農林水産委員会 第8号
- 発言数
- 234 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/04/02
会議録
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る三月二十九日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として下田京子君が選任されました。 昨一日、稲村稔夫君が委員を辞任され、その補欠として丸谷金保君が選任されました。 ─────────────
○委員長(北修二君) 去る三月二十九日、予算委員会から、四月二日の午後一時より四月三日の午後三時までの間、昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管、農林漁業金融公庫について審査の委嘱がありました。 この際、本件を議題といたします。 佐藤農林水産大臣から説明を求めます。佐藤農林水産大臣。
○国務大臣(佐藤守良君) 昭和六十年度農林水産関係予算について、その概要を御説明申し上げます。 昭和六十年度一般会計における農林水産関係予算の総額は、総理府など他省庁所管分を含めて三兆三千八億円で、対前年当初予算比四・六%、千五百八十九億円の減額となっております。 本予算におきましては、厳しい財政事情のもとで、財政及び行政の改革の推進方向に即し、限られた財源の中で、各種施策について徹底した節減合理化に努めつつ、予算の重点的かつ効率的な配分により質的充実を図り、農林水産行政を着実かつ的確に展開するよう努めたところであります。 以下、予算の重点事項について御説明いたします。 第一に、国土資源を有効に利用し、生産性の高い農業を実現するため、構造政策を推進することであります。 今日、土地利用型農業の規模拡大と生産性向上を実現し、その体質強化を図ることが、緊急の課題となっております。 このため、地域の実情に応じて農地等の有効利用と担い手の育成等を助長し、これと密接に関連させて土地基盤、農業近代化施設の整備等を行う地域農業整備総合対策を発足させることとしております。 また、補助から融資へとの観点を踏まえ、農業者の自主的な創意工夫に基づく合理的な生産方式の導入、経営規模の拡大等を促進し、農業経営基盤の一層の強化を図るため、農業改良資金制度を再編拡充するとともに、自作農創設特別措置特別会計を農業経営基盤強化措置特別会計に改組して、農業改良資金の管理及び農地保有の合理化を促進するための事業に対する助成を行うこととしております。 このほか、土地利用型農業の生産性の向上に重点を置いた新農業構造改善事業後期対策等関連施策を推進することとしております。 第二に、需要の動向に応じた農業生産の再編成と生産性の高い農業生産体制の整備を図ることであります。 まず、五十九年度に発足しました水田利用再編第三期対策につきましては、六十年度の転作等目標面積を五十七万四千ヘクタールとして引き続き推進することとし、地域の実態に即した転作の一層の定着化と他用途利用米制度の円滑な推進を図ることとしております。 次に、耕種部門の統合・メニュー事業である新地域農業生産総合振興対策につきましては、新たに、地域特産果樹の産地整備対策等を事業種目に加え、その推進を図ります。 また、畜産関係の統合・メニュー事業である畜産総合対策につきましては、交雑種の雌牛を活用した低コスト肉用牛生産のパイロット的実施等肉用牛生産の振興に重点を置き、その推進を図ることとしております。 第三に、農業生産の基礎的条件である農業生産基盤の整備につきましては、食糧自給力の強化、生産性の向上及び農業生産の再編成に資する事業等に重点を置いて推進することとし、八千七百八十九億円を計上しております。 第四に、農林水産業、食品産業等の生産性の飛躍的向上等に資するため、産・官・学の連携強化による総合的なバイオテクノロジー先端技術の開発を推進するとともに、その発展の基盤となる遺伝資源の総合的確保を図る等農林水産技術の開発、普及を推進することとしております。 また、最近の情報処理技術等の目覚ましい発達に対処して、農林水産情報システムの開発、整備を推進することとしております。 第五に、農林水産業にいそしむ人々が、意欲と生きがいを持てるような「活力あるむらづくり」を推進するため、農村、山村、漁村のそれぞれにおいて、農林漁業に基盤を置いた農山漁村の建設を進めることとしております。 また、農業、農村整備計画の策定、生産基盤と生活基盤の一体的な整備、山村等における定住条件の整備等を推進することとしております。 第六に、農林漁業制度金融につきましては、総合施設資金の貸付対象者の追加、新規用途事業資金の充実等新たな資金需要に対応した融資内容の充実を図るとともに、貸付条件の改定等を行うこととしております。 第七に、健康的で豊かな食生活の確保を図るため、農産物の需給と価格の安定に努めるとともに、日本型食生活を中心とする望ましい食生活の定着促進を図ることとしております。 また、地域食品の振興や食品産業の技術水準の向上を図るとともに、食品流通の合理化を進めてまいります。 以上申し上げましたほか、国際協力、備蓄対策を推進するとともに、農業者年金制度の適切な運営、災害補償制度の円滑な運営、繭糸価格安定制度の健全な運営等に努めることとしております。 第八に、森林、林業施策に関する予算について申し上げます。 来るべき国産材時代に備えて、国産材の大量安定供給体制の整備と森林の適切な管理を図るため、流域を単位とする広域の林業主産地における生産基盤、流通加工、展示販売施設の総合的整備と林業担い手の育成確保を図るとともに、間伐対策を拡充することとしております。 また、国土保全対策の充実と林業生産基盤の整備を図る観点から、治山、林道、造林の林野関係一般公共事業について二千八百十九億円を計上しております。 さらに、木材の需要拡大対策と流通対策の充実強化を図るほか、新林業構造改善事業、水源林等の整備対策、松くい虫対策等を推進することとしております。 第九に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。 二百海里時代の定着に即応した水産業の振興と水産物の安定的供給の確保を図るため、漁港等の漁業生産基盤の整備を計画的に進めることとし、千九百五十一億円を計上しております。 また、我が国周辺水域の漁業の振興を図るため、沿岸漁場の整備開発、栽培漁業、新沿岸漁業構造改善事業等を推進するとともに、沿岸域における計画営漁の推進、沿岸地域活性化緊急対策の展開等により活力ある漁村の形成を図ることとしております。 さらに、海洋水産資源の開発、海外漁場の確保対策を進めることとしております。 このほか、漁業経営をめぐる厳しい状況にかんがみ、漁業生産構造の再編整備、中小漁業融資保証機能の確保、漁協信用事業の整備強化を図るほか、水産物の消費拡大対策、流通加工対策等を進めることとしております。 次に、特別会計予算について御説明いたします。 まず、食糧管理特別会計につきましては、米の政府売り渡し価格の引き上げ、管理経費の節減等食糧管理制度の運営の改善合理化に努めることにより、一般会計から調整勘定への繰入額を三千四百七十億円にすることとしております。 また、過剰米の処分に伴う損失を計画的に補てんするため、一般会計から国内米管理勘定へ千九十億円を繰り入れることとしております。 国有林野事業特別会計につきましては、国有林野事業の経営改善を引き続き推進することとし、事業運営の改善合理化等の一層の自主的努力とあわせて、国有林野における造林及び林道事業並びに職員の退職手当に要する財源について資金運用部資金の借り入れを行うほか、一般会計から所要の繰り入れを行うこととしております。 また、現行の自作農創設特別措置特別会計につきましては、前に述べましたように農業経営基盤強化措置特別会計に改組しますほか、農業共済再保険等の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。 最後に、財政投融資計画につきましては、農林漁業金融公庫等による総額八千五百十億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。 これをもちまして、昭和六十年度農林水産関係予算の概要の説明を終わります。
○委員長(北修二君) これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○山田譲君 幾つかいろいろ質問をしたいわけでありますけれども、時間もそうありませんから、きょうは大体三つぐらいに分けて御質問をしたいというふうに思っております。林野庁いらっしゃいますね。 最初に、林野庁にまずお聞きしますけれども、最近、新聞等で騒がれていますように、アメリカから針葉樹の合板の関税を引き下げろというふうな要求がかなり出ているように聞いております。それからまた、東南アジアあたりからも、これは広葉樹のようでありますが、合板の関税がアメリカに比べて差がある、差別待遇だと、こういうふうな文句を言っているというふうなことが新聞などで伝えられておりますけれども、それについての現状がどうなっておるか、それに対する林野庁としてのお考え方をまずお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(田中恒寿君) 米国との間におきます針葉樹合板につきましては、年初からいわゆる四分野の一つといたしまして合板の関税引き下げの要求が大変強く、現在交渉を継続しておるところでございます。またASEAN諸国、特にインドネシアからの広葉樹関係の合板につきましても、これはかねてからと申しますか、現在二%の差がございます。そのような広葉樹、針葉樹によります差でございますけれども、国による差であるというふうなとらえ方をいたしまして、かねてから引き下げの要求が強く続いておるところでございます。 現在交渉中にございますアメリカとの関係でございますが、御案内のように、我が国の林産業界が大変かつてない不況が継続をいたしておりまして、いまだに木材住宅建設が落ち込むというようなこと、あるいは木材製品価格も非常に低迷を続けておるということが、大変な倒産件数の高原状態というようなことで深刻な不況にございます。 したがいまして、これが我が国の森林、林業にまで深刻な影響を及ぼす、ひいては森林の公益的機能にも影響があるのではないかというふうな懸念もございまして、大変案じておるところでございますが、そのような状態にございますので、木材製品の関税引き下げにつきましては極めて困難である。私どもは慎重に対処してまいる所存でございます。
○山田譲君 私どももそういう点、非常に心配をしているわけでありますけれども、とにかく非常に木材産業の不況の、ただでさえピンチに陥っているときに、アメリカから安い合板が入ってくるというふうなことになれば、これはもう影響するところ非常に大きいと思うんです。東南アジアについても同様であります。ですから、ぜひともこの関税引き下げについてはひとつ林野庁としても断固たる決意で当たっていただきたい、こういうように思うわけであります。 さて次に、その問題に関連して、これはもう農林水産大臣にぜひともお伺いしなきゃならないわけですが、そういう林野庁のお考えでありますけれども、それに対して何かこう何となく、関税引き下げもやむなしというふうなことが新聞その他でもって報道されたりしております。とりわけ農水省としては前から断固反対をしてきたんだけれども、何か中曽根総理が関税の引き下げはしようがないんじゃないか。そのかわり二千億とかなんとか言っておりますけれども、本当かどうかわからないんですが、そのくらいのものを出して、そして木材産業の振興のためにひとつその条件を大いにつくってやるんだ。それの見返りとしてこの関税を引き下げてもやむを得ないというふうなことを総理が言ったとか言わないとか伝えられているわけでありますけれども、その辺は農林水産大臣、どんなものですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 山田先生にお答えいたします。 今の我が国林産業界の状況は、林野庁長官の言ったとおりでございます。そんなことで、木材製品の対外問題につきましては、関係国との友好関係にも留意しつつ、我が国林業を生かすとの観点に立ち、その健全な発展との調和を図って対応することが基本的に大切であると、こう考えております。 そんなことで、現在の森林、林業の置かれた厳しい現状を見ると、関税問題の緩和に先立ちまして、単に合板業界の体質改善のみならず、中長期の視点に立って木材産業及び林業を通じた施策を進める必要があると考えております。そんなことで、関税問題は林業、木材産業が活力を取り戻した後に対処すべき問題であると、このように考えております。
○山田譲君 どうもよくわからないわけですが、総理が言ったということは、これは本当ですか。総理が何か二千億ぐらい出していろいろ条件を整備する必要があるということを言ったとか言わないとかという、新聞でいろいろ書かれておりますけれども、この辺は本当でしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) 新聞でそういうのを見ました。
○山田譲君 何ですか、もう一遍、よく聞こえなかったのですが。
○国務大臣(佐藤守良君) 新聞でそういう記事を拝見いたしました。
○山田譲君 これも新聞の話ですけれども、ある新聞のごときは、何か総理大臣が主役になって農水大臣が演出家になって、そうしてむしろ関税引き下げはしようがないというふうなことにするんだと。ですから、農水省は一見困ったような顔をしていながら、むしろ待っていましたというような調子でもってこれに乗っているんだというふうな嫌みを書いている新聞もあるわけですけれども、その辺はどんなものですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 新聞についてはいろんな書き方をしていると思いますが、先ほど言ったようなことでございまして、私は、関税問題は林業、木材産業が活力を取り戻した後に対処すべき問題だと考えています。この考えに変わりございません。
○山田譲君 そうすると、大体いつごろまでにその活力が出てくるというふうに考えられるのか。それぞれの活力を上げるために何らかのことをやられるのか、やらないのか、そこはどうですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 今の点は大変非常に難しい質問でございますが、いずれにいたしましても先生御存じのとおりですが、合板業界の体質改善をどう図るかという問題、それともう一つは、中長期の視点に立って、今、木材産業は大変不況でございますが、これ及び林業を通じてこの不況をどうするかという問題、それからもう一つは、七十年代の国産材時代に向かってどのような対策をとるかということを含めて総合的な施策をしないと大変なことになると思っていますから、その施策をどうやるかということでいろいろ検討している最中でございます。
○山田譲君 そうしますと、今、大臣がおっしゃったようなことをやろうということになれば相当検討もしなきゃならないし、これからいろんなことをやっていかなきゃならない。それはそう簡単にすぐできるとは思われないわけですけれども、そうするとそれがちゃんとなるまでは関税の引き下げには絶対応じない、こういうお考えというように考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤守良君) そのとおりでございます。
○山田譲君 大体そのタイミングみたいなものはあるんですか、関税の引き下げについては。大体いつごろまでにその結論を出さなきゃいけないというふうなことはありませんか。
○国務大臣(佐藤守良君) これは先生も御存じのとおりですが、大体この月の九日に経済閣僚会議がございます。それから後、安倍外務大臣がOECDの会議に十一日に参ります。その後、何かアメリカに行くようになっておりますから、そんなことでその前後までに方向づけは何とかできぬだろうかという話は受けております。
○山田譲君 そうすると、木材産業をめぐるいろんな問題に対する対策も大体そのころまでにはある程度のめどをつける、それから関税の問題に対処していくというふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤守良君) 実はその点につきましては、大変私は関係、難しいという返事をしております。したがって、例えばこの間アメリカから特別補佐官のシグールさんですか、参りましたときも安倍外務大臣が、特に木材産業は厳しいぞという話をしてくれたそうでございます。そんなことでございまして、できればそれに沿いたいと思いますが、やってみぬとわからぬというのが今の現状でございます。
○山田譲君 いずれにしましても、これは非常に重大な問題で影響するところ非常に大きいわけですから、関税引き下げについては今、大臣おっしゃったようなところで、ひとつとにかく今のこの木材産業のピンチを脱するためにあらゆる条件をつくってやらなきゃいけない。関税の問題なんというのは当然その後に、下げることもよくないと思うけれども、いずれにしても関税の問題はその後であるということをお約束いただけるかどうか、そこら辺、どんなものですか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 その方針で頑張っております。
○村沢牧君 関連して。 山田委員の質問で大臣の決意も聞いたわけですが、大事な問題でありますから、一言だけ関連して重ねて要請しておきます。 大臣は、木材関税の引き下げは困難である、慎重かつ適切に対処してまいりたいということをいろいろな委員会でも答弁しているわけでありますが、しかし、昨日の新聞を見ると、大臣が与党幹事長に会って、三千億ぐらいの金は出したらどうかと言ったら、それによって考えるというようなことが報道されているわけですね。一体、大臣の真意というのはどこにあるか。みんな、山田委員が質問するのは当然のことかもしれぬ。しかも大臣は、総理が金を出すとか出さぬとか言ったことは新聞で見たと言っているけれども、なるほど二千億、三千億という金は新聞でしょうけれども、今開かれておる予算委員会では、総理はこの関税問題に関連をして、森林事業の、あるいは関連をする産業の強化をするために金を出さなきゃいけないと言っているわけですね。しかし、そう言っているけれども、金を出すというから、今す ぐ下げるのか将来下げるのか、その点ははっきり総理は言ってないわけですね。その辺が随分食い違っているわけですよ。ですから心配なんです。 したがって、今の林業や、あるいは関連をする木材産業を見るならば、これは関税問題を抜きにしたって金を出して足腰を強くしなきゃいけない。大臣の決意は決意としてわかります。したがって、総理が何と言おうと、あるいは対外問題閣僚会議が何と言おうとも、関税問題は絶対に今回下げるわけにいかない。そのことを強く貫いてもらいたい。いいですか。そのことのお約束ができますか。もちろん答弁をして九日前に方針を出すとか、サミット前に方針を出すということは許されませんし、将来にわたってもこういう足腰を強くする財政支出が認められて、その後において考える、その方針を大臣の責任において貫いてもらいたい。はっきりした答弁をいただきたい。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 実は、私は林業につきましては素人ではありますが、その後いろいろ勉強しまして、大切なことは、今木材の価格が高いということ、ずばり言って。したがって、七十年を、木材をどう下げるかということが大きな私は目標の一つだと思います。そんなことで、木材関係をどうするか、今しないと本当に大変なことになる、こういう認識を持っております。それとともに実は公益的機能、水資源等含めて大変だと、こんなことで対処しているわけです。そんなことで、実は中曽根総理の話が出ましたが、中曽根さんも実は群馬県で、私以上に林産業……
○村沢牧君 そんなことを聞いているんじゃない。大臣、時間がないので決意を聞いているんだ。
○国務大臣(佐藤守良君) そんなことで、率直に言いますと、私の意見というのは中曽根さんの意見とは食い違っておりません。これは伝えておきます。 それからもう一つは、金丸幹事長の話ですが、実はいろんなことについていろんな人の意見を聞いているわけですが、向こうからそんな話が出たと、そんな程度でございまして、別に私からしたわけではございません。したがって、この問題についてはそんなことで、私は本当に、何といいますか、中曽根さんも私も同じ考えということでちっとも変わっておらない、こんなことでこの問題を進めていきたいと考えております。
○村沢牧君 じゃ、佐藤大臣の責任において、当面関税は下げないとお約束できますね。
○国務大臣(佐藤守良君) 今申したようなことで最善を尽くしたいと考えております。
○村沢牧君 いいです。またの機会にします。
○山田譲君 今の問題、大体大臣のお考えも聞いてはいますけれども、どうもはっきりしないわけですね。何か歯切れが悪いというような感じで、実際問題として関税は引き下げには応じませんと、はっきり必ずしも言わないで、何だかんだとほかのことを言っておられるけれども、もう一遍この際ですから、関税は引き下げませんと胸を張って言ってもらわないと困るんですがね。ぜひお願いしますよ。
○国務大臣(佐藤守良君) 先ほどから言っているとおりでございますが、私は関税問題につきましては、林業、それから木材産業が活力を取り戻すまでは絶対しないと申し上げておるわけでございます。だから、そういうことでございまして、すべての総合的施策を済まして、それからいわゆる林業とか木材産業の活力を取り戻した後でないと対処しないということを私は申し上げておるわけでございます。
○山田譲君 非常に心強い感じがします。だけれども、林業が活力を取り戻すということになると、それは相当先の話になるんだけれども、それじゃそれまでは関税は絶対下げないんだというふうに理解してよろしいですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 一つの計画というものができ、見通しというものが立つわけでございます。そんなことで、私も率直に言いますと、そう十年も二十年も難しいと思っております。そんなことで、これはおのずから常識の範囲と、こう御理解願うとありがたいと思います。
○山田譲君 私の常識が本当か、そちらの常識が本当か、ちょっとわからないんだけれども、どうも我々の常識から考えて、そう簡単に木材産業が活力を取り戻すなんということはちょっと考えられないことです。だからこそ、二千億とか三千億とかという話が出てくると思うんですね。それを使っても相当先の話になると思うんだけれども、その点は私らの常識は、相当やはり先の話じゃなきゃ、この関税の問題なんかはとてもじゃないが話にならないということになるんですけれども、私の常識が間違っていたら教えてもらいたいと思うんです。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 私もおのずと常識の範囲でこの問題に対処いたしたい、こう思っております。そして基本的には、今言ったようなことで私は最善の努力をいたしたい、こう考えております。
○山田譲君 どうもその基本的というふうな言葉がひっかかるんですけれども、この問題ばかりやっているわけにはいかないからこの辺でやめたいと思いますが、いずれにしましても、大臣も御存じのとおりの木材産業の実情あるいはそれを取り巻く環境というものはものすごく厳しいものがあるわけで、関税なんかこういうときに下げたら、これはますますもって大変なことになるということで国民も心配をしているわけでありますから、ぜひそこのところは我々の意中を酌んでいただいてひとつ頑張ってもらいたい、こういうふうに思います。 木材の関税引き下げの問題はその程度で、続いて私は、自給率、自給力といいますか、これについてのいろいろ考え方をただしたいというふうに思うわけであります。 自給力と自給率という言葉があるわけで、この前、私も官房長にいろいろお聞きしたわけですね。どうも官房長の言うことは私にはどうしても理解できないわけです。つまり、官房長がこの間言われたことは、自給力と自給率は違うんだと。それは言葉として違うくらいのことはわかりますけれども、それでますますわからないというのは、何か自給率は上がらなくても自給力は上がるんだ、つまり自給率と自給力とは別なものですから、必ずしも自給率なんというものは下がっても、極端な話、自給力が上がるということはあり得るというふうな話をたしか官房長が言われたと思うんだけれども、そこら辺、官房長、やっぱりそういうふうに今でも考えておられるかどうか、まずそこのところをお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(田中宏尚君) 先般もお答え申し上げましたけれども、自給率というのは具体的数字で、国内の消費仕向け量に占めます国内生産量というものを具体的数字で示しているわけでございます。そして、この数字の性格からいいまして、例えば国内の生産量という分子の数字もその年々の豊凶変動、こういうものが大きく作用してまいりますので、率そのものについては、自給力が上がれば率が下がっていいとは決して我々も考えていないわけでございますけれども、単年度単年度の具体的率というものは、その年々としてのいろんな事情で変動いたしますので、我々としては土地とか水とかいう資源、それから人間、それからさらに技術というような総合的な農作物をつくり得る潜在的力、こういうものをより少しでも高めていくということの方が政策目的としては適当じゃないかというふうに考えているわけでございます。
○山田譲君 「農政無用論」というこの本ですね、これは農水省の大先輩がお書きになった本です。農政無用論というから、このとおりになったら本当に農水省がなくなっちゃうというふうな、農水大臣以下みんな失業するようなそういうことになるだろうと思って、僕は非常に心配になって中を見てみましたら、案外そうじゃなくて、いろんなことをそれなりに考えていて、これはこれとしてのやっぱり農政が必要じゃないか、農政必要論というふうな、むしろ逆説に近いような題名をつけられているというふうに考えていますが、この中で、この自給力の問題に触れていろいろ書いてあります。書いてある中身については私も意見があるわけですが、それはそれとして、食糧自給力というのは、「具体的には自給率の計算で測られる。」というふうに書いてあるわけですね。これは官房長もそれをお読みになったかと思うんです。 ですから、やっぱり食糧自給力といったって実際具体的に示すものは自給率の計算である、何十何%というふうなことになるのであるということをこの本で言っているわけで、やっぱりこれが常識じゃないかと思うんです、さっき常識の話が出たけれども。食糧自給力を具体的に数字であらわす自給率というものが一番わかりやすいという意味で、官房長がおっしゃるように、自給力は上がっても自給率は上がらないというふうなのはどうも常識じゃないのじゃないかというふうに思うんだけれども、この辺どんなものですか。
○政府委員(田中宏尚君) 確かに自給力というものは具体的に計数化できませんために、自給力と相当相関関係のあります自給率という具体的数字、これが一つのめどになるということは確かかと思いますけれども、自給力イコール自給率という具体的数字ではないというふうに考えておりまして、先ほども申し上げましたけれども、総合的な潜在的な農作物をつくっていく力というものを、何とか現状より引き上げたいという政策目標に向けて進んでいるということでございます。
○山田譲君 それはもう当然、自給力と自給率が違うくらいのことはわかります。だけれども、やっぱり自給力が上がっていけば当然自給率もそのとおり、自給力というのは数字じゃないから簡単にわかりませんけれども、いずれにしても、自給力がぐうっと伸びていけば、それは当然自給率だって上がってくるんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
○政府委員(田中宏尚君) その点は、平常な形におきましては、もちろん潜在的な力が強まりますとそれが顕在化しまして自給率の向上につながるということは当然と思いますけれども、それが完全に並行でないという点も年によってはあろうかと思っております。
○山田譲君 私は、毎年の自給率、自給力がどうこうということじゃなくて、やっぱり傾向として、国会決議で自給力を上げなさいというふうなことを言っていることがあるわけで、その努力をすればそれは当然に自給率も上がっていく、それは毎年すぐに数字が変わるかどうかは別問題としまして、そういうふうに考えるわけですけれども、そこのところはどうですか。
○政府委員(田中宏尚君) 自給力が高まりますれば自給率も上がるということは、我々としても期待いたしておりますし期待したいところでございますけれども、自給力の中でもいろいろと、例えば水田利用再編でございますとか、こういうことで生産の再編成過程というようなものにつきましては率に必ずしも直結しないという点もございますので、自給力が上がれば必ず自給率も上がるというふうには結びつき得ないんじゃないかという感じもいたしております。
○山田譲君 よくわかりませんけれども、私はやっぱり常識的に、自給力が上がればそれは自給率も上がらなきゃおかしい。自給率が上がらないけれども自給力だけが上がっていったということは余り考えられないし、普通の人には理解できないことじゃないかと思うんですがね。もちろん、自給力と率は違うことは大体わかるわけであります。しかし、今の官房長のお話というのはどうもよくわからないし、もっと勘ぐれば、自給力というふうな抽象的な言い方をしていれば大体わからないわけですけれども、自給率ということになればこれははっきりと数字に出てきますから、だからどうもそこのところをはっきりと示すのは嫌だから、一生懸命自給力というふうなことを言っているのじゃないかというふうに勘ぐらざるを得ないんですけれども、そういうことはありませんか。
○政府委員(田中宏尚君) そういう感じは全くございません。
○山田譲君 感じじゃなくて、それは大事なことですから、私としてはやっぱりこだわるわけですね。どうして官房長がそんなにそんなことを力説しなきゃならないか。やはり力が上がりゃ率も上がるくらいのことはこれが常識なんであろうと私は思いますけれども、それを故意に自給力と自給率は違うんだ、自給力が上がっても自給率が上がらない年があるなんという、そんなことじゃどうもおかしいのであって、やはり当然自給力が上がるということは自給率も上がってきます、我々はそれを期待しているくらいのことを言ってくれないと、力は上がりましたけれども率は上がらない、これでもいいんだというふうなことがどうも納得できないんだけれども、どうですか。
○政府委員(田中宏尚君) 先ほど申し上げましたように、自給力が上がった結果、自給率も上がるということは我々も期待しているわけでございますけれども、それが数字としてイコールに出てこない悩みというものもある点は、御理解いただきたいと思っております。
○山田譲君 同じようなことを言って申しわけないけれども、それは自給力を数字で示そうといったって直ちには出てきませんよ。だからこそ、具体的には自給率というものでもってそれが数字になってあらわれてくる、こういうことだと思うんです。この先輩の松岡さんも言っているのは、そういうことだと思うんですよ。だから、やっぱり自給力と自給率というものは不離一体のものであって、それであなたが言うように、力の方は上がったけれども率はわかりませんというふうなことじゃなくて、やっぱり自給力が上がっていけばそれは自給率も当然数字として上がって出てくるという、そういう状態にならなけりゃ、逆に言うと、そういう状態でなけりゃ、これは自給力が上がったとも言えないのじゃないかという感じがするんだけれども、そこら辺どうですか。
○政府委員(田中宏尚君) 自給率というのは、先ほどもお話ししましたように、物量を分子、分母にしておるわけでございまして、その消費構造なり生産構造、こういうものが常に動いていくわけでございますので、現在のそういう物量と将来の物量というものは質的にはいろいろと変わってきているわけでございます。そういう構造が変わる中で、単純に数字だけで上がった下がったということを長期的な見通しの政策目標として掲げることはいかがかということで、潜在的力という普遍的なものを政策目標に選択しているという形になっているわけでございます。
○山田譲君 しかし、五十五年の農政審の答申が出された、答申といいますか意見が出されたときに、参考資料として出したものの中には、きちっと六十五年の自給率というものを山してあるじゃないですか。そうすると、やっぱり政策目標として自給率も掲げているということは、これは間違いない事実でしょう。
○政府委員(田中宏尚君) あれは六十五年の生産と需要の長期見通しということで、もちろんいろんな政策努力の裏づけがあっての見通しでございますけれども、見通しの数字として提起しているわけでございまして、あれと同時に、自給力という総合的なものを高めるということは、両方を示していることにおきましては別段矛盾もないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
○山田譲君 それじゃ自給率、力の関係はそのくらいにして、ちょっとわからないのは、いわゆる農業基本法というのがありますね。あれをつくったころは、日本は自給率が恐らく八〇%ぐらいになっていたと思うんですよね。それが農業基本法ができて以来というものは、自給率は驚くべくがた落ちに落ちていっているわけです。だから、人によっては、農業基本法ができたためにかえって自給率は下がっていってしまった、こういうことを言うんですけれども、どうも農業基本法の前文を読んでみても、文章を読んでみても、自給率のジの字も言っていない。そうすると、農業基本法を つくった当時というものは、結構自給率は八〇%以上あったから余り問題にならなかった。だから、農業基本法ができた当時は、今で言えば非常に重要な自給力、率の問題ですけれども、当時としては余り意識されなかったというように考えていいんでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 農業基本法におきましては、需要の動向に応じて伸ばすべきものは伸ばす、いわゆる農業基本法で言っています「選択的拡大」、そういうことに加えまして、生産性を向上させながら農業生産力全体として増大させるということで、自給率というものはむしろそういうものが結果として出る形ということで、当時におきましては、その自給率を政策目標としては、先生から御指摘がありましたように余り意識はしてなかったんじゃないかと思っております。
○山田譲君 そうすると非常におかしなことに、基本法ができて以来というものはがた落ちにパーセンテージが落ちていく、自給率が八〇%以上あったものが三二、三%に落ちていくというふうなことは、これは農業基本法とは関係ないというふうにおっしゃいますか。
○政府委員(田中宏尚君) 当時と現在の数字を若干申し述べますと、食用農産物全体で言いますと、当時は九〇%の自給率が現在は七一%ということでとどまっているわけでございますけれども、ただいま先生御指摘ありましたその八〇%から三二%というのは、これは穀物の自給率なり、あるいはさらには一番問題になっております飼料も含めました全体で言いますと八三%から三〇%ということで下がっているわけでございます。そしてこれは、やはりこういうふうに変わってきたことの背景には、何といいましても畜産物の消費というものが農業基本法制定後国民生活の高度化等に伴いまして大幅に伸び、その結果、土地資源に恵まれない日本といたしましては畜産用のえさについて外国に依存せざるを得なかったということが、こういう数字に反映していようかと思っております。
○山田譲君 やっぱり今おっしゃったとおり、畜産を振興するというふうなことの結果として飼料を非常に多く輸入せざるを得なくなってきた、このことが相対的に率を下げることになったというふうに考えていいんでしょうかね。
○政府委員(田中宏尚君) 主な原因はそういうことと考えております。
○山田譲君 私は、参考までに外国の例を見てみたわけですけれども、外国もかつては、イギリスあたりは非常に自給率が下がってきたやつが、かつては四〇%台だったものが六〇%ぐらいに逆にこうぐっと上がってきた、ほかの国もそうだろう、大体同じ傾向をたどっているようですが、そうすると日本は農業基本法ができて以来、物すごく自給率が下がったにもかかわらず英国の方はむしろ逆に上がっているということ、これはどういうふうに理解すればよろしいんでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) イギリスの場合は、御指摘のとおりここ数年間でかなり自給率というものが上がってきておるわけでございますけれども、その背景には、やはり日本とイギリスのいろんな違いがあろうかと思っております。イギリスの国土面積はアメリカ等に比べるとかなり狭隘なわけでございますけれども、それにしましても農地面積でございますとか、それから農家一戸当たりの面積、一戸当たりでいいますと、日本の場合は一・二ヘクタールに対しまして、イギリスでは七十七・一ヘクタールというような規模の格差がございますところに、ここのところ特に穀物を中心にいたしまして単収の増加というものが相当高かったこと、それに加えましてECに加盟してEC農業政策のもとでの価格支持というようなことが重なりまして、自給率の大幅の向上を来しておるのでございます。しかし、そういう中でECでも過剰という問題が出てきておりまして、従来の価格政策、そういうものに対する反省というものもここのところ高まってきているというふうに聞いているわけでございます。
○山田譲君 やっぱりそれはいろんな事情が違うとは思いますけれども、それにしても日本の自給率の下がり方、イギリスの自給率が逆に上がっているということ、これはどうしてもおかしい、やはり相当参考にしていいという点もあるんじゃないかというふうな感じもするわけです。 そこで、私は、自給率、力、どっちでもいいんだけれども、この考え方として、やっぱり日本は耕地面積がずっと減っていったというふうなこと、農業基本法制定以前に比較した場合にですね。耕地面積あるいはまた土地利用率というものが下がってしまった、こういう結果として自給率も次第に下がっていっています。もちろん飼料を買うということも片方であるでしょうけれども、片方ではそういうことも原因しているんじゃないかという気がしてならないわけです。現に、私の今いる群馬県あたりを見ましても、せっかく先祖が開拓した土地なんかが、まあ余りいい土地じゃないことは確かだけれども、どんどん荒れ果てていっている。利用されていない。ですから、まさしく田園まさにうせんとするというふうな状況が意外にあるわけで、ただでさえ狭い日本がそういうような荒れた土地をだんだんふやしていっているというふうなことは、非常にもったいないし残念な話だと思うんです。だから、自給率を高めるためにも、そういう土地をまた何とか利用する、あるいは土地の利用率を高める、こういうふうなことはやる必要はないんでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 確かに基本法制定当時に比べますと、耕地面積そのものがかなり減っておるわけでございます。それでこれが減りましたのは、昭和五十年に至りますその前の昭和四十年代の高度成長の中で面積が減りまして、五十年代に入りましてからほぼ横ばいになってきているわけでございますけれども、この農地を何とか高度利用していくということが我々に課せられた大きな使命でございまして、権利の面からも、あるいは基盤整備という面からも、こういう現在残っております貴重な財産であります農地、こういうものが高度に利用されて最大限に生産力を発揮するということについて、いろんな施策を今後とも強化してまいりたいというふうに考えております。
○山田譲君 これからの問題として、飼料の輸入をどのくらいにするつもりか、どのくらいでもって抑えるつもりか、それともやっぱり飼料の輸入はこれはやむを得ないとある程度あきらめておられるかどうか、その辺はどうなんでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 飼料用穀物を含めました全体の穀物自給率が、先ほどもお話ありましたように今三二%ということに下がっておるわけでございます。この中での濃厚飼料、これにつきましては、やはり残念ながら我が国のこれだけ国土が狭い中で国内で生産を高めるというわけにはなかなかまいらぬだろうと思っております。しかし、一方で粗飼料、これにつきましてはできるだけ国内での自給を高めたいということで、この粗飼料も含めました飼料全体の自給率の見通しといたしましては、先生も御承知のとおり現在三〇%程度の自給率になっておりますけれども、こういう粗飼料を含めた全体の自給率としては将来三五%というものを六十五年見通しでも見通しておりまして、現状より粗飼料の生産の増大によりまして五ポイントほど自給率が上がるであろうという推計を立てておりますので、これに向けて草地開発でございますとか、あるいは粗飼料だけの単収の向上でございますとか、こういうことに邁進したいというふうに考えております。
○山田譲君 さっきもちょっと触れたけれども、農政審の出したときの計画によると、今の粗飼料とかなんとかという問題じゃなくて、いわゆる今後自給率はむしろ一%下がるというふうなことになっていますね。それはやっぱり粗飼料じゃない、今買っている普通の飼料、それは将来ともその量は変わらない、あるいはふえるかもしれない、少なくとも減らないのだというふうにお考えなんでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) やはり、なお食生活の変化というものが続いておりまして、畜産物等に対する需要の傾斜というものが続いてまいります。そういう中で土地資源に制約がある以上、こういう飼料穀物についての輸入というものは大部分は外国に依存せざるを得ず、長期見通しでも見通しておりますように、六十五年で飼料穀物を含めた穀物の自給率としては、現状より若干下がって三〇というのが見通しとしては計測されるわけでございまして、残念ながらそういう数字で推移せざるを得ないんではないかというふうに考えております。
○山田譲君 いろいろ問題はいっぱいあるんですけれども、三二%、三%、そういうふうなものが上がらなくても、自給力が上がればいいんだというふうなお考えじゃなくて、やはり自給力ももちろん当然上げなきゃならないでしょうけれども、それとそのままストレートにいくかどうかは別として、やはり自給率の三二%あるいは三〇%というのは余りにも少な過ぎると思うんです。だから、やはりそうあきらめないで、飼料はどうしても買わざるを得ないんだというのじゃなくて、いろいろ工夫をして少しでも自給率そのものを上げるようにひとつ頑張ってもらいたいという気がします。これについては、いずれまたゆっくり話したいと思います。 それでは、その次に移ります。 いわゆる預託牛制度、これは畜産局長の問題になるかな。預託牛制度というのが最近非常に問題になっておりますね。いろいろ法律的な問題もいっぱいあるようだし、なかなかデリケートな問題も含んでいるようですから、言いにくいところは構わないからこれはちょっと勘弁してくれということで結構ですから、預託牛についての現状とその事情、どうしてこんな制度ができているか、こういうことについての農水省のお考えを聞きたいと思います。
○政府委員(野明宏至君) お答えいたします。 農協などによります肥育素牛のいわゆる預託でございますが、頭数は全農の調査によりますと五十九年に約四十六万頭程度となっておるわけであります。いわゆる預託と申しますのは、農協などが農家に肥育素牛を供給いたしまして、肥育牛を販売する際に素畜代とかえさ代等を精算するもので、いろんなやり方をとってやっておるようでございます。大別しますと、一つが現物を預託するというやり方でございまして、農協が肥育素牛を買ってきまして農家に貸し付けて、肥育素牛は農協が所有権を持っているわけでございます。こういった形が全体の約九割あるわけでございます。これ以外に、いわゆる購買未収というふうなやり方、あるいは融資というふうなやり方があるようでございます。 こういったものが出てまいりました背景といたしましては、農家にとっては融資に比べまして手続が簡単だったり、それから担保とか限度額というものがなくて済むということで、容易に規模拡大ができる。それから農協にとりましても、素牛の供給とともにえさなんかの生産資材の供給ができますし、それから所有権を留保していますから、販売をする際にはいわば共同販売体制にも寄与できるというふうな面があったんであろうかと思います。 ただ、これについてはいろいろな問題を含んでおるということも事実でございます。
○山田譲君 時間がないから、詳しく聞きたいんですけれども、預託牛について基本的に農水省としてはそれをどう評価しておられるか。つまり、こういう制度は好ましい、あるいは余りよくないと思うとか、その辺はどうですか。
○政府委員(野明宏至君) これにつきましては、実態をよく調べまして、また仮にそういうやり方をとる場合にも、契約関係が不明確だったりいたしまして農家、農協双方にとって問題のある点もあるわけでありますので、一つは、そういう点についてさらにどういうふうなやり方がいいかということの検討は要すると思うのでございます。 ただ、預託それ自体につきましては、農家にとりましても、いわば自主性を持ったやり方ができずに安易な規模拡大につながるおそれがありますし、それから農協にとりましても比較的安易な、いわば自主的な貸し出しとなりまして、営農貸し越しとか購買未収金というふうな形で残りやすいわけでございます。 したがいまして、これからの問題といたしましては、やはり肉用牛経営におきまして農家が主体性を持った経営がやっていけるということを頭に置きまして、規模拡大を進めるに当たりましては農業近代化資金の特認資金といたしまして、肥育経営が規模拡大を行う場合に素牛の購入費とか、あるいは飼料費などの貸し付けを行うというふうな資金調達の手だてがあるわけであります。これにつきましては、これ自体の内容の充実もいたしておるわけであります。 他方、農協につきましても、今後の肉用牛の生産体制を強めていく、組織活動を強めていくというふうなことが大事でございますので、私どもこれからの問題としては個別の肥育経営の主体性を持った生産、それから農協の組織活動が有機的に結びついていくというふうな方向で、農業団体の実務者の意見も聞きながら対処していきたいと考えているわけでございます。
○山田譲君 よく農協あたりともお話し合いをしていただきたいと思うんですね。 ごらんになったかどうか、「あぐり」というこの本ですね、これを見ても預託牛の問題を非常に大きく取り上げて、政府はまま子扱いしている、「預託、なぜ”まま子”扱い」するのかというふうなことが書いてありますね。確かにいろいろお聞きしたように法律的な問題もあるようですが、ひとつ農協とよく話し合いをして、誤解のないようにやっていただきたいということをお願いしておきます。 最後に一つだけ、畜産の例の負債対策の問題で一つの案としてですけれども、例えば土地を売って負債の返済に充てるというふうな場合、その売った土地に対して税金が相当かかってきますわね。売って返すというふうな場合については、何とかこれを免除してやるというふうなそういう方法は考えてやれないものかどうか、この辺はどんなものですか。
○政府委員(井上喜一君) お答えをいたします。 農家が持っております負債、例えば機械施設を購入した借入資金でありますとか、経営上損失等の借入金等でございますけれども、これを返済するために不動産を譲渡した場合について特別の控除制度はないわけでございますけれども、ただ、農業経営に損失が生じた場合には所得税法上の特別の取り扱いがございます。 まず第一は、経営で出ました損失を譲渡所得その他の所得から控除ができるわけでございます。さらに、青色申告を実施しているような場合には、確定申告によりましてその年の前年以前三年内の各年の純損失額を控除する、こういった特例があるわけでございます。このほか、一般的な制度といたしましては、農地保有合理化等のために、つまり農業委員会があっせんをいたしますとか、あるいは農用地利用増進事業等によりまして農地を譲渡する場合でございますが、この場合には五百万円までを特別に控除する制度がございます。 こういうようなことを活用いたしまして、実質的に負債が生じた場合については救済措置といいますか、こういったような特例措置が講じられるわけでございます。
○山田譲君 結構でございます。終わります。
○丸谷金保君 大臣、私は池田町長時代に、約二十年間寒地ブドウの品種改良を町職員とともに努力し、私自身はもちろんのこと、職員も何人かヨーロッパ各地に留学させまして品種改良の勉強をしてまいりました。大臣、よく聞いていてください、特に大臣にまずお聞き願いたいので。 町の研究所でつくり上げた花粉交配等による新しい改良品種の試み、それは約十万本を超えております。このように苦労をしましても、実際に実用化できたのはワイン原料としてF1が幾つかあるという程度で、特許や種苗法によるところの品種登録等に申請できるような成果は上げることができませんでした。私が町長を去って八年、最近ようやく品種登録可能な育成ができまして、ことし、あるいは来年の秋には申請手続を行うことができるようになりましたが、そこまでに至るのに数えて約二十数年かかっております。このように植物の新品種の作出というのは極めて難しいものなのです。そうした苦しい体験を踏まえまして、きょうは農民の真の利益を守るために種苗法と特許法をいかに調整させていくかということについて質問を申し上げたいと存じております。 五十三年の種苗法改正のとき、私はバイオテクノロジーの進歩や特許法と種苗法における調整ができていないこと等を理由に、もう少し時間をかけて法案審議を行うべきだと主張したのですけれど、当時、農林省は、UPOV条約にできるだけ速やかに加入するためにぜひとも今国会で議了してほしいと強く要請しました。にもかかわらず、この条約加盟は五十七年までずれ込んでしまった。私の言ったとおりなんです。また「同一の種類の植物の保護は、一の方式により行われなければならない。」という条文解釈についても、その後いろいろなとり方がございますので、法制局長官に特にこの点をお尋ねしたいと思います。 さらに、これらの原因が重なってヨモギ論争あるいは倉方黄桃、ブドウのオリンピアの問題等、種苗法の品種保護が実際に農民を守るための効果を上げていないではないかというような疑点もあります。トウモロコシに見られるようなF1種子に独占されてしまったような種子問題等も、この機会に明らかにしていきたいと思っております。それによって、農水省と通産省が役所の垣根を乗り越えて真に日本農業の将来を憂うる立場で有性繁殖、無性繁殖あるいはバイオの問題に対応して協力しているかどうか、こういうことも質問いたしたいと思います。 具体的な事実を踏まえないで、農水省の言い分に反対するものは何でも農民の敵だというような短絡的な発想では、この植物品種改良登録特許法の問題は解決いたしません。もともと日本人は、江戸時代にアサガオや菊ですばらしい品種改良の実績を持つ民族であります。しかし、残念ながら、こうした英知と技術水準が実際に現在生かされておりません。アメリカに押されっぱなしの種子問題についても、何が農民の利益かを建前だけでなく具体的な事実認識に立って本音できょうは御答弁をいただき、日本人の活力がむしろ世界に向けてどんどん新しい品種の輸出国になり得るよう期待を込めて、日本農業の将来を憂うる者の一人として真摯な御答弁をお願いいたしたいと思います。 そこで、実は法制局長官が急いでいるというので、質問を変えて二問目から入らせていただきます。本当はUPOVの問題を先にやりたいんですが、本来これに関連するんです。 法制局長官にお願いいたします。 種苗法と特許法との関係について、国会でいろんな質問、御答弁がございました。特にその中で長官は、これは五十九年三月二日の衆議院予算委員会で、「条約に日本が加盟いたしますときにいろいろと関係者の間で協議が行われまして、その結果、この条約に定める育成者の権利を担保するものは種苗法のみである、特許法は別の目的でいわゆる工業所有権という面での保護を与えるものであって、これは別個のものである、」、こういう御答弁をいたしております。そして、この間において条約の「いわゆる二つの方式がある場合には一つの方式に限る」ということについてはいろいろ問題が生じたようですが「処理がされていると聞いております。」、また、その後段で「関係の通産と農林の御当局におかれまして協議がなお進められておるというふうに伺っております。」、こういうふうに言っておられるんです。 この問題については、長官の答弁ですからこれが最終的な絶対のものなんですが、ただこのことをひとつ御存じかどうか。というのは、五十三年の法律改正の当時、衆議院で川俣議員の質問主意書に対して総理大臣の答弁書で「農林省では、植物の育種の振興を図るため植物の新品種を育成した者を保護する制度を整備することとしているところであるが、現在のところ植物新品種の育成者の地位については、知的所有権に属しないようなものとして構成する方向で検討中である。」、こういう答弁書が出ている。知的所有権に属さない形で検討中、こういう答弁書が出ましたので、これを受けて農産種苗法の改正案の中には、いわゆる権利法としてでなく行政取締法規としてこの法律が組まれ、新品種登録の反射的利益、これは私にも当時の小島審議官が何遍も反射的利益という言葉で答弁しておりますが、反射的利益として一定の特権的利益が付与されているものであって、法文中にはしたがって一切権利という言葉は用いられていないんです。おのことを踏まえて、この答弁書の内容を踏まえて五十九年度御答弁しているというのであれば、執拗に、ほかの方でも法制局は、この条約に定める育成者の権利を担保するのは種苗法のみだ、この条約、いわゆる国際法です、この条約に定める権利は、育成者の権利は種苗法だ、こう言っているんです。だから、いわゆる国際法上の条約によって生じた権利と国内法の権利とは、それが競合するような場合には、協議をしているということでお逃げになるんですか。それはこうだという明快な御答弁がいただけますか。
○政府委員(茂串俊君) 従前からのこの種苗法の改正問題等につきましては、丸谷委員はまさに権威者でございまして、私から御説明する余地は余りないような感じもしておりますが、ただ、今御質問のありました点につきましては若干の意見がございます。 それは、確かにいわゆるUPOV条約におきましては育成者の権利という言葉を何条かで使っておりまして、この権利性というものがはっきりと明記されておるわけでございますが、ただ、その権利とは何かということについて見ますると、これはUPOV条約の五条の一項におきまして「当該品種の種苗の商業的販売を目的とする生産、販売の申出及び販売について当該育成者の事前の許諾を必要とすること」という定義がされているわけでございまして、これ以外の点も含めまして、いわゆる種苗法におきましてはこの条約がいろいろと要請しております点はすべて充足しておるわけでございます。それから、例えば、いわゆる育成者の許諾権とか差しとめ請求権とか、あるいは損害賠償請求権といったようなものも網羅的に規定がされておるわけでございます。 ただ、確かに、御質問にありましたように権利という言葉は使っておりません。おりませんが、先ほど申し上げましたように、条約で規定する権利というものは、実質的には全部種苗法で定められておるわけでございます。 それから、それでは国内法的な意味でこれは権利なのか権利ではないのかという問題になるわけでございますけれども、権利という概念は、これは昨年御質問を受けましたときも御説明を申し上げましたが、いわば概念規定の問題と申しますか、いろいろ多義的な概念でございます。それだけに、論じる側面ごとに判断すべき問題ではありますけれども、一般的に申しますと、権利というのは、一定の利益を自己のために主張することができる法律上保障された力をいうというのが、いわば常識的な意味の権利の定義であると思います。このような見解に立って考えますと、いわゆる法律によって保護を受ける経済的利益、または地位というものは、これは権利という言葉が使われておりません場合であっても権利に該当するということが言えようかと思います。 そこで、この観点で品種登録を受ける者の地位を見てみますと、登録品種の種苗の有償譲渡につきまして独占的地位が与えられておりまして、そうして先ほど申し上げました許諾権とか侵害行為に対する差しとめ請求権とか、あるいは損害賠償請求権というようなものによりましてその地位が保護されておりますので、先ほど申し上げたように、一般的な権利の定義から申しますれば、その意味から申しますれば、育成者の地位というものはやはりそういう権利という言葉であらわしてもいいんではないか、いわば権利という言葉に結びつくんではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。 そういう意味で、条約では権利であり国内法では権利でないということには、私ども若干異論があるわけでございまして、国内法的にも権利という名に値する地位ではないか、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 それで、そういう行政取締法的な意味において、今おっしゃったことはみんな大体それは行政取締法規ですよね。法におけるところの権利ですよね。そういう意味の権利で、私はそれがいわゆる私的所有権というような、そういう形のいわゆる財産権的な権利としての権利法の中の位置はどこら辺にあるんだろうということなんです。例えば、特許法というのは、はっきりこれは権利として認められておりますね。それから種苗法の場合は、今おっしゃったように相当の説明をつけないと、即何条の何項によって権利だというあれは出てこないんです。しかし一方、憲法は財産権については法律で定める、こうなっておりますわね。そうしますと、こういう問題が出てくるんです。同じときに、中川農林大臣が、「特許庁が審査も受け付けれるし、審査もできます。そして、特許の許可もできます。しかし、現実は過去もなかったし、今後もありませんでしょうから、ひとつ農林省でやっておきましょうと、こう言っただけなんです。」、受け付けた審査官という独自の権限を持った人が権限あるのですから、これを疑う気持ちは私にはありませんと、こう言っているんですよ。要するに、植物特許についても特許庁でできると言っているんです。同一のものについて両方の権利が発生した場合の調整はどこでやりますか。今までのあれから長官の答弁を聞いておりますと、そういうふうなことの話し合いをしていると伺っております、聞いておりますと言うんだけれど、どなたに聞きました、そういう調整をやっているというのは。長官、再三そういう聞いております、伺っておりますというふうな答弁しかしてないんですよね。
○政府委員(茂串俊君) その点につきましては、五十三年あるいは五十七年の改正のときにもいろいろと御議論があったように聞いております。というのは、私はそのときには全く関係しておりませんでしたから余り詳しく存じませんが、ただ、当時の担当者あるいは関係の省庁の方々から伺いますと、そこの点については確かにいろいろ問題があって十分に検討してみたけれども、ただ先ほどは触れませんでしたが、そのときの説明といたしましては、やはり特許権と、それからこの育成者の地位というものは、これはいわばいわゆる権利の態様とか内容というものが違うんではないか、それぞれ。いわゆる占める分野が違うんじゃないか。 そういう意味で、相矛盾するものではないし、それからまたいわゆるUPOV条約についていろいろの規制が行われるわけでございますが、それはまさに種苗法の方で処理しているはずであるということが一つ。それからもう一つは、より実態的な意味から申しましても、いわゆる植物の関係につきましては、物の特許という意味ではなじまないんじゃないか、そういうものは余り出てこないんじゃないかというような考え方もありまして、そのときには調整規定は設けませんで、その後のいろいろまた動静と申しますか状況と申しますか、そういう点にまって、必要があればまた何か処置するというような話し合いになったというふうに私は聞いております。 したがいまして、現在でもいろいろと問題があるようでございますけれども、なおそういった点を十分に踏まえて、農林、通産の御当局で十分調整をされた上で、適正なしかるべき処置を必要があれば講ずる、講ずる必要がなければ講じないということで処理をされるべきじゃないかと思っております。 ただ、私どもの立場からしますと、やはり法制局というのは受け身でございまして、そういった実態もよく把握しておりませんし、また私の方がイニシアチブをとって動き出すというような役所じゃございませんから、そういう関係両省の慎重な御検討、御協議によりまして、必要があればそういった処置を講ずるということになってくるんではないかと、私はそのように考えております。
○丸谷金保君 実はそのことについて、例えば私は五十三年に、遺伝子の問題、メンデルの法則でない遺伝子の問題が、新しいバイオテクノロジー等によってどんどんこれから進んでくるときに、今のこのままの種苗法と特許法の関係では対応できるのかと言ったのに対して法制局では、今おっしゃったように、どうも法制局はしばしば保守的だという御批判を受けるわけでございますが、丸谷委員の御指摘は十分当方としても考える必要があると思いますので、今現在そうしなければならないということは当方現在の段階では考えておりませんということで、まだ当時、バイオは具体的な問題になってなかった。しかし、私は、このバイオの問題はもう目の前に来ているじゃないかとそのとき言ったんですが、法制局は、そういうときが来てがたがたすることになれば、そのときの問題だと言ってお逃げになっちゃったんです。ですから、恐らく聞いておるとすれば、法制局の内部でお聞きになったんだと思いますが、こういうことがある。したがって、この問題はまだ終わってないんです。しかも、特許庁の方は五十四年に、こうしたバイオやなんかに対する対応の仕方の基準を決めて発表しております。 ですから、その点をひとつ十分踏まえておいていただきたいことと、総理の答弁書で、これは行政取り締まりであって、要するに権利法でないとおっしゃっているんですから、これをよく読んで、また何かの機会に答弁書を中心にして話し合いたいと思いますので、何かお忙しいそうですから、一応大臣、このことは、法制局長官の今の答弁をよく頭に入れて理解しておいていただきたい。これは大変難しい問題なんです。長官、どうも御苦労さまでした。 そこで、本論の方へ入っていくんですけれど、まず第一にUPOV条約の関係なんです。これは当時、ここに私、資料を幾つも持ってきておりますけれど、野崎園芸局長が、「わが方ととしましてもそういう条約改正の動きを見ながら、早急に加盟をいたしたいというふうに考えておる」、こういう答弁をしておるんです。それからまた、私はこれは難しくて、六月の十六日が会期末の十三日に我々のところに回ってきて、審議を始めて二日や三日でとても議了できるような案件でない。今言ったようないろんな調整をしなければならぬ問題があるんだから、継続審議にでもしてじっくりやらせてくれと言ったんですが、とにかく国際条約に急いで加盟しなければならぬから早く議了してくれと、再三にわたって言われたんです。これは、そのときから一緒だった村沢理事なんかもよく御存じのことだと思うんです。我々はだから国会の附帯決議で、速やかに進めることという附帯決議をつけたんです。それが一体なぜこんなにおくれたんだ。急いでやるんだから、早く議了してくれと五十三年に言っておきながら五十七年まで、これはもう非常に国会軽視も甚しいけしからぬことだと思うんですが、いかがですか。なぜおくれたんですか、こんなに。
○政府委員(関谷俊作君) 日本の場合には、今御質問にございましたとおりに、五十三年農産種苗法を種苗法に大改正をいたしまして、UPOV条約に加盟いたしますほぼ実質的にほとんど完全なと言っていいほどの条件整備を図ったところでございますが、一方、UPOV条約については当時御承知のように改正がございまして、一九七八年改正のものが結局発効時期が不明確でございまして、最終的にその条文にUPOV条約の条文を引用しまして農産種苗法に必要な調整規定を改正する必要がございましたので、そういう関係で五十六年十一月に同条約が発効する、これを見届けまして、その上で五十七年に国会の承認を得て加盟をしたということでございます。
○丸谷金保君 それで、そのとき私はジュネーブまで行って、UPOVの本部まで行って、机二つか三つ置いている機関で、こんなところでそんな、この条約ですいすいといくわけないんだ、農林省はだれも行って見てないじゃないかと言ってそのとき主張したんです、大臣。だからそう急いで入らないで、大体ヨーロッパの各地を歩いてみても、それほどUPOV条約というのがまだ煮詰まったものでないんだし、すぐに入れるような仕組みにならぬよと言った。それをできるんだと言って頑張ったんです。それが今、結果こういうことでしょう。できないんですよ。向こうの方の発効も、その後十一月に改正してみんなが調印して、条約加盟国の人数を集めるまでに三年もかかっちゃっているんです。こういうこともある。だから、農林省の答弁というのも、随分そういう点では我々をそのときだけだませばいいというふうなことが多いんで、大臣はそういうことないと思いますので、ひとつ答弁についてはそういう点十分よく気をつけていただきたいと思います。 それで、今度種苗法と特許法の問題に入るんですが、実は種苗法で農民の利益が全部守れるかどうか。私たちは実際にそういう新しい品種F1、それから新品種をつくって、見ていまして、これじゃとても守れない面がたくさんあるということを当時も言ったんです。例えば我々がいい品種のブドウをつくって登録します。そしてそれを農家に植えさせます、有料で。そうすると、その農家が枝を切って、これは無性繁殖の場合には有性繁殖と違ってそれができますから、そして挿し木でふやしてそれをおまえたちにやると持っていくと、この種苗法では押えがきかないんです。そうですね、農蚕園芸局長。ききませんね。無償でですよ。
○政府委員(関谷俊作君) 種苗法によりまして、種苗法の第十二条の五で「品種登録の効力」、ここで規制しております譲渡等の行為については、条文上有償で行う場合ということが原則になっておりますので、無償で行いました場合にはこれは対象にならないということになるわけでございます。
○丸谷金保君 種子の場合は二代目、三代目になると劣性遺伝が出てくるからそういう問題は起きないんですが、要するに無性繁殖だとか、あるいはイチゴや牧草というふうな場合にはこういうことは起こり得る。まあ牧草ではそうでもないかと思うが、イチゴでも芝生でも。ですから、これを悪用しますと非常なざる法になるんです。そのために日本の植物、要するに種苗法ではとても権利保護ができないからといっていろんなことが行われております、外国から日本に入れる場合に。 その一つに、これは東北の中島天香園という種苗屋さんがいるんですが、ここでイギリスからコルトというふうな種類のサクランボを入れているんですけれど、こういうふうなものを全部別な民法上の誓約書をとっているんです、売る場合に。売った人が売ったところから苗木を切ってほかの人にどんどんやると言ってやれば、これは全然押さえがきかなくなるんで、そういうことは絶対いけないということの誓約書を、ちょっとこれ大臣、(資料を示す)中を読むと時間がかかりますので後でよくごらんいただくことにして、こういう誓約書をとって、誓約書に基づいてでなかったら販売しないんです。種苗法の許可をとっているんですよ、これは。とっているんだけれど、種苗法では守れないといって、そして御丁寧にも、種苗法では守れないからこういう誓約書をとるんですというパンフレットも出しているんです。守れないと。こういうふうな実態が幾つもあります。というのは、だから権利法としての強さが非常にないものですから、特に無性繁殖の場合にはそういうことがしばしば行われているということをまず理解していただいた上で、実はヨモギの問題その他に入っていきたいと思うんです。 実は、ミブョモギの問題で日本製薬の問題なんかは非常に、あれでえらい農林省が、今新聞の切り抜きをここへたくさん持っていますけれども、ヒステリックなくらいけしからぬということでキャンペーンを行っております。しかし、そういうバイオの問題というのは、今の法の中の分野調整をきっちりとやっていなかったものですから、通産と双方の間の議論が出てくると思います。そして一方では、倉方黄桃、黄色い桃があるんです。これはアメリカでは特許になっているんです、アメリカの方ではね。日本では特許にすることに対して農林省は非常にけしからぬということで、農林省でなくて、農林省の許可した公益法人が今異議の申請をしております。これらもやはり大変何といいますかね、実情に合わないような形で農林省は何となく、何となくというか、具体的に事実もありますけれどもね。 それから、もっとひどいのもあるんです。オリンピアというブドウがあるんです。これは山梨でも有名な植原葡萄研究所なんかで、もうこれ以上のブドウはできないだろうといわれるくらいの実は推奨している品種なんです。ところが、これは早くに農林省へ出しているけれども、申請していてなかなか許可にならなくて、後から同じものをレッド・クイーンだとか何とかいろいろな名前をつけて出したのが品種登録で許可になっている。それは違うと農林省は言うんですが、今そんなことどこでも認めません、だれも。この植原さんのパンフレットを読んでも、「ところでレッド・クイーン、選抜オリンピア、それに今話題の信濃ベリーを比較栽培しているが、それぞれ、非常によく似ており、色、味、香り、葉ともはっきりした区別が出来ないほどである。混乱が心配される。」、混乱が至るところで起きています。本来同じものを、植物なんというのは植える場所によって多少の違いはあるでしょう。色つやが違ってくる。その色つやの違いだけで、この場合なんかでも実際に比較検査なんというのは余りちゃんとやってないんですよ。やらないでぱっぱっと、私たちが二十年かかってようやく一つ出せるか出せないかというのに、とにかくそういうような違いがあれば先にどんどんあれして、今は非常にこれは混乱している問題がある。 こういう桃の問題あるいはヨモギの問題、それから今のブドウの問題、そういう品種改良についていろいろな混乱が起きているのは、私はあの当時から言ったように、種苗法そのものをもっと新しい時代に即応するような法体系にしないと、法も不備だし、通産と農林がお互いの垣根で、ここはおれの分野だ、ここはおれの分野だと言わないで、日本の将来のためにもう少し裸になって話し合っていい法体系をつくってくれなきゃこれは困ると思うんですが、いかがなものでしょう。具体的な事実は農蚕園芸局ではわかっているでしょう、こういうようにいろいろな問題が出ているのは。
○政府委員(関谷俊作君) 今御質問の中にございました具体的な品種については、それぞれ手元に資料が今十分ございませんので全体的なことについてお答え申し上げますが、種苗法につきましては、御承知のように育成者のいわば地位の保護、育成努力の保護ということと、一方、一般の耕作者に対する利用、農林水産業の振興発展という、こういう公共的な利益、両方の調和を図ることが必要でございまして、現在の制度につきましては、一方においてUPOV条約との整合性、それから今申し上げましたような個別の育成者の保護という問題と公共的な利益の問題、これの調和を図るという趣旨で一定の内容の保護を設けておるわけでございます。 これにつきましては、私どもとしては現在の法律の条文で、いわゆる育成者の権利保護が不十分であるというふうには必ずしも存じておりませんけれども、いずれにしても、お挙げになりました問題の中に、現在の種苗法に照らして厳正な審査をし、この法律の趣旨に沿った運用を図るべきであるということにつきましては、私ども従来もいろいろ努力しているつもりでございますが、今後とも審査の面につきましては十分努力してまいりたいと思います。 なお、ヨモギ等に見られますような特許制度との関係につきましては、これは大変時間がかかっておりまして恐縮でございますけれども、種苗法と特許法との関係、それからUPOV条約との関係、この両者の問題がございますので、所管の特許庁、それから私どもと、それからさらに条約所管でございます外務省、この三者で協議を続けておる次第でございます。 いずれにしましても、先生の御趣旨のように、日本の農林水産業の上でよい種苗が出て育成され、かつ流通するように、こういうことが究極の目的でございますので、今後とも御質問の中にございましたような混乱の起きないような厳正な処理をして対応してまいりたいと考えております。
○丸谷金保君 それで、例えば特許法で縛ると、農民が自分で種を採種してまけないから日本農業が大打撃を受けるので大変だというのが、一つの農林省の言い分のにしきの御旗ですよね。ところが実際どうなんです。野菜、今何割農民が自家採種していますか。トウモロコシその他、種子法であれされている米や麦はまた別ですけれども、そのほかは一体どうだと思います、大ざっぱに言っても。
○政府委員(関谷俊作君) 野菜の場合と米麦のような主要穀物の場合で全く情勢が違うことは、先生御承知のとおりでございます。 野菜の場合には、これはなかなか野菜の特性から、野菜の葉菜類、果菜類等ございますけれども、野菜そのものを販売してしまう、すなわち野菜の植物体を販売するということがございまして、なかなか種までとるところまでまいらないということもございまして、非常に購入の割合が多くて自家採種の割合が極めて少のうございます。我々、なかなか手元にこの関係をはっきりと推定する資料はございませんけれども、大体野菜の場合にはいわゆる自家採種というものは非常に少ない、こういうふうに承知しております。
○丸谷金保君 そうすると、少なくとも野菜に関して特許法がかぶせられたから農民が損になることはありませんね、とっていないんですから。また、これからだって、そういうことにはなかなかならないんだ。どうですか。
○政府委員(関谷俊作君) 野菜のような自家採種の少ない場合のことについて、農家の立場からということもございますけれども、種苗法のねらいとしていますものは、むしろ農家に種苗を供給いたします育成者の立場を保護することでございまして、購入した農家が、これをまた有償で人に販売をするというようなことがもし起きまして、簡単に言えば人の育成した種を使って自分が商売をする、こういうようなことを抑えて保護していく、こういうことが種苗法の作用としてあるわけでございます。
○丸谷金保君 種子の場合、ほとんどこれはF1がトウモロコシだとか、その他出てきていますでしょう。そうするとこれは種子の場合には、できた種子をほかの人にやったってだめなんですよね、二代雑種になる。原種を持っていない。そういう原種がほとんどアメリカに抑え込まれて、全部買っているでしょう、種子をみんな。そうすると、ここでも種苗法で言う農家の利益なんて何も守られていない。野菜もそうです。それから果物なんかで自分のところで苗木をつくったり、台木を入れて接ぎ木なんかを今しているところはありますか。全部これはそういう種苗を専業にしているところから買い入れているんです。 だから、実態から言って、にしきの御旗の農民のために種苗法でもって抑えて、種子は自家採種しなければならぬだなんということは何にもやられていない。寡聞にして聞かないくらいだ。そういうことをやっている人があったら指摘していただきたいくらい、全国的にもはやそんなことは行われていない。それを、そんなことを、新聞でたくさん出ているけれども、あれしているんじゃ、ちょっと困るのです。 それからもう一つ。あと二つほどあるのですが、ちょっと時間があれですから。ブドウの品種改良の関係の経費として農林省はこの五年間で二億三千六百五十三万九千円の支出をしております。それから十年間で約この倍くらい。新品種として発表したのは何ぼか私たちも知っています。伝え聞くところによると、これだけ予算を使っているんだからいろいろな品種がこういうふうにできましたという発表をしなければ予算を獲得するのに困るからというふうなこともあるそうだけれども、発表したのはわかっているけれども、今実際に日本国じゅうで農林省がっくり上げたという品種を使っている農家が何軒かありますか、これだけ金をかけて。
○委員長(北修二君) 簡単にしてください、もう時間ですから。
○政府委員(櫛渕欽也君) 現在の段階では存じ上げません。
○丸谷金保君 それでもう一つ、農水省がこれ、どういうわけか聞きたいんですが、細胞融合を使ったいわゆるバイオの新植物をキッコーマンと共同して開発をした、これを特許の方に申請しているんですね。これは種苗法ではとても守り切らぬから特許法でなければだめだとキッコーマンから強い要請があったというふうに聞いているんですが、いかがですか。
○政府委員(櫛渕欽也君) 今の問題の特許申請を出願をいたしましたのは、実は細胞融合のための培地の開発でございまして、そういう意味で培地開発という方法を特許申請したわけでございます。
○委員長(北修二君) 時間なので……
○丸谷金保君 それじゃ、この続きはあしたの商工委員会でやりますので、大臣はあれでしょうけれども、ほかの方は出席要求を全部この場でしておきます。この続きをやるんですから。いいですね。
○岡部三郎君 最初に、大臣、日夜御努力をいただいております農産物の市場開放問題についてお伺いをいたしたいと思っておったんですが、先ほど来詳しい御議論がございまして、重複は避けたいと思います。 ただ、アメリカ等も最近大統領特使を日本に派遣するなど、対日圧力は一段と強まってきておりますし、また牛肉、オレンジの次には木材というふうに、品目を変えながら農林水産物の市場開放要求がますます増大してきておるわけであります。特に、先般、米国議会に提出された一九八五年農業調整法案というのは、まさにこの不況にあえぐ米国農業の体質を改善して農産物の輸出を強力に促進することをねらいとしたものである、こういうふうにも聞いておるわけでございます。こういうふうな情勢を考えますと、むしろ農産物の市場開放というのは、これからが本番だというふうにも考えられるわけでございます。大臣は日ごろから農林水産業を守るという立場で頑張るんだ、こういうふうにおっしゃっておられるわけでありますし、そのことは我々も十分承知をいたしておるわけでございます。どうか、そういった大方針のもとに大いに頑張っていただきたい。これは強く御要望を申し上げて、次の問題に移らせていただきます。 そこで、六十年度の予算案でございますが、異例とも言える財政事情のもとで編成された農林水産関係の総予算、前年に比べますと四・六%の減、一般歳出に占める割合も一〇・一%と、昨年よりさらに〇・五%下がるというふうな、全体として見れば大変に厳しい予算であったわけでありますけれども、中身を見ますと、新しい発想に基づく施策も幾つかありますし、相当内容的には充実した予算ではないかとも思うわけでありまして、こうした厳しい中で予算編成に当たられた大臣初め関係の皆様方の御苦労に対しまして、まず敬意を表する次第でございます。 そこで、日本農業が今当面している問題というのはこれは幾つもあるわけでありますが、私は時間も余りありませんので、やや長期的な観点から基本的な問題について二、三質問をいたしたいと思うわけであります。 現在、日本農業が抱えている基本的な問題というのは四つほどあろうかと思います。一つは、先ほども議論ありました自給力の問題。それから二番目は、これは自給力の一つの要素でもございますけれども農用地面積の問題、これはだんだん徐々にではありますが減りつつある、これを何とか維持拡大させることはできないかという問題。 それから三番目は、急激に減少しつつある農業就業人口あるいは老齢化、こういったものに対応して土地利用型農業の規模拡大をどういうふうに進めていくかという問題。そして四番目が、国際化時代を迎えまして、生産性の向上によって良質の農産物を安く消費者に提供するためにはどうしたらいいか。こういった四つの問題を抱えておると思うわけでありますが、これらにつきまして六十年度の予算においてどのような措置を講ぜられたかということを中心に、お尋ねをしたいと思うわけであります。 そこで、最初の自給力の問題でありますが、先ほど自給力か自給率かという議論がいろいろございました。私は、食糧安保という点から考えますと、やはり自給力の強化ということが非常に大事なことだろうと思うわけでありまして、自給率ということになりますと、国民が必要とする食糧の量によってこれは大きく変わってくる。今、飽食の時代でありますし、国民の食生活が西欧化して畜産物の消費量が多くなるということになれば、当然自給率は下がってくる、そのことは直接は安全保障ということにかかわりはないわけでございますから、基本的には自給力の強化ということが大事だと思います。 ただ、国民の食生活というのは、やはりこれは一たん固まりますとそう急激に変化しないわけでありまして、したがって、この分子をふやすという努力をしなきゃいかぬということはこれはもうもちろんでありますけれども、それと同時に、やはり分母に当たります食生活等の改善によって分母も余りふえないように指導するということも、また別の意味で非常に大事なことではないかと思うわけであります。日本人の食生活というのは、全体として見れば非常に理想的だと、こう言われておりますけれども、ただ近年、若年層を中心として若干栄養バランスの乱れがあるというふうなことも言われて、その辺が気になるわけであります。ただ、この問題は、きょうはここで議論をしておりますと時間がなくなりますので、またの機会にいたしたいと思うわけであります。 そこで、農政の重要課題である自給力の強化について、基本的な考え方は既にもう先ほどいろいろ議論がありましたので、六十年度の予算案で具体的にどういう措置をとられておるか、項目だけでも結構でございますから、官房長にお願いしたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 自給力強化のためのいろいろな予算措置でございますけれども、ただいま御指摘ありましたように、何といっても土地の規模を守り、あるいは生産力を高めるということで、従来から行ってきております農業基盤整備費でございますとか、あるいは水田利用再編対策でございますとか、それからさらには新地域農業生産総合振興対策というこういう既存の政策に加えまして、六十年度におきましては若干そういう方向に向けての新しい施策というものを、厳しい中でございますけれども組ましていただいたわけでございます。 その一つは、地域農業整備総合対策ということで農用地の有効利用ですとか担い手の育成、こういうものを全体的に活用いたしまして、土地利用型農業の体質強化を図るということを目的としておりまして、来年度予算で六十九億ほどの予算になっております。 それから二番目に、農業者の自主的な創意工夫に基づきまして合理的な生産方式を導入するなり、あるいは経営規模の拡大を促進するという観点から農業改良資金制度というものを再編拡充するということで、六十年度の貸付枠として四百六十億というものを予定しておるわけでございます。 それからさらに、先生からも御指摘ありましたように、生産性を伸ばしていくためには新しい技術、バイテクでございますとか、こういう先端技術の開発整備ということが必要でございますので、前年に比べまして相当多額の予算額を計上いたしまして、バイテク関係で申し上げますとほぼ二十億に近い予算というものを、苦しい中ではございましたけれども計上さしていただいたという経緯になっておるわけでございます。
○岡部三郎君 次に、二番目の農用地面積の問題でございますが、今世紀の初め一九〇〇年、明治の中ごろだと思いますが、日本の耕地面積というものは大体五百二十万ヘクタールあった。ところが、それがその後、営々として造成に努力をし戦後の緊急開拓等も含めまして、一九六〇年には六百七万ヘクタールになった。ところが、その後また、高度成長等の影響で現在は五百四十万ヘクタールということであります。今はもちろん一時ほどの壊廃はありませんけれども、それでも一年間に二万へクタールぐらいずつ減っている。この調子でいきますと、今世紀の終わりには大体振り出しに戻ってもとの五百二十万ヘクタールぐらいになってしまう。つまり二十世紀というのは、前半六十年で八十六万ヘクタール耕地はふやしたけれども、後の四十年でそれを全部食いつぶしてしまった、こういうことになりかねないわけでありまして、そういうことでは我々子孫に対してまことに申しわけない次第です。したがって、現在の五百四十万ヘクタールというのは、もうこの辺で減ることをとどめて増加に転じなければいけない。特に農林水産省は、我々が生存するぎりぎりの必要カロリーを生産するには五百五十万ヘクタール必要だと、こう言っているわけでありますから、何とかこの五百五十万ヘクタールに向かって少しでもふやすというふうな努力をしなければならないと思うわけであります。ただ、壊廃は今後相当低水準になるでありましょうけれども、また一方で、造成は環境問題等の関係もありましてなかなか困難をきわめておるというのが実情であります。そうではありますけれども、こういった事情下で農用地造成についてもひとつ一段の努力を払わなければいかぬ、特に干拓事業等は今いろいろな批判はございますけれども、こういった見地から環境問題等の調整を十分とらえながら、やはり強力に推進する必要があるんではないか、かように考えておるわけでございますので、ぜひひとつよろしくお願いをしたいと思います。これは時間の関係で要望のみにとどめて次の問題に行きたいと思います。 三番目は、就業人口の減少あるいは高齢化対応でございますけれども、農業就業人口の減少あるいは高齢化の現象というものは、最近相当急激なテンポで進んでおるのではないかと思われるわけでありまして、これに規模拡大なり基盤整備の施策が十分対応していかないと、せっかく五百五十万ヘクタールの農用地を確保したところでそれが十分利用されないということになるわけでありまして、そうなったらば大変でございます。そこで、将来日本農業の中核をなす基幹男子農業専従者、いわゆる中核農家でありますが、これが十年後にどのくらいになるだろうということを、きのう農水省の資料に基づいていろいろ試算をしてみたわけであります。結果はお届けしておりますので井上局長、ごらんいただいたと思いますが、我々の計算では、昭和七十年に土地利用型の中核農家というのは約四十万人ぐらいになるというふうな計算結果が出たわけであります。 農用地面積五百四十万ヘクタールの中で、中核農家の面積シェアというのは大体五〇%だということでありますから、二百七十万ヘクタールを四十万人で耕作をすると、こういたしますと、戸当たりの耕作規模というのは大体六・七五ヘクタールぐらいになる。現在、中核農家の耕作規模は一・七ヘクタールぐらいでありますから、大体今後十年間に中核農家一戸当たり五ヘクタールぐらいの集積がないとなかなか五〇%のシェアが保てないのではないか、こう思うわけであります。そうすると、四十万人掛けますと二百万ヘクタールということになりまして、これを十年間で流動化させるということになると、一年間に二十万ヘクタールの流動化がないと対応し切れない、こういう計算が出たわけであります。 五十八年度の流動化の実績というのは、これは所有権の流動も含めまして八万四千ヘクタールということでありますから、大体七十年に中核農家に土地利用の五〇%を集積するというためには、現在の倍以上のテンポで流動化を促進していかなければいかぬ。しかも、所有権の移転というのは今後余り多くを期待できないということでありますから、どうしても賃借権、利用権を中心に農作業の受委託も含めまして一層の流動化の促進をしていく必要があると思います。 こういった流動化対策、規模拡大のための対策として六十年度どのようなことをお考えいただいているか。それからまた、規模拡大が実効を上げるためには、やはり基盤整備ができていなければスケールメリットは出ないわけでありますので、それも含めてお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(井上喜一君) 土地利用型農業の生産性を上げていきますためには規模の拡大が必要でございますし、その試算といたしましては利用権の設定を通じまして行っていくというのが基本でございます。ただいま御指摘がございましたように、最近の農村社会は高齢化あるいは兼業化ということが余りにも急速に進んできております。こういう状況は、中核農家の規模拡大という点から見ますと一つの条件を提供するものでありますが、同時にまた、ただいまの御指摘のように、そういった農村社会の変貌に対応していけるような農業構造を早急につくり出していく必要があると考えるわけでございます。最近までの状況を見ますと、農政審議会が答申いたしました「八〇年代の農政の基本方向」の中で、一つの目標値として掲げております、都府県でありますれば稲作主業の経営面積五ヘクタールということを想定しておりますが、なお、こういった水準にまでは到達はいたしておりませんけれども、それにいたしましても利用権の設定等を通じまして、毎年八万ヘクタールぐらいの土地が動いておりまして、それが規模の相対的に大きな農家に集まってきている状況でございます。 こういった趨勢をさらに強化をしていくわけでございますが、六十年度におきましてそのための施策として考えていることを申しますと、まず継続をして実施をいたしたいと考えておりますのは、やはり政策機関といたしましては農用地の利用増進事業でございます。この制度をフルに活用いたしまして推進をしていくことといたしておりますけれども、その手段といたしましては、まず地域における地域ぐるみの土地の利用調整活動といいますか、話し合いによりまして土地の利用調整を進めていくということが基本でございます。そのほか貸し手に対しまして奨励金を交付いたします農用地高度利用促進事業、それから農地保有合理化法人を通しまして農地の売買なり賃借を行っております農地保有合理化促進事業等の事業につきましては、引き続き実施をしていく、推進をしていく考えでございます。 それから、ただいまお話がございましたように、何といいましてもこういう流動化を推進していくための前提条件としては、圃場条件が整備をされておりまして大型機械等の導入が可能であるような条件が必要でございまして、これにつきましては農業基盤整備事業でもって対応するわけでございます。公共事業の抑制によりまして、対前年をわずかに下回る予算にはなっておりますけれども、事業費の方では若干拡大いたしておりまして、これも第三次のいわゆる長期計画に基づきまして積極的に推進をしていかなくちゃいけない、このように考えております。 また、新農業構造改善事業等につきましても、土地利用型農業の構造改善、規模拡大を重点に置いて実施をいたしているところでございます。 さらに、これまで実施をしておりましたこれらの施策のほか、六十年度新規に予定いたしておりますのは、ただいま衆議院の方に審議をお願いしております農業改良資金の中に経営規模拡大資金を設けまして、中核農家の規模拡大を一層促進することにいたしておるわけでございまして、これは借地による経営規模を拡大しようといたします農家に、小作料一括前払いのための資金を無利子で貸し付ける制度でございます。また、市町村におきます土地の掘り起こし運動あるいは後継者の育成対策等につきまして、それらの活動を促進するための地域農業整備促進事業でありますとか、あるいはそれらの活動と関連させまして基盤整備なり近代化施設を整備していきます地域農業拠点整備事業等も実施をすることを予定しておりまして、これらの対策を全体としてまとめまして総合的に実施することによりまして、一層規模拡大の推進を図ってまいりたいと、このように考える次第でございます。
○岡部三郎君 最後に、生産性の問題でございますが、日本農業が発展していくためには生産性を向上させて体質を強化する必要があるということは、これはもう言うまでもないわけであります。そのためにはいろいろな施策が必要でございますが、ここでは機械と技術、この二つの問題を取り上げたいと思います。 日本農業、特に稲作の生産性向上のために、今まで農業機械の果たした役割というものは非常に大きなものがあったと思います。機械化一貫作業によりまして、十ヘクタール当たりの所要労働力は二十年間に三分の一ぐらいに下がった。また、農作業も昔から見ればはるかに楽になったわけでございます。問題は、今後機械化によってどれだけのコスト節減が可能になるか、こういうことにあろうかと思います。 農水省の資料によりますと、稲作における総費用中に占める農機具費の割合というのは、日本が二二%に対してアメリカが一三%、これは八一年産米についてでありますが、日米間で相当の格差があるわけであります。玄米一トン当たりの農機具費は、アメリカは日本の十分の一だ。もちろんこれは百倍以上も違う経営規模の差によるものでありますけれども、ただ日本の場合、経営規模が拡大しても機械費の絶対額というのは若干下がるとしても、生産量に占める割合はほとんど下がらない。これは気候条件等によりまして年間の稼働時間が短いとか、日本の機械は性能は非常にいいわけですが値段が高いとか、あるいは耐用年数が外国の機械に比べると短いとか、いろいろな理由があるのだと思いますけれども、やはり日本の風土なり農作業に適した機械や利用技術の開発というものが行われなければならないのではないかというふうに思うわけであります。こうした低コスト営農を可能ならしめる機械対策ということについてどういうふうにお考えになっているか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 農機具費の状況は今お尋ねがあったとおりでございまして、全体として見ますと、五十八年の生産費で見ますと、費用の中の二八・八%を占めているわけでございますし、規模別に見ても差がないわけでございますが、ただ全体としては割合費用合計が、三十アール未満が十九万二千余であるのに対しまして、三ヘクタール以上は十万八千円ということになりまして、この大きな費用合計のいわば減少に寄与しているのが農機具費の減少、それからさらに大きいのは、労働費が大体半分ぐらいになっているわけでございます。こういうことで、過去の推移を見ましても田植え機、収穫機が機械化しました段階からコストが下がっているわけでございます。 今後のことを考えますと、こういうふうな機械化をさらに進展するということでございますが、ただ、これは機械をたくさん入れればいいということではなくて、お尋ねにもございましたが、私どもとしましては、今後の機械対策としてはやはり三つのことを重点として考えるべきであろうと考えております。 それは、いずれもコストの低下、省力化をねらいとしたものでございますが、第一は汎用化でございまして、米だけに使うというような短い期間の機械ではなくて、先般、大宮にございます機械化研究所で汎用コンバインというようなことで、米麦、大豆等にも使えるような新しいものを今開発中で、ほぼでき上がりかけておりますが、こういうふうに汎用化されるような機械を開発してさらに利用を進めていく、これが第一点でございます。 それからもう一つは、これは非常に長期利用、あるものを大事に使うというような形でございまして、このためには例えば中古の農業機械市場を育成するとか、それから修理整備施設を強化するということで、あります機械を有効に長く使うというのが第二点でございます。 それから三番目は、アメリカの例などに、あそこまでまいらないにしましても、日本としてできる限り利用規模の拡大を図っていくということで、いわゆる農地流動化による経営規模拡大もございますが、農業者の生産組織によります共同利用の促進とか、それから今までも進めておりましたし、昨年も天皇賞を受賞されましたが、ああいう機械銀行、天皇賞を受賞されたのは愛知の弥富の機械銀行でございますが、こういうような新しい利用組織も育成していくということで利用規模の拡大を図っていくということでございます。 こういう三つの点、特に日本のような場合には、非常に重点的に取り上げまして、きめ細かく今後指導してまいるということが必要であろうと考えております。
○岡部三郎君 次に、技術の問題でございますが、バイオテクノロジーなどの先端技術の開発利用は、今後の生産性向上のいわば本命であるというふうに私どもは考えます。これによって病虫害、冷害、干害、塩害といったような自然条件の制約から脱却をし、さらに高収量が得られるということになれば、農業の生産性は飛躍的に向上することになりますし、また家畜、魚介類の改良はもちろん、有用昆虫、有用微生物の開発利用等、夢は大変に大きいわけでございます。農水省の研究機関は、この面に関しては新聞紙上等で見る限り実によく努力をされておるんではないかと思いますが、六十年度の重点研究事項並びに近い将来に実現できそうな技術開発というものはどういうものがあるか、お尋ねをしたいと思います。
○政府委員(櫛渕欽也君) 農林水産省で先端技術の研究開発に関しまして六十年度の予算の中で特に重点を置いております課題を申し上げますと、まず第一は、先生今お話しのありましたようなバイオテクノロジー先端技術の開発でございますが、この面におきましては、特に産・官・学の連携、これを基本にしまして推進を図るわけでございますが、六十年度は特にバイテクの基盤になります遺伝資源の確保、利用、こういった農林水産ジーンバンクの整備に特に重点を置きたいと考えております。 さらに、これまで進めておりました長期的な視点に立ちました革新的技術開発ということで、三つの大きなプロジェクト研究を進めております。 その一つは、再生可能な未利用の資源を多面的に利用するためのバイオマス変換計画でございます。その二は、自然エネルギーの効率的利用ということでのグリーンェナジー計画。第三点は、近海の漁業資源の増大を図るためのマリーンランチング計画、この三つのプロジェクトにも積極的に力を入れてまいりたいと考えております。 さらに、比較的、当面の生産性向上のための技術でございますけれども、先ほどもちょっとお話のありました地域農業の振興あるいは土地利用型農業の生産性向上という観点では、一つは、低コスト稲作技術の開発、これは国と都道府県の共同の研究でやっております。さらには、超多収稲の品種開発、これにも五十六年から力を入れております。 これらの中で、近い将来に技術開発が見込まれるものの二、三の事例を申し上げますと、まず、水稲作の中では、先ほど申し上げましたような安定的な直播栽培の開発などを通じました低コストの稲作技術の開発がありますし、さらには、日本の稲と外国の、特にインド型の多収稲、こういったものの交配に基づきます超多収稲あるいは雑種強勢を利用しましたハイブリッドライスの育成、こういった面で近い将来に成果が期待されております。 さらには、生理活性物質でありますとか、あるいは弱毒ウイルスでありますとか、天敵の昆虫でありますとか、こういった生物学的な手法によります病害虫の新しい防除技術の開発が期待されております。さらには、木材の飼料化技術、これはよく新聞には既に出ておりますけれども、そういったシラカバ類等の飼料化の技術が開発されつつあります。 さらに、畜産方面におきましては、受精卵移植技術を中心にしました早期受精卵の分割によります一卵性双子の生産技術、こういったものが開発されつつあります。 さらに、若干長期的な展望の中では、細胞融合でありますとか遺伝子組みかえ、こういったものにつきましても、昨年来基礎的な技術開発の成果がぼつぼつと出始めております。 そういった基礎的な手法をさらに発展させまして病害虫に対する耐性あるいは不良環境に対する耐性を持った革新的な作物の品種の開発にかかりたいと考えております。
○岡部三郎君 日本農業が二十一世紀に生き残れるか否かといったことは、こうした研究開発の成果いかんにかかっておると言っても過言ではないと思うわけでありまして、そうした面で大いに頑張っていただきたいと思うわけでありますが、そこでバイテク等の先端技術によってすぐれた作物ができたとしても、やはりそれを育てる環境というものが十分になければ効果は発揮できない、こういうことはもう言うまでもないと思います。 そこで大臣、筑波の科学技術万博はごらんになられましたですか。あの万博のテーマ館、このテーマ館の二階に一本のトマトの木の展示をしておるわけであります。これは別にバイテクでつくったトマトでも何でもないので、その辺で売っている普通のトマトでありますが、ただ、これを育てる環境を最適条件に保つ。科学万博の中心テーマは「人間・居住・環境と科学技術」ということでありますから、作物に対しても最適環境を与えたらば一体その作物はどういう能力を発揮できるか、どういうふうに生育するか、そういうことを一つ展示をすることによって、あのトマトの場合には、会期期間中に一万数千個の実を一本の木からならせよう、こういうことを展示することによって、農業における環境改善の重要性ということをひとつ国民の方々に認識していただこう、こういう趣旨の一つのショーであります。 そこで、この土地利用型農業における環境改善の最たるものは、これは言うまでもなく土地改良基盤整備でありますので、機械化営農あるいは規模拡大あるいは転作等の効果を十分発揮させるためにも基盤整備が先行しなければならぬということは言うまでもないわけであります。ところが、この基盤整備、土地改良も御多分に漏れず六十年度の予算は大変厳しいわけでありまして、高率補助率のカット等の処置によりまして、事業量は前年よりもほんのわずかふえたものの、各工種とも工期は大幅に増大して事業効果の発現が遅延しておるわけであります。このままでは、先ほどお話のありました第三次土地改良長期計画、これも事業比で半分ぐらいの達成率になるんではないかとおそれられておるわけであります。 大臣は、日ごろ日本農業を守るために大変な御努力をされておるわけでございますが、同時に日本農業を強くするための基盤整備を初めとする構造施策の推進にも一層の御尽力を賜りたいと存じまして、御決意をひとつ最後にお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 岡部先生にお答えします。 先生の御指摘のとおりでございまして、実は農業基盤整備事業というのは構造政策の基本でございます。 そんなことで、私は三つのねらいがあると思います。その一つは、生産性の向上を図ること、その次には、農業生産の再編城、それからもう一つは、食糧自給力の維持強化を図るために最も大切なものであると、積極的に推進しております。 そんなことで、今、先生御指摘のとおりですが、大変厳しい財政事情のもとでございまして、ほかの公共事業と同じように抑制されておるわけですが、工事の進捗を図るために、新規事業をできるだけ抑制し、そして継続事業の着実な推進を図ることを中心に早期発現に努めたいと、こう思っております。 それから、先生が先ほどおっしゃった第三次土地改良長期計画につきましては、昭和六十年度までの進捗率は一六%でありますが、まだ実はこれは計画策定後三年目でもあり、今後とも先ほど言ったようなことで農業基盤整備事業の重要性にかんがみ、長期計画の達成に最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
○岡部三郎君 ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(北修二君) 委員の異動について御報告いたします。 ただいま丸谷金保君が委員を辞任され、その補欠として大木正吾君が選任されました。 ─────────────
○浦田勝君 水産関係につきましてお尋ねいたしたいと思います。 大臣を初め政府の皆さん方も御案内のように、我が国は長い間漁獲のかなりの部分を遠洋漁業によって賄ってきたわけでございますが、昭和五十二年の世界各国が二百海里の漁業水域を設定して以来、漁業がまことに厳しい状況下に置かれておるわけでございます。したがって、各国との交渉も困難を来し、また長期化してまいりました。特に、大臣も日ソ交渉にわざわざ御出席なさって大変御苦労なさってお帰りになったわけでございます。特に今なお水産庁長官もアメリカとの漁業交渉に当たっておられるわけでございますが、そのようなことでございまして、さらに苦しい対応を余儀なくされておるわけでありますが、今年に入りましてから沿岸漁業国の我が国に対するところの要求は極めて厳しいものがあるわけでございます。このような状況下で、今後海外の漁場の確保をどのようにして図っていこうとなさるのか、事務当局にお尋ねしたいと思います。
○政府委員(斉藤達夫君) ただいま浦田先生から御指摘がありましたとおりでございまして、ソ連、米国を初めとする各国の二百海里水域におきます主権的権利の主張というのはますます強くなっておりまして、漁業交渉は数を重ねるごとに困難になってきておるわけでございます。 水産庁といたしましては、やはり遠洋漁業を何とか存続、維持を図っていきたいということで、やはり相手国に応じまして漁業協力、あるいは我が国の漁業実績を訴えるという、我が国の基本的立場を通しながら、相手国に情理を尽くした説明を行いながら、何とか最善の努力を傾けていきたいと思っている次第でございます。
○浦田勝君 そこで、遠洋漁業をめぐる環境が今後ますます厳しくなることは予測されるわけでございます。我が国の二百海里の水域におきましても重点を置かなければならないわけでありますが、政府は我が国の二百海里内での漁業振興を図る等、漁業政策としての対応を迫られるわけでございますが、この点について大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 浦田先生にお答えいたします。 今、実は斉藤次長が申したとおりでございまして、二百海里体制の定着に伴い、実は昨年からでございますが、大変漁獲量の削減等、我が国漁業が厳しい状況になったのは先生御指摘のとおりでございます。そんなことで、我が国漁業の一層の振興を図り、国民に対する水産物の安定的供給を確保していくためには、我が国周辺水域の高度利用を図ることがますます大切だと考えております。 そんなことで、我が省とすれば四つの施策を中心にこれから進みたいと思います。その一つは沿岸漁場の整備開発、それから栽培漁業の振興等つくり育てる漁業の推進、それから漁港等漁業生産基盤の整備、それから沿岸漁業の構造改善等、この四つの施策を中心に、我が国周辺水域における漁業の振興を図ってまいりたいと考えております。
○浦田勝君 そこで、国民生活の中で水産物が大きな役割を果たしておるわけでありますが、最近、水産物の栄養価が非常にすぐれておるということで見直されつつあります。国民の健康な食生活を維持していく上で、水産物の消費拡大は重要と言わぬばなりません。しかしながら、国民のたんぱく質の供給源としての水産物の占めるウエートは低下しつつあります。政府として水産物の消費拡大をどのように図られようとなさるのか、お伺いいたします。
○政府委員(斉藤達夫君) 水産庁といたしましては、水産物の新しい栄養価ということが最近しきりと見直されておりますし、全体といたしまして水産物の摂取量が一人当たりで減少しているわけではないんでございますけれども、総体的にその比率がやや低下ぎみである。これからつくり育てる漁業等を伸ばしていくためにも、水産物の需要を伸ばしていかなければいけないということでございまして、水産物の消費の一層の増進、改善を図りますために、テレビ放送や、あるいはパンフレットの配布あるいは魚の料理コンクールといったようなものをいろいろ開催し、魚食の普及開発に努めますと同時に、外食向けの水産物の供給システムづくり、このごろ外食の比重が非常に高まっておりますので、それを何とかシステム化していく。それから、あるいは鮮度保証をするようなシステムをつくっていくということで、昨年つくりました「ザ・サカナ」というようなパンフレットの作成、配布等、今後とも引き続き魚食普及の発展に努めていきたいと考えておる次第でございます。
○浦田勝君 いろいろ御説明を承ったわけでありますが、日本型食生活ということで魚の持つウエートというものが極めて大きくなりまして、また世界的にこれはもうアメリカ人そのほか諸外国の西欧人の方々が、魚によってはなかなか赤身は食わない、白身は食べても赤身は食べない、こういうこともございまして、魚に対しての既成概念が違っておったわけでありますが、最近日本が非常に長寿国になった。それは一体何か。それはやはり魚だということになりまして、諸外国でも魚を食べるということになってきたわけであります。そういうこともありまして、特に海洋資源からのたんぱく資源をとろうということで、二百海里は大変厳しく締めつけられてきている。我が国におきましても、あっちへ行けば締めつけられ、こっち側へ行けば追い出されるというような形。特にまた、外国から我が国に対しての漁業加工品が最近非常に急速にふえつつあるわけです。 そういう中で、国内の漁民が中高齢化してしまって、若年層の経営者が少なくなってきた。そういう中で、日本のいわゆる養殖漁業その他いろいろと政府の方でも御配慮いただいておるわけでありますけれども、やはりそういう面からいたしますと、日本は先進国では最大の漁業の輸入国でありますけれども、つけ加えて加工品まで入ってくるということになりますと、これはもう非常に困るわけでありまして、そういう面から考えますと、ぜひひとつそういうところに力点を置いていただきたい。特に、先ほど四点につきましての大臣からのお言葉をいただいたわけでありますけれども、これらの件につきましては従来から行われてきた問題でありますけれども、さらに一層新しい角度でひとつ漁業振興を図っていただきたいというふうに思うわけであります。 つけ加えますと、また特に我が国の商社の方々が外国に技術を提供したり、あるいは船を提供したり、そうすることによってブーメラン現象がたくさん起きておるわけであります。そういう中で、価格競争その他いろいろありまして、非常に生活も困っておりますので、特にそういう面ではある程度規制ができるように、ひとつお取り計らいを願いたいと思うわけであります。 特に、これは違いますけれども、ミカンにしても加工品が外国に五百万トン近く出ておったのが出なくなったとこの前も出ておりましたけれども、やはりそういうようなことがいろんな分野である。イグサにしてもそうであります。したがって、そういう面でのひとつ大臣としてやはり秩序ある、そして日本という立場を考えて、将来のたんぱく資源というものはあくまでも自給ができるような体制で御協力いただけるような御配慮をひとつお願い申し上げたいと思います。 時間がございませんので以上でとめますが、次に、先般から新聞を非常ににぎわわしたわけでありますが、米と申しますともう敏感にみんななるわけでございますけれども、まずその根幹をなすところの食管制度の問題を揺さぶるような、不信感を抱くような問題が新聞紙上をにぎわわしたわけでございます。 そこで、山形県におけるところの米の不正規流通がただいま申し上げましたように取り上げられておるわけでございますが、この点、その内容について一体どうなっておるのか、私どもは新聞以外には存じませんので、ここで明確なる御説明を承りたいと思います。
○政府委員(石川弘君) 今回の事件は、実は前回の食管法改正以来、かなり卸なり小売なりの方で今まで不正規だという問題は大分整理をしてきたわけでございますが、首都圏のスーパーのある店がかなり継続的にやみのお米が動いておるということがございまして、これがどこから供給されているかということで調べておりましたわけでございますけれども、昨年の暮れに埼玉県下の武蔵糧穀という無許可の販売業者でございますが、ここに不正規に米が流れているんではないかということで埼玉の食糧事務所がパトロールを実施しておりましたところ、十二月にその不正規の販売業者の倉庫に山形からの車両によりまして米穀が搬入をされたという現場を発見したわけでございます。これは後ほど山形の方を通じてその米の中身を調べました結果、いわば特定米穀、くず米でございまして、三十キログラム入り八百袋、二十四トンでございましたが、これは正規の米ではなくていわばくず米であったわけでございますが、これを端緒といたしまして、そこの今度問題になりました山形県食糧株式会社あるいは矢萩商店というところの米の移動の状況を帳簿その他によってかなり綿密に調査をし、その内容を調べました結果、問題となりました矢萩商店というのは、昨年一年間に生産者から反復継続しまして約百四十五トンの未検査米と見られます米穀を集荷をいたしまして、これを反復継続しまして山形県食糧株式会社に販売をしていたという事実。 それからもう一つ、その山形県食糧株式会社は、昨年一年間に株式会社矢萩商店から反復継続して集荷をいたしました百四十五トンの米につきまして、これを反復継続して埼玉県下の有限会社武蔵糧穀に販売していたという事実をつかんだわけでございます。 したがいまして、これらの事実は、いずれも集荷につきましては農林水産大臣の指定を受けずに行ったことでございますし、販売行為につきましては、山形県知事の許可を受けずに行った行為であるということで食糧管理法に違反するということで、公開の聴聞を経まして先日処分をしたところでございます。
○浦田勝君 これについて非常に大事なことは、「「公開聴聞に出るな」食糧庁違反業者を”指導”」と、こういう大きな見出しで出しておるわけであります。そういうような事実があったのかどうか、またどのような行政処分が行われたかをお尋ねいたしたいと思います。
○政府委員(石川弘君) そのような報道がございます前にもそういうお話がございまして、私どもの方としましては担当をしました担当者等にも十分連絡をいたしまして聞きましたところ、そういう事実はないという前提でございました。 さらに、処分前におきまして、関係する二社につきまして、一社は手紙によりまして出席できない旨の通知をいたしてきておりますので、そういう事情に相違がないかということも確かめました。手紙が来ておりません一社につきましても、連絡をいたしまして欠席についてそのような事実があったか、そういうプレッシャーがあって欠席したかどうかということを確かめましたが、両社はいずれも否定をいたしております。 それから処分でございますが、これは新食管法になりましてから、過去において約四件、これと同様の問題があったわけでございます。その四件につきましては、数量あるいは初めてやったかどうかというようなことで、一週間前後から三週間までの処分があったわけでございますが、今回の事案につきましては、矢萩商店という方につきましては最初のことではございますが、かなり数量的にも大きなものを行っているということでございまして、他の例等も引きまして二週間の営業停止の処分をいたしております。それからもう一社につきましては、これは性質は違うことではございますが、かつてやはり食糧管理法に違反をしたという事実がございまして、そのときには現在のような行政処分を行う根拠規定がございませんで、その時点では要するに刑事処分におきまして罰金刑を受けたというような事実がございます。いずれにしましても重ねての行為でございますので、先ほどの矢萩商店と同じ数量のものを扱っているわけでございますが、いわば再犯については刑法の規定では最高二倍までというような考え方もございますので、従来の例よりも高い二週間の二倍ということでございますと四週間ということで、今までにない重い営業停止の処分をしたわけでございます。
○浦田勝君 いろいろ新聞に載っておるからといって、私は余り新聞を利用して言うのは嫌なんですけれども、山形県食糧会社ですか、非常にここは有名な会社であちこち随分流しているわけですが、丸正とか米の許可のないところへどんどん流して、武蔵糧穀が買い入れた不正規米が七億一千六百万円に上ると、そういうようなことで非常に何か悪質な感じがするんです。特に全糧連というのは食管制度を守っていかなくちゃならぬ、その中で仕事をしなくちゃならぬにかかわらず、全糧連の会長までしておったところの社長がこういうことをやるというのはけしからぬ。つけ加えて、偉い人がそれに参加しておるから甘くなったのではないかと、私はそういうふうに考えたわけでありますが、そういうことが事実であったならばこれは許しがたい行為でありますから、特に食糧庁長官は厳しく行政の立場から勧告、忠告を与えてください。よろしゅうございますか。
○政府委員(石川弘君) 私ども法令に従いましてきちっと処分をしているわけでございまして、今まで何かそういうことがあってやらなかったんではないかというようなお話もあるようでございますが、私どもは事実をちゃんと調べ上げた上で、そういう事実に基づいて今回の処分をはっきりさせているわけでございます。 これに関係する方々についても、それぞれ違法の行為については、これを申しわけないというお話は私どものところにも伝わってきてまいっております。
○浦田勝君 このような事件が起きますと、非常に農民の農政に対する不信感というのが出てくるわけであります、概して。ですから、さっき申し上げましたように、きちっとした取り締まり、こういうものが行われなければいけないが、不正規流通の取り締まりについて先ほどお話を聞きましたのでもうお尋ねしません。 次に、今回の経験を生かして、これは昨年もあったということでありますし、出てないところのものもあると思います。したがって、食管制度の運用に何か改善と合理化を行うということの考えはないのか、お尋ねしたいと思います。
○政府委員(石川弘君) この不正規流通の問題には、今回の事例もそうでございますが、調べてみますと、そういうくず米みたいなようなものが主食に化けて流れるというような意味で、これは単に生産サイドの問題だけじゃなくて、消費者の方々にも大変御心配をかけるようなそういうものが過去にもあったわけでございますし、今回にもそういうことの萌芽があったわけでございますが、私ども一つは、やはりこういう問題が起こります際に、集荷につきましては、御承知のように、農協あるいは商人系合わせまして六千を超えます集荷の正規の業者の方々があるわけでございますが、そういう集荷の業者の方々の活動以外でこういう活動が行われているということもやはり事実としてあったわけでございます。私ども集荷の面につきましても、正規の集荷をなさる方々が単に米の出来秋だけではなくて、相当程度、農家の実情からしますと、現金欲しさにいろんな形で売るということもあるわけでございますので、そのあたりは極力弾力的に集荷ができるようにしていただくというようなことで、集荷の面でもいろんな弾力的な運用について運用を改善していく必要があるんではないかということで集荷の関係者の方にもよくお話をし、必要があればそういう活発な活動ができるような体制に持っていくことが一つあろうかと思います。 それから、このことはやはり販売面にもあるわけでございまして、御承知のように前回の改正時におきまして、物を右から左に動かすことまで抑えておりました食管法を、こういう集荷なり販売を業としてなさる方の活発な活動を通じて物が流れやすくするということで改正したわけでございますが、小売につきましては御承知のように、約二割に当たるぐらいの新規の許可なり、あるいは販売所の設置というような形での競争条件を整備したわけでございます。卸しにつきましては、非常に弱小なものもあるということで数はふやしませんでしたけれども、そういうことでの販売の活発化ということを求めたわけでございますが、これらにつきましてもやはり小売の場合は商業活動の活発化の問題、それから卸しにつきましては小売との結びつき問題等につきまして、より競争的な関係をつくる必要があるんではなかろうかと考えておりまして、六月に許可の一斉更新等もございます。そういう機会を通じまして、正規に集荷なり、あるいは販売をいたす人たちの活動が、より商業的に活発になるようにというような措置もあわせて考えていく必要があろうと思いますし、そういうことをいたしますことと同時並行的に、やはり組織的にそういういわば不正規な流通をするという人たちがあるとすれば、それにつきまして厳重な指導取り締まりが必要かと考えております。
○浦田勝君 時間がないので本当に申しわけありません。長官も非常に御就任早々で大変だと思いますが、長官の御姿勢というのは私はよく知っておりますので、人柄のとおりひとつやっていただきたいと思います。 特に、食管制度に関しまして、安易にこれを廃止しろとかなんとかという人があります。しかし、この食管制度というのは消費者にも及ぼすことが大きいわけでありまして、安定的に需給調整をしながら食糧を提供しているという機能を果たしているわけでありますから、食管だけはひとつ守るためにもよろしくお願い申し上げたいと思います。先般も韓国米の横流しが問題となりましたが、他用途米が不正規に流通するようなことがあれば大変なことだということで、そのようなことがないようにということを思っておりますが、この点は大丈夫でしょうか。
○政府委員(石川弘君) 他用途米につきましては、韓国米の一部にいろんな疑惑が出たという当時から大変心配をいたしておりまして、これの流通に関しましては、まずこれは食管法上の流通規制措置をまず適用いたしておりますからそういうこともできるわけでございますが、特に具体的に申しますと、まず使います方の方々、これに全部集まっていただきまして、絶対に横に流れないような保証がある方しかこれが流れないようにしようということでございまして、御承知のようにまず一つは、破砕で流すということが一つございますけれども、用途によってどうしても丸米でしか使えないようなもの、例えば玄米茶なんかそうでございますが、そういうものにつきましてはまず本当に丸米でなければ製品化しがたいものを確認をしてやるということと、それから実需者団体に皆さんお集まりをいただきまして、横流れが絶対できないようにというような一つは自主監視体制、それからもう一つは第三者機関による認定、さらにそれを犯した場合には、単にその違反した人だけではなくて業界ぐるみとして責任をとっていただくというようなそこまでの体制をとりまして、実は新しく流し始めたわけでございます。私どももそういう自主的な調整のほかに、集荷団体なり破砕工場なり実需者関係から定期的に報告も聴取をいたしますし、私ども食糧事務所員が随時随所に立ち入りをしまして、そういうことの誤りがないようにということを徹底することといたしております。 それからもう一つは、従来ともすれば実需者とそれから生産をなさる生産者の関係が希薄であった。どこのお米をどの実需者が使っているという関係が希薄でございますと、どうもその辺の責任体制があいまいだということで、例えば地域的に申しますと、新潟のようなところは全国一のお米のお菓子、米菓をつくっている地帯でこざいますが、そういうところへ供給しているものの非常に多くの部分は、実は新潟の生産者自身がつくっている他用途米でございますので、そういう生産者と実需者を直接会わせるというような形で、仮にもそういう不正行為が起こらないような、そういう雰囲気づくりということもあわせて考えております。
○刈田貞子君 私は、農村における婦人の問題についてお伺いをいたします。 先ほどから伺っておりますと、農業就業人口の話が出ておりましたが、農業就業人口の六一・三五%は女性で占めております。今日、農村社会における婦人の果たす役割は大変大きいものであろうかというふうに私は認識いたしております。 ところで、ことしは「国連婦人の十年」の最終年に当たり、七月にはケニアのナイロビで各国婦人の代表による国際会議も開かれます。我が国では「国連婦人の十年」の初年度に策定した国内行動計画などについて、集約をしなければならない年にも当たっているわけでございます。 そこでお伺いをするわけでございますが、一九八〇年、婦人の十年の中間年に当たって、国内行動計画の後期重点目標というものが策定されました。その中で、農水省も農村婦人への対策として三つの項目を掲げられておるわけでございます。その一つは、婦人が近年の農業技術の高度化あるいは装置化あるいは経営の多角化等に対処できる知識、技術を十分発揮できるよう普及、指導の充実を図ること、これが一つでございます。それから二つ目は、婦人が住みよい生活環境の中で適正な労働に従事し、健全な生活を営むことができるよう総合的な指導を行うこと、これが二番目でございます。それから三番目は、婦人の実質的な社会参加を進めるために農業委員会、農協等の役員、委員などに積極的に参加できるような環境づくりのための啓発、指導を行うこと、これが三番目でございます。 こうした三つの柱を立てて、農村婦人の地位向上に力を入れていくということがうたわれてきたわけでございますが、こうした婦人の政策の目標が現在どうなっているのかお伺いをすることと、それから今後、農村における婦人の役割というようなことを大臣はどのように御認識になっておられるか、まずお伺いをいたします。
○国務大臣(佐藤守良君) 刈田先生にお答えいたします。 農村婦人というのは二つの面で大きな役割を負う。その一つは、農業生産及び農家の生活の面において大きな役割を果たしておるんです。また、農村社会の維持発展の面でも重要な役割を果たしています。そんなことでございまして、このような婦人の役割が十分評価されておりまして、現在におきましては農業、農村の発展のためには必要不可欠であると考えられております。 そんなことでございまして、我が省といたしましても、生活改善普及事業等を通じまして、婦人の労働の合理化と健全な生活運営の指導あるいは婦人の自主的学習グループの育成等、婦人に対する総合的な施策の展開を図ってまいっております。特に、先ほど先生からの御指摘のとおり、ことしは「国連婦人の十年」の最終年でございます。今年度におきましては、新たに農村婦人役割開発促進事業等所要の事業を講じることとしてお り、今後におきましても引き続きこれらの施策の充実に努め、農村婦人の福祉と地位の向上に努めてまいりたいと考えております。
○刈田貞子君 そこで、六十年度農水省の予算の中で婦人対策事業についての問題をお伺いをしてまいります。 婦人対策費というのも、それだけが取り抜かれてできているわけではございませんで、婦人の対策費を引き抜くのは大変でございますけれども、これは私が総理府の婦人問題担当室かち得た資料によりまして、国内行動計画にかかわる事項として農林水産省が総理府の婦人問題担当室に提出なさった事項かというふうに思われますが、その予算では総枠で大幅な減額があるわけでございます。六十年度四百六十六億でしょうか。 まず、この国内行動計画に基づく婦人対策費が減額になっていく事情からお話を伺いたいわけですが、私が非常に問題にすることは、ことしは「国連婦人の十年」の最終年に当たっておる年ではございますが、総理府を除いては各省庁とも厳しい予算の中から全部減額です。ですから、農水省も横並びということであればいたし方がないことなんですが、ここ連続減額になっております、五十八、五十九、六十。それで、このままでよろしいのか、年々少なくなっていく予算はどういうことが反映されていっているのだろうかということを考えるわけでございます。お伺いをいたします。
○政府委員(関谷俊作君) 婦人対策関連予算でございますが、全体的には補助事業として仕組まれているものがほとんどでございますので、いわゆる補助金の整理合理化、こういう全体の中で婦人対策予算についてもこの両三年来、逐年減少するというふうな大変厳しい事態になっておるわけでございます。 特に、その中でございますけれども、私ども農山漁村等婦人対策ということで見ました場合には、全体で農山漁村婦人等活動促進対策事業につきましては三億九千四百万円でございまして、前年比二五・八%という大変大きな減少になっておるわけでございます。この関係につきましては、手づくりのむら整備関連事業の見直しということがございまして、これは一つの行政監察の中で取り上げられたというような、時期的には補助金整理とぶつかった非常によろしくない事態だったわけでございますが、この関係を整理しましてほかの事業で対応するというふうなことになりました関係で二五・八%減となっておりますけれども、直接婦人対策ということで見ますと、農村婦人の家、それから婦人対策推進連絡会、この関係につきましては八・七%減にとどまっておるわけでございます。 なお、このほか、先ほど先生のお挙げになりました四百六十六億円の予算の中には、これは一般の農業面も含めました普及事業全体で農山漁村の農業、林業、水産業全部入れまして四百五十七億と、こういうようなことになっておりまして、これは金額で対前年一億三千七百万円の減少になっておりますが、この関係は大体普及事業中心でございますので、御承知のような交付金に形を変えましたので補助金合理化の中でも大体横ばい、こういうことでございます。この中に生活改善関係も含まれているわけでございます。
○刈田貞子君 そこで、さらにお伺いいたしますわけですが、昨年まであった事業が六十年度落ちていて新しくメニュー化されているというようなものがございますので、そのことについて御説明を伺いたいわけですが、五十九年度の婦人農業従事者セミナー開設事業ですね、これが農村婦人役割開発促進事業に変わったこと、それから農村婦人等健康推進特別事業、五十九年度分の事業が六十年度は中堅農家健康推進対策特別事業に肩がわりをしているということで、メニューの差しかえをしていてなおかつ減額をしているということについて、その間の事情を説明していただきたい。
○政府委員(関谷俊作君) この関係は、御質問の中にございましたような二つの事業につきまして、一方において、これは予算計上上一つの年次計画等がございまして、そういう関係でいわゆる終期設定がございました関係等から終わる。その場合に、終わったままではいかぬということで、また新たに新しい観点から二つの仕事を仕組んだわけでございます。その間、金額が減少している点につきましては、先ほど申し上げましたような補助金の整理という一般方針の中で、これは婦人対策だけねらい撃ちにしているわけではございませんで、私どもの局のいろいろないわゆる生産対策関連も含めまして、それぞれの状況に応じながらやはり少しずつ減らしていくというようなことがございまして、こういうふうに事業の新規切りかえの際に金額面においては少し減少すると、乙ういうようなやむない事態に至ったわけでございます。
○刈田貞子君 それで、この農村婦人役割開発促進事業のことですけれども、私さっき一生懸命数字を見て感じたんですが、九千四百四十万一千円という少額のものですよね、見てみれば。これでうたっていることは、農村婦人役割開発、こういう事業名がついているわけです。私は大変興味を持つわけでございますが、農村婦人の役割開発というようなことは、農村社会のどういう構図を描き、そしてその中における婦人の役割を設定してこういう事業が行われるようになるんでしょうか、九千四百四十万というこの経費で。その点お伺いいたします。
○政府委員(関谷俊作君) これは、まず金額については少ないではないかという御指摘もあろうかと思いますが、この金額の内容が俗に言うソフトの経費でございまして、ハード関係の施設等はございません。簡単に言いますと、地域での活動費的なものを中心にしておりますので、そういう関係で、これは金額としてはこういうソフト的な事業としましては必ずしも少なくはないと、こういうふうに私どもは考えております。 この役割開発という考え方でございますが、これは確かに今の時期で見ますと役割開発とは何かと、こういうような疑問も起きることではございますけれども、実は私ども、国連婦人の十年行動計画後期重点目標の推進に当たりということで、五十七、五十八年度に農村婦人の地位に関する調査というのを実施したわけでございますが、この中を見ますと、農業の担い手としては農家主婦は百五十日以上従事しておる方が六五・五%ということで非常に高いわけでございますけれども、我が家の農業経営に参加する農家主婦の割合、経営方針を決める人は一一・三%、これは財産名義を持つ人が割合少ないとか、さらに家事、老人の世話等をかなり八割ぐらいの方が担当しているにもかかわらず、地域の集会等に出る人は一〇%ぐらいしかいない。また、集会の役員等いろんな役員の決め方、賃金、賦役等のこういう義務の負担の面では男女差があったりするとか、こういうようなこととか、その他農協の組合員、農業委員会の委員の参加、こういう点などを見ますと、非常に農家主婦の方の社会参加と申しますか、位置づけが必ずしも十分でないわけでございます。 こういうような状況等も見られましたので、大変言葉としては役割開発という言葉自身も熟さないわけでございますが、我々としましてはこういう農山漁村の婦人の生活の現状、社会生活参加に関する実態分析、それに応じて関係計画を立てると。また婦人の意識開発なり関係者の理解を深めるためのシンポジウム、交換、交流等の開催とか、農村婦人フォーラムの開催、こういうようなことでやはり一つの社会的な運動を引き起こすとか、あるいは地域の方としての理解を求める、こういうような感じのことに取り組もうということにしまして、名前もこういうような役割開発と、こういうような名前にいたしまして、新しい仕事として取り組んでまいることにいたしたわけでございます。
○刈田貞子君 よくわかりました。 それで、私は昨年も婦人対策の問題についてお伺いをいたしましたけれども、生活改善普及事業なんかも見てまいりますと、普及改良員ですかの人数がやはり減りつつありますね。そして、かつて二千三百人ほどでしょうかおった者が、今ではもう二千人を割っているというような現状があろうかというふうに思います。これから先どんなふうになっていくのかということを考えると、とても残念に思うのは、先ほど申し上げましたように、やっぱり農村社会における婦人の立場というのは、大臣も言われているように、非常に重要であるわけですね。それだけに、婦人対策ということはとりたてて言うのはおかしいようだけれども、やはり考えていかなければならない事柄ではないかというふうに思います。 昨年私がやはりこういう質問をしたことにかかわって、地域の生活改善グループ等からたくさん御連絡やお便りをいただきました。それからまた、そういう会合へも出させていただきました。その中で感じることは、農村婦人頑張っているなという感じを受けました。さらに、各県ですね、それから町村が国のそうした方針を受けて、さらにきめ細かい事業計画等をつくっていることも、私は寄せていただき見せていただいて大変感激をしたわけでございますが、例えば楽しい農村づくりとか、あるいは農家ならではの生活の演出とか、あるいはまた快適な住環境づくり、あるいは生産と生活の調和づくり、あるいはまた健全な家計管理への参加、あるいはまた人情豊かな近隣関係というようなことで婦人たちは目標を立てて、そして頑張っているなという実態は見てきております。 実は、私の手元に、この生活改良普及事業の中から生まれてきた全国で一万九千グループぐらいでございましょうか、そういう小さな生活改善グループが全国にできているというふうに伺っております。これは私は大臣に聞いていただきたくて実は持ってきたんですけれども、その生活改善グループの人たちが改良普及事業を通して、いい実態、実情を農村社会の中につくり上げていっている姿がこの感想文等を含めた報告書の中に出ておりまして、私は大変感激をしたので、これは大臣に聞いていただきたくて、一部読ましていただきたいと思うわけでございます。 「グループの集まりの時教えあったり、計算を手伝ったりしてとにかく全員青色申告が出来るようになりました。これも一人では出来ないグループの温かい皆の力があったからと思います。主婦が農家経営の勉強にとりくんで早や十年が過ぎましたが、学んだことは自分のくらしに生かし、また、自分のむらのためになっていることを思うと本当によかったと思っています。むらづくりの一翼を担う主婦の力の大切なことも記帳の学習を通して体験」したわけですというような感想文。いいでしょう、大臣。 それから、農村婦人の家をつくっていただいたということに感激して、「地域内に「農村婦人の家」が」できました。「農業情勢がはげしく変化する中で、私達は婦人の家を中心に学習活動を深め、実践を通した活動でくらしの合理化と改善を図り、老いも若きも助け合って、健康で明るい家庭づくり、むらづくりに励んでおります。年々派手になって来ている冠婚葬祭のうち、葬祭の御法事については「農村婦人の家」を利用し簡素化を図っています」、こんなふうなんです。この農村婦人の家の予算は、たしかこの六十年度は一カ所分不足に計上されているというふうに思っていますが、こういうふうな婦人の活動の拠点になるようなものはもっとたくさんできていってほしいというふうに思っております。 それからもう一つは、冷害に遭って非常に打ちひしがれた農村の主婦たちの大変力強い記録でございますが、もはや米も売るためにだけつくっている、「供出して年の暮から飯米さえ無くなり、農協から十キロ入れ一袋三千二百九十円で買ってきたお米は六人家族で四日で無くなってしまった。この土地に生れ育って六十年、この家に嫁いで百姓して来て、米一粒買ったことない者にとって、これが今後一ケ年或いは、もっと続くだろうと思うと、主婦として何んとも」言えないつらい思いがする、だけれども「私共冷害を受けた農家の主婦は、こんな年こそ家族の健康のため色々と工夫して行かなければなりません。」、今まで生活改善で習ってきたことを生かそう。いいでしょう、大臣。私、生活改善普及事業というのは非常に長い間地道だけれども歴史を重ねてきて、それで農村の婦人の地位向上というふうなことに結びついてきているなというような実感を持ちました。 だから、実績が上がってきているから予算を少なくカットしていくのではなくて、むしろ農村の活性化のために婦人の地位向上がとても大切な役を果たしているようだから、さらに予算を頑張ってとっていこうというふうに考えてみていただきたいのでございます。いろいろ申し上げたいものがまだたくさんこの中に入っております。大変貴重な記録だと思って私は感激して読んだんですけれども、大臣、その辺いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) 刈田さんにお答えいたします。 先ほどちょっと先生おっしゃったことでございますが、生活改善グループは現在一万九千五百ございまして三十一万三千人の人がございます。そんなことで今の三例、大変私、本当にいい話だということで拝聴したわけですが、これはまた農村の皆さん方、本当に大変立派だというふうに感じますとともに、やはり農林水産省の指導もよかったんだなと思いながら、予算をとることはおっしゃるとおりです。これは大変いい予算で、局長も同じ考えだと、来年度の予算におきましてはひとつたくさんとるように頑張りたい、こう思っております。
○刈田貞子君 よろしくお願いをいたします。婦人の年はことしがスタートの年とも言われておりますので、特に農村の婦人の対策について大臣のような温かい方からよく激励をしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。 次にそれではお伺いいたします。主要農産物の価格安定に供するために、指定野菜価格安定対策事業が野菜法に基づいてできているようでございますが、今年度の予算書を見ますと、やはり指定消費地の拡大と、それから交付予約数量の増加というようなことで、この事業が拡大の方向で考えられているように思うんですけれども、この価格安定制度の現状からまず御説明をお願いします。
○政府委員(塚田実君) お答えいたします。 ただいま御指摘のように、野菜の価格安定制度につきましては、昭和四十一年、野菜生産出荷安定法が制定されまして、それ以来今日まで、国民の食生活上重要な野菜につきまして、その生産出荷及び価格の安定を図ることとして推進している事業であります。従来から、指定消費地域及び野菜指定産地の計画的な推進を進めてきたところでございます。 本制度への加入状況を見ますと、指定産地から指定消費地に出荷される指定野菜の約五割というふうになってきておりまして、野菜の生産者及び消費者相互にとって、私どもとしては定着した制度となっているというふうに考えております。今後とも、本制度の適切な運用に努めてまいるという考えでございます。
○刈田貞子君 今、五〇%とおっしゃいましたね。それは野菜総生産に占める指定野菜の量ですか。
○政府委員(塚田実君) ただいま五割と申し上げましたが、これは私ども、指定産地は現在千二百十三産地ございますけれども、そこから指定消費地域、指定消費地域は現在三十三地域、都市の数でいいますと百五十二都市が指定されております。もっとも本年度は四都市、弘前市、豊橋市、米子市、佐賀市を追加していることとしておりますが、こういう指定産地からこのような数多い指定消費地域に出荷される指定野菜の約五割、こういうことでございます。
○刈田貞子君 そうすると、その指定野菜が全野菜の作付面積に占める割合はどのぐらいでしょうか。
○政府委員(塚田実君) 私ども手元にございますのは、総流通量に占める指定野菜の数量、これだと七二%になっております。
○刈田貞子君 七二%。
○政府委員(塚田実君) はい。
○刈田貞子君 それで、五割と七二%という数字を今伺っているわけですが、野菜指定制度というのは、私は、先ほどおっしゃっておられるように、消費地についてもそれから生産地についても大変メリットがあろうかというふうに思いますし、それから価格変動の激しい野菜に対して非常に効果的な対応ができる制度だというふうに私思っておりますので、このことをどうこうということじゃないんですが、実はいろいろ回らせていただいているところの中で、こうした制度が実は今課題になっている連作障害の一因になっているのではなかろうかというような指摘があるわけで、こういう問題の考え方について私はよくわからないので教えていただきたいというふうに思います。
○政府委員(塚田実君) 野菜指定産地におきましては、確かに私どもも一部のこういう連作障害を誘発する原因ではないかというふうに聞いております。それはどうしても特定の指定野菜にだけ生産が集中するということから、連作障害を誘発しているという声を私どもも聞いております。しかしながら野菜の指定産地につきましては、その指定に当たりまして農林水産省としては連作障害の発生を防止するという見地から、合理的な輪作体系を組み込んだ作付体系の導入ということに十分配慮するようにということを指導してございますし、また一定地域で複数の野菜を指定野菜として指定もして、そうしますと連作障害が回避される可能性が出てきます。そういう意味で複数の野菜を指定野菜として指定したり、また生産出荷事情が似通った地域につきましては数市町村をまとめて一つの指定産地として指定する、こういうような工夫もしているところでございます。野菜指定産地制度そのものが、合理的な輪作体系の導入を阻害し連作障害を誘発しているということは、私ども一概にはそう考えていないわけですが、そのような工夫もしているということを御理解いただきたいと思います。 また、野菜の指定産地の育成に当たりましては、指定産地と他作物との結合によります輪作体系の導入なり有機質投与による土づくりなど、そうしたものも含めていろいろ安定対策を講じているという実情にございます。
○刈田貞子君 それでお伺いいたしますが、野菜の連作障害というのは今全国的にかなり広がっていて、私も先般伺ったことでは、最近は花卉にまで発生をしているというようなことも伺っております。野菜試験場が最近お出しになられた連作障害に関する実態調査の概要というのがあるそうでございますので、それをちょっと御説明いただきたいんです。
○政府委員(櫛渕欽也君) 野菜試験場の先般実施いたしました連作障害の実態調査でございますけれども、これは野菜の大変重要な障害の一つであります連作障害の発生の実態とその原因を調査する、しかも、さらに防除対策等について今後の技術的な研究の方策に資するためにこういった調査を行いました。全国各都道府県の野菜担当の専門技術員の方にアンケートを行ってやったものでございます。 この結果によりますと、連作障害は全国各地でいろんな野菜によってその程度がかなり違いますということ。連作障害の出方が、例えば温室のメロンとかイチゴとかタマネギ等では、この調査の結果では約一割から二割ぐらい出たところもありますというようなこと、あるいはキュウリとかホウレンソウあるいは里芋などでは大変少なくて数%の障害の面積率であったというようなことであります。 この調査としては、こういったいろいろな多くの事例をまとめまして、連作障害の原因がどういうものであるか、それを量的にまとめた中ではっきりさせようというねらいでございまして、その結果によりますと、全体の事例の中で、例えば土壌伝染性の病害というのがございます。これは非常に多いわけでございまして、例えばキュウリのつる割れ病とか、トマトの青枯れ病とか、非常にたくさんあるんですけれども、それが圧倒的に多くて障害全体の六割を占めているということ。それから続いて病害の、はっきりしないんですけれども、疑いの濃いものが一三%もあった。さらに空気伝染性の病害というのがございます。例えばキュウリの斑点細菌病というのがございますが、こういう空気伝染性の病害が一一%、それから土壌線虫害、これが七%、それから生理障害というのがございますが、これが五%というようなことで、全体の中で今後技術対応、研究対応として重点を置くべきところが土壌伝染性の病害の防止技術、そういうような意味での調査結果がはっきりしております。 こういう結果でございますけれども、野菜の今後の安定生産のために、こういった連作障害の防止技術というものも今まで非常に多くの研究がございまして、先ほど食品流通局長からありましたような、例えば輪作の方式をとるとか、あるいは抵抗性の品種を開発して普及するとか、あるいは有機物の施用でありますとか、こういう土壌の改良、いろいろな方面から試験研究としてもアプローチをしておりまして、いろいろな結果を出しておりますけれども、まだまだ今後研究を進めなきゃならない原因究明の部分というのが残っておるわけでございます。
○刈田貞子君 連作障害の問題は古くて新しい話というようなことを言われるわけですけれども、近年特に、とみに連作障害のことが言われているという事情の中に、農業技術の問題等あるのではないかというようなことも言われるわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(櫛渕欽也君) ただいまのは連作障害を防止するための技術という意味でしょうか。
○刈田貞子君 どちらでもとれますから、いいです。
○政府委員(櫛渕欽也君) 今まで試験研究の中でいろいろとわかっておりますような情報としては、例えば連作障害は連作の年数が五年以上の場合に障害の発生が多いというようなこと、あるいは最近は原因になる病害とか虫害あるいは生理障害等がいろいろと細かくわかってきたために、一つの場所に起きている障害が幾つかの複合した原因で生じている場合、そういうことがかなりわかってまいりましたので、いわゆる連作障害の防止対策として単一の病害だけに目をくれるというような防止方式ではなくて、複合的な原因に総合的に対応するような技術、こういうものが重要であろうというようなことがわかっておりますし、それにしても基本的には、やはり先ほど申し上げましたような土壌の物理性とか化学性あるいは生物性、こういった土壌自体の改良というようなことが基本になるということ、それから抵抗性の品種をもっともっと普及さしていくというようなこと、それからさらに輪作の場合も、その輪作にのせる作物の中でイネ料の作物を中に介在しますと連作障害が非常に軽減しやすいというようなこと、こんなようなことがわかっております。
○刈田貞子君 そこで、先ほど農業技術という問題を私申しましたのは、つくる方の農業技術、この問題が、農業技術が低下しているとかいないとかいう、都会の私どももいろいろ聞かされるわけでございまして、この連作障害を防止するためにできる技術というのが、なかなか指導方が行き届かないということから、農薬をそうした病虫害防除のためにたくさん使っているというようなことを聞いておりますわけでございますが、この連作障害と農薬の関係はどのように考えたらよろしいんでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 連作障害でございますが、先ほど来技術会議の事務局長もお話ございましたように、もともとの原因はやはり野菜の連作、あるものを同じところに何年もつくりますと、それに伴って一つの土壌の伝染性の病害虫が増加したり、土壌の理化学性が悪化すると、そういうような一種の複数現象が複合して生ずるわけでございます。これを例えますと、体質の悪い人に何か病気がいろいろ複合的に出てくるようなものでございまして、本当からいえば、先ほどもお話がありましたように、輪作とか対抗植物の導入とか拮抗性品種の利用とか耐病性のものを植える、こういうようないわば体質それ自体を直していく方法、さらに輪作等によって連作そのものを回避するというような体質面から直していくのが、本来の基本の連作障害回避技術であるわけでございます。 ただ、現状としますと、実際に起きました土壌の病害虫、そういうものを農薬を使いまして防止する、こういうようなこともいわばやむを得ず直接的な効果のある対策として行われるというような、私どもの理解からしますとそんな感じで考えております。実際にどんなことをやるかと申しますと、一番多く使われますのが土壌消毒でございまして、これはクロルピクリンとかD—Dとか、そういうような農薬を使いまして土壌を消毒すると、確かに連作障害によって起きました病害虫が回避、防除できると、こういうことになるわけでございます。 ただ、これにつきましては、農薬の効率的な安全使用の面からもいろいろ問題があるわけでございますので、六十年度におきましては、この土壌薫蒸の安全推進緊急特別対策事業というような新しい事業を起こしまして、三年間で効率的な防除方法なり土壌薫蒸剤の安全な使用方法の推進なり、そういうことを県で対策事業としてやっていただく、こういうようなことも仕組んでおる次第でございます。
○刈田貞子君 今のそのお話の中で、適正な農薬の使い方の問題が出ていたかと思うんだけれども、基準以上の農薬が使われた場合に野菜に、そこにできる作物に残留する量もふえていくというようなことを考えるとすれば、そういう指導というものもまことに適切に行わなければならないわけですけれども、農業団体なんかがたくさん指導していらっしゃる状況を私も知っておりますけれども、この農薬が基準以上に使われるというようなことについてどのようなお考えをお持ちですか。
○政府委員(関谷俊作君) 御質問の中にございましたように、農薬につきましては、農薬取締法に基づきまして安全使用基準というのを決めております。これは野菜だけじゃないわけでございますが、野菜も含めまして一定の剤型、使用方法を前提にしまして、使用期間は例えばマラチオン剤でございますと、キャベツの場合収穫三日前までとか、あるいは物によりましてはさらに使用回数も限定する、こういうようなことで安全使用基準は決めておるわけでございますが、問題は、これはたくさんの生産者の方が使うわけでございますので、この安全使用基準の遵守指導ということが大変難しいと同時に大事なことでございます。 現在では毎年六月に、これは厚生省と一緒に両省で共同で六月にこの安全問題も含めました農薬危害防止運動というのを全国的に展開しておるわけでございますが、こういう防止運動というような形で、いわば一般的に理解徹底を図る、こういうことが基本でございますし、さらに生産者団体に対する指導につきましては、県の病害虫防除所などの農業関係の指導機関がございます。こういうところが活躍しまして、ただいま申し上げましたような基準に従った安全使用の濃密指導、さらに農薬の販売業者、防除業者という一種の業者関係につきましても農薬の安全使用のための研修指導等行っておりますが、いずれにしましても、大変たくさんの方、広い地域で使われるものの規制で、効果を上げるためには相当な努力を要するわけでございますので、今申し上げましたような各般の措置によりまして、今後とも安全使用を徹底してまいりたいと考えております。
○刈田貞子君 今、消費地では残留農薬の問題が添加物と並列でやはり不安な事項として問われているところでございますので、今の指導徹底方ひとつよろしくお願いをしたいと思うわけでございます。 そこで、厚生省のお方がお見えになっていると思います。 厚生省にお伺いいたしますが、厚生省は農薬の食品残留基準の整備をするための六十年度予算をお取りになったというふうに聞いておりますけれども、昨年の臭化メチル以来、厚生省も大変に残留農薬等の問題についていろいろとお気を使われているのではなかろうか、あるいはまた、いろいろ申し入れ等がおありになるのではなかろうかというふうに思うわけでございますが、今のこの農薬の残留基準の作業、これがどんな形で進められ、どのぐらいのめどで仕事がまとまるのか、お伺いします。
○説明員(市川和孝君) お答え申し上げます。 食品中の残留農薬基準の設定に当たりましては、まず残留農薬の残留実態と申しましょうか、これを把握する必要がございますので、私ども、昭和六十年度から計画的に実態調査を進めまして、その結果などを踏まえまして、食品衛生法に基づく基準の整備を図ってまいりたいというふうに考えております。 実際の進め方でございますが、調査の方法といたしましては、農家あるいは港におきまして農産物を採取いたしまして、現在の計画では、国立衛生試験所を中心に全国で約十カ所程度の都道府県の衛生研究所の協力を得まして、国内産、それから輸入農産物の残留実態を調査していきたいと考えております。 御指摘の、めどということでございますが、農薬は毎年新たに開発されてくるというものでもございますので、今後こうした作業は私どもとしては継続的に進めていく必要があるというふうに考えております。
○刈田貞子君 時間が終わりなんですけれども、要望として申し上げておきたいのは、先ほど申しましたように、やっぱり残留農薬に関する関心というのはすごく今高いわけですね。そして、五千種ほどもある農薬の中で、いろいろ国の基準等で規制を受けているものが三百あるいは二十六というような、いろいろな数を私も聞いておりますけれども、これはその他あまた野方図になっている分の方が多いのではないか。それからまた、よしんば一歩下がって、チェック体制が何らかの形でできていると考えたとしても、その体制、その組織を利用して具体的にチェックのための作業というのが、抜き取り作業のようなことを申しますが、行われているのかいないのかというような問題を考えたときに、やはり消費地でも何か身震いがするような思いがするときがあります。 したがって、やはり食品とは安全なものであることが大前提でございますので、やはりそういう体制も、ない予算の中から、まずは農水省が率先してそういうチェック体制をつくっていくために取りかかっていっていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○塩出啓典君 それでは、今年度の予算についてお尋ねをいたしますが、ことしの予算は昨年度の当初予算に比べれば九五・四%。ここ数年、大変厳しい中での編成であったと思うのでありますが、ことしの予算の重点施策については、先ほど大臣から九項目のお話がございましたが、率直に言って、今年度予算の特色というか、そういうものはどういう点にあったんでしょうか。簡単で結構ですけれども伺いたい。
○国務大臣(佐藤守良君) 塩出先生にお答えいたします。 ことしの予算というのは、財政大変厳しい中の予算でございましたが、農は国の基本であるというようなことで、一億二千万の国民に食糧を安定的に供給するというふうな立場でもって、いわゆる農業に必要な予算はある程度確保したと、こう思っております。 そのうち、特に私は三つの点におきまして特色を出していると思います。その一つは、生産性の高い、足腰の強い農業をつくるということでございます。二番目には、バイオテクノロジー、ニューメディアを駆使した二十一世紀に向けての新しい農林水産業を構築するということでございます。三番目には、都市と農村の交流を図りなが ら、豊かな村づくりをやる。この三つの点を重点に、予算を確保したと考えております。
○塩出啓典君 そこで、予算の項目は大変数が多うございますので大ざっぱな質問になるかもしれませんが、この第一の、構造政策の推進の点におきまして、地域農業整備促進事業、こういうものを全国三千六十の全市町村でやる、しかも一市町村当たりの平均事業費は五十二万八千円である、五年間で補助率は二分の一だ、こういうことが行われておるわけでありますが、この地域農業整備促進事業というものは具体的にどういう点をねらっておるのか、これをお尋ねをいたします。
○政府委員(井上喜一君) 御指摘のとおり、地域農業総合対策は六十年度から実施をいたすものでございまして、この背景には農村社会の高齢化、兼業化等の問題がございます。こういう問題に対応しながら土地利用型農業の体質強化を目指した構造政策を推進することが目的でございまして、具体的には農地の有効利用でありますとか、担い手の育成等に関する活動を地域の実態に即して具体的に展開をしていくということでございまして、こういった活動と関連させまして、さらには土地基盤の整備、農業近代化施設の整備等を行う事業でございます。 これをもう少し詳しく申し上げますと、地域農業総合対策は地域農業整備促進事業と地域農業拠点整備事業の二つに分かれておりますが、前者の方は、土地の利用状況の見直し、あるいは農用地の有効利用の促進、それから担い手の育成、地域リーダーの養成、さらには地域の特産品づくり等の、こういう主として三つの課題につきまして地域地域に違った問題がございます。課題はこの三つでありましても、地域ごとにその問題のあり方が違うわけでございまして、その地域に応じまして市町村でその問題を取り上げまして、こういった問題の解決のためにいろんな活動をするということでございまして、いわば村づくり運動というような中からこういった問題を取り上げて推進していこう、こういう性格の事業でございます。 後者の拠点整備事業につきましては、こういう市町村の活動に応じまして、さらに用地の有効利用が促進されましたり担い手の育成に役立ちます基盤整備等の事業を実施していこう、こういう内容の事業でございます。
○塩出啓典君 地域農業整備促進事業は、そうしますと各市町村においてその地域に適した農業はどうあるか、そういうどちらかといえばハードウエアというよりもソフトウエアをお互いに相談するものである、そのように理解していいわけですね。
○政府委員(井上喜一君) ただいま申し上げましたように、この事業は、ハードとソフトというぐあいに分けますれば、その二つの事業をあわせ行う事業でございまして、そういうソフトの事業で地域の農業をどうしていくのか、土地利用をどうしていくのかというようなことを検討いたしますと同時に、その際必要でありますれば土地基盤の整備をしたり、あるいは施設の整備もあわせて行えるような事業内容になっております。
○塩出啓典君 そうしますと、一市町村当たり平均事業費五十二万八千円ということはこれは平均であって、実際の配分においては全然行かない市町村もある、行くところもある。それは五年間続くところもあれば五年間全然行かないところもある、そのように理解していいわけなんですか。
○政府委員(井上喜一君) 地域農業の推進活動につきましては、ただいま御指摘になりましたように、全町村におきまして五年間を予定して実施をする事業でございます。この一市町村当たりの平均五十二万八千円というのは、全町村を対象にした事業費でございます。それから、後の拠点整備事業の方につきましては、これは事業の実施数を六十年度は二百地区を予定しておりますが、これを今後五年間継続する予定にしておりますが、これは事業費補助事業につきましては五千万円を予定しておりまして、二分の一補助の補助率を考えているわけでございます。したがいまして、今の五十二万八千円の方は、これはいわゆるソフト事業に対する事業費でございますし、後の方につきましてはハードの事業費ということに相なるわけでございます。
○塩出啓典君 わかりました。 それで、地域農業拠点整備事業というのを二百地区今年度予算で五年でやる、そうすると合計千地区になると思うんですけれども、全国三千五十、六十の全市町村があるのに、五年間で千地区というのはどういう計算でやるのか。 それともう一つは、今まで新農業構造改善事業というものをずっと進めてこられておるわけでありますが、そういうものとこの地域農業拠点整備事業というのは違うのかどうか、これはどうなんですか。
○政府委員(井上喜一君) 足腰の強い農業を育成していくために各種の事業をやっているわけでございまして、その基本となります農業基盤整備事業のほか、新農業構造改善事業等につきましても、土地基盤整備と同時に施設の整備等も行っているわけでございます。私どもがこの地域農業整備の総合対策を考えました場合に、ただいま申し上げました基盤整備なり、あるいは新農業構造改善事業等が実施をされまして、ある程度そういう土地利用型の規模の拡大が行われるような前提条件が整っている地区を想定しているわけでございまして、そういうところにおきまして地域の農業整備の推進活動を行うと同時に、また必要な部分、基盤整備等が必要な場合にはそういったことも行うということで、あくまで補完的な事業としてこういうハード事業を考えているわけでございます。
○塩出啓典君 こういう政策を打ち出す場合、例えば二百地区というのは大体どのあたりである、五年間で千地区ぐらいあれば大体目的を達するんじゃないか、あるいは事前にいろいろなそういう各地から要望が上がってきて、こういうものをぜひやってもらいたい、そういう要望が積み上げられてきてこういう政策は決まるものなんでしょうか。決まったときには、大体五年間で千地区ぐらいすればこういうように農村は変わっていくんだという、そういう見通しが決まってこの政策が決まるんですか。これはどうなんでしょうか。
○政府委員(井上喜一君) 一般的に予算要求をいたします場合には、その事業の効果等を検討するのはもちろんでありますけれども、その規模等につきましては県等の意見を十分聞きまして予算要求をするわけでございます。構造改善局といたしましては、ソフト事業につきましては全町村を対象にいたしましてこういった活動を推進していくわけでございますが、このハードの事業を実施する地区につきましては、大体その地区の三分の一程度だろう、こういうようなことを県等との会議の結果考えまして、私どもといたしましては五年間で千地区を、それを年度間に割り振りますと二百地区、こういうことにしたわけでございます。
○塩出啓典君 こういういろいろな補助事業をやる場合、当然一つの目標があると思うんですよね。それが五年なら五年で終わる、その結果、目標とした例えば生産性がどれだけ上がったとか、こういうような予算の効果ですわね、そういうものはずっと農水省としてはやはり検討されているのかどうか、その点はどうなんですか。
○政府委員(井上喜一君) 私どもの当面の目標となりますのは、農政審議会が出しました「八〇年代の農政の基本方向」というものでございまして、この中では、向こう十年間の農地の流動面積を九十万ヘクタールと想定しておるわけでございます。こういう規模の面積の流動化によりまして生産性の高い土地利用型農業をつくっていく、こういうことでございます。 現在までのところ、一年間の土地の流動面積は、所有権の移転を含めまして大体八万ヘクタールぐらいに相なっているわけでございます。大体年間九万ヘクタールぐらいの流動化がありますれば、十年間で九十万ヘクタールということになるわけでありますけれども、さらにこういう流動化対策を強化をしていく必要があるわけでございまして、そういった観点に立ちまして、流動化を推進していくための施策として、このソフト事業、ハード事業等も計上いたしたわけでございます。
○塩出啓典君 今回、農用地規模拡大資金の新設とか、あるいは農用地高度利用促進事業とか、それと今の地域農業整備促進事業、そういうものを合わせて農地の流動化ということを努力をされてきておるわけですが、今、局長のお話がありましたように、確かに土地の流動化というのは九万ヘクタールに対して八万ぐらいいっている、そのことは目標に近いわけですが、ただその流動化というものが本当に規模の拡大につながっていないんじゃないか。したがって政府としては、六十五年に稲作主業の中核農家を平均五ヘクタール、十万戸、北海道の場合は十ヘクタール、一・三万戸と、こういう目標を置いておるわけでありますが、今のままでは非常に難しい。正直言って規模の拡大は余り進んでいない、そう言わざるを得ないんじゃないかと思うんですけれども、そういう原因はどこにあるのか、これをお伺いいたします。
○政府委員(井上喜一君) 規模拡大の進みぐあいでありますけれども、確かに農政審の「八〇年代の農政の基本方向」で言っておりますようなそういう規模にはまだかなりの距離があろうかと思いますけれども、農地の流動化の実態を見ますと、貸し手の方は相対的に規模が小さい農家でありますし、借り手の方は比較的規模の大きい農家でございます。そういう意味におきましては、非常にスピードは遅いわけでありますけれども、漸次規模拡大は進みつつあるのではないかというふうに見て差し支えないのではないかと思います。 この規模拡大がなかなか進みにくいということ、これは流動化がさらに進みにくいということでもございますが、この原因といたしましては、一つには、農地につきましては従来からの意識といたしまして、先祖伝来の土地であるというようなことに加えまして、最近の地価、農地価格がかなり上がっておりますので、資産保有的な傾向もあろうかと思います。それから、兼業化いたしましてもなかなか農業の方を離れないわけでございますけれども、これは道路事情等がよくなりまして通勤兼業が可能になってくるというようなこととか、あるいは稲作などの場合には、その稲作の経営が機械化によりまして非常に省力化をしている、余り時間がかからないで経営ができるようになってきているというようなこともあります。が、同時に、最近の農家の状況を見てまいりますと、いわゆる跡取りのいない高齢農家が漸次出てきております。こういった農家は、いずれ農業から離れていくようになると思います。また、農業への依存度が第二種兼業農家の場合、非常に少なくなってきておりまして、農業用機械の買いかえなどをする際には、そういった機械の買いかえにまで進まないような農家も出てきている状況でございます。 さらには、農地を借りる農家がかなり経営規模を拡大いたしましてコストを下げてきておりまして、そういうことから小作料をある程度支払うような力がついてきております。こういったようなことから農地の流動化が進む要因も他方またある、こういうのも事実かと思います。私どもといたしましてはこういう実態に即しまして、さらに一層流動化が進むように努力をしてまいりたいと考える次第でございます。
○塩出啓典君 農政調査委員会理事長の大和田さんという人が書いた雑誌の記事ですけれども、それにはこのように言っています。いわゆる生産規模の拡大というものは、上の方で熱意があっても、結局農村、下へいくほどその熱意が冷めてくる。それはやはり規模拡大、専業的農家育成論は集落の日本人になじまない。やっぱり集落というのは昔からお互いに助け合ってやってきた。そういうものが日本の長い伝統であるし、そういう中に専業農家を育成して規模を拡大するということは、一方は規模が減っていくわけですから、そういうものがやはりあって、国の論理というものと村の論理が非常に違うと、そういうことをこれは書いているわけですね。私も百姓の息子でございますので、そういう気持ちがわかるような気がすると思うのですけれどもね。 そういう意味で、しかしやはり規模拡大は進めていかなければいけないわけでありますけれども、これはやはり集落の農業を全体として振興していく、そういう形の中でやっぱり結果的に規模の拡大が起きるわけであって、何か規模の拡大の方ばかりを表に出すのではなしに、むしろ集落の農家を全体として振興していくことが大事じゃないかというのですね。そういうようなことを書かれて、私はなかなかいいことを書いているなと思ったんですけれどもね。そういう点をどう考えるのか。 したがって、一番最初に質問いたしました各町村ごとにいろいろ相談をするということも、私はそういう意図もあって各町村で話し合いをして進めていこう、そういうような意図があるんじゃないかなと、このように思ったんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(井上喜一君) 確かに農業集落の場合には、その本にも触れられているとおりに、出るくいは打たれるといいますか、なかなか特定の人だけが抜きん出ようとします場合には難しい条件もございます。 現実に農地の流動化の状況を見ますと、その関係農家の話し合いによりまして特定の農家に利用権が設定されるようなケースもありますけれども、集落によりまして、みんなで話し合いをしまして、ある全体が一つの集団といたしまして農業経営をやっていくというような場合もございますし、あるいは利用権の設定という形じゃなしに、特定の人に作業を受委託をしていく。作業の受委託を通しまして、農作業をやっていくというようなケースもあるわけでございます。 したがいまして、私どもといたしましては集落それぞれ特徴があるわけでございますので、そういう特徴に合わせまして、そういう集落の実態、村の実態に合わせました土地の流動化対策あるいは後継者の育成対策、こういったものを考えていくべきじゃないか。こういう考えのもとに、先ほどの地域農業整備総合対策等についても考えたわけでございます。
○塩出啓典君 ぜひそういう実態を踏まえて、私も余り詳しくわかりませんけれども、今日までの農政の、何か上から押しつけるようなそういうような面は、非常にうまくいかないんじゃないか。そういう意味で、やっぱり農村の実態を踏まえて、彼らのやはりエネルギーというか要望というか、そういうものをうまく使って農村の構造改善を進めていくという、そういう方向で御努力をしていただきたいと思います。 そこで次に、これは農水大臣も「補助から融資へとの観点を踏まえ、」云々と、こういうことで、今回、金融三法もいろいろ改正があるわけでありますが、今までやっぱり日本の農業においてむしろ補助を融資に切りかえるべきだという意見もあるわけであります。先般私たちも広島へ参りまして、いろいろな御意見、御要望をお聞きしたときに、やっぱり補助金があるからやるという、そういうような安易な考えでやった人は成功しない。本当に自分がこれをやりたいという人が補助金を使った場合は成功しているという、そういうようなお話があったわけですけれども、そういう意味で農水省としては、この「補助から融資へ」と、どちらかといえば補助事業はできるだけ廃止をして融資事業に切りかえていくという、そういう方向をお考えになっておるのか。その点はどうなんでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 我が国の農業の状況からいいまして、やはり補助金にある程度依存せざるを得ない面はあるわけでございますけれども、ただいま先生からも御指摘ありましたように、何といいましても関係農民のエネルギーなり創意工夫、こういうものをくみ上げていって初めて農業の前進もあり得るわけでございますので、そういう観点から申しますと、こういう厳しい状況の中でもございますので、補助金から融資へという切 りかえの中で農業の活性化というものに努めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
○塩出啓典君 資料を見ますと、補助金も、これは国全体の行政改革路線をとったわけでしょうけれども、昭和五十八年、五十九年、六十年と、昭和五十八年は五百六十二件の二兆四百三億、五十九年は五百四十九件の一兆九千二百四十八億、六十年はさらに五百十八件の一兆八千四百三十一億と、こういうように年々減っておるわけですが、それではこの補助を削って融資ということをやれば、当然融資には利子補給をしていかなければいけないと思うわけですけれども、じゃその減った分やっぱり利子補給というのは、これはデータはないんですか。農水省で利子補給の金額は年々どうなっておるか。その点はどうなんですか。
○政府委員(田中宏尚君) 先生御指摘のとおり、補助金につきましては前年に比べましてトータルで八百十八億ほど減じておるわけでございますけれども、一般金融関係予算として我々の集計いたしましたやつで見てみますと、前年に比べまして八十九億円逆にふえておりまして、トータルで金融関係予算としてくくられるもので千八百九十五億円という形になっておりまして、国費ベースで見ましても、補助金から融資へということの流れがはっきりしていようかと思っております。
○塩出啓典君 じゃ、補助金は八百億減っておるわけですけれども、融資の分はふえたのは八十億、利子補給は八十億しかふえてないわけですね。
○政府委員(田中宏尚君) 利子補給の場合には、一般の補助金のように二分の一補助でございますとか三分の一補助でございますとか、こういうものに比べまして単年で安く上がるというと妙でございますけれども、経費的に少なくて済むということに加えまして、切りかえた当初には初年度の経費だけでございます。あるいは年度途中から貸し付けするということで、見かけ上は少なくなっておりますけれども、全体の事業量、ボリュームとしましては、金融関係での助成事業というものがかなり膨らむ形に相なっておるわけでございます。
○塩出啓典君 そういう点は実態に即して、余り急激な変化はまずい場合もあるでしょうし、また、農民の意欲をやはり育てる方向でひとつ転換を目指していってもらいたい。このことを要望しておきます。 それから、ことしの予算は全体的には減っておるわけでありますが、その中で研究普及、それから金融とか林野その他、こういうところが前回からふえているわけでありますが、研究普及の予算は昨年は八百八十二億から八百九十三億とわずかではありますけれどもふえておるわけであります。これは新しい時代を迎えて農業の技術をレベルアップしなければならない、こういう点にあると思うのでございますが、特に研究の方向としてはどういう方向を目指しておるのか、これをお伺いをいたします。
○政府委員(田中宏尚君) 研究普及の中で特に力を入れておりますのは、バイオテクノロジーでございますとか、こういう先端的な技術、こういうものを何とか第一次産業にも取り入れませんと、限られた資源の中で飛躍的に生産力を増強するなり、あるいは流通なり加工段階での新しい技術というものが必要でございますので、いろいろな研究普及につきましても力を入れておりますが、来年度予算におきましては特にバイテク等の先端技術関係の予算につきまして意を用いたつもりでございます。
○塩出啓典君 特に私は要望しておきたいことは、最近非常に健康志向というか、やはり食品の安全性、そういうものの要望が強いと思うんですね。そういう意味では、有機農法とか、あるいは緑健農法とかいろいろなそういう農法があるわけでありますが、やはり私はこういうつくり方をすればビタミンはどうだとか、ただ生産性も大事だけれども、そういう健康という面からいろいろ農法との関係あるいは肥料との関係とか、そういうようなものを当然やっていかなければいけないと思う。そういう点はどうなんでしょうか。きょうは時間がないですけれども、次にお聞きしたいのですけれども、大体の線をひとつお伺いしたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) そういう方向がこれからの新しい経営なり農業として必要でございまして、そういう方向につきましては、国から画一的にこれをやれ、あれをやれという話ではございませんで、先ほど先生から再三御指摘ありますように、何といいましても末端の工夫なりエネルギー、こういうものでどうやってそういう新しい農法なりに取り組んでいくかということでございますので、先ほど来構造改善局長の方からも説明ありましたいろいろ地域の話し合いの経費というものを助成しておりますので、そういう中でそれぞれの知恵比べということをやっていただきたいということで、そういうものについての側面からの応援というものを続けてまいりたいと思っております。
○塩出啓典君 それでは次に、米の消費が年々下がってきておるわけでありますが、政府は毎年健康で豊かな食生活の定着ということでいろいろ努力をされておるわけです。私は予算委員会でも一度質問したことがあったんですが、アメリカ等ではむしろ健康食品ということで、アメリカの場合は心臓病が非常に多い。その原因は砂糖と肉の食い過ぎである、そういう点から非常にすしというものが見直されておるわけでありますが、先般も当委員会におきまして、これは果樹振興法の参考人の、最近はテレビの影響で子供が非常におかしを食う、そういうことで果物の消費が減っておる、そういう点から私たちも子供の健康、日本の国民の体力をつけるというような点からも、やはり米の消費拡大、さらには果物の拡大に努力をしなければいけないと思うのでありますが、政府としては今までは余り成果が上がってないわけですけれども、特にこれからこうしたいという、新食糧庁長官になってからの何か御意見はありますか、お考えを承りたいと思います。
○政府委員(石川弘君) 御指摘のように、大変日本型の食生活というものが日本人の健康にプラスに働いているというようなことがいろんな面で言われておりまして、御承知のように、一人当たりの米の消費量につきましては減退をしてきたわけでございますが、五十八年度の結果等を見ますと、まあ下げどまってきたと申しますか、下げる率が下がってきたということで大変期待をしているわけでございます。 御指摘のように、食べ物につきましては栄養価いろいろなことがあるわけでございますが、最近のいろいろな方々の御意見の中では、やはり健康という問題が大変比重の高いことになっておりますので、私ども米を中心にしましてたん白質にいたしましても、動物性たん白も畜産物とか魚あるいは植物性たん白もとる、あるいは豊富な野菜とかいろんなもので形づけられております今の食生活が、現在の日本の長寿なり、あるいは健康というものをつくっているということで、そういう面でのいろんな活動というものを今まで以上にやっていきたいと思っております。 具体的に申しますと、米の消費拡大の中ではやはり学校給食、幼い時分からの食生活をいわば形づくる時期でございますので、いろんな形での学校給食における米の利用ということ。御承知のように目的の回数まで実はいってないわけでこざいますが、今回いろんな形での合理化をします際にも、一定以上の回数をやっていただく方には従来どおりの助成をするとか、それから若干ささいなことではございますが、父兄が参観日等におきまして米の給食を一緒におあがりになるときはそういう部分も値引きの対象に入れるというようなきめ細かいこともいたしております。それから、従来からやっておりますような米についての正しい知識の普及啓発だとか、あるいは地域地域におきます消費拡大対策、それから米を使いました新しい食品の開発というようなものにつきましても助成をいたすことにいたしておりまして、御指摘の ような観点に立ちまして米の消費が一定水準で、何と申しますか、かつて麦が伸びてきておりましたけれども、麦は一応三十一キロ前後でとまっておりますけれども、これで米が下げどまるような形になりますと、消費者の健康の面ということではなくて、農業政策上も大変望ましいと思っておりますので努力をしていきたいと思っております。
○塩出啓典君 先般、東海大学の先生の発表によりますと、非常に最近の子供の食生活が洋風化していくために大変コレステロールが高い、そういう意味でこれから五年先、十年先を非常に心配をしている、そういう記事がございましたが、そういう点からひとつもっと農水省も遠慮しないで力を入れていただきたいことを要望しておきます。 それから、次に木材の問題でございますが、先ほども米国からの関税の引き下げの問題ですね、こういうお話がありましたが、農水大臣のお話の中にも来るべき国産材の時代、そういう言葉があるわけでありますが、これはやはり国産材の時代は間違いなく来るでしょうか。どういう意味で国産材の時代が来るのか。 それともう一つは、やっぱりアメリカの関税の引き下げというものは、これはもし引き下げた場合には日本の林業にどの程度の影響があるのか、そういう点はどうなんでしょうか、簡単で結構なんですけれども。
○政府委員(田中恒寿君) 我が国は、戦後営々として造林をいたしました一千万ヘクタールの人工造林地がございますが、これがもうほとんど九割が三十五年生以下という壮齢、若齢でございます。したがいまして、これが二十一世紀を迎えますあと十年、十五年たちますと、現在でも相当な間伐生産量は出し得る態勢にあるわけでございますが、主伐に入ってまいりますので、成長度合いからいたしますと、それだけの七千万立方とか八千万立方くらいの生産量を出す力は持ってくるわけでございます。それが市場性を持って世の中にしっかり流れるかどうかということが、これは手をこまねいておればそうならない。今でも外材の方が市場性、商品性においては大変まさって、価格形成力もありますので、これに負けないような基盤整備、力をつけることが大事であるということから、山の方につきましては林道、作業道を整備する、機械を開発、改良する、担い手を確保するというふうなこと。それからあと市場とか流通経路も整備しまして、なるべく簡単な短絡したコースで最終需要にいくようなこと、あるいは新製品の開発、そういう努力をいたしまして国産材時代たらしめなければならない。黙っていて来るとは決して考えておらないわけでございます。 それから、関税につきましては、現在では木材関係はほとんど自由化をされておるわけでございます。製材の一部と合板についてでありますけれども、さらに合板につきましての関税を下げたりなどいたしますと、アメリカよりも、むしろまたインドネシア製品等が大変な競争力を持って入ってまいります。そうしますと、日本の製材、板の方の分野をどんどん食ってしまうということから、大変な影響を及ぼすであろうと思いますが、定量的にどういうふうな影響ということについてまではまだ詰め切ってございません。合板の工場に対しましては、これは壊滅的な打撃ではないかと思っております。
○塩出啓典君 もう時間がございませんので要望しておきます。 政府は昨年特定保安林制度をつくっておるわけでありますが、今年度の予算の中にも水源林の整備推進体制の強化、こういうことで、山が荒れるということは、やっぱり下流にとっても非常に大変なことでありまして、これは山林のみならず山林の所有者だけでなく、国民全体の損失になるかと思います。そういう意味で、山林の整備は場合によっては下流の水道を使っているそういう人も負担すべきである、こういうふうな意見もあるわけですが、私もそういう点も考えていかなければいけないのじゃないかと思っておりますが、そういう点も含めてひとつ、特にことしは「国際森林年」でもございますし、林業政策には国家百年の大計の上から力を入れてもらいたい、このことを要望いたしまして、大臣の御決意だけ聞いて質問を終わります。
○国務大臣(佐藤守良君) 先ほど塩出先生から大変いろいろ貴重な御意見を聞かしていただきましたですが、特に林業、木材につきましてはもうおっしゃるとおりでございまして、私はことし「国際森林年」という年は本当に総合的にやはり林業対策の一番節目じゃないか、こんなことを思っていまして、先生の御指摘等も踏まえまして、最善を尽くしたいと思っております。
○田渕哲也君 農林水産関係予算に対する説明によりますと、農林水産関係予算は対前年度比で四・六%減、極めて大幅な削減であります。そして、この傾向は近年連続して続いておるわけでありますけれども、これからの見通しはどうですか。財政事情はまだまだ厳しい状態が続くわけですけれども、このように農林水産関係予算の削減という状態は今後も続くのかどうか、まず見通しをお伺いしたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) これからの見通しにつきましては、国全体の予算規模というものがどういうふうに動いていくかということが前提になりますので、なかなか農林水産省予算単独の見通しはできないわけでございますけれども、我々といたしましては、何とか必要なものは確保するという立場で今後とも予算編成には立ち臨んでまいりたいというふうに考えております。
○田渕哲也君 当然、担当部署とすれば必要な予算は確保するという努力はされるでしょうけれども、見通しとすれば、私はかなり厳しい状態が続くと思うんです。 そこで、やはり私は財政と農政とのかかわり合いというものの発想を変えていかなくてはならないのではないかと思うわけであります。 まず第一は、やっぱり効率的、効果の上がるような使い方をする。それから、現在でも五百以上の件数の補助金があるわけですけれども、もう少し重点的に使うことが必要ではないか。それからもう一つは、先ほどもお話に出ておりましたけれども、補助から融資への切りかえ、こういうことを総合的にやって、たとえ財源が減っても日本の農業の向上のためにはもっと効果が上がるというふうにすべきではないか、このように思うわけであります。営農集団育成事業等について、この補助金の使途等が適当でない、こういうことで会計検査院から指摘をされ、この補助金をカットするというようなこともされておるわけであります。ほかに国営かんがい排水事業、さらにその附帯事業についても効果的な使われ方をしていないという指摘がされております。それからまた、行政監察局の指摘によりましても、周辺水域における漁業振興のための補助事業で整備された施設の四分の一が遊休施設になっておる、こういうことも指摘されておりますが、今後もっと適切に効果的に、効果が上がるように使うという面でどういう対応をされるのか、まずお伺いをしたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 御指摘ありました会計検査院でございますとか行監の指摘がございましたことは、本当にこういう厳しい中で予算を執行しております我々といたしましてはまことに残念でございまして、この場をかりましておわび申し上げたいと思います。 いずれにつきましても、それぞれに対応いたしまして、今、先生からもお話ありましたように、集団育成事業につきましては五十九年度限りでやめる、それから五十九年度の執行につきましても万全を期すということでいろんな指導を行いましたし、それから国営かんがい排水事業等につきましては、せっかく多額の国費を投じていながら効果の発現というものがちぐはぐになっているという指摘でございますので、何とかいろんな手だてを講じまして、効果が十全な形で早期に出ますような予算配分等に努めているわけでございます。それから漁港等の問題につきましても、計画の随時見直しというようなことを通じまして、せっかく計上いたしました予算のより以上の適正な執行 というものについて、今後とも全力を傾注したいというふうに考えております。
○田渕哲也君 今挙げました三つの例は、たまたま会計検査院とか行政監察局の指摘によるものでありますけれども、ほかにもこのようなものがあるのかどうか、農林水産省としては把握しておられますか。
○政府委員(田中宏尚君) 会計検査院や行監で指摘された以外に、こういうことはないと我々は信じております。
○田渕哲也君 やはり五百以上のたくさんの補助金があるわけですから、これは一つ一つ洗っていけばそれなりに問題のあるものもあると思うんです。会計検査院や行監局から指摘されるまでもなく、まず農水省自体がそういうものを見直し、そして同じ金額の金を使うにしても、より効果の上がる方法を考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(田中宏尚君) 先生御指摘のとおりでございまして、例えば補助件数につきましても先ほど五百十八件というのはまだ多いというお説もございましたけれども、これも五十六年には一千百二十六件というものがございましたものを総見直しをここ数年やってまいりまして、六十年にはその約半分まで整理したということでございまして、残っている補助金のより一層の効率的な執行というものには努めていく所存でございます。
○田渕哲也君 補助金の数が多いということは、それなりの必要性があってできたものとは思いますけれども、やはり多くの面で政府の介入を受けるということとつながっていくわけでありまして、これがいわゆる農業の自主性を損なう。だから、融資への切りかえということも言われておるわけです。補助から融資へという流れ、考え方は、先ほども御説明の中にあったわけでありますけれども、しかし、それなら実際に本年度予算が融資制度の充実が図られておるのかというと、これは若干問題があると思います。まず融資枠全体が減っておりますね。それから低利融資の三・五%資金の適用の枠というものも減っております。これは、こういう考え方からすればむしろ逆行しておるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 今回の農林漁業関係の政府資金の改正と申しますか見直しにつきましては、私どもまず第一に、農林漁業をめぐります諸情勢の変化に対応しまして、足腰の強い農林水産業の育成のために、さらに農林漁業投資を積極的に推進していく必要があるということと、第二には、また財政の効率的な運用等を図りますために、効率的な助成手段の確立が要請をされているというこの二つの視点を踏まえまして、各資金制度の特性に応じまして資金種類の拡充等を内容とした改善を図っているものでございます。 無利子資金でございます農業改良資金制度の再編拡充でありますとか、近代化資金の貸付限度額のアップあるいは公庫資金の貸付対象の拡大等各種の内容の充実を行いますとともに、構造政策の推進の方向に即した重点化を図っているものでございます。 融資枠のお話がございましたが、近代化資金については前年度並みの枠を確保いたしておりますし、公庫資金につきましては、御案内のとおり、近年貸し付けの実績が停滞をしておりまして、そういう中で資金ごとに必要なものは十分確保しながら、実態に見合った融資枠の確保をいたしたということでございます。無利子資金の改良資金につきましては、新しい種目も入りまして融資枠も拡充をされたわけでございます。 先ほど官房長からお話ございましたように、利子補給等の予算も増加をしているということであろうと思っております。三分五厘資金の重点貸し付けというようなことは確かに図っておりますが、真剣に農林漁業の振興に取り組む者への円滑な資金の供給ということには私ども十分配慮いたしたつもりでございますので、全体として補助から融資への方向なり、あるいは農林水産施策の推進方向に即した内容になっているものというふうに考えております。
○田渕哲也君 農水関係の予算が減ったとか補助金が減ったといいましても、農水関係予算は三兆三千億円に上りますし、補助金も二兆円規模の補助金ということになっておるわけです。ただ、この効果がどれだけ上がっておるかということになると非常に疑問があるわけであります。特に、日本の農業の欠点というか弱点とされます土地利用型農業の構造改善が進んでいない。これも土地の流動化ということが不足しておるということも指摘されておりますけれども、私は、補助金とかそういうものをつけるだけではだめで、こういう抜本的な政策を進めるためには、総合的な政策がみんなそういう方向でマッチしていないといかぬ。 ところが、例えば減反政策というものは、むしろそれに逆行するような格好になっておりますし、それから現在の食管制度に基づく米の価格支持というものも非常に硬直的であって、むしろ流動化促進を阻害する要因になっておるのではないか、こういう総合政策という面で問題があると思いますが、いかがですか。
○政府委員(石川弘君) 食管のあり方でございますが、御承知のように、今の食管制度の中で生産者にとっては再生産を確保する、消費者にとっては、いわば家計内で家計の安定を旨として定めるという二つの原則で運用しておるわけでございますが、これがまあ何と申しますか、米の生産なり消費なりに対してむしろ硬直的に働いて改善をおくらしているんではないかという御指摘ではなかろうかと思います。 まず、生産者の価格につきましては、御承知のように、これは水準で申しますと、かなりこのところ大きな水準で動かしておりませんで、むしろ再生産の確保という観点でございますと、小規模の方がおやりになってはなかなか難しい、むしろ大規模化を促進していただくというような形でやっているつもりではございます。 それから、消費者の価格につきましては、御承知のように逆ざやの解消というような一方の要請もございまして、家計が比較的安定しているものでございますから、逆ざやを解消しまして、ほぼ逆ざやを解消するというふうにしているわけでございますが、私は、片一方で御指摘のようなもう少し弾力化をしてもいいではないかという御要請は多分あると思います。 そういう面で、例えば生産者のサイドにつきましては、自主流通というような形でのいわば弾力性を持った運用もやっております。それから消費者の問題につきましては、集荷なり販売というような面でいろんな競争原理の導入ということは必要だと思いますけれども、やはり基本にありますところの再生産確保と価格の安定という面では、それなりの機能を果たしていると思っております。
○田渕哲也君 それぞれの説明については理由があるわけでよく理解できるのですけれども、問題は、例えば構造改善の問題にしても、構造改善のための予算というのはかなり長年にわたってたくさんの予算を使っておる。ところが実際に、じゃ土地利用型農業の構造改善が進んでいるかというと、遅々として進まない。それはそれなりに理由はあります。これはこういう理由でなかなか進まないんだということをいつも説明されるわけでありますけれども、それで果たしていいのか。それなら幾らお金を使っても効果がなければ仕方がないじゃないかということになると思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(井上喜一君) 土地利用型農業の規模拡大というのは私どもの至上命令でございますけれども、この規模拡大がなかなか難しい状況にあることは御案内のとおりでございます。しかし、こういう現実があるからということで、これをこのまま放置いたしますと、これまた今私、現状とは違ったものになっているんじゃないかと思うわけでございますが、特に流動化対策を進めます場合の前提といたしましては、農業の基盤が十分整備をされているということが必要かと思います。圃場が整備され大型機械が入るような、そういう ような状態に水田の状況がなっているというような状況も必要でございましょうし、またそういうところで上物等につきまして集中的な後押しをいたしまして、規模の大きい農家をつくっていくということも必要でございまして、農業構造改善事業等はそういった性格の事業だと思います。個々にこういったかなり規模の大きい今農家が出てきていることは実態でございますけれども、それがまだ全国的な規模にまで大きくなってきてないと、こういった問題があろうかと思います。 いろいろな難しい問題もございますけれども、私どもといたしましては、地域の実態に即しまして、さらに土地利用型の農業の規模拡大のために努力をしてまいりたいと考える次第でございます。
○田渕哲也君 私は、基盤整備事業にしてもそれがそれほど、それなりに効果を上げていないというのはやっぱり投資効率が非常に悪い。悪いというのは、規模の拡大が進まないから投資効率が悪くなっているわけで、だから基盤整備とか、そういうことだけで構造改善が進むものではないと思うんですね。やっぱり他のすべての価格政策とか、あるいはいろいろな他のすべての政策がそういう方向にマッチしなければ、基盤整備だけで構造改善が進むわけがない。だから、基盤整備のお金をたくさん吸い込んだものが、それほど効果を上げ得ないということになるのではないかと思うんです。そういう点の問題をやっぱりきちんと整理をして考え直さないと、限られた農業予算の中でなかなか効果は上がっていかないんじゃないかという気がしますが、どうでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 御指摘のとおり、規模拡大を進めますためには単に構造政策だけじゃございませんで、価格でございますとか、いろいろな施策がそれぞれ整合性を持ちまして総体としてその効果を発揮するという中で規模拡大が進んでいくわけでございます。したがいまして、我々といたしましても、それぞれの政策について、そういう方向に機能しているかどうかということにつきましては点検、検証というものを怠りないようにやってまいりたいと思っております。
○田渕哲也君 それから、米の利用の多角化といいますか、他用途化といいますか、既に他用途米と言われる加工米、あるいは最近は純米酒ということで酒用あるいはえさ米、そういうこともいろいろ検討されておるわけでありますけれども、これについてどういう方針を持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 他用途米の生産につきましては、水田の持っております高い生産力、これを有効ならしめるということと、それから他用途米でございましても、作付規模の拡大ということで稲作そのもののコストを低減できるというメリットがございますので、今御指摘ありました加工原料用米につきまして他用途米制度といいますか、仕組みをスタートさしているわけでございます。 今後の方向といたしましては、いろいろ他用途利用米の範囲に含めたらどうかという御議論が出てきておりますけれども、現実を見ておりますと、いろいろ価格の関係なり、あるいは代替材との兼ね合い、そういうものが非常に難しゅうございますし、それから現在でも多額の国庫助成というもので加工原料用米自体が初めて成り立っているわけでございますけれども、その他のものにつきましてはさらに多くの財政負担を必要とするというような問題もございますので、これ以上の他用途利用米の範囲の拡大につきましては、こういう問題点を頭の中に置きながら、中長期的な視点に立ちまして今後の問題としての検討課題ということかと心得ております。
○田渕哲也君 それから、今年度の予算はバイオテクノロジーの関係に非常に重点を置かれたということでありまして、私はこれは非常に重要なことだと思います。しかし、このバイオテクノロジー関係は他の省庁でもいろいろ考え研究し、また予算もついておるわけでありまして、例えば厚生省あるいは科学技術庁、通産省それぞれ予算をつけ、またこの中の目玉と言われるジーンバンクについても、それぞれ予算をつけて設立をされるという計画があるわけです。 私は、これは余り各省庁がそれぞれ勝手にやると、重複してむだな予算の使い方になるのではないかという疑問があるわけですけれども、この点はいかがですか。
○政府委員(櫛渕欽也君) バイオテクノロジーの研究開発におきます他省庁との重複の問題でございますけれども、農林水産省におきますバイオテクノロジーの研究の方策は、農林水産業あるいは食品産業あるいはその関連産業、例えば農薬でありますとか生物農薬のような関連産業の分野におきます研究開発の推進を図っているわけでございまして、他省庁が行っております研究開発とは重複しないものと考えておりますけれども、こういった点につきまして、今後一層全体的な研究効率を高める観点から、関係の省庁とは密接な連携をとりながら進めたいと考えているわけでございます。 ただいまお話しのありましたジーンバンクの関連でございますけれども、若干内容に触れますと、例えば科学技術庁のジーンバンクと申しますのは、ライフサイエンスの研究に必要な研究材料としての標準的な細胞や遺伝子を保存するということになっております。厚生省のリサーチ・リソース・バンクと申しますのは、人の特定の疾病であります、特にがんの細胞、がんが中心ですけれども、こういったものの予防とか診断あるいは治療あるいは医薬品の開発、こういうことに必要な特殊なそういった細胞の保存というようなことでございまして、各省のジーンバンクにはそれぞれの省の目的に従って、ジーンバンク全体として充実させる必要があるわけですけれども、その辺の重複が極力ないような調整をといいますか、連携をとってまいりたいと考えております。
○田渕哲也君 各省庁で目的が違うというのはこれは当然だと思いますけれども、しかし、新しい研究とかジーンバンクとか、そういう意味ではかなり共通部分というのができるのではないかと思いますね。ややもすれば縦割り行政で、そういうものを全く別々に関連なしに進めるということが多いわけですけれども、これは十分連携をとって効果的にやってもらうことが大事ではないかと思います。 それから、農林水産業の情報システムの整備ということも言われておりますけれども、これはどのような投資を今後行うのか、概略お伺いをしたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 情報システムの整備関係といたしましては、当面来年、六十年度の対策として考えておりますことは、農業技術情報ネットワークシステムの開発、それから食品流通販売情報システムの整備、それからさらには水産関係で、人工衛星を利用しました漁況なり海況の情報の提供システム、こういう農林漁業なり、あるいは農林関係の流通加工、こういうところに密接に関連いたします情報システムについての主に開発系統について、ある程度のそういう予算要求というものをさせていただいているわけでございます。
○田渕哲也君 この情報網の整備ということでは郵政省ではテレトピアの構想、それから通産省ではニューメディアコミュニティーの構想等があるわけです。これらとのかかわり合いとか分野というのはどうなりますか。
○政府委員(田中宏尚君) うちの場合は、ただいまの、例えば食品流通販売情報システム、こういうものもうちの系列の市場でございますとか、こういう閉鎖的な局面での情報ネットワークなわけでございまして、一般的な最近のやつとはそう競合しない点がございますけれども、仮にそういうことが出て、縦割り行政というような弊が出ますことは一番困ることでございますので、そういう局面につきましては、関係省とも十分連携をとりながら円滑にこなしていきたいというふうに考えております。
○田渕哲也君 次に、林業政策についてお伺いをしたいと思いますが、本年は「国際森林年」であり、大臣も所信の中で森林政策の重要性を述べておられるわけであります。 我が国の森林、林業の現状、問題点、その打開策についてまずお伺いをしたいと思います。
○政府委員(田中恒寿君) 我が国の林業一般についてでございますが、五十五年を境といたしまして非常なかつてない深刻な不況にあるわけでございます。 林産業の不況は、木造建築の衰退に象徴されます需要の減退であります。それから、価格の低迷等によりまして林産業が異常な不況にある。それがひいては川上、山元の林業経営の経費の増高もございますけれども、経営意欲の甚だしい減退を招いておる。必要な再造林とか間伐などにつきましても、ほとんど手がつかないというふうな非常に危機的な様相に現在あるわけでございますが、そういう現実から脱却をいたしまして、やはり二十一世紀をにらんだ国産材時代を現実のものにするために諸般の施策を講じなければならないということで、基盤の整備、主産地の形成、その他需要の拡大を中心といたしまして、各般の施策を展開をしてまいりたいと考えているところでございます。
○田渕哲也君 経済同友会が過日、「二十一世紀に架ける緑のニュースキーム」という副題で、主題は日本の森林、林業の総合政策を求めて、こういう提言をやっております。この考え方の中で、特に注目すべき点は、森林を単に木材を生産するフローの視点からだけではなくて、緑の自然資源として、また林産物はもとより水資源、環境など多様なニーズに応じられる国民共有の財産というストックの立場を重視すべきだ、こういうことを言っておりますけれども、私はこういう考え方というのは非常に重要ではないかと思います。ややもすると、今までは木材生産という点に重点を置き過ぎているんじゃないかと思いますが、この点はいかがですか。
○政府委員(田中恒寿君) お話しのように、三十年代、四十年代にかけましては木材が大変な不足資源でございまして、価格的にも常に独歩高というふうな大変な需給のタイトなことが続いておりましたので、木材生産を非常な林業の使命としてやってきたことは確かでございますけれども、今日森林の持つそういう木材生産以外の広い効用につきまして大変認識され、それの発揮が期待されておるという認識を私どもも持っているわけでございます。 したがいまして、そういうことにこたえますためには、適正な森林施業が行われまして、健全な森林が常に再構築されていくということが大事であると思いますし、その適正な森林施業と申しますのは、例えば複層林でありますとか混交林でありますとか、天然林の活力を十分に生かした広いいろいろな効用が期待される施業、これをやはり考えながら施業をしていかなければならないということでございまして、同友会のここの提言のくだりにつきましては、私どもも賛成をしておるところでございます。
○田渕哲也君 例えば国有林野事業についても多額の累積債務を抱えておるわけですが、これもただ単に収支のつじつま合わせでなくて、幅広い面から森林の機能というものを保全する、そういう役割をもっと評価する必要がある。また、国政上においても、林政の位置づけをそういった面から明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。 例えば、これから国産材時代が来ると言われますけれども、あと十年余りすると国産材が伐期を迎えてくる。そうすれば、その木材生産の費用でうまく収支が合って森林保全もうまくできるのかどうか、これも非常に疑問があるわけです。やはり木材の価格とか、あるいは外国材との競争力とか、あるいは木材の全体の需要とか、こういう面から見て、それだけで果たして森林行政がうまくいくだけの収支というものが償うのかどうか疑問がありますが、この点はいかがですか。
○政府委員(田中恒寿君) 国有林は立地条件からいたしまして大変保安林が多い、あるいは公園地帯が多いとか、非常に公益性の高い賦存状態になっておるわけでございます。そういうことから、現在、臨調、林政審議会の答申を経ましたところの経営改善に鋭意進んでおるわけでございますが、そういう中にありまして今日の木材価格の事情からいたしますと、大変財務事情も苦しい状態になっていることは確かでございます。 そうは申しましても、そのために公益性の高い事業がおろそかになってはならないということから、治山事業等は全額一般会計で負担をいたしておりますし、保安林の造林等につきましても一般会計の導入が行われているわけでございます。そのような財政措置の充実、言うまでもなく自主的な経営改善の努力とをあわせまして、さらには一般林政施策が充実いたしまして、林業、林産業をめぐる環境の好転というものを期待しておるわけでございますけれども、なかなか御案内のように林業関係の環境は好転をいたしておりませんが、私どもといたしましては、やはり国有林七百六十万ヘクタールの持っております木材生産以外の大きな力もいろいろあるわけでありますので、レクリエーション利用でありますとか林業利用以外の活用でございますとか、広い潜在的なそういう力も活用して、自主的努力の一環といたしまして、その持てる総合力をやはり十分に尽くしていきたい。 なお、そういう自主的努力と必要な財政措置なり一般林政の充実につきましては、これらの効果も期待さしていただきまして経営の改善に努めてまいりたいと考えております。
○田渕哲也君 具体的には、先ほどお話も出ておりましたけれども、水資源の受益者負担、それからアメリカの例に見られるような自然公園の利用税、こういう受益者負担を何らかの形で実現をすべきではないかと思います。最近の新聞記事では、建設省ではダム建設や河川改修のための財源として水資源利用税として上水道、工業用水の使用料に上乗せをする、あるいは電力会社の流水占用料の引き上げをやる、さらには農業用水の利用者にも何らかの負担を求める、こういうことを検討しておるということが報ぜられております。これは建設省のダム建設等だけに使われるのはおかしいわけでありまして、当然そのもととなる水資源涵養のための森林の育成保全の役割にもこういう財源は使われるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(田中恒寿君) いろいろ上流の森林を適正に整備するためには国あるいは地方公共団体、森林所有者、受益者、国民の皆さん等々、一体となってそれに当たっていただくことが大変重要であろうと考えております。 現在までも、小さな流域につきましてそのような受益者が上流の森林管理を負担する例を全国各地に見ておるところでございますけれども、本年はそれをさらに進めまして、拡大する場合にはどのような問題点があるか、どのような仕組みでそれが可能であるか等を内外の有識者によりまして検討をすることにいたしておりますけれども、ただいまのお話につきましては私ども林野庁におきましても事務方、建設省の事務方とはいろいろと意見交換、連絡もいたしておるところでございます。今日までに流水占用料あるいは発電施設税等の類似の税もあるわけでございますけれども、私どもそういうものとの整合性も検討しながら、関係する建設省との事務的な打ち合わせは行っておるところでございます。
○田渕哲也君 次に、食管制度について若干質問をしたいと思いますが、先般山形県の穀物販売業者がやみ米を売買したということで問題になっております。食管外流通米は大体百万トンないし百数十万トンと言われておりますけれども、実態はいかがですか。
○政府委員(石川弘君) よく百万トン前後のそういうものがあるというお話があるわけでございますけれども、私どもが不正規流通と考えておりますのは、御承知のように、五十六年改定におきまして販売あるいは集荷というのを業とする者について、それは農林水産大臣の指定なり都道府県知事の許可を受けてやれということになっております。前のように、農家の方が例えば自分の規戚にお米を送るというようなことは、今の法律上の建前から言いますと違法行為になっておりませんので、今おっしゃいましたような数字の内側に、私どもの調査ではやはり五十万トン前後のいわば縁故米とかそういうものがあると思いますので、そういうおっしゃいました数字の内側の数字だと思いますが、名のとおりやみということでございまして、私どもは何トンという形で把握はいたしておりません。
○田渕哲也君 いずれにしても、このやみ米というもの、大体統制すればやみができるというのはこれは自然の法則でありまして、むしろやみ米があるがために米の流通が潤滑にいっておるんだという見方もされるわけであります。やっぱり需要者の欲しいところに欲しい物が行くという役割を果たしておるということも言われておるわけでありますけれども、今の米の流通問題、特に米販売業の許可制とか、あるいは小売業者と卸売業者の結びつきの固定化とか、こういうことが果たして必要なのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(石川弘君) 御承知のように、改正前の食管法につきましては、業として行うという以前に、物理的に米を動かすこと自身を統制をいたしておりました。しかし、私どもはそういうような形でのコントロールは既に必要がないと考えまして、反復継続しまして業として行います場合には、適正な商活動をやっていただきたいという面での指定制と許可制をやっているわけでございます。これにつきましては、問題は許可制そのものが問題なのか、あるいは許可制の運用という問題かということでございまして、例えば許可制を全くなくしまして全く自由にするという大前提をとりますと、お米についてどのような商行為をしてもそれは別に問題はない。例えば不足します際に、極端に値段を上げるような行為をやりましてもそれも問題はない。それから需給が非常に緩和しました場合に、例えば自主流通なんという米は売り方と買い方の相談で値段を決めておりますから、例えば余っているからとうんと買いたたいて再生産確保ができなくてもそれもやむを得ぬ、そこまで割り切りませんと、実は許可制とか、あるいは指定制というものを外すというところまでは行けないと思っております。 前回の改正におきましては、物理的に米を動かすことまで抑えるという方法は適切ではないということで、業者が責任を持って商活動の中で流してもらいたいということで許可制あるいは指定制をとったわけでございますが、私どもはその後の変化を見ておりますと、御承知のような集荷の場合におきましては、これは圧倒的に農協集荷でございますが、商系の集荷との関係を見ましても、もう少し何と申しますか、活発な商活動をするためのいろいろな考え方はあるんではなかろうか。それから販売面につきましては、小売は先ほどちょっと申しました二割程度の新規参入がありましてかなり厳しい競争があるわけでございますが、卸は、大きいものもございますが非常に弱小な卸が相当ございましたので、これは新規参入という手法ではなくて、むしろ統合して力を強めようとしたわけでございますが、今御指摘の結びつきといったような点では、もう少し競争を働かせる余地があるんではないかということで集荷、販売、いずれにつきましても六月に一斉更新の時期を控えておりますので、私ども、指定制、許可制という今の法律の体系はこれは必要と考えておりますが、活動につきましては、より競争的な活動をするような方向で考えるべきではなかろうかと思っております。
○田渕哲也君 最近、レーガン大統領が新農業法案というのをアメリカの議会に提出いたしました。その中身は、価格支持制度の縮小あるいは農業に対する融資条件の改定、減反の廃止あるいは補助金の整理など、政府の介入を減らして市場原理による競争力強化をねらったものだというふうに言われております。 それと同時に、輸出を強化するために、輸出の融資というものを優遇する、あるいは農産物貿易障壁を除去しない国に対しては対抗措置をとるということを定めております。こういうアメリカの動きが日本の、我が国に与える影響をどう判断されますか。
○政府委員(後藤康夫君) 今、田渕先生からお話しのありましたような内容の八五年農業法案が議会に出されているわけでございます。これは一口で申せば、市場志向型農政への移行ということを通じましてアメリカの農業を活性化する、そして輸出競争力を回復すると同時に、農業関係の財政負担の削減を図るということをねらいにしているものでございます。この法案につきましては、米議会及び農業団体に相当強い反対の声がございまして、この法案の審議の成り行きは予断を許さないものがございます。 三月の十三日から上院の農業委員会で経済専門家の公聴会がございましたり、あるいはまた逆でございましたが、三月の七日から上院の農業委員会で農業団体関係の証言などがあっておりますけれども、何分にも保護水準の切り下げが非常に厳しいとか、大変な不況で苦しんでいる時期に農家をさらに苦境に追い込むというようなことで、アメリカのファームビューローといったレーガン政権の農業政策をこれまで支持してまいりましたアメリカ最大の農業団体も、内容が厳し過ぎるというようなことで反対の意見を述べているという状況でございます。しかしながら、こういった路線が、そのままではないにいたしましても、今後アメリカの農政の路線として取り入れていかれるというようなことになりますれば、やはりアメリカは国内農業が非常に厳しい不況下にあることもございまして、これまで以上に農産物の輸出、特に農産物貿易について、輸入障壁なり、あるいは輸出補助金といった要因を除去するために主要貿易相手国と交渉しろというような条項が入っておりますが、これは関係者の話によりますと、ECを頭に置いているというふうに言われておりますが、特にECとの競合などから世界市場のシェアが低下しております穀物等を中心に、やはり輸出志向を非常に強めてくるだろうというふうに考えております。 昨年の四月まで二年以上にわたりまして、日米間で非常に厳しい交渉のございましたオレンジでございますとか、あるいは牛肉というような面になりますと、オレンジの場合は余りアメリカの農業法による保護の影響というのを直接受けておる分野ではございませんし、牛肉というようなことになりますと、今度の穀物の支持価格水準の引き下げというようなものは肥育農家には経営的にプラスに働くというような要因もございますので、品目別に言えばやはり穀物が中心になり、穀物については比較的日本とアメリカとの間の関係は平和な状態にあるわけでございますが、国内的に農業を自由競争にさらしていくということになれば、全般的にやはり外に対しても輸出志向を強めてくるということは見込んでおかなければいけないだろうというふうに思っております。
○田渕哲也君 一言だけ、最後に大臣に。 私は、これもやっぱり農産物の自由化の方向、そういう方向の圧力が国際的に高まる一つの要因になると思うんです。だから、日本の農業政策もやはり国際的な競争力をできるだけつけていくという方向で努力をすべきだと思いますが、大臣の決意を聞いて終わりたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 御指摘のとおりでございまして、したがってきょうも、今、農林予算の特色の中に、足腰の強い生産性の高い農業をつくるということはそういうことでございまして、そういう方向で大いに努力したいと、こう思っております。
○委員長(北修二君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。 ─────────────
○委員長(北修二君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 次回は明三日午前十時開会とし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十六分散会