大蔵委員会 第8号
- 発言数
- 353 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1985/03/28
会議録
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨二十七日、小西博行君が委員を辞任され、その補欠として栗林卓司君が選任されました。 また本日、福岡日出麿君が委員を辞任され、その補欠として後藤正夫君が選任されました。 ─────────────
○委員長(藤井裕久君) 次に、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案、入場税法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。 前回に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大木正吾君 昨晩の夕刊なりニュースでもって大分詳しく報道されておりますが、十九年ぶりにしまして、故人になられた大島さんに対する裁判の判決がございまして、一部には主税局長なり大臣なりの御所見などもあるわけですが、これについて、私自身も御本人が健康なときに何回かお会いをし、同時に裁判費用等についてのカンパ等もした経験もございますので、少しく中身に入って伺わせていただきたい、こう考えております。 主文の方では、違憲でないということの決定が出ておりますが、在来のこの種の裁判と大分違った中身が幾つか入っているわけですが、それについて、大臣なり主税局長はどういうふうにお感じでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) きのうの参議院本会議の開催されております時間に判決が出ました。 それから判決骨子をまず読ませていただいて、それから内容というところまで来ておりますが、例の補足意見を粗っぽく読んだだけでございます。その程度の前提でございます。したがって、まだ詳細を検討するに至っておるとは言えないと思います。でございますから、現行の合理性が司法的に是認された、これは確かに判決文そのものでございますが、補足意見について、いろんな意見がございますので、私どもとしては、ここでも随分議論いたしましたいわゆる必要経費の問題は、やっぱり何が必要経費であるかという判断が難しいということ、さればこそ概算控除の方式をとっている給与所得控除制度の合理性というものがそれなりに是認されたとこれは読むべきであろう。 それから、捕捉率格差につきましては、これはやっぱり今後の課題として最も謙虚に受けとめていかなければならぬという問題。 それから、いわゆるここでも議論した実額控除との選択の問題、この問題に対しては、基本的には給与所得控除の水準とも関連して、答申の考え方、いわゆる税調でいただいています答申の考え方に沿って検討していくことになりはしないか。 一番大事なことは、言ってみれば、司法から見ますと最も新しい判決でございますから、その全文を我々なりに分析して、正確に政府税調へお伝えするというのが一番大事なことじゃないかなというようなことを、一応整理してみたわけであります。
○大木正吾君 別に今大臣のおっしゃった補足意見の方までまだ聞いていないんですが、お答えが先に出てしまった感じがいたします。 私が言いたいことは、従来のこの種の裁判、私たちの団体でもやったことがあるわけだし、私自身が四十四年に青木先生がサラリーマン同盟をつくったときに、「税金酷書」というやつを書いたことがあるんですよ。相当売れまして、テレビにも大分出していただいてもうかったんですがね。結局そういった経過がずっとあるものですから、例えば大島裁判の場合には、第二審、大阪高裁では必要経費というのは門前払いで、なかったわけで、それが復活したということは、新聞の一部にありましたけれども、十五人の判事の方々御自身が全部これはサラリーマンということもございまして、相当痛税というか重税というか、そういった目に遭っているということの方々も多かったとは思うんです。 そこで問題の一つは、今大臣のおっしゃった実額控除と概算控除、これの関係に絡んで判決は、相当いわば税務行政的なこととかサラリーマンの個人の問題など、あるいは家事の関係の費用等について言っていますが、問題は必要経費の中身をもう少しやっぱり精査する必要がある、こういうふうに考えるわけですが、これは税調に逃げ込まれても困るんで、この判決主文によりますと、立法府の責任ということが相当はっきり出ておりまして、大臣ね、税調に逃げ込む前にやっぱりこの問題については相当国会でも、大蔵委員会が開けるたびでもいいですし、同時に特別の小委員会をつくってもいいですから、もっと吟味をする要がある。 こう考えているんですが、必要経費について、内容をもっと明快に整理をしてみるなりあるいは調査をしてみる、各団体に調査を依頼する等々の方法を講ずる気持ちはございますか。
○政府委員(梅澤節男君) 今回の判決に対する基本的な見解は先ほどの大臣の御答弁で尽きるわけでございますが、若干ただいまの御質問とやや私がこれから申し上げるのは少し範囲が広がる点はお許し願いたいと思うのでございますけれども、今回の判決が出ました後の新聞論調等で見る各識者の御意見なども昨日以降つぶさに拝見したわけでございますけれども、私ども税制当局者として今回非常に痛感いたしましたのは、この問題に対してわかっていらっしゃる方はわかっていらっしゃるわけでございますけれども、非常に誤解がある面があるわけでございます。 つまり、現行の制度があたかも必要経費の存在なるものを認めていない、それが今回の裁判で必要経費の存在がはっきりしたというふうな論調がかなり見られるわけでございまして、私どもは、それはそうじゃございませんで、税制調査会なり従来大蔵省が申し上げておりますことは、給与所得者の勤務に伴う必要経費、それは観念上も実際上も存在する、ただその区分が非常に難しい、それはただいま委員がまさに御指摘になった点であるわけでございます。 従来、私どもは、税制調査会の昭和四十六年答申以降の経過も踏まえまして、そういった必要経費というものを考える場合の一つの物差しと申しますか判断資料として、これは毎年度国会に御提出申し上げておるわけでございますけれども、家計調査の中からそういう給与所得者の必要経費といいますか、勤務に伴う経費と目される支出項目につきまして資料を御提出申し上げておるわけでございます。ただ、そのときにも絶えず申し上げておりますように、これは今回の判決にも書いてあるわけでございますけれども、そういった給与所得者の家計上の支出と目されるものについても、いわゆる家事費と本来サラリーマンに固有の経費部分というものの区分が非常に難しい。 例えば背広一着をとりましても、個人によって非常に格差がございますし、事業所得者だってやっぱり背広というものを使用になるわけでございますから、そういたしますと、一人の給与所得者にとって背広は一年に何着までが必要経費なのか、あるいはその背広の種類によりましても、高いものもあれば安いものもあるという問題があるわけでございます。したがいまして、そういったものについて一々必要経費なるものを税制上基準を決めまして、ここまでは認める、認めないというのは非常に難しい。そもそもそこから始まりまして現在の概算控除というものがある。 したがいまして、ただいま委員がおっしゃいましたように、必要経費について客観的に分析するという考え方は、その作業の方法論としては私は非常に正しい問題の立て方だと思いますけれども、実際上それが難しいというところに概算控除の今の制度があるわけでございまして、背広の例をとりましても、必要経費の話と実額控除の話がこれまた新聞等でも非常に混同して使われておりまして、これがまた税制に対して非常に誤解を招いているということは私ども非常に残念に思っておりまして、この点につきまして私どもやはり今回のこういった判決を契機にもう少し、特に給与所得者を中心に税制の今の制度の考え方というものをきちんと御説明申し上げたり、PRする努力を今後ともしなければならないなということを痛感したわけでございます。 諸外国の例を見ましても、確かに実額控除選択制を認めているところもございますけれども、背広とかワイシャツとかネクタイとか、そういったものを実額控除で認めているところはどこもないわけでございますね。だからその辺の議論を私どもはもう少し、もちろん各方面の御意見も聞きながら、税制調査会でももう一度いろいろ御議論をしていただかなければならない問題であるとは思いますけれども、必要経費なるものを非常に具体的しかも明確な税制上の基準として設定することが難しいというところから、そもそもこの問題が始まっておる。 原点に返ったような御答弁で非常に申しわけないのでございますけれども、率直に、私ども税制当局者としまして、今回の判決を読みまして痛切に感じたのはその点でございます。
○大木正吾君 大蔵省が必要経費を認めていないということを私は申し上げているわけではないので、裁判の経過からして、そういった経過がございました、こういうふうに申し上げているわけです。先ほど大臣がおっしゃった補足意見などになりますと、極論しますと、結局所得を得るために使った経費、それがいわば仮に十円でも百円でもオーバーしていた場合には、これは憲法違反だなんという極端な補足意見もあるわけですね。 ですから、私はやっぱり税調に逃げ込むということじゃなくて、税調のメンバーもたしか三年から六年ぐらいでかわっているけれども、私も三年ほどやったことがあるけれども、梅澤さん、そんなに新しいシンプルな考え方が出てくるというものじゃないし、特にゼネレーションギャップと言うとちょっと言い方が失礼になりますけれども、今の昭和生まれが日本の人口の八、九割を占めるという時代の中では、もうちょっとこの必要経費の内容について各界各層の意見を聞くという方法等をとって、同時に、申告所得者の方々の概算実額控除の場合でもいいですけれども、そういったものを相対的に比較し得るものがなければいけないと思うんですよね。 そこのところについて、税制調査会に逃げ込むことじゃなしに、もう一つ、この国会の大蔵委員会でも結構ですし、いわば行革の中にもいろんな小委員会等がございますから、行革の意思に反しちゃいけませんけれども、幅広くいろんな階層の意見というものをとってみて、そしてもう少し国民に対して不公平感のないような状態に持ち込むということが大事な問題でございます。 これは、この問題だけにこだわってもしようがありませんが、そういったことについて税調以外の場所でもこういったことは大いに議論をする、あるいはそういったものについて検討を加えるいろんな機関なり、あるいはそういったグループ的な会議を持つ、そういったことについて御検討願いたいと思うのでありまして、ぜひ主税局長、頑強に抵抗せずにこのことは認めてもらいたいと思うんですよ。 よくわかりますよ。例えば私だって、恋愛結婚した当時は、これはお母ちゃんも一生懸命面倒を見てくれたですよ。しかし、今はどうですか。六十歳過ぎた大木正吾、朝飯を食うときだって、お父さんがいないときの方が私は楽です、こういう調子ですからね。笑っていますが本当の話なんです。せめて月に十万か十五万の小遣いを別にやらないと、洗濯機は毎日出すしワイシャツは毎日ですからね。そういった状態なんですよ、本当言って。これは俗っぽい話になって申しわけないんですがね。そういったゼネレーションのこともあるし、同時にさっきもお話があった家事に絡む問題があって、私がもし家に帰って、食事の準備をして朝飯も支度してそして仕事しおったら、一日の仕事が今の半分ぐらいしかできないですよ。 そういったことを考えますと、私はきょうここでもって、整理しておりませんから明確に言えませんけれども、やっぱり全部洗い直してみる必要はどうしてもありますよ。こういったことについてどうしても、これは従来の流れの中じゃなしに、新しい角度からひとつ考え直してもらいたい。このことについてもう一遍、主税局長、そういったことを認めてもらえませんでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 私は、委員の問題の御提起される気持ちは非常によくわかるわけでございます。これは先ほども申し上げたとおりでございますが、必要経費なるものをもう一度基本的にもちろん国会でも御論議を賜らなければならない問題でもございますし、税制調査会でも御議論いただかなければならないと思うわけでございますが、その場合に痛感いたしますのは、必要経費とは何かということについてそもそも非常に議論の混乱というか、考え方の相違があるわけでございます。 非常に極論される方は、労働の再生産費用そのものが必要経費だという御議論もあるわけでございます。ただ、これはやはり、給与所得控除と各種の人的控除とを組み合わせた所得税法の全体の体系から御議論を願いませんと、これはいささか乱暴に過ぎる議論、大学の先生なんかでもそういうことをおっしゃっている方がおられますけれども、これは明らかに間違いなんで、そこの場合に、必要経費とは何かという概念整理をまず国会でもやっていただかなければなりませんし、税制調査会では従来それはやっておるわけでございますけれども、こういったことを機会に国民の方々にもう少しわかりやすいような基本的な議論をしなければならないという問題がございます。 それから、たまたま今委員が小遣いの例をとられましたけれども、例えば銀行等でいろんな調査をやっておりますけれども、私どもそれを通覧いたしますと、小遣いというのは、事業所得者はもちろんでございますけれども、給与所得者も小遣いを使う、それから学生も小遣いを使う、そういう小遣いの調査があるわけでございますね。そういたしますと、学生と給与所得者では確かに給与所得者の小遣いの方が多くなっておりますけれども、学生が使っている部分もかなりの部分があるわけでございますね。では、その学生の使っているいわゆる小遣いと、サラリーマンになったときに小遣いがふえる、その差額がサラリーマン固有の小遣いの部分であるのか、そういった議論から基本的に今後やっていかなければならないという問題があるわけでございますけれども、私どもが家計調査で御提出申し上げております小遣いは、実はこれは丸々家計調査の数字をとっておりまして、そのうち、では給与所得者の固有の小遣い部分と目される部分は何かということになりますと、これは非常に難しい問題でございまして、それがまた最初の議論に戻るわけでございますけれども、そういった基準をつくるのが非常に難しいからこそ、全体の家計の状態を見ながら概算控除を合理的な水準に設定するということで現在の我が国の所得税におきます給与所得の概算控除というものが設定されておりますし、判決を引用いたしまして非常に恐縮でございますけれども、今回の判決におきましても、そういった考え方から見ると必要経費というものは観念上ある、しかし現在の我が国の給与所得控除というものはそれと比べて決して低くないということから、恐らく今回合憲の判決の一つの根拠になっているのかと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、ただいま委員がおっしゃいました、必要経費とは一体何であるかという物事の考え方を今回もう一度お互いに考えてみるということは非常に大事なことであろうかと思います。
○大木正吾君 なるべく簡潔にお願いして私も簡潔にしますが、多いか少ないかじゃなしに、私は小遣いは例を挙げただけの話なんであって、要するに必要経費について全体的に、概算にしても実額にしても、サラリーマンでありましても営業所得者の方にいたしましても、全体を洗い直して公平感をどうしても得たい、こういうことで申し上げているわけです。 だから、あなたがおっしゃるとおり、家計調査の実態から来ていますから絶対これでもっていいです、こういうことで私は引き下がるわけにいかないんですよ。もっと幅広くいろんな調査があるわけですから、そういったものを出し合いながら洗い直しをしてみる気はございませんか。大臣、どうでしょう、これは。
○国務大臣(竹下登君) 私は、先ほどちょっと大木さんが俗っぽい論議、こうおっしゃいましたが、俗っぽい論議が国民の中に税制そのものをわかりやすくしていく一つの要因だと私は思っておりますから、そういう角度から言われた議論、他にもいろんな議論がございますが、それらのいわゆる難しく言えばやっぱり概念整理というようなものの議論を高めていくようなことは私も必要であるというふうに考えます。
○大木正吾君 梅澤博士、大臣のお気持ちもごしんしゃく願いまして、ひとつ必要経費をなるべく、いわば不公平とか不公正とかあるいは不満が増高してしまって、あれだけの裁判で物を言っているのに、新聞が書いているのに何もやらないのか、また従来と同じか、こういうことじゃやっぱり困るわけですから、その辺のことはひとつ、これからも議論の機会がございましょうけれどもお考えいただきたい、こう思っています。 二つ目の問題、これも主文に絡む問題でございますけれども、所得の捕捉率の較差の問題が出て、これは相当はっきりした形で出てきているわけですね。 これについて一、二事例を挙げてみたいという気もいたしますが、これ国税庁の方からまず御答弁願った方がいいと思いますけれども、五十八年度における申告所得税の所得の調査状況が去年の七月に出されているわけですね。提出人員千三百八十三万人、納税者六百五十八万人、そしてそのうちの申告漏れが九四・六%、十四万六千百九件、こういうような話がございまして、最終的には追徴税金千百三十四億円プラス加算九十四億円、こういう話がございますね。そしてトータルして一千二百二十七億円の追徴をした、こういうふうになるわけですね。同時にこれ、この間も青木委員がおっしゃった問題との絡みですが、これと重複する面もあるかもしれませんが、結果的には青色申告、みなし法人で免税所得九千五百億円、こういう記事もございます。 こういったものとの兼ね合いで、国税庁の方でこの調査のいわゆる、いわばやり方といいましょうか、抽出でやっているのか、全体をいわばローリングしてやっているのか、そういったことも含めてこの調査について内容、概括説明してもらえますか。
○政府委員(冨尾一郎君) 私ども、申告所得税の中で特に一般の自営業者という形で商売をしている方、それからお医者さんや弁護士さんのような自由業の方、これらを含めた、いわゆる私ども営庶業と呼んでおりますが、これらの申告納税をなさる方の調査につきましては、先生御指摘のように年間約十五万件強の調査を行っておるわけでございます。 ただ、これが全体としては既に報道されておりますように、四%程度の実調率でございますが、私どもとしてはなかなかこれ以上人員その他の関係で調査をすることも難しい面がございますが、調査を行います際にはいろんな申告の内容をまず検討させていただき、さらにいろんな情報を収集するということによりまして、この申告が正しいかどうかというのを事前に相当チェックをいたしまして、その中からやはり問題がありそうだという納税者を抽出して、まず対象を選びましてから調査をするということでございます。 したがいまして、いろいろ申告漏れ割合等につきましてはかなり高い率が出ております、調査しますとかなり高い割合で申告漏れが見つかっているということは事実でございますし、調査後の所得から見て当初の申告がどの程度あったかということについてもかなりの数字が出ておりますけれども、これは私どもとしては、そういう形で資料、情報ないしは申告内容の分析、検討に基づいてやはり問題があるという納税者を選んで調査を行っているというところから出てきている問題ではなかろうかということで、このような方式で、十五万件ということで四%の実調率でございますが、少なくとも問題がある納税者には的確な調査を行うというつもりでやっているわけでございます。
○大木正吾君 実調率四%というお話で、五十八年度分ですか、これは十五万四千五百十一件の調査をして、そのうちの九四・六%に申告漏れがあったということは、これは全体を仮に、納税者六百五十八万人だけに絞ってみましても一回り、一巡するには十数年かかる、こういう計算になるわけですね。 この場合、もし脱税があった場合の時効は何年になりますか。
○政府委員(冨尾一郎君) いろいろケースがあるわけですが、通常の場合は、無申告、申告されてないと五年、そのほかは三年でございますが、悪質の場合七年さかのぼっての追徴ができることになっております。
○大木正吾君 ということは、要するに十数年、十四、五年かかるわけですから、その間に相当数の脱税があってもこれは七年過ぎてしまって、いわばもう税務署なり、あるいは裁判所なり、あるいは検察の方でも手が出ない、こういう件数も相当ある、こう考えてよろしゅうございますか。
○政府委員(冨尾一郎君) 調査をやっておりますと確かにこのような結果は出てまいりますけれども、基本的に、じゃそのほかの方がどのような状況かということについてなかなか難しい面がございますが、私どもとしては大多数の納税者は適正な申告をなさっていただいていると考えております。ただ、中に適正な申告をなさってない方もいらっしゃるので、そういうところを重点にして私どもとしては調査を行っておるというふうに基本的に考えております。
○大木正吾君 お答えはそういうことになるんでしょうけれども、私たちが受けている印象というものは、あなたがはしなくもさっきおっしゃったけれども、現在の税務署の署員の頭数とか、そういった面等を中心として、とてもじゃありませんがそんなに全部の調べはできない、こういうことになるわけでしょう。結局このことを一つ例に挙げながらきのうのこれも大島判決に絡む問題で大臣にもお伺いしたいんですが、所得捕捉率の問題がこれはもし恒常的に長く続けば違憲問題、こういう部分がございます。大臣も先ほど御答弁でもっておっしゃったんですが、この辺の問題については、ほかにもきょう少し脱税の資料、急にゆうべ一生懸命徹夜で集めてきましたからまだありますけれども、所得捕捉率の違いというものについては大臣どうですか。 新聞には随分たくさん、ことし一年で百件ぐらい、これ記事を抜いてみたんですけれども、相当恒常的にある、こういうふうにお考えになりませんか、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 判決理由あるいは補足意見として述べられておりますところの捕捉率の問題、これは私も先ほど申しましたように、今後の問題としてまことに謙虚に受けとめていかなければならぬ課題だということであります。 で、実調率の問題もございましたが、年々の調査の場合もそれだけのものが出てくるわけでございますから、もちろん大部分の納税者はこれはまことに正直な納税をやっておられるが、そういう者が存在しておることは事実であります。観念的にこれもクロヨンでございますとかトーゴーサンでございますとか、そういう言葉が出てくる環境というものを私は否定するわけじゃございませんが、いわば大蔵大臣として捕捉率の問題については、大変に現在ございますというお答えはこれはやっぱりできない私の限界があるんじゃなかろうか。したがって、注意して、捕捉率の問題はやっぱり今後の課題として謙虚に受けとめるという表現をいたしましたのも、実調の中で出ておりますけれどもそれをすなわち観念的には肯定していても、定量的にかなりございますと言うことは、これはちょっと大蔵大臣としてのお答えの限界じゃないかなと思って、今後の課題という、今までももちろんないわけじゃございませんが今後の課題としてまさに謙虚に受けとめて対応すべきだという表現を使っておるところでございます。
○大木正吾君 大臣としてここでは言えないということは、裏書きをすればどこか公式でなければ言えるということにこれは受けとめられても仕方がないことでですね、これは私の方からの発言ですから。 ただ、これちょっと申告ということをお出ししましたけれども、実は恐らく梅澤さんも気がつかれているはずですが、マスコミがこれ意図的にやったんじゃないと思いますけれども、大体五十九年の一月ごろからの新聞報道等による結局脱税その他の税金に絡む不公平なり、あるいは不公正と言っていいんでしょうね、大臣のおっしゃった倫理感の問題ですね。要するにその関係だけでもって、私がスクラップしただけでも約百件ぐらいあるんですよ、新聞記事だけで。 国税庁に資料をちょうだいいたしまして一応調べて今さっきは申告のお話をしたんですけれども、相続税、これ新聞の記事ですから名前が出ちゃっていますから、私たちの先輩の先生方がおられる絡みもございますから名前は私はもちろん言いませんが、例えば相続税の申告漏れ、これも恐らく調査は全体的にはさっきと同じぐらいのペースしかやっていないんだろうと思うんですが、五十七年で隠しが二千三百八十二億、六百四億円の脱漏、脱税がある、こういう調査になっているんですね。そして、これについてはいわば無記名の定期とか架空名義預金、公社債、株式、こういうふうな状態なんですよ。これは梅澤さんに後の質問で伺いますけれども、金融問題であなたは何か国際金融の自由化問題に絡めていわば特別措置が必要だ、こういうことをおっしゃっていますけれども、財産隠しはここに集中しているんですよ、実をいいますと。そういったこともありますから、これは六百四億ありますね。 それから譲渡所得、これは土地が中心でございますけれどもこの関係でもって大体一四、五%の調査でしょうか、これでもっていきまして大体譲渡申告者六十七万中、課税対象三十四万人、疑問のある者四万九千二十一人、約一五%ですね。そして、これが結果的には三千百二十二億、土地が中心ですね、結局。こういうことになるわけですよ。 あと、会社の法人絡みのことがここにまたたくさん資料がありますけれども、これは私がつくったんじゃなしに国税庁なり国税局の大変な御努力によっていただいた資料でございますから感謝いたしますけれども、とにかくこういったものをトータルしていきますと大臣、何と譲渡関係三千百二十二億、相続が六百四億、申告関係千二百二十七億、法人が三千八百九億、トータル八千七百六十二億、これに新しいビジネス関係とかいろんなものがありますけれども、相当なものであって、私はこれは実態的に、勝手にしゃべっているわけじゃないんで、あくまでも皆さん方の御資料によって申し上げているわけですからね。 これがいわゆる脱漏あるいは意図的なもの、いろんな区別はできましょうけれども、捕捉率の相違という立場でさっきのいわばサラリーマンに絡むクロヨン問題というものに輪をかけているといいますか、関連して税金の不公平、不公正をあおっている、こういう問題等を考えて私は、野党の人間だからじゃないんですよ、日本国民として、本当に一体どうなっているんだということを実はこれは心配しているのです。ですから、こういうことについてもし、きょうはこれは後の話になりますから言いたくないけれども、仮に全体トータルで一兆なんていう話になったら、来年、大臣あれでしょう、結局一兆一千五百億円かな、新規公債の発行問題を絡めていくと、近い数字になってしまうんですよ。 ですからそういうこと等々を考えていったときに私たちは、捕捉率の問題につきましては相当これは大変な問題だということが一つありますね。 二つ目には、日本の一億二千万の国民の中の世帯主を中心とする方々は税金というものに対して一体どういうことを考えているんだ、こういうことになるんですよ。財政民主主義はどこへ吹っ飛んだということになるんですよ、これ。民主主義政治の根底だと私は考えています。ですからこういったものについてひとつ、これは今度の裁判、判決では憲法違反ではないということになっていますけれども、この部分は相当はっきりこれやれと書いてありますから、もしほっておいたら結果的には違憲の判決が出るということも、いえば、この主文あるいは補足の意見の中にもそういったことがにおわされていますから大変な問題だと思うんですが、大臣と主税局長の御答弁をいただきたいんです。
○政府委員(梅澤節男君) 捕捉率の問題については先ほど大臣の御答弁もございましたけれども、世上言われるトーゴーサンとかクロヨンとかそういった、計量的にそういう極端な形での脱漏が横行しておるというふうには私どもは率直に言って考えないわけでございますけれども、今回の判決にも述べられておりますように、いわゆるサラリーマンの不公平感というもの、事業所得者等との税負担の格差に対する不公平感、そういったものが非常に大きな心理的な背景としてあるということは事実として私どもは認めなければならないと思っておりますし、そういった不公平感が出てくるのはやはりそういった事実があるというふうに考えるべきであろうと考えております。 ただ、その捕捉率の格差が、この判決にもございますように、憲法違反というふうな違法状態に達するような状況であるというふうにはこの判決にも述べられていないわけでございますが、いずれにいたしましても、大臣がしばしば申し上げておられますように、やはり不公平感という事実を率直に受けとめ、今後制度、執行面を通じて謙虚に我々関係当局としては努力していかなければならないということはもう痛感をいたしておるわけでございます。 執行面からいいますと、私も執行面をたびたび経験いたしておりますけれども、少なくとも現在の国税庁の組織というのは国際的に見ても私は非常に効率的な行政組織だと思います。限られた人員の中で五万人の職員が懸命に努力をしておるということはぜひお認め願いたいと思うわけでございますけれども、それは今後ともいろいろ工夫をしながら行政の効率は高めていかなければならない。 同時に、制度面におきましても、これは五十九年の税制改正におきまして、一定規模以上の事業所得者等の記帳義務とか、あるいは官公庁の資料の収集に対する協力の義務とか、あるいは赤字であっても一定の収入以上の方には税務官署に報告書を出してもらう、恐らくこの結果は今回の確定申告の状況を分析した結果一体この制度がどういう効果を発揮したかということはいずれ判明すると思いますが、そういった努力も従来させていただいておるわけでございますが、今後とも、この五十九年の改正に当たりまして税制調査会でなお宿題として残されている問題といたしましては、制度面で資料の収集についてもう少し制度を整備する必要があるといった問題とか、あるいは税務訴訟におきます納税者と税務官署との間の立証責任の配分の問題をどうするかとか、いろいろ我々といたしましては、その捕捉に関しまして、あるいは申告納税制度の整備に関しまして、なお幾つかの将来制度面で検討すべき問題があるということは従来から痛感しておりますし、今後ともそういった面については努力しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) 確かに、おっしゃいますように、財政民主主義あるいは租税法定主義とでも申しますか、そういう厳然たるものがあって、なお不公平感が存在しておると。いわゆる税務調査をやりますときには的を絞ってやるわけでございますから、それの増差額というものがそのまますべての比率であるというふうには私も思いませんが、やっぱりその中で租税法定主義、そして制度面の問題で中をいろいろ分析された結果を聞いてみますと、単純ミスがあるとか、計算の間違いがあるとか、あるいは税法そのものに対する無知と申しますか、理解が十分でない、こういうものもある。そうなりますと、執行面において適正な課税はもとよりでございますが、そのほかになおいわゆる教育、そういうこともつけ加えてやっていきませんと、いわゆる理解不足というようなものから生じておるものがありますだけに、そういう面も十分に担当していかなきゃいかぬ。そうなりますと、まさに執行面に当たるこの税務職員の勤務というものも非常に広範にわたっていくわけでございますので、それらを十分に配慮しながら対応していかなきゃいかぬ。 だから、国会でこのように税論議がなされた国会は、恐らくシャウプ勧告のときを見ましても割合にあのときはそう大変な論議はなされていないようでございます、これはGHQの間接統治下にあった国会でありますから、そのこともございましょうけれども、したがって今回の国会等がいわば国民全体に税知識を与える一つの機会ともなるんじゃなかろうか。なおのこと不公平感をあおるような機会にならないように、この問題点の指摘に対しては我々も正確にそれにお答えすることによって、国民次元の中に租税法定主義の本旨が生かされるような形で対応していかなきやならぬなというふうに考えております。
○大木正吾君 極端に言いますと、私は別に八千数百億円の脱税総額が、例えば十年に一遍の調査しかないから十倍分あるんだ、こういう言い方をしておるんじゃないわけでして、大臣も局長も盛んに質問に対しまして、そういった委員側の国税庁の職員を増員してもらいたいという意見については、感謝するということは何遍もお話がありまして、私もそういったことについてはもちろんこれは今の状態ではとてもじゃないけれども対応し切らないということは他の委員の方々以上に痛感している立場にあるわけですけれども、例えばの話が、これ仮に法人税あるいは不動産、土地を中心として譲渡所得等、もしこのうちの残っている部分で十年間で回るのか七年かわかりませんし、また調査であいつはどうも何かおかしいぞとか、そういったことをやるのかどうかわかりませんが、算術計算的になるけれども、他の残された八、九割の方々のうちの一割でもいわば脱漏、脱税等があったとしますれば、これは相当なやっぱり徴税金額になるわけでして、いわば三年間に税務職員を三千人ふやすとかコンピューターをもっと導入してしっかりシステム化するとか、そういったことも当然の問題として考えていいし、私は税金に対して余り懲罰、きのうも参考人の方の一部にドイツ型のもっと刑罰を重くしろという意見もあったようですけれども、そういったことは言うわけではありませんが、ただ非常に遺憾なことは、これは国税庁に資料として委員長にお願いしたいんですが、調査実績を五十五年ぐらいにさかのぼりまして全委員にこれはお配りいただけませんか、脱税を調査したその実績ですね。 それで、今申し上げた要するに法人、申告所得、譲渡所得、相続税、これら四つが主なものですから、それについての資料、バックナンバーで調査の資料がまだあるはずですからいただけたらいただきたいと思う。どの調査の結果を論評するマスコミの書き方を見ていきましても、全部ふえている。問題は、毎年ふえている。たまにはちょっとへこんだのがありますが、やはり件数がふえ同時に金額がふえているというところに非常に僕らは、いわばサラリーマンの不公平感というものにも関連しましょうし、同時に根底の財政民主主義なり国のあり方等にも絡むと思いますから、一遍資料としまして五十五年、五十六年、五十七年ぐらいの分について実調しました結果について、これは公表している分ですからいいと思うので、配付をしていただきまして、本国会中にもう一遍またそういった議論ができる機会がありましたら私もそういうことに参加してみたい、こう思っているわけなんです。 同時に、これはどうしても、これからのいろいろな教育、啓蒙、学校の社会科、あるいは一般の宣伝等でも、三月十五日は申告期ですよとばっと出てきますね、しかしそれ以外に国民の税に対する関心を、私たちは日本国に生まれて生きているんですよ、そしていろいろな意味合いでもっていわば社会的な自分の生活に対するメリットをちょうだいしているんですよ、社会保障はもちろんそうですけれどもという、そういったことについての日常的なキャンペーンなり、あるいはやっぱり税に対する義務感というか責任感、そういったものについての啓蒙等は、小冊子はちょっと拝見しましたけれどももう少し、費用がないからできないのか何なのか、三月十五日の申告のときだけはぱっと出るんですけれどもそれ以外には見たことがないんですが、その辺どうなんですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 最初に調査事績の問題でございますが、先生のおっしゃった法人税、申告所得税、譲渡所得、それから相続税でございますが、この四つにつきましての昭和五十五年から以後最新までの状況につきまして調査事績の取りまとめしたものをこの委員会にお出しすることは可能でございますので、後刻整えた上で提出をさせていただきたいと思います。 それから二番目に、その関連で年々調査内容が、つまり脱漏所得金額がふえているのではないかということでございますけれども、御承知のとおり私ども、限られた人員ではございますが、できる限り内部事務の合理化をいたしまして、調査に出る事務量を確保して調査件数を確保し、またその内容を充実してまいるということで努力してまいっているわけでございまして、私どもとしては、調査した件数とか内容は年々ふえている傾向にございますが、これでもって、それでは脱税がふえているかどうかということとはそれはそのままストレートにつながる問題ではない、かと思っておりますが、今後ともそういう意味で、正しい申告をしておられる方の御信頼にこたえるためにも一層充実してまいりたいと思っております。 また、申告納税制度でございますので、基本的には納税者の方々に正しい申告をしていただくことが基本でございます。そのためにはまず制度の内容なり申告の必要性なり、税というものがこの世の中でどういうふうに働いているかということにつきましての御認識をいただくことが第一でございます。そういう意味で最初にまず私ども一番基本的に考えておりますのは、これからの世代を担っていただくべき学生なり児童なりに対しますPRなり租税教育が非常に大事なことだと思っておりまして、これにつきましてはそれぞれの該当する小学校、中学校、高等学校向けの租税教育のための、「税金教室」という名前でございますが資料をこしらえまして、それぞれ学校の方にお願いをして使っていただくようにしておりますし、また、全体的に関係の文部省や教育委員会などにお願いをして、講師を派遣するなり、また学校の先生方に私どもと一緒に勉強会を持ってもらいまして、いろいろと租税教育なり租税の実態につきましての御認識を深めていただくということをやっております。また、そのほか一般の社会人向けには、いろいろな団体を通してのPRのほかに、テレビ、ラジオ等を通した税金相談や税金問答等々もかなり私どもとしてはやっておるつもりでございます。 そういうことで、やはりまず正しい申告をしていただくためには税の中身についてよく御認識をいただくという意味で、広報活動が非常にこれから重要な問題であると思いますので、私どもとしては最大限この辺については努力してまいりたいと思っております。
○大木正吾君 大変御苦労なことでございますけれどもぜひ、大臣の方にお願いしておきますが、これは答弁は要りませんが、こういった実態ということを把握した上で、土光さんにも御了承をいただきまして、そしてやっぱり、税務職員はこれ以上やったらぶっ倒れます。恐らく私、皆、ふろしきに書類を包んでうちへ帰って仕事をしている方もあると思うし、時間外の手当なんかもらわずにやっている方もおると思うし、五月ぐらいから恐らくかけて全部が走り回ってやっているんだと思いますよね。ですからこれはもう本当に、何十人単位なんていう増員じゃなくて、少しやっぱりこういったこととの対応で考えてみてもらいたいと思う。 私はこの話はもう一遍、四月二日か三日ごろに委嘱審査がございますから、できたら、国税庁の方からその五年間の資料というのをちょうだいしながら、要員の推移、異動等につきましても調べながら、お願いなり質問をしてみたいと思っています。 そこでこれは、大島裁判に関する最後の大臣へのお願いです。これはお答えいただきたいんですが、立法府の責任ということでもって相当司法は逃げていますよね。いわば、大事なところと言うとちょっと問題があるかもしれませんが、要するに租税法の立法府において云々ということから始まった三ページの部分、立法府の政策的、技術的な判断にゆだねるほかなく、裁判所はその裁量を尊重する、こうなっていますね。 ですから、梅澤さんのおっしゃることはわからぬことはないけれども、私はやっぱり、シャウプ以来の大激論だ、こういうお話もございましたけれども、この辺の部分の読み方からすると、もう少し私たちも勉強の必要があります。同時にこれはやっぱり、例えばの話が、この委員会の中に各派の代表による小委員会、場合によっては専門の専門委員みたいな方々をつけてもいいと思うんです、裁判所が逃げて、これ立法府でやれ、こう言っておるんですからね。 また、税調に言ったって、大体あれでしょう、私もずっと政府税調と自民党税調の流れを見ているけれども、竹下さんも困ったことがあったと思うんですが、例えば今度大型間接税をやろうといったときには、税調にどうぞと割合に都合の悪いことは持っていくわけですよ。そして、実際に今度国会で立法化される、年末の段階でもって予算を決め法律を決めるときには山中貞則先生、大先輩のいわゆる山中税調が決めたり、今はちょっと病気でかわっておられますけれども、そういった実態があるわけですね。私は、もし本当に抜本的な改正をしようとおっしゃるならば、こういったことを受けてでもこれはこの本院の中、衆参両院でもいいんですが、各会派ごとの小委員会をつくって、もっと綿密に、例えばさっきありました必要経費とは何ぞやという問題などもあっていいわけですよ。同時に、捕捉率についての違いがあるかないか。クロヨンなんてことはうそだと大臣はおっしゃいますけれども、そういったことはもうちまたの声になっちゃっているわけですからね。しかも裁判の大事な部分で立法府にげたを預けた、こういう感じになっているでしょう。 この辺について、大臣の決意といいますか、これからの対応策はどうされるおつもりですか。
○国務大臣(竹下登君) しょせんは立法府の裁量権の問題に帰属するということは確かにございますよね。 よく言いますが、しょせんは立法府の裁量権の問題だという判決が出るのは大体定数是正の判決とそれから税法の判決だ、そういう議論がありますし、まさに租税法定主義のもとで立法府の果たすべき役割というのは大きいのですから、したがって政府側としては、それぞれの、党税調ももとより結構ですし、そしてそれぞれのハウスにございますところの委員会の小委員会等の議論に対しては可能な限りの御協力をしていくという姿勢を持っていかなきゃならぬというふうに思っております。そういうことがやっぱり国民全体が税に対して正しい理解をするためにも一番いいことであるし、それから、立法府でございますから、租税法定主義に対してもそういうあり方が一番私は適切ではないか。政府側はそれに全面的に協力を、お手伝いをさせていただくということじゃないかな。ちょっと私も立法府の人間ですからこんがらがったような答弁になりましたけれども。 今まで一遍、減税に関する小委員会だけやったときには結論が出なかったということもございましたけれども、あれとてやっぱり一つの私は、結論が出なかったけれどもそれなりの実りはあったのじゃないかという感じはしております。
○大木正吾君 大臣にまたうまくかわされた感じがするのですが、まさしく大蔵大臣を三期も四期もやっていると非常に答弁が上手といいましょうか、うまくなられまして、私の質問に対して余り理解が得がたい問題になっているんです。 要するに、今の国民が持つ税の不公平感あるいは不公正感というものはやっぱり、新聞なんかの論説にもございますけれども、国会が国民の代表で議会制民主主義の国でございますから、国会がもっと議論を尽くせ、こういうことがあっちこっちに書かれているわけですね。しかもこれは裁判所がいつも確かに定数是正を国会に返されたから、金丸幹事長一生懸命苦労されているわけでしょう。そういったことにちなみましても、私はやっぱり今ここでもってどういうものをつくれということのお答えが難しければ、これは裁判がきのう出たばかりですからまだ検討の時間も必要でしょうが、これは委員長にむしろお願いいたしておきましょう。 要するに、こういうような環境の中における裁判のこういったことが相当はっきり出たからには、何らかの新しいこれは税に対する不公平感をなくするための検討をすべき会が持たれて妥当である、こう考えていますので、このことはぜひ理事会なり大蔵当局と御相談願いまして、別にこの法案の上がる段階じゃなくて結構でございますから、本国会中にでも何らかの方途をお決めいただきたい、このことをお願い申し上げておきます。
○委員長(藤井裕久君) 大木委員の御提案については、理事会において協議させていただきます。
○大木正吾君 それじゃ大島裁判を終わりまして、法案に絡む問題でございますが、いわゆる赤字法人についての問題について少しくお尋ねをいたします。 これは赤字法人といいましても、実際五十七年当時から問題点でもあるのですが、今たしかことしの場合に百九十三万ですか、法人の総数がございますね。そして五十七年が百五十四万ですから、これは大臣にもちょっと聞いておいていただきたいのですけれども、結局法人の数が何とわずか二年半ぐらいの間に四十万ふえたということになるのですね、三十九万ですか、正確に言いますと。そのうちの五〇%前後が赤字法人、こういうふうになっておるわけでして、今回のこの法案の出された趣旨はわからぬことはありませんが、ただ問題は、やっぱり赤字法人といいましても少しく混交をされている面がある、こういうふうに考えるわけです。 例えば本当にもう何といいますか、その日暮らしというか、手形が落ちるかどうかもわからぬできょうあたり年度末ですから走り回っている中小企業のおやじさんもいるかもしれませんし、同時に脱漏あるいは脱税的なことによる赤字法人もあるかもしれません。あるかもですよ。断定はいたしませんが。そういうふうなこと等を中心としまして、三つ、四つの分類ぐらいはできるかと思います。 私の手元にあります資料ですと、この法人の特例に関しまして六十年度の増収額が約八百四十億円と見込まれているわけですが、そのうちの約半分強が実はこの中小企業で非常に苦しい方々のところに該当する、こういうような感じがいたしますが、その辺のことについては大蔵省なり国税庁でどういう御判断でしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 国税庁の方から補足答弁するべきことがございましたら後ほど御答弁申し上げますが、ただいまおっしゃいましたように、御提案申し上げております今回の所得税額控除の特例措置によりまして八百四十億円の増収を見込んでおるわけでございますが、そのうち中小法人にかかる部分と目されるものが四百五十億円、全体の五割強になっております。欠損法人の中身を分析いたしますと、いわゆる中小法人の欠損法人割合が大きいということはこれはもう事実でございまして、そういった関連から今回の増収見込みでも中小企業の方の増収額がやや大きいという結果になっております。 中小法人のその欠損法人の態様につきましても、いろいろな態様が考えられるということは委員の御指摘のとおりでございますが、ただ、今回御提案申し上げておりますものは、還付を停止いたしまして、翌年から四年間納めるべき法人税額がない場合には最終的には全部還付をするということにいたしておりますので、いわゆる取りっ切りの措置ではないということはひとつお含みおきを願いたいと思います。
○大木正吾君 おっしゃる趣旨は、そういうことで法案のあれはできているわけでございますけれども、ただ問題は、還付ということでございましても、とにかく倒産すれすれという状態の中小法人との関係につきましては、これは大蔵省よりむしろ国税庁の方かもしれませんが、法律でもってきちっと決まってしまったらもうどうにも後は裁量の余地がない、こういう問題なのか、あるいは実態的に調べた中で、結果的には何らかの緩和措置、激変緩和といいましょうか、そういった緩和措置的なものがとれるかどうかですね。この辺のことはどうですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 法人の赤字のいわば実態ということにつきましては、先生のおっしゃったように五四%ぐらいの法人が赤字申告でございます。ただ、その申告の実は内容でございますけれども、確かにその中には、景気の実態を反映して、どうしてもやはり事業がうまくいかずに赤字のものもございますし、中には例えば、役員報酬とか家賃とかそういうようなものを払いまして、結果的に計算をしてみると法人としては赤字である。ただ、これを仮に個人の経営の形で置きかえてみると、事業としては何とかやっているというものもございまして、そこのところは実はいろいろあるわけでございます。 私どもも法人税の調査をいたしておる中で、赤字法人につきましても実は法人税の調査をいたしておりますが、赤字法人の中でやはり黒字になる、申告は赤字だけれども調査してみたら黒字になったというものが実はこ二%ほど年々出ております。こういうことで私どもとしてはやっぱり実態に応じた取り扱いということは心がけてまいりたいと思いますが、状況は今言ったいろんな事情がございますので、その状況に応じて適切に対応する方向でやらせていただきたいと思っております。
○大木正吾君 私はこの五三%の赤字法人ということで、むしろ法人の数からすれば中小企業で非常に苦しい法人の方が数では圧倒的に多いと思うんですよ。しかし、おたくの方のやっぱりねらってほしいのは、意図的に脱税をする、脱漏させているという法人、こういったものにいわば重点を置いてやってもらいたい、こういう気持ちなんです。ですからその辺のことを、これは立法化されますともうしゃくし定規でもって全然動けませんじゃなしに、省令なり政令等を出す場合とか行政判断をする場合とかに、そういったものがあってしかるべきだ、こう考えているのです。 抜本的に、税金の見直しですからもう全部裸にしてしまってやりたいという気持ちは僕らもそれはありますけれども、そういった中においても、端的に申し上げて、五四%の赤字法人ということは僕らはわかりません。わずか二年半でもって四十万も会社がふえているなんというばかなことをサラリーマンが黙っていられるわけはないですよ、これはどう考えたって。そのうちの半分の五〇%前後、五四%が赤字だなんて、そんなことを考えたらこれは本当に、大島裁判じゃないけれどもまたここで私は頭に、とさかに血が上っちゃうんです。どう考えたって、結局、税金を節約するために会社をつくっている、そういうことでしょう。 だから、そういった意図的なものにやっぱり問題を絞って、とにかく会社にすれば税金を逃れられるよ、こういうやつについてねらい撃ちをしてもらいたい問題であって、まじめに物をつくって、生産工場で人を使ってやっているところを、とにかく何でもかんでもみそもくそも全部一緒にしてしまえ、こういうことでないようにしてもらいたいということを強くこれは希望し期待しておきますので、そういったことについてどうですか。
○政府委員(梅澤節男君) これは制度の話でございますので私の方から御答弁申し上げますが、赤字法人に対する課税のあり方については、六十年度の税制改正に当たりまして税制調査会でいろいろ御議論があったわけでございますけれども、本来法人税というのは所得課税でございますので、赤字法人にそもそも所得課税を課するということは、非常に税制の仕組みとして問題ありということで検討課題になったわけでございますが、御参考までに申し上げますと、フランスで今概算課税という制度をとっておりますが、昨年の秋フランスの主税局長が参りまして私いろいろこの面について彼らの考え方を聞いたわけでございますが、フランスの場合は、売上高につきまして一定額の課税をいたしまして、黒字で納めるべき法人税額がございますと、その分は控除をするという制度になっております。 この考え方は一体何かということを問い詰めたわけでございますけれども、彼らの考え方の一つは、やはり法人というのはゴーイングコンサーンであるから何年も何年も赤字でもって企業が存立しているということになるとすれば、そこに税の脱漏を推定せざるを得ないという論点が一つと、もう一つは、赤字法人といえども公共サービスの受益を受けているわけでございますから、それに対して応分の負担をすべきであるという二つの考え方である。したがいまして、フランスの概算課税の場合も、そういう考え方でございますので、三年間の間に黒字が出ればそれは取りっ切りにならないわけでございます。三年以上つまり赤字で継続している場合は取りっ切りになるというのは、実は先ほど申しましたゴーイングコンサーンとして何年間も継続して赤字で企業が存立しているというのがそもそも問題あり、そういう考え方であるということでございます。 私どもはそれを別に参考にしたわけではございませんけれども、先ほど申しましたように、今回の措置は五年間の措置でございまして、その期間に納めるべき法人税額がない場合は全額還付するということでございますから、フランスの概算課税よりも非常にその点では負担の面でかなり配慮をさせていただいておる。 それからもう一つ、制度の沿革的に申し上げますと、昭和二十年代は、これは実は還付をしていなかった時代がございます。つまり、損金としては算入いたしますけれども還付はしないということでございまして、そういったことなども勘案しながら法制当局とも相談をいたしまして、今回のお願いしております措置は、その意味では政策的な考量の範囲内の問題であろう、つまり、所得課税たる法人税の考え方に抵触しないという観点から、今回の法律案を御提案申し上げておるわけでございます。
○大木正吾君 大分梅澤さん自信を持っておっしゃっているけれども、非常に心配の残る問題ですが、これ以上議論しても仕方がない感じというか、むしろこれからもまたこの問題についてはやる機会があったら、実態調査なども私どももしながらやらせていただきます。 次に、関連いたしまして、公益法人と協同組合等に対して今度税率が少し上がるわけですが、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、抜本的な税制改革をされるという場合に、どうも税調答申の流れ等からしますと、結果的にはこれ、公益法人なり協同組合の税率を全部中小関係の法人税に一本化するということになるかどうかですね。その辺、見直しの中にもちろん入っていないでしょうけれども、抜本的な見直しの中にこれは入るんですか、どうですか。その辺の感触はどうですか、大臣。
○国務大臣(竹下登君) 公益法人、協同組合等の法人税率の引き上げの問題でございますが、これは所得に対する法人税率は基本的には一般法人に対する税率と同水準でよいという考え方、そして現在の軽減税率はいわば政策的観点から設けられたものとして位置づけるべきであるというふうに基本的に今考えておりまして、したがって六十年度の税制改正においては、軽減税率について基本税率との格差が大きいから、これらの法人の営む事業が一般法人の営む事業と競合している場合があること等を考慮して、格差縮小ということで二%引き上げのことで今お願いをしておるというところでございます。 いろいろな議論がこの問題に対してございました。金融収益の問題等ですね。私どもも関係方面の意見を聞く場合、とにかく奨学育英でございますとか学校法人の場合はそういう点については非常に金融収益の点に対してはこれだけはまさに別個だ、こういうような主張もいろいろございましたが、種々議論した結果、この政策税制であるという位置づけはもとよりでありますが、その縮小をしたというのが現行お願いしておる中身でございます。
○大木正吾君 現行お願いする中身はそれはわかっているんですけれども、先行きのことをちょっと聞いたんです。こういうことが心配なんですよ。 要するに、金融収益が中心なんですが、俗に言う宗教法人が結果的には営業的な仕事を一般の自営業者なりあるいは法人、営業する一般法人と同じ仕事をしているという話などがあり、学校等にも一部あり、まじめにと言うと悪いけれども、完全に本当の意味合いでもっていわば公益的な仕事をしている法人と混同されてきている、こういう感じがどうもやっぱりこの問題の根底にはあってならないわけですね。ですから一部に、そういった公益法人という名前を冠しながら営業する、しかし営業する部分であってももちろん税金を納めている部分もありますけれども、そういったものがだんだんだんだん何かこう、分別がつかない。 要するに、公益法人自身というものがどうあるべきかということについて、根底から洗い直すことが僕は今また迫られている問題だ、こういう感じもするんですね。ですから、税率自身のことよりもむしろ、公益法人とは何ぞやということなどがなければいけない、こういう気持ちもするし、同時に、これは例えば恐らく大蔵省でもそうでしょうし、新電電もそうかもしれませんが、従業員が年金の問題等を考えましたとき、例えば六十五年、将来は夫婦でもって十五万円じゃとても竹下さん、あなただって生活できぬでしょう。そのときは総理大臣かもしれませんけれども。しかしいずれにしましても、そういったときに二段階か三段階、こうなっていくわけですね。二段階、三段階といったときにはどうしてもそういった、特に互助組織的なものなどもあることは、これは大体もうほとんど日本の官業の場合とか公益企業の場合なんかありますよね。そういったもの、要するにそういったところが金融収益を求めていくときに、一部を福祉に回していくとかということもしながらやっていたりしますね。非常に、だから分別が難しい問題が起きてくるという感じがするんです。 ですから、公益法人とは何ぞやという原点というものを洗い直してみて、しからば一体、いわば法人というものの枠の中でもっての税金じゃなしに、やっている仕事の問題でもって、税金をずばっとかける、かけない、あるいは率を決めていく。そういった方法等でしっかりしてもらわぬとこれは何かますます混乱をしていく、こういう感じがするので、主税局長も随分この問題で悩んだんじゃないかと思うんです、陳情等もありまして。と思いますけれども、一体先行きの方向等に見合ってどうでしょうね。公益法人を根底から洗い直すということはするおつもりはないんですか。
○政府委員(梅澤節男君) 公益法人にかかわる税制を考えます場合に、ただいま委員が御指摘になりました公益法人の制度そのものについての非常に問題があるということを私どもは率直に言って痛感をいたしております。 ただ、問題は二つございまして、一つは、税率の引き上げをただいまお願いしております部分は、いわゆる収益事業に対する課税の問題でございます。これはただいまも委員がおっしゃいましたように、収益事業とは何であるかということは法人税法の施行令でもちまして業種を制限列挙いたしまして、それに対して課税をするということでございますので、ここの部分は非常にその意味では区分がはっきりしておるわけでございます。 考え方としては、そもそもシャウプ税制の昭和二十五年のときはこれは一般法人と税率は同じであったわけでございますが、その考え方は、収益事業というのはやっぱり一般の営利法人と業種が競合する、したがって一定部分を公益事業会計に寄附金の特例として繰り入れました部分以外の部分については一般法人と同じ課税であってしかるべきであるという、そもそもそういう考え方でこの制度はスタートしておりますが、その後いろんな沿革がございまして一般法人との税率の格差が拡大してまいりました。 したがって税制調査会は、やはり基本的な税率に近づけるべきであるということを、もう昭和五十五年の小委員会当時からそういう御指摘がございまして、今回その第一歩として二%の引き上げをお願いしておるという問題でございます。 もう一つの点は、金融資産収益にかかわる問題について税制調査会等で御議論いただきました経過をたどってみますと、これは先ほど大臣もお触れになりましたけれども、公益法人の金融資産収益に課税するといいましても、公益法人の事業の態様がこれはまちまちでございます。育英財団とか年金財団、あるいは科学研究の財団というようなものになりますと、そもそもそのファウンデーションから出た果実がその法人本来の事業の原資になっているわけでございますから、そういったものもそのほかのいわゆる公益法人等も一律に金融収益に対して課税することについてはやはり非常に問題があるなということでございまして、六十年度の答申にも、これは先ほど委員がおっしゃいましたことにも関係するわけでございますけれども、やはりこの金融資産収益を考える場合には公益法人等の事業の具体的な態様に即してもう少し調査をして、その実態に即した適正な課税のあり方を研究すべきではないかということで、この問題は引き続き検討事項として六十年度には結論は出なかった。 その根底にありますものは、やはり日本の場合に公益法人等といいます場合には、民法法人のほか、学校法人あり、宗教法人あり、福祉法人あり、労働組合ありということでございますので、この辺の制度の根幹そのものをもう少し洗い直してみる必要がある。これは税制当局の所管の外の問題ではございますけれども、そういう点は私どもも痛感をいたしております。
○大木正吾君 ぜひこれは、抜本的な再検討という時期が迫っているわけでございますから、この際にこそやっていただきたい問題でございまして、主税局長のおっしゃった意見と私もほぼ同意的な意見なんですが、要するに公益法人というものの根幹的なことを法務関係の方々、司法関係の方々に洗っていただくことは当然やっていただきたいと思うわけですし、やっぱり大臣、申しわけないんだけれども、こういうふうにして二%ぐらい上げていくということは、何といいますか、要するに予算のつじつま合わせのために物品税をいじくり、そしてあっちこっちいじくり回してそういった中でやっていくという、こういうあいまいさがどうしても残っていくことは間違いないんですよ。 だから、今梅澤さんがおっしゃったけれども、例えば私が、土地もないからそんなことはできないけれども、仮に車を預かってそして駐車場を大木正吾が経営する、これは会社かもしれませんよ、一般法人かもしれない、営業法人かもしれない。そして、ある宗教法人がそういったことをした場合一体その関係をどういうふうに税率的に見るんだという問題が、これは非常に生々しいといいますか、現ナマの問題として出てくるわけですね、なかなか判断がしにくい。そういったことなどがあってややこしい話になっているわけです。 だから、私はやっぱり公益法人というものの、何といいますか許認可といいますか、あんまりそういう言葉を使いたくないけれども、もうちょっと厳正な見方があって、営業行為そのものによって税制のあり方を決めていくという形にどうしてもしなければならない時期に来ている、こういうふうに思いますからぜひこれは、答弁は要りませんから、そういった方向でもって御検討いただきたい、こう思っている課題でございます。 次の問題に入って伺います。 直接税と間接税の定義のところで、これは梅澤博士には当然論争すれば負けることになるかと思うんですが、主税局長、おとついの御答弁で、法人税の転嫁は認められましたね。
○政府委員(梅澤節男君) あのときも申し上げましたけれども、学説上あるいは実証研究におきましてもいろんな議論がございますけれども、いろんな議論を総合いたしまして、税制調査会の五十五年の小委員会の御結論では、部分的に転嫁することは否定しないという前提で法人課税を考えておるということでございます。
○大木正吾君 税調の答申の中にもその後検討しようという意味合いの言葉がたしかこれに入っておりますが、その後、税調なり大蔵省では検討されていますか。
○政府委員(梅澤節男君) 法人税の基本的仕組みにかかわる問題でございまして、五十五年に税制調査会で御議論いただきました結果、現行の配当軽課、それから受取段階での配当控除並びに法人間の受取配当の基本的な仕組みは現行の制度をそのまま維持するのが適当である、当分の間ということになっておりまして、その後この問題について今日まで改めて根本的な議論はしていただいていないわけでございますけれども、その当時の小委員会の結論にも書いてございますけれども、当分この制度の仕組みは維持するとしても、今後の国際間の資本取引の状況、あるいは諸外国におけるこの点に関する法制、それとのハーモニゼーションを考えながらやはり将来にわたっても検討すべき課題であるということになっておりますので、五十五年の結論でこの問題といいますか、制度論として終着した問題であるというふうには考えておりません。
○大木正吾君 仮にこれ転嫁するとした場合、転嫁しているということをお認めになった場合には、どの程度転嫁しているというふうに、あなたのこれは私見で結構ですから、御判断が何かありますか。
○政府委員(梅澤節男君) これも先ほど申しましたように、我が国の学者の実証研究もございますし、外国の学者の実証研究もございますけれども、その実証研究の結果がこれまたまちまちでございまして、転嫁の度合いが一〇〇%転嫁というふうな結論を出しておられるような研究もございますし部分的にしか転嫁してないという実証研究もございまして、具体的にどれだけ転嫁しているかということが計量的に学者の研究でも結論が出ておる問題でもございませんし、そもそもそういうものは結論が出にくい問題であろうというふうに考えた方が正確なのではないか。 つまり、景気の局面とか、その局面におけるその企業の市場のポジションによりまして、市場におけるその企業の転嫁力というのは刻々変化するはずでございますから、したがいまして、一概に法人税のうちどの部分が消費者に転嫁し、どの部分が株主に転嫁し、場合によっては従業員の賃金に転嫁される場合もこれは理論的にはあり得るわけでございますが、そういうことはなかなか一概には言えないということが正確なところではないかと考えております。
○大木正吾君 これ、法人擬制説なり要するに配当軽課その他のこととの関係で私同っているんですけどね、結果的には法人転嫁ということと仮に株主集団であるという議論との兼ね合いでいきますと、まだ詳しく私自身も勉強はしておりませんけど、やっぱり配当軽課されているあるいは分離課税されているというものとの関係で考えていきますと、擬制説との兼ね合いでいきますと、転嫁部分によりましては法人税制そのもの自身がいわば間接税的な要素を多く持つ、こういうことについてはそういうお考えはないですか、そういう議論はないですか。
○政府委員(梅澤節男君) いわゆる擬制説と転嫁の問題というのは必ずしも理論的には結びつかないのではないかというのが私どもの考え方でございます。擬制説は教科書どおり受け取りますれば法人税というものは全部株主が負担していくということになるわけでございますから、むしろ最近の税制調査会等での御議論ではそういう擬制説とか実在説とかいったそういう法律概念で法人税の問題を切り込むのではなくて、むしろ法人の実態を素直に見ればそれは独立の企業体として活動しておる一つの経済主体であるという側面は否定できないと同時に、そこはまた株主に対して配当される場所でもある、あるいはその市場の活動によっては法人税の部分が価格に転嫁されて消費者に転嫁される局面もある、そういう一つの擬制説とか実在説というふうな概念ではなくて、法人企業の経済活動の実態を素直に見てそれにマッチした税制を考えるということになるのではないかということだと思います。
○大木正吾君 いや、これは別にこの法案と直接関係があるわけじゃないけれども、大型間接税とかという、税体系の抜本見直しの話が盛んにあっちこっちに出るものですから、結局そういう場合にアメリカ型の直接税中心主義という立場でもって物を考えていきますと、やっぱり法人税の転嫁部分というやつがもっと検証され、そしてその転嫁部分というものはむしろこれは間接税的な意味合いを濃くする、こういうふうに物を考えることも可能なんですね。 ですから、そういった意味合いでもって私伺っているわけですけれども、そうしますと、これは二七対七十幾らという直間の比率の問題にも響きますが、そういった現象論は別にしまして、わかりました、あなたの意見でもって、ここでやめておきますが、ただこの問題についても梅澤さん、結局抜本的な改正というときには今までの議論の経過を踏まえた中でもってもう一歩踏み込んで税調でもって議論していただきたい。このことをお願いしておきたいんですよ。 次に、年金問題について。 これは新聞記事でございますから、別に大蔵省の方からの資料ではございませんが、年金税制について見直しをする、こういう記事が一月から二月にかけての新聞記事にございますが、そういった作業をされておられますか。
○政府委員(梅澤節男君) 現在具体的な作業は行っておりません。ただ、この問題につきましては一昨年の中期答申なりにも触れておられますように、高齢化社会を迎えまして、公的年金、それから任意年金、いわゆる私的年金も含めまして年金税制全体の整備を図る必要があるだろう、そういうことが検討課題として提起されておる問題でございますので、今後の検討課題にはなるかと思いますけれども、具体的な検討作業にまだ入っているという段階ではございません。
○大木正吾君 各企業の厚生年金基金を課税対象にするという問題についてはどうですか。
○政府委員(梅澤節男君) 厚生年金基金は公的年金といわば私的年金部分の合成された部分がございまして、制度が非常に複雑になっておるわけでございますが、厚生年金基金に新たな課税を具体的に検討するという作業はやっていないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、公的年金、私的年金を含めまして一体掛金の段階でどういう税制を仕組むのか、それから年金を受けた今度は受給者の段階での課税をどうするのか、これは今、年金制度によりましてそれぞれ取り扱いがまちまちになっております。 もちろん将来の問題でございますので具体的な方向を申し上げる段階ではございませんけれども、やはり公的年金としての位置づけ、私的年金としての位置づけというものを、我が国の年金制度全体がどういうふうになっていくのかという中でそれにふさわしい税制を仕組むということが、世代間の公平という観点からも今後大きな問題になってくるだろうという問題意識は持っておるわけでございます。
○大木正吾君 五十九年度国民生活実態調査、厚生省ですね、これをちょっと拝見しますと、結果的には五十八年、五十九年と高齢者の方々、年金生活者の方々の所得が、これはマイナス現象なんですね。ですからそういったことに絡んで、どういうふうに線を引くかどうかということは確かにございますけれども、例えば高齢者の貯蓄などの資料がここにありますが、百万円以下しか貯蓄がないという方が二七・一%、二百万と百万の間の方が一七・四%、三百万と二百万の間が一四・五%なんですね。ですからいろいろ意見があって、例えばシルバー預金に対してもうちょっと税金をあれしてという話がありますけれども、この状態をこう見ていきますと、三百万円以下の預金しか持たない六十五歳以上の高齢者の方々が、結果的には五五%ぐらいを占めている、こういう状態なんですね。 私は思うんですけれども、よく比較に例えば生活保護世帯の問題とか、あるいは課税最低限とか、そういったことが比較論に出てくるけれども、六十五歳を過ぎてお仕事がない方に対する問題は、生活保護を受けながらアルバイトをしてそして結構いい生活をしている方も相当いらっしゃいますよね、大臣それは御承知だと思いますけれども。そういった人なり、若い方でもって所得が少ないという方の場合にも、これはアルバイトもできるし、それが正直に税金を納めることになっているんですけれどもなかなか納めてはいないところもある。そういった者と混同されたような物の比較論では私は、私たちもいずれこういう層に入っていくわけだけれども、大正生まれでもって一番戦争で苦労した仲間が半分以上死んじゃった、この仲間がえらい目に遭うんだなということでもって、仲間から大分突き上げが来ている話でもってきょうここに持ち出したんですが、年金の見直しはそれは当然あるかもしれませんが、とにもかくにもこういった比較対照による画一的なことだけはやめてもらいたい。 極端に申し上げますれば、三百万ぐらいの年金から上の人についてどうするかということなどがあるかもしれませんが、その程度のところから下のところは今でも税金を取られているわけですけれども、これ以上税率を上げるなんということはしてもらいたくない、こういうふうに感じるわけですが、大臣、その辺どうでしょう、考えてもらえませんか。
○国務大臣(竹下登君) 要するに年金課税というのは、今主税局長も申しましたが、いわゆる掛金の段階で所得控除というものがある。それから現行でも支払い段階でまた老年者年金特別控除というものがある。したがって、これからはいわば受給単位は個人化してまいりますし、公的年金と私的年金とそれらの組み合わせがいろいろな形になってくる。したがって、今後の年金体系、二十一世紀あるいは高齢化社会を展望したときの政策課題の今一番大きな議論の中心になっておりますが、それらの進みぐあい等を見ながら公的年金、私的年金を含め検討を行うことが必要だというのが、税調の大ざっぱな答申の趣旨でございますよね。 現象面から見ましたときに、いわゆる世代間の不公平感の問題が出たわけでございますが、私も最近しみじみと年金やらあるいは国家公務員共済の審議会等を見ておって感じますのは、おれは十万円もらって、七千円ぐらいになりますか、掛金を払っておる、ところがやめたおじさんが平均二十二万ぐらいもらっておるという、若い方からのまた不公平感も出てくる。また、ちょうど大木さんや我々の年齢ちょっと下ぐらいからがそうなりますけれども、この層から見れば、何といいますか、若年極楽というか若年天国というか、そういうような感じでもって物を見がちだ、我々は粒々辛苦経済大国にするまで一生懸命に働いてきたというある種の優越感も含めて。だから、世代間不公平感というのは両方からあるなあ。したがって年金というのは、理論的に積み上げると、掛金のときにもいわゆる控除されておる、が所得そのものには違いない、その辺の組み合わせをどうすべきものか、年齢がそうなのか非常に私どもとしても関心を持っておりますし、まさに税調が言われたとおり今後の重要な検討課題の一つだという指摘に基づいて、この議論を積み重ねていかなきやならぬ課題だというふうに私も思っております。
○大木正吾君 これは理論的な詰めをする議論じゃないわけで、あくまでもそういった、確かに計数的なことなりいろいろありますけれども、いわば老齢者の方々は社会的な貢献をしながらそして不幸な老後を送るということは気の毒ですから、ここにこそ政策税制ということが私はあってしかるべきだ、それなら国民的なコンセンサスを得られるはずでございますから、そういったことを、これは理屈ではなしにお願いとして大臣に申し上げさせていただきました。 次の問題です。これは金融収益に絡む主税局長の御意見に関しましてでございますが、端的に申し上げて、グリーンカードの廃止、あるいは郵便貯金だけじゃありませんが、非課税貯蓄二百二十五兆六千億ですか、この扱いに対しまして、結果的には限度管理しかできないということについて、大変な私は失望ということを感じているわけでございますけれども、その際に梅澤主税局長、たしか総合課税だけではなしにいきたいというお話を、分離課税を残していきたい、こういうふうにおっしゃったんですが、その理由をもう一遍聞かせていただけますか。
○政府委員(梅澤節男君) 六十年度の税制調査会の答申がまとまるまでの間の御議論の経過ということで御紹介をした話でございますが、非課税貯蓄のあり方につきまして、一つは本来所得税というのは総合課税であるべきであるから非課税貯蓄そのものが税の不公平の一つである、課税ベースの浸食でございますから。そういう議論が片方にあるわけです、総合課税論をとると。 もう一つは、これは今後における金融の自由化あるいは国際化、それからもう一つはグリーンカード制度を契機にいたしまして、利子所得というものは非常に波動性があるといった観点から見ますると、むしろ将来の課税の方向としては一律分離課税という方式も検討に値するという意見が少なからぬ委員から表明されまして、それが答申に書き込まれておるわけでございます。 そういった経緯を先般の委員会で私御紹介申し上げたわけでございます。
○大木正吾君 これは野末先生もこの間たしか質問をされておったわけですけれども、これからの経済構造ということで言い切れるかどうかわかりませんけれども、むしろ経済金融構造とでも言った方がいいのかもしれませんが、今は物よりも金の時代に利殖の流れが入っているわけでしょう。そうして一部の資料ですと、一部上場の会社のうちの九百五十七社中二百社余りが金融収益で相当稼いでいる、こういう統計もありますわね。同時に、Tという自動車会社の金融収益一千九十億円は三和銀行の一千六十四億円を上回っている。これは五十九年六月と五十九年三月の実績ですね。 こういうふうな事例等を見ていきますとやっぱり、いわば情報通信社会ということもあり、非常に物の、個体的な物の生産とかあるいは販売ということよりは、すべてのものが割合にソフトになっていくということが一般的な傾向であるし、同時に、いわば税の対象になるものが結果的には金融収益が相当ぐんぐんふえていくという傾向ですね。これは逆に言いますと、例えば福祉を抑えつけられれば自分で老後生活をやっぱり考えざるを得ませんから、そうすると預貯金をふやさざるを得ない、こういう傾向にもなってくるわけです。同時に国際的な意味で、日本にも随分外国の銀行なども入ってきているし、日本の企業もあれしているわけですが、結果的には預貯金、有価証券、株式、国債等々こういったものが相当これからのやっぱり利潤追求というか、利益を上げるためのあるいは生活のための代償、担保になっていかざるを得ない、こういうふうに考えるわけです。 これは一体、分離課税ということを局長はおっしゃるけれども、局長の口から分離課税、分離課税ということを言われていていいのかなという感じを持つんですね。ですから、どこかの財界なり金融界等から突き上げがありまして、そうしてくれというんだったらまだわかるんだけれども、むしろこれからどんどん物から金に流れが変わっていく、経済が変わっていく状態の中ですから、やっぱり直接税中心でいきたいし、所得税中心でいきたいというならば、やっぱり私はこういったものの税金は総合課税一本でいきたい、こういうふうにあるのが原則、こういうふうに考えているんですが、なぜ分離課税をつくらにゃいかぬのですかね。
○政府委員(梅澤節男君) 誤解のないように申し上げたいわけでございますけれども、大蔵省なり税制当局としていわゆる利子配当等金融収益の個人課税の部分につきまして分離課税ということを志向しているということを申し上げたのじゃございませんで、税制調査会の中で少なからぬ委員からそういう意見が出てまいりましたというのは、しかし従来からの税制調査会の御議論から見ますと、今回の新しい一つの意見の動きということで御紹介申し上げたわけでございます。 ただいま委員がおっしゃいました、昨今財テクと言われているような問題を御指摘になっておるかと思います、恐らくそういう趨勢に動いていくであろうということはそのとおりであろうと考えるわけでございますが、もう一度税制調査会の一律分離課税の御議論の背景にある考え方を見ますると、そういった財テクというような風潮と申しますか取引というものが盛んになってまいりますと、もちろん金融の国際化、自由化というものがその背景にもあるわけでございますけれども、結局、金融資産というのは非常に波動性がある、それから商品の種類も非常にたくさんあるといった場合に、一律分離課税を主張される方々は、むしろ金融市場に対して中立的である税制という観点を非常に重視される考え方でございます。 しかし反面、そのことは、総合課税であるべき所得課税の公平性というものについて、いわばその関係はトレードオフの関係になるわけでございますから、その辺を一体どう考えるのかということは、結局は広範な御議論をいただいて決められるべき問題であって、理念的にどちらであるべきであるということを税制当局が一方的に決めてしまうべき問題でもないのかなというふうな考えを持っております。
○大木正吾君 この間の預金利子の問題にも、例えば二百二十五兆六千億円の非課税というものがありまして、これをうんと金利を安く見まして、仮に五分ぐらいに見ていきましても、仮に一〇%あるいは一〇・五ぐらいの所得税率をかけていきますと相当な金が入ってきますね。私は非常にがっかりしましたのは、現在あります二百二十五兆六千億の非課税貯蓄は、名寄せがどうのこうのといっても――これは私に対してこういう質問をするなという意見もそれはあるんですよ、私に対してそんな質問してくれるなという方も金融界の中からはあるんですよ、あるけれども、抜本改正をするということであり、同時に我々自身だって財政再建ということを考えないで物を言うわけにいきませんから、そういう立場でもってあえて物を申し上げているわけだけれども、結局こういったものに対して国会の審議の中でとにかく、附帯決議になるか何かわかりませんけれども、私はしり抜け的な状態でもって限度管理をやる、そして名寄せをするといったって、仮空名義のものがずらっとあなた、日本の人口一億二千万です、貯金の名義は二億ありましたといったら、一体どうしてくれますかということになる。 これは極端な話ですけれども、そういったことも起こり得るわけでしょう。そうすると、これはもう完全にざるみたいなもので、しり抜けということは明らかなわけです。 そういったことを残しながら、一方では、今お話がありました中立性ということが非常に大事にされる意味合いでもってどうしても分離課税ということが税調の流れとしてありますということに非常に大きな不満を感じ、そのことだけでももうこれは税体系の抜本見直しはできないというふうに考えて見ているんですね。物の場合には、これは確かにEC型付加価値税の場合にはあれがうまく、送り状などが出てきますから相当把握、捕捉ができますが、金融資産の場合には大臣どうですかね、非常に捕捉が難しいんじゃないですか、率直に申し上げて。 私はやっぱり、これは大蔵省としては、要するにどんどん金目の金融資産がふえていく状態であるし、私流に物すごく悪くこれは物を言いますと、アメリカの国債が一割以上の利息、金利が払われている。日本でも竹下さん大変苦労して、短期にしようかとか、うちの堀昌雄さんが知恵をつけたりしているようですけれどもね。そういったことはありますけれども、やっぱり国債というものは私たちの税金でもって利払いが行われ、同時に、あれをいわば金融資産として取得し得る人、持っていられる人は割合に金持ちの方ですよね。もしそういった事態が十年間進行すれば、恐らくこれは資産なりを中心として相当に階層分化が激しくなっていくと思うんです。そして今度は、さっきの捕捉率の問題とかあるいはサラリーマンの税金に対する不満が増高していきますと、大変なこれは社会混乱が起きなければいいんですけれども、ますます不公平問題のいわば社会世相というものは拡大してしまうということが怖いんですね。 だから大臣、どうですか、この問題について、要するに物から金に変わるその趨勢はもうしばらく、二十年ぐらい中期的に変わらぬだろう。国債が日本でもって完全に利払いから返済まで全部含めて済むときまでは少なくとも変わらぬと私は読むんですが、そういうふうに考えていきますと大変な問題だなというふうに、一つはさっきの非課税貯蓄の問題と同時に、梅澤さんがおっしゃった税調の流れの中にあります分離課税の思想ですね、この二つを通じて見ますと非常に心配が残るので、大臣、それについての御所見は何かございますか。
○国務大臣(竹下登君) おっしゃいますとおり、けさも、それからおとといの朝も、委員会が始まります前に、いわゆる金融市場の開放問題の具体的な施策についての決裁をしましたのですが、確かに先進国はもとより、なかんずく日本の貯蓄率が高いというようなことからして、国際化の場合ますます大きな役割を果たすようになっておりますと、現実問題としてやっぱり国民の志向が、経済成長をしたということが基礎にございますけれども、物というものに対しては、土地以外の問題はある程度充足したか。そうしますと、その貯蓄率の高さというものはやっぱり金融資産という方向へ向いていく。 よく経済摩擦のときに私が、ごろがいいものですから申しました、向こうは余りわかりませんでしたが。私に対していわゆるユーロ円市場の話をよくしますので、牛肉、オレンジ目で見りゃわかる、それに比べてユーロ円、どんな形やら色やらや、こう言ってやったことがあります。そしたら、それはうまく英語には訳せなかったようでございますけれども。確かに、物から比較的見えにくい金融資産という方向へ来ておることは事実であります。 そこで、そういう状態の中ではいわゆる分離課税、選択分離というものはむしろ公平じゃないかという議論が出てくると思います。しかし、その議論が出て、それが先ほどおっしゃいましたせっかく意識的に中産階級意識と申しますか、上、下の格差が少ないのが、また形の上で差がずっと拡大していきますと、社会構造として私は好ましくない状態になっちゃいかぬということは意識をしております。 で、それについて、国債の問題についての御議論が御意見としてあったわけですが、確かにことしの予算を組みますときにやっぱり一番悩みは、利払い費が社会保障を超したということでございます。これは本当にこんなときに大蔵大臣をしているものじゃないなとしみじみと思いました。いわゆる予算というのは、道路をつけたりいろんなことをしたり、いわゆる普遍的な事業を行うと同時に、いま一つは、富めるところから税金をちょうだいしてそして生活保護等、いわば富の再配分機能でございますが、その富の再配分機能の社会保障費よりも、国債は個人も持っておりますけれども、企業、法人が大部分は持っております、したがって、まず富めるところへ利払いがあってその後富の再配分をやるか、こういうのは大変やっぱり財政当局を預かる者としては一番の心情的にかなわぬ気がいたします。 それには、基本的には残高を減らしていくことしかございません、率直に言って。が、今の場合申しましても、昭和六十五年で赤字国債は完全になくなったとしまして、厳密には百六十六兆になりますが、大ざっぱに言って六十五年百六十五兆の残高で六十五兆が赤字国債、百兆が建設国債というふうなことになりますと、この利払いが当分続いていく。それで、その中の六十五兆の赤字国債だけでもこれを、仮に電電株のおかげさまの収益なんかを直入させていただく問題を外に置いて考えると、そうすると建設公債の発行と同じ方式で発行しますと、私が百二十六歳のときにやっとなくなる、大木さん、百二十八歳のときになくなるわけです。こうなると何か、少なくとも率直なところが、ちょうど今の国会議員、この間の選挙でいわゆる十九世紀生まれの人が一人もいらっしゃらなくなりました。一九〇一年の三池先生、お亡くなりになった二年の新谷先生とか、明治三十四年、三十五年、それ前はなくなってしまったものですから、少なくとも二十世紀生まれの者で始末をするということになると、二十一世紀までには始末しなきゃいかぬな、少なくとも赤字公債はという感じに駆られます。 しかし、あと十五年で始末できるかといったら、いやそれはとても、何か電電株が百兆にでも売れればそれは始末できますけれども、そういうことを考えるとこれは容易なものじゃないなという感じがしまして、やっぱり地道な努力であろうともそういう残高を減らすような工夫を年々積み上げていくことと、そしてそういうまた国債が余計出ますから国債を対象とした金融商品もまた余計できてくるわけでございますから、そういうことと運動させてこれは本当に考えていかなきゃいかぬなという流れを見ながらの認識は、同じゼネレーションだから、よって立つ政党の立場は異なりましても同じようなことを考えているんじゃないかなという感じで、今お話を聞かせていただきました。 いささか長くなりました。
○大木正吾君 大臣室へ行ってあなた、私と二人で話しするときはそういう話も結構だけれども、きょうは委員会ですから質問に答えていただきたいと思います。 私が一番心配しますことは、やっぱり日本では土地が大変高価であるわけでして、最近は東京都内相当上がってしまっていますけれども、いずれにしてもやっぱり物の中の土地が中心ですわね。そうしてこれが結局金に変わっていくんですが、その金の中のバックボーンといいますか、要するに金融証券といいますか、金融的な有価証券なり、株式とか、そういったものを支えているものはやっぱり総合的なもので、いろいろなノーハウとか技術とかたくさんありますけれども、しかし僕らが見ている目では、やっぱりアメリカの国債と日本の国債のばかでかい残高と金利、これがあるから余計書画骨とう等に行かないであるいは金を買わないで、有価証券、株式等にどんどん投資されている。 それで最終的にはやっぱり階層分化が起きる、こういうふうに私は判断するものですからこの税制のあり方は、きょうここでもって上っ面だけをなでておりますけれども、やっぱり金融絡みの問題について私はもう少し今の時代では厳密な税制上の議論をする必要があろうということを考え、同時にその入口でもって二つの残念なことは、言えば、さっきの繰り返しになりますけれども、非課税貯蓄二百二十六兆というものがざる法案になり、同時にもう一つは、総合課税を分離課税にせざるを得ないということに流れがなっているということは非常に残念な問題なんです。 ですから、これはきょうの議論では尽きませんのでまたいずれやらせていただきますが、最後に一つだけ伺いますが、大臣、結局、抜本的な税体系の見直しはやるんですか。あなたは御自身、答弁の中で、私は言った覚えはないと盛んに繰り返していたけれども、調べてみたら、一月九日どこかで講演したときにしゃべっておるんですよね、あなた御自身が。しゃべっておるんです。物品税もあっちこっち全部かき集めてみたけれども限界だよ、だからぼちぼち新しいものを、こういうことを言っておるからやっぱりあなたは書かれちゃうんです。だからこれはぜひ調べていただきたいし、やるならばシャウプという立派な税制がある。この一万円札、これ二、三枚しか入っていませんけれども、この二、三枚しか入っていない一万円札までがアメリカのドルと同じ形になる国です、日本は。そういった国でもって、税金だけは何かアメリカのやつはもう関係ないよ、因ってきたらヨーロッパへ行きましょう、こんなばかなことを私はやってもらいたくないんですよ。 この場できょうずうっと約二時間やりましたけれども、さっき言った要するに八千何百億のああいった脱税をどうしてくれるんですかという問題とか、金融商品に絡む問題でもって預金のこのざる法はどうしてくれますかという問題とか、同時に大島裁判がありました問題とか、こういったものがあるんじゃないですか。それから、中曽根さんの言った要するに簡素、活力なんて、今、日本の国民の中でもってあなた、税金を納めて活力ということを考える方がありますか。この中だって、大臣なり委員長は違うと思いますけれども、何とかして自分の税金が安くならぬかということを考えている方が大半ですよ、この中でも。 そういった物の流れなり社会の状況等を考えたときには、もう少し抜本的な改正をするというならばやっぱりシャウプの原則に返して、わかりやすい、最も皆さん方公平に取っていますよということが最もわかりやすい税金、こういうふうに社会保障に使い、同時に国債の金利に使い、こういうふうにと使い方がはっきりしている税金ですね、こういった直接税のあり方に原点を返しながら見直していくならば賛成しますけれども、だんだんうやむやになってしまうところのヨーロッパのフランス型なり、マスコミもはしなくも新聞記事に出ていましたけれども、私は最初郵便局にいたときに庶務におって、それで所得税を源泉する手当を税務署からもらったものですよ。それくらい手助けをしたということになるわけですけれども、あれからずっと高齢化して数もサラリーマンはふえましたけれども、いずれにしても、要するに抜本的な改正をするときには、そういった現況ということのいろいろな不備不十分ということがある中でもって、それをほうっておいて、飛び越えてますますわからない税体系へ持っていくということは、私は慎重であってほしいし、やってほしくないと思う。そういうことについて最後に大臣の御見解を承っておきたい。 終わります。
○国務大臣(竹下登君) 確かに中曽根総理が申しております公平、公正、簡素。ここのところまでは、いわゆる公平、公正というものだから、国民の多くが不公平感を感じないようなそういう税制、そして目で見ればわかるような簡素さ、そういうところから初めて私は税制改正というものの意義もあろうかと思っております。だから、シャウプ勧告、いわゆる所得税を基幹税に置いた考え方、今でも正しいと思っておりますが、その後むしろいろんな形で曲がってきたんじゃないか、だから今これを見直しなさいということでございますので、今おっしゃった趣旨を体しながら、これからも税調へは素直にそういう意見を伝えるとともに、我々としてもそういう考え方を背景に検討を重ねていかなきゃならぬ課題だという感じがいたしております。
○鈴木一弘君 初めに私は、ちょっと関連が薄いかもしれませんが、証券局の方へ伺いたいことがございます。 例の、五十九年、去年の暮れのときでございますが、日本レースの株の売買が中止をされたり再開をされた。それについての記事等を見てまいりますと、最初は適正であるという監査意見が五十九年九月期決算に対して出たわけです。それが意見差し控えということになり、また適正になった。東証では、十五日から停止をしていた日本レースの株の売買を、十九日から、適正になったということでまた再開をした。 こんな短期間でぽこぽこぽこっと動くということは非常におかしいなというふうに僕は思うんです。で、一日足らずで適法に変わってくるなんということがあり得るんだろうかということに大変な疑問を持つわけでございますが、この点についてどういうふうに証券局の方ではつかんでおりますか。
○政府委員(岸田俊輔君) 御指摘の、日本レースの監査報告が意見差し控えから適法に短期間の間に変わったという事情でございますけれども、私どもといたしましては、監査を担当いたしました公認会計士からこの背景について報告を受けております。 その概要は、会社が五十九年九月期決算の不動産取引、これは二件ございましたが、これに五十億円の手形を振り出しております。最初のときは、この内容につきまして、法的要件を備えておるということで監査上適法意見を出したわけでございますけれども、その後、十一月の末に至りまして、先ほど申しました五十億円の振り出した手形のうち二十億円のそのまた一部でございます二億円が詐取されたということが新聞で報道され、事件が発生をいたしました。監査人としては、こういう資産につきましてはっきりした明快な説明がない限りにおいては適法の判定は下せないということで、会社に対しまして再三この手形の所在、その取引の実態について説明を求めたわけでございますが、それについては何らの報告がございませんものでございますから、監査人といたしましては意見差し控えに変更せざるを得なかったというふうに聞いております。 ただ、その後、十二月十七日に至りまして、会社側から、この支払い手形の所在、取引の事実につきまして、確実なこれを証します関係書類の提出がございまして、具体的にはその二十億につきましての手形の所在、十八億のはっきりしております手形の所在、それから二億の詐取されたものにつきましては、二億円の資金につきまして供託をいたすというような措置をとっておるわけでございまして、この事実を確認いたしましたので意見の差し控えを撤回した状況でございます。私どもといたしましては、公認会計士の監査が的確に行われるためには監査に対します会社の協力が重要でございますので、本件につきましては会社の協力に問題があったということで、会社につきまして厳重に注意をいたしております。また会計人につきましても、これは指導力をもって監査をすべきであるということで、今後の指導につきまして要請をいたしている次第でございます。 こういうバックにおきまして、東証の方では、意見を差し控えるというような状況が出てまいりましたものでございますから、証券取引所といたしましては当日の売買を停止する、日本レースに対しまして事実のディスクロージャーを要請したわけでございます。その後、先ほど申し上げましたように問題点の解明ができ、公認会計士と会社との食い違いが調整されましたものでございますから、十二月の十九日になって再開を認めたということでございます。
○鈴木一弘君 この日本レースの株のことですが、とにかく五十八年の初めには一株が二百円前後だったと思うんですね。それがその年の九月には一千六百円に暴騰しているわけです、一株当たり。こんなふうにぐっと上がっている。じゃ相当高率な配当をしているのかというとそうじゃございませんし、私は、今二十億のお金が云々とありました、これは会社の内部のことでしょうから、内紛から出たことでしょうし、ですから、そういう個人的なことは申し上げませんけれども、こういうふうに暴騰、そういうような現在すばらしい業績があるというわけでもないのに高い株に値段が上がっていった。 これはあるグループがやったということで言われているわけですけれども、そういう点の調査はなさっていらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(岸田俊輔君) 御指摘のとおり、日本レースの株でございますが、五十八年の最初のころは二百円でございましたのが、昨年十月で六百五十円、ことしの三月十五日は千五百五十円という高値をつけている状況でございます。その後若干弱含みに転じまして昨日現在で千二百五十円でございますが、この日本レースの株式につきましては、東証におきまして一時市場で買い占めをしているといううわさが流れた状況でございました。 東証といたしましても、五十九年六月から十二月の七カ月間にわたりまして調査を行ったわけでございますが、その間の結果といたしまして、東証からは株価の操作があったという事実は報告を受けておりません。 私どもといたしましては、株価操作を初めとしまして不公正な取引については、私ども及び取引所で常時監視を続けるということにいたしておりまして、疑念が生ずれば直ちに調査を行うなど措置を講じて今後も厳重に注意をしてまいりたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 三洋興産グループというのがやったということが新聞等には報道されていますし、株式の新聞にもほとんど出ていますね。 それを見ていくと、既に日本レースの株の四〇%を九月、八百二十万株ですか押さえたということがあったというふうに出ておりますが、大変なお金が動いたと。その大変なお金をつくるのに魚を転がしたということが言われているわけですね。そのために大変な負債を抱えるというか在庫を抱えてしまって処分し切らぬで困っているというようなところもあるようですし、うまいぐあいに売り逃げをしたので助かったというところもあるようでございますが、いずれにしても、そういうような実態は、そういう資金の手当て等おかしなものだなというように僕はすぐ思うわけでありますが、この点はおつかみになっていらっしゃるんですか。
○政府委員(岸田俊輔君) 私どもは企業の資産内容につきましては有価証券報告書を頼りにいたしておるわけでございまして、まずかなりのものを買い占めているといううわさがあることは承知いたしておりますけれども、四〇%までも三洋興産グループが買い占めているという事実は私どもは承知をいたしておりません。
○鈴木一弘君 私が聞いた範囲では、五十八年の九月末は五百五十万株というふうになっております。どちらにしても大変な、また五十九年の三月末には八百二十万株、大分物すごいということがこれ出ている。しかも無配の会社ですからね。私ども、余りにも暴騰し過ぎるんじゃないかというような感じがしてならないんです。自由経済社会だから何をやってもいい、取引のことですから法律に違反しなきゃ何をやってもいいかというと、やっぱり公益上モラルの問題等も私は出てくるのではないかということが考えられるわけですけれども、どうも石油を転がし魚を転がし、そして株の市場で関連会社を持つということで、そのために大きな損害を受けた会社が出ている。こういうことは果たしていいんだろうかというふうに思わざるを得ない感じがするわけです。その点はどういうぐあいにお考えですか。
○政府委員(岸田俊輔君) 私どもの監査をいたしましたのは、企業会計のディスクロージャーの面とかそういう点でございまして、言うべくば、会社の企業モラルという問題になりますと私どもも十分把握しかねるという状況だと考えております。
○鈴木一弘君 こういうすごい仕手戦をやっている。これについての資金の問題等について、日本共同貿易の代表者等も魚転がしの資金と株式投資の資金は別だというようなことも言っているようでございますけれども、これは一般論として、個別的にどうだこうだと言うと差しさわりがあることでしょうけれども、そういうような巨額なお金が動くというのはどこかに利益が出たということですからね。 こういうような動きがあったときには国税庁はどういうふうな対応をとられているんですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 一般論としてお答えをさせていただきたいと思いますが、私どもとしては新聞、雑誌等でいろいろ報道されている事柄や国会でお取り上げになっている事柄等につきまして、これは貴重な情報として大きな関心を払っておりますし、さらにこれらの動向に加えて、私どもとしては部内で収集をしたいろんな情報、さらには納税者から提出をしていただいた法人税等の申告書をもとにいたしまして、これらを総合検討して、課税上問題がある場合には実地調査等を行うなどして、課税の適正化に努めるということで従来からやっております。
○鈴木一弘君 つまり、こういうふうな問題にされていることが大きく新聞に報道されたというようなときには、必ず調査をなさっている、こう言ってよろしいんですね。
○政府委員(冨尾一郎君) これも一般論で恐縮でございますが、私どもとしては、問題がある場合には的確な調査を行うなどして適正な課税に努めてまいっております。
○鈴木一弘君 これにございましたけれども、去年の十二月十七日あたりの証券新聞そのほかを見ると、売買停止になったということから仕手株が総崩れになったというようなことが出ています。その後で適正であるという監査意見が出ると、今度は暴騰するということになるわけです。 裏とか表とか考えたくないんですけれども、だから余りにも短期間のうちにぱっぱっぱっとこう変わるというのは何かぴんとこない感じがする。幾ら株主総会を目の前に控えているからそうしたと言われてもぴんとこないような感じがするんですけれども、こういうやり方があると将来はやはり健全な証券市場の育成なんということにも影響が出てくるだろうと思うんですが、その点いかがですか。
○政府委員(岸田俊輔君) 私どもといたしましては、証券市場の育成、適正な株価の形成、投資家の保護ということにつきましては最大の関心を持っておりまして、今後とも業界を含めましてこれに対応していきたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 この問題はこの程度にとどめておきます。というのは、あとは農水省の関係になってきますので、そういうことはこの委員会として適当でないのでやりませんけれども、いずれにしても氷山の一角というか、私どもがつかんだのはもう半年も一年も前ぐらいからつかんでいる。しかし、とうとう出るところへ出てきたような感じがしたわけでありますが、しっかり今後とも今の局長の答弁のようにやっていってほしいと思います。 その次に今度は、国民所得に対する租税負担と社会保障負担、この二つについてお伺いしたいんです。 昭和五十四年度では国民所得に対して租税の負担率は二一・八%、社会保障負担では九%、両方を合わせると三〇・八%。それが六十年度の見通しでは租税負担率が二五・二%ということで六年間で三・四%も負担が高くなる。また、社会保障の負担率は一〇・八%、これも一・八%の増加。合わせると大変な増加ということになってまいります。ところが、米国の場合を見ますと、負担率が日本は三六%になるわけですが、米国の場合は租税負担率は五十四年と五十八年ではマイナスの一・二%というふうになっているわけです。 我が国の国民所得に対する租税とか社会保障の負担増大、これの速さは大変なものだと思いますが、その原因についてどうお考えでございますか。
○政府委員(梅澤節男君) 租税負担の点については、私の方から五十年代に入っての傾向から申し上げますと、やはり年度によりまして税制改正等をお願いしておるわけでございますけれども、これは基本的にはやはり分母の国民所得の動向と分子の税収の動向でその率というのは決まるわけでございますが、計数的に追ってみますと、租税負担率の最近におきます大きな上昇の要因となっておりますものは、やはり自然増収の要因が大きいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 社会保障負担の方は。――経企庁、来ていませんか。
○説明員(佐藤隆三君) 社会保障移転の規模の増大でございますが、長期的に見た場合に、高齢者人口の増加あるいは年金制度の成熟化等によりまして増大しているものと考えております。
○鈴木一弘君 国民所得の推移を見ると、昭和五十四年度が百七十八兆七千百二十五億円、五十八年度が二百二十兆六千六百七十八億円、伸び率が二三・四%です。それに対して租税の負担額は、五十四年度が四十兆四百九十九億円、五十八年度が五十五兆五千三百六十七億というふうになれば、三八・六%ということになります。社会保障負担額も五十四年と五十八年と比べると十六兆五百七億が二十三兆九百四十六億というふうに伸び率が四三・八%、つまり国民所得の伸びをはるかに上回る負担が今まで毎年毎年続いてきたというふうに思われるわけです。 「一九八〇年代経済社会の展望と指針」が出ておりますけれども、これは五十八年の八月に出されておりますが、その中に、国民所得に対する租税と社会保障の負担の割合については欧州諸国よりかなり低い水準にとどめるとだけあって、明確にどのぐらいということは出ておりませんけれども、この負担水準についてはどう考えておりますか。
○説明員(佐藤隆三君) ただいま御指摘の「一九八〇年代経済社会の展望と指針」におきまして、今後高齢化の進展等により租税負担と社会保障負担を合わせました国民の負担率は現状より上昇することにならざるを得ないわけでございますが、国民の負担率が無制限に上昇することは適当でなく、先進諸国の例から見ればヨーロッパの水準よりはかなり低いところにとどめることが望ましい、このように「展望と指針」では述べているところでございます。
○鈴木一弘君 これは今の欧州諸国よりというのからいくと、イギリスの場合が昭和五十七年ですが、租税負担率が四三・五%、社会保障負担率が一〇・九%、合計して五四・四%、西独が租税負担率が三〇・九%、社会保障負担率が二三・二%で合計して五四・一、フランスが租税負担率が三三・六、社会保障負担率が二七・五で合わせて六一・一、これに対してアメリカの場合は租税負担率が二七・三、それから社会保障負担率が一〇・〇、合計して三七・三ということで、五十七年当時の日本は租税負担率が二三・九、社会保障負担率が一〇・四で、三四・三ですね。確かにこのときには低くなっているんですけれども、この差がだんだんだんだん縮まってきているということになるわけです。 ですから、今申し上げたように、これは私はヨーロッパの、これは五十七年の統計しかありませんから申し上げたんですけれども、「展望と指針」で示した欧州諸国よりかなり低いという水準というのは一体どの程度を考えているのか伺いたいのです。
○説明員(佐藤隆三君) 「展望と指針」におきましては、先生も御指摘のとおり、具体的な数値というものは述べてないわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり「展望と指針」にもございますように、今後の高齢化の進展というものが世界に類を見ない速さで進むわけでございますので、次第にこの負担率の水準は上昇してまいるわけでございます。そういうことで幾つかの今先生おっしゃったような先進諸国の例から見れば、そういうようなヨーロッパ諸国の水準よりかなり低いところにとどめることが望ましい、このようにしているところでございます。
○鈴木一弘君 そうすると、これはいろいろあるわけですよ。五〇%のところもあれば、フランスのように六〇%を超えているところもあれば、またアメリカはちょっとこれ違っておりますが三七%、一体どうなんでしょうね、これは負担の方ですけれども。これは大蔵大臣、所管じゃないかもしれませんが、御私見で結構ですが、どう思っていらっしゃいますか。
○国務大臣(竹下登君) ヨーロッパよりかなり低い、それで括弧五〇%、こう書いてあったわけですね、あの当時は。が今や、今おっしゃいましたとおり五十七年も大体五四・幾ら、五五%です、ヨーロッパは。そうすると、かなり低いというとどんなものかなと思いながら、将来の老齢人口比率をいつも見て私唖然としますのは、スウェーデンなんかに大体近づいてくる。そうなるとスウェーデンみたいに六〇%を超すのかなというようなことを考えると、中長期的にいろんなことを今から準備しておかなきゃいかぬなと思いますが、今のところ結局、ヨーロッパよりもかなり低いとは何ぞや。 あのときの議論で一番私は参考にできるかなと思うのは、当時まだ行革審でない、臨調の時代の瀬島さんが見えまして、四〇%ということを念頭に置いての議論もございました、あるいは四五%ということを念頭に置いての議論もございました、こういうようなことをたしか本委員会でございますか、予算委員会でございますか、参考人として来てお話しなさったというのが、数字が具体的にあらわれておる、国会の議事録に載っておる唯一の数字かな、こんな感じで見ておりますので、結局最終的には国民のいわばサービスと負担との選択の問題になるわけでございますから、上昇していくことはやむを得ないがヨーロッパより低くというそこの辺のかげんは、かげんというか、下の限りではなく、手かげんとか湯かげんとかいうかげんでございますが、まさにそういうのは、それこそ国会の議論等を詰めながら国民のコンセンサスが那辺にあるかを見定めていく課題ではないかな、こういうふうに私も思っております。 御指摘なさいましたとおりもう一つは、いつも鈴木さんと議論いたしますときの例の、七カ年計画のときに租税負担二十六カ二分の一なんというのがございましたわね、一つ議論する土台が。今度はそれが、ヨーロッパよりはかなり、こういうことですから、そういう議論する土台の数字というものが出せなかったのもやっぱりなかなか定量的に見定めることが難しかったからじゃないかな。七カ年計画のときには、最後の企画委員会というので議論されるときに私よく関係者から話を聞いておりまして非常に興味を持っておりましたが、それが出せなかったのは事ほどさように定量的なものが出せないというので抽象的なものになっておる。したがって、議論はこの詰める中で決めていくしかない、こういう感じでございます。
○鈴木一弘君 今は負担の方を僕は言ったんですけれども、今度は給付の方も見てみなきゃならないと思います。 給付の方を見ると、昭和五十七年度、これは暦年が統計で出ているわけです。この暦年で可処分所得に対して社会保障給付と社会扶助金、この合計した割合が一六・六%ですね、可処分所得に対しまして。同じ年の比較で見ると、スウェーデンは三四・三%、フランスが三二・六%、西独が二四・七%、イタリアが二一・一%、イギリスが一九・二%というふうになっております。可処分所得に占める社会保障給付などの割合は、こういう点から見ると日本は大変低いというふうに言わざるを得ません。ですから、一方で負担がどんどんふえてくる。国民の負担が片方でふえるということであれば、当然国民への給付の方もこれはふやさなきゃならないわけですよね。この点は一体どういう方向にこれから持っていくのか、これを示していただきたいと思うんです。 高負担高福祉か、低い負担であとは自助努力ということなのか、低い給付で。どうなのか。その辺のところをどういう方向に持っていこうとしているのか伺いたいと思うんです。
○説明員(佐藤隆三君) 「展望と指針」におきまして、社会保障の整備につきましては、社会保障に課せられた役割を的確に果たしていくために、一つには施策の重点化、効率化、二つ目に社会的公正の確保、三点目に給付と負担の適正化を図っていくということで、こういう基本的な方向を示しているわけでございまして、定量的にどのようにしていく、あるいは具体的にどのような内容にしていくということは示していないところでございます。
○鈴木一弘君 中曽根内閣の姿勢が、その特徴は活力ある経済社会の建設、こういうことになっているわけです。じゃ、具体的に今まで私が示してきた租税とか社会保障、その国民に対する負担と、あるいは社会保障費、また社会扶助金として国民に給付すること、この両方について以前の歴代内閣は大体、不満でございますけれども一応の青写真を出している。例えば大平内閣のときにつくられた「新経済社会七カ年計画」、これは昭和五十四年のときのやつですね。これは昭和六十年度の予測として、租税負担率が国民所得に対して二六・五、社会保障負担率は一一・〇、社会保障移転費は一四・五というふうになっているわけです。ところが、今回の内閣は具体的に示していないわけですね。これは、そういった計画というものを示せるようにすることはできませんか。
○国務大臣(竹下登君) これは私から答えた方が適切かと思いますが、確かに大平内閣のとき、五十四年でございますよね、そういう基礎的な、それに公共事業が二百四十兆でございましたか、その後いわばその五十五年というものは、要するに五十四年が五十二年、五十三年の建設国債増発等によりますそういうものの財政の出動した爛熟期みたいな形で成長しまして、それで五十五年にまず初めに一兆円の減額ありきという形で、前年度一〇%増しシーリング、今のようなマイナスシーリングじゃございませんけれども、一〇%シーリングというのをつくって、そしてそれは惰性である程度成長が続いて、五十六年に予算はプラス七・五%シーリングでございましたか、その五十六、五十七というもののときに、大変な世界同時不況のために二百四十兆も、あるいは間違っておるといけませんが、たしか公共事業だけ百九十兆でございましたか、たしか下方修正百九十兆にしたような記憶がございますが、もし間違っておったら後から訂正してもらいます、そういう状態を繰り返す中で、今度のこの八〇年代後半の「展望と指針」をつくるときに、やっぱり経済というものに対してそういう定量的な目標値を示すのは非常に難しい、したがって定性的な問題にしようということで、数字が入っていますのはそれこそよく申します、名目成長率六ないし七%程度、実質成長四%程度、三%程度の消費者物価、二%程度の失業率、一%程度の卸売物価、すなわちよく言います七、六、五抜きの四、三、二、一以外の数字はなくなっちゃって、定性的なものになっていった。 事ほどさようにやっぱり難しいものだ。そして、あの世界の同時不況によって大変狂ったことに対する我々にも反省がありました。そういうことから、今おっしゃったような数値を明確に示すに至っていないというのが私はこの「展望と指針」。そして、それはどういうふうにして少しずつでも裏づけしておるかというと、健康保険法の改正とかあるいはこれからの問題で年金法の改正とかいうようなもので、おぼろげながらの将来の数値が逐次読めてくるような形で経済運営なりその一部である財政運営なりをして御議論をいただいておる。 非常に答弁にならぬような、私が平素思っている感想を述べたようなものでございますけれども、そんな感じでございます。
○鈴木一弘君 わかりました。当時は、このとき立てたのは年平均の国民所得の伸び率を一一%としているときでありますから、それは現在は変わっているでしょうけれども、変わったら変わったところでやっぱり展望が出るだろうと思うんですね。今のは何か、話を聞いていて、幽霊に足があるかないかわからないようなそんなふうな話になってきちゃうわけです、かすかにかすんで見えるものをあなた推測して考えなさいという言い方になるわけですからね。確かに国民には大変わかりにくいことだと思うんです。 その点は今後考えていただきたいと思います。 それから、租税の国民負担の増加の点を先ほど指摘したのでございますけれども、じゃ一体どこの分野の人に負担が行っているかということでこれは聞きたいと思うんですが、五十四年度の一般会計分に対する税収の合計が二十三兆七千二百九十五億円、そのうち所得税の中の源泉徴収分を見ると六兆八千九百九十九億円ということで、決算ベースで二九・一%になっていますね、税収合計に対する源泉分が。ところが、六十年度の予測、これから見ますと、税収見込みからいくと三十八兆五千五百億円で、源泉分が十二兆三千六百億、これは三二%ということになるわけですよ、税収合計に対する源泉分の見通しが。こういうことで一般会計における税収の伸びが現在六年間でどのくらいあったかというと、六二・四%になっているわけです。それに対して所得税の源泉分の税収の伸びは七九・三九と、約八〇%に上っている。こういうことだけ見ると大変だなとわかるわけです。伸びだけ見ても六年間で税収の増加分が十四兆八千二百五億円、その中で所得税の源泉分の増加が五兆四千六百一億円、こういう数字の上からだけ追っかけてみても、負担はこれは給与所得者に余りにも偏り過ぎているというふうになると私は思うんですが、いかがでございますか。
○政府委員(梅澤節男君) 今委員がおっしゃいました五十四年以降の税目の、税収の動向は大体そういう傾向になっておりますが、これはちょうどこの期間でございます五十四年、五十五年は非常に法人税の税収の勢いが大きかった年でございますが、五十六年、五十七年と第二次オイルショックの過程で法人税の税収の勢いが非常に落ちました。したがいまして、この期間をとりますと、確かに源泉所得税、特に給与分に関する税の伸びが、例えば五十四年、六十年で比較いたしますと、六二・五%が全体でございますけれども、源泉のうち給与所得に関する部分が八一・七%というふうに非常に大きな伸びの部分を占めた、この期間に関する限りはそういうことは申せるかと思います。
○委員長(藤井裕久君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。 午後零時三十八分休憩 ─────・───── 午後一時四十三分開会
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案、入場税法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木一弘君 午前中の質疑に続いて、給与所得者に一番しわ寄せがいっているんではないかということを私申し上げたいんです。 給与所得者の収入というのは毎年毎年、近年はそう大きくはありませんけれども、上昇しております。それに対して所得税の制度というのは累進税率ですから、どうしても給与所得者の所得の伸び以上の高い伸びの税金を取られることになる。しかもすそ野もだんだん広がってくるということになるわけでございますので、大変ふえてくるわけです。 そこで、GNPの伸び率に対する税収の弾性値を見ても、所得税が一・七一、間接税が〇・六二、一般会計分の税収全体で一・四と五十八年度分ではなっております。こういうふうになるということで、私はこれは本当に考え直していかなきゃいけないんじゃないかというのが先ほどからの指摘でございますが、政府の方では、財政が苦しい、こういうことから減税はできないということだと思いますが、税収を高める経済政策をとる、そういうことではなくて、異常に一方に偏っていくような税の取り方というものをそのまま放置しておくことは政府の怠慢ということになってきますから、今は物価が安定しているときですから、今こそ景気を高める。その効果は少ないかもしれませんけれども、そういう施策をするにはやはり、私も本会議でも要求をしましたが、サラリーマン減税というものを実施しなきゃいけないんじゃないか、こう受け取れるんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 今日の厳しい財政下にありまして、所得税減税が言ってみれば後世代の負担になる赤字公債、これの増発によって賄われるものであってはならぬということは総理も申し上げておるところであります。いずれにせよ、いわゆる給与所得者の方々の、総理の言葉をかりれば税に対する重圧感、そういうものがあることは自分としても承知しておる。したがってこの問題は、今後のいわゆる税制全般の見直しの中で我が国の所得税制をどういうふうにするかというような観点から広範な検討課題であろうというふうに思っております。 そうしてまた一方、税制調査会のいわば六十年度税制改正の中におきましての「厳しい現下の財政状況にかんがみれば、所得税・住民税の減税を行う余地はないと考える。」という答申に基づいてこの六十年度税制をつくりそして今御審議をいただいておるわけでありますが、減税に関する自由民主党幹事長発言というものが一方にございます。所得税減税問題については経済状況を勘案しつつ、政調・政審会長会談において、引き続き鋭意かつ誠意を持って検討を進める、そういう内容の話があったということを承知しておりますので、政府としてもこれを尊重するという立場を一方持っておることも事実であります。
○鈴木一弘君 立場をお持ちであっても実現しなきゃしようがないんで、この六十年度の後半に少しでもそういうサラリーマンに対する減税というものを考える余地というのはありますか。
○国務大臣(竹下登君) これは政府といたしましては、六十年度税制のあり方というものについての答申の基盤に立っておりますということを前提にすれば、現在の財政状況下において、五十九年度に本格所得税減税をやったばかりである、したがってこれをやる余地は現在ない、こういうふうにお答えせざるを得ないわけであります。 一方、いわゆる政党政治でもって立っております議会制民主主義の中で、各党の幹事長・書記長会談でこれに鋭意かつ誠意を持って検討を進めるということをおっしゃっておりますので、現在はその検討を見守っておるというのが、お答えするとすれば限界ではなかろうか。そしてその結論に対しては、当然のこととして最大限尊重していかなければならないものであるというふうに考えております。
○鈴木一弘君 衆議院の審議で与野党の合意がなされております。 その件について伺いたいんですが、寝たきり老人の介護減税、単身赴任減税、教育減税、これから実施に向けて与野党間で内容とかそういう規模を煮詰めるという話でございますけれども、大蔵省としてはどう考えているか伺いたいんです。
○政府委員(梅澤節男君) いわゆる教育費に関連いたしまして税制上何らかの措置を講ずること、あるいは単身赴任に伴う帰省旅費あるいは単身赴任手当等についての非課税問題につきましては、六十年度の税制改正に当たりましても税制調査会で御議論をいただいたわけでございますけれども、結論的に申し上げますと、特定の条件あるいは特定の家計支出に着目をいたしまして税制上の配慮をするということは、そういう個人的な事情のしんしゃくをするのにはおのずから限度があるということと税制上これはいたずらに税制を複雑にするという観点から否定的な見解を示された、先年の国会におきましてもそういう御議論がございましたし、それを税制調査会には御報告申し上げたわけでございますけれども、そういう否定的な見解があったということで、政府としてはこの案を六十年度税制改正においては提案しなかったわけでございます。 それから、いわゆる寝たきり老人と申しますか、特別障害者の特別控除額につきましては、これは五十九年の所得税法改正で他の人的控除とのバランスを考えながら、しかも通常の場合の引き上げ額に比べますとおよそ二倍の幅で引き上げきせていただいたところでございまして、私どもといたしましては率直なところ、これらの提案についてはいろいろ税制上問題があると考えておりますけれども、先ほど大臣のお答えにもございましたように、これは与野党間の話し合いで、しかも結論がまとまりました場合には政府としてこれを尊重するという統一見解も示されておりますので、現時点におきましてはこれらの諸問題について税制当局としてはとかくのコメントはやはり差し控えるべきであろうと考えております。政党間のお話し合いを静かに見守るという立場でございます。
○鈴木一弘君 政党間の話し合いを見守る、見詰める、それでもいいですよ。ですが、全然備えなしということはないでしょうから、検討したり計算の基礎を出したりということはおやりになっていらっしゃいますね。
○政府委員(梅澤節男君) 具体的な検討は一切やっておりませんけれども、これは大臣の御指示もございまして、与野党間でのお話し合いの中で各種の資料の提出を命ぜられたり、あるいはいろんな意見を求められた場合にはそういう御検討の作業のお手伝いは積極的にするという立場でございます。
○鈴木一弘君 六十年度実施ということになってきたときには、財源の確保の見通しとか減税の規模とか、この点はもう大体長年の経験からして、この程度になるというようなことは見当がつかれているんじゃないかと僕は思うんです。こんなことを聞くのは酷かもしれませんけれども、いかがでございますか。
○政府委員(梅澤節男君) この問題につきましては、先ほど来お答え申し上げているような事情でもございますので、御質問に対しましては具体的にお答えする用意がないということで御理解を賜りたいと思います。
○鈴木一弘君 今回のこの税制改正の中で、政府の税制調査会の答申の中で改正すべきである、こういうふうに言われていながら改正しなかったのは何と何ですか。
○政府委員(梅澤節男君) 一番税制調査会の御答申と私どもがただいま御審議をいただいております改正案で食い違っておりますのは、非課税貯蓄に対する課税の問題でございます。ただ、この問題につきましては、税制調査会の御議論をいただいた後、政府部内あるいは与党の税制調査会での御議論等も踏まえまして、政府の責任において税制調査会の御答申とは食い違っておりますけれども御提案を申し上げているわけでございます。
○鈴木一弘君 できなかったということで今話がちょっとございましたけれども、では、さらにもっとこの税調よりも進めたというところもあるんですか。
○政府委員(梅澤節男君) 進めたと申しますか、御答申には触れられていないところで御提案申し上げているものといたしましては、ただいま御審議いただいております入場税の免税点の引き上げの問題があろうかと存じます。
○鈴木一弘君 これは国税庁がいればいいんですが、私は本会議でいろいろ指摘をしました。指摘をしたのは、大型間接税の論議がある、あるいは付加価値税というような議論が出ておりますので、そういう間接税もいい、それに直間比率の見直しとかシャウプ税制の見直しをするということもわかるが、その前に、存在している不公平とか不公正というものをなくすことが先じゃないか。総理も公平、公正、選択とか、いろいろ四つのことを言っております、レーガンさんが言っていると同じようなことを言っていらっしゃいますけれども、こういうような公平、公正ということが一番大事だ。今まで参考人の意見を聞いたりいろいろしていますと、不公平をなくすにはどうするかといえば、国税職員をふやす以外にないというのが徹底している議論になってきているわけです。 私は、それはもう当然だろうと思います。そうでなくても目が届きかねる。本気になって目を届かせるということになれば何人も増加しなきゃならないでしょうし、そういうことは不可能だという現状のようですけれども、私どもはどうしてももっともっとふやしていただきたいし、ふやさなければ税の公平は期しがたいということと、いま一つは、ふやさなければやはりだんだんだんだん脱税する方に知恵がついてきて、本来納めてない税金を還付してもらうなんという悪らつな者も出てくる、こういうことになりかねないわけです。 そういう事例も既に出てきていますから、その点で大幅に増員をさせなければならない。全体として総理は何千人を減らしたということをおっしゃっていますが、何千人減らす場所も必要かもしれませんが、ふやさなければ国の存在とかあるいは税に対する信頼とか、そういうものが揺らいでいってしまうということになりかねない。現場の方はこれはふやさなければいけないと思うんです。これは大幅にふやすべきだというのを私は毎回主張しておりますが、これは大蔵大臣どうお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに、いつも申し上げるようですが、純増十一名、二けたといっても二けたの一番下ということに対して私もいつも悩みを感じております。とかく大蔵省という役所でございますので、行政改革という旗印のもと、いわばまず隗より始めよ、こういうことに傾向としてはなりがちであります。その中にあって私どもがこれが主張できるのは、たびたび本委員会等において激励の意味を含めた附帯決議、そういうもの、そして本委員会における今のような御発言等が支えとなってこれに対して対応しておるわけであります。 しかし、私自身ももう長いこと大蔵大臣をやっておりまして、およその人員配置というもののポイントはそれなりにつかめてきたような気がしますので、あらゆる、機械化の問題でございますとか、あるいは教育訓練の問題でございますとか、あるいは各種団体等の御協力をいただいての普及、啓蒙の問題でございますとかを含めつつも、やはりこの増員問題についてはより一層真剣に立ち向かっていかなきゃならないという問題意識を一層強くしておるというのが現実でございます。
○鈴木一弘君 これはもうせっかくのことでございますから、一生懸命増員に対して我々も応援をしてまいりますので、頑張っていただきたいと思うんです。 それから次に、アメリカの財務省の税制改革案を見てみますというと、米国政府の提案したのを見ると財務省案では現行の税率構造を十四段階から三段階にする、そういうフラットな構造に直そうというような動きがあります。このとおりいくかどうかわかりませんが、こういうような考え方、それから日本にない控除があります。私も本会議で質問したのが住宅ローンの控除ですね、この利子控除。それから、そのほかの利子の支払いについても控除がアメリカの場合はされている、所得税についてです。それから、地方税の項目別の申告による所得控除もしている、それもできる。今度の財務省案では、現行はできるようになっているけれども、今度はさせないということのようでございますが、共稼ぎの所得控除もある。いろいろあるわけです。幼児の保育費についての税額控除、今度は所得控除に直したいということのようですが、こういうのを見ていると、日本にないものが向こうにある。接待費についての所得控除も行われている。今度は財務省案では、ないというふうになっているようです。 何か総理なんかの頭の中にはこういうものが入っているのかなと時々思うんですけれども、これは大蔵大臣、こういうようなアメリカの税制についての意見を求めても仕方のないことですが、この中でぜひともやはり私は住宅ローン控除をとるとかあるいは税率構造も若干いじらなければいけないだろう、大きな動かし方はできないでしょうけれども。それから、幼児の保育費についてなんというのは、本当にこれは控除を考えてあげてもいいんじゃないかと思うわけです。 こういうきめの細かいものをやってやらないと、どうしても不公平感というか、というものはぬぐい切れないものが出てくるんじゃないかというように思うんですが、この点いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは具体的には梅澤局長からお答え申し上げた方が適切かと思いますが、私今度の、前リーガン長官の時代のいわゆる財務省からの提言でございますが、鈴木さんもおっしゃいましたように、アメリカの国会がどうこれを始末するかということは私もよくわかりません。しかし非常に興味を持っておりますのは、いわゆる今おっしゃったフラット税制の問題が一つであります。ああして五十九年度税制において十九段階を十五段階というふうにしていただいたわけでありますが、この問題は五十八年度の暮れに出されました中期答申を引用してみましても、私はなお引き続き検討すべき問題ではなかろうかというふうな問題意識は持っております。 それから、所得税における控除の問題と、それからいま一つは法人税の関係の問題もある、ややフラット税制でございますが、これについて若干、これは私的な評価でございますから、梅澤博士の評価の方がより権威があると思いますけれども、私は、今行われておるアメリカの税制の複雑な部分は、日本の税制調査会で指摘されておって日本の税制の中で手直しをしてきた方向にアメリカが後からついてきているような印象を若干持っております。 法人税になりますと、なかんずくレーガノミックスで大変な投資減税でございますとか、それの反省みたいなのが出てきておるんじゃなかろうかという感じも実は持っております。 したがってこれは、日本の税制はあくまでも日本の税制でございますけれども、非常にその辺に関心を持ってと申しましょうか、興味を持って読ませていただいておることは事実であります。 御指摘なさいましたいわゆるフラット税制の基本的な考え方というのは、我が方の税制調査会の答申ともその方向としては一致しておるんじゃなかろうか、こんな感じで受けとめております。
○政府委員(梅澤節男君) 今大略大臣から御答弁があったわけでございますが、委員が御指摘になりました二点につきまして若干申し上げますと、いわゆる住宅ローン控除というのはアメリカの税制では非常に古い時代からあった制度でございまして、今回の財務省の改革案では、これは一切廃止するという提案になっておるわけでございます。 ただ、その後大統領の一般教書などを読みますと、この部分は残すようなことを示唆するような一節もございまして、どういうふうになるかは存じませんけれども、税制当局者として客観的な言い方をお許しいただきますと、この住宅ローン控除につきましてはアメリカ国内でも非常に一部批判がございます。結局、この種のものを無際限に認めますことは、資源配分に必ずしもプラスにならないということと、逆の意味での不公平が生じかねないという問題が当然のことながら起こるわけでございます。しかし、これはあくまでアメリカの税制の話でございますから、税制の議論としてはそういう問題があるということでございます。 それから、一定の年齢以下のあるいは身体障害者等に対して、我が国の人的控除のほかにプラスアルファとしての税額控除の制度がアメリカにあることは御指摘のとおりでございます。 ただこれも、税制当局の考え方から申しますと、なるべくこの種の人的控除というのは基本的なものに吸収することによって税制を簡明なものにした方がよいというのが基本的な考え方でございまして、この考え方は一昨年の税制調査会の答申にもございまして、我が国にもいろんな人的控除はございますけれども、将来の方向としては基礎的な人的控除に漸次吸収していく方向で税制を簡素化すべきであるという御議論もあるわけでございます。 したがいまして、アメリカのプラスアルファの税額控除をどう評価するかということでございますけれども、結局のところは基礎控除なり、我が国で言います配偶者控除、扶養控除を含めましてその控除の体系あるいは控除の水準が一体どうなのかということで議論すべきでございまして、特別の我が国にない項目の控除のあるなしという議論よりも、むしろ所得税の控除体系全体の中で我が国と比較した場合一体レベルはどうなのかというふうな議論がされるべきであろうと思います。 それから、もう一つ付言させていただきますと、税制調査会の委員の方々の中には、この種の所得控除についてはむしろ税額控除という方向を今後検討すべきであるという御意見もあることは事実でございます。
○鈴木一弘君 民間活力活用ということを随分言われている。言われているのであれば、公共投資の不足を補うとなれば住宅投資をふやすということになるでしょう。そういう点では、やはり住宅ローンの控除なんというのは入れておいてあげる方がいいんじゃないか、私はそういう点から申し上げているんですけれども、これは大臣いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる住宅政策という、やっぱり一つの政策税制であろうと思うのであります。その政策税制が与える影響というものが、私は全くそういう影響がないというようなことを申すつもりは毛頭ございませんが、理屈の論議をしますと、私は必ずしも公正、公平という観点からよりは、やっぱり住宅政策としての政策税制の方の比重が余計かかっておることだと思います。 そういうときに、最近これも私的な勉強の上に出たことでございますけれども、結局住宅というのは、ここでいろいろな御議論をいただいて私が大蔵大臣になってからできた制度をちょっと分析してみますと、二つありますが、一つは、いわゆる住宅金融公庫等の割り増しの融資対象、老人を呼んだ場合に融資対象の面積を広げるという案でございました。これは選挙のときに使いやすいようにと思いまして、じいちゃん、ばあちゃんいらっしゃい、おうちが大きくなったから、こういうキャッチフレーズがいいんじゃないかなと思って考えたことがあります。それからもう一つは、二世代ローンでございます。おまえも大きくなったから一緒におうちを建てようや、そうしたら、私が期待しておったよりもそれに対する利用が必ずしも多くないということを聞きまして、これはやっぱりおれの言ったことじゃだめだったんだな。 そうなるとどこに隘路があるかとなりますと、言ってみますと、昭和四十四年と五年がピークで成人式が二百四十何万で、今平均が百六十万になっておりますので、結局あのベビーブームのときに生まれた方々がもうみんな経済成長の中で上の方へ、大きな方へ入っていって、新しく成人になる人はそもそも結婚の組数が四十万組ぐらい違いますから、したがってそういう空き家が余計できて、私が建設大臣をしておった昭和五十一年のときが百九十万戸くらいでしたから、恐らく三百万戸を今超しておると思います、空き家戸数が。 そういうところにもあるのかなと思ったりしていますけれども、政策税制としての意義自身を私は否定するものではございません。
○鈴木一弘君 国税庁次長が見えたようですが、先ほどこれ議論が一応大臣との間で終わりましたけれども、国税職員のいわゆる過労の問題があると思います。 それでちょっと伺いたかったんですが、とにかくいろんな要求を見ていても、年次休暇をちゃんととりたいみたいなのがある。今になって休暇をちゃんととるなんという要求が出るなんというのは日本の労働運動としては、まあ労働運動そのものとしても非常に日本はおくれているという感じを受けるわけです。そういう点から見て、相当事務量というか仕事量が増大して、事故も発生しやすくなっているんじゃないかということで、その点のことがどんなふうかということをお伺いしたいんです。
○政府委員(冨尾一郎君) 先生御指摘のように、私どもの今現在の事務の状況は、定員一人当たりの納税者数等の数から見て十年前に比べて随分ふえておりまして、そういう意味で非常に事務量的には負担の多い状況でございます。ただ、特に三月の確定申告の時期などはやはり一千万を超える、つまり申告をされる方が去年の実績ですと七百万くらい、それから還付が六百万ということで、そのほかもいろいろ合わせて一千万以上の方が申告されるわけでございますが、こういう時期、非常に込み合うわけでございます。 私どもとしては、それらの状況を踏まえまして、健康管理その他につきましては従来から大変気を使っておりますけれども、確かにおっしゃるようにこういう繁忙期におきましてはなかなか事務量的にカバーし切れないということで、相当アルバイトを雇ったりということで工夫をしながらやらせていただいております。そういうことで、職員にできるだけ負担がかからないようにという意味での事務のやり方につきましては、ここ数年いろんな形で工夫をしながらやらせていただいております。 ただ、基本的には、先生おっしゃいますように、国税職員の増員という問題もございましょうが、私どもとしてはそれをお願いする一方で、今後事務の機械化、さらにはいろんな形での仕事の効率化ということに努めまして、みんな元気で私どもとしても与えられた仕事に邁進するように今後とも気を配ってまいりたいというふうに思っております。
○鈴木一弘君 前に越谷での集団の病気が出たりしたこともございます。そういう点からやはり余り過労になるようじゃいけないし、それで今先ほどは、税の不公平の問題等を直すにはどうしても職員の増加をしなきゃならない。一体、ある程度ここまでやりたいという目算があると思いますけれども、その目算を達成するにはどのぐらいまで増員させたらいいかというめどはございますか、目途は。
○政府委員(冨尾一郎君) 私どもとして従来から税の公平確保というのが税務行政の一番の使命でもございますので、この面からいろいろ施策を進めておるところでございます。そういう意味で定員の増加につきましてもいろいろお願いをしておるわけでございますけれども、基本がやはり私どもとしては税務執行ということになりますと、今の税制の基本的なところからやっぱりいろいろ手をつけてまいるというか、制度の基本的なところに着目した施策ということからまず始める必要があろうかと思っております。そういう意味で、まず、納税者の方々に適正な申告をしていただくという意味での施策を展開していく。それから、私どもとしての一方で調査体制を拡充していく、そのための内部の事務の合理化、機械化等も進めてまいるということで、基本的には二つを進めてまいりたいと思っております。 したがいまして、その中でどの程度の人をふやせばどういう状況になるかということについて、定量的に私ども申し上げるのはなかなか難しゅうございます。現状から申し上げまして、現在の実調率その他を倍に引き上げるにはどうすればいいかという計算が一応できないわけではございませんが、そのことによりましてそれだけで直ちにというわけにはなかなか現在の行財政状況の中で難しい面があろうかと思いますが、私どもとしてはできる限り増員もお願いし、かつ我々のできる限りのいろいろな施策、申告水準の向上や調査の充実等につきまして努力をして、その中で納税者の方々の御信頼を得ていくという方向で今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 その今の発言のとおりにうんと努力をして増員を図っていただきたいと思います。じゃ国税庁結構です。 次に私は、この租税特別措置法それ自体の中でございますが、伺いたいことが一つあります。 それは、税制調査会のこの答申、報告ですか、これから見ていきましても、いわゆる「利子所得とされていないその他の金融商品及び金融類似商品の収益」という言葉がございます。実際につかまえているところの金融商品もあれば、つかまえられないでいる、所得に対して課税されないものもあるということなんですけれども、こういう点について今後どうしていくつもりでございますか。
○政府委員(梅澤節男君) 今仰せになりましたように、税制調査会で利子配当課税の御議論を賜りましたときに、所得税法上は利子所得とされていない、しかしいわゆる金融節税商品と言われるものにつきましての課税のあり方についていろいろ御議論をいただきました。 そのときに、この種のものとしてはグループに分けますと大体三つぐらいの種類があるわけでございます。 一つは、キャピタルゲイン非課税制度を利用した金融商品ということで、典型的には、今回御提案申し上げておりますけれども海外のゼロクーポン債でございます。それから二番目のグループといたしましては、一時所得とか譲渡所得の特別控除を利用したいわゆる金融商品と言われるものでございまして、議論の対象になりましたのは一時払い養老保険、それから金投資口座。それからもう一つのグループといたしましては、これは主として年末調整で税務の完結する給与所得者の場合でございますけれども、雑所得の申告不要制度がございまして、二十万円以下については申告しなくてもいい。そういたしますと、その制度を利用いたしまして、定期積み金とか、相互掛金とか、あるいは抵当証券といったようなものが対象になるわけでございますが、結局のところは、今回、海外のゼロクーポン債についてキャピタルゲイン非課税の例外として課税の対象にするということで御提案申し上げておるわけでございますが、その他の問題につきましては、いろいろ検討いたしました。 例えば一時払い養老保険の場合でございますと、一定金額以上のものは現行制度におきましても支払い調書が税務官署に来ることになっておりまして、所得捕捉という面では現行の制度をしばらく運用することで大きな弊害は生じないんではないかということで現行どおりと考えておりますし、その他の金融商品につきましても、投機性のものがあったり、それから利回りの非常に低いものもございますので、六十年度の税制改正に当たりましては、これらを新たに新規の課税対象にするということについては、これを見送ったという経緯がございます。
○鈴木一弘君 いろいろな利子配当の所得があるわけですけれども、一つには、私はどうも納得しがたいものができてきているのは、全般的に分離課税の場合百分の三十五というのがあるかと思えば、割引債のように頭で一六%のがありますね。どうしていつまでもいつまでもこれだけ一六%なのか、やはりもしそれを引き上げるということになれば、そこへ行っていたところのお金がどこかへ流れていってしまう。そういうことから一六%にしたのか、それが本当に適正なものなのかどうなのかということが私わからないものですから、それをひとつなぜかということを伺いたいんです。 それから、いま一つは、債券ディーリングをやっていった場合、その得た利益というのがありますが、そういう例えば国債の十年物を買っておいて、次に一年たって売り払って、また十年物を買えば少し出てきますね。そういうようないろんな所得があるわけですから、そういうものについての捕捉というのはこれは恐らくされないんじゃないかという感じがする。しかし、間違いなくこれはもうかってくるもんですよ。そういうようなことが逃げていていいのかという心配があるんですけれどもね、この二点について伺いたい。
○政府委員(梅澤節男君) まず、割引債の償還差益に対します分離税率の水準でございます。 これは四十年代からずっと制度の沿革をたどってまいりますと、いろんな経緯があるわけでございますが、基本的に申し上げられることは、利子所得に対します源泉徴収税率二〇%の水準と、それから源泉分離選択三五%のバランスで定められてきた経緯がございます。御案内のとおり、割引債というのは発行時に源泉徴収いたしますから、それはいわば先取りになっているわけでございます。したがいまして、その辺のバランスを考えながら現在の一六%の水準にまで引き上げられてきた経緯を見ますると、やはり一般の二〇%なり三五%の引き上げとのバランスを図りながら今日まで引き上げられてきたという経緯がございます。 この分離税率の水準につきましては、したがいまして、これだけを取り上げるのではなくて、利子所得に対するあとの二つの源泉徴収税率、あるいは課税方式を一体どう設定するのかという関連でやはり議論をされるべき問題であろうかと考えております。 それから後者の方は、これは有価証券の譲渡益は基本的には非課税になっておるという問題でございまして、これにつきましても、たびたび申し上げておりますように従来の経緯等もございますが、いわゆる捕捉が的確に行われない場合にはかえって税の不公平を招くということで、税制調査会の従来の考え方は、しかしながらそうはいっても、漸次これを課税強化する方向で検討するということで、現在までのところ、これを即時全面課税の対象にするというふうな結論にはなっていないわけでございます。
○鈴木一弘君 株の取引の場合には一定の条件のもとでかけられるようになっておりますが、今非常にふえてきているのが、転換社債であるとか、そういった方へお金が流れていきますよね、あるいは今申し上げた国債のような債券を買うとか。 だんだんだんだん何か、一生懸命働いて得た方の金よりも、転がしていった方の金の方がいいという時代に入ってしまうというおそれも出てくる。私はそういう点で、今だんだんとと言った、一遍にはできないがだんだんととおっしゃった。だんだんとのだんだんは、今回出たゼロクーポン債のようなものを言っているのか。また、そうすると、この次はどういうものを予定しているかということを聞きたくなってくるわけですが、どうでしょうか、それは。
○政府委員(梅澤節男君) この種の問題につきまして、やはり適正に課税しなければならないという問題意識を持って検討しなければならない課題であるということにつきましては、先ほどの税制調査会の考え方も御紹介申し上げましたけれども、委員の御指摘の方向と私どもはそう方向としては、同じような問題意識を持っておるわけでございますが、ただいわゆる有価証券の譲渡益の問題につきましては、現在、例えば事業譲渡類似のものとか、買い占めに伴うものとか、あるいは継続的な大量の取引といったようなものについて課税の対象にしておるわけでございますが、これが全面捕捉できないというところに実はこの問題の難しさがあるわけでございます。 それと同時に、税制上きちんと理論づけはされていないわけでございますけれども、昭和二十八年に有価証券の譲渡益が非課税になりましたときに、同時に有価証券取引税が創設されておるわけでございます。これは前回近藤委員の御質問のときにも触れさせていただきましたが、その中でも、例えば株式等は諸外国に比べてもかなり高い水準の税率、数少ない税率のもとで課税しておるという部類に我が国は属すると思うわけでございます。したがいまして、将来の有価証券をめぐる課税問題につきましては、有価証券取引税のあり方等も含めましてやはり総合的に検討するという問題であろうかと思います。 ちなみに申し上げますと、ゼロクーポン債を今回キャピタルゲイン課税の対象にいたしましたのは、これは海外で発行されるものでございますから、一六%の源泉徴収税率もかかってないわけでございます。したがいまして、これは幾ら何でも課税の対象にすべきであろうということで、今回課税の対象にするということで御提案申し上げておる。 いずれにいたしましても、これは将来の一つの税制見直しに当たっての大きな検討課題であるという問題意識は持っております。
○鈴木一弘君 次に、さんざん議論されてきたことだと思いますが、所得税の中の「課税所得の範囲」のところですが、利子所得の非課税とか、非課税の問題ですが、これをちゃんと今後は郵便貯金の場合も、いろんな場合も、住民票の写しとか、その他の政令で定める書類とか、氏名、生年月日、こう出てきているわけです。そういう一つ一つを見ましても、私は、その他政令で定める、一体何を言ってらっしゃるのか、こう思うわけです。 というのは、その政令で定めるというのは、例えば健康保険証であるとか、そういうことなのか。そういうような、コードナンバーのついているものです、あれは。そういうものを指しているのか。それともそういうコードナンバーも何にもないものだけを指しているのか、その辺のところをひとつ伺いたいんです。
○政府委員(梅澤節男君) ただいま御提案申し上げております公的書類によって本人確認をするという場合にポイントになりますのは、住所、氏名はもちろんでございますけれども、生年月日というものを非常に要件にしておるわけでございます。これは国税庁ともこの立案をする段階で随分議論をいたしまして、国税庁から非常に強い要望がございまして、いわゆるアイデンティティーを確認する要素としてはやはり生年月日というのは非常に重要な要素であるということでございました。 したがいましてこれを法律上の要件として明記させていただいておりまして、法律では住民票というふうに書かせていただいておりますけれども、政令、省令で一体どういうものにこの書類を限定するのか。余り書類が広がりますと制度の実効を期しがたいということもございますが、一方、貯蓄者の立場を考えますと、住民票以外はだめだというのもやはりいろいろ問題があろう、したがいまして生年月日の入っている公的書類というものの中から適正なものに限定してただいまピックアップの作業をしておるわけでございますが、その中には、ただいま御指摘のありました健康保険証をも含めました社会保険証のようなものとか、あるいは国が発行いたします各種の社会保障給付の手帳でございますね、年金手帳とか生活保護者の方の手帳とか、そういったものは皆生年月日が入っております。 そのほかに考えられるものといたしましては、例えば印鑑証明とかそういったものも考えられるわけでございますが、いずれにいたしましても先ほど申しましたような考え方に沿いまして、住所、氏名のほかに生年月日がきちんと入っているしかも公的機関の発行した書類、これを政令、省令で定めさせていただくということで現在作業を進めているわけでございます。
○鈴木一弘君 その場合、重複を調べるということになれば、生年月日よりもコード番号のある方がいいでしょう。そうすると、住民票には番号はございませんよね。番号のあるものといったら免許証とかあるいは健康保険証とかということになるんだろうと思いますけれども、その点は、そういうことは全然考えずにいらっしゃるのかどうか。 それからもう一つは、重複を避けて名寄せをするとなれば、オンライン化をしなきゃこれは到底できません。人間だけで突き合わせしているのでは、とてもじゃないけれどもらちが明くものじゃないだろうと思います。そういう点はどうなんでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) まず最初の御指摘の点でございますけれども、最近多くの公的書類の中にナンバーの付されておるものがあることは御指摘のとおりでございます。ただ、今回の制度との関連で申し上げますと、グリーンカードの場合は一人一番号のナンバーで、それを電算機で処理する、つまりそれを名寄せのキーにするという考え方でございましたけれども、今回の場合はそういった複数の公的書類で住所、氏名、生年月日で名寄せをするということでございますので、そのコードナンバーがコンピューター処理のキーナンバーとして使えないとなると、ナンバーのあるなしというのは名寄せそのものを効率的に行うために、全然無関係とは申しませんけれども、大きな要素にはならないだろうというふうに私どもは考えております。したがいまして、ナンバーのある書類であるかないかというよりも、くどいようでございますが、先ほどから申し上げておりますように、生年月日の入ったきちんとした公的書類をなるべく限定的に決めるという考え方で作業を進めておるわけでございます。 それから後者の問題でございますが、これはあるいは国税庁の方から御答弁申し上げることになるかと思いますけれども、名寄せが必ずしもオンラインでなければならないという問題でもなかろうと思うわけでございますが、少なくともそれがコンピューター処理になじまないと、つまりそういう技術システムができないときちんとした限度管理ができないということは、御指摘のとおりだろうと思います。
○鈴木一弘君 最後に、いろいろ地方と国との財源の問題、税源の問題の再配分ということがよく唱えられるわけです。私も、昭和元年における既存税目、それから戦争中、昭和元年から十一年までにできたもの、それから十二年から二十年まで、二十年以降のもの、こういうふうにできたものや廃止したものを見ているんですが、国から地方へ移管されたものもあるし、入場税のように地方へ行ってからまた国へ戻ってきたものもございます。 こういう表を見ていて、これから果たしてどの税目が、地方へ移管するとかやり直しをするなんといったらどれが対象になるんだろうか。唐突な質問かもしれませんけれども、もしこれ頭の中に少しでもあれば、これは大蔵大臣に伺った方がよろしいかと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) これはなかなか難しい問題でございますので一般論として申し上げますならば、いわば入場税は行って返ってきたとか、そういうことで、今度の税制改正で議論していただくということになりますと、まずは単に地方税だけでなく、いわゆる地方の財源になります地方交付税、それからあるいは地方譲与税、それから国庫支出金のあり方、さらには国と地方との行政事務の配分とか、そういうものを含めて総合的に検討しなきゃならぬじゃなかろうか。 一つの税目だけをどちらが妥当かというような議論でなく、そういうまさに交付税から譲与税から国庫支出金のあり方、それから一体国と地方は基本的にどういう事務配分でやるべきか、そういうことになろうかと思いますので、だからこの問題については恐らく国と地方との財政状況等の議論も出てくるでございましょうし、かなり私は慎重に検討していくべき課題ではないかな。ただその税目だけで論議するというのは非常に難しい問題じゃないだろうかというような今日の私の一般論としての感じを持っております。
○近藤忠孝君 最初に入場税の問題でありますが、これは今までも指摘されておりますように、戦費を調達するための財源としてということで細かいところから気を配って集めてくる、言葉をかえて言いますと、ちり一つ残さず掃き取っていくように税金を徴収するものであります。ですから、戦後世の中が変わってくれば、その意味では入場税に対する考え方も変わらざるを得ないということはもう議論されてきたところですね。ですから、これは第四十回国会で当時の水田大蔵大臣も、この種の入場税というものは実際は税としては悪税で、これは将来撤廃すべきものだと考える、こういう答弁をしております。 にもかかわらず、今まで撤廃されずに来たわけでありますが、竹下大蔵大臣として、これは悪税とお考えかどうか、そして今回は撤廃しなかったんですけれども、将来としては撤廃という方向で考えるべきものかどうか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは私は、既存税制というのはそれなりの歴史的経過等をたどりながらできてきたものでございますから、これは悪でこれは善だという区分の仕方は難しいと思っております。今だんだんだんだん消費の態様が違ってきまして、いわばサービスに対する税というものの議論が新しい議論として出ておるときに、私はそれなりの意義があるのではないか。そして、今度の場合はそれの免税点の引き上げを経済社会の情勢に応じてやるわけでございますから、悪税であると言って断ずるのは酷ではないかなと思います。 それから、最初おっしゃいましたいわゆる入場税は戦費調達という議論でございますが、大体いろんな税を見てみますと、やっぱり戦争のときとか、これは日本によらず、そういうときにいわば増税論議が出たときに着目されたものが契機になっておるという例は確かにございます。最近の世界の税というのは、むしろ公正、公平というような議論になっておって、税の出発点から見ますと、そういう歳出を余計伴うようなものができたというときにはやっぱり戦争なんというのがきっかけになっておることは事実でございます。
○近藤忠孝君 今までの方向とちょっと違ってきたんじゃないかと思うんです。やはり戦争中の税制で戦後変わってきた。特に文化国家という面からはこれは矛盾するんじゃないかという議論が高まって、そして水田大蔵大臣のような答弁があって、そしてやっぱり方向としますとだんだん下降線をたどって免税点を引き上げ、やがて撤廃という方向に進んでおったかに感じておったんですが、今の大蔵大臣の答弁ですと、サービス税制、要するに情勢が変わってきたということからいきますと、せっかく着陸しかかったのがまた今度上へ上昇するんじゃないか、こんな感じを今の答弁から受けたんですが、今の御答弁はそういうことを示唆しているんですか。
○国務大臣(竹下登君) やはり私はサービスというものに担税力を求めるというのは税理論としてはあり得ると思いますが、その側面を強いて言えば、いわば競馬、競輪と純粋のピュアな文化といいますか、そういう文化政策の面からの御見識だろうと思いますが、私もそれほどの文化人でもございませんのでそういう文化政策を論ずるほどの器量は持っておりませんけれども、そこに若干の差異があるというのは私もそれはわかります。が、やっぱりどこかに担税力を求めなきゃいかぬという国民共通の認識の上に立てば、サービス部門というものが非常に広がった今日、担税力のあり方としては私はそれなりに、ギャンブルとの相違はありましても一概に悪税だと言うべきものではなかろうというふうに思います。
○近藤忠孝君 我が党もこの後修正案を出しますが、ギャンブルなどの入場税はやっぱり残すべきだと思っておるんですね。ただ、本当の映画、演劇などの文化にかかる入場税は撤廃すべきだ、こう思うんです。しかも、これは担税力という問題がありましたけれども、戦争中は担税力とぜいたく品である、こういう両方の面がありましたね。今、ぜいたく品であるという感じはだんだんなくなってきた。しかも、担税力と申しますけれども、これは税額として約四十億円でしょう。ちょっと、余りにみみっちい。やっぱり文化ということを考えれば、この程度のものをわざわざ取らなくてもいいんじゃないか。特に竹下さんの文化的な素養についてはここでとやかくしませんけれども、しかし少なくとも文化国家の大蔵大臣ですから、そういう点から、四十億というこの税を徴収しなければ本当にいかぬものかどうか、これはどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) この四十億がなかったら予算が組めないとか、それそのものを対象にして議論した場合、私もそういう議論をしようとは思いませんが、全体の調和でございますからハーモニーとして考えるべきではないか。税制の中にもまたハーモニーという文化ありき、こういうのも一つの論議かなあと思います。
○近藤忠孝君 ハーモニーからいけば、この四十億はない方がこれは文化国家としてはハーモニーがあるんじゃないか、こう思いますが、この程度にしておきたいと思うんです。 それから次に、租税特別措置についてでありますが、前回の議論で、ハイテク減税などがいわゆる民間活力ということによって税制に持ち込まれることに対して私は批判申し上げました。そして、単に税制だけでなくて補助金あるいは財投など二重、三重の恩典が特にこの対象となる大企業に向けられているんじゃないかということで、日立製作所など五社について補助金、委託金などでどの程度行っているんだろうかということで私どもの方の計算を申し上げて、日立が七十億、三菱重工五十五億、東芝五十二億、川重三十六億、石播十九億というところまで行って時間切れになったわけであります。 そこで、大蔵大臣に、これは大ざっぱな感じでいいんですが、今申し上げたこれらの企業へ行っている補助金、委託金は、これらの企業の経常利益の中でどの程度の割合を占めているんだろう、当てずっぽうで結構です、これは間違ってもしょうがありませんが、大臣の大体の感覚を言っていただきたいと思うんですが。
○国務大臣(竹下登君) これは書いたものがございますので。 御指摘の五社の五十九年三月期決算における経常利益は、日立が千八百七十二億、三菱重工業五百三十億、東芝千四十四億、川重が三角の百一、石川島播磨が二百二十五であるが、この補助金、委託金の額を把握することは困難でございますので、したがって割合については申し上げる準備をしておりません。
○近藤忠孝君 経常利益だけでも準備いただいたということは結構だと思うんですが、川重はイラク向けやその他の問題での代金先送りのために赤字になっているわけですが、一応黒字のところで見てみますと、日立の場合が補助金などの割合は私どもの方の計算ですが四%、三菱重工が一〇%、東芝が五%、石播が九%ということで、膨大な利益が存在してその利益の四から一〇%が補助金などで面倒を見ている。こういうことになりますと、本当に必要な税制なのか、またそういう補助金なのか。 となると、前回申し上げたハイテク税制など、それから今申し上げている各種研究開発補助金、この妥当性についてやはり再検討があってしかるべきじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。
○政府委員(的場順三君) 一昨日も御答弁いたしましたように、これはその執行面は通産省がどういうふうに効率的にやるかということでお考えになるということでございますが、財政当局としては、貿易立国でございますので、結局その技術の開発というのが今後の日本の経済成長を左右するわけでございますから、現段階で企業のみが負担をしてはそういう技術がなかなか開発できないという分野について、国としてもある程度考えなければいかぬ。その分野がどういうものであるかということについては相当論議を重ねまして、予算に計上しているわけでございます。したがいまして、その大企業に直接行っているということではないわけでございます、事柄に着目して決めているわけでございますので、こういう補助金は必要であろうというふうに考えております。
○近藤忠孝君 これらのハイテク減税の対象に予定されている分野は新素材、バイオテクノロジー、先端エレクトロニクス技術、高性能ロボット・先端生産加工技術、極限環境技術、革新的プロセス技術などの六つの技術なんです。これはいずれも将来の高収益が保証された分野だ、こう思うんですね。 そこで、これは証券局長にお聞きしたいんですが、これらの企業の、ハイテクの関連株の値動きはどうなっていましょうか。
○政府委員(岸田俊輔君) 最近の株価動向でございますが、これは一つのハイテクというカテゴリーがございませんので、それぞれのいろいろなカテゴリーに属している。例えば、バイオテクノロジー関連株は大体化学とか食品に入っております。それから光通信技術関連株は非鉄に入っております。これらは確かに上昇をいたしております。一方、半導体等の技術関連株、これが入っておりますのが電気機器でございますが、これは昨年の中ごろはかなり下落を示しておりまして、すべてが全部好調ということでもないようでございます。
○近藤忠孝君 これは新聞の報道ですが、五十八年はエレクトロニクス関連株人気に沸いた。それから五十九年の後半、この中で活躍したのが一連の新技術、バイオテクノロジー関連の材料株など。そしてこれは二月二十二日の記事ですが、マル金、金持ちのマル金は薬、ハイテクというので、具体的に幾つかの企業名も挙がっておるわけであります。 それで、やっぱりこういう株の値動きなどがいいということは、将来の高収益が保証された分野だからではないか、こう思うんですがいかがですか。
○政府委員(岸田俊輔君) 確かに化学、食品、非鉄などは上昇いたしておりますが、先生御指摘のように、その要因の一つの中には将来の高収益に対する要因というものも考えられるわけでございますけれども、もともと株価と申しますのはいろいろな要因がまざって決定されてくるものでございまして、具体的にこれだというような要因につきまして確たることはなかなか申し上げかねる状況かと思います。
○近藤忠孝君 じゃ、株はそういう要素があるから、今度は実際中身でお聞きしますが、研究開発投資の収益率はこれどれくらいでしょうか、大蔵省でも検討していると思うんですが。
○政府委員(梅澤節男君) 研究開発投資の収益率というのは、学問的といいますか理屈の話といたしましては、研究開発投資を一単位ふやした結果追加的に付加価値が一体どれだけふえるか、そういう限界収益率ということになると思うのでございますけれども、これはやはりその研究開発投資の懐妊期間がそれぞれ投資の内容によっても違いますし、それから失敗する場合もあるわけでございますね。したがって一概に、研究開発投資の収益率が幾らかと言われても、これはいろんな研究があることは私ども承知しておりますけれども、大数観察の。これも一つの研究でございますから、税制当局として収益率がどれぐらいであるということは申し上げることはできないというふうに考えております。
○近藤忠孝君 恐らくそう言うと思ってこういう質問をしたのですけれども、要するに研究開発投資はリスクが大きいことを強調するんだと思うんですね。確かにリスクは大きいんですが、その反面、収益も極めて大きいというのが実態であると思うんです。 それで、これは幾つかの研究の一つだと思うんですが、日本開発銀行設備投資研究所の研究員鈴木和志さんの論文を読むと、一般には大体、一般の収益率に比べて四〇%前後は上回る、ということは大体五〇から六〇%の高い収益率を示しておるとしっかり書いてあるんですね。これに反する論文というのは余り見当たらないんじゃないかと思うんですが、こういう論文があり、そういう面もあることはこれはお認めになるでしょう。
○政府委員(梅澤節男君) そういった研究論文があることは承知をいたしておりますが、ただ、いろいろ言われておりますことは、もちろん研究開発投資すべてが高収益を上げるというわけにはいかないわけでございますけれども、そういう大数観察をした中でも高度成長期以降この率がアメリカなんかに比べて日本は低くなっているという問題が指摘されておりますし、総理府の、科学技術庁でございましたか、研究報告などを見ましても、昨今、短期収益率が低下の傾向にあるというふうな指摘もございます。
○近藤忠孝君 そういう指摘はあるにしても、やっぱりこれは大きく見なきゃいかぬわけですからね、大きく見ますと、全体としては高収益が保証され、しかも対象となるのがほとんどが大企業であるとなりますと、これは民間活力論のところでこの間梅澤さんとも議論したところですが、本当に必要なのかどうか。本当に必要かということは、そこで国が補助をしたり、しかも最高のこれは優遇である税額控除をするだけの必要があるんだろうかどうか。 これは大臣、どうでしょうか、ここで今のやりとりをお聞きになって、こういう高収益まで具体的に今指摘できる、株の値動きもこうだ、となれば、これはどうなんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは結果として高収益のものが私はあろうかというふうに考えます。 それで、そもそも、おっしゃいますように租税歳出とかそういう言葉が使われております。仮に補助金でなく税の場合であったとしたならば、支払うべき税を支払わないというのは、逆に言えば歳出によって助成されたと同じではないか、こういう議論でございます。そういうものは可能な限りない方がいいという大原則がございます。が、その中でとにかく我が国の場合、いわゆる貿易立国、いま一つは科学技術立国という言葉も数年前から声高らかに叫ばれるようになった。それで、なかんずく基礎研究等の足らざるもの、そういうものはどうするかというと、科学技術会議という、これが最高の会議で、そこでいろいろな御答申をいただいたものを、それの技術を持っておるグループを形成して、そこは租税歳出じゃなく生の金を助成する。そして、場合によっては今度はいわゆる民間活力の環境整備という名のもとにいわゆる減税措置を行う。両面あろうと思うんです。 一概にそれが私は、企業というものはそもそも大衆の株式の上に乗っかっておるものであって、そこにはたくさんの従業員がおり、そして大衆の株に対する配当というものの期待感があるからこそ出資が存在しておるわけでありまして、マーケットメカニズムを認める自由主義経済では当然ある姿でありますだけに、特に日本が今いわゆる既にある程度の競争力を持った段階でなおこれを続けますとむしろ経済摩擦なんかが起こってまいりますけれども、いわゆるその事前の段階において、日本はそういうことこそ科学技術立国としてもまた貿易立国としても必要な政策であるということで、苦心しながらやっておるということであります。 したがって、ある一定のところではそれがやめになりましたり、また新しいものが出ればそういう新しいものがそれにつけ加えられていくということが今日まで租税歳出と一般歳出と両方の中で行われておるということは、私は政策としてはそれなりに十分な位置づけができるものではなかろうかというふうに思います。
○近藤忠孝君 今の大衆株主云々の発言は、それはあくまで建前であって、実態はそういうものでないということは大臣も御承知だと思うんです。 そこで、私も科学技術の発展、国がそれを大いに指導したり援助するということは必要なんですが、今言ったような形、税制の優遇とか補助金等々で、しかもその行くところが、経営的にはその必要がない、そういうところにこの大変厳しい財政危機の折から行くことが妥当なのか、そういう点ではこれは十分検討すべきではないかということを申し上げたわけであります。これは、特に中小企業との比較から私は言えると思うんです。 そこで、六十年度予算で中小企業技術関係費はこれは五十九億だと思いますが、どうですか。
○政府委員(的場順三君) 中小企業に対する技術関係の予算というものをどういうふうに定義するかという問題はございますけれども、中小企業庁が同庁所管の予算のうちで技術関係のものを取りまとめた数字で言いますと、御指摘のように五十九億六千万でございます。
○近藤忠孝君 これは日立一社に交付される補助金などの一年分よりも十一億円も少ない、全中小企業で。そういう状況です。これらの中小企業対策の重要性はこれまたみんな口にするわけですが、政府の対策、特に技術関係に絞って言うと、このとおりであります。全体の試験研究費、これは日本企業全体ですね、そこに占める中小企業の割合は、五十九年でわずか五・七%、しかもこの比率は減少傾向にあるわけであります。 今後、技術革新が急速に発展していく中でこの傾向が続きますと、巨大企業とそれから中小零細企業との技術水準の格差が極端に拡大すること、これはやっぱり必然だと思うんですね。 だから竹下さんが言われたとおり、大いに科学技術の振興がもちろん大事なことなんですね。だけど、大事だけれども、この厳しい財政情勢の中からどこにそれを重点的にやっていくのか。本当に必要のあるところからやっていくべきだ。この格差がこのままでは広がっていくという状況の中で一体どうすべきか、政府はここにこそ手を差し伸べるべきじゃないか。そういう点で、今回の税制改正の中で、中小企業の技術開発に対して新たな税額控除を、これは設けられております。しかし、これは、大企業に対する先ほど来申し上げている二重、三重の措置に比べると、本当にささやかなものであって、これでその格差、技術格差が縮まる保証があるのか、これが第一点ですね。縮まらないとすれば、そのためどういう具体的、積極的な対策を考えるべきか、これについてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) このいわゆる技術格差というものは、大企業とそしてかなりの規模の違う中小企業とが同じものをつくる場合の技術格差という問題と、それ以上に私どもの技術試験研究というのは国全体の科学のレベルアップを図ろうとする角度と、二つあると思うんです。したがって、今度のいわゆる中小企業の技術開発臨時措置法関連税制でございますか、これは私は厳しい財政事情の中では精いっぱいのそれなりの配慮をした税制ではないかというふうに思っております。中小企業ではできない技術研究というのも確かにございますよね。それだから、一概にそういう並列した議論よりも、個々の問題としてとらえてやるべきではないかなというふうに考えます。
○近藤忠孝君 もう時間もあとわずかなので、あとはテレトピア減税問題について触れたいと思うんです。 いわゆるテレトピア都市構想については現在二十カ所が指定されて計画が進んでおりますが、その中には都市部の大企業が主体となって進められているものが多いと思うんです。例えば横浜のMM21計画では既に第三セクターの横浜みなとみらい株式会社が設立されておりますが、これは資本金八億円のうち三菱グループが二億円を出資しています。重役にも三菱系の大企業の代表など財界人が名を連ねておるんですね。で、今回創設される特別措置は、こうしたニューメディア事業を推進する会社に対して利子補給や信用保証を行う財団法人を設立して基金をつくった場合に、その基金に対する企業の支出金を損金算入と認めるものなんですが、しかし、実態を見てみますと、今指摘したように、横浜の場合に横浜みなとみらい株式会社が推進法人として認定された。これに対する利子補給を行う基金が減税の対象となる。となりますと、結局大企業、もっと極端に言えば三菱のための減税措置ということになってしまうんじゃないか、そうならないという保証があるのかどうか。これが一つ。 それからもう一つ、これは、郵政省が推進するこのテレトピア都市構想と並んで、通産省の方が全く同様の構想でニューメディアコミュニティー構想を推進しようとしている。しかも八カ所が指定されておって、そしてこの構想に基づく基金にもこの特別措置が適用されるとなります。しかも横浜などはこの両方の重複指定を受けておって、結局予算、税制、金融、こういう面で二重、三重の手当てが受けられることになる。そうしますと、これも今の財政の状況の中でこういう手厚い保護が本当に必要なんだろうか、むしろなぜこういう措置を講ずるんだろうか。 この二点にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 今回のいわゆる通信情報システム、特定地域におきますシステムの高度化を促進するという、これも一つの国の大きな政策であるわけでございますが、この租税特別措置におきまして基金に拠出いたします負担金を損金算入いたしますのは、ただいまおっしゃいました、特定地域で実際にそういうシステムをやるのは民間の企業体でございましょう、しかし今回損金算入対象となる負担金を拠出する基金はこれは公益法人等ということでございますね。
○近藤忠孝君 それはわかってさっき質問したわけです、ちゃんとこちらで説明したんですよ。
○政府委員(梅澤節男君) しかもそれは、国及び地方公共団体が出資金の半分以上を持っておるということと、定款等あるいは事業計画等におきまして地方公共団体がきちんとした監督をするということでございますので、地域の実際のシステムを推進する民間事業体の議論とごっちゃにされますと、何かあたかもそこに対する優遇税制のような議論になるわけですけれども、これは少し誤解がある。ただ、そういった政策効果についてどう評価するかというのは、これは政策的な観点の相違でございますから、これ以上私どもとしては申し上げることはないわけでございます。 それから後者の方は、私ども税制当局が申し上げる話なのか、むしろ所管省で今いろいろの調整を行っておられるわけでございますけれども、二重、三重の指定を受けるから税制上二重、三重の優遇を受けるというのも、これもちょっとわからない議論と考えるわけでございます。あくまで今御審議をお願いしておりますのは、そういったものとは別個に公的な基金がつくられる、それに対して負担金を拠出する場合に損金算入を認める、こういう措置でございます。
○近藤忠孝君 私は、短い持ち時間の中でちゃんと、私ども理解しているということを示すために全部述べたんですね。 要するに、財団に対する減免措置である。しかし、実態を見ますと、中心になるのが例えばこの場合、三菱。しかも、二つの構想があって、やっぱりその中心になっていくものに対してこちらからも優遇措置がある。そういう実態をどう見るのかという問題なんですが、もう時間が参りましたので、あと大臣に答弁をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今、梅澤局長からもお話ししましたとおりでございますが、恐らく今おっしゃっていますのは、三菱という大企業はそれなりに税制上の特別措置の適用を受けるものもあれば助成金をもらうものもある、それらのグループが第三セクターをつくった、第三セクターの利子補給の財源を拠出する場合は、これが税制上の特別措置を受ける、したがって、三菱全体があちこちから受けた結果になる、こういう論理じゃないかな。 これは、さらっと私がすぐ復唱できるぐらい、割に単純な論理でございます。それは現実的な論理ではまたないわけですよね。そういういわゆる高度な技術とかいろいろなものを持っておるものの集合体によってそれをやった方が、公的機関においてやるよりもなお、まさにみなとみらい21世紀のためにいいという大局的な判断、そこのところは見解の相違だ、こういうことでございましょう。
○栗林卓司君 午前中以来の議論と重複しますけれども、私もいわゆるサラリーマン税金訴訟に対する昨日の最高裁大法廷判決について若干伺いたいと思います。 この判決の特徴というのは、実は捕捉率の問題について、慎重な表現ではありますが、事業所得などの捕捉率に比べて相当開きがあるということを認めた点だと思うんです。 これを縮めるについてはどうするかというと、判決が言っておりますのは、「原則的には、税務行政の適正な執行により是正されるべき性質のものであって」と書いてあります。私も全くそのとおりだと思うんです。「税務行政の適正な執行」ということになりますと、恐らく中身が三つに分かれると思う。一つは、税法というのは一面行政手続法でありますから、そういった面で法律の見直しが必要かどうか、もう一つは執行体制そのもの、三つ目が納税者の協力。この三つに分かれて適正な税務執行がされていく、こう思うんですが、そこで、最高裁がここまで踏み込んで書いたということは、よほど重く受けとめなければいけないんだろうと思うんです。単に政府が重く受けとめるだけではなくて、例えば「立法府の政策的、技術的な判断にゆだねるほかなく、裁判所は」云々と書いてあるので、やはり立法府としてもこの判決は相当重く受けとめておかなければいけない筋合いの問題だと理解しています。 以上の前提に立ってお尋ねするんですが、一つは、行政手続法、租税手続法という観点で見て、税務行政の適正な執行という観点で今頭にある主な改正点というと何になりましょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 申告納税制度をめぐる納税環境の整備の問題につきましては、税制調査会でもつとに問題が指摘されておりまして、ずっと検討が続けられてきたわけでございますが、五十九年の税制改正におきまして、一定規模以上の所得のある事業所得者に対しての記帳義務、それから、いわゆる赤字の場合であっても一定額以上の年間総収入金額がある場合には報告書を税務官署に提出していただく、それから、官庁の税務官署に対する税務資料提供のための協力義務というものを制度化させていただいたわけでございます。 ただ、税制調査会の議論では、この特別部会で足かけ二年にわたって議論されたわけでございますが、五十九年で立法化をお願いいたしました問題以外に検討課題として残されておりますのは、一般的な資料収集制度の整備の問題がございます。 それからもう一つは、税務訴訟におきます立証義務の税務当局と納税者の間の配分の問題。日本の場合は、諸外国の中でも非常に珍しい例でございますけれども、税務訴訟が起こりましたとき全部税務官署が立証義務を負わされておるという現状でございます。ただこの問題につきましては、学説上、判例上もう少し定着しないと、一税法でもってこれを制度化することには学者とか法律実務家の間にも相当異論があるようでございますので、この問題はあるいは将来の問題かと思います。 それから、結論は出ておりませんけれども当時議論されました問題といたしましては、諸外国にもこれは例があるわけでございますけれども、一定の法定あるいはそれに類した形での所得率あるいは経費率を定める、それもかなり高い水準に定めまして、したがいまして、それと違うということを言うには納税者がむしろ資料を出して税務官署に申告しなければならないといった、いわゆる法定概算率の制度の議論もされましたけれども、これはやはり申告納税制度ということを考えますとなかなかもう少し議論の余地ありということで、これも将来の検討課題として結論が送られている問題がございます。 その他技術的な問題として幾つかございますが、大きな問題を御紹介すれば以上のとおりでございます。
○栗林卓司君 そうしますと、五十九年の記帳義務の強化、これが大体眼目であって、その他将来の問題もありますけれども、おおむね所要の整備は当面なされた、そう理解されていると私は受け取ったんですが、私もそうだと思うんです。記帳義務はすそ切り部分を含めて不徹底な点が大変多いんです、多いんですけれども一歩前進であることは間違いない。またさらに前進していかなければいけないということになるんだろうと思います。 もう一つ、今度執行体制になりますと、これは人間の頭数の問題あるいは質の問題、要は量と質の問題をどう考えるかという午前中来の議論に続くんですけれども、国税職員の質について御所見を承るようなやぼなことはいたしません。問題は数なんです。そこで、毎回附帯決議も書き、私たちも言い、しかし実際には数は二けたの下の方で、隗より始めよでまことにつらいんだという御述懐はもう何遍も伺ったんですけれどもね。ただ、そうですか、大変ですねと言うにしては、この判決を見てみると、行政執行に対してむしろ裁判所の方が激励した、いわばその対象になった行政というのはそう数はないと思うんです。 そういった意味で、税務行政というのはもう裁判所も見るに見かねて激励せざるを得ないような、捕捉率の差がある、そういったぐあいに裁判所にも受け取られる。いわんや一般庶民の方は、これはもう理屈じゃなくて、トーゴーサン、クロヨンと言いますけれども、トーゴーサン、クロヨンそのものが税負担の不公平であるかどうかは議論はあるんです。あるんだけれども、そんな議論をする前にいろんな巧妙な脱税、節税の事例が我々の周りに枚挙にいとまがないものですから、それは捕捉率の差はある、こうなってくる。何としても高めなければいかぬ。そうすると、国税職員の数は一体どうしていったらいいんだろうか。 そこでお尋ねしたいんですが、ふやさなければいけないという点では余り差がない、意見一致なんですが、一体どれぐらいまでふやしたらいいんだろうか。これは立法府としての関心事項でもありますのでお尋ねするんですが、一体何人要るんですか。で、何人要ると言われましても、行政手続法の実際の姿なりあるいは納税者の協力度合いなりによって変わるんですよ。したがって、条件が変わるから何万何千何百何十何名とは言えない、これはわかります。だけれども、おおむね何万人程度、おおむね今に比べてこれぐらいというぐらいの腰だめた議論というのはできないかというと、私はできると思うんです。 個々の広範な税務行政について知悉しているわけではありませんから、ごく大ざっぱな議論をせざるを得ないんですが、税負担の公平、捕捉率を高める、これが納税者の協力を得るための不可欠の条件だと思うんですが、そのときに一体何年に一遍税務署が調べに来るんだ、何年に一遍調べに来るよというように納税者に思っていただいた方がいいのかどうか、この点についてはどうお考えになりますか。
○政府委員(冨尾一郎君) 大変難しい御質問でございますが、まずその前提として現在どの程度の調査をしているかということから申し上げたいと思いますが、現在申告所得税の中で農業を除きます事業所得者に対します調査の割合は四%でございます。それから法人つまり会社に対します調査割合は大体一〇%というところでこのところ推移をいたしております。したがいまして、今先生のおっしゃった何人人が要るかということは、裏を返しますとどの程度の実調率であればいいのかという御質問と裏腹の問題かと思います。この点につきまして、では実認率がどの程度であれば適正な執行と言えるのかという問題になるわけでございますが、なかなかこれは一義的に定量的に申し上げることは難しい問題かと思います。 では、諸外国の例はどうかということになりますと、諸外国の例もこれは税制その他いろんな問題から単純に比較し得ない問題がございますし、私どもとしては、現状の実調率の中で納税者の申告内容、いろんな状況を見ながら、問題のある納税者には手厚く、それから適正な申告をされておられます方にはそれなりの対応をしてまいるということで、やはりアクセントを置き重点を置いた税務調査を展開するということで、現状の中で何とか工夫をしながらやってまいりたいということでございます。 ただ、それにはおのずから限度があろうと思いますので、現状いろいろ難しい条件はあろうと思いますが、関係方面の御理解をいただきながらできるだけの増員をお願いしたいというのが私どもの率直な気持ちでございます。
○栗林卓司君 私が聞いたのは、納税者の方は何年に一遍は調べに来るよと思えばいいんですかということなんです。裏返せば実調率の問題なんですよ。というのは、税務調査で調べに来るでしょう。私のところに来たけれども隣には来てない。これもある意味では不公平ですよね。みんな調べられるんだ、多少年はずれるかもしらぬけれどもあなたのところにも来るよ、こういった税務環境を整えておくことも私必要だと思うんですよ。 そこで、申告納税制度が基本ですよね。申告を出した、その出した申告について時効が成立するまでにはやっぱり調べるんでしょうね。となると、いやそれ調べませんとは言えませんわね。仮に時効が成立するまでに一遍調べに来る。三年、五年、七年、いろいろあるんですが、五年が租税債権の時効だとして言いますと、五年ですから毎年五分の一ずつ、実調率二〇%で調べなければだめなんです。 ここまでの理屈は間違ってないでしょう。所得税について五年に一遍ということになったら、今実調率四%でしょう、五倍人が要るということです。法人税はどうか。実調率一〇%でしょう、これも租税債権の消滅時効を五年として考えると二〇%ずつだから、これは倍要る。ひっくるめて言いますと、どうかた目に見たって、今の国税職員の倍は要るんじゃないんですか。いかがお考えですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 先生御指摘のように、現在の実調率をもとにいたしまして、五年に一遍ということになりますと二〇%の実調率でございますので、現在の実調率から割り返して、かつ現在所得税、法人税の事務の系統に配属されております職員の数、割合から推計をいたしますと、確かにおっしゃるようなほぼ数字になろうかと思います。ただ、ちょっと詳細計算がにわかにできませんが、感じとしてはおっしゃるような線もあるいはあろうかと思いますが、それも、それだけの人間をふやすということにつきましていろいろとそれは私どもとして、まずどうやって人を採用するか、どうやってトレーニングするか、それからその人員につきましての周辺のいろんな整備していく問題もございますので、数の問題として確かに計算をすればおっしゃったような数字になろうかと思いますが、単純にそれだけでどうかということはにわかには申し上げかねる感じでございます。
○栗林卓司君 ですから、腰だめで大ざっぱな議論しかできないって言ったでしょう、与件が全部動くんですから。だけど、まあ今の倍ぐらいは要るかもしらんなという議論をしたってそう間違いじゃないでしょう。 そこで、捕捉率の開きが、最高裁での判決で言わざるを得ないほど実態は開いているわけですよ、実際には。これに対して、捕捉率を高めて税負担の公平を実現しなければいけない、頑張れよと言われているわけです。言われているのは大蔵省だけじゃないんですよ。国会も言われているんですよ。これは立法府として何をしておったんだという意味ですよ、この判決の意味は。 そこでお尋ねしたいんだけれども、定員法の関係で対前年度何名ふえたかという議論はおきまして、より望ましい適正な税務執行、捕捉率の開きがない、有権者の実感としてもああ公平になったな、厳しくなったけれども公平になったなという社会をつくり出していくためには、ある前提を持った数字だけれども、はじいてみるとここまでの人員はどうしても必要でありますという、大臣、私それぐらいの数字は大蔵省として国会に御提示になる義務があるのではありませんか。
○国務大臣(竹下登君) 今度の判決を読んだ感想、まあ私きのうきょうのことでございますが、国会の裁量権に触れておりますね、確かに。だからその限りにおいては、私も国会議員の一人でございますだけに、そういうところで検討すべき課題だという問題意識を私なりにこれは感じました。そうなれば当然、国会の国政調査権等に対して、あるいは国会の御勉強に対して最大限の協力をする意味において、今おっしゃったのはいわゆる実調率から来る一つの数字をお出しになったわけですが、そのほかにあらゆる、仮定ではございますが、前提を置いた場合どういうふうな数字になるかというようなものは、これは作業をしてみる課題かなという、今問答を聞きながらそんな印象は私も受けました。 ただ、それがどのような作業ができるものかということについては、きょうの段階で今お答えする限界は、もう少し勉強させてみてくださいと言うにとどまらざるを得ないかな、こういう印象でございます。
○栗林卓司君 これは実際の徴税手続の問題と無関係ではないんですね。ですから、仮定の議論ですが、国民背番号制にして総所得を迅速に機械を利用してつかめる仕組みができたら、そう人手は要らないということは言えますよね。そうなるかどうかもこれからの問題ですから、したがって与件が全部変わっているので言えないけれども、今の状態で考えたら大体この程度の徴税人員の規模は必要であります、しかもそれに対して教育を考えあれこれしていくと毎年何千名ぐらいは云々というところまではやはりお出しになるべきだ。ことしの暮れになってまた同じことをやりまして、一生懸命やってまた二けた十一名というのじゃ、これはいつまでたったって国民の不公平感は消えないですよ。こっちの方は、総定員法で削れということのメリットに比べてはるかに大きいんです。票の平等と税の平等というのは民主主義の基礎ですから、その意味で、今出せという無理を言うつもりはございませんけれども、ちょっとこれ真剣に考えていただけませんか。毎回隗より始めよでつらいんですという逃げ言葉だけではちょっと済まなくなったと私は思っておりますし、ぜひそうしていただきたいと思います。 そこで今の与件の方ですけれども、グリーンカードというのは課税資産、非課税資産ひっくるめてつかんでいこうということでスタートしたわけですね。これは諸般の事情でできなくなってきた。確かに、いろんな面で配慮を欠いた制度だと言われても仕方がない面があったと思います。したがって、それを取りやめることがけしからぬとあながちに言うつもりはありません。 主税局長にお尋ねしたいんですけれども、なぜ取りやめたかといいますと、税調の答申の方では、各層の理解と受け入れ体制が不十分でありました、したがって一たん廃止するという措置を講ずることはやむを得ない、大ざっぱに言うとこう書いてあるわけですね。そこで、各層の理解が不十分だったら理解を深める努力をすればいいではないか、受け入れ体制が不十分だというのだったら整備すればいいじゃないか、こうなりますよね。理解を求めたかというと実際は逆ですし、グリーンカードをやめようかというときに最もまなじりを決して反対をされたのは大蔵当局ですよね、理解を後は求めていない。受け入れ体制も整備されていない。これをこのままほうっておくというのも、実は税の不公平という国民感情からしまして必ずしも適切ではない。そこで、各層の理解、これはもういいです。受け入れ体制が不十分というのは、税調は何を言わんとしたのかだけ局長からお答えいただきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) これはやっぱり大方の理解と受け入れ体制というのは密接に関連している事柄だろうと、私どもはあの答申を受け取っておるわけでございます。 前回の委員会にも御答弁申し上げたわけでございますけれども、グリーンカードというのは、いわゆるアメリカなんかでやっております納税者番号のようにあらゆる所得の申告あるいは税務資料の集計に使うナンバーではございませんで、いわゆる利子配当だけを捕捉するという観点から構築されたものでございますが、我が国の近代の所得税の歴史を振り返ってみますと、特に利子所得につきましては、大部分の期間を通じて非課税であるか分離課税であるか、四分の三世紀以上そういう歴史をたどってきたわけでございます。したがいまして、今から振り返ってみますると、金融資産だけが一挙に税務当局なり何なり、要するに白日のもとにさらされる、という表現がいいかどうかわかりませんが、そういった不安感、これが非常に根強くあって、それが下敷きになりまして、単にグリーンカードの責に私どもは帰せられない問題とは思うわけでございますけれども、たまたま騒ぎが起こりました五十五年当時の金利事情等がそれに加わりまして、やはり金融秩序の混乱と申しますか、金融資産のシフト問題が起きたということでございます。 したがいまして、受け入れ体制といいますのは、仮にこの制度を凍結を解除いたしまして今直ちに実施するということを仮に考えた場合に、やはり税制調査会の御議論では、再びまた大変な混乱が起こるんではないかと。そういった面も含めまして、これは善悪の問題は別にいたしまして、大方の国民の方の心理状況とか、この制度の受けとめ方、これがまだ熟してない、そういう判断に立ったものであるというふうにこの答申を受け取っておるわけでございます。
○栗林卓司君 おっしゃるとおりの実態だと思うんですが、そうすると、今回非課税貯蓄について、一部名寄せを含めて適正につかんでいこうという方向で作業が進んでおりますよね。これは郵便貯金も含めてやると言っているんですからやっていただきたい。とは言うものの、課税資産については手が及ばないわけですね。それも今後の課題として見つめながら、多少時間はかかるかもしれないけれども、課税貯蓄も含めて適正な把握に努力をしていきますという点は、今でも生き残っているんでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) それは仰せのとおりでございます。ただいま御審議いただいておりますこの法案の中でも、非課税貯蓄につきましては、住所、氏名、生年月日のある公的書類によって本人確認を行うということでございますが、課税貯蓄につきましては、いわゆる記名、無記名を問わず、やはり本人確認を今よりも厳しくするという内容になっております。ただ、その場合の本人確認の手段が非課税貯蓄の場合よりも若干緩めてございますけれども、そういった方向で、課税貯蓄の本人確認なり捕捉ということにつきましてもこれは重要な課題であると考えております。
○栗林卓司君 時間が参りましたのでこれでやめますが、先ほどの国税職員の人の数の問題ですね。実は午前以来同僚委員が同様の質問をしているんですが、定員法の関係もありますけれどもそれはそれで、適正な税務執行という観点から、あるいは税負担の公平という観点から、仮に腰だめの議論をしていくとこうではないかという点については、理事会の席でお取り上げいただいて、どの程度のことができるかぜひ御検討いただきたいと思います。
○委員長(藤井裕久君) 承知いたしました。
○青木茂君 私も、昨日のいわゆる大島サラリーマン税金訴訟、これについて御質問を申し上げたいと思います。 ただ、通告の段階で組み立ててまいりました筋立てが、午前中にもう大木先生が既にそのとおりにおやりいただいて、急遽午後から捕捉率中心にお願いをしようと思ったら、今栗林先生が捕捉率の問題を中心におやりになりました。それでちょっと問題の筋立てを突然変えましたからあるいはお知らせ申し上げなくて言うことがあるかもしれませんけれど、そこら辺はひとつ御容赦を願いたいと思うわけでございます。 そこで、一つ仮定の質問を僕は法制局の方にしたいと思います。 こういうケースがあった場合、つまり、あるサラリーマン、それも年末調整で課税関係が完了するサラリーマンが一人あったとします。 そのサラリーマンは非常に業務熱心な者で、だれが考えても必要経費だと思われるものをかなり多く使った、それが給与所得控除をどう考えても超えた、特に給与所得控除の必要経費概算部分ですね、を超えた。そういった場合に、現在の法制度のもとにおいて法的な救済措置、おれの税金はもっと安くなるんだぞという権利を主張するというか、不利益を救済してもらうという措置は、あるのかないのかということをまず第一点として御質問申し上げます。
○政府委員(前田正道君) 御指摘のように、一般の給与所得者の場合でございますと、原則としまして年末調整によりまして課税関係が終了いたすことになりますので、一般の給与所得者が確定申告によりまして源泉徴収税額の過不足を調整するというようなことは現行所得税法上予定されていないと思います。したがいまして、一般の給与所得者につきましてお尋ねのような場合があるといたしましても、その給与所得者が現行税法上いわゆる行政不服審査なりあるいは行政事件訴訟を提起するということはできないと考えます。
○青木茂君 そうすると大臣、そういうケースですね、実質的に見まして所得税の中において所得のないところに課税があるという実質的な意味を持つということは言えないでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) これはただいま法制局の方からも御答弁があったわけでございますけれども、給与所得の場合は所得税法によりまして所得計算の方法が定められておるわけでございます。収入から給与所得控除を引いた額が給与所得額でございますから。したがいまして青木委員が御提示になっている問題は、そういう現在の給与所得の所得計算を離れて、必要経費あり、したがって実質上課税されない部分について課税されておるという問題を提起されておるわけでございますけれども、それは現行の税法では予定していないということでございますし、これはちょっと判決を引用させていただいて恐縮でございますけれども、あの各裁判官の補足意見を見ましても、著しく超える場合とか、あるいは仮にわずかであっても超えた部分は課税と観念するとか、いろいろ議論がありますけれども、結局は今の給与所得控除の水準はそういった水準にないから恐らく現在の所得税法は合憲とされたと思うわけでございまして、したがいまして今の青木委員の問題の御提起は、私どもとしてはそもそもその前提について非常に議論がある。今の所得税法なりそれから年末調整によって税務が完結する給与所得者が、これは行政処分も何もないわけでございますから、行政事件訴訟の当事者になれないというのはそれなりに合理的な制度であるというふうに考えております。
○青木茂君 実質的な問題として所得のないところに課税があったという実質的な事実がもしあったとして、それに対する不服申し立てが現行制度上できないというと、やっぱり現行制度自体に問題があるんじゃないかと思わざるを得ないんです。 それで、昨日の大島訴訟の補足意見要旨ですね、これにはかなりきついことが書いてありますよ。今ちょっと局長の方から簡単に例をお引きになったんですけど、例えば伊藤裁判官の補足意見では、「その給与所得に係る必要経費の額がその者の給与所得控除の額を著しく超過する場合には、右給与所得者に対し本件課税規定を適用して右超過額を課税の対象とすることは、明らかに合理性を欠き、本件課税規定は、かかる場合に当該給与所得者に適用される限度において、憲法一四条一項の規定に違反するものといわざるを得ない。」 さらに、谷口裁判官の補足意見では、「その程度が著しい場合であると否とを問わず、当該超過部分については実質上所得がないことになるのではないかが、改めて問われてよい。」「そのような必要経費が給与所得控除の額を明らかに超える場合は、その超過部分については、もはや所得の観念をいれないものと考えるべきであって、これに対して課税することは、」いいですか、「これに対して課税することは、所得の存しないところに所得税を課する結果となり、所得税賦課の基本理念に反することになるから、たとえ憲法一四条一項違反の問題を生じないにせよ、なお違憲の疑いを免れないものと考える。」 これは非常に強い発言ですね。この強い発言が補足意見の形として私は立法府及び行政府に投げ返されていると思う。そうすると、これは立法府、行政府としては非常に真摯に受けとめなければいけないテーマではないか、単に現行のやり方が合理的だとか合理的でないとかいう問題を離れて、もっと深く深く我々は突っ込まなければいけない問題ではないかと思うわけなのでございますけれども、今の問答を聞いておられて大臣、どんなものでしょうか。大臣に聞いている、大臣に。
○政府委員(梅澤節男君) 大臣の御答弁の前に若干追加して答弁を許していただきたいのですが、ただいま読み上げられました伊藤裁判官なり谷口裁判官の補足意見、ただその一番最後の結論は、「しかし、本件においては、必要経費の額が本件課税規定による給与所得控除の額を著しく」、あるいはこちらの方は「著しく」が抜けておりますけれども、「超過するものとは認められないから、右の違反は生じない。」、これが結論になっているわけですね。したがって、現在の概算控除の水準が一体いいのか悪いのかという議論であって、そこをやはり議論していただきたいということになると思います。
○青木茂君 「本件」ということはこれは大島さんの訴訟についてはと、こういう意味なんであって、だから私は最初仮定を言ったわけですよ。法制局に最初聞いたのは、著しく超えているということが明らかな場合にどうなるんだ。そうすると、訴訟権がないんです。納税の義務だけあって、不利益救済の法的門戸が開かれていない、サラリーマンだけは。こんな職業人て、民主主義国家にあっていいのかということを伺っているんです。
○政府委員(梅澤節男君) これは答弁の繰り返しになるわけでございますけれども、「本件」というふうに書いてあることは御指摘のとおりでございますが、本件は、昭和三十年と三十九年でございましたか、当時の給与所得の概算控除の水準は平均一八%でございました。現行は三〇%の水準に来ておりまして、私どもはまず大前提として現在の給与所得控除の水準が妥当な水準にある、これは絶えず実態に即して見直していかなければなりませんけれども、そういう前提に立って現在の所得税法はやはりそれなりに合理的なものである。 したがって、委員がおっしゃる議論を発展させますと、結局実額控除を認めて、それで場合によっては納税者がそれを選択して申告をするという方法もあっていいのではないかという御提案でございましょうけれども、これは、税制調査会の議論をたびたび御紹介申し上げますけれども、そういった制度は現在の我が国の給与所得控除の水準から見ると余り実益がない、したがって現行の仕組みが適当であるとされておるわけでございますので、委員のおっしゃる憲法違反の議論、確かに補足意見の中に若干そういったものも散見されるわけでございますけれども、私どもはやっぱり憲法違反の問題は起こらないというふうに考えております。
○青木茂君 私がずっと言おうとすることを予測されてしまうからあれなんですけれども、私は実はこの問題を提起しているのは、そういう概算か実額かの選択というところへ持っていくつもりは実は毛頭なかったので、たとえ一人でも所得なきところに課税ありということが制度上承認をされている、つまり不利益をこうむっている者がたとえ一人でもあるとしたら、その者の権利回復、利益回復手続と申しますか、そういうものが私は法律制度の中にあっていいんじゃないか。 つまり、不利益を受けている者が、自分がこれだけ不利益を受けているんだから何とかしてくれという、それの道が完全に閉ざされてしまっている。これは僕はこれこそまさに法のもとの不平等、ほかの人は確定申告をやっていろいろなプロセスをたどることによって裁判所の門をたたけます。たたけますけれども、私が今例として提示したケースは裁判所の門をたたけないんですよ、税法上。それが不平等じゃないかということを私は言いたかったんです。それについてはいかがでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) それも、今委員がおっしゃる所得がない者がという場合のその所得という概念をきちんとしませんと、これはあくまで税制の議論でございますから、あくまで課税対象になる所得という意味でおっしゃっていると思うんですね。そういたしますと、課税対象になる所得というのはやはり税法できちんと定められるということでございますので、その所得のない者に税がかけられて、しかもそれの不平と申しますか不服申し立ての道が閉ざされているというのは、その前にやっぱりその所得という概念がきちっと税法上制定されているかどうかという、またそこの議論に私どもは返るんじゃないかというふうに考えております。
○青木茂君 とにかく税法というのは国民の懐からお金を出させるんですから、十分に国民が納得をするものでなければ、不公平なのか不公平感なのかはわからないにしても、それは不満は残りますよ。ですから、所得というものの概念規定が税法上、この私が今挙げたケースについてはっきりしないというんなら、やっぱりはっきりさせる努力というものが私は必要なんじゃないか。 とにかく、納税の義務だけうたわれて、納税者の権利、不利益は国に文句をつければ裁判で認めてもらえるんだぞ、あるいは認めてもらえないかもしれませんけれども、その道が年末調整でもって課税関係が終了するサラリーマンにのみ完全にシャットアウトされているということは、日本の法律というものはサラリーマンを一人前の国民として認めておらないんではないかという私のひがみというのか疑問というのか、そういうものはどうも捨てがたいところがある。まあ大臣、黙っておらずにちょっと言ってください。
○国務大臣(竹下登君) これは私も問答を聞いておりまして、課税の対象となる所得というのは法律で定められておる。だから、その限りにおいては私は憲法十四条の前段に触れない。租税法定主義であって、しかも課税対象になる所得とは何ぞやというのは、こういう控除を引いたものがそれであるということでございますから、法のもとに不平等という論理は成り立たないんじゃなかろうかというふうに思います。
○青木茂君 要するに所得を上げるために、つまり収入を上げるために経費が必要であって、それを引いたものが所得であると。ある一人のサラリーマンが収入を上げるためにとにかく経費を給与所得以上に実際使ったという場合に、制度上はともかくとして、実質は所得のないところに課税があるんだから、それがいいとか悪いとかいう問題より、その者が自分の主義主張とか不利益救済を司法の場に持ち込める道ぐらい開いておってもいいじゃないか、それが閉ざされてしまっているというところに私の質問の要旨があるんです。 いいとか悪いとかいう問題じゃないんです。訴訟権すら奪われている。民主主義国家において訴訟権が奪われている人間って存在していいんだろうかということが問題なんですよ。
○政府委員(梅澤節男君) それは今委員のおっしゃったのは収入マイナス必要経費イコール所得である、我が国の所得税法では給与所得者の所得というのは収入から給与所得控除を控除したものである、その場合に必要経費があるというその必要経費がこれまた非常に問題になるわけでございますね。だから、そこはやっぱり法制といたしまして現在の給与所得控除の水準が非常に著しく不当であるのかどうかという議論に戻ってくるわけでございまして、さればこそ、やはりこの制度が憲法に違反しないという判決をされたのもそこが根拠だと思うわけですね。 つまり、青木委員の論拠に立てば、その給与所得控除の水準いかんにかかわらずこの制度は違憲でなきゃいかぬわけですね。しかし、もちろん立法政策の問題としていろいろな考え方がございますけれども、私どもは現行のこの所得税法というのはそれなりに合理的、効率的な制度であるというふうに考えておるということでございます。
○青木茂君 私は、今やっておりますところの質問は、所得税法がどうだとかこうだとか、違憲であるとか違憲でないとかいう問題はしばらくおいておるわけなんですよ。法律上自分が不利益処分をこうむったと思われる者がそれを司法の場に訴える道が完全シャットアウトである、それが一体主権者としての国民、民主主義国家の権利者としての国民を遇する道であるかどうかということを伺っている。その一点なんです。ちょっと問題がずれているんですよ、認識の水準が。
○政府委員(梅澤節男君) それはやっぱり先ほど大臣がおっしゃったとおりだと思うのでございます。これは行政府が恣意的にこういう規則を勝手に決めてということではございませんで、あくまで憲法の租税法定主義に従って立法府として国会が御承認になり公布されている法律制度そのものがあるわけでございますから、そこの議論は、もちろん青木委員の哲学なり理念の問題を私どもは批判しようとは思いませんけれども、純制度論としては私どもは先ほどからお答えしているようなことを申し上げざるを得ないと思うわけでございます。
○青木茂君 現在の制度が国民の訴訟権を完全にシャットアウトしておるものであるとするならば現制度を考え直さなきゃいけないんじゃないか、私が言っているのはそういうことなんです。現制度がこうだからこうだという問題じゃないんです。現制度がおかしいと思うならば現制度を我々はまともに考え直す努力をすべきではないか、いいとか悪いとかいう価値判断よりも矛盾があったものは改めるにしかずなんだから。私の言うことが無理であるかどうかはこれは皆さん方の御議論の結果でいいんです。いいんですけれども、とにかく訴訟権のない国民というもの、これは封建時代の一揆しかないわけなんです。民主主義国家において訴訟権のない国民が一人でもあっていいかどうかということを問題にしておるんだということです。
○国務大臣(竹下登君) 今の議論を聞いておりまして私ちょっと思い出しましたが、この間防衛大学校の卒業式がありました。その明くる日に労働大臣が、法のもとに平等でない、なぜ防衛大学校は身長のことを基準にしておるか、こういう話を申しておりましたが、議論をすると、そんな議論にまで展開していくんじゃないか。だから、いわゆる違憲問題として大法廷へ――大島先生の裁判は別です、これはちゃんとした個別の一つの事実の違憲性を論議するわけですが、今の問題が違憲論争として大法廷へ入るだろうかな。私も実は恥ずかしい話ですが、今から三十年前に百日裁判は憲法違反であるというのをやってみたことがあります。これは見事にだめになりましたけれども。だから、あらゆる法のもとの平等の議論、たまたま防衛大学校の議論は少し法律そのものじゃなく、法律に基づくいろいろなことでそういう、まあ身長の制限がたまたまあったわけでございましょうけれども、議論していくとそういうところへいくんじゃないかな。だから、必ずしも違憲、いわゆる青木哲学としては私はあり得ていいと思うんですが、違憲訴訟として大法廷へ入っていく性格かどうかというのは、これはそのことそのものをもう一遍大法廷でやってもらわぬと私もお答えができぬような印象を受けました。
○青木茂君 どうも違うんだなあ。違憲であるかないかというようなことを今私は問題にしているんじゃないんです。民主主義国家における一人の主権者が自分の不利益を裁判の場に、司法の場に提起する道が完全に遮断されているということを、立法府並びに行政府が見過ごしておっていいかどうかということが私の問題提起なんですよ。
○政府委員(梅澤節男君) そこはやっぱり、委員は価値判断の問題ではないとおっしゃったんですけれども、すぐれた価値判断の問題であろうと思うわけでございます。青木委員のような立論もあるいはあり得るのかもわかりませんけれども、一方の考え方に立てば、例えば訴訟分野におきましては、やはり一つの原則として訴訟経済というような理念もございます。税法そのものが非常に不合理なものであって、にもかかわらず委員がおっしゃるように訴えの道が閉ざされておるという状況になれば、それは即、ここにも書いてございますように憲法違反のような問題でございましょう。しかし、税法そのものが合理的である、しかもそれが効率的に運用されておるということは、それはそれとしてやはり広い意味での公共の理念から見れば受忍すべきであるという立論もまた私は成り立ち得ると思うんです。 したがって、ここはあくまで、むしろ政治理念とか価値判断の問題にもかかわることで、一行政官が余り委員と論争すべき問題ではないのかなという気もいたします。
○青木茂君 それじゃ、さらに問題を整理して、税法そのものとか憲法そのものを全部取り外しましょう。法律の世界において訴訟権がない国民が一人でもあっていいかどうかということなんですよ。もう税法を取り外しましょう。そいつをやるとおかしくなってしまって、何となくすれ違いなんです。民主主義国家において訴訟権のない国民があっていいかどうか、こういうことです。
○政府委員(梅澤節男君) その訴訟というのは、あくまでも権利の侵害といいますか、不利益という事態を救済する制度でございましょう。したがいまして、やはりその前提になるのはおよそ訴訟権があるなしじゃなくて、そういう問題が生じる根拠にある税法が合理的であるか合理的でないかというところから議論をすべきであって、形式上訴訟権があるなしという議論は、私どもの立場から申しますと余り実益のない議論ではないかというふうに考えます。
○青木茂君 二年間大蔵委員をやってきて、梅澤さんが初めて理論闘争に参加してくださったのはきょうが初めてだから、それなりに内心ではいろんなことをお考えになっているんじゃないかと思います。 もう時間があと四分しかございませんから、ずばりそれじゃ伺いますけれども、年末調整というものを全くもって完全義務化してしまわずに、年末調整を受けることを希望する者と、受けなくて確定申告を希望する者、その選択の自由ぐらい認めていいんじゃないんですか。つまり確定申告をやりたい国民に対して、やる自由、制度的自由ですね、制度的自由ぐらいは私は認めていいんじゃないかと思いますけれども、最後にこの点について大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) これはやはり給与所得者の場合は非常に簡潔な、文字どおり非常にわかりやすい所得計算の方式になっております。給与の支払い者の支払い時において納税者の納税義務が確定し、源泉徴収によって完了する、それが年末で完結されるわけでございまして、これは社会的に見た場合にやはりそれだけ効率的な合理的な制度であるということで、この源泉徴収問題についても従来違憲訴訟がございましたけれども、これは憲法の観点から見ても違憲ではないという判示も行われておるわけでございます。 これもやはり青木委員の一つの理念にかかわる問題であろうかと思いますけれども、やはり全体の社会的な費用あるいは効率性という点から見ますと、所得税法の給与所得に関する規定が合理的である限りにおきましてやはり年末調整というのはそれなりに制度としての存立の意味があるというふうに考えます。
○青木茂君 じゃ最後に。 私は源泉徴収自体を問題にしているんじゃないんです。年末調整の段階において、年末調整を受けずに確定申告をやって自分の所得を正確に申告したいんだという人なら、その道を開いてやってもいいではないか、ぴしゃりと法の世界というものの中に閉じ込めてしまうことがどうか。必要経費で背広なんかの問題が出ますときに、よく、外国ではそんなものを認めておらぬということなんですけれども、逆に言うならば、日本ほどパーフェクトな年末調整をどこの国が認めているんだという議論にも展開いたしますから、ここら辺のところは古くして新しい議論、これからも何回もやっていかなければならない議論だと思いますけれども、私の理念とか私の哲学、私の価値観、そんなものだけで言っているんじゃないんですよ、民主主義のまさに立法、司法、行政が国民に対してどれだけの配慮をするか、まさにそれが国家の活力なんですよ。 その点について言っていることだけつけ加えさせていただきまして、質問を終わります。
○野末陳平君 これまでの質疑とダブりますけれども、やはりきのうの判決に触れないわけにいかないので幾つかお尋ねします。 きのう税調会長の小倉さんは、何しろあの判決を受けてサラリーマンの給与所得控除の水準が今のままでいいかどうか、これはいつも見直す必要があるというような感じで受けとっていたようなんですが、大蔵大臣にお聞きしますけれども、ずばり言って、きのうの判決を受けて、サラリーマンの給与所得控除の水準、平均で言えば妥当じゃないかという気もしますけれども、これはあくまでも平均で言っているんであって、この見直しをもう少し細かく実態に即してやってもいいかなという気がするんですが、大蔵大臣はどういうふうに、きのうの判決を受けた結果給与所得控除の水準について考えましたか。
○国務大臣(竹下登君) これは判決にかかわらず、国会等で論議がありますから、家計支出の資料も拝見させていただいておりますし、勉強してみる課題だなという認識はありました。それから、一方税調でもこれは絶えず見直していかなきゃならぬという思想は今日もあるわけでございますから、それに加えて昨日の判決、それはいわば左京区の税務署長が被告でございますけれども、それをさらに延長すれば私が被告でございますから、違憲性は否定されたということについては現行制度が是認されたという評価をすると同時に、問題点については勉強すべき課題はあるなという認識は私も持ちました。いろんな議論が、それこそ古くて新しい議論でございますけれどもありますだけに、そういう印象は受けました。
○野末陳平君 僕もやはり見直さなければいけないのは常に必要なんだけれども、今回、別にきのうの判決を受けてじゃないんですが、パートの主婦の減税を去年やった結果から生じてきた面もあるんですけどね、今の給与所得控除の水準は、年収五百万円ぐらいまではほぼ実態に合ってあの枠内でおさまると思うんですよ、いわゆる必要経費は。これはもちろん給与所得控除がほぼ必要経費に当たる、そのほかの要素も含むけれども、とりあえずそういう前提で考えているんですけれどもね。しかし、五百万円以上になってきますと、例えばパートの主婦の場合、九十万円に対して給与所得控除は五十七万円働く、これはどう考えたって甘い。だけれども、この程度の収入についてあれこれ言う気はないんですが、そこからずっと考えていって、五百万の年収で約三〇%近い給与所得控除がある。じゃ今度一千万にいくと二〇%にちょっと欠けるぐらいかな、前後だったですかね。そういうふうになってくると、ここの差が大きいなという気がするんです。 つまり、このごろの家計の実態なんぞ見てみますと、やはり五百万以上のサラリーマンというのは、もちろん数からいってだんだん減っていくにせよ、かなり必要経費的な出費が多いんですね。だから、給与所得控除を見直すとすればこのあたりがやはり大事だ。だからむしろ今、下に厚く上に薄い感じが強くなってきた、もともとこんなものなんだろうと思いますが、少し強くなってきたから、だから中堅から上にかけての給与所得控除は見直してやらなきゃおかしいな、こう思うんですよ。 どうでしょうか、局長。実態から見てそんな感じを私は受けますが。
○政府委員(梅澤節男君) 現在の給与所得控除の考え方は、給与収入がふえるに従ってその経費というのはやはり逓減していくだろうという基本的な考え方に立っておるわけでございます。比例的にふえていくわけではない。四十年代では例の頭打ちの制度がございましたけれども、これは現在取り外されておるわけでございます。 それと、もう一つ特徴的なのは、今委員がおっしゃいましたけれども、やはり今の給与所得控除には低所得者への配慮を非常に重くするという配慮は働いていると思います。これは税制調査会の答申なんかにもそういう考え方が出ておるわけでございます。 ただ、現在の水準を今直ちに手直しするかどうかということについては私どもそういった問題意識は持っておりませんけれども、先ほど大臣の答弁にもございましたように、税制調査会も同じ考え方でございますけれども、所得税というのはやはり何年間に一遍見直しをしなきゃいけない、その時点におきまして、もう納税人員の九割以上が給与所得者でございますから、この給与所得控除の見直しというものはやはり所得税の見直しの際の一番重要な課題の一つであろうというふうには考えております。
○野末陳平君 じゃ、僕が実態に即して大体この辺が妥当ではないかなといわゆるサラリーマンの必要経費が給与所得控除の範囲内でおさまる大体の概算控除の率などを考えてみましたときに、五百万までは現在でいいと思いますね。だけれども五百万から上が、今例に挙げた一千万で二〇%ぐらいというのはちょっと差があり過ぎるんで、この辺はやはり直して二五%ぐらいまでいかないと現実に合わないんじゃないかと思います。 なぜかというと、事業の場合、いわゆる申告納税をやる場合の経費というのは、局長の今いみじくも答弁の中にあったけれども、売り上げがふえていくから経費がどんどんそれに比例してふえるというものじゃないですよ。経費はある程度頭打ちになってくる傾向が当然出るんだけれども、実際の申告を見ていると、経費率そのものは売り上げが上がるにしてもほぼ横ばいでいっているような、何となくサラリーマンのこの五百万の年収と一千万の差ほどには経費率に違いがないんだよね。もちろんこれは実額申告だから大ざっぱな言い方ですけれども。そういうような実態も踏まえてサラリーマンの給与所得控除を今後見直すとして、僕が注文したいのは、そのあたりが問題じゃないかな。また、中堅所得層というかあるいは中年になるのか、その辺のサラリーマンが一番不公平感を持っているから、それを直して給与所得控除を見直す。もちろん税率の緩和、控除の緩和も必要ですがね。そこらをしないと、きのうの判決を受けとめたサラリーマンたちの漠然としたいろんな意見にこたえられない、そういう気がするんで、大臣、それだけ。
○国務大臣(竹下登君) 私は、その議論はむしろやっぱり累進税率の問題の議論の方へ進んでいくんじゃないかという感じを持っております、今日の時点で。必要経費の角度からよりも、むしろやっぱり税率そのものの問題に着目した議論の方へより今までも傾斜がかかっておったんじゃないかな、こういう感じを持っております。
○野末陳平君 税率そのものの議論も大事なんだけれども、それはサラリーマンだけじゃない、全体にわたるから、そうすると不公平感はやっぱり同じだ、こういうふうになりかねないんで、サラリーマン独自の、サラリーマンだけに認められているような制度の何かを見直したいというのが僕の考えなんです。だから税率構造を緩和していったというと、要するに稼げば税金が高い、重いと言っていたのが少しは楽になったな、そういうのじゃ今回の、きのうの判決を受けた結果としてその見直しは物足りないかと思いますよ。一応そういうことだけ個人的な意見ですから強調しておきます。 それから次は、さっきからも出ていましたけれども、税務職員の定員をふやすというか、人員増の問題ですけれども、あれは今まで附帯決議を十年つけてきましたけれども、もちろん大蔵大臣も総理大臣もみんな渋い答弁を今まで続けられたけれども、もう無理ですね。やはり衆議院の定数の是正なども直さなきゃならないところまで追い込まれたというと同じぐらいの重みがやはりきのうの判決で出たという気がするんだよね、そこは書いてないけれども。要するに捕捉の不公平を認めたというあの内容がね。そこで、同僚委員からのそれについての質問がことしもまた続きましたけれども、僕はもうこれが決め手になって来年は、来年て、もうすぐにこれやらなきゃだめだと思いますね。 今までは、はっきり言って、税務署の評判の悪い時代は人数をふやすなんていうと必ず反発されたと思いますよ。しかし今は、予算委員会でも僕は言ったんだけれども、不公平を直すために当然であるという声が強いから、しかも昔に比べて税務職員は評判がいいし、ですから少なくもサラリーマン家庭にとっては、人員増による課税強化なんていっても当然だ、どんどんやっていいじゃないかというところに落ちつくと思うんです。反対に、記帳義務のときもそうだったけれども、商工自営業者は嫌がるでしょうね。これは当たり前ですよ、自分たちにとって不利になるに決まっているんだから。だけれども、まじめな正直な納税者もまたいっぱいいて、その人たちは申告納税をやっても決して嫌がることもないんで、総合的に考えると人員増による課税強化というのは時期を得たごく当たり前の、政府として遅過ぎる措置なんで、これはもう来年はっきり打ち出さなきゃだめだ、そういうふうに思うんでためらう必要は全くない、こう思うんですがいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 御趣旨は私も痛いほどよくわかりますが、まず隗より始めよと私も五年間そんなことを言っているんです、やっぱりまず予算編成が来ます、そうすると建制順に法務、外務、大蔵、文部、こういうふうな形でずっと見てまいります。外務省の予算というのは毎年、まずイタリア並みに外交官の数を近づけていきたい、まず人、ODA、そういう順番で予算がある。その次は足腰予算というんですが、そういう順番で来る。そうすると、法務、外務ですから、法務といえばこれは別にトンカチをやるわけじゃなしに、とにかくやることは紙と鉛筆と人間だ、こういうことになります。そうして法務、外務、その次は大蔵になるわけですね。大蔵みずからの問題を加えたときに、そういう流れの中で突出した議論というのは非常にやりにくい議論ではあるんです。 しかし、今おっしゃったような国民世論の動向がそういうふうに来ておることもわかりますし、税務職員の資質の問題についてのお話がちょっとございましたが、この間秋田県で一つだけあったときに私も嫌な気がしましたが、しかし、ほかのところから比べれば本当に少ないなとも思いました、率直に言って。だからそういうことを思いますときに、これは自問自答しながら予算査定をやっていかなければならぬわけですから、本当にこういう背景の中でどう対処していくかということをもう少し自問自答させてみてくださいませんか。趣旨は痛いほどわかります。
○野末陳平君 最後の決め手は、増収になるともう割り切っちゃうんですね。やはり税務職員一人当たりで今稼ぎ出している金額、かなりですからね。これはやはり一人ふやせばこれぐらいというような試算をして、それを国民に示して、別に増収になるためにやるんじゃないんだけれども、しかしこれによって不公平が少しでも直るんだという努力の跡をそういうはっきりした形で示す必要があると思いますから、頑張ってください。 同時に、これも毎年僕は言っていてなかなか改善されていかないのだけれども、地方税関係の職員との共同作業といいますか連係プレーですね。これが数年前までは、地方税関係の職員が税務署に来ていて出される申告書をコピーして持って帰ったとか、実にむだなことをやっていた。このごろは申告書そのものがコピーになりましたからあれが行くので非常にそれはよくなったけれども、考えてみたらこんなものは前からできていたはずでしょう。ですから改善する余地はまだ幾らもあるだろうと思いますね。 そこで、地方税関係の職員の今の徴税の実態を見ていると、個別に歩いて見つけているわけだね、やっぱり。新しい世帯が誕生するとそこへ行って、どうなっているかとか、手紙を出したりすることもあるけれども回っているのだよね。そうして回って、パートの主婦か内職の主婦か、そういうのを捕まえたところでそれは金額も大したことはないのだけれども、地方税だけは徴収するけれども所得税の方には書類が行っていない。何か勝手に自分のところだけに入ってくればいいみたいにやっている。これもやはりむだがある。こういう努力をやるのは結構だし、それからその人数があるのは国税から見ればうらやましい話なんでしょうが、そこら辺の連係プレーは当然してもらいたい。理想を言えば徴税システムの一本化だけれども、それは地方自治の建前もあったりして難しいとおっしゃるのですから、建前は建前でいいから、連係プレーをしていくことを真剣に両者で努力していただきたい。幾ら人員増と言ったって、すぐにぼんとふえるわけじゃないですからね、それも同時にやらなければならないので、重要な緊急課題だと思うのですが、それはどうですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 私どもとしては、課税の公平を図るためには同じ税務当局でございます地方税当局と常に緊密な連携をとらなければいけないということで、実は昭和二十九年に自治省との間で協定を結びましていろいろと御協力を申し上げるということにしておりますが、さらにそれを踏まえて五十七年にもいろんな形で一層の協力関係を確立することにしております。 現在、三月に確定申告が終わりましたが、この時期にも地方税職員の御協力をいただいて、確定申告の相談や申告書の収受等につきまして随分といろいろ協力をいただいておるところでございます。また地方税の場合には、文字どおりその土地に密着をしていろんな情報をお持ちでございますので、先生が先ほど御指摘のように、いろんな形で新規納税者の把握その他につきましては随分その辺の情報を集めておられますので、実はそういう情報につきましてはほとんどの市町村から私どもの方にいろんな形でいただいております。 それから、先生のお言葉を返すようでございますが、実は全部ではございませんけれども、大部分の市町村におきまして、市町村税を自主的に決定をなさいました場合にはそれにつきましての情報を税務当局で私どもでいただくような格好で話ができております。したがって、そのような形も含めまして、地方税と私どもとの間で相互に情報を交換し協力をしながら適正な抜かりのない税務執行という方向で現在努力中でございますが、なお御指摘のように、地方税との関係で私どもも努力をし、理解を深め、もうちょっと突っ込んでやるべきところもあろうかと思います。今後その面につきましては、自治省を窓口にして十分話し合いをしながら、またそれぞれの市町村とのレベルで税務署が話をしながら進めてまいりたいというふうに思っております。
○野末陳平君 どんどんその方向を進めてくださいね。徴税コストだってちょっと違い過ぎているし、そうするとこの違い過ぎというのはむだがあるという見方も当然できるわけですから、連係プレーというか、協力体制の整備をしてほしいという気がしますね。そして今の不公平感は、所得税が直れば地方税にも当然その分は及ぶわけですから、やはりどちらかというと国税関係中心にやっていくべきだ、そんなふうに思いますから改めてそれをお願いしておきます。 それから、グリーンカードの廃止に伴って例の朝霞のセンターなども活用されていると思いますけれども、もともとそのためにつくったセンターでしたからお金もかかっておるんで、あれがどういうふうになったかというか、どういうふうに使っていて、今後どういう方針できちっと活用されていくのか。それを聞いておかないと、グリーンカードは廃止になったわ、あれはどうなったかわからないというんじゃ困りますから、その点についても説明をお願いしましょう。
○政府委員(冨尾一郎君) 朝霞におきます国税庁事務センターは、国税庁のコンピューターシステムのセンターとして現在活用させていただいております。国税庁のコンピューターシステムは現在二系統ございまして、東京、大阪、名古屋、それに関東信越国税局、埼玉県の南の方の一部を取り込みました、この四つの国税局の分につきましては主としてバッチシステムでコンピューター化を進めておりまして、法人税、所得税につきましての内部事務、それからその二税につきましての債権管理というものをこのセンターでコンピューターで処理をするということにしております。それから、その他のものにつきましては、総合オンラインシステムということで、オンラインで所得税、法人税、源泉所得税ということを中心にし、また、全税目の債権管理をコンピューターで処理するということで現在導入しておりますが、現在二百署ほど導入しております。したがいまして、残りの東京の方でカバーしてないもの、また総合オンラインでカバーしてないものにつきましても、今後できるだけ早急に導入いたしまして、全体としてコンピューターでカバーできるように現在鋭意計画中でございます。それらのセンターとして、現在朝霞センターをコンピューターセンターとして二セットの、文字どおりの中枢機能として活用させていただいているところでございます。
○野末陳平君 とすると、人手不足をかなり朝霞のセンターでカバーしている、しつつあるというふうには見ていいわけですね。 ただ、今度の限度額管理の問題、そこから始めたんだけれど、そこまで管理がいくかどうか知りませんが、名寄せをやった後非課税貯蓄、それについて今後朝霞センターを活用するような、あるいはそこに構想の中に入っているんですか。今後とも名寄せをきちっとやらなきゃいけない、研究中だとこの間うちから答弁があったけども。
○政府委員(冨尾一郎君) 朝霞センターにおきます二つのシステムによるコンピューターは、現在のところほぼこれで手いっぱいという状況でございます。したがいまして、今後少額貯蓄非課税制度につきまして名寄せをいたします際にこれはコンピューターを使ってやるというふうにいたしますと、現在私どもが持っております二つのシステムのほかに新たなコンピューターシステム、コンピューターを中心にしたそういう名寄せのラインをつくりませんといけないということでございます。それらのことも含めまして私どもとしては、コンピューターを使うかどうかもまだ当然に決まったわけではございませんが、毎年三千万枚も出るような非課税貯蓄申告書でございますので、何とかコンピューターを中心にして効率よく名寄せができるようにということで、そういうことをこれから早急に検討させていただきたいというふうに思っております。
○野末陳平君 それで、きょうの法案ですけども、法人税法の方はやはり税調の答申に従って基本的には課税強化の方向を打ち出されているからいい、ちょっと内容が物足りないけれどもそれはいいんですが、入場税法でこの間大臣と主税局長にちょっとお答えいただいたらば、減税の効果が一般の人に還元されるようにと。そこまでわかった、努力をするとかそれから指導をするとかというのはわかったけれども、どうもちょっと危ない、業界と大分違うんで、念を押さないと気が済まないんですよ、これ、本当に。四十億の減税で全然還元されないような不安のある法案をすんなり賛成するわけにいかないからね。 ですから、それで改めて大臣に念を押しておきますけど、これはほんのちょっとでもいいから、おつりなんか面倒くさいかもしれないけど、やはり値下げということの確約をとるぐらいの、くぎを刺すぐらいのことをしないと、入場税の免税点が上がりました、いわば減税になりましたよといったって全然どこも一円も値段が変わってないじゃないかといったら、国会は何をやっているんだ、こうなっちゃう。わかりいい形にしないとね、少なくとも減税ですから。 だから僕は、値下げを実行するくぎを刺してもらいたいことが一つと、同時に、値上げも、まあ当分の間というのはあいまいだけれども、やっぱりこれは値上げも自粛してもらわないと、半年目に千八百円だからね、映画の場合。指定席はもう既に二千円を超えているんですけれども、演劇の方も。それはわかるんですよ、みんなそれぞれやりくりが大変なのは。だけれども、かといってここで減税するのが一般の大衆に還元されなかったら何にもならないから、そこで値下げと値上げと両方きちっとくぎを刺してもらわないと心配でね、それはどうですか。
○政府委員(梅澤節男君) 大臣の御答弁の前にちょっと状況報告だけ申し上げておきますと、先般申し上げましたように、二月の二十日から二十五日の間、関係各省から関係団体に文書で通達をしてもらったわけでございますが、きょう現在関係省から報告を受けておりますものを申し上げますと、映画産業団体連合会から、これは四月一日入場税法が施行になりますれば現行二千二百円の入場料金のものは二千円に下げる、……
○野末陳平君 指定席だ。
○政府委員(梅澤節男君) はい。それから二千円のものは千九百円に下げるということで、かなり徹底した値下げが私どもは行われると期待しております。
○野末陳平君 演劇は。
○政府委員(梅澤節男君) 演劇についてはまだ報告を受けておりません。関係省庁と十分連絡をとりまして、その進捗状況を私どもとしても十分にウォッチしていきたいと思います。
○野末陳平君 それを聞いて少しは安心したけれども、それを実行してもらわないことにはこういう減税法案というのは何のためかわからないから、大臣、ひとつそれは徹底するように、そして、ああ減税になったんだな、こういうふうにだれもが思うようにしましょうね。 で、もう質問する時間もなくなりましたけれども、演劇などの場合あれは経費がかかるからやむを得ないんだけど、映画なんか結局、映画の日を一年に一遍やったけれども、半額にするともう超満員になる。つまり、今の映画の料金は高いからだめなんだ。だから映画の日はもう一日、二日、三日とどんどんふえていますよ。ということは、横ばいないしは値下げの機運に映画界はあるんだよね。そういうこともやはり考えてこういう法案を出してもらわないと、実態に即していなさ過ぎたので注文をつけたわけです。ひとつ今後ともお願いしておきましょう。 じゃ、終わります。 ─────────────
○委員長(藤井裕久君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、梶木又三君、倉田寛之君が委員を辞任され、その補欠として志村哲良君及び吉村真事君が選任されました。 ─────────────
○委員長(藤井裕久君) 他に御発言もなければ、三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認めます。 入場税法の一部を改正する法律案の修正について近藤君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。近藤忠孝君。
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、入場税法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。 これよりその趣旨について御説明申し上げます。 もともと入場税法は、昭和十三年四月に支那事変特別税法として、中国侵略のために戦費調達を図る目的で設けられたものであります。映面、演劇はぜいたくという考えと、戦争遂行のためにあらゆるところから税収を確保しようとする立場から立法されたこの経緯から見ても、戦後直ちに廃止されてしかるべきものであり、私たちは従来から廃止するよう強く主張してまいりました。 ところが、第四十回国会衆議院の大蔵委員会で当時の水田大蔵大臣が「私はこの種の演劇その他の入場税というものは、実際は税としては悪税で、これは将来撤廃すべきものだというふうに考えています」と答弁しているにもかかわらず、その後政府は、間接税体系の合理化を図るためとか、あるいは同種のサービス課税である通行税や娯楽施設利用税等の均衡を保つためとか、サービス消費が急増しているところから、さらに物品、サービス課税を強化してもよいのではないかなどという理由で、入場税を存続させてきました。 憲法第二十五条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」をすべての国民に保障しています。その実現のためには、国民の社会教育を充実し、芸術、文化、スポーツの豊かな発展を図ることこそ重要であります。また、すべての国民に芸術、文化、スポーツに接する機会を十分に保障してこそ文化国家と言えるのであり、政府はそのための助成措置を講じなければなりません。入場税は、この本来国のとるべき政策に反し、日本国民の芸術、文化、スポーツの自主的、多面的発展に抑制的な役割を果たしてきました。 一九七七年には文化庁が発表した「文化行政長期総合計画について」と題する報告書でも「芸術活動を活発にするために公演にかかる入場税の廃止」について検討を求めており、また、一九八〇年のユネスコの芸術家の地位に関する勧告では「最も広く定義された芸術が生活の不可欠の部分である」として、「すべての人々が芸術に接することができることを確保すべきである」との勧告を行っております。政府は、入場税の撤廃はもとより、その自主的な発展のために十分な助成措置を講じ、芸術、文化、スポーツの豊かな発展を願うすべての国民の期待にこたえるべきであると思います。 今日、入場税存続の特別な理由はないと思われます。 ただ、競馬場、競輪場等への入場料金に対する課税につきましては、芸術、文化、スポーツとは異質のギャンブルとしての性質にかんがみ、当分の間存続させることとしています。 今回政府から提出された入場税法の一部を改正する法律案では、高価な催し物への入場料金に対する課税の存続措置が図られていますが、これはむしろ担税力に着目するというよりも、現在政府が検討しているEC型付加価値税等大型間接税の導入対策であり、到底認められるものではありません。 さきに述べましたように、今日の日本国民の芸術、文化、スポーツ要求の高まりと、先進諸国との比較に見られる貧困な文化政策等に照らしても、この際、国による積極的な文化政策が必要であり、その一環として入場税を撤廃するのが適切であると思います。 以上が、日本共産党の本案提出の理由であります。なお、本修正案による減収額は昭和六十年度において約四十億円と見込まれます。 何とぞ、速やかに御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(藤井裕久君) 以上で修正案の趣旨説明聴取は終わりました。 ただいまの近藤君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいまの修正案につきましては、修正案どおりの改正を行いますと、サービスに対する課税のあり方として問題があるとともに、昭和六十年度予算にも影響を及ぼすことになるので、政府としては反対であります。
○委員長(藤井裕久君) これより三案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○鈴木和美君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になっている三法案について、入場税法改正案については賛成し、法人税法改正案並びに租税特別措置法及び所得税法改正案については反対の意思を表明し、その討論を行うものであります。 なお、近藤君提出の入場税法改正案の修正案に対しては反対いたします。 政府は、財政の対応力の回復が緊要な政策課題であるとして、財政改革の強力な推進を掲げ、六十年度予算においては、三年連続しての一般歳出の据え置きや、国債発行額の一兆円減額を達成させたとして自画自賛しております。 しかし、その中身はといえば、後年度への負担の先送り、地方財政への負担の転嫁等、その場しのぎの財政運営に終始しているのが実態であります。 さらに昨年度には、見合い資産のない特例公債の借りかえを強行し、六十年先まで後世代にその負担を負わせるという暴挙に走ったのであります。このようなことで財政運営の当局者としての責任が果たせると考えているのでしょうか、深く反省を促すものであります。 さて、今次税制改革に当たって政府は、税負担の公平化、適正化の推進の観点からその見直しを行ったとしておりますが、二年続けての公益法人等及び協同組合等の法人税率の引き上げにも見られるように、取りやすいところから財源を調達し、従来からその是正が求められていた退職給与引当金の繰り入れ限度額については、財界の強い反対に屈してその改正を見送っているのであります。 さらに利子配当課税については、三年間凍結していた非課税貯蓄の限度額管理と課税貯蓄の総合課税を目的としたグリーンカード制を廃止し、実効性の乏しい本人確認による限度額管理でお茶を濁しただけでなく、不公平税制と言われる源泉分離選択課税制度を初めとした利子配当課税の特例措置を恒久化し、公平な税制確保に必要不可欠な総合課税化を放棄、高所得者、高資産家に有利な改正を行っているのであります。 また、昨年度の法人税の欠損金繰り戻し還付の二年間停止に続いて、次年度以降の法人税額に影響を与える法人の利子配当等に係る所得税額の控除の特例措置を五年間にわたって設けるなど、歳入構造の強化とは逆行するような政策をとる一方、企業関係の特別措置の整理合理化についてはなお不十分なまま放置しているのであります。 今国会で中曽根総理は、戦後税制の抜本的改革を掲げ、その方向としては公平、公正、簡素、選択に加えて活力の五原則を挙げています。しかし、予算あるいは大蔵委員会の審議を通じて明らかになった点は、財源確保をねらいとした大型間接税の導入意図と、それとの抱き合わせで行おうとする、最低税率を引き上げ最高税率を引き下げるという高所得者に有利な所得税減税の方向だけであり、肝心な部分については政府税調を隠れみのにして、政府としての方向性を何ら明らかにしようとはしておりません。 さらに、我が国の税収構造で直接税のウエートが高いことのひずみの是正を言いつつも、毎年のように国民が要望してきた所得税減税については、昨年度、五十二年度以来七年ぶりにわずか一度行っただけであり、それとても酒税、物品税などの既存税制の増税でその財源を賄っているのであり、六十年度においても、野党の強い所得税減税要求にも断固として首を縦に振ろうとはしませんでした。全く遺憾と言わざるを得ません。 今日ほど公平な税制の確立が求められているときはありません。政府が真に公平、公正な税制改革を目指すというのであれば、クロヨン、トーゴーサンなどと言われる給与所得者と他の所得者との所得把握の格差を是正するための方策を早急に講ずるとともに、実調率を高めるためにも国税職員の大幅な増員を確保するよう最大限の努力を払うべきであります。 まじめに納税している国民がばかを見ないような公平、公正な税制の確立を強く要望して、私の討論といたします。
○藤井孝男君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案外二法律案並びに近藤委員提出の入場税法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、修正案に反対、三原案に賛成の意を表明して討論を行うものであります。 我が国の財政は、大量の公債発行残高を抱え、その利払い等のための経費も今後さらに増加が見込まれるなど、一層その深刻の度合いを増しております。 そうした中にあって、財政本来の機能を回復し、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定向上を図るために、財政改革は緊急の課題とされているところであります。したがいまして、六十年度においても、歳出面において、徹底した節減合理化が図られ、一般歳出が前年度より減額されるなど、その規模が厳しく抑制されております。 これとあわせて、歳入面、特に税制について、社会経済情勢の変化に対応して、前年度に引き続き税負担の公平化、適正化を一層推進する観点から、最大限の税制改正が行われております。 まず第一に、法人税関係では、引当金等の繰り入れ率について実態に即して見直しが行われてきたところでありますが、今回、質倒引当金について、金融保険業以外の業種に対し、おおむね二割程度引き下げる措置が講ぜられております。また、公益法人、協同組合等につきましては、その特殊性にかんがみ種々の配慮がなされているところでありますが、現在の軽減税率については、基本税率との格差が大きいこと等を考慮して、その税率を原則二%引き上げることにしており、適切な措置であると認めます。 第二に利子配当課税についてでありますが、非課税貯蓄制度の適正化を図るため、マル優、特別マル優及び郵便貯金について限度管理を厳格に行うため本人確認の諸規定を設けており、これにより仮名預金等が排除されることとなり、より課税の適正化が確保されるものと確信いたします。なお、いわゆるグリーンカード制度につきましては、諸般の事情から、これを廃止する措置を講ずることはやむを得ないものと思われます。 第三に、租税特別措置の関係についてであります。 企業関係租税特別措置については、累年にわたり厳しい整理合理化が行われてきたところでありますが、税負担の公平確保が一段と強く求められていることにこたえて、六十年度においても各種準備金の廃止等の整理合理化が図られており、一方、高度先端技術の開発促進を図るための試験研究費等に係る税の軽減措置等を設けております。さらに土地、住宅関連税制についても、民間活力の活用等にも配慮し、高度利用地区等における特定の優良な再開発建築物について割り増し償却を認めるとともに、優良住宅地の造成等のために土地を譲渡した場合の課税の特例について所要の見直しを行っており、時宜適切な措置と認めるものであります。 以上の理由により、三法案に対する私の賛成の討論といたしますが、政府におかれましては、財政改革が緊要な課題であることにかんがみ、これまでにも増して財政収支の改善に努力されますとともに、今後において税体系の抜本的な見直しを図ることにより、税に対する国民の信頼を確保されんことを期待いたしまして、私の討論を終わります。
○鈴木一弘君 私は公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案の二原案並びに入場税法改正案に対する修正案に反対し、入場税法改正原案に賛成の立場から討論を行います。 初めに、利子配当課税について、今回の改正案では、本年十二月末に三年間の凍結期限が到来するグリーンカード制を廃止し、これにかえて非課税貯蓄の限度管理と本人確認の強化を図ることとしておりますが、これとて実効は望めない内容となっております。加えて利子配当課税に対する特例制度を恒久化しようとしているのであります。 本来、利子配当所得は、給与所得等の勤労性所得に対し不労所得であり、その所得に対して負担を軽減するという特例制度による税の不公平に対しては、我々はこれまでにもその不当性を再三指摘してきたところであります。しかるに、非課税貯蓄に対する管理を厳正にし、課税貯蓄について総合課税化することによりその不公平是正を図ることとしていたグリーンカード制度を廃止し、不公平な制度を恒久化しようという改正は、断じて認められないのであります。 次に、法人税法の一部改正案についてであります。 今回の改正は、法人税が基本的に抱える諸問題を何ら解決しようとせず、単に財源対策としての改正であります。つまり、引当金、準備金の見直しについて税制調査会の答申された内容より大幅に後退しているばかりでなく、さらに受取配当金の益金不算入、支払い配当軽課税率のあり方などの問題を放置したまま公益法人等の税率引き上げを求めることは納得できないのであります。 さらに、今回の改正では、所得税の大幅減税を見送ったことであります。 現在の国の税収の中に占める所得税の税収は極めて高く、とりわけ給与所得者からの税収は年々高まりつつあります。所得税は、毎年物価調整減税を実施しない限りその負担は加重され、実質上の増税が進行することは紛れもない事実であります。税の公平を確保する点からも、所得税減税を改めて強く主張し、私の討論を終わります。
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております法人税法の一部改正案、租税特別措置法及び所得税法の一部改正案の二案に反対、入場税法の一部改正案及びその修正案の両案に賛成の討論を行います。 法人税法等の各一部改正案に反対する第一の理由は、大企業に対する不公平税制の是正が全く不徹底であるばかりか、不公平を一層拡大する新たな措置が設けられていることであります。 すなわち、今改正案において、貸倒引当金の若干の縮減や株式売買損失準備金の廃止など、当然廃止されるべき特別措置の廃止と見返りに、新たな政策税制の名のもとに、いわゆるハイテク減税やテレトピア減税、さらに都市再開発減税など、多くの新たな大企業向け特別措置が創設されているのであります。 もちろん資源小国である我が国にとって、技術開発は重要な政策課題の一つであります。しかし、今回のハイテク減税は、十分負担能力のある大企業に対して、将来の独占的高利潤が保証されている最先端技術分野の投資を対象として、最も恩典度の高い特別措置である税額控除の制度を新たに設け、しかも既存の税額控除との重複適用を認めるという、二重、三重の優遇措置を与えるものであります。 テレトピア減税についても、例えば横浜のMM21計画などのように、特定の大企業主導で行われる事業に対して減税措置がなされようとしており、公益性の担保は何ら保証されておりません。 また、民間活力論に基づく都市再開発減税も、再開発による莫大な集積の利益を得る大手開発業者に対する新たな減税措置であります。 これらの企業減税措置は、新たな政策税制は厳に抑制するという政府税調答申にも明白に反するものであり、また税制にこのような民間活力論を導入することは公正な租税原則に反し、また将来無限に特別措置を拡大することにもつながり、断じて容認できません。 反対の第二の理由は、利子配当課税制度の見直しについてであります。 最大の問題は、検討の出発点であった利子配当課税の総合課税への移行の問題がいつの間にかすりかえられ、非課税貯蓄の限度管理の問題に錘小化されるとともに、結局総合課税への移行が最終的に見送られ、最大の不公平税制が残された点であります。 非課税貯蓄制度の見直しでは、限度管理のうち本人確認の面ではかなり正されると思われますが、名寄せについては厳正に行われる保証は何らないのであります。 反対の第三の理由は、国民の多数が要求する所得減税が見送りになる一方、中小企業その他への増税が強められたことであります。 赤字法人に対する利子配当源泉税の還付繰り延べ措置は、当面は赤字法人の大半を占める中小企業の申告をチェックし、将来の本格的な赤字法人課税への地ならしを進めるもので、反対であります。また、法人税法改正による公益法人、協同組合等への二年連続税率アップは、非営利法人であるこれらの法人の経営困難と活動低下をもたらすものと言わなければなりません。 次に、入場税法の一部改正案については、我が党はあくまでも撤廃を求めており、その立場から修正案を提出しているのでありますが、政府案は免税点を引き上げるというものであり、改善措置として賛成するものであります。 最後に、我が党は不公平税制の是正などを財源とする一兆円規模の所得減税、その他国民各層へのきめ細かな政策減税の実施を要求するとともに、政府がその導入をねらっている大型間接税についてはいかなる形態であってもそのような大衆課税の強化に断固反対するものであることを表明し、私の討論を終わります。
○栗林卓司君 私は民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました法人税法、所得税法、租税特別措置法それぞれの一部を改正する法律案に対して反対、入場税法の一部を改正する法律案に対して賛成、また近藤議員提出の入場税法の一部を改正する法律案については反対の意思を表明し、討論を行います。 今日、税負担に対して国民の間に幅広い重税感、不公平感が高まっていることは政府も認めているところであります。恐らく六十年度予算の成立後のある時期に、税制調査会に対し本格的な見直しを諮問されると思います。しかし、だからといって六十年度の税制改正では何もしなくていいということにはなりません。国民の重税感を認められたのであれば、六十年度の税制改正は全体として減税になっていなければならないはずであります。 政府は、公平、公正、簡素、選択、活力の観点から見直しをしたいと言っておりますが、活力という言葉を使う以上、まず思い出されるのは、税金と社会保障費を合わせた負担率は現状を放置すればやがて五〇%を超えるであろう、しかしヨーロッパの例に見るごとく、負担率が五〇%を超えると急速に勤労意欲が減退し、社会は活力を失う、したがって行政改革を進め、せめて四五%以下にする必要があるという第二臨調の指摘であります。 全く同感でありますが、では、こうした切迫した問題意識で現在、行政改革が進行しているのかどうか。その点に国民から見て不満があることも、重税感を高めている原因であると思います。中長期の観点から考えた場合、大規模な増税は不可避と判断すべきであります。しかし、今現在は極力減税に努力すべきであり、減税を通して新しい税体系への道を構築すべきであります。この意味で、改正案全体として増税を進めた政府は強く批判されるべきであり、またこれを認めた税制調査会の態度にも不満の意を表明しておきたいと思います。 次に、国民の不公平感についてでありますが、まさに不公平を是正するために、言いかえれば総合課税を貫徹するために、期待を込めて実現したものがグリーンカード制度でありました。その実施を前にさまざまな混乱があったことは事実であります。制度の導入に対して細かい配慮を欠いたことも否めない事実でありました。しかし、市中金融機関と郵便貯金が別々の政策のもとに置かれている現状が是正されていれば、状況はいささか違ったはずでありました。 そして、もし今回廃止するとしても、総合課税に向かってどう進めていくのか、具体的な手順と方法を明らかにすべきでありました。しかし、この点について税制調査会が揺らいでいるかに感じられるのはまことに遺憾であります。 第二臨調がスタートしたときに、税制調査会は、税は自分たちの守備範囲であると主張し、第二臨調が税の問題に立ち入ることを拒否した経緯があったと思います。しかし、今にして思えば、それで本当によかったのかどうか、政府の決めた歳出を結果として追認する立場にある現状を考えたとき、税制調査会に対し重ねて強く批判を加えておきたいと思います。 以上で討論を終わります。
○委員長(藤井裕久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより順次三案の採決に入ります。 まず、法人税法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤井裕久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤井裕久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、入場税法の一部を改正する法律案について採決を行います。 まず、近藤君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤井裕久君) 少数と認めます。よって、近藤君提出の修正案は否決されました。 それでは、次に原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤井裕久君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、竹田君から発言を求められておりますので、これを許します。竹田四郎君。
○竹田四郎君 私は、ただいま可決されました法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案、入場税法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案並びに入場税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一、税体系のあり方については、所得税負担のあり方を含め、国民の理解と信頼が得られるよう一層の公平確保に努めるとともに、社会経済情勢の変化に即応した幅広い意見を聴取しつつ、適宜見直しを行うこと。 二、退職給与引当金、貸倒引当金等の繰入率等について、引き続き実態に応じて検討すること。 なお、退職給与の保全措置についても、検討を進めること。 三、準備金、特別償却等各種租税特別措置については、産業構造の変化に即応して、既に政策目的を達したもの、政策効果の少ないものは、整理合理化を行うとともに、新規の政策税制を設けることは厳に抑制すること。 四、利子・配当課税のあり方については、郵便貯金を含め、本人確認、名寄せの厳正な方途の確立を図り、その適正・公平な課税がなされるよう、引き続き検討を行うこと。 五、複雑困難であり、かつ高度の専門的知識を要する職務に従事する国税職員について、変動する納税環境、財政再建の緊急性、業務の一層の複雑化及び税務執行面における負担の公平確保の見地から、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮し、処遇の改善、職場環境の充実及び中長期的見通しに基づく定員の一層の増加等につき特段の努力をすること。 六、入場税の減税効果が入場者の負担軽減につながるよう、適切に配慮すること。 右決議する。 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
○委員長(藤井裕久君) ただいま竹田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤井裕久君) 全会一致と認めます。よって、竹田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
○委員長(藤井裕久君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(藤井裕久君) 次に、あへん特別会計法を廃止する法律案及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりましたあへん特別会計法を廃止する法律案及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 まず、あへん特別会計法を廃止する法律案につきまして御説明申し上げます。 あへん特別会計は、あへん法の規定により政府が行うアヘンの収納、輸入または売り渡しの事業を円滑に運営し、その経理を明確にするため、あへん特別会計法に基づき昭和三十年に設置されたものであります。 しかしながら、現在、あへん特別会計の予算規模は、三十八特別会計の中で最小であり、また、同特別会計の一般会計に対する割合を見ても、設置当初に比べ大幅に低下しており、これを独立の会計として存続させ区分経理を行う必要性はなくなったと考えられますことから、今回、行財政改革の趣旨をも踏まえ、昭和五十九年度末をもって廃止しようとするものであります。 本法律案は、昭和六十年四月一日をもってあへん特別会計法を廃止することとし、これに伴い、同特別会計の権利義務を一般会計に帰属させるとともに、所要の経過措置を定めることとするものであります。 次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、我が国市場の一層の開放を図る等の見地から、関税率、特恵関税制度等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一は、関税率の改正であります。 まず、東京ラウンド交渉に基づく関税率の段階的引き下げを、鉱工業品及び開発途上国関連の農林水産品については二年分繰り上げて実施し、その他の農林水産品については一年分繰り上げて実施することといたしております。 また、諸外国の関心の深いブドウ酒、クラフト紙等の関税率の撤廃または引き下げを行うことといたしております。 第二は、特恵関税制度の改正であります。 鉱工業品に対する特恵関税の適用限度額等の拡大を図るとともに、特恵関税率が実行税率の二分の一となっている人形等の特恵関税率を無税とする等の所要の改正を行うことといたしております。 第三は、減免税還付制度の改正であります。 アルミニウム製錬業の構造改善に資するため、アルミニウム製錬業者が輸入するアルミニウムの塊について一定の限度内で関税の軽減を行うとともに、特定の装置により灯油等の中間留分石油製品等を増産した場合の関税の還付率を引き上げることといたしております。 以上のほか、昭和六十年三月末に適用期限の到来する暫定関税率及び原油関連減税還付制度について、それぞれ適用期限を延長することといたしております。 以上が、あへん特別会計法を廃止する法律案及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(藤井裕久君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大木正吾君 関税暫定措置法につきまして、法案について、それ自身、前倒しにする部分とか、あるいは特恵関税問題等については賛成でございますけれども、幾つか最近の貿易摩擦絡みの問題についてただしておきたい、こう考えております。 実は、一月二日に総理がアメリカに行かれて四品目についてのお約束をしてきたわけですが、これをめぐりましてアメリカとの摩擦が最近では木材あるいは合板等を中心にして話が少しく激しくなっておったり、あるいはつい先ほどまでは通信機器関係についての話が大部こじれておった点がございます。そういったものを中心としまして伺いたいわけでございます。 実はけさの日経新聞でございますけれども、これは大臣もお読みになっているかと思うんですが、野党が束になってかかってそして所得減税などはしないと自民党さんからは断られた、政府からも断られた、こういう経過になっているんですが、これは「政府は二十七日」という書き出しによりまして、「対外経済対策、大枠固まる」という見出しでもって中心に「減税で内需拡大も」、こういう言葉が入っているわけですね。そこに、お手元にございますか。いわば野党こぞって随分と予算委員会がとまったりしながら話してきましたものが、結果的には所得減税等については、先ほども議論がありましたとおりほとんど見向きもされない状態で見送られながら、内需拡大のために減税をするという立場になりますと、結果として所得減税あるいは投資減税等の話題がこの中に散見されるわけですが、こういう話があったのは事実でしょうか、どうでしょうか、それをまず伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) けさ私もこの記事を読みましたが、今M9というのがありまして、九人の大臣が集まって対外経済対策を協議する会合でありますが、今のところそういう問題についてまだ議論をしておりません。なかんずくこの減税問題というのでまだ議論をしたことは一度もございませんので、これはマスコミの自由でございますが、恐らく観測記事じゃなかろうかというふうに考えます。
○大木正吾君 大分これは項目を挙げて書いてございますので、どうもマスコミの想像で書いたというには少しく信憑性が強い、こういうふうな感じなんですが、大臣御自身は、四項目問題も相当擦過状態が激しいわけですが、やっぱり内需の拡大等抜本的なことをやらなければ貿易摩擦はなかなか解消しない、こういうふうにお考えではありませんか。
○国務大臣(竹下登君) 内需拡大、いろんな方法がございますが、よく言われますのがいわゆる所得税五兆円、仮に五兆円減税した場合の内需拡大によっての輸入増というのが大体七億ドル、それから三兆円の仮に公共事業の追加をした場合が十三億ドル、そういう数字がよく議論される焦点に使われる、私どもが使っておる数字でございますけれども、したがって今の貿易摩擦、経常収支の不均衡とでも申しますか、それと今の三兆の公共事業とか五兆の所得減税とかというようなものは、まだ議論のベースにも実際はのっかったことはございません。我々が部内でそんな話をしたことがあるという程度でございます。
○大木正吾君 いずれにいたしましてもこれは非常に重要な問題で、日経新聞さんが取り上げて、他の新聞は注意して見たんですが出ていないんですね。ですからこういったことについては、予算審議の真っ最中ですから、あしたからまた予算委員会が始まったらこれは恐らくまた話題が出るんじゃないか、こういう感じもするんですけれども、いずれにしましてもやっぱりこういったことは慎重に扱ってもらいたいし、明確にそういったことがなければないとここでもってはっきり断定的に答えてもらいたいんですがね。
○国務大臣(竹下登君) こういう議論をしたことはございません。
○大木正吾君 それでは、次に進んで質問いたします。 総理が一月二日に決めた四項目についてでございますが、一つは通信機器の摩擦問題につきまして、きょうは郵政省を呼んではおりませんが、大蔵省の立場でもってお答えいただきたいわけですが、例えば日本の郵政省の中で進めております新電電あるいはその他に絡みます新しい事業法あるいは会社法等に絡む行政官庁が監督するところの具体的内容としましての省令、政令等についてまでアメリカが内容について介入といいましょうか、それを変えろ、変えないという話をしてくることについては、これは関税局長かな、どういうふうにお考えですか。外務省の方でもどっちでも結構です。
○政府委員(矢澤富太郎君) この電気通信の問題につきましては、現在郵政事務次官がアメリカに行って再度交渉中でございます。したがいまして、どういう結論が出てくるかその成果を見ないとわかりませんが、今大木委員御指摘の点につきましては、最近の貿易摩擦の一つの原因といたしましてアメリカ側は、日本の法令、通達等の決定過程に透明性が欠けている、トランスペアレンシーを確保すべきではないかというようなことを言っておるわけでございます。またそれと同時に、日本は最恵国待遇を結びながら内国民と外国民に差別的な待遇をしているじゃないか、したがって平等の扱いをすべきではないかという主張が最近非常に強いわけでございまして、政省令の内容等につきまして関心を持っているのもそういった観点から関心が持たれているのではないかというふうに受けとめております。
○大木正吾君 実はこれは、十二月の中旬に逓信委員会で結果的には新電電の法案が通ったことは御承知ですわね、あのときに随分と細かな問題について質問があり、同時に具体的な仕事の内容について質疑、討論が交わされまして、そして省政令に絡む問題の、タイトルは別ですけれども、ほぼ中身はこなしているわけです。これは日本には日本の事情があります。例えば一つの例が、これは電話局に入ったらすぐわかるんだけれども、例えば、日本は湿気が多い国です、恐らく湿度はアメリカと日本では、特にアメリカのニューヨークあるいはワシントン周辺と日本の東京あたりでは半分ぐらいの違いがあるんじゃないか、こういう感じがします。そういったものについて電電自身がこれは仕様書の場合でも相当きめ細かくつくってあげてやっても、なかなか向こうのものが日本に来たときに国民の方に迷惑をかけないようなものは実際には出てこないんだ。 そういったことがあったり、実は、大坪先生がいらっしゃいますけど、大坪さんと私でもって日本のいわば業者を呼んで、それから同時にアメリカから来ているアメリカの商工会議所の会頭、在日ですから日本の方で、三十日またアメリカの本物のあれとお会いする予定にしておりますけど、そのときに日本とアメリカと両方の方を呼んで話もしているんですが、どうもやっぱり何というのか、こっち側にも少し輸出が多過ぎるということもありますけど、使えないものを買うわけにこれはいきませんので、そういう点についてやっぱり外務省としてもあなた方御自身が、恐らく外務省、経済局なんかでも、アメリカの内政にまで物を言って、仕事について文句を言ったことはないと思うんです。 こういったことはやっぱり国際的な外交の礼儀にも反する問題でもございますから十分に注意してもらいたい、こういった気持ちと、早くこれは決着をつけぬと、新電電はあと、きょうは何日ですか、二十八日だから三日後に出ますね、仕事にならぬですよ。あんた、本当を言うと、仕事になるぬ。きょうは時間がないからあんまり物は言えないんですけど、仕事にならぬ状態にしたのは一体だれだって言ったら、やっぱりアメリカということになってしまうんで、言いたくはないんですが。 そういうところについてどうですか、大臣の感想といいましょうか、大臣の意見をひとつ聞かせてくれませんか。
○国務大臣(竹下登君) 今のその関係では小山さんが恐らく最終的な詰めをやっている段階でございますので、一般論として申し上げますならば、いわゆる貿易収支の問題につきましては、需要があるから売れるんだという論理は絶えず存在しておると思います。その需要とはどういうところから出るかといえば、いいものだから買うんだ、こういうことであろうと思いますので、そういう競争原理というものをネグレクトした論理については、相互でまだ理解の行き届いていない問題を濃密な協議の中で相互理解を定着させていったならば解決される問題が従来もあったし、今後もあるであろうというふうに私は理解をしております。
○大木正吾君 いずれにしましても、私たちは特別委員会の方で、実は外交安保の中に国際経済問題小委員会というのを設置しながら、いわばなるべく民間人を中心としまして、日本の関係団体の代表とアメリカ側、あるいはASEAN、ECの代表等を呼んで対話をしながら、民間レベルでの摩擦を解消するための一助にしたい、こういうふうにして参議院はそういうものをつくったんですが、ですからやっぱり中曽根さんにもこれは竹下さん言っておいてほしいんですが、百億ドルという話も一時ありましたけど、事務関係の方なり業者の方との相談なしに何か過大な期待を相手に与えるかのごときことはやっぱりやめてもらいたいし、同時に我が方としても摩擦を全体的に解消するための努力はこれはやっぱりしなきゃならぬことは当然ですから、そういった相互の話し合いの中でもってできることをやっていかなくちゃいけない、そういうふうに考えておりますのでぜひお含みいただきまして、機会があったら四品目問題等についてはそういった感じでもって大臣から申し上げておいてもらいたいんですね。 具体的に一つ伺います。 木材問題、合板問題が出ておりますが、これも同じく参議院の予算委員会での質問で、大臣は恐らくいらっしゃったのではないかと思います、これは一般質問だからいなかったのかな、新聞記事等によりますと、結果的には、三年間ぐらい早目に手当てをしましてそうして二千億ぐらいの金でもって転廃業に対する問題とかあるいは関係の損害の業界に対して面倒を見る、こういう記事がここに出ているんです。これについてはどういうふうに関税局長あるいは大臣はお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) あの問題は、私も一般質問にもおりましたですが、新聞が出まして、各紙一斉に出ておった問題は、月曜日でございましたか、政府・与党連絡会議というのがございまして、そのときに自由民主党の金丸幹事長が申しましたのが、二千億というのは、繊維のときにいわばそういう対策をしたということの前提の上に立って、ちょうど首脳会談でございましたので農林水産大臣は出ていらっしゃいませんで、私に、金丸氏が山梨県の森林組合連合会長で私は島根県の森林組合の連合会長だったというようなことから、一つの考えを述べると言われましたときに、こういう問題は川上対策と川下対策とある、それで川上対策というのは林業そのものの問題だ、これは今や薪もなくなるし木炭もなくなるし、建築資材はいっぱいできてくるし、基本的にちょうど他の先進国の面積当たり倍雨が降って、川が急流だからすぐ洪水になるので、いわば治山治水、そして水資源涵養、こういう見地から考え直さざるを得ないという川上対策というのが一つあると思う、それから川下対策というのが、今おっしゃいましたいわば転廃業とかそういう問題が時としてある、昭和五十四年に合板の対策をやったときに十数億そういうあれは高度化資金か何かから無利子融資してやったことがあるというようなことを私が述べまして、しかし現在いわば関税を引き下げるという環境には恐らく、来月早々また日米間の事務当局同士の協議があるようですが、そうした環境には恐らく我が国としてはないであろう、そういうふうに私は理解しておるところでございます。
○大木正吾君 としますと、この二千億という数字も大蔵大臣、あんまり関係がないし、これ東京ラウンドの答申でいきますと木材が一〇・六%から八%へ、合板が一九・三から一七%へ税率が落ちる、こう書いてありますね。この前倒しの意味合いというものが、この八%、一七%をさらにもっと下げるということなのか、あるいはなくしてしまえ、こういうことなのかといったことがわかりませんし、同時に、今あなたのおっしゃった十数億円と二千億円というのはこれは大分差があるんで、二千億円ということは、そのときの話題の中にはそういった数字は出なかったんでしょうかどうなんでしょうか。委員会としては大変な問題です。
○国務大臣(竹下登君) 金丸幹事長が繊維のときにはそれぐらい、あの人もかなり数字の点はアバウトな点がありますから、数千億と言ったような気がしましたけれども何かそんなことを、二、三千億と言いましたか、まあどっちかだったと思いますが、それで私は、合板の高度化をやったときは五十四年でございますけど、そのときの話をちょっと言っただけでございまして、もう一つつけ加えて申しましたことは、繊維の際は言ってみれば我が方がアメリカへ押し寄せるということからするスクラップでありました、今度はそもそも我が方が構造不況業種であるというところに差があるというような話も、たしか懇談でございますからやったわけです。それを幹事長が、私は委員会がございましたからすぐ帰りましたから、幹事長が記者懇談か何かで言われたことが記事になったんじゃないかな、こう思っております。
○大木正吾君 助成ですから、低利子の金を貸すというのが二千億で、その利息分としたら何十億かということなのかもわかりませんけれども、とにかくやっぱりこれ自身業界としても大変でしょうし、木材という記事でもって一月二日以降はちょっと出ておったんですけれども、その後に合板から始まって結局段ボールまで全部入ってくるわけですね。ちょっとこれ問題が急にばかばか出てきまして大変だと思うんです。きょうは時間がありませんから余り深い話はできませんが、四月二日の日にまた委嘱審査がございますから、そういう際にももっと私ども調べてまた質問するかもしれませんから、もうちょっと整合的な話をぜひ林野庁の方にも来ていただいてやっぱりしておきませんと、何といいますか、国家予算が上がりかかっている、こういった大事な法案がどんどん通っていくときにばたばたばたばたと、総理がこう言ったから何でもやらなければならぬといったことではまことに困るわけですね。こういった意味を含めてこれは今後もさらに質問することにいたしまして、時間もありませんからこれはやめておきます。 もう一つ伺います。 これは実はASEANとの関係の問題でございますけれども、この間、実は大坪先生と私でもって、ASEANの代表でタイから来ている京都の何とか大学の教授に約三時間、英語でもってコメントしてもらいながら日本語で質疑に答えてもらいまして話をした中で、皆さん見た方もいらっしゃるはずですが、ニュースでもって日本のバンコクの大使館に鶏が押しかけたニュースがございましたですね。これは合弁でもって向こうで鶏肉をつくって日本に輸出してくれているわけですけれども、ところが関税問題、これはきょう資料を拝見いたしますと、アメリカの場合には骨つきで一二・五%から一一%に下げます、これは出ていますね、はっきり。ところがこの中に、幾ら調べてみても東南アジアあるいはASEANの関係の数字は全然出てきません。そこで、ここにちょっと数字があるんですが、念のために伺いますけれども、これは、ASEANなりタイから輸入されておる骨なし鶏肉の場合には、関税率は何%ですか。
○政府委員(矢澤富太郎君) 五十四年四月に二〇%から一八%に引き下げまして、現在一八%でございます。
○大木正吾君 これは笑い話みたいなことになっても困るんですが、今学生などを中心としてああいったデモがあったり、日本品ボイコット運動などがある、タイというのは割合にそういったことが多い国なんですよね。だから、骨があるのに結局一一%に下げまして、骨を取った肉の方が便利な場合もあるはずなのにこれが一八%ということは、環太平洋だとか太平洋の時代とかなんとかうまいことを言ったってだれも信用しませんよね。鶏の肉じゃないかと簡単に言うことじゃないと思うんです。やっぱり日本に留学している方々が、帰っては日本に対して反日感情を持つという、いろんなことがありますけれども、もうちょっと私は、中身の具体的な項目で気持ちのつながった状態でもっていかなかったら、大変な間違いを犯す、こう考えておりまして、これについてどうでしょうか。とにかく、外務省経済局も来たそうですから、関税局長と外務省経済局長に対しまして、この問題について一八%を早急に下げる準備があるかないか、そこをはっきりさせていただいて、私の質問を終わります。
○政府委員(矢澤富太郎君) 骨なしの鶏肉と骨つきの鶏肉との関税率の違いでございますが、そもそもが五十五年から始まっております東京ラウンどの段階的な引き下げというのがございますが、骨つきの鶏肉につきましてはこの東京ラウンドの段階的引き下げに譲許品目として我々がテーブルにのせたものでございます。したがいまして、骨つきの方は毎年毎年下がってまいりまして、今委員から御指摘がございましたように、現行一二・五が一年の前倒しで六十年四月から一一・三になり、最終的には六十二年一月から一〇%になるという階段を歩いているわけでございます。 一方、この骨なし鶏肉の方は東京ラウンドのときに譲許しなかった品目でございます。と申しますのは、この骨つきの方は、農水省から伺うところによりますと、アメリカから入ってまいりますのは結婚式に使うような小型のもも肉でございまして、日本では小型のは生産していない、むしろ大型鶏が多いというようなことで、そもそも国産との競合がないということでございます。それに対して骨なしの方は、元来日本人が鶏肉も正肉ということで嗜好性が強いものでございますから、競合の度合いが非常に強いということからこの東京ラウンドの譲許、非譲許の区別ができて、その結果、東京ラウンドの前倒しをいたしますと、あるいは東京ラウンドが段階的な引き下げが進行してまいりますと、おのずからタイの骨なし鶏肉との間に差がついてきたという経緯がございます。 現在の鶏肉市場でございますが、農水省からお伺いするところによりますと、過剰生産が続いて価格も低迷をしている。一方、タイのこの骨なしの日本に対する輸出につきましては、一時熱波でこれが減少したことがございましたが、最近は順調にまた回復して伸びているというような事情がございまして、結局国内の鶏肉生産者、メーカーとの競合という点でなかなかこの引き下げが困難な状況にあるというふうに伺っているわけでございますが、私どもといたしましては、いずれにいたしましてもこの鶏肉を所管する官庁でございます農林水産省と十分に協議をして対応をしていきたいというふうに考えております。
○説明員(柳井俊二君) お答え申し上げます。 先ほど先生から御指摘がございましたように、日本とASEAN諸国との関係は大変重要でございまして、地理的に近いというのみならず、政治、経済、文化、あらゆる面で大変深い関係にあるわけでございます。 全般的には日本とASEAN諸国の関係は大変によい関係にあると思いますが、御指摘のように最近ASEAN諸国の国内的な経済の難しさ、あるいは我が国との貿易収支の赤字傾向というような問題がございまして、ただいま御指摘のタイの鶏肉の問題等につきまして、相当の不満あるいは先ほどもお話にございましたような学生運動というような形での批判が高まってきているのは事実でございます。 タイの鶏肉につきましては、ただいま関税局長の方から御答弁がございましたような経過で、主としてアメリカから入っております骨つきの鶏肉と、タイを中心として日本が輸入しております骨なしの鶏肉との関税の差が開いてきているということでございまして、タイ側としては、彼らはこれはいわゆる差別であるというふうに言っているわけでございますが、この差を大変に問題にしているわけでございます。 私どもといたしましては、先ほども大蔵省の答弁にございましたように、タイの鶏肉とアメリカの鶏肉とは性質が違うというようなことも申しまして、国による差別ではないのだという説明はしてきているわけでございますが、この差別されているという感じは相当根深いものがございまして、いろいろなルートで日本側にこの格差の是正というものをぜひやってほしいということを言ってきているわけでございます。 外務省といたしましては、タイを含めましてASEAN諸国との友好関係の維持促進、それからこれらの諸国の安定と繁栄に我が国としてはできるだけの協力をしたいという立場からこの問題に取り組んでいるわけでございますが、先ほどこれも大蔵省の方から御答弁がありましたように、国内の産業との競合等、なかなか難しい問題もございますので、ただいま農林水産省との協議を中心に、具体的な対処ぶりを検討しているところでございます。
○大木正吾君 本当にこれは大臣にお願いしておきますが、一二・五から一一に下げたんだったら、なぜ一八を一六・五に下げないかという問題もあるんです。そういった気持ちがつながらないんだったらもう、環太平洋とか、稲山さんのアジア訪問とか、あるいは外務大臣、安倍さんがアジアへ行くとかは、やめた方がいいですよ、本当言って。僕はそう思うんだ。とにかく、あれだけのこと、合弁会社で日本から行っていて、見てみると、骨はちゃんと取って、そして需要もふえてきているということがありまして、もし業界の方でもって何かあったらそれこそ若干の助成でもしたらいいんじゃないですか。 要するに、言うこととやることが全然まちまちだから全然信用がなくなっちまうんですよ。私はやっぱりこういった問題についてはぜひ大臣にお願いしたいんですが、きょうここでは確答は要りませんけれども、こういった問題で将来に禍根を残しては大変にまずいということにつきまして御検討いただきまして、何らかの措置をお願いしておきます。 終わります。
○鈴木和美君 私は引き続き本件について御質問いたしますが、今大木先生からお話がありましたので私もちょこっと感想だけ述べておくんですが、葉たばこのことなんです。この前自民党の坂元先生とタイに行ったときに外務省からまあ怒られました、すごく怒られたんですよ。どんなに怒られたかというと、日本の葉たばこが過剰だということがございまして、専売公社は過剰だからどうしても輸入のところの量を減らさなければいかぬのですよ。そしたら量を減らす中でも、東南アジアの方、タイの方にですな、もう全部、まあ全部とは言わないが、半分切ってもらった。アメリカは全然動いてないんですよ。そんなことなどもございまして、非常に東南アジアの方が、最近開放体制とは言うけれども、大変不満を持っているということだった。私も一言述べておきたいと思うんです。 そこで、きょう私はお願い申し上げたいことは、先ほどの議論を聞いておりまして、昭和五十五年、私が当選して大蔵委員会に席を汚させていただいて以来、国税職員の問題に対していろんな角度から皆さんに御協力をいただいて感謝を申し上げておきたいと思うんです。私はたまたま五年間ばかり、税関とか国税とか財務局とか大蔵職組とか専売、印刷、造幣というような、大蔵省関係の労働組合の会議のずっと役員をやっていたものですから、人ごとではない感じで大変うれしく存じているところでございます。 さて、そういうときにまた一つなんですが、国税職員の方はどっちかというとまだ命に関係のない方なんですね。ところが今度は税関職員の方は、命に関係するような仕事についているような職員の状況だと思うんです。ましてや昨今、これは自民党の板垣先生から聞いたんですが、高知の話をちょっと聞きました。暴力団のあのピストル事件がございまして、そのために高知県のグランドホテルの、これは遺族会の会長さんをなさっている人なんだそうですが、全部観光のときに予約がキャンセルされちゃう。そのために非常に観光地も困っているというんです。 つまり、これをずっと突き詰めていきますと、けん銃であるとか、いろんな経済成長との関係において犯罪が横行するというような時代だと思うんですね。そこで今、日本のこの制度の中では、そういう覚せい剤であるとかそれからけん銃というようなものは、関、つまり水際でとめないことにはどうにもならぬわけでしょう。ところが最近、巧妙な手口において相変わらずやられているわけですね。そういうことを考えてみると、私は先般のこの委員会でも御質問申し上げたんですが、今いろんな合理化、機械化などによって人にかかる部分をなるべく少なくしよう、また計算事務を合理化しよう、これはこれなりに結構です。けれどもそのために、関においてしっかり歯どめをしなきゃならぬようなものが、機械化のために検査も十分にできないというような体制になっているわけです。私は大変そこのところを心配をするんです。 そこで、大変事務的な質問で恐縮ですが、まず一番最初に、最近の海外渡航者の人数ですね、それと貨物の輸出入に関する増加の割合というものはどのくらいになっているのか。それと相対的に比較して、税関職員の現状というのはどんなことになるのか、比較してちょっと答弁してくれませんか。
○政府委員(矢澤富太郎君) お答え申し上げます。 入国者数でございますが、四十九年に三百三十六万人余でございましたものが、十年たちました昨年には六百九十四万人余、四十九年を一〇〇にすると約倍になっております。 また、輸出申告件数は五十九年、昨年が五百六十七万件でございますが、これも四十九年に比べますと約八割ふえております。 また、輸入申告件数につきましては、五十九年が二百四十七万余件でございますが、同じく十年間に五四%ほどふえております。 これに対して税関の定員でございますが、四十九年に八千三十一人の定員が五十九年現在では七千八百九十二人、約二%ほど減っているという数字でございます。
○鈴木和美君 大臣、いつも感想は伺っておるんですが、国税職員の方の場合には非常に客観的条件が、つまり財政再建との関係でいろんな議論がされますからバックとしては非常にいいんですね。ところが税関の方は、税ということより、徴税というよりは、どっちかというと国民の生活安定という方に今ウエートが強くなっていると思うんですよ。 今の海外渡航の数や輸出入の数と相対的な税関職員の数と、どっちかというとおっこっているんですから、そういうことに対しての感想を一回聞かせていただけませんか。
○国務大臣(竹下登君) 私も永年勤続二十五年を一昨年ちょうだいしましたときに、昭和三十三年でございますから、それとおととしのあらゆる統計を見ましたときに、本当は海外旅行者の数、日本人の場合は四万八千人が、当時、四百二十万ぐらいでございましたか、これはいわゆる日本人の渡航者でございますけれども、それで、きょう鈴木さんの御質問があるというんで、今矢澤君が申し上げたようなものを見ながら、実際驚いたと申しますか、率直に言ってそんな感じでございました。 関税というのが、財政物資であるとか、あるいは国内産業の保護とか、そういうものに対する対応の職責じゃなく、社会悪とかというようなものの水際の防波堤とでも申しますか、そんなふうにうんと仕事の性格も変わってきているなという印象は非常に強くしております。
○鈴木和美君 そこで、もう一つお尋ねしたいのは、非常に貨物の輸出入に関して最近は大体がコンテナが多いんですね。そういうために、港は現在、貨物を取り扱う港とそうでない港とあるんですわ。貨物を取り扱う港と指定されているところは、荷物を検査する場所ですね、場所とか台とか、そういうものが置かれているから、比較的効率的に検査できるんです。ところが、そうでない港に荷物が着いたとき、これは非常に検査がしにくいという状態があるんですね。その状態のために、職員が対応に大変なんです。私はそんなふうに海港コンテナ貨物の検査の状況を見ているんですが、当局はこの問題に対してどういうふうにごらんになっていますか。
○政府委員(矢澤富太郎君) 委員御指摘のとおり、コンテナヤードでのコンテナの検査につきましては、車の往来等危険の多いところで仕事をいたしますので、大変危険性が高いということは御指摘のとおりでございます。 私どもといたしましては、大きな港から予算の許す範囲内で進めているところでございますが、税関の中に専用の検査場所を設置するとか、あるいはコンテナヤードの中でコンテナ何本分かのスペースをお借りしてそこで検査をするとか、そういったことを徐々に拡大していきたいと思っております。 しかしながら、御指摘のとおり、コンテナヤードでそのままで現物の検査をするということはもう危険の多いことは事実でございますので、そういったことが十分に整備できるまでの間は、職員の安全に十分配慮して検査を行うようにしてまいりたいと思っております。
○鈴木和美君 後ほど結論の話をしますが、もう一つぜひ、大臣にももう一回認識を深めていただきたいと思うんですが、最近、港で犯罪行為が見られるというときに、もちろん海上保安庁とか警察のお世話にはなっているわけですが、税関の中に海事職というのがあるんですね。最近港では、これと思う船を追っかけにゃいかぬですね。そういう追っかけるためにスピードを上げなきゃならぬということで、エンジンもさることながら軽い船になっているんです。軽い船になっているために、職員が腰から何から、ばっと行きますから大変な、つまり事故とまでは言いませんけれども、身体に大変苦労をかけているわけなんです。ところが、この海事職というのは、もう勤めたら最後までそこなんですね。そして船長とか機関長とか、それから甲板の方、それとかじ取り、こういう人たちが決まっておりまして、勤めたらもう最後までそこに勤めるだけですから、笑い話じゃないんですけれども、息子の結婚式をするのに、嫁さんの方は何々銀行何々課長なんというのが書いてあるんですな。この海事職、税関の息子の方は何々税関勤務までしか書けないんですわ。だから結婚式でも、大分おやじと向こうの相手さんと差がついているんじゃないかというぐらいの、まあ笑い話かもしれませんがそういうことなんです。 そこで、私が問題だと思うのは、一般税関の職員は四十四時間で勤務しているわけです。ところが、海事職は四十八時間なんです。四時間多いんですな。そういう状況の中で今、俸給表の中でも、それから待遇においても、肩書についても何の恵みもない中で働いているわけですね。したがってそういうようなものに対して何か、結論のとき述べようと思ったんですが、私は、今直ちに人をふやすことができなければ、本当はもう少しふやしてもらわにゃいかぬのですよ、できないというのであれば、それだけ苦労しているのですから、苦労しているのに匹敵する対応というのはやっぱりやられにゃいかぬと思うんです。 そういう意味で、この海事職の問題についてどういうような対応が行われようとしているのか、これをもう一つ聞いておきたい。
○政府委員(矢澤富太郎君) 海事職の問題につきましては、まず勤務時間の問題がございますが、一般の職員が週四十四時間に対しまして四十八時間ということになっております。これは土曜日が半ドンじゃないということでございますが、私どもとしてはかねてから人事院当局に、この勤務時間の短縮の協議を行っている段階でございます。しかしながら、海事職は、税関だけじゃなくて、気象庁の船ですとか運輸省の船あるいは水産庁、厚生省の検疫の船とか他官庁にもまたがっておりまして、それぞれの業務執行体制の見直しというような問題も絡んでおりまして、我々一生懸命お願いをしておりますが、なお結論が出るのに多少時間がかかっているという状況でございます。 それから、ポストの問題でございますが、これはやっぱり船には船長、機関長、そうたくさん置くわけにもまいりません。でございますので、できるだけ上位の等級別定数を拡大して給与上上位の等級につけるとか、先ほどのポストにつきましても、できるだけポストを確保していくというようなことでこれまでも努力してきたところでございますが、今後とも一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○鈴木和美君 大変ありがたい答弁なんです。それで、税関の問題を論ずると必ずそういう答弁が返ってきているんです。ですから税関職員から見ると、国会で取り上げてもらうと大変ありがたい答弁をしてくれるとよく言うんですよ。しかし、実態は答弁だけで終わっているんです。それは、諸般の事情はいろいろあるんでしょう。あるけれども、答弁だけで終わっているんですよ。だから私は、たまたま税関の職員から、よく取り上げてくれましたねと喜ばれるけれども、しかし実際は、そうは言うても実体が伴っていないじゃないかということでいつもおしかりをこうむるんです。 そこで、これは大臣ひとつぜひ確約いただきたいんですが、まず一つは、さっき港湾のところを申し上げましたが、港の検査場所というようなものは省内できちっとこれは対応ができると思うんです。お金の問題はそんなにかかるとは思えません。そういうことについて大臣から、まず港湾の検査場所の確保についてもしっかりやるぞという御答弁をまずいただきたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) これは私事にわたりますけれども、私自身去年、十月でございましたか、ぼちぼち任期が来たと思いまして、やっぱり大蔵大臣として今まで行かなかったところと思って税関へ行かせていただきました、横浜税関から東京税関に。そのときにその場所も見せていただきましたし、それから船にも乗っけていただきました。それで、私に道案内とでも申しますか、そういう船はおっしゃるとおり小さい船でございました。いろんなことを聞かされた。鈴木さんの場合は絶えずお聞きになっているんでしょうが、私は何かまとめて聞かされた気がしまして、今おっしゃったような問題点は生かさなきゃいかぬ課題だというふうな問題意識だけは十分持たせていただきました。
○鈴木和美君 それではもう一度締めくくりの意味でお尋ね申し上げますが、税関職員の処遇改善の方で、従来まで税関職員というものは非常に特殊性を持っているということで、特殊勤務手当あるいは各等級の枠、これを拡大するように努めていきたいという方針をとってきたんですが、先ほどの御答弁で、人事院との間に今折衝中である、このためにさらに努力をしたいというお答えと私は承ったんですが、間違いございませんか。
○政府委員(矢澤富太郎君) そのとおりでございます。
○鈴木和美君 それからもう一つは、先ほどの海事職でございますが、海事職の勤務時間ですね。四十四時間と海事職は四十八時間であるということについても、さらに全体に並ぶような方向で努力されるということに承ってよろしゅうございますか。
○政府委員(矢澤富太郎君) 一層努力をしてまいりたいと思っております。
○鈴木和美君 それからもう一つの問題は、先ほども申し上げました覚せい剤であるとかけん銃であるとか、大変な犯罪に及ぶようなことは関でとめなきゃどうにもならぬことですから、これは定員の枠についてもさらに努力されるように努力いただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(矢澤富太郎君) 大変御支援をいただきましてありがたく存じておりまして、私どもとしても今後とも定員の確保については一層努力をしてまいりたいと思っております。
○鈴木和美君 最後ですが、大臣、先ほどの答弁では横浜とか何か東京とか、必ず大きい港の話が出てまいるんですが、函館にしても小倉にしても、小さい港で大変苦労している人たちが多いんですよ。ぜひ大臣もそういう小さな港に出かけられて、税関職員の苦労しているその部分について肌で接していただきたいと思うんです。そうすることにおいて、ああ自分たちのことを考えてくれているなということをつぶさに肌で感じますから、率直に申し上げましてそういうところに出かけていくということと、今局長からお話のあった点、国税職員とは別な意味でこれは命にかかわる、国民生活に重大な関係のあるものですから、従来とは違った意味で、経済の成長と犯罪とが比例するというような実績も出ていますけれども、日本はそうじゃないよという意味でも、税関職員の定員の拡大についてもさらに努力をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) 私は率直に申しまして、正規な形では本当に横浜と東京税関だけでございますが、小さい、税関の方がまた時としてわざわざ出張してやっていらっしゃるところは、これは大蔵大臣でなく一遍立ち会ったことはございますけれども、今の鈴木先生のおっしゃることを体してこれには当たらなきゃならぬということは、肝に銘じたつもりでございます。
○竹田四郎君 私は、あへん特会に関連してお尋ねをしたいと思います。 今度のあへん特会の廃止は、先ほどの提案説明によると小さいからということなんですが、現実には、後で出てくる登記特会、これが出てくるからこれを削るというのが本当の理由じゃないんですか。そして、私よくわからないんですが、この前も一つ削って一つ創設する、こういうことになりますと、三十八という特別会計の数を守るためにこういう措置をする。一体三十八、特別会計の三十八という数字は、なぜ三十八という数字を守らなくちゃいけないんですか。なくすというのは、ほかの特会でもなくすものはうんとあるわけです。あるいは、ほかと合併したらいいというようなものもあります。例えばこの前つくりました特許特会とこの次できるであろう登記特会、これは所管官庁が違うということで会計を別にしようということでありましょうけれども、内容的には同じコンピューターでこれを処理するということであろうと思いますから、実際は同じ会計にしたって私はちっともおかしくないと思うんですよ、国民から見れば。ただ、官僚の縄張りのためにたくさんの特会をつくっているというところにこの問題があると思いますね。 しかも、一つ一つこれを見ていきますと、規定の設置がいろいろであったり会計方式がいろいろであったり、もう全く我々が見て全然わからない。そういう意味では杉村先生も、この点についてはもう少し整理をしろ、こう言っておりますし、また臨調でも、私は、臨調全体には反対でありますけれども、この特別会計制度の答申については全く賛成ですよ。もっと少なくしなさいとも書いてある、もっとはっきりしなさいとも書いてある。こういうことでありますけれども、今度のあへん特会の廃止というのは、ただ一つだけ廃止する。全体の特会三十八特会を全部見て、そして見直しをして、その上でやっているとは私には思えないんです。 なぜこういうことをやるんですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員がおっしゃいましたように、特別会計につきましては常にこれを見直して、まず新設は必要なものに限る、それから既存のものについては、既にその特会の設置する趣旨、目的がなくなったものはこれは廃止していくということでいくべきものと考えております。そのようなことを踏まえましてこれまでも、例えば五十年度に木船再保険特別会計、それから五十一年度に中小漁業融資保証保険特別会計、それから五十二年度には貴金属特別会計、五十四年度には賠償等特殊債務処理特別会計の廃止を行うということで、その後昨年度は、先ほどお話がございましたように、一つ減らしましたが一つ新設したということでございます。 今年も片方であへんを、今御審議願っておりますけれども廃止するとともに、片方で登記特会の新設をお願いするということでございますが、それはスクラップ・アンド・ビルドということではなくて、廃止は廃止の必要性を検討した上で廃止しておりますし、新設につきましては必要がある場合は認めるということでやってきているわけでございます。
○竹田四郎君 大臣、どうも私はこの基準がないと思うんです。どういうふうに特別会計を扱うかという基準がなくて、その場その場でやっているように思うんですよ。 今のお話でも、本当に全部を洗っていくならいろいろの問題があると思うんです。例えばいろんな会計制度でも、これは臨調で御指摘になっているように、やっぱりそろえることのできるものは全部そろえる、そういうふうな形を私はしていかなくちゃならぬと思うんです。ただ、一つやめてあと一つ追加をする。まさにこれは私は、今せっかく唱えている行政改革と相反する方向だと思わざるを得ないんです。あとまだこれは、登記特会のときにさらに特別会計問題は十分にひとつやらせてもらおう、こう思っておりますが、少なくともある程度特別会計のあり方について、やっぱりこの辺で計画的にはっきりと基準をつくり、会計制度も全体的に見直してみる、この必要があると思うんです。そういうことをしていかなければ、ますますわからなくなる。この間も私若干申し上げましたけれども、そういう点で、これを一つの機会に、特別会計全体をはっきりした基準なり規定なりのもとにやっぱり見直していく。一つ一つその都度その都度毎年毎年少しをやらないで、基本的に見直してみるという時期に来ているんじゃないですか。そういうことをまたおやりになることが必要じゃないでしょうか。これは大臣からひとつ御答弁いただきたいと思います。 また、足りない分は、後でまたありますから、そのときにまた伺うことにして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 私も同感であります。あへん特会は、私のような者でも気がついておりました。大変小さい特会であるな、もう存在の理由はあんまりないんじゃないかな、スクラップ・アンド・ビルドではなく、それはそれとして考えておりまして、それで今お話がありましたように今度は登記特会の問題がございます。私は新しい特会の中で非常に興味を持ったのは、去年お願いしました特許特会と、それからことしの登記特会というのは興味を持ちました。そのとき、スクラップ・アンド・ビルドという頭が私にはございますから、そこで、若干冗談でございましたけれども、この話をしますときにちょっと、スクラップとビルドとすると機関車と乳母車ぐらい比重の違ったものを出してもやっぱり一は一かというような問答をいたしながら、それはスクラップ・アンド・ビルドとして見たときにそんな感じを受けましたが、しかし、それは実態として一つをつぶし登記特会を今度は起こしたわけでございますけれども、特別会計そのものをいい機会だからやっぱり全体的に見直してみろと言われることに対する作業は、私はやっていいと思っております。
○桑名義治君 私も、最初はあへん特別会計の問題について伺っておきたいと思います。 今、竹田議員のお話がありましたように、今回このあへん特会がなぜ廃止されたのか、この理由がどうしてもまだわかりにくいわけでございますので、後追いのような形でございますが、この問題についてのまず御返答を願いたいと思います。 〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほどの御答弁とダブるかと思いますが、整理して申し上げたいと思います。 まず、あへん特別会計につきましては、従来からその存続の是非について政府当局としても検討してきたわけでございます。その場合に、一つはこのあへん特別会計の予算規模、これが現在の特別会計の中で際立って小さい規模でございます。約十九億円ということでございます。小さいから廃止するのはおかしいじゃないかということもございますが、しかし非常に小さい、しかもその規模がなかなか大きくならないで来ているわけでございます、それはいろいろ理由があるわけでございますけれども。したがいまして、この特別会計を設置いたしましたときには、一般会計に対してこの特別会計の比重というのが数字的に出るわけでございますけれども、現在はそのときの率よりも六分の一ぐらいの小さなものになってきているということがございます。これは規模あるいは比率で申し上げたわけでございますが、実態的な面で言いますと、この特別会計を設置しましたときには、一つの大きな理由は、国内でアヘンの製造をしておられる方々がたくさんいるわけでございます。その人たちからアヘンを買い上げる、片方海外からもアヘンを輸入する、この両者をプールいたしまして、そこで一定の価格を計算して需要者に販売するということをこの特会の大きな役割としておったわけでございますが、現在、国内のアヘンの栽培者が非常に数が減ってまいりまして、ひところに比べますともう激減している、現在十八人ぐらいしか栽培しておりません。面積で言いますと一町歩半ぐらいの面積でございます。しかもトン数で言いますと、たしか四キロぐらいしかやっていない。したがって、プールしてやるという意味がもう極めて薄れてきているということが実質あるいは実態的な大きな意味でございます。 それとともに、臨調では、先ほどもお話がございましたように、この特別会計制度に関して見直すべきであるということを答申で言っておられまして、その中に「規模が小さく、特に区分経理の必要性が乏しいもの」、今申し上げたようなのもそれに当たるわけでございますが、「等については、廃止又は一般会計への統合等を図る」べく見直しを行うという旨の指摘がなされているわけでございます。 以上のようなことを総合勘案いたしまして、これを一般会計に移しても事業運営上支障がないということを見きわめることができましたので、今回御提案申し上げておりますように、五十九年度末をもって廃止するということを決めたわけでございます。
○桑名義治君 厚生省見えていますか。――厚生省にお伺いしたいんですが、あへん特会を廃止することによってアヘンの円滑な供給を妨げる等、医薬上のいわゆる問題が出てくるのではないかという心配があるわけでございますが、この点については御心配はございませんか。
○説明員(山本晴彦君) ただいま御指摘がございましたとおり、アヘンは医療上大変重要な医薬品原料でございまして、アヘン事業につきましては、特別会計から一般会計の方に会計の経理区分を変更いたしました後も、その事業内容につきましては従来どおり行ってまいることといたしております。 なお、このほか、アヘンの万一の品不足等に備えまして、現在一年分相当の備蓄を備えております。さらにまた、国内生産維持確保のための研究を行うなどいたしておりまして、医療上不都合が生ずることはない、こういうふうに考えておりますが、今後ともこうしたアヘン系麻薬の適正な供給確保という点については努めてまいりたいと思っております。
○桑名義治君 アヘンは、聞くところによりますと、国際情勢等によってその価格あるいは輸入量に非常に大きな振幅を持っておる、こういうふうにも聞いているわけでございますが、大蔵省の先ほどの御答弁では、この特会がなくなってもこれは会計上心配はない、こういうふうなお話でございましたが、厚生省もそういうふうに考えておられますか。
○説明員(山本晴彦君) 最近のアヘンの需給関係あるいはその価格といったものにつきましては、国際的にも安定した状態にございます。万一の輸出国での減産とかあるいは国際間での需給動向の変化、こういうようなものによります不測の品不足の事態というものに備えましては、先ほど申し上げたような現在備蓄を行っておるわけでございます。このほか、さらにアヘン購入価格の高騰等がございました場合には、予備費の使用を迅速に行うなどの予算措置を適切に行うことによりまして必要なアヘン確保を図ることができるであろう、かように考えておる次第でございます。したがいまして、アヘン事業を一般会計において経理いたしましても特段の支障を生ずることはない、かように考えておるところでございます。
○桑名義治君 そこで、臨時行政調査会の最終答申によりますと、既存の特別会計について四つの基準によって見直しを行うように、こういう提言がなされているわけであります。 すなわち、「既存のものについても、①事業の目的を達成し、あるいは役割を終えたとみられるもの、②民間における同種事業の発達等社会・経済情勢の変化により見直す必要があるもの、③他の事業形態の方が望ましいもの、④一般会計からの経常費の繰入れの比率が高く、あるいは、規模が小さく、特に区分経理の必要性が乏しいもの等については、廃止又は一般会計への統合等を図るという観点からその存置の必要性の見直しを適時行う。」この四つのいわゆる提言が行われているわけでございますけれども、現在、他に具体的に検討を行っている特別会計があるのかどうか、この点をまず伺っておきたいと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) 特別会計の見直しは今までもやってまいりましたし、今後とも続けてまいるわけでございます。その場合は、今委員がおっしゃいましたように、臨調の答申に盛られたような視点、これは重要な視点になろうかと思います。 そういう観点から見まして、現在特別会計が三十八あるわけでございますが、そのうち今回あへんを廃止するということをお出しして、片方で登記特会の設立をお願いしているわけでございますけれども、その他の、いわゆる三十七残るわけでございますが、これにつきましては、この特別会計を設置しておく必要性、これは十分あると考えておりますので、廃止ということを検討していることはございません。
○桑名義治君 先ほどからもちょっと議論が出ましたけれども、実際に行革の線に沿って特別会計も見直しているのかどうかということは、今の御答弁の中では非常に疑問視せざるを得ないわけです。 そこで、特別会計については、政府、大蔵省としては、どのような場合に廃止をし、またどのような場合に一般会計への統合を図るかというような規定があるのかどうか、恐らくないのではないかと思いますが、あるならば、どういう基準でこれを見直しているのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほど御答弁申し上げましたように、臨調の視点、これは重要な視点かと思います。そのほか、基本的には財政法の十三条という規定がございます。その十三条の第一項の規定、これは「国の会計を分って一般会計及び特別会計とする。」という規定でございます。ただし第二項の方で、特別会計につきましては三つの場合に限っております。一つは「国が特定の事業を行う場合」、普通これを事業特会と略称しておりますが、二番目が「特定の資金を保有してその運用を行う場合」、これを資金特会、こう言っております。それから三番目が「その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」。この三つの場合に限って法律をもって設置すべきことを第二項は決めているわけでございます。 したがいまして、特別会計につきましては、この法律の規定に従って、先ほど申し上げました臨調の視点も十分念頭に置きながら、常に見直しを行っているということでございます。
○桑名義治君 今の御答弁では、特会を設置する場合の基準のお話であって、いわゆる統合なり廃止をする場合の基準のお話ではないと思うんです。そういう特別な基準がございますかということをお聞きしているんですよ。
○政府委員(平澤貞昭君) これは設置の規定でございますが、設置する場合の必要性をここで書いているわけでございますので、その必要性がなくなった場合には廃止または統合というふうに、委員がおっしゃいますような処理をするということになるわけでございます。
○桑名義治君 だから、今の御答弁では、それは政府自身に、大蔵省自身に、特会をもう一遍見直して、臨調の線でいわゆる統合なりあるいは廃止なりの方向性を積極的に推し進めていこうという姿勢が全くうかがわれないということを証明なさったことにすぎないと私は思う。私はそう思いますよ。検討しておりませんということにすぎないと私は思う。行革の一環でもございますし、やはりもう一歩踏み込んで洗い直していく必要があるのではないか、こういうふうに思います。 臨調の最終答申では、既存の特別会計について、「民間における同種事業の発達等社会・経済情勢の変化により見直す必要があるもの」については廃止または一般会計への統合を図るという観点から見直しを行う、こういうふうに述べているわけでございますが、一方、郵便貯金事業及び簡易生命保険事業について同答申は、金融自由化の展望が得られた段階においていわゆる経営形態のあり方についても再検討すべきもの、こういうふうに言っているわけでございますが、この二つの特別会計についてのいわゆる将来見直しをするお考えがあるのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) この二つの特別会計につきましても、当然常時見直しの対象に入っているというふうに言えるわけでございます。
○桑名義治君 将来の見通しについて伺っているわけでございます。そういうアバウトでお話を伺っているわけじゃございません。
○政府委員(平澤貞昭君) 現在の状況におきましてはこの二つの特別会計はその存立の意味があるというふうに我々は考えております。しかし、先ほどの臨調の答申にもございましたように、社会経済情勢、これは常時流動化しておりますので、将来におきましてそのような社会経済情勢の変化にこの二つの特会が即応しなくなる場合には、当然のことながら見直しせざるを得なくなるということでございます。
○桑名義治君 特別会計における予算規模は六十年度歳出予算で総計百二十兆円にも上っておるわけでございます。しかし、国の予算は一般会計を中心に議論が進められているわけでありまして、また非常に中身は複雑化しているというお話も先ほどから出たわけでございますが、特に特別会計が多数設置されることによって予算全体のいわゆる仕組みが複雑になっていることは臨調答申も指摘をしているところでございます。今回のあへん特会の廃止、昨年の機械類信用保険特別会計の廃止、あるいはまた昨年特許特別会計が新設され、いわゆる登記特別会計も本国会に法案が提出される予定になっているわけであります。そうなってみますと、先ほどの御答弁の中ではスクラップ・アンド・ビルドではない、こういうふうにおっしゃったわけでございますが、こういう一連の姿を見てみますとスクラップ・アンド・ビルドというような方向で進んでいるようにどうも思われてしようがない。また、政府が積極的に臨調の答申に沿って今回のあへん特会の廃止も踏み切ったとは思えない。そういうふうに私は思うわけでございますが、この一つ一つを積極的に見直すべきではないか、こういうふうに私は思うんですが、この答弁は大臣にお願いをしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) そういう感じをお持ちになるのは私も否めないと思っております。その前につぶしたのは必ずしもスクラップ・アンド・ビルドじゃございませんが、去年、ことしと、おっしゃるとおりでございます。結果的にスクラップ・アンド・ビルド、三十八が変わらなかったということでございますが、私はことしのときに見ながら考えましたのは、よく役所の縄張り争いという言葉が使われますが、まさに法務省の特会と厚生省の特会でございますから、そういう意味においては、とかくセクショナリズムとかいう議論がよくなされる点においては、所管省が違うだけにこれはこれあれはあれという説明が幾らかつけやすいなという印象は受けながら私も登記特会の方に最終的に踏み切ることにしましたが、先ほども印象として申し上げましたように、大変な、機関車と乳母車とは言えませんけれども、何と申しましょうか、トラックとトロッコぐらいな差があるなというようなことをその間に私もそういう意見を述べながら、最終的にはいわゆる登記特会の必要性というものを認めたわけであります。したがって、いつでもそういうスクラップ・アンド・ビルドという感じではなく、今おっしゃいましたようにいわゆる特別会計自身は、今御指摘がありました、それに加えてとかくその予算が膨張しがちな傾向を持ちますものですから、全体の見直しの勉強はさせていただかなきゃいかぬ時期だなということは、私も問題意識としては持っております。
○桑名義治君 次に、関税に移っていきたいと思います。 先ほどから、税関の職員の待遇問題あるいは増員問題、こういった論議があったわけでございます。 私も、まず最初にこの問題について伺っておきたいと思いますが、税関職員の役割ということを考えますと、現在の日本の立場、すなわち貿易立国の第一線に立っている、その中で税関業務の増大とともに覚せい剤それからけん銃の密輸入を水際で阻止するなど、重要な使命があることには間違いないと思います。その中で、処遇については現在行政職(一)の俸給表の適用を受けているわけでございますが、これは一般事務職を対象としているはずでございます。先ほどからいろいろとるる御説明があっておりましたけれども、実際に非常に危険な職務であることにはこれは間違いないわけであります。そういった税関業務の特殊性、これを考えるならば、特別に税関職俸給表といったようなものをこれは適用すべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてはどういうお考えでございましょうか。
○政府委員(矢澤富太郎君) 委員御指摘のように、税関職員につきまして特別の俸給表を新設すべきではないかという考え方はかねてからございまして、私どもといたしましても機会あるごとに人事院と接触をしてまいったところでございます。しかしながら、最近の感触といたしましては、税関の業務は監視とか輸出輸入あるいは一般行政的な仕事というようなことで、公安職的な側面を持つ仕事があったりあるいは一般の行政的な側面を持つ仕事があるというようなことで、これを一律にくくって特殊な俸給表を適用するのはなかなか困難ではないかという感触を得ているところでございます。 現在人事院は、本年の、昭和六十年度の人事院勧告の時期までに人事行政全般の見直しを行っております。その中で私どもも税関について特別の俸給表をつくっていただきたいというお願いを申し上げていたわけでございますが、昨今の厳しい財政事情を反映いたしまして、特別の俸給表につきましてはごく限定的につくっていきたいという方針のようでございます。 それは具体的に申し上げますと、例えば公的な資格を持っていないとその職につけない、例えば検疫の、防疫の関係の獣医さんとかそれから航空管制官といったような仕事、また、職場において上下といった関係がほとんどない専門家の集団であるというようなものに限定して、特別の俸給表をつくる方向で検討をしているというのが現状でございまして、そういう意味で、私どもかねてからこの委員会の席におきましても税関職員につきまして特別の俸給表をつくってまいりたいと申し上げていたわけでございますが、その努力がなかなかうまくいきそうもないということをおわび申し上げたいと思います。 今後の対策といたしましては、等級別の定数を確保するとかあるいは危険手当等を拡充していくというようなことで、そういった税関の特殊な業務、役割に対する職員の苦労に報いていきたいというふうなことで努力をしていきたいと思っております。
○桑名義治君 これは大臣にお尋ねしたいんですが、昨年の委員会で大臣は、一度人事院にもアプローチしてみた経験も持つわけであり、他業種との関連も見定めながら十分検討さしていただく、こういうふうに御答弁なさっているわけですが、この一年間の検討というのは今の御答弁の範囲内でございますか。
○国務大臣(竹下登君) 矢澤局長が後段でお述べしましたそういうことが、アプローチの結果出てきたのがそういうことであることは事実でございます。
○桑名義治君 そこで次に、税関の要員の確保の問題を私もお尋ねをしておきたいわけでございますが、先ほどからの御答弁で、この件につきましても種々ございました。 私がお尋ねしたいことは、税関の予算定員は本年度予算では七千八百十三人であるわけでございますが、昨年度より七十九人の純減、こうなっているわけでございます。それで、昭和五十四年度の八千七十八人を最高人員として年々減ってきているわけでございます。税関の業務は、先ほどもいろいろと議論になっておりましたように、五十四年を一〇〇として見れば輸出額は一六三%、輸入額は一一二%、それから出入旅客数は一三〇%、ごく最近の状況をとらえてみてもこれは非常に増加の一途をたどっているわけでございます。しかも昨年度の附帯決議でも、その要員の確保については決議をされているわけでございます。それと同時に、先ほどからの御答弁では、増員の問題、要員の確保の問題についても大変に御努力をなさっている、またしなければならない、こういう意味の御答弁をなさっているわけですが、こうやって本年度の予算では、予算定員、これを見ても昨年度よりも七十九人減っているということになれば、局長の認識とこの予算定員というものが逆行しているような気がしてならないわけですが、この点はどういうふうに解釈すればよろしゅうございますか。
○政府委員(矢澤富太郎君) 御指摘のとおり私どもの気持ちと実績に食い違いがあるのは確かでございまして、私どもとしては今後一層の努力を重ねていきたいと思っております。なお、実際の姿といたしましては、私どもの要求に対しまして査定である程度のおこたえをいただいているわけでございますが、御承知のように、五%の定員削限とか六十年度には定年退職者の後補充はしないとかいうような、行政改革全般の進行の中でいろいろな制約が加えられております結果こういった数字になるわけでございますが、私どもといたしましては今後とも定員の確保には一層の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○桑名義治君 大臣、先ほどからもちょっと申し上げたわけでございますが、昨年の委員会の場合にも、この要員確保の問題も含めて検討さしていただく、こうおっしゃっているわけでございます。待遇の面については一部前進しつつあるように見受けられるわけですが、先ほどの論議の中でも、この要員の確保は非常に重要だ、こういうふうな認識を披瀝されたようでございますが、この増員、要員の確保の問題はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(竹下登君) これはいつも申し上げますように、いわゆる全体の国家公務員の削減計画と、そして六十歳定年がこの三月三十一日でございますか実施されますから、そういうものに対する後補充をやめようとか、全体の定員管理の中で、私どもが必要として要求したものは一部本当は認められておりますが、結果として純減になっていることはこれは事実でございます。したがって、そこのところがなかなか難しくて、全体の中でこれだけはいわゆる例外だという措置が総体的な国政全般の中における公務員のいわば削減計画の中でなかなかとりにくい、だからやっぱりこれは将来とも注目してやっていないといけない問題だという問題意識は持っております。引き続きこれは本気に努力しなきゃならぬという気持ちでいっぱいでございます。
○桑名義治君 そうすると、覚せい剤あるいはけん銃、こういったものが税関で摘発をされるというのは大体何%ぐらいだというふうにお考えになっておられますか。
○政府委員(矢澤富太郎君) これは大変に難しい問題でございますが、例えば覚せい剤でございますが、大体一年間に日本の国内に入ってくる覚せい剤は二トンぐらいじゃないか。これに対して税関で、五十九年でございますが、水際で捕らえたものが三十六キロという数字でございますから、職員はいろいろ苦労はしておりますが、まだまだ全体の量から比べますと水際で押さえられているものというのはかなり小さな割合ではないかと思います。 また、けん銃につきましては、これはちょっと総数はわかりませんが、例えば五十九年には四百五十二丁のけん銃を押収いたしております。その前年が百七十八丁ということでございますから、これは一件で大口の押収量があったというようなこともございますけれども、そういった面でも努力をしているということをひとつ御理解賜りたいと思います。
○桑名義治君 今、暴力団抗争等で、けん銃等についても大変な国民の関心が集まっている。それから、いわゆる覚せい剤の問題にしましても、だんだんだんだん若年層におりてきている、あるいは主婦にまで蔓延している。こういうことで、この二つの問題は非常に大きな社会問題として膨れ上がってきている。 ところが逆に、いわゆる税関の職員は年々ダウンしていっている。そしてどんなに、努力をしています、努力をしています、こう言っても、余りにもこれじゃ税関の職員はかわいそうですよ。やはり徹底的にこういったものを水際で押さえていくということの努力をしても、これは今の要員の中では私はどうしても不足だ、こういうふうに思うわけでございますが、これは特殊事情があるということを考えるならば、人員を五%削減とか何%削減とか一律にすることが、私は決して公平なことでもなければ褒められたことでもない、こういうふうに思うわけでございますが、この点について大臣どういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(竹下登君) 一律削減の中で、今度はそれぞれの所管に応じて一律以上の削減というのは、なかなかそれはできません。したがって、一律削減の中で、結果として純減がないような要求をしていくわけでございます。その落ちつきがこうなったということでございますから、その点これからもなお、おっしゃるとおりの必要性からして要求を続けていかなきゃならぬ課題だという問題意識は私も十分持っております。 ただ、大蔵省内だけと言わず、定員管理の方では、全体の各省の中からの他省庁からの融通と申しましょうか、配置転換とかいうようなところまで工夫していただいておりますが、結果として、重要性を痛感しながらも今御指摘のようなことになっておりますが、いわば増分の方がありますから、純減はございますものの一律削減よりは結果として純減は少なくなっておるということは言えると思いますが、まあしかしそれは、ただ苦心話を披露したにすぎないという私もうつろな気持ちでお答えしております。もっともっと例外であることの主張というものをこれからも続けていかなきゃならぬ課題だという問題意識は持っておるつもりでございます。
○桑名義治君 問題意識だけでは困るんですな、大臣ならば。やはり積極的にこういう問題については大臣として取り組んでいくという、その姿勢がなければならないと私は思います。 この問題はこの程度にしまして、次どうぞやってください、あと残りをやりますから。
○理事(伊江朝雄君) 関連を許します。鈴木君。
○鈴木一弘君 関連ということでございますが、実は台湾船が、日ソ漁業協定、日米加漁業協定の水域、あるいはとってはならない水域がございますが、そういう漁業水域でサケ・マスをとってそれを日本へ入れてくる。推定では、漁獲高が一万二千トンから一万五千トンぐらいあるのではないかというふうに推定されております。五十八年度には日本へ七千トン入ったと言われておりますが、うち韓国とか北鮮を経由して入ったのが三千トンぐらいある、こう言われております。この前も北転船が協定区域外で操業をした、そういうことがあるとどうしてもこれはまたいろいろ漁業協定等にも影響が出てくる問題ですので、ぜひともこの問題について伺いたいんです。 また、ことしも、原産地証明がカナダということで、去年ですか、来たということを聞いております。入港した港が沖縄で、沖縄が九百トン、これは押さえておられるようでございますが、千葉港に三百五十トンから六百五十トンとかぐらいの間ではないかとか、横浜港に二百五十トンから三百五十トンぐらいの間ですね、小樽が九百トンか、こういういろいろなことが言われておりますが、この千葉、横浜、小樽については通関をもう既に切ったというようなことが言われている。 それで、カナダ産証明と言ったり北鮮の原産地証明をつけても、マスがとれるところにベニザケが入っているということはないわけです。ベニザケというのは御承知のようにベーリング海しかないわけでございますから、カナダの原産地もおかしいわけであります。そういうのがあるということで、具体的に私は税関から書類をいただいたわけではありませんのでわからないんですけれども、こういう点についてもしつかんでいるところがおありになったら、恐らく税関としても真剣に何とか取り組んでいらっしゃることだと思いますので、御報告をちょっと求めたいと思います。
○政府委員(矢澤富太郎君) 台湾産のサケ・マスでございますが、ただいま委員御指摘のお話がございましたように、八三年五月に台湾船が北部太平洋に多数出漁しまして、日ソ、日米加漁業協定等の国際取り決めに基づかないで多量のサケ・マスを漁獲した、数字も今委員からお話があったとおりでございます。そして五十八年に、農水省の調査では約四千トン近くが日本に輸入されたということでございます。 そこで、問題が発生いたしまして、水産庁といたしましては業界に対して輸入自粛を要請する一方、台湾に対しましては操業自粛、輸出禁止を申し入れたわけでございます。 〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕 この結果五十八年の九月には、台湾はサケ・マスの操業それから輸出を禁止いたしました。また、そういった措置によりまして五十八年の十一月、十二月には台湾からの輸入はとまったわけでございますが、八四年一月になりますと今委員がお話しになりましたように再び台湾からの輸出が始まったということでございます。その結果、八四年つまり昭和五十九年、昨年の六月二十二日付で、台湾産サケ・マスにつきましては事前承認制度の対象とするということで、事実上輸入を禁止することになったわけでございます。したがいましてそれ以降につきましては、税関といたしましても、台湾産のサケであるかどうかということにつきまして厳重にチェックをすることといたしております。 幾つかの事件でございますが、ただいま沖縄のお話がございました。これは約九百トンの台湾産のサケが入ってきたということで結局積み戻しを命じたということでございますが、税関への申告は、原産地が北朝鮮であるというようなことで出てきたわけでございます。税関といたしましてはインボイス等を厳重にチェックした結果、どうもこれは北朝鮮のものではないということがわかったわけでございますが、実は北太平洋でとれますサケはベニザケでございまして北朝鮮近辺でとれるのはシロザケだということでございますが、いずれにいたしましても、冷凍して入ってくるものでございますからなかなかその荷姿というか魚の姿を見ただけではシロザケかベニザケかよくわからないという面がございまして、沖縄の場合も、最終的に沖縄県の水産試験場で見てもらいましたら、サケの顔つきがわかる方がいまして識別ができたということでございます。 その他先ほど御指摘のございましたのは、これに該当するかどうかわかりませんが、横浜で約二百トン余りの台湾産ではないかと疑惑を持たれたものが出てまいりましたが、これは韓国産ということで参りまして、韓国等に確かめました結果原産地は米国であるというようなことがわかったということで、これはシロでございました。また、小樽につきましても同様に疑惑を持たれたものがございましたが、この原産地証明を、アメリカの在京大使館に関税アタッシェがおりますが、これを通じまして米国関税庁担当官に照合いたしましたところ、これも間違いないということでシロというようなことになっておりますが、いずれにいたしましても、この台湾産のサケ・マスの事前承認制の網をくぐって、サケがハモになったり、いろんな名前で入ってくるわけでございますが、私どもとしては今後とも厳重なチェックをしていきたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 大分、大日本水産会ですか、ああいうところでもこの問題については頭を悩ませているようです。やはり、秩序あるものを破壊してしまうようなことが行われる、それに知らないうちに税関が手をかしていたということではこれは大きな問題になると思います。特にベニザケの場合は、北太平洋でしかとれませんので、だから原産地証明がアメリカと言われても、でかく出れば、州の名前が出てこなけりゃ本当はわからないということだと思うんです。場合によってカリフォルニア原産なんてことになったんじゃ、そんなものがあるわけはないですし、そういう点でこれからも厳重にやっていっていただきたい、それだけをお願いしておきます。
○桑名義治君 もう少し時間がございますので、ちょっとお尋ねしておきたいんです。 今回合板の関税率の引き下げがあるわけでございますが、合板あるいは製材業界というのは大変な不況にあえいでいるわけでございます。今回のこの関税率の引き下げの問題でどういう影響が出るかということと、それからさらに、米国は強い市場開放要求をこの木材製品の関税率の引き下げについて今してきているわけです。新聞紙上によりますと、総理も大変な意気込みで、三年以内にもう一遍関税の引き下げをせよというような指示を流されたようにも聞いております。この問題がこういうふうな形で発展をしてまいりますと、今後他の木材関係の輸出国からの要求も再び出てくるのではなかろうか、こういう心配があるわけでございますが、この対応をどういうふうにお考えになっておられるのか、この三点について伺っておきたいと思います。
○説明員(脇元裕嗣君) 先生にお答えを申し上げます。 我が国の林産業界は、御承知のように木造住宅建築の停滞によります木材需要の低迷であるとか、あるいは木材製品価格の下落、低迷によりまして、長期にわたる深刻な不況下にございます。したがってまだ不況回復の兆しが見られずに、倒産件数も引き続きかなりの数に上っております。こうした林産業界の不振が、林業経営費の増高と相まちまして我が国の森林林業に深刻な影響を与えて、森林の持ちます国土保全あるいは水資源の涵養といった公益的機能にも悪影響を及ぼすおそれがあります。したがいまして、木材製品の関税引き下げにつきましては極めて困難であると考えておりまして、慎重に対処してまいる所存でございます。 それから、先生お尋ねの、アメリカとの木材製品関税に係る協議の状況でございますが、木材製品を含みます四分野の市場開放問題につきまして、一月初めの日米首脳会談及び一月二十八、二十九日の両日の次官級のレベル会議におきまして、各分野ごとに幅広い情報交換、討議を行うこととなったのは御承知のとおりでございます。これらを受けまして、二月の二十五日に東京で木材製品分野の会合を開催いたしまして、協議の目的あるいは今後の取り進め方等につきまして率直な意見の交換を行ったところでございます。 関税問題につきましては、アメリカ側は関税が障壁の主たるものであって、この撤廃を議題としたいというふうに申しましたが、我が日本側は関税引き下げに応ずることは極めて困難であるという旨を強調したところでございます。関税に関しましてアメリカ側の質問に答えるという用意はあるが、あくまでこれは全体的な視野からこの問題に対処するという旨答えたところでございます。さらに三月十五日には、東京で開催されました日米ハイレベル協議におきまして、各分野ごとの作業の進捗状況につきましてレビューを行いました。木材製品分野につきましては双方が質問事項を出し合っているわけでありますが、この質問事項について、ワーキンググループをつくって四月のなるべく早い時期に回答し合って、その経緯を踏まえて第二回のハイレベルでの会合を持とうというところで合意したところでございます。 また、先生お尋ねの、こういったことがアメリカばかりでなくてほかの国からもあるではなかろうか、それにどう対処するか、こういうお話でありますが、先ほど申し上げましたように、我が国の林産業界が長期にわたります深刻な不況下にありましてまだ回復の兆しが見られない、こういった状態でございますから、こうした産業界の不振が我が国の森林林業に深刻な影響を与えて森林の持つ公益的機能にも悪影響を及ぼすという状況でございますので、木材製品の対外問題につきましては、関係国との友好関係にも留意しながら我が国林業を生かすという観点に立ちまして、その健全な発展との調和を図って対応することが基本的に重要であります。したがって、その関税引き下げにつきましては極めて困難であるというふうに考えておりますので、慎重に対処してまいる所存でございます。 以上でございます。
○近藤忠孝君 この関税暫定措置法の一部改正案の内容の大部分は、東京ラウンドの前倒し実施など主としてアメリカからの圧力に対してまたもや一方的な譲歩を行って、その結果国内の農林水産業、中小企業に被害をもたらすものだと思うんです。 そのアメリカからの圧力の理由となっておりますのが、対日貿易収支赤字の原因は日本の保護貿易主義だということです。 こういう不当な言いがかりがあるんですが、決してそうじゃないと思うんですね。現にこれは、日銀の調査月報五十九年八月号によりますと、八〇年から八三年の間のアメリカの貿易赤字増の六割はドル高要因だ、あるいは貿易赤字の主因は財政赤字だというようなことをずっと触れまして、一番最後の方では、保護主義的措置は長い目で見てアメリカ産業の合理化をおくらせ、得策じゃありますまい、こう言っておるのですが、この辺の状況はどうなんでしょうか。
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、米国の貿易収支の赤字は、一九八三年、一昨年が六百十一億ドルであったものが、昨年ではこれが千七十四億というふうに非常に大幅になっておるわけでございます。 この原因でございますが、私ども考えますに大まかに申しまして三つあるのじゃないかと思います。 一つはやはり、アメリカの経済が、御承知のとおり特に昨年はGNPが年率六・八%というような、あれだけの大きな規模の経済がこれだけ速いスピードで拡大いたしますと、当然輸入に対する需要が非常に大きくなっておるということの原因が一つ。それからもう一つは、委員御指摘のとおり、昨年来ドルが非常に強くなっておるものでございますから、これによってアメリカの輸出品の価格競争力が失われてしまっておる、一方輸入品の価格競争力がふえておるということに基づくもの。それから三番目には、これも御承知のとおり、特に中南米を中心にいたしまして債務累積の問題が非常に深刻になっておるものでございますから、こういった諸国が債務問題解決のために国内でかなり厳しい引き締め措置をとっておる、そのために従来アメリカから輸入しておったものがかなり減ってしまっておるということ、こういったいろいろな原因があると思います。 問題は、こういったいろいろな原因の中で、どの要素がどのくらいこの赤字に貢献しているかということでございます。確かに日本銀行のそういう分析もあろうと思いますし、そのほかいろいろと分析も行われております。ただ、率直に申しまして、正確にどの要素がどのくらいかという計算はなかなか難しいと思いますけれども、私ども、特にやはりドル高の問題は、こういった要素の中でも非常に大きな原因ではないかというふうに考えております。
○近藤忠孝君 これは、もう一つは外務省の調査ですが、アメリカの方の輸入ですね、機械、機器のシェアが急上昇していると。そしてこの中でも、日本市場の閉鎖性論は必ずしも的を射ていない。そして、アメリカの機械産業の生産性がよほど急速に改善しない限り日米貿易のアンバランスの解消は困難である、こういう指摘があるんです。 ですから、アメリカからのそういう要求に私は応ずる必要はないと思うんですが、しかし、これは大体東京ラウンド合意による関税率の段階的引き下げ措置そのものについても我々は、アメリカ、ECなどに比べて大幅な引き下げを行って、先進国中最低水準になっている。それに加えてさらに今回、何ら義務のない一方的引き下げ措置を繰り返しているわけですね。これは、アメリカが実施を見送っているし、ECも途上国関連の品目に限るなど、主要国は事実上繰り上げを放棄している中で、我が国単独で一方的に繰り上げを行っている。 私はこういう点では、我が党が指摘するとおり、こういう方向はどうも余り譲歩が過ぎるんじゃないか、こう思うんですが、大蔵大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは、貿易立国、あるいは自由貿易の旗頭というような立場に我が国は立っておるわけでございますから、したがって私は、前倒しとかいうようなことはまさに姿勢をあらわした適切な措置であるというふうに、これ自身はそう思っております。
○近藤忠孝君 しかしそれは、政府自身が繰り返してこう言っていますね、主要先進国における繰り上げ措置の実施状況を勘案して実施すると。しかし実際は、それをむしろ先駆け、あるいはずっと外国に比べても譲歩しているというのは、これはやはり問題があるんじゃないか、こう思うんですがいかがですか。
○政府委員(矢澤富太郎君) 東京ラウンド合意の関税前倒しにつきましては、御指摘のとおり各国歩調を合わせてやろうじゃないかという動きがございました。古くは四極大臣会議におきまして、また最近では、五十九年の五月のOECDの閣僚理事会においてそういった決定がなされております。それを受けまして、昨年四月の対外経済対策におきましても、主要先進諸国における繰り上げ措置の実施状況を勘案してやろうじゃないかという決定がなされたことは御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、十一月もうぎりぎりぐらいまで主要国の動向を見ていたわけでございますが、それは今委員からもお話がございましたように、ECは開発途上国向けには八五年一月一日からやる、それ以外はアメリカの動向を見てやるということでございます。アメリカはとうとう何もしなかったというのも事実でございます。しかしながら、当時の我が国の貿易収支の黒字の累積状況、また拡大の状況、また対日貿易におきまして不均衡を生じている貿易相手国の日本に対する市場要請の強さを考えますと、既に四月の対策で他の諸国の実施状況を勘案してという条件がついておりますが、こういった態度を鮮明にした以上、この際、先ほど大臣が申されましたように、貿易立国として、また非常に黒字が集中している我が国といたしまして、率先して姿勢を示す必要があるという判断のもとに、関税率審議会にもお諮りいたしましてこういう措置をとらせていただいたわけでございます。
○近藤忠孝君 私は、政府がそういう、私に言わせれば譲歩ですけれども、それをする理由として、一つは輸入課徴金を導入するという議会の動きが目立っておりますわね。アメリカ政府は課徴金は考えないと言っているけれども、結局これをてこにして市場開放を促すことだと思うんですよ。こういうことで我が国に一方的譲歩を迫るというのがどうもアメリカの一貫した手口だったと思うんですが、こういう輸入課徴金の動きなど、こういう点についてはどうですか。
○政府委員(矢澤富太郎君) ことしになりまして、大統領選挙が終わりまして米議会が始まりますと、かなり、もともと米議会筋は保守主義的な動きが強いところでございますから、日本に対する報復措置とか輸入課徴金とかいう動きが強く出てくるのではないかということは予想されていたところでございまして、現に最近、毎日のようにそういった話が新聞をにぎわわしているわけでございます。これに対しまして、レーガン大統領を初めとする行政府は、今委員からも御指摘がございましたように自由貿易主義を堅持するという態度をとっておりまして、本日の新聞にもオルマー商務次官がこの輸入課徴金は米に有害である、米政府としては断固としてこれには反対をするということを言われているわけでございます。 私どもといたしましては、我が国が対米貿易収支が大変な大きさに上っているということは事実でございますので、米議会のそういった保守主義的な動きを鎮静化するためにはやはり市場開放ということにつきまして一段と努力をする必要があるということで、例のMOSS方式ということで現在協議が進められているということでございます。
○近藤忠孝君 この輸入課徴金は一つのおどしだと思うんですが、そういう動きはほかにもあると思うんです。例えば、これは郵政大臣の諮問機関である電気通信審議会に外国人の専門家を参加させるとか、あるいはその他の政府の審議会の委員に外国人を起用させること、いろんなことを私どもに言ってきているわけだと思うんです。こういう次々と不当な要求を突きつけてきているんですが、これは政府は断ったようですが、こういうものに対してはやはり毅然とした態度で臨むということが必要だと思いますが、いかがですか。
○政府委員(矢澤富太郎君) 審議会の委員は非常勤の公務員でございまして、審議会内で議決権を有し、国家意思の形成に参画する公務員でございますから、これに外国人を任用することは適当でないという考えで対応してまいりたいと考えております。
○近藤忠孝君 終わります。
○栗林卓司君 私も最近の貿易摩擦問題で、時間の関係がありますので合板問題に絞ってお尋ねをしたいと思います。 先ほど林野庁の方から、住宅需要が低迷しておるし国内業界も大変不況である、したがって関税引き下げには応じられないという趣旨の御答弁があったんだけれど、そういう答弁の仕方で正しいのだろうかと思いますのでお尋ねするんです。 アメリカの北西部でつくっている合板というのは針葉樹合板ですね。これは日本は輸入制限をしているわけでもないし、数量制限をしているわけでもないし、輸入は自由にやっているわけです。そこで、関税を下げたら本当に輸入がふえるのだろうか。というのは、今針葉樹の合板がさほど多く輸入されていないのは、関税が高いおかげで価格競争力がない、だからふえないのだろうか。私思いますのは、針葉樹の合板というのは非常に節目の目立った、いわば日本人の嗜好に合わない合板なんです。だから、仮にその関税を下げたといっても、若干その値段は下がるかもしれませんが、だからといってそうふえるものではない、こう理解しているんですが、その点は間違いありませんか。
○説明員(脇元裕嗣君) 関税の引き下げによりましてアメリカ等の針葉樹合板の競争力は向上はすると考えております。しかしながら、それが輸入量に与える影響が定量的にどうであるかということを見通すことは極めて困難でございます。
○栗林卓司君 いや、極めて困難じゃなくて、とても売れそうとは思えませんと言ってくれないと議論にならないんですよ。 では、私の理解が間違っていたら教えてください。アメリカの合板の場合には、アメリカの北西部と南部と東部とありますね。従来は、南部の方は北西部の合板の大需要地だったんですね。しばらく前から南部では植林を初めて、今植林の伐採期に入っている。南部の合板企業は非常に急速に発達をしている。南部はもう自給自足になっているものだから、北西部の合板の売り先がなくなってきた。東部は東部でやっているわけですがね。その北西部の合板は日本に売ればいいというので、関税引き下げ要求になってきた。かたがた、中心はワシントン州、オレゴン州ですけれども、特にオレゴン州出身の上院議員には名立たる大物がいるものですから、それでこれが急速に政治的なイシューになってきた、この経過は間違いありませんか。
○説明員(脇元裕嗣君) 先生おっしゃいますように、アメリカ側が我が国に木材分野において市場開放を強く要求してきております背景には、ワシントンあるいはオレゴン州等の北西部諸州の林業、林産業が、一つは今おっしゃいますように米国南部の林業及び林産業が急速に進展をしてきているという事実、それからもう一つはカナダ産の木材製品がアメリカに流入をしている、こういった事情から、北西部諸州が国内における販路を失いつつあって、これが我が国やあるいは韓国、中国といった市場に進出をしようという大きな期待をかけているという事情があるというふうに考えております。
○栗林卓司君 それで、事実これは大きな政治的イシューになっているんですよ。 関税を下げても、あの節目の多い合板はとても日本人の趣味嗜好に合わないから、私はそう売れないと思うんです。そうすると、向こうの方は売れると思うから、関税を下げると言うんでしょう。下げてやっぱり売れなかった、また非関税障壁がある、こういうぐあいに誤解に誤解を重ねていきますよね。 こういった問題というのは、日本に合わないんだもの、あの合板は。日本に合う合板というのは広葉樹の合板です。それはインドネシアを中心にした南方材でつくっている。それも関税で守られているんだけれども、もうあなたも御承知のことだけれども、じゃ日本と南方の合板がなぜ拮抗しているかというと、日本の方は技術がいいから一本の丸太から七割ぐらい削れるわけですよ、南方の方は腕が悪いものだから半分しか削れない。そこで、原木の高さをカバーしながら、かたがた関税に保護されながら、やっとこつこつやっているのが今日本の合板産業でしょう。 したがって、広葉樹について関税を下げることになると、こっちが傷む。針葉樹はね、極端に言うと幾ら下げたっていいんですよ。ところが、針葉樹だけ下げて広葉樹を下げない、要するにアメリカの言い分だけ聞いてインドネシアの言い分を聞かないということができるかというと、それは不可能ですよ。したがって、今困っているのは、広葉樹の合板まで右へ倣えで下げられたら日本の合板は壊滅的打撃を受ける。対米関係だけだったら別にどうということはないけれども、しかし下げたって売れやせぬ。これが私は筋の理屈だと思う、無理につくっているのじゃなくて。 向こうの方は、とにかく関税を下げろと言ってあの上院議員以下騒いでいるわけでしょう。こういったときに、その上院議員は大物ですよ、大物ですから日米関係を考えて、じゃ向こうの地頭の理屈でも聞こうか、こうなってしまうと私はいけないと思う。間違っていたら言ってくださいよ。だから、さっきみたいに、いや住宅需要が低迷しております、国内の林業、合板業界は大変なんです、だからいかにも市場開放化は嫌だと言わんばかりの説明をされますと、みんなそう思っちゃうんです。ですから、むしろ下げると言うんなら下げてもいいんです。どうせ売れないんです、あれは。だけど、アメリカだけ関税を下げて、広葉樹の南方材に対して下げないというわけにいかないでしょう。そのときには日本の合板は致命的な打撃を受ける。 どっちにしたってふえないんだから少し頭を冷やして考えようかと言わないと向こうにわからないと思うんだけれども、その辺はどうですか。
○説明員(脇元裕嗣君) 先生おっしゃいますように、基本はやはり我が国の産業、木材産業が大変不況の中にある、ひいてはこのことが我が国の国土保全にも影響しかねない、したがって関税問題については関係国との友好関係を種々考えなければいけないけれども、極めて困難であるというのが基本的な姿勢でございます。 なお、先生おっしゃいますように、南方の広葉樹合板とアメリカ、カナダ等の針葉樹合板との商品上の差別については、先生のお話がよくわかります。ただ一つ、私の一つの考え方を申し上げますと、確かにこれまで針葉樹合板というのは、我が国は圧倒的に広葉樹合板でございますからそういう中ではなじみが薄い商品でございました。しかしながら、我が国の広葉樹合板も現在では、かつてはほとんどが薄物の合板でございました、したがいまして家具材であるとかあるいは内装材であるとか、そういったところに多く使われたわけでありますが、最近ではだんだんと構造用の合板がふえてまいっております。そういう点から申しますと、アメリカ、カナダ等が生産をいたします針葉樹合板は、これは商品こそ広葉樹とそういうラワンとダグラスファーあるいは米ツガという違いがございますが、構造用合板という意味では極めて最近競合し始めている。これはツーバイフォー建築あるいはプレハブ工法がだんだんとふえてくるにつれて競合性が出てきている、商品、物の差は先生おっしゃるとおりでございますが、機能としての競合は徐々にながら出てきている、こういう認識をしているわけでございまして、したがいまして、おっしゃいますように、アメリカ等には関税関税という問題もあるかもしれませんが、やはりその前に、例えば針葉樹合板を我が国になじませる努力であるとか、そういった努力がまず先決ではないか、こういうことも一方では付言しているわけでございます。
○栗林卓司君 今のお答えで結構なんですけれども、そういったことをよくよく言ってやらないと、やっぱり国が違うと気持ちも違って、見えませんからね。割合にアメリカの連中も日本の連中も、国際感覚のない点では同じですからね。だからよくよく言ってやらないと、いかにも日本が市場開放に後ろ向きだ、しからば、というぐあいに向こうの議論が発展していっても困るし、やっぱり言うべきことはきちんと言っていかなきゃいかぬ。いかにそれは摩擦が激しくなろうとも言うべきことは言っておかなきやいかぬという点で申し上げたのでありまして、輸入課徴金も私は単なるブラフとは思っていません。もしかしたらそうなるかもしれない。そのときには、なっても怒らないだけの知恵を日本が持つことだと思っているんですよ。だから言うべきことはどんどん言うべきだと思うんです。 終わります。
○委員長(藤井裕久君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっている関税暫定措置法の一部改正案に反対、あへん特別会計法廃止法案に賛成の立場から討論を行います。 もとより資源に乏しい我が国が、偏狭な保護主義を抑え、公正な世界の貿易を促進することによって、我が国のみならず世界経済の発展に寄与することは言うまでもありません。 しかしながら、本改正案の主要内容は、アメリカがみずから招いた経常収支の赤字、特に対日貿易収支の赤字を、専ら我が国の保護貿易主義のためであるとみなし、我が国に対し事あるごとに不当な市場開放を迫り、我が国政府がこれに安易に応じてきた結果なのであります。 東京ラウンドの前倒し引き下げ措置については、我が国は既に数回にわたって協定上の義務以上の引き下げを一方的に行い、既に主要先進国中最低の関税率になっているにもかかわらず、今また我が国単独でさらに前倒し引き下げを図ろうとするものであります。 また、アメリカなどの要求による市場開放措置についても、アメリカの不当な圧力に屈した結果であります。特にこの措置の問題点は、対象となった品目のうち農産物が半分と、かつてなく大きな割合を占めていることであります。この措置によって落花生、トマト加工品、ワイン、繊維製品、紙製品などの関税が引き下げられ、オレンジ、牛肉などの輸入枠が拡大される結果、国内農業、中小企業は深刻な打撃を受けることが予想されます。 さらに本案は、アルミニウム関税の減税制度の新設や石油関係関税の減税還付制度などの延長措置を図っていますが、いずれもこれらは国際競争力を名目とした大企業向け減税措置であり、反対であります。 なお本案のうち、発展途上国の要求によってなされた特恵制度の拡大については、我が国における関連中小企業、農業などに深刻な影響を与えるおそれがない限りにおいて、先進国たる我が国のこれら発展途上国に対する経済協力として当然の措置であります。 なお、あへん特別会計法廃止法案には、特に廃止に反対する理由もないので賛成いたします。 最後に、私は、労働者や下請中小企業の犠牲のもとに進められている大企業の輸出主導の経済政策を大きく転換し、労働時間の短縮や大幅賃上げ、また大幅減税などによる抜本的な内需振興こそ日米貿易摩擦を真に解決できるものであることを主張して、討論を終わります。
○委員長(藤井裕久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより順次両案の採決に入ります。 まず、あへん特別会計法を廃止する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤井裕久君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤井裕久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、桑名義治君から発言を求められておりますので、これを許します。桑名義治君。
○桑名義治君 私は、ただいま可決されました関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一、関税率の引下げに当たっては、国内産業、特に農林水産業、中小企業への影響に十分配意し、それらの体質改善を図りつつ、開発途上国の事情にも配慮して国際的経済協調を進めるとともに、国民生活の安定に寄与するよう努めること。 二、世界経済の中における我が国の立場を踏まえ、自由貿易体制の維持強化、世界経済の活性化に貢献するため、新しい多角的貿易交渉の推進に今後とも積極的役割を果たすよう努めること。 三、伸長する輸出入貿易に伴う税関業務の増大に加え、覚せい剤、銃砲等の取締りが大きな社会問題となっていることにかんがみ、通関制度等の一層の見直しを行うことにより、税関業務の効率的、重点的運用に努め、特殊な職務に従事する税関職員についてその要員の確保と処遇の改善に努めること。 右決議する。 何とぞ皆さまの御賛同をお願いいたします。
○委員長(藤井裕久君) ただいま桑名君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤井裕久君) 多数と認めます。よって、桑名君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。 ありがとうございました。
○委員長(藤井裕久君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時九分散会