農林水産委員会 第12号
- 発言数
- 241 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/04/12
会議録
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○村沢牧君 繭糸価格安定法は、制定以来、今回で九回目の改正でありますけれども、法律の改正は単なる一時しのぎの措置であってはならない。特に、今回は法の目的まで改正しようとするものでありますから、政府は改正法が施行後においては、この目的を達成するために積極的な努力また対応を講じなければならないというふうに思います。 大臣は、この改正法を適切に運用することによって、蚕糸業の経営を安定させることができるという自信をお持ちですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたします。 先生御存じのとおりでございますが、我が国蚕糸業をめぐる情勢は、大変絹需要の減退を背景とする生糸需給の不均衡あるいは蚕糸砂糖類価格安定事業団における大量の生糸在庫の累積、または事業団財政の極度な悪化等により非常に厳しいものとなっております。また、このことは、制度崩壊説とか、あるいは非常にさまざまな憶測を生み、いわゆる制度不安の基本的要因ともなっております。そんなことで、こういうことが逆に生糸価格の安定を著しく阻害していることは、先生御承知のとおりでございます。 そういうことのために、今後需要増進対策の推進とか、あるいは輸入の調整を図ることにより、需給の改善を進める一方、本法律案におきましては四つの方針を決め、我が国蚕糸業の健全な発展を図りたいと考えております。 その一つは、今後とも事業団による生糸の買い入れ、売り渡し等の措置を通じて生糸の価格安定を図る仕組みを維持すること。二つ目には、生糸の一元輸入制度を現行どおりにすること。また、これまでの在庫生糸、借入金等については特別勘定を設けて整理し、これを一般会計からの損失補てんの交付金の受け皿とすること。最後に、蚕糸業振興資金の拡充を図ること等を決め、我が国蚕糸業の健全な発展を図りたいと考えております。
○村沢牧君 そういう措置を講ずることによって今後の蚕糸業の経営を安定さすことができる、こういう自信をお持ちですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 今回の法律の改正法におきましては、繭糸価格安定制度の目的が蚕糸業の経営の安定に資するものであることに変わりはなく、今後とも蚕糸業の経営実態を踏まえつつ、この目的に即した適切な制度運営を図ってまいりたいと考えております。
○村沢牧君 改正の内容は、農蚕園芸局長の諮問機関である繭糸価格安定制度に関する研究会、この研究会の報告を尊重して立案されたというふうに思いますけれども、どうですか。 また、この研究会報告は、これからの蚕糸行政の基調になるものであり、つまり農水省の蚕糸政策の基本的方向を示すものである、このように理解してよろしいですか。
○政府委員(関谷俊作君) 御指摘の研究会でございますが、これは繭糸価格安定制度に関する研究会ということで、昨年の報告をいただきまして、これは内容的には最近の蚕糸業をめぐる厳しい情勢にかんがみまして、学識経験者の参加により客観的な立場から、今後の蚕糸業それから繭糸価格安定制度のあり方について検討を行った上でいただいたわけでございまして、我々といたしましてもこの研究会の性格は局長の私的諮問機関ということでございますので、拘束されるものではございませんけれども、我々としましても、これだけの御検討をいただいたので、蚕糸対策、今後の基本方向を検討する上に当たっての一つの指針というような形で受けとめてまいっております。
○村沢牧君 研究会の答申といっても、その原案は農蚕園芸局でつくって検討してもらったというふうに思うわけでありますが、そこで、私は昨年の十一月八日の当委員会でこの研究会報告について若干の指摘をしたところでありますけれども、繰り返して私見を申し上げるならば、その内容は、事業団の赤字解消に主眼点を置いて基準糸価及び繭価の引き下げを誘導しておる。また、養蚕家や製糸業に対しては規模の縮小や合理化を求めている反面、愉人規制や需要増進、流通改善対策については抽象的な言い回しをしているにすぎない。このような答申を今後の蚕糸行政の基調、指針にすることによって、我が国蚕糸業の危機を克服し将来の安定に資することができる、このように思っていますか。
○政府委員(関谷俊作君) 研究会報告の全体の基調でございますが、これは御指摘がございましたけれども、決して事業団在庫の増大ということ、あるいは事業団財政の問題ということだけではなくて、そういう在庫に象徴されますような近年のやはり生糸の需給の不均衡、いわばその原因はどこにあるか、長期的な意味で対策はどうか、こういうようなことで御検討いただいたわけでございまして、結論は、今回御提案していますような繭糸価格安定制度の根幹は維持すべきである。また、一元輸入制度についても、いろいろ意見はあるけれども今後も当面やはり継続する。こういうようなことも含めまして、全体的に繭糸価格の安定に関する制度について御検討いただいた、こういうふうに受けとめておりまして、全体の姿としまして、ただ事業団在庫という問題の対策に追われての報告と、こういうふうには私どもは受けとめておらない次第でございます。
○村沢牧君 この研究会の報告の内容がすべて悪いというわけじゃありませんけれども、しかし流れている思想、考え方は、今後の我が国の養蚕なり製糸業をだんだん縮小させていく、縮小は避けて通れない、こういう形になっているわけでありますから、私はこういう点については納得がいかないし、こういうことを基調にして今後の蚕糸行政を進めることについてもこれは納得がいかないわけでありますが、この内容についてはまた逐次これから指摘をしてまいりましょう。 そこで、今回の改正によって事業団の在庫処理について特別の措置を講じた、この面は評価できる点もあるといたしましても、異常変動防止措置の廃止あるいは農水省の蚕糸業に対する基本的な考え方がどうもはっきりしておらない。あるいはまた、改正法の運用などについて養蚕家及び蚕糸団体は不安な気持ちを持っているということは、過日の参考人調査でも多くの人から述べられているところであります。こうした不安を取り除くためにも、農水大臣は今後の蚕糸業行政の基本的な考え方をいま一度明確にし、そして法の運用に当たっては、我が国蚕糸業を発展させるということを第一にした適切な対応をしなければならないけれども、大臣、蚕糸業発展の政策、決意を重ねてひとつ示していただけませんか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今回の法律改正後におきましても繭糸価格安定制度の目的が蚕糸業の経営の安定に資するものであることに変わりなく、今後とも蚕糸業の経営実態を踏まえつつ、この目的に即した適切な制度運営を図ってまいる所存でございます。
○村沢牧君 そのような見解、決意を大臣が持っているとするならば、そのあかしとして次のことを明らかにしてもらいたい。 まず、生糸の需要、国内生産量、輸入量、繭の生産量の見通しをここで示すべきだ。六十五年度を見通した長期計画も大幅に狂っており、近く改定しなければならないことは当然であるけれども、とりあえず現時点でこの五年くらいな見通し、誘導計画を明らかにすることは、法案提出者の責任であるというふうに思いますが、どうですか。
○政府委員(関谷俊作君) これは繭糸価格安定制度の研究会の中でも議論がされたわけでございます。やはり今後の養蚕蚕糸政策の見通しとしまして、五年とかそういう中長期の需給面の見通しを持つべきだと、こういう議論もし、また私どももこれまで検討してまいったわけでございますが、全体として見ますと、一番出発点になります絹内需の全体の大きさ、これが非常に見通しがしにくいわけでございます。そうは言っても、従来の傾向からどうなるかということになりますと、なかなか長期見通しで見通したような線ではもうとてもまいらないわけでございまして、全体として見ると、昨年、生糸換算で大体三十万俵を割り込んでおりますが、もっとさらに下の方、二十万俵に近い方の線にさらに落ち込んでいくのではないか、こういうょうな見通しがされるわけでございます。 そこに我々の需要増進の努力というものが加わるわけでございますし、お尋ねの中にございました輸入と国内との振り分け、こういう問題につきましても、これからの輸出国との協議等によりまして極力輸入の抑制を図るように努力していく、こういうような要素も加えますと、なかなか総体の需要の大きさについても若干見通しの難しい面、国内、輸入、その振り分けの面についても、さらにこれからの政策努力に待つべき面、こういう面がございまして、そういう見通しの必要性は私どもも痛感しておるのでございますが、なかなか確定的な見通しというのが立てにくいのが現状でございます。
○村沢牧君 法律改正をして今後の蚕糸業を安定させる、先ほど来大臣の決意で述べられているとおりであります。関係者の不安をなくするといっても、ここ五年間くらいの見通しが立たないようなことであって不安をなくすることができるというように思うんですか。また我々としても、この法律が改正後どうなるかわからないようなことであっては、審議を促進することはできないじゃないですか。国会が法律を審議するのに、そんな無責任なことはできない。十年とは言わぬですよ、この五年間ぐらいな生産がどうなのか、あるいはまた消費がどうなるか、その見通しがなくちゃこの法律を出せないじゃないですか。はっきり言ってくださいよ。
○政府委員(関谷俊作君) 今回の法律提案につきましては、私どもとして日本の蚕糸業の経営の安定を図るということで制度の骨組みを維持する、こういうことが先決であるということで、新しい制度の立て方について工夫をいたしまして御提案をしたわけでございますが、その場合に、五年後というような需要の見通しにつきましては、先ほども申し上げましたが、一つの推測ということでございまして、従来の和装需要の減退傾向をそのまま伸ばしますと、どうもそのままで申しますと二十二、三万俵ぐらいのかなりきつい線が出てまいります。しかし、これは洋装需要は大体現在と同じぐらいというふうに置いておりますので、これからの和装の需要減退のいわば食いとめの努力、それから洋装面での需要増進の努力、こういうものを加えますと、なかなかそういう需要を確定的に出しにくいと、こういう状況でございます。 そうかと申しまして、一方、従来非常に需要を大きく出したために実態との食い違いがあったという、そういう面の慎重さも期さなければならないのでございまして、これからも関係者といろいろ相談もしながら、これからどういう方向で政策努力も加味しながら需要及び生産を誘導していくか、こういうことについて引き続き検討することにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○村沢牧君 この法律案が成立をしてしまったら養蚕の減反や生産調整がされる、また糸価や繭価が下げられる、輸入はふえる、そのようなことがあったとするならば、何のための法改正であったのかと言わざるを得ないんです。 じゃ、五年先の見通しがわからぬということだったら、三年先の見通しを出してください。ともかく法律案を審議するのに、来年どうなるか再来年どうなるかわからないことじゃ、審議はできないじゃないですか。
○政府委員(関谷俊作君) そういうことで、現在の状態での前提を置きますと、これは大体五年先の水準でございますけれども、総体の需要がやはり二十二、三万俵と、こういうようなことになってまいるわけでございます。ただ、これを確定することが今後の生産誘導の上で非常に厳しい線という点でいいかもしれませんけれども、反面、我我のこれからするような需要増進の努力という政策努力の面が、この場合には全くと言っていいほど考慮されておりません。 そういうことで、見通しの必要性は痛感するわけでございますけれども、政策的な影響、政策面からの影響等も考えますと、非常に確定が難しいということで、法律案はそれではどういうことなのかと、こういうお尋ねでございますが、法律案につきましては、繭糸価格安定制度を新しい姿で堅持をする、その根幹を堅持するということで、仕組みを今回御提案をするというようなことで、これがやはり当面の制度不安をなくすということではまず第一着手として必要なことであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
○村沢牧君 法律を改正して価格安定制度等も変えていく。しかも、研究会の報告では、これから養蚕製糸は縮小せざるを得ないと書いてある。ですから、関係者は不安なんですよ。この法律ができたらそんなに縮小されることはありませんとか、現実縮小させるならこういうふうになりますということをはっきり言わなきゃ、審議にならないじゃないですか。農水省の資料を私は持っていますけれども、これには需要の予測がありますね。今、局長から答弁があったように、六十五年には需要は二十二万から二十三万四千になるという資料がありますね。これだったら、これだけ需要を落とすならばあとは国内生産でどうするんだ、輸入はどうするんだ、あるいは事業団の売り渡しはどうするんだということで、おおよその数字は出てくるんじゃないですか。ですから、私はきょうここでそんな質問をしたんじゃないんだ。去る九日の委員会にこの資料の提出を要求していたんですよ。それが、あなたたちは全然資料も出してこないじゃないですか。はっきりしたことを言ってくれなきゃ、これ以上審議を進められませんよ。
○政府委員(関谷俊作君) 今の二十二、三万俵というのは、これは根拠になっております、ベースになっておりますのは、民間の調査機関に委託したわけでございますが、その全体の需要の見通しの考え方は、和装需要については大体横ばい、それから洋装については引き続きカジュアル着物の需要減少が続く、こういうことでその辺の水準にならざるを得ないということで見込んでおるわけでございます。 ただ、行政的にそれを確定するかどうかの問題は別にしまして、次に輸入の問題につきましては、これは御承知のように、絹製品と生糸の輸入と両方含めた全体での規模がどのくらいになっていくかということを想定するわけでございまして、これが相手国もございますのでなかなか難しい。現状のところでは、資料等でお配りしていますように、輸入が糸換算で、大体内需向けのものが五十八年で十万俵台になっておりますが、これが生糸、絹織物、二次製品、これで全体で幾らになるか。我々としてはできるだけ抑制するように通産省も御努力いただきたいと、こういうふうな気持ちでございますけれども、なかなか確定が難しいので、やはりそういう現状規模よりさらに圧縮が可能かどうかと、こういうことも含めて考えますと、おのずから生糸の国内生産については、現在の大体五十八年が十九万八千俵でございますけれども、この線よりもう少し生産としては規模を小さくしていくという見通しにならざるを得ないわけでございます。 ただ、繰り返しになりまして恐縮でございますが、この辺の見通しを何か公的に確定するということが現状ではなかなか政策的な面なり、輸入交渉の面なりございますので非常に難しいと、こういうことでございます。
○村沢牧君 もう少し明確な答弁をいただかなければ私は納得できないんだ。だから、これだけの法律改正を出すんなら、あるいは研究会でも研究したんですから、少なくとも五年先ぐらいはどんなことになるだろうと、その検討や見通しがなくて将来の養蚕がどうなるということは言えないじゃないですか。 ですから、はっきりまた言いますよ。今話があったように、六十五年には二十二万から二十三万四千になるという調査、これは皆さんがこのとおり認めているわけですね。しかし、輸入が現在十万だ、それを減らすことができない、輸入によって国内需要がどうなるかわからぬというような答弁ですが、それが間違っていると思うんですよ。国内需要がこれだけあるから足らないところを輸入するというのが基本的な考え方じゃないですか。局長、もう一回答弁してください。いいですか。需要はこれだけある、輸入は十万俵、これは輸入は今までどおりいっても十万俵だと。そして、事業団の売り渡しは年間どのぐらい見るんですか、六十五年までに。そうすると、国内生産幾らと出てくるじゃないですか。その数字に基づいて言ってください。
○政府委員(関谷俊作君) これはあくまでも現段階での私どものただいま申し上げました需要予測に対応したことになるわけでございますけれども、全体が二十二、三万俵、まあこれは大体六十四、五年ぐらいのあたりになろうかと思いますが、六十四年あるいは六十五年あたりで二十二、三万俵といたしますと、輸入については現在がトータルで生糸、絹織物含めまして十万俵前後でございますので、これはまあ本当の仮置きでございますけれども、これをこのままの水準で減らせない、こういうふうに仮定いたしますと、国内の内需につきましてはやはり十二、三万俵というようなかなりきつい線が出てまいるわけでございます。 これが非常に、言ってみればかなりかたい方の見通しと、こういうことになるわけでございますが、こういうようなことは、現段階でいえば相当きつい線として腹の中に持っていなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございまして、研究会等で生産規模の縮小は避けられない、こういうことを書いておるのも、そういうような一つの見通しと申しますか、推定と申しますかに基づくかなりかたい線、これが頭の中にあるからであると、こういうふうに私ども理解しておるわけでございます。
○村沢牧君 局長の答弁を総合してみると、国内生産は現在約二十万俵、それが六十五年には十二、三万俵になってくると。私もそういう形になるんではないかといって心配しているんですよ。ですから、そういう形でやって日本の養蚕はやっていけるんですか。日本の製糸はやっていけるんですか。ですから、局長なり大臣の考え方は、輸入がどれだけある、まずは輸入を考えて、足らないものを国内で生産をしていくと。逆なんですよ。国内生産をまず考えて、そして国内生産でどうせ不足をするんですから不足するものを輸入してくる。そういう考え方でなきゃ、今後の蚕糸行政の政策は成り立たないじゃないですか。大臣どうですか。大臣、答弁してください。大臣、どっちを先に考えるんですか。輸入から先に考えるんですか、国内生産から先に考えるのか、どっちを考えるのか。
○政府委員(関谷俊作君) これは私どもの頭の考え方の過程の問題、プロセスの問題でございますが、総体の絹需要がどのくらいになるだろうかという想定がまず第一。その次に輸入か国内かについては、別に輸入を先決と置くわけではございませんけれども、従来の輸入交渉の経過から見ますと、我々は、国内、内需がこういうふうに縮小するので輸入についても抑制方の協力を相手国に求める、こういう基本線で対応しております。 ただ単純に、輸入がそういう国内の内需は応じて、これは協議でございますから、話し合いでございますので、内需の縮小のテンポに応じて減っていくというような交渉が成り立つかどうか、こういうことについての見通しが非常に難しいということで、まあ悲観的にと申しますか、現状程度の水準ですと、やはり十万俵台のところで輸入が推移してしまう、こういうふうなことになるわけでございまして、輸入先決というわけではございませんけれども、やはり輸入についてはそういうふうな交渉ベースを中心にして決まってまいりますので、どうしてもそれがどこまで圧縮可能か、こういうようなことが一つの問題として先に出てまいる、こういうような状況にあるわけでございます。
○村沢牧君 それでは今、局長が言ったように、六十五年見通しで、今二十方俵の国内生産が十二万俵ぐらいになる、かたく見て。その場合に繭はどういうことになりますか。繭は現在では十二万の規模だ、繭は何トンぐらいになるんですか。
○政府委員(関谷俊作君) 十二万俵に見合います繭生産量は大体四万トンぐらいと、こういうことはなっているわけでございます。
○村沢牧君 そうすると、五十八年度でもって六万一千トンの繭を生産した、それから六十五年に十二万俵の生糸が必要だ、それで減ってくる、そうすると繭は四万トンになってしまう。これは大臣、どう見たって国内の生産を減らしていくということじゃないですか。どう思いますか。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。 この予測はたしか民間の予測ということで、まだ我が省でいわゆる推計、長期見通しを立てたものでございません。 私は、実は今聞いておりまして、輸入はこれから最大限抑える努力はしなきゃいかぬと思っております。その方法につきましては、また通産その他とやりたいと思いますが、私は絹のこれからの消費拡大は実はずっとやっておりますが、かなり将来明るい見通しを持てるんじゃないか、率直に言いますと、そんな感じもしております。そんなことで、今、先生のおっしゃるように少なくはならない、こういう感じがしておるんですが。
○村沢牧君 私も少なくなることを期待しているわけじゃないんですよ。これは大臣、民間の調査だと言うんだけれども、民間の調査があてにならないと言うのなら、農水省が調査して出してくださいよ、需要量について。これをもとにしてあなたたちはいろいろ検討しているんでしょう。農水省の調査を出してくださいよ、将来の絹の需要の見通しについて。
○政府委員(関谷俊作君) この民間機関の調査は、農林水産省が委託しまして、これはいろいろそういう新しい需要予測についてはかなり専門的な機能も有する、それから特に繊維関係についてもかなり蓄積のある機関の、委託によるモデルによる予測でございます。 今、大臣も申し上げましたが、この二十二、三万俵、大体五年先ぐらいで二十二、三万俵ぐらいではないかという、これは大体洋装については現状維持というふうに置いているわけでございます。これがいろいろな政策努力において内需、洋装部面が拡大してまいりますと、その分だけ大きくなる。ただ、洋装は御承知のように、全体の絹需要のわずか一割程度しか占めておりませんので、大きくなったとしても、その影響はそう目ざましいものではないわけでございます。そういう点では、やはりかなり不確定要素を持っている。我々としては、和装を中心で洋装が伸びない場合の需要としては、この二十二、三万俵がかなりかたい線であろう、民間調査機関がやったわけでございますけれども、我々としてもそういう手法から見ると、その辺のところでかなりかたく見なければいけないだろう、こう考えておるわけでございます。 なお、そういうようなこと、かたい前提からしますと、繭の生産面については大体現状の、五十九年五万トンでございますが、それよりはやはり多少緩やかな生産規模の減少をいわば誘導する、こういうようなことになっていくわけでございます。 なお一方、これは全体の内需の中で事業団在庫についても、やはり総体の国内需要の中に適宜位置づけをして処理をしていく、こういうことがもう一つの政策課題であるわけでございまして、そういう面も考えると、非常に今後の繭生産の規模については、かなり厳しい方向で誘導していかなければいけないと考えておるわけでございます。
○村沢牧君 今までいろいろ繰り返して申し上げてきたんだけれども、こういう法律改正をしても国内の生糸、繭は減産をしていくんだ、そのように誘導していくんだ。ですから、そこに農水省の姿勢があるんだから、方針があるんだから不安でならないんですよ。 次は、今回の法改正で異常変動防止措置を廃止した、このことは生産費を保証する法的根拠がなくなってしまったことでありますけれども、農産物の価格の決定は、再生産が可能な水準を保証していく、これが原則であるというふうに思いますが、この改正法施行後においては、生産費をどのように考慮して価格を決定していくんですか。
○政府委員(関谷俊作君) 生産費の考慮の仕方でございますが、これは今後の価格安定制度が、現在の基準糸価に見合うものが新制度では安定基準価格になるわけでございまして、その辺の考え方につきましては、やはり一つは、新制度におきましての法律のねらいとしまして、目的に蚕糸業の経営の安定ということがございます。それから価格決定基準につきましても生産条件ということが書かれておりまして、その中で、生産費は一つの重要な要素として考慮に入るわけでございますが、ただ、これは考慮の仕方については、従来の安定制度の運用によります基準糸価の決定の方式におきましても、また従来の異常変動におきます生産費基準のとり方につきましても、需給事情等を考慮しながら生産費のうちの一部の部分をカバーする、こういうような考え方もとっておったりいたしますので、やはり全体としては、一口に申しますれば需給の均衡を図りながら、生産費等の生産条件についても生産の継続が可能なような、全体の需給の均衡の中で生産が続くといううような考え方でこの価格決定に臨むということが新制度の趣旨であろう、こう考えておる次第でございます。
○村沢牧君 今後の価格決定は、需給事情、内外の価格差、生産事情、その他の経済事情などを総合的に判断をして決めるということになるというふうに思いますが、その場合に、政府が輸入抑制措置を講ずることができなく、また流通改善や消控拡大対策が進まないために需給事情が好転をしない場合、あるいは新価格安定措置で買い入れなければならない生糸の量が多くなってきて財政負担が増大をするような場合、また事業団の損失補てんの金額が多額になって財政負担がこれまた増大するような場合においては、安定基準価格並びに基準繭価は現行の基準糸価や繭価よりも低くなる、このことが予想されますが、そんなことは絶対にありませんか。
○政府委員(関谷俊作君) 今回の価格決定の基準としましては、生産条件その他の経済事情ということで諸般の状況が考慮されるわけでございます。我々としましては、具体的な価格水準のあり方についてはやはりそのときどきの需給の推移を見て、生糸年度ごとにこれはいかなる水準が妥当か、こういうことを具体的に判断すべきものというふうに考えておるわけでございまして、現時点での今後の見通しはどうか、こういうことになりますと、やはり昨年の期中改定後間もないわけでございますし、実質的に期中改定後六十生糸年度は初年度でございますので、やはり全体の水準としては現行水準を維持しながら新年度に臨む、こういう考え方が実際的であろうと考えておる次第でございます。
○村沢牧君 私は、そんなことを聞いているんじゃない。六十年度の糸価は一万二千円、これは堅持するのは当然のことなんです。私は今四点ほどの例を挙げたんですね、こういう場合にはどうかと。四点について一々そちらで答弁は要らないけれども、そのような事態が発生した場合においては将来現在の糸価が下がってくる。そういう心配を私はするんですが、そういうことはないんですか。
○政府委員(関谷俊作君) これは将来の問題としますと、やはり需給事情の推移によって現行水準を維持できるかどうか、現行水準について引き下げというような事態が全くないということは言えないと思います。ただ、我々としましては、あくまでも現時点に即して考えますと現在の一万二千円を堅持していきたい、こういう気持ちでおりますが、将来の可能性としては、これは需給事情に応じまして改定と、こういうようなこともこの制度の趣旨から申しますと全くないという、可能性としてないというわけにはまいらないと考えております。
○村沢牧君 研究会報告がまとめている内外価格差を縮小する、そのためには農水省は国産生糸の価格を下げるように誘導する、こういうことが予見されますが、そういうことはありませんか。
○政府委員(関谷俊作君) 内外価格差という問題は、やはり価格決定に際して、広い意味でのその他経済事情の中の一つにはなるというふうに考えられるわけでございますが、ただ現在の生糸の貿易状態等から見ますと、やはり生糸の内外価格差が相当ございますと、それに応じて外国の生糸を使った絹織物が入ってくる、こういうようなことで影響がございます。そういう意味で、一つの国産価格の面ではこれが内外価格差の縮小ということが大変大きな課題である、こういうふうに考えているわけでございまして、ただ我々として内外価格差を何年間で機械的に、あるいは計画的に縮小する、こういうような考え方ではございませんけれども、何とかしてこれは縮めていく、外国が上がればよろしいわけですが、日本の生糸価格にとってもこれが非常に厳しい条件になっている、こういうことは常に頭に置いておかなければいけないと考えております。
○村沢牧君 そこで、今までの質問、答弁を総括しますと、国内生産は今後縮小やむを得ない。あるいは価格については需給事情その他の経済事情をしんしゃくしてくると、今の一万二千円を将来にわたって守っていくことは保証できない。また、内外価格差を縮めるためにはこれまた糸価を下げなきゃならない。つまり生産も縮小するけれども糸価も現在以上上がることはない、下げなきゃならない可能性の方が強い。そういうことですね、結局は。
○政府委員(関谷俊作君) 今私のお答えしました中の、非常に政策努力をするわけでございますが、簡単にはうまくいかない面だけを、最悪の事態を取り上げますと今御質問にあったようなことになるわけでございますが、我々としてはそういうことのないように需要の増進あるいは養蚕経営のコストの合理化、こういういろんな面も含めまして、価格安定には万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。
○村沢牧君 この安定措置によって、将来安定基準価格は下がったとしても実勢糸価が下がらなければいいんです。実勢糸価が下がらないという保証がありますか。できますか。
○政府委員(関谷俊作君) これは実勢でございますので、需給事情、取引事情に応じて決まってまいりますので、我々としては価格安定制度を堅持する、こういうような我々の努力も含めまして実勢糸価が維持されるように、下がらないようにと、こういうことの努力を続けてまいりたいと考えております。
○村沢牧君 実勢糸価についてもどうなるか見通しも立たない。農水省の答弁を聞いておると極めて不安だらけになってくるんですけれども、その問題を追及しておっても時間もたちますので次に移りますが、五十九年度の繭の生産費は幾らになりますか。いろいろ言いわけは要らないから、数字だけ答えてください。
○説明員(大坪敏男君) 五十九年産の繭の生産費についてでございますが、現在、本省段階で調査結果の取りまとめ作業を急いでいる段階にございます。何とか来週末か遅くも再来週初めまでには取りまとめを終わり公表いたしたいと考えておるわけでございまして、したがいまして、本日ここでその調査結果につきまして御説明できる状況にはございません。若干のお時間をおかしいただきたいと存じます。
○村沢牧君 糸価は毎年三月末に決めておったんですね。従来の年には、三月末に生産費ができている。生産費が出なきゃ糸価も決められない。ことしはこの法律を改正した後において糸価は決めるんだから、生産費の調査も慌てなくてもいい、そんなずさんなことをやっちゃいけないと思いますね。今まで三月末に決まっておったんだから、四月になって今日までまだ決まらないことでは、全く何というか、法律を通してから糸価を決めようという魂胆が最初からあったから、そういうことなんですね。 ですけれども、今はっきりしないということで、追及してみても数字が出ていなければいたし方ありませんからね。じゃ、五十八年度の生産費は幾らですか。
○説明員(大坪敏男君) 五十八年産の繭の生産費でございますが、一キログラム当たり生産費で申し上げますと三千四百二十八円でございまして、対前年増額といたしましては八十五円、対前年増率といたしまして二・五%というふうになっております。
○村沢牧君 五十八年度の生産費は三千四百二十八円であった。その生産費をもとにして安定法上の生産費は幾らになっていますか。
○政府委員(関谷俊作君) 二千三百四十三円でございます。
○村沢牧君 五十八年度について見ても、繭一キロ生産するのに三千四百二十八円かかっている。これは農水省が発表しているとおりなんです。ところが、いろいろな係数を用いて操作をして、安定法上は二千三百四十三円にした。この二千三百四十三円を基準にして基準糸価は一万四千円、基準繭価を二千五十円に決定をした。ところが、期中改定、全く暴挙とも言われる措置でありますが、これによって基準糸価を一万二千円、基準繭価を千七百五十五円に下げてしまった。五十九年度の生産費についてはまだわからないということでありますが、私の推測するところによれば、五十九年度も五十八年度に比べてそんなに生産費は下がっていないだろうと思う。この生産費を考慮して六十年度の価格算定をしたならば、恐らく基準糸価は一万二千円以上になってしまうだろう。どういうふうに思いますか。
○政府委員(関谷俊作君) 現在、中間安定におきます基準糸価の算定においてとっております需給調整係数方式というので、五十六年以降それにより算定する価格を中心にしておりますが、中心というかそれを用いてやっておりますが、この場合には、生産費としては前年の生産費は対する新しい年の生産費の変化を指数であらわしましてそれを取り入れる、こういうような意味で入ってくるわけでございまして、これが生産費の世界の中で、前年よりも上昇率が見込まれるということになれば、要素としましてはその中に引き上げ要素として入ってくるわけでございます。ただ、全体の需給調整係数方式の場合のほかの要素の取り方によりまして、結果がそのまま価格の引き上げにあらわれる、こういうことでは必ずしもないわけでございます。
○村沢牧君 ですから、今度法律改正をして、今までのようなこういう計算方式でなくても需給事情とか経済事情にうんと重点を置いて糸価を決定することができるんだと、こういうふうに法律改正をして、それに基づいて六十年度の糸価を据え置きにしようとしている。ですから、農水省の何をやっていくかということがここらではっきりするわけなんです。 そこで、大臣聞いてください。先日、参考人調査をやったんですが、養蚕家代表の群馬の宮田さんは、繭価はどうか二千三百円ぐらいにしてもらいたい、二千円を割ったら養蚕は成り立たない、こういう切実な訴えをしておったんです。繭の生産費は五十八年度でも三千五百円かかる。しかし、基準繭価は今度は千七百五十五円、これも将来下がることはあっても上がることは期待できない、これは今までの答弁の中でおのずから明らかになったと思うんですよ。こんなことで、大臣、安定制度が残っても養蚕が産業として存立することができるというふうに思うんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。 現行の行政改革のもとで養蚕農家が厳しい状況のもに置かれていることは否定し得ません。ただ問題は、生糸需要の大幅な減退等によりまして、蚕糸業全体が未曾有の難局に直面しているときでもあり、蚕糸業の長期的安定の面をあわせて考えますと、この際まことに厳しい事態ではございますが、経営の合理化をさらに推進しコストを引き下げていただくよう、頑張っていただきたいと考えております。
○村沢牧君 経営の合理化を図りコストの引き下げをする、専業養蚕農家でも二千円を割ったらもう採算が成り立たないと、はっきり言っているんですよ。ところが、政府は期中改定なんかやって、基準繭価といったって二千五十円を千七百五十五円に下げちゃったじゃないですか。こんな行政で、こんな誘導方法で本当に養蚕が成り立つでしょうか。もう一度大臣に、大臣の気持ちを聞きたいんです。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えしますが、村沢先生御存じのことでございますが、一番問題は消費の拡大が望めないと……
○村沢牧君 それは聞きました。聞きましたから、私の質問に答えてください。
○国務大臣(佐藤守良君) そんなことで、それがなぜ売れないかといういろんな理由の中の一つに、生糸が高いという点もあるかと思います。そんなことで、国もできるだけ努力するけれども、やっぱり養蚕農業の皆さんにももうひとつ踏ん張って合理化してもらいたい、このようなお願いをしているわけでございます。
○村沢牧君 そういう答弁をいただくんではなくて、大臣、政治家として考えてみてくださいよ。ですから、三千五百円ぐらいかかったけれども、いろいろ係数をぶっつけて、それから調整をして、安定法上は幾らですか、二千三百四十三円、これは農水省だって認めた数字じゃないですか。それが二千円をもう割っているんです。実質が割っている。基準繭価は千七百五十五円、これでは養蚕はやっていけませんね。どうでしょうか、大臣。それは需要の問題とか何とかということじゃなくて、政治家として考えてみて、これで養蚕をやっていけるというように思いますか。事務的なことはいいですよ。政治的な判断ですよ。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 先生のおっしゃる意味もわからぬではございませんけれども、今の養蚕をめぐる情勢、特に生糸の非常に厳しい現況を考えた場合に、何とか養蚕農家の皆さん方にもひとつ御努力願ってコストの引き下げをお願いいたしたいと、このように考えております。
○村沢牧君 ちっとも質問に答えておらないんですが、どうですか、もっと率直にお答えをいただいた方が審議も進んでいきますよ。そんな言いわけはいいですよ。 そこで、今度新しい法律で大臣にうんと期待をしているんです。この改正法によって基準繭価は農水大臣が政策価格として決める。したがって、参考人の意見を聞いても、佐藤大臣が決めてくれるんだから今度はいい値段に決めてくれるだろう、我々が困るようなことはないであろうといううんと期待感を持っているわけですね。だから、今度は大臣が決定するんですから、大臣は、生糸や繭の価格は生産費を償って再生産が可能な価格を決定していく、このことはお約束できますか。大臣が決定するということが法律になるんですから、今度は。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 基準繭糸価格等については、生産条件を考慮することはもちろんでございますが、蚕糸業の経営の安定という目的に反するような価格決定が許されないということは当然と考えております。そんなことでございますが、しかしながら蚕糸価格安定制度は、価格の安定を通じて蚕糸業の経営の安定に資するとともに、生糸需要の増進を目的とするものであり、生糸がこのような海外の生糸、絹繊維や他繊維等との競合にさらされている現況を考慮し、適正な水準に価格を決定すべきであると考えております。
○村沢牧君 そうすると、法律改正をして、今までは事業団が決めておったけれども今度は農水大臣が決めるということになっても、それほど皆さんが期待をしているようなそういうぐあいにはいかないということですな。どうですか。大臣が決めてくれるんだから、大臣は農業のことをよくわかっているから今度はいい価格に決めてもらいたいという大きな期待感を持っているんですけれども、どうなんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 今、先生に申し上げたとおりでございまして、生産条件を考慮することはもちろんでございますが、蚕糸業の経営の安定という目的に反するような価格決定が許されないことは当然と考えており、そんなことで適正な水準に価格を決定すべきであると考えております。
○村沢牧君 それではまたことしは据え置きでしょうけれども、その後にどんな適正な水準に決定していただくか見守っていましょう。もっとも、そのころ大臣がいるかどうかは知りませんけれども、まあそれはいいですよ。余分ですよ。 それから、今までの答弁を聞いておりまして、結局、今度の改正によって異常変動防止措置とそれに伴う法律規定を削除するということは、今後安定基準価格を下げることによって事業団の買い入れを抑制していく、あるいは売り渡しをふやして需給の穴を埋めていく、また、この価格を抑制することによって製糸と養蚕を縮小させる、ここらが今回の改正案の本当のねらいじゃないんですか。したがって、その結果は、すべて製糸と養蚕にしわ寄せがされるんです。農業を守る立場、あるいはまた養蚕は我が国農業の中で重要な産業でございますといって先ほど来いろいろ言っている農水省の大臣としては、こんな施策を行ってはならないというふうに思いますが、どうなんですか。
○政府委員(関谷俊作君) 今回の制度改正のねらいでございますが、今お尋ねございましたような、決して価格を下げるために、あるいは生産を縮小させるために、輸入を大いにするために、こういうために改正するわけではございません。我我が一番念頭にありましたことは、昨年の価格推移に見られますようないわゆる制度不安ということで、あのとき大変先物価格などが下がりまして、もう繭糸価格安定制度は将来維持できないのではないか、あるいは一元輸入制度などももうこの際なくなってしまうのではないか、そういう大変な不安がございました。そういう不安を解消するためには、やはりこの際繭糸価格安定制度全体を見直しまして、その根幹を堅持するということで制度を立て直す、またそれに従いまして、従来の在庫については特別勘定により整理しまして一部国からの補てんも始める、こういうひとつ制度を立て直す姿勢を示し具体的に法律案にそれを具体化する、こういうことが一番大事であるというふうに考えたわけでございまして、お尋ねのような、こういう点で専ら日本の蚕糸業を何か縮小に追いやる、こういうことのために改正したのではないわけでございます。
○村沢牧君 局長のその答弁はそのように受けとめておきましょう。しかし、結果的にはそういうことになるんですよ。そういうことにならないように、これからの施策を強く要請をしておきたいというふうに思います。 そこで、農水省は、養蚕業を維持するために収繭量一トン規模以上の中核養蚕農家を育成し、複合経営で安定をさせる、あるいは主産地形成をするために高能率生産事業の規模を拡大してこの基盤整備を図っていく、こういう答弁をしておるところでありますけれども、次の点について伺いますから、これについて簡単に答弁してください。 一つは、一トン未満の生産者が全養蚕農家数の六〇%も占めている。これはどういうふうに今後誘導していこうとするんですか。 二つ目には、山間急傾斜地の桑園をどのような作目に転換をしようとしているんですか。 三つ目、主産地の形成はどのような地域を対象にし、その規模はどうか。どういう事業を実施しようとするんですか。 四つ目、低コスト養蚕経営を進める必要があるということ、私もそのことは認めますけれども、しかしその内容は決して容易ではない。具体的にどのように指導し誘導していくんですか。 以上、四点についてお聞かせいただきたい。
○政府委員(関谷俊作君) 最初の一トン未満の小規模農家につきましては、これは一トン規模程度でも同じでございますけれども、やはりこれは我我としましてはできるだけ一トン以上というような一つの部門としての最低規模に達していくように誘導いたしたいわけでございますが、同時に、それ以下の養蚕経営についてはやはり地域で複合化によりまして所得を確保していく、こういうようなことで、我々としましてもこういう複合化に使えるような桑園育蚕施設高度利用技術導入資金というようなものを五十九年度から農業改良資金の中に設けたりいたしておりますが、こういう小規模養蚕農家の地域養蚕の中での一つの位置づけと申しますか、こういう点についても十分配慮してまいりたいと考えております。 次に、作目の転換の問題でございますが、これは従来の傾向を見ますと、実際的には野菜、果樹等の園芸作物への移行が多いわけでございます。これについてはなかなか我々としましてこういう作目にということを上から押しつけるわけにもまいりませんが、我々としましては、現在の養蚕から見ますと大変大事な問題でございますので、その地域はおきまして従来つくられているもの、あるいはその農家としてつくられているもの、こういうものを少し拡大をしていく、こういう方向で、経営の中にほかの部門をいわば拡大していくというようなことで誘導したいと考えておりまして、昨年もそうでございましたが、こういう養蚕規模の転換等が必要な場合には関係の融資等、あるいは特別事業を仕組んだりしまして、作目転換については十分配慮をしてまいりたいと考えております。 三番目に主産地形成でございますが、これは従来高能率養蚕地域ということで指定してまいりまして、その指定基準は桑園三十ヘクタール以上の地域ということでやってまいりましたが、どうもやはり集中的な養蚕地域の育成のためにはこの規模では少し低いのかもしれない、こういうような問題が出てまいりましたので、これを例えば六十ヘクタール以上というようなことで引き上げまして、さらに団地化については考え、こういうところに基盤整備、それから機械化導入、それから稚蚕共同飼育所その他の地域施設の導入、こういう助成措置を集中してまいりたいと考えております。 四番目に低コスト養蚕でございますが、このポイントは、やはり一番大きな点は、桑園の肥培管理を十分にしまして、十アール当たり単収、これは現在非常に落ちてきておりますので、この単収を上げ、確保しながら効率化を図っていくというのが第一点。 それからもう一つは、労働時間の短縮という意味で、省力新技術、例えば条桑刈り取り機とか簡易飼育装置とか、こういうものを導入して効率的な作業体系を確立すること。 それから三番目には、いわゆる規模拡大でございますが、これも御承知のように、いわゆる買桑、桑の売買とか、それから既存桑園での一部賃貸借による規模拡大等も見られておりますので、こういう方向をさらに助長するということで、今般の農業改良資金の中の無利子資金の養蚕技術総合改善資金の創設とか、こういうようなものを含めまして、この低コスト化への誘導を進めてまいりたいと考えております。
○村沢牧君 局長の答弁も抽象的であって、こうあってほしいという理想を述べているにすぎないというように思うんですが、もちろん私は養蚕経営を画一的に農水省がどうすべきだと押しつけることも困難であるというように思うんです。そこで、私の県の実態に即して、今こういうことを皆さんが検討しているということを一、二申し上げますので、これが養蚕経営の根本的な解決方法だと私は思っておりませんけれども、農水省の見解を聞きたいと思うんです。 一つは、養蚕のコストを下げるために主産地のもっと基盤整備ですね、これを積極的に進める、このことについてどういう方針を持っているのか。 二つ目には、桑園に蚕室を分散させてコストを下げる、つまり現地飼育の技術開発を急ぐべきである。 三つ目には、先日も私はここで参考人にもいろいろと意見も聞いたんですが、蚕も桑も品種改良はやっているわけですけれども、その中で桑の品種改良が大変におくれておる。五十年も前の品種しか今実際にはない。もっと研究技術を促進して、現場におろす体制を早急に整備してもらう。試験研究機関でやっていることは承知しているけれども、何年やっても試験研究機関で研究しているだけであって、現場におりてこないじゃないですか。これをやっぱり急がなきゃいけないと思います。 それから、養蚕の高齢者が非常に多くなってきておる。高齢者は飼育はできるけれども、採桑、桑をとることが大変なんです。そこで採桑のヘルパーとも言われる制度ですね、こういうのをつくったらどうかという、あるいはつくろうということで今検討されておるんですけれども、これについて農水省はどういうふうに考えるか。また、それが発展をしてくれば補助あるいは助成とか、そういうことを考えているのかどうか。 以上、四点について。
○政府委員(関谷俊作君) 四点お尋ねございましたが、基盤整備の問題については、従来の補助事業としましては、先ほどの高能率養蚕地域に集中的に実施します養蚕産地総合整備対策事業の中に桑園基盤の再改良整備も織り込んで推進をしておりますが、今年度からは今回の改正を御提案しております農業改良資金制度の中の養蚕技術総合改善資金の中で土壌改良、桑品種の改良、それから桑園地力の増強、こういう面も含めました一連の技術を総合的に導入する場合には無利子資金の道を開くということで、これは十五億円の貸付枠も予定しております。これらの事業を組み合わせまして、なかなか十分とはまいりませんけれども、一番基盤をなしますコスト引き下げにとって重要な基盤整備を推進してまいりたいと考えております。 次に、現地飼育の問題でございまして、これは正直に申し上げまして、私どもにとってはこれからの研究課題といりような感じが強いわけでございますが、お尋ねにもございましたように、長野県の養蚕主産地経営改善対策事業の中でもこういうようなメニューをかなり実態に応じて取り上げておられる。飼育上蔟施設を山間地において桑園に隣接して設置する、こういうようなことも承知しておりますが、この辺の問題、もちろん先生よく御承知のように、夜間における飼育環境の問題とか上蔟の際の管理がうまくいくかどうか、こういう問題もあるわけでございますが、コスト低下という面では条件によりましてはかなり使えるというか技術でもあろうと、こういうことでございますので、今後の問題としまして県それから蚕業技術指導所、こういうところを通じましてこの辺の問題についても十分取り組むように、こういう指導をいたしたいと考えております。 次に、品種改良でございますが、これも先生よく御承知のように、現在は一ノ瀬と改良鼠返しという二品種で八割ぐらいを占めておりまして、品種のいわば更新が余り進んでおらないわけでございますが、ただ、最近は国の試験場におきまして も大体、ここのところ少しございませんけれども、一年に一つあるいは二年に一つぐらいのテンポで命名登録されるような新品種を出しております。 それからもう一つ、最近のいわゆる新植、植えつけの本数割合を見ますと、いわゆる在来品種の一ノ瀬、改良鼠返し等が五十八年で見ますと植えつけ本数の中の五八%ぐらいでございまして、四二%ぐらいがしんいちのせほかの新しいものになっております。こういうようなことでもございますので、やはり品種の改良については、先ほど申し上げました養蚕産地の総合整備事業なり農業改良資金なり、こういうものの中で新品種の普及についても十分取り組んでまいりたい、こう考えております。 それから、四番目の採桑ヘルパーについては、これは私ども、かつてから酪農ヘルパーというのがございましたが、採桑面についてのヘルパーの御提言は、私自身としましては今回お聞きしましたのは初めてであるというような実情でございまして、これをどういうふうに取り組むか。地域の老齢者、退職サラリーマン、こういうような方たちの遊休労働力を使う、こういうような面からもなかなか注目すべきアイデアというふうに感じられるわけでございまして、この制度化上の問題あるいは推進上の問題、いろいろあろうかと思いますが、これは全養連等の生産者組織ともよく相談をしながら何とか取り組む方向で、この取り組み方について今後検討さしていただきたいと思います。
○村沢牧君 それぞれの県、地域では、養蚕を振興するためにいろいろなことを研究してやっているわけなんです。大臣は、養蚕家ももっといろいろ勉強してもらいたいようなことを言っておるけれども、現地はやっておるのですよ。 そこで、このように主産地形成をしていく、あるいはまた中核農家を育成していくという、農水省が指導するとするならば、今後養蚕の計画生産だとか生産調整、こんなことは農水省の方では打ち出さない、そういうことがお約束できますか。つまり、昨年の場合を見ても、これは長野県の例でありますけれども、こんな計画生産はしなくても二〇%も減っているのですよ。六十年度は生産調整をしないことはわかっているけれども、六十一年度以降においてもせっかく主産地形成をするのですから、生産調整なんということは、減産なんということは農水省は打ち出さない、そういうお約束ができますか。
○政府委員(関谷俊作君) 六十年度あるいは六十一年度の問題としまして、先ほど御議論もございましたような厳しい需給事情でございますので、我々としてなかなか繭のいわば生産の誘導方向については厳しい方向があるわけでございます。 ただ、このいわゆる計画生産という手法になりますと、御指摘にもございましたように、これをどういうふうに、例えば五十九年度でやりましたようなやり方で取り組むかどうか、その取り組み方についてはこれから十分県庁、それから養蚕団体とも相談しながら検討しなければいけないと考えております。基本的にはやはり計画生産ということも大事でございまして、そういう一種の生産の誘導ということが必要でございますけれども、やはり高能率な養蚕、低コスト養蚕、こういうことが芽生え育つような地域にいわば集中的に施策を講じていきまして、足腰の強い養蚕主産地を形成する、この辺のところがやはり基本ではなかろうかと思っております。減産等のあり方については、これからそういう問題意識のもとにどういう取り組み方がいいか、さらに検討いたしたいと考えております。
○村沢牧君 せっかく主産地形成をしても、また農水省が生産調整を打ち出す。これじゃやる気がしないじゃないですか。だから、主産地形成を片方では推奨する、また何年か後は生産調整、そんな農政では私は農民から本当に信頼されないと思うんですよ。生産調整はやらない、そういう決意でもって臨んでいかなければいけないと思いますが、大臣どうでしょう。
○国務大臣(佐藤守良君) 先ほどから言っておりますことですが、やや質問はは当てはまらぬかと思いますが、いかにして売るかということだと思います、私は。私、その意味においては、実は消費の拡大にかなり明るい見通しを持っておるのですがね。そういうことになれば、それはなくなるわけです。したがって、今の議論というのは、基本的に非常に厳しい状況を踏まえての最低の議論を局長はしておるということでございまして、これは皆さんと一緒になりまして、少し売れればそういう心配はなくなる、こういうように考えております。
○村沢牧君 そこで、大臣に重ねて次の問題について尋ねますが、絹の需要が減少していることは認めるとしても、農水省の資料によると、繭の国内生産は五十年に比べて五十八年は三割以上も減っているんです。そして、生糸の需要量に対して国内生産量はこの十年間大体六五%ぐらいで、三五%も不足をしている。しかし、在庫は一般、事業団合計で、五十八年会計年度三十一万八千俵もある。内需の一年分以上もある。大臣、このことは何を意味しているというふうに思いますか。
○国務大臣(佐藤守良君) 結局、恐らく輸入の問題を先生は御指摘されたと思うんでございますが、ただ、生糸、絹糸の輸入につきましては、自由化品目であるにもかかわらず、従来から中国及び韓国との二国間協議等を通じて我が国の厳しい需給事情を説明し、昭和五十三年度約十九万俵強から五十八年度は十一万俵弱まで約四割縮減してまいりました。今後とも、この方向でさらに努力を傾けていく所存でございます。また、繭の輸入についても、従来から国内の繭需給の状況を考慮し、必要最小限の繭を輸入するよう輸入の秩序化を図っているところでありますが、ことしも繭の輸入につきましては、繭需給の状況のほか、全体の絹需給、製糸業の体質改善の必要性等を含めて、総合的に見きわめ慎重に対処したいと考えております。
○村沢牧君 ですから、こういう現状になったということは、今まで輸入が多かったからこういうことになった、これは率直にお認めになりますね。 そこで大臣、養蚕家や蚕糸団体が事業団の在庫が適正水準になるまでは生糸、絹糸、絹織物の輸入をストップしてもらいたい、こういう要求が大臣のところへも何回も行っていると思いますけれども、これは当然のことだと思います。国内の農業を保護するために国境調整措置を講ずることは、これは事務レベルの問題じゃない。内閣の、大臣の政治姿勢の問題です。大臣の今後における具体的な対策と決意を聞きたい。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 先ほどちょっと言いました生糸とか絹製品の輸入につきましては、これは自由化品目でございます。そんなことで、従来から中国及び韓国二国間協議等通じて我が国の厳しい実情等お話ししながら、それは縮減の方向でやっているわけで、今後とも実は通産省とよく相談しまして、何とか縮減の方向で頑張りたい、このように思っています。
○村沢牧君 先ほど来、自由化品目であるということを何回も強調されていますけれども、私もそのことを知っている。 局長はお伺いしますけれども、法の十二条十三項ですね、国内法があるんじゃないですか。
○政府委員(関谷俊作君) 繭糸価格安定法十二条の十三、いわゆる一元輸入の規定でございます。これは基づきまして、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
○村沢牧君 ですから、国内法でこういう措置があるんですよ。対外的な難しい問題があることは承知をしているけれども、そこを大臣の政治姿勢を私は質問しているんです。 大臣、重ねてお伺いしますが、国内生産で不足をするものだけ輸入をしていたならば現在のような膨大な在庫は出てこない。今日まで一貫性のない政治姿勢、場当たり的な行政が、事業団の在庫を増大して、ついに法律を改正してこの在庫を棚上げにして特別勘定を設けて一般会計から損失を補てんをする、その額は本年度四十四億余でありますけれども、将来何百億かかるかわからない、恐らく一千億にも達するであろうというふうに私は思います。将来の見通しについては局長にまた聞きますけれども、財政再建が国の重大な課題である、こういうときに、農水省がこんなことをしているから農業過保護なんて言われるんですよ。輸入はどんどんしてくる、国内の財政の厳しい中で事業団の在庫を処理するためにこれから金を使っていくんだ、こういうことが政治としていいんですか、大臣。
○国務大臣(佐藤守良君) 実は、この輸入の問題につきましてはおっしゃるような点はあるわけで、数量制限禁止条項に反しない運用をするとあるんですが、自主的な輸入量の調整については主要輸出国である中国、韓国と二国間協議を行っており、そして現在でも実は過年度分の未履行分がございます。そんなことで、数次にわたる早期履行の要請があるにもかかわらず、通産と一緒になりまして、自由化とかいろいろ問題ございますけれども、この輸入については非常に抑制に努めておる、そんなこともございます。そんなことで、現在日本の置かれた立場等配慮した場合に、一方的に強権的に生糸輸入を停止することは今日の国際情勢から見て極めて不適当である、こんな感じを持っておるということでございます。 それと、事業団の損失につきましては、これは率直に言いますと、やっぱり日本の養蚕業をどうして経営を安定させるかということ、そのためには価格維持が問題、そんなことでこういう処置はやむを得ない処置だ、こう思っております。
○村沢牧君 こういう措置をしたことを云々するんじゃないんです。今までの行政のしわ寄せをこういうところにまたするんですよ。そこが農水省の政治姿勢の悪いところだと言うんです、私は。きょうは農水委員会だからいいですけれども、こんなことをほかのところに行って言えますか。財政がこんなに厳しいというときに、輸入をどんどんしていって事業団の穴埋めをするために将来うんと金を使っていく。局長どのぐらいかかりますか、在庫処理に。
○政府委員(関谷俊作君) 五十九年度末につきましては我々の推定では、今決算中でございますが、三百二十四億円程度、こういうふうに損失を見込んでおりますが、今後につきましては、やはりいろいろの仮定を設けないと推定ができないわけでございますが、やはり現在の糸が金利、保管料がいわばコスト的に乗ったものを売り渡しますので、その売った時点での損失は全部処理を終えた段階ではやはり一千億円、あるいはそれをもっと超える、こういうような水準になるのではないか、こういうふうに考えております。
○村沢牧君 何年かかるかしらないけれども、一千億円もかかって大変なことですね。だから、こんなようなことがあっちゃいけないんですよ。強くそのことを指摘をしておきます。 そこで、中国、韓国との契約数量の残量もあるんですが、これも局長に後で数字だけ聞きたいんですけれども、大臣、政府は去る九日、アメリカに対する市場開放措置を決めて、きょうも緊急質問もあったわけですけれども、中国や韓国が、日本がアメリカに対してそんなに譲歩するんなら我々の約束も果たしてください、これを言ってくるのが当然だというふうに思いますけれども、この二国間協定の残量あるいはこれからの契約について、大臣ほどのように対処しようとしているんですか。まず、局長からその残量数量について伺いたい。
○政府委員(関谷俊作君) 二国間協議の未履行分でございますが、現時点では中国が一万二千九百五十俵、韓国が一万一千俵、合計二万三千九百五十俵でございます。これは五十七年度、五十八年度までに約束した分の未履行分でございます。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 生糸は、先ほどから言っておりますことですが、自由化品目でありますので、我が国の厳しい需給事情にかんがみ、無秩序な輸入を防止するために、輸入窓口を一元化するという趣旨で事業団による一元輸入制度の措置がとられておるわけでございます。そんなことで、自主的な輸入の調整につきましては、主要輸出国である中国、韓国と二国間協議を行っているところでございますが、今後ともこの場を活用して、関係国に対しまして我が国の蚕糸業の当面する困難な事情について理解と協力を求め、極力生糸の輸入数量の抑制を図ってまいりたいと考えております。
○村沢牧君 大臣も私の質問に的確に答弁をしておらなくて、だれが書いたか知らぬけれども官僚の書いたのを棒読みしているにすぎないんですけれども、大変なことですよ。アメリカとは約束をした、中国や韓国は、今話があったように、これだけのまだ契約したけれども入れてないわけでしょう。五十九年これからやっていかなきゃならぬでしょう。大変なことですよ。もっとしっかりした姿勢を持ってやってもらいたいと思うんですね。 通産省見えておりますので、時間もありませんので通産省に先にお聞きしますけれども、絹織物、着物の輸入規制については通産省もいろいろやっておるけれども、もっと実効のある対策を講ずるべきである、また輸入数量のチェックを面積制限でなくて重量の制限にするべきだと私は思いますが、どうですか。
○説明員(新関勝郎君) お答えいたします。 まず、前段の絹製品の輸入に対する通産省の実行と申しますか、ないしは今後の取り組みの問題でございますが、絹製品の輸入につきましては、我が国の置かれました国際的な立場を踏まえましてとり得る最善の方法といたしまして、従来から主要供給国ないし地域であります中国、韓国及び台湾との話し合いのもとに毎年数量協定を結びまして、極力その数量の削減を図っているところでございます。そして、こうした二国間の協定等を補完する観点から、その他の国なり地域からの輸入に対しましても、協定の脱法となる第三国の加工、第三国経由の輸入等を防止するために、輸入貿易管理令上のきめ細かい措置をとっております。この結果といたしまして、例えば絹織物につきまして見ますと、輸入数量が協定を開始する直前の五十年度と比較しまして現在約半分の水準にまで減少さしておりまして、これはこの間の絹織物の生産の減少率を大幅に上回る大きな削減となっております。 今後につきましても、いろいろ先生からお話あります蚕糸絹業の厳しい現状を十分我々も踏まえまして、主要供給国との話し合いを軸にいたしまして、絹製品の輸入数量の抑制に最善の努力を払ってまいる所存でございます。相手国におきましては、削減に次ぐ削減で、非常にもう余地は狭まっているんだというようなことをいろいろ言っておりますけれども、引き続き従来どおり削減の努力をしてまいりたい、かように思います。 それから、後段の先生の御質問の重量規制の問題でございますが、現在輸入数量をこういう中国、韓国等々と面積単位で取り決めておりまして、輸出国はたび重なる協定数量の削減に対しまして、比較的付加価値の低い軽目の織物の数量を減らしておる結果といたしまして、全体の輸入の中に占める重目のもののウエートが相対的には増加しているというのは事実でございます。これに対しましては、従来二国間の協議等通じまして相手国の注意を喚起しまして、こうした重目のものの輸入が産地との関係で競合するということで非常に大きな問題になっているんだということで、よろしく相手国の注意を喚起してきている、こういう状況でございまして、その輸入量の抑制に努めてきているところでございますが、今後とも相手国の注意を喚起して最善を尽くしていく、かようにしたいと思います。
○村沢牧君 通産省も全然やってないということを言うわけじゃないけれども、今後一層ひとつ輸入抑制について取り組んでもらいたい、そのことを要請しておきましょう。 次に、流通改善について聞くんですけれども、通産省の生活産業局長の諮問機関である絹問題研究会の報告がありました。これについても流通問題についていろいろ指摘をされているんですけれども、通産省は具体的にどのように改善をしていこうとするんですか。 そのことが一点と、また流通の中でコストマージンが製造原価に比べて非常に高い、私はそういうふうに思っているんです。繊細産業全体の問題でもあろうというふうに思いますけれども、どのように今後指導し誘導していこうとしているんですか。
○説明員(渡辺光夫君) ただいま先生の御紹介にございましたように、私どもも絹の需要が減退していく中で流通問題がどういうかかわりを持っているのかというようなことで研究会も設けまして、いろいろと多面的な勉強をしたわけでございます。 その中で、やはり絹の関係に流通上の幾つかの問題があるだろうという指摘がなされているわけでございます。繊維製品全般につきまして、流通が複雑であるとか、あるいは多段階になっておるとかという指摘があるわけでございますが、和装の場合には、それに加えまして歴史が古いという面もございまして、前近代的なと言われるような取引慣行が幾つか指摘されているので、そういうものをできるだけ合理化を図っていく必要があるというのが第一点でございます。 この点につきましては、実は繊維全体の問題として繊維取引近代化推進協議会というものを設置してございます。その中で特に絹製品の近代化懇談会というのをことしの春に設けまして、これは糸をつくる段階から実際に小売店に至るまで大変長い過程があるわけでございますが、それらの過程の一応全体を通じて議論ができるようなそういう場を設けて、今各段階ごとの問題点などの整理をいたしておるわけでございます。これに合わせまして、主要な産地につきましてその協議会の中の一つのプロジェクトといたしまして取引近代化推進員というものを置きまして、個別地点での啓蒙普及から始まりまして、指導体制の整価とか、そういったようなことも取りかかっているところでございます。それと合わせまして、先生のお話にもございますように全体の問題がございますので、繊維取引改善委員会というものを昨年暮れに設置いたしまして、現在いろいろ検討をお願いしているところでございます。 それから、研究会の中で指摘されました二番目の問題といたしまして、需要との関係で、特に流通面でマーケティングに対する取り組みが十分ではないのではないかという指摘がございます。最近の繊維全体につきましても、いわゆる多様化でございますとか個別化ということが言われているわけでございますが、和装の需要の落ち込みの中の相当部分というものが、いわゆるカジュアルな分野で起こっておるということでございますので、これはまさにそういう多様化ないしは個性化という需要の環境変化に適切に対応していくかどうかということが決め手になるということでございます。洋装分野のアパレルでは、よくマーケティングという手法を最大限に活用して需要家の発掘に努めておるわけでございますので、そういった手法を和装分野でも積極的に取り入れていく、そういうことが必要だろう。 幾つかの例でございますけれども、いわゆる着物パーティー等の着用機会といったことを組み合わせました催事販売と言われているものでございますとか、あるいは消費者がなじみがなくなっただけに買いにくいというような実態面もございますので、一そろえにして幾らで売るという、適切と思われる価格ゾーンを設定いたしましてセット販売をするとか、そういった幾つかの試みが行われてきておるということも事実でございますので、私どももそういうものをさらに支援してまいりたいというふうに考えております。 それから最後に、流通コストマージンが高過ぎるのではないかという御指摘でございますが、この点につきましても、和装の場合は特に売れ残りのリスクといったようなものがほかの繊維製品よりもちょっと大き目に出ているというようなこともございますし、商品回転率の面でもほかの繊維製品よりもちょっと回転率が低いというようなことがございますので、若干高目になるというような傾向はどうしてもあるわけでございますが、要するに大事なポイントとしましては、そういったリスクができるだけ少なくなるような、つまり実需に直結したような生産体制あるいは商品規格といったようなものをつけていく、こういうことになりますので、その面での指導をしてまいりたいと思っております。 具体的には、分断されております製造から流通業までの工程を、できるだけ垂直的な統合を図った構造改善事業といったようなものを中核とした努力を今しているところでございます。
○村沢牧君 問題点がいろいろあるということは研究会の報告にも指摘をされておるし、通産省自身も承知をしておると思いますが、要は、具体的にどういうふうにしていくかという段階だというふうに思いますから、今お話があったことをさらに具体的に進めていただきたい、そのことを要請しておきましょう。 時間が参りましたから、最後に伺って私の質問を終わりますけれども、一つは、車業団の買い入れ数量、これは現行三万俵ですが、これは法律改正になっても三万俵は変わらない、このことを確約できるかどうかということです。 それから、放出の時期だとか、あるいは糸価に影響を与えない方法等、これは十分配慮していかなければいけませんが、このこと。 それから、この法律が通過したならば、ことしの場合、いつ審議会を開いて糸価はいつ決定するのか。 以上、三点についてお聞きをし、同時に、法律は五月までに決めればいいということになっているけれども、早く決めた方がいいと思うが、その基本的な方針について伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 第一点の買い入れ枠三万俵につきましては、この改正後も三万俵で決定をいたします。 それから、第二点でございますが、事業団在庫の放出につきましては、糸価に悪影響を与えないようにということで慎重な対応をする考えでございまして、原則的には定時定量で安定的に売り渡しますが、需給が狂いまして大変価格が下がるというふうな時期には十分数量に調整を加える、こういうことで処理したいと思います。 三番目に、価格決定でございますが、これは私どもとしましては、法律をお通しいただきましたらできるだけ早くということで、もう連休前にでも審議会を開きまして、決定を経まして、早急に新年度への移行が円滑に図れるようにいたしたいと思っております。 最後に、決定時期につきましては、法律上五月までとしましたが、これはほかの例にも倣ったということで別に他意はございませんので、従来三月に決めておった、そういう実績を十分踏まえまして、農家の方々の不安のないように対応してまいりたいと考えております。
○刈田貞子君 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案を審議させていただくに当たって、大臣にまずお伺いをいたします。 先ほどから、あるいはまた先回の参考人の質疑あるいはその前の委員会質疑等で、当産業が大変厳しい実情に置かれていることを私もつまびらかに聞かせていただいておりまして、大変につらい思いをするわけでございますが、一方、きょう午前中の本会議等で、海外からの大きな要請を受けて、我が国の政治としてもあらゆる品目についての輸入を拡大していかなければいけないというような羽目になっているわけでございます。 私が大臣にお伺いしたいのは、養蚕、繭糸、こういった分野のものも決してそのことに漏れのないものの一つでございまして、輸入ということに関しては大変に皆、神経を使わなければならない。輸入措置、抑制措置ということは、先ほどから同僚委員の中からも出ておったわけですが、一方で輸入抑制措置を図るということのもう一つ大切なこととしては、これは大臣何回かの御答弁の中で、日本の養蚕は国のやはり伝統的な産業としてこれからも育てていかなければならないということをおっしゃっておられるわけでございます。したがって、見捨てないんだとしたらば、これはやっぱり育てるという立場で、私はむしろ体質強化、足腰強い産業としての前向きの政策をお持ちであろうかというふうに思います。それで、その方途について、ひとつ大臣の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 刈田先生にお答えいたします。 養蚕業につきましては前からも申し上げておるとおりでございますが、現在、戦前に比べて農業全体の中におけるウエートは低くなっておりますけれども、農山村の畑作地帯における農業経営上の重要な作目という認識をしております。 そんなことでございますが、先生御指摘のとおり、大変最近蚕糸業をめぐる情勢は厳しいわけで、基本的には絹需要の大幅な減退、そういうことによります生糸需給の不均衡とか、あるいは蚕糸砂糖類価格安定事業団における膨大な生糸の在庫とか、それに伴う財政の赤字ということで極めて悪いわけでございますが、今後におきましては、私はやはり現下の厳しい蚕糸情勢のもとではございますけれども、養蚕主産地の形成及び中核的養蚕農家の育成等により、足腰の強い低コストの養蚕の実現を図っていくことが大切であると考えております。 そんなことで、今後は各種生産対策を、特に高能率な養蚕の展開が可能な地域において重点的、集中的に実施することとし、厳しい状況のもとではございますが、養蚕業の安定を図っていきたい、このように考えております。
○刈田貞子君 そこで、足腰の強い養蚕業を何年たってもつくっていかなければならないということで、現場のお話を実はお伺いしたいわけなんですけれども、私きょうも時間が余りありません。それで生産現場の話を、恐縮でございますけれども全部落とさせていただいて、二、三、法改正について気になる部分だけを確認させていただいた上で、流通部分のことについてお伺いをしたいというふうに思います。 法改正については、先ほどから同僚村沢委員の大変つまびらかな御質疑がございましたので、私はその中で、私自身がもう一つ確認しておきたいということを、重複をしないようにしてお伺いしたいんですが、事業団の放出についての問題がやはり気になります。それで十二条の八のところの農林水産省令で定める期間を超えたものについて悪影響を及ぼさない方法でこれを放出するという新しい立場のものですね。これについて確認をさせていただきたいんですけれども、悪影響を及ぼさない方法とは、どういう形のことを考えればよろしいのか、それからまた、農林水産省令で定める期間を超えたものという考え方をどんなふうに考えればよろしいのか、その二点について。
○政府委員(関谷俊作君) 法律にございます農林水産省令で定める期間につきましては、これは一年というふうに決める予定でございます。ただ、これは一年と決めますが、一年を超えたものは、どんどん一年を超えたあくる日から売っていくということではございませんで、一年を超えた長期間保有のものについて、この規定を適用していくということでございます。 そこで、この条文の新しい部分の売り渡しの仕方でございますが、我々としましてはやはり従来の取引事情から見ますと、毎月一定の量、いわゆる定時定量ということで一般競争入札に付しまして売り渡しをする、こういう方法が一番いいのではなかろうというふうに考えております。これは需要に無理なく織り込まれる、こういうような状態を我々は期待したいわけでございまして、一方、買う側の需要者としましても、そういう売り方の方が安定している、予定もつく、こういうことで恐らく受け入れやすいのであろうと考えているわけでございます。 ただ、その場合にも一定の売り渡し予定価格を設定しますので、余り低い価格になりました場合には、その価格を超える応札がない場合には売り渡しをしてないわけでございます。 なお、時価に悪影響ということの趣旨としまして、非常に価格が下がるという予想外の事態につきましては、今の定時定量という数量についてはその事態に応じまして十分数量の調整が必要であろう、こういう考え方で売り渡しを行ってまいりたいと考えております。
○刈田貞子君 それからもう一点は、今回、異常変動防止措置が廃止されることによって勘定が廃止されるわけでございます。その勘定の積立金相当額の一部を今度振興資金に繰り入れるわけですね。今回は二十五億五千二百万円ですね。それで、従来積み立ててあった三十八億のこの積立金の問題でございますけれども、これを一部その振興資金に繰り入れる。生産者団体からこういう問題についてやはりいろいろ要望があって、生産現場にも対策としてこんなものにも充当してもらえないものだろうかというような要請もあるようでございますし、私はまたこれを振興資金に繰り入れた後の使い方、あるいはまたこの使途をだれがどのようにして管理、チェックしていくのかという問題を疑問に思っておりましたので、教えていただきたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 蚕糸業振興資金につきましては、今回、異常変動防止勘定が廃止されますので、その大体三分の二見当の、先生おっしゃいました二十五億五千万円をここに繰り入れるわけでございます。そうしますと蚕糸業振興資金、その時点で恐らく残高が大体三十億円ぐらいになるわけでございます。 その使い道につきましては、現状ではやはり需要増進関係に相当力を入れたいという考え方でございますが、この趣旨は、繭及び生糸の生産または流通の合理化を図る事業あるいは需要の増進に関する事業、蚕糸業の経営安定または技術導入に関する事業、こういうものに充てるわけでございまして、この計画は、事業団がこの振興資金の使い道の計画をしまして、これは予算上の問題になりますので、当然私ども農林水産省の承認を得まして実施をされるわけでございます。したがいまして、この事業団の計画をつくる段階から実行に至るまで農林水産省としましては、この資金の有効な使い道をその時点、時々に応じて考えていきたい。 その中で、生産対策面につきましても、これは予算措置なり農業改良資金等の措置でいろいろな措置を講じておりますが、この蚕糸業振興資金の使い道として考えることが適切なものがありますれば、この計画の中で取り上げていく考えでございます。
○刈田貞子君 次に、先ほどから出ております絹消費拡大の問題についてお伺いをいたします。 本改正法案については、立場をかえる方々によっていろいろ異論がある部分もあるようでございますけれども、そうした方々の中にあっても、いわゆる絹の需要拡大という部分については異論なくこれを進めるべきであるということになっておるわけでございます。国産品の絹の需要拡大、内需拡大ということについては、農林水産省もこれまで各方面の協力を得ながらたくさんの策を講じてきておられるというふうに私は思っております。 しかしながら、成果は余り上がっていないのではないかというふうに考えるわけでございます。先ほどから大臣、絹需要拡大の先は明るいというふうに大変力強くおっしゃるわけでございますが、私は今まで農水省がやってみえられました需要増進対策を調べてみました。これはマスメディアを使った宣伝キャンペーンとか、あるいはまた着物祭りなど宣伝行事を行う。あるいはまた、着物シルクの啓発普及というようなことで着つけの指導者の研修を行うとか、あるいはそうした学校に対するテープの配付、あるいは展示資料の提供というようなことを伺っております。それからまた、ジャパンシルクセンターの設置というようなことを通して、シルクのPRを中央で行うという行事がございますね。それからさらには、政策的に新規用途向け売却の措置を設けて、新しく使途を開発したところについて事業団の絹を売り渡すというような措置もとられてこられましたわけでございますね。その中ではひとりたち着物、これは大変画期的なお話だったそうでございますが、一人で着物が縫えて着られるというあの事例、また洋装に関する各種開発事例に対して生糸を売り渡した、その他インテリア産業あるいはまた研究対象としての分野を開発したということでは複合素材の開発あるいはニット、手編みニットの開発というようなことがいろいろ書いてございます。 私も、御努力をなさっているなということはよくわかります。しかし、先ほど私が申し上げましたように、絹、国産絹の内需拡大というのは進んでいるとは思えない。大成功しているというふうには思っておりません。これから先どうするのですかということをお伺いする前に、これまでやってきた政策に対してどういう分析をお持ちであろうか、それがまた次の方途をつくることにもなると思うので、これまでなさってきた事業に対してどういう御見解をお持ちであろうか。そして、これがなぜ意気込んだほどには成功しなかったかという形をとるのだろうかということを、お答えをいただければと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 需要増進の今までの農林水産省の取り組み方については、お尋ねのとおりでございます。こういうものの効果なり意義の判定というのは実は非常に難しいわけでございます。私どももこれからこういうものの実績をいろいろ評価しながら今後も進めてまいりたいわけですが、やはり従来もやってきたことで、これからもやはり有意義なことは、大変効果が直接的ではございませんけれども、絹製品というものの品質になじんでいただいて、あるいはその使い方、そういうものを展示会等で実際に見ていただく、これは今までもやってまいりまして目に見えた効果というのはそれは確かにないわけでございますが、やっぱりこれが投じる経費との関係で申しますと、絹製品に親しんでいただく一番大事な手段であろうと考えております。 ただ、その場合に、従来のものがどちらかと申しますと割合東京中心になっておりますので、これからやはり地方段階で、あるいは農村の御婦人方等農村向けにこういうような絹製品の普及拡大、これも多少はやってまいりましたが、この辺がこれからもっと力を入れるべきことであろう。 それからもう一つは、かなり戦略的と申しますか重点的な部門としては、例えば背広、コートのような比較的市場の広いものの中で絹製品を使っていただくとか、こういうようなやや戦略的に力を入れるべき部門をもう少し考えながらやっていくということが、今までより必要になろう。 それからもう一つは、一般消費者が絹になじんでいただくと同時に、アパレルメーカーとかそういう実際の取り扱い業者それから販売業者、こういう方に絹を使ってもらうという、こういう簡単に申しますと商業的な機能をもっと活用するような取り組み方、こんな点が、今までももちろん全く考えていないわけではございませんけれども、これから効果を上げるためにはもっと取り組んでいくことであろうと考えております。
○刈田貞子君 通産省の方がお見えになっていると思うんでございますけれども、先ほど村沢委員の方からも話が出ておりましたが、絹の着物を私どもが買うときに大変価格が高いことが一番のネックになっておると思います。その価格が常に問題になるわけでございますけれども、先ほど出た話のように、その流通経路が昔からの伝統のままで残っているのでというお話も先ほどございましたが、大変にこの流通経費がかさむということが、その価格にはね返ってきているのだということなんですね。 私は、幾つかの資料でその計算をしてみたんでございますけれども、先ほど村沢委員の方からお話がありましたように、概して繊維業界の流通経費というのはやはり高くついているなということを感じております。男子背広六万円、それから婦人の合繊のワンピース二万五千円ですね、これは一つの方の資料で計算したんですが、五五%が流通経費だ。それから正絹和服、これは絹の帯から小物一切使うと三キロぐらい生糸を使うように伺っておりますが、この和服着分で十五万円というもので、流通経費でちょうど六〇%になるんですね。あと、こちらの方の資料でいきますと、例えば絹の着物を一枚織るのに原糸が一万四十九円です。そして、それが衣装にでき上がったとき十五万二千円になるという、そういうデータをいただいて見たわけでございます。 私がお伺いしたいのは、その流通経費と言われる部分のもの、確かに非常に多段階になっておる和服の段階のものを見てびっくりしておるわけでございますが、これは合理化し近代化し簡略化できるものであるのかないのか、それをすることによってこの着物のコストというのは下がるのでしょうかということをお伺いしたいんです。
○説明員(渡辺光夫君) ただいま先生から大変詳しく現状についての御指摘がございまして、繊維製品全般につきまして流通経費がほかの商品に比べてやや高目に出ておるということは事実でございます。これは流通段階におきます諸経費の構成の中で段階が多段階になっているという面もございますし、先ほどもちょっと触れましたように、商品回転率がほかの商品よりもかなり低い。これは季節性があったり流行があったりいたしまして、どうしてもあるシーズンを逃しますと次のシーズンには使えないというようなそういう商品特性がございますので、流通としてはいろいろな努力はいたしましてもある程度高目に出るというのはやむを得ない、こういうことがひとつ背景にあるかと思います。そういう繊維製品全体の流通の問題の中でも、和服がさらに流通コストがやや高目になっておるというのも御指摘のとおりでございます。 これもちょっと細かい話で恐縮でございますが、商品回転率などのいろいろな指標をとってまいりますと、やはり繊維製品全体よりも呉服流通業の場合に、回転率なりその他の経営指標がややコスト高になるようなそういう構造になっておるということがございます。これは実は和服の場合には、着尺から始まりましていろいろな小物に至るまで品ぞろえの問題がいろいろございまして、流通過程でそういった品ぞろえ的な機能をほかの商品よりもより多く多段階を経ないとなかなか末端の小売業まで届かない、こういったような特殊性が指摘されておるわけでございますが、それにしましても、需要が減退する中で何とかその流通が需要の減退に拍車をかけるというふうなことがないようにしなければいかぬだろうということで、今いろいろな試みが行われているわけでございますが、一つは、そういった売れ残り的な商品のリスクを少なくするという意味では実需直結型と私ども言っておりますが、できるだけ消費者ニーズを早目に的確につかんで、市場に出したものが売れ残る割合を少なくしていく、こういうことがポイントでございます。これを前提といたしまして、消費者ニーズのマーケティングをきちっとするというようなことが大事だろうということでございます。 今、まだまだ全体というわけにはまいりませんが、幾つかの有力な問屋さんなり、あるいは流通業者の方々がいわゆる商品規格物と言われているような形でできるだけそういう流通経路を短くするとか、あるいは売れ残りを少なくするとか、そういった努力をしている最中でございますが、量的にまだそういった形で取引されるものが多くはないわけでございますので、方向としてはそういう方向が次第に出てきてはおりますので、今後そういう努力をすれば、若干の割高になっている部分というものに対する改善というものは期待できるだろう、こういうふうに思っております。 それから第二点目の、織物が一万そこらのものが十五倍になる過程でございますけれども、これは実は一万円台という御指摘のございましたのは白生地と言われているものでございまして、糸で織物をつくってまだ染めつけをしてないものでございます。その白生地を出発いたしまして、それを精練いたしましてそれに染めつけをする、それが問屋さんを通じて小売店に流れてくるわけでございますが、着尺の場合で申しますと、小売店さんで通常お売りしておりますのは縫製代とか付属品とか、そういった仕立て上がりの値段として表示されているわけでございます。したがいまして、洋装の場合で言いますと、縫製に当たる部分が実は末端の小売店を介して行われている、そういうこともございますので、その分がやや出発点との相対的な比率で見ますと小売業のマージンが多目に出ると、そういう数字上の問題もございます。 いずれにいたしましても、値段を左右します一番大きな要素は染めつけの部分にあるかと思います。これは和服の場合には、どちらかといいますと、大量につくるというよりは一品物の方が、当然でございますが、非常に高価になってくるということでございますので、一般のカジュアルな着物の代表でございます小紋の例をとりましても、既にできておりますプリントを機械的に捺染していくというようなものと、それからやはり新しい柄をわずかの量をつくる場合とでは、その染めつけに要しますコストが相当開きがあるということでございますので、小紋の場合でも着尺で十万円ぐらいのものから安いものは二、三万のものまである、こういうことでございますので、この辺はちょっとどういう形で値段を評価するのかというあたりがファッション性が高くなりますと大変難しい、こういうことになろうかと思っております。
○刈田貞子君 済みません。公正取引委員会の方がお見えになっていると思いますので絹織物の表示についてお伺いをするわけですが、五十六年の六月表記改正があって、五十七年一月一日から実施指導されております原産国表示のことでございますけれども、これは過日松尾官平先生が二度にわたって御指摘くださった問題でございまして、実は私ども消費者センター等でも扱った問題でございます。 かつて絹物の表示については、つむぎの問題が出たころ消費者センターにかなりいろいろと課題が寄せられまして私ども扱ったものでございますけれども、今回私、原産国表示についてお伺いしたいのは、例の反末表示の問題なんですけれども、あの状況については今どんなようになっておりますでしょうか。御指導なさったのか、あるいはまた現状を調査なさって指導くださったんだと思いますけれども、その状況についてお伺いをしたいわけでございます。反物の表には「絹一〇〇%」と書いてあって、私どもはそれを知らないで買っておりますけれども、反物を解いて一番最後の反末に「原産国韓国」というふうに出てくるという、この問題が実は一番消費者の間で問題になっておりましたので、このことについてお伺いをいたします。
○説明員(黒田武君) 私どもの方で、いろいろと御指摘もありましたので、昨年暮れからことしにかけまして、小売段階における反物の表示の実態がどうなっているかということを実は調査しました。ところが、今、先生も御指摘のありましたように、反物の一番織り始めでなくて巻きしん側の方に実は原産国が表示してあるというのが、確かに私どもの小売段階で調べた結果出てきましたもので、こういう表示のあり方では一般消費者が購入に際し製織地の判断ができないおそれがあるということで、このような表示は和服用絹織物の製織地について一般消費者に誤認されるおそれがあるということで、実は五十六年の十二月ごろに関係団体に要望いたしましたけれども、引き続きそのときと同様な内容で輸入業者、それから卸売業者、それから精練業者、それから小売業者、こういった方々の団体に対して、例えばということで反物の品質表示をしてあったその端っこならその同一のところに原産国もあわせて書けと、つまり巻き戻して原産国の表示だけが巻きしん側に記載することのないようにという、そういう要望書を近々出すことにしております。
○下田京子君 まず最初に、需給問題についてお尋ねいたします。 本改正案の提案理由に、生糸の需給の著しい不均衡を是正するというふうに御説明されておりますけれども、農水省はなぜかこの需給不均衡の要因といたしまして「生活様式の変化等」としか言わないんですね。通産省内に設けられました絹問題研究会では、「和装需要の現状」を「需要構造の質的変化」としてとらえられまして四点ほどそれらの理由を述べられておりますが、一つは「人口構成の変化」、二つ目に「生活様式の洋風化ときもの着用機会の減少」、三つ目に「所得の伸び悩み」、四つ目が「絹製品の高価格化」というふうに言われております。特に「所得の伸びが低下するにつれて、むしろ弾性値がマイナスに転換し、それが和装需要の減退を加速化した」と、こう指摘もしております。この点については農水省ももちろんそうお思いだと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(関谷俊作君) 今、先生の御引用になりました通産省の研究会の需要減少の要因について、私どもも全く異論を唱える気はございません。
○下田京子君 そこで、異論を唱えるつもりはないということなんですが、認識の問題なんですね。さらに、所得の伸びの低下が絹製品の高価格化と相まって需要にマイナス影響を与えていると、こういうふうにも指摘しております。 これは大臣にお尋ねしたいんですけれども、繰り返し強調されている洋装品などの絹製品の需要増進への積極姿勢、これは大いに結構だと思うんです。しかし、問題は、根本的に絹の着物を着たいという婦人の願いにどうこたえるかということだと思うのです。その絹の着物を買いたいという婦人が買うことができない。国民の懐を豊かにしていくこと、そういう経済政策の転換が必要ではないかと思うんです。低賃金、パート化というものが進む一方、医療や教育や、そして交通費などの値上げによって、生活が大変圧迫されているというのが事実でございまして、絹の着物どころか夫の背広についても、大臣は安くて七万のもあるょなんて言われておりますけれども、そういう絹の背広一着よりは化学繊維の安い背広一着、これがやっぱり国民の暮らしの実態だと思うんです。ですから、国民の購買力を高めて内需をもっと喚起していく、このことが絹需要増進の道ではないかと思うんです。そしてまた、それは今問題になっております貿易例摩擦の解消にも役立つ、こう考えますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えいたします。 ちょっと私は先生と見解が違いまして、実は国民の貯蓄率を見てみますと一世帯当たり六、七百万という貯金を持っておるということ、そういうことで若干景気もよくなっておる。そんなことでございまして、可処分所得もかなりある。ただ問題は、例えば春闘などやりましてもほとんどが貯金に回るというようなこともございます。したがってちょっと違う。それで私は、絹需要減退の打開のために、先ほども刈田先生もちょっとおっしゃっておりましたけれども、それから局長が答えたとおり、やはり基本的な価格の問題、それから技術的な欠点、それから販売の方向と対応、こんなところが基本的にあるんではないかと、こう思います。 それから、基大的には、やはり絹をたくさん使うものにいわゆる販売の方向を持っていく、例えば洋服でございますが、これは東京でしかできませんね。地方へ行くと仕立てができないんです。だから、つくることができないんです。そういう対応の仕方を研究する必要がある。それから実は私はデパートを回っておりまして、やっぱり価格は高いですね。ただこれは大変失礼ですが、婦人の下着類、これも実は五十枚買いまして配りましたら、これは非常に評判いいんですが、やっぱり婦人は高いと言います。やっぱり絹はいいけれども高い。だから、そこら辺をどうするかという問題、それからまた技術的問題、例えばこの着ている洋服、これは前から時々申していますが、絹にはてかてか性とか、光るとか、あるいは伸縮性とか、かさ高の欠点がありますが、これは技術的に改良したと。ただ問題は、この洋服も例えばデパートを回っておりまして、この間もせがれを連れて三時間デパートを回って絹を買いました。
○下田京子君 個人的なことはいい。時間がないんです。
○国務大臣(佐藤守良君) いやいや、そういうときに買いましたらそのときもやっぱり高い。ぶら下がり値段で五万円であります。そんなこともございまして、それを配慮すればかなり絹は売れる、こんなように私、考えております。
○下田京子君 大臣、確認したいんです。あれこれを聞いたんじゃないんです。国民の購買力を高めていくということが大事な絹需要増進の道じゃないですかと、それは局長も認められている、通産省も異論がないと言っているんです。大臣も内需拡大の方向というのが大事なんだということは、もう記者会見なんかで述べられているでしょう。否定しませんでしょう。
○国務大臣(佐藤守良君) ただ、私はそればかりじゃないということを言っているわけです。
○下田京子君 いや、だからそれは否定しないでしょう。
○国務大臣(佐藤守良君) いや、それはもちろんですよ。もちろんですが、それは要素の一つだし、全部じゃないということを申し上げているわけです。
○下田京子君 大臣が言わんとすることはわかりました。要素の一つだけれども大事じゃない、私はこれが大事だと思うんです。
○国務大臣(佐藤守良君) 全部じゃないと言っているわけですよ。
○下田京子君 全部じゃない。でも大事な要素であるということは否定されなかった。私はここのところの認識が大事なんです。大臣、だから私、途中で大変恐縮ですが、時間がないなんて申し上げましたけれども、あれこれ弁解するんではなくて、みんなが着たいと思うような、そういう買えるような状況にしていくというのが基本なんですよ。それで、具体的な対応ということをやっぱり進めるべきだということを申し上げます。 さらに、需要減の中で生糸、絹織物等の輸入が高水準で続いておりますね。需給不均衡をつくり出した最大の原因は何かといいますと、私はやはりこの生糸、絹織物の輸入にあると思います。これは十日の参考人もそろって指摘されております。政府は生糸は一元輸入で極力抑えているし、それから絹織物等についても中国、韓国と二国間協定で努力しているというふうに言われております。確かに一定のそういった努力は私も否定はいたしません。しかし、現実がどうかということを見なきゃならないと思うんですよ。 特に、繭減産に取り組んだ五十六年、大変な減産をやりました。ですから、五十五年とどうだったのかということで五十九年を比較してみたいと思うんです。国内の繭の生産量が五十五年に七万三千六十一トンでしたが、五十九年が五万三百五十二トンとその減少率が三一・一%、生糸の生産量はどうか、これは五十九年に十八万俵ということで、対五十五年から三三・一%のやはり減少、逆に輸入の方はどうかといいますと、純絹織物、これは数字的に減っていると言われておりますけれども、減りぐあい、五十五年二千六百二十九トンであったものが、五十九年二千三百二十九トンで一一・四%なんです。逆に着物地がどうかといいますと、これは九百九十二トンであったものが千四百十三トンで、四二・五%もふえているんですね。ですから、輸入を抑制するということがどうしてもこれは必要だと、この点でも否定はできないと思うんですけれどもね。
○政府委員(関谷俊作君) ただいま五十六年と五十九年の比較でお話がございましたが、私ども輸入に対応する態度としましてあくまでもこれは抑制をする。その場合に、日本の内需が縮小していくので外国についてもそういうことを理解してもらって、二国間協議が中心になりますが、輸入の抑制に協力してもらいたい、これが二国間交渉の一番基本として私ども対応している点でございます。 〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕
○下田京子君 だから、私は交渉を否定していないんですよね。質問は、それが大事じゃないかと、こう聞いたんです。 局長は、六十年度の繭生産について今後どう見ているのか、見通しがはっきりしないようなお話を他の委員に述べられておりましたけれども、五十九年度は五万トンでしたね、目標。それに対して六十年度は四万七千五百トン、そういう目標も下回る水準にさらに減産する必要があるというような、そういう話をもう既にされていると思うんですよ。それは、つまりは研究会の報告の方向じゃないか。研究会ではどう言っているかと言えば、改めて申し上げるまでもございませんが、輸入については極力輸入品の調整、国内生産については生産規模の縮小合理化は不可避、製糸業についても生産規模の縮小はやはり不可避と指摘しているんですね。結果として、やっぱりこれは国内養蚕業縮小という方向によって需給均衡を図ろうというふうに考えているんじゃございませんか。
○政府委員(関谷俊作君) 六十年度の問題につきましては、昨年四万七千五百トンという目標で計画生産を指導したわけでございますが、六十年度について私どもの考え方は、やはりあくまでも四万七千五百トンよりはもっと少ない数字が繭生産の規模としてやむを得ないのではないか、こう申しておるわけでございますが、ただこういう具体的な減産の指導を五十九年と同じような形でやるかどうか、この点についてはまだ都道府県なり生産者団体とも協議中でございます。この取り組み方について昨年と同じようないわゆる減産という指導までするかどうか、この点についてはまだこれから検討することにしております。 いずれにしましても輸入の抑制、それから同時に、国内繭生産についてもやはり生産規模の縮小の方向は避けられない、こういう方向に即して指導せざるを得ないという状況でございます。
○下田京子君 やむを得ず減産の方向を指導ということなんですが、私今申しましたけれども、輸入についての姿勢と国内生産、生糸、製糸業についての姿勢が違うんですよね。極力輸入は抑制すると、それはもうその持つ意味ですよ。それから生産規模の縮小合理化は不可避だ、今やむを得ないとおっしゃいましたけれども、研究会ではもう絶対避けられないんだと。だから、六十年度については決まってないと言いますけれども、そういう方向でやるんだ、こういうことじゃないですか。しかも、これはきょうの農業新聞に「六十年産繭にガイド・ライン」、「減産方向変わらず」、「未達分上乗せも」と「まあ推測もあるんでしょうけれども出されている。違いますか。
○政府委員(関谷俊作君) 国内生産の方につきましては、私どもは昨年のいわゆる未達成分を来年に持ち込むというような米の生産調整のような考え方は一切とる考えはございません。来年は来年でどういう生産規模が妥当か、これは役所としてその見通しなり何なりを持たないというわけにはまいりません。ただ、私先ほど申し上げましたのは、その一定の数量を簡単に言えば割り当て的にずっと末端までおろしていく、こういうような手法を昨年と同様にとることが妥当かどうか、これについては大分生産者団体の方にも異論があるようでございますので、県庁も含めて今その点を調整して検討しているわけでございます。 なお、輸入についてはどう対応しているかというお話、ついでに申し上げますと、五十七年、五十八年については協議数量を決めて今協議分の履行ということを迫られているわけでございますが、五十九年については相手国の要請もございますが、まだ協議数量の設定は一切しておりません。
○下田京子君 いずれにいたしましても、需要の減の中でやはり最重点的に行うのは国内の繭、それから生糸の縮小の方向じゃなくて、生糸、絹織物、この輸入をきちっと規制するんだということを腹に据えなければ対応できないだろうということを指摘しておきます。 二番目にお尋ねしたい点は、事業団の在庫糸、その処理の仕方なんです。言うまでもありませんけれども、今回改正案の柱の一つに、国産糸及び外国糸について、保管期間が一定期間を超えた事業団の保有糸についての特例的な売り渡しの道を開いたわけですね。この規定で、改正前に抱えている事業団在庫糸についても事業年度開始前に計画を立てて売り渡していくというふうなことになりました。問題のポイントなんですけれども、その売り渡しは時価に悪影響を与えない云々というくだりがあるわけなんですが、とすれば、国産糸を買い入れているときにこの特例の売り渡しというのはストップしていくというのはもう当然のことだろうと思うんですが、この点について局長が衆議院で、国産糸を買い入れ中に特例売り渡しを続けるのかどうかの問題で、売り渡しをストップするのが大原則というふうに言われております。
○政府委員(関谷俊作君) 今の私の衆議院での答弁は、大原則の後に例外について申し上げていると思いますけれども、基本的な考え方はこういうことでございます。 在庫糸の売り渡し、これはいろんな方法があるわけでございまして、従来からやっております新規用途売り渡し、実需者売り渡し、このほかに今度特別売り渡しという道を開いていただく改正になっておるわけでございますが、その方法として、原則は定時定量ということで毎月一定量を売り渡すという方法が需要にむしろ無理なく織り込まれる、こういうことでよかろうというふうに考えておりますが、例えば買い入れとか、あるいは安定基準価格を割り込むとか、こういうような一種の異常な状態になりましたときにはこの数量について調整をする。ブレーキをするなり、場合によってストップする場合もそれは含まれるわけでございますが、価格安定制度との関係から申しますれば、その数量について調整をしていくというふうなことが必要であると、こういうことをお答えした次第でございます。
○下田京子君 若干の例外はあるし、確かにかなり古くなった状態のもとで糸を数量的にわずか放出する、そういうことまで私は否定もしませんが、大原則は、今言うように国内買い入れ中は売り渡ししないということをお認めになっているわけなんですが、じゃ、実際に昨年行ったことはどうなのかという点でお聞きしたいんです。 昨年の五十九会計年度が始まって四月から、期中改定が行われたのが十一月ですから、十月までの七カ月間一体どうだったのか。国産糸を一万三千八十七俵買い上げておりますね。一方で実需者売り渡し一万三千九百六十五俵、そして新規用途分、これが五千九百俵、合計にして一万九千八百六十五俵売り渡しを行っております。しかも、異常な市況が続く中で、買い入れ量をはるかに上回る売り渡しをしたということなんです。このことは、ただいまの御説明とどういう関係で皆さんに御理解をいただけばいいんですか。 〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕
○政府委員(関谷俊作君) 今お挙げになりました売り渡しの中に、いわゆる新規用途売り渡しと実需者売り渡しと、こういうことでございます。 新規用途につきましては、目的がそういうことでございますので、昨年もああいう価格の低落時でありましても、新規用途についてはやはりこれからの新規用途開拓という性格にかんがみまして従来も売り渡しをしたわけでございます。 それからもう一つ、実需者売り渡しにつきましては、これは制度の趣旨が一定以上の在庫があります場合に、いわゆる絹業者に対する活性化措置と私ども称しておりますが、一方で生糸の輸入を一元輸入でコントロールしている、こういうこととの関係におきまして、一種の補正措置ということで昨年も実需者売り渡しは続けたわけでございます。ただ、これは非常にきめの細かい話でございますが、昨年の十月からはこの実儒者売り渡しにつきましては若干数量を調整しまして、月間千五百俵ということで一時減らしまして、その後今年に至りましてからは毎月二千俵という水準でやっておりまして、数量調整はいたしておるわけでございます。 なお、先ほど私、前の問いでお答え申し上げましたのは、この昨年行いました新規用途それから実需者売り渡しのほかに、今回創設されますいわゆる在庫が長いものの特別売り渡し、これについて先ほどの原則を申し上げたような次第でございます。
○下田京子君 今までの新規分とそれから実需者売り渡し、それに今回の法改正によっての一定期間を超えた分等が加わっていくわけなんですけれども、今のような御説明になりますと、「時価に悪影響を及ぼさない方法」だと、こう言われておりますけれども、現実どうだったのかと言いますと、昨年の四月—十月のこの売り渡しは時価に悪影響を及ぼさなかったのかと。そうじゃないでしょう。ちょっと局長、この資料を見てください。これは審議会の皆さんにお配りになっている資料なんですけれども、遠くておわかりにならないでしょうが、議論しているんですから御理解されると思いますが、四月、五月と基準糸価を割っています。にもかかわらず、六月から実需者売り渡し、さらに月二千俵という枠に特別に需要増進生糸特別売り渡しという格好で八百俵追加しましたでしょう。その結果どうなったんです。この資料が示しているとおりなんです。糸価は六月に安定下位価格まで急落しているんですよ。つまり時価に大変な悪影響を及ぼしているんです。どうですか。
○政府委員(関谷俊作君) 私どもの考え方として、今お挙げになりました実需者売り渡しについては、この性格が若干特殊な面もございまして、五十七年の国会のいわゆる議員提案による法律で設けられた制度でございますけれども、その趣旨がやはり絹業者の活性化ということで、一方において生糸の一元輸入で不利を受けている者に対する補正というようなことでございますので、若干考え方が違うわけでございます。 ただ、今御引用になりましたような価格推移の中で、二千八百俵というのは新生糸年度からの数量として一応設定したわけでございますけれども、その後、現実に大変これは現物も落ちましたが先物が大変低落いたしましたので、十月から十二月の三カ月の間は千五百俵にするということでこれを抑え、一月にはこれを二千俵にするということで、若干基準糸価の上に来たという状況に応じて調整をするということで、数量調整はいたしておりますが、実需者売り渡しの趣旨にかんがみまして、糸の価格の低落時においても行うということで対応してまいったわけでございます。
○下田京子君 実需者と新規用途分の説明を伺ったのではないんです。結果として、時価に悪影響を及ぼさない、こういうふうに言っているけれども、とんでもない、時価に悪影響を及ぼしたじゃないんだろうか、現実にそれが示しているじゃないかということを私は申し上げたんです。うなずいているから否定できないんです。事実ですよね。そうすると、今回の改正案の中で事業団在庫糸処分に対する「一般競争入札その他の生糸の時価に悪影響を及ぼさない方法」でというふうなことが書いてありますけれども、今のようなことで今後もやられていもきますと、全く何の歯どめにもならないということを逆に私は立証したと思いますよ。そこで、買い入れ中は売り渡さないと、ここで法文上も明記すべきではないか。これは主張です。 お尋ねしたいのは、昨年のこの糸価の推移を見ますと、八月二十一日以降、先物価格が大変落ち込んでいます。この理由は何でしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) ただいまの前のお尋ねで、売り渡しについては実需者売り渡し、新規用途売り渡し、それから今度の特別売り渡しという三つがここに規定されているわけでございますが、いずれも時価に悪影響を及ぼさないようにということでございますが、それぞれの売り渡しの趣旨からして考えなければいけないわけでございますが、価格低落時でも、今回設けられます特別売り渡しの場合でも、やはり在庫の古いものについては一方で買い入れを行っていても売り渡しをしなければならない場合を否定し得ないということで、数量には十分な調整をいたしますが、全く買い入れを行わないというふうに法文上制限をするということは、この特別売り渡しの趣旨からして適当ではないと考えております。 それからもう一つの、八日二十一日からの先物低落については、八日二十一日の朝刊の某紙に、事業団の在庫処理、こういう問題が書かれまして、その記事を契機に、以後、急速な足取りで先物価格が低落をした、こういうような関係になっているというふうに理解しております。
○下田京子君 朝日新聞がどうのこうのと言われましたけれども、前の説明のところで、売り渡しのその趣旨からいって価格低落時であってもそれは売り渡さざるを得ないという話は、まさにこれは臨調路線そのもの、五十八年三月、臨時行政調査会が最終答申の中で、繭糸価格安定制度の抜本的検討を行うこと、需給事情に即して毎年度の行政価格を見直すことを提起しております。そして、五十八年八月に、農水省内に繭糸価格安定制度に関する研究会が設立されました。こういう動きが制度不安を招いて糸価を引き下げる役割を果たして、今私が質問しましたが、先物が安くなるという逆ざや現象になったと思います。そうでしょう。それに加えて、事業団在庫糸を放出し、異常な相場がまたつくり出されたんですよ。しかも、つくり出された糸価相場を追認する形で、異例の価格期中改定を二十六年ぶりに強行したんです。 以上の背景からしても、今回の改正案は、事業団在庫糸を放出し整理する、その結果、糸価水準が下がる、糸価水準が下がればそれを需給実勢価格ということで価格安定帯を下げる、そういう運用を可能にするものだと、見事に私は今までの中で明らかにしていると思うんです。
○政府委員(関谷俊作君) 臨時行政調査会の答申及びその後の政府の行革方針の中で、繭糸価格安定制度の問題が取り上げられたことは事実でございますし、その場合の基本的な考え方は、やはり繭糸価格安定制度全体のあり方が問われる、また価格水準が問われると、こういうふうな問題でございます。 それに対応します私どもの考え方は、その後五十九年に至りまして事業団の借入金が二千億円を超える、あるいは在庫も十七万俵を超えていくというような、大変その需給不均衡事態が極限にまで達していって、やはりこのままでは事業団の破綻という形で価格安定制度が崩壊する、こういうふうなところに迫られたのが、一つの新聞の記事を発端としているとはいえ、大変な価格低落があった原因であるというふうに考えております。やはりそれに対応しまして、制度の不安というものが基本になって起きた価格の変動に対しましては、制度を立て直すということで今回の制度改正を提案し、また予算面でも異例のこととして初めて事業団に損失補てんを一般会計から行う、こういうような予算措置を始めた、こういうような考え方でございます。
○下田京子君 それじゃ、今お話がありまして、今回制度価格を維持するために改正したんだと言いますけれども、じゃ、なぜ異常変動防止措置の廃止をされたんでしょう。どういう意味があるんでしょうか。制度研究会の報告ではこう言っています。「異常変動防止措置における安定下位価格等の決定について生産費を基準とすべき旨が定められ、これが需給実勢を考慮した価格安定帯の設定を阻害している側面もある。」、こう言っています。ですから、異常変動防止措置の廃止というのは、価格安定帯の設定を、生産費基準ではなくて需給実勢を考慮に決めるということで変えたものだと思います。そうでしょう。
○政府委員(関谷俊作君) 研究会報告の今のところのくだりの理解でございますけれども、やはり繭糸価格安定制度の本質というものが、事業団が価格低落に買い価格が上がりましたら売る、事業団はそれによりまして価格を一定の幅におさめるという価格安定制度でございますので、全体としては、やはり需給の均衡を図るというそういう制度なんではないかということで、生産費基準ということについても、建前はそうなっているけれども、実際は、御承知のように、生産費の一定割合を下らないように額を決めるということで、そのときの需給事情も勘案した価格設定をしているわけでございます。 研究会報告はそこの点を非常に明快に強調しているわけでございますが、いずれにしましても、異常変動という幅の広い安定帯と、中間安定というもっと狭い安定帯、二重の、二つある状態よりも、一般の生産者、それから製糸業者、それから需要者、みんなが期待しておるのは中間安定を今守れということでございますので、その中間安定に一本化するということで制度を簡素化しそれで一元的に対応したい、これが異常変動防止措置を今回廃止することにしました考え方でございます。
○下田京子君 異常変動が、その持つ意味が大きくないような、何ら意味がないようなお話なんですが、局長御存じだと思いますよ、四十一年の制度改正の際に、今まではその安定下位価格という大きな幅でしかなかったわけでしょう。そういう中で、つまり異常変動防止措置、それだけたったわけですが、それに中間安定というものをつくったわけですよ。 その関係を、当時の丸山蚕糸局長はどういうふうに述べているかといいますと、これは四十年の八月十日の衆議院農林水産委員会の中での話なんですけれども、政府の制度、つまり今日の異常変動制度というのは野球なら外野であって、事業団、つまり中間安定は内野である、「外野は、内野がトンネルしたときにはもちろん引き受けるというような意味合いにおきまして、この二つの機構がある」と思いますと、こう言っているわけです。 今度の改正案は、この外野をなくすわけですから、内野は絶対にエラーしちゃならないということになるんです。外野にヒットも打たせちゃならないということになるんです。とすれば、その内野の強化策として、事業団の買い入れ数量を、現行の中間安定制度では三万俵ということに限定されているんですが、改正後拡大する、そういうお考えはあるんですか。
○政府委員(関谷俊作君) 今の内野、外野論でございますが、二重の安定帯がある状態でそういうふうになったわけでございますが、その後の運用の現実は、異常変動が発動されなかったということにあらわれますように、むしろ中間安定の、真ん中の安定帯をしっかり守ってくれ、こういうことで一般の期待がそこに集まりまして、その中間安定に運用してきた結果が、と申しますと何でございますけれども、やはり事業団在庫、買い入れがこんなに大きくなる、こういうことで中間安定措置に専ら頼るという状態になってきたわけでございます。 異常変動については、そういうことで外野として存在する意義があるという議論もございますが、反面、その外野がありますと内野がしっかり守れないと言うと変な言い方でございますけれども、もう一つ下に底がありますと、どうも一重の底を突き破りまして、二重のもっと低い方へ行くというふうに、価格が引き寄せられ、下へ引っ張られていく効果も若干見られる事態が昨年もございまして、これならば、むしろその内野の方がしっかりする、こういうことで今回の改正を考えた次第でございます。 なお、三万俵については、原則三万俵、それから従来も、そのときに状況に応じまして必要な場合には増枠もいたしておりますが、今回改正後も同じような仕組みで三万俵を決めておきまして、なお必要がありましたら増枠等も可能なような対応にいたしたいと考えております。
○下田京子君 安定下位価格があるから価格が下に引っ振られるといのは、それはもう詭弁ですよ。確かに、安定下位価格で買い入れという意味での発動は一度もありません。しかし、これは中間安定制度の設立の意味からして当然だと思うんです。異常な変動の際に下位、上位の中での安定では幅が広過ぎるんだ、さっきも言ったように、それでは経営の安定につながらないということで、その異常変動の幅の適正な水準で安定を図るんだということですから、この制度を使って買い入れがされなかったというのは事実なんですけれども、異常変動防止措置と中間安定価格との関係というのは何かといいますと、これは農林法規解説全集の七百五十八ページにも詳しく出ておりますけれども、こう書いてるんです。「異常変動防止と安定価格帯の相当な水準における安定とは、全く切り離された関係ではなく、必要に応じてこれを補完する意味において両者の安定機能が一層有効に働き得るものと考えている」というふうに、ちゃんと法規書で説明しているんですよ。 その異常変動防止措置が中間安定制度の価格安定機能を補完していた最大のポイントは、安定下位価格が生糸生産費の八五%以上で決められていたんです。その上に基準価格が決められていたということなんです。中間安定制度による価格安定が、生産費を償う価格補償的な機能を持っていたということなんですよ。これが今回の法改正によって根本的に性格が変えられてしまう。違いますか。
○政府委員(関谷俊作君) 異常変動の安定下位価格の決め方については、八五%を下らない額ということでございますが、同時に、三十四年以来適用されております臨時特例政令がございまして、当分の間は六割を下らない額で決めることができる、こういうふうな規定になっておるわけでございます。 いずれにしましても、やはり生産費基準のあり方というものが政令によりまして具体的にそういうふうに決まっておるわけでございまして、そこの考え方は、異常変動というのは、やはりかなり低いところで守るという意味で、その低いところの価格の存在が意味があるという考え方で当初仕組まれたわけでございますが、その後、二十年近くの運用の結果として、むしろ中間安定こそ価格安定帯である、異常変動の安定下位価格では簡単に言えば低過ぎる、国はその中間安定の方をしっかり守ってくれ、こういうふうな形で運用が定着してきたと私どもは考えている次第でございます。
○下田京子君 安定下位価格が生糸生産費の八五%以上で決められているんですよ。必ず局長おっしゃいます、臨時特例で六割という規定もあるんだということなんですけれども、生糸価格が大暴落した三十四年につくられたものなんですね、これは。この中間安定制度ができた四十一年以来、この臨時特例に基づいて八五%以下、つまり六割以上で安定下位価格を決めたというのは、昨年の期中改定二千円引き下げ、そのとき以外にあるんですか。
○政府委員(関谷俊作君) 昨年の期中改定のときだけでございます。
○下田京子君 ですから、安定下位価格の生産費八五%というのは、政令であっても守られてきたんですよ。一つの原則で運用されてきたんですよ。また、安定下位価格が生産費一〇〇%でないというのは、これは八五%でやるということですから、今まで八五%云々といってもこれは当たり前のことだということは、念のために申し上げておきます。重要なことは、繰り返し申し上げますけれども、生産費の八五%という下位価格より高い水準に基準糸価が決められたということなんです。いいですね。 そこで、この中間安定制度スタート以来、この基準価格はどのように算定されてきたのか、現在の需給調整係数方式というのは、五十六年の亀岡大臣のときに基準糸価を七百円引き下げるために採用したものだと思うんですよ。それ以前はどうでしたか。
○政府委員(関谷俊作君) 基準糸価の定め方でございますが、これは四十一年の中間安定帯制度が発足しましてから五十五年までは、場合によりますが、生産費の九四から一〇〇%の水準で決定されております。五十六年、これはまさに一万四千七百円の前年の価格を一万四千円としたときでございますが、このときから需給調整係数方式、これを採用いたしておるところでございます。
○下田京子君 そうでしょう。今四十一年からとおっしゃいましたけれども、スタートいたしました四十一年を除いて、四十二年から五十一年まではほぼ生糸生産費の同水準、つまり一〇〇%生産費と見て決定されていたんですよ。それが五十二年度から五十五年度までは生糸生産費の九五%で決定されたんです。ところが、五十六年以降に算定方式が変えられて、生産費基準でなくなってしまったんです。しかし、生糸生産費の九〇%水準で続いてきた。そのことは何かといいますと、安定下位価格の八五%より高い水準で、より生産費を償う価格として決められていたからなんです。異常変動防止措置の安定下位価格は、こういう点で生きてきたんです。違いますか。
○政府委員(関谷俊作君) これは安定下位価格の方は八五%でずっと参りまして、昨年の期中改定のときはその臨時特例政令によりまして決めておりますが、確かに先生のおっしゃるとおり、制度上の価格関係としましては、異常変動の安定帯の中で中間安定も決めますので、結果的に安定下位価格を下らないように基準糸価が決められておったわけでございます。
○下田京子君 今言われたことは、否定できなかったわけです。その制度が大事なんです。今回、改正案で生産費の八五%という基準が当てはまらなくなってくるわけですね。局長は、繰り返し現行の基準糸価と同じ規定で生産条件と需給事情その他の経済事情を考慮して決めていくんだと、こういうふうに言われております。法文上では、現行法の第十二条の五にある安定下位価格を下回らない範囲内、この規定が落ちちゃっているんです。ですから、今お認めになったように、制度上、まさに法律上、生産費の八五%以上という基準が当てはまらなくなっちゃったんです。これはもう大変なことだと思います。これも当然ですね。
○政府委員(関谷俊作君) 制度の関係としまして、異常変動防止措置がなくなれば、安定帯の中で基準糸価を決めるということはなくて、基準糸価が独立で決められる今度の安定基準価格でございます。そういう関係になります。
○下田京子君 そうしますと、本当に今お話し申し上げてきましたけれども、基準糸価について五十一年まで生糸生産費の一〇〇%水準であったんです。それが五十二年度から九五%の水準に引き下げられ、さらに五十六年度から生産費基準から需給調整係数に改悪されたんです。そういう状況を見てきますと、今お認めになりましたように、基準糸価算定の根本的な転換である。まさにこれは価格制度そのものの根幹の大改悪と私は申し上げます。にもかかわらず、この算定方式の改悪によって生糸、繭価格が抑制され、そして養蚕農家はもうなくなってしまうというようなことに突き進む、こんなことを本当に許していいものだろうかということだけ申し上げます。 最後に、中核農家育成論の問題について一、二お尋ねしたいんですけれども、局長、今後の養蚕業の発展方向で決まり文句のように申されているのが、中核農家の育成と主産地形成ということなんですね。確かに養蚕の発展にとって、私は中核的なそういう農家の必要を認めますし、主産地も形成しなければならないと思います。しかし問題は、その繭価の抑制でもって収益性を悪化させながら中核農家が育っていくのだろうかということなんです。
○政府委員(関谷俊作君) これは私ども中核農家と言われるものの育成、これについてはこれからある程度経営のモデル的な指標もつくりながら取り組みたいと考えておりますが、主産地形成と両両相まってと申し上げている趣旨は、やはり現地の山間地帯等では必ずしも規模が大きくない、複合的に所得補てん的な部門として養蚕経営があり、幾つかの作物が組み合わさっている農家のあることは否定できないわけでございます。 したがいまして、そういう小規模な養蚕をやっておられる農家も含めて、中核的な農家を中心にしながら一定の地域として養蚕を営んでいく。そこでいろいろ共同の農作業なり、あるいは桑園の集団的な整備なり、あるいは稚蚕共同飼育というような地域施設、こういうものを組み立てて地域の養蚕として定着していく、この両々相まって考えるべきであるという考え方を私どもとってまいりたいと思っております。
○下田京子君 私は考え方を聞いたんじゃないんですよ。収益性が悪かったら育たないでしょうと言っている。答えていませんね。答えられないと思うんですよ。といいますのは、最後に大臣にお尋ねしたいんですけれども、複合経営を否定しないと言いましたけれども、否定したら成り立たないです。なくなっちゃうんです。私は時間的な関係で今詳しく述べる時間はありませんけれども、群馬、福島、埼玉、山梨、長野、この主要養蚕五県の中で福島が残るだろう、こう言われているんですね。長野と山梨というのは減少していくだろう、現に減少している、こう言っているんです。なぜかというと、福島の特徴点として、養蚕農家のうち養蚕に八割以上依存しているというのが一番低いんです。それから経営耕地面積でも、水田率が高くて桑園率が低いんです。複合経営の中だからやっていける、だから残れるだろう、こういう分析を、実は東北農政局の福島統計情報事務所の園芸統計課長さんが、六十年の二月十五日発行の「農業と統計」という雑誌で述べています。 大臣、再生産の確保がなかったら、これはもう中核農家も育たないし後継者も育たないと思います。統計的にそれははっきりしているんです。この前の参考人、大臣お聞きになっていないと思うんですけれども、十日のときに、後継者が希望を持って、二十一世紀論をよく言われますけれども、明るい未来に期待をつないでいけるような養蚕業というならば二千円を割っちゃいけない、再生産の確保だと、こう言われました。それにきちっとこたえていくのが、私は大臣の大事な仕事じゃないか。その決意を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 私は、いろんな御意見がございましたけれども、小規模養蚕農家を含め、蚕業界の普及組織を通じまして生産性の向上等養蚕経営の体質強化の推進について指導し、あわせて養蚕農家の他作物との組み合わせによる経営複合化についても農業改良普及所、市町村、農協等関係機関の連携を一層密にし、その円滑な実施と農業経営の安定につき指導していく考えでございます。
○田渕哲也君 蚕糸価格安定法は、二十七年の一月一日から施行されて、その後、幾多の変遷を経ながら過去八次にわたる改正が行われて今日に至っておるわけであります。そして、それぞれの時代でそれなりの役割を果たしてきたと思いますけれども、現在の繭糸価格安定制度の今日における意義と役割について、まずお伺いしたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 繭糸価格安定制度の意義でございますが、これはやはり日本の蚕糸業、こういう面から見ますと、この経営の安定につきまして、価格の安定を図るということについて経営の安定を図る面で蚕糸業界としてはこの制度の根幹の堅持については大変大きな期待を寄せておられると思いますし、また一方、需要者の面から見ましても、一定の安定帯の中で価格の安定が図られるために事業団が活動するということでございますので、やはり供給者である蚕糸業者、それから需要者である絹業者の方々、両方を含めて価格安定を通じた経営の安定また同時に需要の増進、こういう面での役割が期待され、またこれをますます発揮しなければいけない状態にあると考えております。
○田渕哲也君 現在の我が国の蚕糸業あるいは絹織物業、こういうものをめぐる情勢は非常に厳しいわけであります。これは絹需要の減退ということが一つあります。それからもう一つは、外国からの輸入圧力、これは言葉をかえて言うと国際競争力という問題だと思います。果たして今のこの制度でこういう厳しい情勢に対応できるのか、対応して我が国の蚕糸業というものを守れるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 大変難しい問題でございますが、結局、生糸、絹織物についてはやはり世界的な貿易というのがございまして、その中で日本はやはり世界で一番絹の需要量が多い国でございます。そういうことから、大変日本に対する輸入圧力が強いわけでございますが、そういう要素も勘案すると同時に、国内において農山村あるいは純山間地帯等で大変中心になっている、基幹的な作目になっております養蚕業、それから地域の産業として大事な製糸業、こういう供給者側の方々たちの経営安定ということも考え、いろいろな要素を考えまして、安定制度自体そのものだけで全体が問題が解決されるわけでは決しでございませんけれども、安定制度は、その中でも一番大事な中心の商品である生糸の価格を一定の幅におさめるというようなことを通じて需給の安定に寄与するわけでございますが、もちろん基本的には国内需要の増進なりそれから養蚕業の面では低コストに耐え得るような養蚕の育成とか、こういう生産面、需要面の対策もあわせて随時実施しながら日本の蚕糸業の安定を図っていかなければいけないと考えております。
○田渕哲也君 私は、基本的にはやはり需要の拡大が果たして実現できるかどうか、それから外国との競争に勝てるかどうか、この二つが決め手だと思うんです。もちろんこれは全く外国からの輸入を閉鎖して全くそれを禁止する、それから価格補助を出して安くみんなに買えるようにする、そういう制度でもあれば問題は変わりますけれども、そういうものがない限りは絹の需要の拡大をどうして行うか、国際競争力をどう強化するか。それができなければ我が国の蚕糸業というのはじり貧をたどる、これはもう間違いがないと思うんです。 したがって、まずこの二つについての見通しをお伺いしたいのでありますが、需要の拡大というのはどうなんです。見通しはあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 現在、日本の生糸、絹の国内需要は大体三十万俵というようなところを下りつつあるわけでございますが、先行きの見通しということになりますと、やはり大宗を占めております、九割を占めております和装関係の需要がどうなるかということでございます。 いろいろ見通しをいたしますと、和装の中のカジュアル着物、小紋とかつむぎとかお召しとか、こういうような類のものが今までかなり急テンポで減少しておりましたのが、どうも減少は続きそうだ。一方、振り袖とか留め袖、訪問着、付け下げというようなフォーマル、セミフォーマル関係のものは比較的需要が底がたい状態になってまいりました。こういうことからしますと、和装需要全体としてはやはりまだ減退するだろう。ここについては我々としましては、これは通産省の所管に本来なるわけでございますが、我々事業団なり農林水産省としましても、若い御婦人の方々などに和装に親しんでいただく、こういうような努力をすべきであろう。それから、全体からすれば一割でございますが、日本ではまだまだこれからということになっております洋装部門について、いろいろ背広とかコート類とか、それから婦人の高級な絹製品とか、こういうようなものを中心に絹製品の需要開拓、こういうところについて取り組むということが必要だろうと思っております。 いずれにしても、需要増進ということは大変難しい仕事でございますが、厳しい情勢であるだけに、これはこれからも真剣に取り組むべき問題だと考えております。
○田渕哲也君 私は、フォーマルなものは減ってないけれどもカジュアルなものが減ってきておる、ここに一つの問題のポイントがあると思うんですね。なぜフォーマルのものは減らないけれどもカジュアルのものは減ってきておるか、もっとも生活様式の変化というとともあるでしょうけれども、私はやっぱり価格の問題ではないかと思うんです、国際価格に比べて約倍近い原料を使ってやるわけでありますから。ところが、繊維というものは絹の競争相手というのは絹だけではありません。羊毛もあればほかの化繊だってあるわけです。だから、そういうものの価格というものは全く自由化されておるけれども、絹だけ高く保持しようと思ってもそれは無理です。そういう点が、私はカジュアルなものの方がどんどん減ってきておる理由ではないかと思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(関谷俊作君) 価格の問題になりますと、価格がどういうふうに着物の需要の減り方に影響しているか、これは私どもも専門というよりは素人的な考え方にどうしてもなってしまうわけでございます。ただ、考えますのに、価格面での影響もございましょうけれども、フォーマル、セミフォーマルについては、そういうものを着るいわば機会というか場面が日本の社会生活の中にかなり多い。これはいわゆる冠婚葬祭とか、若い方でいえば成人式とか、あるいは卒業式とか、そういうような改まった場面にそういうものを着る、多少高くても着る、こういうことで、価格面の影響もございますけれども、やはりそういう生活様式が定着しているということであろうと思います。 一方、カジュアル着物は、これは普通にちょっと外出したりするときに着たりするものでございますので、やはりどうも洋装の方にいってしまうということで、価格の関係ももちろん非常に強く働いているとは思いますけれども、生活様式というか、そういうような着物を着る機会の増減というようなことが大きく働いているのではないかなと、素人なりに考えている次第でございます。
○田渕哲也君 それと、もう一つのポイントである国際競争力の回復の見通しは果たしてあるのかどうか。足腰の強い養蚕、中核的養蚕農家の育成ということを言われますが、具体的な構想と施策を示していただきたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 国際価格は、比較で申しますと、国内生糸の基準糸価が一万二千円でございまして、現物が一万二千三、四百円ぐらいのところでございます。これは国会にも資料としてお配りしてございますが、国際的な相場の代表のように言われますリヨンの取引価格が一キロ七千五百円水準でございますし、こういうことから見るとかなり価格差がございます。 これをどこまで埋めれるかということで、コスト低下ということになりますと、製糸業関係ではいろいろ設備の構造改善など、廃棄などやっていただいておりますが、養蚕ということになりますと、私としては一つはやはりいわゆる桑園の十アール当たり単収にあらわれますような生産力を高めるということが一つの大事な点であろうと思います。これは実はかなり低落しておりまして、やはり桑園に対する有機物の投下とかそういうことがおろそかにされたりしまして、非常に十アール当たりの収量が落ちているということ、これを何とかして回復をしていく、あるいは優秀な農家だけでもそういうものを高めていくということ、それからもう一つは規模拡大ということで、これは桑が余っている農家から桑を買うという買桑形態から始まりましてかなり貸し借り、桑園の貸し借りも行われているようでありますが、こういう規模拡大。それからもう一つはいわゆる収穫、桑の収穫なり上蔟とか、そういう栽桑、それから養蚕面での省力化を進める、こういうことでございます。 これはなかなか一般水準の引き上げは難しゅうございますが、これまでいろいろな機会に優秀な経営として表彰されたりしている方の経営を見ますと、一般的なコストから見るとかなり低い水準のコストで相当の所得を上げておられる、こういう農家がございますので、こういう方法をできるだけ普及していく、あるいはそういう優秀な経営のあり方をもっと皆さんにも学んでいただく、こういう優秀な農家を育てるという方向が大事であろうかと思っております。
○田渕哲也君 先ほど価格の安定を図って健全な蚕糸業の育成を図るという言葉がありましたけれども、この価格安定制度というのは、ほかに価格の下支え機能というものもあると思うんですけれども、この点はいかがですか。
○政府委員(関谷俊作君) 広い意味での価格安定制度になりますと、いろんなタイプがございます。一定の価格水準を最初から設けましてそれを保証する、それが保証されない場合には国が財政負担などをするというような、言ってみれば不足払い、あるいは所得保証的な価格制度もございますけれども、生糸の場合には、この生糸の価格安定制度の本質は、安定価格帯ということでベルト、一定の価格の幅の間に生糸の価格をおさめるということでございますので、それを低落したら買い、上がりそうな場合に売るというそういうことでございますので、一定の所得なり何なりを保証するために国が財政負担をするという制度とは建前が異なっているということで、基準糸価、つまり下限価格についても、価格が低落する事態ではそこで支える機能が事実あるわけでございますが、価格全体としては、やっぱりそこで買ったものは価格が回復したときに売る。これは生糸とか、それから豚肉、牛肉のような食肉関係、こういうものが大体そういう全体として需給をバランスさせていくという考え方の制度であろうと思います。
○田渕哲也君 そうすると、基本としては価格の下支え機能ではなくて安定機能である。異常な変動を防止するというのが基本的な目的ですか。
○政府委員(関谷俊作君) 変動の性質については、異常と見るか、ある程度通常の変動もカバーするかということで、今回の改正は、従来の異常変動にかわって、中間安定という比較的幅の狭い安定帯を考えているわけでございますが、これは価格の支持というよりは、やっぱり価格の安定という性格の制度であろうと考えております。
○田渕哲也君 そうしますと、私は例えば日本の養蚕農家が期待するものとかなりずれがあるのではないかと思うんですね。それで私は、もともととの価格の下支え機能というのは、究極的にそんなに果たせるものではないという気がするわけです。なぜなら、これは自由化品目である。外国からどんどん入ってくる。だから、入り口で締めてみたところで、出口では自由競争にさらされておるから、価格の下支え機能というのはなかなか果たせない。果たせるとするならば、これも後ほど述べるように完全ではないわけですけれども、やはり事業団の運営というものが運営の健全性を犠牲にしないとこれは無理ではないか。例えばある程度価格が下がればどんどん買い入れる、買い入れたものは国で面倒を見て処分する、そういうことをやらない限りは、事業団の運営も安いときに買って高いときに売り渡してそれで何とかつじつまを合わせていくという方式ならば、これはなかなか難しいのではないかと思います。大体、国際的な市場の水準に近いところで上がったり下がったりするものであるならば事業団の健全な運営ができるけれども、国際価格と非常に大きな開きがあって、片一方では底が抜けておるというか、どんどん絹織物にしても二次製品にしても入ってくる、こういう状態では、なかなか価格の下支え機能は果たせないと思うわけであります。 そこで、今も事業団の在庫の増大が理由になっておるわけでありますけれども、この在庫がどんどんふえた理由も、結局この安定価格帯というものが需給の状況に比べて相対的に高過ぎた、だから在庫がどんどんふえる、これは当然のことなのでありますけれども、もしこの事業団の運営といるものを健全にしようとするならば、この需給実勢に合わせてやっ小はり安定価格帯というものの水準を下げていくしか方法はない。今度の制度になって、新しいこの安定価格帯水準についての具体的考え方はどうなんですか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 安定帯の制度が、今先ほど私お答えしましたようなことでございますので、安定帯の設定の仕方は、輸入の問題はちょっと別にしまして、いわゆる需給実勢というのです か、需給均衡という考え方に立って、需給変動に伴います価格変動を一定の幅に抑えるということでございますので、やはり考え方は需給均衡という考え方が基本になろうと思います。そういう意味で、従来の中間安定につきましては、昭和五十六年からでございますが、需給調整係数方式というふうな、どちらかというと需給実勢を基礎に置いたような価格の算定方式をとっているわけでございます。 なお、その具体的な適用につきましては、実は昨年十一月でございますけれども、大変その時点までに事業団在庫の増加傾向が見られまして、そこにあらわれますように事業団はずっと買い入れを継続するという状態でまいりまして、在庫増になる一方でありました。一方、先の価格は、制度の不安定を反映して、これは事業団が崩壊するんじゃないか、こういうような不安もございまして、大変価格が落ちたものですから、昨年十一月に従来の基準糸価一万四千円から一万二千円という大幅な改定を、しかも生糸年度の途中でするというやむを得ない事態に至ったわけでございます。そういうようなことで価格については、その適用の考え方は需給がどうしても一番問題になるわけでございますが、実際の水準としては、当面一万二千円に下げたという現在の糸価水準を堅持するという状況で今後とも進んでまいりたいと考えておる次第でございます。
○田渕哲也君 それから、絹の内需に占める国産と輸入の比率ですけれども、過去十年間の推移を見てみますと大体三十数%、おおむねその辺で推移しております。うんと高いときで五十四年の四二%というのがあります。低いときには五十六年の二六%というのがありますけれども、それ以外は大体三〇%台の後半で推移しております。今後のこの見通しはどうなのか、この輸入比率というものが上がっていくのか下がっていくのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) これは輸入については、全体は自由化をしておる中で、中国、韓国との間は二国間協議によりまして生糸、絹糸、絹織物の協議をしているわけでございます。そういう場合に、私どもの考え方は、需要が全体として縮小していくので、国内生産もかなり減産指導なりをしているものですから、輸入についてもそれなりに抑制に御協力をいただきたいという、そういう協議の中で輸入抑制の協力方をお願いをしている、そういう交渉をしているわけでございます。 その場合に、全体として率を設定するということになりますと、やはり需要が縮小したのに応じて輸入も同じ率で縮小していくという、あるいはもっとそれ以上に縮小させるべきだという御意見もあるわけでございますが、そういうような考え方になるわけでございますが、あくまでもこの何割というのは一つの結果でございまして、やはり具体的には全体の需要規模を見ながら、輸入については需要が縮小していく段階で相手国に対して協力を訴えると、こういう形で協議を進めているわけでございます。
○田渕哲也君 それから、この輸入の内訳を見ますと、輸入に占める生糸の割合は、五十一年が二九%でありましたけれども五十八年は一一%、非常に減ってきております。これは一元化輸入という制度だから、そういう絞ってくるということが可能だと思うんでありますけれども、反面、絹織物、二次製品などは比率がどんどん上がってきております。絹織物は五十一年度三二%が五十八年度は四九%、二次製品は五十一年度一一%が五十八年度は二四%と上がってきておるわけであります。これは何を意味するかというと、一元化輸入で生糸を幾ら絞ってみたところで、やっぱり絹織物とか二次製品がどんどんと入ってくるならばどうしようもない。したがって、ここで圧迫されておるのが日本の絹織物業者とか二次製品業者というものがそれだけ圧迫されるわけであります。この点についても対策はどう考えられますか。
○政府委員(関谷俊作君) この輸入総体の中で生糸は一元輸入があり、同時に二国間協議で対象になります中国、韓国のもので大部分でございます。したがいまして、二国間協議プラス一元輸入ということでコントロールができるわけでございますが、絹糸、絹織物のうちでは中国、韓国、それに台湾もこちらは含まれるわけでございますが、この辺の二国間協議の対象国の占める割合というのは生糸ほどは高くございません。二国間協議の対象国以外の国から自由に入ってまいります。それから二次製品につきましては、これは全く協議の対象にはできないような極めて多種多様のものでございますので、そういう関係がございまして、今御指摘のございましたような最後の絹糸、絹織物、二次製品、この分類の部分がふえてくる、こういう状況になっているわけでございまして、なかなかそこのところは輸入の、いわばこれを抑えるとか、あるいは調整するということで取り組みにくいものがかなり高い、数量的に多いということでございます。
○田渕哲也君 ここに一つこの制度の大きな矛盾があると思うんですね。例えば絹織物業者とか二次製品業者というのは、全く自由競争の中でやっていかなくてはならない。ところが、反面、生糸価格、絹糸価格というのは、価格支持制度ではないにしても、ある一定の価格支持の役割というものを果たしてきておる。だから、こういう矛盾が解消されるというためにも、やはり生糸価格をできるだけ国際水準に近いものにしないとそういう矛盾はなくならない。だから、またそういうふうな努力をしないと、日本の養蚕業も維持できないというふうになりつつあると思うんです。この点に対する対策を考えることが私は根本であって、でないと、こういうのはあくまでも一時逃れの制度に過ぎないんじゃないかという気がするんですが、いかがですか。
○政府委員(関谷俊作君) 一元輸入で調整していわゆる国境調整的な措置が有効に講じられるものと、二国間協議にもっぱら頼っているものと、それもないものと、こういうふうにこの辺が分かれておるわけでございます。したがいまして、そういう関係からしますと、今先生のお尋ねございましたように、日本の絹業者は非常に苦しい立場にあったりするわけでございまして、ただそこのところでそういういろんな要素が一種の相互に調整しにくい形であるわけでございますが、我々の考え方としては、やはり全体的には今存在する二国間協議なり一元輸入という制度をフルに使いまして、輸入については抑制をしていくと、こういうことで対応をいたしておるわけでございまして、そのほかのものについてまで輸入制限措置を強化するというのは、これはできればよろしいわけですが、なかなかこれ以上の強化は実際問題として難しいことがいろいろございますので、現在ある国境調整措置をできる限り有効に使って輸入抑制をしていく、こういうことで対応してまいりたいと考えております。 なお、絹業者等では、そういうふうな問題からしますと、絹業者の立場をむき出しで申しますと、やはり生糸の一元輸入措置は反対である、生糸は原料でございますので自由に入れてくれと、こういうような要求になるわけでございまして、そういう関係から、一部の業者では一元輸入が憲法違反であるというような訴訟を起こしておられたりするわけでございまして、ただ、そこのところは全体の制度が現状そうなっておりますので、そこをできる限り有効に使って、内需がいろいろ減少していく過程でございますので、輸入についても極力抑制をしていくということで今後とも対応してまいりたいと考えております。
○田渕哲也君 今回定められた売り渡しの特例措置についてお伺いしますが、この売り渡し価格、それから売り渡し先、売り渡し方法などについてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 特例措置につきましては、この売り渡しの相手方はこれはもちろん制度上限定は特にないわけでございますが、常識的にはいわゆる絹業者、要するに生糸を買ってそれを加工等しまして織物にされる方々であろうと、こういうふうに考えております。 ただ、これは形としては、普通の状態では一般競争入札契約において売り渡しますので、そこでいわゆる普通の競争入札契約をやりますような入札資格者を決めまして、競争で応札をしていただいて売り渡すと、こういうようなことになるわけでございます。
○田渕哲也君 いずれにしても、かなり膨大な在庫があるわけですが、これを減らしていこうとすると、それが生糸の需給とか糸価に影響を与えないということはあり得ないと思うんですね。この点はいかがですか。
○政府委員(関谷俊作君) ここがまさに我々の留意すべき点でございまして、広い意味で在庫の処分の方法としては実需者売り渡しと、それから新規用途売り渡し、それから今回設けました特別売り渡し、この三つのそれぞれの趣旨がございますので、それぞれの趣旨を十分に発揮しながら売り渡していくということでございまして、特に今回設けます特別売り渡しにつきましては、やはり価格が相当低落をする、あるいは事業団が買い入れを一方でするというような事態はなりましたら、その事態に応じて十分数量調整をしまして、全体として価格安定制度の運営に支障のないような形で売り渡しをしていくということを考えなければいけないと思っております。
○田渕哲也君 終わります。
○喜屋武眞榮君 私、初めに大臣にお尋ねしたいと思います。 この提案されております法案が単なるびほう策ではなく、本当に日本の養蚕業、希望の持てる、発展につながる、そういう支えになる法案でなければ、あるいはまたリードする法案でなければいかぬと、こう思うわけなんですが、そういった点から、この日本の養蚕業を本当に裏づける未来像といいますか、そういったものをまず最初にお聞きしたいんです。 結論を先にこの問題について申し上げるのはどうかと思うんですが、私は非常に頼りない法案じゃないか、そういう意見を持っておるわけなんです。何となれば、少なくとも過去の養蚕業の推移というものがどのような経路をたどってきたかということは、明確に統計、数字が示しておるわけでありますが、例えばこの一つの面は昭和五十年以降、養蚕農家の数が五四%まで落ち込んでおる、それから桑園の面積が三〇%落ち込んでおる、それから繭の量が四五%、それから製糸工場の数が五五%落ち込んでおる、こういうことの推移があるわけなんですね。 さらにもう一面は、事業団の財政状況からしますというと、まさにもう昭和五十年度のころから危険信号が発せられておる。と言いますのは、当期損益が五十年で六億の黒字収益、五十一年が八億、五十二年が十一億、五十三年が五十六億、五倍にはね上がっておる。それから五十四年がダウンして十四億、前年の四分の一に落ち込んでおる。五十五年がプラス・マイナス・ゼロ、まさに危険信号がここから始まっておる。そうして五十六年から赤字三十九億となって、今度は五十八年度に百三十八億の赤字を累積しておる、残しておるんですね。 このような経過からしますというと、まさに日本の養蚕業に対する危険信号がもう十年も前から打ち出されておったことが明確であるわけなんです。 それで私がお尋ねしたいことは、日本の養蚕業に対してどのような未来像を一体打ち立てようとしておられるのであるか、そのことがこの改正案と重大な関係が、裏表があるわけでありますので、まずそのことについてお伺いしたいと思う。大臣にお願いします。
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えいたします。 先生の御指摘のようなことはあるわけでございますが、私は、何といいますか、蚕糸業というのは日本の畑作地帯における重要な作目として定着しておることについて、また製糸業は伝統的な産業として、地域経済の中で重要な地位を占めているという認識を持っております。そんなことでございますが、現在の蚕糸業をめぐる厳しい状況については先生の御指摘のとおりでございますが、そういう形の中に私はこれから四つの施策を中心に実は蚕糸業の健全発展を図りたい、こう思っております。 その一つは、現行の中間安定措置をもととした新たな蚕糸価格安定措置のもとで、繭及び生糸の価格の安定を図る。次に、各種需要増進対策の実施、輸入の調整等により需給の改善を図る。事業団における特別勘定の設置等により、膨大な在庫生糸の適切な処理及び損失の補てんを図る。養蚕主産地の形成及び中核的養蚕農家の育成等による足腰の強い低コスト養蚕業の実現を図る。こんなことで蚕糸業の健全発展を図りたい。 ただ、この際、特に私、実は先ほどから村沢先生からずっと皆さんの意見を聞いておりまして、いかに輸入の調整の問題が大切かというようなことを実はお聞きしており、そんなことでございまして、果たして今の輸入のやり方がいいかどうかというようなことを含めて再検討いたしまして、何とか輸入の調整を、縮小を図るということにつきまして最大の努力をしてみたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○喜屋武眞榮君 次に、絹需要の落ち込みに対する情勢分析と申しましょうか、落ち込むところまで落ち込んで目が覚めたという感じがいたすわけでありますが、このように落ち込んだのも、特に最近における絹需要の減退というのも、考えてみますとこういうことが大きく原因しておるのではないかと思われますが、その一つは、外需主導型の景気回復を目指した経済運営のひずみが弱い面に露出したのではないだろうか、こういうことで深刻化しておると思うわけなんです。ならば、今日の状況を生んだ背景に徹底的にメスを入れる。先ほど大臣もおっしゃったのでありますけれども、内需の拡大を基調とした経済運営への転換を図る、このことによって絹需要を伸ばして拡大をし、そして再生産意欲に結びつけていく、こう思われてならないんです。そのことによって、経済運営の転換を図ることによって再生産意欲を高めていくという循環に軌道修正をしていくのでなければ、私はアドバルーンだけ、日本の養蚕業をどうするんだといってみたところでだめで、この根っこをひとつ掘り当てていくことが大事であると思うんですが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) 大変難しい問題でございまして、先ほどちょっと言ったようなことで、一番いいのはたくさん売れるとこの問題は解決するわけですが、それは価格の問題とか、あるいは技術的な問題とか、あるいは販路の方法とか対応とか、いろいろたくさんあるわけです。この点につきましては、もう既に皆さん御議論されたわけです。先ほどのお話のごとく、実は価格安定帯を今一万二千円維持しておっても養蚕農家がかなり厳しい。けれども、これは高いわけですね。じゃ、価格を下げたら、安く売れるが、そうすると養蚕農家は立ち行きません。そんなことを含めてどうするかということで、やはり私は基本的には輸入をどうするかを考えなきゃいかぬと思っております。 そんなことで、先ほど言ったようなことで、通産を含めていろいろ努力しておりますが、努力の方法を考える。そんなことで、特に日本の厳しい実情を訴えて、とにかく一トンでも少なくする、そんな努力をとりあえずやってみたい、こういうように考えておるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 経済情勢の世界的な変動というのが非常に目まぐるしい動きをしておるわけですが、その中で農業を取り巻く内外情勢がわけても著しく変化する中で長期見通しを立てるということは、実績の推移を適時、即時点検をして、必要な場合には必要な手を即刻打つという、見直すという、こういったととが非常に大事であると私は思うわけです。また、弾力的に見直すことということも文言にうたわれておるようでありますが、養蚕については、わけても直ちに見直しを行わないというと後の祭り、これのまた累積と、こういうことになると思うんですね。その見通しの役を立てないというとどうにもならぬじゃないか、こういう考え方に立って、今私が申し上げたことに対していかがお考えでしょうか。これもまたお聞きしたい。
○政府委員(関谷俊作君) 農産物の需要と生産の長期見通しにつきましては、これは現在の六十五年のものができたのが昭和五十五年でございます。そういうことからしますと、そろそろ見直しという問題については、私どももこれから真剣に検討すべき時期に来ていると思いまして、具体的には需要の長期見通しと現実との乖離が大きいものが、これはたまたま二つとも私の局になるわけでございますが、ミカンと養蚕でございます。 ミカンにつきましては、これはいずれ、今回果樹農業振興特別措置法の改正による果樹農業基本方針の改定の際の問題として取り組まなければならないと考えておりますが、養蚕につきましては、やはり需要の見方というのは実は非常に難しゅうございまして、日本は世界一の需要国なんですが、その中が和装である、和装が九割を占めていて、それが非常に変わっていく過程がまだ進行しそうだということと、洋装需要の伸びにどのくらい期待できるかということで非常に難しいわけでございます。 それで、私どもも過去の経験にかんがみまして、余り楽観的な見通しを掲げてはいけないと思う一方で、余りきついものをそう確定するということもいかがかということで、大変養蚕の見通しについては苦慮しておるわけでございます。 いずれにしても、長期見通し全体の改定は、このしばらくの間に農林水産省として全体として取り組むわけでございますが、養蚕それ自体ということになりますと、やはり全体の認めるところは、和装需要の減退がまだ相当大きく響いて、現在全体で三十万俵を割り込んだ需要がもう少し二十万俵台の下の方にまで行くのではないか、こんな感じを持っておるわけでございまして、そういう需要の見通しについては、需要増進の政策的努力をする一方で、今後とも真剣に検討して全体の長期見通しの中で位置づけをすると同時に、養蚕としても十分需要の動向を、この動きを見きわめながら、少し先の見通しについて早く、もう少し何といいますか、確実性のあるものになるように検討していきたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 次に、絹需要減退の理由として、生活様式の変化に根差した着物離れということをおっしゃっておられるようですが、問題は、そこから掘り下げていくということが大事である。そこまでの調査ということはこれはだれでもできることである。ところが、その着物離れの実態を調査し分析をして、さらにその落ち込んだ事実を裏づける、消費の拡大にいかに努力するかということが大事であるかと思うんですが、ところでそのような実態を把握しておられながら、少しでも販売量をふやしていこうという努力が果たしてなされただろうかという疑問を持ちますのは、この八年間に需要量が二分の一以下に落ち込んでおる、この事実であります。にもかかわらず、効果的な手が打たれてないんじゃないか、こう思うわけなんです。もっと言いかえれば、手をこまねいておられたんではないかと言いたいわけなんですが、何かそれには理由があったでしょう。その理由は何だったでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 需要の減退の原因及びその対策という問題でございます。これは価格問題あるいは消費者の所得の伸び悩みの問題、これらも大きく作用しておりますし、同時に着物を着る機会というか、そういうものが減っていった、こういうその辺のところも大きいのではないかと、こう考えております。 その辺に対する対応の仕方というのは非常に難しゅうございまして、一般的に農林水産省としてできる手段としては蚕糸砂糖類価格安定事業団の新規用途売り渡し、それから今回拡充される予定の蚕糸業振興資金によります需要拡大、増進のいわば諸事業、この二つを基本にしているわけでございますが、全体として見ますと、やはり和装需要の減退に対して、言ってみれば和袋需要がフォーマル、セミフォーマルのような比較的高いものを中心に需要がシフトしていって、カジュアルのようなものが減っていった、こういうことでして、流通業者の方の対応も、どうも何かいわゆる高いものを少し売るというような、そういう感じになっておるものが、この辺のところが一番現象的には問題であろう。 ただ、これに対してどうするかということになりますと、非常に直接的にそこのところは対応がしにくいわけでございまして、我々としては、やはりこれから社会に入っていく若い御婦人の方々とか、そういう方々に和装に親しんでいっていただく、こういうようなことを中心に着やすい和袋あるいは着物の着方とか、そういうことも含めまして着物に親しんでいっていただく、そういうPRということが重点なのではなかろうかと思っております。 それからもう一つ、現在は一割でございますが、洋装の方がどうも伸び悩んでおりまして、これに対する本格的取り組みは、極端に申しますと今まだ始まったばかりと、こういうことでございますので、背広とかコートとか、いろいろ戦略的に伸ばすべき分野をもう少し研究をしてその辺を重点に取り組むということでございますが、こちらの方になりますと、逆にメーカーなり流通業者の方が今まで余り絹を使った和装に取り組んでおられないものですから、こちらの方の取り組みの方が言ってみればまだ足取りが遅い、こういうところで、そういう洋装向けの絹製品をもっと引っ張り出すような商業活動とか、そういうものをいわば活気づける、そういうような観点に立った需要増進運動というか対策が必要なのではないかと考えております。
○喜屋武眞榮君 経済変動の渦というのは生き馬の目を抜くという言葉もありますが、機を見るに敏であれ、今からでも遅くはない、こういうことでひとつ早く手を打っていただきたいと希望します。 それじゃ、次に、沖縄県の養蚕振興について尋ねたいと思います。 沖縄における絹織物との関係、養蚕との関係は、独特の衣料文化、紅型という織物があるわけなんですが、第二次大戦すなわち沖縄戦の被害を受けまして、非常に順調に伸びておった沖縄の養蚕業が徹底的壊滅に瀕したわけであります。ところが、戦後あらゆるものが立ち上がりが遅い、いまだに本土並みになっていないところに苦悩しておるわけですが、この養蚕業は比較的順調に復興しておることは御存じのとおりと思いますが、今日の現状は、例えば養蚕農家の数が約三百戸、農園の面積が三百二十ヘクタール、そして収繭の量が百三十六トンと、こういうように比較的立ち上がりは順調にいっておると見ております。 ところが、それには、このように順調に伸びておる理由には、特に全国的に比較しましても、一つには気象条件が桑の栽培に適しておる。それから、年に八回から十回の飼育が可能である。これはもう他県と著しく異なる点でありますね。したがって、回転の早い換金作目の一つである、最も有利な作目の一つである、そしてまた沖縄の基幹作目であるサトウキビの栽培との複合経営に適しておる、こういった有利な点があるわけでありますが、こういうことから、私はこれからも順調に伸びていく可能性があると、こう信じておるわけなんです。 それで、一つ最初にお聞きしたいことは、沖縄の養蚕業を一層確実なものにしていくために、高能率の養蚕地域を対象として養蚕振興関係事業の実施に積極的に手をつけてほしい、努めてほしいと、こう要望したいのでありますが、いかがでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 沖縄県の農業の中で養蚕業は重要な作目の一つと、こういうふうに私どもも認識しております。今、最近の養蚕の状況をお挙げになりましたが、確かに復帰直後の養蚕戸数、桑園面積、収繭量等から見ますと、現在かなり飛躍的に養蚕の規模は拡大をしたわけでございます。 ただ、私ども、今、高能率養蚕の対策のお尋ねございましたが、沖縄の養蚕ということになりますと、御質問にもございましたように、亜熱帯気候で生育がよろしいと、こういう利点がある反面、現在のいわゆる島桑の場合には形質の雑多なものが実生苗で栽培されているというようなことで、質、量ともに不斉一でございますので、安定的な養蚕経営上なかなか支障がある、こういういろんな問題もございます。 したがいまして、私どもは、これは技術面で対応すべき問題、それから現実の技術普及なり補助事業等で対応すべき問題、いろいろあると思います。技術面につきましては、御承知のように、国の熱帯農業研究センターの石垣にございます沖縄支所で蚕糸に係る試験研究をやっておりますし、沖縄県の農業試験場の宮古支場でも取り組んでいただいておりますが、この辺のところの重点研究課題は、やはり優良な桑品種系統の導入とか、沖縄に独特の桑の赤渋病等の病気の生態防除対策、この辺に取り組んでいるわけでございます。こういう技術面の問題と、それから普及組織としましては、御承知のように沖縄の蚕業指導所、県の蚕業指導所がございまして、そこに蚕業改良指導員及び嘱託の蚕業普及員が国の補助金の対象として置かれているわけでございます。 なお、このほかのいわゆる具体的な事業の面におきましては、最近、五十六年から五十九年にかけましての状況では、養蚕振興総合対策事業というようなこういう名前の事業の中で、いろいろ高能率の桑園造成改良整備とか壮蚕飼育施設あるいは繭流通合理化施設、こういうものの設置に対して補助金を交付するというようなことも含めまして、今後の沖縄の養蚕対策については、いろいろ御指摘の点よく考えまして今後とも十分対応してまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 今、技術面の問題とか、あるいは亜熱帯気象に即する研究とか、こういうお話がございましたが、そのことと関連しまして、実は戦前の沖縄の養蚕の実績といいますと、種繭を沖縄でつくって、そして今でも覚えておりますが、愛、群、長——愛知、群馬、長野、愛知はダウンしたようですが、日本の三大義蚕県を初め全国に沖縄でつくった種繭を配布しておった、こういう実績がございます。ところが今日は、いろいろ技術の進歩発達でその種繭というのは今日では沖縄で必ずしも特別につくる必要はないということもお聞きしております。 それは別といたしまして、私が提案いたしたいことは、バイオマスランドという立場から沖縄が非常に重視されつつあるわけでありますが、年八回ないし十回の飼育も可能であるわけであります。そこで、先ほど桑の品種の改良ということもおっしゃっておられました。これもぜひお願いしたいわけでありますが、さらに蚕の品種改良といいますか、そういう面から沖縄が必要であるのかないのか。私といたしましては、それこそ今、時の話題になっておりますとおり、日本の農業問題だけじゃなくいろいろな面で重要視されておるわけでありますが、そういった蚕の、日本の養蚕を質的にも量的にも発展させていくという、こういう意図から沖縄をさらに再認識すべきではないかと思うんですが、その点からいかがでありましょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 御質問の中にございましたように、戦前には沖縄は大変大事な種繭生産地でございまして、昭和十七年には原蚕種の製造数量で全国の一六・六%を占めているというような状況があったわけでございます。戦後、二十三年から蚕種製造業者が久米島に進出しまして、五十一年まで若干種繭の生産が行われたわけでございますが、五十二年以降は行われておりません。これは沖縄の有利性がいろんな面でなくなった、こういうようなことや、輸送経費がかさむというようないろんな事情があったようでございまして、今後の問題ということになりますと、こういう品種改良面での沖縄の役割、こういう面についてはこれからまた新しい問題として検討すべき問題ではなかろうかと思います。 現在のところでは、私どもの承知しておる限りでは、なかなか沖縄で種繭の生産を行うというような意欲と申しますか、計画はなかなか出てきそうな情勢にはございませんけれども、御指摘にありましたようなバイオマスランドとか、新しいバイオテクノロジーの適用とか、こういう技術進歩との関連もございますので、今後沖縄県なり産地の方々なり、そういう方の方からまたいろいろ計画がございましたら、私どもも検討いたすことにいたしたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 それでは、時間もそろそろ来たようでありますので、一つおとといの参考人の皆さんの述べられた中で特に感じましたことは、参考人の強い要望として、輸入対策に対する要望があったわけでありますが、そういった点から次のことをお聞きしたいんです。 二国間協議の運用努力によってかなり輸入が抑制されておる。ところが、需要の落ち込みが激しいだけに、輸入の需給率に及ぼす影響が極めて大きい。そこで、需給不均衡が危機的な状況にあるそういった状況の中でこれが改善されていくためには、バランスという基本的な姿勢は崩してはいかぬと思うんですが、国内需給が改善されるまでは、その間、私は目をつぶってでも思い切った輸入削減といいますか、思い切った輸入削減が必要であると思いますが、その点いかがなものでありましょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 生糸については、二国間協議で輸入については相手国に日本の国内事情を十分訴えまして輸入の縮減に今まで努力しております。従来、一年間で二国合計で協議数量としては六万俵台のものを設定したことがございますが、近年は大体両国合わせて二万俵、年間二万俵を切るような協議数量の設定状況でございますし、その実行につきましても五十六年、五十七年、五十八年の分をまだ実行していないというような状況で、相当国際的な関係としては問題にされてもやむを得ないような事態で推移してまいりました。 現状では、私ども、こういう事業団在庫の状況でございますし、またこうやって繭糸価格安定制度の将来の問題について御審議をいただいている状況でございますので、両国については事情を訴えまして、輸入については引き続き抑制的にということでございますが、全体、まだ五十七年、五十八年の協議数量のいわば消化、実行に取り組んでいるような段階でございますので、これをストップするというようなところまではなかなか行き得ないし、両国との友好関係等の関係から見ましても、これだけ絞りましたのでそういうことは難しいわけでございますが、今後とも日本の蚕糸業なり需要の実態をよく訴えまして、輸入の抑制については引き続きこの二国間協議の中で最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 それじゃ、時間も迫ってまいりましたので、最後に大臣に一つお聞きしたいんです。沖縄の養蚕業の振興についてはいろいろと伺ったわけでありますが、ひとつ沖縄の産業振興の上からも非常に大事な柱の一つでありますので、将来に向けて沖縄の養蚕業の振興対策について大臣の所見をお伺いしまして、終わりたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 今、沖縄の養蚕業の現状その他につきましては局長の答弁したとおりでございますが、私は最善の努力をしたい、このように思っています。
○塩出啓典君 それでは、農水大臣も連日いろいろ対外摩擦対策等お疲れのところでございますので、できるだけ答弁も簡単に要点だけで結構でございます。 今回は、目的の中に生糸の需要の増進が入ったわけですが、具体的にはどういうことを考えているのか、ことしは需要増進のための予算があるのか、その点はどうでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 今回、目的の中に需要増進を入れました趣旨は、従来、輸出の増進と書いてあったわけでございますが、これは実態に即しませんので、むしろ広く安定的な需要を確保する、そういう精神を制度の目的にはっきりさせよう、こういうことでこれを入れたわけでございます。 なお、この関係で、私どもの役所として今、主に対応しておりますのは二つございまして、一つは、蚕糸砂糖類価格安定事業団からの新規用途売り渡し、これは昨年十二月までで約二万俵余りを売り渡しております。それからもう一つは、同じ事業団の蚕糸業振興資金によります需要増進の諸事業に対する助成でございまして、これは昨年は大体予算措置で一億五千万ぐらい計上して実行したわけでございますが、六十年度につきましては、これからいろいろ民間の計画等をお聞きしながら六十年度の蚕糸業振興資金によります需要増進活動の専業規模を決めたい、かように考えております。
○塩出啓典君 先般の参考人の御意見では、機を織る工賃は非常に安い、一反千円とかその程度で、しかし製品は非常に高いという印象が多いわけで、今まで余りにも着物も高いところばかりをねらっていたんじゃないか。これは、もちろん一つの芸術品として、そういう付加価値の高いものが生まれることはいいわけでありますが、同時に、まず、やっぱり着物を普及する必要があるんじゃないか。そういう意味では、高いところばかりではなしにもっと安いところもねらうべきである、こういう意見があったわけですけれども、そういう点を今後業界に対してよく指導をしていただきたい。 それともう一点は、やはり絹とか和服というのは日本の伝統の着物でございますから、できるだけ皇族の方なども、例えば新年の拝賀がありますわね、ああいうときテレビに映るわけですから、ああいうときにもできるだけ着物を着て、そうすれば美智子妃殿下の着物はこういう柄だったよとか、そういうようなことも一つの需要増進策ではないか。こういう点、大臣の御努力をお願いしたいと思います。 以上、二点。
○政府委員(関谷俊作君) 着物の内容につきましては、大体今まで減ってまいりましたものがカジュアルと言われます、どちらかというとよそ行き着というような感じのものが減ってまいったわけでございまして、一方、かなり単価が高くても売れるようなフォーマル、セミフォーマルのものは需要がかなり底がかたいわけでございます。 今後の問題としますと、御指摘にございましたような安いもの、比較的若い方でも手に入るようなもの、こういうようなものにもっと取り組むべきだというふうな御指摘につきましては、私全く同感でございますが、ただ残念ながら、日本では何か割合高いものが好まれるような傾向もあったりしまして非常に難しいことと、いわゆるカジュアルと言われているものでも、例えば小紋のようなものでもやっぱり一つ一つ個性がありまして、洋服や背広のように大量生産というわけにいかないということがございましてどうも単価が高くなりがちでございますが、これから私ども事業団の新規用途売り渡しなり、それから需要増進活動のものではそういうもの、特に若い方に割合手が届くようなもの、そういう用途開拓なり需要増進については、これからも十分留意してまいるように事業を運営してまいりたいと思います。 二番目の問題につきましては、これはこの前、かつて田邉國男総務長官のときに、宮中の何かの機会に和服をお召しいただくようにということで皇族の方にお願いしまして、かなりそういうことがあったということをある機会に田邉先生からお聞きしたことがございますが、こういうような面も通じまして、比較的、皇族の方だけではなくて、目立つところにおられる方にできるだけ着物を愛用していただく、こういうようなことは私ども蚕糸業を預かる者の立場として大変望ましいことだと考えております。
○国務大臣(佐藤守良君) 塩出先生にお答えいたします。 先ほどもちょっと申し上げたんですが、やはり絹の需要拡大が一番大きい問題でございます。そんなことで、私はやはり価格の問題、あるいは技術的な問題、あるいは販路の方向、多方途があると思います。 それで、実は和装離れは取り戻すのがなかなか難しいと思います、率直な話。と申しますのは、私も、これは先生もでしょうが、新生活運動をやりました。逆に和服を着るなという運動を私もやったわけです、今は非常に反省しておりますが。そうして洋服を着ようと。和服一着で洋服が十着以上できる。例えば六十万から百万。したがって成人式のときなどは、先生御存じと思いますが、全部親心です、あれは。本人はつくる気はない。今の若い人は特に着物を着ませんから、着つけから帯から一人でできません。そんなことでなかなか私は難しい。特に今でも、私ずっと統計を調べてみますと、中年の方以上がゆとりを持つと和服を着ます。しかも、これはいろいろな会合へ出たり、お茶の会、お花の会に着ていくわけで、普通は着ておりません。そんなこともございます。 そういうことで、これも高い点がある、そんなこともございますけれども、今、局長の言ったそういう努力をしながら、やっぱり販路を別の方向に持っていかなければならない、絹をたくさん使ってもらう販路を求める、こんな努力をいたしたいと、このように思っておるわけでございます。
○塩出啓典君 それから次に、価格の決定の件でございますが、これは当委員会でもいろいろ問題になったわけですけれども、ただ私は標準生糸の安定基準価格あるいは安定上位価格、そういう価格を見て農家の方も、じゃやろうか、どの程度やろうかということも決まっていくし、また一つにはその価格というものが需給調節にもなるんじゃないか。そういう点から、きょう法案が成立しますと、五月までにとはなっておるわけですが、別に五月ぎりぎりに決めなくてはならぬことはないわけで、私はもっと今までどおり早く決めてもらいたい。これを要望しておきます。 それと、今回、いわゆる生産費との関連条項がなくなったわけでありますが、そういう点もひとつ配慮をしてやっていただきたい。このことをこれは要望をしておきます。 大体毎年いつごろ決めるお考えなんですか。五月までにというけれども、五月ぎりぎりまでなのか、あるいはできるだけ早く、この間参考人の方方も早く決めてもらいたいという要望が非常に多かった、特に生産者の方からは。そういう点は大体いつごろまでに決めようとお考えか、それだけをお答えいただきたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) まず、ことしの問題でございますが、ことしにつきましては、法律が成立しました時点からできるだけ早くということを私ども考えておりまして、これは蚕糸業振興審議会の価格部会に諮るわけでございますので、まあ準備可能であろうと考えておりますが、連休に入る前に価格決定に至りたい、五月一日なら五月一日から適用するということで、早く価格決定をいたしたいと考えております。それを別にしまして、法律には「五月まで」と規定しましたのは、一般のこういう制度と同じような規定に今回改めたということでそう他意はないわけでございまして、従来三月に決めておりましたし非常に生産者方面でも早くという希望もございます。この点よく考えまして、生産者方面の御不安のないように、できるだけ早く来年以降も決めていくということで対処したいと考えております。
○塩出啓典君 それから次に、今回は製糸業者が基準繭価に達しない価格で繭を買い入れる等の場合にはその生糸の買い入れをしないものとする、こういうことで、したがって安い外国産の繭を買ってそれで糸をつくった、こういう糸は事業団では買ってはならない、こういう趣旨ではないかと思いますし、そうではないんですか。私はそう理解しておるわけで、であるならば、そういうものを見分けることができるのかどうか。先般、我が党の馬場委員が予算委員会においても、いわゆる外国産のそういう繭をどんどんくず繭と称して輸入をして、それでつくった糸を事業団が買うようなことをすれば、これは一部の業者は非常にもうかるわけでありますし、日本の生産者には非常にけしからぬ行為じゃないかと思うんですけれども、こういうチェックができるのかどうか、その点はどうでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) お尋ねの中に、問題としては二つの問題が入っておるわけでございます。 一つは、外国産繭の問題でございます。これにつきましては、いわゆるくず繭は関税分類上繰糸に適しない繭ということで五十八年四月から関税分類をかなり厳格にいたしまして、このくず繭がいわゆる正規の繭として繰糸に適するものとして合法的に輸入はされないように、税関の方のチェックを厳しくやっていただいております。一方、くず繭ではない、いわゆる繭でございますが、これにつきましては事前確認制ということで輸入をチェックしておりますが、この外国産の繭をまぜましてつくった糸については、一般的にはそういいものはできないというふうに聞いておりますが、ただ、これは外国産の繭をまぜて使ったかどうか、具体的な糸についてチェックすることができません。また、事業団の買い入れする糸の品質基準が決まっておりまして、そちらの方に合格すれば事業団としては買うということになるわけでございまして、現実の問題としては、日本の繭生産量の三%ぐらいの輸入でございますので、そう大きな影響はないし、また比較的小規模の業者がこの外国産繭を主に使っておりますので、事業団に持ち込まれる量も少ない、こういうふうに考えております。 それから、もう一つの問題は、基準繭価の問題でございますが、基準繭価の保証があるかどうかのチェックにつきましては、これは県の養蚕農協連合会と、それから繭の需要者、製糸業者の方々との間で協約、いわゆる俗に繭価協定を結びまして、その繭価協定で一定の価格算定方式により決定しておりまして、この繭価協定を農林水産省に届け出る、こういうふうな制度になっておりまして、その実効についてもチェックをしております。したがいまして、基準繭価に達しない価格での繭価協定は行われないわけでございますし、また繭価協定がなされた、それを守る、こういう面につきましても農林水産省と都道府県でチェックをしている、こういうことでございますので、基準繭価の保証はそういう面で実効を担保するようにいたしております。
○塩出啓典君 それから次の問題は、事業団が赤字が出ておるわけでありますが、これについてはどのようにお考えであるのか。というのは、事業団が赤字をつくれば、これは国民全体の税金がそっちに回されるわけですから、赤字をつくっては困るという見方がある。しかし、一方、こういう事業団そのものは、やはりあるいは価格変動の激しい中で関係業界を守るという、そういう点からいえば余り事業団がもうけても困るわけでありまして、しかし、私は率直に言って、ちょっとこの赤字が出たのは事業団の運営が余りよくなかったんじゃないかな、好ましくないと、このように私は思うわけですが、農林水産大臣も同じ考えですか。簡単で結構です。
○政府委員(関谷俊作君) 事業団は単年度ごとに見ますと、かつてわずかでございますが利益が計上されたこともございますが、その後こういうふうに損失額が累積したわけでございます。 これは、原因としましてはやはり二つございまして、一つは、国産生糸について基準糸価に準じて決めております事業団の中間買い入れ価格による買い入れの責任がございますので、その買い入れたものが、結局価格が回復しませんので売り渡しができませんでとまったわけでございます。これは言ってみれば、まあ価格設定の影響ということでございます。 それからもう一つは、現在の事業団の糸の中に輸入糸が含まれておりますが、これはやはり輸入糸が国内的に必要だということで、需要の状況を見ながら買ったわけでございますが、これがやはりその後の糸価の低迷によりまして売り渡しの機会を失った、こういうようなものがございます。こちらの方も、やはり価格安定制度の性質上、余り価格の上がりますのを抑えるという趣旨で最善の見通しのもとに行ったわけでございまして、全体としては事業団のもちろん運営ということにかかわるわけでございますが、安定制度の仕組みが、あるいは価格水準がこういうような事態を招来した一番大きな原因でございまして、これに対しては、やはり価格安定の安定帯の設定の仕方なり、それから制度のあり方として改善を図ろうということで昨年、異常なことでございますが、異例のこととして期中改定をいたしましたし、今回こういうことで制度改正を御提案をしているような次第でございます。
○国務大臣(佐藤守良君) 塩出先生にお答えします。 今、局長の言ったようなことでございますが、私は実は事業団の赤字その他、やっぱり生糸の価格を安定し養蚕農家を守るという立場上、やむを得ない赤字だと思っています。 それからもう一つ、先ほどの先生の御質問、ちょっと時間がないかと思って遠慮しておったんですが、実は私が、もし輸入糸を使えば断固これを締め出しする、こういう発言をしたんですが、帰って聞きましたら、実は輸入糸と国産とをまぜた場合に、技術的にそれの見分けは難しいんだそうですね。難しいんだそうです、織った糸。それなら行政指導しろということで、今後、私はそういうことを、三%でも大変な数量です。そんなことでございまして、わずかではございません。これからそれを何とか見分けて行政指導をして、そういうところ、輸入して使っておるところがわかっておるわけですから、指導して、事業団は一つも買わぬように指導してございます。そのことをつけ加えておきます。
○塩出啓典君 見分けも僕は、現在科学も進歩しておるわけですし、目ではわからなくても、もうちょっと何か細かく見ればわかるとか、警察もいろんなことで犯人をつかまえるためにちょっとしたところから努力しているわけですから、もっとそういう見分け方ももう少し研究していただきたいと思うんですけれどもね。 それで、事業団が赤字を出したことはやむを得ないという大変寛大なお考えのようでありますが、私はいささか違うわけで、そこで一つは、非常に農林水産省の需給見通し、当委員会でもこの前に問題になりました。また、先般当委員会で、ミカンの需要予測というものが大きく狂っておる。全く話にならない。しかも、いろんな機関が警告しているのに、農水省はあえて今までの考えを踏襲して、ますます農家に迷惑をかけたわけでありまして、この生糸の予測にしても、昭和五十五年予測で六十五年を、昭和五十五年よりも六十五年の方が伸びるという、こういう見通しを立てておるわけですね。やはり企業においては、こういう需要の見通しというものが、これがその企業の死命を制するんじゃないかと思うんですね。したがって、需要の見通しというものはより正確に、そしてまた違いがあればすぐ訂正をしていくという、こういう姿が私、必要じゃないかと思うんですけれどもね。いただきました資料では、五十八年度以降の予測については民間調査機関の予測を取り入れて、その資料をいただいておるわけですけれども、私はもっといろんな民間の予測機関等のやっぱり意見も参考にして正確な予測をすべきではないかと思うんですが、こういう点、どう反省しているのかですね。今後、予測については、今までと違って、どのように変えていこうとされるのか。この点どうですか。
○政府委員(関谷俊作君) 長期見通しの六十五年目標を立てましたのが昭和五十五年十一月の閣議決定でございますが、その時点から見ますと、総体の需要量は大変落ちてきております。我々としては、こういう長期見通しの全体の改定の中で、養蚕部門についてもしかるべき位置づけをし、現在の実態に即した対応をしなければいけない、こういうふうに考えておりまして、そういたしますと、今ちょっと御引用になりましたが、民間調査機関の予測等も基礎にしてみますと、五年後で二十二、三万俵というようなラインになるわけでご ざいますが、これも大変厳しゅうございますし、今後の政策努力による面もございますので、いずれにしましても、この辺の需要見通しは非常に確定的なところが難しいわけでございますが、今後の生産誘導の方向としまして、これからもさらに検討してまいりたいと考えております。 なお、その後の生産面の指導につきましては、六十五年目標の中では六十五年の収繭量を十万トンと見込んだわけでございますが、五十六年以降大体生産目標を六万トン前後に設定をし、五十九年から御承知のように四万七千五百トン、こういうような厳しい生産目標を設定しておりまして、この過程での需要がそれほどなかなか伸びない、こういうことについては、生産指導の面ではかなり留意をしながら指導を行ってきているような次第でございます。
○塩出啓典君 そういう点、ひとつ最新の情報を集めて正確な予想を立て、生産者あるいはそれに関係する業界の人たちが状況の変化にある程度軟着陸できるように対応を考えるためにも、正確な予測に努力をしていただきたいことをお願いをいたします。 最後に、この蚕糸砂糖類価格安定事業団でございますが、この役員が二瓶理事長以下十二名おりますが、農林水産省出身の方は七名、しかも常勤理事以上で見ると、農林水産省出身でない役員は二名だけである、こういうことでございますが、やはり私は、今回のいろいろな対応にいたしましても、何となく非常になまぬるいというか、時代の変化に対応する対応において真剣さというか、そういうものが非常に足りない。そういう点は、私は一つは、そういう農林水産省出身の人が多いということは、どうしてもそこに、人間でございますから、余り知った者同士ではなれ合いになるとか、こういうような点もあろうかと思います。 そういう点で、今後の臨調路線の方向として、できるだけこういう事業団等にも民間の活力を導入して、やはりある意味では官界とそれから経済界との交流をいろいろやる、こういう事業団に民間から入れるかわりに、今度はまた官界からもどんどん民間に出ていくとか、もっとそういうことを私は考えるべきではないか。今後のこの事業団の果たす役割は非常に重大でありますし、そういう点からも、農水省の出身の方をもっと減らして民間との交流をすべきではないか、このように思うわけでありますが、それについての大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 今度役員の任期を変えたのは、実は臨時行政調査会最終答申で、特殊法人の役員等の任期は二年、そういうことで二年に変えたわけでございます。そんなことで、実は今盛んに役人の天下りが議論されておりますが、これは先生、過在適所だと思います。民間におきましてもいい者もおれば悪い者もおる、役所においてもいい者も悪い者もおる。今度来まして五カ月ぐらいですが、農林水産省の役人は極めて優秀です。そんなことで、私は必ず期待にこたえると思っておるわけでございまして、別に人数を減らさなくても、かえってこの方が逆に本当に養蚕業の役に立つような仕事をやってくれると、このように考えているわけでございまして、特にその点、御理解をお願いいたしたい次第でございます。
○塩出啓典君 僕は、農水省のお役人さんが優秀でないということを言っているのでなしに、同じ出身者が集まるとどうしてもなれ合いになるから、だから農林水産省の方はもっと民間に行くとか、民間からまた事業団に入れるとか、そういうような努力をしてもらいたいということで、だから農水省のお役人さんを事業団から締め出して行く道をふさぐわけじゃないわけですから、そういう意味の交流をもっとやるべきじゃないかという、その点はどうなんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 ちょっと言葉が足りませんでしたけれども、そんなことを含めて御理解願いたい、こう言っているわけでございまして、よろしくお願いいたします。
○委員長(北修二君) 以上をもって本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。 下田君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。下田君。
○下田京子君 私は、ただいま議題となっております繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
○委員長(北修二君) それでは、下田君提出の修正案を議題といたします。 まず、修正案の趣旨説明を聴取いたします。下田君。
○下田京子君 これよりその趣旨について御説明申し上げます。 修正の第一は、生産費を基準とした異常変動防止措置を廃止し、需給実勢の名による価格安定帯の大幅引き下げに道を開く政府案の価格安定措置に関する改正規定を削除し、現行制度を守るというものです。 第二は、生糸、絹織物の輸入規制を強化するものです。 その一つは、輸出用の絹製品の原料に充てられる保税加工用生糸の輸入を削減し、事業団の在庫糸を充てる道を開くことです。現在、この保税加工用生糸の輸入は、昭和五十二年、五十三年当時は約一万俵であったのに、年々ふえ、五十八年、五十九年と約二万俵に倍増しています。この輸入を削減し、事業団の在庫糸を充てることにより、事業団の在庫解消を国内糸価に悪影響を与えず進めることができます。 二つは、国内産の繭、生糸の生産調整を行っているとき、あるいは事業団が過剰在庫糸を処分しているときは生糸、絹製品の輸入を特に厳しく規制する措置を政府にとらせるものです。 修正案の第三は、事業団の特例売り渡しについて野放しにせず、国産糸を買い入れている間は、輸出用絹織物原料向けや新規用途向けなど、生糸の需給に悪影響を与えないものを除いて停止させるものです。 修正案の第四は、法改正以前の事業団在庫糸に加えて、今後買い入れ、保管期間が一定期間を超えた生糸についても事業団は特別勘定で経理し、この特別勘定にかかわる損失については一般会計から交付金を交付することを法律上明確にするものです。 以上が修正案の趣旨です。 山間地の農業や地域経済に欠くことのできない役割を果たしている蚕糸や絹業を重要な地場産業、伝統産業としてしっかり守り、振興させるために、委員各位の御賛同を賜りますようお願いいたします。
○委員長(北修二君) ただいまの下田君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。
○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの修正案につきましては、政府としては反対であります。
○委員長(北修二君) 別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。 今日、我が国の蚕糸業は長期にわたる生糸、繭価格の低迷と過剰による減産を余儀なくされ、その経営は極度に悪化し、養蚕経営からの離脱も続出しています。しかも、生糸生産が大幅に減っているにもかかわらず生糸は過剰で、事業団の在庫は累増し、蚕糸業はかってない危機に直面しています。 こうした危機を招いた根本原因は、長引く消費不況等による絹需要の減退の中で、養蚕農家には大幅な繭減産を強要しながら依然として高い水準の生糸、絹製品の輸入を続けてきたことにあります。特に、最近は着物の表地の輸入が急増し、絹白生地産地の京都丹後地方などの機業地に大きな打撃を与え、生糸消費量の減退を招いています。 さらに、養蚕農家の経営を圧迫しているのは、価格安定の役割を果たすべき事業団が過剰在庫を理由に事実上その役割を放棄し、生糸市価低迷に拍車をかけていることです。 したがって、今日の蚕糸業危機を打開するためには、何よりも危機の原因である生糸、絹製品の輸入を規制し削減することです。また、事業団の価格安定機能を強化し、繭、生糸価格の安定を図り養蚕農家の経営を守ること、そして絹需要をふやすための積極策をとることです。 ところが、政府案は、輸入はこれ以上減らせないことを前提に、事業団の在庫解消を優先的に進めるため、国内繭、生糸生産の一層の縮小で対応しようとするものです。 そのため、第一に、政府案は、異常変動防止措置の廃止によって繭、生糸行政価格の算定を生産費基準から需給実勢をより重視したものにし、大量の在庫糸放出のもとでつくり出された実勢価格に合わせた価格安定帯の設定、つまり大幅な引き下げに道を開くものです。これは需給事情に即して毎年度の行政価格を見直せという臨調答申の実行であり、生産費を償うという価格補償制度の根幹を改悪するものです。 第二に、政府案は、二度と事業団在庫糸の累増という事態を招かないことを至上命題として、一定期間保管した保有糸を糸価の相場にかかわりなく放出し、この中で現在の過剰在庫糸の解消を進めることとしていますが、政府案のままでは生糸価格の暴落を招かないという保障はありません。これでは、事業団は残ったが我が国の蚕糸業の火は消えてしまったということになりかねません。 なお、政府案は、事業団の中に在庫糸処理の経理を区分するため特別勘定を設けることとしていますが、在庫糸処理に伴う損失について、一般会計から交付金を交付することが法律上明確にされておらず、不十分なものであることを指摘し、反対討論を終わります。
○委員長(北修二君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 まず、下田君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(北修二君) 少数と認めます。よって、下田君提出の修正案は否決されました。 それでは、次に原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(北修二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 最上君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。最上君。
○最上進君 私は、ただいま可決されました繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案によります附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、最近における蚕糸業をめぐる厳しい情勢の下で、繭糸価格安定制度の役割に対する期待が強まっている状況にかんがみ、本法の施行に当たっては、今後とも一層実効ある運用に努めるとともに、我が国の伝統的産業である蚕糸業の健全な発展を図るため、次の事項の実現に遺憾なきを期すべきである。 一、新しい繭糸価格安定制度の下における今後の安定帯価格等の決定に当たっては、養蚕農家等の経営状況、需給事情を踏まえ、再生産が図られるよう適正に決定すること。 二、特別勘定における事業団の在庫生糸の売渡しについては、繭糸価格安定制度が安定帯における価格の安定を重要な目的としていることにかんがみ、実勢糸価の動向に十分配慮して行うこととし、特に実勢糸価が安定基準価格を下回り又は下回るおそれのある場合には、売渡し数量の調整に特段の配慮をすること。 三、繭、生糸、絹織物等の輸入については、国内需給に重大な影響を及ぼすことのないよう二協議等を通じて輸入数量の抑制に努めるとともに、現行の輸入承認制、通関時確認制等の厳正な運用に努めること。 四、絹需要の一層の拡大を図るため、和装需要の減退の防止、洋装分野における新規用途の開発、研究等の諸対策を積極的に推進すると、最終消費に至るまでの流通の改善合理化を促進すること。 五、繭糸及び生糸に関する中・長期需給見直しを早急に確立し、養蚕農家が安心して生産に取り組めるようにすること。 六、繭糸価格の決定時期については、従来三月に決定してきた経過を踏まえ、養蚕農家に不安を生ぜしめることのないよう適切に対処すること。 七、生産性の高い養蚕経営を確立するとともに、繭の品質向上を図るため、各般にわたる適切な生産対策を積極的に講ずること。 右決議する。 委員の皆様の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(北修二君) ただいま最上君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(北修二君) 全会一致と認めます。よって、最上君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいま可決されました決議に対し、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤農林水産大臣。
○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(北修二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(北修二君) 次に、農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から順次三案の趣旨説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。
○国務大臣(佐藤守良君) 農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 農業改良資金制度は、昭和三十一年に発足して以来、農業事情の変化に対応して制度及び運営の改善を図りつつ、新技術の導入、農家生活の改善及び農業後継者の育成のための無利子資金の貸し付けを通じて農業経営の安定と農業生産力の増進に貢献してまいりました。 また、自作農創設特別措置特別会計制度は、昭和二十一年に発足して以来、政府による農地の買収、売り渡し等の経理を行う特別会計として自作農の創設及びその経営の安定に寄与してきたところであります。 しかしながら、近年、農業をめぐる情勢の変化には著しいものがあり、農業生産の再編成、土地利用型農業の経営規模の拡大、生産コストの低減等農業経営が直面する諸課題に対応して経営基盤の強化を図るため、農業改良資金制度の一層の活用を図ることが求められております。また、この制度は、都道府県段階で資金が回転する仕組みであるため、都道府県によっては資金余剰が生じ、あるいは不足が生じており、厳しい財政事情のもとで、資金の効率的利用を図ることが緊急の課題となっております。 一方、自作農創設特別措置特別会計制度については、農地等の売買に伴う差益がこの特別会計に累積し、相当額の剰余金を保有するに至ったため、この剰余金を、現下の農政上の大きな課題である農地保有の合理化のための施策に有効活用し、構造政策の強化に資することが適切であると考えられます。 政府におきましては、このような諸情勢にかんがみ、農業経営に意欲的な農業者が合理的な生産方式の導入、経営模規の拡大等を図ることを促進するため、農業改良資金制度について資金種目の再編拡充を行うとともに、資金の効率的利用が図られるよう政府の助成方法を変更し、あわせて農業経営基盤の強化に資する観点から、本資金制度及び農地保有の合理化のための措置に係る政府の経理を一般会計と区分して行えるよう自作農創設特別措置特別会計制度を改組することとし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。 まず、農業改良資金助成法の改正について御説明申し上げます。 第一に、資金種目を再編拡充して、新たに生産方式改善資金及び経営規模拡大資金を設けることであります。 生産方式改善資金は、現行の技術導入資金を再編拡充したものでありまして、従来の貸付対象である能率的な技術の導入のみでなく、作目や地域の実態に即し、農業生産の再編成やコストの低減等農業経営が直面する課題に対応して、普及を図るべき合理的な生産方式を導入するために必要な資金であります。 また、新たに設けられる経営規模拡大資金は、土地利用型農業の経営規模を拡大するため、農用地について賃借権等の利用権を取得するのに必要な資金であります。 第二に、資金の貸付事業を行う都道府県に対する政府の助成方法の変更であります。 これまでは、国は都道府県に対し、必要な貸付財源の三分の二以内を補助しておりましたが、今後は、これを無利子で貸し付けることとしております。これによりまして、今後は、国への償還金を再び都道府県への貸付財源とすることにより、都道府県における資金需要に応じた全国的な資金の調整を行い得ることとなるのであります。 次に、自作農創設特別措置特別会計法の改正について申し上げます。 この特別会計の名称を農業経営基盤強化措置特別会計とするとともに、その経理の対象を農業経営基盤の強化に資するための農地保有合理化措置及び農業改良資金に係る政府の貸付金の貸し付けとすることとしております。 また、これにあわせてこの特別会計における剰余金等の財源の有効活用に関する措置を講ずることとしております。 なお、この法律案に対する衆議院における修正の趣旨につきまして便宜政府側から御説明申し上げます。 修正の内容は、この法律案の施行期日である昭和六十年四月一日が既に経過していることにかんがみ、施行期日を公布の日からと改めることであります。 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 農林漁業金融公庫資金制度は、農林漁業の生産力の維持増進を図るため、農林漁業者等が必要とする長期かつ低利の資金を融通することを目的として、昭和二十八年に発足したものでありますが、以来、農林水産施策の展開の方向に即応して逐次制度の改善を図りつつ、今日まで農林漁業の発展に多大の貢献をしてまいりました。 しかしながら、最近の農林水産業を取り巻く諸情勢について見ますと、農林水産物の消費の伸び悩み、経営規模拡大の停滞等極めて厳しいものがあり、このような状況のもとで、農林水産業の体質の強化を図ることが重要な課題となっており、農林漁業金融公庫資金についてもこのような課題に即応した制度の改善が求められております。 また、農林漁業金融公庫資金につきましては、近年、利子補給等に要する補給金が著しく増加してきており、厳しい財政事情のもとで資金の効率的利用を図っていくことが求められております。 政府といたしましては、このような状況を踏まえ、農林漁業金融公庫資金制度について、農林漁業経営の育成強化及び農林漁業の構造改善を促進しつつ資金の効率的利用と制度の簡素化を図るとの観点に立って見直しを行うこととし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。 第一は、農林水産施策の展開方向に即した制度の改善充実であります。 まず、農業経営の育成対策の強化を図るため、総合施設資金の貸付対象として自立経営を目指して階段的に規模拡大等を推進しようとする若い農業者等を追加することとしております。 次に、林業経営対策の強化を図るため、林業経営改善資金の貸付対象として林業経営の複合化のために必要な施設を追加することとしております。 さらに、生鮮食料品等の流通の近代化を推進するため、卸売市場近代化資金について、地方卸売市場等の仲卸業者を貸付対象として追加することとしております。 加えて、国産農林畜水産物の需要の増進を図るため、新規用途事業資金について、新規用途の開発及び加工原材料用の新品種の育成、導入に要する資金の融通の道を開くこと等の充実を行うこととしております。 第二は、制度の整理合理化であります。 農地等取得資金寺の三分五厘資金については、構造政策等の方向に即して重点化を図り、その一部を五分資金とすることとしております。 また、農業、林業、沿岸漁業の構造改善事業の推進のための資金につきましては、制度の簡素化等の観点からこれを統合し、農林漁業構造改善事業推進資金とすることとしております。 さらに、財投金利等と運動して金利改定が行われてきた漁船、塩業、卸売市場近代化等の資金の法定上限金利を八分五厘に統一改定することとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。 農業近代化資金制度及び漁業近代化資金制度は、農業者、漁業者等に対する長期低利資金の融通を円滑にするため、協同組合系統資金の活用を図りつつ運用されておりますが、昭和五十八年末においてその融資残高は農業近代化資金がおよそ一兆二千九百二十八億円、漁業近代化資金がおよそ二千八百四十二億円に上っており、農業者、漁業者等の資本装備の高度化及び経営の近代化の推進に大きく寄与しているところであります。 これら両制度につきましては、制度創設以来、逐次改善を図ってきたところでありますが、最近における農業者、漁業者等の資金需要の大型化に即応してその貸し付けの最高限度額を、それぞれ現行の二倍に引き上げることとし、農業者、漁業者等に対する施設資金等の融通をより円滑にすることとした次第であります。 以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(北修二君) 以上で趣旨説明は終わりました。 次に補足説明を聴取いたします。関谷農蚕園芸局長。
○政府委員(関谷俊作君) 農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容について若干補足させていただきます。 まず、農業改良資金助成法の改正について御説明申し上げます。 第一に、技術導入資金を再編拡充して設けられる生産方式改善資金についてであります。 技術導入資金は、本資金制度の中心をなす資金種目として、昭和三十一年の制度創設以来、近代的農業技術の普及定着化を通じて農業経営の安定と農業生産力の増大に大きく貢献してきたところでありますが、近年における農政の課題に対処するため、これを再編拡充し、従来の貸付対象である能率的な技術の導入のみでなく、作目の転換、品質の向上、低コスト化等を図るための合理的な生産方式の導入に必要な資金として生産方式改善資金を設けるものであります。 その具体的な内容につきましては、政令において、従来の技術導入資金に加え、当面、畜産、果樹、野菜及び養蚕についておのおのその部門の課題に対応した資金を新たに定めることとする見込みであります。 また、新たに政令で定める資金の一部については、貸付限度額を標準資金需要額の百分の九十とし、償還期間も上限を七年から十年に引き上げることとしております。 第二は、経営規模拡大資金の新設についてであります。 我が国農業の体質を強化するためには、技術と経営能力にすぐれた農家を育成し、これらによって農業生産の相当割合が担われるような農業構造を実現していくことが重要であります。特に土地利用型農業は、施設型農業に比べ規模拡大が立ちおくれていることにかんがみ、従来から農用地利用増進事業等により、農地の流動化を促進し農業経営に意欲のある農家に農地を集積させるための施策を講じてまいりましたが、その一層の促進を図るため、経営規模拡大資金を新設することとしたものであります。 その具体的な内容につきましては、政令において、小作料の一括前払いに要する資金とする見込みであります。 第三に、農業改良資金の貸付事業を行う都道府県に対する政府の助成方法の変更であります。 従来、この制度は、その財源の三分の二以内を国からの補助金の交付を受け、都道府県の特別会計において農業者に繰り返し貸し付けるという仕組みとなっており、いわば都道府県段階における回転資金であったのでありますが、資金需要の地域差及び年による変動から、未貸し付けの剰余金が特別会計に累積する都道府県がある一方、償還金で資金需要を満たせない都道府県があるという状況が見られるところであります。 このため、全国的な資金の効率的利用を図る見地から、今後は、毎年度の貸付必要額のうちその三分の二以内を国が都道府県に無利子で貸し付けることとしたものであります。 また、政府の助成方法の変更に伴い、都道府県の特別会計に関する規定及び既に都道府県に交付した補助金に関する規定を整備するほか、新たに、未貸付金のうち国の補助金に係る部分について自主的に国に納付できる道を開くとともに、この納付金も国からの貸付金の財源に充てることとしております。 なお、昭和五十九年度に予算措置として都道府県に補助しております畜産振興資金の貸付事業に係る都道府県の権利義務については、都道府県において農業改良資金の特別会計に引き継ぐことができる旨の措置を講じております。 次に、自作農創設特別措置特別会計法の改正についてであります。 第一に、特別会計の名称及び設置規定の改正であります。 農業経営の基盤である農地の買収、売り渡し等の経理を行ってまいりました自作農創設特別措置特別会計について、農業経営基盤の強化に資するための農地保有合理化措置及び農業改良資金に係る政府の貸付金の貸し付けに関する政府の経理を一体的に経理する特別会計に改組することとし、その名称を農業経営基盤強化措置特別会計に改めることとしております。 第二に、特別会計の改組に伴う経理規定の整備についてであります。 この特別会計において行う農業改良資金に係る経理については、その償還金に相当する金額は、農業改良資金の貸付財源に充てることとしております。 また、歳出科目の追加に伴い、従来一般会計へ繰り入れてきた農地等の売買に伴う差益について、今後においては、この特別会計において使用するとともに、この特別会計における資金の効率的利用を図るため、農地等の売り渡し代金及び剰余金について課していた使途制限を廃止することとしております。 第三に、昭和五十九年度の決算剰余金の処理についてであります。 昭和五十九年度の決算上生じた剰余金につきましては、この特別会計の改組に当たり、これを積立金として積み立て、農地等の買収代金及び農地保有の合理化に関する事業の助成の財源に充てる場合に限り、これを使用し得ることとしております。 以上をもちまして、農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○委員長(北修二君) 後藤経済局長。
○政府委員(後藤康夫君) 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容について若干補足させていただきます。 第一に、農林水産施策の展開の方向に即した制度の改善充実についてであります。 その一は、総合施設資金の貸付対象の拡大であります。 総合施設資金は、自立経営農家を育成するため、農業経営を総合的に改善しようとする農業者に対し各種資金を包括的に融通する資金制度として設けられたものであり、現在、自立経営を一挙に実現する者に対して貸し付けを行っております。 今回の改正は、農業をめぐる情勢の変化等により一挙に大幅な経営規模の拡大を図ることが困難となっていること等を踏まえ、今後の我が国農業の中核的担い手として期待される若い農業者が自立経営を目指して段階的に経営規模の拡大等を行う場合にも、総合施設資金を融通し得ることとしようとするものであります。 なお、この総合施設資金の貸付対象の拡大に伴い、貸付対象がこれと重複することとなる果樹園経営改善資金及び酪農・肉用牛経営改善資金につきましては、これを総合施設資金に統合することとしております。 その二は、林業経営改善資金の貸付対象の拡大であります。 近年における我が国森林、林業をめぐる情勢には極めて厳しいものがあり、木材需要の停滞等を背景とした木材価格の低迷、労賃、諸資材価格の上昇等から林業経営の収益性は悪化しております。一方、我が国の森林資源の状況は、戦後の造林による人工林がいまだ伐期を迎えていないことから、伐採による収入を期待し得ないのみならず、今後相当の期間において、保育、管理のための経費を支出していかざるを得ない状況にあります。 このような状況を踏まえ、林地取得及び育林のための資金を融通する林業経営改善資金につきまして、育林期間における林業経営の維持と林業生産活動の継続に資するため、特用林産物の生産等経営の複合化に必要となる施設資金を貸付対象に加えることとしております。 その三は、卸売市場近代化資金の貸付対象の拡大であります。 これまで卸売市場近代化資金のうち仲卸業者資金につきましては、中央卸売市場の仲卸業者が貸付対象となっておりましたが、近年、地方卸売市場の統合整備による市場規模の拡大等が進む中で、地方卸売市場における仲卸業者の機能の強化が求められている状況にかんがみ、中央卸売市場以外の卸売市場の仲卸業者についても本資金の融通の道を開くこととしております。 その四は、新規用途事業資金の内容の充実であります。 農林漁業の生産力の維持増進のためには、その生産性の向上とあわせて、農林畜水産物の安定的な販路の確保等を通じた消費の拡大を図ることが極めて重要であります。 近年の農林畜水産物の需要の動向を見ますと、加工食品、外食向け需要が増大している一方、全体としては需要が伸び悩んでおり、一部品目については過剰問題も生じております。 このような状況を踏まえ、国産の農林畜水産物の加工需要の増進を図る観点に立って、従来、でん粉の新規用途であるブドウ糖の製造加工の事業に必要な施設資金を融通してきた新規用途事業資金につきまして、新規用途開発の対象を、需給事情等から見て需要の増進を図ることが特に必要と認められる農林畜水産物とすることとしております。また、加工原材料用の新品種を使用する製造加工の事業を営む者に対しても本資金の融通の道を開くとともに、貸付対象資金について、施設資金のほか新規用途の開発、導入及び品種の育成、導入に必要な資金も融通することとしております。 第二に、制度の整理合理化についてであります。 その一は、三分五厘資金の融資の重点化であります。 農地等取得、構造改善事業推進、林地取得の三分五厘資金につきましては、その基本は維持しつつも、資金の効率的利用の見地から構造政策等の方向は即した重点化を図ることとし、その一部を五分資金とすることとしております。 具体的には、農地等取得資金につきましては当該資金に係る農地等の取得後の面積、農業従事の状況等に関し主務大臣の定める要件に適合する者、構造改善事業推進資金につきましては当該資金に係る事業に要する金額が主務大臣の定める額以上となる者、また、林地取得資金につきましては森林施業の実施に関し主務大臣の定める要件に適合する者に三分五厘の金利を適用することとし、それ以外の者については五分の金利を適用することとしております。 その二は、農業、林業、沿岸漁業の構造改善事業の推進のための資金の統合であります。 すなわち、制度の簡素化にも資するため、農業構造改善事業推進資金及び沿岸漁業構造改善事業推進資金と林業の構造改善事業の推進のための資金を統合し、農林漁業構造改善事業推進資金とし、この結果、これまで共同利用施設資金等で対応してきた林業の構造改善事業について計画的に推進することができるようにするものであります。 その三は、財投金利等に連動して金利改定を行ってまいりました漁船資金、塩業資金、共同利用施設資金、主務大臣指定施設資金、卸売市場近代化資金、新規用途事業資金及び乳業施設資金の七資金の法定上限金利の改定であります。 これら七資金につきましては、今後とも財投金利等の状況に応じた弾力的な金利改定を行っていく必要がありますので、これら資金に係る法定上限金利を過去の財投金利の推移に照らし八分五厘は統一改定することとしております。 さらに、現在では既に役割を終えたものとして事実上廃止されている沿岸漁船整備促進資金及び沿岸漁業協業化促進資金の二資金につきましては、今回これを整理することとしております。 このほか、公庫の理事及び監事の任期につきまして、特殊法人の役員任期の統一の方向を踏まえ、二年とすることとしております。 以上をもちまして、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○委員長(北修二君) 以上で三案の説明は終わりました。 三案に対する質疑は後日に譲ります。 ─────────────
○委員長(北修二君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいまの三案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(北修二君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。 国民年金法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十六分散会