商工委員会 第16号
- 発言数
- 274 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/05/23
会議録
○委員長(降矢敬義君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 まず、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。 三菱石炭鉱業株式会社南大夕張炭鉱における災害の実情調査のため、委員派遣を行うこととし、派遣委員、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(降矢敬義君) 半導体集積回路の回路配置に関する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○福間知之君 法案の質疑に入る前に、昨今の日米間における貿易摩擦問題に関連いたしまして、今審査に入ろうとしている半導体等が対象にもなっておるわけであります。けさほどの新聞でも、再びアメリカ側から通信機器を主体にした日本市場の閉鎖性、あるいはまた対日輸出に対するアクセス、認定基準などなど問題視されているやに報道されております。 去る四月の二十六日でございましたか、日米貿易摩擦の一つであるいわゆるエレクトロニクス分野の市場開放について話し合うための第三回の次官級協議が行われたと聞いております。そして、その市場開放についてアメリカ側が第二回目の協議のときに、半導体チップ保護法の早期成立など九項目について要求を提示してきておるわけです。 そこでこの点についてお伺いしたいんですが、第三回の日米次官級協議では、アメリカ側が要求している九項目、これはあえて申し上げませんけれども、半導体チップ保護法の早期成立だとか、あるいはソフトウェア保護のための著作権法の改正等九つの項目があるわけです。これに対して日本側はどういう態度表明を行ったのかをお伺いしたいと思います。
○政府委員(木下博生君) 去る四月二十六日の第三回のエレクトロニクス会合におきましては、今福間先生から御指摘ございましたように、前回米側から出されました九項目の質問に対して、日本側の説明をしたわけでございます。 それぞれにつきまして申し上げますと細かい点もございますので省略させていただきますが、全体として申し上げますと、例えば半導体チップ保護法あるいはソフトウエアの権利の保護の問題等につきましては、日本側で法案を国会に提出しているというようなことを説明しておりますし、関税の相互撤廃についてもアメリカ側の提案よりもむしろ広げて、エレクトロニクス関係について相互に関税撤廃する品目を決めようじゃないかというような提案を積極的にいたしましたというようなことがございまして、九項目の質問に対する日本側の回答については、米側はおおむねこれを満足し、高く評価したというふうに考えております。
○福間知之君 その日本側の回答に対しまして、例えば半導体の保護法の早期成立や、ソフトウエアの保護のための著作権法の改正等についてはアメリカは評価したと伝えられているんですけれども、むしろその他五項目ないし六項目については、必ずしもアメリカはすっきり納得をしたとも言えないような印象を残しているんですけれども、そういうことなんですか。
○政府委員(木下博生君) 少し具体的に申し上げさしていただきますと、例えばJISの原案作成委員会へ外国人が参加できるようにしてほしいというようなことに対しましては、日本側として、従来からそういうことを認めておるのでという説明をしておりますので、一応アメリカとしては評価しておると思います。 ただ、新聞等に、アメリカ側は必ずしも評価していないというようなことを取り上げておりますのは、例えば特許処理の迅速化につきまして、アメリカとしてはそれを非常に強く前から望んでおったわけでございますが、これについては日本全体が特許の申請が非常に多いというようなこともありまして、なかなか時間がかかっており、それを今後ペーパーレス化で迅速化を図っていこうと しておるわけでございますので、そういう点の説明をしたわけでございますが、実際上、すぐにそれじゃアメリカ側が要求するような非常に短い時間で特許の申請を処理できるというような体制にならないというようなこともありまして、そういう点については今後の日本の努力を期待しているという面もあります。新聞で報道されておりますように、全般的に不満だったというようなことではないと私どもは承知しております。 ただ、その会議の席で、半導体につきまして、この九項目以外についてアメリカ側が問題を提起しておりまして、日本側の半導体の設備投資が非常に大きいじゃないかというような点の問題提起をしておりますが、これはむしろ九項目以外の問題だと私どもは承知しております。
○福間知之君 電気用品の取締法に基づく検査項目の問題あるいは外資系企業の研究開発プロジェクトへの参加等についてはどういうふうな話し合いになっていますか。
○政府委員(木下博生君) 電気用品取締法の外国検査データ受け入れの問題につきましては、日本側から既に外国検査データの受け入れを行っている旨を説明しておりますし、近く三つ目の米国検査機関が新たに指定される予定であるということを紹介しておりますので、私どもとしては日本側の従来からの措置についてこれを評価しているというふうに考えております。 それから、研究開発プロジェクトへの外資系企業の参加の問題でございますけれども、日本側から日本企業と外資系企業とを何ら区別することなく参加を認めておりまして、成果へのアクセスも内外企業無差別である旨を説明いたしておりますので、それについては米側もその説明を満足したと私どもは考えております。
○福間知之君 けさも、ちょっと私ここに持ってないんですけれども、たしか日経だったと思うんですがね、これは通産、郵政両方にかかわる中身だったと記憶しているんですけれども、今までに提起された問題をさらにフォローするような意味で、かなり詳細に日本側の状況を調べた上で問題の提起がなされているようであります。日本側としても、これはかなりあちらの電気通信機械工業会等の情報として正鵠を射た中身であると、それに基づくアメリカ側の要望が出されていると、こういう評価がありましたけれども、御存じかどうかですね。そういうふうに、このことしの春先からの当局との交渉の中で、次から次に何かアメリカ側から要求が持ち出されてきている感を深くするわけです。 それで、次回はオルマー商務次官ですか、これ来月の三日ごろに協議があるということですけれども、そういうことなのかどうか。そしてその見通しというか、我が方の協議に臨む心準備などについて、これは大臣からお伺いをしたいと思うんです。
○政府委員(木下博生君) 大臣からの御答弁の前に、事実関係について御説明申し上げたいと思いますが、ただいま福間先生おっしゃいましたのは、テレコム、電気通信分野についての協議の次回の問題であろうかと思います。 私どもはまだ次回の電気通信協議で具体的にどういう点が挙げられるかという点、ちょっとその資料と情報持ち合わせておりませんが、新聞等で報道されております点は、新たに四月から実施されました電気通信事業法に関連する、例えば技術基準の問題、そういう問題が中心に従来議論をされておったわけですけれども、その過程、あるいはその後いろいろと日本の電気通信市場を米側として研究しました結果、例えば無線機器関係についての電波法等の問題もあるんではないかというふうな問題意識を持っておるんじゃないかという感じがいたしますので、そういう問題について今後また米側との間で協議が行われる可能性はあろうかと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 今、木下局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、四分野の日米協議につきましては、今後どのような議論を行うかということも協議をしながら進めていくわけでございまして、私がボン・サミットへ出ました感じから申しますと、四分野の協議は非常に順調に進んでおるという印象を向こうも持っておると思います。今後も引き続いて努力をしてまいります。
○福間知之君 先ほど木下局長の御答弁の中にもありましたけれども、次官級会議で半導体の設備投資が過大過ぎるんじゃないかという話があったと、こういうことでございますが、具体的に何かアメリカ側から需給バランスは関しての要望がそのほかございましたですか。
○政府委員(木下博生君) 前回の協議におきましては、そういう具体的な需給バランスについての話し合いは全く行われておりませんし、米側からも提起はございません。 ただ、御承知のように、一昨年から昨年にかけて半導体が世界的に需給が逼迫いたしまして、日本の国内においても品不足の状態が起こったということと、それから半導体について従来六十四キロビットのメモリーのものが中心であったものが、各企業とも二百五十六キロビットの半導体の生産設備を導入しようという時期に来たというようなこともありまして、昨年は日本の各企業とも設備投資を大幅に行ったわけでございます。 そのようなちょうど設備投資を行った時期の終わりごろから、世界的に、日本においてもそうですし、アメリカにおいてもそうでございますが、半導体の需給がやや緩和してきたというようなことがありまして、日本の設備投資が半導体の需給関係に供給過剰という形で大きな影響を与えるんではないかという懸念を、やや米側として持っているんではないかというような感じがしておるわけでございますが、その点については、今後のアメリカ側との話し合いのマターになろうかと思います。
○福間知之君 一昨日当委員会は、この法案審議の参考に資するために、我が国でも最大の大手の一つである日立製作所の半導体武蔵工場を視察をする機会を得ました。我々素人でも見てびっくり、また聞いて驚きということで、大変参考にお互いになったんじゃないかと思うんです。そのときにいただいた資料などを見てみましても、日本の半導体生産、そしてまた販売、なかんずく対米輸出というものの伸びが非常に顕著ですね、ここ数年の経過を見ますとですね。 ちなみにちょっと調べてみましたら、昨年における日本からの半導体の対米輸出は、金額にいたしまして三千七百二十二億円、これは一昨年に比べて約二倍にふえているのであります。これに対してアメリカからの輸入は千六百三十六億円、これは対前年比五二%、したがって日本の大幅な出超になっているということでございます。しかも日本からの輸出に占める対米比率は、一九八一年時点で三五・七%であったものが、昨年、八四年には四七・九%、ほぼ四八%にこれは一貫して上昇を続けてきております。 また対米輸出バランスも七八年には二・三四と日本の入超であったのが、八〇年には〇・九六と、逆に日本の出超に転じておるわけです。その後八二年にはこの出超のウエートはさらに下がって〇・七一、八三年には〇・五八、そして昨年には〇・四四と、そこまで出超幅が拡大をしてきておるわけであります。その上アメリカの半導体のBBレシオ、これは出荷額に対する受注額の比率でございますが、これは昨年九月の〇・八四の数値以降七カ月連続して下回っておりまして、適正と言われている数値である一・〇五から一・一〇という数値を下回っております。 一部メーカーでは、既にアメリカでレイオフを実施しているとも言われておりまして、こういう状況を背景にして半導体貿易摩擦というものも、したがってクローズアップしてきているのじゃないかと予想されるわけですけれども、今後この点をどのように考え、どのように対処することが必要なのか、御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 今、福間委員御指摘のように、この半導体生産・輸出入動向というのが大変日本の伸びが著しい、輸出、輸入ともに伸 びておるのでございますが、特に日本の輸出の伸びが著しいわけでございまして、そういった意味で、日米間の協議はおきましてもこの問題がますます真剣に話し合われるということになるわけでございますが、半導体などのエレクトロニクス分野は大変な成長性がある、世界経済活性化のための重要な分野であるということから、世界における最も主導的立場にあるのは日米でございますから、日米両国が一層自由かつ開放的な市場の確保は向けて努力をしていくことが肝要である、このように考えております。
○福間知之君 一方、アメリカのICメーカーの我が国への進出ということを少し調べてみますと、日本テキサス・インスツルメンツ――日本TIでございますけれども、日本TIの茨城県の美浦工場、あるいはまた大分県の日出工場を初めといたしまして、モトローラ社の福島県は会津工場、あるいは日本IBMの滋賀県は野洲工場等々と逐年拡大をしておるわけであります。特に日本TIは、生産あるいは開発も日本重点志向をとっておりまして、八四年の売上高はほぼ一千億円を超えるに至っております。これは、我が国メーカーでは東京三洋電機あるいは沖電気の半導体生産額と並ぶ水準だと見られるわけであります。 こういうふうに、アメリカ側も日本で現地法人を設立いたしまして、生産を拡大すればするほどそれを日本から輸出をするということにもつながっておるわけでありまして、したがって日本からの輸出としてカウントされる数量なり金額、これも逐年増大をしているということにもなるわけです。こういうことも貿易摩擦の要因として見られがちではないかと思うんです。日本側としてやはり正確に実態を把握しておく必要があるんじゃないだろうかと思うわけですけれども、当局としては、対米輸出といいますか、日本からの輸出の中でこういう米国系のICメーカーの輸出分というのはどの程度含まれていると判断されていますか。
○政府委員(木下博生君) 先ほど先生のお話ございましたように、昨年の我が国からの半導体集積回路の対米輸出は三千七百二十二億円だったわけでございますが、このうち米国系ICメーカーの輸出分がどのくらいかという点は、ちょっと統計がはっきりしたものがございませんのでなかなかわからないわけでございますけれども、私どもの推定によりますと、ほぼ二、三%程度ではないかという感じでおります。したがいまして、日本の日本IBMあるいはモトローラ、テキサス・インスツルメンツ等がつくっておりますIC の輸出は、比較的考えられるよりも少ないということではないかという感じはいたします。
○福間知之君 そうですか。そんな程度だと判断して大きな間違いはないわけですか。 先ほど申し上げた日本TIの美浦工場、これは成功しているわけですけれども、アメリカからは、さらにインテル・ジャパンとかアナログ・デバイセズ、フェアチャイルド・ジャパンなどのICメーカーが、さらに陸続といっていいほど日本にも上陸してきているわけであります。これは、日本のLSI級の製品になると、日米間のワーカーの質の違いというのがかなり大きく生産に影響してくるということから、アメリカ側がこのところ良質の労働力を求めて、あるいはその他の条件を求めて日本にやってきているというふうに考えられるわけです。日本も最近は単なる製品輸出じゃなくて、アメリカに現地法人をつくってIC生産をやろう、こういうふうに積極的に対応しかけているようですけれども、こういう点については、当局としてはどういう評価をされていますか。
○政府委員(木下博生君) 日本に米系企業がどんどん進出しておりますのは御指摘のとおりでございまして、また日本側からも日本側企業がアメリカに半導体工場をつくっておるわけでございます。これは、半導体につきまして、さきに先端技術産業作業部会といるのが通産省とそれからアメリカの商務省あるいはアメリカの通商代表部との間で行われまして、その作業部会の結論に基づいて、例えば両国間の半導体の関税をゼロにしようというようなことも行われたわけでございますけれども、その先端技術産業作業部会で半導体について議論をいたしましたときに、作業部会の提言といたしまして、日米両国間で単は商品の貿易のみならず投資の相互交流も促進しようではないかというような話が行われておりまして、私どもとしては、アメリカ系企業が日本は投資をし、日本系企業がアメリカに投資をするというような形で、両国の関係が緊密化することは極めて結構なことではないかというふうに考えております。
○福間知之君 現在でも、日本は世界のIC生産量の約三〇%水準を達成している、こういうふうに言われておりまして、先ほど申し上げたように、その上にアメリカ系企業が日本にも進出をしてくるとなりますと、さらに生産比率は高まるというふうに考えられます。考えようによると、これはアメリカと並んで日本が世界へのICの供給基地というふうな性格を強めるということに通ずるわけですね。一方、日本の企業も、今のお話のように海外に積極的に生産体制をつくり上げていく、こういう状況にありまして、アメリカやイギリスでの一貫生産体制あるいはマレーシアでのトランジスタIC、リニアICまたシンガポールでのリニアICの組み立てなど、生産の水準を高めていくという日本の代表的なメーカーが出てきているわけであります。そういうふうは相互に相手側現地に乗り入れることによって貿易摩擦というものが緩和されていくというふうに思うわけです。 ただいま木下局長のお話のように、日米先端技術産業作業部会半導体小委員会ですか、これが一昨年の秋に、地域における投資促進スキームへの外資系企業の参加の円滑化、こういうものについて提言をしているようですけれども、その内容なりその後のフォローというものはどういう状況で推移していますか。
○政府委員(木下博生君) 今、先生御指摘のように、日本系企業が世界の半導体生産の三割弱を占めるまでに至っておりまして、アメリカ系企業と合わせますと世界の半導体生産の約九割以上をその両国企業で賄っているというような感じになっております。 それで、半導体は、御承知のようにエレクトロニクス関係あるいは機械関係全般にわたって基礎的な素材として非常に重要な役割を担っているわけでございまして、そのような半導体産業が技術的にもまた生産の内容的にも発展するということは、世界経済の活性化のためにも極めて好ましいことではないかというふうに考えております。 したがいまして、私どもとしては、単に日本の企業が日本の中で生産をやるだけではなくて、アメリカあるいはヨーロッパあるいはアジア諸国でそういう半導体の生産を広げていって、それぞれの国の経済発展に寄与するということは非常に好ましいことですし、その結果、貿易摩擦がそれだけ和らいでくるということになれば極めて好ましいことだということで、私どもはそういうことを日本の企業に対して奨励をしておるわけでございます。 それから、最後に御指摘のございました日米先端技術産業作業部会半導体小委員会におきまして、地域における投資促進スキームへの外資系企業の参加の円滑化という点の提言をやっておるわけでございますが、これはその半導体関係全体についてのいろいろな提言を行った中にそういう内容が含まれておるわけでございますけれども、通産省といたしましてはその提言を踏まえまして、工業用地検索サービスあるいは英文による工業立地に関するさまざまな情報の提供等を外資系企業に対して行っておりますし、また我が国各地方の府県が積極的に外資系企業、特にこういう先端技術企業の誘致をやっておりますので、それに対して私どもとしてはその情報提供等で積極的に御協力申し上げているということでございます。
○福間知之君 そうすると、先ほど私もちょっと申し上げましたようなアメリカ系企業の日本進出が実現しつつありますけれども、そういうことに は当局としても何らかの貢献ができたと、こういう御判断ですか。
○政府委員(木下博生君) そのアメリカ系企業が日本に進出いたします場合にはどういうところへ立地したらいいかというような話があるわけでございますし、また県の方からも積極的にその企業の誘致活動をやっておりますので、そういう過程におきまして、通産省といたしましてもいろいろな形で御援助しておりますし、そういう格好でこういう立地が実現したということは非常に好ましいことだというふうに私ども考えております。
○福間知之君 この日米作業部会小委員会提言のスキーム、仕組みでございますけれども、その中に技術的な項目の一つに、両国政府は商業ベースの積極的な技術交流を奨励する、あるいは信頼性及び試験方法の分野での技術交流を促進する、さらには半導体製品の不公正な複製が出回らないようそれそれ適切に対処するなどということがあるわけですけれどもね、これはよく言わんとすることはわかるし、理解できるんですけれども。 ところで、我が国の半導体の技術なり生産方式なり、マイクロプロセッサーなど、過去アメリカのそれを模倣したというふうな一時期があったと思うんですけれども、最近では独自の開発のマイクロプロセッサーが出始めておる、あるいはVLSIメモリーでは世界をむしろリードする立場に今なっていると、こういうふうに思うんですけれども、一昨日の日立の工場見学の中でもそういう印象を受けたわけです。日米の今日的な段階での半導体に関する技術水準というものは、どういうふうに当局は判断されてますか。
○政府委員(木下博生君) 先端技術産業作業部会におきます提言につきましては、先ほど先生のお話にありましたような項目につきましても、具体的にいろいろと対策を講じているわけでございますが、その一つが今回御提案申し上げているこの半導体の集積回路の回路配置に関する法律案にもなっておるわけでございます。 それで、従来半導体は、アメリカで大きく技術進歩が行われて、それを受けて日本がライセンス等をもらいながら進めていったということでございます。したがいまして、現在におきましても、ロジック関係の素子等につきましてはアメリカから技術協力を受けて日本の企業がそれを実施しているというものもございます。ただ全般的に申し上げますと、今先生がおっしゃいましたように、日本の半導体産業においても非常に技術的に進んだ分野が出ておりまして、アメリカは産業用のバイポーラ型の半導体集積回路技術等について非常に強いのに対しまして、日本側は民生用主体のMOS型半導体集積回路技術に多大の貢献をしているということでございまして、最近よく言われております二百五十六キロビットのメモリーのMOS型の半導体というようなものについては、むしろアメリカよりも日本がリードしているというような点があろうかと思います。 ただ、先ほど申し上げましたように、ロジック分野、例えばマイクロプロセッサーとかバイポーラロジックというようなものについては、アメリカの方がまだ主導的役割を果たしておりまして、今後も世界的にアメリカによってその大部分のシェアを占めていくというようなことが続くだろうと思いますので、それぞれの専門分野、得意とする分野でお互いに相補完し合い、相協力し合いながら今後進んでいくというふうに私どもは考えております。
○福間知之君 おっしゃった今のお話が現状だろうと思います。将来のことは、これは必ずしも的確にわかりませんけれども、特にアメリカの場合今考えられることは、かなり軍需産業との結びつきというものが強うございますから、多分にそういう背景なり影響なりというものを背負いながら半導体技術も開発されていくんじゃないかというふうに思うわけです。 日本はその点アメリカとは対照的でございます。むしろその日本的な半導体の開発というものが世界全体には需要としては大きいんじゃないかというふうにも考えられますし、かねがね私どもも懸念しています技術協力なり技術開発というものが軍事的な側面をあらわにしていくというふうなことのないように留意をすべきだろう、そういうふうに思うわけでございまして、今後の技術開発の進路が、だからといって狭量はなるということは決して望んでいるわけじゃないんですけれども、性格的にそこらを少しチェックをしていかなきゃいかぬだろう、こういうふうに思うんですね。 かつてこの国会でも、あるメーカーさんがつくったハイテク技術が、アメリカにおいて人為的に利用されているんじゃないかというふうな疑惑が議論になったことがありますけれども、そういうことは厳にひとつ慎んでいくように配慮を要望しておかなきゃならぬ、こういうふうに思うわけであります。 ところで、この法案について質問に入りたいと思いますけれども、今回の回路配置法の保護のために、通産当局は既存の法律を母法とする考えをとらないで、全く新しい法律案としてただいま提案され、審議に入っているわけですけれども、しからばなぜこの特許法だとか、民法だとか、実用新案法、意匠法、不正競争防止法などによってこの半導体チップ回路の保護ができないと考えられたのか、一応最初にその基本的な見解をお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(木下博生君) 私どもといたしまして、半導体集積回路のこういう回路配置の保護をするのにどういう法律が適当かということは、産業構造審議会に半導体チップに関する法制問題小委員会を設けまして御検討いただいたところでも、いろいろな法律についての考え方を整理したわけでございます。その結果といたしましては、既存の法律ではなかなか保護はしにくいということで、今回御提案を申し上げているような法案に最終的になったわけでございますけれども、今先生から御質問がございました個々の法律との関係についてそれぞれ御説明を申し上げさせていただきたいと思います。 まず、特許法につきましては、回路配置は特許法の発明の定義に抽象的には該当いたすわけでございますけれども、現実には、既知の知識を基本とした経験則に基づく作業を繰り返す形で半導体をつくっていくというようなことがありますために、特許法で要件となっております新規性、進歩性というようなものを、保護要件を満たさないということで、特許によってはなかなか保護がしにくいなというふうに私どもは判断したわけでございます。もちろん回路自身、例えば論理回路あるいはトランジスタ回路自身の新規のものについては特許でそれ自身を保護するということはあり得るわけでございますが、私どもがこの法案で考えております集積回路状にもうでき上がっております回路配置については、ちょっと特許法ではなかなか保護しにくいというふうに考えております。 それから民法につきましては、半導体集積回路が販売される前、すなわち、企業秘密としての価値を持つ段階で、その企業秘密を不正な手段を用いて取得いたしまして回路配置の内容を知り、その回路配置を模倣して半導体集積回路を製造するというようなことでございますと、民法で言います「不法行為」というふうになり得て、民法上の措置がとり得るということはなるわけでございますが、販売された後で回路配置が表に出てしまった、そのような表に出てしまった回路配置を模倣した場合につきましては、民法上につきまして民法の先生等にもいろいろ伺ったわけでございますけれども、基本的に、それを民法に違反する「不法行為」であるというふうに見るのは難しいという結論になったわけでございます。 それから、意匠法につきましても検討したわけでございますけれども、意匠法で保護している「意匠」というのは、「視覚を通じて美感を起させるもの」というふうに意匠法の二条でなっておりまして、半導体の集積回路の回路配置は肉眼ではとても見られるものではございませんし、本来、「美感を起させる」というようなことを目的としたものではないというようなことでございますの で、この定義にはなかなか該当しないというふうに考えました。 それからまた、不正競争防止法との関係でございますが、通常、機器に組み込まれ、またはパッケージに納められた半導体集積回路の回路配置は、一般に購入時に目に触れることがなくて、「他人ノ商品ト混同」というような不正競争防止法一条一項一号の要件に該当することはなかなか難しいのではないかというようなことで、不正競争防止法でこの回路配置の模倣を防止するということも少し難しい点があるなというような点を考えまして、結論的には、新たな独自立法でそれをやるのが一番適当であらうと考えたわけでございます。
○福間知之君 関係法律とのかかわり合いについての判断、今御説明があったんですが、それはそれなりにわかるわけでございますけれども、さらに考えてみますと、回路配置の利用権というのは設定登録によって発生をするわけです。それは他人のものをコピーしたものでない限り、同一あるいは類似の回路配置が創作されたときでも、複数の権利の発生が認められることになっておるわけであります。したがって、このような特殊な分野の技術、ICのような技術をこの法律のような網羅的な規定を持ったもので保護をしなくても、別途の方法でいけるんじゃないかというふうな考え、つまり、こういうふうな技術は、それがたとえ特許法にあるような、また、今局長から御説明があったような新規性や進歩性あるいは先願性などの内容審査を行わないにしても、特許法あるいは実用新案法等を母法として特別法の形をとることで対応できるんじゃないか。 それは、回路配置というものは純然たるハードウエアでありますから、そのうち技術レベルのハイクラスのものは特許法などで保護することができるというふうにも考えられる。だから、特許法の後ろの方に新しい一つの章を起こして、例外規定を挙げるというふうな手法でも済むのではないかというふうにも思われるんですが、これは一つの考え方ですけれどもね。それが一番いいんだと、こうは、決して押しつける気持ちで申し上げているわけじゃないんだけれども、そういうふうな考えもとれるんじゃないかというふうに思うんです。
○政府委員(木下博生君) 今先生おっしゃいましたように、特許法、実用新案法の例外規定を設けてやるという案も全く考えられなくはないわけでございますけれども、半導体回路配置を保護することにつきましては、そもそも、回路配置保護の目的が、特許法で言っている特許を保護する目的というような目的とは異なるものでございますから、その保護の要件とか、それから保護の内容等におきまして特許法、実用新案法と著しく異なることになるだろうというような感じがするわけでございます。したがって、そのような法形式、法体系をとることは必ずしも適当ではないなというふうな感じを持ったために、私どもとしてはむしろ独自の立法を考えたわけでございます。 例えば特許法につきましては、特許法の目的は、発明の保護及び利用の促進というようなことでございますが、私どもが回路配置を保護しようという考え方に立ちましたその目的は、回路配置の模倣防止による回路配置の適正利用の確保というようなことでございまして、基本的な目的が違いますと、同じ法体系の中でそれを例外的に修正した形で設けていくよりも、むしろ独自立法の方がより適当ではないかということになったわけでございます。
○福間知之君 ここで文部省にちょっとお伺いをしたいんですけれども、半導体のチップ保護のための新立法に当たって、文化庁の著作権審議会が開かれまして、現行の著作権法のもとにおけるチップ回路保護の可能性あるいは是非が検討されたと聞いているんですけれども、審議の経過はどういうことになっていますか。
○説明員(岡村豊君) 半導体集積回路に関します著作権法による保護の問題につきましては、著作権審議会に常置の委員会といたしまして、著作権に関する法律問題、条約問題等を審議いたします第一小委員会というのがございます。その第一小委員会におきまして、昨年の十月以来七回にわたりまして御審議をいただいたところでございます。 その結果といたしまして、半導体チップ製品のもとになります図面、設計図でございますが、これは著作権法による保護がある、したがって、設計図をコピーするというようなことについては、無断でやりますと著作権侵害ということになるということが第一点でございます。 それから次に、では、チップ製品自体についてはどうだろうかという問題につきましては、確かに、設計図が写真的な手法によりましてチップ製品状に再生されるということはございますものの、チップ製品は工業製品でございますし、しかも、立体的船造を持ったものでございますことから、これを著作権法による保護をするということには問題がございまして、チップ製品自体に著作権法による保護を及ぼすべきであるという結論には至らなかった次第でございます。
○福間知之君 半導体の回路のレイアウトは設計図の複製物だという意味において、既にもう著作権法で保護されているという見解をとる向きもあるんですが、それは当局と文部省と両方からちょっと見解をお聞きしたい。
○説明員(岡村豊君) ただいま御説明申し上げましたように、著作権審議会におきましては、設計図の複製という考えはとらないということでございました。
○政府委員(木下博生君) 先生、工場でごらんになりましたように、非常に複雑な工程を経て半導体集積回路というのはでき上がるわけでございますが、その設計図は、設計図そのものが半導体集積回路になるわけじゃございませんで、それをマスクに一応いたしまして、マスクにしたものが半導体集積回路との関係で、その集積回路がそのマスクの複製物になり得るかというような問題が論理的にはあり得ようかと思います。 それで、設計図とマスクとの関係におきましては、場合によってはそのマスクが設計図の複製物というような考え方というのも成り立ち得るかもしれませんが、そのマスクを今度半導体集積回路にいたしますときには、十数枚のマスクを使うわけでございますし、今文部省の方からも御説明がございましたように、マスク自身がそのまま物に写ってしまって、それで物ができ上がるということじゃなくて、いろいろ化学的な工程を経て、立体的な形ででき上がってくるというようなものでございますので、半導体の集積回路の回路配置自身は、私どもとしてはマスクの複製物としては非常に見にくいというふうに考えております。 それで、設計図とそういう製品との関係を考えますと、例えば設計図を使って機械をつくる、それから料理の本に基づいて料理をつくるというようなときに、その機械自身あるいは料理自身がその本や設計図の複製物であるというのは非常に見にくい、そういうふうには考えにくいということと同じように、マスクやあるいは設計図とそれから半導体集積回路との関係も、その複製物であると考えることは非常に難しいんではないかというふうに考えております。
○福間知之君 説明はわかりますが、先ほど私も申したように、だが、回路配置というのは著作物だという見解もあることはあるんですよ、これね。だとすれば、紛争が生じた場合に、著作権法で訴えることも可能だと理論的には言えるんじゃないか。その方が企業にとっても秘密を保持できるという上で登録もしない。登録については消極的で対応するというふうな、弊害というかね、それをもたらすことにもなりかねない。著作権の適用の可能性ということ、紛争が生じた場合等、どのように考えておるかということです。 また、アメリカのチップ保護法が、著作権法の中に半導体チップ保護法として追加されている。ところが、我が方は今審議しているように、独立した法律としてやろうとしているわけですけれども、アメリカの場合にこれなぜ、私もちょっと調 べてみたんですけれどもよくわからないんですけれどもね、上院と下院でそれぞれ違った結論が出て、上下両院協議会でまとまったようで、著作権法に一つ追加して一応成立を見ている、こういういきさつがあるんですけれども、そこらあたりを我が国も参考にしながらこれやったんだろうと思うんですけれども、そこらあたりの事情はいかがですか。
○政府委員(木下博生君) 半導体集積回路の回路配置は、いわゆる実用物である集積回路の本質的な構成要素であるということでございますので、集積回路と不可分のものであると考えられますから、このような実用物と、それから実用物の本質的な構成要素が著作権法の保護にはなじまないんではないかという考え方を私どもとっておりますし、文部省の方の御見解も大体同じようなことではないかと私どもは考えておるわけでございます。 したがって、著作権法が適用されて、それが訴えの対象になるということは余りないんではないかと私どもは考えておりますけれども、アメリカでこの半導体のチップ保護法ができます過程におきましては、今先生御指摘のように、著作権法体系との関連があったわけでございます。 その経緯を簡単に申し上げますと、アメリカの上院におきまして、まず最初著作権法の改正という形でこの半導体のマスクワークを保護するための法案を審議したと。審議して可決したという事実がございます。 それと同時に、下院においても同趣旨の法案が提出されて、いろいろ議論がなされたわけでございますが、公聴会等におきまして、産業界あるいは出版業界、著作権局等から、マスクワークは著作権法による保護になじまないとの批判がたくさん出まして、その批判を受けまして、既存の著作権法の規定とは相互に独立した一章を設けて、昨年のやはり六月に下院でその法案が可決されたということでございまして、その上下両院において二つの法案が通りましたので、その調整が行われました結果、下院の考え方、独自法案の方が適当ではないかという下院の考え方を基礎としまして、若干の修正を加えて、昨年の十月に一九八四年半導体チップ保護法という形で成立したわけでございます。 それで、アメリカの場合には立法の形式が、今先生おっしゃいましたように、その既存の法律の章の中でそういう規定を設けていくというような考え方で立法が行われておりますので、形式的にはたまたま著作権法のうちの一部を構成した形にはなっておりますけれども、内容的には今申し上げましたように、独立の立法ということになっておりまして、独立の立法にしました過程におけるアメリカの議論では、今申し上げましたように、やはり実用物である半導体のチップ、マスクワークは著作権法での保調は非常に難しいという見解に到達したために、そういう独自立法になったというふうに我々は了解しておるわけでございます。
○福間知之君 そういうアメリカはアメリカの状況判断の中で上下両院の一定の結論が出されたわけですけれども、それは横目で日本側も見てきたと思うんです。その上に立って判断されて独立立法として今提起されているんですけれども、そこらの判断要素はどうなんですか。 日本の場合はやはりいま先ほどの、文部省じゃないけれども、著作権法の適用でいくことはみずから一応当を得ないと、こういう審議会での判断のようですから、それはそれで尊重してもいいんですけれども、通産省当局から言えば、先ほど申し上げたように、特許法もあり、意匠登録法もあり、いろいろありますわね。その中でやっぱり独立してやる方がいいと。アメリカの経過を見ながらもなお独立してやる方が日本はいい、こういうふうに判断された状況判断ですな。これは日本のお役所のいろんな立場の違いがあるわけですけれども、しかしまた仮にこの法案が成立して、この法が適用される場合に、もちろん通産当局は全く関与しないということじゃないにしても、特許庁との関係ではこの法律の所管はどういう関係になるんですか。
○政府委員(木下博生君) 半導体のチップの権利を保護する問題につきましては、先ほど申し上げましたように、日米先端技術産業作業部会におきまして、その保護を行う必要があるだろうという点の合意ができておりましたものですから、アメリカにおいてそういう立法作業が行われていると並行いたしまして、通産省といたしましてもどういう形で立法をし、それによって保護をしていったらいいかという点の検討をやっておったわけでございます。 それで、私どもの作業におきましても、やはり新しい製品で、そういう特許法等ではなかなか保護しにくい、こういう実用物については、やはりどうしても新しい独自の立法でやる必要があるんではなかろうかというふうな感じでいたわけでございますけれども、アメリカにおきましてもやはり同じような議論が行われて、実質的には独自立法ということになったわけでございますので、私どもとしてはそういう形でその案をつくらせていただいたわけでございます。その前には、先ほど申し上げましたように、産業構造審議会で小委員会を設けまして、法律の専門家の先生方も入っていただいていろいろ御議論をいただいたわけですが、結論としてはやはり新しい法律以外にないだろうということになったからでございます。 それで、特許法等のいわゆる工業所有権法との関係でございますが、その過程で私ども特許庁の方とも十分相談いたしたわけでございますが、特許庁の考え方も、やはり今回のその法律はむしろ工業所有権法体系のものとはどうしても別個のものと考えられるというようなことの見解に到達いたしまして、それで特許庁とは別に、私どもとしては新たな法律をその特許法体系とは別につくった方が至当であろうということで、通産省の中も意見が一致しまして、こういう法案の提出ということになったわけでございます。
○福間知之君 まあ立法の形式は余り議論しても生産的じゃないかとも思うんですけれども、私もいずれにしてもこの種の立法が必要であるということは十分理解ができます。 先ほど触れておられました先端技術産業作業部会ほおける立法の必要性の確認、日米相互間で行われたこと、あるいはまた昨今は日本側からの技術水準の向上に伴う対米技術供与という状況も企業によっては出てきておりますから、そういう側面を考えればやはり保護立法が必要だというふうにも考えます。また、アジアNICS諸国の技術的な追い上げということも考慮すればなおさらのことだというふうに思いまして、立法そのものに私は肯定的な立場であるということを申し上げておきたいと思います。 次に、しからば日米相互にこの保護立法を成立させるというその上で、若干登録の状況についてお伺いします。 マイクロプロセッサー、超小型演算処理装置にかかわるこのVLSI等、ことしに入りましてからアメリカの大手モトローラ社が三十二ビットのMPU、これは形式ナンバー六八〇二〇という製品でございます。さらに、インテル社が十六ビットのMPU、これはナンバー八〇二八六というふうな主要な製品のレイアウトを登録し始めているようでございます。 そこで、日本のメーカーもアメリカ法人を通じて、この販売する機種についてはアメリカ法人の手で登録できるわけでございますが、いまだ手続をとっているメーカーはないようでございますが、日米両国の関係企業の登録状況というものを把握されておりましたら、お聞かせを願いたいと思います。
○政府委員(木下博生君) アメリカの著作権局は、本年一月にアメリカのチップ保護法に基づく登録業務を開始しておりますけれども、現在までに実際に登録申請がなされた件数は、私どもが聞いておるところでは六十件程度ということを聞いております。それで、そのうち手続を経て登録証が交付されたものはまだ数例しかないというふう に聞いております。これらはいずれも米国メーカーの開発した半導体集積回路に関するものでございまして、このように登録件数が今のところ少ないのは著作権局の登録規則がまだ暫定的なものであるという事情によると思われます。 なお、米国法は相互主義の形をとっておりまして、現状のままでは我が国国民が開発した半導体集積回路が登録されることは原則としてないわけでございます。ただ、商務長官がこれに対して日本側で同じような努力をしているということを認めた場合には、それは可能になってくるわけでございますが、ただアメリカの国内で最初に商業的な利用が行われたものであれば、それは登録することが可能になってまいりますので、そのようなものが例外的な形で著作権局に我が国のメーカーから登録を申請した例があるというふうに聞いております。
○福間知之君 法律が施行された直後ですから、今後の推移を見なければなりませんけれども、このことは我が国の国内においても、だから非常に関心の持たれるところでして、これは今後のひとつ当局の対応にかなりまつところもあると思うんです。 そこで、登録する場合の公平性、中立性ですね、事務機関の。この問題についてお伺いしたいと思うんです。 指定登録機関は恐らく民間の団体が当たることになるんでしょうが、その登録機関が登録事務を行う場合に、本来通産大臣が行うところの設定登録の申請の却下とか、設定登録の抹消などを大臣にかわってやることになるわけですけれども、その場合に登録事務の中立性、公平性というものは果たして確保されるかどうか、そのために何が担保とされるのか、少し疑問を感ずるわけですけれども、どのようにお考えですか。
○政府委員(木下博生君) 半導体集積回路につきましては、通産大臣が直接登録を受けることもできるわけでございますが、行政改革のこの時代でございますので、できる限り一番簡素なやり方で、しかも民間活力を利用した形の方が適当であるというふうに考えまして、この法律第四章二十八条以下で「指定登録機関」の規定を置いております。 当然のことでございますが、これは通産大臣にかわって登録をやるわけでございますので、そういう指定登録機関を指定するに当たりましては、指定の基準として公平性、中立性を担保するものを定めております。また、実際に登録事務を行うに当たりまして、公平性、中立性の担保がなされなくなるようなことがあり得るわけでございますので、そのような場合には登録事務規定を変更するとか、役員等を解任する、あるいは適合命令を出すというようなことによりまして改善を図ることを考えておりますし、また改善をうまくやれないような機関になりました場合には、指定の取り消しを行うというようなことも可能な規定になっております。したがいまして、私どもとしては指定登録機関の登録事務については、公平性、中立性は十分確保し得るのではないかというふうに考えております。
○福間知之君 行政改革の時代だから役所で関与するのは最小限にすべきだと、こういうことですけれども、ある意味では、公平性、中立性という観点を強調するとすれば、そうたくさん人手もかかるわけじゃないし、特許庁あたりが受け持つということで切り抜けられるのじゃないか。その方が、特許庁と民間との間は長い歴史があるわけですから、信頼性も……そんな気もするんですけれども。そうでもないですか。
○政府委員(木下博生君) 本来、国が行うべき行政事務は膨大な量がございまして、そのすべてを国がみずから行うということは必ずしも現実的なものではないわけでございまして、そのためにいろいろなやり方で指定機関を使ったりしておるわけでございます。 それで、行政事務のうち、事実確認的なもので判断要素の少ない定型的なものについては、今申し上げたような考え方で特別認可法人や民法法人等にその事務を行わせるということによって最も効率的、簡素にそれをやろうという例があるわけでございます。本法案につきましても、事実確認的、といいますのは、登録につきまして余り新規性等についての判断をする必要がない形の登録制度になっておりますので、そのような事務である今回の集積回路の登録事務を指定機関にやらせるということを考えた方がベターだということで考えたわけでございます。 特許庁におきましては、新規性、進歩性等の特許要件を満たしているかどうかというような点について事前に厳格な審査を行うということで、そのようなことを行うために体制ができ上がり、そういう専門家がいるわけでございまして、当然のことながら高度の判断要素が加わってくる仕組みに特許法の場合はなっておるわけでございますが、今回の場合にはそのようなものがない。したがって、将来その登録について紛争が起こったら、むしろ裁判所でこれを処理するという形になっておりますので、むしろそういう定型的な事務はできる限り簡素な形でやる方がいいということで、私どもはもし指定機関を設ける場合には特許庁というようなところでなくて、独立の法人を使った方がベターであるというふうに考えたわけでございます。
○福間知之君 おっしゃることはそういうことだと思うんです。 それに関連しまして、登録申請書の企業秘密資料の添付に関してお伺いをしたいんですけれども、回路配置利用権の設定登録を受けようとする場合に、申請書に図面だとか当該回路配置をあらわした写真、あるいはまた、申請者のこれは創作なんであるということ等についての説明書、その他省令で定められるであろう資料の添付を必要とするわけですけれども、省令では添付資料をどのように指定をするお考えでしょうか。 その場合に、企業秘密に係るような技術資料も提出を必要とするのかどうか。仮にそういう秘密資料の添付ということになりますと、独創的レイアウトかどうかの判断を必要とする場合には大いに問題になるわけでありまして、そこらの兼ね合い、これはどういうふうに判断されていますか。
○政府委員(木下博生君) 設定登録に当たって申請書に添付すべきものは、第三条の第三項に書いておるわけでございますが、そこに書いてございますように、申請書には、今先生おっしゃいましたように図面や写真等を添付するということになっておりまして、私どもは通産省令で定める資料というものの中には、製品自身もつけてもらおうかというようなことを考えております。ただ、「通商産業省令で定めるところにより、」というふうな規定が入っておりまして、私どもとしては、企業秘密にわたるような部分は、むしろその省令で、書くときに除外するような形で運用しようかということを考えておるわけでございます。 本来、集積回路といいますのは、つくられたものは当然販売されて皆が利用するわけでございますので、利用する過程において一般の目にさらされるということになるわけでございますので、資料や写真、図面等がなくても、一般の人はそれをまねしようと思えばまねできる体制ができているわけでございます。したがいまして、ここに書いてありますような図面あるいは写真あるいは製品自身というものを提出していただいても、それによって企業秘密を出していただく形には必ずしもならないというふうなことで考えておりまして、余りそれにわたるものはそもそも出さないでよいようにしたいというふうに考えておると同時に、もしそういうようなものが含まれているようなことがありました場合には、例えば閲覧の場合にその閲覧の対象から外すというようなことで問題が起こらないようにしたいというようなことを考えております。
○福間知之君 模倣でない独創的なレイアウトであるかどうかを判定するために、仮に企業秘密にわたるような技術資料を提出させても、それを公開しないということを省令で定めることによって秘密の保持が可能になってくる。あるいはまた指 定登録機関の職員、あるいはまた職員であった者には秘密保持義務があるわけですから、そうだとすると、企業も安心して登録申請書に秘密資料をも添付できるんじゃないだろうか。そこらあたりの判断ですね、どう考えますかな。
○政府委員(木下博生君) この半導体集積回路の回路配置を保護します目的は、ある人が創作した回路配置であるものを保護しようということでございますので、創作したかどうかということがわかるような資料がついておればよろしいわけでございます。 したがいまして、具体的には開発の過程を示す書面等を出していただくことになるわけでございますけれども、企業秘密にわたるようなものがその中に入っていないと、創作したという事実を証明できるということには必ずしもならないんではないかというふうに考えておりますので、できる限り企業秘密を出さないで済むような形の運用をしたいというふうに考えておりますし、また、もし企業秘密にわたるようなものが一部含まれているといたしましても、今先生がおっしゃいましたように、そういうものは外部の閲覧の対象にはしないというようなことで企業秘密を保護し、あるいは従事する職員、役員等の秘密保護義務がかかっておりますので、しかも中立的な人たちでございますので、そういう人たちが外に漏らすことはないというような形で十分運用していけるんではないかと考えております。
○福間知之君 今局長がおっしゃっているような考えで対応していくという姿勢はわからぬでもないんですけれども、そのように非常にこの点が、運用の中で各企業がどう判断をして登録申請をするのかということのバロメーターといいますか、重要なモメントになると思うんですね。登録申請が案外少ないなというふうなことにもなりかねない事由だと思うんですね。 もともと、回路配置を解析する技術が随分進んできまして、比較的容易に模倣はできるというふうな時代になりましたので、開発者の権利を保護しようということでこの法律が一応生まれようとしているわけですが、今まで、法律がなかった時代ですけれども、今まで模倣等によるトラブル、これは余りないんじゃないかと思うんです。アメリカなんかではある意味じゃもっと早くからあったかもしれませんけれども、何か事例を御存じですか。
○政府委員(木下博生君) 半導体が使われ始めました初期の段階におきましては、日米両国において、他人がつくったものを模倣するという事例はあったというふうに聞いております。最近におきましては、現実にそういうふうな模倣が行われたという事例は聞いておりません。 ただ、先生今御指摘ありましたように、リバースエンジニアリングというようなことで、市場に出されました集積回路を持ってきて、それを解析し、分析すれば比較的容易に模倣ができるような技術もまた進んできたということでございますので、今後、開発に非常にコストがかかるような複雑な集積回路というようなことになってまいりますと、みずからが考案していくよりも、他人のものを使った方がはるかに安上がりであるというようなことから、模倣をしたいというような気を起こさせる可能性というのは十分あるわけでございます。そういうようなことで、現実には今模倣の事例がそれほどあるとは思いませんが、今後十分その可能性が高いので、こういう法律の必要性が出てきたというふうに御理解いただきたいと思います。
○福間知之君 半導体の集積度がかなり高まりまして、その技術開発や設備の投資等に膨大な費用がかかるということから、まあ一般市場を通じた購入によって模倣するというふうなことは多分にこれからも考えられるわけでありまして、だからこそこの法案の必要性というのが考えられるわけでございます。 しかし、また反面、保護するということの、これはまあ行き過ぎと言うと語弊がありますけれども、それを余り厳しくやるということによる弊害というふうなものも、技術革新の厳しい今日の状況の中では発展阻害ということに通ずるという考えはいかがですか。
○政府委員(木下博生君) 半導体集積回路を開発するためには、非常に複雑なものでありますと数億円、それから二、三年の年月を要するというようなことでございまして、大変にコストがかかり、かつリスクの大きい事業でございます。したがいまして、私どもとしては、むしろ開発者の利益が適切に保護され、それで回路配置の取引上のルールが確立されることによりまして、むしろ開発者の開発意欲を刺激いたしまして、技術の発展に大きく貢献するというようなことになるんではないかと考えておりまして、保護をし過ぎる、行き過ぎることによってかえって技術革新が阻害されるというようなことは、この半導体の開発についてはないのではないだろうかというふうに考えております。 〔委員長退席、理事斎藤栄三郎君着席〕
○福間知之君 それは、ということだけで、実際はどうなるか、これはわかりません。それは多分に自由競争の社会の一つの妙味でもあるということも言えるかもしれないというふうに思うんですけれども、行き過ぎはいけませんけれども、適正なやはり保護措置というのはこれはもう大事なことですから、それ以上はとやかく申すこともないと思います。 ところで、この法案の中でその権利の内容に関しまして、この集積回路の事業として、業としての製造、譲渡、貸し渡し、展示、輸入などとなっておりまして、工業所有権の権利の内容の中にある使用について、この法案では権利化されていないようですが、それは一体どういう考えだからですか。
○政府委員(木下博生君) お答え申し上げます前に、先ほどの保護の行き過ぎの点についてちょっと補足させていただきますと、この法律の十二条の二項によりまして、「回路配置利用権の効力は、解析又は評価のために登録回路配置を用いて半導体集積回路を製造する行為には、及ばない。」と書いてございますが、これはいわゆるリバースエンジニアリングのことでございまして、他人がつくりました集積回路をリバースエンジニアリングでいろいろ分析して研究するということ自身をこれで認めておるわけでございます。認めることによりまして、そのリバースエンジニアリングの結果、同じものを模倣してつくってしまったらそれはだめでございますが、ただ、他人がつくった集積回路についていろいろ研究することにより技術水準が上がって、その技術水準をベースにしてほかの新たな集積回路を創作していくということに役立てることが可能でございますので、この法律は、そういう意味から、保護だけをやってその技術の進歩を阻害するということには必ずしもならないんではないかと我々は考えておるわけでございます。 それから、使用について、それを制限しなかった、権利化しなかった理由についてでございますけれども、確かに特許法というような工業所有権法におきましては使用についての権利化ができておるわけでございますけれども、集積回路の場合には、でき上がった製品が機械等に組み込まれ、その一部として使用されるということでございまして、非常に重要な要素ではございますけれども、機械などの全体に占める半導体のウエートというのはそれほど高いものではないというようなことでございます。そのようなものについて使用という行為を権利化いたしますと、そういう機械を使う人たちの立場が不安定な状態が続くというようなことになりまして、結果として取引の安定を阻害し、半導体の取引がうまく行われないというようなことになりますわけでございます。 他方で、権利者にとりましては、使用者たる最終ユーザーにまで権利を及ぼさなくても、ここに御提案申し上げました法律による保護だけで十分な保護が得られるというふうに考えておりますので、今回の私どもの法律からは、使用についての権利をつくらずに、そこは自由に任せるという形 にしたわけでございます。 〔理事斎藤栄三郎君退席、委員長着席〕
○福間知之君 使用に関しては主にそういうことだろうと私も理解をしているんです。いろんな製品が世の中にはありますけれども、その中に例えば同じ半導体でも、組み込まれて、使用価値の違う使われ方というのがありますからね。だからそれは別に、それでいいわけですよね。あるいはまた、新しい工作機械なら工作機械が開発された。その工作機械、構造物である工作機械のある部分にある特許の製品というか、技術が組み込まれているというふうなことと私は同じことだろう、こういうふうに思うんです。そういう意味では、使用をするということは、多様に使用すればいいんで、あえてそれを権利保護するということは、かえって阻害を強めるんじゃないかというふうな気もしますので、理解をしておきたいと思うんです。 次に、大臣にちょっとお伺いしますけれども、この集積回路は、もう御案内のとおり、国際的に幅広く取引される商品でございまするし、今後それがさらに奥行きも深まり、さらに幅も広がっていく、こういう観点で、国際的にこの回路配置の保護というものはしたがって必要度を増してきていると思うんですが、いわゆるWIPOにおきましてこれにかかわる検討というものがなされたと思うんですけれども、どういう状況になっているか。それから、今後WIPOでの検討なり結論なりというものと本法案との整合性ですね、そういうものにそごは出てこないだろうかという点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 御指摘の、ジュネーブにございますWIPO、世界知的所有権機関でございますが、このWIPOにおきましては、一昨年六月の委員会におきまして、半導体集積回路の保護の増大しつつある重要性につきまして議論がなされております。この問題についての検討を優先的な課題として行うように提言をされておる。これを受けまして、WIPO事務局は国際条約案の策定に向けて本格的な検討を開始することとしたと承知をしております。福間委員御指摘のとおりでありまして、ただしこのWIPOにおける議論に当たりましては、この法案も十分に参考とされると思われますので、異なる結論が出る可能性は少ないのではないか、このように思料をいたしております。
○福間知之君 局長にお伺いをしますけれども、先ほど来触れています模倣について紛争の起こった場合の実効ある救済措置ということに関してお伺いしたいと思うんです。 オリジナルなレイアウトであるかどうかを判断した上で、それ以上オリジナルなものであればすべて登録できるということになっておりまして、他人が創作したレイアウトの模倣であるかどうかの紛争が生じた場合、これは通常は裁判所で争われるということになるわけですね。その場合に、現在の民事紛争の裁判がかなり期間的にも長期にわたることだとか、あるいは半導体集積回路のレイアウトなどということに関しまして、裁判官にとっては大変厄介なこれは問題になるはずでありまして、普通の裁判手続では実効ある救済というものは難しいんじゃないかというように考えられるわけであります。その点どういうふうに考えるかということ、あるいは特許紛争に関しまして特許庁の審判が先に行われる、いわゆる前置主義がとられているために、特許権が侵害された場合には専門的な審理機関がそのときに関与をするというわけです。もちろんこの審決が最終的なものではありませんが、却下の決定がされた場合には上級審として東京高等裁判所に訴えを提起することができるようになっておるようです。 こういう上級審の裁判所への訴えの前置審たる特許庁の審判というものは、専門機関の裁断として数多くの紛争を事実上この段階で解決をするということに通じておりまして、かなり権威あるものとして社会的にも評価されていると思うんです。したがいまして迅速な紛争の解決あるいは実効性のある救済ということを確保するためにも、特許庁の審判機関というような専門の裁決機関をこの法律運用については紛争解決の措置として考慮していいのではないかとも考えるんですけれども、いかがですか。
○政府委員(木下博生君) おっしゃいますように、今回の法律では独立開発か否かの判断は最終的には訴訟の場で行われるということになるわけでございますので、訴訟の場で当事者同士が証拠を出して争うというような形になるわけでございます。 それで、現在のような民事裁判体制のときにそれで十分かというような御指摘でございますが、基本的には裁判の関係につきましては司法行政の問題でございますので、行政府当局としてお答えすることは難しいわけでございますけれども、裁判の場におきましても、専門家による鑑定あるいは調査官の活用というようなことで迅速かつ的確な裁判が実現されるものと我々は考えております。 それで、特許法につきまして審判制度があることとの関連についての御質問がございましたわけでございますけれども、特許法等におきます紛争におきましては、権利の対象となっております技術の範囲に属するかどうかというような点、あるいは新規性かどうかという点が非常に大きなポイントとなってくるわけでございまして、その判断には高度の技術、専門性を有するということから審判制度が設けられていると私どもは了解しておるわけでございます。 他方、本法案におきます紛争では、仮に全く同一の集積回路でありましても、それぞれが当事者同士が独立に開発されたものであれば、それぞれが独自に保護されるというようなことになっているというようなことでございますので、回路配置が創作したものであるかあるいは模倣したものであるかという点が争点となってくるというようなことでございまして、創作か否かの判断は最終的には訴訟の場では行われるわけでございますけれども、その判断は独立開発を立証するための資料があるかどうかという点によって左右されてくるということでございますので、そういう点に限って言えば裁判所において比較的容易かつ客観的に判断ができると、高度の技術、専門性を必要とするものではないというふうに我々は考えておる次第でございます。 したがって、法案提出の過程におきましても、法務省の方とも十分御相談いたしたわけでございますが、本法案における紛争は裁判所において迅速な解決及び実効性のある救済を確保することが可能であるというふうに判断して、このような制度にさせていただいたわけでございます。
○福間知之君 多分にこれは運用の面で円滑にいくかどうかに影響があると思いますけれども、私が今指摘した特許庁の前置裁断というふうな性格のものが何らかの形でこの法律の運用の中で考えられればそれにこしたことはないんです。裁判所に持ち込むよりは一種の示談解決的な場というものがあるのも一つの知恵ではないかな、こんなことを感じたので申し上げた次第でございます。 それから次に、先ほど来から御説明もあるんですけれども、集積回路の回路配置のベースになる論理回路やトランジスタ回路というものは保護の対象になっていないですね、これ。また、その集積回路であれば、マイクロプロセッサーだとかあるいはメモリー、ロジック等、種類のいかんを問わずこれは保護されるのかどうか、もう一度ひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(木下博生君) 集積回路をつくります過程では、その一つの過程として論理回路を考え、トランジスタ回路を考え、それをベースにしてレイアウト設計をし、マスクをつくっていくと、そのマスクを使って集積回路をつくるというようなことになってくるわけでございます。その論理回路、トランジスタ回路につきましては、それがもし新規性、進歩性があるというようなことでありますと、現在でも特許法や実用新案法の保護の対象となっておるわけでございますので、今後もそういう体制は続いていくわけでございま す。新規性、進歩性を満たさないものにつきましては、これらの法律では当然保護されないわけでございますけれども、半導体産業の健全な発展の観点からは、むしろこのような回路まで保護することは必要でないと、回路配置の円滑な創作活動を阻害するということになるので、私どもとしてはその保護の必要性を認めていないわけでございます。 それから、集積回路にもいろいろな種類がございまして「今先生御指摘のように、マイクロプロセッサー、メモリー、ロジック等が、種類を問わず保護されるのかという御質問でございますけれども、本法案の半導体集積回路に合致するものでございますれば、その種類のいかんを問わず、本法案によりその回路が保護されるわけでございまして、この法律の定義におきましても、「「回路配置」とは、半導体集積回路における回路素子及びこれらを接続する導線の配置をいう。」ということになっておりますので、この定義に該当すれば保護されるわけでございます。
○福間知之君 いわゆる混成集積回路のレイアウトは対象にならないのですか。
○政府委員(木下博生君) 先生の御指摘の点はいわゆる英語でハイブリッドICというものだと思いますが、そのようなものは集積回路自身を合わせて組み込んだというようなものでございまして、そういうハイブリッド自身の回路については今回の集積回路とは考えておりませんので、保護の対象とはしておりません。
○福間知之君 何かわかったようでもうひとつわかりにくいんですけれども、そういうことなんでしょうかね。 それから、前段での新規性、進歩性があれば特許法や実用新案法で保護されるということで、そうでない場合この法律で対応するということですけれども、それは発展を阻害しないためにむしろそういう取り扱いでいく、こういうことのようでございます。それでそういう効果が上がれば結構なんですけれども、そこらは運用をしてみなきゃちょっとわからない、こういうように思います。 それから次に、権利発生の時期についてお伺いします。 レイアウトが半導体集積回路に固定されたときだとか、あるいは半導体回路が最初に譲渡されたときなどが権利発生の時期として考えられるわけですけれども、この法律では登録のときとしたのはどういう理由からでしょうか。 また、アメリカのチップ保護法では権利の発生時期を商業的利用または登録のいずれか早い時期としているようですけれども、ここの点で、アメリカの強い要請に基づいてこの法案を立法するという経過を持っているわけですけれども、今言った権利発生の時期については、アメリカのそれとは違う点はなぜですか。
○政府委員(木下博生君) 先生御指摘のように、アメリカの半導体チップ保護法では、商業的利用あるいは登録いずれか早い時期からという形になっております。 私どもがこの法律を立案します過程で種々政府部内で検討いたしましたときに、その発生時期をどうするかという点が一つのポイントであったわけでございます。それでいろいろと法制局等と検討いたしました結果、現在のような結論になったわけでございますが、その理由を御説明いたしますと、回路配置利用権は物権的な権利でございます。その物権的な権利といたしまして、権利の主張はだれに対してもなし得るという性格があるわけでございます。このように第三者に権利主張をなすための前提といたしまして、権利の存在自体が外部から明らかでなければならないというようなことになるわけでございます。 同じようなもので著作権というのがございますが、例えば著作物というようなものは人が物を書いてそれで表に出るということで、割合はっきりと外部にそれが認識され得るわけでございますが、この回路配置利用権の対象は半導体集積回路の回路配置という非常に抽象的なものでございまして、その存在を外部から直接認識するということは非常に難しいということはございます。また、普通の民法上で言う物権というときに言われる物権のように、専有するということもなかなかあり得ないわけでございます。しかも、創作者等の利益と第三者との利益をバランスするという点を考えまして、権利の存続期間を決め、しかもその存続期間を十年というふうに割合短い期間に限っておるわけでございます。 そのような点を考えますと、何が権利の対象となっており、またいつ権利が発生し、いつ終了するかということを明らかにしておくということが、その権利について紛争を予防する観点からも、訴訟上の証拠方法としても必要なものであるというふうに考えまして、この法律におきましては業として譲渡したとき等に権利が発生することとはせずに、権利の対象及び権利の発生を法的期間の登録という形で表にはっきり公示するということで、はっきりさせた次第でございます。私どもとしてはむしろこのような考え方の方がこのようなものについての保護の法律としては適当なことであるというふうに考えております。
○福間知之君 私もレイアウトが半導体集積回路に固定されたときとか、あるいは半導体集積回路が最初に譲渡されたときとか、いささかあいまいでつかみどころが難しいというふうな概念は、これは賛成できません。 ただ、アメリカの商業的利用または登録のいずれか早い時期というこの考え方なんですね、これは一体どういうことなのか、ちょっとわかりにくい。商業的利用というのは、仮に登録よりも先行して行われた場合ということが含まれているのかどうか、これはどういう判断でこういう文言になっておるんですかね。
○政府委員(木下博生君) アメリカがこのような立法にした理由はよく私どもわかりませんが、その公表された資料だけでしか判断することはできないわけでございますが、アメリカの場合には商業的利用の方が、当然のことながら登録よりも時点的に早くなるということはあるわけでございます。 といいますのは、アメリカの場合に、登録ということの意味が日本とは大分違っておりまして、登録をすることによって初めて訴訟を起こすことができるわけでございます。したがいまして、アメリカ的に考えていきますと、商業的利用をむしろやっておいて、それでもしそれを侵害されたというようなことが起こったときには登録をして、登録を知った上で訴訟を提起して相手に損害賠償の請求や差しとめの請求を行っていくというような手段をとっていくんではないかと考えられるわけでございます。それは企業の経営のやり方でございますので、早目に登録しておいて、すべてそういう形を整えておくということも十分あり得るわけでございますが、そういう形でやっていくだろう。 日本の場合には、商業的利用をしてから二年以内に登録をすれば権利として発生することになっておりますので、その二年の間は、やはりアメリカと同じように企業として早目に登録するか、後で登録するかを判断する余地があるということで、その部分はやや似ておるわけでございます。
○福間知之君 私は日本も恐らく似たような姿で推移するんじゃないかと思うんです。商業的利用というのは、どこまでが商業的利用かは別にしまして、登録する企業の場合、開発されたものをやはり実用に移行さしていくということと登録とは恐らく並行していくんじゃないかと思うわけです。 だから、扱いとして、登録時点というのが権利発生の時期というのは常識的だし、私特に異存はないんですけれども、ちょっとアメリカの場合にそういう文言が入っているわけですから、お聞きしたわけです。 ところで、そのアメリカの場合に、権利侵害に対する民事救済としては差しとめと損害補償は定められておりますが、刑事的な制裁は定められておりません。ところが、我が国のこの法案では刑事罰の規定があるようですが、それはどういう考 え方の違いからでしょう。
○政府委員(木下博生君) アメリカの法律の場合には、これはこのチップ保護法だけに限りませんが、民事上の争いが起こって損害賠償を提起する場合に、実際に損害を受けた額以上の、いわゆる三倍賠償というようなことで、三倍の額を要求することができる場合があるわけでございます。例えば独禁法に関連する訴訟を起こした場合には、損害額の三倍を要求することができるというようなことがあります。 したがいまして、アメリカ法におきましては、そういうような経済上の制裁を通じて適切にその模倣を防止するという、コントロールができるというような考え方があるわけでございますので、刑事罰を置かなくともそのような目的がほぼ達成されるということ、しかも米国法においては半導体集積回路の模倣は主として経済的利益のために意図される行為だというふうに観念されておりますので、刑事罰なしで法律が構成されているということだと思います。 しかし、我が国におきましては、民法上の損害賠償及び差しとめにつきましては、今申し上げましたように、アメリカ的な、制裁的な意味がないわけでございまして、現実の損害額というものを請求するということだけになっておりますので、そういうことがありませんので、何らかの制裁を必要とする場合には刑事罰の規定を置くことが通例であり、本法案もこれに従ったわけでございます。我が国の場合には、特許法、著作権法等無体財産権法につきましてはいずれも刑事罰が入っておりますので、人のものを模倣するということ自身は単に経済的な利益だけのことじゃなくて、やはり社会的にもそれを制裁する価値のある行為であるという考え方が一般的に無体財産権法についてあるわけでございますので、そういう考え方を踏襲して、本法案についても刑事罰を入れたわけでございます。
○福間知之君 社会的道徳性に基づいて刑事罰ということのようですが、ほかにもそういうことはあるわけだから、これだけが特異だとは申しませんが、だからなるべくそういうことが発生しないようにすることが大事だ、こういうふうに思うわけですね。 時間も参りましたので、最後に大臣にちょっとお伺いしておきたいと思います。 先ほど来いろいろ触れていますように、半導体あるいは回路配置というこの高度な技術の開発というものは、国際的な広がりをもって今進んでおりまするから、やはりこの法案の作成なり運用についてはそういう国際的な視野で考えにゃいかぬ、我が国だけでひとりよがりするわけにもいかないという意味で、言うところの国際的相互主義というふうな観点でこの規定やあるいは目的というものを定めていかなきゃならぬ、こういうふうに思うんですけれども、アメリカでは大統領の布告によりまして回路配置の創作権については保護されるわけでありまして、果たしてそういうことが実際にはあり得るのかどうか、日本はその点どういうふうに考えていけばいいのか。 さらにまた、第三国で我が国で創作された回路配置が模倣された場合、そしてまたそれが輸入されるという場合、この法案によって差しとめ請求や損害賠償請求が行えるのかどうか、半導体の集積回路が日本に輸入されないでまた第三国で取引されて使われているというような場合、この法案の保護権は及ぶのかどうか、そこあたりを当局並びに大臣としてどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 御指摘のように、現在半導体に関する先進国と申しますか、日本とアメリカでありまして、まだ他の国にはそれがそれほど普及をしていない。そして、米国法では相互主義を採用しております。相互主義を採用した場合には、米国以外に回路配置を法的に保護している国がない現状では、他のすべての国に属する外国人の創作した回路配置は本法案によって保護されない、こういうことになります。これでは余りに保護の範囲が狭過ぎますので、民法第二条の原則に従って、内外無差別で権利享有を認めることとした、これがこの法案の趣旨でございますが、第三国で模倣され、第三国で取引をされる場合には、この法案を適用することができません。したがって、こうした行為の防止のためには国際条約によるしかないわけでございます。これは先ほど委員からWIPOの現在の検討の段階について御質問があったとおりでございますが、この点は仮に本法案が相互主義を採用した場合も同様であります。 今後WIPO、世界知的所有権機関において日米両国の回路配置保護法を参考としながら、国際条約及びモデル法案の検討に入る予定と聞いておりまして、我が国としてもこれに積極的に協力をする所存でございまして、何分にもまだこの知的所有権、こういったICの法律化というものが世界的にはアメリカと日本だけなものですから、現在の段階ではそういった条約をまって世界的に適用される、そういう考え方が適当ではないかと、このように考えております。
○福間知之君 ただいまの大臣の御答弁でそのとおりだと思うんですけれども、これはぜひWIPOで早急に対応する――かなり時間もかかるんです。アメリカと日本で生産の九〇%を占めているというものの、ヨーロッパ諸国だってこれはこのままでは推移しない、必ずこれはさらに積極的に開発をかけてくる。その場合の世界的な生産基地なり、あるいはまた販売なりというようなものの対象には、その他の開発途上国をも含めて対象になるわけですね。特に生産などとなりますと、そういうコストの安い地域での生産というものも多分に考えられますので、それほこららに逆輸入されてくるというふうなこと、多分に将来は私は考えられるだろうと思うんです。ぜひひとつそういう意味でこの法案の実質的な意義が損なわれないように、国際的な視野から対応をお願いをして、私の質問を終わります。
○委員長(降矢敬義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。 午前十一時五十七分休憩 ─────・───── 午後一時三十二分開会
○委員長(降矢敬義君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 半導体集積回路の回路配置に関する法律案を議題といたします。 休憩前に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○伏見康治君 半導体集積回路の本法案に入ります前に、いささか唐突でございますけれども、石炭炭鉱問題について少し大臣の御意見を伺っておきたいと思うんでございますが、私が国会議員になりましてからもう三度目になるわけですね。非常にびっくりしているわけでございます。 個々のケースについていろいろ調べるということも大事だと思うんでございますけれども、しかしこれだけ続いて大災害が起こりますと、もっと大きな線で物事を眺める必要があるのではないかということをつくづく考えさせられるわけでございまして、実は同僚の皆様から一緒に夕張まで調査に行かないかというお誘いを受けたんですが、私は謹んでそれを御辞退を申し上げたんですが、御辞退を申し上げた理由は、細かいことを見過ぎるとかえって大きな視野が失われてしまうということがあるのではないかと思って、この際はむしろ一歩退いて、日本の石炭政策全体を眺め直すということが非常に大事ではないかと思うんでございますが、その基本的な姿勢について、大臣どうお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 現在の石炭産業に対応する政府の姿勢は、いわゆる二千万トン生産体制というものでございまして、第七次答申に沿った線でございます。事実日本の石炭産業は非常な苦しい状態でございまして、これは採掘条件が諸外国に比べて余りにも悪い、五百メーター、千メーターの深いところから 石炭をとるわけでありますから、露天掘りを行っておる外国などに比べれば、これはそういった炭鉱の賦存量、それから労働の非常に苦しい状態等を比較してみましても相当の格差が出るのは当然のことなのでございます。そしてまた、石炭産業自体が非常に苦しい状況でございますので、終戦後から見てみますと、縮小また縮小でやってまいりました。 ただ、基本的には非常にエネルギーの乏しい日本にあって、そしてまた石油に対する依存度の極めて高い日本にあって、国内炭の位置というのはなお極めて重要であるという産業の視点、それからまた今まで続いてまいりました各地域においては、石炭産業が非常に重要な役割を占めていて、地域住民の方々の生活や、また雇用の問題にも密接に結びついておる。こういった諸般の状況を勘案をいたしまして、例えば南大夕張の炭鉱事故に遭いまして私は現場へ参りました。そしてその場で記者会見をさせていただいたのでございますが、閉山というような事態が考えられるかという御質問に対して、私は、もちろん事業の再開というものは完全に保安を確認しなきゃできるものではないし、まだ災害が発生をしたばかりであるので、この段階で何とも申し上げかねるけれども、ひとつ閉山というような事態にならないようにできるだけ前向きに対応をしたい。そして日本の現在の生産体制そのものがここで根本的に変わるというものではないということを申し上げたわけでございます。 今後は、第八次の諮問を出す時期が間もなくこようとしておりますし、それに対する答申が得られますれば、第八次の段階でまたその答申をいただきまして、考えることがあるわけでございますが、現在の状況においては、国内における石炭産業の重要性、そして地域に与える大きな影響、そういったものをいろいろ勘案をいたしまして対処を考えていく場合には、二千万トン体制自体今すぐ崩すことは政策的にどうであろうか、このような考え方で対処しておるところでございます。
○伏見康治君 現職の大臣とされましては、今までやってこられた基本的な方向、路線をそう急に転換するということはもちろん非常にやりにくいことであると思うんでございますが、私は現在のいろいろな状況を客観的と申しますか、ある意味で非人情的に眺めてみて、そしてどういうふうに対処するのが一番であるかということを根本的に考え直すとにかく一つの時期にきているというふうに考えるわけでございます。従来のいろいろな行きがかりあるいは何か大きな変化が起こった場合の社会の大きな変動といったようなものは、我我もちろん十分考えなくちゃいけなくて、それぞれ手当をしなければならない問題だと思うんですけれども、それはしかし同時に、あらゆる変化を避けて通るということではないと私は思うんでございますね。 随分いろいろ災害が起こるたびに、通産当局となすっては、その災害が再び起こらないためのいろいろな技術的な工夫を凝らしてこられたと思うんでございますが、私の友人の石谷君という阪大の名誉教授が、おもしろいカーブを私に示してくれたんですけれども、横軸に災害の大きさ、例えば亡くなった方の人数をとりまして、縦軸にその人数よりも大きな事故が起こった確率、今までのすべての災害を通じての確率ですね、それをとりますというと、両方を対数にしてとりますというと、それが見事な直線の上に乗るわけです。非常に見事な直線に乗るわけです。(資料を示す) この直線に乗るということは、例えば最近の三つの大きな事件というのは、過去においては小さな炭鉱事故が割合に頻発していた。近ごろはそれが少なくなっている。少なくなると同時に非常に大きな事故がふえてきたという感じなんですが、一般的には何か炭鉱に対する皆さんの御努力が功を奏して、少なくとも小さな事故は起こらなくなるといったような意味での変化が起こっているというふうにも考えられるんですが、この石谷君が書いてくれた曲線を眺めますというと、従来と同じ線の上に乗っているということで、つまり本質的には、炭鉱事故の起こる頻度というものを決定している要因というものは、過去におけるものとほとんど変わっていないということを意味するわけです。つまり、安全対策に対して皆様の必死の御努力にもかかわらず、根本的な変化は何ら行われなかったということじゃないかと思うんですね。そういう意味で私は何か根本的な考え直しをひとつ当局としてなさるべき時期にきているのではないかと思うわけです。 私は、学術会議の会長をしておりました節に、政府に対して試験炭鉱というものをつくれという要求をさせていただいたわけです。皆さんの御要望に応じてそういう要望をさせていただいたんですが、この際、今石炭を掘るために、つまり生産上の炭鉱というのがあるわけですが、その生産ということではなくて試験炭鉱という形に切りかえる。つまりどうしても生産ということになりますとそれに追われてしまって、生産量を上げるために追われて安全性を犠牲にするということがしばしば起こるわけでございますが、そういうことのないような、例えばじっくり腰を据えて安全性を研究するための炭鉱をつくる。もちろん今大臣が言われましたように、日本の炭鉱の条件は非常に悪くなって、いわば日本ではもはや石炭は掘り尽くしたと言ってもいい状況になっているわけですが、日本の遠い将来を考えますと、日本の炭鉱技術というものを世界の至るところにある炭鉱に対して適用していくという可能性は十分残されているわけです。 現にそのほかの鉱山技術といったようなものは、ちょっと忘れましたが、この間つぶした貿易研修センターのところに付設されております、名前はちょっと思い出しませんが、何か鉱山の技術をやはり国際的に教育する場所がございますね。ああいうところで、実際日本の技術というものが世界の鉱山のために役立っているという例が既にあると思うのでございますが、日本の石炭技術もここで大いに磨いておいて、世界じゅうの炭鉱にその技術を適用するということになれば、今試験炭鉱をつくるということが決してむだなことにならないと私は思うわけですね。それだけが一つの考え方で、何もそれだけだとは思いませんけれども、そういうような意味のひとつ根本的な物の考え方の転向を少なくとも考えていただきたいということをいたしたいと思います。 あわせてもう一つ小さなお願いをしたいんですが、ガス突出に関する国際会議が今計画されている由なんでございますが、それを引き受けてこられた先生が北大の名誉教授の磯部さんですが、どこへ行っても相手にされなくてうろうろされておるんですが、まさに今のような時期にこそ、日本でそういうガス突出の研究のための国際会議を開くというようなことに対して政府がもう少し前向きの姿勢を示されるべきだと私は思うんですが、その点大臣どうお考えになりますか。
○国務大臣(村田敬次郎君) 伏見委員の御見識は、確かに一つの重要な見方であろうかと思います。 私の方でもこうした重大災害がたびたび起こることについて非常に深刻なショックを受けているわけでございますが、ただ保安関係でも関係者の多くの努力によって稼働延べ百万人当たりの災害率という、よく使われます罹災者の計を調べてみますと、昭和二十五年が千三百九十七人でございます。昭和四十五年にはこれが八百十七人になり、五十九年には九十三人になっておるということで、三十数年前に比較すれば十何分の一、それから十四、五年前に比較をすれば約七分の一か八分の一に災害率自体は減っておる。これは関係者の非常に多くの努力のたまものでございますが、要は災害を限りなくゼロに近づかせるという意味で最大限の努力を今後払っていかなければならないと思います。 それにいたしましても、先ほど私が申し上げましたように、労働のいろいろな条件、ここで働いていらっしゃる方の苦しさということも本当によくわかりますし、それからまたそうして一生懸命関係者が努力をいたしましても、先生が御指摘に なられたように、地下五百メーター、千メーター、千数百メーターというところから採掘をするという日本の炭鉱の現状は、露天掘りで優良な石炭がとれるというようなオーストラリア、カナダといったような外国に比較しますれば比較にならないのでございまして、大変な努力にもかかわらず価格は年々格差が開いておるといったような現状もよくわかるわけでございます。したがいまして、日本の優秀な技術を外国で使うのもいいのではないかというお考えは確かに御見識だと思いますし、そういった先生の御指摘もよく承りまして、今後慎重に考えていかなければならないことを感じております。 それから、後段の北海道大学の先生でございますか、その問題はひとつ検討さしていただきます。
○伏見康治君 また具体的に……。 それでは本論に返りまして、半導体集積回路の保護に関する法案について御質問申し上げたいと思います。 前にも村田大臣には私のフィロソフィーを申し上げたんですが、私は法三章主義でございまして、余計な法律はつくらない方がいいという建前でございますので、なぜ今度の法律をつくらなきゃならないのかという観点からいろいろ御質問申し上げたいと思います。あらかじめそういうつもりで聞いていただきたいと思うのですが。 この半導体集積回路なるものが保護の対象になるということのためには、そういう作業が重要な意味を持っているということをまず理解しないといけないと思うのでございますが、この作業が産業全体の中でどういう位置づけを占めているかというようなことについて一応説明していただきたいと思います。
○政府委員(木下博生君) 半導体集積回路といいますものは、非常に歴史の短いものでございまして、急速に発展してきた産業でございます。今から十年前、一九七五年ごろは日本での生産は約千百億円ということだったわけでございますが、昨年はそれが一兆九千億、ほとんど二兆円になるまでに至ったわけでございまして、十年間で二十倍近い生産額になっております。それと同時に、技術が非常に進歩いたしまして、十年前の集積回路の集積度とそれから現在の集積度とは比べ物にならないほど集積度が上がっているということで、逆に言いますとコストが非常に下がっておるわけでございまして、コストの下がりようもいろいろ比較しようがむずかしゅうございますが、百分の一とか二百分の一とか、十五年前で比較すればもう何千分の一というぐらいにコストが下がってきておりまして、そういうことで非常に広い範囲で、およそ機械器具といわれるようなものには非常に広い範囲で使われるような形になってきております。 民生用のテレビやビデオ、電気洗濯機というのから始まりまして、コンピューター、それから通信機器、それから最近は自動車、そういうものに至るまで使われておるわけで、産業の米とも言われているような重要なものになってきておるわけでございます。アメリカにおいては産業のクルードオイルということで、やはり基本的な資材というような感じで言われているようになっておるわけでございまして、最近のエレクトロニクス技術をリードする役割を担ってきているというふうに御認識いただければと思うわけでございます。 そのような産業でございますから、当然のことながら非常に成長率は高うございまして、七八年度以降の平均成長率で見ますと、年平均三八%ということになっておりますし、今後とも年率二〇%ぐらいの成長を見ることができるんではないかということが言えますし、それからまた技術の進歩によりまして、小さな半導体でいろいろなことができるようになってくるというようなふうに我我は考えております。
○伏見康治君 どうもありがとうございました。 そういう背景で、何かそれが保護さるべきであるという観点が出てくるんだと思うのですが、しかし何か半導体チップについていざこざが起こった、過去においてそういうことがあったので何か法律をつくらなければならなくなったといったような、何か具体的な動機といったようなものがあるのではなかろうかと思うのですが、それについて説明していただきたいということ。 それからまた半導体チップの保護というものがアメリカで何か既に法制化されているというお話ですが、それとの国際的なおつき合い上何かしないとぐあいが悪いというのも一つの理由だと思うのですが、それもひとつまた説明していただきたい。今までは少なくともなしで済んできた今この時点でつくるようになった動機というのは何であるかというのを説明していただきたい。
○政府委員(木下博生君) 半導体集積回路がこれだけ産業にとって重要な存在になってきたということが、基本的には過去になかったこういう保護の法律の必要性が出てきた背景になってくると私どもは考えております。 それと同時に、半導体集積回路自身、つくりますというのか、開発いたしますのに大変に時間と資金を要するのに対して、模倣が非常に比較的容易になってきた、しかも模倣すること自身もやはりこういうコンピューターや何かを使いました技術の向上によって、その技術を使って非常に安く、速く模倣することができるようになってきたというようなことが言えるわけでございます。 過去におきまして、半導体集積回路がまだ初期の段階のころ、よく模倣が行われておったそうでございますが、最近は各企業の自主的な姿勢によって、この時点において模倣がどんどん行われているということはございませんが、今後集積回路がますます複雑になってまいりますと、開発コストと時間、それからそれに要する人材というようなものを考えたときに、それを模倣されることによってそういう開発意欲が失われてしまうというおそれがあるわけでございまして、そういう意味で、やはり努力した者が報われるような形の施策をどうしても必要とするということで、半導体集積回路についてもそれの保護の法律が必要になってきたわけでございます。これはコンピューターのプログラムについても同じようなことが言えようかと思います。
○伏見康治君 アメリカの話を。
○政府委員(木下博生君) 失礼申し上げました。 アメリカにつきましても同じような事情があるわけでございまして、日本とアメリカとの間で半導体につきまして日米先端技術産業作業部会でいろいろ議論しておりますときに、お互いに同じような事情が出てきたから、そのための何らかの形での権利を保護する立法措置が必要ではないかというような議論が行われたわけでございます。 それで、アメリカは昨年の秋に法律ができております。アメリカにおきましてもやはり模倣が行われ、あるいは模倣が行われる可能性が非常に強いということで、そういう立法措置の必要性が関係者から非常に強く求められておりまして、現に日本の企業を関係させた訴訟事件として幾つかの訴訟事件が起こってきております。これは直接この半導体の集積回路の模倣自身ではございませんが、そういう問題が今後非常に起こりやすい状況ができてきているということをアメリカも考えてそういう立法措置をしたんだと思います。
○伏見康治君 日本の事情を承りたいと思うんですが、法務省の方に、こういう半導体チップに関する何か犯罪的ないざこざが起こったことがあるのかと伺いましたところ、ほとんど知らないというようなお話でございましたんですが、現に何か半導体チップについてどこかの会社のやつをほかの会社が盗んだといったようなケースがあったんでしょうか、どうなんでしょうか。
○政府委員(木下博生君) 私どもが承知します最近時点におきます限りにおいては、具体的にそういう事件があったというふうには聞いておりません。
○伏見康治君 そういう意味では私は、元来半導体チップをおつくりになる会社というものは、半導体チップをつくるためには相当の資金を投入しなければならないわけでして、相当規模の会社で なければつくれないわけですね。したがって、それをつくっている会社というものはごく限られたものであろうと思うんですが、まずその数を伺いましょう。どのくらいの会社が半導体チップを生産しているか。
○政府委員(木下博生君) 日本において半導体をつくっております大手の企業の数は、十社程度でございます。
○伏見康治君 十社ぐらいでやって、みんなお互いに知り合った会社だと思うんですね。その間でもって、もちろん競争は激烈でございましょうけれども、それだけ知り合った仲でもって、相手の知恵をそのまま盗んだというようなことになれば、その社会というか、そういうコミュニティーの中ではつまはじきされるだけでございますので、私はいわばそういう同業者組合の自己規制といったようなものが働いているはずだと思うんですね。そういうものに頼ってやっていけばいいのであって、政府が法律といったようなものをつくって保護しなければならないという余り理由がないようは思うんですが、その辺はどういうふうにお考えになるでしょうか。
○政府委員(木下博生君) 現実にそういう事態を私どもは承知しておりませんが、ただ、リバースエンジニアリングというようなことで、販売されております半導体を入手して、それを解析することによりまして同じようなものをつくる技術というのが非常に容易に高まってきておりまして、したがって模倣の可能性が非常に強くなってきておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、現実にそういう模倣だということでの問題になっているわけじゃございませんが、いろいろなほかの法律関係も含めまして訴訟の対象となっているわけでございますけれども、アメリカの企業と日本の企業との間で半導体の開発に関連しまして訴訟が起こっているケースも実際上あると、これは日本国内ではございませんが、そういうようなことで、将来そういう事態が起こってくる可能性は十分あるだろうというようなことでございます。 現実には他社がつくった物、権利というか、開発した実績を尊重していく場合にはライセンスを与えるというようなことでやっていくわけでございますけれども、その分野としての産業の将来性が高まり、それに参入する企業の数がふえてくるというようなことになりますと、そのような自主的な契約関係ということだけでは対応することが十分ではなくなってくるんではないかというような感じがありまして、私どもとしてはそういう自主的な企業のモラルに期待するということだけでは必ずしも十分ではないのではないかというふうに考えております。
○伏見康治君 必ずしも納得のできる御説明ではなかったと思うんですが、殊にリバースエンジニアリングというような新しい言葉を使いますと、何か事柄自身が新しいように思えるんですけれども、日本の多くの企業の初期の時代には、例えばモートルを外国から買ってきて、それを完全に解体いたしまして、銅線がどのくらいの太さで何巻き巻いてあるといったようなものをそっくりコピーしてつくったといったような過去の事実もございまして、リバースエンジニアというのは明治時代から既にあったと思うんですが、まねをする技術というものはいつでもあると思うんです。 ですが、要するにお互いに顔の知り合った同士が、そういう相手の目の前でもってまねをしてみせるといったようなことは私はめったに起こらないと思うんですね。非常にたくさんの、何百とか何千とかいう会社が競争しているという場合にはそういうことになりがちだと思うんですが、わずか十社ぐらいの間でそういうことが起こるというふうにはとても私には考えられないんです。そういう意味で、今の御説明では私はとにかく余り納得できないということだけを申し上げておきたいと思います。 それで、またアメリカのお話を承りたいのですが、昨年度アメリカで半導体チップ保護法ができたというお話でございますが、このアメリカの法案とこれから我々がつくろうとしている法案とどこが違うという、その相違点を教えていただきたいと思います。
○政府委員(木下博生君) アメリカで成立いたしました半導体チップ保護法と、今度の私どもが御提案申し上げているこの法案との間の主要な違っている点は三つあるわけでございます。 一つは外国人の扱いの問題でございまして、アメリカの法律では相互主義というような形をとっておりまして、アメリカの法律と同じような法律で保護をしている国の半導体集積回路については、アメリカの市場においてその権利を保護するというような考え方をとっておりますので、もしアメリカ以外にそういう保護をする法律を持っていない国があり、しかもまだ条約ができていないというような事態でありますと、他の国はアメリカの市場において半導体集積回路の保護を受け得ないというような形になっておりますが、我が国の今度御提案申し上げました法律の場合には、その点は外国人であっても同じように民法の原則に従って保護する建前をとっているという点が第一点でございます。 第二点は権利の発生の時点でございまして、アメリカの法律の場合には商業的利用あるいは登録のいずれか早い時点から権利が発生して、権利は十年間ということになっております。ところが今度御提案申し上げました法律は、日本の法律の考え方に従いまして、権利の発生時期を登録を行った時点から十年という形にしている点が違いでございます。 三番目は、アメリカの法律には刑事罰の規定がございませんが、日本の法律、今回の法律案には刑事罰の規定が入っております。 以上三点が違っているところでございまして、あと権利の保護の期間十年とかいうような点については、ほぼアメリカの法律と似ておるわけでございます。
○伏見康治君 いろいろ違う点を御指摘伺いましたが、その中で特に大きな相違だと私が感ずるところは、アメリカの方では刑事罰という制度がなくて、日本の方にだけそういうものがある。つまりアメリカの方は何かフィロソフィーは全部民事的なもので処理しようという哲学があるように思えるんですが、日本でわざわざ刑事罰的なものをつけ加えられた理由はどこにあるんでしょうか。
○政府委員(木下博生君) この点につきまして、法律案を出すに当たりまして産業構造審議会の小委員会でいろいろ御検討いただいたときにも、刑事罰どうするかという議論があったわけでございますが、法律関係の学者の先生方からは、最近の全体の風潮として、人のものをまねをするというようなのは、むしろそういうモラルに反するということで罰の対象にするというのが法律的な物の考え方になってきたんじゃなかろうかというような御意見を出されたりなんかしておったわけでございます。最終的には法務省と御相談して決めたわけでございますけれども、私どもの考え方としては、無体財産権につきまして日本の場合には特許法にしても著作権法にいたしましても、まねをした者に対しては刑事罰を科しておるという、それによって制裁を加え、そういうまねを防止するという効果をねらっているという点がありますので、それと同じ考え方をとらしていただいたわけでございます。 アメリカの場合はは、先生おっしゃいましたように、経済的な側面だけで対処する形になっておりますが、ただ経済的な制裁のやり方が、日本の場合にはまねをされた方が仮に損害を受けた額だけの損害賠償の請求ができるのに対しまして、アメリカの場合には、損害賠償請求が三倍の請求ができるというような形で、そういう経済的な措置自身に制裁的な意味が加わっているというようなこともございまして、アメリカでは対処しているんだと我々は了解しております。
○伏見康治君 アメリカの法律との差異を教えていただきましたが、近ごろはアメリカと日本とはしょっちゅう貿易摩擦なるものをやっておりまして、いろんなことをアメリカ側とよく調子を合わ せておかないと、後でいろいろたたりがあるというふうに伺っておりますが、この法律の差異というものが別に新しい貿易摩擦の原因になるというようなことはないんでしょうか。
○政府委員(木下博生君) 半導体を世界で生産しております国としては、アメリカと日本が一番大きなシェアを占めておりまして、両国で約九割のシェアを占めておるわけでございます。したがいまして、そういう生産国である日本とアメリカでそういう権利の保護をする必要があるだろう、将来は条約等を結んで世界全体で同じようなやり方で保護をしていったらどうだろうかというような考え方において意見が一致したわけでございまして、それによってアメリカも立法措置をやりましたし、我が国もここで法律案を出して御審議をいただいておるわけでございます。 したがいまして、目的自身は半導体集積回路の開発を促進し、それによって国民経済の健全な発展に寄与するということが目的ではございますが、結果といたしましてアメリカの半導体産業が同じような立法を日本側に望んでいる。それが先ほど申し上げましたように相互主義的な規定をアメリカの法律の中で織り込んでいるということは、逆に言えば日本側にそういう法律をやってほしいということを期待しておるわけでございますので、そういう意味で、日米間の半導体に関する将来起こるとすれば起こり得るかもしれない摩擦回避の一助となるということも考えられるわけでございます。
○伏見康治君 それではまた問題を変えまして、私は最初に申し上げましたように、法律はできるだけ数が少ない方がいいと思っておりますので、どうして今までの特許関係の法律あるいは著作権関係の法律といったようなものの中に今度の件を包摂することができないのかということを伺いたいと思います。 まず、半導体チップというのは物体ではございますけれども、その物体をつくる上でのいろいろな技術があってその物体がつくられるわけです。その技術はいわゆるマスクでもって、光でもって印刷するというか、要するに回路を焼きつけていくという、そういういろいろな技術といったようなものが背景にあって、そういう方面から何か特許的なもので取り扱うことができないだろうかというのがまず第一の質問でございます。
○政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。 製造方法につきまして、それが一定の特許法に定めます特許要件に該当する限りにおきまして、特許の対象として保護されるわけでございます。
○伏見康治君 製造法に関しては、おっしゃるとおりにまさに特許法の対象だと思うんですが、チップというのはそういう製造法によってつくられたものですから、何か特許法の適用範囲を少し変えるだけでもって含ませることができるのではなかろうかという意味で質問をしているわけなんですが、いかがでしょう。
○政府委員(志賀学君) 実は機械情報産業局の方におきまして、この半導体チップの保護につきましていかなる法制で保護をすべきかという点について、産業構造審議会情報産業部会に諮られまして検討したわけであります。その過程におきまして私どもの方にもいろいろ御相談がございました。 端的に申し上げますと、特許にしろ実用新案にしろ、それで保護をいたしますのは技術的思想の創作、さらに詰めて申しますと技術的思想、それが保護の対象でございます。そういった技術的思想の創作が、新規性あるいは進歩性、そういった一定の要件を満たす場合には保護をする、こういう考え方になっているわけでございます。 そこで半導体集積回路について申しますと、そのシステム概念あるいは論理回路、素子の構造、そういったものにつきまして、特許要件を満たすものである限りこれは特許法によって保護されます。あるいは実用新案法によって保護されるわけであります。例えば現に東北大学の西沢先生の静電誘導トランジスタ、これは特許によって保護されているわけでございます。 ただ問題は、御審議いただいております回路配置そのものがどうか、ここが問題であるわけでございます。回路配置というのは、簡単に言うとレイアウトでございますけれども、レイアウトというのは一定のスペースにいかに効率的に回路機能を詰め込むか、こういう技術の成果物であるというふうに考えられるわけでありますけれども、そういう意味におきまして発明に全く該当しないということではないと思います。ただ、実際にそれが行われる、開発される過程を見ますと、経験則に基づきまして作業の繰り返しという形で行われるということになってまいりまして、そういうことから申しまして、実際問題としては新規性あるいは進歩性という観点から保護の要件を満たすということはほとんど余り考えられないというふうに考えられるわけであります。 そういうことからこの半導体チップの保護というものを考えていく場合に、特許法あるいは実用新案法によって対処するというのは難しいというのが私どもの結論でございまして、そのような方向でこの答申もでき上がっているわけでありまして、機械情報産業局としては、その答申に沿って立案をされたというふうに理解をしております。
○伏見康治君 一応理由があるようにもうかがえるんですが、そうすると、半導体チップの場合に保護されるものは、要するに素子的なものを並べる並べ方、それをつなぐ針金のつなぎ方といったようなものではないかと思うのです。しかし、それは今経験的なエラー・アンド・トライアルの方法で、そういうできるだけ小さなところにびっしりと組み込むということなんですが、そこにはおのずからやはり、今効率的という言葉を表現されましたが、効率的というのは、例えば信号の伝達ができるだけ短くて済むように、あらゆる針金ができるだけ短くなるようにといったようなのが効率ということの一つのあれだと思うんですが、そういう幾つかのメルクマールについて効率のいいものをつくるというのは、それはやっぱり一つの思想であって、そういう意味では同じことではないかと思うんですが、いかがでしょう。
○政府委員(志賀学君) おっしゃるように、先ほども申し上げましたように、発明に全く当たらないということではないというふうに申し上げているわけです。ただ、実際問題として、つくられたレイアウトが新規性あるいは進歩性、特に進歩性でございますけれども、という点でこの要件を満足するということは非常にまれではないかというふうに考えているわけでございます。
○伏見康治君 それでは次に、今度の法律がもう一つの既存の法律、つまり著作権法の方の法律で保護することはできないだろうか。つまり、物質的な方は、ハードウエア的な方はいわばそれをつくる製作法みたいなもので特許権で保護されている。そうすると、残るのは何か抽象的なやり方ですからね、物を並べる、要するにレイアウトというのは一つの設計図みたいなものだと思うんですが、設計図というものは、例えば建物の設計図なら設計図というものは、やはり著作権法か何かで保護されていると思うんですが、何か似たようなものとして処置できることがあり得るのではないかと思うんですが、その点いかがでしょう。
○説明員(岡村豊君) この問題につきましては、著作権審議会はおきまして、昨年から今年にかけまして御審議いただいたわけでございます。その御審議のポイントも、今先生のおっしゃったようは、チップ製品のもとになります設計図、これは著作物で、著作権法で保護されるわけですが、この設計図から製品自体をつくる、そこに著作権の保護が及ぶのかどうかという観点の審議が一つの重要な課題でございました。 これにつきましては、確かにどちらかといいますと、写真的な手法で設計図が複製ないし複製に近い形でチップ製品に焼きつけられていくという形式上の実態はあるわけでございますが、そうしてでき上がりましたチップ製品上の回路配置というものは、これはそもそも大量生産の工業製品でございますし、立体的構造を持ったものでございます。これにつきましては、このようなたぐいの ものにつきましては工業所有権による保護の体系というものがあるわけでございまして、こういうものについて、著作権法でチップ製品の製造自体について保護するということについては、著作権審議会におきましてはいろいろ検討しましたが、そのような問題があることから、チップ製品の製造自体に著作権法による保護を及ぼすべきであるという結論には至らなかったわけでございます。
○伏見康治君 私も本を何度か書いたことがあるものですから、著作権の意味するところがこういうたぐいのものと少し方向が違うということは認めざるを得ないんですが、つまり本の著者というものは、よく言われているように、旧仮名で書いた場合には新仮名にされることも嫌がるというような意味で、いわば少しでも形を崩すことがないような意味での保護を求めているわけですね。 ところが、半導体チップのような場合には、私はそういう意味での保護が求められているわけじゃないと思うんですね。小さな変更といったようなものはあっても、何か本質的なところが守られるということの方が大事であって、小さな変更によってよりよいものができるならば、むしろそれは妨げてはいけない問題だと思うんですね。保護されるべきものは大事なところであって、よりよいものをつくるという意欲を妨げるようなものであってはいけないと思うのですが、そういう意味では従来の著作権法のフィロソフィーと今度つくろうとするものとは、フィロソフィーにおいて違うと思うんです。 違うとは思うんですが、しかし著作権法の中には建物の設計図なんというものがあると僕は思っているんですが、建物の設計図は二階も三階もあるんですからもちろん立体的であって、今の御説明のように、平面的だから云々という理屈はとんと当てはまらないと思うんですが、どうして建物の設計図と同じように考えることができないのかという点をちょっと説明してください。
○説明員(岡村豊君) 建物の設計図につきましては、これは著作権法で保護する著作物でございます。それから、半導体チップ製品につきましても、それをつくるための設計図があるわけですね。この設計図は、当然建築の著作物の設計図と同様に著作権法によって保護されます。設計図からチップ製品をつくる、そのつくる行為について著作権法が及ぶかどうかと、こういうことについては、著作権審議会におきましては、これは著作権法を及ぼすべきでない、チップ製品を製造することについて及ぼすべきでないという御結論になった次第でございます。
○伏見康治君 それではまた通産の方に伺いますが、今の文部省の方のお答えですと、設計図というものの範囲内ならば著作権法でいわば処理することができるというお話だったと思うんですが、半導体チップも、結局設計図だけ保護してあげればいいんじゃないかと私は思うんですけれども、それはどうですか。
○政府委員(木下博生君) 設計図については、今文部省の方でおっしゃったようなことで、著作物であるということは私どもも考えておりますが、ただ設計図と設計図をベースにしてつくったもの、特にこれは実用物でございますが、そういうものとは、基本的に設計図の複製物であるというふうな考え方はとり得ないんじゃないかという感じがいたすわけでございます。 洋服をつくるときの型紙と洋服との関係とか、それから自動車をつくるときの設計図と自動車というものの関係というような関係に非常に似ておるわけでございまして、設計図に基づいてつくられたもの自身が著作権法上の権利として保護され得るということにはなかなかなり得ないということで、著作権法上の保護の限界がどうしてもあるんではないかということを考えまして、それを守るためには、先ほど申し上げましたように、特許関係の法律でも難しいということになれば、どうしても新たに独自の別の法律をつくっていく必要があるということになったわけでございます。
○伏見康治君 よく勉強していないので少し頭が混乱してきたおそれがありますが、設計図とその設計図に基づいてつくられたものと、保護する場合に結局は同じことではないかと思うんですが、例えばフォルクスワーゲンならフォルクスワーゲン、カブトムシの設計図というものがあって、その設計図を盗んだらもちろん罪に問われるでしょうけれども、その設計図に基づいて同じカブトムシの自動車をつくったらやっぱりいけないんじゃないですか。
○政府委員(木下博生君) 設計図というもの自身が著作物ですから、同じ設計図を複写することは禁止されているということでございまして、つまり設計図からつくられたものがまねしたかどうかという点は、また別の法律の問題だと我々は考えております。 今回の半導体の場合には、できた製品を買ってまいりまして、買ってきた製品を先ほど申し上げましたようなリバースエンジニアリングで分析し、解析し、どういうふうな形でつくられているかということがわかりますと、それをベースにして半導体をつくることができるわけでございまして、結局、物がベースで、また物をそれにまねしてつくってしまうというような形で模倣というのが行われるわけでございます。したがって、設計図を保護すればそれですべての問題が解決できるということにはならないわけでございまして、設計図をベースにしてコンピューター処理して結局は物ができ上がっていくという過程をたどっておりますので、設計図がない場合でもそういうような、同じような模倣的なことができるということになってくるわけでございます。
○伏見康治君 御説明にもかかわらず、私は設計図だけ保護することによって保護の目的は達し得ると思うんですが、まあその辺でその話は終わりまして、――いずれにしても文部省の方、もうお帰りくだすって結構でございます。 法案の内容的なところに少し入っていきたいと思いますが、まず半導体集積回路の「定義」というものが第二条に書いてございますが、これで近い将来のこともうまくカバーできるかどうかということをお伺いしたいと思います。 現在は半導体チップのつくり方というものがもう大体決まっていて、マスクというものを描いて上から光を当てて何か焼きつけるといったような感じの仕事を続けていくわけですが、そのうちにもっと違った処理方法、例えば光のかわりに電子ビームを使うとか、あるいは物質をイオンプランテーションで変えていくとかいったようないろいろな新しい手法がどんどん行われていくでしょうし、それから現時点では、半導体チップは本質的には平面、二次元的なものだと思うんですが、そのうちに本当に三次元的な、厚さを持ったものができるようになると私は思っているんですけれども、そういうようなものも十分カバーできるような定義であるというふうに考えておられるか、あるいはこの法律はどうせ十年か二十年やればそのうちにまた変えるんだというような御思想なのか、その辺のところ……。
○政府委員(木下博生君) 現在半導体集積回路の材料として一番よく使われておりますのはシリコンでございますが、シリコン以外にもガリウム砒素とかインジウム燐とかというような化合物も使われたりしておるわけでございますけれども、それ以外に、この法律の定義に書いてございますように、絶縁材料をベースにしてつくる。絶縁材料としてはサファイヤとか酸化シリコンとか、そういうものをベースにしてつくる場合もあるわけでございますが、いずれにしてもそういうものの内部にトランジスタその他の回路素子を生成させるわけでございまして、現在つくられておりますのは、先生今お話ございましたように、立体的なものではございますけれども一応二次元のものであると。ただ、通産省では既に三次元素子についての研究開発も行っていますので、そういうものが将来開発されてきて、一つの素子、回路配置の上にもう一つ回路配置が乗っかるような形のものというのができ得る可能性は将来は十分あり得ると思います。 そういうような将来可能性のあり得るもの等を 考えまして、ここに書いてあります定義に該当するようなものが一応我々として予想したものでございますので、先ほどお話ございました三次元素子というようなものであれば当然今回の対象となり得るということがあろうかと思います。ただ、将来全く新しい素子を使って同じような機能を営むようなものをつくった場合に、それがここに書いてありますようないわゆる回路配置というような形のものを構成するかどうかというようなことはまだ何とも言えない点があるわけでございますので、当面技術革新があってもこの定義で十分対象としてできるわけでございますが、将来技術革新の結果、そういうようなものについても本法案により保護することが適切と考えられる場合には、保護の対象を拡大することも将来の問題としては考えてまいりたいと考えております。
○伏見康治君 実際通産省がいろいろ指導して、ますます新しいそういう素子の方の発達もどんどん行われるわけで、例えばジョセフソン素子とかいうようなものを使うとなると、液体空気の中で処置しなくちゃならなくなるわけで、がらっと全体の様子が変わってしまうわけですね。それから光を使うようになって、電気的な通信でなくて、光通信ということになりますというと、それだけでも随分イメージが変わってしまう。そういう時代が来るということを十分通産省としては予想なさっておられるんだろうと想像いたします。 それで今度は、法律の内容に登録ということが出てくるわけですが、その権利を得たい人は要するに自分の創作した回路配置をとにかく届け出る、登録するわけですが、この登録ということは一体どういうことであるのか、それから登録機関というのがどういうものであるのか、その辺のところの説明をしていただきたい。
○政府委員(木下博生君) この法律におきましては、回路配置利用権というものを考えまして、その回路配置利用権の効力がどの時点から生ずるかということで、その生ずる時点をその登録という行為を行わせることによって明確にさせようということで登録の規定を置いているわけでございます。これはあくまでも創作者が、自分が創作した回路配置である旨を必要な書類、証拠物件等をつけて登録を申請するわけでございますが、ただこの登録について特徴的なことは、その回路配置自身が本当に創作されたものであるかどうかという点を個別に審査して、審査した上で登録するというようなことをしないで、一応書類上それが創作者であるということがはっきりすれば登録をするような仕組みにしているわけでございます。それで将来、まねをしたとかなんとかというような問題が起こってきたときには、当事者間で訴訟によってその問題を解決してもらうという考え方で処置しておるわけでございます。 それで登録につきましては、原則は通産大臣がその登録を受け付けるということでございますが、指定登録機関に指定して、民法法人か特別認可法人かそういうものになろうかと思いますが、そういうものに対して登録を依頼するということも法律上考えております。
○伏見康治君 最初にAという会社が何か登録なすった。その次にBという会社が登録なすって、その内容はほとんど同じものである。それを審査なさらないわけですから、両方とも登録されたままになっているわけですから、両方、当事者が満足している限りは問題にならない……。
○政府委員(木下博生君) この法律十二条で「回路配置利用権の効力が及ばない範囲」ということで、その十二条一項に書いてございますのは、「回路配置利用権の効力は、他人が創作した回路配置の利用には、及ばない。」ということでございまして、二人の人が別々にそれぞれ同じ回路配置をつくるということは考え得るわけでございます。その場合には、二人ともがそれぞれ創作したものということで、どちらが早くやったにしても、二人ともその権利を持ち得るという考え方に立ったのが今回の登録でございます。したがって、特許と違いまして、どちらかが、早い者が勝ちで、登録してしまったらそちらの方が優先権を持つという考え方は、今回のこの法律では考えておりません。
○伏見康治君 そういたしますと、登録する際に、これは自分が創作したものであるということを何か証明するものをつけて出すべきだと私は思うんですが、その点はいかがですか。
○政府委員(木下博生君) 法律の三条の三項で、申請書に添付すべき書類等が書いてございますが、その中に図面や写真やそれから申請者が創作者等であることについての説明書等をつけるということになっておりまして、そういうものをつけて申請してきました場合に、八条の方で通産大臣は「設定登録の申請が次の各号のいずれかに該当することが第三条第二項の申請書及びこれに添付した図面その他の資料から明らかであるときは、」「申請を却下しなければならない。」ということになっておりまして、一号で「申請者が創作者等でないこと。」ということが入っております。したがいまして、これはあくまでも書類主義になっておりまして、書類の中で創作者であるということをはっきりさせ、十分にそれが信ずるに足るような書類であれば、この八条によって却下する要件には当たらない。 しかし、一見して書類を見ればそれがほかの人がつくったものをまねしたものであるということがわかった場合には、「申請者が創作者等でないこと。」ということとの関連において、通産大臣が登録の申請を拒否するということになるわけでございます。
○伏見康治君 もし、あしき意図を持った方がほんとに人のまねをしようと思うならば、その書類にまねをしましたということを書くはずはないと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(木下博生君) おっしゃるとおりでございます。したがいまして、まねをした人が自分のものだということで登録をする可能性は十分ございます。 ただ、その場合に問題は、それじゃその後どういうふうな発展をたどるかということでございますけれども、特許法のような先願主義を採用しておりませんので、模倣者が真の権利者等を排除して独占的権利を得ることはできない。したがって、当然真の創作者も同じように登録をしてくることになろうかと思います。そういたしますと、真の創作者の場合には、まねをした人が登録をしている事実が、その登録されたということによってわかるわけでございますから、当然それを相手取って訴えを起こしていくことになるわけでございます。 したがいまして、逆に言いますと、まねをした人は登録をすることによって真の創作者から訴えを起こされ、損害賠償請求なり差しとめ請求を受ける危険にむしろみずから身をさらすというような感じになるわけでございます。そのようなこともございますし、詐欺によって登録をした場合には処罰の対象にもなるという規定も別途ございますので、そういうことで、わざわざまねをした人がどんどん登録していくというようなことは起こり得ないんではないかというふうに我々は考えております。
○伏見康治君 そっくりまねするというケースは極めてまれだろうと思うんですけれども、大部分はまねてそこに自分の創作をつけ加えたというものはあり得ると思うんですが、そういうのは創作と見るんですか、それともまねと見るんですか、その判断。
○政府委員(木下博生君) 今先生御指摘のように、一つの回路配置と別の回路配置が同一かどうかという判断、これは非常に難しいところだと思います。したがいまして、今後むしろいろいろそういう紛争が起こって、裁判によって、判例の積み重ねによって、どういう場合に同一か、どういう場合に同一でないかというようなことが決まってくることになろうかと思います。 もちろん、通産省といたしましても、こういうものは同一であると考えるというような基準等については今後も勉強していきたいと思っておりますけれども、ただ、一般的に言えますことは、回 路配置の非常に重要な部分が同一であるというようなことで、意匠法なんかで一応考えられている思想が今回のこの法律についても同じようにとり得るんではないかというふうに考えております。
○伏見康治君 いろんなことを考える際に、一体どのくらい取り扱う件数が出てくるかということが極めて大事な要素だと思うんでございますが、一体どのくらい年間に登録されてくるという予想をお立てになっているか。また、その中でどのくらい紛争が出てくるというふうに予想なさっておられるのか。その辺をまた。
○政府委員(木下博生君) 私どもは、この法律案を検討いたします過程で、半導体のメーカーに対してどのくらい新しい半導体の登録があり得るだろうかという点の質問をして調査をしたことがございます。それによりますと、新しい半導体がどんどん出てくる件数という意味で考えますと、年間で産業全体として数千件、多くて五千件程度と予想する会社が多いわけでございますので、この法律が通りまして施行に至りますまでの間でも、もう少し調査をいたしまして、実際にどのくらいの申請が出てくるかという点を決めていきたいと思いますが、大体のオーダーとしてはそのくらいのものがあるとお考えいただいてよろしいかと思います。
○伏見康治君 今のは登録の件数のお答えでございましたんですが、その中で一体どのくらい紛争が起こってくるだろうかという、これはなかなか難しいと思うんですけれども、特許の場合には、過去のいろいろな経験からどのくらい特許の申請件数があって、そこでまたどのくらいトラブルが起こったかといったようなデータはあるはずだと思うんですね。そういう例からいって、どのくらいトラブルが起こるかといったような予想は何か立てられるでしょうか。
○政府委員(志賀学君) 特許の方の紛争の起こる確率と申しましょうか、どのくらいかというようなお尋ねでございますが、申しわけございません、ちょっと手元に資料ございません。
○伏見康治君 じゃ、いずれ教えていただくことにして。
○政府委員(木下博生君) 半導体集積回路の場合にどのくらいかという点でございますが、今現に、先ほど申し上げましたように、紛争が起こった例というのを私どもも承知いたしておりませんし、この法律が施行されて登録がどんどん行われた段階で、直ちにどんどん紛争が起こってくるというようなことにはならないのではないかというふうに考えております。
○伏見康治君 、紛争があんまり起こらないことをもちろん私も希望しておりますが、しかし、こういう制度をおつくりになったのは、それがある程度あるということを予想なすって制度をおつくりになっているわけで、全くないものだったら法律をつくる必要がないわけです。 それで、そういう紛争が起こったときに、それをどこが裁くかということが私は非常に心配なんですが、今までの御説明ですと、何かいきなり裁判所へ持っていかれるような感じなんですけれども、近ごろの裁判の進行状況を拝見していますと、とにかく処理する案件が非常に重なっていて、あらゆる案件が何年もたなざらしになっていて、要するにパンク寸前の状態ではないかと私は想像するわけですね。そういう裁判所に向かって、新たに裁判所の重荷になるような課題を突きつけるというのは、少なくとも行政府として、あるいは立法府としては、余りすべきことではないと思うんですね。できれば、裁判官が本当に裁判官の腕を発揮できる場所でだけ使っていただいて、事前の技術的なことを、いわば技術者の仲間で話が済むようなことを一々裁判所まで持ち上げるというのは、私は間違いだと思うんですね。 そこで伺いますが、特許の場合には審判という制度があるわけですが、それに相当するものを今度はどうしておつくりにならないのかということを伺いたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 私からお答えいたそうかと思います。 行政庁が裁判所にかわりまして第一次的な判断を行う制度としては、特許法における審判制度あるいは海難審判法における審判制度などがございます。これらは、その判断に高度な専門的知識を必要といたしまして、かつ行政庁にその蓄積があることが制度創設の主たる理由と思料いたします。 技術に関する紛争一般につきましては、審判類似の制度を設けることは、大変先生の御提言は示唆に富む御提言だと受けとめますが、我が国においてまだなじみのないことであります。また、我が国の裁判制度にかかわる問題でもありますので、多方面からの慎重な検討が必要になるものと考えます。
○伏見康治君 大臣の御答弁をいただいて恐縮しておりますが、ただ、私は科学者の端くれなものですから、いろいろ、殊にいわゆる公害事件等で、六価クロムなら六価クロムの話がいきなり裁判官のところに持っていかれるということに対して非常な疑問を感ずるわけです。つまり、最終的な判断は裁判所に持っていってもいいんですが、事前に純科学的に、客観的に処置できる課題というものがあるはずだと私は思うんです。つまり、人間的要素をむしろ省いて、純科学的にできる問題の整理をしたその上で、改めて裁判官に最終判断をお願いするというのが私は筋道だと思うんです。この半導体チップなんというのはまさに技術的な問題でございますので、私は技術的な面はこちらでお料理してから裁判所にお渡しするというのがやっぱり本筋ではないかと思いますので、その点大臣のお言葉ではございましたけれども、またお考え願いたいと私は希望をいたします。 アメリカでもそういうことが言われているだけで別に実現しているわけではございませんけれども、サイエンスコートといったようなものがしばしば構想されているわけです。私と同じようなことを考える仲間はアメリカにもいるんだと思うんですが、そういうこともひとつお考え願えればありがたいと思います。将来の問題で結構でございますが。 これは午前中の御質問にもあったことの繰り返しに完全になってしまいますが、第十条、回路配置利用権の存続期間を登録後十年間としておられますが、著作権が五十年で工業所有権が十五年というのに比べると大分短いような感じがいたしますが、この十年という数字はどういう根拠に基づいて割り出されたものか教えてください。
○政府委員(木下博生君) この法律は権利の保護と私どもは言っておりますけれども、一条の「目的」に書いてございますように、回路配置の適正な利用を確保するための制度を創設するということで、創作者の権利を保護すると同時に、それを利用する一般的第三者、利用する立場、あるいは社会全体としての立場とのバランスを考えてこの法律を構成しておるわけでございます。 そういうことによりまして取引のルールができれば、それによって社会全体、経済全体、産業全体がこの制度によって裨益されるということになるわけでございまして、そのような考え方に立ちまして半導体を眺めてみますと、半導体につきましては開発のために相当の期間を要しますが、六、七年たちますと一応開発されたものの資金回収あるいは利益も十分に確保し得るというような感じになりまして、しかもこういう技術進歩の激しいものでございますと、十年もたちますと、ほぼその半導体としての一つの開発された半導体のサイクルが終わるというような感じになるわけでございますので、創作者の利益とそれから一般第三者の利益のバランスをとった場合には、半導体というものを考えれば十年程度の保護で十分ではなかろうか。それで、十年程度保護された後は自由に、もしそれが半導体として生命があるものであればだれもがつくれる形で社会全体にその利益を均てんさせるという形の方がいいんじゃないかという考え方をとって十年にしたわけでございます。
○伏見康治君 一つの半導体チップの商業的寿命みたいなものが、何か統計データございますか。
○政府委員(木下博生君) つくられた半導体自身がどのくらいの期間使用に耐えるかということじゃなくて、むしろそういう一つの回路配置を持った半導体が産業全体で使われる期間がどのくらいかという御質問かと思いますが、現在のように進歩が激しいものでございますと、実は十年もたったら全くオブソリートなものになってしまうということではないかと思います。ただ、そのような非常に技術進歩の激しいものについて権利を保護するとすれば、その投資の回収期間等も考えれば、十年ぐらいは一応守ってやる必要があるという感じで我々は考えているわけでございます。
○伏見康治君 またちょっとさかのぼって申しわけないんですけれども、先ほどの登録機関についてもうちょっと伺いたいんですが、この登録機関は民間の方々でやっていただく。これは私は、小さい政府と申しますか、そういう建前からいって、民間の活力をできるだけ利用されること自身は大変結構だと思うんですが、同時に民間の方にお願いするときには、つまり国自身がやる場合と違って何かえこひいき的なことがあったりするというおそれがあるわけでございます。その辺のところは公平性といったようなものをどういうふうに確保なさるおつもりかといったような点を伺いたい。
○政府委員(木下博生君) 指定登録機関についての規定がございまして、それに基づいて中立公平的な立場にある公益法人あるいは特別認可法人等をその指定登録機関の対象といたしたいと思っておるわけでございます。したがいまして、当然ながらその役員あるいは職員等は中立的な立場にあることを要求されるわけでございまして、もしその人たちが不適当な仕事をしたというようなことになりますと、「解任命令」の規定等も三十七条にあるわけでございますし、それから登録事務規程あるいは事業計画等を通産大臣が見ることによって適正公正な事務を確保することは可能だと我々は考えております。
○伏見康治君 いろいろお考えになっていることは大変結構だと思うんですが、昔は、新しい法律をつくるという場合には恐らくそういう登録機関についてもいろんな細かい規定を国会に法律の一部分として出されるという習慣であったと思うんですが、近ごろだんだんその習慣がなくなりまして、細かいことは省令とかなんとかという、国会が直接には関知しないところにお任せになるという傾向がだんだんあらわれていると思うんです。そのこと自身は国会が仕事が少なくなるので大変結構なんですが、同時に国会の責任はそれで果たされているかどうかという疑問も感じないわけではないのですが、その辺のところはどういうふうに考えたらいいでしょうか。
○政府委員(木下博生君) この法律は罰則も入れますと五十六条、それに附則が九条ついている割に長い法律でございますが、その中で指定登録機関に関する規定が二十八条から四十六条までございまして、そういうことで指定登録機関に関する必要な条項は盛り込む。盛り込んだために全体としては比較的長い法律になったというふうに私ども考えておるわけでございます。 このような指定登録機関に類するものはほかの法律でもたくさんございますが、現在政府が御提案申し上げて立法されておりますこの種の法律で、指定登録機関に関する規定の詳しさという程度は、ほぼほかの法律と同程度のものであると私どもは考えております。
○伏見康治君 この法律案をおつくりになるのはなかなか大変で、御苦労であったと思うのでございますが、この法律によって影響を受けるであろういろいろなところとの事前の御相談はもちろん十分になさったと思うのでございますが、まずアメリカさんとこの法案について何か事前に御相談なさったということはあるんでしょうか。
○政府委員(木下博生君) まずここの法律案の考え方をまとめますために、産業構造審議会情報産業部会に半導体チップは関する法制問題小委員会というものを設けまして、東京大学名誉教授の加藤一郎先生を委員長にいたしまして、大学の法律関係の先生方あるいは半導体のメーカー、これは日本のメーカーもありますし、アメリカ系メーカーの日本の子会社の代表の人もおりますが、そういう専門家の方々に入っていただきましていろいろ御検討をいただいたわけでございます。したがいまして、いわゆるメーカーサイドの意見というのはこの審議会の小委員会における検討の場において相当反映されたということが言えます。それと同時に、工業会に対してもいろいろと意見を聞いておりますので、日本国内においてはそのような手続で関係者の意見は十分聴取したと考えております。 それから、アメリカとの関係でございますが、この小委員会の報告が出ました段階で、これの内容を英文にいたしましてアメリカにも送って、アメリカの立法関係者あるいは産業界の代表にも意見を聞き、その意見を参考にして最終的に法案をまとめたわけでございます。
○伏見康治君 今、メーカーと十分御相談になったというのは、もちろんメーカーはまさに保護される方ですから当然だと思うんですが、法律で罰せられるのはユーザーの方も罰せられるんですね、不法につくられたものを知っていて使ったらばですが。そのユーザーの方の御意見はどうなんでしょうか。
○政府委員(木下博生君) 失礼いたしました。法制問題小委員会には、メーカーの代表、それからユーザーといたしまして例えば自動車会社、それからいろいろ検査機器等をつくっている会社、それから工作機械をつくっている会社、それから事務機械をつくっている会社、そういう会社で実際に半導体をそういう機械の中に組み込んで使っておられる会社の方々の意見も同時に伺っております。
○伏見康治君 そういうところとよく御相談になったことは大変結構だと思うんですが、そしてでき上がった法律に関して現在産業界全体としては歓迎しているんでしょうか、余計なものをつくられたというんでしょうか。その辺のリアクションはどうなっているかということをお伺いします。
○政府委員(木下博生君) 産業界全体としては、いろいろな意味でこれはぜひこういう立法をしてほしいという立場に立っております。 一つは、アメリカ向けの半導体の輸出が非常に伸びておりまして、先ほど申し上げましたように、相互主義の法律をアメリカはとっておりますために、日本で半導体の回路配置に対する保護を行わないと、アメリカに輸出したものについての保護が十分に行われないという問題が一つございます。 それから、東南アジア諸国、韓国、台湾を含めまして、そういう国で半導体の生産がどんどん行われておりまして、将来はそういう国から半導体が日本に輸入される可能性もある。そういう点でやはり権利を十分保護されておく必要があるというようなこともございますし、それで、アメリカでそのような権利保護の規定、法律が置かれておるわけでございますから、ユーザーとしてもそういうものに十分立場がはっきりしておらなくちゃいけないという関係ありますので、日本側のユーザーにとってみても、例えば自動車に組み込まれた半導体が自動車ごとアメリカに輸出されて、そこでその半導体がまねものだと言われて自動車ごと輸入がとめられるということになってくるのは困るというようなこともございますので、非常にユーザーサイドもこの問題について関心を持っておりまして、ぜひアメリカと同じような時期に法律をつくって保護してほしいということになってきたわけでございます。
○伏見康治君 これで終わります。
○市川正一君 法案審議の前に、私も三菱南大夕張砿の事故について、事故以後初めての委員会でございますので、若干の質問をお許し願いたいと思います。 実は、前回の十六日の本委員会と前々回の四月二十五日の本委員会の二回にわたって、私は三菱高島砿のガス爆発事故について質問をいたしました。そして、その原因が保安のイロハも心得ぬ出 炭第一主義にあること、そしてこの事故が不可抗力の要素は全くない、まさに人災の典型であるということを指摘いたしました。その際に山本審議官の発言、私市川と意見が違うんだということをめぐってのやりとりがありましたけれども、きょうはそれを私蒸し返すことはいたしません。いずれにしても、前回十六日、私の質問に対して平河局長は厳粛に受けとめて調査する、こう答弁された。また保安第一主義は、私市川と全く変わらない、こういうふうにきっぱりとお答えになりました。 ところがその翌日、言うならば舌の根も乾かぬ十七日に、今回の大事故であります。私は、監督官庁として通産省の責任もまた重大であると言わざるを得ぬのであります。こうした事故の原因と責任を追及しても無意味だというような意見も耳にいたしますけれども、私は逆に、その一つ一つの事故の真の原因、真の責任がいつもあいまいにされてしまうところに、これがいつまでたっても根絶されないという背景があるんだということを、改めて声を大にして言わなければならぬのであります。 そこで今回の事故についてでありますけれども、その原因はガス爆発と判断されると思うんですが、間違いございませんでしょうか。
○政府委員(平河喜美男君) 原因の調査につきましては、ただいま現地で取り急ぎいろいろ検討しているところでございますけれども、ガス爆発があったことはほぼ間違いないであろうという情報を得ております。
○市川正一君 もともと南大夕張砿は、保安施設も最新の優良鉱と言われておりました。というのは坑内約二百カ所にガス検知器が設置されているんでありますが、事件当時これが作動していなかったというふうに聞いておりますが、この点はいかがですか。
○政府委員(平河喜美男君) 検知器の作動状況等につきましては、私どももこの災害について非常に重大な問題と思っておりますので、現在捜査中でございます。
○市川正一君 会社側は作動していなかったということを認めているわけですが、あなた方の場合はどうなんですか。作動していたという認識ですか。
○政府委員(平河喜美男君) 今後慎重に捜査をして、その点は確認いたしたいと思っております。
○市川正一君 これは、きのうもエネ特委員会で我が党の小笠原委員が質問をいたしましたが、その原因として、会社側は作動していなかったと、こう言っているわけですね。そして検知器が坑道の低い位置、下から一・五メートルに設置していたために作動しなかった。そのことを会社自身も認めているわけでありますが、これは保安規則の百二十二条違反であると思いますが、確認できますか。
○政府委員(平河喜美男君) 検知器の取りつけの位置につきましても、規則との関係、その他今後厳重に調査をいたしてまいりたいと思っております。
○市川正一君 一メーター五十のところに設置されておるならば、これは保安規則百二十二条違反であるかないのかということを聞いているんですが、その点どうですか。
○説明員(高木俊毅君) ただいまの先生の御質問でございますけれども、現在調査中であることはただいま政府委員の方から御説明申し上げたとおりでございますが、私ども行政機関といたしまして指導している範囲でございますが、これは天盤際からなるべく三十センチ程度に設置するようにという行政指導をやっておるところでございます。 それで、先生御指摘のとおりに、百二十二条第二項に「前項の可燃性ガス自動警報器は、可燃性ガスを効果的に監視することができるように設置しなければならない。」、これを受けてただいまのような指導をしているわけでございます。
○市川正一君 だとすると、下から一・五メーターということはその指導に反するということになりますね。
○説明員(高木俊毅君) これはケース・バイ・ケースによるかと思いますけれども、例えば気流等の攪乱乱状態、その他を考えますと、ただいま現在、先生が御指摘のような場所がそういう箇所に該当するか否か、これらにつきましてはやはり今後の捜査に待たなければならないかと私どもは考えております。
○市川正一君 何でも捜査捜査じゃなしに、今わかっている、会社自身も認めている、そしてまたあなた方も大臣を先頭にして現地へ行かれたんだから、その範囲内で事実に基づいて答えてほしいんです。 私は、百二十二条の適用からいうと、この場合坑道の低い位置、下から一・五メーターに設置された場合には、設置しているかしていないかは、あなた方はそれは知らぬと言うでしょう。しかし、会社はそうだというふうに言っているんだから、もし会社が言うとおりだとすれば、これは百二十二条に違反するし、あなた方の指導にも反していると言わざるを得ぬじゃないですか、どうですか。
○説明員(高木俊毅君) ただいまの先生の御指摘でございますけれども、現在私どもやはり調査中でございまして、詳細に掌握しているわけではございませんので、お答えについては留保さしていただきたいと思います。
○市川正一君 大臣、私もこれは高島炭鉱で二回やり、そしてこの間平河局長がいわば大見え切ったその翌日に起こっておるんですから、事故が。仏の顔も三度ということもありますので、本当にまじめに答えてほしいと思うんです。もちろん今調査中だということを前提にしながら、しかし今会社も認めている事実に基づいて、そして論理に基づいて一体どうなのかということを聞いているわけですから。 もう一つ伺いたいんですけれども、会社側の話によりますと、同日の午後三時五分から十分にかけて発破を掛けた。その二十五分後の三時三十五分にガス爆発が起こった。そして一卸八片三号上段払いの切り羽で保安発破係員一人と採炭夫四人の方が死亡されている、こういう事実の報告を受けておりますが、間違いございませんか。
○政府委員(平河喜美男君) 発破時間につきまして、会社から私どもが聞いている時間は十四時五十分であるというふうに聞いております。なお、詳細については引き続き捜査中でございます。 それから第二の、一卸八片下層三号上段払いで坑内の保安係員が一人死亡しているということについては、私どももそのように聞いております。
○市川正一君 保安係員の方がお一人と、それから採炭夫の方が四人亡くなっておられるというその方はどうですか、四人は。
○政府委員(平河喜美男君) そのとおりでございます。
○市川正一君 私は次の機会にさらに事実に基づき、また論理に基づいてお聞きしたいんでありますが、今そういうふうに最後の確認事項をお認めになったということは、ガス爆発の位置が今指摘いたしました切り羽であるということをほぼ私は推定できると思うんです。なぜならば、ガスにかかわる爆発箇所は、一つは沿層坑道の掘進現場か、もう一つはそれとも今申した切り羽しかないわけであります。ところが、掘進現場では死亡者の方はいらっしゃいません、どなたも亡くなっていらっしゃらない。他方、発破保安要員の方が八片上段払いでは御不幸にも亡くなっていらっしゃる。ということは、発破とガス爆発の時間的経緯から見てもそう判断できるし、またそこには重大な保安手抜きの問題が存在していると私は指摘せざるを得ません。 しかし、こうした重大な問題については、近く本委員会でも集中的な審議をやる予定になっていると伺っておりますので、その機会に改めてお聞きしたいというふうに思いますけれども、私は平河局長も、前回のああいう山本審議官の発言をめぐってのやりとりで、あなたはきっぱり最後にそうおっしゃったんだから、その立場でまじめに、 真剣にお答え願うことを重ねて要望いたします。 この問題は以上で終わります。ありがとうございました。 次に、私、法案とも関連いたしまして、半導体工場の公害問題について、去る四月二日に本委員会でこの問題を取り上げましたが、引き続いてお伺いいたしたいと存じます。 最初に、有機塩素系溶剤の汚染防止対策についてでありますが、四月二日の質問で、私が通産省に積極的な対策と体制をとるように求めましたところ、平河局長は、「有害物質等の使用状況について調査検討する」と答えられました。今日までどういう対応をなすったんですか。
○政府委員(木下博生君) 半導体の関係をとりあえず申し上げますと、半導体工場におきましては、ウエハーの洗浄工程等においてトリクロロエチレン等の有機溶剤を使用しておるわけでございますが、現在実施しております使用実態等の調査を踏まえつつ、適切な対策を講ずるよう関係業界を指導してまいりたいと思います。 調査につきましては、半導体工場における有機溶剤の使用実態等につきまして、先月調査、検討に着手したところでございます。
○市川正一君 木下さんに私は聞いたつもりはないんですが、公害局長が「調査検討する」とおっしゃったので、どういう対応をなすったかということを、四月二日以降のことについてお聞きしたんですが、機械情報産業局の方でも業界の方にそういうことをなすったというのは、それは悪いことじゃないですから、結構なことですから。 伺いますが、去年の八月二十二日に立地公害局長名で、「トリクロロエチレン等に係る暫定排水濃度目標の設定について」という通達が出されておりますね。四月二日に私が注意を喚起して、局長も、この局長は立公局長ですが、検討をお約束なすった。有機塩素系の溶剤について特段の対応はされたのか、されていないのか伺いたい。
○政府委員(平河喜美男君) 半導体工場における有機塩素系の溶剤の問題につきまして、担当の局長からただいまお答えいたしましたとおりでございますが、私どもも公害防止の一般的な指導をやっております関係上、原局と相談しながら、いろいろ実態調査あるいは漏出防止等々の具体的内容について検討しているところでございます。
○市川正一君 結局何もやっていないということですよ。 そうすると、去年の八月通達を出した後に派生している問題点も私は踏まえて質問をしたんでありますから、その後の状況を確認するとかというふうなことは行政庁として当然やるべきじゃないですか。例えばサンプル的に抽出して実情を聞くとか、会社にアンケート調査をするとか、その気になればやることは幾らでもあると思うんですよ。あなたは、「有害物質等の使用状況等について調査検討する」と、こう言うて約束したんですから、やる気になったらやれるはずです。改めて実態をつかむ努力をするかどうか、はっきり答えてほしい。
○政府委員(平河喜美男君) ちょっと御説明不足で申しわけなかったんですが、当該物質の使用の実態、処理方法等について調査を実施しております。その場合に、業界の団体等も集めていろいろ話も聞いておりますし、仰せのサンプル調査等もやっているところでございます。
○市川正一君 やっているならやっているとはっきり言ってもらったらよろしい。 しかし、私両局長に要望したいんですけれども、業界団体やあるいは調査機関に委託すると、さっき木下さんもそういうことを言われましたけれども、ということも一つの方法ですけれども、しかし事は非常に重要なので、有機塩素系の溶剤の保管とか使用とか廃棄などの実態については、政府みずからが正確、迅速に把握して必要な対策をとるべきだと思うんですが、政府御自身の姿勢を重ねて伺いたい。
○政府委員(平河喜美男君) 私どもとしても直接いろいろ事情を把握するべく努力する所存でございます。
○市川正一君 わかりました。 環境庁お見えになっていますか。環境庁にも実は四月二日に私お伺いいたしました。そして環境庁が企画調整局長の私的諮問機関である環境技術会議を設置して、先端技術産業で使われる有害物質の影響調査を実施することにして、昨年度はIC工場四カ所を調査することにしたと、こういうふうに報ぜられておりますので、私それを踏まえて質問をいたしたんですが、その結果はどういうふうに今進行しているのかお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(加治隆君) 先端産業の立地の環境問題につきましては、環境庁としても関心を持っているところでございます。その一環といたしまして、昭和五十九年度におきましてIC工場のケーススタディーを行っております。 この調査でございますが、特定のIC工場の安全性を調査するというものではなくて、IC一般の製造工程、その内容を把握したいということと、環境保全上に配慮を行うべき点はどうかと、そういうふうな点について調査をいたしました。現在その結果を取りまとめ中でございます。
○市川正一君 何カ所おやりになったんですか。
○説明員(加治隆君) 二カ所をやっております。
○市川正一君 つまり四カ所の予定であったのが、結局二カ所になったわけですな。
○説明員(加治隆君) 予算上のこともございます。またICなどを含めて四カ所と予定しておりますので、ICとしては二カ所ということでございます。
○市川正一君 その二カ所はどこか教えてもらえませんか。
○説明員(加治隆君) ただいま申しましたとおり、製造工程の内容を、プロセスを今研究しておりますので、特段申し上げるということではなくて、二カ所のICでの一般的な調査を行っているというふうにとどめていただきたいと思います。
○市川正一君 その結果は大体いつごろわかりますか。そしてまた、この環境技術会議が中心になって進めていらっしゃるというふうに理解してよろしゅうございますか。
○説明員(加治隆君) まだこの調査結果は取りまとめ中でございますので、近くそのまとめる時期が来るかと思います。それから、環境技術会議でございますが、これは既に昨年設置いたしましたが、これは科学技術の進歩に伴って技術と環境のかかわりというような広く一般の検討を行うことでございます。そういう組織をつくって、我々の実態調査、そういうものを中に入れて広く検討していただく機関であるというふうに区別してございます。
○市川正一君 それじゃその調査結果がまとまりましたらぜひ我々にも教えていただぎたいと思います。ひとつよろしくお願いします。よろしゅうございますか。
○説明員(加治隆君) ただいま申しましたこの調査の趣旨が、製造工程のいわゆるメカニズム、それから環境的な観点というようなことでございますので、必要に応じましては、都道府県の指導する場合にこういうものを活用してまいりたい、一般的にはちょっと内容からいってなじみ薄いものだと思いますが、いわゆる県の指導に十分に活用してまいりたいと思っております。
○市川正一君 何もこの本委員会に出せというんじゃなしに、私に教えてくれますかと言っているんで、知らしてください。
○説明員(加治隆君) 検討のその結果を、でき次第、その内容について必要があれば検討してまいりたいと思っております。
○市川正一君 私に知らしてくれますかと言ったら、イエスならイエスと言えばいい。
○説明員(加治隆君) 失礼しました。現在取りまとめ中でございますので、その概要等についてはお知らせできるかと思います。
○市川正一君 環境庁さんもう結構です。 次に、半導体の製造工程で使われる有害ガスですね、特殊ガスと言ってもいいと思うんですが、その対策について最後にお聞きしたいんですが、 四月二日の質問以降、通産省としてこの問題についてどういう措置をなすったのか、この点について立地公害局、そして機械情報産業局という順番でそれぞれお教え願いたいんですが。
○政府委員(平河喜美男君) 現在私どもの方としましては、高圧ガス保安協会におきまして、都道府県の取り締まり担当部局、学識経験者等から成ります委員会を組織いたしまして、そこで情報の収集を行いますとともに、特殊材料ガスを取り扱う事業者が守るべき技術基準を作成しているところでございます。
○政府委員(木下博生君) 立地公害局の方で今そういう作業をされておるところでございますので、特に私どもの方だけでやっているものはございません。
○市川正一君 私どもの承知しているところでは、機械情報産業局では日本電子機械工業会に調査委託をするというふうに聞いておるんですが、工業会の方の態勢はどうなんでしょうか。また調査検討される対象とその内容ですね、また調査をまとめる期限などについてあっち任せやと、そんな無責任なことを言わぬで、ちょっと中身知らしてください。
○政府委員(木下博生君) 四月二日の御質問に関連したものだと思いましたのでさようお答え申し上げたわけでございますが……
○市川正一君 ガスの方です。
○政府委員(木下博生君) 昨年の春から、私どもといたしましては、半導体製造工程において使用されるガスの安全対策につきましては十分な配慮が必要だと考えまして、日本電子機械工業会の化学物質小委員会における調査検討等、業界における適切な対処を指導してきているところでございます。
○市川正一君 それはもうワンテンポ遅い答弁やないか。そういうものができたと、そこでその調査検討される対象、その内容、調査をまとめる期限はいつなんですかといって第二問に進んでいるんです。そこをちょっと聞かしてくれませんか。木下さん。
○政府委員(木下博生君) 日本電子機械工業会におきましては、化学物質小委員会を設置してそういう調査をしているわけでございますが、そのような結果は、先ほど立地公害局長の方から御答弁申し上げました全体としてのガス対策の方と連携をとってやっていくという形になろうかと思います。
○市川正一君 そうしたら立地公害局にお伺いしますが、高圧ガス保安協会に特殊材料ガス保安対策推進委員会を置いて検討することになっていると聞いておるんですが、その委員会の構成、検討される内容、その期限はいつがめどになっているのか、これをひとつ聞かしてください。
○政府委員(平河喜美男君) 明確な期限はちょっとわかりませんけれども、ことしじゅうぐらいには何とかめどをつけたいと思ってやっております。なお、機情局の方の関係のメンバーの方も私どもの方に必要とあれば入っていただいて検討することにしております。
○市川正一君 ことしじゅうと言うたって、ことしいうたらまだ半年以上あるでしょう。五月じゅうぐらい、今月じゅうぐらいに結論を出す、めどを出すというふうに作業が進んでいるやに聞いておったんですが、どうなんですか。
○政府委員(平河喜美男君) 現在の進行状況から見ますと、本年じゅうぐらいの感じでございます。
○市川正一君 それはおかしいと思うんだな。無理やりどこかから妨害があったとかというふうなことならばいざ知らず、ちょっと私は急にスローダウンをしていると思うんです。 そこで伺いたいのは、今月の二十日付の日刊工業新聞でありますが、ここに持ってまいりました。そのトップで、「先端産業の環境調査へ 七月にも「委員会」 通産 溶剤など影響懸念」、こう言っております。この中で立地公害局は、「主に半導体製造業を対象に、洗浄などに使う溶剤、ガスなどの使用状況、規制措置、環境への影響など」を調査しようとしているが、ところが、機械情報産業局は半導体産業のイメージダウンにつながるとして産業界とともにこれに対して難色を示しているとされているが、一致して私は防止対策をとることに変わりはないと思うんです。大臣の右腕、左腕と、こう並んでいるんですから。 私はこういう報道がされるところに、しかも大体五月めどに話は進んでいるはずなのに、急にきょうは冷や飯から湯気が出るように、ことしいっぱいかかるというようなことを平河局長が言うというのは解せぬのです。とすると、こういうことがあるのかというふうに思うんですが、まず平河局長から聞きたい、どうですか。
○政府委員(平河喜美男君) その新聞の記事がどこから出たかは私はわかりませんけれども、機情局と私どもの方で協力体制ができなくて延びているという事実は一切ございません。協力してやっております。
○市川正一君 木下さん、これ本当ですか。
○政府委員(木下博生君) 有機溶剤にいたしましても、それから使用する各種のガスにいたしましても、それが人体に与える影響等の問題がございますので、私どもはこれは非常に重要な問題と受けとめまして、立地公害局と協力し、あるいは関係業界同士の話し合いの中で適切な対策を講じようということで進めておりますので、今新聞に書いてあるとおっしゃったようなところは全く私どもとしては心当たりのないことでございます。
○市川正一君 大臣にお伺いしたいんでありますが、従来ややもすると、通産省は例えば環境汚染だとか公害問題などについて非常にいわば消極的だと、そして企業にどちらかというとべったりだという非難も私耳にいたしております。ある意味ではこれは当たっている面もあるのですね、残念ながら。とすると、今の問題について私は、ここに述べているような半導体産業のイメージダウンにつながるということでこういう調査に対して難色を示しておるということは、木下さんはないと、こうおっしゃったのですが、大臣からきっぱりそこらの姿勢をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 産業の発展について環境問題が非常に重要である、また年を経るとともにそれがさらにいろいろな様相を呈してくるということも承知をしておりまして、木下局長から申し上げたとおりだと思いますが、誠意を持って対応いたします。
○市川正一君 そこで、本論である法案に入るのでありますが、時間も限られておりますので、私は逐条論的でなしに、論点を浮き彫りにするような形で質疑をさしていただきたいと思います。 まず、本法案の提案に至る背景と経過についてでありますけれども、アメリカが去年の十一月に半導体チップ保護法を成立させ、日本に同趣旨の立法化をしなければアメリカで日本製のチップを保護しないという、相互主義的立場で日本政府に立法化を迫った。政府は、これに応じて昨年の十月に産構審に半導体チップに関する法制問題小委員会を発足させ、わずか三カ月間、七回の審議で、この一月に米国と同趣旨の新規立法が必要だという報告を取りまとめた。そして、いち早く政府は、四月九日に発表した対外経済対策で、半導体チップの権利保護に関する法律案について今国会成立に全力を挙げると手際よくうたい上げた、こういう経過をたどったと私は理解しております。 そこで、半導体集積回路産業の日米の技術上の特徴あるいは競争力について伺いたいのでありますが、衆議院での審議などを拝見いたしますと、技術的特徴としては、日本は生産技術の分野に強く、アメリカは豊富な技術的蓄積などを背景として高度な開発技術力がある。競争力について言えば、アメリカの方が歴史があり、高いが、日本も今これに追いつきつつあるというようなことに、これはスケッチでありますが、そういうふうに見てよろしゅうございましょうか。
○政府委員(木下博生君) まず、この法案を御提出申し上げる経緯について申し上げますと、昨年 の秋にアメリカの法律が成立したということはおっしゃったとおりでございますけれども、その前、一昨年の秋に、日米先端技術産業作業部会というのが通産省とアメリカの商務省及び通商代表部との間でずっと開かれておりまして、その作業部会において半導体につきまして提言をまとめたわけでございます。その提言をまとめた中で、日米両国で世界の九割を占める半導体産業について、その健全な発展のためにお互いに半導体の回路の保護をする必要があるだろう。それを無体財産権法の体系の中で考えていったらどうかという提言をしておるわけでございまして、その提言に基づいて通産省といたしましてもずっと研究をいたしておりまして、その研究をいたしておりました後、昨年の秋から審議会を開いて、七回にわたる審議をいただいてその審議会としての結論をいただき、今回提案に至ったわけでございます。その間にアメリカが法律が成立したということでございます。 それから、アメリカと日本との半導体産業の比較でございますが、確かにおっしゃるように、アメリカが半導体については一歩先んじておりまして、アメリカで進んだものを日本が後から追っかけてつくっているというのが現状ではございますが、しかも生産技術において日本が非常にすぐれているというのは、単に半導体分野にはとどまらず、ほかの分野についても同じでございます。しかし最近におきまして、日本におきましては半導体産業が極めて急速に成長し、技術力も高まってまいりまして、単にアメリカで考案された半導体のライセンスをもらって日本でつくるということだけではなくて、技術的に日本のものがすぐれたものをどんどんつくるようになってきたというのが現状でございます。
○市川正一君 先日、私どもも日立武蔵の工場に視察に参りまして、非常に勉強になりました。そのときにもお互いの実感として、やはり日本の高度の技術力の前進ということをそこで見聞もしてまいりました。しかしなお、アメリカに一日の長があるという実態であることもまた事実だと思うんですね。 もう一つ確認したいのは、日米経済摩擦の問題でありますが、午前中来同僚委員も質問いたしましたが、具体的に半導体の貿易問題で日米間に摩擦が生まれているのかどうか。この点も衆議院の議事録勉強さしていただきました。木下局長は、現在のところ深刻な摩擦というようなことにはなっておりませんというふうに各所で答えていらっしゃるが、そういうことなんですか、もう一度確認したいと思います。
○政府委員(木下博生君) 先ほど申し上げました作業部会で議論するきっかけになったのは数年前のことでございますが、半導体の貿易について、それが世界全体の経済に寄与するように、健全な発展をするようにお互いに話し合っていこうということになったわけでございまして、そのために、結論といたしましては相互に半導体の関税率をゼロにするという合意もいたしまして、その合意はことしの三月から実施に移されているというようなことがございます。 したがいまして、今、半導体の分野において深刻な経済摩擦というのはございませんが、ただ、一昨年から昨年にかけて半導体が品不足になりましたときに、日本の半導体メーカーはその品不足に応じるために設備投資を積極的にやった、それからまた新しい設備を入れてもっと集積度の高い半導体をつくる設備投資をやろうとしたというようなことから、最近一時的に少し世界的に半導体の需要が落ちているというか、需要の伸びがとまっておりますので、そのためにやや過剰感が出てきて、それに対する懸念がアメリカ側から表明はされておりますけれども、ただ、それによって深刻な摩擦は至っているという状況ではないと思います。
○市川正一君 そうしますと、技術的にも日本は大いに進んできてはおるけれども、アメリカの方に一日の長がある。それから貿易面でも深刻な摩擦が生まれてはいない。にもかかわらず、なぜこの本法案が必要なのかというそこの問題なんですが、今、木下さんもおっしゃったように、アメリカの半導体産業を見ますと、現在需要が落ちている、需要が伸び悩みと、こうおっしゃったけれども、要するに供給過剰で不況状態を抜け切れていないということは、これは紛れもないんですね。 最近の資料を私も拝見いたしますと、半導体産業のアメリカにおける需給動向を見るに、これ御承知のブック・ツー・ビル・レシオですか、あの指標を、出荷額に対する受注額の割合を見ますと、八三年十二月に一・六六をピークにずっと下降して八四年八月についに一・〇〇、九月には〇・八四、八四年十二月には〇・五八までずっと落ちてまいりました。ちょうどその下降になっていくその過程でアメリカがチップ保護法の検討を始め、そして最低の時期に同法が成立したことに客観的に相似するんですね。こういうことから、私はこのアメリカのチップ保護法は、アメリカのチップ産業の不況対策をねらった法律という側面を持っていると思うんですが、この点どういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(木下博生君) 半導体はそのコストが過去十年間に急速に下がったということもありまして、その需要は毎年大きな勢いでずっと伸びてきましたし、今後も技術進歩により、またその需要分野が広がるに伴い需要は着実に伸びていく性質のものだと考えております。 昨年の秋からことしの初めにかけて、特にアメリカにおきまして需要が少し停滞しましたのは、言ってみれば、品不足の事態になると各需要家先とも争って物を買おうとする。それで一応供給が潤沢になったと思えば、そこで在庫補てんをやめるというようなこともあって在庫調整が起こったわけでございますが、今先生がおっしゃいましたBB比というのも一時〇・六四台まで落ちたものがまた再び回復しておりまして、私どもはアメリカの半導体に対する需要の停滞も一時的なもので、一種の踊り場的な状態にあったんだというふうに考えておりますので、不況が深刻だからその不況対策のためにこういう法律をつくる必要があったということとは私どもは全く認識をしておりません。
○市川正一君 若干の指標を見てみますと、アメリカの半導体メーカーが現実に不況対策を今とっております。インテルは七工場のうち二工場の操短をやり、従業員も九百人を解雇しております。テキサス・インスツルメンツは、週六日操業の工場は五日操業に、そして週五日のところは四日操業にいたしております。そして、去年の十二月には二千名を一時解雇、レイオフしているのですね。モトローラは、一万五千人を対象に一週間に半日ないし二日の帰休、千人の自然減と契約社員の解雇等々、非常に深刻な状態を私ども承知しております。 もちろん木下さんおっしゃるように、中長期的にはこれは一つのシェアを持っておりますけれども、しかし現実にはそういう事態。だから、私はこういう状況の改善を、とりあえずアメリカ側が在庫調整を進めるというもとで半導体チップ保護法が生まれているという側面をやっぱり指摘せざるを得ぬのです。 ということは、今のうちに技術競争力の面で優位を確保し、そして国内産業の振興を図るという点では、アメリカも日本も世界の市場の九割を確保しているわけですから、その点ではやっぱり利害は一致しているというふうに私は見ます。だからこそこの半導体に関する日米先端技術産業作業部会提言も、その前文で、「両国半導体産業の現状及び将来の発展の方向につき検討し、以下の確信を得た。」ということで、私はこの法案をその一つとして提案をされたという理解なんです。それは衆議院の審議の中で木下局長自身が、「世界の中で日米両国で九割を占めているということでございまして、両国の半導体産業が今後共存共栄して発展していくものというふうに我々は考えております。」、こう答弁なさっておることからもうかがい知れるところであります。 したがって、私は結論的に言うと、この法案の ねらいをやや比喩的に表現することを許していただくならば、日米半導体産業によるちょうどかつての国際石油カルテルの半導体版とも言うべきものではなかろうかというふうに思うんでありますが、そういう点での認識を大臣なり局長から伺えればと思います。
○政府委員(木下博生君) この法律の目的は、アメリカの半導体チップ保護法も同じでございますけれども、半導体のレイアウトを保護して開発者の利益を守る。したがって、逆に言いますと、新しい技術をもって新しい半導体を開発しようとする人たちに対して、保護の可能性を与えることによってそれにインセンティブを与えていくという考え方でございますから、むしろ新しい、性能のいい半導体の開発を促進して、その促進した結果、経済界全体がそれによって恩恵を受けるという形に持っていこうという考え方でございまして、決して既存のメーカー、既存の半導体産業だけがうまく話し合って世界全体に安定した状況をつくり上げようということを目的としたものではない、もう少しダイナミックな形で産業の発展を図っていくためのものであるというふうにお考えいただきたいと思います。
○市川正一君 じゃ時間が参りましたので、最後にレイアウト保護のあり方について一問お伺いいたします。 私は、本来すぐれた半導体回路のレイアウトの保護に決して反対するものではありません。しかし今回の法案の提出にはいろいろの問題をはらんでいると思うんです。 その一つは、この法案が国民的な視点での検討といいますか、そういう中から生まれたものではなしに、先ほど来指摘しておりますように、日米経済摩擦を背景としたアメリカのいわばお仕着せで立法されたという、そういう動機を非常に強く持っているからであります。 もう一つは、半導体回路のレイアウトというのはどういう権利なのか。これはまだ明確に国際的にもなっていないと思うんです。例えばWIPOですね、ここでも保護のあり方についてことしの九月から検討を始めることになっておるわけです。午前の質疑の中で大臣は、いやこの法案の方向とWIPOが出す結論というのは恐らく矛盾しないだろうと、こうおっしゃいました。それは私そうやろうと思うんです。だって九割を占めている日米が、同じ方向で既成事実、レールつくってしもうて、それでついてこいと言わんばかりのことなんですから、WIPOではそこで九割の軌道をつくってしまった。それはもう中進国のNICSなんかがいろいろ、我々をはみ出さすものだという苦情を言っておりますけれども、それはある点ではやはりそうだと思うんですが、もう時間が参りましたが、そういう点からも私はWIPOなどの検討も踏まえ、国際的コンセンサスの中で立法しても遅くはないと思うんでありますが、そういう国内的な合意あるいは国際的合意ということを踏まえて十分やはり進めるべきいろんな問題をはらんでいるということを指摘せざるを得ぬのであります。 こういうことについて、大臣なりからもしございましたらお聞かせ願って、私の質問は終わらせていただきます。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 この法律の必要性というものが、先ほど来政府委員からいろいろ申し述べておりますように、日米先端技術産業作業部会の提言に基づいていろいろな協議が日米間にあり、そして提案になった運びでございます。そしてまた事実、委員が御指摘になったように、現在世界の九割が日米で生産をされておりますから、したがって日米間でその合意が急速に進んだということは確かにその動機になったものでございますが、私は、委員御指摘になったようなカルテル的な志向があったとは思わないのでございます。ただしかし、いろいろと御識見をお述べになりましたから、その点はまたこれから勉強させていただきたいと思います。
○井上計君 質問の前に提案です。大臣も局長も大変な御努力でお疲れですから、私の質問時間十五分提供しますから、ひとつ休憩をしてください。
○委員長(降矢敬義君) 速記とめてください。 〔速記中止〕
○委員長(降矢敬義君) 速記を起こしてください。
○井上計君 同僚議員から詳細にわたって質疑が行われております。それを伺っておりまして、私がもう質問をすることは全くないなと、こういう感じがいたしますが、せっかくの機会でありますので、二、三ひとつ感じましたことをお尋ねをしてまいりたい、こう思います。 先ほど来伺っておりますと、我が国の半導体集積回路産業の非常な飛躍的な発展ということについてはよくわかりました。ただ、問題はこれからでありますけれども、産業の米と言われておりますし、また事実これからますます産業の米というよりも、もっと産業界における半導体集積回路の重要性が高まってくると思いますが、今後といいますか、将来見通し、何も五年、十年というふうな長期の見通しでなくて結構であります。少なくとも三年あるいは五年ぐらいの中期的な見通しをどのようにお考えになりますか、まずお伺いいたします。
○政府委員(木下博生君) 今、井上先生おっしゃいましたように、半導体集積回路産業は中核的な産業として今後ますます重要性を増してくると思いますが、昨年度は対前年度比七三%という非常に大きな伸びを示したわけでございますけれども、最近ちょっと一服ぎみでございますので、今年度は昨年ほどの伸びは期待できないと思います。ただ、中期的に見ましてここ数年間の伸びを予想いたしますと、やはり年率二〇%程度の伸びは十分確保できるんではないかというふうに考えております。
○井上計君 とすると、今回のこの法律、要するに保護法だと私は理解しておりますけれども、そのような伸びが見込まれる中で、やはりこの産業界というのは何といっても、先ほどからいろいろとお話ありましたが、大きな資本を必要とする、またそれについての蓄積された技術、能力といいますか、ノーハウを必要とするとなってまいりますと、大企業のいえば占有する産業分野ということになって、中小企業のあるいは中堅企業といいますか中小企業、中堅企業がこの産業分野に参入することは、これはどうも不可能かな、そんなふうな感じがするんですが、これについては局長、どういうふうなお考えをお持ちでありますか。
○政府委員(木下博生君) 確かに昨年度の半導体産業の設備投資額は七千億円にも達するということで、非常に大きな規模になったわけでございますし、一つの半導体集積回路を開発するのに、非常に難しいものであれば数億円かかるというようなものもございます。そういう意味で、相当大規模な装置産業的な形態を持っておるわけでございますけれども、今回の法律を制定していただくことによりまして回路配置の法的保護が図られ、回路配置の開発者の独自の努力の成果物が無体財産権として位置づけられるということになりますと、むしろ開発をやっていこうという意欲を促進するということになろうかと思います。 そのようなことでございますので、回路配置の開発メーカーの利益を守るとともに、他のメーカーにも適正な対価を支払うことによって開発された回路配置に基づく集積回路の製造販売を行うということができるわけでございますので、大メーカーのみならず、中堅メーカーの経営の悪化をそれによってもたらすようなことにはならないというふうに考えております。
○井上計君 どうも私素人でよくわからないんですが、局長そうおっしゃるとやや安心をいたしますが、そこで、じゃ今後この法律によって保護されることによって、何といいますか、積極的なといいますか、積極的な競争力というものが、いえば安心感といいますか、そういうふうなことによって停滞をして、今後の技術開発に阻害というか、技術開発が従来よりもさらにおくれる、そう いうふうな懸念というものは起きないんですか。
○政府委員(木下博生君) この法律によりまして開発者の利益が適正に保護され、また取引のルールができ上がるということになりますと、むしろ現状に満足するというよりも開発意欲を刺激するという効果の方が大きくなるんではないかと考えられます。と申しますのは、せっかく開発してもそれをまねられることによって開発した努力が無に帰すというようなことがなくなるわけでございますので、積極的に新たな立派な集積回路をつくろうというような意欲がわいてくるわけでございますので、むしろこのような法律がつくられることによって技術の発展に大きく資することになるんではないかというふうに考えております。
○井上計君 指定登録機関の問題については、これまた同僚委員からいろいろと御質問がありました。特に中立性あるいは公平性等々は十分に担保されておるかについては、これは御答弁がありましたから、私からお伺いしません。 ただ、そこで問題は、やはり指定登録機関が今後このような重要な産業についての大きな、何といいますか、権限を持つ機関でありますから、そこにやっぱり独立採算というものが絶対的に必要だということを感じますが、それが果たして可能であるのかどうかということ。 それからもう一つは、この指定登録機関は、事実上通産省の外郭団体としての機能を果たさなくちゃいかぬと、こう思います。現在の行政改革の中でいろいろと問題があろうかと思いますけれども、しかしやはり絶対的な信用される機関でなければこれまた意味がない、こう思いますが、と考えると、独立採算制で、絶対的に信頼をおける、しかも国内のメーカー、あるいは国内業界だけではなくて、アメリカからも対外的にも信用される機関ということになってくると、やはり財団法人という構想であるようでありますが、むしろ私は行政改革ということがありますけれども、必要なものは大いにつくるべきだという点から考えて、特殊法人の方が望ましいんではないか、こんな感じがするんですが、これはいかがですか。
○政府委員(木下博生君) まず最初の御質問の独立採算制の点でございますが、今後毎年どのくらいの登録が行われるかという見通しの問題等も絡んでくると思います。法案作成の過程でメーカーからいろいろ調査を、事情聴取をいたしますと、年間数千件程度の登録の希望が出てくるのじゃないかというふうに予想をしております。 それに対してどのくらい費用がかかるかという問題がありますので、具体的に一件当たりの登録手数料をどのくらいにするかという点をまだ今から研究しなくちゃならないことでございますが、例えば一件当たり一万円ぐらいの登録手数料であるといたしますと、数千件あって数千万円ということになってまいります。もちろん人もたくさん要るわけでございますから、私どもが考えておりますのは、全く独立の機関でこの事業だけをやっていくということになりますと、見込みどおりの登録がなかったりなんかしたときの採算上の問題もございますので、むしろほかの事業をやっておるそういう中立的な機関が、同時にこの事業もあわせ行うという形で、そのようなリスクを避けていく方がベターではないかというふうに考えております。それによって全体としての一般管理費等も下がってくるわけでございますので、そのようなことを私どもは考えておるわけでございます。 先生は、むしろ中立的な信頼のおける機関であるから特殊法人の方がベターではないかという御意見でございますが、このような事業を行うのに適する特殊法人がございますれば、その特殊法人に一緒にこの事業をやってもらうということも考えられるわけでございますが、私どもが今見回しているところでは、必ずしもそれに適する特殊法人みたいなものがない。そういうことになりますと、むしろ同じような種類の事業を行う可能性のある財団法人みたいなもので中立的な機関に、この仕事を指定してやってもらうということの方がより現実的ではなかろうかというふうに考えておりますし、またどちらかと言うと高度の技術的判断は必要といたしませんので、そういう機関に指定して依頼しても、十分に仕事をやっていただけるんじゃないかというふうに考えております。
○井上計君 よくわかります。ただ私は、これは取り越し苦労かもしれませんけれども、財団法人としてのやはり権限といいますか、また財団法人としての責任感というとおかしいですけれども、そこにやはりいろんな職員に対しての罰則規定等等もありますけれども、やややはり特殊法人の場合は多少違うというふうな例からして、いかがであろうかなという感じはします。 ただ、今局長がおっしゃるように、このようなものを扱うというか、似たような特殊法人がないということでありますから、現状ではこれは財団法人でいいかと思いますけれども、今後絶対的に発展することは間違いない、しかもますます指定登録機関の重要性が高まっていくというふうなことの中で、いろんな問題が起きてくるんではなかろうかなという――これはわかりませんが、そういう推定の中で、将来の問題としてはやはりそういうふうなことも考える必要があるんではなかろうか、こういう感じがしております。 同時にまた、この登録機関の性格からして、何といってもやっぱり優秀な人材が必要である。とすると、この登録事務の実施者ですか、今特別高度の技術は必要でないというお話がありましたけれども、やはり私はかなりの人材でなくちゃいかぬ、そういう人材が果たして財団法人組織の中で集まるのかなと、実はこんな懸念もするわけですね。 それからもう一つ、その人材が特定のメーカーの出身者であったんではこれまた幾ら中立、公平といっても外の見る目はやはり曇ってくると、こういう懸念も起きるんではなかろうか、これらを考えますと、そういうふうなことも考えていったらどうであろうかということと、もう一つは、何といっても今後の発展等予知できないようなものがあろうと、こう思いますから、この法律そのものは成立したとしても、これが今後三年、五年というふうな中で、金科玉条的なものでなくて、試行錯誤というとちょっと言い方は悪いんですけれども、やはり変化に対応して改正をされるべき法律だと、こういう感じがするのですが、これはいかがですか。
○政府委員(木下博生君) 指定登録機関のあり方あるいは運営の仕方等について高い御見識に基づく御意見を賜りまして、非常にありがたく存じております。 私どもが今後法律が施行されますときに、指定登録機関をどうするかという点につきましては、先生のお話等も十分頭に入れさせていただきまして、その運営がおかしくならないように十分配慮していきたいと考えております。 それから人材の点につきましては、確かに先生おっしゃいますように、特定のメーカーで経験のある人がその衝に当たるというのは適切でない、中立性、公平性に反することになろうというふうなことを考えておりますが、一方、それでは半導体の知識を十分持っている人がいるかというようなことになってくるわけでございますけれども、日本におきましては、特定のメーカーに関係しなくても半導体の技術について十分に知識を持ち、経験のある方もおられるわけでございますので、そういう方の中から少数精鋭主義で立派な方を見つけ出して、この運営を適正にやっていきたいと考えております。 それから、御指摘のように、この半導体というもの自身が非常に動いております、非常に進歩の速い分野の産業、それから製品でございますので、そういう進歩に合わせ、技術発展に合わせまして、将来必要であれば、その法律の中身についてもまたよりよいものに持っていくということは考えていく必要があろうかと考えております。
○井上計君 それらの点については、十分ひとつ御検討いただけるものと、こう考えますけれども、あえてひとつ、そういうふうな危惧を若干実は持つようになった、いい意味での危惧といいますか、今後の問題としては、私は必要があれば、 朝令暮改というとおかしいですけれども、やっぱり法案の中身というものが改善をされることが必要であろう、こういう感じがしております。 最後に、これは大臣にお伺いしたいのですけれども、この半導体分野において、日米間の相互協力というものが絶対にますます必要であろう、重要度が加わってくる、こう思います。共存の必要性ということを考えますときは、そこで午前の福間委員からの御質問の中にちょっと出ておったようでありますけれども、アメリカは何といってもやはり軍事目的といいますか、軍事機器の発展にこれが即応し、対応する形でどんどん研究が進んでいる。そこで日本とは若干目的が違うということがありますが、それらの問題等について今後国内に異論が起きないように、十分やはり明確にしておいていただく必要がある、これが一つ。 それからもう一つ感じますことは、今アメリカと日本とで九〇%のシェアを持っていると、こういう先ほど来お話がありました。とすると、アメリカと日本でこのような法律ができた、できることによってEC等の先進工業国との間にこれがさらに格差が生じてくるというふうなことからして、ECとの間に別のまた問題、一種の摩擦ですね、これが起きるんではないかなと、こんな感じがしておるんですけれども、それらについてどうお考えでありますか、大臣あるいは局長からひとつお答えをいただきたい。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 半導体分野というのは、ハイテク産業、特にエレクトロニクス産業を支える重要な基盤をなすものでございまして、今後世界的に見てますます拡大をしていくだろう。そして現状は、御指摘になりましたように日米で大体九〇%を占めておりまして、特にアメリカが非常に先進国でありますが、日本も一生懸命努力をすることによって、まさに世界の中で一番進んだ二つの国になったわけでありますが、御指摘のようにアメリカの場合は軍事目的というものに使用される場合もきっと多くありましょう。しかし、日本の場合は平和国家という理念に徹しておるわけでございまして、実はほかのところでも御質問がありましたけれども、本来そういう軍事目的に使用されるということは全然考えていないわけでございます。したがって、井上委員御指摘の点は、汎用品であるものがそういったものに使われないように十分注意してくれということも含めてのことであると思いますが、よく御指摘の問題はわかりますので、注意してまいりたいと思います。 それから、日米がこういうふうに進んでおりますから、ヨーロッパ等において、日米だけでそういったふうに進めていくことに対する格差が広がっていく、これはもう非常に重要な問題だと思いまして、私どもが担当しております四極貿易大臣会合でも、日米の関係が非常に緊密であって、日本がヨーロッパよりもアメリカを重要視するようなことはひとつしないようにしてくれと、そしてまたECを通じてヨーロッパとの貿易をコントロールしてくれというような要望がしばしば出されております。 これはもうまことにヨーロッパ側としてはもっともな指摘であると思うのでございまして、ハイテク産業のまた半導体分野の産業の進展についても、今この法律案を提出する意図は、先ほどもお答えいたしましたように、日米だけでそれをカルテル的に独占しようというようなものではなく、世界的にこういった成果を利用して世界の発展のために資したいと、こういう考え方でございますから、よく貿易大臣会合あるいはその他の場を通じ、ECにもそういったことを理解をしていただきましょう。また私ども貿易関係、通産関係の担当者として、心して進めてまいりたいと思います。
○井上計君 大臣のお答えでよくわかりました。ただ、今大臣お答えの中で、私が申し上げた、アメリカでは当然これが軍事目的に利用されるであろう。また特にアメリカは、軍事目的、軍事用の機器をさらに性能をよくするためにこういうふうなものの産業についての技術開発がさらに進むのはこれは当然だと思うんですね。したがって、その点今後我が国とアメリカとの技術交流あるいは共存のためのいろんな産業界の交流等によって我が国の技術がアメリカへ行って、それが軍事目的に使われるということがあっても、それは私は当然だと、またやむを得ぬことだ、こういうことなんです。 ただ、我が国の場合、それは今まで一部には、汎用品であってもけしからぬ、技術供与もけしからぬというふうな論議はありますけれども、今後のやはり我が国の枝術開発、さらに発展のためには、そういうふうなものがあっても、それは我が国としては先方のこと、いたし方ない、知らないことであるが、だから我が国の技術とアメリカとの技術交流が問題になって、我が国の技術開発がおくれるということがあってはいけない、こういう意味申し上げたわけでありますから、その点ひとつ、大臣のお答え、ちょっと私の申し上げたのと若干大臣の御理解違ったかと思いますので、念のために申し上げておきます。 それから、これはさっきちょっと政府関係の方に伺いますと、半導体製造設備の耐用年数が、特例でありますけれども五年だということを伺いました。これはかねがね通産大臣非常に御努力いただいておりますけれども、各産業の現在の我が国の耐用年数というのは、やはりアメリカに比べて、あるいは西ドイツ、フランス、イギリス等に比べて非常に長い。その中で五年というのは特例で短いと言えますけれども、この産業界のことを考えると五年も決して短かくない、長いのではないかなという、こういう感じもするわけでありますし、また今後こういうふうな半導体回路ますます進歩する中で、ほとんどの機械があるいは製品が半導体を使うわけですから、とするとやはり現在の我が国の機械等の耐用年数はやはり長いと言わざるを得ない。そういう意味で今後とも大臣、通産省、ぜひ従来以上に機械設備の耐用年数の短縮については御努力をいただかなくちゃいかぬな、こんな感じが改めてしておりますので、これをひとつお願いをして、時間がありますけれども私の質問は終わります。
○国務大臣(村田敬次郎君) ちょっとお答えします。 前段の御指摘よく承知をいたしました。それから耐用年数の問題は、本会議等でも井上先生から御指摘をいただいておりまして、これは大変重要な問題でございます。今後も耐用年数の問題は、ことしの場合は、印刷機械だけ短縮をいたしましたのですけれども、慎重に対応してまいりたいと思います。
○井上計君 終わります。
○木本平八郎君 これ毎度のことなんですけれども、私いつも一番最後なものですから、全部同僚委員に質問されてしまいまして、もう全然残っていないんです。十六ぐらい用意してあるのを、今も私、耐用年数の問題とヨーロッパのカルテルの疑いの問題、これ取っておきで質問しようと思っていたら、また井上先生に先にやられてしまってもう何も残らないんです。それで、実は私きょうも出入りしてましたんで、あるいはほかの委員から質問があって既にお答え済みの件も多々あると思うんです。そういうときには、前にも質問がありまして答弁いたしておりますがということで、もう簡単に、木で鼻をくくったような答弁で結構ですから、次々とやっていって、時間が早ければ早い方がいいと思うんです。 それで、まず私がお伺いしたいのは、例えば問い八というのは、本法案が成立すれば米国において我が国メーカーの回路配置は保護されるかというふうな問いかけをしているわけです。これについては多分いろいろ質問があったと思うんですけれども、これに関連して局長にもお伺いしたいんですけれども、それまで局長はやっておられるかどうか知りませんけれども、私日米の格差、今アメリカが六割で日本が三割というこの差は、もう時間の問題で、どんどんどんどん縮まちゃって、いずれ本当に数年の間にはシェアが逆転しちゃう んじゃないかと思うんですけれども、そういう傾向についてはどういうふうにごらんになっていますか。
○政府委員(木下博生君) 最初の御質問のアメリカにおける日本の半導体の保護の問題でございますけれども、アメリカの半導体チップ保護法によりますと、アメリカにおいて最初に商業的に利用されたものはアメリカで保護されるということになりますので、日本のメーカーが使ったものでも、アメリカにおいて最初に商業的利用を始めたものであれば保護を受け得るわけでございます。それが一つございます。 それから、日本で開発され、日本で利用されているものがアメリカに輸出されていった場合に、それが保護を受けるかどうかという点についてでございますけれども、これはアメリカの法律に基づいて二つの考え方がありまして、一つは日本においてそういう立法措置が講ぜられていない時点において、そういう立法措置をしようと努力をしているかどうかという点を商務長官が判定するかどうかという問題がございまして、これは昨年の暮れ以来私どもといたしましても、日本政府といたしましても、また日本の業界といたしましても、日本側としては今度の国会に法律を出して、それで同じような保護立法をしようとしているんだからということを説明いたしまして、そういう意味での了解を求める働きかけはやっております。現在アメリカの商務省で公聴会をやったりいたしまして、日本のそういうメーカーの半導体について保護するかどうかという点の結論を出そうというところでございます。まだ結論がどういうふうになるかは私どもわかりません。 それからまたこの法律を通していただきました暁におきましては、今度は大統領命令によって、アメリカと同等の、実質的に同等の保護をしている法律がある国の場合には、当然その保護を受けられるというようなことになってくるわけでございまして、それは当然私どもとしては、今回の日本の法律の内容が、幾分か違うところはありますけれども、ほぼ内容的に同じでございますので、保護を受け得るものであるというふうに考えておるところでございます。 それから二番目の御質問でございますが、アメリカが六割、日本が三割、三割といっても三割弱のシェアを今占めている段階でございまして、確かに過去の趨勢を見ますと、日本の生産がどんどん伸びてきております。ただ、伸びてきております分野はどちらかといいますと、半導体には二つありまして、MOS型というのとバイポーラ型というのがありますが、そのMOS型という半導体の、しかもどちらかといえば記憶素子中心の半導体でございます。 もちろん最近は、日本のメーカーも論理素子、ロジック回路の方についても非常に力をつけてきておりますので、今後大分状態が変わってくると思いますけれども、そのようなところでございまして、日本の製品の輸出の伸びの方が、アメリカの製品の日本への輸出よりもはるかに速い勢いで伸びておるということで、アメリカ側を若干警戒させている面はございますけれども、ただ、それでもまだアメリカのマーケットの中に占める日本製品の割合は一六%ぐらいというようなことでございまして、アメリカのマーケットの方がはるかに日本より大きいということもありますので、ここ当分はまだアメリカが生産量的には優位を続けるんではないか、ただ徐々にその差は縮まっていくということは考え得るだろうと思います。
○木本平八郎君 これは私は、第二の自動車になるだろうと思うんですね。こういうものでまた日本がアメリカを凌駕してくると、非常に問題がまた貿易摩擦が出てくるんじゃないかという気がするんですね。ここだけの話だって、これ言ってしまえばだめなんですけれども。もうできるだけ早い機会に、やはりアメリカで現地生産をできるだけ指導して、そしてソフトウエアというんですか、ノーハウというんですか、そういうロイヤリティーとして日本が取るような、それで先ほど、けさほどの質問にもありましたけれども、こういうようなのは非常に労働者の質がよくなければいかぬということがあるわけですね。ところが現実その辺まで、私ちょっとわからないんですけれども、ほとんどは今後ロボットがつくっていくようになってくるんじゃないかと思うんですね。そうすると、そういう生産ラインの設計さえしておけば、アメリカでも十分にやれるんじゃないかという気がするんですがね。その辺の見通しはどうでしょうね。
○政府委員(木下博生君) アメリカの半導体企業も日本にテキサス・インスツルメンツを初めといたしまして、たくさんの企業が日本に進出して半導体をつくっておりますし、また今先生おっしゃいましたように、日本の企業もアメリカに進出して半導体の製造等始めております。 それで従来は、半導体の製造設備はどちらかというとアメリカ製のものが多かったわけでございますが、最近は日本製でもいい機械ができてきたというようなこともございまして、そういういい機械を使って生産をやるということになりますと、決して日本だけで生産をやる必要もなくなってくるわけでございますので、当然の方向といたしまして、日本の企業もアメリカあるいはヨーロッパに進出していって、現地生産をふやしていくということになろうと思いますし、そういう形でやっていくことが、先生の御指摘になりましたように、将来の貿易摩擦を未然に回避するということにもなろうかと思います。
○木本平八郎君 今おっしゃいましたように、私は理想的に言えば、メキシコとかブラジルとか、そういったところにも進出して、そして日本のレイアウトとノーハウと、そして機械設備その他で、あとはもうエンジニアだけで全部やらせると。それで向こうから、ブラジルからアメリカ向けの輸出、メキシコからアメリカ向けの輸出というふうにしてしまえば、そういう問題が回避できるんじゃないかと思うんですけれども、とりあえずは、私はやはりヨーロッパにそういうものをやって、ヨーロッパから輸出させるということが必要なんじゃないかと思うんですね。 それで、これはこういうものだけに限りませんけれども、最近私の友だち、向こうの連中なんかの話では、この例えはいいかどうかは別にして、日本の国会みたいに与党がおって、それで野党が連合していたと。ところが、その中から一人先駆けて与党とくっついた、アメリカとくっついたというふうに見られているんですね。それで、日本は何か裏切ったというふうにヨーロッパから見られている面があるわけですね。本当はお前たちはおれたちの陣営で共同してアメリカに戦わなきゃいかぬのに、何だお前抜け駆けしやがったというふうな見方をしているんですね。 特に、私これ見ていましてね、この素子の分野も彼らから当然そういうふうに見られるだろう。それで、先ほど井上委員から質問がありましたように、ヨーロッパ側は日米のカルテルじゃないかと見ているんじゃないかというふうななにがありましたね。私はもうそれは完全に見ていると思うんですね。見ていて、それをどういうふうにして回避していくかということを考えた場合に、やはり日本の企業が向こうへ進出して、向こうのレーバーを使うと、余りたくさんは使わないわけですけれどもね。向こうのオリジンとしてアメリカへ輸出させるようなことを考えていかなきゃいかぬのじゃないか。 今までは日本もいわゆる自由競争ということで、どなたかの好きな言葉で民活、民活とおっしゃっているけれども、民間に任しておいて世界にどんどん競争させたわけですね。しかし、こういう素子の段階になってくると、本当にやはり戦略的に行政指導をして、業界と話し合ってですけれども、やっていかないと、すぐ自動車問題と同じようなステージになるんじゃないかという気がするんですがね。その辺、フィーリングだけで結構ですから、所感をお承りしたいんですがね。
○国務大臣(村田敬次郎君) ヨーロッパ産業、アメリカ産業、日本産業、サミットでも感じたことですし、それから四極大臣会合でも感じるんです が、EC全体を合わせれば非常に大きな面積、それから人口、それから生産規模を持っているんですね。ところが、四極会合ということで、アメリカと対応し、ヨーロッパと対応してみると、活力という点では、EC全体の活力がやはりアメリカに比べればずっと低いという感じがいたします。したがって、今木本委員の御指摘になりましたECというものの立場をよく考えて、例えば半導体についてもいろいろの設計が必要でないかというのも一つの私は御見識だと思います。 例えば、今度でも、ヨーロッパの中で中華を自負しているフランスというのが非常に独自の立場をとりたがる。アメリカに対抗し得るのはフランスしかないというような誇りが背後にあるんでしょうか。あれほどミッテラン大統領がサミットである種の独自の立場を主張して、サミットの中では孤立した観があったんですが、フランスの世論はミッテランを支持している面が多かったと新聞紙は伝えておりました。これはわかりません。わかりませんが、そういったような気分もあり、ヨーロッパの対応というのは非常に難しいんだと思うんです。したがいまして、そういった今木本委員の御指摘になった点も、一つの御見識として検討しなければならないと思います。 それから民活、日本の場合は今政府にお金がないわけですから、どうしても民活、民活と言って、それによってこれからの活性化を図っていくという総理のお考えというのは、私は非常にすぐれておると思うんです。半導体分野の今後のあり方というものは、アメリカの産業のあり方、日本の産業のあり方、ヨーロッパの産業のあり方というものをよく見ながら、カルテル的にとられないように、本当に一割国家あるいは国際国家としての日本の責任を果たすような方向で検討をし、進んでいくべきだと、こういう認識を持っております。非常にこれは御質問自体がグローバルでございますから、お答えはますますグローバルになりますが、よろしく御理解願いたいと思います。
○木本平八郎君 非常に高次元の御答弁で、非常にありがたく拝聴いたしました。 それで、局長にちょっとお聞きしたいんですけれどもね、先はどメモリーはアメリカだと、それで回路は――逆ですか。日本は記憶素子ですね。ロジックの方はアメリカだというふうなことがありましたけれども、例えばMOS型は日本だったわけですね。ところが、全然別の、私ちょっと勉強不足なんですけれども、例えばキロビットのLSIとかああいうなにで分けますと、日本は最近もう今二百五十六キロビットに入ってきているわけですね。その辺の先端性ということについては、アメリカと日本の競争状況というのはどういうふうになっているんです。
○政府委員(木下博生君) 今先生御質問にありましたように、日本の半導体はどちらかと言えばMOS型で、しかも記憶素子の分野に強いということでございますが、もう一つの型であるバイポーラというのは比較的計算スピードが速いということで、その速いスピードを使っていろいろの計算をやるのはそのバイポーラ型でやった方がいいというようなこともあって、従来そういう考え方というものが行われてきておったわけですが、最近はMOS型においても計算スピードを速く上げることができるようになってきたというようなこともありまして、今日米企業間でいろいろとしのぎを削っているという状況ではないかと思います。 ただ、ロジック計算をするマイクロプロセッサーというようなものについて言いますと、例えば一つの例ですが、日本の日本電気という会社が最近発表しましたパーソナルコンピューターでも、そこの計算部分のICはアメリカ製のものを使っているというようなことがございまして、まだアメリカ側の企業に有利な面もあろうかと思います。 ただ、記憶の部分だけについて言いますと、一つの六、七ミリ角の中に入れる記憶素子の量を高めるという点についてだけ言いますと、日本の方が非常に早く二百五十六キロビットのラインまで進んできたということが言えますが、ただ非常に最近は著しい現象として出てきておりますのは韓国でございまして、韓国においても既に二百五十六キロビットの製造設備をつくって製造に入ろうとしているというような面がありまして、一たび休めばこれはすぐにほかの国に追い越され、引き離されてしまうというような分野ではないかと思います。
○木本平八郎君 それで、またちょっと、何もわからないものですから、もう一度もう少しお聞きしたいんですが、逆に非常におくれているという三十二キロビット以下のこの辺の商品についてのいわゆる日本の国際競争力ですね、値段の点で今アメリカと韓国なんかに比べて、それはどの辺になっているんでしょう。
○政府委員(木下博生君) ちょっと、その値段の点における競争力という点についての資料をこちらに持ち合わせておりませんけれども、最近よく新聞等で言われておりますのは、二百五十六キロビットのメモリーの素子が、去年は三千円とか四千円とか言われていたものが、既にことしに入って市場では千円以下で売られるようになってきたというようなことが言われておりますし、それからまた六十四キロビットについても二百円台とか三百円とかという値段で売られていると言われております。 これはメモリー量にしますと二百五十六キロビットと六四Kとは四倍の開きがあるわけですから、千円以下で売られれば、六四Kの場合は単に比較するだけで言えば二百五十円でちょうどいい値段のつり合いになるわけでございます。ただ、物といたしましては、もし記憶容量当たりの値段が同じだといたしますと、むしろ記憶容量の高い方のチップの方が使いやすいということもあるようでございますので、そういうことになると雪崩を打って二百五十六の方に行ってしまうというようなことがあるようでございます。その近所は今、少し供給が需要を上回っているような一時的な状況でございますので、値段競争が非常に厳しいものがあるというふうに業界の人たちは言っているようでございます。
○木本平八郎君 私も知識不足で、ちょっと非常に質問でフォローできないんで申しわけないんですけれども、私の言わんとするところは、この半導体の業界も、私は先ほども言いましたように、できるだけ早い時期に自主規制のようなものをもう考えておかなきゃいけないんじゃないかという気がするわけですね。例えば、今値段をお聞きしたんですけれども、三十二キロビット以下はもう日本じゃつくらない、必ずそれは輸入するんだと。これはまあ需要がそういうもので間に合うとか、そんなにハイスピードのものは要らないんだとかという商品もあると思うんですね。そういうものをやっぱり国際分業的に、やはり日本はそれつくらずにもうそれはどんどん輸入しますと、まあこういう貿易摩擦のあるときだからということで、日本のメーカーが納得するかどうかもありますけれども、今やっている十社ぐらいは、そういう低い方よりもっとハイスピードの方に向かっているんじゃないかと思うんですけれども、そういうふうな国際分業に持っていくという可能性はどうなんでしょう。
○政府委員(木下博生君) 集積度が低くなれば、その集積度が低くなる以上にコストが安いということであれば、そういうことが起こるのかもしれませんが、半導体の場合には、むしろ過去十数年来集積度を上げる形で競争をし、しかも集積度を上げることによってコストを大幅に下げてきたという歴史の連続でございます。 したがいまして、十年前には一キロビットぐらいのものが千円もしていたものが、今や二百五十六キロビットでやはり千円以下というようなことになってきているわけでございますから、そういうメモリー当たりの単価ということになると二百分の一にも下がってきたというようなことでございまして、むしろ新しい、集積度の高い、能力の高いものができてくれば、むしろ古い、集積度の低いものは市場から駆逐されてしまうというような、ある意味では非常に業みたいなものがこの半 導体の産業分野にはあるわけでございまして、過去の例を見ましてもそういうふうに、新しいものが出てくれば古いものはどんどん消えてしまっているという状況でございますので、そういう分野について、発展途上国には低いものを分担させ、集積度の高いものは日本がやるというようなことはなかなかこの分野では実現できないんではないかと思います。
○木本平八郎君 確かにこの半導体というのは、何ですか、エクスペリエンスカーブの典型的な例としてしょっちゅう挙げられるわけですね。累積生産量が倍になるとコストが二〇%ほど低下するとか、そういう例に挙げられる商品ですから、確かに今局長のおっしゃったように、集積度の高いものができればどんどん古いのは駆逐されていくということは確かにそうだと思うんですけれどもね。 そこで問題は、今アメリカとの問題、まあ少々ヨーロッパの問題もありますけれども、今後日本にとって非常に大事であり脅威なのは、やはり中進国の製品だと思うんですね。今、日本の製品がアメリカでどういうふうに保護されるか、アメリカの製品が日本でどういうふうに保護されるか。まあこれは今非常に大きなマーケットであるからいいんですけれども、この後すぐ中進国の製品が日本市場とかアメリカ市場を荒らすというか、そういう可能性は十分にあると思うんですけれども、その辺の脅威はどういうふうにごらんになっていますか。
○政府委員(木下博生君) 最近の特にアジア地域における韓国、台湾を初めとする発展途上国の工業化の勢いというのは非常に強いものがございまして、いろいろな分野において日本の産業が追い上げを食っているということはあるわけでございます。したがいまして、この半導体の分野についても将来はそういうことは出てくるだろうと思いますが、まあ私ども考えますのは、むしろそういうものがあって輸入品があれば、安くていいものがあれば、それはどんどん買っていったらいいじゃないかと、そのかわりに、日本の企業はもっと高度のものに特化していって発展を続けていくという必要があろうかと思います。そういうことで、追い上げられてしまうから、こういう分野ではもう日本の産業の行く道がなくなるということにはならずに、むしろ今の日本の企業の技術力からいえば、もっともっと先の方に進んでいく可能性を持っておるんではないかと考えております。
○木本平八郎君 ただ問題は、こういう保護立法、まあ後でなにしますけれども、条約がないと彼らはそういうものを組み込んでくるという可能性が十分にあるわけですね。先ほどのなにがありましたけれども、日本では十大メーカーはプライドを持っていますから、昔のようにお互い同士がまねしたり盗み合ったりということはもうなくなっていると思いますけれども、その中進国と言われる方は、ちょっとその辺では自信が持てないんじゃないかと思うんですよね。その辺はどういうふうになるんですか。
○政府委員(木下博生君) 確かにそういう国から日本品を模倣したものあるいはそれに類するものの輸入というのがいろいろな分野であるわけでございます。そういうこともありまして、この法律はまさにそういう点をも防止するということを一つの目的としておるわけでございまして、半導体集積回路の利用、回路配置の利用権というのは、製造、販売、輸入ということで言っておりますので、輸入について、日本で日本の企業が開発した、日本で権利を持っている半導体集積回路について、それを模倣して生産したものが入ってくれば、それは輸入する段階で押さえることができるというようなことで、そのような行為を防止することが一つの目的になっているわけでございます。
○木本平八郎君 今、その場合、日本の場合はいいんですけれども、例えば日本のメーカーのものを東南アジアのある中進国がまねをして、そしてその製品をアメリカへ持っていった場合、アメリカ側でやっぱり押さえられるわけですね。
○政府委員(木下博生君) 日本の集積回路の権利がアメリカで認められている場合には、アメリカの市場においてはそれを押さえることが可能になってくると思います。ただ、第三国でまねしてつくられ、それが日本、アメリカ以外の地域に輸出されてしまうとそこはどうしようもないということになってまいりますので、私どもとしてはできるだけ、日本とアメリカが法律をつくるだけではなくて、国際的に条約をつくって各国で同じような保護の仕方をしていただくようにしていく必要があろうかというふうに考えております。
○木本平八郎君 その条約の検討というのはアメリカでやられていると思うんですけれども、主としてどの段階まで、どういうステージで、例えばそれが成立するとすればいつごろの見通しなのか、これは見通しですから狂っても結構なんですが、その辺のフィーリングをお聞きしたいんですが。
○政府委員(木下博生君) ジュネーブに世界知的所有権機関というのがございまして、WIPOというんですが、そこで従来から半導体のチップの保護の問題についても検討がなされておりまして、この秋からも具体的にどのような保護をやっていったらいいかという検討を進めることになると思います。ただ、当然のことでございますけれども、こういう種類の国際機関で一つの国際条約をまとめ上げるためには、相当の年月を要するんではないかと考えられます。
○木本平八郎君 それで、もうそろそろ最後の質問にしたいんですけれども、要するにこういう保護法を日本、アメリカあるいはヨーロッパでやっていくということは一番必要なことなんですけれども、やはり今後の問題考えますと、そういう中進国をいかにここにうまく巻き込んでいくかということが大事だと思うんですね。その辺で何か名案みたいなものが、例えばこれはちょっと乱暴なんですけれどもね、例えばODAとひっかけて、こういうところにちゃんと入らないと日本としては余りそういう援助はできませんとかね、まあ少し乱暴なんですけれども。何かそういうふうな、積極的に彼らをここへ加盟さしていくような方法というのは何かありそうですか。
○政府委員(木下博生君) 実はアメリカの通商法の中には、外国においてそういう知的所有権を保護するような体制が整っていないような国に対して、例えば特恵を供与するのをやめることができるというような条文が入っておる規定があるわけでございます。 ただ、日本といたしましては、発展途上国との間の友好的な経済関係を考え、それで経済協力を進めていかなくちゃならぬ立場にあるわけでございますから、そういうペナルティー的なものをもって強制していくよりも、むしろ話し合いでできるだけ、それは共同の利益になることだからということで、同じような立法措置をそういう国でやってもらうとか、あるいは条約の制定に協力してもらうという格好でやっていきたいと考えております。
○木本平八郎君 最後に、この業界十社、私全然メーカーの意向も聞いていないんですけれども、彼らが、これに対しては非常に待ちわびていると思うんです。今後こういうものができたときに、日本のメーカーとしてどういうふうに一致協力してお互いの利益を守りながら、日本全体として、あるいは世界全体の半導体産業をどういうふうに取り組んでいこうと考えているのか。 それで、まあ大臣としてはその辺、どういうふうに行政指導というんですか、指導なさる御方針なのか。その辺をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(木下博生君) まず私の方からお答え申し上げますが、日本の産業界は、このような開発者の利益が適正に守られる法律の制定を非常に強く望んでおりまして、これは日本の国内のみならず、日本からアメリカに輸出する場合についても、それによってアメリカにおいてその権利が保護されるということになるという意味でも待ち望んでいるわけでございまして、したがって、今後 は日本の業界としては、お互いにこれは協調するというよりも、むしろそのような権利保護の思想をお互いに頭に刻み込んで、むしろ大いに新しい製品の開発競争をやっていくべきものだというふうに考えております。
○国務大臣(村田敬次郎君) ずっといろいろ御質疑いただきましたように、まさにこの半導体チップの分野は新しい産業分野である。そしてまた非常に伸びる産業分野である。いろいろな意味で考えていかなければならない点がたくさんあるわけでございます。まあ委員は、第二の自動車産業になりはしないかというような危惧も示されましたが、これからの半導体分野の発展というものにとってこういう規制の仕方というものは非常に私はプラスだと思うんです。それによって権利保護をすると同時に、業界全体が発展をするようにしていく。したがいまして、まずは日米の協調ということでありますが、ECをも含めて、あるいは中進国をも含めて、この条約関係が進展をするようにいろいろと配慮をしてまいりたい、そのための労を惜しんではならないと、このように考えておる次第でございます。
○委員長(降矢敬義君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○市川正一君 私は、日本共産党を代表し、半導体集積回路の回路配置に関する法律案に対し、反対の討論を行います。 もとより我が党は、かねてから、知的所有権保護の重要性を強調するとともに、知的活動の成果が、人類の財産として活用され、技術や産業の振興、ひいては国民生活向上に資するものとなることを主張してきたところであります。 しかし、本法案で提示された半導体回路配置の保護には、以下のような重大な問題点を指摘しなければなりません。 第一に、国民的論議や合意もないままに制定されようとしていることであります。回路配置を保護の対象とするかどうかという法案の大前提となる問題をめぐって、一製造業界の製品の一形態について保護法をつくることの是非、隣接する特許法、著作権法との関係など、さらに検討すべき問題をはらんでおります。 もともと我が国において、本法案のようなものを早期に制定せよという世論は全くなかったばかりか、国際的に見ても国連の世界知的所有権機関において、本年九月から検討に着手しようとしている段階にあります。このように新しい法律であるだけに、早計な立法化を急ぐのでなく、国民的な論議や検討こそ重視すべきであります。 第二に、これが経済摩擦を背景にしたアメリカの圧力に対応するために策定されたものにほかならないことであります。 昨年十一月、世界に先駆けて制定されたアメリカのチップ保護法では、相互主義がうたわれ、同様の保護法を持たない国の半導体製品や応用製品は保護しない、違反のあった場合には損害賠償請求や差し押さえ、没収の対象にするとさえされております。こうした背景のもと、本法案は対外経済対策の目玉の一つとされているように、アメリカの要求に対応するためのものであると言わざるを得ません。 第三は、この法案によって守られるものは、米日の大手ICメーカーの利益の独占そのものにほかならないことであります。 世界のIC生産は、六割をアメリカ、三割を日本が占め、しかも、その圧倒的部分は日米両国の大手大メーカーであります。したがって、この法案が回路配置保護の名のもとに保護しようとしているのは、必然的にこれら米日の巨大ICメーカーの特権と、それによって生じる創業者利益の確保にならざるを得ません。 このことによって、先発者が特権に安住する一方、NICS、いわゆる中進国からの日米による締め出し策だという批判にも見られるように、後発メーカーや中進国、後進国での新規の開発が困難になるなど、技術と産業のつり合いのとれた進歩を阻害するものとなりかねないものであります。 以上のような問題点を持つ本法案については、真に国民的合意に基づく制度確立に向け、検討し直すことを強く要求し、反対討論を終わります。
○委員長(降矢敬義君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 半導体集積回路の回路配置に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(降矢敬義君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、梶原君から発言を求められておりますので、これを許します。梶原君。
○梶原敬義君 私は、ただいま可決されました半導体集積回路の回路配置に関する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 半導体集積回路の回路配置に関する法律案に対する附帯決議(案) 半導体集積回路が果たしている役割の重要性にかんがみ、政府は本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、回路配置利用権の設定登録制度の適正な運用を図るため、指定登録機関の指定に当たっては、登録事務の公平性・中立性が十分確保されるよう配慮するとともに、回路配置原簿・添付資料については、その保管の安全確保についても万全を期すること。 二、半導体集積回路産業の健全な発展を図るため、半導体集積回路の回路配置創作者等の権利が国際的に保護されるよう、半導体集積回路の先進国として積極的に各国と協力し、新たな条約締結等に向けて努力すること。 三、半導体集積回路は、将来において産業経済、国民生活上、一層その重要性を増すと見込まれるため、基礎研究の蓄積、自主技術開発力の向上、研究員の質及び層を高める等、基礎・応用研究の充実・強化に努めること。 右決議する。 以上です。
○委員長(降矢敬義君) ただいま梶原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(降矢敬義君) 多数と認めます。よって、梶原君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、村田通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村田通商産業大臣。
○国務大臣(村田敬次郎君) ただいま御決議をいただきました附帯決議については、その御趣旨を尊重して、遺憾なきを期してまいる所存であります。
○委員長(降矢敬義君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(降矢敬義君) 次に、中小企業技術開発促進臨時措置法案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。村田通商産業大臣。
○国務大臣(村田敬次郎君) 中小企業技術開発促進臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 昨今の中小企業をめぐる環境を見ますと、技術革新が急速かつ広範に進展し、技術の細分化、複合化傾向が増大する一方で、国民ニーズの多様化、高度化、短サイクル化の傾向が強まっています。このような環境変化は、中小企業がみずから積極的に技術開発を行い、その技術力の飛躍的な向上を図るとともに、これを生かして新たな事業分野の拡大や生産工程の合理化等を実現する機会を著しく増大させるものと言えます。しかしながら、依然として中小企業の技術開発活動及びこれを支える基盤は脆弱であり、これを放置した場合には、せっかくの機会を逸することになるのみならず、我が国産業技術の調和ある発達が阻害されることになりかねません。このため、技術開発の進展に即応した中小企業の技術開発を促進し、その技術開発力を涵養することにより、我が国の今後の発展の牽引力となるべき活力ある中小企業を育成していくことを主眼として、本法案を立案したものであります。 まず、本法案の目的は、最近における技術革新の急速な進展及び需要構造の著しい変化に対処して中小企業が行う技術開発を促進するための措置を講ずることにより、中小企業の技術の向上を通じて、中小企業の振興と我が国産業技術の調和ある発達を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することであります。 次に、本法案においては、第一に、中小企業者及び組合等に対して、本法で振興しようとする技術開発の対象とすべき技術の内容、中小企業者及び組合等がとるべき技術開発の実施方法等を示す中小企業技術開発指針を定めることとしております。 第二に、技術に関する研究開発を行おうとする中小企業者及び組合等はそれぞれ技術開発に関する事業についての計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることができることとしております。 第三に、認定を受けた中小企業者及び組合等並びにその組合等の構成員たる中小企業者に対し、種々の助成措置を講ずることとしております。助成措置の内容は、具体的には、技術開発事業の実施に必要な資金の確保、中小企業投資育成株式会社法の特例措置の適用、中小企業信用保険法の新技術企業化保険の付保限度額の拡大等の特例措置の適用であります。 また、これらの組合等及びその構成員たる中小企業者の行う技術開発事業のために税制上の特例措置を講ずることとしております。 第四に、中小企業者及び組合等が行う技術革新の進展に即応した技術開発を促進するため、情報の提供及び人材の養成等に努めるとともに、技術開発事業の的確な実施に必要な指導及び助言を行うこととしております。 以上が、この法案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(降矢敬義君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日行うこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十五分散会