農林水産委員会 第18号
- 発言数
- 225 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/05/28
会議録
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案につきまして、お手元の名簿にございます参考人の方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。 それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。 御意見をお述べ願う時間は議事の都合上お一人十五分程度とし、その順序は、須藤参考人、村上参考人、内藤参考人、遠藤参考人といたします。参考人の御意見の開陳が一応済みました後で、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。 それでは、須藤参考人からお願いいたします。須藤参考人。
○参考人(須藤隆平君) ただいま御指名いただきました全国農業共済協会で常務理事をやっております須藤隆平でございます。 本日は、当農林水産委員会での農業災害補償法の一部を改正する法律案の御審議に当たって参考人としてお招きいただき、この法律案に対する意見を申し述べる機会をお与えいただき、大変恐縮に存じております。しかしながら、農業共済の組織といたしましては、全国都道府県農業共済組合連合会長会議の決定がございまして、先生方のお求めにおこたえできるような明確な賛否の意見を申し上げることにはなりませんことをまず申し上げ、御理解をいただきたいのでございます。 その全国会長会議の決定と申しますのは、「案については、全面的には賛成できないが、法律案についての積極的反対運動はしない」というものであります。このような決定に至りますには、それなりの経過と理由があるのであります。 昭和五十九年度に入りまして間もなく、ちょうど昭和六十年度予算の概算要求作業の当初段階でありますが、農林水産省から制度の見直し問題についての情勢として、かねて財政当局から問題とされてまいっておりました水稲共済の当然加入基準、農作物共済の掛金国庫負担方式について、昭和六十年度から何らかの措置をとらざるを得ない事態になっているということが伝えられたのであります。しかも、その具体的な内容として、財政当局からは、現行の十アールないし三十アールという当然加入基準を三十アールないし五十アールに引き上げること、農作物共済掛金国庫負担方式は超過累進による負担を廃止いたしまして二分の一負担に改めること、また任意加入農家には当然加入農家と国庫負担に差を設けることを強く求められていることなどがわかってまいりました。 このような事態になってまいりましたので、全国農業共済協会では全国都道府県農業共済組合連合会長会議を開催いたしまして、このような情勢への対応策を図り、協会の役員のブロック代表により制度対策委員会を設置して必要な対策を進めることにいたしました。 このころ農林水産省でも、これらの問題について制度を改正するとして、その機会にどのような事項を取り上げて改正したらよいかの部内検討が進められておりまして、その要点も私どもの共済協会、各県の農業共済組合連合会にも知らされておりました。 そのような次第で、全国の各連合会では制度改正全体の問題としていろいろ部内検討をし、さらにブロックに持ち上げてブロック連合会長会議で協議し、その結果を制度対策委員の方々が持ち寄って委員会で検討したのであります。 その検討の際、強い意見が出されましたのが、当然加入基準の引き上げ問題と農作物共済の掛金国庫負担を二分の一に改める問題についてであります。 当然加入基準を三十アールないし五十アールに引き上げる問題に関しましては、まず経営規模の小さい農家が多い地域、これは特に西日本地方や大都市近郊、山間部で顕著でありますが、このような地域では加入の減少や逆選択加入等によって事業運営が困難になるなど、共済事業の存廃にまでかかわる問題になるということ。言いかえれば、保険の手法をとっている農業共済制度では、小規模農家も含めて加入を広げ、より安い掛金で安定的に事業を運営する必要があるのに、これが困難になるということ。また、加入基準の引き上げによって未加入農家が散在状態になれば、相互扶助精神の強い農村社会を分断してしまうことになり、農業共済団体が取り組んでいる病害虫の防除など損害防止事業の効果的な実施が極めて困難なものになってしまうとともに、ひいては共済不要論の火種ともなりかねないということ。さらに、現在、共済事業の円滑な実施、制度の普及推進等のために御協力いただいておりますところの損害評価員や連絡員の体制が崩れ、共済事業全体の運営が立ち行かなくなるのではないかということ等の強い意見が出され、加入基準引き上げは是認できないということであったのであります。 また、農作物共済の掛金国庫負担を改める問題につきましても、任意加入農家と当然加入農家とで差を設けますことは論外といたしまして、これを二分の一に改める問題についても、掛金の国庫負担割合が高率だから見直さなければならないと言われているけれども、災害復旧事業など他の災害対策の諸施策の国庫補助は補助率五〇%から被害の深度に応じて高くなっているのであるから、農業共済制度が農業災害対策の根幹であるという視点があるのであれば、現行の国庫負担は決して高い国庫負担補助率ではないではないかということ。また、時に異常な大被害をもたらすことのある自然災害を対象とする農業共済制度にあっては、掛金の国庫負担は、災害対策の観点から、異常な災害に係る部分については極力これを災害を受けたところの農家の負担としないよう国が特別に措置すべきではないかという意見などが強く出されたわけであります。 以上のような意見がありましたので、それをもとに制度対策委員会として制度改正についての考え方を取りまとめ、全国会長会議に付議したのであります。 それは、一、当然加入基準の引き上げは、制度の根幹にかかわる重要問題であり、このことは水稲共済だけでなく他の共済事業に及ぼす影響も大きく、制度並びに組織の崩壊につながるおそれがあるので反対であり、現行政令基準は堅持すること。二、農作物共済掛金国庫負担についても現行方式を堅持することとし、それを二分の一にすることは反対である。三、果樹共済、園芸施設共済の事業責任分担の改善、果樹収入方式等の実現についても農林水産省に実現方の配慮を願うというものでありまして、全国会長会議ではこのとおりの決定をいたしたのであります。 これよりさきの段階で、今回の改正案では落ちておりますが、農林水産省の考え方の中には豚の共済の掛金国庫負担を改善する考えが入っておりましたので、これは当然実現されるべきこととしておりましたし、また今回の改正案中の農作物共済掛金国庫負担の合理化以外の事項、すなわち農業災害補償法の一部を改正する法律案要綱第一の危険段階別の共済掛金率の設定方式の導入、第三の家畜共済の共済目的の追加、いわゆる肉牛の子牛及び胎児を新たに制度の対象とする事項、第四の果樹共済の共済金額の上限の引き上げ並びに収穫共済の共済責任期間の特例、第五の園芸施設共済の施設内農作物についての病虫害事故除外制の導入等につきましては、それぞれの組合等が選択実施できる道を開くというものでありまして、かねて全国会長会議の審議等で実現方を要請した経緯のあることでもありますので、これは結構なことであるということであったことを申し添えておきます。 この決定に基づきまして、関係者挙げての要請運動が進められ、また十二月五日の全国農業共済大会では、決議の第一項目で「農作物共済掛金国庫負担、当然加入制度等の根幹については現行を堅持すること」が採択されておりまして、参会者によるこの決議実行運動も幅広く展開されたのであります。 このようなことで、国会議員の諸先生方の御理解ある御協力と農林水産省の格別の御努力をいただいたのであります。その結果、昭和六十年度予算案の決定段階で制度改正に係る基本的事項が取りまとめられました。 それによりますと、豚の掛金国庫負担の改善は見送られ、当然加入基準や農作物共済の掛金国庫負担の問題は、財政当局の当初要求より緩和されて政府案の骨子として取りまとめられたのであります。すなわち、当然加入の基準、掛金国庫負担につきましては、強く団体が反発しておりました当初の案よりは幾分現実的な内容となったのであります。私たちは、これを農業共済団体の要望も幾らか組み入れられたものと理解している次第であります。 農業共済団体において責任ある立場にございますところの都道府県農業共済組合連合会長の皆さんも現下の財政事情等は承知されておるのでありますが、だからといって大会決議のこともあり、決してゆとりのあるとは言えない組合員・農家の負担が重くなる事項を含む今回の改正案については全面的に賛成というわけにはまいりません。 以上のような事情で、一月二十九日開催の全国会長会議において慎重に協議の結果、今回の農業災害補償法の一部を改正する法律案については、初めに申し上げましたような「案については、全面的には賛成できないが、法律案についての積極的反対運動はしない」という態度をとることになったものであります。 なお、農業共済団体では、制度、事業をめぐる情勢がだんだん厳しくなってくる中で、六年前から「確かな補償実践運動」という農業共済団体挙げての事業推進の運動を進めてまいっております。 運動の基本は、農業共済事業の確実な実施と完全補償、組合等運営基盤の再編整備、農業の変化に即応した制度等の実現という三点に置いておりまして、具体的事項として、昭和六十年度は、このたびの制度改正の動きなども考えながら組合等運営組織体制を一層強化すること、損害防止活動、農家サービス活動を積極化し損害補償との有機的結合を図ること、農業共済団体役職員の自助機能を高め職場を活性化することの三つを取り上げ、これを実践して制度の機能を総合的に発揮することとしております。このようにして農家から一層信頼される制度、事業の運営を実現するよう努力することを申し合わせ、新年度に入って全組織を挙げての運動を展開中でありまして、事態の変化に対応してまいるつもりでいるわけであります。 しかしながら、これらの事態の変化、地域農業の特性などに対応しながら成果を期するためには、事業全般にわたってそうでありますが、特に当然加入基準の緩和によって増大する任意加入対象農家が制度に進んで参加できるようにすることも重要でありますので、運動でも取り上げている病害虫の防除等損害防止活動等によって農家へのサービス拡充に努めるのはもちろんでありますが、各種農業関係施策、特に制度金融等の融資制度と農業共済制度との関連づけが重要なことになってまいります。 また、団体事務費国庫負担金が昭和六十年度から定額交付金化されましたが、このことにも関連いたしまして、事業の一層の拡充のためには団体としてその地域の特性に合った創意とそれによる濶達な活動ができるように、規制の多い現在の行政指導を再検討していただくことが重要になってまいります。これらの問題は、共済団体としてこの機会にぜひ措置していただきたい事柄であります。 以上のような次第でありますので、何とぞ私どもの気持ちをお酌み取りくださいますよう特にお願い申し上げまして、この法律案に対する意見にかえさせていただきます。終わります。
○委員長(北修二君) ありがとうございました。 次に、村上参考人にお願いいたします。村上参考人。
○参考人(村上正晴君) ただいま指名をいただきました北海道農業共済組合連合会で参事を務めております村上でございます。このたびは当委員会で農災法の一部改正案にかかわる審議に当たりまして、参考人の一人として意見を申し述べる機会を与えていただきましたことを大変光栄に存じております。 改正案にかかわります私の意見を理解いただくために、まず最初に、北海道の農業共済を取り巻く環境について申し述べさせていただきたいと存じます。 北海道の農業の特色といいますと、どなたも第一に挙げますのは気象条件に恵まれていないということでございます。次いで、経営規模の大きい専業農家が主体と理解されておるわけでございまして、事実、第一種兼業まで含めますと、府県は三割弱でございますけれども、北海道は七割強を占めておる現況にございます。また、北海道の開拓の歴史は浅くございまして僅々百年少々でございますけれども、農業は、稲作のできるところはまず稲作ということで漸次北上してまいりまして、稲作の無理なところは畑作、畑作も無理なところは、限界地などでは酪農というようなことで、北海道農業といいますと稲作、畑作、酪農が三本柱でございます。 戦後、一貫しまして、我が国の食糧供給基地であるという自負のもとに開発並びに近代化に多額の先行投資を続けてまいったわけでございますけれども、オイルショック以降、一転しまして農畜産物に対する需要が停滞いたしまして、稲作、酪農は生産調整を余儀なくされましたし、価格の低迷とともにこれまでの投資が経営を圧迫する一大要因となりまして、さらに四年連続の災害がこれに拍車をかける結果となりまして、農家経済は一段と逼迫しておる現況にございます。 このような農業環境のもとで、北海道の農業共済は水稲、麦の農作物共済を軸にいたしまして、畑作物共済、さらに酪農を支えます家畜共済が主体でございまして、北海道農業の三本柱——稲作、畑作、酪農、これらを完全にカバーしているところでございます。すなわち、水稲は十五万五千ヘクタールの作付の九八%を引き受けてございますし、麦は九万三千ヘクタールの作付に対しまして九七%共済でカバーをしておるわけでございます。また、家畜につきましては有資格頭数の百十六万頭でございますが、このうち九十五万頭の加入を取りまとめておるところでございまして、全国の事業量の中でも相当のウエートを持っておる、このように自負いたしておるわけでございます。 このほかに、わずかに果樹共済、園芸施設共済なども実施しておりますけれども、建物共済は農協組織に任せておりまして、国が再保険をしております事業だけを実施しているという、全国的には特異な形態を持っておる連合会かと存じております。 要すれば、府県の連合会と異なりまして経営規模の大きい専業農家を主体としておりますので、農業共済に対する依存度が極めて高いというのが特色だと存じております。それだけに、農家の掛金の負担も府県に比べて非常に大きく、またそれだけに、制度に対する農家の注文も真剣であり、かつ厳しいものがございます。幸い農水省、国会諸先生方の御尽力をいただきまして、農災制度はこれまで年々拡充強化されてまいりまして、それらの農家の期待にこたえてまいったわけでございまして、この機会に厚くお礼を申し上げたいと存じます。 特に、最近の連続災害で農家が受けた損害の補てんに、制度の充実によりまして多大の貢献を果たしてきたと自負しておるところでございます。昨年は北海道も豊作でございましたけれども、その前の年の昭和五十八年は非常な激甚災害でございまして、本道史上最大の被害と言われておるわけでございますが、すべての農作物の損害額は北海道庁の調べによりますと一千四百億円にも上っておるわけでございますが、このときの支払いました共済金は六百三十七億ということでございまして、農業共済の対象になっていない作物もひっくるめた一千四百億に対しまして補てん割合が四二%ということに相なってございまして、この年とほぼ同程度の深い災害でありました十七年前の昭和四十一年、この年も大冷害の年でございましたけれども、このときの補てん割合が一六%でございまして、このことからも制度の躍進を御理解いただけますし、隔世の感があるというふうにも考えておるところでございます。 北海道は、これまでもしばしば冷害を受けておりまして、その都度、行政、農業団体挙げて冷害対策を講じてまいったわけでございますが、昭和四十年代の初めごろまでは冷害対策の主軸といいますと融資でございました。四十年代初めの融資は、損害額に対して三〇%を占めておったわけでございます。天災融資、自作農維持資金、合わせて損害額に対して三〇%、ところが今では農業共済がその地位を逆転いたしまして、先ほど申し上げましたように損害額に対して貢献度四二%ということでございまして、ちなみにその年の融資は一五%まで落ち込んでおるわけでございまして、まさしく災害対策の基幹的役割を果たしてきた、こんなふうに存じておるわけでございます。 また、共済金の成果につきましては、単に被害農家のみならず、冷害年次におきます農村、都市の地域経済に対する波及効果も非常に大きいものがございまして、日ごろ感謝をされておるわけでございますが、冷害年次になりますと、商工界からも共済金の早期支払いということにつきまして要請、陳情を受けておるということからも御理解いただけようかと存ずるわけでございます。 特に、北海道の農家は非常に多額の負債を抱えておりまして、現在、関係団体一体となりまして負債整理対策に取り組んでおるところでございますけれども、今回の負債整理対策の特色といいますと、新しい借金は一円たりともふやさない、こういう意気込みで取り組んでおるわけでございまして、そのためには北海道におきましては、災害から経営を守る農業共済は不可欠の制度となっておると言えるわけでございます。 このような北海道の農業共済にかかわる環境を背景にいたしまして、農災法の一部を改正する法律案に対する意見を申し上げたいと存じます。 この制度は、昭和二十二年に制定されて以来三十七年を経過するわけでございますが、この間、大小三十一回の改正が行われておりますけれども、このたびの三十二回目の改正にはいささか困惑をいたしております。といいますのは、これまでの改正は、ごく一部の例外を除きましていずれも農家にとりましても私どもにとりましても前向きのものばかりであったわけでございますが、今回の改正は、農家はもちろんのことでございますが、団体運営を預かる私どもにとりましてマイナス材料とプラス材料がセットになった改正であるということでございます。しかも、総合いたしますと、マイナス材料がまさる改正でもあるわけでございます。 今回の改正案の中でマイナス材料といいますと、一つには、農作物共済の国庫負担掛金の別表の改定でございます。二つ目は、水稲の当然加入基準の引き上げでございますが、この当然加入基準の引き上げにつきましては、私ども北海道にとりましては経営規模が大きいわけでございますので何ら影響がございません。ただ、国庫負担の別表改定につきましては、全国的に最大の影響を受ける地域でございます。特に、八〇年代農政が期待いたします中核農家というのは、まさしく北海道農業そのものではないか。そういう中核農家育成というものに逆行するような制度改正は、到底支持するわけにはまいりませんでした。それゆえ本道の関係機関、団体挙げまして別表改定阻止の要請に全力を傾注してまいりましたけれども、先生方を初め農水省の御尽力によりまして、当初の財政当局の厳しい要求から見ますると、私どもの意見が反映されまして大分緩和されて、一律五〇%という最悪の事態を回避できたわけでございまして、非常に幸いだったと存じておるわけでございます。また、このような原案の大蔵省との間での決着を見ましたのは十二月末でございまして、明けまして一月以降、北海道の各組合では例年組合員を対象とする集落座談会が持たれておるわけでございまして、本年の場合は、当然、制度改正問題の情勢報告が中心になったわけでございます。幸い各農家からは、現在の厳しい財政事情というものが理解されていたということもありましてか、心配した強い突き上げもなく、引き続いて制度、事業への参加協力の見通しが得られまして、ただいまは安堵の心境にあるわけでございます。 しかしながら、本道の厳しい農家経済、平均一戸当たり一千万円を超える負債を抱えておりまして、今回の農家負担掛金の増額はこれに追い打ちをかける結果となるわけで、心を痛めておる次第でございます。それゆえ、これ以上の改悪は絶対行わないという歯どめ措置につきまして、先生方の格別の御尽力をお願い申し上げたいと存じます。 改正案のうちのプラス材料につきましては、かねてから私ども団体から要望していた事項が大半でございます。いずれも賛成いたしておるものでございます。 ただ、残念なことは、当初の案の中に含まれておりまして私どもひとしく歓迎しておりました豚の国庫負担の引き上げが見送られたことでございまして、肉資源の重要な一翼を担っております豚につきましても、大家畜同様の国庫負担割合をできるだけ早期に実現することにつきましても、特段の御配慮をお願い申し上げたいと存ずるわけでございます。 最後に、法律の改正事項ではございませんけれども、団体事務費の国庫負担金が本年度からこれまでの十分の十補助から定額方式に切りかえを余儀なくされたわけでございます。 団体の運営は、国の交付金と農家からの賦課金と積立金から生まれます受取利息が主要財源となっておりまして、国交付金が定額化されますと、ベースアップなどの経費の増高というものを極力農家負担に転嫁させないための自助努力というものが一段と必要となってきております。このため、私ども団体は、組合の広域合併と機械化というものを軸に合理化に真剣に取り組んできておるわけでございます。また一方、収入財源確保のために、事業の拡大ということと資金の効率運用というものにも努めていかなければならない、こんなふうに自覚をいたしておるわけでございます。 これからの事業の拡大は、専ら新種共済でございまして、私どもは日ごろ政策効果を高めるために、この制度でカバーし切れない農家を一戸でも少なくするというようなことで努力をしておるわけでございますけれども、新種共済は任意加入でございますので、農家の加入意欲を刺激する創意と先行投資がどうしても必要になるわけでございます。ところが、現在の要綱、要領というものには適切な運営というものが先行いたさなければなりません関係上から各種の制約の規定がありまして、自主的な努力をややもすると阻害するケースがあるわけでございまして、さらに資金の効率運用につきましても、安全ということを優先してまいりますとどうしても定率運用ということに相なるわけでございまして、これらの規制緩和も非常に強く望んでおるのが各団体の現状でございます。 合理化のための広域合併と共済業務の機械化につきまして、国の力強いバックアップをお願いするとともに、今度の改正を契機にいたしまして、これまでの要綱、要領、行政指導の大幅な見直しを切に期待するものでございます。 以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(北修二君) ありがとうございました。 次に、内藤参考人にお願いいたします。内藤参考人。
○参考人(内藤進君) 全国肉用牛協会の内藤でございます。本委員会に参考意見を申し述べる機会を与えていただきましたことを、厚く御礼を申し上げます。 私は、本改正案のうちの肉用牛に関係のあります家畜共済の問題につきまして、若干意見を申し上げたいと存じます。 家畜共済に関する本改正案の要点は、従来の制度では生後六カ月以上の牛を共済目的としておりまして、これ以下の子牛につきましては共済の対象に入っていなかったのでございますけれども、今回の改正によりまして共済目的を拡大すること、つまり肉牛の子牛並びに胎児を新しく共済目的に加えることができるようにされたことであると承知いたしております。 御案内のように、肉用牛の生産は、一部に繁殖と肥育を同じ経営で行いますいわゆる一貫経営が普及しつつございますけれども、現在の大多数の肉用牛生産では、繁殖を行う農家と肥育を行う農家とに分かれておるのが実情でございます。そこで、繁殖農家におきましてはその生計を維持し、また経営の拡大を図るための主たる財源が子牛の販売収入であることは申すまでもないことでございます。その収入源であります子牛が事故に遭って売れなくなったとか、あるいは経済的価値を失うような事態になることは、その経営の維持に大きな障害となるものでございます。このことは、ちょうど果樹などにおきまして収穫がなくなった状態とよく似ておるのではないかというふうに思います。加えて、家畜の場合には、母牛の飼養管理に相当の経費をかけておりますので、農家の感情からいたしますと、それが報われなかったというような感じを持つのではないかというふうに思います。 現在、肉用牛繁殖農家は約二十四万戸でございまして、肉用牛全農家の八割近い比重を占めております。その飼養規模は最近少しずつ拡大傾向にはございますけれども、それでも一戸当たりの子取り用の雌牛頭数は全国平均で三頭という状況でございます。しかも、一、二頭飼いが全体の三分の二を占めているという状況でございます。我が国の肉用牛の素牛供給がこういった零細な繁殖農家によって支えられている実情でございますけれども、このような農家におきまして一頭でも子牛の損失が生じますと、現在では一頭当たり二十万、三十万という高価なものでございますから、その収入減少は肉用牛経営に決定的な打撃を与えることになると存じます。 御存じのように、繁殖農家の中には、お年寄りや御婦人が牛飼いを担当しておられる事例が各地で見られるわけでございます。このような方々にとりましては、子牛を売ったお金はいわば一年一度のボーナスのような意味を持っておるわけでございます。このボーナスを楽しみにしながら、日夜牛飼いに励んでおられる方々も少なくないのでございます。また、農業以外の就業の機会が少なくて、その農業自体も厳しい環境に置かれております山村におきましては、子牛の収入はボーナスや小遣い以上の意味を持っていることは御存じのとおりでございます。こういう方々にとりまして、売る子牛がなくなってしまった、あるいは病気のために多額の治療費がかかってしまったという事態が起きますと大きな失望につながりますし、以後の牛飼い意欲を喪失させる原因にもなりかねないと考えております。牛飼いを主業的にやっておられる方々にとりましても影響が大きいことは、もちろん言うまでもございません。 こういった事情もございまして、近年、肉用牛生産者の中から子牛を共済目的に加えてほしいという要望がございまして、一部の地方では、農業団体などが自衛手段として子牛の事故に対する救済事業を講じているところもあると聞いておりますけれども、概して資金的に苦しい状況にございまして、せっかくの事業を廃止せざるを得ない状況になったところもあるようでございます。こういう仕事につきましては、もっと大きい規模でやるべきものでありまして、国の制度ができればこれに移行したいと考えておるところもあるように聞いております。 子牛の死亡のような事故は、全体から見ればわずかであっても、被害を受けましたその農家にとりましては経済的ダメージが経営全体に影響を及ぼしかねないことは今申したとおりでございますけれども、特にかつて、これは昭和四十年代の後半でございますけれども、西日本を中心といたしましてアカバネ病という異常出産、つまり死産ですとか流産あるいは奇形の子牛の出産などが相次ぎまして、繁殖農家に大きな脅威を与えたことがございます。この病気はアカバネウイルスの感染によって起こるものでございまして、蚊のような吸血昆虫が媒介すると言われております。現在ではワクチン注射などの防疫によりまして発生頭数が大幅に減少してはおりますけれども、全くなくなったということではございませんで、この病気はもともと数年間隔で周期的に発生するものとも言われておりますので、今後、いつ、どこでこのような被害が起きるかもしれない状況にあると思います。 そういう意味におきまして、今回の改正案において六カ月未満の子牛のみならず妊娠八カ月以上の胎児まで共済目的に加えていただくことは大変適切なことであると存じますし、ぜひ早期に可決、成立していただくように願っておるところでございます。 御存じのように、肉用牛の飼養は、国の各般にわたります施策と関係者の努力によりまして近年増加しつつございます。乳用種を含めまして現在二百五十四万頭になりましたけれども、反面、現在の肉用牛生産は大変厳しい環境にございます。特に繁殖農家にとりましては、長期にわたります子牛価格の低迷によりまして経営的にも大変苦しい状況にございます。一時、昨年の六月ごろには、雄雌平均いたしまして二十万円台に下がった子牛価格も現在では二十五、六万円となったように、価格回復の兆しが見られておりますけれども、まだ多くの道府県におきましては県が定めた保証基準価格を下回っておる状況でございまして、子牛価格の安定制度によります生産者補給金で支えていただいておるという実情にございます。 子牛価格の低迷によって増加しました雌牛の屠殺も、最近の価格回復によりまして鈍化してきたとは言われておりますけれども、土地利用型農業の基軸とされております肉用牛生産の進展と国民に対します牛肉の安定的供給を図るためにも、そのもとになる繁殖農家の経営の安定を図りまして肉用雌牛の維持増大を図ることが当面の大きな課題であると存じます。 このような繁殖経営の現状におきまして、生産者は国、県等の御指導をいただきながら経営の改善強化のために日夜努力している最中でございまして、そのために飼料基盤に立脚しました経営内容の向上や経済的、効率的肥育の推進あるいは家畜の改良、生産性の効率の改善など重要な課題、目標と取り組んでおるところでございます。分娩間隔の短縮でございますとか、子牛の事故率を低下させるための努力も大切な問題であるというふうに考えております。 しかしながら、今の肉用牛生産を取り巻きます厳しいもろもろの情勢を考えますと、こういった課題を短時日に達成するということは容易なことではないと思います。しかし、一日も早く肉用牛生産を足腰の強い体質につくり上げまして競争力のある産業となるように努力を傾注しているところでございますので、それまでの間、従来から肉用牛生産に賜りました助成、御援助に加えまして、本改正案にも盛られました子牛等の共済制度のような災害補償の強化につきましても、特段の御配慮とお力添えをいただきたいと存じます。 以上、本改正案の家畜共済に関しまして賛成意見を申し上げまして、私の意見といたします。 どうもありがとうございました。
○委員長(北修二君) ありがとうございました。 次に、遠藤参考人にお願いいたします。遠藤参考人。
○参考人(遠藤肇君) ただいま委員長より御指名をいただきました日本園芸農業協同組合連合会、日園連の専務理事をいたしております遠藤肇でございます。 農災法の今次改正法律案につきまして参議院の審議に当たって、本日当農林水産委員会で参考人として意見を申し述べる機会を与えてくださいまして、大変感謝をいたしております。 冒頭、本題に入ります前に、私は、この席をかりまして、全国八十万の果樹生産者を代表し諸先生方に対しお礼を申し上げなければならないことがございます。昨年四月、オレンジ等をめぐる日米間の農産物交渉が御案内のような結果をもって終結いたしました。四年後の再協議が合意されたこともございまして、産地で果樹栽培に励む生産者たち、なかんずく大幅なミカンの減反を強いられてまいりましたかんきつ生産者たちの受けた衝撃は非常に大きいものがあり、経営の将来に対する不安感が一段と強まったことも事実であります。こうした憂慮すべき事態に対処いたしまして、諸先生方におかれましては、いち早く総額四十五億円の果樹緊急特別対策基金の造成を、また無利子の果樹栽培合理化資金の創設といった当面対策を御用恵していただいたばかりでなく、果樹農業の基本法とも言えます果振法につきまして、実態に即した大幅な改正を今国会において可決、成立させてくださいました。とりわけこの果振法につきまして、先議の参議院当農林水産委員会において、「外国産の果実等に関する措置」を明記しました条項を新たに挿入する修正を加えていただき、全国の果樹生産者の悲願とも言うべき要求にこたえてくださったのであります。 財政再建あるいは行政改革、さらには対外市場開放対策の推進と、農政運営を取り巻く環境が本当にかつてない厳しさを加えてまいっております今日の時代的背景に思いをいたせばいたすほど、産地で悪戦苦闘する生産者を励まし勇気づけるために、国の果樹政策の強化に向けてよくもここまで手を打ってくださったものと、先生方の御配慮、お骨折りに対しまして感謝の気持ちを表現する適切な言葉を知らないのであります。ありがとうございました。 ところで、本題でございます農災法の今次改正案につきまして、私は果樹共済関係の問題だけに限定いたしまして、被保険者としての生産者の立場から意見を申し述べます。 諸先生方、篤と御承知のように、かつて農業生産の選択的拡大を旗印といたしました基本法農政が展開されました時期に成長作目のエース格として祭り上げられ、事実この間生産量が二倍にもふえました果樹農業でありますが、昭和四十七、八年を境にいたしまして果物の需給基調がすっかりさま変わりし、自来、今日までまことに苦渋に満ちた長い過剰時代を経験してまいっております。ピーク時の栽培面積のちょうど三分の一に相当する大幅な減反をやってまいりましたミカンを初め、その受け皿として最大の転換先でございました中晩かん類についてまで、リンゴ、ブドウ、桜桃とともに現在新植抑制の措置がとられております。果実総生産量の約八〇%を占める果樹が、減反ないし新植抑制の対象になっている現状であります。 この胃袋満杯の飽食時代の中で、果物の一人当たり消費量は、総人口の既に六割を占める戦後生まれの若い世代を中心に依然減少傾向が続き、どうにもこれに歯どめをかけることができずにおります。果物に対する消費者のニーズは確実に少量多品目型に変わりまして、味や鮮度についての選別が大変厳しくなってきている昨今でございます。 こうした消費動向のもとで、国内の果実生産量の二割にも及びます、しかも多彩な輸入果実が小売店の店頭にあふれておりまして、お菓子や嗜好飲料をまじえまして文字どおり激しい競争の時代が続いております。果樹栽培に取り組んでおります生産農家がこの激しい競争に生き抜いていく道は、適地適産に即して味のよい高品質の果実をつくり上げること、土づくりを基本に単位当たり収量を目いっぱいふやすこと、しかも果樹特有の隔年結果をできるだけ防いでこの高い単収をコンスタントに維持すること、すなわち高品質、多収、安定生産に徹したきめ細かな栽培管理を忠実に実行する以外にないのでございます。 しかし、そうは申しましても、農業の宿命といたしまして、気象条件の気まぐれな変化に伴う作柄の変動を個人の技術をもって克服するには限度がございます。年間を通じまして気候の変化が大きい日本の国土において栽培される作物の中で、特に果樹は植えてから三十年あるいは四十年にも及ぶ寿命の長い永年性作物であります。一年に一回勝負の米や麦のように、品種や栽培方法を変えて、台風や雨の多い時期の収穫を避けるとか、あるいは野菜のように、もう一度種をまき直して短期間に収穫を上げるというような器用さはないのであります。つまり一年を通じまして気象災害に見舞われます機会が多く、被害の発生頻度が一年生作物に比べてずっと高い宿命を背負っております。しかも、一度被害を受けますと、樹勢に影響するなどその後遺症が次年度以降の生産にまで残り、回復までに時間がかかるケースも決して珍しくないのであります。 永年性作物であるがゆえに、気象条件の影響を受ける頻度の高い果樹のこうした特性を考えますとき、栽培農家の経営の安定を図る上で災害対策の基幹として位置づけられております農業共済制度に期待される役割は、本来一年生作物にも増して大きいものがあると考えます。 果樹共済は農業共済制度の後発の事業ではありますが、我が国果樹農業の安定的な発展を図る上で欠かせない重要な役割を果たす政策であることを、まずもって強調さしていただきたいと思います。 しかし、それにもかかわらず、果樹共済事業の実態は、昭和四十八年の本格実施以来既に十二年を経過しながら、しかもこの間、昭和五十五年に半相殺方式の導入、無事故農家に対する掛金割引制の導入を初め、果樹生産者に受け入れられやすい制度の仕組みに改善するため大幅な制度改正が実施されましたものの、生産者の加入状況は依然として低調で芳しくないのであります。任意加入制とは申すものの、昭和五十八年度の果樹共済の引受面積率は収穫共済で二六・三%、樹体共済に至りましてはわずかに五・五%にすぎず、せっかくの五十五年の制度改正が果樹栽培農家の加入意欲の喚起につながらず、制度改正の効果が確認できないのであります。まことに残念なことと言わなければなりません。 このように五十五年に果樹共済の大幅な改善措置が講ぜられたにもかかわらず、この制度が依然として果樹栽培農家から高い支持を得ていないこと、特に大方の見方として、果樹栽培に生活をかける意欲のある専業的な担い手農家層の間で、魅力のある制度として受け取られていないことはどうも事実のようであります。果樹共済に関する今回の制度改正に当たりましては、このような現状についての厳しい認識を前提に置いて、実態についての克明な分析、きめ細かな原因の追求をしっかりなされることが先決であると、私はそう考えております。 ここらあたりの手だてを十分に講じられた上で用意されたものだと思いますが、今回提案されております政府の制度改正自体の内容について意見を申し上げます。 改正の第一点は、従来、組合ごとに一律に定められていた共済掛金率を改めまして、農家ごとに被害状況をグループ分けして掛金率を設定できるようにしたことであります。料金を細分化することによって、被害の少ない農家に対して掛金率を低くする道を開こうとする措置だと受け取っております。 もともと果樹栽培は稲作あたりと違いまして、農家間の技術の平準化には限度があります。価格の長期低迷に伴って採算難が恒常化してきたミカンのみならず、落葉果樹におきましても、近年同じ産地内で、私が先ほど申し上げました高品質、多収、安定生産を目指した栽培管理を忠実に実行する農家と、兼業化あるいは高齢化などの労働力事情から行き届いた管理作業ができない農家との二極分化の傾向が非常に目立つようになっておりまして、それが収量並びに品質の面にはっきり差となって出ておるのであります。市場における品質競争が避けられない果樹経営の実態に即して考えますとき、掛金率の細分化は歓迎すべき改善措置と考えます。 改正の第二点は、暴風雨またはひょう害のみを対象とした半相殺特定危険方式について、省令改正措置をもって新たに凍霜害を追加し、これらの共済事故をセットで加入できる方式を新設したこと、それとあわせましてこの特定危険方式について共済金額の上限となる標準収穫金額の最高割合、すなわち補償水準を現行の七割から八割は引き上げを行おうとしていることであります。 凍霜害を共済事故に加えますことは、危険意識の高い落葉果樹やナツミカンの栽培農家の要望にこたえた措置であり、セット方式の導入もそのように理解をしております。また、各果樹とも近年生産費が共通して上昇傾向にあり、所得率が低下してきている経営の収益状態から見まして、補償水準の引き上げは当然の措置と思います。 特定危険方式について、こうした今回の改善措置は、掛金率のはね返りを考慮に入れましても結構なことであり賛成であります。日ごろ栽培管理は熱心に取り組んで病虫害の発生が少ない優良農家層の保険需要にこたえていく上で、不可抗力的な自然災害のみを対象とした特定危険方式は、危険を特定することによって掛金率も安いことから、今後一層の改善を図ることによって果樹共済制度を担う重要な柱として位置づけ、これを伸ばしていく必要があると私は考えます。 改正の第三点は、果樹共済事業の引受面積で七割近くを占めます半相殺減収総合方式について、被害の発生態様から見て適当な場合、共済責任期間の始めの時期を発芽期、常緑果樹では開花期からにすることによって短縮できる道を開くことにしたことであります。 現行制度では、共済責任期間が花芽の形成期から収穫まで一年半から二年にも及ぶほど長いために、当年産の収穫が終わらないうちに次の年に収穫される分の掛金を支払わなければならないことになりまして、農家になかなかなじみにくく、いたずらに負担感を与え、そのことが加入促進の上で障害となっている面もあると承っております。発芽期以前の被害が少ない落葉果樹の生産者の間から特に要望されてきた事項でもあり、適切な措置と受け取っております。 以上を総括して申し上げますと、果樹共済制度の現行システムについて政府が今回用意されました改正措置は、いずれも果樹経営の実態なり生産者の保険需要に即した方向での改善策であると理解いたしますので、全面的に賛成をいたします。 私は、農災法の今次改正全体について、賛成とか反対の意見をここで申し上げることは差し控えます。しかし、少なくとも果樹共済に関する改正事項につきましては、以上の見解に立って、ぜひとも早急に実現していただくよう、諸先生の御協力を改めてお願い申し上げる次第であります。その上で、私は改正後の制度運営について、この際注文したいことがございます。 と申しますのは、果樹共済の制度を組み立てるシステムが以上の諸点について改善されたといたしましても、それが現場の生産者、特に産地の中核となって活躍している意欲的な専業農家層に受け入れられ、その加入率を高め、ひいては保険収支の改善につながり得るものかどうか。先ほど申し上げました五十五年大改正の効果が必ずしもあらわれていない経過から考えましても、率直に申し上げまして疑問を持たざるを得ないのであります。 ここで、果樹共済事業への加入が思わしくない原因がどこにあるのか、生産者の間から出ている幾つかの声を紹介さしていただきます。 その一つは、共通して果樹共済の制度の仕組みが非常に難解でありわかりにくいという意見が一般に共通しております。 それから第二番目は、非常に重要なことだと思いますけれども、肥培管理に熱心な農家たちの間で、病虫害の被害に対してまで国が負担をして面倒を見るというこの制度は、どうも惰農奨励ではないかという、そうした制度そのものへの疑問がどうしてもつきまとっておるということでございます。 それから三つ目は、前回制度改正に伴う関係だとは思いますけれども、以前に比べて共済金の支払い額が少なくなったという不満であります。それにつながることでありますが、基準収穫量の査定が生産者の感覚に照らしまして低過ぎるという不満がつきまとっております。特に精農家の間で、その声が認められるのであります。隔年結果につきまとうこの技術格差の大きい果樹のような作物に、そもそも基準収穫量という平年作の概念を適用することがいいかどうか。また、それをとらえることの技術的な困難さ、ここらあたりの基本問題はおくといたしまして、いずれにしましても、現行制度の損害。てん保方式と農家の損害感のずれはかなり大きいものが見られるようでございます。 それから、最後に四点目は、掛金が年々上がり高過ぎるという声、つまり負担感が強いことであります。これを緩和するためにせっかく導入された無事故戻し制度も実施組合率が数%という現状で、この制度が現地ではほとんど生かされてないのであります。 それにいたしましても、果樹共済の加入状況につきまして少し立ち入って現状を見ますと、例えば樹種別に比較いたしました場合、ナシや伊予カンあるいはネーブル等の指定かんきつの引受率がいずれも四〇%前後に達しているのに対して、ナツミカン、桃、ビワ等はいずれも一〇%台にとどまり、必ずしも被害の発生頻度には比例していないのであります。また、同じミカンでも、例えば古い大産地として肩を並べます和歌山県と静岡県で、片や六割合の引受率に対して、片や一割にも満たないという大きな差があります。それぞれの県の農業の中で果樹の占めるウエートの差が、共済事業への取り組み方にも影響しているとは考えますが、それにしても開きが大き過ぎるようであります。さらに、同じ県内でも市町村の間で、また同一の市町村内でも地区によって加入状況にかなり差があるようなことを承っております。 同じ制度の仕組みの中で、加入状況にこのような差が出ているのはなぜでありましょうか。いろいろな原因がございましょうが、想定される一つの大きな原因として、共済事業の第一線を受け持つ組合の果樹共済事業に取り組む意欲なり事務処理能力等の差が多分に影響しているのではないかと思います。組合段階における果樹共済の引き受け及び損害評価にかかわる事務処理が複雑煩瑣であることから、現場職員の方々の事業推進意欲が低調にならざるを得ない面もあるのではないかと推察いたします。 もしそれが事実であり、しかもそうした傾向が広がりを持っているといたしますれば、制度自体のシステムがせっかく改善されましても、現場でうまく対応できないために農家の加入促進につながらない。つまり、制度改正が現場で十分に生かされないおそれがあるのではないでしょうか。 今回の改正による料率の細分化にいたしましても、それを実施するかどうか、これは組合の選択性に任せられておりますけれども、きめ細かく適正な料率改定がきちんとやられるものかどうか、心配いたしておるわけでございます。 ところで、こうした農業共済組合の事業推進の体制づくりに関連いたしまして、系統農協の立場からぜひとも申し上げなければならないことがございます。 それは、共済組合の果樹共済に関する事業運営に対して、地元の農協として、役員が先頭に立って積極的に支援するよう日常的な協力を惜しんではならないということでございます。現に、果樹共済の事業推進に意欲的に取り組み実績を上げている共済組合は、共通して地元農協との協調体制が非常にうまくできておると申し上げても間違いないのでございます。 最後に、果樹共済事業が我が国果樹農業の安定的な発展に貢献する制度として今後拡大し、かつ定着することを願う立場から、制度自体の基本にかかわります問題について、一言希望意見を加えさせていただきます。 申すまでもなく、果実は米のように流通チャンネルが国によって統制され、作柄のいかんにかかわらず、生産者価格が一定しているものとは違いまして、完全競争に近い商品であり、したがって豊凶変動がストレートに価格の騰落を引き起こします。気象災害で収量が減った場合、価格の高騰でかえって手取り収入額がふえているのに共済金が支払われるというような矛盾した現象がつきまとうのであります。 考えてみますと、災害に対する農家の損害感といいますのは、生産量の減少によって収入額が減ったことによる経済的損失であると、私はそのように判断いたします。 果樹共済が、究極的には果樹栽培農家の所得の安定的な確保をねらいとした制度であります以上、収量の減少よりは価格変動を媒介とした収入額の減少を基礎に置いた損失補てんの方法、すなわち収入共済方式の方が農家の損害感にマッチしたものだと言わざるを得ません。もちろん、こうした考え方に対しまして、作物保険として、災害とは全然関係なく価格変動に伴って生じた豊作貧乏の面倒まで見るのはおかしいではないかというような反論もあると思います。現行の量建ての減収量方式とこの収入方式の是非をめぐる議論にここで深入りすることは差し控えます。 いずれにいたしましても、現に昭和五十五年の改正で収入方式を最大限に生かした手法として災害共済収入方式が試験的な実施に移されております。この試験事業の実績を十分に生かしていただき、将来に向かって作物保険に収入方式を取り入れる方向で前向きの本格的な研究を政府として急がれるよう、この機会に強く要望する次第であります。 以上、参考人として意見開陳を終わります。 貴重な時間をありがとうございました。
○委員長(北修二君) ありがとうございました。 以上で参考人の方々の御意見の開陳を終わります。 それでは、これより参考人の方々に対し質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○村沢牧君 参考人の皆さん方には、お忙しいところ当委員会に御出席をいただきまして、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。今後の私たちの審議の参考に供さしてもらいたいというふうに思います。 まず、須藤参考人にお伺いいたしますが、私は、農業共済協会や農業共済団体が今回の法律改正について、この改正は制度及び組織に重大な影響を及ぼす、だから賛成ができないという御意見を持っていたことはかねがね承知をいたしておったところでありますが、先ほど参考人の御意見のように、全面的に賛成はできないがあえて反対運動はしないというような、まあ言うならばやむを得ないというような御意見でございます。先日も当委員会で私も審議をしたところでありますけれども、参考人からお話がありましたように、当然加入基準の引き上げであるとか、あるいは共済掛金負担方式の合理化、つまり国庫負担を削減する、こうした問題はまさに制度の根幹に触れる重要な問題であるということを、参考人は御遠慮をされたような御意見でございますが、私はもっと強く政府に指摘をいたしているところであります。私は、今度の改正が将来財政当局が言っているような方向になっていく過渡的な問題であってはいけない。つまり、制度の根幹を守るためにはここらが本当にぎりぎりだというふうに考えていますが、そういう不安を参考人はお持ちになっておらないでしょうかどうかということ。 もう一つは、先ほど来お話がありますように、事務費の国庫負担が定額化されたということについてどういう見解を持っていらっしゃるでしょうか。まず、その点についてお伺いしたいと思います。
○参考人(須藤隆平君) ただいまの御質問は、こういったことで、当然加入の問題であるとか、あるいはまた掛金の国庫負担の問題であるとかについて、言うなら財政当局からの強い圧力で押さえ込まれつつあるんじゃないか、将来これがさらに実務的な面で不安を持ってないかという御質問が第一点じゃなかったかと思います。共済団体挙げましてその不安は持っております。持っておりまして、したがいまして私どもも実は農林水産省当局に対しましては、先々はそういったことを絶対してくれるなよ、くれないであろうなという念押しをしつつ話し合いをいたしておるという状況でございます。 もう一点は、事務費の定額化の問題でございます。これにつきましては、実は農林水産省の方からはほかのところも全部そうなっているんだからといったような話なんかを聞くわけでございますが、定額化されておりまする例と申しますのは、多くは地方公共団体に属する職員等の補助金部分でございます。したがいまして、足らず前は言うなら地方公共団体が持つということになるわけでございますが、農業共済はそういったものがあるわけでございませんで、結局農家負担に期待をかけなきゃならぬ。御案内のような状況でございますから、農家負担を上げていくというわけにはまいりません。どうしてもまず先に、自前で働くだけ働いて収入をふやしていくという努力をいたしながら対応するわけでございますが、先ほど来村上参考人の方からもお話がございましたように、ベア財源や何かにつきましても不安というものを強く持っておるわけでございます。したがって、ベアなり、あるいは物価の動向なりに対応いたしまして、できるだけ機敏に引き上げ等の措置をとっていただかなきゃならぬと、かように考えております。 以上でございます。
○村沢牧君 続いてお伺いいたしますが、国庫負担が削減をされれば必然的に農家の負担率が高くなります。国庫負担削減は過去三十八年と四十六年の二回にわたって行われたわけですけれども、参考人も御承知のとおり、二回とも激変緩和のための経過措置を設けて、掛金は上がるけれども、しかし政府が別途補助金を出して農家の負担割合を軽減したわけなんです。つまり、その中身を見ますると、昭和三十八年には四・七%掛金率が上がったが、政府は掛金補助金として七年間にわたって十三億四千六百余万円支出をしているわけです。四十六年には一・一%掛金率が上がった、これに対して政府は三年間にわたって二億二百余万円の補助金を支出している。今回の改正は一三%も上がるのに何らの調整補助金対策がない。これについて共済団体としては農水省あるいは政府に何らの要請もされなかったのかどうか。このことについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、お聞きしたいんです。
○参考人(須藤隆平君) 国庫負担の改変問題にかかわりましての御質問でございました。昭和三十八年の改正の際でございますが、これは実は掛金の国庫負担方式を全く別な観点に変えたものでございます。と申しますのは、当時は県単位で、超異常災害に対応いたします分は全額国庫負担、通常と異常の分につきましては二分の一ずつと、こういうことでございまして、そういうことで出てまいります県平均の国と農家との負担割合を、どの市町村の掛金にもその割合でもって対応したということがあったわけでございます。 したがいまして、非常に極端な例を申し上げますと、割合低被害と言われているところの県の中の被害の高いところと、それから高い県の中くらいの市町村と、掛金率が同じでございましても農家負担に差があったわけでございます。農家負担に差があるといいますのは、高い県にある方が負担が少なくて済んで、少ない県のところの高いところが、同じ率でありながら農家負担が高いということがあったわけでございます。これを三十八年改正では、組合単位の掛金率に物差しを当てて国庫負担を出していくということにいたしましたわけでございまして、この場合の分は、先ほど先生お話しのようなことで金額もかなりなものになっておりまして、実はこれもそういう立場から、そういうことから団体からも強い意見が出ました。たしか三十七年か六年に法律案が一応出まして流れているわけでございますが、その際に国会の方でいろいろ議論されました中で、今お話がございましたような何らかの調整措置が必要じゃないかということになって、それで政府提案の段階から今お話しの調整措置が入っておったわけでございます。 したがって、そのときの分と、四十六年の改正のときでございますが、これはいわゆる超過累進で、七〇%を超えてまで、七五、八〇、八五、九〇、九五、一〇〇と、そういうランクがあったわけでございますが、それをなくするということにいたした内容でございますので、三十八年と四十六年はちょっと内容が違っております。そういうことで、その際は、まさしく今回の改正で政府側が申しておりますような、言うならば常襲的なといいますか、非常に高被害、頻度の高い災害を受けるところ、そういうところの分につきましては国庫負担を減らすということで、関係する組合等が少なかったわけでございますが、それでもこれは衆議院で修正が出まして、それで国会で修正されたという経緯を持っておるわけでございます。 今回の分でございますが、私どもも部内で、先ほど申しましたような経過をとりながらいろいろ検討をしておりまする中で、もしそういうふうにするんであるならばいわゆる激変緩和措置というのが必要じゃないかと、こういうことでございまして、農水省とも何度もやり合いをいたしたわけでございます。その結果、受け入れることになりませんで今回の法律案になっておるわけでございますが、そういう経過がございますだけに、お話ございましたように、そういうことがしてもらえるならば大変ありがたい。特に、影響する組合の数が三十八年のとき、それから四十六年のときが一番少ないわけでございますが、今度は組合数といたしましては非常に多いし、額としても非常に多いという状況でございます。 以上でございます。
○村沢牧君 なお引き続いてお伺いいたしたいんですが、共済団体は黒字であり多額の積立金を持っている。したがって、保険設計の見直しをして国庫負担の一部肩がわりをしたらどうか。あるいは今お話がありましたような激変緩和措置が必要なら共済団体がやればいい、こんなような意見も財政当局は持っている。私どもそれを耳にするわけですね、参考人も御承知のとおり。 そこで参考人にお伺いいたしますが、共済団体の積立金は私は将来の支払い財源で必要なものだというふうに思っていますが、言われるような多額の、皆さんお考えになって、たくさん持っているというふうにお考えになりますか。 もう一つ、私は個々の組合に入ってみますると、その運営は決して容易でない。なるほど全国的に見れば大蔵省の言うような積立金を持っているかもしれませんけれども、そんなに積立金があるとするならば、もっと個々の組合の充実のために使うべきではないかというふうに思いますが、言われるような、本当に積立金と個々の組合の運営はどうなんでしょうか。
○参考人(須藤隆平君) ただいま積立金に対します御質問でございますが、これも県連の中でも非常に多く積み立てているというところと、それからわずかしかないというところがございます。それからまた、組合段階になってまいりますと、持っている持っていると言いましても、集めては大きくなりますが、個々の組合によってはそう格別といったようなものもあるとは言えないわけでございます。そういう面からしますと、これから後の災害の出方というものに対応いたしまして、それぞれの準備している金というふうに理解して、慎重にこれをやっぱり取り扱っていかなきゃならぬじゃないかというふうに考えておるわけでございます。たくさんあるならば組合等の、何といいますか農家への還元等を含めまして、いろいろ考えたらどうかというようなお話のようでもございましたが、現在、先ほど村上参考人からもお話ございましたように、積立金に対しまする運用益というようなものを農家負担の軽減等に充てているというような状況でございます。 そういうことでございまして、積立金は確かに多いと思われるような県もあるかもしれませんけれども、今度料率が変わりまして、異常災害のときの不足の分が非常に大きくなるという事態がございますので、多くて多過ぎるんだというようなことには絶対ならないと、かように思っております。
○村沢牧君 そうであろうというふうに思います。 時間も余りありませんから、次は村上参考人にお伺いしたいんですが、村上参考人には同僚の菅野委員が北海道出身でおりますので、主として菅野委員の方からお伺いしたいと思います。 私は一点だけお聞きをしたいんですが、危険段階別の共済掛金の設定方式を今回導入したんですが、これは被害率に応じて農家をグループごとに分析し、その危険段階別に共済掛金率を設定する。これは現在も地域別にやっておるというふうに思うんですけれども、こういう方式を導入して果たして現実的にうまくできるものかどうか、畑作物についてお伺いしたいと思います。
○参考人(村上正晴君) 危険段階別共済掛金率の導入につきまして、私どもといたしましては、考え方といたしましては極めて合理的なものであると、このように受けとめておりますけれども、この考え方につきまして組合役職員の方に説明した段階では、その受けとめ方は賛否相半ばというよりはむしろ消極的、受け入れにかかわりまして、そういう考え方の方がやや多いわけでございますが、当然加入であります農作物共済につきましての危険段階別考え方の導入につきましては、既に地域ごとに料率を分けて設定しておるわけでございまして、それを農家ごとに分けるということになりますと、これまでの相互扶助的な考え方で運用されております部落の結びつきを壊すのではないかと、こういう懸念を持っておる向きがむしろ多い。ただ、家畜共済等につきましては、現在組合ごとに一本で、どの酪農家も、どの肉用牛農家につきましても同一の掛金率を適用しておりまして、しかも農作物共済と違いまして無事戻しが実質的に行われていない。 したがいまして、私ども団体が家畜共済を運用する場合に、事故が起きた場合の支払いは当然でございますし、損害防止事業につきましても、事故多発農家に目を向けざるを得ない。こういうようなことから、無事故対策が今後必要であるという声が非常に多かったわけでございまして、そういう声に対しましては、今回の危険段階別の掛金率の導入は非常に歓迎すべきことではございますけれども、それを受け入れる段階になりますと、まだ十分理解が徹底されていないせいか、非常に積極的に支持する層と、むしろ無事故割引のように無事故が続いたら下げてもらうという考え方の方が理解しやすいと、こんなふうに分かれておるようでございます。 以上でございます。
○村沢牧君 ありがとうございました。 次に、内藤参考人にお伺いいたしますが、家畜共済の加入率を見ると、乳用牛に比べて肉用牛の方が低いわけですね。しかも横ばいである。今回の改正によってこの加入率は向上する、もっとよくなると、そういうふうにお考えになりますのか、肉用牛については加入率はこの程度のものだというふうにお考えになりますか。どうでしょうか。
○参考人(内藤進君) 乳牛に比べて肉用牛の加入率が現実に低い。これが今回の改正で上回るかどうかという御質問と承りましたが、子牛の問題につきましては、この法律制度ができましたときに制度の目的家畜としてあったわけでございますが、四十一年の改正のときにそれが一応廃止されたという経過がございます。その後の情勢を見てみますと、肉用牛の経営におきます位置づけ、あるいは子牛の生産の経営的な役割、あるいはその価格等々が当時の情勢と比べますとかなり変わってきておりますし、今後の掛金等の情勢にもよりますけれども、少なくとも私の感じております限りでは、かつての制度よりは掛金率も安く設定していただけるんじゃないだろうかというふうに考えておるところでございますが、そういう情勢を総合的に見ますと、この制度を契機としてかなり多くなるのではないかというふうに感じております。 ただ、農家に対してこういう制度のいわば内容について関係機関がかなりPRをいたしまして、十分承知をしていただくという努力もあわせて必要じゃないかというふうに考えておるところでございます。
○村沢牧君 もう一点お聞きをしたいんですが、それは家畜共済の保険需要ですね。家畜共済は責任分担として御承知のようなイ保険とロ保険がありますが、どちらの方が現実有利というふうに思われるんですか。特に、共済組合で獣医師を抱えている組合と、あるいは獣医師がいなくて開業医に全部委嘱をしている組合もあるし、あるいは獣医師を抱えているけれども開業医に嘱託なり、あるいは指定獣医師を設けているところがあるわけです。これは家畜の保険診療ということも大事なことなんですけれども、共済組合の、あるいはまた肉牛協会として、家畜の保健衛生、獣医師開業医との関係、共済組合の獣医師との関係、これはどういうふうに持っていったらいいというふうに思われるでしょうか。
○参考人(内藤進君) 開業獣医師によります診療の問題と、共済組合によります診療業務あるいは保険業務との関係の御質問というふうに承りますが、この問題につきましては現実にその置かれた地域の立地条件、あるいは組合の設立されておる状況等によってかなり事情が変わってくると思いますけれども、総合的に見まして、私は共済によります事業というものはかなりいろんな面で開業獣医師による業務よりはいろいろ強化されているようには思いますが、ただ現実に診療所がないために開業獣医師によって行われているというところもかなりあるわけでございますので、地域によって、そういったところにつきましては開業獣医師と共済による診療業務とのいわゆる話し合い等を十分していただいて、農家が少なくともこういう制度によってプラスを受けるような立場で話を進めていただけたらというふうに願っております。
○村沢牧君 ありがとうございました。 次に、遠藤参考人にお伺いいたしますが、お話がありましたように、家畜共済の加入率が極めて悪い。私も五十五年改正の際この委員会で論議したんですが、その当時、農林水産省は、この改正によってせめて加入率五〇%にしたい、そういう大きな目標を持っておったわけですけれども、残念ながら今お話があったような加入率の実態なんです。 そこで、参考人から、なぜ加入率が悪いかということについていろいろな御指摘があったところでありますが、私も非常に参考になったわけでありますけれども、そういうことを加味することによって今回の改正で加入率は促進をするというふうに思われるでしょうか、促進をしてもらいたいわけなんですけれども。それには家畜共済をもっと魅力のあるものにして、それから制度の内容をもっと充実すべきだというふうに思われますか。その点について、もう一度御意見を聞きたいと思うんです。
○参考人(遠藤肇君) 今回の改正のそういう意味での効果を判断いたしますときに、先ほども申し上げましたように、五十五年改正がなぜ末端に加入促進という形でつながらなかったかというような過去の経緯をどうしてもやはり問題にせざるを得ないわけでございますけれども、私はやはり今回の改正の基本的な考えとしては、まさに果樹農家の要望であり、また保険需要に即した方向として、先ほど申し上げましたように賛成でございますけれども、やはり組合の体制がそれに対応できるかどうかということが私は非常に大きな問題点の一つとしてあるというふうに思います。したがいまして、結論的に申し上げますと、現状よりは私は確かにプラスになるとは思いますけれども、現在の二割が一、二年の間に三割にいくというふうには楽観的には見ておりません。 いずれにいたしましても、危険方式というものを今後は落葉果樹の場合に主体に持っていくということと、最後に申し上げました収入方式へのやはり挑戦ということが、将来の方向としてぜひこれは取り組まざるを得ない。それを抜きにして、果樹共済の例えば四、五割の加入を期待するということは無理なんじゃないか、こういうふうに判断しております。
○村沢牧君 果樹共済の制度運営そのものにも問題があるというふうに私は絶えず指摘をしておるんですけれども、参考人も先ほど申しましたようにいろいろな御意見を持っていらっしゃるわけですけれども、私たちが現地を歩いて果樹農家に接する場合、掛金が非常に高い、それから被害率に対する共済金の支払い割合が悪いんだ、例えば三割被害を受けたなんということになりますと、その農家にとっては大変な被害だというふうに思いますけれども、その辺お話がありましたように、基準収穫量、標準収穫量との関係があってさらに低く見られるということで、したがって掛金はこれだけ掛けたけれども、被害はこれだけ受けたけれども共済金はこれっぽっちだという不満が非常に強いわけですね。ですから、掛金率とこの共済金の支払い割合、これらについて日園連加盟の組合の方からもいろいろ御意見もあろうというふうに思いますけれども、どういうふうにお考えになるでしょうか。
○参考人(遠藤肇君) 保険に加入している者といたしますれば、掛金は本来できるだけ安くてたくさんもらえるということがいいのでございますけれども、やはり基本的には共済制度の仕組みと申し上げますか、またそれから伴いますところの損害補償あたりを考えますと、農家の損害感と制度の仕組みとの間のやはりずれと申し上げますか、農家の理解の仕方の不足、保険設計を抜きにした非常に感覚的な不満もあるとは思いますけれども、私はやはり制度のPR自体も、まだ後発事業でございますので、農協自体がもう少し間に入って共済組合あたりと協力していきますれば、私はもう少し制度そのものも現在の仕組みでも理解を深める余地はあり得るんじゃないか、こういうふうに考えます。
○菅野久光君 きょう参考人の皆さん、お忙しい中、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。 村上参考人にちょっとお伺いをいたしたいと思いますが、今回の改正に関連して伺うわけですが、危険段階別の共済掛金率の設定方式の導入、あるいは果樹共済の共済責任期間の特例の新設が組合の選択によっては可能になることとされているわけであります。特に、危険段階別料率の設定についての北海道におきます評価と選択の可能性についてお伺いいたしたいんですが、よろしくお願いいたします。
○参考人(村上正晴君) 先ほども危険段階別導入につきまして申し上げたわけでございますが、私どもといたしましてはやはり共済か保険かということが絶えず論議がつきまとうわけでございますけれども、少なくともそういった保険の純化という立場からしますと合理的な考え方であるということで、前向きに受けとめておるわけでございますが、これが受け入れる側の立場で考えた場合に、農作物共済の場合には既に地域ごとに過去の発生した実績に基づきまして掛金率に差を設けて実施運用をいたしておりますので、今回農家ごとに高い順に並べてグループ化しておくという思想につきましては、今までは部落、集落は一つの掛金率ということで相互扶助的な考え方で理解をされておりましたので、この辺のところがなかなか理解が得がたいのではないか。したがいまして、農作物共済にかかわりましては、大方の地域では当面直ちには選択はしていけないのではないか、こんなふうに受けとめております。 また、家畜共済にかかわりましては、これは農作物共済と違いまして組合の中は事故が多い農家も少ない農家も同一の掛金に相なっておりますし、また無事戻し等も現実には行われていない、こういう現状でございまして、したがって昨今非常に死廃事故が多発してございまして、死廃にかかわる掛金率が北海道の場合七、八年前は二%台であったわけでございますが、昨今三年ごとの改定のたびに引き上げになりまして今では四%ちょっとに相なっておる。 したがいまして、事故を起こしておる農家と起こさない農家とのバランスが相当きつくなってきておりまして、そういう意味で、私どもの方には今後は事故多発農家ばかりでなしに無事故対策についても考えるようにと、こういう要望が年とともに強まっておりまして、そういう意味からいきますと、この危険段階別掛金率の導入は大変結構でございますが、これをもちまして地帯ごとに説明会を持ったわけでございますが、やはり酪農でありましても集落の中を分断することには組合運営を預かる者として多少のためらいを持っておりまして、したがってこういう掛金率に差をつけるよりは、今まで果樹共済で行われておりました無事故が続いた場合には自動車保険のように引き下げますという方が受け入れやすいという反応がむしろ強かった。 さらに、非常に合理的な考えを持つような地帯の役員さんにつきましては、むしろこれは積極的に賛成をするので連合会もう少しPRするようにという激励を受ける地帯もありますが、賛否相半ばしておる現況でございまして、さらにデータの整理ということもありますので、今直ちに家畜共済自体におきましてもこれを採用していくというのはむしろ少ないのではないか、こんなふうに考えております。
○菅野久光君 なかなかこれは難しい問題ですね。 次に、農作物共済の共済掛金の国庫負担方式の合理化についてでありますが、本年の料率改定によります上昇とこの国庫負担率の引き下げによる農家負担の上昇が重なるわけですね。いずれ農家に混乱が生じるような気がしてならないんですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(村上正晴君) お説のとおりでございまして、特に北海道の場合には過去四年連続災害を受けておりまして、そういうことでちょうど掛金率の改定期とぶつかりまして、水稲では、組合によりまして若干違うわけでございますが、従来の農家負担に比べまして平均一七%アップでございます。それに国庫負担の改定によりましてこの分につきましては二〇%ほど引き上げになりまして、これらを両方合わせますと四割従来の負担より上がる。麦は、これまた穂発芽等で相当の被害を受けておりますものですから、水稲ほどじゃございませんけれども七%ほど上がるわけでございまして、それから国庫負担の改定に伴いまして二二%ほど、両者合わせますと三〇%ということになるわけでございます。 非常に頭の痛い問題であるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、各組合は一月以降集落座談会を持ちまして新年度の事業計画等を中心にした説明会を行うわけでございますが、その時点ではこういった全貌がほぼ明らかになっておりましたので、率直に訴えたわけでございまして、その結果は、ある程度新聞報道等で予期しておったかとも思いますけれども、私どもが非常に心配しておりましたほどの強い突き上げもなかったのでほっといたしておるわけですけれども、四割、さらに麦は三割ということでございますので、これは定額方式で賦課金もさらに上がるということになっては追い打ちをかける結果でございますので、運営面で努めて合理化を図りながら少しでも緩和をしていきたい。幸い水稲につきましては三年ごとに掛金率が改定になるわけでございまして、三年後、実はこの二十年間の一番最初の年が二八%という高被害の年次に当たっておりまして、しかも昨年はゼロに近い災害でございますので、これの入り違いだけで二・四%違うわけです。約二割以上引き下げになるということもあわせ訴えまして、三年間だけひとつ辛抱していただきたいということで御理解をいただいておるところでございます。
○菅野久光君 余り強い突き上げがなかったということなんですが、あらかじめPRが行き届いていたのか、それとも余りのことに声もなかったということなのか、そのどちらかちょっとわからないわけでありますが、いずれにしろ、これは大変なことに私はなるのではないかというふうに思います。 時間もございませんが、今回の改正で肉用牛の生産共済が復活することになっておりますが、酪農大国北海道としては乳用牛についての要望は特になかったのでしょうか。また昨年、北海道の一部において干ばつによる牧草被害が問題になったわけでありますけれども、この牧草を畑作物共済の共済目的にしてほしいというような要請もあったとかというふうに聞いておりますが、その点で何か御意見があればお聞かせいただきたいというふうに思います。
○参考人(村上正晴君) 今回の肉用子牛の共済目的の追加にかかわりまして、北海道におきましてはいわゆるホルスタイン系統のホル牡犢が二十万頭台の七割近くを持っておりまして、目下乳牛の引き受けにかかわりましてはほぼ一〇〇%の引き受けをいたしておりますけれども、肉用牛はその域に達していない。その根源といたしましては、ただいま御指摘のような比較的事故の多い子牛についての共済がないということ等もございましたので、今回の制度化にかかわりまして協会を中心にした検討会であわせて実現方を要望した経過があるわけでございますが、残念ながら、これまでこの肉用牛の制度化にかかわって国として調査を進めてきておったわけでございますが、乳用子牛につきましては調査の対象になっていない。新たに調査をすると四、五年はかかるわけでございまして、そのためにせっかく肉用子牛が足を引っ張られては困るという府県の意見等もございましたので、早急にこの調査を続けていただくということで今後に期待をいたしておるということでございます。 ただ、生産共済の考え方は親牛とセットという考え方でございまして、この点につきまして本道のホル牡犢につきましては生後すぐ離すという、むしろそちらの方が多いものですから、それと今の制度とはちょっとなじみがたいので、そういった面でなじむような新たな検討ということもあわせてお願いしてまいりたい、このように存じております。 それから、二点目の牧草にかかわる共済でございますけれども、実はこれも農水省の委託に基づきまして予備的な調査を担当したことがあるわけでございますが、単に牧草の被害ということになりますと、量もさることながら質の問題があるわけでございまして、これの把握が現実には非常に難しい。しかも、酪農家のこの種の保険に対する要望を承りますと、仮に草が取れなかったという場合に共済金をもらっても何の役にも立たない、かわるべき草の提供が必要である、こういう意向の方が非常に強かったということでございまして、今後ともさらにその制度化に向けて困難な技術的な問題について究明してまいりたい、このように存じております。
○藤原房雄君 時間もございませんので、私は須藤参考人に一問だけお伺いするわけでございます。 いろいろお話しございましたが、私はこのたびの制度の仕組みそのものについての問題点については過日いろいろ質疑を通しまして訴えたところでございますが、金銭的なことである程度のカバーできる面、これも許されない、我々の立場から言いますと問題だという点は何点か指摘をいたしたところでございますが、さっき参考人のお話の中にございました小規模なところ、山間部とか都市近郊、それから未加入の方が散在する、こういうことのために防除等いろいろ問題が起きる。さらにまた農村の今日まで培われてまいりました相互扶助精神、こういうものにひびが入るということは農村にとりまして非常に重大な意味を持つものであって、何にもかえがたいものであろうかと私は思うんであります。 このたびの改正で、こういう崩壊といいますか、混住化の兆しというものも今日まだ論じられておるところでございますが、農村のこういう相互扶助というような気持ちがだんだん薄らぐようなことがあっては絶対相ならぬという気持ちが強いんでありますけれども、このたびの制度改正等に伴いまして、こういう問題については当事者であられます参考人の立場から今後どういうふうに対処していくお考えか。制度そのものというよりも、農村にまつわります諸問題として非常に重大な問題であり、しかし制度はもう進みつつある、こういう中でのことでありますが、その点のことについてお考えをお聞きをしておきたいと思うのであります。 二点目は村上参考人に、このたびの制度改正ということについては私どもいろんな言いたいことがあるんですが、このたびの制度改正ということとそれから今農業を取り巻く諸制度、諸問題、財政再建、財政逼迫ということでいろんな問題点が国会でも議論になっておりますし、それがまたやむを得ないという方向で進みつつある。過日も金融三法の審議がございましたが、補助制度、補助金から融資へ、こういう方向に変わりつつある。変わりつつじゃなくて、現実変わった。その一つの手始めとして、過日その問題も随分議論になりました。先ほど北海道の大規模な地域では平均一千方からの借財を背負ってということであります。また、負債整理のために新しい負債はしないぞ、こういうことで取り組まなきゃいかぬという御指導をなさっていらっしゃるようでありますが、掛金率は今お話しございました水稲では四〇%ですか、さらに麦でも三〇%からの掛金が上がるような状況のところも出てくるということであります。 この制度だけ見ますとけしからぬということかもしれませんが、農業政策全体を見ますと、今日までの制度の改正等によりまして、災害がございましても、今まで共済で四〇%からの補てん率ということでカバーされておった。これがやはり補助から融資ということになりますと、これは返さなきゃならぬということであります。農家負担というものの打開策を何とか講じなければならぬというやさきにこのたびの改正、またそのほかの諸制度を絡めますと、農家にとりましては非常に大変な問題ではないかというふうに認識をしておるんですが、この間のことについては村上参考人はどのように御認識をしお考えになっていらっしゃるのか。 また、今、農家負債整理ということで御努力なさっている立場から、お考えをお聞きしておきたいと思うんであります。
○参考人(須藤隆平君) ただいま御質問ございました当然加入基準の引き上げにかかわりまして、共済の母体でございまする集落の崩壊が心配されるんじゃないか、どういうような対応を考えているのかというようなお話でございます。まさしく同感でございまして、何とかそろっていくように努力しなければならぬだろう。そのためには、一つは、今までやっておりまする損害の防止事業を通じまして一緒になってやっていこうという体制をつくることが重要であろうかと存じます。また、集落のいろんな行事その他に関連いたしまして、農業共済も集落まとめてのいろんな対応をしていくように今まで以上に心配をしていかなければならぬのじゃないか、そのように考えておるわけでございます。 実は、先ほども意見供述の中で申し上げましたように、共済団体で今やっておりまする運動では、集落の中での制度の徹底を基本といたしましていろいろ仕事を進めていこう、こういう申し合わせをいたしている次第でございまして、そういうような観点から集落の壊れないような努力を私たちなりにやっていかなければならぬ、かように考えておるところでございます。
○参考人(村上正晴君) 今回の改正にかかわりましては冒頭に申し上げたわけでございますが、今回の掛金率引き上げは全国的にも最もダメージを受けた地帯でございまして、特に一千万以上の平均借財を抱えている中で、今回の引き上げは農家経営に与える影響は小さからざるものがございまして心を痛めておるわけでございまして、したがいまして先ほど申し上げましたように、次期料率改定までは何とか合理化で運営面のコストを下げてまいるほかに、乏しい積立金でございますけれども、この中から若干の助成ということで緩和措置を考えてまいりたい、このように存じておるわけでございます。 さらに、先生御指摘の補助から融資への農政の転換にかかわりまして、私ども農業共済といたしましては、融資を円滑に進めるためには担保力というものをどうしても重視してまいらなければならぬ。そういう意味で、農業共済は担保力の形成という意味で一層重要な役割を担っていくのではないか。ある意味で言いますと、農政の安全装置を担当しておると自負しておるわけでございますので、どうかこの点について先生方に御理解をいただきまして、これ以上の改悪は絶対いたさないということにかかわりまして格別のお力添えをお願いいたしたいと思うわけでございます。
○塩出啓典君 本日は大変お忙しいところありがとうございました。 まず須藤参考人にお尋ねをいたしますが、この共済のいわゆる加入率ですね、引き受けの加入率が特に種類によっては低いところもあるわけであります。遠藤参考人よりその理由についてもお話がございましたが、私はやっぱり引受率が低いということは非常に残念である。魅力がないからだという意見ももちろんあるでしょうが、これもやはり切りのない話でございまして、今後努力するといたしまして、加入率が低いというそういう問題について協会としてはどのようにお考えであるのか。 それともう一点は、きょうのお話の中で、今後の共済組合がどんどん意欲的にやっていくためには規制をもっと緩和してもらいたい、これは村上参考人のお話の中にもあったわけでございますが、この緩和すべき規制とは、簡単でいいんですが、どういうものであるのか、これをお教えいただきたいと思います。
○参考人(須藤隆平君) 初めに引受率のお話でございますが、たしか農林水産省の方の本委員会に提出されました資料を私もここへいただいて持っておるわけでございますが、必須共済と言われておりますのは、しかもまた、歴史のあるものは大体加入率は悪くはないというように思っております。どちらかと言いますと新種のもの、これらの加入率が十分でない、新種のものはいわゆる任意加入という建前が一つございまして、そういう意味では、新種の加入をふやしてまいりますためには共済団体は一層の努力をしていかなければならないのじゃないかというように考えております。そうかといって、これは当然加入にしてしまえというあたりにも問題がございますので、新種のものにつきましては、やはり何といいましても共済団体の努力が一番だろうと、かように存じますが、ただ加入してもらうにいたしましても、加入してもらいやすいような条件づくりが大変重要になってくるんじゃなかろうかと、かように存じます。 よく言われるわけでございますが、アメリカあたりの農業経営は任意加入になっているわけですけれども、融資が、もちろんエージェントまで全部セットで保険に加入しなければそれは活用できないよというふうなことにしてあるということでございますが、私どもの方でもそういったほかの政策とのつながりをきちっとつけていただくようになれば、なお加入させやすいのではないかという感じがいたします。基本は、しかし何と申しましても我々の一層の努力ということに落ちつくかと存じますし、それからさらにちょっと見てみますと、肉豚なども加入が低いわけでございますが、さらに国の助成等もいただければありがたいと、かように考えておるところでございます。 それから次に、規制の問題でございます。実はいろいろ規制があるわけでございますが、特に出ておりまする問題と申しますのは、これは広域的な保険の仕事でございますから何だかんだきちっとしなければならぬ面が多いわけで、勝手にやっていいという問題でございませんし、それからまた国の負担もかなりのものがございますから、これもどうでもいいというわけではございませんけれども、今、法律に基づきまして業務の執行に関しますることで賦課金の増強を抑えるために賦課金の規制を行っております。賦課金の規制を行っておるわけでございますが、賦課金の規制に関連いたしまして、いわゆる業務内容の承認制というのがあるわけでございます。この承認の段階でいわゆるどちらかといいますと、画一的なまさに規制が行われておるような実態があるわけでございます。もう少し地域地域に対応いたしまする創意なり工夫なり、あるいはまたいろんなアイデアがあろうかと存じますが、そういったものとか、それから必要なときに必要な資金を活用していくといったような面につきまして緩やかであった方がいいのではないかというような話がございます。 それから一つ申し上げておきたいのは、実は三年前になりましょうか、公務員のベアのストップがございました。公務員のベアのストップがありましたときに、補助金を受けているから農業共済の職員もベアはストップだと、こういう指導が行われているんです。これは大分性格が違っておりますので、公務員と全く同じ扱いでもってどうだということにつきましてはかなり反発があったことを、この機会に申し上げておきたいと思います。 以上でございます。
○塩出啓典君 それから村上参考人にお尋ねいたしますが、今、須藤参考人からも基金の運用をもっと緩和しろというそういうお話で、村上参考人もそういうお話であったと思うんですけれども、これは緩和をしてもし事故があってはいけないというそういう兼ね合いじゃないかと思うんですけれども、現状として北海道の場合そういう心配はないのかどうか、やっぱりこうした方がいいという御意見であるのか。 それともう一つは、私はこの前、委員会でも申し上げたんですけれども、やっぱり制度金融を活用する条件に共済の加入を条件づけるべきじゃないか、家のローンを借りる場合でもちゃんと生命保険も義務づけているわけですから、そういう国の農業政策というものは制度金融あるいは共済、そういうものが一体になっているわけですから、その中に都合のいいところだけつまみ食いするというような姿勢は僕は余り好ましくないんじゃないか、もっと一体となったものだからそれぐらいすべきではないのか。今さっきのお話では、村上さんの担当の範囲においてはいわゆる引受率も大変高いし、それなりの御努力に敬意を表するわけでありますが、一般論として今の点についての御意見を承りたいと思います。
○参考人(村上正晴君) 一点目は、各種の規制があるので緩和をしていただきたいという要請に対して、具体的にどういう点についてというお問いだったかと存じておりますが、大変日ごろ農林水産省の御指導をいただいておりまして、誤りなき運営ということで進めてきておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、これから事務費が、補助金が定額制になることに伴いまして、私どもとしては生きていくために新たな財源確保と、北海道の場合はまだ事業量がございますので、事業の拡大、特に新種共済となりますと歴史も新しいので、なかなか加入意欲を刺激するという点では苦労がつきまとうわけでございまして、畑作物共済を実施しまして七年の経過を持っておりますけれども、やはりこういった新しい共済には安定した農家にも加入してもらうということが制度の安定上どうしても必要でございまして、そういうことから元請の組合では加入を勧めるに当たりまして事故がなければ無事戻しをいたしますと、こういうような話をいたすわけでございます。 しかしながら、新しい共済というのはとかく事故が多発いたしておりまして、それらに向けるべき積立金がないという場合が間々あるわけでございまして、組合長といたしましては市町村の助成を受けながら、万一特別積立金がない場合には業務勘定でも約束を守らなきゃならないということで苦労をいたしておるわけでございますが、しかしながら現在の規定では特別積立金がない場合には無事戻しができない、そこで業務で何とか支払うといった場合には、無事戻し類似行為ということで禁ぜられておると、こういう現況でございまして、その辺のところもこれからの新種共済を勧める場合には、そういった余りかたくなな形をとらない方が現場では非常に勧めやすいという声を聞いておりますし、また積立金の運用等にかかわりましても、元本が保証されるものを前提にした運用ということで制限を受けておるわけですが、最近、金融の自由化とともに新しい商品が随分開発されておりまして、元本保証でなくとも安全性についてはかなりだれしもが認められておるというもの等につきましても農水省内部でも検討されておるということでございますので、今後そういった方向でひとつお考えをいただきたいということを申し上げたわけでございます。 それから、制度金融の前提として加入の義務づけということでございますが、これは日ごろ私どもが中央に向かって要請を申し上げておることでございまして、国の施策として実施していくためにはぜひこういった点についてお考えおきをいただきたいものだと、このように存じております。
○塩出啓典君 内藤参考人にお尋ねをいたしますが、今回、危険段階別共済掛金率というのが導入されたわけです。これは賛否あるようでありますが、家畜共済の場合はこういう制度が必要なのかどうか。これはそういう要望があるんですけれども、この点どうなんでしょうか。
○参考人(内藤進君) 危険段階別の負担方式につきましては、家畜の方に関連いたしましての要望があると理解しております。やはり先ほどこちらのお二方の参考人からもお話がございましたように、一つの組織として平等にやるべきじゃないかという論と、それからお金を使わない農家に対してはそれなりのやっぱりメリットを与えるべきじゃないかという論が確かに二つあると伺っておりますが、総合的に見ますと、そういう基本線から見て、要するにお金を使わない農家には何らかのメリットを与えろという論から見て、家畜についてもこの危険段階別の掛金率制度については賛成の意見が多いように承知しております。
○塩出啓典君 家畜の場合はいわゆる無事戻しというのですか、結局、事故がなければそれを払い戻しする、そういう制度があればこれで十分じゃないかなという感じもするんですが、その点はどうなんですかね。
○参考人(内藤進君) 御説明をちょっと落としましたが、無事戻しがあればいいという意見もございます。その辺のところにつきましては、要するに今申し上げましたように、使ってない農家は何らかのメリットを与えろということでございますから、無事戻しで完結できればそれでいいという意見もあるように承知しておりますが、一つの形として、この危険段階別の負担方式もやるべきじゃないかという意見があることは事実でございます。
○塩出啓典君 それから、最後に遠藤参考人にお尋ねいたしますが、お話では果樹共済は非常に低いわけだけれども、和歌山県と静岡県は片や六割、片や一割、こういう差がどうして起きるのかですね。 それともう一つは、掛金が多くてもらうのが少ない、こういう意見があるという、これは魅力が余りないということも原因だと思うんですが、本当にやっぱり魅力がないものか、今の現状ではですね。その点どうお考えかということ。 それともう一つ、昨年は豊作貧乏じゃなくて逆で、災害があったけれども非常に高くなって農家は収入がよかったわけで、確かに今のお話のように、共済制度というものは実態に合わないわけですね、農家が必要なのは収入が必要なわけですから。そういうような意味での御提言があったわけですが、今そういう意味では災害収入共済方式ですか、これは私、内容はよく知らないんですが、ともかくそれに近い考えのようですけれども、こういうものを今後伸ばしていけばいいのかどうか。今おっしゃったような問題についての矛盾を解決するにはどういうお考えがあるのか、これを具体的にお伺いしておきたいと思います。
○参考人(遠藤肇君) 三点御質問をいただきました。 まず第一点の、和歌山と静岡を例にした問題でございます。御案内のように、両県とも日本のかんきつ産地として一番古い、また生産量においても肩を並べる産地でございます。このように差が大きいといいますのは、私も農業共済協会あたりの御専門の方とかいう方にもいろいろ御意見を承ったわけでございますけれども、和歌山県と静岡県ではそれぞれの県農業におけるかんきつのウエートが、やはり和歌山というのはかんきつが非常に大きなウエートを占めております。静岡になりますとほかの商品作物なりもございますし、そこら辺から共済事業全体の中における果樹共済のウエートといいますか、取り組みというようなことも関係しておると思いますし、また和歌山と静岡の場合に、園地の立地条件というのも必ずしも一様ではないというようなことも、いろいろ歴史的な経過もあると思いますけれども、やはり私、率直に言わしていただきますならば、共済事業としての果樹共済の位置づけなりその取り組みの体制、意欲というようなことが多分に関係しているんじゃないかと思います。これは非常に歴史的なことがございますので、あるいは私、誤りでございましたらお許しいただきたいと思います。 それから、第二の魅力はないものかということでございますけれども、先ほども申し上げましたように、五十五年の改正以来、十分とは言いませんけれども、特定危険方式あたりは現に伸びてきておるという実績もございますから、落葉果樹あたりを中心にいたしますれば、精農家あたりにもこの特定危険方式というようなものについては決して魅力がないものだとは思っておりません。 それから、三番目の収入方式でございますけれども、御案内のように、現在の災害収入方式といいますと、やはり実収量が落ちないと保険金がもらえないということでございまして、収入方式と現在の両建ての減収方式の折衷案でございますから、やはり折衷案であるということはいずれは収入方式に移行すると、その前提として試行錯誤の段階も含めて現在おやりになっておるんじゃないかと思いますから、私はやはり収入方式という一つのゴールに向かって現在の中間的な方式をもう少し現地で詰めていただくならば、いろいろな知恵もございますし、また掛金率自体を見ましても決して収入方式の方が高くなるということもございませんし、私はやはり収入方式というものを今後のあり方として支持いたしたいと思います。
○塩出啓典君 それじゃ最後に。 いわゆる果樹共済は、非常にほかのに比べれば加入率は低いわけですね、全般的に。私はその因の一つが、今さっき参考人が言われましたように、いわゆる災害があって収量が減っても値段が高くなってたくさん収入があるとか、逆の場合、本当に欲しいときにもらえないという、制度そのものがやっぱり農家の要求にぴったり一致してない、そういう点も加入率がほかのに比べて非常に低いという原因ではないかなというふうに思うんですが、そういう点はイエスかノーか、どうでしょうか。
○参考人(遠藤肇君) 加入率が低い原因で、私ちょっと落としましたことを言わしていただくんですけれども、損害評価の基礎になります基準収穫量、この基準収穫量といいますのは果樹の場合には品種によっても、また同じ農家でも園地によって、同じ園地の中でも樹齢によって違うわけでございます。それを基準収穫量という平年作の概念を使って損害評価の基礎に置くということは、やはり現実に無理があるんじゃないか。そこがやはり精農家たちのこの災害制度にかかわるいろいろな不信にもつながっておるのではないか、こういうことを言わしてもらいたいと思います。
○塩出啓典君 どうもありがとうございました。
○下田京子君 参考人の皆さん、御苦労さまでございます。 最初に、須藤参考人に二点お尋ねいたします。 最初は、当然加入の引き上げとの関係なんですが、先ほどもお話しございましたが、大蔵省の当初要求は三十から五十アールであったんですけれども、二十アールから四十アールということで団体の意向も幾らか取り入れられたというふうにありました。この当然加入制というのは一体どういう意味を持つか。お話しありましたように逆選択が生じないように、あるいはまた危険分散を図るとか、あるいは共同防除などの損害防止事業を一体となって進めるということで、とにもかくにも農作物共済制度の根幹だというふうに私も思います。それが二十アールに引き上げられたことによりまして、当然加入対象農家が過半数を割る組合というものも相当出てくるんじゃないか。その際に、現在どういう影響が出てくるんだろうか。特に、任意の建物共済との関係で影響はどうなのかということなんです。御承知のように農協との関係もございまして、いわゆる組合員以外の方にこの任意建物共済という点では御援助されていると思うんですがね。これが一つ。 それから、二つ目が事務費の問題なんですけれども、物価上昇等に機敏にやっぱり対応してほしいというお話がさっきございました。政府の方はこの事務費の助成方式が定額化されたことによって、これから言ってみれば削減対象にされないメリットがあると、こういう説明はされているんですけれども、事務費の推移等を見ますと、定員削減がせいぜいこの間二%弱だ。ところが、ベースアップの方は五%前後になっていますね。ということを見ますと、いろいろ共済の合併であるとか機械の導入であるとかやったにいたしましても限度があって、職員のベースアップというものには対応しなきゃならないという点が私は必要だと思うんで、その辺もうちょっと詳しく聞かしてほしいと思います。
○参考人(須藤隆平君) 一つは、当然加入ラインの引き上げ問題に関連いたしまして、当然加入そのものの意味合いというようなことのお話であったかと思いますが、それらの点につきましては先生お話しのようなこと、必要な災害対策をきちっとやっていくには当然加入制をとっていかなきゃならぬ、こういったようなことであるわけでございます。そういうことでやってきておるわけでございますが、御質問の中身といたしまして、例えばそういう中で任意共済の加入なんかにも大きな影響が出るだろうということでございまして、これはまさしく出るわけでございます。私どももその点を大変心配しております。 ただ、今の建前といたしましては、当然加入資格がなければ建物共済に入れないという話じゃなくて、組合員資格というものは従前どおりの線で決まっておりますから、そういう意味で組合員になっていただく、任意共済に加入していただいて組合員になっていただくということはできるわけでございます。 それから、二番目に事務費の問題でございますが、定額化されまして、今、先生御指摘のように、今まででも実はベアは十分毎年毎年反映されていたわけじゃないんです。ここ何年かは、前年度補正よりも次の年の当初が少ない、確かに対前年当初で見ますと二%か三%の増というふうになっておりますけれども、ベアを含めました補正後と比べますとやはり五億から十億減っているという経過をたどってまいったわけでございます。したがいまして、農業共済団体といたしましては、そういう中で先ほど来お話しございましたように、新種事業の加入推進等に努めまして努力を図ると同時に、特に事業の面でも安定をいたしておりまする建物共済事業の推進というようなことに力を入れまして、それで足らず前を補ってきているということでございます。 今後どうしていくか、機敏に対応していただかなければならぬわけでございますが、やはり事業を一生懸命進めていくということを基本にして、何とかしのいでいかなければならぬだろうということで皆おるわけでございます。 以上でございます。
○下田京子君 次に村上参考人にお尋ねいたしますが、やはり二点お尋ねいたします。 一点は、今回の国庫負担引き下げ、当初大蔵が一律二分の一という主張をされていたこの改悪は避けられたわけなんですが、超過累進が頭打ち一〇%引き下げられたということになりました。その結果、北海道のように掛金率の高い地域は、より農家負担が大きくなる、こういうことで高被害地の農家負担を軽減するという趣旨の超過累進制が大きく後退したんではないかという点の評価です。 それから二つ目に、さっきもいろいろお話がございましたが、北海道は五十五年冷害等で大変料率改定によっても掛金が上がるわけですね。まさに国庫負担引き下げと二重の打撃を受けることになると思うわけです。確かにお話しにもございましたように、この間、共済制度が大変働きまして共済金の支払いがなされまして、経営の安定という点でも一定の役割を果たしてきたのは事実でありますけれども、連続する冷害の後遺症というものは、大きな負債というその一つの原因をつくっているんではなかろうか、こう思うわけなんですが、この二点についてお聞かせください。
○参考人(村上正晴君) 国庫負担別表の改定が行われたわけでございまして、先生御指摘のとおり、大蔵省の当初の要求にかかわりましては一律五〇%ということでございまして、大変頭を痛めたわけでございますが、先生方のお力添え、農水省の御尽力によりまして大分緩和された形になったわけでございまして、私先ほど組合員の方から強い突き上げが避けられたと申し上げましたけれども、困ることについては実際問題困っておるわけでございまして、ただ大蔵の要求から見るとよく頑張ってくれたという理解があったということでございまして、特に北海道につきましては八〇年代農政の描く優等生でなかろうかと、こう自負しておるわけでございまして、それが大変困る事態に追い込まれておるわけでございます。 したがいまして、今後とも運営面での合理化を図って、少なくとも賦課金面についての増高を避けて、さらに農水省も一度行政改革の洗礼を受けたわけでございますから、これからは胸を張って給付面での改善を進めていただいて、それによって農家に魅力ある共済に仕立てていきたい。 さらに加えて、せっかく必要あって超過累進制が残ったわけでございますので、後退といいながらこれ以上の後退をなさらないように先生方のお力添えをいただきたいものだ、このように存じております。 なお、四年連続の災害で掛金率が上昇をしたわけでございますが、幸い北海道におきましては過去にも四年に一度災害がやってくると言われておりまして、この率の改定は過去の実績に基づくものでございますので、この点につきましては比較的理解が得やすいし、これまでも理解をいただいてきておるわけでございまして、しかしながら実際問題上がってまいるわけでございまして、これらにつきましてもただただ理解をいただいて、先ほど申し上げたような給付面での改善で御理解をいただきたい、このように存じておるところでございます。 それで、負債整理対策にかかわりましても、先ほども申し上げましたように、やはり私ども共済も農協と一緒になりまして、これ以上新たな負債をつくらないということが負債整理対策の目玉である、こういうことで取り組んでおるわけでございまして、そういう意味におきましても、この農業共済制度は北海道にとって必要欠くべからざる制度だと自信を持っておるわけでございます。この点につきましてもこれ以上の改悪にならないように頑張ってまいりたい、また先生方の御支援をいただきたいと思っているわけでございます。
○田渕哲也君 まず、須藤参考人にお伺いをします。 今回のこの法案には全面的には賛成できないけれども積極的反対運動はしない、つまりこの法案の中には賛成できない反対の部分もあるけれども評価できる部分もある、つまりあめとむちとまざり合っておるということではないかと思いますが、ただ、評価できる部分として危険段階別の共済掛金率の設定方式ということも挙げられておりますけれども、私は一つの大きな流れとしてやっぱり共通したものがあるんではないかという気がするわけです。 というのは、今回の法律案というのは、一つは財政上の理由というものがあると思います。それで、財政上の理由というのは、赤字国債をたくさん抱えて財政が苦しいからとにかく我慢してくれというだけのものではないと思うんですね。やはり国民的負担をすべきものと受益者負担をすべきものとの割合についての見直し、あるいはそれが妥当であるのか妥当でないのか、そういうことについての一つの国民のコンセンサスというものが背景にある問題だと思います。 それからもう一つは、それとも若干関係はありますけれども、やはり自由化とかデレギュレーションという最近の考え方というものが背景にあるのではないかという気がするわけです。例えば危険段階別の共済掛金率の設定方式にしましても、やっぱり被害の少ないような技術水準の高い農家とそうでない農家、つまり被害率というものが固定化して、いつも掛金ばかり掛けて見返りのない人と共済金ばかりたくさんもらう人との不公平の是正、そういう問題が背景にあるわけであります。しかし、そういう発想は、そもそもやっぱり健康なというか、健全な者が被害を受けた人を助けるという共済制度とは若干相入れない面がある、それでこの考え方と超過累進的な国庫負担方式の改正ということと私はやっぱり共通点があると思うんですね。これはやっぱり地域的に被害が常に多い地域と多くない地域では、それで超過累進的な国庫負担をすると、国の財政が一定の地域の人に偏るのではないか、こういう意見もあるわけであります。だから、決して別々なものじゃなくて、その背景としてあるのは共通したもので、やっぱり受益者負担的な考え方が非常に強くなっておると見ていいのではないかと思うわけであります。 それから、当然加入基準の引き上げにつきましても決してそういうものと無関係ではないのではないか、やはりデレギュレーションで、余り小規模で必要のない人まで強制加入させなくてもいい、だから背景にある流れというのは、須藤参考人がこれはいい、これは悪いと言われたものも、そんな区別はなくて、一貫したそういう思想というものが背景にあるような気がするわけですね。こういう大きな流れについてどうとらえられておるのか、お伺いをしたいと思います。
○参考人(須藤隆平君) 大変難しい御質問でございまして、大変答えにくいわけでございます。 実は、超過累進の天井を下げてきたということと、それからまた、零細農家の任意加入の枠を広げていくという共通のものがあるのではないかということでの御質問と思うわけでございます。 実は、掛金の国庫負担の方につきましては、基本的にどう一体国が持つとすれば持ったらいいのかという問題があるのだと思うんです。これはやはり何と申しましても、そういう農業災害といったものの特性というようなことからいろいろ考えられるんじゃなかろうかと、かように思います。したがいまして、先ほども過去の経過の中で申し上げましたが、三十八年改正までの間の国庫負担の持ち方というのには、ある意味では災害対策というような考え方がはっきりしておったんじゃなかろうかと、かように思うわけでございます。超異常的な災害につきましてはこれは全部国が持つんだ、またそれ以下の被害の分につきましてはこれは国と農家と半々だよと、こういうことでございますから、非常にはっきりした考え方があったんじゃなかろうかと思うわけでございます。 ところが、三十八年改正によりまして、今やっておりますような超過累進の方式に変えたわけでございますが、こうなってまいりますと、私ども見ておりまするのは、どうも国庫負担というよりも国の負担軽減のための補助ということに性質が変わってきたんじゃなかろうか、かように見ざるを得ないんじゃなかろうかと思うわけでございます。補助でございますから、今日のような状況になりますとそれを圧縮していくということでございまして、そういう意味合いから、先々財政事情等も絡んで圧縮、圧縮という心配を共済団体といたしましては持っておるわけでございます。 一方の当然加入の基準の方でございますが、これも考え方はいろいろあると思うんですけれども、やっぱり制度発足時の考え方と農村事情が変わっておりますからそうじゃないんだと言えるかもしれませんけれども、やはりこういう農業災害に対しまして、災害対策として農業共済保険制度が必要なんだということでございますと、その必要な制度は国からも支えはいたしますけれども、とにかく間違いなく健全に運営されていかなきゃならぬじゃないか、こういうことだろうと思うわけでございます。 そういう間に、農家の方々の公平というものを考えていかなきゃならぬじゃないかということから、当初は、当時一反歩以上耕作しておれば、たとえごくわずかな水稲しか持ってなくても共済関係は当然成立だということがあったわけでございます。だんだん物別に十アールとかどうこうというふうに変わってくるわけでございますが、これはあくまでも農業災害に対します、農業災害の危険の出方の特性等と兼ね合って、当然加入ラインというものはやはり一つ考えておかなきゃならぬ面があるんじゃなかろうか。もちろん依存度とか何とかという面等もあろうかと思いますけれども、農業共済保険という立場からいたしますと、そういうことで、小さい農家にありましても参加していただく必要があるんだというふうになると思うわけでございます。 ちなみに、実は今、水稲共済にありましては一筆単位共済の方式が大部分でございますけれども、一筆単位方式で経営規模別の危険を見てみます。そうすると、例えば小さい危険のところは皆危険率が高いのかというと、そうじゃございませんで、高い農家と、それからまことに少ない農家と両方に分かれていく傾向を持っています。非常に安定した農家とそうでない農家とに分かれてくる傾向を持っています。 したがいまして、そういう中で任意加入というふうなことにしてしまえば、これは逆選択加入が起こってくるわけでございます。逆選択加入が起こってまいりまして、水稲の事業経営を危うくしてくるというところが、特に任意加入になりまする農家の割合が多ければ多いほど強くなってまいるわけでございます。例えば現に七〇%以上任意加入になるという組合等が十四ほどございますが、こういったところにありましては、これはまたもちろん自然環境、耕作条件等もいいところじゃございませんので、非常に今申しましたような逆選択加入になってくるおそれが出てくるということでございます。 そういう立場から考えますと、やはりそのところで必要な共済事業につきましては皆でもって守っていくんだということから皆参加する、こういう制度が必要になってくるわけでございまして、自由化といったようなこととの兼ね合いでだけ考えられるべきものじゃないんじゃなかろうかと、かように思うわけでございます。 以上でございます。
○喜屋武眞榮君 時間も限られておりますし、また今まで多くの皆さんから大事なお尋ねがありましたので、私も立派な御意見をお聞かせ願いましたので、そのお礼の気持ちを含めて、一問ずつあらかじめお尋ねしましてお答えいただければ大変ありがたいと思っております。 まず須藤参考人に、今さっき田渕委員もおっしゃられた、私もいみじくも一緒のメモをしてありますが、全面的には賛成できないが積極的な反対はしないという非常に抽象的なとらえにくい発言をされたわけでありますが、この中には賛否両論あるということでありましょう。そこで、この法が改正されて実施された場合に、これもまた細部にわたると限りがないでしょうが、特にどういう面に明るい面が浮かび出てくるであろうか、そのことを簡単にお尋ねしたい。 それから村上参考人には、お話の中で生産協定というお言葉が出ておりました。私は法というものは生産農家を守って生産向上をさせるためのものである、またそうでなければいけない、こう思うわけなんです。ところが、日本の農業あるいは北海道の三つの柱を挙げておられましたが、稲作、畑作、酪農と、特に生産協定をしなければいけないという何かしら矛盾を感ずるわけであります。それは一体どこに原因があるんだろうかということをお尋ねしたいんです。 次に内藤参考人に、肉用牛の経営が特に厳しい、こういうお言葉がございました。申し上げるまでもなく、牛肉の安定的供給ということは、これはいつも言われておることであるし、また聞くことであるわけですが、そのことと今の肉用牛の経営が特に厳しいという面と安定的供給という面とを結びつけて、輸入枠の問題をどのようにお考えであるか、このこと。 それから遠藤参考人に対しては、果樹共済の加入率が特に低いということから幾つかの理由を述べておられたわけですが、私、奇異に感じましたことは、病虫害に対する国の介入ですか、これはいけないようなことを述べておられたわけであります。そのこととも関連いたしますが、果樹の量と質の面から、特にミカンに例をとりますと、減反とか豊作貧乏というお話もなさいましたが、特に質をよくするということが日本の果樹栽培に対して非常に大事な課題じゃないだろうかと、こう思うんです。現実にアメリカの人たちに会いますと、最近の日本のミカンはアメリカのミカンよりおいしい、とてもおいしいとよく褒めてくれる米人がおるわけでありますが、そういうことともにらみ合わせてやっぱり品質の改良、量というよりも質を高めていくということが非常に大事である。しかも、日本における端境期の栽培をどう持っていくか、こういうことですね。 以上の点から、ひとつ時間の許す範囲内でお願いしたいと思います。
○委員長(北修二君) 参考人の方々にお願いをいたします。時間の関係がありますので、ただいまの質問については簡潔にひとつお願いをいたします。
○参考人(須藤隆平君) 改正によりまして明るくなるような見通しがあるのかというお話でございますが、先ほど申し上げました、出ております掛金国庫負担当然加入ライン以外のことは、これはすべて組合等がやりたければやると、こういうことでございます。やりたいと思っているところには若干明るみが増すかもしれませんが、それより以上に、村上参考人からお話ございましたように、総体的に見ますれば厳しいものになってきているという理解でございます。 以上でございます。
○参考人(村上正晴君) ただいま大変難しい御質問があったわけでございますけれども、この農業災害補償法の第一条の「目的」にありますように、最終的には生産性の向上に資する施策だと、このように存じておるわけでございまして、北海道の場合には幸い三本柱である稲作、畑作、酪農、それぞれ農業共済でカバーをいたしておるわけでございまして、今回、財政再建という一つの流れの中で若干の後退を余儀なくされたわけでございますが、さらにその洗礼を受けたわけでございますので、こういった給付面での改善につきまして先生方のお力添えをいただきながら農家の期待にこたえてまいりたいと、このように存じております。
○参考人(内藤進君) 肉用牛の生産状況、及び経営が厳しい状態と、牛肉の安定供給との絡みで輸入枠の問題についてどう考えるかという御質問だと理解いたしましたが、この輸入枠の問題につきましては、需要と供給とのバランスの関係で設定をされておると理解をしておりますが、その限りにおいて必要なものは入れていただかざるを得ないと思いますけれども、対外的な圧力が強いからと言って、そのバランス以上に輸入枠を拡大していただくことは、生産の立場から見て避けていただきたいという考えは持っております。その背景として、私ども肉用牛生産の立場からは生産を絶対確保するという覚悟で対処をしてまいりたい。そのために生産性を向上する、あるいはコストを下げるという努力は今後とも引き続き行うこととして努力をしていきたいと思っております。 以上でございます。
○参考人(遠藤肇君) これからの果樹の国際競争を考えましても、まさに日本の果樹が生きるためには品質で勝負をするという以外にはないと思います。品質で勝負するためには、防除作業が決定的に重要でございます。 ただ、私が申し上げましたのは、防除作業というものは、みずからの経営の責任においてしっかりやればこれは回避できるものでございまして、やはり手入れを怠ける者が病虫害を発生するという事態に共済金を支払われるというのはいかがなものだろうかという不満があるということを申し上げました。
○委員長(北修二君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑を終わります。 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。 本日は、皆様には御多忙中にもかかわりませず当委員会に御出席をいただきまして、大変貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。 午前の審査はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。 午後零時五十一分休憩 ─────・───── 午後二時二分開会
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○菅野久光君 本来の農災法に入る前にちょっとお尋ねしたいんです。 例の日ソにおける漁業の問題でありますけれども、この交渉状況がどうなっているのか。私、北海道で、地元としても大変心配しておりますので、今の段階で私どもに報告できることがあれば、ぜひひとつ報告をしていただきたい、このように思います。
○政府委員(斉藤達夫君) 新しい日ソ漁業協力協定に基づきます日ソ漁業合同委員会におきますサケ・マス漁業実態交渉は去る五月十三日から開始されたわけでございますが、我が方の代表は中島海洋漁業部長、先方はジラーノフという漁業省の渉外局長でございまして、それから既に二週間余りを経過しているわけでございます。 これまでのところ、日本側といたしましては総クォータは一昨年並みの四万二千五百トン、それからもう一つ重大な事項といたしまして、特に中型流し網漁業につきましては、四十四度から四十八度の間の漁区を開放してほしい、それから漁獲量を四万二千五百トンにするという条件のもとに、協力金は従来どおり四十二億五千万を支払う用意ありということを言っておるわけでございますが、先方は漁獲量につきましては三万五千トンが限度であるということ、それからまた、いわゆる漁場転換についてはこれは認められない、せいぜい専門家間の会議を開くのが、ことしできることの最大限である、それからまた、漁業協力費につきましては、ソ連の国内でこれだけ金がかかっておるというようなことを言いまして、そのうちの、日本にはもっと持たせてしかるべきなんであるけれども、日本がびっくりするといけないから五十億ないし五十五億ということを言っておりまして、今のところこの状態で交渉はいわば膠着状態という形でございます。 私どもといたしましては、既に漁期が迫っておることもございまして、一日も早く安定的な操業条件のもとで出漁が確保されるように、現地の代表団ともども最大限の努力をしておるところでございます。
○菅野久光君 交渉のおくれに伴って北洋のサケ・マス漁やカニ、ツブ、エビ漁の関係業界への影響が非常に大きいわけで、北海道庁の水産部で調べた結果が二十四日にも発表されました。それによりますと、サケ・マス漁船七百七十四隻の今年度内に返済しなければならない金額は、長期資金、短期資金合わせて百九十一億円。カニ、ツブ、エビ漁船七十三隻のそれは二十三億円、それから釧路や根室の水産加工業者で操短や休業しているところが増加している。カニ、ツブ、エビを主として扱っている網走、宗谷、後志の業者は原料不足で雇用不安が高まっている。船舶製造、修理業は受注が前年より四、五割ダウンしている。漁網販売店二、三割、トラック運送業者は一ないし三割五分ぐらいがダウンして、代金回収が期待できないと見る業者も多い。このような状況のために、大量倒産のおそれも出ているという結果になっております。 そこで、当面の対策として、まず緊急融資措置をとるべきではないか、さらに道も国に対して要求することにしているようでありますが、償還延滞金については国が長期特別融資措置をとるべきではないかというようなことなどもいろいろ要望の中にあるわけでありますが、今の段階でもしもお考えがあれば、ひとつ承っておきたいと思います。
○政府委員(斉藤達夫君) サケ・マス関係の問題につきましては、ただいま交渉中のことでもございますし、その段階で救済措置というような浜の声があることも承知してはおりますけれども、そういうことについて今政府としての態度を示すことは、交渉の前進にはむしろつながらないのではないかという判断がございますので、差し控えさせていただきたいと思います。 それからカニ、ツブ、エビ関連でございますが、これは御承知のように五月の五日から民間の代表団が訪ソいたしましていろいろ協議をしたわけでございますけれども、カニ、ツブ、エビいろいろな魚種がございますが、そのうち一部のズワイガニ、東樺太のズワイガニ以外につきましては、あるいは先方が資源がないとか、あるいはソ連側でとるから日本は来てくれなくてよろしいとか、あるいは非常に高い協力金を要求するとか、あるいは小さな船に監視員を二人も乗せるというふうなことを要求してくるというようなことがありまして、東樺太のズワイガニを除いては、一応業界としては交渉を断念した形で先週末から今週にかけて三々五々帰ってきております。これらの業者が帰りました段階で、これらの業者及び道庁からいろいろ話を聞いた上で可能な対策を検討させていただきたいと思っております。
○菅野久光君 外交交渉の途中という事情は私もよくわかります。交渉の中で今そういうふうな状態にある。だから、それを救うためにも、やはり日本側が要求しているそういうことでこれは今回の交渉については妥結をしてもらわないと、ひいてはこのことが今までの日ソの協力事業の中でやってきた日ソの友好関係といいますか、そういうことにさえもいろいろ問題が生じるのではないかということを私も心配をしておりますので、ひとつぜひこういったような事情なども今度の交渉の中でやはり強力にひとつ相手を説得する、ソ連を説得するということでやっていただきたいというふうに思います。 次に、ソ連は太平洋の中型流し網の漁場転換を拒否しているということが伝えられておりますが、このことは前にも私も言いましたけれども、まさに漁期がおくれたそういう中で、これは業界にとっては死活問題でありますから、このソ連の拒否する理由は一体何なのかということについてひとつお知らせいただきたいと思いますし、日本側がなぜこのことを説得できないのか、何か歯がゆい思いがするわけでありますけれども、その辺についても今の段階でお答えできることがあれば、ひとつぜひお願いいたしたいと思います。
○政府委員(斉藤達夫君) 日本側が主張しております漁区転換の主張の根拠といたしましては、一つにはやはり資源の問題、サケ・マスは御承知のように南から北に上がるに従いまして魚体が大きくなるわけでございますから、同じ一トンが何尾で済むかというその魚の数にしますと、北へ上がってとるほど魚の数は少なくて済む、そういう意味で資源保存に役に立つということが一つ。 それから、さらにサケ・マスの値段を見ますと、同じ種類でありましても魚体の大きいものの方が脂が乗って単価が高い、そのことが同じ一トンをとるにしましても経営上非常に役に立つということなんでございますが、これに対しましてソ連側が言っておりますのは、一九七八年に二カ月間いろいろ議論した結果、この現在の漁区が決まっておる、そのときの経緯等を今急にここでひっくり返すわけにはいかぬということ、並びにその当時のソ連側の主張の一つでもあったわけでございますが、北に上がりますと特定の魚群、特にベニザケ等に集中的に漁獲圧力を加えるのではないかということを言っておるわけでございます。この点につきましては科学者間で早急に検討すべきである、今回の会期中にも検討すべきであるという日本側は主張をしておりますし、あるいは必要があれば試験的にこの海域を開放して操業してみた上でさらに検討したらどうかという申し入れもしておりますけれども、先方は科学者の会議というのを例えば年の後半にじっくりやった上でその上で検討をしたらどうだという態度を崩しておらないわけでございます。
○菅野久光君 我が国でも、急にいろいろな制度が変わったりなんかするときには激変緩和というのがあるんですよね。今度の農災法にはそれがないので大変問題なわけでありますけれども、漁業の関係についてもこれほど大きく変わるのは、一遍に来ることがどんなに大きな衝撃を与えるか、またそのことが言えば漁民の死活問題ということにかかわることで、このことは何としてもひとつソ連側にわかってもらう努力をお願いをいたしたいと思います。 最後にこの関係で、カニ、ツブ、エビの問題でありますが、この交渉が東樺太のズワイガニについては合意を見たということであります。他はもう事実上決裂したというふうに伝えられておりますが、このことは事実でしょうか。もしそれが事実だということになれば、その結果やっぱり影響を受ける漁船の隻数、乗組員数、こういったようなものなども一応明らかにした上で救済対策をどうするのか、こういったようなことがこれは出てまいりますが、その辺の状況についてはどのようになっておるのか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(斉藤達夫君) 先ほど一部お答えいたしましたけれども、東樺太のズワイガニを除いてはうまくいかないという関係漁業者の判断で協議を打ち切って帰ってきておりますが、帰ってきてから後、私どもとまだ十分話し合いをしておりませんで、交渉の模様をもっと聞いた上で、もしその交渉を再開してさらに条件を改善する可能性のあるものがあれば、これについてはやはり交渉の再開とそれから条件の改善、このための努力をさせていただきたいと思いますし、それからそれ以外のどうにもこれはしようがないんだと考えられるものにつきましては、やはり先ほど申し上げましたように関係漁業者あるいは道庁等の意見も聞いた上で可能な対策を考えなくてはいかぬというふうに考えておるわけでございます。
○菅野久光君 いずれにしても交渉中でありますから、私どもこれ以上のことは言いませんが、最悪の事態になったときにはまたこの委員会等で十分その対策などについてもやらなきゃならぬが、そういう対策をしなくてもいいような結果を生むようにひとつ全力を挙げて頑張っていただきたい、このことを初めに申し上げておきたいというふうに思います。 水産庁次長、ありがとうございました。 それでは、今回の農災法の改正案の具体的な内容に入ります前に、農政の基本、そしてこの農業災害補償制度のあり方あるいは考え方について、まずお伺いをいたしたいというふうに思います。 大臣はさきの所信におきましても、明るい希望が持てるよう我が国の農林水産業の発展に全力を傾ける覚悟であるというふうに言われているわけであります。しかし現在の我が国の農林漁業は、それぞれの部門で非常に大きな問題を抱えております。 そこで大臣にまず伺いますが、我が国の農林漁業の現状をどのように認識され、またどのような基本的な考え方で我が国の農林漁業の発展を実現しようとされるのか、抽象的な言葉ではなくて実現性のある方策といいますか、そういうものを具体的にひとつ示していただきたいというふうに思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 菅野先生にお答えいたします。 我が国農政の現状を見ますと、先生も御存じのとおりでございますが、食糧消費の伸び悩み、農林水産物の価格の低迷あるいは経営規模の拡大の停滞、労働力の高齢化の進行などの非常に難しい諸問題に直面しております。また、行財政改革に一層の推進が求められるとともに、諸外国の市場開放要求が依然絶えないなど、極めて厳しい状況にございます。 こういう状況のもとで、農林水産業の役割を適正に果たしていくためには、もう先生御承知のとおりでございますが、食糧の安定供給を初め、健全なる一次産業の形成とか、国土自然環境の保全などを果たしていくためには、農林水産業の体質強化を図りますとともに、農山漁村の活性化を進めることが最も重要な課題であると考えております。
○菅野久光君 なかなか具体的にと言っても具体的に言えないのが今の農政の実情、苦しいところだというふうに理解せざるを得ないわけで、我々農林水産委員会に所属している皆さん方お一人お一人の思いが、これでいいのかなという、これは与野党問わずそういう思いではないかなというふうに私は思うのです。 最近、足腰の強い農林漁業の育成、こういうことがよく言われるわけでありますが、このことは新しいようで実はそうではないというふうに思います。今日言われる足腰の強い農林漁業の育成というのは、国際競争力にたえ得る経営の育成であろうというふうに私は思いますが、これまでの農政の歴史を見ましても、国際環境を全く無視した政策をとってこられたわけではありませんし、そういう中で今日までの農政を進めてこられたというふうに思います。 国際環境をにらみつつ国内の諸情勢に合った経営を育てる、それが基盤整備であり、規模拡大であり、そのようなことでコストを下げ、収益を上げ、そして農業あるいは工業間の格差是正を図る、そのための構造政策あるいは価格政策、あるいはさきに審議をいたしました金融、そしてこの保険がそれぞれの機能を備えて使命を担ってきたというふうに思うわけであります。しかしながら、今日の我が国の農林漁業の姿は、先ほども申し上げましたように非常に厳しい、規模はいまだ零細の域を出ない、収益性も上がっていない、このような中で輸入による過剰、過剰を前提にした政策価格の抑制、さらには財政の効率化ということで予算は削減、そして小規模農家や兼業農家などを軽視した政策への移行も見られるわけであります。 このような農政の歴史あるいは現状の中で、今日言われる足腰の強い経営とは一体何なのか、そしてその実現がそう簡単に可能なのか、またそのために中小経営や二種兼業の経営を差別あるいは軽視するような政策の展開は容認できないわけでありますが、この足腰の強い経営、これは一体何なのか、そこのところをもっとわかりやすくといいますか、具体的に——先ほども具体的にと言いましたけれども、具体的に言えないのが今の農業だ、農政だと私も言いましたけれども、もうちょっとそこのところを何か具体的にお示しいただけませんでしょうか。 また、それを実現することが容易なのか、あるいは実現することが困難であるとすればどういうところが困難なのか、その辺を含めてひとつお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生の御質問にお答えします。 先生の御質問につきまして明快なるお答えはなかなか難しいかと思いますが、先生御指摘のとおり、我が国農業を取り巻く環境は非常に厳しい情勢にございますが、そういう中で特に生産性を高め、足腰の強い農業を実現していくこと。これは、特に土地利用型農業の生産性の向上を図ることが大切と、このように考えておるわけです。そういうことで、今後の農政の展開に当たりましては、大変抽象的で恐縮でございますが、三つの施策を中心にその努力をしてまいりたいと、このように考えております。 その一つは、農地の流動化や生産の組織化による中核的な担い手の育成と経営規模の拡大、二つ目には、生産基盤の計画的な整備、次には、バイオテクノロジーを初めとする技術の開発普及、こういう三つの点、施策を中心に総合的に実施して努力してまいりたいと、こう考えております。
○菅野久光君 農地の流動化とか規模拡大というものがかなりずっとやられてきているわけですけれども、非常に日本の農地が高くなっているとかいろんな状況があって、それは農林水産省が考えているような形で本当に進められるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 規模拡大のために農地の流動化を図るということは、長い間の我が農林水産行政の柱でございまして努めてきたわけでございますけれども、ただいま先生からも御指摘がありましたように、高地価でございますとか、あるいは農家が資産的土地保有といいますか、老後のためになかなか土地を放さないで兼業化に走るというようなことがございまして、所有権を移転するという形の規模拡大というものにつきましては、残念ながら限界があるんではないかという認識に立ちまして、先般来いろんな法律制度というものも整備いたしまして、利用権の集積でございますとか、あるいは土地そのものには手を触れないで、生産の組織化でございますとか、そういうより現実的な規模の拡大というものにつきまして、法制度もせっかく整備されて、利用増進法でございますとか、ああいうものかようやく地につき始めておりますので、そういう努力を今後とも積み重ねてまいりたいとは思っておりますけれども、御指摘のとおりなかなか効果が出ないという点につきましては、我々としても非常に悩みを抱いていることは事実でございます。
○菅野久光君 正直に言っていただいたのでいいんですが、どうも足腰の強い農業という観念的なことだけではなかなか解決できない。そして、今、官房長が言われたような実態というものは、みんながわかっていると思うんですね。そういう中でどうやって、じゃ言われるような足腰の強い農業というものをひとつつくり上げていくのかというところで、みんながはたと困るといいますか、行き詰まるというようなことになっていくんじゃないかというふうに思うんです。ですから、この政策の基本、あるいは方向というものは、単なるきれいごとやお題目では済まされないというふうに思うんです。 しかしながら、さきの金融三法の審議の際も、また先ほど来の大臣の御答弁を聞きましても、どうもやっぱり言葉だけで、なかなか難しいものですから、つい中身のない言葉だけになってしまうということになってしまうんじゃないかというふうに思いますが、農林漁業は国民の生命産業ですね。また、自然条件に大きく制約されるものでもあります。このため、世界各国いずれの国を見ましても食糧自給率の向上、これには特段の努力をしているわけであります。しかし、どうもこの辺の基本的な認識に関して、我が国と外国との間にといいますか、政府の間に大きな隔たりがあるように思えるわけであります。あるいは政府といっても、農林水産省と大蔵ということになりましょうか。 〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕 ある程度農林水産省はこういう委員会でいろいろ論議をしていて、こうしなきゃならないなということを思っていても、なかなか財政的な制約があってできないというようなことがあるんだろうというふうに思いますが、この辺の基本的な認識ですね、これがどうも政府全体としての認識が私は我々との間に隔たりがあるんじゃないかというふうに思うわけです。 我が国の農林漁業は、それぞれがそれぞれの基本法に基づいて、経営の安定あるいは経営の自立というものを目指して、各種の施策が展開されて今日に至ったわけでありますが、しかしその結果は施策の効果が上がっていないというか、むしろ衰退傾向すら見せているというふうに思います。したがって、これまでの施策は、公共投資にしろ、価格政策あるいは金融政策にしろ、その効果を上げるに足るものではなかったというふうに、極端な言葉かもしれませんが、言ってもいいのではないかというふうに思うんです。 いろんな意味で国際環境が悪化している今日、これまでの反省の上に立ってこの今日の情勢に対応し、かつ効果を発揮するものでなければならないのは当然でありますが、このような観点から、我が国の地理的、自然的条件に適した足腰の強い経営とは一体どのようなものなのか。これは特に今農業などはそういう自然的条件に左右されるということでありますから、その国その国の自然的条件、ここに大きく左右される、地理的条件に左右される、そういう中での足腰の強い農業ということですから、一概にEC並みだとかアメリカ並みだなんということにならないのはこれは当然でありますが、我が国のそういう状況に合った足腰の強い農業というのは一体どのようなものなのか。先ほどの質問とあわせて、より具体的にお答えいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) いわゆる自然的条件が世界各国で違うと同じように、日本国内でもそれぞれの地域によって違っているわけでございまして、それぞれの地域特性を生かした農業経営というものが必要かと思っております。特に先ほど大臣からもお話ありましたように土地利用型農業、これについての問題というものが一番深刻なわけでございまして、これにつきましては、何といいましても、土地基盤の大きな北海道でございますとか、あるいは北東北でございますとか南九州、こういう地域で土地利用型農業を中心にいたしまして少しでも生産規模を拡大して競争力をつけていく。そのためには基盤整備でございますとか、そういう土地の広がりと同時に、土地の質的な向上というものに何とか努めてまいりたいと思っておりますし、それから都府県の一般におきましては米が中心になるわけでございますけれども、米につきましては規模自体が一般的には零細なわけでございますけれども、米の技術というものが非常に平準化してまいりまして、機械化というものも極致まで来ているわけでございますので、そういう平準化した技術というものの積み上げなり、あるいは機械の利用を通じての実質的な規模の拡大というものを通じまして、担い手を中心にして地域ぐるみでの足腰の強さというものが必要になってこようかと思っております。 それから、さらに従来それぞれの地域で、いわば単品志向といいますか、一つの作目に偏ってきたということが、地力の面からも、あるいは労働力の配分の面からも、いろいろ問題が出てきておりますので、地域複合といいますか、畜産と耕種との結びつけでございますとか、そういう地域全体での強さということを考えていきませんと、単に個別経営だけでの足腰ということでは対応できない難しい事態に来ているんではないかという認識のもとで、地域政策的な色彩の政策というものをここ数年間いろいろと強化してきているところでございます。
○菅野久光君 価格政策の問題やなんかいろいろありますが、それはまた別の機会に譲るといたしまして、私は我が国の自然条件あるいは農林漁業の歴史などから、小規模経営を差別したり、政策コストに目を奪われ過ぎていろんな施策をやるというようなことであれば、必ず将来には禍根を残すことになるのではないか。小規模経営というのは、我が国の歴史的ないろんなそういう経過の中でやっぱり出てきている。しかし、そういう中で自然条件などを加味して、ある程度大規模でやれるところは大規模、とにかくそれぞれの日本の国内であってもそれぞれの地域的な条件、そういうものを十分考えたものでなければならないというふうに思うわけです。しかも、輸入によって国内生産が抑制され経営が圧迫されてきている、 〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕 またされようとしているのであれば、なおさらそのことが大事になってくるというふうに思うんです。 そこで、農災法の改正問題に入っていきますが、今回の改正内容を見ましてまず感じますことは、農災よ、おまえもかというふうなことであります。近年、予算が毎年削減され、土地改良長期計画一つとってみても、三年目でわずか一七%の進捗率であります。また、政策誘導の重要な手段であります制度金融は一歩後退、その上、農家の努力をいろいろな意味で補完し担保する、いわば経営維持のための命綱とも言える政策保険、すなわち本農災制度までも後退させようとしているのであります。私は一体どこまで農政は後退するのか、末恐ろしい気さえするのであります。大臣は、最近の農政の動向、これは政財的に、あるいは対外政策面から来るのかもしれませんが、本改正案の内容なども含めて私のこうした気持ちや心配に対して、全くむだな心配だというふうに言い切れるのかどうか、その点の見解をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 この制度は、先生からきょう御指摘ありましたようなことですが、地理的条件や気象条件から自然災害の発生の多い我が国においては、農業経営の安定を図る上で不可欠な制度であると考えております。特に近年、冷害等の異常災害が多発する中で、本制度は農業経営の安定に大きな役割を果たしているところでございます。今後ともこの制度については、その効率かつ健全な運営に努めますとともに、制度の機能を十分に発揮することにより、農家の経営安定のための制度として真に定着するよう努めてまいりたいと考えております。
○菅野久光君 今申し上げましたように、全くむだな心配だというようなことに何かならない、いよいよ心配が深まっていくような感じがするわけであります。この農業災害補償制度が国の農業災害対策の基幹であることは、これはだれしもが認めるところであります。農林水産省自身、本制度を戦後の農地制度の改革、農業団体の再編成と同様に位置づけて農政の極めて重要な柱の一つとし、またこれまでの制度改善などによって今日では世界に冠たる制度と自負していたはずであります。これは午前中の参考人の方からも、そんなような意見開陳がありました。この点についてまず農業災害補償制度そのものをどのように認識しておられるのか、制度の趣旨あるいはその基本的な考え方に変更があるのかないのか、そこのところをお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) ただいま大臣からもお話し申し上げましたように、我が国の農業が置かれております地理的な条件あるいはまた気象上の条件、そしてまた、そういったものの影響を受ける農業経営の側に歴史的、社会的ないろいろな要因から経営規模の零細性その他の制約も負っているということの中で、やはり農業災害補償制度というものは非常に重要な役割を果たしておるというふうに考えております。 そのことは、近年、異常な災害が多発をいたしたわけでございますけれども、もしこの制度がなかりせば、相当大きなやはり混乱なり地域経済の落ち込みというふうなものが発生をしたんではないか、本制度は被災農家の救済にそういう意味で多大の寄与をしてまいったというふうに思っておりますし、災害関連でいろいろな施策がございますけれども、農業関係の災害対策の基幹としての地位というのは、今後とも変わることのない重要な制度であるというふうに考えております。
○菅野久光君 従来と変わらない重要な制度だというふうに認識しているということでありますから、それではそのように重要な政策手段に対して国はどのような責任を果たせばよいのか、果たすべきなのかという点についてであります。 今回の改正案の中で、政府におきましてもまた農家におきましても極めて重要な問題と思われますのが、農作物共済の共済掛金国庫負担割合の引き下げであろうというふうに思うのであります。この改正部分に関しては特に大蔵当局の意向も強く、当初は国庫負担一律五〇%を主張したと聞いておりますが、その背景と大蔵当局の農災制度に対する認識、それは実際に予算折衝の中でどういうものであったのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 今回の制度の見直し、改正に当たりましては、一方では農業事情なり農家の保険需要の動向というものに即応しました改善充実をどうやって図ってまいるかということとあわせまして、現下の非常に厳しい財政事情のもとで農業共済制度のより一層効率的な運営が求められているということから、掛金の国庫負担方式の合理化を行うことにいたしたわけでございます。 大きく申しまして、このような結論に至りました背景なり、それがまた政財当局とのやりとりの論点にもなったわけでございますが、一つは、年年共済金額が増大をいたしますにつれまして、農業共済の特に掛金国庫負担の金額も当然増的に年年増加をしてまいりまして、農林水産省あるいは農政全体の政財規模の中で占める比率が年々大きくなって、農政の中全体で、私ども毎年予算の獲得には汗を流して努力をいたしておりますけれども、おのずから現下の政財事情のもとでは一定の限度というものが、特にまたシーリング制度などが行われております中ではあるわけでございまして、そういう中でどういうふうに施策別に財源を配分していくかというふうな問題が一つございました。 それに加えまして、適地適産の推進ということで、特にかつて米の供給をどうしても確保しなければいけないということで、限界地なり被害率の非常に高い地域においても米の生産をぜひ確保しなければいけないという状況に比べますと、近年では五十数万ヘクタールの生産調整を行い、そして適地適産を推進するという方針のもとに水田利用の再編を進めている。そういった場合に、もちろん適地、不適地というのは被害率だけでは判定できるものではございませんけれども、その一つの要素としてやはり被害率というものも当然カウントされてくるべき要因だと思われるわけでございますが、被害率の高いところに特段に厚い国庫負担をするというふうなことが現下の適地適産の推進という政策方向から見て整合性があるのかどうか、むしろその率はどうであれ、そしてまた、財政当局としては当然それは低い率であることを望むのであろうと思いますけれども、一律の助成で掛金の国庫負担という点で適地適産に対してもっと中立的な国庫負担のやり方であるべきではないか。一言で申せば、超過累進制というものそのものを見直すべきであるというような議論があったわけでございます。 それからまた、当然そういう事柄の背後におきましては、他の公的な保険制度におきます国庫負担の比率というものを見ますと、例えば漁業災害補償制度でございますと約四五%、漁船損害等補償制度で約二六%、国民健保というようなものでも給付費の五〇%あるいは医療費の三九%というふうなことで、五〇%を超えている国庫負担を行っている公的な保険制度というものがこの農災制度以外に見当たらない。特に高率の国庫負担であるというような問題等々が出されたわけでございますが、私どもそれらの問題につきまして、農業災害補償制度の基本を守り、そしてまた、この制度を将来にわたって安定的な基礎の上にのせるという観点から種々折衝いたしまして、超過累進制は残す、ただし、国庫負担の率につきましては、一定の超過累進方式のいわば圧縮と申しますか、という形で対応するということで最終的な決着を見た、こういう経過になっております。
○菅野久光君 この農業災害補償制度、農災関係についても、何かほかの制度と全く同じように考えているのではないかというふうに、今のお話を聞きながら思うわけでありますけれども、これはまさに国の重要な政策の根幹、農業政策のいわば根幹をなすものであって、この農災法が発動されない、これが使われないことが一番いいわけですけれども、万が一という場合にやはりこのことが再生産を含めて大事な役割を果たしてきた。だから私は、ほかの方のものとは性格はまた違うんじゃないかというふうに思うんですよ。それが何か大蔵省のところへ行くと、率が高いからほかのものと全く一律に考えているのではないかというふうに思うんですね。そういうところに目をつけられて、それで農林水産省当局に対していろんないわば攻撃をかけてくるというようなことになってきているんだろうというふうに思いますが、そういう大蔵当局の認識に対して大臣はどのような見解をお持ちでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 私ども、我が国の農業災害補償制度が持っております重要性というものを財政当局にも何度となく十分な説明をいたしまして、この農業共済の掛金国庫負担につきましては、前にも一度御答弁申し上げましたけれども、単なる指導奨励的な予算補助とは性格が違う非常に堅牢に組み立てられた我が国の、先ほども世界に冠たるというお言葉がございましたけれども、そういった制度の中に組み込まれた、そしてまた、法律の中にも「別表」という形で国庫の負担の仕方が規定をされている非常に重要な制度であり、財政的な措置であるということにつきまして、長い時間をかけまして財政当局にも十分な説明をいたしたつもりでございます。
○菅野久光君 説明はしたけれどもわかってもらえなかったと、端的に言えばそういうことになってしまうのでしょうか。どうですか。
○政府委員(後藤康夫君) その結果、私どもといたしましては、超過累進制を残すことができた、あるいはまた、当然加入と任意加入の農家の方の間で国庫負担に差をつけるというような措置もとらないというふうな結論に達したというふうに私どもは考えておるところでございます。
○菅野久光君 大分頑張ったことは私も承知をしております。しかし、先ほど官房長の答弁にもありましたが、適地適作といいますか、あるいは耕地の規模だとか、そういうことによって作目などについてもある程度やっぱりそういうところに合ったようなものをということで指導をしながらやっている。そういった中で災害に遭った。そのために、そこで営農している者にとっては大変な打撃を受けるわけですね。そのときに、この農災制度というものが非常に大きな役割を果たしてきた。それが私は、今回の改正によって、果たしてそういったような考え方というものがきちっと通っていくことになるのかどうかということが極めてやっぱり問題ではないかというふうに思うんです。 一昨年、臭素の問題が出て米不足になったときに、北海道の米はうまくないうまくないと言われますけれども、このごろは大分うまくなったわけでありますけれども、あれは北海道の米があったので実は大変助かったということなんですね。ところが、昨年のように豊作になると、今度は、ああいう冷害を連続して受けるようなところに何で米をつくらせなきゃならないんだ、むだな金だと、こういうことに話がすぐ飛躍し短絡していくわけですね。 しかし、幾ら国である程度財政的な補償を農災制度の中で持っていたとしても、とにかく損害を受けた額から見ればその何十%でしかない。そういうわけでありますから、国民の食糧というものをつくってもらうというそういう大事な農業というものをしっかり守っていくためにも、国の負担というものはほかの負担とはまた違った大きな意味があるのではないかというふうに私は思っているわけなんです。 それで、今回の国庫負担の縮減が、これは共済制度の安定を図ることにあるというふうに言われるわけでありますけれども、それではこの制度の安定を阻害するものは一体何なのか。先ほどもちょっとお話がありましたが、公的年金制度等と同じ考え方で、長期的に国の負担部分を引き下げていくことなしに制度の維持はできませんよとおっしゃりたいのではないか。具体的に制度の安定を阻害するものを、ひとつ教えていただきたいというふうに思います。
○政府委員(後藤康夫君) 制度を安定的に発展をさせてまいるということを考えます場合に、一つは、やはり農作物についての保険でございますので、常に農業の事情の変化、そしてまた、実際に農業をやっておられる農家の方々の保険需要というものにマッチをしていくという努力なり改善を加えていく必要があるということが一つございます。今回もそういう意味で果樹共済なり、あるいはまた家畜共済について一定の改正、改善を御提案申し上げておるわけでございます。 もう一つは、やはり掛金の国庫負担の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、農林水産政策あるいは農業政策全体の予算、財政の中でやはりそれぞれの施策というものがどの程度の分担なりシュアを持っているべきかという点が、農林水産省の予算全体の中での割り振りという点での問題がやはりあろうかと思います。 先ほど申し上げましたように、近年の厳しい財政事情のもとで共済金額の増加に伴いまして農業災害補償関係の予算は年々増加をしてまいってきておりまして、農林水産省の予算なり、あるいは特に一般事業費の予算の中に占める比率というのも年々シェアが高くなってまいってきております。それで、やはり他の農業関係の諸制度との全体的なバランスの中でこの農災制度というものにどの程度の国庫負担、そしてまた、どの程度農家に負担をしていただくかということを総合的に判断をし、その結論に基づきましてこの制度を今後とも安定的に運用し、また発展さしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○菅野久光君 それでは、農業災害対策の基本あるいは基幹として位置づけられておりますこの制度に対する財政支出の性格というのは一体何なのかということについてお伺いいたしたいと思います。 制度に対する国の財政支出は、単なる誘導的、奨励的なものとは異なるはずなわけですね。そのあたりの政府の認識、あるいは本制度に対する国庫負担の意味づけについて政府の見解をお伺いいたしたいというふうに思います。 また、今後さらにこの国庫負担を縮減していくつもりなのかどうか、これは財政当局に聞かなきゃわからないということになるのかもしれませんが、これはやっと五〇%というやつを何とか食いとめた、そういったような努力は私どもわかりますが、ここのところを、ひとり決意を含めて話をしていただければというふうに思います。
○政府委員(後藤康夫君) 農業共済関係の予算、特に掛金の国庫負担というようなものは指導奨励的な予算補助ではなくて、法律に基づく国の負担であり、また制度の中にいわばビルトインされた措置であるという点は私先ほどお答えを申し上げたところでございますが、しかし、であるからといって、その負担のあり方というものが未来永劫変えられないというふうには私ども考えておりませんで、これはやはり農業の状況あるいはまた農災制度が国の農政の全体に占める役割、そしてまた財源の配分、さらにはまたもっと幅の広い国の財政事情全般、あるいは農家経済の動向、そういったものによりまして負担のあり方について検討するということを妨げるものではないというふうに私ども考えておるわけでございます。 それから、今後改めてまた国庫負担の割合というようなものを見直すことがあるんではないかという点につきましては、半年近く非常に包括的な、そしてまた厳しい各種の議論をいろいろな場で積み重ねながら得た結論でございます。よほど大きな事情の変更ということが将来何か起きるというふうなことがあった場合には別でありましょうけれども、今私どもが予見し得る条件のもとでは、この昨年来の検討の結果というものを今後堅持をいたしまして制度の安定的な運営、発展に努めていきたいというのが私どもの気持ちでございます。
○菅野久光君 きょうも午前中、参考人の方の御意見の中でも、もうこれ以上の改悪というのは絶対やらないでほしいということを、強くそういう要望があったわけでありますから、この点については絶対譲れない線といいますか、そういうことで、今後ともひとつ省を挙げて頑張ってもらいたいものだというふうに思います。 それで、水稲共済に対する国庫負担率ですが、これは五十八年産ベースの加重平均で五九%ですね。本制度が持つ国民食糧の安定確保のための再生産確保機能などを考えた場合、農業災害対策というよりは、国民の命を預かる食糧を確保するといういわば国家維持のための基本的施策といっても過言ではないというふうに思うわけであります。 したがって、五九%についても当然国が公経済の主体として果たすべき負担部分も含まれているはずでありますが、どの程度が国民的負担部分と考えておられるか、その辺非常に難しいことかもしれませんが、ただ単なる農業関係の補助ということであれば、すべて何か農民に対する直接補助というような一律的な考え方がどうも大蔵省の方にあるのではないか。これは補助金等の特別委員会でも、例えば生活保護費の問題なんかも、国が負担する部分、あるいは地方が負担する部分、そういったようなものがいろいろあったわけでありますけれども、何かこういったようなことについて議論なされたことがおありでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 農業災害補償制度は、法律なり制度の目的にもございますように、直接的にはやはり農業者が不慮の事故によって受けることのある損失を保険の手法を使って補てんをすることによりまして、農業経営の安定を図り農業生産力の発展に資するということでございまして、それがひいては我が国の食糧の安定供給というようなものにもつながってくるということではないかというふうに思っております。したがいまして、こういう保険の手法をとり、そしてその掛金に対しまして国庫負担をしているという仕組みからいたしますと、直接に何といいますか、公的な事業に対して一定の国庫負担をするというふうな仕組みではないわけでございます。 ただ、先ほど来出ておりますように、我が国の農業の置かれておりますいろいろな条件からしますと、災害に対する対策というのは非常にほかの国の農業に比べまして大きな重要性を持っている。そういうことで、今日までも水稲につきまして農家の掛金の五九%を国が負担をするということをやってまいったわけでございますし、今度の国庫負担方式の合理化の後におきましても五四%という、これはこの水準自体がまだほかの公的な保険なり何なりの中でもずば抜けて高い水準でございます。また、国際的に見ても、このような形での農業保険をやっている国はほかにはございません。そういう意味で、やはり我が国におきまして、この農業災害補償制度の持っている役割は特に高く、そのためのまた高い負担を国内の他の制度と比べても、諸外国と比べてもしているというふうに私ども理解をいたしております。
○菅野久光君 ここのところが非常にやっぱり難しい問題だというふうには思いますけれども、気象などの自然的条件あるいは地理的な条件、そういう中で農業をやっていく、そして不幸にしてその土地の気候などによって災害を受ける。そうすると日本は、言えば農業によって成り立っているといいますか、それが主幹産業である市町村が非常に多いわけですね。一たんそういう災害を受けて補償がきちっとなっていかないと、そこの市町村の経済的な関係というのは、もうそれこそ壊滅的なといったら大げさかもしれませんが、ややそれに近い打撃を受けていくことになる。ただ単なる農業だけではなくて、そういう面でも非常に大きな影響を持っていますし、先ほども申し上げましたように、国民の命を預かる食糧を確保するという大事な任務を持っている。そういう意味では私はほかの方と、いわゆる保険の手法はとっておりますけれども、条件としては私は、条件といいますか、考え方の基本というものを変えていかないと、これはやはり大蔵のようにばっさり、とにかく切って、そして数字だけ合わせるといいますか、そういうことになっていってしまうのではないかというふうに私は思うんですよ。 ですから、その辺の理論武装というのはかなりなさっているようでありますけれども、私はそういう面が非常に大蔵当局には欠けているのではないか。金がなくなるとみんな鬼になってしまうわけでありますけれども、しかし人間が生きていくためには何といっても食糧が大事でありますし、食糧自給率の向上ということも国会でも決議されている。そういう中でそれぞれの地域で国民の食糧をつくるために頑張っている農業者の方々が安心して営農ができるという状況をつくり出していく、そのためにこの共済制度というものがあるのですが、それが後退するということは、やっぱり許されないことだというふうに私は思うわけであります。 今回の改正内容を見ますと、共済掛金の国庫負担方式の見直しによって水稲が五十八年産ベースで国庫負担の割合が加重平均で五九%から五四%に引き下げられるようでありますが、そこで具体的に五十八年産ベースで見て、農家負担が大幅に増加する県、あるいは組合はどのようになるのか、そこのところをちょっとお伺いいたしたいというふうに思います。 また、六十年は料率の改定時期でありますが、その結果がどうなっているか、具体的に教えていただきたいというふうに思います。
○政府委員(後藤康夫君) 共済掛金の国庫負担方式の変更に伴います農家負担への影響を水稲について試算をいたしてみますと、全国平均では十アール当たり二百円、一戸当たり平均引受面積が約六十一アールでございますので、一戸当たりでは千二百五十円程度の増加になります。 地域別への影響ということになりますと、超過累進の率を圧縮いたすという形での改正でございますので、端的に申せば共済掛金率の高低によって影響は違ってまいります。農家負担の増加額の最高の県はやはり近年の被害が多発をして掛金率の高い北海道でございまして、十アール当たりの農家負担の増加額は八百七十円ということで、一戸当たりで見ますと、一戸当たりの平均引受面積が北海道の場合は大きゅうございまして、三百三十五アールというふうに規模が大きいことから二万九千百十円の増加となると見ております。他方、低い県は被害が軽微で掛金率も低い福井県で十アール当たり二十円、石川県では二十三円の増ということでございます。一戸当たりでは、石川県の百五十円の増が最も低い増加額になるわけでございます。 なお、この国庫負担の方式の変更は六十一年度から実施をいたしますが、六十年産の水稲から三年に一度の料率改定がございます。水稲で申しますと、旧料率が全国平均で十アール当たり千六百二十円、これが新料率でことし千五百三十円に一度下がりまして、そして国庫負担の制度改正がございますと、これが千七百三十円に上がる、こういう形になるわけでございます。ただ、北海道のように今度新しく料率を算定いたしますときに、最近の三カ年が新しい基礎に入ってまいります。過去二十年間の一番初めのところにありました三年が落ちるという形になります。北海道の場合は近年被害が高かったものでございますから、北海道について申しますと、十アール当たりで農家負担額が三千三百五十円、それから料率改定で三千八百六十円に上昇いたしまして、それが国庫負担方式の改正で四千七百三十円に上昇するという形に相なるわけでございます。
○菅野久光君 ただいまの御答弁を伺いますと、やはり今回の国庫負担方式の変更は過去の負担方式の変更の際の負担増加以上の負担を農家に強いることになるのは明白であります。到底私は容認できるような内容ではないというふうに思います。また、さきの冷害などの影響で、北海道、青森、岩手などでは今回の料率改定で料率が二割程度上昇しているわけでありますから、この結果がいずれ農家の実感となってあらわれた場合必ず農家に混乱が起こるのではないか、そう心配するわけであります。掛金の国庫負担を引き下げて農家負担が上がり、農産物価格も低迷している、しかも北海道の大規模農家では多額な負債を抱えている、そういったようなところでは今度の改正によって何か問題が起きるのではないかというふうに私は思うんですけれども、その辺の心配はないのかどうか。いかがでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 率直に申しまして、近年被害が多発しております道、県の農家の方々には、料率の改定と国庫負担の方式の変更という両方が重なって出てくるということで御負担をおかけすることになるわけでございますけれども、近年被害が多発をいたしまして多額の共済金が支払われました組合等におきまして、被害実績を反映して掛金が上昇をいたしますこと、つまり三年に一度の料率の改定によります部分につきましては、これはやはり保険という仕組みをとっております以上は制度の仕組み上やむを得ないものと考えておるわけでございます。 農家の方々には制度の仕組みというものを十分御理解をいただくように私どもも説明の努力をいたしたいと思いますし、また、例えば北海道について見ますと、確かに水稲の料率は上がりますけれども、今度新しく算定基礎に入ってまいります五十六年から五十八年の平均で見ますと、農家負担の共済掛金が三カ年平均で約八万九千八百七十円ぐらいでございますが、水稲引受農家の平均でこの三年間に受け取りました共済金の平均が三十七万一千円、被災農家で共済金を受けた農家の一戸当たりということになりますと、六十九万五千円ほどの共済金の支払いがなされております。こういった方々には農業災害補償制度の意味と申しますか、メリットというものもおわかりをいただけたところではないかと思っておりますので、そういったことも含めて御理解を得るように私ども努力をしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
○菅野久光君 確かに掛金に対して支払われたものが多いことは、これは共済でありますから当然のことでありますが、火災保険のように、例えば八百万のものに、それと同じか、あるいはちょっと高く掛けて、火災になってもらったやつでちゃんと家がもとへ戻るというようなものとは違いますね。そういう災害を受けてもらったお金はあっても、それは災害を受けなかったときに得る収入から見て、それじゃどのくらいの率になっているのでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 極端な場合を申しますと、全相殺の場合で全滅ということになりました場合には、一割足切りでございますから、理論的に申せば、災害のなかった場合の収入の九割が補償されると申しますか、支払われるということになるわけでございます。もちろん共済金額の選択の仕方とか、あるいは半相殺か全相殺かということで足切りの水準が違ってくるというようなことで、その組み合わせでいろいろ違ってまいりますが、極端な場合を申せばそういうことになるわけでございます。
○菅野久光君 全く収穫がないといったような場合は、特例的なことで幾らかずつあるわけですね。ですから、これは災害があったときと補償をもらったときとでは相当農家の収入自体が違うわけですよ。ですから、これだけ掛けたから、何倍のものをもらっているんだからということだけでは、私はこの問題について農家の方々が理解をするということにはなっていかない。いずれにしろ災害を受けないことが一番いいわけなんですから、そこのところをひとつ間違わないようにしていただきたいし、また、そういうことで掛金に対して何倍もらうんだからということでは、私は説明ということにはなっていかないんじゃないかというふうに思います。 これは前も何人かの方が質問され、さらに何か理事会預かりになっているようでありますが、過去の国庫負担方式の変更の際に必ずとられていた農家負担の激変緩和のための経過措置が考えられていないのはどう考えてみてもよくわからないわけであります。私もこれらの措置が今まで議員修正で行われてきた経過は承知しているつもりでありますが、今回のように大きな負担増を農家にかけるような改正では激変緩和措置は不可欠だというふうに思うわけであります。せめてこの点は、そういう負担を農家に強いるということでの政府のせめてもの良心でもあるのではないかというふうに思いますが、まあ繰り返しになるようでありますけれども、過去の経過からすれば当然のことのように私は思うのでありますが、そのような内容になっていないのはどのような理由によるものか。納得できるような説明を伺いたいというふうに思います。
○政府委員(後藤康夫君) 激変緩和の問題でございますが、私どもも三十八年、四十六年、二回の改正当時に激変緩和措置がとられたということについては承知をいたしておるわけでございますけれども、今回の制度の見直し、改正に当たりまして、先ほど来お話のございますような超過累進制そのものを撤廃すべきであるというような財政当局の主張に対しまして、私ども国庫負担を超過累進方式ということであくまでもやっていきたいという要求をいたし、また家畜共済なり果樹共済等についての拡充という改善策というようなものとあわせまして、私ども、それから緩和措置も既に過去二回行われていたというようなことも頭に置きまして、そういうもの全体を一体として財政当局、その他関係方面とたび重なる折衝を繰り返しました結果得た結論が、今御提案を申し上げているような改正の内容であるということでございまして、いわば全体のパッケージでこの内容が決定をされているということが一つございます。 それから、三十八年、四十六年当時と申しますと、国の財政規模、また農林水産省の予算も毎年二割ずつぐらいふえていた時代でございます。年年、税の自然増収というようなことがございまして、補正も大きな額が組まれる、そういった財政事情のもとにございましたし、それからまた、三十年代あるいは四十年代と現時点では、国の財政事情、農業災害補償そのものについて見ましても、五十年代、特に五十四、五年ぐらいから後、急速に悪化をしてまいりまして、今累積の損失が、マイナスが国の段階で千九百四十九億ございます。 それに対しまして、農業共済団体は理論上の収支のプラスが二千四百三十五億、その中で、いろいろ損害防止でございますとか、あるいは無事戻しに使っておりますが、農業共済団体の積立金としても千二百八十八億ぐらいが五十八年度末に残っているというような状況にあるわけでございまして、このような状況の中で激変緩和措置を講ずるというようなことになりますと、農業共済団体の自主的な措置として実施するのであれば地域によっては可能であろうと思いますけれども、この点につきましても、共済団体の地域によりまして財務の内容がかなり違いますので、一律に、これを画一的に国が指導するということについてもなかなか問題があるということで、私どもとしてはそのような希望がもしある共済団体につきましては、ケース・バイ・ケースで御相談に乗っていきたいというふうに考えておるわけでございます。 いずれにいたしましても、三十八年、四十六年当時といろいろな意味で条件が異なっているということと、今回の制度改正につきましてのいろいろな要素、側面を全部合わせました財政当局初め関係方面との折衝の結果得た結論であるということから、国の措置として激変緩和措置を過去二回の改正のときのような形でとるということは困難であるというふうに私ども考えておるところでございます。
○菅野久光君 この問題は、いずれにしろ理事会預かりになっているようでありますから、これ以上私も申し上げません。 それではまた本筋に戻りますが、何といっても今回の改正の出発点は、どうも国庫負担率が五〇%ということから話が始まって、それからの攻防戦の中で今回のような提案ということになったわけであります。農林水産省も、本制度の役割、あるいは重要性、そしてまた農家負担を引き上げることの本制度あるいはその運営に与える影響などについて説明や反論をされた、その結果が超過累進制を残しつつ国庫負担率の上限を一〇%圧縮するということになった、そういう経過ですね。しかし、本制度の持つ意味やその重要性を大蔵当局が知らないわけは私はないと思うんですね。十分その点については御説明もしたというふうに思うんです。それを承知で財政縮減のため国庫負担率の引き下げ、一律五〇%を主張したというふうに思います。 したがって、今回、超過累進制を残しつつ国庫負担率を一〇%程度引き下げるということで話がついたとしましても、料率改定や当然加入基準の引き下げなどで何か実質五〇%になるのではないか。あるいは金額ベースで見ますと相当削減される。あるいはまた今回、そして次回に一律五〇%にすることを前提に実質五〇%に近づけておる。そういった意味での改正とも思われますけれども、その辺の事実関係はどうなんでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 私ども、今回の超過累進方式の圧縮というものが、五〇%一律あるいはそれ以下の何か一律の国庫負担というものへの中間的な措置であるというふうな考え方は全くとっておりません。そのことは、私、この関係の各方面の折衝なり調整をやりました者として申し上げておきたいと思います。 それから、当然加入基準につきましては、これは財政負担とは私ども直接関係かないというふうに考えております。もちろん財政当局の立場からすれば、強制加入の農家の方々に比べて、任意加入で入ってこられる方々については、国庫負担率に差をつけてもいいではないかというふうな議論もあったことは事実でございますが、私どもそのような考え方には同調はできないということでやってまいったところでございますので、これは国庫負担の問題とは私ども関係がないというふうに理解をいたしております。
○菅野久光君 どうも今までの政府のやり方を見ていると、何か既成事実的なものをつくっていって、それで現実がこうなんだからということでやられることがよくあるものですから、私ども疑いの目をもって見ているわけであります。よもや次回に、今言ったように、実態がそうなっているからということで国庫負担率を一律に五〇%、こんなことを提案してくるようなことはない、またそれを前提にしてはいないということを、もう一度明確にひとつ言っていただきたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、私ども今回の国庫負担方式というものの提案申し上げております内容というのが、その先にある、例えば五〇%一律負担というものの一つの経過地点である、前ぶれ措置であるというふうな理解は全く持っておりません。
○菅野久光君 全く持っていないということを、しっかり確認をしておきたいというふうに思います。 次に、農作物共済は当然加入制を採用しておりますが、これは我が国における農業災害の発生態様が極めて多種多様でありその深度も大きい、したがって、同様な危険にさらされている農業者のすべてを包括的に結合し、十分な危険分散を図ることなしにはこの制度の運営が困難であること。また、零細な我が国農業経営の現状から、災害による損失に対しても有効な保険事業が少ないこと。さらに、加入を任意とすれば、危険の程度の高い農家のみが加入するという逆選択も生じかねない、こういったようなことの理由からだというふうに思います。したがって、農家は掛金負担などに対して不平や不満がないわけではないと思います。 このようなことから、今回の改正に伴う農家の負担増などによってその不満が一層高まって、制度の運営に支障が生じることは考えられないのか。すなわち、かつて組合の解散運動も、こういったようなことではなかったようでありますけれども、あったわけでありますから、厳しい国の財政事情とはいえ、この辺の問題については相当慎重な対応が必要というふうに思われますけれども、その点についてはどのような見解をお持ちでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 今回、当然加入基準を定める政令の改正を行いたいと思っているわけでございますが、これは兼業化への進展等、近年におきます農業事情の変化の中で、農業収入に依存するところが少なく、また自家消費米の生産が主体であると見られます二十アール未満程度の規模の農家については、生産性の高い農業経営を育成するという農政の基本方向にもかんがみまして、こうした農家についてまで当然加入の対象とする政策上の意義は乏しくなっているものと考えられることから、当然加入基準の緩和を図ることにいたしたものでございます。 当然のことながら、当然加入で加入を強制しないということでございますので、任意加入という道は開かれておるわけでございますし、共済団体としては、当然新種の共済も含めて加入の維持促進を図られるということになるというふうに私ども考えておるところでございます。 農業災害補償制度は、発足当時は組合員資格を持っている者は全員強制加入というようなことからスタートをいたしまして、世の中がだんだん自由化をされてくる、あるいはまた戦後の食糧事情が緩和をしてくるという中で、過去何回か少しずつ強制の度合いを緩和してきたわけでございまして、今回の措置もその延長線上にあるものというふうにお考えをいただきたいと思うわけでございます。 なお、解散運動というようなお話がちょっと出ましたが、これはある県でございますが、かつて農業共済につきまして掛金が高い、そしてどうも共済金をもらうのが少ないということで掛金不払い運動というようなものが非常に起きましたときに、特に規模の小さい農家の方々が中心になってそういう不払い運動が起きた。そのときに理事者側が英断をもって、当然加入基準を一挙に、たしか三十アールぐらいですか、まで引き上げましたところ、その反対運動の理由は当然加入基準で、当然加入なんだから掛金がこんなに高いのは払えない、こういうことであったそうでございますが、任意加入になりましたとたんに、皆さんやはり六割近い国庫補助があってこの制度に入っておった方が得だということで、組合に対する理解が深まって掛金不払い運動が消滅をしたというような事例も聞いております。 組合なり農業共済の意義なりメリットというものをこの機会に農家の方々は十分理解をしていただく努力というものをしていただいて、任意加入の農家が十分組合で捕捉をされるという状態になれば、それはほかの当然加入制を持たない共済事業の伸長にも、またかえってプラスに働くというふうなこともあり得ないことではないというふうに私ども考えておるところでございます。
○菅野久光君 いずれにしろ、今回は大幅な引き上げということになるわけでありますから、それだけにこの制度の運営に支障が生じないように、そこのところは私も大変心配をしておりますので、ひとつ慎重な対応をお願いいたしたいというふうに思います。 次は、当然加入基準の引き上げについて伺いたいと思いますが、今回政令の改正が予定されているようであります。それによりますと、都府県について現行の十アールから三十アール、これが二十アールから四十アールに引き上げられる、この範囲内で都道府県知事が地域の実情に応じて決めることになるわけであります。しかし、農作物共済に当然加入制がとられている理由を考えますと、この方向に私は疑問を感じるのであります。 そこでまず伺いますが、今回この当然加入基準を引き上げることにされた理由は何かということであります。もう少し具体的に申し上げますと、財政当局はこの問題に関して当然加入基準を引き上げ、小規模農家、自家飯米農家に対する国庫負担については廃止または縮減すべきではないかと主張されたというふうに聞いております。したがって、今回予定されるこの政令改正は、こうしたことを前提にしたものなのかどうか。今回、任意加入との間の国庫負担率に差が設けられなかったことは承知しておりますが、意識、考え方としてどうか、明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、財政当局のお考えの中には、今おっしゃいましたように当然加入で加入を強制されていない農家につきましては掛金の国庫負担をもう少し低くしてもいいではないか、あるいは極端に言えば、任意加入の方々には国庫負担をしないでもいいではないかというふうなお考え方があったということは事実であろうと思っておりまして、お米の食糧管理の運営につきましても逆ざやの是正というようなことが言われているときに、飯米農家の米びつの中の自家飯米まで財政負担をしなくてもいいじゃないか、俗に申せばそういう議論もあるわけでございます。 しかし、先ほど申し上げましたように、今回の政令改正は、戦後の非常に厳しい当然加入の規制からそれを緩和してきたその延長線で私ども考えておるわけでございまして、これを今回の制度改正の中でいろいろな議論がございましたけれども、私ども当然加入、任意加入で掛金には差をつけないということで最後までこの問題については対処をしてまいったわけでございますし、この当然加入基準の引き上げが、国庫負担についての将来の制度改正のこれまた一つの布石ないし中間的な措置であるという理解は私どもといたしましては持っておりません。
○菅野久光君 農作物共済は当然加入を前提に成り立っている制度ですね。したがって、この引き上げによって制度の運営に支障が出るようでは困るわけであります。この基準設定の現状を見ますと、行政指導もあったようですが、これは十アールから三十アールまでということになっていますが、実際には十五アールが最低の基準になっているようですね。そこで、改正されれば今度は二十アール以下に設定することはできないわけでありますから、仮に二十アールで設定された場合どのような影響が出ますか。すなわち、県とか地域あるいは組合によって任意加入層がどのようになるのか、その比率の高いところからわかれば具体的に明らかにしていただきたいと思いますが。
○政府委員(後藤康夫君) 今お話のございましたように、政令上、下限を十アールから二十アールにしようということでございますが、実態上、現在の最下限は全国的に見まして十五アールになっております。十五アールを下限としております組合等が約三百ほどございます。この十五アールの基準の組合等につきましては、五十九年度二十アールを目標に実は私ども引き上げ指導をいたしまして、いわばそれを今度制度化しようというようなことでございますが、経過的に今十五アールとしたものでございまして、現在十五アールを下限としております共済組合につきましても指導上、二十アールというようなことをこれまでも言っておったところでございます。 なお、全国的に見ますと、水稲の引受戸数が昭和五十九年産の水稲で申しますと全体で三百三十三万六千戸おりますが、十五ないし二十アールの引受面積の戸数というのが割合にして八・七%ございます。これのうち今任意加入になっておりますのが六・八%、当然加入になっておりますのが一・九%でございますから、全国的に見ますと引受農家の一・九%程度が当然加入から任意加入に変わる、面積で申しますと〇・五ないし〇・六%ぐらい引受面積が当然から任意に移るということでございます。もちろんこれは地域によりまして、お話のようにかなり大きな差がございます。 例えば山梨県とか鹿児島県というようなところについて見ますと、影響が非常に大きく出ますところを拾ってみますと、当然加入基準が山梨県におきましては十五アールになっております九組合等が二十アールに引き上げますと、全引受戸数に対する当然加入農家の割合が、現在でも五八・三%ということで四割以上は任意加入であるわけでございますが、これが四二・六%に下がり、当然加入面積の割合は八一・九%から面積としては六九・九%に下がるというように見込まれております。この辺が率としては一番大きく出る県でございます。
○菅野久光君 今のようなお話で、それぞれの都府県で大分状況が違うわけであります。決して大都市を中心にしているとは言えないというふうに思うんです。 それではもう一つ、群馬県はどうでしょうか。また、今までお述べいただいた県あるいは組合について現在の引受率を加味した場合、全稲作農家のうちどの程度が当然加入基準以上の農家になるのか、おわかりでしたら教えていただきたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 群馬県について申し上げますと、水稲の引き受けをやっております組合等の数が全部で六十六ございますが、そのうち現在十五アールを当然加入の基準にしております組合が三十九ございます。この組合の水稲引受農家戸数の中の十五ないし二十アールの作付面積の戸数の比率というものを見ますと七・六%でございます。面積にいたしますと三・八%。戸数で七・六%、面積で三・八%が当然加入から任意加入に移行する、こういう数字になろうかと思います。
○菅野久光君 県だとか、あるいは地域における当然加入基準引き上げの影響をどう見ておられるのか。知事が地域の実情に応じて決めようにも二十アール以下には決められないわけでありますから、その辺をどうごらんになるのか。 また、任意加入の規模のウエートが高くなる地域は大都市あるいは山間部だと言われますけれども、地域あるいは組合の基盤にとって決して影響がないわけではないはずであります。すなわち、事業運営上支障がないのか。 さらに、それらの地域では稲を主体にした複合経営が考えられますが、もしそうであれば、その点で農家の経営努力などへの影響をどうごらんになるか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 当然加入基準を引き上げます場合に、当然加入から任意加入へ戸数なり面積が移る割合の比較的高いところと申しますのは、今お話のございましたように、都市近郊と、どちらかというと山村的なところであろうかというふうに思っております。 過去に当然加入基準を引き上げましたときの事例などを見ましても、ほとんど減らないところ、それから一〇%なり十数%減少しているところというようなところが正直に申しますとございまして、一様には申し上げにくいわけでございますけれども、当然加入基準未満になりました農家でございましても、これまでと同様に任意加入の道が開かれておりますし、掛金の国庫負担も当然加入の農家と同じように行われるわけでございますし、組合等が十分な加入促進のための努力なり、あるいはPRも含めましてそういうことが行われれば、本制度による経営の安定を欲します農家は引き続いて加入するものと予想されますので、大半の組合では現状をそれほど下回らない規模の保険集団が確保できるんではないかというふうに考えております。 ただ、地域によりましては、当然加入基準の引き上げのあるなしにかかわらず、都市化が非常に進行するとか兼業化、零細化が進むという中で、組合の組織基盤が既になかなか今のままでは十分維持できないというような状態になっておるような組合もなしとしないわけでございまして、そういうところは組織整備と申しますか広域合併というような形で、より広い区域を対象にしまして保険集団なり、あるいはまた加入農家の数という点で基盤のしっかりしたより広域の組合をつくっていただいて、事業の推進にさらに力をつけていただくというようなことが必要な場合もあろうかというふうに考えております。
○菅野久光君 農業事情の変化などから、小規模農家に加入を強制しておく必要もないという考え方もあるでしょうし、また農家自身加入を強制されていることに対する不満もあるというようなことなども一部にはあるんじゃないかということだと思います。しかし、組合基盤などへの影響を、ここは過去には加入率が下がらなかったからそれほど心配しなくてもいいんだというふうに言われる向きもあります。この点は、加入したくないから加入を強制されることに不満があるのではないかというようなことであれば、基準から外れれば加入しないと考えるのがある面では素直な考え方じゃないでしょうか。当然加入だから加入する、しかしその基準から外れれば加入しない、そういうのが素直な私は考え方ではないかというふうに思うわけでありますけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) いろいろ農家の方々もさまざまでございますので、そういう方も全くいないというふうには申し上げられないと思います。
○菅野久光君 それぞれの何というんですか組合の中といいますか、それぞれの地域によってかなり今度の加入基準の引き上げということでいろんな状況が違ってくるのじゃないかなというふうに思うわけです。そういう意味で、私は先ほどから、何かこのことの改正によって混乱が起きるのではないかということを心配しているわけであります。 政令では十アールから三十アールとしておきながら、実際には指導の面では十五アールということにしておいて、今度は途中で、その後ですか、二十アールぐらいにというようなことを言っていたから、今度は二十アールに上げた。ある程度既成事実的なものをつくってやらせていたからそれでいいのだというふうに何か言われているように私は思うわけでありますが、どうも私は二十アール以上にしなければならない理由がはっきりしない、そして意味もないというふうに思えるわけです。現状が行政指導などもあって十五アールを下限としているわけでありますから、せめて今回の場合もやっぱり十五アールを下限として決めるべきだというふうに思うわけでありますけれども、その基準を引き上げる理由が明確でない、制度運営の基本にかかわる問題でありますから、そのようなことでは、我々の問題でありますが、政令にゆだねておくこと自体を考えねばならなくなる、そういうふうに思うんですけれども、ひとつこの辺を明確に御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 先ほども申し上げましたように、実態上は今最下限が十五アールになっておりますのでこれを二十アールにするということになるわけでございますが、この十アールの基準の組合等につきましては、五十九年度に二十アールを目標に引き上げを指導いたしました際に一挙に二十アールにされたところもございますが、経過的に十五アールとしたところが多いわけでございまして、したがって今回の当然加入基準の政令改正は、法改正が行われます機会に従来の指導上の措置を制度化しようということでございます。 今ちょっと指導が先行して後で制度をそれに追いつかせていく、これが政令改正が行われると、また次の指導をして引き上げるのじゃないかというお話がございましたが、私ども四人家族というようなことで考えますと、十アールぐらいまでのところはほとんど自分のところでつくったお米を自分のところで食べるという、十アール余りぐらいのところまではそういう農家だと思います。二十アールといいますと、米の生産の中でも少なくとも主体は自家飯米農家ということで、そういうつかまえ方をしているわけでございまして、これまでの指導を制度化いたしますけれども、その後追っかけて、この当然加入基準についてまた新たに何か指導をするというようなことを私ども今考えているということは全くございませんので、そのことも申し上げておきたいと思います。
○菅野久光君 前は本当に十アールから三十アールのときに十五アールということで指導して、今回は二十アールから四十アールで、今度は二十五か三十ぐらいに指導しておいて、だんだん下の方を切っていくというようなことではないかというふうに私はこれから言おうかなと思いましたら、局長がみずから自分でそのような考えはないということでありますから、そのことはひとつ確認をしておきたいというふうに思います。 と同時に、加入基準の引き上げということが、これはいずれ任意加入との間に国庫負担で差を設けることを前提にしたのではないということだけははっきり言っていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど御答弁を申し上げる中でその種のことを申し上げたような気が私はしておったわけでございますが、この当然加入基準の引き上げというのが、さらにその次の何か措置として、当然加入と任意加入とで国庫負担に差をつけるための前段階の措置であるというような理解は私ども全く持っておりません。
○菅野久光君 二度も三度も確認をしておかないとどうも信用できないと申しますか、今までのいろんな経過からいって、二度も三度も本当にしつこいようですけれども確認をさせていただいているわけですので、その点はひとつわかっていただきたいと言ってもだめかもしれませんが、そういう意味合いで言っているのであります。 次に果樹共済の問題でありますが、時間もございませんので一つだけお伺いいたしたいと思います。 今までも果樹共済については加入率が余りよくないということでありますが、今回の改正による特定危険方式の導入等によって果たして加入の促進が図れるのかどうか、その辺を伺いたいことと、第二点は、前回の改正時に衆議院農林水産委員会がつけた附帯決議の中に、果樹共済制度に災害収入共済を導入することについて実験実施に万全を期するようにという内容があります。 そこで、この実験実施の経過と、さらに進めて所得共済方式の導入についてどのような検討が行われたか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 果樹共済の加入の伸び悩みは、私どもも制度をつくりましてから実は正直に申しまして悩みの種の一つである問題でございます。時間もございませんので、なぜこの加入率が高まらないかということについてのいろんな要因を申し上げることは省かせていただきますけれども、やはり加入率が低い、なかなか優良農家の方が入らない、そこでまた掛金も高くなるというようなことの悪循環というような面もあるわけでございまして、やはり果樹農家の保険需要に一番マッチをした果樹共済にするにはどうしたらいいかということを考えたわけでございます。 全体で停滞をしております中で、半相殺特定危険方式につきましては、この方式が農家の危険意識の高い特定の危険のみを共済事故として選択をできるということで、また減収総合方式に比べますと掛金率も低いということで、この加入は近年かなり順調に著しく伸びております。今回これにつきまして補償水準の引き上げをやり、また新たに対象事故として凍霜害を追加いたしますとともに、セット方式を導入するということで、専業的な果樹農家の保険需要にマッチをした特定危険方式をいわば加入促進の武器といたしまして加入の増大を図りたいというふうに考えておるわけでございます。 どのくらいのこれで加入促進が面積なり戸数で図れるのかということにつきましては、ちょっと数字を挙げてのお答えはなかなかしにくいわけでございますけれども、専業的な果樹農家を中心にしてこの方式で加入の促進をかなり図れるのではないかというふうに私ども考え、また期待をしているところでございます。 それから災害収入方式の問題でございますが、災害によりまして収穫量が減少しました農家について、収入金額の減少に応じて共済金を支払うというものでございまして、五十五年の法改正によりまして五十七年産から実施をされております。現在五件で一万一千ヘクタールの引き受けが行われまして、わずかずつ伸びておりますけれども、価格の低迷に加えまして干ばつ等の被害もありまして、五十七、五十八年の両年、団体、政府ともに若干の赤字を生じておりますが、いずれもまだ緒についたばかりでございますので、今後の動向を十分見守ってまいりたいというふうに思っております。 さらに、価格変動を加味した収入共済方式が実施できないかという御議論がよくあるわけでございますが、確かに果樹栽培農家の経営安定という面から見れば望まれる一つの考え方であろうというふうには思うわけでございますが、気象によります損失の補てんを目的とする農業災害補償制度のもとで、災害によらない一般的な価格低落による損失をも補てんする方式というのはなかなか仕組みとしてとりにくい。特に保険技術的に見ますと、農作の場合全国的に価格が下がるというようなことがあるわけでございますので、危険の地域分散あるいは危険の予測という点で保険制度になじまない難点を種々持っておるというふうに私ども考えております。 そうしたことから、今の災害補償制度のもとで収入共済方式の趣旨を最大限に生かした手法ということになりますと、災害によって収穫量が減少した農家について収入の減少額に応じて共済金を支払うという災害収入共済方式というところがぎりぎりの限度ではなかろうか。この試験的な実施の結果をもう少し経験を重ねて、私ども将来のこの問題についての判断をしてまいりたいというふうに思っておる段階でございます。
○菅野久光君 時間がございませんので簡単にお答えいただきたいわけでありますが、四十六年の改正で共済組合の区域が原則一市町村から一または二以上の市町村に改められたことによって、組合の広域化というものが大分進んでいるようであります。私はこの合併自体を問題にするわけではありませんが、この広域合併によって本制度の持つ相互扶助の精神が薄れたり、損害防止活動あるいは生産や被害の実態把握が的確さを欠くようでは困る、制度の運営自体にも支障が生じることになるのではないか、そういった心配をするわけですが、この点、共済事務の効率化とか合理化と相互扶助の精神の及ぶ区域との調和を政府はどのように考えておられるのか、簡単にひとつお答えいただきたい。
○政府委員(後藤康夫君) 私どもも、今おっしゃいました二つの要請の調和をどこで図っていくかという問題であろうというふうに思っております。広域合併を私ども進めているわけでございますが、一郡一組合を目安にということを言っておりますけれども、これもやはり地域によっていろいろ実情が異なります。当初そういう基準を通達などに書いたこともございましたけれども、現在の通達では、そういった具体的なめどというのは特に書かないという形で今やっておるわけでございます。やはり組合等が自主的に、地域の実態に即した規模で適正かつ円滑に行われるように進めていきたいというのが私どもの考えでございます。 組合と農家とのつながりにつきましても、広域化して合併されますと、事業体制が整備をされることによりまして職員の専門分化とか研修による資質の向上というようなことも図られますし、広報活動でありますとか損防、あるいは共済連絡員の活用等積極的な事業運営が期待されて、これによってサービスが高まるという面もあるわけでございまして、こういった点と、一つの地域ないし地縁を一番基礎にした共済組合の性格というものとの調和が図られるようにやっていく必要があるというふうに思っております。
○菅野久光君 時間もございませんので余りそこのところを詰めるわけにいかないわけでありますが、次に事務費の国庫負担についてでありますけれども、本年度からこれが定額化される、この点については定員削減なんかの対象にならないということでメリットがあるということが一部には言われているわけでありますが、やはり今後の社会経済事情の変化に対応した引き上げがなければ、いずれ影響が出てくるように私は思うわけでありますが、この点について政府はどのような理解あるいは見解をお持ちか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 今ちょっとお触れになりましたように、従来の個別経費の積み上げ方式でございますと、確かに職員の数だとかベースアップというようなものが予算の積算上組み込まれるということがございますが、反面、財政事情が非常に厳しくなってまいりますと、補助対象職員の定員削減でありますとか、あるいはまた、いろいろ組合が広域合併その他によりまして事務経費を節減いたしますと、積み上げでございますと、そのいわば効率化した分の効果は団体に帰属するのではなくて財政当局の懐に吸収されるというようなこともあるわけでございまして、今回定額化という形で、これを安定的な予算の仕組みにするということに踏み切ったわけでございます。 今後の見通しでございますけれども、定額化ということでございますから、当然物価なり給与が毎年変わるということに伴って毎年度当然に改定されるべき性質のものではございませんけれども、大幅な経済事情の変動などが見られました場合等必要な場合には、事業運営に支障を来すことがないように適切に対処をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○菅野久光君 この部分の定額化の積算の問題にも、大変私は問題があるというふうに思うんです。共済組合に働いている方々は公務員に準じた待遇といいますか、そういったようなことでずっと処理をしてきているというふうに思うわけでありますが、例えば五十六年から見ますと、職務手当だとか住居手当、寒冷地手当、あるいは調整手当、管理職手当、宿日直手当、超過勤務手当、休日給、こういったようなものは積算の中に入っていない。ですから、名目的には十分の八の補助率でありますけれども、こういったようなこと等を考えていくと、結果的には補助が七三%ぐらいになっているということが私は言えるのではないかというふうに思うわけであります。ですから、定額化ということで、このことが共済の運営自体に、結局その分は組合員が負担をしなきゃならぬということになっていくわけですね。ベースアップがあればそれに伴ってこれらのものについても上がるものがある、そういったようなものは組合員が負担しなきゃならないということになっていくわけでありますから、いい人材を得ることができないのではないかという人材確保の問題等もありますでしょうし、事業運営にも大きなかかわりを持ってくるのではないかというふうに思うわけです。 したがって、ここの見直しの問題ということについては、その時点その時点といいますか、一度定額化するとなかなかその定額を引き上げるということが今の段階では困難ですね。それだけに、私は共済事業の運営に大きな支障が出るのではないかということを心配しておりますから、その点についての配慮というものを十分にしていただきたいということと、時間がありませんのでお伺いをいたしたいのは、きょうの参考人の意見の中にもありましたが、どうも役所というところは、すぐ行政指導ということで通達なんかいろいろ出して締めつけるといいますか縛りつける、そういうことがあって大変困ると。いわば団体としてのその地域その地域の特性に合った創意とそれによる濶達な活動ができるように、規制の多い現在の行政指導を再検討していただくことが重要になってまいりますということが、参考人の意見でも申し述べられておりました。したがって、行政指導の大幅な見直しということが、私は実際に共済事業を運営しているそれぞれの組合の方々が望んでいることだというふうに思うわけでありますが、これらのことについてはどうかということで、あと時間もございません。 もう一つ、牛の卵の分割で、借り腹になるんでしょうか、双子の牛を産むなんというような場合の共済のそれに対する対応の仕方といいますか、そういったようなものについては何か明確になっていないようですけれども、それらについての考え方もあわせてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 定額化いたしました事務費の将来の扱いの問題でございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、大幅な経済事情の変動が見られましたような場合に、組合の事業運営に支障を生じないように予算折衝を通じまして適切に対処してまいる考えでございます。定額化されておりますのは、農業改良普及事業を初めといたしまして六十年度にも幾つかございます。定額化の連れ子が大勢おりますので、その辺とも相談をいたしまして適切に対処してまいることにいたしたいというふうに考えております。 それから、きょうの午前中の参考人の御意見の中に、行政指導を見直すようにというお話があったようでございます。実は、午前中、衆農水の方の審議で私ずっと答弁をしておりましたので直接に承っておりませんが、ひとつその団体側の御意見も私としても改めて聞かしていただきまして、見直すべきものがあればそれは見直す努力をすることにはやぶさかではございません。 それから、牛の双子が産まれた場合の取り扱いということでございますが、御質問の気持ちの中には例の受精卵の移植技術というようなことがあろうかと思いますけれども、まだこれは非常に広範に実用化したという状態ではございません。現在は肉用牛につきまして双子が産まれるというのは、確率的にかなり低い確率でございますので、技術的にそういうことが一般化をいたしました場合に、保険制度としてそれをどう考えるかという点については、その段階で必要に応じて考えていくべきことではなかろうかというふうに今のところ考えております。
○菅野久光君 終わります。
○塩出啓典君 それでは、農業災害補償法の一部を改正する法律案について質問をいたします。提案の趣旨とか背景につきましてはいろいろ論議がございましたので、できるだけそういうものは避けて質問をいたしたいと思いますが、答弁も簡潔にお願いしたいと思います。 今まで過去四年間で農林水産省の予算は約一割減っておるわけでありますが、そういう中で、私がいただきました資料では、農業共済関係の予算は年々ふえてきておる。ところが、今年はそれが減ったと、こういうことのようでありますが、どの程度六十年度の農業共済関係の予算は減少をしたのでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 農業保険費といたしましては、六十年度の予算が千五百七十五億でございます。五十九年度が千六百九億ということでございますので、約三十三億の減でございますが、主なる事務費関係につきましては定額化に移行をいたしておりますが、金額につきましてはそれほど大きな減少には相なっておりません。主として再保険特別会計への繰り入れでございます。これにつきましては、国庫負担方式の改正は六十一年度からでございますので六十年度予算には響いておりませんが、六十年度から料率を改定するということになっておりますが、その関係で料率が下がりますと国庫負担の金額も下がってくる、あるいはまた、それぞれの共済の種目ごとに事業量の伸びでございますとか、必要な積み上げの要素の変化を織り込みまして積算をいたしました結果、減少を三十数億いたしたということでございまして、事業運営上これで支障を来すというようなことは全くないものと考えております。
○塩出啓典君 今までは農林水産省の予算は減っても、共済関係は減ってなかったわけですね。今回はついに減るようになった。これはどういう意味があるんでしょうか。例えば農林水産省の予算の中でも一番共済関係は重要視していて、ついにそこまで削らざるを得ないように追い込まれてきたという、そのように理解していいでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 農業共済関係の予算は今までずっとふえてまいりましたが、今回御提案申し上げております制度改正というのは六十一年度ないし六十一年産からでございますので、制度改正には関係ないわけでございますが、全体の財政状況が非常に厳しい中で、私どもこの特別会計に対します繰り入れというようなものにつきましては、事業運営に支障を来さないようにということで必要な額はきちんと確保したつもりでございますが、一つ一つの積算の過程におきましては、やはり非常に全体の枠が厳しゅうございますので、多少今まで膨らみを持って計上しておったようなところも本当に必要な額に合わせるというようなことは多少やっております。 それを、いよいよ農業共済のところまで来たかというふうにごらんになるかどうかということは、見方によって違うと思いますけれども、農林水産省全体の予算が非常に厳しい中で、それぞれやはり事業執行に必要なものは確保しなければいけないわけでございますが、節約のできるところはできるたけ節約するということが、どのような事業であるかを問わず全般的に問われ、また行われているということは間違いのないところだと思います。
○塩出啓典君 今回のこの改正で今後どうなるのか。例えば今回も稲作共済のいわゆる任意加入の範囲が変わってきたわけですけれども、そういう任意加入の国庫負担、国庫補助金を減らすべきではないかという、こういうような意見もかなり財政当局からあって、今回は減ってはいないわけですけれども、そういうようなものが、当然加入と任意加入に国庫負担の差をつけるようなそういうようなことには将来ともにならないと、こういうように安心していいものなのか、その点はどうなんでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 今回、当然加入基準の引き上げのための制度改正を予定しておりますが、これは何と申しますか、将来この当然加入と任意加入とで国の掛金国庫負担に差をつけることへの途中の一段階だというふうな理解は私ども持っておりません。
○塩出啓典君 やはりこの共済制度というのはかなり長期的な視野に立って考えていかなくてはいけないわけでありまして、今回国庫負担割合が変更された、こういうようなことがたびたびありますと、非常に農災制度に対する国民の信頼を傷つけるんじゃないかと思うんですね。きょうの参考人の御意見も、今回は賛成はできないけれども余り反対運動はしないという、そういう我々から見ますと余りにも紳士的過ぎる御意見すらあったわけでありますが、これ以上やはり後退をしてはならない、そういう御意見じゃないかと思うんですけれどもね。そういう点、非常に環境は厳しい中にあるわけでありますが、農林水産大臣としてはどういう決意で臨まれるのか、これを承っておきます。
○国務大臣(佐藤守良君) 塩出先生にお答えいたします。 農作物共済の共済掛金の国庫負担は超過累進方式をとっているわけで、これは御存じのことでございますが、掛金率が高くなるほど国庫負担が高くなるということでございまして、水稲で五〇から七〇%、陸稲、麦で五〇から八〇%ということです。今回の国庫負担の合理化につきましては、適地適産の推進等最近における農業事情等を考慮し、また財政負担の効率化を図りつつ制度の健全な運営を確保する見地から、国庫負担の上限をそれぞれ一〇%ずつ引き下げる等の措置を講ずることとしたわけでございます。 今回の改正によりまして、農家負担掛金がその分だけ上昇することは事実でありますけれども、掛金国庫負担についての超過累進制という考え方は維持しているところであり、関係者の御理解を得て、本制度の揺るぎない運営を確保できるものと考えております。
○塩出啓典君 そこで、次に今回導入されました危険段階別の共済掛金率の設定方式の導入でございますが、これは任意で、それぞれの共済組合がどういうのをとるかということはそれぞれの判断に任されているようですが、きょうの午前中の参考人のお話を聞きましても、例えば果樹共済関係あるいは農作物共済関係、それぞれの共済制度においてこの危険段階別の導入というものに対する感触が違うと申しますか、果樹などは非常にいいという意見のようでしたし、むしろ農作物等の場合はいい意見と反対の意見があるというようなお話だったんですが、農水省としては、こういう制度が導入された場合、どの程度この制度を選択するとお考えであるのか、これはどうでしょうか。全般的というよりも、各個々に感覚でもいいと思うんですけれども、感じとして。
○政府委員(後藤康夫君) この危険段階別の掛金率設定方式の実施の問題でございますが、地域の農業事情とか、それからまた共済事業の種別にも組合の対応というのがいろいろ違ってまいるのじゃないかという気がいたしておりますので、最終的には組合員農家の意思によって決定される性格のものでございますし、数で現実的な見通しを行うことはちょっと現段階では難しいと思っております。 しかし、農作物共済については、既に地域ないし地域料率というのが特定の場合にやれる道が開かれておりまして、これが既に水稲引受組合等の半分弱で今実施をされておりますし、今度この新しい危険段階別の掛金率設定方式の中に果樹共済の無事故割引制も吸収をしようということを考えておりますが、果樹引受組合等の七%で現在この無事故割引制が実施をされており、またこれがふえる見込みがあるというふうに見ております。 それから家畜共済につきましては、現実には無事戻しが実施をされていないこともございまして、無事故割引制の導入について最近農業団体から要望も出されております。全国農協中央会からの要望でございますけれども、家畜共済について無事戻し制度の改善なり、あるいは割引掛金制度の導入を図ってほしいという要望が出ております。現在は家畜共済では病傷給付がかなり普遍的に行われておりますこととの関係、あるいは無事戻し額の算定がなかなか煩雑だというようなことがありまして、損害防止事業の実施の方にむしろ力を入れているというふうなことがあるわけでございますが、これにつきましても無事故割引なり、あるいは無事戻しというものを入れてほしいという要望がございますので、こういった面から申しますと、かなりの実施があるものと考えております。 なお、この制度の検討に当たりまして、アンケート調査等による事情調査を行っておりませんけれども、事例調査を行いましたところ、農家間の被害率とか共済金の支払い頻度につきまして相当格差のある地域も事例調査では出ておりますので、そういった需要もかなりあるんではないかというふうに見ておるところでございます。
○塩出啓典君 二点についてお尋ねをしますが、アンケート調査はやっていないということですけれども、私はこういうような制度を導入する場合には広くアンケート調査等をして農民の意識を聞くべきである。一つには、そういうようなやっぱりアンケート調査をすることによって、この制度に対する認識も深まってくると思うんですね。きょうの午前中の参考人の方で、なぜ共済制度への引受率が低いかということで、これは果樹共済の関係の方でございましたが、非常に制度が難解である、わかりにくいと、こういう点をおっしゃっておったわけでありまして、何か上の方で勝手に考えてぱっぱっと押しつけて、それから下の方に徹底していくというのでは非常に遅いわけでありまして、私は今後こういうような抜本的改正においては、農家の皆さんの協力を得るためにも、私はやはりアンケート調査をするべきである、こういう点についての御見解をお聞きしたい。 それからもう一点は、先ほどお話がありましたように、稲作共済の場合には地域料率というのが既に制度がございますし、あるいは全般的に無事戻し方式、特に果樹共済の場合は昭和五十五年から無事故割引方式、そういうものがあるわけでありまして、そういうものでなぜいけないのか。私は、そういうものを充実していけば、本来、この危険段階別の共済掛金率の設定方式を導入したその理由、それは十分満たされるんではないか、このように思うわけでありますが、なぜ今までのやつではだめでこうしなければならないのか、その点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 果樹共済の仕組みが非常に複雑だという点につきましては、永年性作物という特性から、制度の仕組みそのものがやっぱり農作物などに比べますとなかなか理解していただきにくい面があるということは私どもも自覚をいたしております。今の制度を改正するような場合に、調査ということをやりながら、またどういう制度の仕組みを考えているかというようなことの理解にも役立てるようにというふうな御指摘につきましては、私どもこれから仕事をしてまいります上で、一つの御意見として受けとめさしていただきたいというふうに思っております。 それから、無事戻しなり無事故割引によって対応できないのかというお話でございますが、まず無事戻しにつきましては、これは保険設計上の事故発生見込みと実際に起きました事故発生との差によりまして剰余金が組合に生まれる、その一部を無事故農家に還元をするということによりまして、掛け捨てから生ずる無事故農家の不満の解消を図るということでございまして、組合等に特別積立金が積み立てられているということが前提になるわけでございまして、そういう剰余が現にあり、それをどういう形で処分をするかという場合の一つの方法として無事戻しというのがあるわけでございます。したがいまして、料率におきまして、事前に徴収をいたします掛金の中で割引をする、あるいはある程度の差をつけるということとは事柄の性格が違うわけでございます。 果樹についての無事故割引でございますが、私どもこれを否定をして今回危険段階別の共済掛金率の設定を新しく導入すると申しますよりは、むしろ今の果樹共済の無事故割引制というようなものも含めて、より弾力的にいろいろな対応ができるような仕組みとして、果樹共済の無事故割引も含めた危険段階別の共済掛金率の設定方式ということを考えたわけでございまして、そういう意味では、これを否定したと申しますよりは、むしろ拡充をし、より弾力的な形で各共済の種目ごとに組合の選択によってそういうことができるような道を開くようにしたい、そういう気持ちで考え、また御提案を申し上げているところでございます。
○塩出啓典君 これは各組合が判断をするわけでありますが、何段階ぐらいに分けるのか、あるいはどういう分け方をするのか。地域別に分けるんであれば、私は今まである地域料率と余り変わらないんじゃないか。あるいは一つの組合の中から抜き取り的にAグループとBグループ、Cグループというものをつくるようになるのか、そのあたりは農水省としては全く各共済組合に任せるのか、あるいはある程度の一つの基準というか、そういうものをつくるお考えなのか、その点はどうなんでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) これは組合の意思決定によりまして、組合の選択ということで危険段階別の掛金率の設定ができるようにするということでございますので、またこれまでの国会での御議論でも、これはやり方によっては、何か農村社会とか集落に対立とか分断を持ち込むことになるんではないかというような御懸念を表明されておられる向きもございますし、私どもそういった事態が生ずるようなことは望んでいるところではございませんので、やはり地域の実態に合った設定の仕方をしていただくということで、余り画一的な指導というふうなことをやることは考えておりません。ただ、一定の基準はやはりお示しをする必要があるだろうと思っております。 掛金の細分化をいたします場合に、過去五、六年の農業者ごとの被害率というようなものを一つの指標にする、あるいはまた地域ごと、集落ごとの被害率というものを指標にする、それから被害率ではございませんで、過去五、六年の間に例えば共済掛金の支払いを受けた頻度がどのくらいか、裏から申せば、無事故年数がどのくらいかというような指標で個人をグループ分けにするといったような三とおりぐらいのやり方があるんではなかろうかというふうに考えておりますし、それから刻みにつきましても、地域料率の場合には地域に即してということでございますが、個人のグループに仮に着目をして、今までの無事故割引的な考え方あるいは過去の被害率に応じて幾つかのグループに分けるという場合にも、少ない場合は二つ、多いところでも五つぐらいのグループ分けではなかろうか。やはり公平感の充足ということが一つのねらいでございますので、余り細かく分けるということはそもそもこういった保険とか共済という思想になじみにくいことになる心配もございますし、余り細かい細分化は私ども指導上考えてはおらないところでございます。 それからまた、当然のことでございますが、細分化をいたします場合に、その料率の加重平均値がやはりその組合の料率に一致するように定めなければいけない。実際の被害率なり、あるいは無事故年数によって分けました常識的な格差以上に余り大きな格差をつけるというようなことはやはりぐあいが悪いんではないかと思っていますし、そういったミニマムの一つの枠組みというふうなものは、私ども組合に対しまして通達その他で御指導申し上げるつもりにしておりますが、その枠内でどういう方式をとるかということにつきましては、できるだけ地域の実情に応じた組合の自主性にお任せをした方がいいんではないかというふうに考えているところでございます。
○塩出啓典君 これは、ぜひ私は一つのルールというものをやっぱりつくっていただいて、そのルールの中でどれを選択するかということでないと、そういうことはございませんでしょうけれども、一部のボスが自分の都合のいいように変に変えられても困るんじゃないかとも思いますけれども、その点ひとつよろしくお願いしたいと思います。 それと、もしやってみて余り評判が悪いと、すぐ明くる年もとへ返すとか、そういうようなことはできるのかどうか。 それともう一つは、こういう制度によって、例えば引受率がふえるとか、そういう結果を予想しているのかどうか、その点どうでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 細分化を導入してみたけれども、やっぱりどうもうまくワークしないということでまたもとに戻りたいという場合には、またもとの一本の料率に戻り得るようにしたいというふうに思っております。 それから、加入率との関係でございますが、これもなかなか一律には申し上げにくいと思いますけれども、特に、もし無事故年数なり、あるいはまた被害率というようなものを基準にして料率に差をつける、あるいは割引をするというようなことになりますと、優良農家に対しては掛金負担が低くなるというようなことになりますので、例えば仮に、自分のところは相当技術的にもしっかりしているし任意加入の例えば果樹共済に今までは入らなかったけれども、今回自分のようなところには低い料率が適用されるようだから入ってみようというような農家も当然出てこようと思います。要するに、やはり公平感の充足ということでございますので、そういうことによりまして加入の促進が図れればそれにこしたことはない、むしろそうあってほしいというふうに思っておるわけでございます。
○塩出啓典君 ふえるように、ひとつよくこの改正の趣旨を徹底して、共済制度をさらに充実したものにするように努力をしてもらいたい、このことを強く要求をしておきます。 次に、当然加入基準の引き上げの問題でございますが、今回の変更によりまして二十アール以下で当然加入を任意加入に変更しなければならないという対象の農家戸数、面積、これは全体のどの程度を占めるんでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 政令を二十ないし四十アールに改正をいたしますことによって当然加入基準を引き上げることとなりますのは、現在、当然加入基準を十五アールといたしております十八都府県の三百五の組合等でございます。これらの組合等につきましては、立地条件等がさまざまでございますため一概にどのような地域とは申せませんけれども、概して申せば東日本よりは西日本に多く、また、どちらかと申しますと組織整備の進んでいない地域なり組合が多い、都市の近郊ないしは山村というようなところが比較的多くなっております。 それから、当然加入基準の変更によりまして引受戸数、引受面積が、全国のトータルの中でこれまで当然加入であった戸数なり面積がどの程度任意加入に移行するかということでございますが、戸数で申しますと一・九%、引受面積にいたしますと〇・六%が当然加入から任意加入に移行をするということになると見ております。
○塩出啓典君 特に西日本では大変小規模の農家が多い。私が聞いている範囲では、例えば鹿児島県の場合は任意加入の農家が五割、あるいは静岡、和歌山では四割、こういうことで、共済制度の基盤が崩れるんではないか。そういうことに対しては農水省の答弁は、そうならないように任意加入の人も大いに啓蒙をして共済から離れないように努力をしていくと。そういうことなら今までどおり当然加入にしておけばいいんじゃないか、任意加入にする意義が大変私はわかりにくいんですけれどもね。これを任意加入にして任意加入の方の国庫負担の割合を減らすという財政当局の意図であれば我々は反対でありますが、それなりの意義はあると思うんです。意義というか、筋は通っておると思うんですね。そういう意味で、現段階においても今までの範囲内で各県が自由に決めてきておるわけですから、そのままにして、県の判断で、あるいは組合の判断でこの範囲を決めていくという従来のやり方をとればいいんじゃないか、当然加入の範囲を縮小する必要はどこにあるのか甚だ理解に苦しむわけですが、その点はどうお考えですか。
○政府委員(後藤康夫君) これは、保険とか共済は通常は任意の契約であるわけでございますけれども、農業共済の場合には、母集団の確保でありますとか、あるいはまた逆選択の防止というような考え方も含めまして、特に戦後共済制度が発足をいたしましたころは、組合員資格を持っている者につきましては全員強制加入というようなところからスタートいたしまして、その後、社会全体が自由化をされ、また食糧需給も緩和をしてくるというような時の流れの中で、これまでも何回かにわたりましてこの当然加入基準の制度上の強制を緩和してきたわけでございます。 今回の措置もその延長線上ということで、自家飯米を主体にしている農家、そしてまた農業への依存率の低い農家にまで当然加入ということを義務づけることの政策的な意味合いというものが薄れているという判断のもとは、その強制といいますか、規制を緩和するという考え方で今回政令改正を行うことにいたしておるわけでございまして、財政負担とかそういうこととの関係で私どもこれを考えておるものではないわけでございます。
○塩出啓典君 だから農水省としては、そういう飯米農家とか面積の少ない農家は願わくは共済からは外れてもらいたい、表には言えないけれども、そうすれば結局財政負担も軽くなる、そういう気持ちが根底にあると私は言わざるを得ないんです。これはもう御答弁は結構でございますが、そのように判断をいたします。 問題は、こういう任意加入になった場合に、いわゆる逆選択というか、非常に被害の大きい農家だけが入って被害の少ない農家が入らなくなってくるということになってまいりますと、共済制度の存立が非常に危うくなってくるんじゃないか。こういう心配はないのかどうか。特に、この任意加入の戸数が半数にも及ぶ鹿児島県とか西日本の方面においては、こういう基盤が揺らぐおそれが十分あるんじゃないか、このように私は心配をするわけですが、どのようにお考えですか。
○政府委員(後藤康夫君) 今、答弁は求めないというお話がございましたけれども、任意加入に移行するということは農業共済から離れていくというふうには私ども理解してはおらないわけでございまして、要するにそういった農家にまで加入を当然加入という形で強制をする制度的といいますか、政策的な意義は乏しくなってきているということで今度の政令改正を考えておるわけでございまして、そういった農家の方々に共済から出ていってほしいというふうな考えを持っておるわけではさらさらございませんので、そこはちょっと申し上げさしていただきたいと思います。 それから、逆選択が起きたり組合の基盤が揺るがされるというようなことになるのではないかというお話でございますが、これも過去の当然加入基準を引き上げた組合等の実績から見まして、任意加入に移りました農家が少なからず引き続いて任意加入で入っておりますし、当然加入基準を引き上げることになります組合等におきまして、新種の共済も含めて加入の促進、継続の努力をなされば、多くの組合等では引き上げ後も現状をそう大きく下回らない加入農家数は維持できるものというふうに私ども考えております。 また、小規模農家であるからといって即必ずしも被害率が高いというふうには言えないと思いますので、当然加入基準の引き上げによって当然、逆選択加入が助長されるということには必ずしもならないのではないかというふうに考えているところでございます。
○塩出啓典君 次に、果樹共済の問題についてお尋ねいたしますが、農水省からいただきましたこの資料を見ましても、特に果樹共済は引受率が非常に低いわけであります。これは五十八年産の実績ですけれども、収穫共済が二六・三%、樹体共済の場合は五・五%ですね。大変低いわけであります。この問題につきまして、午前中参考人の方は、制度が非常に難解である、二番目には、非常に掛金の負担感が高い、年々高くなっている、三番目には、災害に遭ってももらう金額が予想以上に少ない、こういうことを言っておったわけでありますが、こういう引受率が低いという点について農水省はどのように考えておるのか。これが一点であります。 それで、私はこのような低い状態であれば、本当に必要なのかどうかという、そういう論議にも発展しかねないと思うんですね。やっぱり農民、農家の方のごく一部しか参加をしていない、そういう制度であれば、本当に必要であるのかどうかという客観性を問われることにもなりかねない。 〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕 そういう点から私はこの原因を究明をし、そうして少なくとも大半は参加できる結果を出していかなければいけないと思うのでありますが、そういう点、今後農水省としては引受率の上昇のためにどういう方針を考えておられるのか。これを承っておきます。
○政府委員(後藤康夫君) 果樹共済の加入率が低迷しておりますことを、今の各種の農業共済の中でこの加入率の問題というのは、今も痛烈なお話がございましたけれども、制度の存在意義というようなことにも関係してくるんではないかというふうなお話がございましたけれども、私どもこの点、農業共済制度の中でも頭を痛めている問題でございます。 加入率が低迷しております原因は、今もいろいろお話ございましたけれども、掛金が近年の被害状況を反映しまして上昇傾向にある。また、加入率が伸びないために、なかなか優良農家がどちらかというと入っていただけないというようなこともよく聞くわけでございまして、またそれが掛金の水準にはね返ってくる。それからまた、永年作物でございますので、共済責任期間が長いというようなことを初めとしまして、制度の内容が農家の御理解を農作物共済などに比べますと得にくい面がある。仕組みがなかなか複雑であるというようなことがございますし、特に執行体制が整備されておりません組合等におきましては、積極的な加入推進が難しい状況にあるところもございます。それからまた、果実の需給事情によりまして生産調整でありますとか、あるいは新品種への移行というふうなことで栽培面積が減少するとか、あるいはまた、一部では加入意欲の減退を来しているというようなさまざまな要因が絡み合っておると存じます。 ただ、これは地域ごと、樹種ごとに見ますと、かなりいろいろ差もございます。例えば温州ミカンについて申しますと、和歌山県は六〇・一%の加入率でございますが、静岡県では九・五%にとどまっておりますとか、あるいはまた指定かんきつについて申しますと、愛媛県が五九・九%でございますが、徳島県が八・五%というふうなことで、地域差もかなりあるわけでございます。 この辺も含めた分析ということになりますと、なかなかいろいろ複雑な問題も出てまいるわけでございますが、何と申しましても、やはり果樹共済について、農家の需要にできるだけマッチした、しかも何と申しますか、共済組合の側から申せば、保険として売りやすい共済にしていくということが一番大事じゃないかというふうに思うわけでございます。 今回、特定危険方式につきまして補償水準の引き上げをやり、また特定危険方式に凍霜害を追加をいたしましてセット方式を導入する、そしてまた共済責任期間の短縮の道を開く、さらにはまた、農家ごとの被害状況に応じました掛金率の設定方式の導入も行うといったようなことを合わせまして、専業的な果樹農家の一層の加入促進を図ってまいりたいと思っておりますし、これをてこにしました加入促進を図ります中で、この果樹共済をもっと加入をしてもらえるような共済にするためにはどうしていったらいいかということにつきまして、引き続いて私どもいろいろ研究もし勉強もしていかなければいけないというふうに感じておるところでございます。
○塩出啓典君 今お話がありましたように、きょうの午前中にも参考人の方からお話がありましたが、同じ制度でも県によって非常にいいところもあれば弱いところもある。これはやはり共済思想の徹底というか、また共済の関係者の熱意の違いでもあるんじゃないかと思うんですけれどもね。そういう点は、いろいろ難しい問題はありますけれども、言うべきことははっきり言って、やっぱり日本の農業をよくするためには一人一人の意識もある程度変えていかなければ日本の農業の再建はできないわけでありまして、そういう点はひとつ農水省としても真剣に、ただ表面をなでるということでなしに、もっとそういう点にはメスを入れて本当にやっていただきたいと思います。 〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕 それと、これも参考人の御意見ですが、病害虫の被害まで面倒を見るのは、これは肥培管理をよくやっている農家にとっては惰農奨励じゃないかという、こういう意見がございました。今回の改正においても、園芸の施設においてはそういう制度があったようですけれども、こういう点について今後どうするのか。 それともう一つは、例えば昨年のようにできが悪くても非常にミカンが甘くて値段がよくて逆に収入がふえる、そういうときにできが悪いからといって保険金をもらうという、一方でき過ぎたときには、豊作貧乏のときにはもらえないという、これでは本当の保険の目的にはかなっていないわけであります。それに対しては、現在災害収入共済方式というものも導入されまして、この農水省の資料では徐々にふえてはおるわけでありますが、いずれにしても私は果樹共済が加入率が少ないということは、そういう現在の制度というものが現実に合わないという、そういう点があるんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味で私は根本的に引受率がなぜ低いかということを調査をしてもっと抜本的な改革をすべきではなかったかなと、このように思うんですが、その点のお考えはどうでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 果樹の病虫害を共済で救済するということは惰農奨励になるんではないかという御指摘でございますが、病虫害の予防、防止につきましては、確かに技術というものが一定の働きをしていることは事実でございますが、しかし病虫害の中にはやっぱり長雨でございますとか、日照不足でありますとか、あるいは凍霜害などでも、これはなかなか人為をもって防ぎ得ないような自然災害がございまして、それに伴って併発して病虫害が起きるというような場合もかなりございます。そうなりますと、栽培技術の優劣だけで病虫害の発生頻度に差が生ずるというふうにはちょっと言い切れないところもあるわけでございます。そんなことで、病害虫防除等通常行うべき肥培管理が不十分なことによって発生しました被害につきましては、分割評価割合の基準を設定をしまして、これに基づいて適切な、適正な分割評価を行って、共済金の支払い対象から除外するように今指導をいたしておるところでございます。 しかし、近年におきます農業事情の変化に即応しまして病虫害を除くというやり方ではございませんで、逆に技術的に優秀な農家の本当に怖い災害は何かという、むしろそちらの方からつかまえてまいりまして、先ほどちょっと申し上げました特定危険方式は現行の暴風雨、ひょう害といったようなものに農家の危険意識の高い凍霜害を加えましてこれをセット方式で実施をする、そしてこの特定危険方式につきまして補償水準を引き上げるというようなことを、今回の改正で行いたいというふうに思っておるわけでございます。 それから、果樹共済は、宿命的にむしろ農家にとっては価格の水準というようなものの方が収入にとって大きな意味を持つので、そこに果樹共済の持っている何といいますか、農家の保険需要を本当にかき立てにくい要素があるんじゃないかという御指摘だったと思いますが、私どもも今の農業災害補償制度のもとで、できるだけ収入共済と言われるようなものの趣旨を最大限に生かしたやり方ということで、災害収入共済方式を五十七年産から試験的に実施をしているわけでございますけれども、何と申しましても、やはり災害によります損失の補償という今の制度のもとで、しかも保険という手法をとりますと、どうしても危険の地域分散とか危険の確率的な予測とかということが必要になってまいりますが、そういった点で申しますと、価格の低落というようなことはなかなか制度にストレートにはなじみにくいということがございまして、これはやはり災害補償制度の一つのどうしても限界があるところではないかというふうに思っております。 いずれにしましても、今、先生の御指摘の中で、果樹共済については今後も引き続いて実態の分析も含めて検討を進めるようにという御指摘がございましたけれども、その点につきましては私どももこれから心がけてまいりたいというふうに考えております。
○塩出啓典君 この前の委員会でも私は、制度融資を受ける条件に共済制度への加入を条件とすべきじゃないかと。けさ参考人の人に御意見を聞きましたらば、これはもうぜひ、前々から我々もそう主張しておるんだ、こういうようなお話でございますが、やはり共済制度というのは、いろんな災害に対する、そのときもやっていける危険を担保する制度ですから、当然融資を受ける条件にそれを入れるということは決して無理なことでは私はない、むしろ筋の通った話じゃないかと思うんですがね。制度融資も、言うなればちゃんと返してもらわないと困るわけですからね。そういう点は今後の方向としてはどうなんでしょうか。すぐにはできないかもしれませんが、そういう方向に進むのか、あるいは進むに当たっては何か問題点があるのかどうか、その点はどうでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) これはたしか塩出先生から金融三法の御質疑のときに御指摘があった問題であろうかと思いますが、農業共済の加入促進につきましては、今まで農業共済の世界では、やはり第一義的に制度それ自体をできるだけ農家にとって魅力のあるものにして、また農家の自発的な加入を確保するということで制度の普及の徹底なり、あるいは制度の充実に努めるということでやってまいったわけでございますが、農業制度金融の実施に当たりまして共済加入を条件としている資金もございますけれども、これをあらゆる融資あるいはまた補助というようなものについて一律に義務づけますことにつきまして果たして関係者の理解が得られるかどうか、結果的に共済未加入農家とか加入の低い地域で制度資金とか補助金が受けられないというようなことが出てこないかといったようなこともございますので、そういった制度資金等の性格に応じて慎重に検討する必要があるというふうに考えております。 いずれにいたしましても、そういった制度金融を共済の加入促進に一層有機的に結びつける有効かつ現実的な方法については、今後私どもも十分検討してまいりたいというふうに思っております。 農業共済自身が各局のそれぞれの所管物資の生産政策なり、あるいは今どういう方向にその生産を持っていこうかというような考え方と常に整合性なりマッチをした形で運営されるということが望ましいわけでございますし、そういった考え方の中で有機的に結びつける、また現実的な関係者に納得していただけるよい方法がどんなものがあるかということを検討してまいりたいと思っております。
○塩出啓典君 それから次に、農業共済事業事務費の負担金の問題でございますが、これが今年度から定額になる、こういうお話でございますが、これは私は定額とは農水省全体の予算が一定である、そういうことで、ずっと未来にわたってということなのか、何年ぐらい定額にするのか。 それと、各組合への配分というのは、組合によっては事業量のふえる組合もあれば事業量が減る組合もあるわけでありますが、そういう各組合の金額まで定額で据え置くとなれば、非常にアンバランスが出てくると思うんですよね。そのあたりはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 事務費国庫負担金の予算額は定額として設定されたものでございますので、年々の物価でありますとか給与の変動によりまして毎年度当然に改定されるべき性質のものではないわけでございまして、そこに安定的に一定の予算を確保するという意味合いもあるわけでございますが、何年というふうなことについて特に年数が決まっておるというようなものではございません。ただ、大幅な経済事情の変動などが見られました場合等、必要な場合には、共済事業の運営に支障を来すことのないように、財政当局とも話し合いまして適切に対処をしてまいりたいと考えております。 それから、あとこれの配分の件でございますが、配分は、今ちょっとお話がございましたけれども、これまでの実績をそのまま固定するということでは考えておりませんで、今までも事業規模割りと固定費用割りというようなことで一定の基準に基づいてやってまいってきておりますので、組合によりまして事業が非常に伸びるところ、あるいは停滞するところというようなのがございますので、その辺は適切にそういったものが反映されるような基準をとりまして、現実に合った配分ができるようにしてまいりたいというふうに思っております。
○塩出啓典君 今までは事業規模とか固定費用割りとか両方考慮に入れていたようでありますが、その考え方は今後変えるのか、その点はどうなんでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 事務費につきまして、これは組合等の事業規模について小さいものから大きいものまでいろいろございますので、今までも事業規模とそれから一種の固定的な経費部分に見合う部分というのとを両方組み合わせてやってまいってきておりますが、基本的には今後ともその考え方で、そのウエートをどうするというような点につきましては今後変わることがあるにいたしましても、基本的な考え方は、今までのような事業規模と固定費用割りの部分との組み合わせということでやっていく考えについては、今後もそれでいきたいというふうに思っております。
○塩出啓典君 それで、きょうの参考人の御意見として、今後の人件費のアップとかそういうものに対して国の補助はふえない。そうなってくると、当然基金の活用とかいろんなことをして活性化をして、共済制度を維持するための財源も確保し人材も確保していかなければならない。私は、共済制度の運営において、この事務職員の体制というものはこれは死命を制する非常に大事な問題じゃないかと思うのですけれども、そういうような立場から規制の緩和を要望する。何か今までは業務内容を一々承認を受けてチェックしている。これは恐らく、私よくわかりませんが、業務内容がふえてしまうと結局固定費がふえて国の方から補助金を余計とらなきゃいかぬから、そういう意味でいろいろな業務内容をチェックして、こういうことはしていかぬ、してもいいとか、そういうことじゃないかと思うのですけれども、これが全部いわゆる定額ということになれば、そういうような業務内容についての細かい承認等はもうやめて、全部共済組合の自主性に任せるべきじゃないか。 それから、基金の運用等についても、徐々に、金融の自由化の流れなのですから、それはもちろん危険はあるかもしれませんけれども、それは時代の流れですから、これはやはり私は自由に緩和をすべきではないか、このように思うわけでありますが、今後の規制緩和の点についてはどう対処するのか、これをお伺いいたします。
○政府委員(後藤康夫君) これはなかなか一概にお答えしにくい問題でございますけれども、共済団体の事務費については、事務費国庫負担金、それからまた共済団体の積立金によります利子収入その他の補助金を充当いたしまして、それで不足する場合に農家から賦課金を徴収するというようなことで全体として事業運営を賄うということになっておりますので、そういったようなことからある程度の監督は必要だというふうに思っておりますけれども、世の中の流れ全体いろいろ許認可の整理というようなお話もございますし、事務の簡素化という要請もございますので、そういった監督の必要性ということはあるわけでございますけれども、その中でできるだけ団体の自主性を尊重するなり、あるいはまた、事務手続を簡素化していくという努力は私どももやってまいらなければいけないというふうに思っております。 余裕金の運用の仕方につきましてもいろいろ御議論のあるところでございますけれども、安全性とそれから換価できるという換価性の両面から、適正に運用されますように施行規則で運用方法によって規制をいたしております。これは先ほど申し上げましたような共済団体の業務が国庫補助金それから掛金、保険料、賦課金等々の収入によって運営されておりますので、安全性と有利性の選択を考える、その運用については、有利性に多少欠けてもやはり安全性のものに比重を置くことが必要だという考えに基づくものでございます。最近の金融事情の変動する中にありまして長期的に運用するものにつきましては、やはりさらに慎重を要するような面も出ておりますけれども、情勢の動き、あるいは他のいろいろな制度におきます運用規制の動向などを見ながら、運用範囲につきましては、今後慎重に検討していきたいというふうに思っております。
○下田京子君 質問に先立ちましてお願いしておきたいのですが、私はいただけるなら二時間ぐらい欲しいと思いますが、全体で一時間ですので、簡潔に御答弁をひとつよろしくお願いします。 最初に、今回の農災法改正の経緯についてなんでございますが、六十年度予算関連法案でないものが、つまりこの農災法の改正というものは六十一年度実施ですね、なぜ六十年度予算と同時に決定したのか。これが大変異様ですし、また異例だというふうに思うわけです。何が異例なのかといいますと、昨年九月ごろからいろいろやりとりがあったというその経緯はわかりますが、とにかく十二月二十四日、大蔵原案で六十年度予算とあわせて農災制度の合理化措置の中身が内示されたということです。その中身は今さら申し上げるまでもございませんけれども、一つは、農作物共済掛金の国庫負担割合を一律二分の一にせよと。それから二つ目には、水稲共済の当然加入基準政令の下限を三十アールに引き上げよと。三つ目に、財政負担を伴う制度の拡充、改善を認めない。こういうふうに当年度の予算に関連してないものを、制度の中身にまで踏み込んで財政当局が予算で内示してきたというふうなことが、一体過去に例があるのでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 農業共済制度の改正につきましては従来から政省令なり定款等の改正、さらにはまた改正内容の普及徹底ということが必要でございますので、施行の前年に改正法律を成立させていただいているというのが従来の例でございます。 確かに先生御指摘のとおり、過去の改正でございますと、もちろん秋あるいは年末、財政当局といろいろやりとりございますけれども、最終的に大蔵省と話を詰めて案を固めるというのは二月段階というようなことが過去には例が多かったように、私夕べ急遽調べたわけでございますが、なっております。今回の改正につきましては昨年の年末は概略決めまして、さらに検討の上、法律事項につきましては二月の二十六日の閣議で正式決定の上、国会に提出をいたしたものでございます。昨年十二月に概略を決めたことにつきましては、農林水産省としましても近年におけるいろいろな状況の変化の中で、かねてから見直しにつきましては六十一年度目途に検討してきたという事情がございまして、今国会に法律を提出いたしますためにこの時期に取りまとめを行う必要があったということと、将来の財政負担に関することでもございますために、六十年度予算の折衝と同時並行して制度改正の内容を財政当局と折衝をいたしたわけでございます。 それからさらに、これは申し上げていいことかどうかわかりませんけれども、財政当局の方は六十年度からの制度改正ということを当初かなり強く主張しておった経過もございまして、それは最終的には六十一年度ないし六十一年産からの実施ということで決着を見たわけでございますが、そんなこともひとつ事情の中にはあったということは、申し上げておこうかと思っております。
○下田京子君 いろいろお話しになりましたが、はっきりしたことは、とにかく六十年度予算案に直接関連のない法案を大蔵内示の段階でもって制度の内容にまで踏み込んで中身そのものを内示してきたというのは初めてだと。 さらに、これがどういうことかといいますと、大臣にここはお尋ねしたいんですけれども、私はこれがつまり大蔵省主導、そして財政主導の制度改正であったんではないかと思うんです。なぜなら、さらに経過を述べますと、財政当局から掛金国庫負担の引き下げと当然加入の引き上げが提示されましたよね。その後、今おっしゃったように法律は確かに二月の閣議云々ですけれども、復活折衝を通じて今法律に出されているような改正内容が最終的には十二月の二十七日の早朝、六十年度予算とあわせて追加内示という格好で決着を見たんでしょう。ですから、農水省がいろいろやったとかなんとかという経緯は確かにあるでしょうけれども、こういう経過そのものを見ましたときに、まさに財政主導、大蔵主導によって今回の農災法の改正というものが出てきたと私は指摘したいんです。
○政府委員(後藤康夫君) 時期につきましては、確かにこれまでは二月に制度改正の内容を大蔵省と財政当局等を含めまして決着を見ているわけでございますが、こちらが制度改正の内容を要求いたしまして内示を受けるというやり方につきましては、今回もこれまでの改正も異なるところがないわけでございます。ただ、時期的に確かに十二月の末に行ったという点は異なるということでございます。
○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えいたします。 先生の御質問は、今度は財政当局の経費節減のためではないかということですが、今回の農業災害補償制度の改正は、農業事情それから農家の保険需要が変化してきておる。これに即応した制度の改善を求められるとともに、厳しい財政事情のもとで、より効率的な制度とすることが必要となっていることによるものでありまして、先生の御指摘の財政負担の節減の見地のみから立案したということではございません。
○下田京子君 大臣、いろいろ言われているんですけれども、私は事実経過を言ったんですよ。その評価がどうかということはまた議論に入っていくんですが、あれこれの今、大臣が言ったことは、後で農水省が理屈づけして出したことなんですよ。 それはなぜかといいますと、農水省の保険関係予算を担当した方が、六十年度予算編成の厳しさを「月刊農業共済」に紹介しています。大臣お読みになっているかどうかわかりませんが、その内容等ここにコピーして持ってきておりますけれども、かいつまんで申しますと、昨年六月保険管理課、業務課は農水省の官房にほぼ前年同額の予算を提出した。ところが、官房から五十億円を削るように指示があり、保険両課で検討して農家単位共済実施費補助金約五億円や農作物共済事業などの各種各事業勘定を圧縮して二十五億円の減でまとめ、農水省の門を出られるようになったのは八月下旬であった。さらに大蔵省提出後の九月から十二月までの四カ月間は、過去に例のない長い苦しい期間であって、我が農業共済予算は災害対策として比較的安定した予算を確保し続けてこられたが、今回ほど厳しいあらしは従来経験したことがなかった、この冬の時代はまだまだ続くだろう、こうも述べているんです。ですから、これは否定できない事実であるわけですね。 こういう格好で財政問題が優先したんでないと言っても、具体的にちゃんと述べているんですよ。しかも、この予算の冒頭のところでも、厳しい財政再建のあらしが来襲して、米の生産調整が始まった昭和四十五年以来実に十六年ぶりに対前年比を下回る事態に立ち至ったのです、こうなっている。事実なんですね。 そこでお尋ねしたいのですけれども、六十一年度実施の今回の農業災害補償法による財政的効果というものはどういうところにあらわれるでしょうか。今回の制度改正の中身とあわせてその財政負担額はどうなっているのか、プラス分、マイナス分あわせてお知らせください。
○政府委員(後藤康夫君) 制度改正は六十一年度から実施をされますので、具体的には六十一年度予算編成の問題になってまいるわけでございますけれども、現時点におきまして私どもが推計試算をいたしておりますところを申し上げますと、掛金国庫負担の合理化によりまして約五十七億円の減、それからその他の制度改正事項によりまして約十億円の国庫負担の増を試算として見込んでおります。
○下田京子君 ですから私はちゃんと言ったんです、その約十億円増の中身は何なのかと。一回で答えてください。
○政府委員(後藤康夫君) 家畜共済で肉牛の子牛及び胎児の共済目的の追加がございまして、これによりまして共済事業が拡充をされますので約四億円の増、それから果樹共済につきまして特定危険方式の拡充等で約五億円、それから畑作物共済に高級インゲンの共済目的への追加等行いますので約一億円、合計約十億円というふうに見込んでおります。
○下田京子君 改正部分は約十億円で、中身が今のような状況と。しかし、プラス・マイナスどうかといえば四十七億円の減になる。ですから、財政削減という効果がまず明確になった、これは否定できない事実であります。 そこで次に移りますけれども、果樹共済加入率の低下の原因が一体どこにあるのかということなんです。 福島県の果樹地帯であります伊達地方の共済組合に行っていろいろお話を伺ってまいりました。果樹共済の加入の話をした途端に、参事さんが困った困ったと、こうおっしゃいまして、ここは引受率のピークが五十二年、五十三年三一%だったんですが、その後どんどん低下いたしまして、六十年度、ことし現在では一七%まで落ち込んでいるんですね。そして、いろいろ苦しいけれども、ここは実際には無事故割引なんかも実施して、和歌山県なんかからも調査に来たりしているところなんです。原因が何なのかということを聞きましたら、いろいろ言われましたけれども、昔、掛金というのは桃なら一箱、リンゴも一箱と、こういうことだった。いろいろあるけれども、とにかく掛金率が高くなった、もうこれが最大の加入低下の原因なんだというふうに言われました。その辺の御認識はいかがですか。
○政府委員(後藤康夫君) これは私ども、加入率の低迷の原因の一つとしまして、近年の被害状況を反映しまして掛金が上昇傾向にあるということが要因になっているというふうに私どもも認識をいたしております。
○下田京子君 そうしますと、これは私お願いなんですけれども、今回もさっきのように部分的改善がなされました。しかし、今もお話しのように、掛金がだんだん高くなっているというのが加入低下の大きな原因だとおっしゃいましたが、そのほか例えば引き受けの方法なんかにおいてもいろんな問題があるんですね。きょうも参考人の方からお話伺いましたが、とにかく収穫というのは品種によって違う、同じ桃でもナシでも。それから、もちろん樹園地によっても違う、土地の条件によっても違ってくるわけです。だから、いろいろあるけれども、樹園地ごとの引受方式を何とか導入してもらいたい、この声が一番大きかったということを私申し上げておきます。ですから、加入が低い根本的原因についてやはりきちっとした打開策をとらないで、とにかくもう一生懸命やりますと、これだけでは実際に加入促進につながらないわけで、私が申し上げたいのは、きちっとした展望と確信が持てるように、どういうところに問題があるのか実態調査をきちっとして本格的な検討をすべきだということなんです。どうですか。
○政府委員(後藤康夫君) 今回の御提案申し上げております特定危険方式の拡充、そしてまた、それをセット方式にしまして補償水準を引き上げるということによりまして、専業的な果樹農家の保険需要にこたえる形で加入の促進を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 加入低迷の原因について、御指摘のとおり、全国的に組織立った調査は行ってはおりませんけれども、ブロックごとのいろいろ担当者の会議でございますとか現地実態調査等々種々の機会をとらえまして、直接現場で加入推進を担当しております職員の方々の御意見を吸い上げ、調査検討を行っておるところでございます。そういった中から共済責任期間の短縮というような御要望も伺いまして、今回それも措置をしたいと思っているわけでございます。 ただ、率直に申しまして、果樹共済の問題がこれで全部解決されるかということを言い切れるかといいますと、そこのところは正直申しまして、まだ果樹共済にいろいろ検討すべき問題が残っているであろうという気持ちは私ども持っております。御指摘の実態調査というようなことにつきましても、今後検討してまいりたいというふうに思っております。
○下田京子君 それはぜひお願いいたします。そうでないと、幾ら組合がその気になっても魅力ある共済にはならないんです。 次に、畑作物共済の中で特にてん菜の足切り改善のことでこれもお願いを申し上げたいんです。 北海道の芽室農業共済組合での話なんですけれども、てん菜の足切り二割を一割に改善してほしい。冷災害が連続した中でもてん菜は安定作物で、芽室町組合の場合のてん菜の共済支払いが過去どうなっているかということなんですが、五十四年はゼロ、五十五年が二千二百万、五十六年が一千八百万、五十七年はゼロ、五十八年一億三千八百万、五十九年二百万。ですから、五十八年以外ほとんどないということなんですね。トータルで見ますと、この間、掛金合計が二億二千六百万円に対して支払いの方が一億八千万円で八〇%の水準だと、こういうことも言っておりましたので、ぜひ検討いただきたい。
○政府委員(後藤康夫君) てん菜の足切りの改善の問題は、北海道からそういう御要望があることは私どもも承知をいたしておりますが、この足切り割合につきましては、畑作物共済でこの割合をセットいたしましたときに、畑作物を一つは被害率、一つはまた粗収益の中で生産費がどのくらいの割合を占めているか、所得率と言ってもいいのかもしれませんが、生産費率、こういうものを見ますと、バレイショとか大豆、てん菜、サトウキビというようなものは、生産費率が相対的に高くて被害率が相対的に低いというグループを形成しておりますし、小豆なりインゲンというようなものは、生産費率が相対的に低くて被害率が相対的に高いというグループを形成しております。 したがいまして、前者のグループは後者に比べて足切り割合を低くすることが適切であるということから、五カ年間の試験実施の実績なり関係者の御意見、掛金率等も考慮しまして現行の足切り割合が定められたわけでございます。 また、足切り水準を仮に引き下げます場合には、現行制度と比べまして共済金の支払いはもちろんふえるわけでございますが、他方、掛金も一定の算式で計算をし直さなければなりませんので、そうなりますと掛金率が増大をするということと、また共済組合の行います損害評価の労力も非常に大きくなるというような問題もあるわけでございまして、てん菜につきましては、また同じ甘味資源でございますサトウキビなりとの均衡も勘案する必要があるというようなことから、現在のところ、この補償水準が妥当なものであるというふうに私ども考えておるわけでございます。検討はいたしましたけれども、そういう結論になりまして、今回改正を御提案申し上げなかったということでございます。
○下田京子君 まあ検討はした、しかし今回は改正に至らなかった。今後も検討をすることは否定はしないのだと思うんですが、問題は、やらない方向で理由を述べればたくさんあるんです。じゃ、やれる方向でどうするかということになれば、今幾つか出しましたが、例えば損害評価といっても、てん菜は全量製糖工場に一元的に行きますから、これは労力だとか実務的に見ましても可能なんですね。それから掛金が高くなるとおっしゃっておりますけれども、現在は畑作物共済の共済掛金率で見ますと、例えばバレイショが七・二に対しまして大豆が一〇・六だとか、小豆は二三・一、大変高いんですが、てん菜は三・〇で一番低いんです。 ですから、そういうようなことも踏まえまして、いろいろ考えればできる、何よりも農家が要望していることをどう仕組んでいくかというのが大事だと思うんですよ。そのことはまた、北海道畑作の振風という点からも大事なんだということは申し上げておきます。大臣に何もお答えいただかないとあれですから、そういうこともひとつ頼みます。御検討ください。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 検討さしていただきます。
○下田京子君 それでは、今回の改正の中身になっております掛金国庫負担の引き下げの問題について何点か質問申し上げます。 掛金国庫負担の改正が過去に何度かやられましたが、大きな改正は昭和三十八年と四十六年の二回であったかと思います。これらの内容について細かく私は申し上げるつもりはありませんけれども、他の委員からも御指摘いろいろありましたが、アップ率に対して激変緩和措置などもとりまして農家の負担を軽減してきたというのも一つ事実であります。同時に、いろいろ当時の質問のやりとり等も見ますと、財政負担減ということが理由になってないんです。今回のように、財政の負担が大変だから減らすというのはどれも理由になってない。そういう意味では、国庫負担率の引き下げというのは制度発足以来戦後初めてだと私は申し上げたいんです。大臣、うなずいていますが、このことは逆に言いますと、農家負担を増加するということが大きな目的になるんだということなんです。結局、これは臨調路線の自立自助の受益者負担増という補助金カットの精神を受け継いだつまり農政版ということになると思う。どうですか。
○政府委員(後藤康夫君) 四十六年の改正のときの国庫負担方式の改正につきましては、提案理由説明の中でたしか、必ずしも生産適地とは言いがたい高被害地域に対して他の地域と比較して著しく高率の国庫負担をする結果となっていたので、米の過剰基調なり新規開田の抑制等の農業事情も考慮してその是正を図ることにしたということが述べられておりますが、今回の改正におきましても、私、前にこの場でも御答弁を申し上げましたけれども、この国庫負担をめぐります議論の中で、今大量の米の生産調整をやりながら適地適作ということで水田利用の再編を進めている中で、共済制度の国庫負担のやり方というものを、もっとそういう作目の選択という観点から見て中立的にすべきではないかという議論が一つございまして、それが理由の一つになっておるということでございますので、もちろん、現下の厳しい財政事情と全く無縁に今回の措置が決定をされたというふうに言えばうそになりますけれども、財政的な問題のほかに、そういった四十六年改正の考え方の延長線上での理由というものも合わせて今回の見直しをやったわけでございまして、戦後初めて財政負担という観点からのみこういうことが行われたというふうには私ども理解をいたしておらないところでございます。
○下田京子君 財政問題だけだとか何とか言っているんじゃないんですよ。局長、財政負担が大きな原因になっただろう、それは国庫負担の引き下げという点で今回初めてだった、つまりそれは農家負担増になった、これが大きな目的だった、これを否定できないでしょうと、こう言っているわけです。さっきも聞きましたが、積極的な効果が何かということでいろいろお述べになりましたが、米麦合計でとにかく五十七億円の国の財政負担を削減した、これはもう現実にあらわれてきている効果じゃないですか。だから、それだけ財政負担を軽減したということは、その分、農家負担に転嫁したということなんです。ここが大事なんですよ。 しかも、削減率が約一割というのも、臨調行革路線でそういう指摘がありました高率補助一割カットと言われたものにもういみじくもぴったりしておりますし、実際に水稲の場合に改正で負担増がどうかといいますと、十アール当たりで二百円、一戸当たり千二百五十円程度で、今までいろいろと質問のやりとりを聞いていますと、局長は大した農家に対して過重でないようなお話をされているんですけれども、これはとんでもない、十アール当たり稲作の所得がどうだったかという点で、水田利用再編対策が始まった五十三年度以来と比較いたしますと、この間ずっと共済の仕組みは変わってないわけです。だけれども、米価は連続的に据え置きですから年々低下の一途で、五十三年十アール当たりの所得というのは九万二千四十九円でしょう。それが五十八年はどうかというと七万八百九十六円で、実に所得では二三%もダウンしているんですね。 一方、共済の方はどうかといいますと、掛金が十アール当たり千三百七十四円から千五百六十一円と一三・六%アップしているんです。ですから、所得から見たときの負担能力、このことを考えるならば、農家の負担の増につながる掛金の引き上げということはできないはずじゃないかと思うんです。
○政府委員(後藤康夫君) 今お話ございましたように、水稲につきまして十アール当たり全国平均で申しますと、料率の改定で九十円低下になりますけれども、制度改正で二百円の増加になるわけでございます。十アール当たりの所得、米作所得との関係でのお話がございましたけれども、全国平均で申しますと、米の十アール当たりの所得は五十四年から八年の平均で約六万八千円程度でございますが、二百円の増加額というのは〇・三%程度ぐらい、もちろん現在の厳しい農家経済の中でこれだけ負担をしていただくにつきましては、私どもそれなりのいろいろな御理解をいただく努力をしなければいけないと思っておりますけれども、これによりまして著しく過重になるというふうには必ずしも考えてないわけでございます。
○下田京子君 農家の事情から見て大変なことはわかるけれども著しく過重であるとは思えないというような話なんですが、全国平均で農家負担割合が四〇・七%から四六・一%で一三・三%アップになりますね。この農家負担割合の増加は累進の頭打ち、七〇%から六〇%に引き下げられた結果、共済掛金率の高い組合ほど、つまり被害率の高い組合ほど農家負担が増加するということになるわけですね。例えば掛金率、これは局長お持ちだと思うので、数表をお持ちならちょっと見ていてくださいよ。掛金率四%の場合に現行の農家負担割合はどうかというと四二・五%ですね。改正後は四七・五%になりましてアップ率一一・八%ですね。いいですね。それが掛金率八%の場合はどうかといいますと二〇・七%アップいたしますね。掛金率一五%の場合はどうかといいますと二六・一%アップになります。いいですね。こうした被害を多く受けている農家ほど農家負担増ということが、今回の改正の理由の一つになっている適地適産とその推進ということになるんだろうか。そのことを御質問したいんですが。
○政府委員(後藤康夫君) これが、これまで超過累進の国庫負担をやっておりまして、かなり急な傾斜がついておりましたので、超過累進の刻みを圧縮いたしますと、どうしてもこれは被害率の高い、掛金率の高いところほど負担の増加率は高くならざるを得ないわけでございます。大ざっぱに言いまして、約六割ぐらいを国庫負担しておりましたので、国の負担を一割——一割ほどは減っておりませんけれども、仮に大ざっぱに一割と、こう見ますと、その分は六割の一割ということになりますと六%でございますが、これは四〇%をベースにして計算をいたしますと十数%ということになってまいるということになるわけでございます。
○下田京子君 適地適産。
○政府委員(後藤康夫君) 先ほども申し上げましたように、適地適産という場合に、じゃ何が適地かということにつきまして、私ども被害率、被害をよく受ける、また非常に深い被害を受けるということが唯一の指標だというふうには考えておりません。しかし、そのほかにも米の生産コストでありますとか、あるいは米の品質といったようなものも当然加味され考慮されなければいけない問題だと思いますけれども、適地と申します場合に一つの要素は、やはりその作物が非常によく被害を受けるか受けないかということも重要な要素であると思います。 四十六年産のときには、その点をむしろ非常に提案理由説明などでもはっきり述べておったわけでございますが、やはり適地適産ということを考えます場合に、被害率の高いところに非常に急傾斜で国庫負担を厚くするということは、適地適産という考え方との整合性からすると問題があるということは私どもも考えておるところでございまして、超過累進の刻みを今度圧縮をいたしましたのもそういう考えに基づいたものでございます。
○下田京子君 高被害率のところが適地適産云々のところで一つの指標は入るということはお認めになったわけですね。これは突き詰めていくと、米づくりはやめてほしいという考え方に結びつくのかなと思うんですよ。大変問題だと思うのは、そうしますと、実際に掛金率三〇%の場合の農家がどのぐらいあるのか、地域はどうか、農家負担はどうかということなんですが、実に掛金率三〇%の場合、農家負担は二九・三%もアップされますね。 その該当地域は、北海道の場合を例にとっていいますと、豊頃町、生田原町、留辺蘂、それから網走市、そういうところが該当するんです。きょうは参考人の方からもお話ありましたが、北海道はとにかく米と酪農と畑作が三本の柱になって、百年の他史の中で築いてきたものだ、そして米がつくれないところは畑作で、畑作もだめなところは酪農でと、こういうことまでつぶしていくというふうになると、地域経済あるいは産業に重大な影響を与え、また国土の保全という点からも大変問題だということは指摘しておきます。 その次に質問したいのは、今回の料率改定と制度改正によりまして農家はダブルパンチを受ける。つまり、特に四年連続冷害で大きな打撃を受けている北海道とか東北などの農家にとりまして、ことしの料率改定によって大幅に掛金が上がりますね。さらに、掛金率が上がったということで、今回の法改正でまた農家負担が強いられるわけです。農家負担増につながっていくわけです。水稲の十アール当たり農家負担で岩手県の場合どうかということで見ますと、資料をごらんになってください。旧料率では二千十円、これが新料率で二千四百五十円になり、制度改正で二千八百六十円、つまり五十九年比で言いますと実に四二・三%アップになります。アップ率では岩手県がトップなんです。それでアップ率第二位が北海道で、金額では北海道が第一位ですね。北海道の場合には三千三百五十円から四千七百三十円という格好になるわけです。こういうことでいきますと、災害から農業経営の安定を図るんだという農災法の目的に反することになるんじゃないかと私は申し上げたいんです。
○政府委員(後藤康夫君) 農作物共済の料率は組合等ごとの過去の二十年間の被害実績によって算定をされておりますので、最近のように被害の多発をいたしました地帯、特に五十六年から五十八年産が今度算出基礎の中に入ってくるわけでございますが、この被害が甚大でありましたところにつきましては、改定料率がかなり上昇をいたしますわけでございます。これは保険の仕組みをとっております以上はやむを得ないことだというふうに我々も考えておりますし、また、そのようなところにつきましては確かに掛金率は上がりますけれども、災害のときに多額の共済金も支払われておりますので、その辺のことも含めて、農家の方方にも御理解をいただきたいと思っておるところでございます。
○下田京子君 確かに、今言うように、災害の多いところでは共済金をもらうその割合も多いわけで、一定の共済金が被災農家の救済に役立っている、そういう点は私らも十分承知しています。 ただ、問題は、被害額のすべては補償されてないわけですね。しかも、農家経済に大きな後遺症がこの災害によって残っているということをきちんと認識すべきだということなんです。局長は、今回の改正が著しく過重な負担になると思わないみたいな話をされていますから私は次々に言っているんですが、北海道の場合に五十五年冷害でもって損害額が幾らかというと八百六十三億円、共済支払い金が三百九十五億円。ですから、その差四百六十八億円。それから五十六年、損害が一千三百十五億円、共済金が三百九十四億円、その差九百二十一億円ですね。五十八年に損害が一千五百三十一億円で、共済金が六百三十七億円で、その差八百九十四億円です。きょう午前中の参考人は、負債がふえてきている原因の一つにこれらも挙げて説明もされておりました。 ですから、掛けた掛金に対して共済金をもらった農家が何か得をしたような考え方であったならば、これはまずい。もうそういう発想は改めるべきだと思うんですよ。もう災害を起こさないように、これが何よりも農家の経営につながるんだ、みんなこれから努力をしていこうと言っているわけですからね。そういう点で、今回の改正というのは、大変経営不振な地域に対してさらに追い打ちをかけて過重な負担を強いるものだと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 私、先ほど申し上げましたのは、近年被害が甚大でありましたところについては多額の共済金が支払われたということを申し上げ、そして農家の方々にも、そういうことも含めて、保険の仕組みとルールということで料率の改定について御理解をいただきたいということを申し上げたわけでございまして、何か共済金の支払いによって利益を得たとかもうかったというようなふうに私が認識をしているということではございませんので、そこはひとつ御理解をいただきたいと思います。
○下田京子君 過重な負担かどうかの問題なんですよ。 私は岩手県の和賀地方の共済組合に行ったときの例なんですけれども、ここでは冷害によって激甚な被害を受けまして、農家の負担問題が大変深刻になってきているんです。問題は、料率の改定で旧料率が三・八%であったものが六・四%、実に一挙にアップ率でいきますと六八・四%も上がっているんです。しかし現行の掛金、国庫負担のいわゆる超過累進制度のもとでは、国庫負担割合が五七・一%から六二・二%に増大することによりまして農家負担の増というのはそれだけ緩和されている。事実ですね。
○政府委員(後藤康夫君) 岩手県の和賀地方組合につきましては、今回新たに料率算定の基礎に加わりました五十六年産以降の被害のうち、五十六年産、五十七年産の二年間が非常に高い被害率になっておりますので、この改定料率が、これはたまたま下田先生がお調べになりましたところが全国でもトップクラスのところをちょうどお調べになりまして、ここは確かにかなり大きな増加になっておるわけでございます。
○下田京子君 だから、トップクラスのところが何かまさに異例みたいな話なんですが、私がずっと言ってきたことでよくわかるように、この和賀地方が現行の国庫負担率が頭打ちにされることによって五四・七%にダウンしちゃうんですよ。そういう点で農家負担が今回の料率改定、それから制度改正と合わせて何と七七・八%、つまり八割も一挙に上がるんだということをちゃんと認識しなきゃならないし、そのことは超過累進制の根本的な考え方、つまり超異常災害部分は全額国庫負担でという、さっきも局長がお述べになりましたが、昭和三十八年以降の考え方からもずっと一応引き継いできたわけです。これが一応超過累進は残したけれども、今言ったようなことからいっても逆に被害の高いところほど負担増になるということで、超過累進国庫負担というのは名ばかりで、形はもうなくなっているとまで指摘してもいいんではないかと思うんです。 そこで、次に移りますけれども、危険段階別の掛金率改定方式の導入の持つ意味なんです。今回、保険という考え方から見れば危険の高い農家は高い保険料を負担すべきという、給付と反対給付を均衡にすべきというその公平の原則を出してきた、これはわかるわけであります。しかし、この危険段階別のグループ分けの際に、農家別の被害率はおおむね何年程度の期間をとろうとしているのか、実際に資料は整備されているのか、その点聞きます。
○政府委員(後藤康夫君) どのくらいの期間をその基礎にとるかということにつきまして、私ども過去三年ないし六年ぐらいというのが一つの考え方ではないかと思っております。こういう被害関係の共済金の支払い関係の書類というのはたしか五年間保存ということでございますので、五、六年前までは組合で資料を保存しておかなければいけないということになっておりますし、農家の公平感というようなことから申しましても、過去五、六年というようなところが一つの目安ではなかろうかと思っております。
○下田京子君 農家の公平感の話が出ましたけれども、通常、農作物共済の場合、二十年間という長期間の被害率をなぜとっているかということなんです。これは、危険段階別掛金率設定は、今言ったように三年から六年間ということで、ごく直近時の被害状況に基づいてグループ分けするというのですね。これが果たして公平だと言えるのかなということですよ。第一なぜ二十年間という長期間の被害率をとるかということなんですけれども、農作物被害が年次的に偏在して発生するため、変動の計数が多いためだということで二十年間という長期間をとるということを言っているわけです。この点から見ますと、個々の農家の被害率設定をする場合にも当てはまるわけですね。だから、第一の問題というのは、グループ分けして、危険段階別導入というときの科学的な被害率という点で問題があるんじゃないか。 それから第二番目の問題は、直近五、六年に被害を大きく受けた農家ほど災害による打撃が大きいわけですね。そういう点で、危険段階料率ということで組合の平均以上の掛金を取られることになるわけでしょう。そうですね。
○政府委員(後藤康夫君) 危険段階別ということになりますと、それが加重平均をしたものが組合の共済掛金率に一致をするということでございますから、それよりも安いところと高いところが出てくるということになるのは当然でございます。
○下田京子君 国庫負担割合は組合の基準共済掛金に基づく負担割合一律で適用される、しかし掛金の方はどうかというと、危険段階別に高い危険率を設定される。これじゃ、国庫負担の方は超過累進されないで、より農家負担だけが高くなる、こういうことになりますね。つまり、高い掛金率には高い国庫負担で高被害地の農家負担の軽減を図るという超過累進の国庫負担の趣旨が、この危険段階別の料率設定ということでもって及ばなくなっちゃうんです。そうですね。
○政府委員(後藤康夫君) こういう危険段階別の掛金率の設定をやりました場合に、国庫負担率をどうするかということはあるわけでございますが、これは従来の地域料率等、部分的にやっておりました場合におきましても、国庫負担率につきましては当該組合に適用される負担率を適用するということでやってまいりましたし、いろいろ関係者の方々から御意見を聞きますと、やはり組合員の間の何と申しますか、国庫負担率については、同じ組合の中は同じ方がむしろ組合員にすんなり受け入れられやすい、また事務的にも煩瑣にならないというようなことで、そういう御意見が強かったことを踏まえまして、当該組合に適用される国庫負担率を適用するという考えでおるわけでございます。
○下田京子君 とにかくはっきりしたことは、今回の危険段階別の料率設定、グループ分けを入れてきたのは公平の原則なんだと、こうおっしゃるわけですが、掛金の方だけ公平感を言うなら、そういうふうな格好でいって負担の方がどうなるかといいますと、本来、農作物共済の掛金は超過累進ということが及ぶようにということで設計されてきたわけです。それをもう崩してしまった。しかも、被害の高いところほど打撃が多いということで、農家経営の安定を図るという点からも逆行している。ですから、保険の理論だけが先行いたしまして、農災制度の本旨から外れてきているということはもう事実なんですね。具体的に事例を申し上げたいところなんですが、もう時間がなくなったので、このことを指摘しておきます。 次に、当然加入の基準の問題なんですけれども、当然加入と任意加入の差は一体何なんでしょうか。私は、国庫負担で今回の差をつけないということになりますと、当然加入と任意加入のその差というのは、当然加入の場合には本人が共済に入りたくないと思っても強制的に加入させられるし脱退も自由にできないということ、ところが任意加入の方は、共済に入った方がメリットがあると考えれば入れるし脱退も自由だと。この差が違う点だと思うんですよ。どうですか。
○政府委員(後藤康夫君) 当然加入、任意加入というのは、言葉どおりそういうことでございます。
○下田京子君 とすれば、農家の立場から見ますと、国庫負担が同じで加入も申し入れすればできるということですから、任意の方がいいことになるんです。では、なぜ加入を強制するかという理由なんですね。これは法解説書にも四点にわたって述べておりますが、その第一点は、我が国の作物災害の発生の態様が多種多様で、その深度も極めて大きく、そのため同様の危険にさらされている農業者のすべてを包括的に結合し、十分な危険分散を図らなければ制度が存立しないというふうなことから四点の理由をいろいろ述べておりますが、要するに当然加入をとるという意味は、つまるところ危険分散を図る、そして事業を安定させる、逆選択はさせない、保険設計上の必要性が最大のものなんですね。そうでしょう。
○政府委員(後藤康夫君) この水稲につきまして当然加入制がとられておりますのは、やはり米が農業経営の基幹をなすものでございますし、国民の基本的食糧だということ等から農業経営の安定を図りますと同時に、安定した保険集団の確保を図るということのために当然加入制をとっているものというふうに考えております。ただ、余りに零細な規模の農家にまで加入を強制することは適当でないということから、制度発足のころは組合員資格のある者は全員強制加入ということでございましたが、昭和三十二年、三十八年の法改正におきまして順次規制を緩和する改正を行ってきております。今回もそのような観点から現時点に立って見直してみた、その結果、政令改正を予定しているということでございます。
○下田京子君 個々の経緯があっても、その当然加入をとる意味は保険設計上の必要性が最大なんだということは変わってないですよね。としますと、この農作物共済の基盤となっている共済組合の実情を最大に私は尊重しなければならないということだと思うんですよ。ですから、国が一律的に自家飯米農家が主体であるとか兼業農家がふえて収入が安定しているなどというような理由でもって当然加入基準を一方的に引き上げるということは、多様な組合の実情を無視するやり方じゃないか。組合によっては、事業運営そのものが脅かされかねない内容ですよ。 そこで聞きたいんですけれども、五十九年度に十アールから十五アールの当然加入基準の組合員に対して二十アールへ引き上げを指導してきたと思うんですね。その結果どうなのかということなんですが、当然加入基準が十アールの組合はすべて十五アールから二十アールに引き上げられたと聞いておりますけれども、十五アールにとどまった組合はなぜ二十アールに一挙に引き上げをしなかったんでしょうか。その理由は何でしょう。
○政府委員(後藤康夫君) いろいろ個別の事情もあろうと思いますけれども、私ども承知いたしておりますのは、一挙に十アールから二十アールということではなくて、その中間段階として一まず十五アールにというところが多かったように聞いております。
○下田京子君 今の答弁にもありましたように、一挙にできなかったというのは組合員の事情だ、それで段階的にという話なんですが、ということは、当然加入農家のウエートが減ると事業運営が不安定になるというような理由があるんではないかと思いますよ。ですから、段階的に状況に合わせて当然加入基準の手直しをやっている組合員に対して、国が上から来年度六十一年度は一挙に二十アールにしなさい、こういうふうに言うことはまさに組合の実情無視そのものじゃないですか。経過措置をとるんですか。
○政府委員(後藤康夫君) この政令改正につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、これまで指導でやってまいってきたものを、この際、法改正と合わせまして制度化をしようということで考えておるわけでございまして、対象になりますような組合につきましては、従来から指導の際に種々こちらからもお話を申し上げ、また組合の方からもいろいろお話を伺っておるところでございます。そういう意味で全く突然な話ということではございませんので、今年度から実施をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
○下田京子君 指導で二十アールにせよということをやってきたけれども、やれなかったわけでしょう。それぞれに事情を聞いていると今おっしゃいましたけれども、それぞれ事由があるにもかかわらず、今度は一挙に国がぱんとやっちゃうというのが、まさに実情無視そのものではないのかと私は質問したんです。 それで聞きたいんですけれども、当然加入基準を二十アール以上にした場合、現在十五アールの基準の組合がどのくらいあるかというと三百五組合あるというふうに聞いていましたが、その中で当然加入農家が半分以下になる組合はどのくらいになるでしょう。
○政府委員(後藤康夫君) 当然加入戸数割合が五〇%未満になります組合等数につきまして、詳細な集計は今手元にございませんが、現在の当然加入基準のもとでもそのような組合はあるわけでございまして、今でも約三百組合の二割程度はそういった状態にございます。当然加入基準を二十アールに引き上げました場合に、当然加入戸数割合が新たに五〇%未満になる組合等は四分の一程度であろうというふうに見込んでおります。
○下田京子君 数字は幾らですか。
○政府委員(後藤康夫君) 三百五組合のうち八十二でございます。
○下田京子君 そうしますと、ここではっきりしたのは、今までもずっと皆さんの質問のやりとりを聞いていまして、任意加入になっても加入促進でいろいろやっていくということをおっしゃっているわけです、一方では。ですけれども、それは全く組合の責任に属する問題で、国の方は何をやったかというと掛金の引き上げをやりまして、現に今言ったような実態が予測がされるにもかかわらず、それをまたさらに掛金の引き上げでやるということは、脱退を推進していくようなものじゃないかと思んですよ。 米の過剰を理由にいたしまして米作減反の押しつけをやっていますし、米価抑制で米づくりの意欲がますます後退しておりますし、日米諮問委員会報告などでは米価引き下げ、そして米麦からもう転換して野菜や草花や小動物、家畜、そういうものをやりなさいよなどということが迫られているわけですよ。こういう中で、さらに米そのものまで引き下げよということになりましたら、これはまさに米いじめ政策そのもの。当然加入制度のもとで確保されてきた共済制度というものが、もう運営ができなくなっていくということが当然出てくるんでないかと予想されるんです。ですから、結局、財政当局が主張してきたように、このことは事業縮小につながり財政合理化という効果だけが残る、こう申し上げたいんです。大臣どうですか。
○政府委員(後藤康夫君) この当然加入基準の引き上げを行いましても、これによりまして任意加入と当然加入で国の掛金国庫負担に差をつけるというようなことは考えておりませんので、これによって財政にプラスが生ずるといいますか、財政効果だけがあらわれるというようには私ども考えておらないところでございます。
○下田京子君 考えているかどうかではなくて、今度の法律改正の持つ意味が何かということなんです。今までも行政指導でやってきた。それが今度二十アールから四十アールになるわけですからね。現在、例えば市街化区域は一応三十アールを目途にしています。これを行政指導という名において四十アールまでやっていくということになるとどうなるかということ。ですから、その法律改正の持つ意味というのがまさにこれは共済事業縮小になっていって、農業破壊にもつながる大変危険な内容を持っているんだということは繰り返し申し上げて、質問を終わります。
○委員長(北修二君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。 なお、本案に対する討論、採決は次回に譲ります。 ─────────────
○委員長(北修二君) 次に、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。
○国務大臣(佐藤守良君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 農業者年金制度は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金の給付を行うことにより、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するとともに、国民年金の給付とあわせて農業者の老後の生活の安定と福祉の向上に資することを目的とするものであり、昭和四十六年一月に発足して以来、農業経営の若返り、農地保有の合理化等に寄与してまいりました。 しかしながら、農村における人口構造の高齢化、兼業化の進展等により、農業者年金をめぐる状況は厳しいものとなってきております。 政府といたしましては、このような状況に対処して、農業者年金制度について長期にわたる安定的な運営を確保するため、公的年金制度の改革の方向を踏まえ、本制度がその使命をよりよく達成できるよう、給付と負担の適正化を図るとともに、農業構造の改善を一層促進するための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。 第一は、年金の給付水準の改定であります。 まず、経営移譲年金の給付水準につきましては、従来と同様、厚生年金程度の水準とすることとし、厚生年金の給付水準の適正化に即して昭和六十一年度以降二十年かけて段階的に改定することとしております。 また、農業経営の近代化と農地保有の合理化を一層推進するため、経営移譲の相手方に応じて経営移譲年金の額について一定の差を設けることとしております。 次に、農業者老齢年金の給付水準につきましては、従来と同様、経営移譲年金の額の四分の一とすることとしております。 第二は、農業者年金の被保険者資格の改正であります。 六十歳から六十五歳までの者についても、農業者年金の受給資格期間が不足する者については、受給資格期間を満たすまでの間任意加入できることとするほか、国民年金制度の改革等を踏まえて、被保険者資格について所要の規定の整備を行うこととしております。 第三は、農業者老齢年金の支給要件の緩和であります。 経営移譲年金の受給権者以外の者に対する農業者老齢年金の支給につきましては、これまで六十歳に達した日の前日において農業者年金の被保険者であることを要件としておりましたが、これを改め、同日まで農業を継続して行っていた者に支給することとしております。 第四は、死亡一時金の支給対象の拡大等であります。 経営移譲年金を受給した後に死亡した場合におきましても、支給を受けた経営移譲年金の総額が一定の金額に満たないときは、その差額を死亡一時金として遺族に支給することとしております。 また、脱退一時金及び死亡一時金の額について四%の引き上げを行うこととしております。 第五は、国庫補助の改定であります。 国庫補助につきましては、経営移譲年金の給付に要する費用の額の三分の一に相当する額の国庫負担に加え、当分の間、当該費用の額の六分の一に相当する額を補助することとし、現行の拠出時補助は廃止することとしております。 第六は、保険料の改定であります。 保険料につきましては、財政再計算の結果等を踏まえて、昭和六十二年一月分から一月八千円とし、以後昭和六十六年まで毎年八百円ずつ段階的に引き上げることとしております。 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(北修二君) 以上で趣旨説明は終わりました。 次に、補足説明を聴取いたします。井上構造改善局長。
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容について若干補足させていただきます。 第一に、年金の給付水準の改定であります。 経営移譲年金の額につきましては、保険料納付済み期間一月当たりの給付単価を昭和六十一年四月から、六十五歳までは三千七百十円、六十五歳以降は三百七十一円とすることとし、昭和六十一年度以降二十年をかけて、六十五感までは二千二百三十三円、六十五歳以降は二百二十三円となるまで段階的に改定することとしております。 また、農業者年金の被保険者その他の一定の要件を満たす者以外の者に経営移譲した者に支給する経営移譲年金の額については、差を設けることとしておりますが、その格差につきましては段階的に拡大することとし、五年で四分の一の差とすることとしております。 次に、農業者老齢年金の額につきましては、保険料納付済み期間一月当たりの給付単価を昭和六十一年四月から九百二十八円とすることとし、昭和六十一年度以降二十年をかけて五百五十八円となるまで段階的に改定することとしております。 なお、施行日の前日において年金給付に係る受給権を有していた者について、改正後の法律により算定した年金給付の額が従前の額より少ないときは、従前の額を保障することとしております。 第二に、農業者年金の被保険者資格の改正であります。 これまで、六十歳以上の者は農業者年金の被保険者となり得なかったところですが、六十歳から六十五歳までの者のうち農業者年金の受給資格期間が不足する者については、受給資格期間を満たすまでの間任意加入することができることとしております。 また、国民年金制度が基礎年金を支給する制度として位置づけられ、国民年金の適用対象が厚生年金の被保険者等にも拡大されることに伴い、農業者年金の被保険者資格の得喪に関する規定について所要の規定の整備を行うこととしております。 第三に、農業者老齢年金の支給要件の緩和であります。 農業者老齢年金は、これまで経営移譲年金に係る受給権者及び六十歳に達した日の前日において農業者年金の被保険者であった者に対して支給してまいりましたが、今回、経営移譲年金の受給権者以外の者についての支給要件を緩和し、六十歳に達した日の前日まで農業を継続して行っていた者には農業者老齢年金を支給することとしております。 第四に、死亡一時金の支給対象の拡大であります。 これまで既に経営移譲年金の支給を受けていた者が死亡した場合には死亡一時金は支給されないこととされておりましたが、これを改め、支給を受けた経営移譲年金の総額が保険料納付済み期間の区分に応じて定められる一定の金額に満たないときは、その差額を死亡一時金として支給することとしております。 第五に、国庫補助の改定であります。 農業者年金につきましては、経営移譲年金の給付に要する費用の額の三分の一に相当する額の国庫負担のほか、当分の間の措置として、保険料拠出時の補助を行ってまいりましたが、公的年金制度において拠出時と給付時の双方に国庫補助を行っている例はないこと等から拠出時補助は廃止することとし、これにかえて、当分の間、経営移譲年金の給付に要する費用の額の六分の一に相当する額を補助することとしております。 第六に、保険料の改定であります。 保険料の額は、財政再計算の結果によりますと相当大幅な引き上げを必要とするところでありますが、農家経済への影響をも考慮いたしまして、昭和六十二年一月分から一月につき八千円とし、以後昭和六十六年まで毎年八百円ずつ段階的に引き上げることとしております。 また、保険料の額は、昭和六十七年一月以後においては、法律で定めるところにより段階的に引き上げられることとしております。 さらに、農業後継者の育成確保に資する見地から、将来の農業生産の中核的担い手となることが期待される後継者につきましては、引き続き、一般の加入者の場合と比べて保険料を三割程度軽減することとしております。 第七に、厚生年金の適用事業所の範囲の拡大に伴い農業者年金の被保険者資格を喪失した者の取り扱いであります。 厚生年金の適用事業所が従業員五人未満の事務所等に拡大されることに伴い、農業者年金の被保険者資格を喪失し、農業者年金の受給資格期間を満たし得ない者が生ずることとなりますが、その被保険者資格を喪失した日以後の期間のうち農業を継続していること等の一定の要件に適合する期間については、農業者年金の受給資格期間として通算する措置を講ずることとしております。 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上をもちまして、農業者年金基金法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。 ─────────────
○委員長(北修二君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。
○国務大臣(佐藤守良君) 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件の提案理由につきまして、御説明申し上げます。 国有林野の管理経営等を行う機関として、現在、全国に十の営林局及び四の営林支局が設置されておりますが、本省等に置かれる地方支分部局の整理再編成の一環として農林水産省設置法附則第八項において営林局の統合のために必要な措置を講ずるものとされております。 これを踏まえて、政府は、国有林野事業の改善を図るため、長野営林局と名古屋営林局とを統合し、営林局を長野市に、営林支局を名古屋市に置くこととしております。 この案件は、これに伴い、長野営林局の管轄区域を現在の名古屋営林局の管轄区域を含む区域に変更するとともに、名古屋市に名古屋営林支局を設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づく国会の御承認を求めようとするものであります。 何とぞ慎重に御審議の上、御承認くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(北修二君) 両案に対する質疑は後日に 譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時二十一分散会