大蔵委員会 第18号
- 発言数
- 109 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/06/14
会議録
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。 本日は、三案審査のため参考人として、お手元に配付の名簿のとおり六名の方々をお招きいたしております。まず午前中に三名の方々から、午後に三名の方々から、それぞれ御意見を聴取いたします。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、法案審査の参考にいたしたいと存じます。 これより参考人の方々から御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方々からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしく御協力をお願いいたします。 それでは、まず羽倉参考人にお願いいたします。お座りのままでどうぞ。
○参考人(羽倉信也君) ただいま委員長から御指名いただきました全国銀行協会連合会の羽倉でございます。 本日は、昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案等につきまして意見を述べるようにとのことでございます。 そこで、まず昭和六十年度の予算についてでございます。 昭和六十年度一般会計予算の規模は、全体では五十二兆四千九百九十六億円と、五十九年度当初予算比三・七%の増加となっております。しかしながら、国債費と地方交付税交付金を除きました一般歳出は三年連続のマイナスとされたわけでありまして、歳出の節減に努められた財政当局の御努力がうかがわれるところでございます。 一方、歳入面は、税制改正により貸倒引当金の法定繰り入れ率の引き下げなど、法人関係における若干の負担の増加といった点もございますが、全体として見ますと、増税なきの精神は遵守されているものと申すことができると存じます。 しかしながら、財政当局のさまざまな御努力にもかかわらず、六十年度予算におきましても税収及び税外収入の合計額と歳出との間には依然として大幅な不均衡が生じており、なお十一兆六千八百億円もの国債の発行に依存する予算になっているのでありまして、このことは、率直に申し上げましてまことに遺憾であると申さざるを得ないと思います。後に申し述べますように、六十年度からは借換債発行額の大幅な増加も見込まれております。国債の引受消化を担います私どもといたしましては、容易ならざる事態が続くと受けとめている次第でございます。 今後急速な高齢化が予想されることも考え合わせますと、財政に対する需要は引き続き増加する傾向にあるものと予想されるわけであります。こうした中で現下の財政の不均衡を改善しその効率性を高めることは緊要の課題であり、そして比較的経済が安定している今はその好機であると考えられるのであります。財政当局におかれましてはなお一層の歳出の見直し削減に努められますとともに、長期的な展望を踏まえて財政の再建を強く推し進められますことを希望する次第でございます。 次に、財確法等の内容につきまして申し述べます。 まず特例公債の発行についてであります。六十年度予算におきましても五兆七千三百億円の特例公債の発行が予定されております。これは五十九年度に比べ七千二百五十億円の減額となっており まして、この間の財政当局の御努力には大変なものがあったと思料いたしております。しかし、ここはなおいま一歩の減額、すなわち前年度に示された財政の中期願望に沿った一兆円程度の減額を行っていただきたかったところでございます。 なお、特例公債の借りかえにつきましては、現在の財政事情からいたしましてやむを得ない措置であるとは申せ、これはあくまでも特例措置とすべきでございまして、速やかな減債に最大限努めていただきたいと存ずる次第でございます。 次に定率繰り入れの停止についてであります。定率繰り入れにつきましては、五十七年度の補正から数えまして、ことしで四年連続の停止ということになります。現在の財政事情からいたしましてこれまたやむを得ない措置ではありましょう。しかし、定率繰り入れは国債の減債基金制度の骨格をなすものでありまして、その趣旨は、国債の償還財源をあらかじめ積み立て確保することによって、償還にかかわる負担を平準化することにあるというふうに考えられます。しかも、この制度が存在することの意義は、それだけにとどまらず、制度の存在自体が財政の膨張、国債残高の累増に対する間接的な歯どめともなり、ひいては公債政策に対する国民の理解と信頼を得ることにもつながっているというふうに考えられるのであります。厳しい財政事情のもとではございますが、定率繰り入れを基本とする減債制度は今後ともこれを維持すべきものと考える次第でございます。 これに関連いたしまして、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案には、この四月から民営化が行われました日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の株式の一部を国債整理基金に帰属させる措置が盛り込まれております。国債償還資金の充実のためこれは好ましい措置であると考えるのではありますが、これはこれといたしまして、定率繰り入れを基本とする減債制度は維持すべきものと考える次第でございます。 ここで、せっかくの機会でございますので、私どもの若干の要望等も交えて、国債全般についての考えを申し述べさせていただきたいと存じます。 第一は、国債発行額の圧縮の重要性についてであります。 資源配分、所得再分配、景気調整といった財政の持つ諸機能を生かし財政を効率化するために国債発行額の圧縮が必要とされておりますことは、既に御高承のとおり、改めて申し述べるまでもございません。加えまして、国債の引受消化を実際に担っております私ども民間金融機関の立場から申しましても、国債の円滑な消化のためには国債発行額の圧縮が最も重要であります。 本年度の場合で申し上げますと、四条国債、特例公債を合わせましたいわゆる新規財源債につきましては、発行額が前年度に比べ一兆円減額されました。ところがその一方で、借換債の発行が大幅に増加するため、国債発行総額では前年度に比べまして二兆五千九百六十九億円の増加となりまして、二十兆円を超える見込みとなっているのであります。このように、借換債による国債発行総額の巨額化は今後さらに顕著になるものであります。申すまでもなく、借換債が発行されるということは、一方で必ず満期が到来した国債の存在があり、その償還資金の支払いがあるということであります。こうしたところから、借換債の発行、消化ということはともすれば容易であると考えられがちであります。しかしながら、現実の個別のケースを取り上げてみますと、満期に償還された資金が再び借換債に投資されるとは限りません。すなわち、実際の市中消化という面におきましては、借換債であらうと新規財源債であろうと何ら変わりはないというふうに考えられるのであります。したがいまして、国債の円滑な発行、消化のためには借換債を含めた国債発行額の圧縮が最も重要な課題であると考えていただきたいと存ずるのであります。第二は、資金運用部資金による国債の引き受けの一層の拡充についてであります。国債の円滑な消化のためには市中消化額をできるだけ圧縮することが必要であり、そのためには資金運用部資金の活用が望まれます。六十年度につきましてはこの点御配慮をいただいたものとなりましたが、今後とも、財政投融資計画の見直しなどを通じまして、資金運用部資金による国債の引き受けを一層拡充していただくようお願いする次第でございます。 第三は、市場実勢に沿った国債発行条件の決定についてであります。 国債を市中で円滑に消化していくためには、発行額に配慮することのほかに、金利、価格といった発行条件が市場の実勢を反映されて決められることが必要であります。近時は発行条件の改定に際して市場実勢を反映させた弾力的な扱いが行われておりますが、金利の上昇局面においても対応がおくれがちになるなどといったことがないように、今後とも市場実勢を一層尊重した国債発行条件の決定が行われることを強く要望いたす次第でございます。 第四に、国債の引き受けを担っております民間金融機関の資金吸収力の強化についてであります。 私ども民間金融機関は国債の最大の引受手でありますが、郵便貯金の肥大化によってその資金吸収力が阻害されておりますことはまことに大きな問題であります。郵貯は官業であり、その肥大化の是正は臨調答申でも厳しく指摘されたところであります。この点につきまして、賢明かつ早急な御配慮をお願いいたしたいと存じます。 最後に、短期国債につきまして私ども民間金融機関の見地から一言申し述べさせていただきます。 国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案には、年度内に償還される借換国債の発行措置が定められております。これを含めた償還期限一年未満のいわゆる短期国債は、銀行預金と競合する面があることも考えられます。また、預金金利の自由化や金融市場動向等についての配慮を欠く場合には、民間金融機関の資金吸収力の面だけでなく金融市場全体にも好ましくない影響も生じかねません。したがいまして、短期国債の実際の発行に際しましては、金融自由化の進展状況や金融動向に十分配慮しながら検討される必要があると考える次第でございます。 以上いろいろと申し述べましたが、私どもの要望につきましての格別なる御配慮をお願いいたしまして私の陳述を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(藤井裕久君) ありがとうございました。 次に、渡邊参考人にお願いいたします。
○参考人(渡邊省吾君) 御指名をいただきました日本証券業協会の会長をしております渡邊でございます。 本日は、昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案等につきまして意見を申し述べよということでございますので、証券市場に携わっております者の立場から意見を申し上げたいと存じますが、それに先立ちまして一言お礼を申し上げますが、先般本委員会におきまして債券先物取引に関する証券取引法の一部を改正する法律案について御審議を賜り早期に議了されましたことに対しまして、この席をおかりいたしまして衷心より厚く御礼を申し上げる次第でございます。 さて、財源確保法案等の前提となっております昭和六十年度の予算についてでございますが、現下の厳しい財政事情のもとにあって財政再建を推進する見地から、国債費と地方交付税交付金を除きました一般歳出につきましては、既存の制度、施策の見直し等を行い三年連続して圧縮されており、御当局の御努力に対しまして深く敬意を表するものでございます。一方、歳入につきましては、新規財源債の発行額が五十九年度当初予算に比べて一兆円減額されており、財政再建に取り組まれております御当局の御苦心のほどを察しますとともに、その御努力を評価するものであります。 次に、現在御審議が進められております財源確保法案等について申し上げます。 まず、昭和六十年度の特例公債の発行額についてでありますが、本年度の財政運営に必要な財源を確保し国民生活と国民経済の安定に資する観点からその発行額を五兆七千三百億円とされておりますことは、財政の現状その他の諸情勢を考えました場合、まことにやむを得ないものと存じます。 また、同法案におきまして、昭和五十七年度以降四年連続して国債費の定率繰り入れの停止措置を講じることとされております。国債の減債基金制度は、国債の償還財源を確保し、その負担の平準化を図るためのものでありますので、この観点から、国債費の定率繰り入れの停止は決して好ましいことではありませんが、国の財政収支が著しく不均衡な状況にあることから見ましてこれもまたやむを得ない措置であると存じます。 次に、国債整理基金特別会計法の改正案について申し上げます。 同法案において、年度内に償還される借換国債の発行並びに翌年度における国債の整理または償還のための借換国債の発行等の方策を講ずることとされておりますことは、本年度から本格化いたします国債の大量借りかえを円滑に処理するためぜひとも必要な措置であり、その実現が強く望まれるのであります。 なお、同法案中に、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の株式の一部の無償帰属の措置が盛り込まれておりますが、このことは国債償還資金の充実に資するものと考えられ、まことに適切な方策であると存じます。 さらに、産業投資特別会計法の改正案におきましては、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の株式の一部を同特別会計に帰属させることとされておりますが、これは、配当金収入を技術の研究の促進等産業開発の財源に充てることにより国民経済の発展と国民生活の向上に資することを目的とされておりますことから、適切な措置であると存じます。 御高承のとおり、最近の我が国経済は着実に安定成長の路線をたどっておりますものの、我が国をめぐる経済環境は必ずしも楽観を許さない状況にございます。したがいまして、今後の内外の経済動向に即応して財政の円滑な運営を図るため、六十年度予算と表裏一体の関係にございます六十年度の財源確保法案等につきましては、その早期成立が強く望まれるのであります。 私ども証券界は、昭和四十年度に国債の発行が再開されて以来、長年にわたって国債の個人消化に努力を重ねてきたところでありますが、昭和六十年度におきましても、引き続き新規財源債、借換債の双方について個人消化を一層促進することにより、財政の円滑な運営にいささかなりとも御協力申し上げてまいる考えでございます。 つきましては、国債の円滑な消化とその流通の一層の拡大を図るという観点から、若干の事項について要望を申し述べさせていただきたいと存じます。 まずその第一は、国債の発行条件の一層の機動的な決定と国債の多様化をさらに図られたいことでございます。 国債の発行条件につきましては、関係当局の御配慮によりまして、市場実勢化が大きく進展してきており、私どもとしてはこれを高く評価しているところであります。近年、公社債流通市場は急速な拡大を示しており、年間の売買高は八百兆円を超えるに至っております。これに伴いまして、投資家が新発債を取得するに当たって、流通市場の価格が投資判断をする上で極めて大きなウエートを持つという状況が生まれつつあります。また、一方、資本取引の国際化の進展によりまして、我が国の流通市場は海外の金利動向の影響を受ける度合いが高まってきております。こうした状況にかんがみ、国債の発行条件につきましては、今後とも引き続き市況の変化に応じて一層機動的に決定されるよう御配慮をお願いしたいのであります。 また、国債の種類につきましては、近年多様化が進められてきておりますが、今後、財政負担の軽減を図りつつ国債の円滑な消化を促進するとともに、投資家の選択の幅を広げる意味からも、国債の多様化を一層推進されるようお願いしたいのでございます。 第二は、国債の大量償還、借りかえに対処して、これを円滑に処理していくため、短期国債の十分な活用等について御配慮をお願いしたいということでございます。 御高承のとおり、昭和六十年度には、特例公債と建設国債とを合わせまして十兆二千六百億円という多額の償還が予定されており、それ以降も大量の償還が予定されております。国債の借りかえの実情を見ますと、概して、償還を受ける投資家と借換債に応募する投資家とは別人になっております。このため、国債の消化という観点から見ますと、借換債も新規財源債と何ら異なるところがなく、大量の発行が一時期に集中した場合には市場の秩序を混乱させるおそれもございます。したがいまして、今後、借換債の大量発行による流通市場への影響を回避しつつ借りかえを円滑に処理していくためには、さきに申し上げました発行条件の機動的な決定に加え、借換債の発行量を平準化する手段としても短期国債を発行しそれを活用することがぜひとも必要だと考えます。 また、短期国債の発行が実現すれば、短期金融市場における商品の多様化がさらに促進されることとなり、その量的な厚みとともに、短期金融市場の一層の整備拡充に資することになるものと存じます。これが、また、最近における金融資本市場の国際化の要請にこたえるゆえんでもあると存じます。これらの点を勘案し、短期国債の発行について十分な御配慮をお願いしたいのであります。 要望の第三は、債券先物市場の育成についてであります。 債券先物市場創設の問題につきましては、昨年十二月に証券取引審議会から「債券先物市場の創設について」の報告が行われ、これを受けて関係当局において検討が進められた結果、債券先物取引に関する証券取引法の改正案が今国会に提出され、冒頭申し上げましたとおり、本委員会の御審議等を経まして、一昨日衆議院大蔵委員会において可決されたところであります。 御高承のとおり、債券先物取引導入の目的は、国債の発行残高が累増する状況にあることにかんがみ、国債を大量に保有している機関投資家や事業法人等に対して、債券の価格変動に対するリスクヘッジ手段を提供することにあります。また、その導入は、国債を中心とする公社債市場の安定、拡大に資するとともに、我が国の金融資本市場が国際的な市場として一層その機能を充実強化していくこと等に寄与するという大きな期待が込められております。 こうしたことから、私ども証券界といたしましては、債券先物市場の創設が実現した暁には、健全な市場運営を図り、国際的にも通用する市場の形成に努めてまいる考えであります。 諸先生方におかれましては、市場の創設が実現した後も、債券先物市場の健全な育成を図るため、引き続き諸般にわたって御配慮を賜りますようお願い申し上げる次第であります。 最後に、有価証券取引税についてお願いを申し上げます。 有価証券取引税は転々流通する有価証券に対して課税される流通税でございまして、その税率は本来低率であるべきであります。しかしながら、我が国の有価証券取引税の税率は、この十年間に三回にわたって引き上げられました結果、先進主要国の中で最も高い水準にあります。 金融資本市場の自由化、国際化が進展する中で、公共部門、民間部門の双方を通じて直接金融のウエートが漸次高まってきており、これに伴いまして証券市場の機能の強化拡充の要請が一段と強まっております。このような情勢にかんがみ、株式、公社債に対する有価証券取引税の税率を大幅に引き下げるとともに、国債に対する課税を撤廃されるようにお願いしたいのであります。 特に、国債等の現先取引に対して有価証券取引税が課税されていることが大きな要因となり、現先市場の規模は縮小を余儀なくされております。このような傾向が今後も続くことになりますと、国債の発行、消化にも支障が生ずることが憂慮されます。つきましては、国債等の現光取引に対する有価証券取引税の課税を撤廃されるよう強くお願い申し上げる次第であります。 以上、昭和六十年度の財源確保法案等について意見を申し上げますとともに、国債の発行、流通の拡大に資する観点から幾つかの事項について要望を申し上げた次第でありますが、金融資本市場の自由化、国際化の進展により証券市場の国民経済に果たすべき役割はいよいよ重要性を加えてきております。私ども証券界としては、このような証券市場の重要性を深く認識し、市場機能の一層の強化のため最善の努力を重ねてまいる所存であります。 諸先生方におかれましても、証券市場の健全な発展のため今後とも引き続き格段の御高配を賜りますようお願い申し上げ、私の意見陳述を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(藤井裕久君) ありがとうございました。 次に、貝塚参考人にお願いいたします。
○参考人(貝塚啓明君) ただいま御紹介にあずかりました貝塚でございます。 参議院のこの委員会の参考人として意見を述べます機会を得ましたことを光栄に存じます。 財源確保法案と国債整理基金改正法案などの問題につきまして最初に私の私見を述べさせていただきまして、後で多少時間がございますれば、財政再建の問題についても私見を述べさせていただきたいと思います。 昭和五十年以降の大量の国債発行、特に特例公債の償還の時期が来ておりまして、これにいかに対処するかということが現在の問題になっていると思います。 国債発行の問題と申しますのは、元来は財政の問題であるかのごとくでありますが、実を申しますともう一つ金融の面が重要でありまして、財政と金融の問題の接点が国債発行の問題であります。 金融の問題から申し上げますと、結局国債を発行するということは政府がお金を借りるということでありまして、お金を借りるということは金融の問題であります。貸し借りの問題は金融の問題でありまして、ですから、そこでどうしても金融サイドで非常は円滑にお金が借りられるということが一つの重要な問題になってくるわけであります。 他方、財政の側の問題からは、当然のことでありますが、財政は財政規律を維持するということが重要であります。したがいまして、国債の発行に関しましても、財政全体の運営が規律を失わないようにするという措置といいますか、考え方が必要になると思います。現在の日本の国債発行の制度につきましては財政的な見地からの配慮がいろいろ加えられておりまして、例えば昭和五十一年ですか、以降発行されました特例公債につきましては、元来は現金償還をすべきであるということでありました。これは実を言うと、なるべく早く財政収支をよくしてできる限り現金で償還するのが望ましいという財政規律の立場から、そういうことが言われたはずであります。それから国債整理基金という考え方も、やはりこれは財政規律の立場から、国債を発行する場合にはちゃんと償還するような財源を用意しておかないといけない、そうでないと困るのじゃないかという発想法からでき上がっております。 このように、現在の日本の国債発行に関する考え方は、伝統的に財政の規律を非常に重んずるということに中心がございますが、現実の経済といいますか、そういうものは、実を申しますと昭和五十年以降の大量の国債発行以降非常に変わりまして、現在の段階で、特例債の脱却というのは事実上非常に困難であるということになります。そういたしますと現金償還ということは非常に難しい。したがって借りかえる、ということは要するに、もう一度借りるということをやらざるを得ないということになります。借りかえの問題というのは、ちょっと考えますと非常に危険なように思いますが、金融の立場からいいますとこれは割合と簡単な話であります。なぜかといいますと、現在国債をお持ちになっている方は資金をそれに使っておられるわけですね。したがいまして、国債が償還されるときにそのお金を全部消費してしまうかといいますと、それはそうじゃありませんで、もう一度必ず貯蓄といいますか投資されるはずであります。そうしますと、元来、借りかえるというときには今お持ちの方がおられるわけですから、その方がそのまま金融資産を持たれるというのが普通であります。そこで、ちょうどそういう方々に新しく国債を売りに出して、買ってくださいということが借りかえでありまして、これは割合と金融的には問題が少ないというふうに思います。 そういうことでありますので、実を申しますと借りかえの問題というのは、財政の立場を重んずるか金融の立場を重んずるかによってかなり考え方が違ってくるということになります。現在ここで議論されております財源確保法案とか国債整理基金改正法案の問題も、基本的には今申しましたようなことから判断されるべきだろうと思います。 私の意見を以下申し上げますが、これは借換債の償還ルールをどういうふうにするか、また国債整理基金をどういうふうにするかということでございますが、例えば国債整理基金というふうな制度は、現在の先進国ではもう既に廃止されたというか、昔あった制度で、現在はほとんど使われておりません。例えばアメリカの場合ですと、何といいましょうか、財政のしりはほとんど短期債で借りかえているということになります。ですから、そういう意味では現在のアメリカあるいはイギリスでもこういう制度は事実上使われておりませんが、私は、先ほど申し上げましたように財政規律上は減債制度は維持しておいた方がいいと思います。したがいましてまた、償還ルールも、今度のルールは六十年償還ルールでありますか、これもやはりこういう形で償還のルールを残しておいた方がいいと思います。というのは、やはり財政赤字のしりを余り安易に考えるのは望ましくないのであって、そういう意味で制度は残した方がいいというふうに考えております。 ただ、先ほど来申しておりますが、こういう借りかえというのは元来資金繰りの話でありまして、お金を借りるということでございますので、なるべくスムーズにお金が借りられるようにした方がいいわけであります。したがいまして、金融市場の状況というのはいろんな何といいますか借金の仕方があるわけでございますが、長期に借りる、あるいは短期に借りる、短期も三カ月ぐらいで借りる非常に短いものから長いものまであるわけですが、結局金融市場あるいは証券市場で、なるべく金利が安いやり方で、市場にあんまり影響を及ばさないやり方で、政府がお金を調達するというのが望ましいわけであります。そのためには調達の手段を多様化して、短期でもスムーズにお金が借りられるようにした方がいいわけでありまして、今回短期債による借換債が必要になって、しかも年度越しに借りかえをすることもあり得るという法律改正が提示されておるわけですが、私は、資金繰りの立場からいえば、やはり政府が、なるべく金融市場に大きな影響を与えずに、しかも資金コストといいますか、金利もなるべく低い金利で借りられるように、一番望ましいやり方で資金が調達できるのがいいわけでありまして、そういう意味で年度越しの措置も妥当であると思います。 特に日本の場合は、たしか五月に、以前に発行した国債が大量に償還されるということがありまして、そうしますと、その五月の償還に合わせて前もってお金を借りる手だてをしておく必要があります。新財政年度に入ってすぐに急にばたばたやるというのは非常にやりにくい話でありますので、事前に借換債を年度越しに出しておくという方が金融的にはスムーズであるというふうに思います。 それから借りかえの問題は、先ほど来お二人の参考人も意見を述べられておりました中で、やはり市場の実勢をなるべく重んじて行われるのが望ましいと思います。それから、金融政策との協調関係も留意されるのが望ましいというふうに考えております。 以上が、大体私の財源確保法案、国債整理基金改正法案などに関します意見でございますが、多少時間がございますので財政再建について私見を述べさせていただきたいと思います。 財政再建の問題は、昭和五十年代からずっと経済の中で大きな問題として非常に議論を呼んでおるところでございますが、第三者的に申しまして、今の大量国債の発行が経済にすごく悪い影響を及ぼしているかと申しますと、それはそうではないというふうに思います。例えばインフレになったり、政府がお金を借りることで民間の資金が非常に詰まって、民間の会社が高い金利でないと資金を借りられないというふうな状況は来ておりません。恐らくアメリカはもうそういう状況になっていまして、アメリカの連邦政府がすごく借金をいたしまして、アメリカの国内の貯蓄は相対的には少ないので、ですからアメリカの金利が高いということはよく言われておりまして、それが波及して日本経済にも大きな影響を持っておるわけでございますが、したがいまして日本経済自身で今大量国債発行が非常に経済に悪い影響を及ぼしているかというと、そうではないと思います。 しかし、中長期的には大量の国債発行は大きな問題をはらんでおりまして、恐らく十年後にはかなり日本の財政支出はどうしてもふえざるを得ない、特に年金とか社会保障に関して支出がふえざるを得ないと思います。したがってそういう点を考慮に入れまして、例えば税制の改革の問題が今非常に議論されておりますが、当面は、税収入全体は変えないとしてその組み合わせを変えて税改革を考える。しかしその場合に、やはり当面の税制改革は、将来税負担を上げるということがどうしても問題になりますので、そこを十分考慮に入れて現在の税制改革を考えるべきだというふうに思っております。 現在の財政再建は、六十五年度に脱却するというふうな目標になっておりますが、確かに行政改革は必要ではありますが、シーリングの使い方も少しずつ無理が来ておりまして、徐々に限界に来ているような感じがいたします。六十五年度に特例公債を脱却するということは私は妥当な目標だと思いますが、そのプロセスでやはり多少の増税を実現していった方が、将来の日本の財政の中で非常に大量の国債が発行されるという事態は好ましくございませんので、そういうことを考慮に入れて今後の財政再建をやっていただければ、何といいましょうか、今後の日本経済にとって非常に好ましいことではないかというふうに考えておる次第でございます。 多少は時間がまだ余ったようでありますけれども、この辺で私の私見を終わらせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○委員長(藤井裕久君) どうもありがとうございました。 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○竹田四郎君 お三人の参考人の皆さんには、大変お忙しいところを貴重な御意見を伺わせていただきまして、ありがたいと思っております。いろいろお聞きしたいことはたくさんあるわけでありますけれども、時間が限られておりますので、なるべく簡明にお答えをいただきたい、こういうように思います。 まず、貝塚先生にお伺いしたいと思います。 最近、財政再建について、現代総研あたりを中心といたしまして、国債の発行額をもう固定してしまってそれ以上はふやさない、しかしうんと今のような形で減らすということもしない、固定額にしてそのまま何年かずっといけば必然的に割合が減るから国債発行額というのは減るじゃないかというような意見もございます。あるいは、GNPに対する比率というものを一定にしなさい、それをふやすようなことはするなというようなこと。今まで政府がやってきたような特例国債をゼロにするというのは、今まで守られたことがないわけです。三回ぐらい目標をつくったわけですが、常に守られていないわけであります。今の先生のお話の中での、シーリングについてはかなりの苦しさが出てきておりますので、そのことに関連して、全体としての国債を余り切るなというようなことは、あちこちから意見が出ているわけでありますから、そういう意味で、余り急になくすということになるとどこかに大きなひずみが出てくる。特に年金あるいは社会保障面では大きな抵抗が出てくることが考えられるわけでありますから、その辺について、固定していく、あるいはGNPとの比率を維持してもうその率でいくというようなお考えについて、どんなふうにお考えになっているか、これを伺いたいと思います。 それから、今のお話の中で、多少の増税はというお話があったわけでありますが、これは今いろいろ意見が出ているわけでありますが、先生は具体的にどういう増税ということをお考えになっているのか。この二点について、まずお伺いしたいと思います。
○参考人(貝塚啓明君) ただいまの御質問にお答えいたします。 現代総研の提案というのは私は細かい点は存じませんが、大体、固定して国債発行額を制約として設けた方がいいと。その提案はかなり現実的な提案だというふうに私は受け取ります。というのは、固定しておけば、経済規模が拡大していくわけですし、国債の経済全体に占める比重も下がっていくわけでありますから、現在よりも政策が多少の自由度を持ち得るという意味ではそうであろうと思います。 ただ、一つだけ気がかりなのは、今までの財政再建のやり方というのは、ありていを申しますと、目標がきっちり守られていないということはそうなんでありますが、目標を置いておくこと自身の効用というのがありまして、それでみんな頑張るということがありました。何か、財政再建というのは現実よりちょっと難し目のところに目標を設定しておいて、みんなそれで頑張ってやる、そうすると相当の成果が得られるというところが割合と重要なところでありまして、多少無理をしないとだめじゃないかというところがあります。ですから、何というんでしょうか、一定額にしておくというのもかなり現実的な判断だと思いますが、ただそこにある種のちょっと無理して実現するというふうな目標がいつもあった方が私はよろしいんじゃないかというふうに思っています。 それから、増税の問題につきましては、これはもういろいろ議論がございまして、大変政治の問題でございますが、私どもが第三者的に眺めておりますのは、意見として申し上げたい点は、先ほどちょっと申しましたように、余り税収入は変えない、多少ふやしてもいいかもしれない、その中で恐らく税の組み合わせを変えるということだろうと思います。それは所得税の思い切った減税をやって、かわりにしかし財源が必要でありますから、その場合何を導入するかというのがこれは大変大きな問題だろうと思いますが、やはり私は消費にかける税金を導入することを考えるべき段階ではないか。その中で恐らく税制としては一番今後、先ほど来申しましたように、かなり長期的に財政需要があるわけですから、というのは十年先とかそういう先のことまで考えますと、財源として後の時代に使えるような税制を備えておくのがいいのではないか。そのためには、恐らくヨーロッパ型の付加価値税がいいのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○竹田四郎君 ありがとうございました。 それから、これは羽倉参考人あるいは渡邊参考人にお伺いしたい項目でございますけれども、今度の場合、借換債の短期国債ですね、これは年度を超えるものについては国会に報告があるわけですね、事前に予算総則で。しかし、年度内のものは、これは予算外ということで国会には何ら報告がない。償還される額が決まっているから言う必要はないじゃないかという思想だろうと思いますけれども、そういう形で短期国債が出されていくということになりますと、国民の知らない間にそういうものがいろいろな形で私は出ていく可能性がある、こう思うんです。 そこで、一番の問題は、この間もお話がありましたけれども、財政法第五条ですか、これは日銀に引き受けさせてはならないという財政側の要望が、禁止規定がありますけれども、日銀の方の日銀法二十二条では、これは逆に引き受けなければならないというむしろそういう義務を負わされている。そういうのが日銀法の二十二条の関係だと思います。そういうことで、特殊な事情ということを理由に日銀に引き受けさせていく。特殊な事情というのはいろいろあるようでありまして、具体的になかなかこれは決まっていないわけでありますけれども、それによってやっていくという、そういう意味では可能性があるわけですね。全然日銀に引き受けさせることができないわけじゃない、できるわけです。 今、蔵券とかそういうようなものは非常に安い利で、恐らく一%以上安い金利で日銀の引き受ということになっていると思うんですね。ところが、今度、短期国債は日銀引き受けは一応しないと言っておりますから、当面はしないと思うんです。するとかなりここに金利差が出てくるわけですね。そうしますと、大蔵省というのは、先ほどの借りる立場からいけばうんと安く借りた方がいいわけでありまして、日銀に対して、安い金利でひとつやってくれということで、引き受けさせる可能性というのは全然ないわけじゃないと思うんです。そこで今、日銀の方が求めているのは、恐らくそこまでおっしゃっているだろうと思うんですけれども、そうしたものも一般市場で公募しろ、こういう意見というのが前の前川さんあたりからずっと出ていたわけでありますけれども、今の短期金融市場というのは私は少し小さ過ぎるのじゃないかと思うんです。もう少し大きくしなくちゃいかぬ、もちろん短期国債が出ることによって大きくなると思うのですけれども。 そういう意味では私は、TBを含めた短期市場というものをつくる、そのことが借りかえによるいろんな金融的なものを楽に吸収できる、中立的なものにしてしまうというふうなことが考えられるのではないだろうか、こういうふうに考えますが、その辺は両参考人、どんなふうなお考えでございましょうか。
○参考人(羽倉信也君) 大変難しい御質問でございます。 まず第一に申し上げたいことは、短期の金融市場が非常に小さいという御指摘がございましたが、御指摘のとおりだと思います。ただ、こういった金融市場というのは、長年の伝統の上に、また歴史の上にでき上がってきておりますので、それを拡充するというふうに申しましても、そう一気に拡充するということはやはり金融市場に攪乱要因をもたらすことになるかと思いますので、急激な拡大ということは難しいかというふうに私は考えております。しかし基本的には、日本の金融市場、特に短期の金融市場が小さいということは、日本の金融の国際化を進める上におきましても決して好ましい状況ではないと思いますので、今後さらに短期の金融市場の育成ということについては通貨当局としても、また財政当局としてもお考えいただくことでございますし、また私どもとしましてもそういった短期市場の育成拡大ということを図っていきたい、かように存じているわけでございます。 それから、現在の日銀引き受けによりますTBというのは、これはあくまで、私どもの承知しております限りでは、国庫の金繰りのために発行される証券でございまして、そういった非常に特殊な要因でございます。したがいまして、私どもとしましては、そういった形では十分機能をし、またそういう意味で日本の金融市場内で位置づけができているというふうに理解しておるわけでございまして、そういった観点から考えますと、新しく発行されます短期国債というものは、先ほど来お話がございますような借換債の円滑な消化を図るために発行されるものでございますし、またこれはアメリカでもそのような目的のために発行されておるわけでございます。現在日銀が引き受けておりますいわゆるTBと言われておりますものとは全くこれは性格が異なるものであるというふうに私どもは理解をしておる次第でございます。
○参考人(渡邊省吾君) ただいまの御意見と大同小異だと思いますけれども、短期国債は、国債の大量償還、大量借りかえのために短期国債の発行が必要ではないかということだと思います。御承知のように国債の発行が時期的に非常に集中しておりましたために、その償還もある月に集中するということでございますと、その借りかえ、償還が非常に加重されるという問題が一つございます。もう一つは、償還が大量に重なっておりますと、その償還されました資金が次の発行に使われるまでの間ずれがありますね。その間、資金の管理をどうするかといったような意味から、こういった短期国債をそのための一つの手段として活用する。それがスムーズに借りかえを実行するためにぜひとも必要ではないか、こういう意味だと思います。 しかし、今先生の御質問のように、短期国債の発行は短期金融市場の非常に有力な一つの商品になるのではないかという期待が持たれているわけであります。日本の短期金融市場は今御指摘のとおり非常にスケールが小さい。いろいろな比較がございますけれども、一説ではアメリカの十分の一ぐらいではないか、経済規模から比べればそんなことはないと思いますけれども、短期金融市場のスケールは十分の一ぐらいしかないのじゃないかというような意見もございます。しかも、今の日本の短期金融市場は非常にインターバンクの短期金融市場という性格を持っておりまして、御承知の手形にしましてもあるいはコールにしましてもそうったような性格を持っておりますが、これをオープンな形に、金融機関等だけでなくて一般の人々も参加できるようなそういう短期金融市場にするべきである。したがって、短期金融市場とその他の金融との間に金利裁定が行われるというようなことが、自由化が進んでいくことによって促進される。もう一つは国際化でございまして、円が外国人に所有されるという形、貿易におきましてもあるいは外貨準備におきましてもそういう形で使われるということになりますと、——それが円の国際化ということだと思いますけれども、そうなりますとその所有された円が運用される場所として短期金融市場が非常に必要でございます。そういう場合に、先ほど申し上げましたようなインターバンクの短期金融市場だけではなくて、そこにさらにいろいろな商品があれば、短期国債などはその一つの柱になる商品じゃないかと思いますけれども、保有されました円がそこで運用されるというような機能も持ってまいりますので、円の国際化にも非常に寄与するところが大きいというふうに思いますので、先生の御質問のように、短期金融市場の一つの柱として短期国債が果たす役割というものは非常に大きいのではないかと思います。 そういう観点から申しますと、これは御質問の中にありましたように、TBなどと違いまして、日本銀行の引き受けという形ではなくて、ちょうど今の中期国債と同じように、市場の実勢を反映したそういう条件で一般的な募集の形というのが適当ではあるまいかというふうに考えております。
○竹田四郎君 ありがとうございました。 それからもう一つ。最近日本に金利の自由化、金融の自由化といいますか、いろんな意味での自由化があるわけでありますけれども、そういうことと、先ほど羽倉参考人がおっしゃられた資金運用部の引き受けをもっと多くしてくれないかという、これは御希望でありますけれども、この辺は日本の貯金、金融のあり方と密接な関係があるように私は思うわけでありまして、そういう意味では日本の自由化はどんな形で進んでいくのだろうか。 この十八、十九日も日米円・ドル委員会のフォローアップがあるわけでありますけれども、こういうものを見たり、この間の金融制度調査会の答申なんかを見ておりましても、預金金利の自由化というのは意外に早く進んでいるわけでありまして、大口のものは二、三年と言っていたのがどうも一年ぐらいは短縮されそうであります。この前は小口預金金利の自由化という問題はほとんど円・ドル委員会のあれには出ていなかったわけでありますが、今度あたりは具体的に出てきておりますし、さらに今度のフォローアップではもっとこの面の問題が具体的に出てくるということになりますと、これは預金による調達というそういう今までの機能というのが、そこが重点でなくなってきて、日本は郵貯があるからその辺は貯金による調達はあるわけでありますが、銀行関係では市場性預金による資金の調達という面がこれから多くなってくるんじゃないだろうかというふうなことが考えられるわけでありますが、その辺は一方では郵貯との関係を一体どう考えていくのか。 この問題は、これからの日本の自由化と、それから国債を消化するための金融あるいはその他の設備投資のための金融という意味では、かなり日本の金融界の大きな問題になるだろう。あるいは、今までの金融界自体におけるいろいろな枠組み、これもかなり変えていくんじゃないだろうか。あるいは金融界と証券界との垣根の問題というようなものも、今までのような形はもう自然になくなっていく可能性が非常に強いのじゃないだろうか。低くなるというふうに言われておりますけれども、そういう関係がどうも出てくるのではないだろうかというふうに私は考えるわけでありますけれども、そういう意味で羽倉参考人に、金融の今後の自由化の進展と、そうした特に郵便貯金の問題。 それからもう一つは、私はどうしても、これだけ自由化されてくるということになると、円の国際化の問題が当然出てくる。そうなるとやっぱり、オフショア市場の問題などもこれは早急に実現をしていかないと、そうした自由化の体制というものに追いついていかないのではないだろうか。あるいは同時に、日本における資金調達という問題では、ユーロ円なんかの中長期の借り入れの問題なんかもあるわけでありますけれども、そういう面で自由化というものがこの国債のあり方によってかなり進展を同時にしていくのじゃないだろうか、内外からの進展状況というのがあるのではないかと思うんですが、その辺はどんなふうに見ていったらいいだろうか。
○参考人(羽倉信也君) 大変いろいろな御質問がございましたので、私なりに理解いたしました範囲でお答えをさせていただきたいと存じます。 一つは金融の自由化の問題でございますが、まず、日本の金融の自由化というものが、対内的な要因としては、やはり今御指摘がありましたように、大量の国債が発行され、そしてことしあたりから大量の償還が行われる。そのために、いわゆる償還期限の短い期近物の国債が非常にふえてくるということによって促進されたということは、これは否定しがたい事実でございます。それに加えまして我が国の自由化というのは、特に外圧と言われております、主としてアメリカからの、しかしそれ以外のヨーロッパの国からもございますが、そういった外国からの要求によって進められておるというのが現状であろうかと思います。ただ、そういったことによって進められておりますために、必ずしも自由化の進み方というのが、全体としての金融市場、あるいは今御指摘がありました今までの金融の一つの構造と申しますか、そういうようなものが一つの整合性を持った形で自由化が進められているとは残念ながら言いがたいのではないかと思います。そういった点では、これからできるだけそういった将来の自由化のもとにおいてあるべき金融のシステムというものを考えて自由化を進めていく必要があるのではないかというふうに、私どもは考えておるわけでございます。 そのことをまず最初に申し上げまして、次に預金金利の自由化について申し上げますと、今御指摘がございましたように、金利の自由化というのは我々が考えておりました以上に速いテンポで進んでおるということが申し上げられると思います。昨年の円・ドル委員会におきまして大体大口金利の自由化が二、三年以内に行われるということになったわけでございますが、現実の進みぐあいを見ておりますと、これがもう少しどうも早くなるのではないかというのが率直な私どもの印象でございます。しかしながら、このことは決して日本の金融にとりまして私はそう大きなマイナスではない。むしろ自由化を進めることによって今お話がございました国際化という面におきましても進展が見られるということで、私はこれはむしろ歓迎すべきことではないかというふうに考えておるわけでございます。 ただ、我が国の場合、金利の自由化を進めます上においてやはり何と申しましても一番大きな問題は、御指摘がございましたように郵便貯金の存在でございます。郵便貯金は、御承知のように、我が国の個人預金の三分の一以上を占めるに至っております。そして、特に銀行との関連におきましては、いわゆる普通銀行の個人預金の総額をはるかに上回る金額に今やなっておるわけでございます。そういったことからいたしまして、小口預金の金利の自由化につきましては郵便貯金の存在というものを無視しては考えられないわけでございますが、郵便貯金は御承知のように官業でございまして、民間金融機関と全く別のシステムによりましてコスト計算その他がなされまして、そして自由化された場合の金利設定が行われる懸念があるわけでございます。もしそういうふうなことになりますと、民間の個人預金の三分の一を占めている一つの団体が金利決定をいたしますと、その金利がいわゆる個人預金のマーケットにおいてプライスリーダーになるということはこれは全く自明の理であろうかと思います。そうなりますと、いわゆるフリーなマーケットにおいて形成される金利とは全く別に、独自のコスト計算に基づいた金利によって個人預金の金利が決定されるということになりますと、これは自由金利とは言いがたいというのが私どもの考えでございます。したがいまして、郵便貯金をどういうふうに処理するかということを抜きにいたしまして小口金利の自由化ということは考えられないというのが私の考えでございます。 そういった面では、先ほど申し上げましたように、臨調答申におきましても、郵貯につきまして民業の補完に徹すべしということが強く求められておりますし、定額貯金の見直し、商品性の見直しということも指摘されておりますが、これは最初は五十六年、それから五十八年というふうにそういった答申が行われておりますが、それが全く現在まで実現されておらないのが実情でございます。むしろその反面におきまして、郵貯の方は民業圧迫と思われるような新しい分野に着々と進出しているというのが実情でございますので、その辺につきましては、自由化問題の推進とも絡めましてぜひ御配慮を賜りたい、かように存ずる次第でございます。 それから資金運用部による国債の引き受けにつきましては、私どもとしましては、これは国債管理政策の一環といたしましてやはりシ団引き受けというのが従来から原則として行われているわけでございますが、私は、我が国の国債消化の今日までの状況、さらに今後の状況を見通しましても、このシ団引き受けの方式というのは今後も堅持さるべき一つの行き方ではないか、かように存ずるわけでございます。その場合にやはり、かつて昭和五十年代の前半におきまして見られましたような、民間の金融機関に多大の犠牲を払わすことによって国債の大量の消化が行われたわけでございますが、そういった事態は今後絶対に再現されてはならないというふうに私どもは思うわけでございます。そして、そういった点から考えますと、資金運用部による国債の引き受けというのは今後もぜひとも拡充していただきたいというのが、私どもの国債管理政策上の必要性からいって特にお願いしたいところでございます。 オフショア市場の問題につきましては、東京のオフショア市場というのは、現在のところいろいろと外為審議会におきましても特別の委員会を設けまして検討をされることになっておりますが、これはまことに時宜を得たものであるというふうに私どもは考えております。 と申しますのは、東京は御承知のようにニューヨークとロンドンのちょうど中間にございます。したがいまして、ニューヨークと東京そしてロンドンという国際的な金融市場ができますと、これはちょうどその中間を埋める形になりまして、単に日本だけでなくて世界の金融市場の円滑なる運営という点から、あるいは発展という点からいって、大変好ましいことであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。またさらに、現在世界を見渡しまして経済発展が最も著しいのは、御承知のようにいわゆる環太平洋地区といいますか、パシフィックリムというところでございますが、東京を中心といたしまして、香港であるとかシンガポールであるとか、そういったものを含めましたアジアのオフショア市場がさらに相乗的な効果を持って、いわゆる金融市場のパイの拡大といいますか、取引界の増大というものが図られるというふうにも思うわけでございます。 また、東京にそういうふうな金融市場ができることによりまして、外国の銀行等のいわゆる取引の機会、したがいまして当然のことながら収益機会もふえることになるわけでございまして、外国銀行から今いろいろ、日本の金融市場の自由化、そういうものをさらに促進してほしいという要求が出ておるわけでございますが、そういった面でまた、したがいまして、いわゆる言われるところの外圧による金融摩擦の緩和策にも有効であるというふうに考える次第でございます。 そういうようなことでございまして、私ども銀行界といたしましても、できるだけこれを促進していただきたいというふうな考えに立って前向きに取り組んでいきたいというふうに思っております。 なお、日本の金融機関の中でも、特に地方銀行等におきましても、現在やはり日本の経済全体が大変国際化しておりますので、そういった国際業務への傾斜、進出といいますか、そういった要望は非常に強いわけでございますが、ロンドンとかニューヨークだけが国際金融市場でございますと、地方銀行がそういった分野で活躍するというのが非常に難しいわけでございますが、しかしもし東京にオフショアマーケットができるということになりますと、そういった地方銀行等、あるいは場合によれば相互銀行等におきましても、東京のオフショアマーケットを通じて積極的に国際金融市場に参入していくことができるということで、そういった点につきましても大変好ましいことであるというふうに考えております。 以上をもちまして私のお答えとさせていただきます。
○竹田四郎君 私の時間がもうお答えを含めまして二十二分までしか時間が与えられておりませんので、渡邊参考人にいろいろお聞きしたい項目はたくさんありますけれども、簡単にお答えをいただきたいと思います。 一つは、きのうからも非常に問題になりましたけれども電電株の売り方ですね、これが随分いろいろ意見があります。大蔵大臣も、いろいろな人の御意見を承りたいときのうもおっしゃっておりましたのですけれども、売る時期、方法、こういうようなものは一体どんなふうに考えたらいいのだろうか。私どももこれについてはさらにこれから詰めていかなくちゃならぬ問題もあろうと思いますが、その辺のお答えをひとついただきたい。 それからもう一つは、日本の国債がもう少し外国に売れないだろうかなと思うのですけれども、その辺を証券業界としてはどんなふうにお考えになって、どんなことをしたらいいのだろうかという御提言でもあればひとつ伺いたいと思います。 大変短い時間で恐縮でございますけれどもお願いします。
○参考人(渡邊省吾君) 御質問の問題はきょう午後に私どもの業界の者もいろいろ御質問を受け、お答えするように段取りができているというふうに私聞いておりますけれども、今の御質問に対しましては、非常に重要な問題でございますし、それから非常に関心を呼んでいるように聞いております。しかしこれは、過去にそういった株式の放出をしたこともございますので、そういったことも参考になると思いますし、また、その時期等につきましては、当然証券市場、株式市場の状況等もこれは重要な要件でございましょうし、価格につきましては、今申し上げましたような過去の例もございますし、またその評価方法もいろいろございます。したがいまして、今ここで私が、この案でいくべきではなかろうかということを申し上げるのはかえって非常にまずいことじゃないかと思いますので、また関心も呼んでいる問題でありますので、慎重に検討して、結論が出た上で実行するということじゃないかと思います。 それから、日本の国債が外国に売れないかという御質問でございますが、今、外人の日本に対する証券投資はいろいろございまして、特に株式投資につきましては御承知のようにもうかなり前から盛んに行われておりますが、日本の国債に対しては、——これは外国と日本では長期金利の差がかなり激しゅうございまして、今、日本の機関投資家は、特に米国中心でございますけれども、外国の高金利の長期債に対する投資が非常に大量に実行されておるわけでございます。外人が逆に日本の長期債について、特に国債について投資をするということも当然考えられるわけでございますけれども、その点は金利差と、それから円とドルとの為替の問題ということが大きなファクターになろうかと思いますので、早急にというわけには現状では難しいのではないかというふうに思いますが、これは今後の変化によってはあるいは先生の御質問のように、あるいは御期待のように、そういう現象が起こらないとも限りません。現状では、どうでしょうか、難しいのじゃないかと思います。
○桑名義治君 大変にお忙しい中をきょうは御参加していただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 最初に、貝塚先生にお尋ねをしておきたいのです。 先ほどの陳述の中で、五十年以降の大量のいわゆる国債発行というものは、これは財政と金融の接点といういろいろな難しい問題があるけれども原則的には否定すべきではないというニュアンスのお答えがあったわけですが、その中で節度を失しないようにという御意見があったわけです。その節度を失しないようにという御意見の中身はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その問題。 それから、財政再建に関しまして、国債の大量発行は経済に現在悪影響を及ぼしていない、しかし中長期的に見た場合にはいわゆる年金、社会保障の掛金等がこれは高くなるというような影響が出てくるのではないか、こういうふうなお話でございましたし、さらに、六十五年の赤字国債脱却というものについては賛成だ、ただしこれは税を上げても脱却すべきであるというような御趣旨の御意見を陳述されたわけでございます。その中で、所得税を減税して品物に税金を云々という意見の陳述があったわけでございます。 そこで、こういうふうな一連の御陳述の中身から考えますと、いわゆる公的負担が少し多くなるのではないかというふうにも考えられるわけでございますが、この点については大体公的負担を何%ぐらいが限度だというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点をまず伺っておきたいと思います。
○参考人(貝塚啓明君) ただいまの御質問の第一は国債の借りかえについての節度というのはどういう具体的な内容かというお話でございますが、それは、私先ほど申し上げましたように、やはり国債整理基金の制度を維持しておくということはやはり一つの節度だと思います。例えばアメリカの場合にはこういう制度は現在なくなってしまいまして、要するに国債の借りかえをする場合には普通の新規発行とみんな同じに取り扱いまして、特にそれについて配慮をするということがないわけでありますが、したがいまして、そういう意味では非常に簡明ではありますが、日本の場合には、例えば特例国債についてはどういうふうにするかとか、あるいは国債整理基金の制度を維持して、できれば繰り入れがちゃんとできるような状況に持っていきたいという、そういう制度の枠組みを残した方がいいということを申し上げたわけです。 それが節度ということでありまして、これはやや抽象的でありますが、私は、割り切って言えば、非常に象徴的なものだというふうに理解しておりますが、要するに、そういう制度を残しておいた方がやはり今後とも長期的にはいいのではないかということでございます。多少あいまいさが残っておりますけれども、そういうふうに理解しております。 それから、財政再建の今後の問題ということでございますが、私が申し上げましたことは、大幅な増税ということについては私はむしろ反対でございますが、多少税負担を上げていく方が、財政再建のプロセスではその方が後の問題にスムーズにつながるのではないかということを申し上げたわけでございます。大幅な増税というのは私は財政規律上必ずしもよくないというふうに思います。例えば三兆円とか四兆円の増税がもし可能であったときには、次の年度の予算編成というのはかなり緩むということになります。ですから、そこのところは非常に微妙なところでありますが、多少のネットの増税は必要ではないかというふうに考えておるということでございます。 それから、税負担の問題というのは限界がどの程度であるのかというふうにおっしゃいましたが、私自身細かい計算は今何とも申し上げられませんが、既にもう昭和五十年代以降税の負担というのはだんだん上がってきております。ですから、税の負担率はある種の限界というのがあるというふうには思いますが、これはやはりどうしてもそのときの社会保障とかそういう再分配の方の観点とあわせて最終的には、これは非常に難しい問題なんですが、今例えば四十代前後の一番団塊の世代の皆さんが定年になるころにどうなるかということであります。要するに、若い世代の人と高齢者の間の負担の問題。ですから、結局両方ある程度我慢するというのが日本的な解決でありますから、例えば社会保険の料率はある程度上げざるを得ないが、恐らく年金の給付は今の厚生年金よりももう少しやはりシビアにせざるを得ないのじゃないか。 そういうところで、結果的には負担率はかなり上がると思いますが、現在の日本の状況を考えて将来を考えますと、やはりそこはやむを得ない。要するに、人口構成が非常に急激に変わったときにどういうふうに対処するかというのは、それ以外にやり方としてはないのであって、その場合、当たり前のことでありますが、民間の経済活力をできる限り維持して、民間経済活動が経済成長をある程度維持できるような体制にしておく、成長がある程度できれば後の負担というのは相対的には軽くなるのです。そこのところを維持しておくのが肝要ではないかというふうに思います。 多少まとまりの悪い話でどうも恐縮でございますが、そのように考えております。
○桑名義治君 渡邊会長さんにお願いをしたいのです。 先ほどから短期国債の問題の御意見を伺ったわけでございますが、そこで短期国債の商品設計やあるいはまた発行条件について、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。 また、政府短期証券には有価証券取引税が課せられていないわけでございますが、短期国債に有価証券取引税が課税された場合、この場合は市場で円滑ないわゆる消化が可能であるかどうか。 この二点について伺っておきたいと思います。
○参考人(渡邊省吾君) ただいまの御質問、短期国債のいわば発行条件といったようなお話が一つと、有価証券取引税のお話だと思います。 条件につきましては、これからの検討課題でございますので、ここで具体的に申し上げることは難しいと思いますけれども、しかし、先ほども申し上げましたように当然市中消化ということだと思いますので、今の中期国債なんかと同じように、市場の実勢にやっぱりのっとって条件を決めてもらいたいというふうに思うわけでございます。 特に短期国債については、これも申し上げましたように、現在の短期金融市場でほかの商品、つまり現先とかあるいはCDとか政府の短期証券とか、あるいは今月から商品になって出ましたBAですね、銀行引受手形、こういったようなものと並んで、その間に金利裁定が盛んに活発に行われるといったような短期金融市場の中の一つとして短期国債が発行されますと、大変そういった機能が期待されるというふうに思います。したがいまして、条件としては市場の実勢を尊重していただきたいということだと思います。 それから、有価証券取引税でございますけれども、これが課税されるということになりますと、これはごく短期の有価証券でございますので、その消化は非常に阻害される。有価証券取引税が課税されれば阻害されるということでございます。これは、現在の国債の現先とそれからCDの関係からも明らかだと思うのでございます。 冒頭陳述でも申し上げましたように、国債現先につきましては、現在有価証券取引税が課税されておりますので、その現先のボリュームは、ピークのときには五十六年三月に五兆七千億でございましたものが、今は、この三月末で三兆九千億というふうに激減しているわけでございます。一方、これに対しまして、有価証券取引税が課税されておりません同じような機能を果たしますCDにつきましては、これはその後にスタートしたものでございますが、現在八兆円でございまして、逆転しておるわけでございます。 したがいまして、有価証券取引税につきましては、ぜひとも、課税されないということで設計されなければ流通が円滑にいかないだろう、消化が円滑にいかないであろうというふうに思いますし、御指摘のように政府短期証券、TBにつきましては、現在有価証券取引税などが課税されておりませんので、そういったこととの権衡も必要ではないかというふうに考えております。
○桑名義治君 次は、羽倉会長さんにお願いをしたいのです。 国債の大量発行が続く中で、今後とも金融機関の引受負担というものはますます増大していくのではなかろうか、こういうふうに思われるわけでございますが、このことが民間への資金供給に支障を来すことがないのかどうか。また、この事柄がインフレを助長することにつながるおそれはないかどうか。この二点についてこの問題はお聞きをしておきたいと思います。 それからさらに、国債の大量発行、あるいはまた大量借りかえが行われる中で、引き続きその円滑な消化を図っていくためには、具体的にどのような点に配慮すべきであるというふうにお考えになっておられるのか。 まずこの三点について伺っておきたいと思います。
○参考人(羽倉信也君) ただいまの御質問に対してお答えさせていただきます。 まず、大量に国債が発行されるということにつきまして、現在、先ほども申し上げましたが、シ団引受方式を引き続き活用していくことが非常に大事である。そしてその中で資金運用部資金による引受方式も引き続き活用していただきたいということを申し上げたわけでございます。 やはりこれは、そのような方式によりまして、民間資金に対する圧迫いわゆるクラウディングアウトが起きないことが望ましいという観点からお願いしたわけでございまして、現在のような大量発行が続く過程におきまして、かつて五十年代の前半に行われましたように、年間の銀行預金の増加額を上回る大量の国債引き受けをシ団が行うというようなことがございますと、これは全く民間に資金が供給されない。逆に、民間の金融機関は、それによって民間資金が供給できないばかりでなく、経営の圧迫にもつながるということになったわけでございます。これは、最近、民間活力による内需の拡大というようなことが非常に強く言われております時代におきましては、なおさらそういったことが今後起きてはならないわけでございまして、そういった観点からも、民間資金の圧迫が起きないような考え方でひとつ国債の消化を図るべきだというふうに私どもは考えておるわけでございます。 それから、これがインフレにつながるかどうかということでございますが、国債の大量発行というのがインフレにつながったという例は、過去の歴史に徴しましても、日本だけでなくアメリカ等におきましてもやはりそういったことがございます。あるいはヨーロッパの国においてもあると思いますので、こういった懸念は十分あるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、そういったことから申しましても、私どもとしましては、国債の発行額の圧縮ということが極力必要であるというふうに申し上げたわけでございます。 それから、円滑な消化のために何か必要かということでございますが、これはやはり発行条件をできるだけ市場実勢に従って弾力的に決定するということであろうかと思います。やはり市場で円滑に消化されるような条件でないということでございますと、かつてのように、金融機関によるところの大量の売却というようなことから非常に大幅な値崩れが生じたりするというようなことがございます。そのために私どもはかねがねいわゆる流通市場の整備ということをお願いしてまいったわけでございますが、この点につきましては、昭和五十八年の四月から、私どもを含めましていわゆる金融機関の窓口販売、それから五十九年の六月からは金融機関三十四行によりましてディーリング業務、それからさらにことしの六月からはディーリング認可行がさらに五十行追加されたわけでございますが、そういったことによりいわゆる市場参加者がふえることによりまして、自由公正な市場形成のために非常に役に立ってきているというふうに私どもとしては考えております。したがいまして、国債消化促進の見地からも私はさらにこの市場への参加層を幅広く認めていただきたいというふうに考えておることをつけ加えまして、私のお答えとさせていただきたいと思います。
○桑名義治君 あと二点だけお願いをしたいんですが、今後我が国における金融の自由化というものは好むと好まざるとにかかわらずどんどん発展していくものと、こういうように思われるわけでございます。先日、金融制度調査会におきましても、「金融自由化の進展とその環境整備」という答申がなされているわけでございます。そこで、環境整備の問題を含めまして金融界として自由化にどう取り組んでいくおつもりなのか。また、この問題に対して金融界としての御要望があればお聞きをしておきたい、こういうふうに思います。 それから、最近我が国の高貯蓄率について海外から批判がなされているわけでございますが、この問題につきまして全銀協の会長としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。この二点をお伺いしておきたいと思います。
○参考人(羽倉信也君) 最初の問題につきましては、私どもとしましては、金融の自由化というのは、いわゆる経済の効率化を進め、また金融サービスを一層充実させる、そういうことによりまして国民経済の要請にこたえていく一つの方向であるというふうに考えておりまして、そういった面で、金融の自由化は積極的にまたしかし着実に進めていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。 そういう自由化の進展の中で私どもとしましての一番大事な取り組む姿勢というのは、自己責任の原則にのっとりまして、経営の健全性を確保しながらいろいろ、いわゆる民活と言われております、創意工夫を生かした経営を行っていきたいというふうに考えておるわけでございます。 それで、これに関連いたしまして、いわゆる環境整備の問題でございますが、これにつきましては私どもとして特にこういったことをぜひともお願いしたいということを考えておりますので、これをあわせて申し述べさせていただきたいと思います。 まず第一に申し上げたいことは、こういった自由化に伴う環境整備につきまして私どもが今申し上げましたように自由化に取り組む姿勢として一番大事なことは、私どものいわゆる自主性を持った経営が行われるということであろうかと思います。したがいまして、そういった自主性を持った経営努力というものがそれにふさわしい成果を上げ得るように、行政面及び税制面におきましての配慮をされた環境整備を進めていただきたいということでございます。具体的には、いろいろな業務規制がございますが、そういう諸規制の緩和であるとか、あるいは自己資本充実に資するための貸倒引当金繰り入れ率の引き上げであるとか、海外投資等損失準備金制度の拡充等をお願いしたいわけでございます。この点につきましては数年来お願いをいたしておりまして、皆様の御理解をいただきましてお認めいただいたわけでございますが、引き続きこういった制度が延長されまして、私どもが考えております自己資本充実に役立つようにぜひとも御配慮をお願いしたいと考えておる次第でございます。 二番目に申し上げたいことは、今度の答申の中でもう一つの大きな柱になっております信用秩序の維持という観点から見ました環境整備でございますが、自由化に伴うところの環境整備というのは、そういった今回の答申に指摘されておる点だけではないというふうにぜひとも御理解をいただきたいわけでございまして、環境整備のためには、先ほど来問題になっておりますところの国債の問題であるとか、あるいは郵便貯金の問題、あるいは他業態との競争条件の均衡をどうするかというような、まだまだ金融自由化を進めていくために行わなければならない環境整備があるわけでございまして、そういった課題が非常に多いということをぜひ御認識いただきたいと思います。そして私どもとしましてはそういった点についての整備をぜひともお願いしたいということを申し上げたいと存じます。 それから、最近海外からも非常にといいますか、批判が出ております我が国の高い貯蓄率でございますが、私どもの考えといたしましては、これまで我が国の経済発展、特に高度成長というものを支えてまいりましたのは何と申しましても日本の高い貯蓄性向といいますか、貯蓄率でございます。今後経済発展に果たす貯蓄の意義というのはこれからもいささかも変わるものではないというふうに私は考える次第でございます。したがいまして私どもとしましては、そういったいわゆる高貯蓄率に対する批判というものはむしろ的を射ていないというふうに思われるわけでございまして、もっとこの貯蓄率の高いということについての積極的な意義が評価されてもいいのではないかと思うわけでございます。 例えば、御承知のようにいわゆる累積債務国というのがございまして、特に中南米、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ等におきましては、そういった国の累積債務問題が国際金融上の大きな問題だけでなく、世界経済上大きな問題となっておることは御高承のとおりでございますが、そういった国になぜそういった事態が起きたかといいますと、実はこれは貯蓄が非常に少ないということに基づくものでございます。そういう点からいたしましても、高貯蓄というのはむしろ大変重要なことであらうと思います。 なお、欧米からの批判の趣旨には、貯蓄過剰ということよりはむしろ投資不足の方に重点が置かれている批判もございます。そういった点からいいますと、貯蓄をされた金が、民間の設備投資であるとかあるいは個人の住宅投資であるとか、あるいは我が国で非常におくれておると言われております社会資本の整備等にスムーズに向けられていくような環境整備をすることがむしろ必要ではないかというふうに思うわけでございますが、そういった環境整備につきましても、これは民間の資金でございますから、民間活力の導入によってこれを進めるということが必要であろうかと思います。 これにつきましては、例えば、この四月から電信電話公社が日本電信電話株式会社というふうに民営化され、それに伴いまして通信の自由化が行われたわけでございますが、それに伴いまして競争会社が新しく出てまいっておりますし、皆様方も御高承と思いますが、例えば新しい電話機の売れ行きが非常にふえておるというような例もあるわけでございまして、そういうことによりまして需要喚起がされればこれはまた新しい投資機会の創出につながるわけでございます。そういう方向に貯蓄を使うということについて、もっと環境整備がなされていいのではないかというふうに思うわけでございます。
○桑名義治君 貝塚先生にもう一度お尋ねをしておきたいと思うのですが、先ほどからの財政再建の、税の問題でございますが、所得税を減税して品物に税をかけるべきではないかという御意見でございましたが、これは率直に申し上げまして、いわゆる直間比率の是正をすべきだという、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○参考人(貝塚啓明君) 結果的にはそうなると思いますが、私の申し上げたい点は、現在の所得税というのはだんだん限界に来ているのであって、そうすると、今後の財政需要を賄うためには、今のままで所得税を中心に税収入を上げていくというのは限界に来ているのであって、その部分はやはり現在のところ恐らく間接税がある部分肩がわりできるのじゃないかということでございます。結果として直間比率は変わります。
○近藤忠孝君 羽倉参考人にお伺いします。 今年度のシ団引き受けが合計七兆六千億円、予想発行額の三六・八%です。しかし、この額は、毎年十兆近く、しかも総発行額の七、八〇%を引き受けてきた昭和五十三、四年のころと比べると、額及び比率から見ても少なくなっていると思うんですね。先ほど御要望として、資金運用部資金による国債引き受けの一層の拡大というお話がありましたが、ただ、金融緩和基調にある今日、金融機関としては以前と比べて余力ができているのではないか、こうも思うわけです。そこで、この保有を増す必要も出てきているのではないかと思うんですが、その点はどうでしょう。
○参考人(羽倉信也君) ただいま御指摘がございましたように、六十年度のシ団の引受額というのは、五十三年あるいは五十四年当時と比較いたしますと金額的に約二兆円減少しておりますし、その割合も減っておるわけでございます。したがいまして、今日の金融機関には引受余力があるのではないかという御疑問も当然かと思います。ただ、当時のシ団の引受額というのは、先ほどちょっと申し上げましたが、当時の資金の増加額、銀行でございますと預金の増加額を上回る大量の国債引き受けを行ったわけでございまして、それによりまして単に資金的だけでなく経営上も大変大きな負担を強いられたわけでございます。したがいまして、そういった時期と比べまして比率が少なくなったから引受余力があるということは、私どもとしてはこれは言えないのではないかというふうに思うわけでございます。 当時、あるいは現在の実感といたしましても、その一方でやはり私どもは民間の一般資金需要にも応じなければならないわけでございまして、引き受けました国債を、当時は一定期間の売却制限が現在以上に厳しかったわけでございますが、そういった過程で大量の国債売却を行いましたために、年間にいたしますと、年によりましては、私どもの銀行一行でも数百億円というような売却損を計上せざるを得ないような状況であったわけでございます。現在でも、そういった点では、民間資金の需要がもし少しでもふえてまいるということになればそういった余裕がなかなか出てこないおそれがあるわけでございまして、そういった観点から資金運用部引き受けの増加を私どもはお願いしておるわけでございます。 個別行の状況として、若干そういう国債による運用ということがこういう金融緩和期には考えられるところもあろうかと思いますが、それはあくまでその個別行の経営の問題でございまして、その点については一概にそういうことが言えないのではないかというふうに思うわけでございます。
○近藤忠孝君 次に、金融自由化との関係で、これは金融制度調査会答申でも、一層の環境整備を図ろうということなんです。その関係で私はこの委員会でも昨年の暮れに指摘したんですが、金融自由化ということで金融機関同士の大変な過当競争が起きていまして、一部には大変行き過ぎがありまして、そのこともあって、大蔵省は銀行課長名で各金融機関に対して昭和四十年の自粛通達を確認する通達を出されたわけです。全銀協としては、この通達にどういう対応をされておりましょうか。
○参考人(羽倉信也君) 全銀協といたしましては、行き過ぎたいわゆる資金獲得、預金獲得行為とそれからお客に対します過剰サービスの自粛ということにつきまして、五十九年の十一月に大蔵省から、四十年通達の趣旨を十分徹底するよう指導されたわけでございますが、基本的には、そういった行き過ぎた預金獲得競争というのは、預金増強に対する地道な努力を阻害するといいますか、またひいては金融機関に対する信頼性あるいは公共的な使命というものについての信用を失うおそれがあるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、したがいまして、私どもは、行き過ぎた預金獲得行為等の自粛についての通牒を重ねて傘下金融機関に発して、その徹底を図るべく今努力をいたしておるところでございます。 私どもとしましては、今後とも、行き過ぎた預金獲得競争によってお客様に御迷惑をおかけすること、あるいは今申し上げましたような金融機関に対する信頼を損なうことがないように引き続き努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 これは私たちの耳に入ってくるところでは、そんな通達なんかに沿っておったらもう今の競争のときに生きていけないというような声も聞こえてくるんですね。 これはセーラー服と詰め襟の、週刊誌の写真ですが、支店長クラスとか、随分おばちゃんもこんなセーラー服を着ているなんて、こんなのが出ておるんですね。まるでキャバレーだなんて、そんなこともあります。せっかく上の方でやっていましても、現場になかなか行き渡っていないのじゃないか。そんな現状などもあると思うのですが、その辺については御感想はいかがですか。
○参考人(羽倉信也君) 私どもとしましては、できるだけ趣旨の徹底を強く呼びかけておりまして、それなりに努力をいたしておりますが、なお不十分な点があるということは今御指摘の点でも事実かと思いますので、今後さらに努力をしてまいりたい、かように存じております。 なお、こういうことを申し上げるのは大変失礼かと存じますが、ただいまの写真は私も拝見させていただきました。私も銀行で長年現場の支店長をいたしておりましたので、そういった私自身の体験からの感触をちょっと申し述べさせていただきたいと思いますが、これはたしかそういう制服業者の大変たくさんある地区の支店でございまして、そういうところの支店長になりますと、やはりそういった地域との密着、地域の繁栄なくしては自分の支店の業績は上がらないというふうな発想が支店経営の基本になるかと思います。そういう点からいたしますと、同業者でございますので大変同情的な考えであろうということにもなろうかと思いますが、やはりそういう制服を行員に着せることによって、それがその地域経済のPRにもなるのではないかというような考え方から恐らく行われたのではないか、余り過当競争というような意識ではなくて、むしろ自分たちの地域の経済発展を願う心のあらわれではないかというふうに、私自身の体験からは考えるわけでございます。
○近藤忠孝君 時間がないのでほかの参考人はちょっとできませんので、あともう一つ羽倉参考人にお願いしたいのですが、労働者派遣法が成立しまして、特に銀行では自行系列の人貸し専門企業が随分あるようですね。例えば会長さんのところで言いますと第一勧銀オフィスサービスとか、随分あります。それで、これは、今後とも、こういうところから大量に人材を受け入れる方向、これは検討されているところなんでしょうか。
○参考人(羽倉信也君) いわゆる人材派遣と申しますのは、これは大変最近社会的なニーズが高まってきておるわけでございまして、そのためにいろいろ人材派遣業というのができておるわけでございまして、私どもの銀行の系列関係会社もそういう趣旨のもとに、というよりはそういう社会的なニーズにマッチさせるために設立いたしたわけでございます。これによりまして、人材派遣業の適正な運営と、そしていわゆる派遣される労働者の保護と雇用の安定を図るということが必要なわけでございまして、そのために人材派遣法というものが私はできたというふうに思っておるわけでございます。 この人材派遣法の成立によりまして、我が国でも従来の雇用環境あるいは労働市場への影響も出てくるかと思いますが、現段階でどういうふうな影響が出てくるかということにつきましては、対象業務等が未定でございますので、まだこれは何とも申し上げられないわけでございますが、これから具体的な指針を定めたガイドライン等が出てくるかと思いますが、それによって決まってくるかと思われるわけでございまして、私ども銀行といたしましては、そういった社会的ニーズにこたえるために先般設立したものでございますが、今後ガイドラインが当然示されるということになるかと思いますので、そういったものを見ながら今後どういうふうに対応していくかということを目下検討する予定でございます。
○近藤忠孝君 終わります。
○木本平八郎君 私、時間が少ないものですから、貝塚参考人にだけお尋ねしたいわけです。 三点ございまして、一つは、この委員会でも質問したのですが、多額の公債をうまく償還した世界の財政史上の例を教えていただきたいということ。二番目は、一般的に考えられる国債償還の方法と、過去に最も多くとられた手段というのですか、方法はどういうものであったかということ。それから三番目は、財政学的に見て、国債を確実に償還できるという限度はGNPまたは歳出の何割ぐらいまでなのだろうか、あんまり多くなると償還できないというふうなことがございます。 この三点を、適当にまとめて十分の時間の範囲内で教えていただきたいということでございます。
○参考人(貝塚啓明君) 大変財政学の細かい点につきましての御質問でありまして、最初の御質問は、国債の償還をうまくやった財政史上の例ということでございます。 私は財政史をそれほど勉強しておりませんが、幾つかの例があるように思います。一番古い例はアメリカの南北戦争でありまして、南北戦争はすごく戦費がかかりまして大変な国債を発行したわけであります。連邦債を。その後しかし、それを非常にうまく償還しました。アメリカ経済の一番発展した時期は南北戦争の後の二、三十年間というのですね。どんどん国債依存度を減らしまして非常にうまくいった例であります。 それから、ほかの例で申しますと、戦後のイギリスとアメリカも私は比較的成功したのじゃないかと思います。アメリカもイギリスも、戦後の国債残高のGNPに占める比重は、たしかイギリスで二〇〇%、アメリカは一〇〇%を超しておりました。ですから大変な国債の残高でありますが、一九四〇年代の後半から五〇年代、六〇年代というのはアメリカ経済は大体黄金時代でありまして、インフレーションは余りなかったわけであります。ですからうまくいったのじゃないかと思います。イギリスも、イギリス経済自身の基本的な問題がありますので、イギリス経済は決してよくはなかったわけですが、しかし、GNP比で二〇〇%ぐらいの国債残高を償還して今五〇ぐらいまで来ましたですか、ですからイギリスの場合も国債管理としては割合うまくいったと思います。ドイツ、日本はまずい例でございまして、全部インフレでやってしまったということでございます。 それから、一般的に考えられる国債償還の方法と過去で一番行われた例ということでございますが、国債の償還制度は私それほど詳しくありませんが、恐らくイギリスで言えば、十九世紀とかそういう時期は日本の国債整理基金のようなものがありまして、あらかじめ積み立てておいて償還しようというやり方をとったと思いますが、その制度は二十世紀に入ってほとんど経営が悪化して事実上なくなってしまったというふうに思います。 現在結局先進諸国では、アメリカ、イギリスで申しますと、どうしても結果的には短期債で全部借りかえているようですね。というのは、やはり短期債の市場が非常に大きいもので、借りかえるときは一番出しやすいといいますか、その点は恐らく先ほどの御質問とちょっと関係いたしますが、財政ディシプリンと関係がありまして、全部短期でやってしまうということは絶えず短期でやるということになりますので、果たしてどうかなという問題があると思いますが、現実に使われておりますのは、結局は、国債整理基金のように積み立てるのじゃなくて、とにかくしりが赤字になった部分は借りかえもそれから新規債も全部ごちゃまぜで、短期債あるいは短期証券で借りかえていくという方法をとっております。 それから、償還の限度はGNPで見てどの程度かというお話ですが、私は償還の大きさというのは余りそう心配しなくてもいいので、むしろ新規債の比重が高くなっていくという方が問題ではないかと思います。 それはどういうことかといいますと、最初に意見を申し述べた中で申しましたが、償還で借りかえるということは、現在国債を持っておられる方が既におられるわけですね、ですからちゃんとそこに、ある意味でお金、資金がございますので、その方々に今度新しい国債を買いかえてもらえばそれは元来は割合とスムーズにいくわけです。要するに、何といいますか、今うんと例えば資産を持っておられる方がそれを全部家を買ったり消費財を買ったりというふうなことは考えられませんで、普通は貯蓄された資産というのはそのまま資産として持たれるはずですから、そこのところは余り心配しなくてもいいのではないか。 現実に、イギリスやアメリカで一〇〇%以上の例が戦後ございまして、そこで国が破産したというわけでも決してありませんので、そういう点では、余りはっきりした基準はないと思いますが、逆にむしろ新発債の比重がふえていく方が問題です。国債依存度を徐々に下げていけばやがてGNP分の国債の残高もふえ方がとまり、徐々に下がっていくということになりますので、むしろ新規債の方が重要で、毎年毎年の予算編成で国債依存度を下げていく方が重要であろうと思います。結果において、後のしりぬぐいというのは、先ほど言いましたように金融的な話ですのでそれほど心配はないので、最初出すところの方が重要ではないかというふうに思っております。 大体以上でございます。
○木本平八郎君 終わります。
○野末陳平君 まず、貝塚参考人にお伺いします が、二つありまして、最初はインフレのことなんですが、大量国債の発行がインフレを招くということは専門家でもかなりの人が一時言っていたのですが、幸いなことに、先生のおっしゃるとおりそんな悪い影響は今のところありませんね。ただし、今後の問題ですが、今後この大量国債、特に新発債は引き続き発行されていくことがインフレ懸念とつながるわけですね。どの程度の懸念があると先生はお考えなのか、それが一つ。 それから二番目は、先生のお話では、税の中身を組み合わせて、いわばEC型の付加価値税をとおっしゃっておりましたが、それと同時に、利子課税については先生はどういうお考えなのか、その二点をまずお聞きしたい。
○参考人(貝塚啓明君) 最初の御質問でございますが、インフレの懸念というのは、これは将来の話で非常に難しい御質問ですが、条件が私はあるように思うんです。国債の発行で先ほど来金融界あるいは証券界の方がおっしゃっておられるわけですが、市場実勢に応じて国債を発行していくということが重要でありまして、それが守られておりますと、結局インフレの問題は、日本銀行が貨幣供給量を効果的にコントロールできるかどうかということにかかっておりますので、仮にインフレが生じそうになったときに日本銀行が引き締め政策をちゃんととれればよろしいと思うんです。とれる保証がきっちりあれば最終的には、平たく言えば日銀総裁が金融引き締め政策をきっちりとられれば大丈夫だと思います。 問題は、金融引き締め政策をとるというのは金利が上がるということになりますので、例えば国債を持っておられる方の価格が下落するといいますか、非常にひどい場合には暴落するということもあり得るんですが、そこでもし国債の価格が下がってしまえば困るというので国債の価格の支持をやりますと実際は金利が上がらないわけですね。そうしますとその金融政策はしり抜けになってしまいますので、やっぱり金利の自由化をちゃんと確保しておいて、日本銀行がちゃんと政治的に中立に引き締め政策をとるべきときはとるということであれば大丈夫だと思います。 日本は幸いにして石油危機の後のインフレーションで、このときは貨幣供給量がその前に、余り理由はよくわからないんですがすごくふえまして、もちろん石油危機ということもあったのですが、もう一つは貨幣供給量のコントロールがうまくいかなかったわけですね。ですから、経済界の方もあるいは政策に携わっておる方も、あれはある意味では失敗であったという経験がございます。インフレを抑えるということに関して言えば、もちろん世の中はコンセンサスが現在非常に強いわけですし、政策をやっておる方も物価安定は非常に重要だということでありますので、以前よりは私はインフレに関して言えばそういう面では心配がないと思います。大体そういうふうに申し上げておいていいかと思います。 それから、税金の問題で、利子課税の問題をどう考えるかというお話であります。これはいろんな御意見があると思いますが、私は、非常に端的に申しますと、所得税の中で一番税金がうまく公平にかけられない部分はどういう部分かと言いますと、資産性の所得の部分が非常にうまくかけられない。というのは、いろんな種類の資産がございまして、例えば、話を広げますと、私的年金というのがありますが、年金のようなものもこれはやっぱり個人にとっては資産でありまして、毎期毎期元来は収益を生んでいるはずですが、それを会社の方に全部運用を任せているわけですね。しかし、自分に帰属すべき財産としては私的年金はちゃんとあるはずで、所得税の原則を非常に厳密に解釈しますと、毎年毎年の年金から得られる収益があるんですが、それも税金をかけるべきだということが私は元来の所得税の趣旨だと思います。 他方、定期預金みたいなものがございまして、定期預金というのは一番わかりやすいわけで、元本は全然変わりませんで毎年金利が六%というふうに入ってきます。そうすると、その六%というのは確実にわかるわけですから、利子所得として、これは所得でありますというので税金がかかります。その中間にはいろんなものがございまして、有価証券の場合にはキャピタルゲイン、これも所得税の原則からいえばかけるべきなんですが、これは非常にかけにくい税金であります。ですから、結局資産性の所得というものは、普通、財政学の言葉で言えば、水平的公平を満たしてきっちりかけるということが非常に制度的に難しい分野だというのが私の理解です。 したがいまして、税率というのを仮に累進税率の非常に高い税率を考えておいて、高い税率でかけようと思ってもこれは非常に難しい。したがって、かけるとすればやはりかなり低い税率で広くかける方が望ましい。ですから、利子所得は低率で分離課税というのが一番現実的な方法ではないかと思います。 もちろん、ここには銀行協会の会長がおられますから、いろいろそういうことをやりますと今までの税のかけ方と違ってきますので金融機関相互のいろんな問題が、郵貯の問題も当然ございますが、ただ現在のところなぜそうすべきかというのは、やはり相当高額の資産を持っておられる方が、今利子に全然税金がかからないという優遇措置があることの結果、利子所得に関してはほとんど税負担なしに資産を運用されているという実情があって、その部分はやはり公平に反する。したがって、軽い程度に広くかけるのが私はいいのじゃないかということでございます。大体そういうことでございます。
○野末陳平君 ありがとうございます。 そうしますと、羽倉参考人と渡邊参考人に今の関連で、もう時間がありませんから簡単にお答え願いたいんですが、来年からマル優問題は本人確認と手間がかかるようになりますけれども、引き続き大蔵省も、このままでなく廃止を含めた課税を検討するのだろうと思うんです。そこで、それについて課税の方向、もちろんやむを得ないという事態になればともかくとして、マル優は今後どういうふうにあってほしいか、そういう率直なところをお二人にお聞きして終わりにします。
○参考人(羽倉信也君) ただいま貝塚先生からも御指摘がございましたけれども、資産性所得につきましては、いわゆる課税の不公平といいますか、そういうものが存在していることは今御説明があったとおりでございます。私どもとしましてはそういった観点に立ちまして、いわゆる金持ちといいますか、資産をたくさん持っている人が利子課税において優遇措置を悪用することを防止することが大事ではないかということで、いわゆる限度管理の適正化ということを強くお願いしたわけでございます。そして、いわゆるマル優制度の存続ということは、郵便貯金との関係におきましても、さらに先ほど申し上げました日本の高貯蓄率というものがいわゆるマル優制度あるいは郵貯の存在によって支えられているということからも、特に私どもとしましては存続をお願いしたわけでございます。したがいまして、今後私どもとしましては、本人確認とかそういうことにつきましては従来以上に手間がかかるわけでございますが、できるだけ制度を厳正に運用することによりましてこの制度のよい点をできるだけ生かしていきたい、かように考えておるわけでございます。
○参考人(渡邊省吾君) 私も大体似たような意見を申し上げることになるかと思います。 日本の経済が非常に大きくなって、自由世界第二位とかなんとか言っておりますが、しかし欧米の主要国に比べればどうしても、フローは別としてストックが非常に足りない。社会資本が相対的に不十分であるということが言われております。そういったことともう一つは、先ほどもお話がありましたように、非常に高齢化が進んでおるという点を考えますと、この問題がこれから将来非常に大きな日本の経済にとっての解決しなきゃならぬ問題だと思いますが、財政負担でそれに対応していくということはなかなか限界があると思いますので、やはり国民の自助努力ということになれば、先ほどからいろいろ御意見がありますように、こういったものに対応するためにもどうしても今後やはり貯蓄に依存するという点は避けられないのではないかというふうに思います。 したがいまして、貯蓄率の問題はいろいろ先ほど来御意見がございますし国際的にもいろいろな意見もあるようでございますけれども、日本の現状ないしは将来のそういった抱えておる問題点から見まして、貯蓄に大きな影響を与えるような変更ということは当面とりにくい、ないしは慎重であるべきじゃなかろうかというふうに思います。特に、今もお話しのように、マル優等につきまして限度管理という方法が一応確立されており、これを実施するという計画になっておりますから、当面その適正な執行を図っていくということが必要なのじゃあるまいかというふうに考えております。
○野末陳平君 ありがとうございました。
○委員長(藤井裕久君) 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。午後二時再開することとし、休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ─────・───── 午後二時開会
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、倉田寛之君が委員を辞任され、その補欠として松岡満寿男君が選任されました。 ─────────────
○委員長(藤井裕久君) 昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。 午前に引き続き、参考人の方々から御意見を聴取いたします。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、法案審査の参考にいたしたいと存じます。 これより参考人の方々から御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方々からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしく御協力をお願いいたします。 それでは、まず津村参考人にお願いいたします。お座りのままでどうぞ。
○参考人(津村英文君) 専修大学の津村でございます。 大変教科書的なお話をさせていただきまして恐縮でございますが、証券市場論及び証券分析論を研究しております者の一人といたしまして、その立場から、以下三つのことをお話し申し上げたいと思います。 三つのことといいますのは、第一は、証券市場ないし資本市場の国民経済的な意義ないし機能、第二は、その市場における価格形成機能ないし利子率形成機能であります。それから第三番目に、その第二に申し上げましたことの一つの応用問題といたしまして、いわゆるプライバタイゼーション、公的な機関が民営機構に移行することをプライバタイゼーションと申しますが、それに伴う株式の公開、価格形成に関する問題、この三つについてお話し申し上げたいというふうに思います。 まず最初に、証券市場の国民経済的意義ということでございます。 これはもう皆様よく御承知のとおりでありまして、今さら申し上げるまでもないことかと思いますが、最終的な資金の余剰部門であります家計部門から、資金の不足部門であります企業部門及び財政部門に、その必要な資金を流していくというパイプの役目をしているのが証券市場でございます。 すなわち、国民経済において生産機能の主たる担い手は、今日の経済におきましてはもちろん企業、それも主として株式会社企業であるわけでありますが、その企業に設備投資等の産業資金を供給する、長期の資金を主として供給するという機能、これが一つでありますし、また、政府、地方公共団体は、いろいろな公共サービスを提供するために必要な資金を、この市場を通じて調達するということが可能になっているわけであります。もちろん、そのルートといたしましては、証券市場以外にも、金融機関を通ずるいわゆる間接金融レートがあるわけでありますし、実際我が国の経済におきましては、その方がはるかに大きなウエートを占めていることは皆様の御承知のとおりであります。しかし、近年、日本経済の成熟、成長の減速といった変化に対応いたしまして、慢性的な資金不足構造が解消し、そして資金が恒常的に緩和傾向を示し、そのことが反映いたしまして、資本市場を通ずる産業資金、財政資金の供給ルートというものの持ちます、すなわち直接金融ルートの持ちます相対的重要性が高まってきているということ、これもまた皆様のよく御存じのとおりであります。 第二に、証券市場の価格形成の基本構造について御説明申し上げたいと思います。 これも言うまでもないことでありますけれども、証券市場はただいま申し上げましたように資金余剰部門から資金不足部門に必要な資金を流すといいましても、ただやみくもに余剰資金を流しているというわけではないのでありまして、そこには一定の資金の選別機能と配分機能が働いているというふうに言うことができます。その機能というのはどういう手続によって行うかというと、市場における証券の評価、価格形成という形を通じて行うわけであります。 例えば、ある一つの会社が新たに社債を発行いたします。すると、今までなかった社債が市場に登場いたします。この社債を投資家が持っていたといたしますと、毎年あるいは毎半年に一回ずつ一定額の利子が支払われる。その後一定期間、例えば十年経過いたしますと、そこで満期償還金を受け取ることができる。これらの証券保有者に対して支払われる現金の流れのことを私どもは、キャッシュフローという英語をそのまま使って言っております。そのように有価証券を保有していることによって支払われます、獲得することのできますキャッシュフローを、これは通常長い期間にわたるわけでありますが、これを一定の利子率でそれぞれ割引をいたします。つまり、将来のお金は現在のお金と違いますので、現在の価値に直すために割引をいたします。その割引をすべてのキャッシュフローについて行いまして、それを全部合計いたします。それがその証券の、例えば先ほどの例で言いますと、社債の価格、評価額、価値額になるというふうに言ってもよろしいかと思います。このことから直ちに次の二つのことが言えるわけでございます。 第一は、将来支払われると予想されるキャッシュフローが大きいほど証券の評価額は高くなる。第二、割引に用いられるその評価利率、適用される利子率、これが低いほど証券の評価額は高くなる。いずれも当たり前のことで、そんなことはもうわかり切っておるというふうにお考えの方々が多いと思うのでございますけれども、このことは後々の議論に決定的に重要な関係を持ちますので、しばらく御容赦願いたいと思います。 第一に関しましては、予想されるキャッシュフローの成長率——成長率とやぶから棒に申しましたけれども、例えば社債のような場合ですと一定の額が支払われるわけですが、株式の場合ですと、企業の成長に伴って配当金が年を追ってふえていく、毎年毎年ふえることはないかもしれませんけれども、しかし増資による増配というようなメカニズムを通じまして、株主に対して支払われる配当金というものは長期にわたって成長を続けます。非常に極端な成長企業の場合に、例えば配当金の成長が利子率を上回るというふうな超成長企業がもしあったとしますと、その証券価格は無限大になるということがわかります。実際にはもちろん無限大の株式価格というものは市場に存在しないわけでありますけれども、それにはそれでまた理論的な説明が必要なのではありますが、例えば国際電信電話株式会社でございますか、いわゆるKDDの株価などを見ておりますと、まあ無限大ではありませんけれども、それにかなり近い現象がそこに生じているということを私たちは観察することができるわけでございます。 二の方の、割引に用いられる率が低いほどということを申しましたのですが、それに関して言いますならば、予想されるそのキャッシュフローが安全確実であるほど、あるいは逆に言えばリスク、危険性でございますね、不確実さ、これが小さければ小さいほどその評価のために用いられる利子率は低くなる、したがって証券価格は高くなる。これは当然と言えば当然とお考えになるかと思うのですが、実はそれほど当然でもないのでありまして、市場に参加する人が危険を嫌うという性質を圧倒的に多くの人が持っているということが前提になっておるわけでございますが、そういうことでございまして、例えば国債の満期利回りの方が一般の民間社債のそれよりも低いことが多いというのがまさにその理由であります。株式でありましても、例えば収益構造の極めて安定した産業や企業の株式は相対的に低い要求利回りとなりますし、その分だけ株価は高く形成されるということに相なります。 以上申しましたことをまとめて申し上げますと、結局、確実に大きな収益が支払われていく証券が最も高く評価される、これまた全く当たり前ではないかというふうにお考えになると思うのですが、確実性ということ、逆に言えば不確実性が小さいということと、それから支払われる収益が多いということ、そういう証券ほど高く評価されるということになります。ということは、つまり経済社会にありまして需要の最も多い商品を生産し、その結果多くの利潤を生み出している企業ほど証券価格が高く評価され、低い要求利回りが要求され、その結果、より多くの低利の資金がその企業に資本市場を通じて流入するということになります。すなわち、持てる者といいますか、よりすぐれた者はより多くの資金を配分される、その逆の場合は逆になるということになりまして、このことを私どもは市場の規律、マーケットディシプリンというふうに呼んでおります。 次項で述べますプライバタイゼーションというのは、いわばガバメントディシプリン、政府の規律のもとに置かれていた機関を、マーケットディシプリン、市場の規律のもとに置き直すという行為を意味するというふうに解することができようかと思います。 そこで最後に、今申しましたプライバタイゼーションに伴う株式公開の問題について意見を申し述べたいと思います。 先ほど申し上げましたように、プライバタイゼーションというのは、従来公的な所有を受けていた機関が民営は転換すること、例えば、ブリティッシュテレコムといったような国有特殊法人が株式会社という組織形態に転換するというような場合がこの例であります。この場合には今まで存在しなかった株式や社債が新たに証券市場に登場してまいります。 ここでは、さしあたり株式の公開だけを考えることにいたします。その場合でも、実は公開株を、一、だれに売却していくか、それから二番目にどのような方法ないし手続で売却していくか、三番目に幾らでその公開株式を売却していくかという、いわば三つの問題があるように私には思われます。しかし、時間の関係で私は、ここではその三番目の、幾らでという問題だけについて当面お話しいたしたいというふうに思います。 プライバタイゼーションに伴います公開株の評価を、先ほど申し上げました証券一般の評価の枠組みに照らして考察してみますと、そこには幾つかの特殊性があることがわかります。第一番目、何といいましても、そのプライバタイゼーションが問題になるような機関というものは、通常非常に大規模であるということ、つまり何といっても規模が大きいということ。大体においてその種の機関は、経済学で申します自然独占という状態が成立していることが多いわけです。自然独占というのは、どうしてもその業種といいますか、その業務自体の性質が大規模であることを必要とし、そしてたくさんの同種の機関の存在が難しいというような条件が備わっている場合を言います。ブリティッシュテレコムなんかもそうでありますが、小規模の電話会社がたくさんに併存するということは、経済効率からいって非常に無理があるという性質がございます。ということで、そのような企業体にありましては、競争企業があらわれるとしてもそれは比較的少数であり、競争企業もまたある程度大規模になる。つまり、大規模少数競争しか考えられないというような特徴があろうかと思います。 このような大規模性ということを株価という点で振り返ってみますと、いわゆる株式市場用語で言います大型株という範疇に属するものだということを意味するわけでございます。大型株といいますのは、例えば既存の有名な会社で言えば新日本製鉄でありますとか日立製作所でありますとかいうような株式でありまして、大型株であるということは、それだけ資金吸収量が大きく、したがって動きがどうしても鈍くなる。鈍くなるというのは何か言葉が大変悪うございますけれども、要するに軽々しくは動かないという特性を持つわけでございまして、その種の大型株の一つとして登場してくるということが事前に察知できます。その結果株価も極端に高くなるということは、非常に難しい。資金量の制約の面からいって極端な急騰は難しいということが、漠然とでありますけれどもわかります。ただし、先ほど申し上げましたような独占的な産業組織でありますから、そのことが利潤の安定性を保証するというふうな形にもし働くようでありますならば、それは先ほど申しましたキャッシュフローの安全性、確実性につながり、低利回りしか要求されない。したがって、高株価という面もあわせ持つことになろうかと思います。 つまり、大型株であるということ、そのゆえに急騰は難しいけれども、またある程度以上の高い株価を期待するというか保証されるという面があるということです。 それから第二の特徴でありますが、その種の企業の生産活動は公共性が極めて強いというのが一般であります。ということは、つまり国民生活に対する直接的影響が大きいということでございます。このことは、ちょっと言葉が適当かどうかわかりませんのでお許しいただきたいのでありますが、いわゆるもうけ過ぎ批判というふうなことを招きがちの性格を持っておるということが言えます。何らかの企業努力によって非常に高い利益が上がった場合にも、世間からはしばしば批判的な目で見られがちである。したがってまた、規制をも招きやすいということがあります。ということは、つまり利益におのずから上限ができはしないか。つまり、上限を抑えられる傾向を持ちはしないか。その分だけ株価は高くなりにくいのではなかろうかということが予想されます。 第三に、これは何もプライバタイゼーションの場合だけに固有の問題ではないのでありますけれども、新規公開株式全部について言えることなのでありますが、未知の要素が極めて多いということが一つ言えると思います。知られていない要素、これが非常に多いということ。 一般に、別に公開株でなくても、株式市場においては、投資家の行動が非常に振れが大きゅうございます。これは御承知のとおりであります。例えば、自分がある証券をどのように評価するかということももちろん重要でありますけれども、それと並んで、場合によってはそれ以上に、他人がどう評価するかということがまた重要でありますし、もっと極端なことを言いますと、他人がどう評価すると他人がどう評価しているかをどう予想するかというふうな、何重もの間接的な予想が価格形成の上で重要なファクターとして入ってくるというようなことが、株式市場では極めて普通のこととして存在しております。このことは証券の価格形成を極めて不確実なもの、不安定なものにしがちなのでありますが、新規公開の場合には特に未知の要素が大変多いということがあります関係で、そのような評価の人による分かれ方、分散、これがどうしても出てまいります。このことは、公開価格の決定やら新規上場の場合に、十分考慮に入れておくべきことであろうかというふうに思います。つまり、夢を買うというような投資行動も十分予想されるし、反対に、不安を覚えて非常に控えるという行動もまた十分合理性を持っているということでございます。 以上申し上げましたことを総合いたしますと、私の考えといたしましては、プライバタイゼーション企業の株式は、既に市場に存在している大規模かつ中程度の成長見込みの企業、これは、ではどんなのを言うのかということについてはちょっとすぐにはお答えしかねますけれども、大規模企業であって中程度の成長見込みを持った企業の株式に準じて評価するのが妥当なところであろうかというふうに思います。つまりそれら並み、それらの株式に現在成立しているような評価の基準、それを当てはめるというのがまあまあ妥当な姿勢なのではなかろうか、こんなふうに考えております。 以上で私の見解を一応報告させていただきました。
○委員長(藤井裕久君) ありがとうございました。 次に、荒井参考人にお願いいたします。
○参考人(荒井勇君) 日本証券経済研究所理事長の荒井でございます。 御連絡いただきましたテーマであります従業員持ち株制度につきまして、まずその定義から始めたいと思います。 従業員持ち株制度とは、一般的に次のような制度を言うものというふうに考えられております。すなわち、広義におきましては、会社の方針として当該会社の従業員に自社発行の株式を保有させる諸制度であります。歴史的にまたは国際的に見る場合には、この定義が妥当なものと考えられます。これに対しまして狭義におきましては、常設機関としての持ち株会を設置し、会社の従業員が資金を積み立てまして、自社株を継続的に購入する制度を言い、毎月の給与等からの天引き等を織り込んだ方式が現在我が国の多数の会社に広まってきております。 我が国におけるこの制度の沿革について申し上げますと、大正七年、兼松商店におきまして、資本と経営と勤労の合一を期するため、兼松奨励会を創設したのが初めだと言われております。大正十一年には、秩父鉄道、福助足袋に設けられ、また昭和初年、郡是製糸の郡是同志会も、従業員と取引先を対象としてその実質は大正九年にはスタートしているというふうに、我が国の従業員持ち株制度の沿革が見られるわけであります。また、昭和の戦前期には、その他のいろいろの会社がやっておりますが、まだ少数にとどまっておりました。 戦後は、占領期の経済民主化の一環としまして証券民主化が叫ばれまして、財閥解体、過度経済力の集中排除、財産税の物納等による株式の処分を進めるに当たりまして、地方縁故者等と並びまして、従業員への優先処分が進められたのでありますが、その際優先というのは、処分の順序、順位だけでありまして、価格上の特権というものはないというような形で進められました。ところが、この証券民主化で株式の分散、大衆化ということが図られたのに対しまして、ドッジ不況であるとか、それを原因とします株価の下落等で、株式の大衆化は結果的にはややしぼんだ形になっております。 また、昭和三十七、八年ごろの株価低迷期に株価対策、増資対策としての自社株購入推進運動が起こりまして、これは従業員も対象にしたということですが、大部分は継続性がなかったというわけであります。 次いで、昭和四十二年の七月からの資本取引の自由化に対処するための外資防衛策という観点から、従業員持ち株制度の奨励が外資審議会でも取り上げられたというような経緯がございます。 昭和四十三年から、大手証券会社の提唱で、月掛け投資方式による従業員持ち株会という恒常的なシステムが導入されたのでありまして、これが今日の従業員持ち株制度の主流となっておりますが、さらに親会社等の株式を買い付け対象とする、やや広い従業員持ち株会も現在普及しつつあります。 全国証券取引所協議会によります昭和五十八年度の上場会社の従業員持ち株制度実施状況調査によりますと、この制度実施をしております上場会社数は千五百五十六社で、全上場会社数千七百九十社の八六・九%となっております。 この制度を実施しております上場会社の従業員持ち株会の加入者総数は、これは子会社の従業員を含みましてですが、百八十二万人で、一人当たりの持ち株数は千七百四十九株となっております。なお、この上場会社の従業員だけに限りました加入者数は百六十八万九千人で、総従業員数に対する比率は三九%というふうになっております。 この従業員持ち株会の所有株式数は三十二億株でございまして、それはこの制度実施会社の発行済み株式数二千二百六十五億株に対して一・四一%の比率となっております。 次に、非上場会社を含む広義の従業員持ち株制度の実施状況につきましては、私どもの日本証券経済研究所で四十年前後から引き続いて八回にわたって調査をしておりますが、その五十五年の集計によりますと、次のようになっております。 回答会社数千七百七十七社で、上場会社の実施比率は八一・八%。非上場会社の実施比率は二九・一%、回答九百五十五社中の二百七十六社というふうになっております。回答会社の従業員株主一人当たりの持ち株数は四千三百六十八株であります。これは持ち株会を通ずる持ち株だけに限らず、およそ従業員として持っているその平均数値でございます。そして、従業員持ち株制度実施会社におきます従業員株主数の総従業員数に対する比率は、私どもの調査では、上場会社で三九・八%、非上場会社で三八・二%であります。この数値は、全体を平均しますと三九・七%で、昭和五十一年の調査における三二・九%に比べるとかなり上昇しているということであります。 次に、従業員持ち株制度の一般的な仕組みは次のとおりであります。 従業員持ち株会が常設機関として設けられます。その性格は民法上の組合というものが多く、従業員の中から理事者が選挙によって選ばれます。資金拠出の方法として、積立金は通常給与、賞与の中から天引きされ、一口金額、例えば一千円とか、それと最高制限額、何口まで、二十口までとかいうような式のことが定められる例であります。それから、会社の補助としまして、積立金額に対する一定率の奨励金を支給し、さらに事務費の負担をしている例が多い、それが一般的であります。積立金に対する奨励金の率としましては三%ないし一〇%程度で、五%というのが一番多いということになっております。株式の買い入れ方法は、毎月その積立金額が集められました後で、一定時期に市場を通じて取得するのが通例であります。未公開会社株式の買い付けは、大株主からの分譲、第三者割り当て増資などによっているのが通例であります。その他細目は省略いたします。 次に、実施目的と効果という点であります。 従業員持ち株制度の実施目的としまして、日本証券経済研究所のアンケート調査によりますと、第一に挙げられておりますのが従業員の財産形成、これが三五・九%。それに利益の分配が目的だという二%を加えますと、約三八%が従業員の福祉を目的としているということであります。次に、第二番目に挙がっている項目は、経営参加意識の向上ということでありまして、これが二三・六%。第三番目に安定株主の形成というのが一六・三%、その他企業への関心の向上、愛社精神の向上、従業員の定着というようなふうになっております。 従業員持ち株制度の効果ないしメリットとしましては、今申し上げましたような実施目的に見られますように、従業員の福祉の向上、経営参加意識などモラールの向上等を通じて会社の経営に資するとともに、次のような利点を有していることから、個人株主の育成などを通じて株式市場の改善に寄与すると認められるのであります。 それは、一つは、従業員持ち株会を組織することにより、個々人の少額の資金でもそれを集めることにより株式投資が可能になることであります。二番目に、従業員持ち株会を通じ株式投資に親しむことによりまして、個人株主層のすそ野の拡大につながるということであります。三番目に、安定株主層の確保に資するということであります。もっとも、一定数量に達すれば売却することも可能でありますので、個人の持ち株保有を強制するものではありません。その他、株式事務の簡素化に資するとか、未上場会社の場合の売却希望株式の受け皿機能を果たすとか、いろいろな副次的効果もあります。 以上において述べました個人株主の育成機能は、昭和二十五年度以来ほとんど連続的に個人株主の持ち株比率が減少しておりまして、同年度の六一・三%から昭和五十八年度には、これは全国取引所の御調査でありますけれども、二六・八%に低下している。それは時価で評価いたしますと二四・二%にしかすぎないというふうに低下しておりまして、株式市場の機能発揮の上で重大な問題が提起されているというふうに認識しておりますけれども、そういう場合の有効な対策の一つとして注目されるのであります。 以上のような効果を持つ従業員持ち株制度につきましては、その普及、改善を図ることが有益であると存じておりますし、欧米諸国では諸種の税制上の優遇措置が講ぜられておりますが、我が国でも同様に税制上の普及、促進措置が講ぜられることが望まれております。従来、証券界から出されている要望は、会社から従業員に支給される奨励金は従業員の所得に含めず、拠出金については一定額を限度として所得から控除できることとする等でありますが、一定の長期間保有を前提として一種の課税延期とするような措置が考えられるのではないかというようなことでございます。 従業員持ち株制度について、概略一通り私どもの調査なり客観的な状況について御報告申し上げました。
○委員長(藤井裕久君) ありがとうございました。 次に、河本参考人にお願いいたします。
○参考人(河本國雄君) 東京証券取引所の河本でございます。 本委員会の先生方には、平素何かと証券市場の諸問題につきまして御高配をいただいておりますことを、本席をおかりいたしまして厚く御礼申し上げます。 東京証券取引所は、去る五月十三日新市場を開場いたしましたが、開場に際しまして多くの先生方に御多忙中にもかかわらず御来駕を賜りますとともに、今月初めには、東京証券取引所を御見学いただき、証券市場の現状について御懇談の機会を賜りまして、深く感謝している次第でございます。 さて、本日は、流通市場、特に株式上場関係についてということでございますので、内国株と外国株に分けまして、それぞれ御説明申し上げたいと思います。 なお、その説明に先立ちまして、先般は、債券先物取引に関する証券取引法の一部を改正する法律案についての御審議に当たりまして、本委員会の先生方に多大な御配慮を賜り、まことにありがとうございました。 御高承のとおり、最近の公社債流通市場は、飛躍的な拡大を続けております。特に、東京証券取引所におきます国債の売買高は、昨年一年間で二十二兆六千億円と、この五年間で十四・一倍の規模になっております。 国債につきましては、昭和六十年度から償還及び借換債の発行が本格化することを勘案いたしますと、流通市場の一層の機能拡充が要請されてくるものと存じます。 東京証券取引所では、債券先物取引の導入につきまして、法制面の手当てが整い次第、具体的な準備を進め、ことしの秋にも債券先物取引市場を開設すべく鋭意努力してまいる所存でございます。 このような債券先物取引市場は、公社債市場の安定、拡大に資するとともに、国際的な市場としての機能を一層充実、強化できるものと期待いたしております。 東京証券取引所といたしましては、債券先物取引市場が開設されました場合、健全な市場運営を図り、内外の投資家から信頼される市場形成に努めてまいる所存でありますが、先生方におかれましては、債券先物取引市場の健全な育成を図るため、引き続き御高配を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。 さて、内国株式市場の現状についてでございますが、昨年の東証市場第一部の株価指数について見ますと、内外景気の回復を受けまして、一月四日の七三五ポイントからほぼ一貫して上昇基調をたどり、十二月末には九一三ポイントと高値を更新いたしました。本年に入りましても、好調な企業収益等を背景に、根強い循環物色が続き、六月十二日には一〇〇九ポイントと史上最高値を記録いたしており、時価総額も百七十三兆円となっております。 また、一日平均売買高は、昨年におきましては、おおむね三億五千万株前後の水準となっております。本年に入りましても、四億株を超える水準で推移しており、売買代金も一日平均約三千億円となっております。 さらに、投資家別売買状況について見ますと、昨年におきましては、株数ベースで、個人投資家は四一・八%、金融法人、事業法人は一二・六%、外人投資家は一四・一%をそれぞれ占めており、傾向としましては、個人投資家のウエートは低下傾向にありますが、外人投資家のウエートは著しく高まっております。また、売りと買いとの状況について見ますと、個人投資家はここ数年一貫して売り越しであるのに対しまして、銀行、生損保等は大幅な買い越しを続けております。外人投資家につきましては、これまで買い越し傾向にありましたが、昨年から売り越しに転じております。 先ほど申し上げましたように、最近の株価はかなり高い水準にあると思いますが、このような株価の動きにつきまして、この十年間の上昇率を国際的に比較してみますと、日本の場合二・六倍の水準になっておりますが、米国では二倍、英国では三・九倍、フランスでは二・七倍と、諸外国におきましてもそれぞれ高い伸びを示しており、日本だけが特段高くなったというのではなく、これは世界的な傾向であると言えるのではないかと思います。 以上が、最近における内国株についての株式市場の概況でございます。東京証券取引所といたしましては、このような株式市場におきまして、一層市場の厚みを増し、より円滑な流通と公正な価格形成を図るべく、個人株主増大策の推進、上場制度の改善等、諸施策の推進、実施を図っております。 まず、個人株主増大策の推進でございますが、個人株主が減少いたしますと、株式流通市場の機能を低下させ、円滑な流通と公正な価格形成を妨げ、ひいては株式発行市場の機能も低下させるというような弊害が生じてくるものと思われますので、個人株主の増加が強く望まれるところでありますが、全国上場会社の個人持ち株比率はこのところ一貫して低下傾向を続けており、昭和五十八年度には二六・八%となっております。 東京証券取引所といたしましては、個人株主の増大、育成を図るため、上場会社に対しましては、株式の投資魅力の増大策として、配当性向を重視した配当政策の慣行の確立並びに一般投資家が投資しやすくなるよう株式分割及び無償交付の促進をお願いいたしております。 この株式分割の促進につきましては、額面株式のままで容易に分割が可能となるような制度改正を関係方面にお願いいたしておる次第でございます。 また、二重課税の排除を初め証券税制の改正につきましても、関係方面に要望いたしている次第でございます。 さらに、個人株主増大、育成のため、正しい証券知識の普及にも努めておるところでありますが、証券取引所を見学してもらうことも大切でございまして、幸い新市場館の開場を機に、見学者が大幅に増加しておりますことは、喜ばしいことと思っております。 次に、上場制度の改善について申し上げます。 現在、証券市場におきましては、株式供給量の不足ということが指摘されております。 ちなみに、昭和四十八年からの十年間におきまして、個人金融資産は四倍、GNPは二・四倍の伸びを示しておりますが、上場株式数については、一・七倍の伸びにとどまっております。 株式上場についての東京証券取引所の取り扱いは、発行会社から上場の申請がありますと、公益及び投資者保護の見地から総合的に審査を行い、その結果、上場有価証券として適格であると認めたものについては、大蔵大臣の承認を得て上場することといたしております。このような上場に必要な要件を定めておりますのが上場基準でございます。 東京証券取引所は、株式供給量の不足を解消するとともに、成長力に富んだ中堅、中小企業に上場の道を拡大し、株式市場の活性化や投資対象の多様化を図る観点から、昭和五十八年に上場基準の引き下げを行っております。 具体的には、上場株式数を一千万株から六百万株に引き下げるとともに、株式分布状況、株主資本の額及び利益配当についても、それぞれ基準の緩和を図りました。 この結果、新規上場会社につきましては、昨年は十三社にとどまっておりましたが、ことしは五月まで九社、本年じゅうには四十社前後の上場が見込まれております。 なお、日本電信電話株式会社の株式の民間への放出が計画されておるわけでございますが、私どもといたしましては、このような超一流の株式が公正な価格で、幅広く個人に分布され、個人株主の増大につながることを強く期待いたしておりますことを付言させていただきます。 次に、外国株についてでございますが、昭和四十八年に東京証券取引所に外国株市場を開設して以来、市場の低迷が続いておりましたが、昭和五十八年ごろから売買高もふえまして、特に本年に入りましては、投資家の外国株に対する関心の高まりなどから、年初から五月までの一日平均売買高が二十三万株と、昨年一年間の一日平均売買高の十五倍の商いがあり、活況裏に推移いたしております。 現在、東京証券取引所に上場されている外国企業の数は十一社であり、諸外国の取引所に比べその数が少ないのが現状でございます。 外国会社の中には、東京証券取引所に上場しにくいという声がありましたが、この一両年の間に、上場しやすいように環境の整備を図りました。 具体的には、証券取引法等の改正により、有価証券報告書の提出期限を三カ月から六カ月に延長するとともに、一定の外国会社にあっては、いわゆる二重監査の廃止などの措置が講ぜられました。 また、東京証券取引所としましても、外国会社が上場するときはもちろんのこと、上場後につきましても提出書類の簡素化を図りました。 この結果、昨年は、八年ぶりに米国のシアーズ・ローバックが上場し、ことしに入りましてもウォルト・ディズニー・プロダクションズの上場が日程に上るなど、かなりの数の外国会社の上場が見込まれております。 このように、我が国の外国株市場は、最近ようやく売買高も増加し、また、新規上場会社も大幅増加の機運になってきておりますが、まだまだ緒についたばかりでございます。国際間の資本交流が活発化する中で、東京市場の国際化の観点からも、外国株市場の整備改善につきまして、引き続き努めてまいる所存でございます。 また、証券市場の国際化の別の側面といたしまして、東京の市場で外人投資家がどの程度売買取引を行っているかということがございます。 ちなみに、外人投資家の対日証券投資を見ますと、昭和五十九年で、株式については八兆四千四百億円と五年前に比較して七・六倍、一方、公社債等については十四兆七千七百億円と五年前に比較して七・二倍と、著しい伸びを示しております。 東京証券取引所での外人投資家の株式売買シェアも、先ほど御説明申し上げましたとおり、昭和五十九年で一四・一%と、五年前の三・七%に比べそのウエートも著しく高まってきております。さらにもう一つ、証券業の国際化という面で申しますと、外国証券会社の東証加入問題がございます。この点につきましては、現在、外国証券会社の加入問題も含め、会員制度全般について見直しをしようということで、特別委員会を設け、鋭意検討を進めておるところでございます。 以上、流通市場、特に株式上場関係について御説明申し上げましたが、東京証券取引所といたしましても、我が国経済の活性化、発展に向けまして、投資家保護に意を用いつつ、未上場会社の上場の促進を図るとともに、企業や国の資金調達及び国民の健全な資産運用の一層の円滑化を図り、もって内外の投資家に信頼される証券市場の確立に引き続き努力してまいる所存でございます。 本委員会の先生方におかれましては、証券市場の運営に関しまして今後とも引き続き格段の御高配を賜りますようお願い申し上げましで、私の陳述を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(藤井裕久君) どうもありがとうございました。 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○鈴木和美君 本日は参考人の皆さんには、お忙しいところをわざわざお運びいただきまして、私どもの知らないところを教えていただきまして大変ありがとうございました。 そこで、それぞれ私の持ち時間の範囲内でお尋ねしたいと思うのですが、まず津村参考人にお尋ねしたいと思うんです。実は、今尋ねることは先生の専門外のことになるかもしれませんけれども、一般的な見解で結構だと思うのです。 今回、日本たばこ産業株式会社や日本電信電話株式会社、つまりこの両社の株式を、たばこの場合には当分の間は三分の二ですが、二分の一以上、電電については三分の一以上を政府の保有義務分として産投会計に所属させて、それ以外の残りは売却しようというわけですね。そして、その売却の収入益金を国債の償還に充てるというようなことで現在法案が提出されているわけであります。 私どもとしては、この特に電電の場合などは、資産形成の経緯というものから見ますと、俗称我我は国民共有の財産と言ってきたのですが、最近政府がまねっこしちゃって、今度は国民共有の負債だというように逆な言葉を使われているんですが、私どもとしては、産業のつまり再建者といいますか、資金繰りも自前でやってきたし、それから国から余りお世話にならないでやってきたし、それに関係者の血の出るような努力によって営々として電電の産業を支えてきた。したがってその売却益などについては、その使途は国民にもっと利益を還元するというような方向で使われた方がいいんじゃないか、こんな見解を私らは持っているんです。 ましてや、電電のこの株の問題について、いつ、どのぐらい、どの程度で放出するかというのは依然としてまだはっきりしない状況なんですね。そんなときに受け入れ先だけを決めるということはどうもおかしいのじゃないかというように私どもは考えているのですが、先生の一般的な見解で結構でございますからお聞かせいただきたいと思うんです。
○参考人(津村英文君) NTTの資産が国民共有のものである、したがって、それが国庫に帰属した後どのような使途に処分されるべきであるかというようなことかと思います。 問題は、国債償還の資金に振り向けるかどうかということと、それから売却した場合、市場売却した場合に、それが本当に国民全体の福祉に平等に還元したことになるのかというこの二つの問題は、御質問では直結されていたように思うのでございますけれども、私の見るところではこの二つは別のことであるというふうに思えます。 つまり、国債償還という問題は財政再建というふうに一般に言われておりますけれども、それ自体果たしてどの程度の緊要な問題であるのかということは一つ理論的に非常にまだ問題が残っていることであろうと思います。ですから、国債償還を早めることがこの時期において国策として非常に大切であるかどうかということは、財政学的にむしろ結論を出してもらいたいというふうに私は思います。証券市場論研究者の立場からしますと、その部分に関してはちょっと何とも申しかねます。 そこで後段の、本来国民の共有のものであり、そして国庫に所属すべきものである電電公社の——今は日本電信電話株式会社でありますが、その株式の売却益がどのような形で国民に還元されるべきかという問題について私の考えを申しますが、これはあくまでも市場の状態、つまり市場が十分に公正に機能しているかどうかということに問題はかかっているというふうに私は思います。ですから、もしもここに市場に何らかの不公正が入り込む余地があり、そのことを通じて何らかの特定なルートにその利益が流れるというふうなことが考えられるならば、それは先ほど私が申しました価格形成の適不適という問題もございますし、それから売却方法の適不適ということもありましょうし、市場の受け入れ側の環境がどうあるかということもあると思うのですが、とにかくそういうことに問題がかかっているというふうに思います。ですから、そこがもし、私はそれほど明確に具体的にわかっているわけではありませんけれども、私が考えているほぼ理想的な受け皿ができているということであるならば、このことが国民の利益を害することとは私は考えません。そんなところでございます。
○鈴木和美君 次は、これも一般的な見解で結構なんですが、三人の参考人の方々にそれぞれお聞きしたいのです。 NTTの株が非常に脚光を浴びているということが世間一般で言われているわけでありますが、それぞれのお立場で、個人的な見解で結構ですから、本当にこのNTTの株というものに対して、投資家または投資家でない一般の人でも、この株を持ちたいというように思っているんですか思っていないんですか、その辺の受け取りの感想をちょっと聞かせていただきたいんです。まず津村先生から。
○参考人(津村英文君) まことに難しい御質問でございまして、これは証券市場論の問題というよりも、私が全く今度は個人の立場に立って考えたらどうであろうかというふうなことで考えてみます。 先ほど、あえてプライバタイゼーション一般にひっかけてお話をしましたのですが、実はもちろんその時点において私はNTTのことを念頭に置いて言ったわけでございまして、そしてそれが非常に大型株であり中規模程度の成長株であろうというふうなことを念頭に置いてあのような発言をしたわけでございますので、それに照らして考えますと、非常に株式として魅力的であり行列をつくってでも買いたいというようなものとは考えておりません。比較的健全な投資対象の一つがふえた、そういうふうに私は考えております。例えば、例を挙げるのはあるいは差しさわりがあるかもしれませんが、電力株のようなタイプの株式が一つふえた、その程度にしか私は考えておりません。
○参考人(荒井勇君) NTTの株が市場に出た場合にどういうふうに国民から受け取られるかということでございますが、それに関連しまして私は一つの過去の歴史的事実を指摘したいと思うのです。 それは、明治四十年代に鉄道の国有化法が制定されまして、それまで民間企業であった鉄道株、しかも当時紡績株と並んで非常に花形株であったわけですね。そして株数としても非常に有力なシェアを占めておった鉄道株、それが忽然として証券市場から消え去ったということは、非常に日本の証券市場に対してマイナスの効果を与えたということが言え、日本の資本市場の発達をおくらせたわけであります。その結果、多数の投資家が興味を持って投資する対象株がなくなったわけで、そういう資金が結局は投機的な清算市場を形成しそこで動き回るというようなことになった有力な原因は、そういう市場で今まで取引されていた株が、国の措置によって民間で取引することができなくなったという事実があったからであります。 これに対しまして、今回NTTの株が会社の民営化に伴いましていずれ証券市場に出てくるということは、証券市場の活性化のために非常にいい意義を持っている、いい影響をもたらす可能性を持っていると考えるわけでありまして、先ほど来出ております個人持ち株比率の低下というような問題も、こういうNTTのような非常に国民大衆が関心を持つ株が上場されるということによりまして、個人の株式保有もふえ、あるいは流通等の市場面においてもいい影響をもたらすということが考えられると思うのであります。 当面のNTTの初期の決算内容等から見た場合に、いいパフォーマンスがすぐに出るかどうかはわからないと思うわけです。それは、NTTが今まで公企業であったことから企業会計の適用を受けず、その利益計上面においても、例えば十分な退職給与引き当てをしていることとか、あるいは税金は非課税の特権を持っているので法人税、法人事業税あるいは法人住民税、固定資産税等の点で多分に特権的な地位にあった、あるいは労働保険といったようなものについても保険料を負担する必要性がないといったようなところで出てきた利益が従来電電の利益として評価されておりましたけれども、そういうような点についてシビアな試練を受けますし、金融等の面でも独立して今度は資金調達をしなければならないいろいろなコスト面がかかるというようなことがありまして、財務内容が急速に優良会社というふうになるとは思えないわけであります。 しかし、基本的に、IC革命であるとか、ディジタル化の進展であるとか、光ファイバー技術が実用化され、これによって長距離通信等のコストも格段に安くなるといったような技術的な革新を背景にしておりますし、それに対して競争業者が参入してくるという要件があって今までの独占的な公共料金政策によって支えられたマーケットとかそういうシェアを持ち得るということではありませんけれども、今後の料金政策のいかんあるいは経営のやり方のいかんによってかなりの成長は見込めるのじゃないのか、当面は経理内容は必ずしも急速によくはならない、そういう足を引っ張る要因がありますけれども、夢としてはこれは証券市場で活躍してもらういい対象銘柄がふえるものだというふうに、私個人としては考えております。
○参考人(河本國雄君) 私どもは直接多くの投資家と接触は余りございませんもので、市場関係者から聞いておりますことを御報告いたしたいと思います。 電電株式会社は、公社が民営化されたということによりまして日本におきます最大の企業となるわけでございまして、それを機会になお今後一層効率的な経営が行われそして健全な成長を遂げていくのではないかということから、投資家にとって投資対象の拡大ということから大きな魅力になるのじゃないかというのが大体市場関係者の感触でございます。 あと、個人的に若干申し上げますと、新聞なんかの報道で見ましても、BTの放出によりまして非常に個人株主がそれに投資をした。そしてまた、さらにその中には、相当数新規の株主がふえたというような報道も見ておりますので、やはり先ほど出しましたような感じから、新しい投資対象として国民は魅力を感じるのではないかという感じがいたしておりますし、また私どもの立場といたしましても、先ほど申し上げましたような個人株主の低下傾向というものが、こういうものなどを契機に上向いてくれるということを大いに期待しているというふうに思っております。
○鈴木和美君 ありがとうございました。お言葉はそれぞれニュアンスでいろんなようにとれますが、大型株であるということや超一流とか優良株とか魅力ある株とかということで、私も、一般的に見ましてやはり、この株には国民が大変な関心を持っていることであるということは共通して言えるのじゃないかと思うんです。 そこで、恐縮ですが津村先生にもう一度お尋ねしたいのですが、今まで政府の企業でやっておった会社なものですから、これだけの数量と、もう莫大な金額の放出になるわけですね。ですから、政府関係者の中でも、そんなに経験的に扱った人はおらないわけです。それで、日本航空とか日本合成ゴムとかKDDというようなものが参考にはあるのでしょうけれども、それがストレートに参考になるかというと、私は必ずしもならないと思うんですね。ましてや、国有財産に帰属しちゃったということになりますと、いわゆる会計法上の制約というものをどうしても受けますから、そのことと、一般的に放出する場合の、国からいえば高く売りたいというのもありましょう、しかし今度は一社で持たれたらまた大変だというようなこともあったりして、そういうふうな問題点を抱えておるものですから、イギリスのBTなどなども参考にしながら、この際こういうことは注意しておいた方がいいんじゃないかとか、こういうことは参考に思っておいてくれというようなことの御示唆があれば、ぜひ聞かしていだたきたいと思うんです。
○参考人(津村英文君) まず規模が大きいということは先ほどもちょっと申し上げたわけなんでありますが、今御質問の中に出てまいりましたBTの場合、三十九億ポンドというふうに聞いております。大ざっぱに換算しまして一兆円ちょっとでございます。NTTの場合、どれぐらいの価格で何株放出するか、これはまだわからないことでございますけれども、資本金に対応する全株式の時価総額というのは恐らく六兆円ぐらいになるのじゃないかというふうに思っております。それを三分の二売り出すという話なんですけれども、それがどんな手順で何回に分けていつ売り出されるかというふうなことは、もちろんまだこれからの問題だろうというふうに思うわけでございます。したがって、それが市場に及ぼす影響とか、国庫に及ぼす影響、それから当面のそれを管掌する人人、管轄する人々の意思決定の対象として考えた場合、非常に大きな問題であるということはもう御質問のとおりだと私も思います。 ただ、先ほど河本さんのお話の中にもありましたように、現在の東証の一部株式、東京証券取引所第一部上場の時価総額が先ほど百七十三兆円というお話がございました。これに対するパーセンテージを計算しますと、仮に売り出し総額が四兆円だとしても二・四%、まあ二%ちょっとということでございます。ただ、この数字だけ私、見ましたときに、これはそれほど大したことではないというふうにぱっと数値として思ったわけでございます。ところがやはりその後、最近数年における全国証券取引所上場会社の有償増資額、年間に増資という形で企業に払い込まれた資金の額というものを見てみましたのですが、これが大体一兆円でございますね、九千億円から一兆円。ということを考えますと、やはり一挙にその数倍の資金が証券市場に吸収されるという規模、これはやはり相当なものかなというふうなことを考え合わせております。そのように規模の持つインパクト、衝撃というものはかなり大きいわけでありますが、先ほど来他の方々からもお話がありましたように、それだけの魅力があるし、それから株価が非常に高い、これは何をもって高いと言うか問題でありますけれども、少なくとも上昇を続けてきているという市況環境のもとでは少なくとも受け入れ側では余り問題なく受け入れるのではないかというふうにまず一つ思っております。 その場合に何か留意点があるかという御質問でございますけれども、同じことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、私はあくまでもタイミングの選択と、売り出し方法と、それから価格の適正な決定、その三つに尽きるだろうというふうに考えております。
○鈴木和美君 荒井さんにお尋ね申し上げたいのですが、今の津村先生のお話からも出てきているわけですが、確かに売り出しの数量とか、時期とか、それから価格とか、そういうものが問題を判断するというか、考えていくときの一つの基準でございますね。しかし、なかなか今はっきりしていないわけなんです。いずれはこれははっきりすることなんでしょう。そのときにどうしても、国債整理基金の中に入っちゃっているということになりまして、土地と同じようにいわゆる国有財産ということになりますと、今政府の国有財産の処分というのは中央審議会みたいなところで審議されるわけでございますね。 でも、有価証券の方については、これだけの大きな規模というものは余りやられていないと思うんです。そこで単なる一般の会計法上で言うだけの規制ということだけで本当に事足りるんだろうか。持ち株制度とも当然これ関連があるわけなんですけれども、特定の人の買い占めとか特定の人の利益になるというようなことじゃなくて、広くなるべく民主的に多く持たせた方がいいというような方法なども検討するということなどを考えれば、どんな場でどういう基準で考えた方がいいのだというような御示唆があれば大変私どもとしては参考になるんですが、御見解を聞かせていただけないでしょうか。
○参考人(荒井勇君) 大変難しい問題の御指摘のようでございまして、いい知恵があるかといえば、これはその執行の責任に当たっている政府が国会なり関係方面の有識者の意見も十分聞きながら練り上げてやっていくというほかはないのだと思うのでございます。 先ほど津村参考人の方からもお話がございましたけれども、NTTの株式の放出について、これが市場に悪影響を及ぼすような形で、例えば一挙に売り出すというようなことはまず考えられないだろうと思うんですね。証券市場へのインパクトを考えながら何回かに分けて、またそれで市場の適正価格というもののはね返りを見ながら、漸次規模を拡大してその売り出しが行われていくということになるのではないのかと思うわけでございまして、その程度の資金が証券市場で調達されないというほど日本のマーケットは狭い市場ではないだろうと私は考えております。 何か留意点がないかという点につきましては、当面は現在できました法律の枠内でやるしかないわけですけれども、この日本電電の株式の保有の制限につきまして、新法では外国人の保有を禁止して日本国民に限っておりますけれども、この証券市場の国際化という背景のもとではいずれこの制約も外してもらう必要性があるんじゃないのか。それは、最高限度は二五%とか、いろいろ現 在の外為法の枠内においても規制されているものはあるわけですが、しかしそれだからといって全然保有を禁ずるというほどの国益的な必要性ということもないし、証券市場における将来の流通等も考えていった場合に今の国際化している現状というものを無視することはできないだろうと考えるわけで、こういった制限的措置が解ければさらにマーケットは拡大するということで、その点についてそんなに不安を感ずる必要性はないのじゃないかというふうに思っております。 お答えにすぐつながりませんで申しわけありませんが、この問題について一般的に考えるとしますとそういうことではないかと考えております。
○鈴木和美君 河本参考人にお尋ねをしたいのですが、今と同じようなことなんです。 その前に、この前、証券取引所を見せていただきまして、どうもありがとうございました。 今の荒井先生とのお話と同じなんですが、この新会社、つまりNTTですね、の株式の放出というものはどのぐらい出すんだろうかとか、いつの時期に出すんだろうかとか、放出のときの一般的な株式の市場ですね、それが一体どうなるのか、放出価格はどのぐらいになるのかというような、いわゆる売却方法というものがはっきりしなければ的確なお答えはできないのだということは重々承知してはいるんですが、このNTTの株がいよいよ証券市場に入っていくということになりますと、河本さんの御見解では、どのような影響を一般証券界に与えるというようにお考えか、御見解を承りたいと思うんです。
○参考人(河本國雄君) 株式の放出が行われるわけですが、その受け入れといいますか、消化の感じがどうかということでございますが、昨年の日本の企業の資金調達、証券関係での資金調達は、内外を合わせまして大体六兆円ぐらいだというふうな数字が出ております。株式で約一兆弱、転換社債で国内が大体一兆六千億、それから海外がやはり一兆六千億という数字でございます。それともう一つ、五十八年度の個人金融資産を見ますと約四百八十兆ということでございますので、今現在は五百兆を超えている数字じゃないかと思います。 そういうことから、放出の仕方その他につきましては、専門の方もいろいろおいででございますから、そういう方を含めて慎重に御検討をいただきたいと思うわけでございますが、しかし消化能力としては個人金融資産の数字から見ましても相当の受け入れ能力があるのではないかという感じがいたしております。それが今度は上場という姿になりますと流通市場の問題になるわけでございますが、これも先ほど来申し上げておりますように、市場規模というのは非常に拡大してきておりますし、一日の売買金額も最近では約三千億という数字でございますので、どの程度流通市場に出てくるか、これがなかなかはっきりしないわけでございますが、今申し上げましたような数字から見まして、そういうことで市場に大きな影響を及ぼすというようなことはまず考えられないのじゃないかというような感じがいたしております。
○鈴木和美君 もう一つ河本さんにお尋ねを申し上げたいのですが、今の新しいNTTの株が放出されるときに、流通市場に上場されるときに形成される俗称初値と申しますが、その初値と、それから売り出しのときの価格と当然差が出てまいるわけですね。この差というものについての妥当ないわゆる、株というものはこのぐらいの差があるのが普通だというような、何%というようなことの経験的なまた実際的なことがあれば、この機会にちょっと聞かせていただきたいのですが。
○参考人(河本國雄君) 新規上場銘柄の公募売り出し価格と今のお話の初め値との乖離状況でございますが、昨年一年の東京証券取引所だけに上場した銘柄、新しく上場した銘柄ございますが、それの公募価格と初め値との乖離の状況を見ますと一・五六倍という数字になっております。ことしに入りましてからの数字を見ますとそれが一・四一倍ということでございまして、例えば百円での公募のものが百四十一円についたということでございます。過去はもう少しこの乖離幅が、二年ぐらい前は高かったわけでございまして、やはりこの乖離の改善策といたしまして公開価格の算定方式というものを改善いたしたわけでございます。また、取引所といたしましても今現在は類似会社比準方式というのをとっておるようでございますが、その類似会社にどんな会社をあれしたかということも公表してもらうというような形をとっておりまして、そういうことから先ほど申しましたように乖離幅がだんだん縮小してはきているわけでございます。 しかしまだなお改善策が何かないかということで検討はいたしておるところでございますけれども、やはり新規上場になりますと人気度といいますか、それが当初は若干どうしてもつくということがございますし、それから今の体制は引き受けしてそれを証券会社は売っていくわけでございますから、やはり引き受けリスクというものも若干は考えていかなければいけないのじゃないかということで、ある程度の乖離幅はやむを得ないといいますか、いいのじゃないかという感じがしておりますが、この乖離幅が大きいということは好ましくないことだというふうに考えておるわけでございまして、今先生のお話のようにどの程度が適正かとかいうことはなかなか数字的には申しかねるのでございますけれども、抽象的にはある程度の乖離幅はやむを得ないのじゃないか、これが大きく広がるということは好ましくないというふうに考えておるわけでございますけれども。
○鈴木和美君 間もなく時間ですが、荒井先生にもう一つお尋ねしたいのですが、先ほど御説明の中にもございましたが、我が国の個人の持ち株比率でございますね、これは先ほどお話しのように二十五年度末で六一・三%、五十八年度で二六・八%、ずうっと下がってきているわけですね。つまり個人金融資産の増加傾向と逆行しているといいましょうか、そんな現象だと思います。 これは一体どういう理由なのかということと、もう一つは、最後になると思いますが、従業員の持ち株につきまして、NTTのつまり労働組合の方もそれから会社の方も従業員の持ち株というものを考えていってもいいということをおっしゃっているわけです。ここでも答弁されているわけです。そういうときに、今まで持ち株制度を持っているところの会社での功罪、弊害というか、そんなことを、参考に、おまえたちこういうところは考えて持ち株問題を考えていけよというようなことがあれば聞かせていただきたいと思います。
○参考人(荒井勇君) なぜ個人持ち株比率が低下したかの理由なり原因というお尋ねでございますが、一番大きい要因は事業法人における株式保有の増大、あるいは金融機関における株式保有の増大というものがありまして、特に事業法人の場合には、株式を保有する目的は、配当利回りというようなことではなくて、企業支配あるいは企業における取引関係を円滑にするというような、株式の持っている別な側面に着目して保有が進められてきた、そのために、株式価格の評価方法についてもいわば利回り革命というようなことが言われるように変革してきたわけでありますけれども、そういう中で個人の方は利回りがだんだん低下してくる、そして一般の金融資産との間のバランスを考えると、値上がりしたときに売却することによって、特にキャピタルゲインが非課税になっているということが個人が非常に株式の売りに走りやすい誘因になっておりまして、事業法人の場合にはその点はもし含みを売買によって吐き出せばまともに約五〇%というような法人税がかかるというのと違う税システムになっているということがありまして、個人の場合にはどちらかというとキャピタルゲイン非課税というものに引かれてある程度値上がりしたときに売るという傾向がある。それに対して法人の方は、保有目的が先ほど申し上げたように違って、単に配当を取るためではなくて、企業に対する支配権を獲得する、あるいはその企業との取引を円滑にするというためにはその利回りを超えた利益を持っているわけで、そういう観点から保有を漸次ふやしてきたという 面があるわけであります。 それで、これは非常に長期的に株式を保有している場合に、私どもの日本証券経済研究所では、昭和二十七年以来株式をずっと継続的に保有して、増資等についてもその株式のポートフォリオの中で順次払い込んでいったという場合にどういう利回りになるかという点を計算しますと、複利で一七%台ぐらいの利回りになっているということを毎年株式の投資収益率という形で発表しておりますけれども、そういう点についても事業法人の方があるいは金融法人の方が判断がさといといいますか、そういう市場の大勢についての情報知識が十分にあるということで、株式保有を継続的に続けていく、あるいは漸次拡大していくということがあります。 ですから、そういう税制面、企業の側から見た利益というものと個人の税制が逆になって、売った場合の利益、キャピタルゲインには非課税であるということと、配当利回りが下がるという現象で、一部の投機的な株主というものはその市場の価格変動を利用して、非課税のキャピタルゲインを得るというために非常に広範囲に参入しておりまして、個人株主の比率が低下したにもかかわらず売買比率でいいますとまだ、先ほど河本副理事長の方からお話がありましたように、四一、二%というシェアを持っているわけですけれども、しかし保有比率として統計的に調べますと漸次下がっているということであります。 それからもう一つは海外要因で、外人保有がここ数年間じわじわと伸びておりまして、我が国の個人保有の比率が下がる程度の比率で外人保有がふえている。現在四%から五%へというような保有残高になるというふうに、その面でも保有構造が変わってきているという面があるわけですね。 しかし、個人株主の保有シェアから見た低下というものが現実の日本の株式市場に対して極めて悪影響を及ぼしている段階になっているかといえば、その点は、事業法人等が株式保有を継続して市場に出さない、それによって流通量が減り、機能が低下するというような事態になればこれは非常にぐあいが悪い、そういう機能が低下した流通市場というものを背景にしますと発行市場というものもうまく作用するはずがないということで、非常に循環的に悪影響があるわけですけれども、先ほど御説明がありましたように、流通市場における取引数量等においてもまずまずかなりの数量は確保されているということがありまして、傾向として個人持ち株シェアが下がっていることは好ましくはないけれども、決定的にそれが日本の株式市場を非効率にしているというふうに判断すべき段階には達していない。しかしながら、こういう持続的な傾向が続くことは非常に好ましくないので、それをチェックし、さらに引き上げるという方向にもっと政策的な手段を講じていただきたいというのが、私どもあるいは証券界挙げてのことでございます。それで、従業員持ち株制を拡大していくというのは、先生のおっしゃいますように非常に有効な対策である。特に、一つの会社の従業員だけじゃなくて、系列なりあるいは取引先なりを含めた拡大的な従業員持ち株制という方向も、先ほど簡単に触れましたけれども、今そういう展開も示しておりますので、そういう形によりましてもさらに個人持ち株の比率向上に役立つような施策を講ずる、また関係者は努力するという余地がまだまだ十分にある。NTTのケースも、そういう意味で役に立ってくれることが将来あり得るのではないかというふうに考えるわけでございます。
○桑名義治君 最初に荒井参考人にお願いをしたいのです。 英国のブリティッシュテレコムが民営化をいたしました。その株式を広く個人投資家は放出をしたわけでございますが、このBTの株式放出方式がNTTの株を放出した場合の大いなる参考になるのではないか、こういうふうに思いますので、このいわゆる株式放出方式ですね、どういう方法でやったのか、参考にしたいと思いますので御説明願いたい。と同時に、その後の株価の動向というのはどういうふうになっているのかお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(荒井勇君) 私もその面につきましては専門的に調べたわけでございませんので、知っている限りでお答えを申し上げたいと思いますが、BTの場合の売り出しの場合には、売り出し株数がイギリスの本国で行われました分が二十五億九千七百万株、それから日本及びアメリカで行われましたものがそれぞれ一億八千万株、カナダで五千五百万株、合計三十億一千二百万株ということであり、売り出し価格につきましては、三回の分割払い込みということを織り込んで行われたというふうに聞いているわけでございます。 このBTの売り出し方式というのが日本の場合にそのまま当てはまるかという点について申し上げますと、先ほど私が法律の制約があるということを申し上げましたが、まず第一に、外国人に対して保有をさせるような売り出しの仕方が現在できないという点がBTとは違うわけですね。それから、BTの売り出しの場合には、イギリス政府の考え方として、このBTがさらに国営化に逆戻りしないようにそこに歯どめをかけるという意味で、売り出し額も、最初第一回からその株数を、半数を超える株式数であったと思いますけれども、そういう極めて異例というか、大量の売り出しを一挙に行うという方式をとったわけです。ですから世界的なべースで売るということをせざるを得なかったわけでありますが、日本市場だけでこの売り出しを行わざるを得ないということになりますと、そんなに過半のものを一挙に売るというような方式はとれないだろう。私が先ほど申し上げたように、市場に対するインパクトというものを考えましてまあ部分的に徐々にその割合を高めていくというようなことにならざるを得ないのじゃないかと思うということを申し上げたのは、BT方式ではない方式が日本のNTTの場合には考えられるのじゃないのかということで、日本の市場の消化能力といいますか、マーケットの容量というものを考えてその処分を進めなきゃいけないんじゃないか。いろいろな点でBTとは客観的な条件が違っている、まず法律が違うということから始まりまして。そういうことだと思っております。
○桑名義治君 それで、先ほどの質問の、現在その株価がどういう動向をたどったのかということを、わかればお知らせ願いたいんです。
○参考人(荒井勇君) 私も、この問題について御質問を予期はしておりませんで、よく調べておりませんし、常時そういうことをやっていますのは証券会社の方だということになりますが、新聞等で伝えられているところでは、最初ロンドンで九十七ペンスないし九十九ペンスというようなところで始まって、初日あたりもそれより若干終わり値は下がったというような点はありますが、全体を通じまして、非常に募集数が多かったということで、その価格設定が低かったのではないか。ですから、市場人気がついておりまして何十%かの値上がりをしたわけですね。ただ当局者に言わせますと、こういう大量売り出しをすると、それに対して需要がついていくのかどうか、資金が十分それに振り向けられるのかどうかというような、先ほど津村先生も言われましたけれどもマーケットの不安があり、ああいう価格設定をせざるを得なかったということで、日本でNTTの株式の売り出しのような措置をとる場合には、このBTの経験も十分参考にして行わなければいけないものだというふうに考えます。
○桑名義治君 今荒井参考人の方から、その後のBTのいわゆる株価の動向については河本参考人の方がよくわかるのじゃないかという意味合いのお話があったわけでございますが、もしわかればお知らせ願いたいと思います。
○参考人(河本國雄君) どうも私どもの方も余りよくあれしておりませんで、今大体始め値が九十七ペンスぐらいであれしたということを聞いておりますが、現在は百三十ペンスぐらいじゃないかと。これももちろん、ちょっと正確じゃございませんで、もし間違っておりましたら後で訂正させていただきたいと思うのですけれども、証券会社の方はよく知っていると思うのでございますけれども、私ども今扱っておりませんもので、上場は全然しておりませんもので、申しわけございません。
○桑名義治君 津村参考人にお願いをしたいわけですが、先ほどの陳述の中で、公共的ないわゆるこういう企業体を民営に転換をする場合の大きな要素として三つある、一つは、だれに、二番目は、方法は、それから三番目が価格形成、こういうふうに大まかに分けて御説明があり、価格形成については、非常に細かく原理的なものをお話しいただいたわけでございます。あと残るのが、だれにというのと、それからこの方法論が、二つ残っておるわけでございます。 で、この、だれにという場合にも、これはいろいろ世上で今議論もされておるわけですが、一般的ないわゆる市場価格に任せた場合には、これは株が大きく一企業家あるいは一企業に偏るのではないか、それはまた大変に好ましくない状態だというような事柄や、あるいはまた、この問題で大きな汚職が起こるのじゃないかというような事柄が世上でささやかれているわけであります。これは、一つには、NTTの株が非常に国民の大きな関心を呼んでいるということ、それから、国民の皆さん方が非常に優良株である、将来性がある、こういうふうに踏んでおられるところから、こういった心配が出ているのだろうと思います。そういった意味からも、だれにという事柄につきましてどういうふうにお考えになっているのか。 また、方法については、先ほどから一括か分割か等、市場の問題を含めてのいろいろな御意見が開陳をされておりますけれども、そういう分割方式とかそういう事柄は、——恐らく分割の形がとられるのが最もベターだろうと思います、恐らくそういう方向に走るのではないかと思いますが、問題は、この価格と関連をするわけでございますけれども、BTのようなふうに、価格を一定してそして放出していくのか、あるいはまた市場価格に任せるのか、こういった方法があると思うんですが、そういう意味から、だれに、あるいは放出の方法がどういうことがベターだというふうにお考えになっておられるのか、先生の私見で結構でございますので、お聞かせ願いたいと思います。
○参考人(津村英文君) 先ほどの報告の中でこの二つを後回しにしたのは、それだけの準備、自信がなかったからでありまして、実際問題といたしまして、NTTの株式をどのような手順でどれだけの株数をだれに対して販売していくか、公開売り出ししていくかということについては、残念ながらまだ私もそこまできちんと詰めて研究もしておりません。したがって、今現在はっきりした見解というものがまだ形成されておりませんのです。 ですが、あえて感触を申し上げるならば、まず、だれにということに関しては、少なくとも公開売り出しの時点ではできるだけ多くの範囲の主体にということでございますが、その多くの範囲の主体というのの中には、圧倒的な割合で個人が含まれるというようなことを保障するような方法が選択されるべきであろうというふうに思っております。その後の推移についてはどういう推移をたどるかはわからないわけでありますけれども、少なくとも売り出しの時点で個人が十分応募できるような措置を講じるべきであろうというふうに思っております。ということは、価格の決定におきましても、十分に現在の市場環境と比較できるような価格形成の根拠を示して、そして多くの人が妥当と認めるような価格を、最初の売り出し価格を決めていく。それでまず最初の、第一回目の売り出しをする。そうすれば、市場がその株式に対してどのような評価をしているかということについてのデータが得られるわけですので、その後は市場価格に基づいた売り出し価格を決めることができるということになろうと思うんです。 問題は最初の価格の決め方だろうというふうに思うわけでありますが、これについては、先ほど同種企業、類似会社の比準方式というふうなお話が出たわけでありますけれども、何らかもちろんそういう方法を使わなければならないわけでありますけれども、これについての情報をできるだけ多くの関係者から聴取してまたフィードバックするということをしばらく繰り返して、そうしてそこからおのずから実際に売り出さないでも大体の基準価格というものが浮かび上がってくるというふうに考えておりますので、それを待って最初の公開売り出しを行うというふうな処置が一番現実的に必要な処置じゃないかというふうに思っております。
○桑名義治君 この問題は大変に難しい問題でございまして、ここらをどういうふうにするかということが当委員会におきましてもいろいろと議論になっているところでございます。いずれにしましても、KDDの場合でも五百円株が現在六十倍ぐらいになっているというような事柄で、KDDとこの今回のNTTを比較した場合に、将来性という立場から見た場合にどちらがというような比較対照というものがちまたでも行われているわけでございまして、一部にはこれが二十五倍になるとかあるいは三十倍になるとか、そういったところの価格が最も適切ではないかというようないろいろな事柄が言われております。 そういうことになりますと、先ほどからいろいろと意見の陳述がなされているわけでございますが、多数の人にということに、個人の投資家にということになってまいりますと、これは非常に買いが難しくなるんじゃなかろうかというような気がするわけでございます。株が一株五万円ということになってくると、これの二十倍になると、一株大変な、百万円というべらぼうな天文学的数字が出てくるわけでございまして、果たして先ほどからの陳述のように個人投資家が実際に、本当の意味で大多数の個人投資家が歓迎をしているだろうか。ただ、羨望の眼で見ていることは事実でございまして、羨望と期待というのはこれまた別の問題、次元でございまして、そういうような気もするわけでございますが、そういったところから、だれにということがまず一つは出てくるわけでございます。 先ほどから河本参考人も、個人投資家が非常に好感を持っているというような意味の御発言があったわけでございますが、その点我々は全く株に対しては素人でございますし、お金も持ちませんので、そんなことになったらびっくりしちゃうわけでございますが、この点をどういうふうにお考えになっておられるのかちょっとお聞きをしておきたいと思うのですが、これは河本参考人にお願いをしたいんです。
○参考人(河本國雄君) 今現在私どもの取引所で、先ほど申しましたような売買の状況でございますけれども、一注文平均どのぐらいかということでございますが、これは最近は相当機関投資家のウエートも高まってきているわけでございますので、最近の状況というのはちょっと今現在は覚えておりませんけれども、大分前の記憶でございますとやはり二千株から三千株ぐらいの平均じゃないかと思います。今は売買単位が大体単位株千株でございますので、それで平均の株価が今大体六百円をちょっと超えているところかと思います。そうしますと、一つの売買でそれを掛けますと百五十万から二百万ぐらいというのが売買の代金の単位じゃないかなと、ちょっと数字は古いかもしれませんけれども、大体そんな見当で考えられるんじゃないかと思います。 そういたしますと、もちろんこれは流通市場での問題でございますけれども、今度は一株五万円でございまして、どのぐらいのあれになるかということはこれから慎重に御検討いただくことになると思うのでございますが、やはり平均的な売買単位としてはまずまずのところじゃないかなというふうには感じます。それは、先ほどのは証券市場に参加している人の平均でございますから、今度は新規の投資家という方も参加を期待しているわけでございますからその辺のところはどうなるかということはちょっとわかりませんけれども、現在の流通市場での平均的な売買金額から想定いたしますと、それほど手の届かないというような金額ではないのじゃないかなという感じはいたしておりますけれども。
○桑名義治君 そこで、NTTの上場に当たりましては、取引所の上場規則を改正する必要があるのじゃないか、こういうふうにも思うわけですが、どのような点が問題になり、どういうふうに対処されようと考えていらっしゃるのか、河本参考人にお聞きをしたいと思います。
○参考人(河本國雄君) NTTの株式の売却方法などが未定でございますし、また同社から株式の上場について具体的な要望も受けておりません段階でございますので、はっきりしたところを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、株式の売却方法などが具体化しました段階で、関係者の間での検討の結果、上場の要請がございました場合には、同社の株式が幅広く分布されているという状況でございますれば、私ども取引所といたしましては投資家、投資者に公正な価格形成と円滑な流通市場の場を提供するという観点から、上場基準の取り扱いにつきましては弾力的に対処していきたいと考えております。 これが基本的な考え方でございまして、では、その現行の上場審査基準で対応しがたい点ということについて申し上げますと、一つは、今の上場基準で問題になりますのは、最初は会社の設立後の経過年数基準でございまして、これは現在の基準では株式会社として設立された後五年以上経過していることというのが要件になっております。それから、その次には利益基準の関係でございまして、これは現在の基準では上場前三年間、株式会社として一定額以上の利益を計上していることが要件になっております。この点が第二の点でございまして、新電電の場合にはこういう設立の経過年数というものが不足いたしておりますので、両方に現在の規定では抵触するということになるわけでございます。そのほか、上場基準では公認会計士の監査、これの三年間の監査証明を要するということになっておりますので、この点についても問題が出てくるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、具体的にお話がございました場合にはそれぞれ慎重に前向きに対応していきたい、こういうふうに考えております。
○桑名義治君 もう一点河本参考人にお尋ねをしたいんですが、先ほどからもちょっとお話があっておりましたが、いわゆる個人の株主、これは昭和二十四年では六九・一%、それから昭和五十八年では二六・八%、これは大変に減少傾向にあるということでございます。そういった流通市場の中で新電電の上場が個人株主づくりに役に立つだろうか、こういう事柄も一応懸念されるわけです。先ほどから津村先生もおっしゃっておられますように、多数の人々にこの株は持ってもらいたいというような御意見が出ていたわけでございますが、そういった立場から見ますと、現在のこういう傾向というものが、果たして個人株主づくりに役に立つのだろうか、ここら辺の心配も幾らかあるわけでございます。それは価格の面からも当然そうでございますが、こういった一つの流通市場の中での傾向から見てもその懸念は多少これは残らざるを得ないわけですが、この点はどういうふうにお考えになっておられますか。
○参考人(河本國雄君) 個人株主減少問題につきまして、これが流通市場として好ましくない傾向といいますか、心配なことだということは先ほど申し上げたわけでございますし、またそれに対する対策ということも先ほど幾つか申し上げたわけでございますが、先ほど申し上げましたような対策にあわせまして、やはり証券会社に対しましても、株式投資について、中期的投資という観点から、地道な株式販売といいますか、株式沈潜といいますか、そういうようなことにつきまして折に触れ私どもとしては要望いたしているわけでございまして、そういう形で、今度の新電電の場合でも企業の成長とともに楽しむというような形での投資家、またそういう形でのセールス活動といいますか、それをぜひ私どもとしては期待しているわけでございまして、そういう中で個人株主の減少というものに歯どめがかかって逆のいい方向に展開してもらえないか。そういうことで、そういう個人投資家が株式に対しての理解を持ってもらって、それがまた新しい株式投資を、ほかの株式にも投資するというような形で個人株主がふえていくということを期待しているわけでございます。
○桑名義治君 現在の日本の、いわゆる上場会社の持ち株比率が今非常に減少しているという傾向があるわけでございますが、今回のNTTも現実にはNTTは一株も持たないわけですね、全部国が持っている。それで三分の二は全部放出してしまう、こういうことになるわけでございますが、お尋ねしたいことは、そういう上場の会社が持ち株比率が落ちているということをどういうようにお考えになるのか。それから、今回の電電のような会社形態というものを考えた場合に、これをどういうふうにお考えになるのか、そこらの御意見をちょっと伺っておきたいと思うんです。
○参考人(河本國雄君) 持ち株比率というのは、個人の持ち株比率ということですか。
○桑名義治君 会社です。
○参考人(河本國雄君) 会社。御質問の意味がちょっとわかりかねるのですが、上場会社の個人の持ち株比率でございますか。
○桑名義治君 そうです。
○参考人(河本國雄君) そうでございますか。 この点につきましては、先ほど若干冒頭申し上げましたが、やはり個人持ち株比率の減少、逆に言いますと法人持ち株比率が増大している傾向が今現在ございますわけでございますが、こういう形になってまいりますと、やはり流通市場におきます円滑な流通、公正な価格形成の面でございますね、やはり小口の投資家のいろいろの株価に対する判断のもとに売りの注文とか買いの注文とかがたくさん入ってくることによってより一層公正な価格ができるのじゃないかと思いますし、またそれが流通の円滑化に役立つのじゃないかというように思うわけでございます。法人筋に大きく持たれてきた段階、今、法人といいましても相当、純投資といいますか、政策投資じゃない持ち株も多いようでございますが、そういうのはその機関投資家の判断によって市場には株としては参加してくると思いますけれども、それは量の大きいものでございますから、売りは売り、買いは買いというように偏りはしないかということで、やはり小口の投資家が多いということが取引所の公正な価格と円滑な流通ということに非常に役立っているのではないかというふうに思うわけでございます。それが第一点でございます。 それから、そういう形での流通市場が円滑に参りませんと、今現在は流通市場のもとでその価格を基準にしていろいろ資金調達が行われておりますが、そちらの方が円滑を欠きますと、やはり企業の資金調達という点にも、今現在支障があるとかということじゃございませんが、こういう傾向がもっと続きますとそういう企業の資金調達の面で影響が出てきはしないかというふうに考えられるわけでございまして、個人株主というのはどのぐらいが一体いいのかということはなかなかわかりかねますけれども、やはりある程度の小口の株主が多くあるということが必要じゃないかというふうに考えております。
○近藤忠孝君 今の個人株主の低下の問題で、その原因については先ほど荒井参考人から基本的に言われたわけですが、その点に関して河本参考人の方からその対策として、例えば株式分割、二重課税の排除、証券知識の普及などという御指摘がございました。しかし、これはいずれもかなり技術的な問題でして、抜本的にこの傾向を食いとめ得るのかとなると、どうもそうでもないのじゃないかということで、この抜本策があるのか。これについての河本参考人の御意見。 そして津村参考人には、資本の法則から見ましてこの傾向というのはこれはとどめ得るのだろうかという点の御意見をいただきたいと思います。
○参考人(河本國雄君) 先ほどいろいろ個人株主増大策についてお話し申し上げましたが、お話しのように、これをやれば必ずこうなるという決め手のある政策というものは実はなかなか見出しがたいわけでございまして、私どもとしましては、先ほど申し上げましたような政策を地道に積み重ねていって何とか個人株主の減少に歯どめをかけたいというふうに考えているわけでございまして、決め手のある方策というようなこともいろいろ検討はしておるのでございますけれども、なかなかこれという政策が見当たらないというのが現状でございまして、いろいろの政策を積み上げていって何とか成果を上げていきたい、こんなふうに考えているところでございます。
○参考人(津村英文君) 個人持ち株比率の低下の問題に関しましては、先ほど荒井さんの方から御説明がありましたとおりでありまして、これは基本的に持ち株比率の低下であって、個人株主の減少という言葉で呼ばれることが多いのでありますけれども、それは必ずしもそうでもない。もちろん、全くそうでないと言うのも、これも言い過ぎでございまして、実際確かに伸び悩んでおり、個人株主数も若干は減少しております。ですから、個人持ち株数や個人株主数も若干減少しておりますのでこれは余り強く言うことはできないのでございますけれども、少なくとも個人持ち株比率が一本調子に低下しているのと同じ程度に個人持ち株数や個人株主数が減っているわけではないということ、このことをまず御記憶いただきたいというふうに思っております。 そうは言っても、持ち株比率が一本調子に低下しているということは、もちろん確かに個人の株式所有が余り盛んでないということではあるわけでございますが、御質問は、こういった企業集団化といいますか、企業同士の株式持ち合いが多くなり、その比率が高まり、結果的に個人の所有する株数の比率が低下していくという傾向はとどまるところがないのではないか、あるいは逆転というふうな可能性があると思うかというような御質問かと思うわけでございますが、これは株式保有の動機が個人と法人とで、先ほど荒井参考人の方から説明がありましたように全く違っておりますので、これはもう相互持ち合いの部分については市場から投資対象としてはいわば消えてしまったと考えるべきだと思うのです。ですから、持ち合いになっている株式というのは、言ってみれば一つの自社株保有であるというふうに考えるべきだろうというふうに思うわけです。これはもちろん言葉が過ぎていることは承知しておりますけれども、要するに企業集団としてはお互いに持ち合うことによって一つのグループをつくっているわけですので、これはもう沈んでいる株式であるというふうに考えられると思います。ですから、これがまた市場に逆流してくるという可能性はほとんど私はないというふうに見ております。 ただ、可能性としては個人の持ち株をふやすという可能性は私はまだ残っているというふうに思っております。それは、企業間の保有分を残したまま別個に個人投資専用の株式というものを新たに発行して、そしてそれを積極的に個人に売っていくということをやれば、個人の株主をふやすという余地は私はあるというふうに思っております。
○近藤忠孝君 それから、先ほど来この電電株などが個人の株主をふやしていくという点で期待する向きの発言があったんですが、そこで荒井参考人にお伺いするんです。 先ほどの個人株主減少の原因から申しますと、同じ原理というものがこの電電株の上にも適用されるのじゃないか。例えば、一つ指摘されましたキャピタルゲイン非課税が売りの機能を働くという面とか、もう一つ各企業が新電電に対してやはり一定の企業的なつながりを持とうというような要素だって働くと思うんですね。となれば、この電電株についても、専売もそうですけれども、同じような機能が出てきはしないかと思うのが一つです。 それから、津村参考人にもう一つは、そういう点では先ほど来、これも余り影響はないんじゃないか、資本市場に影響はないんじゃないかという発言がございましたけれども、確かに最初の受け入れはあると思うんですよ。しかし、受け入れた後それは他の株にも、株取引にもいろいろ影響が当然出てくるのじゃないか、その辺の問題についてお答えをいただきたいと思います。
○参考人(荒井勇君) お尋ねでございますが、NTTの株についても一般的な個人持ち株比率減少というその基本要因は当てはまるのじゃないかという御指摘は、ほぼそのとおりであろうというふうに考えます。やはり日本電電というのは国内における大きな調達者ですし、その取引関係が非常に広範にあるという場合には、取引先企業は日本電電の株を保有したいという意欲を持つと思いますし、それからキャピタルゲインという税制上の問題はこれは一般的であります。ただ、日本電電の場合には従業員数も多いし、国民みんなが使っている通信というメディアを所管しているという意味で、国民一般の親しみというか親しさというのがあるというので、その売り出しの方法とか今後のやり方が合理的にうまくいくならば国民も相当関心を持って保有するだろうということが考えられるというような点が、個別産業と違った日本電電の株の一つの特色はなり得るのじゃないかと思います。 それから、個人持ち株比率の点ですけれども、かなりの数量がまだ当分国によって保有される、永久的には三分の一という場合における個人持ち株シェアというのは、国有分を実質的には除いて計算すべきだろう。個人の持ち株比率が十数%だから非常に低いといっても、それは国がまだ六割持っているという段階ではその六割を除いたところで計算すべきだろう、こういうふうに思いますけれども。
○参考人(津村英文君) NTTの株式を一たんは資本市場は受け入れるだろうが、その後に何らか影響があるのではないか、どのような推移をするかということかと思うのでございますが、まずこの株式、この会社の著しい特徴は、新しい株式会社であるから一株の額面金額が五万円であるというようなことはあるわけですが、これは先ほどの話にもありましたように、いわば千株をまとめただけだというふうに考えれば別に特別の問題ではないわけであります。 ただ、財務内容を見てみますと非常に特別な性格を持っておりまして、資本金と自己資本の額を比べてみますと大体四・何倍ですか、というふうに非常に自己資本の額に比べて資本金の額が小さくなっております。こういうことがありますと一株の株価はどうしても高くならざるを得ない。ということはつまり、一株当たりの純資産額が一株当たりの資本金額の四倍以上の額になっているわけですから、ですから夢を買うとか買わないとかいうことが仮になかったとしても、最低限度純資産額を基準に考えても、どうしても株価が相当に高くならざるを得ない。この状態というのはやはり、個人株主をふやしていくという点からいうと余り好ましくないというふうに思っております。 そんなわけで、上場後か上場前かよくわかりませんが、可及的速やかに資本金をふやすべきだろうというふうに思っております。そうすることによって一株の株価を引き下げていくならば、取引所の取引システムとの関係からしますと、結局他の株式の千株がこの株式の一株ということに対応するわけでございますから、必ずしも何か流通性の乏しい株式になるということは私はないというふうに考えております。 それから、先の見通し、評価等につきましては、もちろんこれはいろいろな見方があるわけでございまして、非常な成長株という見方もあるでしょうし、いや余り成長しないというふうに考える人もいるかと思うのでありますが、私は、先ほど来申しておりますように中程度の成長株であるというふうに考えておりますので、この株式が市場において恐らく公開売り出しにおいても比較的順調に受け入れられ、流通市場の取引においても比較的順調な取引対象になっていくだろうというふうに考えております。
○栗林卓司君 河本参考人にお尋ねをしたいのですが、まるで株に素人なものですから基礎的なことをお伺いしますけれども、参考人お三方とも、お話を伺っておりますと、全部一括処分は無理なんで分割にいくのじゃないかというお話がございました。一応それに沿って考えてみますと、第一回の処分価格がございまして、公開売り出しがされる。上場には前向きに取り組むとして、そういう場合、市場に上されて市場価格が形成される。乖離がどれぐらいかということは従来の経験則だと一・五倍ぐらいではないか、こういうお話がございました。 そこで、公開売り出し価格を仮に千円としまして、証券市場では千五百円の値段がついた。第二回目は、千五百円を頭に置いて処分価格を決めるのじゃなくて、むしろマーケットそのもので処分しよう、こうなってくると思うんですね。ところが、どかっと第二回目が来るものですから千五百円はがたっと落ちますね。しばらくして千五百円に戻る。第三回目が処分されるとまたがたんと落ちる。このがたんがたんと落ちるのはあらかじめわかっていて価格形成が行われるんだろうか。しかも、ことし何株、一株当たりの予定処分価格が幾らということは予算書にもはっきり出ているわけですから、みんな知っているわけですね。そうすると、実際には千円で公開売り出しをしたとしても千円以上に上がるかもしれませんけれども、一年待っていればまた千円で売り出してくる、こうなってくると結局乖離の問題というのは全株を処分した後の話であって、途中というのはやっぱり千円を基準にしてへばりつくような価格形成が行われるのではないか。 もしそうだとしましたら、資金市場の大きさに対するインパクトは考慮しなければいけませんけれども、処分価格の面でいくと一括処分をしようと分割であろうと同じことだ。したがって会社ができてから五年、あるいは会計監査三年という基準をむしろ盾にとって、処分はおやりなさい、それが終了した後で証券市場に上場してくださいという方が、証券市場の正当な価格形成から見ますとむしろ正しいんじゃないか、こんな気がするんですが、教えてください。
○参考人(河本國雄君) ただいまのお話の、千円で最初売り出されてそれが市場で千五百円になるといたしまして、そこで第二回目が出てくるというときに、そのときには恐らく分売かあるいは売り出しか、何か方法がとられるのじゃないかと思うのでございますけれども、そのときにはやはり分売とか売り出しの値段というものは、そういうまた同額で出てくるといたしますと、そういうものが一応予想されて若干のディスカウントのもとにその分売とか売り出しの価格が決まるというのが大体通例だと思いますので、そこでがたっと下がるというようなことはそれほど起こらないんじゃないのかなという感じが一ついたします。 それからもう一つ、それじゃ最後に一括して上場した方がより投資家のためにいいじゃないかというお話でございますが、この会社はともかく日本最大の会社でございますし、どの程度のものが売り出されるのかこれから御決定なさるわけでございますが、やはりその何分の一かが売り出されたとしましても、今、新日鉄が資本金幾らでございますか、一千億ちょっとぐらいでございますか、それと比べますと相当大きな株数でございますので、それを先ほどからお話しのように個人にも相当投資として持ってもらおうという形になりますと、その株主数も相当大きな株主になりますので、やはりそういう株主、投資家のために流通市場の場を、あるいはまた何かの拍子にお金にかえたいというときも、公正な価格というものの中で売りたい方は売れるということがやはり望ましいのじゃないか。それはやはり、そういう新規に最初に買われた株主に対する株主保護といいますか、という観点から必要じゃないかと、こんなふうに考えているのでございますけれども。
○栗林卓司君 質問を繰り返しますと、千円で売り出しました、市場価格は千五百円になりました、今度は第二回の分売価格を、じゃ千二百円にしよう。その場合に、千二百円にしようかという数字は予算書に載っているわけですね、各年度予算に。国民は知っているわけですね。そのときに、千五百円という値がつくんだろうか。それは確かに、将来の値上がりを考えますと、多少損したっていいやという方もいるかもしれませんけれども、これだけの大きな株を何回かに分けて放出するわけでしょう。一年待てば千二百円で手に入る、そう思ったら千五百円というその株価はつかないのではないか。じゃ幾らになるのかというと、それはわからないんですね。千二百円ということになったら、分売価格は千百円とかそうなるでしょう。千百円をみんな見ているから、じゃやめたと、こう下がってくる。普通の投資家の気持ちからしますと、千円で売却をして以降何回にも株が放出されるとなりますと、千円以上に無理をして多少高くても買おうという気持ちというのは余り出てこないんではないかというのが私の素朴な疑問なんです。この点いかがですか。
○参考人(河本國雄君) 第二回目のそういう価格がもしあらかじめはっきりしているという状況でございますれば、恐らく、個人的なあれでございますけれども、その近くになればその価格に限りなく接近してくるのじゃないのか、相当近づいてくるのじゃないのかなという感じがいたします、その点は。
○栗林卓司君 同じ問題で津村参考人に伺いたいんですが、これは株の処分株数というのは国会の議決で決めなければいけないんです。それから、今申し上げた一株当たり幾らかということは、国債整理基金特別会計で幾ら売却がありますという見込み額を各年度予算に書かなければいけないんです、これは国有財産の処分ですから。そうなりますと、手のうち全部あけっ広げで処分するわけですね。こう見ていくと、分割でやるか一括でやるかということは実益としては余り意味のない議論ではないか。ただ、資金量からしますとどれだけインパクトを与えるか、これは検討しなければいけませんけれども、一株当たりの値段をどうするかという議論のときには、分割だろうと一括だろうとそう大きな差はないのではないかと思うんですが、いかがですか。
○参考人(津村英文君) 先ほど私その件に関して、小出しにやっていけばラーニングで次々に情報が与えられるから、より一層の市場の環境に合った売り出し価格を決めることができるであろうというふうに私は考えて発言したわけでございますけれども、今御指摘のように、あらかじめそのことを決め、公表しておかなければならないのだということになりますと、私のさっき言いましたことは実行不可能ということになってしまいます。もし今言ったことが正しいということであるならば、一括売り出しということの方がむしろ話の筋は通るということになろうかと思います。ただその場合には、これはどのくらいできるのかはちょっとわからないのでございますけれども、できる限り私は実際に市場に出してみたかったわけでございますが、それがもしできないのならば、それにかわるような価格についてのサーベーを繰り返しやるということが多分必要だろうというふうに思います。それでどこまで模擬市場になり得るかということは全く私も疑問でございますけれども、そういうことを強調せざるを得ないというのが私の感じでございます。
○参考人(河本國雄君) ちょっとよろしゅうございますか。 先ほどのお話の、千円が千五百円になって、そして千二百円で今度はまた放出が行われるという場合には、投資家のその企業の評価というのは千五百円だという評価があって千五百円になっているわけです。今度は新しく千二百円で株式が買えるということになりますと、それとの間で、今までの株の量と今度放出される株の量との比例においてある程度の価格が、理論価格が出てくるわけでございますから、それが今度の、理論的にはそれが分売された後の価格になってくる、こういうことじゃないかということでございます。ですから、千五百円というのもその会社に対しての一つの評価でございますし、今度千二百円で新しく株主が入ってくるという形でございますから、その間のいろいろ放出株数の比例などで、その間の中である理論価格が出てくる、こういうことではないかというふうに思います。
○木本平八郎君 津村参考人にお伺いしたいのですが、私は、こういうふうなNTTの株を売却してその売却益を国債の償還に充てるということであれば、もうできるだけ高く売る、それでそのプレミアムを稼ぐということが最大の善ではないかと思うわけですけれども、これはいろいろな先ほどからも議論がありまして、制約とか考えなければいかぬことがいっぱいあるわけですけれども、一たんそれはどけまして、純理論的にといいますか、一つのケーススタディーとして、こういうNTTのようなこれだけの大きな株がある、これを処分して国庫の国債償還に充てるんだ、できるだけプレミアムを稼ぐんだということを考えました場合に、先ほど先生がおっしゃいましたそのタイミングだとか方法だとかということですね。価格というのは要するに一番高く売るということなんですけれども、どういうふうに持っていくのが一番プレミアムを稼げるようになるのか。一応のケースとしてお考えをお伺いしたいんですが。
○参考人(津村英文君) プレミアムという言葉をお使いになられたんですけれども、プレミアムというのは額面金額を超過する金額というような意味で多分おっしゃったのだろうと思うんですが、株式をできるだけ高く売るということがどんな手段を使ってでも国債償還という大義名分のためならば構わないのだというふうには私は考えないわけでありまして、やはりNTTという会社が現在の日本の経済の中にあってどのような評価を受けるべきであるかということについては、断定的なことはもちろんだれにもわからないのでありますけれども、それにもかかわらず、できるだけの智恵を集めてこれだけなのだというその評価額を出すべきものであり、そしてそれが国益になるのだと。つまり高くもなく低くもなく評価すること、これが現実にできるかどうかは別問題でありますが、それこそが国の利益を増すことである、国の利益を維持することであるというふうに考えておりますので、売却方法、売却の時期、それから株価、売り出し価格というふうなものを決めるに当たっては、企業実態にできるだけ合った価格を算定して、そしてその価格で市場に受け入れられていくようなタイミングをはかって売り出していくべきだというふうに考えております。ですから、ただ単に高く売れさえすればいいというふうには私は考えていないということでございます。
○木本平八郎君 もちろん国益全体を考えなきゃいかぬということはもう確かなんですけれども、私が申し上げたいのは、先ほどからいろいろ議論がありまして、個人株主をふやすんだとか、それから投資家に利益を還元するんだとか、あるいは余り一社がNTTの株を持ってしまうとそれは三分の二持ったらこれはまた大変なことになるというふうな、いろいろなことがあると思うんです。しかし、こういうことを余り考え過ぎますと、かえっていろいろの弊害が出てくるんじゃないか。例えば仮に先ほどの栗林委員のお話のように、千五百円に当然なるのがそういういろいろな制約のために千三百円に抑えられたとしますと、この間に二百円というおかしな利幅ができるわけですね。こういうものの発生がいろいろな諸悪の根源になるのじゃないか。汚職だとか利権だとかそういうことにもなりかねないんじゃないか。これだけの大きな問題ですし、それから国民にとっても大変な資産ですね。これの処分においては、むしろそういうおかしなことが発生しないようにするのが一番いいんじゃないか。したがって、一たんはやっぱり市場原理に任せるということからスタートした方がいいのじゃないかと思うんですがね。その辺、津村さんはどういうふうにお考えになりますか。
○参考人(津村英文君) できるだけ高く売るということの意味が、今の御質問のようにできるだけ市場価格に任せた値段で売るという意味であるということであったのならば、原則的には私も全く同感でございます。 先ほど来問題になっておりますような個人株主の保有をふやしたいとかいうようなことは、いわば市場原理が本来期待されているような働きをしているならば当然に回避できるはずのものであり、そうして、それにもかかわらず出てくるものであるならば、それはある程度仕方がないこととして受け入れていいことだというふうに私は基本的には考えております。ただ、そうは言いましても、現実の市場の中にはしばしば理屈どおりになっていない部分というのがございますので、やはりそれに対しては政策的対応が必要な場面というのは若干は出てくるかと思います。しかし、原理的にはおっしゃるとおりだと思います。
○木本平八郎君 時間はあるのですけれども、最後に一つだけお伺いしたいのは、こういうケースを仮に学生のセミナーで先生がケーススタディーとして指導される場合、これはNTTじゃなくて外国のある架空の会社でもいいんですけれども、どういうタイミングでどういうふうに処分していったらいいだろうと、その外国の政府にアドバイスされるとすればされるか、あるいはそのケーススタディーの中ではどういうふうにリードされるかということを、差し支えない範囲で御意見を伺って、私の質問を終わります。
○参考人(津村英文君) 実際にやってみたことがないケースでございますので大変難しゅうございますが、恐らくタイミングとしては、非常に月並みなことしか出てこないと思います。 一つは、国民経済全般について楽観的見通しが存在しているとき、そのことが証券市場においても反映して市場が活況を呈しているとき、特に売買株数ないし金額が増加傾向にあるとき、それからほとんど同じことになろうかと思いますけれども、金融政策面からも資金の供給が比率的緩和的状況にあるとき、そういったような条件がタイミングとしては必要なことだろうというふうに思います。
○委員長(藤井裕久君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十七分散会