商工委員会 第17号
- 発言数
- 208 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/05/28
会議録
○委員長(降矢敬義君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 中小企業技術開発促進臨時措置法案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○梶原敬義君 私はこの法案につきましては原則として賛成でありますが、この法案をちょっと読んでみまして、あるいは衆議院での審議経過等つぶさに検討した結果、幾つか疑問点もありますので、次々に質問いたします。 最初に、この法案の大きなタイトルでありますが、中小企業技術開発促進臨時措置法、こうなっておりますが、頭に中小企業という大きな冠がかぶさっておるわけです。法案の中をずっと見てみますと、この法案が適用されるというか、この法案と関係がある中小企業の数というのは非常に狭まってくる、恐らく狭い範囲でしか適用をされないだろう、こういう見通しを持つものであります。 なぜかといいますと、今我が国の中小企業というのは、政府の発表しております数字によりますと約六百万、そこで働いている従業員の数は三千七百五十万から約四千万近い。その中には最近の傾向といたしましては第三次産業に労働者の移動が非常に大きく始まっておる。こういう状況の中でこの法案が適用されるというのは、主に製造業、製造業の中でもまた相当限られてくる。こういうことでありますから、どうも頭に中小企業というと、これは中小企業がみんな、製造業もあるいはサービス業も小売業も、これは皆が関係してくるような感じを一般に受け取るわけですが、中身はそうなっておりません。この点について通産省のお考えをお伺いいたします。
○政府委員(黒田明雄君) 私どもが本法案を提出させていただきました基本的な理由に関係する御質問でございますので、どういう考え方からこのような法案を政府で立案したかという点について若干お時間をいただいて御説明させていただきたいと思います。 現在、社会、経済の実態変化を見てみますと、第一には、需要の構造が急速に変化してきているというふうに認識いたしております。それは一言では需要の多様化というふうに言われるわけでございますが、国民ニーズが非常に多様な内容を持つようになってまいりまして、小さな需要でバラエティーに富んだものというようなことに変質してきているというふうに考えております。 これと裏腹の関係にあると思うのでございますが、各種の各方面の技術の分野を見てみますと、新しい技術革新が見られるわけでございまして、その技術の内容は、やはりこれまた細分化あるいは複合化といっていい変化を示してきているというふうに思うわけでございます。従来の化学工業、石油化学でございますとか、鉄鋼業でございますとかあるいは原子力関係の技術でございますとか、ああいった大型技術が中心になるのではなくて、最近ではマイクロエレクトロニクスでございますとか、バイオテクノロジーでございますとか、新素材でございますとか、そういった新しい技術が急速に開発され、発展してきているわけでございます。 その中身は非常に細分化された技術の一つの集合として成り立ってきていると思います。とりわけ、応用分野、周辺分野が広がっておりまして、この面では中小企業もこの技術革新の流れにうまく即応できるならば、新しい発展の可能性をつかみ得るというふうに思うわけでございます。そして国民のニーズが多様化しているそういったニーズに対応し得る中小企業としても発展できるわけでございまして、技術面及び需要の両面から見まして、中小企業が新しい技術開発に取り組む一つのチャンスがめぐってきているというふうに思っております。 ただ、従来の中小企業を見てみますと、やはり技術開発面においては大企業におくれをとる点がございます。そういった意味で、技術開発面のおくれをやはり取り返さなければ、新しい機会に恵 まれているにもかかわらず、発展の可能性を摘まれるというおそれがございますので、この技術開発の流れに即応して中小企業が技術開発に取り組むことができるように、ひとつこの際施策を講ずる必要がある、このように考えているわけでございます。 そういう意味で、私どもこの技術をカバーする範囲といたしましては、中小企業につきましては特に業種を限定いたしませんで、大きくは製造業それから小売、販売、流通、サービス一般を含めまして中小企業が全部カバーできるような範囲を考えております。ただ、技術につきましては、先ほど申しましたような理由によりまして一般的な技術をねらいとせず、技術革新の流れに沿った技術開発をこの際振興していきたい。とりわけ、従来の中小企業は技術導入型でございましたが、この導入依存の中小企業の体質はやはり長い目で見て是正していかなければいかぬ。みずから技術開発をすることができる力をつけていかなければいかぬ。技術開発力の涵養ということがこれからの政策課題になるというふうに考えておりまして、そういう意味では、若干従来の技術開発促進施策と、色合いと申しましょうか、異にしている点がございます。 それは一つの「著しい新規性」という概念でございます。私ども従来から技術開発施策というのは一般施策として幅広く講じてきております。技術改善費補助金でございますとか、研修でございますとか、技術指導でございますとか、異業種交流でございますとか、一般的には技術開発施策、それから税制でも技術開発税制を講じておりますし、特にことしは中小企業技術基盤強化税制というものを導入することにして一般的な技術開発を促進しているわけでございますが、その上乗せといたしまして、今言ったような政策目標に適合するような手段を立法化したい、このような意図に出るものでございます。したがいまして、一般的には技術開発は当然新規性があるわけでございますが、それと若干異なる著しい新規性を持った上乗せ施策というものを目指しまして、そのために手厚い助成措置を用意して、中小企業に一つのチャレンジをしていただく、かような立法趣旨でございます。 そういう意味では、現在の社会経済の情勢を前提とし、中小企業が抱えている現在の問題点、それに政策として目指すべき方向というのを考えますと、中小企業の技術開発で現在最も重要なものがこの法律の第一条の「目的」に書いてあるところに集約されるような事柄ではないかというふうに考えておりまして、題名としては、今の中小企業技術開発促進臨時措置法という題名にしたわけでございます。
○梶原敬義君 黒田次長の話を聞いておりますと、何かいいような感じを受けるんですが、どうも衆議院の審議を聞いておりましても、初年度適用される数というのは、組合でいうと大体四十ぐらいではないか。そうしますと、個別企業では数というのはごく限られてくるだろうと思うのですね。六百万ぐらいある中小企業の中で、そういいますとごくわずかになってくる。しかし、大きく中小企業と、冠をぱっとかぶせて、ここのところを私は聞いておるわけでありまして、この法律をつくった場合に一体どのくらいの中小企業に手が施されるのか、その点について見通しかたがたお尋ねいたします。
○政府委員(黒田明雄君) 私ども事前にこの法律を構想いたしますときに、各都道府県を通じてとりあえずこの種の技術開発に取り組む組合の実態調査というのをしたわけでございます。それによりますと、三十七府県の回答が寄せられまして、まだ十県余りの県からの未回答の集計なんでございますが、大体百五十七の組合が手を挙げておりました。この組合が今後さらにふえると思いますし、他方、また県や国の予算措置をにらんで落ちていくところもあろうかと思いますので、最終的にどういうふうになるかということは必ずしもわからないのでございますが、相当数の組合がやはり取り組んでくれるのではないか。 この法律はとりあえず十年間の時限立法といたしておりますが、今後法律の施行の推移を見ながら、さらに施策を拡充していくということも考えられますし、特に今梶原委員の御指摘になられました四十組合と申しますのは、初年度の予算規模を積算する際に一応想定して置いておる数字でございますけれども、こういったものも推移を見て今後考えていきたいというふうに思うわけでございます。その場合、四十組合の中身には、いわゆる産地組合というものも相当数含まれておりまして、この産地単位の組合は非常に多数の加入中小企業者を持っておりますから、一見少なくは見えますけれども、全体をカバーする範囲はその印象よりも大きいというふうに考えていいのではないかと思っております。 それから、中小企業の個々の中小企業者につきましては、必ずしも現在これにどれくらい乗ってくるかというのがよくわからないのでございます。この点について私ども大いに施策のPRに努めまして、できるだけ多くの中小企業者が私どもこれから掲げようとしております指針にのっとりまして、新しい技術開発の潮流に呼応して研究開発に乗り出そうという中小企業の出現を強く期待して施策を進めていきたい、かように思っております。
○梶原敬義君 私は、先週地元に帰りましていろいろと調べてみたんですが、県の関係で当面法律ができて考えられるところというと、四つぐらいを県の中小企業振興会の方で言っておりました。私も大体全県内を、選挙区を回っておりますし、もうずっと地元で生まれ育ったものですから、大体のことはわかっておるんですが、約一万六千ぐらいの企業が我々の県でもあるんです。果たしてこの法律を考えた場合に、一体この法律ができて、使えそうなところというのは、とりあえず待っているようなところは幾つあるだろうかなと。なかなかやっぱり思い浮かばぬのですよ。一つか二つ思い浮かんだところに行って、いろいろと意見を承ったんです。一万六千ぐらいある中小企業の中で、次長が今言われたような関係で行きまして、さあ中小企業の皆さんよ、この法律できたからいらっしゃい、この指針に沿ってやりなさいと言っても、飛びつくのは飛びつくでしょうけれども、ぴんとこないんです。だから、中小企業のためのとかなんとかいう表現ならいいんですが、中小企業と、冠をばっとかぶせて、やっていますよというのは、どうもその辺がしっくりこないんですが、もう一度その辺に限って。
○政府委員(石井賢吾君) 今的確に何社この法の適用を受け得る中小企業が存在しているかを申し上げる段階ではございませんけれども、一つの参考になる数字を申し上げたいと思います。 五十八年度に中小企業の研究開発支出、これが全体で二千三百億円でございます。別途科学技術庁の調査によりますと、中小製造業の約一二%が研究開発に参画をしておるという統計があるわけでございまして、これで考えてみますと、約七万から七万五千企業の中小製造業が現に研究開発を行っているというふうに推定できるわけでございます。 今梶原先生の大分県の例でのお話からいたしますと、大分数字的に違いが出てまいりますけれども、現在、五十八年度におきます中小企業の研究開発によりまして、これまでございました研究開発費用の増加試験研究費税額控除制度がございますが、この制度の適用をやはり中小企業が受けておるわけでございますが、その免税額というのが約十九億というふうに国税庁の方の統計では出ておるわけでございます。そういう意味において、実はこの数字は全体二千三百億円の支出に対して余りにも小さ過ぎるということで、六十年度、先ほど次長から申し上げました中小企業技術基盤強化税制を実施することといたしたわけでございます。そういったような背景から、私どもこの法律施行の段階において、指針に沿った形での研究が、そういった母数の中から出てくるのではないかというふうに期待をいたしておるわけでございます。
○梶原敬義君 それでは、この法律ができれば、これからどんどんどんどん研究開発をあおって、そして進めていく、こういう受けとめ方をさせていただきたいと思います。 それから、通産省の資料をいただきました中に、一つは中小企業と大企業との生産性格差の最近の拡大傾向、それから試験研究費の伸び率、この二つの資料とグラフをいただきました。最近の傾向といたしまして、一体なぜこういうような傾向になってきたのかというのは、通産省の説明というか、基本的に考えられていることとニュアンスが若干私は違うと思うんです。 それは、私はやっぱり、今特に低成長になりまして、中小企業というのはなかなか経営が厳しくなりまして食えないわけです。そういう状況の中で、一つはやっぱり生産性の格差、なかなかつくっても売れませんし、競争条件が悪いわけですから、生産性格差が一つはやっぱり広がってきている。それから試験研究費、開発費についても、やはりそういう、まず毎日毎日一体どうするか、ここが一番急がれるわけですから、こういう状況の中ではなかなか試験研究開発にお金を、海のものか山のものかわからぬところになかなか資本投下やりにくい、こういう状況が底流に、基本にずっと流れている。ここのところを私はしっかり、施策をやる上においてはまずそこを真剣に受けとめていただいて、そこからじゃどうするかというようなやはり政策展開、皆さんの立法の基本をそこに置いていただかなきゃどうも現実と遊離しているんじゃないか、こういう感じを強く持ったわけですが、いかがでしょうか。
○政府委員(石井賢吾君) 私ども今回発表いたしました中小企業白書におきまして、大企業と中小企業の生産性格差の拡大傾向を一つの原因といたしまして、中小企業のいわば資本生産性の相対的な優位性の低下にあるんではないか。この資本生産性の相対的優位性の低下の原因とは何かということを考えまして、これにはやはり技術革新成果の取り込みのおくれ、あるいはソフトな経営管理面での対応のおくれ、こういった面が大きく原因をなしているんではなかろうかという判断をいたしたわけでございます。 その場合、当然のことながら、技術革新成果の取り込みのおくれというのは、今先生御指摘のやはり大企業と中小企業の研究開発支出の差にも起因する面は否定できないわけでございます。現実にここ五年間をとりましても、大企業の研究開発支出は年率十六%で伸びておるわけでございますが、中小企業の研究開発支出は年率九%ということで、ほぼ倍近い差がございます。 そういう意味におきましては、現状の生産性格差あるいは賃金格差、こういったものの是正をねらっていくというためには、やはり積極的な中小企業の技術開発への参画なくしてこの解決を期待することは非常に困難ではなかろうかという判断をいたしたわけでございまして、今後研究開発をするには、規模の過小性による不利というのは当然つきまとうわけでございますし、それから先生の御指摘のように、チャレンジするにはその前提として経営基盤が安定していなければできないはずであるという御指摘はそのとおりでございますので、そういった施策面の充実、例えば六十年度におきましては従来の政府関係金融機関の貸出額を大幅にふやし、かつ従来の長期安定資金の七年というのを十年に延長いたしまして、そういった経営基盤の安定化のための金融措置を講じながら、同時にチャレンジしていく中小企業に対する支援措置を進めることによって技術開発力を強化しようということで、今回の法律案を提出するに至った次第でございます。
○梶原敬義君 生産性の開きにつきまして、局長のお考えは、ちょっと聞き漏らしたかもわかりませんが、技術開発がおくれているという、ここがやっぱりポイントのような、そういうことなんですか、今。
○政府委員(石井賢吾君) 従来は、適正生産規模を描きまして、そこへ中小企業の資本装備率を高めることによって生産性格差を解消しようという、物的な生産性の改善の基本的なアプローチといいますか、そういった面から中小企業対策を見てきたわけでございますが、今回は大企業との間の付加価値生産性が拡大傾向にある中で、大企業と中小企業の資本装備率格差というものはほとんど変わってないわけでございます。 そういたしますと、資本装備率を高めることによって生産性格差を縮小しようという考え方が果たして成立するのかしないのか、あるいは物的設備以外にその設備を管理するいわばソフト面、あるいは市場の先行きを見る先見性とか、いろんな面もございますが、同時にやはり技術革新成果の取り込みということも大きな要因をなしているんではなかろうかというふうに判断をいたしたわけでございます。 例えばソフトの面で、これは当たっているかどうかわかりませんが、例えばウォータージェットを入れましてそれを三交代でなく二交代でやれば、有形固定資産額というのは資本装備率という面で非常に上がりますけれども、逆に資本生産性、要するに有形固定資産一単位当たりの付加価値額は減ってしまうというような結果になっておるわけでございまして、決して経営のソフト面での管理の重要性を否定するものではございませんが、あわせてやはり技術革新成果へのキャッチアップということが同時に重要なんではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○梶原敬義君 私はそういう面があるのも否定はいたしませんが、狭い範囲で物を言うかもわかりませんが、私は中小企業を大体をもうばあっと見ていますから、頭の中に入っていますから、普通一般的に、東京周辺はどうかわかりませんが、そう大なり小なり差はないと思いますが、中小零細企業というのは、どっちかと言いますと身近な、我々の衣食住に直接関係のあるようなものをつくっているのが、下請なんかは別として、やっぱり多いと思うんですよ。要するに製材なら製材にしても、いろんな衣料にしても多いんじゃないか。 そうしますと、やはり生産性が落ちるというのは、国民の所得がずっとここのところもう伸び悩んでおるでしょう、可処分所得が落ちておる。だから、買うのはなかなか買えない、辛抱していく。家も建てたいけれども建てられない。こういう状況がずっとどんどん積もってきておりますから、どうしてもそういう直接我々とかかわりのある衣食住に関係するようなものをつくっているところというのはやっぱり売り上げが落ちてくる。落ちてきますと、なかなか思い切ってつくったってそれは在庫を持つだけですから、これはそう簡単にいかない、結局生産が落ちる、そうすると生産性も落ちてくる。こういう傾向は、私はたくさんそういう事例を見てきているもんですから、一体どうなのかというのを、資本装備率の問題だけじゃなくて、ここのところをひとつしっかりとらえた上で、それからどうか、こういう議論になるんではないでしょうかね。いかがでしょうか。
○政府委員(石井賢吾君) 先生の御指摘もある一面で私否定すべきものではないと思います。 例えば先ほどの白書の作成の段階におきまして、中小企業の資本生産性の大企業に対する相対的優位性と申しますか、これは当然のことでございまして、有形固定資産一単位当たりの稼ぎ高を資本生産性と申すわけでございますから、中小企業の場合には、小さな資本設備に労働力を付加することによって稼ぎを得ていくという、平たく言えばそういった生産体制でございますから、有形固定資産額というのは相対的に小さくなる、それで稼ぎ額が大きく出るわけでございますので、大企業の大資本設備を使った操業よりも、言うならば一単位の有形固定資産の稼ぎ高は大きいわけでございますが、これが五十三年半ばから極端に落ち込み始めておりまして、この優位性が相当程度縮まっておる。これは先生御指摘のように、全体の市場がふえないからそれで操業率低下、これ先ほどちょっと申し上げましたウォータージェットを入れた場合の操業率低下にも当たるわけでございますが。 また一方で、こう言う学者先生もおられました。 例えば二次にわたるオイルショックで大企業は相当徹底した減量経営を行った、ところが中小企業はそれを大分怠っているんではないか、そういった面の反動がここへ出てきているんではないか。いろんな先生方の御意見ございましたが、やはり基本的には経営管理面、生産管理面のソフト面の充実、それから技術力の向上、これをもってしか乗り切っていけないんではないかという御意見が多数ございまして、基本的にその考え方で私ども整理をいたしたわけでございます。
○梶原敬義君 それから試験研究費については、これもいかに中小企業であっても、企業がもうかっておればやはり次のために、悪くなったときのために手を打つし、やはり研究費というのはもっと私は上がってくる筋のものだと思っておる。先ほど言われましたように、ここのところずっと一六%ぐらいで大企業は伸びておって、中小企業は九%ぐらい、五十三年から五十七年度の平均の伸び率が。ちょうどこのころは、企業を取り巻く環境、状況が非常に厳しいわけです。こういうときに試験研究費にどんどん金をつぎ込むような中小企業というのは、よっぽどいいところじゃないとなかなかないわけなんですよ。 だから、やっぱり中小企業対策というのは、私は前から議論しておりますけれども、もう少し物が売れて、そしてつくる物が、もっと稼働率が上がるような、ここのところの対策を抜きにして中小企業対策というのはあり得ないと思っているんですよ。だから私は、試験研究費がずっと落ち込んでいるのも、どうも技術導入型だから落ち込む、中小企業の努力が足らない、こうじゃなくて、やりたいけれどやれないという状態がこういう状況に来ているということ、こう強く感ずるんですが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(石井賢吾君) 五十三年、五十四年後半からの景気停滞の時期が非常に長く続いたわけでございますが、その間にも平均年率にして九%の研究開発支出の伸びが記録されたということは、やはり中小企業経営が非常に厳しく、あるいは環境が、経済全体が明るくなくてもやはりその必要性があり、またその意欲を持った中小企業がこれを行ってきたのではないか、私はそういうふうにむしろ受け取りまして、こういった中小企業のニーズにこたえるような施策の展開を図っていく必要があるのではないかというふうに考えまして、六十年度から、例えば先ほど申し上げました技術基盤強化税制をスタートさせることにいたしたわけでございますが、そういうことと相まって、こういった中小企業が潜在的に景気停滞の中でも研究支出を減らさずに伸ばしてきた、これはトータルとしてでございますから、それぞれの企業、個々の企業においては行き方が違っておると思いますけれども、そういった中小企業のニーズをくみ上げるべきではなかろうかというふうに考える次第でございます。
○梶原敬義君 なかなか、長官とか次長と議論していますと、聞いておると何か引き込まれていってわけがわからぬことになるんですよね。 大臣いかがでしょうか。大臣はやっぱり選挙区のことを御存じで、中小企業の皆さん知っておると思う。大臣になれば選挙区に帰らぬでもいいかわからぬですけれども。やっぱり大臣がおつき合いしている選挙区の皆さん、中小企業の皆さんで、試験研究費にどんどん金をつぎ込むような余裕のあるところは一体どのくらいあるか。あるいは生産性も、最近はやはり物が売れればつくるんだけれども、なかなかそれは簡単にいかぬという状況も把握されていると思うんですが、僕は、だからそこのニュアンスの違いというのは非常に問題があると思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(村田敬次郎君) 選挙区のお話がございましたから申し上げますが、私は愛知県の一番東の農業の盛んな東三河という地域でございますが、ここはやはり中小企業の非常に多い、盛んなところでございまして、したがって、なかなか経営も苦しいし、梶原委員が地元を見られて指摘したような印象を持っております。しかし、全般として見ますと、通産省としては、中小企業に対して倒産防止対策を初め、金融、税制対策、下請中小企業対策及び組織化対策などによって経営基盤の強化をするように努力をしておるわけでございます。 また、特に中小企業におきましても、技術革新の進展などの著しい環境変化の中でいろいろ工夫をこらしておるわけでございまして、私は、ある意味で言えば、大企業が非常に大きくなり過ぎてしまったために、なかなかもって経営についての、何と申しますか、機動性と申しますか、そういうものが、対応力が小さくなっているというのに比べれば、中小企業で技術革新あるいは新しい情報化といったような問題に真剣に取り組んでいけば、中小企業にとって非常に明るい未来があるんだということを感じるのでございまして、そういった考え方から技術開発問題等についてはひとつ力を入れてやってみたい、このように考えております。
○梶原敬義君 どうも大臣の答弁は近ごろ、ずっと黙って聞いておるんですが、優等生答弁になりまして、余り荒っぽさがないんで、近ごろは魅力も感じていないんですが、いずれにいたしましても、私はやっぱり中小企業の皆さんや何かともよく相談しますし、いろんなことを言われて感じているのは、枝葉で何かをやるんじゃなくて、抜本的に、一体中小企業はこれどうするのか、このままでは先がもう見通せぬ、こういうことを言われる雰囲気というのは、もう圧倒的に多いわけでありますね。幾つかはその中でもうまくいっているところもあるわけですが、やはりいいところの、優等生の幾つかじゃなくて、その大多数の問題のところを一体どうするのかというところをやはりポイントに置いて考えてもらいたい。これが先ほどから、この法案と直接関係ありませんが、しかし頭に中小企業というのを大きくかぶせているものですから、いや中小企業全体だ、こういうことになればどうもそうはいかぬのじゃないか、こういう気持ちであります。 そこで、この法案ができるまでの大体の経緯ですね、これを簡単にひとつ要領よく御説明をお願いをしたいと思います。
○政府委員(黒田明雄君) きっかけになりましたのは、実は中小企業の中でも、ベンチャービジネスと言われるグループに属する中小企業が、今後非常に発展の可能性も秘めているし、諸外国、特にアメリカにおけるベンチャービジネス振興策に照らして、我が国の施策は貧困ではないかというような問題意識が起こってまいりました。ベンチャービジネス研究会という勉強会をつくりまして、学識経験者の方々の参加を得て研究していただいたわけでございますが、その結果一つの答申が出されました。 私ども、しかしながら中小企業数ある中で、ベンチャービジネスと言われる特定少数のものに絞ってこれを支援するという施策は、果たして現在の社会経済の実情に照らして適当であるかどうかというふうに考え直しまして、こういうベンチャービジネスと言われるものに限らず、もっと幅広く中小企業が技術開発の新しい流れに即応できるような体制をつくり出したい、こういうふうに発想したわけでございます。そのために、例えば法案につきましては組合というものを非常に中心的なものに据えまして、税制なども特に中小企業組合の方に力点を置いてつくっているわけでございますが、これは一握りの中小企業のためではなくて、そういう人ももちろん入るでしょうが、幅広い中小企業が相互扶助の精神によって、能力のある人ない人、あるいは部分的能力を持っている人たちが相寄って研究開発を進めるものを中心に据えて支援するというような発想があるわけでございます。 もちろんこの特定の技術開発の潮流に沿った技術開発を進めるわけでございますが、これはあくまでも上乗せの措置として考えよう、一般的な技術開発の施策は従来からやっているわけでございますが、これも大いに拡充する必要があるということで、技術改善費補助金などにも工夫を凝らして増額をいたしましたし、また特に新しい税制といたしまして、中小企業技術基盤強化税制というものを今回実現したわけでございます。この減税規模は大体百四十億円になるのではないかと思われるわけでございますが、そういった一般的な施策の強化、拡充と、この新しい技術開発、技術革新の潮流に沿った上乗せ措置とを合わせわざといたしまして中小企業の技術開発を支援していきたい、こういう経緯と発想で対処してまいったわけでございます。 手続的に申しますと、私ども中小企業近代化審議会というのがございますが、そこにお諮りいたしまして、そこの中に政策小委員会というのが設けられまして、これは技術の面での学識経験者、それから経済学の面におきます学識経験者、それから実際に中小企業を指導しております県の公設試験場の場長さん、それから中小企業の代表者、こういった方々に御参加いただきまして、答申を得まして、その答申を立法化する形で法案に取りまとめて提出したわけでございます。
○梶原敬義君 この法案と、先般この委員会でも審議をいたしました基盤技術研究円滑化法、これとの関係もなかなかわかりにくいんですよね。どうもこれが一方で出て、一方でまた中小企業の関係でこれが出たというようなとり方も、しかしどうも今聞いておりますと、経過は別々の経過で出てきているようでありますが、この円滑化法とこれとの関係について紛らわしいところがあるんですが、この点についていかがでしょうか。
○政府委員(黒田明雄君) 通産省がことし、いわゆる一丁目一番地の施策として技術開発というのを取り上げているわけでございますが、中小企業庁の施策といたしましても五つの柱を立てておりますが、例えば経営基盤の強化でございますとか、小規模企業者への支援でございますとか、地域における中小企業対策でございますとか、そういった柱と並べまして、技術と情報に対応する中小企業への助成というのを打ち出したわけでございます。これも実は中小企業施策の中の一丁目一番地と位置づけております。 経過的にはむしろ私どもの方が、ベンチャービジネス研究会が発足したということから考えますと、我々の方が一年先輩であったわけでございますが、たまたま、そういう通産省全体としての実態認識から、政策的位置づけとしては、ともに一丁目一番地の施策として考えられたわけでございます。 それで、法律的な相互の関係でございますが、あちらの基盤技術の方は、文字どおり基盤技術に限られておりまして、我が国が基盤技術の試験研究におきます諸外国との間におけるおくれ、とりわけその分野における民間活力の導入のおくれに着目いたしまして、こういったおくれがちな基盤技術の試験研究に政府がやはりある程度の触媒的機能を果たすべきであるという発想から、あのような法案構想ができ上がったと承知いたしております。そして、これは中小企業も大企業もともに対象になるわけでございまして、必ずしもあれは大企業の法律ではなくて、中小企業が能力を有し、意欲があればもちろん対象になるというふうに構成されております。 私どもの、このこちらの法律でございますが、中小企業は基盤技術ももちろんこなすと思いますけれども、それはやはり少ない点は否めないと思います。中小企業はもう少し幅の広い——とりわけ大きな技術になりますと大企業が得意といたしますけれども、今の新しい技術の流れ、これは先ほど言いました細分化、複合化の傾向にあるわけでございますが、とりわけ周辺的な技術、あるいは応用面における技術の開発は、中小企業がむしろ得意としておる分野でございまして、こういったものを中心に、新しい技術革新の流れに沿った中小企業の技術開発が起こってきつつあるし、将来も発展するに違いない、それでこれを幅広く支援したい。 したがいまして、試験研究の段階にとどまらず、もっと先に進んだ企業化の段階、商業化の段階、こういった点まで含めまして中小企業の技術開発を支援すると、もちろんこれは中小企業に限られます。限られますが、基盤技術には限られず、すべての技術開発、もちろん新規性などの要件が必要でございますが、そういったものをカバーする、それから研究開発も初期的な段階、基礎的な段階にとどまらず、企業化、商業化の段階までカバーする、こういった形で中小企業の特性に合った技術開発を促進するという趣旨の立法になっておりまして、相互の関係は、今申しましたように、一部中小企業が向こうの法律にも対象になるという点で重複はございますが、大部分中小企業の分についてはこちらの法律で対処できるというふうに考えております。
○梶原敬義君 次長、言葉じりをとらえるようですが、向こうの法律とかなんとかいったって、我々議論するときには、大臣が出まして、通産省を相手にして……
○政府委員(黒田明雄君) 済みません。
○梶原敬義君 あなたたち同じように議論しておって、向こうもこっちも我々にはないんです。 中小企業が一部基盤技術研究円滑化法の対象になるだろうというような表現もちょっとされました。これも、我々も議論するときには、やっぱりこれは大企業のための法律じゃないかと、中小企業はどうなのかと言ったら、いや、それはもう中小企業も同じですと、平等ですと。答弁聞いておりましたら、いかにも中小企業もどんどん円滑化法のこれは助成措置やなんかの恩恵をこうむる、こういうような話をちょっと聞いて、ああそうかと、そうならまあまあいいわと、こう思いながら議論したんですが、今のお話ではどっちかというと、この基盤技術研究円滑化法の関係は中小企業は少ないだろうと、こういうことじゃちょっと困るんです。 それから、中小企業の振興に関するいろいろ紛らわしい法律が、助成措置から資金の補助金とか、あるいは税金の減免措置とか、きのうも課長の方からいろいろ資料もらって、私はこれはどうも、大臣勉強されているようですが、大臣が見てもなかなかわからぬと思う。私も帰りまして、一体中小企業に対するどういう通産省の施策があるのかと、こう聞かれて、おいちょっと待てよと言って、通産省から出た本を、これ見ろと言ってぽっと上げるでしょう、一々あれしておったら一時間ぐらいかかりますからね。もう紛らわしくてしようがない。 円滑化法ができて、ここでまたこの法律ができると、次々次々ともうわからなくなる。これはどうかならぬですかね。一本にまとめて、もう少しだれが見てもわかりやすいとか、どうも今の基盤技術研究円滑化法のこれとの関係のお話を聞いておりましても、それは中小企業の技術開発と基盤技術研究と、ちっとはニュアンスが違いますけれどもね。何かもうちょっと、法律をこんな次々ふやして、弁護士を次々にふやすような、そんな感じにしか受けとれぬのですが、一体どうなんてしょうか、この点。
○政府委員(黒田明雄君) 基盤技術研究円滑化法は、先ほど申しましたように、基盤技術の方の研究開発を促進するわけでございますが、中小企業も、先ほど私も申し上げましたように、この分野で活躍はしているわけでございます。しかし、総体的に申しますと、中小企業はどちらかというと、応用分野の方が得意といたしておりますし、周辺技術、応用技術をむしろ中小企業の自分の商売に密着した形で企業化し、商業化していくという分野が大きいわけでございます。したがいまして、基盤技術の研究開発に中小企業が入る、入らないということを私は申し上げたのではなくて、中小企業全体を見てみると、やはりそのウエートは、この応用技術、周辺技術の研究開発、そしてそのカバーする範囲は基礎的な研究にとどまらず、むしろ企業化、商業化の方に施策の厚からんことを求めているというふうに理解しているわけで、先ほどのように申し上げたわけでございます。 それから、施策が錯綜して非常にわかりにくいという点については、私どももそういう感がないではないというふうに思っておりますが、実は御承知のように、中小企業と一口に申しましても、製造業から商業、サービス業までございます。そして、製造業の中にも、また業種別にいろんな特性を持っておりますし、規模別にも違いますし、足らざるところもまた違うわけでございます。 したがいまして、いわば私どもとしては多くの中小企業者に中小企業の施策を利用していただくためには、内容ただ一筋の施策というのでは使えない中小企業が出てまいるものですから、各種の施策を用意し、またその足らざるところをこうしてほしい、ああしてほしいというところがいろいろあるものですから、それにこたえるような形で多様な施策を展開をしなければ実効ある施策にならないといった面で、非常に一見複雑な体系になるわけでございますが、できるだけこういったものについては中小企業の皆さん方に理解していただけるようにPRに努めておりますし、またその「施策のあらまし」とかいろいろ出版物を出しまして、指導に当たる人、県の関係者あるいはその他の中小企業の関係の指導員などございますが、そういった手足を通じまして正確な情報が伝わるように努力いたしておりますし、今後もそうしていきたいというふうに思っております。
○梶原敬義君 また言葉じりをとらえるようですけれども、中小企業は応用型だと、もともとこの基盤技術とかあるいは研究開発に弱いんだという今言われ方をしましたけれども、それはそうじゃなくて、中小企業はやっぱりみんなやりたいんですよ、だけどやれないんですよ。結局、その日その日どう食うていくかでね。そこのところを、何というんですかね、余り大ざっぱにとらえられて、そこから物を考えられるというのに、どうも先ほどからぴんとこないところがあるわけですよ。 それから、施策の問題についていろいろ言われましたけれども、私この前帰って新聞を読んでいましたら、割賦販売のクーリングオフの問題で、いろいろ問題が最近起きておりまして、地元で調査をしたのが新聞に載っておりましたが、四日が七日になったのを知らないというのは、六十何%が知らない。だから、法律をどんどんつくるのはいいけれども、これは国民が知らなきゃ意味ないわけでして、まあ頭の中でどんどんどんどんそれはつくるのはいいでしょうけれども、もう少し下までわかるように、そしてそれが本当に利用されるようにならなきゃ僕は意味がないと思う。 それから、まあいろいろ、私は今決算委員会におりますから、今度一回調べて、あなたたちがつくった法律が過去ずっとありますよね、中小企業の助成策やいろんな。これ全部調べて、どこがうまくいっていないか、むだな金が入っているか、入っていないか、一回調べて、私決算委員会でやろうと思って、今ぼつぼつ準備にかかろうと思っている。私が知っている範囲におきましても、幾つかこの近代化資金あたりを使ってやっていて、もうばらばらになっているところがあります、形だけ残って。そして当初の組合で、印刷の関係ですから、ずっと集まったんですが、みんな手を引いて、ごく一部でやっているというのがある。まあそんなのが幾つかあるわけで、今黒田次長はいいんだ、いいんだと言われるから、私はちょっと言いたくなるわけでして、必ずしもうまくいってないのがやっぱり随分あるということをひとつぜひ承知していただいて、今度も法律をつくったから、じゃこれでいいんだというような問題ではないと思っております。 私は先般地元で、この法律のかかわりのありそうなところの社長に会ったんですが、土曜日の四時過ぎから五時過ぎまで話をしておりましたら、そこの従業員は、まあ中小企業ですが、もう土曜日にもかかわらず五時までみんな働いておるんですよ、一生懸命。働かなければ食えないからね。ここは新幹線のパンタグラフというんですかね、走る、これをつくっている企業ですね。これは特許を二十ぐらい持っている。国鉄と一緒に開発して、開発した分は半分国鉄に特許やって、半分自分が持っているという形で、合計二十、実用新案か何かが三つかね、そんな会社で、まだ特許を今三つか四つ出している。特許も時間がかかってしようがないですよと、こう言っていました。 大臣ね、この前特許法の改正やったんですが、特許を申請して、それが結果出るまでね。そこで話をしておりましたが、どうもこれはうちにもこの法律で一部新素材の関係で適用できるところがあるけれども、なかなか新しいものを開発をしても、問題は売れるかどうかが一番ポイントで、製品化して売れるかどうか、これは大変なことですと。大体研究開発して、それにうつつを抜かすような人は中小企業の中でも気違い扱いにされるところが多いというんですよ、彼に言わせるとね。そういうものに大体金を出して先を買うといったって、なかなか今はそうは簡単にいかぬから、これはよっぽどのことじゃないがなかなか難しいんだと、こういう話をしておりました。 そこで、大臣がこの法律の法案説明をするときに、提案趣旨をここで述べられましたが、その提案趣旨の中で、「昨今の中小企業をめぐる環境をみますと技術革新が急速かつ広汎に進展し、技術の細分化・複合化傾向が増大する一方で、国民ニーズの多様化・高度化・短サイクル化の傾向が強まっています。」云々と、こういう提案理由の説明でありまして、先ほど黒田次長もそういうことを言っておられました。 しかし突き詰めていきますと、技術を開発して、その次の段階では商品化、製品化して売るという段階になりますと、やはり企業にとりますと、それはダイヤモンドみたいなものをぽっと一つつくって売るというわけにいかない。連続して生産し、やっていくということになりますと、これはやはり多量生産のメリットといいますか、中小企業は中小企業なりにやはり一定時間における生産量を上げていく、そうすることによって設備に対するコストが安くなるし、あるいは一人当たりの労働力に対するコストも安くなってくるわけでして、やっぱり何といいますか、コスト低減をするためには、そこなりに多量生産のメリットといいますか、これは当然追求をしなければならないわけです。そうしますと、なかなかやっぱり中小企業というのは売ることが、コストと販売——この販売もなかなか販売網持っておらない、非常に難しいわけです。 ある大手の、最近はやりのエレクトロニクスやなんかやっているメーカーの話あたり聞きますと、中小が一生懸命開発すれば、それは技術を吸い上げて、そしてうまく巻き込んでやる。なかなか今中小の新しいものを開発した人が、まあ例外は別として、そう簡単にうまくいくような時代ではない、こういう話も聞きましたが、この点についてお考えをお伺いしたいと思います。
○政府委員(石井賢吾君) 一つの技術開発成果が市場的に大量化すればするほどコスト節減あるいは企業の利益確保ということにつながるのは当然でございます。そういう意味で、私どもは中小企業の商品化技術あるいは周辺技術の研究開発を進めていくわけでございますが、さらにそれを企業化し、販売に結びつけるために、例えば新技術企業化融資制度というような制度を設けまして、その企業化に必要な設備資金及び長期安定資金の特別の貸付制度を行っておるわけでございますが、そういった支援措置をあわせて、その円滑な商業化、商品化に結びつけていきたいというふうに考えております。
○梶原敬義君 その点につきましては、製品化、販売化につきましては、地方自治体との関係も出てきますので、後に少し残したいと思います。 次に、この法案でありますが、通産省がまず指針をつくって、そして中小企業を誘導するということであります。問題は、私はどの範囲で、一体どういう規模でこの法案の適用を考えているのか最初に質問をしたんですが、どうも非常に大ざっぱといいますか、ふろしきを広げて、ひとつしりをたたくというようなことになるような御答弁をいただきました。 私は、そういうことになればなるほど少し心配がある。これは全く同じ例ではありませんが、かつて私どものところで、温州ミカンやなんか、どんどん農林省が笛や太鼓で植えさしたんですよね。それは愛媛県も植えますわ、大分県も福岡も佐賀も長崎も、どんどんどんどん植えたわけです。それで、まだ需要はあるということで、需要を高く予測してどんどんやったわけですよね。それで、今度なりだしたころはもう過剰生産でどうにもならない。だから、なり出したころ切っていっているんですよ。それで、それぞれ私どもの国東半島の農家なんかは、五人ぐらいでお互いに連帯保証し合っていますから、自殺者が出たり、あるいはまあ夜逃げする。一軒がやれば連鎖倒産でやっていくわけですよ。米も、つくれ、つくれといってつくったが、今、逆に生産調整しているわけだ。 その他、通産省はそんなことないからと言ったって、ICも今どんどんどんどんやりおったら、これはICもどうもどうなるかわからぬ、きょうもテレビで言っておりましたが。しかし、ことしの暮れぐらいからまた需給のバランス回復するんじゃないか。そうすると、また恐らくどんどん進んできて、最後は通産省お得意の産構法ですか、ああいう形で生産調整やって、今二十六業種ですか、結局、大企業に属する部面というのは、社会的な影響があるから、完全に過当競争でどんどん突っ込ましてつぶれると非常に社会的な影響があるし、雇用問題も非常に問題があるから、これは途中で、どっかで通産省が中に入って、結局自由競争の制限をして、設備の一部スクラップや需給調整をやる、こういうような形でいっていますね。 しかし、中小企業というのは古今東西そういうことはないわけです。完全な自由競争の場裏の中でがんがんがんがんやって、そして、しかもその中にどうも大企業がどんどん分野に入ってきている。非常にもう絶えず毎日荒波にさらされているような状況でありますね。 ですから、そういう状況をこれ延長しますと、これは、今度のこの問題も今黒田次長が言うように、どんどんどんどんどこもここもさあと、こういうことになれば、これは金借りて試験研究ひとつやってみようかといってやった途中で、ああ、どうもうまくいかない、これ借金ある、自分の本業がなかなかうまくいかない。片一方には頭が半分いくが、片一方に、やっぱり中小企業というのは、中小企業の社長は半分は頭を突っ込みますから、これはうまくいかない、さっきのミカンの例じゃありませんが、これはうまくいかないところが最後は出てくるような気がいたします。十のうちに一つは成功するかもわかりませんね。百のうちに一つか二つは成功するかもわかりませんが、なかなか厳しい面が出てくると思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(黒田明雄君) 私どもは、これからむしろ新しい技術開発が起ころうとしているこの時期に、中小企業がこの機会を逸するならばむしろ悔いを残すのではないかというふうな認識でございます。 若干繰り返しになって恐縮でございますが、先ほど長官から御答弁申し上げましたように、大企業との関係におきまして、中小企業の実質資本生産性というのが、従来は中小企業において有利であったものが、その有利性というのが縮小してきているという実態がございまして、試験研究開発費の伸び率でも、先ほどの数字に示されるように九対十六というふうになっておりまして、何とかやはり、中小企業はせっかくめぐってきたこの細分化技術、複合化技術という特性を持った新しい技術革新の潮流に乗っていくように誘導したいし、意欲のある中小企業者を支援したいと、このように考えているわけでございます。おくれることを私どもはむしろ心配いたしておりまして、何とか中小企業が、新しい変化に挑戦していくということによって新しい発展の機会をつかむようにというふうにしたいわけでございます。 幸いにして技術は非常に個性化してまいっておりますから、一般的に申しましてミカン、これはどこでつくってもほぼ同じようなミカンになろうかと思いますが、今この個性化された製品開発あるいは生産工程を開発していくならば、一般的に申しまして過当競争につながっていくというようなことはむしろなくて、特色のある製品、特色ある技術ということを武器にして闘える中小企業が出てくるのではないかと思います。ただ、それにいたしましても、どうしても技術開発というものには資金面、人材面で相当な努力が必要でございますし、中小企業では信用が十分でないとか、資金力が十分でないという不足な点がございますので、これはぜひ私どもとしてはお手伝いしなければなるまい、かように考えておりまして、そういった施策でむしろ我々が支援をするうちでも、特に法律を改正し、特例を設けたりする必要のあるものをこの法律に盛り込んでおるわけでございます。 この法律のほかにも、いわば法律の裏打ちになる措置といたしまして、組合がこの研究開発に取り組む場合には補助金も用意いたしておりまして、そういった形で何とか中小企業が失敗することのないように、おくれをとることのないようにというのが私どもの考え方でございます。
○梶原敬義君 私もその新しい技術が進んでいる中で、中小企業がこれにおくれるということを甘んじて見ているということに賛成ではない、そういう意味で言っているわけではない。問題は、後で申し上げますが、なかなか中小企業を取り巻く環境というのは厳しいわけですから、新しい試験研究をやった場合にそれはなかなか成功する確率も非常に少ないだろうと。そういう観点から、だからよく政府も地方自治体も、これ旗を振る以上は、やった後うまくいきませんじゃ、それはもう知りませんよと逃げるんじゃなくて、それはやっぱりちゃんと、そこは見るところは見る、指導するところはしてほしい、これが基本にあるわけです。この点についてはまた後で申し上げます。 そこで、しかしこの法律の「目的」でありますが、「中小企業の技術の向上を通じて、中小企業の振興と我が国産業技術の調和ある発達とを図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する」云々と、こういう「目的」を書いておりますが、これは結果的には、私は先ほど言っているように、中小企業がうまく幾つかぱっと飛びついてきた、そして頑張った。しかし失敗した例の方が非常に多い。しかし、幾つかは成功することに恐らくなるでしょう。 そうしますと、国全体にとりましては、非常に今先端技術産業のこれからどんどん進まなきゃならない部分、その技術が幾つかやっぱり国全体に出るということは、国全体にとってあるいは産業界全体にとっては、これは非常にメリット、プラスが大きいと思うんですけれども、数からいきますとなかなか、やったがうまくいかないという方が結果的には多くなるだろうと思うのです、こういう研究開発というのは。どっちの方に、中小企業の立場にウエートを置くのか、国全体に置くのか、いやそうじゃない、両方だと、こう書いておりますが、どうもそこのところがぴんときませんので、もう一つわかるように説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(黒田明雄君) 中小企業は、やはり現在の我が国経済に占める非常に重大、重要なセクターでございます。中小企業の数あるいはそれぞれの分野におきます生産額、販売額のシェア、こういったものについてはもう数字を挙げるまでもなく極めて重大、重要なセクターでございまして、この発展なくしては我が国経済の発展がないと言ってよろしいのではないかと思います。この点については、私どもにも各国の政府あるいは経済の専門家などが訪れまして、日本の中小企業のあり方あるいは中小企業施策の内容、こういったものについて、ぜひ日本を手本にして勉強したいというふうに言われるわけでございますが、私どもそういう意味で、中小企業の振興がすなわち我が国国民経済の振興になると言って過言ではないというふうに考えているわけでございます。 そういった地位にある中小企業の技術問題でございますが、現在中小企業の発展が、ややもすれば中小企業がおくれをとる大きな要因になっているのがこの技術の分野であるというふうに認識いたしておりまして、ぜひ中小企業の振興のためには、技術面で中小企業が積極果敢に取り組むのを支援していかなければいかぬというふうに考えておりまして、そういう意味で中小企業の技術振興ということを中小企業施策として取り上げているわけでございます。 そうではございますが、同時にまた、中小企業の技術というのは、翻って我が国の技術体系の中においてどういうような地位を占めているかというふうに考えてみますと、これまた極めて重要な地位を占めていると思います。例えば、先ほど来梶原委員が例示されておりますICなどにおきましても、中小企業が開発した技術というのは、ICの生産技術の中で大変に重要な地位を占めておりまして、例えばウエハーをつくりますのに事前のフォトマスク検査というのが必要でございますが、こういったものも中小企業がつくっておりますし、またウエハーを切るダイシングという工程がございますが、そのダイシングソーも中小企業の製品でございます。そのほか配線をいたします全自動ボンダー、完成品の直前に検査をいたしますLSIのテスター、こういったものも中小企業が開発した製品で行われておりますし、さらに応用分野になりますICを利用するその他の諸機器の分野では、中小企業が非常に重大な地位を占めているわけでございます。 したがいまして、こういった技術特性を持っております中小企業の技術の開発というのが仮におくれるということになりますと、我が国の技術全体の発展に遠からず支障を来すに違いないというふうにも認識いたしておりまして、したがって、私どもはこの二つの目的、もちろん我々がねらいとするのは中小企業そのものの技術力の向上でございますが、その向上を図る意義は何かといえば、中小企業の振興が第一、そして我が国の技術開発の調和ある発展が第二、これを法律の文言ではそういう順序で「目的」に掲げているわけでございます。
○梶原敬義君 わかりました。ただ、言いたいことは、これでどんどんあおってやったところが、こういう新しい技術というものは、百のうち一つ成功するかどうかわからない、これは非常に厳しいものだ、甘いところからスタートするのじゃなくて、それはやっぱり基本に行政の立場で持っていただきたいと思うのです。 それから「振興」というけれども、中小企業の経営の振興という言葉が、私はやはり安定といいますか、中小企業の経営の振興と安定、この安定を抜きにしたらこれは変な方向に行ってしまいますから、これはぜひそういう立場で今後とも指導していただきたいと思います。 それから、今何か欧米諸国が日本の中小企業の勉強に参りたいというお話ですね。どこが来るのかよくわかりませんが、私はやはりこういう技術面とか何かを勉強しても、それは一部参考になることはあるかもわかりませんが、基本は、やはり中小企業の経営者というのは朝から晩まで仕事のことが頭から離れぬで仕事をしているということですよ、家族を入れて。それから従業員は、我々のところで、土曜はほとんど五時までやりますよ。それから休日、国民の祝祭日、これはなかなか休めないところが多いわけですね。こうして残業が多くて、一生懸命どんどん働いているという、これがまず基本のポイントですよと。ここから説明をしなきゃ、私はやっぱりいいところばかり見せても、これはちょっとおかしいと思うんですね。御答弁は要りませんから、ぜひそういう方向でやっていただきたいと思います。 次に、法案の第二条の第三項ですが、「この法律において「技術開発」とは、次に掲げる行為をいう。」ということで、「技術(生産、販売又は役務の提供の技術で、技術革新の進展に即応し、かつ、著しい新規性を有するものに限る。以下同じ。)」云々と、こういう文言になっておりますが、これは衆議院の方でも、一番どうもここを議論をされておったようですが、もう一度整理をする意味で、「著しい新規性」というものについて、幅のある答弁を衆議院では大分されておるんですが、もう一度本委員会で通産省のお考えをお伺いをいたします。
○政府委員(黒田明雄君) 「技術開発」という定義をしている中に、この法律で対象といたします技術をいわば特定いたしております。三つの要素から成っておりまして、一つは「生産、販売又は役務の提供の技術」であるということでございますが、これは積極的に製造には限らず、販売または役務も含むという点に力点がございます。このことによりまして、いわゆる第三次産業がこれから新しい発展を遂げなければいけませんが、その分野における技術も取り入れたいという点に力点、重点がございます。 次は、第二の点は、「技術革新の進展に即応し、」という意味でございます。技術の分野は非常に幅広いわけでございますが、今の時代的意味というのを考えますと、やはり技術革新の進展に即応して将来に大きな展望が開ける分野、こういった分野の技術を重点的に取り上げるんだという意味を示しておりまして、内容的には、例示で申し上げますと、エレクトロニクス、とりわけマイクロエレクトロニクスの関係でございますとか、新素材でございますとか、バイオインダストリーといったようなものが適例かと思います。 それに最後の三番目は、「著しい新規性を有するものに限る。」という点でございます。この点については、若干よって来るところから御説明申し上げたいわけでございます。 中小企業の技術開発については、幅広く従来の施策でこれを支援いたしておりまして、一般的な技術開発施策としては、技術改善費補助金あるいは異業種交流、研修あるいは指導、こういったことを行っておりますし、特別の融資制度もございますし、新たに六十年度から中小企業技術基盤強化税制というようなことで、一般的に中小企業の技術開発費を支援いたしております。技術開発でございますから、それは常に新規性を持っております。どのような技術開発でございましても新規性があるわけでございますが、私どもとしては、中でも特別の助成措置をもって、特に中小企業が進出していってほしいという分野、そしてその過程におきます効果を目指してこの法律を提出しているわけでございます。 それは何かといえば、技術革新の進展に即応していることと、そしてその試験研究を通じて、中小企業が今は不足がちな自主技術開発力を涵養することでございます。この自主技術開発力の涵養なくしては将来に対するポテンシャルが身につきませんで、大企業で開発した技術をいつまでも導入している、もちろん導入も必要なんでございますが、そういった体質にだけ浸っていてはやはり困るわけでございまして、自主技術開発力を涵養するということが私どもの将来にわたる政策目標であるというふうに考えているわけでございますが、そのために一般施策に上乗せをして手厚い施策を講ずるかわりに、上乗せする技術にふさわしいものを開発してほしいと、一般的な技術開発では新規性を、そしてこの法律によるものでは「著しい新規性を」ということで差をつけていると申しましょうか、区別いたしているわけでございます。 ただ、私ども心しなければならないと思っております点は、中小企業がこの法律に基づいて目指すところの技術開発に取り組んでもらう、しかもできるだけ幅広く取り組んでもらわなければ、いたずらに高い目標を設定して、だれも敬遠するようでは意味がないわけでございますので、そこは多くの中小企業がよしやってやろうとチャレンジてきるような程度の目標でなければならない、かように考えておりまして、その点では中小企業の研究開発の実情をよく踏まえまして、無理のないように施策の展開をしていきたい、かように考えております。 〔委員長退席、理事斎藤栄三郎君着席〕
○梶原敬義君 まあこの点につきましては、私帰って県の担当者に聞いたんですが、福岡の通産局で、各県の皆さん集まっていただいて通産省の説明会があったらしい。そのときに、「著しい新規性」についてそれぞれ質問が出たらしいんだけれども、通産省としては、今局長が言われましたように、これで余り縛っても中小企業はもうびっくりしてついてこれなくなってはいかぬから、ここは幅を持って解釈するというような形で説明があったらしいですね。今黒田次長の答弁もそういう内容でありますので、ひとつそこは万々間違いのないようにやっていただきたいと思います。 次に「指針」でありますけれども、通産大臣が「技術開発に関する指針」を定める、こういうことになっておるわけであります。この指針について、どういう指針をどうつくっていくのか。これは衆議院での議論の中でも、百項目ぐらいの指針をつくるんではないか、それをめぐって議論があったようでありますし、この法案を審議する上において、やはり指針のもう少し具体的なアウトラインを国会に出すべきではないか、こういう議論もあったと思いますし、私もそう思うんであります。 この第三条の二項の第一号で「技術開発の対象とすべき技術の内容に関する事項」こう書いておりますが、読んでわかったようなわからぬような内容でありまして、もうちょっとこの辺について、我々としてはやはり自信を持ってこの法律を審議するために、この辺について補強した説明をいただきたいと思います。
○政府委員(黒田明雄君) 私どもこの「技術開発に関する指針」というものを定めるわけでございますが、一つには多くの中小企業者に今政府が力を入れている中小企業者の技術開発の方向といったものを示したいということが一つと、第二には具体的に都道府県におきまして技術開発計画の認定をしてもらうわけでございますが、その基準となるものを明確にいたしたいという二つの目的を持っております。 それで内容でございますが、第三条二項に書いてございますけれども、一つは「技術開発の対象とすべき技術の内容に関する事項」でございます。二番目は「中小企業者及び組合等が採るべき技術開発の実施方法に関する事項」でございます。三番目に「その他技術開発を行うに当たって配慮すべき重要事項」でございます。 第一番目の「技術開発の対象とすべき技術の内容に関する事項」という点が、先ほどの技術の定義と関連いたしまして、一体どのようなものが定められるのかという点が問題点であろうかと思います。 技術の定義の中身につきましては先ほどの答弁で御説明させていただいたわけでございますが、こういった技術の定義をもってしても必ずしも各地の中小企業者にはわかりにくい点があろうかと思うわけでございまして、したがいましてこれをもう少しかみ砕いて、これを具体的な技術に即して展開して、中小企業者にわかるようにすればどのようになるだろうかといった点で、この中身をもう少し具体性を持って示したいというふうに考えております。 それから二番目には、「技術開発の実施方法」でございますが、ここで最も重要だと考えておりますのは、先ほど来私御説明させていただいております中小企業の自主技術開発力の涵養という点でございます。中小企業者が将来にわたって潜在的な開発力を身につけるために、どうしても中小企業者がみずから研究開発にある程度参加していただかなければならないというふうに考えておりまして、例えばだれかに、大企業に委託してしまうといったような方法ではなくて、みずからこの研究開発の重要な部分に参加するといったことが重要であるというふうに考えておりまして、そういった点を明確にいたしたいというふうに思います。 そのほか「配慮すべき重要事項」といたしましては、例えば組合におきます技術開発課題の選定などにつきましては、できるだけ多くの組合員のコンセンサスの得られる共通の技術開発課題を選択してもらう必要がございますし、費用の分担でございますとかリスクの分担などについても公平な見地から決めてもらう必要がございます。 〔理事斎藤栄三郎君退席、委員長着席〕 そういった点についてここを基準で明示いたしたい、かように考えているわけでございます。 その具体的な指針は、実は申しわけないのでございますが、まだできておりませんで、私どもこの国会で、今私が申し上げましたように、指針としてはどんなものを考えているかという一般的な考え方について御説明を申し上げ、御審議を経ましていろいろ御意見をちょうだいすることができますれば、そういったものを踏まえて、特に著しい新規性については中小企業の研究開発の実態を踏まえろという御議論があるわけでございますが、そういった点をよく踏まえて指針に盛り込みたいというふうに考えております。 手続的に申しますと、法律の成立を待ちまして、私ども、この研究関係の技術者が中心になりまして各省と協議の上、中小企業近代化審議会で、これも具体的に研究に取り組んでおられるような方々の意見を伺う必要があると思っておるんですが、そういった方々の参加を得まして成案を得て決定いたしたい、かように考えております。
○梶原敬義君 本来なら、もう少し指針の中身がかたまって、我々にも説明をして、そしてこの法律これでいきましょうと、本当はここまでやってほしかったんですが、どう言うてもそうはいかぬ、時間もない、どうもこういうことのようでありますから、これは後でもいいですから、この指針の骨格とかあるいは中身については我々にも知らしてほしいわけですが、この点はいいですね。 次に移ります。それから第四条でありますが、知事の認定云々でありますが、私は、確かにこの新規性とかあるいは通産大臣の指針とか、こういうものに照らして結局認定をするわけでありましょうが、知事の認定の自由裁量の幅というんですか、これはしゃくし定規に、これはこう書いてこうだからこの範囲でと、がちがちやらぬで、やはり一番よく知っているところでありますから、ひとつ自由裁量の幅を確保していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(黒田明雄君) 私ども都道府県知事に認定権限をお渡ししますのは、一つにはやはり中小企業でございますから、一々研究開発の認定を受けるために国の機関まで足を運ぶというのは効率性の上でもいかがなものか、むしろ実情をよく知っており、かつ審査能力もあるという意味で、都道府県がちょうど適当ではないかというふうに考えて知事にお願いすることにしているわけでございます。 知事の認定でございますが、これは基準に照らして認定するわけでございます。その際、裁量の幅に関しましては二通りの御意見がございます。一つは、相当に裁量を持たせるべきかという御意見、もう一つは、各県によって差が出るのはおかしいので、統一的に運用を確保すべきであるという御意見でございます。 私どもとしては、指針を明確にし、これについて解釈通達を出しまして都道府県との間で意思の疎通を十分に図り、統一のとれた運用になるようにいたしたいというふうに考えているわけでございますが、もちろんこれはしゃくし定規に運用するという性質のものではございません。そうであってはいけないと思いますので、認定権者たる都道府県知事が、基準に照らして御判断なさるという点はもちろん残ると思っております。
○梶原敬義君 ぜひそのようにしていただきたいと思います。 次に、資金の確保の点でありますが、これは第六条ですが、「国は、」「技術開発事業の実施に必要な資金の確保に努めるものとする。」、こうなっておりまして、大体中身の説明も事務局から一応聞きました。初年度の予算の関係も大体聞いたわけでありますが、先ほどから黒田次長のお話をずっと聞いておりますと、非常に広範なところにずっと法律を適用していこうという非常に意気込みがあるんですが、これはそんなことでどんどんどんどん行きおったら、このくらいの金ではすぐ足らなくなりますが、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(黒田明雄君) 資金の確保の点では、幾つかの手段を用意しているわけでございますが、第一は、梶原委員今お触れになられました中小企業技術高度化補助金でございます。これは組合単位で研究開発をする場合に限って交付することを予定いたしておりますが、これは初年度は四十組合でございますので、これが一つの頭打ちと言えば頭打ちになると思いますけれども、初年度としては相当な数ではなかろうかというふうに考えております。 それから融資の点では、認定組合が行います技術開発事業にはこれも中小企業事業団から高度化融資ができることになっておりまして、知識集約化共同事業等がその対象になるわけでございます。この方は資金的には相当数の枠がございますので、不足になるということはまずないのではないかというふうに思います。 それから、認定計画に従って行われます技術開発事業には、組合に限りませんで、中小企業金融公庫及び国民金融公庫から特利融資ができることになっておりまして、具体的には中小企業構造改善貸し付けでございますとか、先端技術振興貸し付けができるわけでございまして、これも相当数の金額がございますので、不足するということはこの点ではなかろうかというふうに考えております。
○梶原敬義君 これは新技術、技術開発については、お金を用意をしてそれをどんどんつぎ込めば事が解決するようなものではないと思っておりますが、しかし、中小企業にとりましてはやはり今がチャンスだ、時代に乗りおくれるなということで、いわばかねや太鼓で音頭を取ってやるとすれば、やはり問題は資金力に最終的にはなってくるわけでありまして、今幾つか言われましたような中身について、これで果たして十分かどうかという点では大分幾つか疑問があるわけであります。しかし、今日本の政府にそんな金があるわけではありませんから、なかなかそう簡単にはいかない。 通産省は、ずっといろいろ見てきますと、金がないけれども、金を使わぬでいろいろと誘導して宣伝をやる、これはどうも通産省のやり方のようでありますが、しかし、先ほど何回か言っておりますが、これは私は、こんな試験研究なんていったって、あっちで、北海道もやっているかもしれない、東京でもやっているかもしれない、大阪でもやっているかもしれない。同じようなテーマについて九州でもやっておる。情報の差がそれぞれある。しかし、やっぱり知事が認可してやる。こうなりまして、その中で幾つかやっている中で成功する事例というのは非常に私は限られてくると思うんだね。うまくいかないところもやっぱり相当出てくる。なかなかこれは難しい話であると思うんですが、しかし、やる以上は資金の面も、これは後でそれでどうも経営者が首つって自殺したとか、そういうことにならないように十分配慮をしていただきたいと思います。私は今までのやり方は、通産省がただやれやれやれ言うだけが、能じゃないと思っております。 次に移ります。第九条ですが、課税の特例措置です。これは、ここのところは組合だけ対象にしているわけですね。やっぱり個別の中小企業が認定を受けた場合にはこのことには全然触れていない。組合だけ触れておるわけです。この点は一体どうなっているんですか。
○政府委員(黒田明雄君) 中小企業の研究開発を支援するわけでございますが、私どもとしては、第一には中小企業がこういうある程度難しい課題に取り組むという点、それから研究開発の成果ができるだけ広く中小企業者に均てんすることが望しいと考えられる点から考えまして、組合による研究開発というのを一つの重点と思っております。 中小企業はいろいろ、例えば資金的に見ましても、ある程度難しいテーマに取り組むために一社でやり切れるかといった問題がございますし、人材の面でも、また例えば自分は電気の方は得意の技術者を持っているが、素材の関係の技術者がいない。別の企業はちょうどその逆であるといったような点もございますから、資金面、人材面で相互補完をしていくという可能性を考えますと組合というのは相当に有用ではないかというふうに考えるわけでございます。 それから、リスク負担の点で、梶原委員先ほど来御指摘いただいておりますが、私どももその点については心しなければいかぬと思うわけでございますが、この点でも組合による方式というのは効果があろうかというふうに思います。 それから、次の効果といった点でございますが、相互補完によりまして、多くの中小企業者が参加して組合を母体に研究開発を行いますと、それに参加したいわば研究開発能力が不足がちな中小企業者にとっても、将来の技術開発力をみずから身につけていくといった面で効果がございますし、また、今回は研究開発の成果として開発された技術を利用する設備についても、組合員がこれを導入する場合に課税の特例など設けておるわけでございますが、そういった成果の普及と申しましょうか、多くの中小企業者に利用されていくという意味で組合が有用だというふうに考えているわけでございます。 そういった観点から、今回は組合単位の研究開発に租税の特例を用意いたしておりますが、別途先ほど御説明申し上げました中小企業技術基盤強化税制というものを六十年度から用意いたしましたが、個々の中小企業者はこれを活用することができるわけでございまして、この規模は減税額で大体百四十億円ぐらいになるのではないかというふうに考えますので、個々の中小企業者にも、この法律によってではございませんけれども、別途の租税特別措置法による施策によって対策が講ぜられているというふうに御理解いただきたいと思います。
○梶原敬義君 組合で既にこういう技術開発をやってある程度成果の上がっているところとか、あるいはまあ、非常にこれからどうも見通しのいいところとか、そういう事例というのは、各県募集したら百幾つか、百五十か何か手を挙げたということは聞きましたけれども、そんな事例というのは、組合でやって、進んでもう利益も出しているというところがあるんですか。
○政府委員(黒田明雄君) その調査の方は、これからどういう課題を持って研究開発に取り組もうとしているかという将来にわたっての意欲を調査したものでございますので、私どもが調査したその限りにおいて成果が出ているというわけではないのでございますが、そういった計画を出した組合からヒアリングをしたことがございます。 それによりますと、やはりこれからぽっと出で研究開発に着手するというのではなくて、これまで既に研究開発の基礎を大分積み上げてあるというところがございます。こういったところはあと一押しというところで大分苦労しているようでございますので、そういったものを今後取り上げたいと思うのでございますが、こういったものは成果が相当期待できるのではないかと思いますし、従来の組合べースにおきます研究開発の成果につきましては、中小企業団体中央会で調査をしたことがございますが、それによりましてもある程度の効果が上がっているというふうに考えております。
○梶原敬義君 どうもここのところが非常にあいまいでありまして、手を挙げたけれども、そのうち四十ぐらいというけれど、私はそういうところが、具体的にどんなものがあるのかということがぴんとこないですが、あれば後で教えていただきたいんですがね。 私も帰ってちょっとお話を聞き、調べてみましたら、石灰石を中心にして、石灰石からやわらかいセラミックをつくろうと、白いタイヤが、それがうまくいきゃできるんじゃないだろうかと、こういうことで、津久見市というところで組合をつくって鋭意研究を始めておる。まあしかし、これはやっと始めかかったぐらいで非常に先が、海のものか山のものか、これは海も山も近いところなんですが、わからぬ。 ただ、これちょっと見ますと、一番に特別償却の制度がありますね。二百万円以上の試験研究の機械、装置につきましては、特別償却率一六%、こういうことになっておる。考えてみますと、そんな組合が始めから特別償却ができるような内容にはなっていない。やはり企業というのは、研究して、あるいは物をつくって売って、その売り上げから経費を払って損益というのが計算され、利益が出てくるわけでありますから、当初の研究段階でそんな組合は利益が出るはずはないわけです。ずっとお金をつぎ込み、経費もかかって赤字が累積する。もし、うまくいったらそれは取り返すということに恐らくなる。こういう特別償却のあり方、どうも現実離れをこの組合についてはするんです。 中小企業の場合は、既にやってもうわかっておる中で、研究を一部でやっているということにつきますと、こういうような償却がもしあれば、これは今まで利益で出てきて税金かけていた分が経費に算入されて、そして非常に資本の蓄積にプラスになるとこれは言えるわけですが、組合の場合に、今からやろうかという組合が多いわけでして、これうまくいくんですかね。私はこれは一つの卑近な例ですけれども、ぴんとこないんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(黒田明雄君) 組合も、例えば一番中心になるのは中小企業事業協同組合だと思うんでございますが、協同組合は、御承知のように、今軽減税率になっておりまして、この二年ごとの延長の際にはもっと軽減率を軽くするといいましょうか、もう少し引き上げろという議論が財政当局からなされ、我々はそれは困ると言っていつも議論になるわけでございますが、その裏はと申しますか、そうなりますゆえんのものは、やはり事業協同組合がそういう税率を気にしなければならない実態にある、換言いたしますと、やはり利益の上がる組合があるということでございます。この研究開発事業そのものではなくて、各種の事業、例えば共同販売でございますとか共同生産でございますとか、そういった事業を行う関係上、利益の出ることもしばしばでございまして、そういう意味ではもちろん意味があるというふうに考えております。 それから、税制は、特別償却の場合この構成員たる中小企業者にも特別償却を、例えば九条の四項でございますが、そういったものを設けておりますし、そのほか賦課金でございますとか固定資産税取得の場合の圧縮記帳でございますとか、各種のいわば助成措置を講じておりますので、全体としては相当な支援効果を持つのではないかというふうに期待しております。
○梶原敬義君 言い方にはいろいろあって、そういうことがあるようですけれども、協同組合で試験研究をして物をつくって売っている、あなたが今言われたのは小売やったりいろんなところじゃないですか、協同組合で物をつくって売って、そして研究開発しているところでそんなに税金もまけてほしいと、こういうようなところは、今この法律を考えてこれを適用するときに、この辺のことがぴんとくるようなところがそんなにありますか。
○政府委員(黒田明雄君) まだ実はどういう組合が認定を受けるかということが必ずしも、必ずしもと申しますか、わからない段階でございますので一概には申し上げられないわけでございますが、主としてこの課税の特例は、そういった組合で必要な研究開発を行います場合に、研究開発のための機械設備あるいは研究費用のために組合員に対して賦課金を賦課するわけでございますが、その賦課金を賦課された中小企業者が特別償却を受けることができるという点が中心でございます。したがいまして、組合の場合が今御質問の中心かと思いますが、研究開発の課税上の特例については、むしろ構成員たる中小企業者が特別償却を受けることができ、組合は租税特別措置法で取得した固定資産、あるいは製作した場合に、これを圧縮記帳することができるという点に重点がございます。
○梶原敬義君 ちょっとその法文の解釈、きのう私も課長から聞いたのとちょっとニュアンスが違うのですが、ということは協同組合の組合員であると、賦課金を納めている組合員が個々の企業で技術開発をする場合に、組合費を納めておればその企業はこの租税特別措置法の恩典を受けられる、こういうことですね。
○政府委員(黒田明雄君) 梶原委員のおっしゃったところでちょっと違います点は、組合が研究開発をする、これは組合が主体となってやるという意味でございまして、組合が研究開発をする場合に費用が必要でございますが、その費用を組合員に負担させる、その組合員に負担させた場合に組合員はその額について特別償却を受けられる、こういうことでございます。
○梶原敬義君 はい、わかりました。それなら話が合うわけであります。 だから問題は、そういう技術開発をやろうかという組合が幾つかできて、やります。やったときに、償却や何かを、なかなか初めから黒字が、まあ一年間特例措置として繰り延べることはありますが、二年以内にうまくいけばいいわけですが、これはテクノの減税でもそうなんですけれども、なかなかこれはうまくいかないようになっていると思うんですが、どうもこの点について、もう少し、一年じゃなくて二年とか三年とか特例措置を、これは大蔵省もうんとは言わぬでしょうが、ひとつそのように頑張っていただきたいと思います。 次に移ります。「情報の提供」の関係でありますが、国及び地方公共団体は、技術開発を促進するために情報の提供をするように努めることと、こうなって、国と地方公共団体の義務づけを一つはされておると思うんです。これは非常にいいことではないかと思います。私がさっき言いました新幹線のパンタグラフをつくっている人は、今新素材で新しいやつを開発して特許申請をしているらしいんですが、彼が言うのは、やっぱりもう田舎におりますと情報がつかみにくい。しかし、これはいいなと思ったって、もう競争会社が幾つかあって、よそでも研究が進んでいるかもしれない。そういう本当に進んだ、全国的な、どこがどうしているかという情報なんか非常に欲しいんだと、これは非常におくれているということで、半分あきらめておりますけれどもね。これを一体どうするかというのが非常に大きな私はポイントじゃないかと思うんです。この点について、いや心配ない、こういうひとつ答弁をぜひお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(黒田明雄君) 梶原委員御指摘のとおり、私どもも、先ほど来委員御指摘のようにこの法律をつくったら終わりじゃないかということになっては非常にいけないというふうに理解しているわけでございまして、そのために法律の施行に当たりましては、まず大勢の方々にこういう制度があるということを知っていただかなければいかぬわけでございますが、その上で、技術開発に取り組もうという中小企業者に対しましては、親切な指導、情報の提供をしていかなければならないというふうに考えております。 具体的には、中小企業大学校におきます研修、これは従来からやっているわけでございますが、最近技術について人気が高うございますが、こういったものをさらに強めていかなければいけませんし、公設試験研究機関がございますが、これは県の試験場などでございますけれども、そこで技術情報の提供をしてもらっております。それから技術指導もやっております。それから、都道府県が中小企業の技術研修というのをやっております。さらには、技術アドバイザー事業というのは、これも補助金を交付してやっているわけでございます。ほかに巡回技術指導事業といったものもやっておりまして、こういったものを大いに今後とも積極的に展開していきたいというふうに思います。
○梶原敬義君 問題は、やはりこれは全国に行くわけですから、それぞれ中小企業の経営者の皆さん意欲的な方がおりまして、絶えず何かやろう、やっぱり今苦しいからいろいろ開発しようと、そしてやってうまくいっていない、家も土地も何もぶち込んだ、うまくいかないという例も知っている。そして保証した人が保証倒れになって、その人のお父さんも亡くなった人の話も僕は聞いている、じかにね。だから問題は、やっぱりその一つじゃなくて、どこでどういうふうな研究を一体どうしているかというのを、これを認可するときに当たってはやはりそこまで情報提供して、お金もどのくらい恐らくこれにはかかるとか、それはやっぱり通産省と県、地方公共団体が一緒になってそこまで突っ込んでやらないと、これは大分金のかかる仕事でありますね。幾らか補助はするといったって、やはり自分が抵当権設定して金借りてやる仕事ですから、これは大変なんですが、そこまでもう一つ突っ込んで、一般的な情報じゃなくて、情報にもそこまでやっぱりやるべきだと思うんです。やっていただきたいと思います。 それから人材の養成の問題ですが、これはまたなかなか難しい問題でありまして、言うのはだれでもこれは言えますね。言えますけれども、なかなかそう簡単になっていないということですよ。だから、これもやっぱり知恵を、先ほどの指針を書くのに百条の項目に頭を使うぐらい、情報とかあるいは人材とか、こういう問題についてはやっぱり相当頭を使っていただきたいと思います。 次に、認定した中小企業者に対して「技術開発事業の適確な実施に必要な指導及び助言を行う」と。私は今、ずっとさっきから言うのは、ここに最後にポイントが来ると思う。要するに、何回も言いますが、これは試験開発に取り組んだ、それがうまくいく例というのは、これはむしろうまくいく例が多いんじゃなくて、いかない例の方が、失敗する例の方が多いと見なきゃいけない。だから、それをできるだけ確率をやはり高めるためにも、これはぜひ二十一世紀に向けてと、こう言うんですから、そしてまたいいのができれば国のためにもなるわけですから、ここの指導をぜひ頑張っていただきたいんですが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(村田敬次郎君) この法律全般にわたりまして非常に広範な御質問をいただきまして、拝聴いたしておりました。 私、先ほど申し上げましたのをちょっと補足したいのでございますが、実は、先般バールというフランスの前の首相が来たんですね。この人、ジスカールデスタン内閣のときの首相で、次の大統領候補だと言われている、非常に貿易だとか経済だとかについて詳しい専門家であります。 そのときに、親しく何時間も時間をかけて議論をしたんですが、これからは中小企業の時代だと。なぜなら、多品種少量生産ということが言われておるし、しかもハイテク製品が出てくるというようなことになると、付加価値の大な製品をつくるということに随分新しいアイデアが出てくるのではないか。大規模装置工業の時代と違って、臨空地域などにそういうことを考えていったらどうかというようなことを私の方、それから私のスタッフ、またバールさんの方でもいろいろ意見交換をしたときに、中小企業というのは非常に将来性があるんだということで非常に意見の一致を見たんでございます。 この中小企業技術開発促進臨時措置法という法律は、確かに各般の問題をめぐっていろいろ突っ込んだ御質疑をいただいたわけでございますが、私はそういった新しい時代に即応する中小企業を育てていくのに大変な効果を発揮するのではないかというような期待もいたしておりまして、梶原委員御指摘の点は、これからいろいろ中小企業庁も指示し、対応していくようにしたいと、このように考えております。
○梶原敬義君 これで終わりますが、やはり今なかなかアメリカとの貿易問題も非常に難しくなっておりますし、いろいろ中小企業に対する法律もつくっておられますが、やっぱり今当面緊急の課題というのは、内需がこんなに冷え込んでおる状況ですから、もっと内需が拡大をして、特に衣食住にやっぱり一番かかわりのある中小零細企業の皆さんが一番苦しいわけであります。だからこの内需の拡大、やっぱり大きな当面の課題であるし、この問題についてもやはりそこを抜きにして新しい施策を次々と言ったってこれは無理でありますから、中小企業の当面する、全体がやっぱり関係している部分についての施策を大臣にひとつやっていただいて、同時にこういう施策を着実にやられる、こういう方向でぜひ進めていただきたいと思います。 終わります。
○委員長(降矢敬義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時五分休憩 ─────・───── 午後一時二分開会
○委員長(降矢敬義君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、福間知之君、井上計君が委員を辞任され、その補欠として中村哲君、柄谷道一君が選任されました。 ─────────────
○委員長(降矢敬義君) 中小企業技術開発促進臨時措置法案を議題といたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○田代富士男君 本案に入る前に、一言御質問をしたいと思いますが、大臣を初め皆様既に御承知のとおりに、通産省の外郭団体であります繊維工業構造改善事業協会の監査課長が、高度化融資資金の詐欺事件に絡んで業者に便宜を図り、収賄容疑で逮捕されたということでございます。きょうの各紙にこのことが報道されておりますけれども、この事件の概要をまず最初に簡単に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(篠島義明君) 大変遺憾な事件でございますが、本事件の経過につきまして事実関係を御報告さしていただきます。 これは「オシドリシャツ事件」ということでもう既に先刻皆様御承知のところでございますが、五十八年の七月、オシドリシャツから構造改善事業計画承認申請書が提出されまして、九月の十二日に同計画に対して大臣承認が行われております。五十九年の三月二十一日に中小企業事業団から高度化資金を融資しておりますが、その後、計画どおりの合併がなされていない事実が発覚し、調査を実施いたしまして、六十年の二月十五日に大臣承認を取り消し、直ちに事業団融資について繰り上げ償還を請求しております。四月二十四日、東京地検、オシドリシャツ社長以下三名が公文書偽造、同行使、詐欺の容疑で逮捕されました。四月三十日、オシドリシャツ自己破産を東京地裁に申請。五月二日、東京地裁、破産宣告。五月十四日、中小企業事業団、オシドリシャツ社長以下三名を東京地検に告訴。五月十五日、東京地検、オシドリシャツ社長以下三名を起訴。 これがオシドリシャツ事件の事実についての経過でございますが、この間におきまして、繊維工業構造改善事業協会の門倉健三監査課長が便宜を図り、オシドリシャツからの収賄を受けたという容疑で、五月二十七日逮捕されております。五十八年六月ごろにオシドリ社から金銭を受け取ったとの容疑であるというふうに聞いております。 以上でございます。
○田代富士男君 繊維工業構造改善事業というのは、融資を受ける中小企業が各地の通産局を通して事業計画を申請をいたしまして、大臣の承認を受けるようになっておりますけれども、今まで承認された計画はどのくらいあるのか。また、その申請の際、繊維工業構造改善臨時措置法に基づき設立された通産省の特別許可法人である、きょうの問題の繊維工業構造改善事業協会の指導や助言を受けるケースが多いとのことでありますけれども、今まで承認になった計画のうち、同協会の指導相談員が手がけたのはどれだけであるのか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(篠島義明君) 手元にございます資料が、五十年から五十九年までの構造改善事業について承認を受けた件数でございますので、この十年間について申し上げさしていただきますと百四件でございます。 それから構造改善事業協会の役割というのが、こうした構造改善事業を推進していくに当たりましていろいろ企業を指導していく立場にございまして、おおむねこうした承認を受けておる構造改善事業については、いろいろな専門的な立場からアドバイスを担当者がしておるというふうに理解しております。
○田代富士男君 その数はどのくらいありますか、協会。
○政府委員(篠島義明君) 通産局を通じて来るものにつきましては、直接事業協会の担当者が必ずしも指導していないようでございまして、そうした局から参りましたのが、先ほど申し上げました五十年から五十九年までの百四件のうち何件あるか、現在手元に資料がございませんが、百四件のうちかなりの件数については、構造改善事業協会の担当者がかかわっておるというふうに理解しております。
○田代富士男君 今資料がないということでございますから、後で結構ですから、部屋まで連絡していただきましょうか、お願いをいたします。 時間がありませんから、次に移りますけれども、同協会の職員のうちで、通産省より出向されている職員はどのくらいいるのか、いかなる立場にいるのか。また、今回逮捕されました監査課長は、同協会の生え抜きの職員で、協会でも構造改善事業の生き字引と称されるほど、そういう立場の人であったということでございますが、大臣承認を得るには門倉のアドバイスが欠かせないとも言われていたようでございます。 これは新聞にこのように報道されておりますけれども、今まで実施された改善事業計画の多くを担当したようでありますけれども、これは県や通産局に実務に明るい人が少ないために、つまり担当者の不勉強によりましてこのような温床をつくってしまったのではないかと私はこのように思うけれども、これは監督官庁の責任者としてこういうことをどのように受けとめていらっしゃるのか、大臣にもお尋ねしたいと思うのでございます。 それと同時に、中小企業が厳しい環境変化に対処して柔軟な体質改善策を講じて、その健全な発展を図るための構造改善事業において、それを指導すべき立場の人がこのような不祥事を起こしたことに対して、監督をすべき立場の通産大臣としてどのようにお考えになっているのか。今後いかように対処されるのか、決意をお聞きいたしまして、この問題に対する質問は一応この程度で終わっておきたいと思いますが、大臣からもどうですか。
○国務大臣(村田敬次郎君) オシドリ事件に関連いたしまして、繊維工業構造改善事業協会の門倉健三監査課長が、昨日午後東京地検に収賄容疑で逮捕されたとの事実は承知をいたしております。もし仮に同容疑どおりの事実があったとすれば、極めて遺憾なことであると認識をいたしております。いずれにいたしましても当省としては、繊維工業構造改善事業制度の趣旨を踏まえ、今後とも制度の厳正な運用を行ってまいる所存でございます。
○政府委員(篠島義明君) 先ほどのお尋ねに関しましてお答えいたしますが、事業団の繊維工業構造改善事業協会の定員でございますが、役員六名、職員四十三名、合計四十九名でございます。正確な通産省からの出向の人数は、資料ございませんので後で御報告申し上げますが、大体十名程度というふうに理解しております。 それから、この逮捕されました門倉監査課長でございますが、生糸の輸出組合の職員でございまして、これが繊維工業構造改善事業協会にプロパーとして採用されたわけでございますが、繊維工業構造改善事業協会の役割といたしましては、これは政府、業界を挙げて出損金をここにおきまして官民連帯して繊維工業全体の構造改善に向けた繊維業界の取り組みの中核機関として、今後技術力及び創造性の涵養に重点を置き、債務保証事業、振興事業、アパレル産業人材育成事業、技術指導事業、情報事業、技術開発導入技術関連調査研究事業等を積極的に行っていくことを期待し、これを設けて運営しておるわけでございます。 構造改善の具体的な進め方につきましては、これはこういった事業協会の制度の趣旨からいいまして、それなりの人材が適宜各企業を指導してきていることは、単に中央の通産省、あるいは通産局あるいは県といった役所の機構の専門の職員のみならず、こうした立場に長年の経験を有し、指導した実績を持っておるという有能な士が一緒に指導に従事してくれるということは、それなりに十分意義があることと考えておりますが、今回の事件につきましては、有能であるかどうかということは別にいたしまして、モラルの面で極めて遺憾なことであるというふうに思っております。
○田代富士男君 さっきお願いしましたとおりに、後ほどで結構でございますから資料をいただきたいと思います。 引き続きまして、本案の質問に移りますけれども、我が国の中小企業を取り巻く環境というものは、一方で広範かつ急速な技術革新によります産業の細分化、複雑化が進みまして、また他方、豊かな時代の成熟によります民衆のニーズの多様化、分裂化傾向があり、大きく変化しつつあります。これはもう既に御承知のとおりだと思いますが。この様相は、対処の仕方によりましては、足回りのよい中小企業にとりまして一つのチャンスではないかとも考えられると思うわけでございます。そのためにも中小企業におきます新しい技術開発は重要な問題ではないかと思うのでございます。このような観点を踏まえまして、逐次法案の質問に移ってまいりたいと思います。 まず第一番目に、本法第二条第一項には、製造業、小売あるいはサービスを問わず適用対象としておりますけれども、具体的にどのような技術を対象範囲とするのか、第二点には、特に小売、サービス業における技術開発というのがなかなかイメージがわかないのですけれども、一体どういうものを対象とされるのか。この点をまずお尋ねしたいと思うのでございます。
○政府委員(黒田明雄君) この法律案を提出するに至りました私どもの基本的な考え方は、委員が今おっしゃられたのと共通の認識に立っております。 そこで、カバーする技術の範囲でございますが、御質問の点に関して申し上げますと、中小企業でございますれば、製造業であっても、販売業であっても、サービス業であっても構わないわけでございます。 サービス業あるいは小売業、卸売業の流通業でどのような技術がこの法律に言う対象技術になるであろうかという御質問でございますが、いろんな面がもちろん今後あると思うのでございますけれども、私どもが今代表的な事例として考えます点は、いわゆる従来の技術はハード志向でございましたが、ソフトの技術というのが今新しく開けてきておりますけれども、そういったソフトな技術面でこの分野の対象技術になるものが多いのではないか。具体的に例示を考えてみますと、電子計算機を利用いたしまして商品の在庫管理でございますとか、顧客管理でございますとか、そういったことを行うことによりまして販売の合理化を図る技術、それから新しくニューメディアと言われるような情報技術が発展しつつございますが、そういったものとの関連で、各種のオンラインネットワークを通じまして情報提供を行っていくような技術、こういった分野で相当いろんな技術開発が中心的に開発されていくのではないかと考えております。
○田代富士男君 次に、第二条第三項におきまして、対象の技術の要件といたしまして、「著しい新規性を有するもの」としてありますけれども、この「著しい新規性」とはどんな技術を言うのであるのか、単なる新規性とどの程度異なるものであるかというのが第一点。 第二点は、工業所有権、御承知のとおりに、特許あるいは実用新案との関係がどうなるのかという問題でございますが、この特許、実用新案において、どのようなものが本法に言う「著しい新規性を有する」技術となるのか。 また第三番目には、特許、実用新案制度においては発明、考案の要件といたしまして六つの要素を挙げております。時間の関係ありますから省略しますが、御承知のとおりだと思いますけれども、 その中で新規性と進歩性も要件としておりますけれども、この両者の意味を説明していただきたいと思います。
○政府委員(黒田明雄君) この法律の対象技術を定めるに当たりまして、確かに一つの要件として、「著しい新規性を有すもの」ということにいたしております。 このなぜ「著しい」という修飾語を「新規性」につけるかという点でございますが、まずその理由は、技術開発であります以上は常に新規性を伴うわけでございまして、こういった一般的な意味での新規性を持った技術開発の中小企業者に対する支援は、一般的な技術開発支援策でもって助成いたしております。そうではございますが、中小企業に対するこれまでの私どもの施策にかかわらず、中小企業は相当な努力をしてはいるのでございますけれども、大企業との関係で申し上げますと、自主技術開発力の点で見劣りがするわけでございます。 だんだん我が国の技術レベルが、各国に比べて後追い型から先導型に変わってきているわけでございますが、そういった現在の我が国経済、それに含まれる中小企業の今後の技術開発のあり方を考えてみますと、どうしても中小企業は従来の導入型、これにこの意味はもちろん非常にあるわけでございますけれども、それに甘んじていては将来の潜在成長力をそがれるのではないか。したがいまして、技術開発力を涵養することが今後の中小企業施策では忘れてはならない点であるというふうに考えているわけでございます。 そこで、この技術革新の潮流に即応して技術開発に臨もうとする中小企業者を支援するに当たりまして、ぜひこの自主技術開発力の涵養という目的をもあわせ達成いたしたいというふうに考えておりまして、一般的な新規性を追求する技術開発に上乗せする施策として、もう少し新規性の高い技術を開発するように中小企業者を格別の施策でもって支援いたしまして、その過程で自主技術開発力が身についていくようにしてまいりたいと、かように考えているわけでございます。 そういう意味合いにおきまして、単なる新規性に異なる、「著しい新規性」という要件を規定したわけでございますが、著しい新規性と単なる新規性の差につきましては、程度の差ではございますけれども、著しい新規性といいます場合には、従来にない技術的な要素が付加されておって、そのために技術開発を行うべき課題が含まれている、いわば技術開発の要素が含まれているということが必要であるというふうに考えております。これを裏返して申しますと、単なる改良技術で、特別の研究開発をそれほど必要としないようなもの、こういったものについては除外をいたしたいというふうに考えているわけでございます。 一方、第二の御質問及び第三の御質問に関連いたします、工業所有権で言う新規性と進歩性との関係におけるこの「著しい新規性」の意味合いでございます。 工業所有権は、先生既に御承知のとおり、発明あるいは考案を奨励いたしまして、産業の発達に資するためのいわば制度でございますけれども、この目的を追求するために、こういった発明や考案を保護するためにその権利として社会的な承認を与えるという構成になっております。この権利は排他的な権利として構成されまして、この発明あるいは考案に基づいて設立されました権利の使用から生ずる経済的利益を発明者なり考案者のものとして帰属させるということを通じて、発明あるいは考案の奨励を図るものでございますが、そういう意味では、私どもの技術開発と一面共通するところはございますけれども、権利として確定していこう、それに排他性を与えていこうというところと、私どもが単純に技術開発を促進しようというところと、手段においては相当な隔たりがございます。 工業所有権法におきます新規性、これは特許法あるいは実用新案法で必ずしも法文上「新規性」というふうに言葉が使われているわけではございませんが、いわゆる公知公用あるいは刊行物記載となったものについては権利を与えないというふうになっております。これはやはり公知であり公用であり、既に刊行物に記載されたようなものについて、新たに自分がこの発明者であると言って申し出る者があった場合に、排他的権利を与えるのは社会的に妥当であるかどうか、権利付与の観点からいかがなものかということで、いわば積極的要件というよりは、ネガティブ要件と申しましょうか、消極的要件としてこれを排除するものであるというふうに理解いたしております。 それから進歩性でございますが、これも公知公用あるいは刊行物記載の知識から、普通の人が考えてそれほど困難を感ずることなく着想できるような発明につきましては、これを権利として保護するに値しないというようなことで、その着想が容易なものについては、いわゆる進歩性がないということでもって否定しているわけでございますが、これも積極的要件というよりは、消極的な要件、権利を与えるに最低限の要件を満たさない、そういった意味での消極的要件として規定しているものというふうに理解いたしております。 私どもの「著しい新規性」は、先ほど申し上げましたような、中小企業の研究開発を支援するため、しかも一般的な研究開発といわば若干の段差をつけて自主技術開発力を涵養することに資するような研究開発を取り上げるという意味で「著しい新規性」という概念を採用したわけでございますが、いわばこちらはポジティブなものとして、しかも権利を与えるか否かというのではなくて、助成すべきか否かといったような政策的——法律的あるいは権利的なものというよりは政策的な観点からとらえておるものですから、従来の解釈ですとか、判例ですとか、あるいは審査手続ですとか、極めて膨大なバックグランドを持ち、制度的にも構えられております工業所有権とは別のアプローチあるいは概念の発想というものの方が弾力性もあり、時代にも即応し、特に都道府県知事などの認定にお願いするものですから、特許法体系、工業所有権法体系とはむしろ別の概念規定をいたしているわけでございます。
○田代富士男君 今も御説明がありましたとおりに、懇切丁寧という御説明と申しましょうか、本当に恐縮しておりますけれども、突き詰めて言いますと、特許、実用新案におきます新規性というのは新しいものであるか、ないかという二者択一の問題であり、また進歩性というのは、著しいとか、普通であるとかという、単純にその程度の概念の問題であるのではないかと私は理解をしているわけでございますけれども、そういう立場からして見ますと、本法に言うところの「著しい新規性」というのは、特許法等に言う著しい進歩性の意味ではないかと、私はこのように思うわけなんですが、この点どうであるのか。 それと同時に、特許法と本法では法体系が異なることはわかるといたしましても、少なくとも一般の人にもわかりやすいような法律用語を、いずれかに統一すべきではないかと思いますけれども、この点どうでございましょうか。 それで、今の御答弁まことに懇切丁寧な御答弁で恐縮しておりますが、約十分かかっておりまして、そうしますと、私聞きたいものがまだかなりございますものですから、懇切丁寧な答弁に対して申しわけございませんけれども、もうちょっと簡潔にお願いできるならばお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○政府委員(黒田明雄君) 新規性につきましては、特許法では知られていたか、いなかったかという意味で、ごくすそ切りの要件になっていると思います。進歩性につきましても、特許につきましては容易に発明することができるものかどうかということでございまして、これも極めてその低いレベルのすそ切りの要件になっていると思います。ただ、容易に発明することができるかどうか、逆に言いますると、発明が難しいかという意味を持とうかと思いますが、そういう意味では共通する点があると思います。 ただ、一方は権利体系でございまして、一方はどちらかといいますと政策的な支援立法、助成立 法でございますので、むしろ概念を分けさしていただいているという立場でございます。
○田代富士男君 第三条の技術開発指針に盛られる技術の内容としてどういうものが考えられるのか、例示をしていただきたいと思いますし、また、最終的に総数でどのくらいとお考えになっていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(黒田明雄君) 第三条で定義しております要件は三つございますが、主として第三点の「著しい新規性」についての御質問と考えまして答弁さしていただきたいと思います。 新規性の概念は、今申しましたように、一般のものと違うという意味なのでございますけれども、この新規性を、著しい新規性とそうでないものとをどのようにして表現するかという点は実はいろいろと考えなければいけない点でございまして、私どもは、今は、新しい技術要素が付加されている、そしてそれに伴いまして研究開発要素が含まれ、特別の研究が必要であるというようなものにいたしたいと思っておりますが、なおわかりにくい点もあろうかと思いますので、指針ではできるだけ中小企業者が見ればわかるような具体的な事例を掲げたいと思っています。 ただ、非常に細かく具体的に挙げますと、落ちこぼれが出ますのと、非常に複雑になりますので、この兼ね合いが問題でございまして、今内部的に種々検討しているところでございまして、何項目の形になってこれを指針として表示できるか、今まだ確信を持ってお答えできない段階にございます。
○田代富士男君 この指針に盛られない技術については本法の適用がないわけでございますけれども、多種多様にわたる中小企業の技術の開発を図るのに、このような指針でこの開発技術を限定するということは、中小企業の技術開発にとって妥当なことであるかどうかと、ちょっとここらあたりも私も考えざるを得ないところでございますけれども、どのように思っていらっしゃるのか。 これを逆に言うならば、この指針に盛られない技術こそ、今るる御説明いただきました「著しい新規性を有するもの」と言えるのではないかと思いますし、今後の新たなる技術開発の広がりについてもどのようにお考えになっているのか、あわせてお答えいただきたい。
○政府委員(黒田明雄君) 技術を決めます場合に、技術革新に即応しているという要件も一つ入れているわけでございますが、今の御質問にお答えする意味では、この点にも触れなければならないかと思います。 技術革新が今後も進行していくわけでございますが、今は一応、先ほども例示的に申し上げましたエレクトロニクスですとか、バイオテクノロジーとか新素材といったものが中心的な存在になるであろう。その中でまたもう少しブレークダウンして中小企業者にもわかりいいような表現にいたしたいわけでございますが、できるだけそういって具体的に挙げますけれども、私どもとしては、技術革新に即応しているものであれば、それを制限したり限定して範囲を縮小するという気持ちは持っておりませんので、できるだけ広く指定いたしたいと思うことが第一と、列挙で漏れます場合を予想いたしまして、バスケットクローズをつけなければいかぬなというふうに考えております。そこで、技術革新に即応しており、著しい新規性のあるものを何とかすべて拾えるように指針を工夫したいというふうに考えております。
○田代富士男君 三条の三項には、今後の状況変化に応じて指針の変更を行うことができる、このようにされてありますけれども、この中小企業の技術の多様性や程度も千差万別であることから、その変更も即応できないと、対策が後手、後手に回るおそれがあるわけでございますけれども、この指針の見直しにどのように臨まれるのか、中小企業の立場に立ってのお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(黒田明雄君) 指針の硬直性はやはり配慮いたさなければいけないというふうに考えております。したがいまして、指針としては余りに硬直的な内容にならないように、少し幅を持った表現にいたしたいという内容的な表現の技術の問題が一つあろうかと思います。それにもかかわらず、確かに田代委員御指摘のように、技術の環境変化が起こり得ますので、それに対応しなければならないのが事実でございます。 ただ、一方でこれは指針として示す以上は安定性も必要でございますので、私どもといたしましては、その指針を今言いました表現に工夫しながら示すことによって、安定性と時代即応性、柔軟性を兼ね備えたものにしてまいりたい。そしてときどきは中小企業近代化審議会など開きますから、そういったところでも御意見などを伺い、いろいろ施行に当たる都道府県知事などからも意見を徴しまして、時代の流れにおくれないようにしてまいりたい。必要の都度修正、改正いたしたいと思っております。
○田代富士男君 指針に基づきまして、この中小企業の業者は、開発計画を住所地の知事に提出をいたしまして認定を受けることと、このようにされておりますけれども、この計画にはどの程度の詳細さが要求されるのであるのか。特殊な技術で生きる中小企業にとりまして、技術開発というのはその企業の生命を決するという、そういうような立場でございますから秘密事項であるわけなんです。それがその計画提出によりまして、ライバル企業や大企業等に漏れるなどの事態が生じた場合には、これは大変なことになるわけでございまして、この点の秘密保持には、絶対大丈夫ということを言い切られますけれども、果たして大丈夫であろうかという一端の心配があるわけなんですけれども、こういう点に対する配慮は、この法案の中でどのようにお考えになりましたか。
○政府委員(黒田明雄君) 計画に記載する内容につきましては、指針というものが認定の基準になりますので、最低限その基準に照らして認定を行うに必要な内容ということになろうかと思います。そういう意味では、一つの技術開発を行うに当たりましてある程度の具体性というものが必要になりますけれども、秘密保持の点につきましては、一つは、まだ技術開発がこれから行われる段階におきます認可でございますので、技術開発の成果といったものについてはまだ未知の状態で認定をいたしますから、そういった意味で、秘密性が高いという段階ではまだないというのが一点ございます。 もう一つは、都道府県知事あるいは私ども地方公務員または国家公務員でございますので、この点については、法律でもって秘密遵守義務というのが課せられておりますから、制度的にも担保されているというふうに考えますが、改めてこの秘密保持の点については、通達をもって注意を喚起することも考えたいと思います。
○田代富士男君 第五条には、開発計画の変更について規定をされてあります。 変更を容易に認めないと、アイデア一つで勝負をしております中小企業の発想の柔軟性を阻害するおそれがある反面、余りに安易に認めると、計画認定の意味がなくなってしまうのではないかと思うのでございますが、この点、どの程度の事由の変化があったときに変更を認められるのか、ここのところの御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(黒田明雄君) 計画認定に要します各種の内容あるいは計画の内容ないしは申請書類などにつきましては、通達の段階で明確にいたしたいと思うわけでございますが、その記載内容に基づいて基準に照らして認定をいたしますので、記載内容のごく軽微なものは別といたしましても、一般的にいって、変更がございますと認定を受け直してもらわなければならないと思います。研究開発を進めるに当たりまして若干の期間を要しますし、事情変化が起こりますし、研究開発を進める途中で新たな事態も出現すると思いますので、計画認定の変更ということが必要と考えまして、変更の手続を入れたわけでございます。 変更がございますと、その都度申請をしていただきまして、その際改めてまた基準に適合するかどうか、つまり指針に適合するかどうかを再チェックいたしますので、あと適合しなくなれば認定は取り消されてしまうという格好で、指針と計画変更との整合性を図っていくつもりでございます。
○田代富士男君 この技術開発という問題は、時間との勝負ではないかと思うわけでございますけれども、開発計画の実施に必要な資金の確保のために一刻も早い認定を願うのが、提出される中小企業の思いではないかと思うわけでございますが、この計画の提出から認定までどのくらいの日数が要るのであるのか、現在考えられている立場で結構でございますから、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(黒田明雄君) 技術開発計画は、いろいろどういう技術に中小企業者が取り組もうとするかによりまして、要件に該当するかどうかの判断がやはりある程度の期間を要したり要しなかったり、幅が生ずることは避けられないというふうに思っておりますが、田代委員御指摘のように、できるだけ早く認定手続をするようにしたい。それと同時に、基準にただ合わないからといって単に断ってしまうのではなくて、ある程度指導することによって補完をするといったような道も考えなければいかぬというふうに思います。 したがいまして、一概にどれくらいと申せませんが、親切な指導を伴いまして、できるだけ早く処理したいということでございますが、目安といたしまして、これまでの事業転換法などで、中身は若干違うわけでございますが、同種の事務処理の期間を見てみますと、大体二週間から、長いもので二カ月、平均いたしますと三、四週間程度で処理されているという実績がございます。一つの目安になろうかと思います。
○田代富士男君 第七条において、中小企業投資育成株式会社のこの事業に特例を設け、資本金一億円以上の中小企業が技術開発事業を実施するための資金確保に発行する新株または転換社債の引き受けを認めることになっておりますけれども、資本金の上限を求める必要はないのか。またこれによりまして投資育成会社が持ち株会社となって、本来の目的を逸脱することはないのか。また、本条の対象となる企業の数はどのくらいあるのか。ここらあたりまとめてお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(黒田明雄君) 投資育成会社は、投資育成株式会社法によりますと「中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、中小企業に対する投資等の事業を行なうことを目的とする」というふうに書かれております。今回の特例措置は、この中小企業投資育成株式会社法で投資対象として決められております範囲に、特例を加えようとするものでございますが、その前提は現在の投資育成株式会社法によりますと、資本金一億円以下の会社というふうに決められております。ところが中小企業の定義によりますと、資本金一億円以下または従業員三百人以下、これは製造業の場合でございますが、製造業の場合にはそのようになっておりまして、例えば資本金は一億二千万円であるが従業員は二百人という企業は、中小企業という範囲に属するわけでございますが、投資育成株式会社法では投資ができないという事情がございます。 そういう、中小企業でありながら投資育成会社の対象にならず、しかも技術開発に積極的に取り組みたいが自己資本が足りないというような企業に対しまして、中小企業投資育成株式会社が特例として投資できるようにいたしたいということでございますけれども、その追加投資によりまして三億円を超えるというようなことになります場合には、今の投資育成株式会社法の一般原則に戻りまして、それはできない。つまり投資育成会社の法律の他の部分、投資先の制限に関する他の部分の規定は今の投資育成株式会社法そのままが適用になりますので、投資育成株式会社法の範囲を逸脱することはないというふうに考えております。 それから、どれくらいの企業が対象になるかという御質問でございますが、これもどのような企業がこの新しい技術開発に取り組んでくるかという点によりますわけで、必ずしも今数字を想定することができないわけでございますが、私どもとしてはできるだけ趣旨を徹底し、PRして範囲を広げたいというふうに考えます。 これも全くの目安でございますが、一つの目安となります資本金が一億円を超え、従業員三百人以下の製造業というのは、二千八百社ということになっております。この中からどれくらい手を挙げてくるかということは、必ずしも今のところ予測がつかない状況でございます。
○田代富士男君 関連いたしまして、技術振興に関する行政の対応について伺っておきたいと思いますけれども、現在我が国の中小企業は、技術力の高い企業と、技術進歩に乗りおくれたと申しますか、そういう企業との二極化が進行しつつあるのが現状ではないかと思うのでございますけれども、今この行政に要請されるのは、このような技術的な二極化を解消いたしまして、健全な技術革新を促すような諸施策ではないかと思うわけでございます。 そこで、今回のこの法案の目的というものは、るる今御答弁をいただいているとおりに、技術力の高い企業の技術開発の促進に比重が置かれるのではなくして、二極化の解消と、技術進歩に乗りおくれた企業の振興をいかに考えていくかという、ここに力点を置いていかなくちゃならないと思いますけれども、これは行政に関した問題でございます。 今大臣、るる御質問をお聞きいただいていたと思いますけれども、それもあわせまして大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 田代委員にお答え申し上げます。 この法律は、技術革新が急速に進展をしておりますエレクトロニクス、新素材、バイオテクノロジーなどの分野を中心といたしまして、中小企業が取り組む技術開発の努力を積極的に支援することによりまして、中小企業の技術開発力の涵養をねらいとするもので、革新的な技術の開発に取り組む中小企業、組合などを広範に支援することとしております。いわゆるベンチャービジネスなど一部の企業群に対象を限定するものではございません。 また、この法案におきましては中小企業が積極的に技術開発に取り組むように誘導するための指針を定めますとともに、従来の技術力向上対策の、いわば上乗せする施策として各般の措置を講ずることとしていることなどから、これにより数多くの中小企業者が技術開発に取り組むものと考えております。なお、従来の技術力向上対策につきましても、その整備拡充を図っていくことは重要と認識をしておりまして、これまでも財政、金融、税制面等で逐次その内容を充実させてきたところでございます。 今後は、これらの施策を総合的に推進いたしまして、新しい時代に対応する中小企業の技術力向上を全般的に図ってまいる所存でございます。
○田代富士男君 中小企業技術施策の実施機関を見ますと、そのほとんどが都道府県と中小企業事業団ではないかと思うわけでございます。国が直接施策を実施するのがいいか、または他の機関に任せるのがいいのか、一概には言えない面もあるかと思います。しかし、少なくとも国と自治体、諸機関との間の整合性、補完性に問題があるのではないかと思うのでございます。現に、各自治体で技術施策に関する系統立った行政組織は余りなくて、ほとんど事務的な処理のみが行われているのが実情ではないかと思います。 そこで、一つの提案でございますけれども、各都道府県直轄の科学技術会議をつくり、自治体内の技術教育、研究開発等を検討するよう考えたらどうだろうか。そしてその科学技術会議が、全国的な連絡協議会といいますか、そういうものを通じまして横の整合性を保つとともに、国、事業団と協調して技術振興施策を実施するのが望ましいと思いますけれども、今日までも通産省と自治省、またほかの郵政省との話になりますと、なかなかうまくいかない面が、またここでも指摘している問題でございますけれども、それはそれといたしまして、やはりこの本法の趣旨からいいまして、こういうことも考える英断を持つべきではないかと思いますけれども、この点いかがでございましょうか。
○政府委員(石井賢吾君) 技術施策のうち、例えば研修あるいは指導といったような事業分野に関しましては、国及び都道府県の行うべき役割といいますものを、毎年度中小企業の指導計画という形におきまして国、県との協議の上で設定をいたしておりまして、この面の連携をとっておるところでございます。それから、技術開発政策、この面につきましては中小企業庁も参画をいたしまして、工業技術院が主体になり各都道府県におきます公設試験研究機関、あるいは県によりましては工業技術センターというのがございますが、そういった方々をメンバーとする工業技術連絡会議、これを全体会議とそれから業種別会議あるいはブロック別会議という形におきまして毎年開催をしておりまして、それぞれの技術開発支援施策につきまして、あるいはそれぞれの機関の研究開発の方針につきましてその整合性を図っておるところでございます。 今回の技術開発促進臨時措置法案におきましてもまさに開発指針という形におきまして、またそれを解釈し、実施をするいろいろな国と都道府県との意思の整合性を図るということによりまして、その連携の強化を図っていく一手段たり得るかというふうに思っておるところでございます。 実は私、前職立地公害局長の時代に、地域産業技術ビジョンというのを各通産局単位でつくっていただきましたが、そういった試みも、当然各県におきます技術ビジョンというものを前提に置きまして、ブロックのものをつくった経緯がございます。そういったようないろいろな試みがあるわけでございますが、今先生の御指摘の、系統立った形での恒久的機関というものが果たして必要かどうか。私どもは一応現在工業技術院がとっております工業技術連絡会議をもってそれにかえておるつもりでございますが、なおさらに検討させていただきたいというふうに思います。
○田代富士男君 中小企業の技術水準の向上のためには、新技術情報の積極的な活用が不可欠ではないかと思うわけでございます。そのためには中小企業事業団の中に中央情報センターを置き、各地に地域情報センターなどを設置して中小企業の情報ネットワークを形成されているようでございます。現在、私お聞きしたあれでは三十カ所ぐらいあったかと思うのでございますけれども、これらの現状及び利用状況を説明していただきたいと思いますし、その中にありまして改善すべき点はどういう点か、どのようにお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。 また、地方によりましては、この情報窓口のないところもあるようでありますけれども、これについては商工会議所の活用も考えられると思いますけれども、そこらあたりもあわせてお答えいただけたらと思います。
○政府委員(遠山仁人君) 中小企業の情報の活用につきましては、大企業に比べましてなかなか情報の収集等におきまして十分でない面がございます。お話のように、そのためにそれを補うものといたしまして、中小企業事業団におきまして中小企業情報センターを置きましてデータベースを構築をし、それが利用できるような体制を組んでいるわけでございます。現在中小企業事業団の情報センターには、九万件ほどの情報が蓄積されておりまして、その中で二万件ほどが技術情報ということになっております。それが今お話の中小企業地域情報センターとネットワークを組みまして、各地域の中小企業者に利用できるような体制をつくっているという状況でございます。 現在、地域情報センター五十九年度末で三十六カ所ございますけれども、そういったところの利用状況でございますが、各地域の地域情報センターにおきましては、五十八年度の数字が手元にございますが、全国の情報センターを集計しまして、平均値としますと年間に約一千件程度の利用がされている、こういうふうに私どもは承知しております。それから、事業団に設けられております地域情報センターでございますけれども、これにつきましても、そういうネットワークの形成によりましてだんだん利用件数がふえてきております。五十八年度も約三千件が、地域の情報センターを通じましてオンラインまたはオフラインで利用されておりますし、五十九年度は六千件程度になっているんじゃないか、こういうふうに思っております。 それから、これからの課題ということでございますけれども、何と申しましてもデータベースを構築いたしまして、それが利用できる体制をつくることが必要でございます。したがいまして、現在九万件のデータベースをさらに拡充いたしますとともに、各地域とのネットワークの形成を図っていく、こういうことをしているわけでございます。 それから、商工会議所等の活用でございますが、地域の情報センターが、なかなか各地域に置くという状況まではいかないわけでございますけれども、商工会議所等とも連絡、連携をとりまして、各地域で利用できるような体制をとっていきたい、こういうふうに考えております。
○田代富士男君 最近の日刊工業新聞の調査によりますと、新規技術分野の開拓に当たっての最大の問題点といたしまして、技術者の不足、人材不足というものが挙げられているわけでございます。これを解消するためには新規の技術者の確保か、または企業内の技術者の再教育でありますけれども、新卒の技術者は中小企業にはなかなか来てくれず、再教育も不十分といたしまして中小企業者は嘆いているのが実情ではないかと思うわけでございます。 そこで社外研修機関、特に都道府県本部におきます中小企業技術研修及び中小企業大学校におきます中小企業技術者研修に対する期待は大きなものがあるわけでございまして、この二つの研修制度の概要及び利用状況を簡単に御説明いただきたいと思います。 これは我々も、東京の中小企業大学校を視察したときにも一応は聞いておりますけれども、そのときにもるる話が出まして、その後我々からの意見も言いましたけれども、そういうこともあわせまして、その後変わった点はどういうことが変わったのか、もしおわかりならばお答えいただきたいと思います。
○政府委員(遠山仁人君) 中小企業におきましては、御指摘のように優秀な技術者を確保することが必要でございますけれども、現実問題としてなかなか難しい面もございます。それから技術そのものが日進月歩でございまして、なかなかそういう進歩に追いつかないという面もありますので、生涯教育あるいは研修が非常に重要になってまいります。御指摘のように、都道府県及び政令指定都市におきまして技術者研修を行っておりますが、毎年七千名を超える技術者につきまして研修を行っているということでございまして、これに対しまして国が助成措置を講じているわけでございます。 一方、中小企業事業団におきます中小企業大学校でございますが、今申しました都道府県、政令指定都市で実施がやや困難な、高度あるいは大規模なもの、あるいは実習を伴うような研修、そういったものにつきまして中小企業者あるいはその従業員を対象に研修を行っておりますし、それからまた直接指導できない者、直接出席できない者に対しましては通信研修という形で行っておりまして、これ両方を含めますと毎年千五百名以上になるわけでございます。 さらに中小企業大学校におきましては、公設試験研究機関の職員を対象にいたしまして、その職員は中小企業者に技術指導を行います職員でございますが、そういった職員に対しまして毎年これも研修を実施しております。これの方は二百四十名か二百五十名程度に毎年行っております。 こういった技術研修につきましては、そのときどきの技術の状況あるいはニーズを踏まえ、また施設等の整備もあわせ行いながら行う、研修の成果が上がるように実施をしているところでございます。今後ともそのように努めていきたいと思っております。
○田代富士男君 ここで我々がこの前中小企業大学校を訪問した折に申し上げたことは、私自身も申し上げましたけれども、ちょうど今男女雇用平等法等が国会でも審議されている、そういうこともありまして、我々学校へ参りましたところが、女性の姿がほとんど見られない、こういうことで、女性にも門戸を開放すべきではないかという質問をいたしました。それについては施設の整備等も図っているという、今御答弁もありましたけれども、そのときにもやはり女性が参加できるようなことも考えなくちゃならないという、そういうものが話し合いの中に出されたわけでございますけれども、やはりそういう面では、まだ女性の進出に対する施策というものは、その後一歩も進んでないような感じがしてならないんですけれども、その点いかがでございますか。
○政府委員(遠山仁人君) 女性に対しましては、特別に制限をしているわけではございませんので、ただ現実問題としては受講者が少ないというふうには聞いております。今後とも希望者につきましては受け入れ態勢を、施設の面で若干問題がありますので、そうできない場合もございますけれども、そういった点で対応できるならば対応していきたい、こういうふうに思っております。
○田代富士男君 申し出が少ないからそういうようなPRもよくして、そして女性に門戸を開いてもらいたいと申し上げましたけれども、これ以上私は申しませんが、一応これ長官いかがでございましょうか、考えていただいたら。
○政府委員(石井賢吾君) ただいまの御指摘、十分踏まえまして、今後ニーズに合わせて対応を考えたいというふうに思っております。
○田代富士男君 今私、調査の資料をもとにして質問いたしましたけれども、このアンケートでもわかるように、技術者の不足というものが最大のボトルネックであるとするならば、これを解消していくことが中小企業技術施策の中心に据えられるべきことではないかと思うのでございますが、現状の技術者養成の施策は不十分ではないかと思うのでございます。そういう意味から、技術者の絶対数をふやすことはもちろんでございますけれども、この中小企業に属する技術者をふやすためにどのような施策を講ずるのか。 今回の法案第十条にも、人材の養成に触れておりますけれども、単なる訓示規定とすることでなくして、どのようにこの問題に対処をしていくのか、この問題に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(遠山仁人君) 人材の不足を解消することが非常に重要であるということは御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても従来から、先ほど申しました中小企業大学校の研修、それから都道府県に設けられております公設試験研究機関の技術情報の提供、技術ニュースというものをつくっていたり、あるいは問い合わせに応じていたりということでございます。それから同じ機関によります技術指導、それから都道府県が行っております中小企業の技術者研修事業、それから技術アドバイザー事業あるいは巡回技術指導事業、そういった施策を講じているところでございます。 御指摘の第十条の規定はそういう趣旨から設けられているものでございまして、今申しましたような施策を今後とも拡充を図ってまいりたいと思っております。
○田代富士男君 六十年度の中小企業大学校の先端技術講座には受講希望者が殺到してきていると、私そういう資料を読ませていただきました。どうしてそのように殺到してきているかという理由といたしまして、受講料が民間に比べまして三分の一から四分の一と安いことである、こういうことではないかと思います。もう既に、十月期までの受講者の募集がいっぱいで締め切ったというような記事が載せられておりましたけれども、そういう立場からするならば、この中小企業大学校も各地に整備されているということでございますし、こういう革新技術関係のコースをより充実する方向で考えていくならば、今ここで質疑をやらせていただいている本法案の趣旨にも沿うことになるのではないかと思いますけれども、こういうことに対してのお考えはいかがでございましょうか。
○政府委員(遠山仁人君) 中小企業大学校におきます技術研修につきまして、コースをそのときどきの技術の動向に合わせましていろいろ変えていく必要があるということは私どもも十分承知しておりまして、これまでもそういったことを進めてまいりまして、五十九年度におきましては、技術指導員を対象にいたしまして、先端技術コースというものを新たに設けまして、これは新材料の技術等を中心といたします一カ月コースでございますけれども、そういうものを設けている、こういうことでございます。 中小企業大学校の技術コース、受講希望が非常に多いのは受講料が安価であるということを御指摘でございますけれども、そういう面は確かにございますけれども、やはり先端技術等に対します中小企業者のニーズというのが非常に大きくなっておりまして、それに対しまして研修内容等も充実してきている面というものもあるんではないかと思いますので、今後ともそういったニーズを踏まえ、また施設の整備等も踏まえましてコースの充実を図っていきたい、こういうふうに思っております。
○田代富士男君 次に、東京商工会議所の「中小企業の技術開発に関する産・学・官協同の推進について」という報告書がございます。この報告書によりますと、企業と外部の技術開発協力状況というものは、公設試験所との技術研究協力が大企業では二九・一%という数字が出ておるのでございます。これに対しまして中小企業では七・二%にすぎない数字であります。また、大学との協力は大企業では五六・六%という数字であるのに対しまして、中小企業ではわずか一一・三%にすぎない数字であります。これはあくまで数字の上のことでございますけれども、技術開発協力が中小企業においてこのように低調に推移している理由をどのようにお考えであるのか。これはただ単なる数字というわけにはまいりません。傾向性というものが明確に出ておりますけれども、この点に対する理由をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(遠山仁人君) 中小企業が大企業に比べまして外部の機関との協力状況が弱いということの理由でございますが、いろいろ考えられるわけですけれども、一般的に申しますと、中小企業は大企業と比べますと、相対的に身近な取引先あるいは親企業との協力関係の方が強いということでございます。そういったところとの技術情報のやりとり、あるいは協力状況が強いんではないかと、これが一つございます。 それから大企業に比べますと中小企業は資金的に、あるいは人的な面での余裕がないために、あるいは人脈と申しますか、人的なつながりがないので外部の機関との接触の機会が少ないということもあるんではないかと。それから、そういうこともございまして、情報収集力に欠けるということから、どこヘアプローチをしたらいいかわからないという面もあるんではないかというふうな感じがするわけであります。それからさらに、大学との研究協力につきまして、大企業に比べますとやはり研究のテーマと申しますか、そういう面で一緒に共同して行う共通のテーマというものがなかなかないという面もあるいはあるんではないか、こういうふうな感じがいたしております。
○田代富士男君 今中小企業の理由といたしましてるるお述べになりました。この研究協力を大学側からこれを見てみますと、協力先の企業が中小企業であるものが私立大学においては四五・八%、これに対しまして、国公立大学においてはこの比率が半分以下の二二・五%、この程度なんです。国公立大学は主に大企業を相手に研究協力をやっているという結果が出ております。この点 中小企業の技術開発にこれは余り積極的な姿勢というわけにはいかない数字が出ているわけでございますが、この法案の趣旨とも、こういう点から見ると矛盾している面が実情ではないかと思うわけでございまして、この点、これは今御答弁がありましたとおりに、中小企業は共通のテーマがなかなか合わないからとか、今親企業との関係が強いとか、あるいはそういう資金的に弱い、人脈がないとか、情報収集力が弱いとか御答弁がありましたけれども、そういうところでますますこういう格差が出ている。 これを格差をなくそうとしていくのが通産省の指導ではないかと思うわけなんですし、今後はこういう面をなくしていくためには、通産省だけでなくして、やっぱり文部省の立場からもこの問題は積極的に取り組んで改善をしていかねばならないと思います。そういう立場から、通産省と、文部省も御出席いただいておりますから、両省からお答えをいただけたらと思います。
○説明員(長谷川正明君) 今、先生御指摘の報告書につきましては、私ども拝見しておりまして、よく内容を研究して今後の施策の参考にしたいというふうに考えております。 文部省では、大学がその基本的な使命、つまり基礎的な創造的な研究、それから研究後継者の養成、こういう基本的な使命を踏まえつつ、主体的に産業界等社会の諸要請に適切に対応していくことが大学における基礎研究にも有益な刺激を与えることになるというふうに考えておりまして、民間との共同研究制度、あるいは先生よく御承知の受託研究制度、あるいは受託研究員制度、こういうような諸施策の推進に努力しているところでございます。 それで、ただいまも御説明が通産省の方からありましたけれども、大学の側から見て、なぜ中小企業との研究協力というものが大企業に比べてより低調であるかということですけれども、まず第一に、ちょっと繰り返しになって恐縮ですけれども、大学はその教育研究の本質から言いまして、どうしても原理的あるいは基礎的な研究が主になっておりまして、研究者の関心なりというものもそういうところに重点が置かれております。 他方、少なくともこれまでの中小企業の方の御要請と申しますのは、技術改良とかあるいはあした使える製品の開発とか、そういうところが中心になっておりましたので、どうしてもなかなかニーズがうまく合致しなかったということが一つの大きな理由ではないかと考えております。さらに、それに劣らず重要な要素としましては、大学でどのような研究が行われているか、あるいはどういうような研究者がおられるのかというようなことについての情報がなかなか得にくいということは、これはまた大きな理由ではないかというふうに考えております。 それで、先ほどちょっと触れましたけれども、昭和五十八年から私どもの新規施策としてスタートしました国立大学等と民間機関等との共同研究制度、これは民間企業と外部の方を、共同研究員という形で大学あるいは研究所、そして高等専門学校に入っていただきまして、一緒に共通のテーマについて研究していただく、こういう制度でございますけれども、五十八年スタート時には五十六件の研究が行われましたが、二年目の五十九年度には、三倍近い百六十件の研究が大学あるいは高専等で実施されております。それで、五十九年度百六十件、これは百三十二社とそれから三十五の国立大学等での共同研究が行われたわけですけれども、全体の三割近くは中小企業の研究者もお入りいただいているというふうに承知しております。特に高専とかあるいは地方の大学等でそういう地元の企業との共同研究が進んでおるというようなことがございます。 そんなような形で、こういう事業の推進あるいは特に技術情報あるいは大学の研究者の情報等を提供するということでは、例えば豊橋技術科学大学、これは大変新しい大学で、国際的に開かれた大学、あるいは国内的にも企業と外部との協力というものを大きな特色として発足しておる国立大学ですけれども、ここでは大変ユニークな試みをしておりまして、技術開発センターというセンターをつくっておりまして、ここで技術相談に応じるとか、あるいは昨年夏と春にセミナーを開きまして、地元の企業の方々百五十名がこのセミナーには参加しておりますけれども、そこで共同研究その他の産学協力の仕組みの説明あるいは大学の研究の状況、こういうものをお知らせする、このような試みも行われております。 そういうような大学の特質を生かした試み、あるいは私どもとしても研究所についての要覧をつくるとか、いろいろな形で情報提供等を活発にしてまいりたい、このように考えております。
○政府委員(遠山仁人君) 私どもといたしましても、中小企業が国立大学との研究協力あるいは私立大学も含めましてそういった大学との研究協力を進めていきますことは非常に大事だと考えております。 私どもの立場で施策の面で推進しておりますのは、先ほど申しましたような理由もございますが、そういったところから大体二つの点で考えられると思います。 一つは、今文部省からのお話もございましたけれども、大学等の技術情報を中小企業者に提供をして、どういう大学でどういう研究をしているか、どういう論文があるかということを提供しようということでございまして、中小企業事業団にありますデータベースの中に大学等の情報が大体千八百件ほどございます。そういったものを提供をしていくということでございます。 もう一つは、大学等を含めまして、産学が協同して何か一つのテーマに取り組んでいくような、こういうプロジェクトを進めることが非常にいいんじゃないかということでございまして、地域フロンティア技術開発事業あるいは今年度からいたすことにいたしております地域システム技術開発事業等におきまして、国公立大学等の協力も得ながら具体的なテーマについて研究を進めていく、こういうふうなことをやっているわけでございます。
○田代富士男君 ただいま文部省それから通産省から、取り組んでいらっしゃる現状についてお答えをいただきました。 大学側の研究協力実施上の問題の一つとして言われているのが、大学の制度、組織上の障害がある。それで、この比率を資料で見させていただいたときに、私立では一九・六%であるのに対しまして、国公立大では三八・八%になっております。さらに、研究協力を拒否した比率は、私立が一・五%に対し、国公立大は二三・九%と極めて大きな割合が占められておるのでございまして、この大学の制度、組織上の障害とは具体的にどんなものなのか。 また今後、研究協力を強力に推進するために、これらの障害をどのように取り除いていくのか、これは大事な問題ではないかと思います。その点、お答えいただきたいと思います。
○説明員(長谷川正明君) 国立大学等において行われます研究協力、これは先ほどちょっと触れましたけれども、共同研究あるいは受託研究というシステムは、あくまで国立大学等の事業として行われるものでございますので、それは適切かつ公正に行われる必要がございまして、そのためのルールといいますか、仕組みを整備しているところでございます。 したがって国の経費、事業として行われる関係上、きちっとした契約書をつくる。あるいは受託研究、共同研究を行うに当たっても、単にその大学側の研究者と相手企業等との話がつけばいいということではなくて、もちろんそれが基本ですけれども、大学としてそれを受け入れることが適当かどうかということについての審査、こういうものも行うような仕組みには当然なっているわけでございます。 しかし、そういう仕組みの中でも、非常にやりにくいとか、判断が遅いとか、そういうことのないように、私どもとしては受け入れ決定が早くできるように、例えば大学全体で学長が決めなけれ ばいけないということじゃなくて、大学によっては各学部に判断をお願いするとか、そういうことはしてもいいというような指導もしておりますし、また、先ほどちょっとお話が出ておりましたけれども、受託研究あるいは共同研究の結果、発明が起こって、特許等が生まれた際の取り扱いにつきましても、相手方の企業等の貢献、協力というものを考慮いたしまして、優先的な実施権を認めることができるようにするとか、そういう工夫を重ねているところでございます。 それから、そういう共同研究あるいは受託研究の制度というものにつきまして、国立大学等の教員、あるいは末端と言っては失礼ですけれども、現場を預かっておられる職員の方々が、必ずしも十分理解していただいていないという危険性がございます。その結果、そういうような話は、ちょっとそういう制度ないよというようなことで答えてしまったり、あるいは最初から考えも及ばないというような事態が起こっているんではないかという気も、この報告書を読んで、した次第でございます。 したがいまして、そういう制度につきまして、今後皆さんによく周知していただけるように努力していきたい。また、企業等の方々におきましても、大学というものの特質、あるいは大学で実施しておるそのような制度というものを御理解いただいて、研究協力が実現していくような努力を一層払っていきたい、このように考えております。
○田代富士男君 次に、中小企業の側からなぜ大学との研究協力をしなかったのかというところを見てみますと、必要がなかったというのは別にいたしまして、大学に依頼しづらかった、そういうのが大企業ではゼロに対しまして、中小企業では一四・一%。また大学とのパイプがなかったというのが大企業は四・九%、中小企業が二一・六%となっているわけでございまして、つまり中小企業は大学との研究協力をしたいが、金もないと、今さっき御答弁にもありましたとおりに。また大学に研究協力を求めても相手にしてもらえそうもない、依頼しづらかったというのが現実の姿ではないかと思いますけれども、これに対しまして通産省、文部省は、今後解決、改善していかなくてはならない問題の一つじゃないかと思いますから、どのように対処していかれるのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(石井賢吾君) 御指摘の中で、大学のいわば研究内容についての情報入手というのは、もう七〇%強が、言うならば口コミという形において、開放的な形では入ってきていないというのが実態だろうと思うわけでございます。その意味におきましては、先ほど指導部長から御答弁申し上げましたが、中小企業事業団のSMI RSというデータベースの中に、国公立大学の研究テーマについてのデータ蓄積を今図って、それを地域に提供できるような体制をとっておるわけでございますが、私の方は、できましたら、これはまだ思いつきの段階でございますけれども、六十年度から中小企業事業団に異業種交流を促進するためのテクノロジーセンターというものを設置する予定になっております。 ここでは、一方のサイドにおきまして中小企業が持つ各業種別の技術課題、これを登録をいたすことにいたしておりますが、他方、それに対応いたします、その技術課題を解決するシーズといいますか、そういうものの提供者のデータベースの整理もあわせて図ることにいたしまして、言うならば県単位あるいはブロック単位で解決できないものを国のベースで、言うならば異業種交流が可能なような方向へ持っていきたいということで、六十年度からその整備に着手することといたしております。私は当然その一環として、今後大学の研究テーマというのも利用しやすい形で、まず情報入手あるいは情報提供できるような能勢をとるのが第一位ではなかろうかと思います。 それから第二に、やはり大学との研究協力をする場合におきまして、先ほど先生御指摘のようないろいろな隘路がございます。資金面、研究費不足という問題もさることながら、やはり中小企業では研究成果を早く得たがるということで、大学の研究のテンポと合わないというような現実もございますし、また同時に、やはり大学側として研究協力する以上は、企業の側の研究者をやはり役に立てたいという気持ち、それに対して中小企業はそういう研究者を提供できないというような相当複数のやはり隘路があろうかと思います。 そういったものを、例えばテクノロジーセンターを、せっかく情報データベースを整備するのであれば、今後それを活用する手順をさらに見きわめていくというようなことで、これまで少しずつ進めてまいりました技術政策を、テクノロジーセンターを中核にして何とか解決するのを考えるのも必要なんではなかろうかと思っておりますが、一つずつ解決するように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○説明員(長谷川正明君) 先ほど、共同研究が初年度、二年目というふうに非常にふえているということでお話ししましたとおり、最近、国立大学等におきます外部との協力研究というものに対する意欲も大変高まってきております。また、豊橋技術科学大学の例でお示ししましたように、各大学においてもそれぞれの地域のニーズ、要請にこたえた形での工夫、努力がなされてきております。 文部省といたしましても、関係各省あるいは地方公共団体等と連携をとりながら、大学の研究者の意欲それから企業等のニーズというものが一致した場合には、それらの研究が適切かつ円滑に行われるような環境整備というものに努めてまいりたいというふうに考えております。
○田代富士男君 最後の質問ですが、今質疑応答の中で、大臣もお聞きになっていただいたと思いますけれども、従来、産学官の連携といいますと、大企業、官庁、大学の間の連携のイメージが強いわけでございますが、中小企業にとっては高ねの花のような感じが強かったと私は思うのでございますが、しかし技術革新の激しい時代に、中小企業だけがその波に乗りおくれるようなことがあってはならないと。したがって、技術開発における産学官の連携に対する中小企業者の期待というものは、極めて大きいのではなかろうかと思うわけでございます。 先ほど来指摘してきましたように、この中小企業を取り巻くさまざまな厳しい障害を解消いたしまして、技術開発を強力に推進する環境をつくるための一つの提案として、総合的かつ多面的な機能を備えた中小企業のための産学官共同研究推進機関の設立の検討をされたらどうかと思いますけれども、大臣の見解をお聞きいたしまして私の質問を終わります。
○政府委員(石井賢吾君) 事務的に先に補足をさしていただきます。 中小企業の従来の施策の中で、例えば五十八年度から開始をいたしました地域フロンティア開発事業、これが地元大学との連携におきます産官学をいわば組織的に推進する一つの制度でございました。これがちょうど三年目でございまして、二十一のテーマで現在各府県においてそれを進めておるわけでございますが、さらに六十年度からは地域システム開発事業という形で、やはりその地域の中小企業が参画をするシステム開発への参画を進めようというふうにいたしておりまして、これが一つの、言うならばまさにモデル的な存在ではございますが、そういった大学と中小企業との連携強化の一つの方策だろうと思うわけでございます。 先ほど申し上げましたような中小企業事業団のテクノロジーセンターの活用方策ということも今後考えられますので、そういった意味で多面的な連携方策をとっていったらどうだろうか。これはもちろん地元でまず行うのが先決でございますので、そういった努力を積み重ねていくことによりまして、さらに国全体としてテクノロジーセンターで包括できるような対応を考えていったらどうだろうかというのが今の段階で、まだ萌芽状態でございますが、そういった方向で進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○国務大臣(村田敬次郎君) 広範な御質問承らしていただきました。 今、石井長官からもお答え申し上げましたが、産官学の連携というのは、これは新しい時代、二十一世紀に向けての非常に重要な方法論であろうかと思います。大企業と中小企業との格差を広げないためにも、また、現在のハイテクの問題などを考えますと、多品種少量生産の時代が来つつある、あるいはニーズが非常に多様化しつつあるといったようなことから、中小企業にとっても技術開発をひとつしっかりと研究をいたしまして、これからの新しい時代を切り開くチャンスであろうかと思います。御指摘のような産官学の提携の上に立って今後の中小企業の技術開発を進めてまいりたい、このように考えております。
○市川正一君 最初に確認をいたしたいのですが、この法案は来年七月に期限切れになる産地中小企業対策臨時措置法、これを受けて制定されるという説明がなされた時期がございましたけれども、提案理由の説明は、そのことには触れられておりませんですが、その位置づけは今も変わらないんでしょうか。
○政府委員(石井賢吾君) 私どもは、最近におきます技術革新の進展、他方、中小企業が市場構造の変化に即応するためのいろいろな課題がございます。それへの課題対応の一助として、中小企業の技術開発を積極的に推進するということで本法案をお願いをいたした次第でございまして、産地法との絡みは全く考えておらないところでございます。
○市川正一君 私、以下産地法との絡みでこの問題について考察してみたいのでありますが、産地法の運用実績をこの機会に伺いたいんです。要すれば、産地法の適用を受けた産地数、それから中小企業者数、補助金額の推移、融資の実績、減税額の実績、あるいは産地法によって発展した産地があればその例などについてお聞かせ願いたいのでございます。
○政府委員(末木凰太郎君) 数字で把握できる点を申し上げますと、五十四年七月に産地中小企業対策臨時措置法が施行されましてから、御承知のように、指定は業種及び地域を限って行われておりますが、五十四年度に七十七産地、五十五年度に八十六産地、五十六年度三十五産地、合計百九十八産地指定されております。対象企業数はこの百九十八産地につきまして、年度別に申しますと、五十四年度当時は約六万四千企業、五十五年度九万五千企業、五十六年度十万二千企業、五十七年度及び五十八年度は約十万企業という数字になっております。以後今日に至っております。 それから補助金等の予算でございますが、五十四年度、初年度が四億四千万、五十五年度が七億一千万、五十六年度が八億一千万、五十七年度六億、五十八年度五億二千万、五十九年度が約三億四千万、こういう数字でございます。 次に、中小企業金融公庫等の産地特定地域振興貸し付けによる融資でございますが、初年度は九億円、五十四年度九億円でございましたが、以後順次ふえまして、五十五年度が八十七億円、五十六年度が百四十七億円、五十七年度百五十七億円、五十八年度百五十五億円、五十九年度百四十億円でございます。 所得の数字につきましては、申しわけございませんが、数字的に集計できておりません。 それから、産地ごとにどういう効果があったかということでございます。百九十八の産地につきまして、数字で集計できますような形の統計、遺憾ながら持ち合わせておりませんけれども、私ども常日ごろ接触しております産地は相当ございますし、私も、自分でもそうでございますが、担当の者がしばしば現地も見ております。全部が全部、すべて一〇〇%うまくいったというわけにはまいりませんけれども、それなりの効果を上げてきておりますし、具体的なうまくいっている例などを申しますと、例えば兵庫県西脇市の先染織物産地等では、新しい縫製市場を香港に開拓することに成功したとか、それから輸出用の革手袋などでは、この法律は輸出がうまくいかなくなったことを契機として制定されたものでございますので、輸出から内需への転換をうまくなし遂げたとか、このようなケースは多々ございます。
○市川正一君 私も、総括的にいえば一定の効果がこれによって生じていると、こう思うんでありますが、また、中小企業の中にも、産地法を充実さして引き続き延長すべきであるという声も出ております。石井長官はそういうことはもともと考えていなかったという、さっき、まさにきっぱりしたお答えだったんですが、私どもが承知しているのでは、オーバーラップというか、この産地法をも織り込んだ立法になるんだというふうに聞いておったんですね。それは全く私の誤解なのか、それとも事態はその後急変したのか、そして、来年の七月にこれがもう期限切れになるわけですけれども、そういうままに、じゃ何ら継承性なしにもう断ち切られてしまうのか。そこらちょっと、もしそうであるならば、事態の発展を簡潔に御説明願いたい。
○政府委員(石井賢吾君) もう市川先生十分御承知のように、産地法につきましては、特殊の原因に対応して、その原因に対応する中小企業の諸施策を支援するということで、限時法をもってスタートしたことは御承知のとおりでございます。 その法指定の、言うならば特殊な著しい経済的変動、これは現状では全く事情が変わってきておるのではなかろうかという認識が一つございます。それと、あわせまして先ほど計画部長からお答え申し上げました百九十八の産地の中で、現在ほとんど五カ年間の振興事業を終えまして、現在ワークしておりますのはほぼ三十九産地程度になっておるわけでございまして、これも六十年度をもってほぼ振興事業を終了することになっておるわけでございます。したがいまして、法律の切れます六十一年七月時点では、もうほとんど現実の振興事業はワークしていないという状況に既になろうかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、この産地法を制定いたしました経済事情、これが大きく変わっておること。またその主たる支援施策でございます振興事業支援、これも既に終了しつつあること。こういうことから、現行の法律のままで果たして延長をすべきかどうか、これは非常に疑問のあるところでございます。 ただ、私どもが今回の技術開発促進臨時措置法案をお出ししました段階で、これを出すから、六十一年七月に産地法をそのまま失効させるんだという結論を出してお出ししたものではございません。あくまでも、先ほど申し上げました中小企業の市場構造への対応を、技術革新の潮流を大胆に取り入れながら即応をしていく、これを支援するのが中小企業技術開発促進臨時措置法でございまして、その中には、御承知のように個々の企業をも支援するわけでございますから、言うならば産地とどんぴしゃり合った対応策ではございません。そういう意味において、私どもは、来年の段階で最終的な判断を下せばいいというふうに考えておるわけですが、ただいまの段階で、産地法の経済事情及び振興事業の進捗状況から、それをそのまま延長する必要があるというふうには考えておらないところでございます。
○市川正一君 今、石井長官もおっしゃったように、確かに産地法の目的の中には、その当時「円相場の高騰」が例示されておりますように、それを含む「経済的事情の著しい変化」という極めて広い概念で包まれておりますね。その意味では、私は産地法制定以降の情勢の変化もまた多岐にわたっているというふうに言わざるを得ぬのであります。例えば日米経済摩擦の激化あるいは高度情報化の進展、消費者ニーズの多様化など、この産地法の目的に言う「変化」は、やはり激動を続けていると思うんであります。また産地法は、産地の中小企業の盛衰が地域経済に及ぼす影響にも非常に大きいということを着目して、地域的な広がりで施策を考えようという面で、政府の数少ない施策の一つであるというふうに、私は非常に着目しております。 そうしますと、確かに今計画部長からお話しございましたこの産地法の運用状況を踏まえて、新しい時代の産地の発展方向を目指す、言うならば新産地法というようなものも発想の中に織り込んていただいていいんじゃないか。私は今度のこの法案がそういうものをも吸収していくようなものといいますか、確かに技術開発に目を向けている点ではそういう積極的な意味を持つんですが、地域的な広がりに目を向けた総合的な立法といいますか、そういう政策展開というものも、この産地法の実績の上に立って、今度の法案とオーバーラップしながら考える点はどうなんだろうかという問題提起をちょっとさしていただいているわけで、そのまま自動延長しろとかいうことを必ずしも固執して言っているわけじゃないんですが、そういう点は、この法案とそういうものとの絡み合いは何かお考えになっていることでございましょうか。
○政府委員(石井賢吾君) 市川先生御指摘の、いわば産地対策あるいは産地振興対策と申しますか、私ども昭和六十年、本年度の中小企業対策の一つの大きな柱として、地域とともに歩む中小企業の支援というのを立てているわけでございます。 具体的には、例えば新地場集積圏構想の推進あるいは若干この産地法のアイデアに近いわけでございますが、産地製品、地場製品のデザインの高度化の支援というようないろいろな試みを、六十年度の施策実施という形で進めたいと思っておるわけでございますが、そういった全部のいわば産地振興対策、これはもちろん今申し上げた点は予算措置をもって講じたわけでございますが、そういったものを立法という形において推進しなければ、全体の力強いバックアップができるのかできないのか、この辺の判断も必要かと思いますが、そういった点を加味して、今後検討していく課題ではなかろうかというふうに思っております。
○市川正一君 来年七月へ向けてのひとつ研究、検討を、今の長官の御答弁を踏まえて進めていただくことを要望いたします。 この法案そのものについて入っていきたいと思うんでありますが、核心部分とも言うべき技術開発の内容についてでありますけれども、きょうの同僚委員の質疑あるいは衆議院での審議の中でもございましたが、第二条第三項第一号の規定で、「技術革新の進展に即応し、かつ、著しい新規性を有するものに限る。」というふうに非常に限定的に述べてあります。 このうち、「技術革新の進展に即応し、」というのは、今までお伺いしておりましたが、マイクロエレクトロニクスとか新素材やバイオテクノロジーというふうないわゆる先端技術に関連したものだと、「著しい新規性」というのは、新しい技術の単純な導入ではないんだということに相なるんですが、そうしますと、「技術革新」と「新規性」というのを「かつ」という文言でつなげておりますことから、対象となる技術開発というのがこの両者を兼ね備えた、具備したものということで非常に限定的にならざるを得ないという懸念を持つんですが、しかし例えば製造業で新しい機械を導入するだけの場合でも、その際には生産工程やレイアウト、人員の配置、製品の性能等々さまざまな研究がなされるのが普通なので、限定的に技術開発をとらえると、中小企業にとって結局この本法案が画餅になってしまうおそれもある。 再度私申し述べたいのは、この運用に当たっては、可能な限りで広く技術開発ということをとらえるようにすべきであるというふうに考えるのでありますが、いかがでしょうか。
○政府委員(黒田明雄君) 「技術革新の進展に即応」するというふうな限定を一つ加えているのは事実でございますが、これはやはり中小企業を一つの将来性のある技術分野にその開発努力を誘導していきたいという考えに基づくものでございます。それから、「著しい新規性を有するもの」というふうにしておりますのも一般の技術開発、これは新規性はあるわけでございますが、そういったものを今後とも推進していくわけでございますが、それに上乗せする施策といたしまして、自主技術開発力の涵養に役立つ、そういったプロセスを経る必要のあるこういう著しい新規性を持ったものに、特別の施策、支援措置を用意いたしまして、中小企業に挑戦をしてもらおうという意味でございます。 でございますけれども、中小企業者ができるだけ数多くこの技術開発に参画してほしいわけでございまして、いたずらにこの範囲を限定することはいささかも私ども趣旨とするところではございません。したがいまして、運用に当たりましては、今言いました一般の技術革新とは違うという差異は考えなければいけませんけれども、中小企業の研究開発の実情というものがございますから、これをよく踏まえて運用してまいりたいというふうに考えます。
○市川正一君 運用における実際的なこの適用を、今おっしゃった精神をぜひ具体化していただきたいと思うんですが、同時に今、次長がおっしゃったこういう先端的な技術への「挑戦」という言葉をお使いになったんですが、それは確かにすべての中小企業にその可能性があります。しかし、実際にそれに取り組める中小企業がおのずと限られた範囲になることもまた事実であります。 そこで、従来の技術振興策の運用状態を聞きたいんですが、ここに中小企業庁が出されました中小企業の「技術向上対策 きめ手は技術力」というキャッチフレーズのパンフレット。この中に九項目の対策が掲げられておりますけれども、その実績を知りたいのです。
○政府委員(遠山仁人君) それぞれの施策の実績でございますが、まず技術改善費補助金につきましては、最近の年度では毎年九十数企業につきまして交付をいたしております。五十九年度におきましては交付決定いたしました企業九十六社でございます。それから、地域フロンティア技術開発事業、先ほども話が出ましたが、産学官共同で研究開発を行うということでございますが、これにつきましては、五十八年度から始まりまして六十年度採択分も含めまして二十四地域になっております。それから、技術アドバイザー事業でございます。技術アドバイザーが全国で約二千五百人おるわけでございますが、五十八年度は二千五百人の専門家が、アドバイザーが技術指導いたしました企業約六千百企業、こういうふうになっております。それから、技術交流プラザ事業でございますが、五十六年度に制度が発足いたしまして、五十六年度から五十九年度までの四年間に百四十五グループ全国で結成をいたしました。それに参画いたしました企業の数は延べで約四千三百社に達しております。 それから、公設試験研究機関によります技術指導でございますが、その中で巡回技術指導につきましては、五十八年度に約一万五千企業を指導をいたしております。それから、技術研修でございますが、都道府県と政令指定都市におきまして行われました技術研修でございますが、五十八年度約七千四百人、こういうふうになっております。それから、中小企業大学校におきます技術研修でございますが、これは通信研修を含めまして昭和五十八年度は約千八百人という実績になっております。 以上でございます。
○市川正一君 今概略の説明を伺ったんですが、事前にちょうだいしました資料を見ましても、零細な中小企業も恐らく利用していると見られる技術アドバイザー制度、今説明がございましたこれの第五項であります。これも前年に比べると予算がふえておらぬのです。年間の指導企業数も先ほどお話があった六千件程度であります。また、公設試験研究機関の巡回技術指導も年間一万五千件程度で、補助金の予算もこれは減少を見ております。ですから、従来の一般的な技術開発施策の実績でさえこの程度の利用状況であります。したがって、中小企業者六百五十万としますと、その利用率というのはまさにミクロ的な実態なんです、残念ながら。したがって、今回の施策はさらにこれを絞り込んだ中小企業を対象とするわけでありますから、結局この制度を利用できるのは、よほど政府の、通産省の先ほどのいろんな運用における幅といいますか、それを活用していただかないと結局全体にそれが及ばないということを、私はあえて懸念を表明せざるを得ぬのであります。 その点で、私は大臣にもお聞きしたいんでありますが、そういう日本経済に大きな役割を果たしている中小企業の技術水準を引き上げることを考慮するならば、助成に必要な予算をもっと増額する必要がある、そしてその施策ももっと充実させる必要がある、こう思うんでありますが、その問題についての姿勢といいますか、あるいはまた対策をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 市川委員の御指摘になられた点は大変重要な点であると思います。予算の関係はもう既に委員御承知のように、このところ行政合理化対策のために必ずしも増額をされておりませんけれども、中小企業振興のためにそういったいろいろな施策を含めて一生懸命努力をしてまいりたいと思っております。
○市川正一君 次に、私が触れたい問題は、技術開発で重要なことは、その成果が中小企業自身の繁栄と発展に役立つという問題だと思うんです。例えば中小企業の場合、下請企業の割合が相当高いんですね。そうした中小企業が持つ技術開発の成果を親企業が吸い上げてしまうということがあるのも、私はこれは放置できないと思うんです。 去年の十一月、経団連の中小企業対策懇談会が中間報告を発表いたしました。ここに「経団連月報」を私持ってまいりましたが、その中に「大企業と中小企業との相互協力」という項目があって、そこでこう述べております。少し長くなりますが紹介させていただきますと、「中小企業への協力は、大企業の都合で行なうべきではなく、あくまでも対等の立場にある中小企業の自律的な発展を基本とし、大企業は、旧態依然たる下請け観を以て中小企業に接することを回避せねばならない。大企業としては、中小企業のニーズや技術レベルに適ない、かつタイムリーに中小企業への協力を行なうよう十分配慮する必要がある。大企業は、いたずらに効果を焦り、中小企業に無理な内容、スケジュールを押しつけるようなことがあってはならない。」と、こう述べております。この報告の内容それ自体、至極もっともなことであります。 実態は決してそうなっていないし、逆説的に申しますと、この報告があえてこのようなことを書いていること自体、現実がそうなっていないということの証左とも言えるわけでありますが、今国会に提出されました昭和五十九年度の中小企業白書を拝見いたしますと、ここに、百九十四ページ「下請企業実態調査」が報告されております。そこを見てみますと「親企業における技術革新の進展は、下請企業に対する発注内容にも様々な変化をもたらしており、」、こう述べて、「コストダウン要請が強まった」五一%、「品質・精度の要求が厳しくなった」四八%、「納期の短縮化」二四・四%、いわば中小企業の技術革新の成果を大企業がこういう形で取り込んでいるという実態が示されております。 私は、技術開発の成果が中小企業自身の発展につながるよう、大企業に対する指導を政府としても強化されるべきであるということをこの際改めて強調いたすとともに、以下具体的質問でございますが、こういう問題に関連して、去る四月三日の本委員会で山形県下の電気機械器具製造業における下請企業の実態を紹介し、例えば親企業の買いたたきによって最低賃金すら払えない下請代金になっているということを明らかにして対策を求めました。 そこで、そのときに石井長官もお見えいただきまして御答弁をいただいたんですが、中小企業庁としてこの間下請企業を守るためにどんな措置をとってこられたのか、以上のようなことを踏まえた御見解、御答弁をいただきたいのであります。
○政府委員(末木凰太郎君) 二つに分けてお答えいたしますが、四月三日にお取り上げになりました問題の個別の問題につきましては、特定の名前をお挙げにならなかったわけでございますけれども、一応関係の通産局それから県等に当たってみました。しかし、その特定の者を突きとめることはできませんでした。 それから次に、一般的な対策といたしましては、中小企業庁では、かねてから下請代金支払遅延防止法に基づきまして、公正取引委員会と協力をいたしまして、毎年度親事業者、下請事業者について法律の遵守状況を調査をしております。特に五十九年度につきましては、製造業は悉皆調査ということを含めましてトータル五万七千の調査を行っております。現在その五万七千の書面調査につきまして、違反の疑いのあるものを抜き出して整理中でございまして、この整理の過程の中で、御指摘のような不当な買いたたきとか不当値引きとかいうようなものについて、一つ一つ厳格にチェックをしていくつもりで作業をしているところでございます。 さらに一言つけ加えさせていただきますと、関係が電気関係のものでございますので、日本電子機械工業会の中に下請取引適正化対応ワーキンググループという専門家の検討グループがございますが、このグループのメンバーと、御指摘のような点も踏まえまして、公正取引委員会とも協力をしつつ、御指摘のような事実の改善策につきまして指導のための話し合いを数回行っているところでございます。
○市川正一君 特定の者というふうに私が名指ししなかったからわからなかった、聞いたけれどもなかったというのやったら、ちゃんと言いますから、ちゃんとしていただきたい。ここに山形県選出の委員長さんもいらっしゃいますので、この点はひとつはっきりいたしたいと思いますが。 石井長官も「私、先ほどお話を承っておりますと、やはり技術革新テンポの速い産業で、またそれが市場化する市場のライフサイクルといいますか、それが非常に短くなっているということで、価格が非常に下がっている分野がございます。」、まさに私が指摘した電気機械でありますが、「そういった側面で、今御指摘のような不当買いたたきとか値引きとかいう問題も発生するわけでございますので、そういう業界を所管いたします原局とも協力いたしまして、下請振興法に定める振興基準の徹底を図ってまいりたいというふうに思っています。」というお答えでございました。だから、この立場をさらに今フォローする引き続く御努力を重ねて期待いたしたいと思います。 公正取引委員会も、このときに高橋委員長から御答弁をいただいたんですが、その後この問題、下請問題でどのような対策をとっていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(利部脩二君) お答えいたします。 下請取引という閉鎖的な取引におきましては、親事業者の違反行為を発見するのが現実になかなか難しいわけでございます。そういう観点から、公正取引委員会といたしましては、最近特に下請事業者側からの調査を拡充することにいたしまして、五十九年度におきましては、製造業に属する親事業者約一万五千七百事業所を対象に調査をすることにしておりますが、これらの親事業者と取引している下請事業者約三万四千六百社を対象に下請調査を行い、違反行為の発見に努めているところでございます。その調査結果は近々まとまることになっております。 なお、前回御質問のありましたことに関連しまして、直接ではございませんが、特に最近の下請事業者に不利をもたらす親事業者の違反行為として不当な値引き行為がございます。これを見ますと、昭和五十九年度で特に電気機器製造業の不当値引き額を見てみますと、不当値引きとして措置いたしましたものが全業種で百九件ございました。そのうち電気機器製造業が三十三件ございました。それによって取り過ぎた代金を返還させた相手方の下請事業者の数が、全業種で千五百四十九ありましたが、そのうち電気機器製造業は六百八十八社でございました。返還させた額の総額が全業種で四億九千万余りでございましたが、そのうち電気機器製造業で一億八千万弱となっておりました。 こういうふうに全体の調査をいたしまして、それから下請事業者が不利を受けるような傾向を分析、洗い出しまして、そういうところに重点を置いて、また特定の地域で下請事業者が不利を受けているような状況が見られました場合には、そこに重点を置いて調査をするという方針で対処しております。
○市川正一君 今お話しのありました、五十九年から親企業で約一万五千何がし、それから下請で三万四千何がしというその調査は、近々まとまるというふうにおっしゃったんですが、大体いつごろできますか。そしてまた、その調査結果をぜひ私の方にもお教え願いたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(利部脩二君) 秋ごろまでにはまとまる予定でございます。 なお、前の調査時点とも比較いたしまして、結果を取りまとめて適宜御報告をいたすつもりでございます。
○市川正一君 ぜひよろしくお願いします。 私、この法案とも関連しまして、この際、公取委員会も御出席いただいている機会に伺っておきたいんでありますが、本法案の技術開発の対象には、生産、販売、役務の提供の技術が含まれていることになっておるんです。 そこで牛乳販売店の問題なんですが、牛乳販売業界は、キャプテンシステムの進展など高度情報化の動きに対応して、牛乳の宅配について新しいシステムを検討しなければならない課題に直面しております。しかし、大スーパーによる不当廉売あるいは牛乳メーカーの差別対価などで経営基盤を揺るがされている、将来に向けての課題の検討も思うままには任せない事態になっておる。商業統計によりますと、これは大阪の例でありますけれども、この三年間の店舗減少数が二百七十七店、減少率一六%という異常な高さを示しております。したがって、業者の人と私話し合ったんですが、この法案についていろいろ話をいたしましたが、適用以前の深刻な状態にあるということを申しておりました。 そういうことを前提にしてお聞きしたいんですが、私、去る二十三日に、大阪のダイエートポスの不当廉売問題で、関西の牛乳商業組合代表と同道いたしまして直接公取委員会に参上いたしました。そして実情もその際明らかにしたんでありますが、この件について大阪牛乳商業組合から、八十四年の九月三日、同十月五日、同十二月十七日、同十二月二十日、それぞれ申告が出ておりますが、その結果と、それぞれの判断の内容と、根拠をお示し願いたいんです。
○政府委員(佐藤徳太郎君) 不当廉売につきましては、ただいま先生お示しのように、最近非常に申告が多うございまして、五十九年度で申し上げますと、不当廉売全体につきまして申告が四千七百二十二件ございます。そのうち、今お話しの牛乳が非常に多うございまして、五十九年度で千四百八十八件の不当廉売の申告がございましたわけです。私どもといたしましても、中小小売業者の皆さんも大変お困りであろうというようなことから、不当廉売の申告がありました場合には、その内容で区分けしまして、なるたけ早い処理を心がけておるわけですが、いろいろ警告あるいは注意等の措置をその内容に応じて行っているわけでございます。 ただいまのダイエートポスの問題につきましては、先生ただいま御指摘のように、大阪の牛乳商業組合から昨年の秋口以降申告がございまして、その内容は、トポス店で不当廉売をしているんじゃないか、あるいはこれが不当廉売でないとするならば、その納入業者に非常に安値で納入させている、そういう独禁法違反の問題もあるんじゃないか、あるいは納入業者のあるいは生産業者の方が差別対価的に非常に安くダイエーだけに売っているんじゃないかというような趣旨の申告がございまして、大分時間かかっておりますが、ただいま鋭意審査中でございます。 以上でございます。
○市川正一君 このうち、九月三日と十二月二十日の分は、不当廉売ではないので措置をとらないというふうに回答なすったというふうに聞いているんですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(佐藤徳太郎君) ややちょっと事務的な話になって恐縮でございますが、その不当廉売につきましても、一定の場合、非常に継続的に行われていますとか……
○市川正一君 いやいや、三日と二十日はそういう回答したか、していないんですか。
○政府委員(佐藤徳太郎君) 三日の場合は、一日限りの廉売であるというぐあいに考えられましたので、これは影響が軽微であるということで特に調査には取り上げませんでした。それから二十日の場合には、申告の内容につきまして十分な資料等が添付されておりませんので、この問題についても調査としては取り上げませんでした。 そのほかの九月二十八日以降あるいは十月六日の問題につきましては取り上げまして、先ほど申し上げましたように、現在審査中ということでございます。
○市川正一君 そうしますと、不当廉売でないということを認定して措置をとらないというふうに回答したというんですけども、じゃなぜその牛乳販売業者の仕入れ価格より安い価格で販売できるのかということはお調べになったんですか。
○政府委員(佐藤徳太郎君) 先生からただいまお話しございましたように、本件につきましては、五十九年十月六日に、同じダイエートポスにつきまして申告がございまして、この件につきましては現在審査中である、こういうことでございます。
○市川正一君 三日と二十日の件を聞いているんですよ。あとの分まだ聞いていないです。それはどうです。
○政府委員(佐藤徳太郎君) 先ほどお答えいたしましたように、三日と二十日の件につきましては、添付資料等の問題がございまして、私どもとしては調査をしておらないと、こういうことでございます。
○市川正一君 公取の方は、申告者にただ一言だけ、措置をとらないことにしたという一片の通知で答えられるだけなんだけども、申告者の方は、本当に血のにじむような思いで調査をし、そして相当の資料もやっぱり出しているんですよ。私、時間がないから、その資料の中身まで立ち入るような今この場ではありませんから。だから、そういう木で鼻くくったような冷淡なお答えだけではやっぱりいかぬと思うんですね。私は、申告者に対する回答は明確な理由を付すべきだし、また問い合わせには可能な限り詳細に説明をすべきだと思うんですが、そういう態度に今後改善なさるおつもりはありませんか。
○政府委員(佐藤徳太郎君) 大阪府の牛乳商業組合の問題につきましては、先ほど来お話が出ておりますように、五十九年の十月六日には、みずから大阪事務所までお見えになりましていろいろ資料をそろえて申告あるいは説明していただいているわけでございますから、それに関連する一連の措置につきましては、相手方に電話等でよろしいですから説明等を十分した方がよかったんじゃないか、その点についてやや大阪事務所において配慮に欠ける点があったんではないかというぐあいには考えております。 私どもといたしましても、こういう案件につきましては、形式的には相手方に通知の文書等は決まっておりますけれども、なるたけ電話等でお知らせする、あるいはお問い合わせがあれば当然お知らせするということで指導しておるつもりでございますし、今後ともそういうぐあいに努めていきたい、こういうぐあいに考えております。
○市川正一君 今後ともというか、そういう態度を地方も含めてとるということを確認いたします。 そこで、十月五日と十二月十七日の分は今調査を進めているということだそうですが、そうしますとやっぱり牛乳流通の正常化、再発防止につながる厳しい指導を、実態調査を解明して行っていただきたいと思うんですが、結論はいつごろに出る予定ですか。
○政府委員(佐藤徳太郎君) 大分時間もたっておりますので、早急に出したいというぐあいに考えております。
○市川正一君 公取の方はお引き取り願って結構でありますが、もう時間も参りましたので本論に戻ります。 一つは、この課税の特例について、企業組合がその対象から外れている問題について、各地の企業組合からぜひこの措置を受けられるようにしてほしいという要望も非常に強いんでありますが、対象の拡大をするわけにはまいらぬのでしょうか、いかがでしょうか。
○政府委員(黒田明雄君) 企業組合及び協業組合につきましては、中小企業事業協同組合などとは少し立場が違うという位置づけに従来からなっているわけでございます。どういうふうに違うかと申し上げますと、企業組合、協業組合そのものがすなわち中小企業であるという位置づけでございまして、組合と構成員という関係における中小企業事業協同組合のような立場は、企業組合、協業組合についてはないものとしてそれぞれ立法がなされてきております。 そういう意味合いにおきまして、今回も企業組合は中小企業者という意味で含まれておりますが、ああいう課税の特例等の対象になります組合には含まれていない、それは組合対構成員という関係を企業組合についてはとっていないという従来からの立法例に沿っているわけでございまして、したがいまして今回の法律で、その限りにおきましては対象にならなくなっております。
○市川正一君 これで最後でありますが、私は中小企業を組織化していくというそういうねらいからしても、やはりこの問題はぜひ検討をしていただきたいというふうに思います。 最後に私、お聞きしたいのは、存続期間の問題でありますが、附則第二条で「十年以内に廃止する」ということが定めてありますが、しかし技術開発というのは一定の時間がかかるものであり、そして新しい技術が開発されてそれを中小企業が取り込んで実用化していく過程というのは、現在から十年以内に限られるというものでは必ずしもないと思うんですね。さきに成立した基盤技術研究円滑法は、これは期限が設けられておりません。 中小企業も不断に技術開発の成果を取り入れる必要があるし、またみずからも新しい技術開発を推進していくということであるならば、最初から期限を設けるというのは当を得ていないと思うんでありますが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(黒田明雄君) 中小企業の技術開発及びこれを促進する必要性につきましては、十年後も恐らく現在と同等ないしはそれ以上になっているのではないかというふうに私どもも考えているわけでございます。 ただ、今新しい技術開発の進展が生じておりまして、それに即応した中小企業の技術開発を支援しようというのがこの法律の立法趣旨でございますが、この技術開発の進展というのがどういう方向をとっていくのか、その中において中小企業はどのような地位を占めていくのか、さらには現在用意されておりますこの種の各種支援措置が必要かつ十分であるのか、あるいはもっといい方法、あるいは不十分であってさらに何かプラスしなければならないというような事態に来るのか、あるいはもっと抜本的にこういう法律の発想それ自体を再検討しなければいかぬのか、こういったことを考えてみますと、余り固定的に何年もこの同じ法律体系でいくというふうに考えるのはいかがなものかというふうに考えまして、私どもとしては十年を一応の区切りとして法律を臨時措置法にしているわけでございます。 しかしながら、十年後あるいはその間近になりまして事態の推移を見て、先ほど私が数え上げましたような諸般の事情をもう一度見直した上で、再延長とかあるいは抜本的な改正、改善といったようなことに発展していくというふうな、そういった性質のものというふうに考えております。
○市川正一君 終わります。
○柄谷道一君 多くの質問を用意し通告をしておりましたが、他の委員とダブる点はできる限り省略したいと思います。 〔委員長退席、理事斎藤栄三郎君着席〕 まず、本法の目的につきましては、第一条に極めて名文が書かれてあります。また提案趣旨説明の中にも明記されております。そうした目的と趣旨に関しましては、私としましても全面的に賛同するものでございますが、中小企業庁の長官は、本法の成立とその運用によって具体的にどのような成果が期待できるとお考えでございますか。
○政府委員(石井賢吾君) 中小企業が現在置かれております環境、一つは市場構造の変化、これに対する対応を怠ればその生存が危ぶまれる事態になっておるわけでございますが、一方で技術革新の流れあるいは情報技術の進展、こういった全然別の流れが一つあるわけでございます。そういう場合において、市場構造への対応をこういった技術革新の流れあるいは情報化の進展を中小企業が積極的に取り込むことによりまして、足腰の強い、言うならば多品種少量生産体系を確立するというのが一番望ましいんではなかろうかと思うわけでございますが、いかんせんこれまでは、午前中御審議賜りましたように、全体としては、中小企業は技術開発あるいは技術革新に対しまして受け身の姿勢に終始しておったと言っても過言ではないわけでございます。 そういう事態では技術革新の進展を自分自身のものとする、要するに自分自身の企業体質を強化する道具として取り込むということにはなかなか困難が生ずるわけでございますので、積極的に技術革新に参画をしていただく、それによって中小企業の事業フロンティアを拡大する、あるいは生産プロセスにおいて、多品種少量生産体系であっても利益を上げ得る体系に持っていっていただく、こういうことが必要ではなかろうかと考えておるわけでございまして、こういった我々の意図するところがこの法律によって実現されることを期待をいたしておるわけでございます。
○柄谷道一君 ただいま長官の申されましたような成果を期待しようとすれば、これは継続的な施策というものが当然必要であろうと思うのでございます。他の委員も質問されましたが、ところが本法案はサンセットの発想を取り入れまして十年の時限法という形になっております。ただいま御答弁がございましたけれども、このように理解してよろしゅうございますか。固定的な法体制にしないために一応時限立法とした。しかし、技術革新を十年後も継続して行わなければならないという必要性は十分認識しておる。よって、十年後、この法律は廃止するのではなくて、一応見直し、足らざるをつけ加える、ないしは情勢によっては抜本的な改革を行って技術革新というものは継続して努力していく。これが政府の方針である、こう受けとめてよろしゅうございますか。
○政府委員(黒田明雄君) 十年間の時限立法として提案いたしておりますので、建前論を申し上げれば十年で終わりという立場をとらざるを得ないわけでございますけれども、今柄谷委員がサマライズしてくださいましたように、実態的にはそのように認識いたしております。
○柄谷道一君 私は、本法案の対象技術及び「著しい新規性を有するものに限る。」とした意味についても質問する予定でございましたが、これはさきに答弁がございましたので省略します。 ただ私は、中小企業の多くは、現実の姿として、技術開発、技術革新に対する意欲は十分持っていても、あすを考えるよりも、いかにしてきょうをどう生き抜くかということに懸命であるというのが多くの中小企業の実態であろうと私は思うのでございます。したがって、本法案成立に伴う成果を期待しようと思えば、私は二つのことが必要ではないか。 その第一は、中小企業があすのために、みずから積極的な技術開発を行うために、総合的な中小企業対策を一層拡充いたしまして企業基盤を強化する、これが第一の前提であろう。第二は、本法案の対象の技術開発は非常に高度なものと受けとめられがちでございます。したがって、中小企業にとっては飛びつきにくい、利用しにくいという面があるのではないか。したがって、一般の中小企業も利用しやすいように法の運用に当たって十分配慮するという姿勢が必要ではないか。 〔理事斎藤栄三郎君退席、委員長着席〕 この二つの要件が相まつことによって、今述べておられます法制定の趣旨が生かされてくる、こう思うのでございます。 非常にこれは政策的な問題、基本的姿勢の問題でございますので、長官及び大臣から御所見をお伺いいたしたい。
○国務大臣(村田敬次郎君) まず、私からお答え申し上げましょう。 中小企業は我が国経済の活力の源泉でございますが、御指摘になられましたように、依然としてその経営基盤は脆弱であります。このために通産省としては、従来から金融、税制、いろいろな対策を講じまして経営基盤の強化策に努力をしておるところでございます。しかしながら、近年における技術革新の進展などの著しい環境変化の中で中小企業が健全な発展を遂げるためには、技術開発に積極的に取り組んでいかなければならない。このことが極めて重要になっていると認識をいたしまして、本法を提案することとしたわけでございまして、本法の運用に当たりましては、中小企業の実情を踏まえながら、数多くの中小企業が新しい技術開発に積極的に取り組むこととなるような具体的な対処をしてまいる所存でございます。
○政府委員(石井賢吾君) 柄谷委員御指摘のとおりと思います。 チャレンジする前提としては当然に、企業基盤、経営基盤が安定化しない限りそれは不可能でございます。その意味におきましては、六十年度、具体的に申し上げますれば、政府関係機関におきます貸付枠従来二億一千万でございましたが二億五千万に拡大いたしましたのと、今回のいろいろな、特に政策融資の拡充、これによりまして全体的な融資枠をふやすということが第一。 第二は、長期安定資金の供給という観点から、従来は七年までの貸付期間が限度でございましたが、これを十年、物によりましては十三年まで延長するという形によりまして、言うならば経営基盤の安定を図るための金融施策の充実を図ったわけでございますが、それだけでなしに、前回お願い申し上げました商工組合中央金庫法の改正あるいは倒産防止共済法の改正、こういったものもすべて経営基盤安定化のための施策でございます。そういったものと並行いたしまして、中小企業の技術革新へのチャレンジを期待いたしたいというふうに思っておるわけでございます。 それから第二点のお話でございますが、一つの例で申し上げますと、五十九年度から、従来技術改善補助金という制度の中に研究開発型企業枠というものを特設いたしました。これは補助金額にしてわずか二億円でございますけれども、これに対しまして約六倍の申し込み率になっておりまして、非常に中小企業の意欲が感ぜられるわけでございます。したがいまして、私は潜在的な中小企業の技術革新への進展に対応するみずからの積極的技術開発意欲というのは非常に強いのではないかという判断をいたしておりまして、先ほど御指摘のような誤解のないような形で、中小企業がこういった技術開発計画の認定を出しやすいように十分な理解の浸透とPRに努めてまいりたいというふうに思っております。
○柄谷道一君 金融、税制上の配慮は当然していかなければなりませんが、時間がないので余りくどくど言いませんけれども、我が国の中小企業の中の多くは加工賃産業が多いわけですね。だからそういう金融面とあわせて、やはり加工賃対策、適正利潤を確保できるというような施策等々、ひとつこれを一層前進さしていこうというためには、それを支える基盤というものをよほど拡充していかないと成果を期待することができない。この点はもう中小企業庁も通産省も十分御承知であろうと思いますので、くどくど申し上げることは避けたいと思います。 なお、この技術につきましても、例えば繊維産業の場合、自動縫製機の開発等も進んでおりますけれども、余り開発によって莫大な資本投下を必要とするというようなものを欲するよりも、極めて少ない投資で、より大きな成果が得られる、いわゆる応用技術面における開発というものを中小企業が求めているという面は非常に多いと思うのでございます。したがって、「著しい新規性を有するもの」というこの判断についても、中小企業の実態に応じて、機動的にこの判定が行われるようにぜひ運用をお願いをしておきたい。これは要望にとどめておきます。 次に、商業、サービス業についての対象となるべき技術についても質問しようと思いましたが、これも他の委員から質問がございました。 そこで観点を変えて御質問いたしますと、商業、サービス業が行う技術開発ということになりますと、従来からの蓄積が余りございません。したがって、現実には大手メーカーとの共同開発ということがケースとして多く出てくるのではなかろうかと、こう思うわけでございます。このような場合も本法案の対象となり得ますか。
○政府委員(黒田明雄君) 商業、サービス業もこの法律の中に対象として取り入れています意味は、アメリカで既に進展しているようでございますけれども、第三次産業が相当に発展していくであろう。その過程で、現在の技術革新というのが大いに取り込まれ、活用されていくに違いないというふうに考えておりまして、その大きな分野は、いわゆる情報化と技術の接点、技術でいいますとソフトな技術といったところが中心になるのではないかというふうに考えているわけでございます。 こういった分野につきまして、確かに情報化自体が最近急速に発展してきたものでございますので、このソフトの、特に情報化の接点におきます技術というものは、必ずしも既存の商業者、サービス業者に十分蓄積されていないというふうに思われますが、同時に現在相当に果敢に取り組んでいる中小企業者もおりまして、大企業に匹敵するようなものを開発し、活用しているというのも、数は少ないんでございますが、見られるような情勢になってまいりました。大いにこういったものが輪を広げていきまして、大企業に負けない競争力のある中小商業者、サービス業者が育成されていくことが必要であると思うわけでございますが、確かに御指摘のように、自身ですべてを開発できるかというとおぼつかない面もありまして、一時的には、大手の例えばコンピューターメーカーとか、そういったところと提携して開発せざるを得ないというようなものもあろうかと思います。 そういった場合には、その中小商業者あるいはサービス業者の行う研究開発については、丸々大企業に委託してしまうというのではだめでございますけれども、真に共同研究、共同開発でございますれば、中小企業者が行う部分につきまして、本法の対象にしていきたいと考えております。
○柄谷道一君 また同じく製造業の場合、系列間、いわゆる親企業と系列下にあるメーカーとの間の共同開発というケースも生じてくるんではないかと思うわけでございまして、これも丸々親会社の言うとおり委託するとか、やってしまうということは、これはもう当然論外でございますが、文字どおり対等の立場で、それぞれのノーハウを生かしながら開発をしていく、こういう場合も適用になりますか。
○政府委員(黒田明雄君) 適用になります。
○柄谷道一君 長官にお伺いいたしますが、本法案に基づいて組合が行う技術開発に対する高度化補助金がついております。私もいろいろこれ検討いたしましたが、その内容は決して十分なものと評価することはできないと思うわけでございます。今後一層その充実が必要ではないかと思うのでございますが、長官としての認識と今後の決意をお伺いいたします。
○政府委員(黒田明雄君) 私ども非常に予算措置の拡充増額が厳しい中で、特に重点を置いて獲得した予算でございます。私どもとしては、初年度としてなかなか困難な予算を獲得できたと思っているわけでございますが、法律の運用の実態を見きわめまして、要すればこの拡充に努力いたしたいというふうに思います。
○柄谷道一君 通産大臣、本法案六条に、国に、技術開発計画に伴う「技術開発事業の実施に必要な資金の確保」というものを求めております。私は、通産当局、中小企業庁当局の本年度予算編成に対する努力はそれとして評価いたしております。しかし、この法律が、経営基盤が安定し、法の運用いかんによりましては組合及び企業で、今長官も潜在的な意欲というものは相当あると評価されたわけですから、多くの要望というものが出てくると思うんですし、またそれを期待するわけでございます。 したがって、今後の予算計上というものについて、私はやはり意欲はあれど金なしということではこれいかぬと思うんですね。一層大臣としても努力されて、文字どおりこの六条の趣旨が生かされる努力がされるべきだと思います。いかがでございましょうか。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 第六条の「資金の確保」の規定でございますが、この規定は、認定を受けた技術開発計画に従って技術開発事業を実施する際の所要の資金確保について、国の決意と責務とを表現したものと私どもは解釈をいたしております。 この規定を踏まえ、六十年度においては委員御指摘のように、中小企業技術高度化補助金、中小企業事業団の高度化融資の特例及び中小企業金融公庫、国民金融公庫の特別融資の創設など、可能な限りの努力を行ったものと認識をしておりますが、今後とも本法の運用実績や中小企業の技術開発の実態を踏まえまして、本法の趣旨が生かされ、中小企業者にとって技術開発に必要な資金の確保が図られますように、資金の確保、施策の充実に努めてまいる所存でございます。
○柄谷道一君 ぜひそのような御努力を期待いたしておきます。 ところで、この技術開発計画の認定は都道府県知事にゆだねられております。その理由は理由としてわかるのですが、都道府県には中小企業、特に技術問題の専門家は少ないと思います。したがって、各部道府県知事ごとにこの認定が行われる場合、認定にばらつきを生ずる心配があるんではないかということが憂慮されるわけでございます。これらを防ぐための指導対策について簡潔に御説明を願いたいと思います。
○政府委員(黒田明雄君) 認定の基準になります技術開発指針を、できるだけ明確にわかりやすくするということが第一。第二には通牒をもってこの解釈についてばらつきの出ないように徹底を図るということ。第三に都道府県知事におきまして公設試験研究所等技術専門家集団がございますので、そちらとの連携を確保するよう指導する。このような三点によりましてばらつきをなくしていけるものと考えております。
○柄谷道一君 次に、本法案とは直接関連がございませんが、中小企業の維持発展にとって極めて重要であります中小企業承継税制について御質問をいたしたいと思います。 私は、この問題についてしばしば取り上げてまいりました。本年の予算委員会でも二月十三日、三月十四日と二回にわたりまして関係大臣に御質問をいたしました。改めて中小企業庁長官に認識をお伺いいたしたいと思います。 まず、その第一は、戦後四十年が経過する中で、創業者の時期はほぼ終わろうといたしております。現在経営者の高齢化とあわせまして一般的な形での世代交代期を迎えていると言っても過言ではないと思います。ところが通産省の調査によりましても、現在中小企業においては六十歳以上の経営者は全体の経営者の約四分の一、創業者に限って申しますと約三分の一を占めております。したがって、この税制の合理的な改善は、今日の中小企業対策の中で早急に解決しなければならない重要課題であると私は思うのでございますが、長官の認識はいかがでしょうか。
○政府委員(石井賢吾君) 昭和五十五年度に、中小企業庁が全国商工会連合会に委託をいたしまして、中小企業承継税制問題研究会を開いていただきまして、その報告書を得たわけでございます。 その内容は、先生御指摘のような世代交代期を現在中小企業が迎えつつある。それに対する、言うならば相続税の一つの理念と申しますか、これと企業経営との相克といいますか、この辺の調整を図るべきだということでございますが、その基本的な必要性の認識というのは、やはり地価の異常高騰等によって過度な相続税が中小企業に賦課され、あるいは中小企業経営者に賦課され、それが事業継続を困難化し、あるいは中小企業の経営意欲といいますか、そういうものを阻害するのだということであろうと理解をいたしておるわけでございます。 その意味におきましては、当時その報告を受けまして、五十八年度の税制改正におきまして相続税にかかわります基本通達の一部改定を行ったわけでございますが、私ども、これをもって、その報告書に提言されたのは四点でございますが、そのすべてがかつ十二分に実現されたとは毛頭思っておりません。 そういう意味におきましては、御指摘のような経営者あるいは事業主の世代交代期という時期における一つの積み残し課題としてまだ残っているんだろうと思いますが、非常に残念なことに、この相続税はマクロ的な把握ができない。したがって、その効果を秤量するというのは非常に困難でございます。その意味におきましては、五十八年度に実施された基本通達の改善というのも、ある意味においては相当な効果を上げ得るんではないか。例えば個人用資産にかかわります土地の評価減について二〇%を四〇%に引き上げたわけでございますが、これによりますれば、例えば小売商業の九〇%は、この二百平米以下の事業用資産という形で救われるという実態が出ておるわけでございます。 そういう意味において、そのすべてではございませんが、相続税の中小企業経営への大きな影響として出てまいっております地価高騰に対する対応は、幾分なりとも実現できたのではなかろうか。そういう意味におきまして、五十八年度の税制改正の効果を今後とも見守ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○柄谷道一君 確かに五十八年の基本通達の改正によって、若干の改善が行われたということは評価いたします。しかし、私は本質的に考えた場合、昭和二十五年に制定されました現行相続税制というものは、その後、確かに数次の改正が行われまして整備されてきたと思います。しかし、その基本的理念とするものは、人間が生存中につくった私的財産を、その人の死亡、すなわち相続の開始によって相続人その他の者が相続した場合に、その財産を課税物件として、その価額を課税標準として徴税するというこの前提は、一貫して貫かれていると私は思うのでございます。 しかし自然人と違って、企業というものはゴーイングコンサーン、いわゆる継続して維持発展していかなければならない。いわゆる永続性を持ったものであると思うのでございます。したがって、個人財産のように、その財産の清算を行って富の再配分を行うということは、中小企業にとっては現実に事業用財産の処分そのものにつながっていく。そういうことは事業の継続性を極めて困難にするという、基本的な問題の解決にはまだほど遠いと私は認識するのでございます。 しかも、私的財産というものは、これ流動性を持っておりますから、ある程度処分は可能でございますけれども、事業用財産というものは拘束性のある財産でございます。したがって納税ということは直ちに事業の縮小ないしは企業の廃止ということにつながりかねない、このように私は思うのでございまして、部分的に相続税を多少手直ししても、基本的に事業を承継するという理念をもっと強烈に打ち出していく。いわゆる抜本的な税制の見直し、改善というものが行われない限り、この問題を合理的な形にしていくということは私はできないと、こう思うがこそ、予算委員会でもこの問題を深くただしたところでございます。私のこのような認識に長官、誤りがございましょうか。
○政府委員(石井賢吾君) 相続税は、あくまで自然人を前提にした課税方式であることはそのとおりでございますし、また中小企業といいましても、その経営者に対する課税というのは、当然自然人を対象とした課税であるわけでございます。 ただ、御指摘のように、中小企業の事業用資産あるいは株式といいますものが、一方で高く評価されながら、それは流通性を持たない、換価性を持たないという面、あるいは逆に言うと、換価した場合には事業継続ができないという側面、その二つの相剋の問題だと思います。これは現在の中小企業の事業体というものをどういうふうに理解をするか。それはあくまでも物的財産としてすべて評価する限りにおいては、当然のことながら問題は解決しないわけでございます。 しからば、自然人である経営者あるいは株主の持つ富の相続、それに対する社会的公正をどう確保するかという問題とぶつかるわけでございまして、私はこれについて一〇〇%の解決というものはないんではないか。例えば事業用資産についてはすべて非課税だとした場合に、その非課税財産を承継する経営者にとりましては、大変な不労所得の入手ということになりかねない一面があるわけでございます。となりますと、社会的公正という面で、それをすべて一切非課税でいいのかという議論が必ず出てまいるわけでございまして、したがって、やはりこの問題が一番大きかったのは、過去における地価の高騰によって、不当にその土地の価格が企業の財産として高く評価され過ぎた、それが相続税にはね返ってきたというところにあるのではなかろうかと思うわけでございます。 翻って、では過去二十五年当時、あるいは昭和三十年代において、こういった承継税制課題といいますものが大きく問題化されたかといいますと、私、当時中小企業関係をやっておりましたが、そういう声というのはほとんどなかったわけでございまして、むしろ昭和四十年代から入りました土地の高騰という問題がこれに一番大きな黒い影を及ぼしたのではなかろうか。ということであれば、あくまでも問題は、そういった異常な高騰を遂げた土地あるいは地価を反映させる現在の相続税関係をどういうふうにその悪影響を吸収していくかという方策を考えるしかないんではないかというふうに考えまして、その限りにおきましては五十八年度の改善というのは一歩前進だというふうに考えておるわけでございます。 しからば、一〇〇%改善する方策というのは、今申し上げました相続税の持つ富の再配分効果、あるいは社会的公正の確保という観点からする十分な検討なしには、なかなか結論は出せないのではないかという感じでおります。その限りにおいて、まだ十分はっきりいたしておりませんが、来年度また相続税の見直しをするというような新聞報道もございました。そういった期に即しまして、私どももさらに五十八年度の改善効果については先ほど、個人財産についての推定はできるんでございますが、同族会社についての株主たる経営者の意見というのは、むしろ助かったという意見は全く聞こえてこないわけでございます。そういう意味におきまして、さらに中小企業諸団体の意見を踏まえながら、今後検討を続けていく必要があろうかというふうに思っております。
○柄谷道一君 昭和四十年まで余りこれが出なかった。そういう一つの理由の中に、創業者がまだ現実に事業を承継するという意識が薄かった。ところがだんだん六十になってきた、七十になってきた、時代の進展とともに関心が深まったという面も非常にあるということは否定できないと思うんです。 私は予算委員会の質問の中で指摘いたしたんですけれども、確かに五十八年の基本通達の改正で改善はされております。しかし、私の挙げました例は土木建築の例でございます。砂利の置き場も要る、砂の置き場も要る、トラクターその他の機材を置いておかなければならない。鉄骨も積んでおかなければならない。そのように非常に、中小企業ではあるけれども、事業継続上一定の土地というものを確保しなければ事業が経営できないというような業種については、あのときはたしか株券の十七倍だと記憶いたします、それだけの評価をされると。その土地を売っ払えば事業の継続はできない。そうだといって事業を閉めてしまえば、百人になんなんとする従業員の雇用の問題が生じてくる。そうだといって株で取ってくれといっても、税務署が評価した額における株での納税は制度として認められていない。どうすればいいんだ。これが今中小企業の中の一部にある真実の声なんですね。だから、五十八年の改正で土地の評価問題が改善されたからこれでいいという現状には決してないという点は、私はもっと深く中小企業の実態を御精査願いたいと思うのでございます。 そこでもう一点お伺いしますが、中小企業の場合は、大体通常の場合、その子供のうちの一人が親の事業に参加をいたしまして、従事いたしまして、親とともに経営者としての貢献を行っているというのが通常の姿ではないかと思うのでございます。したがって、その親が死んだ場合、決してその財産というものは棚ぼた式に落ちてくるものではないんですね。ところが、ともに事業に貢献した子供の貢献度というのは、現行税制では全く配慮されていない。しかも子供が三人おれば、他に嫁に行った人にも、全然自分の親の事業にかかわりのない職業に携わっている者も、相続税法によって分割されるという問題点もあるわけでございます。この点は、私は農業並みにしろとはあえて申しませんけれども、農業と比べた場合に、余りにも大きな問題の発想上の段差というものが現実にあるんではないかと、こう思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(石井賢吾君) さきに申し上げました研究会報告書におきましても、農業との違いというものを指摘した上で、中小企業の経営実態に即応した生前贈与の方式を提言しておるわけでございます。 しかしながらあれを拝見いたしますと、やはり経営的なノーハウその他については今先生御指摘のように、事業に従事することによって後継者が現実的に取得していっているわけでございまして、やはり帰するところは物的財産の承継問題になってしまうわけでございます。したがってあの研究報告を見る限り、例えば遺贈という方式でどう違うのか、生前贈与におけるいわば農地のような一つの凍結状態と、中小企業の場合には多く金融調達の手段として事業用資産が抵当その他に利用されておるわけでございますので、そういった利用の可能性というものを遮断してしまうということでは、むしろ非常に弊害の方が大きいわけでございますから、例えば遺贈という格好でどう処理できるのか、その場合には、では一気に相続税は大き過ぎるじゃないかという御指摘、これは先ほど来の問題点だと思うわけでございます。 そういった意味で、これ一律に判断をするのは非常に難しい問題でございますが、やはり帰するところは物的財産の相続問題を解決しなければ、すばらしい経営者が、後継者が育っておりながら円滑な承継ができないということになるわけでございますので、問題点はむしろ全体としてその物的相続税の土地高騰による悪影響の遮断をどの程度までするかという一点に絞られていくのではないかというふうに考えております。
○柄谷道一君 私はこの五十六年三月、中小企業承継税制問題研究会が出されました資料を何回も何回も目を通して熟読いたしました。我が党は我が党としての考えはございますけれども、それは一応横に置きまして、これは非常に問題点を的確に指摘し、かつ具体的な改善について、しかもその現実的な改善について提言しているまことに労作であると私は評価いたしております。今長官も、五十八年の基本通達の改正によって事が終わったわけではないという認識を述べられました。この報告書の中には、事業用財産の生前贈与時の納税猶予の制度化の問題、居住用・事業用土地の評価の改善の問題、取引のない株式の評価方式の改善の問題、その他として相続税前納制度の創設、基礎控除の引き上げ、相続税延納制度の改善、納税資金調達の円滑化等々の具体的な当面の課題を提示いたしますと同時に、今後の抜本的な検討課題というものを明らかにしておるわけでございます。 そこで通産大臣にお伺いいたしますが、私の予算委員会における質問に対しての通産大臣の御答弁も、きょうの中小企業庁長官の御答弁も、現行税制においてはなお多くの問題点があるということは認識しておられながら、効果等を見守りたいという消極的な、いわば失礼でございますが姿勢を述べておられるわけでございます。時たまたま本国会が終了した後には、シャウプ勧告以来と言われる税制の抜本的見直しを税調に政府は諮問されると聞いておるわけでございます。 私の予算委員会での質問に対する答弁を聞く限り、大蔵省の壁はなかなか厚いと、こう思わざるを得ません。しかし、中小企業が今後円滑に事業承継を行い、我が国の産業の基盤ですから、これが発展していくためには、私は通産省としてこの研究会がまとめた提言に基づいて、やはり思い切った改革案を準備して税調に対して行動を起こすべきときではないか、抜本改正のときを、抜本見直しのときを外してこの問題の大きな改革というものは期待することができないと、こう思うわけでございます。 これは、大臣というよりもむしろ政治家として、ともに中小企業を愛し、かつ憂うる政治家としてのひとつ御所見をここで明確に述べていただきたい。
○国務大臣(村田敬次郎君) 柄谷委員御指摘の三月十四日の参議院予算委員会における質疑の中で、相当詳細に御答弁を申し上げました。また、ただいまも石井中小企業庁長官からお答えを申し上げたところでありますが、石井長官もこの問題についての抜本的な解決というものに非常に疑問を持っておる点もあったようであります。いずれにいたしましても、中小企業承継税制問題研究会の報告というものを踏まえて、五十八年度の税制改正に反映をさせた。これはそれなりに相当の効果があったと思います。 柄谷委員がいろいろなお立場、そしてまたいろいろな研究を踏まえてこの問題について非常に深い検討を行っておることはよく承知をしておりますが、私は、承継する側から言っても、かつて西郷南洲が「子孫のために美田を買わず」と、こういうことを申したことがありますが、そういう気迫が必要だと実は思っております、承継する側も。 承継、いわゆる財産相続の問題は、その国の国家体制にも関連をするわけでありまして、日本のこういった相続税制というのは、ある意味では中産階級化というものに非常に促進をかけているんじゃないか。いかにお金持ちであっても、三代すればほとんど普通の人になってしまうというぐらい相続税というのは厳しいものでありますから、そういった意味での日本の相続税制の意味というものもよく私は考えさせられるのでありますが、いずれにいたしましても、御指摘のように、今後現行の税制について抜本的な見直しを行うという動きがあることは承知をいたしております。したがって、今後税制の抜本的見直しの議論においては、本件も含め、中小企業関係税制について中小企業者等の関係方面の意見も十分に聞き、対応していくことが肝要だと、これが通産大臣あるいは政治家としての答弁だろうと思います。
○柄谷道一君 時間が参りましたので、もう質問はこれでやめますけれども、これ本当に今深刻なんですね。ぜひ関係団体の意見も聞きと、大いに聞いていただきたいと思いますが、ただ受け身ではなくて、せっかくこれだけの問題点と提言があるんですから、やはりみずから行動を起こし、中小企業団体とともにこれでいこうではないかと、リーダーシップをぜひ大臣として発揮願いたい。また強い決意を持って臨んでいただきたい。このことを要望いたしまして質問を終わります。
○木本平八郎君 この問題につきましては、衆議院の議事録拝見しますと、石井長官初め黒田次長も非常に高邁な議論をいろいろやっておられるということを拝見いたしまして、参議院としても、少し私も次元を上げて質疑申し上げたいんです。 それで、まず第一に、この法案の背景になります中小企業のあり方ということですね。具体的には、例えば二十一世紀における日本の中小企業というのはどうあるべきだと、大企業との関係においてどういうふうに考えておられるのか。今こうして、わざわざこういう法案を出して技術開発をやろうというふうなお考えなんですけれども、逆説的に言って、もしもこれをやらずにほっておいたら、日本の工業というのは一体どうなっていくんだろうと。これは中小企業が倒れる、倒れるというんですか、不活性になると大企業の方もこたえるとか、いろいろあると思うんですね。しかし二十一世紀、この法案は十年の時限立法なんですけれども、今から十五年後の日本の中小企業の姿ですね。それはどういうふうにイマージンされているかということをまずお伺いしたいわけです。
○政府委員(石井賢吾君) 非常に難しいようでいて、実は十五年先の話でございます。その意味においては、私は十五年前の中小企業のあり方、あるいはちょうど二十三年ぐらい前でございますか、中小企業基本法を制定した当時の中小企業のあり方、それを逆投影といいますか、そういうようなことで考えるのも一つの方法かと思うわけでございます。 今後の技術革新の進展その他については、言うなれば基本法制定以降とは大分違った様相を深めてまいりますので、ただ単に二十年前、十五年前の中小企業のありようを見た上で今後の推測をするというのは非常に難しい面もございます。ただ、現在中小企業の持つ、何と申しますか、我が国産業構造の中で占めております柔構造といいますか、やわらかいという意味において、過去二度の石油危機を乗り切って高度成長から安定成長軌道にソフトランディングした、そういった我が国経済の極めて世界に類を見ないようなパフォーマンスを実現し得た相当大きな部分は、私はこの中小企業の持つ柔軟性にあったんではないか、そういうような産業全体を支える中小企業の柔構造的な役割、これは私は二十一世紀に参りましても同様の役割を果たしていかなければ、日本経済の健全な発達ということは期待できないというふうに考えておるところでございます。
○木本平八郎君 最近、私、質問の通告が、土壇場になってめちゃくちゃになるものですから、答えにくい点はちょっと答えにくいと言っていただければいいです。 それで、今過去十五年ぐらいの中小企業の歩みを解説していただいたわけですけれども、私はこれからは、あるいはそういうふうに逆にいくんじゃないかという気もするんですね。ちょっとこれは私の意見だけですけれども、この法案を見たときに、またこれやる必要があるのかなという感じがしたわけです。ということは、どうもこれが実施されますと、中小企業が役人好みの企業に育てられるんじゃないかという気がするんですね、教育ママが育ったような。そしてどうも今後はやっぱり行政が過干渉、干渉し過ぎるというのは余りよくないんじゃないか。したがって、どなたかがおっしゃるように、民活という、そういう活性化をかえって阻害するんじゃないかという気もするわけですね。したがって、その辺今後実施していただく段階において、ひとつ御留意いただきたいと思うわけです。 そこで、私この法案で附則の第二条ですか、何か十年間で廃止するという時限立法なんで私も非常に賛成なんです。やはりこういうようなものはそのときになってもう一度考え直すということは必要でしょうけれども、だらだらとやるよりも目標を決めて、ここまででやるんだというふうにやっていく必要があると思うんですね。サンセットで、もうあとがないんだということじゃないと、ついついだらだらしちゃうということがあると思うんですね。 そこでお聞きしたいんですが、私はこの法案について、中小企業庁自身が目標を立てていただく 必要があるんじゃないか。十年間で中小企業のレベルをここまで上げるんだ、あるいはここまで到達するんだ、あるいは大企業との関係でこういうふうにするんだと、そういう目標を立てていただいて、その目標による自己管理ですね、そういうことで努力していただく必要があるんじゃないか、ただ何となくこう流れをウオッチしているというやり方じゃなくて。民間じゃしょっちゅうやっていることですけれども、目標による管理という概念を導入していただく方がいいんじゃないかと思うんですがね、次長いかがでございますか。
○政府委員(黒田明雄君) 私どもも、中小企業対策の基本は、政府による過干渉ではなくて、中小企業の自主的な努力を支援する、特に中小企業は現在まだやはり資金面、技術面、人材面、各方面で大企業と比べても足らざるところがございまして、こういったものの支援をある程度政府として用意するのでなければ、中小企業としての発展も十分にいかないという認識を持っております。 これを民間活力という観点から見ました場合に、私どもは民間活力の発揮を促すためにも環境整備と申しましょうかある程度の支援というものが必要ではないか。これは私ども慎んで統制的な方法はとらないようにやっておりますし、予算例えば補助金をつけます場合にも、自助努力を前提にするという方式をとっておりまして、かつ補助金よりは融資にウエートを置くというような政策的な選択をしておりまして、これらはいずれも民間活力の発揮を促すという姿勢から出ているものでございます。それで、今回の法律体系におきましても「認定」という行政手続が入るわけでございますが、これは制限的にやろうというのではなくて、その種の助成メカニズムを動かすための引き金のようなものでございますので、官僚統制に及ぶという趣旨は毛頭ないものと思います。 それから、目標管理の点でございますが、確かに企業サイドで考えますと、例えば人事、予算の配分から始まりまして、一種の企業体として有機的に、場合によっては上から下への命令といったような手段も使えるわけでございまして、非常に目標管理というのができやすいと思うんでございますが、中小企業行政のように、大勢の中小企業を相手に限られた助成手段でもって、非統制的な手段でこれを誘導していくというふうに考えます場合に、なかなか目標管理は望むべくしてできがたいという実情にございます。 とりわけ中小企業は数が多く、レベルも異なるものですから、そういう目標管理になじむ一つの指標といったようなものも見出しにくいわけでございまして、私ども十年でやっておりますのは、一つの区切りとしてやっているわけですが、十年後に達成すべき目標を一つの単一的な指標で確立するということができないものですから、定量的というよりは定性的な政策にとどまらざるを得ないのでございます。
○木本平八郎君 その次に、二十一世紀における姿というのは先ほど申し上げたんですけれども、そういうときに大企業と中小企業の間におけるすみ分け、これは今西進化論に言われているすみ分けの理論なんですね。今まではどうしても競争的な状況にあったという認識なんですけれども、これからはやはりすみ分けというものを積極的に進めていかなきゃいかぬじゃないか。 例えば今まではアセンブラーがあって、親企業があって、それの下請という関係だったわけですね。ところが、だんだん、親企業というのはもちろん自動車の場合はアセンブラーなんですけれども、下請がどんどん、部品メーカー化、専門化してきて、例えば今ハンドルだとかトルコンとかカーエアコンなんかは、もうあれ世界的なメーカーになっているわけですね。今、日産やトヨタだけじゃなくて、GMだってフォルクスワーゲンだって、どんどん供給していくというふうな状況になってきている。こういうことが将来どんどん進むだろうし、進めなきゃいけないと思うんですね。大企業自身がどんどんそういう専門メーカー化、部品メーカー化してきているわけですね、技術開発をやって。 そういう状況で、将来どういうふうにすみ分けが進んでいくんだろう、例えば水平分業、垂直分業、あるいはもっと言えば国際分業というふうな点、その辺はどういうふうにイマジンしておられるかという点をお聞きしたいんですがね、長官。
○政府委員(石井賢吾君) 今回発表いたしました白書におきましても、日米の中小企業の存立分野比較というのをいたしております。その意味におきましては、先生御指摘のような、言うならばすみ分け的な考え方、要するに時の技術力、技術によっていわば生産構造が規定されていく、したがってそれぞれの企業の存在をかけてすみ分けていかざるを得ないという形で進んだために、言うならば日米双方の中小企業の存立分野も極めて類似なものになっておるということが言えるかと思うわけでございます。 しかし、その実態を見ますと、若干違うんではないか。例えば一九七二年当時まで、米国のジーナスがVTR開発に全力を挙げておりました。そのVTR開発を、それだけ投資をしながら結局企業化をしなかった。企業化しなかった大きな原因は、やはり時のカラーテレビが全盛の時代でございましたが、そのカラーテレビに対して部品点数が四けたに上る、その精密加工度を要する部品の供給を中小企業群から期待できなかったということによるのではなかろうかと思うわけでございます。そういう意味において、日本の製造業の場合で申し上げれば、約六五%が下請系列取引関係にあるわけでございまして、ある意味において、相当すみ分けつつも共存しているというのが現在の産業構造ではなかろうかと思っております。そういうような姿が、私は中小企業のみならず日本の産業構造全体のフレキシビリティーを維持していくという観点からは必要なんではなかろうか。 今後、技術革新の進展がそれにどういう影響を及ぼしていくか。例えばGMのようにすべて垂直的に、すべてが部品の調達までを含めて行うような体制が果たして全体のフレキシビリティー維持という意味において必要なのか、あるいは望ましいのかという議論もございます。そういう意味においては、今回の白書で、同じように中小企業の競争相手は何かという設問に対しまして、同種中小企業であるというのが一番大きな回答でございます。そういうような実態は、基本的には変わらないままに、日本の産業構造のフレキシビリティーを維持するような大企業、中小企業の関係を維持していくということが望ましいんではないかというふうに私は思っております。
○木本平八郎君 今の御意見には私も大賛成でございます。 それで、この法案に関する審議をいろいろ聞いておりまして私が非常に感じるのは、例えば資材だとか資金だとか、あるいは資金に対する担保の問題とかリスクとか、こういうふうな話が非常に出てくるわけですね。この話は大企業に対するのと同じだという感じなんですね、ただ量が小さくなっているという。だから大人をちょっと小さくした感じなんですね。 ところが今のすみ分けの考え方からいきますと、やっぱりもう少し発想を変えなきゃいけないんじゃないかと。例えば中小企業だから人材がいない、いないということを前提にして、ウイズアウト人材でどうして技術開発をしていくか。金がない、金がなくしてどうやっていくかというふうなやっぱり考え方をしていかなきゃいかぬ。リスクが取り切れない、それならどういうふうにやっていくかという発想に返らないと、あれもない、これもない、あれをくれない、これもくれないと、くれない族になっちゃったらやっぱりいかぬじゃないかと。その辺の発想の転換が必要だと思うんですね。 ということは、要するに大企業で求めている技術開発の方向と中小企業の場合やっぱり違えるべきだと。中小企業については前から申し上げているように、私は零細企業と中小企業を分けなきゃいかぬと思うし、この法案ではベンチャービジネスというものをはっきり分けていかなきゃいかぬと思いますけれども、その提言の問題はちょっと別にして、やはり先ほどのVTRの問題がありますけれども、ああいう複合化された技術、技術の集約、しかし中小企業が担当するのは、それの細分化されたところを担当していくわけですね。そうしてそのレベルが全部そろわないとVTRができないわけですね。でこぼこがあるとだめだと。まさにアメリカは敗退して日本の独占になったというのは私はそこにあると思うんです。 そういう意味において、中小企業の技術開発の方向というのも、例えば、私よくわかりませんけれども、VTRならVTRの回転のところの精度、これ非常に接触面とか、例えば日本のVTRなら何万回通ってもテープがすり減らないとか、伸びないとか、そういうふうなちょっとした技術ですけれども、すごい技術の開発という方向でやっぱり持っていくべきなんじゃないかという気はするわけですね。その辺まず簡単にで結構でございますけれども、次長の御所見を伺いたいんですがね。
○政府委員(黒田明雄君) 私どもも中小企業の技術開発の目標と申しましょうか、ターゲットとして、大企業と同じものを目指すということをねらっているわけではないわけでございます。 大企業と中小企業の関係は、同じ立場において競合するという面と、大企業と中小企業がお互いに補完し合うという、大きく分ければ二つのパターンがあるわけでございますが、そのいずれにおきましても、しょせんは中小企業としての特性をいかに発揮していくかという点で中小企業としての意義があり、また、そのことによって、大企業との競争においても中小企業としての必要な地歩を占めていけるというふうに考えているわけでございます。 これを技術の分野に限ってみますと、技術は従来のような大企業でしかできないような技術、例えば石油化学工業の技術なんというのはそうだと思うんですが、今マイクロエレクトロニクスの利用技術、周辺技術、応用技術といったようなところでは、中小企業も非常に取り組める、かつそれに取り組めば高い付加価値を実現できるといった種類の技術の分野というのが開けてきているわけでございまして、特に中小企業は小回りがきくとか機動性があるということのほかに、そういった分野での過去における産業の経験、蓄積というものがございます。そういったものを基盤にして、新しく開けたこの技術開発、技術革新の可能性に取り組めば、大企業と同じという技術を目指すのではなくて、中小企業の優位性を生かした技術開発ができるというふうに考えているわけでございます。 ただ、この場合に、リスクの面でございますとか、資金、人材の面で不如意な点がございます。ここは中小企業だけで何とかしろといっても酷でございまして、そういった場合に、やはり政府としては、意欲を持ちそれに取り組もうという中小企業に何らかの支援を与えていくというふうなことが必要であるというふうに考えておりまして、大企業との対抗策ということだけでも考えておりませんし、同じような技術開発を目指すというようなことでもないわけで、中小企業の地位あるいは特性というもの、過去における経験分野といったようなものをいわばメリットとして生かして、必要なあるいは適当な技術分野に取り組むのを支援したいわけでございます。
○木本平八郎君 ぜひそういう方向で指導していただきたいと思うわけです。 次に、親企業から先ほどちょっとなにしました下請の形が、私は少し変わってきているんじゃないかと思うわけですね。これは昔は親企業の方で設計をして、そしていろいろな仕様書を与えて、それでいわゆる指導するエンジニアも派遣して、生産管理も現地へ行って全部やってやって、それで納期がきちっと、それから安く、仕様どおりのものがつくれれば全部買ってあげるというスタイルできたわけですね。 ところが、先ほどの自動車部品なんかの場合には、例えばハンドルならハンドルというものを、こうこうこういうハンドルを持っていらっしゃいと、それで必要なものは自分で技術開発しなさいと、そのかわりそのハンドルメーカーは、先ほど言ったように、世界どの自動車会社にも売っていくと、あるいはそれに相当なパテントがついているというふうなスタイルに変わってきているわけですね。そうしますと、やはり買う方から言えば購買になったわけですね、下請じゃなくて。それで自由競争になっているというふうなことで、納める方の中小企業としても、相当自主技術をもって得意な差別化をして売り込んでいかなきゃいかぬというスタイルにだんだん変わってきているんじゃないかという気がするわけですね。 例えば仮に、私も詳しくないんですけれども、エンジンにくっついているディストリビューターならディストリビューターというのを考えますね。今までは逆に言えば、そのディストリビューターを一円でも安くといってたたかれるわけですね。それで泣く泣く納めていたと。ところが、今の考え方は、このディストリビューターをこのエンジンにつければ全体としてこれだけ燃費がよくなるとか、効率がよくなるとかあるいは非常に高く売れるというふうなことがあって、エンジンメーカーとしては、これを買うことによって非常に価値が上がるというふうになるわけですね。 そうしますと、ディストリビューター自身は少し高くとも、十分にトータルとしてはコストダウンになるんだというふうな方向に変わりつつあると。そうしますと、ディストリビューターメーカーとしては、そういうものをつくっていくという方向にいかなきゃいかぬだろうし、したがって、技術も自分で開発していかなきゃいかぬというふうに私は解釈しているんですが、この辺はこの法案に関連して、中小企業庁の方でお考えになっている技術開発の方向と一致しているかどうか、簡単で結構ですから御所見をお伺いしたいんですがね。
○政府委員(黒田明雄君) ただいま委員御指摘の点については、今回私どもが発表いたしました五十九年度中小企業白書でも、この下請中小企業と親企業との関係における技術問題の位置づけというのを研究したわけでございますが、結論を申し上げますと、親企業の多角化によりまして受注の安定を図ろうとか、増加を目指すというような企業もございまして、これは技術水準の高い下請企業においてその比率が一層高いという結果が出ております。また、中小企業の中には、業界一流の技術力を有しておりまして、それを利用して専門メーカーになっていくという事例もございます。さらには、自社製品の開発に成功いたしまして、親企業から独立していくという企業もございまして、こういう下請取引依存度を低め、独立化を目指すためには、特に新製品の開発が重視されているという結果が出ているわけでございます。 それで、下請企業にもいろいろございまして、その技術レベルから言いますと、まだまだ親企業の指導を受けつつその蓄積を高めていくことが必要な段階にある下請企業もございますし、今の事例研究に出てまいりますような、もう独立して新しく自分の専門分野で親企業にむしろ供給をこちらからしていくとか、あるいは多角化していく、世界的な企業になっていくという企業の事例もございますので、技術の強化ということが下請企業対策としても極めて重要な意味があり、また、中小企業の独自性あるいは大企業との関係においても、対等の関係を形成していく上にも極めて重要な意味のものであるというふうに考えておりまして、この法律もそういった意味で、中小企業の地位の向上あるいは特性の発揮に役立つものと考えております。
○木本平八郎君 それで次に、人材とか資金の問題なんですけれども、これはもう先ほどから相当議論が尽くされてきたわけです。確かに中小企業にとって技術開発をやるための人材とか資金の問題というのは、非常に大きな一つのファクターというか、大変な問題なわけですね。それは先ほど申し上げましたように、そういうものをトータルとしてないからだめだとか、ほしいとか、これはもう何とかしてくれとかいうことでは、やっぱり中小企業の場合解決できないんじゃないかと、数も多いわけですからね。 そこで私は、中小企業における、中小企業というか、むしろこれはベンチャービジネスかもしれませんけれども、技術開発の基本は、やっぱり個人芸というか名人芸というか、そういうものに頼るべきであって、大企業のように、いわゆるアポロ計画のような、システムでもって詰めていって一つの技術を開発していくというやり方は、もう当然これはできないわけですね。したがって、私はやっぱり人材がなければないなりに考えなきゃいかぬし、あるいは逆に言えば、その人材を中心にした技術開発というものを考えなきゃいかぬじゃないかと。こういう技術が必要だからこういう人材が要る、研究者が要るというんじゃなくて、例えばベンチャービジネスのように、こういう得意な分野におけるエキスパートだと、したがって、その人が中心になって、もうこの面だけを突っ込むんだというふうな考え方にならなきゃいけないんじゃないかという気がするわけですね。 そこで私は、それとともに一つ大事なのは、各企業自身が、どういう技術がおくれているのかというふうなことがわからない面が非常にあると思うんですね。そこで私やっぱり中小企業の場合には、一番必要なのは、あなたのところはこういう技術がおくれていますよと、この辺を少しやった方がいいんじゃないですかと、例えば医者が健康診断のときやるように、そういうのが必要なんじゃないか。それは今技術アドバイザー制度でもってやっておられて、非常に効果を上げておられるというふうに私は聞いているわけなんですけれども、やはりこの技術開発、その技術アドバイザーをもちろん少し転用してもいいんですけれども、やはりそういう人を積極的に巡回させるなり相談さして、各企業診断をして、おたくはやっぱり今こういう技術を開発した方がいいですよというアドバイスをやるようなことがいいんじゃないか。 これで、ちょっと時間がだんだんなくなってきたんで、結論的に申し上げますと、私のアイデアとしては、例えば今大企業の定退者の再就職の問題が非常に困っているわけですね、技術系統は余りそうでもないんですけれども。そこで私は、そういう人を中小企業診断士みたいな技術のような、あのカテゴリーでもいいんですけれども、こういう技術コンサルタントみたいな、国家試験をやって資格を与えて、そういう人にどんどん中小企業を回ってやってもらう。特に大企業の定退者はそういうふうにして使う。そうすると、大企業にある技術がどんどん川下に流れていくわけですね、その人を通じて。 そういうことで、私は、これは何も技術が漏れるから困ると大企業の方は言うことはないと思うんです。わずか漏れたってどうってことないわけですから、むしろそういうふうに、定退者の生きがいのある職場、第二の職場が開発されるということで、非常に大企業の方も歓迎するんじゃないかと思うんですけれども、その辺を組織化して有効に使うという点で、何か御所見がありましたら。
○政府委員(遠山仁人君) 技術アドバイザーに大企業の退職者等を活用したらどうかというお話でございますが、現在講じております技術アドバイザー制度の概要と、それからそういった専門家の状況をちょっと御説明を申し上げたいと思います。 技術アドバイザー制度は、中小企業が独自では開発困難な製品あるいは製造工程等につきまして、なお技術的な諸問題の解決に資するために適切な技術指導を行うための制度でございまして、全国で登録されております技術アドバイザーは全部で約二千五百名おります。年間にいたしまして六千百企業ぐらいにアドバイスをしているわけでございます。 こういったアドバイザーは専門家でございますが、大学の教授あるいは国・公設の試験研究機関の職員あるいは技術士などをお願いをしているわけでございますけれども、そのほかにも大企業の退職者等も相当程度活用をさせていただいているわけでございます。今後とも適切な方を充てまして、適切なアドバイスができるような方向に持っていきたいと考えております。
○政府委員(黒田明雄君) 木本委員御指摘の、中小企業の技術開発のあり方に関する点でございますが、中小企業は在来の人材を利用し、主として名人芸的なものに頼っていくのがいいのではないかという御意見と承ったわけでございます。 大企業と同じものを目指すべきでないという点では、そのとおりであるというふうに思うのでございますが、中小企業もやはり新しい技術開発の進展に即応してまいりませんと、取り残されてしまうというふうに思います。例えば機械的な切削方法をとっているある機械部品メーカーがあるといたしまして、こういったものが熱を利用した例えばレーザー光線を利用した切削技術で非常に高度な切削、精度の高い切削が簡単にできるというような技術が進んでまいりますと、そういう機械的切削の専門家だけでは、やはり新しい切削技術を取り入れ、こなしていくことができなくなっていくわけでございまして、こういった場合には、新しい技術分野の専門家というものをやはり中小企業としては取り込んでいかなければいけないというふうになると思うのでございます。 そういった意味におきまして、人材の不足、資金の不足といったものについては、中小企業が意欲を持って取り組もうとする限りにおいては、中小企業施策としてこの支援をしていくべきではないかというふうに考えております。
○木本平八郎君 その辺で、私はやはり今後指導なさっていくときに、中小企業自身はこれはもう自分の経営の問題だし、死活の問題ですから、ちゃんとそろばんをはじいて、決して幾らおだてられてもそんなめちゃくちゃな技術開発の投資なんかもしないと思うんです。思うんですけれども、ただ、時に、先ほどありました世代が交代して若い経営者なんかになりますと、ついつい格好よさを求めてやっていくという可能性がなきにしもあらずだと私は思うんですね。私の経験でも、大体もうかっている製品とか、もうかっている技術というのは、余り新聞のニュースになって出るようなのはまだまだだめなんですね。むしろ新聞に出なくなった製品でも、忘れられた時分にちゃんともうかっているわけです。 これは例を挙げますと、例えば品川燃料なんかありますね。あの会社で一番もうかっているのは薪であり、練炭である、豆炭なんですね。LPGだとか、そういう格好のいい燃料はほとんど赤字採算ですね。そういうものなんです。やはり技術も、新聞にぱっと出て格好よくやっている間は、どんどんまだ開発費がかかっている段階で、それがフルーツになっていくのには大分時間がかかる。その辺で若い社長さんなんかが格好よさだけを求めてやると失敗するんで、大企業の場合は、まだ物すごい人数で、大規模で開発していますから、一人だけが格好よくなかなかなりませんけれども、中小企業の場合は非常に目立ちますので、そういうことがあると非常にかえってリスクも大きくなるし、損失も大きくなるというふうなことで、私はうまく指導していただきたいと思うわけです。 それで現在、これにもよく議論の中に出ておりますけれども、多品種少量生産になってきて、多様化されて短サイクルになってきている。むしろ利益を得る源泉、利益の得方がやはり今までと違ってきているんじゃないかという気がするんです。大量生産、大量消費のときには、マスによるいわゆる量産効果といいますか、スケールメリットですね、それでもって稼いだわけです、どんどんコストが安くなって。ところが、この短サイクルになってきて多品種ということになってきますと、やはり創業者利得というものが非常に重要になってくるんじゃないかという感じがするわけです。 これ、何か衆議院では、多様化利益の時代とかなんとか説明されていましたけれども、こういうふうになってきますと、中小企業の場合としては、今まではやはり生産技術でコストを下げるということに技術の開発の中心、焦点があったわけですけれども、これからはむしろ工作技術というか、多様化技術というか、付加価値を高める。例えば同じマイクでも、性能がちょっとこういうふうに違うというふうな方向にやはり向いてくる必要があるんじゃないかと考えるんですが、その辺簡単にお確かめいただきたいのですが。
○政府委員(黒田明雄君) 規模の利益から多様性の利益、エコノミー・オブ・スコープの時代というふうに言われてきておりまして、そういう意味では、中小企業にとって一つの格好のチャンスがめぐってきたという認識で、むしろ中小企業者の意欲に期待していきたいというふうに考えております。 技術開発におきましても、そういった大量生産技術ではなくて、むしろ個性化された、精度で言えば非常に高品位、高性能であるとか、新しい商品を開発していくとか、そういった分野の技術が従来とも、どちらかと言えば中小企業は得意としていたわけで、そういった分野が開けてくるのであるというふうな認識を私どもは持っておりまして、今後この法律によりましても、恐らく中小企業はそういった技術に取り組んでいくと思いますし、そういう方向を助長したいというふうに考えております。
○木本平八郎君 それで技術の考え方なんですけれども、具体的に例を挙げますと、例えばロボットがつくられる。ロボットメーカーがロボットのメカニズムをつくるわけですね。ところが、やはりそこに、例えば、今はいいのがありますけれども、ニードルベアリングというようなちょっとしたベアリングですね、こういったものがいいかどうかによって全然性能が違っちゃうわけですね。中小企業はこの部分を担当すると、ロボットをつくる方はやっぱりアセンブラーに任せざるを得ないんじゃないか。例えば、ついこの間は、スペースシャトルですかなんかありまして、何か外側に耐熱用のタイルを張っていたようですね。そのタイルがはげて、そのために非常に大問題になった。ああいうタイルを開発するということ。それから、そのタイルの接着材ですね、こういうようなものを開発するというのは、まさに中小企業の分野だと思うんですね。スペースシャトル全体、ロケット全体をやるのは大企業かもしれませんけれども。大企業も一々そこまでは全部自力ではできないだろうと思います。 そういうことで、これからのやはり中小企業の生き方というのは、例えばこれ先ほどの説明にもありましたけれども、ICのカッティングとかボンディングだとか、そういうふうな分野ですね、これが非常に重要になってくるだろうと思うんですね。そういう点で、これは各企業が専門がありますから、そこでやっぱり突っ込んでいくと思うんですけれども、その辺の指導というものが非常にこれから大事になってくるんじゃないかという気はするわけですね。 そこで、時間がなくなってきたので、ちょっと私の提案を、まずいろいろお願いしたいんですけれども、これは午前中もありましたけれども、私は中小企業の研究開発に、やっぱり試験設備なんか非常に大変なので、国が今持っている試験設備だとか研究機関を開放していただくように、これはけさほどもありましたけれども、ぜひ積極的に進めていただきたいと思うわけですね。これはついこの間の基盤技術のときにありましたような形をぜひ考えていただきたいと思うわけです。 それから、ひとつこれは、こういういろいろな施策が中小企業関係だけでも幾つもあるわけですね。私が覚え切れないぐらいあるわけですね。こういうようなものをばらばらでやっていくというのは、やっぱり何か効果があるんだろうと思うんですね。しかし、普通単純に考えますと、こんなにばらばらにやらずにざっとまとめて、予算も集中した方が効率がいいんじゃないかという気がするんですね。これは、今回ばらばらで進んでおられるというのはそれなりの理由があると思うんです。ただ、これは過去のいきさつがあってということじゃ困りますけれども。 そこで、私の一つの提案は、ついこの間も商工中金の問題がありましたけれども、中小企業金融公庫とか商工中金をベンチャーキャピタル化するというのはどうなんだろうと思うんですね。ベンチャーキャピタルにして資金も面倒見ると。それと同時に、そこで相当の優秀なエンジニアを採っていただくわけですね、大学から。採って、それを各企業に派遣してやるわけです。そうすると、一流の大学出た人でも、そこなら行くんじゃないかと思うんですね。そういうふうなことで、やっぱり人材の補給というものを考えていただく必要があるんじゃないかというか、それが非常に効果的じゃないかと思うんですけれども。それで、例えば通産省でも物すごい優秀な技官の方がおられるわけですね。そういう方に一たん中小企業金融公庫とか、そういうベンチャーキャピタルに出向していただいて、そこからまたもう一度……二年か三年行って指導していただくというのは非常にいいと思うんですけれども、その辺いかがですか。
○政府委員(黒田明雄君) 国の研究機関の中小企業への開放の問題でございますが、現在、都道府県にございます公設試験所の施設などについては、中小企業の利用に供するという意味で私どもも若干の支援をしておりまして、公開して中小企業者の利用に供するようにいたしております。こういうことによって対応をしてきておりますし、相当評価をされているというふうに思います。 それから、施策が込み入って、複雑で多岐に分かれているという点でございますが、中小企業というふうに私ども一言で呼ぶわけですけれども、中身がいろいろございまして、大きく分けましても中規模企業と小規模企業というふうに分かれます。それに業種で分けますと、製造業、卸売業、小売業、サービス業などに分かれますし、製造業の中でもまたこれ細かく、何とか製造業というふうに分かれていくわけでございまして、こういった多様性のある一群の企業であります中小企業に対する技術施策というものも、それぞれの特性に応じていろんなニーズが出てくるわけで、この広範にわたりますニーズに対応するためには、一つの施策で強力に押しまくるということはどうも適切でないというふうに考えておりまして、多様なニーズに見合う多様な施策を用意して、いわばそういうメニューの中から中小企業者の側で主体的に選択していただくというようなことが最も適切ではないかというふうに考えているわけでございます。 それから、商工中金をベンチャーキャピタル化したらどうかという御意見でございますが、今まで実は検討したことはございませんので、検討はさしていただきますが、今、中小企業投資育成株式会社というのがございまして、これがいわば一種の政府版ベンチャーキャピタルとしての役割を果たしていると思います。研究開発型企業に限らず、自己資本の充実を助けるという意味で、所要資金の面倒を見ているわけでございますが、研究開発の初期段階におきましては特に自己資本が必要でございますから、そういう意味でこれが役立っておりますし、また指導を業務の一部に加えておりますので、そういう意味でも今のこの投資育成会社がむしろベンチャーキャピタルに該当しているのではないかというふうに思うのでございます。
○木本平八郎君 最後に、また村田大臣に明快な否定をいただいて、私の質問を終わりたいと思うんですけれども、この法案とか審議をなにしておりまして、私も最近非常に悪い夢ばっかり見るものですから、悪霊を退治していただかなきゃと思うんですけれども、このなにで見ていますと、これはメカトロニクス、情報通信だとか、それからセンサー、あるいは医用電子だとかデバイス技術とか、こういうふうなものが非常に浮かび上がってきているんですね、これだけでもないわけですけれども。それから第三次産業というコンピューターソフトなんかもこれ入ってくると。しかも「著しい新規性」の技術と、こういうふうに何回も議論になっているわけですね。 私は、今、日本の各中小企業にとっては、むしろおくれている技術の方をキャッチアップする方が緊急じゃないかと思うんですけれども、どうもやはりそうでもないと。それから十年間のサンセットというのを逆に考えますと、もうとりあえず急いで、大急ぎでやらなきゃいかぬという何か焦りみたいなものを感じるわけです。そういうことで、一部のスキミングといいますか、一握りの優秀な中小企業をぜひサポートしなきゃいかぬ、技術開発進めなきゃいかぬと、非常に高級なコンピューターの技術だとか、もう電気通信のような技術をやらなきゃいかぬのだというふうなものが感じられるんですね。 これ、私がついこの間も悪い夢を見て、大臣に否定していただいたんですけれども、私これやはり、何かSDIにひっかかっているんじゃないか。これは、SDIというのは大企業、大メーカーなんですけれども、先ほどのように周辺技術が上がってこないとやっぱりだめなんですね。アメリカの方でこの辺が非常に今悩みの種になっているというふうに私も考えている面もあるものですから、つい余分なことを考えたんですけれども、その辺を明快に否定していただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 木本委員の非常にウイットに富んだいろんな御観点を承りまして、大変勉強にさせていただきました。 御承知のように、中小企業白書では、現在の中小企業の地位、格差問題というようなものを総論にしながら、技術革新、それから情報化、それから人材問題、地域開発、この四つを各論にしているんですね。きょう伺っておりまして、二十一世紀も中小企業のあり方、案外変わらいものは変わらないんじゃないかと思っております。 例えば、現在の日本の中小企業を形づくっている精神的風土というのは、私は江戸以来の、何と申しますか、マニュファクチャーといいますか、工場制手工業というものから発展をした名人芸だとか、あるいは共同体意識だとか、そういうものが中小企業の本当の基底をつくっているマインドで、日本の社会というのは、農業と中小企業もそういう伝統的な精神的風土というのがずっと長く流れていて、それが底にあるから日本人は勤勉でよく働くし、そしてまた知恵を働かすし、そういう点で、二十一世紀になってもそういう中小企業のいわば精神的風土は変わらない方がいい。むしろ変わらないものは変わらないで、人間性として流れていった方がいい。その中で技術開発や情報化という、本当に動いている世界のものをしっかりキャッチしていけば、絶対に世界の中で現在の日本の持っている経済国家としての地位は失われないんじゃないか、そんな信念で私はやっているんでございますが、これが正しいかどうか、今後の世の中の進み方でございますけれども。 したがって、きょう出てまいりました技術の問題あるいは情報化の問題、そして人材の問題、こういった問題については、二十一世紀を目指してひとつしっかりそういう体系化を組み合わせようと、中小企業問題もたくさんいろいろ出ておりますが、底を流れておる精神は一定でございまして、長官や次長も、それから各部長もよく勉強しておりますから、こちらで聞いていて、これなら大丈夫だと思ったんでございますが、そういう気持ちでやっていきたいと思います。
○木本平八郎君 SDIの方はどうですか。
○国務大臣(村田敬次郎君) SDIにつきましては、この間のボン・サミットのときは、新聞その他で御承知のように、余り大きくクローズアップされなかったんです。私はこれは余り過度の心配をしないで、ひとつ非常に良識的に対応していくべきだと、こういうふうに思っております。
○委員長(降矢敬義君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 中小企業技術開発促進臨時措置法案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(降矢敬義君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(降矢敬義君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東東北鉱山保安監督部及び同部東京支部の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。村田通商産業大臣。
○国務大臣(村田敬次郎君) ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東東北鉱山保安監督部及び同部東京支部の設置に関し承認を求めるの件につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。 鉱山保安監督部は、鉱山保安の確保を図るため、通商産業省の地方支分部局として、現在、仙台鉱山保安監督部、東京鉱山保安監督部、中部近畿鉱山保安監督部及び中国四国鉱山保安監督部の四部が置かれており、中部近畿鉱山保安監督部及び中国四国鉱山保安監督部にはそれぞれ中部近畿鉱山保安監督部大阪支部及び中国四国鉱山保安監督部四国支部が置かれております。 このたび臨時行政調査会の答申を受けて、鉱山保安行政の効率的推進を図るため、仙台鉱山保安監督部と東京鉱山保安監督部とを統合し、仙台市に関東東北鉱山保安監督部を設置するとともに、東京都に同部東京支部を設置する必要があります。 以上が、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東東北鉱山保安監督部及び同部東京支部の設置に関し国会の承認を求めることの提案理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(降矢敬義君) 本案に対する質疑は後日行うこととし、本日はこれをもち散会いたします。 午後五時五分散会