補助金等に関する特別委員会 第9号
- 発言数
- 295 件
- 登壇者
- 42 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/05/15
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから補助金等に関する特別委員会を開会いたします。 国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○刈田貞子君 私は国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案についていささかの質疑をさしていただくものであります。 今回の補助金カット法案は、農水関係のものを見ますと高率補助引き下げによるものが百五十三億円、一般財源化措置によるものが六億円、行革関連特例法等の関係のものが七十億円、そして本法律に関する法律関係のもので二百二十九億三千万、政令措置のものが四百四十二億一千万、こういうことになっておりまして、トータルいたしますと六百七十一億四千万と、こういうことになりまして、減額数字を私は眺めておるわけでございますが、この減額によって農政に支障を来さないかどうか、まず農林水産大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(佐藤守良君) 刈田先生にお答えいたします。 先生御存じのとおりでございますが、農林水産業というのは自然条件に左右されやすいなどの大きな特質を持っております。そんなことで農林水産行政を円滑に推進していく上で補助金が極めて重要な役割を果たしておるのは先生御存じのとおりでございます。そんなことで従来からその確保に努めてまいったところでございます。今回、御指摘のとおり、六百数十億という補助金削減がされたわけでございますが、農林水産関係の補助金については高率補助率引き下げ、一般財源化等を図ることとしております。しかしながら、これに伴う地方公共団体の負担の増加については適切な地方財政措置を講ずることとしているので、農林水産行政を進める上で支障が生ずることはないと考えております。今後とも農林水産行政を円滑に推進するために必要な補助金についてはこれを確保してまいる所存でございます。
○刈田貞子君 地方自治体によるある種の措置を期待してということでございますけれども、その辺がかなり問題であろうかと思いますが、後ほど話をしてみたいと思います。 次いで、大蔵大臣にお伺いいたしますが、我が国の農林水産業について大蔵省はどのようにお考えになっておられるか、このことをお伺いするわけでございます。私が調べたところによりますと、マイナスシーリング、ゼロシーリングというようなことが始まった五十六年と比較をいたしてみますと、農林水産予算の中で三百八十六本の補助金をなくした。現在三百十一件しか残っていません。その額が千九百六十七億ということでございまして、農林水産行政としてはかなりぜい肉を落としてきた、こういうことなのでございますが、とかく過保護あるいは金食い農業と言われていることの中で農林水産省はかなりの努力をしてきたというふうに私は思うわけでございますが、補助金等をめぐる問題、そして今後の日本の農業をどうしていくのか、大蔵大臣のお立場からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 農林水産行政あるいは政治課題としてどう受けとめておるか、こういう御趣旨でございますが、農林水産大臣からお答えになった方が適切かと思うわけでございますけれども、私の生まれ在所もまさに農山村でございますので、あえて個人的な見解ということを前提としてお答えいたしますならば、食糧の安定供給を確保すること、これは国政の重要な課題でございます。財政当局といたしましても、今後の農政の展開に当たりましては、総合的な食糧自給力の維持向上に努めますとともに、規模拡大等によります生産性の向上を図って産業として自立し得る農業を確立することが基本だというふうに考えております。「一九八〇年代経済社会の展望と指針」というものの中にも、そのほかに「国土の保全と自然環境の維持培養」、こういう機能を持っておりますので、そこに私どもはある意味におけるロマンも感じておることは事実でございます。 そこで、今度は補助金の具体的な問題でございますが、補助金というのは農林水産行政推進の有力な手段でございます。そこで、いろいろな指摘がございます。統合メニュー化、それから基本的にはことしの所信表明でも申し上げたと思いますが、補助から融資へと、こういうような問題、それから人件費等におきまして定額の交付金化というような工夫をいたしまして今日に至っておるわけでありますが、農林水産省自体におかれましても、いわば部内で一番詳しいのは担当の省庁の皆さん方が詳しいわけでございますから、厳しくぜい肉と申しますか、それを落としていこうという姿勢で今日まで対応してきておられることは私もそのとおりであろうと思います。あえて個人的見解を申し述べますならば、申告所得が三百億台で予算が三兆だと、百倍だと、そんなことを他業種の人が批判されることが間々ありますが、いささかささやかな抵抗を感ずるというような心境でございます。
○刈田貞子君 大蔵大臣の農業に関するロマンの話は私も会議録等で読ましていただきまして、大変よく浸透しておるわけでございますが、農業はロマンだけでは解決できないものがあるわけでございまして、私はもっと大蔵大臣と補助金の投資効果のようなものについてもゆっくりと話をしてみたいというふうに思うのでございますけれども、きょうは時間もございませんのでそこまでは入りませんが、農水大臣が日本の農業を守るために頑張るということで、いつも気負い込んで予算編成等に当たっていただくわけでございますけれども、その予算が農林水産委員会に返ってくるときはかなりカットされて、そしてお粗末な形で返ってくる。それはやはり大蔵の矛先が高いからだと、こういうことで、そうすると大蔵大臣は農林水産に対してかなり厳しい御指摘を持っておられるのではないかというふうに私思いますものですから、ぜひ一度大臣とは農業論を懇ろにしてみたいというふうに思うわけです。 私は東京で生まれて東京で育った人間、都市の人間がなぜ農業に興味を持つか。興味ではございません、重大な関心でございますが、これはやはり今大臣もおっしゃられましたように、国民の食糧供給そして食糧安全保障の面からいっても非常に大きな意味がありますし、私たちこれを消費する立場からそれを確保していくことに関心を寄せなければ大変だということで、今、農業に関する一つの関心が都市部の者から寄せられていることはよくおわかりであろうというふうに思いますので、私もその代表的な人間として農業をいささか見詰めている、かかわっているという者の一人でございます。私の立場をいささか申し上げておきます。細かい問題に入りながらさらに大臣の農政に関する御見解を伺っていきたいというふうに思います。 このたびの措置を見ますと、補助金が交付金化される額がございます。農林水産関係では農業委員会費関係あるいはまた植物防疫推進費等あるいはまた漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会費等に関するものでございますが、この交付金化についてこれまでも論議が出たと思いますが、少し私お伺いをするわけですが、農林水産階係のこの交付金化については、人に関する問題が挙げられているわけですね。大蔵大臣は、地方自治体の主体性が発揮されることになるし、それから事業の弾力性あるいは効率性が非常に期待できる、だから交付金化は望ましいというような御発言をなさっておられるわけでございますけれども、その逆の立場もまた出てくるのではないか、つまり地方自治体に自由裁量権が与えられることによって起きてくるいろいろなマイナス面もあるのではないかというものを持っております。そのことを一点お伺いすることが一つ。 それから補助金は政策目的を達成するための助成でございますから、人勧等のベースアップによっていわゆる人件費補助が連動していくことになるわけでございますが、これが交付金化されたときには当該職員のベースアップ等は図れるのか図れないのか、こういう問題に疑念を持つものでございますが、お伺いいたします。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる地方公務員のお方を補助の形で人件費補助をしておりますというケースがございます。本来あるべき姿としては、その地方自治の中で地方公務員としての役割というものを果たしていただくわけでございますから、奨励の期間が必要でございますので、同化定着に至るまでにはやはり奨励的な意味において人件費補助、こういうことが間々あるわけであります。したがって、同化定着していきましたならばやはりそれは交付金化等をいたしまして、その自治体の中で仮にベアがありますならばそれは地方公務員としてのベアというものをお受けになるわけでございますから、そういう自主性の方が本来はあるべき姿であろう。しかし、私どもが若いころで申しましても、例えば農業改良普及員の方にしてもあるいは生活改良普及員の方にいたしましても、最初は私はああいう人件費補助のような形によって初めて都道府県等でそれが設置されたんじゃないかと。しかし、同化定着したとしますならば、やはりその地方公務員という社会の中に入ってお互いにその地域に対する奉仕という共通の目的で同化されることが私はむしろ好ましい姿じゃないかな、こういうふうに考えておるところでございます。 ただ、もう一つ申し上げなきゃなりませんが、先ほど立場をお述べになりましたが、間々私どもがいわゆる生産者と消費者との利害相反する対立とか、これが日本の農村のためにも一番いけないことだと思います。今農業団体の方も都市に対するアプローチをいろいろなさっておりますし、そして先生のようないわば純粋消費者の立場であられながら、そういう生産者とかあるいは農村とかというところに眼を向けていただく人がいらっしゃることは、私ども農村出身からいえばありがたいことでございます。
○刈田貞子君 今の交付金化の問題について自治省の御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(土田栄作君) 交付金化の問題につきましては、地方団体側といたしましては、補助金でもらいますより自由度がふえるというふうに申しますか、地方公共団体の自主性を発揮いたしますとともに、事業の効率的、弾力的な運営を図ることができるわけですから、そういう方向というのは私どもとしては非常に望ましいことであると考えております。ただ、委員御指摘のようにベア等がありました場合にどうなるかという問題でございますけれども、これは地方公務員の給与でございますので、そのベア分というのは当然地方団体が支払うということになります。その場合に、そのもとになります交付金の財源というものについての国の財政措置がどうなるかということが次に問題になってくるわけですけれども、それは毎年度の交付金の予算というもので各省において所要額を確保していただく必要がある、そういうふうに考えております。
○刈田貞子君 時間がないので、いろいろ言いたいことがございますが先へ進めます。 今回の補助金削減の中で一つ私どもの党として気になる問題がありますのでお伺いいたします。 森林病害虫等駆除費補助金が三億円ほどカットされるわけでございますが、これによって森林などにおける病害虫の急激な被害拡大とかあるいは林業の生産基盤に関する悪影響というようなものがなかろうかどうかということが大変気になります。森林、林野の問題に関して本年特に力を入れております我が党といたしまして、この辺のことの御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(田中恒寿君) 今回の高率補助率の引き下げによりまして森林病害虫等防除費補助金も一部削減をされておるわけでございますけれども、これに伴いまして地方公共団体の負担が増加するわけでございます。これにつきましては、先ほど農水大臣からもお答えいたしましたが、適切な地方財政措置が講じられることになっております。したがいまして、これによりまして事業費と申しますか、事業量的に見ますと国費が四%ばかり減っておりますけれども、事業費レベルにおきましては昨年並みが確保されておるところであります。先生お話ございましたように、本年この病害虫防除につきましては、特に松くい虫の被害傾向等に大変私どもも問題視いたしておるところでございまして、よく都道府県と連絡をとりまして、特に保安林でございますとかあるいは被害が蔓延をいたしております先端部分でありますとか、そういう重要なところについては重点的に事業をするようにいろいろ詳しい打ち合わせをいたしておりまして、業務の万全を期してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○刈田貞子君 国内の森林資源を保護するということは、ただ単に環境保全、治山治水といった広範な目的があるだけでなく、何といっても産業としての日本の林業を守り育てるということが一番大事であろうかというふうに思います。そこで、日本の林業を守るというようなことで気になりますのが今課題になっております木材輸入問題でございます。木材の輸入の問題についてお伺いをいたします。 十三日、十四日で日米次官級協議会が開かれておりますが、この問題について御報告をいただきたいと思います。これは外務省でしょうか、農水省でしょうか、林野庁長官、お願いいたします。
○政府委員(田中恒寿君) 四分野の一つといたしまして十三、十四、これは第二回の次官級会議でございます。第一回が二月の二十五日でございました。第一回におきましては、関税の引き下げを議題とするかどうかということで冒頭大変きつい意見の対立となりまして、なかなかその中身に入れない状態でございましたけれども、第二回の昨日終わりました会議におきましては、木材関税の引き下げに一定の方向を示したと、すなわち、おおむね三年目から関税の引き下げに向けまして前向きに取り組むという姿勢を出したことによりまして、関連する広範な分野に論議を及ばしめることができたという状態でございます。だんだんと話も技術的な内容にも立ち至ってまいりますので、これからはそういう問題につきましてはワーキンググループと申しますか、作業グループ、部会を設けましてそういう問題についての論議も深めていこうと、それは二つの部会をつくろうと、政府の関連する事項について論議する部会、次は産業関連部会と申しまして、民間のいろいろ流通問題なども主に取り上げてはどうかというふうなことで会議が非常に回り出しておると申しますか、円滑な進展を期待しつつ、部会の設置を申し合わせまして昨日の会議は終わったというふうな状態でございます。
○刈田貞子君 その報告は私もけさの新聞で少し確認をさしていただいたわけなんですが、ここで大変気になりますのは、日本独特の合板流通機構、こういう業界の仕組みや商慣習についてまでいささか指摘があるのではなかろうかというふうな懸念を持っているわけですけれども、この点はどうなんでしょうか。
○政府委員(田中恒寿君) まだ十分論議を尽くしてはおりませんけれども、一、二感ぜられますことは、向こうの方で障害と考えておりますことが、こちらからいたしますと文化の問題でありますとか、歴史、伝統にかかわる問題であるとかそういうようなことで、そういう食い違いと申しますか、理解を求めなければならない問題があるということを感じております。しかし、向こうが障害と思って取り上げてくる以上は、それについて十分説明をしてまいりたい。例えば寸法などが我が国の三尺掛ける六尺というのは畳文化に根差すものでありますので、これがアメリカと違うからといって障害になっても、これはよって来るところを説明すればわかる問題だと思います。そういうふうなことで、誤解とまで申しませんけれども、十分な認識がないままに障害と思っているのが随分とあるようでございますので、私どもが、木材需給についていろいろ意見を交換する需給協議会などというのもございますけれども、そういうものについても大変な、何と申しますか、談合機関であるかのようにも思っている節もあるわけであります。そういう点につきましては十分誤解を解く話し合いをこれからしていけばよろしいというふうに思っております。
○刈田貞子君 それから日本農林規格認定の問題について、アメリカの権威ある検査機関において認定作業を代行させるという要求がございますが、これがどんな形に話が煮詰まるかということは日本の法律に触れる問題にもかかわりますので、大変気になります。 それからもう一つは、このJASの認定作業をアメリカ側にゆだねるということがアメリカ側にどういうメリットがあるのかという疑問を私は持っておりますのですが、この点について御説明いただきたい。
○政府委員(田中恒寿君) お話のございました点はこちら側の法律に触れる点もありますので、一応アメリカ側にそれはできないということで断ってはおりますけれども、さらに話を掘り下げていきたいということで作業部会にゆだねられておる。基本的な考え方が、例えばアメリカの場合は、強度を重んずる場合には強度だけが非常に重要な因子で、外観とかその他は非常に軽く見るような考え方ですが、日本はやはり外観とか、非常に厳しい繊細な基準というふうな、その考え方の差も基準認証の中にはあるようであります。それから向こうは長い伝統のある民間の検査機関がそういうものを認証いたしてきまして、何らの問題もなく進められておるというふうな意見が強いわけでございます。これは作業部会でさらに詰めることといたしております。
○刈田貞子君 私の記憶では、これまで外材輸入に関しては農林規格をいささか書きかえたということはあっても、作業の代行をさせるという要求がかつてあったことは記憶してないわけでありまして、大変気になることでございます。 外務省は見えておりますか。——この事務次官協議についてどういう見解をお持ちになったか、今後この協議はさらにどんな日程で進められていくのでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(国広道彦君) 御質問の第一の点につきましては、米側が提起している問題が我が国の社会慣習だとか商慣習に触れる非常に微妙な点が出てくる傾向にあるということはそのとおりでございますが、要するに問題は、国際的な基準で見た場合に不当な貿易障害になるかならないかということでございまして、もしなるようであれば、我が国の従来の伝統的な慣行等との兼ね合いでどういうふうな円満な解決方法があるかということを検討する必要があると思っております。 それからこれからの日程でございますけれども、先ほど林野庁長官から御答弁ありましたように、とりあえずは二つの作業部会を設けまして、そこでもうちょっと掘り下げた事実関係の話をしてみようということでございますので、それを一月かそれ以上ぐらいかけましてやった上でまた次官級レベルの会議をして、さらに相互理解を深め、また解決方法を探求していこうという、そういうぐらいのタイミングております。
○刈田貞子君 この交渉の中で大変に問題になるのが、やはりアメリカが関税引き下げの実施時期を繰り上げてほしいということを重ね重ね要求していることであろうと私は思います。しかも、我が国が国内対策を講じて後にということについては、国内対策実施と同時に関税引き下げについても並行して作業を進めろ、こういう要求があるわけでございますが、これは国内対策についてこれから大蔵大臣にお伺いをするわけでございますが、日本の木材業界あるいは合板産業というものはやはり非常に低迷を続け、弱い立場を持っているであろうと私は認識をいたしております。この業界に対して、あるいは林業に対して、今後国内対策をいろいろとっていかなければならないということで農林水産省も種々方策を考えているわけでございますが、例えば木材の需要拡大や合板産業等の合理化、また構造改善のための諸措置あるいは融資の強化というようなことによって業界の体質強化を図るというようなことが行われようとされておりますし、また林業に関しては間伐、造林助成費の増額や林道の整備対策を行うことによってコストダウンを図るというようなことが出されております。 この国内対策についてでございますが、これは農水省も関係してくると思いますが、どんな作業から、いつの時期にこれを始めるのであろうかということで、財源を伴うものもございます。この点についてお伺いいたします。
○国務大臣(竹下登君) 刈田先生おっしゃいますのは、林業の問題、合板等のいわば市場開放の問題、関税引き下げの問題等からくる課題は二つあるじゃないか。一つは俗に言う川上対策、一つは川下対策。川下対策というのは、いわゆる製材業とか合板業そのものの問題でございます。これにつきましては、具体的にはやはり農林水産省でお考えになる課題でございますので、ただ私がかつて五十七年のときでございましたか、幹事長代理をしておりました当時に、合板関係の川下対策、転廃業の問題を扱ったことがございますけれども、これは今所管の省からお答えになる方が適切であろうと思います。 それからいま一つの川上対策というのは、極端に言いますと、面積当たりちょうど日本はほかの国の、先進国の倍、雨が降ります。そうして真ん中に山脈がありまして川が急流でございますから、水源涵養の森がなかったら洪水になってしまう。したがって、それが企業として採算がとれない、造林意欲等も非常に持ちにくいということから、今御指摘なさいました間伐等に対するいろいろな配慮が今度の予算でもなされてはおりますが、恐らく農林水産省でこれからお考えになることではないかというふうに思いますので、具体的施策ということになりますと、担当の省でおつくりになったものに対して真剣に御協議に応ずるという立場をお答えするのが限界ではなかろうかというふうに考えます。
○刈田貞子君 農林水産省はいかがですか。
○政府委員(田中恒寿君) 四月九日の対外経済対策におきまして決められました森林、林業、木材産業関係の措置でございます。これにつきましては、現在、林野庁におきまして非常に重大な事案といたしまして庁を挙げて作業をしておるところでございます。なかなかまだその具体的内容につきましては御説明できる段階に実はございませんが、庁を挙げての作業中でございます。
○刈田貞子君 林野庁長官がなかなか御説明できる段階でないということは、やはりこれは財源を伴うものだからじゃないかなと思うんです。 それで私、新聞報道等で見ますと、もう五百億とか一千億とかいうような財源措置を考えるようなことが報道されているわけでございますけれども、これは大蔵省は関係することなのかしないことなのかお伺いすることと一緒に、どういう国内対策をするかということにもかかわるわけですが、これは関税引き下げ幅との関係もあるんじゃないかというふうに思うんです。例えば針葉樹合板を一五%から幾ら下げるか、あるいは広葉樹分については、ASEAN関係ですね、一八%からどう下げるかというような引き下げ幅との関係もあるのではないかというふうに私は思うんですけれども、大蔵大臣はどんな御見解をお持ちですか。
○国務大臣(竹下登君) そういう対外経済問題というのは、一つは関税率の問題が毎度、これは林業、いわゆるフォーレストプロダクツに限らず、一つのポイントになるわけであります。近ごろは為替レートの方がそれよりも影響が大きいじゃないか、こういう議論もございますが、やはり関税率というものは問題になりますが、これは毎年関税率審議会というのを大体十二月に開きまして、それで答えを出しまして、年に一回やるのでございます。それで翌年の四月からこれが実行に移される、こういう仕組みのものでございます。今大体三年目でございますか、要するに六十二年度をめどに下げよう、こういうことが四月九日の経済対策で決まっておるわけでございますが、それを幾らにするかという問題は今後のまさに問題であろうと思っております。 先生御指摘なさいましたように、米国は確かに針葉樹合板でございます。そうするとあれは節がございまして、それが今長官からもお答えがありましたように、昔はインチとセンチだ、寸だというようなことで規格がどうのこうのという議論もしたこともございますけれども、それ以上に、今御指摘なさいましたように、業界そのものが注目をしておるのは恐らくASEANの広葉樹合板、こういうことになろうと思うのでありますが、それはそういう手法をとってまいりますので、六十二年度でございますから、六十一年の少なくとも暮れに行われます関税率審議会でございますか、で決めなきゃいかぬ問題でございます。それの多寡によって国内対策はどう違うかという問題も私も無関係ではなかろうと思いますけれども、問題は関税率の幅によって財政支出が多くなったり少なかったりするのは大きな要素じゃないんじゃないかな、基本的な問題の方が大きな要素ではないかな、こういうふうに考えます。 それから財源のお話がございましたが、もとよりそれは財源を伴う問題であろうと私どもも承知しておりますが、やはりこの問題は今新聞にいろいろ出ておりましても、別に大蔵省としてまだ議論に参画したという状態のものではございません。ただ、私個人が合板懇談会の会長をしておったことがありましたり、それから森林組合の組合長をしておったことがありましたり、それで幾らか今半分玄人のような答弁ができるということでございまして、本来農林水産省でこれから御検討なさるものを予算調整権において最終的にはお話し合いをする、こういうことになるわけでございます。
○刈田貞子君 田中長官、今広葉樹合板の話が出たんですが、昨日藤尾政調会長がお帰りになられまして、このASEAN関係のインドネシアの合板については何か新展開があったでしょうか、お伺いします。私が、これもけさの新聞でしょうか、見たところでは、四月九日の対外経済対策の繰り返し、つまり「当面、五年間に必要な国内措置を講じ、おおむね三年目から関税引き下げを行うよう努力する」という見解を伝えたのに対して、スハルト大統領は大変に遺憾の意を表明したということが伝えられているわけですが、この点いかがでございましょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) お答え申し上げます。 先日の藤尾政調会長のASEAN諸国歴訪の際には、特にインドネシアから我が国の広葉樹合板の関税の早期引き下げと、それからこれの針葉樹合板の関税との格差の是正の要請が改めて行われたわけでございます。それで、これに対しまして政調会長からは、我が国の林業が経営困難に逢着していて、山林の管理保全が困難となっていて災害の原因にもなりかねないということを詳しく説明されたわけでございます。その上で我が国としては、森林、林業及び木材産業の活力を回復させるために財政金融その他所要の措置を当面五カ年にわたり特に講ずることとし、今先生がおっしゃられたことを改めて説明して、その進捗状況を見ながらおおむね三年日から関税の引き下げを行うべく前向きに取り組むと説明されたわけです。先方はこれまでの基本的態度、最初に申し上げました要請を変えるということはもちろんございませんでしたけれども、この問題についての我が国の実情あるいは方針については理解を深めたと思ってはおります。今後ともインドネシアを初めとして、この問題について引き続き要請が行われてくるだろうとは私どもはもちろん思っております。
○刈田貞子君 さらにお伺いをいたしますが、農林水産省は一連の国内対策の一つとして税制面での措置も考えておるということがあります。例えば森林の資産評価を農地並みにする、あるいは生育中の森林については相続税を減免するといったような特例を設けてはどうか、それによって経営の安定あるいはコストダウンを図るというようなことを試みてはどうであろうかという検討がなされているというふうに聞いております。それからまた、川下対策としては住宅取得控除の拡充をすることによって住宅建設が進む、それが即合板業界あるいは製材業界に対して直接的な恩恵をもたらすというようなことで、住宅取得控除の拡充というようなことも考えているやに私は聞いておりますが、こういう税制面での措置を大蔵省ではどのようにお考えになられますか。
○国務大臣(竹下登君) 五月八日付の日本経済新聞に今おっしゃったような観測記事が載っておりましたが、農林水産省からは来年度以降の税制改正に関する意見につきましてはまだ何も聞いていないという段階でございます。山林にかかります相続税につきましては、従来から立木の特殊性を考慮して優遇措置が講ぜられております。これ簡単に読み上げますと、立木の評価に当たっては、通常の方法により評価した価額からその一五%相当額を控除した価額とする特例。それから相続により取得した財産のうちに立木や不動産等の合計額の占める割合が五〇%以上である場合には長期——最長十五年、かつ低利、立木に対する部分年五・四%の延納制度というものがございます。それから三番目には、森林施業計画が定めておる区域内にあります立木にかかる相続税につきましては、その計画による伐採の時期及び材積に応じた分納税額による延納を受けることができて、その場合の利子税の割合を年四・八%と一段と軽減する特例がございます。それから六十年度税制改正におきましては、相続税では、今の施業計画が定められております区域内に存する立木にかかる相続税について延納期間を最長二十年以内——改正前は十五年だったわけでございますが、という特例を設けました。それから所得税の場合でも概算経費率三〇%を三五%に引き上げました。それから森林計画特別控除というのがございまして、概算経費率の引き上げに対応してその調整をして、適用期間を二年延長する。 今回こうした措置の利用状況等を、六十年度税制で改正しましたから、こういうのがどういうふうな利用状況になるかというのを、今の場合、税当局としてはそれを見守っておるという段階でございまして、まだ新聞に報道されておりますような問題をいわば原局である林野庁から相談を受ける、こういう状態にはございません。また、住宅問題につきましては、間接的なインセンチブを与えることになるわけですが、その問題もまだ税当局としては相談を受けておるという段階ではございません。
○刈田貞子君 大蔵大臣、相談を受けていなくても、むしろ積極的にそういう国内対策としての優遇策を講じていただきたいと私は希望をいたします。これはなかなか農水省あるいは林野庁あたりから言えないこともあろうかと思いますので、代弁をさせていただきます。 この後、私は稲作、米価の問題について大蔵大臣とお話をさせていただきたく用意をいたしたのでございますが、既に時間がございませんのでこれを落とします。いろいろ大蔵大臣とお話をしておりますと、理解は持っている、しかし財政を預かる立場としてそう簡単に日本の農業を甘く見ていくわけにはいかないというような感触も何か持つような気がいたしますけれども、今、日本の農業というのは国内的にもあるいは対外的にも大変な立場にさらされていると私は思います。残存輸入制限品目についても一つ一つこれから検討していかなければならない問題がたくさんあるんじゃないかというふうに思っているわけです。 農林水産省の方にお伺いするわけですが、先日、中曽根総理はボン・サミットからお帰りになられまして、日本としては四月九日に決定した対外経済対策を着実に予定どおり実行することが大事だということで、各省庁が早急に市場開放策を取りまとめるよう指示をした、こういうことでございます。それからまた、今月中旬には河本国務大臣を中心に市場開放策についての各省庁の中間報告を聞いていこう、こういうことも報道されているわけでございますが、農林水産省がつくっております七月に向けてのアクションプログラムの策定委員会では、今どんなことを協議し、そして合板の問題についてはどのように煮詰められておりますか、お伺いをいたします。
○政府委員(田中恒寿君) 合板についてお答えを申し上げますが、いわゆるアクションプログラムは今後の三年を計画期間と考えてございますし、ちょうど合板につきましては三年目からということで方向が出ておりますので、とれまで再々先生もお話に出されましたあの四月九日の決定によりましてはぼ合板につきましてはその内容が盛り込まれるものというふうに考えております。
○刈田貞子君 農業の問題一本に話さしていただいたんですけれども、最後に、時間がございませんので私、自分の見解を一つ申し上げたいんですが、これは農業ではございませんで、このたびの補助金カットの中で売春防止法関連で収容保護費とそれから婦人相談所の行う一時保護の徴用がそれぞれやはり十分の八から十分の七に縮減になっている。私はこれ大蔵大臣に申し上げておきますけれども、大変残念でございます。決してこの関連経費をねらい撃ちしたというふうには思っておりません。一律カットだから仕方がないと思っていますけれども、残念でございます。以下、残念に思う理由を申し上げます。 ことしは国連婦人の十年の最終年に当たりますが、一九八〇年、我が国でも署名をした女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を七月には批准に持ち込まなければならないときに当たっております。やがて外務委員会でもこの条約については審議が始まるわけでございますが、女子に対する差別は人権侵害であるとの観点から、あらゆる形態の差別の撤廃を目的とし、締約国にそのための最も適切なすべての措置をとることを第二条で命じております。また、売買春については六条で、あらゆる形態の女子の売買及び女子の売春からの搾取を禁止するために立法を含むすべての適当な措置をとるよう義務づけております。この条約に署名した我が国は、この条約の趣旨に照らして売春防止法を含む売春関係諸立法の再検討をしなければならないというふうに私は思います。 さらに厳しいことには、同条約が法律、規則だけではなく慣習、慣行まで含めて見直しを要求している、二条の(d)、(f)でございますが、なっているわけですね。先回、風俗営業法の改正等がありましたが、なおかつ現存する売買春の実情はこうした条約の前に厳しくさらされなければならないというふうに思っております。そして、セックス産業などで傷ついてきた、あるいは転落をしようとする女子の保護対策としてこの先ほど申し上げました経費は充てられていたわけなんです。こんなささいな経費まで削るというのは、やはり私は一括カットのところに問題があろうかと思いますけれども、まことに残念。この問題について大蔵大臣の御見解をお伺いして時間がなくなるかと思いますが、その後時間があれば厚生省にも一言見解を伺いたい、このように思います。
○政府委員(正木馨君) 売春防止法は昭和三十一年に制定されまして、先生御案内のように、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反する、社会の善良な風俗を乱すものであるので売春を助長する行為を処罰する、同時に売春を行うおそれのある女子に対する補導、保護更生、この二つの柱をもって売春防止法が実施をされておるわけでございますが、現在も社会情勢の変化とか国民の性に対する意識の変化等を反映いたしまして売春というものが非常に悪質化している、あるいは巧妙化しているという中で、特に厚生省の所管しております保護更生というものは非常にますます重要になってきておるわけでございます。それで、婦人保護施設あるいは婦人相談所等、職員が一生懸命になって仕事をやっておるわけでございます。 ところで、お話のございました補助率の問題につきましては、高率補助の一連のものとして措置をいたしたわけでございますが、地方負担につきましては地方財政対策を通じて措置をする、また婦人相談所の問題につきましても、婦人相談員の手当というものについては従来どおりの国庫補助を行うということで、やはりこれからの状況というものを照らしながら保護更生の問題についても一工夫も二工夫も凝らしながら努力をしていかなければならない、厚生省としてはそういうふうに考えております。
○刈田貞子君 終わります。
○久保亘君 私は本題に入ります前に、国民の重大な関心事となっております日東丸の沈没事故について二、三お伺いをしておきたいと思います。 この事故はまことに不幸な出来事でありまして、事故に遭われた乗組員の皆さん、まことにお気の毒であると思っておりますが、三人の方々が生存されて救出されましたことは不幸中の幸いと言うべきことかもわかりません。しかし、この半月以上にわたる想像を絶する漂流の苦労などを考えたりいたしますと、このような事故が再発しないために沈没の原因とか、あるいは救助体制のあり方とかいうような問題について徹底した究明がなされていかなければいけないのではないかと、こう思っております。 お伺いいたしたいのは、一部報道によれば、今回のこの沈没事故に関して軍事筋の情報として、沈没の原因は潜水艦によるものではないかということが言われておりますし、またその報道の中には、防衛庁筋もその可能性はあり得ると述べたと言われております。この地域は、特にアメリカとソ連の潜水艦の航行が頻繁にある場所として防衛庁はこの状況を確認されておるのかどうか。また、今回の日東丸の沈没事故について、報道されるようなことについて防衛庁は情報をお持ちになっているのかどうか、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(加藤紘一君) 防衛庁といたしましては、日東丸の沈没原因等についていろいろ報道があるのは承知いたしておりますけれども、その直接の原因等につきましては特に情報を持ち合わせていない状況でございます。詳細につきましては防衛局長より答弁させていただきます。
○政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。 ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり、今回の事件につきましては、私どもとしては、報道にありますような潜水艦原因説についその情報というものは何ら持ち合わせておらないわけでございます。 それからどの程度の行動があるであろうかということにつきまして、これは私どもは一般的な監視活動の一環といたしまして、水上艦船等を中心に海上自衛隊の航空機、艦艇によって監視活動をやってはおりますけれども、この方面の海域についてどういうふうな潜水艦の行動が常時あり得るかということにつきまして明確に申し上げ得る状況ではございません。また、私どもが行っております監視活動の結果につきまして一々の具体的なことを申し上げることは、事柄の性質上差し控えさしていただきたいと思っております。
○久保亘君 大韓航空機事件に際しては、防衛庁は国際的にかなりの評価を受けるような情報の収集をなされたわけでありますけれども、今度の日東丸の事故に関連して、この水域における潜水艦の状況というものについては、漁船の安全な操業という立場からも、防衛庁が国民を守るという立場であるならばそういう問題については情報を明らかにすべきものだと私は思うんですが、こういうものは軍事上の機密として防衛庁は一切国民にはそれらのことは知らされない、こういうことでございますか。
○政府委員(矢崎新二君) 先生御承知のとおり、海上におきます人命の保護あるいは捜索、救難等の第一次的な責任は海上保安庁の方で所管をしておられるわけでございます。防衛庁の立場と申しますのは、基本的には我が国防衛のために必要な活動を行うことが基本任務でございます。それとの関連で日常警戒、監視活動をやっておりますことは事実でございますけれども、先ほども申し上げましたように、本件につきまして、潜水艦原因説というふうなことについて何らかの情報を持っているかということでございますと、そういうものは全く私どもとしては承知をいたしていないということが事実でございます。
○久保亘君 この水域において、潜水艦によってそのような事故を引き起こし得る可能性というのは、一般的な見方としてはあり得ると防衛庁は見ておられますか。
○政府委員(矢崎新二君) 漁船の事故の起こり得る態様ということにつきましては、これはむしろ所管の省庁の方から分析をしていただいた方が適当かと存じておりまして、私どもの方で防衛庁の立場として責任ある何と申しますか、分析を行う立場にはないんじゃないのかなというふうに存じております。
○久保亘君 外務大臣、今度の三人の生存者の方方の救出に関連して、生存者が言っておられる状況と救助をしましたソ連側の発表と非常に事情が違うようでありますけれども、この点について外務省はどういうふうに把握をされておりますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日東丸の漁船員が発見をされました場所につきましては、漁船員の供述とソ連側の発表が食い違っておることは事実でございますが、真相は明らかでないわけでありまして、いずれにしましても救出された状況を含めまして、事件の真相につきましては関係当局におきましても現在調査中である、こういうふうに聞いております。
○久保亘君 原因等についてはいろいろ意見の食い違いもあろうかと思うのでありますけれども、救出の状況についてそんなに生存者と救助した側との意見が全く食い違う、洋上で救出したという発表と海岸に漂着したという生存者の報告とそんなに違うということがあり得ることでしょうかね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いずれにしても不幸な事件でありまして、原因については明らかにするために努力をしなきゃならぬと思うわけでございますが、最終的にはソ連側が機敏に三名の残った漁船員を日本に帰還をしていただいたということは、外交当局としてもソ連のそうした措置に対して感謝をいたしておるわけでございます。しかし、どういう状況かということについては漁船員の供述もありまして、その辺のところはまだ依然としてはっきりしておりません。調査をしておるわけでありますが、我々としては、今のソ連の機敏な措置というものに対しては、これまでの日ソ関係から見ましてもああした機敏な措置をソ連当局がとってくれたということはそれなりに評価しなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。それ以上につきましてはもっと調査をしなきゃならない、こういうふうに思うわけです。
○久保亘君 政府としては、今後漁船の操業の安全というような問題もございますし、そういう立場から考えますと原因究明、この事故の状況等について十分調べるという必要があると思うのでありますが、これはどこが責任を持っておやりになりますか。
○政府委員(岡田專治君) 第七十一日東丸の海難原因につきましては、現在、生存し救出された漁船員の健康等もまだ十分に回復していない状況でございまして、これから十分事情を聴取し原因の究明に当たりたいと思っておりますが、先ほどから御質問の中にございました潜水艦との関係でございますけれども、今回の事故の場合は大変ある意味では不幸中の幸いでございましたが、漁網それから曳網用のロープ、これは七十一日東丸のそのもののでございますが、それがほぼ完全な姿で揚収されております。これらを見聞いたしましたところ、私どもの考え方といたしましては、潜水艦と接触したという形跡は全く認められていないという状況になっております。そのほかの、どうしてそれでは沈没したのかというようなことにつきましてはこれからなお十分調査を続けたい、かように思っております。
○久保亘君 潜水艦と接触をしたという事実は物的証拠から全く考えられない、こういうことであれば、それならそのほかの原因というものをどういうものを想定して調査しているんですか。
○政府委員(岡田專治君) 一般に海難事故は船体が海底に埋没して回収が困難であるために、特にこの海底は約三百数十メートルの深さでございます。したがいまして大変難しいということが一般的に言えるわけでございますが、幸いにも三名の生存者の方がございますので、これから生存者の心身の回復を待ちまして十分な調査を行い、できる限り真実の姿に迫りたい、かように考えております。
○久保亘君 外務大臣、時間の御都合があるようですから、最後に一つ伺っておきたいのは、前にも甑島の沖合でアメリカの潜水艦による日昇丸の沈没事故がございました。この潜水艦による船舶の事故というのは、今日当然予想されるような危険性を持つものだと思うのでありますけれども、軍事的な艦艇が事故を引き起こした場合、つまり加害者となった場合に、国際法上は救助の義務を負わされているのかどうか。これは外務省はどういうふうに理解されておりますか。
○政府委員(小和田恒君) 日東丸の場合は、今答弁がありましたようにまだ事態が明確でございませんので、一般論としてお答えしたいと思います。 一般論といたしましては、公海上で衝突事故が発生いたしました場合には、自国の船舶の船長に対して救助その他の援助の義務を課するというのが国際法上の規則として存在しているというふうに考えられます。一九五八年のジュネーブの公海条約の第十二条の規定があることは委員御承知のとおりでございまして、そういう場合には相手国の船舶、その乗組員、旅客に対して援助を与えなければならない。それから可能なときには自分の船舶の名称、船籍港あるいは寄港しようとする最も近い港を相手に知らせなければならない。こういうことが自分の船舶に重大な危険を及ぼさない限度において要求されておるというのが一般国際法上の考え方でございます。この考え方は軍艦に対しても基本的には適用があるというふうに考えております。
○久保亘君 最後に官房長官、政府としてこの事故原因の究明などについてお取り組みになるのでしょうか。海上保安庁の海難事故的な調査に任せてやるのか、今回の問題については政府として原因の究明を徹底的にやるという点でお取り組みになるのか。これはいかがでございますか。
○国務大臣(藤波孝生君) 今お答えがございましたように、まず三人の生存者の方々がいろいろな尋問調査に答えられるような状態になりましたならば、そういう状況の中でいろいろ聞き取りも行って、さらに三人のその日述を中心にいたしましていろいろな原因の究明をしなければならぬ、こんなふうに考えておるところでございます。特に今度の場合に、特別に何か調査本部を設けてやるといったようなことではなくて、日常こういった海難事故の場合の原因の調査ということで十分用は達するのではないかというふうに思っておりますが、一部新聞報道で、そういう事実はないようでございますけれども、潜水艦が網を引っ張ったのではないかとかといったようなそういう話もあるわけでございますから、この事故につきましては十分慎重に、しかも真実が究明されるように対処していかなければならない、このように考え方としては思っているところでございます。
○久保亘君 次に、本委員会においても再三にわたって各委員の皆さんから御議論のありました法律と予算の関係について、私、改めてまたお尋ねしたいと思うのであります。 まず法制局長官、憲法四十一条に定める唯一の立法府としての国会の立法権と六十五条に言う内閣の持つ行政権との関係というものはどういうふうに理解をしたらいいのか。具体的にお聞きしますと、大蔵大臣がしばしばお述べになっている、法改正に対する期待権ということ幸言っておいででございますけれども、国会の持つ立法権と内閣の行政権との関係において、行政椎の行使に当たって法律改正に対する期待権というものが法制上存在し得るものかどうか、長官のお考えを聞きたいと思います。
○政府委員(茂串俊君) 審議の過程におきまして、大蔵大臣からそのような御答弁がありましたことは私も承知しております。 ただいまお話のございました憲法四十一条の、いわゆる唯一の立法機関止しての国会の地位と、それから六十五条で規定されておりますところの行政権は内閣に属するという規定の関係との兼ね合いで御質問があったかと思うのでございますが、御承知のとおり、我が国の憲法は三権分立制をとっておりまして、いわゆる立法府と行政府と司法府というものを一応独立した形で権限の行使を認めながら、相互に抑制するような措置を講じておるというような形で国政が整々と実施されておるところでございますが、先ほど申されましたような意味合いにおきまして、行政権あるいは行政権に属するものの立法府に対する関係でございますが、これは申し上げるまでもなく、行政権に属する事項といたしましては、予算の編成そうして国会への提出ということもございますし、また政府が講じようとする施策の実現のために法律案が必要である場合には、その法律案を国会に提出して御審議をいただくということも当然のことでございます。 その段階で、政府におきましては、あくまでもその予算あるいはその裏づけとたるところの法律案、これにつきましては政府が翌年度におきましてぜひ実施したいという願望を込めて提案を申し上げておるところでございまして、そういう意味におきまして、政府の立場といたしましては、あくまでもその予算が政府の編成したところの予算どおりに成立すること、あるいはまた、提出申し上げました法律案がそのような形で成立をさしていただきまして、そうして翌年度の政府の考えておる施策が整々と、また国政の上では非常な意義を持って、そうしてそれが実施できるということの期待を込めて、そうして御提案を申し上げているということは、これは我々政府に属する者一般の考え方でございます。その真情を大蔵大臣は吐露されたのではないかというふうに私は考えております。
○久保亘君 わかりました。法制局長官というのは、結局、行政府に所属する立場だから、あなたは行政府がやろうとしていることをいかに法制上妥当なものとして弁明をするかという立場にお立ちになっているんだということがよくわかりました。 結局、日本では民主主義の基本である三権分立主義というのがある意味では変則的になっておるわけですね。内閣の長が国会に対しても多数党の党首として支配をしている。実質的には、国会の議長の推薦権といいますか、決定権も握っておるというような状況でありますから、どうしても憲法に忠実な行政権の行使というふうになってこない。そこに私は今度の問題があると思うのであります。七十三条には、内閣の持つ行政権について、内閣の職務を明示いたしておりますが、この中に「予算を編成して国会に提出する」というのが五番目かに書いてある。一番最初に何と書いてあるか。「法律を誠実に執行し、国務を総理する」と書いてある。内閣の職務の一番最初。法律を執行し、じゃないですよ、「法律を誠実に執行しこと書いてある。そうすると、法改正を提案しておいて、自分の提案している法律案を誠実に執行するということは、憲法七十三条に定める内閣の職務とは違うんじゃないですか。あなたは、内閣の番人としての立場で結構ですから、ひとつ七十三条に関する「法律を誠実に執行しこというのはどういう意味か、「誠実に」というのはどういう意味か説明してください。
○政府委員(茂串俊君) まず、憲法上政府が法律を誠実に執行する義務を負っているということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、法律と予算の関係で申し上げるならば、予算の執行そのものは法律に従って忠実に行うべきであるということは申し上げるまでもないところでございます。 そこでお尋ねの点は、恐らく政府の提出する改正法案に基づきまして予算を組むということが、この法律を誠実に執行する義務に違反するのではないかということであると思うのでございますが、その点につきましては、政府が翌年度講じようとする施策につきまして、その裏づけとなる金額を盛り込んだ予算を国会に提出いたしますとともに、その施策を実施するために必要な改正法案を並行的に国会に提出するということは、予算と法律案を整合性のとれた形で御審議のためのいわば素材として提出する、そうして翌年度においてそのような施策を講じようとする政府の構想が適当であるかどうかということにつきまして国会の御判断をお願いするということにほかならないのでありまして、これが何ら憲法七十三条の法律を誠実に執行する義務に違反するということにはならないと考えます。いずれにしろ、御指摘の問題は政府の国会に対する対応の仕方の問題でありまして、現在のように翌年度の予算と関係法律案を並行して国会に提出して御審議をいただくということが法律論としては何ら問題がないというふうに私どもは考えております。
○久保亘君 あなたは並行して並行してと言われるけれども、今度の法律案と予算は段違い平行棒なんだよ。何にも並行してきてないんです。初めから段違いになっているんですよ。それだからそういう議論をされることはおかしいと私は思うんです。 それで、私はほとんどもう問題のない軽微な予算関連法案がそういう形でやられるということは、それはいろいろな手続上の問題でやむを得ない場合もあると思います。しかし、今回のようにあらかじめ議論のあった問題、これらの問題は当然私は法律案が先行すべきもの、そうしなければ三権分立の立場からいっても、また日本国憲法の規定に忠実に従うという点からいってもおかしい、こう思うんです。特に、大蔵大臣が和田委員の質問に対して、もし今度の扱いを違法だと言われるならばこれまでずっと違法なことをやってきたことになる、だから違法ではないんだという妙な論理を展開されまして、これはまことに意味不明というやつでございまして、私はそうではなくて、何も私どもも違法であると決めつけて言っているわけじゃない。しかし、憲法の立場から言うならば明らかにこれは妥当なやり方ではないと言っているんです。 だから、これまでのやり方も妥当ではなかったが、それは既に執行されたものである、だから妥当ではないが終了したものとして残っているわけです。だから、私どもの指摘していることに対して少なくとも今度の問題について妥当性を欠いたということを認めると同時に、今後はそのような立場は極力回避をして法律の改正を先行させるというふうにやりたい。もし、純粋に並行して出されたのならば、国会は国会の意思に基づいてまずそのような場合には法律を審議し、その後予算の審議に入るということになると思うんです。予算を出して一カ月たってから法律が出てくるということになるんで、これはもう初めから仕組まれて、そして予算の審議が終わったら後は早く法律を成立させることが国会の義務であるかのように追い込んでいくというやり方は私は妥当ではない、こう思うんですが、この点については、大蔵大臣ももう一つこっちに座られるようになればそういう答弁ではなかなか相済まぬと思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 二つだけ弁解しなければならぬと思います。一つは、私がよく使う言葉は期待権という言葉を使いますが、一般論としては政治家同士の議論にはよく使う言葉でございますが、法制的に私は期待権というものはないであろうと。言ってみれば願望を込めた表現の一つである、こういうふうにこれは弁解しておきます。それから違法という言葉も使いましたが、いわゆる従来通例となっておる予算関係法律案の提出の仕方が今まではずっと続いているわけですから、したがって今回の措置が違法ないし適当でないとすれば今までの分もみんな適当でないということになる、だから違法という言葉はそういう不適当等も含めて使った言葉でございます。これをまず二つ申し上げておきます。 そこで、法改正を前提として予算を編成して、その予算と関連法案を同一の会期に国会に提出するということは、これは従来から一般的に行われてきているところであります。これは長い話し合いの中で定着してきた問題で、おおむね予算は十二月提出するを常例とすると書いてありますけれども、それはやったことはないわけでありますが、編成を終わって一月に出して、そうして二月の、常識的に言えば衆議院段階で審議中である大体一般質問が終わったころというふうなめどになるわけでありますが、その第四週日の火曜か金曜日かをあらかじめ官房長官の方で設定されて提出のこれが締め切りだ、こう設定されて閣議で了解をして各省がそれに合わせて出す、こういうのが通例になっておるわけであります。 今度のことは、念頭に仮にもしかつての行革特例法というようなものがおありになるとすれば、あれはやはり一つの私は考え方であったと思います、率直に言って。今度の場合はそれをしなくて、一般的に行われておりますところの通例の措置の中でも、しかしせめてあかしを立てるために予算書と一緒に提出しようと。提出行為が終わったとはいつか、こう言いますと、ロッカーの中へ予算書と法案がコトンと音がしたときが提出行為が終わる、こういうことになりますが、それだけは一緒にさせていただいたと。国会の審議の結果として平行棒が段違い平行棒になった、こういうことでございますので、その辺は現実を素直に申し上げたわけでございます。ただ、何といってもさきの委員長見解というものがございます。したがって、この趣旨を踏まえながら、私どもも予算編成に先立って関連法案を出すということは極めて困難であるというふうに考えますが、本特別委員会の委員長見解の趣旨を踏まえてこれからも努力は尽くさなきゃならぬ課題だというふうに思っておるところであります。
○久保亘君 この問題はさらにまた本委員会でもいろいろと議論のあるところだと思うんですが、今、最後に大蔵大臣が言われた非常に困難だがというのは、今までそういう慣例に安易になれてきたために困難になっているのであって、やろうと思えば私はできることだと思うんです。だから、もしあくまでも並行ということで言われるならば、それならば今度は国会の方が法案を先に審議しましょう、こういうことになっても仕方がない。そのために予算の審議がおくれるということに相なってもしょうがない。これは国会の自主的な判断である。こういうことになってきようかと思うんですね。だから、そういうことにならないように、今最後に言われたように、その困難を克服して今後は予算と予算関連法案との関係を正常な状態に審議ができるようにしていただきたい、こう思うんです。 次に、同じく審議の化方について、今我が国の国会は審議に当たって委員会中心主義をとっておるのでありまして、委員会中心主義をとっている以上は、その法案の持つ性格が特定の委員会に所属することが明確な場合には、その法案は当然にその委員会に付託されるべきものである。その付託を可能にするためには、法案をまとめて出すということが国会の審議で委員会中心に審議することを非常に困難にする、そういうことがないようにしなければいかぬと私は思うのであります。とりわけ私が再三にわたって申し上げてまいりました義務教育費国庫負担法の改正などは、もう明らかに文教委員会が義務教育のあり方そのものに関して議論しなければならない問題なのであって、これは独立提案をされておれば当然に文教委員会に付託され審議をした問題である。ところが、ほかのものと一括法案になっているために国会のそういう当然あるべき姿においての審議が不可能となった、こういうことでありまして、そういう意味では内閣の方が国会の審議を困難ならしめるような法案をやって審議を妨害したと言われても仕方がないのであります。だから、このようなことは今後極力避けるべきものだと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 一括法として提出しなければならなかった理由、この問題はたびたび申し上げました。要するに、財政上のいわば削減措置としての共通した土俵の上にありますと、一口に言えばそういう御答弁を申し上げてきたわけであります。国会法でございますか、法案を提出するといずれかの委員会に直ちに付託しなければならぬとたしか書いてあります。直ちにでございますけれども、これは慣例上つるしというものもございますし、これは慣例でございます、これが悪いというわけじゃございません、私もそういうつるしたこともございますから。が、本来直ちに委員会に付託しなければならぬ。さればその付託委員会というのはだれが決めるかというと、これは国会でお決めになるわけでございます。それは、いわゆる国権の最高機関として国民の英知の結集が国会にいらして、そこで議院運営委員会で結論は議論して付託委員会が決まっていく、こういう性格のものでございますので、その辺は国会の御判断に任せるべきことであろう。 ただ、今、久保さんおっしゃいますのは、そう言ってもこの法律を見れば、今おっしゃったのは文教委員会じゃないか、公共事業といえば建設委員会とかそういうところへきちんとやればいいじゃないか、厚年の問題だったら社労へいけばいいじゃないか、そういうのを一括したというのは、心の中で各ばらばらに出すと通りにくいからそれで一括して出したのじゃないかという、幾らかそういう疑念を持ちながらの御質問ではないかと。そんな恐れ多いことを考えたわけじゃございません。やはり共通の一つの土俵の上にあるからというので、まげて御審議をいただこうということでお出しいたしました。したがって、衆議院では大蔵委員会に付託されましたが、しかし連合審査という形をおとりになったし、本院では本院の独自性でこのような立派な特別委員会ができて、そこへ付託して御審議をいただいておる。国会そのものでお決めになる問題で、我々行政府としては国会に対してはいつも戦々恐々として正しい姿勢で臨まなきゃならぬというふうに考えております。
○久保亘君 まあ戦々恐々としていんぎん無礼というのもございまして、なかなか大蔵大臣はお話が上手でございますから、それで私どももちょっと戸惑ったりするのでありますけれども、しかし参議院が補助金の審議について特別委員会をつくらなければならなかったということが問題なのであります。本来、そうならなくていいように提出せらるべきものだと私は思っておりますが、この問題について今後どういうふうにおやりになるのか。今後の問題ということで、既にもう新聞等には六十一年度以降の補助金等の整理及び合理化のあり方について専門委員会をつくって検討を始められるということが出ておりますけれども、専門委員会を近々おつくりになるというお考えなんですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かにそういう記事を私も目にしたことがございますが、最初考えました。率直に申しまして、こういうことで今後はやっていこうということをこの委員会で申し上げるべきではないかという考え方にも立ってみましたが、やはり最高の意見が出るのはどこかというと国会であろう。そうすると、国会の論議を集約して、きのうも指示をしまして、いろいろな議論が行われたのを速記録を早目にとってみんな赤線を引っ張ってそういうものを整理してみよう。それを土台にしてやろう。部内ではそういういろいろな議論をしております、こういう方法がいいじゃないか、ああいう方法がいいじゃないか、いや閣僚会議がいいじゃないかとか。でございますが、まずはその議論というものを整理してから相談しよう、こういうことにしておりますので、法律案を通過さしていただいたといたしましたならば、その後可及的速やかにそういう場を考えなきゃいかぬではないかというふうに考えておりますので、あらかじめ専門委員会ありきというような考え方ではございません。
○久保亘君 時間が余りありませんので、もう少し内容について今度お聞きしたいと思いますが、自治大臣、厚生大臣、いわゆる補助金等というものについて、今度の削減対象になりましたもの等を中心にしてお考えいただいてもいいのでありますが、いわゆる補助金等というのは、これは国のお金を地方自治体の仕事に援助してやるというものなのか、本来地方の財源であるべきものを国が全国的に財源調整をやって補助金、交付金、負担金といういろいろな形をとって地方に渡しているものであるのか。これは生活保護の問題にいたしましても、地方自治体のやります事務事業、そういうものを念頭に置いてお考えになって、補助金等の性格はそのどちらだとお考えになりますか。これは自治大臣と厚生大臣に伺いたい。
○国務大臣(古屋亨君) 私は、いわゆる通称補助金というもののうちには、今お話しのような負担金的な性格のものと、それから奨励的な、ある政策についてそれを推進するために奨励的な補助金と二つあるのじゃないかと思っております。それで国の、例えば生活保護というようなものについての考え方は、私どもはこれはたびたび申し上げておるように、国と地方の役割とか費用分担とかそういうことを考えて決めなきゃならぬが、一律カットということはおかしいという立場にあったわけでございます、地方としては。それで最後の場面になりまして、厳しい予算の環境でありますので、こういうようなものについて国で始末をするというような話し合いの上で、私どもは一年限りとしてこの問題を引き受けたわけでございまして、一番中心は私はやはり経常的経費の生活保護費の問題が一番中心であって、自治省としてもこの問題がありましたからこそ三カ月間いろいろなメモを出し、それが一番私どもの中心であったわけでございます。
○国務大臣(増岡博之君) 生活保護につきましては、最終的には国が責任を負うべき性格を持っておると思いますけれども、と同時に、住民の福祉を守るという立場からも、従来からずっと地方自治体にも御負担を願い、その事務をやっていただいておるわけでございますので、そのような性格のものであろうというふうに思います。
○久保亘君 今両大臣のお答えで少しはっきりしていただいたと思っているのでありますけれども、確かに国と地方とが共同して仕事をやるということで費用の負担区分が決められている。それはよろしい。そういう立場で理解されてもいいと思うけれども、それならば、このような負担の変更を行う場合には、地方自治体側の意見というものが事前に尊重されて、そして合意に達した上で決められるべきものであって、地方自治体の方が一括法案そのものに対しても大変大きな不満を持ち、反対の気持ちを強く持っているにもかかわらず、法案は国会に提出される、そしてその後は、法律が通らなければ地方自治体は本来地方の財源であるものを交付してもらえないために、泣く泣くこの法案の成立を希望しなければならぬという状況に追い込まれる。これは私は、やはり国と地方との関係において大きな誤りを犯しているものだと思うんです。だから、もし今後地方自治体にかかわる補助金等の整理合理化等を政府がお考えになる場合には、その当初から地方自治体の代表者の意見が十分に取り入れられて、そしてその合意の上で方針が決まるようにしなければならぬと思うんですが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに今回、古屋自治大臣からもお話がありましたとおり、いわゆる地方制度調査会でございますか、等からの意見もございました。それから六団体それぞれ予算編成の過程において反対の意思表明もございました。また、地方議会の意見書の提出等もございました。が、その中で、私もちょっと不勉強ですが、大蔵省が出かけて話し合いしたわけじゃございませんが、恐らく自治省の設置法に基づく調整権限か何かでいろいろ調整の御努力をいただいたではなかろうかというふうに思っておるわけでございますけれども、いずれにせよ、今後ともそういう地方団体の方々の意見というものは十分尊重すべきものであるという問題意識だけは持っていなきゃならぬなというふうに考えております。
○久保亘君 もう時間もほとんどなくなりましたので、この問題については、今の大蔵大臣がお持ちになっている問題意識を、これを意識の奥深く持っているだけではだめでありまして、ぜひそれを実際に行政執行に当たって生かす、こういうことでやっていただきたいと思います。 最後にお尋ねしたいのは、私は今度のこの法案の中身を特に高率補助のカットなどを中心にして見てまいりますと、やはり中曽根政権の政策の本質を大変見事にあらわしているなという感じがいたします。まず第一には、高率補助カットの総額の五割以上を生活保護、児童福祉、老人福祉、精薄者福祉などに向けているということであります。これはもう明らかに弱者切り捨てのやり方ですね。それから二番目に出てまいります特徴は、例えば離島振興法、奄美群島振興開発特別措置法、沖縄の特別措置法、過疎振興法、こういうものが軒並みに処分をされているわけでありまして、そういう意味では、地域格差を拡大し、国土の均衡ある開発に背を向けた補助金の整理合理化になっていはしないかということであります。三番目の特徴は、特に一般財源化するという名前のもとに法律の規定を廃止するものは主として義務教育の国庫負担に向けられた、こういうことが数字の上で明確に出てくるのであります。 つまり、弱者切り捨て、離島や特別措置を必要とした特例地域の切り捨て、義務教育薮の切り捨て、これが今度のこの一括法案の中に少なくとも数字の上では最も特徴的に出てきているものだと思うのでありますが、しかし一方でこのような高率補助金のカットについて除外されたものもございます。大蔵大臣、今度のこの補助金のカットについて対象から除外された法律または除外された予算上の措置にはどんなものがあるのか。これは総務庁長官の関係されるところにもあるんじゃないかと思うんですが、特に行政改革に携わってこられたお立場から、今度のこの高率補助金の削減について、これはそういう除外対象を設けたことと、それから私が今申し上げましたような政策上の特徴、こういうものとの関係でどういうふうにお考えになっているか、総務庁長官の御意見も聞きたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まず私から。 過年度国庫負担行為の歳出化等、すなわち補正予算等にもございました過年度のもう既に債務負担行為によって契約してもいいとかいうようなものは、これは既に国の負担が確定しておるものでございますので、これらの分が百六十四億円ぐらいあります。それから地方財政法第十条の四、国の全額負担が法定されるなど専ら国の利害に関係のある事務費でございます。これは国保の事務費補助金、それから成田空港の千葉県警の警備隊費補助、それから国としての補償的な性格を持つもの、原爆被爆者手当交付金、教育施設等騒音防止対策事業、災害復旧関係、河川等の災害復旧、農業施設災害復旧等々については、その政策や緊急性というようなものから高率補助率の一律引き下げにはなじまないものとして対象から除外がされてあります。 それからその評価としてお述べになりました社会保障あるいは地域の公共事業等の補助率問題それから文教、大体社会保障と公共事業と文教とで十四兆の補助金の八割があるわけでございますから、それはそういうものが対象になるというのは、その比率からいっても、その二割に対してはまたいろいろかぶっておる法律もございますが、精いっぱいの今日まで削減努力を行ってきたわけでありますから、このたびは補助率に手をつけたわけでございますから、結果としてそういう大どころが対象になるということになるわけでありますが、基本的にはいわゆる末端のサービスそのものを低下させちゃいかぬと、これは守り抜かれておるというふうに私どもは考えております。それからなかんずく離島とか、そういう地域かさ上げの問題、これは行革特例法の際の問題でございまして、これは依然としてかさ上げそのものは存在しておるということでございますので、特にそれに的を絞ったというような考え方ではございません。
○国務大臣(後藤田正晴君) 行財政改革を進めるという立場で、やはり補助金の改革、合理化、これは必要なことは当然であろう、かように思うわけでございます。そういうことで、行革審からは、個々の補助金について補助金そのものの個別的な指摘をして改革意見を出している分野が一つと、もう一つはお尋ねの中にある各種補助率間の全般の整合性、これを確保するという意味において、全額補助あるいは一部の高率補助については補助率の総合的な見直しをしなさい、こういう御提案を受けているわけですね。この見直しという観点に立って、今回の引き下げの際には、政府部内でいろいろ検討した結果、今大蔵大臣がおっしゃったように、一つは国の全額負担が法定されており、地方団体の負担を求めることが適当でない事務事業、二つ目が国としての補償的な性格を持っておるもの、三番目は災害復旧関係、こういったように性格上補助率の引き下げに必ずしもなじまないといったようなものを対象外にしたわけでございます。そこで臨調の答申そのものは総合的な見直しと、こう言っているわけでございまして、すべてその引き下げの対象にしなさいと、こう言っているわけではございませんので、私は今回の政府の決定は十分検討した結果の合理的な理由のあるやり方ではなかろうかと思います。 なお、一部弱者云々というお話もございますけれども、これは大蔵大臣がおっしゃったように、今日その八割というものが公共事業なりあるいは文教なりあるいは社会保障、こういったことに集中しておるわけでございますから、全体の行財政改革ということを考えた場合には、当然それらはやはりそれなりの十分もちろん配慮はしなければなりませんけれども、対象にせざるを得ない。もちろん、弱者切り捨てがいいということでやっているわけではないことはもう御理解を願わなければなりません。以上のようなことでございますので、私は特別に今回の措置が第二臨調なりあるいは行革審の御意見に反するものであるというふうには考えておらないわけでございます。
○久保亘君 時間が来ましたのでこれで終わりますが、例えば臨調の答申の中にも防衛施設周辺対策助成等についても見直しが提言されておりますね。これらの問題は全く今度は触れられておりませんし、それから今行政水準は低下させないということでありましたが、答申の中には行政サービス水準の見直しが必要であるということが書かれておる。これに基づいておるとするならば、やはりそういう方向で進んでおる。しかも今度の法案というのは、子細に内容を検討すると、これは補助金の整理合理化というものが私どもは公正に行われることが前提に必要であると思っております。しかし、それにもかかわらず、今度は切りやすいところからまとめて財政上の理由で切って取った、こういう印象が非常に強いのであります。また、地域特例法などに関して、これも高率補助だということで一緒に処分をされておりますが、その一方では、今度は議会の側からは半島振興法の制定を求める声が非常に高い。これは、半島振興法を制定するということになれば、今度の補助金合理化で切った地域特例法に基づく過疎や離島やそういうところの処分とは私はまた大きな矛盾を生じてくると思うのでありまして、今後のこういう問題についての十分な御検討を要請して、私の質問を終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 午後一時に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。 午前十一時五十五分休憩 —————・————— 午後一時開会
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから補助金等に関する特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○稲村稔夫君 私は、私の時間が一時間足らずということでありますので、前置き等余りいたしませんで直ちに伺いたいというふうに思っていますけれども、しかし私自身は常任委員会が農林水産委員会でありますから、これは農林水産委員会でまたいろいろと議論をしなければならない問題がたくさんあります。そういう中で、今回のこの補助金カットの問題について特に農林水産大臣に最初に確認をしておきたいと、このように思うわけであります。若干私の意見も申し上げますので、その意見等もお聞きになりながら、どうぞ大臣の主体的御判断をひとつ賜りたい、このように思っておりますのでよろしくお願いをいたします。 まず、政府の省庁の中で農林水産予算の縮減というのが最も大きいということ。これは大変私どもにとってもショックなのでありますが、今回の国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案、こういうものは言ってみれば過疎過密にかかわる地域発展というものにも重大なかかわりを持っていると思うのでありますが、その点はどうかということなのであります。 農業を取り巻く情勢といいますのは、アメリカからの農畜産物や林産物の輸入圧力、諸外国からのそういう国際的な圧力というようなものの中に囲まれて、農山村の農林漁業従事者の生活経済というものが大変厳しい状況の中に置かれておりますし、また日ゾ漁業交渉等一年という歳月をとった、そして内容的にも大変厳しいというそういうものでありますし、あるいは燃油もかつてに比べれば大変な高値水準が続いている、こういう状況の中で漁業経営者というものは大変これも厳しい環境の中に置かれております。こうした状況というものが一つは過疎過密というものを、またそういう地域間格差を拡大していくことになるのではないだろうか。第一次産業というその経済競争原理だけではなかなか律し切れない、そういうものに支えられている地域を非常にたくさん持っておるという行政的立場の農林水産大臣としては、その辺のところを大変御配慮になっていると思うのですけれども、特に今回のこういう補助金カットというものはそういうところに与える影響が大きいのではないだろうか、このように思うわけであります。 特にこれは通告しておりませんでしたけれども、先ほど久保委員の質問の中で、今回のこの補助金カットから除外をされているものが幾つか総務庁長官あるいは大蔵大臣からも出たわけでありますけれども、こうした中で、例えば漁業法の百十八条の問題は、そうすると私は大変おかしいのではないかというふうにも思われるのであります。といいますのは、今度は、全額国が負担をするという形のものが都道府県に交付金として支出されるということになるわけでありますけれども、この百十八条に言う分はいわゆる調整委員会の問題でございますから、そうすると、都道府県では調整し切れないというそういうものを多分に持っておるわけなんでありまして、こういうものが都道府県におろされて交付金に変わっていくということは非常に大きな問題だと思われるのであります。この辺のところは農林水産大臣としても当然お気づきになっていたんだと思うのでありますが、この点は主張をされたのかどうか、その辺のところもあわせてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 稲村先生にお答えいたします。 今の漁業法の百十八条につきましては後ほど担当から説明させたいと思っております。 それで、最初、先生が御指摘になりました農林水産業の認識と理解は私も全く同じでございます。そんなことで、今回容易ならざる財政事情のもとで高率補助率の暫定的引き下げを行うこととしておりますが、引き下げに伴う地方公共団体の負担の増加につきましては適切な地方財政対策を講ずることとしておりますので、これにより地域格差が増大するなど我が省の行政の円滑な推進に支障が生ずることはないと、このように考えております。今後とも実は農林水産行政の展開に当たりましては、全国的な視野に立ちまして、農林水産業の振興を通じまして地域の均衡ある発展を図ることを基本として各種の事業の推進を図りたい、こう思っております。
○政府委員(斉藤達夫君) 百十八条の漁業調整委員会に関する御質問だと思いますが、漁業調整委員会の制度はほぼ三十年ぐらいにわたりまして既に定着しておりまして、他方、近年におきましては、遠洋漁業の縮小あるいは沖合漁業の生産力の増大、他方では沿岸漁業の活性化といったことで地域に応じましていろいろ変わった実態が出てきております。そのような実態を踏まえまして、より地域の実態を反映した運用をやりますために、むしろこの際一括をして交付金化するという形の方が適切に事態に対応できるのではないかということが第一点でございます。 他方、今まで漁業調整委員会がやっておりました、例えば調整規則あるいはいろいろな調整のための指令といったようなことに関しましては漁業法で担保されておりますし、交付金の配分につきましてはそれぞれの地域の実態を十分反映した形でやることによりまして遺憾なきを期したいと思っております。
○稲村稔夫君 大臣の御答弁の中で、私はちょっと納得し切れないわけでありますが、それは、地域のいろいろなあれに影響が起こらないように、本当にすべてに影響が起こらないということでいけるでありましょうか。むしろ地域間格差のことを私が今気にいたしますのは、例えば補助金かさ上げの特例地域、この地域はその特例が決められたという歴史的経過あるいはその意義というものがありますけれども、だからそういうところほど言ってみればカット率が高い、こういうことにもなるわけでありますから、そうすると、その地域間格差を縮めるスピードがこれで鈍ってくる、こういうことにもなってくるわけでありますから、そのこと一つをとらえてみても、私はいろいろとやはり差しさわりが出てくるというふうに思うわけであります。これはまた、いろいろと具体的な展開については該当委員会で議論をさせていただきたい、このように思うわけであります。 そこで、次にもう一点農林水産大臣に伺いたいのは、農林水産予算の中には国民の生命財産、それの安全ということと密接にかかわっているものが少なくないということができるわけでありますが、食糧の生産なんかはもちろんそうなんでありますけれども、そういうと全般的にということになりますから、もっと直接的なことでいきましても、例えば治山事業などというものは、これは本当に生命財産の安全というものと深いかかわりを持っています。こういうことになってくるわけであります。これも例えば災害なんかに対する緊急な対策としては本法律案から除外ということになっていますけれども、しかし問題は災害が起こったのでは困るのでありまして、災害が起こらないようにするその対策というものがやはり治山というようなことの中には非常に大きな意味があると思うわけであります。そういうふうに考えてまいりますと、こうした直接的に生命財産の安全というものにかかわるものというのは、起こってからの対応策ではなくて、起こらないというために一律的にカットの対象にしていくというのはおかしいのではないかと私は思う。その辺については大臣はどういうふうにとらえておられますか。予算要求の中では主張されましたか。その辺ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(田中恒寿君) お答え申し上げます。 今回の措置によりまして、確かに国費の予算におきましては約一・七%ばかりの城となっておるわけでございますけれども、関連した措置によりまして事業費といたしましては一〇六%というふうになっているわけでございます。 先生お話しありましたように、こういう総枠の事業費を第六次の治山事業の計画の中で執行しておるわけでありますけれども、やはりその中では緊急度に対応した配算計画、それからもちろん長期的な計画もあるわけでございますが、そういう人命財産等への影響を考えました緊急度に対応させてこれを計画的に執行するというふうに考え、治山事業の使命に万全を期してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○稲村稔夫君 今、林野庁長官の御答弁でしたけれども、そうするとこの治山事業についてはそれぞれその重要度に従ってこうしたカットの対象になるもの、ならないものというようなことまで全部チェックをして、当たって、そして今回の措置になったと、こういうことですか。
○政府委員(田中恒寿君) 高率補助の削減は一律でございますけれども、その関連した地方財政のいろいろ補てん措置によりまして、事業費の額としては、事業量としては一〇六%になっておる。その中身を今度全国的に分けまして、県別の計画を立てます際に事業の緊急度をよく考えまして配算をしていくということでございます。
○稲村稔夫君 そうすると、国の補助金は高額になる部分というのはやはりカット、要するに少なくなっている。そうして地方自治体の負担等も含めて事業量としてはちょっとふえたと、こういう意味ですか。
○政府委員(田中恒寿君) そのとおりでございます。
○稲村稔夫君 この問題は他の省庁の問題ともみんな関連をしてまいりますのでこの程度にさしていただきます。 農林水産大臣、仮に今回本法案が通ったと仮定をいたします。この間、和田委員の質問のとき、大臣も本法案は今年度限りというふうに理解をしていますというふうに明言をしておられましたし、そうであるとすると、多分本年度の財政事情からやむを得なかったと判断をして、いろいろとぐあいの悪いこともあったけれども、やむを得なかったわということなのかとも思います。 そうすると、今年一年の対応ということであれしたとすれば、来年度予算に対して農林水産省の要求というのはどういうふうにして行われますか。その基本姿勢をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。 先ほど先生から御指摘ございましたが、六十年度の地方公共団体向けの高率補助の引き下げ措置は六十年度限りの暫定措置であると理解しております。そんなことで、六十一年度予算の概算要求を行うに当たりましては、諸般の事情を踏まえ、農林水産行政の円滑な推進を基本として適切に対処してまいりたいと考えております。
○稲村稔夫君 多分そんな御答弁になるのかなとも想像もしておりましたけれども、今の段階ですからなかなか具体的に言われることは難しいと思います。これは要望でありますけれども、少なくとも農林水産業というその特殊な事情の条件のところを持っているわけでありますから、こうした画一的な補助カットだとかなんとかということが、今後二度と農林漁業に影響が出てくるようなことがないようにということをしっかりと踏まえていただきまして、ひとつ今後の予算編成には、いろいろと後で聞こうと思っていますけれども、六十一年度、もう間もなく始まるんじゃないかと思いますが、ぜひその姿勢を貫いていただきたい、このように思うわけでございます。 そこで、農林水産大臣は何か御都合があるようでありますから私の大臣に対する質問はこれでよろしいです。あと農水省の担当の方にちょっと伺います。 地域特例法でいろいろとあれがあるわけでありますけれども、私の地元は佐渡島などという離島、大変離島の中では条件がいい方の離島があるわけでありますが、そこでも大変漁港の整備等については強い要望等があるわけであります。 そこで、こういう特例地域でもってこれがかさ上げされて十分の十・五のものが今度は十分の八・五になる、こういうことなんでありますけれども、これが漁港整備のあれの中でいくといろいろな段階があるわけですね、比率は。そうすると、こうしたかさ上げ地域のカットは一割になります、ところがそうでない地域では〇・五でありますと。こういうようなことがあるわけでありますけれども、そうすると、これはやはり先ほどちょっと大臣に伺ったことのさらに具体的なことになるわけでありますけれども、地域間の格差をなくしていくというそれぞれの法律、今の離島振興法でいけば、離島振興法に言う「後進性を除去するための基礎条件の改善並びに産業振興に関する対策」というようなことにもとるのではないか、こんなふうに思うんですけれども、その辺はいかがでございますか。
○政府委員(斉藤達夫君) 地域格差の解消のみならず、特に二百海里の定着に伴いまして、沿岸漁業を生業といたします離島地域、ここでの漁港整備、これの重要性はますます増しておると思います。しかしながら、今回の公共事業に係ります補助率削減の措置につきましては、厳しい財政事情のもとで事業量を維持し、社会資本の整備を進めるということでございまして、漁港につきましても他の公共事業と同様の方法によりまして漁港の整備の促進を図りたいというふうに考えておるわけでございます。 御指摘の五%というのは特別の沖縄についてそういう例がございますが、そのほかの地域につきましてはほぼ一律一〇%ということになっておるわけでございまして、この補助率引き下げに伴います地方負担の増分につきましては適切な地方財政措置がとられるものと承知しております。いずれにいたしましても、今後とも沿岸漁業を主たる生業とする離島地域につきましては、その基盤整備ということにつきまして適切かつ最大限の努力を払っていきたいと思っておるわけでございます。
○稲村稔夫君 要望というよりは、むしろもう生活のための非常に切実な問題だと、こういうふうに思うんですね、その離島などでの漁港問題は。それだけに私は、今できるだけあれが起こらないようにということを言われましたけれども、やはり国の補助金がカットをされるということは陰に陽にいろいろな形でその辺のところに影響が出てくるにこれは違いないと思う。その辺が、先ほど大臣が言われることしの財政事情の中でやむを得ない、こういうことの中でそういうふうに考えて答弁をされたのかもしれませんけれども、私はやはり農林水産省としては少なくともそういうものを踏まえて、こうした一律カットの行き方というものにかなり抵抗されてもよかったんじゃないだろうか、どの程度抵抗されたんだろうと。公式にはなかなか言いづらいかもしれませんけれども、やはりそれはそれぞれの立場に立って頑張っていただかなければならぬ問題だと思うんですけれども、その辺はどのように対処をされましたか。
○政府委員(斉藤達夫君) 沿岸漁業の振興、そのための生産基盤の整備ということを最重点事項と考えておりました。その方向に従いまして、この離島等の漁港の問題を考えますときにやはり事業量が確保されるということが何としても大事ではないか。それの裏づけになります地方負担の増につきましては適切な財政措置がとられるというふうに承知しております。
○稲村稔夫君 農林水産省とだけやっていても時間が随分となくなってしまうみたいな感じでありますから、今も言われた中でひとつ集約をしていけば、いろいろと事業量が減っては困る、だから地方自治体のやはり負担も含めて事業量だけは何とか確保したいと、こんなふうに受け取ったわけでありまして、これで一応農林水産省関係はその程度にさせていただきまして、次に建設大臣にお伺いしたいのであります。 今回のこの補助金カットというものは、私は公共事業には非常に大きな影響が出るというふうに思っているのでありますけれども、その公共事業を担当する建設大臣としては、今回の補助金カット、どういう形で影響が出るというふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(木部佳昭君) 建設省関係の予算につきましては、先ほど農水大臣からも御答弁がありましたように、事業費の方はカットされましたけれども、これを財政措置で見てもらうということでございまして、そう大きな影響はないと、こういうふうに考えております。
○稲村稔夫君 そうすると、やはり公共事業についても国の補助は減るけれども、要するに国の補助金の方は薄くなるけれども、自治体負担等を含めて事業量を減らさない、こういう考え方だということですか。
○国務大臣(木部佳昭君) 御指摘のとおりでございます。
○稲村稔夫君 私は、そこで公共事業費については特にそうした国の補助が減ることによって自治体の負担がふえるということは、今後の自治体財政にとっても非常に大事な重大な問題だというふうに思うわけでありまして、この点についての見解はまた自治省の方からも、自治大臣の方からも伺いたいというふうに思っておりますが、とりあえず建設大臣にその点についてお伺いをしたいのは、事業量をふやすと言われますけれども、自治体財政が支え切れないという自治体がある場合にはこれは大変問題だというふうに思うんでありますけれども、そういうことは想定をされますか、それともそういう場合にはどういう対応をされますか。
○政府委員(豊蔵一君) お答えいたします。 先ほど私どもの方の大臣からお答え申し上げましたが、六十年度の公共事業、特に建設省関係の各種事業の予算の編成に当たりましては、私ども当初、非常にニーズの強い公共事業の事業費を拡大する、しかし一面なお公共団体の財政にも影響を与えないような方向で行けないかということで随分議論をしたわけでございますが、現在の国の財政非常に厳しいという中で、公共事業あるいはまた非公共の各事業を通じまして国費の節減というようなことから補助率の一律カットということをやむを得ずのんだような次第でございますが、その際それによって浮きました国費を、各公共団体からの非常に強いニーズがございますのでこれをさらに新たな事業に振り向けるということで事業量の増大を図ったわけでございます。これらの関連によりますところの公共団体の財政負担の増につきましては、別途、起債あるいはまたそれに伴います交付税等の措置がとられるということで、現在の状況においてはやむを得ない措置であろうかというふうに考えておるところでございます。
○稲村稔夫君 そこで、自治大臣にお伺いしたいのでありますけれども、今、農林水産大臣もそれから建設大臣あるいは建設省の事務当局の方も、それぞれこのカットの分は自治体の応分の負担等を考えて、そしてその事業量として減らないようにしていきたい、あるいは少しふやしていきたい。こんなふうに言われたのでありますが、そうすると、これはそれなりの自治体に対する手当て、対応がなければならぬと思うわけでありますが、自治省としてはこれはどういうふうに対応されましたか。
○国務大臣(古屋亨君) 今度の補助金カットによりまして、今、先生のおっしゃった公共事業費の分で地方にどのくらい転嫁されるかということは、大体経常的経費が二千六百億、これは社会保障その他でございます。それから、あとの三千二百億が公共分でございます。それに対しましては交付税措置。交付税措置というのは交付税の増額あるいは地方建設債というものによりまして補てんをしておるのでございまして、その数字につきましてはひとつ審議官から詳細に御説明いたします。
○政府委員(土田栄作君) 農水省とかそれから建設省とか、公共事業関係でございますけれども、公共事業関係で今回補助率が一段階引き下げられたということに伴います地方団体の負担の増でございますけれども、これは道路とか治水とか農業基盤整備とかそういうものを合わせますと二千億円程度になるわけでございます。この二千億というものにつきましては、地方債計画上、臨時財政特例債という特別の起債の枠を二千億確保するということにいたしまして、この二千億の地方債というものをそれぞれの地方団体の補助金のカット額に見合った形で起債の許可をするということにいたしております。そしてこの起債につきましては、将来、元利償還というものが六十一年度以降起こってまいるわけでございますけれども、この元利償還というものにつきましては、これは一〇〇%地方交付税の基準財政収入額に算入するという措置を予定いたしておりますので、今回の公共事業関係の国庫補助率の一律引き下げに伴います地方負担の実質的なそれぞれの市町村の痛みというものは生じないという形で財政措置をする予定でございます。 それから国費をベースにしまして、また事業費の拡大に回るということでの地方負担の増というものも出てまいるわけでございますけれども、これは通常の公共事業の増と同じ形でございますので、その分だけ特に分けられませんので、例えば事業費が六%ふえて一〇六%ということになりますれば地方負担は一〇六ということになりますけれども、それは通常の今までの財政措置と同じ形で対応いたす。それぞれの地方団体はそういう条件で事業を引き受けるかどうかということについては、それぞれの地方団体、議会が判断していただく、こういうことになろうと思います。
○稲村稔夫君 今の対応策、私は自治布としては当面はやむを得ない対応だったのかもしれないと思いますけれども、やはり自治体財政にとってはこれはまだいろいろと問題を持っているというふうに思うわけであります。 一つは、今の御答弁の中で、カットの影響分ですね。その分は全額特例債で見るということで、償還に当たっては迷惑をかけない、こういうふうに言われたわけであります。しかし私は、一つには、こういう信用しないようなことを言って申しわけありませんけれども、地方債はこれは借り入れでありますから、借金でありますから、それを返す段階になって、また国の方の財政事情の方が厳しくてやりくりがなかなか難しいから、多少借金返済分の一部をまた地方に肩がわりしてくれなどということがなきにしもあらずということをやはり気にするのであります。ですから、そのまま一〇〇%安心だというふうにも言い切れないというふうにも思うのであります。 それからさらに、こういう形で負担増になるということと自治体自身の負担がふえていくということは、確かに補助事業としての事業量は確保されあるいはふえたりするでありましょうが、そのかわりに、地方財政の中でそれに割かれてしまう経費がそこに回っていくわけでありますから、要するに余裕財源のある自治体はそれなりの対応がある程度できるかもしれませんけれども、余裕財源のない自治体というのは、これは大変財政硬直化ということで厳しいことになるのじゃないかと思うんですけれども、そういう点についてはどのようにお考えになっておりますか。
○政府委員(土田栄作君) これは一つは全体としての地方財政計画をどういう形で組むか、それからそういうことで全体としての地方財源をどう確保するか、その中で交付税、地方債というものをどういうふうに配分するか、この二つの面にわたろうかと思います。私どもとしては、非常に厳しい財政状況のもとでございますけれども、昭和六十年度につきましては、地方財政計画の規模というものを四・六%伸ばすということで計画を立てております。その中でも特に投資的経費の関係につきましては、直轄、補助、この関係では一・三%の伸び、それから単独事業も一・七%の伸びというものを確保いたしまして、全体として投資的経費は一・五%の伸びというものを確保しているわけでございます。 そういうことで地方財政全体の計画というものをつくっておりますけれども、これをベースにしましてまた地方交付税計画というものを組み、それから地方債計画というものを策定いたしているわけでございますけれども、これにつきましても地方交付税でありますれば、弱小団体の財源を保障いたしますためにきちっと基準財政需要額の算定をいたすということにいたしますと、それぞれの団体の財源といいますものは弱小団体でありましても基準財政需要額の算定を通じまして交付税を通ずる財源保障ということがされる、つまり税収の少ない団体については交付税が余計いく。逆に、税収の多い団体については交付税が減るという形での財源保障がされるというふうに思います。 ただ、そういう形をとりましても、本来税源が非常に少ないところ、つまり地方交付税の算定に当たりましては基準財政収入額に税の、県でありますれば八割、市町村であれば七割五分算入いたしますので、その留保財源と申しまして、二十、二十五の少ないところというのはやはり若干苦しいという面があろうかと思いますけれども、平均的に見ますれば、そういうことでの基準財政需要額の算定を通じまして適正に財政措置をする。それからさらに地方債におきましても、過疎債とか辺地債とか特別の地域に対します起債を通じまして対応いたすということで、全国の離島、山村僻地を通じます地域の均衡ある発展に私どもとしても財政面でお力添えをしたいと考えている次第でございます。
○稲村稔夫君 一応形の上では御答弁のようなことなんだろうと思いますけれども、しかし実際の運用に当たっては、財政のあり方として、自主的な判断で自主的にいろいろと公共事業以外のところに使える金の額が少なくなってくる、その幅が減ってくるということは、これは自治体行政にとってはやはり私は重大な問題だというふうに思うのでありまして、財政硬直化というふうに申し上げたのもその辺を私は随分気にするからなんでありまして、自治省としても当然そういうことをお考えなんだろうと思う。私は、地方財政計画そのものについても、全然でたらめだというふうには言いませんけれども、その地方財政計画そのものが実態とはいろいろと食い違っているところがいっぱいあるわけでありますから、だからそれで安心だというふうに言ってもらっては困るというふうにも思うわけでありまして、この辺のところは要望になってまいりますけれども、少なくとも自治体財政が硬直化をするということを最大限防ぐために自治省の御努力をいただきたい、こんなふうに思うわけであります。自治大臣にもぜひお願いを申し上げておきたいと思います。 そしてまた建設大臣、ちょっと前後して申しわけありませんでしたけれども、こうした補助金カットの中で、例えば私のところには地すべり地帯などというのが随分あるわけでありますけれども、こういう地すべり対策などというのは、これは先ほど農林水産大臣にも治山事業の観点で聞きましたけれども、本来災害が起こっては困るのでありまして、青海町の事件のようなことはもう絶対起こっては困る。これを未然に防ぐための対応策というのは、私はそれこそ手心を加えられたのでは困るんだと思うんです。積極的にそういうところは展開していかなければならない問題だと思うんでありますが、緊急な場合は除外をされましたし、今回の補助金カットの法律の範囲から除外されていますし、それから例えば公営住宅のあれの部分だとかというのは除外されている部分が幾つかあります。私はこういう生命財産の安全ということにかかわるものについてはこうしたカットの対象にすべきではない、このように思っているのでありますけれども、建設大臣としてはその辺はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(木部佳昭君) 御指摘いただきましたように、人命財産の安全、これはもう政治の基本でございます。したがいまして、今回のこの措置の場合でも、災害復旧とか緊急砂防事業というようなものにつきましては適用除外になっておる、こういうことでございます。なお私ども、河川とかダムとか砂防、地すべり、そういうようなものにつきましては、今御指摘いただきましたことを踏まえてこれからも鋭意努力をさしていただきたい、こういうふうに思っております。
○稲村稔夫君 ぜひお願いをしたいんですが、その際にもうちょっと、くどいようで恐縮でありますけれども、確認をということなんでありますが、そういう地すべり対策等も、今度の法案のあれによっていきますと、そのカットの対象になっているわけですね。これもやはり自治体負担を考えて事業量を確保する、こういうやり方をやられるわけですか。
○政府委員(豊蔵一君) ただいま大臣からお答え申し上げましたが、今回の補助率の一律カットの対象外といたしましたものの中で、特に災害復旧事業費であるとか、あるいはまた災害関連緊急砂防あるいは災害関連緊急地すべり対策、また緊急砂防、緊急地すべり対策、それから積雪寒冷地域の道路事業費、こういったようなものにつきましては特に補助率カットの対象から除外をいたしております。先生御指摘のように、私どもが行っております治山治水、砂防等々の事業につきましては、これは当然国民の生命財産を守りますための安全というサイドで非常に重要な仕事でございますが、全体の中で特にやはり緊急にして、また公共団体の財政というものを考えて、今のようなものを除外しました。それからまた、その他のものにつきましては、先ほど申しましたように重要でございますが、一面また、これらの国費の活用によって急いで事業を進めるための事業量の増大ということにも着目いたしまして今回の措置をとらせていただいたということでございます。
○稲村稔夫君 緊急ということ、その緊急の判断というのがどういうときにどうなのかということも、これはもちろんその辺になるといろいろとまた判断の基準等の違いなどがあるのかもしれません。しかし、いずれにしてもこうした災害が起こり得る地域というものについては、人為的な原因というものがある場合はこれはまた別なんでありましょうけれども、それこそ天然自然の条件ということになりますと、それを今度自治体負担をもって事業量をある程度確保というのは、これは全く当たらないことになってくるのではないだろうかというふうにも思うのでありますけれども、その辺はいかがなんですか。
○政府委員(豊蔵一君) ただいま先生からお話しありましたこういったような事業を行います際におきます具体的な事業の採択、そういったものとも関連をいたすわけでございますが、今申しましたような定性的な分け方でいきまして、いわゆる災害復旧のように既に相当の被害が生じており、あるいはまた被害が生ずるおそれがあるために緊急に事業を行わなきゃいけないというようなものにつきまして、私ども、その性質、それからまた、これに伴う公共団体の財政負担が極めて急激にふえる等のことを考慮いたしまして一応区分したわけでございます。もちろん、事業の実施に当たりましては、先生御指摘の点十分踏まえまして今後の運用を適切に対処してまいりたいと考えております。
○稲村稔夫君 もう私の時間がなくなってまいりましたから、もう少し確かめたいことそれぞれありますけれども、建設関係についてはこの程度にさせていただきまして、そこで今度は大蔵大臣にお伺いをしたいんであります。 今までそれぞれのやりとりをしてまいりましたけれども。まず私は、補助金についてのいろいろ議論の点については久保委員からも提起をされまして、いろいろとまた私どもとは見解の違いなどあるのかもしれません。しかし、とにかくこうした国の補助金を薄くしてそして地方自治体に一部の負担を、転嫁というと言葉は悪いかもしれませんが、そうして全体に事業量を落とさない、こういうやり方というのは、これから先も地域間格差ということを考えていったときにはいろいろと問題があるのではなかろうか。これは私はただ財政事情だけでこのような措置を考えられるのはいかがかと思うのでありますけれども、その辺は財政担当の大蔵大臣はどのように御判断になっていますか。
○国務大臣(竹下登君) 私どもが申し上げておりますのは、稲村先生の御質問は主として公共事業関係が大きかったわけでございますが、いわばそれぞれの事業によりますところの地方と国との役割分担と費用負担のあり方というところから議論は一応進めてきたわけであります。そうして、その結果に基づきまして、地財対策に遺漏なきような措置を講じて御審議を合いただいておる、こういうことになるわけでありますが、おっしゃいますとおり、とかく大蔵省というのは、私もそうでございますが、マクロで、全国、全体の地財計画で物を見がちでございます。稲村さんのように三条の市長さんをしていらっしゃいますと、お互い、どちらかというとミクロな問題に詳しいわけであります。したがって、そのミクロな個々の問題につきますと、私にもわかるような気がします。いわば不交付団体みたいなところとそうでないところと、いろいろ措置をしたとしても、今御議論にもありましたように、初めから当然経費としていわゆる後年度に金利がついたり償還財源がついて、言ってみれば自主財源の幅が狭くなるんじゃないか、こういう議論、私もミクロに見たときはあり得る議論だというふうに思っております。そういうことも、地方の要望に基づいていろいろな公共事業をやっていくわけでございますから、それはその自治体なり議会なりの判断が伴うわけでございますから、その辺の調整というものは、それぞれの自治体、あるいは都道府県、あるいは関係の公共事業担当省そのものとこれは調和した執行が結果としてなされていかなきゃならぬなというふうに思っておるところでございます。
○稲村稔夫君 私は、それは大蔵大臣も正直に、大蔵省の立場にいるととかくマクロにという言葉を使われましたけれども、マクロかミクロかというようなことでの提起というか、問題の立て方はちょっとどうかなというふうにも思うのでありまして、それは要するに全体の中で、行政の中で格差を促進をしたり、そういうことがあってはならない、こういう観点はやはり常に貫かれていなきゃならない。だけれども、今回のカット法というのは、例えば先ほど離島振興法のことをちょっと触れましたけれども、そのほかにしても、特例地域等のところのカットというのは、これは公共事業の方では今回の法律でカットされます、そしてその五〇%以下のものは、これは今度は行革関連特例法の方で六分の一カットをされますと。こういう形になるわけでありますから、そうすると、それぞれの法律の趣旨というものと外れてくるということにならないでしょうか。一定程度のスピードで地域間格差を埋めていくというやり方がとられていたものを、逆に動くとはそれは必ずしも言わないですけれども、そのスピードを急速にダウンさせる、こういうことになるんではないでしょうか。そうすると、そういう一つ一つの自治体の問題ということではなくて、行政のあり方として私はやはりその辺のところが問題になるのではないかというふうに思うんですけれども、その辺はいかがでありますか。
○国務大臣(竹下登君) 元来、いわゆる地域特例というものは、今おっしゃったような趣旨でいわば地域間格差を直していこうということが主体で定まったものであるというふうに思います。したがいまして、今度はそのいわば地域特例の格差そのものの精神は生かされておるわけでございます、総体的には減りますものの。それと事業の進捗度合いがダウンする危険性ということにつきましては、やはり当該官庁におかれまして事業費の確保、総体として。その中で消化していかれるということに相なろうかというふうに思うわけであります。まだもう一つ、私どもお互い後進地域でございますが、財政力指数によりますかさ上げ方式というようなのも残っておりますと。現実、一つ一つ見ますと、市町村は六分の一カットの除外されておる点もございますし、まずまず一つ一つ私どものお互い経験から見るとそう大きな個々の点について事業の進捗度合いがダウンするような形にはならぬのではないかなと、こんな感じで客観的に見ておるとでも申しましょうか、私の方からいえばそういう見方で、公共事業執行に関する閣僚会議の一応座長ではございますけれども、とかく財政当局でございますので客観的に見がちになりますが、まずまずはそういうものを総合して考えれば進捗状況をダウンさすというようなことにはならぬじゃないかなと、こんな感じで見ております。
○稲村稔夫君 やはり特例地域の例が今議論になっているものですから、私も議論したものですから特例地域にちょっと限定した形で物を言いますけれども、そうすると何といいましょうか、今回の法案、この臨時特例法の影響、そしてその行革関連特例法の影響、こういうようなものを言ってみれば私はやはり全体の中ではこうした特例地域というのが一番受けるのではないかというふうに受け取るんですよね。割合といいましょうか、お互いに例えば豊かな人と貧しい人という比べ方がいいかどうかはわかりませんけれども、貧しい人の五%と豊かな人の二〇%というと、こたえ方というのが違ってくるということがありますね。そういう問題というのをやはりこういう特例地域というのは持っているのではないだろうかというふうに思うわけでありまして、それだけに私は、今回一つ一つそうしたあれをやったら、今度はスピードが落ちていった分を後で取り返す何かの形での穴埋め措置を考えていただかなければいけないんじゃないだろうか。緊急避難の措置を今やられているわけですからそういうふうに考えるんですけれども、その辺は政治家としてどういうふうにお考えになりましょうか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる今回の措置によります地方財政への影響、これは地財計画の運営に支障を生じないよう所要の措置が講じられる、こういうことに尽きると思うのでありますが、あえて政治家としてというお話でございました。例えば離島振興法といえばそれは佐渡と私の方の隠岐島とそれから長崎と、その辺で一生懸命でやってできた法律でございます。もう古い法律になりますけれども、年限が来るたびにこれを延長しておりますのも、やはりそれなりのニーズにこたえて我々がその地域の利益代表としての立場からも一生懸命やってきて今日続いておると思います。それによる、地域特例によりますところの私は効果というものはそれなりに確かに出ておると思うのであります。したがって、そういう目配りというものは今後ともやはり政治家として見ていなきゃならぬ課題だというふうに、これはみずからのふるさとを顧みながら我と我が身に絶えず言い聞かしておると、こんな心境でございます。
○稲村稔夫君 心境をお聞かせいただきましたの、で、今の席にお座りにならなくなったときはぜひよろしくお願いをいたします。 そこで、いろいろとしていましても、どこかで常に靴のかかとからみたいな形になっているわけでありますけれども、そこでもう少し具体的にあれしまして、六十一年度予算というのはもう準備に入らなきゃならないと思うのでありますけれども、毎年シーリングなどと言っていますけれども、ことしもこのシザリング方式というので、六十一年度もそういうのでいくのでありましょうか。もしいくとすれば、それはいつごろそのシーリングというものが出てくるのでありましょうか。この辺のところは、シーリングそのものにも私は問題があると思いますけれども、まずことしの準備というのはどういうふうに心づもりしておられますか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆるシーリング、概算要求基準と申しておりますが、昭和三十六年から始めまして、あのときは五割増しまでが天井でございますから相当なものでございます。それが五十五年に一〇%増しにして、それから五十六年が七・五、それからゼロ、それからマイナスと、こうなってきておるわけであります。その概算要求基準は一般的に考えますと七月の中下旬にはその基準は決めなきゃいかぬじゃないかと、それで八月末までに概算要求が出てくる、こういうことになろうと思うのであります。したがって、今日の財政状態を見ますと、それは勢い厳しいものにならざるを得ない。これから相談をするわけでございますけれども、今考えてみて、かつてのように五〇%増しまでは結構ですなんというような状態にはとてもないと。三年連続、俗称マイナスシーリングでありますが、本当に厳しい姿勢で引き続き臨まなきゃいかぬという、今のところ私の心境でございます。
○稲村稔夫君 もう時間がなくなりましたから、全部一括してお伺いをいたします。 自治大臣もおいでになりますが、建設大臣、それぞれもう六十一年度予算の要求をしなきゃならない、その準備の時期に入っていると思うわけであります。ことし一年限りの今回の法律だということになれば、そうすると来年度、六十一年度要求というのは何に基づいてやられますか。これは和田委員が質問をされましたけれども、もう一度それぞれの省庁からのお考えもお聞かせいただきたいというふうに思います。 それから大蔵大臣に。シーリングでいつになるかということを別にいたしましても、来年度もこの高率補助というものの継続をまたもう一度やるのではないだろうかというようなこともいろいろとささやかれておりますけれども、これは今回限りの措置ということに限定をしてお考えになっておりますか。もし限定してお考えになっているとすれば、来年度の財政事情というのも引き続いて厳しいと思いますが、そうすると増税などという歳入問題を考えておいでになりますか。 以上であります。
○国務大臣(古屋亨君) 自治省としての考え方、地方団体の考え方について申し上げますが、補助金のカットは、昨年は緊急避難的に地方団体の意思に反してやむを得ざるような状況でございました。そういう点も考えまして、補助金の性格というものにつきましては、補助金の合理化ということは私も必要であると考えておりますが、そういう場合におきましても、補助金の問題につきましては国と地方との機能分担の問題、費用の見直しの問題、こういうものを含めまして地方団体の意見を十分踏まえながらこの問題には対処してまいりたいと思いまして、その場合は、やはり自治省でありますから当然のことでございますが、地方自治の自律性ということを基本にして対処してまいりたいと思っております。
○国務大臣(木部佳昭君) 私ども建設省といたしましては、明年度の予算編成に当たりましては関係省庁と十分協議をしながら、今、自治大臣からもお話のありましたような精神を踏まえて努力、対処したい、こういうふうに考えております。
○国務大臣(竹下登君) 今度の法律はまさにこの一年限りで、すなわち暫定措置、そういう性格のものであります。この中におきまして、いわば恒久化したもの、きょう久保さんからの御質問にありましたが、義務教育費国庫負担法の問題等はございます。そうすると、いま一つはいわゆる行革関連法における、先ほど来議論しておりました地域特例の問題ともろもろの高率補助の問題、なかんずく社会保障と公共事業に仮に分けたといたしますと、社会保障の問題は三省大臣の覚書がございますので検討の場を設けてやらなきゃいかぬ。そうして公共事業はこれは六十一年度予算編成に当たって、この問題はいかにしていくかということは引き続き検討をしていかなきゃならぬ課題であるというふうに考えております。
○稲村稔夫君 増税の問題がお答えがなかった。増税をお考えになっているんですか。
○国務大臣(竹下登君) この問題、いわゆるおっしゃる意味の中で、あるいは一般的な増税とあるいは公共事業等に対する特定財源というようなお考えがあるかないかは別といたしまして、税の問題でございますからこれはまさしく国会での議論等を承りながら、正確にその内容を税制調査会へお伝えして、それで公平へ公正、簡素、選択、活力という点から審議していただく課題だと思っております。
○太田淳夫君 それでは、今回審議されておりますこの法案につきまして、同僚委員からも既に質疑は繰り返されました。この法案に対します私たちの姿勢につきましては先刻御承知でありますし、その問題の中身が一点と、周辺の問題について一点お聞きをしておきたいと思うんです。 それは、一つは、共済組合に対する国庫負担のカットの問題でございますけれども、この法案は五十六年に制定されましたいわゆる行革関連特例法、この一年間延長を図られている中で、厚生年金に関連しまして国家公務員あるいは地方公務員、私立学校及び農林漁業団体の四つの共済組合に対する国庫負担についても四分の一カットの措置を、これは財政再建期間だけでなくて六十年度も継続するということ、こうしているわけでございますけれども、最初にお聞きしたいことは、この各共済組合の五十七年度以降五十九年度までのカット額の年次別の額と累計額、及び六十年度のカット額はどの程度になっているのか、それをお聞きしたいと思うんです。
○政府委員(平澤貞昭君) まず、行革関連特例法による共済年金への繰り入れカット額でございますが、五十七年度が二百四億円でございます。内訳を一つ一つ申し上げますが、国公共済が八十五、地公共済が六十、私学共済が十五、農林共済が四十四。それから五十八年度が二百二十二億、国公が九十二、地公が五十九、私学が十八、農林が五十三。それから五十九年度は総額で二百六十二億円、うち国公が百十四億円、地公が六十八、私学が二十、農林共済が六十ということでございます。そこで、六十年度でございますけれども、現在御審議願っております法案によりまして、合計額で二百六十五億円、国公が八十七、地公が八十五、私学が二十三、農林共済が七十でございます。以上の累計でございますけれども、合計で九百五十三億円、うち国公が三百七十八、地公が二百七十二、私学が七十六、農林共済が二百二十七ということであります。
○太田淳夫君 国家公務員の場合ですと、これは六十年四月から国家公務員共済組合法と三公社職員に適用しておりました公共企業体職員等共済組合法、これを統合しましたけれども、その際国庫負担は拠出時負担から給付時負担に変更したことはこれは承知しているわけでございますが、これを変更した理由をもう一度お聞きしておきたいと思うんです。また、あわせて地方公務員、私学学校及び農林漁業団体、この各共済組合の国庫負担が、これが拠出時負担の方法をとっているのか、あるいは給付時負担の方法をとっているのか、現状はどのようになっておりますか、それもお答え願いたいと思うんです。
○政府委員(門田實君) 技術的な点でございますので、私の方から申し上げたいと思います。 国共済の国庫負担の負担方式につきましては、昭和五十八年の国共済と公企体共済の年金制度の統合のための法律改定というものによりまして、従来の拠出時負担方式といいますものを給付時負担方式に改めまして、これを六十年度から実施する、こういうことになっておるわけでございます。こういうふうに方式を変更しました理由でございますが、一つは、国共済と公企体共済の制度統合が公的年金制度全体の再編統合の一環としての措置であるということから、この際国庫負担の方式につきましても国民年金、厚生年金等の他の制度と同様に給付時負担として統一を図ることが適当であろう、これが一つの理由でございます。また、実は国鉄共済がもはや財政調整が必要である、こういう状況になっておりまして、そういたしますとその年度の給付費をどうやって賄っていくかということが大切になるわけでありまして、そのためにはやはりこれもそういった給付時負担という方が望ましい、こういうことも理由の一つにあったわけでございます。 なお、お尋ねの私学共済、農林共済についてでございますが、この二つにつきましては従来から給付時負担ということになっております。また、お尋ねの地共済でございますが、これは今回といいますか、今度の年金法の改正時に給付時負担に改正する予定になっておる、こういうふうに承知いたしております。
○太田淳夫君 今、理由を述べられました中に、国家公務員の場合、その拠出時負担から給付時負担に変更された理由の中に、国鉄共済に対する財政負担のあり方、これも絡んでいることが明らかになりましたけれども、それはそれとしまして、従来は拠出時負担だったものを給付時負担と変えたことから、今日まで積み立てられてまいりました国庫負担分、これは取り崩して返済することになるんじゃないかと思うんですが、その点はどうなりますか。
○政府委員(門田實君) 公経済負担を拠出時負担から給付時負担に切りかえたことに伴います精算の話でございますが、実は積立金を取り崩して所要の額を返済していただくというふうなやり方をとってはおりませんで、過去におきまして拠出時負担として負担した額から、その間もし給付時負担であったとしたならば負担すべきであったであろう金額というものを控除しました額を出しまして、それに利子相当分を加えた金額、こういう金額を昭和六十年度以降におきまして給付時負担として国等が負担していく金額との間で精算をしていく、こういうやり方を考えております。
○太田淳夫君 そうしますと、我々が調べたところによりますと、拠出時負担から給付時負担になったときに約二千九百億円の共済組合から国への返還が大蔵省は迫られていると聞いていますが、そういうことはないんですね。
○政府委員(門田實君) だんだんと技術的な話になりますので、あるいはわかりずらいところが——恐縮でございますが。 公経済負担の給付時負担への変更というものに伴いまして、精算の対象となる金額、今、先生おっしゃいましたような額も概算的にはあるわけでございますが、具体的にはこれは五十九年度の決算が確定しなければ数字は確定しない、こういう性質のものでございます。それで実は、お尋ねの件でありますが、この精算に当たりましてもう一つ考えるべき要素がございまして、それは国家公務員等共済組合連合会の場合でありますが、かつて恩給公務員等であったという期間分につきましては、追加費用というものが出ておるわけでございますが、大変技術的で恐縮でございますが、この追加費用につきまして、実は従来は前の年度の額を翌年度で負担していく、こういうことをやっておりましたのを、これもこの機会にすっきりさせようということで、実は六十年度から当年度負担に切りかえてございます。そういたしますと、こちらの変更では国の未払い分が立つということでございまして、先ほどの先生のお話の件では、国のいわば債権が立つ、こういうことになるわけでございますが、この両方を実は精算いたしますと大体両方で相殺し合う、こういうことになっておるのが実情でございます。
○太田淳夫君 いずれにしましても、本年五月から国家公務員あるいは電電及び専売の職員の皆さん方は国鉄年金財政、この支援をするためということでございましたけれども、一応本俸の〇・五三%を五年間拠出するということになりまして、いろいろと公務員の皆さん方に聞いてみましても、共済組合関係の負担というのはなかなか重いという声が多くなっているわけですけれども、政府は今共済組合法の抜本改正案というのを提出をしているといつも言われていますけれども、その前提としましては、私たちとしましては、人事院勧告をやはり完全実施するのがまず筋道じゃないかと思うんです。政府は、完全実施に努力してもなお現在、本年完全実施ができないとしましても、いわゆる積み残し分ですね、これは三年計画で解消すると、こういうことをいろいろと言われているわけでございますけれども、本年はどんなことをしても完全実施をしなければ、だんだんと公務員の皆さん方も負担の限界にくるんじゃないかと思うんですが、いろんな春闘等の結果を見ましても、それぞれが賃上げのベースも相当な率に今なりつつあるわけでございますけれども、今後、夏には人勧等も提出されることになろうかと思いますけれども、大蔵大臣としての人勧取り扱いについての基本的な姿勢についてお聞きしておきたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) 太田さんにまずおわびいたしますのは、共済関係というのは本当に大分勉強してもなかなか中身が正確にはわかりませんので、私から御答弁することをしませんでしたことをひとつお許しをいただきたいと思います。 ただ私は、今おっしゃいましたとおり、国鉄の財政調整によりまして公務員の負担増が確かに千分の五・三でございますか、この五月からちょうだいをするということになっておるわけであります。この議論を通じて私自身が感じましたのは、まあ率直な話をいたしますならば、将来、年金の一元化がある。まずは似た者同士といいますか、出身、似た者同士同じようなところで三公社、そして国家公務員共済を一緒にしたと、しかし一方国鉄の財政調整も目的の一つではなかったかと、そのとおりでございます。それであの審議会が曲がりなりにも答申いただいたというのは全く労働者連帯であったという感じを素直に受けました。それで、今も言われます十万円の初任給をもらっている我々が七千円でございますか、程度を拠出して、そしておやめになったおじさんは二十二万をもらっておられるということから、世代間不公平が出やしないかというような心配を労働者側の人も学識経験者の人もみんなそんな議論をなさっております。 したがいまして、そういうことになりますと、いわば国鉄を含んで支えておられます皆さん方のまずは給与の問題、せめて完全実施という論理の展開であろうというふうに思うわけでありますが、この人勧の取り扱いというのは、これは勧告制度尊重の基本姿勢に立って、勧告が出された段階で国政全般との関連を考慮しながら勧告の完全実施に向けて最大限の努力をすると、これが公式な、申し上げなければならない私どもの考え、基方的な考え方であります。これはたびたび代表して藤波官房長官からいろいろな機会に述べておりますので、その完全実施に向けての努力ということは、これはいつ、いかなる場合でも努力はしなきゃならぬということでございます。まあ三年めどとかいろいろな議論がございますが、それは結果として出るものであって、やはりまずは対応する姿勢としては完全実施に努力するというのが当然の務めであろうというふうに考えます。
○太田淳夫君 今、大臣からお話がありましたけれども、共済組合の財政の仕組みというのはなかなか複雑で、公務員の皆さん方にとりましても、あるいは各共済の組合員の皆さん方にとりましてもわかりにくい面が非常にあるわけでございますけれども、今回、共済組合の抜本改正案が提出されているとしましても、やはり年金制度に対する公務員の皆さん方の信頼というものは失われてはならないと思うんですが、そういった意味で組合員の年金に対する信頼を失うことのないようにこれは当然措置すべきだと思うんですが、この今回カットされた額というのは、やはり国が将来それぞれどういうように措置をされるおつもりなのか、その点をお聞きしておきたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる行革関連法による年金の国庫負担金の減額分につきましては、従来から積立金運用収入の減額分を含め、将来の年金財政の安定が損なわれることのないよう、特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しながらできる限り速やかに繰り入れに着手するというふうに申し上げてきております。したがって、今回の行革関連特例法を延長するに際しましても、方針はこれを今日まで貫き続けておるわけでございます。 さて、そのいわゆる期間と内容ということになりますと、今後の国の財政状況を勘案する必要がありますので現時点では明らかにできないところでございますけれども、国の財政改革をさらに一層強力に推進し、誠意を持って対処して、特例適用期間経過後、積立金逆用収入の減額分も含む年金の減額分のできる限り速やかな繰り入れに着手しなければならない。それは今太田さんおっしゃいましたとおり、年金に対する信頼を確保する意味においても今日貫いておるわけであります。
○太田淳夫君 次に、補助金整理等の行政改革問題に関連しまして、政府関係金融機関の政策金融についてお尋ねしておきたいと思うんですけれども、これは前から私も予算委員会等でやってまいりましたけれども、やはり臨調答申の中にありますように、「近年、政策金融機関の経営状況は著しく悪化し、さらに、政策金融機関に対する利子補給や出資額が漸増している状況にかんがみ、基準金利による貸出しのウエイトが高い機関については収支相償を基本とした経営を行うほか、貸出利率が極めて低利で一般会計や特別会計から多額の利子補給、出資等の出ているものについては、他の政策手段との均衡に配慮しつつ、財政負担を軽減する方向で見直しを行う。」、こういうことで臨調答申には述べられておるわけでございますけれども、六十年度予算を見ましても改善されているどころか一層悪化をしているわけですけれども、すなわち五十九年度、六十年度と一般会計の補助金全体を二年連続でマイナスの伸び率に抑えている中で、政府関係金融機関、二銀行九公庫ございますけれども、これに対する補助金というのは累計で五千五百八十五億円に上り、前年度と比べましても一五%という高い伸び率を示しているわけでございますが、この原因は何でございますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今、委員もおっしゃいましたように、この政府関係金融機関への補助金の増加、これにつきましてはおのおの政府関係金融機関の合理化等を図ることによって本来できるだけ減らしていくという政策をとるべきであり、従来もそういう方向でいろいろ努力してまいってきているわけでございます。しかし、これも御存じのことでございますけれども、政府関係金融機関につきましてはプライムレートが上がりますとその貸出金利をある程度上げていかざるを得ない、逆に下がってまいりますと下げていくということをしているわけでございます。その場合に、下げていった場合に調達金利の方でございますが、これはまた別途の金融的な事情で決まってまいりますので、近年その調達金利とそれから運用金利である貸出金利との間の利ざやが非常に縮小してきておりまして、その結果として補給金の一般会計等からのこれら金融機関への繰入額が急増しているというのが、先ほど委員も御指摘がございましたそれら金融機関への補助金が近年急増しているという大きな理由になっておるわけでございます。
○太田淳夫君 今いろいろと理由を述べられましたけれども、中でも国民金融公庫と中小企業金融公庫が伸び率では高い伸び率を示しているわけですけれども、この理由は何でしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは国民金融公庫、中小企業金融公庫、いわゆる収支差損補てんのための補給金と、こういうことになりますが、これは確かに六十年度におきましては両公庫に対する収支差補給金が増加しておりまする理由は、五十九年の三月とそれから十月と二度にわたって長期プライムレートの引き下げ、それに連動して公庫の貸出金利が引き下げられる。一方、貸付資金の原資であります財投借入金の金利が据え置かれる。そうすると、利ざやの縮小等によりましてそれだけ公庫の収益が悪化して、損益差損、これが増加した。政策金融でございますから、その点はまさにやむを得ざる事情が存在するわけでございます。
○太田淳夫君 確かに政策金融ですから、それぞれの存在の理由もありましてこれがつくられて、そして今までその役割を果たしてきたことは私たちも認めているわけでございますけれども、もう既に最終答申が出されましてから二年を経過しているわけですね。政府関係金融機関に関する限り見ましても、財政負担というのは軽減するどころかだんだんと負担が増してくるということでございますから、やはり臨調で指摘されておりますような見直しということに対してもっと真剣に取り組むべき必要があるのじゃないかと思うんですが、これはいろいろと論議されてきているだろうと思いますけれども、どのような論議をされて、どのような方向へ今これを、将来展望ですね、持っていこうとされているのか、その点どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 御指摘のとおり、五十八年三月最終答申、それから二年も経過しておるわけでございます。今、太田さんおっしゃいますのは、とにかく一般歳出はマイナスというような厳しい姿勢でやりながら、これの分については確かにおっしゃっているように、残高がふえればふえるだけその収支差補給金というものが自動的にふえていくとでも申しましょうか、そんな感じになります。したがいまして、この問題につきましては貸出枠の設定、これを国民金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業、公営企業、環境衛生、沖縄振興と、それで貸出条件の見直し等によりまして財政支出を可能な限り抑制する方向で見直しをしておるわけでございますが、この問題は今後とも財政当局としては、あの臨調の最終答申を踏まえてこれは引き続き真剣に検討を続けていかなきゃならぬ課題だというふうな問題意識を持ち続けております。
○太田淳夫君 やはり私たちも予算委員会等で指摘をしてまいりましたけれども、今お話のありましたように、これは政策金融機関の資金調達の主力であるところの財投計画、これに基づきますところの資金運用部資金、この借入金の金利が現在七・一%になっていますが、しかし民間の長期金融機関にとっての資金調達の主力でありますところの五年物利付金融債、この応募利回りは今六・八%だということで、財投金利より〇・三ポイント低くなっている状況にあるわけです。一方で政策金融機関の貸出基準金利というのは現在七・七%、これは民間の長期プライムレートに合わせまして政策金融機関の貸出基準金利を定めることになっておることによるわけでございますけれども、しかし民間銀行の長期貸出金利の実勢金利というのは五十四年以降すっと下がる傾向を示しておりますので、したがって政府関係金融機関の貸出基準金利よりも下回っているわけですね。 そういうことから見ましても、政府関係金融機関の利ざや、これは調達コスト七・一%に対して貸出金利は七・七%ですから、わずか〇・六%しかその差がない。したがいまして、臨調答申にありますように、収支相償するためには、これは最低でも諸経費を含めて一%の利ざやが必要だと、こう言われている状況でございますので、先ほど当局からも御答弁ございましたけれども、このままでいけば経営悪化というのは歴然としてくる、したがってそれに対する補給金もますますふえてくるということになるのじゃないかと思うんですが、その点についてどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 政府関係金融機関の利ざやは、五十一年度の一・四%から五十二年度以後年々縮小しまして今や〇・六%と、こういうことになっております。いずれにしてもこの国民金融公庫、中小企業金融公庫、これらの経営を圧迫する要因となっております。したがって、金利情勢、貸し付けの動向等によって経営状態はそういうものに左右されることは事実でございますが、今後とも経営合理化等の推進によって補給金増加の抑制に努めるように指導していきたいと思っております。 四十七年度以降、毎年行ってきました支店の設置を見送りましたり、これは要望はございますが、現実見送りましたり、それから合理化の推進による経費の節減ということから、民間金融機関に業務委託をします。その手数料を引き下げさせていただいたり、そういうことで一生懸命やっておるわけでございますが、今、民間の長プラ等が徐徐に下がりつつある傾向にはございます。そしてまた、金融の国際化、自由化というようなことで外債を発行しましたり、が、どうも国民金融公庫には外債を発行するというのは今法律上は認められておりませんけれども、なかなかこれは慎重に考えなきゃいかぬなと。今、公営企業金融公庫なんかも外債を発行して、私が保証人でサインをするわけでございますけれども、ちょっと国民金融公庫にまで外債ということになりますと、事の性質上、余り長期なものはないわけでございますからいかがかなと、慎重に検討させてもらわなければいけない。そういうことも含めて、臨調で指摘されておることを踏まえて対応しなきゃならぬ問題だということは、私も太田さんと同じ意見を持っております。
○太田淳夫君 私、これから質問しようと思ったことを先に言われちゃったんですけれども、確かにやはりお話しのとおり、財投の資金のレートを下げるかあるいはそういう安い資金を手当てするかですね、その道を開く以外にはこれからないのじゃないかと思うんですが、国民金融公庫については、これは多少中小企業金融公庫とかそういうところと違いまして短期ですから、いろいろな設立の事情もございますでしょうけれども、検討されるということでございますのであれですが、今後やはりこういった安い低いコストで資金調達できるようなことも真剣にこれは考えていただかなきゃならないということを申し上げておきたいと思いますが、その中で財投金利の問題はどうでしょうか、この問題は。
○政府委員(宮本保孝君) 今、先生の御指摘の点が実は財投の運用上非常に問題でございまして、長期の運用の利回りが自由化されておりまして、特に金融の緩和というようなことを背景に下がりつつあるときに、財投金利は従来預金金利に連動して動かしてくるというのを慣例といたしておりましたので、預金金利は今、円の問題とかいろいろな問題もございましてなかなか上げ下げができない、固定されてしまっているというふうな状況でございますので七・一%というふうなところに張りついてしまっておって、したがいまして、政府関係金融機関の利ざやが縮小するというふうなことが出ているわけでございます。やはり私どもといたしましてはこの財投金利を、これは長期金利体系の一環として考えてもいい性格のものでもございますので、長期金利が自由に動きつつあるときに長期金利の一環であるところの財投金利が動かないというのはなかなか問題が多いものでございますから、この点につきましては関係の預託してきておられる郵政省とかあるいは厚生省とかいうふうなお立場もあるわけでございますので、そういうような関係当局と十分話し合いをしながらこの預託金利のあり方といいますか、どう持っていくかという点につきましては、今後できるだけ早く検討していくべき課題であるというふうに考えております。
○太田淳夫君 今、理財局長さんからお話がありましたとおり、やはりこれは非常に検討すべき課題じゃないかと思うんですが、特に預託金利につきましては、預託をしている機関の方から金利を下げてもというような提案がされているということも聞いておりますが、その点はどうでしょうか。来ておりますか。
○政府委員(宮本保孝君) 従来、預託者側はできるだけ預託金利は高くしてもらいたいというふうなお考えでございまして、私どもといたしましては、そういう年金とか郵貯とか預託者側の立場を一方配慮しながら、かつ財投機関を通じてサービスの提供を受ける国民の側の立場も考慮して、これは今度はできるだけ低くしたいわけでございますから、低くしたいというのと高くしたいという双方の御要求を勘案しながら、そのときどきバランスのあるところでおさめてきたわけでございますけれども、今の先生御指摘のように、預託者側から下げてくれというふうな話は直接には私ども問いておりません。
○太田淳夫君 先ほど当局からも、経営改善の方策は内部の合理化にあるということでお話がありましたが、国家公務員とかあるいは国鉄などでは定員削減などによる合理化が進んでおりますけれども、こういう政府関係金融機関ではどのような合理化が行われているのか、具体的に明らかにしてもらいたいと思いますし、また過去五年間のそういう政府関係金融機関の人員あるいは人件費の推移をまた後ほど資料として提出をしていただきたい、このように思うわけですが、どうでしょうか。
○政府委員(大橋宗夫君) 資料につきましては後ほど御相談させていただきます。
○太田淳夫君 合理化の状況をちょっと報告して、簡単に。
○政府委員(大橋宗夫君) お答えいたします。 政府関係金融機関の内部合理化によります事務能率の向上改善につきましては、御指摘のように常にこれは心がけてまいる課題と存じております。従来よりそういう努力を続けておるところでございます。具体的には大型電算機の活用あるいは事務機器の改善等による事務能率の向上、組織機構の再編合理化による組織の活性化等の不断の努力を払ってきておりまして、このような努力の結果、政府関係金融機関全体で見ますと、五十年度から五十九年度までの十年間に年間貸付額は約二倍に増加しておりますのに対しまして、定員は一万五百四十八名から一万九百六十二名へとほぼ横ばいで推移しておりまして、この結果、一人当たりの年間貸付額は約二倍ということになっているわけでございます。今後とも政府関係金融機関の内部合理化につきましては努力を続けてまいる所存でございます。
○太田淳夫君 前々から公的機関と民間機関とのいろいろな金融摩擦につきましては取り上げてまいりましたけれども、ここに公的機関と民間機関のあり方につきましての千例をちょっと挙げさしていただきたいと思うんですけれども、それはアメリカの中小企業庁、SBAのやり方という点でございますけれども、これはあくまでも公的機関としましては民間の融資が受けられない場合のみに融資することを原則としているということでございまして、その確認のため借り入れの希望者は二つの民間金融機関からの融資拒絶状ですか、これを提出すると、その結果SBAから融資を受けることになっても、第一は債務保証、第二は協調融資、第三は直接融資というSBAの持つ三つの機能についてこの順番で申し込みをしなくてはならないことになっているということです。したがってSBAの単独直接融資というのはラストゾーン、こういうことになっておるわけでございますが、以上のような措置をしながら民間との直接競合というのを避けるような、そういう仕組みになっているわけですけれども、我が国、日本におきましても、やはり設置の目的に照らしまして、政府関係金融機関が民間金融機関の補完機能を徹底させる、そして競合をなくす、そういうためのやはりシステムをつくり上げる、これは早急に要望されるんじゃないかと思うんですが、大蔵大臣の見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 御案内のように、民間金融機関を補完しまたは奨励する、これは輸銀と開銀と北海道東北開発公庫と沖縄振興開発金融公庫。それから一般金融機関が融通することを困難なものに融通する、これが国民、中小、環境、住宅、農林、沖縄は両方持っておる、こういうことになるわけであります。 それで、今おっしゃいましたSBA、スモール・ビジネス・アドミニストレーションですか、このことは確かにおっしゃいますようなことをしておりますが、元来、確かに公的金融は民間金融の補完に徹するという考え方をまずは持っていなきゃならぬと思いますが、したがって具体的には一定の融資比率及び融資限度額の設定等々が、そして融資対象者の取引先、民間金融機関等との十分な連絡、そういうことを原則として実行を図っておるわけです。それで、今具体的な御説明ありましたSBA、これは二つ以上の民間金融機関からの融資拒絶状というものが条件になる。そうしますと、民間金融機関がお客に対して融通を拒絶した証明書を第三者に明らかにしなきゃならぬ、こういうことになりますので、さて大体日本の風土になじむかどうかという問題が一つございます。非常にドライに割り切られませんと、私は銀行で信用がございませんという証明書を持っていくということになるわけでございますので、したがって原則は融資の仕組み等によりましてきちんと考えて、これに対応することによって、やはり風土になじむかなじまぬかということでございましょう、結論から言えば。だがその点、関心を持って議論したことはございますから、今の答弁でもできるわけでございます。ちょっと考えまして、竹下登は銀行で融資を受ける資格がございませんという証明書を持っていくということがどうも我が国の風土に必ずしもなじまないかなと、こんな気がしております。中途半端な勉強でございますけれども。
○太田淳夫君 ですから、何もそういうところも全部取り入れろというわけじゃないんですが、やはりそういう最初の原点に返って民間と競合しないような政策金融のあり方ということをきちっと明確にすべきじゃないかと思いますし、また今後もそういうことはふえてくる可能性があります。例えばプロジェクトリスク関係の今後の公的金融と民間金融の関係見ましてもそれがされていくんじゃないかと思うんです。開銀あるいは輸銀のお話も出ましたけれども、今回の開銀法の改正で、開銀もいよいよ高度情報技術とか、あるいはバイオテクノロジーですか、そういった最先端の技術開発部門や環境保全の分野でいろいろと出資することができるようになりました。これも私たちも決してそれが悪いとは申しません。 そういうことが必要な時代になってきたわけですから、どんどんそういう分野でも活躍をしてもらいたいと思いますけれども、やはりそういう中でいつになったら民間金融が一部または全面的に参入できるのか、つまり民間金融との競合を避けて公的金融としての使命を果たし終えたときにはそれが撤退できるようなメカニズムですか、それが確立されている必要があるんじゃないかと思うんですね。それがありませんと、官民共同方式の会社が続々とこれから設立されてきて、かえって公的金融のシェアというものが拡大をして、より小さな公的金融で民間を圧迫しかねない、そういう危険がはらんでいるんじゃないかと思うんです。ですから、そういったプロジェクトリスクの分野においても民間と公的金融との分野をはっきりさせるようなシステムというのが必要になってくるんじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 原則的にはおっしゃるとおりだと私も思います。民間金融機関を補完しまたは奨励するというものと、一般の金融機関が融通することの困難なものと、二つの使命で政府関係金融機関というものがあるわけですから、今おっしゃった精神を体してこれ対応していかなきゃなりません。恐らく太田さんお感じになるのは、金融が緩んできた、したがって民間金融が貸す先まで政府関係金融機関が競合しておるじゃないかと。たまに聞きます。しかし、現実そう多発しておるという情勢には必ずしもないと思いますが、その辺はけじめをつけなきゃなりません。 それから今おっしゃいましたように、いわば卒業生、民間金融機関で対応できるようになったらいち早く撤退してバトンタッチをするというようなことをお考えの上での御質問だと思いますが、そういう指導をしてまいらなきゃならぬと思います、開銀など。ただ、輸銀の、海外経済協力の場合はよくいわゆる円借と輸銀とバンクローンと組み合わせますが、その場合は相手さんのいろいろ立場もございますので、こちらでいろいろな角度から判断しますものの、ケース・バイ・ケースになろうかなと、こういうふうに思います。
○太田淳夫君 臨調答申の中にも、「金融構造の変化を踏まえ、民間にゆだねても差し支えない分野については、縮小あるいは撤退する。」という答申があるんですが、やはりそれにのっとって考えてみましても、政府関係金融機関は伸ばすものは伸ばして、あるいはそれは民間として独立して発足するような方向ということもこれは当然考えられてもしかるべきだと思いますし、あるいはそうでないものにつきましては、重点をやはり協調融資あるいは信用保証あるいは保険等の機能に衣がえしながら、政府関係金融機関の再編成をも加えつつ、全体としてその機能及び規模を縮小するような方向に持っていくようになりますと、これは財政原資であります郵貯あるいは年金等の運用、これにつきましても、現在のようなそういう政府関係金融機関で収益が非常に上がらない部分、非収益部分ですか、それに対しての運用というのは最小限に抑えることができるだろう。そして安全、有利な運用先である国債あるいは地方債、これも問題があろうかと思いますが、そういうものに振り向けることができるようになりますと、これ預貯金をされている方やあるいは年金加入者の利益を守ることに貢献するんじゃないかと、このように思うんですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 政府関係金融機関の再編、縮小、統合、これは臨調答申。最近行いましたのが、一つありますのが、医療公庫については一月一日をもって社会福祉事業振興会との統合を実施したと、こういうことがございます。それはつけ加えさしていただきます。 それから今の問題は、年金資金等の運用の問題について御意見を交えての御質問であったというふうに受けとめましたが、この問題、先ほどのいわゆる財投の資金は非常に預ける方は預託金利は高い方が好ましいというのと同じように、いろいろな要するに自主運用という議論はいつもある議論でございますが、これはやはり現行の資金運用部資金によります統合運用という仕組みが、結論から申しますと国の制度、信用を通じて集められた資金でございますので、公共性の要請と、安全そして確実、有利というようなことを考えながらこれを運用してまいりますので、統合運用ということがやはり基本にある問題ではなかろうかというふうに考えております。
○太田淳夫君 自主運用までは今申してないんですが、やはり非収益部門に対していろいろと使われていくよりも、そういうところを縮小した方がかえって有利な投資ができていいんじゃないかということなんですね。その点もまた改めて答弁いただきます。 それから二月八日の衆議院予算委員会におきまして、財投の運営のあり方につきまして資金運用審議会に建議を求める方針ということで御答弁いただいておりますけれども、その諮問の内容及び諮問の時期並びに建議をいつまでに求めていくつもりなのか、その点、何かお考えはございますか。
○政府委員(宮本保孝君) いろいろ先生から御指摘のようなこともございまして、我々といたしましても、財投問題につきましては変わり目の時期でございますので、真剣に勉強していかなくちゃいけないということで、現在、理財局内に財投研究会というものをつくりまして精力的に今審議を進めておるところでございます。これも五、六月を一応のめどといたしまして考えておるわけでございますが、この財投研究会の勉強の成果を踏まえて、資金運用審議会のような公的な場におきましても中長期的なあり方につきまして議論をしていただくということが適切ではないかというふうに考えて、今御指摘のように、大臣からも御答弁申し上げたところでございます。 ただ、この資金運用審議会の、どういうようなやり方で今後これを勉強していくのかということにつきましては、まだ具体的に決めているわけじゃございませんけれども、非常に問題が複雑多岐でございますし、また諮問に応じて審議をしていくというふうな形式に果たしてなじむだろうか。この場合には自由に幅広い立場で御議論いただきまして、そのときどき、随時御意見をちょうだいするというふうな形式の方がいいんじゃないかなというような感じもあるわけでございまして、いずれにいたしましても、審議会におきます議論につきましては、今後具体的にその運営の方法とかあるいはスケジュール等につきまして検討していきたいと思っておりますけれども、現段階でどうするということをお答えできる段階になっておりませんことを御了承いただきたいと思います。
○太田淳夫君 それでは最後に、大蔵大臣、何かテレビの放送のところで、秋には下野をしたいというようなことを発言されたそうですが、それは財政再建の責任をとってそうお考えになっていらっしゃるんですか。真意はどのようなことですか。
○国務大臣(竹下登君) 昨日、録画撮りがございまして、それで私が、やあ、くたびれた、今まで座っておったという話をしましたら、それは余り長いことやればくたびれるだろう、しかし君はヤングパワーだからと言われましたもので、いや六十一歳のヤングパワーもないでございましょうと。疲れだということを言いましたことは事実です。 それからその中で、あなたは引き続きやる気かどうかという話がありまして、いや、そんなに、相手さんがどう思っているかわからぬのに、今から留任します、下野しますなんということを言うほど私愚か者ではございません、こういうふうに本当は申したのでございますが、ちょうどそのテレビ会社へ各社の記者がお見えになっておりまして、後で相談して、どうも前と後ろとをくっつけてそういう記事になったんじゃないかなと、こういう感じがしますので、今お答えを申し上げましたとおり、任命権者がどういう御意思であるかもわからないのに、私は残りますだのやめますだの言うほど思い上がってはいかぬと思って、常日ごろ教えております、自分に。
○太田淳夫君 終わります。
○吉川春子君 それでは質問させていただきます。 今年度の予算は、福祉や教育など国民生活には多大な犠牲を押しつけながら、軍備の拡大、大企業奉仕の方向がますます強まっているということについて、私はこういうことは断じて許せないと思います。 まず伺いますけれども、昨年十二月二十一日の財政制度審議会建議の中には、民間団体に対する補助金についても、例えば二分の一を超える高率のものについて極力補助率の引き下げを図る。新設の補助金等については、安易な新設は厳に慎むこととしておりますけれども、大蔵大臣、このことに間違いございませんか。
○国務大臣(竹下登君) 基本的な認識は等しくしております。
○吉川春子君 ところが現実はどうかと申しますと、今回補助金カットの対象としているのは、地方を通す補助金では千四百九十九件のうち二百三十三件、一五・五%であるのに対して、民間向けの補助金は九百六十五件中四十九件、五・一%になっています。で、明らかに民間向けの補助金については非常に甘くなっております。したがって今回、補助金カットの対象となっていないものが民間向けの補助金で九百十六件あります。さらに新規に民間向けに補助金がついたものが四十一件もあります。大蔵大臣、重ねてお伺いいたしますけれども、財政審の答申にも反するこの現実をどうお考えでしょうか。もう一度全面的な見直しが必要ではないんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 補助金問題というのは、これはおっしゃいますとおり、絶えず見直していかなきゃならぬ課題でございますので、これはこれで済んだということはございません。引き続き見直しをしていくべき課題だと思っておりますが、今先生非常に詳しく数字等をおっしゃいましたが、私、それについていくだけの準備をしておりませんでしたので、ちょっと事務当局からお答えすることをお許しくださいませ。
○政府委員(平澤貞昭君) 今、手元に具体的な数字は持っておりませんが、民間に対する補助金とそれから地方団体に対する補助金とは幾つか性格その他の違いがございまして、一つは地方団体に対する方が高率補助金の割合がかなり高いわけでございます。したがいまして、そういう数字になる、先ほど委員がおっしゃいましたような可能性があるわけでございます。 それからもう一つ、民間団体に対する補助金の中には補給金、いわゆる利子補給とかそれから委託費とか、いわゆる補助率というものになじまない部分が金額的にかなりございます。件数的にもかなりあるわけでございます。そういうものはやはり対象にならないわけでございますので、今申し上げました二つの性質の違い等もあって、民間に対する補助金の中で高率補助の引き下げの対象になる割合が地方団体に対するよりも低いという結果が出る傾向があるのではないかというふうに思うわけでございます。
○吉川春子君 民間向けの補助金の問題について重ねて伺いますけれども、民間団体への高率の補助金で補助率を引き下げなかったものの中に、例えば希少金属備蓄対策費補助金があります。この補助金は、備蓄する物質を購入するための資金を民間から借りるので、その資金に対する利子補給と民間の倉庫で保管する保管料がほとんどです。六十年度、希少金属備蓄対策費補助金十四億四千三百万円それから利子補給が十億円、これは補助率が三分の二です。保管料が三億五千六百万円で、補助率が十分の十です。 これについて昭和五十八年、金属鉱業事業団法改正のときにも論議いたしましたが、日本共産党としては国民生活安定のための備蓄には賛成ですけれども、この法案は希少金属の価値も安定して需給逼迫が予想されていないのに備蓄しようとするものです。これは不況下で通常の二倍以上の過剰在庫を抱えている精錬、製鋼の大企業の過剰な在庫減らしと在庫費用を国が属がわりするという性質を持っています。通産大臣、なぜこれはカットされなかったんでしょうか。
○政府委員(平澤貞昭君) ちょっと突然の御質問で、かつまた通産省の所管のものでございますが、今お伺いしました中で、利子補給は先ほど申し上げましたようにいわゆる補助率というのはございません。したがいまして、これはその対象にならないわけでございます。それから一つがいわゆる共同備蓄分の補助率で三分の二というのがございますが、今、主査から聞きましたら、五十八年度から新たに発足した制度であるということと、それから本来国家備蓄を原則としてその上乗せとしてやっておりますので、かなり国の政策的意図のもとに強く五十八年度からやらせるということから、この補助率については三分の二で六十年度は補助率カットの対象としなかったということだそうでございます。
○吉川春子君 国の政策的意図でみんな補助金というのは決まっているんじゃないんですか。それを理由にして今回カットしないということは非常に矛盾した理屈だと思うんです。これは時間の関係で一つしか例を挙げませんけれども、通産省関係の補助金でかなり高率のものでカットされないものがたくさんある、一事が万事だという感じがするわけです。 収益納付金制度のことについて引き続き伺いますけれども、民間企業の営利事業に対する補助金についてはほとんどメスが入らずに依然として高率の補助金が交付されており、これに対する抜本的な見直しが必要であると考えます。少なくともこの種の補助金については、もうけが出たら国庫に返還するという原則を確立すべきではないでしょうか。しかし、収益納付制度は一般的な制度とはなっておらず、かつ企業にとって大変有利な都合のいい条件がつけられているために、実際に補助金を国庫に返還するのはごくわずかにすぎないわけですけれども、収益納付金について大臣、いかがお考えか、またその実績についてもお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 吉川委員にお答え申し上げます。 先ほどはレアメタルの例を引いてこれは減っていないということを言われたんですが、通産省で所管しておるものにつきましては、件数も減らしておりますし補助率等を低下さしたのが相当ございます。時間の関係でここでお答え申し上げるのは省略いたしますが、ぜひその点は御認識を賜りたいと思います。 ところで、収益納付金の問題でございますが、通産省はかねてから、相当の収益が見込まれる事業に対する補助金であって、その交付の目的に照らし適切と考えられる場合においては収益納付制度を設けるように努めておりまして、現在十件の補助金について収益納付制度を設けております。さらに、収益納付制度の運用に当たりましては、これまでも収益納付期間の延長を行うなど見直しを行っておりまして、収益納付の確保に努めております。今後とも補助の目的、対象事業の実情等を勘案しながら適切な収益納付の確保に努めてまいる所存でございまして、この対象としております補助金は、例えば民間輸送機開発費の補助金、YXX、あるいは民間航空機用ジェットエンジンの開発補助金、V二五〇〇、これなどは新年度から補助率を五%下げました。それからそのほかに重要技術研究開発費補助金でございますとか、あるいは海外鉱物資源基礎調査費補助金でございますとか、資源エネルギー庁あるいは工業技術院、中小企業庁関係など十種類ございますが、委員御指摘の趣旨はよくわかりますので、収益が累加するものにつきましては国庫に納付させるという制度を着実に守っていきたい、このように考えておるところでございます。
○吉川春子君 重ねてお伺いいたします。今基本的な立場について大臣からお答えがありましたけれども、それぞれの納付制度に対して補助金の交付実績、そして収益納付金の実績についてお答えいただきたいんです。
○政府委員(緒方謙二郎君) お答え申し上げます。 大臣から通産省関係で十の収益納付制度があるというお答えをしたわけでございますが、通産省所管の補助金等で収益納付等の国庫納付の実績が上がっておりますのが次に申し上げる五件でございます。 〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕 金額はそれぞれ年度によって変動しておりますので、便宜最近の五年間の累計額でお答え申し上げたいと存じます。五十四年度から五十八年度まででございます。 第一は、民間輸送機開発費補助金のうちいわゆるYXにかかわる部分でございます。これの国庫納付額は累計で四十一億六千五百万でございます。二番目に、電子計算機開発促進費補助金でございますが、これも五年間の累計では四十二億七千九百万円でございます。三番目に、重要技術研究開発費補助金にかかわる国庫納付額でございますが、六十八億一千六百万でございます。四番目に、新鉱床探査費補助金につきましては一億一千二百万円でございます。五番目に、技術改善費補助金につきましては六百万円となっております。 次に、これに見合う補助金の交付額ということでございましたが、実は納付額と補助金の交付額との対応関係を厳密に計算をするのは大変難しい問題がございまして、厳密な意味では対応していない面もあるかと思いますが、それぞれのものについて交付額を申し上げたいと思います。 第一の民間輸送機開発費補助金でございますが、この補助金は五十三年度から五十七年度まで五年間交付されておりますが、その累計額は百四十六億五千二百万円でございます。電子計算機開発促進費補助金につきましては、昭和四十七年度から五十一年度までの五年間交付されておりますが、その累計額は六百五十七億五千百万円でございます。重要技術研究開発費補助金につきましては、非常に制度が古いものでございますので、便宜最近の五年間の交付額を申し上げさしていただきたいと存じますが、五十四年度からの五年間の累積交付額は百三十八億五千万円でございます。新鉱床探査費補助金につきましても、同様に最近の五年間の累積交付額は六十五億二千四百万でございます。技術改善費補助金につきましても、同様に最新の五年間の累積交付額は四十三億六千二百万円となっております。
○吉川春子君 補助金交付の実績から見て、収益納付の実績も一部を除いて非常にわずかな額になっています。これは制度自身に一般的な基準がなくてばらばらの状況であり、大企業補助金について政府が大変甘い態度をとっているという結果ではないでしょうか。現在、収益納付制度のある補助金について収益納付期間及び毎年の収益納付金額の上限はどうなっていますか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 交付額に対して収益の納付額が少ないのではないかという御指摘でございますが、補助金の場合には、それぞれ例えば技術開発でありますとかマイニング関係の探鉱の補助でございますとか、非常に大きなリスクがございます事業に対して補助金を交付しているわけでございますから、必ず収益が上がるということになるわけではございません。したがいまして、納付額の実績も当然交付額を下回っているわけでございます。 それでは、それぞれの制度ごとに限度額がどうなっているかということでございますが、これは収益納付につきまして根拠となっている法律に補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、いわゆる補助金適正化法がございますが、それの七条の二項に基づいて行っているわけでございまして、補助金適正化法の七条の二項は「その交付した補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すべき旨の条件を附することができる。」ということになっておりまして、法律上の限度額は交付した補助金頼までということになってございます。先ほど御説明をいたしました通産省関係の収益納付制度につきましての限度額は、この法律上の限度額でございます交付した補助金頼までということになってございます。
○吉川春子君 これは大蔵、通産両大臣にお伺いしたいんですが、補助金について非常に収益が上がった場合に、その返す金額についてはばらばらなんですけれども、補助金については全額返還すべきことを原則とすべきじゃないんでしょうか。現在は、納付実績が少ないのは納付期間が非常に短いことが原因になっていると思うんですけれども、納付期間を大幅に延長して、そしてもう収益が出たものについては少なくとも補助金は利息ぐらいつけて返させる、こういう原則をとるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(村田敬次郎君) 通産省関係から申しますと、もし吉川委員のおっしゃるようなことであればそれは起債なんですね。つまり一時借入金とかあるいは長期借入金とか、そういったものでございまして、補助金というものは一定の事業に対してそれを進めたり発展させたりという国家目的のために補助するものでありますから、したがって先ほど会計課長からお答え申し上げましたように、支出した金額を限度として返還させるということを一つの目標としておるわけでございますが、その補助をする対象の事業が発展をし、そして国家目的が果たされたのであれば、場合によれば一部返還あるいは事業によっては返還の必要なしというようないろいろな制度がきめ細かく定められておるものである、このように認識をいたしております。
○吉川春子君 そうすると、一応目的が達成された補助金については、とにかく補助金を限度として全額返させるという原則についてはそれは賛成だという立場ですか。
○国務大臣(村田敬次郎君) これは補助金交付の目的に従って、全体を返させるかあるいは一部を返させるか、あるいは返させないで補助をそのままにしておくかということになるのでございまして、補助する事業の態様によるものであると認識をいたしております。
○吉川春子君 五十七年の四月二十二日の大蔵委員会で、我が党の近藤議員の質問に対する答弁の中で、超LSI補助金については五十八年度から、OS補助金については五十九年度からそれぞれ収益納付が始まるとの答弁がありましたけれども、これはどうなっておりましょうか。
○国務大臣(村田敬次郎君) 超LSI補助金については、五十九年の四月の末に超LSI技術研究組合から五十八年度の企業化状況報告書を提出さしたところでございます。それから現在、通産省としては収益額の確定のため、以後補助事業主体に対する監査を進めておる、こういう状況になっております。 それからOS補助金の場合は、六十年四月末に電子計算機基本技術研究組合から五十九年度の企業化状況報告書を提出さしたところでありまして、今後補助事業主体に対する監査を進める予定でございます。こういった状況でございますためにまだ返還が行われていない、こういう実情でございます。
○吉川春子君 通産大臣お急ぎだそうで、これで結構でございます。 大蔵省あるいは大蔵大臣にお伺いいたしますが、補助金のうちの収益納付制度を適用する際の基準は各省に任せてあるんでしょうか。明確な基準を設けて大企業に対する研究開発についてはすべて適用させる、そういう方向で臨むべきじゃないんでしょうか。
○政府委員(平澤貞昭君) この件につきましては、先ほども委員がおっしゃっておりましたように臨調の答申にも出ておりまして、それによりますと、「企業の負担能力等を考慮し、これまで以上に企業の活力に期待することとし、助成対象の重点化、開発段階に応じた助成水準の見直し、」、その後に「納付期間の延長等による収益納付の強化等を行う。」というふうに述べられているわけでございます。 そこで、これは割合抽象的に書いてございますけれども、財政当局といたしましては、収益納付制度を適用するときの基準といたしましては、一つは、一般的には補助金の対象事業の公共性、公益性の見地から国が一定の経費を分担し、事業の遂行を確保しているようなものについては収益納付の条件を付することを適当でないということで、そのような場合は付さないわけでございます。そこで二番目に、それ以外の場合で補助事業等の完了により相当の収益が生じると見込まれるものについては、個別具体的な補助金ごとにその交付の目的、内容、他の補助金等とのバランスを検討の上収益納付の条件を付するということでございます。
○吉川春子君 五十六年十二月の財政制度審議会の報告の中で、「成功したプロジェクトについて、国はむしろ出資者として関与しているとの観点から補助金相当額を超えて返還させるという考え方もあろう。」、このように指摘がなされております。 大蔵大臣に伺いたいわけですが、現在、生活保護費とか教材費とか、憲法上の国の責務とされている補助金にまでカットの手が及んでいるわけですから、こういう事態の中で右の指摘についても積極的に受けとめるべきではないんでしょうか。
○政府委員(平澤貞昭君) 補助金を交付する場合に常に財政当局の頭にございますのは、まず公共的あるいは国家的な観点からその行う事業がプラスになるかどうかという点を非常に考えてやっているわけでございます。したがいまして、民間に対して一定の助成を行う場合もすべてにわたって行うとい立ことではなくて、通産省の場合ですと先端技術の開発とか、その他公共的な点で非常にプラスがあると予想されるものにやるわけでございます。したがいまして、それをやることによって事業が収益を生むということを当初から予定してやっているわけでございません。しかも、助成する場合には今申し上げたような観点からやっておりますので、与えた補助金以上にさらに納付を後でしてもらうというようなことは今まで制度的に考えていないというふうに私は了解しておるわけでございます。
○吉川春子君 この問題はかなり基本的な問題だと思うんです、政治姿勢として。要するに一般論として今おっしゃいましたけれども、繰り返して言いますと、国民のぎりぎりの最低生活にさえメスを入れて補助金をカットする、こういうことが今度の国会でやられようとしているわけですから、こういうときに大きな企業がもうけを上げるためにいろいろな補助金をただでくれてやる、こういうような因の姿勢というのは何としても納得できないわけなんです。この収益納付制度についてやはりきちんと返還させる、そういう基準を大蔵省がつくって各省に徹底させる、そういうような姿勢をとっていただかないと、福祉や教育の方にばかりメスを入れるということでは国民としても納得できないと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 福祉、教育にいたしましても、今御審議いただいているものは末端のサービスはこれをカットするというわけじゃございませんので、その費用負担のあり方ということで御審議をいただいておるわけでございます。一つの企業に対して、いわば今後の将来の日本国全体の国際競争力でございますとか、あるいはそれのもっと基礎になります基礎研究でございますとか、そういう問題に対する補助金というものはいわゆる収益納付制度というものがあるわけでございますが、そのときは収益を出すであろうということは念頭にないわけでありますし、将来その研究が実を結びまして、その企業だけでなくそういう全体に役立つという場合には、当然のこととしてこれはまた国民の雇用の場の確保にもつながりますし、また法人税でちょうだいするということもあますので、初めから収益を目的としておるものではないということをお考えいただきたい。ただ、今おっしゃいました基準の問題を統一して大蔵省で考えないかということについては、いささか不勉強でございますので検討さしていただきます。
○吉川春子君 納得いく御答弁が得られたわけではありませんが、時間の都合で文教関係に移らせていただきます。 教材費の国庫負担をやめて一般財源化した問題についてお伺いいたしますけれども、中曽根総理はこの点について、経費の所属が変わっただけで大きな変化ではない、精神も変わっていないと言っておられますし、文部大臣も二月十九日の衆議院予算委員会で経塚委員の質問に対して、一般財源化しても父母の負担がふえることにはならないというふうに答弁しておられますが、このお考えは現在も変わりありませんでしょうか。
○国務大臣(松永光君) 変わりはございません。
○吉川春子君 四月二十二日に我が党の橋本議員が埼玉の九十二市町村の中で十五市町村において国の教材費補助の廃止に伴い当初予算で教材費を削減している事実を指摘いたしまして、政府は調査を約束されたわけですが、その点について御報告いただきたいと思います。
○政府委員(阿部充夫君) 今この法案について御審議をいただいているという段階でございますので、公の調査というのはいたしておらないわけでございますけれども、いろいろな形で情報の把握には努めておるわけでございます。私どもが全体的にただいままで把握している状況によりますと、大部分の市町村の場合にはほとんど前年と同額あるいは上回るもの、若干下回るもの、学級数の変化等もございますので完全に同額とはまいりませんけれども、そういう状況が普通でございますけれども、一部に前年に比べてかなり減額をして措置しているというケースもあるようでございます。それらにつきましては事情等をいろいろ聞いておりますが、大部分はこの関係の法律がまだ未制定であり、交付税についての明示がまだなされていないということもあって、とりあえず前年の七掛け程度を計上してしばらく様子を見ているところであるというようなことでございますし、中には、昨年は新設校があった等のために多額の経費を要したけれども、ことしはその新設校がなくなっていわば平年度化した、そのために当然減っているというケースもございます。それからまた、首長の選挙を控えておりますために、とりあえず当初予算は骨格予算にしたというようなことで予算を控えているというようなケースもあるようでございます。いずれにいたしましても、この制度が明確に法律上決まりました段階で、かねてお答え申し上げておりますように、正式に都道府県を通じまして各市町村に対して指導をし、適切な額が確保されるように努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○吉川春子君 今の阿部局長の調査の報告は非常に不十分でございます。私が独自に調査したところによりますと、例えば埼玉県の草加市においては、小中学校の教材費は五十九年度が小学校が二千五十万四千円であったものが六十年度は五百二十一万五千円に減っているし、中学では千三百四十六万八千円だったものが五百八十六万円、こういうふうにトータルで前年度比六七・四%も減っております。ちなみに、草加市は今、阿部局長が言われた三つのどの項目にも当てはまらない市でございますけれども、こういうふうに生徒数は三%程度しか減っておりませんのに教材費については激減しているという事実があるわけなんです。 そしてその結果、具体的に学校ではどういうことが起こっているかといいますと、例えばある小学校ではミシンの購入計画、足踏み式から電動式へというものが挫折しているとか、あるいはミニバスケットゴールの買いかえが不可能になったとか、放送施設の買いかえがこれも不可能になったとかこういうことも起きておりますし、また別の小学校では、体育用品の購入は今年度からすべてPTAのバザーのお金で購入する。この金額は八十万だというふうにも報告されています。また、別の小学校ではPTAの学校協力費を増額させるとか、あるいは学級通信の紙代を父母負担にするとか、挙げてみれば切りがないわけです。こういうふうに父母負担も非常に実際の場面ではふえておりますけれども、大臣はこういう現実をどのようにお考えですか。
○国務大臣(松永光君) 教材につきまして整備を適切に進める、そして整備をする経費につきましては父母に負担をさせない、こういったことが望ましいわけなんでありまして、それを実際的なものにするために大事なことは、まず一つは、教材については学校の設置者である市町村が責任を持って整備を進めていくという状況が定着しているということが一つ。もう一つは、その市町村の整備する経費について財源措置がきちっとなされておるということが必要なのであります。今回の教材費につきまして一般財源化したのは、以前と違いまして小中学校の教材につきましては設置者である市町村が公の経費をもって整備するという状況が定着しておるということ。それからまた、その財源といたしましては地方交付税で前年度を上回る財源措置がなされておるということ。これによりまして教材の整備を進める、そしてその進める上で父母の負担にはしないという条件は満たされておるというふうに思うわけであります。 ただ、国庫負担から外しましたので、市町村で誤解があってはいけませんので、念のために都道府県教育委員会それから指定都市教育委員会の担当課長さんに集まっていただきまして、国庫負担の対象から外しましたけれども従前と同じように公費による教材の整備がなされるよう財源措置はなされることになっておるからということを説明し、そして市町村を指導してくれるようにお願いをしたところであります。なお、この法律が通りましたならば、改めて関係市町村等にこの法律の趣旨、財源措置等につきましてさらに詳細に通達をいたしまして、教材の整備が進むように、そしてまた父母負担に転嫁されないように適切な措置をしていく考えであります。 なお、一部の市町村につきまして、前年度に比べて教材費の予算が少なくなっておるという御指摘がありましたが、先ほど文部省の局長がお答えいたしましたように、大部分の市町村は前年度同額、またはそれをやや上回る予算措置をしておるわけでありますが、教材の性格からいって、中にはその年限りで消耗してしまうものもありますけれども、そうでないものがむしろ多いわけでありまして、市町村が独自の判断あるいは独自の計画のもとに地方交付税で交付される金額をもって教材の整備がなされていきますように今後とも私どもとしては適切な指導をしていく、こういう方針でございます。
○吉川春子君 私は、今の草加市の例で余りにも教材費が激減しておりますので、不思議に思いまして市の担当者に電話を入れて聞いてみました。そうしたら担当者は、この予算が減った理由は国庫支出金がカットされたからだと、こういうふうにはっきりと述べているわけです。これは一部の自治体ということを繰り返しおっしゃいますけれども、九十二市町村の中の十五市町村ですから、一部というふうに片づけられないものがあると思います。それから父母負担の問題についても、具体的にこのようにいろいろなものがPTA会費に上乗せをされたりあるいは父母負担という形に現実にあらわれていて、これは埼玉県だけではありませんで、例えば神奈川県とか秋田県とか、私が調べた幾つかの自治体でも同じような傾向が全部出ているわけです。こういうような問題について、文部省は調査された上、父母負担にしわ寄せがいくということはないんだというふうにおっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(松永光君) 先ほど局長の方からお答えいたしましたように、大部分の市町村では前年度同額あるいはそれをやや上回る財源、予算を市町村で計上しておるということでありますが、中には委員御指摘のような市町村もあるかもしれません。したがって、そういう市町村につきましてはその原因、理由、そういったものをさらに詳細に調査いたしまして適切な指導、助言をしていきたい、こういうふうに考えるわけであります。 なお、御指摘の草加というところは埼玉県教育委員会の所轄下の市であるわけでございまして、埼玉県の関係課長も実は今回の措置につきましては説明を受け、かつ前年度を上回る財源措置はなされるということを説明してあるわけでありますから、県の方でどういう指導をしたかよくわかりませんけれども、少なくとも草加市に教材関係の財源として交付される金額は前年度よりも二・八%はふえるという計算になっておるわけでありますから、そのことをよく踏まえた上で、当初予算としては少なかったとしても、それなりの財源措置はなされるように県の教育委員会を通じて適切に指導してまいりたい、こういうふうに考えるわけであります。
○吉川春子君 指導の問題については後ほど改めて伺います。 教材費の関係で、障害児の教育との兼ね合いで二、三伺わせていただきます。 埼玉県では県立の盲、聾、養護学校が二十四校ありますが、そのうち十七校で訪問教育が行われており、五十九年五月一日の調査で二百五十九名の児童が訪問教育を受けています。 〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕訪問教育を受ける児童は、普通児と同じように教科書を使って勉強できる子もいれば、言葉の発声から始めなければならない子など、一人一人の能力によって教育方法が異なり、それだけ教材も幅があり多様でなくてはなりません。障害児教育に携わっている先生方からは、従来から埼玉県でも訪問教育内容充実のために特別な備品枠をつくり、子供の実態に応じて確保できるようにしてほしいと強い要望が出ております。しかしながら、今回の教材費のカットは養護学校にも情け容赦なく及びまして、訪問教育費もまた前年度比四百三十六万減額され、約三〇%の削減率になっております。特別枠をつくるというようなことはおろか、従来どおりの教材費を確保することさえできなくなっていますけれども、この養護学校、障害児教育に及ぼす教材費の影響について文部省としていかがお考えでしょうか。
○政府委員(阿部充夫君) 教材費につきましては、従来から盲、聾、養護学校等は特別の単価ということに相なっておりますので、今回交付税措置に転換をいたしました際にも、そのような趣旨で交付税措置に転換をしておるわけでございます。
○吉川春子君 一般財源化したということは全く同じことで、養護学校についても教材費の削減の影響が非常に及ぶということになると思うんです。 訪問学級の充実について一、二問伺いますけれども、義務教育において家族とも十分に話し合いが行えるように回数、時間数をふやすことや、一時間から三時間とか、三回から五回などと弾力的に運用できるように教員をふやしてほしい、教科担任も訪問できるようにしてほしい、こういう切実な要望があるわけですけれども、この点についてはいかがですか。
○政府委員(高石邦男君) 現在、訪問教員につきましては小中学校の子供たちを対象にしておおむね週二回、一回二時間程度ということで実施しているわけでございます。今回、六十六年度に完成を予想される第五次の教職員の定数改善計画では、これを大体今の児童生徒数が、重複障害児の場合は五人でございますけれども、三人まで減少させるというような措置をとりまして、それに応ずる教員配置を実施いたしますので、大体週三回程度は実現可能になるのではないかと、こういうような目標で改善を進めてまいる予定でございます。
○吉川春子君 週三回程度になるということでしたけれども、ぜひ子供についても二人に一人というふうな水準まで当面高めていただきたいということを要望しておきます。 高等部において訪問学級を制度化すべきではないかというふうに思うわけですが、先日、埼玉県の高等学校教職員組合が行ったアンケートの結果では、大部分の親が留年でもよいから養護学校に通わせたい、高等部に訪問学級があればよいというふうに回答しているんですけれども、この切実な親の願いに文部省としてどうこたえていかれるんでしょうか。
○政府委員(高石邦男君) まず、義務化いたしました段階で小中学校を対象にいたしまして訪問教育を実施しているわけでございますが、その内容を充実することがまず先決だというふうに考えているわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたような将来の改善計画もそういう考え方で対応しているわけでございます。高等学校レベルの高等部につきましては、教える教育内容が非常に多様であるというようなこと、そしてまたそれについていろいろ研究していかなければならない分野が相当ございますので、現時点で高等部まで訪問教育制度を実施することは非常に困難でございます。
○吉川春子君 しかし、いつまでも高等部において訪問学級を設けないということではないと思いますけれども、ぜひ近い将来の検討課題としてこれを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(高石邦男君) 将来十分検討してまいりたいと思います。
○吉川春子君 介助職員についても補助金がカットされまして一般財源化されているわけですけれども、引き続いてこの点について伺います。 昭和五十四年度から養護学校が義務化されましたが、それまでも進学率が高まるにつれて心身の障害の重度とか重複している子供の入学が増加してきております。そのために、それらの子供たちの教育の学習効果を高めるために必要な職員として介助職員が昭和四十九年から配置されて、交付要綱に基づいて補助されてきました。この介助職員の重要性については今も変わらないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(高石邦男君) 介助職員の必要性、その役割の重要性は今日までも、今後も変わらないと思っております。
○吉川春子君 そういたしますと、この職員の補助が打ち切られて交付金に組み込まれるということになりますと、現在でも介助職員の配置が国の基準を大きく下回っているわけですから、交付金になれば一層配置率が低下するのではないかと大変気がかりでございますし、現に介助職員からもそういう切実な要望も私のところに寄せられております。文部省はこの介助職員の確保についてどのように。努力なさるお考えでしょうか。
○政府委員(高石邦男君) 介助職員につきましては、それぞれの都道府県、市町村でいろいろな工夫をして実施しているわけでございます。現在、補助要綱に基づきまして一定の基準を設けているわけでございますが、国庫補助制度がある現在の段階でもほとんど府県では介助職員という形で置かれていないところがございます。例えば実習助手ないしは非常勤の講師、そういうような形で運用されているようなところもあるわけでございます。要は、そういう子供たちの実際上の教育展開に支障のないような形で対応していけばいいことでございますので、財源措置につきましては現在までの国庫補助制度と同様に地方財政措置が講じられておりますので、それぞれの府県で工夫をしながら、今までの教育の展開と同様に支障のないような努力をしていただきたいと思っております。
○吉川春子君 この介助職員については、介助職員としてではなくて教諭として配置している東京都のような例もありますし、確かにそれぞれ自治体によって違った対応のわけですけれども、しかしこういう職種が必要だということには変わりないわけで、今度の一般財源化というのはやはり介助職員の数をふやさない、少なくともふやしていかないというそういう悪い効果をもたらすと思いますので、非常に私としては納得できないわけです。 さて、昭和二十八年より義務教育国庫負担制度ができたわけですけれども、教材費を一般財源から独立させて国庫負担制度が創設されたこのねらいは一体どこにあったんでしょうか。
○政府委員(阿部充夫君) 昭和二十八年当時と申しますか、その前の段階であろうかと思いますけれども、教材費についての市町村での公費の計上が十分でないために、父兄、保護者等の負担に結果的にかかっていくというようなケースがかなりの率であったということがございまして、これを改定し教材の整備を図っていきたいということから、二十八年度に新しく義務教育国庫負担法が復活しました際につけ加えられたというものであろうと考えております。ちなみに申しますと、当時PTAの負担になっておりましたものが学校の教材整備費の約三〇%にも及んでおったわけでございます。その後、公費で計上するということが定着をいたしまして、現在ではほとんど皆無に近いという状況にまで改善されてきておるわけでございます。
○吉川春子君 ちょっと最後のこと、もう一度伺いますけれども、今の局長の御答弁だと、保護者の負担にかかっていくということはほとんどなくなってしまった、今はすべて教材費は公費で賄われていると、こういう御答弁だったんでしょうか。
○政府委員(阿部充夫君) 昭和二十八年当時、二十八年あるいはその前後数年間ぐらいのところでございますけれども、先ほども申し上げましたように、教材費のうちの三〇%ぐらいをPTA会費に仰いでおったという事実があるわけでございますけれども、現在では一・数%程度にまで、ほとんど皆無と言っていい状況にまでなくなってきていると、こういうことでございます。
○吉川春子君 PTAの会費から出すということは保護者が負担しているというわけですけれども、昭和五十八年度に保護者が支出した教育費調査、こういうものを文部省は発表しておられます。この中で例えば教材費関係は児童生徒、幼児一人当たりの負担がかなり多くなっておりますけれども、これと今の局長の答弁とはどういうふうに結びつくんでしょうか。
○政府委員(阿部充夫君) 教材費というような言葉が大変何と申しますか、不明確な言葉でございますので、いろいろ誤解等も出てまいるわけでございますけれども、学用品、実験実習材料費といったようなたぐいのいわば個人で使用するような経費もしばしば教材費と考えられるケースがあるわけでございます。そういったぐいのものは、父兄と申しますか本人負担と申しますか、そういうことが当然であると考えておるわけでございまして、いわゆる私どもが言っております教材費というものは、学校に備えつける設備、備品の基本的なもりというような考えでおるわけでございます。
○吉川春子君 ここで教材費の論議をする時間はないんですけれども。私も二人の子供を小学校、中学校、高校と通わせておりますので、いかに教材費の父母負担が多いかということは身をもって体験してきている一人なのですけれども、今回の教材費の一般財源化ということは、昭和二十七年以前の状態に戻すということであって、大変な逆行ではないかと思うわけです。 文部省がPTAの会費の中からもう教材費の負担はなくなったんだと言われますけれども、バザーだとかあるいはベルマークだとかあるいは廃品回収だとか、そういうようなことをPTAがやりまして、それで教材費をかなり補っているという事実については御存じないんですか。
○政府委員(阿部充夫君) あるいは学校によってそういうケースが皆無ではないと思いますけれども、調査等をしてはっきりデータをつかんでいるということはございません。
○吉川春子君 それはぜひ調査をして、データをつかんで、教材費についてどれだけの父母負担があるかという認識をはっきり文部省としてお持ちになるべきだと思います。 その次に、学校現場での教育効果を左右するのは教員組織、教科書、施設設備の三つの要素である。設備のうちでも教材教具は改良工夫が目覚ましく、日進月歩と言っても過言ではない。この教材教具をいかに整備し、うまく使いこなすかが教育効果を高める重要な役割を果たすことになる。こういう考え方について、大臣、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(松永光君) 学校における教育効果を上げるためのいろいろな条件があるわけでありますが、今御指摘の教材とか教員組織とかあるいは施設設備も大事でありますが、私は最も大事なのは教員自身の指導力、意欲、こういったものが学校の教育効果を上げる上では大事なことであるというふうに思います。
○吉川春子君 私も一般論として教員が非常に重要な役割を果たすことについて別に異論はないわけですけれども、今申し上げましたのは、実は昭和五十三年十一月に文部省初中局長の諸澤正道さんが「新しい教材基準」という本の「序」に今のような言葉を書いていらっしゃるわけなんです。もう一度お伺いいたしますけれども、この時点から文部省の教材費に対する考え方は変わったんですか、それともこの当時の考えと基本的には同じなんですか。
○政府委員(阿部充夫君) 先輩が書かれた本を私、熟読しておりませんのでよく記憶をしておりませんけれども、教材費が大切な事柄であるという考え方は別に変わっているとは思っておりません。
○吉川春子君 熟読しなくても結構ですけれども、文部省の本ですから序文ぐらいお読みになったらいかがでしょうか。教材の整備が教育効果を上げる上で非常に重要であるということは論を待たないわけです。 ところで、何部局長は四月八日の衆議院の連合審査で、教材費を交付税の方に一般財源化することで財政整備計画は達成率四八%のまま計画としてはなくなったのだと、このように答弁されておりますが、そのとおりでしょうか。
○政府委員(阿部充夫君) 第二次の教材整備計画は、義務教育費国庫負担金の中に含まれております教材費の国庫負担金を支出することについての計画であったわけでございますので、そういう意味でこの計画としては形式的にはなくなったと言わざるを得ないだろう。しかしながら、せっかく立てた計画でもあるので、この趣旨の実現にはできるだけ早く実現するように今後とも努めたい、こういうふうにお答えをしているつもりでございます。
○吉川春子君 教材整備計画が教育効果を上げると、文部省、今、阿部局長自身もおっしゃっておられて、そして計画を進めてきたわけですけれども、この計画を途中で投げ捨てるというのはまことに無責任きわまりないと思います。せっかくつくった計画だから云々ということであれば、具体的にどのような方法でおやりになるのかお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(松永光君) 教材というものが学校教育を効果あらしめるために大変大事なものであるということは従来から変わっていないんです。諸澤さんの本に何と書いてあろうが、その考え方には変わりはないんです。ただ、実際を申し上げますと、第二次教材整備十カ年計画を進めてきたわけでありますが、国の財政事情が極めて厳しいがために五十七年度一〇%削減、五十八年度はさらに一〇%削減、五十九年度は一五%削減という厳しい財政事情からくる削減措置が余儀なくされたわけです。国庫負担金の予算額がそのように削減されますというと、その裏をなす交付税措置の方も同額削減をされてくるということになりますので、教材を整備するための全体としての公の金が減ってくるわけであります。そのことが教材整備十カ年計画の達成率が四八・二%という段階にとどまった主たる原因であります。我々はこれから先も教材の重要性にかんがみ、国庫支出金を年次的にふやしていくという意味での十カ年計画は、一般財源化したわけでありますから形式的になくなるわけでありますけれども、教材整備の重要性にかんがみ、計画的に教材の整備を進めていくという大事な仕事は今後とも進めていく考えであります。したがいまして、財源措置といたしましては、財政当局に今後とも交付税措置を減額しないように、できればふやしていくように強く要望していくと同時に、そうした財源措置がなされておるという事実を学校設置者である市町村に十分周知徹底をさせ、場合によっては指導、助言を的確にやって教材の整備を進めてまいる、こういう考え方でおるわけでございます。
○吉川春子君 自治大臣にお尋ねいたします。 この一般財源化した教材費等の問題ですけれども、一般財源化しているものについて自治省としてはどういう態度で臨むかということを伺いたいわけですけれども、交付税の中から教材費について従前どおり、あるいは積極的にこの措置をせよと、こういうふうに各自治体に指導できるものでしょうか。
○国務大臣(古屋亨君) 交付税措置をします場合に、地方財政計画で単価基準というものがありますので、それで示しておりますが、その中で必ずどれだけにするかということは、やはり地方の自治団体、その町村、受け取ったそこが最終的には決めることでございます。つまり、私の方では単価計算の上で、例えば教材費については二・六%ふやしますという単価計算をして流すわけでございます。ただ、市町村が受け取った交付税のうちでそのままやるかあるいはそれをふやすか、それを減らすかということは、これは市町村自体が決めることであると思っております。
○吉川春子君 重ねて自治大臣にお伺いいたしますけれども、そういたしますと地方交付税で地方自治体に送った財源について、この中から教材費の計画を達成するためにこれだけは必ず使え、こういうような指導は自治権の侵害との関係もあって原則的にはできないのだと、こういうふうにとってよろしいですか。
○国務大臣(古屋亨君) 私の方としてはそういうふうに考えておりますが、文部省の方から教育委員会を通じてこういうふうになっておるかという御指導を別になさることは、もちろん私はそういう措置をしなければわかりませんので、していただくことがありがたいと思っております。
○吉川春子君 地方団体の方といたしましては、地方交付税としてもらった財源についてどういうふうに使おうと全く自由であるというわけですけれども、文部大臣が最初に御答弁されましたのは、教材費を一般財源化した、こういうことで地方自治体についてはしかし教材整備計画が達成できるように指導していくということでしたけれども、その地方の自治権とのことを考えますと、指導といいましてもそんなに強力なものはできないんじゃないですか。
○国務大臣(松永光君) 初等中等教育は、いわゆる地方分権であるということになっておるわけです。なぜそういうことになっておるかというと、市町村は身近な小学校、中学校の教育でありますから熱心にかつ責任を持っておやりになるのです。それを前提にして地方分権という現在の教育行政の制度が成り立っておるわけであります。 先ほど自治大臣の方から、地方交付税として交付されたものにつきまして一々その使途を自治省の方で特定することはできない、一般財源でありますから。それはそのとおりでありますけれども、私どもは、市町村は身近な小学校、中学校の教育につきましては我々同様に、あるいはそれより以上に熱心であれという前提に立っております。私は市町村の皆さん方が教育不熱心とは思っていない。でございますから、適切な財源措置がなされればそれに基づく教材の整備等はなされるものと私どもは信頼をしておるわけであります。そして、もしいろいろな事情で年によっては少ない年もあるかもしれぬが、あるいはまた少なくなった分は後でそれを追加するという事態もあるでしょう。それこそまさに地方の自主性に基づいて適切な計画、適切なやり方で進めていただいて結構なんでありますけれども、全体としては父兄負担をさせないで、そして交付された地方交付税による財源に基づきまして教材の整備が着実に進んでいくように今後とも私どもは適切な指導をしていく、そういう方針でおるわけでございます。
○吉川春子君 これで私の質問を終わりますけれども、要するに国庫負担金として国がお金を出していれば教材整備計画も進みますけれども、国はお金を出さないと、しかし口だけは出す、こういうことでは各自治体の姿勢によって非常に教材の整備もアンバランスになるし、実際その効果が上がらないということは明らかですから。私はこういうものを国庫負担から外すということは撤回すべきだということを強く要求いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○井上計君 大蔵大臣はもう連日の御奮闘でお疲れでありましょうから少しお休みいただきまして、厚生大臣に先にお伺いをいたします。私の質問が終わると厚生省はお引き取りいただけるわけでありますから、先に厚生大臣にお尋ねをいたします。 先週号でありますが、週刊誌にグラビアページでこのようなものが大きく載っておりますが、大臣ごらんになりましたか。(資料を示す)ごらんになってどういうふうにお感じになったでありましょうか、まずその点からひとつお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 週刊誌でございますので多少誇張もあり得るかと思いますけれども、しかしこの問題が必ずしもそのような傾向が全然ないとは言い切れない、全国的にも不正の件数もかなりに上っておりますので、やはり大切な国民の税金を使うわけでございますので厳正な態度でやらなければならないというふうに考えております。
○井上計君 なお、自治日報に、三月一日でありますけれども、東洋大学の坂田教授が生活保護費の問題等についての論文を載せておられます。当委員会で生活保護についてはいろいろと質疑が行われておりますね。もちろん心身ともに弱い人あるいは本当に生活に困窮している人等々については手厚い保護がされることは当然だ、こういうふうな認識を持っております。しかし、また一面では、現在の生活保護のあり方というものがいわば悪い言い方をしますとばらまきというふうな点もありますし、また逆に惰民を養成しておる、こういう批判も事実あるわけです。これはこの週刊誌にも書いてあります。週刊誌のこのグラビアページには「町民の二九・一%が生活保護を受ける町。給付日には駐車場に自家用車があふれ、市が立ち……」、こういう大きな見出しなんですね。こういう実態、これは写真入りですからまんざら全部が全部うそではなかろうと、こう思います。こういうふうな実態があるということ、これについては、やはりそこに生活保護のあり方等について見直しをしていかなくちゃいかぬ点が多々あるんではなかろうか、こういう私は実は認識をしておるわけです。 この坂田教授の論文にもありますけれども、五十九年四月現在の厚生省の基準の標準の四人世帯の場合、一級地、政令市では一カ月十八万七千円。二級地では一カ月十七万三千円。このほか家賃は二万円まで補助、医療費は無料、税金もかからない。とすると、大体手取り月二十万近い収入の人と同じ程度の家計を営むことができる。現在、通常のサラリーマン、特に中小企業では、月に手取り二十万とすると名目では二十四、五万円になろうと思いますけれども、そのような収入のある人は大体普通なんですね。だからある意味では、高いと言うと表現が悪いかもしれませんけれども、かなり手厚い生活保護がなされておる。したがって、そのためにこれから抜け出そうという努力をしない。むしろ働くよりも生活保護をもらっておる方が楽だというふうな、いわば惰民を養成しておるということについても一面ではどうも否定できないんではないか、こんな感じがしますけれども、厚生大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 生活保護基準につきましてはいろいろの見解もあろうかと思います。後ほど数字につきましては社会局長から説明をいたさせます。しかし私は、先ほど御指摘のありましたような事例、まことに何といいますか、不正受給が時々ございますことは大変残念なことでありまして、そうしてそのことが当然、生活扶助を受けられる立場におられる方々の施策に対しまして国民から正当な理解が得られなくなるというような不平な事態も招くと思っておるわけでございます。したがいまして、基準につきましても、あるいはその運用につきましても十分これから意を配っていかなければならないところであろうかと思います。 数字につきましては政府委員から説明いたします。
○政府委員(正木馨君) 生活保護の基準につきましては年齢別、世帯構成別によっていろいろ違うわけでございますが、本年度におきます一級地の標準四人世帯、三十五歳の男、三十歳の女、九歳の男、四歳の女のお子さんで十五万七千三百九十六円ということになるわけでございます。先生がお示しの数字、この東洋大学の先生の数字は勤労控除その他のものが含まれての数字でございますが、過去のことを申しますと、生活保護の基準は、かつては理論生計費で理論的に一日にどの程度のものが必要だ、マッチはどの程度必要だということを積み上げて、マーケットバスケット方式で計算をしたわけですが、今日は一般の消費支出等のバランスを見ながら決めていくということで、全旧平均で見ますと一般の水準の大体六三%程度ということで、中央社会福祉審議会もおおむね妥当な水準ではないかというふうに言われております。しかし、世帯構成によりましていろいろな、住宅扶助とか教育扶助とかと積み上げていきますと、それと一般の勤労者のを比較しましていかにも高いのではないかというような批判、見方があることも事実だと思いますが、要は現在の水準自体は一般の消費支出に比べて六三%程度ということで御理解をいただきたいと思います。 しかし、先生がおっしゃいますように、生活保護というのは、最低生活の保障と同時に、生活保護法にもあるわけですが、その自立を助長する、できるだけ早く生活保護から脱却して御自分で生活できるようにということを基本としておるわけで、そういう意味で、不正受給があるということはもちろんこれはきっちり取り締まらなければいかぬと同時に、自立更生指導という面でできるだけ早く、一日も早く生活保護から脱却されるような指導というものを徹底していかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
○井上計君 若干私の認識と数字が違うというふうなことについてはわかりました。ただしかし、今局長言われるように、やはり更生という面が生活保護の中心の精神であること、これはもう当然であろうと、こう思います。したがって働けない人、あるいは体の弱い人等についてはできるだけ手厚い保護をする、しかし一面、働くことができる人等については働く意欲をさらに助長するような指導を行っていくということが、従来もやっておられるでしょうけれども、これらのいろいろな事例等から考えますとまだまだ十分ではない。したがって、いわば生活保護の座に安住をして抜け出そうとしないという人が相当あるのではなかろうかという気がしますので、その点についてはさらに一層御努力を願いたい、要望をしておきます。 そこでもう一つ問題は、府県と市町村との負担割合の問題です。町村においては負担はゼロである、したがって町村の生活保護費の支給については事務だけを行っておる、いわば俗に言う町村については財政上腹が痛まぬというふうな形になっておる。ところが県市については二割。国八割、県市二割の負担でありますから、したがってやはり腹が痛むからかなり厳しいといいますか、そういう受給条件あるいは受給調査をしておるというふうなことであろうと、こう思います。したがって、これはやはり坂田教授の論文の中にありますし、また週刊誌にも載っておりますから違わないであろうと思いますけれども、例えて言うと福岡県の場合は保護率が田川市は五・七一%、ところが隣接の山川郡の町村では二〇・五六%と四倍も高い。また、飯塚市は六・六四%に対して隣接の町村は一〇・七%と倍近い、このような数字が出ております。とするなら、やはり問題は論文にありますように、また私が申し上げたように、町村においてはいわば腹が痛まぬからどうしても安易になっておる、あるいは後の指導が十分でないというふうな結果であろうと思いますが、これはどうお考えですか。
○政府委員(正木馨君) 週刊誌に出ておりましたのは福岡県の川崎町の例でございますが、確かに川崎町は極めて高い保護率にあるわけでございます。先生おっしゃいますのは、やはり町村の負担との関係においてこれは一つ問題があるのではないか、坂田教授の論文を引用されてのお話でございますが、全国的に申しますと、市部と郡部の保護率を比較いたしますと市部の保護率の方が若干高い。そして市部の保護率の方はさらに上昇傾向にありますが、郡部の保護率はむしろ低下傾向にあるということで、町村の負担とその保護率との関係は必ずしも因果関係はないというふうに思うわけでございます。 それから先生御案内のように、現在生活保護の実施というのは、郡部については県の福祉事務所が行う、市については市の事務所が行うということで、かつては市町村が実施主体でございまして、国の補助と同時に県と市町村がそれぞれ負担をしておったわけですが、現在、町村部については県が実施をしておるということで、町村の負担が現在は行われておらないわけでございます。ただ、先生おっしゃいますように事務をやっておる、確かに経由事務等を町村がやっておって、その経由に当たって町村がいろいろ調査をされる、熱心にやられるところ、それほどではないところ、率直に言いましてそういうことがあるわけでございます。要するに町村の負担の問題というのも論議としてしばしばなされるわけでございますが、保護の実施責任は一体どういう段階でやるのかという実施責任の問題との絡み合いで、今後の国と地方の役割分担、費用負担のあり方というのもこういった点も一つの検討課題だろうと思いますが、実情を申しますとそういうことでございます。
○井上計君 私は坂田教授の論文と週刊誌等々、このように一般の認識がこうであるというふうな点から申し上げ、局長の御答弁では多少違うようでありますが、しかしいずれにしても、この異常に高い町村の受給率というのは、そこに何らかのやはり理由があるであろうということから、さらに御調査をいただいて十分これについての対策をお考えいただきたい、こう思います。 では、次の問題に移ります。 国保の問題でありますが、昨年医療保険制度が改革をされました。退職者医療制度が創設をされましたが、国保に対する国庫負担率の引き下げが行われるようになっておりますけれども、本来、これは健保本人の給付率を十割を九割に下げた。そこでこの浮いた財源を、退職者医療制度を創設して国保に対するしたがって負担率を四五%から三八%に下げたということであったと思いますが、その結果、国保の財政現況ですね、さらに今後の見通し等については厚生省はどのようにお考えになっておられますか。 さらに加えて、当初厚生省の見込みは、退職者医療制度の加入者を四百六万人と見込んでおられた、こう思います。しかし、現実には相当下回っておると聞いておりますけれども、この四百六万人と見込んだ根拠、さらに下回った理由等々あわせてお答えをいただきます。
○政府委員(幸田正孝君) 昨年の医療保険制度の改革に際しまして、御指摘のとおり退職者医療制度の創設に伴いまして国民健康保険の国庫補助を減らす、その分につきましては被用者保険から交付金を交付するということで国庫補助率の引き下げを行ったわけでございます。その際には、私ども退職者及びその家族が四百六万人程度いるであろう、こういう既存の統計に基づきまして推計をいたしたのが前提になっているわけでございますが、現在私ども把握をしておりますのは、本年の二月末現在でございますが、四百六万人という見込みに対しまして二百六十四万人の把握にとどまっているのでございます。この四百六万人と申しますのは、既存の統計を活用いたしまして推計をいたしたものでございまして、まず退職者本人につきましては年金受給者、厚生年金でございますとか国民年金でございますとか共済年金といった年金受給者数を基礎にいたしまして、その年金受給者数のうちどのぐらいが国民健康保険に加入をしているかというのが厚生行政基礎調査、私どもで毎年実施をしております調査で得られておりますので、それを用いまして退職者本人の数を推計いたしたのでございますが、これが二百三十万人でございます。それから主として奥さんでございますが、家族につきましては政管健保あるいは健康保険組合の同じ年代の扶養率というものを中心に被扶養者数を推計いたしまして百七十六万人、合わせまして四百六万人というふうに本人、家族合わせた推計をいたしたのでございますが、先ほど申し上げましたように二百六十四万人にとどまっているわけでございます。 私ども既存の統計を用いましたために実績と大幅な飛離が生じたのではないかと思っておりますが、その理由として幾つか考えておりますのは、一つは最近被用者保険におきます任意継続被保険者制度の活用が相当図られておりまして、これが私どもが見込みました以上に予想外に伸びておりますので、その点で狂いが生じたのではないか。それから年金受給者のうちの通算老齢年金につきましては、厚生年金の資料しかございませんでしたので、厚生年金の資料を中心に推計をいたしたのでございますけれども、国民年金と共済年金といったような厚生年金以外の通算年金制度についてやや過大な見積もりではなかったかということを今反省いたしております。その結果、本人に狂いを生じましたために家族につきましてもさらに狂いを生じた、こういうことではなかろうかと私ども考えているわけでございます。いずれにいたしましても、この四百六万人の見込みに対します二百六十四万人ということによります市町村国民健康保険の財政影響につきまして、現在私ども調査をいたしている最中でございまして、六月の末までには市町村国保に対する退職者医療制度によります財政影響というものの把握をきちっとしたい、こういうことで調査を進めております。
○井上計君 見込みの数字が違ったということについては、いろいろな今お答えをいただきましたけれども、条件等あるいは推定の違い、これはいたし方ない、こう思いますから、あえてこのことについて私は申し上げるわけじゃございません。ただ、最後に局長がお答えになりましたけれども、それについて市町村に対してどのような影響を与えたであろうかということについては調査をしておる、こういうお話でありますが、そこでそのために、いわば見込みが違ったために全体の、聞くところによりますと三割ぐらいの町村が国保保険料の引き上げ、しかもかなり大幅な引き上げをせざるを得ない、余儀なくされておる、こう聞いております。とすると、やはりこれは大臣にお答えをいただきたいんですけれども、厚生省はこの制度改革のときに保険料の負担増はないようにする、国保財政への影響はないというふうなことを言っておられた、言明された、こう聞いておりますけれども、とすると、しかしこのために財政の危機に陥っている町村に対しては何らかの救済措置を国は講ずる必要があろう、責任があろう、こう考えますが、いかがでございますか。
○国務大臣(増岡博之君) 国保の財政が相当厳しいということは、これは高齢化社会を迎えるに当たりまして、毎年毎年医療費が伸びていくということで保険料も毎年上げざるを得ないという部分があるわけでございます。また、私どもが退職者医療制度を導入いたしましたときには、従来から医療費の適正化ということをお願いいたしておるわけでございますので、その双方を考えました場合には補助率の切り下げということによってカバーできるだろうということでございました。したがいまして、何にしましても先ほど局長から説明いたしましたような調査を行いまして、この退職者医療の見込み違いによって純粋に生じた影響につきましては、今後あらゆる方策を検討いたしましてその財政の安定的な運営を図ってまいりたいというふうに考えております。
○井上計君 それでは厚生省、これで終わります。結構でございます。お引き取りいただきたい。 大蔵大臣、きょうはいつもと同じようなことを余りやらないでほかのことをやりますので、ひとつお答えをよろしくお願いいたします。 年があけて大体二月、三月ごろになりますと、都市においてもあるいは地方に行きましてもそうですけれども、やたら交通渋滞がひどくなります。至るところで道路の掘り返しが行われている。タクシーの運転手やあるいは運送会社のトラックの逆転手に聞きますと、年度末になるととにかくもう予算が余るのでそれを使わぬといかぬからやたら道路工事がふえますと、これはだれでもそう言います。それから全部とは言いませんけれども、年度末になると中央省庁においてもあるいは地方自治体においても出張が大変ふえるんだと、こう聞いております。何もむだな出張だとは言いませんし、またあるいはむだな工事がされておると必ずしもそうは思いませんけれども、 〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕 しかし、現実にそういうふうな年度末になりますと確かに工事が集中していることはこれは確かであろう、こう思いますが、なぜそのようなことが行われておるのか、そういう原因は何によって起きているのか、大臣はどのようにお考えでし、うか。
○国務大臣(竹下登君) 今の御議論、ある議論でございます。出張がふえるという問題は随分指摘されましたが、今日は大体余りそういう傾向はないようでございます。いずれにいたしましても、予算の単年度主義ということがやはり一つの足かせと申しましょうか、手かせと申しましょうか、そういうものになっておる。そしてまた査定する側で見れば、不用額を余計立てたらそれだけ減してもいいじゃないかというような、あるいは逆に言えば減されるんじゃないか、こういうようなこともあるいはあろうかと思われます。
○井上計君 大蔵大臣、十二分に御承知ですから、私が次のお伺いをすることはもう既にお答えいただきました。 そこで時間が短縮されますが、単年度予算ということに原因がある、こういうお話であります。そうすると問題はやはり現在の財政法にあるということになる、これは申すまでもなかろうと、こう思います。財政法の第三章の十四条の三、繰越明許費というのがありますが、これを読んでみますと、仮に年度末になって予算が余った、何もそれは工事を中止するとがあるいはどうとか、積算がやや違っておったというふうなこと、あるいは途中で計画を変更して工事費を削減したというふうなことは当然あるわけでありますけれども、その場合でも使ってしまわないと困ると今大臣言われましたけれども、もしこれを余して、あるいは返した場合には、明らかに次からのやはり予算要求が大変不利になるという、したがってむだとは言いませんけれども、しなくてもいい工事までやっておるというふうな傾向は明らかにあると、こう思います。だから財政法の第十四条の三、繰越明許費については、「歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、予め国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することができる。」、したがって、この手続を経なければ翌年度に繰り越しできないということは、事実上これは「予め」云々からいって不可能であるということになろうか、こう思います。 それから第五章雑則の中に、第四十二条に経費の繰り越し使用の制限があります。それから第四十三条に繰り越し使用の承認があります。「各省各庁の長は、第十四条の三第一項又は前条但書の規定による繰越を必要とするときは、繰越計算書を作製し、事項ごとに、その事由及び金額を明らかにして、大蔵大臣の承認を経なければならない。」と、こうあります。したがって、事実上は繰り越しは不可能であるということがこの法律、財政法からいって言えると思いますけれども、これは大臣、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) この問題は、現行財政法そのものが会計年度独立の原則と、こういう財政法第十二条でございますか、定めておりますので、一会計年度の歳出予算の経費の金額は原則としてその年度内に使用すべきものである、使用し終わらなかったものはこれは不用額として立てるのが原則である、こういうことでございますので、私はやはり会計年度独立の原則とそれからいわゆる財政節度と申しますか、そういう点からいえば、例外としてございます今おっしゃいました十四条の三の明許繰り越し、それから四十二条ただし書きの事故繰り越し、それから継続費の年割り額の逓次繰り越し、四十三条の二でございますか、河野先生の「予算制度」という書物にそれが詳しく書かれてございますが、 〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕 ある程度それは井上先生、そういうことがあることがやはり節度を重んずるという意味にもまた逆になっておるんじゃないかなと、こういう感じは持っております。
○井上計君 私も今大臣が言われたように、こういうふうないわば厳しい規制があるから、法律があるから節度が守られておるということについては私もそれはそのように感じます。しかし同時に、こういうことがあるから特にこのような財政状態の中で大切なお金がむだに使われておるとするならば、当然見直しをすることが必要であろう、こういう考えなんですね。しかもこの財政法が昭和二十二年に制定をされておりまして、以降昭和二十七年に一部改正になっただけでほとんど二十二年制定当時そのままなんですね。昭和二十二年といいますと、申すまでもなく国民が飢えに大変苦しんでおる、脱脂粉乳等によって国民のかなりがいわば飢えをしのいだという時代ですね。それは占領下であるわけです。 大臣、昭和二十二年の国の一般会計予算は幾らであったか御存じですか。
○国務大臣(竹下登君) たしか二十年が二百何十億で、二十一年が千億をちょっと超して、二十二年はちょっと今記憶しておりません。
○井上計君 さすがに大蔵大臣、御記憶が余り違いありません。昭和二十二年は千百四十億一千五百万円です。したがって、現在の六十年度予算は昭和二十二年度予算の四百五十九倍になるわけですね。昭和二十二年度予算の中に公共事業費が幾らあったのか、これはもうよくわかりませんけれども、これだけ膨張しておるのに、いわば企業でいうと零細企業から一部上場の大企業になったわけです。だから、零細企業時代の庶務規程が大企業になってなおかつ同じ庶務規程だというのはやはりあり得ないわけですから、その面で私は財政法についてもこの際見直しをすべき点があるとすれば見直しすべきだ。そこで、やはり単年度会計になっておりますけれども、そういう中で有効に予算が使われるように、大切なお金が有効に使われるようにする、そのために改正をすべき点があり、また改正することによってそういうふうな効果があるということであるなら、当然これは改正をするということをお考えいただいたらどうであろうかというふうに思います。 若干話が横にそれますけれども、国の一般会計予算はますます膨張しておりますし、大臣が初めて国会にお出になったのは昭和三十三年ですか、昭和三十三年ごろは大体一兆三千億ぐらいですか、それから見ても大変な膨張ぶりであります。これから今後ますますやはり拡大をしていくことは当然だと考えますと、それだけに補助金等の有効な使用を考えるときに財政法を私はぜひこの際検討していただく必要がある、こう考えますが、どうでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 確かに井上さん正確でございます。私が出ました三十三年、三十四年度予算が一兆ヨイクニでございましたから一兆四千百九十二億、それから二十九年が九千九百九十億でございますから、一兆円以下に削減したときでございます。一括法を出したそうでございますけれども、そのとき私まだバッジがございませんでした。そして今、三十四年予算から、私が最初審議に参加させていただいたときから比べましても約四十倍ぐらいでございましょうか。それで社会保障が七十七倍、防衛費が十八・幾ら、公共事業、文教がおおむね予算の伸びと一緒ぐらいだったとたしか記憶しております。したがって、零細企業とおっしゃいましたが、確かに大変な膨張をしております。 ただ殻の膨張だけでなく、中身もそれなりに当時から比べれば充実しておると思いますが、ただ財政法ということになりますと、ある意味において財政当局から言えば憲法みたいな感じが率直に言ってあるわけでございます。財政節度ということからいたしまして単年度主義の原則とか、したがってもちろん慎重な検討を要する課題でございますが、私どももいつもひっかかりますのは、例えば予算は十二月に提出するを常例とすると書いてありますが、これも一遍も提出したことがないわけでございますので、やはりそういう点も含めて勉強はずべき課題だというので、私が若干そういうのが好きでございますので部内で勉強はしておりますが、いわば私どもの知恵の中でいわゆる財政法の単年度主義の原則とか、そういうところまで議論をするには至っておりません。恐らく井上さんは民間的感覚の中でもっと弾力的な予算執行がなされるようにすべきじゃないか、こういう背景があるいはあろうかと思いますけれども、そのお話の意味は非常によく理解できますが、単年度主義とかそういう大原則に突っ込んでいくということになると慎重な検討をしていかなきゃならぬ課題だなと、ありがたい意見だとしてお伺いさせていただきます。少し長い答弁になりましたが。
○井上計君 大臣よくおわかりいただいたようでありますし、また財政法をいじることは容易なことでないということも承知しております。ただ、いわば単年度会計の根幹に触れるようなものをいじらなくても、繰り越しのその辺のところをもう少し弾力的にするということだけでもかなり効果があるのではなかろうか、こう思いますが、ぜひひとつ御検討をお願いしておきます。 次に、先ほど同僚議員からもちょっと質問がなされておりましたが、新聞報道によりますと、補助金削減一括法が成立するのを待って、さらに今後削減問題を検討するために学識経験者による専門委員会を設置するという案があるということが報道されております。大蔵、自治、厚生三省で設置するというのが新聞報道でありますから、真否のことについては私わかりませんが、であるとすれば、ここに当然自治体の代表も入れるべきだと考えますが、こういうふうなお考えがあるのかどうか、あるとすれば自治体の代表を含めることについてどうお考えか、ひとつお伺いをいたします。
○国務大臣(竹下登君) 便宜私からお答えをいたします。 政府部内におきます補助金に係る具体的な検討方法、見直しの内容、これにつきましては関係省庁間で協議しておるに違いない、私も詳しい報告は受けておりませんが、鋭意検討中であるというふうには理解をいたしております。だから、できるだけ早い機会に検討の場を設けるということが必要であろうと思っております。ただ、したがって私も最初ちょっと考えましたのは、このようなもので検討しますと言うべきかなという考えが最初ございました。がしかし、また考えてみまして、やはり一番肌で国民の感じを受けとめておられる国会の構成員の議論というのを一遍整理してみよう、それに基づいて検討をしょうか、こういう気になりまして、この数日前から速記録をとったりして赤線を引っ張らせたりしておりますが、それをひとつ整理させていただいて、その後どういう形でやるかということであります。 閣僚会議みたいなものにしますと、さあ、じゃ議長といいますか、主宰者は官房長官がいいのかなと思ってみたり、そういうような検討をしておりますので、が、いずれにせよ地方団体の方の意見を十分聞ける場は必要であろう。ただ、専門委員会というようなものを今念頭に置いて申し上げておるわけでは必ずしもございません。特に、社会保障の問題はああして覚書もあることでございますので、そういう形で進めなきゃならぬだろうなと。あるいはそれが他の補助率ということになりますと、公共事業を初め、そうするとその都度入っていただけるようにするものなのかどうなのか。本委員会、本院で成立させていただきました後、整理は大分しておりますから、できるだけ早い機会にこの構想は閣議了解ぐらいしてもらわなきゃいかぬというような、今のところそういう感じでございます。
○井上計君 ただ私は、どのような名称になるのか、あるいはどういうふうな構想がまだ十分大臣は固めていないということでありますけれども、専門委員会をおつくりになる、いろいろな形で各方面の意見をお入れになる、大変結構だと思います。しかし、現実には専門委員会をおつくりになって、やはり来年度予算の要求までにある程度結論を出すめどをおつけになるんだろうと、こう思うんですね。 今回の今審議中の補助金削減一括法案については、恐らく与党の議員の方々も、全部とは言いませんけれども、ほとんどの人が腹の中では実は反対だと、しかし与党である以上やむを得ないんだというふうなことで大体審議に臨んでおられる、こう私は(「違う」と呼ぶ者あり)お一人違うとおっしゃっていますけれども、大体大部分がそうではなかろうかという、これは私の推察が間違っておったらお許しをいただきたいと思いますけれども、恐らく大蔵大臣も必ずしもこの法案がベターだとお考えになっておるのではなかろうと、こう考えると、今後これらの削減問題等について検討されるときにはよほど慎重でなくてはいかぬ。しかし、といってタイムリットがありますから、その点については、いろいろとまたそれとの兼ね合い等からいって、結局は最終的には大蔵省案がベースになって、やはりそれの大蔵省案が補助金引き下げの理由づけに専門委員会を使われるのではなかろうかというふうな危惧がしますけれども、その点どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 私も大体きょうで百日ここの席へ座らせていただいております。衆参を通じまして、予算委員会等から通じてちょうど百日ぐらいだなと思って計算しておりましたが、私は所管大臣でございますからいいんですが、カットされる方と言っちゃ悪いんでございますけれども、大臣さんがおつき合い——おつき合いという表現は取り消します、一緒に座っていただくと済まぬなという気が実際しております。したがって、今おっしゃいましたが、最初一つおっしゃいました点で、概算要求時点までにあらましということをおっしゃいましたが、それも確かに私の心配の種の一つでございます。しかし、概算要求というのはある種の概算要求基準をつくれば勝負は十二月でいいんじゃないかという議論もないわけでもございません。しかし、いずれにしても概算要求基準は七月になればつくらにゃいけませんから、その点、議論を始めるのに余りのんべんだらりとしておるわけにはいかぬなという気持ちはございます。 それから専門委員さんになりますのか、その三人の大臣が毎日寄って頭を突き合わしておるというわけにもいきませんし、いろいろな方の意見を聞きながらそうしたものができたら、それはまさにちょうど社会保障の哲学論争みたいなのが昭和二十一年、二十二年、それから二十六年、された文献を見せてもらいましたが、やはり相当な議論がなされるでおろうと。だから、ただ大蔵省の意のままにレールを敷くというような厚かましいことを考えたら政治家として落第するという自重自戒をみずからに言い聞かしております。
○井上計君 やや安心をいたしました。大臣、次の問題に移ります。 これは補助金等の問題と関係ないわけでありますが、去る四月十二日に本院本会議で対外経済摩擦問題についての緊急質問を私は行いました。そのときに輸入拡大のために幾つかの提案を行ったわけでありますが、その中の一つ、これはひとつ大臣にぜひもう一度勧めたいときょうの日を待ち望んでおりましたので、ひとつ大臣にお伺いをいたします。 私がそのときに提案をいたしましたのは、五十八年度の海外渡航者約六百二十万人、それらの人たちが海外で購入をしてくる物品、一人約十万円とすると合計六千二百億円でありますから、約二十五億ドルになります。これはいわば輸入数字に全くあらわれていない金額であります。そこで、重い荷物を持って、海外からウイスキーやあるいはたばこその他のものを本当は買って帰りたくないけれどもどうしても買いたい、やむを得ず海外で買ってくるという人がほとんどでありますから、成田空港等の国際線の到着空港で帰国のときに買えるような免税売店を設けたらどうですか、そうすると現在の十万円がさらにふえるでありましょうと、これを提案いたしました。 そのとき中曽根総理は、このようなアイデアは大変大いに結構、歓迎をする、検討をすると、こう総理はお答えをいただきましたけれども、竹下大蔵大臣から大変冷たい答弁を実はいただきました。これはもう大臣、御答弁されたから御記憶であろうと、こう思います。そこで私は、検討してだめでもともと、やはり検討すべき点があれば検討してもらったらどうであろうかと、こういう感じがそのときにしたわけであります。したがって、なぜだめなのかというふうなこと。それから出国のときに免税売店が設けられているんですね。だからかなり買って、そうしてそのまま持って帰る人があるわけですよ。ウイスキーなんか向こうへ着きますとボンドしちゃう。それで持って帰る人があるわけですから、それほど私は海外から批判をされるような大きなことではないんじゃないかというふうな気もします。 そこで、もう一度きょうこのことについてお伺いをし、またお考えをひとつお聞きをし、さらにまた検討をしていただく余地があるのかどうか、これをひとつお尋ねするわけでありますが、もう一つそこで、そのときに大蔵大臣が御答弁いただいた中に、今の入国旅客一人当たりの利用した額は二万五千円程度と、こういう御答弁があるんですね。この二万五千円というのは何を示しておられるのか。あるいは一人平均二万五千円程度の買い物しか買ってきていないとされるなら、これは事務当局の数字でありましょうが、二万五千円という根拠は何であるのか、これをひとつお伺いいたします。
○国務大臣(竹下登君) まず冒頭申し上げなきゃなりませんのは、これは私の任命権者であります総理は、「このようなさまざまなアイデアは大いに歓迎いたしまして検討さしていただきたいと思います。」と、こう任命権者が申しているわけでございますから、これは検討するのは当然でございます。あのとき少し、それは質問通告いただきまして、私が柄にもなく勉強して出まして、それでその勉強に基づいてお答えをいたしますと、入国者向けの免税売店を設置し得るかどうか、これは部内に大蔵省の先輩なんかからも言ってまいられまして、それで検討したことがあります。それでこれまでの経緯を説明したわけでございますが、問題点をさらに詰めるように、あの総理のお答えがございますから、事務当局に指示したことは事実でございます。 それで、その勉強はどういうことかと申しますと、まず一人当たり二万五千円という根拠はどこにあるかと、これは昭和五十九年四月十六日に成田と伊丹と両空港に入国した日本人旅客全員八千二十四人を対象としまして、十万円の免税枠を使って幾ら買ってきたかを調査しまして、それで平均して入国旅客一人当たり二万五千円程度という数字が出たわけでございます。したがって、この調査結果に基づくものでございます。それからもう一つは、昭和五十六年十一月十七日に成田、伊丹両空港に入国した日本人旅客全員、これは八千三百二十一人を対象として、酒、たばこ、香水や一品目一万円以下のものを含んだ外国での購入したすべての携帯品の実態調査をしたことがあります。その結果をもとにその五十六年日本人入国旅客数四百万人で携帯持ち込み額を試算すると、CIF価格換算で八億ドルというような勉強をしておったわけでございますが、これを五十九年の四百六十万人でこの試算をしますと九億ドルになる理屈でございます。それは実際相当なものだなと思います。もう一つの試算で五兆円所得税減税をして輸入が何ぼふえるかというと七億ドルという数字がありますし、それは確かに日に見える数字だなと思います。 ただ、それからそのときに、少し長くなって申しわけありませんが、お話ししましたのは、そういう国際機関で一遍相談したことがあるそうでございます。ところが国際機関というのは、その免税店を監督して、情が移ると申しましょうか、そういう角度にありますから、それをやたらとやられたら各国の店が売れぬようになって、日本みたいな総体的に豊かで多くの人が海外旅行をするところばかりが売れるようにならへんかということもあるいは反対の理由の一つではなかったかなというふうに考えるわけでございます。したがって、この問題につきましては、私どもとしては、やはり何といったって最高責任者の総理から検討さしていただきますと言っておりますから、もう既に検討を指示しておりますので、まだ検討の結果が出たわけじゃございませんけれども、引き続き勉強をさせてもらいたいというふうに思っております。
○井上計君 きょうは大分大蔵大臣から色よいお返事をいただきましたので大いに期待をしておきます。ただ、先ほどの二万五千円という調査がちょっと合点がいかぬなと思います。しかし、どういうふうな調査方法でおやりになったのか知りませんが、少なくとも私どもがいろいろな海外から帰った人に聞きますと、どう考えても十万円を下らぬな、というのはウイスキー、それから今度五万円までになったんですか、従来三万円までの時計二個それから香水、たばこ、そのほかそれを除いて十万円以下のものについては雑品ということでありましたら大体一人最低十万平均であろう、こういうふうな感じを持っておりましたから、そういうことでお尋ねをしたということであります。なおひとつ引き続いて御検討をいただければと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今、私の不勉強なところをやはり検討をしておりますからさっと持ってきまして、酒、たばこ、香水、今先生おっしゃっておった一万円以下のものを含まないおみやげの額、すなわち十万円枠の使用状況が一人当たり二万五千円であった。そこで酒、たばこ、香水、一万円以下のものを含むおみやげの額、小売価格に換算しますと八万三千五百円というのが出ておりますから、私が言ったのよりも井上さんの方へ大体近くなっているなと、そんな感じを受けました。これも検討の結果があるからこういうことが言えたわけでございます。
○井上計君 時間が大分なくなりましたから、農林水産大臣お待たせをいたしました。農林水産大臣にお伺いいたします。 私、五十三年の三月、当院の予算委員会で、当時行政改革のはしりであったと思いますけれども、生糸検査所、これを廃止すべきであるということを実は提言をしたことがあります。自来、何回かずっと提言をしてまいりました。ようやく五十五年の五月から生糸検査所が廃止になりました。しかし、検査所は廃止になりましたけれども農林規格検査所、この中に生糸検査都として依然として残っておりまして、現在でもこれがかなりの人員がいるように承知をしておりますけれども、生糸検査所のその後の縮減計画あるいは経過あるいは現況等について、これは政府委員からで結構でありますけれども、お伺いいたします。
○政府委員(関谷俊作君) 生糸検査所につきましては、お尋ねの中にございましたように昭和五十五年度に廃止いたしまして農林規格検査所に統合したわけでございます。この際、昭和六十三年度の初めまでに統合後の生糸検査部門の要員を百九十人ぐらいに減らそう、こういう大幅な縮減計画を立てたわけでございます。これは当時五十三年度の定員から見ますと約三分の一に減らすという大変大きなものであったわけでございますが、その後六十年度に至りますまで毎年大体一割以上の大幅な定員削減を行ってまいりまして、六十年度は定員が二百五十九人となっております。なお、この当初の計画に沿いましてさらに縮減に努めたい、かように考えております。それから五十九年七月でございますが、臨調答申あるいは定員削減、こういう状況を踏まえまして、生糸検査部門統合後は横浜、神戸合わせまして四部あったわけでございますが、二部を廃止しまして、現在は生糸検査部は横浜、神戸それぞれ一部ずつ、こういう状況になっております。
○井上計君 五十三年、五十四年当時、私が何回か予算委員会あるいは内閣委員会で質問、提言をしました。五十五年の縮減計画のように大体計画どおりに今人員削減は進んでおるということは理解をいたします。 ただ、これはもう大臣は御承知だと思いますし、局長は十二分に御承知でありましょうが、なかなか生糸検査所のいわば職員構成が女子の、高年というと怒られるかもしれませんが、かなり年輩の人が多いわけでありますから、配置転換、これは非常に困難だと、といってそう解雇云々というわけにはまいりませんから簡単にいかぬと思いますけれども、しかし現況からいくと、これが全廃されるのにはたしかもう二十年ぐらいかかる計算になりませんかね。ということは、検査所の必要性があるから人員を置いておくということじゃなくて、いわば職員が残るからやむを得ず検査部門を置いておく、こういうふうなことにもう既に数年前からなっておるわけですね。それは検査の数量がもう年々減ってきておると、昭和五十年時点では、いただいた資料によりますと、検査数盤が十万六千俵あったと、当時大体岡内生糸の生産最約四十五万俵であったと思いますから約二四%ぐらい国内生糸生産のうちで検査を受けておったんですが、現在では、いただいた資料によると五十九年度四万八百九十八俵、何か二十七、八万俵ぐらいの生産量だそうでありますから一四%程度にダウンしておる。しかも国立の横浜、神戸だけではなくて、他に県営もあれば民営もあるわけでありますから全廃しても何ら差し支えはないんですけれども、全廃できない理由がさっき申されたところにある、これは私理解しております。五十三年とさらに五十七年に二回ばかり横浜、神戸の検査所を実際に見てまいりまして理解しておりますけれども、できるだけそのような人たちを配置転換等々考えながら、計画よりさらにひとつ人員削減と縮小を進めていただきたいということをこれはさらに提言をしておきます。 それからそこで、時間がなくなりました、もう一つ関連をして申し上げますが、繭糸価格安定法が改正になりました。今後の蚕糸砂糖類価格安定事業団の運営の見通しはどうであるのか、財政面で相当なやはり重荷になっていくのではなかろうかという危惧をしておりますけれども、それらについてどういうふうにお考えでおられますかお伺いをいたします。
○政府委員(関谷俊作君) 今国会におきまして繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の改正をお願いいたしまして成立しまして、五月一日から施行しているわけでございますが、これからの事業団運営も含めました安定制度の今後の問題点は大変厳しい情勢にございます。一方で需要が減退を続けておりますし、国内生産の方、なかなかコスト低減が難しいということもございまして、私ども新しい価格安定制度のもとで全体として需給の均衡を目指しながら、さらに事業団運営についても慎重を期してまいりたいと思っておりますが、当面の問題としましては、これの新しい制度に基づきまして、現在十七万俵余りあります事業団在庫をできるだけ時価に悪影響を及ぼさないような方法で需給関係を見ながら逐次処分をしていく、こういうこと、それを通じまして全体としての需給均衡を目指して努力してまいりたい、かように考えております。したがいまして、今後とも養蚕生産の合理化によるコスト低減なり、また需給面に常に配慮をしました生産の誘導、輸入の調整、こういう面について一層の努力をしてまいりたいと考えております。
○井上計君 時間があればもう少しお伺いしたいこともあったのでありますが、時間がなくなりましたから、この生糸問題についてはまだ別の機会に私自身の感じていることを率直に申し上げながらもう少し検討、質疑を行いたいと思います。 農水大臣、お聞きいただいておりまして生糸検査所の問題等についてはどういうふうにお考えになりましたか、さらにこれから生糸検査所の縮小等について御努力をいただきたいと思います。 それから、きょうは質問をする予定はございませんでしたが、私は五十三年ごろからこれまた再三にわたって質問をいたしまして提言をしましたのは食糧事務所の問題、特に当時は膨大な米穀検査官を抱えておりましたが、それらのものが現在どのようになっておるのかということについてもお伺いしたいと思っておりましたが、また別の機会にお伺いいたしますけれども、あわせてひとつ農水大臣、御所見をお伺いいたしたい、こう思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 井上先生にお答えいたします。 先ほどの生糸検査所の廃止に係る合理化の問題等でございますが、これは局長の答弁したようなことでございますが、現在定員削減計画の達成に最大限の努力をしております。特に、実は今先生がおっしゃったようなことでございますが、結局専門分野からの配置転換についての再教育等いろいろ問題がございまして、現在六十三年度には百九十人程度の定員を維持するということでおりますが、今先生御指摘の点を踏まえましてこれからも合理化に努力いたしたい、こう思っておるわけでございます。 また、繭糸価格安定法の改正に伴ってでございますが、これは今局長の答弁したとおりでございますが、やはり実は絹が売れない、絹は非常に長所がございますが、高いとか、また生活費がかかって売れない、そんなことで大変いろいろな困難な問題を抱えておりますが、今度おかげさまで繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案が御審議いただきまして可決成立したものですから、これを踏まえまして絹需要の拡大を図りますとともに、需要の動向に即応した繭生産の推進とか、あるいは輸入絹織物、生糸等の抑制を図り積極的な需給改善を図るとともに、先ほどの事業団在庫の処理は十分価格の安定を配慮しながらやりたい、そんなことで絹需要の拡大を図ってまいりたい、このように考えております。
○井上計君 終わります。
○木本平八郎君 私、きょうは農林水産省関係で特に米作の問題、それについて質問したいわけです。 まず最初に、少しとっぴな例なんですけれども、実はこれは大阪の近郊で、周りはもうほとんど住宅地帯になっているわけですが、その真ん中に田んぼが二反歩、六十アール、それだけ残っておりまして、御主人はもちろんサラリーマンで、奥さんは全然農業をやっていない、子供たちも学校へ行っていて、その二反歩で人を雇って米をつくっているわけですね。それで自分たちの飯米にしている。それを全然売っていないわけです。あとは縁故米とか何かに使っている、こういう事実があるわけです。これについて所感的にこういう農家の存在というものを大臣としてどういうふうにお考えになるか。もう少し申し上げますと、こういうのを農家として認める、認めるべきではないというのじゃなくて、これは本当に農家と言えるのかどうか。どうしてそれじゃ無理をして、本人は日曜日もほとんど入らないわけですね、そういう農業を続けているんだろうかということについては、感触的にどういうふうに受けとめられますか。
○政府委員(関谷俊作君) お尋ねのような、大変周りの市街化の中で極めて小さい面積の稲作が行われている場合の問題でございます。これにつきましては、いわゆる私どもの統計等で農家として取り扱う場合には一定の規模以上というようなことでございまして、二反歩程度でございますと、これ自身は統計上は農家と扱われるというのが通常でございます。そのほか、例えば米の生産面に関係します食糧管理法の適用なり、それからあるいは転作なり、そういう面ではやはり米の生産ということで扱う、あるいは農業共済等についても同様でございます。ただ、これらの制度につきましては、あるいは農協の組合員資格等も同じでございますが、余りに小さい規模の場合には制度の対象からは除外したりあるいは任意的に農家の希望があった場合には入る、こういうような扱いをしているものがございます。しかし、全体としては農業生産なりあるいは農家であるという扱いをするのが通常でございます。
○木本平八郎君 それでお伺いしたいんですが、そこでやはり減反という問題があるわけですね。ところが、こういう農家は非常に減反率が高いという状況があるんですね。例えば大きな一町歩、一町二、三反歩やっているところは二〇%の減反率に対して、二八%から三〇%近い減反を負担させられているということがあるんですが、これについてはどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(関谷俊作君) いわゆる水田利用再編の場合の目標面積の配分の問題でございますが、これは市町村等で農家別に割り振ります場合に、私どもの承知しております多くの例は比較的作付面積割合というのが多いかと思います。ただ、やはり転作ということで考えますと、お尋ねにもございましたように、ある程度の規模の農家で農業の専業的な労力がある方が転作作物である野菜とか果実とかいろいろなほかの作物をつくる意欲がある、あるいは能力があるということで、かなり実際上は平均率よりも多くやや規模の大きい、したがって労力もある、こういう農家の方が転作を行う率が高いということは実態としてあると思います。
○木本平八郎君 こういう問題を取り上げてけしからぬとか何とか言うつもりはないんで、少し私の考えを申し上げますと、これは本人もはっきり言っているんですけれども、いずれ宅地に売るんだ、今売っちゃうと所得税がごっそりかかったり何かするので時期を見てうまく売るんだというふうなことを言っているわけですね。事実そうだと思うんです。ただ、それではむしろ減反に協力して二反歩ぐらいもうやめてしまって、もっと専業農家にその率を与えた方がいいんじゃないかと思うんですけれども、実はこれが非常に問題なんですよ。 これはどうしてかというと、彼らは自分の田んぼで本当にうまい米をつくりたいということなんですね。よその米を買ったんじゃ信用できないというわけですよ。これは非常に一般的にも言われていますし、私も何回かおかしいと思ったことがあるんですけれども、やはり自分でつくらないと本当のササニシキやコシヒカリは食えないという疑問が、少なくとも不信感が消費者にあるんですね。したがって、彼は自分でつくったら間違いない、しかも変な農薬を使わずに、収量は少なくてもいいんだというふうに言っているわけですね。私は本当に率直なところそうだと思うんですよ。私もそういう状況ならやはりそういうふうにやった方がいいなと思うんですね。 私はこれを問題にしたのは、こういうのに農政が引きずられているというか、そこに非常に問題があると思うんですね。食糧問題がもうほとんど解決した昭和三十年以降を考えてみても、もう三十年たっているわけですね。三十年たっていて一番日本の主食の中心である米の生産がこういう、何というんですか、恥部を抱えていると言ったらおかしいけれども、欠陥を引きずりながらやっているわけでしょう。そうすると、これはやはり大規模の専業農家はたまったものじゃないなという気がするんですが、その辺いかがでしょうね。
○政府委員(関谷俊作君) まず水田利用再編、俗に言う減反の問題でございますが、これにつきましては今御質問の中にございましたように、特に自家用米の生産が主体の農家の方にとって自分のところの飯米生産についてはいわゆる割り当ての除外ないし別扱いをしろ、こういうお考えが強いということは前から私ども承知しておりますが、ただ米の需給調整ということになりますと、やはりそういう自家用生産であるということの基準を設けるわけになかなかまいりませんで、全体としての米の生産能力を一部棚上げする、ほかの作物に変えていくというようなことでございますので、飯米生産農家にとっても同様にいわゆる減反を分担していただく、こういうようなことで転作を行っていただいているわけでございます。 それ以外に、全体としてそういう零細規模の農家の存在が稲作に与える影響という問題でございますが、私ども稲作の生産の合理化なりコスト低減あるいはそのために必要な大規模化ということを推進しておるわけでございまして、その場合には、やはり農家として見た場合には相当専業的に、またある程度の規模を持って、私どもの言葉で申します稲作の中核的な担い手となるような方たち、またそういう方たちを中心にした地域の機械等を使いました生産組織、こういうものの育成を主眼に置いているわけでございまして、現実にもいわゆるコストを見ますと、規模の小さい農家よりも相当規模の大きい農家あるいは生産集団としてやっておられるところ、これは大変生産費も低いし、そういうところにいわば合理化の努力がまたあらわれている、こういうことでございますので、私どもの考え方としましては、やはり稲作においては実質的なそういう規模の拡大を進めていく、これが政策の重点であろうと考えております。
○木本平八郎君 私が調べたところでは、現在日本全体の農地で大体一ヘクタール以下のものが五二%ある、それで一ヘクタールから二ヘクタールの間が二七%ですね、約四分の一、そして二ヘクタール以上が二一%だという数字になっているわけですね。これはどう考えてみましても、今のこれだけの政府の助成を得ても二ヘクタール以上ないとやはり農業を専業としては食っていけないんじゃないかと思うんですけれども、その辺農水省の見解はいかがでしょう。これは専業ですよ。
○政府委員(関谷俊作君) 日本の農家の場合には、全体の平均が一ヘクタールを少し上回る程度でございまして、その中で規模別の差というのがあるわけでございます。現在のところ、極めて徐々ではございますけれども、例えば二ヘクタール以上とか三ヘクタール以上というふうな大規模農家の割合あるいは生産数量に占める比率が少しずつ増大しております。ただ、では農業の専業的ないわゆる農業所得で生活が立つか、こういうことになりますと、これは確かにお尋ねのように、規模の小さい農家ではその農業所得で家計費を賄うことはできないわけでございます。したがいまして、私どもの政策としては、農業基本法にございます自立経営といういわば専業的な農業所得だけで他産業従事者並みの生活所得が上げられるという方たちとか、あるいはそれに準ずる一種の中核的な農家の方々、やはりそういう農業に専ら従事してそこで生活を立てていく、こういう方たちを育成していくようにいろいろな金融面、助成面でやっておるわけでございまして、そういう場合の規模と申しますと、やはり稲作でございますとかなり大きい三ヘクタールとか、地域の単位収入にもよりますけれども三ヘクタール、四ヘクタール、こういうようなところまでまいりませんと農家所得で専ら生活が立つ、こういうわけにはまいらない状況でございます。
○木本平八郎君 いや、私が実際に農業をやっている人から聞いた話も今のぐあい度と同じなんですね。これは、もうだれが考えてもそういうことなんですね。私が申し上げたいのは、これはこだわるわけじゃないですけれども、農林水産省の予算が三兆三千億ですか、そのうちで食管とかあるいは水田の基盤整備その他で一兆五千億ぐらい使っている、そういうふうに非常に多額の予算を毎年講じながら相変わらずこういうふうな構造をどうしようもない。これは、あるところまで私はどうしようもないだろうと思います、結果としては。しかしながら、私が非常に、これは後で問題にしますけれども、今までの農政がいわゆる農民対策、農村対策で今現在やっている人をどうしようかということばかりに振り回されてきて、本当に国の農業をどう持っていくかというビジョンがなかったとは言いませんけれども、結果的にはそういう方向に進んでなかった、そういうことだと思うんですね。で、私が後で問題にしたいのは、このまま食糧危機が起こったら都市サラリーマンは片っ端から飢え死にしなきゃいかぬわけですね。こういうのじゃ困るんで、早く米だけでも自立してもらわなければいかぬというのが私の一つの目的なわけですね。 例えば、今非常に大量の予算をつぎ込んで農用地利用増進法ですか、農地の流動化をしよう、中核農家へできるだけ田んぼを集中してやろう、そのためには集落ごとの営農集団をつくって何か二十五種類ぐらいの補助金がある。先日も私は問題にしましたけれども、この補助金の使われ方がおかしい部分もあるわけですが、これを進めながら昭和五十七年が二千九百八十市町村でこれをやって、利用権の設定済みが昭和五十七年に二・一%だった、それが五十九年で三%しか伸びない、ほとんど伸びてないということですね。これは一体どうしてこの再編がうまくいかないのかという点をお聞きしたいんですがね。
○政府委員(井上喜一君) お答えいたします。 農家の土地保有志向というのは非常に強うございまして、昔から田を分けるのはばかの代名詞のようなことで言われてきておることからもおわかりのことだと思うんですが、確かに農家におきましては、自分の土地を持ちましてそれで経営をしていくという傾向が従来から続いてきたわけでございます。ただ、最近の傾向を見ますと兼業所得の方がかなり多くなりまして、農業所得に依存する割合というのはだんだん低下をしてきております。それからあと農家が高齢化いたしまして、後継ぎのいない農家も非常にふえてきているような状況でございます。そういうことから、片や大規模化いたしまして、相当の小作料を払いまして農地を買えることができる農家もふえてきているわけでございます。 そういうような状況で農地の流動化といいますか、所有権を移転するということは、農地価格の現状からいたしましてなかなか難しいわけでございますけれども、使用収益権を設定することによりまして農地を流動化していく、こういう傾向が徐々に強まってきているわけでございますが、今御指摘のように、全体の面積の二・一%から三%ぐらいになっているという御指摘でございまして、非常にそのスピードは遅いじゃないかという御指摘でございますけれども、これも農地というような、何といいますか、従来農家が所有をいたしましてなかなか所有権の移転をしなかったそういう状況から比べますと、相当の変化ではないかと思うわけでございます。農地の流動化の条件というのは、ただいま申し上げましたようなそういう状況が続くわけでございますので、そういう状況を踏まえまして、私どもといたしましては使用収益権の設定という方法によります農地の流動化の方をこれから積極的に進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○木本平八郎君 先ほどの二反歩の農家の問題は極端かもしれません。しかし、彼もやはり値上がり待ち、宅地化できるというのを待っているわけですね。彼の子供たちも農業なんて全然やる気はないから、いずれは手放すに決まっているわけです。ところが、それじゃ小作に出せばどうかと、今のそういう利用に出せばどうかというと、出すと小作権が生じちゃっていざ自分が処分するときに困っちゃう。したがって無理をしてでもこれを保っていくんだということなんですね。 そこで、私非常に思うのは、今御答弁の中にありまして、これは私も非常に問題にしたいんですけれども、後継者難なんですね。後継者難で、例えば私が聞きました何でも一町三反歩、畑も入れると一町五反歩ぐらい今やっているわけですね、夫婦二人で。ところが子供がいないわけです。要するにこれはあともう十年、今五十五、六ですから十年がせいぜい十五、六年でもうできなくなってしまうという状況になるんですね。それで彼は今何を考えているかというと、この後田んぼ、畑をどうしようかということを一生懸命考えているわけですね。何とかこれ売れないだろうかというふうなことを一生懸命考えているわけですね。そういう状況にだんだん来ている。 それから大阪近郊で私の知っている範囲でも、米づくりだけじゃ食えなくなるものだからどんどん多角化するわけですね。小規模多角化をやっているからますます経営効率が悪くて失敗したり、キャベツつくってはだめになったり、タマネギつくってはだめになったりと、うろうろしているという状況がどんどんふえてきているわけですね。そういうことに対して、私は果たしてこういうことでそのまま進んでいっていいんだろうかという、非常に危機感と言ったら大げさなんですけれども、私は大阪近郊とかその辺の農村しか見ていませんから、山形だとか新潟とか、あの辺の大きなところは知りませんけれども、農水省としてこういう現象についてはどういうふうにお考えになっているのか、もう一度ちょっとお聞きしたいんですがね。
○政府委員(関谷俊作君) 現状で見ますと、特に今後の農家の問題としましては、いわゆる後継者が確保されてない。したがいまして、農家の将来という展望がなかなか持てない農家がかなり多いわけでございます。しかし反面、先ほど申し上げましたような、あるいは自立経営とか中核農家という農薬にかなり力を入れている農家では相当後継者がこれから確保される、あるいは既に確保されているという農家もかなりあるわけでございます。現在で見ますと、一年間に新規学卒者で農業に就業される方の数が、大体この前、五十八年で四千七百人ぐらいになってかなり減っております。しかし一方、最近の情勢を見ますと、三十四歳以下の方で今まで非農業に従事しておられた方が農業に就業する、俗に言うUターン的なものでございますが、これが年間二万人ぐらいになっております。 これは少し前にはもっともちろん多かったわけでございますけれども、三十四歳以下で見ますと、農業をやめてほかの産業に就職される方もおられますが、こういう広い意味でのいわゆる農業にこれからまた本格的に取りかかる方、こういう状況を見ますと、これはもちろん今後の政策としまして、そういう農業に打ち込んでいくという方たちのいわば確保、あるいは農業に意欲を持っていただくようないろいろな資金面あるいは助成面での配慮なり、こういうことを通じましてやはり基幹的な農業の担い手が確保されるようにということは、これからの政策の上での大変重要な課題だと思っております。
○木本平八郎君 民族として考えた場合、農業高校を出た人が農業で飯を食えなきゃおかしいし、食えない社会というのはやはり病んでいるという私は決めつけ方をするわけですね。まさに今日本はそういう状況なんじゃないか。今の御答弁で、Uターンしてやりたいという人が出てきているというのは非常にいいと思うんです。ただ、これはもう経済原則ではっきりしているのは、人間というのはもうからなきゃやらないということなんですね。それで、今何とかもうけさせてやる、何とか飯を食わせてやるという農政で来たと思いますけれども、やはり今後はもうかるという方向、努力すればもうかる、そのかわり先ほどの、私は悪口を言うわけじゃないけれども、二反歩でいいかげんなことをやっているのはもうからなくなる、採算が合わなくなるというふうにしていくのが私は農政として一番必要なんじゃないかという気がするんですね。 その点で、次の問題で転作の問題なんですけれども、転作奨励金というのがあるのでかえって農政をゆがめているんじゃないかという感じもあるわけですね。変にやるよりも転作奨励金をもらって、例えば永年作物だったら何か八万円ですか、これ何か植えて植えっ放しにしておいて、後は人を雇ってちょこちょこっと草でも取ればそれで済んじゃうというふうなことがあって、私は転作というのは一時的な緊急避難だと思うんですね。こんなものでいつまでもずっと続けていくというのはおかしいので、やはりもうあるところでこういう転作というのはやめて本来の姿に持っていくというのが行政のやり方じゃないかと思うんですがね。その辺で、今後の転作政策というか、その辺の政策はどういうふうにお考えになっているか、お聞き。したいんですがね。
○政府委員(関谷俊作君) 転作政策につきましては、現在水田利用再編対策の第三期対策ということで、これが六十一年度まで実施する予定で今取り組んでいるわけでございます。長い目で見た場合に、先生のお尋ねのような一時的という、そういう見方がとれれば私どもも非常によろしいのでございますけれども、現在の米の需給関係から見ますと、やはり全体として見ますと、今の水田にいっぱいいっぱいに米をつくりました場合、これが千三百万トンを超すような状況でございまして、需要の方は最近減少度合いが少しテンポが落ちておりますけれども、それでもまあまあ一千万トン前後ぐらいではなかろうかという見通しになりますので、やはり水田面積から見ますと四分の一とか、かなりな割合をいわゆるほかのものをつくっていただかなければならない、こういうような状況にあるわけでございまして、これが五年なり、あるいはさらにもっと先を見ました場合に、そういう基本的な需給関係はなかなか改善される見通しがございません。したがいまして、手法としては、奨励金手法というようなことで取り組んでおりますこの手法の問題いろいろございますけれども、基本的にはそういう米の生産調整、転作という政策を続けなければならない、こういう状況にございます。 ただ、これがお尋ねのようなことで、何か零細農家を維持するというところまでの効果、作用を積極的に果たしていると私ども必ずしも考えておりませんで、零細農家がそれとして維持されているというか、あるいはかなり農業を続けているにはそれなりの、なかなかすぐに農業をやめていくわけではない、やめる気はない、こういうような農家の事情というものがかなり強く作用しているのではなかろうかと考えております。
○木本平八郎君 中核農家の生産シェアが米の場合三一%ですね。ほかのものは九〇%、あるいは少ないのでも六〇%以上あると。この三一%という数字はやむを得ないとお考えになっているのか。もう少しやはり何というんですか、国の農業のあり方としては、米における中核農家の生産シェアというのはこのぐらいのパーセンテージであるべきであるというふうにお考えになっているのか、その辺はいかがですか。
○政府委員(関谷俊作君) 米の場合で中核農家の生産シェア、確かにほかの作物から比べますと少し低いわけでございます。ただ、米で幾ら、何で幾らというわけでございませんけれども、基本的な考え方としては、私どもは中核農家という本当に農業の担い手になる方は多ければ多いほどいい、こういう考え方に立っておりますが、現状で見ますと、この前の「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」というときに、六十五年あたりのところでいろいろな見通しをしたわけでございますが、その場合に大体大ざっぱに申しまして、日本の農地の大体六割ぐらい、このぐらいのところが中核農家が耕作する、こういう状況までは何とか努力して持っていけるのではなかろうか、あるいは持っていきたい、こういうような見通しはいたしております。 したがいまして、現在の農地流動化の状況なり農村の状況から見ますと、やはりそう急テンポに中核農家の数なりシェアをふやすわけにはまいりませんけれども、そういうような見通しのもとにできるだけ生産の割合を高めていく、こういうことで努力を続けていくべきものだと考えております。
○木本平八郎君 それからもう一つ、農業所得の中で米というのはもう六%になっているわけですね。どんどんウエートが減っているという状況については、これでいいのかどうか。あるいは日本の場合、米というのは非常に中心になる穀物ですから、もう少しこれのウエートを高めなきゃいけないのか、その辺のお考えはどうですか。
○政府委員(関谷俊作君) これは農産物需給の問題にやはり基本的な視点を置かなければいけないわけでございまして、所得の割合で米に幾らでなければならないという観点よりは、これからの需要の動向を見通しまして、日本の農地を十分に効率的に使った場合に、需要の動向に応じてつくるとすれば米はどのくらいつくれる、あるいは果実はどのくらい、野菜はどのくらい、それからほかの大豆、麦等はどのくらい、こういうような需要の動向に即しました生産の見通しを立てまして、そこから一つの農業所得の割合も決まっていく。やはり一口に言いますと、需要の動向に応じて農業生産を編成がえしていく、また誘導していく、こういう考え方で生産政策を進めるべきではなかろうかと考えております。
○木本平八郎君 私は余り農政のことはよくわからないのですけれども、私の感じでは、農政というのは膨大な行政だと思うのですね。これが三十年間か四十年間があるいは戦前からかもしれませんけれども、ずっとどんどん進んできたと。私の感じでは、ある意味じゃひとり歩きしてきて、農政というのはその後追いで、後始末でもう振り回されてきている、それであっちこっちもう矛盾ができて非常にゆがめられた形になっていると私は見ているわけですね。 こういうふうな状況の中で、いろいろ原因その他があると思うのですけれども、現実に、これはついこの間雑誌に出ていたので事実かどうかは知りませんけれども、埼玉県で、あの辺ですから花卉だとか花だとか野菜だとか、そういったものにどんどん者やっていくと。それで田んぼをお守りできないんで、それをどんどん小作を引き受けて夫婦二人で十八ヘクタールか何かづくっている。その人の意見では、いやまだまだうまくやれば二十五ヘクタールぐらいまでやれるんだ、こう言っているわけですね。それから現実に、例えば今圃場整備を三反歩——三十アールですかなんかでやっておられるわけですけれども、私はもうこれはまさに農政の姿を見せていると思うんですね。 これはどうしてかというと、一つの農家の持っている単位が三反歩ぐらいだからそれを中心にして整備しでいっている。そうしないと、例えば一町歩で三転入ってくるとこれ非常に分担が難しくなるというふうなことだと思うんですね。したがって本当は六反歩ぐらいでやりたいと、本当はもっと平地なら一町歩とか大きくして、大きなトラクターではっとやれば効率がいいに決まっているわけですね。ところが、現実に合わして圃場整備をやろうと思うと三反歩になっちゃう。三反歩というのは、だれが考えたってこんなもの、もうコストばかりかかるわけですね。三倍になったからコストが三倍かかるわけじゃないですよ。ところが、現実にはそういう後追いしかできていないというのが私は現状じゃないかと思うわけですね。 それから、だれが考えてもとにかく三反歩でやるよりも一町歩でやった方がキログラム当たりの米の値段、コストが安くなるということはもうはっきりしているわけですね。これはもう現実にやっている農民の人に聞いたら、今田んぼがあっちこっちに分かれていると。午前中はあっちで田植えして、こっちはまた午後と、もう効率が悪くてかなわない、だから田んぼを交換して一カ所にまとめれば半分の労力で済んじゃうと言うわけですね。そういうこともあるので、やはり私は、その人の意見でもあるし、その辺の篤農家たちの意見でもあるわけですけれども、現在の生産者米価の五五%でも引き合うと、だから思い切りつくらしてくれと言う人もおるわけですね、篤農家で。それから大規模にすれば約六七%でやれる、コストが下がるということも現実に言っているわけですね。 そうしますと、やはり先ほどの埼玉県の夫婦二人で十八ヘクタールというなには、これは十アール当たりのコストが日本の平均十二万円に対して四万八千円ぐらいですか、約四割ぐらいで生産しているわけですね。小作料を払っても十分に食っていける。こういうふうに、だれが考えても大規模化すればもうコストが下がる、もうかるということはわかっているわけですね。それがやはりやれない事情はいろいろあみと思うんですけれども、私ははっきり言って、この何十年間農水省が余り必死になってその問題には取り組んでこられなかったんじゃないかと思うんですよね。現在何かやはり相当な障害があるわけですか。
○政府委員(関谷俊作君) 稲作のコスト低減合理化の場合に、先生お尋ねのようないわゆる規模拡大が一番基本的に大事であるということは御指摘のとおりでございまして、今埼玉のある例を御紹介になりましたが、今回国会に出しておりますいわゆる農業白書にも、低コスト稲作の事例としましてここには二つの例を掲げておるわけでございます。 一つは、借地による個別農家の規模拡大でございまして、これは経営面積十二ヘクタールでございますが、その中の自作地が三・五ヘクタール、したがいまして残りはすべて借地である、しかもそれがお尋ねの中にございましたような集団化を図っておりまして、水田は二カ所に集団化しているというようなことで大変生産性が高いわけでございます。この農家、家族労働力三名、うち男子一名でやっていましてトラクター二台を持っておりますが、六十キログラム当たりの第一次生産費が県平均の約一万八千円に対しまして八千円程度、こういうようなことでこれは一つ借地という方向、そのほか若干作業の受託も加えております。 こういう個別農家の拡大方式と、それからもう一つ事例的に挙げておりますのは、全農家参加のいわゆる集落単位の集団栽培というような方式でございまして、参加農家、これは専兼含めまして五十二戸、広島県の例でございますが、水稲作付面積二十三・六ヘクタール、こういうようなことで、この場合にも今の六十キログラム当たりの第一次生産費が県平均二万二千円余りのところ九千円ちょっと、こういうような例が見られております。 こういう方向が簡単に申しますとあるわけでございまして、一つは個別農家の規模拡大、もう一つは生産のいわば組織化という地域単位での規模拡大に取り組むということで、私どもとしましては先ほどお尋ねのございました、例えば農用地利用増進法のようなああいう利用権設定による規模拡大と同時に作業の受委託、これはいろいろな機械銀行とか、そういうものを使いまして組織化を図って規模拡大をしていく。それと一方、生産の組織化ということで集団的な農業を進める、これにつきましては、こういうことを考えましたのは最近のことではございませんで、既に農業基本法が出ましたとき以来、こういう意味での規模拡大、両面の道を考えながら進めていこう、こういうことで取り組んでいる次第でございます。
○木本平八郎君 そこで、私のまたこれはアイデア、一つの提言なんですけれども、要するに農民だけじゃなくて、日本人すべて土地というものに非常に執着があるわけですね。それで、先ほどの二反歩のサラリーマンのように、これ今農地としては必要ないんだと、本当は。それはササニシキとか何とか自分でいい米を食いたいということはありますけれども、それは二の次であって、これ手から放してしまうと再び手に入らないということがあるわけですね。それで、将来有利に売りたいということがあるわけですね。 そこで私は思うんですけれども、こういう農地——農地だけじゃなくてもいいんですが、とりあえずは農地を農地債券にするわけですね、一反歩なら一反歩の債券にする。それを国が債券で引き受けてやる、それで所有権はそのまま残しておくわけです。そして、国が責任を持ってこれを協同組合あるいは中核農家に出してやる。小作料は今一万九千円ですか、十アール当たり。これは数字を確かめたいんですけれども、これはどういう形にしても払うとして、ただしその土地は債券化されているので、利用については国がもう全部引き受ける。しかしながら、これを将来宅地に売るあるいはそこへ道路をつける、あるいは公共用地として収用する、そういったときには初めて所有権の移転が起こるわけで、そのときには時価で、国土庁が毎年査定されているわけですから、それで地主に払ってあげるというふうなことで、債券のままでずっと子孫まで遺産相続でやればいいわけですね。そうすると、土地として遺産相続するか、債券としてやるか、それだけの差だと思うんですね。そういうふうな処分権のようなものが保障されていれば相当やはり出すんじゃないか。それで自分が持っているといろいろ管理費が必要ですから、それをむしろだれかに預けてしまった方がいいんじゃないかという気がするんですが、こういう構想についてはいかがでしょうか。
○政府委員(井上喜一君) ただいま御提言になりました主張につきましては、いつぞやだれかからも御発言があったことかと思いますけれども、農地をなかなか農家が手放さないという理由は、それが生活の糧になっているということもございますけれども、他面非常に貴重な財産、資産でございます。この資産の管理ということに非常な注意を払うということは当然だと思います。農地の賃貸借が進まない理由の一つは、だれに貸してもいいというぐあいには考えていないわけでございまして、やはり貸す相手方を見まして、十分農地を管理してくれる人、また小作料を確実に支払ってくれる人、こういった相手を十分見きわめた上で賃貸借をしているというような状況ではないかと思います。そういう点におきまして、今のような構想で地権者の方が果たして同意をしてくるのかどうかという点は検討を要すると思います。また、農地の借り手といたしましても、ある程度長期間借りるということがありませんと必要な農業投資ができないわけでございます。そういう意味におきまして、耕作者の権利の安定ということも同時にあわせ考える必要があるわけでございまして、そういう両方の面からの検討の結果、御提案のような制度がうまくいくということであれば我我としてもさらに検討してみたいと思いますが、ただいまの段階ではなかなか問題も多いんじゃないかというのが私の第一印象でございます。
○国務大臣(佐藤守良君) 木本先生にお答えしますが、非常におもしろい構想だと思います。私は、民間の信託方式を恐らく今先生は国にかえられたと思うんです。民間の信託の場合は、生保とかあるいは銀行が信託の中心になりまして土地の所有権を持っていると。そして一度所有権を返すと。それから仮に処分する場合は証券の一部を時価で換算するということでございまして、これを国に置きかえるということ。それで、国ならば恐らく私は今の内閣は信用できるんじゃないかと。 ただ、一つ問題は、今局長が言ったようなことで、土地につきまして農家の皆さん方というのは、土地と紙切れという問題がありまして、紙切れと言うと語弊がありますが、証券をどの程度信用するかという問題が一つはあるわけです。やはり土地は目の前に見ている。そんなことがございますが、私は今の話を聞いておもしろい構想だと思います。これは検討さしてみたいと思います。特に、大蔵大臣もいらっしゃいますが、大蔵大臣はその点は実は権威者の一人でございまして、よく相談して——これは検討に値すると、こう思います。検討してみたいと思います。
○木本平八郎君 私は、もしも債券化できれば、例えば今地主が圃場整備をやろうと思っても、二反歩の地主が真ん中におって、おれは反対だと言うとなかなか組合として説得が大変だということがあるわけですね。これが債券化されちゃうと、もう一遍にわっと大きくつくっちゃう。それで、この地番のここの部分の所有権者はだれのだれべえということでずっと残っていくわけですから、非常にやりやすいんじゃないかと。それからやはり減反の問題も、もうそういうことをお構いなしにやれると。私は、これは差し支えがあるかもしれませんけれども、今の減反政策も、むしろ零細規模の〇・五ヘクタール以下は非常に減反を厳しくして減反の奨励金を出す、それで大規模の方にはどんどんつくらせるということが本当は僕は国民経済上はいいんじゃないかという気がするわけです。そういう点から、やはり債券を出すのは、これは市区町村ではちょっと信用度が少ないんで、ぜひ国で考えていただきたいと思うわけです。 しかも、これは特に東京とか大阪とか、こういう大都市近郊はできるだけこういう制度をとっていただいて、それで大都市の場合には宅地に転用するとかという問題、住宅政策が非常に大きいですね。今これ非常に皆さん無理なさっているんで、それじゃそのときに一挙に所得税をかけずに、これを二十年とか三十年こうやって、できるだけ農家が土地を供出しやすいようにひとつ考えていただく方法もあるんじゃないかと。だから、きょう現在供出された農地が宅地に転用されて、そこで東京の練馬区なら練馬区で住宅になりますね。ところが、その人は、自分がまだそれを承諾しないということであれば、ずっと農地のままで持っているわけですね。現実にはもう建物が建って団地になっているわけですね。昭和八十年ぐらいになってそろそろあれの半分ぐらいをおれは売りたいということになると、そこで自分の持っている債券を宅地にかえると、そのときの時価でその土地が坪百万円していれば百万円で買ってくれるというふうにすれば、持っている方も今何も金に困らないから売ることはないんだと、しかし昭和八十年になって要るというふうなこともあるわけですね。そういうふうなことをちょっとこれは思いつき程度で結構なんですが、御所感で結構なんですが、大蔵省として、財政の問題は別にして、税法上そういう扱いというのはやはり相当無理があるものでしょうかね。
○国務大臣(竹下登君) 今の議論は農地の宅地並み課税のときに一遍あった議論、それから今の農業の後継者に対する相続税の問題、これは特例がございます。したがって、今のような問題がどのような形で税体系の中で議論できるのか。それから話を聞いておりますと、ある種の信託方式みたいな感じも先生のおっしゃる意見がしますので、にわかにお答えするだけの準備がございませんから、少し勉強の時間をやってくださいませ。きょう、税の専門家が来ておればまた別でございますけれども、来ておりませんものですから。
○木本平八郎君 それで農地の問題に話を戻しまして、私は、この農地債券で債券化してどんどんやっていくということと同時に、中核農家を積極的につくっていかなきゃいかぬと思うんですね。そのために、これまた税制の問題なんですけれども、我々サラリーマン新党としては不公平税制の一番の対象に農業所得を挙げているわけですけれども、例えば農業所得ですね、これは今三百億ですよね。三百億ぐらいもういいから、むしろ農業を専業でやる人には当面そういう所得税を免除するとか、固定資産税も要らないと、これ地方によって違うでしょうけれども、坪八円ぐらいですか。それから相続税も専業農家が専業でやっていくのなら要らぬと、これは地方の財政の問題もありますけれども、やはりそのくらいの思い切ったことをやって、それで私はこれはちょっと不公平税制をやかましく言っている立場としてはぐあい悪いんですけれども、全体の税から見たら今これを全部取ってみたってどうってことないから、むしろこれを逆に利用して、エビでタイを釣ると言ったらおかしいんですけれども、そういうことでうんと奨励してできるだけ早く中核農家をつくっていく。今の御答弁では、一生懸命やっているけれどもいつになるやら、二十世紀中にはまず私はできないと思うんですよ。そういうことじゃなくて、何としても早くやるんだというふうなことで、税制面も考えていただいてアクセラレートするというふうなことは農水省いかがでございますか。
○政府委員(田中宏尚君) 中核農家が稲作経営の大宗を占めるということは我々としてももちろん望ましい話でございますけれども、先ほど来議論がございますように、何といいましてもこういう土地利用型農業にとりましては土地問題、特に宅地を含めまして全体的な耕地化、それからしかも土地に対する日本人の感覚的なへばりつきぐあいというものは農村におきましては都市以上に強いわけでございまして、こういう心理的なものなり耕地化という経済問題、こういうものの克服ができない限りは土地利用型農業につきましては残念ながらいろいろな限界があるわけでございます。 それから先ほど来の御指摘あります、特に先生からありました大阪近郊の問題、これにつきましても、やはりああいう都市近郊におきましては土地利用型農業で今後経営として、産業として生きていくということはなかなか難しゅうございまして、日本国全体の中でもそれぞれの地域特化といいますか、例えば米でありますと東北でありますとか北陸、あるいは酪農でありますと北海道とか南九州、東北等、こういうところに特化しながら、それぞれの地域の情勢というものを反映して考えていかなければならないと思っておるわけでございます。したがいまして、都市近郊におきましては、そういう土地利用型の米であるとか、あるいは麦であるとか大豆であるとか、こういうものじゃなくて、蔬菜でございますとか園芸でございますとか、こういう土地に依存しなくて、いろいろ資本装備なり機械、こういうものでやれる農業というもの、そこの地域にふさわしい農業というものでやはり生きていくということが肝要かと思っております。 いずれにいたしましても、土地利用型農業につきましても、できるだけ規模を拡大して生産性を上げていくということは我々にとっての急務でございますので、土地問題という難しい問題はございますけれども、先ほど来の議論に出ておりますように、農用地利用増進事業でございますとかああいういろいろ新しい仕組みをつくりまして、所有権の移転じゃなくて、利用権の集積なりあるいは地域ぐるみでの受委託というような実質的な利用規模の集積ということにつきましていろいろな法制度もできましたし、いろいろな積み上げというものも局地的には出てきておりますので、そういう芽というものを地道に伸ばしてまいりたいというふうに考えております。
○木本平八郎君 そういう点で、例えば一町歩持っている人が今一町歩では米では飯を食えないと、したがって施設農業とか野菜とか、そういうものにかわろうと思っても、そういうものは二反歩からせいぜい三反歩ぐらいがもういっぱいで、それ以上手が回らないわけですね。そうすると、あとの残った七反歩は、本当は小作に出したいんだけれども、何とかお守りをしなきゃならぬと。それでこっちも中途半端、あっちも中途半端でもうからないし、おかしくなっていくというふうなことがあるので、ぜひ債券化して、自分がここで施設農業をやるのなら二反歩だけでいいんだ、あとのものは債券化するとか、やはりそういうふうなことをぜひお考えいただきたいということをお願いしたいわけです。 ちょっと時間が中途半端になったので、残ったのはまたこの次の機会にやりますけれども、一つ基本的な問題として、農水省で六十年度予算で米の消費拡大対策費を二百八十七億円要求されておって、その中で米についての正しい知識の普及啓発として五億七千五百万円計上されていますね、この数字がいいかどうかはお確かめいただきたいんですけれども。現実に米の消費がどんどん減っている。昭和三十五年には三百十五グラム一人が一日に食べていたのが、現在では二百七グラムだと。終戦のときの配給米の二百五十四グラムを割っているというふうな数字もあるわけです。こういうふうに米離れを起こしている原因というのは一体どういうことなんだろう。これ、一生懸命啓蒙されようということなんですけれども、私は端的に言って米が高いからじゃないかと思うんですが、その辺は食糧庁はどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(石川弘君) 米の消費でございますが、これは御承知のように食生活の多様化、高度化といいますか、要するにかつてのように主食で腹いっぱいにするという食い方じゃございませんで、その他のいろいろな副食物を非常にとり合わせて、私どもは日本的食生活と申しておりますけれども、米というものを真ん中に置きまして、たんぱく質一つにしましても植物性たんぱくの大豆もとるし、それから肉といいましても牛肉、豚肉、鳥肉さらに魚などといろいろなものをとり合わせてやっておるわけでございまして、いわゆる主食部門の量の低下といいますのは、米が高いから食べないということではなくて、やはりそういう副食によるカロリー摂取、バランスのいい食事を促していると。 この問題は、量としましては確かに減ってきておりますけれども、実はこの日本的食生活の定着化と申しますか、減り方が大変減ってまいっておりまして、五十八年度は対前年比で〇・九という今までにない至福な減り方でございます。私どもも米だけを食べるというのじゃなくて、この日本的食生活を定着させるというのが結果的に国民の健康のためにもいいわけでございますので、今お尋ねのありましたそういう食生活等の定着化のためのいろいろな消費宣伝、これは単に物を余計売るという感じじゃございませんで、その経費の中には、お医者さんなんかともいろいろ相談をしまして健康のためにもいい食生活を定着させるというようなこともやっております。そういうことで減ってはおりますが、かって麦が初めはふえておりましたけれども、もう現在一人当たりで一年間三十一キロ水準でほとんどとまっておりますが、それと同じように米も一定の水準のところで大体定着する、それをねらっているわけでございます。
○木本平八郎君 したがって、厚生省のような御答弁をいただいたわけですけれども、食生活というのは確かに今の御答弁のようにバランスのとれたものの方がいい。したがって、今後ともどんどん米の消費が減っても国民健康上はいいんだということは、当然これ政府としては考えられると思うんですね。食糧庁としては米の消費が減ると困るから何とかふやそうということですけれども、私はここで申し上げたいのは、今までの農政が、どうしても生産者の生産費補償とか、そういう雑な言葉で言えばもうかることばかり考えていて、米の値段を下げていこうという余裕がなかったのかもしれませんけれども、そういう発想がなかった。したがって、やはりこれはもう消費者としても高い物からどんどん離れていくのは理の当然なんですね。そういう、いわゆる私なんかから言わせれば経済原則を無視していたということしか考えられないわけです。この辺で少し経済原則を導入して米の値段を安くしていくと。そのために私は先ほどの農地の集約化とかいろいろなことを申し上げているわけですね。 これは私、補助金が多いとか少ないとかいう議論はもちろんありますけれども、そうじゃなくて、農政の物の考え方を、今まで過去ずうっとこうやってきたから来年もこうやるんだということじゃなくて、もう少し基本的にお考えいただかないとあっちこっちに矛盾ができてくると思うんですよ。私、あえてそれを意地悪く言うわけじゃないんですけれども、ついこの間も山形県の食糧の問題が起こりましたね。ああいうことも、私はそれがけしからぬとか、あの関係者がどうのこうのというんじゃなくて、一つの長い間の食管法のあえて言えばゆがみですね、時代の流れに対して食管法がついていってない、いけていない点があると思うんですね。したがって私、実はきょうは食糧法というものを改めて考えるべきじゃないかということを御提案したかったんですけれども、ちょっと時間がないので次の機会に譲ります。 皆さんが米というのは非常に大事だとおっしゃられる。私、最後にあと少ししか時間がないので申し上げますけれども、これは去年の予算委員会でも申し上げましたように、今現在、世界的には食糧の需給関係は非常に供給過剰の状況にあるわけですね。ところが、アメリカが一たん異常気候なんかに見舞われた場合、一遍に世界的な食糧不足が来るんじゃないかと。そのときにたまたまソ連が大豊作だったとか何とかでうまく救われるかもしれません。しかし、現在これはやかましく言われているように、食糧の自給率、えさも含めると三二%ですね。主食だけで六九%ですか、そういう状況の中にあって、これ食糧危機が来ると、それは政府としてはいろいろアメリカと友好関係があるから日本に優先的に食糧を送ってもらえるようにという手配はなさっているんだろうと思いますが、余りどうも当てにならないような感じもしますけれども。そこで、そうなると我々都市サラリーマン、少なくともここにおられる方々は一遍に餓死なんですね、今の都市サラリーマンというのは生産手段を全然持っていませんから。 そういうことを考えた場合に、今のような農政のあり方でいいのかと。これは去年の予算委員会でも申し上げましたけれども、私は、やはり今日本で一番得意の作物は米なんだから、米のフル生産をやるべきだ、減反なんか全部やめて、休耕田に全部やってフル生産やるべきだと。そうしたら、山村農林水産大臣が非常にうれしいことをおっしゃっていただきますというような答弁がありましたけれども、決して乱そういう意味で言っているんじゃなくて、やはりフル生産して、そして余っているものはアフリカなりああいうところに出して、飢餓、難民救済に送り込んでおいて、飢饉が来たときにはそれをストップして、日本人一億二千万が生き延びるようにしてほしい、したいということを提案申し上げたわけですね。 そのときに大蔵大臣も嫌な顔をしておられましたけれども、私はこれは細かい計算ありまして、去年の会議録を見ていただければ全部出ているんですけれども、年間に二千億円ですよ、二千億円十五年間やれば日本で多収穫米、ハイブリッド、中国九十一号みたいな多収穫米をやれば私の計算では千八百万トンとれるはずなんです。これは大体専門家もそういう意見なんですね。そうしますと二千四百カロリーぐらい、これは昭和三十年程度のカロリーを何とか保てるわけですね。私は現実に中国九十一号も鴻巣まで行って試食しましたけれども、結構食えるんです。我々が食った黄変光なんかよりよほどうまいわけです。そうなったら生きなきゃいかぬわけですからうまいまずいなんて言っていられない。日ごろは、平時はコシヒカリとかササニシキ、うまい米をわずかつくっておいて、それでこれを千三百万とかぎりぎりにつくっておいて、それでいざとなったらそういう多収穫米に切りかえて日本人が生き残るということを去年提案申し上げたわけです。 今使っている機業の補助金が一兆五千億ぐらいですね。それに対してわずか二千億円、一兆五千億円をやめて二千億円やったってそれだけのことが、安全保障ができるわけです。これは農民の経済とか何とかはちょっと別にしてですよ、これだけ、食糧の安全保障だけを考えて。そしたら、だれが考えたってこんなことはもう当然やるべきじゃないか。今の間にやっておかなければ、農地というのは荒らしちゃうともう生産力ががたっと落ちますから、二、三年かかりますから、地方が回復するまでに。日ごろから一〇〇%に保っておかなければいかぬですね。それを今だったらやれる。しかも二千億円でしょう。一兆五千億円のかわりに二千億円で十五年間でやれるわけです。この辺は去年の予算委員会で申し上げたのですけれども、農水省として御検討いただいたのかどうか、お聞かせいただきたいのです。
○政府委員(石川弘君) 最初に私、米を減らしていいと申し上げているのではないので、そういうバランスのいい食事、でん粉質とたんぱく質と脂肪がバランスよくある今の日本的食生活の中では、これ以上実はでん粉質を減らして例えば脂肪なりたんぱく質にやることは決して望ましいわけじゃございませんので、現在程度の米の消費というのはいいのではないかということで申し上げたので、ちょっとその点追加さしていただきます。 それから先生からかねがねそういうようないろいろなお考えがあることを私も決算委員会等でもお聞きをいたしておりますので、今転作等をやっておりますのも、結果的にはいざというときに備えて日本のすぐれた水田の生産力を温存しようということでございます。ただ、現状は御承知のように、今の日本の国では米の消費量というのはほぼ一千万トン程度。先生のおっしゃいますような千八百万トンということになりますと、単年度需給でいえば大きく需要を超すわけでございます。そういうことになりますと国内で消費はできない。結果的には、それではそのほかに国内でもっと自給してもいいものがあるのではないか。例えば、食用の大豆だとかそれから麦の一都だとかあるいはその他のものということで、それを転作作物としてやっていただいている。しかし、もし本当に外国からの供給が途絶えれば、最も単位当たりで生産力の高いのは米でございますから、それは米の方にどんどん転換をされていくだろう。その場合に食生活の内容として、今のように例えば米も食う、肉も食う、卵も食べるというような食生活じゃなくて、どちらかというとでん粉質に比重が置かれた食事に変わると思いますので、趣旨におきまして私どもがやっておりますことは、そういう将来の有事の際も頭に置きながら、しかし現実のやはり米の需給あるいはその他の農産物の需給ということも考えてやっているということでございます。
○木本平八郎君 最後に、要するにそういうふうな危機対策のようなものも考えて食糧政策というのはぜひお考えいただきたい。それで私が繰り返して申し上げますように、これはわずか二千億と言ったらおかしいのですが、今度の、今これだけ紛糾している補助金の削除が二千億円なんですけれども、しかも食糧関係の一兆五千億円が減るわけですから、これ相当な効果があると思うんですね。ただ、一挙には減りませんけれどもね。 そこで、最後にこれは感想を申し上げたいんですけれども、現在の農政については消費者も決して満足していないわけです。それで、先ほどなにがありましたように、小売商の米屋さんも不満を持っている。そのほかにもあるかもしれません。しかも、農民自身が現在の米づくりの農政については非常に不満を持っているわけですね。こういう点はぜひ考えていただいて、食糧法というふうなものを根本的から考えていただく必要があるんじゃないかと思うわけです。 それから最後に大蔵大臣に重ねてお願い申し上げますけれども、わずかと言ってはなんですけれども、二千億円ですかげ、これで一億二千万の人間の食糧危機対策ですね、安全保障ができるということであれば、これはもう一度専門家に計算していただきたいんですけれども、こういう非常に財政の厳しい折ではありますけれども、そういう食糧の安全保障という点からぜひ大蔵省としても前向きに御検討いただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(佐藤守良君) 木本先生にお答えいたします。 いろいろとありがとうございましたが、実は一つ先生から今の状態でいけば日本国民は餓死するんだという話が出ましたが、そういうことは絶対ございません。これは、お米を主食として一億二千万の国民にいついかなる状態でも安心して供給できますということをひとつ御理解願いたいと思います。それは農政がよかったということになると思います。 それから次に、お米は安いんです。これは、よそと比較して日本の土地はいわゆる使えるのは三割なんです。三割の中に実は農家人口が五百万世帯あって非常に努力しております。そんなことで、まあずうっといろいろな意見がございましたが、百グラム三十五円、こんな安いものはございません。どうでしょうか、茶わん二ぜんて。その点で特に国際価格との比較でございますが、日本としては大変努力しておる、そういうことで御理解願いたいと思います。 そうして、もう一つは非常に経済合理性、頑張っておりますから何分のこれから御指導。 それから先ほどの土地信託制度、これはおもしろい構想です。これは大蔵大臣もちょっと笑顔をしておりますからね。税制等その他の問題、その他自治大臣との問題もありますが、大いに検討してみたいと思いますので、どうぞよろしく御後援お願いいたします。
○委員長(桧垣徳太郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。 明十六日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時八分散会