいろいろ話が出ております十五年とか、十年とかという話になるわけですね。 そこで、もう一遍この基本構想を伺いますが、どういう基準で、どれぐらいの年度で全部やってしまえるという構想をお持ちなのでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 現在持っております考え方といたしますと、十五年計画で完了をする、そのうち当初の二年間はシステム開発、それからプログラミング、それから中央の開発センターという施設の建設ということが中心でございまして、あとは板橋出張所を全庁移行を進めるということが並行して行われます。ですから、したがって移行作業は十三年間で行うというふうに考えておるわけでございます。 その移行作業のやり方といたしましては、一つ の原則はなるべく効率のいいといいますか、そういう面からとらえまして、事件数の多い大登記所から始めていく方がいいのではないかという考え方が一つあります。それから、移行の作業量と申しますのは、庁数よりは不動産あるいは会社の要するに個数が作業量としては基準になるわけでございます。ですから、その作業量がほぼ十三年間均等するというような形でやるのが適当ではないか。それをあるところで集中的にいたしますと、そこで経費がふくれていくということになりますと特別会計の歳入歳出の関係のバランスが崩れるということがあろうかと思いますので、大体作業量は平均的になるように考えるというような両要素で考えたい。 それから、これは派生的なことでございますけれども、先ほど中山委員から御質問ございましたように、現在民事法務協会というところから派遣職員が来ております。そういうところが一挙にコンピューター化になりますと、そちらの方の問題もございますので、そういう面で若干の配慮は必要であろう。それから、ある地域に固まりますと、移行作業をする場合の点検作業というものも、これもばかにならない事務量がございます。それを相互の登記所で応援し合うというふうな体制も考えなければいけない。そういうふうなことも織り込みながら六十三年度には何庁どこの庁、六十四年度はどうするということを決めていくということになっていこうかと思います。
○橋本敦君 今おっしゃった六十三年度にはどこの庁を何庁、六十四年度にはどこの庁を何庁という具体的なプログラムはまだないわけですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) まだ持っておりません。そういう関係につきましてもこの法律の五条二項の民事行政審議会の方の御意向も伺いながらしていきたい、これは役所側の都合だけではございませんで、申請人側の方にも影響のあることでございますので、そういうことでやってまいりたいと思っております。
○橋本敦君 そうしますと、各年度ごとの具体的な計画がないことはわかりましたが、資料として、午前中もお話がありました評価委員会ですね。あの評価委員会に出されております登記制度コンピュータ化十五カ年計画、それから労働組合も討議資料の中に同じものを入れておるのでありますが、これによりますと六十三年は六十二庁、六十四年百二十三庁ということで、七十四年まで千二百四十九庁というような数字が各年度末稼動庁数ということで書き入れられてある資料がございますが、そうすると、これは一応の試算資料という程度のものだと理解してよろしいわけですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) これは先ほど来話が出ております全体の経費を試算する過程で一応割り振ってみたということでございまして、これが私どもの具体的な計画として持っておる数字ではございません。
○橋本敦君 なかなかその具体的な数字を立てるというのはいろいろなデータと条件がありますから大変だと思うんですが、この進行ぐあいについても第五条の民事行政審議会に漸次図りつつやっていきたいという御希望があるように今伺ったんですが、そういうことでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 具体的な庁名についてまで一々お諮りするということは考えておりませんけれども、こういう基本方針で進んでどうだろうかということでお示しをして、御意見は伺いたいと思っております。
○橋本敦君 それは国会には示して審議をしてもらうという予定はないんですか、その計画は。国会には出すということじゃなくても、審議会に出せばそれでいいという計画だというお考えですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) これは例えば当委員会でそういう点についての御質問があればもちろんお答えをするつもりではございますけれども、国会で一々その具体的な計画について御審議を煩わせるということは考えておりません。
○橋本敦君 後でも触れますが、そういう具体的な計画というのは法務行政の中でも非常に大事な部分に属するし、法務委員会としても関心を持たなくてはならぬ問題だし、言ってみれば、この法案が審議されるプロセスで法務省がこういう基本計画を持っているということも審議の対象に本来ならなってしかるべき問題だと私は思うわけですね。審議会ができればそこへ何もかも行ってしまって、その審議を得ればいいということでは、国会の上に審議会が置かれることになっても困るわけで、そういう意味でこの基本計画がまだないというのは、一つの本案を審議する上での問題点だというように私は思うわけです。 それと関連して、やっぱり予算の問題もそうなんですね。先ほどお話出ております十五カ年計画の見込み予算が四千六百億とか四千億とかいうお話がございますが、これはどういう数字ではじき出したものか。確たる確信が持てる数字なのか、一応の試算推定にすぎないのか、ざっくばらんに言っていかがなんでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) これは基礎データがしっかりしておらないということと、将来の予測がかなり入ってくるものでございます。十五年先の見通しというものは非常に困難でございますので、したがいまして確たる数字ではなくて、大体どれぐらいかかるというふうに見たらいいだろうかというような漠然とした感じでいろいろなはじき方をしてみたことでございまして、確たるものではございません。
○橋本敦君 確たるものではないにしても、また別な資料で、法務省がお出しになっている「明日を開く登記事務のコンピュータ化」というこれを見ますと、ここでは十年間を展望なさっておられる基本構想でございまして、必要資金十年間で約一千八百億と、こう出ているんですね。十五年で四千八百億、十年で一千八百億。これはいかに試算といっても、ちょっとつじつまが合いにくいなと思って私見ておるんですが、この数字はつじつまが合わぬのじゃないでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) この十年間の計画と申しますのは、全国の千二百四十九庁のうち繁忙庁の四百三十庁でございましたか、四百数十庁を対象にして十カ年で進めていくということでございます。したがいまして、あと八百庁ぐらいが十五年計画になるとつけ加わるわけでございます。それで、このコンピューター化のための経費の一番金がかかりますのが移行経費でございます。この十カ年計画の場合の四百庁というのは平均よりは筆個数は多く抱えておりますけれども、事件数の割合と筆個数の保有数とは全く違いますので、したがいまして、移行作業経費というのは残り八百庁については相当の金が、要するに四百数十庁の分のまあ倍まではかからないかもしれませんけれども、相当多額のものになります。それから十五カ年計画ということになりますと、その十年間で移行した分につきましても五年間のいわば運用経費、ランニングコストと言った方がいいかもしれませんが、そういうものが五年分加算されるということになってまいります。そういうようなことから、十カ年計画を十五カ年計画にして移行の対象を全国に広げたということからその四千億というふうな試算ができるわけでございまして、それほど千八百億の試算と四千億の試算とは、何と申しましょうか、全く違う根拠で計算したものではございません。
○橋本敦君 いずれにしてもそういうとらえ方、考え方ということの問題であって、具体的にどれだけの金が本当に要るのかという、そういう予算計画まではまだ到底立たない段階だということでしょう。
○政府委員(枇杷田泰助君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 そこで見込みとして、特会になってきたわけですが、五十八年度の手数料収入が二百四十四億、今後この十五カ年計画で単年度平均して手数料収入がどのくらいだという見込みを持っておられますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) これも将来の事件数の予測に絡むことでもございますのではっきりした数字はつかまえておりませんが、六十年度にお きましても、九カ月で二百四十八億でございますので一年通せば三百億を超えるわけでございます。それが逐年ふえてまいりますので、ここ、将来三年ぐらいの点で申しますと三百五十億ぐらいなものになるのではないかと思いますが、事件数も伸びますし、それからまた作業の必要な経費、それから人件費の問題もございますので、そういう動向を見ながら将来は手数料の改定もあるいはしていかなければならぬ時期が来るのじゃないかというふうな気もいたしますので、現在のところ平均的にどれぐらいの収入ということは考えておりませんが、少なくとも四千億かかるとすれば、その四千億は手数料で賄うべき実費の中に入る。そのほかに人件費とかそのほかのものがかかるわけでございますから、四千億を仮に十五年で割るとすれば、それだけでも二百五十億ぐらいですか、それに人件費その他が加わりますので、平均的には五百億という数字以上のものがなければ四千億の計画は立たないということにはなろうかと思います。
○橋本敦君 そうしますと、基本的な考え方としては十五カ年計画四千億、あるいは四千六百億という推定数字にしても、いずれ具体化してくる段階がどうなるか知りませんが、その原則としては、出てくる費用というものは、これは手数料収入で賄うという原則でやっていきたいというお考えだということですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) コンピューターの経費はこれは細かく分けると問題があるかもしれません。大きく見ますと、これは手数料で賄うという基本方針でおります。
○橋本敦君 そこで、明らかになりましたように、年次別具体的計画はまだ立てられないし、それから年次別予算も明確に出てこないし、全体としては推定という域を出ないという状況ではあるけれども出発をするということになっておるという意味において、私は十五年というのはともかくとして、今局長がおっしゃった、当面三年はシステム開発だとか運営センター建設だとかいうようにおっしゃるわけで、当面五年とかあるいは六年とかいう短い期間での具体的なこれからの作業計画をお持ちになっていなくては、実際これが始まって指定するのは第一号は当分板橋だけですという程度では、せっかく法案をつくってやるというのにちょっとそれは将来漠とし過ぎて、これは本当に国会で審議をするについてはちょっと漠とし過ぎるのではないか。そういう点で法務省はもう少し詰めた計画を持ってこの法案を提出するというようにすべきであったのではないかという気が私はするんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 確かに御指摘のような面があることは否定し得ないと思います。私どもも立てられるものならばその具体的な計画あるいはそれに必要な経費というものも積み上げて、資料として御提出すべきだと思います。 ただ、先ほど申し上げましたように、非常に未確定な要素が現段階では多うございますので、いろいろな計算もできるわけで、しかも十五年先でございますので、当初の数字をちょっと違え、あるいは伸び率のパーセンテージをちょっと違えてしますと、先になりますと非常に大きな乖離差が出てくるということでございます。したがいまして、余り無責任なような数字をこれで決まりでございますという形で出すことは、かえっていかぬのではないか。しかも移行作業のやり方とか進め方などについても、これから審議会の御意見を聞いてするというふうにこの法律でもなっておるわけでございますので、余りぴしゃっとした計画をこの場で立てて、それでもう確定だというふうに申し上げるのはいかがかというような面もございます。 したがいまして、非常に漠然とした話を前提としてこの法案を御審議いただくのは恐縮な面がございますが、この法案の一番主たるところはコンピューターの方向で進めることを考えてやれというその五条の一項に一番中心があるわけでございます。そういう方向をこの法律でお決めいただいて、その上で私どもはこれに向かって最も効率よく最も経費がかからず、したがって最も国民の負担を少なくして、いい制度をつくっていくということを短期間の間に努力していきたい、それをまた役所だけではなくて審議会の意見も聞きながら決めていく、そういう方向をここではっきりと決めていただくところにこの法案の一番の意味があるというふうに理解をしておる次第でございます。
○橋本敦君 それは局長の立場で、この法案がそういう構想になっていますので、そういうところに力点を置いておっしゃるでしょう。しかし我々国会サイドから見ますと、莫大な費用、それからこれからお尋ねする職員、人員の配置問題も絡めて、しかも登記という国民の権利義務にかかわる重要な事項にかかわる問題ですから、具体的な計画を当面第一次計画としてもお持ちになっているのではないか。そこのところを明らかにしてもらって審議したいというのは当たり前のことですから、今のような質問をしているわけですね。 第五条では「電子情報処理組織を用いて登記を行う制度その他の登記事務を迅速かつ適正に処理する体制の確立に必要な施策を講じなければならない。」ということで、珍しい法律ですけれども、政府が必要な施策を講じなさいという中身の漠とした、それこそ一般的な義務規定のようなことを課しているわけで、その行っていく重要なことについては審議会の意見を聞いて大臣はやりなさいということですねいまさに方法論は書いていますから、具体的にもう本格化がこの法律によって始まるわけで、同時に始まっていくわけでしょう。ですから第一号の指定も年内にという話も私は聞いたわけで、そうなれば、それだけじゃなくて、この法案の審議に際して少しは具体的なコンクリートな計画でもお持ちになっていらっしゃるのが当たり前じゃないかというように聞いているわけですね。 例えば人員の問題も考えてみたいと思いますが、この法務省のお出しになっている資料によりますと、このコンピューターシステム化の導入によって、このままでは将来七千人以上の人員が必要となるけれども、これが円滑に機能した場合は「十年後には約千五百名の人員で足りることになります。」というように書いていますが、これも十年計画ですからまだ全部千二百四十九庁に行き渡りませんね。十年後といいますと残りがやっぱり八百庁ぐらい残ってくるわけですが、その段階でも千五百名の人員で足りることになるのですか。この千五百名という内訳は、これはまさに正式職員だけ千五百名という意味ですか。どういう意味なんでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) そのパンフレットの絵は、特別会計の必要性を一見して御理解いただくために、いわば絵で少し大ざっぱな表現をしたわけでございますが、その考え方といたしますと、その絵の真ん中にあります大きな人形の形は、十年後までに過去の事件数の伸び率を掛けていきますと乙号事件は倍ほどの伸びがあります、それをこなすのに必要な人員というのをいわばノルマ的に計算をいたしますとこういう人員が必要ということになるわけです、それがコンピューターになりますと、板橋の実験をした結果によってのわずかな時間測定の計算でいきますと、これぐらいの人員で足ることになる、したがって絵で見ればこの程度の人手を必要としないという効果が出てきますということで、大ざっぱにあらわしたものでございます。 しかしながら、人手が要らなくなるというのも板橋でのごくわずかな経験に基づく時間測定的なものでございますので、それが全庁に応用した場合にそのとおりになるかどうかはわかりませんから、ともかくその表で申します限りにおいては、その定員職員がそれだけの人数があれば、乙号事件の対象庁ですけれども、対象庁についてはその人員で処理できることが計算上は可能ということが一応出ますということをあらわしたものでございます。
○橋本敦君 現在、非常勤職員、部外応援、これはいろいろあるんでしょうけれども、どのぐらいお られますか。総数で、正式職員以外。
○政府委員(枇杷田泰助君) これは部外応援、部外委託、それから臨時職員、日によって違いますけれども、平均的に申しますと毎日毎日の段階で三千人近く、三千人程度の者は優にいると思います。
○橋本敦君 かなりの人数ですし、この問題については労働条件にもかかわるし、部外委託者のその側の労働条件にもかかわるから、労働組合との間で昨年の十二月にも百二十庁の範囲で部外委託は認めるというような合意があるように聞いておりますが、そうですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 部外委託は、組合との間では百二十庁程度はやることにしようというふうな話し合いができておりますが、現在のところ実施しておりますのは百十四庁でございます。
○橋本敦君 ですから、コンピューター化をずっとおやりになっていくというけれども、具体的な年次別計画がはっきりあるわけじゃありませんので、はっきりはわかりませんけれども、コンピューター化を一部進めながらということであっても登記事件の増に対応していかなくてはならぬから、今三千人だとおっしゃっているこの数字は、当分は、何年かわかりませんが何年かはふえ続ける傾向は避けられないのではありませんか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 事件数がこのままの状態で伸び、また現在の状況のままで何らの手当てもしなければそういうことになると思います。
○橋本敦君 だから、それらの職員をコンピューター化によってあっさりと全部を切ってしまう。十年後には正式職員千五百名だけでいいんだというように粗っぽくはなかなか行政としてはやってはならぬし、やれないと思うんですね。いろいろなことを考えていかなくてはいけない。だから、そこで働いている人たちの権利問題、生活問題、そういうことも含めながら、もう要らなくなったからどうなってもいいですよというように簡単にいけないので、そういう人たちの労働条件も十分に勘案しながらこの問題は処理しなくてはならぬという難しい問題があると思いますが、その御認識は持っていただいておりますでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 確かにおっしゃるような問題がございますので、私どももこのコンピューター化を進めていく場合にはその点について十分な配慮をしてまいらなければならぬと思います。一番簡単に解消ができると考えておりますのが市町村の吏員であるとか、あるいは司法書士、調査士の事務所からの応援というのは、これはいつでも解消できると思いますが、あと雇用関係に立っております臨時職員であるとか、あるいは協会からの派遣職員につきましては仕事がなくなったからさようならというわけにはまいりませんので、先ほど中山委員からの御質問にも答えましたけれども、その点につきましてはコンピューター導入の進め方あるいはその人たちの受け入れ先というものも考えながら進めていく必要が十分にあると思っております。
○橋本敦君 今の点、局長の御答弁は非常に大事なことであるし、今後ともそういう建前というのは大事に守っていかなくてはならぬ大事な問題でありますから、大臣にもその点をお答えをいただいておきたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) 御承知のように、先ほど民事局長から説明しましたように現在外部応援を非常にたくさんいただいて、そういう中で何とかしのいでおるというのが実態であるわけでございます。したがいまして、そういう点は十分今後の問題考えていったときに配慮をしていかなければならぬ問題だというふうには思っております。 とりわけ、御承知のように今板橋で実験的にやっております。また、そういう実験がなければ実はコンピューター化を進めていく基礎のいろいろな考え方というものはできないわけでございまして、そういう意味で先行的な意味を私は持っておると思うのでございますが、それも全部完全に動き出すというようになるのにはほとんど二年かかるのではないかと私は思っておるのであります。しかも二年後から登記法の改正をやりまして全体的に広げていくという考え方をとるわけでございますから、それまでの間は今の窮状をどうしてしのぐかということを考える場合に、ある程度の人員の拡充ということはもう考えざるを得ない問題だろうと私は思っておるわけでございますqそれ以後におきましても、十三年でやると言っても繁忙庁からやるというなら六十庁から七十庁ぐらいのところはスタートする場所としては一つの限界だろうというふうに思うし、そういうスタートをやっていくと、また地域的にもいろいろなバランスというものを考えてやらなければならぬというようなことになると思います。 そういうことを考えてみますと、人員削減問題というのは、その図示されたところで非常にショッキングに受けておられるのかもしれませんけれども、私は外部的な応援あるいは応援に来ていただく人の新陳代謝等十分考慮して運営するならばそう御心配なような状態というのは来さないのではないか。しかも法務省関係のいろいろな仕事、特に法務局の仕事の中には、このほかにも実は例えば地図その他の問題をひとつ考えてみましても、たくさん手をつけなければならない部面というのは実はあるわけでございまして、そういうことを十分配慮をして対処していきたいというふうに思っております。
○橋本敦君 わかりました。そこで大臣、今は部外委託の皆さんについても十分な配慮をということを言ったんですが、ましてや、この表で十年後千五百名の人員で足りるというようなことも推定だというお話がありましたが、十年後でこうですから、十五年後には八百名で足りるとか千名で足りるとかというようなことにもならぬとも限らぬということで心配して申し上げた。そこで、このコンピューターの導入というこのことを理由にして、現在ある正式の職員については人員が余剰だからといって削減し解雇をするというような事態は、今おっしゃったようなお話からもこれは引き起こさないようにするということはお約束いただけると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(嶋崎均君) 遠い先までのところというのはなかなか見通しできないところでございますけれども、先ほども御説明申し上げたようなことでございますので、私は、急にせっかくコンピューター化するわけですから何らか能率が上がるところもなければいけないし、それによって対処しなければならぬ部面もあろうというふうには思いますけれども、しかし、そういうことを考えてみましても、そう深刻に人員削減というようなことを今念頭に置くべき状態というのは考えにくいのではないかというふうに思っております。
○橋本敦君 考えにくいのか、そのうち考えやすくなるのか、いろいろあるんですが、要するにコンピューターの本格的導入によって法務局の正式職員をこのことを理由に余剰ができたからといって削減、解雇するというようなことは、これはやらないという方針で臨むということは、大臣の決意として伺っておきたい当然のことなんですが、もう一遍そこのところを答えていただけぬでしょうか。考えにくいということじゃ私も納得しにくいわけでございますが。
○国務大臣(嶋崎均君) その辺の説明どう言ったらいいかよくわかりませんけれども、やはり乙号関係のところは先ほど来も御説明しましたように平均に四時間もかかっておる、本当に完全にその切りかえができるならば二分半とか三分半でできてくるというようなことになれば、そこでその能率が上がってくるという、そういうことは当然考えなければならぬというふうに私たちは思っておるわけでございます。そういう事態になるまでに相当の日限がかかるわけでございますし、そういう中でいろいろな新陳代謝というものもあるだろうというふうに思います。 ただ、法務局の中を考えてみますと、今後一、二年はそういう状態というのは実現するはずはないし、その後の先を考えてみましても、どうも私が十五年先まで全くないと言ってみても余り約束にはならないことで、やっぱり実態をよく見て現実的な対応をしていかなければならぬ。そういう場 合に、今の乙号事件だけが仕事ではないわけでございまして、いろいろな意味で法務局の仕事の中にはやらなければならぬ部面もあるわけでございましょうし、また、この事件の伸び方というのもどういう姿になっていくかということも十分予測ができないところもあるわけでございまして、今五%なり六%なりというような勢いで乙号なんか伸びておりますけれども、こういう行き先がどういうことになるかというようなことも、うんと先までその見通しはつかないでしょう。しかし、ここ五年や六年の中で人員整理をすぐその部面についてやらなければならぬというようなことにはならぬと私は思っております。
○橋本敦君 なかなか大臣も慎重な御答弁をなさるわけで、慎重な御答弁なさるだけに将来にわたって人員削減の不安というのがやっぱり私はまだ抜け切れないでついて回るんです。法務省のおつくりになったこれでも、十年後には約一千五百名の人員で足りると、具体的な根拠とか数字なくして一応の推定的にこうおっしゃるという、そういうことはある意味では不安を及ぼすし、ある意味では無責任なことにもなりかねぬというので私ははっきり聞いているわけですね。大臣がどうおっしゃろうとも十年後には千五百名で足りるんですよと法務省が書いていれば、これはやっぱり人員削減という問題をもっと詰めてはっきりしておかなくてはならぬという問題に当然なるんじゃないですか。 ここで、大蔵省長くお待たせいたしまして、来ていただいておるわけですが、今度の特会ということについて、大蔵省が法務省の要望を入れて御承認になった、その登記特会を創設していただいた大蔵省側のこれに賛成をしていただいた理由が、どういう点を踏まえて創設に賛成をしていただくようになったのか。その点かいつまんでお話を聞きたいと思います。
○説明員(吉本修二君) 私も登記所の現場を見せていただきましたが、登記行政の現状がいろいろ御説明を受けるにつけ特にひどいということで、いろいろ合理化を図らなければならない、このまま放置するとさらに件数がふえるし現場が大変なことになるということで、一刻も早く対策を講じなければならない、その解決法というのはやはり機械化、コンピューター化しかないということでございます。 その点に関して、長らく法務省の方でパイロットシステムを使われて御研究されてきて、そのめどが立った、今回、本日御審議いただいているような法案まで用意して、そういう方向に進むという御決意までされた、こういうことでございまして、そのための所要財源も受益者負担の考え方に立って確保していく、それを一般会計の中でやるということになると、また非常にそこいらの関係がうまくいかないというようなお話も伺いまして、やはりこの機会に、従来からもちろん事務改善とかいろいろやってきたわけですが、一般会計の中でやってきたわけでございますが、こういう一つの大幅な改革の機会に特別会計をつくるというには十分の合理性があるというようなことで種々検討をいたしましたけれども、やはりつくるべきであろうという結論に達したという次第でございます。
○橋本敦君 今のお話をもう少し深めて伺いたいと思いますが、そういうことで一つは根本的にコンピューター化による改善ということでやらなくてはならぬという必要性を認めていただいた。そこで、一つは今おっしゃった受益者負担という原則に基づいて、その費用は手数料で原則として賄っていくという、こういう方向でそれは認めることができる。これが一つ。そういうことで、このことをやっていけば将来の効果として予測される、このままでは大変な人員増が必要ということではあるけれども、このコンピューター化を進めれば、それに対応して人員の将来にわたっての縮小、今言った登記委託関係を含めあるいは職員数も含めて、その面でも将来歳出のカットという方向で協力ができる条件ができていくのではないかということも展望されたのではないかと私は思うんですが、この二点はいかがですか。
○説明員(吉本修二君) 御承知のとおりの財政状況でございまして、挙げて行財政改革に取り組んでおるところでございます。そういうふうな観点に立ちますと、事件数がふえる、そういう事務量がふえるという状況の中でも、全体の総定員法の枠内で定員管理をやっていくという考え方に立ちますと、なかなか増員も現実には厳しい問題がある。やはり合理化を図って、機械化を図ってそういう行政需要の増に対応しなければならない。さらに、よりうまくいけば現在の定員以下でやれることもそれはあり得るであろう、そういうような結果出てきた人員というのはより新しい行政需要の分野へ回していけるという、これは全体の定員管理の考え方でございます。 そういうような観点で種々のいろいろ議論もいたしましたし勉強もいたしましたが、現実のコンピューター化計画というものは具体的に一体どうやっていくのか。これから検討するというお話でございますから、なかなか具体的な数字は出てこない。ただ現在四時間も平均して、あるいは長い人ではもっと待つようなこういう謄抄本の交付事務というものが機械化によりますと三分なり五分でばたばたと出てくるというようなことでございますから、感覚的にはかなりの大幅な合理化ができるということは当然予測されるわけでございます。また、そういうことを行って増員の今後の必要量を減らすことができる、あるいは定員を減らすことができるということは、まさに国民の側に立ちますと全体としての負担の軽減なり行政サービスの向上という観点で非常にプラスでございますから、そういう観点に立つ行財政改革というものにまさにつながるというようなことで非常にいいことであろうというふうに考えておるわけであります。 ただ、実際問題としてどういうふうになっていくのか。特にコンピューターというような話を伺うと、非常に膨大な計画、事務量になりますから、とても十年、十五年先まで私どもとしても見通す力はございません。御存じのとおりの財政事情で、私ども単年度主義でやっている状況でございますから、ある程度中期的な展望は持たなくてはいけませんが、一体どの程度の効果が出てくるか、これはまず第一次的にやはり法務省の方で最も効率的な仕組みを考えていただいて御検討いただいた上で、私どもは相談にあずからしていただいて毎年度検討していく、こういうことでございます。
○橋本敦君 どっちにしても、今私が指摘した二点の問題というのは、この法案とも絡んでまだまだ問題として残っていくわけなんですね。 そこで局長、手数料のことについて伺いたいと思うんですが、この第三条によりますと、問題の手数料は、これは第三項で「物価の状況、」、それから「実費その他一切の事情を考慮して、政令で定める。」と、こうなりますね。現在はどこでどういうことで決まっているのかということとの対比ていきますと、今度は政令で決めるわけですから、言ってみれば手数料法定制の枠を外して大臣の裁量にしていく、こういうことになるので、一つここに大きな問題があるんですが、これは先ほどの十五年を展望したこれからのコンピューター化をやっていく推定予算四千億もしくは四千八百億、それを順次手数料で賄っていかなくてはならぬという受益者負担の原則からいきますと、まさに政令で定めてそのときどきにそういうことも含めて決めていきたいということのねらいがここには一つはあるように私は思うんですね。ですから、ここでは「物価の状況、」、「実費その他」とこう書いていますが、「その他一切の事情」の中には今後進めていくコンピューター化の費用を原則として特会で手数料で賄っていくという、その枠を踏まえて、そのことも考慮して手数料は決めるということになっていかざるを得ないと思うんですが、そう理解してよろしいですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) この法律の三条の三項で決めます手数料というのは並行処理期間中の手数料でございます。したがいまして、その並行処理の手数料がここで決まり、それから不動産登 記法その他の登記法が改正するまでは各登記法の条文、不動産登記で申しますと不動産登記法の二十一条、ここで決まる。それから改正後は、二十一条を改正して謄抄本制度という名前を残すかあるいは証明制度に直すか知りませんが、それで決まっていくことになりますが、いずれにしても政令で決めるということになろうと思います。その場合に、政令で定める場合には物価の状況とか実費その他一切の事情を考慮するということでなるわけでございまして、その場合にはコンピューターの経費、そういうものも実費として考える重要な要素になるであろうとは思います。 ただ、この法律の三条の三項の場合には、これは並行処理期間中のごく短期間のものでございますので、これだけを取り上げて実費計算をいたしますと、あるいはほかの謄抄本よりも高いというふうな計算が出てくるかもしれませんが、それはその他の事情のところで、普通の謄抄本と手数料の額が違うというのはこれは奇妙なことでございますので、それは合わせていくというふうなことを考えたいと思いますが、いずれにいたしましてもこの手数料の額を算定する際にはコンピューターの経費というものが実費として織り込まれて計算されるということにはなると思います。
○橋本敦君 私が問題を指摘したのはまさにそのことでありまして、全体の総枠予算が十五年で幾らかというのも今の段階で推定にすぎない。したがって、コンピューター化に伴って実費を頭に入れながら手数料を決めていくとなると、今度は登記法の改正をやって、将来は一本にした場合でも政令で決めるというように法務省が任意の裁量で決めやすいようにしていく。これはまさにこの登記特会での経費の調達を受益者負担の原則を貫いていくという建前で、政府の方はいいんでしょうが、国民側から見れば、それはそれでよいのだろうかという問題が非常にあるんですね。国鉄の場合も運賃法定制を外して大問題になりました。 そういうことになりますと、これは国民の側から見ても手数料の決め方というのは、一つは非常に大きな法律の建前の重要な変更でもあるし、重大な問題を持っていることを指摘せざるを得ないわけですが、当面、移行時期には不動産登記法で決まってきている部分と、この第三条の三項で決まる部分と二本立てになるわけです。そういたしますと、同じ謄本をもらう、あるいは閲覧の問題、後で聞きますが、同じ閲覧をするとしても手数料が違うということも起こりかねない。この問題について、今ちょっと問題のようなことを踏まえて御答弁がありましたが、もう一度この点を伺いますが、一本にするとしたら移行条件のときにどちらに合わすのですか。この第三条三項で計算した額に旧来の登記関係の手数料も合わすのか、それとも二本立てで差があっても当分いくのか、そこらはどうですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 登記法で決めます手数料と申しますのも結局は政令で定めるということになっておりますので、政令でそのいろいろな事情を考えながら決めていくことになるわけでございますが、この法律の三条三項と申しますのは、移行作業期間中の臨時的な証明制度でございます。したがいまして、この三条三項の手数料がコンピューター経費の中心財源ということになるわけではございません。大部分の移行が完了した庁、あるいは移行に全く手がついてない庁が、これが大部分の庁になるわけでございますので、そこらの庁がやはり手数料を決めていく場合の中心のことになるだろうと思います。その全体をコンピューターの経費等も勘案をして決めますが、その決めた額をこの三条三項の政令でも同額に決めるという考え方でございます。そうしませんと、この三条三項だけでは非常に小規模で、ならされていかないということになりますので、そういうふうな考え方でおります。
○橋本敦君 わかりました。それで政令が二本あって、それぞればらばらに決めるということでないことがわかりました。 そこで、そうなると私が指摘した問題として、まさにこれからやっていくコンピューターの経費を特会で支弁していくということは、全体の手数料で特会に入ってやっていくわけですから、だからそういう意味でコンピューター化の費用がずっと高くなれば、そうするとコンピューター化によって入力をして、そこから出てくる証明つきの抄本とか謄本とかあるいは閲覧というようなものがコンピューター化のその部分の費用の実費と見合って考えられるんじゃなくて、その他まだ移行していないところの部分も今後のコンピューター化をにらんだ費用に見合うような形で決めていかなくてはならぬということになりますから、将来コンピューター化されるということでもって手数料が早目早目に上がっていくという可能性も出てくるというふうに私は思うんですが、その可能性は否定できないのではありませんか。
○政府委員(枇杷田泰助君) これは手数料は全国一本で定めるという考え方でございますので、ある庁が移行がされる、あるいは移行が済んで新しい制度で動くということになりましても、そこだけが特別な手数料ということになるわけではございません。そういうことでは全国でならしてしまうわけでございますが、移行の経費がこの手数料の実費計算の中に織り込まれるということは先ほど申し上げましたとおりでございます。したがいまして、この移行関係を急スピードで進めるということになりますと、その当該年度の実費が非常に上がるということになってしまいます。それは望ましいことではない。それからまた余り多額の値上げをするということは国民に負担を重くすることで適当ではございませんので、先ほどの御質問にもお答えした点でありますけれども、なるべくそれをならしていくようにして多額の値上げはしないようにするということを考えてまいりたい。 余談でございますけれども、早目に移行が済みますところは移行がこれからのところの負担においてするということになりますが、後の方で移行するところはその移行の経費はまた移行が済んだところの庁の方で負担をするということになるわけで、人は違いますけれども、大きな意味で見ればならしていくことになるのじゃなかろうかと思っております。
○橋本敦君 そういう意味で、私は、この第三条は臨時的なことだと言うけれども、手数料の額の決め方は「物価の状況、」、それから「実費その他一切の事情」というところの意味はなかなか重要だと思いますし、従来の政令で決める部分にも、今局長がおっしゃったようなコンピューター化をにらんだ部分が手数料要素として入ってくるわけですから、本当ならばそっちもそういう意味を含めた改正をしておかなくてはいかぬのじゃないかという気もするんですが、それは出ておりませんのでやむを得ません。 そこで、きょうは時間がありませんから、あとまだ細かい問題いろいろお聞きしたいことがありますが、大きな問題として最後にちょっと聞いておきたいんですが、このコンピューターシステムの導入については、局長もよく御存じのとおりに全法務労働組合との間に前の民事局長中島一郎さんの時代に、五十七年十一月三十日ですが、覚書が交わされておりまして、今までのパイロットシステムはこれは研究開発の最終実験だから本格導入を既定事実としたものではないということを確認した上で、この「実験終了後の本格導入については、全法務労働組合と協議して決定する。」とここまではっきり覚書がございますね。だから、したがって最初に私が伺ったように、まさに本格導入の第一歩の法案ですから、この法案が出るまでに、この覚書の趣旨を踏まえるならば、全法務労働組合との間で、きょう私が聞きました人員の問題、移行計画の問題、それから委託業務関係者の問題、それからこの次の時間に伺いますが、労働安全衛生上の特別の配慮をどうするかという問題も含めて十分な協議を尽くして協議が調っておかなかったら本当はいけないのじゃないか。そういう意味では協議が調わないのにこの法案を出されたということになれば、全法務労働組合との間では覚書違反という問題を指摘されてもやむを 得ないのではないか、非常に重要な問題だ、こう思うのでありますが、どのように解しておられるのでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) ただいま御指摘ございましたように、昭和四十七年十一月の末でございましたか、板橋でパイロットシステムによる現場実験を行うに先立ちまして、このパイロットシステムによる現場実験の計画はどういうものであるか、それを将来どうするかということについての基本的な話し合いが持たれまして、そしてただいま読み上げられましたような協議ができておるわけでございます。その線に従いまして私どもはこのパイロットシステムを進めるに当たりましても逐一協議をしております。また、このたびのコンピューターの関係、あるいはそれを中心とした特別会計の導入につきましても、組合の方には情報を提供し資料を渡しております。そしてその都度いろいろな説明も加えておるところでございます。 覚書の読み方によりましては、この法案を出すについては正式な協議をするということが必要だということも読み方によっては読めようかと思いますけれども、私どもといたしましては、いわばこのパイロットシステムをするにいたしましても、コンピューターを導入するということを先を全く予定しないでやっているわけのものではないわけでございまして、組合が関心を持ちますのは、具体的な話の計画をどういうふうにしてやるか、それについてはそういうものに踏み切れるだけの条件が具備しているかどうかというような点について一番関心がある点でございます。 この法案は、先ほど来もっと具体的であるべきだという御指摘も受けましたけれども、いわば方向として登記事務を抜本的に改善していくためにはコンピューター導入を中心に据えた基本的な体制をつくれというところに意味があるわけでございますので、そういう面で改めて協議をするということではなくて、むしろこれからの具体的な進め方について、あるいは本格導入をするためのいろいろな問題点があるのかないのかというふうな点についての協議を尽くすところに主眼があるのではないかというふうに理解をいたしておりまして、そういう面での組合との協議は、まあ下協議的なことはもう従来からも続けておりますし、近くまたそういうことを主要テーマにした話し合いもする予定になっておるわけでございます。したがいまして、私どももその覚書に違反したというつもりはございませんし、そういう面で組合からのはっきりした抗議みたいなものも受けてはおらないところでございます。
○橋本敦君 それでは、基本的には私が指摘したような解釈の仕方もそれはあり得るから聞いたわけですが、当局としてはこの覚書を尊重して、現に引き続き労働組合との協議を進めておるし、協議が調うように組合との話し合いは誠意をもって努力するということだと伺ってよろしいわけですか。確認をさしていただきたい。
○政府委員(枇杷田泰助君) そのとおりでございます。誠意をもって十分に話し合いをして協議をまとめてまいりたいと思います。
○橋本敦君 一言だけ、言うまでもないことですけれどもつけ加えておきたいのは、まさにパイロットシステムをおやりになったのは将来やるかやらないか、そういうような漠としたことで多額の費用をつぎ込んだのではないという当局の立場はわかりますが、しかし組合も真剣に考え、当局との話し合いもやって、五十七年十一月三十日の覚書には、これはっきりとパイロットシステムの「実験終了後、全法務労働組合との協議が整わない限り本格導入を強行する考えはない。」ということまで当時の第一課長はおっしゃっているし、「なお、実験終了後、ただちに本格導入が実施できない場合」、つまり協議が調わなくて「実施できない場合には、機器の撤去ということになるものと考えている。」と、解釈の余地なく明確に、こういうことは労働組合との協議を尽くして協議が調ってやっていくのだということが指摘されておりますから、まさかこの言葉に偽りがあるわけじゃないので、今おっしゃった労働組合との協議は今後とも誠実にきっちり尽くしてやっていくということについて、大臣の方としてもせっかくの関心を持って対処されるように指導していただきたいのですが、いかがですか。
○国務大臣(嶋崎均君) 御承知のように、スタートの時分からそういう前提で事柄を進めてきておるわけでございまして、中間報告というような形でこの三月に評価委員会からも出していただいたというふうな形のことで御推察できますように、今後板橋の出張所のいろいろな積み重ねの実験というものを進めていかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。そういう過程の中で、今組合との話につきましてもそういう事実があることを前提にして今後ともよく協議をして話を進めていくように指示してまいりたいと思っております。
○橋本敦君 ありがとうございました。きょうはこれで終わっておきます。
○委員長(大川清幸君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。 次回は来る十八日木曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十四分散会