農林水産委員会 第4号
- 発言数
- 273 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/02/26
会議録
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 農林水産政策に関する調査のうち、昭和六十年度農林水産省関係の施策に関する件を議題といたします。 本件につきましては、前回既に説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○村沢牧君 大臣の所信表明を聞きましたが、率直に言って、農業を守り発展をさしていくという決意のほどはよくわかるわけでありますけれども、本年度の特に力点を置きたいという「生産性の高い、土台のしっかりした農林水産業を実現していく」、あるいはまた「活力あるむらづくり」、こういう項目は並べてありますけれども、予算や政策が伴っておらない、こう指摘をせざるを得ないわけであります。 農業基本法が制定されてから二十四年たちますけれども、農基法農政、さらには総合農政へと姿を変えてきましたが、同時に、農基法の精神から後退するような政策と現実が続いてきておるわけであります。そして、ことしの農林水産予算や諸制度改正の方向を見ると、さらに流れが大きく変わり始め、ますます農政が後退をする道を歩み出したと指摘せざるを得ないわけであります。 まず第一は、臨調路線によって、食管を初めとする農林予算の圧縮、年金制度あるいは農業災害補償制度、繭糸価格安定制度などの改正を行い、自然増要因の芽をつぶして、成果はともかく、農政に金をかけないことを一義とした臨調農政への転換である。 第二は、「八〇年代の農政の基本方向」以来、価格政策から構造政策へ転換を図ってきておりますけれども、しかし、その構造政策すら、第三次土地改良長期計画は三年目でわずかに一七%の進捗率にすぎない。しかもまた、この補助金まで一律カットの対象にして計画自体を無意味にしております。構造政策の推進を強調する農水省が構造政策の手抜きをする、これでは全くのノー政だ、農業がないノー政だ、こういうふうに指摘をいたすものであります。 第三番目は、農業災害補償制度や資金制度の改正に見られるように、小規模農家や兼業農家を農政の対象から軽視をしていく、あるいは外していくという、制度上もはっきりと選別政策を打ち出してきておるのであります。 私は、六十年度の農林予算、制度改正の方向から特徴的な三点を今提起いたしましたが、これでは財政優先の農業つぶしの農政と言わざるを得ません。大臣、日本の農政は臨調農政とも言うべき新たな転換の方向を踏み出した、こういうふうに私は思うんでありますが、大臣の見解と今後の農政の方向について伺いたいし、同時に大臣は、先ほども申しましたように、三点に力点を置いてことしの農業施策を進めていきたいというふうに言っているわけであります。私は三つの特徴点を挙げたわけでありますけれども、これらについての見解をお示しください。
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えしますが、質問が幾つかあると思います。 その一つは、予算面で大分大幅に減ったが、一体本当にこれから農林水産行政をやっていけるかどうかという問題が一点。その次には、いわゆる臨調農政とも言うべき転換期に来ていると思うが、私がこれからどういう考えでやっていこうと思うか。その次が、いわゆる価格政策から構造政策に重点を移したと言うがということで、今のままではなかなか土地改良長期計画は難しいんじゃ ないかということ。そういう形の中に、もう一つは、農業災害補償制度の改正に見られるような小規模農家を農政の対象外とする選別政策を強化するのではないか。この四つの点が問題だと思うので、簡単にお答えしたいと思います。不足の点があったら、また後、追加したいと思います。 私は、第一番の問題でございますが、予算においてまさしく減額いたしましたけれども、農林水産業関係の予算というのは、国民生活にとりまして最も基礎的な物資であります食糧の安定供給にかかわるという重要な予算でありまして、この使命の遂行には支障のないようにということで、内容面におきましては、限られた財源の中でございますが、予算の重点的かつ効率的な配分により各施策の質的充実を図っており、今申したようなことで、我が省の課せられた使命を果たす上では支障はないと考えております。 また、第二番目の点でございますけれども、臨調農政ということでございます。これは我が国農林水産業を取り巻く情勢は、非常に内外ともに厳しいわけでございます。特に、内におきましては食糧消費の停滞に伴う需給の緩和とか、あるいは財政健全化の要請とか、国際化の進展等、極めて厳しいものがありますが、私は三つの点に力点を置いて新しい農林水産行政を開きたい、こう思っております。 その一つは、生産性の高い、土台のしっかりした農林水産業を実現していくことでございます。 第二番目には、二十一世紀に向けてバイオテクノロジー、ニューメディアなどの先端技術の開発により、魅力ある農林水産業を築くということでございます。 第三番目には、農林水産業に携わる人々が意欲と生きがいを持てるような「活力あるむらづくり」を進める、こういうことでございまして、こういう施策を積極的に展開していく上において、私は内容につきましては十分やっていけると、このように考えております。 そんな形の中で、実は先ほどもちょっと言ったようなことでございますが、予算総額では確かに減少しておりますが、私としては農地の流動化対策や、その基礎的条件である土地基盤の整備を行う農業基盤整備事業とか農業構造改善事業等の諸施策については可能な限りの予算措置を講じた。そんなことでございまして、いろいろの点ございますけれども、今後とも構造政策の重要性にかんがみそれを進めていきたい、このように考えております。 そういうことの中で、実は今度の農業災害補償制度の改正に見られますようなことで、小規模農家を農政の対象外とする選別政策を強化するつもりかということでございますが、これは先生御存じのことでございますが、小規模農家は一般的に農業収入に依存するところが少なく、自家消費米の生産など自給的な意味合いで農業経営を営んでいるものが多いわけです。そんなことで、今度の改正におきましては、農作物共済の当然加入基準を十アールずつ引き上げることとしているが、これは自家消費米の生産が主体である小規模農家についてまで当然加入の対象とする政策上の意義は乏しいと判断したものであって、御指摘のような選別政策を強化するものではございません。
○村沢牧君 私が当初に申し上げたように、農業基本法ができてから農業政策もずっと変わってきた。農業基本法の精神から逸脱するようなことまで発生してきておる。したがって、今歩み出した農政というのは一つの転換期に来ていると私は指摘をするんですが、大臣はそういうふうに思いませんか。今までのを継続してやって転換してない。一定のやっぱり転換期だと思うのですが、どうなんですか。そのための施策じゃないんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 今、先生の御指摘ありましたが、大変難しい局面に来ていると、このように理解しております。
○村沢牧君 難しいことはよくわかるんですけれどもね、また一つ農政が新たな方向に歩み出したと、私はそのことを感ずるわけですけれども、きょうはしかし余り時間がありませんから、その具体的な問題について質問したり、あるいは私の意見を申し上げることは後日の法律審議等に譲らしてもらい、主として基本的な問題についてだけ質問してまいります。 そこで、日米諮問委員会、これは日本の総理大臣とアメリカ大統領に提言を行っているわけです。その中で、日本農業の構造政策、この項目に対して農水省の見解はどうですか。
○政府委員(井上喜一君) お答えいたします。 日米諮問委員会の報告の中で「農業・林産物貿易」という一章がございます。この中におきまして、日本農業というのは一戸当たりの平均農地面積が非常に小さい、こういうことを各国との比較において指摘をしておりまして、最終的な結論部分といたしましては、集約的な野菜、果樹、養豚、養鶏等では現状程度の農地規模でもある程度の採算のとれる効率的な農業を営むことは可能だが、米麦等の土地利用型農業部門において工業所得に匹敵する所得を上げるためには、はるかに広大な農地を必要とする。したがって、日本の農業政策は、農地規模の拡大を図るとともに、小規模農地で効率的に生産し得る農産物への農業生産構造の転換を目指すべきだ、こういうようなことを指摘しているわけでございます。 これは、この諮問委員会の指摘のとおり、我が国の農業は施設園芸でありますとか、中小家畜等のいわゆる施設型農業と言われる部門におきましては、規模拡大が急テンポに進んでおりまして生産性も大きくなっております。また、その経営の担い手というのも、いわゆる中核農家というのが中心になってきているわけでありますけれども、土地利用型農業部門におきましては、御案内のとおり、今規模拡大が非常におくれてきております。 しかし、最近の規模拡大をめぐります状況について考えてみますと、まず一つには、跡取りのいない高齢農家が非常に増加をしてきております。その次には、第二種兼業農家の農業所得への依存度というのも非常に低下をしてきております。また、作付規模、特に稲作でございますけれども、そういう規模の生産性格差というのが拡大をしてきている。あるいは稲作におきましては、大規模層の支払い小作料といいますものが、小規模層の単位当たりの所得を上回る。つまり、十アール当たりの稲作所得以上の小作料を大規模層の農家が支払っているというような現状が出てきております。さらに加えまして、最近は地域ぐるみの話し合いを通じまして農地の流動化がかなり進んできているわけでございまして、こういう点を考えますと、かなり農地の流動化が進展し、大型の土地利用型農業が生まれる可能性といいますか、そういう条件が熟してきているというふうに考えるわけでございます。 したがいまして、私どもといたしましては、そういう条件を背景にいたしまして、流動化対策の推進あるいは農業基盤整備事業あるいは農業構造改善事業等を積極的に推進していく、こういう対策をとっているわけでございます。
○村沢牧君 いろいろ説明があったけれども、結局は、この諮問委員会の提言は、日本の農業は効率的に生産し得る農産物へ転換を図るべきだ。したがって、土地利用型農業は日本は不利だ。言うならば、日本はオランダのように施設園芸だとか、草花、小動物とか、そういう形で生きるべきだ、こういうふうに私は理解しているんです。今の説明と大して違いないと思うんですが、そういうことでいいですね。簡単にひとつ、時間がありませんから。
○政府委員(井上喜一君) 私はこの全体を読みまして、私が御説明いたしましたように、日本の農業につきましては、規模拡大を図って生産性を向上させるとともに、小規模農地で効率的に生産し得る農産物については、そういう農業生産構造への転換を目指すべきだと、こういうように理解するわけでございます。その後で日米の米の問題を取り上げておりますけれども、この問題につきましても生産性を向上していくという必要性を言っておりますので、やはり両方についてこの諮問委員会は指摘をしていると、このように考えるわけでございます。
○村沢牧君 大臣、中曽根総理は、閣議でこの提言について、農業問題を含めて実行していくということを関係閣僚に指示をした。さらに、年頭の日米首脳会議声明でも、この提言に沿ったものをうたい上げておる。こういう事実があったんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 今の日米諮問委員会の報告書でございますが、実は、これは先生御存じのことでございますが、貿易とか為替、投資、産業政策、外交、防衛等、広範な事項について提言を行っておるわけでございますが、農業・林産物貿易に関する提言については見解を異にする面が多いと考えておるというようなことでございます。 そんなことで、例えば、これは先ほどちょっと先生もおっしゃいましたようなことですが、現在の食糧安全保障政策についての考え方とか、あるいは農林業につきましての考え方とか、基本的に大きな差があるということでございます。 そんなことで、閣議等におきまして、実は経済閣僚会議で総理から若干話がございましたが、私は多少の意見を述べたということでございます。
○村沢牧君 総理が、こういう提言をひとつ日本の政府として実行に移していくんだ、各関係閣僚は努力しろという発言をして、それを受けて農水大臣もこの提言を尊重していくということになってくると、今まで農水省が言ってきたこと、今回の所信表明で言っていることと大きく違ってくるんですよ。こういう提言を受けて総理からこういう指示があって、そういうことをするつもりなんですか、どうなんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 今の点につきましては、村沢先生にお答えしますけれども、結局、お話がございましたけれども、私は現在の日本の農林水産業の抱えておる問題等をお話しし、そんなことの中に、実は農林政策につきましては、先生御存じのことでございますが、大体現在、五十六、五十七、五十八年の三カ年平均で約二百七十億ドルぐらい輸入していると思います。輸出が二十億ドル前後。それで、アメリカについて言いますならば、大体三カ年平均で九十三億ドルぐらい輸入している。輸出が四億ドル。そんなことで、八十九億ドルの輸入超過というようなことでございます。したがって、日本は農林水産物につきまして世界で最大輸入国だと、こんなことを説明しながら、そういうことでむしろ総合的な施策をお願いしたい、こういう話を私はしているわけでございます。
○村沢牧君 輸入のことを聞いているのじゃないですよ。輸入のことはまた後ほど聞いてまいりますが、こういう構造政策について日本とアメリカの諮問委員会でこういう提言を行っている。中曽根総理はこういう提言を尊重して、日本もこれを実行に移していくんだと。農水大臣もこの提言を受けて、ひとつそうした方向の農政を進めなさい、こういう総理の指示だというふうに思いますが、どうなんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 今の点につきましては、私は私なりの主張をしている。実は、私は基本的に中曽根内閣の農林水産大臣でございますが、中曽根さんに信頼されて私は大臣になった、こう思っております。そんなことで、私の所管事項でございますゆえ、私は日本の農業を考えて総理にいろんな御意見を申し上げている、こういうことでございます。
○村沢牧君 いずれまた、予算委員会の中なんかでよく総理にも聞いてみましょう。 そこで、その次の問題は自給率の問題ですけれども、五十八年度の食料需給表を見れば総合自給率、穀物自給率ともそれぞれ前年度より一ポイントずつ低下をしておる。まさに戦後最低の自給率なわけですね。その低さは先進諸国にその例を見ない。農水省は自給率の向上には限界がある、それからあきらめムードが出ているんじゃないか、危機感を失なっているんではないか、こういうふうに私は危惧するものですけれども、どうなんですか、国会決議もあるんですけれども。この自給率というのは、これはもう限界なんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたしますが、食糧の安定供給と安全保障を確保することは、国政の基本となるべき重要な課題だと思っています。そういうことでございまして、農政の展開に当たっては国土を有効利用し、生産性の向上を図りつつ、国内で生産可能なものは極力国内生産で賄うことを基本に据え、総合的な食糧自給力の維持強化に努めていかなくちゃならない。 具体的には四つ柱がございまして、その一つは、需要の動向に応じた農業生産の再編成。二番目には、技術、経営能力にすぐれた中核農家の育成確保。三番目には、優良農用地の確保と農業生産基盤の計画的整備。四番目には、農業技術の開発、普及、こんなことを中心に図っていっております。
○村沢牧君 そんなことを聞いているんじゃない。そんなことは毎年聞いているんですよ。そう言っておったけれども自給率はもっとも上がってこない、下がってきておるんですよ。もうこれが限界だというのか。もうこれ以上自給率を上げるということはできないのか、そのことを聞いているんですよ。
○国務大臣(佐藤守良君) 一番主食たる米、これについては自給力一〇〇%だと思っています。その他野菜等につきまして、八〇とか九〇%ということでございます。そんなことでございまして、あとは飼料穀物等についてはこれは御存じのことでございまして、なかなか日本では自給率を確保しにくい、こういう点もございますが、そういうことで国内的には米を中心に自給力の強化に努めている、このように御理解願いたいと思います。
○村沢牧君 そういうふうに今までやってきたけれども下がってきているんですから、もうこれをもとに戻すことはできないのか、もっと下がるのか、一体その水準をどこに置くんですか。だから、今までやっていろいろ努力をしてきたけれども上がらないんですよ。それは努力が足らないんです、僕らに言わせれば。どうなんですか、こういう自給率はもうやむを得ない、これが限界だというふうに考えているんですか。もっと下がるというふうに考えているんですか。穀物自給率について言ってください。穀物自給率。
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えしますが、大変財政状況も厳しい状況でございますが、最大限の努力をして自給力を上げることに努力いたします。
○村沢牧君 努力することは当然ですよ。農水省が自給率を上げるために努力する、そんなことは当然のことだ。当然のことだけれども、もっと下がるのか。一体我が国の穀物自給率の水準をどこまでフレートするのか。なるほど、長期計画によれば三〇%というふうになっているけれども、もう日本ではこれが限界だというのか、どうなんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 実は今おっしゃったように、主食たる米とか野菜、それからかんきつ類、畜産物等――また、穀物等につきましてはなかなかこれは難しいなと、こう感じております。したがって、今考えておりますのは、安定的輸入をどうして図るかということを考えて、自給力強化に努めているということでございます。
○村沢牧君 どうも答弁がしっくりいかないんですがね。 それで、主要農産物の長期見通し等は改定をするんですか。これも大分狂ってきていますが、どうなんですか。
○政府委員(田中宏尚君) ここのところ、ミカンでございますとか、蚕でございますとか、こういう品目によりましては長期見通しとかなり乖離してきているものも出ておりますけれども、米でございますとか、それから大家畜、こういう大宗を占める部分につきましては、まだ長期見通しの線上を動いている感じがいたしますので、今直ちに長期見通しをここで見直すという段階には来てないのじゃないかというふうに考えております。
○村沢牧君 直ちに見通しは改定しない。 そこで、くどいようだけれども、今申し上げた穀物の自給率はもうこれ以上上げることはできないのかどうか。官房長、ひとつ農水省の統一見解を示してください。
○政府委員(田中宏尚君) ここ数年間、穀物自給率は三三%で推移してまいりまして、五十八年に三二というふうに実はワンポイント落ちたわけでございます。これは、ここのところの畜産物に対する消費の強さということが濃厚飼料に対する輸入の増大ということにつながりまして、ワンポイント落ちたわけでございますけれども、今後とも畜産物の需要というものはふえていく。そうなりますと、最も土地利用型でございますえさにつきましてはなかなか国内でつくれないという問題がございまして、先生も御承知のとおり、六十五年を見通しております長期見通しでは、穀物の自給率は三〇%にとどまるということで、若干現在より傾向的には落ちていくということはやむを得ないかと思っておりますけれども、それ以上の低下というものは何とか食いとめたいということで、水田利用再編対策でございますとか、あるいは草地の造成でございますとか、こういうことで、畜産に必要な濃厚飼料の確保あるいは粗飼料の確保ということにつきましても努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○村沢牧君 自給率を高めるということは、国民の必要とする食糧を確保するということ。このことは、同時に食糧安全保障の問題にも関係してくるというように思いますが、かつて内閣に総合安全保障閣僚会議、こういうものがありましたね。この閣僚会議は、食糧、エネルギーその他についてここで協議をしていくのだというので設けられておったんですが、これは最近機能しているんですか。
○政府委員(田中宏尚君) ことしになって一度やりまして、大体年三、四回のペースで閣僚会議が開催されておると思います。
○村沢牧君 そこで食糧についてはどういう方向を出すんですか、穀物自給率に対する。
○政府委員(田中宏尚君) 食糧という個別テーマでは一度集中的にやりましたけれども、その後、いろんな安全保障問題というものが取り上げられまして、その中で大臣から二度ほど、米についての去年の問題でございますとか、それから食糧を安定的に供給する必要性、そういうものについて御発言をいただいているわけでございます。
○村沢牧君 そんなことを一々発言せぬだってだれだって考えているんだけれども、内閣として食糧の安全保障というのを、閣僚会議があるんだから、会議を開いたんだから当然出てくると思いますが、大臣、どうなんですか、そのことを大臣になってからやったことがあるんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 二月十五日に総合安全保障会議をやりました。閣議を二月十五日にやりました。
○村沢牧君 それで、食糧問題についてはどういう話をしたんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 実は、私は特別発言をしませんでしたけれども、一応政府の方から、自給力の強化とかということでしたわけですが、そんな話で、実は私は発言しません。一応政府側から報告があったのを聞いたというだけでございます。
○村沢牧君 食糧を安定的に確保するのは大臣の責任じゃないですか。閣僚会議で私は発言しませんでしたと、そんな無責任なことでは済まされませんね、政府の閣僚として。しかも、食糧の安全保障の問題について論議するときに、農林大臣が発言しなくてどうするんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) このことにつきまして先生にお答えしますが、私が発言しなくても総理以下各閣僚よく認識しておる問題でございます。
○村沢牧君 総理以下閣僚が認識しておって、どういうふうにしようということなんですか、内閣として。例えば穀物の自給率を高めていく。今、飢餓問題が出ているでしょう。日本の食糧をどういうふうにしていくんだということを内閣として、じゃ、どういうふうに御心配になるんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えしますが、これは総合的な自給力強化ということでございまして、やはり内におきましては、お米等を中心に国内生産をして賄っていくということ。それからもう一つは、飼料穀物等につきましてはやはり限度がある。そんなことで、現段階につきましては安定的な輸入をするというような方針で考えております。
○村沢牧君 いろいろとおっしゃっているけれども、結局、この総合安全保障閣僚会議なんというものは、食糧問題なんかについてはそんなに真剣に論議して、政府としてどういうふうにしようと、そんな論議は出てこないということなんですね。
○国務大臣(佐藤守良君) たまたま私が初めてのそういう総合安全保障会議ということでございますし、また、実は私は、先ほど言いましたようなことで、総理以下、特に食糧の安全保障につきましては各閣僚全部よく認識しておる、こんなことで、特に私、発言しなかったということでございます。
○村沢牧君 大臣に申し上げておくけれども、そういう食糧の安全保障問題が出るときには、農林水産大臣が提案して、農水省の提案として出すべきものだと思いますね。ほかの大臣も承知しておるから私は発言しなかった。そんなことでは、幾ら大臣が決意なんか述べたってだめだと思うんですよね。またこの問題は、いずれどこかでひとつ質問していきましょう。 そこで、我が国の食糧の自給率は、先ほど来答弁があるように、なかなか上がってこない。限界だ。それどころか三〇%まで下がってくる、穀物は。しかし、先進諸国は、独立国の柱として食糧の自給率向上を目指して着実に成果を上げているわけなんですよ。しかし、我が国の動向は世界のこうした傾向に逆行している。アメリカ、フランスは別格としても、西ドイツ、イギリス、イタリアなどは自給率の向上のためにかなりの努力をし、成果を上げているんですよ。これらの諸国はどういうふうにして自給率を上げたのか、それをひとつ説明してください。
○政府委員(田中宏尚君) 先生ただいま御提示ありました国について見ますと、一九七〇年から一九七八年の間に、イギリスで一一%食糧自給率が上昇いたしまして六〇%になり、それから西ドイツは九%上昇いたしまして七五%というふうになっております。しかし、一方、イタリーでは逆に一一%低下いたしまして六九%というようなことで、それぞれの国によりまして状況は変わっているわけでございます。特にイタリーの場合には牛乳であるとか乳製品、こういうものの自給率の低下による穀物自給率の動きということが反映しているようでございます。 こういう自給率の上昇をもたらした背景につきましては、それぞれの国によりましていろいろ事情は違っているようでございますけれども、一般的には共通農業政策のもとでの価格支持、それに加えてそれぞれの国での単位当たりの収量、単収にしましても、あるいは一頭当たりの搾乳量にしましても、そういうものがここ数年間かなり上がってきたという事情がうかがえるようでございます。ところが、ここのところそういうことで自給率が上がってきた結果、逆に過剰に悩み始めている国が多うございまして、そういう共通農業政策のもとでの価格支持というものについての反省期というものに入っている点も見逃せないのじゃないかというふうに考えております。
○村沢牧君 単位当たりの収穫量を上げて努力して高めてきた。イギリスや西ドイツでできるものが、日本ではできないということですね。しかも、官房長今御答弁のように、余り上げると過剰になってしまってまた困るということ。そんなことを心配しておったら、我が国の自給率なんか上がらないですよ。余り過剰になっては困るから、外国製品も買わなければならないから、日本の自給率は余り上げないようにしていくということにも裏返しすればなるわけですか。どんなんですか。
○政府委員(田中宏尚君) それぞれの国が何を自給するかということは、それぞれの国の事情によっても違っているわけでございますけれども、我が国におきましても、何といいましても日本人の食糧の基幹になっております米、これにつきましては完全に自給を図るということで、価格政策なり構造政策なりを総合的に従来から運用してきているわけでございますが、先ほど来大臣からも答弁しておりますように、畜産物需要の増大に絡む濃厚飼料、こういうものにつきましては、土地の狭隘性ということがございまして、いろいろと収量の増なりということについてはもちろん努力しているわけでございますけれども、トータルとして自給率を上昇させるというところまでは残念ながらまいっていないわけでございます。
○村沢牧君 こういう状態であるから、先ほど指摘をしたように、日米諮問委員会や何かで、日本は土地利用型農業はだめだ、アメリカに頼りなさいというふうになってくるわけですね。 官房長にもう一回重ねてお伺いいたしますが、この諮問委員会の提言ですね、変わっていく日本の農政というのはこういう形になってくるんじゃないか。どうなんですか。
○政府委員(田中宏尚君) 今回の提言の中では、先ほど来先生御指摘になっております土地利用型農業から小規模で効率的につくれる農業に変われという構造面での転換というものを提言しているわけでございますけれども、この点につきましては我々といたしましては、先ほど大臣が申し上げましたとおり、見解を異にする点が実はあるわけでございます。 土地利用型農業につきましては、当然、規模の拡大ということは図っていかなければなりませんけれども、米というものを主食としている日本の食糧事情なり、あるいは農地というものの持つ国土資源としての有効性、こういうことからいいまして、やはり土地利用型農業の発展というものを中心に据えながら農政の基本を進展していくべきでありまして、単に土地が狭隘だから狭隘な土地の中で成り立つ施設園芸こういうものに特化していけば足りるというような議論というものは余りにも短絡的過ぎるということで、この点につきましては、我々としては見解を異にしているということをはっきり申し上げておいてよかろうかと思っております。
○村沢牧君 さっきも大臣に聞いたんだけれども、総理からそういう指示があったとしても、農水省としてはその指示に従ってやるわけにいかないということですね、官房長。
○政府委員(田中宏尚君) 当然できるもの、あるいは効果の考えられるものについては全力を挙げて取り組みますけれども、我々の農政の基本と相入れないものについては取り上げるわけにはまいらぬと思っております。
○村沢牧君 次は輸入の問題ですが、歴代の農林水産大臣は所信表明の中で、国内生産を基本として足らないものは輸入する、これが政府の方針であるというふうに述べているけれども、現実はそうじゃない、大臣も御承知のとおり。佐藤農相は、どういうふうにこの輸入の問題について基本的に考えますか。
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたしますが、国内で生産可能なものほ、生産性の向上を図りながら国内で生産する一方、国内需要は大きいが我が国の自然条件の制約等から供給面で不十分なものについては、今後とも輸入に依存せざるを得ないという従来からの考え方につきましては、私も同じ考えでございます。
○村沢牧君 例えば現実は、牛乳・乳製品あるいは蚕糸関係、かんきつ類、これは輸入によって供給過剰にしている。国内で生産可能なものじゃないですか。口では、そういう国内で生産できるものは輸入しないと言っているけれども、現実としてそのことが日本農業を苦しめているんじゃないか。この現実はどういうふうに見るんですか、大臣。
○政府委員(田中宏尚君) ただいまお話がありました牛乳・乳製品等につきましても、大部分は国内で自給しているわけでございますけれども、若干、チーズでございますとか、こういう日本の生産の歴史が薄くて、しかも外国との価格関係というようなものにつきましては、現に輸入しているわけでございます。しかし、少なくとも飲用牛乳でございますとか、あるいはバター、脱粉の大宗、こういうものについては国内でできるだけ自給したいということで、従来から畜産政策を進めてきておるわけでございます。
○村沢牧君 皆さんは口で言って現実が伴っていないから、どんどんいろいろな問題が出てくるわけですね。さらに、最近は輸入圧力が厳しくなってきておる。日米、日豪の農産物交渉、自由化ということは避けられたけれども、それと変わらないような枠の拡大、あるいは加えて中曽根総理が訪米をする、あるいはASEAN、大洋州諸国ですね、訪問外交によって農林水産物の市場開放、こういう厳しいお土産を持ってきたんです。したがって、農林水産物の輸入はますます重大な局面に立たされているんです。 そこで、最近における農林水産物の市場開放問題について、当面する問題について具体的にひとつ示してください、何と何が重大な問題だと。
○政府委員(後藤康夫君) 御案内のとおり、日米間の農産物貿易問題につきましては、昨年、牛肉、かんきつ、また十三品目ということで、それぞれ四年間、二年間につきまして一定の合意を見たところでございます。 ことしの一月の二日に総理が訪米されまして、日米首脳会談がございましたが、その際アメリカ側は、電気通信、エレクトロニクス、医薬品、医療機器とあわせまして、林産物分野における我が国の市場開放の一層の努力を要請してきたということがございます。 それから、その後総理のオセアニア歴訪では、一般論としてのお話はございましたけれども、特に農林水産物の特定の市場開放要求というものは出されておりません。 また、ASEANからは、かねてから関心を示しておりますところのタイの骨なし鶏肉、インドネシアの広葉樹合板等の関税引き下げにつきまして日本の一層の努力を要請してきておる、こういった状況でございます。
○村沢牧君 昨日、日米の木材をめぐって会議がありました。この関係についてどういう内容になっていたのか、問題点は何か、そのことについてお聞かせください。
○政府委員(田中恒寿君) 昨日第一回の日米協議が木材、紙製品関係で行われたわけでございますが、一月末の次官級会議の合意に基づきまして、MOSS方式と申しまして、関連する広範ないろいろな問題につきまして幅広く討議をしていこうという方向で合意を得て会議に入ったわけでございますけれども、やはり気持ちの中に、障壁は関税が最大であるというふうな感じを向こう側が持っておりますために、いろいろ交渉の端々でそういう色彩が強く出てくる。私どもとしましては、年初以来のいろいろな場で関税の引き下げにつきましては極めて困難であるという姿勢を貫いておりましたので、その点につきましてなかなか入り口のところでも意見の一致を見ることができず、広範な問題の中でそういう論議は十分あり得るわけですが、関税の引き下げについては当方としては論ずるわけにはいかないという、そこのところでのいろいろな意見がぶつかるということがございまして、まずは今後につきまして、既に随分広範な問題、質問もお互いに出し合っておりますので、そういうことにつきましては来月中ごろを目途にいろいろ答えられる準備をしていこう。話は継続はしておるわけですけれども、一番大きいと思われる問題につきましてのところでぶつかり合っておるというような状態が、きのうの会議の状態でございました。
○村沢牧君 アメリカ側の要求は、関税の引き下げにとどまらず関税の撤廃まで求めてきておる、こういうことも聞くんですが、そういう状態なんですか。
○政府委員(田中恒寿君) 会談後の記者会見の中で、向こう側はそのようなことを言っておりましたけれども、会議の席上では関税の引き下げということでありまして、撤廃とか、あるいは数字にわたるまでの言及はございませんでした。
○村沢牧君 大臣は、この木材の関係の関税引き下げ、あるいはまた、アメリカの農務次官は関税の撤廃というようなことまで言っているわけなんですが、これについてどういう決意を持っているんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えしますが、私は関税が貿易障害であれ、その撤廃を議題とした提案については当方としては全く同意することはできないと、こう考えております。
○村沢牧君 いずれにしても、最近の外圧はますます強くなってきている。特に、アメリカの農業が価格の低迷だとか、さらには地価の低落、負債の増、また輸出の競争力が低下をしている。したがって、対日攻勢がますます強くなってくるというふうに私は思うんですけれども、これに対してどういうふうに農水省としては基本的に対応していくのか。しかも、中曽根・レーガン会談でいろいろとアメリカ側からも市場開放品目等が示され、それから総理は閣議で関係省庁に対して、米側の要請にこたえて、三月末ですか、近くこの結論を出すように、こういう指示もしているようですけれども、大臣はどういうふうに対応していきますか。
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えしますが、一つは日本の現状をお話しして、その理解に努めるよう努力したいと思います。そういう形の中に、実はやはり林産業はかなり厳しい、また合板が一番問題になっておりますが、合板事業も百四十社ぐらい企業がありますけれども、それがほとんど赤字ということ、全部赤字ということ、そんなことで、こういう問題を含めて体質強化を図る。この二面でこれから進めてみたいと、こう思っています。
○村沢牧君 今、アメリカあるいは開発途上国で日本に対して市場開放あるいは輸入の増大を迫ってきておるわけですが、これを万一、仮に先方の言うように日本が受けたとするならば、貿易摩擦解消のためにどのような寄与をするんですか。数字でひとつ答えてください。
○政府委員(後藤康夫君) お話に先ほど来出ておりますような木材製品でございますとか骨なし鶏肉の関税引き下げにつきましては、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、国内の林産業なり現在の鶏肉生産をめぐる非常に厳しい状況から、これに応ずることは困難というふうに考えておるわけでございますが、仮にこれら産品の関税を引き下げた場合にどのくらい輸入量がふえ、また貿易の収支に金額として響いてまいるかというようなことのお尋ねでございますけれども、輸入と申しますのは、関税率の水準のほかに替為レートの水準あるいは内外における景気動向、物価上昇率等々に非常に大きく影響されますので、定量的に見通すということはなかなか難しゅうございます。アメリカの農業の競争力が低下をしているというようなことも近年言われておるわけでございますが、物的な生産性がそれほど他の輸出国に比べて落ちたわけではないわけでございます。これはドル高ということで競争力が非常に弱まってきているということなわけでございまして、なかなか一概に定量的に見通すことは難しいと思っております。 しかしながら、いずれにいたしましても、我が国が今、例えばアメリカとの間に持っております大変大きな貿易黒字というようなものが、現在の各国の農林水産物の関税引き下げ要求を受けることによって解消するというような数字にはとてもならないだろうということは、私どもも考えております。
○村沢牧君 今説明したようなことから、例えばアメリカの対日貿易赤字は本年度三百億ドルを超えるだろうと言われている。しかし、農林水産物に対しての要求もある。その要求を受けたとすると、どの程度寄与するんですか。
○政府委員(後藤康夫君) ただいま申し上げましたように、定量的にそれを計算をするということは難しいと考えております。
○村沢牧君 いずれにしても、貿易摩擦解消に寄与するのはわずかなものである。したがって、日本の農業の現状を十分認識して、いろいろと要求も強いであろうけれども、農林水産物を輸入して日本農業の破壊を招くことがあってはいけない、そのことを私は強く今までも指摘をしてまいりましたし、この際、指摘をしておきます。きょうは、いずれにしても時間がありませんから突っ込んだ質問はできませんけれども、そのことを強く要求だけしておきます。 最後に、米の問題について一、二伺ってみたいんですが、食糧庁長官、ことし、この二十五日から消費者米価が上がったんですけれども、この引き上げの根拠は何ですか。
○政府委員(石川弘君) 今回の改定でございますが、御承知のように、売買逆ざやにつきましては、近年だんだん縮小はされてきておるわけでございますけれども、なお売買逆ざやがある程度あったわけでございます。これにつきましては、かねがね極力解消するという方針でございまして、そういう方針に従ったことが一点でございます。 それからもう一つは、米の財政負担全体につきましてはいろいろと縮減の努力をいたしておりますけれども、米を管理をしますための経費ということにつきましては、御承知のようなゆとりのある米管理ということを目指してまいりますと、それなりに経費が増高いたしてまいります。そういう米全体を管理をします経費というものを、食管の中でやはり生み出すということも必要かと思っております。 もう一つは、六十米穀年度につきましては、既に五十九年産の新米ですべてを供給しているわけでございますが、これにつきましては、御承知の自主流通米につきまして若干の値段の値上げがございまして、それとの価格体系、新しい米の価格体系へ全体として移行していくという、今申し上げました三点が大きな理由でございますが、こういうことで昨年末、米審にお諮りし、消費者の家計の安定、それから物価への影響ということを考えまして、二十五日からの値上げということに決定したわけでございます。
○村沢牧君 この消費者米価を引き上げる際の米審は、異例の米審であったとも言われるんですね。会議が始まる直前まで、始まっても、この引き上げの実施時期について経企庁の主張と農水省、大蔵省の主張が食い違っている。今、長官の答弁を聞いておっても、食管法によって消費者米価は家計の安定を考えて上げるのは当然である。そのことについては最後にちょっと話があったけれども、そういう面から見て三・七%というのはどういう根拠なんですか、家計の安定という面から見て。同時に、大蔵省は何%を主張したんですか。経企庁はどういう意見だったのですか。
○政府委員(石川弘君) 私どもは上げ幅を決定します際に、我々自身としてある程度の算式を持ちまして主張いたしますが、これは角度を変えた財政の観点とか、あるいは企画庁におきます物価というような観点、いろいろな御主張があるわけでございます。こういうものは、最終的には政府として決めるわけでございますので、途中のプロセスとしていろいろ論じられた数字につきましては申し上げるわけにはまいりませんが、一般論といたしまして、財政当局は上げ幅を高く主張し、それから経済企画庁等におきましては上げ幅ないし実施時期等について、どちらかというとそれを抑制するというような主張が行われるのは通例でございます。 今回の場合、そういう時期を決めますことについていろいろと御心配をおかけするような事態がございましたが、これは主として全体としての話し合いの中で財政当局との主張を詰めますのに時間を要しましたので、したがいまして、その後、財政当局とある種の合意がされました上で、物価当局とのお話し合いに時間をとるのに、時間が何と申しますか、若干足らなかったということでございます。 私どもが三・七%程度と考えましたのは、一つは、この程度の範囲でございますれば十分に家計の範囲に入り得るのではないか。今回の改定と申しますのは、消費者物価指数に及ぼす影響が〇・一%程度でございます。さらに、外食とか米の加工品を通じまして消費者物価指数に及ぼす影響は〇・〇一%程度でございまして、この程度は御容赦いただけるのではないかということでございます。
○村沢牧君 消費者米価を引き上げたことによって、売買逆ざやは過去最低の一・九%になったわけですね。今まで政府あるいは与党は、段階的に逆ざやを解消していくということをずっと言ってきたのですけれども、今後さらに切り込んで、この逆ざやが全然なくなるまでやるという方針なんですか。
○政府委員(石川弘君) 売買逆ざやの一・九%と申しますのは、御承知のような一―五類、一、二等の平均の逆ざやでございます。したがいまして、類別あるいは等級で申しますと一類は既にすべて順ざやでございます。二類につきましても若干のマイナスでございますが、ほぼ逆ざやを解消したと思っております。したがいまして、現在逆ざやがございますのは三類、四類、五類の米と三等の米でございます。したがいまして、従来のような意味での一律的な売買逆ざやの解消というのはおおむね解消してきておりまして、今後は米の等級だとか、あるいは類別で生じているものでございますので、この一・九があるのを何かオートマチックに一・九引くというような趣旨ではなくて、より内容を深めながら売買逆ざや問題に対処すべき時期に来ていると思っております。
○村沢牧君 今後、さらにこの逆ざやを総体的になくしていくのだということならば、コスト逆ざやまで食い込まなきゃならぬという、あるいは自主流通米を減らしていく、そこまで食い込んでいかなきゃならないわけなんですが、そこまでやるのですか。そうすると、結局、食管制度の根幹とする二重価格制というのはこれは有名無実になってしまうのじゃありませんか。どこまで一体しょい込むのですか。ことしはなるほどこれに食い込んで、農水省の削減額は一番食管費が多い。しかも、全体の削減額の七四%は食管だ。ことしはこういう操作ができる。来年はそんなことはできないのじゃないか。一体、どこまでこの逆ざやをなくしていこうとするのですか。
○政府委員(石川弘君) 売買逆ざやにつきましては、かねがね方針といたしまして、極力早期にこれを解消するという政府の方針がございまして、そういう方針に基づいて今まで実行してきたわけでございます。 コストの問題につきましては、コストを極力いわばかけないようにしていくというような努力、省力化の努力とかいろんなコストを低減させる努力ということは、これは常々必要なことと考えておりますが、コストをそのまま売りの価格に乗せるというような意味での解消ということでございますと、これは食管のあり方そのものにも及ぶ問題でございますので、より慎重な対応が必要だと考えております。
○村沢牧君 きょうはいろいろ突っ込んだ質問をしようと思って用意もしてきたんですが、何かこの委員会の運営のあれによって時間を極めて短縮されまして、ただ聞きっ放しみたいに終わってしまったんですが、私の持ち時間が来ましたので終わりますけれども、いずれこれからの法案審議や、あるいはまた予算審議の中でさらに突っ込んで質問をしてまいりますので、どうか大臣、先ほど私が申し上げたんですけれども、いろいろやろうということを決意はうたってあるけれども中身はなかなか現実に伴っておらない。したがって、いろいろと輸入圧力もあり、いろいろ重要な問題を抱えておりますので、ぜひ頑張ってやっていただくということを要請して、私の質問を終わりたいと思います。
○菅野久光君 私は、初めにカネミ事件の関係についてお伺いいたしたいと思います。 御承知のように、PCBが混入した食用油で昭和四十三年、西日本を中心に数多くの人たちが油症被害者となって裁判に持ち込まれていたカネミ油症事件の第三陣訴訟判決が、去る二月十三日、福岡地裁の小倉支部で出されました。この判決では、昨年の高裁判決に引き続いて国の責任を認めて、さらに高裁判決よりも強い調子で農林本省の過失を認めました。この事件は、御承知のように、何の責任もない多くの方たちがある日突然このような被害に遭われた、まことに気の毒な事件であります。 二月十四日付の西日本新聞の「人」という欄で、この裁判の裁判長を務められました鍋山健氏を取り上げておりますが、この中で「農林大臣を頂点とするそれぞれの注意義務違反が複合集積して油症被害の拡大を招いた」と断罪し、「一方で、十七年間の被害者の苦悩にも配慮」、「未知の疾病のため長年にわたって悩み苦しんできた患者にとっては、現在この瞬間を健康に生きていくことこそ願ってやまないもの。不安と辛抱の長い年月こそが油症患者にとって特徴的なものである」、このように述べておられます。 大臣は、この判決、そして被害者の方々についてどのようにお考えなのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 菅野先生にお答えいたします。 カネミ油症事件の被害者の長年の御苦労に対し心から御同情申し、またお見舞い申し上げます。 カネミ油症事件につきましては、国の民事上の責任はないと主張してきましたが、この主張が認められなかったことは極めて厳しい判決と考えております。カネミ油症事件三陣一審判決につきましては、関係各省と慎重に協議し、特に私もお願いしまして法務、厚生と私の三大臣会議を開いて検討しました結果、国の法的責任を認めた判断に事実認定及び法令解釈適用上承服しがたいものがあるので、さらに上級審の判断を求めるべく控訴いたしました。また、裁判上の問題と別個にいたしまして、厚生省におきましては今後とも被害者の治療対策等を講じていただくとともに、我が省としましては、カネミ倉庫に対しその事業活動の維持継続を通じて被害者の方々に対する治療費等の支払いが進められるよう、さらに行政上の立場からとり得る措置を講ずることとしたものでございます。
○菅野久光君 これは裁判の判決についてどのようにお考えなのか、法的な問題、それから今後の問題等について言及されたわけでありますが、先ほども申し上げましたように、被害者の方々は全く何の責任もない、そういう中でこのような状況に遭われているわけですね。そういうことについて、言えば、人間として人道的な立場での大臣のお考えを私は聞きたいわけでありますが、その辺いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤守良君) 菅野先生にお答えします。 今、先生が申されたとおりでございまして、カネミ油症事件の被害者の方々の長年の御苦労に対しては心から御同情申し上げ、お見舞い申し上げますということでございます。 それから、もう一つは、判決につきましては、実は厚生、法務と相談しまして、二つの点で実は上級審の判断を仰ぐことにしたわけでございます。その一つは、国の法的責任を認めた判断に事実認定、また法令解釈適用上承服しがたいものがある。こんなことで上級審の判断を求めるべく控訴したわけでございます。また、それ以外に、裁判上の問題とは別個に、厚生省とか我が省でとり得る措置は最大限講ずる、このことを申し上げたわけでございます。
○菅野久光君 昨年三月の控訴審判決に引き続いて、今回の判決でも国、特に農林水産省の過失と責任は免れないとしているわけであります。したがって、このことは、私はもう裁判所の考え方としては定着をしていくというふうに言っていいのではないかと思うわけです。このような状況なわけですから、控訴したわけですけれども、私は国が控訴して、いたずらに患者を苦しめるようなことはすべきではないというふうに考えているわけであります。 事件発生から、先ほど申し上げましたように、既に十七年の歳月を経過して、多くの患者が死亡しております。さらに、患者に肝臓ガンがふえているという話も聞いております。一日も早く解決しまして被害者にこれ以上の苦痛を与えるべきではない。まさに先ほども言いましたけれども、人道的な立場から国もメンツを捨てて特殊な事例として扱うべきだったというふうに思いますが、法令判断に誤りがあるというようなことで控訴されたわけでありますけれども、今の控訴したその段階での大臣の心境をひとつ伺いたいというふうに思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 菅野先生にお答えしますが、先ほど申したとおりでございまして、本当に事件関係者の方々にはお気の毒だと心から同情し、お見舞い申し上げているわけでございます。 ただ、問題は、我が省としてどうするかということにつきまして、やはり納得しがたい点があるというようなことで上級審に判断を仰いだということでございます。
○菅野久光君 今、控訴したわけでありますから、取り下げろと言っても取り下げるような形にならないことは、私はわからないわけではないわけでありますけれども、一般的な国民の心情から見ればこういったような事例、全く特殊な事例でありますから、国のメンツというものをいつまでもやっぱりやることは、多くの被害者に本当に大変な苦痛を与えていくことになるということだけは、しっかりひとつ踏まえておいていただきたいと思います。 そして、このような、二度とあってはならない事件でありますが、この事件から多くのことを教訓として学んだはずであります。いろいろな新聞の社説等でも、「古い役人の頭と縦割り行政が高度に複雑化した食品産業の安全性チェックに対応できなくなっているという怖さ」、これも大きな教訓だということを西日本新聞の社説では言っております。「従って教訓を生かす道は、行政の垣根争いを最高裁まで持ち込むことではなく、現実と合わなくなった法や行政システムを早急に改善することにあるはずである。それが国民のための、生きた行政というものであろう。」、こういうようなことで社説でも書かれているわけでありますが、食品産業や環境の保全など、高度に複雑化した事柄については縦割り行政ではもう対応できなくなっているということは、これはだれしもが思っていることではないかというふうに思うわけであります。したがって、現実と合わなくなった法や行政システムを早急に改善する対策を立てなければならないというふうに思うわけでありますが、こういうことがなかなかなされていかない。しかし、このことこそが私は行政改革の主目的でなければなりませんし、それが国民のための生きた行政ということになるというふうに思うんです。 過日、インド、ボパールのあの農薬の事故の関係で、市民団体が関係する農林水産省あるいは厚生省、労働省あるいは消防庁、こういったような方々と話し合う場に私も出ましたけれども、あのインドの事故はただ単にインドだけではなくて、今、日本の国もいつ起こるかわからない、そういう問題だというふうに思うんですね。そのことに農林水産省もやっぱり農薬の関係では大きなかかわりを持っているということで、市民団体との話し合いのところへも行きましたけれども、もう横の方の関係が全くうまくいってない。これはカネミのこの問題なんか、まさにそういう縦割り行政でなく、もっと横との連絡を密にしなければ国民に大変な問題も起こしていくということになる教訓を示しているというふうに思うんですけれども、そういうことにかかわって、今後このような悲惨な事故を起こさないためにどのような対策を立てようと考えておられるのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(野明宏至君) 食品の安全性という観点から昭和四十年代いろいろなことがあったわけでございますが、そういった背景を踏まえまして畜産物等の生産資材でありますえさとか、あるいは飼料添加物につきまして、それまでは飼料の品質改善に関する法律というものがあったわけでございますが、これを飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律に改めまして、幾つか主要な点があるわけでございますが、家畜等の栄養に供するものを広く飼料として法律の対象にする。それから、飼料添加物についての規制を新たに設ける。それから、有害物質を含む飼料等の販売禁止というふうなことができる制度を取り入れる。それから、飼料製造管理者の設置の義務づけといったような諸般の整備を図ったわけでございます。それからまた、薬事法につきましても抗菌性物質の適正な使用を確保するための改正を行うというふうなことで、飼料畜産行政における安全性対策の強化に努めておるところでございます。 それからまた、先ほど申し上げました有害物質を含む飼料等の販売禁止といった問題に関連いたしまして、その使用が原因と認められる有害畜産物の生産があったというふうな場合には、食品衛生担当部局と緊密な連絡をとるようにいたしてあるわけでございます。 そういった制度的な整備と相まちまして、飼料畜産行政におきましても、安全対策の一層の強化に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○菅野久光君 農林水産省として、当然法の整備をやらなければならないものは早急に整備をしていくということと同時に、やっぱり関係する省庁ともこういったような体制、これを内閣全体としても当然これはやらなきゃならないことだというふうに思うわけで、そういう点でのひとつ今後の大臣の御努力をお願いをいたしたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 菅野先生にお答えします。 今、局長の話したとおりでございますが、実は私は、三大臣会議において一番問題は、やっぱり食品の安全に関する所管は厚生省ということでございまして我が省ではございません。そんなことで、人事の交流を含めて実はいろいろ厚生省と話しておるわけでございます。したがって、できれば私は、担当官に農水省に来てもらいたい。というのは、これからやはり私は、食品流通局で食品問題を扱っておりますが、その安全に関しては私のところに権限がない。こんなことで、できれば厚生省から責任ある人に一人来てもらいたい、こんなことを含めて今、厚生省と話したということでございます。
○菅野久光君 きょうは時間が切られましたので、この問題についてもっと本当は突っ込んだ質問をしたかったわけでありますけれども、とにかく残念ながら一応控訴はしてしまった。被害者救済については、裁判問題とは別にひとつ手厚くしなければならないというふうに思いますので、いずれまた、この問題については別な機会に取り上げたいというふうに思っております。 次に、水産行政のかかわりについてお尋ねをいたしたいというふうに思います。先ごろ妥結しました日ソ漁業交渉を中心に、当面する漁業問題について見解を伺いたいと思います。 米ソの二百海里水域政策の妥当性について、初めにちょっとお伺いいたしたいと思います。今回の日ソ漁業交渉におけるソ連の姿勢、あるいは米国の我が国に対する漁獲割り当ての方法等を見ると、今や諸外国の二百海里政策というものは従来の質と違うような厳しさになってきているように思われます。余剰原則はどこかに消し飛んでしまって、他国への割り当てはもう沿岸国が恩恵的に与える傾向が優勢になってきているのではないか。二百海里水域は、公海としての性格よりもむしろ沿岸国の領海的性格に変わってしまったように思われるわけであります。国連の海洋法条約の精神はこのようなものではなかったのではないかというふうに思うわけですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(佐野宏哉君) 大変残念なことでございますが、事態は先生御指摘のとおりの方向に進んでおるというふうに思います。私もそう認識をいたしております。 それで、元来は、二百海里という話が出てまいりました段階では、二百海里の制度は、公海漁業自由の原則に比べて、漁業資源管理の体制として公海漁業自由の原則よりもむしろすぐれておるのであるという主張に支えられて登場してきたわけでございます。その段階では、先生御指摘のような余剰原則というのは、二百海里における沿岸国の管轄権の主張に当然表裏をなすものとして余剰原則というものがあったわけでございます。現在、二百海里ということは定着をしてしまいまして、公海漁業自由の原則に比べて漁業資源の管理のレジームとしてよりすぐれているかどうかというようなことをどうも余り議論しなくてもいいということになったせいかもしれませんが、余剰原則というような、考え方として顧みられないような状態になっておるのが、残念ながら実情であろうと思います。 それで、国連海洋法条約に照らして云々ということでございますが、これまた大変残念なことでございますが、言い出しっぺでありましたアメリカ自体が国連海洋法条約からおりてしまっておるような状況でございますので、それも余り突っ張りにならないというような事態で、まさに先生御懸念のような状態になっているというふうに私どもも認識をいたしております。
○菅野久光君 外務省、おいででしょうか。おいでですね。 今後、海洋法条約を運営していく上で、条約の精神を守るように機会あるごとに関係国に訴えていくべきではないかというふうに思うんですが、この辺も含めて、ちょっと外務省の考え方もお伺いいたします。
○説明員(秋山進君) 御説明申し上げます。 基本的には先ほど佐野水産庁長官がお話しになられたとおりでございます。先生御指摘のように、最近のアメリカ等に見られるようなそういった考え方に対応いたしまして、我が国としましては、こうした沿岸国に対しましてはできるだけ協力的な姿勢を示すことによりまして、我が国漁業の安定的操業を確保するように努力をしなければいけないと思っております。もちろん、海洋法条約の関係におきましてもそのとおりでございます。
○菅野久光君 そういうような状況でありますから、非常に厳しい状況を踏まえた上での我が国の漁業者に対する施策、これはこれまでの金融措置だとか、あるいは業界の自主的な努力に頼ったものだけではなくて、より現実的な実効ある施策を講じることが必要ではないかというふうに思うんですが、この辺のお考えはいかがでしょうか。
○政府委員(佐野宏哉君) 今回のソ連との間の日ソ漁業委員会の妥結の結果がいかなる事態になるかということにつきましては、まだカニ、ツブ、エビの協議も難航中でございますので、しかとしたことを申し上げられる段階ではございませんが、私どもといたしましては漁業者の皆さん方の実情は十分承知をしておるつもりでおりますので、事態の推移に応じて適切な措置を講ずるつもりでおります。
○菅野久光君 次に、日ソ漁業交渉の結果、カニ、ツブ、エビを政府間交渉から外したことについてお伺いいたしたいと思います。 今回の日ソ交渉は、その例を見ないほどの厳しい結果に終わりました。特に問題なのは、カニ、ツブ、エビを政府間交渉から外して民間協議としたことにあります。従来の交渉でもソ連は、カニ、ツブ、エビについては大陸棚資源ということで最初はゼロ回答を行って、最終場面でソ連の善意により漁獲を認めるというパターンを繰り返してきたわけでありますが、それがことしはついにゼロになりました。今回の交渉が従来になく厳しいものであったことはわかりますけれども、当局の姿勢の中にカニ、ツブ、エビは犠牲にしても仕方がないという考えがあったのではないかというふうに思われるわけでありますが、民間協議に移行せざるを得なかった経緯についてひとつ明らかにしていただきたいと、こう思います。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。 今、先生御指摘のとおり、従来からカニ、ツブ、エビにつきましては、ソ連は大陸棚資源であり禁漁だというようなことを言っておったわけでありますが、今回の協議に当たりましては、ソ連側は従来と異なり最後までその態度を変えなかったということでございます。 それで、カニ、ツブ、エビを見殺しにしても仕方がないというふうに考えておったのではないかという御指摘でございますが、最後までソ連側がカニ、ツブ、エビについての態度を変更しないという事態の中で、玉砕する道を選ぶか、生き残れるものは生き残るという道を選ぶかという苦しい選択をせざるを得なかったというのが真相でございます。 それで、なぜ今回ソ連側がこういう態度であるかということでございますが、ソ連側が私どもに協議の席上申しておりましたのは、要するに経済水域に関する新幹部会令のもとでは、二百海里内のいかなる種類の資源をどれだけ、どういう漁区で、どういう漁法でとらせるかということは沿岸国の主権に属することであって、元来日本と協議して決めるという性質のものではないという考え方が基調にございまして、ですからそういう意味で、最初にもう決めてしまった対処方針は変えないという、それが経済水域に関する新幹部会令にふさわしい交渉のスタイルなのであると、ソ連側は繰り返しそういうことを申しておりましたが、そういうソ連側の考え方に由来するものであろうというふうに私どもは認識をいたしております。
○菅野久光君 次に、民間協議に移行されたことに伴って大日本水産会はソ連の全ソ船舶公団との交渉に入りましたが、交渉は非常に難航しているというふうに伝えられています。大日本水産会は、従来政府間ベースで行っていた漁業者グループがそのまま従来の漁獲割り当て量、操業区域、操業隻数、操業期間で行ういわば準政府間タイプの操業を求めましたけれども、ソ連側は日ソ漁業共同事業方式を固執して譲らない。結局、ソ連側の要求をのまざるを得ないのではないかと言われておりますけれども、これは事実なのかどうか。その辺はどのように把握しておられるでしょうか。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。 その話は、元来、日ソ漁業委員会の臨時会議の中で私とクドリャフツェフとの間で話をしていたときから出ておった問題でございますけれども、政府間協定の傘の下でカニ、ツブ、エビの操業を継続することができないという事態に逢着いたしまして、民間の協議のもとで操業するにしてもできるだけ有利な操業ができるようにということで、まず日本側の交渉窓口は大日本水産会に一元化するということはソ連側はのんだわけでございますけれども、次いで、政府間協定のもとでの実績のある全魚種と全水域について全ソ漁業船舶公団は交渉権限が与えられるのであろうなと、ふたをあげてみたら、いや、当公団はそういう水域について日本側と協議をする権限を有しておりませんというようなことになっては困るのであるがと、そういうことは繰り返し念を押したのでありますが、クドリャフツェフは最後まで一切コメントすることを拒み続けました。 それで、大日本水産会が全ソ漁業船舶公団と協議を始めましてもその点については依然として同様でありまして、一応大日本水産会から全魚種、全水域について申請書を提出してございますが、それに対して全ソ漁業船舶公団がすべての水域、すべての魚種について協議に応ずるかどうかということは今のところまだ明らかではありません。 それから、先方は、この大日本水産会と全ソ漁業船舶公団との間で締結されるであろう取り決めは、従来の共同事業と同じようにコマーシャルベースのものですよということは繰り返し述べておるということは実情でございます。それで日本側としては、コマーシャルベースというのが何を意味するのであるかということは定かでございませんが、コマーシャルベースということは、従来の共同事業に見られておりましたようなああいう法外な負担を伴うということを意味するのであるとすればゆゆしきことであるということで、大変憂慮しておるというのが実情でございます。
○菅野久光君 日ソ漁業共同事業方式については、従来から高額の入漁料や厳しい操業条件のため出漁船が軒並み赤字を余儀なくされていると伝えられていますが、当局の事実認識はいかがでしょうか。
○政府委員(佐野宏哉君) 個々の魚種、個々の水域について立ち入ることは控えさせていただきますが、一般論としては、先生のおっしゃいますように採算上甚だ不健全な状態で行われるものが多いというふうに認識をいたしております。 それで、私どもとしては、そういう状態になりますゆえんのものは、先方が全ソ漁業船舶公団という一つの窓口で、日本側が多数の当事者が競り合って全ソ漁業船舶公団と協議に臨む、こういう体制に由来するところが多いというふうに思いまして、今回は日本側の窓口を一元化するということにしたわけでございますけれども、先方がしきりにコマーシャルベースと言っておりますことから、前途必ずしも楽観できないというふうに判断をいたしております。
○菅野久光君 今までも本当に軒並み赤字ということで、大変苦しい中で操業をしてきたわけですね。従来の共同事業では入漁料のほか技術協力が求められ、さらに監督官二名の受け入れ、あるいは居住区の確保、またソ連監督船と交信のための無線設備、有資格通信員の確保、そして混獲された禁止魚種の生存設備などが要求されて、これらの要求が満たされない限り共同事業は承認されないのが昨年までの状況となっております。こうした要求を満たすためには巨額の資金を必要とするわけですが、零細な業者にはそうした力があるのか。また、それだけお金をかけていって果たして採算が、そうでなくてもとれないのに一体どういうことになるのか。当局はこの現状にどう対処する方針なのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) 確かに先生御指摘のような事態が憂慮されるわけでございまして、私どもといたしましても関係漁業者の負担が過大なことにならないように、側面から何らかの形で交渉を援助していきたいというふうに思っております。
○菅野久光君 いずれにしろ大変な状況でありますから、水産庁としてもこの実情を踏まえて交渉の行き詰まりを打開するために、カニ、ツブ、エビが準政府間ベースで操業できるようにソ連と交渉を行うべきではないかというふうに私は思います。特に、この三月にはエビが漁期に入るにもかかわらず、ソ連側は入漁の交渉開始時期を三月中旬以降と主張しているようでありますが、こうした事情を考慮して、当局は早急にソ連と交渉して、現在難航している民間ベースでの交渉がスムーズにいくようにひとつおぜん立てをすべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょう。
○政府委員(佐野宏哉君) 全く御指摘のとおりでございまして、殊に漁期が迫っておるという点につきましては私どもも大変心配をいたしております。それで先般も、今回帰国いたしますパプロフ大使に、佐藤農林水産大臣から特にその点については注意を喚起して、ソ連へ帰国後早急にソ連側の首脳部に日本側の憂慮の念を伝達してもらうように話をしてございます。
○菅野久光君 その点について、本当に特段のひとつ御努力をお願いいたしたいと思います。 さて、このカニ、ツブ、エビが政府間交渉の対象から外されるという事態に至ったわけで、これを昭和五十二年当時と引き比べてみて、当然こういったような状況では減船せざるを得ない状況が私は出てくるというふうに思っております。したがって、今回の場合も五十二年当時と同様、カニ、ツブ、エビの業者に対して交付金が国から交付されるべきだというふうに思うわけであります。そのための予算措置をどうするのか。もし交付金が出ないとなると、五十二年の減船者と比べて不公平を生じる。財政事情をにしきの御旗にしてわずか七、八年前と行政上の対応を違えることは、公平の原則からいっても許されることではないというふうに思うんですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(佐野宏哉君) 大変事態は難しい事態ではございますが、ともかく現実にカニ、ツブ、エビは協議中でございますので、協議の結末が出る前の段階から減船云々ということにつきましてこういう席でお答えを申し上げるということについてある種のためらいを感ずるのでございますが、結果が出ますれば出ました段階で、またその時点で漁業者の皆さん方の状況をよく検討して、適切な措置をとっていかなければならないというふうには思っております。
○菅野久光君 減船の問題はこれは本当に大変な問題でありますが、交渉がまとまらず民間ベースでのソ連水域の操業ができなくなった場合に限って言えば、交付金の交付が間違いなく私は行われるべきだというふうに思うわけであります。また操業ができても、先ほど言ったようないろいろな状況で大幅な赤字になった場合も、その原因が政府間交渉の対象から外されたことにやはり起因しているということから考えれば、当然、救済措置を講ずべきだというふうに思うわけです。とにもかくにも今回の日ソ交渉でカニ、ツブ、エビ業者は、操業の継続が可能になった他業種のいわば人身御供になったようなものではないかというふうに思うのです。いわばカニ、ツブ、エビがあったからこそ交渉が妥結できたと言ってもいいと思うんです。国は、全力を挙げてその救済対策を講ずべきだというふうに思いますが、そのことについて当局の見解をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) 先ほど来申し上げておりますように、現在協議が続行中でございますので、協議の結果に応じてその段階で判断をさしていただきたいと考えております。
○菅野久光君 特段に配慮のある判断がなされるように、ひとつ要請をしておきたいと思います。 また、本当に今、漁業は大変な問題で、日ソ漁業交渉の結果に伴う沖合底びき網の減船の問題もあるわけで、今回の日ソ漁業交渉では沿海州水域のピョートル大帝湾沖、それからベルキナ岬沖の二カ所に禁漁区が設定されました。この結果、北海道の小樽機船漁協と小樽市漁協に属する沖合底びき網漁船二十二隻に対する漁獲割り当ては、一挙に昨年の三分の一となってしまったわけです。操業水域もベルキナ岬以北に全面変更されました。その上、新しい操業水域は現在流氷に覆われておって、四月ごろまで事実上操業は不可能だという状態です。その間、北海道近海の日本海で操業せざるを得ないわけですが、この時期の北海道近海は、スケトウダラの抱卵状態が悪い上に漁獲も期待できません。このような状況では、大幅な減船は必至と見られる上に、残る漁業者も十分な漁獲は期待できないということになるわけであります。これもまた交渉の結果生じたことで、政府の責任でもあるというふうに思います。救済対策をひとつ明らかにしていただきたい、このように思います。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。 確かに、沿海州水域に限って見ますれば、従来五万四千トン程度の漁獲割り当て量があったわけでございますが、それが一万四千八百トンということで大幅に削減をされておるわけでございますから、この水域で操業しておりました北海道船九十隻というのは、そのままの数で沿海州水域で操業できないであろうということは、私どももそう思っております。 しかし一方、沖合底びき全体で見ますと、ソ連水域全体での沖合底びきへのクォークが二十七万三千五百トンということになっておりまして、これはここのところ沖合底びきの漁獲実績は約二十二万トンぐらいでございますから、全体としてはやっていけるクォークであるということがございます。 それからもう一つ、沿海州水域で操業を行っております沖合底びき船は、許可の上では他のソ連水域の操業もできることになっておりますので、出漁隻数を再配分をして振りかえていきますれば、実質的な影響はよほど小さくできるのではないかというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、道庁や関係業界と出漁隻数の再配分について十分検討をしていくというのがまず先決ではないかというふうに思っております。
○菅野久光君 先ほども申し上げましたような事情でありますから、安心できるような操業というものを目指して、水産庁としてもひとつ特段の指導なり協力をお願いをいたしたいと思います。 さらに、北海道の日本海地域漁業の振興でありますけれども、北海道の日本海地域の漁業不振はもうここ数年目を覆うばかりであります。そこで、何とか日本海地域漁業の活性化を図ろうと、一昨年の十二月に地元の漁協、市町村関係者が日本海地域水産業振興対策協議会を発足させました。そこで大学あるいは国、それから道の研究者等による専門部会を設けて、一年間にわたって具体的な振興計画を協議して計画大綱をまとめました。この計画は六十年度から六十四年度までの五カ年計画で、総事業費は約四百億円、国が現在実施しております沿整、沿構、サケ・マス増大計画を初め、道や市町村の単独事業を総合的に実施していこうというものであります。この計画を水産庁当局は知っているというふうに思いますが、この計画は国の協力なしには達成し得ないというふうに思うわけですけれども、その辺についてのお考えを承りたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) その計画は私どもも承知をいたしております。それで、計画の中に盛り込まれております個別の事業につきましては、ケースごとに御相談に応じたいと思っております。
○菅野久光君 ぜひ国としても協力をして、この事業が達成できるようにお願いをいたしたいと思います。 この計画は、事業として資源の増大を目指しておって、種苗の生産と放流を大きな柱の一つに据えております。そして、この一環として国営栽培漁業センターを北海道の日本海沿岸に設置して、そこでハタハタとか、あるいはヤリイカ、ニシン、ホッコクアカエビ、ミズダコなどの種苗生産技術の開発が行われることを期待しております。これら魚種の多くは、北海道のみに限らず本州の日本海側で広く漁獲されております。ここで技術が開発され、北海道や県の栽培センターにその技術が移転されれば、漁業振興に及ぼす影響ははかり知れないものがあるというふうに思います。国はぜひこの計画に賛同して、北海道の日本海側に国営栽培漁業センターを設置してもらいたいというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(佐野宏哉君) 実は、これは既に先生御承知いただいておることだと思うのですが、国の栽培漁業センターというのは、一定の海域ごとに各海域の魚種の技術開発を実施するためのものでございまして、日本海側につきましては、北海道も含めて日本海の魚種についての技術開発は、能登島の事業場と若狭湾の事業場で対応するということにしておりますので、システムの話といたしまして新しい事業場をつくるというのは無理な仕掛けになっておるわけでございます。それで、新たな技術開発に対する御要望がございますれば、この能登島なり若狭湾の事業場で対応してまいるということになろうかと存じます。 なお、北海道の日本海側における道の種苗量産施設の整備につきましては、道の御意向も十分伺って御相談をしていきたいというふうに思っております。
○菅野久光君 日本海側に三カ所あることは私も知っておりますが、こういうような計画を大々的に立てたということとの絡みで、そことの有機的な連携といいますか、そういったようなものなども含めて、今後の水産庁としてのこの計画達成に向けての力添えをひとつぜひお願いをいたしたいというふうに思うわけであります。 最後に、韓国に対する二百海里法の適用の問題でありますが、これは日本海側、太平洋側を間わずに、この北海道の沿岸・沖合漁業が今、大変疲弊に陥らざるを得なくなった理由の一つに、韓国船の無法操業があることは北海道漁民の共通の認識になっております。過日、北海道の漁協組合長会か何かのときのお話ですと、例えば増毛漁協の方では「武蔵堆での韓国漁船の操業を取り上げ①孫スケよりもっと小さいものを獲っており資源がなくなる②漁場が荒らされる」というようなことが言われておりますし、また登別漁協では「「オカ側に入って来て産卵しようとするスケソが沖で韓国漁船に獲られており、あと何年かすれば胆振のスケソ資源は無くなるだろう」と二百カイリ即時適用の訴えがあった。」というのが「北海水産」という新聞に出ているわけであります。 日本の漁業関係者が、大きな負担にあえぎながら進めてきた資源保護や増殖の成果の分け前を韓国船が目の前でただ取りしているわけで、漁民の感情がこれを許さないのは当然のことで、私は昨年の決算委員会でも、羽幌沖の武蔵堆での投石事件、このことを取り上げたわけでありますが、こんなことなどを含め、さらに今回の日ソ交渉でソ連側が武蔵堆での操業を強く求めてきたのは、韓国船の操業を念頭に置いてのことではなかったのか、そのように思われるわけです。交渉の過程で、当局はこの点についてどのような感触を得たのか。韓国には操業を認めながらソ連には認めないというのでは、ソ連の納得を得るのは容易ではないのではないかというふうに思います。 いずれにしろ、この北海道沖における韓国船の操業は、資源の枯渇を防ぐ上でも、外交交渉の上でも強力にこれは規制されなければならないわけで、ただ単に北海道だけではなくて、西日本の方もいわば全域にわたって韓国に対する二百海里の適用、これは漁民団体が皆望んでいる、要望していることでありますが、早急に二百海里法を韓国に適用すべきだというふうに思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。 韓国に対して二百海里を適用するということは、韓国周辺水域に出漁しております我が国漁船への影響、あるいは現存の日韓間の漁業秩序との関連、さらには日韓関係全体に与える影響等、各般の問題がございますので、このような点を踏まえ、引き続き慎重に検討をしてまいるべきものと考えております。
○菅野久光君 片方で栽培漁業とか何とかということで、今も遠洋が非常に大変な状況になっているので資源をひとつ守ってというようなことで、いろんな施策を金を出して講じていながら、片方では日本の漁民が大事にしているものを目の前でさあっと取っていくというような状況をいつまでも続けておくということは私はできないんじゃないかというふうに思いますから、いろいろ韓国とのかかわりもあるでしょうけれども、日本の漁業を守るという観点からも、早急にその点についての対応をひとつしていただきたいということを要請いたしまして、水産の関係については終わりたいと思います。 次に、畜産、オレンジ、言えばかんきつ類の対策についてでありますが、昨年の日米農畜産物の交渉がありまして、これは四年間の協定でありますから四年後にはまたやるということであります。一年たちましたからあと三年後ですね、日米農畜産物の交渉を控えておりますが、これについてお伺いをいたしたいと思います。再び三年後に大変な交渉が待ち構えております。しかもこの交渉は、今までの例から言えば一年前から始まるということですから、実質あと二年ということになるわけであります。 まず、畜産関係についてちょっと申し上げますと、昨年この日米あるいは日豪の牛肉交渉が妥結し、五十八年度の輸入枠を基礎に五十九年度から四年間、毎年九千トンずつ増枠されることになったわけでありますが、これが国内生産に与える影響は決して少なくないというふうに思うわけであります。一昨年から肉用子牛価格が下落し、肉用繁殖牛の食肉市場への出荷増の傾向が目立つなど、国内肉用牛資源の確保の上から憂慮されるところでございます。一方、国内牛肉生産の七〇%を占める乳用種につきましても、酪農をめぐる情勢から今後とも肉資源として大いに期待してよいのかどうか、疑問の残るところであります。むしろ、飼養頭数の伸び悩みから既に肉用として食肉市場への出荷量が停滞ぎみに推移しており、この傾向は今後も続くのではないかというふうに思うのであります。政府は、この日米決着に際し、我が国農業を守る立場を堅持する意味で許容できるぎりぎりの線であったとしておりますし、牛肉の自給率は七割を堅持するとの方針も示しております。しかしながら私は、我が国の肉用牛生産や牛肉需要の見通しに多少の狂いが生じただけでも、たちまちそんなのんきなことを言っていられない事態になりかねないという気がいたします。 御承知のように、大家畜は中小家畜と異なり、規模拡大や経営の合理化は容易ではない。したがって、農家が経営に不安を抱き生産が停滞ないし縮小傾向を見せ始めたら、その回復には相当の努力と時間を要することは言うまでもありません。この点を十分認識していただき、我が国肉用牛生産を守り発展させるため、具体的かつ積極的な対策を講じ、農家の不安、不信を一掃しなければならないというふうに思うわけであります。そこで、三年後の日米農畜産物交渉は牛肉、オレンジなどかんきつ類に対する外圧が一層強まってくることは明らかです。政府は、我が国農業を守るため、具体的に牛肉あるいはかんきつ類に対して限定してだけでもどんな施策を考えておるのか、伺いたいというふうに思います。 山村前大臣が日米農産物交渉から帰国された直後の昨年四月十日、当委員会において我が党の村沢委員の質問に対して次のように答弁されています。 妥結の期間は四年間だけでございます。四年に至りますと、私はますます厳しい農産物開放要求が来るのじゃないかと思うのです。その間には何といっても日本の農業の体質の強化、足腰の強い農業という方に向かって農林水産省としても政策的にも全力を挙げてまいりたいと思っております。 このように答弁をされておりますが、この答弁も踏まえてひとつお答えをいただきたい。
○政府委員(野明宏至君) 先般の牛肉輸入に関する日米、日豪合意の結果でございますが、これは基本的には私ども交渉に臨む基本的な態度、すなわち一つは、需要のうち合理的な国内生産で不足する部分についてグローバルベースで行う、それから国内農業の健全な発展と調和のとれた形で行う、こういった基本方針を堅持することができたわけでございまして、結果は、国内の関係農業者に悪影響を与えないで対処できるというふうに考えておるわけであります。 ただ、三年後といいますか、期間は四年間でございますが、もうすぐそういう時期がまた参るわけであります。したがいまして、我が国の肉用牛生産については、その体質の強化と生産性の向上を図っていかなくちゃならないということがやはり基本でございます。言うまでもないことでございますが、肉用牛生産は、我が国の地域農業の展開や農山村の振興を図る上でも非常に重要な位置を占めております。したがいまして、土地利用型農業の基軸として位置づけまして、先ほど申し上げましたような観点から対策を進めていかなきゃいかぬという状況にあるわけであります。したがいまして……
○菅野久光君 簡単にやってください。
○政府委員(野明宏至君) 具体的には酪農、肉用牛生産の近代化基本方針に即しまして、飼養規模の安定的拡大あるいは担い手の育成、自給度の向上、それから肥育期間の短縮等の経済的な飼養形態の普及、あるいは地域一貫生産の推進というふうなこと等によりまして、経営体質の強化と生産性の向上を積極的に推進していきたい。六十年度予算についてもそういう観点から、肉用牛生産に重点を置いて予算をお願いをいたしておるところでございます。
○菅野久光君 時間がございませんからひとつ簡単にお答えをいただきたいと思うんですけれども、いわゆる三年後のそれに向けていろんな計画をなされているようでありますが、六十年度の予算は満足すべきものであったのかどうか。畜産局長と農蚕園芸局長に、あったとかないとかというふうに簡単にお答えください。
○政府委員(野明宏至君) 全体として非常に厳しい予算の中ではございますが、例えば畜産振興資金制度の充実等々……
○菅野久光君 いや、そんなことはいい。あったかどうかだけ言ってください。
○政府委員(野明宏至君) 肉用牛生産に関しては……
○菅野久光君 中身はいいと言っている。
○政府委員(野明宏至君) 十分な予算の確保ができたと、まああったというふうに考えております。
○政府委員(関谷俊作君) 果樹対策につきましても、予算それから法律、今国会に御審議願います果振法の改正等も含めましてかなり努力をしたつもりでございまして、私どもとしてもこういう厳しい財政事情のもとでかなりの充実を見た、こういうふうに考えております。
○菅野久光君 予算書を見る限り私はそういうふうに思わないわけでありますが、そういうことであれば三年後の交渉は何も心配はない、国内生産については足腰もちゃんと鍛えて一切心配ないというようなことになるだろうというふうに思うんです。というのは、同じ委員会で山村大臣が次のように言っております。 私は、今回の日米農産物交渉に当たりましては総理大臣から全権委任を受けたわけでございますが、その際に申し上げましたことは、今後のいわゆる牛肉そしてかんきつに対する、はっきり申しますと、予算そのほかの措置というものはこれは破格なものにしてもらわなくてはこの交渉はできないということを言いまして、その約束はとってあるつもりでございます。 いいですか。それからさらに閣議がありまして、戻ってきたそのときにこのように言われております。 今ちょうど閣議が開かれる前に懇談の席で、総理、大蔵大臣一緒でございましたので、今参議院の農林水産委員会で村沢先生から質問を受けました、私は、総理がおっしゃいましたように、全権委任を私が受けるときには、心配のないように予算措置をすると言ったことを私は委員会で答弁してまいりました、総理よろしいですねと言ったら、はい、そのとおりです、大蔵大臣忘れないようにということで言ってありますので、これはひとつ御安心いただきたいと思います。 この委員会で前山村大臣がこのように答弁をしております。このことについては佐藤大臣御存じでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生に答弁しますが、今、両局長が答弁したとおりでございまして、大変厳しい財政状況でございますが、そういう面において十分最大限の手配をいたしたと、このように考えて、したがって今、先生が御指摘の点につきましては我が省も全力を挙げますとともに、農家の皆さん方と一緒に協力しながら対処したい、このように考えております。
○菅野久光君 「破格な」ということを閣議に行かれる前にも言って、それから戻られてもそのように言われているわけですね。したがってこのことについて、これは後からまた法案審議その他でいろいろあるわけでありますけれども、予算折衝のときにこういったような約束があるんだということを踏まえて折衝なさったのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。 破格であるかどうかというのはなかなかその価値判断が難しいと思いますが、この現状を踏まえて交渉いたしました。
○菅野久光君 これは委員会での正式な発言でありますから、非常に私は何というんですか、責任のあるそういう答弁ですね。そのことが、私は今回の予算案で果たしてどれだけ生かされたのか。そうでなければ、我々が何ぼ言って、あるいはそちらから、何ぼ当局から答弁されても、それは何にもならないじゃないですか。私はそう言いたいんです。私は、予算書を見ても本当に「破格な」という、「破格な」という言葉に農家の人たちはどれだけ期待を寄せていたか、私も期待をしていた一人でありますが、残念ながらそのようになっていない。これはやっぱり国会の論議というものを私は軽視するようなそういう姿勢があるのではないかというふうに思わざるを得ないわけで、この件についてはまた別な機会にいろいろ論議することになろうと思います。 時間がございますので、終わらせていただきます。
○藤原房雄君 本日は、過日の農林水産大臣の所信に対します質疑ということで、また限られた時間でもございますから、何項目かにわたりまして基本的なことをお尋ねを申し上げたいと思うんであります。 ただいまも同僚委員からいろいろお話がございました。わずかな時間でありますからそう突っ込んだお話もできないんですが、率直に大臣にお聞きしたいのは、佐藤大臣は今日まで郵政とか運輸とか、こういうところには非常に携わっていらっしゃいまして大変御経験も深いし、また御造詣もあろうかと思うんでありますが、去年の十一月、組閣がありまして農林水産大臣を受けられ、委員会がありましたとき、日本の国にとって重要な意味を持つ農林水産業を担当することになったことについて、非常に感激とも言いませんでしたけれども、それなりの使命を感じますというお話がございました。 大臣が御就任になられまして、即農林水産業の諸問題についてはいろいろヒアリングなさったと思うんでありますが、今伴っております諸問題、大変今深刻な問題ばかりで、就任して幾らもたたないうちに即漁業交渉も始まりました。それで、これもまた大変困難をきわめておることは重々御存じだったと思うんでありますが、みずからソ連にまた飛んでいかなきゃならないような状況の中にあった。その後も一応話し合いがついた、調印したとはいうものの、先ほど来お話にございましたように、なかなかこれも具体的な問題になりますと問題が多い。米穀政策につきましても、林業政策につきましても、また構造政策につきましても、諸般の問題を考えますと非常に重要なときに大臣に御就任なさったと、こう思うんであります。これは高度成長期から低成長に変わりました一つの日本経済が背負うべき、これは各産業についてそれぞれ問題があることは当然のことでありますけれども、特に農林水産業については非常にこれは深刻の度合いというのは他産業とは比較にならない大きな問題を抱えておる。このことについては、もう十分に御存じのことだろうと思うんであります。 そういうことから大臣ひとつ率直に、今まで政治家として運輸関係とか郵政関係のことについてはいろいろ手がけてまいったのでありましょうが、この農林水産業の現在の深刻な現状というものについて、わずかの期間ではございますけれども、大臣として所管する諸部門についてどのように受けとめていらっしゃるのか、御認識なさっていらっしゃるのか、大臣の率直なひとつお考えをお聞きしたいものだと思うんですが。
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。 実は、私は昨年十一月一日に第二次中曽根内閣で農林水産大臣を拝命したわけですが、そのときには本当に一億二千万の国民に食糧を安定的に供給するという重大な使命に身の引き締まる思いがいたした。現在もその身の引き締まる思いはちっとも変わっておりません。 そんなことで、実は十二月末の予算折衝に臨んだわけでございますが、私は現在の内外ともに厳しい状況を踏まえ厳しい予算ではございますけれども、 〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕 内容面におきましては、限られた財源の中で予算の重点的かつ効率的な配分により各施策の質的効率を図っており、そんなことで食糧の安定供給などいろいろな我が省は使命を持っておりますが、そういう課せられた使命を果たす上で支障がないものと考えております。今後とも、限られた予算でございますが、そういう方向で全力を尽くしたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
○藤原房雄君 大臣のきょうは所信に対する質疑ということですから、当然また予算審議、衆議院でやっておりますから、予算ということになるんですけれども、予算の多い少ない、これはもう当然予算が多いにこしたことはないわけで、そのことについてはまた後から申し上げたいと思うんでありますが、大臣の所信の中で最後に、「農林水産業に携わる方々に明るい希望を持っていただけるよう我が国農林水産業の発展のため全力を傾けてまいる覚悟であります。」と、これは農林水産業の方々は涙を流してお聞きしなきゃならない非常に大事な、まただれもの心の中にあることなんです。しかし、これは言うはやすく、先ほどお話のとおり農林漁業それぞれの部門で非常に多くの大きな問題を抱えておることは御承知のとおりです。 しかし、そういう中にありまして予算も非常に厳しい、これは農林水産省だけではなくて国全体が厳しいわけでありますが、そういう中にありながら今大臣もお話があったように、そういう中で明るさがほのかでも見えるような方向というものをぜひひとつつくっていただかなきゃならぬ。このことのために私どもも各省を回り、またいろいろな方々のお話を聞き、また大臣自身もいろいろお勉強なさってきて御努力いただける、しなきゃならぬことでありますけれども、しかしながら、この明るい希望の持てる農林水産業、こう大臣が所信を述べられるからには、やはり何か心に期すものがあったんだろうと私は思うのですが、どうなんでしょうか、これは。
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。 実は私は、最初農林水産大臣になりましたときに先生にもお答えしたかとも思いますが、農は国の基本である、そんなことの中に食糧の安全保障の立場をとっていかにして農業を守るか、そういう形の中に経済性をどう加味するか、そしてある程度経済性ができた場合に市場開放をどうするか、まあこういう問題が大きな心構えの一つということでございますが、まずとりあえずは農は国の基本である、農をいかにして守るかということに全力を尽くしたいと、こういうお話を私したわけです。そういう形の中で、一億二千万の国民にどうして食糧を安定的に供給するかということを考えて今後農政を進める。 その場合に、実は一億二千万の国民の中にやはり生産者、消費者とあるわけでございまして、生産者にも不満がある、消費者にも不満がある。そういう場合に、日本農業を日本国民全体で守ってもらいたいという立場をとる。そのためには、当然やはり私は生産者の人の不満をいかにして解消するか、そういう形の中に環境をつくり、本当に農業をやる人が喜んでやっていただける農業をやる、そのことが先決ではないか。こんなことのもとに、実は私は三つの点を特にやりたい、こう思ったわけです。 その一つは、生産性の高い土台のしっかりした農業をつくり出すこと。それから二番目には、二十一世紀に向けてのバイオテクノロジー等先端技術の開発、あるいは活力ある村づくりの三点に力点を置いてこれから施策を進めたい、こう考えておるわけでございます。
○藤原房雄君 ところで、大臣の心にあるもの、今お話ありましたが、具体的なことになりますと、非常に厳しい状況の中にあり、バイオテクノロジーといってもあした、あさってにすぐ大きな花が咲くわけじゃございませんで、これはやっぱり緻密なこれからの研究開発と、また実際農家にそれが生かされるということになりますと、相当な月日も必要だろうと思いますし、そういうこと等考えますと、粘り強い施策の推進といいますか、そういうものが必要なんだろうと思います。そういう点で、私は、山村大臣が大臣に就任したときに、外務大臣とか大蔵大臣は三期も四期もやっておるんですけれども、農林水産大臣こそ長期にやっていただいて、そして長期的な展望の上に立った施策をいたしませんと、一年やそこらでしょっちゅう変わっているのじゃだめだというお話をしたんですが、これは現在の日本の政治の仕組みの中ですから、そんなことを言っても簡単にできることじゃないかもしれませんが、少なくとも大臣御就任のときには、そういう一つの路線といいますか、そういう長期を見通した、そしてまた、ほのかでも明るい希望の持てる農政の芽が出ていけるような方向にひとつ御努力いただきたい、こう思うのであります。 次に、予算のことですが、何といっても金がすべてではないかもしれませんが、行政といたしまして、やはりそれは一つの大きな目安になることは間違いありません。今年度も前年対比で一千五百八十九億減額をしておる。こういうことからいたしまして、これは国全体の財政状況、やむを得ないといえばそれまでのことなんですが、先ほど来大臣がお話ありましたように、非常に農林水産業の重要な状況の中にあるというその点に立って考えますと、それらの施策を遂行するに当たりまして、このような一千五百八十九億の減額というこういう状況の中で、しかも前年対比で九五・四%ですか減額になるという中で、将来の芽を出す、そういう施策ができるのかどうかということを私どもは非常に、これは個々の問題については、それぞれ問題はまた後日指摘しなければならないだろうと思うんでありますが、総体的には農林水産省の方々も随分それぞれ御努力なさったというところも認めることはやぶさかではございませんけれども、しかし総予算というこの関連の中で、しかも重要な農業の今危機的状況の中にあるという中で、このような大幅な減額というもので施策に支障はないのかどうか。これは大づかみな話でまことに申しわけないんですけれども、まずその点についてのお考え、また農林水産省としてはどのように受けとめていらっしゃるのか。これはもう国全体でやることだからやむを得ないということじゃなくて、率直なひとつ御意見を承りたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) ただいま御指摘のとおり、去年に比べまして千五百八十九億という減額に全体でなったわけでございますけれども、先生御承知のとおり、その中でも食糧管理費が実は千百七十九億ほど減額になっておりまして、一般事業費ベースで見ますと、ほぼ前年に近い金額がトータルでは確保できているわけでございます。しかし、全体的に補助金の整理でございますとか苦しいことがあったわけでございますけれども、そういう中では、先ほど来大臣からもお話がありましたように、大臣が就任の際に掲げられました三つの施策というものに大きく前進するための新しい芽でございますとか、それから先ほど来御議論がございます前山村大臣のときの肉牛対策、それから果樹振興というものにつきましては、いろいろと新しい芽は出したつもりでございます。 いずれにいたしましても、トータルとして一般事業費ベースでも前年より若干の減ということでございますので、苦しい中でどうやって重点的、効率的な配分をするかということに苦労をいたしたわけでございますけれども、取れました予算をこれからどうやって効率的に使って農政の前進に役立てるかということが我々の責務というふうに考えているわけでございます。
○藤原房雄君 食糧管理費、それから災害復旧費、これについては一四・五%、二一・八%ですか、こういう大きな削減をしたということですが、額とそれから率、こういうことが非常に問題だろうと思います。しかしそのほか、公共事業全体を見ましても、伸び率といいますか長期計画でなされているもの、そういうものに影響が出てくるんではないかということ。 それから、食糧管理費また災害復旧費のことにつきましても、それぞれの理由はあることは私どもは十分承知はいたしておるんですが、しかし食糧管理費、これは米穀政策全体から見ましても、昨年あの米不足で国会が大変に揺れ動いたときに、中曽根総理大臣が当委員会に参りまして今後ともゆとりある需給計画を行うという答弁をいたしました。今度のこの食糧管理費が一四・五%、大きく割り込んだということ等も考えますと、この米穀政策というものは非常に変動の激しい、そしてまた、その年その年のいろんな状況等を踏まえなきゃならない要素が非常に多い。特に、他用途利用米等についての価格や規格、こういう問題についても現在農業団体等についてはいろいろなことが言われており、都道府県でも試行錯誤をいろいろしている、こういう状況の中にあります。 私は、食糧管理費のことだけ言っているわけじゃないんですけれども、このこと一つ考えてみましても、ことしのこの予算の中で、こういう食糧管理費または災害復旧費等に対しての大きな減額というもの、そのほかのことにいたしましても、今後の農林水産業の推進に大きな支障を来さないかどうかという、そこらあたりについてはどのようなお考えのもとに今度の予算を組まれたか、その辺のことについて、概略で結構ですからお聞きしたい。
○政府委員(石川弘君) 食糧管理費につきましては、御承知のように内容的には大きく三つに分かれておりまして、一つは売買逆ざやのような形で支出されているもの、それから米、麦を管理をいたしますための管理経費、それからもう一つが、過去に過剰によって生じました損失に対して計画的に補てんをしているという三本で構成されているわけでございます。 売買逆ざやにつきましては、御承知のようにこれを極力早期に解消するということで解消が行われておりますので、それによって減額されたものでございます。 その次の管理費につきましては、輸送費あるいは管理保管経費、いろいろございますけれども、一つは御承知のように、ここ数年間持っております米の数量が減ってきたことによって生ずる、いわゆる金利とか倉敷の減がございましたけれども、これは今御指摘のように、ある程度ゆとりを持った管理をしていくためには必要なものは当然これは要るわけでございまして、ある程度の積み増しをしていきます過程では、むしろ今後若干の増額は避けられない性質のものでございます。もちろんその場合、管理経費で合理化すべきものは当然今後も合理化して減額することは必要だと思っております。 それからもう一つの、いわば過去の損失の補てんにつきましては、これは既にピークを過ぎておりますので、今後計画的に補てんをしていく場合には若干ずつの減額をする。したがいまして、私どもとしては必要な合理化はしなければいけませんけれども、食糧管理費として真に必要なものは今後もこれを確保していくという考えでございます。
○藤原房雄君 大臣の所信の中には、農業の振興についての第一に「土地利用型農業の体質強化を中心として、経営規模の拡大、生産基盤の整備、技術の開発普及等を通じて生産性の向上を一層推進する」と。この一つ一つについてはまた後日いろいろお尋ねしなきゃならぬ、お尋ねというよりは確認しなきゃならないことがあるんですが、土地利用型農業の体質強化というのは論をまたないところでありますが、生産基盤の構造改善関係費、一般公共関係予算というのは約四三%という、農林予算全体の中でも相当大きなウエートを占めるわけで、これは十年計画の土地改良長期計画を初めとしまして非常に重要な意味を持つ。 私ども昨日、野党で公共事業費を削っては相ならぬ、こういう一兆円にわたります諸問題についての提起をしているわけでありますが、これは非常に重要な意味を持つものでありまして、この調子でいきますと、構造改善の計画も計画倒れになってしまうおそれがある。農業の生産基盤の整備というのは非常に重要な意味を持つにもかかわらず、こういう大きなしわ寄せが来ているんじゃないか、こういうことで果たして明るい希望の持てる農業というものは確立できるのか、こういう危惧を持たざるを得ないんですが、この点について伺いたい。簡単で結構です。 〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕
○政府委員(井上喜一君) 農業基盤整備事業は非常に重要であるという認識につきましては、先生と全く同様でございます。ただ、予算措置につきましては、再々お答えしておりますように、非常に厳しい財政状況のもとでございまして、単に農業基盤整備事業だけでなしに一般の公共事業費が全体として抑制されたわけでございます。そういうことで、農業基盤整備費につきましても対前年比九八・五%というような線に抑制されたわけでございます。 ただ、こういう状況ではございますが、農業基盤整備費の一般公共事業費に占めます割合は、前年よりはわずかでございますが、〇・〇三%シェアをふやしたわけでございます。また、総事業費につきましても、高率補助率のカットということがございまして、全体といたしましては約一%ぐらい多くなっております。無論、補助率のカットに伴います受益者負担につきましては、これを地方財政の方で負担をするということで、受益者負担には及ぼさないというようにいたしたわけでございます。こういう状況でございますので、これから極力工事の進捗を図りまして、なるべく継続事業の効果を早目に出していくように努力をしていく必要があろうかと思います。 第三次土地改良長期計画の進捗率が御指摘のとおりおくれているわけでございますが、計画策定後三年目ということでございますので、まだあとの期間ございますので、できるだけの努力をして第三次長期計画の達成に努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
○藤原房雄君 報道によりますと、アメリカの大統領レーガンも二期目に入りまして、アメリカの新農業法ですか八五年農業調整法案、こういうことが取りざたされておりまして、これも少なからず日本の農業に大きな影響力を持つのではないかと言われております。こういうことについては農水省はどういうふうにお考えになっているかということ。 それから、昨年、日米の牛肉交渉に当たりまして当委員会でも随分議論になりました。山村農水大臣、交渉から帰ってまいりまして、財政措置を含め特段の配慮をし政策の推進に全力を挙げる、中曽根総理もこれを要望しておる、構造政策の推進や土地の生産性の向上、こういう施策を推進するというようなことについていろいろお話がありました。当然私どもは予算化も伴い、これは四年の計画、四年という期間がありますから、その間に国内の畜産がどこまで向上できるか、生産の効率化の向上ができるかという、こういうことで当然それは予算措置も伴うわけでありますが、先ほどから申し上げておりますように、予算の大幅な縮小のためにこういう公の席上で約束したことも削り取られるようなことがあってはならぬ、大臣がみずからこのように財政措置も含めというお話でありましたのですが、この間のことについて、これはまた後日詳しくお話ししますが、そういうことについては十分に勘案して今度の予算を組んだのか、もう大分忘れているのか、半分ぐらい忘れているのか、どうなっているのか、その辺のことについてお尋ねをいたしておきたいと思います。簡単にひとつ、もう時間がないから。
○政府委員(後藤康夫君) お尋ねの前段でございますが、去る二月の二十二日にアメリカの八五年農業法案というのが米国政府から議会に提出をされまして、その内容は、支持価格水準を引き下げましたり、あるいは農産物の輸出信用の拡大というようなことで、市場志向型農政と申しますか競争力を強めて輸出力を強化をしていこうという、そしてまた、それと同時に農業関係の財政支出をかなり大幅に削減をしていこうという内容になっております。また、この法案の中に農産物貿易の阻害要因、これは貿易輸入障壁というようなことのほかに、EC等が行っております輸出補助金も入っているようでございますが、これを除去するためにアメリカ政府が主要貿易相手国と交渉をする、そしてまた八六年の七月までに満足すべき結果が得られない場合には、その後とるべき措置を含めてアメリカの議会に報告をするというような条項も入っております。 こういった米国政府の考え方につきましては、新聞、雑誌等で見ますと、アメリカの議会なり農業団体に非常に強い反対の声もございまして、議会での審議は予断を許さない状況にございますが、こういった路線が実施に移されますと、アメリカの国内農業が四年ほど前から非常に厳しい不況下に置かれているということもございまして、これまで以上に農産物、特にその中でも近年世界市場の中でアメリカの輸出シェアが落ちております穀物、大豆の輸出志向が強まってくるのではないかというふうに見ております。ただ、現在のようなドル高でございますと、なかなか輸出拡大を実現していくことも必ずしも容易な状況ではないだろうというふうに考えております。穀物を中心にしましてアメリカの輸出志向がより強まるだろうというふうに見ておりますが、いずれにしましても私ども農産物の市場開放問題の対応に当たりましては、国内の需給動向あるいは農業の実態というものを踏まえまして、その健全な発展との調和を図りながら対処していきたいというふうに考えております。
○政府委員(田中宏尚君) 前大臣のお言葉を十分参酌いたしまして予算を組んだつもりでございます。 具体的には、例えば畜産振興資金を拡充し制度化いたしましたり、あるいは果樹栽培合理化資金を創設するというようなことも行っておりますし、それから肉用子牛の価格安定のために基金の造成の拡充でございますとか、あるいは果樹農業の体質強化等を図るための基金の新たな造成というようなことで、厳しい中ではございますけれども、特に肉用牛と果樹につきましては意を用いたつもりでございます。
○藤原房雄君 次は林業問題です。これは同僚委員からまた後ほどお話があるんですが、私は新潟の豪雪地へちょっと参りましたが、これまた大変でして相当な被害が予想される。石川県の奥能登、ここでも概数十二億ですか、いろいろ言われております。ことしの豪雪は、もう相当な被害ということですから、雪解けになりますと被害の実態が明らかになるだろうと思います。今から相当な被害が予想されておるわけでありますが、こういうことから激甚災の指定ということは避けられないことだろうと思うんですが、農林省としては、林野庁としてはどのように受けとめていらっしゃるか。
○政府委員(田中恒寿君) お話のございましたように、昨年の十二月からことしの一月にかけましての日本海沿岸は記録的な降雪でございました。特に石川県の能登地方が、林木の折損でありますとか倒伏の被害が出たわけでございます。早速林野庁も係官を現地へ派遣いたしまして被害状況の把握に努めているわけでございますが、まだこれからも全く動きがないとも言い切れないような状態でございまして、県とよく協力し合いながら最終的な被害の状態を三月中にはこれをまとめまして、激甚災でありますとかいろいろございますけれども、それに照らしましてどのような状態になるのか、最終的に判断を近々いたしたいというふうに考えております。
○藤原房雄君 時間もありませんので、済みませんが次にいたします。 最後に、漁業のことをちょっと述べさせていただきます。 先ほども同僚委員から韓国漁船のことについていろいろ話がありましたんですが、スケソウ漁業について、一月十六日から襟裳以西といいますか、ここで漁具被害があったということで地元では大変に心配をいたしております。韓国との間には、先ほどお話ありましたようにいろいろな問題のあることは我々も十分承知しておるんですが、しかしながら、去年ですか、大臣、水産庁長官、各国との交渉の中で、秩序ある操業また被害防止の万全を期すということでいろいろお話し合い、また協定したことがございましたですね。こういうことがどうも守られてないのではないか。苫小牧漁協等について大変危惧をいたしておりまして、襟裳以西海域における漁具被害ということについて、これは水産庁の方でも把握していらっしゃることだと思うんですが、洋上での登別漁協、苫小牧漁協、それぞれこの刺し網漁船、漁具の網の被害ということで、これからどういうふうになるのか非常に危惧をしておる。この問題。 これは、いろいろ現地ではこの被害の状況等把握して、それぞれ水産庁の方にも報告をしていらっしゃるのだと思うんですが、話し合いがついた中でやっぱり秩序ある操業のできるように、今まで問題になっておりました被害防止、こういうものが万全を期されるような手だてというものをぜひひとつ、また去年お話し合いをして一つのルールはつくったわけですけれども、こういうことがことしの初めにあったということで危惧がありますので、この問題についてひとつ対処していただきたいということ。 それから、時間がありませんのであれですが、今度の日ソ地先沖合漁業協定に基づきまして、割り当て量とか、カニ、ツブの民間協定とか、寄港地が塩釜ということが決まりまして、その寄港地になりました塩釜につきましては大変に困惑をいたしておる。地方自治体の実態を無視して、民主主義の基本にかかわる大事なことを無視して決定をしたということに非常に疑問を感じておる。これが決まるまでには、今までも、五十八年、いろいろ議論がありましたが、なぜ寄港地を決めなければならないのか、寄港地が必要なのかということについてはいろいろ今日までも衆参で議論があったようでありますが、割り当て量があってもソ連の漁獲実績というのが目標になかなか達せない。魚がとれないというのは、やはり漁船員が休養の場がないから、また水補給とか野菜補給とか、そういうことだという、日本に上陸する必要性ということについていろいろ過去論じられてまいりましたですね。しかしながら、去年小名浜が決まりましたけれども、やはり小名浜という寄港地が決まったにもかかわらず、日本近海における漁獲実績というのはふえていない。こういうことで、必ずしも寄港云々ということではなくて、もっと本質的な問題があるのじゃないか。この辺のことについては、大臣がいらっしゃって最終的な段階での詰めでお話が決まったようでありますけれども、この辺の寄港地問題について、寄港地が絶対なければならないということについての議論の経緯についてちょっとお伺いしておきたい。 それから、去年、おととしですか、一昨年小名浜に決まったときに、前の渡邉長官は、小名浜というのは養殖施設とか定置網とか、こういう施設がない、そういうことで小名浜を選んだんだという発言があったと伝えられているんですけれども、塩釜は御存じのとおり町自体は非常に狭い面積の中にあり、しかも湾の中にはノリやカキの養殖施設があり、観光地として相当な人がいらっしゃる。そういう非常に小名浜とは違った立地条件の中にあって、以前の、養殖施設や定置網がないなんという、施設がないんだということからいいますと、寄港地としてはまことに不適切なところだと言わなければならぬと、こう思うんです。 どうかしなければならないということで、水産庁の皆さん方もいろいろ勘案した上でのことかもしれませんが、現地に参りますと、この狭い中で、昨年の小名浜のように右翼にガンガン町中騒ぎ立てられたら、もう小名浜なんか比較にならぬ狭い町でありますし、養殖施設や観光地といった非常に往来の激しい、また施設の密集したところであるという、こういうところから非常に当惑をしておる。これは金の問題とかそういうことじゃなくて、立地条件という上から非常に大きな欠陥があると言わざるを得ない。こういうことについては十分に御存じの上でなったのだろうと思うんですが、その点について水産庁としましては、農水省としまして、どう御認識なさっていらっしゃってこのように御決定になったのか、また今後についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。ただただ、もうお願いする以外にないという大臣の発言はしょっちゅう新聞に出ているんですけれども、これは公の場できちっとお聞きしておかなければならないことでございまして御質問するわけでありますが、その点についてちょっと伺いたい。
○政府委員(佐野宏哉君) まず最初に、韓国漁船の漁具被害の件でございますが、確かに韓国漁船に起因すると見られる漁具被害が先月発生をしております。それでこれにつきましては、従来から漁具被害等の未然防止を図るために、我が国漁船の漁具の敷設状況について毎日取り締まり船が状況把握の上これを韓国漁船に通報する。それから韓国漁船の操業海域に常時八隻ないし九隻の取り締まり船を派遣して、我が国の取り締まり船と韓国水産庁の指導船との間で洋上会談を実施してトラブルの防止を図る、そういう手だてを講じているところでございます。それから韓国側も、我が国漁業の主漁期、これは十二月から三月でございますが、韓国水産庁所属の指導船を派遣して、それから操業船に漁業監督官を乗船させるということによって、これらの漁具被害の防止に努めているところでございますが、今後ともさらに一層漁具被害の未然防止のためには努力をしてまいりたいと考えております。 それから、寄港問題でございますが、先生御指摘のように、昨年の経験に徴しますれば、小名浜港への寄港を認めたにもかかわらずソ連の漁獲割り当て量の消化率は向上をいたしませんでした。したがいまして、先生が今展開なさいましたのと全く同じような論旨で、私どもも昨年の日ソ漁業委員会の定例年次会、本年の日ソ漁業委員会の臨時会の前段の初めの段階におきましては、ソ連漁船の寄港を一九八五年においては認めないという態度で臨んだわけでございます。ただ、協議の最後の段階になりまして、ソ連側との間で協議を決着させるためにやむを得ざる措置として寄港を認めることにいたしたわけでございまして、寄港を認めるべき必然性があったかなかったかということについていろいろ御批判があろうということについては、私どもも十分自覚はいたしております。しかしながら、私どもの考えましたところでは、例えば武蔵堆の水域を開放するとか、あるいは千葉県の沖合でサバをとらせるとか、そういう譲歩をするわけにはまいりませんので、この協議の最後の段階で我が方として残された唯一の譲歩可能な項目であったという、そういう状況につきましては御理解を賜りたいと思う次第でございます。 それから、塩釜の場合には小名浜と違って養殖施設その他があるというお話でございますが、これにつきましては、私どももその点はよく承知をいたしております。それで、そういう事態があるということは承知をいたしておりましたが、小名浜は昨年、大変御迷惑をおかけしたということもございまして、小名浜港を継続するわけにもまいらないという事情の中で、塩釜港にお願いをしようということに決断をいたしたわけでございますが、その際には、塩釜港が国際港として従来から外国船舶が多数出入りをして、それによって特に問題になっているということでもなかったという、そういうことも念頭に置いた次第でございます。 漁具被害等の可能性につきましては、トラブルを未然に防止するために私どもとしても適切な措置をとる考えでございます。
○藤原房雄君 ちょっと大臣、塩釜のことについて今後ちゃんとひとつ厳しく見てくださいね。
○委員長(北修二君) 大臣、おわかりになりましたですか。
○国務大臣(佐藤守良君) ちょっと質問がよくわからなかったので……
○藤原房雄君 塩釜の問題については十分承知の上でやっているということですから、大臣から、 こういう施設や何かたくさんあっていろいろ被害のないように万全の対策を講じてもらいたいということを要望しておきます。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えしますが、今、水産庁長官が答えたとおりでございますが、関係省庁と相談して最善の努力をしたい、このように考えております。
○刈田貞子君 時間もございませんので、急いで伺います。 私は、先ほど同僚委員の中からも話が出ておりましたが、消費者米価の問題についてお伺いをいたします。 先ほど長官から、三・七%の消費者米価の値上げの理由について三点ほどお話がございました。売買逆ざやの解消、あるいは財政負担全体からいっての問題、そして六十年度産の自主流通米の値上げを勘案した事柄というようなことがございました。私は、この三点については十二月の十三、十四、十五日あたりの新聞等でも拝見させていただいておりましたので了解はいたしておりましたが、そこで考えてみることは、売買逆ざやの解消は臨調等の指摘でこれはぜひしていかなければならないことで、これまで食糧庁も御努力をしてこられた、このことについては私はよろしかろうと思うんですが、三番目の自主流通米による調整の問題でございますけれども、このことについてちょっとお尋ねをしたいんです。 この三つの値上げ理由の中で、自主流通米の値上げによる調整というふうな理由はどのくらいウエートがかかっているものであるのかどうなのかということと、あわせて、この自主流通米の価格決定に政府がどのくらい関与をすることができるのかという問題について、まず先にお伺いさせていただきます。
○政府委員(石川弘君) 自主流通米の価格がどの程度関与したかということでございますが、私ども上げるか上げないかというふうな判断をいたします際に、やはり自主流通米がどういう動きをしているか、例えば自主流通米が大変過剰で値下がりぎみのときに、政府の管理しております米だけ例えば上げるというようなことをいたしますと、両者の関係が大変おかしくなるわけでございますので、ただ何%上げるかというような場合に、自主流通米がどれくらい上がっているかというようなことをぴったり合わせようとするとか、そういうような関係は実はないわけでございます。 自主流通米の価格水準につきましては、私どもはあくまで売り側でございます集荷団体と米穀の卸の方との価格交渉によって決めさせることになっておるわけでございますが、通常の場合、やはり需給上の状況あるいは産米のよしあしというものが価格に反映をいたしておりまして、結果的に上がってきたわけではございますが、例えば昭和五十四年のように自主流通米の需給関係が崩れまして、特別販売と称しまして自主流通米の価格自身をある程度時期の途中で引き下げたというようなこともございます。したがいまして、私どもは今までの経験でまいりますと、比較的順調に生産サイド、それから供給サイドが話し合って決めてこられたのではなかろうかというような気がいたしております。
○刈田貞子君 いや、その自主流通米の価格が、政府が米価を決定するときにどのくらい影響性を持つんですかということです。
○政府委員(石川弘君) 方向性を見ます際に、やはり自主流通米価格が堅調で、堅調と申しますか、若干上げた形でも順調に消化されているかどうかというふうな点は配慮いたしますけれども、何%まで上げるかというようなところまで敏感に自主流通米価格の上げ幅を見るというようなことはいたしておりません。
○刈田貞子君 値上げ幅等についても、いろいろ私、議論があるわけですけれども、きょうは値上げ幅の問題はちょっとわきへ寄せておきまして、実は家計への影響ということで、先ほど家計への影響は〇・一%である。それからまた、消費者物価指数への影響は〇・〇一%であるというふうにおっしゃっておられましたけれども、私どもはこの消費者米価の値上げ、いわゆる価格改定時期が二月に定着をしていくのではなかろうかということに、実は多くの論議を持っております。 今、長官おっしゃられたように、家計への影響は〇・一%程度であるというふうに言われますけれども、二月、三月、四月というのは、各家庭で一番家計が膨張する月でありまして、食べ盛りの子供を持っている家庭ほどそういうことに物入りがあるというような時期で、十キロ当たり百三十六円あるいは二百二十円という、額で言えばわずかなものではあろうかと思いますが、値上げという字を見ただけで憎いというような時期でございますので、これはやはり二月という時期がどんな時期に当たっているか。受験あるいは卒業、入学、転勤、引っ越し、税金、一家の家計は集中する時期でございますので、その二月の時期ということについて、私どもはかなり長い間話し合いをしてまいりました。 先ほど同僚委員の中からもお話が出ましたように、経済企画庁の案では四月一日説が、そして農水省では二月十五日説をおとりになったようでございますけれども、この値上げの価格改定の時期について、私はぜひ率直な御意見を伺いたいというふうに思うわけでございます。
○政府委員(石川弘君) その前にちょっと、先ほど私が申し上げましたことと御理解と違っておりますので、私、〇・一なり〇・〇一と申しましたのは、消費者物価指数に占めます影響度が家計と外食も含めてほぼ〇・一でございます。それから〇・〇一と申しましたのは、消費者物価指数の中の外食など関連の値上がりが間接的にどれほど影響するかと申し上げましたのが〇・〇一でございます。 それから、家計そのものへの影響度でございますが、全世帯で一カ月当たりで見ますと、今回の値上げ幅は百八十三円に当たりまして、これは家計費支出に対する割合は〇・〇七でございます。 それから、時期でございますが、ごく自然に考えますれば、新しいお米を供給いたします米穀年度、これは今のところ十一月一日から始まるわけでございますが、そういう時期から改定をするのが比較的わかりやすい手法だと思います。現に、自主流通の世界では新しい米が出ます新米の時期、これは早いものにつきましては八月の終わりからもうすでに新米価格として改定しているわけでございます。結果的に二月となっておりますのは、予算編成を前にいたします年末で米価を定めますと、米を管理する立場から申し上げますと、値上げを決めておきながらなかなか実行しないというのは、途中の流通段階でいろんな混乱が起きますので、米価決定がありましてから極力早くするというのが米管理の立場からの主張でございまして、それに対しまして、今、先生御指摘のような物価というようなことを御心配の場合に、少しでも後に持っていった方がそれがいいのじゃないかという意見が実は対立するわけでございます。私ども二月というものを定着させる気持ちは実はございませんで、そういう意味から言えば、なるべく米管理上から言いますと、新しい米が供給できるような態勢の時期に近いほど実はいいわけでございます。 ただ、これは何せ生産者米価、消費者米価と双方に絡むものでございますので、私たちの気持ちだけで一定の時期へ持ってくることは実は今までなかなか困難でございますけれども、今御心配の点でございますれば、私どもは二月という時期が米管理上必ずしも適切ではない。むしろ、もう少し早い時期にやるべきことだと考えております。
○刈田貞子君 米価の決定の流れを見てみますと、苗が植え終わってしまった後の七月に生産者米価をやりますね。そして、これも植える前にやってもらいたいという説もあるようでございますけれども、とにかくその時期で生産者米価は決定していて、年末になって予算編成作業が始まりますと、年末すれすれの線で米審が招集されて、それで消費者米価が決定するというのが流れになっているわけですね。こういう流れを考え、今言われたように、消費者米価が決定すればできるだけ早くそれを実行しなければいろいろな問題が、まあ仮需要みたいなことも起きてくるというふうなことになるのだろうと思うんですけれども、この米価決定の全体の、総体の流れというようなもの、こういうようなものについて米審等で論議がなされたことがございますでしょうか。
○政府委員(石川弘君) 実は、五十年代に入りましてからも米価の決定の時期が、生産者米価決定時期と消費者米価決定時期が比較的近い時期、ほぼ一カ月ぐらいの間で行われたという経緯もございます。 それからもう一つ、今御指摘の田植えをする前と申しますか、田植えと申しますか、もっと早く言いますれば、今で言えば、種の播種をする前というようなことも議論としてあるわけでございますけれども、一方では御承知のように、今の米価算定につきましては生産費所得補償方式、その中で経費というものについてはなるべく最近時点の、近い時点の数字を使えという御要請もございまして、そのことから、ぎりぎり新しい数字ができる時期といたしまして、ほぼ七月から八月にかけての時期をとっているわけでございます。これは米審の論議の中でもいろいろ御議論のあるところでございまして、比較的その間を短く、しかも、特に最近は生産者米価、消費者米価の相関関係ということも問題になりますので、近づけた決定方式をとるべきという御議論と、それからあくまで食管法上は生産者米価については再生産の確保、消費者米価につきましては家計の安定を旨として定めるという二つの違った原理でつくっているんだから、そこに余り絡ませるのは望ましくないという御主張もございまして、いろいろ御議論のあるところでございますが、率直に申し上げまして、やはりこういう事態の中で今までのような形が一番望ましいというわけではないのではないか。七月と十二月みたいなのが一つのパターンとお考えでございますれば、必ずしも私たちはそれだけにこだわっているわけではございません。
○刈田貞子君 昨年の二月十五日、三・七六%の値上げ、そしてことしが三・七%、合わせて七%以上の二年連続値上げになっているということに関しては、私ども大変遺憾であるというふうに思います。 総理府の「食料及び農業、農村に関する世論調査」の中で、「主食としてのお米の値段は安い方だ」という設問に対して「そうは思わない」、「そう思う」というパーセントの比率が出ておりますが、平均でいくと、安いと思うという比率は四四・三%で、「そうは思わない」の方が二七・三%になっています。ところが、都市部の者にとりましては、大都市部では安いと思うというところには三二・六%しか声を上げておりません。やはり決してお米の値段は安いと思っている者ばかりではないというふうに思いますので、そういうことをよく勘案して米価を決定していっていただきたいというふうに思います。 いろいろ申し上げたいことはございますけれども、大臣に私お伺いするわけでございますが、例えば今の米価の問題一つとっても、日本の農業が食糧供給という任務を果たすに当たっては、どうしてもやっぱりコストの面等で国民の理解や協力を得なければならない事柄がたくさんあろうかというふうに私、思います。生産費所得補償方式と言っても、生産費が上がれば米価も上がる。そうすれば、じゃ、消費者米価も当然上げるのだと、理屈の上ではそういうことにはなるんですけれども、なかなか理解されない部分があろうというふうに私は思います。 これも今の総理府の世論調査で見るところの数字ですけれども、日本人の主食には米が一番いい、日本人的であるというふうに答えている数字が九二%あるわけですね。米は日本人の主食として適しているという答えが九二%あります。だけれども、食管による税負担は全く困るという声が、平均すれば四八%ですが、これが大都市へくると五一%を超えているわけですね。それから、日本の将来の食糧事情についてどうかということに関しては、不安があるということを申す者が六四%、だから国内で自給可能なものは十分自給を高めてほしいというのが七五%、だけれども基本的には税負担は困る、こう言っているわけです。 私は、こういう数字を見ていて非常に思うことは、理解に欠けているということは私も思います。先ほど申しましたように、どうしても国民的規模で理解や協力を得なければならない事柄が、今の農林水産業にはいろいろあろうかというふうに私は思うんです。それにしては、そういう手だてはどうなっているのかということを非常に私は気にいたしております。最近、財界あるいはマスコミ界あるいはいろいろな諸団体がやっと農業に関する論議を起こして、そして農業に関する問題を農業サイドだけに任してはおけないという機運が私は出てきたように思うんでございます。こういうときに、やはり政府としても今はやりの国民的合意というものをつくるために、その強力な手だてが必要ではなかろうか。今の米価の問題一つとっても、私はそういうことを感じるんですけれども、この点について大臣の所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 刈田先生にお答えしますが、全く実は同感でございます。 私は、今度の消費者米価の問題につきましても、実は日本の国民全部で日本農業を守ってもらいたい、そんな形の中に、当然消費者にも不満はございますし、また生産者にも不満はございますが、とにかく生産者にお米等をつくる生産意欲を起こさしてもらう。そんなことで環境整備をしたい。そんなことで大変申しわけないが、消費者の皆さん方にも御協力をお願いをしたというのが、今度は消費者米価の値上げということでございます。 そんなことで、我が省としましても、よく生産者サイドということで、実は消費者のことを考えていろいろ行政をやっておるわけですが、その意味におきまして、実は大変地味でまじめな省でございまして、PRが下手であったというようなことが多分あると思います。そんなことで、昨年から消費者の部屋をつくったり、あるいは今、先生御指摘のようなことで財界人の方とも懇談したりと、そうして特に国民の合意を得られるような実は行政をやりたいというようなことで、今一生懸命頑張っておるわけですが、これから何分の御指導、御協力をお願いする次第でございます。どうぞひとつよろしく。
○刈田貞子君 お米の問題についてもう少し用意をしたんですけれども、時間の関係で削除させていただきます。 林野の問題について少し伺わしていただきます。 ことしは「国際森林年」ということでいろいろなことが言われてきておりますけれども、まず「国際森林年」に関する政府の取り組みから、もう一度大臣に伺います。
○国務大臣(佐藤守良君) 刈田先生にお答えをいたします。 ことしは「国際森林年」でございまして、記念事業については森林・林業の活力、国民の理解を深めるために大体三つの柱を用意してございます。 その一つは、国際森林年記念の森を造成すること。二番目には、国際的な記念シンポジウムや森林・林業展等の行事を総合的に実施する。三番目には、次代を担う中学生を対象として森林・林業の役割を解説したビデオ、副読本等を作成、配付する等、幅広く計画しており、現在、関係省庁、関係団体と検討を進めております。 また、国際的には、現在設立の準備が進められております国際熱帯木材機関に拠出し、熱帯における森林造成等に関する事前調査を行うこととしておるほか、国際協力事業団等を通じまして造林や森林保全等の林業分野における経済協力を一層推進してまいりたいと考えております。
○刈田貞子君 私は、きょうこの後、また同僚委員の方から林業に関するいろいろな御提案あるいは取り組み等の話があると思いますので、実は林野火災についてだけ集中してお伺いをしようと思ったわけでございますが、これも御好意でいただいている時間でございますので、ちょっと時間がないようですから、とりあえず時間のある範囲内で火災についてのことをちょっと伺います。 五十八年の林業白書を拝見させていただきますと、最近五年間で林野火災による焼失面積、年平均で四千四百ヘクタール、平均の損害額が十六億七千万円というふうなことのようになっておりまして、年平均で四千件を上回る林野火災が起きているということに関しまして、私は非常にこれを遺憾に思っている者の一人でございます。一方で造林、植林等、力を入れていただいている中で、片方燃やしているというのは、これはまことに痛ましいし空しいことです。私は、こういう問題についてどのように考えておられるのか、まずその辺から伺います。
○政府委員(田中恒寿君) かつては、山村地帯に住んでおる方々は、山に入ったときにたき火の始末とか、たばこの始末とか、しっかりしたルールをわきまえておりましたけれども、最近やはりモータリゼーションなどがありまして、余り山のルールをわきまえない人も山に入ったりしますので、お話しございましたように四千件を超すような火災が起きているわけでございます。本当に貴重な森林資源が大面積にわたりまして焼失するわけでございますので、消火体制とともに予防体制を一体的に推進することが非常に大切だと思っております。 このために林野庁は、従来から消防庁等の関係機関と連絡をとりまして、例えば全国山火事予防運動などを推進しておったわけでございますが、本年もこの二月二十八日から一週間、重点推進の週間になってございます。このスローガンをちょっと申し上げますと、「小さな火”まさか”がおこす山の火事」、こういうふうな標語をことしのスローガンとしているわけでございますが、啓蒙普及に大いに努めてまいりたい。 それからさらに、林森保全巡視員という巡視員によります巡視、それから防火管理道が効果がございますので防火管理道を整備する、それから防火用の資機材を配備する等のほかに、山自体を火に強くするための広葉樹を中心といたしました保護樹帯等も造成してまいりたいということで、これは森林施業計画といいます計画の中にそういう方針を盛り込んでいるわけでございます。 それから、六十年度に新たに実施いたしたいと思っておりますことは、地域住民の方々によります自主的な林野火災の予防活動を推進してまいる、この事業を実施することといたしておりまして、特に先ごろの四国でございました大きな林野火災を貴重な教訓といたしまして、今後とも火災防止のために一層力を尽くしてまいりたいと考えております。
○刈田貞子君 消防庁の方、おいでになっていると思います。せっかくおいでをいただいておりますので、川之江市の山林火災の被害状況及び原因等をお知らせいただいて、その中から得た教訓等を発表していただいて、私、質問を終わりたいと思います。
○説明員(石橋忠雄君) 四国の山火事でございますが、去る二月二日の午後六時三十分ごろ、愛媛県の川之江市におきまして発生いたしました。隣の香川県の豊浜町さらには大野原町まで延焼いたしたものでございますが、延べ六十三時間にわたりまして三百九十一ヘクタールほどの山林を焼失したわけでございます。二月五日の十時に鎮火いたしております。 損害額は、現在詳細について調査中でございますが、火災にかかる現地は、松、ヒノキの森林あるいは果樹園等でございまして、林野の損害が約三億五千万円というふうに報告を受けております。幸いにいたしまして建物等の損害はございません。 それから、出火原因でございますが、現在、現地の消防本部におきまして調査中でございます。 この火災におきまして得た教訓ということでございますが、ちょうど現地におきましては愛媛県、香川県、両県におきまして一月三十日から異常乾燥注意報が出ておりまして、当然火災が発生することが予想された時期であった。特に、全国的に見ましても、一月から五月というのが火災の多発期であるというようなことでございまして、当然火災が発生することが予想されるような時期であったということでございます。ただ、現地の状況が、非常に低い山でございますけれども、急峻な傾斜地が多かったというようなこと、さらには湿度が非常に低かったというようなこと、西風が吹いたというようなことで消火作業がかなり難航をきわめたというようなこともございまして、地元でいろいろと地上対策、あるいはヘリコプターによる空中消火等も実施いたしたところでございますが、六十三時間も鎮火に要したというようなことでございます。両県にわたる火災というようなことでございまして、両県間の連絡体制の問題点とか、あるいは消防水利の問題とか、あるいは空中消火の所要機数の問題とかいろいろ出ておりますが、これらの教訓を踏まえまして今後の山火事の消火体制を強化してまいりたいというふうに思っております。
○浦田勝君 大臣も大変御多忙でございまして、限られた時間の中でございますので、二点だけ大臣にお伺いをいたしたいと思います。 第一点といたしまして、農協合併促進対策についてでございます。御案内のように、昭和五十年代に入りましてから、非常に農家経済が長期にわたって低迷をいたしておりますが、さらに最近は金融の自由化の進展による競争の激化等、経済金融の長期的構造変化により系統農協の経営が極めて厳しい環境下に入っております。このような情勢のもとで、系統農協は昭和五十七年の全国農協大会において、系統を通じる経営の合理化、効率化の徹底、積極的かつ活力ある事業活動の展開を柱とする系統農協経営刷新強化方策の決議を行い、この方策を積極的に実践し、具体的な成果を求めていく基本的な条件整備として、農協の規模拡大が不可欠であり、自主農協合併推進を強力に行うことを決定したのであります。 しかし、全国的に農協合併は停滞しておりまして、正組合員戸数五百戸未満の農協が今なお千三百余組合も存在いたしております。系統農協は、昭和三十六年の農協合併助成法、さらには五次にわたる合併助成法の延長の中で農協合併を推進してきましたが、ただいま述べましたようなことで、今なお合併を必要とする組合が数多く存在しているわけでございます。 このような状況下にあることについては当局で十分御承知のことと思いますが、そこで当局として、農協合併を強く指導されるために、新たな角度から農協合併助成法を制定される考えはないか、お尋ねを申し上げておきます。 さらにまた、金融の自由化対策の一環といたしまして一億円の予算がありますけれども、この正式名称は農業協同組合金融自由化対策費となっておりますが、この使い分けにつきましての御説明をお願いいたしたいと思います。 食糧自給率の向上についてでございます。最近、アフリカの多くの人々を苦しめておる、これは皆さん御承知のとおりであります食糧飢餓の問題については、さまざまな報道がなされておりますが、今やアフリカの問題だけでなくて、人類の存亡問題として世界の関心を集めているところでございます。戦中・戦後の我が国の食糧難を生き抜いてきました私どもにとりましても、今改めて感ずる食糧の重大さであります。 そこで、農林水産省は昨年末、国民一人一日当たりの数量、栄養量等を取りまとめたいわゆる昭和五十八年度の「食料需給表」を公表されましたが、これによると、我が国の食糧自給率は食用農産物総合で七一%、穀物全体で三二%と、それぞれ前年度よりワンポイント低下しております。この件につきまして、大臣の御所見を承りたいと思います。 さらに重ねて伺いますが、さきに総理府が発表いたしました「食料及び農業、農村に関する世論調査」によれば、国民が日本の食糧事情に非常な不安を抱いていることはよくわかるわけでございます。つまり、調査の結果は、我が国の食糧事情に対し、六五%の人々が低過ぎるので心配だと答えているわけであります。こうした意識を裏づけるように、食糧供給のあり方では、七五%の人々が、国内で自給可能なものはできるだけ自給すべきであると答えております。いずれも、五十五年の調査より増加しております。さらに、昭和五十五年四月、国会において食糧自給力強化に関する決議を行っており、自給率の向上は国政上の基本的かつ緊急の課題であります。 よって、我が国の食糧供給のあり方、さらには目標とすべき自給率についてどのようにお考えになっておるか、御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 今の浦田先生にお答えいたします。 四つの御質問があったと思いますが、私は農協の問題をお話しし、あとは農協の金融自由化の問題あるいは総合自給力の問題、食糧のあり方についてはまた政府委員から答えさしてもらいます。よろしくお願いいたします。 もう先生御指摘のとおりでございまして、農協を取り巻く経営環境は、農産物需給の不均衡とか、あるいは金融自由化の進展等により大変厳しいものになっております。そんなことで、経営の効率化が不可欠となっておるのは先生御指摘のとおりでございます。 農協の合併は、昭和三十六年の農協合併助成法制定以来、合併が推進されまして、当時、昭和三十六年三月末には一万二千五十農協がございましたが、現在、五十七年三月末では約四千五百弱と大きく減少しております。こういう措置によりまして一定の成果を上げておるわけですが、今後新たな法的措置を講ずることについては、農協を取り巻く経営環境の見通しとか合併が現実の経営効率化に及ぼす影響等を考え、なお慎重に検討する必要があると考えております。 そんなことで、今、先生の御指摘の五百戸未満の農協については、自主合併を推進する方策を打ち出しており、我が省としては自主的かつ適切な合併は推進されるべきであるということから、必要に応じ指導を行うこととしております。
○政府委員(後藤康夫君) 六十年度予算におきます農協の金融自由化対策の一億円余の予算の中身のお尋ねでございますが、大きく申しまして三つの部分から成っておりまして、一つは、金融の自由化が農協の信用事業でございますとか、あるいは農協経営全般に与えます影響の分析検討、それから農協の信用事業におきます機械化、情報化を推進するに当たっての問題点の検討、こういった事柄につきまして、委託事業によりまして調査研究を行うというのが一つでございます。 それから第二には、各県におきます個別農協の信用事業に対します経営改善指導等を行います指導事業の補助事業でございます。 それから第三は、金融自由化によります影響等が特に著しい農協、経営基盤が弱い、あるいは他の金融機関との競争が非常に激しいといったような農協を選びまして、そういうところに濃密指導を行います特定農協の信用事業育成強化事業、これも補助事業でございます。 この三つから成っておりまして、合わせて一億円余の経費を計上をいたしておるわけでございます。
○浦田勝君 先ほどの残りの質問がありますけれども、大臣、もう二十分でお立ちですから一分だけ。まず一つ、お願いだけです。 先ほど御答弁いただきましたが、やはり合併の問題は、これはこの前はいわゆるオンラインのシステム化がなされ、十億以上の預金高がなければだめだというようなことがありまして、それで三十農協が合併したわけであります。その後、やはり自助努力をやっておるわけですが、長い歴史と伝統、まあいろんなものもあるわけです、もろもろの。しかし、やらなきゃならないという意欲は出ております。共済関係なんかはもうすぱっと一発で決まり、一郡一農協的な共済組合ということになりつつあるわけです。したがって、これもできるだけ行政機関等を通じながら合併を促進させるためにはいろんな方法、施策もあるわけです。私自身も県会におりますときは、もう補助事業なんか、はねのけたこともありますが、なかなか進まない。だけれども、これはやらなけりゃならぬわけです。じゃないと、今本当に農協の環境というのは、後でちょっと言いますけれども、いわゆる固定化負債を抱えながら、本当に創意工夫、努力、そして新しい技術、そういうものをやっておりますが、これは限界なのであります。ですから、コスト意識とかプロ意識だということでやっておりますけれども、しかし何を言うても小さい農協じゃどうにもならぬ。ですから、改めて新しい角度から、税制面などで優遇措置等ができ得るのならば、その辺でひとつ温かい御配慮方を大臣、お願いをいたします。 以上で、答弁はなくても結構です。
○国務大臣(佐藤守良君) 浦田先生にお答えします。 実は、認識は私も先生と同じでございますが、農協系統とよく相談しながら対処していきたいと、こう思っております。
○政府委員(田中宏尚君) 先ほどお尋ねありました五十八年度の自給率がワンポイント下がったことについてでございますけれども、これは先生御指摘のとおり、総合自給率でワンポイント下がりまして七一%という自給率になっておるわけでございます。これは実は、野菜等の生産が天候不順というようなこともございまして減少したという一時的要因が大きいわけでございますけれども、このほかにも牛肉でございますとか、豚肉でございますとか、こういう畜産物の消費がかなり伸びたということに伴いまして輸入が若干増加したということを反映して、総合自給率で一%前年より残念ながら低下したという形になっておるわけでございます。 そういう中で、先生からもお話がありましたように、食糧の安定供給、安全保障を確保するということは国を守る基本でございまして、先般の食糧自給力強化に関する決議、こういうものの趣旨を十分踏まえまして、生産性の向上を図りながら、国内で生産可能なものはできるだけ国内でつくっていくということを基本といたしまして、農政を展開しているところでございます。 それから、さらに御質問ありました具体的な生産目標なり自給率という点でございますけれども、御承知のとおり、昭和六十五年を目標年次といたしまして「農産物の需要と生産の長期見通し」というものを立てておるわけでございますけれども、ここでは米は完全自給する、それから野菜はほぼ完全に自給する、それから果物、畜産物は相当高い自給率を守っていく、それから小麦は日本めん用、それから大豆は食用を中心にいたしまして、国内産の品質に適した用途に向けてできる限り生産を拡大するというようなことを六十五年の見通しとして立てまして、そういうものの実現のためにいろんな施策を総合的に推進していくという形に相なっておるわけであります。
○浦田勝君 私は、穀物の自給率の問題についてはいろいろありますけれども、ここで余り申しませんが、おたくたちとのいろいろ論議の中にもあったわけですけれども、小麦の問題にしても非常におかしな面もあるわけです。しかしながら、やっぱり穀物の自給率が低いということは現実のものですから、我々は日本民族として生き延びるためにも、これは独立国ですから食糧の自給は当然の話でありますから、この辺には非常に皆さん方もひとつ力を入れてほしいと思います。 それから、先ほど大臣にちょっと言いそこなったんですが、金融機関関係の合併等が四十二年に行われた、いわゆる転換法ですか。農協もやはり金融の面では、これは冒頭申し上げましたようなことで非常に厳しい環境下にあるわけですから、ぜひひとつこの面での、重ねて合併の問題については強力に推進さしていただきたいと思います。 それから、時間がございませんから飛び飛びになりましてまことに申しわけありませんが、次は畜産の問題についてお尋ねをしたいと思います。よろしゅうございますか。 さきの日米農産物交渉、また先ごろ政府の皆さん方が日豪交渉におきましても大変御努力をいただきまして、その結果、自由化を阻止することができたわけであります。いろいろと言われておりますけれども、本当に皆さん方の御苦労に対しましては心から敬意を表します。 そこで、謝意は表しますものの、一つお尋ねをしたいと思いますが、日米交渉及び日豪交渉の決着の内容につきましては、今後四年間に高級牛肉を二万七千六百トン、年平均では六千九百トン、牛肉の総輸入量では三万六千トン、年平均九千トンを増加させることになっておりますが、この輸入量につきましては、今後の国内の牛肉生産の振興を進めていく上で大きな影響を与えることになるおそれはないのかどうか、この点、第一点お尋ねをいたしたいと思います。 また、今後、牛肉の国内生産の振興、拡大を強力に進めていく必要があると考えますが、政府としてはどのような対策を講じていくつもりなのか、お答え願いたいと思います。 次に、畜産農家は年々減少傾向にありますが、この中には畜産経営から発生した負債の重圧のため経営の継続が不可能となり、転換を余儀なくされるものも含まれておると思われます。さらにまた、一般的には畜産経営をめぐる環境には大きな変化はないというものの、一部の畜産農家は依然として多額の固定化負債を抱えており、これら農家の経営再建対策が課題となっております。もとより、畜産対策としてこれまで数多くの制度なり対策が講じられてまいりましたが、畜産経営の今後一層の発展のために、思い切った長期低利の融資制度を確立するべきだと存じます。 ここに、熊本県農協中央会が調査いたしました農家の固定化負債調査がありますが、例えば肥育牛経営農家の場合、平均固定化負債額は約一千百万であります。これを現在の飼養頭数で償還する場合には、枝肉価格の動向いかんではありますが、よほどの長期低利資金でなければ償還が困難であります。また、あわせて、融資を受けた農家がその後これを円滑に償還していくためには、農家の経営体質強化のための強力な指導が極めて重要であると考えられます。そこで、政府の畜産金融の方向について、具体的な御答弁をお伺いいたしたいと思います。
○説明員(瓜生瑛君) ただいまの御質問にございました第一点が、牛肉の輸入に関する合意の影響という点でございますが、御承知のように、日米、日豪間におきます牛肉協議を進めるに当たりましては、輸入につきましては、需要のうちで合理的な国内生産で不足する部分についてグローバルベースで行うということ、それから輸入が国内農業の健全な発展と調和のとれた形で行われること、この二点を基本としまして交渉をいたしました結果、先ほど先生がおっしゃいましたような形で合意をしたわけでございます。この合意の数字は、政府が既に公表いたしております長期の需給見通しに沿ったものでございます。今後とも畜産物の価格安定等に関する法律に基づく価格安定制度の的確な運用に努めることとしておりまして、牛肉需給の動向から見ても国内関係農業者に悪影響を与えないで対処できるものと考えております。 それから次に、こういう状況の中での牛肉の国内生産の振興、拡大対策についてのお尋ねでございますが、肉用牛生産につきましては、地域農業の展開や農山村の振興を図る上での重要性にかんがみまして、酪農とともに稲作に次ぐ土地利用型農業の基軸として位置づけて、長期的な視点に立ってその振興を図ることが必要であると考えております。このため、肉用牛生産につきましては、酪農、肉用牛生産近代化基本方針に即しまして、飼養規模の安定的拡大、中核的な担い手等の育成、飼料自給度の向上、肥育期間の短縮等の経済的な飼養形態の普及、それから経営内や地域内での一貫生産の推進等を図りまして、経営体質の強化と生産性の向上を積極的に推進してまいりたいと考えております。 それから第三点といたしまして、畜産農家の負債の問題についてのお尋ねでございました。借入金によりまして急速に規模を拡大いたしました畜産経営の一部には、生産資材の価格や畜産物価格の変動とともに、生産性向上のおくれなどともかみ合いまして、借入金の償還が困難となったものが見られたことはございます。このため、金融機関による既貸付金についての償還期限の延長など自助努力と相まちまして、臨時特例的な措置として、長期低利資金の融通を行ったことが過去にもございます。肉用牛、養豚、ブロイラー経営に対しましては、昭和五十七年度に肉畜経営改善資金の貸し付けを行っております。また、その貸し付けと同時に、農家みずからの経営、家計全般にわたる合理化努力と、関係団体による経営指導を通じて経営の改善を図っているところでございます。 それから、酪農経営に対しましては、昭和五十六年度から五年間の予定で酪農経営負債整理資金の貸し付けを行っております。その後の畜産経営をめぐる一般的な環境を見ますと、生産資材、枝肉価格等が比較的安定的に推移いたしておりますので、酪農、肉用牛、養豚を中心として経営は改善されつつあるものと考えております。したがいまして、一般的には、畜産経営全般にわたって臨時特例的な負債対策を講じる必要はないものと考えております。 なお、個別経営の再建対策といたしましては、一定の条件に該当するものについて従来から自作農維持資金制度が設けられておりますし、六十年度からはその貸付限度額の特認が八百五十万円から千五百万円になりまして、活用範囲が拡大する見込みでございます。 このほか、金融関係の対策といたしましては、六十年度には農林漁業金融公庫の総合施設資金の拡充、それから農業近代化資金の貸付限度額の拡大、肥育牛の購入・育成資金の償還期限の延長、さらには畜産振興資金を農業改良資金に位置づけるとともに、その貸付枠を拡大するなど、肉用牛を中心に制度金融の充実を図る予定でございます。 それから、なお、これらの融資措置が真に農家の経営改善に結びつくためには、農家自身の努力だけでなくて、これを支援する農協及び地方公共団体等が一体となった指導が極めて重要であることは先生の御指摘のとおりでございまして、今後とも関係団体との連携の強化及び指導体制の充実強化に努めてまいりたいと思います。
○浦田勝君 厳しい状況下でございますから、私どももできるだけ県、市町村、農協の皆さん方と一体となってこの難局を乗り切ろうということで、非常に御同意と御賛同はいただいておるわけであります。しかしながら、やっぱりかなめとなるのは国ですから、国の力でお願いしたいということでありますが、私は全部農協を回ったんですけれどもね、今や個人の負債が農協の負債だということで深刻に論議されておった。特に果樹と畜産が横綱だった。それが今日では、野菜がそれに入り込んできたわけであります。耕種部門まで入ってきております。それから、何のための固定負債がふえたかわからないというのもあるわけであります。いずれにしても、これを解消することが急務であることは事実でありますので、これから特に自助努力も必要でありますので、そういう面ではやっていこうということであります。 先ほども申し上げましたように、コスト意識に燃えて省力化、機械化、もうこれは限度いっぱいまで来たわけです。ですから、先ほどおっしゃいましたが、資金の改定がなされ大幅にゆとりあるものになってきましたが、さらにまだまだその中の一つであるバイオテクノロジーの問題が出ておりましたけれども、これを早急に新技術の開発をしていただいて、この限界を乗り切れるようにしてほしい。それはなぜかと申しますと、畜産関係なんかそれが一番じゃないかと思うわけですから特にお願いをしたいと思います。肥育牛の問題とか、特に和牛は本当にもうもうからぬのですよ。酪農の方は、今おっしゃるとおりに、これは本当に国際競争力に追いついてきつつありますけれども、肥育牛の特に和牛なんというのは本当に苦しい思いをしているわけですから、そこらあたりをひとつ考えていただきたいと思います。 次に、森林問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 森林は、国の七割を占め、木材の供給のほか国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全、形成など公益的機能の発揮を通じ国民生活の基盤を支えております。国土の開発、都市化が急速に進展している今日、森林を守り育ててこの公益的な機能の高度発揮を図っていくことがますます重要となっております。 しかしながら、我が国の林業は、木材の需要と価格の長期低迷と林業経営費の増高により、極めて厳しい状況下にあります。このため林業者は経営意欲を喪失しつつあり、林業生産活動の著しい停滞により森林は荒廃の度を深めております。このような状態が続くならば、せっかく育成してきました国民的財産とも言うべき森林資源をむだにするばかりでなく、森林の持つ公益的機能の発揮にも支障を来し、先ほど出ましたような災害の多発を招くことにもなりかねません。このような状況下に対して、どのような森林整備と林業の振興を図っていくのか、見解をお伺いしたい。 次に、木材製品の関税の問題についてお尋ねをいたします。新聞にも出ておりますが、我が国の木材製品に対する関税は、丸太を中心に輸入品の大部分が無税になっており、合板等の一部の品目についても、林産業が不況下にあるにもかかわらず、アメリカ等からその関税引き下げについて強い要請がなされております。 ところで、近年、我が国の林産業は住宅建設の低迷を反映し厳しい不況下にあり、このことが林業に深刻な影響を一層及ぼし、ひいては国土の保全や水源の涵養等、森林の有する公益的機能の発揮にも悪影響を及ぼしかねないのであります。こうした我が国の森林・林業に及ぼす影響を考慮した場合、木材製品の関税引き下げは慎重の上にも慎重に対応することが必要であると考えますが、これに対する御所見を承りたいと思います。
○政府委員(甕滋君) 林業の現状につきましては、ただいま先生からるるお話ございましたように、木材需要の不振、価格の低迷等が見られます一方、経営の諸経費は増高するといったふうに、極めて厳しい状況にあるわけでございます。また一方で、これも御指摘ございましたが、森林が木材供給だけでなく国土の保全、水資源の涵養あるいは良好な環境の維持といった面におきましても極めて大きな機能を持っておるわけでございます。また、そういう公益的な機能の発揮に対します国民の期待も一段と高まってきておるという状況であると承知しております。 こういった状況に対処いたしますとともに、また二十一世紀に到来が予想されます国産材時代に備えまして、今全体としての林業施策を推進しておるわけでございますが、まず第一には、木材需要の拡大といった大きな課題があろうかと思います。木のよさを見直す中で、これを普及啓発を通じて需要を拡大し、林業生産の受け皿を拡大していくということが基本的に重要であろうかと思います。また、山元におきましては、造林あるいは林道等の生産基盤の整備を図りますとともに、林業地域の活性化に取り組むために、国産材主産地の形成でございますとか、林業担い手の確保のための施策を展開してまいりたいと考えております。また、現在の日本の森林資源の状況からいたしますと、間伐対策が非常に重要でございまして、これは計画的な間伐対策の実施から流通加工、利用開発に至るまでの総合的な対策を強化することとしております。また、保安林の機能の強化、治山事業の推進等、国土保全対策につきましても大きな問題として力を入れていく考えでございまして、こういった各般の施策を積極的に進めることによりまして、森林・林業の振興に一生懸命取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。 また、もう一つお尋ねの木材製品の関税問題でございますが、これはアメリカからも関税引き下げの要求が強く出されておりまして、昨日も会議があったわけでございますが、我が国の林産業界の状況を見ますと、林業、林産業全体の不振の中で、やはり長期にわたって深刻な不況のもとに置かれておりまして、まだこれが回復の兆しがなかなか見られないという苦しい状況にございます。倒産件数も引き続きかなりの数に上っているわけでございます。こうした林産業界の不振は、結局のところ、森林・林業の方面にも深刻な影響を与えてまいりまして、森林の国土保全あるいは水資源涵養等の公益的機能にも悪影響を及ぼす懸念があるわけでございます。したがいまして、お話しのように、木材製品の関税引き下げにつきましては、私ども極めて困難な事情にあると考えておりまして、今後そういった考え方で対処してまいる必要があろうかと思っております。
○委員長(北修二君) 持ち時間が参りましたので御了承願います。 本件に対する残余の質疑は休憩後に行うこととし、午後四時二十分まで休憩いたします。 午後一時四十二分休憩 ─────・───── 午後四時三十四分開会
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、昭和六十年度農林水産省関係の施策に関する件を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○塩出啓典君 きょうは大臣の所信表明に対する質問でございますが、藤原委員等からも農政全般についての質問もありまして、私は特にことしが「国際森林年」であるという、そういう点に関連をしてお尋ねをしたいと思います。 総理も施政方針演説で「国際森林年」のことにも触れられ、また農林水産大臣もこのようにおっしゃっております。「本年は「国際森林年」とされていることから、これを契機として我が国のみならず世界の森林資源の保全・涵養に積極的に取り組んでまいる所存であります。」と、このようにおっしゃっておるわけでありますが、先般のNHKの「21世紀は警告する」というような報道番組とか、またアメリカ政府の「西暦二〇〇〇年の地球」とか、こういうようなものを見まして、かなり森林が破壊をされて砂漠化が急速に進んでおる。そういう点から、私たちもやはり今アフリカの飢餓も当然そういう点に関係がないわけではない。日本の国はたくさんの木材を輸入しておる国でもありますし、そういう点から、このような砂漠化防止対策には国としても全力を挙げて取り組む責任があるのではないか、このように考えるわけでありますが、農林水産大臣としての決意、どのようなお気持ちでいらっしゃるのか、これを最初にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 塩出先生にお答えさせていただきますが、今、先生の御指摘されたとおりでございます。 開発途上国における焼き畑移動耕作等による熱帯林の急速な減少とか、先進国における大気汚染等による森林の荒廃等、世界的規模で森林が減少しておる、あるいは劣化しておると、こういう問題がございますものですから、昭和五十九年十一月、ローマにおいて開催された第八十六回FAO、国連食糧農業機関理事会において、一九八五年を「国際森林年」とすることが決定されたわけでございます。 また、本年は、国連総会の定めた「国際青年年」でもございますし、青年の植樹行事への参加が期待できること、及び本年七月にメキシコにおいて世界林業会議が開催されること等も考慮されたようで、先生の御指摘のことを中心に森林の重要性を喚起したい、このように考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 それで、一九七七年に国連砂漠化防止会議というのがケニアの首都ナイロビで開かれたそうでありますが、いろいろ報道によりますと、そのときに砂漠化防止計画というものを決めて、西暦二〇〇〇年を目標に二十六項目の砂漠化防止行動計画が策定をされた。その計画は、三十二回の国連総会で承認をされ実施に移されたわけでありますが、しかし、その二〇〇〇年を目標とする砂漠化防止行動計画というものが結局なかなかうまくいっていない。しかも、どんどん砂漠化が進んでおる。そういうようなことが、先ほど大臣が言われましたように、今年を「国際森林年」とするということになったようでありますが、こういうようになかなか計画どおりいかなかったという、そういうような理由はどういう点にあるのか。農水省としてはこの点はどのようにお考えになっておるんでしょうか。
○政府委員(田中恒寿君) 大臣からもお答えを申し上げたところでございますけれども、やはり背景には、人口の爆発的な増加という背景もあるのではないか。それによりまして、焼き畑移動耕作等もこれは数百年にもわたって行われていることでありますが、そのテンポが甚だしく早まったということ、あるいは燃料薪炭材の採取がやはり過剰採取、限度を超えたこと、あるいは放牧につきましても、過放牧と言われる再生の限界を超えた放牧になっておる。さらに、やはり日本は相当公害除去技術が進んでおりますが、国境を接したヨーロッパ諸国ではそういう大気汚染、工場排煙の基準等がまちまちのために、全域的にそういう大気汚染が進みます。そうしますと、木が弱るところへもってきて害虫が発生するとか、そういうことが非常に複合的に重なってまいったのではないか。やはり一口で申しますと、人類が過剰と言いますと大変言い過ぎでございますけれども、いろんな経済活動その他が自然の容量を超えた程度にまでなってきておる。これはやはり十分な森林の活力を回復させまして環境の力を活性化させないと、全体のバランスはとれないというふうな段階に参っているのではないか。 昨年急に決まりましたのも、準備期間がなさ過ぎるのではないかというふうな意見もございましたが、非常にこの問題は急務である、放置できないからことしぜひともというような意見が強かったのも、今申し上げましたような背景があったのではないかというふうに考えられるところでございます。
○塩出啓典君 話を聞けば聞くほど、非常に先が暗いというか、果たして地球はどうなるのかという、そういうことを大変心配するわけですが、今一年間に日本の本州に匹敵する土地がどんどん荒廃をしておると、そういうことが言われておるわけでありますが、そういう防止は果たして可能なのかどうか、これはどのようにお考えですか。
○政府委員(田中恒寿君) これは局部的にはそういうことを十分防ぎ得る技術が、例えば砂漠の緑化でありますとか、砂漠の耕地化につきましても既にいろいろ例もございますし、それからそういうところの緑化につきましても、そういう技術につきましては我が国は相当高い水準のものを持っておるのではないかと思います。そういうものを上手に体系化、組織化して有効に作用させれば私は十分可能であるし、そういうことのために日本の技術者が頑張ることは大変いいことでありまして、そのために、国際熱帯木材機関というものは、そういう特に熱帯におきます林業、森林のいろいろ安定的な経営のために機能する機関でございますけれども、その機関なども日本に持ってまいりまして、積極的な発言、関与をすることによってお役に立っていきたいという気持ちをあらわしておるわけでございますが、十分やりようによっては可能なことであると考えております。
○塩出啓典君 私は、日本は、森林の管理とかそういう点でも非常にすぐれておりますし、昨年五月にUNEPですか、ここの理事会においても世界的な認識と参加があれば防止は可能であると、このように言っておりますし、私たちもそのように思います。そういう意味で、我が国としてもっとやはり積極的に協力をしていかなければいけないと思うんでありますが、一九七七年以来今日までこの砂漠化防止問題についてどのように協力をしてきたのか、それからさらに本年度の「国際森林年」に当たって、我が国としては今までと違ってどのように予算を組んで協力していこうとされておるのか、その点をお伺いいたします。
○政府委員(田中恒寿君) まず、相当効果を上げました例について申し上げたいと思いますけれども、フィリピンにパンタバンガンという地区がございまして、ここはたび重なる火入れによりまして広大な草原状になっておる土地がございます。土もベトン状、コンクリートで固まったような、つるはしでも穴があげられないようなところでありますけれども、そういうところをまず原地植生を回復させましてだんだんに森林を回復させる、そのうちに植物、動物が豊富になる、水がたまる、それにはダムをつくって水をためるとか、そういう全体の地域の自然環境を回復する仕事を海外技術協力事業団との協力のもとに林野庁の職員が多数参りましてやっておりましたが、成功の目鼻が非常についてまいりまして、これなどは現地から大変喜ばれているところでございます。 さらに、インドネシアのスマトラにおきましても、あそこも森林の焼き払い後の草原状態のところが相当ございまして、そういうところも現地に研究施設をつくりまして取り組んでおるところでございますが、そういうふうな森林の造成、維持、回復を目的といたしましたプロジェクトチームなどが現在八件ばかり、特に途上国と中南米中心に行われております。これは我田引水でございますけれども、相当成果を上げておる、さらに推進をしていきたい。特にことしが森林年でもございますので、これにドライブをかけるいい機会といたしたいと思っております。 関連します予算といたしますと、いろいろ既存の事業もありましてこれを合計いたしますので、にわかに何億とはちょっと申し上げかねますが、相当な額になる。それの誘い水となりますのが、先ほどの国際熱帯木材機関へ拠出いたします五千万などは際立ったものでございますが、既往の計画が相当ございますので、相当な規模の予算がこれに投入されることになると思っております。
○塩出啓典君 今お話を承りますと、いろいろ今までそういう東南アジア等の森林をつくるのに協力をしておるということでございますが、私のいただきました資料では、国際森林年関連予算として国際熱帯木材機関拠出金五千万円、それから国際森林年記念事業委託費三千三百万、これでは余りにも少ないなと思うので、だから我が国としてもそういうように協力しているのであるならば、そういう点をもっと実態をまとめて大いにひとつPRもして、さらにこれは外務省の経済協力とも関連してくると思うんですけれども、経済協力の内容もやっぱり森林をつくる農業を、自助努力を育てていくという、こういう方向がより強化されることが必要なことは私は当然じゃないかと思うんですけれどもね。 そういう意味で、中曽根内閣として、これは農林水産大臣にも要望したいわけでありますが、総理大臣も先ほど申しましたように施政方針演説の中でもちゃんと触れておるわけですから、やっぱりこれは農水省のみならず中曽根内閣として、こういう「国際森林年」に対して発展途上国、アフリカとか東南アジア、あるいは中南米のこういう森林の荒廃に対して日本のこの技術をもっともっと生かせるように、中曽根内閣として、もうちょっと対策本部をつくるなり、積極的な取り組みとPRあるいはまた民間の協力とか、そういうものを求める必要があるのではないか、こういう点はどうでしょうか。
○政府委員(田中恒寿君) 林業関係のそういう資金協力につきましては、我が国が熱帯木材の大体四割をも輸入しているような大変関係の深い国であるということからなども、この海外援助活動には大変力を入れているところでございます。無償の資金協力なども五十三年以来約六十億に達しておるところでございまして、それも先ほど申し上げました森林造成、維持、そういう技術協力に関連をいたしまして、それに密着をして役立つ形で使われているところでございます。 先生御指摘ございましたように、ことしがまたそういう方へ向けましていろいろ意識高揚、啓発のまたとない機会でもございますので、さらにそれにつきましては我々としても最大限の力を傾注してまいりたいと思っております。
○国務大臣(佐藤守良君) 塩出さんにお答えいたします。 今、長官が言ったとおりですが、「国際森林年」というのはいろんな行事がございますが、実は私、最初は「国際青年年」と同じようにしたいと、こう思ったわけです。そうしますと、「国際青年年」は国連総会でやられているのです。これはFAOの決定ということで、非常に格も違うということでございます。また、あと予算面につきまして、実は先生御指摘のとおり、直接費は非常に少ない三千三百万円、熱帯木材機関五千万円というふうに少ないわけでございますが、実は造林費その他を使ってかなりのやっぱり金が使えると、こんなことで、表に出ておりませんけれどもかなりいろんな事業、例えば国際森林年記念の森とか、あるいは国際的な記念シンポジウムとか森林・林業展というような行事を総合的に実施するほか、あるいは次代を担う中学生を対象として森林・林業の役割を解説したビデオをつくるとか、そんなことでかなりのお金が実は使える、こういうように考えております。
○塩出啓典君 最後に、環境庁の方にお越しいただいておりますのでちょっとお尋ねをいたしますが、今回の「国際森林年」を定めた原因の一つとしていわゆる酸性雨のことが問題になっておりますが、我が国においてはそういう酸性雨の被害というのはどうなのか、またこの原因はどういう点にあるのか、対策はどうすればいいのか、この点について環境庁のお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
○説明員(杉戸大作君) お答えいたします。 我が国におきましては、この酸性雨は、欧米の例えば森林の生産性が何%か減少したとか、そのような状態ではございませんで、まだ森林などの生態系に対します被害というものは顕在化はいたしておりません。しかしながら、かなり酸性度の高い雨水が観測されております。その酸性雨によります被害はやはり未然に防止するということが非常に肝要なことでございまして、その酸性雨の発生のメカニズムの解明等を行うということから、五十八年度から五カ年計画で所要の研究調査を現在進めておるところでございます。その結果を踏まえて、先生御指摘のような酸性雨に対します諸問題、その対策を積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。
○下田京子君 大臣、私はまずカネミ油症問題について、患者の皆さんの一日も早い完全な救済を願って質問いたします。 カネミ油症事件の発生から既に十七年です。大臣御存じかと思います。カネミ原告団の三吉さんの長男の方、基広君が亡くなられたのは昭和四十四年です。中学校からの下校の途中、自分の家の目の前で亡くなりました。油症患者として初めての犠牲でした。ことしは十七回忌です。この間、すべての油症患者の皆さんがどれほど苦しんできたか。原因も知らない腹痛、頭痛、全身痛、言葉では言い尽くせない苦しみを味わってきました。この苦しみは過去のものじゃないのです。現在も続いているのです。大臣、患者の皆さんに、もう苦しめないでくださいと訴えられたはずです。大臣の耳にはこの訴えが届かなかったのでしょうか。私は人道的にも許されない問題ではなかろうかと思うのです。控訴を撤回して被害者の全面救済に当たるのが、これが人の道ではないでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えいたします。 カネミ油症事件の被害者の長年の御苦労に対し心から御同情申し上げ、お見舞い申し上げます。 先般のカネミ油症事件第三陣一審判決につきましては、関係各省と慎重に協議し、特に私がお願いしまして、法務、厚生と私の三大臣会議を開いて検討した結果、国の法的責任を認めた判断に事実認定及び法令解釈適用上承服しがたいものがあるので、さらに上級審の判断を求めるべく控訴することとしたわけでございます。また、裁判上の問題とは別個に、厚生省において今後とも被害者の治療対策等を講じていただくとともに、我が省としては、カネミ倉庫に対し、その事業活動の維持継続を通じまして被害者の方々に対する治療費等の支払いが進められるよう、さらに行政上の立場からとり得る措置を講じたのでございます。
○下田京子君 大臣、栄養があっておいしいという宣伝で売り出されたカネミライスオイルですね。てんぷらやいため物、サラダオイルなどに使いました。それを口にした人が被害に遭われたのです。PCB入りのライスオイルで、届け出によりますと約一万四千人の方々の人生が変えられてしまった。五十九年十二月現在の厚生省の資料によりますと、認定患者数が千八百三十三人、既に亡くなられた方々が百二十人です。カネミライスオイルによって命を奪われたわけです。しかも大臣、被害者は、カネミライスオイルを直接口にした方でない、子供たちにまで及んでいます。つまり、カネミ油症患者であるお母さんから生まれた子供が、また油症患者になっているという実例なのです。 私、厚生省にお調べいただきまして驚いたのは、昭和四十五年の二月以降に生まれ、つまり現在十五歳末満の子供たちが四十三人、油症患者に認定されて苦しんでいるのです。うち、五十年の二月以降に生まれた十歳末満の子供が六人います。つまり、油症事件後七年以上もたってから生まれた子供たちにまで被害が出ているのです。これは認定患者の一部ですから、届け出約一万四千人の全患者がどうなっているかということは、いまだ実態も把握されていないわけです。子供を持つ親ならだれしもが生まれてくる子供の幸せを願い、まず丈夫であってほしいと思うのが常である。ところが生まれた子供が黒い皮膚であった。どうですか。この子供に責任がありますか。じゃ、お母さんに責任がありますか。患者の皆さんに責任がありますか。皆さんに責任あるかないか、それだけで結構です。答えてください。
○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えしますが、カネミ油症事件の被害者、その関係者の皆様方の本当に長年の御労苦に対し、心から御同情申し上げる次第でございます。
○下田京子君 患者の皆さんには責任ないですね、大臣。大臣に聞いているのです。
○政府委員(野明宏至君) カネミの患者の皆さんは、そういう油と知らないで被害に遭われたということで、大変お気の毒に存じておるわけでございます。
○下田京子君 患者の皆さんに責任ないでしょうと質問しているんです。気の毒、気の毒でないはもう伺っているんです。
○政府委員(野明宏至君) 先ほど申し上げましたように、患者に責任はないというふうに考えます。
○下田京子君 大臣がどうしてお答えいただけないのか私は理解に苦しみますが、それでも患者に責任かないと局長は言われ、大臣はうなずいておりますから、同じ気持ちだと思います。むしろ、恐らく胸がいっぱいになって答えられなかったんだと理解させていただきます。 それでは、患者の皆さんの苦しみをそのまま放置できないと思うんですよ。救済されなければならないと思います。さっきは大臣、いろいろ農水省としても法的措置と別に対応したとお話ありました。それは承知しております。 そこで、さらにお話を進めたいんですが、生まれてきた子供がカネミ油症患者であったというある具体的な婦人の訴えを御紹介します。 福岡県の田川市に住む御婦人なんですが、この方は、小学校のときに御家族と一緒にカネミライスオイルを口にしてカネミ油症認定患者になりました。幸いにも昭和五十年の十二月に皆さんに祝福されて結婚されたんですけれども、翌五十一年の二月に長女が生まれました。その翌年五月に次女が生まれました。この辺から運命が変わりました。二人とも、五十五年の三月にこの油症患者に認定されたんです。二番目の娘さんが生まれたときに、この御婦人の御主人が何と言ったか。僕の子供ではない、そう言ったそうです。色が真っ黒でね、目と唇がはれていたそうです。その翌年、離婚となったわけですね。二人の娘さんとともに婚家を離れなければならなかった。かわいそうでしょう、本当に。この御婦人のことを思いますと、娘さんのことを思いますと、とにかくいろいろあるでしょうけれども、本当に安心して治療が受けられる、せめて安心して暮らしが成り立つようにしてあげたい。大臣うなずいているから同じ思いだと思います。 そこで、具体的に対応方お願いしたいんですけれども、カネミ油症事件統一原告団とカネミ油症訴訟対策委員会の皆さん方が、五点にわたって全面救済の要求を出しております。一つは慰謝料の問題で、これは昨年三月十六日の高裁判決を基準にしてひとつ全被害者に支払われるように考えてもらいたい。二つ目が、治療法開発に責任を持ってもらいたい。三つ目が治療費、全被害者がどこでも安心して十分な治療が受けられるような対応をしてほしい。四つ目には経済補償ですね、健康管理手当として全被害者一人当たり毎月三万円。当初五万円という要求もございましたが、三万円でという話になった。そして、五つ目に解決金の話も出ております。これらの問題につきまして、大臣が今すぐやれるかどうかということでなくて、こうした要求を受けて、そして関係するところと積極的に話しかけて解決のために取り組んでもらいたい、こう思うわけです。大臣に答えていただきたい。
○国務大臣(佐藤守良君) ちょっと先に答えさせてください。
○政府委員(野明宏至君) 先ほど大臣からお答えがございましたように、裁判上の問題としては控訴いたしたわけでございますが、農林水産省としても行政上とり得る措置はとっていくということで、先般JAS認定工場の指導のほか、中小企業近代化促進法に基づく指導、それから米油製造業としての原料手当ての問題、それから倉庫の問題、そういったことを通じてカネミ倉庫が事業活動の継続を通じまして治療費等の支払いができるよう、農林水産省として行政上とり得ることはとってまいりたいということで、この前三大臣会合においても御決定を見たわけでございます。
○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えしますけれども、今、局長から答弁したことで尽きるかと思うんですが、実は裁判の問題というのは、これはもう御存じのことで、私ども上級審の判断を仰ぐために控訴したわけでございます。そんなことですから、あとの治療法の解明というのは、実はこれを言うと、私も特に三大臣会合のときによくお願いしまして、早く治療法を解明してほしい。こんなことを、今、先生がおっしゃったような事実を私もいろいろ聞いたもので、全く本当にお気の毒だということで、早く治療法を解明してもらいたい。そういうことで、厚生省によくお願いしたということでございます。 また、治療体制の確立とか、患者一人当たり三万円の経済補償とか、そういういろいろな点につきましては、厚生省の問題が多いわけで、実はよくお願いいたしたというところでございます。
○下田京子君 厚生省にお尋ねしたいんですけれども、厚生省の問題が多いけれども、大臣も積極的に今までもやってきたしこれからもやるという話もありましたが、大変やっぱり深刻な事態を厚生省もつかんでいると思うんですね。 問題は、従来カネミ倉庫が一定の範囲で治療費の負担はしてきましたけれども、業績不振ということで一方的に支払い範囲を限定したりしているのは御存じだと思います。昨年の九月に、患者二百八十八名から治療費の実態調査アンケートを実施されているんですが、資料もありますけれども、現在もカネミ倉庫に請求しているという方々が二百八十八名中百八名で全体として三七・五%なんですね。以前に請求はしていたけれども今はもうやめてしまったという人が六十四名おるんですけれども、その理由は、手続が面倒だというのが半数、それから請求しても断られたというのが半数なんです。これだけでは全体像は明らかにならないと思うんですけれども、例えば各種の健康保険の一部負担金の請求、これが拒否されているとか、通院の交通費が拒否されたとか、いろいろあるんですけれども、こういう実情を調査した上で厚生省としてはいろいろ改善方に取り組んでいると思うんですけれども、その辺のあたりを簡潔にお答えいただきたいと思います。
○説明員(玉木武君) その辺の問題につきましては、従来から患者のグループの方々とお話をしてきております。私が食品の担当課長になりまして十数度にわたってお話ししてきたわけでございますが、その問題について、特に昨年から非常に深刻な問題として我々受けとめております。 それで、この一月の末に、当方の医系の課長補佐とそれから担当係長を現地に派遣いたしまして、どのような形で医療費の問題が対応されているかカネミ倉庫の方から実情を聞きまして、また患者さん方の実情も伺ったわけでございますが、これは昭和五十年か五十一年だったと思いますが、原告団の方々とカネミ倉庫の間で医療費の支払いについての覚書が交換されております。その覚書どおりに行われているかどうかを毎年我々としては厚生省で実情を聞いておったわけでございますが、今回は地元に行って伺ったと。その場合に、いろいろ問題はあったようでございます。しかし、患者さんのグループの要望と、またそれを受けたカネミ倉庫の間におきまして相当の、部分的な誤解もあったということもございまして、その時点におきます話し合いにおきましては将来に対するある程度の問題解決のともしびは見えたと、このように理解をして、現在その対応を見守っておる状況でございます。
○下田京子君 大臣、治療問題については大臣も大変胸を痛めて、さっきも局長から詳しいお話ございましたけれども、今回カネミ倉庫に対して治療費等の支払いが不能にならないように間接的な援助策をとられたと。詳しいことはいいです、もう知っていますから。そういう点から、カネミ倉庫が出し渋らないという点で、きちんとした指導というのが大変大事だと思うんです。それから同時に、鐘化をやっぱりテーブルに引っ張り出すということだと思うんです。 そういう点で、大臣のやっぱり積極的なリーダーシップといいますか、そういう対応を皆さんが見守っていると思うんです。きょう患者の方も見えているんですけれどもね。
○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えいたしますけれども、先ほどちょっと治療費の問題等で、三十数%の方が厚生省から拒絶されたということでございますが、実は厚生省の方、大変よくやっていただいておるわけで、恐らくその間にいろいろな事情が不十分であった点はあるかと思うんです。もしそういう点があれば、我が省で全部実は相談に乗って厚生省に話したいと思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。 それから今の点でございますが、カネミ倉庫でございますが、これは実は畜産局長等が中心になりまして、カネミ倉庫の経営者から直に経営内容等を聞いております。そんなことで内容についてはよく承知しておりますゆえ、しかも現在ではそういう治療費等の支払いには支障を来さないような経営内容になっておると、こう理解しておりますゆえ、その点については心配ないようにできると、こう思っております。 それから鐘化の問題でございますが、これはカネミ倉庫の場合と異なりまして、油症事件に関する一連の裁判において被害者との間で係争中であることでもあり、また治療対策等は厚生省の所管でもあることでありますので、特に直接現在のところ働きかけるつもりはございません。
○下田京子君 そこを働きかけを考えてもらいたいんですよ。 厚生省にお尋ねしたいのは、もう鐘化の場合には六回、責任が裁判では問われているんですね。今までも何度か交渉のテーブルに着くように言われていることは聞いているんですけれども、もっと積極的に厚生省としてもそういう対応をしていただきたいし、ひいては、そういう厚生省と農水省も今回の中で明らかになりましたが、もっと綿密な対応をしてと、こう言われていますから、やっぱり鐘化を引っ張り出す、そのことを考えてください。厚生省と大臣に答えていただきたい。
○説明員(玉木武君) 鐘化と患者団体との話し合いの場をつくるということにつきましては、従来も精力的にやってまいったわけでございます。私も大体年に二度は鐘化の社長さんともお会いいたしまして、話し合いの場に着かれてはどうだろうかということもお願いしてまいりました。しかし、現在のところ、先生も御存じだと思いますが、鐘化側にも同じテーブルに着かないという確固たる理由を持っておりますので、その辺についての誤解といいますか、今までのいきさつといいますか、その点がある程度払拭されるような、そのような我々のセッティングも考えながら、今後とも鐘化側に対しましてテーブルに着くような説得を続けてまいりたいと、このように考えております。
○国務大臣(佐藤守良君) 今、厚生省の食品課長さんからお話あったわけでございますが、治療対策等は厚生省の所管ということでございますが、私の方としても陰ながら尽力しまして、テーブルに着くように努力してみたい、こう思っております。
○下田京子君 ようやく、とにかく厚生省の所管だとは言いつつも、大臣が再度リーダーシップをとるというお気持ちを表明されたという点で、期待を申し上げます。 いずれにしましても、もうあの事件から十七年、今もなお苦しみ続けている、これからも続くということを考えていただきたいんです。人間の命、健康、安全にかかわることについて、厚生省か農水省かじゃないんです。政府が国民に責任を持つということをはっきりさせて対応していただきたい。そのことを最後に申し述べまして、次に移ります。 ソ連漁船の塩釜寄港の問題でございます。 大臣は既に、寄港は難航している交渉の局面打開のためにやむを得ざる措置だったということをお述べになりまして、地元にも誠意を持って話し理解を得たいと、こう言われております。またさらに、警備面や地元負担についても関係省庁とも相談をして政府としてできる限りの対応はしたい、こういうお話でございます。 ただ、今いろいろ検討中だとは聞いているんですけれども、大臣、はっきりさせたいことは、やはりこの日ソ漁業交渉との関係でもって、ソビエト漁船の塩釜寄港に当たって頭越しで決着したという点は問題だ、やはり地元に対して事前に説明をして了解を得るべきであったという点は指摘しておきたいんです。 同時にはっきりしたいのは、日ソの交渉の中で出てきた問題ですから、大臣も言っていますように、難航している交渉の局面打開のために国の責任で決めたことなんですから、地元に対しては一切のやっぱり犠牲も負担も強いないということを明確にすべきだと思うんです。同時に、それら地元との交渉は水産庁が窓口になってしかるべきだと思うんですが、確認のためにお答えください。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 このたびの塩釜寄港の問題というのは、結局、難航する日ソ漁業委員会における協議の局面打開のためのやむを得ざる措置として認めたものでございます。したがって、地元県、市に対しまして事前に相談しなかったことにつきましては、外交交渉に関する事項であり、事前に地元と協議をすることが難しかったという事情について御理解をいただきたいと、こう思っております。 地元に対しましては、実は北洋漁業従事者約十三万、関係者を入れて数十万の方々の生活と、そんなことでございまして、現在、鋭意寄港地決定の経緯を説明し地元の理解と協力を求めているところであり、今後とも引き続き誠意を持って話し合いをいたしたい、このように考えております。
○下田京子君 ソ連漁船の寄港問題になぜ反対するかという問題なんですけれども、これは現地に行って伺いましたし、どこでだれに聞いても同じように言われるのが、やっぱり右翼暴力集団の妄動なんですね。ソ連漁船寄港に反対する最大の理由は、右翼暴力集団の抗議と称する妄動だ、そのことによって市民に不安を与え生活に混乱を来すようなことがあってはもう大変だと、こう言われております。 小名浜の場合もそうでございまして、もうこれは水産庁よく御存じだと思うんですけれども、問題は右翼対策ですよと。むしろソ連側は大変きちんとしておりまして、当初心配されていました漁具被害であるとか漁船の被害というのは全くなかったし、それから廃棄物の投棄による海洋汚染などもなかった。今度はまずいからいつに変更してくれということを言いますと、そういう日程変更もきちっと守ってくれたと、こういうことを言われております。 ところが、それらに対して右翼の方はどうだったかと言いますと、とにかくソ連漁船の乗組員が町に買い物に行きますと、買い物先のお店に行って、それから使ったバス、タクシーを追いかけて営業妨害をするというふうな格好で、結局、最初の三回だけが町に行って、あとはもう全部埠頭で休憩をし埠頭で買い物をする、こういう実態になったというお話を伺っておりますけれども、問題はそういうところにあるんだということを長官はよく御存じだと思うんですけれども、いかがですか。
○政府委員(佐野宏哉君) いわき市長から、そこいらの事情につきましては十分話は伺っております。
○下田京子君 大臣にお聞きしたいんですけれども、そういう右翼問題に対する警備がどうあるべきかということだと思うんですが、その基本というのは、市民生活に不安を与えないということ、それからやっぱり乗組員の休憩が保障されて真の友好に役立つ、少なくともこの二点を押さえなきゃならないと思うんですよ。ただ、塩釜の場合には、大変埠頭もいわきに比べまして狭いし住家が近接しておりまして、道路も狭いし、とにかく背後地がないんです。いわきの場合ですと、延べ六百二十四台の車両で、四百五団体、二千四百四十名が小名浜港に押しかけて、ボリュームをいっぱいに上げてわんわんやった、夜も十分眠れなかった、そういうような状態でありますから、この点について万全の警備がとれますようにいろいろと関係機関とも対応していただきたい。決意のほどを伺いたい。
○国務大臣(佐藤守良君) そのように関係省庁と相談してやりたいと考えております。
○下田京子君 警察庁にお尋ねしたいんですけれども、一言で結構です。 今、大臣にも御指摘したとおりでございまして、やはり市民に不安を与えない、真の友好というふうなことから警備に毅然たる対応をしていただけるものと思っております。ただ、現行法でももうちょっと対応の仕方があったんではなかろうか。 これは例なんですけれども、小名浜港の場合に、漁船員が買い物で立ち寄った商店をおどかすような行為がたびたび前段あったわけですね。食料品の代理店なんかを努めていた三洋商会というところはガラスなんかも割られるというふうなこともございましたので、これは刑法の第二百三十四条などを適用して、威力による業務妨害罪というふうなことも考えられたんではなかろうか、こう思うんです。 いずれにしましても、現行法の中で毅然と対応がしていただけるものと思いますけれども、改めてお聞かせください。
○説明員(井上幸彦君) 警察といたしましては、昨年の福島県下の小名浜寄港の際にもそうでありましたが、ソ連漁船の入港時及び事前の段階から情勢に応じまして所要の体制をとって、安全確保に努めてきたところでございます。 ただいま幾つかの法令違反があったのではないかという御指摘もあったわけでありますが、警察といたしましては、違法行為は看過せずということを基本方針に、万全の構えで対応してまいりました。また同時に、三月五日の入港時から最後の船が出ました十二月の二十六日までの間に器物損壊あるいは公務執行妨害罪等で十件、十八人を検挙しておる、こういうような状況にございます。したがいまして、今後塩釜の問題が出てくるわけでありますが、この塩釜の寄港に際しましても、違法行為は看過せずということを基本に置きまして、万全の構えで警備をするということでまいりたいと考えております。
○下田京子君 大臣、そこで、それら警備等に要する経費、それらは一体だれが対応してくれるのかということなんですが、これは当然さっきも大臣がお述べになっておりますけれども、私も言いましたが、国と国との外交交渉の中で、難航局面打開のためにとった対応ですから、地元には負担させない。とすれば、今、宮城県側としては寄港撤回は困難だという点で一定の試算等もされておりますけれども、当然地元に負担させないという点でしかと対応いただけると思うんですけれども、よろしいですね。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 関係省庁ともよく相談の上、政府として予算なり制度の許す範囲内でできる限りの措置をとるよう努力したいと考えております。
○下田京子君 最後に二点お尋ねしたいんですけれども、小名浜の寄港問題についての負担問題がまだ解決されておりません。きょう自治省もお呼びしましたが、時間がもうあと本当に少しで終わりなので大変申しわけないですが、地方財政にゆだねるなどということでなくて、やっぱり国の責任で、国の予算でもって対応していただけるというふうにお願いします。 それからもう一つは、塩釜の場合、御承知かと思うんですけれども、とにかくこの一年間、水揚げが十万トンを割ってしまって、水揚げ高はかっての五百億円を割って三百四十億円という実態なんです。その中で小型機船底びきの皆さんの減船だとか、水産加工関係の方々だとか、いろいろもう大変な実態になっておりますので、港湾整備、もろもろの要求も出ていると思うので、地元の振興策もあわせて考えていただけるように、二点あわせて御質問をし御答弁をいただき、終わりたいと思います。
○委員長(北修二君) 簡潔にお願いします、時間が来ておりますから。
○国務大臣(佐藤守良君) 小名浜港寄港により生じたかかり増し経費につきましては、国として責任を持って実は措置したいと、こんなことで我が省として関係省庁に申し入れしてございます。私どもとしては、福島県の要望を踏まえ、今後とも誠心誠意対処してまいる所存でございます。
○田渕哲也君 大臣の所信表明につきまして、二、三の点について質問をしたいと思います。既に質問のあった事項は、重複を避けて省きたいと思います。 まず初めに、我が国の農林水産業は非常に厳しい状態の中にあるわけでありますけれども、現在抱えておる困難な諸問題について、大臣はどのような問題があり、どのように考えておられるかを、まずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 田渕先生にお答えさせていただきますが、先生の御指摘のとおりでございまして、現在、農林水産業を取り巻く情勢は非常に厳しいわけでございますが、五つの点において御説明できるかと思います。 その一つは、消費の停滞に伴い多くの農産物の需給が緩和していること。二番目には、土地利用型農業部門の経営規模拡大が停滞していること。三番目には、農業就業者の高齢化が顕著になっていること。四番目には、行財政改革の観点からの農政の一層の効率的な推進が要請されていること。五番目には、諸外国からの市場開放要求が依然として根強いこと等、極めて内外ともに厳しい情勢でございます。 こういう情勢にかんがみ、今後の我が行政の展開に当たっては、まず体質強化を図ることを基本として、経営規模の拡大、先端技術の開発、普及等を通じた農業生産性の向上、需要の動向に応じた農業生産の再編成、活力ある農山漁村の形式、来るべき国産材時代に備えた森林・林業施策の充実、二百海里時代の定着等に即応した水産業の振興等、こういう各般の施策を積極的に展開し、我が国農林水産業の有する役割が適切に発揮されるよう対処してまいる所存でございます。
○田渕哲也君 大臣の挙げられた諸問題の中で、行財政改革の問題があります。これは所信の中でもその推進について触れられておるわけでありますけれども、農林水産政策と行財政改革の関連についてどう考えるか、お尋ねしたいのであります。 これは補助金を見ましても、五十八年、五十九年、六十年度、過去三年にわたって総額において減ってきておるわけですね。これも、やっぱり財政事情が厳しいから補助金のカットという形で推移しておると思うのでありますけれども、今後もこういう傾向が続いていくのかどうか、また、その行財政改革と農林水産政策との関連についてどう考えるか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 田渕先生にお答えさせていただきますが、我が国農林水産業を取り巻く内外の諸情勢は、先ほど先生に申したとおりでございまして非常に厳しい状況にありますが、臨調答申を尊重し、農林水産業の健全な発展を基本として、効率的な行政の推進に努力してまいるところでございます。 また、実は農林水産業というのは、食糧等の安定供給とか健全な地域社会の維持、国土の保全などの重要な役割を果たしておるわけでございますし、単に経済合理性だけでは律し切れない面がある。そんなことでございまして、やはり私は我が国固有の自然条件の制約を考慮に入れる必要があると、そんなことで考えたいと思っております。今後ともこれらの点に留意しつつ、生産性の向上を通じて農林水産業の体質強化に努めてまいりたいと考えております。
○田渕哲也君 それからもう一つの点は、やはり貿易摩擦、経済摩擦の激化に伴う諸外国の農産物の市場開放の要求というものがあるわけです。これもますます強まりこそすれ、なくなることはないわけでありますけれども、これについてはどういう対処をされるのか、お伺いします。
○国務大臣(佐藤守良君) 田渕先生にお答えさしていただきますが、先生御指摘のとおりでございまして、市場開放問題の対応に当たりましては、第一には、国内の需給動向等を踏まえ我が国農業を生かすとの観点に立ち、その健全な発展との調和を図りつつ対応していきたいと、こう考えております。 それで、我が国の農林水産物の輸出入につきましては、先生既に御存じと思いますが、大体五十六年から三カ年平均で二百七十億ドルの大輸入国です。うちアメリカから、三カ年平均で約九十三億ドル輸入しております。輸出は約四億ドル。したがって、八十九億ドルの輸入超過ということになっているということでございます。したがって、今後の諸外国との協議におきましても、このように日本が農林水産物の大輸入国であるということを十分説明し、それからまた、これまでとってきた市場開放措置等を諸外国に十分説明するとともに、我が国農業の置かれている厳しい実情について説明し、十分なる理解を得ながら対処してまいりたいと、こう考えております。
○田渕哲也君 それから、大臣の所信の中に、食糧の安定供給のために総合的な自給力の維持強化が肝要と述べられております。ところが、我が国の農産物の自給率は年々低下するばかりであります。これは午前中の質問のとおりでもあるわけでありますが、食用農産物の総合自給率は五十八年で七一%、カロリーベースでは五二%の自給率にすぎません。ところが、この所信の中では「総合的な食糧自給力の維持強化」とある。この自給力と自給率と違うのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 自給率と申しておりますのは、国内消費に仕向けられた量に占めます国内で生産した量を、単純に数字で比率をもってあらわした数字でございます。 一方、自給力につきましては、正直言いまして、これについては必ずしも明確な定義というものはないわけでございますけれども、従来から我我の頭の中には、国民の食生活にとりまして必要な基本食糧を国内で生産する力、もう少し具体的に言いますと、土地でありますとか、水でありますとか、こういうようないろいろな資源、あるいはそういうものの土地利用のあり方、それから農業の担い手のあり方、こういうものを総合的にとらえまして、国内農業の潜在的生産力というようなものを、自給力というような言葉で従来から表現してきておるわけでございます。
○田渕哲也君 そうすると、現在、自給率が低くても潜在的な自給力があればいいというのがその趣旨ですか。
○政府委員(田中宏尚君) 自給率自体も一定のものは守りたいと思っておりますけれども、需要なり供給なりいろいろ動くという中では、将来的な見通しの中で、水でありますとか、土地でありますとか、こういう資源の潜在力を守っていく。例えば水田で申しますと、現在のところは生産調整という形で水田利用再編対策をやっているわけでございますけれども、そういう水田のポテンシャリティーというものを今後とも守っていくというようなつもりでいるわけでございます。
○田渕哲也君 私は、前々から、食糧の安全保障のためには現在の自給率だけを目安にしても、それは必ずしも効果が上がるとは限らない。そういう意味で、この自給力という表現の方が正しいのではないかと思うのでありますけれども、しかし、食糧の安全保障の観点から考えると、私はもしそういう非常事態が起こった場合に、食物についてどれだけの自給力があるかということをある程度想定し、計画的にやっておかないと、漠然とした言葉だけでは役に立たないのではないかと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(田中宏尚君) 生産力の一番基本をなします土地面積、これは現在五百四、五十万ヘクタールあるわけでございますけれども、これだけで国内で全部自給するということは到底困難なわけでございまして、そういう土地の生産力を少しでも上げていって将来に備える、それからあと技術を向上させる、それから後継者を守っていく、要するに土地と技術と人と、こういう総体で、将来の一たん緩急ある場合に備えていくという総合的な施策というものが必要かと思っているわけでございます。
○田渕哲也君 いずれにしても、この自給力を持つということは非常に重要なことだと思います。 ただ、先ほど出てきました行財政改革において、補助金カットとか、いろいろの構造改善に対する問題にしても補助金が減っていくというようなこと、これは自給力の向上とは逆行する問題ではないかと思います。 それからもう一つ、市場開放要求との関係におきましても、やはり自由化を進めていく、それから食糧の輸入額がふえていく、これも自給力の向上とは矛盾する関係ではないかと思いますが、この点はいかがですか。
○政府委員(田中宏尚君) 一般に補助金がそうでありますけれども、臨調等からの御指摘によりますと、どうしても一度生まれた補助金というものは硬直化しやすいとか、あるいは既得権化しやすいとか、あるいはそれぞれの自主性を損ねやすいというような問題が指摘されてきているわけでございます。農林水産省の場合には、どうしても規模が零細でございまして収益性も低い、あるいは作物が極めて多様であるということから言いまして、補助金の必要性というものは毫も変わらないわけでございますけれども、そういう必要性の中にありながら、現に既得権化等の問題というものも若干散見されますので、そういうものにつきましては、臨調の御指摘に沿いまして補助金の整理をここのところ計画的にやってきているわけでございますけれども、我々といたしましては何とか正せるべきものは正しますけれども、必要な補助金というものを確保して、農業生産なり農業経営、こういうものについて少なくともマイナスにならないような形で予算は組んできているつもりでございますし、それから確保された補助金につきましては、従来以上の的確かつ効率的な執行ということで、乏しい財源でございますけれども、十二分に活用することによりまして、自給力の安定なり向上というものに役立ててまいりたいと思っているわけでございます。 それから、市場開放の話が出ましたけれども、市場開放につきましては食糧自給力強化に関する決議、こういうものを踏まえまして、一方で生産性の向上を図りながら、国内で生産可能なものは極力つくっていくということを、これを国政の基本といたしておりまして、農産物の市場開放等の問題への対応に当たりましても、こういう国内農産物の需要動向、こういうものを十分に踏まえながら、我が国の農業が健全に発展するということと調和を図る範囲で従来もやってきておりますし、今後ともそういう調和を十分図って対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○田渕哲也君 それから、現在、自給率が非常に低い状態ですけれども、こういう状態ではもし万一のことがあれば、すぐ役に立つのは何といっても備蓄だと思うのです。だから、ある程度の備蓄は持っていなければならないと思いますが、この備蓄政策についてどのようにお考えですか。
○政府委員(田中宏尚君) 先生御指摘のとおり、食糧の安定供給を図っていくという点から言いまして、生産なり輸入、この両面を安定させていくということが必要でございます。ただ、残念ながら、一時的な不作でございますとか、あるいは輸出国の港湾スト、こういうことで食糧供給が混乱するというような事態も考えられますので、こういう場合には備蓄の確保というものが不可欠になってくるわけでございます。 具体的には、何といいましても国民の主食でございます米、これにつきましては全量を自給するということでやってきておるわけでございますけれども、御承知のとおり、三たび過剰を招かないということにも配慮しながら、ゆとりある需給を目指しまして、水田利用再編第三期対策では、毎年四十五万トンの在庫積み増しということで対応しておるわけでございます。 それから、輸入に多くを依存しております小麦なり飼料穀物、さらには大豆、こういうものにつきましては、それぞれの流通なり、それから必要量なりに着目いたしまして、所要の備蓄数量というものを国なり民間という形でやっておるわけでございまして、今後とも適正な備蓄水準の確保ということにつきましては、十分意を用いてまいりたいと考えております。
○田渕哲也君 大臣の所信の中で、特に力点を置く項目として次のことが挙げられております。 まず第一は、生産性の高い、土台のしっかりした農林水産業の実現、第二は、バイオテクノロジー、ニューメディアなどの先端技術の開発、普及による魅力ある農林水産業を築く、第三は、意欲と生きがいを持てるような「活力あるむらづくり」、この三点を挙げられておるわけであります。私は、これは極めて前向きの考え方であって非常に結構だと思うのでありますけれども、これを実現するための具体的方策についてどう考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 田渕先生にお答えいたします。 三つの点のうち、個別に簡単に申し上げたいと思いますが、第一に、生産性が高く土台のしっかりした農林水産業の実現のため、まず農業について言いますならば、経営規模の拡大、農業生産基盤の整備や各般の生産対策を総合的に進めることとしております。また、林業については、来るべき国産材時代に備えた森林・林業施策を充実することとしております。また、水産業については、二百海里時代の定着等に即応した水産業の振興を推進することとしております。 第二に、二十一世紀に向けての魅力ある農林水産業の展開を目指し、バイオテクノロジー等、先端技術の開発に力を入れ、その発展の基盤となるジーンバンクの拡充を図るとともに、ニューメディアの活用に努めることとしております。 第三に、「活力あるむらづくり」を行うため、農林漁業の振興と一体となった生活環境の整備、地場産業の育成、都市と農山漁村との交流等を進めることとしております。
○田渕哲也君 農業のみならず、どの産業でも共通した問題だと思いますけれども、やはり生産性の向上あるいは技術の開発、あるいは意欲と生きがいが持てるような状態、こういうことをつくり出すには、政府の過剰介入を排して自主的な創意工夫、あるいは自由な営農活動、競争原理の導入、こういうことが必要だというのは、これは一般的な常識だと思います。この点についてはどう考えられますか。
○政府委員(田中宏尚君) 先生御指摘のとおり、農政の展開に当たりましては、農業者でございますとか、あるいは農業団体、こういう方々の創意工夫なり自主的な努力、こういうものがやはり何といいましても前提なり基本となるわけでございます。それに対しまして、国でいろいろと助成なりやっているわけでございますけれども、そういうものはそういう創意工夫あるいは自主的な努力、こういうものを側面から支援するということで、財政の中でバックアップしていくということでございまして、この両者が相まちまして生産の安定なり向上、こういうことが結果できるのじゃないかと思っておるわけでございます。
○田渕哲也君 もちろん、どのような政府の介入も、その意図というか、動機というものは悪かれと思ってやっているわけじゃないので、こうした方がいいと思ってやっているわけですけれども、そういうものがたくさん積み重なってくると、必然的にそれがだんだん自主性を阻害していくということになりがちであります。例えば、補助金をつけるにしろ、いろいろ条件がつく。だから、補助金をもらうためにそれに合わした仕事のやり方にならざるを得ない。そういうものがたくさん積み重なれば重なるほど、自主性とか、そういうものが阻害されるということになるわけです。私は、今までの日本の農政というのは、やや政府の過剰介入が見られるのじゃないかと思うんです。そういうものをできるだけ取り外して、もっと形を変えた形で支援をした方がよりベターであると思いますが、この点はいかがですか。
○政府委員(田中宏尚君) 一度つけました補助金につきましては、先生御指摘のとおり、マンネリ化するなり硬直化するという問題があるわけでございまして、我々といたしましても何年に一度はそういう問題点を振り返って精査し、必要性が薄くなってきたものについては整理し、あるいは現状にそぐわなくなってきたものにつきましては現状に合うように再構築するという努力は積み重ねてきておりますし、それから自主性をなるべく尊重するという観点から、補助金から融資へというような流れも一つ出てきているわけでございます。いずれにしましても、これだけ厳しい中でございますので、せっかくの財政が効率的に使われ、それが農業の発展に結びつくことを念頭に置きまして、常に監視を行ってまいりたいと思っております。
○田渕哲也君 今、融資のお話が出ましたけれども、所信の中でも「農業者の自主的な創意工夫に基づき、経営基盤の強化を図るため、農業改良資金制度を再編拡充」すると述べられております。これは臨調の最終答申の中で「市場原理の活用等による効率化を図るため、補助から融資への切換え等助成方法をできるだけソフトなもの」、つまり「(介入度合いの少ないもの)にする。 例えば、農業機械や施設の整備に対する補助については、この視点からの見直しが必要」というふうに述べられておりますけれども、こういう答申の線に沿った考え方でありますか。
○政府委員(関谷俊作君) 所信表明の中で今御引用のありました点は、農業者の自主的な創意工夫に基いて経営基盤の強化を図るということで、農業改良資金制度の改正の問題に触れておるわけでございます。 この改正の趣旨は、最近の農業経営を取り巻く情勢の中で見ますと、やはり補助金から融資へという考え方で、農業者の自主性、創意工夫を生かせるということで、無利子資金制度を大いに活用しようということで考えておるわけでございまして、これは従来の補助の対比で申しますと、むしろ個別経営でやったものがいい、施設設置したものがいいという機械、施設、そういうものの中で先駆的、モデル的なものは無利子資金でやるということで、補助でございますと、御承知のように公共性でございますとか、共同利用でありますとか、そういう要件がついてまいりますので、むしろ自主的な努力に基づくということで事業の対象範囲も拡大される。むしろ個別経営で融資によりまして実施した方がいい農業機械あるいは小規模の施設、そういう導入を無利子資金に移していくということでございますので、こういう意味では政策誘導効果としてはむしろ大きい、こういうふうに考えております。
○田渕哲也君 生産性を向上するために、特に土地利用型農業の場合には規模拡大が重要だと言われております。ところが、我が国の農業の場合にはこれがなかなか進まない。構造改善が進まぬ理由はどこにあるか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(井上喜一君) なかなか規模拡大が進まないという現実がございますが、理由としては幾つかあるかと思います。例えば日本では農地面積が少ないとか、あるいは基盤整備などが進んでいない、こういった物理的な状況もあろうかと思いますが、主として貸し手の側の条件といたしまして考えてみますと、やはり高度成長期に地価が高騰いたしまして、農地を資産として保有するというような傾向がより強まってきていることでありますとか、あるいは最近交通条件が非常に整備をいたしますし、また企業の方も地方に分散をしてくるような状況でございまして、在宅の、通勤が可能である、こういうことで兼業農家が多くなってきている。それから機械化等が進みまして、兼業農家でも稲作を作付することが可能である。こういったようなことのほかに、農民の場合は伝統的に先祖からの土地に執着するというようなことが多いのでありまして、こういったことが複合いたしまして、なかなか規模拡大が進まない原因といいますか、素因をつくっているのじゃないかと思います。 ただ、こういう条件につきましても、最近貸し手の方から見ますと、跡取りのいない高齢農家がふえてきておりまして、かつまた第二種兼業農家などにつきましては農業所得のウエートが低くなってきております。さらには、新しい技術が入ってくるわけでありますけれども、そのためには機械を導入するとか新しい技術を習得するのになかなかついていけないというような兼業農家が出てきております。また、借り手の側から見ますと、作付規模を拡大いたしますと生産性が向上してくるというようなこと、あるいはそのためにかなり高額の支払い小作料が支払われるというような条件が出てまいっておりまして、こういうことを契機にいたしまして、最近農用地につきまして利用権を設定するような動き、あるいは農作業の受委託を通じまして、実質的な経営規模の拡大が行われてくるような機運にあるということだと思います。 私どもといたしましては、こういう状況を踏まえまして、農用地の利用増進事業でありますとか、あるいは農用地の高度利用促進事業等の事業を積極的に推進いたしまして、こういう利用権の設定を通ずる規模拡大等につきまして援助をしているというような状況でございます。
○田渕哲也君 今のお答えの中で、地価というのが非常に問題だと思いますが、最近農用地区では地価の上昇が非常に落ちついておると言われますが、市街化区域ではむしろ非常に高い伸び率を示しておる。そして、農用地区の地価にしても十アール当たり田んぼで百六十万円というようなことですから、農業をするにはやはり非常に高いということになるわけであります。この地価に対する対策というのはありますか。
○政府委員(井上喜一君) 農地価格も宅地などの一般の地価に影響をされておりまして、そういった動向によって左右をされているところでございます。そういう意味では、農地価格対策も地価全体の対策を講ずる必要があろうかと思います。 ただ、農水省といたしましては、現在、農振法なり、あるいは建設省でやっております都市計画法等との調整を通じまして、いわゆる線引きという方法によって土地の合理的な利用を促進していくというような方法、あるいは農地法によりまして農地の権利移動の規制等を行っておりまして、その適正な運用を通じまして投機的な取り引きを抑制をしていくとか、あるいは結果的に優良農地をそういうことで保全をしていく、こういうことで農地価格の安定を図るように努力をしているというところでございます。
○田渕哲也君 最後に、農水省開発のハイブリッド米についてお伺いをしますけれども、先日、稲のF1種子の登録を出願したということが報道されておりましたけれども、開発の現状、それから実用化の見通し、それからこれが我が国の稲作に与える影響等について、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(櫛渕欽也君) 農林水産省におきましては、従来の食味重視の稲の育種とは別に、海外の幅広い遺伝資源を導入いたしまして収量水準の飛躍的な向上を図ります、いわゆる逆七・五・三計画に基づきまして、超多収稲の開発のプロジェクトの研究を昭和五十六年から実施しているわけでございます。この研究の一環として、外国稲を利用いたしましたハイブリッドライスの育成につきましても昭和五十八年から組織的な共同研究を開始いたしております。 現在、ハイブリッドライスの育成に必要となります雄性不稔系統あるいはその他の特殊な系統の作出でありますとか、さらには各地域別のすぐれた雑種組み合わせの検討、こういったところを中心に精力的に進めております。 実は、先生御指摘の、先般発表いたしました北陸農業試験場で育成されました北陸交一号というハイブリッドライスの初めてのものが、現在段階での中間的な成果ということで育成されたわけでございます。しかしながら、まだハイブリッドライスの実用化に当たりましては、基本的な問題といたしまして現状では大変採種効率が低うございます。この採種効率を高めるための技術開発、あるいはこういったハイブリッドライス特有の性質をうまく使った栽培技術の確立、こういったものが、今後の実用段階に向けてさらにこの技術開発が今問われて、そこに鋭意取り組んでおるわけでございます。こうしたもろもろの関連した技術開発を中心に、今後とも超多収稲の開発の一環といたしまして、ハイブリッドライスの研究を積極的に進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○委員長(北修二君) よろしゅうございますか。時間でございます。
○喜屋武眞榮君 私は、大臣の所信表明に基づいて、時間の範囲内でお尋ねいたしたいと思います。 そこで、順番として最後でありますので、今までの方のお尋ねになったのとダブる点もあるかと思いますが、それはそれなりに再確認のつもりでいたしたいと思います。 まず、大臣の所信表明は、これは日本農政のきちっとした柱になるわけでありますので、私はその所信表明というものは、少なくともこれまでの日本の農政の過去を十分に顧みて、その反省の上に立って述べられたものでなければいけない、こう思います。そういう気持ちで大臣の所信表明を繰り返し読み上げてみますと、率直に申し上げまして私の心に響くものは何であるかといいますと、物事というのは原因があって結果が生まれるわけですから、その原因の過程というものをどれだけ検討され、その反省の上に立って述べられた所信表明であるだろうかという疑問を私は持たざるを得ません。そういった一つの姿勢に立って、これから質問をいたしたいと思います。 まず、大臣は重点施策の第一にこう述べておられます。「生産性の高い、土台のしっかりした農林水産業を実現していくこと」と掲げておられますね。これはまことに時宜を得た一つの発想であると私思います。ところが、つくづく考えてみますと、日本農業の過去数年の農業生産の伸び率はどうであったのか、食糧の自給率はどうであるのか、農業就業人口、そして農地面積等はどうなっておるのであるか、この推移を見て、それを受けてということでなければ私はいけないのではないか。ところが、今申し上げた項目につきましても、全面的に減少しておるというのが答えであると思います。全面的に減少を続けておる。ならば、その原因はどこにあるとお考えになるのか。その原因の究明なくして私は生産性の向上だとか、生産性の高い、土台のしっかりした農林水産業の実現は困難であると思うわけなんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えさしていただきますが、今、先生の御指摘のとおりでございまして、我が国農業というのは、これまで施設型農業部門、あるいは土地利用型農業部門に分けて考えた場合に、施設型農業部門は大体欧米諸国並みの生産力を有するようになってまいりました。ただ問題は、土地利用型農業部門では、経営規模の拡大が全般的に停滞していること等により、期待どおりの生産性の向上が図られていないのが実情でございます。 そんなことで、実は土地利用型農業の生産性の向上にはなお多大の努力を要すると思われますが、私は今後とも一番大切なのは、農地の流動化を通じた中核農家の規模拡大や高能率な生産組織の育成、それから農業生産基盤の計画的整備、技術の開発、普及等の施策を中心に、過去の反省を踏まえ、地域の実情に即して総合的に実施していきたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 きょうは基本的な大臣の構想を伺って、具体的に言えば十五分で掘り下げていきたいと思います。 次に、重点施策の第二に、「二十一世紀に向けて、バイオテクノロジー、ニューメディアなどの先端技術の開発・普及による魅力ある農林水産業を築くこと」と挙げておられます。これまた結構なことだと思います。 そこで、そのことと沖縄とを結びつけて考えてみたいと思います。沖縄の場合、まず一つ、年間を通じて太陽エネルギーの豊かな亜熱帯地域に属しておるということ、この特殊性。二つに多島県であります。すなわち、島が多いので、もろもろの植物に仮に病害虫が蔓延したといたしましても、それなりに駆逐することが容易であると思います、島中心ですから。そしてまた、害になる植物、害草といいますか、こういったものがはびこったといたしましても、その島中心にこれを駆逐することが容易であるわけであります。第三点に、資源植物の豊富な台湾あるいはマレーシア、南方につながっておるという特殊性を持っておりますね。こういった二、三の点を挙げただけでも、私は大臣が挙げておられるバイオテクノロジーの研究、開発、資源植物の保存にとって沖縄は最適地であると思うわけです。 それに、かてて加えて、今沖縄の開発を本土並みに、これは本土並みというのは、内容はいろいろで、必ずしも無条件に右へ倣えではありませんよ。その特殊性を生かして、その結果という立場で第二次振興開発計画があるわけなんですね、この第二次振というのは四年目になるわけでありますが。そういったもろもろの条件からも、沖縄の地域振興開発にはうってつけの、タイミングもよろしいし願ってもない機会であると思うわけなんですが、大臣いかがでしょう。どうお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えしますが、私はバイテク等先端技術の開発について簡単にお話しし、あと、実は私は専門ではございませんから専門家の事務局長から、今沖縄がいわゆるバイテク産業に最適地であるということについてお答えしたいと思うわけで、よろしくお願いをしたいと思うわけです。 農林水産業とか食品産業等の生産性の飛躍的向上を図り、二十一世紀において魅力ある農林水産業を実現するためには、バイオテクノロジーとかニューメディア等、先端技術に対する期待は非常に大きいものがございます。そんなことで、私は、特にバイオテクノロジーについては、産官学の連携強化による総合的な研究開発を積極的に推進してまいりたい。そんなことで、昭和六十年度におきましてもその基盤となる遺伝資源の確保を図る農林水産ジーンバンクの整備とか、細胞融合等による新しい品種の開発等を含め、前年度予算を五割以上上回る約二十億円を計上する等、先端技術の開発の予算を獲得したということでございます。今後、私は新しい魅力ある農林水産業を築くため、どうしてもバイオテクノロジーを駆使した、ニューメディアを駆使したものでなくちゃいけない。こんなことで全力を尽くしたい、こう考えておるわけでございます。そういうことによりまして、初めて日本の農林水産業に新しいやっぱり展望が開けるんではないか、こんなことでお願いしたわけです。 それをやるのに沖縄地域は大変最適地であるということにつきましては、私も亜熱帯気候に属した、冬も温暖とか植物の生育上有利な面があることは御指摘のとおりでございますが、専門家じゃございませんから、専門的には事務局長から答弁をさせたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
○政府委員(櫛渕欽也君) ただいま先生の御指摘ありましたように、沖縄の場合、我が国の中で亜熱帯気候に属するところでございまして、その他先ほどのお話のようないろいろな観点から、植物の生育に大変有利な点があることは御指摘のとおりでございます。そう思っておりますし、そういう状況の中で、土地その他の困難な条件もあると思いますけれども、そういうものを克服しながら、沖縄の特色ある農業というものが営まれておるというふうに理解しております。今のバイオテクノロジーを利用した品種改良その他、いろいろの新しい技術が今後のそういった農林水産業の画期的な発展をもたらすと、そういう観点からの新しい技術の適用につきまして、沖縄のそういった特有の立地条件を生かした農業の発展ということが大いに期待されているというふうに考えております。 農林水産省におきましては、こういった技術開発を効率的に推進するために、御案内のように、一昨年、農業生物資源研究所を設立いたしまして、ここを中心に関係の機関を含めて精力的にバイオテクノロジー、先端技術開発をやっておるわけでございますが、こういった成果が今後それぞれの地域の資源の有効利用あるいはその地域農業の振興ということに大いに発展するように努めている次第でございます。 申し上げましたように、沖縄の場合には、有利な自然資源を十分活用していけますように、私どもといたしましては、現に熱帯農業研究センターの沖縄支所におきまして、バイテク手法の一つであります組織培養によるパイナップルの育種の研究、その他いろいろと進めている次第でございます。 さらに、先ほどお話のありました資源植物の保存の観点でございますけれども、大臣の御説明にありましたように、六十年度から農林水産ジーンバンクの整備について、広く北海道から沖縄までの私どもの持っているいろいろな機関、施設を活用しまして今後充実を図るという構想がございますけれども、こういった中でも沖縄につきましては、先ほど申し上げました熱帯農業研究センターの沖縄支所におきまして、熱帯、亜熱帯の新作物の探索、導入、調査、こういったことを今日までもやっておりますけれども、さらに充実をさせていきたいということでございますし、さらには沖縄にありますサトウキビの原原種農場、こういったところも有効に利用しましてパイナップルその他熱帯、亜熱帯の果樹あるいはグアバ、こういったものの収集、保存を行うような予定をしておるわけでございます。 そういった意味で、今後ともジーンバンク充実の一環としまして、熱帯、亜熱帯系の植物につきまして沖縄で保存することが適当と考えられるようなものにつきましては、こうした施設を活用しまして整備を図ってまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 私は、我田引水的に申し上げておる気持ちは毛頭ございません。いわゆる日本全体の国民の食料の生産基地としての沖縄をどうとらえるか、こういう位置づけにおいて私は常に考えておるわけでありますので、ひとつ期待いたします。 次に、農村地域の人口は総人口の約四割を占めているわけですね。大臣の重点政策の第三に、「農林水産業に携わる人々が意欲と生きがいを持てるような「活力あるむらづくり」を進める」と述べておられる。これも全面的に共鳴、共感でありますが、その基本的な考え方を具体的に述べる時間はないと思いますが、基本的な考え方と結びつけて、具体的なという気持ちを込めてひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(井上喜一君) お答えいたします。 最近の農山村の状況といいますのは、兼業化が進みますとか、あるいは都市地域の住民が農山村の方に入ってまいりまして混住化が進む、あるいは高齢化が進んでくる、こういうような状況でございまして、非常に今、急速に変化をしてきている、そういった状況にあろうかと思います。したがいまして、生産性の高い農業をこれからつくっていくといいます場合にも、ただそういう農業面だけに着目して施策を進めましてもなかなか難しいわけでございます。やはり村づくり、町づくりの全体の中でそういった問題を取り上げるとか、あるいは地縁的な集団の中で農業を考えていくというようなことをやりませんと、なかなか経営規模の拡大といいましても難しい状況でございます。 そういう意味におきまして、地域全体に住む人の就業の場所を考えていきますとか、あるいは農家と非農家とが十分話し合っていけるような、そういうようなことを考える必要があるわけでございまして、まさに「活力あるむらづくり」の中で農業を考えていく必要があろうかと思います。「「活力あるむらづくり」を進める」といいますのは、そういう全体としていろいろな面に配慮しながら、終局的には産業として自立し得る農業を確立していくというようなねらいがあるものと考えております。 このためにいろいろな事業をやっておりますが、具体的に申し上げますと、一、二代表的なものでございますが、来年度の新規に絡めまして申し上げたいと思いますが、地域農業整備総合対策というのがございます。これは村づくりの活動に対しまして助成をしていく事業でございます。このほか、これにあわせまして基盤整備でありますとか、農業近代化施設についての助成事業をあわせ行うということも考えておりますし、また都市と農村との交流を図っていくような事業もこの中に考えております。 それから、農村総合整備事業は、これは農業の生産基盤の整備とあわせまして生活環境の整備を行う事業でございますが、農村総合整備モデル事業あるいは農村基盤総合整備事業あるいは農業集落排水事業というようなものを考えているわけでございます。このほか、定住を促進するための農村地域定住促進対策事業でありますとか、山村におきます基盤整備あるいは就業の場を確保するための事業をいたします山村振興農林漁業対策事業、こういったものを具体的に実施をしております。 さらに、来年度は、農山村の生活とか文化等についての情報を都市住民に提供をいたします事業といたしまして、農山村ふるさと情報提供事業というのを発足させております。具体的には、農山村ふるさと情報センターというものを設立いたしまして、そこに農山村のいろんな情報を集めまして都市住民の方に提供し、それを通じまして都市と農村との交流を促進していくようなことを考えているわけでございます。
○喜屋武眞榮君 田園荒れにけり、帰りなんいざ、ふるさとへという言葉もありますが、戦後の日本の産業形態がいわゆる過疎をつくったわけですから、それをどう今度はよみがえらしていくかという底辺としては、やっぱり文化的農村、文化村農村、こういった一つの内容のある、人間の希望と夢に生きる環境をつくっていくということが最も大事であると、こう思うわけなんですが、そういった発想だと思います。 次に、食糧の自給、先ほど田渕先生も自給力、自給率の話もございましたが、私は自給率の面から伺います。 今、国際的に見た場合に、先進諸国は逐次自給率が向上しておる。ところが、我が国はダウンしておる。そこに、私は考えなければいけない問題があると思うんですね。例えば五十八年度においては、食用穀物にあっては六九%、ところが飼料穀物を含めるというと、穀物全体の自給率はわずか三二%なんですね。先進諸国に比較しますというと、日本は最低である。外国は年々、逐次自給率が向上しておる。日本のみがダウンしておると、こういう状況。それから、先ほども出ておりました食糧安全の確保という面からも、これは非常に私はゆゆしい問題であると思うんですが、大臣の所見を伺いたいんです。
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えいたします。 日本国民の食生活の多様化に伴いまして、我が国の食糧供給構造というものは非常に高いのと低いのと大きな差がございます。その非常に高いものは、米とか野菜とか、あるいは畜産物等となっております。また低いのは、大部分輸入に依存しております小麦とか、あるいは大豆、飼料穀物などが非常に低いわけで、両極端に分かれているわけです。このことは、実は我が国の国土資源に制約があるということでやむを得ないんじゃないかと、こういうふうに考えているわけでございます。 そんなことで、総合的な食糧自給力の維持強化を図るというのが一番農政の最重要課題ということでございまして、今後とも、需要の動向に応じた農業生産の再編成を図るとともに、生産性の向上を図りつつ、できるだけ国内で生産可能なものは極力国内生産で賄う、こんなことで今後とも構造対策あるいは生産対策、技術対策等、各般の施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 今、大臣は、可能な限り国内自給を向上させるという基本的な姿勢を申されました。賛成であります。 そこで、次のことをお聞きしたいんです。国内で最近、多収小麦の新品種が非常に好評を博しつつあるわけですね。いわゆるアサカゼコムギですか、アサカゼコムギが非常に多収小麦の新品種として好評を博しておると聞いております。農家ではその種子の注文が非常に多い、我も我もと。ところが、事実であるか、これをただしたい気持ちでお尋ねするわけですが、いわゆる生産農家は非常に積極的にそれを求めようとしておるわけです。ところが、農林水産省が行政指導でそれを抑圧といいますかブレーキをかけておると、こう聞いておりますが、そういうことが事実であるか。あるとすれば、その理由を聞かしてもらいたい。
○政府委員(関谷俊作君) アサカゼコムギでございますが、極わせ多収で、非常に栽培適性がよろしいということで農家の作付意欲が強まったわけでございますが、いわゆる製めん適性の面から見ますと、これは大分関係者も寄り集まりましていろいろ検査をした結果のことでございますが、従来の一番多く使われております農林六十一号に比べますと、いわゆるやや薄力的で、ゆでめんの食感が少しやわらかい、こんなことで実需者サイドでは少しこの辺に問題があるというようなことで、やや難色を示す傾向が見られたわけでございます。この点、関係者も集まりまして、この二、三年の間、大分検討を重ねたわけでございますが、全体として見ますと、現状では当面いわゆる現状の作付比率、麦全体の中に占めます作付比率は余り大きく変えない方がいいのではなかろうか、そういうことを目安にしまして、地域の実情に応じて生産者、実需者双方が合意し得る範囲内でつくっていく、こういうようなことで、国産小麦の一種のホープでもございますので、慎重に対応していくと、こういうようなラインを出しているわけでございます。 なお、加工面では、日本の製粉業は、御承知のように輸入の硬質小麦から軟質小麦まで非常に幅広い品質のものを扱っておりますので、需要者面で設備の面からの問題はこれはないわけでございますが、若干、今の急速に拡大しました過程でそういうような少しトラブルもございましたので、関係者の協議の上で、今申し上げたような対応をしているわけでございます。
○喜屋武眞榮君 あえてこれをお聞きしましたのは、今、軟質、硬質の話がありましたが、現在の製粉工場は外国のいわゆる硬質の小麦を製粉するに適当であるということで施設されておる。ところが、このアサカゼコムギは軟質であるので硬質の機械施設ではどうもふさわしくないと、こういうことも実は耳にしておるわけでありますが、仮にそういうことがあったとしても、この品種がいわゆる国内産として将来性のあるすばらしいものであるとするならば、私は、所信表明にも「国内で生産可能な農産物は極力国内生産で賄うという方針」を持っておる、こううたっておられるわけですから、この趣旨からも当然、まあ少々の違いはあったとしても、国内産を優先してやっていくという、こういう気構えでなければいけないのではないか、こう思うわけなんですが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) 実は、喜屋武先生にお答えしますが、今、局長が答弁したとおりで、ただ一つ問題は、結局、今までの品種の農林六十一号に比べまして品質がやや薄力で、ゆでめんの食感がやわらかい傾向にある。したがって、品質の問題で実務者サイドで製めん的に非常に問題があるとの理由のようですね。その辺の解決を考えないと、仮におつくりになっても売れない、そうすると大変なことになる、そんなことで局長は慎重な答弁をしておる、このように考えておるわけでございまして、これはもっと研究させてみたい、こう思っております。
○喜屋武眞榮君 ひとつ十分研究して、検討して、大臣の所信表明のその柱にマッチするような方向に引っ張って引き上げてもらわぬというと、いつまでも停滞しますよ。 次に、所信表明の中で「国土資源に制約のある我が国として輸入に依存せざるを得ないものについては、その安定的輸入の確保を図るとともに、輸入障害等の事態に備えて、備蓄の確保を図る」、こう掲げておられます。今日の国際情勢からしても、既に食糧物資が戦略物資の意義を持つわけですが、こういう点からも備蓄の確保ということは非常に大事であると思います。備蓄の前提には、どうしても国内生産食糧を豊富にして、それをいろいろな形で加工という二次産業に結んで加工していくといういろいろな方法が生まれてくると思うのです。そこで、先ほども述べておられるやには聞いたんですが、備蓄予定の品目、数量、それから費用をどのように見通しておられるのか、ひとつお聞きしたい。
○委員長(北修二君) 田中官房長、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○政府委員(田中宏尚君) 主食である米につきましては、毎年四十五万トンずつ積み増すということで食管会計全体の中で積み増しを行っているわけでございます。そのほかに、食糧用小麦につきましては外麦需要の二・六カ月分、数量にして九十万トンでございますが、それも食管物資でございますので、食管経費全体の中で積むことに六十年度計画としてなっております。 それから、飼料穀物につきましては、配合飼料原料の約〇・八カ月分に相当するトウモロコシ、コウリャンを六十六万トン、予算額にして七十一億円、それから大麦を三十四万トン、これは同じく麦でございますので食管全体の中で賄っているわけでございます。 それから、最後に、大豆につきましては、食品用の大豆需要量の約一カ月分に相当いたします八万トンを積むということで、予算額としては十四億円というものを予定しているわけでございます。
○委員長(北修二君) もう時間が過ぎまして、三分ぐらい超過しているので、どうぞ御了承をちょうだいいたしたいと思います。 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時二十九分散会