大蔵委員会 第7号
- 発言数
- 52 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/03/27
会議録
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨二十六日、栗林卓司君が委員を辞任され、その補欠として小西博行君が選任されました。 ─────────────
○委員長(藤井裕久君) 次に、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。 本日は、両案審査のため、参考人として、税制調査会会長小倉武一君、日本大学教授名東孝二君、慶應義塾大学教授古田精司君、TKC全国会会長飯塚毅君、以上四名の方々の御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、法案審査の参考にいたしたいと存じます。 これより参考人の方々から御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方々からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしく御協力をお願いいたします。 それでは、まず小倉参考人からお願いいたします。
○参考人(小倉武一君) 六十年度の税制改正につきまして所見を申し述べるようにというお話でございます。 そこで、税制調査会が昨年十二月に政府に答申をいたしました六十年度の税制改正に関する答申に即しまして、改正の考え方などについてお述べすることにいたしたいと思います。 皆様既に答申の内容等は御承知だと思いますので、ちょっとお聞き苦しい点が多いかと思いますが、御寛容願いたいと思います。 まず最初に、税制改正の基本的な考え方でありますが、六十年度の税制改正につきましては、昭和六十年代を通じました財政の展望と財政運営に関する次のような基本的な考え方が前提になっております。 まず、我が国の財政は、昭和五十年代を通じまして行われました歳出歳入両面にわたる健全化の努力にもかかわりませず、一層深刻な状況に置かれております。現状のままで推移します限り、財政本来の機能が阻害される、あるいは世代間の受益と負担の不均衡が生ずる、あるいは将来インフレになるのではないかというような危惧もないことではございません。あるいはまた金融の関係では、クラウディングアウトが発生するというふうなことも懸念されているところであります。 また他方、今後の財政を展望いたしましても、構造的に厳しい状況が立ちはだかっておることは否めないところであります。今後、我が国の経済社会の活力を維持し、国民生活の安定と充実等を図るためには、速やかに財政の健全化を図り、財政の対応力を回復しておく必要があるということであります。 さらに、昭和六十年代の財政運営に当たりましては、引き続き歳出面において既存の制度、施策の根本にまで立ち返った抜本的な再検討を行うとともに、歳入の基幹たる税制につきましては、各種公共サービスの確保は国民の負担によって裏づけられるべきものであるという基本的な考え方のもとに、社会経済情勢の変化に即応してそのあり方を幅広い角度から根本的に見直さなければなりません。 このような考え方を踏まえまして、昭和六十年度におきましては、税収の大幅な伸びを期待することが難しい、こういう状況でございまするので、公債発行額のできる限りの縮減が強く求められておることも考えまして、歳出の徹底した見直しとあわせて、税制改正につきましては前年度に引き続き税負担の公平化と適正化を推進する観点から最大限の努力をすべきではないかということにいたしたわけであります。 そこで次に、昭和六十年度の改正の考え方でありますが、個別具体的に申し上げますと次のようでございます。 まず第一に、貸倒引当金の法定繰り入れ率の引 き下げであります。 貸倒引当金の法定繰り入れ率につきましては、貸し倒れ実績率等を勘案いたしまして常に見直しを行う必要がございまして、昭和六十年度におきましては、現行の法定繰り入れ率がなお平均貸し倒れ実績率に比べ相当上回っておるということが認められますので、その適正化を図るために、これを引き下げるべきであるといたしました。 第二に、公益法人、協同組合等の軽減税率の引き上げであります。 公益法人及び協同組合等につきましては、一般法人と異なった特殊性を有するということは申すまでもございません。その特殊性につきましては、所得計算の段階で相応の考慮が払われております。こうした配慮後の所得につきましては、法人税率は基本的には一般法人に対する税率と同じ水準でよいのではないか、こういうように考えられます。したがいまして、現行の軽減税率は政策的に設けられておるものだ、こういう認識でございます。六十年度の改正におきましては、基本税率との格差が大きいこと、これらの法人の営む事業が物によりましては一般法人の営む事業と競合しておるというようなこともありますのを考慮しまして、基本税率との格差を多少縮小するという観点から、これを引き上げるべきであるというように申し上げた次第であります。 第三は、利子配当の課税の適正化であります。 非課税貯蓄制度の見直しの具体的な方策につきましては、税制調査会といたしましては、税制調査会の中に「なお一部に異論はあるものの、この際、一定額の元本から生ずる利子の低率分離課税方式を導入することが望ましい」というふうに大方の意見が一致したところであります。 政府は、このような税制調査会の答申の趣旨等を踏まえまして、関係方面とも調整されました結果、まず本人確認の厳正化等の非課税貯蓄制度の適正化を図ることにしたと承知しております。また、今回の改正案は、非課税貯蓄の管理の適正化や、民間貯蓄と郵便貯金との間にイコールフッティングを図るという観点から、一歩前進されました法案を提出されているというふうに考えております。 利子に関する税制のあり方につきましては、今回の改正の実効がどういうふうに上がるかということも見きわめながら、今後もなお引き続き検討が必要かというふうに存じております。 第四は、租税特別措置の整理合理化であります。 租税特別措置につきましては、累年にわたり整理合理化を進めてまいった次第でありますが、厳しい財政事情のもとでございまするので、なお税負担の公平確保が一層強く要請されているということを考えまして、六十年度におきましても準備金、特別償却等についてさらにその厳しい見直しを行うべしというふうに答申を申し上げておる次第であります。 なお、新規の政策税制の創設は厳にこれを抑制するという方針のもとに、やむを得ず政策税制を設ける場合にも、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの原則を堅持すべきであるというふうに申し上げた次第であります。 なお、タックスヘーブン税制の整備、自動車関係諸税の適用期限の延長等を行うべきであるというふうにいたしました。 最後に、いわゆる税制改革の問題であります。 年次答申でございまするが、多少従来の例を破りまして、この点についても若干のことを申し上げました。すなわち、「従来、その時々の諸情勢に応じて税制の見直しが行われてきたところであるが、既存税制の枠内での部分的な手直しにとどまる限り、所得、資産、消費等の間で適切な税負担のバランスを図るという観点からは税体系に歪みを生じさせ、また、税制を一層複雑化させることとなる。したがって、既存税制の部分的な手直しにとどまらず、今こそ国民各層における広範な論議を踏まえつつ、幅広い視点に立って、直接税、間接税を通じた税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期に来ていると考える。」、こういうふうに申し上げた次第であります。 税体系のあり方いかんにつきましては、国民各層の間で広範な論議が行われることが期待されますが、税制調査会におきましても、今後、政府からの要請を待ちまして、国会でなされた御意見、御主張等も十分踏まえまして審議を進めてまいることになろうと考えます。
○委員長(藤井裕久君) ありがとうございました。 次に、名東参考人にお願いいたします。
○参考人(名東孝二君) ただいま小倉さんからもお話がありましたように、グリーンカード制廃止、そういった問題について非常に残念がっておられるようでありますが、これをやりましても大きな魚は皆逃げてしまって雑魚ばかりがつかまるわけです。逃げる場所は幾らでもある。現に株やら海外に逃げているわけです。要するにメリットよりもデメリットの方が大きいというふうに考えてよろしいと思います。 次は、今後の財政運営について。あれこれと修正方式はあると思うんですが、大きく分けて三つの選択肢があると思うのであります。 時間の関係上、肝心な大型間接税の問題は時間切れになると思うんですが、まず第一番は、真の行革によるぜい肉落としであります。 これは、この間瀬島さんがおっしゃっておられたように、財政再建期間を六十五年度に限る根拠はないんです。特にアメリカ経済、したがって日本経済の今後に予想される停滞、スタグネーションを考えた場合、スタグネーションと言うよりはスタグフレーションと言った方がいいかもしれませんが、そういうことを考えた場合には、私は到底六十五年度にいわゆる財政再建などができるとは思えない。したがって、ぜい肉落としをやることが必要なのであって、例えば補助金等、全民労協によると一般会計十四兆四千億の中の三分の一ぐらいは整理できるんじゃないかと言っております。それから、今度民営化する会社、電電など、それから国債の減額積み立てをやめるとか、それから思い切って地方交付税、昔のように二二%になさったらどうか。そのかわり地方自治体に思い切って権限を移譲して自由に腕を振るわせてみたらどうか、経営的感覚を持たせたらどうか、こう思うんですね。 それから、増税はやりませんが、各省間の人員の配置転換によって税務職員を強化する、いわゆる徴税強化であります。現在のように実調率が一〇%以内というようなことでは問題にならぬ。いわゆる私の調べております地下経済における隠し金とか隠し所得は、ある程度まではつかまえることができるんじゃないか、こういうふうに思います。 それから、最小限度のやはり国債発行は、これはやむを得ないんじゃないかと考えます。 国債発行は、さきに申し上げた補助金と相関度が非常に高いんです。五十年度以来調べてみますと、非常に相関度が高いんです。したがって、補助金を相当大幅にダウンすれば国債費も、もちろん建設国債も含めまして、相当にダウンするということはこれは間違いないのであります。 それから、六十年度の国債残高は百三十三兆円と言われておりますが、GNPに対して四二%、東京工大の香西教授の言うように、四五%まででとまるんじゃないかということを言っておられるんですよね。私は、個人金融資産六十年度末五百五十兆円と見ておりますが、それの二四%にすぎない。現在の旺盛な国民貯蓄に比べればまだまだ余裕があるので、今小倉さんのおっしゃったのは少し早とちりじゃないか、ちょっと心配し過ぎじゃないかというふうに思うんです。二四%。御存じのように日本では預貯金が中心なんですよ。ところが、アメリカ、欧米では有価証券が非常に発達をしております。したがって欧米流に見た場合に、二四%ぐらいの国債はそう大して恐るるに足らないと私は考える。今後ますます有価証券の占める割合がふえていくだろうと思います、必然的にこれはもう。そういうわけで、無利子、無税とか、それから無期限ですね、アメリカのように無 期限の国債、地方債、そういうように多様化するんです。いろんな多種多様な国債、地方債を出す。現在のように日銀引き受けはありませんね。そういうときに余り取り越し苦労をなさらない方がいいのじゃないかと考えます。 次は不公平な税制を是正するということでありますが、問題はやはり不公平な税の虫食いですね、タックスエロージョンという。この税の虫食いそのものを直すことが私はやっぱり先決ではないか。シャウプ勧告税制を見直すというようなことが盛んに言われておりますが、今までも随分税の虫食いをやってきたんです。今さら見直しもないと思うので、シャウプ勧告でうたっているように、法人税を三五%にするとか、それから所得税を一〇%から五五%まで八段階にするとか、もっとこういうことをやっておけば、今日のような問題にならなかったと思うんですよ。所得税が行き詰まったなんというようなことにならなかったと思う。それが、税の虫食いのおかげでこうなった。 そのかわり、キャピタルゲインを全額課税する。それから租税特別措置を廃止する。要するに、今問題になっているアメリカのフラット、アメリカ流にフラットでもう簡素化してしまって所得税減税を私はやることを提案したい。 それで、財源は幾らでもあるわけでありまして、ここに持ってきました「公正な税制確立のための財源試算」という、こういうものが不公平な税制をただす会から出されておるわけでございますが、この中の一部をとってみますと、所得税と法人税の改正で五兆三千億円ほど浮いてくると言われております。それからまた、大企業の所有する土地の含み資産に着目しまして、法人財産税として毎年一%を取ると三兆八千億円。それにマイナスのはね返り減収を差し引いても一兆四千億円。合計すると六兆七千億円ぐらいのものが浮いてくるわけです。 それ以外に、例えば私の提案の一つは、土地増価税であります。根拠は、戦前の昭和十一年九月を基準にしまして、卸売物価は七百倍、消費者物価は千五百倍、サラリーマンの給与は二千倍。ところが、住宅地の値上がりが一万二千二百倍というとんでもない値上がりなのであります。こういうところにさらに土地税制が甘いということなのでありまして、それで、これは長期信用銀行の調査資料によると、資産格差の方が所得格差よりも大きいということをはっきり調査資料がうたっております。したがって、現在の大地主と、それに対しまして、住宅ローンに泣いておるそういうサラリーマン世帯とは非常な格差だ。日本は戦後平等になったなんておっしゃっていますけれども、それはこういう問題について、特にストックの格差について目をつぶっているんじゃないでしょうか。フローの、所得の格差が縮まってきた。最近、またちょっとあいていますけれども。 そういうわけで、この土地問題は、私は避けて通れないと考えております。 もちろん、前提条件は、百坪以内の居住用は免税にするとか、中小企業向けのきめ細かい配慮をするとか、農家ばかりを目のかたきにする宅地並み課税はやめるとか、そういうことをやりまして、それで計算をしてみますと、この二十五年間に地価が三十八倍になっておりますので、公示価格で七百五十兆円の値上がりになっている。それでしかも、一〇%の大口が大体半分以上をお持ちですから、したがってその大口に限定をする。三大都市圏の大地主が大体一万人から一万五千人しかいないんですよね。 したがってここに今、七百五十兆円のうちのごくわずか、百兆円、百兆円に一〇%を掛けます。韓国では八〇%なんですね。だから一〇%くらいはそう大したものではないと思うんですが、現在の固定資産税四兆円を引けば、六兆円ぐらいの純増になるんじゃないかと思うんです。これを不公平な税制の是正に充てたらどうか。もちろん、赤字国債の減額にまず充てる。それからさらに、アメリカ式の今申し上げた三段階から八段階のフラット方式によって所得減税をお勧めしたいと思っております。 これに対して、いや法人税はもう世界先進国の中では最高に高いということを経団連資料がうたっておるではないかとおっしゃるかもしれませんけれど、これは明らかに間違い。大蔵省は遠慮なすって間違いだということをおっしゃらなかったようでありますが、私ははっきりこの際申し上げておきます。この場合、引当金が無視されておる。引当金が無視されておるんですな。それを欧米並みに計算をいたしますと三九・二%になります。米国よりは高いけれど欧州よりは低いということになります。 それから、しかもこういう資料がある。日本銀行の国際比較統計、これは五十九年六月号でありますが、この中にOECDの資料を引用しております。これによると、法人所得に対する法人直接税と税外負担の割合、一九八一年では日本は四〇・九%、アメリカは四二・三%、こういうわけでこれはアメリカよりも低いんです。したがって、もし経団連資料が正しいとおっしゃるのだったら、OECD資料が間違っているということをはっきりと証明してもらいたい。 重税国家になってはいかぬということを経団連がおっしゃるのならば、これは私も賛成なんでありまして、要するに税金を重たくして栄えた国はないんですよ。そういう趣旨のことではないかと私は善意に解釈しております。そういうわけで、今のが二つ目の財政再建、私流の財政再建でございます。 第三番目は、要するに不公平を温存しながら、助長しながら、それでEC型付加価値税のようなものを導入するということであります。これは一口に言えば、ちょうど我々が年配になるとだんだんとぜい肉がふえてくるわけで、ぜい肉を落とすのが一番正しいと思うんですよ。そのぜい肉落としをいいかげんにしておいて、肥満体質に麻薬を打ち込むのと私は同じだと考えております。この税金というものは税痛がありませんしね。それで、どんどんエスカレートしていくということになると、これはお隣の韓国、それからまた中南米の独裁国、それからEC諸国、大体大型間接税をやっている国でどこが栄えた国がありますか。それからまた、脱税をなくするなんというようなことをおっしゃっている評論家がおるんだけれど、あの大間接税の国イタリアとかフランスを見てごらんなさいよ、脱税王国じゃないですか。どこでそういうようなことが出てくるのか、私はそういう評論家に聞いてみたいと思うんです。私、幾ら聞いても答えてくれないんです。 そういうわけで、今不公平を正すということを盛んにおっしゃっておられるのを私聞いておるわけでありますが、しかしナイーブに考えましても、金持ちと庶民が同額の税金を払う、どこにそれが公平がありますか。明らかにこれは庶民泣かせだということは常識じゃありませんか。ところが、現在サラリーマンは六〇%以上の負担をしておる。それで国民全体で大型間接税を負担するとサラリーマンの分だけは下がってくるということをおっしゃっている評論家がおるけれど、しかし、その国民の八〇%はサラリーマンですよ。しかも年収五百万円以上は一三%しかいない。わずか一三%しかいないんですよ。だからサラリーマン階層も今階層分化しているんですよ。 それから、抱き合わせで同額の所得減税をおやりになるということも聞いておりますが、今までの経験からすると、必ず上の方に厚く優遇されて、下の方に薄くなるということは、これは今までの経験上そうなっておる。特に課税最低限以下、今四人家族で二百三十五万円以下、この方々には減税効果はないですよ。幾ら減税したくても減税効果はない。それで、財政再建をおっしゃっておられる。特に大蔵省あたりは御心配のようであります。そうすると、最初はプラス・マイナス・ゼロかもわからぬけれど、財政再建を叫べば叫ぶほど必ずや増税になるに決まっている。増税になって、この大型間接税なりEC型付加価値税という甘い汁が出てきたら、圧力団体、利益圧力団体というものは必ずやそれを目がけて余計に補助金をもらおうとするのは当然じゃないですか。今まで一億 円もらった、今度は甘い汁ができたから倍の二兆円にしてくれ、こういうふうに出てくることはこれは火を見るよりも明らかですよ。 したがって、今まで実施した国々でもどんどんどんどんエスカレートしているんです。そういうわけでありまして、この税金は非常に危険なものであるということであります。 時間が参りましたので後でまた補足させていただきたいと思います。
○委員長(藤井裕久君) ありがとうございました。 次に、古田参考人にお願いいたします。
○参考人(古田精司君) せんだって参議院事務当局の方からお電話をちょうだいしまして、この委員会に参考人として出席するようにというお話がございました。法人税法並びに租税特別措置法改正についての問題であるということなので、私ではお役に立ちませんからということで一たんはお断り申し上げました。つまり租税特別措置法を勉強しておりませんので御勘弁願いたいというふうに申し上げましたところ、法人税だけでも結構であるというお話でございましたので、きょう出てまいりました。 私、法人税につきまして何が申し上げられるかということをよく考えてみますというと、二十五年ぐらい法人税について、断続的ではありますが勉強はしておりますけれども、しかし、アメリカの法人税の権威のリチャード・グードがかって申しておりました。法人税という税金はいろいろな学者がその一部を研究してはこういう税金だというふうに言っているけれども、しかしそれはあくまでも一部であって法人税の全体像ではないということを申しております。私もその一部をなでているにすぎないのでございまして、ここでもって皆様にお役に立つようなことを申し上げられる、そういう自信はございません。むしろこの十分間という限られた時間の中で、法人税というのは確かにそういう難しい税金だということをおわかりいただければ、あるいは私がここにきょう出向いてまいりました意味があるかもしれません。そう私考えまして、簡単に二つほどポイントを絞って申し上げたいと思います。 一つは、現在の法人税という税金、これが日本だけではなくて欧米諸国に共通して抱えている問題点は何かということであります。 私は、ほぼ三つに要約できるのではないだろうか。 それは第一番目は、法人税という税金はどこの国でも直接税ということで処理されております。しかしここ何十年と、直接税ではないのではないかという点について学者が鋭意研究を重ねてまいりました。私も実はその一人なんであります。残念ながらしかし、何十年となく理論と実証両方から突き詰めてはおりますけれども、すべての学者が納得するような結論は得られておりません。それが第一点でございます。これはむしろ学者の怠慢ということでお許しいただきたいと思います。 第二点は、これはよく指摘されている点でございますが、所得税とそれから法人税、これが法人利潤に対して支払い配当、受取配当という段階でもって二重に税金がかけられている、これが不公平という問題だけじゃなくて、資金市場の効率性を阻害するのではないかという、そういう批判がございます。この点につきましてもさまざまな研究がございまして、そうではないという反論もございますし、それもここで要約して申し上げられるほど簡単な問題ではないというふうに私は存じます。 そして第三の問題点は、これも皆様よく御存じだと思うのですが、法人企業が資金調達する際に、株式発行によりまして資金調達しました場合にはこれは配当として報いるわけですが、個人株主の段階で、これは先ほど申し上げましたように税金を取られるわけでございます。ところが銀行から借入金という形で資金調達します場合には、御承知のとおりこれは支払い利子の段階で損金として落とせる。こういった差別待遇が、結局高度成長のプロセスで企業の資本構造のゆがみをもたらした。つまり、自己資本比率がどんどん低下していったのは税制のためだという批判がございました。この問題につきましても、税制だけではないのだ、むしろ高度成長が主要因であるというふうな批判が出ていることも皆様御承知かと思います。 こういった問題につきまして、欧米ではどういうふうな対応が出ておりますかと申し上げますと、大体一九七〇年代の末にスウェーデンとかあるいはアメリカ、イギリスで調査報告書が出てまいりまして、その報告書に共通しておりますのは従来の所得税中心税制を改めて支出税中心税制にしよう、そういう動きでございます。これは法人税制のあり方について非常に示唆に富む提案でございます。と申しますのは、先ほど申し上げました法人税制が抱えている三つの問題点が、これが一挙にして解決とは申しませんけれども、解きやすいという形に置きかえられます。 例えば、まず第一点に、法人利潤課税としての法人税というのは御承知のとおり大変面倒な仕組みででき上がっておりまして、一体この税負担をだれが負担するのかということについて議論がなかなか決着しないというのは、一つは法人利潤というものの正体がはっきりしないというところに原因がある。それに対しまして、支出税の一種でございますキャッシュフロー法人税あるいは資金ベース法人税という形に変えますというと、今度は利潤に対する課税ではないということでもって非常に扱いやすくなるということが一つでございます。 それから第二番目の、二重課税の問題でございます。配当が法人税の段階と所得税の段階で二重課税になるというそういった問題も、支出税制に全く切りかえた場合にはそういう問題はたちどころにしてなくなるという利点がございます。 それから第三番目の、借入金とそれから株式発行、つまり支払い利子と支払い配当の法人税上の差別待遇という問題も、これも支出税という体系の中では、法人税もやはりキャッシュフローということで、流入マイナス流出に対して税金がかけられる。 これは少し詳しく申し上げます。あるいは御質問がありましたならば後ほども。 イギリスのミード報告の中では、製造業に対してはRベース、Rベースと申しますのは実質ベースのキャッシュフロー法人税、それから金融機関に対してはこれはむしろFベース、Fベースと申しますのはフィナンシャルのFをとったわけでございますが、Fベースのキャッシュフロー法人税。ミード報告ではむしろ、RプラスFといったキャッシュフロー法人税をできれば実施したいというふうに考えているようでございます。 私がなぜこういうことを申し上げるかと申しますと、昭和四十年ごろ東京商工会議所の税制部会で私は、EC諸国が付加価値税という税制を共通税制として実施しようとしている、日本でもそういった税制を将来考えなければならないだろうからそれを今から研究するのはいかがでしょうかというふうに提案しましたところ、さる大蔵省のOBの方にしかられまして、新税は悪税であるということで取り上げられなかったのですが、私はまさかそういった付加価値税が十余年後、昭和五十四年に自民党が付加価値税導入を掲げて選挙を戦うなんて夢にも思わなかったのです。そしてまた、自民党が増税、新税を掲げて選挙をやるなんということは、私もある評論に書きました、あり得ないと書きましたらあり得たので、実はびっくりしたのですが、予想どおり勝つことはできませんでした。そういう意味で、いやそういう意味と申しますよりは、私がそういう問題をここで申し上げますのは、アカデミックな参議院、その中でも大蔵委員会が最もアカデミックというふうに聞いておりますので、そういう場でもって長期的な、特に二十一世紀の日本の税制のあり方というものを考える場というのはここをおいてほかにないのではないかということできょう申し上げたわけであります。 あと時間が一分だけございますので申し上げた いのですが、第二点と申しますのは、公益法人課税につきまして少し御理解をいただきたいというふうに私、考えております。 それは何かと申しますと、今二十数万公益法人がございます。その中で八割ほどが宗教法人を占めておりまして、宗教法人課税というのはいかに乱脈なものか。乱脈というのは言葉が過ぎるかもしれません。しかし、新聞によれば乱脈とございます。それが、ほかのいわば本来の公益事業活動を行っている一万七千ほどの公益法人に対して、マイナスの効果を持っているというのが私としては残念でございます。つまり、宗教法人がなぜ新聞に報道されているような乱脈な脱税を繰り返しているかということにつきましては、それはいろいろな理解があるかと思います。私が申し上げたいのは、一万七千ほどの、学術とかあるいは国際交流とか教育とか、そういった本来の公益活動に専心鋭意活動している公益法人、本来の公益法人活動というものを税制面で阻害するようなことがあるということは望ましくないのではないか。 一つのエピソードを御理解を得るために申し上げますと、これは、海外の留学生のためのスカラシップを出しているある財団の理事長さんがおっしゃっていました。外国から来る留学生は、日本国からもらう奨学金はそんなに感謝しない、むしろ当たり前だと思っている。しかし我々が提供するスカラシップというのは本当に涙を流して喜んでくれる。そういう我々の活動というものをもう少し御理解いただきたいということを申しておりました。 これだけ申し上げまして、私の報告を終わらせていただきます。
○委員長(藤井裕久君) ありがとうございました。 最後に、飯塚参考人にお願いいたします。
○参考人(飯塚毅君) TKC全国会の、公認会計士、飯塚毅でございます。 本日の参議院大蔵委員会に参考人としてお召しいただきましたので、まず最初に参考人意見の要旨を申し上げ、終わってから各党の先生方の御質問に順次お答え申し上げることといたします。 今国会の大蔵委員会に提出されました法人税法、所得税法、租税特別措置法の一部改正案を拝見いたしまして、遺憾にたえないと感じます点が多々ございますが、時間の制限がありますのでそのうちの主要点だけを申し上げることといたします。 まず最大の問題点。税法は公法の一部でありまして、法律、とりわけ公法は、いわゆる社会を形成する力、ゾチアルゲシュタルツングスマハトといいますが、を持つ点を本質とするものでありますが、従来存在している我が国の税法を含め、今回の税法改正案には、国家はいかにあるべきか、特に自由主義国家はいかにあるべきかという国家のあり方に関する根本思想が、条文として表示されていない点をすごく残念に思うものであります。 この点の指摘を前提といたしまして、私は次の三点について特に申し上げておきたいと思います。第一は、早期増収策に結びつけるために改善すべき現行税制の欠陥は何かということ。第二は、公平、公正な租税正義を実現するには現行税制をどう整備しなくてはならないかということ。第三は、昭和六十二年度以降の中期的展望に立ち改善すべき現行税制の欠陥は何かということ。以上の三点についてでございます。 第一の、早期増収策に結びつけるために改善すべき現行税制の欠陥は何か、といえば、その一は、現行所得税法第九条の二の郵便貯金の利子所得の非課税規定や、第十条の少額預金の利子所得等の非課税規定を、その条文制定の原点に返って見直しをすれば、それらの少額預貯金の利子等の非課税の恩典は正確に守ってやりながら、この制度の逆手をとってこれを脱税の隠れみのとしている人たちからは、別に増税をせずに、源泉分離課税の三五%を一律にちゃんと徴収するように手直しを行うことであります。やり方はいろいろありますが、一番簡単な方法は、一たん全部課税した後に、正当権利者には払い戻しをしてやるということでしょう。 今直ちにこの法律改正案を提出して見直し法をつくれば、今年度じゅうに三兆円以上の増収ができます。国会法第五十条の二によって当委員会には改正法律案の提出権がありますから、参議院が良識の府であることを天下に証明してみせる絶好の機会であると考えますので、ぜひそうするようお勧め申し上げます。 その二は、所得税法第二百二十九条及び関連条文を見直し、現に営業している者、新たに開業する者、営業所を移転した者、または営業所を閉鎖した者等には、一カ月以内という期限を切って登記所、市町村役場及び税務署に正しい届け出をさせ、違反者には刑罰を科すことであります。別言すれば、この点で西ドイツの法制を取り入れることであります。西ドイツ商法第二十九条は、小商人を除く商人に登記所への登録を強制し、西ドイツ国税通則法第百三十七条、第百三十八条は、法人個人を問わず市町村役場と税務署への届け出を強制しており、西ドイツ営業法、ゲベルベオルドヌングと申しますが、この西ドイツ営業法の第百四十三条から第百四十八条までは、その各違反の度合いに応じて百万円以上二百万円までの過料または罰金、または最高五年までの懲役刑を科すことにいたしております。このようにして、西ドイツでは脱税を防いでいるわけであります。現に我が国の破産法第三百七十五条は、善意の破産者の帳簿が不完全だったときは「五年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス」と定めており、道路交通法第百十七条以下は、交通事故のときの措置違反につき「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金」を定めていますから、西ドイツの法制を取り入れたとしても我が国の法制上でバランスを失うことはありません。 その三は、申告書提出について、所得税法第二百四十一条から「正当な理由がなくて」との九文字を削除すること、そして「一年以下の懲役」を、サラリーマンの場合と同様に「三年以下の懲役」と訂正し、さらに「ただし、情状により、その刑を免除することができる」との二十四文字を削除すること、これを、公平課税の実現を旗印として実行することであります。これでサラリーマンのクロヨンの嘆きは解消いたします。現段階では、我が国ではサラリーマンだけが著しく国会からいじめられています。これを改正し得るものは、解散風におびえないで済む参議院の諸先生の見識だけだと考えます。 その四は、所得税法第百二十条を改正して、条文をもっと簡単にし、一年間に二百五十万円以上の収入があった者はその課税所得のあるなしにかかわらず収入と支出のすべてにつき網羅的で真実性のある申告書を提出する義務を負うという、極めて単純明快な条文に改め、違反者は五年以下の懲役または二百万円以下の罰金に処すとの罰則を設けることであります。以上の手直しだけで直ちに十兆円以上の増収になることは絶対に間違いないと、満四十年の会計人生活の経験と直感から断言できるところでございます。 第二の公平、公正な租税正義を実現するには現行税制をどう整備すべきかという問題でありますが、その一として、公平な租税正義の実現のためには、国税通則法第七十八条第二項関係条文を改正し、国税不服審判所長以下の人事権と給与権とを国税庁長官から外し、米国と同様に内閣直属の独立機関とすることであります。これは憲法第十一条の国民の基本的人権の不可侵性にも連なる大欠陥でありまして、その整備の成否は、参議院が衆議院の単なるコピー機関と成り下がっているのかどうかに関係する大問題であります。 その二は、公正な租税正義を実現するためには、世界の先進国のすべてがそうであるように、国民の死亡保険金の全額を非課税とすることであります。現行の相続税法第十二条は、相続人一人当たり二百五十万円までを非課税とし、残りはもうけ扱いで課税対象としておりますが、これは昭和十三年に、臨時軍事費の膨張に困った軍部の要請で、それまで全額非課税だった死亡保険金に切 り込んで財源化したものであります。戦後四十年、ここらで税法上の軍国主義国家体制は、参議院の良識をかけて改革案を出すべきであります。 その三は、真に公平公正な租税正義を実現するために、国際比較から見て土地価格の異常な高騰下にある日本の現状を直視して、世代交代に当たって親の残した居住用土地家屋まで相続税の納税のために売り払わないで済むよう、相続税法を改正すべきであります。生涯に一度だけ総収入から免除する制度、ワンスインアライフタイムエクスクルージョンフロムザグロスインカムと言っておりますけれども、その制度は、細かい条件のつけ方はあるにしても、米国の内国歳入法百二十一条に前例があるのであります。 第三の、昭和六十二年度以降の中期的展望に立ち改善すべき現行税制の欠陥は何か、でありますが、その一は、現行税制の不公平、不公正な諸点を徹底的に是正し終わるまでは大型間接税導入に手をつけるなという点でございます。EC型売り上げ税法は、ヨーロッパ六十年の実験結果であり、最良のものと信じますが、減税と大型間接税とをセットしてやるとの安易な考え方は国民の政治家不信を招くだけであります。 その二は、企業側が税理士に不真実な会計資料を示したときは刑罰を科すとの一九七六年イギリス会社法第十九条の思想を取り入れることであります。 その三は、米国のビッグエイトに対抗できるよう、会計人の職業法規を改正し、税理士の数をふやし、税理士会社設立の自由を許すことであり、その四は、せめて五年に一回は税務調査ができるよう税務署員の大増員を行うことであります。 その他は質疑応答に譲ります。終わります。
○委員長(藤井裕久君) どうもありがとうございました。 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○竹田四郎君 時間が少ないわけでありますから、全部の参考人に対して御質問する時間がございませんので、若干の方には御質問を省略いたしますので、その点はお許しをいただきたいと思います。 まず、小倉先生にお伺いしたいわけであります。 政府税調の会長として長年にわたっての御苦労については敬意と感謝を表したいと思います。しかしどうも、ここ数年の税調の答申とそれから実際に政府の税制改正というものを見ていますと、政府税調の答申というのはいつの間にか消されてしまいまして自民党の税調答申がぐんぐんとのさばり出てきてしまって、そして何か最後には、政府税調の答申もそれを追いかけるような、そういうような事象というものを時々私ども見るわけでありまして、例えばOAに対する物品税の課税などもそうでありますし、今のお話の中にもありましたように、非課税貯蓄の問題についても、税調はむしろどちらかといえば低率分離課税というようなことの主張が大きかったようでありますけれども、最後はそれが押し切られるというようなことがあるわけでありますが、どうもそういう意味で政府税調が私はもっと権威を持ってもらうべきであろう、こう実は思うわけでありますけれども、どうもその辺が何かふにゃふにゃっとしている点を大変私は遺憾に思っているわけであります。もう少し何といいますか、政府税調の審議のあり方というものをお考え直しになって、もっと広い立場でひとつ御検討をいただくというようなことにならないものだろうか。そして政府税調の権威というものを私は高めてもらいたい、こう思いますが、その辺に対する小倉先生の御見解をひとつ賜りたいと思います。 それから、今この国会でも大型間接税の問題というのは大変話題になったわけでありますけれども、先ほどのお話でも、必ずしも政府の要請がまだ来ていないということでありますからあるいはどうかと思いますけれども、大型間接税というものがもしできても、それが実際実行されるというのはかなり先のことに私はなると思うんです。やはり国民の理解を得ない限りは大型間接税というのはなかなかいきませんし、特にEC型の付加価値税などというようなものになりますと、これまたかなり、今までの日本のやり方とは違いますから、いろいろそれに熟達するそうした期間も必要だということになりますと、当然これはかなり先になってくるだろう、こういうふうに思いますけれども、そうした意味で、政府税調としてはこの大型間接税、先ほどのお話の中でも、個別的な、あるいはその年度ごとだけの検討ではもう既にだめだ、税のゆがみが出てきているから抜本的な全般的な税制の改革を考えていかなくちゃいけないんだ、こういうふうなお話がありましたし、先ほどの物品税、特にOA機器関係の物品税等の場合にも、私は、去年の五十九年度税制改正に対する税調の答申と今度の答申とは、その辺はかなり違っているように思います。五十九年度の税制改正の答申では、むしろその辺から間接税の幅を広げていこうじゃないかというような、そんな感じを私は受けたわけでありますけれども、その辺は税調としてどんなふうにお考えになっているのかという点でございます。 三つ目の点は、先ほどもちょっと触れましたけれども、例の非課税貯蓄の問題であります。これはきのうも、主税局長としては、さらに見直していきたい、ある一定の期限でその実際の実情を見ながら検討をしていきたい、こういうお話がありましたけれども、税調としてその辺は、限度管理問題、あるいは低率分離課税、その二つの方式を最終的に出されているようでありますけれども、その辺は今後どういうふうにお考えになるのかという点でございます。 それから、最近、所得減税と大型間接税、この関係がいろいろ言われておりまして、最近ではむしろ所得減税を前面に出して大型間接税を何か後ろの方にちょっと引っ込めたというような、後ろの方へ持っていったという感じがありますけれども、税調としては所得減税と大型間接税、この関係は一体どう考えられるのか。六十一年度、六十二年度いろいろな関係があると思いますが、その辺はどんなふうにお考えになっているのか。 その四点についてお伺いをしたいと思います。 それから名東先生については、これは先生のお名前も載っているわけでありますが、先ほど先生からも示されたわけでありますが、この提言といいますかこれは、今までの所得控除方式ではなくて税額控除方式の方がいいんだ、このことを主張されているわけでありますが、どういう点なのか。その辺について御説明をいただきたい、こう思います。 それからもう一つは、先ほど大型間接税の問題についてはほぼお話は出ておりますが、最近何か、サラリーマンのむしろ大型間接税に対する反対をなだめるという意味が私はあるような気がするわけでありますけれども、所得の捕捉率がこんなに不完全なんだからむしろ間接税の方が、例えば食い物についてはこれを外せばむしろ公平なんだというような主張があるわけでありますけれども、この辺果たしてそうなのかどうなのか。むしろちょっとまやかしものだというような気がするんですが、先生の御所見を承りたいと思います。 私の後にまた赤桐さんの方から参考人の先生方に御質問がありますから、もし後で時間があればほかの先生にも質問をしたいと思いますが、以上で私の質問を終わりたいと思います。
○参考人(小倉武一君) 幾つか御質問がございましたが、まず政府税調のあり方でございます。 これは、当委員会初め国会でもいろいろ各先生方から御所見があって、いろいろと考えたこともございまするし、また税調の中でも、税制調査会のあり方なり審議の仕方についていろいろ御意見がありまして、随分考えたこともございますし、多少あり方を変えたこともございます。 例えますれば、従前は、従前といいましてももう十年以上前でございますが、歴代ずっと税制調査会は大体全会一致だったわけですね。ほとんど 全会一致だったんです。恐らく全会一致でなかったことはないのじゃないかと思います。ところがこの数年来は、全会一致であることはむしろ例外である。必ず異論がある、あるいは少数意見があるというようなことになっています。その点について、それはよくなったのだという説もあるわけです、見方も。それはまた、よくない、あるいは何といいますか、税調のあり方としてどうかという御疑問もあろうかと思いますが、そういうふうに若干変わっている点が実は出てきておるわけであります。強いて変えるというふうに運用したわけでもないんでしょうけれども、実はそのように変わっております。 例えば、全会一致でもって、そして政府がまたそのとおりやるというのは、かえってそれは税調が権威がないんじゃないかというおしかりを受けたんです、当時は。政府のやることと税調のやることと全く同じであるというのじゃ一つも意味がないのじゃないかというおしかりを受けたことがあるわけですね、かつては。ところが今度は、税調の答申を政府がそのままやらなければ、それはまた税調がおかしいんじゃないか、こういうおしかりを受けることもありますので、さて我々はどうしたらいいか、ちょっと判断に困るようなことなんです。 そういうふうなことで、税調のあり方については私どもも絶えず気にはいたしておりますが、どうも今日のようなあり方でやむを得ないんではないかというふうに考えております。 次は間接税のことでありますが、物品税につきましては、物品税の何といいますか対象品目というものの取り上げ方に、ある考え方がありまして、その考え方は別に法律に書いてあるわけじゃありませんけれども、従来のいきさつ上物品税というものの範囲がおのずから限定されるということになっております。そしてまた同時に、新しい物品を物品税の対象にするということについてはなかなか難しいいろんな諸問題が起こってくるということもございまして、数年前までは物品税の物品の対象範囲を拡大するという方針は税制調査会はとらなかったわけです。それよりも、課税ベースの広い間接税という、いわゆる一般消費税というようなものを導入する方が適当なんであるというような考え方で来ておったわけであります。ところが、国会の決議の次第もございまして、この数年はそういった種類の間接税の検討はいたしておりません。片や、物品税についても、従来の方針を多少変えたといいますか、物品税の範囲を若干拡大していった方がいいのではないかというようなふうに現在はなっているかと思います。 それから、非課税貯蓄についてのお尋ねでありますが、これは主税局長が国会で考え方をお話しになっておられるようですけれども、税制調査会ではこの前、昨年の暮れ答申を申し上げまして、その後現に国会に出されている法案は、多少といいますか税調の答申とは違うわけでありますが、その後税制調査会は開いておりませんのです。したがって、今後この非課税貯蓄について税調がどういう考え方をするのか、あるいは政府のとった法案を是とするのか、あるいはそれでは足りない、なお検討を要するということにするのかは今後の問題でありまして、昨年の答申のいきさつからいえばなお検討を要するというようなことになるかと思いますが、まだその辺はしかと申し上げることができる段階には至っておりません。 次は一般的な消費税と所得税減税の関係でございますが、巷間そういうことがよく言われます。また、直間比率の見直しとか、直接税、間接税を通じての税制全般の改正というようなふうに言われている言葉の中には、あるいは直接税たる所得税を減税して片や消費税を、間接税を増徴するというふうな含みがあるように理解することもできると思いますが、私ども税制調査会ではその辺の関係についてまだ審議をいたしておりません。 一般消費税を導入するというのがしかるべしというようなのを数年前に政府に答申をしました節も、節もといいますかそのときは、少なくとも所得税減税と一般消費税の導入とを絡めては考えなかったし、絡めてはいませんでした。
○参考人(名東孝二君) 例えば、食料品等を非課税にするということがよく言われておるわけです。そうすると逆進性が緩和されると言われております。 しかし、一つの段階で非課税になりますね。ところがいわゆるEC型付加価値税の場合は、前段階の税額控除ですから、したがってそれがゼロということになれば、そうすると差し引くものはゼロですよ。そうすると、その次の段階で取り戻し効果が起こってくるでしょう、これ。したがって、本当に免税にし税金をかけないというのだったら、ゼロレーティングというのをやらにゃいかぬですよ。そうしたら、大蔵省なり政府税調がこの際はっきりと、イギリスのように日常品目十何種類ゼロレーティングにする。そして税収は、新しい税収が半分になっても構わぬ、国民生活が大事だ、そのためにゼロレーティングをするというんだったら、私ははっきりと小倉さんなり大蔵省のお役人がこの際言明してもらいたい。それを、単に非課税だから逆進性がなくなるなんていうような、そんな子供だましみたいなことを言わぬでおいてもらいたい。通用しないんですよ、そんなことは。 それで脱税をなくするということをよく聞くんですけれども、しかし実際に韓国や中南米の独裁国ではもう五〇%も脱税があるという記録があるんです。お隣の韓国をよく調べてみたら私はいいと思う。私債市場というのがありまして、そういう膨大な地下経済があるんですよ。表の流通の金と大体相当するぐらいの隠し金があると言われているわけです。これは私の意見というよりは韓国経済に詳しい人がそう言っているわけですよ。例えば実名登録制、グリーンカード制にそれほどこだわるんだったら、韓国の実名登録制がどうなっているかということをお調べになぜならぬのですか。あの独裁国で日本版のグリーンカード制がどうなっているかということ、そういう実態を知らないで理屈ばかり言ったってしようがないですよ。 それで、韓国ではフランス式のものを押しつけられて、中小企業、庶民泣かせだ、こういうことを言っています。大体韓国というのは間接税には、なれている国なんです。日本の場合はふなれであって、しかも複雑な流通機構があるわけです。日本の場合は特に複雑なんです。そういうような複雑なことを考え、こういう税制を受け入れた場合には民間がどれほどの、気苦労だとかいろんなことまで含めたら大変なコスト、民間コストがかかるかということをお役人の方々は少し考えてもらいたい。取ることばかりじゃなくて、取られる側の負担も考えてもらいたい。 それから、これは私が六十一年度から導入すると仮定して計算してみたんです。普通三〇%相当の食料費を差し引くというふうに言われておりますので、通例に従って差し引いてみました。そうすると、五%の税率で六兆七千億円ぐらいの新しい増収になるはずなんです。実際はそうなりません、もっとがくっとくると思うけれども。誘い水として二兆円ぐらいの所得減税をやる、七千億円程度の中小企業減税をやって、純増は四兆円ぐらいだ。このくらいのことはお考えになるのは当然です。全部ゼロにするなんていうようなことはそれは到底大蔵省はやることないですよ、そんなもの。なぜなら、財政再建ということを言っているんですから、プラス・マイナス少しでも増税しなければならないという至上命令があるわけですからね。そうすると増税のしわはどこに寄るか。課税最低限の低所得者には減税効果がありませんから、年間十八万円ですよ、年間十八万円丸々かかってくるんです。それから、いろんなやり方によりますね。所得減税のやり方によっていろんな型が出てきますけれども、要するに年収一千万円以上の方はプラス・マイナス減税の方がプラスになる、多くなるということはこれはもう大体間違いない、こういうふうに思います。 そういうわけで、実際問題、やってみたら、国民に負担してもらったらとおっしゃるけれども、 その国民の大部分というのは実際は下層サラリーマンなんですよ。それが現実じゃないかと思うんですよね。したがって中小企業の方々は、それを転嫁しようと思ったら転嫁できないんですよ。というのは、お客さんが逃げてしまうから。お客さんがいなくなるわけですよ。そうするともう、泣く泣く自分が負担する。当分はそれでやっていけますけれども、しかしいつまでもその税金を負担できるはずがない。そうすると結局廃業するか、脱税するかですよ。どちらかです、これ。そういうのが現実じゃないかと思うのです。 それで片一方、大手の大きな力の強いところは、五%というのを一〇%に面倒くさいから値上げしよう。そうすると韓国のように、一三%の仮に税率をやったわけですよ、今から八年前に。そうしたらこれは一三%の倍です、二六%の物価の高騰が起こっています。だから企画庁なんかが言っているような、そんな〇・何%というようなことはありません。実際に調べてみたら、あんなものは理論値なんです。現実は大体倍です、税率の倍ですよ。そういうような値上がりがすると同時に、片方では不況が襲ってくる。こういうように完全にそこでスタグフレーション、インフレと不況とが同時合わせにやってくるわけです。もし仮に来年、再来年と不況になったときに、それにこんなことをやったら一体どうなるんですか。最悪の場合は恐慌ですよ。私は今からはっきりと予言しておくけれども。やってごらんなさい。私は経済情勢からしてやれないというふうに見ています。 それで所得減税との抱き合わせは、竹田先生がおっしゃったように税額控除が一番いいと思うのです。 今でも、現在のままでも、所得控除を税額控除に変えるだけで一兆円出てくるのです。ということは、上の方々にしわ寄せをするわけです。ということは、はっきり言えば、今の累進制がきつい、もう少し何とかしてくれというような声があるわけです。確かに、相当な高度になると負担が大きくなることは事実なんですよね。そうしますと憲法の応能原則から言えば、明らかにそれは累進制を維持することが正しいんです。ただし、余り累進がきついとやはり逆に不公平が、問題が起こるかもしれません。したがって、もしそういったような累進制をそのままにするとかというのだったら、今度は逆にいわゆる負の所得税、課税最低限以下は全然減税効果はありませんから、したがって生活扶助を与えるということによって均衡をとる必要があると思うんです。けれども、今の情勢からすればやはり余りにも税率の刻みが細か過ぎる、十五もは多過ぎることは間違いないと思うんです。 だからやはり八つか、まあアメリカのように三つにするのはこれもやはり均衡を失するかもしれませんから、五つから十までの間くらいで簡素化するということが私は非常にいいことじゃないかと思うんですよ。そういう意味で私は、やっぱりアメリカの今度の財務省の案でありますが、あれは私は相当考慮に値する案じゃないかと思うんです。なぜああいう案を政府税調においてもお考えにならないのか。そういう声が余り出てこないのはどういうわけでしょうか。どうも納得できないところでありまして、私は大型間接税のようなそんな麻薬を打つよりは、これはフラットで、多少累進性を犠牲にしてもやはり所得減税によってフラットの方がまだましだ。 それからまた、今申し上げたように、資産課税というのは、皆さん何かタブーのように思っているけれども、これは税痛が厳しいのだから、税収そのものを上げるということじゃないんです、一つの不公平感をなくするわけです。今は土地持ちが一番大金持ちだということはもう常識になっている。したがって、税収よりも、公平感を持たせるために一つのある程度の、非常に緩やかな是正をする。そうすることによって、税収そのものじゃなくて、経済効果を考えていくという方が私はねらいじゃないかと思うんです。税痛が厳しいですからそんなひどいことはできるはずがないし、またやるべきじゃない。税金というものはそんなに急角度に変えることはいけないと思います。ただ、不公平を助長し、それで公平化だ公平化だという言葉だけで、実際は不公平を助長するようなことですね、これはやはり困ると思う。 というのは、はっきり申し上げて、資本家の方々から見たら労働者なんていうものは幾ら搾っても搾れるというふうにお考えかもわかりませんけれども、私の見るところでは、単なるこれは労働じゃなくて貴重な人間資本だと思っているんです。したがってこの貴重な人間資本というものは大事にしなきゃいかぬですよ。そういう意味において、人間資本を大事にするという角度に立てば、当然今のように所得減税を相当やるべきだということになると思うんです。
○赤桐操君 私は、まず飯塚参考人に三点について御質問を申し上げます。 先ほど大変懇切な意見陳述をちょうだいしましてありがとうございました。 まず第一点としましては、この中で述べておられますのは、早期増収策に結びつけるために改善すべき税法の欠陥として、少額預貯金の利子などの取り扱い問題、それから営業届の問題点、申告書不提出者の罰則問題、さらにまた所得税法の百二十条改正の問題、これらについて具体的に述べておられるわけでありますが、ここで大きな成果を指摘されております。 こうした四つの点について御指摘のような形で是正をするということができるならば、効果として十分実効を見ることができるのかどうなのか、この点もう一歩具体的にひとつお考えをお示し願いたいと思います。これが一つです。 それからさらに、第二点目といたしましては、同じくこの意見書の中で、税務署員が少ない、これはもっと大増員をすべきではないか、こういうことを主張されております。大蔵省の見解は、昨日の委員会等でも述べておりますが、行政改革の方針からしてそれは困難だ、こういうことを大臣みずから述べております、そういう大蔵省の立場も明らかにされております。そこで、実務的な立場からもう一歩具体的に、増員をすればこうなるんだということをお示し願えればありがたいと思います。これが二つ目です。 それから三つ目の問題点といたしましては、この意見書の中でも強く指摘をされておりまするように、また、去る二月二十七日の衆議院における大蔵委員会で飯塚参考人の御答弁の中にもございましたが、税の執行について不服があった場合において国税不服審判所が国税庁長官の指揮監督下にあるということはこれはよろしくない、第三者的な立場を堅持させるべきである、それでなければ国民に公正な結果をもたらすことはできないということを主張されておるわけでありますが、諸外国ではこの点はどんなふうに扱われているかお示しいただければ願いたいと存じます。 それから、最後に私は名東先生に一点だけお伺いしたいと思うのでありますが、不公平な税制をただす会で試算されておりまする隠し資産、ただいまお話がございましたが、これが七十二兆円に及んでおる、これは五十九年度末、こういうふうに私伺っております。それから隠し所得が三十一兆三千億円、これも五十九年度分、というように数字を伺っておりますが、これは明らかに課税関係から免れている額だと思うんですね。それでは、具体的にこれをどういうふうに把握をし、そしてどういうような処置をすればよいのか、こういう問題になるのであります。そうでなければこの是正ができませんので、これらの立法上の措置、あるいは何か具体的なお考えがあるかどうか、こうした面について把握の方法等についてもしお考えがございますれば、お示しいただければありがたいと思います。 以上で質問を終わりたいと思います。
○参考人(飯塚毅君) ただいまの赤桐先生の第一番目の問題は、少額預貯金の利子等の取り扱いの問題、それから営業届の問題、それから申告書不提出者の罰則問題及び百二十条をもっと簡素化しろという問題、これだけで十分なのかというお問 いかけだと思うのでございますが、実は時間が制約されておりましたのでそれだけしか言わなかったのです。本当のことを言うと、まだ画竜点睛を欠いておる。 実はアメリカのレーガン政権が出現してから、歳入の仕組みの中に重大な欠陥があることを発見して、彼は一九八二年に法律、税法の大改正をやった。その中で、注意していただきたいのは、内国歳入法の六千四十一条というのがある。この六千四十一条というのは、一年間に六百ドルないしそれ以上支払った者は、その支払い先の氏名と取引の内容を税務署に申告しろと変わった。そうしてそれだけじゃない、その申告書を出さなかった場合、今までは一件につき罰金が一ドルだった。一ドルだからみんなサボッた。ところが今度レーガン政権になって、一件につき一日十ドルないし二十五ドル、これ一日です、一日十ドルないし二十五ドル、最高限は五万ドルまで、こういうことになった。だから、資料提出というのは非常に厳しく規制された。これが脱税の大きな穴であるということをレーガン政権が気がついたわけ。 ところが日本の場合は、それがない。資料提出のことは書いてあります、これは所得税法の二百二十四条にちゃんと書いてあります。しかし、出さなかったという場合には、あ、忘れていましたというだけで終わり、罰則はない。これはうまくないですよ。やっぱりきちっと公平に罰則かけなきゃ。 さらに、そればかりじゃないのでありまして、つまり、二百二十四条に言っている資料提出義務というのは非常に範囲が狭うございます。例えばレーガン政権が八二年に税法改正をやったときに、一年間に六百ドル以上の売り上げ、六百を含む六百ドル以上の売り上げをやった者はというんだが、日本にはそれがない。実際は税務署は、取引の資料は出してくださいな出してくださいなと頼んでくるんだ。だけれども、実際は法的根拠がないんだもの。そうじゃなくて、それをきちっと資料を提出させるようにして罰則をかける。処罰したいんじゃない。処罰したいんじゃないけれども、公平を期するためには罰則を設けざるを得ない。これは道路交通法と同じ。そういう思想です。これが、先生の第一問題に対する第一次的回答であります。 第二次の回答として、これは大蔵委員会と直接関係ないようでございますけれども、日本の商法の四百九十八条一項十九号というのがあります。それによると、商人は取引を漏れなく記帳しろ、真実を記帳しろと書いてある。ありますよ、なるほど。しかし見ると、四百九十八条第一項に、それは「百万円以下ノ過料」と書いてある。書いてはありますよ。しかし、先ほど名東教授がおっしゃったように、書いてあるだけじゃだめですよ。 私は過日、行政管理庁のプライバシー保護研究委員会の委員をやっておったんですけれども、そこへ法務省の検事の方が来ておった。ああいいところへ来た、あなたにちょっと聞きたい。商法四百九十八条の一項十九号に取引は漏れなく真実を書けと書いてあるけれども、一体この罰金を取る、過料を取るその管轄機関はどこなんだ、こう聞いたんです。そしたら、しばらく法務省の役人さん相互に協議していましたけれども、わかりませんという回答なんだ、回答が。公の席ですよ。それは行政管理庁のテープレコーダーに入っておる。わかりませんという回答です。法務省の幹部がそうですよ。つまり、漏れなく正しく記帳しろと言っておきながら、百万円を取るぞと言っておきながら、どこがやるんだかわからない、どこの官庁がやるんだかわからない。こういうでたらめは、これは先生方は良識の府のメンバーでございますから、やっぱり牽制していただきたいと思います。 なお、赤桐先生の第二番目の質問にお答え申し上げます。 つまり税務署員の大増員のことでありますが、ひとつ西ドイツを見てもらいたい。西ドイツは人口六千万しかないですよ。しかし税務官吏の数は、人口比率で日本の六・六倍になります。大変な数の税務官吏がいるんです。したがって西ドイツの場合は、すべての企業が三年間の間に税務調査を受けるという体制が確立いたしております。しかるに日本はどうだ。日本は、法人の場合は一年間に実調率九%、十一年に一遍ですよ。じゃ個人は。実調率四%、二十五年に一回ですよ。とっくにもう時効期間が過ぎちゃって初めてのこのこと税務官吏がやってくるんだ。こういうでたらめを、良識の府である参議院の、しかもチャンピオンである大蔵委員の先生方がこれを見逃しておっては、これはもう議員たる資格はない、こういうふうに我々は考えるわけでございます。 そこで、要するに日本の税法には納税義務者の範囲を確定するという条文がない、これが問題なんです。条文がないんですから。つまりそれは、所得税法百二十条というのは、主観的に所得があると思った者は申告書を出せというんだからね。そうなんですよ。しかもその百二十条をよく見ると、実は所得の計算ができてそこから雑損控除その他の控除を引いて、残りの金額に八十九条の税率を掛けて税額を出して、それと配当控除額を比較してみて、配当控除額より多かったらばあなたは申告義務があるんだよと書いてある。私は、こんな間違った税法条文をなぜほっておくんだということを、大蔵省の主税局長であった時代の福田前長官、この人のところに言いに行ったんです。そしたら彼いわく、おれは三十年間大蔵省で飯を食っているけれども、こんなでかい税法の過ちがあったとは知らなかった、こういうことを言っているんです。知らなかったというんだからね。 そこで、良識の府のメンバーである先生方にお訴えしたい。どうしても百二十条というものを、主観的に判断した所得基準ではなく、客観的な総収入基準、一年間に二百五十万とか三百万とか、それは先生方御自由にお決めくださって結構ですけれども、要するにそういう収入がある者は課税所得があろうとなかろうと関係なく申告書だけは出せということをやるべきだ、これをやらなければいけないと私は考えるものであります。 なお、先生の第三番目の御質問でございますけれども、国税不服審判所というものが国税庁長官の指揮監督下にあるというのはちょっとうまくないということを申し上げたのでありますが、諸外国の例はどうなっているかという御質問でございますので申し上げますと、アメリカの場合は内国歳入法の七千四百四十一条にその条文がございます。行政上の独立機関であるという表現がとってあります。さらにフランスの場合は、例えばナポレオンの時代からつくられておるコンセーユ・デタ、つまり行政裁判所というものがすべての不服問題を取り扱うことになっております。さらにドイツの場合はどうか。ドイツの場合はブンデスフィナンツホフ、連邦財政裁判所というやつがありまして、全部そこへ持っていかれる。そこで決まる。その判決が出るまでは税金は取らないよということになっている。しかるに日本は、裁判中であろうと異議申し立て中であろうと関係なく、税金はしゃにむに奪っていく。こういう代官的なやり方を良識の府のチャンピオンである先生方がいつまでも放置するのはおかしい、こういうふうに私は考えております。 なお、この国税不服審判所というものを国税庁長官の指揮から外せというのは、実は赤桐先生の同僚であるはずだと思うんですけれども、社会党の横山利秋代議士がかって衆議院でこの提案をしたことがあります。残念ながら、多数党によって葬られてしまった。私は、この点は再び自民党という多数党によって改善されることを期待してやみません。 以上、先生に対する三点についてお答え申し上げました。
○委員長(藤井裕久君) 名東参考人、実は質問者の持ち時間があと三分でございますので、ひとつお含みいただきたいと思います。
○参考人(名東孝二君) 隠し金七十兆円ね、それで個人金融資産に対するパーセンテージが一四%、隠し所得が三十兆円、GNPに対して大体一〇%。そういうことを言いましても信用しない。 というよりは、日本の学者が怠慢で、私以外に研究していないから、皆さんがお聞きになっていないと思うんですよ。怠慢という意味は、アメリカンセンターへ行ってごらんなさいよ。商務省からサーベー・オブ・カレント・ビジネスというのが出ておる、機関誌が。それの去年のメイ、ジューン、ジュライの三回にわたって編集長のミズ・カースンが非常に細かく分析していますよ。そこには何十人という人の名前が出てくる。日本人では私だけなんです。いかに日本の学者が怠慢かということです。だから、そのミズ・カースンの文献を見てもらったらわかるということです。 私が書いたのは日経ビジネスに載っていますけど、簡単には。それから、さらに信用できない方は、これは日銀の資料だと言われている、小倉先生は否定なさるかもしれぬけどね、これによるとグリーンカード制をもし実施したら約三十兆円の、約三十兆円ですよ、約三十兆円の金が動く。その動き先は郵貯から大体証券業界へ流れる。その数字を私は持っているんです。だけど、私の言うその隠し金とか隠し所得は、私に言わせるとまだ大したことはない。例えば韓国なんか三三%ですよ、三三%。アメリカで一四、五%。イタリアなんかはもう三〇%以上。ソ連。ソ連なんか三三%ですよ。報道には出ないけれども、中国だってあれは相当なやみですよ。やみがあることは間違いない。そういうことを知らないだけだ。世界じゅうにそういう地下経済がはびこっているんですよ。そういうことが現実にあるということをまず知っていただきたい。 それから、それを是正する方法というのは、これは究極的には、今飯塚先生がおっしゃったように、いろんな角度から徴税をやってもらう以外にないと思うんです。例えば年所得二千万円以上は財産調書を出さなければいかぬ、財産調書を。皆さんの方がお詳しいと思う。ところが、これは罰則がないんですよ。罰則がないせいですか、十万人の中の二〇%が未提出ですわ。全然これノータッチ。一体なぜこういうところにアタックしないのでしょうかね。何か我々みたいな全然隠しどころのないような人間ばっかりほじくり出して税務署に呼び出したりしている。そんな暇があるんだったら、なぜこういう大口を当たらないんですか。資料を二〇%が未提出じゃないですか。なぜ罰則をつけないんですか。こういうところから摘発していけばいいんですよ。そのかわり、まあ政治的圧力があるかもしれぬけど、それを恐れておったらどうしようもないでしょう。 そういうわけで、本当はこういうふうに私の計算では、二十二兆とか十九兆とかかなりの金額が摘発されるようなことをここに私も計算しておりますけど、実際はそんなに取れない。なぜかといったら、皆さん御存じのように、あのバチカンですらマフィアと癒着しているんだから、バチカンとマフィアが。あのソ連はどうですか、赤い貴族と言われるノメンクラツーラなんていうあれは。特権階級じゃないですか、あれは。ああいう連中はもうKGBを使ってみんな癒着しているんだから、つかまるはずがないんですよ。 だから、私に言わせたら、じゃもう手はないかといったら、それは結局やっぱり政府が、小さくとも信頼のおける効率的な立派な政府をつくることですよ、はっきり言ったら。それはつかまえようつかまえようとすれば、逃げる方だって幾らでも巧妙になるわけです。もう私だって幾らでも知っています、何億なんという金を海外に持っていくぐらいのことは簡単ですよ。皆さん方も恐らく御存じじゃないかと思う。トランクなんか提げて行くなんて一番幼稚なんだ、あんなもの。こういう自由化のときにそんな巨大な大魚がつかまるはずなんかないです、絶対にない。つかまるとすれば、我々みたいな雑魚ばっかりがつかまるんじゃないでしょうか。余りおかしいことは差しさわりがあるかもしれませんので、この程度にしておきます。
○大坪健一郎君 大変お忙しいところをお四方の先生方に出ていただきましてまことにありがとうございます。私の持ち時間は二十分でございますので、今いろいろ大演説を聞かせていただいておりますけれども、時間が足りないのでお答えはなるたけひとつ簡潔にお願いを申し上げたいと思います。 まず小倉先生ですけれども、先生のお話の中で、新規政策税制はなるたけ抑制してスクラップ・アンド・ビルドでいきたいんだということが当面の税調の御方針のようでございますけれども、一方で、今の税制改革は財政状況全体を見渡して国民的視野で再検討しなきゃならぬだろう、本格的な検討が要るだろう、これを竹田先生が御質問になりましたら、まだ税調では審議していないというお話なんですけれども、先生のお考えでも結構ですが、どういうふうに考えたらこの難しい問題の突破口が見出せるのか、それをちょっとお聞かせいただきたい。
○参考人(小倉武一君) ちょっと重要なことを聞き漏らして失礼いたしましたけれども、これから税調がどういうふうにやっていくのかということについては全く白紙でございまして、これからどうやっていくかということをお聞きになりましても何ともお答えができないわけです。国会で総理のおっしゃっていることを聞きますというと何でも、諮問をしたい、税制の改革について。一昨年諮問されたばっかりであって、まだその諮問は生きているのだと思うんですが、また諮問をされるということでありますればさてその諮問を待っていなければ何ともならないということもございますので、ちょっとお答えにならないかもしれませんが、もう一度足りなければお尋ね願いたいと思います。
○大坪健一郎君 それじゃスクラップ・アンド・ビルドについてならあるいはお答えいただけるかもしれないと思うんですけれども、現行の税制を余り変えないで徴税の実務のやり方を直したり、これは後で実は飯塚先生にもお聞きしたいと思うんですけれども、脱税防止を図ったり、何かもう少し行政を効率的に改善すれば相当税収があるんじゃないかという議論がありますけれども、そういう問題については税調ではどのようにお考えで御議論をしておられるんでしょうか。
○参考人(小倉武一君) 政策税制につきましては、お尋ねのとおりできるだけ整理をしていきたい、毎年毎年そういう趣旨でやっておるのでありますが、と申しましても、一方、産業経済政策のために特別の税制上の措置が必要であるというこういう要望も全く無視するわけにもまいりませんで、したがいまして、従来のものを整理しながら必要なものは最小限度考えてまいろう、こういう趣旨で、個々のものについてはこれは政府当局にお任せしてありまして、税調で特に一々の問題についてこの政策税制は妥当であるから云々というようなことは答申には申し上げておりません。 それから、政策税制に限らないと思いますけれども、そういう法律上当然認められた特別措置によって税収が当然減収になるというのもございましょうし、それから、徴税上の実際の運営といいますか、納税者と税務当局との関係でもってなかなか把握がし切れないという、そういうものがいろいろな税金について当然あり得るわけでありますが、それが相当あるのではないかというふうに巷間伝えられていますけれども、政府の方ではどれくらいそういう税のエロージョンといいますか、があるかというような数量的なものはどうもお持ちになっておらないようであります。またこれは、そういうことをお尋ねしてもなかなか、こうだというようなことをお答えになることは至難のことかと思います。いずれにしましても、巷間言われるところが全く根も葉もないということではないものですから、いわば徴税上の体制をやっぱり整備していく、また税制上考慮すべきことは税制上も考えて的確に税収が上がるようにするということが必要であるということは、かねて税調でも考えておりまして、必要な措置をできるだけ整備していくというようなことが従来の経過であります。
○大坪健一郎君 それじゃ次に飯塚会長にお話しをいただきたいと思うのですけれども、飯塚さん は、ゾチアルゲシュタルツングスマハトが税法の主要な本質だけれども自由主義国家がどうあるべきかという基本問題について条文が示されてないということをおっしゃいましたけれども、これはどういうことをおっしゃっておられるんでしょうか。
○参考人(飯塚毅君) お答え申し上げます。 我が国の所得税法、法人税法、国税通則法のいずれの条文を調べても、正しい納税をしなさいという条文がない。これは大問題です。国民に正しい納税をしなさいという条文がないんです。だから国民はちょいなちょいなと平気で脱税をやっちゃう、これは困りますよ、そういうことを言っているんです。要するにリヒティゲスシュトイエルというか、正しい税を納めるという条文がないという点なんです。
○大坪健一郎君 それで、結局あなたの例えば記帳義務をしっかりやれとか、いろいろな手続とか関係条文の罰則の整備をしろとかいうことにつながっていくのだろうと思いますが、特に記帳義務の問題は自由民主党の税調でも非常に大きな議論になった問題でございます。現行の税制の一番重要な問題の一つになるのではないかという感じもするんですが、この記帳義務の問題についてあなたの御意見をもう少しお聞かせをいただきたい。
○参考人(飯塚毅君) お答え申し上げます。 記帳義務に関する我が国の税法の最大の欠陥、それは適時性、ドイツ語で言いますとツァイトゲレヒティヒカイトと言いますけれども、記帳の適時性というものが全然規定されていない。したがって、一年度が過ぎちゃってから納税者から、少し余計顧問料を払うから頼むよと言われると、一年分全部を後になって記帳してそれで何も悪いところが見つからなければパスしちゃう。つまり適時性の原則が税法上うたわれていない、これが最大の弱点。 それからもう一つ。例えばドイツの国税通則法の百四十六条第一項によりますと、要するに商人はすべての取引を完全網羅的に真実を適時にかつ整然明瞭に記録しなければならないという規定がある。この規定は商法の四十三条に同じような規定がある、ダブっている。ダブっているけれどもちゃんと書いてある。ところが日本にはそれがない。だから困っちゃう。なるほど先ほど申し上げた商法四百九十八条の一項十九号に網羅的真実をとあるけれども、その管轄機関を聞いたら、知りませんというのが法務省の役人の回答ですからね。そういうところに記帳義務の一番大きな欠陥がある。だから税理士は、一年間過ぎちゃってから、それを今度は一年間適当にごまかして仮に帳簿を記帳したとします。適法なんだ、罰則がないんだから。 これは、先生のような方が断然自民党税調において主張なさって、改革なさることを御期待申し上げます。
○大坪健一郎君 えらい責任を負わされたような感じですけれども、もう一つ飯塚さんに、これはあなたの大変御専門な知識をおかりしたいんですが、最近会計事務が大変コンピューター化してまいりまして、全国的に非常に会計事務の処理がコンピューターで行われるようになってきておる。それから、銀行とかそういう大きな金融を扱うところでも金の授受はコンピューターで処理されるということになってきますと、これは税法上の問題がいろいろ出てくるのではないかと思うんです。私どもはこの辺がちょっと知識が余りありませんから、ひとつここのところはあなたの該博なる知識で教えていただきたい。
○参考人(飯塚毅君) お答え申し上げます。 今日本の財政が困難なときに、恐らく最大の問題はこの問題だと思います。つまり、コンピューターを使って会計処理をやっているという企業は大企業のみではありません。中企業も小企業もやっています。今やオフコンまたはパソコンは年間約百万台、市場で売れているんです。大変なものです。したがって、記帳義務というのはどんどん実はコンピューターでやられているというのが現状です。しかもコンピューターのプログラムを現制する法律が一本もない。世界の文明国中日本だけです、一本もないというのは。そこに問題がある。だから大きな脱税の穴がそこにぽっかりあいているわけ。これが問題なんですよ。 私はある証券会社の幹部に、どうだ、上場会社は平均して数十億の裏金を持っているのと違うかと言ったら、そのとおりと言っていましたよ。まさにそうなんだ。 そこで、せめて先生方は、我々市民は参議院といえば衆議院と違う、あれは良識の府なんだと思っていますから、その良識の府の代表者である大蔵委員の先生方に直訴申し上げるわけです。 要するに、アメリカの場合は一九六四年二月二十四日でしたか、内国歳入法の六千一条に附属する法規命令が出ているんです。レベニュープロセデュアという法規命令が出ている。そして、コンピューターを使って会計をやる場合にはこういうガイドラインに従いなさいという五項目の条文がある、ちゃんとできている。簡単に申しますと、監査する場合の跡がちゃんとわかるように監査証跡を残しなさい。同時に、会計記録というのは第三者が見ていつも読めるようにしておきなさい。それから、それだけじゃない、さらに原始記録から元帳へ、元帳から原始記録へと自由自在に調査ができる体制をつくっておきなさい。さらに第四番目に、コンピューターのプログラムは必ず第三者が読み得るように文書化しておきなさい、こういうことが書いてある。私は、この六四年のレべニュープロセデュアというアメリカの法令ですね、法規命令、これをそのまま直訳したっていいと思うんだ。直訳して日本に持ってくるべきだ。御承知と思いますけれども、ドイツの場合はコンピューターのソフトウエアを規制する法律が現在連邦政府で四十七本あります。日本は一本もないんです。 屈辱もいいところですよ。我々は国際会議にしょっちゅう出て、しょっちゅうその点ではなぶられますよ。何と日本はひどい国だ、君の国のすぐれているのは一部の商品生産領域だけであるとさんざんやられていますよ。どうかお救いください。
○大坪健一郎君 そういう新しい領域の問題が幾つかあるので、古田先生にもちょっとお伺いしたいのですけれども、先生は税を所得税中心ではなくて、むしろ支出税中心にした方がいいのじゃないかというような御議論をなさって、支出税の考え方をおっしゃっていました。特にキャピタルゲインに対する課税なんかが今後の問題点だというお話をなさっておられましたが、円ドル自由化でユーロ円が、あるいは日本の場合ですとユーロ円が主でございますが、オフショア市場でユーロ円の取引が行われて、非居住者の場合はそのキャピタルゲインに課税されないわけですね。ところが、国内は大体利子とか配当には課税するという原則になっておる。これは矛盾をしておるので、そのキャピタルゲインに課税をしなきゃならないということと、円ドル自由化で今盛んに問題になって、これから日本で行われようとしておるオフショア市場の問題との兼ね合いをどう考えたらいいのか、これは将来我々のやっぱり大きな問題になってくると思うのですが、それをちょっと御説明いただきたい。
○参考人(古田精司君) お答え申し上げます。 ただいまの御質問が、支出税へ所得税から移行する場合の実は最大の泣きどころでございます。 それともう一つは、移行期に当たって、つまり所得税から支出税へと申しますのはこれは全く百八十度の転換でございますから、それだけに、非常に移行期に当たって脱税がはびこりやすいというそういう危険は、どこの国でも、どういうふうな対策をとれば一番望ましいかということで頭を悩ましているわけであります。 ただいまコンピューター化のお話が出ました。イギリスでもこれは真っ先に、いやスウェーデンの方が先じゃないかという意見もございますが、スウェーデンにしましてもイギリスにしましても、個人税制をコンピューターライズするといいますか、コンピューターシステムに乗せるという 点で、今しきりにスピードを速めるようにやっているようでございます。それでもしかし、今世紀の終わりごろにならないとそのめどはつかないというふうに私は聞いております。 特に、今御指摘になりましたユーロ円の問題でございますが、私もこれは、法人税そしてまた所得税の海外と日本との間の調整でございますね、これが一つ今重要な問題になっているかと思います。 その点でこれは所得税でも支出税でも同じ問題を抱えていると思うのですが、私は犬がしっぽを振るのでありまして、しっぽが犬を振ることはないというふうに常々思っておりますけれども、しかしこの税金の問題、特に今御質問がございましたユーロ円についてのオフショアの課税問題でございますが、これはどちらかというとしっぽが犬を振るケースがあり得るのではないか。特に日本の国際化というスピードが私たち、私たちと申しますと誤弊がございますが、私が予想した以上に進んでいる。そういう段階におきましてただいま御指摘になったような問題が実は、所得税中心税制におきましても支出税中心税制におきましても、やはり難問であるという点については変わりないのではないかと思います。 お答えになっていないかと思いますが、もしまた御疑念がございましたらお答えしたいと思います。
○大坪健一郎君 残り時間が少なくなって恐縮なんですが、最後に名東先生にお伺いしたいのですけれども、先生は要するにEC型の付加価値税では最終的に中小企業がこれを価格に転嫁できないとおっしゃいましたけれども、実は私は今から二十年近く前に西ドイツにおりまして、ちょうど付加価値税ができたときの現状を見ておりました。 そうしましたら、例えば食料品店であるいは食堂で、ワインの価格を全部一割ずつ上げたわけですね、末端の価格を。当時一杯三マルクだったのを三・三マルクにするとか、ずうっと全部上げたのです。しかし、それで売れ行きが落ちたということが一年後に出てこなかった。むしろ同じ状態であった。だから価格は見事に転嫁されて徴税の効果が上がったと思うのですけれども、これは私の実際の見聞の場合なんですが、先生のお話だと、EC型の付加価値税は全くだめだ、付加価値税を取るような国は繁栄しないというふうなお話だけれども、それはそういうふうに考えていいんでしょうかね。
○参考人(名東孝二君) その時期ですね、タイミングですよね。タイミング。それから、ヨーロッパの流通機構と日本の流通機構の違いです。そこのところをよくお考えにならないと、何しろ欧米の流通機構というのは非常にストレートですよね。ところが日本の場合は複雑多岐です。その違いをよくお考えにならないといけませんね。 それからアメリカの小売税のことがよく引用されますけれども、もう全然取り方が違うんです。日本みたいに価格の中に含めて転嫁してぱっと取るのと、一つ一つ二%とか五%とかそういうふうに別個に小売が取る場合と、全然受け取る方は感覚が違うわけです。そこのところをよくお考えにならないといけない。 それから、失礼ですが、今のヨーロッパでどこがうまくいっていますか。EC型付加価値税をやっている国はどこの国ももたもたしているじゃないですか。
○大坪健一郎君 それは税と別ですよ。
○参考人(名東孝二君) 税とは別だけれども、偶然ですか、アメリカは九対一ですよ、日本の場合は七対三ですよ。アメリカではいろんな学者が、今おっしゃるような支出税だとかいうようなことをおっしゃっておられる方も学者でいますけれども、政治的な日程に上がってこないじゃないですか。ということは、いかに不人気であるかということ。その例を申し上げますと、一九八〇年にウルマンという下院の歳入委員長が租税再構成法案という抱き合わせの、三十兆円の大減税をやろうとしたんです、EC型付加価値税と同額の。公聴会までやったんですよ。それ以後、ウルマンさん二回とも落選ですよ。だから今、議会じゃこのEC型付加価値税、全然出てこないですよ、お調べになってください。いかにこの税金がアメリカで人気が悪いかということを政治家の方がよく知っているんだ。失礼だけれども、皆さんの方が知らないんじゃないか……
○大坪健一郎君 それは知っていますよ、私も。私、あなたにお説教されるつもりはないから。
○参考人(名東孝二君) 説教しているんじゃないです、私は事実を言っているんです。 それから支出税でも、古田先生と私は論争するつもりはないけれども、同じ支持者である石教授ですら四つも五つも欠点を挙げているわけですよ。第一、支出なんというものはどうしてつかまえるんですか。所得がつかまえにくいのに消費だとか支出がつかまえやすいなんてナンセンスじゃないですか、そんなもの。それから貯蓄奨励でしょう、それでますます貯蓄を奨励してそれで国際競争力……
○大坪健一郎君 先生、議論は後にしましょう。きょうはあなたの意見を聞いているだけです。
○参考人(名東孝二君) だから私の意見を言っているわけです。 そういうような、人によって見解は違うけれど、逆の説もある、同じ支出税についても同じ説ばかりじゃないということを言っているわけです。
○桑名義治君 四先生、大変に御苦労さまでございました。 最初に、小倉会長にお尋ねをしておきたいと思いますが、税調は五十三年の十二月に、五十五年度中からいわゆる一般消費税を導入すべきだとして答申を行っているわけでございます。その際、一般消費税は「一般消費税の経験に乏しいという我が国の事情や経済取引の実態等にも配意し、納税者と税務当局の双方からみて望ましい簡明な仕組みを考案」した、こういうふうに提言をしておられたわけでございますが、五十四年の十二月に国会決議はこれに対する反対決議を行ったわけでございます。そうやって考えますと、我が国の実情に即応した大型間接税は全く国会の上では一応否定をされた、こういうふうに考えるのが至当ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。 そうして、今回のこの六十年度の税制改正に関する答申でございます。五十九年の十二月に出されているわけでございますが、この中では「既存税制の部分的な手直しにとどまらず、今こそ国民各層における広範な論議を踏まえつつ、幅広い視野に立って、直接税、間接税を通じた税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期に来ていると考える。」、こういうふうにこの答申ではなっているわけでございます。 そこでお尋ねしたいことは、第一点は、五十四年の十二月の二十一日の衆参両院における決議を税調としてはどういうふうにとらえておられるのか、それが一点です。 それから、先ほど申し上げましたように、決議とこの方針とお互いに競合関係になっているわけでございますが、さらに本年二月六日の衆議院の予算委員会で、中曽根総理は矢野委員に対して「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方でやることはしない」、こういうふうに否定をしておられるわけでございますが、こういういろいろな質疑やあるいはまた答申の中身等をいろいろ考えますと、もう今や大型間接税の範囲としてどのようなものが残っているというふうにお考えになっていらっしゃるのか。 この二点について御意見を伺っておきたいと思います。
○参考人(小倉武一君) 国会の決議で一般消費税のことをうたわれておりますけれども、私どもその解釈をどうこうするという立場ではございませんです。特定のときの特定の情勢のもとで一般消費税として打ち出したものに関しての御決議であるというふうにだけ理解をしております。 それから、総理の国会における御答弁ですが、 これこそ私どもが総理の意をそんたくしてどうこうという解釈をすべき立場でもございません。恐らく、予算が通り税法が通るといいますか国会の審議がお済みになれば、予算なりあるいは税制なりの質疑応答を通じて、当局のみならず国会議員の先生方の御意見もしかるべきときに税制調査会に御披露になりましょうから、そういう際に国会の委員の先生方の御意見と当局の意見といいますかお答えなどを踏まえて、その上で審議に入る、こういうことになりまして、その前にどうこうというふうな具体的なことを申し上げるわけにはちょっとまいりかねると思います。
○桑名義治君 きょうは参考人に来てくださっているわけでございますので、別に議論するわけじゃございませんが、先ほど私が申し上げましたように、一応五十三年の十二月の答申では一般消費税の導入、税調ではその事柄を申しているわけでございます。その後選挙があってこれは負けました、敗れたわけでございまして、その後、今度は五十四年の十二月に先ほど申し上げたような国会の決議が行われた。その後に今回はこの答申が出てきたわけでございますが、そして、この答申の中では「直接税、間接税を通じた税制全般にわたる」云々ということになっているわけでございまして、いろいろといきさつ、でこぼこがあるわけですね。 そういった意味で、税調として、この国会決議に対しましてどのような認識を持っておられるのか。いい悪いじゃなくて、どのような認識を持っておられるのか、そこがちょっと聞きたかったわけでございます。 それともう一つは、先ほど申し上げましたそういった論議の中で、いろんないきさつの中で、残されている間接税とするならばどういうものがおありというふうにお考えになられますかということをお聞きしておるわけでございまして、できましたらお答えを願いたいと思うのですが。
○参考人(小倉武一君) 国会決議についての税調の考え方と申しますか、別にまとまった考え方をしたことはございませんが、その後一般消費税ないし一般消費税的なものを具体的に審議したことはないということで、税調の考え方はどういうところにあるかをお察しいただくほかはないと思います。 それから、昨年の暮れ、直接税、間接税を含めて云々ということは、これは税制の根本的な改正をするという前提に立てば、税制を大きく分ければ直接税、間接税、その他の税、こういうことになるのでありまして、その他は余りはっきりしない内容でございますので、代表的なものとして所得税、間接税というようなものを挙げて税制全般について見直しをするということであって、その中には一般消費税についてどうこうするという考え方は具体化しておりませんのです。 したがいまして、どういうものをどう考えておるかということについては何ら審議をしておりません。また、審議をしないままにああいう要望をいたしたわけです。
○桑名義治君 次に、飯塚会長にお願いをしたいと思います。 先ほどからいろいろと論議が尽くされておるわけでございますが、コンピューターの問題につきましては先ほどからももう出ましたので、これは省いていきたいと思います。 飯塚会長のいろいろな御説の中に盛んに、税法に対する刑罰規定を設けよ、この趣旨があらゆる箇所に出てくるわけでございます。そこで、日本人という立場から考えた場合、これは私も全面的に否定するわけじゃございませんが、日本人は農耕民族であり欧米の場合は騎馬民族であるという、そういう民族的な立場の違いというものを考えた場合、余り刑罰をいろいろと強くすることはなじまないのではなかろうかという、そういう議論もまた一面にあるわけでございますが、その点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのかお尋ねしておきたいと思います。 それからもう一点でございますが、これは過日の新聞紙上で、日本の大会社が、外国で支払った税金の控除制度を利用しまして、いわゆる莫大な所得にもかかわらず日本政府に支払う税金はゼロになっていることが正月の新聞にも報道されました。この問題につきましては私も予算委員会の中でこれを論議したわけでございますが、この問題についての飯塚参考人の御意見なりあるいは御感想なり、あるいはまた何かこういう問題に対する対策をお持ちであろうと思いますので、その点をお聞かせ願えれば幸いだと思います。
○参考人(飯塚毅君) お答え申し上げます。 ただいまの桑名先生の第一問でありますが、日本人は農耕民族であって欧米人のような騎馬民族じゃないんだから余り罰則をかけるんじゃない、こういう議論を言っておられますけれども、これは最近の評論家の山本七平先生あたりが盛んに言っている議論なんで、実際の日本の法制、江戸時代あるいはその前からの法制というものをお調べいただくとわかるんですが、いかに過酷な法制であったか。特に、近代律法の祖と言われるモンテスキューという人がございます、フランスの。この人の「法の精神」という書物の第六、十三章に、日本の法制という題で一章が設けてあります。その一章を読んでみますと、日本ぐらい残酷な刑罰規定を持っている国はない、そう書いてあります。その一例として、例えば、大名行列の前を突っ切ったというとお産婆さん以外は全部打ち首。あるいは自分の財産を湯水のごとく使っちゃったら、家資蕩尽といいますね、家資蕩尽した場合には死罪、こういうふうに全部死罪なんですよ。つまり、日本の刑罰というのはほとんど死罪である、これは政府当局が政治を誤っているんだということをモンテスキューは書いておる。先生方はどうか日本の権威のある法制史をお調べいただきたい。いかに残酷な刑法のもとに立たされていたか、これは大変なものです。それをいかにも農耕民族だとかなんとかといってまやかして言っている、冗談じゃない、それは過ちなんです。 それから次に、先生のおっしゃった第二の問題でございますが、新聞紙上で言われたという、これは本当にそうなんで、大変なことなんです。日本の大会社が外国で払った税金を控除するという制度、これは日本にもございます。 御承知のように、日本の場合は法人税法の六十九条、所得税法の九十五条に外国税額の控除という制度はあります。これはもう驚くほどアメリカの制度に右へ倣えしております。アメリカも同じ制度を持っております。その場合には必ず、母国の納税額を減らさない工夫が凝らしてあります。ところが日本の場合は、母国における、日本における本店の納税額をゼロにしちゃっても、ああ済みませんで終わりなんだ。それはいけませんよ。だから私は参議院の、良識の府なんだから、先生の見識をもってひとつ直してもらいたい。やっぱりそれは困る。政府に対してそういう虚偽の申告をした場合、その場合にはきちんとやっぱり刑事罰を科すという態度が必要だと私は思う。そういうことです。つまり行政罰では困るということです。
○桑名義治君 飯塚会長にもう一つだけお尋ねをしたいわけですが、飯塚会長の意見要旨の中でこう書いてございます。 第三の、昭和六十二年度以降の中期的展望に立ち改善すべき現行税制の欠陥は何か、でありますが、その①は、現行税制の不公平、不公正な諸点を徹底的に是正し終わるまでは大型間接税導入に手をつけるなという点であります。EC型売上税法は、ヨーロッパ六十年の実験結果であり、最良のものと信じますが、減税と大型間接税とをセット云々、こうあります。 ここでお尋ねしたいのは、前に前提はございますが、EC型売上税法はヨーロッパ六十年の実験結果であり、最良のものと信じます、こういうふうに述べられたわけでございますが、このEC型の売上税法に対するいわゆる会長の知識をひとつ御披露を願いたいと思うわけでございます。
○参考人(飯塚毅君) お答え申し上げます。 実は、ECの売上税法というのは、一九一六年のドイツの売上税法に発しております。大体六十 年の歴史を持っております。ところが、その間に十五、六回の法律改正が行われております。ヨーロッパでも非常に多くの改正が行われております。そして、今までの学者先生方はお触れにならなかったようですけれども、一九六六年の十二月二十日におけるドイツの憲法裁判所の判決の中で、今までの売上税法は無効であるという、そういう無効宣言が行われているんです。そして、立法府はなるべく速やかに時期を失せずに合理的な売上税法をつくれという、そういう判決が出ているんです。これはたまげたもんです。そしてそれを受けて、実はドイツで一九八〇年以後施行された今の付加価値税法ができているのでありますけれども、そのポイント、なぜ飯塚が最良のものだと信ずるというふうに申し上げたかと言いますと、そのポイントは、前の段階の税金、これをドイツ語ではフォルシュトイエルと言いますが、前の税金、前の段階の税金はあなたから実は除算して控除してあげますよ、だからあなたはあなただけの税を負担すればいいんだ、前の段階の税金は全部控除してあげますよ、こういうふうになっているんです。 これがすばらしいんです。この前段階控除制をとった関係上、もはや人の税金までおれは負担する必要はないんだということになりますから、したがって税の上に税をかけるという形がなくなっちゃった。前に払った税金はちゃんと控除してくれる。その上でおまえさんは税金を払いなさい、こうなってます。そうして申告は一年十三回ですからね、だから非常に脱税防止に効果がある。 そこで学者先生、特に名東先生のような方はなかなか理論的にシャープな方ですから、これはちょっと時期尚早だなんて、あるいは不向きだなんておっしゃるけれども、ヨーロッパ十カ国では全部これを採用することになっている。そのことを重く見ていただきたい、こういうことでございます。
○小西博行君 三点ほど参考人の先生方に質問させていただきたいと思います。 まず古田参考人でございますが、先ほど少し私関心を持ちましたのは奨学金の問題を触れられましたですね。これは税制という立場で実はお話しになったわけでありますが、まさに今文教の方でも国際人の養成という大きな課題が一つございます。どうも政府からもらう奨学金というのは余り喜ばないんだけれども公益法人からのはえらい喜んでいる、こういうようなお話がございましたので、その点をできればもう少し詳しく御説明願いたいと思います。 それから、飯塚参考人には二点ほどお願いしたいと思います。 まず一点は、税理士をふやしていくということがやっぱり税金問題について解決する一つの方向だと私もこれは思うわけであります。それからもちろん、国税局の人数を少しふやして具体的な活動をしなさい、こういうような御意見も実は賛成でございます。しかし、実際に会計人の事務所ですね、これがなかなか法人化できないという問題がございまして、これに対してどのように先生は御意見を持っておられるのか、この件についてまず一点お聞きしたいと思います。 それから二点目は、先生がたしか文芸春秋の中で「税金これでいいのか」という寄稿をされておりまして、その文章を興味深く読ませていただきましたが、この問題で土地の価額の高騰という問題がございまして、これが先ほど御説明がありました相続税に非常に大きな影響を与え、非常に不安である。こういうような国民世論の言葉があろうと思うんですが、この二点あわせて御説明願えたらと思います。
○参考人(古田精司君) お答え申し上げます。 公益法人課税とそれからただいまのスカラシップとの関係でございますが、先ほど私は、海外からの留学生がいかに民間の公益法人からのスカラシップに感謝しているかということをお伝え申し上げました。 私自身大学で学生部長を務めさせられまして、例えば慶應の学生と申しますと割合富裕な家庭の子弟が来ているというふうに世間ではお考えになっていらっしゃるようですが、私自身が直接確かめましたところでは大変貧困な家庭から来ている女子学生たちもおります。例えば片親が亡くなって仕方がないから再婚したところ、今度その再婚してみたら自分の本当の肉親がいなくなって、結局自分の肉親がだれもいなくなって、自分で学費を稼がなきゃならない。どうやって稼いでいるんだといって聞きましたらば、通信教育の採点をやっているというんです。ところが単価を聞いてみますと非常に低いんですね。そういうことからどうしてもスカラシップをもらわなければやっていけないというような実情。 私自身いろいろな体験をいたしました。そしてまた現在、ある奨学財全の委員を務めておりまして、そういった個々のケースを体験してまいりますと、特に、東南アジアから現在我が国に海外留学生が非常にふえています。ところが、彼らが富裕ならばよろしいんですが、そうでないというケースがほとんどでございます。スカラシップが一年というふうに限定されますと、例えば博士号を取りたいというふうにやってきた場合一年ではとても取れないわけでございます。そうなりまして彼らが泣く泣く帰らなきゃいけないというときに、スカラシップをもらったときにどれくらい彼らが喜ぶかということでございますね。 そういったふうに、公益法人活動というのはこれは第三セクターというふうにもともと言われております。つまり、政府もできないしそれから企業部門もできない、そういうふうな分野での活動を今期特されているのが第三セクターとしての公益法人ではないかと思うのです。例えばイートンだとかあるいはラグビーだとかいった有名校があれはパブリックスクールというふうに呼ばれております。なぜパブリックかと申しますと、あれは門戸を広く開いているという意味でパブリックなんですね。ということはスカラシップの場合もそうでありまして、特定の子弟に資金を出すというのではなくて、貧困な子弟であってしかも学ぶことを熱望している、そういう人たちに広く門戸を開いているという意味でパブリックなわけであります。そういった活動が、今後日本が経済大国として富裕になっていくんだから要らないかと申しますと、私自身の体験ではなかなかそうは言い切れないというのが実情じゃないかと思います。 お答えになったかどうかわかりませんが。
○参考人(飯塚毅君) お答え申し上げます。 税理士をふやせという主張に先生は御賛成のようなので救われた感じがいたしております。 実は日本の税理士の数は西ドイツの数と比べたときに、実数は同数でありますけれども、人口比からすると日本は西ドイツの二分の一の税理士数しか持っていません。だから結局、税理士の目が届いていないということなんですね、日本の場合。 それで問題は、第二の問題として、税理士の法人化の問題を先生は出されましたけれども、法人化についてまことに奇妙な気持ちを持っているのは、実は法人化の登記申請を受理してはいけないというのが法務省の次官通達なんです。それで私は非常に奇妙な思いをいたしております。 つまり、次官は通達を制定する権限がありません。国家行政組織法第十四条をごらんいただくと、各省庁の長、特許庁とか水産庁とかという庁、それから大蔵省とか法務省とかという省、省庁の長は通達を制定する権限あり、さらにそこへ今度新しく加わって、委員会というのはこれはもう正式に委員会の長は通達制定権限がある。したがって、政府税調のようなこういう小倉先生なんかもうちゃんと通達制定権限を持っている。ところがそういう各省庁または委員会の長でない法務次官が、通達を出して、会社設立の登記を受理してはいけないという通達を出しておるんです。出したら、それを守っている。 いや、それだけならいいんですよ。なぜ、国家行政組織法第十四条違反である、けしからぬ、取り消せということを言う国会議員の先生がお一人もいらっしゃらないか、これはどう考えたらいい のか。つまり、はてな、お気づきになっていないのかな、余り国政に真剣でないのかなというふうに思ったり、いろいろ思っているんですが、とにかく先生方は日本の代表的な頭脳なわけでございますから、法務次官、おまえあの通達を取り消せ、これをやればいいんで、権限がないんだから違法なんです。違法通達で実は阻まれておるのであります。そして私は去年、おととし中国政府へ行って驚いた。大蔵次官と討論をやった、驚いた。アメリカのビッグエイトはほとんどが中国全土に今店を出しています、展開しています。さらにASEANも同様です。ところが我々は出せない。なぜか。法人化できないんだもの。これは困ったもので、しかもそれは、くどいようでありますけれども、国家行政組織法第十四条に正面から違反している通達なんです。これは先生方は国政調査権をお持ちなんですから、堂々とひとつしかってやっていただきたい、こう思うんです。 次に、二番目の先生の問題、つまり土地価格の上昇問題、これは私意見要旨の中でも申し上げましたけれども、もうここらで先生方は世代交代に関する税制というものをつくらなかったら、国民の恨みを買いますよ。もう非常に困っておる。特に東京都内のあの環状線の中に家を持っている人、この人たちは死んだら必ず子供たちは土地家屋を全部売らなければならない。何となればべらぼうな金額なんだから、値段が。一坪大体一千万円なんてざらですよ。どうにもならない。ですからここで、アメリカの内国歳入法の百二十一条に前例があるように、生涯に一度だけおまえさんの世代交代の際はこの税額は免除してやるよという規定を、税法のどこかに入れていただきたいんです。そう願ってやみません。しかも先生方は良識のチャンピオンでございますから、間違いなく先生方は団結すれば必ずこれはやれる、今国会でやれる、このように私は信じてやみません。終わります。
○青木茂君 時間が短うございますから、小倉会長お一人に絞りまして二点ほど御質問申し上げたいのです。 どうも私どもこの大蔵委員会で税の論議をやりますと、核心のところへ来ますと、予見を持ってはいけなくて、予見を交えずに税調に持っていきたいという、こういう答えが常に出てくるんです。非常にしばしば出てくる。それから今度、それだと、税制調査会の方に伺いますと、国会論議を踏まえてと。こういうことになってしまうと全くもって悪循環で、くるくるくるくる回ってしまって論議が全然進まないというストレスを、これは私だけでなしに大蔵委員のいろんな先生方はお持ちだと思うんです。 そこら辺を踏まえまして二点ほどお伺いを申し上げたいわけでございます。 御承知のように、きょうの朝、いわゆるサラリーマン税金訴訟の大法廷判決が出たんです。いろいろありますけれども、はっきりしたことは、サラリーマンの必要経費の存在が認知された、正式に認知されたということでございます。そうすると一体これからの課題というものは、給与所得者の必要経費の項目は何と何と何があるか、じゃ金額はどういうふうに算定すべきであるか、こういう問題にもう展開せざるを得ない状況だ。これに対しまして小倉先生の、これはまあ税調会長としてはちょっとお答えにくいと思いますから全くの個人の御見解で結構でございますから、これからどういうふうにしたいとお思いになるか、これを一点お伺い申し上げたい。 それから第二点は、中曽根総理がもう口を開くたびにこれから抜本的な税制改正をやりたい、公平、公正、簡素、選択、まあ活力というのは抜きにいたしまして、公平、公正、簡素、選択と。ところがその具体的なイメージになると、少しも説明をいただいていない。税調に諮問したいということになってくると我々は本当に困るわけです。これも全くの個人的な御見解で結構でございますから、この公平、公正、簡素、選択ということにどんなようなイメージをお持ちになりましたか、もしお差し支えなければお教えをいただきたい。 以上、二点でございます。
○参考人(小倉武一君) 第一点の御質問は、給与所得者の所得控除に関するお尋ねだと思いますが、私どもまだしっかりけさの判決を読んでおりませんのでよく理解しておらない点があるかと思いますが、サラリーマンの必要経費を積み上げて云々するということの必要性がうたわれているとは思わないんですけれども、しかしながら給与所得控除の水準については時折やっぱり検討するという必要性は当然あるだろうと思います。現在の水準がいつまでもいいとは限りませんので、そういう意味においては検討をしなければならない問題が含まれておるというふうに思います。 第二点の、総理の国会で申されております、何といいますか、税制の基本的な考え方の中の公正だとか公平だとか、あるいは簡素であるとかいうようなことをおっしゃっておりますが、選択という何か理解がちょっとしにくい点があると思いますが、選択というのは多分、どういう税制がいいかということを国民の選択にまつという趣旨だろうと思います、総理に直接お伺いしたわけじゃありませんけれども。したがいまして、その趣旨を考えますというと、恐らく税調もそうでしょうが、政府としましても今後の、今後といいますか、中期税制のあり方にしましても翌年度の税制の改正にしましても、重要問題については、こうだというふうに決めてしまわないで選択肢をつけておく、そして世論に聞くというような御趣旨じゃないかというふうに考えるわけですが、これは一つの見識だというふうに考えます。私ども税調でもそういった趣旨のことをやっぱり踏まえて中間報告をしたりなんぞしたこともございます。 なお、もう一つ重要なことは、総理の言葉はどこに入っているか知りませんが、税制の中立性といいますか、税制でもって産業経済に思わざる影響を及ぼすというようなことがないようにということが一つやはり重要なプリンシプルだと思いますが、そういうこともひとつ考慮して今後の税制をやっていく必要があるかと思います。
○青木茂君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(藤井裕久君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十五分散会