社会労働委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 107 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/04/17
会議録
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会公聴会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十六日、藤井恒男君及び安武洋子君が委員を辞任され、その補欠として抜山映子君及び小笠原貞子君がそれぞれ選任されました。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 本日は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案につきまして、六名の公述人の方々から御意見を伺います。 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 皆様には、御多忙のところ御出席をいただきましてまことにありがとうございました。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の法案審査の参考にいたしたいと存じております。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分以内で順次御意見をお述べいただきまして、終わりましたら一たん休憩とし、昼食をおとりいただきます。その後、公聴会を再開いたしましたら、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。 それでは、これより各公述人の方々から順次御意見をお述べいただきたいと思います。 まず、安西公述人にお願いいたします。安西公述人。
○公述人(安西美津子君) 御紹介いただきました日本交通公社の安西でございます。 本日は、このような席で国会の先生方に私の意見を申し述べよということでございますが、私は法律の専門家ではございませんので、きょうは、三十三年間日本交通公社という一つの企業の中で仕事を続け、さらに、ここ数年来旅行業に働く女性の会の会長を務める中で感じましたこと、体験しましたことを通じましての御意見を述べさせていただきたいと思います。 私が長い間仕事をしてまいりました旅行業の仕事は、サービス産業と言われているものの中でも、物品販売業とは違いまして、情報の提供を含めまして、コンサルティングセールスが大きな比重を占めております。人材ということを大きな柱として要求される仕事でございます。対お客様との接点では、きめ細かさ、それから感性の豊かさを求められる仕事でございます。はっきり言って、他の業種に比べまして女性の能力が生かしやすい職場であると言えると思います。 まず、日本交通公社における女子雇用管理の改善の歴史を振り返らせていただきたいと思っております。 私が入社いたしましたのは昭和二十七年ですが、初任給においても定年制においても男女の差はございませんでした。もっとも、考えてみますと、男女の差を云々するほど女性が多かったわけではございません。 昭和三十三年ごろから女性の大量採用が始まりました。昭和三十五年には、初任給にも身分にも差をつけた女性の採用が導入されました。女子嘱託員制度といいまして、明らかに女性だけを差別した制度でした。この制度には、もちろん女性たちの猛反対の声が上がりまして、三十九年には嘱託員全員の身分を社員化して解決をいたしました。初任給こそ差はありませんでしたが、昇給の格差に矛盾を感じまして労働組合の役員になりましたのが昭和三十三年のことでございます。三十九年まで婦人部活動をいたしました。その後、四十一年から四十六年にかけまして、労働組合の婦人問題専門委員を務めました。 当時も現在も余り変化をしておりませんが、日本の企業は完全な男社会でございます。企業内の労働組合も完全な男性社会でございます。職場の中での女性の抱える問題は、矛盾点、問題点を黙っていたのではなかなかわかってもらえません。実際に役員をやってみてわかったことは、自分の問題をまずつかみ出して提起し、それが社内の女性の立場にどういう影響をするか、また、さらには女性の問題をほうり出したままにしておいたのでは、結局自分たち男性の立場にはね返ってくるという悪循環が多くの男性役員に理解されて、初めて解決の糸口が見つけられるということでございます。 前後十年間の婦人問題解決のための労働組合活動の中で、今この法案の中で論ぜられていることを社内的に解決をいたしました。 日本交通公社において社内的に解決した第一の問題は、昇給、昇格の問題でございます。二年前に女性の大学卒の正式採用に踏み切りましたが、大学卒女性の場合でも初任給は全く同じです。入社後の昇給、昇格につきましては、入社から大学卒で八年間、短大、高卒につきましてはそれぞれの大学卒に対応する年数で自動昇給、自動昇格です。この制度は、昭和四十年に資格制という制度の実施で実現をいたしました。ここに至るまでには多くの女性たちが昇給で差をつけられた悔しさ、それから昇格できなかった疑問を各自の立場で職場の中での点検活動を行い、積み上げていったものでございます。私なども、当時、主任昇格で二年、主事昇格で二年、並みの男性に比較した場合でも昇格がおくれておりました。この資格制の導入によって、はっきりと二十代は一人前になるための教育の期間と位置づけられ、女性に対しましても計画的なジョブローテーション、教育の機会が行われるようになりました。 第二の問題は、教育についてです。 教育については、初め女性は入社時の教育だけで、社内での受講の機会がありませんでした。私などは、二十代で何回も申し出をしましたが、前例がない、研修所に女子のトイレがない、ふろがないという理由で受講をとうとうできませんでした。管理職になって初めて研修所の門をくぐりましたわけですが、何と宿泊寮の一階全部を一人で使うという貴賓並みの扱いをしてもらいました。 本格的に女性の教育が実施されるようになりましたのは、私が講師として転勤をいたしました昭和四十四年三月からのことで、第一回の女子実務リーダー講習会は夏六月から始めました。教育の機会均等を訴えていましたら、皮肉なことにみずからの手で実施をする羽目に至ってしまったわけです。日本交通公社の女性社員にとりましては、この十日間の女子実務リーダー講習会は、その後の女性の地位の向上、職域の拡大のための出発点ともなっております。現在、全国に女性の課長職以上が二十五名おりますが、二十三名は三年間にわたって開講したこの研修会の受講者でございます。現在は、女性だけの研修会はありません。資格別に昇格した年に受けますが、男女一緒でございます。 第三の問題は、女性が継続就業ができるような条件整備でございます。 女性の昇進、昇格、教育の問題を解決しようと思いますと、どうしても勤続年数を延ばさなければならないのです。どのように優秀な人材であっても、二十代で退職をしてしまっては指導的な立場に立つためのスタートラインにもつけません。女性が継続就業するためには、夫婦の協力、親兄弟や地域の人々の援助と並んで、育児に関する社会的サービスや企業の理解も大変重要なことだと思っております。昭和四十八年の労働協約改定時に制度化されました育児休職制度は、産業界においても早い方であったと私は思っております。女性全体の平均勤続を伸ばさなければ自分の立場も砂上の楼閣のようにやがては崩れてしまうと考えてアピールをしてから、大勢の後輩がこれを目標に掲げて、労使で十分に話し合いました結果が実現したわけでございます。この制度が発足して十二年たちますが、この間女性の職業意識も変化し、継続就業を希望する者もふえてきております。現在女性の平均勤続は九年十カ月でございます。昭和五十年の五年八カ月、昭和四十年の四年十一カ月に比べますと格段の伸びを示しております。 いろいろ述べてきましたが、これら社内における女性の地位の向上、職域の拡大の活動には、志を同じくする同僚及び後輩の何人かの結束と協力がございました。また、労使双方にわたって理解をして協力、援助をしてくれた男性のあったことを申し添えておきます。 次に、女子保護規定緩和の必要性について述べたいと思います。 旅行業界全般についての女性の立場を申し述べますと、初任給、昇給については男女の格差はほとんどございません。しかし、昇格、昇進、教育の機会ということになりますと差がついてしまいます。特に年齢が高くなるほど差がつきます。そして、この差のつく理由づけに、個人の能力とは別に労働基準法六十一条、六十二条の時間外・休日労働と深夜業の規制がございます。旅行業という職業柄、トップシーズンあるいは運賃料金改定時に集中する業務量。出発、到着が早朝、深夜に及ぶあっせん業務などは海外旅行を一度でも経験されたことがおありでしたら御理解いただけると私は思っております。中でも旅行業の基幹業務であります添乗業務は、お客様と寝食をともにすることは御存じのとおりでございます。現在の労働基準法がある限り、利用者、消費者側からのニーズに対応させるには女性の仕事に限界が出てきております。どのように仕事のできる女性でも、現在の一日二時間という規制の中ではトップシーズンの仕事を完全にこなすことはできません。お客様相手、売り残し、安売りのできない時間、日にちの決まった商品ですから持ち越すこともできないわけです。心ならずも残りの仕事を男性に引き継ぎ完成させてもらうという屈辱的なことが起こっております。 旅行業に働く女性の会として日本旅行業婦人の会、通称JWTCを五年前に組織いたしました。現在世界組織でありますIFWTO、インターナショナル・フェデレーション・オブ・ウイメンズ・トラベル・オーガニゼーションという組織に私どもの日本の会も加盟をいたしておりますが、これは五つの大陸から三十九のクラブが加盟をして四千人の会員を擁しています。年次総会が毎年行われておりますが、その総会においても、女性の添乗業務は当たり前のこととして論じられており、出席する私どもといたしましては、先進諸国の一員として大変恥ずかしい思いをいたしております。私どものクラブは来年十一月にこのIFWTO太平洋地区総会を東京で主催いたします。それまでにはこの深夜業に関する規制の緩和が実現されておりますことを強く希望をいたしております。 最後に、企業の中で男女の機会均等を実現する方法について私の意見を申し述べさせていただきたいと思います。 第一に、私は実態とかけ離れ過ぎた方法は長続きをしないと思っております。婦人のための十年が終わろうとしている時代であるにもかかわらず、個々の企業内における女性の意識は大筋において余り変わっておりません。男性の意識も大きくは変化をしておりません。当然このような中で罰則規定、強行規定をつくって規制をしても、結局労使双方になじめないだけでなく、女性にとっても男性にとってもなじめません。それよりは、個々の企業に所属する女性の一人一人が自分を含めて女性の労働実態をよく把握し、企業内の労使双方に認識、理解をさせた上で具体的な今後の展望を提起し、実行していく必要を感じます。したがいまして、問題解決の基本は労使の自主的な話し合いだと私は思っております。しかし、そのような手順の中でも男性の意識が余り変化していないということ、労使関係が余り成熟していないところもあるという現実の問題はあろうかと存じます。それを補う意味で行政官庁が指導、援助を行うという方法が問題解決の方法としてはなじみやすいのではないかと思いますし、実効性が期待できると、今までの私の行動の中から私は感じております。 第二に、女性が働き続ける中で起きる葛藤は、企業内労使で構成する苦情処理機関または調停機関で取り上げて解決する方が現実的です。なぜならば、一人の問題を検討することによって、それ以後に続く女性のためにもより多い実りとなるからです。現に日本交通公社におきましても、女性の問題で苦情処理委員会で取り上げ協議されたケースが三件ございます。四十三年に昇給で、五十八年に昇格で、五十九年にボーナス査定で起きております。このようなことが起きても職場の中でその後雰囲気が悪くなったということはありません。むしろその職場が安易に考えて扱っていたということ、その安易な考え方を打ち破ったということ、それから男性の意識の改善がなされ、管理職の見方の公正化が図られたように思っております。 以上、私の実体験から、このたびの国会に上程される法律案は現在の実態をよく把握しており、多少時間はかかるかもしれませんが、より実効的な効果のある法律案であると感じております。ぜひ今国会で成立させていただくことを期待しております。 どうもありがとうございました。
○委員長(遠藤政夫君) ありがとうございました。 次に、岸本公述人にお願いいたします。
○公述人(岸本直美君) 岸本直美です。統一労組懇の婦人連絡会事務局長をしております。 私は、この法案が対象としている婦人労働者の一人として政府の均等法案に反対し、労働基準法の改悪なしで実効ある男女雇用平等法の制定を求める立場から意見陳述をいたします。 均等法案に反対する理由は二つです。 第一に指摘したいのは、労働基準法の改悪がセットになっているということです。均等法案は、婦人が働く上で何よりも優先されるべき母性の保護が軽視され、時間外・休日労働、深夜労働、危険有害労働などに対する規制の緩和、生理休暇などの規定を大幅に後退させる労働基準法の改悪が含まれているのが最大の問題です。 もしこの均等法案がこのまま制定されるようなことになれば、婦人労働者の今日の実態から見ても、これは明らかに男女平等とは逆行する結果となります。婦人労働者の健康、母性破壊、これはすべての産業にあらわれておりますが、特に深夜労働、交代制動務のある医療の職場の状態は深刻なものです。八四年十月、日本医労協がまとめました調査の中の「妊娠・出産状況」の項によりますと、対象となる婦人労働者で妊娠状態で順調だと答えた婦人は二割しかなく、八割近くが何らかの異常を経験しております。これを勤務形態別で見ますと、妊娠が順調だという人は、常日勤者、これは昼間の勤務者のことですが二二・八%、交代制勤務になりますと一九・六%、常夜勤、夜勤が常にある人の場合は一〇・五%というようなデータになっております。常夜勤の勤務者で順調だった人は日勤者の何と半分以下なんです。明らかに深夜労働が母体に及ぼす影響の大きいことをこの数字は示しております。 この傾向は、「出産状態」の調査でも同じようなことを見ることができます。医療労働者の正常出産というのは、例えば春闘共闘などがまとめた平均的な数値よりも五%ほど全体が低くなっておりまして、特に医療労働者の母性破壊のひどさを明らかにしております。しかし、さらに常夜勤の婦人労働者の場合を見ますと、正常出産というのはたった三七・五%なんです。六割以上が異常出産を経験しており、しかもそのうち一二・五%、一割以上も死産なんです。何と痛ましい数値ではありませんでしょうか。人の命と健康を守る医療の職場に働きながら、みずからの体に宿った小さな命さえも守ることができないという状態なのです。 こうした婦人労働者の実態を御存じでしょうか。たとえ本人の申し出にせよ、深夜に勤務する婦人が今よりもふえることが確実なこの均等法が制定されれば、こうした非人間的な実態はさらに広がります。 事務職の婦人にも健康破壊、母性破壊は進行しています。「ベル即といわれてつらし幼子の母」、「ベル即」というのはベルが鳴ってすぐに帰る、つまり定時で帰る母親労働者のつらい胸の内をうたったものです。今損害保険の職場では、各社のすさまじい過当競争の中で男女ともに大変な長時間労働が強いられています。定時で帰る労働者は保育園に子供を迎えに走る母親労働者ぐらい、四時半の定時に対して七時、七時半というのがざらで、残業するのが当たり前になっているのです。しかし、タイムカードで見ると法定外残業というのは月に二日とか三日しかないのです。実際には毎日のようにこうした残業があるわけです。職場から婦人労働者が姿を消すのは八時過ぎというある職場の青年婦人部の調査では、生理休暇の取得も、いつも休めるというのは一割ちょっとしかありません。この職場でも出産時の母体の調査を行っておりますが、生理休暇をとっている婦人に比べてとらなかった婦人の異常分娩の割合は約二倍と高くなっているのです。 長時間労働に加えて、生理休暇がとれないことの結果がこのように母性をむしばんでいるのです。OA機器の普及に伴って日々の労働は緊張と過密の連続、夜八時以降も五割近くが残業する、そういう職場も少なくありません。こうした職場の婦人は、二十代でも体は老体だ、休日はただ眠るだけ、私たちは百円ライターではないのだと、過密労働と長時間労働が青春と健康を奪い取ってしまっているということを訴えております。男性労働者の残業が長い職場ほど女性の残業もまた長くなっているのが実態なのです。 これは現行の労働基準法のもとでの実態なんです。今また均等法で労働基準法がもし改悪されることがあれば、一日当たりの残業規制が外され、そして年間の残業規制は現在の百五十時間から倍の三百時間になってしまいます。さらにこうしたもとで婦人労働者の健康や母性破壊は一層促進されることでしょう。医療や損害保険の職場で働く婦人のごく一部のこうした実態でも明らかなように、母性保護とは決して妊娠や出産時の保護だけではないことは明らかです。妊産婦の保護だけに母性保護を狭め、婦人が健康で働く基盤や健康な体で正常な出産をする、こうしたことを奪ってしまうのが均等法です。これでも男女平等と言えるでしょうか。明らかにこれは男女平等への逆行です。 また、政府が今批准しようとしている差別撤廃条約には、その第十一条で、労働の権利はすべての人間の奪うことのできない権利である、このように明らかにしております。また第四条では、男女平等を促進するための特別措置は差別ではないということを明らかにしております。そして、男女差別は社会進歩の妨げになるものであるというふうなことも言っております。この婦人差別撤廃条約を批准しようとしている政府が、平等のためには母性保護は我慢せよと削ってしまうのは全く矛盾するものです。今この均等法案がもしこのまま成立してしまったら、私がさきに述べたような婦人労働者の実態は加速度的に悪化しますし、婦人差別撤廃条約の言う男女平等の理念とは著しく異なる結果が生じることになるでしょう。 今必要なのは、均等法案のような労働基準法の改悪ではなく、男女ともに残業を規制する、深夜業は公的労働に限っていくというようなことに加えて、賃金を下げることなく欧米諸国並みに労働時間を短縮する、また、せめて国際的水準の有給休暇をすべての労働者に保障していく、男女ともに労働条件を改善していくことこそ優先されるべきです。それでこそ男女平等の基盤を確かなものにすることができるのです。 私が均等法案に反対する第二の理由は、男女差別を禁止するための実効性がこの法案では非常に不十分だということです。その点でも均等法案はいろいろな問題がありますけれども、何といっても差別の禁止が努力義務であったり罰則のない強行規定であるということです。また、男女差別の救済についても極めて不十分なもので、差別が起きたら当事者の双方の同意がなければ調停機関があっせんできないなどということは余りにもその効果が疑わしく思われます。これでは、今ある入り口の募集、採用の差別、それから定年退職に至るすべての段階の差別、これはなくならないと言わざるを得ません。 以上のような点から見て、私は労働基準法の改悪とセットとなっている均等法案は、男女平等に逆行するものとして反対の態度を明らかにするものです。 私たちが望んでいる労働基準法の改悪なしの実効ある男女雇用平等法というのは、次のような基本的な内容が含まれるべきだと考えております。 それは第一に、人間の尊厳が重視されるということであり、婦人が働くに当たって母性保護は当然その前提とならなければなりません。さらに、男女差別の禁止は雇用のすべての段階を対象にし、罰則つきの強行規定としながら実効あるものにすべきです。また、男女差別を速やかに是正させるための措置はこれをきちっと設けると同時に、是正を申し立てた労働者に対する不利益な扱いを禁止する規定も含めなければなりません。男女雇用平等法はすべての婦人労働者に適用させてこそ実効性が高まっていきます。こうした内容の男女雇用平等法の制定があってこそ婦人差別撤廃条約の精神が真に生かされることになるのです。 ところが、今審議されている均等法案は、私たち婦人労働者が男女差別の是正のために長い間望んできた内容とは全く異なるものとなっています。婦人労働者の男女差別の是正よりは、むしろ母性保護の切り捨てを政府に強く要請してきている資本の意図に沿ったものとなっております。 婦人差別撤廃条約も明らかにしているように、男女平等というのは国の民主主義の根幹にかかわる問題です。「国連婦人の十年」の最終年に当たることし、政府はこの年にふさわしく、労働基準法の改悪なしの実効性ある男女雇用平等法の制定に決断を下すべきです。政府は婦人差別撤廃条約は即時批准し、そしてその内容の実行に移ることを私は強く要望いたします。これこそ今、政府が果たすべき責務であるということを重ねて強調しながら、私の意見陳述を終わります。
○委員長(遠藤政夫君) ありがとうございました。 次に、熊崎公述人にお願いいたします。
○公述人(熊崎清子君) 熊崎清子でございます。 私は、繊維産業に働く労働組合、ゼンセン同盟婦人局で、働く女性の権利を高め、地位向上を図る諸政策への立案に参加し、それらを実現の方向へ持っていくために努力している一人です。また現在、東京都の職場における男女差別苦情処理委員会の労働委員選出委員としてのメンバーに加わっております。 今、職場では、差別撤廃条約の批准促進と雇用における平等について一層関心が高まっております。こうした立場から、問題点について重複しないようお話をさせていただきたいと思います。 労働条件の最低基準を決める現行の労働基準法第三条には機会均等が決められております。しかし、私たちが願っている性による差別が明記してありません。あれば問題がありませんが、また、今提案されております均等法案にもないものです。したがって、均等待遇のところで、例えば求人、採用について女性には入社試験を受けさせない、女はこっち、男はこっち、女はだめという振り分け、それから定年、退職という出口のところでは、定年制度に男女差をつけている企業がまだ多く、女性が結婚退職することを願って女性のみ優遇処置がとられているような、いわゆる就業規則に明記してない雇用慣行がいっぱいあります。また、現行労働基準法第四条の同一労働、同一賃金の原則の問題にしても、仕事の内容と賃金について男女格差が広がる一つの要因にもなっているのは、企業においていわゆる職種体系がとられ、資格制度の区分けで体系づけられていることによって、男が主務職、女が事務職と限定、人事制度によって、特殊技能、技術を習得したごくわずかな女性しか昇格できない制度を訴えている仲間が多くあります。 一方、五人に一人と言われるパートタイマーの増大、OAやロボット、サテライト、在宅勤務などの導入は、働く婦人層の作業態様、雇用形態に大きな変化を見せております。それもかなりの速いスピードで変わってきているのが現状です。 このような状況の中で、職場では労働環境、家庭責任を果たし得る社会環境など必ずしも整備されておらず、女性が能力を十分発揮する機会、労働に対する待遇改善を求める声が職場で高まっております。女性も責任ある仕事に従事し、ライフサイクルの中で働き続けよう、結婚、妊娠、出産しても働くという選択ができる制度をつくる労働組合がありますが、その中で、労働組合における労働協約に育児休職制度を導入しようと決定され、実現に向けて交渉している仲間の声は、その交渉の席で、うちの会社は、子供ができても働き続ける仕事の内容でもない、単調、単純な仕事での雇用はパートタイマーで充足できればよいという、育児休職制度の無用を言明された組合もあります。また、現行の法的に制度化されない育児休職、看護休職、それから母性保護の部分では、つわり休暇、通院休暇など労働組合の立場で実績をつくりながら奔走している仲間に接するときに、自分の力の足りなさを感じながら何とかしたいと思っております。男性も女性も仕事と家庭の両立を大切にしながら幸せに生きていきたい、人間としての最低限の欲求が生かされる施策を念願しているものです。 救済機関の点で、調停委員会のメンバーについて三者構成が重要だと思います。それは、職場に不平等問題が発生した場合に、経営者は経営の立場、労働組合は労働組合の立場での責任の一端を担うというもの、また、調停成立しなかった場合に、実際に次の調停機関で調整ができるのか。それから職場の不平等問題が労働組合のない職場で発生した場合に、親身になって対処できる機関であるのか。立証責任がどこでどうとられるのか、期間の範囲など具体的にされていない点をどうするのか。不平等問題を申し立てした人の権利を守り、機関での救済的処置ができることを望みます。何とか法的な処置を逃れたいという気持ちが経営側にあるとすれば、行政機関での男女平等意識の啓発と広報の充実を進めなければ、制度の改善だけでは社会通念や慣習を変えることはできないと思います。 労働組合の活動の場あるいは地域の機関での活動の場で、私は働く女性の平等を少しでもなくす問題と取り組んでみて、提案されております均等法案を実効あるものにぜひ成立することを望みます。昨年来、国会の衆議院での審議のところで、私はその審議状況を見守ってまいりました大勢の仲間の一人です。雇用の分野における男女平等について世界に誇れる法的なものにするために、私は大変僣ではございますが、自民党の国会議員の先生に心より実効のある法律の成立をお願いしたいと思います。そして、雇用における男女の平等は、人間の自由度の拡大であり、民主主義の実践の問題ではないでしょうか。私は、日本が世界から尊敬される国になってほしい、私もそのために努力をしたいと思っております。 ありがとうございました。
○委員長(遠藤政夫君) ありがとうございました。 次に、高野公述人にお願いいたします。
○公述人(高野三郎君) ただいま御紹介をいただきました文教大学の高野三郎でございます。今回、国民の一人といたしまして公聴会に参加させていただきました。 この問題は、私門外漢でございますので、法的な解釈もわかりません。しかも、私の発言は的確性に乏しい面があるかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。 さて、働く女子労働者数は、現在約千五百万人を教え、その社会進出は目覚ましいものがあると言われております。現在、ほとんど多くの女子が高校に進学する時代となりました。また、短大及び大学、さらに大学院まで進学する者も見られる時代であります。女子の就職率も好転して、終身雇用されている例も見られております。このような女子の就業上での社会参加は、日本の文化的、質的レベルを向上させ、かつ社会的に潤いを持たせる一因であると考えられます。しかしながら、女子労働者の果たした功績はなかなか実績として結びつかない面もあるやと考えられるのが実情であろうと思われます。また、女子労働者で起こる結婚問題も、男子のそれと比較しますと難しい面を持ち合わせているようでございます。私の知る範囲でも、結婚のため女子労働者が退職した例を耳にしております。 今回、私も女子の就業について現況を直視いたしまして、その質的向上のために幾つかの私見を提言したいと思います。 現在、数多くの女子を社会に送り出している一人としまして、まず最初に問題となりますのは、募集並びに採用、それと配置、昇進の条項でございます。特にこのうちで募集と採用については、男子と均等な機会を得る意味でもっと強い表現があってしかるべきではないかと思われます。また、配置並びに昇進についてもそのように考える余地がありそうな気がいたしております。 次に、女子労働者に生ずる問題として結婚の問題があります。これは「女子労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。」とありますが、幾分これも強い表現であってよいと思われます。 次に、再就職のところで、国が退職した女子に対し、希望するときは雇用の機会を与えられるようにするため、職業指導や能力の再開発の措置がとられるようになっております。また再雇用特別措置でも事業主が特別の配慮をするとしていますが、再就職の援助や再雇用特別措置の普及などは、退職した男子についても機会均等の意味から必要であろうと思っています。また、こういう労働に対するアフターケアは、高校や大学を終了しようとする学生にも行ってもらえるような配慮がなされれば、さらによいものと考えます。ただ問題なのは、このような職業訓練所が十分機能できるかどうか問題があると思いますので、十分検討していただきたいと考えております。 次に、パートタイマーについて述べたいと思います。 現在パートタイマーに対する企業などの役割分担は大変大きなものがあります。このパートタイマーの多くは女子労働者によっていることはよく知られていることであります。しかし、パートタイマーにも身分や災害保障などを考えていくときに来ていると思われます。そこで、より有効な法的処置を関係官庁にお願いするところであります。また、パートタイマーは年収八十八万ですか、を超えると夫の扶養控除が外されます。しかし、現状を考えてみますと、年収百五十万円ぐらいの収入まで夫の扶養控除の範囲に入るよう改善すべきだと考えます。手取り百万くらい、これは現在の私立大学初年度納入金に相当いたします。このぐらいの手取りが必要かと存じます。なお、パートタイマーは希望すれば正式な女子労働者となれるような道を開くべきであろうと考えます。 女子労働者につきまとう問題といたしまして労働時間の問題があります。労働時間は、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間、一週間について四十八時間を超えて、労働させてはならない。」とされています。これも幼児を抱えた女子労働者の場合は大変重荷となる場合があると思われます。年間二千時間が日本人労働者の労働時間とされるのに対しまして、外国のそれは、ヨーロッパの例などは約千八百時間と言われております。一日一時間短縮されることになります。もしこのような欧米並みの労働時間になれば、保育所へ子供を預ける余裕が出てくる一方、夕食なども楽しくいただけるものと思われます。この労働時間が将来的に改善されることを望む一人であります。 一方、何か問題が生じた場合、すなわち男女の均等な取り扱いに関する紛争の解決は、まず事業内で自主的な解決を図り、次に紛争の関係当事者から求められた場合は、都道府県の婦人少年室長が必要な助言、指導または勧告を行うほか、都道府県ごとに機会均等調停委員会を設け、紛争の解決に当たらせるとしています。これを見ると、婦人少年室の役割は大変大きいものと考えられます。その十分なる充実を望みたいと思います。できれば人員を拡充したりすることが必要と考えられます。 以上は、女子労働に対する個人的な意見をまとめたものでございます。女子の労働に対する一提案にすぎません。しかし、この問題を掘り下げ、検討することは重要な意義ある課題と思っております。ここに示した案が一部でも行政に反映できれば幸いです。 なお、本法案にはいろいろな面がありますが、条件つきながら賛同いたします。 最後に、私に今日の提案機会を与えてくださいました参院社労委の諸先生に厚く感謝いたします。 終わります。
○委員長(遠藤政夫君) ありがとうございました。 次に、中村公述人にお願いいたします。
○公述人(中村紀伊君) 国際婦人年の日本大会の決議を実現するための連絡会という大変長い名前の世話人でございます中村でございます。 私は、この国際婦人年連絡会の四十八の全国組織の婦人団体及び労組婦人部の中の一つでございます主婦連合会に所属しております。衆議院でこの法案が審議されておりますときには二時間並んで立ちん坊で傍聴、そして三十分たったら入れかえ、そういうような状況でいつもあちらの方におりましたので、きょうはこういう席に座らせていただきまして発言させていただく、大変戸惑っております。きょうはまた、私どもの団体の仲間が、代表で公述いたします私の応援部隊としてたくさんいらしております。 私は、公聴会を開いてほしい、参議院で十分審議してほしいという私どもの願いに対して、本日このような機会を与えてくださいましたということにまずお礼を申し上げたいと思います。そして、この長い名前の団体がどういういきさつでできたか、なぜこんな運動を全国の婦人が一生懸命しているのか、そのことについてまず団体の活動とその組織について御説明させていただきたいと思います。もう既に御承知の先生方、お顔見知りの先生方もたくさんいらっしゃいますので、御承知の方はお許しいただきたいと思います。 私どもは、一九七五年の国際婦人年に採択されました世界行動計画に対応して、民間の婦人団体も結集してこれに当たるべきであると、そういうことで、亡くなられました参議院議員の市川房枝先生のお呼びかけによりまして、四十一の全国組織の民間婦人団体が「国連婦人の十年」日本大会を開催いたしましたのがこのスタートのきっかけでございます。この日本大会には全国から二千三百人の婦人が参加いたしました。そして長い間実行委員会の中で政治、教育、労働、家庭、福祉の五分野にわたって日本の女性の現状を検討いたしました。そして男女の平等、婦人の地位の向上を目指して協議を行い、そして大会決議を採択いたしました。婦人問題解決のために民間の主催でこんなに幅広い全国組織の婦人が超党派で一堂に会したということは、日本の婦人運動史上初めてのことでございます。 そして、さまざまな運動を展開いたしまして、五年後の一九八〇年には「国連婦人の十年」中間年の日本大会を開催いたしました。それまで五年間の運動の成果を集約し、前回の大会の決議要求がどれだけ実現したかを検討いたしました。そして再びさまざまな決議要求をまとめました。この年は、コペンハーゲンで開かれた世界会議で婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約の署名式が行われることになっておりました。代表団を送り出した後でも、政府はなかなか署名に踏み切ろうとしませんでしたので、私どもは市川先生を先頭に当時の伊東外務大臣に申し入れを続けて、とうとうぎりぎりのところで間に合ったということを記憶しております。 中間年の大会の後は、婦人の十年後半五年間の中心課題として、この署名を行いました差別撤廃条約の早期批准に目的を絞りました。そして積極的に活動を展開し各方面に運動を続けました。 要望書をたびたびお出ししておりますので、団体名簿を見てくださるとおわかりになると思いますが、私どものこの四十八団体は職能団体、宗教団体、農村の婦人から独身婦人、家庭婦人、働く婦人、それも大企業から中小企業まで、本当にあらゆる層の婦人、そして保守、革新の別なく、思想、信条も目的も異にしたあらゆる婦人が集まっております。たとえ婦人の問題のみに絞っても、この幅広い団体が一つにまとまって要求をするということは大変難しいことでございます。しかし、私どもはそれをこの十年間なし遂げてまいりました。 私たちのやり方は、政府が婦人に関する施策や行動計画を発表されますと、必ずその担当官を招いて中身についてヒヤリングをいたします。それも全員が集まってそのヒヤリングを受けます。そして専門家を交え学習し、徹底的な討論を行って、そして女性という立場から一致できる点を要求にまとめて各方面に要求する、そういう形を続けてまいりました。年金の問題とか優生保護法とか、子供や婦人に関するあらゆる問題についてこの十年間いろいろ要望を続けてまいりまして、おかげさまで私どもの要望が与野党を通じて尊重していただけているということは大変うれしいことでございます。 差別撤廃条約につきましては、歴代総理にもお目にかかって要望いたしました。そして八四年には条約批准の促進大会を四十八の団体が開いております。問題になりました国籍法の改正、家庭科の男女共修についても再々各大臣に要望し、意見書の提出を行って一応の解決を見ております。そして、最後に残った雇用平等法については労働省や企業、国会にも再々参っております。そして国会上程後は各党の議員の方においでをいただいて、七党の意見を聞く会、それから各党幹部にも手分けしてみんながお目にかかって、そして全組織を挙げて精力的に活動してまいりました。 雇用における男女平等の実現ということは、今働いている女性のみが要求しているというふうにお思いになっては間違いでございます。私どものように主婦の団体、家庭婦人を中心とした団体にありましても、最近はパートで働く会員が非常にふえております。また、子育てが一段落して再就職を希望する主婦たちも多くあります。そしてまた、娘やめいや新卒の女子学生が就職難である、そして差別的な待遇を受ける、これを身近に見聞きして、その現状について皆怒っております。そしてまた、働く女性に対する差別は、今は働いていない女性の地位にもはね返って、女性全体の問題になっている、こういう点もございます。ですから、この差別撤廃条約に書かれているように、実効性のある男女雇用平等法をつくってほしいという願いは、すべての女性の願いとして私たちは繰り返し要求してきたことでございます。 そして、最後に政府案が出てまいりまして、実は私どもがっかりいたしました。性別を理由とする差別はすべて禁止するという当たり前のことがないということでがっかりしたわけでございます。私どもはみんなで討議いたしまして四項目に絞りまして統一要求を繰り返しお出ししております。ここでそれを申し上げさしていただきたいと思います。 第一は、婦人差別撤廃条約の趣旨から見ても、雇用における男女平等は基本的人権である。そして、婦人に対するすべての差別を禁止すべきであることを目的に明記してほしい、働く女性にとって憲法とも言うべきこの法律の理念をきちんと盛り込んでほしいということでございます。 第二は、雇用における男女平等を実効性あるものとするためには、使用者の側が不平等な取り扱いをした場合には、制裁を含む強行規定が必要であると考えます。この法案では私どもにとって一番関心のございました入り口の部分、募集とか採用が努力義務規定となっております。これでは全部崩れてしまいます。何としてもそこの部分は納得できない点でございます。また配置、昇進もそうだと思います。この差別がなくならなければ賃金差別はなくならない、こういう重要な点を禁止としなければざる法になってしまうのではないかと思うのでございます。 第三に、差別された女性労働者が差別から速やかに救済されるように独立の権限を持った救済機関を設ける必要があると考えます。 第四に、均等法案はこれとセットになって労働基準法の改正が提案されております。私どもは、日本の労働時間は先進工業国の中でも極めて長く、時間外労働、休日労働の規制の見直しは全体の労働時間の短縮、週休二日制の実施、有給休暇の拡大と女子の家庭責任を軽減するための条件整備を進めた上で行うべきであると考えております。 最近、貿易摩擦に関連して日本の労働者の働き過ぎが諸外国から非難の的となっており、そして労働大臣は大型連休の実現に大変御熱心、私どもの団体にもお呼びかけが来ております。働き過ぎの夫にかわって妻たちが子供の世話や老人の世話、それから私どものような生活を守る運動もすべて女性に任せているというのは私はおかしいと思います。男も女もともに家庭の責任、暮らしの問題を分かち合っていけるような条件整備がまず先であるというふうに考えております。「国連婦人の十年」の間に女性の意識は大きく変わりました。あらゆる差別についての現状認識も深まっております。この法律が参議院でどう扱われるか、全国の女性が注目していると申し上げても過言ではないと思います。 私どもの団体に入っている者の総計は二千万人を超えます。この間三月二十七日に中曽根総理に四十八団体の代表がお目にかかりましたときに、この法律は一〇〇%満足するものではないかもしれない、しかし通してほしいというお話でございましたけれども、私どもも、婦人の十年の最終年というこの時期にせっかくつくる均等法は、みんなの満足する法律であってほしい。そして、私は消費者運動を四十年続けておりますが、一度できた法律を改正するということはどんなに難しいかということを自分の運動の中から実感しております。そういう意味で、最初につくるこの法律、日本で歴史的な意味を持つこの法律をどうぞ良識ある参議院の先生方が十分討論していただきまして、そして国民の期待する法律にして通していただきたい、そして女子に対する差別撤廃条約を速やかに批准していただきたいということをお願いして、私の発言を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(遠藤政夫君) ありがとうございました。 次に、仁木公述人にお願いいたします。
○公述人(仁木ふみ子君) 日教組の婦人部長の仁木でございます。 私は教員の立場から、卒業していった女生徒たちの就労実態だとか子供のお母さんたちの就労実態についてお話し申し上げて、昨年の秋労働省がお出しになった八四年版「婦人労働の実情」の数字を具体的に裏打ちしながら、女の労働権を確立できる法制定の必要をお話し申し上げたいと思います。前の五人の方がお述べになられましたことはすべて省かせていただきます。 女子の雇用者が千四百八十六万人、家族従業者が四百七十一万人、自営業者が三百二万人、計、女子の就業者は二千二百六十三万人であるという数字が総理府から出されております。既婚者は六八・九%ともそのとき出されております。 今、私ども全国の婦人教師たちがそれぞれ自分のクラスのお母さんの就労調査を続けてまいりましたけれども、それをもとにしまして我が町の婦人労働状況だとか、我が県の状況、全国の状況を教育研究集会などで話し合っております。少ないところでも七五%のお母さんが、普通は八〇%から九〇%のお母さんたちが何らかの形で仕事をしているということはそこから出てまいります。パートをも含めて勤めに出ている人、お店をやっているのもお母さんです、農業をやっているのもお母さんです。子供が小さいと家で内職をやっています。その六割が最低賃金の対象ですし、十万円をもらう人は二割ぐらい、十五万円を超える人は一割です。内職の平均月収は三万円ぐらいです。 それで二十一日働いて、一日の労働時間は六時間ぐらいということです。 賃金の男女の比は、一九七五年の五五・七%をピークに下がり続けて五二・二%という数字が昨年出されました。これは一〇〇対一〇〇の賃金をもらっている私どもを含めた数値ですから、公務員などを除きましたら、女性の賃金は大体民間の三十五歳の男性の平均賃金二十五万円の三分の一だと言われております。 東京のある高校生のお母さんが離婚して子供を引き取りました。民間の会社で働いている人でしたけれども、離婚後は朝三時からほかほか弁当に働きに行くようになりました。三時というのは労基法違反ですけれども、お弁当屋さんはみんなそういう働き方をしております。七時に帰って子供に御飯を食べさせて学校に送り出して、自分は会社に行きます。夕方食事の後はまた喫茶店へ働きに行きます。人の三倍働いて、そしてやっと二人で食べて子供を学校に行かせているわけです。先ほど女性の賃金は男性の三分の一だと申しましたから、三倍働いて何とかやっていけるということになるのでしょう。これは考えてみますととっても異常なことなので、こういう働き方をしていて健康が続くわけがありません。しかし、このお母さんはこういう働き方をしなければ暮らせないのです。一人の大人が、女であるからといって食べられないのはおかしい。大人というのは自分の責任で暮らし、また物事を処理できる人のことを言います。しかし、今の日本では女はなかなか食べられない。食べようと思えば三倍働かなければならない。これが現実ですけれども、これはやはりおかしいことです。 雇用均等法は目的に「女子労働者の福祉の増進と地位の向上を図ることを目的とする。」と書かれてありますけれども、私どもは福祉の増進や地位の向上などというようないささかぜいたくなものを要求しているのではなくて、ぎりぎり食べる権利、食べるために働く権利の確立を要求しているわけです。すなわち、何人も奪い得ない基本的人権としての労働の権利の確立を要求しているのです。それこそが雇用平等法の目的でなければなりません。 男女雇用平等法といいますけれども、これは男女差をなくせというよりも、女の労働権を確立してくださいと言う方がわかりよいのかもしれません。差をなくすということは、例えばここにこういう紙がありまして、こちらに白い紙がありまして、そして色のついている方が男性で、白い方が女性で、その差五センチ、それをこうやればその差をなくすということになるんですけれども、今申し上げたお話は、女は一人で働いて食べることができない。とすれば、労働権はゼロであるわけです。ですから、差をなくせということではなくて、このゼロを回復する、労働権がない、その労働権を回復せよという、そういう要求になるわけです。ですから、男女差ととらえるときには非常にとらえ方があいまいになって中身がおかしくなっていくのじゃないかと思うのです。 労働省の雇用管理調査によりますと、パートを雇用している企業は六〇%、そのうち常用パートを雇用している企業は八八・五%です。パートは定着してしまいました。雇用条件も半分が口頭で取り決めたり、あるいは一六%が特になかったり、就業規則も四八・三%の企業がなかったり、契約期間も五九・九%の企業は定めておりません。六時間から八時間まじめに責任を持って働いて、いつでもやめてもらうことのできる企業にとっては大変都合のいい労働力です。 若い人はどうでしょうか。一九八五年三月、女子新規学卒者の就職者数は五十五万一千六百四十人です。内訳は、中卒四・九、高卒六一・五、短大二二・二、大学一一・三と高学歴化が目立ちます。 大卒女子の募集、採用に関する企業の状況を労働省の雇用管理調査によって見ますと、これは八一年版で、ことしなさっているそうですが、まだ数字が出ていないそうです。大卒女子を公募した企業は二七%です。採用した企業は全企業の八・九%でした。男子と同等の扱いをする企業は技術系で二六・四%、事務系で一九%、四一%が女子を補助的分野に配置しています。こうなると、補助的事務に今まで採用されていた高卒女子の行き場がなくなるわけです。ME機器の導入後、高卒中卒の採用がプログラマーなどの情報処理関係を除いては抑制されております。地方では、東京への就職も難しくなって製造業など現場作業に従事する者がふえて、合理化の中で短期に回転させられる労働力になってしまっています。また、高卒パートという現象も一昨年ごろからあらわれ出してきました。高校の先生たちは進路指導にとても頭を痛めています。就職できない大卒女子は派遣事業に登録されます。語学のできる人、ワープロやテレックスの操作のできる人、経理やコンピューター関係の技術のある人はそこから必要とされる企業へ派遣されるのです。不安定な仕事ですし、中間搾取があります。前近代的な雇用の形態がこういう形で復活することに驚きます。県庁や市役所など自治体の女子の採用もとまっています。一年ずつ首を切られて十年も勤めている人がざらにいます。学校でも非常勤講師がふえて、派遣の給食婦さんがあらわれてきました。 みんながある日気がついたら、雇用の表街道は男性並みに働く一部の大卒エリートの女性しかいないという日が来るのかもしれません。女はみんな臨時、パート、派遣という雇用の裏街道へ回されているのです。今はとうとうと急激にこの編成がえが進んでいます。臨時、日雇いは二百八十五万、パート三百六万人といいます。 今、男女共学の中で女生徒たちは男生徒とともに人間として育てられてきております。しかし、日本の社会は女が人間として生きていくことを許しません。女の子たちは自分の将来に希望を持ち得ないでおります。こういう状況は子供たちに出口なき未来を予感させて、いわゆる女の子たちが、女子中学生が荒れるという現象が起こっています。自分に無理に女であることを納得させようとします。サナギがチョウになるのではなくて、チョウがサナギになる無理がそこにはあります。私たちは、何とかして子供たちの将来のためにも人間らしく生きられる働く場を用意しておいてやりたいと願っているのです。 私が今、くどいまでに状況をお話ししているのは、女の労働権確立は雇用の全ステージの差別禁止、とりわけ募集、採用の入り口で差別禁止をし、就労の保障をする以外にないということを御理解いただきたかったからです。そしてこの法の適用は公務員にも拡大しなければなりません。 ME化やOA化の中で労働現場はとてもしんどいものになりました。仕事が過密になってその上残業しなければなりません。そこへ残業や深夜業規制を外したらどうなるでしょうか。今でも専売や弱電や繊維など二交代制のところが多くあります。企業は三交代にしたくて法案が出るのをうずうず待ち構えているのです。そうなれば、まだ完全に男女がともに家庭責任を負うまでになっていない日本の社会では、女は退職を余儀なくされて、以後またパートの道を歩くでしょう。こういう形でまた女は労働権を失う循環を繰り返すのです。 日本人の長時間労働は世界的に批判されておりますけれども、遅く帰るサラリーマンの帰宅に合わせて町のお店もあけております。一人でも買ってくれる人がいるかと思って期待しているのです。こうやって日本じゅうは今くたびれ果てております。 女の低賃金と男の長時間労働で日本の企業は海外市場で競争に勝ちましたが、貿易摩擦を起こしました。先進工業国からはひんしゅくを買い、発展途上国に進出した企業は、その国の法の適用をも自国の法の適用をも受けない無法地帯で、その国の女性を安く長時間使っています。これも人権を大事にしない日本企業の恥ずかしい姿です。 今、平等か保護かとてんびんにかけられていますが、私たちはこれに応じることはできません。この間ソビエトの方々と日ソ婦人セミナーで話し合う機会がありました。あの国では「国連婦人の十年」の成果として、母体を保護するために有害業務や深夜に及ぶ仕事をすることへの制限を広げたと話しておられました。日本とはまるで反対のことです。両性の平等を平板にとらえないで、母性を保障した上での平等という考えにお立ちいただきたいと思います。 生理休暇にただ払いするのが嫌な企業が産休十六週のただ払いを承知するでしょうか。そのためにはきっと産休の該当者を極力少なくしようとするでしょう。女を正規の雇用から外して編成がえが進んでいるのはそこから来るのでしょう。ですから、一年間にたった百円も上がらない最低賃金の毎年改定凍結を日経連は打ち出したのではないでしょうか。 男女の雇用が平等になったら日本経済はもたないと正直に言ってくれた経営者がいますが、女の労働権を確立し、正当に一個の人間として扱うとき、日本は初めて近代国家となって世界市場で信頼を回復するのでしょう。この法案成立に関係してくださる皆様方が女性を男性に隷属するものと見ないで、妻を夫の所有物と見ないで、性による役割分業意識を捨てて、男も女も一個の自立した人間として対等の愛の関係の中を生きていく新しい家庭をイメージしながらこの雇用平等法を構想していただくのでない限り、女の労働権の確立ということはかすんでしまって実効なき法となるのでしょう。夫と妻をワンセットと見る発想がある限り、女の年金権が確立しないのと同じことです。 難しいことではありません。一人の大人が女であるからといって食べられないのはおかしい、これだけわかっていただけたらいいのです。そのことは、男も女も豊かな老後を暮らす権利があるということにつながります。労働権も年金権も基本的人権です。基本的人権を保障するのにためらう理由はありません。労基法も職安法も守られないからといって、現状を追認する形で労基法を改悪したり職安法を改悪したりすることは本末転倒です。 男女ともどもに、社会も家庭も担い合う未来社会への展望を持って、実効ある雇用平等法制定のために皆様方の良識と英知を傾けてくださって御審議くださることを御期待申し上げて、私の公述を終わります。
○委員長(遠藤政夫君) ありがとうございました。 以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。 正午再開することとして、これにて休憩いたします。 午前十一時十九分休憩 ─────・───── 午後零時三分開会
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会公聴会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、安恒良一君、添田増太郎君及び松岡満寿男君が委員を辞任され、その補欠として浜本万三君、前島英三郎君及び森下泰君がそれぞれ選任されました。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) これより、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案について、公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○石井道子君 自民党の石井道子でございます。 きょうは公聴会に当たりまして、大変お忙しい中を公述人の皆様方御出席を賜りましてありがとうございます。 この男女雇用機会均等法案につきましては、今日法案が出されるまでに至ります間に、大変長い間にわたりましていろんな角度から論議が展開をされてまいりまして検討が続けられてまいりました。今、参議院で審議がされているわけでございますけれども、まず最初に、安西公述人にお伺いをいたします。 安西公述人から先ほど大変貴重なお話を伺わせていただいたわけでございますが、三十三年の間、職場におきまして立派にその責を全うされまして、その貴重な体験の中から御意見を伺わせていただいたわけでございますけれども、戦後の激しい移り変わりの中で、婦人の職場における地位の向上のために、その道一筋に大変な御活躍、御努力をなさったと思うわけでございます。そして、その実力をもって私は現在の地位をかち取られたというふうに受けとめるわけでございますけれども、その御努力に対しまして深く敬意を表したいと思うわけでございます。そして、採用とか昇進につきましては、先ほどのお話の中で、勤務年数というものが非常に大きなファクターになっているというふうなお話がございました。今全国平均では、昭和五十八年におきましては男性が平均的には十一・三年、女性が六・三年というような数値が出ております。女性が職場におきまして継続勤務を行うためにはどのようなことが必要であるか、そのようなことも伺いたいと思うわけでございますが、今度の法案の中には、女性がいろんな事情で労働を続けるための環境条件の整備も織り込まれていると思いますが、この点については再就職の援助のための再雇用特別処置、あるいは育児休業制度の普及などが盛り込まれてはおりますけれども、公述人の体験の中でどのようなことが必要であるか、そのことについてお伺いをしたいと思うわけでございます。 それから、募集とか採用、配置、昇進につきましては努力義務となっております。このことについての御意見も伺いたいと思うわけでございます。 それから三番目に、職場において保護規定というものがあるということが現状におきましては非常に仕事に差し支えるというような御意見がございました。婦人の職業能力を発揮する上で保護規定というものが障害になっているというふうな御意見ではないかと思うわけでございますが、採用とか昇進について不利になっているというふうにお考えでしょうか。その点についてお伺いをしたいと存じます。
○公述人(安西美津子君) それでは、ただいまの石井議員からの御質問に対して私の意見を申し述べさしていただきたいと思います。 まず、継続勤務について何が必要かというのは、私は先ほど公述の中でも述べさしていただきましたけれども、環境整備といいますか、要するに、とにかく二十代でやめてしまってはどうしようもございませんので、やめない方法を処置しなきゃいけないということでございますね。その中で私にとって一番難しかったというのは、これは社内の規定とかなんとかではなくて、やっぱり男性の物の考え方を変えていただくのに大変エネルギーが要りました。女性は家庭に入って家事に専念するのが一番いいのだという、これは何も使用者側ではございませんで、労働組合の役員自体にもそういう考え方は非常に強固にございまして、その辺をそうではないんだと、やはり女性も働き続けるためには男性の協力を得る、もちろんこれは上司だけではございませんで、仲間、上司、それから家庭の中での若いうちは親御さんの協力でさえも必要になるわけでございますね。そういうものを得ることが必要であるということを理解していただくのに、正直申し上げまして、先ほど申し上げましたように自動昇給、自動昇格というか、スタートラインに立つための年限に達するまでの素地をつくるまでに大体四年ほどかかっておりますので、そのくらいかかったということを私は申し上げさしていただきたいと思います。 あと、育児休職、これは何としても必要な環境整備になるんではないかと思いますね。これによりまして女性の仕事に対する意識も大幅に変わりますし、それから周囲の男性の女性に対する見方も変わってまいりますので、これの導入というのは企業がやはり努力していただけたら一番いいと思いますが、ただ、その中でもって、何が何でもやるといいましても、とにかく本人がその場にいなくなってしまいますので、いなかったときの処置をどういうふうに段取りをつけるかということの職場の中での話し合い、それから労使の間での十分な話し合いが必要であるというように思っております。 再雇用制度につきましてお尋ねをいただいたんですが、この問題につきましても二十年ぐらい前に既にアピールが一、二年続いたことがございますが、やはり時期尚早であったというか、女性自身がむしろそれを当時は望まなかったという実態の中でもって実現はいたしておりませんが、これにつきましてもこれから女性の勤続年数を延ばすためにはとらなきゃならない処置ではないかなというように私は思っておりますし、自分自身もこの辺を努力したいと思っております。 それから、保護規定が障害になっている、不利になっている、これはもうどうしても明らかに出てしまうような気がするんですね。じゃそれでは絶対にそれがすべてかといいますと、先ほど私も何人かの方の御意見を伺いまして、何だか聞くも涙、語るも涙の物語みたいなことを伺わせていただいたんですが、女性の問題だけではないんですね、これは。実際にもし一日二時間あるいは一週六時間、または深夜業の問題になりますと、男性の労働時間をどうするかという根本的なところに触れざるを得ません。私ども交通公社の場合ですと、男性でも月間四十時間が上限になっております。大方の支店におきましては二十時間が努力義務になっておりまして、男性自身がそんなに残業をしないでも済むような条件整備を実際には整えておりますので、その中でもって管理職に要求されることは仕事の段取りですとか内容の把握ですとか、それをつかんだ上での与え方ですね。残業を何でも命令をして、しかも八時、九時までだらだらとしていいというものではないと思うんですね。実際に日中の労働密度は高くなるかもしれませんが、残業時間の段取りその他は本人の問題とは別に管理職には相当厳しく要求されておりますが、そういう中からやっておりましても、現在の旅行業の場合でございますと、とにかく一日二時間という規制がどうしようもない壁になっておりますし、先ほど二時間の規定を破って何時間もやっているというお話も伺いましたけれども、私の周囲におきましてはそういうことがもうほとんどございませんので、逆に言えば守らなくちゃならないという、そのところから結果論といたしまして、だから女性はやはり困るんだという、昇格の場合にどうしても、たとえなったとしても議論の対象に一回や二回はなるという、そういう結果が出ております。特に一番深刻なのは添乗に関する深夜業でございまして、これは、一部添乗専門職のような方が年間二百時間以上もおやりになって、業界の中で十年間ぐらいかかったかと思いますけれども、二千時間でもって大変頑張っておめでとうございますというようなことを業界誌に取り上げられたことがございますけれども、逆に言えば、私は、もしフリーになった場合にはそういうふうにしなければやっていかれないという点に問題があると思いますし、むしろ社員として仕事の中でやっていけるのが一番いいわけですから、そうなってきますと今の深夜業はどうしようもないネックであるというように感じております。 済みません、どうも余りよくまとまりませんで。そういうことで終わります。
○石井道子君 ありがとうございました。 それでは次に、岸本公述人にお伺いをいたします。 先ほどお話の中で、今度の法案は労働基準法の改悪であるというようなお話がありまして、その中で特に母性保護が大変になおざりにされているというふうなお話がございました。今度の法案の中でいろいろ時間外とか深夜業についての規制が外されるというような方々も一部ございますけれども、大方の方々につきましては現状維持というふうな、あるいは時間的な枠組みというのは、多少変わっておりますけれどもやや同じであるというふうにも受けとめられるわけでございますし、また、危険有害な業務につくことにつきましては妊娠中とか産後一年間は制限をされますし、妊娠、出産にかかわる機能に有害な業務については一般女子についても就業制限が行われるというふうに改正をされております。また、生理休暇につきましても、休暇の請求権もあるというふうになっておりますし、産前産後の休業につきましても、産後が今まで六週間でございましたが、今度は八週間になったという形で改正をされているわけでございます。 そんな中で、時間外とか深夜のそういうふうな保護規定をそのままにしておきます場合に、男女の均等な機会や待遇というものを確保するための法律をつくった場合に非常に女子労働者が制約を受けることになっておりますので、そういう場合に女子労働者の職業能力というものが十分発揮できなかったり、あるいは就職の場を狭めることになるのではないかというふうにも考えられるわけでございますし、またその制約のために仕事を途中でほうり出して男性に頼まなければならない、そういう責任問題にもつながるというふうなことも起こるのではないかというふうに考えられるわけでございます。その点についての御意見を伺いたいと思います。
○公述人(岸本直美君) 私の考え方を述べさせていただきます。 私は、男女平等とか母性保護というのは一部の特別の婦人たちのものというふうには見ておりません。婦人労働者が大変ふえている、そのふえている婦人労働者全般を指して一体どのように地位を向上させていくのかということがまず大事ではないかというふうに思っております。今先生は、一部は外されるけれども、大半は現状維持だという御発言でしたが、これは大分私どもの考え方とは違うし、実態にも違うのではないか。婦人労働者が従事しております仕事の一番多いのは事務職ですから、あの均等法の中で言われている現状維持もしくはそれも緩和されての維持になりますけれども、それの対象というのは現業労働者ということになっております。御承知のとおり、現業労働者は大変減ってきておりますし、逆に第三次産業に従事する婦人労働者はふえております。こういう面から見ますと、かなりの部分がこの改悪の対象にされるというふうに見なければならないというふうに思っております。もしそうでないというふうに見られるとすると、大変これは認識が違うし、事態はまた違った方向になっていくのではないか、このように思っております。 また妊娠中については、危険有害業務等も妊娠出産等については非常に厳しくというか、そのようなお話でしたけれども、しかし問題なのは、大事な点がほとんど後送りになる指針に託されていることです。指針の中身が今ここに明らかにされていないもとでは、私どもは大変そのことで不安を感じるものなわけですね。そしてまた、産前の休暇が六週間から八週間になるということは、これは既にもう人事院が昨年、本来ならば五十九年から実施するというようなことで一度政府がお答えになったものを引っ込めて、そして今またここへ出してきている。これはもう実際に婦人労働者がどのぐらい産後休んでいるかというデータを見ても、今の六週間内ではとても体の回復もなければ、また職場に戻って六週間ぐらいであの厳しい職場の中でたえていく体力も養われない。そういうことから考えれば、これは外国のほかの保護基準と比べてみましても決して長いものではないし、政府が一度そういうようにお答えになっているものであるということならば、当然早く実施されなきゃいけない内容であるというように思います。 それから、生理休暇がそのまま残されるではないかと言いますけれども、現在も生理休暇の取得率は大変低くなっておりまして、これは婦人たちが使わないのではなくて使えない、人の足らない、休んでしまったらほかの人に迷惑がかかる、そういう中で、さっきの医療の例で言いますと、ほとんどの人たちが薬を飲んで痛みを抑えて生理日に仕事についているというのが実態です。そういうことを考えるならば、深夜業だとか長時間労働の多い職場、とりわけそういうところでも取得率が低くなってきているというのは、必要ないのではなくてとれないのだということをはっきりしていくことが必要だと思いますし、そのためには今の生理休暇というふうな形できちっと存続させることが必要なのではないでしょうか。 そして、保護規定が婦人労働者の職場進出の妨げになるのではないかというお話ですけれども、婦人労働者というのは、単に結婚前ということではなくて、生涯を通して婦人が働く上で、子供も産み、育てながら働く、こういう生涯を通じて本当に平等を確保し、そしてその能力の発揮が保証される。そういうことを考えるならば、きちっとその出産だとか妊娠だけにかかわる保護ではなくて、本当に健全な体で働き、健全な子供を産み、育てられるという、そうした保護規定は絶対に後退させるべきではないというふうに考えております。
○石井道子君 終わります。
○高杉廸忠君 社会党の高杉理事であります。 公述の方々には大変お忙しいところ御出席をいただきまして、貴重な御意見を賜りましたことにお礼を申し上げる次第であります。また、それぞれのお立場で実効ある男女雇用平等のために御活躍いただいておりますことに敬意を表する次第であります。高野先生も御出席ですけれども、男女の差別なく平等に公平にそれぞれの方にお伺いをいたしたいと存じますけれども、いずれにしても限られた時間でありますので、二、三の方になろうかと思いますが、御了承いただきたいと思います。 先ほどそれぞれの方からお伺いをいたしまして、特に安西さんと岸本さん、非常に対象的なお話を伺いましたから、端的にお伺いをして、限られた時間ですから要点で結構であります、お伺いをいたしたいと思います。 まず一つは、救済機関についてであります。この均等法では、御承知のとおりに、調停委員会の開始の条件として相手方の同意を必要としています。果たしてうまく機能すると思いますかどうかですね。 それから第二点として、特に安西さんにお伺いをするんですけれども、紛争解決の援助について、先ほどのお話でも行政指導で実効性がある、こうおっしゃったわけなんですが、どのような根拠からか、具体的にちょっとお示しをいただきたいと思うんです。 それから三点として、同じく安西さん、岸本さんからも伺いたいんですが、本法案では調停を申し立てた女性に対する使用者の不利益取り扱い禁止規定がないですね。この点についてどういうふうにお考えですか。 三点についてお二人の方にまず伺います。
○公述人(安西美津子君) それではお答え申し上げます。 端的に申し上げさせていただきますが、救済機関について、できるかどうかということでございますね。それでよろしゅうございますか。
○高杉廸忠君 うまく機能するかどうか。
○公述人(安西美津子君) 機能するかどうかですね。私は機能できると思っております。 それから、行政機関ができる援助の仕方はどういうことかということでございますが、私は正直なことを申し上げまして、行政機関ができる援助の方法について現在まだ答えを持っておりません。私が先ほどから申し上げましたのは、むしろその前段階で、実態の中で職場の身近なところでもってむしろ救済をした方がいいのではないか、その方がお互いに、いずれ働き続けるわけでございますから、気持ちよく働くには職場の中での救済機能をきちっと持たせた方がいいと思っておりますし、またこれは実際に自分の会社の中でもって起こったケースがございますので、十分に自信がございます。 それから、使用者の不利益な取り扱いができないのはどう思うかということでございますね。これは私は日本的な雇用の中から考えました場合に、使用者だけには限らないと思うんですけれども、大方の男性がやはり現実の問題といたしまして必ずしも女性に好意的でないというか、女性の働き続けたいという意欲に対してまだ全幅の信頼をおいていただいてないというときに、これは使用者側だけに要求することではないと思います。男性全体に不利益な取り扱いをしないような監視機関を私は女性がつくる方がいいと思っております。それは最初の公述のときに申し述べましたように、その職場にいる女性がきちっとそういう調停あるいは救済機関に監視の目を光らせるというそれがないことには、どこへ持ち出しても結果は同じであるというように考えております。 済みません、長くなりました。
○公述人(岸本直美君) 私の考えは、最初の救済機関双方の同意を得てというふうな点ですが、この点については機能をしない、実効性が乏しいというふうに思います。これは差別をしている本人と、されている側とが双方で話し合うというふうなことを申しましても、協議離婚ではありませんから、なかなかそのとおりいかないですね、相手側が認めなければ調停されないわけですから。そういう点で、社員の中には派遣労働者だとかパートだとか必ずしも労働組合に所属している人ばかりではございません。そういう一人の人、一人の立場に立ったときに果たして対等に企業側とそういう話し合いができるかどうか、そういうことを考えるならば、これは大変実効性がないというふうに思います。ですからそういう点では、これは私は大変問題だというふうに指摘の一点に入っております。 それからまた、調停を申し立てた婦人労働者が、申し立てたことによって不利益扱いを受ける可能性が非常に強いわけですね。これは今までのほかの件についてもそういう実例はたくさんありますので、私は先ほど述べたように、やはり調停を申し立てた婦人労働者が不利益な扱いを受けない、報復措置を受けないというような、そういうことをきちっとこの法文の中に明記すべきであるということを主張いたします。
○高杉廸忠君 中村さんにお伺いしたいと思いますが、先ほどもお話を伺いまして感動いたしているところであります。特に七五年以来十年間にわたる長い間、四十八団体約二千万人の御婦人を結集されまして大変御苦労の多かったことだと思っております。長い間御指導いただきましたことに改めて敬意を表する次第であります。 さて、私どもも本法案の十分な審議を尽くしまして、実効ある男女雇用平等の実現を期したいと考えております。しかし、今国会も御承知のとおり限られた期間わずかになりまして、そこでお伺いをいたしますけれども、本法案の最終段階を迎えるに当たっての現状から、特に政府に対して四十八団体の皆さんから、これはどうしても実現してほしいという御要望がおありだろうと思いますので、お聞かせをいただきたいと思います。
○公述人(中村紀伊君) 大変私どもの運動を評価していただきましてありがとうございます。十年間頑張ってまいりまして、そしてまたつい最近、今の参議院の状況についても十分全体会を開きまして話し合いをいたしました。そして、今の段階を十分話し合った上で私どもは先ほど申し上げました四項目について、これはぎりぎりの線で我々は参議院の諸先生にお願いしたいと、そういう線を四項目申し上げたわけでございます。繰り返して申しませんが、目的にきちっと基本的人権である婦人に対するすべての差別を禁止するということを書いてほしい、それから制裁を含む強行規定を書いてほしい、それから独立の権限を持つ救済機関をつくってほしい、それから労基法の改正については条件整備ができてから考えてほしい、すべてこの四つだけはお願いしてきたいということできょう出てまいりましたので、そのように申し上げさしていただきます。 そして最後に、婦人に対するあらゆる差別撤廃条約を七月の世界大会までにぜひ批准していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
○高杉廸忠君 わずかな時間でありますから、また安西さんにお伺いしますけれども、大変組合運動もおやりになって御経験も豊富だと思いますが、募集とか採用とかあるいは婦人の地位向上について具体的に今までの長い御経験、運動の中から障害ですね、これは男性の理解とか協力とかはもちろんでありますが、特に具体的に障害となったもの、こういうものがございましたらお教えを願いたいと思うんです。
○公述人(安西美津子君) 募集、採用ともう一つ何とおっしゃいましたか。
○高杉廸忠君 昇進だとかいろいろ昇格とか……
○公述人(安西美津子君) 昇進でございますね。 先ほどから再三申し上げておりますように、私が一番壁というか大きなエネルギーを要しましたのは、本当に男性の物の考え方でございました。これはもう何遍言っても言い足りないぐらい男性の物の考え方、要するに、女性が何もそんなに長く勤めなくてもいいじゃないか、もっと幸せな道があるではないかという、そういう発想を変えていただくその努力に私は最大のエネルギーを要しました。 それで、募集それから採用につきましては、これが一番時間かかったような気がいたしますけれども、しかしそうは言ってみても、もう一つ、世間一般の女性の採用に対する門戸を開いてないという実態の中で、社内的にある程度、それこそ六〇%ぐらいのコンセンサスを得たとしても、何か結論がゼロになってしまって、二年ぐらい前にやっと実現したという、そういう感じで私は受けとめております。実際に法制化する段階になれば、私が直接タッチしたわけではございませんけれども、そこへいざ実施しようというエネルギーがぐっと固まってくるには、何か周りを見ちゃってという言い方はおかしいんですけれども、周りを見てしまって動けなかったという、そういうところがあったような気がいたしますね。 昇進につきましては、やはり勤続を延ばすことでこれは相当解決をいたしておりますし、勤続を延ばすこと、それから延ばすための教育をきちっとすることということができれば……。 それからもう一つ、これは私どもの会社ですからちょっとほかの方に応用されては困るんですけれども、一つだけの仕事を例えば二十年なり三十年ずっと続けてきたときにどうなるか、私には答えが出ません。ただ、交通公社の場合には少なくとも三つや四つの仕事を経験して多少視野を広げてないと、これは男性でも昇格はしないわけですね、昇進も。ですから、女性もそのように自動昇給、自動昇格が適用されて、資格制が導入されて、教育がきちんとされまして、幾つかの職種をきちんとした計画的な管理のもとにローテーションが組めるようになりまして初めて、ですからここのところ、先ほどちょっと申し上げました役職者が出てまいりましたのは六、七年ぐらい前からでございます。で、ここ三年ぐらいの間に割と数がどっとふえてきたというところでございます。そういうところでございますけれども。
○高杉廸忠君 熊崎さん、高野さん、仁木さん、それぞれの方にお伺いをしますけれども、卒業生の女性で具体的に募集、採用等々で差別があるという実態はかなりあるかと思います。御存じでしたら実例を挙げていただければ幸いだと思うんですが、熊崎さん、高野さん、仁木さん、それぞれからお伺いをいたします。
○公述人(熊崎清子君) 私は労働組合に所属しておりますので、いわゆる入ってきた方のいろんな問題を担当しておりますので、はっきり言いますと、以前の採用の問題では具体的にこうであるということは承知しておりませんので、ほかの方にお願いしたいと思います。
○公述人(高野三郎君) 学生が直接そういういわゆる採用、募集停止というような例、私、教育学部でございますので、直接はないんじゃなかろうかと思っているのでございますけれども、一般の企業に関してはちょっとわからない点がございます。ただ、私どもの教員の大学、いわゆる将来研究者になろうという方々の採用みたいなものですと、やはりどこの大学にこういう大学院生が卒業したからぜひよろしくお願いしたいという例をたくさん見かけるわけでございます。その場合によりますと、何といいますか、実績によりまして難しい面が出てくるんじゃなかろうか。実際に、例えばどこかの私立大学の大学院を出た、それと国立大学の大学院を出てどこかの大学の研究職員になる、その場合にある程度の差が出る場合があるかと思います。
○公述人(仁木ふみ子君) 公務員の場合は女子の採用はとまっていると先ほど申し上げました。これは年配でやめられた後ほとんど採用しない。どうしても要るときは臨時だとかパートだとかで埋めているという実態があります。教員の場合につきましては、採用試験を各県で受けます。そのときに婦人教師の方が多分成績がよいのです。しかし、成績がよくてAクラス、Bクラスにおりましても、男性のAクラス、Bクラス、Cクラスが済んでから女性がその後埋められるという状況が、これは教員採用においてもあります。それから大卒につきましては、先ほど申し上げました、全企業の二七%しか募集しない。そのうちに採用する企業は八・九%であると。これはもう甚しい差別です。そのことは高卒においても特定の企業、ともかく行くところをまず探さなきゃならないという状況があると思います。
○高杉廸忠君 終わります。
○糸久八重子君 公述人の皆様方には大変御苦労さまでございます。 それでは、最初に仁木公述人にお伺いをいたします。 教育者としての立場で女子生徒の卒業後をフォローしていらっしゃるというお話をお伺いいたしましたけれども、高卒と学卒の就職状況が最近大きく変化している部分がありますかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと存じます。
○公述人(仁木ふみ子君) 大学を卒業した場合に、ともかく専門的な人であればあるほどいわゆる正規の雇用から外されていく傾向というのは最近の驚くべき変化ではないかと思うんです。その方たちが技術を持つがゆえに本当は高いお給料を払って雇わなければならない人を、派遣事業というような形で登録してそこから派遣されていくという、これは非常に不幸せなことです。この間ちょっと労働省の方に伺ってみましたところが、そのような働き方を希望する人もあるからというふうに言われましたけれども、これは逆であると思います。働くところがないから仕方なくてそうやっているという状況がそこにあると思うので、労働者派遣というこれが非常に大きく今出てきている一つの問題であろうと思います。 ですから、技術を持つ人がそうでありまして、そしてその次、じゃ雇用されている人はどうなのかというと、専門的な技術であるというよりも、機械よりも人がおった方がよい部分に配置されているんだと思うんですね。ですから、サービスを伴う部分に配置されていると。事務補助の部分もそうだと思うんです。大卒にそこをとられてしまったら、高卒は行くところがないわけですよ。ですから高卒が事務系から外されていく。そこが非常に今度は高校の卒業生の問題として、事務系に非常に今行きにくくなっている状況があります。そして現場の製造業なんかに入っていくところが多いわけです。それから販売に入っていくところもあります。 じゃ、現場でどのような変化があるかということですが、これは北と南の例でお話ししてみたいと思います。 沖縄の場合は、沖縄の島の中でほとんどの人が就職できません。ですから本土に来るわけなのですが、昔はまだ事務系もあったそうですが、今は完全に現場労働者として来るわけです。繊維とか弱電がとても多いと聞きました。そして、そこでは学校に行きながらということで、各種学校とか短大とかに行かせながら仕事をさせる。そして、そこを卒業したら帰ってきてしまうわけですね。じゃ、帰らされるのと聞きましたら、帰らされるわけではない。しかし、午前中とか午後とか学校に行くとかいう、そういう時間帯を組んでいて、あるいは夕方から行くとかいう、そう組んでいるときにそれ以上おることは困るんでしょうね、どっちも困る。向こうも困るしおる者もおりにくい、そういう形で帰ってきてしまう。帰ってきたって沖縄の中では仕事がないわけですよ。ですから、ともかく何か見つけてしなければいけないということで臨時やパートの形でまた若い人たちがうろうろしているんだという話を聞きました。 それから北の例として山形の例をお話ししますと、これも昔は県外に出ている人が、女子生徒の場合は産業がなくて非常に多かったんですが、今は逆転しまして県内が三分の二、県外が三分の一だと聞きました。それはなぜであるかといいますと、これも全国的にその状況もあるわけなのですが、テクノポリスということで弱電のメーカーがかなり地方に入っていったわけです。安い土地と安い人が待っているということで行っているわけなのですけれども、そこでは前よりも非常に厳しい労働条件のもとで働かざるを得ない。さっき申しました、もう三交代を待っていて機械にぺたっと張りつける形で使われている。やっと今ある労基法が歯どめになっている、これを外されたら大変だということを就職の担当者はとても心配しておりました。それではそこに入った女の子たちがどういう仕事をしているのかといいますと、機械を使うのは男性だそうですね、ですから、機械よりももう少し安い部分で女の子が使われる、そういう形であるといいます。しかし、それでもやめないで頑張る。どっちかというと販売に行く方がまだ嫌になってやめることが多いのだそうですが、この製造業へ移ってきましてこれをやめたらいよいよ仕事がないわけです。だから、田舎に行けば行くほど女の子たちはそこにしがみつこうとしてしんどい労働に耐えているという状況が一つあります。 それともう一つ地方の実情としまして、いろいろなそういう企業があるのですけれども、そこでは中高年はほとんどパートで雇われていますね、あるいは臨時で入っております。非常に条件が悪いわけです。しかし先輩なわけですよ。仕事ができるわけです、一人前の仕事をしているから。そこへ新卒が仮に正規で採用されましても、安いパートの先輩であるおばさんたちに合わせて今初任給が下げられていくという、これも一つの新しい状況であろうかと思うのです。 それからもう一つ申しますと、パートにつきましても大体が六時間は働くのですけれども、昔は八時間も働いていたんですけれども、八時間がなくて七時間というのがふえております。これは何であるかといいますと、七時間で八時間分きちっとやらせて帰らせるということ。賃金は七時間分払う、しかし、八時間分の一日分の仕事内容はきちっとさせて帰らせているという一つの状況があるのでしょう。 それから、学卒の状況ではありませんが、北の方の状況として報告されている中から、内職が最近さま変わりしたということがあります。それは、今の弱電メーカーなんかが行くことになりましてからほとんどが内職へおろされまして、工場におる人はごくわずかの人数でよろしいそうです。全部内職へ出されまして、機械までも家に持ち込まれまして、そこで本当に深夜も何も問わない猛スピードでの作業が課せられている。体裁よく言えば在宅勤務でしょうけれども、それは中高年のこととしてあって学卒ではないのですけれども、そういうことがあります。 ですから、さま変わりということはごく普通の、今まで私たちが考えていた高卒の就職あっせんとか、大卒の就職あっせんということではもうどうしようもない一つの時代が来ている。このことは、均等法で出されたその精神を企業が先取りしまして、あるいは企業の要求に応じて均等法が出されるか、そこはわかりませんけれども、入り口差別の規制というところからそんな形へ来ているんじゃないかなと、こう思うのです。
○糸久八重子君 ありがとうございました。 続いて、仁木公述人とそれから高野公述人にお伺いをさせていただきます。 男女平等を阻害するものに、男は仕事、女は家庭という伝統的な性別の役割分業の固定化というのがあるわけですけれども、その辺につきましての御意見を聞かせてください。 それでは、仁木公述人からお願いします。
○公述人(仁木ふみ子君) 結局、女の労働権の確立ができないということは、先ほど一番あちらの方がおっしゃっていましたように、やはりこの意識が非常に牢固としてある限りはだめだろうと思うんですね。ですから、これはやはり子供のうちから直していかなければならないことですから、日本全国の婦人教師たちは男性の先生方をも仲間にしながら、子供のうちから同志として育っていくように女子教育問題ということで取り上げておりますし、また、差別撤廃条約批准の一 つの要件にもなります十条の問題ですが、男女平等のカリキュラムというところから今家庭科の男女共学の実践も試みてきているところです。
○公述人(高野三郎君) 私も、家内が教員をしておりまして、結婚と同時に退職した一人でございます。ところが、私の周りの先生方は、若い人ですとほとんど共稼ぎをしております。それも非常に精力的にやっていて、子育てなども非常にうまくいっている例をたくさん見受けておるわけでございます。いろいろ考えてみますと、再雇用というよりも、一たん退職しまして再び就職するというのはなかなか大変な面もございますので、私としましては、やはり男女ともできるならば職場に出て働けるような状態にできれば一番いいんじゃないだろうかというのが一つでございます。そういうために、この均等法の中でも、女性ばかりじゃなくて、男女ともに手を携えたような条項が少しできたらよろしいんじゃなかろうかと思っております。 ちょっと回答になりにくい部分があったかもしれません。
○糸久八重子君 熊崎参考人にお伺いをいたします。 お話の中に、最近形の変わった賃金差別が行われているようなことをおっしゃっておられましたけれども、公述人は東京都の苦情処理委員会の委員もしていらっしゃる。特に、苦情処理委員会の中で取り上げられた問題等で、形の変わった賃金差別、その他の差別について具体的にお話がございましたらお伺いをさせていただきたいのですが。
○公述人(熊崎清子君) お答えいたします。 私の今担当しております東京都における苦情処理委員会の中で扱われたことにつきましては、苦情処理委員会の機能とか機関とか、そういうものはまた述べる機会があると思いますけれども、このこと自体があっせん調整をしている間は公開してはならないという一つのものがありますので、そういうものを頭に置きながらお話したいと思います。 特に賃金の問題がこのごろ新聞紙上でもそういう判例が出ておりまして、大変私たち注目をするところでありますけれども、いわゆる現在私たちの賃金格差となっているのが、お話を申し上げたように、賃金体系の中に職種、職能給というそういう部分が導入されてきておりますと、どうしても職種、職能給の資格、賃金制度という部分の中で、女性の従事する仕事の内容が、どうしても男性と比べると低いところの等級にいるという傾向が強いわけなんです。ですので、一般的に男女の賃金格差を比較した場合に、格差の広がりがどうしても広がってきてしまうという傾向にあるわけなんです。 それで、今苦情処理委員会の中で係争しておりましたいろんな問題につきましては、一つは家族手当を男性につけて女性につけないという件数が一件ありました。それは世帯主という者が入っているということで、これはつけさせるようなことにしました。 もう一件は、たまたまそこのところの賃金体系を見直す場合に、諸手当を整理して基本給一本にしたいという話し合いが労使協定で行われまして、その整理をする部分で男女とも調整の金額をどれだけだという定額で行う予定だったものが、結果的には女性の一部分の方だけが金額の低い額を支給されて、それが不満だったということと、それから大きな問題は、新人事制度にかかわる問題で、どうしても昇進、昇格とか、そういう位置づけが男性と違うので、結果的には長い目で見ると賃金全体が低く格づけをされてしまうという、そういうケースがございました。 以上です。
○糸久八重子君 安西公述人にお伺いをさせていただきます。 公述人の職場では、大変いろいろ労働組合等で御苦労をなさいまして、そして大卒の新採用も実現をするということになった、本当にその御苦労は敬意を表します。募集、採用につきましては、公述人もおっしゃっておりますとおり、世間一般が門戸を開いていないという部分が大変問題なわけでございますね。それで、それぞれの企業が交通公社のように積極的に採用を進めるようにすればいいわけですけれども、やはり一部にはどうしても女性は採用できないというような状況の企業が非常に多いわけでございますね。したがいまして、どうしてもまずここの入り口の部分の門戸を開かない限り、例えば昇進、昇格の問題にいたしましても、教育訓練の問題にいたしましても、それは二の次の問題でございますので、まず最初が大事だと思うのですね。そこでどうしても募集、採用の部分は企業が努力をしただけでは決してその門戸は開かれない、やはりここの部分は禁止規定にすべきだと私は思いますけれども、そういった部分で公述人の御意見を聞かせていただきたいと思います。
○公述人(安西美津子君) お答えさしていただきます。 私は、そこを強制規定にいたしましても逆になじまないんじゃないかと思うのです。先ほどから大勢の方がこちらで公述なさっておられますけれども、要は強制規定にすればすべてうまくいくかというと、今伺っていても、現行の法律の中でさえも何もできてないんじゃないかというところが多いようでございますので、私は現行規定を非常に厳しく守る立場でもって若いときもやってまいりましたし、現在でも自分は管理職といたしましてやはり守らせておりますし、守っております。そうなってくると、先ほどから申し上げましたように、逆に女性の昇進、昇格のときに問題が起こってきてしまうということがあるわけです。 それはそれといたしまして、ちょっと勘違いされても困るんですけれども、私どもの会社で二年前に踏み切りました背景には、正式採用ではなかったけれども、実際に採っていなかったわけではございませんので、入っておられた女性の社員の方のやはり実績というものが基礎になることが事実でございます。これは先ほどちょっと社会一般のということを申しました。それももちろんございますが、実際に働いている女性が、四年制の大学を出まして働いている女性の実績が前にも評価をされたということでございますので、ちょっと何かあれなんですけれども、私は、入り口がすべて解決するとはだから決して思っていない、すべてこれを強制規定にしたならば全部解決するというふうには思っていないんです。 私自身も、実際のことを申し上げますと、入社のときには差がついて入社をいたしておりますので、それで、じゃできなかったかといえば、やはり自分がやってみてできてきたという実績を持っておりますのでこういう主張をしているんですが、強制よりはまず社内でのコンセンサス、それからそこに働いている人の実績、そういうものを積み重ねていった方がベターだろうというふうに思っているのが私の主張でございます。
○糸久八重子君 安西公述人に続けてお伺いいたしますが、平等を要求するならばやはり保護規定というのはかなり足かせになるのではないか。そういう意味では深夜業の例をお挙げになりましてお話しなさったわけですけれども、保護と平等という部分の御意見をお聞かせいただきたいのですが。
○公述人(安西美津子君) もう少し具体的におっしゃっていただけますか。
○糸久八重子君 といいますのは、やはり女性を平等扱いにするには、例えば深夜業の規制があっては平等にはならないんだということなんですね。それは、交通公社等の職場の中では添乗員等の場合には確かにそういう問題があると思うんですよ。しかし、やはり現在千五百十八万人もの婦人労働者がいる中で、前にお話しした方もおりますけれども、労働組合がきちっと組織をされているところというのは非常に少ないし、大体今の婦人の職場というのはパート等も含めて非常に劣悪な労働条件になっているわけですね。だから、そういう意味で例えば深夜業の規制を外した場合に、労働組合はきちんとしている、そして大企業であるという場合は別といたしまして、それ以外の多くの職場に働く婦人が一体どうなるのかということについて安西公述人の御意見を聞かせていただきたい、そう思うわけでございます。
○公述人(安西美津子君) 大変不勉強で申しわけないんですけれども、私、千五百万人の労働者のことを大局に立ちまして勉強したこととか、それからお世話したことがないんですね。だものですから、最初にもお断り申し上げましたように、自分がやってきたことと自分の企業の中の一万人のことでしかちょっとお話しできないので、大変恥ずかしゅうございますけれども、私は、そういう中でもってどう思いますかと意見聞かれましても、個々の中に入ってみればあるいはこれは無理ということが出るかもわからないし、その辺ちょっと答えられないのですけれどもね。私がやってきたその仕事の中では、何も毎日毎日深夜労働するわけではございませんが、要するに添乗業務については深夜業がネックになっていますと、しかも当旅行業では基幹産業、基幹業種であるということを申し上げただけでございまして、ちょっとそういう聞き方をされましても答えられないのです、ちょっとそういう大局に立ったことをやらなくて来たものでございますので。済みません。
○糸久八重子君 ありがとうございました。 以上で終わります。
○中西珠子君 本日は、公述人の皆様方お忙しいところをお越しくださいまして、また大変貴重な御意見をそれぞれお聞かせいただきまして本当にありがとうございます。 私は、まず中村さんにお聞きしたいのでございますけれども、中村さんが四十八婦人団体二千万人のメンバーを擁する国際婦人年日本大会の決議を実現するための連絡会の世話人のお一人として、過去十年間、幅広いまた熱烈な運動を展開していらしたことに対して心から敬意を表します。 それで、中村さんのお話の中で私は大変うれしいと思いましたことは、働く婦人ばかりでなく、差別を身近に見聞きしている主婦の方々が、例えば主婦同盟だとか、中村さんの主婦連のようなそういったところに入っていらっしゃる主婦の方々が、これは働く婦人の問題なんだというふうにお考えにならないで、女性全体の問題とお考えになっているということを伺いまして、また、労働時間の短縮とか週休二日制というものが必要なのだ、また、家庭婦人が家庭責任と職業上の責任の両立が可能になるような条件整備がなければ、それができるまではただいまの労働基準法を改正してはならないというお考えだということを聞きまして、大変私は心強く思ったわけでございます。専業主婦とか働く婦人とかという階層分化ができてしまっては、女性全体の問題として扱うことなくばらばらに対立してしまっては、これは本当に前進のない問題でございますし、家庭にとどまっていようが、外へ働きに行こうが、これは女性自身の選択の問題であり、また、その選択が可能ならしめられるような状況をつくっていくというのが政府のやはり責任であろうかと思っておりますので、そのようなことをちょっと感想として申し述べたわけでございます。 そして、その四十八婦人団体が要望として、これまで政府に対しても、我々議会におります者に対してもお出しになってまいりました四点というものは本当によく承知いたしておりますけれども、その中に入っておりません、例えばこの法案にはない不利益取り扱いの禁止規定、これについては中村さんはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○公述人(中村紀伊君) 四十八団体では、この四つに絞って申し上げるということで、このことについて特に深い議論、詰めた議論はしてございませんけれども、これは私の経験でございますけれども、私の身近な者が昨年の秋に結婚いたしまして、契約にはなかったけれども結婚退職させられてしまったわけです。これは労働組合という形ではなくて契約社員だった、しかし、結婚するということでちゃんと契約継続の判こをついた後で、ほかに結婚する人たちが何人か急に出たので、あなた一人特例扱いにするということはほかの人たちにもそれをしなければならないからということで、結婚の直前になって退職させられてしまったということでございます。それを四十八団体のちょっとした会合で申しましたら、今どきって言われたんですね。私も今どきと思ったんですけれども、そういう契約社員というような、組合にも余り力になってもらえないそういう人たちにとっては、先ほど申し上げましたように、救済機関がきちっとそれを取り上げてくれる、私ども消費者運動の中で裁判は幾つもしておりますから、私だったらやるかもしれませんけれども、そうではなくて、やっぱり救済機関がそういうことをきちっと取り上げてもらえる。そういう場合でも、不利益取り扱いということがないようなことがないと、なかなか一人の女性が、まして結婚を直前にしてそれを頑張るということはできないのではないか。そういう意味で私は、自分の個人的な実感としてこういうことは大事なことではないか、この雇用平等ということが生きて動くためにはそういうきめ細かい配慮が必要なのではないかというふうに考えております。
○中西珠子君 ありがとうございました。 では、次に熊崎さんにお聞きしたいんでございますが、先ほど就業規則にない差別慣行があらわれてきているというふうなことをおっしゃいましたが、例を一、二挙げていただけますでしょうか。
○公述人(熊崎清子君) お答えいたします。 一つは、今中村公述人がおっしゃいましたように、結婚に対してですが、現在、結婚をしましたらやめなさいという、そういう就業規則はありません。しかし、私たちの働いている中では、大体結婚適齢期になりますと少なからず一人二人と同期の人がやめていくと、大変肩身の狭い思いをして、そしてだれかいないかというような、結婚の意思がないのにかかわらずやめざるを得ないというような例は聞いております。しかし、これは今言いましたように、就業規則には結婚でやめていく制度は何もないわけなんですけれども、結局、本人の問題とそれから周りのそういう職場の、女の人はある程度の年齢が来ればやめて結婚する、それが行きおくれれば何とかといういろんな名前をつけられて大変職場でいづらいという、そういう環境にあることは確かだと思います。これは全般的ではないけれども、そういう環境が一つあります。 それからもう一つは、それと同じように、定年制の問題でも、これは大変難しい問題ですけれども、女の人がいつまでも独身で働くということに対しての職場の中での目というものがどうしても生まれてきて肩身の狭い思いをしているというような、そういうようなことが、今、ほんの一つか二つでしたけれども、そういう例があると思います。
○中西珠子君 ありがとうございました。 もう一つお聞きしたいんですけれども、立証責任の問題にちょっとお触れになりましたね。立証責任はどちら側にあるべきだとお思いになりますか、が一点。 それからもう一点は、調停委員会の次の段階が必要ではないかとおっしゃいましたね。そのことをちょっと敷衍して御説明願えませんでしょうか。
○公述人(熊崎清子君) 立証責任は、大変これも難しい問題だと思いますけれども、これがあっせん調停の渦中に入ってきますと、この問題がどうしてもクローズアップされます。立証の形というものがいろんな形であると思うんですね。例えば資料を作成してその資料による立証と、それに対しての責任を追及するというような形もあるかと思うんですけれども、私はやっぱり、本当に苦情を申し込まれた申立人の側に立った、それの有利になるような立証が苦情処理機関できちんとやれるという、そういうことが一番大切ではなかろうかというふうに考えております。 それから、次の調停の機関と申し上げましたけれども、これはなかなか制約があります。現在のいろんな法的な機関を見ておりますと、労働委員会だとか裁判にかけるのが一番権限があるとか、そうなりますけれども、そうなりますと、結果的には係争するためのお金がかかったり、時間も費やすという、そういうことがかなりあるとすれば、私は、今提案されております救済機関の中を、本当に苦情処理が持ち込まれてきたならば、第三者構成の中できちんとあっせん調停されるようなことの方が本当は望ましいわけなんです。時期というふうなことについては、これができてからどういうふうにするかということになろうかと思いますので、今のところ私は、今提案された救済機関の中できちんとやるべきだというふうに思っております。
○中西珠子君 ありがとうございました。 では、高野さんにお聞きしたいと思いますが、先ほどの御発言の中で、募集、採用、配置、昇進をもっと強い表現にするべきだとおっしゃいましたが、非常に抽象的な表現でいらっしゃいましたけれども、具体的にはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○公述人(高野三郎君) いろいろな言葉があるやに思います。ただ、一般的に使われておりますいわゆる禁止事項でもよろしいんじゃないかと私は思います。
○中西珠子君 高野先生は女子学生をお育てになって、そして推薦されて就職のあっせんをなさるということはございますですか。その場合、やはり大学卒の女子というものは就職の門戸が狭いとお感じになっていらっしゃいますか。
○公述人(高野三郎君) 私の担当しているのは教員でございまして、教員の場合は女子に限りますと、一般の大卒の場合と比較しまして、比較的門戸が広いんじゃないかと、このように考えております。ほかの一般企業に関しましては、実際に担当しておりませんが、教員などに比べますと狭いような感じを受けております。
○中西珠子君 高野公述人、先ほどいろいろ御指摘になりまして、条件つきの賛成というふうにおっしゃいましたけれども、もし女性が差別を受けて、そして訴えて出たとかまた呼び出されて証言をしたなんということに対して、解雇だとかまたほかの不利益な扱いをされるというふうなことがあってはいけないので、そういうものは禁止する条項があるべきであると私ども考えておるんですけれども、高野先生はどうお思いになっておりますか。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕 それからまた、救済措置というふうなもので一応婦人少年室に訴えることができるというふうになっているので、先ほど婦人少年室の人員をもっとふやさなくちゃいけないというふうなことをおっしゃいましたね。そういったことに関してもう少し御意見を伺わしていただきたいと思うんでございますが、いかがでしょうか。
○公述人(高野三郎君) 救済措置につきまして、いわゆる都道府県のところに置かれております少年室ですか、これがある意味で機能を持てば、まあ企業内努力が一番必要であろうかと思いますけれども、それを超えた問題につきましてその辺の解決ができるならば、そこを充実してやっていただければよろしいかと思います。 最初の問題、ちょっともう一度お願いできますか。
○中西珠子君 最初の問題は、中村公述人にお聞きしたと同じ問題なんです。不利益取り扱いの禁止という条項がなければいけないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうと申したんです。 不利益取り扱いの禁止と申しますのは、差別を訴えて出たとかそういったことに対して、使用者が差別なんか訴えに行っちゃ困ると言って解雇をするとか、その他の不利益な取り扱いをするということを禁止する必要があるのではございませんでしょうか。そうしないと、婦人はすべて怖くなっちゃって、そんな訴えはやりたくてもやらない、泣き寝入りしてしまうという傾向が非常にあるのではないかと思うんですが、そういう意味でお聞きいたしました。
○公述人(高野三郎君) 私は、その辺のところ詳しく調べてこなかったんで何とも申せませんが、禁止事項もよろしいんじゃなかろうかと思います。
○中西珠子君 安西公述人にお聞きいたしますが、日本交通公社という大企業の中で、そして組合もあったけれども、なかなか男性の理解のない中で、女性のために均等な機会とそれから待遇の平等化というもののために本当に身をもって闘っていらして、そして現在の京橋支店長というポストにおつきになった安西公述人に心から敬意を表すものでございます。 しかし、私ちょっとお伺いしたいのは、救済措置はやはり職場の中でやっていった方がいいんだ、労使の話し合いでやっていった方がいい、また苦情処理機関のようなものを職場でつくっていった方がいいということは賛成いたしますけれども、大企業ではない、また組合もないところ、組合の組織率、婦人は二割強でございましょう。そうすると、八割ぐらいの人が組合のないところで働いていて、中小企業で働いているわけですね。そういうところでは、やっぱり苦情処理機関をつくったり職場での解決というのは大変難しいのではないか。そうすると、相当実効性のある、そしてスピーディーに解決のできる救済措置が必要なのではないかと考えるんでございますけれども、先ほど来、余り外のことというか大局的なあれで考えたことないとおっしゃいましたけれども、もし組合のない劣悪な、もっともっと悪い労働条件で働いている人のところをちょっとかいま見ていただくと、そのような職場内で解決するのが一番いいんだということをおっしゃり切れるかなあと私思ったんですけれども、いかがでしょうか。
○公述人(安西美津子君) もうこの法案の以前の問題でございますね。以前の問題のことにつきましては、むしろ議員の先生方にお預けをさしてくださいということを申し上げたいんですけれどもね。 私は、自分の体験からいった場合に、先ほどからいろいろな質問が出ておりますけれども、苦情申し立てをしますよね。それに関連した方とそのうちまた上下関係になったらどうするのかなということをすぐ思ってしまうんですけれどもね。実際には組織の中ではそういうことの方が多うございますので、そういう意味でも、企業の中でもって職場の実態に合わせた形で解決していくのが一番いいんではないかというふうに私自身がだから思っているわけです。
○中西珠子君 どうもありがとうございました。やはり見解の違いというものがございますしね。 じゃ、仁木さんにお聞きしたいんですけれども、先ほど来女性の労働権の確立ということが非常に必要だと、こういうものが明記されなければいけないし、確立されなければいけないというお話でございまして、大いに同感でございますが、女子中学生の心理問題にお触れになりましたね。それをもう少し敷衍しておっしゃっていただけますか。 先生の御経験から、今学校では男女平等教育をしていらっしゃると思うんですね。だけれども、女子中学生が、先生に男女平等なんて教えられたって、周りがそうじゃないんだからということでいろいろな問題が起きるんじゃないかと思いますが、先生の御経験から一つ、二つ例を挙げていただければと思います。
○公述人(仁木ふみ子君) 私は、労働権の確立の問題は部分的な問題として申し上げたのではなくて、ここに出されている、こちらで言われるところの雇用均等法ですか、私たちが言う雇用平等法の目的そのものが女子の労働権の確立のためであって、だからそのためにすべての条項が組まれなければならないと申し上げたわけです。 そして、現在の女生徒たちの荒れの問題ですけれど、これは高校にも中学にもあります。低年齢化してきて小学校の高学年にももう出てくるわけなのですが、子供たちは割合敏感に世相を受け取るわけです。ですから、やはり自分たちの将来を見ましたときに、一生懸命勉強していたあのお姉ちゃんは仕事がないんだってよとか、そんなのが見えちゃうわけですね。大学に行ったって派遣なのとか、それから高卒のお姉ちゃんたちも何年か行ったらやめちゃって、やめないで頑張っているところはあんなところよだとか、お母さんはパートで出ていってすごくくたびれて帰ってるんだわとか、そういうのが見えてくるときに、やはり先行き自分があの人のように生きていきたいというモデルになかなか会わないわけですね。 ですから、書物によって間接経験でも得ながらそこで自分の将来像が描けたらいいんですけれど、それも全部挫折していく先輩を見ているときに、そしていろいろな退廃文化に囲まれているときに、それなら今の間少し、しんどい勉強しないで遊ぼうかみたいなことになっちゃって、そして、その遊ぼうかみたいな子は、案外後でおとなしいお嫁さんになろうと思うんですよ、どこでひっくり返るのかわからないけれども。ですからそういう形に来ているんだと思うので、やはり私たちが現在のいわゆる婦人労働界の問題をきちんと片づけて、人が人として大切にされるそういう労働状況をつくっていくしかあの子たちへの語りかけというのは難しいことだろうと思うんです。でないと、先生エリートだからよってこう返ります、子供たちから。しっかり頑張って働くのよなんて、私たちの職場はやめなきゃならない職場なの、先生エリートだからよってくるんですね。ですから、それじゃ困っちゃうのであって、みんながしんどいんだし、しかし働き続けられる職場にいるのは確かにエリートです。ですから、どの職場をも保証できるように語りかけていきたいなと教師たちは願っているんです。 実は、心ある教師たちは取り組みを始めまして、日教組としましても女子教育の問題を取り組む運動を始めましてもう十年になるんですけれども、この「国連婦人の十年」の成果というのは女の意識を確かに変えました。そして性別役割分業だって否定される数の方が多くなってきています。しかし婦人労働の状況だけは一層悪くなっている、この状況だろうと思うんですね。ですから、そこをやはり子供たちは無意識に見てとっている。そこからのあれとするならば、私たちはやはりこの現状打開しかない。それにはやはり歯どめとしての法案をしっかりしたものにしていただきたい、そう思うわけです。
○中西珠子君 私の時間がもうなくなりましたので、残念ながら岸本公述人にお聞きできませんで済みませんでした。
○小笠原貞子君 共産党の小笠原でございます。 私、国会に出ましてことし十七年目になりますのですけれども、本当に婦人の力が盛り上がるとこんな大きな力になるのかなとつくづく経験したのはこの法案に関してでございました。衆議院から参議院に回りました。中でも毎日たくさんの傍聴などが来てくださいますし、衆議院段階では継続審議に持ち越すと、また初めて婦人問題で集中審議をするというようなことも国会の中で起こりまして、やっぱり婦人が意識して立ち上がったら随分大きな力になるなと非常に感動を持ってこの法案も見、運動を見てきたわけでございます。国連の報告書を見ますとこういうのがございました。婦人は人口の二分の一を占める、そして収入はわずかに十分の一である、労働は三分の一を占めながら所有する富は百分の一にすぎないというような数字を見ましたときに、これは婦人の問題ではないと。婦人が本当に自分の人権、婦人として働く権利、子供を産み育てる権利、これを本当に保障されたならば、私の問題ではなくて、全人類の社会の発展のための大きな一つの転機をつくることができる、その責務があるということをつくづく感じたわけでございます。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕 それで、時間もございませんので、最初に皆さんにお伺いしたいことを申し上げていきたいと思います。 まず、中村公述人にお伺いしたいんですけれども、この婦人の十年の歩みの中で、先ほどもおっしゃいましたように、大変な御苦労もあったし、すばらしい発展だったと思うんです。特に働くということになれば、私は働いていないよという家庭の婦人というものが一緒になって自分の問題として考えたということはやっぱりすばらしいと。それはあらゆる差別撤廃条約とそれから国際婦人年というものの何が中心になって家庭婦人たちも巻き込んで大きな今日までの運動が続けてこられたかという、その中心的な問題を一点伺いたい。 それからもう一つ、私も国会議員になるまでは家庭の主婦でございまして、幾ら理論闘争をやっても、何を言っているんだ、おまえの扶養手当は、そのころは六百円でございまして、これを言われるともう何事も言えなかったと、そういうような時代でございます。ですから、先ほど安西公述人も職場の中で話し合いできれば一番いいというふうにおっしゃって、私もそうだと思うんです。だけれども、職場の中で使われている者使っている者という関係の中で、そういうふうにうまくいけばいいんだけれども、いかないのが現状ではないかと。特に家庭なんかにいれば、常に夫という存在のもとに押しつけられてきた者として、家庭でもなかなかやっぱり経済力がない中で対等に話ができないというような中で、職場の中で先ほど言われたように紛争の処理というようなことが救済措置をきちっとしなくてもできるんだろうかという、この二点をお伺いしたいと思います。 それから、熊崎公述人にお伺いをいたしますけれども、ゼンセン同盟とおっしゃっていましたから繊維の産業の方ですよね。そうすると繊維で忘れられないのが、かつて野麦峠のあの苦しさの中で、明治から始まった日本の資本主義の蓄積が発達した段階でございまして、そして相も変わらず今日本の経済を支えている下積みの婦人労働者をたくさん抱えていらっしゃる。とすれば、具体的に繊維の労働者の婦人の持っているさまざまな問題が今の出されている均等法の中でそれが改善されるというふうにごらんになるか、とてもじゃないけれどもこれじゃだめだというふうにごらんになるか、繊維のたくさんの婦人の職場に関して具体的にお考えをお述べいただきたいと思います。 それから、仁木公述人からも先ほどいろいろ伺いましたけれども、先生でいらっしゃる、日教組の立場でいらっしゃる。今、戦後教育の総決算と言われる中で、教育に対しての総攻撃がございます。戦後の先生の歴史なんかをずっと見ましたときに、戦後一番先に母性保護を出して労働協約を結んでというようなことが、一九四八年の婦人デーの前日に生休、それから産休、産前産後六週間、一年間の授乳の要求というようなものをお出しになっているのが諸先輩の先生方だったというのを見まして、今先生方自身が母親からは本当に子供の面倒をよく見てくれるいい先生であってほしいと願われている中で、そういう父母の期待にこたえるような職場として先生方自身の現状をどういうふうに見ていらっしゃるかというような具体的な問題もお伺いしたいと思います。 それから、岸本公述人にもいろいろお伺いしたいのですけれども、私は、働く人たちが自分が経済的に働きたいということだけではなくて、やはりそこに婦人であるという立場から、結婚して子供を産み育てるというそういう母性の立場から考えると、家庭と子供の教育と自分の働く職場ですね、これを両立させるということの苦労が一番多いんだと思うわけなんですね。そうしますと、今、働く婦人がどんどんふえてきました。中でもパートがふえてきましたということは、婦人の賃金が男性に比べていっとき上がってきたけれども、下がって開きが出てきているというような状態があろうと思います。そういう意味で、働く婦人がふえたということはただ喜ばしいのではなくて、働かなければならないという経済状態という中でパートの問題ということが出てくる。とすると、両立させる道というのは一体どこにあるだろうか。一番問題なのは、両立できる社会的環境の諸条件を整備するということだろうと思いますが、例えていえば、保育所だとかいろんなそういう条件を整えるために何を今必要として、現状はどういうふうにごらんになっているかと、そういう問題について伺いたいと思います。 先ほど安西さんも規制緩和、深夜も働けるようにということをおっしゃいまして、婦人タクシーの運転手さんもそういう要求を出しておりますね。そうすると、なるほどな、やりたいという人はどんどんやってもらったらいいじゃないかというのがすっと入るということがあるわけですよ。それについてお二人の立場はさっき別でございましたから、岸本公述人としては、そういうやりたいという人がいるからいいじゃないかという意見に対してはどういうふうにお考えになるかという点も伺わせていただきたいと思います。 それから、婦人差別撤廃条約が出されて、読んで私も感動したんだけれども、岸本さんなんかもそれでいろいろと感動されただろうと思うけれども、その一番感動したのは何だったのか、そしてそれが今の出されている均等法の中に生かされているんだろうか、その趣旨がどういうふうに評価されて入っているだろうかということについて伺いたい。 それから、大体みんなこのままでいったら大変だよと、先ほどもおっしゃったように、家庭婦人も含めて多くの方々が四つの項目を出していらっしゃる。これは大多数の婦人の声だと思うんです。それなのにこれがどんどん出されて、通されようとしているのは、一体だれがこれをねらっているんだろうか。大変どぎつい言葉で申しますと、一体これによってだれがどういうメリットがあってこういうふうな動きになってきているんだろうかということについても、つけ加えてお伺いしたいと思います。 安西公述人は、私の立場でおっしゃいましたので、本当に奮闘なさって恵まれた立場にいらっしゃるというわけで、あえてここでまた質問ということはいたしませんけれども、やはりたくさんの悩みを持っている多くの婦人のそういうものにもこれから目を向けていただきたいし、それからもしよかったら、失礼かもしれないけれども、御家庭をお持ちでいらっしゃるのかどうか。すごいキャリアウーマンだなと思って見ていたんですけれども、もしもそういうことをお伺いできたら、失礼ですけれども伺わせていただきたい。 そういうことで順次お願いをいたします。
○公述人(中村紀伊君) たくさん先生おっしゃったんですが、なぜそういうふうに主婦たちも思うようになったか、四十八団体がどういう討議の中でそうなってきたか、そういうことでございますね。 一つは、今婦人運動をしているような婦人の方たちは、やはり昔ある時期職業について、そして結婚のためとか、子育てのためとか、残念ながらやめなきゃならなかったという経験を持っている方が非常に多い、そういうことがあると思います。 それから、主婦連とか地婦連とか主婦同盟とか、いろんな婦人団体、昔で言えば専業主婦が多かった婦人団体も、今は末端会員はパートで働く方が非常に多いわけです。ですから婦人団体の集会も、私なども参りますけれども、土曜日の午後とか日曜日とか夜とか、そういうときでなければ総会や研修会が開けないという時期になっております。ですから、むしろ婦人運動をしていた人たちがパートで職場に出て婦人の労働の問題を見ると、あきらめている現場の人たちよりも、新鮮な社会的な目で今まで婦人問題を考えていた人たちがパートで行って、どうしてこんなところで働いているんだろう、こんな条件はおかしいじゃないかという、そういう感覚で婦人団体の人が見出したということがあると思います。 それから、もちろん自分たちの子供や家族の中でそういう問題を見聞きして実感として感じる。やっと大学を出した優秀な成績の自分の娘が、大学出ではコネを使っても就職できなくて、高校卒、せいぜい短大卒の資格でしか入れてもらえない、コネがあっても入れてもらえない、そういう悔しい思いをしている母親はいっぱいいると思うんですね。そういうことがやはりこの問題を我が身の問題であると思わせた。 それから、四十八団体では最初の日本大会のときは、それぞれの部門に分かれたときに、労働の部会は労働に関係する組合の方とか有職婦人クラブとか、そういう方たちがむしろ中心になって部会を全部つくったわけですね。家庭婦人は家庭婦人の部会というところでやったわけです。しかし中間年の大会の後では、それでは共通の理解が出ないんではないかというので、全部それをばらして、労働問題のところでも全体会でそれぞれ働く立場の方たち、労働組合の方、それから中小企業で働いている方たちの御意見、それからいわゆる有職婦人クラブのような方たち、いろんな方たちの御意見を実際に伺って交流する。そういう討論を重ねてまいりましたので、そういうベースがあるところへそういうやり方をしてまいりましたので、これはみんなのものとしてこれだけの要求を一致させることができた。四十八の団体が一つも落ちないで共通の要求が出せたということは、私はそういうことだと思っております。 それからもう一つ、救済機関の御質問がございましたけれども、これは私は消費者運動の方で運動をずっと続けておりますけれども、主婦連では、消費者苦情の窓口というのをつくれというのを昭和二十年代から提唱して、自分たちの団体の中でまず苦情の窓口をつくって駆け込み寺のようなものをこさえました。それが今は各地方自治体、政府、いろんなところで消費者保護基本法によってそういうものが公設でできております。そしてまた、地方の条例の中では消費者被害救済委員会というような形で取り上げられております。それに携わっておりますので、その経験から見て、やはりこの問題はこういう形できちっとした救済委員会の設置が必要ではないか、これは私の経験からそのように感じております。
○委員長(遠藤政夫君) まことに恐縮でございますが、時間が限られておりますので、公述人のお答えは簡潔にお願いいたします。
○公述人(熊崎清子君) お答えします。 私たちのゼンセン同盟という労働組合の組織は、組合の組織機構でいいますと、上部団体という言葉を使っておりますが、それは総同盟、同盟に上部団体を持ちまして、また民間企業であります全民労協にも加盟しております。そういう団体の中に所属しているということは、今中村公述人がおっしゃったように、ひいては労働四団体とそれから国際婦人年の連絡会世話人の中にも入っているわけなんです。そういう機関の中で、今回出されましたこの均等法案についていろんな角度から意見討論をした上で、私どものゼンセン同盟としましては実効ある四原則のものを入れた上でこれの成立を来すというふうな方向に決めております。それが一点です。 それからゼンセン同盟は、今は片仮名でございますけれども、前は繊維という漢字でございました。大変個人的なことで恐縮ですけれども、私も職場におりましたのは、製糸、生糸工場で働いておりました。そういうことで、歴史に深いかかわりのあるいわゆるあの野麦峠から始まった女工哀史のような工場での労働条件につながるゼンセン同盟の条件獲得の歴史というものは、大変長い間かかっていろんな点で条件を変えてまいりました。しかし今振り返ってみますと、今のゼンセン同盟のかかわっております業種が、繊維だけではなくて流通部門、いわゆるチェーンストアを含めたかなりいろんなところの業種を抱えているのが私たちの労働組合の中身でございます。ですので、この分野にかかわる今回の均等法について一番問題になるのは、いわゆるチェーンストアに働く部門での労働時間の問題が焦点になろうかと思います。それとやはり何といいましても、労働時間の扱いを三段階に分けたいろんな根拠性というものが焦点になるのではないかというふうに思っております。そして、流通関係にかかわる専門職と管理職の範囲の問題、そういう点が一番焦点になるのではないかと思います。それから、やはりこういうような歴史を長く抱えた私たちの中では、外圧と内圧の両面においてこの条件を高くかち取っていくというふうな方向をとっております。 簡単です。
○公述人(仁木ふみ子君) 女への攻撃は、結局は労働界への攻撃であり、教育界への攻撃である。そして、そのことがまた戦前、教育権を国家に奪われていたのをせっかく国民の手に取り返しましたのに、今また国家の手に取り返されようとしているのが臨教審であろうと思うわけです。そういう現場でお母様方と教師たちがどのように手をつないでいるかという御質問だろうと思うんですけれども、管理体制が強化された中で、現場の教師たちは非常に多忙です。余分な研究は校長のための研究会が多いし、そして文部省の研修が多い。このことはほとんど教師が育つことに役に立っていないと思うんですけれども、その中で忙しさの余りに先輩が闘い取ってくださった権利を行使していない部分があります。ですから、権利は日々行使しなければ現実のものにならない、そして行使しない権利はやがて法からも奪われる、それがまさに今日の状況であろうと思っているので、先輩にも済まないと思いますし、新しく来た人たちにはその状況を正しく知らせないと、新しく採用された若い人たちの意識は、戦後すぐの闘い始まったころの気負いもなく、やはり戦前の心理状況に似た部分があるということは率直に反省しなければいけないと思っております。 ですから、教育問題を語るために母と女教師の手を結ぶ運動を全国的に今展開しておりますけれども、そこで私たちはやはり謙虚に子供の心の隣にいて、友人になれる教師になろうということを合い言葉にして、子供の側から教育をとらえ直そうとしているわけです。そのためにお母さんたちと話し合います。そして、教育の問題を話すだけでなく、そのお母さんは、先ほど申し上げましたように、内職の低賃金にあえぎ、パートで御苦労なさっているお母さんたちです。ですから、内職の賃金を三円三十銭を三円五十銭に上げる運動、そしてその最低賃金を今度百円上げる運動ということを一緒に今展開していっているということをまず申し上げておきたいと思うのです。 ですから、教員を変えることと、教育内容を変えるための教員免許法と教科書統制法案がやがて出てきますけれども、どうぞ皆様方御一緒に頑張っていってくださるようにお願い申し上げます。
○公述人(岸本直美君) 最初に、仕事と家庭の両立の問題ですけれども、大変既婚婦人がふえている、七割近くになっている、子供を抱えながら働く母親がふえているというふうなこと、そういうことなどを反映しまして、国際的にもこれはILOが百五十六号条約というのを出しておりまして、この中でも共働きの家庭責任というのは両親とその社会が負うべきだということを明らかにしているように、そのことが生かされるような、ILOというのは決して労働者代表ではなくて、使用者代表も入ってのこういう条約です。そこですら国際的にそういう方向が明らかにされている。こうした基盤を満たすものがつくられなきゃならない。そのためには私は何としても今回の労働基準法の改悪には反対です。そして母性保護を充実させていく、働く基盤をまず充実させていく、そして男女ともの人間的な生活が送れるような労働時間の短縮、これは一日、そして一年、それから休暇を含めて、やはりそうしたものを賃下げなしで、人間らしい生活ができる賃金を保障した中で、あるいは社会保障制度を確立した中でそうした基盤を整えていくことこそ、このことが大事だろうというふうに思っております。そうした中で、婦人労働者は子供を抱えながら現実はそうでないわけですから、保育時間に追われながら、これ以上労働時間が延びたらば今のようにさえ働き続けられなくなってしまうということは明白です。 次の点です。深夜業をやりたい人にはどう考えるのかということです。やりたい人の中には、婦人の職域を広げるとか、能力の発揮のためにというふうなことも挙げられております。私は、本当に婦人の能力の発揮だとか職域を拡大するためならば、今、深夜業を緩和させていくことはこの趣旨にも反していくと思います。タクシーの労働者の例がよく挙げられます。タクシーの婦人労働者が深夜仕事ができない大きな理由の中には、夜中走りたいんではなくて、暮らせる賃金を獲得するためには仕方がないということだと思います。私は、深夜、人間らしくないというふうなことは、政府の調査でも非人間的な労働であるということがはっきりしておりますし、疲労の蓄積も激しい。こういう深夜働くことを男も女も競争させるようなやり方は絶対反対です。そういう意味で深夜業の緩和ということは絶対にあってはならないというふうに思います。 それから、深夜業がどうしても必要な部分はあります。こういう部分についてはやはり男も女も含めてできるだけ公的労働のみに規制していくような方向にすべきではないか、そして深夜労働者に対してはやはり特別な労働条件の措置を講じていくべきだと思います。拘束労働時間を短くする、休憩時間を設ける、施設を完備する等々さまざまあると思いますけれども、そうした措置が深夜業についてはどうしても必要であるということ。今はそういう条件が伴っていないわけです。そういうことでは、私は深夜業についてそういう考え方を持っておりますから、やりたい人ならいいではないかということは、やりたい人ということでやりたくない人まで含ませていくことになる。そういう意味でそのことについても反対です。 それから、差別撤廃条約について感動した点は何かというふうなことですが、私は、この差別撤廃条約というのがこれまでの人間の民主主義の闘いの到達点というような意味で、大変感動深く受けとめております。特に男女平等ということを単にそれだけということではなくって、社会の中に抑圧がないというふうなこと、とりわけ平和の問題だとか人種差別だとか、そういう問題から男女平等の問題をきちっと理念を明らかにしている点で大変感動的ですし、この差別撤廃条約を私は速やかに政府が批准されるというふうなことを強く要望するものです。 こういう点から考えても、今出されている均等法案というのは、男女平等の意味を大変狭くとらえている点で問題が大きいというふうに思っております。また、先ほど先生おっしゃったように、私はやっぱり何としてもこれは婦人労働者の立場から出たものではないし、そして大変資本の考え方が色濃く出されている。このことで一体だれが一番この法案の成立を望んでいるのかというふうなことを見れば、私はそのことははっきりしているのではないかというふうに思います。 以上です。
○抜山映子君 民社党の抜山映子でございます。 時間がないのであるいは全員にはお伺いできないかもしれません。 まず、熊崎さんにお伺いいたします。先ほど熊崎さんは、東京都の男女差別苦情処理委員会に所属しておられるということを言われましたけれども、東京都の苦情処理委員会と今回の雇用機会均等法案に出ております調停ですね、両者を比較してどのように違うか、簡単におっしゃってください。
○公述人(熊崎清子君) 簡単にと言われましたけれども、簡単になるかどうかわかりませんが、申し述べます。 現在私の所属しております東京都の苦情処理委員会と今の出されておりますものとはどう違うかという点につきましては、今出ております均等法案の方が機関がきめ細かに記されているということは事実だと思います。しかし、中身の問題で実際にこれを処理する場合にもう少し具体性に欠けているというふうに感じております。
○抜山映子君 東京都の苦情処理委員会にも出頭を強制する規定はございませんね。
○公述人(熊崎清子君) はい、ありません。
○抜山映子君 その結果、大勢の方から申し立てがあっても出てこないで終わっている件数があるのではありませんか。
○公述人(熊崎清子君) 処理する問題によりまして、その中ではどうしてもその内容といいますのは二つに、現在ほかのところで裁判で係争している問題を苦情処理委員会にもう一回持ってきているという件数がございました。しかし、苦情処理委員会で扱うときには、係争中のものは入れないということをはっきりと確認をしながら処理したんですけれども、結果的には両方とも入ってしまったという、そして調整が全然できなかったという件数はございました。
○抜山映子君 一口に申しまして、東京都の苦情処理委員会は有効に機能しているとは一〇〇%言えない事情と思いますが、その点いかがでしょう。
○公述人(熊崎清子君) 有効という言葉がちょっとひっかかりますけれども、東京都の苦情処理委員会は、実は五十五年の六月に発足しまして、このねらいといいますのは、いわゆる労働組合のない中小企業のそういう職場に働く女性のために、そういう問題が起きた場合にあっせんするというところだったんですけれども、この苦情処理委員会の機能する前の段階で、中央労政事務所がそれぞれの窓口で件数を聞いているわけなんです。だから、中央労政事務所の段階では件数が非常に出てきているわけなんです。ですので、件数を申し上げますと、五十八年では相談件数としましては二千百七十一件出てきています。ただ、その中で苦情処理委員会に上がってきたのが三件という実態になっております。
○抜山映子君 ただいまお聞きのとおりでございまして、苦情処理委員会に上がってきているのが三件というようなことでございます。 このような東京都の苦情処理委員会の例を見ましてもわかりますように、今回の雇用機会均等法案に規定された調停の機能は甚だ心もとないものであると私は思うんですが、この点については熊崎さんいかがお考えでしょうか。
○公述人(熊崎清子君) 私は、東京都の苦情処理委員会は、やはり目的にあるように、組合のないところの方の救済処置としてはある程度のそういう窓口を開いているということは事実だと思います。しかし、本当に労働組合があるところでも組合のないところでも、女の人が労働組合でそういう苦情処理ができなかった場合の救済機関という点で、今度の提案された救済機関をきちんと第三者を入れて機能をうまく動かせるような、そういう機関がほしいというふうに願っております。
○抜山映子君 それでは仁木ふみ子さんにお伺いいたしますけれども、先ほど高卒のパートが大変にふえてきておるということを伺いました。また近年、数年前と比較いたしましてパートの数は大変にふえておるようでございます。今回、雇用機会均等法案が通りますとさらにパートがふえるのではないかということも案じられますし、また人材派遣法、もちろんこれは新しいワープロの分野とか速記の分野とか専門職の機動的な派遣が必要だという要請もあるにはあるでしょうが、さらにパート促進と、しかも女性はもうパート要員であるというような動きにならないかと実は私心配いたしておりますんですが、高卒パートの実情、パーセンテージなんかわかりましたらお教えいただきたいんですが。
○公述人(仁木ふみ子君) おっしゃるとおりだと思います。しかし高卒パートのパーセンテージはわかりません。これは個人的にそういう形につくということが多いのと、学校が子供たちの面倒を見ますのは三月までですので、パートの就職というのは四月以後の就職が非常に多くなっているということからであります。そして、それは均等法が通ればパートがふえ、派遣法が出てくればまたそこら辺がふえていくのではないかということについてはもう全面的に賛成でございます。
○抜山映子君 お一人の高野三郎公述人、男性の代表としてお伺いするんですが、実は経営者側が、入り口のところで禁止規定にすると経済界に混乱が起こるんだという発言をなさった方もあるわけでございます。先ほど先生は、この入り口のところも禁止規定にすべきだというような御発言があったと思いますので、経済界の、もしも平等に禁止規定にすると混乱が起こるということについて先生はいかようにお考えか、お聞きしたいと思います。
○公述人(高野三郎君) その点は、経済界のことを詳しく存じ上げておりませんのではっきりしたお答えは申し上げにくいかと思います。 ただ、最初に述べましたように、やはり入り口のところは私ある程度強い言葉であってしかるべきだと思います。
○抜山映子君 それじゃ、同じ質問を安西美津子公述人にお願いしたいと思います。
○公述人(安西美津子君) 私は、今ずっとお伺いしていまして、何か女性は、論語に言われている「女子と小人とは養いがたし」の女子の中にくくり込まれているような感じがしまして、もうちょっと私は女性ははっきり言いましてしっかりしていると思いますし、それから、必ずしも男性の意思だけでもって動くはずはございませんので、そういう点ではそんなに厳しい入り口にしなくても十分にやっていかれるというように考えております。
○抜山映子君 入り口のところが努力で、あとの定年、解雇の方が禁止になっておりますので、実は大変に私が心配いたしますのは、入り口のところは努力規定だから、ここらあたりで女性をはねておけば後々の難しい問題がなくなるというようなことで、かえって門戸が狭くなるのではないかと、こういうことが大変心配なのでございます。その点につきまして岸本直美公述人いかがでございましょう。
○公述人(岸本直美君) 現実に女性の入り口差別というのは大変厳しいものがありますし、これはなかなか労働市場に登場する以前の問題ということでつかみにくいかもしれませんけれども、もう既にこれは大学の四年制卒の学生自治会あたりで、どのようなことで女性が就職差別を受けているかというような白書を出したり、その証言集などが出されております。そういう中で見ますと、これは規定にはないようなことで、大変非人間的なことで女性差別がやられているということは実態です。そういうことを考えるならば、女性はしっかりしているのはそうですけれども、その以前のところではじき飛ばされてしまうというのが実態でございますから、入り口こそ、そして、しかも労働組合もない、まだ何の保障もないこの部分こそ法律できちっと保護していくべきだ。だから、私はここでもきちっと罰則つきの強行規定で募集、採用差別を禁止すべきだというふうに考えております。
○抜山映子君 最後に中村紀伊さん、大変御苦労さまでございます。たくさんの御婦人の団体を率いてこられまして、いかがでしょうか、私のところにたくさん陳情の女性が見えまして、もうこれは流していただきたいという意見もあるわけでございます。あるいはまた、ある方がよくて、修正をかち取ってでも通していただきたい、いろんな意見があるわけですが、中村さんの今まで率いてこられた婦人団体の意見を集約すると先ほどの四点にはなるわけですが、流した方がいいんだという意見についてはどれぐらいございますでしょうか。
○公述人(中村紀伊君) お答えいたします。 そういう討論はされておりませんので何とも申し上げられませんが、私どもは参議院の事態を、十分先生方からもそういうお話を伺って、そういう条件を踏まえた上でこの四点は参議院の良識において、衆議院と参議院の二院制があるということは、参議院の良識においてそこは我々多くの婦人の要求を入れていただけるものと期待してこの要求を出しましたので、ぜひその点については先生方に再度お願いを申し上げたいと思います。
○抜山映子君 ありがとうございました。
○下村泰君 二院クラブの下村です。 こうして女性の問題が非常に大きくクローズアップして、この参議院でこういう公聴会が催されました本日、私は今振り返りまして、今この席に市川房枝先生がいらっしゃったらどんな感慨をお持ちかなとふと考えました。殊に中村公述人とはしばしば二院クラブでお顔を合わせておりますので、余計その感慨が強くなりました。 前段は抜きまして、本題に入らせていただきます。 皆さんの御意見はそれぞれ伺いました。理想は高ければ高いほどいいんですが、現状とは大分大きなギャップがあります。この男女雇用均等法案なんでございますけれども、これがもう出てくる段階から少し私は問題があると思うんです。殊に六年間もすったもんだのあげくに意見が一つにまとまらず、三つの論が併記されて、三論併記という形で出てきたわけですね。ですから、最初から法案そのものが私はまとまっていないと思う。殊に使用者側の意見が非常に強く打ち出されているようにこの法案を見て感じるんです。労働者側の意見がお相撲でいうと土俵際まで追い詰められてでき上がってきたような法案なんですね。 そこで、岸本、安西、中村、お三方の公述人に伺いますが、このたびの均等法はどのように位置づけられ評価されるものでしょうか。どうぞ御順にお答え願いたいと思います。
○公述人(岸本直美君) 先ほども私一貫して申し上げておりますように、この均等法案の最大の問題点というのは、男女平等を目指すと言いながら、実際には働き続けられなくなるような労働基準法の改悪を含んでいる、このことを見ても、私はこの法案自体が大変資本の意向を色濃く反映したものというふうに見ておりますし、したがって、労働基準法の改悪がセットとなっております機会均等法の成立には反対です。私は、労働基準法の改悪なしで、先ほど私どもが述べたような、実効性のある男女雇用平等法の制定こそ今すべきだというふうなことを重ねて主張いたします。
○公述人(安西美津子君) 私は、先ほどから再三申し上げておりますように、現実的で大変やりやすい、実際に仕事しております場合に大変やりやすい法案であるというふうに理解をいたしております。特に労基法の問題を含めまして、改悪という御意見もあるようでございますけれども、私どもにとりましては、少なくとも現行法規よりは仕事がやりやすくなるというように思っておりますし、また実行する上でもって非常になじみやすいというような感じを持っております。
○公述人(中村紀伊君) たびたび申し上げております女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の趣旨に照らしてみて、私は実効性が不足しているというふうに考えております。
○下村泰君 次に伺います。 この法案によって雇用における男女平等は前進するとお思いでしょうか。同じく岸本、安西、中村公述人に伺います。
○公述人(岸本直美君) 私は、大きな視野から見るならば決して前進はしないし、今ある男女差別そのものが是正されないばかりか、その差別というのは固定化されていくんではないか。むしろ新しい不幸も広がっていく、子持ちの婦人が将来働き続けるようなことが保障されないようなことが男女平等なのかどうかというふうなことを考えるならば、この均等法では明らかに労基法の改悪部分が含まれている限り、私は今の男女差別も是正されないというふうに考えております。
○公述人(安西美津子君) 私は、多少時間がかかるとは思いますけれども、この法案が成立することによりまして現在の働く女性の意識も変えていかざるを得ませんし、男性の意識も大きく変えていかざるを得なくなってきていると思いますので、多少時間はかかると思いますが前進をすると思っております。
○公述人(中村紀伊君) 大変難しい質問で、四十八団体の中でこういう質問が出たらどう答えるかということは討論してまいりませんでしたけれども、こういう法案が出てくるという日本の男性社会というか、企業の体質を考えますと、こういう形でこれを、使い方によって前進する部分があると思うんですけれども、しかし今、日本の企業の体質を考えると非常に実効性が上がらない部分が多いのではないかと、そういう非常に懸念を持つものでございます。
○下村泰君 まだお尋ねしたいことたくさんございますけれども、限られました時間、本来はもう二時に終了しておらなければならない当公聴会でございます。六分オーバーしております。自後まだ国会の予定もございますので、この辺で終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(遠藤政夫君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。 公述人の方々に一言お礼を申し上げます。 本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 以上をもって、本公聴会の議事をすべて終了いたしました。 これをもって公聴会を散会いたします。 午後二時六分散会