大蔵委員会 第19号
- 発言数
- 182 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/06/18
会議録
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十四日、大木正吾君が委員を辞任され、その補欠として丸谷金保君が選任されました。 また、去る十五日、志村哲良君及び松岡満寿男君が委員を辞任され、その補欠として岩動道行君及び倉田寛之君が選任されました。 また、昨十七日、岩動道行君及び宮島滉君が委員を辞任され、その補欠として出口廣君及び松岡満寿男君が選任されました。 ─────────────
○委員長(藤井裕久君) 次に、昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。 前回に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木和美君 最初に、国債政策は財政と金融両面にまたがっているという先日の参考人の御意見もせっかくありましたので、金融の自由化に対する当局の対応姿勢について若干伺っておきたいと思います。 その一つは、この五日にまとめられました金融制度調査会の答申では、急速に進んでいる金融自由化に備えて、金融機関の自己責任による健全経営の確保等を前面に打ち出しまして、自己資本の充実、合併、提携などの推進などの対応策を挙げていると思います。かつて護送船団方式と言われた金融行政のもとでは、銀行は倒産しないというような通念が国民の中に定着していたと思います。ところが、これからは、競争に敗れれば金融機関も倒産するという時代に入っていくと思います。そこで金融機関は、自己責任原則を貫いていくとすれば、当然に当局の介入というものを薄くすることを要求してくるのだと思うんです。他方、預金者保護という立場からは、今まで以上に指導監督が厳しく求められる面もあると思います。 そこで、当局は、自己責任原則と預金者保護というものを金融行政面でどのように生かして、介入されていこうとするのか、まず伺っておきたいと思うのです。
○政府委員(吉田正輝君) 御指摘のとおり、行政当局といたしましては、金融自由化の進展はこれは避けがたい流れであり、また国民経済のためにも好ましいということで、着実に自由化を行っていく所存でございますけれども、それに対応する上で環境整備といたしましては、御指摘のとおり、預金者保護及び信用秩序維持に欠けることがあってはならないと考えております。その意味 で、今回金融制度調査会の答申をいただいたわけでございますけれども、これは今後の行政運営に当たっての重要な指針になるものというふうに考えているわけでございます。 自己責任原則につきましては、自由化が進展してまいりますと、単に金融機関のみならず、預金者あるいは借入人等にも一層の自己責任が求められることになると考えております。この自己責任原則については、一般的に申し上げますと、日本では十分な理解が浸透するにはある程度時間がかかるというふうにも考えておりますけれども、金融自由化の円滑な進展を図る上で重要と考えているわけでございます。金融機関は激しい競争に入ってまいりますので、委員御指摘のとおり、万が一倒産というようなことがあってはならないということで、自己責任原則に基づきまして金融機関みずからがまず健全性を確保するように強く求めていき、できるだけ倒産を避けたいと思いますけれども、そういう姿勢で臨みたいと思います。 しかし、いずれにいたしましても、答申の秩序の維持ということは行政当局に課せられました重要な課題と考えておりますけれども、預金者保護と金融機関救済とは全く違うというふうに考えておりまして、経営者みずからが自己責任の原則に基づいてみずからの健全性を保っていくということというふうに考えております。
○鈴木和美君 せっかくですからもう一つお尋ねしておきますが、金融機関の経営強化のための手段として、合併とか業務提携などが行われるわけですね。本来、金融機関がこれは判断されるべきことだと思うんですが、同じ業種のところが合併とか業務提携というならまだしも、異なった業態間の再編ということになってくると、大変な問題が起きると私は思うんです。この点についての当局の姿勢をもう一度伺っておきたいと思うんです。
○政府委員(吉田正輝君) 金融制度調査会の答申も、委員御指摘のとおり、合併や業務提携について、自由化の進展に応じてどのようにあるべきかということをかなり詳しく御答申をいただいているわけでございます。 それで、それにおきましては、委員が御指摘のとおり、やはり企業の自主性ということがあくまでもその基本にあるという思想が中にあると思います。一方、御指摘の、異業態間あるいは異業種については特にいろいろ問題があるのじゃないかということでございますけれども、昭和四十三年に既に金融機関の合併及び転換に関する法律が制定されておりまして、同業種のみならず異種の金融機関相互間の合併、転換を想定しているわけでございます。その法律におきましては、同業種のみならず異業種間の合併、提携あるいは転換等につきまして、他の法律による以外の合併及び転換のあり方を規定しております。相互にそれが適正な競争を促進し、あるいはそれにより金融機関の効率化が進み、国民経済に資するという認識であるわけでございます。したがいまして、同業態間のみならず、異業態間を問わず、金融機関が金融機関の自主判断に基づいて、かつ関係当事者間において合意があるものでございましたならば、当局としてもその円滑な実現に協力してまいる考えでございます。 ただ、「合併による規模の拡大が経営の安定化に直結しない場合や合併が組織面、人事面等において困難を伴う場合もあることにも留意する必要がある」、こういう問題は特に異業種については多い問題があるかというふうに考えられます。また、合併により特定地域において適正な競争関係を阻害すること、「あるいは当該地域の中小企業金融等に支障を生じることがないよう」に配慮していくべきであるというようなことも金融制度調査会で言っておりますけれども、基本的には、異業種間については先ほど申しましたような問題がございますけれども、既にございます合併転換法に基づき、あるいは今回さらにいただきました金融制度調査会の御答申の趣旨を踏まえながら、当事者間の合意があれば当局としては適切に指導して、場合によれば前向きに指導していくことがあり得るというふうに存じておるわけでございます。
○丸谷金保君 関連。 今の質問に関連いたしましてお伺いいたしたいと思います。 銀行は倒産しないという神話、そして一方では、ただいま銀行局長から御答弁のありましたような預金者保護、そして金融自由化に対応する銀行の自主的な経営のあり方、いずれもおっしゃることはそのとおりなんでございますが、しかし中には、いろいろそれに相反するような問題が起きてきていることもまた事実でございます。 実は先日、他の委員会ですが、我が党の久保委員の質問に対して銀行局長は、平和相互銀行、「預金者保護を阻害するほどの経営内容ではないというふうに存じて」おりますと、こう答弁しておるわけです。しかし、よく読みますと、どうも後に「これがただいま精いっぱい申し上げられるところでございます。」というのがついているんですね。いかにも奥歯に物の挟まった歯切れの悪い経営内容なんです。 これは一体どういうことかなと思って、いろいろ調べてみました。そのうちに、六月十二日の毎日新聞では、平和相銀に対し、「ファミリー、関連企業への集中融資、改めよ」と「大蔵省が異例の勧告」をしたという記事が載っております。これは、勧告というより、検査ごとに行う指示、示達というんですか、それを検査だけでなくて中間的な内容について注意をしたのじゃないかというふうに思いますが、久保氏に対する答弁とこの記事とは余りにも違い過ぎているので、ここのところを銀行局長からひとつ。
○政府委員(吉田正輝君) 私ども、個別にも一般的にも申し上げまして、金融機関の健全経営の確保につきましては、先ほども申し上げましたとおり、信用秩序の維持、預金者保護の観点から必要に応じて指導監督を行っていることはもちろんでございます。 まず、事実から申しますと、御指摘のような、最近当局が平和相互銀行に対しまして一部の新聞に伝えられるような異例の勧告を行ったことはございません。当然のことでございますけれども、金融機関の個々の問題がございますと、私ども調査ないしヒアリングなどを行うことは事実でございますけれども、この本件につきまして伝えられるような異例の勧告を行ったことはないわけでございます。それで、……
○丸谷金保君 いいです、それで。結構です。 実は、それから不審に思いまして、いろいろ見たら、とにかく週刊誌から日刊紙から、もう実に、ちょっと集めただけで大変な量になるくらい、平和相互銀行の問題というのは書き立てられているんです。 それで、これそのものの経緯はもう十分御存じのことだろうし、新聞報道されていることをここで改めて申し上げるつもりはございませんけれども、ただ、これはおかしいんではないかと。たまたま今度は読売新聞の方で、総武通商が破産して、平和相銀の負債が四百七十三億、これはなかなかとれないだろう、こういうふうなあれもございますので、一体どうなんだろうと。これは結局は平和相互銀行の関連する会社でございます。特に小宮山ファミリー会社と言われておりますが、そうでない会社は一体どうなるんだろう、そう思いまして調べてみました。 平和相互銀行の関連会社というのは非常に多いんですけれども、ただその中で上場会社というのはほとんどないんです。これは百以上の関連企業がずっとあるんですが、上場はわずかに、平和相互銀行から社長、専務が出向しているウエストンという、これは社長も両専務も平和相互銀行から出身者がそちらへ行ってやっている会社です。これはいわゆる有価証券報告書によって調査ができますので、まずこれを調査いたしてみました。そうしますと、これは大変なことだなということに突き当たったんです。 証券局長、実は、この会社の五十四年の三月期から、というのは問題になっている小宮山英蔵さ んが死んだときからの各種の調査をしてみたんです。そのときと対比しながら、五十四年の三月からやってみたんですが、ずっと赤字会社です。毎年赤字なんです。一度も黒字になったことがない。ただ、五十六年の三月期だけは本社と横浜工場を売った財産売り払いがあるから財産売却益で黒字が一回ありますけれども、これとても累積赤字を消すということにはとてもならない。引き続きずっと赤字が続いて、五十八年の三月まで来ているわけなんです。これは、事実関係はこのとおりだと思いますが、間違いございませんね。
○政府委員(岸田俊輔君) そのとおりでございます。
○丸谷金保君 これは、このままずっと続いていくと上場ができなくなりますね、証券取引法で。
○政府委員(岸田俊輔君) 上場廃止の基準でございますが、最近五年間の無配の継続、かつ、最近三年間負債超過の状況でございますと、上場廃止になるという形になります。
○丸谷金保君 そこで、このままでいくと上場廃止になるんで、五十九年度決算に間に合うように五十八年の十二月に増資をしておるんです。増資は、時価発行で二十一億五千万と、同じく資本準備金などに二十一億五千万。これで上場廃止にならないような手だてが済んで、あと数年間これはこれで上場廃止にならぬでいけますわね。こういう仕組みをしたんです。仕組みをしたことが悪いというわけじゃないんですが、このときに、不思議と全部第三者割り当て。それまでの既存株主の方に普通ならまず優先割り当てをするんですけれど、それが行われないで全部第三者割り当て。 この第三者割り当てをしたのが、平和相互銀行、大和システム、谷藤、ナカタニ、大洋技研、その他、十六。これも資料をそちらへお届けしてありますが、これは間違いございませんね。
○政府委員(岸田俊輔君) そのとおりでございます。
○丸谷金保君 これが一社を除いて、その一社も無理無理押しつけられて、平和相互銀行が金を貸してくれるというので応じたけれど困ったというふうな状況のようでございますけれども、あと全部平和相互銀行関連の会社なんです、全部。そうしてこの資金が、平和相互銀行から全部出ている。 その資金の流れについて、今度は銀行局長、この十六社合わせて四十三億、全部平和相互銀行から出ている。いいですか。そして直ちに、瞬間タッチで、平和相互銀行がこれらの会社に貸し付けをして、貸付金を起こして株を持たしたら、四十三億はウエストンに還流しますわね。そしてそのまま株券は平和相互銀行の金庫に入った疑いがあるんです。担保として。だから、この十六の企業の懐はただ通っただけです、トンネルで。平和相互銀行が四十三億出して株は全部平和相互銀行に入っている、こういう形になってここを切り抜けていると思うんです。 そうして一応上場取り消しのピンチは切り抜けたけれども、もう累積赤字は五十九年三月期になると五十四億五千万に膨れ上がってきて、六十年の三月期ではさらにふえてきております。そして、この借り入れが、最初はその他の銀行があったんですが、五十八年の三月から五十八年の十二月にかけて増資をした機会に、ほかの方の銀行の借り入れは全部返して平和相互銀行一本になっているんです。それで、ウエストンの借入金は四十八億六千百万円というのが五十九年三月期の残高です。 調べてみますと、大体ほかの銀行というのも全部平和相互銀行の銀行保証で出していたやつだから、もうとてもつき合い切れないということになれば、平和相互銀行が全部出さなきゃならない。担保の方はどうかというと、私の調べたところでは大分工場、狛江工場その他ございますが、合わせてもとても、現在借りているのは八十億を超えているんですが、それに比べると全然問題にならない。しかもずっとあるんです。こういう会社が平和相互銀行の関連企業の中で唯一の上場株式会社、有価証券報告書によって調べられる唯一の会社でさえこんなにひどいんですよ。 おたくの方のいろんな銀行監査の関係でこういう実態がわからないわけはないはずなんですが、これで預金者保護は大丈夫だ、それほどでもないと、この銀行の経営は。言うなれば、六月十二日の毎日新聞に出ているのはガセネタで、そんなことはないんだというふうに銀行局長は言い切れますか。
○政府委員(吉田正輝君) 個々の個別の企業の問題でございますので具体的に御答弁は差し控えさせていただきますけれども、私が全体を見まして先回久保亘先生の御質問に答えましたのは、平和相互銀行についてこのような態度で指導してまいる所存である。それから、預金者保護に欠けるうらみはないと申し上げたわけでございますが、精いっぱいでございますと申し上げたのは、個々の銀行のことについて答えられますのはこの限度でございますという意味で答えたのでございます。 ただいまの御質問の件でございますけれども、金融機関が経営不振に陥った取引先企業、このウエストンが取引先企業であるか関連企業であるか、ここは関連企業の方が私は親密度が強いと思いますけれども、関連企業であるか取引先企業であるかということについては議論の存するところのように聞いておりますけれども、いわゆる経営不振に陥った取引先企業に対しての経営再建に協力する方法といたしましては、例えば金利減免とか返済猶予や人材派遣がありますが、それ以外にも、第三者割り当て増資ということで資金面で協力する方法もあるというふうに聞いておるわけでございます。 この場合、経営不振に陥った取引先の再建の見込み、将来性等を勘案いたしまして、金融機関の関連企業または取引企業に融資して、第三者割り当て増資に協力支援する方法も一つの方法として考え得るということでございます。問題はやはり預金者保護あるいは金融機関の健全性というところに私どもの最大の関心があるわけでございますから、その取引先企業、あるいはウエストンないしはその第三者割り当てを引き受けた会社の収益状況、健全性等を金融機関が勘案いたしまして、引受者に引受資金を融資することがよいのかどうかという判断は、そういう全体の健全性の問題にかかわってくるというふうに考えているわけでございます。
○丸谷金保君 必ずしも関連企業か人材派遣かわからぬというようなことをおっしゃいますけれども、こういうのを関連企業と言うんですよ。株の大半は担保で押さえているし、支払い能力もないような、中にはペーパーカンパニーのようなのもあるんです。だから、実質的には株は全部平和相互が持っているようなものです。たまたまそこでトラブルが起きたやつがこの間から問題になっている会社ですね。この場合もウエストンの大株主、これは全部平和相互銀行関連企業なんです。 例えば、オリエンタルコマースグループ、これは平和相互銀行から私の調査では二百二十二億の借り入れがあると思われます。これは本年二月調査の数字です。それから目黒会館二十四億、北葉地所五十一億、パシフィックグループ、例の有名な太平洋、あれですね、百三十二億。北洋開発その他、このグループが三十五億というふうに、ずっと調べますと、網の目のように、平和相互銀行から派遣したり、一〇〇%出資会社だったり、これらが全部ウエストンの大株主なんです。しかも社長と専務二人が平和相互銀行から行っていて、これがあるいは人材派遣かどうかなどと、そんな子供だましのような話をしてもだめですよ。 そして、これらの企業が全部関連かどうかということについては、会社の登記簿謄本でこの重役が一体どこから行っているかというのをずっと調べたら、全部出てきたんです。中にはそれは、会社だから全員ではないですよ。全員ではないけれども、主たるところは、今読み上げたようなところというのはほとんど、平和相互銀行あるいはまたウエストンから行ったり、やったりとったり、兼務していたりです。これが平和相互銀行の関連企業でないと言えますか。必ずしもなんて、そん なばかなことはないでしょう、こういう事実からは。これが事実であったらどうですか。
○政府委員(吉田正輝君) 今いろいろの事実の御指摘があったわけでございます。株主構成あるいは役員派遣というようなことのいろいろの事実の御指摘がございました。私ども必ずしも全貌をつかんでいるわけではございませんので、ただいまの御指摘のような事実について私どもといたしましても調査いたしてみたいと思います。
○丸谷金保君 調査はしっかりやってくださいよ。 それで、これが唯一の上場会社で、残りのいわゆる関連企業、これは巷間伝わるような三千億なんというものではないんです。これが事実と違うのは、例えばこの毎日新聞の記事が事実と違うとすれば、三千億というのが違うんであって、関連企業への貸し出しはおおよそ六千億あります。おたくの方が三割程度とか言っている答弁とは全く違って、私の調査したところによるとその倍くらいあります。私はこの毎日の記事が決していいかげんでないと思ったのは、これはまだ株主総会が行われていないから内部資料ですね。内部資料の、昭和五十九年四月一日から六十年三月三十一日までの営業報告書の、重役会にかけた書類です。これは五月の三十日の日に役員会をやっています。ここで諮ったときの書類によりますと、この記事にある九千二百二十二億円というのが営業概況の中で説明されています。しかし正確には、営業成績の推移の方を見ますと、実際は貸出金額は九千二百二十二億七千万なんです。七千万だけ違いますね。 だから、こういうまだ外部に出ていない内部の役員会に諮った資料とぴったり合うというのは、そんないいかげんなものでないでしょう。どうですか。銀行局長、どう思いますか。
○政府委員(吉田正輝君) 平和相互の不良資産の内容ということでございますけれども、その内容につきましては私ども個別の問題であるからお答えはできないというふうに先般来申し上げているところでございます。したがいまして、個別の金融機関の中身の問題について公式の席上で申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、申し上げましたとおり、平和相互につきましては融資体制の改善とか経営姿勢の厳正化等の問題について検査の都度指摘しておりますので、その方針に従って私どもといたしましては十分注意を払ってまいりたい、かように考えているわけでございます。
○丸谷金保君 そうすると、六月十二日の毎日新聞の記事も大筋では認めますね、勧告ではなくて示達であるというふうな語句の違いはありますけれども。
○政府委員(吉田正輝君) 検査の都度、ただいま私が申し上げたような点について注意を喚起し、その後も預金者の保護、信用秩序の維持というような観点から、必要に応じて指導監督をしておりますけれども、報ぜられるような一つの事柄につき勧告を行ったような事実はない。常に、このような検査の都度だけではございませんでそのような指導の仕方で臨んでおるということはございますけれども、ある時点である勧告を行ったような事実はないというふうに御理解いただきたいと思います。
○丸谷金保君 実は、総武通商が四百億以上の焦げつきが出て大変だという問題だけじゃないんですよ。 私は、調べてみて、どっちもよくないと思いますよ、いわゆる小宮山ファミリーのやってきたことも。しかし、小宮山英蔵氏が死んでその後始末で現役員が非常に苦労しているということについては、非常に疑点を持つんです。当時の倍になっているんです。しかも、当時借りていた人で五十四年三月の貸付残高とそれから五十九年度の二月の貸付残高とをあわせますと、大分入れかわっているんです。政界にも関係がある人なので名前は省きますけれども、この当時相当、十億ほど借りていて、それがもう今はゼロの人もおります。これは個人です。名前を言えば御存じの方だと思いますけれども、個人です。だから、こういうふうに、ない人もいるんです。 ところが、その一方、英蔵氏が亡くなってから全く新たに、突如として巨額をファミリー企業に融資しているということも多いんです。ウエストンのグループだけとりましても、大洋技研十八億五千五百万、ウエストンが先ほど申し上げた八十二億六千八百万、それから吉国産業、これなど何をやっているのかよくわからないのが七億八千二百万、ウエストン商事十五億七千六百万というふうに、例えばウエストン一つこければ、ウエストンの残高だけでなくて、全体の百二十四億八千百万というのの全体も取れなくなる可能性がある。しかも、担保は、先ほど申し上げましたように、一体この平和相互銀行のこういう関連貸し出しの担保をどの程度とっているかと思ったら、担保をとってないのがたくさんあるんですよ。無担保。 読み上げますが、一体この担保がこれでいいのか、こんなことで預金者保護ができるか。そして、それらに関連してやはり今裁判とかいろんなことになっていますが、私はどちらも悪いと思います。これらについて、銀行はつぶれないという、先ほど鈴木和美委員の質問にあったような、そういう神話にあぐらをかいている銀行役員をこのままにして、預金者保護には心配ないなんということを銀行局長が言っていたら僕は困ると思うんですよ。 例えば太平洋クラブ、これはもう御存じですね。五十四年当時は二百五十七億五千万だったんです、借り入れがね、平和相互銀行からの。現在、二月の時点では九百二十三億二千六百万。これ一つこけたら、総武通商と同じようなやつがぞろぞろと次から次へと出てくるんですよ。そのほかに足立産業、これも五十四年三月時点では六十八億八千百万だけれども、六十年二月時点では百三十四億五千八百万。総武都市開発、百六十一億二十千九百万のやつが二百七十二億四千二百万。以下、例えば旅友、これなども百六十七億六千八百万、これが二百八十一億三千三百万というふうに、それぞれのグループで、というのは、先ほど冒頭にウエストンのやつを示したように、そのグループで株をやったりとったりして、実勢のない株でも担保にとっているから、担保があるというふうな形のからくりの中で、五十四年以降もずっと今まで続けてきている。 大蔵省が監査に入る。監査に入っても、現存する株があればこれは担保があると思うかもしらぬが、その株がどういう価値かというところまで、それからそのやったりとったり——いろいろ聞くところによると、融資部というのは大蔵検査の前一カ月くらいは徹夜作業でいかに上手な書類をつくるかということの、——これは上手にいっているんですよ、上手な書類というのは、これが非常に能力があるということなんです。検査にわからないようにということなんだそうですが、私の方で調べたのでは、こういう関連企業、正和恒産、旅友開発——旅友開発というのはいろ問題があります。これのことについてはさらにまた何らかの機会にこれだけに絞ってお聞きしなきゃならぬと思う非常に重要な問題も含んでいますが、きょうは時間の関係でそこまでいけません。大洋、あともう金額を言うのはやめます。日誠総業、徳間書店、日本保証マンション、富士ビル開発、パシフィックエンタープライズ、それから双和興業、中央都市住宅、オリエンタルコマース、昭和興成、ウエストン、北葉地所——北葉地所は今はないです、五十四年のときはありましたけれども。高橋商事、そのほかTM総合リース、沖縄興発、個人の藤井治、新興製作所、大野屋グループ。銀行店舗所有会社、これはビル管理会社で、銀行が自分でできないからやらせている、これなんかも明らかなダミーです。 こういうようなものの総計で、私の調査では五千五百九十六億六千百万くらいあるのではないかと思われるが、いいですか、しっかり調査してくださいよ。そして調査するだけでなくて、預金者保護の立場から適切な措置をとっていただかなきゃならない。いかがですか。
○政府委員(吉田正輝君) 今先生からいろいろの情報あるいは事実の御指摘がございました。私どもといたしましては、検査する以外に調査あるいはヒアリング、先ほど申し上げましたようなことができるわけでございます。金融機関の健全性の維持ということから、一般的にそういう情報、事実がありましたときには常に調査しまして、銀行の健全性の確保に意を用いているつもりでございます。 今の個々の事実につきましても、貸し出しの状況あるいは担保の状況あるいは企業の債権の状況あるいは収益状況等々から総合的に判断すべき事柄だとは思いますけれども、御指摘のとおり預金者保護をしっかりやれということにつきましては、肝に銘じまして適宜適切に対応してまいりたいと、本件につきましてもかように考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 大臣、今お聞きのとおりで、これはまだそのほかに関連企業はたくさん、名前、百社以上ありますけれども、要するにグループごとに名前を言ったんです。そのグループの中にたくさんあるんですからね。こんなのは登記簿謄本をとれば、これは上場株でなくたって公告はしているんです。びっくりしたことに、公告していない会社もこの中にたくさんあるんですよ。定款どおりやっていない。これはもう証券局長の方のあれですが、定款どおりやっていないんですよ。調べてみたら公告していない。そういう状態であります。だから、あぐらをかいて、いよいよになったら大蔵省はつぶさないというつもりで大蔵大臣ね、放漫経営が行われがちなんです。ここはやっぱり面倒を見るときは面倒を見るし、金融混乱を起こさないためにいろいろ配慮する大蔵大臣として、こんな状態を一日でも長くほっておいたら大変なんです。 これらの中のある人たちは豪語しているんですよ。政界の方はいろいろ手を打っているからうちに入ることなんかできないんだと、この関連会社のある相当責任ある人がそういう豪語をしているというふうに巷間伝わってきているんです。これじゃ大蔵省はなめられちゃいます。毅然たる措置をとるかどうか。今のあれを聞いていていかが思いますか。
○国務大臣(竹下登君) 個別の問題でございますが、大蔵省の場合は、例えば内紛みたいな感じのときにはもとより中立的な立場にあらねばならぬだろう、これは一つございます。それから、いま一つは定期検査がございます。しかし、定期検査によらず、今銀行局長からもお答えしておりますように、いわゆる調査あるいはヒアリング等々はこれは十分可能なことでございますので、この個別の案件ということを特定することはお答えの限りでないにいたしましても、問題のある点につきましては適切な調査等で対処していくべきものであるし、またそのようなことであろうというふうに私も認識をいたしておるところであります。
○丸谷金保君 適切な調査、慎重にと言われたら困るんで、迅速に適切な調査をやっていただきたいと思う。いかがですか、大臣。
○国務大臣(竹下登君) 個別の案件でございますので、あるいは調査しておりますのか、その辺も私も詳しく聞いておりませんが、委員の御指摘のような問題につきましては、一般論として迅速な適切な調査が行わるべきものであろうという認識は私も持っております。
○丸谷金保君 それで、これは問題だけ提起しておきます。 こういう銀行だということは五十六年、五十八年の検査でもわかっているし、大蔵からも会長は行っているんですから。会長は大蔵省に日参している、これは向こうの業務の日誌を見ると。もう週のうちの三日に上げず二日に上げず日参していると。首振っているけれども、それだったらあなた、会長はどこへ行っているのかな、向こうを出るときは大蔵省へ行くと言って出ているんだから。——それはいいです。 それより、これだけ申し上げておきます。こういうわかっている平和相互銀行に、不思議なことに大蔵は、なかなか認めないはずの銀行の増設を、五十四年四月、このとき八十六だったのが現在百、毎年何行かずつふやしているんです。ふやして新規預金を取るからこんな自転車操業ができてきたんで、この点については、こういう自転車操業を許して、新規の店をつくらせて、新しい預金を取ってファミリー関連にだけ大半の金を流すような、もう預金を自分のあれのような、こういうことを許してこんな支店をどんどんふやしてきたということは非常に遺憾だと思います。この点はまた次回にやりますが、そういう点、ひとつ十分心して対応していただきたいことを申し上げて、私のきょうの質問を終わります。
○鈴木和美君 そこで、私は、この委員会にかかっている三法案の本論に入りたいと思います。 まず私は大臣にお尋ね申し上げますが、三月の末に税法三法の審議のときにも私申し上げたんですが、一口に申し上げまして、政府がとってきた財政政策というものは、単に後年度に負担を転嫁したというだけじゃなくて、いわばその場しのぎの政策をとってきたんじゃないかということを指摘しました。今度、四年連続の公債費の定率繰り入れの停止や、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れの特例措置を盛り込んだこの審議に当たりまして、参議院では二回各委員からいろんな議論をされたことを私もじっと聞いてまいりました。しかし、私はこの審議に当たりまして次のようなことを大臣、感ずるんです。 一つは、大蔵省という官僚の知恵の限界に来ている、こういうふうに私は一つ感じました。 国民が大蔵省というところを見る目というものは、政治家よりもむしろ財政を担当する大蔵省というものは、少なくとも日本の有数の知恵を持ったお役人がおって、ここのやることは大体間違いないだろうというような一般的な見方であることは私は事実だと思うんです。ところが、今回この三法の法案を見ていますと、この役人ですら、後ほど指摘しますが、その場しのぎの苦しい答弁を続けなきゃならぬような状況だと思うんです。これでは私は、大蔵省の信頼というものが大変薄らぐんじゃないかと思うんです。私も当選してからこれで五年、この大蔵委員会にずっと座らせていただいています。どちらかというと、私は大蔵省びいきかもしれません。けれども、今回の法案の提案や審議を見ていますと、どうもその信頼というものが薄らいでしまうというような感想を私はまず一つ持ちました。後ほど具体的に指摘したいと思います。 もう一つの問題は、官僚が知恵の限界に来ているということは一体だれの責任かということだと思うんです。 四年間定率繰り入れを停止するというような、つまり減債制度の根幹に触れるような時期を迎える、また、借りかえ禁止規定というものを取っ払っちゃったというような大変な国債政策に対する過渡的な状態にあるときに、私は政治家というものが一体何をすべきなのか。とりわけ、中曽根さんを頂点にする自民党の皆さんの政策、また、その衝に当たられる大蔵大臣、一体これはどういうことにした方がいいのか、私はそう思うんです。この前も指摘しました。現在の予算編成の枠組みとか財政事情とかいろんなことを自民党の考え方のベースで考えたら、もう限界に来ているから、もっと大胆に、応分の負担をお願いしたいということを自民党とりわけ中曽根政権は言わなきゃならぬのじゃないんですか。 私は、そんな時期に来ているように思うんです。それが、選挙とかいわゆる党内の問題であるとかいろんなことを考える余り、後へ後へとすべての問題を私は送っているような感じがしてならないんです。税制調査会の問題もしかり、何々審議会の問題もしかり、全部そこに逃げ込んでおって、政治家たる、この指とまれで、これで間違いないんだというような大胆な政策を提示する姿勢に私は欠けていると思うんですが、この特例公債の借りかえを強行し、いよいよ本年度から借りかえを行うに当たって、私はまず冒頭に大蔵大臣の、この二日間の審議を通じてどういう感想をお 持ちになったか、お聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) 確かに世上、日本の国の財政はぎりぎりのところにまで来ておるんじゃないか、したがってこの辺で大胆な発想の転換を行うべきである、例えて今政治家というお言葉がございましたが、その衝に当たる者は国民にあえて負担を求めるというような宣言もすべきではないか、こういうような議論もございました。 ただ、私自身考えてみますのに、やっぱりいかなる立派な政策といえども国民の理解と協力なしにこれは成功するものではない。そうなりますと、日本的民主主義というのは、リーダーが一つの政策を掲げて国民の批判を受ける、その前に国民のコンセンサスが那辺にあるかということを十分吸収しまして、その吸収したものをオーソライズして、いわば非常に大事をとった上で国民の理解と協力を求めていくという、日本的民主主義というのはそんな手法が今日までとられてきたのではなかろうかというふうに考えるわけであります。したがって、各人各様のいろいろな意見がありまして、それを一つのコンセンサスとしてくみ取る時期にまで来ておるかどうかということになりますと、私は、歯がゆいようでも、いましばし国民のコンセンサスが那辺にあるかを見きわめる時間というものが必要ではなかろうか、こういうふうに考えてみるわけであります。 大変くどいようでございますが、年々の予算編成に際してあらゆる知恵を絞りながら施策を行い、そしてその施策を行う中にあって国民の皆さん方が、負担するのも国民でありサービスを受けるのも国民であるならば、これ以上のサービスは負担増を伴わなければならぬとか、あるいは負担はもっと減らしてしたがってサービスがもっと減ってもやむを得ないとか、その辺の国民のコンセンサスの方向を見定めていくということに私はすっきり割り切った政策というものが打ち出し得ないという現状ではなかろうか、こういうふうな感じて受けとめておるわけであります。 したがって、私も長いことこうして大蔵大臣をしておりますと、その自己撞着、矛盾の中に毎日毎日を過ごしておるというような気持ちになり、時にみずからのリーダーシップの足らざるを嘆くというような心境にもなることは事実であります。
○鈴木和美君 もう一度申し上げたいと思うのですが、国際的な状況や国内の経済状態や、大変取り巻く環境が難しいということは私自身も承知しています。しかし、ずっと見ている限りにおいては、客観的条件は多少違ったかもしれませんけれども、政治家の語録の中にも出てまいるのですが、当時、待ちの政治とか、待ちの佐藤という言葉があったと思うのです。佐藤榮作さんの内閣総理大臣のときに待ちの佐藤という話がよく出たんです。私は今日そのことをどうも思い浮かべざるを得ないのです。国民のコンセンサスという言葉は、非常にきれいで丁寧で、日本的民主主義という言葉に代表されるかもしれません。しかし、混乱期であればあるほど、政治のリーダーシップというものは、時の与党なり政権を持ったところが、もっと大胆なリーダーシップを発揮すべきじゃないですか。選挙に負けたっていいじゃないですか。そのくらいのことが、国民生活を預かる政権与党としての私は考え方でなければいかぬと思うんです。 それなのに、単に待ちの政治だけをとっておったのでは、一体どうなるのかという不安だけを助長していくんじゃないでしょうか。もっとはっきり、国民に応分の負担をしてもらいたいというのであれば、そのようなPRに努めるなり、そのような努力をするなり、そういうことが必要じゃないでしょうか。私はそう思うんです。そのことがないまま、ただ技術論でこの国会の審議だけを過ごしていけばいいというような態度に終始することは、非常に私は今役人がかわいそうだと思うんです。私はそんな感じがしてならないのですよ。 だから、そういう意味で私は、大蔵大臣に、もう少し元気を出して勇断を持って事に当たってもらいたいというような感じを持つのでありますが、もう一度大臣の姿勢をお伺いたしたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) 私は、佐藤さんの内閣ができまして昭和三十九年の十一月九日内閣官房副長官を拝命いたしまして、それから七年八カ月官房と国会とを行ったり来たりしておりまして、最後に終わるときは内閣官房長官でありました。したがって、二十三歳も年が違いますと親子ほど違いますから、時には恐ろしいという感じもございますし、したがって自然自然にそういう政治姿勢が自分の体にしみついてきておるかなという気持ちは、いつでも自己反省の中の一つとして持っておるところであります。 ただ、私がしみじみと考えますのは、とにかくこれだけの財政状態でありながら、世界の中で一番物価も安定し、成長率もとにかく先進国の中で最高の成長率であるし、失業率も一番低いし、そして国民負担率も一番低い。事ほどさように、政治というもののリーダーシップ以上に国民自身の、日本人自身の知識水準というのが、ほかの国に比べて比べものにならないほど高いのじゃないか。こういう意識をいつでも持っておるわけであります。そうすると、国民自身が矛盾点に気がつく時期というのは、そう政治家が号令をかけなくても気がつくだけの水準にあるのではないか、絶えずそういう気持ちを持っておるわけであります。折に触れ平たく実情をお話しすることによって国民のコンセンサスというものは形成されていくべきものではないのか、いたずらにあげつらってみても、それは進歩に必ずしも有益でないではないか、こんな感じでいつも見ておるところであります。 ただ、政権交代という問題は、私は鈴木さんと考え方を等しくしておりますのは、およそ議会制民主主義というものの成り立つ基盤というものは、一つは政権交代があるべきだと。私ども初めて国会に出ましたのは昭和三十三年、私は保守合同後に出ておりますので、あるいはその後出た者は、少し話は長くなりますが、政治家としてやっぱり厳しさが足りないんだろうかという反省もいたすわけであります。今、国会を見ましても、戦前の人が三人いらっしゃいます。そして第一分類に属する方々は占領下にあった人だと思います。それから第二分類の方々はこれは与党と野党と両方経験なすっている方であります。それから第三分類が私どもであって、いわば保守合同、左右両派の社会党統一後、これが第三分類に属するんじゃないか。第三分類以後はどうも覇気がないんじゃないかという自己反省も時にいたしておりますが、ただ、その最初出たときに先輩たちが、自由民主党もいずれは政権の座を去るであろう、しかしそのときにいかにして復原力を持つかという勉強だけはしておかなきゃいかぬと言われた言葉が今でも強烈に残っておるわけであります。 これは少し話が横道にそれましたが、政権交代というのは私はあるべきものであるという考え方を持っておりますことをひとつつけ加えさせていただきます。
○鈴木和美君 どなたかの質問に大臣が答えられたことを私はじっと聞いておったんですが、今たまたまお言葉に出ましたからもう一度お尋ねするんですが、国民のいわゆる意識というか、そのことを大切にしたいということは私も同感ですし、原点だと思うんです。しかしどうでしょうか、今、国民の大多数の中には、物価は落ちついている、生活はまあまあだという中流意識というのはあるかもしれません。現に世論調査を見ても大半がそんな状態だと思うんです。けれども、この国債の借りかえ禁止規定というものを取り払わなきゃならぬというような、こういう大変な政策転換というものに対して国民が、大変私も失礼と思いながらどれだけ知っているんだろうか。つまり、痛みというものを本当に国民共有の負債だというように理解しているんだろうか。私はどうもそう思えないんです。それは、その国民共有の負債をどうやって補うのかという具体的なものが出ない限り、そのことをどんなにPRしても、やっぱり物価は安定している、生活はまあまあだというよう な方に傾斜するんじゃないでしょうか。私はそのことが言いたいんです。 何も私は、大型間接税であるとか、増税に対してすべて賛成だという意味じゃありません。しかし、我が党でもこのままの状態ではどうにもならぬと、増税という言葉がいいか、増収という言葉がいいか、いろんな言い方はありましょう。しかし、このままではどうにもならないんじゃないかということははっきりしているんじゃないでしょうか。もちろん、その前に何をやってほしいかということはあるけれども、そういうふうに国民が共通的に国のこの問題というものを認識することをもう少し積極的にやらなきゃならぬじゃないかと思うんです。このままほうっていったら、今までの議論の中にもあった日銀引き受けの問題もありましょう、インフレ調整の政策の問題もありましょう。こういう問題は、言わずもがなのうちに、心の中に危険度としてみんな持っているんじゃないでしょうか。このままの状態でいったらどういうことになるんだろう。私はそう思うときに、やはり政策転換というか勇断というか、そのことをはっきりしなきゃならぬというように思っている次第であります。これは別に答弁は要りませんけれども。 さて、そういうことから見まして、私は、大蔵省の役人も大変だと思いますが、自分たちの意見は意見として堂々と述べてほしいと思うんです。 そこで、まず本法案の審議に当たりまして、重大なかかわりを持つ六十一年度の要調整額の問題などについてお聞きしたいと思うんです。 まず、その前に平澤次長にお尋ねをいたしますが、六十年度の要調整額は、五十九年度に作成された財政の中期展望では三兆八千七百億円であったと思いますが、間違いございませんか。
○政府委員(平澤貞昭君) そのとおりでございます。
○鈴木和美君 六十年度の予算編成に当たりまして、この要調整額三兆八千七百億円という金額はどのようにして埋められたのか、またどういう措置をとられてきたのか、その実態について御説明していただけませんか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員の御質問にお答えしますのに一番適当なのは、でき上がった予算額とそれから中期展望のいわゆる後年度負担額の額との差額、これをどう埋めていったかということだと思います。 そこで、まず数字を申し上げますが、一般歳出でございますけれども、五十九年度の後年度負担額推計で出しております額は三十四兆二千八百億円でございました。それに対しまして予算額は三十二兆五千八百五十四億円でございますので、その面で一兆六千九百四十六億円の削減をしているということでございます。 それから国債費でございますけれども、後年度負担額推計では十二兆一千四百億円でございました。これに対しまして予算額では十兆二千二百四十一億円、したがって差し引き一兆九千百五十九億円の減ということでございます。主たる中身は、先ほど委員がおっしゃいましたように定率繰り入れの停止がその大部分を占めているわけでございます。 あと、地方交付税は、結果的には三千二百一億円ふえておりますが、これは千億円の特例加算をしておりますし、その他精算額等の増等々もございましてそういうプラスになっているということでございます。
○鈴木和美君 細かい数字の方は省略いたしまして、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。 三兆八千七百億円を、歳出カットで三兆二千九百四億円ですね。それで、あとは歳入増五千七百九十六億円。つまり三兆二千九百四億円、約八五%になると思いますが、これは歳出削減で賄ったと。今の御説明にありましたように、歳出削減のうちの、三兆二千九百四億円という中で、地方交付税というもののでこぼこはありますけれども、約一兆八千七百二十七億円という定率繰り入れを停止したことによって賄われたと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 定率繰り入れの停止は、今委員のおっしゃいました額でございます。そのほか、先ほど申し上げましたように、一般歳出の削減額が一兆六千九百四十六億円あると、こういうことでございます。
○鈴木和美君 そうしますと、六十年度の予算編成というものは、いろんな状況などを見て、結局四年間定率繰り入れを停止することによって賄われたということにも、端的に理解していいわけですね。
○政府委員(平澤貞昭君) その部分が大きな額を占めていることは、おっしゃるとおりでございます。
○鈴木和美君 それでは、次は六十一年度の要調整額についてでございますが、重大なかかわりがあると思いますのでお尋ねするんですが、まず、仮定計算からしますと六十一年度の要調整額はどの程度見込まれますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員がおっしゃいますのは「中期展望」のお話だと思いますが、それによりますと要調整額は三兆七千三百億円でございます。これにいわゆる予備枠というのを加えますと四兆二千五百億円という計算になっております。
○鈴木和美君 その四兆何がしというのは、五兆何千億円から定率繰り入れの一兆一千何ぼかを差し引いたやつですね。そうですね。
○政府委員(平澤貞昭君) 今予備枠の四兆二千五百億円といいますのは、一般歳出に、いわゆる今後現在の制度、仕組みを前提にして計算しておりますので、新たな施策等が加わる可能性がございますので、その分を乗せたものが予備枠というものを乗せた数字になっております。したがいまして、乗せないものに対して約五千億円プラスになっておるということでございます。
○鈴木和美君 六十一年度のいわゆる要調整額三兆七千三百億円というものをどうやって埋めるのかということになるんですが、ここでまず、事務当局よりも大臣にお尋ねしておきたいんですが、六十一年度の予算編成をするに当たって、間もなくこれ概算要求が近づいてくるわけでございますが、細かには結構ですが、基本的な構想というか、六十一年度の予算編成の基本的構想というものはどういうふうにお考えなのか。大綱で結構ですから、大臣からお願い申し上げます。
○国務大臣(竹下登君) 国会が終わりますと、これは法律に基づく八月末の概算要求、それの基準を七月には決めなきゃいかぬ、こういうことになるわけであります。いずれにせよ、六十一年度の財政事情について見ますと、従来にも増して厳しい財政事情にある。その中でやっぱり財政改革の不断の努力を積み上げていかなきゃならぬということになりますと、やはり制度、施策の根本にさかのぼって厳しい対応で臨まなきゃいかぬ。原則的にそのようなことをまず基本姿勢として持っておるところであります。 税制の問題、あるいは仮にもしもう少し具体的な話になりまして、電電株の売却収益が入るとか、いろんなことが言えるでございましょうけれども、それらのいわば応援団とでも申しましょうか、応援団来らずという考え方でまずは臨まなきゃならぬじゃなかろうかというふうに、来らずという言葉が適切でありますか、そういうものを当てにして対応していくという姿勢では臨めないなというふうに考えておるところであります。
○鈴木和美君 関連いたしまして、特例公債のことについてちょっとお尋ねしたいんです。 六十五年度に特例公債から脱却するという方針のもとで、六十年度予算では当初一兆円の特例公債の減額を目指したわけですね。結果的には七千二百五十億円しか減額できなかった。そのため、六十一年度以降定率繰り入れを行うとの前提のもとで六十五年度に特例公債をゼロにするということから考えれば、毎年度均等削減する場合は一兆一千五百億円ずつですね。そこで、その一兆一千五百億円削減しなければならないということになるわけなんですが、六十一年度予算の概算要求に 向けて、まず初めに特例公債一兆一千五百億円はもう減額ありきという方針で臨まれるのかどうか、この点をお伺いしたいんです。
○国務大臣(竹下登君) これは概算要求の際は要求基準でございますから、したがって初めに一兆円の減額ありきということではない。それはやっぱり概算要求から査定作業が進みまして、十二月の段階で決めることではないかというふうに考えております。ただ、ぎりぎりの努力をしなきゃならぬことは当然のことであります。
○鈴木和美君 これは事務局にお尋ねしたいんですが、六十一年度において、本年二月に提出された「中期展望」の特例公債の発行額ですね、これは四兆五千八百億円、つまり本年度の五兆七千三百億円から一兆一千五百億円を減じた額に抑えなきゃならぬという方針ですね。これは抑えられると見るのか見ないのか。これはいかがですか。
○政府委員(平澤貞昭君) この「中期展望」及び「仮定計算例」では、特例公債につきましては、今後六十五年度までの間に均等額で減らしていくということで、一兆一千五百億という数字を置いているわけでございます。したがいまして、六十一年度に結果的に予算編成が終わった段階でこの数字がどうなるかということにつきましては、先ほど大臣の答弁があったとおりでございます。
○鈴木和美君 今、大臣からの答弁で、概算要求ですか、全部出てきたところを見なきゃならぬわけですね。その出てきたところを見なきゃならぬということもそうだと思いますと同時に、つまり基本的な今度は減になるものと増になるものというようなものを考えてみると、六十一年度に直ちに関連し、連動し、また実現するということにはならないかもしらぬけれども、何年かを展望して、つまり内需拡大を図ったり税の問題を考えたり、いろんなことをこれは考えておかなきゃいかぬと思うんです。そういう意味で私は、この前もどなたか御質問がありましたが、大臣にちょっとお尋ねしたいんです。 内需拡大に関するOECDの指摘がございますね。同時に、ボン・サミットでもいろんなお話がありました。これに対する、内需拡大のためのいわゆる基本的なというような考え方は、どんなふうにお持ちなのか、もう一度伺っておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) ボン・サミットにおきましても、端的に言えることは、最終的にはインフレなき持続的成長というのをそれぞれの国で可能な限り、政策の整合性といいますか、コンバージェンスとか言っておりましたが、政策が調和するような政策をとることによって、そしてお互いが相互監視することによって、インフレのない持続的成長というものをこれからは目標として進もうと。したがって、財政が出動するところのいわば機関車論というのはむしろ反省の上に立っておるという、総括すればそういうことになろうかと思います。 さて、そうすると内需拡大を何でするか、こういうことになるわけであります。財政の出動にはおのずからの限界があるといいますと、一つは税制というようなこともその中ではございますでしょう。それからいま一つは、やっぱり一番大きな柱として各国が掲げておりますのは各種規制緩和である。その規制緩和は、国によって多少違います。いわゆる金融の問題の規制緩和のことを非常に念頭に置いておる国もございますし、それから日本の場合は、金融の問題はそれなりに現在緩んでおりますししたがって国際化しておりますので、資金調達ということについてそう苦労する状態にはないということになりますと、勢いやっぱり金融以外の各種規制緩和と、こういうことになってくるのじゃないか。 そうなりますと、今盛んに後藤田さんのところ、総務庁の方でいろいろ整理をしておられて、河本さんの方で今度この規制緩和を可能な限り早くまとめ上げていこう、こういうことになっているわけであります。それは具体的には土地政策もございましょうし、あるいは建築基準の問題もございましょうし、それから今度は仕組みの中で民間活力を導入していくだけの環境をつくり上げていこうということもございましょう。それらを今衆知を絞って、前向きの結論を出すための作業が鋭意行われておるという段階ではないかというふうな、客観的に見ればそういう段階ではなかろうかというふうに思っております。
○鈴木和美君 今そのことをお尋ね申し上げましたのは、先ほど申し上げましたように、六十一年度の予算編成ということと、将来の内需拡大という問題と、二つあるわけですが、いろんな内需拡大の方向をとらなきゃならぬ。また、これは絶対とらなきゃならぬと思うんです。けれども、そのことは、六十一年度の予算編成をするに当たって、新しい自然増収が直ちに望めるというようなものではないというように理解していいのでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは、少なくとも概算要求のときは私は、全くそういうことの期待感を持たないでやるべきであろうというふうに思っております。 ただ、今例えば公共事業の執行状態を見ておりますと、都市再開発でございますとか、あるいは小さな堤防でその周辺が開発されるであろうという、そういう環境の整備とでも申しましょうか、公共事業等が執行に移されております。そうすると、それが民間活力を誘発するであろうということは期待できると思います、ことしの下期ぐらいかなと思いますけれども。今、民活民活と言いましても、本当に動いておるのはそういう環境の整備であり、よく目玉と言われます西戸山にいたしましても、まだ区議会等の同意が完全に得られておりませんから、トンカチという音が全くしていない。それから、やっぱり民活の大変なものでございますのは電電、専売の民営化だと思います。これもまだ、なったばかりでございますので、されば電話機の業者がどれだけ入ってくるか、その設備投資がどれだけ出てくるかというところまではまだいっていない。それからもう一つは関西新空港でございますが、これも、仕組みはできましたけれどもまだトンともカチとも音がしていない。そうするとやっぱり、その状況が出てくるのが下期になるんじゃないか。 そうしますと、予算編成のときまでにそういう数字になってあらわれることはちょっと難しいのかな、こんな感じで見ておりますので、それに伴います自然増収というものは、どうせ税制のことでございますから半期ぐらいな決算を見ながら、見通しと、そして積み上げ作業をして歳入の方をはかるわけでございますけれども、十二月の時点で、今鈴木さんがおっしゃいますような、そういう民活とかデレギュレーションとか、そういうものによっての増収見込みというのが推測できるというところにまでは至らないのじゃないかなと、こんな感じで見ております。
○鈴木和美君 それでは、同じような問題ですが、減税の問題についてお尋ねを申し上げたいんです。 サラリーマンの減税訴訟というので最高裁のいわゆる考え方が出まして、私はここに二つあるように思うんです。一つは、これも他議員からの御質問がありました。また我々がいつでも述べている、いわゆる所得の捕捉の問題ですね。これはもう当然、捕捉率が給与所得者の場合には、何たって一〇〇%だ。他の方から見れば給与所得者だけがつまり一〇〇%であるから、クロヨンとかトーゴーサンピンと言われるような問題について手をかけるということは、これはもう今ここで直ちに議論が私は要らないと思うんです、もう何回もやっていますから。これはぜひ、そういう所得の捕捉に対しての税務執行上の体制は、しっかりとっていただきたいと思うんです。 ここでお尋ねしておきたいことは、そのサラリーマンの給与の捕捉との関連におきまして、給与所得控除というものをもう少し考えたらどうかという、減税の一つの考え方があるわけですね。 で、特に私から申し上げるまでもないと思うんですが、給与所得控除の性格というものは、まず一つは、給与所得の必要経費の概算控除というの が一つ。二つ目には、給与所得が資産性所得、事業所得に比べ担税力が乏しいことの調整というのが二つ目にあると思うのです。三つ目は、給与所得は源泉徴収により他の所得より正確な把握が容易であることの調整。もう一つは、申告納税に比べ給与所得の源泉徴収が早く納税できることによる、その間の金利調整というようなもの、これがいわゆる所得控除の性格だと私は思うんです。 そういうことから見て、今給与所得者の可処分所得というもののことを考えたときに、減税というものはどうしても実行しなければならぬし、また実行していただきたいと思うんです。 その考え方が一つと、さてもう一つは、そのことを仮に実施をしたとしても、六十一年度の予算編成の時期などに、そのことはつまり財源として、いわゆる効用財源として見られるか見られないか。私はそれをやったとしても見られないんじゃないかというような考え方でいるんですが、その見解はいかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) これは所得税減税ということになりますと、今三つの環境があると思います。 一つは、たびたび申し上げておりますように、今のような議論をもうぼちぼち整理にかかっておりますが、整理をして、正確に七月税調にお伝えしまして、それから税調で抜本的な議論をしてもらおう、こういうのが一つです。それからもう一つは、与野党の幹事長・書記長会談で、所得税減税については六十年度中に結論を出すという一つの環境がございます。政策減税の場合はちょっと横へどけておきまして。それから、三つ目は、対外経済対策の大来さんが委員長であります諮問委員会から、投資、貯蓄、消費等について税制上の措置ということを検討すべきだということで、三つ、その検討すべきであるという土俵があると思います。 それをどう調和して進めていくか、こういうことになろうと思うのでありますが、やはりそうした問題は、いわば給与所得控除の問題にまで具体的に立ち至りますとまさに税調のこれからの論議になるわけでございますけれども、おっしゃるように、それによりますところの増減収というものがどういう形で出てくるかということになりますと、十二月末にそれが数値としてあらわせるかどうかということになりますと、私はやや鈴木さんと同じような考え方がないわけでもございませんけれども、そうすると六十年度税制のあり方というのは十二月に政府税調から答申をもらうときに全く触れられないということを予測するわけにもいきませんので、明確に鈴木さんのおっしゃるとおりですとまでは答えられないということではないかと思います。
○鈴木和美君 もう一つお尋ね申し上げますが、中曽根総理それから大臣もしばしば直間比率の問題について、シャウプ勧告以来の税制を抜本的、根本的に見直さなければならぬ時期に来たというお話がございますね。これはたまたま大型間接税とか消費税とかという議論が下火になったときにこの問題がぱっと出てきたみたいな感じが私はしているんですが、そのときに大臣も総理も、お答えの中では、初めから増税とか増収を見込んだものではないんだとよくおっしゃいますね。つまり、税の負担の公平感をもう少し持ちたいんだという角度から検討したいということをよく言うのですね。 これは今でも変わりないのですか。増収というか、増税というか、現在の負担率と租税負担率はもう絶対変わらぬ、その変わらない範囲の中でいじるんだというように受け取っていいんですか、もろに。
○国務大臣(竹下登君) 税の議論をしますときに、やっぱり安定的財源の確保ということがあると思うのです。ですから、安定的財源の確保というものは絶えず頭にあるべきでございますが、直間比率という言葉が使われて古くなりますけれども、最初は臨調の答申にありましたが、これは直間比率というのはおかしいじゃないか、これは結果として出るものであって税体系の見直しとでも言うべきじゃないか、こういうことから税調でそういう言葉に変わってきまして、それで今度異例のことながらとして出ております答申は、直接税、間接税を問わずでございましたか、とにかく抜本見直しをしなさい、直間比率をいじりなさいとの書き方にはなっていないわけであります。 そこで、今度の税制改正というものを見ますと、総理が言っておりますのは、私も減税をしとうございますと。が、それに赤字公債で充てるわけにもまいりません、きょうの負担減を、いわば後世代にツケを回すわけにはまいりません、したがって、抜本的な仕組みを税調で考えてもらいたいと思うと。だから、初めからこれによって何ぼ増収が図られるかとか、これによって何ぼ減収が図られるかということではなく、やっぱり最初は、あるべき税制の姿というものが出てくるだろうと思うのでございます。その中へどれだけの経済見通しと数値を入れるかによって、増になり減になるということになろうかと思うのであります。だから私は、初めからまず減収ありきでもなければまず増収ありきのものでもない、最初は税のあり方そのもの、大体こういう姿じゃないかというものが出てくるんじゃないか、そこへどう政策ウエートをかけていくかというのはその後の選択ということになりはしないかな、こんな感じで見ておるところでございます。
○鈴木和美君 そうしますと大臣、そういう考え方、テンポで参りますと、俗称言われている実施というものがいろんな議論を通じながら六十二年ぐらいにならざるを得ない、だから六十一年度の予算の編成というときには仮に、私は反対ですが、いじる中で、税収を仮に余計取ろうというように考えたとしても、六十一年度の予算編成にはとっても間に合わないということになりますね。そう考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(竹下登君) そこのところはなかなか難しい問題でございまして、本当は税調は、従来任期が三年でございますと、三年終わるときに抜本答申みたいなものをちょうだいしておりますが、その作業を三年に合わすというと先の話になりますし、が、あらかじめ今年度末までに出してくださいという性格のものでもないような気がいたしますので、これからその点はよく部内でも、もちろんこれは総理の諮問機関でございますから内閣で検討してみなきゃならぬと思っておるところでございますが、よく常識的に、竹下君、そういう調子でやったら抜本改正というのはそんな六十一年度税制のあり方と一緒に出るようなものじゃないじゃないか、こうおっしゃる人はたくさんございます。だから、六十一年度税制のあり方で出ればそれなら結構でございますが、しかし別途六十一年度税制のあり方というのはこれは税調に諮問するわけでございますから、毎年のことでございますけれども。それでどういうものが考えられるかということになりますと、結局継続審議にいつもなっております、よく言われる不公平税制の是正と申しましょうか、そうしたものは常識的に考えてもあり得るのではないかな、そういう感じがしております。
○鈴木和美君 今お尋ねしてまいりましたものを総括してみますと、六十一年度の予算編成に当たりましては、新聞でも報道されているように、歳出の伸び率をゼロに抑えていくというような基本的な考え方を持ちながら、特例公債の問題を考えながら、そして今大臣からせっかく答弁をいただいているものを聞かせていただいた中でも、六十一年度の予算編成というのは大変だということが今のやりとりでも十分私は納得がいくんです。 そこで、六十一年度の予算編成というものは、六十年度と同じように、今のところどう考えてみてもこの定率繰り入れという問題は取りやめなければいかぬのかなというようなことじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
○国務大臣(竹下登君) この問題でございますが、一方、財政制度審議会で減債制度の基本は維持すべきだ、これが一つございます。だが、ことしの場合、六十年度の場合はまだ空っぽになっていないからやむを得ぬ措置、こういうエクスキュー ズがあったわけですが、今度は一応三角が立つわけでございますから、そうなると、減債制度の基本を維持しつつということになりますと、まあ、ある人によっては半分入れたらどうだとか、あるいは三分の一入れたらどうだとか、そういう意見をお吐きになる方もございます。その辺をかれこれ勘案しまして、この問題についてはぎりぎりの段階で最終的な判断をすべきじゃないかなというふうに思っておるところでございます。
○鈴木和美君 もう一度しつこいようですが、ぎりぎりの段階まで判断を留保するということに大臣の答弁を聞いたということでよろしゅうございますか、今。
○国務大臣(竹下登君) 恐らく鈴木さんも一つ予算繰り入れのことも考えていらっしゃって、いずれにしてもあと六千億ぐらい入れなきゃ三角が立つわけでございますから、それはまさに単純に予算繰り入れ、あるいは先ほど申しました定率繰り入れの定率の率が変わって入るとか、いろんな工夫をしなければなりませんので、今ここで、法律に示されたとおりの定率のものをきちんと入れます、こういう断言をする段階にはないということでございます。
○鈴木和美君 平澤次長にお尋ねを申し上げます、せっかくその議論に入りましたから。 時間の関係を見ながら答弁いただきたいんですが、今度は整理基金の方ですが、今大臣もおっしゃったように、六十一年度に要償還額は十二兆一千億円ですね。情換債の収入が十兆五千百億円ですね。その差がつまり一兆五千九百億円ということになるから、六十一年度の現金償還額、いいですか、ここのところをしっかりしておかないといかぬですよ、現金償還額がつまり六千億足りないということですね。
○政府委員(平澤貞昭君) 委員がおっしゃいますように、今の差し引きのネット償還額、これは要償還額から借換債の収入を差し引いた額でございますが、これが一兆五千九百億円でございます。それに対しまして、六十年度末の現在予想される基金残高が九千九百億円でございますから、単純にこれを引きますと六千億円程度基金残が足りなくなるという計算になるわけでございます。
○鈴木和美君 大臣からのちょっと先ほどのニュアンスがあるんですが、もう一回平澤さんお尋ねしますが、そうしますと、我々が今法案を審議するに当たりまして、定率繰り入れというものは、大臣のさっき言った二分の一とか三分の一とか、そういう議論があるんだということをまず抜きにして、我々が理解し議論することは、定率繰り入れという制度が現にあるわけなんだから、そのことを前提にしてどうすべきかということをずっとこれ議論してきているのだと思うんです。だからこそ、借換債のときも単年度こうやって出して、みんな血の出るようなことで頭を下げているんだというお話があるわけでしょう。だから、その二分の一とか三分の山というのは別にして、定率繰り入れというものを現在の財政状況の中でできるのかできないのかということを考えたときには、どう考えられますか。六十一年度は二兆八百億円、それは入れられるのか入れられないのか。
○政府委員(平澤貞昭君) この額が具体的に六十一年度予算でどのように取り扱われるかということにつきましては、先ほど大臣の御答弁もございましたように、今後の財政の事情とか、それから国債整理基金の中の資金繰りの状況がどうなるかとか、各般の事項を十分に検討した上でぎりぎりの段階でこれについて決めていくという手順にならざるを得ないというふうに考えるわけでございます。
○鈴木和美君 いや、大臣の答弁の方は、大臣ですからもう先を越して、六千億だけ入れりゃいいんじゃないかというようなもうニュアンスなんですよ、大臣の話というのはだれが聞いておったってわかっているんですよ。 だけれども、私が聞いているのは、定率繰り入れ制度というものがあるんだから、二兆八百億円というのは入れるのか入れないのか、入れられる状況にあるのかないのかと、そこを聞いているんですよ。
○政府委員(平澤貞昭君) この定率繰り入れ制度は、御存じのように、現行の減債制度の中の大きな柱になっているわけでございます。これ以外に例の剰余金の二分の一繰り入れとそれから予算繰り入れがあるわけでございます。 現在の減債制度のあり方そのものはこれはやはり維持していくことが適当であるということでございますので、我々といたしましては、やはりそれは非常に重く受けとめて頭の中に置きながら考えていきたい。しかし、片方におきまして恐らく、委員のたびたび御指摘がございましたように、六十一年度は非常に厳しい、より厳しい財政事情が見込まれますので、そういう中で、今申し上げたような基本を維持するということをどう貫いていくかということを、今後真剣に検討していく必要があるというふうに考えているわけでございます。
○鈴木和美君 私は、今大蔵省は三つの罪を犯そうとしているというように考えるんです。 まず一つは、定率繰り入れという制度があるんですから、四の五の四の五のいろいろ理屈は言うけれども、そのことを守るか守らないかということはこれは大原則なんですよね。私が言うまでもなく、減債制度というのは、公債政策に対する国民の理解と信頼と、それから償還財源を先取りすることによって財政の膨張、国債の累増に対する間接的な歯どめと、それから財政負担の平準化、資金の効率的活用による国債の市場価格の維持というようなことから見て、減債制度は厳然として世界に類を見ないようないい制度であるというようにあるわけでしょう。だからここは守ろう、守ってほしいと。それを今これは四年間も犯し続けてきてまた犯そうというわけでしょう。これが一つの私は罪だと思うんですよ。 もう一つは、今度は順序を変えようというようなニュアンスが非常に出ているんですよ。国債整理基金の順序というのは、まず定率繰り入れでしょう。その次に剰余金でしょう。それで足りなければ予算繰り入れなんでしょう。この順序、手順というものが、どうも大臣のニュアンスや平澤さんの今までの話を聞いていると、逆になろうとしているんですよ、この繰り入れのね。これは私に言わせると二つ目の罪なんですよ。 それからもう一つは、定率繰り入れということをやらないというと、大臣が衆議院でこれは四年もやることはどうかな、仏の顔も三度だと。ということから見ると、六千億入れりゃいいじゃないかというどうもニュアンスなんですよ。つまり、定率繰り入れの率を変えようという腹があるわけですよ。 だから私は、この問題については三つの罪を犯そうとしている、だから重大だということをまず指摘したいんです。私は、苦しくともやっぱり制度を守っていかなければこれは大変なことになるというように思うんですよ。しかし、今大臣の答弁をずっと聞いていると、そうはおまえさん言うけれども、六十年度の予算編成と六十一年度の取り巻く環境を見てみるととてもそうはいかぬのだ、だからぎりぎり考えたい。ということは、六千億でお茶を濁すことを勘弁してくれよということを今言わんとしているわけなんです。 しかし、私はそれは納得できないんですよ。そのことは、やっぱり制度上はっきりしていかなきゃならぬ。つまり、今言っていることは、総合的に考えれば、一般会計で見なきゃならぬお金というものが結局足りないから繰り入れする部分を停止させてくれないかと。仮に停止しないまでも、ちょっと削らしてくれないかということを私は言わんとしていると思うんですね。これが今の私のずっと質問から流れる、また、今までのこの委員会の議論の私はポイントだと思うんですよ。これが一つなんです。 さてそこで、次にお尋ねしますが、そうすると今度法案を提出されているこの国債整理基金の特会法の十六条という問題はどういうふうに理解するかということなんです。 平澤さん、この十六条というものは、文字どお りこの売却益というものを国債の元金償還に充てるということでしょう。違いますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 十六条は、委員がおっしゃいますように、「国債ノ元金償還ニ充ツベキ資金ノ充実ニ質スル為一般会計ヨリ無償ニテ国債整理基金特別会計ニ所属替ヲ為スモノトス」と書かれておりますので、この規定の趣旨に従ってこの売却収入は使用すべきものであるということでございます。
○鈴木和美君 そうだとすると、先般赤桐議員からも指摘をしたところですが、今までの議論を通じてきますと、一般会計で繰り入れしなきゃならぬ部分が、金がないから電電の株、これを売ったものでつまり埋め合わそう、もっと別な表現を使えば、六千億という話もそれがいろいろあるから六千億だけ入れておけば、あと、その償還に充てておけば法律上そう書いてあるんだからそのとおりいくじゃないかというかもしらぬけれども、実際は、一般会計とそれからこの売却益というものは、どう考えてみても、法律的には確かにすかっとしているような感じにはなっているけれども、実態上は一般会計に使っているということになるんじゃないですか。はっきりしてくださいよ。
○政府委員(平澤貞昭君) 今申し上げましたように、この売却収入は法律の規定に従って償還財源に充てるべきものというふうになっておりますので、そのように使用すべきものであるわけでございます。 他方、定率繰り入れにつきましては、これはたびたび御答弁申し上げましたように、現行の減債制度の基本になるものでございますから、先ほど委員もおっしゃいましたように、四十一年十二月二十六日の財政審の報告にもこの制度の基本のいわゆるメリットは四項目にわたって書かれておるわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、この制度は引き続きやはり維持していくべきものと考えております。先ほど申し上げましたように、その点につきまして我々としても重く受けとめているわけでございます。 したがって、先ほどの電電株の処分の問題とこの減債制度のお話とは、制度としては違うわけでございます。したがって、その中で我々としては考えていくということでございます。
○鈴木和美君 私が言っていることは、制度として別であるということはそのことについては何も私はまだ言っていないんですよ。わかりますよ、そのとおりです、制度は別であるとちゃんと法律に書いてあるんですから。 けれども、今のお話の中では、私が指摘した二番目の罪である、つまり、六千億足りない。六千億足りないということだから六千億埋めればいいんじゃないかということの発想があるものだから、減債制度の基本は維持しつつという言葉を何回も言うんですよ。それを言わないと六千億に間尺が合わないんです。そうでしょう。基本を維持しつつなんか言うことはないんですよ。減債制度は守りますか守らないかどっちかなんです。今までは、守れないから特例でいつもこれを出しているんでしょうと言うの。それをことし、そういうふうにすかっとしないまま、先に行ってみなければわからぬのだというようなことを抱えたまま、ここで法案審議をしろということがおれはおかしいと言っているんですよ。そう思いませんか。 幾ら平澤次長、何ぼ説明したって、一般会計に金が足りないから入れられないわけでしょう。入れられないということになると六千億赤が出ちゃうわけでしょう。赤が出るということは、国債整理基金の減債制度というものの崩壊だということを意味するわけでしょう。だから、苦しいものだから、減債制度の基本は維持しつつとにかく歯どめとして考えていきたいということは、これは新しい問題なんですよ。今までに議論がないでしょう。今までは、入れるか入れないかなんですよ。今度は六千億を頭に置くものだから、大臣はもうさっきから、この前から伏線を敷いているわけでしょう。あの顔をにこっとしながら、三分の一とか二分の一という意見もございましてと、こう言っているんですよ。だけど、みんなもうプロは知っているんですよ、そんなことは、大臣の言わんとすることは。 しかし、大臣、ここは笑ってごまかしちゃいかぬと思うんですよ。これは大変な問題だと私は思うんです。今までは、入れるか入れないかということで去年あれだけ大騒ぎしたんでしょう。大騒ぎしたもんだから、ことしは大騒ぎしないでそっといくかもしらぬぞと思ったら、そうはいかぬのですよ。 ことしは、どさくさ紛れに新しいことをやろうとしているんですよ。つまり順序を変えている。定率繰り入れをやって、剰余金をやって、予算繰り入れというこの手順ですな、これを予算繰り入れからまずやろうとしているということが問題点でしょう。それから、定率繰り入れというものは二分の一とか三分の一とかという議論は今までないんですよ、入れるか入れないかだけなんですよ。この二つの問題を当委員会にかけておきながら、そして言葉では法律の仕組みは違います、電電の株の方はこれは償還に入れます、こっちはこうですと言うけれども、実際のお金には色がついていないんですから、結局、一般会計で使うことになるでしょうと言うんです。使っていることになるんじゃないですか。そう理解してもいいんじゃないですか。先般、栗林さんは逆にそのことをお尋ねしたんじゃないですか。むしろ金が足りないから、足りないうちはいいじゃないかという御意見もありました。私らが聞くところによれば、大蔵省が何で国債整理基金に電電の株を早く入れちゃったんだ、先急ぎしているという、耳にだって入ってきますよ。何で一般会計に置かないんだと。一般会計に置くと何々族がずっと引っ張っていっちゃうから早くそこに入れたらいいんじゃないかというようなことで先急ぎしちゃって、先急ぎをするのと法律とをうまく組み合わせて元金償還に充てるものとするということに書いたものだから、逆ににっちもさっちもいかないというのが今日の状態じゃないですか、と私は見ているんですよ。 だから、技術論というよりは、私は、この法案審議に当たって大蔵省の態度が大変におかしいということを言っているんです。 一番冒頭に言ったでしょう。役人はもう知恵の限界を超えているんですよ、大臣。だから、何ぼ言っても平澤さんがかわいそうだ、おれに言わせれば。この人の明快な答弁が、もたもたもたもたもたもたの答弁でしょう。これはもう知恵の限界を私は超えていると言うんですよ。しかし、審議を要請されている議員の側から見ると、片方で元金償還に充てるものとすると書いておきながら、来年、六十一年度予算のときに、法律はそろうかもしらぬけれども、実態は金が同じようにぐるぐるぐるぐるどんぶり勘定で動くということを今認めろと言っていることなんですよ、ここで、この委員会で。私はそれには賛成できないと言うんです。来年うそをつくことがわかっているものの法案を通してくれという審議が、今まで大蔵省の法案提出にありましたか。私は、それはないと言うんです。だから、大蔵省はこの法案審議に当たってどうも態度が鮮明でない、そういうような今感じなんですよ。大臣、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) あるいは平澤次長から補足して答弁してもらった方がより正確になるかと思いますが、一般的に考えられることとして、鈴木さんの論理、要するに定率繰り入れはちゃんとやりなさい、そして電電株等の収入があったら、それは定率繰り入れの中へ入りますが、それはむしろ元金の繰り上げ償還に充てろ、そうすれば一番すっきりするじゃないか。その論理は、私どもも随分した論議でございますのでよくわかる論議でございます。しかし、今の状態から見て株がまだ売れるか売れぬか。私は民営にした限りにおいては、本当は一人株主はおかしいのであって、すぐ売るべきものだと思いますが、なかなかその売り方等については難しい。が、それが国債整理基金へ入った場合に、今からその分は言ってみれば残高の繰り上げ償還に充てますということを断言できないというのが、今の私の素直な心境であり ます。したがって、元金償還に充てることは間違いないわけでございますけれども、それが言ってみれば繰り上げ償還にその分だけはぴしっと分けて入れますということを明確に今言うだけの自信がないというのが、素直な私の今の心境であります。
○鈴木和美君 平澤次長ね、今、大臣の答弁があったんですけれども、今まであなたがずっとここで答弁なさってきて、やっぱり自分でも、答弁されているあなた自身が矛盾を感じているんじゃないですか。片方では元金償還に充てる、法律はそう書いてあります、そのとおりやりますと。片方では今度は、それじゃ二兆八百億円入れますかと言うと、六十年度予算編成の状況と客観条件は余り変わりない、非常に無理だ。新聞にもそう書いてありますよね、無理だと。そうすると赤が出る。赤が出るから、それじゃ基本の維持、制度が守れないということだから、何か知恵を出さなきゃならぬということが、予算繰り入れで六千億だけ持っていけばいいじゃないか、それで後は後で考えようやということが私は今日の実態だと思うんですよ。 それでは私はいかぬと言うんです。それはどんなに苦しくとも、私はやっぱりきちっとしたものをやってもらいたい。 私が一番問題にしていることは、そういうことも問題ですが、一番問題なのは、元金償還に充てるものとするという法律を皆さんここで審議してくれと言っているんですよ。委員長わかりますか、私の言っていること。ところが、その運用は来年から、もうわかっているんですよ、うそをつくことが。もう、そのとおりできないということがわかっているんですよ。わかっているのにおれたちに、通せ、審議してくれというのが今の政府の態度なんですよ。私は今まで大蔵委員会の法案の審議でこんな審議というものに加わったことがないというんです。反対、賛成はありますよ。反対、賛成はあるけれども、この法案の提示の仕方というものは私は納得できないんです。 そこで、私は委員長にお願いしたいんですよ。今もう、政府との間に何回もこれはやってきているんです。まず私が言いたいことは、一つは、六十一年度の要調整額ですな、この問題について、入れるのか入れないのかということについても、大臣の答弁では、先に行ってから考えましょう、それしかないんだと言っているんですよ。二つ目は、減債基金制度の問題について、私は三つの罪を犯していると言っているんだけれども、まああえて二つにしてもいいんですよ。一つは、順序を変えてやるのは、これは制度を守ったことにならないじゃないか。定率繰り入れ、余剰金、それから予算繰り入れでしょう。その順序を、予算繰り入れからやるというようなことをこの委員会で認めてくれということは新しい問題だとおれは思いますよ、二つ目。三つ目は、私どもがこの委員会で審議するときに、減債制度というものは定率繰り入れなんですよね、定率繰り入れでしょう。それが二分の一とか三分の一なんということの、そんな議論はしたことがないですよ。それならそのようにあらかじめ法案でも出して、来年はこういうことになるからこうしてくれよというんならまだわかる。それを先に行ってからやりましょうということは、にこっと笑いながら何だか逆なでしているみたいな感じじゃないですか。 私は、この委員会でそのことを、はいそうですかというわけで審議をこのまま続けることはできない。だから、今いみじくも大臣が言われたですよ、電電の売却益はどういうふうにしたらいいか、一番すかっとするのはこういうことなんだ、自分自身でも答えはもう大臣は言うているわけですよ。そこにできないという悩みも訴えられている。 しかし、私は制度は制度としてしっかり守らにゃならぬということなものですから、ぜひ私は理事会においてもこの点を審議されて、新しい問題について一体大蔵委員会ではどうするんだと、参議院の大蔵委員会では。私は大蔵省の名誉のために言っているんですよ、大臣、いじめているわけじゃないんですからね。そこのことを十分考えた上で理事会で扱っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○委員長(藤井裕久君) ただいまの鈴木委員の御提案については、理事会において協議させていただきます。
○鈴木和美君 それじゃこれで質疑を終わります。
○委員長(藤井裕久君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時三十分まで休憩いたします。 午前十一時三十分休憩 ─────・───── 午後三時三十分開会
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○桑名義治君 今日の世界経済に見られる経済の不均衡、貿易の不均衡というのは、確かにアメリカ経済のいわゆる巨額の赤字の発生あるいは大幅な経常収支の赤字あるいはドル高、そういったいろいろな要因があることも一面否定できない事実であろうと思います。しかしながら、米国の努力だけではこれはもう是正できない、そこまで不均衡が拡大をしていることもこれもまた事実であります。 我が国の経常収支黒字幅は、五十九年度は三百四十億ドルでございました。そこで四月の二十五日の新聞を読んでみますと、その中で大蔵省の幹部の記者会見の中に、いわゆるその米国の赤字に対する、あるいは日本の黒字に対する原因別計量分析というものが出ているわけでございます。その中身を見てみますと、原油等一次産品の価格の下落から七十億ドル、それから米国の成長率が高く先行していた、このいわゆる成長率の問題から五十億ドル、それからドル高から九十億ドル、それから構造的黒字が百三十億ドルと、これはまだ確定をしていなかった段階ですからこれは見込みでございますけれども、そういうふうないわゆる原因別計量分析が出ているわけでございます。 大蔵省としては、このように分析をなさっているわけでございますか。
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘の新聞報道は私どもも読んでおるわけでございますが、私ども大蔵省といたしまして、我が国の経常黒字をいろいろな要因別に、どの要因の部分がどのくらいかということを計量分析の手法を用いて計算をしたということは、実はないのでございます。 この新聞報道にありますその分析というのは、このインタビューをされた大蔵省の幹部の方が、あくまで個人的な一つの推計ということでそういう数字を発言されたというふうに理解をしております。したがいまして、この数字は、大蔵省が役所として分析をした結果というふうに御理解はいただかない方がよろしいかと思うのでございます。私が実はそのインタビューをされた御本人とお話をしてみたところ、その方は、それなりに黒字を要因別に分析をされて、こんなことなんではないかなという、言うならば個人的な推計をなさったというふうに理解をしております。 したがいまして、私どもいろいろと国際収支の黒字につきまして勉強はしておりますけれども、この要因別の分析というのは、要因そのほかの関係が非常に複雑でございますものですから、Aという要因、Bという要因を純粋に取り出してその効果を計量的に測定するということはなかなか難しいものでございますから、そういうことで、大蔵省としてこういう数字を持っておるということはございませんというのが実情でございます。
○桑名義治君 今申し上げたのは四月二十五日の新聞でございますけれども、五月二十一日の夕刊にもその同じような数字が出ている。こうなって まいりますと、これは当然大蔵省財務官でございますので、国民なりまた私たちにとりましても、これは大蔵省の考え方だ。アメリカとの交渉、外国との一切合財の交渉を彼がやっているわけですから、したがってそう思わざるを得ないと思うんです。また、大蔵省としての討議の中でこういう分析を一応なさっているんだな、こう予測せざるを得ないわけです。 その点どうですか。全然そういう話し合いはなさったことはございませんか。
○政府委員(行天豊雄君) この新聞に報道されました数字について、私どもが役所としてそういう分析をし計算をした結果こういうことになったということはないわけでございます。 ただ、私がお話をいろいろと聞きました結果、この数字の背景につきましてはその御本人のお考えというものは伺うことができておりますので、それを御参考までに御紹介いたしますと、これは極めて個人的な推計だと思いますが、非常に大ざっぱに言いまして、例えば経常収支の黒字の中で、いわゆる構造的な黒字と考えられるものが大体GNPの一%ぐらいあるのじゃないか。そういたしますと、我が国のGNPが大体一兆二、三千億ドルでございますから、その一%ということでございますと百二、三十億ドルに相当する、こういうことでございます。御承知のとおり五十九暦年の黒字は三百五十億ドルでございましたから、それを差し引きました残り、これがですから二百三十億ドルぐらいになるわけでございますけれども、この中でいわゆる成長率格差、米国の成長が日本の成長に比べて非常に早かった、そのためにいわば所得効果が働いて日本から輸出が非常にふえたという部分がどのくらいあるかということが次の問題になるわけでございます。この点につきましては、これもなかなか理論的にどういう数字が正しいかということは確定しがたいのでございますが、実はアメリカにCEA、経済諮問委員会というのがございますが、ここがやはり米国の赤字の要因につきまして分析したことがございます。そのCEAの分析によりますと、大体米国の赤字の場合、米国の成長率格差による部分が四分の一ぐらいだろうということが言われておったわけでございます。ですから、仮にそれがそのまま日本にも当てはまるということで、その二百二十億ドルに四分の一を掛けますと、五十億ドルぐらいがその分であろう。それから、我が国の場合は御承知のとおり原粗油の輸入が非常に大きいわけでございますけれども、最近の黒字の一つの大きな要因というのは、この原油の価格、数量ともに非常に不振であるということでございます。現在、御承知のとおり原油の価格が大体バレル当たり二十八ドルぐらいでございますけれども、これが三年ぐらい前、昭和五十七年ぐらいでございますと三十三、四ドルでございましたから、五ドルぐらい一バレル当たり下がっておる。現在我が国の原油の輸入量というのは、年によって大分違いますけれども、大体十四億バレルぐらいだと思いますので、それを単純にこれも掛けてみますと、七十億ドルぐらいがその要因である。 そういうふうに、三百五十億ドルから、GNP一%が百三十億ドル、それから成長率格差が五十億ドル、それから石油価格の部分が七十億ドルといたしますと、差額が百億ドルぐらい残って、これはもう一つの大きな要因であるやはりドル高による価格効果ではないか、こういうことでお話をされたようでございます。 繰り返しになりますが、これはあくまでそのお話をされた方の個人的な推計でございまして、私ども役所としてこういう推計をした結果ということではございませんので、その点は御了解をいただきたいと思う次第でございます。
○桑名義治君 そうしますと、このいわゆる財務官のこういう試算というものは、どういうふうに大蔵省としては評価なされますか。
○政府委員(行天豊雄君) 私ども、先ほど申しましたように、なかなか経常収支の赤字にしましても黒字にしましても、要因ごとに純枠にそれぞれの効果を計測するというのは非常に難しいと思います。しかしそれだからこそ、先ほどのCEAもある一つの見方を出しておりますし、それから民間にもいろいろとそういう分析をそれぞれの考えでやっておるところもございますものですから、この新聞に報道されておりました数字も、その意味で一つの考え方であろうかというふうに私ども感じております。
○桑名義治君 この財務官の試算の立場からいろいろと考えてみますと、いわゆる日米間の成長率の格差による部分が極めてわずかでございます。これはパーセントであらわしますと一四・七%になるわけですね、現実は。そうなりますと、我が国の内需拡大による、輸入増加からの対外不均衡の緩和、是正は非常に効果が薄い、余り効果をもたらさない、こういうふうに読み取れるわけでございますが、この点はどういうふうにお考えになられますか。
○政府委員(北村恭二君) 内需拡大的な政策による経常収支あるいは黒字への影響ということでございますけれども、例えば内需拡大ということになりますと、いわゆる減税であるとか公共投資の追加といったようなことが考えられるわけでございますけれども、これはそのときどきの内外の経済情勢といったような種々の要因によってかなりその効果というものが変わってまいりますので、計量的に一義的にこういう場合にはどの程度の効果があるのかというようなことを申し上げかねるわけでございますけれども、ただ、一つのそういった問題につきまして一定の前提を置いていろいろ試算をしてみるということは可能なわけでございます。 この数字は、当委員会におきましても何度か大臣からもお触れいただいた数字でございますけれども、例えば現在の所得税の歳入額の三分の一に当たります五兆円の所得税減税というものを行いました場合でも、輸入拡大効果というのは七億ドル、それから現在の公共投資の、これは国民所得ベースで見た広い意味での公共投資でございますけれども、この公共投資の一五%に当たります三兆円の追加投資を行ったという場合でも、輸入拡大効果というのは十三億ドル程度という試算も、一定の前提を置きますと可能なわけでございます。もちろんこういったものは単なる試算でございまして、この数値を絶対視することはできないわけでございますけれども、ただ我が国の産業構造というものを考えてみますと、我が国では原材料を輸入し、一方で付加価値の高い技術集約型の製品を輸出しているといったような産業貿易構造でございますので、そういった貿易構造あるいは産業構造というものから見て、内需拡大といったようなことで具体的なそういう措置を講じた場合の黒字あるいは経常収支に与える影響というものは、ただいま申し上げた程度のものではないかということは一応は推定できるわけでございます。
○桑名義治君 そこで、輸入の所得効果に対しましてこの試算は多少過小評価しているのではなかろうか、こういうふうにも私は思うわけでございます。 国内需要の拡大によりまして国内の投資機会が拡大をすれば資本の海外流出もある程度抑制をされる、そこから円安問題も是正をされるのではないか、こういうふうにも考えるわけでございますが、これは少し財政当局にとっては都合のいいような、そういう試算の中身ではなかろうか、こういうふうにも思うわけですが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(北村恭二君) ただいま試算として申し上げましたものは、先ほども申し上げましたように一定の前提を置いている。例えば減税とか公共投資を行いました場合の乗数効果というものについては、これは世界経済モデルを使っているわけでございます。 それから、今先生の御指摘をいただきました輸入の所得効果ということでございますと、いわゆる輸入の所得弾性値ということに関連した議論になかろうかと思いますけれども、この点につきましては五十九年度の経済白書等でかなりいろいろ分析がございまして、そこでいわゆる輸入の所得弾 性値を〇・六五というふうに計算しているわけでございますが、こういった数字は確かに、先ほども申し上げましたように、諸外国に比べてみますとかなり数字が低いわけでございます。この基礎となりました数字は昭和四十八年ごろから十年間ぐらいの計数をとったものでございますけれども、それ以前ということになりますとこれはやはり一を上回っているというような数字になっておりますが、我が国がどうしてこういう数字になっているかということでございますが、やはり先ほどもちょっと申し上げましたような輸出入構造というものがこういう数字に反映しているのではないかと思います。したがいまして、こういう計算でございますから、いろいろな物の見方はあろうかと思いますけれども、試算自体としては、いわゆる輸入の所得弾性値の使い方としては一つの根拠のある数字を使っているわけでございます。 なお、今申し上げましたように、内需の拡大策ということで円安解消といったようなことにつながってくるのではないかということでございますけれども、再三申し上げるようでございますけれども、余り無理な財政赤字拡大ということを行うということになりますと、どうしても財政の赤字体質解消ということを大幅におくらせることになるわけでございますし、こういったことが我が国経済の信認を傷つけるというようなことになりますと、かえってむしろ円安をもたらすといったようなおそれもなきにしもあらずということがあるわけでございまして、そういった点も十分考える必要があるのじゃないかと思っているわけでございます。
○桑名義治君 米国経済の成長率が最近ダウンをする、最初の見込みよりもダウンをしている、そういう過程を現在踏んでいるわけでございますけれども、この問題に対しまして、日本及びその他のいわゆる先進国は、国内支出の増大を促進することでそれを補う必要がある、こういうことが一般的な見方のようでございます。 そのような国際的な世論の中で、我が国政府がとっている現在の施策というものを考えてみますと、内需拡大への施策が非常に弱いのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。そして依然として今までのような外需依存型の経済運営に終始しているのではないかというふうな見方ができるのではないかと思うのですが、今や米国を抜きまして英国と並び最大級の債権国となった我が国のとる経済運営としては、これは多少無責任という言葉の方が当てはまるのではないかというような気もするわけでございますが、そういった立場から考えた場合に、今の経済運営でいいのだろうか、こういうふうにも思うわけでございますが、この点については大臣としてはどのようにお考えになられますか。
○国務大臣(竹下登君) 私もちょっと慌てまして、一遍数字が出た朝、これはリセッションの始まりかなというようなことを言いまして、後からすぐ各方面の情報をとってみましたら、リセッションではない、だからこの第二・四半期から、言ってみれば回復するであろう、ある意味におけるソフトランディングと申しますか、軟着陸をするだろうというような見通しが今大要のようでございます。しかし、いずれにせよ去年よりは暦年でいっても落ちることは、これはだれしもそう言っております。 そういう状態でございますから、ますます外需対内需の比率というのが変わってくるということはこれは当然のことでありますが、幸いに今内需がいわゆる輸出産業を中心とするという形でなくして堅調な動きを示しておる、それから、まだ連休にどれだけ消費が出たかよくわかりませんけれども、いわば消費も徐々に拡大基調にあるということになれば、我が国の見通しも、五・七まではいかないにしても、当初の四・六でございますか、これはほどほどにいくんじゃないか、まだ始ったばかりでございますけれども、そんな気持ちがあるわけであります。 さて、それが今度は、例えば世界の六割弱でございますけれどもGNPを持つサミット参加国とでも申しましょうか、そういう先進国の中でどういう影響が出てくるかということになりますと、やっぱり私は、今いろいろな議論がされておるのには、ヨーロッパは西ドイツを除いては当初見込みよりは多少落ちるんじゃないかというようなことが言われておるようでございますけれども、それが予測しておった成長率をそう大幅に下回るということはないのではなかろうかというふうに考えます。 それで、私どもがいつでも議論して恐れておりますのは、かつての機関車論ということからする反省がございます。ここで財政が出動して、言ってみれば財政赤字を拡大することによって内需の進行というようなことを考えた場合にはなおのこと、——我が国の場合は短期的に対ドルという比較をしますと、アメリカとの今はまだ直近の分で四%弱の金利差があるわけでございますが、これは政治家の議論としてお聞きいただきたいのですが、三%台になったら資本移動というのはどういう理由かわからぬが、やっぱり為替レートに対するリスクというようなことも考えておるからでございましょうが、大体三%を切ったら落ちつくということがよく俗に言われる議論でございます。だから、直近の分が四%弱になっておりますので、短期的に一番作用するのはやっぱり彼我の金利差でございますが中期的にはいわゆるファンダメンタルズだと思うのでございます。そうすると、財政赤字というのはやっぱりファンダメンタルズの要素から言えば一番円の信認を落とす要因の一つでございますので、したがって私は、財政赤字を拡大した場合には今度は逆に円安の方向へ動くんじゃないかという意味においても、やっぱり今の場合はインフレなき持続的成長というものを維持していくための経済運営が一番正当ではないかというような感じがいたしております。二十一日に十カ国蔵相会議がございますので、これは通貨の問題だけ議論するわけじゃございませんが、飯も一緒に食いますので、私はそういう主張をしてみようというふうに思っておるところでございます。
○桑名義治君 世界の経済大国に日本はなった、こういうふうに言われているわけでございますが、現実に数字の上からはそれは一概に否定できないような状況になっております。そこで、海外の論調や要求、こういうものに一つ一つやはり対応をしていかなければならない、そういう責任と、日本が今後も自立していくためにはそういった方向づけというものが非常に重要になってきている、こう思います。 そこで、今後も長期的な展望を示していわゆる日本の進むべき道を内外に明らかにする必要があるのではないか、こういうふうに思います。そのような情勢の中で、財政当局としてもいわゆる場当たり的な財政運営だけではなくて、国民経済とのバランスのとれた財政運営方針というものを確立することによって、中長期的な展望から見た具体的な方針、こういうものを提案すべきではなかろうか、こういうふうにも思うわけでございますが、この点はどのようにお考えになられますか。
○国務大臣(竹下登君) これは一つには八〇年代後半における「展望と指針」というのが一応ございます。あのものが出て、その後ウィリアムズバーグ・サミット以来、大体先進国の志向するところがインフレなき持続的成長ということを志向しておって、そうしてさらには可能な限り、その六〇%弱のGNPを持つ先進国が、世界の七分の一の人口で六〇%持っているわけでございますから、できるだけ調和のとれた経済政策を行って、相互監視を行うことによって、可能な限り通貨の変動等ももたらさないでいこう、こういう方針が大筋として存在しておるわけであります。したがって、いわゆる八〇年代後半における「展望と指針」というのは経済運営全体の問題でございますが、その一部である財政というものを非常に固定的に見ることは難しいんじゃないか。しかし、志向するところは、あの「展望と指針」に基づいて、そして世界共通の課題になっておりますインフレなき持続的成長というもので方向を示しながらそこを歩んでいかなければならぬじゃないかなとい うふうに思います。 ただ、一つだけやっぱり気になりますのは、いずれは国民のコンセンサスが那辺にあるか議論しなければならぬ問題ですけれども、いわば財政の歳入の問題、すなわちそれは財政赤字の問題ということになるわけでありますが、どういう比率で見ても先進国のどこよりも高い比率にあるわけでございますから、それは結果としてはいいことではないというふうに私ども思います。ただ、徐々に、総理の言葉をかりますならば、長寿社会が訪れれば国民負担率というのは徐々には上がっていくには違いありませんけれども、今のヨーロッパと比較いたしましたときに、我が方が低いのか向こうが高過ぎるのかということになりますと、もう少し議論を詰めてみないと私はこの結論は容易には出し得ないんじゃないか、しかし、あんなに高くなってはいかぬということだけはやっぱり素朴な感じとして受けとめております。したがって、あの臨調の答申で、あのときはまだヨーロッパは五〇%行ってないときでございますけれども、ヨーロッパのそれよりはかなり低いところにと言って答申に書いてあるのも、やっぱりいいところを見ておられるんだなという感じがしないわけでもございません。 ただ、おっしゃいますように、徐々に国際関係というものも緊密な関係になってきますと、八〇年代後半の「展望と指針」というものが出ておるわけでございますから、それに沿って財政のあり方というのも毎年毎年少しずつは国民の皆さん方に浮き彫りにされるような努力は続けていかなければならない課題であろうというふうには見ておりますが、定量的な見通しを立てるというのは、やっぱり勉強してみればみるほど非常に難しい問題だということをしみじみと感じております。
○桑名義治君 また、この財務官の試算によりますと、ドルの独歩高による経常黒字分が二六・五%ということになるわけでございますが、我が国の政府は今までドル高の原因を米国の高金利に基づくいわゆる金利格差にある、こういうふうにしまして、米国の財政赤字の削減などを要求してきたわけであります。また、そういう見方をしてきたわけであります。現在、米国ではこういったことに関しまして、財政赤字幅の削減の努力、あるいは公定歩合、プライムレートの引き下げ、それから高金利の下方修正、こういう方向が生じているわけであります。 しかしながら、現在の円相場は一ドル二百五十円を前後して一向に是正をされないというような状況に入っているわけでございますが、当局といたしましては現在の為替レートはドルの独歩高にあるというふうに見ているのか、また、その要因はどこにあるというふうに分析をなさっておられるのか。それを伺うと同時に、現在の円安相場は米国の政策運営だけではもう修正ができない、こう見るべきではないかとも思うわけでございますが、こういった円安の問題に対しましてどういうふうな対応を考えておられるのか、この点を伺っておきたいと思います。
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、私どもは現在の為替相場の状況はやはりドルの独歩高であろうと思っております。と申しますのは、昨年来あるいはことしに入りましてからも主要国の通貨の相場を見てみますと、ドルに対して弱くなっておりますのは円だけではなく他の主要通貨、例えばドイツ・マルクであるとかイギリスのポンド、スイス・フランといったような主要通貨も、押しなべてドルに対して軟化をしておって、むしろこういったドル以外の通貨の中では円というのは相対的に強くなっておるという事実があるからでございます。 それではどうしてこのドルの独歩高が起こっておるかという点につきましては、これは今委員御指摘のとおりいろいろな要因があると思いますけれども、やはり最大の要因は、米国の相対的な高金利によって、ドルに対する世界的な需要が非常に強いということであろうかと思うわけでございます。先ほど大臣からもお話がございましたが、やはりこの金利差の問題というのは現実には非常に大きな要因のようでございます。確かに昨年来、米国の金利がだんだん下がってきておりまして、現在のところでは日米の長期金利の金利差は四%を割り込む水準にまでなっております。 ただ、これはやはりある程度以上の幅がございますとどうしても投資対象としては魅力があるということでございましょうから、なかなか金利が相対的に下がったからすぐにそれが相場に響くということでもなさそうでございます。現にドル高はことしの二月の下旬ごろ一つのピークになりましたのですが、それを大体境目にいたしまして、先ほど来お話に出ております米国経済の成長の鈍化とか、あるいは金利の格差の縮小というようなことを背景にいたしまして、ドル高の修正が徐々にではあるが進んでおるというのが実情であろうかと思います。 対策というものは何だという御質問でございましたが、このドル高の対策というのはいろいろあると思います。 米国側で行わなきゃならない面、それから他の諸国での行うべきこと、それから中長期の問題、短期の問題とあると思いますが、整理して申しますと、やはり一番の大きな要因というのは、米国サイドにおいて財政赤字の削減等を積極的に進めることによって早くこの金利を下げて金利差を減らしてもらうということが非常に大きいと思います。 それから、日本側で何かすべきことはないのかという点でございますが、私はあると思います。 まず、これも先ほどからお話が出ておりますけれども、何と申しましても為替市場において通貨間の相場を決定いたしますのはどの通貨がどれだけ魅力を持ってそれに対して需要が強いかということで決まるわけでございますから、円の場合、基本的に日本経済のファンダメンタルズの強さを保っていくということ、さらには、円という通貨が、持っていて非常に安心だし、また使って便利だという意味で、魅力のある国際通貨になるということも一つ大きな要素になると思います。 それから、短期的には、私どもかねてからも行っておりますけれども、為替市場が非常に短期的に変動が大き過ぎる、あるいはどう考えてみても行き過ぎだというような状況の場合には、いわゆる為替市場への介入ということも、それなりの限定的な効果でございましょうけれども効果があると思っております。過去においても、そういう考え方で相場を安定化するための介入を行ってきておりますし、またこれからも行っていく必要が当然あろうかというふうに考えておるわけでございます。
○桑名義治君 為替レートのいわゆる安定ということが、企業活動をする上におきましては非常に重要な要素であることは間違いないわけでございます。 そこで、今の御答弁でもございましたけれども、いわゆる為替相場の共同管理という考え方ですね。日米の関係から言いますと、アメリカにも大きな責任がある。一番大きな責任があるけれども、日本としてもなすべき事柄はある、そういうことでいろいろとおっしゃったわけでございますが、こういう為替相場の共同管理ということはこれは非常に重要なことだと思います。実際に現在の経済というものを眺めてみますと、経済のファンダメンタルズから乖離したいわゆる為替相場が形成をされている、こういうことに現在はなっているような気がしてならないわけでございます。例えば、金利の格差によりまして乱高下するといった事態が生じている。 そこで、今月の二十一日に東京で十カ国蔵相会議が開催をされることになっているわけでございます。大臣の御答弁の中にも先ほどからその問題が出ておりましたが、このときには当然、国際通貨制度の改革について討議がなされることだと思います。新聞の報道によりますと、フランスはターゲットゾーンを導入する、そういう抜本的ないわゆる通貨改革を提唱しているかのようにも報道されているわけでございます。大蔵省としては、ターゲットゾーン構想というのは非現実的である というように否定をなさっておられると思うんですが、このフランスの主張を退ける考えのようではございますけれども、その理由、それから今後の安定的な通貨制度のあり方等について基本的にどういうふうにお考えになっておられるのか、その点を伺っておきたいと思います。
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、フランスは、かねがねヨーロッパ共同体の中におきますEMSというものの経験を踏まえまして、世界的にもこの目標相場圏制度と申しますか、今委員のおっしゃいましたターゲットゾーンという考えを提唱しておると私どもも理解しておるわけでございますが、私ども率直に申しまして、現段階でこういう構想というものは現実的でもないし、また逆にマイナスの面が多いのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。 と申しますのは、まず基本といたしまして、現在の変動相場制というのが昭和四十八年以降既に十年以上続いておるわけでございますが、確かにその間の相場の変動というものによって貿易取引あるいは資本取引の面で非常に不都合があったという事実も否定できないと思います。ただ、反面やはりこの十年の世界経済の歴史を振り返ってみますと、オイルショックを初めといたしまして非常に大きな変動があったわけでございますけれども、この変動相場制というもののおかげで、世界経済がこういう非常に大きないわばショックに対して柔軟に対応できたという事実も、また否定できないのじゃないかなというふうに思っているわけでございます。したがって、現状でこれを、固定相場に近いような目標相場圏制度を含めましてというふうに直していくというのは、なかなか現実性はないんじゃないか。 と申しますのは、まずこういう制度をとろうといたしますと、スタートといたしまして、この目標相場圏なるものを関係国の間で決めなきゃならないわけでございますが、率直に申しまして、現状で、例えば米国と日本の間で、その望ましい円ドル相場の水準がこの辺かということを決めるというのは、これはなかなか容易なことではなかろうと思うわけでございます。 また、仮にそういうような合意ができたといたしましても、実際に日々経済が動いておりますと為替相場の中で相場が動きます。その実際の相場がこの相場圏の上限とか下限に張りついてしまうといったような事態が起こったときに、一体だれがどういうふうな責任の分担でこの相場圏を維持するのかというようなところまで話をしなきゃならないわけでございますから、これはなかなかもって容易ならざることではないか。逆に、こういう相場圏みたいなものを事前に明らかにいたしてしまいますと、かえって投機的な動きを誘発するおそれが生ずるかもしれないというような危険もあると思われまして、私ども、冒頭に申しましたように、どうもこの目標相場圏制度というのは現状ではなかなか実現も難しく、かつマイナスの面も多いのではないかなという意味で、消極的だということでございます。
○桑名義治君 いずれにしましても、今回の十カ国蔵相会議も日本が一つの大きな目玉になっていくと思われるわけでございますが、この蔵相会議の中で大体主なる議題というものがどういうふうなことになるだろうかということも非常に大きな関心事であるわけでございますが、この点はどういうふうにお考えになっておられますか。
○政府委員(行天豊雄君) 今回の十カ国蔵相会議は我が国の竹下蔵相が議長を務められるわけでございますが、最大のこの会議の目的と申しますのは、一昨年のウィリアムズバーグにおきますサミットで支持をされました国際通貨制度の改善についての勉強というのが、十カ国蔵相の代理のレベルで過去一年半以上にわたって行われておったわけでございます。この代理会議が勉強の結果をまとめました報告が初めてこの蔵相会議に提出をされまして、各国の蔵相にこれを御検討いただいて、蔵相会議としての一つのお考えをおまとめになるというのが今度の会議の一番大きな課題であるわけでございます。 どんなことが問題になるのかという御質問でございましたが、大ざっぱに申しますと、一つは、先ほどから御質問がございました相場制度、特に変動相場制度をどういうふうにしたら改善できるだろうかというような問題が一つあろうかと思います。 それからもう一つは、いわゆる国際流動性、国際経済の決済その他に使う流動性というものを今後どういうふうに管理していったらいいかという問題。 それから三番目に、これも非常に大事な話でございますけれども、主要国の間の経済のいわゆるパフォーマンスというものをどうやったらより調和のあるものにできるだろうか。そのために、サーべーランスという言葉がございます、これは国際的にお互いの経済政策をいわば検討し合うというようなことでございましょうが、このサーベーランスの問題について、今後これをどういうふうに考えるか。 それからまた、四番目には、現在世界経済、特に金融、通貨面で非常に大事な役割を果たしておりますIMF、国際通貨基金というものの今後の役割はどうか。 大ざっぱに申しますと、こういう四つぐらいの具体的なテーマが御議論の中心になるのではないかというふうに予想をしているわけでございます。
○桑名義治君 ちょっと観点を変えますが、政府は七月に、市場開放のアクションプログラムに続きまして緊急輸入など黒字減らし策を実施して、米国の要求に対してこたえよう、こういうことになっているわけでございますが、いろいろと新聞紙上で現在報道されている中では、なかなかこのアクションプログラムの作成がおくれている、こういうふうにも言われておりますし、また一部には、このアクションプログラムによってはそう実際の効果が生まれてこないんじゃないかというような事柄も報道をされているわけでございます。 そういった中で総理も躍起になってハッパをかけているというような記事がよく載っているわけでございますが、実際にこのアクションプログラムの効果がどのような結果をあらわすだろうかという見通しでございますが、これはどういうふうに見通されておるのか。あるいはまた、民間活力の導入によって対応するという方針も打ち出されているわけでございますが、それが確実に内需の拡大に結びつくという確信がおありなのかどうか、この点をどういうふうに大臣はお考えになっておられますか。
○国務大臣(竹下登君) これは後から、総務審議官が具体的に立ち会っておりますので補足してお答えした方がより親切ではなかろうかと思いますが、サミットで、いろんなことを言われますが、とにかく日本が集中砲火を浴びることはなかった。それは、私どもはしょっちゅう会ってもうお互いの経済情勢を認識し合っているから、だからそう新たに大きな中傷、非難というようなのが出るような環境にないということを一つは申しておりますが、もう一つは、やっぱり四月九日の対外経済対策というものが出た。それをECの代表は、ある国という表現をしておりましたが、大変評価をしておりました。したがって、それはアメリカのみならず全部が知っておることでございます。それをよく知っておってそして、この次アクションプログラムが出るんだな、そうするとそのことに期待をかけるからあるいは、非難という言葉は別として、批判の出方が少なかったかもしらぬということも、一面考えておかなきゃいかぬことだと私も現実にはそう思っております。 そこで、アクションプログラムをつくりますということになりますといろいろございますけれども、我が方——我が方と言っては非常に言い方が変でございますが、は、どうしても金融市場の問題になりますから、これは大体比較的順調に他の国から見れば進んでおるという評価を受けておると思うのでございます。ただ、その前にちょっと気になりましたのは、アメリカとの円・ドル委員会のフォローアップがありましてその後ちょうど 十カ国に入るという状態でありましたのが、向こうのアルゼンチン問題かなんかの都合で後になりましたので、その流れが、続きぐあいがちょっとうまくいかぬなという感じを持っておりますけれども、この金融市場の開放と申しますか、そうした問題は、アクションプログラムは従来から計画的なものを、これは何月何日、これは何年後とか、これはかなり先とかいうことで、この点は私は大方の理解と評価が得られるのじゃないかと思っておりますが、これはすぐまた必ずしも数字に出る性質のものじゃないというふうに思います。そうすると、あとはやっぱり目に見える物の問題になろうと思うのであります。この問題につきましては、これは先進国だけでなく、ASEANなんかもみんな関心を持っておるものでございますから、具体的に関税とその対象の品目と、こういうようなことに対する時期とかいうものの明示というようなことにまでなっていくのじゃなかろうかというふうな感じがいたしております。 それで、今桑名さんがおっしゃいましたように、躍起になってといいますか、総理も事あるごとに、これの作成が現実的なものとして評価されるようなものにならなきゃならぬということを言っておるわけであります。したがって、これに対しては今鋭意各省ごとに詰めておるところでございますが、さあ今度はその効果が定量的にどう出てくるかということになりますと、私はやっぱり、日本にアンフェアはないんだ、こういう印象を与えることが何よりも必要であって、その後効果が、よく言われますように百億ドル出るかとか、いや五十億ドル出るかとか、いろんなことがよく言われておりますけれども、その効果というのは結局やってみなきゃわからぬことじゃなかろうか、こういう感じを持っております。 総務審議官の方で他のことを若干承知しておりますので、正確にお答えをさすことにいたします。
○政府委員(北村恭二君) アクションプログラムをめぐります基本的な政府の考え方は今大臣から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、現在アクションプログラムの作成ということで各省努力中でございまして、このアクションプログラムの中には六項目の項目が含まれております。 一つが関税。これは鉱工業品であるとか、農林水産品の関税の見直しということでございます。それから、輸入制限の見直しということでございます。三番目に基準・認証、輸入プロセスということでございます。四番目が政府調達でございます。五番目が金融資本市場の問題でございます。それから、六番目にサービスでございます。 こういった問題は、いずれもいわゆる市場開放ということを通じて、我が国の広い意味での輸入の促進あるいは市場アクセスの改善ということにつながる問題でございまして、こういった問題を七月中にその骨格をつくるということで現在各省努力中でございますので、このそれぞれの項目についての具体的な項目によっていろいろ我が国の輸入動向ということにつきまして何がしかの効果があるということは当然考えられるわけでございますけれども、先ほど来申し上げたいろいろな項目につきまして、じゃ具体的にどの程度の輸入拡大効果あるいは黒字減らし効果といったものがあるのかということは、そういった全体の具体的な内容が固まるということでありませんともちろん申し上げられませんが、しかしさらに申し上げれば、やはりそういった措置、具体的な措置というものが仮に決まりました後でも、具体的に定量的にどういう効果があるのかということは恐らく推計することはなかなか難しい問題があろうかと思います。やはり今各国から求められておりますことは、市場アクセスの改善ということによって我が国がその面で非常な努力をしているということを理解していただくということと相まって、我が国の輸入が増加するということを期待するということにあるのではないかと思います。 それから、民間活力の問題で、やはりそれが内需拡大にどの程度の効果があるのかというお尋ねもございましたけれども、これも御存じのとおり、現在いわゆる民間活力の活用ということでいろいろな措置が講ぜられております。特に現在、規制緩和ということがかなり大きな問題として取り上げられておりまして、行革審でもその具体的な方向について現在検討を行っているところでございまして、いずれ近く、そういった行革審の考え方もまとめられるだろうと思います。これも、しからばそういった規制緩和でどの程度の内需拡大効果があるのかということにつきまして、これもまた当然のことながら定量的に申し上げるわけにはいきませんけれども、しかし我が国がこれからインフレなき持続的な成長ということを続けてまいりますための基本的な基礎条件として、そういったいろいろな諸規制について思い切った見直しが行われるということはやはり大きな効果があるのではないかというふうに考えているところでございます。
○桑名義治君 大臣の先ほどの御答弁の中にもございましたように、今回のサミットでは日本は集中砲火を浴びるのではないか、こういうふうな心配もされたし、そういうふうにも世上言われておったけれども、そういうことはなかった。それは七月に発表されるいわゆるアクションプログラム、これに期待するところが非常に大きかったからではないかという意味の御答弁があったわけです。それだけに、アメリカを初めとする諸国は大変な注目を浴びせているわけでございまして、もしこのアクションプログラムの発表の中身によっては、再び前以上のいわゆる集中砲火を浴びるおそれがなきにしもあらずというようにも考えられるわけでございます。 これは今から先のことでございますので、計量的に数量的にどの程度の効果があるかということはなかなかこれは算定としては難しい問題であるとは思いますけれども、しかし相当思い切ったやはりアクションプログラムを発表しなければ大変な事態になるのではないかという、こういう危惧を持つものでございます。そういった立場から、ひとつ大臣、このアクションプログラムの作成についての御見解をもう一度伺っておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 先ほど申しましたように、少し話が長くなるかもしれませんが、関税の問題が一つございます。 関税の問題、これは桑名さん御案内のように、毎年十二月関税審議会、それで翌年の四月から適用する、途中からというのはないわけでございます。したがってこの問題は、結局これはどこの国も、来年からだなという理解は示してくれるだろうというふうに思っておりますが、それこそ定量的なものになるのはまさに来年以降。その中の問題として一つございますのは、ある程度関税率に幅を持たせておいて弾力的にやる方法はないか。しかし、これはやっぱり租税法律主義の建前からいうと、その許容の範囲を政令にゆだねるというようなのは恐らくなじまないのではないか。 そうしますと、この問題は、具体的に出てくるのはまず姿勢が大事でございまして、実際は来年の四月以降から動き出すことになるのではないか。いささかこれは私見の観測も交えてで申しわけないと思いますけれども、政治家の論議として。 それからもう一つは、原則自由、例外制限というのがその頭へ大きくかぶっておるわけでございますけれども、今度はいわゆる制限品目の問題になりますと、これは恐らく国内対策の問題とかいうような問題も出てくるであろうというふうに思いますが、これにつきましても鉱工業製品みたいにこっちの競争力の十分あるものは別といたしまして、そうでないものについてもやはり可能な限り目に見えるものといいますか、聞いてわかるものが出なきゃならぬじゃないかな、こんな感じを持っておるところであります。 それから、その次の問題が基準・認証でございますが、これがいつも議論されますのは、要するに、見てみると結構そうアンフェアじゃない。ところが、どだい手続が面倒くさかったり、そうしてまた厳しかったりとでも申しましょうか、そう いう批判をよく受けます。これは、中曽根総理のこれも言葉をかりますならば、律令国家であるのでとにかく不完全品が入ったら、それはその輸入した商社が訴えられるのじゃなく、そういう基準を許した政府が悪いのだということを、日本は長い伝統の中でそういう習慣があるので、それは相手にも理解させなきゃいけないことだというふうに思いますが、私は、国民全体の安全を考えた場合にそういう制限があってもいい場合もあるわけでございますが、しかしそういう国の成り立ちというものは十分理解させながら、この問題につきましては可能な限り何遍も縛りをかけるようなことをしないように。流れとして言いますと、大蔵省のいわば税関が主体として、スピードも上がってきたし、いろいろな各省関係の基準・認証も税関が主体として扱うような方向で努力しなさい、こういうふうな流れになっておるところでございます。 その次は、いわゆる政府調達の問題でございますが、これは山口労働大臣はキャデラックを買ったそうでございますけれども、そういう単品は別といたしまして、いろいろ購入すべきものがあって、これはある程度相互の理解がだんだん進んでおるというような感じでございます。我が省には余り直接のものはございませんでした。 〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕 金融は先ほども申し上げたとおりでございます。それから、サービスの問題ということになりますと、弁護士さんはどうするかとかいろんな問題がありますので、これは私ちょっと評論をする能力に欠けておりますけれども、これはそれぞれ国でいろいろ事情の相違があるでございましょうけれども、だんだん話し合っていけばいろんな点で解決されていくことがあるのじゃなかろうか。ただ、対アメリカの場合の弁護士さんというと、向こうは五十万人おるそうでございましてこっちは一万五千人でございますから、それはなかなかそう対等ということができるのかなというような気がせぬでもございませんけれども、国柄の相違等がいろいろある。 六項目に分けますとそんなようなことで、これから今度は物と関税率というようなことになりますと、それぞれの省でだんだん詰めていかれる問題で、今一生懸命詰めていらっしゃるというのが現状であるというふうに承っておるところでございます。
○桑名義治君 先ほどの答弁の中で、内需拡大の問題の一つとして、いわゆる規制緩和の問題が出てきたわけでございます。 規制緩和の対象となるのは許認可事項。その中で、いわゆる環境保全、健康、安全あるいはまた消費者保護、こういった社会的には規制も必要とされているものもたくさんあるわけでございまして、それを緩めれば国民生活に対するマイナス効果の面も出てくるおそれがあるのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。そのような処置は業界の利益を促進するという意味ではそういう効果は出るかもしれません。しかし、一面、国民生活の破壊をもたらすような大変なそういうおそれがあるわけでございますが、こういった保全についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(竹下登君) 後から北村審議官からお話しすると思いますが、例えば規制緩和で絶対緩和できないのは、排ガス規制なんというのは、国土が狭うございますし、これは絶対できない問題があると思っております。そういうのは絶対できないことでございますし、相手も理解することでございます。外車を入れるときに、いつでも直してから輸入するわけでございますから、これらの問題には保障とかいう問題はつきまとわないだろうというふうに思っておりますが、その他の問題につきましては、公害、そういうものはもちろんでございます。——ちょっと数字は忘れましたけれども、後藤田さんのところで対象にしているのが僕は今九十じゃなかったかと思いますが、たくさんあるわけです。 それを今一つ一つつぶして、断固として残さなきゃならぬもの、そういうことを整理しておるというふうに承っております。 感じとして申しますと、例えば同じ電話機なら電話機でも、フェアに競争させてくれりゃ負けたのは仕方がないというような意識も非常に強い。だが我が方は、どっちかといえば、そんな負けるようなものを入れて国民に迷惑をかけるより初めから入れない方がいい、こんな思想があるということが言えます。——失礼しました。九十じゃございません、六十本だそうでございます。
○政府委員(北村恭二君) 規制緩和について、反面、今国民の健康とか安全とか環境破壊とかあるいは消費者とか、いろいろな広い面での考慮あるいは考察というものが必要じゃないかというお尋ねでございます。 申すまでもなく、公的規制というのは、そのときの社会経済情勢等の変化に対応いたしまして、常に見直しを行っていくことが必要だと思います。ですから、民間活力を導入するという観点からの規制緩和ということになりますと、やはり広い角度から何かそういう活動が阻害されている面がないかというようなことを見ることになろうかと思います。 ただ、御指摘のように、今申し上げたような国民の健康とか安全とかあるいは環境といったようなことと重大な関係があるわけでございますので、当然、規制緩和ということを検討いたします場合には、そういったこととの関連というのは十分考えて、その規制のあり方ということについて御議論されるものと思います。直接には行革審で現在幾つかの項目について規制緩和の問題が取り上げられておりますけれども、そういった広い観点からそれが取り扱われているというふうに私どもは承知しておるところでございます。
○桑名義治君 次に、内需拡大の一つとして、建設省といたしましては、住宅減税について検討を行っている、そういうことだそうでございまして、新聞の報道によりますと、いろいろとそういった事柄が報道されているわけでございます。 我が党もたびたび前々から主張しておりますが、内需拡大の方策としてこういったいわゆる住宅建設というものは非常に大きなすその広い効果を示すということで主張を続けてきたわけでございますが、建設省としてもこの問題は、既に量から質の時代に入っている。まだまだそういう意味では潜在需要というものは多い、こういうふうに言われているわけなんであります。 また他面、外国からもよく指摘をされる問題でございますが、あれだけの高度成長をやりながら、あれだけの経済大国になりながら、日本の住宅事情というものは全くお粗末である。そこらに、住宅建設というところに目を向けて内需の拡大をすべきであろう、こういうような声がたびたび入ってくるわけでございます。 そこで、現在の住宅取得税額控除制度を拡充するとか、さらに新たに住宅ローン金利の所得控除制度あるいは減価償却制度、こういうものを導入するとか、そういった考えは現在のところないのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 住宅関連の税制の問題でございますが、ただいま委員がお触れになりました建設省のいろいろな御構想というものは、私どもまだ正式にお話し合いなり建設省のお考えを伺っている段階ではございませんので、その問題はさておきまして、現在の住宅取得控除は、五十八年の改正で、実はそれまでにございました住宅取得控除の制度を、いわば住宅ローン控除の税額控除に実は順化したわけでございまして、私どもの立場からいたしますと、現在の財政事情の中では相当思い切った措置を講じさせていただいた。最高限度額が、今十五万円に引き上がっておるわけでございますけれども、十五万円と申しますのは、例えば標準四人世帯の給与所得者で年収四百二十数万円ぐらいの方の、つまり平均的なサラリーマンの一年に納めていただく所得税額ぐらいに該当するわけでございます。 これは、外国では、今委員がお触れになりましたように、我が国のように税額控除のシステムを とっているところもございますし、アメリカのように所得控除、それからドイツのように減価償却、いろいろ沿革的にそれぞれの国のやり方があるわけでございますけれども、現段階における私どもの考え方といたしましては、現在の税額控除はかなり思い切った措置をとらせていただいたと考えておりますので、いましばらくこの効果を見るべきであろう、したがいまして、これから後、今委員がおっしゃいましたような方向で具体的に検討するというふうな段階にはまだ来ておらないわけでございます。
○桑名義治君 そこで、もう一つの側面といたしまして、現在、臨時行政改革推進審議会の国有地有効活用問題分科会、ここで問題を検討中であるというふうに言われているいわゆる土地信託制度の導入でございますが、マスコミの報道によりますと、そういう意向が大体固まったというような事柄が報道をされているわけでございます。大蔵省といたしましてもこの問題は研究をしておられることだ、こういうように思うわけでございますが、この問題につきましては、過日の、六十年三月十八日の参議院予算委員会では、内閣法制局の答弁で、現行法上は難しいのではないか、こういう答弁が一応出ているわけでございます。そういうふうに考えますと、今後法整備を行うに当たって、現時点での検討をしなければならない問題点を明らかにしていただきたい、こう思います。 また、行革審で導入すべしとの答申が出た場合、速やかに法改正を行う意図があるかどうか、この点もあわせて伺っておきたいと思います。
○政府委員(中田一男君) 土地信託の問題につきましては、比較的最近になって広まってきた制度でございまして、民間ベースで五十九年の三月に第一号の信託契約ができてまだ一年半もたっておらないんですが、恐らくもう百件近くの契約ができたのではないかということで、広がってきております。これは、民間の個人の土地所有者の場合などは、やはり管理の能力が十分でないとか、あるいは信用力が十分でないとかいうことがありまして、信託に出すことにかなりいろんなメリットがあるということから、そういうふうになってきておるのだと思われます。 一方、じゃ国有地を信託に付するという問題については、ただいま御指摘のありましたように、現行の国有財産法は国有地の処分の態様をいろいろ書いてございますけれども、その態様の中に信託ということを頭に置いて書いているわけではない、つまり予定していないということでございますので、したがって、実際に国有地を信託に出した場合、所有権は信託銀行の方に移転するわけですが、その上に仮に建物を建てるとなると、信託銀行がお金を借りてきて建物を建てる、資産と負債が両方できるわけですけれども、果たしてこれは一体国の資産、負債なのか、あるいは全く別の人格の資産、負債であるのかというようなことも詰めてみなきゃいかぬだろうと思います。また、信託がうまくいきますればもちろん報酬もありますし、契約が終了して返ってくるときには問題がないわけですけれども、余りうまくいきませんと、契約終了のときにまだ借金が残っているとか赤字になっているとかいうことであれば、一体それはどういうふうに引き継げばいいのかという問題も出てくるのではなかろうかと予測されますので、何分にも初めての問題ですから、一体どういう角度で法的な整備というものを図っていったらいいのか非常に難しい問題だと思っております。 ただ、私どもは、法的な整備という難しい問題もありますが、もう一つは、国の場合、国有地を信託に出すことでメリットが得られるというのは一体どんな場合だろうかという実態上の問題もございます。国は相当程度例えば土地の管理能力なんかは有しておるわけでございますし、目的を持って土地を使用しておるわけでございます。また、不用な土地はむしろ売却するというような処分をしております。それらに比較して信託に出した方がメリットがあるのだというような具体的なケースがあるだろうかということも、あわせて勉強しております。 したがいまして、現時点では我々は、こういった国有地の信託の問題について法制上どういった整備が必要なのか、また、仮に法律上可能だというふうにいたしましたとしても、実際に国有地を信託に出すときにどんなメリットがあるのだろうか、具体的なメリットのあるケースがあるのだろうかどうだろうか、こういう点もあわせて検討しておるところでございます。
○桑名義治君 土地信託の問題につきましては、これは大変に総理が御執心のようでございました。今後この土地信託においてでも内需の拡大を図っていきたい、こういう総理の御意思のようでございますが、大臣、この問題は大臣としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(竹下登君) 実は私、大変本当は興味を持ちまして、少し自分なりの考えが走り過ぎたというようなある種の反省をするぐらい最初は興味を持ちました。と申しますのは、べらぼうに周囲の地価を押し上げるような売却にはまたいろいろ批判がございます。 〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕 したがって、土地信託というものがいいんじゃないかなという大変な興味を持ちまして、それで早速その勉強をいたしましたら、今中田次長が申しますいろんな問題もございますし、法律は確かに信託というものは全く予想しないままにつくった法律でございますから、これは改正しなきゃならぬと思っておりますが、恐らく関係方面でも今中田次長が説明しましたようなものをも考えながら検討に入っていただいておると思っております。 私のような慌て者のように飛びつくわけにもまいりませんけれども、非常に興味を持って検討をすべき課題だというふうに私も考えております。
○桑名義治君 次に、短期借換国債の問題について少しお尋ねをしておきたいと思います。 短期借換国債の発行は、他の短期金融市場の整備拡大に、一段と進展に拍車をかけていくであろう、こう思われるわけでございます。その中で、大口資金にかかわる金利裁定を一層活発化させることが予想をされるわけでございます。自由金利市場への資金シフトを防ぐ見地からも、大口の預金金利の自由化は喫緊の課題であろう、こう思います。CDの発行条件の弾力化、MMCの導入等の措置を現在推し進めておられるようではございますが、今後の具体的な方針を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(吉田正輝君) 委員御指摘のとおり、最近六月五日にいただきました金融制度調査会の答申におきましても、大口預金金利の自由化は喫緊の課題であるという指摘をしておりますので、行政としても、この答申を踏まえまして、既にかなり進展しておりますけれども、今後さらにこれを推し進めてまいりたいというふうに考えております。かつ、御指摘のとおり短期国債発行の機運も出てまいりましたから、それが大口金利市場の裁定をさらに高めること、あるいは短期金融市場の厚みをふやすということになりますから、ある意味ではその環境整備にもなるということでございましょう。そこで、ただいま私ども三月にはMMC、いわゆる市場連動型預金を導入いたしましたし、CDの発行条件の一層の緩和などを行っておりまして、ただいま、今後の実施の目安になるようなものの作成を含めて検討することといたしております。 今後なるべく展望を示していくことが金融機関の経営計画の策定などにも役に立つ、あるいは日本の開放体制を示すのにも役に立つというふうに考えて、今申しましたとおり今後実施の目安のようなものの作成を含めて検討しておるわけでございますけれども、現在その具体的な方法、実施時期についてはまだお答えできる段階でないということで御理解いただきたいと思っております。
○桑名義治君 そこで、短期国債のいわゆる発行方式、これは割引債にするのか利付債にするのか、あるいは最低発行単位、これはMMC並みになるのかどうか、それから償還期間、これがどういうふうになるのか、その具体的な商品化をどうするのかという問題が残るわけですが、この問題 もあわせてお聞きしておきたいと思いますが、割引債方式に対しましては、銀行業界から節税商品になり大口定期預金がシフトする、また長期信用銀行の割引金融債と競合する、そういうことから不満が出ているようでもございますし、一方、利付債にしますと、償還期間が短いために利払い事務に手間がかかるなどの難点がある、こういうふうに言われて、お互いに問題があるわけでございますが、こういった問題がある中で今後どのように詰めていく予定なのか、伺っておきたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) この問題につきましては、法案が成立いたしましたならば、関係者と細目について詰めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございますが、今いろいろ先生御指摘のような問題点が多々ございます。 まず、発行量とか、発行時期の問題があるわけでございますが、この問題はやはり私どもといたしましては、この商品は、金融動向を見きわめる必要があるわけでございますが、我々にとりまして有利と認められるようなときに臨機に発行していくべきものでございますので、そういう意味におきましては、発行量とか、発行時期をあらかじめ想定することは困難ではなかろうかと思うわけでございます。 また、発行金利につきましては、一応この短期国債は財政法五条の歳入国債の延長線上で考えておりまして、いわゆる今やっております中期国債の公募入札の延長線に考えられるわけでございますので、仮に公募入札で発行いたしますれば、それは当然金利自体は市場実勢を反映いたしました自由金利になるということでございます。 それから、今御指摘の債券形式といいますか、方式でございますが、利付債にするのか割引債にするのかという点につきましては、それぞれ証券界、金融界、あるいは金融界の中でも業態別に、いろいろ今先生御指摘のとおりのようなことが言われておるわけでございます。ただ、この問題につきましてどういう結論を出すかという点につきましては、やはり今後の検討の過程で投資家層のニーズがどの辺にあるのかという点を考えなければいけませんし、また課税の問題がございまして、利付債にした場合と、割引債にした場合との税体系の問題がございまして、課税の公平であるとか、あるいは他の金融商品との税体系上の整合性というふうなことも考慮していただかなくちゃいけないわけでございます。そういうこともございまして、この点につきましては、総合的な判断が必要ではなかろうかと思っております。 それから、最低券面を幾らにするのかという点でございますが、これは先ほど申し上げましたように、自由金利商品としての性格を持つことになると思われますので、やはり今ございます預貯金金利等、既存の規制金利商品から急激な資金シフトを招くようなことがあってはなりません。したがいまして、そういう意味におきましては、余り小口にするわけにもいかぬだろう、別途、民間が扱っております自由金利商品でございますCDとかMMC等があるわけでございますので、こういう商品が金融自由化の進展状況の中でどういう単位で発行されていくのかというふうな状況も見きわめながら考えていく必要があるのではなかろうか、こう思っております。 また、償還期間につきましては、これもいろいろあるわけでございますが、一番問題なのは、当該短期国債を発行いたしまして、それを償還する時期、そのときにおきます他の中長期国債の満期到来がどうなるのかという点、いわゆる中長期国債の満期到来と、新しく発行します短期の国債の満期が到来する時期とが重なってしまいますと、また市場に混乱を起こすというようなこともございますので、この辺も十分考えながら設定していく必要があるわけでございますが、この期間につきましては、現在CD等の期間も、ある一定の範囲の期間の中で、民間金融機関の自由に任されているというふうな点もあるわけでございます。やはり私どもといたしましては、市場のニーズにこたえて最も有利に発行し得る期間を選択する必要があるのではないかと考えておるわけでございます。 いずれにいたしましても、今御指摘のように、現在あります既存の金融商品に余り悪影響を与えてはいけません。また、金融市場全体への影響、あるいは資金の流れを急激に変えてしまうというようなことがあってもなりませんので、この辺につきましては、いろいろ気配り、目配りをいたしまして、関係各方面とも十分連絡をとりながら、総合的な判断のもとに商品設計をしてまいりたい、こう考えております。
○桑名義治君 さらに、今後国内における金融の自由化が進んでまいりますと、金融機関のいわゆる同質化、それから業態間の垣根の低下、このようなことによりまして同種あるいは異種金融機関の競争激化、あるいはまた格差拡大が進むことが予想をされるわけでございます。 そのような状態の中で、金融機関の中には、金融環境の変化に乗り切れないものが出てくることもこれは予想しておかなければならないわけでございますが、一方では金融の国際化進展がそれに拍車をかける、信用秩序維持の問題もまた重要な課題であると思われるわけであります。 その際、最も重要なことは、個別金融機関の自己責任原則の徹底であり、預金者保護を第一とした健全経営の維持、サウンドバンキングの確立が基本であることは言うまでもないと考えますが、この問題につきまして大蔵省としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
○政府委員(吉田正輝君) まず第一に、自由化自体は私ども、金融のみならず、国民経済の効率化ということで一つの大きな課題であり、国際社会に対する任務であるというふうに存じておりますが、御指摘のとおり、この自由化につきましては、経営格差の拡大あるいは競争の激化、あるいは同種、異種間の競争の激化という、御指摘の点があるわけでございます。かつ、そういう自由化の中で競争が激化いたしますと、あらゆるリスク、貸し倒れリスクとか金利リスク、流動性リスク、あるいは国際化の方では為替リスクなども出てくるわけで、諸種の面で金融の経営環境が厳しくなるという認識をもっておるわけでございます。 そこで、先般、六月五日にちょうだいいたしました金融制度調査会の御答申におきましても、その自由化を進めながら、この競争が激化していることでございますので、信用秩序の維持、預金者保護ということにつきまして、最大の課題として御提言をいただいているわけでございます。 それは、第一には、今まさに委員が御指摘になりましたとおり、個々の金融機関の自己責任ということでございますけれども、従来以上に健全経営に徹していくということが必要でありまして、私どももその点を今後も金融機関にさらに強く求めていく所存でございますし、第二に、行政当局といたしましても、自己資本など各種の経営諸比率の指導等につきまして、金融機関の健全性確保を図るための措置を講じていく所存でございます。 これに加えまして、仮にこの競争の拡大、あるいは諸リスクの拡大等を背景にいたしまして、経営の誤りにより経営破綻に結びつく可能性も増大してくるわけでございますので、個別の金融機関の経営破綻が生じた場合には、預金保険制度の活用というようなことが最終的には予定されますけれども、相互援助を含めた金融機関の自主救済努力、あるいは行政当局、中央銀行等の協力、それから最終的には預金保険機構等の活用等、諸般の施策を講じまして、信用秩序の維持に万全を期する必要があるというふうに考えておるわけでございます。
○桑名義治君 それと同時に、今回の調査会の答申によりますと、金融機関の自己資本充実のため、実効性のある経営諸比率の基準等をつくり、行政指導を強化し、金融機関の体質強化を図ることを答申しているわけでございますが、この答申を受けてどのように対応しようというふうにお考えになられておりますか。
○政府委員(吉田正輝君) 先ほど申しましたよう に、金融自由化の進展で、金融機関をめぐるリスクが各種の形で増大することが予想されるわけでございますから、金融機関がこうしたリスクをみずからの責任において負担する能力を高めまして預金者保護を図るという観点からも、自己資本の充実の必要性が従来以上に高まっているという認識のもとに、自己資本比率の指導基準を考えてまいりたいと思うわけでございます。 しかしながら、現在既に、昭和二十九年でございますけれども、自己資本比率にかかる指導があるわけでございますけれども、この指導基準につきましては、第一に算定基準という点での問題があるわけでございます。つまり、自己資本を預金プラスCDに対する支払い原資としてとらえた算定基準となっているわけでございますけれども、その場合に、ただいまの金融機関の原資というのは預金とCDだけではございませんで、短期金融市場からの調達という部面が非常に強まっているわけでございます。コール、手形はもちろん申すまでもございませんけれども、外貨預金、現先等々でございます。そういう短期金融市場からの資金調達の問題がこの算定基準を考えますときに入っておりませんので、こういう資金調達の実態、短期金融市場へのウエートが高まっているというような資金調達の実態に適合した算定基準を定める必要がある。 第二に、このレベルの問題でございますけれども、自己資本比率の目標水準も昭和二十九年の指導基準では一〇%ということになっておりますけれども、現在の金融機関の実態と格段にかけ離れているところで設定されておるわけでございます。 こうした反省、あるいはこうした観点を踏まえまして、「自己資本を、資産面に損失が生じた場合の負債全体に対する当該金融機関の最終的な支払原資としてとらえること」、つまり、例えば貸し倒れなどによりまして損失が生じた場合、そういうような負債全体に対してその金融機関が最終的に支払う準備資産としてとらえることを明らかにした指標になることが必要であるということでございますので、今申し上げましたレベルの点におきましても大分かけ離れておりますので、レベル、算定基準等を改定いたしまして、金融機関に対して適切な指導を行っていく必要があるということでございます。こういうことにつきましても、金融制度調査会も御答申をいただいておるわけでございますので、私どもはこの答申を踏まえまして、自己資本比率指導が有効に機能するようにその指導のあり方について今後検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○桑名義治君 もう時間が余りないようになってしまいましたが、多数の銀行の倒産が仮に頻発するということになりますと、信用秩序に大きな動揺が起こるわけでございますが、そういうことは絶対にあってはならない、こういうふうに考えます。 それで、今度の金融制度調査会の答申の中にも言われておりますように、預金保険機構制度の拡充と、また保険限度額を三百万円から一千万円に、それから保険料率を十万分の八から十万分の十二に引き上げる、それから預金保険機構の日銀よりの借り入れ限度を五百億から五千億に引き上げる。で、信用維持策の充実は安定的な金融システムの確保のために当然とられるべき措置であろうとは考えますが、今後の具体的な方策の手順について伺っておきたいと思います。 ところが、一方で、預金保険制度や中央銀行によるバックアップということが常に事前に保証されているということになりますと、銀行の経営業務が甘くなる、こういった問題が起こるわけでございます。午前中の質疑の平和相互銀行の問題等は、こういった問題を惹起した銀行の一つの事例ではなかろうか、こういうふうにも思うわけでございますが、こういった問題に対しまして政府の具体的な対応を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(吉田正輝君) 預金保険機構制度の拡充について今後どのように進めていくかということでございますが、私ども、先ほど申し上げましたとおり、自由化の環境整備ということで、預金保険機構の制度の拡充については、なるべく早く行わせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。 それで、御指摘のとおり幾つかの、金融制度調査会も、限度額、保険料率あるいは日銀借り入れ限度額等々についての御提言がございましたわけでございますけれども、わけてもその中では、預金保険機構の機能の多様化あるいは拡充という点につきましてはこれは法律事項でございます。その他の点につきましては政令事項あるいは大蔵大臣認可事項でございますけれども、やはり預金保険機構の機能の拡充という点では預金保険法の改正をいずれはお願いしなければならないと思っておりますが、これは次期以降の通常国会に提出できるよう私どもとしても準備を進めまして、御審議をお願いしたいというふうに考えているわけでございます。 それから、このようないわば預金者保護の救済ネット網が完成されてくれば、かえって銀行の態度が甘くなるのではないかという御質問でございます。この点は私どもも全く否定するものではございませんし、米国などでもその可否について議論がなされて、金融機関が安易な経営態度に陥るのではないかというようなことでございます。しかし、今後金融の自由化に伴いまして金融機関経営者には一層の自己責任が求められるということに加えまして、私どもといたしましては、金融機関の経営救済と預金者保護とはあくまでも区別すべき問題でございます。必ずしも金融機関が救済されるわけではなくて、預金保険制度が発動される場合も預金者保護ということに重点が移るわけでございますし、金融機関が仮に万一のことというようなことがありますと、依然経営者に対しては経営の責任というものが残るということでございます。私どもといたしましては、あくまでも経営者にはまず自己責任原則に基づく自己の金融機関の健全性の確保という自覚を高めていくようにお願いし、かつ指導してまいる所存でございますけれども、全体といたしましてはそういう自覚のもとに、しかしながら万一の場合には信用秩序が守れるようにしていくというふうに考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 前回私が、公共事業や公的資金が大企業の利益のために利用されておるんじゃないか、こういうことを大川端の問題で具体的に指摘いたしましたらば、竹下さんが、それは短絡的な考えだというところで時間切れになったわけであります。短絡的かどうかということを抽象的に議論しても仕方がないので、私はきょうは、産投特別会計の問題に焦点を合わせて、具体的な問題ということで議論をしたいと思うんです。 まず、資源エネルギー庁は見えていますね。金属鉱業事業団に対する産役出資の昭和五十九年、六十年度幾らになっていますか。 また、大蔵省にお伺いしますが、現在の開銀、輸銀に対する産役の出資金残高は幾らになっていますか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(林暉君) 御説明いたします。 金属鉱業事業団に対する産投出資の実績、五十九年度の出資実績は二億円、六十年度予算額四億円でございます。
○政府委員(宮本保孝君) 産投会計の開銀及び輸銀に対する出資額でございますが、五十九年三月末現在で開銀二千三百三十九億七千百万円、輸銀九千六百七十三億円でございます。
○近藤忠孝君 それから、資源エネルギー庁にまたお伺いしますが、日本企業が関連する海外ウラン資源探鉱開発関連企業にはどんな企業があるか。それからもう一つは、金属鉱業事業団の海外ウラン探鉱開発融資はどんな内容のもので、現在までの融資実績は幾らであるか、また、そのうち償還済み額が幾らで、融資額の何%ぐらいになっていますか。
○説明員(片山登喜男君) お答えいたします。 日本企業で海外のウラン探鉱を行っております会社としましては、海外ウラン資源開発株式会 社、日豪ウラン資源株式会社、国際資源株式会社、出光豪州ウラン株式会社、出光カナダウラン株式会社等の企業がございます。
○説明員(林暉君) 昭和四十五年から五十九年度までの累計融資実績でございますが、三十三億三千七百万円でございます。同じ期間の償還済み額は九千六百万円でございます。比率は約二・九%になっております。
○近藤忠孝君 石油などの探鉱開発と並んで、ウラン鉱の探鉱開発に対して、これは成功払い融資のようなものですね、こういう特別有利な巨額融資ができるということは、これはやっぱり大臣、産業投資特別会計から年々巨額の出資金が投入されている、そういうおかげではないか。これは明らかだと思うんですね。 そこでさらにお伺いしますが、これは科学技術庁になると思います。動燃事業団の海外調査探鉱予算は毎年大体五十億から六十億に上ると聞いています。これまでの総投入予算額、累計で幾らか。これは一般会計だと思いますね、原資は。そのことをお答えいただきたい。 それから、時間がないからまとめて聞きますが、大蔵省、同様に日本輸出入銀行のウラン鉱開発融資は、これまでの融資実績のトータルで幾らで、うち返済額、成功例はどうなっているか。 経企庁、海外経済協力基金の、日本企業が関係するウラン開発への融資承諾額がこれまでのトータルで幾らになるのか、そのうち返済額、そして成功例はどれだけか。融資の原資、これは財投か一般会計か。そしてこれまでの累計、幾らぐらいになっているのか。
○説明員(石田寛人君) 動燃事業団の海外ウラン調査探鉱に対します昭和六十年度までの累積予算額は、約四百六十億円でございます。
○政府委員(行天豊雄君) 輸出入銀行のウラン鉱開発に対する融資でございますが、二件ございまして、一つは西アフリカのニジェールにございますアクータ鉱山というのでございますが、これに対しまして五十九年度までに約百二十一億円の融資が行われまして、そのうち既に九十五億円が回収されております。 それからもう一つは、これは北オーストラリアのレンジャー鉱山に対する融資でございますけれども、同じように貸し付けが五十九年度までで三百二十二億円、うち既に百八億円が返済をされておりまして、この二件はいずれも既に生産が開始されておりまして、ともに成功をしておる例というふうに申し上げてよろしいかと思っております。
○説明員(小川修司君) お答えいたします。 海外経済協力基金のウラン開発関係の融資でございますが、これまでの承諾累計額は百十二億二千九百万円ということになっておりまして、そのうちこれまで返済の累計額は二十六億一千二百万円ということでございます。 開発の成功事例というお尋ねでございますが、ニジェールのアクータ鉱区の探鉱に対しまして融資をいたしておりまして、それが開発、生産の段階に達したという意味で、これが成功例というふうに考えております。 それから、海外経済協力基金の原資でございますけれども、これは基金全体といたしまして一般会計の出資と資金運用部の財政投融資の借入金を合成してやっておりますので、この案件についてその原資がどうなっているということではございません。一般的に両方、一般会計の出資と財投と両方になっているということでございます。 なお、一般会計からの出資金、したがいまして基金全体に対する出資金の累計額ということになりますが、これはことしの六月十日現在で一兆五千三百三十二億円ということになっております。 以上お答えいたします。
○近藤忠孝君 大分数字が出ましたけれども、頭脳明断な大蔵大臣だから全部頭に入ったと思ってそれでお伺いするんですが、今ずっとお聞きになっていただいて、金属鉱業事業団それから輸銀などのウラン探鉱開発融資は、産投特会からの出資金投入で、結局大企業に対してやっぱり格段に有利な融資が行われ、しかも成功払いの場合は、ウラン鉱を発見し商業化できなければ返済も免除されるという、こういう状況なんですね。 それから海外経済協力基金も、直接借款、一般案件合わせてこれは七千二百億、そのうち一般会計出資金が一千六百九十億、財投が四千二百十七億などが原資になって、だからこういう融資が可能になるんだと思います。 動燃事業団は、これは国の特殊法人ですから一般会計から直接予算が交付される。もともとこれは返済の必要のない資金です。 これまでこの四つの機関から合わせて一千億程度の巨額の資金が投入されているんですが、幾つか成功例もありますけれども、そのほとんどがウラン鉱の発見、さらには事業化には至っていない、こういう状況ですね。一千億のうちの相当部分が使い捨てだと言われても仕方がないのではないか。大企業のリスクの大きい部分を受け持っているわけです。結局これは、この財政危機の今日、大変巨大な、ある意味では壮大なむだと言えるんじゃないか。こういう点についてもきっちりこれを見ていく。 私は、こういう基本が改められないと、これは今後どうなっていくのかということを心配するんですが、それに対しての大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) ウラン鉱開発融資、これはウランというエネルギー資源の重要性から考えてみますと、それからいま一つはプロジェクトの資金回収が長期にわたる、だから政府関係機関等による助成の必要性が高いものだ。これはまさか一人二人の中小企業でなかなか探鉱ができるものでもございませんし、大企業とかいうことの利益を擁護するとかカバーするとかいう性格、そういう角度から見る性格のものじゃない。やっぱりウランという重要なエネルギー資源というものに、これはめくらめっぽうにやるわけじゃございませんけれども、当たらぬ場合がそれは数は多いわけでございますから、この種の施策というのはこの厳しい財政事情の中でも助成施策としてやっぱり念頭に置いていかなきゃならぬ課題だという問題意識で私はいつでも対応しております。
○近藤忠孝君 念頭に置くこと自身を私は否定するものではないんですが、ただ、ずっとトータルしてみますと一千億にも達するという、これはやっぱり無視できない金だろうと思うんですよ。これをもっと厳しく見ていくのか。あるいはこれをチェックして、やはりむだは、あるいはこれは必要ないんじゃないかというようなところは、どんどんやっぱり見直していくということが必要ではないかと思うんです。 特に、今産投特会に焦点を合わせておりますけれども、これからは電電あるいはたばこの株の配当金が入ってきますわね。本当にこれはもうただごとではない金だと思うんですよ。それがこの基本が見直されないままそちらへ流れていくとなったらば、これはやはり国全体の金の流れとして問題ではないか、こう思うんです。 で、今までは過去の問題ですが、これから私は特に、前回これは四月三日にも質問しましたけれども、具体的な下北への核燃料サイクルの問題ということで、論点を絞って今の問題とのかかわりで質問したいと思います。 これは四月三日の質疑で、むつ小川原開発株式会社、これがもう大変失敗して、赤字が一千四百四十六億円だという事態の議論をいたしました。しかし、その後この土地に、核燃料サイクルの立地が進められています。そして、四月十八日に五者会談、これは地元や電事連等々関連会社の五者会談が行われて、核燃料サイクル立地への協力基本協定書が結ばれたわけであります。これは、総工費七千億円の再処理工場の建設を国産技術で進めることはもう断念した、フランスの核燃料公社から技術輸入をすることを決めたと、こういう報道なんですが、これは実際そのとおりなんですか。
○説明員(石田寛人君) 当該使用済み燃料再処理工場の設計につきましては、その実施主体でござ います日本原燃サービス株式会社が、国の内外の最良の技術を用いて実施していくことになっております。現在、同社すなわち日本原燃サービス株式会社は、設計の前段階でございます設計基本構想の調査、デザイン・クライテリア・スタディーと言っておりますが、設計基本構想の調査をやっております段階でございますので、お尋ねのような決定を行ったことは聞いておりません。
○近藤忠孝君 そうしますと、新聞報道での国産化断念という記事、これは事実に反するんですか。
○説明員(石田寛人君) 報ぜられておりますようなことにつきましては、私ども承ってございません。
○近藤忠孝君 次に伺いますが、これはやっぱり動燃事業団の再処理工場の例をとってみますと、再処理技術がまだまだ大変未完成の状況にあると思うんです。 そこでお伺いしたいのは、東海再処理工場の当初予定工費、最初の予算額が幾らで、その後の、追加追加で膨らんできたんですが、追加投資累計額が幾らであるか。大体どれくらいの、何倍ぐらいの投資額をつぎ込んできたのか。そのために市中銀行から相当借入金があると思うんですが、その累積額は幾らか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(青江茂君) まず、東海再処理工場の建設費につきましてお答え申し上げます。 同工場の建設に着手をいたしました昭和四十六年当時でございますが、その当時におきましての建設費は約二百二十八億円というふうに見込まれてございました。その後昭和四十九年、二百三十三億円でもちまして建設工事を完了してございます。 その後、ウラン貯蔵庫でございますとか廃棄物の貯蔵庫の増設等のために、昭和五十九年度末までに約六百五十四億円の追加投資を行っているところでございます。 それから、借入金でございますけれども、東海再処理工場につきましては、費用の性格に応じまして、国費、民間拠出金、借入金、この三種によりまして資金調達を行っておるところでございますが、このうち借入金につきましては、因果関係が明確で事業の実施に伴う採算が期待できる同工場の建設費、操業費、これにつきまして借入金でもって充当しているわけでございますが、同工場にかかります借入金の五十九年度末におきましての残高は約五百八十億円弱という数字になってございます。
○近藤忠孝君 そちらからもらった資料だと八百一億円になっているけれども、これはどうしたんですかね。まあ今は時間がないから三百億ぐらいちょっときょうは我慢しておきます。 それで、今の問題で、当初予定工費の約四倍もの巨費が投入されて、しかもこの十年間の実績たるや、この春運転再開されるまでわずか百七十四トンだけなんですね。計画では一日〇・七トン、三百日稼働で年間二百十トン、年間ですよ、再処理するはずだったのが、十年間で一年分より低い百七十四トン。借入金も、そちらの資料だから間違いないと思うんだけれども八百億円を超えている。まさにこれは金食い虫。運転実績というものは、やっぱり現在の水準はそんなものなんですよね。 私は、これは経済性から見ても大変問題があるんじゃないか、また、確立した技術とは言えないんじゃないか。だから先ほど言ったように、まだ国産化断念かフランス製を導入するかどうかなんということもわからない、こういう状況じゃないかと思うんで、私はこういうまだ技術的にも未確実、経済的にも大変ぐあいが悪いとなれば、こういう再処理工場の建設は本当にまさに公費が投じられるんですから、後から言うとおり。むしろこれはそれこそ断念すべきじゃないかと思うんですが、どうですか。
○説明員(石田寛人君) お答え申し上げます。 再処理技術につきましてはイギリス及びフランスにおきまして既に二十年以上の実績がございまして、この間両国におきましても何度かトラブルが発生しておるとも伝えられておりますけれども、逐次改良が加えられてきておりまして、商用工場として安定した運転を続けておると承っております。 他方、我が国東海再処理工場でございますが、我が国で初めての再処理工場でもございますので、技術開発を行っていくという使命も有しており、これまで何度かトラブルが発生したこともございますが、我が国の技術力をもちましてその都度原因を究明し所要の対策を講じてきており、問題点を克服してきております。さらに、今お話のありましたように、ことしは二月十八日から新しい溶解槽を用いまして運転を再開しており、現在まで順調に運転をいたしてきております。 それで、民間再処理工場の建設及び運転に関しましては、このような東海再処理工場におきます豊富なあるいは貴重な経験を生かしまして、これまでの技術開発の成果を生かし、さらに国内外の最良の技術を用いることによりまして、安定した稼働になるものと考えております。 それから、イギリス及びフランスにおきます再処理事業の例を見ましても、我が国においてコマーシャルベースで再処理事業の推進を行うことは可能であると考えております。
○近藤忠孝君 安定した稼働が可能なものと思われますということでやるのだけれども、そのとおりいってないのが今までの先例なんですね。その議論は科技特でやるべき議論だからここでやっても仕方がないんで、早く大臣のところに質問がいくように先を急ぎたいと思うんです。 そこで、東海再処理工場の再処理料金はトン当たり幾らですか。
○説明員(青江茂君) 東海工場につきましての再処理料金でございますけれども、再処理工場の建設、運転に要する原価を回収するということをベースに、かつ海外再処理料金を勘案しつつ決定するということで臨んでございますが、昭和五十五年度に締結をいたしました現行の再処理契約におきましては、使用済み燃料トン当たり一億三千五百万円ということになってございます。
○近藤忠孝君 使用済み核燃料の再処理料金は、トン当たり、東海の場合はそうですが、英仏に委託中のもので、これは八二年から九〇年の契約のもので、トン当たり一億八千三百五十三万円になるというぐあいに聞いております。ところが、原発の新品の濃縮ウランの場合に一トン当たり一億円程度ですよね。すると、この単純比較、さらに単純比較できなくて、英仏に委託中のものは実際にこのほかに輸送費六千二百万円、それからそのほかにガラス固化あるいは放射性廃棄物処理費など二千百万円、合わせてトン当たり二億一千百万円かかる。ごく単純に言いましても、新しい濃縮ウランを買っちゃった方が安い。しかもそういう費用を含めればトン当たり一億五千万コスト超となる。そうしますと、再処理は経済的にも採算が合わないんじゃないか。その計算は科技庁なりに意見があるのはわかっておるけれども、今私が指摘したようなこの計算、これは否定できないんじゃないですか。
○説明員(石田寛人君) 先生の御指摘の計算につきましては、まさに数字上あるいはおっしゃったことであろうかとも思いますが、全体、我が国におきましては、核燃料をリサイクルいたしまして何遍も回して使うということで基本的な方針にしてございます。特に、ウラン資源に乏しい我が国が安定的なエネルギー供給を長期にわたって確保していくということのためには、原子力発電規模を拡大していくことはもちろん大事でございますけれども、原子力発電所から出ます使用済み燃料を再処理いたしまして、その使用済み燃料の中に入ってございますところのプルトニウム及び減損ウランを活用していくというのが、私どもの核燃料サイクル確立の考え方でございます。このように使用済み燃料を再処理することは、プルトニウム及びウランを国産エネルギー資源として再利用するという非常に資源面での大きな効果があるわけでございまして、これによって対外依存度をか なり減少させることができるというメリットを持ってございます。 そういうことでございますので、私ども、民間の再処理工場の建設もぜひお進めいただき、東海再処理工場における経験も生かしまして、私ども、繰り返し申しますように、国内外の最良の技術を用いまして核燃料サイクル工場の安定的な運転を期待したいと考えておるところでございます。
○近藤忠孝君 私の計算がどうかと聞いたら、それに対して間違いないということで、それで結構です。その後の議論はまたその後にやろうと思っていたことなんです。 例えば、この工場の場合は八百トンですから、それ掛ける一億五千万といいますと年間一千二百億円の経済的なむだですよね。となりますと、これは私が前回この委員会で指摘した、今までむつ小川原開発に対して約一千四百億ぐらい投じてきたけれども開発がうまくいかない。長い間のむつ小川原開発、私これ自身も大蔵省の監督が十分でないと思うんだけれども、それがたった一年間でそのむだが出ちゃうんですよ、大臣。たった一年間ですよ。 そこで、今そういう日本の独立した核燃料サイクルを確立しようという、これは一つの見解ですが、それは技術的にも経済的にも大変無理がある。となれば、これはかなり多くの有力なる科学者が言っているんですが、今のまま再処理せずにむしろ安全に保管しておいて、もっと技術が確立してからやったらいいじゃないか。今何も急いで約七千億の事業、しかもこれは先ほど東海の例を出したように、最初の額よりも大体四倍も五倍もかかっちゃうんです。現にまだフランスのものを採用するかどうかもわからない。特に外国のものを採用した場合は次から次に金がかかっちゃうんですね。となると、その工場自身に莫大な金がかかってくる。しかもでき上がったものでは、もうまさに壮大という形容詞も小さいぐらいのむだが出てくるわけですね。 そこで、ひとつ科技庁にお答えいただきたいのは、そういう科学者が言っている、再処理せずにそのまま安全に置いておいた方がいいんじゃないか、こういう意見についてどう思うか。 それから、これは大蔵省ですが、この再処理工場については、再処理工場だけでなくて、サイクルに対して開銀融資などがありますけれども、それは各施設の大体何割程度になる予定か、これは北東公庫もあわせてお答えいただきたいと思います。
○説明員(石田寛人君) 先ほども申し上げましたとおりに、私どもといたしましては、ウラン燃料あるいは我が国におきます使用済み燃料を、再処理を通じ核燃料サイクルを確立するというやり方で用いさせていただきまして、ウランを国産エネルギーに準ずるあるいは国産エネルギーそのものに近いものとしてぜひ活用していきたいということで、使用済み燃料政策を進めさせていただいておるところでございます。 なお、再処理工場の経済性あるいは技術的確立につきましては、先ほども申しましたように、外国の経験あるいは東海再処理工場の経験等を踏まえまして、安定なる運転、あるいはそれに至る建設が可能であるものと考えております。
○政府委員(吉田正輝君) 開銀の融資は実はまだ行われておりません。でございますけれども、計画の具体化を待って、開銀による審査を経た上で決定されるということになるわけでございますけれども、お尋ねで、もしやるということになりますると、限度額は申し上げることができると思います。それは、開銀につきましては、施設工事費については六割、それから用地取得費につきましては限度は五割とされておるわけでございます。それから、北東につきましては、これはやはりその再処理工場等の立地に際しての環境保全のための必要になる緑地に提供されるわけでございますけれども、この場合は上限は七割ということになっております。
○近藤忠孝君 ですから、ほとんど公的資金でやるわけですよ。しかもこの北東公庫の場合は、直接の施設だけじゃなくて、緑地など関連の施設までも融資対象になるということなんです。 そこで、いよいよ大臣、お答えいただきたいんですが、これは民間活力に基づく一つの計画ですが、全体で約一兆円の事業費、約半分以上が、もっと多いですね、今の答弁のように。これが開銀などの長期しかも低利の融資であります。しかも工場用地以外に、今も指摘したように緑地などの用地取得費、これも融資の対象になる。しかも、その融資対象の中心である再処理工場は、我々が知っているところでは、国産技術ではやっぱり無理じゃないか、丸ごとフランス核燃料公社からの輸入技術によるという、そういう点では我が国としてはまだ未確立の技術、安全性も保障されてないんです。これは科技特で十分に今後安全性について議論をしなきゃいかぬことですが、しかもその上、建設費も、先ほど指摘したように、東海再処理工場の例でも明らかなように、最初の予算の何倍にもなり、しかも事故——我々に言わせれば事故なんです、それが起きている。それから、再処理後の分離プルトニウムがべらぼうに高い再処理コストのために経済性が悪くて、現状では再処理せずに安全に保管しておいた方がいいという、これはむしろ科学者の中では私は常識的な方向になりつつあるんじゃないかと思うんです。 それに加えて、盛んに我が国独自のということをおっしゃるけれども、日米原子力協定を改定しませんと、せっかく再処理いたしましてもプルトニウムを燃料として使うことさえままならない。貿易摩擦もいろいろありますけれども、アメリカ議会などの出方によってはいつ運転を中止しなきゃならない事態に追い込まれるかもわからない。我々に言わせれば、これこそまさに対米従属だと思うのですけれども、そういう意味では全くがんじがらめなんです。こういう計画にこれほど大変な金がつぎ込まれる。しかもこれは財投の関係からずっと流れがあるわけです。となりますと、どうですか、大臣、決して短絡的な指摘じゃないでしょう。ひとつお答えいただきたいと思います。
○説明員(石田寛人君) その前に、委員長。
○近藤忠孝君 もう時間がないんだから、大臣。
○説明員(石田寛人君) ごく簡単に申し上げます。 プルトニウムにつきましては、当然将来高速増殖炉あるいは現在開発中の新型転換炉等にも用い、あるいは軽水炉にもプルトニウム熱中性子利用として用いることを考えてございます。 それから日米協定を改定しなければプルトニウムは使われないということはございません。現行の協定の枠組みで、もちろん日米間所要の手続はございますけれども、それにのっとればプルトニウム利用は当然可能でございます。 それから、先ほどの先生の数字でございますが、プルトニウムリサイクルに比べまして使用済み燃料を処理しない場合でも、使用済み燃料を処理しないことによる保管の経費その他かかりますので、これらにつきましてもいろいろ経費の比較検討を行っておりますけれども、決して全体、核燃料サイクルが大きく我が国の原子力事業の経済性を損なうものではない、むしろ我が国が進んでいく道であるというふうに私ども認識しております。
○近藤忠孝君 私は使えないなんていうことを言ってないんで、よく聞いてくださいよ、使うことさえままならずと言っています。 それで、どうですか大蔵大臣、やっぱり全体的に見まして大局的なひとつ御判断をお願いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 私が前回から短絡的と言っておりますのは、各種政策金融というものが大企業の負担すべきもののリスクをヘッジしたりという、そういうふうな物の見方をすることが短絡的だと、こう言っただけの話でございまして、今の問答を聞いておりまして、それは近藤さんも相当な専門家かもしれませんが、課長さんの方もあれだけ自信を持ってお答えになっております。これも相当な専門家でございますので、私は非専門 家の代表的人物でございますから、それらのことを総合勘案しながら私どもは、この財政投融資計画とかいうときに判断すべき問題であろうというふうに考えます。
○栗林卓司君 私は、短期国債の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。 この法案が通りますと短期国債が発行できるわけでありますけれども、一体どういう規模あるいは発行条件でお出しになるのですかと伺おうと思ったんですが、先ほど同僚の桑名議員の質問に対して、これから慎重に四方八方気配りをしながら考えていきますというお答えでしたので、それはそれとしまして、細かい点は別にしまして、この短期国債というのを政策的にどう位置づけて使っていくのかについてはお尋ねをしてもよろしいのではなかろうかと思います。 昨年の五月に「金融の自由化及び円の国際化についての現状と展望」というのを大蔵省が発表されました。その中を拝見しますと、「金融の自由化の現状と展望」の中の(1)、(イ)の下のところに「最近における期近物国債の残高の急増は、金利の自由化への大きな促進要因になろうとしている」、私も全くそうだと思うんですが、この辺をもう少しかみ砕いてお話しをいただきたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) 現在、短期の金融市場といたしましてコール市場あるいは手形市場あるいはCD、現先あるいは外貨預金等々、非常に我が国におきましても短期の金融商品を中心にいたしました市場が出てきているわけでございますが、また六月からはいわゆる円建てのBA市場というようなものも発足しております。残るのは、今御指摘のように去年の「現状と展望」にも示してあるわけでございますが、短期の国債の市場が日本の場合にはおくれているのではないかというふうな御指摘があるし、私どももそういう認識のもとに短期の国債市場の育成といいますか、そういうものについて考えてまいりたいと思っておりますが、それを考えます際に、短期の国債といいますのは現状におきましては大体三つぐらい考えられるわけです。 一つが、今御指摘の、中長期国債がだんだん満期に近づいてまいりますと短期化いたしますので、そういう期近債でございます。これはかなりの量になってまいっております点が第一点。 第二点は、現在、短期の国庫の資金繰りといたしまして日本銀行が引き受けておりますTBというのがございまして、これがやはりかなりの量になっておるわけでございます。ただ、これは今のところ日本銀行が余剰資金の吸収手段として使っておるわけでございまして、そのTBによって市場ができているわけではございません。ただ、そういうものではありましても、年間既に昨年だけで見ましても二百兆以上のTBの売買が行われているというような状況でございまして、かなりそういう一つの金融商品として出回っている面がございます。 それからもう一つは、これから出させていただこうとしておりますいわゆる短期の国債でございまして、これを私どもといたしましては、毎々御説明申し上げておりますように公募入札でやりたい、こう思っておりますので、これは当然のことながら市場で消化され市場に出回るというふうなことでございます。 こういうふうな三つの短期の国債がこれからいろいろかみ合わされながら、この一、二年あるいは二、三年の間に我が国におきましても、短期の国債市場というものが形成されていくのではなかろうか、こう考えておるわけでございまして、今御指摘の短期の期近債につきましても、短期の国債市場ができていく過程におきましては一つの有力な金融商品になるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
○栗林卓司君 金融商品になるかならないかじゃなくて、金利の自由化を促進する大きな要因だということについて……、結構です。 同時に発表されました円・ドルレート委員会の報告書ですけれども、内容を見ると、ちょっとニュアンスが違うように私には受け取れるんです。 ちょっと引いてまいりますと、「作業部会は、市場機能が自由に働くことが経済の効率性を高めるという点で合意した」、それを受けまして、「大蔵省は、日本の金融・資本市場の自由化を自主的かつ積極的に進めていくとの意向を明らかにした」、財務省はこの大蔵省の態度を歓迎した、こういうふうに書いてありまして、それを受けて、アメリカの方が短期国債の市場の重要性を主張し、それに対して大蔵省の方は、そうはいっても中長期の国債の方は一切売買に制限はありません、しかも短期といわれましても、おっしゃったように、TBについてはこれは歳入にかかわる国債ではないので全く別でございます、将来の課題としてはそういった短期国債についても考えていかざるを得ないでしょう、こういった書き方になっていまして、そういった前提で、「大蔵省は、まず大口預金金利の自由化を進め、それから小口預金金利に移るという手順を説明した。こうした手順の下に、大蔵省は、国内CDの発行単位を一九八五年四月までに三億円から一億円に引下げる」、これは実施をしました。「国内CDの発行枠を一層拡大する」、これも実施をしました。「市場によって金利が決定される新型大口預金の取扱いを一九八五年四月までに認める」、これもいたしました。最後に、「大口預金金利規制の緩和及び撤廃を二—三年以内に図る」。ここの中では短期国債という言葉が出てこないんですね。一応昨年のこの段階では、二年から三年以内に小口預金の金利までを含めて自由化をするという書き方なんだけれども、ここで短期国債というのが具体的に出てまいりますと、この二から三年というのは早まるのではないか、これが私の一つの質問なんです。 もう一つは、今金利の自由化ばかり申し上げたんですが、短期国債市場が育つというのは実は円の国際化にも役立つんです。それはもう御承知のことですが、どうかといいますと、円を国際化してまいりますためには、準備通貨としての国際化だけでは片手落ちなんです。使える通貨、表示通貨、決済通貨として十分使用されることが大きな条件になるんです。では、これが日本でなぜできないかといいますと、基本的な原因は、政府短期証券のような短期の金融資産を広範に取引できるような円建て短期金融市場が未発達である。端的に言うと、政府の短期国債を中心にしながらこの市場が育っていくことが円の国際化にもつながってくる、促進をする。こう見てまいりますと、昨今の厳しい国際環境でしょう、しかもいよいよアメリカ側にすれば、待望の短期国債が発行になった。そうすると、二年から三年で小口預金まで含めて金利の自由化といっているピッチが、もっと速まるのではないか。逆に言うと、政策的に速めなければならないのではないか。そういった意味で、今回の短期国債というのをいい意味の政策的に活用される意図がおありかどうか、それを伺いたいと思います。
○政府委員(吉田正輝君) まず、金利の自由化がこの短期国債の発行について早まるのではないかという御質問でございますが、これは短期の借換債は短期の自由金利商品でございますから、私どもといたしましては、金融並びに金利の自由化は着実にかつ漸進的にというふうに考えておりますので、既存の金融商品との競合、例えばCD、MMCももちろんございますけれども、一年物割引債とか定期預金とか、それぞれのものに競合する点がございます。そういうものとの競合が急激には生じないように、また公的部門と私的部門というのがございますわけでございますけれども、これが余りこの条件がバランスがとれておりませんと、公的部門からあるいは私的部門へ、私的部門から公的部門へと、むしろ公私の資金配分にひずみが生じるというような急激な資金シフトを生ずることもまたよろしくないというような考え方でございますので、借換債の発行につきましては、そのあり方、量、あるいは期間、それから最低発行単位、発行形態、あるいは金利のあり方等々いろいろな点で、金利の自由化の金融面に及ぼす影響については、ただいま申しましたようなソフトダウンと申しますか、ソフトランディングという ような形での進行を考えていきたい、ここら辺は私ども理財局とも同じでございます。 しかし、御指摘のとおり、このいい面というのがございまして、短期金融市場が整備される、あるいは金利裁定が活発に行われてくるというような意味で早まる面も確かにある、あるいはやりやすい面も出てくるということがございます。その点につきましては私どももその評価をしているわけでございまして、短期金融市場の整備という意味では、これは短期国債だけではございませんけれども、先ほど理財局長が申しましたように円建てBA市場、これは先ほど先生がおっしゃいました国際化の役に立つというようなことでございましょう。それから、CDという短期金融市場に証券会社を六月一日から、仲介機能を拡充するというような面で入れていく。こういうようなことで、全体として金利の自由化のソフトランディングという意味であるけれども、スムーズに、かつこれがうまくいくならば、早い方がまたそれにこしたことはないわけでございますので、そういう点を十分考えながら行っていきたいというふうに全体的に考えているわけでございます。
○栗林卓司君 おっしゃいましたように、短期債券市場というのは、金融機関と証券の接点みたいなところなんです。間接金融をやっている金融機関と直接金融をやっている証券会社とのその接点になるところが育ってくると、両方の体質を変えながらそこで自由な金利裁定が行われて、結果として最終的には全金融資産に対するあるバランスがとれた金利体系ができ上がってくるのではないか、それを期待しながらやっていくわけですけれども、とにかく両者に、とりわけ金融機関にある大きな影響を与えるわけですから、慎重に歩まなければいけないというのは私は全く同感なんです。だけれども、だからとまっていてもいい、早めなくてもいいということにはならないんじゃないか。 ここで素朴なことを伺いますけれども、十年国債、五年、三年と言っていますよね。中期が入っています。言ってみれば中期、長期ですね。中期、長期の金利というのは短期国債に比べたら当然高いですよね、短期国債は金利が低い。そうすると、大蔵当局として考えますと、国債を発行するコストをなるべく下げようと思ったら、一番いいのは、長期の国債じゃなくて、全部短期国債で資金調達をするのが一番安いかもしれない、できればですよ。事実そういった姿は海外にはあります。今のところは借換債について、とにかく発行条件の多様化、短期国債と言っているんだけれども、気がついてみたら長期の国債は要らないじゃないか。短期の債券市場というのは日本ではせいぜい二十兆円強でしょう、アメリカでは二百兆円を超えていますわね。同じような形にやがて変わっていくんだろう。しかもなるべくコストの安い条件で財政資金を調達したい、そうなったら何も長期の国債を出すというのは、むしろ大蔵の側から考えたら怠慢になるんじゃないか、その調達面だけを考えたら。 そうすると、そういった意味でも早めた方がいいんじゃないかというのは、おかしな議論ですか。
○政府委員(宮本保孝君) まず一つは、必ずしも短期の金利が長期の金利よりも常時に低いとは限りません。金融が非常に引き締まってまいりますと長期金利を上回って短期金利がつくことがございます。それからもう一つは、私ども発行当局といたしましては、やはり国債の利子というのはまさに税金で払うわけでございますので、できるだけ金利負担を軽減して発行することが納税者に対する義務でもございます。それからもう一つは、安定的にこれを調達していくことが義務でございます。 そういう意味におきましては、長期の良質の、これは良質のといいますのは私どもから申し上げますれば低利のですね、長期で低利の安定的な資金によって調達をしていくということをモットーにしているわけでございますので、短期国債で泳ぐようなことになりますと、これはもう火の車みたいになりまして、まさに自転車操業でございます。私どもとしては、できるだけ長期の安定した低利の資金で調達する、そしてそれを円滑に調達するための手段として短期国債というものも使わせてもらいたいということでございまして、短期と長期が逆転するような調達の仕方をしますとまさに本末転倒でございまして、私どもといたしましては、短期国債につきまして、それほど短期国債に頼って発行していくというつもりはございませんです。
○栗林卓司君 それはそうでしょうけれども、ただ、今のお答えを聞きましても、短期国債の発行規模というのは恐らくだんだんとふえていくなという感じはするんです。 おっしゃったように、短期であるから利率が安いかというと必ずしもそうじゃない、逆転する場合もある。場合によって、今長短の差というのは〇・五%ぐらいですか、ですからそんなに開いていないんですよね。そうなってくると今度は、短期国債の発行条件の中で、公募で決めるわけですから、そのときの利率というのは、定期預金あるいは郵便貯金の利子に比べて上回る場合もありますよね、あっていいんですね。したがって、困るんでまだ決まってはおりませんけれども、CDが一億円、それからMMCが五千万となると、どっちかをにらみながら、小口では売買できるような条件をつけないと危ないな、こうお考えなんでしょう。だけれども、中期国債あるいは十年物につきましては、一口十万円あれば買えるわけですよね。制限は何にもない。しかも何にも制限がついておりませんとわざわざそこに書いてあるわけです。 短期国債についてだけそういった制限をつけるというのは一体どうなんだろうか。金融資本のシフトを考えますと、当然それは御配慮なさるべきだと思うんだけれども、それだけにすがっていてあと何年も渡っていけるんだろうか。私は渡っていけないと思うんですよ。となると、小口預金に対する自由化は恐らく早くなるんじゃないかという私の判断に対してはどうお考えになりますか。
○政府委員(宮本保孝君) 確かに、そういういろんな商品が出てまいりまして、特に短期の金融市場というものが非常に深みのある市場になってまいりました場合には、今先生御指摘のような状況になろうかと思いますが、ただ、何度も申し上げておりますように、現時点におきまして急に既存商品に影響を与えてもいけない、あるいは急に資金の流れを変えてもいけない、あるいは金融市場を混乱させてもいけないということでございますから、私どもといたしましては、最初の発足の時点におきましては、これはやはり小口の預金等に余り影響を与えないような形でもって発行していかざるを得ないのではないかなという感じがございます。 ただ、だんだん先ほど申し上げましたように全体として大きな市場ができてまいりますれば、あるいは既存の商品にも影響を与えない、特に預金金利が自由化されておるようなことを前提にいたしますと、その場合には短期国債につきましてもあるいは小口化していってもいいのかもしれません。その辺は、自由化の進展度合いと金融秩序を維持するという両方を見きわめながら、短国の出し方を十分考えてまいりたい、こう考えております。
○栗林卓司君 そこで、金利の自由化を大きく促進する要因が、先ほど申し上げた期近債の急激な増加、そして今回の短期国債の発行、こうなっているわけですね。そこで僕が言ったのは、二年も三年も渡っていけるんでしょうか。当然これは、アメリカの一つの関心領域ですよ。いやそんなことを言ったって国内が大変なんだ、これはほかの分野でいつも言えること。たまたまそれが大蔵にかかってくると、この際は短期国債についてどんな条件をつけるか。実際に今の証券会社を見ますと、十万円の国債だって十万円出さなくたって金利がつきますよね。五千円ずつやれば買ったことになって、金利がついてくる仕組みになっていますね。それもだめ、これもだめ。そんなぶざまな 格好の短期国債の発行が僕はとても二年も三年も続くとは思えないもの。その意味で確かに金利の自由化の大きな促進要因であるんです。 そのときに、小口の預金に対してどうするのか、あの零細預金に対して自由化しちゃうのか。いろんな議論はあるでしょう、それは。あっていいんです、あっていいんだけれども、あれは先のことだから今検討しなくてもいいということではちょっともう済まなくなってきたんじゃないか。 これは大蔵省のスポンサーでやっているソフトノミックスフォローアップ研究会報告書ですけれども、したがって大蔵省が責任を持つ理由は何にもないんだけども、要するにここにも書いてあるんです。小口預金については自由化といったってそれは無理だ、大口預金とはしょせん違う。したがって、市場金利連動でやる独特の小口用の金利体系をつくるしかない。そこで大口と小口と分けながらやっていくのが恐らく一番預金者の気持ちにも合った制度ではないか。これも一つの御議論だと思いますよ。そこで、これがいいか悪いかということを僕は言っているんじゃない。小口の問題になってきたらいやでも出てくるのは、郵政省との関係をどうするんだ、そうでしょう。郵政省との間にはいろんな問題がありますわね。したがって、その問題について、これはもうこれからこうしていきますと今言えないと、私は困ると思うんです。 その点についてはどうお考えですか。
○政府委員(吉田正輝君) まず小口預金の自由化でございますけれども、確かに先生御指摘のとおり、期近債がふえてくる、あるいは短国市場が整備されてくるというようなことになりますと、金利自由化の促進要因並びに環境をつくる要因になることも明らかでございます。また、先生がおっしゃるとおり、いろいろの商品が出てきているじゃないか、この点につきましても確かでございます。 金融制度調査会で最近いただきましたものにつきまして申し上げさせていただきますと、期日指定定期預金とかビッグ、ワイドとか、さまざまな金融商品が提供されてきて、小口の分野においても金利選好が一層高まることが予想されるということを考慮すると、小口預金金利の自由化に対する要請も高まってくるのじゃないか。まさにそのとおりでございまして、そこで、金融制度調査会は前広に検討を進めていく、前向きというよりも前広という言い方でございますが、前広に検討を進めていくことが肝要と思われると。その場合に、一つは小口預金の特性、これはいろいろございます。特性はこれは大口とかなり違った点がございますが、余りこれをしゃべっていると長時間をとりますから省略いたしますけれども、それからまさに郵貯の存在があること、あるいは中小企業金融の確保とか、これは円滑な資金融通にも影響を及ぼすわけでございますけれども、そういう点もございます。そういう点がございますが、それと同時に、この小口というのは金融機関の中での大宗を占める原資でございますので、これが与える影響、特に信用秩序、預金者保護に与える影響も大切だからその環境整備をまず図っておきなさい。この点は今、短国の議論もございますけれども、私どもとしては非常な関心を持っておる事柄でございます。自由化と信用秩序の維持というのはまさに日本経済のための両輪であって、片方だけが先行する話ではないと思いますので、そういう環境整備についても金融制度調査会の答申をいただいて進めていくつもりでございます。 そういう環境の中で、今申し上げました我が国独特の郵貯の存在がございますけれども、郵貯につきましてはこれは自由化というのはやはり市場原理の貫徹ということでございますから、民間金融機関と整合性のとれた金利が決められるようなルール確立について今後とも模索し、あるいは必要に応じて学識経験者あるいは日銀あるいは郵貯などとも協議を重ねていくということであろうかと思います。 まずは勉強しなければいけませんが、その点につきましては金融制度調査会は前広に検討を進めていくという御提言をいただいているところでございます。
○栗林卓司君 郵便貯金との関係でその話し合いというのは、どんな段取りで進めていかれるんですか。見ておりますと、非常に遠いところにお座りになっているように見えるんですよね。しかも、郵便貯金もまた、一つの金融機関であることは間違いない。したがって、今の金融の自由化の影響をもろに受けるわけですね。郵便貯金の方は規制金利だ、もちろん民間金融機関の方も規制金利ですよ。それをどうしようかというのは、同じテーブルに乗って相談をしていくしかありませんですね。 だから、金融制度調査会もいいんだけど、どういった段取りで郵便貯金との話し合いを進めていくんでしょうか。
○政府委員(吉田正輝君) 郵貯でございますけれども、これはただいま申し上げましたように、例えば税制、あるいは準備預金、あるいは預金保険機構等の枠外にある官業でございます。これがまた個人預金、特に小口預金の中で大宗を占めているという点では、実は教科書もない分野での調整でございます。 これをどういうふうにやっていくかということにつきましては、当然関係当事者である郵貯と緊密な協議を重ねていく必要があると思っておりますが、その前に私どもといたしましては、その環境整備というふうに先ほどのように申し上げました。環境整備を、大口預金金利の自由化を行いつつ環境整備を行っていく、その中でどういう状況が生じてくるかという点をまず見きわめて、それを持ち寄って協議するということが必要なんじゃないか。あらかじめ、学者的議論といたしましてはこれは必要な議論もあると思います。そういう勉強はやっていくと思いますけれども、歴史にないプロセスでございますから、私どもとしましては、大口預金金利を漸次小口の方に自由化を進めつつ環境整備を図りつつ、よってもって出て来る状況に応じながら、やはり最終的には市場原理と整合性のとれた郵貯金利を摩擦なく機動的に決められるようにしていくことが必要だという認識でございます。
○栗林卓司君 そういうお答えになるんでしょうけれどもね。 最後に一点だけ。これは教えてください。 いろんな金融商品が現在出てきましたね。その結果、公定歩合、プライムレートが昔ほどの重みを持たなくなってきたということがよく言われるんですけれども、そういった中で金融政策をどう進めていったらいいのか。そうしますと、ある程度手玉として短期国債を機動的に活用する。要するに、そういった公社債市場に直接入りながら、結果として期待し得る金利水準におさめていくといったことがこれから必要になるんだろうか。また、そういった目で今回の短期国債というものを見詰めておかなければいけないんだろうか、この点について伺います。
○政府委員(吉田正輝君) 日本銀行にも随分関係することでございますけれども、金融政策の手段といたしましては、公定歩合、それからマーケットオペレーション、それから準備預金操作等々が代表的なものだと考えられるわけで、御指摘のとおりこのように市場原理が到達してきますと、公定歩合がまず決められてそれから預貯金金利が決められていくというような形というよりは、市場原理がかなり公定歩合に影響するところがあって、公定歩合の機能がまた漸次変わっていく点があろうかということでございます。 そういたしますると、一つはやはりマーケットオペレーションというのが非常に重要になってくるということでございます。そのためには、やはり日本銀行が金利機能を活用した政策を行っていくという意味では、日々介入できるマーケットオペレーションを通じた短期の金融市場というのがかなり重要になってくるという認識はございます。 したがいまして、先ほどの大蔵省で発表いたしました「現状と展望」におきましても、短期金融 市場、これは短期国債だけではなくて、短期金融市場の整備拡充と仲介者の機能拡充というようなことを申しているわけで、私どもといたしましては、先ほど申しましたような円建てBA市場とか、CDの拡充とか、BA市場、CD市場に証券会社が参入してさらに懐が広くなるというようなことを進めていくということでございますので、先生と認識はそういう点では同じかと、教えるということではございませんで、同じでございます。
○栗林卓司君 終わります。 ─────────────
○委員長(藤井裕久君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、丸谷金保君が委員を辞任され、その補欠として大木正吾君が選任されました。 ─────────────
○木本平八郎君 もう時間も大分遅いのでできるだけ簡単に打ち上げたいと思います。 先日、私、トンチン公債のことについて途中までやっておりますので、これをきょう簡単にできるだけ早くまとめたいと思うわけです。 そこでまずお聞きしたいのですが、あのときに一つ問題になりましたのは、トンチン公債で一兆円なら一兆円の元本が設定される。そうすると、これをすぐ国債の方で償還してしまうと、仮に数字を簡単にして一割なら一割の配当を毎年やっていくとすれば、ずっと一割の配当が五十年も六十年も続いてしまう、六十年続くかどうかは別にして。そうするとこれはもうその配当だけ残るから非常に大変だという御説明があったわけですね。 私もそのとき、何かちょっとおかしいなと思ったのですけれども、よく考えてみたら、一方で一兆円の国債が償還されてしまうわけですから、今百三十三兆ある国債が百三十二兆になっちゃうわけですね。そうして、その一兆分に対する支払い利子が要らなくなるわけですから、全体の形として考えたら、国債が一兆円なくなって、その配当利子が一千億円ですか、六、七百億円ですか、要らなくなる。そうするとやっぱり、こっちに配当が残っても、この配当というのは利子の振りかえだけで、元本がなくなるだけやっぱりいいんじゃないかというふうに思うわけですね、利子率の問題はちょっと別にして。 それで、きのうレクがあって、大蔵省の人に一応計算してくれということをお願いしておいたのですけれども、その計算はどういうふうになりましたか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員がおっしゃいました最初のお話でございますけれども、一兆円この公債を発行しまして既存の公債を一兆円償還いたしますとこれが百三十二兆円になりますが、新しいやはり金利を払うべき公債が残るわけでございます、その一兆円相当分の元本。将来これを返すか返さないかという問題はございますけれども。したがって、それの利息をやはり払っていかなくちゃいけないという問題があるわけでございます。 そこで第二の問題でございますが、委員がおっしゃいました百三十三兆円で一割、一〇%の金利を六十年間払っていくということにいたしますと、七百九十八兆円という金額になります。ちなみに、現在の六十年で償還していくという、十年債でこうやっていくという方式で百三十三兆円を今後なくしていくといたしますと、現在、利率が七%といたしまして約四百三十兆円という金額になります。 そこで、先ほども委員がちょっと言っておられましたように、なぜ片方が一〇%で現在のが七%かということでございますが、トンチン年金の場合は元本が返ってまいりませんので、通例諸外国、過去の例を見ますと金利が高くなるということでございますので、片方が七の場合は十として計算したわけでございます。
○木本平八郎君 私は、結論的には、国債で払わなきゃいかぬ利子をトンチンの年金の形で払うというふうに認識しているわけです。これを今ここで議論していますとまたちょっと時間がたちますので、専門家の方で、実施段階でもう一度よく計算していただきたいと思うのです。 それで、今平澤さんがおっしゃった利率の問題ですが、確かに、これはもう元本が返ってこないのだからもう少し金利をもらいたいというのが素朴な要求だと思うのですね。このトンチン年金の性格からいけばそういう利率の問題ではないわけですけれども、一般的にはそうだと思うんですね。それからモラルの問題もありますから、私はやはりこの天井を抑えることが絶対に必要だと思うんです。これを、例えば百万円掛けて、それで一回の配当金を一千万円で頭打ちにするのか一億円でするのか、これも技術的な問題があると思うんですけれども、そうして頭打ちにしますと、これは計算が少し面倒くさいですけれども、将来政府は払わなくてもいいわけですね、この頭打ちを超した分は。その分をずっと初めの方に戻して払っていけば一割に近い配当もできるんじゃないかというふうに思うわけです。そういうふうな一つの操作をする。あるいは、あんまり不確定だと困るということですと、生命表がありますから、何歳ぐらいにおいて何%ぐらいというのは大体決まっていますから、それじゃ七十歳なり七十五歳までは定額でやっておいてその後は用意ドンというふうな考え方もやっぱりできるんじゃないかというふうに思うわけです。 それで、それからもう一つは、死亡保険と一緒に組み合わせて考える。例えば二十歳なら二十歳で入って六十五歳で百万円満期と。それまでに死ぬと百万円保険金を払うわけですね。六十五歳になったら百万円にぴしゃっとなる。そうすると、本当に掛金は少なくていいと思うんですね、四、五百円かもしれませんね。そういうふうにしてそこで切りかえるというふうにすれば、まあ六十五歳まで一応生きていれば妻子も養えるからあとはもう生存保険でいいというふうなことにも持っていけるんじゃないか。したがって、例えば今現在私なら私が、満期で二千万なら二千万の養老保険というのが返ってくると。そのうちの五分の一とか六分の一をトンチンの方に切りかえて、そしてあとは生存保険でもらっていくという切りかえ方もできると思うんですね、これは今の保険の方法で。 あるいは、例えば男と女の場合に寿命が違うわけですね。私は女の人も同じグルーピングの中に入れるわけです。女の人はもう自分が長生きすると、確かに事実長生きするわけですから、それは女の人に非常に有利だ。そうすると、非常に女の人は、私の家内なんかこの話をしますと、いやそれはもう絶対入る入ると言っているわけですね。それは亭主よりもやはり長生きするだろうし、長生きしたときの生活の保障の問題は女の人の方が心配が多いので、私はこれはうまくやれば売れるのじゃないかという気がするんです。 で、先ほど栗林委員から郵便局の郵貯の問題がありましたけれども、私は、こういうものをトンチン公債としてやるんなら郵便局というのは非常にいいのじゃないか。これはもう元本は政府に帰納するわけですから、そういう点じゃ郵便局のシステムというのは非常にいいのじゃないか。今後の郵便局の活用というか、そういう点からも非常におもしろいのじゃないかという気がするわけです。 そういう点をいろいろやはりお考えいただくと、これはあるいはトンチン公債という形にすると少し乱暴かもしれないんですけれども、トンチン年金という名前と形でやれば、お考えいただく余地があるのじゃないかと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員がおっしゃいましたまず第一の、六十五歳になってということをこれから始めようといたしますと、その方は六十五になるのはずっと先でございますので、そのときは、最初言っておられましたいわゆる巨額の公債を解消していくという方策としては将来の話になってしまうという問題があり得るのじゃないかということでございます。 それから二番目の、トンチン年金としてのお考 えは、これはいろいろ検討をする価値はあろうかと思いますが、それを郵便局で仮にやるといたしますと、郵便局は今現在各種の年金的なこともやっております、保険もやっております。そうすると、公的年金的なものをそこでやるという、しかもかなり形の変わったものをやるのはいかがかという問題も出てくると思います。したがいまして、前回申し上げましたように、そのような生存保障性というんですか、これを加味したものを民間でどうやっていくかということが一つございますし、それから現にやっております、郵便局でやっている保険がございますが、それにそういう生存保障性をどの程度入れていくかという点はやはり検討に値する点もあるのではないかというふうに思うわけでございます。
○木本平八郎君 細かいことを議論すれば切りがないし、それはきょうの趣旨じゃないので、一応そういう問題提起ということにしたいわけです。 それで、そろそろまとめに入りたいんですけれども、老人福祉の問題から考えますと、福祉というのは何か国がやるべきだというふうな考えがあるわけですね。しかしそれは、全部が全部とはいきませんけれども、ある意味では老人が相当資産を持っているという人もおるわけですね。そういう資産は、全部じゃなくてもいいですから、やっぱりそういう保障に転換した方がいいんじゃないか。なぜ資産を持っているかというと、やはり将来が不安だ、それで結果的にはそれが相続資産になってしまうというケースも相当あると思うんですね。そのぐらいなら生前に活用してもらった方がいい。このままでいきますと若者の負担がどんどんふえるわけですから、老人問題は、老人も自分の方で一部分は負担して若者の負担を少なくするというビヘービアというか考え方も、これから必要なんじゃないかと私は思うわけです。 それからもう一つは、老人の消費というものを考えますと、今、年金生活者の消費、これはある調査では消費支出、消費性向ですね、これが一・〇に近い、年金をもらいながら。それはやっぱり将来残すことはないから、あるいは入ってくるものが少ないからということもあるでしょうけれども、ほとんど使っちゃうと。そうすると、その一・〇ということは乗数効果が非常に大きいわけですね。そうしますとやはり、これが消費の拡大、それから大きく言えば内需の拡大にも向いていくんじゃないか。現在、一世帯六百万円か何か平均貯蓄があると。こういうものはこれは将来の不安のためにあるのだから、仮にトンチンみたいなものができれば、六百万円でなくて四百万円でもいいということになるかもしれない。そうすると二百万円が消費の方に向いていくということで、今内需拡大の問題が非常にやかましく言われていますけれども、私その辺のメカニズムになると専門家じゃないんですけれども、少し専門的な立場から御検討いただくとあるいは消費に対する刺激、内需拡大に対する刺激にもなるんじゃないか。それがまさに民活という感じもするわけですね。その辺でやはり少し御検討いただきたいと思うわけです。 それで、私は最後に大蔵大臣に御所見を承りたいんですけれども、要するにこの国債問題というのは、これはもう何回も皆さんが繰り返しおっしゃっているように、ウルトラCというのはないわけですね。やっぱり地道なことをやって、ちょっとでも役に立ちそうなことを少しずつ積み重ねていって、百三十兆円あるんだから一千億やそこらやったってしようがないというあきらめじゃなくて、一千億でも五百億でも積み重ねて何とかということがやっぱり必要だと思うんです。それでやはり姿勢としては、政府も必死になって何とか減らそうとしているというのが国民に気持ちとしてわからなきゃいかぬと思うんですね。だから、金額を五兆円減らしたとか十兆円減らしたとかいうそういう華やかさじゃなくて、五百億でも千億でも必死になって取り組んでいるという感じが国民に伝わってこなきゃいけないんじゃないかと思うんです。まあそれは、はっきり言って私は今まで余りそれが感じられなかった。したがって、ぜひこの際、今後はそういうふうな感じを国民に与えていただきたいというふうに思うわけです。 その辺の御所見を承りまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(竹下登君) まず、国債の方から整理して申し上げますと、ウルトラCがないかというので今までいろいろな議論が出たことがございます。一つは、土地の再評価税を一遍にやる。それは納めるのは年賦であるにしても、そうすると税制上の論議からすると、いわばそれは、個人を仮に除きますと、法人税の先取りになってしまうのではないかという議論で大体宙づりになっていると申しましょうか、そういう議論で、華やかさは今欠いておる。しかし依然としてその議論は政党によってはございます。 したがって、そうなるとやっぱり地道な努力を、ちりも積もれば山となるでございますから、そういうことで現実はどんなことがあるかと申しますと、決してちりではございませんけれども、ことし発行しないで済む予定の国債、結局この間、出納整理期間中安全係数を掛けまして千五百億ほどやらせていただいた。まだあと八百億だけ出さなくて済む、こういう状態が一つあるわけです。それもやっぱり大変な工夫だったと思います、私でなく、事務当局がいろいろ工夫して。だから、当初よりも結局は八百億は出さなくて済んだというのも残高をふやさないための一つの政策でございます。非常に安全をかけておりますから、決算調整資金から借りてくるとか、そういうことはしなくても恐らく五十九年決算は済むんじゃないかと思いますが、仮に三月の法人のが、よくて幾らか出るとします。そうすると、それも可能な限り使わないで、要するに国債整理基金の方へ半分以上ということになっておりますが、大平大蔵大臣のときの答弁が残っておりますので、財政再建期間中は可能な限り全額をそこへ入れていく、これも一つの工夫でございます。そういう工夫はこれからも積み重ねていかなきゃいかぬ、これが一つの物の考え方でございます。 それからもう一つ、今先生がおっしゃったトンチン年金の問題ですが、それはトンチン年金がいわば郵便局とかあるいは国債の形で行われますと国営保険が一つふえることになるわけです。民間圧迫をしちゃいかぬという建前をずっと貫いてきておりますから、したがって、この間の審議会からちょうだいしましたように、「今後ニーズの動向や社会的評価をも十分見守りながら、個人年金について、漸次生存保障性を強めていく」という商品として前向きに検討すべきだ、現在のところ私もやっぱり、民間保険の分野で新商品として検討をされることではないか。国営保険ということになりますと、それでなくても、先ほど来の議論じゃございませんが、これから郵貯のあり方というのをどうするか。そうすると当然簡保も個人年金も入ってまいります。そこに問題があるんじゃないか。これは木本さんの意見に対して私が問題提起をしているようなものでございますけれども、政治家同士の議論でございますから。 それからもう一つは、先般大木さんが調査していただきまして、老人の貯蓄というのは意外と少ないということは、ちょうど今数字を持っておりませんが感じましたので、これはまた後日適当な機会に老人貯蓄の資料などは差し上げてもよかろうというふうに思います。
○委員長(藤井裕久君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。 午後六時二十九分散会