農林水産委員会 第22号
- 発言数
- 271 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/06/11
会議録
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○塩出啓典君 まず最初に、農業者年金制度は昭和四十六年に創設をされまして、今日まで七回にわたる制度改正が行われ今日に至っておるわけでありますが、この年金は、農業経営者の農業経営の細分化防止とか中核農家の規模拡大あるいは経営主の若返り、こういうような政策目的をもってスタートしたと承っておりますが、十四年を経過いたしまして、その政策的な効果をどのように評価しているのか。 また、十四年前とかなり情勢は変わってきているわけですが、この目的は変更ないのかどうか、検討する必要はないのかどうか、その点を簡単で結構ですから答弁してください。
○国務大臣(佐藤守良君) 塩出先生にお答えします。 あとの具体的数字等につきましては局長から答弁させますが、先生御指摘のとおり、この制度ができましてから約十四年を経過しております。経営移譲の促進を通じまして四つの大きな役割を果たしてきたと、こう思っております。 その一つは、農業経営の細分化防止、二つ目には、中核農家の規模拡大、農業経営主の若返りが進んでいる、それとともに農業者の老後保障という四つの大きな役割を果たしてきております。 その具体的効果につきましては、局長から答弁させていただきます。
○政府委員(井上喜一君) 経営移譲を通じまして若返りを促進し、かつまた経営規模の拡大等を図っていくということでございますけれども、若返りにつきましては、三十五歳未満の経営主に経営移譲をするという割合が八〇%を超えるようになってきておりまして、この点について相当の効果が出てきていると思います。 また、経営移譲につきましても、後継者移譲と第三者移譲、二つのタイプがありますけれども、後継者移譲につきましても一括移譲という割合が八割近くになってきておりまして、細分化防止については一定の効果を上げてきていると考えております。 また、第三者移譲につきましても、これは直接的に規模拡大の効果があるわけでありますけれども、都府県なり道南あるいは道北につきましても、それぞれ相当の効果が出ておりまして、都府県につきましては一・八五ヘクタールが経営移譲後二・四五ヘクタールになる、あるいは道北につきましては一七・三〇ヘクタールが移譲後平均で二一・二五ヘクタールになる、こういうことでかなりの効果が出てきているわけでございます。経営移譲後の経営の動向につきましても、さらに経営規模を拡大していく、こういう方向が出てきておりまして、かなりの効果が出てきているのではないかというふうに考えております。 この農業者年金制度の目的は、法律にもございますように二つありまして、老後保障というのと構造政策の推進という二つの目的がありますけれども、この二つの目的につきましては、現時点におきましてもこの制度の基本になっているというふうに考えております。
○塩出啓典君 この経営移譲というものが、一つは、所有権の移転ではなしに使用収益権の設定というような形が多いように聞いておるわけでありますが、実質の伴わない経営移譲になる心配があるんではないか、この点はどのようにお考えでございますか。 それと、経営移譲する相手がいわゆる被用者年金の加入者であるという、これは兼業する人ですね、そういう人の割合がかなり高いように聞いておるわけですけれども、その状況はどうなんですか。
○政府委員(井上喜一君) 経営移譲の実情でございますけれども、所有権の移転という形が三〇%、それから使用収益権の設定という形態をとるものが七〇%というぐあいになっているわけでございます。 経営移譲と認めます場合には、これは農地等の権利の設定移転があるということでありまして、農地法の許可等の手続を経ている必要があるわけでございます。経営移譲年金の裁定をいたします場合には、そのような所定の手続がとられ、明確に権利の設定移転が行われているということを確認するわけでございますけれども、また農地のこういった権利名義のほかに、農協でありますとか土地改良区の組合員の名義なり、あるいは農協を通しまして実際販売、購買をいたします場合の名義、あるいは農業所得の申告名義等につきましても調査をしたのがありますけれども、それらの点につきましても大部分は譲り受け者の名義になっているわけでございまして、これらの点を総合して考えますと、経営移譲によりまして経営の主宰権は後継者に移っているというふうに考えるわけでございます。 また、経営移譲を後継者にいたします場合の後継者が、農業に実質的に専業している場合、あるいは厚生年金等に入りまして市町村役場などに勤めている場合もございまして、最近の傾向といたしましては、いわゆるサラリーマン後継者への経営移譲が多くなってきているわけでございます。ここ三年間ぐらいの平均をとりますと、大体全体の経営移譲、これは第三者経営移譲を含めての話でございますけれども、約五〇%ぐらいがそのようないわゆるサラリーマン後継者に対する経営移譲になっている、こういった現状でございます。
○塩出啓典君 私も百姓の生まれでございますので、こういう経営移譲というのは、だんだん時代とともにおやじさんから息子へと移譲されていくわけでありまして、しかもやっぱり農業というのは会社の社長とは違いまして家族そろってやっていくわけですからね。だから私は、今お話を聞きますと、結局、六十過ぎのおやじさんは専業農家である、そのおやじさんが兼業の息子に経営移譲するという意味はどこにあるのか。 私は、今のやはり日本の農業の置かれた立場において、経営移譲というものをこれだけの財政資金を使ってやっていかなければならない理由はあるのかどうか。別な意味での規模の拡大とか、別な意味での技術のレベルアップとか、そういう方面にもっと重点を置くべきではないか、こういう気がするんですけれどもね。だから、専業のおやじさんが農業を兼業の息子に経営移譲を促進させなきゃならぬ理由はどこにあるのか。今回は多少差をつけてそれをセーブしようという意図はあるんではないかと思うんですけれども、そもそもそういう経営移譲というものはいかなる必要性があるのか、どのようにお考えですか。
○政府委員(井上喜一君) そもそも農業者年金制度といいますのが、経営移譲を通ずる構造政策の推進ということと、農業者の老後保障というのを結びつけた制度でございますので、やはり一定の時点で経営移譲をするということが経営移譲年金の給付の要件になっているわけでございます。 今、先生の御指摘は、いずれ後継者の方に経営移譲があるにしても、ある時点でそうすっきりと経営移譲というのがあるのかというような御質問かと思いますけれども、制度的にこれを仕組みます場合には、やはり後継者の経営主となる適齢といいますか、年齢を考える必要が一つあろうかと思います。そういう点から申しますと、やはり三十歳前後、三十から三十五までの間に後継者が経営主となるということが、農業経営をこれから充実していくという点から見れば必要ではないかというふうに考えられますし、また特に最近の農業は機械を使うことが非常に多いわけでございます。機械の操作、事故なく操作をしていくということから見ますと、やはり六十歳ぐらいが経営移譲の適当な時期であるというのがいろんな資料から、あるいは関係者の皆様方の御意見でございます。そういうことから、一応六十歳から経営移譲年金を給付すると、こういったことになっているわけでございます。 確かに、それぞれの経営の中におきまして、早くから経営移譲が行われるところもありましょうし、あるいは六十五歳以降に経営移譲が行われるところもあろうかと思いますが、原則的には、私どもやはり六十歳前後というのが経営移譲の時期としては適期ではなかろうかというふうに考えております。
○塩出啓典君 結局、六十歳で専業のおやじさんが兼業の息子にやっぱり経営移譲を促進する、そういう必要性がどこにあるのかという、この点はどうなんですか。むしろ僕は、そういうことをするよりも、六十歳のおやじさんのやっぱり生きがいの喪失にもなるし、そういう政策目的は余りよくないんじゃないか、こういうことを申し上げているわけですけれどもね。
○政府委員(井上喜一君) 経営移譲の目的といいますのは経営主の若返りでございまして、やはりある程度年齢をとってまいりますと、機械の操作等につきましてもいろんな事故等が起こってくるわけでございますし、また農業経営につきましてもそれぞれいろんな工夫をこらすところがあるわけでありますけれども、高齢者よりは、より若い後継者の方がそういった点についての対応といいますか、研究も進むわけでございます。そういう意味におきまして、より若い世代への移行というのが、一般的に申し上げれば経営の体質の強化にもつながるというふうに考えるわけでございます。 ただ、経営体によりましては、確かに後継者よりもむしろ現状の経営主の方が経営的にすぐれているという場合もあろうかと思います。そういう場合には経営移譲がされることなく経営が続けられる、こういう形態になろうかと思います。
○塩出啓典君 さっき農業者年金制度の十四年間の効果についてお話がありましたが、もうちょっと数字的に一つの政策がどういう効果をもたらしたかということを、私はもっとやはりチェックする必要があると思うんですね。もちろんアンケートもいいと思うんですけれども、私いろいろ農水省からいただきましたアンケートなんというのは全く客観性のないものであって、せっかく国家の予算を使って一つの政策をやるならば、その効果がどうであるのか、さらにこういう点は改善すべきだということを常に私はチェックしていかなければいかぬと思うんですけれども、この農業者年金制度についてももう少しそういう結果を調査してはどうなんですか。そういう考えはありませんか。
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金には多額の国費を費やしているわけでございますので、今御指摘のとおり、この制度によります政策効果というのをもう少し調査をする、あるいはチェックをしていく必要は当然あろうかと思うわけでございます。 私が概括的に申し上げましたのは、この制度の目的でございます農地の細分化防止なり、あるいは経営規模の拡大、それから経営主の若返り、こういう大きな目的につきましての効果を申し上げたわけでございますけれども、さらに経営移譲の実態等を把握いたしまして、詳細な効果の把握に努めなくちゃいけない、そのように考えております。
○塩出啓典君 特に婦人の場合、婦人が経営主であればこの年金に加入できるわけですが、御主人が経営主で、その御主人はほかへ働きにいって奥様が実際は一生懸命農業を支えてきている、そういう方はこの年金には加入できないわけですね。そういう意味で私は、当委員会でも問題になりました当初の社会党の出した農業をやるすべての人に年金をということですね、この制度でいえば、いわゆる経営移譲年金よりも農業者老齢年金、そういう方面をもっと充実をさせていくべきじゃないか。しかも加入する人の範囲を、実際に農業をやっている人であれば経営主でなくても参加できる、こういう形にすべきではないか、このように思うのでありますが、農水省としては今後検討する用意はあるのかどうか、お伺いいたします。
○政府委員(井上喜一君) 今御提案になりました問題につきましては、制度発足の際にいろんな角度から検討された課題だと思うわけでございます。 御案内のとおり、社会保障につきましてはこれは厚生省の方で一元的にやっておられるわけでございまして、この年金制度につきましても国民年金という制度があるわけでございます。農業者等の自営業者につきましても国民年金という制度があるわけでございまして、そういう一般的な制度を前提にいたしまして、さらに老後保障をいたします年金制度を仕組みます場合には、現在のような経営移譲を通ずる構造改善の促進ということと抱き合わせにしなければ制度として成り立たなかった、制度として仕組めなかったというふうな状況があろうかと思います。 したがいまして、ただいま御提案になりましたことにつきましては、これは国民年金制度との関連をどのように考えていくのかという、いわば制度の基本にかかわる問題かと考える次第でございまして、この点については相当慎重に検討をする必要があろうかというふうに考えております。
○塩出啓典君 今回、国民年金、厚生年金が改正になりまして、いわゆる厚生年金の人も国民年金に加入して二階建ての年金になっている。それで、二階の部分については、被用者年金の場合は個人と企業と両方負担するわけですね。そういうことで、むしろ農民の方だって、やっぱり国民年金だけではなしに、自分がプラスアルファを掛けるような制度をつくっても当然おかしくないわけであって、それに対して農民の場合は雇い主がいないんだから国家がいろいろ助成をする、そういうことを私は今の農業の現状から考えても筋は通ると思うんですがね。それを何か、これじゃちょっと難しいんじゃないかということで経営移譲というものをくっつけてきたという、そもそも最初からちょっと無理があるんじゃないかと思うんですがね。そういう点は、私は余り無理をしないで素直にやっぱり考えた方がいいんじゃないかなと、こういうような御意見を申し上げておきます。 次に、今回の改正でいわゆる年金額が大幅にダウンをする、三千七百十円の単価が二十年かけて二千二百三十三円に下がる。しかも、保険料というものも八千円からスタートして一万一千二百円に上がる。この保険は、大体二十年掛けて二十年たってからもらうという、こういう非常に長期にわたる保険ですから、保険制度に対する信頼がなかったら私は成り立たないのじゃないかと思うんですけれどもね。それで、途中で条件がよくなるのならまだ話はわかるわけですが、条件が悪くなる。そういうようなことは全く約束違反じゃないか。極端に言えば、これは詐欺商法とも言わざるを得ないんじゃないかなという、そんな感じがするんですけれども、これはどのようにお考えですか。
○政府委員(井上喜一君) 今回、公的年金制度の改正の方向に沿いまして農業者年金の給付につきましても所要の改正をいたすわけでございますけれども、やはりこういう制度といいますのはいろいろな条件の上に設定されている基本的な枠組みでございます。したがいまして、基本的な枠組みにつきましては制度はそのまま残りましても、その中の保険料でありますとか、あるいは給付水準等につきましては状況の変化によりまして改正をされていくわけでございます。どうも現状のようないろんなファクターでこの年金の給付等が変わっていく性格を持っておりますので、私どもといたしましては、その点につきましてはやむを得ないものと考えているわけでございます。 なお、この農業者年金の場合は、このたび経営移譲年金につきまして格差を設けることにしているわけでございますけれども、これにつきましても政策年金としての性格を持っておりますので、その政策適合度といいますか政策目的に照らしまして、ある程度の差をつけても、この点については御了解いただけるものと考えているわけでございます。
○塩出啓典君 基本的な枠組みは変えない、変わるわけではないけれども、いろいろ条件が変われば保険料とか年金額が変わるのはやむを得ない。これはお話としてはある程度理解しないわけじゃないですけれども、余りにも変わり方が激しい。三千七百十円が二千二百三十三円に下がるということは、実質的にはもう大幅なダウンですわね。掛金は八千円から一万一千二百円、しかも平準保険料は一万三千二百三十八円ですね。だから、一万一千二百円になっても、まだ計算から言うと大幅な赤字ですわね。このようになった原因はどこにあるんですか。条件が変わったと言うけれども、大きく変わったというのは何が変わったんですか。何が農水省の見通しと違ってきたんですか。
○政府委員(井上喜一君) これは幾つかの事情がございますけれども、一つは、農村も一般の社会的な動向と同様に農村の高齢化が進行をしてきております。非常にそういう意味で、年金の成熟化が進行しているということが言えると思います。それからもう一つは、経営移譲率が当初予想しておりましたよりもかなり高い経営移譲率が出てきているわけでございます。それに、本来の平準保険料を徴収していないわけでございまして、そういったものの後送りの分について負担をしていく必要がございます。こういったことが相重なりまして、高額の平準保険料となっているという状況にございます。
○塩出啓典君 農村の高齢化が進むということは、それは何もきのうきょう急に進むわけじゃない。人間は、年は一年に一歳しかとらぬわけですからね。だから、農村の高齢化が進むということは、これはもう何もきのうきょう始まったことじゃないと思うんですけれどもね。 また、保険料を必要なだけ取ってないというのは、これは最初からそう決めたわけだから、平準保険料を取ってないのはこれは当たり前の話です、最初から。ただ、経営移譲が進んだという、これは農水省の予測が間違っていたというか、だから狂ったわけですわね。 だから、こういう点考えますと、このように条件を途中から悪くする、当初の約束を全然悪い方向に変えてしまうということは、私は非常によくないのじゃないかと思うんですけれどもね。だから、こうなるということは前々からもうわかっていることですし、もっと早目早目に手を打たないと、余りにも変化が急激で、私はこんなことを繰り返していたら、もう農業者年金に対する農民の信頼というのは全くなくなっちゃって、こんな制度に入っていたら果たして我々のときにはもらえるのかどうかわからないという、そういうことにもなりかねないのじゃないかと思うんですけれどもね。こういう点、私はそのような気がいたします。 それで、しかも今回は平準保険料が一万三千二百三十八円ということで、これは私が理解をしているのでは、いわゆる今回給付を下げますね。給付を下げる。でも、それを賄っていくにはやはり一万三千二百三十八円の保険料が必要であるという、この平準保険料というのは、例えば物価の上昇率とか、あるいは国家の補助とか、あるいは加入者の数とか、そういうのはどういう条件のもとで計算したのがこの平準保険料になるんでしょうか。これの条件をちょっとお聞きしたいんですけれどもね。
○政府委員(井上喜一君) 平準保険料といいますのは、将来とも給付改定がないという場合におきまして、将来にわたりまして年金財政の均衡を保つのに必要な保険料でございまして、それを算定いたします場合には被保険者数、新規加入者数、それから経営移譲率、死亡率、脱退率等につきまして一定の条件を設定いたしているわけでございます。それから、そのほかに、物価スライドによります給付単価の上昇をどの程度見込むかということ、あるいは年金資産の運用利回りをどの程度見込むか、こういったことが前提になるわけでございます。
○塩出啓典君 だから、この条件は数字的にはどうなんでしょうか。 それから、国庫補助というのはどの程度の国庫補助があると計算されているのか。
○政府委員(井上喜一君) 具体的に申し上げますと、既に加入している者、それから既に受給権を持っている人の員数は五十八年度末の実績をとっております。それから新規の加入者数につきましては、五十八年度の実績、これが二万八千七百八十八人でございますが、それに加入促進努力を勘案いたしまして六十年から六十五年度までは三万人、それから後は毎年度二千人ずつ漸減をしていきまして、昭和七十年度以降は二万人といたしております。経営移譲率につきましては、五十六年度から五十八年度までの実績値の八九・四%をとっております。それから、経営移譲の相手方のうち、農業者年金の被保険者等、いわゆる特定譲り受ける者と言っておりますが、その割合は五〇%としております。 それから年金額、保険料の物価スライド率は五%にいたしております。ただし五十九年度は三・四%、六十年度は二・八%といたしております。さらに年金資産の運用利回りが七%、それから年金資産がマイナスに転じた後の借り入れ利息は七%、こういった前提で計算をいたしております。
○塩出啓典君 今回、国庫補助がいわゆる加入時の補助がなくなって、それから給付時の三分の一が当分の間二分の一になる。この一万三千二百三十八円というのは、どれだけの国庫補助があるとしての計算なんでしょうか。
○政府委員(井上喜一君) 今の法律改正で提案しておりますその率をとっております。すなわち、経営移譲年金の給付の額の二分の一を国庫助成する、こういう前提で計算をいたしております。
○塩出啓典君 そうしますと、平準保険料は一万三千二百三十八円ですけれども、八千円からスタートをして、そして六十六年一月が一万一千二百円で、六十六年一月に来てもなおかつ平準保険料より安いわけですね。そうすると、それから後はどうなるんでしょうか。 それと、それまでもう実際は一万三千二百三十八円取らなければ採算が合わないのに、安くしているから、その分の赤字は一体どこが負担するんでしょうか。
○政府委員(井上喜一君) この保険料につきましては、昭和六十二年から六十六年までを一応前提にいたしておりまして、それ以降につきましては、また次回の再計算の結果、どのようにするかを決めるということになるわけでございます。
○塩出啓典君 しかし六十六年以降も、これは保険料は上げざるを得ないわけでしょう、いずれにしても。その点の見通しを、どの程度になるかということはもちろんそのときになってみないとわかりませんけれども、それから先はどうなるかという、そういうようなことを、この際、明らかにすべきじゃないんでしょうか。そういうことも条件の上で、農民の皆さんに年金に入りなさいと、こういうようにやるのが私は世の中の常識じゃないかと思うんです。 これは民間の保険会社の場合であれば、加入時の契約というのは、これは絶対、約束というのはもうどうなっても守らなければいけない。もちろん民間の保険会社とは細かい点では違いがあるかもしれませんけれども、そのあたりをもうちょっとやっぱり将来の見通しもはっきりさせた上で加入を促進すべきだ。六十六年までしか明らかにしておかないで、六十六年になったらまたうんと大幅に上げる、何ぼ上げるかわからないと。六十六年一月以降はどうするんですか。どうなるんですか。
○政府委員(井上喜一君) 六十七年度以降につきましては、保険料が引き上げられていくという、そういった方向は変わらないと思いますけれども、具体的にどれだけの保険料を設定していくかにつきましては、次の財政再計算の時点におきまして具体的なファクターをもとに算定することになろうかと思います。 民間の場合には、具体的に保険料といいますか、積立金と給付につきまして契約するわけでございますけれども、この中身は現在のこういう年金制度と非常に違っておりまして、元本部分については保証しているわけでございますが、その積立元本についての保証はありますけれども、それにさらにその利回り、利息の果実につきましては確実な保証をしていないというのが今、民間の契約の特徴かと思います。 その点、年金制度といいますのは、物価スライド条項等もございまして、一応基本的な仕組みを別にしているわけでございまして、やはりいろいろなファクターが具体的に明らかになるその時点といいますか、それらを五年ごとに再検討いたしまして具体的に保険料を決めていく、こういうことをとっているわけでございまして、この農業者年金につきましても、六十七年度以降について今の時点で明らかにするということはできないわけでございます。
○塩出啓典君 しかし、六十六年度までも現実には後から入る人の掛金、それを給付に充てる、こういうような形にだんだんなっているわけですね。そこで、もし既にこの年金に加入している人が、今回の制度改正によって給付が下がる。二十年間で下がっていく。さらに六十六年の改正においては、この給付は変更はないわけですか。ただ変えるとすれば、掛金をどれだけ上げるかということを変えるということなのか、あるいは両方変える場合もあるんですか。それはどうなんですか、六十六年以降の改正においては。
○政府委員(井上喜一君) これは、次回の再計算の時点におきましてどのような条件で再計算をするかということにかかるわけでございますけれども、基本的に大きな枠組みといたしましては、現在公的年金制度の改正を踏まえて改正をいたしておりますので、そういう大きな流れの中で考えていくということになろうかと思いますが、それでは具体的にどうなるのかということにつきましては、現時点では確実にこのようになる、しかじかになるというぐあいに申し上げることはできないと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、加入者に対しましては農業者年金制度の仕組みを十分御説明をして理解を得ることが必要であるというふうに考えております。
○塩出啓典君 今回、既に加入している人たちの期待権というか、これだけの年金がもらえるという期待権を奪うというか、現実には下がっちゃうわけですからね。本人とすれば、こういう条件で入ったのにこれだけしかもらえないのならもう私は年金に入るのはやめる、そういうような人がもし出てきた場合には、私はやっぱり元金に利子をつけてちゃんとお返しすべきじゃないか。今のような途中でやめた場合はほとんど返ってこないわけですけれども、私はそういうのが筋じゃないかと思うのですよ。当初約束したのをこっちの都合で条件を変えたんだから、向こうが契約解除する場合にはやはり元金に利子をつけてちゃんと返すべきじゃないか。それを一方的に変えて、それでおまえたちこれでも得なんだから我慢しろ、そういうことを押しつけるというのは、僕は余りにも農民をばかにしているし、けしからぬと思うのです。その点はどうですか。
○政府委員(井上喜一君) この農業者年金制度も社会保険方式をとっているわけでございまして、農民の相互扶助ということで成り立っている制度でございます。したがいまして、当然加入者等につきまして任意の脱退を認めていくということは、この制度が成り立たないといいますか、この基盤が非常に弱いものになってくるわけでございまして、そういったことを認めることについては問題があろうかと思います。したがいまして、この年金制度の仕組み、趣旨等につきまして十分加入者に説明をし、また新規加入者についてもそのように説明いたしまして、理解と協力を求めていくのが先決であろうというふうに考えております。
○塩出啓典君 それで、今回の改正に当たって、いわゆる国民年金審議会あるいは社会保障制度審議会がそれぞれ意見を述べております。国民年金審議会は、「給付と負担の長期的なバランスの確保、その他制度の基本的あり方についての検討を早急に行うべきである。」と述べております。また社会保障制度審議会は、「早急に本制度の趣旨、目的にまでさかのぼって、根本的な検討を行うことを強く要望する。」、ということは、今回の改正は一時的な緊急避難的な改正であって、長期安定的なそういう制度はこれから確立するのである、このように理解をしていいのかどうか。私は、年金制度は長期にわたるものですから、長期にわたってやっぱり安定的な制度をつくらなければ、その場しのぎのような改正をやっておったんでは話にならぬと思うのですね。だから、そういう意味で、農水省としてはいつまでにいわゆる安定的な制度、これを確立するお考えであるのか、それをお伺いをしておきます。
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度は、農家の老後保障とそれから構造政策の推進という二つの目的を持っているわけでございますが、この制度を長期に安定をさしていく必要がありますのは今御指摘のとおりでございます。そのためには、給付と負担の適正化を図る等、年金財政の安定のための対策を講じていく必要があるわけでございますが、今回の改正におきましても、そういった点を配慮いたしまして提案をしたような次第でございますけれども、なおこの制度が長期に安定をしていくためには、社会保障制度審議会が指摘しておりますような問題があるわけでございまして、今後、政策年金としての役割を高めつつ、給付と負担のあり方なり、あるいは経営移譲年金の支給開始年齢等につきまして検討をしていく必要があるわけでございます。 まだ具体的にどのような項目についていつからということは決めておりませんけれども、なるべく早い時期にこういった問題について検討をいたして、この農業者年金制度を長期的に安定した制度として維持するように努力をしていきたい、このように考えております。
○下田京子君 きょうは私、最初にサラリーマン後継者の移譲問題でお尋ねいたします。 先日、私は給付水準の引き下げ問題、特に二十歳で加入して四十年間も保険料を払い続けて、なおかつ、その経営移譲の相手がサラリーマン後継者であったという理由でもって何と月六万七千円、まさに生活保護の生活扶助費よりも低いという問題を指摘いたしました。 そこで、最初に大臣にお尋ねしたいんですけれども、大臣、今回の農業者年金制度の提案理由の中で、その目的につきまして、「農業者年金制度は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金の給付を行うことにより、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するとともに、国民年金の給付とあわせて農業者の老後の生活の安定と福祉の向上に資することを目的とする」、こう述べられております。ところが、農業者年金基金法の第一条の目的ではどう書いているかと申しますと、まず、「国民年金の給付と相まつて農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与する」、こういうふうになっております。つまり、大臣の提案理由というのは法律第一条の目的とその順序が逆になっているんですが、これは何か意図がございますか。
○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えいたします。 実は、年金は、御指摘のように農業者の老後生活の安定と福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与することを目的としております。 今回の改正は、こういう目的に沿いまして制度の長期的な安定を確保するため、公的年金制度の改革の方向も踏まえまして、本制度がその使命をより達成できるよう給付と負担の適正化を図るとともに、農業構造の改善を一層促進するための措置を講じたものでございます。 そんなことで、今回の改正内容を見ますと、本制度の政策年金としての位置づけを明確化する一方、死亡一時金の支給対象の拡大、農業者老齢年金の支給要件の緩和等の措置が講じられておりまして、老後保障の充実も図られていると思います。
○下田京子君 つまりは、公的年金制度の見直し、給付と負担の適正化という名によって給付水準を大幅引き下げという点で、法律の目的と条文の順序を変えたというふうに受けとれます。 さらに、大臣、提案理由の中で、「経営移譲の相手方に応じて経営移譲年金の額について一定の差を設ける」、理由といたしまして「農業経営の近代化と農地保有の合理化を一層推進する」と言われておりますが、サラリーマン後継者への移譲の場合に年金額を四分の一カットするということが、どういう理由でもって農業経営の近代化と農地保有の合理化の促進というか推進につながるんでしょうか。
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度は、農業者の老後保障の安定というのを図るだけではなしに、経営移譲によります経営者の若返りとか、あるいは経営規模の拡大を図っているところでございますけれども、その構造政策の推進の仕方でございますが、現状の課題から申し上げますと、生産性の高い、より望ましい農家に対して農用地が集積されるような、そういうような経営移譲を誘導していく必要があるというふうに考えているわけでございます。この点につきましては、実は農業者年金制度研究会におきましてもこのような意見がございましたし、また農村におきましても、経営を譲り受けた者が農業者年金の保険料を負担する場合とそれから負担しない場合とは、やはり経営移譲する側の年金についても差を設けるべきじゃないかというような意見もあったわけでございます。 そのようなことから年金額に差を設けたわけでございますけれども、この差のつけ方につきましてはもっと大幅な差をつけるべきだという意見もございましたが、いわゆるサラリーマン後継者に移譲した場合の年金額は、老後の保障ということを考えれば約五万円程度のそういった水準を保障する必要があるだろう、こういったことから四分の一の格差がついたわけでございます。 なお、こういった格差をつけることによりまして、より年金財政の安定化に役立つわけでございますし、また、これからの保険料負担につきましてもその軽減に結びつくというふうに考えているわけでございます。
○下田京子君 私は、制度研究会の意見がどうだったということを言っているんじゃないんですよ。四分の一のカットという差をつけることが、構造政策推進にどう役に立っているのかということを聞いているわけです。 サラリーマン後継者への移譲率が後継者移譲の中で五十一年三九・九%でしたね、五十八年がそれが五六%、だんだん上がってきた。第三者移譲も含めますと全体の移譲の中で約五割に及んでいる、これはもう明らかになっていますが、この率が、今回年金額を四分の一カットすることによって増加傾向に歯どめをかけるというふうに期待しているわけですね。そのことが結局、農業経営の近代化や農地保有の合理化推進というふうになるんですかというふうに聞いているんです。どうなのか。
○政府委員(井上喜一君) 農地の集積が、より望ましい農家に集積されていくというふうに誘導する必要があるわけでございまして、サラリーマン後継者に対する経営移譲が増加をしてきているわけでございますけれども、それに対して一定の歯どめをかけることによりまして、そういった農家への、私が申しましたより望ましいといいますか、より生産の高い中核農家等に対して農用地が集積されるような、そういう経営移譲を誘導していくことにつながっていくということでございます。
○下田京子君 本当に近代化や農地保有合理化促進につながるんでしょうか。私は、いろいろお話がありましたけれども、結局、年金に格差をつけたということは、財政削減の効果のみだというふうに言っても過言ではないと思うので、やはり農業経営の近代化だとか農地保有合理化促進、こういうことを政策効果としてねらっているというような誇大宣伝ではないかというふうに指摘しておきます。 先ほどから聞いていますと、サラリーマン後継者に移譲した農家が、より望ましくない農家のような感じの答弁をされているんですけれども、先般、参考人の意見を聞きました際に、明治大学教授の井上参考人が指摘しておりました。サラリーマン後継者も地域農業の中では農業機械のオペレーターとして、また、その他の分野でも大変重要な担い手として働いている。特に稲作の場合には機械化一貫体制が確立しておりまして、相当規模の農家でも親子ともに農業を専従とするほどの労力を必要としないというような現実にある中で、サラリーマン後継者の農業生産の中で果たしている役割というのは大変違った意味で重要だと、こういう話がありましたが、その辺どう認識されていますか。
○政府委員(井上喜一君) サラリーマン後継者の場合は、いろいろな就業形態があろうかと思います。近傍の工場なり、あるいは組合等に勤務する方もおられましょうし、あるいは今お話しのように、オペレーターなどについておられる方もあろうかと思います。しかし、農業者年金制度は、あくまで農業経営主につきまして農地の細分化防止なり、あるいは経営規模の拡大を図っていくということでございます。したがいまして、いわゆるオペレーターといたしまして農業に関係する仕事に従事をいたしておりましても、やはりその農業経営が農業を直接経営主として行っている後継者に移譲されるかどうか、こういうことによって判断をしていくのが筋であろうというふうに考えております。
○下田京子君 私は、サラリーマン後継者というものが現在の農業、農村の中で果たしている役割の重要性というもの、これについてどう認識していますかと聞いたんですよ、局長。 農業調査結果の中で、そのことを具体的に次のように言っております。恒常的職員勤務及び恒常的賃労働者の後継ぎの方で三十歳から三十九歳で見ますと、恒常的な職員勤務の方が百日以上自家農業に従事している人が七百八十人、それから六十日から九十九日農業に従事している人が八千七百二十人、さらには三十日から五十九日の間自家農業に従事している人は五万二千三百七十人、三十日以上農業に従事している者はと言いますと実に六万一千八百七十人、恒常的な賃労働者であっても農業従事三十日以上という人が九万五千四百二十人にも達していますね。ですから、サラリーマン後継者といっても、農業労働者として非常に重要な役割を果たしている。 さらに、経営規模別に見て、後継ぎの農業の従事状況がどうなのかという点を見ますと、三ヘクタール以上の規模の農家で後継ぎが自家農業にだけ従事しているというものが約三万戸ですね。自家農業にも従事しているけれども、その他の仕事が主と、いわばサラリーマン後継者の農家が二万二千戸。三ヘクタール以上規模農家でこれだけあるということですから、経営規模の大きな農家でも後継ぎがサラリーマンという農家が大変あるんだということですね。また、経営組織別に見ますと、後継ぎが農業にだけ従事している経営は、絶対数ではこれはやっぱり稲作単一経営というのが多いんですけれども、比率でいきますと、施設園芸とか野菜とか果樹とか酪農などの部門が多くなってきます。 つまり、後継者が農業専従かどうかという点で、経営規模、面積だけで規定できるものだろうか、決してそうではないということを今の数字は教えていると思うんですよ。施設園芸とか、特に果樹だとか小家畜の畜産、こういうことになりますと、経営面積は小さいけれども、労働力も必要になりますし、それから農家ごとに見ましても、同じような経営であっても、経営全体がどうなのかということを見ませんとわからないわけですね。 ですから、サラリーマン後継者なるものが大変重要な役割を果たしているんだ、しかも、それは単に経営規模、面積だけで判断できないんだよということを言っているわけなんですが、どうですか。
○政府委員(井上喜一君) これは御指摘のとおりだと思います。経営規模といいますか、面積だけでは判断できないわけでございます。したがいまして、私どももそういった規模でもって判断しているわけじゃないわけでございまして、いわゆる農業者年金に加入をしているような人というようなことに代表されますように、主として農業に従事をしている、そういう人に経営移譲を誘導していくということでございまして、決して面積が一定面積以下であれば特定の譲り受け者として認定しない、こういうことを申し上げているわけでないわけでございまして、今お話しの趣旨と私どもが提案しておりますその趣旨は十分合致するんじゃないか、そのように考えるわけでございます。 また、サラリーマン農家に対しましても、私どもは全く評価をしないということはないわけでございまして、一定の評価をしているわけでございます。現に、そういう人たちに経営移譲いたしました場合にも経営移譲年金を給付するわけでございますので、評価はしているわけでございますけれども、いわゆる農業専従者等に比較をいたしました場合には、その評価が若干異なる、こういうことを申し上げているわけでございます。
○下田京子君 いろいろ言われますけれども、政策効果いかんということははっきりしていませんでしょう。しかも、経営移譲の時点で経営移譲の相手がたまたま被用者年金加入者だったというだけで、農業経営の近代化にとって好ましくないというふうなことを断言できないんじゃないかということですよ。ですから、不当にも格差をつけるというのはこれは問題だ。そもそも年金に加入する際に、将来自分が経営を移譲する際に後継ぎが専業農家かサラリーマンかなんてことを予測することが可能でしょうか。不可能だと思いますよ。現在、二十歳—二十四歳で年金加入者は二千八百九十九人いますね。二十五歳から二十九歳の方が一万五千四百十一人いらっしゃるんですよね。この方たちが三十年、四十年後に経営移譲する際に、後継ぎが農業専従かどうかというようなことを一体予測できますか。どうですか。
○政府委員(井上喜一君) 個々の経営体によって違うかと思いますが、すべての農業者年金加入者がそういったことを予測するというのは困難であろうかと思います。
○下田京子君 予測できないものを、実際に今差をつけているわけですよね。息子が専従農業者として本当に立派に後を継いでもらいたい、これがすべての農業経営をされている方の親の気持ちじゃないかと思うんですよ。そうならないのは一体なぜなのかという点では、むしろ今の農政自体に問題があると思うんですよ。農業だけで生活ができない、後継者が農業に魅力を持って専業農家が後継ぎとして対応してもらえないという点から見ますと、逆に言えば、政府自身の責任が今問われているんじゃないですか。ですから、後継者不足問題だとか、あるいは後継青年に対する嫁不足問題だとか、そういった問題がなぜ起きるのか。この問題をまず解決することを抜きにして老後の生活保障である年金に差をつけるなんということは、これは農家の心情を無視したことであるし、ましてや、今の農政のツケを農民に転嫁することであると私は言わざるを得ません。大臣、どうですか。
○政府委員(井上喜一君) 農業を魅力あるものといたしまして我々がいろいろな対策を講じていく必要があることは、申すまでもないわけでございます。そのようにすることによりまして後継者の確保ができたり、あるいは嫁問題などが解決されてくるわけでございます。特に、今農業におきましては、施設型農業については一定の効果を上げてきているように思いますけれども、土地利用型農業につきましては幾多の問題があるわけでございます。基盤整備の推進でありますとか、あるいは農地の流動化を通じまして経営規模の大きい農家を育成していくというような対策を講じているわけでございますが、まだ十分な成果が上がっていないのは事実でございますが、今後こういったことにもさらに力を入れて取り組んでいく必要があろうかと思います。 ただ、この農業者年金につきまして、後継者に移譲いたします場合に移譲の形態によりまして年金に差をつけるという点につきましては、こういった構造政策をより推進をしていくという観点からのものでございますし、農村の内部におきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、後継者が農業者年金に入りまして保険料を負担していく、そういう場合と保険料を負担しない後継者の場合があるわけでございまして、そういう場合に、農業者年金を受けるその人が同じ水準にあるというのは問題ではないか、むしろ年金額に差をつけるべきだという有力な意見があるわけでございます。そういった意見を勘案いたしまして、今回四分の一の格差をつけたという次第でございます。
○下田京子君 いろいろ苦労した答弁をされておりますけれども、今、後継者育成確保ということを真剣に考えるなら、例えば三十五歳未満の後継者の加入に対して今まで国が補助していた国の助成ですね、これは十五億円程度になるかと思うんですけれども、それをカットしているという点も問題だと思いますね。そうして、そういうものを全体の加入者の負担によってやっているというやり方を今度入れてきたという点でも大変問題だ。これは問題の指摘にとどめておきます。 第二番目に、大きな年金財政問題で御質問申し上げます。 今回の財政再計算の結果、将来給付に必要な保険料、つまり平準保険料は月額一万三千二百三十八円となっておりますけれども、前回五十七年再計算時では八千五百六十七円でしたね。そこで、今回改正による給付の引き下げや国庫補助の削減をしないで、前回同様、つまり現行制度を前提にして五十九年度価格で平準保険料を試算するとどうなりますでしょうか。被保険者の減少とか物価スライド実施なんかを見ますと、相当アップするんじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
○政府委員(井上喜一君) 現行制度といいますか、改正前の制度を前提にいたしまして平準保険料を試算すればという趣旨の御質問かと思いますが、これで試算いたしますと一万五千百三十八円になるわけでございます。
○下田京子君 よろしいです。つまり、前回再計算時に比べて六千五百七十一円増になるということですね。 次に聞きたいのは、その要因別の内訳はどうなりますかという点です。
○政府委員(井上喜一君) 約六千六百円の上昇でございますけれども、平準保険料を従来徴収しなかったことによるのが千四百円、それから被保険者数の減少でございますが、これが千二百円、それから給付単価の上昇が千百円、経営移譲率の変化が千百円、それから加入者の変更でございますが、将来加入者といいますか加入見込みの変更でございますが、これが五百円、それから死亡率が改まるといいますか改善されまして六百円、その他が七百円という状況でございます。
○下田京子君 平準保険料より低い保険料を設定したというようなことが、かなり増額の要因になっておりますね。 次に確認したいんですが、前回同様の国庫負担と給付水準で再計算いたしますと、今明らかになりましたように、平準保険料は一万五千百三十八円ですね。それに、今回国庫補助の引き下げに伴いまして二千円がプラスになるわけです。ということで一万七千百三十八円になるわけですが、それを今回一万三千二百三十八円の平準保険料にしたということは、つまり一万七千百三十八円との差である三千九百円分が給付水準引き下げというような内容につながるわけだと思うのですが、間違いありませんね。
○政府委員(井上喜一君) 大ざっぱに言えばそういうことになろうかと思いますが、給付単価を変更いたしたり、あるいは給付の格差を設定した、こういうことでございます。
○下田京子君 つまり、支払うべき必要な保険料という点では前回比で六千五百七十一円の増になるんだけれども、三千九百円分の給付水準の引き下げをやったから二千六百七十一円で済む、ところが実際にそうやったにもかかわらず、今度は国庫補助の引き下げということで二千円がアップになりまして、結局は前回八千五百六十七円に対して四千六百七十一円増の一万三千二百三十八円の平準保険料になった、こういうことを示していると思うのです。 次に、収支見通しについて聞きますけれども、今回の再計算の結果によりますと、単年度収支が六十二年度でマイナス、それ以降、毎年度積立金を取り崩しまして七十四年度末には積立金ゼロになる、そう今まで説明されておりますけれども、これは間違いございませんね。
○政府委員(井上喜一君) 今回の財政再計算を大もとにして推計いたしますと、昭和六十二年度末に単年度収支が赤字になりますということでございまして、積立金が払底するのが七十四年度ということでございます。
○下田京子君 収支の見通しによりますと、六十五年度の場合に支出計が二千八百九十億円になっておりますね。これはもう六十五年度時点での給付単価が約一割減になっているということ、つまり六十二年の一月段階では給付単価三千七百十円だったものが、六十六年の一月で給付単価三千三百四十三円ですから、正確に言えば九〇・一%ですが、約一割減、さらにサラリーマン後継者移譲への場合には、三千七百十円が二千五百七円ということで三割減になっておりますね。ですから、もし給付水準引き下げというような今回の改正をしなかった場合の収支見通しは一体どうなるかという点を聞きたいんですが、恐らく三千億円を突破するんじゃないかと思うのです。六十五年時点と七十年時点で現行どおりの給付水準で計算した場合に、一体その支出合計はどうなるか。
○政府委員(井上喜一君) 現行制度のままといいますか、現行の再計算を前提にいたしました計算でありますが、六十五年度の総支出額が約三千二百四十億円でございます。ですから、二千八百九十億円との差が約三百五十億円あります。それから七十年度もお尋ねだったと思いますが、その場合は四千四百五十億円でございます。
○下田京子君 そうしますと、改正支出計と現行給付水準でもし計算した場合との差額というのは、六十五年度では約三百五十億円、それから七十年度では約八百七十億円というふうなことになりますね。その金額だけ、結果としてこのことは年金給付額がカットされるということを意味していると思いますが、そうですね。
○政府委員(井上喜一君) これはそういう計算もあるいは成り立つことかと思いますけれども、今のまままいりますと、これは昭和七十年におきましては、既に年金財政が破綻をしているわけでございますので、そういった計算も架空の計算となるものであるというふうに考えられるわけでございます。
○下田京子君 架空かどうか別として、これは収支の見通しでお出しになっていることを前提に話しているわけですから、理論的にそのことを見越して収支見通しを立てたということでしょう。 次に、国庫補助額についてお尋ねしますけれども、今回の国庫補助の削減というのは、一つには、拠出時補助を打ち切って給付時補助を三分の一を二分の一にした結果、国庫補助削減というふうになる部分と、さらには給付額カットによるその見合い分の国庫補助軽減というものがあると思うのですね。こういう国庫補助の削減をしないで現行どおりの国庫補助と給付水準で見た場合、計算した場合、国庫補助額の見通しが六十五年度、七十年度はどうなるのか。
○政府委員(井上喜一君) 現行制度のままの場合には、六十五年度千二百九十億円、七十年度が千五百四十億円でございます。制度改正によります補助額の場合には、六十五年度が千百三十億円、それから七十年度は千百二十億円でございます。
○下田京子君 六十五年度で、そうしますと、おおよその差というのは約百五十億円ちょっとですね。七十年度でその差が四百二十億円ということになりますね。 さらにお尋ねしたいんですが、収支の見通しによる保険料と国庫補助額の合計に占める国庫補助額のシェア、つまり国庫補助率はどうなっているかということなんですが、これは今までの状況をずっと見て、この収支のあれで見ますと、局長はおわかりだと思いますが、六十一年度は五三%、六十二年度が五三・六%、六十五年度に五一・四%、六十六年度四九・五%、それがだんだん下がりまして、七十年度には四一・五%と大変下がってきておりますね。これは、六十歳から六十四歳の経営移譲年金受給者が、六十三年度の二十三万一千人をピークにいたしまして、七十年度には十四万二千人にまで減少するという結果によると思いますし、さらに年が進むにつれまして年金給付単価の引き下げが進む結果だと思うわけです。この傾向が七十五年、八十年と進むとどうなるか、かなり私は国庫補助率の割合低下というのが、より大変な時代になると思うんです。
○政府委員(井上喜一君) 国庫補助額に保険料収入を加えました合計額、それを一〇〇といたしまして、国庫補助額がどの程度の割合を占めているかということについて申し上げますと、昭和六十一年度は五三%でございます。昭和六十六年度は約五〇%、正確には四九・五%になっておりますが、ここまでは一応の予想として申し上げられるわけでありますけれども、六十七年度以降につきましては保険料水準が決まってないわけでございます。この保険料水準は、さらに次回の再計算の時点におきまして確定してくることだと思いますので、そういう不確定要素があるわけでございまして、現時点で国庫補助比率を議論するというのは適当でないというふうに考えております。
○下田京子君 確かに、今回のは六十六年までしか保険料というものを出していませんけれども、全体の収支の見通しというのでは七十年まで出していますでしょう。だから、見通しがどうなのかと私は伺っているわけなんですよ。そういう点から見ますと、七十年度には四一・五%という国庫補助率の全体の中での割合になると私は申し上げました。七十五年、八十年と進むに従ってどうなるかというのは、私の試算ですと、これは三割合になるんではないかと思います。 次に、今お話しありました五年後の再計算の話なんですけれども、この時点での平準保険料は一体どうなのかということです。収支の見通しを見ましても、平準保険料の内容から見ても、今回の制度改正が年金財政悪化を理由にしまして給付水準の引き下げと保険料の大幅引き上げ、そういうことで大変農民に負担を転嫁しているわけですが、一方国の財政はどうかというと、その負担だけは大幅に減るということで、国の財政削減を意図したことが大変明らかになってきているわけですね。しかし、こうした国庫負担の削減というものは、保険料の引き上げにも限界がありますし、結局は年金財政を悪化させることに拍車をかけるんじゃないかというふうに思います。 そういう点からいって、五年後の再計算時に一体この平準保険料というのはどうなるんだろうかということで、今回よりも保険料を低く設定したことによる不足金が出るだとか、さっき聞きましたように物価スライド実施による過去の納めた保険料の不足額だとかいろいろありまして、結局つまるところ、現在の平準保険料の一万三千二百三十八円をはるかに上回るようなことが確実ではなかろうかというふうに思うんですけれども、物価スライドを毎年五%と見込みまして、五年後、一体平準保険料はどのぐらいになりますか。
○政府委員(井上喜一君) 今回の平準保険料は一万三千二百三十八円、こう出したわけでございますが、こういう計算をいたします場合の前提が五年後にどの程度変わってくるかということでございますけれども、平準保険料が徴収されていない、あるいは物価スライド等が行われるわけでございますので、平準保険料がある程度上昇するだろうということは考えられるわけでございますが、具体的にどの程度になるかということについては、現在お答えすることは適当でないというふうに考えております。
○下田京子君 新規加入者は減るし、年金財政はさらにその結果大きくひどくなってくる。ですから、このままの保険料や給付水準のままでいけば、積立金も取り崩していくということはもう必至になってくるんですね。ですから、今回の改正というのは、制度の長期安定なんということを目的としてないというのが大変明らかになってきておりますし、保険料の引き上げ、あるいは給付の引き下げ、そういうことで、さらに次には支給開始年齢の引き上げなんというようなことの改悪が見込まれるんではなかろうかということを指摘しておきます。 それで、大臣にお尋ねしたいのは、年金財政の一つの目安となるのは何かといったら、成熟率だと思うんですよ。老齢年金の受給者を除きまして、経営移譲年金者だけで見ましても、その成熟率はどうかといいますと、六十五年には被保険者が六百六十九万人、それに対しまして経営移譲年金受給者が五百九十六万人ですから八九・一%、それから六十六年には九五・七%、六十七年には一〇一一・一%、こういうふうになります。つまり、六十七年には一人の被保険者で一人以上の受給者を抱えるという状況になるわけですね。これはもう異常中の異常ですね。農林年金の場合ですと、五十八年で一四・八%ですから、年金者一人につき組合員が六・二という格好になっておりまして、厚生年金でも五十七年度では九・四%ですから、成熟率一〇〇%というのはもう大変な問題だと思うんです。もうこれは抜本改正が必要だということを示していると思いますが、どうですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。 実は先ほどからお話を聞いていまして、一番大きな問題というのは日本の農業の将来をどう考えるかということだろうと思います。そんなことで、実は大変先生は悲観的な話しをされていると思います。実は私この間北海道を見てまいって、バイオテクノロジー等で、特に土地利用型農業につきましてバイテクがいかに大きな役割を果たすか、ある意味で経営規模の拡大を実はかなり何といいますか、補完するものじゃないか。こんなことで、私は日本農業の将来を非常に明るく見ております。 そんな前提で今後の問題を申し上げますと、私はやはり財政的問題はおっしゃるとおりございます。そんなことで、長期的に安定した制度として維持するとともに、政策年金としての役割を高める観点から、やはり給付と負担のあり方とか、あるいは経営移譲年金の支給開始年齢等の制度の基本的枠組みにつきまして十分実は検討いたしたい、こう思っております。
○下田京子君 今、私は抜本的な改正の見通しも含めてお尋ねしたんですが、大臣は将来農業は明るい。明るいようにやはり農政の場でしっかり大臣に責任をとってもらいたいと思うんですが、いかんせん、なかなか大変な状態です。 私は、基本的な改革方向ということでは、やはり老後の生活保障ということをきちっと考えるべきであると思う。そういう点から見まして、婦人も含めた農業者年金というもののあり方を考えて、土地と結びつけていろいろ差別するというやり方は改めるべきだというふうなこと、そして必要なところには国庫負担を減らすんではなくて、むしろ手当てをきちっとしていくんだという点をしなければならないということを申し上げて、終わります。
○田渕哲也君 まず、農業者年金の加入率が非常に低いと思うんです。当然加入においてさえ八九・八%、任意加入では六一・八%、両方合わせますと七九・二%という数字になっておりますけれども、これの低い原因について、まずお伺いをしたいと思います。
○政府委員(井上喜一君) この未加入の理由につきまして、農業者年金基金の方で調査をいたしたのによりますと、加入するのにはまだ早いという者が六一%、それから農業経営の将来が不安である、継続するかどうかわからないというような者でありますが一二%、それから三番目が保険料が高いとする者でありまして九%、その他が一八%、このようになっております。
○田渕哲也君 当然加入においてすら約一割の人が入っていない、この理由は何ですか。
○政府委員(井上喜一君) この点につきましても、今申し上げたような理由で未加入になっているわけでございます。当然加入の資格のある者につきましては、随時加入の勧誘をいたしているわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような理由でなかなか加入が実現をしていない、こういったのが現状でございます。
○田渕哲也君 加入しない理由として保険料が高いとか、やっぱり余り魅力がないということではないかと思うのです。また、今回の改正がこういうものにどういう影響を及ぼすか、いろいろマイナス要因、プラス要因ありますけれども、マイナス要因とすれば給付水準の切り下げ、あるいは国庫補助の削減、保険料の引き上げ、特定譲り受け者以外の者に経営移譲した場合に経営移譲年金の切り下げ、こういうマイナス要因が非常に多いわけです。プラス要因とすれば、受給資格期間の通算措置、あるいは農業者老齢年金の支給要件の改正、死亡一時金の支給対象の拡大等々ありますけれども、これは比べてみますと、やっぱりマイナス要因の方が圧倒的に多いと思うんですね。この加入率に及ぼす影響をどう見ておられますか。
○政府委員(井上喜一君) 確かに給付水準が変わりますし、それから保険料を引き上げる、こういうことで、なかなかそういう意味の条件というのは厳しくなっているわけでございますけれども、加入の促進に当たりましては、我が国が高齢化社会を迎えまして農業者年金を含みます年金全体がそのようなことになってきているというようなことを十分説明をしなくちゃいけないと思いますし、また、農業者年金の場合には、世代間の順送りの相互扶助ということを制度を仕組みます場合の前提にしているわけでございます。こういった点についても、十分説明をしていく必要があるだろうと思います。 それから、農業者年金の場合には、これは経営移譲年金の給付につきましては特に国庫補助があるわけでございまして、しかも五〇%という高率の補助があるわけでございます。それに、年金額につきましては物価のスライドが行えるわけでございまして、こういった点について十分説明をいたしまして、今回の改正が加入率に影響を与えないように、私どもが見通しております加入者数が確保できますように努力をしていきたいというふうに考えております。
○田渕哲也君 幾ら説明してPRしても、本人がやっぱりメリットがあると思わなければ入らないと思うんですね。その条件、マイナス要因を非常に多くしておきながら、これを説明しても、加入率はむしろ減るんじゃないかと思います。それから国庫補助が多いからといって、これがメリットになるかどうか、これも疑問だと思うんです。やっぱり農業者年金の構造的な要因を考えますと、国庫補助をたくさんつけてもそれほど魅力のある年金制度にはなり得ないのではないかと考えますと、加入率はこれからむしろ低下していくんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(井上喜一君) 確かに相対的には加入者にとりましては不利になるわけでございますが、それにいたしましても、農業者年金についてはやはりメリットがあるわけでございますので、先ほど申し上げましたようなことを十分説明をして、加入率に影響のないといいますか、私どもが予定をしております加入者数を確保していく、このように努力をしていかなければいけないというふうに考えております。
○田渕哲也君 この制度のねらいは、老後保障と同時に構造政策の推進という政策的効果というものもねらっておるわけであります。これの効果はたびたびもう説明されておりまするけれども、その内容を聞いてみますと、細分化防止ということでは効果があると思います。それから若返りという面でも効果がある。しかし、細分化防止というのは、言うならばこれは現状より悪くならないようにするということであって、決して改善にはならない。それから若返りということはそれなりの効果があるかもしれませんけれども、実際はこういうのは自然現象でありまして、どうということはない。一番重要な規模拡大という面では、私はそれほど大きな効果を上げ得ていないと思うのです。というのは、やはり第三者に対する経営移譲が非常に少ない、全体の八%程度というふうに言われておりますけれども、この第三者移譲が少ない原因はどこにありますか。
○政府委員(井上喜一君) この原因につきましては幾つかのことがあろうかと思いますが、やはり農地を保有していくといいますか、継続して農地を自分の所有ないしはその管理から外したくない、こういったことが非常に強いというのが一番の大きな原因かと思います。
○田渕哲也君 先日、参考人の方の意見を聞いたわけですが、その中で、第三者移譲をふやすために、第三者移譲した人に対して経営移譲年金に割り増しをつけるべきではないかという御意見がありましたけれども、これについてどう考えられますか。
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金の場合には、老後保障と構造政策の推進という二つの大目的を持っているわけでございますけれども、これからやはり構造政策的な効果を高める、そういうことを十分検討していく必要があろうかと思います。そういう意味で、今御提言になりました第三者移譲の場合は直接規模拡大効果があるわけでございますので、そのような方法につきまして今後十分検討してまいりたいと考えております。
○田渕哲也君 それから離農給付金というのがありますね。これは五十五年の改正でさらに十年延長されて六十五年までということになっているわけですけれども、これの政策的効果をどう判断しておられますか。
○政府委員(井上喜一君) この離農給付金の効果は非常に難しいわけでございますけれども、この実績を申し上げますと、四十六年の一月から五十九年までの間で申しますと、二百七十六億円を使っているといいますか、給付をしているわけでございます。 経営規模の方につきましては、取得した方は十二ヘクタールから十五ヘクタール、これは北海道の道北でございます。それから道南の方では七ヘクタールから八・八ヘクタール、都府県では二・四から二・九、こういうぐあいに増加をしております。この面積の動向は五十八年度のものでございますけれども、大体こういった傾向があると思います。 また、農地を取得した年齢から見ますと、大体四十歳代、しかも四十歳前半の人が多いわけでございまして、そういう意味では経営主の若返りということに寄与をしているというふうに思います。ただ、離農給付金の場合は現在六十二万円ということでございまして、不動産を処分いたします場合に処分損を基礎にいたして積算をしておりますので、積極的に離農を促進していくというような性格につきましては、いま一つそれほど強くないのではないかというふうに思います。ただ、結果を見ますと、確かに譲り受けた方の規模拡大にはかなりメリットが出ているということが言えるかと思います。
○田渕哲也君 それと、今回の改正で特定譲り受け者に移譲した場合とそれ以外の者に移譲した場合と経営移譲年金に格差をつけることにしたわけであります。これのねらいというものについてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(井上喜一君) たびたび申し上げるようでございますが、農業者年金制度は農業者の老後保障を図るばかりでなく、経営移譲によります経営主の若返り、あるいは経営規模の拡大等を目的としたものでございまして、こういう年金制度の趣旨、目的に照らしまして、より望ましいといいますか、より生産性の高い中核農家等に対しまして農用地が集積される、集まってくるような経営移譲を誘導していく、こういうのが基本の考え方でございます。また、こうすることによりまして、年金財政の安定にも寄与してまいりますし、将来、保険料負担の軽減にも結びつく、こういったことに相なるわけでございまして、関係者の意見を総合勘案いたしましてこのような制度を導入した次第でございます。
○田渕哲也君 私は、このねらいというか効果というものを考えた場合に、最も端的にあらわれるのは、財政的要素ではないかと思うんです。後継者の五〇%が被用者年金加入者である、その分の経営移譲年金が四分の一減らされる、財政的には非常にこれは軽減される。それから、先ほども説明されておりましたもう一つの要素は、後継者というか、やっぱり農業者年金加入者で負担をしておる人と被用者年金加入者との差、そういうものの感情的な問題という面でも理解できますけれども、ただ、構造政策の面でこれはプラスになるかどうかというのは非常に疑問だと思うんです。 先日、参考人の方の御意見もいろいろ聞いてみますと、この制度ができたからといってサラリーマン後継者に移譲するということをやめて、いわゆる農業者年金加入者に移譲するというふうにシフトするということは余り考えられない、また、その選択の余地は常識的に考えても余りないと思うんですね。 そういう意味では、農業専業者である人を後継者にして中核的農家を育成するというような政策的な効果はほとんど期待できないのではないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(井上喜一君) この制度を導入いたしましたときにどの程度の効果が出るかでございますが、いわゆるサラリーマン後継者に対する経営移譲率が現在約五〇%あるわけでございまして、これまでの傾向を見ておりますと、この移譲率が徐々に高まってきているわけでございます。こういった傾向に歯どめをかけるということをねらいにしておりまして、急激に五〇%以下にこのいわゆるサラリーマン後継者に対する経営移譲率が下がるとは思いませんけれども、五〇%というラインでの歯どめはかかっていくのではないかというふうに考えております。 これは一つには、最近地域農業集団等におきまして農地の流動化についての話し合いというのがかなり熟してきておりますし、それに、特に稲作などにおきましては、経営規模の格差による生産性の違いといいますか、コストの違いというのがかなり出てきておりまして、経営規模を拡大する農家からは相当の小作料が支払えるような条件も出てきているわけでございます。そのような外部的な条件等も考えてみますと、今私どもが想定しておりますサラリーマン後継者に対する移譲率五〇%程度で歯どめがかかってくるのではないかというふうに考えているわけでございますけれども、今御指摘になりますようになかなか難しい問題でありますので、私どもとしても相当努力をしていく必要があるというふうに考える次第でございます。
○田渕哲也君 それから、この農業者年金の性格ですが、これは社会保険的側面と政策的側面とある。つまり農家の老後保障、それから構造政策の推進、この両面を持っておると言われておるわけですが、また同様の制度はECにおいても行われております。ただ、このECの制度と日本の制度と比較してみますと、ECの制度は西ドイツ、フランスの例をとりましても、老後保障的な面の制度というのはこれは恒久的制度にしておる。ところが、離農年金という構造政策的な面については、これは時限措置としております。それから同時に、老齢者年金の制度の方は、国庫負担と加入者負担が併用されておる。ところが、政策的な離農年金の方は全額国庫負担ということになっています。 私は、二つのねらいを持っておるという点は共通しておりますけれども、二つの違った要素をかみ合わせてやるからには、やっぱり西ドイツやフランスのようにはっきり分けた方がいいのではないかと思うんですね。やはり構造的な面というのは、これは恒久的なものではないと思います。構造政策をある程度推進するまでの期間ということになるわけでありまして、またこれに対しては国庫負担でやるということは非常に筋の通った考え方だと思うんですね。それから一方、老後保障という面ではこれは他の年金、厚生年金とか共済年金とか、そういうもののバランスにおいて国庫負担、本人負担、そういうもののつり合いというものを考えなければならない。したがって、この制度がごちゃごちゃになっておるところに農業者年金のあいまいさというものがあるし、またいろいろな指摘もされるのではないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
○政府委員(井上喜一君) 確かに、御指摘になりますように、我が国の農業者年金は二つの目的といいますか、二つをうまく組み合わせまして制度をつくっているわけでございまして、確かにそれだけに非常に制度が複雑になっているという面もありましょうし、また見方によりましてはうまく組み合わせた制度になっているという見方もできるかと思います。ECの場合、特にフランスなどの場合は、日本で言う国民年金を農業の中でつくっているというような制度の違いがございまして、我が国の農業者年金とやや仕組みが違っているわけでございます。また離農年金につきましても、ECが統合いたしまして共通農業政策を策定いたしました場合に、その共通農業政策の実施を容易にするということで、非常に急速なといいますか、そういう構造政策を打ち出したわけでございまして、その一環として離農年金というのがつくられてきたというような経緯もあるようでございます。 確かに、ECのようなタイプの制度もあろうかと思いますけれども、既に我が国の農業者年金制度は発足後十四年を経過しておりまして、我が国なりにこの農業者年金制度が定着をしてきているような状況にあるわけでございます。こういった経緯も十分踏まえて、今後の農業者年金のあり方につきましては検討をしていく必要があるんだろうというふうに考えておるわけでございます。
○田渕哲也君 確かに、ECと我が国とでは事情の違った面がありますけれども、この農業者年金制度の組み立て方というのは全くよく似ているわけです。これはどっちかがまねしたんじゃないかと思うほどよく似ているわけでありまして、ただ日本の悪い点というのは非常にあいまいだということですね。だから、いろいろな問題が指摘されると思うんです。社会保障制度審議会はこれについて毎年毎年たくさん答申を出しておりますけれども、一貫して極めて大きな疑念を表明しておるわけですね。最初は、これができるときの答申は、「たとえ国の農業政策的要請があるとしても社会保障制度としての年金制度のあり方になお疑念が残る点がある。とくに国庫負担その他の点において他の年金制度に及ぼす影響も大きいと思われるので、その運用にあたってはとくに慎重を期せられたい。」。それからその次は四十九年ですけれども、実施以来「日は浅いとはいえ、今日なおその疑念は払拭されるには至っていない。」、最初示した疑念について約四年たってみたけれども、やっぱりその疑念は消えないということを指摘しております。それから五十一年には、やはりまた「本制度の社会保障制度における年金としての在り方に疑念が残る旨を重ねて述べてきた。今日に至るもなおこれが払拭されていないことは、残念である。」、こういうことがずっと続いてきまして、ほとんど二、三年ごとにこういう制度は問題だ、問題だということを社会保障制度審議会は繰り返して言ってきておるわけであります。 それで、ずっとこういう答申がなされる背景というのは、一つはやはり国庫負担と、もう一つは構造政策としてのあり方、構造政策的な効果があるから国庫負担を出しておるという背景があるけれども、その政策的効果が疑問であるという点が一つ。もう一つは、年金制度としての長期的な財政の安定の見通しがない、だから年金制度として極めて不安定な制度である。この二つの点があるから、こういうことを繰り返し言ってきておるのだと思います。 そして、六十年度の答申におきましては、「本制度については、本審議会は、これまで繰り返し社会保障制度としてのあり方からみて疑念を述べるとともに、年金財政の確立を強く求めてきた。しかるに、その後見るべき対応がなされないまま今日に至り、他の公的年金制度を大きく超える国庫負担を投入しても年金財政の確立は望み得ない状態にある。よって、早急に本制度の趣旨、目的にまでさかのぼって、根本的な検討を行うことを強く要望する。」、こういう答申が出されておるわけであります。 こういうものについてどう考えられるか、またどう対応されるのか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(井上喜一君) 社会保障制度審議会の当初の答申あるいはそれに続きます次期の答申を見ますと、社会保障制度としての年金制度については厚生省でやっております年金制度のもとで原則的に対応すべきであろうと、こういった考え方が強いのではないかと思います。 ことしの答申におきましてはそういったことが基本的にあろうかと思いますけれども、やはり基本的には年金財政を安定する、健全にしていくというためには抜本的な改正をする必要があるということ、あるいは構造政策をもう少し徹底をして実施をしていく、それがお話しのような国庫負担の裏づけを持って行っていく必要があるというようなあるいはニュアンスもあるかもわかりませんが、いずれにいたしましても、基本的に今の制度を検討するということを求められている答申だと思います。 農業者年金の年金財政の現状を見ますと、今回の改正によりましてかなり改善はされるようになるわけでございますけれども、なお長期に安定したものとしていくのには基本的な検討が必要でございます。給付と負担のあり方、あるいは年金の開始年齢、その他もろもろの問題が提起されておりますけれども、そういった問題全体ひっくるめまして基本的に検討いたしまして、この農業者年金制度を安定した制度として確立していく必要があると考えているわけでございます。
○田渕哲也君 これは「本制度の趣旨、目的にまでさかのぼって」ということは、もう根本的に見直すべきだということだと思います。私も、これは非常に無理がある制度ではないかという気がするわけです。年金制度というものは世代間の相互扶助だというふうにたびたび答弁されておりますけれども、農業従事者の人口バランスというものはやっぱり普通の他の産業とは違ったような形態、どうしても逆ピラミッド型のような傾向が当分続くのではないかと思います。特に、大臣は日本の農業の将来は非常に有望だとおっしゃっておりますけれども、農業の将来は有望だとしても、農業人口の構成というものの逆ピラミッド型の形態というものは続くんじゃないか、また続かなければ構造改善も進まなければ、農業というものが本当に強いものにならない。 そういう点から考えますと、農業者だけでつくるこの年金制度というものは構造的に非常にやっぱり無理があるのではないか。世代間の加入者数のアンバランスという状態が避けられないし、またこれが負担と給付との関係でも無理を生ずるわけであります。だから、こういうものに対してどういう対策を立てるかということがないと安定した農業者年金という制度はつくれないと思いますが、この点についてどうお考えになりますか。
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度発足以来、現在までの加入の状況を見ますと、漸次その加入者は傾向といたしましては途中増加をいたしまして、その後減少しているわけでございますが、大きな傾向といたしましては加入者は減少してくる傾向にあるわけでございます。 それにいたしましても、ここ十年間のような傾向が将来とも続いていくかどうかということについては、もう少し検討してみる必要があると思うわけでございまして、まず私どもといたしましては、長期的には二万人程度の加入者が見込めるのではないか、加入者総数といたしましては任意加入を含めまして五十万人程度の加入者は見込めるのではないか、そういうふうに考えているわけでございまして、確かにここ当分、加入者の方は減少してまいりますけれども、これまでのような急激な加入者の減ということではなしに、なだらかに加入者は減少をしていきまして、今の状況からすればある程度その加入者数というのは安定をしてくるというふうに考えているわけでございまして、本来農業者年金制度といいますのは、ある程度そういったことを前提にして仕組まれた保険制度であるというふうに考えております。
○田渕哲也君 最後に大臣にお伺いしますけれども、私はこの農業者年金制度というのは、先ほど申し上げたような構造的なアンバランスがあって非常に年金制度としては無理がある制度、政策的な面と絡み合わせて国庫負担を引き出すことによって年金財政を維持してきた制度ではないかという気がするわけですね。ところが、じゃこれでずっと続けていけるかというと、そうは考えられない。さらに、保険収支の見通しを見ても、今回の改正によってもなお将来に不安が残るという状態であります。 したがって、この点をやはり整理をして、やっぱり農業者の老後保障制度のあり方という観点からどう組み立てるかということと、それから政策的なものをどうするかということを分けてここで組み立て直さないと、やはり社会保障制度審議会が指摘しておるような疑念というものは常につきまとってくるし、また将来に対する不安というものも消えないのではないかと思います。したがって、この点に対する大臣のお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 田渕先生にお答えします。 実は先生の御指摘の点はよく理解できました。年金財政につきましても、六十二年度には単年度赤字になります。また、七十四年になると積立金がなくなる、そういう形の中で、どのように長期安定を図るかというような問題、それから政策効果につきましても、実は細分化防止につきましてはどうやら現状維持に努めていますが、経営規模は進んでいない、一体これをどうするか、こういう御指摘だと思います。 そんなことでございまして、先ほど局長も答弁したわけですが、私は基本的に日本農業は明るい未来がある、こう考えております。そういう形の中にやはり給付と負担の問題、あるいは支給開始年齢等、いろんな基本的枠組みの検討となっております。そのときに十分そういう問題を含めて検討いたしたい、こう考えております。 ─────────────
○委員長(北修二君) 委員の異動について御報告いたします。 ただいま菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として大森昭君が選任されました。 ─────────────
○喜屋武眞榮君 農は国のもとであるとか、あるいは生産者は王様であるとかいうことが言われております。それを実らせるためには、何としても若者に希望を持たせる、また老齢者に、お年寄りに安らぎを与える、こういうことにならなければ、農は国のもと、あるいは生産者は王様であるということとは結びつかないと思っております。そこに政策あるいは法の大事さがあると思うんですが、そういう観点から今度の法を見ました場合に、もちろんプラス要因もないわけではない、ところがプラス、マイナスを比較検討した場合にはその目的からすると余りにもマイナス要因が多いのではないか、私にはそのように思われてなりません。 そういった観点から具体的にお聞きしたいと思いますが、まず保険料の改定について、保険料の問題についてお尋ねしたいことは、こううたっておる、農業者年金の保険料の額は昭和六十二年一月分から一月について八千円、以後昭和六十六年まで八百円ずつ段階的に引き上げること。保険料の引き上げに伴う農業者の負担は、六十二年度で夫婦二人の国民年金の保険料と合わせると月額二万二千六百円となりますね。政府は、この保険料負担が農家所得全体の中で五・一%を占めるにすぎない、こうとらえておられる。ところが、農業所得十三万一千円との関係で見た場合には実に一七・三%ですか、こういった比率になると思うんですが、こういうことからしましても、これはもう保険料の負担額の面からも余りにも多過ぎる、あるいは重過ぎるといいますか高過ぎるといいますか、そういうことが感ぜられてなりません。このことについてどうお考えでしょうか。
○政府委員(井上喜一君) 保険料につきましては、農業者年金法でこれから年金給付に必要な金額あるいは運用収入あるいは国庫負担というようなことを考えて、将来年金財政が均衡するような水準で保険料を定めるということになっているわけでございますが、今回この平準保険料として一万三千二百三十八円というのをこれを八千円といたしまして、六十二年から六十六年まで毎年さらに八百円ずつを段階的に引き上げていく、こういう改正にしたわけでございまして、こういう前提で農家の保険料負担を考えてみますと、農業者年金の保険料が農業所得の中でどの程度の負担の割合になるか、こういうことを見ますと四・七%になります。それから国民年金に夫婦二人で入りまして、さらに付加年金の保険料も払う、こういうことで計算いたしますと、それが一万四千六百円になりますので、合計いたしまして、ただいまお話しになりましたように二万二千六百円になるわけでございまして、この合計額につきましては農家が負担するわけでありますので、農家の全体の所得から見ますと五・一%になる、こういうことを申し上げているわけでございます。 確かに、保険料はこれまでの水準からかなり引き上げるわけでございますので負担の増になるわけでございますけれども、私どもといたしましては、農家の負担可能な水準ということを考えまして農業者年金の保険料八千円というのを定めたわけでございます。
○喜屋武眞榮君 本当に農業従事者の、あるいは農家所得の実情を押さえられたものであるかどうか、こういうところに疑問を持たざるを得ません。こういうところからいわゆる将来に向けての希望が持てるとか、あるいは加入の問題とか、あるいは老後の保障の問題とか、こういうことが当然結びついてくるわけでありますが、どうもそういった点から私には先行き不安の要素が多いのではないか、こう思われてなりません。 次に、遺族年金制度の導入を積極的にすべきではないか、こういった観点からこれは任意加入の増員の問題とか、いろいろの面にこれが結びついてくると思うのでありますが、今回の改正によって脱退一時金及び死亡一時金の額を昭和六十二年一月から四%引き上げる、そして死亡一時金の支給対象範囲の拡大を行っているというこのことは確かに評価できると思います。ところが、この遺族年金制度の導入ということは、これはもうずっと要望し続けておることでありまして、ですから、これを今後の問題としてでも真剣に取り上げてできるだけ早く実現してもらう、こういうことでなければますます先細りしてくるのではないか、こう思われてなりません。ですから、この改正によって遺族年金の問題も決着をつけたんだ、このような判断に立ってもらうというと、それこそまた希望を失う、こういうことになりますが、このことについて大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えします。 今度の年金というのは国民年金の付加年金であるということ、それからまた財政的には長期安定を維持する、そういう形の中に政策効果を高めるというようなことでございまして、財政的な措置は先ほど言ったようなことなんですが、六十二年度には単年度赤字、それから七十四年度やはり積立金もなくなる、そんなこともございますゆえ、これが給付と負担の問題あるいは支給開始年齢等の基本的枠組みの問題等を検討しますそのときに、今の遺族年金等の問題は非常に難しい問題でございますが、検討いたしたいと、こう考えております。
○喜屋武眞榮君 ぜひとひとつ前向きで御検討してもらいたい、こう思います。 次に、沖縄との関連も含めて二、三尋ねたいのであります。 まず第一点は、これは必ずしも沖縄だけの問題じゃないと思いますが、老齢化の問題で、日本自体が長寿国になっておりますが、わけても沖縄は長寿者が多い、県単位では一位を占めておる、こういうこととも関連しまして、長寿者の安定した生活を、こういう願いから、要望から年金をもっと上げるべきであるという結論なんです。この農業者老齢年金額は低いと私思うわけですが、そのような結果になった一体水準といいますか、根拠はどこにあるんですかということを、もう一遍確認したいと思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度の主体は経営移譲年金でございまして、六十五歳以降の老後保障というのは国民年金と相まって行うという、そういう制度の仕組みになっているわけでございます。この農業者年金の中におきます農業者老齢年金といいますのは、長年農業に精進してきた人に対し報いる、こういうことで設けられた制度でございまして、一定の政策目的といいますか、構造政策の手段としての性格は直接に持たないものと理解をしているわけでございます。今回の改正でも、農業者老齢年金は経営移譲年金の四分の一というところは変更してないわけでございます。 この農業者老齢年金の年金額引き上げにつきましては要望もあるわけでございますけれども、何分これは終身年金でございまして、保険料への影響が非常に大きいわけでございます。また、経営移譲年金に対しましては国庫助成がございますけれども、これについてはそれがないということでありまして一層農家への負担がかかってくる、こういった状況にあるわけでございまして、現時点におきまして農業者老齢年金額を引き上げていくというのは非常に難しい状況にございます。
○喜屋武眞榮君 この問題も沖縄、沖縄といいますと何か我田引水のそしりを受けかねないんですが、決してそういうことではありませんので、日本全体の問題としてお受けとめいただきたいと思います。 次に、任意加入に関連して、当然加入は五十アール以上、そうして任意加入が三十アールから五十アールですか、年間七百時間。沖縄の場合には二十アールから五十アール、こういうことになっておるわけでありますが、そういった特殊な配慮ということも、これは狭い県の面積の中で一一%が基地に占められ基地機能が七五%を占めておるという、こういう特殊事情も加わっておるわけでありますが、さらに細切れの離島が多いということもいろいろとかさんでおるわけであります。 そこで、そういった農業形態の中で、これも沖縄の特殊事情からくる問題であります。施設栽培は他県にもあるわけでありますが、沖縄には特に小規模の施設栽培、例えば十アール程度の施設栽培をしておる農家がいっぱいおります。そして、それはもっと広がりつつあります。ところが、その施設栽培、十アール程度でありますけれども、その収益ということになりますと、三十アールあるいは五十アールの耕作者にも劣らない多額の収入を上げておる実情もたくさんございます。そういうことからも、私はこの方々が任意加入できる道を講じていただきたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(井上喜一君) ただいまのお話にもございましたように、沖縄県の場合には農業者年金への加入資格につきまして特例が設けられているわけでございます。 当然加入者につきましては、都府県の場合と同様の五十アール以上という規模になっておりますけれども、任意加入の場合は都府県が三十アール以上五十アール未満となっておりますが、沖縄県の場合は二十アール以上五十アール未満ということになっておりまして、それなりの特殊性といいますか、沖縄県の特殊な事情というのは配慮していると考えるわけでございます。施設型の農業をやっております場合は、それだけということではなく、やはり附帯的に農地を持ちまして若干農業をやっているというのが実情じゃないかと思います。そういうことで、沖縄県の場合にも農業を専業的にやっております農家につきましては、こういう二十アールという基準で大体救われているんじゃないかというふうに考えているわけでございます。また、この年金制度の趣旨から言いましても、余り規模の小さな農家を対象にしていくということについては問題もあろうかと思います。 そういうことで、ただいまのところは、この任意加入の規模をさらに引き上げるということについては考えていない次第でございます。
○喜屋武眞榮君 小さい農家ということをおっしゃったんですが、私は無差別にすべてをという気持ちでなく、あとう限り実情に即した配慮をもって、しかも生産意欲に結びつけていくという、これが本当の前向きの政策であると私は思うんです。ならば、法もそういうことをきちっと裏づける内容を持たなければ、角を矯めて牛を殺すようなことになりかねない。これは、もしそういうことであるならば、それこそ意味のない法であると思うんです。やっぱり形式と内容が一致して、しかも実績の上がる、それが本当の育てる法であり守る法である、こう私は思うんです。 次に、これも沖縄の特殊事情ですが、黙認耕作地という存在がございます。大臣も御存じと思うんですが、すなわち基地に、金網に囲われておるが実際米軍が使用しておらない部分がある。万一に備えてあるいは囲ってあるかもしれませんが、まことにもったいない話であります。そこで、実際に基地に使用していない部分、しかも金網で囲って基地ということになっているわけでありますが、そこをパスをもらって中に入ってキビをつくったり、あるいは野菜栽培をしたり、いろんな野菜物をつくったりしておるわけですが、こういうあり方を黙認耕作地と言っておりますですね。この方々に対しては一体どのような配慮を持っておられるか、そして、現在その黙認耕作地で農業に従事しておる方々に対してはどのような対策を講じておられるか、また、今後どのようにこの目的に沿う裏づけをしてもらおうと、こういう意図を持っておられるか、ひとつ伺いたい。
○政府委員(井上喜一君) 今、沖縄県にあります基地の中の耕作地、いわゆる黙認耕作地についての取り扱いでございますが、これは所有権を持っておりまして農業なり畜産をやっている人につきましては、これはいわゆる都府県でいいます所有権を持って農業をやっている人と同じように取り扱っております。また、所有権を持っている人と契約をいたしまして土地を借りまして農業をやっております場合には、これも都府県の場合と同様に、使用収益権に基づいて農業をしている農業者として取り扱っておりまして、特に黙認耕作地ということでもって、その耕作者にとって農業者年金加入上不利益な扱いはしてないわけでございます。
○喜屋武眞榮君 今の黙認耕作地の問題は、軍との関係もあるわけですが、そして地主が耕作しておる場合と第三者が耕作しておる場合、こういうケースがあるわけなんですね。そういった複雑なケースは実際あるわけですが、このことも基地から受けるこれは状態でありますので、さかのぼっていいますと、結局これも国の犠牲ということにほかなりません。そういう観点から、特別の配慮ということで育成してもらわなければいかぬ、こう思っておりますので、ひとつそのように御配慮をお願いいたしたいと思います。 次に、高齢の六十歳から六十五歳までの任意加入の申し出対象者に対しては、特に事務的な指導が必要であると私は思えてなりません。私が特に具体的に申し上げたい例は、本土においても離島、僻地、沖縄の場合にもさらに遠い沖縄のまた島が多うございます。そういった離島、僻地の農協においてその指導が行き届かないというと、知らない間に、いつの間にか既得権が失われておると、こういうことにもなりかねない。と申しますのは、事務的な保険料の納入についても一応年間三カ月置きに四回、かに納める、前払い、一括払いもあるわけでありますが、離島、僻地の農民がそういうことを常に意識しておればいいわけですけれども、その納期におくれて欠落してしまうところが後でそれがひどい目に遭うことが考えられるわけなんですね。 ですから、そういうことのないようにやっぱり念を押す、あるいは親切に手ほどきをする、あるいはだめを押す、こういう配慮がないというとすべて後の祭りで排除されていくと、こういうことにもなりかねないと思うんです。そういうことを思いますときに、私は農業者年金基金の関係者とのつながりですね、よっぽど配慮を持って温かく見守ってやらぬというといけないのではないか、こう思うんですけれども、そういった離島、僻地の農協における指導、配慮、このことについてどのように考えておられるか、またやっておられるか、お聞きしたい。
○政府委員(井上喜一君) 離島の農協等のことについて御指摘があったわけでございますけれども、恐らく事務の執行体制等が必ずしも十分でない農協というような御趣旨かと思いますが、農業者年金の被保険者の状況につきましては、農業者年金におきましてはこれは記録をとってございます。したがいまして、今もお話がありましたように、必要な保険料を納付しなかったとかいうような場合もございますので、これは必要に応じまして農業者年金基金からそういった関係の農協等に連絡をして、そういう農協なり農業委員会を通じまして連絡すべき相手方に必要な連絡は届くというようなことをとりたいと考えておりまして、その具体的な周知徹底の方法につきましては、今後、早急に詰めてみたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 それじゃ、最後に大臣に要望申し上げます。 冒頭に申し上げましたとおり、この法案はプラス、マイナスあるわけですが、ところが質的に、量的に比べた場合にマイナス要因が多過ぎる。結論を言いますというと、これはもう改正は改善でなければいけないが、改悪じゃないかと、こういうことも思うほどの内容が盛られておる。そこで、この法案に本当に自主的に若者に希望、魅力を持たせ、そして老後に安らぎを、喜びを、安心を、こういう方向に持っていってもらわぬといけないと思いますが、大臣の決意をお伺いして終わります。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 御承知のように、農業者年金制度というのは農業者の老後生活の安定を図りますとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化を図ることを目的としております。そんなことで、農村の高齢化は進行する一方、農業構造の改善を図ることが現下の農政において極めて重要であることを考えますと、農業者年金制度の役割は今後ますます重要になってくると思います。 こういうことで、今後におきましても制度の長期安定を図るとともに、制度の目的に沿いましてその使命がよりよく達成できますよう最善の努力をいたしたいと、こう考えております。
○委員長(北修二君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。 稲村君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。稲村君。
○稲村稔夫君 私は、ただいま議題となっております農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
○委員長(北修二君) それでは、稲村君提出の修正案を議題といたします。 まず、修正案の趣旨説明を聴取いたします。稲村君。
○稲村稔夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その提案の趣旨を御説明いたします。 修正案の内容は、既に委員各位のお手元にお配りしたとおりでございますので、案文の朗読を省略し、その概要を簡単に御説明したいと存じます。 修正の第一点は、政府案における特定譲り受け者以外の者に経営を移譲した場合の年金額に四分の一の格差をつけるという規定を削除することであります。 改正案におけるこの措置は、農業構造の改善を一層促進するための政策適合度を基準にして年金額に差をつけたと説明されているのでありますが、この背景には財政支出を縮減する一方、給付水準の切り下げによって本制度の安定を確保しようという意図がありありとうかがえるのであります。これは、農業者の老後生活の保障に支障を生ずるとともに、本人や後継者の責任に帰せられない理由によって同一の保険料を支払った者の年金額にいわれなき格差を設けることになるばかりか、農村社会の実態を全く無視したものでありまして、我々は、この改正を断じて容認するわけにはまいりません。 このため、我が党の修正案では、このような改悪規定を削除し、経営移譲を行った者には、経営移譲の相手方によって年金額に差別を設けることなく、現行法どおり同額の年金額を支給することとしたのであります。 第二点は、農業者老齢年金の額を二倍に引き上げることであります。 日本社会党は、老齢年金の引き上げについて、過去三回にわたって独自の修正案を提出してきた経過がございますが、これは一言で申し上げれば、本法制定の経過にかんがみ、実質的に厚生年金並みの給付水準を国民年金の支給と相まって保障することにより、農業者の老後生活の安定を確保しようとするものでありまして、公的年金制度が担わなければならない当然の使命を果たそうとするものなのであります。 ところが、改正案は農業者の老後生活の実態を考慮することなく、年金額を逆に引き下げることを内容とするものでありまして、農業者を初め関係者の期待を全面的に裏切るもので、到底我々の納得できる内容ではないのであります。 第三点は、農業者寡婦年金制度を創設することであります。 これは、衆・参農林水産委員会が、附帯決議の中で政府に検討を迫ってきたにもかかわらずいまだに放置されている問題であります。 我が党は、現行制度が婦人の年金加入を実質的に制限し、遺族に対する保障も他の公的年金制度に比べて著しく立ちおくれているところから、修正案では、経営移譲年金の受給権者であった夫が死亡した場合において、六十五歳未満の妻があるときに、その妻が六十歳に達した時から夫の経営移譲年金の未支給期間の月数に相当する月分の農業者寡婦年金を支給する制度を創設することとしたのでありまして、他の公的年金制度が有している当然の制度を農業者年金制度にも導入しようとするものであります。 第四点は、農業者年金の支給資格期間として通算する措置の対象範囲を拡大することであります。 この点につきましては、政府案が農業協同組合等の常勤の役員に選挙または選任された者についての受給資格期間について通算する措置を講じており、我々も一定の評価をするわけでありますが、その範囲を農協等の役職員に狭く限定したことは問題であり、我が党は、農村地域工業導入促進法に基づいて導入された工業に就業した後一定期間内に当該工業が工場を移転したり操業を廃止したことによって離職を余儀なくされた者について、その者の被用者年金加入期間を農業者年金の受給資格期間として通算する措置を講ずることとしたのであります。 第五点は、昭和六十三年以降昭和六十六年までの保険料の額の段階的な引き上げ幅を四百円ずつに縮小することであります。 改正案における保険料の引き上げ幅は八百円という大幅なもので、これは農業所得が近年低迷している状況の中で、農家の負担能力をはるかに超える厳しいものであるばかりか、国民年金が三百円の幅に抑え家計への影響に配慮していることに比較すれば無謀とも言える引き上げ幅であります。 我が党はこのような諸点を考慮し、農家負担の軽減を図る観点から修正を行うこととしたのであります。 第六点は、国庫補助額について、その引き上げを行うことであります。 すなわち、公的年金制度の長期的な安定を確保することは政府の国民に対する責務でありますが、国庫補助を削減し、自助努力を強制することによって本制度を維持しようとすることは、農業者年金制度を形骸化するものであり、農業者の老後生活の安定を目途に全額財政資金をもって離農年金制度が運用されているフランス等外国の例とは余りにも対照的であります。 このような見地から我が党は、本修正に伴う必要財源を国庫補助の引き上げ等によって措置することとし、現行法の保険料に対する国庫補助の規定を復活させるとともに、新たに、農業者老齢年金の給付に要する費用の額の三分の一に相当する額を国庫負担する規定を設けることとしたのであります。 以上のほか、政令事項でありますが、後継者の本年金への加入要件及び後継者に対する経営移譲要件となっている後継者の農業従事期間三年以上につきましては、これを一年以上に短縮することを強く要求するものであります。 以上が我が党の修正案の内容でありますが、何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げ、趣旨説明といたします。
○委員長(北修二君) ただいまの稲村君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。
○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの修正案につきましては、政府としては反対でございます。
○委員長(北修二君) 別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○山田譲君 私は、日本社会党を代表して、政府提案の農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対して反対、日本社会党提案の修正案に賛成の立場から討論を行うものであります。 以下、反対の理由の主なるものを端的に申し上げます。 まず第一は、年金給付水準の大幅な引き下げであります。すなわち、特定譲り受け人に経営移譲した者に対する年金の水準を、段階的ではあるけれども、究極的には六〇%に切り下げようとしていることであります。このことは、長年農業にいそしんだ農業者が、安んじて老後を過ごすことができることを目的とした本制度の趣旨を大きく逸脱するものであって、絶対に容認することができません。 さらに、いわゆるサラリーマン後継者に経営を移譲した場合は、給付について四分の一の格差をつけようとしているのでありますが、平等に老後を保障しようとする社会保障の精神から見て、何とも理解に苦しむところであって、これまた認めるわけにはいかないのであります。 また、長い間、農業者の強い悲願でもあり、既に幾たびか本法改正の際に附帯決議もなされていた遺族に対する年金権の問題が、一顧だになされていないことはまことに遺憾千万であり、政府の怠慢と誠意のなさを強く指摘せざるを得ません。 反対の第二は、掛金の大幅な引き上げであります。すなわち、六十二年度は掛金をまず八千円に引き上げ、以後五年間毎年八百円ずつ引き上げようとしているのであり、これを国民年金の掛金と合わせると毎月少なくとも二万八千円以上となり、ただでさえ低迷する農業所得に対し重大な負担増となることは火を見るよりも明らかであります。給付は大幅に引き下げられ、掛金が大幅に引き上げられる、まことに農家にとっては踏んだりけったりの措置であると言わざるを得ません。 反対の第三点は、ただでさえ厳しい年金財政の中で、これに追い打ちをかけるように国庫補助の廃止や引き下げが行われることであります。昭和六十二年度からは単年度赤字となり、その後わずか十年そこそこのうちに間違いなくパンクの状態に追い詰められようとしている保険財政を考えるときに、政府はもっと真剣にその対応策を講ずべきであると考えます。同時に、むしろこの際、制度 の維持発展のために思い切って補助金の増額を行うべきであると考えます。 以上、私は本法律案に反対する主な理由を申し述べました。 このような内容が、農業者の期待を大きく裏切るものであることは間違いなく、本制度が当初大きな目標として掲げた農民にも恩給をの高い理念からはますます遠ざかり、その魅力を失い、加入者も減少の一途をたどり、ひいては本制度が崩壊の危機にさらされるに至ることを私は深く憂慮するものであります。 日本社会党は、以上述べたような本改正案の欠陥を是正し、真に制度の維持発展を図り、農業者の期待にこたえるために、ただいま修正案を提出したところであります。 修正内容は、まず保険料及び給付に対する国庫補助を復活、拡充させるとともに、経営移譲年金に格差を設けないこと、農業者寡婦年金の創設、給付の引き上げ、保険料引き上げ幅の圧縮等、いずれも農業者の期待にこたえ、まことに時宜を得たものと確信するものてあります。 以上、政府案に反対し、日本社会党の修正案に賛成の態度を明らかにして、私の討論を終わります。
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、農業者年金基金法案に対し反対の討論を行います。 反対する第一の理由は、年金の給付水準の引き下げです。 本改正案は、特定譲り受け者に経営移譲した場合に現行の年金額を四〇%、特定譲り受け者以外のいわゆるサラリーマン後継者等に経営移譲した場合五五%と、大幅に削減することとしております。この結果、四十年間満期、保険料を納めても、もらえる年金額はサラリーマン後継者移譲の場合、月六万七千円にしかならず、生活保護の生活扶助費をも下回ります。まさに今回の給付水準の引き下げは、憲法で保障する健康で文化的な最低限の生活をも脅かすものであり、農業者の老後保障という本制度の目的にも反するものです。 また、サラリーマン後継者に移譲した場合の四分の一の格差づけは、兼業農家切り捨ての政策年金としての性格を強化しようとするものですが、これは兼業農家の農業生産に果たしている重大な役割を無視するものであり、何よりも老後保障の年金に移譲の相手方で差をつけることは許されません。 第二は、保険料の大幅引き上げです。 現在、月六千六百八十円の保険料を、六十二年一月以降八千円、以後毎年八百円ずつ引き上げ、最終的に一万一千二百円にするという本改正案は、今ですら大変な農家負担を大幅にふやすものです。農業者年金加入の条件となっている国民年金の保険料と合わせると、六十六年の一月以降二万七千六百円となり、農業所得に対して実に二一%も占め、これはもう農家の負担能力を超えたものと言わざるを得ません。 第三は、国庫補助の引き下げです。 農家には、給付水準の引き下げと保険料の大幅引き上げを強いながら、国庫補助については支払うべき保険料に換算して約二千円相当も削減し、そっくり農家の負担に転嫁しています。 今回の改正の結果、給付水準の引き下げに伴う国庫負担の減と合わせて国庫補助額が現行より昭和六十五年度時点で約百五十六億円、七十年度時点では約四百十六億円削減される見通しになっています。 このように本改正案は、軍拡、大企業奉仕のため、国民生活を犠牲に財政合理化を進めるという臨調行革路線の実行であり、農民に一方的に犠牲を強いるやり方であって、断じて容認できません。 なお、社会党提出の修正案は、一定の改善項目を含んでおりますが、給付水準の引き下げという政府案の核心となる改正案を基本的にただしておりませんので賛成できません。 最後に、我が党は、国と企業の負担で、六十歳から夫婦で十万円、単身者で七万円の真の最低保障年金をつくること。その上に、婦人も含め、すべての農業従事者が加入でき、本人の拠出に見合った年金額が上積みされ、農民の老後が真に保障される年金制度の抜本的改革実現のため奮闘することを表明し、反対討論を終わります。
○委員長(北修二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 まず、稲村君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(北修二君) 少数と認めます。よって、稲村君提出の修正案は否決されました。 それでは、次に原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(北修二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 高木君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。高木君。
○高木正明君 私は、ただいま可決されました農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、農業者の老後生活の安定と農業経営の近代化、合理化を図る上で本制度の持つ役割の重要性が一層高まっている状況にかんがみ、制度の長期的な安定を確保するとともに、次の事項の実現に努めるべきである。 一、年金財政の健全化を図るに当たっては、農家経済の状況や本年金制度の政策年金としての位置づけ等を考慮し、国庫負担等各種の方策を検討すること。 また、加入促進対策の推進に当たっては、特に当然加入資格を有する者及び若年未加入者の加入促進に努めること。 二、保険料については、国民年金との関係、農業所得の動向等に配慮し、適正に設定すること。 三、特定譲受者以外の者に経営移譲した場合における経営移譲年金額の格差については、農村社会の実情を考慮するとともに、農業者の老後保障に支障を生ずることのないよう配慮すること。 また、農業者老齢年金については、給付水準の改善に努めること。 四、農業経営のもつ家族経営体としての特性等を考慮し、経営移譲年金の受給権者が死亡した場合における遺族年金制度の創設、被保険者が六〇歳前に死亡した場合における当該被保険者資格の配偶者への承継措置及び農業に専従する主婦等の年金への加入等について検討すること。 五、後継者が本年金制度に加入する場合及び後継者に対して経営移譲を行う場合における農業従事要件の緩和について検討すること。 六、被用者年金に短期間加入した場合に農業者年金の受給資格期間として通算する措置について、適用範囲の拡大を検討すること。 七、本制度の円滑な運営が図られるよう業務体制の整備充実に努めるとともに、農業委員会、都道府県農業会議の本制度における位置づけを明確にするよう検討すること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(北修二君) ただいま高木君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(北修二君) 全会一致と認めます。よって、高木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいま可決されました決議に対し、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤農林水産大臣。
○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(北修二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午後二時まで休憩いたします。 午後零時五十分休憩 ─────・───── 午後二時九分開会
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 ただいま稲村稔夫君が委員を辞任され、その補欠として小野明君が選任されました。 ─────────────
○委員長(北修二君) 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○山田譲君 細かい法案の中身に入る前に、ごく基本的なことでお伺いしたい点が三つ四つあるものですから、まずそれから入りたいというふうに思います。 まず最初にお伺いしたいのは、いわゆる今提案されておりますこの法律、これは共済組合という名前のものでありますけれども、私が特にお伺いしたいのは、共済組合でやっているということとその他の例えば厚生年金、国民年金みたいに国がやっている社会保障制度、これとの違いは一体あるのかないのか。あるとするとどういうところにあるのか、それをちょっと教えてもらいたいと思うんです。
○政府委員(後藤康夫君) この農林年金制度は、もう御存じのとおり、農林漁業団体が農林漁業者の地位の向上なり、あるいは農林水産業の発展という上で性格的に非常に重要な役割を担っているということで、市町村等の職員に劣らないすぐれた役職員の確保にも資するようにということで、昭和三十四年に厚生年金から分離発足をしたものでございます。 したがいまして、やはり農林年金は共済の仕組みをもってやっておりますけれども、国の社会福祉政策の一環であることは間違いがございませんが、厚生年金とか国民年金のような広く一般の被用者なり、あるいは自営業者を対象としたものではございませんで、今申し上げましたような趣旨から、農林漁業団体という特定の職域を対象にした職域年金という形で設けられているものでございます。私どもこの制度の運用に当たりましては、こういった役割なり特色を適切に発揮できるような制度として存立をさせたいということでこれまでやってまいったところでございます。 したがいまして、法律の制度に基づいてできましたやはり公的年金の制度の一つでございますと同時に、国民年金なり厚生年金との違いというところは、農林漁業団体という職域に着目した年金だという点にあろうかと思っております。
○山田譲君 これは職員共済組合というからには、やはり職員がみんなでもって自分たちの相互に助け合う精神でお互いに掛金をかけ、そしてやめたときにはその掛金の中から年金が出るようにしようというふうなことを職員がみんなで集まって相談した結果できた団体である、そういう性格のものであるというふうに私は考えるんです。今、局長は公的ということを言われたけれども、どうもそういう意味からいうと公的と言い切れないんじゃないか、職員が掛金をかけ職員がその金を老後になったらもらっていく、こういう性格のものでありますから、だからあくまでも民間と同じ考え方のものであって、それをいきなり公的とかなんとか言っても、実際には掛金をかけているのは職員たちなんですから、補助金は出していると言いますけれども、補助金はあくまでもそういう自主的な団体に対していわば指導、奨励のために補助金を出してやるということはあり得ても、やっぱり主体はあくまでも民間の団体であるというふうに私は思うんだけれども、その点はどうでしょう。
○政府委員(後藤康夫君) 農林年金が対象といたしております職域はまさに農林漁業団体でございまして、これは民間の団体ということでございますが、制度発足のときの経過などをいろいろ調べてみますと、やはり農林漁業政策の推進に重要な役割を農林漁業団体が果たしている、そういう公的な側面というものもあり、また地方公務員共済などにも劣らないような制度の仕組みにして優秀な人材の確保を図る、こういったことが、制度が厚生年金から分離をいたしましたころの議論の中にも出ておるわけでございます。 掛金を払っております点におきましては、これは国民年金、厚生年金も共済年金も同様でございますし、それからまた、国が相当な負担をしているという点も共済年金といえども変わらないわけでございますので、やはり公的な年金制度あるいは国全体の社会保障政策の一環として、法律をもって制度化をされた制度であるという側面はこれは否定をできないものではないかというふうに思っております。
○山田譲君 それはもちろん全然国と無縁だとは私ども思わないし、事実国にとっても非常に大変なことですから、法律をつくってそれなりに仕組みを法律で考えてやっているということはあると思うけれども、基本的にその団体の性格というものを考えるときに、これはやはり民間の団体であると言わざるを得ない。例えば農林漁業団体の職員は、公務員に準ずるような地位があるんですか。
○政府委員(後藤康夫君) そういうことではございません。
○山田譲君 やっぱりあくまでも民間の団体と同じ性格のものであるというふうに僕は思わざるを得ないのであります。 その次に聞きたいのは、同じ共済といっても国家公務員であるとか地方公務員であるとか、あるいは三公社、今度電通と国鉄ぐらいしか残らないけれども、今中途半端な状況にありますけれども、そういうところともまたこれは一味違うんじゃないかと思うんでありますけれども、その点はどうですか。
○政府委員(後藤康夫君) 農林漁業団体という独自の職域について設けられているという点は、まさに一つの農林年金の基本的な性格でございますので、農林漁業団体とそれ以外という点での差異は当然あるわけでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、民間の法人ではございますけれども、厚生年金から分離をいたしましたときの一つの考え方といたしまして、農林漁業団体の職員の活動というのが、農林漁業政策の遂行の観点から公的な側面も持っているというような経緯で発足したということもございますし、今後におきます公的年金の一元化の動向というようなことも考えますと、農林年金制度だけ全く独自の仕組みというようなことにいたすのはなかなか難しいんではないかというふうに思っておるわけでございます。
○山田譲君 今、私最初に聞いたように、同じ共済組合でも国家公務員や地方公務員や公社なんかある、そういう同じ共済組合という名前ではあるけれども、それに比べて農林漁業団体であるとか、あるいは私学共済なんというのがありますけれども、その辺はやはり基本的に違うんじゃないかと思いますけれども、そこはどうお考えになりますか。
○政府委員(後藤康夫君) 共通をしている面と異なっている面と、両方あるというふうに考えておるわけでございます。 基本的な仕組みということになりますと、やはり私学なども御案内のとおり民間の団体でございますけれども、一つの公的な共済年金ということでの制度の共通性はやはり考えられざるを得ないと思いますけれども、具体的な事業の運営ということに着目をいたしますと、例えば積立金の資金運用の面におきまして、国家公務員共済などに比べますと、農林漁業団体職員年金につきましては、基本的には自主運用ができる、資金運用の面で。国家公務員共済に比べますと、規制が非常に少ないというような点で独自性を持った運用が行われているということではないかというふうに思っております。
○山田譲君 同じ共済組合であっても、やはり特に私学共済と農林漁業団体というのは私はやっぱり完全な民間の団体だろうと思うんですね。ですから、ほかの方の共済組合は、国にしろ地方にしろ、いわゆる国が雇用者であったり地方が雇用者であったりする。ところが、そうじゃなくて、完全にこちらの方はそういう意味から言えば民間であるということで、その運営に当たりましてはやはり国とは違った民間団体としての自由というか、そういうものは当然あってしかるべきだと思うんですがね。
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど資金運用の面を申し上げましたが、例えば組織なり運営という点につきましても、農林漁業団体職員共済におきましては組合会というようなものを設置いたしまして、非常に大ざっぱに申しますと農業協同組合系統におきます総代会のようなものでございますが、団体が四十五名、それからいわば労働者側と申しますか四十五名、九十名から成ります組合会というものを設けまして、そこで予算、決算その他重要な事項につきまして年に二回会合をして、いわば構成員の意思をできるだけ民主的に反映するような組織を持っておるというような点も、公務員共済とは異なっている点ではないかというふうに思っております。
○山田譲君 局長言われたとおり、やっぱりそういうものをつくっているというのは、あくまでも自主的な団体としてその団体の運営そのものについては組合員たちの自主的な判断で決めていく、こういうことだと思うんですよ。その基本が私は非常に大事だと思うんですけれども、そこのところはどうですか。
○政府委員(後藤康夫君) ですから、先ほど来申し上げておりますように、公的な年金制度としての一般的な性格と、それから民間団体でございます農林漁業団体の職域年金であるという性格と両方を兼ね備えたものであるというふうに思っておりまして、そのそれぞれの性格というものを仕組みなり運営で反映をしておるものというふうに考えておるわけでございます。
○山田譲君 そこで、私がおかしいと思うのは、そういうことで、まず自分の団体のことは自分でやろうということで組合会というふうな特別な組織もあるというふうな共済団体でありますけれども、それに対して、政府の閣議みたいなもので勝手に、組合会の意向も聞かないで、今後共済の方の年金はこうするんだというふうなことを決めるということは、私は非常にこれは政府は越権行為をやっているんじゃないかというふうに思われてならないんですけれども、そこのところはどうでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) この点につきましては、今回のもう一つ私ども御提案を申し上げております改革法との関連のお尋ねであろうと思いますけれども、今回の制度改革と申しますのは、農林年金制度の長期的な安定を図ることを目的としたものでございまして、これを円滑に進めますには、事業主と組合員との利害調整なり加入団体相互のコンセンサスの形成というようなことが大事であるというふうに私どももかねて考えておったところでございまして、組合員代表とか事業主代表、それから学識経験者等の方々にお集まりをいただきまして農林年金制度に関する懇談会というのを五十七年の十月から開催をいたしまして、その場で関係者の御意見も十分伺いながら、農林年金制度の対応について私どもも検討をしてまいったわけでございます。 確かに、農林年金制度が農林漁業団体の職員の相互扶助事業を行うものではございますけれども、一方、制度の基本的な性格としましては、やはり我が国におきます公的年金制度の一翼を担う、しかも法律に基づきまして、かなり詳細な負担なり給付につきましての法律に基づきます制度でございまして、したがいまして、やはりその改革に当たりまして、公的な年金制度改革全体の中での位置づけなり給付と負担の均衡のとれた長期的に安定した制度にする必要があるということを考えながら、他方、今お話のございましたような事業主なり組合員の方々の御意見も先ほど申し上げました懇談会等で伺いながら、結論を得るようにこれまで努めてまいったところでございます。
○山田譲君 その懇談会にこの団体の人が入っているということはともかくとして、共済組合自体としてさきの組合会のようなもののきちんとした判断がまずあって、それから初めてその団体の運営についての政府の管掌というのが決まると、こういう順序じゃないかと思うんだけれども、何か政府の方が先に決めちゃって、これに従えと言わんばかりのやり方というのは私どうも納得できないんだけれども、その点どうでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、政府としてこの閣議決定を行いましたのは、昨年のたしか二月であったと思いますが、農林年金制度に対します懇談会は、五十七年の十月から開催をいたしまして、前広にいろいろ御議論をいただき御意見を承っておるところでございます。それから組合会につきましても、もちろん必須の付議事項でございます予算とか決算とか、そういうものと同じような議題として挙げたということではございませんけれども、やはり組合会の代表の方々の御関心の非常に深い問題でございましたので、何回か説明もいたし、またいろいろ御意見も組合会等でも承ってきたというふうに承知をいたしております。
○山田譲君 さっきから言っていますように、やはり民間の団体ですから、しかし国家的に見ましても非常に重要なことをやろうとしている団体なんですから、それはそれなりに国家も補助金を出すとかいろんな法律をつくるとかして、ただ野方図にやらしているということではない、それはよくわかりますけれども、やっぱりあくまでも基本は民間団体である、ですが、運営はその組合員の意思決定に従って運営されていく、こういうところを私はやっぱりもう一遍よく認識してもらわないと困るんじゃないかというふうに思うわけです。 そこで、組合員たちの労働条件ですね、賃金であるとか労働時間というふうなもの、これは一体どういうふうにして決めているのですか。
○政府委員(後藤康夫君) ちょっとお尋ねの趣旨がよくつかめないところがありまして申しわけございませんが、農業協同組合その他この農林漁業団体の勤務、労働条件につきましては、基本的には今、先生まさにおっしゃいましたように、民間の労使関係でございますので、労使の間の交渉なりお話し合いで決めていただくというのが基本でございますが、他方、私ども農林漁業団体を所管している役所といたしまして、やはりそこに優秀な人材が確保されてほしいということもございますし、また週休二日制その他時代の流れの中で労働条件を改善していくためのいろいろな指導ということも私どもやっているところでございますが、基本はやはり労使の間で決定されるべきものというふうに考えております。
○山田譲君 自分たちの年金を、掛金を掛けて、年金がやめた後出るというふうなことを決めるということは、これは労働条件の一つではないとお考えですか、ありとお考えですか。
○政府委員(後藤康夫君) これは制度の枠組み、掛金の負担なり給付の仕方ということ自身が国会の議を経て決定をされます法律で決まっておることでございますので、そういう意味で、先ほど来公的な年金の一つということを申し上げているわけでございますが、そういう点からいたしますと、全く私的な民間の年金なり、あるいはまた年金基金というようなものとは性格を異にする、労使間の交渉にはなじみにくい事項であるというふうに考えております。
○山田譲君 やはり労働条件は、労使が話し合いで決めるという近代労働法の大原則だと思うけれども、そうはいっても、特にこの関係になりますと、それは国家のいろんな法律もあることだから必ずしもそのとおりにならない場合もあると思うけれども、やはり基本的には労使がよく話し合いをしてやっていかなきゃいけない。掛金は幾らにするとか、あるいはそれによって自分たちの老後の暮らしがどうなるというふうなことは、これは重大な労働条件の一つだろうというふうに思うわけですね。だから、私がこんなことをなぜ長々と言ったかというと、やはり実情を見ておりますと、何か局長はそうおっしゃるけれども、現実にはなかなか共済組合の意思なんか余り考えないで、政府が勝手にというのは失礼ですけれども、一方的に決めていってしまう、こういうことがあるのじゃないかと思うんです。私はその最たるものは、やはり例えば人勧との関係というふうなものについて感ずるんですけれども、例えばベースアップにしても、これを人勧に準拠するというふうなやり方をやっていらっしゃるようですけれども、それはどういう考え方ですか。
○政府委員(後藤康夫君) これは、制度といたしましては農林漁業団体職員共済組合法の第一条の二の規定に、「年金たる給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改正の措置が講ぜられなければならない。」という、事情の変更に対する適応の原則がうたわれておるわけでございまして、国家公務員のベースアップの率を法律上とることを義務づけているとか、あるいは人事院勧告に言及しているというようなことではないわけでございます。 ただ、この年金額の改定の指標として何をとるか、物価をとる考え方もございましょうし、また賃金のアップのとり方もいろいろあろうということでございますけれども、そして農林年金は現在、共済方式、通年方式、またその中の定額部分というようなことで、物価でスライドされる部分と、それから公務員の給与のアップ率を用いて改定をする部分とあるわけでございますが、恩給なり国家公務員等共済組合が、現職の国家公務員と退職者との均衡を図るということで公務員給与の実際の上昇率というものを用いているということで、他の各共済制度におきましても、この年金受給者の制度間における年金額改定の水準につきまして均衡を図る必要があるということから、恩給及び国家公務員等共済組合に準じて改定を行ってきているということでございまして、その改定の指標として、いろいろありましょうけれども、一番納得されやすく、また共済組合相互間の均衡という点からも一番適切なものは国家公務員の給与の上昇率であろうということで、このような運営をしてまいってきているということでございます。
○山田譲君 給与については、これは完全に各単共ごとに労使話し合いで決まっていることでしょう。これはやっぱりそういうことは当然で、そのときにたまたま公務員の給与を参考にするとか、そういうことは僕は当然あってもいいと思うけれども、これを決定するのは少なくも給与については労使が話し合いで決める、こういうことだと思うのですね。ところが、そのアップ率については公務員のアップ率あるいは物価スライドをとる。物価スライドの方はまだある程度わかるんだけれども、公務員の給与のアップ率をとらなければいけないということは、これはだれが、どこで決めたかということです。
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど申し上げておりますように、共済年金グループ全体の相互間における均衡という観点から、そしてまた農林漁業団体それぞれの系統におきまして、それぞれ実際の職員の給与の額のアップというものはもちろんあろうと思いますけれども、これも中身に子細に立ち入ってみますと、いろいろその団体の種類ごとにアップ率なども違ってまいるわけでございます。 全体を平均してみますと、私、今手元に詳細な数字を持っておりませんが、私も過去に数字を調べてみたことがございますが、農協なら農協というものをとらえまして給与の上昇率というものを調べ、そしてまた公務員の給与のアップ率というようなものを調べますと、年々は若干のずれはございますにしましても、長期的にそれほど大きな差はなかったというふうに承知をいたしております。
○山田譲君 年金のアップ率の問題で、先ほど局長が法律の一条の二を言われたけれども、あの精神というものは必ずしも公務員と同じにしろなんということは一切書いてないと思うのですね。だから、アップ率については独自の立場から、経済的な変動があって、これはやっぱり上げる必要があると思ったら上げるというのが法の趣旨であって、そのときに例えば公務員の方が上げなかったから、こっちも上げないというふうな考え方はおよそおかしいと思うんだけれども、その点はどうですか。
○政府委員(後藤康夫君) この点も、先ほども申し上げましたように、やはりこういう年金額改定の指標と申しますのは、年々あれをとったり、これをとったりというわけにはなかなかまいらないわけでございまして、安定的に一つの指標として何をとるのが一番よろしいか、そしてまた、それが四つの共済年金があるわけでございますが、その全体の制度間のバランスなり公平感というような観点から見て、何がいいかということを考えました場合に、国家公務員給与の上昇率を用いるのが一番適当であろうということで、今日までこれを用いるという運用をしてまいってきているということでございます。
○山田譲君 あれをとったり、これをとったりというのはおかしいということは、おっしゃるとおりだと思いますね。ところが、必ずしも局長言うような、あれをとったりこれをとったりしていないわけじゃないので、例えば物価スライドについて見ますと、四十九年から五十七年までは大体物価が五%にならなかった。それで五%になれば大体上げるということになっておるようですけれども、五%以内でもこれは当然上げたって悪くないわけだから、事実、上がってきているわけです。そうすると五十八年、物価も二・四%ほど上がっているんだけれども、これは見送ってしまった。だから、このときはどういうことで今まで上げていたものを上げなかったかという問題がある。 恐らくは公務員の方が上がっていないから上げない、こういうことだろうと思いますけれども、その次の五十九年度になると、今度は物価上昇率が四・三五%であったけれども、これをこのうちの二%だけを改定したというふうなことになってきますと、これは必ずしもあなたが言うように基準がきちっと決まっているというわけじゃなくて、何か国の方の財政事情でもって上げたり下げたりする。まあ、下げるということはないだろうけれども、とめたりなんかした場合には、自分の団体とは関係なく、ただ意味もなく公務員に右へ倣えしてしまうということになりますと、最初から私が言っているように、自主的な団体であり、いわゆる民間の団体である団体が、そこまで公務員と一緒にやらなければならないというのはどういうわけか、こういう問題なんですよ。この辺どうでしょう。
○政府委員(後藤康夫君) これはやはり結果的に公務員と横並びということに形としてなっておるわけでございますけれども、考え方といたしましては四つの共済年金の均衡、バランスというものを考えてそのような措置になっているということでございます。
○山田譲君 それはおかしいんじゃないですか。今結果的にと言われたけれども、さっきのお話しでは結果的じゃなくて、あくまでも積極的にむしろ公務員の方を指標にして、そのとおり決めているんだということですから、これは結果じゃないでしょう。
○政府委員(後藤康夫君) 申し上げておりますのは、一番最初にお答え申し上げましたように、農林年金の制度の建前として国家公務員の給与のアップというようなものを基準にするということではございませんけれども、どういう指標をとったら一番適当かということでいろいろ検討がなされました結果、公務員の給与の上昇率をとったということであるわけでございます。
○山田譲君 さっき言ったところを見ましても、四十九年から五十七年までは必ずしも五%をオーバーしなくてもちゃんと物価スライドしてやった。ところが、その次の年は、物価は多少上がったけれども全然スライドを見送ったと。その次は、物価のアップ率を値切った、こういうふうなやり方は、必ずしも終始一貫しているとは思えないわけです。公務員と同じ、そういうふうにやったということはよくわかる。だって、公務員はやっぱり国の財政というふうな事情があるでしょうから、それはそれの事情によってある程度左右されても仕方がないにしても、こっちの方は全くの民間団体で、国の財政とはいわば関係のない団体なんですね。そういうところにおいて物価が五%以上であればもちろんでありましょうけれども、五%以下であっても事実今まで上げていた。 それじゃ聞きますけれども、物価が五%以上になった場合で、公務員が上げなかったらやっぱり上げないんですか。
○政府委員(後藤康夫君) 消費者物価指数が五%以上上がりました場合には、義務的と申しますか、自動的にスライドをしなければいけないということになっておりますので、これは公務員の方も上げないというようなことはないわけでございます。
○山田譲君 そんな変な話じゃだめですな。やっぱり上げないか上げるかは、それは国が決めることでしょうからね。私が聞いているのは、例えば五%以上六%になりましたよというときに、公務員の方は上げなかったらどうするかということを聞いているわけだ。
○政府委員(後藤康夫君) 定額部分につきましては物価スライドをいたしておりますし、共済部分につきましては給与の上昇率を基準にいたしまして改定を行っているということでございます。
○山田譲君 この年金は、いわば物価スライドと給与の方と両方をかみ合わせたようなやり方をやっているんだけれども、そうすると局長、何ですか、五%以上になれば当然それはもう黙っていても、つまり公務員の方が上げなくてもその物価スライドの分については上げますということですか。
○政府委員(後藤康夫君) 五%以上物価が上昇いたしました場合には、当然に厚生年金と合わせまして物価スライドが行われなければならない仕組みになっているわけでございます。
○山田譲君 だから、公務員がもしアップしなくてもしますかということです。
○政府委員(後藤康夫君) 公務員の方も上がることになっておるということを申し上げておるわけでございます。
○山田譲君 公務員の方も上がることになっているんですか、五%以上の場合は自動的に。
○政府委員(後藤康夫君) 厚生年金が上がりますのと並行して必ず上がることになっております。
○山田譲君 そうしますと、五十八年見送ったり五十九年値切ったりした、ですからその分は、物価が五十九年になってみますと、僕らの計算では物価はもう六%以上になっているわけです、いわばずっと今までの積み残しを考えてみますと。ですから、当然五十九年度において六・何%かになっていますから、そのときに上げなかったのはどうもわからないんだけれども、それはどういうことですか。
○政府委員(後藤康夫君) 五%を超えますと自動スライドが働くわけでございますが、五%に達しない場合におきましても諸事情を勘案して必要と判断をされた場合には法律で措置をいたしまして、五%未満であっても物価スライドをすることがあることになっているわけでございます。昨年もそういたしましたし、本年度につきましてもそのような法律の御提案を申し上げているところでございます。
○山田譲君 五十七年までは五%にならなくても上げてきたわけですね。五十八年から上げなかったり値切ったりというふうな格好でもって上がってきているんだけれども、そういうことを一応計算してみますと、僕の計算が間違っていたら直してもらいたいんだけれども、五十八年から五十九年までの間に六・四%上がっていることになる。そのうち二・二%は何か途中中途半端なことをやったから結果的には四・幾つになっていますけれども、本来六・四%ほど上がっているわけですよ、物価は、その間に何にもしなかったり値切ったりしている間に。そうすると、その時点でどうして六%のアップをしなかったかということを聞いているんです。
○政府委員(後藤康夫君) 昭和六十年度におきましても、先ほど申し上げましたように物価スライドを、五%未満でございますが、やることを予定いたしておりまして、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案というものを提案を今いたしておるわけでございますが、これが成立をいたしまして厚生年金においてスライドが行われました場合には、これに準じまして三・四%のスライド措置を講ずることにいたしておりますが、これを行いましても現実の消費者物価指数の上昇との間に差が、私どもの計算で一・三%程度あることは事実でございます。 この問題につきましては、今回農林年金の改革の中で年金額の改正方式を消費者物価によります自動スライド制によることを考えておりますので、こういった改革に際しまして、過去の積み残し分を積み残しということで引き継ぐということは妥当でないんではないかというふうに考えておりまして、今回提出をしております、まだ委員会での審議というような運びになっておりませんけれども、農林年金の制度改革に関します法案の中におきましては、この積み残し分の解消につきましての所要の措置を講ずることにいたしておるわけでございます。
○山田譲君 今度の法律がどうなるか、私は中身をまだ聞いてないからそれを言ってもしようがないけれども、今までですら、計算すれば頭のいい局長だからわからないはずないと思うんだけれども、五十八年からストップしちゃったわけですよね。その間にずっと物価は上がってきているわけです。それが全部でもって五十九年には六%になっているわけですよ、全部足していくと。そうすると、その時点でもって当然五%をオーバーしたんだからアップしなきゃおかしいんじゃないですかということを聞いているわけです。そんなに上がってないと言うなら、上がってない数字を言ってください。
○政府委員(後藤康夫君) 非常に細かい数字のお話になりますけれども、五十五年の暦年を基準といたしました消費者物価指数をもとにいたしまして、実際の物価上昇率とそれからこれまでの物価スライド分とを積み上げまして比較をいたしますと、ことしの物価スライドが実施をされたという前提にいたしますと、残っている部分は一・三%分というふうに私ども計算いたしております。
○山田譲君 どうも僕の計算と違うようだけれども、僕が言っているのは何年か、二年か、三年かな、その間ずっと物価は上がっていますけれども、この上がったのは、五十九年度はこの時代に比べて六%以上上がっているということを言っているんですよ。そのところへ二%の中途半端なことをやったんだけれども、そのときはつまり六%で、五%以上になっているんだから、当然六%のアップをしなきゃいけなかったんじゃないかということを言っているわけです。
○政府委員(後藤康夫君) 過去三年の物価上昇率と申しますと、二・四%、一・九%、二・二%でございます。これに対しまして五十九年度の特例物価スライドで昨年二・〇%行いました。それからことし、先ほど来申し上げておりますように、六十年度のやはり特例物価スライドを三・四%を予定いたしております。これを合計いたしますと、その差として残っているのは一・三%という計算になるわけでございます。
○山田譲君 僕の計算と違うんだけれども、ちょっとそればかり言っているわけにいかないが、いずれにしても積み残しがあるということですね。片や人勧のべースアップの方を見ましても、人勧の積み残し分があることは、これはもう私が言うまでもないことである。ですから、もう時間もないから端的に伺いますけれども、こういう積み残し、物価スライドにしても人勧積み残しにしても、積み残しがかなりある。もう一つの補助金のカット分がこれまた非常に大きな問題であるけれども、これについて、この二つを一体今後どうするつもりか。特に、新制度云々と言っていますけれども、それまでに、新制度へ移行する前にこの積み残し分はきちっと整理していかれるかどうか、その辺はどういうものですか。
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、農林年金の改革法案の中におきましては、年金額の改定方式を消費者物価によります自動スライド制によることを考えておりますので、こういった改革に際しまして過去の積み残し分を引き継ぐというようなことは妥当でないと思っておりますので、今回提案を別途いたしております法案の中で、この積み残し分の解消のための措置を講ずることにしているところでございます。 それから、今後は改革法の中におきましては、そういうことで消費者物価指数を用いまして改定を、スライドをしていくという仕組みをとるわけでございますが、厚生年金におきましても、従来からの物価スライドと申しますのは、もともと五年に一度の財政再計算のときに現役と年金受給者との間のバランスということを考えて賃金の再評価をやる。その五年に一度の賃金再評価の間に物価が非常に大きく変動したりして均衡が失することがないようにということで物価スライドの仕組みを入れているということでございますので、農林年金としても今後物価スライドの方式を取り入れるということになりますれば、その五年ごとの財政再計算の中で、やはり賃金の再評価というものも他の年金制度と横並びでの再評価の期間になろうと思いますけれども、そういうことで賃金の再評価が行われてまいることになるというふうに考えておるわけでございます。
○山田譲君 局長の言うことは何を言っているかよくわからないけれども、私は端的に言ってその積み残し分はどうしますかということを聞いているんで、それに答えていただきたいと思うんです、補助金とベースアップの分。
○政府委員(後藤康夫君) きょうは何か別の法案の御審議のような感じもいたしますけれども、別途提案しております法案の中で、そういった積み残しの問題についても対応できるような規定が用意をされておりまして、それを具体的にどう適用するかという点につきましては、これから政府の部内で検討がなされるという筋合いの事柄でございます。
○山田譲君 いや、とんでもない話ですよ。今、この年金のアップ率を審議しているわけでしょう。私はそういう積み残し分は当然それを加味してアップしなきゃいけないし、もしそうでなかったら積み残しは積み残しとして残っていってしまうから、それはどうするんだということを聞いているわけで、全然関係のないことを僕は聞いているわけじゃないんですよ。もう一遍答えてくださいよ。
○政府委員(後藤康夫君) そういう意味におきましては、今申し上げましたように、この積み残し分というものの処理につきましてはこれから具体的には政府部内で検討、決定されるべき問題でございますが、別途御提案申し上げております法案の中に、そのような処理が可能なような規定を置いておるということでございます。
○山田譲君 そうすると、別途提案されている法律の僕は中身を知らないけれども、それによると今までの積み残し分は全部解消できておるというふうに自信を持ってお答えになるんですか。
○政府委員(後藤康夫君) その問題の調整ができるような、そういうことが可能になるような規定を置いておるということでございます。
○山田譲君 それじゃ、ずばり補助金のカット分というのは積み残し幾らになっていますか。
○政府委員(後藤康夫君) 先ほどお答えを漏らしまして申しわけございませんが、四分の一のカットのお尋ねもございました。これにつきましては、私ども特例期間が終了いたしました後、できるだけ早く、利息相当分も含めて返してもらいたいと考えておりますし、そういう方向で財政当局とも折衝をしてまいりたいというふうに考えておるところでございますが、縮減額につきましては、五十七年度分が四十四億、五十八年度分が五十三億、五十九年度分が、これは予算で六十億ということでございまして、五十七年度から六十年度合計で二百二十七億。利子につきましては、仮に五・五%で計算をいたしますと二十四億円。それから、仮に七%で計算をしますと三十億円という金額になるわけでございます。
○山田譲君 当然、財政当局と折衝をしておられると思うんだけれども、その点は財政当局は何と言っているんですか。
○政府委員(後藤康夫君) 本年、特例が一年延長されたわけでございますが、一年の延長というふうに私ども承知をいたしておりますので、来年度にはこの特例期間が終了するものというふうに現在のところ考えておりまして、私どもとしましては特例適用期間が終われば本則に戻るというふうに理解をいたしておりますし、そうなれば、できるだけ速やかに繰り入れに着手してもらいたいというふうに折衝をしてまいるつもりでございます。
○山田譲君 自分の勝手な解釈を聞いているんじゃなくて、財政当局はそのことに対してどう答えておるかということなんですよ。
○政府委員(後藤康夫君) これは、財政当局としましては大蔵大臣もたびたび国会でお答えになっておられるとおりのことでございまして、年金財政の安定を損なわないよう減額分を特例適用期間終了後できるだけ早期に繰り入れる、その繰り入れ方等につきましては今後各省と折衝したい、こういうことでございます。
○山田譲君 農水省だけの問題じゃないけれども、やっぱり農水省頑張ってもらいたいと思うのですよ。それだけの積み残しがまだあるんだから、これは財政の期間がことし一年延びちゃったわけですけれども、来年度はどんなことをしても返してもらうというくらいのかたい決意でもってひとつ当たってもらいたい、かように思います。大臣どうですか、この問題は。
○国務大臣(佐藤守良君) 山田先生にお答えします。 今、局長の答弁したとおりでございまして、私も暫定措置と理解しております。そんなことで最善の努力をいたしたい、こう考えております。
○山田譲君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。 次いで、ことしは財政再計算の時期になっているわけだけれども、当然再計算の仕事をしておられると思うのです。それともう一つ、制度を変えるということを盛んにさっきから言っておられるけれども、法律も出しているようですが、それとの関係、つまりかなり変わってしまうわけですね。再計算をやってもそのとおりにならないかもしらぬ、そうするとどうするんですか、新しいやり方でもって計算しているのか、再計算も一緒にやっているのか、その辺は今どうなっているんですか。
○政府委員(後藤康夫君) 年金制度につきましては、五十九年度末を基準にしまして現在財政再計算を行っておりますけれども、この再計算に当たりましての基本的な基礎データのとり方なり計算の方法等につきまして、年金財政研究会という学識経験者の研究会において検討していただいているというふうに承知をいたしております。その結論につきましては六十年の十二月ごろを予定しているということで、今農林年金の方で検討が進められているわけでございます。 制度改正との関係でございますが、これにつきましては、現在別途国会に提出をいたしております改革法案の審議状況についても見定めながらやってまいる必要がある。現在は、まずはこれまでのデータをもとにしまして、これからこれが続いていくとすればどういうことになるかというふうな基礎的なところから始めている段階でございます。
○山田譲君 向こうに任せっきりというわけじゃないでしょう。農水省もある一定の考えを持って指導しておられると思うけれども、これはどうですか。
○政府委員(後藤康夫君) 一つの方向が出てまいりました際には、私どもも十分御相談をしたいというふうに思っているわけでございます。
○山田譲君 それは結論はいつごろ出るんですか。
○政府委員(後藤康夫君) 本年の暮れごろということでございます。
○山田譲君 そんなに遅くならないと計算できないのですか。
○政府委員(後藤康夫君) 年金財政の将来につきましてのいろいろな要素の見通しというようなものにつきましての固めから毎月一度ずつぐらいやっておりまして、明年の二月に結論を出したいということで、基礎的な再計算の、いわば数字をまとめて方向づけがわかってまいるというのがことしの十二月ごろ、こんな段取りで今進めているわけでございます。
○山田譲君 いつもそんなに遅く決まっているんですか。五年に一遍ですから、やる場合にそんなにいつも遅くなるのですか。
○政府委員(後藤康夫君) 毎回三月の組合会で決定をするということになっておりますので、それへ向けまして検討を詰めていくという手順で毎回やっているように承知をいたしております。
○山田譲君 盛んに制度改正すると言っておられるわけであるけれども、そういうことになると、今の再計算が非常に中途半端なものになるし、また非常に計算の仕方も違うのだろうと思うのですね。そこへいって、あなたさっきから言われているように、少なくとも積み残し分は新制度によって全部解消するというふうなことを言っておられるけれども、そうなると、再計算と新しい制度との関係で非常にややこしい問題が出てきやしないかと思うけれども、その点は十分覚悟してやっておられるかどうか、あるいはどこか特別なところに頼んで検討してもらっているというふうなことをよく聞いているのだけれども、その点はどうですか。
○政府委員(後藤康夫君) 確かに、制度改正の法案が出されているということでございますので、今回の財政再計算にはこれまでにないようないろいろな、あり得べき変更というような要素が入ってくる意味で難しい再計算の問題があると思うのですけれども、この辺はやっぱり法案の審議状況を見定めながら対応していかなければいけないというふうに思っております。
○山田譲君 もう時間になってしまったから、どうももっともっと詰めたいところがあるのですけれども、そろそろやめたいと思います。 最後に伺いたいのは、これを共済制度にして公務員に近いようなレベルアップをしていったというのは、人材確保ということが一つのねらいであったということを聞いておりますが、その人材確保について最近の状況を知らしてください。かなり向上したというところですね。
○政府委員(後藤康夫君) これも人材確保と申しますといろいろな観点があろうと思いますけれども、例えば農業共同組合職員の学歴構成というような点で見ますと、男子では大学卒が漸増しまして中学卒が漸減をしているということでございます。男女とも高学歴化のかなりの進展を見ております。そういう意味で、また同じ農村部に位置をします団体として町村役場の職員給与というようなものと、郡部に所在します単位団体の平均の給与というものを比べてみますと、ほぼ同じか、若干郡部単位団体平均の方がごくわずかでございますが上回るというような状況になってまいってきておりまして、そういう意味で事態は漸進をしているというふうに私ども認識しております。
○山田譲君 もうあと三十秒くらいありますからそれだけの間に言ってもらいたいのだけれども、定年制の指導ということはどうしていますか。
○政府委員(後藤康夫君) 定年制の問題につきましても、私ども一つは、全体の社会の流れということがございますし、さらにまた、年金の支給開始年齢というようなものが引き上げというような方向にあるということもございますので、これまでも指導をいたしてまいりましたけれども、また労働省等とも連携をいたしまして、必要に応じて適切な指導を今後もやっていきたいというふうに考えております。
○山田譲君 終わります。
○藤原房雄君 ただいま議題になっております農林漁業団体職員共済組合の年金の問題について若干御質問する次第でありますが、共済年金については制度改革に関する問題と、それから年金の額の改定の問題、今日までもそれぞれのときに合わせまして何度かいろいろ改正もございました。 今回提出になっております法案につきましては、年金額の改定ということでありますが、しかし、これは年金額だけで論議や話が終わる問題でなくて、やっぱりそこには制度改革は一体どうなるのかという深い問題にもつながることになるわけでありますが、きょうはわずかの与えられた時間でもございますし、多般な問題についてはお話しする時間もございませんが、このたびの年金額の改定というこの点に限って何点かについてお話しを申し上げたい、こう思うんです。 しかし、最初も申し上げましたように、今、国民年金を初め統合一元化というふうな方向にあり、年金というものは財政の一つの大きな混迷の中で、財政逼迫の中で、また老齢化の大きな進展の中で大きく変貌しようとしておる。そういうことを考えるにつけまして、どうしてもやっぱり基本的な問題点については何点かお聞きしておかなければならないと思うのであります。幸い午前中上がりました農業者年金、これは経営移譲という一つの大きな柱もございました。しかしながら、この団体共済につきましては、それとは性格を異にして、本当に老後の保障という大事な大事な問題があろうかと思います。国の財政に左右されて年金の支給額が引きずり回される、そしてあるときは圧縮されたり、あるときはいろんな制約を受ける、凍結をされる、こういうことは年金受給者、年金受給権者にとりましては非常に不安の種でありまして、先々一体これはどうなるのかという、こういう問題を抱くのは当然のことだと思います。 本来ならば、これは年金問題ですから総理大臣や厚生大臣、そういう担当の方々にはっきりと明確にお聞きしておかなければならないと思うのでありますが、この農林年金ということに限って、その衝に当たります農林水産大臣、この年金というものに対して老後をあくまでも保障する大事な柱である、数十年お働きになって、その老後をこの年金に大きく依存する、そして生活をしていかなければならない、そういうことの上に立ちまして今大きな改革をなされようとしておりますけれども、あくまでも年金受給者の立場に立って最大の努力をしていただかなきゃなりませんし、この年金というものに対して、農水省としてもいろんな細目についての決定につきましては意見を言う立場にあるわけでありますけれども、この年金の基本的な考え方について、最初に大臣にお伺いしておきたいと思うのであります。
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。 農林漁業団体というのは、農林水産行政の推進に非常に重要な役割を持っております。そして、非常に重要な課題は何かといいますと、役職員に優秀な人材を確保する、そしてまた、福祉の向上を図ることを目的とする農林年金制度の育成にあると考えております。 このために、農林年金制度の改革に当たっては二つの点に配慮をして対処すべきだと思っています。 その一つは、制度の長期的安定を基本とするとともに、農林漁業団体の経営の現状を踏まえましてその経営基盤の充実に配慮するということだと思っています。
○藤原房雄君 制度を安定させる、これはもう当然のことです。しかし、この制度によって受給権者の方々の生活に対してはどのようにお考えになるかという、制度の組み立てや制度というそういう上の話ではなくて、実際それに依存して生活を営まなければならない方々に対してはどういうふうにお考えになっているかということをお聞きしているんですよ。
○政府委員(後藤康夫君) 今、大臣がお答え申し上げましたように、できるだけ優秀な人材を農林漁業団体に確保したいという趣旨から発した年金制度でございます。そういう意味におきまして、これまで累次改善も加えられてまいりましたし、そしてまた、給付につきましても充実をしてまいってきておると思っております。 ただ、何分にも、組合員期間が現在の年金受給者の方々、他の年金に比べますと短いというようなこともございまして、実際の受給額で見ますと他制度に比べまして低いという実態がございますけれども、年々これも新規発生者分につきましては平均組合員期間が長くなりまして、他の共済年金の水準に給付額も近づきつつあるという現状にあると考えております。
○藤原房雄君 今、局長からお話しございましたが、もちろん優秀な人材を集めるために、農林漁業団体職員の方々については老後についてきちっと生活の保障がなされるというそういう制度、仕組みをつくるということも優秀な人材を集める一つの手だてであることは間違いありません。しかし、今日まで毎回この委員会で問題になるのでありますが、年金の支給額、その基礎になります、今、局長お話しになりました職員であった期間の短さと、それから給料のほかの方々との差といいますか、低いというこういうこと、そのほかいろんな要因があるかと思いますが、ほかの年金に比べて年金の支給額が低いということがいつも問題になっているわけです。そういうことでは、これは優秀な人材が団体に入っても老後の保障がないということになりますと、やっぱり考える一つの大きな要因になる。 こういうことで、大臣、この制度を安定させるということは、制度という組み立ての上から見ればそういうことでありますけれども、受ける立場の方々からすると、まだまだ問題がたくさんあって改善しなきゃならない諸問題がある、ほかの共済制度と比べますと。そういうことについて、こういう改善については毎回附帯決議や何かで議論になり、そしてまた改善を要求し、今日まで来ているわけであります。そういうことから、さっきもちょっとお話しございましたが、職員である期間が長いかどうかということも一つの大きな問題である。この問題については、さっきお話しございましたが、いろいろ資料をいただきましたけれども、さっき局長は労働省とお話をしてとか何とか言っておりましたけれども、まだ地方段階、それから都道府県、単協、それぞれ定年制が五十五歳というのが平均して三〇%ですね。それから五十六歳から五十九歳というのが大体三二%、六十歳以上というのが三七・七%、平均しましてこういう数字になっておるんですけれども、時代の趨勢の中で、農業団体といえども、やはりある程度の経験を豊富にお持ちの方というのはそれなりに大事な立場にあるんだろうと思うんですけれども、定年制が五十五歳、六十歳前というのが六割以上という現状であるという、こういう問題についてはこれは農水省としてもデーター等十分にお持ちになっていらっしゃる、また検討の大きな課題ではないかと私は思うんですが、どういうふうに御認識になっていらっしゃいますか。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生御存じのとおり、農林漁業団体の職員の定年年齢は現在男子総平均で五十七・八歳となっております。そして、年金の支給開始年齢は五十六歳でございます。そんなことで、五十六歳以上の定年年齢を定めている組合が、五十六年度で六三・三%、五十八年度で七一・七%になっております。したがって、定年年齢は漸次延長されておるわけでございます。 そんなことで、農林漁業団体の定年年齢の延長については、我が国全般の高齢化社会の移行に対処する観点に加え、農林年金の支給開始年齢が逐次引き上げられておることも考えまして、これを推進する必要があると考えております。従来より各農林漁業団体に対し通達を発しまして指導を行ってきたところでございますが、今後とも定年年齢の一層の延長を図りますよう、労働省とも連携を図りつつ、必要に応じ適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
○藤原房雄君 農業問題については今日までも機会あるたびにいろいろ話してまいりましたし、また大臣に言わせると、北海道へ行ったら非常に新しい芽が出て農業は明るいぞと、さっきも大きい声で言っておりましたけれども、それは局部的にはそういう一面もあることは我々もよく知っています。しかし、全体に日本の農業が今非常に厳しい状況にあることは御存じのとおりであり、また国内だけの問題ではなくて、これを対外経済摩擦という、いけにえという言葉が妥当かどうか別にして、すぐこれが農産物にはね返ってくるということで非常に危機的な状況にあることは御存じのとおり。そういう中で、この団体職員の方々が一生懸命お働きになっていらっしゃる。 どんどん高度成長で伸びゆく団体ならば、職員数もどんどんふえて、またその制度やいろんなものの中で人材も集まるのかもしれませんが、非常にいい組合もある反面、大多数は過剰傾向や厳しい対外摩擦のために悪戦苦闘をしておる。農業団体、林業団体、それぞれ皆、今どちらかというと大きく成長する、大きく利益を上げておる、事業を大きくするというそういう状況にはないと私は思うんですね。 そういう中で、今、労働省とも協議しながら定年延長するんだというお話ですけれども、そういうことが現実問題としてその団体で農水省の指導どおり進められるのかどうか、非常に今厳しい状況にあるんじゃないかという感じがするんですけれども、その辺の見通しについてはどうお考えですか。
○政府委員(後藤康夫君) この定年の問題なり職員の農林漁業団体の勤務、労働条件の問題につきましては、農林漁業団体をめぐります状況が、今、先生御指摘のとおり非常に厳しくなってまいってきておりますけれども、やはり定年延長というような問題を初めといたしまして、社会全体の大きな流れというものがあるわけでございます。一つ一つのそれぞれの団体の経営基盤あるいは財政状況というものがやはりそれを許すという状況になければなりませんので、農林漁業団体のそういった体質の強化ということに私どもも努めていかなければならないというふうに思っておりますし、またそういう基盤を踏まえまして、定年制の延長等につきましても、私ども指導をさらに今後ともいたしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
○藤原房雄君 最も年金で大事なのは、成熟度といいますか、年金を受給される人と納める方とのバランスですが、新しい組合員がふえる、今回のこの設計、将来の見通し等を見ますと、六千人か七千人ぐらいずつふえていくような感じでこの計画は立てられているようですけれども、実際農業全体は私どもも明るく見たいし、将来に希望が持てるぞと大きく胸を張って言いたいのですけれども、現状は非常に厳しい中にあって、最近の組合員の数の動きを見ますと、そういう大幅な組合員のふえ方ではない、非常に少なくなっておる。去年あたりですと二百人か三百人オーダーですか、非常に少なくなっているんですね。こういうことからいうと、共済年金の基盤というものが、そういう点では農林漁業という産業の非常に厳しい現実というものが、やっぱり年金の基盤にも大きな影響を及ぼしているというふうに見ざるを得ないし、今回のこの考え方もこれは必ず先行きより難しい、厳しい状況になるんではないか、今当面のことではございませんけれども。 年金はやっぱり五年ごとの改定、十年、二十年、三十年、長い目で見ていかなければならない、長期的な展望に立たなきゃならぬのでございますが、こういうことで農林漁業の振興ということがやっぱり国にとっても非常に重要な意義を持つとともに、大臣、これは本当に国の産業として、今日のように歯どめなくだんだん縮小していくような形ではなくして、どこかで大きく振興策を打ち出していかなきゃならない、こういうことをこの年金一つを見ましても痛切に感じるんですけれども、今後のこの団体職員の推移等について、それなりの根拠があって今回のこの問題の提起があったんだろうと思いますが、農水省ではこれはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、お聞きをしておきたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) お尋ねのとおり、農林漁業団体職員共済組合の加入者数につきましては、昭和三十四年に制度発足をいたしましたころは約三十万人でございましたが、三十年代、四十年代には対象団体が増加をしたということももちろんございますけれども、大幅に増加をいたしました。しかしながら、近年はその伸び率が鈍化をしてまいってきておりまして、組合員数はおおむね横ばいで推移をいたしまして、現在四十八万五千人程度という状況でございます。近年におきます農林漁業団体をめぐります経済環境のいろいろな厳しさということを考えますと、今後もこういった動きで推移するものというふうに想定をされるところでございます。 そうなってまいりますと、一方では平均余命が延びておりますので、組合員と年金受給者との割合といったようなものにつきましても、ただいま成熟率というようなお話がございましたけれども、組合員と年金受給者との割合が六・一人対一人というような五十八年度末現在の状況が、七十五年度になりますと三・五人対一人というような割合になるというふうに見込まれるわけでございます。そういった点からいたしますと、やはり将来にわたっての財政の健全性の確保とか世代間の負担の均衝というような点につきまして、いろいろな改善策なり検討を加えていくことが必要になってきているというふうに認識をいたしておるところでございます。
○藤原房雄君 現在の支給額を見ましても、厚生年金に比べましても、私学はもちろんですけれども、農林年金は低いですわね。これはやっぱりさっきも話ありましたが、組合員の期間が短い。最近はそういうことじゃなくて、学卒者も若いうちに入られる。それで、農業をやっておるとか何かやっていて、途中から入るという方が以前は多かった時代もありましたけれども、最近ではそういうことはだんだん少なくなったんだろうと思いますが、あと給与水準ですね、これが低いというのはやっぱり支給額を低くする一つの大きな要因になろうと思います。 農業団体も非常に厳しい中をいろんな事業をしながら進めておるわけでありますが、最近職員数の増加というものも非常に鈍化をしておる。しかしながら、給与水準というものも決してほかの職場よりもよくはなっていない、こういう現実だろうと思うんですけども、このより大事な一次産業を担う職員の方々、給与水準やなんかについてはデータがありますからわかりますけれども、どうしたら給与水準が高くなるかということなんですが、これは大臣、やっぱり農林漁業の振興、そうしてそっちの方の、あす、あさってということにもならないのかもしれませんけれども、本当に力を入れてもらわなければならない重要な問題だろうと思います。 こういう給与水準が低いということも、毎回のもう共済年金のときにはいろいろ議論になっているわけですし、実態は実態としましても、そういうものに対してほかの共済並みにするための施策または生活水準、こういうこともいろいろ議論になっているわけですけれども、組合員の期間が短いということはある程度解消方向に進んでいると私は思うんです。それと給与水準の低さというものも逐次改善されつつあるんではないか、場所によっては、組合によっては、このようにも思うんですが、この間のことについて実態をちょっとお話しをいただきたい。
○政府委員(後藤康夫君) 給与水準につきましてはいろいろなまた比較の仕方があろうかと思いますが、年金との関係で申しますと、年金額の算定基礎になっております給与の制度間の比較を四十八年度と五十八年度について十年間で比べてみますと、農林年金は七万六百二十円から十九万一千百三十七円というふうに二・七一倍になっております。国家公務員共済の場合はこの比率が二・三〇倍、地方公務員共済の場合は二・一九倍ということでございまして、国共なり地共に比べますと農林年金の給与の額のアップの方が高い。ただ、私学共済はもっと伸びておりまして、二・九一というふうに相なっております。 そういうことで、農林年金に所属をしております各団体、それぞれ厳しい状況の中でやはり職員の処遇改善にはそれなりの努力をいたしておるというふうに私ども考えておりますけれども、やはりこれをさらに前進させてまいりますためには農林漁業団体の経営基盤の強化、あるいはまた、今お話のございましたようにそれを支える農林漁業そのものの健全な発展というようなものが必要ではないか。そういった点から申しますと、農林漁業施策全体というようなものも、この農林年金制度と無縁のものではないという気持ちを私ども持っておるところでございます。
○藤原房雄君 先ほどもお話しございましたが、この共済の運営というのは自主的な運営に任される一面もあるんですが、ここのところ、共済はどっちかというと、今回の改正に当たりましても国家公務員の給与の改定に伴いまして三・三七ですか、横並びということなんですが、こういうことで自主的な運営という一面と、それからそういう横並びで規制を受けるというそういう両面が、最近は特にそういう横並びの金縛りが非常に強いという感じがする、気がするわけであります。また、農林年金につきましては、成熟度や何かほかのものから見まして、またそういう点では良好な状況の中にあるという一面もあるんですけれども、共済というこのグループの中で一括見なきゃならないという、そういう難しさももちろんありますが、やっぱり公務員の人勧の完全実施のできないところにいろんな問題が出てくる。 これは事務当局に云々言ってもしようのないことなんですが、国務大臣として大臣に是が非でも人勧の完全実施ということをきちっとひとつ実施するように今後進めていただきたいと思うんであります。どうしても給付の据え置きとか、また凍結とか、後退とか、国庫負担についていろんな制約を受ける、そういうことで今日までも附帯決議等でいろいろ検討すべきであることを何点か言ってきているわけでありますが、特にこの農林漁業共済年金につきましては年金給付水準が低いということと、もう一つ最低保障適用者ですか、これが多いということですね。今回のこの改正に当たりまして、どれだけの農林漁業団体共済に影響というか関係してくるのか、今度の最低保障額のアップということによってどれだけの人たちがどういう形で影響を受けるのか、そこら辺のことについて、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 農林年金におきます最低保障の適用者は、新法対象者、旧法対象者の合計で五十八年度末現在におきまして受給権者十二万八千四百四十四人のうち二万六千六百七人で、二〇・七%という数字になっております。それで、このうち今回引き上げの対象になりますこの旧法最低保障額の適用者は八千五百七十四人ということで、受給権者全体の六・七%でございます。 それから、今回の改定によりまして最低保障額が引き上げられることになり、この旧法最低保障額の適用者については、その限りではこの対象者が増加する要因になるわけでございますが、失権者とか新規裁定者の数あるいは単価等の差し引きを行って、六十年度予算におきましては八千三百九十六人で、受給者全体の十四万二千二百七人の五・九%になるというふうに見込んでおるところでございます。
○藤原房雄君 さっきもお話しありましたが、これまた去年の審議のときにも附帯決議にありましたが、行政改革特例法によって国庫補助が四分の一カットされた、一八%の四分の一、これは五十七年から五十九年、財政特例期間中減額するという、こういう措置がとられて、それは減額した分と利息とちゃんと間違いなくお払いしますということであったんですが、大臣も去年本当に大見えを切ってそう御発言なさったのでありますけれども、ところがことしは補助金の一括法案ということで、本年限りの処置なんということで結局はもう三年で、国のすることですから間違いはないだろうということでありましたが、しかし本年はまた別な補助金一括整理というような、こういうことでさらにまた一年延長になるという、このこと自体がすぐ共済年金の財源に直接的に影響することではないのかもしれませんけれども、三年間のやつについてはこれは利子とともにということですけれども、補助金一括法案、そして六十年もこれは減額になる。 これは、やっぱり三年ということで決めたら、大臣、これはもう農水大臣ということよりも、閣議で了承なさってそういうことになったんだろうと思いますけれども、やっぱり大臣もいささかじくじたるものがあって何らかの御発言をなさったかもしれない、正義感の強い大臣ですから。本当に三年と約束しておきながら、それが別な形でまた一年延びるという、そういうことを、財政が逼迫し切っている現状の中でという、どんな大義名分、理由をつけましても、そういうこそくなことを毎年毎年繰り返しているようなことがありますと、一度ならず二度もありますと、一体この先どうなるのかという不安感、これは本当に国が保障してくれるがゆえに、十分な老後の生活に資するものではないにいたしましても、それなりの老後の設計をしているわけですね。しかし、三年と約束したものがことしはさらにまたもう一年延長するということで、来年は一体どういうお化けが出てくるのかという、こういう不安を抱かざるを得ない。 我々は審議する立場でありますから勝手なことを言っておりますけれども、しかし本当に受給権者、年金をいただいている方々にすると、先々これがどういうことになるのかという、こういう不安感、国というのはやっぱり約束したことはきちっと守らなきゃいかぬ。事情があるならば、やっぱりそういう約束を守った上でまた次の段階としてきちっとまた了解を得てやるという、こういうことでないと、年金というのは長い先のことでありますから、将来に不安を抱かせるようなことがあってはこれはならぬと私は思うのです。これは私だけじゃなくて、だれもが感じておることだと思うのです。 これはぜひ、農林共済年金ということではなくして、国全体の運用といいますか動きの中で、やはり一年に限る、三年に限る、財政再建のこの期間に限るんだ、財政特例期間の三年に限るということで来ている、そういうことで約束した以上は、そこで一区切りをつけてきちっと約束を果たしてもらう、そうした上でさらにまたしなきゃならないことがあるならば改めてまたということで、けじめをきちっとつける国の姿勢というものが私は必要である。こういうことが続くようで不信感を抱くようになりますと、国全体、国民全体に対しても大変な大きな問題であろう、こういうふうに思うわけであります。いわんや農林漁業の方々については年金額が非常に少ない、重要な産業だともてはやされていますけれども、現実は非常に厳しい中にある、こういう年金受給者という立場にするならば、当然のことだろうと私は思うのです。 ぜひひとつ大臣も、これは大臣一人の問題じゃ決してございませんけれども、内閣としてやっぱりこれはそういう問題に対する物の考え方というのを、政治不信を招くようなそんなことに対しては断固あってはならないということで御発言いただきたいし、また今後そういう処置をおとりいただきたい、こう思いますが、どうでしょう。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 今の点につきましては先生御指摘のとおりで、私は六十年度の単年度の暫定措置と理解しております。そんなことで、国庫補助の減額分の返済につきましては、給付に関する事業の財政の安定が損なわれることのないよう、利息相当分含めまして財政当局とよく協議してまいりたい、このように考えております。
○藤原房雄君 利息をつけて払えばいいだろうという、そういうことじゃなくて、約束はきちっと守るという、そういうことでひとつけじめをつけて、けじめをつけた上で次の問題については次のこととして対処をするという、こういうことで物事は進めてもらいたいし、特に政治不信と言われる今日におきましては、国はひとつそういうけじめをつけた今後の対処という、そういうことであってもらいたいということを申し上げておるわけであります。 次に、さっきもいろいろお話ございましたが、将来の財政見通し、これについてはさっきもいろいろお話ございました。それから、中身のことについてはこのいただいた資料の中にもございますけれども、資金の運用状況ということについてもちょっと御説明をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 五十八年度におきます積立金の運用額全体で九千百八十五億円でございますが、そのうちの八割程度が有価証券、その他、信託、不動産、それから組合員への還元融資等がございまして、あるいはまた育英資金というものがございます。資金運用につきましては、農林年金は公務員共済に比べまして比較的弾力性のある運用を認められているところでございます。
○藤原房雄君 農業者年金のときにもいろいろお話ししましたが、非常にこの共済も複雑化してまいりました。これはいろいろお話を聞きましたら、地区の相談自制度というのが五十三年からできたということでありますけれども、この複雑化する中で、やはり相当なべテランといいますか、そういうことに通暁、よくわかる人がそれぞれの地域にいなければ相談になかなか応じられないということは、もう各年金それぞれ、農業者年金のときにもいろいろ申し上げたところでありますが、やっぱりこういう共済年金についても同じことだと思います。この五十三年からの地区相談員の立場、そしてまた現状、今後のあり方、こんなことについてお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 農林年金の地区相談員は、各県の農林漁業団体の推薦する方を農林年金の理事長が委託をするということにいたしておりまして、その設置状況は、県の農協中央会の職員に委嘱をいたします場合、あるいは年金の受給者の方に委嘱をする場合、それからまたいろいろ農協なり漁協なり森林組合等の系統の職員に委嘱をする場合等、各県の要望なり実態に即して行っておるところでございます。多い県では北海道、広いからある意味では当然でございますが、十二名、埼玉県九名、少ないところでは神奈川、山梨、奈良、徳島など七県が二名設置というようなことで現況があるわけでございます。 農林年金制度の相談につきましては、この地区相談員のほかに、各団体の事務担当の方々につきましても毎年研修会を開催いたしまして制度の理解を深めて、組合員の方々の退職時のいろいろな相談とか、お世話ができるような研修もやっておるところでございます。それからまた、中央の農林年金におきましては相談センターを設置いたしておりまして、六十年度は相談員を三名増員をいたしまして六名ということで、組合員なり受給者の方々の相談に対して御迷惑をかけないような体制の整備を図っておるところでございます。 県別の今後のあり方というような点につきましては、こういった年金の組織全体としての対応の問題、あるいはまた予算上の問題もあろうかと思いますけれども、要は地区相談員なり、あるいはそれぞれの段階におきます事務担当者の方々が、受給者なり組合員の方々の相談に十分応じられるような体制を整備していくということでございまして、そういう方向につきましては、私どもも年金とこれからいろいろ相談をしながら充実を図るように努めてまいりたいと思っているところでございます。
○藤原房雄君 これらの方々の運用に対する事務費なんかはどうなっているんですか。
○政府委員(後藤康夫君) これらの農林年金の予算の中で、地区相談員の謝金といたしまして、五十八年度で申しますと、千三百五十万程度の予算を計上いたしているところでございます。
○藤原房雄君 相談に応じられる体制をつくるということも大事なことでありますが、また事務費が現場に大きな負担にならないような配慮も大事なことだろうと思います。ぜひひとつ、だんだん複雑化してまいります年金絡みの問題につきましては、大体その道のエキスパートみたいな人たちが本当に一生懸命やっていただきませんと、これをマスターするなんということは非常に難しいという現場のいろんな声も聞いておりますが、そういう点で現場で働く方々の立場を十分にひとつ配慮して進めていただきたい、こう思います。 時間もありませんからあれですが、今回は制度改革の問題じゃございませんので、そちらの方には踏み込んだ話はいたしませんが、現在の農林漁業の置かれているそういう中にあって、給付水準も決してほかの年金等に比べましてよくない現状にあり、また農林漁業が大きく発展しませんと、その団体職員の方々の給与というものもなかなか厳しいという現実をぜひひとつ大臣に御理解いただいて、農林漁業の振興策に一層の御努力をいただきたい。以上をもちまして終わります。
○下田京子君 大変遺憾なことなんですが、持ち時間が私十五分というもので、答弁の方も簡潔にお願いしたいと思うんです。 まず、御指摘申し上げたいのは、臨調行革路線がスタートする以前というものは、人事院勧告は完全に実施されてまいりました。つまり、農林年金改定も人勧にスライドして改定されてきたわけです。ところが過去三年間を見ますと、五十七年は人勧四・五八%に対しまして給与改定ゼロです。五十八年は人勧六・四七%に対しまして給与改定二・〇三%、五十九年は人勧六・四%に対しまして給与改定が三・三七%と不当に抑えられ、つまり値切られてきました。この結果、農林年金も抑圧されまして、人勧を完全実施した場合に比較いたしまして、その損失額は大変なものでございます。五十八年度十八億円、五十九年度二十億円、六十年度十六億円で、この三年間の値切り総額が約五十四億円にも達する。これは間違いございませんね。
○政府委員(後藤康夫君) 人事院勧告どおりにベースアップとか、あるいはまた消費者物価指数の上昇と全くパラレルに引き上げたという計算をいたします場合に、最低保障額の変動とかいろんな問題ございますが、単純に率でもって目安としての計算というようなことをいたしますと、そのくらいのオーダーになろうと思っております。
○下田京子君 この五十四億円の損失額というのは、農林年金額を計算する際の報酬比例部分と職域部分に関するものですよね。さらに、そのほかに物価スライドにかかわる定額部分の損失というのもあるわけです。これもお聞きしましたところ、五十八年度十億円、それから五十九年度十一億円、六十年度で七億円、三年計で二十八億円ですから、この人勧未実施分と物価スライドによる損失額と合わせますと、実に八十二億円もが財政を理由にいたしまして今、年金受給者に現実に不利益を及ぼすということになりまして、これは大変問題だと思います。 三年連続しての人勧スライド部分と物価スライド部分の値切りというものが一体どういうものを意味しているのかといいますと、一つは、憲法に保障された国民の権利であるスト権を剥奪して、いわゆるその代償措置としての人勧の完全実施見送りという点でございますから、まさに憲法問題にも触れる暴挙なんですね。同時に、社会的弱者であります年金受給者の老後の生活権を脅かすという点で憲法二十五条の精神に反する。まさに憲法違反のものだということは、御指摘申し上げておきます。 そこで、確認したいんですけれども、公的年金制度と、それから私的保険を区別する大きな特徴は何でございましょう。公的年金は、少なくとも年金額の実質価値の維持が保障されるというところにあると思うんですけれども、いかがでしょう。
○政府委員(後藤康夫君) 公的年金と申します場合に、やはり制度が法律によって枠組みが決められている、そしてまた公的年金でありますものにつきましては、国の負担が行われているという点が一番の特徴ではないかと思っております。
○下田京子君 否定できませんよね。少なくとも年金額の実質価値の維持というのは、これは公的年金が保障しなきゃならないわけなんです。そういう点から見ますと、過去の物価スライド未実施分も含めまして四・六%の物価上昇分を実際に年金額にスライドすべきだと思うんですよ。ところが、今回は三・三七%のアップで抑えたわけですから積み残しは一・二三%と、結局農林年金の実質価値が引き下げられるということになり、これも大変問題であるということも指摘しておきます。 しかも、農林年金額の水準が今もって低いということなんです。五十八年度末の平均年金額を他年金、他共済と比較してみますと、御承知だと思いますけれども、一番高い国家公務員共済に比べまして、農林年金金額は三〇%ダウンの七〇%水準であります。他共済の中でも最も低く、厚生年金よりも低いです。ですから、年金額のスライド抑制ということはより深刻な影響を農林年金受給者に与える、こういうことになると思うんですけれども、この点、御認識されていますね。
○政府委員(後藤康夫君) 農林年金が他の共済年金制度に比べまして仕組みとして給付が低いというふうにはなっておらないわけでございまして、基本的には、給付が他の共済年金に比べて低いのは、組合員期間の差と、それからまた給与水準の差、この二つによるものだというふうに考えております。
○下田京子君 いずれにいたしましても、現に今、年金を受け取っている方々が他の共済年金、他の公的年金に比べて低い、これは現実なんですよね。 そこで次に、この年金スライドと関係いたしまして、農林年金改革法案の問題点について一、二聞きます。 この改革法案の中での既裁定年金の取り扱いが今度変わるわけですね。今の政府の提案の中身を見ますと、現行の年金額の計算方式には共済方式と通年方式があるけれども、そのいずれか高い方の額が年金額となっている。既裁定年金については、すべて通年方式で計算される年金額に裁定がえを行って共済方式の計算式を廃止する、こういうことですね。この場合、共済方式で計算し支給されている年金の額は既得権として保障する。ただし、通年方式の年金額がスライドして共済方式の年金に達するまでの間このスライドは行わない、足踏みする、こういうことになるわけですね。このことで、実際にどのくらいの方がどのぐらいの期間スライド停止という事態が予想されますでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 改正後の給付水準につきましては、具体的には退職者の給与の高低でございますとか、組合員期間の長短あるいは施行日におきます年齢等々によりまして相違をしてまいりますし、他方、新たに加給年金の制度が導入される、それからまた、職務上の障害や遺族の年金の最低保障額を設ける、さらには基礎年金の導入というようなこともございますので、一律になかなか申しにくいわけでございますが、全体としての水準が大幅に落ちるようなことはないというふうに考えております。
○下田京子君 もう少し具体的に教えていただけませんか。私が伺っているのは、一、二割の既裁定年金者に影響が出ると聞いていますし、またその足踏み状況というのは、今おっしゃったように、あれこれの条件によって違いますけれども、何年間その足踏み状況が予想されるのか、最低でどのくらい、最高はどのくらいか、お答えください。
○政府委員(後藤康夫君) 組合員期間を四十年とした場合、一例として試算をいたしてみますと、六十歳から六十四歳までの間につきましては、当面現行の給付水準より一割ないし一割強程度低下をいたしますが、六十五歳以上の基礎年金受給後におきましては、世帯としてはおおむね同一の水準になるというふうに考えております。
○下田京子君 足踏み期間がどのくらいになるかというのを、またお答えになりませんでしたでしょう。時間がないんですから、きちっと答えて下さいませ。これは二年から五年というような足踏み状況が出るんではないかというのを伺っております。 それから、次に移りますけれども、施行日以降の新規裁定者の取り扱いがどうなるかという点、これも大変問題があるんです。この新規裁定者の取り扱いは、施行日以降に退職して年金受給者となる者の年金額は、すべて新制度の計算方式によって算定する。この場合、施行日の前日に組合員期間が二十年以上ある者については、施行日の前日に退職した者とみなして従前の計算方式、つまり共済でも通年でもどちらでもいいわけですから、年金を計算しまして、その額を既得権として保障する。しかし、これも新制度の計算方式による年金額がスライドして従前の計算方式の年金額に達するまでの間はスライドは足踏みする、停止する、こうなっているわけですね。 そこで、話をわかりやすくするために具体的な試算をしてみまして、昭和二年生まれ、現在五十八歳です。奥様に先立たれまして独身者、給与は三十五万円、組合員期間が来年三月末で三十五年間、この方は来年の三月末みなし退職で従前額保障という格好で共済方式で計算いたしますと、この人の年金額は月額二十一万八千七百五十円になります。ところが、実際にこの法律が通ってしまった後で、六十二年四月退職したということでもって新制度により計算をいたしますと、月額十九万五千八百円という格好になるんです。つまり、二十一万八千七百五十円は既得権として認めるけれども、その額に達するまでは足踏みだ、スライドはしませんよ、こういう格好になるんです。その結果として、年五%ずつ物価スライドがあっても、二年間はスライド未実施、ストップだと、こういう実態になるわけですね。間違いございませんね。
○政府委員(後藤康夫君) そのような計算をいたしますと、御指摘のようなケースにつきましては二万円程度ダウンをするということになりますので、御指摘のようになろうかと思います。 ただ、妻の加給も含めまして夫婦二人ということになりますと、これに加給分が加わりますので、従前に比べまして低下する部分は八千円程度に縮まると思います。
○下田京子君 私は、奥様に先立たれたお気の毒な独身者の例とちゃんと言っているんですよ。 その次に申し上げますけれども、今の点は大変年金の実質価値の引き下げということでもって、既得権の保障なんということは言えないという問題点を指摘しておきます。 年金財政の見通しの問題でお尋ねいたしますけれども、今回の財政再計算は七月ごろになるだろうという話を伺っているので、そのときにまた改めて伺いますけれども、現在五十九年度の財政検証というものが出されておりますね。そのことにつきまして二点確認したいんです。 一点は、五十八年度末の組合員数を四十八万五千百九十二名ということで、一定して必要な財源率はどうかといえば千分の百七十六・一八で、前回再計算時より、つまり五十四年度比較で、千分の二十五・七一増になるというふうに言われていますが、間違いないかどうか。 二つ目に、この必要財源率の増加分、つまり千分の二十五・七一の要因別の中身は一体何なのかという点で、修正積立方式の採用によるものが千分の七・九二、それから既裁定年金の改定によるものが千分の三・六五、それからベースアップその他によるものが千分の一・六七、そして組合員数の増加を見込まない分で千分の十二・四七、間違いございませんね。
○政府委員(後藤康夫君) そういう資料があることは承知をいたしております。
○下田京子君 そのことは、前回再計算時に組合員が毎年七千百九十一人ずつ増加するというような前提をお立てになっていたと思うんです。ところが、実際には五十六年度以降組合員数が伸び悩みまして、五十八年にはわずか百六十六人の増にとどまったわけです。つまり、このことは、年金財政にとって重大な影響を与えたということが明らかなんです。にもかかわらず、今そのような資料があることは承知していると言われましたけれども、この財政検証、将来見通しの点で、組合員がさらに減るということを前提にして試算されていると思うんですが、これも間違いございませんね。
○政府委員(後藤康夫君) 横ばいで計算をしておるということではないかと思っております。
○下田京子君 横ばいじゃありませんよ。組合員数の増加数を見込まないということで、千分の十二・四七分を見ているということをさっき言って認めたじゃありませんか。つまり、それだけ組合員が減るということを前提にしているということは、減量経営をさらに進める、そして年金の停滞原因をさらに大きくしていくのだというふうなことを意味するんですよ。つまり人減らし合理化、その行き着く先が何なのかといいますと、もう国鉄年金の二の舞になるのではないかということだけは、私は指摘しておきます。 そこで、大臣にこれはお願いしたい点なんですけれども、臨時パート職員の待遇改善あるいはその他もろもろの雇用形態の改善等ございますけれども、臨時職員の年金加入の促進というのは一つ大事なことになっていると思うんですよ。農水省は、全中の調査によって、五十九年九月一日現在で臨時職員の加入率を四六・一%としておりますけれども、五十五年調査と比べますと、臨時職員そのものは七万五百十一人から三万八千九百六十九人に約半減していることになっているんです。私は、恐らくこれは前回の調査時の状況という点で、どの年金に入っているかわからない三万二千人分というものがあったのを、それを除いちゃっているんじゃないかと思うんですね。 ですから、それらを含めますと、確かに臨時パート職員の農年への加入状況というのは一定程度改善されているけれども、実際的に全体の臨時パート職員の中でどうかというと、まだまだ問題がある。この改善はやはり大事だという点が一点です。 それからもう一つ、これは最後に聞きますけれども、これからやはり農林年金加入者をどうやってふやしていくかということを真剣に考えなきゃならないと思うんです。その点では、農協関連企業の実態を調査して、そしてその企業がこの農林年金に加入できないのだろうかという問題なんです。全農の協同会社がどの程度かという点で、これは労働組合が五十八年六月三十日現在で調べたことなんですけれども、全農の協同会社が三十五社あるそうです。従業員は四千五百人、全農本体職員四千人を超えている、こういう実態なんですよ。 ですから、幾つかまとめて聞いていますけれども、一つは、各県の経済連の協同株式会社の職員実態がどうなっているのか、そしてそれらの職員数を含めまして農林年金に加入する方途いかん、この辺を局長並びに大臣にお伺いを申し上げ、質問を終わります。
○政府委員(後藤康夫君) 臨時職員の年金加入につきましては、ただいま先生が御指摘ございました五十五年と五十九年の調査は、御指摘のように直に、直接に比較しにくい要素を含んでおります。詳細は申し上げませんけれども、いずれにいたしましても、年金制度におきまして二月以上の期間使用される者については組合員にするということに相なっておるわけでございまして、今までも指導なり周知徹底の努力をしてまいりましたけれども、今後ともそういった線で努力をしてまいりたいというふうに思っております。 それから、協同会社なり団体関連会社につきましては、これは、農林年金団体につきましては、一定の性格を持ったものを対象にするということになっておりまして、現在のところ、そういったところまで範囲を広げることは考えておりません。また、仮に一時組合員がふえましても、いずれはそういう方々は受給者になってもらうわけでございまして、永久に組合員を増加さしていくというわけにはなかなかまいらないわけでございます。
○喜屋武眞榮君 私、基本的な問題を最初に大臣にお聞きしたいと思います。 まず、国民の福祉につながる制度というものは、申し上げるまでもなく憲法二十五条に明確に柱が打ち立てられております。そこで福祉制度の内容というものは国民の命にかかわること、健康につながること、そして暮らしにつながること、こういう内容であるべきだと思っております。そういう観点から日本の福祉制度は打ち立てられておる、こう思うんです。したがいまして、今日実現しておるその福祉制度というものは、今後将来に向けて前進はあっても後退があってはいけないのではないか、百歩譲って足踏みはあったとしても後退は断じて許してはいかぬ、あってはいけないのではないか、私はこう思うんです。大臣いかがでしょう、この考え方は。
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えいたします。 先生御存じのとおり、我が国の人口構造というのは、今後ますます高齢化が進展し高齢化社会に移行するものと考えております。 そんなことで、年金制度につきましても、このような社会経済情勢の変化に対応するために三つの点に特に配慮をしてやる必要があると思います。 その一つは、公的年金制度全般の整合性を図る。次には、制度の円滑な運営を図るため適正な給付水準を確保するとともに負担との均衡を図ること。また世代間の公平にも配慮すること。三つ目には、制度の財政の長期的安定を図る必要があること等に配慮することが大切だと思っております。
○喜屋武眞榮君 そこで尋ねますが、いかなる制度をつくるに当たっても、あるいは改正するに当たっても、一番私が言いたい大事なことは、その実態を調査する、そして関係団体あるいは受益者の声を大事にして聞いていく、こういうことが非常に大事であると私は思っております。そういう観点から、今度農林年金については、今回のこの改定法に引き続いて大がかりな改革法の審議が行われると思いますが、この農林年金制度について改革案をつくるに当たって、私が申し上げました、どのようにしてその関係団体の、あるいは世論の調査というのを持ってこられたか、調査をしてこられたか、このことをまず第一点として聞きたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。 御指摘のとおりでございまして、今度の改革に当たりましても、先ほど述べたような基本的な考え方を踏まえまして、農林年金制度に関する懇談会での論議や、あるいは組合会、約九十名の、経営者と労使関係の代表が出たこの九十名、各県ごとに設置された農林年金連絡協議会とか、あるいは農林漁業団体の年金制度推進協議会等、関係者から意見を聞きまして、幅広く徴し、今国会に改革法案を提案したものでございます。
○喜屋武眞榮君 幅広く、この構えはよくわかるわけですが、実際問題として気になりますことは、例えば沖縄県の関係者の意見をどのようにしてキャッチされたのか、あるいはされるのかということを、まずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 沖縄県の関係者につきまして申し上げます。 先ほどの組合会の議員として沖縄県の経済連の職員の方が選出されております。それからまた、沖縄県農林年金連絡協議会には沖縄県の農協中央会、あるいは土地改良区連合会、漁連等、県内の幅広い農林漁業団体が参加しておられます。
○喜屋武眞榮君 広く関係団体、あるいは国民のコンセンサスを得るということは、非常に民主的な立法という建前から当然であるわけですが、その点がよく問われるわけでありますので、この点重ねて強調いたしておきます。 次に、年金制度の改革は、年金の給付額を減らす、そして老後生活に不安を招くものではないか、もたらすものではないか、こういうふうに受けとめておる私もその一人でありますが、こういう典については、どのようにコンセンサスを求めて納得をさしておられるのであるか、考えておるのであるか、その点ひとつ。
○政府委員(後藤康夫君) この年度制度の改革に関連をいたしまして、関係者の方々というのもいろいろございまして、現に年金の受給をしておられる方、あるいはまた近く受給をされる方、それから、これからかなり長期間むしろ組合員として掛金の負担をしていかなければならない方、さまざまな方々がおられます。年金制度全体についての問題ではございますけれども、先ほど大臣から申し上げましたように、我が国の人口構造が今後ますます高齢化してまいりまして、高齢化社会に移行していくということが明確に見通されるわけでございますし、農林年金制度におきましても、この年金制度を支えております現役の組合員に対する受給者の割合が増大をして、現行の給付水準を維持するといたしますと、高齢化のピークを迎えます二十一世紀には、現役の組合員の負担がその限界を大幅に上回るというような心配もはっきり出ているわけでございます。 そういった中で、今回の改正は、やはり高齢化社会に対応して年金制度の長期的な安定なり制度の円滑な運営を図るということで、負担と給付の均衡に配慮しながら給付水準の適正化を図るということで、関係をされますさまざまな方々の御意見の調整も経ました上で提案をされているものでございます。 なお、急激な変化を避けますために、長期にわたって経過措置を設けるというような配慮も行っているところでございます。
○喜屋武眞榮君 次にお聞きしますが、沖縄における農林年金受給者についてみますと、昭和四十五年一月一日前に農協等に勤務していた期間については年金額の算定上四五%の減額措置が講ぜられておる。そうしますと、公的年金制度の一元化に向けて改革が行われようとしておる今日、このような減額措置は廃止し、沖縄と他の県が完全に同一になるようにすべきではないか、こういうことが復帰でずれがあったためにやむなくそういった特別の措置で一応乗っかかったわけでありますが、四五%のカットということがあったわけでありますが、それを今日の時点では新しい改正に向けても完全にこのあたりで一致させるべきではないか、こう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) この点、喜屋武先生から昨年もお尋ねなり強い御要請のあった点でございまして、非常に難しいけれどもというお答えも申し上げたんですが、さらに検討をすべしというようなお話もあったわけでございます。 この農林年金は三十四年に発足をいたしましたけれども、沖縄は当時復帰前でございましたのでその対象外になっておりました。四十五年の一月から、都道府県の農林年金、他の年金制度に準じました沖縄の農林年金制度が発足をいたしましたけれども、二年半ほどで沖縄の復帰に当たりまして本土の農林年金制度に承継をされたということになっておりまして、いわば四十五年より前の期間につきましては掛金の負担その他もないという状態で、その当時どうするかということが非常に問題になったわけでございますが、沖縄の特殊なお立場ということを考えまして、掛金の徴収が行われていない期間についても退職年金等の受給資格期間としてはカウントをする、ただ年金額の算定に当たりましては、政令で定めるところによりまして四五%相当額を控除する、こういうことになったわけでございまして、やはり当該期間におきまして掛金を負担してきました他の都道府県の農林年金の組合員との均衡等考える必要がございますし、農林年金だけではございませんで、他の各共済制度共通にこういうことになっているということもございますので、私どもその後も検討いたしましたけれども、これを廃止するということは困難であるという結論になっておるわけでございます。
○委員長(北修二君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○下田京子君 私は、日本共産党を代表し、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を政正する法律案に対する反対の討論を行います。 反対理由の第一は、本改正案が、憲法違反のスト権剥奪のいわば代償措置とも言うべき人事院勧告六・四%を大きく値切って、三・四%の国家公務員給与改定を強行した暴挙を追認した年金額改定となっていることです。 一昨年の引き上げ見送り、昨年の二%アップに続く今回の人勧値切りによって、農林年金受給者の受けた損失額は、人勧連動分で五十四億円です。 さらに、この三年間、物価スライド分も人勧値切りの横並びで実際の物価上昇分以下に抑制され、その損失額二十八億円を含めますと合計八十二億円にも及びます。これでは、ただでさえ他の共済年金に比べ低い年金額となっている農林年金受給者の生活水準を一層苦しくすることは明らかです。 第二には、法の趣旨からいっても、スライド制度発足以来の長い経過から見ても、年金額改定は人勧スライドで実施することが原則です。これを、臨調行革路線のもとで、三年連続人勧を大幅に値切ったいわゆる給与スライドによる改定を強行しました。このことは、これまで運動によって築いてきた国民の権利を侵害するものであり、この点からも本改正案に賛成できません。 最後に、既に今国会に提出されている本法の改悪が行われれば、保険料の大幅アップ、給付水準の大幅引き下げ、さらに年金受給者にとってもスライドの一時停止等、農林漁業団体に働く労働者や国民に大きな負担増と犠牲を押しつけるものとなります。 こうした農林年金制度の抜本的な改悪を目指す農林漁業団体職員共済組合法の改正案の撤回を強く要求し、私の本法案に対する反対討論を終わります。
○委員長(北修二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより本案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(北修二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十七分散会