内閣委員会 第12号
- 発言数
- 204 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/05/23
会議録
○委員長(大島友治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○太田淳夫君 それでは最初に、法案の中身に入ります前に、総務庁長官がお見えになりますので、行革のことにつきまして所信をお伺いしておきたいと思うんです。 これはせんだっての三月十六日に行われました参議院の予算委員会で、同僚の委員から中曽根総理に対しまして行革のことにつきまして質問があったわけでございますが、その中でこういう質問をしているわけです。「行革については総理が今熱意を示されておりましたけれども、まさるとも劣らぬほどそれについては大賛成です。ただ、これまで行革として総理がやってきたことをいろいろ見てみますと、まだこれでは本当の行革に入ってないのではないかという感想を持っています。というのは、これまで行ってきたのは行革というより行政整理という感じじゃなかったか、むしろ不要になってしまっているものを整理した、あるいは不急なものをなくしたと、こういうふうにしかとれない。本当にやるべき行革はこれからじゃないか」。こう思っていますが、という質問をしたわけでございます。 それに対して中曽根総理の方からお答えがありまして、その最後の結論としましてこのようにおっしゃっているわけですね。「現在の諸般の情勢から見まして、この程度が今我々として与党と一体になってやり得る最大限であると、そういうふうに考えざるを得ないのでございます。」ということでございまして、そのときのお話を聞いておりますと、何となく行政改革は今程度が限度じゃないか、こういうふうにとれるような御発言じゃないかと思うんです。そうなりますと、今まで行政改革を一枚看板としてまいりました中曽根内閣としまして、あるときには政治生命をかけるとまでおっしゃっておりましたが、そういう中曽根総理に対して、あるいは内閣に対してかけております国民の期待を裏切ることになるのではないかと言わざるを得ないと思うんですが、そういった意味で、中曽根内閣におきまして行政改革を推進する立場におられます総務庁長官に、今後の行革に取り組む決意というもの、基本的な考え方をお伺いしておきたいと思うんです。
○国務大臣(後藤田正晴君) 御指摘のようなやりとりが予算委員会でございましたが、総理の今日までの基本的な方針は、行政改革というのが今日の国政の最大課題であるということで全力を傾けてやる、こういう御決意はちっとも変わっていない、私はこう考えておるんです。あの当時のやりとりは今お読みになっておるとおりですが、私は全部を聞いておりまして、ともかく今は力いっぱいやっておるんです、こういう意味合いを、お気持ちを込めてお答えをなさったものと、私はかように理解をいたしておるわけでございます。政府として行政改革に取り組む基本姿勢が後退したといったようなことは全くございませんので、全力を挙げてやってまいりたい、かように考えております。
○太田淳夫君 今は総務庁長官から、行政改革は今後も引き続き取り組んでいくんだという御答弁をいただいたわけでございます。 昨年の十日三十三日に行革審は、「臨時行政調査会答中の推進状況について」、こういう報告書を出されておりますけれども、そのねらいはどういうところにあるのか、あるいは行革審としては政府における臨調答弁の推進状況についてどのように評価しているのか、その点についてのお答えをいただきたいと思うんです。
○政府委員(山本貞雄君) 昨年十月、行革審から臨調答申の推進状況につきまして意見を提出いたしたわけでございますが、その趣旨といたしますところは、一つは、臨調答申に基づく行政改革をさらに進展させます観点から、これまでの行政改革の成果を見きわめつつ今後の課題を明らかにする、これが一つでございます。それからもう一つは、国民の皆様に行政改革の実施状況につきましての全体像というものを明らかにいたしまして御支援と御協力を賜る、こういった二つの観点から御提出したわけでございます。 当時の段階におきまする臨調答申の実施状況につきまして、その意見書におきまして、先生御案内のとおり、現段階におきます臨調答申の推進状況というものを個別に見てまいりますと、改革の内容が必ずしも十分でないものや、あるいは今後に残された課題というものも少なくないわけでございます。しかしながら一方におきまして、当時の段階におきまして、医療保険制度の改革、あるいは総務庁の設置、十省庁の再編成、さらに専売公社の改革、こういったものが既に実施に移されておりまして、さらに当時におきましては、公的年金制度の改革、あるいは電電公社の改革、こういったものがそれぞれ推進されつつある、そういうことから臨調答申に沿った行政改革は政府において着実に努力されておる、このように見ておったわけでございます。したがいまして、臨調解散後まだ日の浅い段階におきまして、ここまで改革に着手されているという現状を踏まえまして、政府が今後も引き続き行政改革に積極的に取り組んでまいられるということを前提といたしますならば、昨年十月の時点におきましては行政改革の道程はほぼ五合目程度に達しておる、このように評価いたした次第でございます。
○太田淳夫君 確かに行革審報告書ではいろいろと状況分析されまして、行革につきましては五合目との評価をされているようでございますが、この五合目までという評価というのはいろいろとございまして、まあ五合目までは富士山でも車で行けるじゃないかという話もあるし、残りの五合が大変なことではないかということです。 あと国鉄等の改革問題等もございますし、あるいはいろんな省庁の統廃合等も残された大きな問題ではないかと思うんですが、今後は大きな山場に差しかかってくると私たちも思っておりますし、そういった決意で行革を推進してもらいたいという要望を私たちも持っておりますが、その点につきまして総務庁長官としてはさらに決意を固めて行革を推進していただきたいと思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私も行政改革の仕事は太田さんと同じような認識を持っております。行革審としては、ただいま山本君からお答えありましたように真ん中付近まで行っているんじゃないか、こういう御意見でございますが、私どもはさように受けとっておりません。これはこれから大変難しいんですよ、より一層の努力を傾けなさい、こういう行革審のいわば御督励の御意見である、かように受けとめまして、これから胸突き八丁にかかるわけですから今後に大きな課題を残しておる。これを全力を挙げてやっていかなきゃならない。これから残っておる大きな課題は、七月に出る国鉄の改革、それから本年自治省から考え方等を地方に示して地方の御努力を要請しておる地方行革の問題、あるいは特殊法人の活性化の問題、さらにはまた定員のより一層の厳しい管理、あるいは規制緩和の問題、これが実は行政改革の中では実際は一番難しい課題でございますが、さらには縦割り行政の弊害が目についておるというのは率直な私の考えでございますが、この縦割り行政を調整することができる仕組み、あるいはどのような運営の仕方に持っていくかといったようなこと。こういった考えてみればまだまだ気が遠くなるような難しい課題を抱えておりますが、私どもとしては国民の理解のもとにできるだけ簡素、効率化の行政の組織の運営に向けて、そして同時に時代がどんどん急激に変化をいたしますから変化への対応力を培っていく、こういう意味合いで一層ひとつやらせていただきたい、かように考えているわけでございます。
○太田淳夫君 今お話しの中で挙げられました問題一つ一つ取り上げても大変な問題ですね、確かに。総理が目指してみえる民間活力の問題ともいろいろとこれは結合してくる問題でありますし、あるいは小さな政府というような問題、それぞれ関連していることでございますし、なかなか難しいことだと思いますが、しかしいつかはこれは乗り越していかなきゃならない諸問題ではないかと思いますので、さらに御健闘を私たちも期待しているわけでございます。 行革審におきましては、今七月末を目途にしましていろいろとお話をされた中にありましたような規制緩和の問題、あるいは内閣機能の強化の問題、あるいは機関委任事務等につきましての検討を進めている、このように聞いておりますけども、作業の進捗状況はどのようになっておりますか。
○政府委員(山本貞雄君) 行革審におきましては、ただいま大臣からお話がございましたように、今後、国鉄再建問題あるいは地方行革問題等等の重要な問題につきましての対応状況につきまして十分注目してまいる所存でございますが、同時に、ただいま先生御指摘のように、行革審では現在、臨調答申に基づきます行政改革を一層推進するという観点から、臨調答申中さらに具体化を図るべき課題といたしまして、規制緩和の問題あるいは内閣の総合調整機能の強化の問題などなど七つの課題につきまして、ただいま五つの小委員会あるいは分科会を設けまして検討を進めておる次第でございます。 その検討状況でございますが、現在これらの小委員会等におきまして、関係省庁あるいは関係団体、さらには総務庁に行政監察をお願いいたしまして、その結果等のヒアリングを現在進めてまいりまして、それぞれこれから具体的な討議を進めてまいる段階でございます。これらの小委員会や分科会におきます検討結果は、一部七月の初めにかかるものもございますが、おおむね六月中に行革審に対しまして報告を行う予定でございます。行革審におきましては、これらの報告を受けまして、七月中には答申等を取りまとめまして総理大臣に提出いたす予定でございます。
○太田淳夫君 せんだってちょっと報道されたところによりますと、総務庁がこの規制緩和につきまして行革審の依願に基づいて調査した、そして行革審に報告した、このように報道されておりますけども、これほどのような事項を調査されたんですか。
○政府委員(竹村晟君) お尋ねの調査は、行革審の依願に基づきまして、行革審で現在審議しております規制行政のあり方についての調査、審議に資するため、事業活動にかかります各種の規制行政の制度及び運営の実態を調査しております。 お尋ねの調査の部門でございますけれども、私の方で行いましたのが八つの部門ございます。第一が金融でございます。これは銀行、証券、保険などを含んでおります。それから次が石油の問題であります。それから輸出検査の問題、それから薬事の問題、それから主要農作物の種子の問題、それから職業訓練の問題、運輸の問題、それから旅館等の各種営業、こういった分野に関します行政について調査を行っております。
○太田淳夫君 もう既に報告は終わったわけですね。
○政府委員(竹村晟君) ただいま申し上げました八つのうち、金融と石油、輸出検査、薬事の四分野につきましては五月十六日に報告を行っております。それから残りの四つの分野につきましては、実は本日の行革審の規制緩和分科会で報告をしております。
○太田淳夫君 行革審におきましては、来年の六月末でその期限が切れるということでございますけれども、行政改革というものは、これはこれから山場にかかりますし、これはずっと続けていかなきゃならない問題だろうと思いますし、そういった意味では終わりがないとも言えると思うんですが、行革審では、行革審が六月末で期限切れになった後の行政改革の推進体制のあり方について何かお考えをお持ちでしょうか。
○政府委員(山本貞雄君) 臨調答申の実施はいまだその途上にございまして、今後推進すべき課題も少なくないわけでございます。行革審といたしましては、引き続き政府におきまする臨調答申の実施状況を十分注目してまいりますとともに、臨調答申の具体化のために必要な提言を行いまして、行政改革がより充実したものとなるように最大限の努力をこれからも続けてまいる予定でございます。 ただいま先生御指摘の行革審のポスト行革審のあり方の問題につきましては、まだ来年の設置期限までの間に臨調答申の実施状況を見た上で判断すべき性質の問題かと存じます。したがいまして、設置期限までにまだ一年有余ございますので、現段階におきましては、行革審ではそのような検討や論議というものはいまだ行われていない段階でございます。
○太田淳夫君 次は、恩給法改正の法案に入る前に、恩給法の改正というのは人事院勧告をベースにしておりますので、そのことにつきまして二、三ただしておきたいと思うんです。 最初はどうしても総務庁長官にお聞きしたいんです。人事院勧告、今いろいろと準備をされておるようでございますし、いろいろと組合等とのいろいろな折衝にも入られたように聞いております。もちろん人事院がこれから勧告を出されるわけですけれども、公務員給与の将来のいろんな展望というもの、それは政府としてお持ちになってしかるべきじゃないかと思いますし、そういう中での昭和六十年度の給与改定についての長官としての基本的なお考えを最初にお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) この点はしばしばお答えいたしておりますように、労働三権制約の代償措置でございますから、政府としては人事院勧告は最大限に尊重して完全実施すべきものである、私は基本的にさような認識を持っておるわけでございます。 ことしの人勧がどうなるのか、またいつごろになるのかということはいまだはっきりしておりませんが、毎年の例であれば、八月の上旬には政府、国会に対して人事院から勧告が出ると思いますが、その段階で、政府としては国政全般とのにらみ合わせをしなければなりませんが、基本の物の考え方は、私は、人勧というものは完全実施すべきものであると、こういう態度で対処していきたい、こう考えておるわけでございます。 さらに突っ込んで申しますと、私は公務員の給与というものは、総人件費は抑制に努力していかなきゃならぬと思いますが、そういった基本の考え方のもとに、個々の給与というものは、できる限り公務員諸君が不安感のないように、士気が落ちないように、こういう観点でできる限りの政府としては措置をすべきものである、かような私は基本的な認識の上に立って対処していきたいと、かように考えております。
○太田淳夫君 今総務庁長官から、公務員の総人件費の抑制につきましては努力していかなければならないと。個々の公務員の皆さん方の給与につきましては、ここ数年来、人事院勧告の凍結あるいは抑制ということが行われまして、公務員の皆さん方の士気あるいは生活環境、そういうものにいろいろ影響も与えておりますし、そういった点は考慮して、勧告の完全実施とおっしゃいませんでしたけれども、それに向かって努力される御意思のあるところは示されたのじゃないか、こう受け取りたいと思うんです。今後も給与改定後の官民較差を少なくとも今年程度縮小するように努力されていかなきゃならないと思うんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) その点もしばしばお答えを予算委員会その他でも申し上げておるんですが、ことし勧告があれば、これは完全実施に向けて最大限の努力をする、こういう基本線に立ってやりたい、こう思っておりますが、給与を取り巻く客観情勢は相変わらず厳しいものがございます。 そこで、どうしても完全実施が困難であるという場合になりましても、いわゆる積み残しというものがございますから、これらについては既に昨年の官房長官談話にありますように、政府の基本方針は決まっておりますから、その線に沿って対処していきたい、かように考えておるわけでございます。
○太田淳夫君 その積み残しにつきましても、今御答弁のありましたように十分努力をしていただきたいと思いますし、仲裁裁定というものは既にこれは完全実施されておりまして、そういう点から見ますと、一般職の非現業職員との間の較差というものは依然として残ることになるわけでございますし、そういうものが職場の中における環境というものやいろいろな点で、これは問題を残す点もあるわけでございますので、この点の解決も図っていただいて、人事院勧告制度が形骸化されることのないような実効あるようなそういう面に向けての最大の努力をしていただきたい、こう思うんですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) そういった考え方で対処していきたいと、かように考えております。
○太田淳夫君 それでは本日の議題であります恩給法につきまして若干の質疑をさせていただきます。一昨日のこの委員会におきましても同僚委員からいろいろの点につきまして指摘もされ、論議もされてまいりましたけれども、多少重複する点があろうかと思いますが、私どもとしてこれはただしておきたいところを申し上げたいと思います。 恩給につきましては、元来これは国家補償的な性格を有しているものでございますし、これを公的年金と同じようなレベルで位置づけることは私は無理があるのじゃないかと思うんですが、しかし社会保障的な観点から、現在の恩給制度につきましても、各種の公的年金制度に合わせる形で最低保障制度を取り入れたりしている関係上から、他の年金と似た面があることは、これは否めない事実でございますが、将来の展望としましては、恩給にも年金一元化の波というものが押し寄せてくるんじゃないか、このように思うわけですが、総務庁長官の見解はどうでございますか。
○国務大臣(後藤田正晴君) その点は、御承知かと思いますが、終戦後の一時期、恩給制度というものは社会保障としてとらえてやるべきである、こういった考え方があったわけですね。しかし、その後いろいろな経過があったと思いますが、今日では恩給というものの基本的性格とその他の各種公的年金制度との間には基本的な性格が違うのではないか。国家補償的な性格が基本となっておるのが恩給制度である。一応、だから別個のものだというような考え方が今日定着してきておるのではないか、こう考えておるんです。 そこで、そういった考え方に立って対応していかなきゃいくまい。ただ、ひとしく公務に従事した者に対する老後の生活の支えであるという機能の面から見れば、公的年金制度と関連性のあるものだ、これもまた事実だと思います。 こういったことを踏まえて、社会保障制度審議会とか、あるいは行革、第二臨調の御答申ですね、こういった中にも、そういう意味合いでバランスを考えなさいよと、こうあるわけですから、基本的性格が違うという認識のもとに、こういった社会保障制度審議会なり第二臨調の御意見なりを頭に置いて、例えば水準であるとかそういったものについては配慮していかなきゃなるまい、かように考えております。ただ基本は、その際もあくまでも性格は違うんだという線に立って対処すべきものである、かように考えております。
○太田淳夫君 今お話しの中にありましたが、四月八日の国家公務員共済組合審議会は、今大臣の言われましたように、共済組合法の改正について大蔵大臣に答申を出してみえますけれども、その中の意見の一つとして、「恩給は、最終俸給を基礎として算定される等のことから、一部には特に高額となっているものがあり、他の公的年金制度とのバランスを著しく失している。このような高額の恩給のあり方については、公的年金制度改革の方向に即し、速やかに見直しを行なうべきである。」、こう述べられた部分があるのですが、これについての御意見を述べられたわけですね。
○国務大臣(後藤田正晴君) これは御承知のように、昭和三十四年までにおやめになった方は恩給をちょうだいしておる、こういうことですね。私がよくわからぬのは、恩給というのはべらぼうに高いものをみんなもらっている、こういう認識があるんじゃないでしょうかね。私はこれは間違いだ、私もああいった新聞等を見まして、一度調べてくれということで事務当局に調べてもらったんです。その結果はやはり私の考えどおり、そんなべらぼうな恩給をもらっている方はおりません。例えば内閣総理大臣がどの程度になっているのか、陸軍大将、海軍大将がどの程度なのかといいますと、今日の共済のあれとそんなに変わったようには私は見ておりません。ただ、昭和三十四年度以降、いつごろまででしたか、おやめになった人の中に、過去の恩給の年限が相当長くて、そして三十四年度以降おやめになると共済に移行しておりますね、そういった方の中に、これはもう極めてレアケースですが、最高裁判所の長官をおやりになったとか、こういう方の中にはこれは今の世間の常識から見ましても少し高いのかなという例もあるように思います。しかしこれは本当にレアケースです。したがって、恩給をもらっている人が他の年金と比べましてべらぼうな高い恩給をもらっているという認識は私は持っておりません。具体的な調査は事務当局が持っていると思いますのでお答えさせたいと思います。
○政府委員(藤江弘一君) 特に今御指示がありましたのですが、具体的な御氏名を挙げますのはいわばプライバシーにかかわる問題でございますので避けさしていただきたいと思いますけれども、三十四年に共済に移行したわけでございますが、例えばその直前におやめになった次官経験者の恩給につきましては三百万にやや達しない水準でございます。しかしながら、共済に移行した後の、いわば恩給と共済と両方算定期間に持たれる方については、ただいま大臣も申されましたように、一千万に達するという水準の方も確かにおられるということでございます。理論的な数値として申しますと、共済につきましては俸給についての頭打ちがございまして、これから算定いたしますと、理論値としては約三百八十万でございます。それとの比較におきまして、先ほど申しましたように、三百万という数値は決して高くはないんではないだろうかというふうに考えている次第でございます。
○太田淳夫君 そうですね、バランスを失しているような程度じゃないと思うのです。 大臣が堂々としゃべっているんだから、局長も堂々としゃべってもらって結構だと思うんですが、何か言いにくそうな自信がなさそうな答弁ですね。
○政府委員(藤江弘一君) ただいまの具体的な例として申し上げました、三十四年に某省の次官をおやめになった方でございますが、年額にいたしまして二百九十八万六千円でございます。その直前に同じ省の次官をおやめになった方が二百六十七万二千円、他の省の次官をおやめになった方、三十三年でございますが、二百七十五万三千円というふうなことでございます。
○太田淳夫君 それぞれの歴史的な経過の中でこれはできているわけですね、我々も賛成法案です。 そうしますと、次に参りますけれども、共済組合の改正案が次に出てくるわけでございまして、これは六十一年の四月から実施することになっているわけですけれども、これが仮に実施に移されますと、共済年金の増額は、来年の六十一年は消費者物価にスライドして五%以上の物価が上がらないと増額はしない、こういう仕組みになっているわけです。恩給は従来の方式でいきますと、本年八月の人勧にスライドして、人勧が抑制されますとその抑制されたベースを基本にして、あるいは完全に実施されればその実施されたベースを基本にして来年の四月から増額ということになるんですけれども、これが変わるということですが、これらの点を含めて今後の検討というのはいつごろまでに行うつもりですか。
○政府委員(藤江弘一君) ただいま御論議いただいておりますように、年金の一元化が進捗いたしておるわけでございまして、恩給に最も類似性のある共済法につきましては提案中であるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、国家公務員共済法の実施の時期、現在予定されておりますところでは六十一年四月でございますが、その時期までには検討を終えたいという考え方でございます。しかし、今のベースアップの水準につきまして、指標につきまして何を使うかということにつきましては、ただいま御指摘もございましたが、共済法の現在の法案によりますと、六十二年の四月から物価水準を使うという形になるわけでございます。したがいまして、六十一年どういうふうな指標を使うかということは現在の法文上は空白になっているということでございます。しかしながら、その点についてどういうふうな指標にするかということについては、恩給も十分念頭に置かなければならないという点でございますので、私どもとしてはその点については来年度の予算編成の時期、つまりことしの十二月が一応の検討の時期のめどになるんじゃないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
○太田淳夫君 一昨日もこの委員会でお話がございましたけれども、六十年度の恩給費というのは五十九年度よりも減額をされているわけで、ことしは平均三・四%恩給を増額する中で予算が減少しているということは、恩給を受けられます方が高齢で死亡されて失権されているということがたんだんとふえていくんじゃないかというんですが、この恩給受給者の現状と今後の推移についてはどのように総務庁としては見ておみえになりますか。
○政府委員(藤江弘一君) 昭和六十年度予算において見込んでおります恩給受給者の総数は約二百二十二万でございます。このうち約九四%以上の方が、数にいたしますと約二百十万人の方が旧軍人関係でございます。 さらに恩給種類別に見ますと、普通恩給受給者が約百十三万人で最も多く、普通扶助料受給者、公務扶助料受給者はそれぞれ約四十七万人ということになっているわけでございます。 将来におきますところの恩給受給者数の推計につきましては、恩給受給者の失権をどのように見込むかというふうなことにつきましていろいろな仮定を置くわけでございますので、確度の極めて高いものというわけにはまいりませんけれども、一応私どもとしましては、厚生省の人口問題研究所の静止人口表を使いまして推計をいたしているところでございます。 それによりますと、昭和六十五年度には約百九十七万人、七十五年度には百三十五万人、八十年度には九十四万人というふうなことでございまして、これらの推計につきましては、ただいま申しましたように、いろいろな基礎的条件を仮定として置いておりますので、これからもそのような調査につきましては十分精度の高いものとするように努力いたしてまいりたいと考えているわけでございます。
○太田淳夫君 そういう現状とか今後のいろんな推移ということを十分いろんなデータをもとにしながら分析されて、その中で今回のこの恩給法の一部改正案を出されたと思うんですが、総務庁としましては、この改正案の中でどの部分が一番重点だったか、いろいろと配慮されている中でここが一番重点なんだ、こことここなんだというところはどこでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 昭和六十年度の恩給改善につきましては、従来から行われております年金、恩給の実質価値を維持するための公務員給与の改善をベースといたしますところの年額改定がまず第一の柱でございます。 それから第二に、戦没者遺族の置かれております特殊な事情等を考慮いたしまして、これらに対する処遇につきまして一層の充実を図るということで、公務扶助料等につきましても増額を行っているところでございます。 それから第三に、普通恩給普通扶助料等の最低保障額を増額いたしまして、低額恩給の改善を図るということが柱になっております。特に普通扶助料につきましては逐年改善を図ってきたところではございますが、昭和六十年度におきまして、は、厚生年金の遺族年金との均衡を考慮しまして、その水準にできるだけ早く到達するということを目標といたしまして増額を設定いたしたわけでございます。 以上でございます。
○太田淳夫君 いろいろな点の公務員給与問題との連動性もありますのでいろいろと難しいと思いますけれども、そういう恩給で生活されている皆さん方の生活を守る立場で、こことここは一番重点なんだ、ここを厚くするんだという部分が今後見直しの中で必要となってくるんじゃないかと思うんです。先ほども申し上げましたが、公務員の皆さん方の給与にこの恩給の方もいろいろと連動してくるわけでございますので、最近のいろんな状況を見ていますと、公務員の皆さん方の給与につきましては凍結抑制をされておりますし、恩給を受給される皆さん方もそれに連動してなかなか増額されていかない。それで恩給を受けられる皆さん方が生活基盤が脆弱であるだけにいろんな面での余波を受けているわけです。 したがいまして、そういう年金で生活される弱い立場の皆さん方をより不安な状態に追いやることのないようにこの恩給制度というものも見直す必要があるんじゃないかと思いますし、また改正する場合も、先ほども申し上げましたように、ここはこういうふうに重点的にやっていくんだということも必要になってくると思うんです。例えば六十年以降も人事院勧告が完全実施されないときは、こんなことがあってはなりませんけれども、もしあったといたしますと、これが完全実施されるまでは、少なくとも恩給の実施時期は繰り上げるとかなんとかそういう方法をとって、恩給を受給されてそれによって生活されている皆さん方が不安にならないようなことも必要じゃないかと思うのですが、その点どのようにお考えでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 恩給のベースアップにつきましては、これはもう先生十分御承知のとおり、前年度における現職公務員の給与改善というものを指標といたしまして四月から実施するというのがここ十年来定着したやり方でございます。この方法につきましては、元公務員である者は対する年金額の調整、そのあり方といたしましては最も妥当なものであるというふうに私どもは考えているところでございます。したがいまして、厳しい財政事情のもとにおきまして、現職公務員の給与改善がやむを得ず抑制され、その改善率が人事院勧告を仮に下回りたといたしましても、冒頭に申しました考え方を変更するということは適当ではないというふうに考えております。
○太田淳夫君 適当でないということでございますが、見直しということは今後も必要になってくるときが必ずあろうと思いますので、そのときには十分検討していただきたいと思います。 この恩給制度の改善につきましては、今いろいろお話がありました公務員給与の水準、それだけでなくて、改善傾向を分析した結果に基づいて、いろいろ指標によって恩給年額の計算の基礎となっている仮定俸給年額を引き上げて増額を図る、こういうことになっておりますけれども、六十年度につきましても見てみますと、五十九年度の公務員給与の改善率の平均三・四%をスライドさして四月分から増額を行う、こうしているわけですけれども、これによりますといわゆる上薄下厚というものの措置になっていると思うのですが、この問題につきましてもこの委員会でも何度か取り上げてまいりました。今日この社会経済情勢の変化が厳しい状況の中にあってもこの上薄下厚の線につきましては今後もこれを維持していく方向と考えてよろしいでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) ただいま先生御指摘のように、恩給年額のベースアップにつきましては、公務員給与の水準だけではなく、その改善傾向を反映させるという意味で公務員給与の改善を回帰分析した結果を使いましてアップいたしておるということでございます。現段階におきましては、この方法が私ども最適なものであるというふうに考えているわけでございまして、基本的な考え方としてはこれを維持したいということでございます。 しかしながら、将来の問題になるわけで、また不確定の問題になるわけでございますけれども、年金改革と合わせるという意味で、共済年金が物価スライドになった時点でもし仮に恩給についても物価を使用するということになりますと、物価水準で一律アップということになると上薄下厚は維持されないという問題点はあるわけでございます。したがいまして、この点どのように対応していくかということについては、十分な研究の努力が必要であろうかと思っているわけでございます。
○太田淳夫君 今までの十年来の制度を最適なものであるとして今いろいろと御答弁をされているわけですが、最初にお聞きしましたように、恩給というのは社会保障的な意味合いもあるわけですからね、そういう点からいきますと、何も公務員の皆さん方の給与のアップに追随していかなければならないという面ばかりじゃないと思うんですね。そういう点の御検討もお願いしたいと思うのです。五十九年度の恩給改善につきましては、五十八年の公務員給与改善率が二・〇三%アップでしたか、あのときは非常に低率しかアップしなかったんですが、そしてその前年の五十七年度の人勧というのは凍結された、そういうことが勘案されまして、五十九年度の恩給改善については四月実施を三月実施にしましたね。当委員会でもいろいろな論議があり、要望がありまして三月実施になったわけでございますが、本年これを見てみますと、五十九年度の公務員給与が三・四%しかアップしないという中でもことしは四月実施になっているわけでございますが、なぜこれは三月実施とできなかったんでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) ただいま先生も御指摘ございましたように、五十七年度の人勧凍結によりまして五十八年度の恩給改善も見送らざるを得なかったという特殊事情があるわけでございまして、その特殊事情に配慮した五十九年度限りの例外措置である、特例措置であるということでございます。したがいまして、本年度は、先ほども申し上げましたように、ここ十年来定着しております四月実施で公務員給与を指標とするという原則に返ったということでございます。
○太田淳夫君 ですから、三・四%と二・〇三%というのでは余り変わりがないじゃないかと思うんですね。それは原則に返ったということをおっしゃいますけれども、しかし二・〇三%しかアップできなかった、積み残しかある。その積み残しが全部解決したという段階になれば、それは四月実施に戻ってもいいと思いますが、まだ五十九年度の恩給改善についてはあれがないわけですから、その点から見ても、まだ原則に返ったと胸を張って言えるような状態じゃないと思うんですが、その点どうでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 別に胸を張って申し上げたつもりはございませんが、繰り返しになりますけれども、四十八年以来、前年度の公務員給与の改善率を指標として四月、四十八年当時は十月でございますが、五十一年からは四月実施という形で定着しておるということでございまして、私どもとしては今の段階ではこれが最適のものではないだろうか。恩給水準が一年おくれになるんではないかという実は御指摘もあるわけでございますけれども、私どもとしましては、実質価値維持の法二条ノ二の規定の運用といたしまして何を指標とするか、その場合に前年度の公務員給与のベースアップを指標として使っているということでございまして、水準そのものが一年おくれというふうには私ども考えなくてもよろしいんではないだろうかということにいたしておるわけでございます。
○太田淳夫君 この恩給の改定実施時期につきましては、現職公務員の場合は給与改定があったときはその年の四月から遡及して適用されておりますし、ただ最近はその傾向がだんだん崩れてきて、凍結抑制があって、従来からの慣例というのはかなり無視されている部分もあるわけですけれども、そういうところを見ましても、恩給受給者に比べますと現職の公務員の皆さん方は有利になっているわけですね。この実施時期のおくれにつきましては、衆議院でも、「現職公務員の給与との遅れをなくすよう特段の配慮をする」こととの附帯決議もついているわけですし、従来からもこの委員会におきましてもそういった趣旨の附帯決議も行っているわけです。ですから、そういった点を見ますと、政府の対応にはもう一つ何か私たちとして不満を感ずるところがあるわけですけれども、総務庁長官として、この見直し、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 恩給の改善が前年度の公務員給与の改善にスライドする、四月から実施だと。これは一つの指標としてのとり方ですから、その指標がよろしくないよと、こうおっしゃられればそれまでの議論だと思いますが、しかし一応定着しておりますから、この定着した建前というものは政府としては維持してまいりたい、こう考えているんです。 そこで、基本的に私の見解を申し上げたいと思うんですけれども、恩給をもらっている方は、それぞれ高齢に達して、過去非常に長い間公務に尽瘁していただいた方なんですね。したがって、これらの方の老後の生活の支えというものは政府としては十分配慮しなきゃならぬ。これはもう当然な話でございますが、ただ私が頭の中にいつも考えておるのは、現職の公務員というものは、これは子育てあるいは子供の教育で一番金のかかる年代なんですね。ところが、一応六十歳以上で退職をなさる方は子供は仕上がっているわけなんですよ。えらいつれないことを言うようでございますけれども、子育てで大変金のかかる現職の公務員の立場というものを考えなきゃいかぬのじゃないか。その現職の公務員に政府としては財政その他客観情勢から遺憾ながら最近御辛抱願っている面があるわけですね。そのときに、それ以上に、一応子育ての終わった方は、立場はよくわかりますけれども、それ以上に優遇すべきであるというのは、これはよほどお考えを願わぬといかぬのではないのかと、私は実はさような基本的な考え方を持っているんです。まあお立場によって違ったお考えもあろうかと思いますけれども、ともかく現職の公務員、一番金のかかる人たちに御辛抱を願っておるというここは十分配慮して恩給というものについても対処しなきゃならぬと、かように考えておるわけでございますので、一応私の考え方だけはお答えを申し上げておきたい、かように思います。
○太田淳夫君 次は遺族に対して支給されるところの扶助料及び傷病恩給の改定時期についてですが、これは五十九年度は三月に一度引き上げてさらに八月分から政策的な上積みを行ったと思うのですけれども、六十年度は四月分から平均三・五%引き上げを行って、さらに八月分からも五十九年度と同じような上積みを行おうとしているのですけれども、今回この二段階方式を四月分からと八月分からとに区分して増額している経緯について御説明していただきたいと思うんです。
○政府委員(藤江弘一君) ただいま御指摘のように四月と八月、二段階実施という形になっているわけでございますけれども、他の特別改善も同様でございますが、四月に公務員給与の改善を指標とするベースアップを実施し、八月から特別の上積みということで八月実施ということにいたしておるわけでございます。この点につきましては、もちろん私どもとしては実施時期を合わせるということがベストであるということは強く考えているわけでございます。しかしながら、御承知のような極めて厳しい財政状況のもとにおきまして、いかにして多くの改善を盛り込むかということも一つの私どもとしての努力目標でございます。それらの接点といたしましてやむを得ず八月実施ということに特別改善分についてはなったわけでございます。今後は、私どもとしましては、できるだけ実施時期を合わせるような努力を続けてまいりたいと考えております。
○太田淳夫君 今実施時期を合わしたいという御答弁、財政事情の厳しい現状からということでいろいろと御答弁もあったわけでございますが、私どもから見ると、それは言い逃れで、単なる値切り思想じゃないかというような点もあるわけでございますが、今お話があったように支給時期を合わして四月から実施できるように努力をしていただきたいとこちらは要望しておきたいと思います。 それから次は普通扶助料の最低保障額の引き上げについてでございます。これは六十年度の四月分から、言ってみますと、兵の仮定俸給の改善率に準じて三・五%引き上げて五十五万二千二百円として、さらにこれも八月分からは厚生年金保険の遺族年金の最低保障額の給付水準を考慮して五十六万五千九百円に増額することになっています。厚生年金の最低保障額五十九万三千四百円が四月分からでございますが、普通扶助料の最低保障額五十五万二千二百円、四月分から見ますとその差額が四万千二百円、こうなっているんですが、今回の改正ではこの普通扶助料の最低保障額を厚生年金の遺族年金の最低保障額の給付水準を考慮して改正するとなっているにもかかわらず、八月分からの上積み額が一万三千七百円と、三分の一の相当額にとどまっているわけでございますが、その理由は何でしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 御指摘のように、厚生年金遺族年金との差額の三分の一を特別改善として上積みさしていただいたわけでございます。もちろん私どもとしてはできるだけ早い時期にその間差を縮める、できればもちろん六十年度において縮めるということが望ましいと考えておる点では、先生と同様でございますけれども、しかしながら、繰り返しになりますけれども、極めて苦しい財政状況のもとでこういう仕方しかとれなかったということで御了解をいただきたいと思うわけでございます。
○太田淳夫君 ですから、今申し上げましたように、私どもとしては、普通扶助料は八月分から引き上げてもまだ三分の二の開きがあるわけですから、これは四月分から厚生年金の給付水準を合わせた引き上げを行うべきではないか、このように主張するんですが、その点どうでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) ただいま御指摘がございましたけれども、厚生年金の遺族年金のアップにつきましては、これは公務員給与のベースアップに準じたアップが四月に実施されるということで何らの特別改善はこれについてはないわけでございます。したがいまして、特別改善をどうするかという時期の設定につきましては、先ほど申しましたように、できれば一緒にしたかったのでありますけれども、財政事情でやむを得なかったということで、これも申しわけございませんが御了解いただきたいと思うわけでございます。
○太田淳夫君 そうしますと、この差額の解消というのはとても望めないということですか。それとも何年か後にはこの差額の解消はやっていきたいという計画なんでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 差額の三分の一が法案をお認めいただけますならば解消されるわけでございます。私どもとしては、厳しい財政状況のもとではございますけれども、できるだけ昭和六十年度と同程度の解消を来年度以降も毎年図ってまいりたいというふうに考えておりますが、ただ明確にお約束できる状態ではないことは、これもひとつお許しいただきたいと思うわけでございます。
○太田淳夫君 非常に細かい質問に立ち入りたわけでございますが、傷病者遺族特別年金の遺族加算はどのようになりますか。
○政府委員(藤江弘一君) 傷病者遺族特別年金の遺族加算につきましては、従来四万八千円でございましたものを三千円上積みいたしまして五万一千円とするということにいたしておるわけでございます。
○太田淳夫君 今お話しのように年額三千円という引き上げでございますが、これではとても生活保障の一助にはほど遠い値上げということなんですが、なぜ三千円しか増額できないんですか。
○政府委員(藤江弘一君) その意味で非常にお恥ずかしいわけでございますけれども、一つには財政状況がございます。他の一つの要因といたしまして、恩給制度内部の均衡という問題がございます。それらの点をあわせ考慮いたしまして三千円という設定をいたしたわけでございます。
○太田淳夫君 そうしますと将来的な方向としては、この遺族加算額につきましては、現在の公務関係扶助料の遺族加算額は九万六千円になっているのですけれども、将来的にはこれと同額にするようなお考えにあるわけでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 先ほど制度の均衡と申しましたけれども、私どもとしては、現在の段階におきましては均衡上これと同一とするということは頭にございません。
○太田淳夫君 今の差額のままでいいということですね。 次に恩給外所得による普通恩給の停止について、この概要とまた停止基準額、どのような場合どういった調査を行ってこれは決定されるのでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 現行の多額停止制度につきまして御説明申し上げたいと思います。 普通恩給の年額が現在では百五十六万円——法案をお認めいただきました段階では百六十一万円以上——であって、その受給者の前年における恩給外所得金額、これはすべての所得を含むわけでございますが、七百万円を超えるときには、恩給の支給年額が百五十六万円を下らず、また停止額が恩給年額の三五%を超えない範囲におきまして、恩給年額と恩給外課税所得、総所得金額との合算額から、ただいま七百万円と百五十六万円を足しました八百五十六万円を差し引いた金額の三五%相当額を停止することといたしておるわけでございます。 それから恩給外所得の調査につきましては、ただいま申しました普通恩給の停止基準額である百五十六万円以上の方につきまして、これらの方々の居住地を管轄する税務署に対しまして、毎年四月に前年における恩給外所得金額の調査を依頼いたしまして、調査表の回送を待ってその中から恩給外所得年額七百万円を超える方を抽出いたしまして、各人の停止年額を計算し、停止通知を八月中旬に本人及び支給庁に郵送いたしまして、十月の支給期分から停止を行っているところでございます。
○太田淳夫君 この制度というのは昭和八年の恩給法の一部改正によって規定されまして、昭和四十三年三月二十五日の恩給審議会の答申でこの問題は取り上げられていますが、どういうような指摘をされていますか。
○政府委員(藤江弘一君) 指摘を読み上げさしていただきたいと思います。 この制度は、昭和八年当時における異常な緊縮財政の要請により、恩給費節減の一方法として特に設けられたものであり、年金制度本来のあり方から見れば異例の措置ともいうべきで、現に被用者年金でこのような制度をとっているものはない。また、今日ではこの制度を存置しなくとも税法上の措置によってほぼ目的を達し得るものであるとともに、この裁定に要する事務手続はすこぶる煩さであり、行政事務の能率化の観点からもこれを存置する必要性ははなはだ乏しいと言える。したがって、さしあたっては少なくともその停止率を制度創設当時の率に改めるとともに、その停止基準額についても、制度創設当時の額を基礎として今日の貨幣価値に従って引き直すよう改めることが適当である。 こういうことでございます。
○太田淳夫君 ここに指摘されておりますように、昭和八年当時に規定されたものでございまして、当時の社会事情から見ますと、戦争や事変によって軍人等が多数死亡したり、あるいは傷病におかかりになったりしたために、急激に公務扶助料とか、あるいは傷病恩給の増額等が行われたので恩給費が増大した。そこで国家財政に支障を来したその抑制策として、これは緊急やむを得ない処置であったと言われますが、太平洋戦争が終結してから既にことしで四十年になっているわけでございますが、この昭和八年の恩給費抑制策を現在までずっと廃止せずにこの条文規定を置いていることについてはいろんな疑義があるという意見もたくさんあるわけでございますが、これに対する長官の見解、どのようにお考えでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 昭和八年当時緊縮財政という御指摘がございましたけれども、財政状況の厳しさという意味では現在でも劣らないという一つの情勢があるわけでございます。他方、こういった制度につきましては、他の年金とのバランスを考慮するということが必要でございますので、共済年金制度については同じく多額停止制度があるわけでございます。しかも、その水準等につきましては官民格差等いろいろな批判があるわけでございまして、そういった社会的な公平さという点からいたしましても、恩給、給与につきましては同じような視点からの制約が必要ではなかろうかということでございます。確かに恩給制度の本旨という問題はございます。しかし現在の時点でのこのような制約はこの本旨にはもとらない範囲内であるというふうに私ども考えている次第でございます。
○太田淳夫君 どうですか大臣。
○国務大臣(後藤田正晴君) 今局長のお答えしたとおりでございます。
○太田淳夫君 これはこの答申に指摘されておりますように、今日ではこの制度を存置しなくても税法上の措置によってほぼ目的を達し得るものじゃないかとかいろんな指摘もあるようでございますし、またこれもよく検討を促したい点だと思います。 次に、先般長官の趣旨説明の中でも触れられておりましたけれども、六十年度における恩給改善の目玉の一つが公務扶助料の最低保障額でございまして、これは遺族関係団体が五十五年から要求していたものでありますけれども、一応今回その要求が達成される形になっているんです。それはそれとして評価するわけでございますが、ただ本年度中にこの月額十二万円の引き上げ措置を講じておかなければ、ことしの人事院勧告が出された場合に来年度の改善のベースアップされる分でこれが十二万円に達してしまうんじゃないか、こういう判断があって、六十年度の改善で四月分から改善される額、百四十四万ですか、それと月額十二万の合算を逆算した結果この上積み額を決定したんじゃないか、こういう我々としては推測をするわけでございますけれども、その点はどうでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 戦没者遺族に支給されますところの公務扶助料につきましては、従来から旧軍人恩給再出発時以来の経緯だとか、他の保障制度とのバランス等を考慮いたしまして、これらの遺族の方々の置かれておりますいろいろなお気の毒な状態その他の特殊な事情を考慮いたしまして、財政状況の許す範囲内におきましてできるだけの増額を図ってきたところでございます。昭和六十年度におきましては、公務員給与を指標といたしますベースアップのほか特別な改善をいたしたわけでございまして、その結果遺族会等の御要望にございます月額十二万円に到達することができるという形になるわけでございます。 私どもとしましては、繰り返しになりますけれども、できるだけの充実をできるだけ早い機会にというのが基本的な方針でございます。しかしながら一方、厳しい財政状況という大変なネックがあるわけでございまして、それらとの兼ね合いにおいてこれまでの計画がややおくれたけれども、本年度においてそれを達成したということでございまして、来年度自然到達するから今年度無理にしたのではないかという発想は全くございません。
○太田淳夫君 仮に昨年並みの給与改定として計算してみますと三・五%アップ、これは金額にして約四万五千円になるわけですけれども、ですから六十年度の公務扶助料の八月分の上積みをしない額、つまり四月分からの額百四十一万五千円に四万五千円をプラスしただけで百四十四万円を超える百四十六万円になるわけですね。そういうことになりますと、じゃ公務員アップを少し抑えようかなんということを総務庁長官はお考えにならないとも限りませんけれども、公務扶助料につきましては、来年度以降についてもベースアップのみならず十分な配慮があってしかるべきじゃないか、こう思うんですが、長官どうでしょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 太田さん、いろんなことを配慮なさっての御質問が先ほどからあるんですが、去年実はその予算の編成の際に、先ほどお尋ねの厚年の最低保障額に達してないという説明がありまして、それはおかしい、それはできるだけ早いところ厚年の最低保障額と同じようにこれはすべきだということで一つはやったんです。 それから今のお話の十二万円の問題ですね、これも私の考えの中には、余りにも長いこと毎年毎年十二万円十二万円と言ってその団体から要求があるじゃないか、おくれておるんじゃないか、おくれているんならできるだけ早く御要望どおり十二万円にすべきじゃないか、こういったようなことで、これは財政当局は当然のことながらいろいろ御意見ありましたけれども、本年度の改正で取り上げた、これが実情でございます。 問題は、十二万円が一応できた、そうなってくるというと今後どうするんだ、こういう議論が必ず出てくるんです。一つやるとこっちが出てくる、こっちやるとこっちが出てくるというのが従来の実例でございまして、これらは一応の節度を持ってやるべきだ、次から次にというのはぐあい悪い、しかし政府はやるべきことはやろうじゃないか、こういうことで実は私どもとしては対応しておる。そうなると十二万円を今後どうするかというと、ベースアップ分は私はやらざるを得ぬのではないかなと思うんですね。しかし、一昨日板垣さんの御質問の中にもありましたけれども、それ以外にももう一つ考えろ、こういう御意見がございます。御意見としてはよくわかるんですけれども、そこまで私どもとしては今どうこうするということは頭の中にございません。ベースアップはこれは当然やるべきであろう。十二万円の分についても現在の時点で私はそういう考え方でございますので、お答えをいたしておきたい、かように思います。
○太田淳夫君 現在の恩給年額の計算の基礎となっております仮定俸給ですが、これは通し号俸制をとっておるわけで、最下位の十八号俸から最上位八十二号俸までの六十五段階に区分されているわけです。最低保障とかあるいは傷病恩給などは、これは六十五段階のうちの兵の仮定俸給を基準としてとらえているわけですけれども、この兵の仮定俸給の二十一号俸を見ますと、公務員給与の行政職俸給表(一)の八等級二号俸の現行額月額八万八千円、年額にして百五万六千円、これはただし俸給額のみでございますけれども、それに比べましてもかなり低い額になるわけです。改正案では二十一号俸の兵の年額は九十六万四千四百円、こうなるわけでございますけれども、せめて行政(一)の八等級二号俸と同額程度まで引き上げていって恩給額の給付水準というのを高めてあげる必要があるんじゃないか、このように考えておりますが、その点どうでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 恩給の仮定俸給につきましては、ただいま御指摘もございましたけれども、現職公務員の給与制度におきましていわゆる通し号俸が廃止された後におきましては、現職者に適用されます俸給表に仮定俸給を合わせるということが実態上困難となったわけでございます。したがいまして、これを離れまして一定の指標により増額されてきたところでございまして、その指標といたしましては、生活水準であるとか、物価水準であるとか、公務員給与のベースアップ率であるとか、物価水準と公務員給与のベースアップ率との混合方式といったふうなものが使われまして、四十八年以降は先ほど御説明申しましたとおり前年度の公務員給与を指標とするという形が定着してきたところでございます。このようないろいろな経過をたどってきた結果が現在の仮定俸給表でございます。 仮定俸給の増額方式がこのような変遷をたどったということについてはいろいろなお考え方もあろうかと存じますけれども、それぞれの時点におきましてはそれなりに意義があったということでございまして、またかたがた、仮定俸給は恩給制度の基本をなすものであるということでもございます。したがいまして、そういう状態を踏まえますと、現職の俸給より低額の仮定俸給があるといたしましても、これを変更するということについては慎重な検討が必要であろうか、かように考えているわけでございます。 御指摘の趣旨をいろいろ想定いたしますと、弱者である方々についての対応ということがございますようですが、恩給受給者のうちにおきまして、高齢者であるとか寡婦といった方々につきましては、確かに経済的な基盤も弱く、かつ恩給に対する依存率の高い方々もおられるわけでございます。そういう方々に対しましては、最低保障制度というものを充実してまいったわけでございますし、また算定率の特例であるとか仮定俸給の格上げというふうな措置におきまして同様な効果を生ずるような形でこれまで措置してきた。これらの点についてはさらに十分努力してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○太田淳夫君 私たち軍隊というものを経験したことがないんでございますけれども、この通し号俸制の仮定俸給を見ますと、兵と大将の地位にあった方々の格差というのは約六倍の開きがある状態なわけでございますが、このことは素人目で見ると、多少生活レベルのアンバランスがあるんじゃないかなという感じもするわけですが、将来この格差を縮めるようなそういう見直しというものもお考えになっていらっしゃるんですか、それともそういうことは全然ないんでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 恩給につきましては、これはもう先生十分御承知のように、公務員の退職当時の俸給というものを基礎として算定するということが基本になっているわけでございまして、旧軍人の場合におきましては、従来から仮定俸給を階級ごとに設けまして恩給年額計算の基礎としているというふうな実情があるわけでございます。このように恩給の年額につきましては、公務員の退職時の条件に応じて決定されるという方式が軍人、文官通有の原則でございまして、軍人恩給につきましても階級差があるということについては、これはもうやむを得ないことであろうかというふうに考えているところでございます。 しかしながら、軍人恩給における上下格差につきましては、ただいま御指摘のようないろいろなお考え方もございます。軍人恩給再出発に当たりましては、まず兵の階級の仮定俸給につきましては引き上げて兵長の階級に一本化したという点が一つございます。その後の仮定俸給の格付是正等におきましても、できるだけ下に厚くするというふうな形、格付のアップ等につきましてもそのような措置に努めてまいったところでございまして、またこれも先ほど来問題になっておりますベースアップにおきますところの公務員給与の改定の傾向を反映する回帰分析方式の導入等によりまして、その格差というものは締まってまいっておる。ちなみに申しますと、終戦時におきましては兵と大将の格差は十六倍でございますけれども、現在では六倍になっているということでございまして、上薄下厚の努力を続ける限りにおいてはこの差はさらに締まるであろうというふうに考えておるところでございます。
○太田淳夫君 この委員会でもそうでございますが、いろいろと論議の中で、例えば戦後処理の問題についても、外国特殊法人の問題あるいは外国特殊機関の指定の問題、それから旧満州国軍内の日本人軍官の処遇の問題等いろいろと問題を取り上げてまいりましたが、政府としては今日までこれらの問題についてどのような検討をされてまいられましたでしょうか。
○政府委員(藤江弘一君) 附帯決議につきましては、この委員会でもしばしば御論議いただいているわけでございますが、私どもといたしましては、国権の最高機関である国会の御意思であるということで、改善の指針といたしまして、十分尊重いたしましてできるだけの努力をするということを十分念頭に置いているつもりでございます。 ところで、まず外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件がございますけれども、これまで検討いたしました結果では、未指定の外国特殊法人等幾つかございますけれども、それらの組織の沿革であるとか、機関の性格であるとか、人事交流の実態といったふうなものを種々の角度から総合的に検討いたしましても、それからさらに内地におきまして同種の国策会社等がございますが、これらについては通算が認められておらないというふうな実情についての均衡というふうなことからいたしまして、通算の対象とすることは適当ではないということが現在までの検討結果でございます。 それから次に満州国軍内の日本人軍官の処遇問題がございます。そのうち恩給局所管の問題につきましては、いわゆる日・満というふうなケースを通算するというふうな御要望があるわけでございますけれども、満州国軍人と外国政府職員期間の通算といったものは、満州国などのその当時のいろいろな特殊性、それから我が国の公務員との人事交流といったふうな、それの実態等やむを得ないというふうな場合に限りまして、特別措置として認められているというふうなこともございますので、これをさらに御指摘の事例のようなケースにまで拡大するということは、恩給制度がそもそも日本の官吏あるいは軍人を対象としたものであるという基本的な性格からいたしまして、適当ではないというふうな判断に至っているところでございます。
○太田淳夫君 次は、官房長官の私的諮問機関でありました戦後処理問題懇談会が報告書を出されたわけでございます。それに基づきまして総理府に特別基金検討調査室というのが設置されたということでございますが、その後どのようにこれらの諸問題について検討され、どういう方向に進んでいく予定でございますか。
○国務大臣(藤波孝生君) さきの戦後処理問題懇談会の報告におきましては、いわゆる戦後処理問題について「これ以上国において措置すべきものはない」という考え方を打ち出されますと同時に、しかし関係者の心情に深く心をいたすという立場からぜひ基金を創設してしかるべき事業を進めていってはと、こういう御提案がございまして、それを受けて、政府といたしましては、基金の創設を中心にして戦後処理問題についての考え方をさらに一歩前進をさせていこう、こういうことで取り組もうといたしておるところでございます。 この懇談会の御提案趣旨を踏まえまして、政府といたしましては、四月の十日に特別基金検討調査室を発足させまして既に検討に入っておるところでございますが、関係省庁などとも十分相談をしながら特別基金の検討及び実情調査の内容とか、対象とか、方法等につきましてもここで具体的に検討していくようにいたしたい、こう考えておるところでございます。 この検討を進めてまいります中で従来いろいろと御意見をお寄せいただいてまいりました団体や懇談会で十分意見は消化された、そしゃくされたということで今度の検討に入っておるわけではありますけれども、さらに関係団体の方々などの御意見もよく聞いて、この基金の創設を中心とした考え方を一歩前進させていくについてのいろんな御意見を伺っていくようにしたらと、こういうふうに考えておる次第でございまして、国会等でもいろんな御論議もいただいてきておるところでございますが、それらも十分踏まえてひとつ検討を進めていくようにいたしたいと、こう考えておる次第でございます。
○太田淳夫君 これはそれぞれ恩給欠格者の皆さん方の問題、あるいは戦後シベリアに抑留された皆さんへの補償の問題、あるいは在外財産に対する補償の問題ということでいろいろ伝えられております。在外財産につきましても、今まで補償問題につきましては状況の全体像が不明であるというようなことも伝えられておったわけでございますが、これはもう何年も前に、外務省の外交文書がはっきりと昭和二十年八月十五日現在の在外財産における総額はこういうものだということで、その中にも盛り込まれていることもありましたね。そういった意味で、こういう皆さん方の願いというものが一日も早く政治的に解決されるようにと思っておりました。しかし、こういう基金ということで、平和祈念基金ですか、仮称というようなことも伝えられておるわけでございます。しかるべき事業ほどのような事業であるか、まだいまだ明確になっていないんでございますが、どういうふうな事業ができるんでしょうか、その点ちょっと疑問に思っているんですが、どうでしょうか。
○政府委員(田中宏樹君) ただいま官房長官からも御答弁申し上げましたように、我が特別基金検討調査室は四月の十日に発足いたしまして、昨年の十二月に戦後処理問題懇談会として御報告をいただきました中身のところは、特別基金の内容につきましては詰まった話にはなってございません。その考え方だけ提示をされておりますので、その辺を中心にいたしまして目下検討を進めているところでございますが、その戦後処理問題懇談会の報告の中で言われております特別基金についての考え方だけ申し上げてみたいと思います。「今次大戦における国民の尊い戦争犠牲を銘記し、かつ永遠の平和を祈念する意味において、政府において相当額を出損し、事業を行うための特別の基金」と、こういう考え方でということで御提示をいただいております。今後どういう事業活動がこの中身にふさわしかということをそれぞれ検討してまいりたいというふうに考えております。
○太田淳夫君 伝えられるところによりますと、台湾人の元日本兵補償で連絡会議が発足というこでございますが、これも既に人選は決定して発足しているわけでございますか。
○政府委員(吉居時哉君) いわゆる台湾人元日本兵問題についてどう考えるかということにつきまして、六十年度予算におきまして総理府に五百万円の検討費がついたところでございます。そこで、この問題についてこれから検討いたしますために、関係省庁による連絡検討のための場を今月中にも設けたいということで、今関係省庁と話を進めているところでございます。関係省庁として考えられますのは、私ども総理府のほかに、総務庁、法務省、外務省、大蔵省、厚生省、郵政省等が考えられるわけでございますが、いずれにしましても、今月中にこのような関係する省庁による検討の会議を開きたい、そして今後検討の内容、方法等につきましてもこの場でもっていろいろ詰めてまいりたいと、そう考えているところでございます。
○太田淳夫君 これは発足して結論はいつごろまで出すような所存ですか。
○政府委員(吉居時哉君) この台湾地域の問題となりますと実はいろいろ難しい問題がございます。全般的な請求権問題をどうするかといったことにもあるいは関係するかもしれませんし、台湾以外の分離地域との関係といった問題も出てくるかもしれません。無論財政問題ということもありましょう。したがって、こういうふうないろんな困難な問題もございますので、これから関係省庁と一体どういうふうな問題を詰めていけばいいかということについても相談してまいりたいと、かように考えておりますので、誠意を持ってこの問題に取り組んでまいりたいと思いますけれども、いつまでに果たしてどのような結論に相なるかということは、この現段階においてはちょっと申し上げられる段階ではないので、その辺は御容赦をお願いいたしたいと、かように考えておるところでございます。
○太田淳夫君 この問題につきましては、同僚委員からも指摘がございましたと思いますし、また今までこの内閣委員会でも論議をされてきたところでございますが、ここにある会議録の中にも政府側の方は、今後この台湾人の元日本軍兵士の補償問題について積極的に人道的問題の立場から考えて取り組んでいくという素地はできているんではないか、そういう意味で、将来ともこの問題の本当の解決のために努力していきたい。これはもう三年前でございますね。そしてそのときの担当大臣の方も、この問題をどう解決するか、極めて困難な問題であると受けとめてはいる、しかし台湾といういわば特殊事情の条件の中に置かれた問題でございますから、困難な問題であるけれども、これに誠意を持って対応していかなきゃならない、こういうふうに決意を発表されているわけです。 これは外交的な問題、いろんな問題があろうと思いますけれども、そういういろんな難関を乗り越えてこの問題は人道的に解決していかなければ、日本としてこの問題を政府がきちっと解決をしませんと、日本として今後いろんな面できちっと言えないんじゃないかという指摘もそのときにしているわけでございますが、その点、今五百万が経費として計上されたということでございますが、五百万円でどの程度のことができるのか、集まっていろいろと討議するだけで終わってしまうような可能性もあるわけですが、やはりきちんとこの辺で誠意のある結論を出すべきじゃないか、こう思いますので、官房長官、どのようにお考えですか。
○国務大臣(藤波孝生君) この問題につきまして従来いろいろな経緯がありましたことは、私どもよく承知いたしておるところでございます。同時に、この問題の事柄の重要性もよくわきまえておるつもりでございます。ただ、今御答弁も申し上げましたように、外務省を初めとして政府部内それぞれの責任のある立場でいろんな意見がこの問題についてはあろうかと思います。したがいまして、関係省庁集まりまして、その中でこの問題についての考え方をまとめるように検討を進めていきたいと、こう考えておるところでございますが、どのように検討の結果が出まするか、いろんな角度から、特に外交的な立場から検討する必要があろうかと、このように考えておるところでございますが、いずれにいたしましても、長い時間をかけていろいろお話のありました事柄でございますし、戦後四十年も経過しておる今日のことでもありますので、なるべく早く検討を進めていくように誠意を持って対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○太田淳夫君 次に、旧日赤救護看護婦の皆さん及び旧陸海軍従軍看護婦の皆さん方に支給されております慰労給付金についてお尋ねしたいと思うんです。今回旧日赤関係者には六年目にして、また旧陸海軍関係者は四年目ですか、一二・三%の増額が図られるわけでございますが、この増額の措置につきましては、この委員会の附帯決議でも何度も要望したところでございますけれども、その給付金の額そのものが各種恩給の額やその他の年金と比較しても比べものにならないほど低額であるわけです。ところが、こういう皆さん方は、何回もこの委員会で論議されましたように、あるいはこの席上でもいろいろと御意見を賜りましたけれども、旧軍人の皆さん方と同じように戦火の中でみずからの生命の危険も顧みず負傷者の救護に当たったその女性の皆さん方でございますし、そういう皆さん方の御苦労に報いるには果たしてこれは妥当な金額であるかどうかという問題があります。まして六年目とか四年目とか、こういうところで初めて増額されるわけでございますので、その点政府の姿勢のあり方につきましては、何といっても誠意がないと言わざるを得ないと思うんですが、これについて長官のお考えはどうでしょうか。
○国務大臣(藤波孝生君) 慰労給付金は、先生御高承のように、この制度の性格から申しまして、所得の保障を図るという年金的な性格を有するものではないということは御高承のとおりであろうと思うのでございます。ただ、それではありますけれども、一回こっきりで金額決めたらそれでいいかと、こういうことになりますと、実質価値を維持していくための措置は考えていかなければなるまい。これは慰労給付金という制度の性格からいたしましても当然図られるべき措置であろうと、こういうふうに考えてきておるところでございます。 そこで、過去五年間の消費者物価指数の上昇率一二・三%という数字を頭に置いて改善を行ったところでございまして、この増額についての努力を欠いておるではないかという国会でもたびたび御指摘をいただいてきておるところでございますが、この制度の性格や、また今申し上げましたように、にもかかわりませず実質的な価値は維持していくという努力をしようということで今年度の増額措置に踏み切ったと、こういうことになっておる次第でございますので、どうか御理解をいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。
○太田淳夫君 今お考えは示されましたけれども、この慰労給付金の増額につきましても、私どもとしては、毎年でも増額していくという努力をすべきだと、こう思うんですけれども、長官、どのようにお考えですか。
○国務大臣(藤波孝生君) ただいま申し上げましたように慰労給付金という制度の性格がございます。しかしそれの実質的価値を維持していくということは、その措置は講ぜられるべきであろうということにつきましては十分心得ておるつもりでございます。今後の物価水準の動向とか、そのほかの制度のいろいろな動きとか、いろいろあろうかと思うのでございますが、今回増額いたしました経緯を踏まえまして将来の問題として受けとめていくようにいたしたい、こう考える次第でございます。
○太田淳夫君 それでは最後に総務庁長官にお聞きします。今回のこの法案を見ましても、これは大正十二年に制定された法律だけじゃなくて、恩給法の一部改正も、二十八年法、四十一年法、五十一年法、こういうふうに改正しているわけですが、このような改正を見ますと、これは非常に複雑で非常にわかりにくい面があるんです。ですから国民が見てももっとわかるような法体系の整備あるいは法改正を抜本的にすべきじゃないかと、このように思うわけですね。法律を見ましても非常にわかりにくかった。片仮名で書いてあったりします。恩給そのものも現在になりますと大体定着してきた感じもしますので、そういった点で、あるいはもう一度この法体系の整備、法改正を抜本的にすべきじゃないか、このように思うんですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃるように、私も総務庁の長官になりまして、一番わかりにくいのがこの恩給制度の中身だと思うんですね。だから太田さんの御意見は一つの御提言として私は拝聴しなきゃならぬと思いますが、問題は、いろいろな長い経緯の中で今日こういう仕組みになっておるわけですね。だから一番肝心なことは形式を整えるということよりは、結果として適正な恩給が関係者の皆さん方に交付しておるということであればそれでいいのではないのか。問題は、いろいろな制度がこの中に入っておりますから、それらのバランスの問題であると思う。このバランスを崩すということは適当ではなかろう。したがって、私は形式論議よりは、むしろ実態として不適切なところがあれば、これは是正をしていくべき筋合いであろう、私はさように考えているわけでございます。
○太田淳夫君 終わります。
○委員長(大島友治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十五分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(大島友治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○内藤功君 まず、人事院にお尋ねをしたいと思います。 公務員の現在の生活、さらに士気の面から見ましても、人事院勧告の完全実施はまさに至上命題というべきだと思います。夏の人事院勧告へ向けての作業状況は今どんな状況か、これをお伺いいたします。
○政府委員(鹿兒島重治君) お答え申し上げます。 本年度の人事院勧告につきましては、国家公務員の側につきましては、一月十五日現在の国家公務員の状況につきまして調査を行っておりまして、ただ、ことしは三月三十一日に相当数の定年制による退職者がございますので、若干の調整を加えながら現在集計中でございます。 他方、民間につきましては、連休明けから民間の調査を開始いたしておりまして、大体六月の上旬ぐらいにはその調査が終わるということで、双方突き合わせて官民の較差を出すべく現在作業中という段階でございます。
○内藤功君 憲法に定める労働基本権の代償という国の基本的な制度の問題であります。内閣官房長官、この人事院勧告完全実施へ向けての官房長官の姿勢とまた御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(藤波孝生君) 本年度の人事院勧告の取り扱いにつきましては、勧告制度尊重の基本姿勢に立ちまして、勧告が出されました段階で国政全般との関連を考慮しつつ、勧告の完全実施に向けて最大限の努力をしてまいりたい。従来も政府はずっとそういう姿勢をとってまいりましたし、また先般来もこの委員会におきまして総務庁長官からもそういった御答弁も申し上げ、私もお答えをしてきておるところでございまして、大きな決意をもって勧告の完全実施に向けて努力をしていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
○内藤功君 国政全般の中でも人間を大事にするというのが私は政治の基本だと思います。行政の中では、第一線で働く職員の生活というものを安定さして、思い切って仕事をしていただくということが私はほかならぬ国政の基本の第一だと思うんですね。重ねて総務庁長官の御決意また政治姿勢をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいま藤波官房長官からお答えいたしたとおりの考え方で私も対処してまいりたい、かように考えます。
○内藤功君 人事院に対しても同様の決意をお聞きしたいと思うんです。特に人事院制度は労働基本権の代償制度である、このことが繰り返し最高裁の判決でも支持されておる。特に人事院の権限の根幹をなすものが給与の勧告権限である。さらに、そのほかにも人事院の権限に属する事項というのは非常にたくさん規定されている。例えば専門家の田中二郎東大元教授の論文を見ますと、「各種の政治的圧力から独立し、人事行政の専門技術性の要請に応じ、かつ公正に行われる必要があり、その意味で人事院の独立性が保障されなければならないのである。」と、こういうふうに書いてある。私は何回読んでも大事なことだと思うんですね。 給与勧告権限のほかにも大事な権限がありますが、例えば公務員の等級別定数査定権限というのがありますね。最近ともするとこういう大事な権限を人事院から切り離そうというようなことを耳にするのでありますが、公務員労働者にはもともとスト権があったものを現在法律で奪われておる、団体交渉権も制約がある、そういうことで代償として第三者機関としての人事院の権限というものが独立して保障されている、私たちはこう理解しているわけです。その中心的なこういう権限を使用者側になる政府に移したんじゃ、これは人事院制度の私は崩壊を意味すると思うんです。憲法の労働基本権の代償という役には立たないことになります。憲法それ自体にも反することになる。最高裁判所が昭和四十八年四月二十五日の大法廷判例で示した代償制度という基本理論にも反することになる。人事院の給与勧告の実施がここ三、四年来、私をして言わしむれば、踏みにじられていると言っていいと思うんです。こういうことの上になお人事院の重要なる権限事項まで取り上げられるということにもし仮になったとすると、以上のような点から許せないことだ、重大なことだと私は思っておるのであります。 長く意見を述べましたが、これはきょう質問を特に通告しておらない事項であります。人事院として改めて給与勧告権のみならず、私の今挙げたような重要な人事院の権限に属する事項についてはあくまで守り抜く、これは自分の役所のために守るというんじゃなくて、日本全体の制度のために守り抜くという御決意が大切だというふうに強く考えているところなんであります。人事院の方でどういうふうに今私の話したことについてお考えか、この点ちょっと承っておきたいです。
○政府委員(鹿兒島重治君) 急なお話がございまして私どももにわかにまとまったお答えがあるいはできかねるかもしれませんが、私どもも最近新聞記事等でいろいろ議論が出ておりますことは見ておりますが、そういう意見が正式にそういう方向で結論を得たというぐあいにはまだ聞いておりません。しかしながら、お話がございましたように、人事院は中立的かつ専門的な機関といたしまして公務員の利益を守るという重大な使命を持っておりますので、そういう立場からいたしまして給与に関係する事項について申し上げますならば、給与につきましては、人事院勧告制度というものを柱といたしますその運用を含めました取り扱いにつきまして現在の形で私どもが処理することが妥当であるというぐあいに考えております。また、そういうようなもしもお尋ねがございますならば、私ども機会を得ましてそういう考えもその場その場で申し上げていきたい、かように考えております。
○内藤功君 では次に恩給年額の改定の実施時期について、これは他の議員からもお尋ねがありましたが、重ねて私からもお伺いしたい。この点につきましては、従来から衆参の内閣委員会におきまして現職公務員の給与改定時期との均衡を考慮し、給与改定と同時期に一体化して実施するようにという附帯決議が何回か行われておりますが、改善が図られていないように思います。現在、政府としてこの問題についてどのような御検討をなさっているのか、また、言葉はきついようですが、附帯決議を尊重するという本当の御意思があるのかどうかという点を伺いたいと思います。
○政府委員(藤江弘一君) 附帯決議につきましては、申すまでもなく国権の最高機関としての御意思でございます。したがいまして、私どもとしては重々これを尊重するという気持ちは持っているものでございます。しかしながら恩給の実質的価値の維持を定めました恩給法二条ノ二の具体的な運用といたしまして何をとるか。その場合に、元公務員としての年金調整としては公務員の給与アップを指標とすることが最も適当ではないかということで、前年度のベースアップを指標といたしまして毎年四月から実施しているという形がここ十数年来定着いたしているところでございます。したがいまして、私どもとしましては、これを今の時点で直ちに変えるということにつきましては、十分慎重な検討がさらに必要ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
○内藤功君 どういう検討をしているのかという質問です。
○政府委員(藤江弘一君) 附帯決議の御趣旨につきましては、十分理由のあるところとは存じますけれども、私どもといたしましては、重複になりますけれども、前年度の公務員給与のアップ率を指標として採用することが現時点では最適であるというふうに考え、ここ十数年来その制度を踏襲してまいったところでございます。
○内藤功君 答えになっておりませんね。どういう検討をしているのかと。附帯決議の尊重という言葉は言われました。尊重を形で示してもらいたいということを申し上げておきたいと思うんです。 次に戦後処理問題について官房長官に伺います。政府としては、戦後処理問題とは何か、これをずばりどう考えていらっしゃるかお答え願いたいと思います。
○国務大臣(藤波孝生君) さきの大戦に際しましては、すべての国民の皆さん方がそれぞれの立場でいろいろ犠牲をこうむった、こういうふうに考えておりますが、それでは政府がそのすべての犠牲に対して償うという措置がとれるかどうかということにつきましては、長い時間をかけていろいろな意見があったところでございます。実際上、しかし不可能である、そうすればどういう方々にそういう措置がとれるのか。これまた戦後いろいろ検討が加えられてまいりまして、政府といたしましては、戦没者の御遺族や戦傷病者あるいは生活の基盤を失った引揚者など、一般の国民の方々が生活し働いている、そういう方々と異なって特別の施策を必要とするという方々について、援護などの措置を講じてきたところでございまして、これまでの一連の措置をもって戦後処理に関する措置は終了したと、こういうふうに考えているところでございます。 しかしながら、先年来、戦後処理問題に関しまして一部に強い要望が出ましたので、国会等のいろんな御意見等も踏まえさせていただきまして、民間の有識者による公正な検討の場として戦後処理問題懇談会を設置して、二年半にわたるいろいろな御意見をお出しいただいて御努力を重ねていただきまして、一つの戦後処理問題についての考え方をおまとめをいただいたところでございます。この結果、昨年十二月に答申が出されましたわけで、この中では、戦後処理問題につきましてこれ以上国において措置すべきものはないという考え方をおまとめをいただきますと同時に、しかし関係者の方々の心情に深く思いをいたして、そういった趣旨のもとに特別の基金を創設してはどうかと、こういった御提案を含む御答申をいただいたところでございます。 政府といたしましては、この懇談会の御提案、御答申を踏まえまして、戦後処理問題についての一つの考え方をさらに一歩前進させるようにしてはと、こういうふうに考えまして、特別基金の検討及び実情を調査するために予算化をお願いをいたしまして具体的に検討に入ったと、こういうことになっておるところでございます。具体的には、いわゆる軍人恩給の欠格者の方々の問題、シベリア抑留に関する問題、在外財産等の問題につきまして、戦後処理問題懇談会では、主としてこの三つのお立場の方々の問題を中心として議論が進められてきたところでございまして、基金の創設、活用という中でこういった方々に対する気持ちをどういうふうはしてあらわしていくかというととについて検討を進めていくことになろうと、こう考えておる次第でございます。
○内藤功君 政府はこの問題について、今お話しの基金の検討費及び実情調査費として一億五千六百九十八万円予算を組んでおられますが、まず具体的に何をなさるのか。この戦後処理問題懇談会の報告書によると、「戦争犠牲を銘記し、かつ永遠の平和を祈念する」とありまして、「銘記」とか「祈念」とかいう言葉でして、ここには具体的な例えば損失補償という概念は含まれていないようにとれるわけであります。銘記とか祈念とかいうそういう心情的、精神的なものだけなら、無意味とは言いませんが、非常に力のない、実体のないものではないか。しかももしまかり間違って日本国憲法の前文の示す過去の戦争に対する反省、侵略戦争に対する反省、こういったものを忘れるような過去の戦争の美化、あるいは軍の戦闘の美化強調というようなことの方向に行ったら、これは私は大変だという憂いも持っているわけなんであります。そこらあたり具体的に何をなさろうとするのかということについて、これはまあ先での相談だという答えが出るんだろうと思うんだけれども、官房長官としてどういうふうにお考えなのか、ここを重ねて、私はその一斑でもいいからお示しいただきたいと思うんです。
○国務大臣(藤波孝生君) この懇談会の中でいろいろ御議論をいただいてまいりまして、関係者の方々の心情に思いをいたすというふうにまとめられたゆえんのものは、体を張って国のために働いた、あるいは自分の財産をなげうって国のために尽くした、そして戦後今日に至っておるという方方に対して、二度と戦争を起こしてはならぬ、平和を誓い合って進んでいかなきゃいかぬということが一方にありますと同時に、それらの非常にとうとい犠牲を払ってこられた方々に対する何らかの敬意を表するとか慰謝の念をささげるとかいったようなことが理念として話し合われまして、そういった気持ちを込めて基金を創設していってはどうかという御提案をいただいたところでございます。 具体的にはどういうことになるかという点につきましては、今先生から御親切にお触れいただきましたようにこれからの問題、まさにそういうことはなるわけで、どういうふうに構えていくかということはこれから検討をしてまいります中でいろいろ具体策を講じていかなければなりますまいと思いますが、例えば基金の規模などもどれぐらいのものに持っていくのかというようなこともございますし、その基金を事業として活用いたしてまいります場合に、具体的にどういうふうな事業があるのかといったようなことについてこれから検討していくことになるわけでございます。 ただ、問題は、検討調査室を中心にいたしまして検討を重ねてまいりたいと思いますけれども、机の上で何人かのお役人が集まってどうだろう、こうだろうと言っておることでは、この基金の意味合いも本当は地について生きたものになっていくかどうかというふうなことも考えますので、従来この問題についていろいろ御意見をお寄せいただいてきた関係団体を中心にいたしまして、関係者の、該当者の方々の御意見もよく聞くというようなことで、真にこの基金が生きたものになっていくように具体的にいろいろ検討していかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。 先生から御指摘をいただきましたが、本当に心の底から平和をみんなが願って、そしてそれぞれ苦労してきたことなどについて、いろいろ敬意を表するようないい方法があればいいが、そういうことを念頭において検討を進めてまいりたいと、こう考える次第でございます。
○内藤功君 そういうことであれば私も注文を一つ出しておきたいと思うんですが、軍人だけじゃないんですね。私は数日前沖縄に行ってまいりましたが、沖縄ではとにかく十七歳から六十歳までの男子、女の人は四十五歳まで全部駆り出されて、前線でもって軍隊と一緒に行動し、最後は大変な犠牲を受けたんですね。ずばりここの人たちから聞きますと、不発弾の処理にあと六十年かかる、遺骨の収集にも三十年ぐらいかかるだろうと。戦後ちょうど一世紀、百年かからなきゃ一つの戦争の後始末というのは終わらないんだというのが現地の人の感情ですね。これは本土の人よりもっと厳しい感情です。私は、国民の中にそういう気持ちを持っている人もいる、そしてこれで戦後処理問題は終わりだというふうに事務的に片づける問題じゃないということも十分、官房長官、腹の中に入れておいていただきたいと思うんです。 そこで質問ですが、この報告書には「政府において相当額を出損し」、お金を出すとありますけれども、この政府の受けとめ方は、政府の出損のほかどこかほかの団体等からも出損するということを含むというふうに解釈しておられるのか、政府のみの出損と考えておられるのか、そこの受けとめ方はどうですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 今日のことでございますから、何らかのものを構えます場合に、大勢の方々の例えば御好意があればお寄せいただくというような方法があればとは思いますけれども、懇談会から御提案をいただいております基金に関して言いますと、大体政府が出すということを基準にして御意見が出ておるというふうに心得ておりまして、あちこちへお願いするというよりも、政府が出損するということを中心として考えていかなければなりますまい。これはこれから検討いたしました結果、どれぐらいの規模のものにするか、あるいは事業について具体的にどういうふうな範囲にわたって、どういうふうな方法があるかということとも若干は関係が出てこようかとは思いますけれども、基本的には政府が出損するということで考えていかなければならぬと心得ております。
○内藤功君 次に、戦地勤務に服した旧日赤従軍看護婦及び旧陸海軍看護婦、いわゆる従軍看護婦さんの方々の処遇の問題であります。 従来から各党からこれは取り上げられており、これらの方々に対する慰労給付金につきましては今年度増額が図られたということは評価できるところであります。しかしまだ不十分である。特に今後物価上昇等も考慮してさらに改善を図ると、こういう基本的な姿勢を維持していくべきだと思います。 その点についての御見解とあわせて、この慰労給付金につきましては、三年以上戦地に勤務していながら十二年末満の者は全く除外されているという点に不備な点も残されております。この改善につきましては、従来から内閣委員会に請願が提出をされて採択もされておりますが、政府としてこの点前向きに検討されるべきではないかと思うのであります。 この二点を伺いたい。
○政府委員(藤田康夫君) 二点お尋ねがあったかと思いますが、第一点は今回の一二・三%引き上げた取り扱いを今後どうするのか、こういうお尋ねであるわけでございます。この点につきましては、今回四年から六年の期間が経過をいたしておりまして、その間にかなり消費者物価の上昇がございまして、このまま据え置くのはいかにもお気の毒である、実質的価値を維持する必要がある、これは先生のお話のとおりでございますが、そういう判断をいたしまして、財政状況が厳しい状況下にあるわけでございますが、過去五年間の消費者物価指数の上昇率一二・三%の改善を図ることといたしたわけでございまして、これによりまして毎年増額するという考えはないわけでございます。なお今後の取り扱いにつきましては、先ほど官房長官からも御答弁ございましたが、物価水準の動向とか、あるいは他制度のいろいろな動きあるいは今回の増額の経緯等を踏まえまして、将来の問題として受けとめてまいりたいと、かように考えておるところでございます。 それから第二点の十二年末満、三年以上勤務しておれば十二年末満の者につきましても慰労給付金を支給したらどうか、改善すべきじゃないかと、こういう点についてのお尋ねであったかと思うわけでございます。この点につきましては、旧日赤の救護看護婦あるいは旧陸海軍の従軍看護婦、いずれも同じでございますが、これは兵の恩給の受給資格年数を考慮いたしまして戦地、事変地における実勤務年数に加算をいたしまして、加算年を加えた期間が十二年以上ある者に対しまして支給すると、かような制度になっておるわけでございます。したがいまして、先生から御提案ございました三年以上戦時衛生勤務に従事しておれば、加算年に関係なく十二年にならなくても支給するように改善すべきじゃないかと、この点でございますが、兵における恩給の受給資格年数との均衡から考えまして、この方々を処遇することは困難ではないかと、かように考えておるところでございます。
○内藤功君 内閣委員会の請願もしばしばなされている問題ですから、今言われました第二点目の問題については、引き続き真剣に前向きに検討していただくようにお願いをしておきたいと思います。 官房長官に対する最後の質問をしたいと思うんですが、先ほども他の議員から御質問のありました台湾在住の元日本兵問題で、補償問題の検討費用として今年度五百万円の予算が計上されておりますが、この問題の取り扱いをめぐって主務官庁は一体どこになるのかという問題についてお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(藤波孝生君) 五百万円の予算を計上していただきまして、この問題についての検討を進めていくことにいたしておりますが、総理府に一応検討するための事務局といいますか、中心を置いてそして関係省庁と十分連絡をとりながら検討を進めていく、こういうことで進んでまいりたいと考えておるところでございます。
○内藤功君 まだ決まっていないわけですね、具体的には。これから検討する、協議すると。
○国務大臣(藤波孝生君) あくまでも今回の五百万円の予算で進めてまいりますのは、台湾人元日本軍人軍属の戦死傷者に対する救済措置ということでございますが、これを検討していく、どうするかということを検討するという予算であるわけでございます。検討していく作業の中心を総理府に置いて進めていく。でございますから、主務官庁はどこかということであれば、それはもう総理府でというふうに申し上げていいかと思うわけでございます。
○委員長(大島友治君) 官房長官は退席していただいて結構でございます。
○内藤功君 では次に、恩給法による外国特殊機関として指定してもらいたいという陳情が幾つかありますが、その一つとして旧満州棉花協会、旧華中棉産改進会、旧華北棉産改進会の職員に関する陳情が私のところにも来ております。昭和五十五年以降、国会請願の採択も十数回やられているようであります。附帯決議も昭和五十六年以降、毎通常国会ごとに行われているようであります。 従来、恩給局長の答弁は、組織の性格、業務の内容、人事交流の態様等から見て無理である、こういう趣旨の答弁が繰り返されておりますが、陳情される方の立場からいいますと、こういうそっけない答弁ではなかなか納得しがたいと思うんですね。例えば、私も一通り資料を見てみましたが、組織の性格といいますと、これは陳情者側は政府の代行機関であるということをいろいろと文献で言っておられるようですね。それから業務の内容については、優良種子普及、栽培技術の指導、こういう業務だと。人事交流の態様という点については、日本の農林管あるいは大学から招聘あるいは出向の形で行った人が圧倒的に多い。それなりの具体的な資料を出しておるようでございますので、提出資料に即した御答弁がいただけないかと思います。いかがでしょう。
○政府委員(藤江弘一君) ただいま御指摘の三機関につきましての恩給通算につきましては請願で採択されまして、それに対しましては内閣からの処理意見を申し上げているところであると存じます。 原則的なことから申し上げまして恐縮でございますけれども、恩給はあくまでも日本の公務員、文官であれ軍人であれ、公務員を対象といたすという基本的な原則がございます。したがいまして、これを緩めるということにつきましては、極めて厳格でなければならないということがあるわけでございまして、そのような視点から種々検討した結果、現在の段階では適当ではないというお答えをいたしているわけでございます。 なお、具体的にというお話でございますが、基本的な判断基準といたしましては、私どもといたしましては、これらの法人等の業務内容が極めて行政的な色彩の強いもの、いわば国の業務の代行機関的な性格を有しているということ、言いかえますと、本来は行政機関が行うべき事業を、満州国等の特殊性にかんがみまして、法人の形式で行わせていたというふうなことで、したがって日本であれば、それらの業務に従事していた者は公務員として終始恩給法の適用を受けていたというふうな要件、それから第二に、日本政府の意思に基づきまして日本政府の職員が多数派遣されているということ、または終戦後これらの法人等の職員を日本政府の意思として大量に受け入れたというふうな人事管理上の強い要請があったというふうなことを要件といたしまして、種々の角度から検討した結果、これらについてはそれに当たらないというふうな結論を出した次第でございます。
○内藤功君 この該当者も一千名から最近では二百人を下るほどまでに減少している。皆さん大変年配にもなられてきておりますね。そしていろいろ新しい資料も次から次に出してきておるようです。こういう点についても許される限り温かい気持ちでの検討をお願いしておきたいと思います。 それでは次に厚生省、文部省に中国帰国孤児の問題について伺いたいと思うんです。 厚生省が昨年の十月に中国帰国孤児生活実態調査を行いまして四月に発表されたわけでございますが、その調査結果の中からお伺いしたいんです。現在職についてない人、それから生活保護を受けている人、これは大体どのくらいか、まずそれをお答え願いたい。
○説明員(石井清君) お答えいたします。 日中の国交正常化後、五十九年三月までの永住の目的を持った孤児につきまして、これは百八十一世帯になりますが、この方々につきまして生活の状況を調査したわけでございます。 そして生活保護の状況でございます。帰国した当時は約九六%の世帯が生活保護を受けているわけでございますが、帰国後二、三年たちますと、これが約半数の世帯に減少しているという状況でございます。 それから就労の状況でございますが、就労していないという方の主な理由は、日本語ができないということが最も多くて五四%、こういうふうになっているわけでございます。
○内藤功君 生活保護を受けている方の人数、パーセント。
○説明員(石井清君) 生活保護を受けているというのは、今申し上げましたとおり、百八十一世帯の約半分、九十世帯近くが受けておるわけでございます。
○内藤功君 私もこの調査結果を読みましたが、現在三八%の人が職についていない。帰国後四年たっても、正確に言うと三四%の世帯が生活保護を受けている。厳しい状況がうかがえるわけであります。そしてその一番の障害は、今厚生省が言いましたように日本語の点が障害だと思うんですね。 そこで、日本語教育が不十分なまま社会生活を始めなければならない、家に閉じこもりがちである、定職につけない、生活保護から抜け出せない、率直に言って。日本の習慣や考え方になじめない、肉親との間にひびが入る、こういういろんな実例が報告されております。政府としてこの点、言葉の問題、どんな対策をとっておりますか。
○説明員(石井清君) 厚生省といたしましては、中国から帰国しました孤児、そしてその同伴家族につきましては、昨年二月一日に所沢に開所いたしましたところの中国帰国孤児対策促進センターというところに帰国後四カ月入所していただきまして、そこにおきまして日常生活に必要な日本語の研修あるいは生活習慣等の指導を行っているところでございます。 その指導に当たりましては、それぞれ指導目標がございまして、日本語につきましては少人数のクラスの編成をしていく、一クラス約十人程度による授業、あるいは生活指導につきましては実地に買い物や交通機関を利用する等の実習を取り入れたものを行っているわけでございます。同センター退所後につきましては、各世帯に引揚者生活指導員というものを派遣いたしまして、生活指導に当たっているところでございます。 またそのほか、日常会話習得のための日本語の教材、これはテキストとかカセットテープ及びテープレコーダー等でございますが、これを支給しているほか、文部省の方におかれましても、日常生活に即した日本語の学習書等の支給をしていただいて、また引揚者子女教育研究協力校の指定等の施策も講じられているところでございます。 そのほか、引揚者の比較的多い地域でございますが、これは都道府県あるいは市町村、民間団体等におきまして日本語教室の開設等が行われているところでございます。
○内藤功君 私、二つばかり提案したいんです。 一つは、今の所沢の促進センター、四カ月ですかね、これを延長して、行き届いた日本語教育を行う。その後でも必要な人はその人の落ちつき先の家庭に、いわば家庭教師的な個人教授を一定期間派遣する、こういうふうな措置はとれないものですかね。
○説明員(石井清君) 先ほど申し上げましたとおり、四カ月間ここに入所していただきまして集中的な日本語の教育あるいは初期の集中的学習ということを行っておりまして、私どもとしては四カ月という期間が妥当なものではないかと一応考えているわけでございます。 そのほか、むしろ私どもは、それが終了した後は、地域社会に積極的に入っていただいた方が日本語の習得等も早いのではないかというように考えているわけでございます。
○内藤功君 それから帰国者の孤児の方の子供さんの問題ですね。まずこういう子供さんたちが高校、大学へ進学するに当たっては奨学金制度を弾力的に運用して適用できるようにすべきじゃないか、こういう問題と、それからもう一つは、高校入学については帰国者の子弟が不利にならないように特別ないろんな方法を設ける。入試の方法、学力検査などについて、東京都なんかでは弾力的な一定の措置をとっているようですが、そういうことを国としても考えて講ずるというふうなことを考えるべきじゃないかと私は思うんですね。この点は文部省になりますか。
○説明員(井上孝美君) お答え申し上げます。 ただいまのお尋ねは二点の事柄にわたるわけでございますが、私へは、まず第一点の中国帰国者の子弟が高校、大学へ進学する場合に奨学金制度を弾力的に運用して経済的負担の軽減を図る考えはないかというお尋ねであったかと思うわけでございます。 日本育英会の奨学生につきましては、先生御案内のとおり、主として学業成績と家計収入の基準によって選考することといたしているわけでございますが、特別な事情のある者、例えば災害等により主たる家計支持者を失なった者等につきましては、家計収入、学業成績の判定に当たりまして特別の配慮をしているところでございます。 中国からの引揚者の子弟につきましても、その実情に照らしまして、このような特別な事情があると認められる者に対しましては奨学金を貸与しているところでございまして、そのような特別な事情があると認定されて採用されております高校生は、昭和六十年二月末現在で十名というのが現状でございます。
○説明員(牛尾郁夫君) 中国帰国者の子女の高校入試の問題でございますが、中国帰国者の子女に限らず、外国からの帰国子女の高校入試の問題につきましては、これらの子女が外国で得てきた教育の内容等が違うわけでございますので、そうした教育の実情に照らしました適切な措置がとられることが望ましいというふうに考えているわけでございまして、昨年七月、初等中等教育局長名をもちまして各都道府県の教育委員会の方にこれらの帰国子女の高校入試に当たりましては一定の枠を設けるとか、選抜の時期、内容、方法等について可能な限り弾力的な措置をとるよう指導したところでございまして、現在各都道府県における検討の状況を見守っているというところでございます。引き続きいろいろな機会を通じましてその方向での検討が進められますよう指導してまいりたいと考えております。
○内藤功君 ぜひその実施を促進できるようにお取り計らい願いたいと思います。 次に、もう一度厚生省に伺いますが、今度は就労対策であります。中国帰国孤児定着促進センターでの活動内容として、私は職業訓練を中に加えるようにすべきだというふうに思うわけです。 もう一点、関連して厚生省に伺いますが、帰国者が中国での仕事や技術を日本でも生かせる方法を考えるべきじゃないか。例えば私の考えられるのは漢方医、はり、きゅう、それから医者、教員というようなものが考えられると思うし、現実にそういう方の問題もある。しかるべき専門の知識、資格を持つ人には、この前歴を評価して通常より短期間の再訓練で資格が日本でも取れるようにするとか、あるいは専門知識、技術を持つそういう方の前歴が生かされるようないろんな特別措置を検討するということをお考えいただきたいと思うんですが、この点いかがでしょう。
○説明員(石井清君) それでは先に就労対策の方にお答えさしていただきます。 先ほど申し上げましたとおり、センターにおきましては、日常会詰であるとか生活習慣というものを集中的に行っているところでございまして、そこを出ました後、職業訓練は退所後という措置を今とっているわけでございます。 これには、例えば職業訓練校で受講する場合、これは受講者と訓練校側との意思の疎通を図るというようなことから、引揚者生活指導員というものを派遣して就労ができるような措置をとっているところでございます。
○説明員(横尾和子君) 中国ではり、きゅうに携わっておられた方の日本での処遇についてお答えを申し上げます。 日本ではそれぞれ関係法令に基づきましてはり師の免許、きゅう師の免許というふうなそれぞれの免許になっておりまして、いずれも中学校卒業あるいは高校卒業後一定期間養成所で勉強し、都道府県知事の試験に合格した後に免許を受ける。これは一般的に医療に携わる者の免許制度と共通する仕組みの中で動いているわけでございます。 中国から帰られた方々の問題を考えますときに大変難しいと私ども思っておりますのは、中国におきましては私どものような統一的な身分制度というものが整えられておりませんで、それぞれのはりの仕事をしてこられたという方も、ある意味で自然に御経験を積んだ結果そうした仕事に専業しておられたというふうな形の方がいらっしゃるわけで、その意味できちんとした評価をするということが難しいという実情でございます。ただ、私どもが承知しておりますところでは、何人かの方は、既に日本の養成校に入られて日本の衛生関係法規を学ばれて、日本の免許を取る間近いところまでいっていらっしゃるというふうに伺っております。
○内藤功君 次にさっきの定着促進センター、一カ所ですけれども、こういう方の多い主要都道府県にこれを開設する、さらに増設するという問題についてどうお考えか。 もう一点は、まとめて厚生省に聞きますが、残留孤児の方の血液鑑定に関して、現在は日本人の肉親の血液鑑定の費用、六万円と聞いておりますが、これは自己負担になっているようです。これは本来国が持つのが筋道だと私は思うんですが、どうお考えか。この二点。
○説明員(石井清君) お答えいたします。 所沢にございます帰国孤児の定着促進センターの収容人員は、年間延べ百世帯という程度を予定しておりまして、現在のところ、その帰国者の状況等から見まして、本センターで一応対応できるのではないかというように考えております。ただ、今後の問題といたしまして、孤児の永住帰国の動向等見まして、その点においてはまた改めて検討したいというように考えております。 それから二番目の血液鑑定のことでございますが、今まで確かに肉親側に負担していただくということでございますが、考えとしては、今後ともそれだけ能力があるといいますか、方につきましては負担をしていただきたいと、こう思っておりますが、能力がないという場合につきましては十分検討さしていただきたい、こう思っております。
○内藤功君 今聞きました諸問題はまさに戦後処理の大きな問題だと思うんです。また中国との友好の上でも非常に大きな意味を持つ問題である。 幾つか不十分なお答えもありましたが、きょうの私の質問の中に含まれている提言をぜひ前向きに受けとめて、実行は移すように御検討いただきたいと思います。よろしゅうございますか。
○説明員(石井清君) はい。
○内藤功君 では最後に防衛庁に二点お伺いしたいと思うんです。 まず、防衛庁の教育課長にお伺いしたいことは、去る五月八日に東富士演習場で発生した百五ミリ戦車砲射撃の際の事故について、その後の事故調査委員会における原因究明の結果、あるいは現在の中間的な報告でも結構ですが、どういうふうになっておるか、この点を伺いたいと思うんです。 時間の関係で、訓練課長にもあわせて質問を出しておきたいと思います。 これは海上自衛隊の方ですが、海上自衛隊がアメリカ海軍の演習であるレディエックス演習に参加したと、こういう報道が伝えられております。この演習の内容、特に参加部隊ですね、演習の海域、日時、演習の目的、性格、こういった点について御報告を願いたい。 この二点を防衛庁から伺いたいと思います。
○説明員(井上憲治君) まず、このような事故を起こしまして、特に地元の方々に不安を与えたと思いまして、大変遺憾であり深くおわびいたします。 防衛庁といたしましては、この事故を大変深刻に受けとめまして、事故後すぐに陸上自衛隊の東部方面総監部に事故調査委員会を設けまして、原因の究明とそれから今後の安全対策、これについて現在鋭意検討中でございます。ということで現段階では原因その他申し上げる段階ではございません。 ただ、この委員会で現在検討していることは、例えば訓練の管理体制が十分であったのか、あるいは射場とか弾着地のそういう施設面の管理が十分であったか、あるいは火砲とか弾薬にふぐあいがなかっただろうか、あるいは操作上ミスがなかっただろうか、あるいはこの弾薬は通常の飛翔方法でなくて、跳弾、要するにはね返っただろうと推定されるわけですけれども、なぜそういうことが発生したのかというようなことについて現在鋭意検討中でございます。
○説明員(上田秀明君) レディエックス関連についてお答え申し上げます。 海上自衛隊は例年行っております米国派遣訓練を今年度も目下実施中でございまして、四月の二十五日から七月の十三日までの予定で護衛艦三隻と航空機八機をハワイ並びにカリフォルニア周辺の方に派遣しております。 その派遣部隊は米海軍の評価施設等を利用した訓練やいろいろな訓練を行っているわけでございますが、その中の一環といたしまして、米海軍との間での洋上における日米共同訓練を、これもまた例年行っているわけでございますが、今年度もこれを行っているわけでございます。 この共同訓練は、米海軍の方が独自に実施しておりますレディエックスという中規模な艦隊訓練の一部に海上自衛隊の今申し上げました米国派遣訓練部隊を参加せしめて行っているものでございまして、目的は対潜戦、防空戦、水上打撃戦等の演練を通しまして戦術技量の向上を図るということでございます。期間は五月の二十二日から六月四日の予定でございます。 参加部隊は、海上自衛隊側は米国派遣部隊の艦艇「しらね」、「あさかぜ」、「さわかぜ」三隻、航空機は八機派遣しておりますが、そのうちの六機はP3Cでございます。それから米海軍の方は第七空母軍の空母キティーホークを含みます水上艦艇十五隻及び潜水艦が若干、そのほかに空母搭載の海軍機とともに米空軍の航空機も若干参加する予定でございます。訓練の海域は南カリフォルニア、サンジエゴの西方の海域でございます。 以上でございます。
○内藤功君 さらにこの内容について、私の見解を含めて質問したいんですが、これは後日別の機会を得てやりたいと思います。 一応報告をきょうはお聞きして、大臣なり局長のお出になったところで内容にわたる質疑をするということを申し上げまして質問を終わります。
○柄谷道一君 恩給法等の改正案の具体的内容に入る前に、恩給法の基本について若干お伺いいたしたいと思います。 まず、恩給局長に伺いますが、公的年金制度の統合一元化の一環として、国家公務員等共済組合法の改正法案が本国会に提出されております。それと恩給との関連でございますが、今回の共済組合年金法の大改正について、恩給局長としては大蔵省に対してその立案過程で公式に協議し、もしくは意見を申し入れられたことがあるかどうか、お伺いします。
○政府委員(藤江弘一君) このたびの年金改革に当たりまして、共済法の改正につきましても、恩給局もメンバーとなっております公的年金制度調整連絡会議というものがございますが、そこでいろいろと論議されたわけでございまして、その審議に参加いたしまして、関係各局の御意見も十分に拝聴いたしたところでございます。特に、臨調答申等はおきまして御承知のとおり、年金改革とのバランスを考慮して見直しをせよとの恩給についての御注文がついております。そういう観点から十分慎重に御意見を伺ったつもりでございます。しかしながら、ここでも十分な御論議をいただいているわけでございますが、恩給制度は年金制度とはその沿革、本質を全く異にするものでございまして、したがいまして、今次の一元化には対象とされてないということが一つございます。 それから恩給と共済年金との関連ということは確かにございますけれども、昭和三十四年の共済法の制定の時期におきまして、恩給権は既裁定のものを除きましてすべて消滅させ、共済に引き継いだ。したがって、そこで共済年金は新たな年金制度として構築されたということでございます。したがいまして、共済年金におきまして、一元化のためにどのような措置をとるかということにつきましては、これは共済年金制度を所管しております省のプロパーの問題であろうということで、私ども恩給局の立場として、こうしてくれ、あるいはこうすべきだということは申し上げておりません。
○柄谷道一君 他省の意見は慎重に伺った、しかしプロパーの問題としてあえて恩給局側としての積極的意見は開陳していない、こういう趣旨であろうと思いますね。総務庁設置法の中には、恩給局の所掌として「国家公務員等共済組合連合会の長期給付の決定に関する審理に関する事務を行う」という一項が入っております。私がこのことに対して質問いたしますと、恐らく総務庁側は、その規定の趣旨は受給者の恩給期間部分の確認の事務であるというふうに理解しておる、こうお答えになるだろうと私は予測するわけでございます。 しかし、今回の共済組合法の大改正はただそれだけでは済まされない問題を含んでいるのではないかと、私は思考いたします。すなわち、その第一は、現在国家公務員として在職中の者の中には相当数いわゆる恩給期間相当分を持っている者がある。それは総務庁としても今回の共済組合法の改正案のあり方については当然強い関心と意見を持ってしかるべきだということではないか。 第二は、共済年金はいわゆる恩給を引き継いでおりまして、今日まで共済年金の改定は恩給改善の措置が色濃く反映されてきたというのが実態であろう。しかし、今回の改正案ではこの関係がまさに清算されようとする内容を含んでいるということではないかと思うのであります。もちろん、私は恩給が国家補償に基礎を置く制度であることは十分承知いたしております。しかし、恩給といえども社会保障の一翼を担っている制度であることは疑いのないところではないか。なるがゆえにこそ、第二臨調の第三次答申でも公的年金とのバランスという問題が触れられ、かつ昭和六十年四月八日の国共審答申の中に、「公的年金制度改革の方向に即し、速やかに見直しを行なうべきである。」という答申が行われ、社会保障制度審議会でも、その答申の中に、「共済年金制度創設以来の最大の改革を行うに当たっては、いわゆる官民格差の要因となっている恩給制度についても、今回の改正との均衡を考慮し、スライドの在り方その他を含め速やかに不公平を是正する等の措置が望まれる。」、この一項があえて加えられているのは、そうした見方によるものではないかと、こう私は思うのでございます。 したがって、これは総務庁長官にお伺いしますが、将来の恩給のあり方という立場から、これと深いかかわり合いを持つ共済年金について総務庁として物を申すということは当然のあるべき姿勢ではないかと、こう思うわけでございます。これに対する長官の御見解と、あわせて、恩給を公的年金制度改革との関係でどのようにとらえ、どのように今後見直していく基本的お考えをお持ちなのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 恩給と公的年金としての共済年金は一応基本の性格は違う、片方は国家補償が中心の考え方、片方は保険数理に基づく社会保障の一環である。ただ、広い意味で申しますと、確かにともに公務員であった者の老後の生活の支えを考える、こういうことで社会保障制度の一環であるということは、これは間違いないと思いますね。そういうような意味合いから、第二臨調の御意見、あるいは社会保障制度審議会の御意見等でも、バランスを考えると、こういうことでございますから、そういう意味合いにおいては、私は共済制度の改革ということについて大きな関心を持たざるを得ないし、バランスの点については恩給自身の方も十分配慮して考えていかなければならぬと、こう思っておるんですね。しかし、今回のこの共済制度の改革というのは、御案内のように公的年金制度の一元化の一環としてやっている。そして恩給と共済との関係は、昭和三十四年の改革で一応きちんとした整理ができたわけでございますから、そういうような意味合いがありますから、バランスその他において私は考えなければならぬなと思っておりますけれども、改めて共済制度の改革に恩給の立場からとやかく申し上げるという考え方は私は持ってはおりません。私どもは私どもとして、共済の改革とにらみ合わせながらバランスを恩給の上でも考えていく、こういう基本的な態度で臨んでいきたいと、かように考えておるわけでございます。
○柄谷道一君 長官、片や国家補償の性格である、片や保険数理に基づく制度である、この基本的な性格が異なるということは私ども十分承知した上で質問をしておるわけです。しかし、今長官が述べられましたように、しかし広義の意味において社会保障、そして老後の生活保障の一つの大きな機能を持っているという点では相共通しているわけですね。なるがゆえに、国共審は横に置くにして、臨調にしても、社会保障制度審議会にしても、これは総理直轄の審議会ですね。この審議会が内閣総理大臣に対して、バランスを図りなさいよ、公平を期しなさいよという答申をしている以上、内閣としてこの意見を尊重していく義務といってはどうかと思いますが、そういう姿勢が求められていると、こう思うんですね。 そこで、私は具体的にお伺いしたいんですが、恩給のこれからのスライド、すなわち実質価値の保持をどのような方式で確保していくのかという問題でございます。衆議院内閣委員会での恩給局長の答弁を私読んでみますと、こういうことを言っておられますね。今度の共済年金法につきましては物価水準を指標にとるという形になるようです。したがって、同じ元公務員の年金制度であるところの恩給が現在のように給与スライドでいいかどうかについては、これは重大な検討課題であると考えているわけです。確かに認識として、実質価値保持の方法を年金と同じような方法にすべきなのか、独自の実質価値の保持の方法をとっていくべきか、これは重大な検討の課題であるというところまでの認識はお持ちであるわけです。とすれば、これだけの重要な課題である物価スライドについて、給与スライドか物価スライドか、この問題については私は、事前の立案段階できちんとなぜ調整しなかったのかという疑問を抱かざるを得ないわけでございます。 共済年金法の審議はこれからでございますので、私はまたその際に詳しい質問をしたい、こう思っておりますが、ここでお伺いいたしておきたいのは、総務庁のお考えは、AとBに分けて、A、現行恩給法二条ノ二の規定については性格が違うんだから改正する意思は持っていない、将来その運用についても現行方式を維持していきたいというお考えなのか、B、共済年金法が成立した段階で現行恩給法二条ノ二の規定は見直さざるを得ないというお考えなのか、端的にお答えを願いたいと思います。
○政府委員(藤江弘一君) 過日の答弁につきましては、重大な検討課題であるということで私どもなりにいろいろな角度から十分な検討を続けているところでございます。したがいまして、結論としてそれをどうするかということについては、若干のまだ日数が必要であろうかと思います。 したがいまして、仮定の問題としてのただいまの御指摘でございますが、現行の二条ノ二を改正するかどうかということでございます。これは先生御承知のように、価値を維持するための基本的な規定でございまして、現在でも「物価」というふうな文字が入っているわけでございます。したがいまして、現行の規定そのままで読めるかどうかという一つの問題であろうかと思います。しかしながら、共済法におきましては今度の改正で、御承知のとおり、「国家公務員等の給与一という文字を削除いたしております。さらに、五%以上物価水準が上がった場合には改定を義務づけている規定が具体的に挿入されているわけでございます。したがいまして、共済法に倣うとすれば、二条ノ二を直し、かつ具体的な水準アップの義務規定を設定しなければいけないというふうに考えるわけでございます。
○柄谷道一君 私は、仮に私の言ったAの方法、現行法二条ノ二の規定を改正しないという道をとるとするならば、これは臨調から指摘を受けている、今後年金と恩給のバランスを図っていきなさいよという答申をどう生かすのかということで重大な疑問が生ずる結果になるわけですね。恩給法の実質価値保持の方法は給与スライドがその根幹であった、これはそのとおりです。しかし従来の年金の方もそれがまた一つの大きな根幹になっておるわけです。 そこで長官にお伺いしたいのですけれども、仮に二条ノ二を見直さないということになりますと、恩給は我が道を行く、共済はまた独自の道を歩みなさいという格好にならざるを得ないわけでございます。ますます両者の関係はシステムの根幹において赤離していく、相離れていくという結果にならざるを得ない。果たしてそういうことが制度として許されるのかどうか。政府として一体広義の意味での公務員の老後の生活保障の根幹である制度について我が道を行くということはやむを得ないとお考えなのか、それとも調整はしなければならぬなというお考えのもとに局長が言われるように慎重な検討を進めるというお考えなのか。これは政策選択の問題であろうと思うのですが、長官、いかがでございますか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 共済の方は年金一元化という立場に立って従来のやり方を改めて物価にスライドさせる、こういうことになったのだろうと思いますね。ところが、恩給の方は現状では公務員の給与にスライドする、こういう建前になっていますね。この間をどう調整するのだ、こういう御質問だろうと思うんです。 問題は、恩給を物価スライドにやった場合に、今まで上薄下厚で恩給は来ているわけですよ、そこらがうまく調整できるのかどうかという観点が残らざるを得ませんね。だから、そういうことを考えますと、恩給を今の時点で物価にスライドさせるように直しますということは私は言いがたい。問題は、そういうような仮に今のままに恩給を置くとしても、肝心なことはバランスの問題ですから形式論ではない。要するに実際に共済の方がどの程度の給付になるのか、それから恩給の方はどういうような給付になるのか、そこらの結果としてのバランスをとりさえすれば余り形式論にとらわれる必要はないのではないか。しかし、いずれにいたしましても、これは極めて重要な課題でございますから、慎重な検討課題として私どもは受けとめて今後勉強してまいりたい、かように考えているわけでございます。
○柄谷道一君 長官、形式論と軽く片づけられたわけですけれども、片や給与スライドですから、その率は別として、給与スライドのシステムをとる限り、これは毎年毎年給与が上がっていくわけですから、恩給の方はスライドして毎年上がっていくということですね。一方、年金の方は物価五%ですから、厚生年金を見ましても、二年固めて上がるとか、もっと物価が安定すれば三年ごとに上がるとか、こういうことがあり得るわけです。すると具体的水準そのものに差が生じてくるということはもう当然の帰趨としてあらわれてくる。それが臨調の答申の理念に合うものかどうか、これは大いに議論の分かれるところであろうと私は思うのです。 それから今長官が言われた問題の一つを解決するためには、物価スライドと仮定俸給の見直しという両者を併用することによって、基本は共済年金、厚生年金等の改善と相合わせながら、上薄下厚というのですか、これの傾向を維持するために仮定俸給を改善の都度全部物価スライドさしていいのかどうか、そこには実質価値の維持と従来の年金理念の踏襲という複合した方法も考えられると私は思うのです。これは私きょうここで幾ら長官に詰めましても、まだ検討中ということでお考えがないわけですから、的確なお答えをいただくことを私期待しておりませんけれども、それでは慎重に検討というのは大体いつごろをめどにその答えを出そうとしておられるのか、これだけぐらいは明かしていただきたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 確かに柄谷さん御指摘のような問題があるわけですから、だから慎重に検討したいと、こう申し上げておるんですね。片や物価スライドでやる、しかもそれが五%ですか、に達せば云々と、こう書いてある、ところが片方は俸給スライドですから毎年上がるであろう、それがアンバランスになるじゃないかと、こういう御質疑ですね。それだって考えようなんですね。給与にスライドさしても、何も毎年のスライドでなくたって、片方が実際五%の運用がどうなるのかということの見通しも我々は立てながら、それを頭に置いて、例えば二年たってそれとのバランスで俸給スライドでやっていくというやり方だってあるわけですね。基準がどちらをとろうともですよ。そういうやり方だってあるわけですから、そういったいろんな複雑な要素が絡みますから、これは私はもう少し勉強さしてもらいたいと思います。 その時期は、これはことしの予算の編成が十二月になりますから、それまでの間には何らかの私どもの結論を出さざるを得ないのではないかなと、かように考えているわけでございます。
○柄谷道一君 もう技術的なことを余り詰めません。私もまた揚げ足取りはやめたいと思いますけれども、物価と賃金の関係については、賃金、給与というものは何も物価上昇だけを追いかけているものじゃないですね。賃金というものは物価の上昇プラス実質価値の向上ですね。労使の交渉がどこで落ちつくか。公務員については、民間準拠で実質価値の維持のほかに、生活内容の向上をどの程度上へ見ていくかということであって、今二年おきに時期さえ合わせれば一緒じゃないかというほど単細なものではない。これは基本権ですから、そのあり方についてどうあるべきかということについては、単に総務庁だけの意見ではなくて広く我々の意見も徴していただいて、余り大もめにもめないような運用を図ってもらいたいと、こう希望しておきます。 そこでもう一つは、恩給制度の根幹でありました最終俸給額を算定基礎にするという考え方が、共済年金改正法案では平均標準報酬額になります。同時にまた一般方式と言われました恩給の算定方式が一応否定されまして、通年方式という共済組合の考え方が主流になってまいります。それで共済年金受給者、これは既裁定者でございますが、今回通年方式による年金額に算定し直されるということに片やなってくるわけですね。これらについて政府は、すべて年金財政の将来と後代負担という観点からやむを得ないという説明をされておるわけでございますけれども、そうであるなら、恩給制度は性格が違うんだというだけの理由で、もう一つの大きな根幹についてもこのまま我が道を行くという方式をとらせることがいいのかどうか、これについても大きな問題が惹起してくると、こう思うんです。これは局長いかがですか。
○政府委員(藤江弘一君) 恩給につきましては、共済と基本的な沿革あるいは性格の相違があるという前提で、なおかつバランスについて考慮するという努力が義務づけられているわけでございます。したがいまして、その意味におきまして、水準あるいはスライドの方式等につきましては慎重な検討を現在いたしておるところでございます。しかしながら基本的な構造につきましては、これは私どもとしてはいじるわけにはいかないんじゃないだろうかというのが私どもの現在の段階での認識でございまして、その理由といたしましては、実態的に申しましても新規参入がない、すべてが既裁定者であるということ、それから現在の受給者の方々は相当高齢に達しておられる方ばかりで、しかもその大部分の方は軍務という特殊な任務に服された方々であるというふうな、いろいろな特殊な状況が背景にあるわけでございます。したがいまして、そのような意味からいたしまして、私どもとしては検討にはおのずからそういうふうな前提あるいは限界があるというふうに考えているところでございます。 ところで、最終俸給額について今後算定に当たってどうするかという具体的なお尋ねたと思います。これにつきましても、先ほど申しましたように、具体的にすべてが既裁定者であるということからいたしまして、この点につきましては明確な基本的な約束事でございますので、これにつきましては、私どもとしては変更することは現在の段階では考えておらないところでございます。 なお、年金一元化に関連いたしまして申し上げますと、これはもう先生十分御承知で、私どもよりよく知っておられると思いますが、厚生年金につきましては、既裁定者につきましては従来の権利をそのまま認める、したがいましてベースアップ等についても従来方式でやるという形になっております。それらの事例等も十分私ども参考にさしていただきたいと考えておるわけでございます。
○柄谷道一君 恩給法改正の将来についてちょっとお聞きしたいんですけれども、総務庁には恩給審査会という制度がございますね。これは今長官も局長も言われましたように、従来の明治以来の長い伝統の中で恩給の制度はいかにあるべきかいろいろ検討が進められた。片や年金の方は国共審という審議会が存在する。今局長が言われるように、恩給側は考えなきゃならないけれども大綱は動かせぬよという体制ですね。一方、国共審の方は、バランスをとりなさい、特に高過ぎる面がありますよと、こういう指摘をしておりますね。両方調整をしなさいというのが制度審ですね。一体どこで調整するのか、こういう問題が私は生まれてくると思うんです。 そこで、社会制度審議会の事務局に端的に伺いますけれども、現在の社会保障制度審議会の事務局は現在の恩給制度の所掌との関連においてこの問題をどうお考えですか。
○政府委員(藤田恒雄君) 恩給制度は国家補償としての性格もありまして、狭い意味での社会保障には該当しないというようなことで、従来から恩給制度の改正につきましては、慣例といたしまして社会保障制度審議会には諮問がなされておりません。ただ、広い意味での社会保障の一環であることは当然のことでございますので、当審議会としましては、累次にわたりまして恩給制度については意見を述べてきたところでございます。今後も必要に応じて、社会保障として言うべきことがあれば、当然意見を述べなければいかぬだろうというふうに考えております。
○柄谷道一君 現行の制度審設置法の第二条の第二項に、「社会保障に関する企画、立法又は運営の」、運営という問題が設置法の中に書かれていますね。この中には恩給は含まれると、こういう理解をしておるわけですか。
○政府委員(藤田恒雄君) 字句上ははっきりいたしていないんですが、先ほど申しましたように、慣例としまして狭い意味の社会保障については当審議会に諮問はなされていないということで、こちらにつきましても、それに対して特段異議を申し述べたことはないわけでございます。ただ、必要に応じて意見を述べるべきときには意見を述べてきたという経緯はございます。
○柄谷道一君 長官、広義の意味での社会保障だ、これはもう長官も認められたし、そういう認識で制度審の方も、諮問はされないけれども意見は述べてきた。意見を述べるということは、一応審査をするということですよね。全然議論もせずに意見が述べられるわけではない、答申書がつくられるわけではない。 そこで、これは一つの考え方ですけれども、広義の社会保障制度だ、しかも内閣の総理大臣の諮問機関ですね。両者の調整を図っていくという審議会は制度審以外にないと思うんですけれども、いかがでしょう。それとも、政府がもう自分の判断で調整しちゃうんですか。審議会はどこへ諮られるんですか、調整は。
○政府委員(藤江弘一君) これはただいまも御論議いただいているとおり、私どもとしましては、社会保障制度ではない、恩給についてはそのように考えているわけでございまして、したがいまして、制度に関する立法及び運営等につきまして社会保障制度審議会に諮問することは、私どもとしては適当ではないというふうに考えているわけでございます。
○国務大臣(後藤田正晴君) 広い意味においての社会保障制度であるということは、これは先刻来お答えしているとおりでございますから、従来の慣例で社会保障制度審議会からバランス云々の御提言がある。その御提言を私どもとしてもそれなりの重みを持って受けとめなければならぬと、こう考えておるわけですけれども、しかし、さればといって、私どもとしては、恩給の基本的性格については私どもとしてはきちんとした方針を決めておるわけでございますから、それを変更するということはいかがなものかなと、こう考えておるのが現在の私の考え方でございます。
○柄谷道一君 すると、臨調はバランスを図りなさい、こう言っているんですね。現在の中曽根内閣は臨調答申の最大限尊重という姿勢ですから、これを無視することは許されない。しかも、これだけの重大問題を、どこの意見を徴して調整を図るのか。今、行革のさなかですから、調整のためのまた別個の審議会を設置することはもう大変なことです。とすれば、恩給側でも審査会があり、年金にも国共審があるとすれば、現行制度の中で調整を図っていくというのは、たまたま設置法二条の二項に書かれておるわけですから、従来の慣行は別ですよ、その場で両審議会の意見というものを調整する審議を闘わして臨調答申を具体的に具現する方向を見出していく、これしかないんじゃないか。これは一つの提言でございますけれども、耳を傾ける用意すらありませんか。
○国務大臣(後藤田正晴君) いや、耳を傾けないなんて、そんなかたくななことは考えてはいないんですよ。しかし、臨調だって、恩給制度を社会保障制度で一緒にしろというようなことを言っているわけじゃなくて、基本は国家補償であるということの性格を認めておるわけですね。その基本の上に立ちながら、しかし広い意味においては生活の支えですから、そこのバランスはとりなさいと、こう言っているわけですから、私どもはそのバランスをとることに努力する。そのやり方としては、先ほど来の御質問のスライドをどうするとか、水準をどうするとかといったようなことがあるだろう。そこらは私どもとしてはバランスを考えながら、是正すべきものがあれば是正していく、こういう考え方なんです。しかし、さればといって、基本の性格を変える考え方は現時点においてはありませんよと、こう申し上げているわけです。
○柄谷道一君 いや、これだけ、元と現とは違いますけれども、国家公務員にとって老後生活の根幹である両方が、今まではよかったんですよ、今度は非常に違った姿がこれからあらわれようとしておる。そういう中で総務庁だけでこのバランスをとる、また大蔵省と総務庁が合い議して調整を図っていくほど問題は簡単ではない。広く内外識者の意見を徴して、お互いのその性格、基本的性格というものは維持しつつも、適正な方法というものについて答えを出して進んでいくということが私は妥当だろうと思うんです。いかなる機関に意見を徴してこの改革を今後進めていくか。年金法改正は一つの転機でございますから、これ以上私が幾ら言っても、社会保障制度審議会にやってもらうということは長官の顔に今あらわれておりませんので、まあ質問はこれでとどめますけれども、ひとつ内閣としても、慎重審議の中に、そうした審議のプロセスですね、この問題をいかにすべきか、これはひとつ真剣に政府全体としてお考えをいただきたい、こう注文いたしておきます。 次に入りますが、恩給費の将来動向でございます。 これは私も何回もこの内閣委員会で取り上げてまいりました。衆議院内閣委員会における答弁では、昭和六十年に二百二十二万人が六十五年には百九十七万四千人になる。昭和七十年には百六十七万三千人になる。七十五年は百三十二万五千人、昭和八十年には九十四万人、八十五年、五十七万人、二十年後の昭和八十年には半減し、二十五年後には四分の一になる。そういう概数は述べられているわけであります。 そこで、この問題は、厚生省の人口問題研究所による静止人口表による推計でございまして、また本人死亡による遺族への受給権の転化等、推測が入る部分が極めて多いということは十分承知いたしております。しかし、我々が恩給費の将来動向をつかむという意味から、この際、仮定を置いて結構でございますから、ラウンドナンバーでひとつ資料をもって御提示を願いたい。 その場合、例えば恩給局の経理課長は歴代、大蔵省から出向されております。その大蔵省の手法は、予算の際にA、B、Cという三つばかりのケースを想定して、例えば経済成長率を一つ推定する。恩給の実質価値を保持するために給与ベースでいった場合どうなる。物価上昇ベースで仮定した場合どうなる。これは幾つかのケースを置いてその想定を示していただく用意があるかどうか。これはきょう直ちにというわけではございません。 私がこのような要求をいたしますのは、これからの高齢化社会というものを迎えて、将来の年金財政という観点から公的年金制度に対する国庫負担を軽減するという国の施策方針が明示されている中で、恩給予算の位置づけと、国家財政の中でこれがどうとらえられていくのかということが、今後のこの問題を真剣に討議するにとって極めて重要で重大であるというふうに私は認識するがゆえでございます。この恩給問題、いずれ基本的に掘り下げて問題を深めなければならない時期が来る。総務庁長官が十二月の予算編成までには何とか考えなければならぬかなということであるとすれば、これはそうした資料を私たちがいただき、十分検討することによって正確な質疑が展開できるんではないか、こう思うがゆえでございます。その用意ありや否やを端的に伺います。
○政府委員(藤江弘一君) 先生の御要求の趣旨は十分に理解できますので、できるだけおこたえいたしたいと思うわけでございます。 ただ、しかしながら、受給人口の推計につきましては、ただいま御指摘のありましたような厚生省の人口問題研究所の例に倣いました推計ができると思います。 ただ、一方、財政事情等につきまして、せっかくの御指摘ではございますけれども、仮にベースアップが何%という仮定を設定した数値を差し上げることにつきましては、給与問題を担当いたしております総務庁の姿勢といたしましていかがであろうかというふうな問題もあろうかと思います。したがいまして慎重に検討さしていただきたいと思います。
○柄谷道一君 できる限りにおいて我々が正確な恩給の将来動向を把握し得るような資料の提供をお願いいたしておきたいと思います。 次に、六十年度の恩給予算が一般会計に占める割合は三・二%でございます。これは過去十年間最低の比率になっております。私の調べたところによりますと、五十一年度三・七%ありました比率が逐次漸減いたしまして、昨年は三・四、ことしは三・二、こういうことになっているわけでございます。この減少についてどのように受けとめておられるのかお伺いします。
○政府委員(藤江弘一君) 予算規模に占める割合は、ただいま御指摘のような傾向があることは事実でございます。それらの主因といたしましては、私が申し上げるまでもなく失権数がふえているということに尽きるわけでございまして、極めて概括的に申しますならば、この傾向が続くであろうということが想定されるところでございます。
○柄谷道一君 具体的に普通扶助料その他お伺いしたいと思っておりましたが、時間も迫ってまいりましたので、また他の委員も相当深く質問をされておりますので、通告はしておりましたが、これらは一応省略をいたしたい。 そこで、官房長官にお伺いしますが、数人の委員から日赤元従軍看護婦及び陸海軍従軍看護婦の問題について質問が行われました。答弁は、私なりに要約しますと、恩給と違う慰労金という性格のものであるのでそれらの性格の違いはよく理解してくれ、しかし実質価値が落ちるということは問題なので、実質価値の維持は考えていかねばならぬということでことし改善の措置を講じた、そういう答弁に尽きると思うんですね。しかし、毎年やれないというようなニュアンスも漏らされました。実質価値の維持ということになりますと、一つは厚生年金の考えがあるんですね。今後、法律がいつ通るか、どういうようになるかは別として、政府としては共済年金の実質価値の維持の手法も法律で出されてきているわけですね。とすると、私は従軍看護婦問題についても基本的な制度をどうするか、これは大変な問題ですけれども、これはこれで横に置くとしても、少なくとも厚生年金ないしは共済年金等でとられているように、物価上昇が五%というものに達した場合は、その実質価値維持のためにその改善を行う、これが私は最低の要件じゃないかと思うんですね。何年も何年もそのままほったらかしておいてと言ったら失礼ですが、固めて十数%上げるというのは、厳格な意味において実質価値の維持という思想から違った姿が相当長期にわたって生じてくる、こういうことになると思うんですが、そこまで踏み込んだ善処方のお約束はしていただけませんでしょうか。
○国務大臣(藤波孝生君) これは何回かお答えを申し上げてきておりますように、制度といたしましては慰労給付金という性格の制度でございます。したがいまして、物価が上がるのに準じてスライドしていくというような感じでこの制度というものは従来考えられてきていないと思うのでして、基本的には特に御苦労いただいた旧陸海軍従軍看護婦、旧日赤看護婦、救護看護婦さんに対して慰労給付金を差し上げよう、こういうことできておりまして、年々国会等でもいろいろ御意見をお寄せいただいてきておりましたが、今度、年数もたってきておりますし、その間物価の上昇なども調査してみて一二・三という数字をはじき出して、まあ考えてみれば実質的な価値というのは維持できるようにしていかなければなりますまいなと、こういうふうに各方面の御理解を得まして増額することにした、こういうことでございまして、どちらかというと、この実質価値の維持ということを少しこの際の増額の中で前へ出した、こう思っておるわけでして、したがいまして、さらにこれを制度化するようなことにして、今後例えば年々スライドするとか、あるいは何%になったら自動的に引き上げるということにしようかとかというところまでは、まだちょっと考えておりませんで、気持ちはそんなような気持ちでこれからも取り組んでいかなければなりますまいと、こう考えておるようなところなもんですから、今踏み込んでそこまでは考えていないかということにつきましては、今回の一二・三%の増額についてはそういう気持ちで増額を図ったところでございますというところまでのところでちょっととまっておるんでございますが、今後努力目標ではあるかなというふうに思っておるということを御理解をいただきたいと思っております。
○柄谷道一君 官房長官ね、本当は私は評価しているんですよ。基本的にこれでいいかどうかにはいろいろ意見はありますけれども、長らく放置されておった、どんどん実質価値がもう一二%も減ったものが追いついたな、これは政府が本当に一歩大きく踏み出してくれたなということは評価するんです。しかしまた、このまま何年も何年も放置されておったんではせっかくの政府のその御意図がまたもとのもくあみになってしまう。せっかく踏み出されたということは、実質価値というものは維持していかねばならぬというお考えまで踏み切っていただいたわけです。とすれば、御答弁の中にも他の制度等も見合いながらという表現を何回も使われるわけですから、他の実質価値の大半が、恩給は横に置くとして、五%ぐらい上がれば実質価値は相当下がるから改善していこうなというのが大きな流れですから、お約束はしていただけないにしても、これは強い希望としてその程度に目安を置いたこれからの改善措置、そして実質価値の維持、そして今の政府の決断が実質的にこれからも続けられていく、こういう道をぜひとっていただきたいということを、これは強い要望として申し上げておきたいと、こう思います。 それから次に戦後処理問題、これは大勢の委員の方から御質問されましたので重複は避けますが、特別基金検討調査室、伺うところによりますと、杉浦内閣官房参事官を室長としまして総勢十人、うち兼務二名。構成省庁は、総理府六名、大蔵、厚生、総務から出まして十名で構成される、こういうふうに聞いているわけでございます。しかしもう政策選択の段階ですね。事務方がどうしましょう、こうしましょうというよりも、むしろ政治決断の段階ではないかと、こう思うのでございます。官房長官の意のあるところをしかと伺いたいと同時に、一体いつごろまでに結論を出すお考えで問題を進めようとされるのか明らかにしていただきたい。
○国務大臣(藤波孝生君) 戦後処理問題懇談会から二年半にわたるいろんな御意見、御討議の上に立って報告書をちょうだいいたしまして、その中で、何回も申し上げてきておりますように、基金の創設を中心とした御提言をいただいたところでございます。これを受けて、政府といたしましても、どのように基金を構えていくか、どういう規模にするか、その事業をどういうふうにして進めていくか、それから従来戦後処理とも言えるような事業というのはいろいろな各省庁でやってきておりますが、それらとの関係をどう整理するか、いろいろこの基金創設をめぐっても問題がたくさんにございますので、それらを十分検討していかなければなるまい。これは各省庁の十分な横の連絡や協力がなければまたこの検討も進まないわけでございますから、そういうことを念頭に置いて検討調査室を設けていくことにした次第でございます。同時に、従来もいろいろと御心配になって意見を寄せてこられました該当者の団体の方々の御意見なども伺っていくことにしようと、こういうことで進めていきたいと思っております。 従来、長い時間をかけて今日に至っておる事柄でございますので、なるべく早く成案を得るように検討を進めていきたいと、こういうふうに思っておりますが、今のところ、いつまでに検討を終えるというところまでまだ具体的にスケジュールも固めておりませんので、なるべく早くひとつ結論を導こうということを頭に置いて検討を進めてまいりますことをぜひ御理解をいただきたいと思います。
○柄谷道一君 その中間で、非常に関心を持って当委員会で取り上げられてきた問題でございますから、中間的に経過を報告し、当委員会の意見を求める、そういう用意はございますか。
○国務大臣(藤波孝生君) いずれ委員会が開かれれば、報告しなくても御質問があろうかと思いますけれども、また委員長さんと御相談申し上げまして、できる限り御報告を申し上げられるような機会が得られればと、このように考えて努力をいたしてまいりたいと存じます。
○柄谷道一君 多くの質問を用意しておりましたが、人事院にはちょっと時間がなくなりましたのでまた改めて御質問します。 最後に厚生省に台湾問題一問だけお伺いいたします。 一つは、中国残留日本人孤児問題でございますが、従来、六十一年度までに訪日調査を終了させるというのが厚生省の姿勢であったと思います。しかし、中国側から、日本政府がこれまでつかんでいる以外に少なくても二百四名新たに対象者が出てきたということが明白になった。さらにこれはふえる可能性もあると、こう言われております。六十一年度まで終了という方針は一体どうなるのか、それを一問お伺いいたします。 それから台湾の元日本兵、台湾国籍の軍人軍属に関する問題でございますが、これも私、何回も取り上げてまいりました。そして田邉総理府総務長官は、もはや決意の段階であるとまでその意思を述べられたわけでございます。五百万円の調査費がついたということは一歩前進であると評価をいたしますけれども、これはもう既に語り尽くされ、そして人道上の問題であるとして、残されているのは政府の決断ではないかと思うのでございます。この問題について、どの程度いつをめどにこの問題の解決を図っていきたいというお考えをお持ちなのか、この二点を官房長官と厚生省にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○説明員(石井清君) お答えいたします。 孤児の訪日調査につきましては、本年度におきまして五十九年度の百八十人から四百人に増員いたしております。これは厚生省に対しまして肉親調査の依頼のあった者を六十一年度までに終わらしたいということに基づいたものでございます。ところが、ことしの四月になりまして、中国側から二百四人の孤児の新しい通報があった。なお中国側にはまだ把握している残りがあるというようなことから、ことしの七月ごろまでの間にその通報をいただきたいというふうに私どもはお願いしているわけでございます。したがいまして、その状況を受けまして六十一年度の計画を立てるということになろうかと思います。ただ、肉親調査といいますのは、孤児本人から調査依頼があったということに基づきましてやるわけでございますので、この予想を大幅に上回るという状態があるならば、これは再検討はしなきゃならぬと考えておりますが、何分関係者は高齢でございますので、現在のところ六十一年度までに訪日調査を概了したいという考えには今のところ変わりはございません。
○柄谷道一君 人をふやすということ。
○説明員(石井清君) そういうことになります。
○国務大臣(藤波孝生君) 台湾人元日本軍人軍属の戦死傷者の方々につきましては大変お気の毒なことであるというふうに、従来国会でも何回もお取り上げをいただいて、御意見をお寄せいただいてきておりますように、まことにお気の毒だと、こういう気持ちを持っておるわけでございます。今般、五百万円の予算を計上いたしまして、総理府でこの検討を進めるということにいたしておりまして、今月中にも関係各省庁の連絡会議を出発をさせるということで、早くその検討に入っていくようにいたしたいと、こう考えておる次第でございます。 ただ、この問題につきましては、日台間の全般的な請求権問題が未解決でありますことや、台湾以外の分離地域との公平、波及の問題、さらに非常に厳しい財政事情の問題など、幾つもいろんな角度から検討しなければならぬ課題がございまして、じんぜん日を費やすことはいかがかとは思いますけれども、政府部内におきましていろんな角度から検討を進めることが大事であるというふうに思う次第でございまして、誠意を持って精力的に検討を進めていくようにいたしたいと、このように考える次第でございます。 ─────────────
○委員長(大島友治君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、小野明君及び野田哲君が委員を辞任され、その補欠として小山一平君及び赤桐操君が選任されました。 ─────────────
○委員長(大島友治君) この際、政府に申し上げます。 既に当委員会の質疑応答でも明らかとなっております旧日赤救護看議婦及び旧陸海軍従軍看護婦に対する慰労給付金の増額問題について委員長より一言申し上げます。 慰労給付金に対して、今回、政府において特別の配慮が加えられ、増額措置がなされたことには敬意を表します。なお今後においても経済情勢の変化等に対応して、適時適切な措置がとられるよう当委員会を代表して要望しておきます。 ほかに御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 本案の修正について内藤君から発言を求められておりますので、この際これを許します。内藤君。
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して本案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。 これよりその趣旨について御説明申し上げます。 政府が提出した今回の法案は、恩給年額等の改定を公務員給与改定に際しての人事院勧告値切り実施に連動させるという不当なもので、恩給受給者に一方的犠牲を強いるものであります。 恩給額の改定については、国民の生活水準や公務員給与、物価その他の諸事情の変動に対応して改定すると定められており、この趣旨に沿えば人事院勧告を基礎に恩給額を引き上げるのが当然であります。 これが本修正案を提出する理由であります。 次に、修正案の概要を説明いたします。 第一は、恩給年額計算の基礎となっている一般文官及び旧軍人のすべての仮定俸給年額を昭和五十九年度人事院勧告による行政職俸給表(1)の改善傾向を従来方式で回帰分析した結果に基づいて引き上げることであります。 第二は、普通恩給と普通扶助料、公務扶助料、増加非公死扶助料、特例扶助料の最低保障額及び増加恩給と傷病年金、特例傷病恩給の年額並びに傷病賜金を従来方式によりそれぞれ六・七%引き上げることであります。傷病者遺族特別年金についても六・七%引き上げるとともに、遺族加算も政府提出法案同様に本年八月より引き上げることとしております。 第三は、扶養加給を昭和五十九年度人事院勧告による扶養手当増額の例により引き上げることであります。 第四は、恩給外所得による停止基準額を従来方式によって引き上げることであります。実施期日については恩給局の従来方式による修正を前提にして取りまとめることとしたため、あえて本年四月からとしたのであります。 以上が本修正案を提出する理由と修正案の概要であります。 なお、本修正に伴う必要経費は七百八十億円と見込んでおります。 恩給受給者の切なる願いにこたえて本修正案に御賛同あらんことを要望いたしまして趣旨の説明を終わります。
○委員長(大島友治君) ただいまの内藤君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。後藤田総務庁長官。
○国務大臣(後藤田正晴君) 本修正案については政府としては反対であります。
○委員長(大島友治君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、恩給法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。 本法案に反対する第一の理由は、恩給年額等の改定を人事院勧告大幅切り下げの公務員給与に連動させたことであります。恩給法第二条ノ二では、恩給額の改定について国民の生活水準や国家公務員の給与、物価その他の諸事情に著しさ変動が生じた場合に恩給額を改定すると規定しています。この規定からも明らかなように、恩給額の改定指標は公務員給与の改定だけに何ら限定していないのであり、人事院勧告切り下げを理由に恩給額の改定を低く抑えなければならないという根拠は全くないのであります。人勧値切りの公務員給与に恩給の改定を連動させた政府の今回の措置は、明らかにこの法の趣旨に反するものであります。 反対の第二の理由は、本法案が軍備拡大と財界奉仕のツケを行財政のあらゆる分野で国民にしわ寄せする、いわゆる臨調行革路線を最優先させ、恩給受給者に犠牲を強いていることであります。政府は行革の痛みを分かち合うと言いながら軍事費などを事実上聖域にし、国民生活、とりわけ年金、医療など福祉を大幅に切り捨てています。今回のこの措置も老後の生活を支える重要な政策の一つである恩給の改定を不当に値切り、二百二十万余の恩給受給者の切実な願いを踏みにじるものであり、到底賛成できないのであります。 以上、本法案に対する反対の理由を述べて討論を終わります。
○委員長(大島友治君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大島友治君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより恩給法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、内藤君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大島友治君) 少数と認めます。よって、内藤君提出の修正案は否決されました。 それでは、次に原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大島友治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 穐山君から発言を求められておりますので、これを許します。穐山君。
○穐山篤君 私は、ただいま可決されました恩給法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について速やかに検討のうえ善処すべきである。 一、恩給の改定実施時期については、現職公務員の給与改定時期を考慮し、均衡を失しないよう配慮するとともに、各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。 一、恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。 一、外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について再検討を加え適切な措置を講ずること。 一、かつて日本国籍を有していた旧軍人軍属等に係る戦後処理の未解決の諸問題については、人道的見地に立って速やかに検討すること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(大島友治君) ただいま穐山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大島友治君) 全会一致と認めます。よって、穐山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、後藤田総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。後藤田総務庁長官。
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を踏まえて今後検討してまいりたいと存じます。
○委員長(大島友治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(大島友治君) 速記を起こしてください。 ─────────────
○委員長(大島友治君) 次に、昭和四十二年度以後における国家公務員等共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における国家公務員等共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、国家公務員等共済組合法等の規定により支給されている年金につきまして、別途、本国会に提出しております恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の改善措置に倣い所要の改定を行うとともに、掛金及び給付額の算定の基礎となる俸給の最高限度額の引き上げ等の措置を講じるため、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、国家公務員等共済組合等からの年金の額を改定することといたしております。すなわち、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法、旧国家公務員共済組合法及び国家公務員等共済組合法に基づく年金につきまして、恩給はおける措置に倣い、昭和五十九年度の国家公務員の給与の改善内容に準じ、年金額の算定の基礎となっている俸給を本年四月分から増額することにより年金の額を引き上げることといたしております。 ただし、昭和五十七年度において仲裁裁定等による給与改定の適用を受けた者で同年度に退職した者につきましては、昭和五十八年度の仲裁裁定等の改善内容に準じ、年金額の基礎となっている俸給を増額することにより年金の額を引き上げることといたしております。 また、昭和五十八年度において仲裁裁定等による給与改定の適用を受けた者で同年度に退職した者及び国鉄共済組合から年金の給付を受ける者につきましては、年金額の引き上げは行わないことといたしております。 第二に、六十五歳以上の者の受ける退職年金、公務関係年金等の最低保障額を恩給における措置に倣い改善することといたしております。 その他、掛金及び給付額の算定の基礎となる俸給の最高限度額につきまして、国家公務員給与の引き上げ等を考慮し、現行の四十五万円から四十六万円に引き上げることとするほか、昭和五十八年度において退職した公共企業体職員の旧公共企業体職員等共済組合法に基づく退職年金等の額につきまして、退職手当支給額との関連から既裁定年金の額の改定に準じて引き上げること等の所要の措置を講ずることといたしております。 以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。 なお、本法律案は、その施行期日を昭和六十年四月一日と提案しておりましたが、その期日を経過いたしましたので、衆議院におきましてこれを公布の日とするなど所要の修正がなされておりますので、御報告いたします。
○委員長(大島友治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案についての質疑は後日に譲ります。 ─────────────
○委員長(大島友治君) 次に、情報公開法案を議題といたします。 まず、発議者穐山篤君から趣旨説明を聴取いたします。穐山君。
○穐山篤君 情報公開法案について、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。 なお、法律案要綱並びに法律案は配付のとおりであります。 ロッキード汚職が争点とされた一九七六年の総選挙に際して、社会党は政治腐敗防止対策の重要な一環として、国民の知る権利を最大限に尊重するために情報公開制度を確立すべきことをいち早く主張したのであります。その後七九年に要綱を発表して以来検討を進め、八一年には成案を得て国会に上程いたしましたが、今回、事情の変化にかんがみ、所要の修正を加えた上で、新たに提案するものであります。 一連の航空機汚職は、司法の場を通じて徐々にその真相が明らかになってきておりますが、国民がみずからの手で直接その核心に迫ることができないため、議会政治に対する国民の信頼は失われ、民主主義の危機を招いております。また公害・薬害等により国民の生命、健康は脅かされ、傷つけられてきましたが、これらは政府・官僚機構による情報の不当な操作や秘匿が根本的な原因となっていることは論をまたないのであります。 憲法の国民主権の理念が正しく生かされるためには、国民が公的な情報を常に正確に把握していなければなりません。ところが現実には、政府や地方自治体などの情報は公務員の守秘義務によって非公開とされ、また国民に情報を知らせないことによりその特権的地位を確保しようとする我が国官僚の体質も大きな原因となって国民の知る権利は不当に侵害されております。 公的情報はもともと国民の共有財産であるとの立場から、これを公開することこそ国民に奉仕する政府の当然の責務であります。情報が公開されることにより行政は国民のためのものとなり得るのであり、情報の公開なくして我が国に真の民主主義の実現はあり得ないのであります。 右の理由により本法律案を提出したのであります。 次に本法律案の要旨を申し上げます。 第一は目的であります。 日本国憲法の理念に基づき、国、地方公共団体等の行政に関する情報についての知る権利を保障するため、国、地方公共団体等の公文書の公開の責務並びに公文書の閲覧及び謄写をする権利を明らかにし、行政の公正な運営に寄与することを目的といたします。 第二は公文書の定義であります。 国、地方公共団体等が所持しまたは保管している文書、図画、写真及びマイクロフィルム、録音テープ、コンピューターによる自動データ処理のための採録物その他の採録物で当該機関が持つすべての情報を含むことといたします。 第三は公文書を公開する責務及び情報の提供についてであります。 国、地方公共団体等は、国民、住民等の要求に応じて公文書を公開することのみでなく、進んで情報を積極的に提供するように努めるべきことといたします。 さらに、このことを具体的にするために、国等の機関の長は、当該機関の公文書の目録簿を備えること、公文書の閲覧または謄写に関する事務を処理するための機構を整備すること、公文書の公開状況につき毎年公表すること、当該機関の事務または業務に関する記録を文書等により作成すること、公文書を一定の基準で保管すること、事務または業務の執行状況について一般に公表すること等を規定いたします。 また、請求された情報を国等が持っていない場合であっても、本来国等が行政上当然持つべき情報であるときは、国等は調査の上文書等を作成して提供するべきものと考えて立案しております。 第四は公文書公開の権利であります。何人も、国等の公文書を閲覧し、かつ謄写する権利を有することといたします。 第五は非公開とすることができる公文書についてであります。 本法律案は国等の機関が持つ公文書について原則的に公開とする趣旨でありますが、例外的にやむを得ない事項につきましては非公開を容認しております。 その一は、我が国の安全または外交に関する事項について「閲覧又は謄写させることにより国家の重大な利益に悪影響を及ぼすおそれがあると明白に認められるもの」であります。ただし、これに該当する公文書であっても十五年を経過したものはすべて公開することといたします。 その二は、個人のプライバシーに関する事項であります。しかし、公務員または公務員であった者に係る事項は、公益上必要ある場合は公開することといたします。 また、個人のプライバシーに関する事項であっても、当該事項に係る個人が公開を請求した場合または公開を承諾した場合には、当該事項を公開することといたします。 その三は、企業または団体に関する事項で、「当該企業又は団体の利益を著しく害すると認めるに足りる相当な理由があるもの」であります。しかしこの条項により制度の実効が失われることを防ぐため、「国民の生命及び身体の安全又は健康に悪影響を及ぼすおそれがある事項」及び「公益的性格を有する企業の事業の計画等に関する事項で国民生活に重大な影響を及ぼすもの」については企業または団体の情報であっても公開することといたします。 その他若干の事項につき非公開を認めますが、公益上の必要その他の事由がある場合はその文書を公開することといたします。 第六は公文書の公開請求についてであります。 国の機関の長は、公文書公開の請求を受けた日から二週間以内に当該請求に係る公文書の公開をさせるかどうかについて決定しなければならないものとし、相当な理由があるときは、二週間以内の範囲内において、当該期間を延長することができるものとすることといたします。 第七は公文書の訂正についてであります。 閲覧し、または謄写した公文書の自己に関する事項に誤りを発見した者はその訂正を請求できること、また国等の機関の長は請求に応じて訂正することといたします。 第八は公文書の目録簿についてであります。 国の機関の長は、当該国の機関に係る公文書の目録簿を備えなければならないものとすることといたします。 また、国の機関の長は、非公開とすることができる公文書を除き、目録簿に公文書の種類、件名、内容の要旨、作成者の氏名または名称、作成または入手の年月日並びに保管の期間及び場所を、当該公文書を作成し、または入手した日から二月以内に登載しなければならないものとすることといたします。 第九は個人のプライバシーに関する事項に係る公文書の作成目的等の公表についてであります。 国の機関の長は、個人のプライバシーに関する事項に係る公文書については、当該公文書ごとに、その作成または入手の目的及び方法を公表しなければならないものとすることといたします。 第十は文書等の作成及び整理並びに公文書の保管についてであります。 因の機関の長は、政令で定めるところにより、当該国の機関に係る事務または業務の執行に関する記録を文書、写真、録音テープ等によって作成し、これを整理しなければならないものとし、当該国の機関に係る公文書を政令で定める保管基準に従って保管しなければならないものとすることといたします。 第十一は地方公共団体の公文書の公開についてであります。 何人も、地方公共団体の公文書の閲覧をし、かり、謄写をする権利を有するものとすることといたします。 非公開とすることができる地方公共団体の公文書の範囲、地方公共団体の公文書の閲覧または謄写の請求の手続その他地方公共団体の公文書の公開に関し必要な事項は、条例で定めるものとすることといたします。 第十二は政府関係法人及び地方公共団体関係法人の公文書の公開についてであります。 何人も、政府関係法人及び地方公共団体関係法人の公文書の閲覧をし、かつ、謄写をする権利を有するものとすることといたします。 第十三は不服申し立てについてであります。 国は「情報公開審査委員会」を、また地方には「地方情報公開審査委員会」を設置し、行政不服審査法による不服申し立ては各委員会に対してのみすることができることといたします。それらの組織及び運営並びに不服申し立て手続に関しては別に法律または条例で定めることといたします。なお各情報公開審査委員会の委員には、学識経験者及び国民、住民の代表を加えるべきものと考えております。 公文書公開の請求者は、公開拒否の処分に対して各情報公開審査委員会に対して不服申し立てをせずに、直接行政訴訟に持ち込むこともできることといたします。これは公開請求する公文書の種類や客観条件いかんによっては、裁判所により迅速かつ公正な判断を期待し得る場合があることを考慮したためであります。 第十四は情報公開制度審議会についてであります。 情報の収集、処理、保管、利用及び公開に関する事項を調査審議させるため、総理府に情報公開制度審議会を設けることといたします。 その他の事項といたしまして、まず機関委任事務についてでありますが、地方公共団体は国の機関委任事務に関する公文書の公開をも拒否した場合の不服申し立ては、当該公文書を国の公文書とみなして中央の情報公開審査委員会に対してすることといたします。 罰則については定めがありませんが、国等の機関が、公開請求に対してする処分から生ずる問題について刑事上の責任を問うことは困難であるからであります。 以上が本法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ、慎重に御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(大島友治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十八分散会