社会労働委員会 第24号
- 発言数
- 305 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/06/04
会議録
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨三日、中西珠子君及び和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君及び片山甚市君がそれぞれ選任されました。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。増岡厚生大臣。
○国務大臣(増岡博之君) ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者については、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により、健康診断及び医療の給付を行うとともに、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により、医療特別手当等の支給を行い、被爆者の健康の保持増進と生活の安定を図ってまいったところであります。 本法律案は、被爆者の福祉の一層の向上を図るため、医療特別手当等の額の引き上げを行うこととし、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正しようとするものであります。 以下、その内容について御説明申し上げます。 まず第一は、医療特別手当の額を現行の月額十万四千四百円から十万八千円に引き上げることであります。 第二は、特別手当の額を現行の月額三万八千四百円から三万九千八百円に引き上げることであります。 第三は、原子爆弾小頭症手当の額を現行の月額三万五千八百円から三万七千百円に引き上げることであります。 第四は、健康管理手当の額を現行の月額二万五千六百円から二万六千五百円に引き上げることであります。 第五は、保健手当の額を、一定の範囲の身体上の障害のある者等に対し支給されるものについては、現行の月額二万五千六百円から二万六千五百円に、それ以外のものについては、現行の月額一万二千八百円から一万三千三百円に引き上げることであります。 以上がこの法律案を提案する理由及びその内容でありますが、この法律案につきましては、衆議院におきまして、昭和六十年六月一日から施行することとしておりましたものを、公布の日から施行し、昭和六十年六月一日にさかのぼって適用するとともに、これに伴う経過措置を規定する修正がなされております。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(遠藤政夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案並びに原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○片山甚市君 私は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正に係る議題を中心に質疑をしてまいりたいと思います。 本法案が本年度もまた審議されるに当たり、我が国の戦後いまだ終わらずの感を強く持つ一人であります。最近、戦争に対する意識の風化や、あるいは太平洋戦争に対する我が国の責任がもはや過去のことのように言われ、時には郷愁のごとくに、戦前、戦中の当時を美化し語る者もいる次第であります。戦争を知らない世代の若い者の中には、ゲームや遊びととらえ、道具をそろえ戦争ごっこに興じているさまを週刊誌などで紹介されるのを見るたびに胸が痛むのです。 一方で自衛隊はますます装備機能を拡大し、発足当時の戦力なき軍隊は、今や軍備費で世界第八位の戦力を有する軍隊にまで増強されている次第であります。私に言わせれば、戦争という言葉はより現実的、今日的な響きで胸を刺すものであります。戦後四十年を経た今日こそ、当時の誤った帝国主義戦争の国策への反省と、犠牲となられた多くの人々に対する責任を一層厳しく受けとめなければならないと思います。 本来ならば総理大臣にこのことについてただしたいのでありますが、最も理解ある所管大臣に、これについて基本的な理念はどうなのか、お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) さきの戦争は、三百十万人という多数の犠牲者を出したわけでございます。歴史上にこれ以上ないような大変不幸な出来事でございました。したがって、この悲劇を繰り返すことのないように、今後も平和国家の理念に基づいて政治全体も動かなければならないと思いますし、厚生行政におきましても、そういう立場から充実に努力をしてまいりたいと思います。
○片山甚市君 日本の国民として三百万を超える方々が犠牲になられたことは言うまでもありませんし、その上に、戦争を行った日本の国としては、アジア地域を中心に二千万人を超える人たちに大きな被害を与えた戦争であることについて、お互いに胸に刻みたいと思います。私たち日本国民だけが犠牲を受けたんじゃなくて、世界の人々、なかんずくアジアの人々については大きな被害があった、そう思いますと胸が痛む次第です。大臣もそのことを十分に踏まえられたお答えと私は理解いたしたいと思います。 大臣は、戦争が終わるに当たりまして最も大きな被害地である広島の御出身でありますから、太平洋戦争の末期の戦局が、軍事的敗北は当然としても、広島、長崎に投下された原爆が戦争終結にどのようなインパクトを与えたか、広島、長崎の方々は大変悲しい思いをしましたけれども、それが今度の戦争の終結にどのようなインパクトを与えたかについて所感を聞きたいところであります。
○国務大臣(増岡博之君) 原爆投下が大変悲惨な惨禍をもたらしたことは御高承のとおりでございます。これがために、その前から終戦の動きがありましたものを一層早めることによりまして平和への道が開けてまいったように思います。
○片山甚市君 私から申しますと、戦争遂行は常に全国民を巻き込むものでありまして、私たち、スローガンで「一億一心火の玉だ」、「欲しがりません勝つまでは」というように、国民総動員の中で戦ったものと思います。結局、軍隊や公務員など、国との身分関係が明らかな者のみによって戦争の決着がつけられたものではなく、いわば広島、長崎は、そこにいた人々すべてが攻撃の対象とされ、その結果が戦争継続に深刻な影響、すなわち心理的、人的、経済的な影響を与えたからではなかったか。大臣はおっしゃらなかったけれども、私はそう思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のような、原爆が戦争を終結することにつきまして大きなインパクトを与えたことも事実であります。また、先ほども申し上げましたような、それ以外の被災者の方々にも大変な犠牲を強いておったわけでございますので、そのようなことが戦争終結を一層早めることになったということは当然のことだと思います。
○片山甚市君 全国民で戦った戦争であるだけに、地域的に集中的に経済的にも打撃を受ける、人的にも打撃を受ける、戦争遂行能力についてそうせざるを得なかった。すなわち、軍隊だけで戦争したんじゃなくて、全国民挙げての戦争であったというように私は理解して、それ以上大臣にお答えを願いませんけれども、質問を続けたいと思います。 広島、長崎の、世界に類のない悲惨な原爆被爆者は、同時に、国家的責任を有する戦争遂行に直接関与させられた、公務の有無にかかわらず戦争の犠牲者であるということを明確にしておきたいところです。すなわち、戦争の遂行に直接関与させられた。公務の有無にかかわらず、いわゆる戦争の犠牲者であるというように思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 戦争の犠牲者でありますのは一億国民すべてそうでございます。特に原爆被爆者は放射能という、特別な後遺症を持っておられるわけでございますので、私どももそういう面に着目をして、現行二法によって対策を講じておるところでございます。
○片山甚市君 そういたしますと、戦傷病者戦没者遺族等援護法は、戦争公務によって死亡あるいは傷害を受けた場合、国家補償の精神に基づいて補償するということになっておると思いますが、戦争公務という状態はどういう状態であるか、戦争地域が限定されておったのかについていかがですか。 〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
○政府委員(入江慧君) 遺族援護法におきます戦争公務と申しますのは、ただいま御指摘のありましたように、軍人軍属等の国と特別の身分関係にあった者が、国の命令によって公務を遂行中に受傷したりあるいは死亡した場合を戦争公務と言っております。 それで、国内におきましては現実に戦闘行為が行われなかったということにかんがみまして、遺族援護法上では戦地として扱うことについては消極的な考え方に立っております。
○片山甚市君 そうすると、沖縄本島では戦闘が行われたのでその住民に対しては、そういう地域の選定に入っていますか。
○政府委員(入江慧君) 沖縄は、今お話しのありましたように、要するに戦場になりまして、一般邦人も軍人もともに戦闘に参加したということでございますが、援護法上は一般国民につきましては、軍の要請に基づいて一般の国民の方々が軍の軍事行為に協力した場合に戦闘参加者というふうにとらえまして、それで準軍属として処遇しております。ただ、これは国内におきましても軍の要請に基づきまして、要するに国の命令によってある行為を行っていたときに受傷しあるいは死亡した場合には、やはり戦闘参加者ということでとらえておりまして、そういう意味では沖縄と国内と差別はございません。
○片山甚市君 戦争地域であった所の住民に対して、戦争の公務の中へ入らないのか入るのか、もう一回答えてください。
○政府委員(入江慧君) ただいま申し上げましたように、沖縄の一般住民の場合も、軍の要請に基づいて、例えば弾丸運びでありますとか水くみとか、そういうようなことをやっていた場合には、戦闘参加者ということで、援護法の準軍属として援護の対象としておりますが、仮に戦場になった沖縄におきましても、例えば自分の家の台所で家事に従事中に爆弾の破片でけがをしたというような場合には、軍の要請に基づいておりませんので、戦闘参加者ということではなしに、そういう場合には援護法の援護の対象から外れております。
○片山甚市君 問題は、原爆が落とされる、広島も長崎も焼け野原になる、人は死んでしまった、そういうことになって、天皇陛下も慌ててやめようじゃないかと言ったことは事実です。大御心といわれるか青人草というか、皇国史観によると天皇には臣民は自分の手下だった。手下がなくなるとやめようじゃないかと言ったのであります。私は、直接戦争参加させられたんじゃなくて、そこへ住んでおればアメリカの飛行機が来て爆弾を落とす。落とされて殺されるという状態。抵抗するにもしようがない。沖縄の場合は、アメリカ軍が上陸したから公務だというんですね。戦争に協力したんだからそうだということにした。そのことについては後刻同僚議員が質問しますが、何としても納得できません。 私たちは、一雇用関係があるとかないとかでなしに、戦争というのは全国民が参加したと思うんです。そういう意味で、援護法のあり方にじゃなくて、戦争の責任のあり方は国全体の行政に及ぶと思いますが、大臣いかがでしょうか。
○政府委員(入江慧君) 御指摘のように、さきの大戦は国を挙げての長期間の総力戦でございまして、かつ、敗戦という非常に悲しい結果に終わったわけでございます。大臣から申し上げましたように、一億国民すべてが多かれ少なかれ身体、生命あるいは財産の被害を受けておるわけでございまして、そういう意味では、戦争被害というのは国民の一人一人が耐えていただかなければならないというのが政府の基本的な立場でございます。 その中で、特に軍人軍属等、国が強制的に国の特別権力関係のもとに置いた方々については、国が使用者の立場からその公務災害について国家補償の精神から補償するというのが援護法の精神でございまして、すべての国民が何らかの被害あるいは犠牲をこうむったという点は御指摘のとおりでございますが、そのすべての人々に対して国が償いをするということは事実上不可能なわけでございまして、そういう観点から、ただいま申し上げましたように、国の使用者としての立場から、国家補償の精神に基づいて援護を行っているというのが私どもの援護法の考え方でございます。
○片山甚市君 援護法はわかりました。援護法の法律を聞いているのじゃない。戦争遂行に当たっては、国家総動員法のもとで一億一心火の玉だということで統帥をして国民を戦争に駆り立てたことを思うと、そういう白々しい言葉を聞くと胸が痛むばかりであります。何を聞いても、広島や長崎の方々も含め、日本全国でB29の爆撃や艦砲射撃に遭って亡くなられた方々に対する心の痛みが感じられない。相手が勝手に飛んできてやったんですから、こちらは防ぎようがないんです。それは勝手に来たんだから戦争じゃないんだ、戦闘行為でないんだというんだが、アメリカは戦闘行為をやったから勝ったんです。そういう意味で、四の五の言っておっても始まらない。 日本政府は、私は国会議員になって十一年になりますが、同じことを言ってきた。そして、権力の強い者が言えば別の法律をつくってでも救済をする、そういうことであります。これから後同僚議員が原爆被爆者援護法の制定の問題もお話しいただくと思うけれども、私たちとしては非常に胸が痛む。物を言うにも胸が詰まる思いをする問題であります。決して厚生大臣を責めるとか援護局長を責めるというのでなくて、日本国民の温かさが伝わってくるのかどうか。私は、法律上の問題じゃなくて、人間的な温かみを感ずるような答弁の中で、法律はそうであってもこうありたい、ああありたい、こうしていくべきだという中で、現に法律があって壁がありますというならわかるけれども、それ以上の言葉をいただけないことは残念でありますが、次の問題にうつります。 戦傷病者及び戦没者の遺族に対する国家補償はどの程度行われておるのか、簡単に説明してください。
○政府委員(入江慧君) 援護法制定以来、これまでの給付費の総額は一兆二千三百三十七億円ということになっております。 なお、六十年度予算におきましては、千四百二十四億円金を計上しておりまして、対象人員は十万五千人ということになっております。
○片山甚市君 その際の支給対象となる戦傷病者戦没者はどのような範囲のもので、支給対象者は今言われた数についてどういうことになっていますか。
○政府委員(入江慧君) 援護法の支給対象は、戦没者の遺族と障害を受けた方でございますが、十万五千人のうち遺族給付の対象になられる方は約十万人、障害年金の対象になられる方は約五千人でございます。
○片山甚市君 そうすると、日華事変、太平洋戦争等で亡くなられた方の総数はどのぐらいですか。
○政府委員(入江慧君) 大変申しわけございませんが、日華事変と太平洋戦争間での対象者の、何といいますか、その別による統計、私ども持っておりませんのでお答えいたしかねます。
○片山甚市君 私の手元にある資料によると、戦没者は日華、日支事変で約二十万人、太平洋戦争で二百十万人、そして年金等の支給されておる対象者は百四十万人とありますが、これは間違いでしょうか。
○政府委員(入江慧君) ただいまの数字は、恩給の受給者も含んでいるんじゃないかと思います。ちょっと今調べさしていただきます。
○片山甚市君 私の質問のやり方が悪かったかと思いますが、恩給も含んでいます。——わかりませんか。それじゃ、次に移ります。どうせそういうことだと思って質問したんですよ。私が質問したとき、本当に真心込めて答えようという気持ちがなかったことは事実です。傍聴に来ていますから、だからあんたたちの答弁の仕方が悪ければ、政府が真心がないことが明らかになるだけで、私は余り痛くないんですよ。答弁を求めて、まじめに答えてもらおうと思いません。まじめでない政府にまじめに答えてもらう意思はないんです。 そこで、支給額、支給内容について簡略に述べてほしいのは、戦没者一人当たりについて幾らのお金を出しておるのか。この十年間の間にどのぐらいの金額を出したのか。
○政府委員(入江慧君) 遺族年金の額は、ことしの給付改善によりまして、八月から月額十二万円になります。 この十年間の支給額、ちょっと計算いたしますので、時間をいただきたいと思います。
○片山甚市君 戦没者に対して三十万円の国債を発行しているのは、どういう費目になりますか。
○政府委員(入江慧君) 三十万円の国債は、遺族年金と別で特別弔慰金と申しておりますが、これは、戦没者の遺族の中で、遺族年金とか遺族給与金の受給者がおられない遺族の方々に対しまして国が弔意を表するという意味で特別弔慰金を支給しておるわけでございますが、これは昭和四十年に最初に十年償還の国債を出しまして、その償還が終わりましてから五十年に第二回目を出しまして、今回、戦後四十年ということもございまして三十万円、十年償還の特別弔慰金を出すことにしたわけでございます。
○片山甚市君 その性格はどんなものですか。
○政府委員(入江慧君) 戦没者の遺族というのは、要するに戦争によって一家の中心である方を失われまして、要するに生活も非常に困ったわけでございまして、そういう方々に対しては、戦争の直後は一時恩給法の停止ということで非常に御苦労されたわけですが、その後二十七年に援護法、二十八年に恩給法ができまして、年金給付の部分が復活といいますか、行われるようになったわけでございますが、年金給付を受けておられる方が失権等しました場合にはその戦没者の遺族に対して国として何らの慰謝も行えないというような関係になりますので、その遺族年金とか遺族給与金を受ける方がおられなくなった遺族の御家庭に国が十年十年を節目に弔意をあらわすという趣旨で支給しているものでございます。
○片山甚市君 その償還総額は私の手元にありますのでは四千二百億円程度でありますが、昭和四十年に三万円、昭和五十年に二十万円、昭和六十年に三十万円になっていますが、このときの説明の仕方は、弔意をあらわすということで、線香代のような意味であるというふうに聞いていますが、その程度のものですか。
○政府委員(入江慧君) 四十年に特別弔慰金の制度ができますときの議論に、線香代というような話も一般的な話としては出たようでございますけれども、現在の制度の考え方と申しますのは、先ほど申し上げましたように、遺族年金等を受ける方がおられない遺族について国が弔意を表するということが制度の趣旨になっております。
○片山甚市君 そこで、総理府になりましょうか、軍人軍属の恩給に関する問題ですが、軍人の恩給ですが、戦後、総額で昭和五十九年度まで幾ら支払ってきたか。そして、昭和六十年度の軍人恩給について予算は幾らか。三つ目に、軍人恩給が終わるのはこれから何十年後か。三十年なり四十年、期間はどのぐらいになるのか。六十年度の予算ベースで推計するとどのぐらいのお金を支払うことになるか。 これはどういうことかというと、戦後四十年の間に支払った金は幾らで、これから軍人恩給を終了するまでの間どのぐらいの金を支払うことになるのかについて説明をしてください。
○説明員(平尾秀夫君) 御質問にお答えします。 旧軍人恩給が復活しましたのは昭和二十八年ですが、昭和二十八年度から昨年の五十九年度まで、旧軍人遺族等の恩給費として支払いました額の合計は十五兆八千六百億円でございます。 それから、昭和六十年度の予算におきます旧軍人遺族等の恩給費は一兆五千七百八十七億円でありまして、旧軍人の遺族等の年金対象者の数は二百十万人を見込んでおります。 それから、将来における恩給受給者の推定を御質問になりましたが、恩給受給者の失権による減少の推計は大変困難でありますが、厚生省の人口問題研究所作成の簡速静止人口等を用いまして推計をしていきますと、将来五年後の六十五年に百八十七万人、それから十年後の七十年度は百六十万人と減少していきまして、およそ四十年後に非常にわずかな数になるというふうに見込んでおります。 これからの支給する額ですが、ベースアップとかあるいは特別改善とかいろいろな面がございますので大変困難ですが、仮にベースアップとかあるいは特別改善がないものと仮定しますと、今まで支払いました金額のおよそ倍ぐらいになるものと考えております。
○片山甚市君 戦後十五兆円払いまして、これから四十年間の間に三十兆円の金を払わなければ軍人恩給は終わらないことが明らかになりました。戦争がいかに高くつくか。国鉄が赤字だ、財政赤字だなどと言っておるけれども、そんな赤字どころか、私たちの願う原爆被爆者援護法の制定もできないし、私が提案しておる戦時災害援護法もできないのに、軍人軍属だけにこれだけのお金をかけて、戦後の痛みを考えなきゃならぬ。軍人恩給のことについて余り皆さんが物を言わないのは、戦争の犠牲者であるということからで、それをあげつらうことはありませんけれども、私たち国民は負担をしておるのでありますから、それは当然だと思いますけれども、しかしそのかわりに戦争は二度としたくないということであります。国の政策、中曽根内閣のやっていることと私たちの気持ちと違いがありますが、きょうお聞きしたのは、厚生省が払っているのは、援護法にはほんのわずかのお金でありまして、それから比べたら大きなお金が使われていて、私たちの痛みは直らない、こういうことであります。 そこで質問をいたしますが、私は、戦後四十年を経てなお深い傷跡や生活に苦しむ犠牲者の人々に対し、深い反省と、二度と戦争を起こさせない決意のもとに、戦傷病者を援護し戦没者に特別の弔意をあらわすことの意義を高く評価するものであります。否定しません。しかし、一方では、同じ戦争の惨禍に苦しめられ、あるいは亡くなり、あるいは体にその傷跡を刻み込まれている戦争犠牲者、すなわち一般戦災者、戦災による被害者が何の補償もなく放置されていることを思うと、見過ごすわけにはいきません。政府は今日までどのような対策を講じてこられたのか、簡単に述べてもらいたいと思います。
○政府委員(入江慧君) 一般戦災者に着目しました施策につきましては総理府が所管しておられますが、私の承知しておりますところでは、総理府でやっておられますのは、全国の戦災史実調査、要するに戦災に関する資料の収集整理、あるいは全国戦没者追悼式への遺族代表の参列に対する援助、また、太平洋戦争におきます全国空爆犠牲者追悼平和祈念式典への内閣官房長官等の参列というようなことをやっているというふうに承知しております。
○片山甚市君 まあ他人事として聞いておると。私が国会議員になったのは昭和四十九年で、若造でありますが、四十八年以来須原昭二君がこの国会に提案した戦時災害援護法を厚生省にお願いをしておる、それについて、どうしたのかという意味のことを聞いておるんですが、援護局長はすらすらと、人様がやっておるので知らぬということになる。 私は、これは援護局長に聞くというよりも、大臣に聞いてほしい。国務大臣の立場で、いろいろ党の決定がある、いろいろな財政上問題があるからきちんとした答えができなくても、そんな慰霊祭に人を呼んだとか呼ばないとか、そういうことを聞いておるんじゃないんです。慰めてもらうのじゃなくて、きちんと国から御苦労さんですという態度をあらわしてほしいということをこの十一年間述べてまいりました。ここにある本は、その人たちが書いた本の集まりです、十年間。 ですから、それ以上言いませんが、冒頭に質問しましたように、国の戦争遂行の責任が、単に国との身分関係の明らかな者にとどまり、腹痛や頭痛、あるいは自損事故のようなけがで起きた疾病、傷害と同列視し、単なる社会保障とは全く異なる戦争行為との因果関係が明白なのに今日まで放置されていることは全く納得できません。 私は社会党を代表して、各党とも御相談の上、本委員会にも既に戦時災害援護法として自民党以外の各党各派による共同提案をし、一般戦災被害者のうち、死亡及び身体に障害のある人々に対し、戦傷病者戦没者遺族等援護法と同水準の援護を行うべき新たな立法を求めておるものであります。この提案も、先輩議員である、先ほど申しました我が党の須原昭二議員が執念を持って昭和四十八年第七十一国会に提案され、同議員が逝去された後、私が議席を得て以来引き継ぎ、はや十年が経過しているのであります。こうした経緯をどう受けとめられるか、どのような姿勢で臨もうとしておるのかということを実は聞いたところです。 私は唐突に申し上げたんじゃなくて、歴代の厚生大臣とは、対立関係じゃなくて、何とかその人々の痛みを感じられる厚生行政といいますか国家施策をとってほしい、こういう立場で話をし、大臣との間における人間的なものはわかったんですが、政治の流れの中でそれはまだ受けとめられないことは明らかです。そういう意味で、また今日まで関係する戦災被害者の団体の方々からどのような要望がなされておるのか。それは援護局長お聞きになっておらぬようですから大臣にお聞きするんですが、私が申し上げるのは、完全な具体的な措置をとってくれと言ってくる前に、これについて前向きに取り扱ってくれたかどうか、これからどうされるかということについて、非常に厳しいことでありますが、国務大臣といえども、厚生大臣といえども難しいことでありますが、私の話をどう受けとめられるか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 私も戦争による被害をお受けになったという意味からは大変お気の毒に思っておりますし、心情的には同じような気持ちでおるわけでございますけれども、先ほどから援護局長がお話しを申し上げておりますように、また私からも申し上げましたが、すべての国民が何らかの犠牲を受けておるわけでございまして、それを実体を伴う形で補うということは、実際上はやはり不可能に近いことであろうと思うわけでございます。したがいまして、従来からその問題については、国民が一人一人の立場で受けとめていただかなければならないという考え方を持っており、一般戦災者に対しては、社会保障の充実強化でその福祉の向上に努めるということを申し上げてきたわけでございます。 ただ、戦後処理問題につきましては総理府におきまして引き続き検討が行われることになっておりますので、先生御指摘の問題は、これまでの経緯から考えましても大変難しい問題だと思います。しかし、先生の御意見も承りましたので、お気持ちが伝わるように、本日の審議を踏まえまして総理府にも呼びかけてまいりたい、お伝えいたしたいと考えます。
○片山甚市君 先ほど言った、関係団体からどういうような陳情が、申し込みがあるか。局長。
○政府委員(入江慧君) 関係団体からの陳情は二点だというふうに私承知しておりますが、一点は戦時災害援護法の制定、一点は戦災傷害者及び死没者の全国調査の実施、この二点だというふうに承知しております。
○片山甚市君 余り熱心でないから、これ以上言いません。 今日もなお、民間戦災被害者は国との使用関係はないから社会保障施策以外の特別措置を講ずる考えはないということと聞きまして、まことに遺憾と思います。戦後四十年間、だれからもいやされることのない肉体的、精神的、経済的苦しみを背負ったまま亡くなった人々、あるいは今日もこの席上に傍聴に来られておる人が苦しみながら生き続けてきたのでありますが、その人の身になって考えてみたことがあるのかと言えば、やはり他人事だと思います。血が通わないと思います。取り返せない体、取り戻せない青春、だれが償ってあげるのか。理屈も必要、法律も大切。その前に、人間としての苦しみや悩みをどう分かち合うのかということになりますと、人間社会として温かみがなければならぬと思うのです。それがあってこそ初めて平和日本とか経済大国などと言うことができます。これらの人の犠牲のもとに今日の我が国が存立しているのかと思うと、もっと真剣に、深刻に考えるのは、その戦争で生き延びて豊かになった者の責務じゃないだろうか。 行政は、この人たちにこたえる心というものは、大臣がお答えになったけれども、それは一般社会保障で済ませる程度のものであって、それ以上できないというお考えですか。
○政府委員(入江慧君) この問題につきましては、御指摘のように過去何回か議論されておるわけでございまして、五十六年でございましたか、厚生省の方からは、ただいま申し上げましたように、一般の戦災者の方々の援護につきましては一般社会保障の充実によって対処したい。ただ、戦災障害者の方についてはその実態を把握して、実態を見てから、要するに一般社会保障、一般の国民、一般の身体障害者との間に何か差があるのかどうかというようなことを把握してから対処したいということを厚生省として御答弁申し上げたかと思うわけでございます。 そういう一般社会保障の充実等の中で対処していくという観点から、厚生省といたしましては、五十五年に身体障害者の実態調査を行いました際に、その中で戦争災害による障害者の方々についての実態の調査を行ったわけでございますが、その結果によりますと、生活状態、年金の受給の状態等、あるいは課税状況等から見まして、一般の身体障害者との間に差は認められないというような結果が出たわけでございまして、そういう意味で、私どもとしては今後とも一般社会保障の充実ということの中で戦災者の方々の援護の充実に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○片山甚市君 差が認められないというのは、厚生省が調査を中途半端に一般の身体障害者の調査の中でやっただけのことであって、本気でそういう人たちの意見を聞く意思がなかったと思います。私は、援護局がそれほど熱心でない。遺骨の収集とか、中国東北の旧満州の孤児の方々の捜すことなどについては世論もありますから割に熱心ですけれども、日本の国内で戦争災害に遭った一般の方々に対する具体的な措置をとろうとしたことはなかった。ここからこういうふうに呼びかけたらそれで終わりなんですよ。こだまして返ってこないんですよ。仕方ないから答えておるだけのことで。ですから魂が入っていないことがわかりました。繰り返すことになりますが、一般戦災被害者がどのような状況のもとに置かれていたのかはっきりさせておきたいと思います。 太平洋戦争下において、日本国民は国家総動員法や防空法といった法律のもとで、法的側面から戦争への参加を強制されていたことは否定できません。また、我が国土が米軍の本土空襲下で戦闘員、非戦闘員の区別もなく攻撃の対象とされ、既に、どこにいてもだれでも現実に戦闘状態に組み入れられていたのではないか。非戦闘員として特別に保護され、したがって負傷などは起きなかった、死ぬこともなかったというのかどうか。援護局長答えてください。あのとき日本の国におって、東京や大阪や名古屋、久留米とか、そういうところで、軍事基地があるところ、兵営があるところで、アメリカの空襲を受けずに、攻撃を受けずにいられたというふうになっておったのが非戦闘員ですか。
○政府委員(入江慧君) 援護法におきます……
○片山甚市君 援護法のことじゃない、援護法だけ言わぬでよろしい。
○政府委員(入江慧君) はい。 ただいまお話しのありました国家総動員法による動員とか、あるいは防空法に基づく防空従事者、こういう方々は、援護法でも準軍属として公務上の傷害については援護の対象にしております……
○片山甚市君 話し中ですがね、私は、戦争中に、一般の国民は負傷しないような場所に置いたのか、置かなかったのか。攻撃を受けずに済むようになっていたのかどうかと聞いておるんです。答えてください。
○政府委員(入江慧君) それは非常に難しい問題でございまして……
○片山甚市君 難しいことないんです。非戦闘員として特別に保護され、したがって負傷などは起き得なかったのかどうかということについて聞いておるわけです。
○政府委員(入江慧君) 起き得なかったということは言えないと思います。
○片山甚市君 起きるようになっておったのでありまして、初めから防空法関係でちゃんと、戦争が起こって敵が来たら、焼夷を払いのけたり、戦争に参加しておったんです。あなたはそう言ってもだめです。私たちは国土防衛をやっておったんです。防衛というのは戦争でないそうですから。わかりましたか。言葉あなた勝手につくっておるけれども。それなら今の自衛隊などちょっとインチキです、もともとインチキですが。 そういうことで、国の責任というものはどういうものなのか、戦争に対する国の責任というものについて考えてみましたか。戦争は軍隊、公務員によってのみ遂行されるのかどうか。ならば、有時立法をなぜつくろうとしておるんですか、今日。防衛庁は、有時立法を早くしかないと戦争の準備ができないじゃないかと。政治家の理念として、国家的責任の及ぶ範囲を戦争行為についていえばどうとらえるべきなのか明確に答えてほしい。これは増岡大臣に政治家の理念として、国家的責任の及ぶ範囲を戦争行為について言えばどうとらえるのか。私が聞くのは、戦争遂行は当時の政府の最高方針であり、政治的決定をしたものの責任は国家行政のすべてに及ぶんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(入江慧君) おっしゃるとおり、戦争は軍人軍属だけでやるわけじゃございませんで、日本国内におきます一般国民につきましても、御指摘のように国家総動員法でありますとか、あるいは防空法によります防空従事者とか、いろいろな形で動員がかかってきたわけでございまして、そういう動員のかかった方々につきましては、国との関係、特別な関係に入ったというような考え方のもとに、援護法でも遺族年金あるいは障害年金の援護の対象にしておるわけでございまして、そういう意味では、要するに軍人軍属じゃなくて当時の非常に大規模な戦争のもとで動員された結果、国との関係に入ってきた方々につきましては国の立場から補償を行っているということでございます。
○片山甚市君 戦争が終わったときに、国の行政組織も壊滅的なことになり、機密書類は全部焼いてしまったようなときに、そういう参加をしていた人たちの具体的な公務関係が明かになると思いますか。もうこれ以上聞いても対象になるという話をしませんので、除外をしておることについて非常に遺憾であります。 昭和五十五年八月の民間戦災者に対する援護法適用に関する名古屋地裁の判決について承知しておりますか。
○政府委員(入江慧君) 五十五年八月に、名古屋地方裁判所で一般戦災者に対する判決が出ておりますが、その要旨を申し上げますと、判決の理由の中で、社会保障及び国家補償の見地からは、旧軍人軍属と民間被災者の間に顕著な援護上の差異を設けることは合理性を欠くということは判示しておりますが、その後で、文官に対する恩給制度との均衡及び公務上の災害に対する国の使用者での立場からの補償という見地に立てば、一般戦災者と旧軍人軍属の間に援護上の差異を設けても不合理ではないこと。また、二点としまして、国は国家補償の見地から広く補償措置を講じていくことが望まれるが、法的にいかなる措置を講じるかは国の立法府たる国会の裁量の範囲に属することであるということで、結果的にはこの訴えを棄却しているということでございます。
○片山甚市君 御自分の都合のいいところだけ言うていますが、判決の理由には、社会保障の見地に立ったとき、民間被災者であると旧軍人軍属であるとにかかわらず、同等の傷害を負った者に対しては、同等の保障をなすのが当然であるとし、さらに、また戦争犠牲者に対する国家補償という面においても、国家の遂行した戦争等において傷害等を負った者は、民間戦災者であっても、旧軍人軍属であっても、その補償の必要性において差は認められないとある。その上で判決文は、「これらの人々に対し、国が国家補償の精神に基づきできるだけ広範囲にわたって援護の措置を講じていくことが望まれる。 法的には、いかなる補償措置を講じていくかについてはなお、国の立法府たる国会の裁量の範囲」であるとされて、今局長が言ったように言うています。今言うたように、軍人軍属だろうと一般だろうと、受けた障害に対しては同じような補償をすべきであるということを書いて、裁判で結論は出ないんです。棄却したことは事実です。しかし、そういう措置をとるべきと言っております。私はそのことをどう受けとめるのかと聞いたんです。 我が党を含む各党が提案している戦時災害援護法の趣旨は、この意を十分に踏まえたものであり、自民党におかれても理解を示されていると聞いております。今、本問題は国会の問題でもありますので、大臣としてどうお考えですか。
○国務大臣(増岡博之君) 援護法は、先ほどから援護局長が御説明申し上げておりますように、国と雇用関係あるいは指揮命令関係にあり、その公務上の仕事に起因して傷害あるいは死亡した場合ということの見地からつくられた法律であります。したがいまして、今の援護法の観点からいきますと、一般戦災者の方々とははっきり区別をいたしておることは、これは名古屋地方裁判所の判決においても示されておるところでございます。 しかし、先ほども申し上げましたように、先生御指摘のことでもございますので、戦後処理の問題につきまして総理府が検討を行っておるのでございますから、本日の御審議を踏まえまして、先生の御意見は総理府の方に伝えるようにいたしたいと思います。
○片山甚市君 ぜひとも御努力を願って民間の戦災被害者の方々に対する具体的な措置がとれるように、国の中で検討をしてもらいたいと思います。 近代社会を形成する我が国においては、今までの考え方なら到底国の補償を求める対象とは考えられなかったものでも、新しい政策判断と真摯な要請に基づいて補償されるケースがふえてきております。例えば最近の公害補償や犯罪被害者補償などは、身分関係論を放棄せざるを得なくなってきております。社会構造の変化の中でそういった新しい問題が取り上げられるにつけ、法律上の不公平感が強まるのが関係者の方々の率直な気持ちです。全体的にいってそういう痛みを感じた者に対する補償が行われておる中で、戦災障害。者の方々だけが残されておるという不公平感が残ってきておるということについてもう一度訴えておきます。なぜ、戦争犠牲者たる民間戦災障害者のみが放置されるということになるのですか。今大臣がおっしゃったように、戦後処理問題のところにおいて、それが取り入れられるかどうかは別としても、取り入れられるように努力をしたい、こういうふうにお答えをいただいたことにしておきます。 そこで、その前ぶれとして、地方自治体では既に戦災障害者の処遇について、弔慰金、障害。手当、戦傷援護手当などの支給例が幾つか報告されておりますが、このような自治体レベルの対策についてどのように把握をされ、どのように受けとめておられるのか。いかがでしょうか。
○政府委員(入江慧君) 一般戦災者に対しまして独自の援護措置を講じております地方公共団体につきまして、網羅的な調査を行ったことはないわけでございますが、私どもがこれまで把握したところによりますと、障害者につきましては愛知県を初めとしまして一県六市一町が、また死没者につきましては徳島市を初めとしまして五市が見舞い金等を支給しているというふうに承知しております。
○片山甚市君 これらはすべて戦時災害援護法を提出している杉山千佐子さんなど団体の方々の努力によって当該の自治体の方々が動いてきた。下からの声でやったのでありまして、行政がお涙ちょうだいでしたのではないということについては、大臣にもお伝えしておきたい。非常な苦しい、体が悪いのにつえをつきながら、車いすに乗りながらやってきて、行政も人間の血が通っておるところは措置ができたと思っています。 各地方団体とも努力をしておる。それをどう受けとめておるのかについて局長お答えください。受けとめるんですよ。聞いておるのと違うんです。どう受けとめたのか。
○政府委員(入江慧君) 地方公共団体が、それぞれの立場からこういう見舞い金あるいはいろいろな措置を講じておられるということにつきましてはそれぞれの地方公共団体の御努力でございまして、私どもとしても大変ありがたいことだと思いますが、国の基本的な立場は、たびたびおしかりを受けながら同じことを繰り返して大変恐縮でございますけれども、先ほど来申し上げておるとおりでございますので、何とぞ御了解いただきたいと思います。
○片山甚市君 局長の答弁は、了解はしないし、理解もしないし、全く反対でありますから、お断りいたします。 次に移ります。 去る昭和五十三年、当時の小沢厚生大臣は私の質問に対し、その気持ちは十分わかる。実態調査を実施し、何らかの措置が必要かどうか検討すると答弁されました。また、昭和五十六年、当時の園田厚生大臣に高杉理事が質問した際、大臣は、「大変むずかしい問題であり、財源その他についてもいろいろ問題がある」が、「これは重要な政策課題として被災者の方々の、失礼ではございますが、生命とか寿命とかを考えながら、一つでも前進するよう今後努力していく所存でございます。」——高齢者でありますから、そう長く生きられないのだから何とかしたいということです。こう答弁されております。園田さんは惜しくも亡くなられましたが、園田さんにしても小沢さんにしても、所管大臣として真剣に考え答弁されたという印象が今強く残っておるところです。 大臣も、今せっかく努力をされると言われておりますが、現職大臣として、さらに御努力を願いたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 先ほどから申し上げておりますように、一般戦災者の方々に対する対策につきましては、今あります援護法というものがいわば雇用関係あるいは指揮命令関係というものに着目いたしておりますので、それを適用することは難しいということを申し上げておるわけでございます。また、厚生省としましても、その後、両大臣の答弁の後——両大臣のお気持ちは、非常に困難な問題ではあるが実態調査の結果等を見ながら検討をしてまいりたいという趣旨であったように思います。したがいまして、厚生省としましては、昭和五十五年の身体障害者実態調査の際、一般の戦災障害者に関する調査を行ったのでありまして、その際特に大きな差異が認められなかったということであります。 その後、総理府におきまして戦後処理問題懇談会の報告によりますと、さきの大戦による戦争被害いについてはこれを完全に償うことは実際上不可能であって、国民の一人一人の立場で受けとめていただかなければならないという政府の従来の立場を確認いたしておりますので、なかなか困難な問題ではあると思いますけれども、先生の御趣旨は総理府の方に伝えたいと思います。
○片山甚市君 答弁が進みませんけれども、昭和五十八年の四月十九日、第九十八国会本委員会での本案に対する附帯決議の第一項については、どのように措置されておりますか。
○政府委員(入江慧君) これは厚生省の立場からお答えをいたしますとまたおしかりを受けるわけでございますが、そこでは「実態調査を実施すること。」という附帯決議が入っておるわけでございますが、厚生省の立場といたしましては、繰り返しになりますが、やはり一般社会保障の充実の中で対処していくという基本的な立場から、五十五年度に実態調査を行ったわけでございまして、あの附帯決議に基づく新たな調査ということを行うということは現在のところ考えておらないわけでございます。
○片山甚市君 やる気がなかったと言ってくれたらいいんですよ。附帯決議されようと何しようと、附帯決議などというのはナンセンスなもので余り気にしていません、決議されることは、大臣がよく尊重して努力しますと言うけど、やらないつもりだったんだということです。一般の身体障害者の方々に対する調査の中に一項目入れた。入れたけど、それはきちんと全国にわかるようにしてくれと言ったけどできなかったんですよ。厚生省がそれだけの力を持たない、金もない、こういうことで省略したことは事実です。その結果官僚は、格別の差異がなかったと言う。差異がなければ、あれからも引き続き実態調査をして、どうなっておるかの上で法案の取り扱いについて考えてくれという、いわゆる団体の方々の意見を尊重したはずであります。 私は、時間が来ましたから、これでこの問題を終わりますが、最後に、総務庁になりますか、金鵄勲章についてお聞きします。 去る六月二日の毎日新聞によれば、金鵄勲章の公式着用を政令で認めるとの方針でありますが、これが着用しなくなった理由、大東亜戦争と言われる帝国主義戦争が、侵略戦争が終わって金鵄勲章をつけなくなった理由を考えたならば、逆行していないか。私は軍人軍属の方々に対する、戦傷病者の方々に対して報いるということに反対ではありませんが、今さら戦争を誇示するようなことを政令を変えてまで——政令はもう廃止したんですが、今度新しく中曽根内閣で政令を出すように言っておるんですが、そういうことは納得できない。 軍人には、今までの四十年間に十五兆円、これから計算をして、ベースアップはないとしても十五兆円。それから、これから四十年間に三十兆円の金を今のベースで払わなきゃならぬようなことで払っておいて、一般の戦災者に対しては調査もしない、考えてもみない。一般の保障でよろしい、こういうふうに言っている。ところが、今度は金鵄勲章をもらった者は公式に佩用する。佩用すれば必ず金くれと言うに違いない、そんな人たちですから。非常に恐ろしいことだと思います。私は再び戦争しないという趣旨からいっても、何としてもおかしいことだと思います。 そこで、そのような経過についてどうなのか、お答えを願いたいと思います。 〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
○説明員(大神田敬義君) お答えいたします。 新聞報道に関しましては、私どもとしましては責任を負いかねるところでございます。 本件につきましては、政府としては昭和五十六年の六月に、旧金鵄勲章の名誉回復を求めた請願が国会で採択されたという事実を踏まえまして、現在検討しているところでございます。しかしながら、新聞報道のような、特に期日を設定して検討しているということではございません。
○片山甚市君 終わります。
○浜本万三君 私は、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の関係について質問をいたしたいと思います。 昭和四十九年に、私は野党各党の皆さんと協議をいたしまして、国家補償による原爆援護法を制定するように政府に迫ったわけでございます。そのときはちょうど被爆三十周年に当たりました。ことしは被爆四十周年という節目の年でございます。したがって、これまでの政府の原爆被爆者に対する援護措置に関するいろんな反省をしながら、四十周年という節目を重要な時点ととらえて新しく原爆関係二法の抜本的な改正をするように、政府に質問をいたしたいと思っております。 まず最初に、被爆問題に対する基本認識についてお尋ねをいたしたいと思います。 先ほど申し上げましたように、ことしは被爆四十周年という記念すべき節目の年を迎えたわけでございます。政府は、被爆者の置かれている立場をどう認識しておられるのか。また、被爆者は、国に対して当面何を切望していると考えておられるのか、まず、大臣の御認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 被爆者の方々、特に死没された方々並びにその後健康障害でお亡くなりになりました方々に対しまして、心から弔意を表さなければならないと思います。また、現在生存しておられる被爆者の方々につきましても、今なお健康障害に苦しみながら不安を抱いておられることにつきまして十分理解をしておるところでございまして、心からお気の毒なことと考えております。
○浜本万三君 まず、この被爆者の願いに対する認識でございますが、被爆四十周年に当たりまして被爆者の方はいろいろな願いを持っておられると思うんでございますが、重要な点を集約してみますと、私は二つに絞られると思います。 その第一は、原爆の最大の犠牲者である死没者とその遺族に対し、せめて国は弔意を示してもらいたいということ。それから第二は、このような想像を絶する苦しみを二度と再び人類に遭わせないで済むように核兵器廃絶をしてもらいたい。そういう二つのことが重要な点ではないかと私は考えておるものでございます。 こうした認識に対しまして大臣はどのような所感をお持ちでございましょうか、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 亡くなりました方々に対しましては、広島、長崎の平和祈念式典に、一方が総理であれば他方に厚生大臣が参りまして、弔意を表しておるところでございます。また、その祈念式典の費用につきましても、国が弔意を表するという意味から、市の主催ではありますけれども、年々六百万円、ことしは九百万円の、気持ちだけのことはさしていただいておるわけでございます。ただ、これで弔慰が十分であるかどうかということはいろいろな御意見があろうかと思います。 次の、核の惨禍を二度と繰り返すなという、これにつきましては、私どもも先生と同じように、心からそのようなことがあってはならないと願っておるわけでございますし、政府といたしましても、非核三原則を堅持しますとともに、究極的には核兵器の廃絶を目指して努力を傾注することが肝要と考えております。特に、こういう被爆四十年という節目でございますので、そのようなことは特に意を用い、強調をしておかなければならないところであろうかと思います。 次に、被団協の方々が、被爆者援護法について御要望があることは、私自身もこの十数年来お聞きをいたしておるわけでございます。ただ、援護法というものの法律の性格が、先ほどの御質疑の中で申し上げましたように、国との雇用関係あるいは指揮命令関係ということに着目をした法律でありますことと、もう一つは、一般戦災者との均衡という問題がありますのでなかなか難しいというふうに考えておりますけれども、しかし、現行の原爆二法によりまして、許される限りの被爆者対策を充実していかなければまいらないという気持ちは、今四十年を迎えるに当たりまして、一段と強くいたしておるところでございます。
○浜本万三君 援護法のことまでお答えになったのでございますが、それじゃ、援護法の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。これは、援護法に対する基本姿勢とでも申しましょうか、そういう問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 先ほど大臣から御答弁をいただきましたように、被爆者の皆さんに対しまして弔意を表するという意味で、毎年の長崎、広島の慰霊祭には政府の代表者が参加をしておるとか、あるいはその式典には相当の助成金を出しておる、こういうお話がございましたが、それでは足りないということを被爆者の方々は強く主張しておられるわけでございます。被爆者の方々の切実な願いをさらに我々は深く求めてみますと、結局国家補償による原爆援護法をつくってもらいたいということではないかと思うわけでございます。その前に何を考えていらっしゃるかといえば、再び戦争は起こしてはならないということ、そして被爆者を絶対につくってはならないということ、そういう決意のもとに原爆援護法をつくってもらいたい、そういうお気持ちが非常に強いように私は思うわけでございます。したがって、社会党といたしましても、各党の皆さんと協力をいたしまして、衆議院におきまして国家補償による原爆被爆者の援護法を制定するように政府に迫ったところでございます。 私は、援護法をつくるといたしますと、まず第一に、被爆者の健康管理と治療、療養に国が責任を持つこと。第二番目は、被爆者全員に対しまして被爆者年金を支給すること。第三番目は、原爆被爆者の遺族に弔慰金、遺族年金を支給することなどを内容とするものでなくてはならないと思うわけでございます。 被爆四十周年に当たりまして、援護法の制定を求める国民の声は日増しに高まっておることは大臣も御承知のとおりだと思います。政府といたしまして、援護法制定についての基本姿勢に以前と変わりはないのか、大臣、あなたの心に再度ひとつ問いかけてみたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 被爆者の方々に対しましての気持ちは、私も人後に落ちるものではないというふうに思っておるわけでございます。私も、自民党内で被爆者対策に携わりまして、野党の先生方とも、あるいは被団協の方々ともたびたびお会いをして御意見を承り、また、こちらの気持ちも申し上げておるところでございます。その際、常に双方の意見が一致をいたしませんことは、この援護法の問題でございます。 援護法がなぜ難しいかということは、先ほど申し上げましたけれども、そのような事情がありますので、私としては原爆二法の充実という方向でやってまいりたいということで、私個人としては終始一貫をしておったつもりでございます。また、厚生大臣という立場になりまして、再びいろいろな考え方の整理をしてみたわけでございますけれども、その結果におきましても、やはり援護法の法の性格あるいは一般戦災者との均衡上の問題がありますので、被爆者を救済するためには放射能の影響ということに着目をすることがやはり一番やりいいんではないかというふうに考えておるわけでございます。
○浜本万三君 大臣の今の答弁は、基本懇の意見報告、これは五十五年十二月だと思いますが、この報告をべースにした現行制度の追認でしかないと思いますので、答弁はまことに遺憾である、かように思います。ただ原爆二法を充実すればよろしいという大臣のお考えでございますが、それにつきましては、先般の調査が行われました後に、原爆養護ホームの志水さんという所長さんが、「調査結果に思う」ということで、新聞紙上に御自分の意見を述べられておるわけでございますが、この御意見によりましても、現行二法だけでは、被爆者の実態を思うときに不足であるという御見解が表明されておるわけでございます。 要約してその内容を申し上げますと、まず第一は、「現行の原爆医療法は制定以来二十七年、被爆者特別措置法は十六年、被爆者の高齢化とともに、実情にそぐわない点が一段と表れてきている。原爆症の対象になる疾病も、改善が加えられているものの、なお被爆者の要求にはほど遠い。」ということが第一に指摘をされております。 それから第二は、「三十九年たったいま、多くの問題点を含む原爆二法を改めて見直す時期」ではないだろうかという提起もなさっておられます。 それから第三番目は、「経済的、物質的援護だけではなく、被爆者に対する精神的保護が必要であることは言うまでもない。高齢化が進行すればするほど、よりそれが求められるといってもよい。被爆者に対する国の謝罪、さらには老後の生きがい対策の強化を望む。」という御意見が述べられておるわけでございますが、現状を思うときに、この志水先生の御意見に対しまして、厚生大臣はいかように思われるでございましょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 私どもは、現行二法をどこまで伸ばし得るかということを中心に考えておるわけでございますけれども、今御指摘の中で私と似ておると思いますことは——あるいは似ていないのかもしれません、本人に会ったわけではございませんから。精神的な意味でのお慰めといいますか、亡くなった方々に対する弔慰、あるいは生きておられる方々に対する激励というようなことは、実は私も現行法規の中で許される範囲内では最大限に考えなければならぬなというふうに思っておるところでございまして、私、その志水さんの意見書というものをまだ詳しく拝見しておりませんので、それ以上の論評は差し控えたいと思いますけれども、ともかく今の二法の行き詰まりというようなことは、政治的な判断と工夫によってある程度打開できるものがないかどうかということをまず考えるべきだというふうに思っております。
○浜本万三君 四十年を迎えるに当たって、依然として基本懇の精神を大臣がまだ乗り越えられていないことを重ねて残念に思うわけでございます。 それでは、謝罪の問題について、角度を変えて一つだけまたお尋ねをしてみたいと思うわけでございます。 最近の被爆者の間には、国はせめて死没者に弔意を示してもらいたい。もはや銭金の問題ではない。線香の一本でも上げて謝罪してほしいという声が大変強くなっておるわけでございます。この意思だけでも示すべきではないか、かように思いますが、大臣はいかようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 私もそのことを思えばこそ、広島、長崎両市における式典の費用を国が分担をしようというふうに、私自身もタッチをして踏み切ったわけでございます。 ところが、今一般的には、これが道路の補助金でありますとか保育所の補助金でありますとかというふうな、単なる経済的な負担にすぎないというふうにとられておるということは、私としてはまことに残念なことだというふうに思っておるわけでございまして、したがって、被爆者の方々に対しましてまた新しいそのようなことができるのかどうかということになりますと、やっぱり現行二法と援護法との垣根というものが取っ払うことができないという、そういう苦しさの中で工夫をしていかなければならないというふうに考えております。
○浜本万三君 弔意を示す方法の一つの具体的な行為といたしまして、毎年の原爆慰霊祭には総理と担当大臣である厚生大臣が交互に長崎、広島を訪れておられるわけでございますが、ことしはどういう計画でございますか。
○国務大臣(増岡博之君) ことしは、総理が広島で厚生大臣が長崎ということでございますけれども、広島は私の地元でございますので、厚生大臣という立場を離れてでも参加をさせていただきたいというふうに考えております。
○浜本万三君 何回も申し上げておりますように、ことしは四十周年の節目の年でございますから、ことし向こうに参られたら、次は積極的に改善への方策を考える、できれば援護法を制定する、こういう力強い約束をして帰っていただくように要望しておきたいと思います。 次の質問に移りたいと思います。 私は、今提案されております法案を、できれば修正して成立さしたいと思っておるんでございますが、我が党は既に衆議院では賛成の立場をとっておりますので、参議院で修正するわけにいかないと思いますから、この際は来年度の改正に比重を置いた質問を具体的にさしてもらいたいと、かように思います。 先ほどお話しがございました、基本懇の意見報告の根底に流れる思想というのは、戦争の犠牲は国民ひとしく受忍せよというこれは恐るべき発想だと私は思っております。したがって、私といたしましては、何としてもそういう考え方を容認するわけにはいきません。同時に、これは多くの被爆者の皆さんが考えていらっしゃる考え方だと思っておるわけでございます。 そこで大臣に、その基本懇ですら、被爆者対策は広い意味の国家補償であり、相当な補償が必要であることは認めておるわけでございますから、被爆四十周年を期して、政府としてより積極的な対応を望みたいと思うわけでございます。そういう立場に立って、すぐに来年度概算要求が始まるわけでございますが、改正の重点をどこに置かれようとしておるのか。これは広島出身の厚生大臣でございますから、なお早く大臣の構想ができ上がっておるんじゃないかと思いますので、構想の一端でもいいからお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 来年度の予算につきましてはこれから協議を始めるわけでございますので、まだ担当者との打ち合わせもいたしておりませんけれども、私の気持ちといたしましては、現行二法の許される範囲内で、先ほど申し上げました精神的な弔意、あるいは生きておられる方々に対する精神的な激励というものがどういう形で実現できるかということをこれから八月の末まで一生懸命考えてまいりたいというふうに思っております。
○浜本万三君 それでは、概算要求に今から取りかかるわけでございますが、私は国家補償による援護法ができるようなせめて素材でもつくっていただくように要望をいたしたいと思います。 以下、四十周年の節目でございますから、これから政府に検討してもらいたいという点を順次質問をいたしまして、それぞれ見解を承りたいと思います。 まず第一は、所得制限の撤廃の問題でございます。 現行制度では医療特別手当、原爆小頭症の手当以外は所得制限が行われるようになっております。先ほどからのやりとりにおきましても、被爆著対策の根底には国家補償的配慮があることは確者をされておるわけでありますから、所得制限の全廃は現行の思想体系の中でも十分可能なのではないかと私は思っております。したがって、私は同じ苦しみを受けた被爆者が一定以上の所得があることを理由にして差別されることはどうしても理解できないわけでございます。また、手当の支給率も既に九六%程度になっておるわけでございますから、これを全廃いたしましても、財政サイドから見て理解が得られるのではないか、かように思います。ぜひひとつこの点について政府の考え方をお聞かせいただきたいと思うわけです。特に、先ほどから何遍も申し上げておりますように、四十周年の節目でございますから、大臣に前向きの回答をいただくようにお願いをいたしたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 原爆の被爆者の対策につきましては、広い意味における国家補償の見地に立って行っているわけでございますが、手当の面におきましては、それぞれの被爆者の障害の程度、障害の実態に即して、適切、妥当な対策を行うべきものと考えておるわけでございます。この制度のよって立つ原爆の放射能、それに伴う特別の犠牲という観点に立っておるわけでございまして、障害の実態におきましては、その放射能との結びつきぐあい、いろいろな段階があるわけでございます。それで、全部所得制限を撤廃するという考え方は政府としてはとっておらないわけでございまして、それぞれの障害の実態に照らし合わせまして、重篤な者につきましては既に先生先ほど御指摘のように所得制限をかけていないものもございますが、それ以外の者については所得制限が必要であろうと考えておるわけでございます。 ただし、その所得制限におきましても、過大な制限にならないような配慮というものも反面講じておるところでございまして、現実の支給率は、先ほど先生の御指摘のようなことをめどとしております。
○浜本万三君 この諸手当の引き上げにつきましては、老齢福祉年金の引き上げがその基礎となっておるように見受けるわけなんでございますが、最近では、物価スライド程度にこれが抑えられておるため、引き上げ額が非常に少額になっておると思うわけでございます。先ほど局長から答弁されましたように、被爆者に対する手当というものは被爆者の置かれておる疾病とか生活面の実態等から、その実情に見合うように引き上げるべき性格があると私は思うわけでございます。手当引き上げについての基本的な思想をこれまでより改める気持ちはないか、これを第一に伺いたい。 それから次は、障害の実態に応じてということを言われましたので、その点にちょっと触れてみたいと思うんでございますが、多量の放射線を浴びた近距離被爆者については、特別の配慮が必要と考えられるわけでございますが、検討の余地はないかということでございます。 例えば、一つ例を挙げますと、高齢近距離被爆者の保健手当の額を特別手当並みにしてもらいたいという声があるわけでございますが、そういう高齢近距離被爆者に対する特別の措置を四十周年に際して実施されるお考え方はないか、この点について誠意のある答弁を承りたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 手当の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、広い意味の国家補償という見地に立って行われているところでありますが、その内容につきましては、国民的合意を得ることができる公正、妥当なものでなければならないところでございます。そのような観点に立ちまして、老齢福祉年金等の他の公的給付との均衡というものは考慮して考えていかなければならない、基本的にはそのように考えておるところでございます。 また、第二点として御質問のございました近距離被爆者に対しますところの保健手当のことについてでございます。 保健手当は、御案内のとおり二キロ以内の直接被爆者でございますが、医療特別手当等が支給されていない方々に支給されるものでございますが、現時点におきまして、その影響による疾病の状態にある者ということではございませんので、先ほど申し上げましたような考え方に従って所得制限は現在必要であると考えておるところでございます。
○浜本万三君 次の質問、第三点として伺います。 医療特別手当、それから治癒後の特別手当の制定趣旨について、まず局長から御説明を願いたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 医療特別手当は、負傷または疾病が、原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生大臣の認定を受けた方で、かつ、現にその負傷または疾病の状態にある方を対象に、原爆症にかかっているために余儀なくされている入通院雑費、栄養補給費等の特別の出費を補うとともに、精神的な安らぎ、医療効果の向上を図るというようなことによりまして生活の安定に資するという趣旨で支給されているところでございます。 また、特別手当についてでございます。こちらの方は、負傷または疾病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生大臣の認定を受けた者である、ここまでは同じでございますが、現在は、その負傷または疾病が治った方を対象にしまして、いわゆる原爆症の再発防止のために保健上のいろいろな配慮が必要であろうと、そのための出費に充てるという趣旨で支給されているものでございます。
○浜本万三君 局長から答弁がありましたように、認定被爆者が被爆に起因する負傷、疾病のため特別な出費を強いられていることに着目をして、——ここが大事なんですね、国家補償的配慮から支給されている、こういう認識を私は今の答弁で受けたわけでございます。だとするならば、生活保護の収入認定からは除外するのが至当ではないかと私は思うわけでございます。実は、これはもう局長も御承知のように、毎年の衆参両院の附帯決議が行われておる内容でございます。ただ、私も現行制度では、手当のうちの医療手当相当分は収入認定の対象外となり、両手当には別に放射線障害者加算がついておるということは知っておるわけなんですよ。知っておるけれども、立法の精神からすれば、あくまでも収入認定の適用除外とするのが制度の要請に最も忠実な道ではないか、こう思うわけでございます。これは、ぜひ一歩踏み込んだ答弁をいただきたいと思います。 また、特別手当の受給者、つまり病気が治って特別手当をもらっておる受給者も、認定患者の病気が治癒したものであるから、この特別手当ですね、これは要するにこのうちの近距離被爆者だけでも医療特別手当と同額な手当が支給できないか。先ほど病状の重い者には重い手当をするという趣旨の答弁があったわけなんでございますから、特別手当の受給者のうち近距離被爆者だけでも医療特別手当と同額な手当が支給できないか。これが私の質問でございますが、二つお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(正木馨君) 生活保護との関連につきまして、私からお答えさせていただきます。 原爆諸手当の生活保護上の取り扱いにつきましては、かねてよりいろいろ御意見があり、また、国会におきましても、決議を初めといたしまして御論議いただいているということは私どもも十分承知をしておるつもりでございます。 ところで、先生もおっしゃいますように、医療特別手当については、医療手当相当分、それは健康管理手当に二千円を加算した額でございますが、これは収入認定から除外をしておる。その他につきましては収入認定をし、一方において放射線障害者加算をしておるというのは先生おっしゃるとおりでございます。 この生活保護法上の取り扱いにつきましては、これも先生十分御案内のように、生活保護法の補足性の原則というものから申しまして、やはり生活援護的な給付金につきましては、他法他施策で行われたものを収入認定をするという原則、これは生活保護の建前として一つあるわけでございます。ところが、原爆被爆者の置かれた状況というものに着目をいたしまして収入認定するが、一方におきまして、特別な治療というものに着目をして放射線障害者加算をしておるという取り扱いでございます。やはり生活保護の原則からして、生活援護的な給付金というものについて、その部面についての収入認定の扱いというのは、現行の建前からしてやはり御理解願わなければならない面があると思いますが、一方におきまして障害者の置かれておる実情というものを考えまして、現在ございます放射線障害者加算といったものの額につきましては、これまで徐々にではありますが改善を図っておるわけでございまして、こういった生活保護の原則、それから一方におきまして原爆諸手当の原則というものを、趣旨というものを踏まえながら、障害者加算の額の改善というものについて今後とも取り組んでいかなければならないというふうに私ども考えておるわけでございます。
○浜本万三君 要するに、テンポを早めて救済措置を強化してもらいたいと僕は言っておるわけなんですよ。いつまでたっても同じ質問でまことに残念でありますが、時間の関係もありますから次に移りたいと思います。 次は、原爆医療法の制定趣旨の問題なんですが、それを確認したいと思います。 私は、これを被爆に伴う健康障害という特別な状態に着目して、国家補償的配慮から被爆者の健康の保持及び向上を図るためのものと理解しておりますが、そのとおりで結構でございましょうか。
○政府委員(大池眞澄君) 制度自体が、広い意味における国家補償的見地から行われているところでございますが、医療法につきまして、ただいま御指摘のございました今の置かれておる健康上の特別な状態に着目して、その健康の保持向上を図ることを目的とするという点はそのとおりでございます。
○浜本万三君 次は、被爆二法に国家補償的配慮が根底にあることは既に先ほどから何回も申し上げておりまするし、また、最高裁の判決の中で孫振斗訴訟判決というのがございますが、その判決や基本懇の意見報告等によってもこれはもう確立されておる精神だというふうに私は理解をいたしております。 そこで、老人保健法の制定に伴いまして、七十歳以上の高齢者の一般疾病について、なぜ原爆医療法は不適用となったのかということが疑問でならないわけでございますが、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。 また、七十歳未満の被爆者の一般疾病については、医療費の自己負担分は国が全額負担し、七十歳以上になると地方負担が入ってくるという現状を大臣はどう理解されておるんでしょうか。これは逆さまだというふうに私は思うわけです。国家補償的性格のある原爆医療法は、あくまでも通常の老人を対象とした老人保健法よりも優先するという考え方が正しいんではないかと思うわけでございます。このような問題につきまして、地元の方では被爆者対策の後退というふうに言われておるわけでございますが、これはひとつ大臣の納得のいく答弁を承りたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 被爆者に対します一般疾病の医療につきましては、一般の医療保障制度を優先して適用いたします。その際、それにより給付がなされない部分があれば原爆医療法に基づきまして一般疾病医療費を支給する仕組みになっておるわけでございますが、この点は従前もそのようでございましたし、老人保健法施行以後もその仕組み自体は変わっていないところでございます。 七十歳以上の老人及び六十五歳以上の寝たきり老人につきましては、御指摘のように、健康保険法等にかわって新たに老人保健法が制定され、優先して適用されるわけでございますが、原爆医療法との関係におきましては、原爆医療法サイドの従来の仕組み、考え方に変更があるわけではございません。地方負担が生じている部分は老人保健法の仕組みとしてそちらの方に生じておるということでございます。言い方をかえますと、老人保健法によります地方負担の問題は、原爆医療法に基づく被爆者に対する一般疾病医療費の支給の問題とは別の問題という位置づけになっておるところでございます。
○浜本万三君 現行制度はそういうことかもわかりませんが、それが私は逆さまだというふうに申し上げておるわけなんでございまして、ぜひひとつここは考え方を変えていただくように希望をいたしたいと思います。 ところで、幸い老人保健法は来年度は三年目の見直しの年に当たる、かように思います。したがって法改正が予定されておると思うわけでございます。この問題もあわせて検討いたしまして、原爆医療法が従前のように適用されるような状態に戻してもらいたいということを私は要求いたしたいと思います。さきの老人保健法の審議の際の国会答弁におきましても、当時の厚生大臣は、新たな地方負担については適切かつ十分な財政措置を行うことをお約束なさっておられます。今年度の老人保健臨時財政調整金の原爆分約十五億五千万円だったと思いますが、これで新たに生ずることになった負担を完全にカバーすべきではないか、かように思いますが、その点いかがでございましょうか。もし完全にカバーできないとするならば、現在、全市町村に適用されておるのでなくして、被爆者老人の占める割合の高い市町村に調整金が交付されておるという状態でございますが、その市町村の適用範囲を拡大してもらいたい、こういう気持ちがありますが、その点についてひとつぜひ前向きの答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 老人保健臨時財政調整補助金につきましては、先ほど先生の方からもお話しのございましたような経緯もございまして、政府といたしましては、多数の被爆者老人を抱えている地方自治体におきます事実上の財政負担増というものに対して、これを緩和する見地に立って財政措置として確保しているところでございます。来年度以降の問題につきましてはこれからの問題でございますけれども、今後とも今言ったような趣旨に立ちまして努力を重ねてまいりたいと考えておるところでございます。 なお、地域、市町村の拡大の件でございますが、この点につきましては、現在実態を把握しつつあるわけでございますけれども、現在の広島・長崎四県市並み以上の被爆者老人のおられる市町村というのは、現在のところないのではないか、もう既にそういったところには措置をしておるというふうに了解しているところでございます。
○浜本万三君 その四県市は確かに被爆者の割合が多いわけなんですが、この率を下げてもらいたいというんんですよ。拡大するためには下げなきゃしようがないんですから。そこのところを被爆四十周年に当たって検討してほしいということを言っているんです。 来年の概算要求では少しでも広げるわけですか。どうですか、その点。
○政府委員(大池眞澄君) これからいろいろと作業を進めていくわけでございますけれども、先ほどちょっと答弁申し上げましたときに、広島・長崎四県市と申し上げましたが、広島市、長崎市の被爆老人の割合、それと同等というようなことを一つの目安にしておるわけでございますが、その一環として現在作業を行っておるところでございます。これは作業をやってみませんと確定しませんけれども、今のところ、見通しとしては、現在いわゆる原爆臨調を交付している市町村以外にそれに該当するところが出てくるという見込みは得ておりません。
○浜本万三君 得ていないから困るんであって、もう少し前向きに検討するというぐらいのことは言ったらどうですか。どうですか、局長。大臣、どうですか。わずかなものじゃないの。
○国務大臣(増岡博之君) この原爆臨調につきましては、私は、まず総額をふやすことを中心にやらしていただきたいと思います。 御指摘のように、政府側からこういうことを申し上げては恐縮でありますけれども、多少老人保健法ができます際の配慮が足りなかったという面もあろうかと思いますので、率直に、そういう立場でやらしていただきたいと思います。
○浜本万三君 大臣、率直でよろしいです。その調子でひとつこれからも答えてもらいたい。だから私は、総額をふやすつもりで大いにひとつ努力をしたいと、こういうふうに前向きの答弁があったということを確認し、さらに御努力を要請いたしたいと思います。 それから次は、ホームなどの入所被爆者に対する助成問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 被爆四十周年を経過した今日、被爆者の高齢化は著しいものがあるということは御承知のとおりでございます。広島県内でも、広島県が昨年の七月実施いたしました調査によりますと、六十五歳以上の在宅老人は二十八万五千人、このうち被爆者手帳を持っておる者が五万二千人だというふうに報告をされております。またその中で、寝たきり老人が増加しておることも報告されておるわけでございます。しかし、これらの方々を受け入れる施設が非常に少ないということでございます。被爆者の方々が、原爆養護ホームの不足から一般の養護ホーム、特別養護老人ホームへの入所を余儀なくされることが多いわけでございます。そうすると、両者の費用の徴収基準に差異がございますから、その分を自治体が負担をするというのが今日の状態でございます。国の制度によって措置されるのが妥当なものではないかと私は思うんでございますが、その点の認識をまず伺いたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 原爆養護ホームにおきましては、これは被爆者の方のための福祉施設であるという特殊性にかんがみまして、一般の養護老人ホームに比べまして費用徴収の基準は緩和されているところでございます。 一般の養護老人ホームに被爆者の方が措置された場合にそちらの費用徴収基準によるということは、入所者の均衡その他の事情もございましてやむを得ないと考えておるわけでございまして、その差額を国費で支給するという考えは現在持っておりません。
○浜本万三君 それがまことに残念だと思うので検討を要求しておるわけでございます。これはなかなか制度上難しいと思いますので、したがって、角度を変えて、ひとつホーム等の施設の充実の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 広島市を中心とする地域では、特別養護ホーム等に入所を希望する者が非常に多いわけでございます。例えば現状について一、二、例を挙げますと、まず一つは、広島市近郊には寝たきり老人が非常に多いという資料がございます。例えば広島市だけを例にとってみますと、被爆者でない寝たきり老人の方が九百三十三人、それに対して被爆者の方で寝たきり老人になっていらっしゃる方が千三人という数字になっておりまして、被爆者の方の寝たきり老人が圧倒的に多いということであります。安芸郡は、前者が三百十一人に対しまして後者が百十三人、佐伯郡が四百三人に対しまして百九十五人、県内全体でいいますと、非被爆者が四十人に一人に対しまして被爆者の方は三十人に一人が寝たきり老人になっておるという資料があるわけでございます。したがって、こういう施設の必要度というものが非常に高くなっておるということが申されると思います。 それを受け入れる施設の例を申し上げますと、舟入にあるホームの場合には、もう狭くてしようがないと、こういう実態になっておるわけです。例えば、三十九・四平米の部屋に八人が在住しておられる、八人が入所しておられるという数字ですね。一人当たり四・九平米ということになるわけです。これを現在の施設の基準に当てはめてみますと、現在の基準が五・七平米ですから、非常に狭いということですね。したがって、ベッドとベッドの間に便器などを置いて介護をしておる、こういう状態でございます。今後施設基準を八・三平米に広げようという考え方なんでありますから、これは問題にならないということが言えるわけなんでございます。そういう点、厚生省の方ではどう見られておるのか。私の希望といたしましては、ぜひ広島に原爆養護ホームのようなものを、これは第三になるかもわかりませんが、ぜひ設置してほしい、そういう要望を申し上げ、御回答をいただきたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 現在の原爆養護ホームにつきまして、施設の広さの程度は御指摘のような状況だということは私どもも聞いておるところでございます。これをつくりましたときの基準としましては、それで基準を上回る状況でございましたけれども、その後の社会経済の変化に伴っての現状から見ますと、やや手狭という印象は確かにあろうかと思います。 ただ、医療法で言う病室等の基準は上回っておるというようなことでございます。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕 なお、被爆者の方々の高齢化という中にありまして、こういった分野の問題というのは私どもも重視しているところでございまして、関係の地元の県あるいは市等とも密接な連携をとって、今後ともよく相談をしてまいりたいと思っております。
○浜本万三君 実情は理解する、したがって地元の県・市ともよく連絡をとって検討したいと、こういうことなんでありますが、これはぜひ地元と連絡をとって前向きの答えが出るように、早急にひとつ検討してもらいたい、この注文だけはつけておきたいと思います。 次の問題は、原爆病院の赤字対策なんです。原爆病院は、被爆者の健康管理と診断治療を行うという使命から経営が圧迫される傾向にあることは、もう厚生省当局も御承知のとおりであります。五十八年度末で広島の原爆病院の累積赤字が七億五千方、長崎が約六億円の累積赤字になっておるわけでございます。六十年度末にはその赤字が広島の場合でも約十億になるんではないかということで、関係者は非常に心痛をされておると聞いております。 大臣は、被爆者に必要な医療を確保するためにこの点どのようにお考えか、対処の考え方があればこれを具体的にひとつお示しをいただきたいと思います。 日赤病院にいろいろ事情を聞いてみますと、職員の兼務体制をとるとか、あるいは病院経費のやりくりをするとかいう形で経営努力はされておるんでありますが、もう限界だということを言っておられるわけでございます。したがって、その対策も非常に重要なんでございますが、病院自体の法的認知ということもあわせて必要なんではないかと思います。この点、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 広島及び長崎の原爆病院につきましては、その果たしておる役割、機能にも着目しまして、国としてもこれまで相当てこ入れをしてきたところでございます。昭和六十年度の予算におきまして、運営費につきましては約千八百二十万円を計上しておりますが、それ以外にも、施設設備面での補助、あるいは研究委託費によります援助等いろいろ国としても配慮を加えてきているところでございます。施設設備等の補助も行っていることもございまして、先ほどおっしゃいました累積赤字の点につきましては、それに減価償却的な要素を調整をいたしますと若干数字も違ってくるかと思いますが、いずれにしても、経営がいろいろと苦しいという状況についてはよく認識しております。引き続き、原爆病院につきましては、国としてもその経営の健全化が図られるように指導を図ってまいりたいと考えております。 また、法的裏打ちということでございますが、これは現在の日赤という経営形態によるいろんな利点もございますので、その利点を生かしながら、現状において経営の健全化の努力を指導してまいりたいと考えておるところでございます。
○浜本万三君 指導という言葉がたびたび出るのがどうも気になるんですが、指導でなしに対策を講じるという答弁にしてもらわなきゃこれはしようがないと思いますよ。指導だけじゃこれはもうどうにもならないです。ですから、私は重ねて要求をいたしますが、赤字が早急に解消するような手だてを講じてもらいたい、これを特に要望しておきたいと思います。 それから実態調査の問題について伺います。 今年度におきまして実施される予定の被爆者実態調査では、懸案となっておりました死没者調査に国として初めて本格的に取り組むことになりましたので、かつてない大がかりな調査を予定されておると思います。私は、遅過ぎたとはいえ大きな前進である、かように考えまして、現在の英断を評価いたしたい、かように思っております。この問題についていろいろ思い起こしてみますと、国及び地方の調査を見ますと、昭和二十年から五十七年の三月までの間に八回ほど調査が行われておるわけでございますが、この調査ではいずれも死没者調査は行われていないわけでございます。したがって、正確な統計資料がない。これは国際的にいっても非常に恥ずかしいことではないかと私は思っておるわけです。それだけに今回の政府の決定を私は評価いたしておるわけでございます。 そこでお尋ねをいたしたいのは、調査の内容それから実施の方法等の概略について、要点だけ簡単に御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 昭和四十年、昭和五十年に引き続きます六十年度の被爆者実態調査につきましては、先般、五月二十九日に実態調査委員会の調査案というものをちょうだいしたところでございます。厚生省におきましては、この委員会の調査案をもとにしまして細部の詰めを行っておるところでございます。 その概略ということでございますけれども、まず、被爆者健康手帳所持者全員に対しまして、郵送方式によりまして、健康、生活、家族等の具体的総合的な調査を実施する、これが一つの柱でございます。それからもう一つは、同時に、被爆者の方々全員に対しまして被災時の家族の状況、原爆で死亡された肉親、あるいは親戚、知人等の状況を郵送方式でお知らせいただくという部分を加えておること、さらに、これと関連しまして、都道府県その他関係方面の御協力を得まして、原爆被爆者の動態調査に有益な被災関係資料を全国的に収集する、こういったようなことを内容として、現在、細部を詰めておるところでございます。
○浜本万三君 その内容は今よくわかりましたが、先ほども申しましたように、これは特に死没者調査という問題が非常に重要な問題になってくるわけでございますので、どの程度掘り起こし、実数の把握ができるだろうか、そういう見込みについて御検討なさったことがあればお知らせをいただきたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 御承知のとおり、一番難しい部分でございまして、いろいろな論議、検討はなされておりますけれども、御説明に足るだけの固まった数字というものは持ち合わしておりません。
○浜本万三君 私はかねてから、人類最初の被爆者数を明らかにすることは被爆国の責任である、使命であるというふうに考えておりました。使命であるし、また、死没者に対する弔意をあらわすことにもなるんではないかというふうに思っておるわけでございます。 調査によって死没者の実態が明らかになった後、これに基づく対策、つまり、例えば遺族に対する手当でありますとか弔慰などについてはどのように考えていこうとされておるのか、基本的なお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 今回の被爆者実態調査に死没者を含めることにいたしたわけでございます。その趣旨は、被爆当時、亡くなられた方々の数がいろいろな人によってまちまちでございまして、したがって、そのようなことでは亡くなった方々には申しわけないということも一つの大きな理由でございます。また、一面、生存の方々も高齢でございますので、健康、生活、家庭の状況等を総合的に把握しようということでスタートをいたしたわけでございます。その結果は来年収集分析するということになろうかと思うわけでございます。私はその際、実はきのうも八者協——広島県・市、長崎県・市の首長、議長の陳情がございましたので、死没者についてはそれぞれの市でいろいろな団体が集められた資料というものがあるはずでございますから、その提供方の御依願も申し上げたところでございます。したがって、その結果が出ました段階で十分に検討をいたしてみたいと思います。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕 ただ、一言、大変申しわけないことをお断りしておかなきゃならぬと思いますのは、このことがすぐ援護法とつながるようにお考えいただくと、私どもの考えと多少乖離ができるんではないかというふうに懸念をいたしておるところでございますけれども、ともかく結果が出次第対策を十分に検討してまいりたいと思います。
○浜本万三君 まあついでにというお話しは別に聞きたくないわけなんで、余分なことは答弁してもらわぬでもいいと思います。 この問題の最後の締めくくりなんですが、先日衆議院の社労委で、「原子爆弾の投下がもたらした数多くの死没者やその遺族に深く思いを致し、弔意を込め平和への祈念を新たにしなければならない。」というふうに決議が述べられておるわけです。本日当委員会におきましても決議が行われようとされておるわけでございますが、そういう衆参両院の——こちらは予定でございますが、この決議に対しまして、大臣はどのようにお考えでしょうか、御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 御決議に対しましては、私どもも、被爆者の現在置かれておる実態も承知いたしておりますので、十分尊重してまいりたいと思います。
○浜本万三君 なお、私は、死没者調査に当たりまして、政府はさらに次の点について留意、努力されるように、希望いたしたいと思うわけです。 まずその第一は、外国人の被爆者調査の手がかりをぜひ今回はつけてもらいたい、かように思います。特に韓国の強制労働をされた方々がたくさん被爆をされておるわけでございますから、そういう被災者の実態を含めまして、これは外交ルート等を通じまして調査をする道をこの際ぜひ開いていただきたい。あるいは、もう既に海外に出ていらっしゃる被爆者の方もあると思うんでございますが、そういう人も含めて、この際広く調査ができる道を開いていただきたいということでございます。 それから第二は、調査を補完する被爆資料の発掘あるいは収集をぜひやっていただきたいということでございます。先ほどの御答弁では、各地方自治体にも御協力をお願いするということでございますが、当然それはやっていただくと同時に、当時が占領下の状態でございましたので、有力資料があるいは米国にたくさん保存されておるんではないか、そういう疑いもあるわけでございますので、その点もぜひひとつ、外交ルート等を利用いたしまして、内外の資料を発掘するという努力をしていただきたい。このことを特に要望しておきたいと思います。この点どうでしょうか。——ちょっとこれは大臣に今の二つの点だけは答えてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(増岡博之君) その問題も可能な限り調査いたしてみたいと思います。
○浜本万三君 次は原爆の実相、つまり原爆が人類に及ぼしたあらゆる影響を集大成いたしました被爆白書の作成について、大臣が今日の時点で持っていられる構想、あるいは作成に当たっての段取りなどについてお尋ねをいたしたいと思います。これは前の渡部大臣からずっと引き継がれておる問題でございますので、たまたま被爆県出身の大臣が最後のこの後片づけをする、そういう意味で、ぜひこれは成功さしてもらいたいと思うんですが、大臣の構想なり段取りなりについてお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 被爆白書という名前を使うかどうかは別といたしましても、御指摘のような核兵器の恐ろしさというものがわかるような調査にはいたしたいと思っておるわけでございますので、各種の調査がその結果を総合的に総括するということは大変意義のあることだと思いますので、取りまとめに当たりましてもそういう方向で検討させていただきたいと思います。
○浜本万三君 時間が来ましたので、これは最後の質問になるんですが、毒ガス障害者の問題でございます。時間がないので、三つあわせて質問をいたしたいと思います。 まず、質問いたしたいと思いますのは、軍との間に正規の身分関係のあった旧令共済組合員については、医療手帳が交付されまして、指定医療機関でガス疾病にかかっていると診断されますと、医療費を初め健康管理手当、保健手当、介護手当が支給されるほか、在職中にガスによる傷害を受け、その症状が特にひどい者については医療券の交付、療養の給付が受けられるほか、特別手当、医療手当が支給される認定患者制度があるわけでございます。ところが、動員学徒などにつきましては、同じ時期に同じ場所で、しかも同じ毒ガス作業をさせられながら、救済内容に差異があるということでございます。これはなぜそのようになっておるんでありましょうか。この点を第一に伺いたいと思います。 それから第二は、政府は、現在広島大学の西本教授に依頼をいたしまして、今日なおこの問題の調査研究をなされておるわけでございますが、先ほどから何回も申し上げておりまするようにことしは終戦四十周年に当たりますので、早急に西本教授の調査研究を終えて、旧令共済と差異のない援護措置を実現されるように希望したいところでございますが、これは特に大臣の地元でもあるし、前向きの答弁を伺いたいと思うわけでございます。特に、西本教授の調査研究がいつごろ終わるのか、終わった時点で積極的な対策を私は望みたいと思っているわけです。 それから第三番目は、被毒者の皆さんの御面倒を見るといいましょうか、あるいは広範な相談に応じるための体制を確立することが非常に必要なのではないかと思っております。幸いにいたしまして相談員制度がことしの十月からスタートすることになっておるわけでございますが、これはたった一名の保健婦を配置するということでございまして、これではどうも不足であると思いますので、相談の体制を一層強化してもらいたい、そう思います。 以上の三点について、ひとつ誠意のある御答弁をいただきまして、私の時間が来ましたので、質問を終わりたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 三点についてお答えいたします。 まず、旧令共済組合員との比較でございますが、旧令共済組合員以外の動員学徒等の毒ガス障害者に対しましては、旧令共済組合員に対する救済措置との横並びを考慮しながら年々制度の充実に努めてきているところでございますが、雇用関係あるいは従事内容の相違などを反映いたしまして、認定患者制度を設けるまでには至っていないところであります。厚生省におきましては、今後とも障害者の実態を十分把握し、専門家の意見をお伺いしながら必要な対策の検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。 第二点の、その観点からする調査研究の推進でございます。御承知のとおり、これまでも精力的に取り組んでいただいているわけでございますが、何分にも後障害の有無についての追跡調査研究でございますので、今後ともその調査を継続するという見通しに立ちまして現在取り組んでいただいているところでございます。 それから第三点でございますが、相談事業についてでございます。御指摘のとおり、本年十月から相談事業に着手するという予算が初めて確保できたわけでございまして、現地におきます竹原保健所で実施することとしております。 今後の問題につきましては、まず本年度の着手、その実施状況を踏まえながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
○浜本万三君 大臣に一言だけ。 大臣、とにかくこの西本先生の調査研究をもうできるだけ促進してもらいたいと思うんですよ。そうしなければあとの救済措置ができないわけなんでございますから。これを促進いたしまして、早く政府の具体的な救援措置を講じていただきたいと思いますが、この点、ひとつ大臣からもう一回お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘の調査につきましては、極力私も早く終わるようにいたしたいと思いますし、また、この毒ガス障害者というのはすべて雇用関係あるいは指揮命令関係のあった方々でございますので、その点も配慮をして、十分な対策を講じてまいりたいと思います。
○浜本万三君 ありがとうございました。
○委員長(遠藤政夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。 午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十二分休憩 ─────・───── 午後一時三十三分開会
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案並びに原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○塩出啓典君 私は、本日は、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、これを中心に質問をいたしたいと思います。 御存じのように、本年は被爆四十周年を迎えるわけであります。そういうときに、厚生大臣がくしくも広島県出身の厚生大臣であるということで、長年のいろいろな懸案事項が解決されることを心から望むものでありますが、まず最初に、いわゆる被爆者の実態調査の問題でございます。 先般、厚生省の原爆被爆者実態調査委員会が本年十月に実施する全国実態調査の内容を決めたようでありますが、今回はどういう調査をされるのか。それと、昭和四十年、昭和五十年にも調査をしておるわけでありますが、そういう調査とはどういう点で違いがあるのか。この点をお尋ねをいたします。
○政府委員(大池眞澄君) 原爆被爆者の全国的な実態調査につきましては、御指摘のように、昭和四十年度、昭和五十年度と実施したのに続きまして、今回、六十年度実施を予定しているところでございます。既に本年二月に調査委員会を発足させまして、鋭意御検討いただき、去る五月の二十九日にはその調査委員会の調査案をちょうだいしているところでございます。その内容について、実施に向けての細部の詰めを厚生省で行っているところでございますが、輪郭といたしましては、被爆者健康手帳所持者全員に対しまして調査を実施いたします。そして、その全員に、郵送方式によりまして、健康面、生活面、家族の状況等も含めました総合的な調査を実施する。また、今回のもう一つの調査の柱としまして、死没者の関係につきまして、全員の被爆者の方で、被爆当時家族の状況、肉親とか親戚あるいは知人等の死没の状況について把握している限りにおいてこれを今回の調査で掌握する。また、関連します被爆者動態調査に役に立つであろう被災関係資料を全国的に収集する。こういったような内容で、現在その実施に向けての準備を進めているところでございます。 四十年、五十年に実施いたしました調査と一応比較をするというようなことも考慮に入れ、かつ、今回は被爆者の高齢化が進んでおるというようなことも念頭に置きまして、全員にかなり項目数の多い設問を用意いたしまして、具体的な、健康、生活の状況を掌握するという点が前回の調査と今回若干異なる点でございます。
○塩出啓典君 広島と長崎の原爆で亡くなった人の数ですけれども、これがはっきりわからない、こういうことが長年言われてきたわけでありますが、今政府としては、これは何名亡くなったというそういう公式の数はあるのでしょうか。一応政府の統一見解、そういうものはございますでしょうか。
○政府委員(大池眞澄君) まだ、政府としての公式的な統一された数値というものは持ち合わせておりません。
○塩出啓典君 昭和四十年あるいは五十年の調査のときに、いわゆる人口調査のときに、広島のあるいは長崎の原爆で亡くなった方の調査をこれはもっと全国的にやってもらいたい、そういうような要望はずっと出されてきたわけですけれども、四十年の調査、五十年の調査は必ずしもそういう要求にはこたえていないわけでありますが、今回は死没者の数を、遅きに失したとはいえ、やはり四十年、五十年のときよりもさらに前進した形で調査をされるように私は理解をしているわけなんですが、その点はどうなんでしょうか。
○政府委員(大池眞澄君) 死没者調査の点についてのお尋ねかと思うわけでございますが、死没者調査は、何分年数もたっておりますし、あのような大規模な被爆というような事情もございまして、これを調査するということには大変技術的な困難性を伴うわけでございます。その事情は五十年当時においてもさほど変わりはなかったわけでございます。しかし反面、広島市、長崎市におきましては、当時の状況を復元させるための復元調査、被爆者の動態調査というようなことで、長年にわたりまして非常に着実に地道にいろいろな資料を集めて積み上げてきている調査がございます。今回、六十年の調査におきましては、そういう市において蓄積されてきております調査、復元調査の資料と有機的につないで、それぞれ補い合って、さらに統計的な数字についてもその固めを行うというような趣旨で、今回死没者調査を設計したところでございます。 いろいろと実施上の困難はございますが、多方面の学識者の御意見もちょうだいしまして、実際的に可能な範囲での最も合理的な方法であろうと私どもも承知しているところでございます。
○塩出啓典君 時間もございませんので、余りこの問題について深く論議をする気持ちはないわけでありますが、これは私、ぜひ厚生大臣にもお願いしておきたいわけでありますが、そういう被爆の体険を持つ日本として、やっぱり原爆というものの実態というものをできるだけはっきり明らかにして、それを世界に知らせるということは、私は、核兵器をなくする運動においても非常に大事じゃないかと思うんですね。 そういう意味で、実際に亡くなった方がはっきりしない。特に広島においてはかなりの大きな開きがあるわけであります。しかも、外国人の被爆者、特に朝鮮人の方が多数亡くなったわけでありまして、広島中の長崎市原爆災害史編集委員会としては、広島では二万五千から二万八千の朝鮮人が被爆をし、五千から八千人亡くなっておる、こういうようなことを推測をしておるわけですけれども、私は国として、できるだけ詳細に調査をして、遅きに失したわけですけれども過ぎ去ったことを言っても始まりませんから、今回の調査はひとつ丁寧に、まじめに取り組んでやっていただきたい、このことを厚生大臣に要求いたします。大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 今回の調査を始めます際に、死没者調査のことを私からお話しをいたしましたら、何分戦後四十年たっておるから非常に困難であるということを厚生省内部の当事者も、あるいは調査会のメンバーの方々の主な方々もそうおっしゃっておられました。 しかし、そうは言っても、今先生御指摘のように、五万人死んだと言う人もいれば二十万人死んだともいうような、大きな乖離があるということは不都合なことでございます。ある程度推計の数字は入るかもしれませんけれども、大筋、ラウンドナンバーにおいてはできるだけ間違いのない調査にいたしたい。そのためには、外国人の問題もできるだけ把握していかなければならないというふうに思っておるわけでございます。 ただ、外国人の場合には、外国の政府と接触することが外交的な問題で適当であるかどうか考えるわけでありますが、しかし、国内にも今おっしゃったような資料その他があるわけでございますから、できるだけ把握をしてもらいたいというふうに思っておるわけでございます。 したがって、そういう全体像が明らかになるということは、まさに核兵器の悲惨な姿をいわば総括的な数字であらわすわけでございますので、これが核兵器廃絶運動の一つのお手伝いになればという心も込めてやってまいりたいというふうに思います。
○塩出啓典君 それから、それに関連をいたしましていわゆる原爆白書というか、罹災白書というか、報告書というか、そういうものをつくるべきであるということは、昨年以来衆参の委員会で論議をされ、午前中この委員会でもそういう意見が出されたわけでありますが、実は広島市が、先般の第二回国連軍縮特別総会を前にいたしまして、広島、長崎等でできる範囲のいろいろな調査をまとめております。 これはそのうちの一部を要約して国連に出した資料ですけれども、これによりますと、四五年十二月末、昭和二十年の十二月末までに亡くなった方が、広島では十四万人プラスマイナス一万人、誤差がですね。長崎で七万人プラスマイナス一万人と、このような推定をいたしております。さらに、被爆のときのエネルギーとして、三五%が熱線のエネルギーである、五〇%が爆風のエネルギーである、一五%が放射線のエネルギーである、こういうようなこともそれぞれ専門家の方が集めて一つの推定を出しておるのじゃないかと思うんであります。 私は、やはり日本政府として、今日までのいろいろな調査をまとめて、そして原子爆弾の実態はこうであると、こういうものをつくって後世に伝える。また、世界にこれを伝えていくということは、私は日本政府の使命でもあるんじゃないか。大池局長は昨年の衆参の委員会でもかなり前向きな答弁をされておるようでありますが、この種のまとめについては具体的にどういうスケジュールでやるお考えであるのか、これを承っておきます。
○政府委員(大池眞澄君) ただいまお話しのございましたいわゆる白書の点でございますが、白書というふうに表現するかどうかは別といたしましても、今回の被爆者実態調査を取りまとめる際の一環の問題としまして、各種のこれまでの蓄積されております、また、ある意味ではそれぞれのところにばらばらになっております所見、情報を総合的に集めまして、これを相互に見比べ、比較検討していくということは大変有意義なことだと考えておるわけでございます。 スケジュール的には、被爆者実態調査それ自体三十七万人近い人に対します全数の調査でございますので、ことしいっぱいそういった調査票を集めまして、その集計解析は六十一年度に予定をしているところでございます。そちらの集計解析の作業、これと並行する今申し上げました相当膨大な資料が集積されることを期待しておるわけでございますが、その辺の取り組みになりますので、六十一年度以降のスケジュールということで御理解を賜りたいと思います。
○塩出啓典君 厚生大臣に要望しますが、できれば増岡厚生大臣の在任中にこれが完成をしてもらいたいと、このように思っておるわけでありますが、これは増岡厚生大臣の自分で決めるわけにはいかない問題もございますので、そこまでは無理にしても、少なくともやはり増岡厚生大臣の在任中にレールというか、スタートだけはさせると、そういう見通しの立つところまではやっぱり手を打ってもらいたい。私はそのように思うんですが、御努力いただけますか。
○国務大臣(増岡博之君) そのような方向で、私自身も、先生と御一緒に被爆者対策を長年やってきておるわけでございますので、この調査の方法はもちろん、それが集大成される大体の大まかな筋書きと申しますか、そういう姿までは確認いたしたいものだというふうに考えております。
○塩出啓典君 次に、海外被爆者の治療の問題でございますが、現在まで私のお聞きしている範囲では、韓国、米国については、訪日治療あるいは医師の派遣等が定期的に行われているわけであります。カナダ、南米等についてはその対応が、現地から早急に希望が出ているようでありますが、この海外被爆者の実態と治療の現状ですね。それと南米につきましては、私たち公明党も広島県議会あるいは国会においても申し入れを行ってきておるわけでありますが、南米について、ことしの秋に医師を派遣をして健康診断を行うやに承っておるわけでありますが、そういう南米についての今後の計画もあわせて教えていただきたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 海外被爆者に対します健康診断等の実施につきましては、アメリカにつきましては昭和五十二年以来一年置きに広島県の医師会及び放射線影響研究所が中心になりまして、同地へ専門の医師団を派遣しているところでございます。その一年置きがことしに当たるわけでございまして、既に六月十二日には出発する予定となっておりますが、北米被爆者検診団、今回はアメリカだけではございませんで、カナダのバンクーバーに赴きまして、健康診断、健康相談を行うこととしております。 次に、南米についてでございますが、この件につきましては、専門の医師団の派遣、健康相談の実施等が計画されつつあるわけでございまして、厚生省におきましても、現在広島県、外務省などの関係者と鋭意検討を進めているところでございます。
○塩出啓典君 私の聞いておる範囲では、外務省の定期的なそういう海外在留邦人の検査、それに便乗してというか、それに随行して専門の医師を派遣をしてやるように聞いておるわけですが、ことしはたまたまその在留邦人の健康調査と一致をしておるそうでありますが、今後やはり厚生省の予算で、この北米への派遣団を延長してそちらへ行くなり、何らかのそういう措置が必要ではないかと思うんですが、その点は、どういう方向でいくお考えでございますか。
○政府委員(大池眞澄君) 海外に在住される被爆者の問題につきましては、基本的な考え方としては、これは相手国の主権に属することでございますので、やはり相手国政府と日本国政府との間のいろいろ微妙な問題がございます。現在行われております検診サービスは、必ずしも政府直接ということでなくて、事実上の問題として、例えば医師会その他いろいろな双方の専門的な団体等が交流をいたしまして、その接点で仕事がなされているわけでございます。 厚生省も、そういう意味でできる限りのそういった動きに対する支援は申し上げておるわけでございますが、厚生省が直接主導権を持って動くというような形にはなっていないところでございまして、今後厚生省がどのように進めるかというようなことについては、さしあたって、今はっきりした考えは持っておりません。
○塩出啓典君 その点は厚生省が直接やる問題ではないかもしれませんが、そういう点は各界とも連携をとって、外務省とも連携をとって推進に努力をしていただきたい、このように要望しておきます。 それから次に、被爆老人の医療費の地方負担の問題でございますが、これは先般の老人保健法のとき以来の問題でございまして、今までの会議録等を私読ましていただいても、なかなか政府と我々の要求とはどうも平行線のような感じがいたします。例えば、六十年度を見た場合に、いわゆる広島県、長崎県、広島市、長崎市の老人保健法施行に伴う地元負担の増加は三十六億六千六百万円である。ところが、国の老人保健臨時財政調整交付金は十五億五千万である。国としては、この額が妥当であり、決して被爆対策の後退ではないと、このように言っておるわけでありますが、現実には国の支出が減って地方の支出がふえておるわけでありまして、このような開きはどういう点に原因があるのか。それが第一点。 それともう一つは、六十九歳までは全然地方の負担がないのに七十歳になってから地方自治体の負担がふえるということは、むしろ逆の方ならまだ話はわかるわけですけれども、これは制度として非常におかしいんじゃないか。したがって、六十一年の老人保健法の改正のときにこれは見直しをして、少なくとも老人保健法制定以前の段階に戻すべきではないか、地方負担のないようにすべきではないか、このように思うわけでありますが、その点のお考えを承りたいと思います。
○政府委員(大池眞澄君) 第一点についてでございますが、三十六億とおっしゃったと思いますが、その数字については、ちょっと今手元の資料とは照応いたしません。恐らくその私ども考えております数字との差は、一つには、老人保健法で県、市町村それぞれ五%の負担分があるわけでございますけれども、従前、老人保健法施行前はゼロであったものが五%ということで、五%をそっくり計算されたというような事情が一つはあろうかと思います。それに対しまして国の方の試算は、一般に老人につきまして、老人保健法の制定に伴いましてあらゆる市町村において、従前老人福祉法時代には三%ほどの負担であったものが今回五%になった、したがって一律に二%の負担増ということが全国的に見られる、したがいまして当方のいわゆる原爆臨調の考え方では、その全国共通に見られる二%増は、広島、長崎地域におきましても同様の負担はしていただく必要があろう。したがいまして、ゼロから五%ではなくて、五%のうち二%は今言ったような共通に負担していただく分ということで三%相当分を原爆臨調の対象としてまないたにのせているわけでございます。したがって、ゼロから五%という計算と、国の方の三%という試算と、そういったようなことで、三十六億というような大きな数字が出ているのではないかと思います。またもう一つ、国の方では全国の平均的な医療費単価というものを基本に置いて積算をしておるわけですけれども、恐らく広島、長崎の数字は、それぞれの地域での実際に要した経費の額を計上しておっしゃっているのではないかと思います。 第二点の御質問は、老人保健法見直しの節、この点についてもとへ戻せないかという御質問であったかと思いますが、これは、私ども老人保健法を担当する立場といたしまして、そのようなことは考えておりませんということでございます。
○塩出啓典君 次に、原爆病院についてお尋ねをいたしますが、大変運営は厳しいようで、五十八年度末で累積赤字が七億五千万近くになっております。御存じのように、原爆病院は被爆者を対象にしております関係で、老齢者の比率が高い。しかも入院期間が長い。そういうことで、体質的に赤字体質を備えておるわけでありますが、そういう中で、国も運営費の補助とかあるいは委託研究費、さらには被爆四十周年ということで、昨年でございますか一億七千万円という医療設備を購入するのに大変予算を増額していただいて、このことは非常に関係者も喜んでおるわけでありますが、しかし依然としてそういう体質はあるわけでございますが、厚生省としては、今後原爆病院に対する対応をどのようにお考えか、お伺いいたします。
○政府委員(大池眞澄君) ただいまお話にございましたように、厚生省といたしましても、それぞれの原爆病院の状況にかんがみまして、運営費を初めとして施設設備の補助あるいは研究費の助成等、これまでも行ってきたところでございますが、今後の原爆病院のそれぞれの運営の状況を見まして、そのときどきの必要に応じての国としてのできるだけのまた配慮を加えていく必要があろうと考えております。
○塩出啓典君 これは特に厚生大臣に私は検討をお願いしたいわけでございますが、被爆者は老齢化をし、また数もだんだん減ってくるわけでありますが、そういう被爆者のみを対象にしておったんではなかなかそういう体質が直らないんじゃないか。長崎の原爆病院の場合は一般の方々も診察をしておる。そういう意味で、広島の原爆病院等のできましたいきさつ等もいろいろありましてこれは一方的に決めることはできませんけれども、関係者の人ともよく相談をして、私は今後の方向として診察する患者の範囲をやっぱりいろいろ拡大してはどうか。お隣には日赤病院もあるわけでありますが、日赤病院の患者等も場合によってはこちらの病床に入れるとか、こういうようにやっぱり時代の変化に即して対応を私は考えていかなければいけないんではないか。そういう点、検討する用意があるかどうか、お考えを承ります。
○国務大臣(増岡博之君) 原爆病院の経営が非常に苦しいということは、長らくそういう状態であったわけでございます。今日まだ解消されていないということは非常に残念なことでありますけれども、御指摘のように、私が厚生大臣として、あるいはまた個人として、広島の日赤病院にいろいろお尋ねをして、どのような対策がとれるかということを相談を持ちかけてみたいと思っておるわけでございます。その際、厚生省がどのような対応ができるかということもあわせて考えながら、まず、その実態というものの把握に努めてまいりたいというふうに思っております。
○塩出啓典君 次に、原爆養護老人ホームが広島では二カ所あるわけですけれども、また原爆病院もそうでございますが、いわゆる法制化ということが、これはもうずっと前から関係者の間から法制化をしてもらいたいという、こういう要望があるわけでございます。政府は法制化ではなしに予算措置でいろいろやってきているわけですが、当然その実態から見てちゃんと法制化をすべきではないか、このように思いますが、この点はなぜ法制化をやらないのか、御意見をお聞きいたします。
○政府委員(大池眞澄君) 現在設置運営されておりますホームにおきまして、法制化を待つまでもなく一応自主的な被爆者の方のニードにこたえているというふうに制断しているわけでございます。今後、入所希望者の動向でございますとか、現地におきます、特に県・市等のいろいろな考え方、動き等もよく的確に私どもとしてもとらえながら、関係者とよく相談して、今後のあり方も検討してみたいと思います。現在のところは、法制化ということを考えておるわけではございません。
○塩出啓典君 次に、放射線影響研究所の移転問題でございますが、これは昭和五十六年度予算からいろいろな調査費が毎年計上されまして、今日まで委員会をつくって検討をされておるわけであります。移転先としては広島大学の移転跡地と、そういうことが言われておるわけでありますが、この建物も建てられて三十五年、大変老朽化をしております。そういう中で移転をするということだから、なかなか建物も建て直すわけにはいかないし、さりとて移転がいつになるのかわからない、こういう生殺しの状態でございまして、私は、はっきりとした方向を決めるべきではないかと思います。私の感じとしては、現在の土地はいわゆる国から借りておるわけですね、放射線影響研究所は。だから、今度新しく移るのは広島市の真ん中ですから、そこの土地を放射線影響研究所は買うというんではなしに、国有地を借りるようにすれば、そうすればかなり移転も私は計画が速やかに軌道に乗るんじゃないかと、このように思うわけでありますが、この点、問題点はどこにあるのか。今の私の意見についてはどのようにお考えか、これを承っておきます。
○政府委員(大池眞澄君) 御指摘がございましたように、厚生省におきまして、この問題も含めまして原爆放射線の影響に関する研究体制のあり方検討会において検討を行ってきている経緯がございます。現在、放影研を中心に将来構想の検討作業が続いておるわけでございますが、厚生省におきましてもこういった検討の成果を踏まえつつ、研究体制全体のあり方の問題の一環というような観点でこの問題には対処していきたいと考えているところでございます。 今かなり具体的に土地の借り受けというような御意見、御提案があったわけでございますけれども、そういったような段階の話もこちらに到達しておりませんし、まだそのような段階までは至っていないと考えております。
○塩出啓典君 これは厚生大臣はどういうお考えですか。やっぱり移転をするということは私は今の状態からいってもう当然やらなくちゃならない問題じゃないかと思うんですが、その点はどうなんでしょうか。
○国務大臣(増岡博之君) この問題は、現在放影研そのものにおいても将来構想を具体的に検討していただいておるわけでございます。その検討結果を待つことと同時に、広島市側からもこの移転問題についての御要望があるわけでございます。また、跡地が大学の跡地であり国有地であるということでございますから、その各方面の御意見を承った上で判断をいたしたいというふうに思っておるわけでございます。
○塩出啓典君 ひとつ早く方向を決めていただいて、現状では皆中途半端と申しますか、精神的にも非常に不安定な状態に置かれているんじゃないかと思いますので、この点速やかにひとつ検討を進めて方向を決めていただきたい。五十六年からもう四年間検討を続けておるわけですから、検討も余り長過ぎるんじゃないかと思うんですけれどもね。この点を要望しておきます。 それと、この放影研の問題ですけれども、今被爆者に対する健康診断をずっとやっておるわけですが、今まで二年に一回やってきたわけなんですね。これは二年に一回ぐらいしかできなかったわけでありますが、ところが最近、やっぱり被爆者の高齢化等も進んでおりますし、健康保持という点からいえば、もうちょっと健康診断の回数をふやしてもいいんじゃないか。一方、病院の方もそれだけの余裕ができているようでございますので、ぜひ、徐々にその回数をふやしてはどうかという、こういうような意見が、特に働く人たちの間からそういう意見が出ておるわけでありますが、こういう点を今後御検討いただきたい。この点はどうでしょうか。検討していただく用意があるかどうか、お伺いしておきます。
○政府委員(大池眞澄君) 放影研の実施しております幾つかの重要な研究の柱の中の一つとして、ただいま先生の御質問の健康診断の調査がございます。二万人ほどの規模でございまして、相当な作業量でもあり、そんな関係もあって二年に一回ということで実施してきておりますが、一方、高齢化というようなことが進みつつあるということも勘案しまして、計画を若干調整をしてみたいというような研究者からの相談もきておるようでございますので、ただいまの御質問の趣旨も踏まえましてよく相談をした上で、適切な対応をしたいと考えております。
○塩出啓典君 次に、大久野島毒ガス障害者の援護対策でございますが、私は、この大久野島の毒ガスの被毒者という人たちは、これはアメリカの投下した原子爆弾に比べて、こちらは加害者は言うならば日本政府だったわけですから、そういう意味で原爆被爆者対策にまさるとも劣らない対応をしていかなければいけないんじゃないか、こういう観点で今日までいろいろ国会でも、またあらゆる機会を通して政府の対応を要望してきておるわけでありますが、今回も、いろいろな諸手当の増額、あるいは毒ガス障害者援護法の早期制定、あるいはまた相談員の設置、そしてまた大きくは旧令共済で救済されている人と学徒動員の人たちとの格差の是正と、こういうような点がいつも要望されておるわけであります。 きょうは時間もございませんので、二点だけお尋ねをいたしますが、一つは忠海病院が大久野島毒ガス関係者の診療の中心でございますが、ここに外科及び皮膚科を開設してもらいたい、こういう要望があります。その点について政府の考えはどうか。それともう一つは、いわゆる疾病の範囲を拡大してもらいたい、こういう要望で、先般来広島大学の西本教授等の研究結果に基づいて呼吸器から消化器まで範囲が広がったわけでありますが、さらに循環器までこれはぜひ拡大すべきではないかと、こういうように思うわけですが、この点の考えはどうでしょうか。二点についてお尋ねをいたします。
○説明員(坂本導聰君) 忠海病院につきましてお答え申し上げます。 これは旧令共済病院でございますので大蔵省の所管でございますが、御指摘のような御要望があるのは事実でございます。ただ、外科につきましては月に手術が一、二例しかないということで、恒常的に設けるということは難しい状況にございますので、現在広島大学の大学病院の方にお願いする、あるいは、比較的軽い患者の方々につきましては、竹原市と隣接しております三原市内の三菱三原病院にお願いする、あるいは三原医師会病院にお願いするという形で、できるだけ努力をしてまいりたいと考えております。他方、皮膚科の方につきましては、これは正直に申しまして現在休診中でございますが、医師が確保できないというのが実情でございます。しかしながら、私どもは広島大学等にお願いしまして、できるだけ早い機会に医師を確保して再開できるように努力をしていきたいというふうに考えております。 以上でございます。
○政府委員(大池眞澄君) 対象疾病の問題でございますが、御承知のとおり、広島大学を中心にしまして昭和四十九年度以降医学的研究が進められてきておりますが、この仕組みの中で、その研究成果を踏まえまして、五十五年には消化器疾患、皮膚疾患まで対象が拡大されたことは御指摘のとおりでございます。 なお、循環器等いろいろな問題提起でございますけれども、この制度を適正に維持していくためには、やはり医学的研究による所見というものの裏打ち、これが前提となろうかと思うわけでございまして、調査研究、引き続きこちらを進めることによってそれを我々としては見きわめてまいりたいと考えておるところでございます。
○塩出啓典君 最後に、これは厚生大臣に要望いたしますが、私昨年参議院の経済調査団でオーストラリアへ参りまして、キャンベラに戦争記念館というのがあるわけですが、そこへ参りました。そこには一八八五年のスーダン戦争以来今日まで戦争で亡くなったオーストラリアの兵士死者一万二千名の名前を刻んで、そういうような戦争のいろいろな記念品、日本のかつてのシドニーの特殊潜行艇等も置いてあったわけですけれども、中で、広島の原爆のいろいろな資料が置いてありました。戦後、オーストラリアの兵士が広島に駐在をしたときに持って帰ったのじゃないかと思うんです。 私は、やはり日本にもそういう平和博物館というか、戦争のいろいろな歴史、悲惨さというものを展示をして後世に伝える、そういうものが必要ではないか、このように思ったわけであります。現在広島には平和記念館というのがありますし、資料館がございまして、修学旅行等で年々訪問する人もふえておるわけでありますが、私はやっぱり東京にもそういう、名前は戦争博物館がいいのか、平和記念館か、平和博物館がいいのかわかりませんけれども、こういうものをぜひつくるべきだ。実はそういうようなことを長年運動している人もおりまして、これは我々もぜひバックアップしていかなきゃいかぬ、こういうように考えておるわけで、これはどこが中心になるかわかりませんけれども、やっぱり厚生大臣としても、当然そういうものは必要であると、大いにその実現に努力をしてもらいたい、私はこのように要望したいわけですけれども、御意見を承って質問を終わります。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、戦争を賛美するわけにまいりませんから、戦争というものがいかに悲惨であるかという意味合いでのいろいろな展示ということは必要なことであろうかというふうに思います。 厚生省の方でいろいろな施設をつくる場合があるわけでございますので、そういう際に、そのようなことが取り入れられるかどうか、検討してまいりたいとは思います。
○中野鉄造君 私は初めに、未帰還者の実態についてお尋ねいたします。 今日現在の未帰還者の実態を各国別に教えていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(入江慧君) 現在の未帰還者は千二百九十九名ということになっておりますが、それを各国別に申し上げますと、ソ連が百七十四名、中国が九百八十六名、北朝鮮八十三名、その他五十六名ということになっております。
○中野鉄造君 未帰還者の御家族に対する措置については、どういうような施策をなされておりますか。 それと、年に何回ぐらいこの実態というか、未帰還者に対するいろいろな対応をなされているのか。 そしてまた、相手国との交渉について一番支障を来しているというような点はどういうことなのか。そこら辺をお尋ねいたします。
○政府委員(入江慧君) 未帰還者につきましての施策でございますけれども、未帰還者留守家族等援護法というのがございまして、要するに、未帰還者が日本に帰っていたならば扶養すべきである扶養家族がおった場合に、その未帰還者にかわって留守家族手当を支給するという制度がございます。 それで、未帰還者につきましては、結局その未帰還者の適用を受けるためには、今申し上げたソ連とか中国に残留している未帰還者が、自己の意思じゃなくて残留しているということが一つの条件になっておりますので、未帰還者につきましては当時一緒にいて帰国したような方から情報をとるとか、あるいは直接未帰還者に対して手紙のやりとりをして、現在どういう状況にあるのかとか、あるいは帰国する意思があるのかというような情報を得まして、何といいますか、未帰還者留守家族等援護法の運用をしているというのが現状でございます。
○中野鉄造君 相手国との何か支障がありますか、交渉の。
○政府委員(入江慧君) 実は、実情を申し上げますと、向こうにおります未帰還者約千三百名のうち約半数以上、六割は婦女子ということになっておりまして、恐らくあちらで世帯を持っているということでありましょうし、一方、現在留守家族援護法の留守家族手当を受けている者が、実情を申し上げますと一名というような状況でございますので、実際にはこの一名と現在連絡をとりまして帰国意思があるかどうかということを確認中というのが現状でございます。
○中野鉄造君 未帰還者というからには、生存しておるということは確認されておるわけなんですね。
○政府委員(入江慧君) それが、先ほど申し上げました千二百九十九名、約千三百名の内訳でございますけれども、それのうち五百九十九名、約六百名は、要するに昭和三十年度前には生存したという記録があるわけでございますが、その後音信不通ということで、恐らく死亡されているのではないかということで、生存されている確度は非常に薄いわけでございます。一方、二百六十七名については、五十三年度以降に生存の資料があるということで、非常に生存の確度は強いわけでございまして、この二百六十七名のうちほとんどの二百三十二名が中国におられるということになっております。
○中野鉄造君 関連する問題でございますが、戦没者遺骨収集について、いわゆる相手国で戦死されていまだに遺骨送還がなされていないという、そういうところもかなりあると思いますが、これについてはどういうような対応をされておりますか。
○政府委員(入江慧君) 海外で戦没された方の遺骨収集につきましては、昭和二十七年以降相手国等の御協力を得まして遺骨収集に積極的に取り組んでおるわけでございますけれども、旧主要戦域のうち、ソ連、中国、ビルマ、インド、インドネシア等につきましては、相手国の事情で了解が得られないということで、現状においてはこれらの国々においては遺骨収集が望めないということでございますが、何分遺骨収集のできない事情が相手国の事情でございますので、無理押しもできないということでございます。 一方、そこで戦没された方の御遺族のお気持ちということも参酌しなければいけないということで、今後とも、外務省を通じまして相手国の状況をいろいろ把握するとともに、了解が得られましたときには積極的に折衝したいというふうに考えております。
○中野鉄造君 それから、問題は少し変わりますけれども、台湾人の元日本兵の問題については、先般、関係省庁連絡会議において検討中であると、こういうように聞いておりますけれども、今検討の中で一番問題点になっている点と、今後の見通しというようなものはいかがなものでしょうか。
○政府委員(入江慧君) この問題は厚生省の所管じゃございませんけれども、今お話しのありました各省連絡会議というのが先日第一回がございまして、私も出席いたしましたが、その際には、今後幹事会を開いて次回以降具体的にどういう問題があるのか、どういうふうに詰めていけばいいかということを検討しようということになりました。まだ第二回目が開かれておりませんので、要するに検討に着手したという段階で、まだ具体的な内容の審議には入っておらないのが現状でございます。
○中野鉄造君 それから次に、この戦傷病者戦没者遺族等援護法改正案について、この法案の中で、衆議院においての附帯決議の中にも触れられておりますけれども、中国残留日本人孤児の問題でございますが、ことしは残留孤児の肉親捜しの最終年度でもあるわけですが、当初の年次目標よりも多少多くなっているようですが、過日の新聞報道によりますと、その中で昨年三月両国間で取り交わされた口上書に基づいて中国から永住帰国した残留孤児の養父母への扶養費について交渉がかなり進展しつつあって、年内にもその支払いが始まる見通しであるというようなことが報じられておりましたけれども、そこいらの事実はいかがでしょうか。
○政府委員(入江慧君) 帰国した孤児が向こうに残してまいります養父母の扶養の問題につきましては、ただいま御指摘のとおり、昨年の三月の口上書に基づきまして、扶養費の額及び支払い方法について事務的に協議をするということになっておりまして、ことしの二月と五月に私どもの課長をあちらに派遣しまして、その問題について協議を続けてまいってきておるわけでございます。基本的な考え方は合意しておるわけですが、あちらでの生活費のとらえ方について、若干両方の意見に食い違いがあるということでございます。 何分養父母と申しましてももう七十を超える高齢者でございまして、両国とも要するにできるだけ早くまとめたいということでは意見が一致しておりますので、一日も早く話をまとめて支払いの段階に持っていきたいということになっておりますが、何分その支払いの具体的な方法になりますと、向こうの国情が違いまして、日本の中で額が決まったからすぐ支払えるというような状況でもございませんので、ただいまお話しのように、年内に支払いが開始できるかどうかということにつきましては、現在のところちょっとお答えを保留さしていただきたいというふうに思います。
○中野鉄造君 大体大まかな一人当たりの額だとか、そういったようなものも今のところまだ未定というわけですね。
○政府委員(入江慧君) 生活費のとらえ方につきまして、現在話し合っている中では、双方からある程度の額というのは出ておりますけれども、外交交渉に属する事項でございますので、具体的な数字はここで申し上げるのを差し控えさしていただきたいというふうに思います。
○中野鉄造君 それから、現在日本に永住されておられる孤児が二百二十六人と、こう聞いておりますけれども、この人たちの帰国後の実態調査を見ましても、やはり四十年近く体制が違う国で生活をしてきたわけでございまして、風土、習慣あるいは言語というものが最も大きな障害となって、就職を初め日本の社会、家庭そして人間関係等に非常になじみにくいということが一番の障害になっていることが明らかにされておるようです。 そのために現在所沢市には定着促進センターというものがありますけれども、しかし、収容人員といい、期間といい、必ずしもこれは十分とは言えないんじゃないかと思います。例えば、全国に一カ所しかないようですが、それとは別に、各自治体だとか、何らかの機関を通して通信教育的な指導や、あるいは各自治体での訪問指導、そういったようなものも考えていくべきじゃないかと思いますが、この点いかがになっていますか。
○政府委員(入江慧君) 昨年の二月に発足いたしました定着センターの収容能力の問題でございますけれども、現在のところ、年間百世帯三百三十人ということでやっておりますが、ここ最近の帰国状況を見る限り、大体年間三十世帯百五十人ぐらいが帰ってきているわけでございますので、現在の傾向が続く限り収容能力に問題はないとは思っておりますが、御案内のように、ことし訪日調査の人員を大幅にふやすという問題がございます。それと、ことしの四月から新たに未判明孤児の帰国という道が開かれましたので、この制度が順調に滑り出しますとかなりの帰国が予想されるかもしれないわけでございますが、何分その点今のところ見通しが立ちませんので、その帰国の状況等を見ながら、何といいますか、要するに帰国がそのために妨げられるということのないように適切に対処していきたいというふうに考えております。
○中野鉄造君 この残留孤児の帰国者の人たちの日本政府に対する要望というか、そういうものを集約いたしますと、自分たちが老齢年金を受けられるような特別の配慮を望むとか、あるいは中国で身につけた技術を日本での生活の手段として生かせるような制度にしてほしいだとか、いろいろそういう要望があるようですけれども、その点についてはどうお考えですか。 〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
○政府委員(吉原健二君) ただいまの御質問のうち、年金の問題でございますけれども、中国孤児の方に限らず、先日成立をさしていただきました年金法の改正におきましては、海外に居住している日本人については新たに任意加入の道を開くことにしておりますし、海外に居住しておられたために加入できなかった過去の期間というものを老齢基礎年金の資格期間に算入をするという道を開いておりますので、中国から帰国されました孤児の方々につきましても、過去これまで中国に居住していた期間——三十六年以降の期間でございますけれども、その期間が、年金の資格期間の計算上加入期間と同じような扱いにされますので、今後の加入期間を合わせまして、一定の資格期間を満たせば年金が支給されると、こういうことになるわけでございます。
○政府委員(入江慧君) 資格の問題でございますが、私の直接の所管でないわけでございますけれども、厚生省の関係のある資格で問題になりますのは、お医者さんでありますとか看護婦さん、あるいははり、きゅうを向こうでやっておられた方が問題になるわけでございます。 そのうち、お医者さんについて申し上げますと、制度上は、要するに日本の医科大学を出て国家試験を通らなきゃいけないわけですが、国家試験を受けるに当たりまして、医師法上は、厚生大臣が、日本の医学校を卒業したと同等以上の能力があるという認定をいたしまして、かつ適当と認めれば医師国家試験を受ける道が開かれておるわけでございます。ただ、これ以上道を緩めるということにつきましては、やはり医師が人の生命を扱うという職業の性格上無理であるというのが現在の考え方だというふうに聞いております。 あと、はり、きゅうにつきましては、ただいまお医者さんについて申し上げたように資格認定制度というのがないわけでございますけれども、一口にはり、きゅうと申し上げましても、あちらのはり、きゅうとこちらのはり、きゅうでは、私専門じゃございませんからわかりませんが、大分実情が違うようでございますし、向こうの資格制度というものは現在のところこちらで全然わかっておりませんので、今直ちに向こうのはり、きゅう資格を持っておられる方がこちらでやるということは、言葉の問題もございますけれども、制度自体としてもやはり無理だというふうに聞いております。
○中野鉄造君 確かに今の御答弁のようなこともあろうかと思いますけれども、そこのところは、例えば漢方の医薬技術というか医学技術というか、そういったような面につき、また、はり、きゅうというような点につきましても、何か今後特段の御配慮をいただきたいと、こう思うわけです。 それと、今後、身元がわからない中国残留孤児が日本社会へ早期定着できるように親身に相談に応じていただくといったようなそういう機関、そういうものも強く促進を要望するわけですが、あわせて、身元引受人制度というのができておりますけれども、この身元引受人制度には現在どのくらいの人が、登録というとなんですが、この制度に申し出をなされておりますか。
○政府委員(入江慧君) 身元未判明孤児の日本帰国の道は、御案内のように四月に開かれたわけでございまして、私どもとしましては、その未判明孤児に対しまして案内文と帰国旅費の申請書というものを送りまして帰国希望をとりますとともに、一方国内では、今お話しのありました身元引受人を都道府県を通じて募っておるわけでございますが、現在の段階で登録といいますか、都道府県に申し出がありましたのは十一名ということで、現在帰国したいという希望をしております二十八名の孤児に対しましてちょっと、何といいますか、数が足らないというのが現状でございますので、至急都道府県と連絡をとりまして、積極的に、身元引受人を探すということに努力いたしたいというふうに考えます。
○中野鉄造君 身元引受人の資格といいますか、条件といいますか、そういうものはどういうものが必須条件になっていますか。
○政府委員(入江慧君) この身元引受人は、外国人が入国する場合の身元保証人とはちょっと違いまして、平たく言いますと、帰国した孤児の相談相手というふうに御理解いただければいいかと思います。そういう意味で、孤児問題に対して理解が深くて、要するに相談相手として適当であるということであれば、特に資格というものは私ども要求しておりません。
○中野鉄造君 終わります。
○安武洋子君 私は、まず最初に障害者問題に関してお伺いをいたします。 一九八一年、国際障害者年でございました。政府は、中曽根総理を本部長、それから厚生大臣が副本部長でございますが、国際障害者年推進本部、これを設置いたしております。国連が定めました国際障害者年行動計画を見てみますと、「一九九一年までに、国際障害者年の成果の評価と反省を行う目的で、一九八一年末までには国際障害者年の目標をフォローアップする国家計画を準備すること。」、これを各国政府に求めております。それで政府は、五十五年八月十九日に国際障害者年推進本部決定を行って多岐にわたる障害者対策、これを発表をいたしております。 大臣にお伺いいたしとうございますけれども、大変多岐な障害者対策、これがどの程度進んでおりましょうか。そして、なお引き続き充実発展させる必要がある対策とはどのような対策をお考えでございましょうか、お伺いをいたします。
○国務大臣(増岡博之君) 障害者福祉対策につきましては、いわゆる「完全参加と平等」というテーマに基づきまして、昭和五十七年に政府が長期計画を策定したわけでございます。それに基づきまして、関係省庁ともども施策の推進に取り組んでおるところでございまして、厚生省におきましてもそれにのっとりまして、家庭や地域で生活をする、このごろよくノーマライゼーションということが言われておりますけれども、そのための条件整備を主眼といたしておるわけでございまして、したがいまして、在宅福祉対策というものも推進をしなければならないということでございます。 そういう趣旨から昨年は身体障害者福祉法の改正を行ったわけでございまして、また、先ごろ御審議いただきました年金法の改正の中に、障害基礎年金の導入をいたしておるところでございます。また、そのほかに、障害者の所得保障のための特別障害者手当を創設して、障害者の所得保障の確立を図ってきておるところでございます。 今後、政府といたしましては、国連が昭和五十八年に策定いたしました障害者に関する世界行動計画におきまして、昭和六十二年に同計画を再検討と評価を行うこととなされておるわけでございますので、それを踏まえながら、政府の障害者対策の取りまとめを行っております総理府等関係方面と協議しながら対処してまいりたいと思います。
○安武洋子君 これ、随分とたくさん列記がしてあるわけなんですけれども、大臣の御答弁、具体的にはお答えはいただけませんでしたが、その御答弁の中に、六十二年の再検討の評価というお言葉が出てきましたが、来年度は一九九一年までの中間年になります。政府としても、さらに充実すべき対策で、障害者のニーズに基づいた方策、方針、対策、こういうものを作成して、後半期の重点施策、これを障害者と国民の前に私は明らかにすべきではなかろうかというふうに思うんです。そういうことによって障害者に希望と激励を与えるべきで、世界行動計画、これ五年ごとに定期的に見直しをし、そして改定をしていくということになっておりますけれども、第一回目が第四十二回の国連総会におきます事務総長報告、これに基づいて一九八七年に行うことになると、こういうことになります。ですからぜひ日本としても、これまでの総括と後半期の重点目標、これを示す中間年を設けていただきたい、このようにお願いいたしますが、大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 世界行動計画の中には、「こうした改定は五年ごとに行われるべきであり、第一回目は」「事務総長報告に基づき一九八七年に行うことになる。」、ということでございますので、その線に沿ってやらなければならないと考えております。
○安武洋子君 では大臣、その線に沿って後半期の重点目標を示す中間年を設けていただけると、こういうふうに理解してよろしゅうございますんですね。
○国務大臣(増岡博之君) 私どもといたしましては、先ほど申しましたような世界行動計画に基づいて行いたいと思っております。
○安武洋子君 いや、それで確認をさせていただいているんですが、世界行動計画は五年ごとに定期的に改定していくということで、第一回目は一九八七年に行うことになる。それに沿って行っていただけるということであれば、一九八七年に総括と後半期の重点目標を示していただけると、こういうことになるわけですね。確認をさせていただいております。
○政府委員(正木馨君) 障害者対策の問題でございますが、障害者の福祉対策については、昭和五十六年、国際障害者年の成果を踏まえまして、先生御案内のように、昭和五十七年三月に政府が「障害者対策に関する長期計画」をつくりまして、これに基づきまして諸施策の推進に努めております。 それから、ただいまお話しありましたように、国連におきましても、今お話しのあった点でございますが、障害者に関する世界行動計画、これは一九八二年の十二月に採択をされまして、その中で、世界行動計画は五年目に見直しを行うということで、その年が一九八七年になるわけでございますが、これは国連の方で、その時点においてこれまでの成果を踏まえた見直しを行うということで、これは私ども承知しております。国連で事務総長報告に基づきまして検討が行われるというふうに聞いております。 そこで、我が国の場合には五十七年に長期計画が立てられましたが、来年が五年目に当たるわけでございますが、そういった国連の動向も踏まえながらこれまでの十年計画の推進と今後の取り組みというものにさらに力を入れていきたいというふうに思っております。
○安武洋子君 今の御説明いただいたことは私がずっと申し上げて質問したわけです。ですから、私が申し上げているのは、この世界行動計画云々とおっしゃったそれに沿って日本も考えていきたいとおっしゃるので、だから、一九八七年かあるいは一九八六年か、それはわかりませんけれども、そういうことで、中間年的なものとしてこれまでの総括と後半期の重点目標を示していただけるんですねと、それが私の質問ですので、そういう方向で行くならそういう方向で参りますと、それをお返事いただければいいわけなんです。
○政府委員(正木馨君) 大変失礼いたしました。 それで、我が国の場合では「障害者対策に関する長期計画」、先ほど申しましたように五十七年の三月に立てられまして、ここでは大きな五つの柱が定められておりますが、それに即しまして、例えて申しますと、身体障害者福祉法の昨年の改正もそれの一環でありますし、それから障害基礎年金、所得保障の充実というのもその一環でございますが、五年たったところで国連においても見直しを行うということを言われておりますので、そういった方向で私どもとしてもこれからもこの長期計画の充実に努めていかなければならないし、時々の見直しというものも行っていかなければならないというふうに思っております。
○安武洋子君 もう経過はいいんです。時々の見直しというのを中間年的に、今までを総括して、そして後半期の重点政策も示していただけるんですねと、それが質問ですのでね。その点について、やっていきたいというふうに答えていただければいいわけで、今そういうニュアンスがありますけれども、私はもう一度確認しますので、そういうふうなことで承ってよろしいんですね。イエスかノーかで結構ですのでね、もう経過はわかっているんです。
○政府委員(正木馨君) これは、障害者対策は厚生省だけではなくて、政府全体、いろいろ関係しておるわけでございますので……
○安武洋子君 それもわかっているの。
○政府委員(正木馨君) これもおわかりのとおりでございますが、総理府が中心となってやっておりますので、十分協議をしながら、御趣旨に沿うような形で検討を進めていきたいというふうに思っております。
○安武洋子君 最初からそう言ってくださればいいんです。 被爆者対策についてお伺いします。 被爆者の団体であります日本被団協、これは御承知のとおりに、昨年の十一月に、「原爆被害者の基本要求」、これと、「被爆者の高齢化に伴う現行施策の改善要求」、これを発表いたしております。被爆者の基本要求というのは二つです。その一つは「核戦争起こすな、核兵器なくせ」、これです。要求はどういうことを言っておられるかといいますと、 被爆者は「安全保障」のためであれ、戦争「抑止」の名目であれ、核兵器を認めることはできません。「核の傘」を認めることは、核兵器を必要悪として容認するものです。「核の傘」とは、私たちにとって、原爆のきのこ雲以外の何物でもありません。 世界はいま、「核戦争三分前」の危機にあります。核兵器廃絶は、一刻の猶予もできない課題です。 核戦争を起こさせてはなりません。絶対に。 核兵器がなくならなければ、安心はできません。 これが被爆体験された方の切実な願いなんです。 大臣は、この要求にこたえまして、閣僚のお一人として核廃絶のためにどのような努力をなさるおつもりでございましょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(増岡博之君) 厚生大臣といたしましては、やはり核兵器の被害がいかに悲惨なものであるかということを認識をしていただいて、それに基づいて核兵器が廃絶されるようにということが所管事項としては第一番だというふうに考えております。
○安武洋子君 所管事項ですので、どのように努力をしていただけるんでしょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 所管事項として、ただいま申し上げたことを言っておるわけでございます。
○安武洋子君 ちょっと禅問答のような感じになって、具体的にどのように努力するのかということがやっぱりつけ加わらないと、私は何となくぐあいが悪いと思いますよ。 それで、「基本要求」の二つ目というのは、「原爆被害者援護法の即時制定」です。この要望にこたえて、衆議院では五党が共同いたしまして、原子爆弾被爆者等援護法案、これを提出しております。被爆者は「援護法制定の意義」、これをどう言っておりますかといいますと、 被爆者が求めているのは、原爆被害に対する「国としての償い」なのです。 被害に対する補償は、同じ被害を起こさせないための第一歩です。原爆被害者援護法は、国が原爆被害への補償を行うことによって、核戦争被害を「受忍」させない制度を築き、国民の「核戦争を拒否する権利」をうち立てるものです。 そして、 原爆被害者援護法を制定してこそ、日本の核兵器廃絶の訴えは、世界の人々の共感をうるものとなるでしょう。 このように言っておられるわけです。 私も全く同感でございます。大臣はどうお考えでございましょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 私は、彼団協の方々とこの十数年間、毎年お会いいたしております。そのたびに援護法のお話が出ますので、援護法というものは国と雇用関係あるいは指揮命令下にあった、公務による災害に着目をした法律でございます。したがって、被爆者の方々の救済をしなければ、対策を講ずることは必要でありましょうけれども、援護法というものは難しゅうございます。なおかつ一般戦災者との均衡上の問題もあるというふうに十数年間申し上げてまいりました。 ─────────────
○理事(関口恵造君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、塩出啓典君が委員を辞任され、その補欠として中西珠子君が選任されました。 ─────────────
○安武洋子君 十数年間被団協の方に会って援護法難しいと言ってきましたということを何か誇らしげにおっしゃるというのは、ちょっと困ったことです。私も、十数年どころか二十数年、原爆被害者のための活動をやってきた者です。私は、心の底から核兵器をなくして原爆被害者を救済しなければならない、援護法がどれだけ必要かということを痛感してきた者です。それに対して、大臣がいつも同じような態度で物をおっしゃるということに対しては、私は遺憾の意を表明いたします。 「被爆者の高齢化に伴う現行施策の改善要求」。被爆者の方は八項目出しておられます。そのうちに、政府がその気になればすぐにできるものというものがございます。この改善できると思われる二、三についてお伺いをいたします。 その一つ、これは、「厚生大臣が「原爆症」と認定した被爆著が死亡した場合、その遺族に特別給付金を支給すること」。これは、「「原子爆弾による放射能や熱線等が原因となった病気やケガである」と、厚生大臣が認定した被爆者が死亡した場合に、遺族に特別給付金を支給することは、苦労をともにした遺族へのせめてものなぐさめとなるものです。」と、こういうふうに言っておられるわけです。私は検討していただきたい、こう思いますが、これはその気になれば直ちに改善できると思うんですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(大池眞澄君) お尋ねの件でございますが、被爆者の遺族の方に特別給付金を支給するということは、現行の葬祭料の仕組み、支給以外に新たな現金給付ということを意味するわけでございまして、被爆者相互間の均衡の問題もさることながら、一般戦災者との均衡という点から、国民一般の合意を得るのは難しい、したがってその実現は困難であると考えられます。
○安武洋子君 何も死没被爆者の遺族全員に特別給付金を支給せよと、こう言っているのではありませんですよ。これは認定被爆者全部でわずか三千七百人です。ですから認定被爆者で死没する人、こういうことになりますと、毎年毎年という数になりますと本当にごくわずかということになるわけなんです。ですから、私はもう金額的にも問題にならない、国民の合意も何もありませんし、ほかとの均衡とかそういう問題でもないというふうに思います。これ、再検討をぜひしていただきたいですが、いかがですか。
○政府委員(大池眞澄君) 現在の葬祭料の支給ということで今御指摘のようなことも包んでおるというふうに判断しておるわけでございまして、その中にさらに何種類かの異なった扱いというようなことは考えておりません。
○安武洋子君 私は、被爆者に対して思いやりがない、やる気がないということであろうと思います。 じゃ、「すべての手当の所得制限を撤廃すること」、こういう要求についてはどうお考えですか。
○政府委員(大池眞澄君) この制度におきまして一つの大切な考え方は、障害の実態に即した適切妥当な対策を重点的に実施するということでございます。そういう観点からいたしまして、各種手当に関します所得制限の扱いにつきましては、御承知のとおり、放射線障害の程度の大きい方については所得制限を設けていない。すなわち医療特別手当、小頭症手当がそれでございますけれども、障害の実態に即して所得制限を適用する。また、過大な制限にならないような配慮もしているというような制度の仕組みでございますので、御了解をお願いしたいと思います。
○安武洋子君 障害に適したとおっしゃいますけれども、単なる一般的なけがをしたとか障害になったとかいう問題でなくって、これは被爆という本当にこの地球上に初めてのこういう問題なんですよ。 私は、政府がこれまで表明してきた態度、今の御答弁、これも矛盾するんじゃなかろうかというふうに思います。というのは、最高裁は現行被爆者対策、これは広い意味での国家補償的性格もあるというふうに認定しているわけです。そういう立場にお立ちになるなら、今のような御答弁というのは出てこないんではなかろうか。政府も被爆者対策は特別の措置であると表明をされてこられております。とすると、所得制限、まして家族の所得まで対象とするというのはこれは大きな矛盾ではありませんか。私は、十分な検討をすべき、政府の立場を改めるべきだとこういうふうに思います。いかがですか。
○政府委員(大池眞澄君) 御指摘のとおり、この制度の基本の考え方には、広い意味におきますところの国家補償の見地という側面は重要な側面としてあるわけでございますけれども、所得制限の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、この制度の考え方の基本にございます原子爆弾の放射線障害という特別の犠牲に着目しての制度でございますので、その放射線障害の程度ないしは被爆との因果関係での結びつきの程度、そういったような観点から、医療特別手当につきましては所得制限を設けない、あるいは小頭症の患者の方については設けない。反面、放射能との関係が否定し切れないというような程度の健康管理面の問題につきましては所得制限を設けるというような制度の仕組みに考えておるわけでございます。 〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
○安武洋子君 今おっしゃったような立場から、私は核兵器による被爆者、こういうものを生んだ原因、ここに着目し、そしてその人たちがどんな状態に置かれているかということを考えるなら、私は今のような御答弁というのが出てくること自体がおかしいと思います。家族の所得まで対象にするというふうなことはまことに大きな矛盾ではありませんか。私は検討してほしいと思います。 そして三つ目です。「六十歳以上の健康管理手当は、「支給期間」を廃止し、終身支給すること。」という要求が出ております。これについてはいかがお考えでございますか。
○政府委員(大池眞澄君) 健康管理手当のことについての御質問かと存ずるわけでございますが、健康管理手当は、放射線との関連が否定し切れない疾病にかかっていることに着目して支給されているものでございます。そのようなことから、この病気にかかっている状態を定期的に確認すること自体を廃止するということはできないというふうに考えております。現に十一種類ほどの障害の範囲が定められておるわけでございますが、例えば造血機能障害におきます鉄欠乏性貧血とか、あるいは胃潰瘍のたぐい、こういったのは明らかに治療が功を奏して治るという場合もしばしば経験しているところでございます。 しかしながら、健康管理手当を受けておられる方々の実情もよく勘案しまして、手続上の負担軽減ができないかどうかというような検討は今後とも行ってまいりたいと考えております。
○安武洋子君 それはぜひ検討していただかなければならないと思いますよ。健康管理手当の対象疾病、これは成人病とか慢性的疾患です。ましてや六十歳以上と、こういう高齢になりますと、もうほとんどが残念ながら治癒が不可能になるというふうな方が多いわけなんです。六十歳以上に限ってという要望、これは私は本当に最低限の要望だ、もっともな要望だ、もっと真剣に検討をしていただきたいというふうに思います。 それから、原爆諸手当の改定、これは実質的に年金の特例スライド三・四%引き上げ、これに倣って改定する、こういうものですね。確認しておきます。
○政府委員(大池眞澄君) 御指摘のように、公的給付との均衡を考えて改善を図っておるところでございますが、六十年度の改定は平均三・四%というふうに承知しております。
○安武洋子君 ということになりますと、累積物価上昇率、この関連で見ますと、諸手当の実質価値、これは少し下がっている、こういうことになりますね。
○政府委員(大池眞澄君) 繰り返しの答弁になりますけれども、老齢福祉年金等公的給付との均衡を考えての引き上げ措置でございますので、諸物価との関係は御指摘のような関係もあり得ると思います。
○安武洋子君 累積物価上昇率との関連で見ますと、諸手当の実質価値は下がっている。ということになりますと、そういう関連で見ないとおっしゃいますけれども、中曽根内閣、これは福祉を真に必要とする人たちには十分配慮する、総理の答弁もこうなっているわけです。ということになりますと、被爆者とかそれから重度障害児とか高齢者、こういう人たちは、私は真に援護を必要とする人々だと、福祉を真に必要とする人々だと、こう思います。大臣はそうはお思いにならないんでしょうか。内閣の釈明とも完全に矛盾する、こういうことになりはいたしませんですか。
○国務大臣(増岡博之君) 私どもは、そういう観点から、できるだけのことはやったつもりでおります。
○安武洋子君 大臣の御答弁、そっけなさ過ぎて——じゃないんですよ。累積物価上昇率を見ますと、やっぱりこの諸手当の実質価値が下がっているよと、じゃ、福祉を本当に必要とする人たち、これに十分配慮したことにはなりませんよということを私は申し上げている。被爆者とか重度障害児とか高齢者、ここは本当に福祉を必要とする人たちではないでしょうか。そういう人たちにこういうやり方というのは、今までの内閣の釈明とも違うんじゃありませんでしょうかということで御見解を伺っております。もう一度御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(増岡博之君) そのような中曽根内閣の気持ちを体してやったつもりでおるわけでございます。
○安武洋子君 それにしてはむごい、むちゃくちゃなやり方だと思いますよ。 時間の関係で次に移ってまいりますけれども、国民年金法の改正の特例スライドに関してお伺いをいたします。 特例スライドをしなければならないというのは、五%条項のせいだと思うわけです。五%物価が変動いたしますと年金額を改定する現行制度、これがあるわけです。社会保険審議会厚生年金保険部会、この意見です。五十八年の七月と思いますけれども、これについてどう答申をいたしておりましょうか、その答申をお伺いいたします。
○政府委員(吉原健二君) 五十八年七月の社会保険審議会の厚生年金保険部会の答申でございますけれども、短い文章でございますのでそのまま読み上げますと、 現行のスライド制については、昭和四十八年度の改正において導入されて以来、経済変動に対応して年金の実質価値を維持するという重要な機能を果たし、年金制度に対する国民の信頼を高めながら、既に国民の間に定着しているが、スライドの実施時期については、当部会においてかねてから指摘しているように四月とするための工夫をすべきである。 また、スライドの基準(五%)についても、近年の物価動向等からみて引き下げる方向で見直す必要がある。 なお、スライドの指標について、賃金等物価以外の指標を検討すべきであるとの意見があった。 という意見をいただいております。
○安武洋子君 じゃ、この引き下げよという答申どおりなぜ引き下げないでいるんですか。やはり答申どおり五%条項を廃止して、そして物価がわずかでも変動すれば改定していくというふうにやるべきではないんですか。
○政府委員(吉原健二君) この物価スライドの基準となる消費者物価の上昇率をどうするか、さらにその以前の問題として、年金額の改定というものを物価を基準としてやるか、あるいは賃金を基準にしてやるか、いろんな考え方がございますし、先般の年金法の改正の際にもいろいろ検討したわけでございますけれども、当面、今後の経済動向あるいは人事院勧告制度のあり方、そういったものとの関連を見ながらさらに検討をしていこうということで、これまでどおり五%の消費者物価上昇率というものを基準にして年金額を改定をするという従来の措置をそのまま継続をすることにいたしたわけでございます。ただし、実施時期については、先ほど申し上げました意見の中にもございますように、四月から繰り上げて実施するということにしたわけでございます。
○安武洋子君 厚生省は、せんだって国民年金法の改正、私どもは改悪と思いますが、これがありましたけれども、その検討段階で三%スライド、これを検討していたんではないんですか。
○政府委員(吉原健二君) 先ほど申し上げました意見書を受けまして、賃金に対するスライドにするか、あるいは物価スライドをそのまま継続するか、あるいは物価スライドを継続する場合にその率をどうするか、内部でいろんな考え方を検討したことは事実でございますけれども、政府部内でいろいろ意見の調整をいたしました結果、従来どおり五%という物価スライドでいくことにしたわけでございます。
○安武洋子君 五%の物価スライドでやっていくという理由で、先ほどの御答弁の中で、人事院勧告並びというふうな趣旨の御答弁がありました。しかし、五%以上格差が生じた場合には人事院勧告では上げるということになっておりますけれども、人勧というのは、これは公務員給与改定に関する基準でございます。ですから、年金制度とは一体何の関係があるんでしょうか。
○政府委員(吉原健二君) 年金制度といいましても、厚生年金、国民年金のほかに共済とか恩給といったものも広い意味での年金制度でございますけれども、従来そういった共済年金等はむしろ公務員給与の改定に合わせて年金額の改定をしてきたわけでございまして、厚生年金、国民年金等の改定につきましても、そういったものの動向なり取り扱い、それとのバランスを考えながらやっていく、これは当然のことでございまして、私ども、賃金や公務員給与と年金額の改定、全く関係がないというふうには考えておりません。
○安武洋子君 いろんな動向を考える、それは結構ですけれども、しかし、何よりも物価、これが変動していけば物価にスライドしていくというのが年金を考える場合の基準でなければならない。人勧というのはこれは公務員給与改定に関するあくまでも基準なわけなんです。ですから、これは五%物価が変動すれば年金額を改定するという現行制度、だから物価が上がれば直ちに年金を変動させていく、物価に対して考えていくというのがこの考え方の基準じゃありませんですか。
○政府委員(吉原健二君) 私どもも、基本的には年々の年金額の改定は物価を基準にして考えていくというのを原則的といいますか、基本に考えるべきだという考え方は持っているわけでございます。そういったことから、いろいろ議論はございましたけれども、新しい年金制度におきましても、年々の年金額の改定は物価を基準にして行うことにしたわけでございます。
○安武洋子君 年々の上昇とおっしゃいますけれども、それは特例スライドを実施して、そして五十八年は二%、五十九年は三・四%、物価上昇分を値切っておりますね。 お伺いしますが、一体、先進諸外国、こういうふうな五%条項のようなスライド制をとっている国、これはあるんでしょうか。
○説明員(山口剛彦君) 諸外国の年金のスライド制でございますけれども、大きく分けて、賃金の上昇率でスライドをしている国と消費者物価の国がございます。西ドイツは賃金の上昇率で年金のスライドをしております。イギリス、アメリカ、スウェーデン等は物価の上昇率でやっておりますけれども、五%という基準を設けている国はございません。例えばアメリカにつきましては三%以上というようなことになっております。 ただし、近年の傾向を考えますと、いずれも、例えばイギリスにおきましても、消費者物価の変動に応じて改定をするという制度にはなっておりますけれども、財政状況等を勘案をいたしまして、特例的にいろんな対策を実際上は講じておるというのが実態でございます。
○安武洋子君 要するに、私が今五%条項のようなスライド制をとっている国はとお伺いしたわけです。アメリカが三%以上の場合ということで、そのほかのところはこういう条項というのはないわけなんです。 そこで、特例スライドで物価上昇分を値切る、その積み残しをしてきて、また物価上昇分に比べて、年金生活者というのは年金額が実質低く抑えられる、目減りをするということの繰り返しになっているわけですね。ですから、一年後に部分的に補てんされるというのが現状になってしまっているということで、五%条項をこれは撤廃すべきだ。賃金とか物価とか、国民生活向上の水準、これが反映するように、今賃金とかあるいは物価とかと諸外国のことをおっしゃいました。ですから、こういうものを勘案して、そして国民生活の向上していく水準というものが反映する、そういうスライド方式をとるべきではないか。五%条項を撤廃するそういう検討を始められるべきではないか。そのように思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(吉原健二君) 年金額の改定を、指標を何を基準にして行うか、これにつきましては今後とも私どもいろいろ検討をしていきたいというふうに思っておりますけれども、五%条項を単純に廃止するというような考え方は持っておりません。
○安武洋子君 答申でもこの五%条項を引き下げよと言っているわけでしょう。ですから私は、五%条項を単純に廃止する気はないということでなくって、私はやはり答申を、あなたたちはもう答申答申といろんなところで頑固に言われるわけ。ですからこういう点についても、五%ではいろいろと今現実に積み残し分が出てきたり、そして目減りしたということを申し上げたわけですから、そういう矛盾があるんですから、私はこれは検討するのが当たり前ではなかろうか、こういうふうに思うわけです。いかがですか。
○政府委員(吉原健二君) スライドのあり方につきましては、今後とも検討するという気持ちは持っております。
○安武洋子君 まあ何を基準にするか、そしてどういうスライドのさせ方をするかということで十分検討して、年金を主な生活の糧としている人たちに対して十分こたえてほしいということを申し添えまして、私はきょうの質問を終わります。
○下村泰君 賛成法案でございますので、そう大してお尋ねすることはないですけれども、二、三伺わせていただきます。もうほとんどの先生方がお尋ねになりましたので重複しないようにいきたいと思います。 まず最初に、原爆の方に関しましてお尋ねいたします。 被爆者に対していろいろな手当が出されておる、これは大変結構なことだと思います。そして今回も手当が引き上げられる、これも結構。ただ、三十七万人の被爆者が年々高齢化しつつあります。これは万やむを得ないことであります。そこで、これら被爆者のために支給期間の延長、あるいは健康管理手当の申請手続ですね、これを可能な限り簡便化したい。何かやっぱり役所というのは手続がややこしくて、私もよく申し上げますけれども、一つの例を挙げれば税の方でも税務署員がわからないような項目がたくさんあって、これ何とかなりませんかねって税務署員の方が私に相談する、そんなこともありました。非常に手続が難しい。そこで、手当の必要な人の負担を軽くするべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(増岡博之君) この点につきましては、私どももできるだけそういう御期待に沿いたい、今後の検討課題として考えてまいりたいと思います。
○下村泰君 次は、残留孤児の問題でちょっと伺います。 残留孤児の問題も、先ほど中野委員の方から御質問があったようでございますが、とにかく、所沢の定着センターでいろいろ教育を受けている実情は私も存じておりますけれども、さて、そこから巣立ちまして実社会に入った場合、どのような職業についているのか。もしおわかりでしたらひとつお話し願いたい。
○政府委員(入江慧君) 国交回復後昨年の三月までに帰りました百八十一世帯について実施した調査によりますと、職業は約半数の者がやはり工員ということで、工員とか清掃員という単純労働に従事している方が多うございますが、中には溶接工、左官、鍼灸師というように、中国での技術を生かして働いておられる方もおられます。
○下村泰君 問題は、そういう実社会に入っていった場合に、やっぱり言葉というものが障壁になっていましょうし、それから風俗、習慣も大分異っているでしょうし、そういう方たちが実社会に入っていって果たして今うまくいっているのかどうか。その方たちの満足度といいますか、そんなことまではおわかりになりますか。
○政府委員(入江慧君) うまくいっているかどうかという御質問に対して、直接のお答えになるかどうかわかりませんが、今最後におっしゃいました満足しているかどうかという点については、満足しているというのが二四%、まあまあ満足しているというのが四四%で、七割弱の方はまあまあということでございます。 今御指摘のありましたように、言語とか、あるいは価値観の違いというのは非常に障害になっておりまして、要するに、現在の日本の自由競争体制というものを理解してそれに積極的に対応できる方はどんどん伸びるけれども、そこをどうも理解し切れない方はなかなか適応が難しいというのが現状ではないかというふうに考えます。
○下村泰君 まあそれをどうするこうするということはちょっと厚生省の方じゃ手が届かないことだろうと思いますけれども、そういうことでいろいろ問題が起きたら、できるだけ手厚くひとついろいろ対処していただきたいと思います。 それから、孤児の帰国後残された養父母の問題、これも先ほども出ておりましたけれども、こういう方々の扶養の問題について、政府と民間が協力して孤児に援助することになっておりますけれども、私の所属しております春陽会、国友忠という人が中心になりまして、今までにも歌手の三波春夫であるとか、あるいは俳優の鶴田浩二であるとか、その他柳家小さんであるとかというような、演芸、それから歌、そういう社会の人たちが全部集まりまして春陽会という会をつくりまして、現在までもチャリティーショーを行ってまいりました。せんだっても厚生大臣、それから入江局長のところへ行っていろいろとお話しもしたんですけれども、今までに約千八百万円を財団法人中国残留孤児援護基金等に寄附してきたんですけれども、こういったことに関する基金ですね、この状況は今どうなっていますか。
○政府委員(入江慧君) 中国残留孤児援護基金の募金状況でございますが、ただいまお話しのありました春陽会からちょうだいしました二千万円を含めまして、五月二十五日現在で九億七千万円が集まっております。
○下村泰君 これの使い方は、先ほど局長がお答えになったんでしたか、額まではまだ決められないと。その扶養の方に充てることはもう今まではやってきたんですか、幾らかは。まだ全然ですか。
○政府委員(入江慧君) この基金の使い方でございますが、この基金の果実によりまして、今お話しの扶養費の支払いとか帰国孤児の子供さんたちの就学援助、そのようなものの事業に充てるということを予定しております。
○下村泰君 ありがとうございました。 それから、年金の方をちょっと伺いますけれども、いよいよ来年から障害基礎年金が支給されるわけなんですけれども、現在支給されている障害福祉年金、これと基礎年金まさかダブるわけじゃないと思いますけれども、これ、切りかえられるわけですか、障害福祉年金が基礎年金に。これ、どういうふうにすればいいんですか、受給者の方は。
○政府委員(長尾立子君) 現在、障害福祉年金を受けておられる方につきましては、六十一年の四月、この法律の施行以後障害基礎年金をお受けになるという形になるわけでございます。これによりまして従来の年金額が現在三万九千八百円、六十年度の価額で申し上げましてこれが六万二千五百円、二級の方の二万六千五百円か五万円という形に引き上がりますことと、お子様の数に応じました加算が行われるということになっております。 それで、これの手続でございますが、現在障害福祉年金を受けておられる方につきましては証書をお渡ししてありまして、これを毎年一回、所得制限の関係がございますので、書きかえをいたしております。その書きかえをいたしますときに、現在の年金証書をお預かりいたしますが、その際に、こういった趣旨の改定が行われるという旨のお知らせを御本人あていたしたいと思っております。 今申し上げましたように、お子様がある方につきましては加給が加わりますことと、それから今後基礎年金になりますと支払い方法が若干変更になりまして、現在は郵便局だけでお受け取りになっておりますけれども、御自分の指定されます金融機関に振り込むということができるようになりますものですから、そこについての御希望も届けをしていただきまして、私どもの方で改定の作業を進めまして、六十一年四月以後に御本人に新しい年金証書をお送りし、それからその御指定になりました金融機関に振り込みました場合の支払い通知書をお送りするということを考えております。
○下村泰君 ところで、今回の年金改革は全国民により支えられる基礎年金を導入するということが大きな目玉であり、その結果、障害福祉年金の大幅な改善が可能だと聞いております。ところが、一方で共済年金がございますけれども、この共済年金の改正はなかなかうまくいかないようで、成立するか成立しないかもわからないというふうに聞いておりますけれども、もし、共済年金も今度の国民年金も一つになってそれで全部が基礎年金の形になるとすれば、共済年金が成立しなかった場合、果たしてどういうふうになるんでしょうかね。国民年金と厚生年金だけでもってこういう方たちの面倒を見なきゃならないという結果になるわけですけれども、どういうふうになるんですか、これは。
○政府委員(吉原健二君) おっしゃるとおりのようなことになるわけでございまして、せんだって成立さしていただきました年金法の改正というのは、あくまでも共済法も改正をされまして同時に実施をされる、こういういわば前提でもってでき上がっておるわけでございまして、今御質問のございました障害基礎年金、特に二十歳未満で障害になった方に対する二十歳以後の障害年金の支給につきましても、これは国民年金、厚生年金の適用者のお子様だけじゃなしに公務員の方のお子様についてもそういった措置がとられることになっているわけでございます。その財源は、厚生年金の適用者、国民年金の適用者それから共済の適用者みんなが財源を持ち寄ってその費用負担をする、こういう仕組みになっておりますので、仮に共済制度の改正法が成立をいたしませんで国民年金、厚生年金だけが実施をされるということになりますと、その障害基礎年金の支給というものを、いわば国民年金及び厚生年金の適用者だけで公務員の分の障害基礎年金の費用も一部負担をする、こういう非常に不公平といいますか、おかしな結果になるわけでございます。 そういった意味におきまして、私どもとしては共済法の改正もぜひ同時実施できるようにお願いをいたしたい、こう思っているわけでございます。
○下村泰君 うっかりこういう質問をしますと、何か私も、共済年金を改正する方に賛成に回らなきゃならないような立場に追い込まれかねませんけれども……。 しかし、いずれにしても、不公平があってはいけないということは事実ですよね。しかも国民全部が、こういう言い方しちゃおかしいかもしれませんけれども、健常者で力のある者が力のない方々の面倒を見なきゃならない、こういうのは当たり前のことだとは思いますけれどもね。 そうしますと、もし共済年金の方が——もちろん今出されているんでしょうけれども、今国会で成立しない、臨時国会やってもだめだったとなりますと、来年の実施の時期になってもこれが成立しなかったということになると、どういうふうになるんですか。額が変えられるんですか。それとも変えないでそのままいって、共済年金の方が全部成立して一つになったときから改正された金額が支給されるのか。どういうふうになるんですか。
○政府委員(吉原健二君) 厚生年金、国民年金の法改正はもう成立さしていただいているわけでございますし、それが来年の四月から実施ということになるわけでございますので、金額の改定も当然来年四月から改定をされる、障害基礎年金が支給される、これはもう当然そういうことになるわけでございます。 ただし、その費用負担が、先ほど申し上げましたように、非常におかしな不公平な格好になるということでございます。
○下村泰君 もし、こういうことが国民全部に知れ渡ると、大変な、ブーブーいった声が出てくると思うんですよ。どうしましょうね、厚生大臣、これは。こういう不公平があってはいけないと思うんですけれどもね。公務員の皆さんも非常にお困りでしょう、きっと。自分たちで出していないものがいただけるなんていうのは、これは嫌な気持ちでしょうけれども、こういうことに関して厚生大臣はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(増岡博之君) 先生御指摘のように、また年金局長からお答え申し上げましたように、同時スタートという想定のもとに考えられておる制度でございますので、私どもといたしましては、ぜひ共済年金法案もぜひ早く御可決いただきたいという気持ちでございまして、私といたしましてもいろいろ関係方面の方々にはそういうふうな方向でお願いを申し上げておるところでございまして、今後も最大限の努力をしなければならないと思っております。
○下村泰君 終わります。
○委員長(遠藤政夫君) 以上をもちまして三案に対する質疑は終局いたしました。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、藤井恒男君及び村上正邦君が委員を辞任され、その補欠として小西博行君及び竹山裕君がそれぞれ選任されました。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 引き続き、三案に対し、佐々木君及び安武君から修正について発言を求められておりますので、順次これを許します。佐々木君。
○佐々木満君 私は、ただいま議題となっております国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党・自由国民会議を代表して、修正の動議を提出いたします。 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。 よろしくお願いします。
○委員長(遠藤政夫君) 次に安武君。
○安武洋子君 私は、ただいま議題となっております国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案並びに原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の三葉おのおのに対しまして、日本共産党を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。 その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。
○委員長(遠藤政夫君) それでは、佐々木君及び安武君提出の修正案を議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。佐々木君。
○佐々木満君 ただいま議題となりました国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党・自由国民会議を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 修正の要旨は、原案の施行期日について、「昭和六十年六月一日」となっておりますものを「公布の日」と改めるとともに、昭和六十年度における年金額の物価スライドの特例措置について、厚生年金保険及び船員保険については昭和六十年四月一日、拠出制国民年金については同年五月一日から適用すること、また、福祉年金、特別児童扶養手当及び福祉手当の額の引き上げについては、同年六月一日から適用することであります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(遠藤政夫君) 次に安武君。
○安武洋子君 ただいま議題となりました国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、日本共産党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 政府案は、物価スライドの率を三・四%といたしておりますが、積み残し分も含め、この間の物価上昇が四・八%であったことを考えますと、年金額は実質的な目減りを余儀なくされることとなります。年金に老後生活の大半を頼って暮らしている老齢世帯にとっては、年金水準の維持は最低限ぎりぎりの切実な要求であります。 本修正案の趣旨は、この要求にこたえ、年金額の実質水準を維持すべく物価の上昇率どおりの年金物価スライドを実現しようとするものであります。 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。 政府提案の年金額等の改定は、人事院勧告を値切って実施した公務員給与に連動させるという不当なもので、この法による障害年金や遺族年金等の受給者に対してまでも一方的犠牲を強いるものであります。よって、障害年金や遺族年金等についても人事院勧告を基礎に給付改善を行うべきであります。 次に、修正案の概要を御説明申し上げます。 第一は、障害年金及び遺族年金等の額を、八四年度人事院勧告による行政職俸給表(一)の改善傾向を基礎として六・七%引き上げることとします。 第二は、扶養加給額を八四年度人事院勧告による扶養手当額の例により引き上げることであります。 最後に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明いたします。 医療特別手当を初め原爆諸手当の額は、老齢福祉年金の額をその算出の根拠に置いております。 政府案は、老齢福祉年金の物価スライドの率を三・五%といたしておりますが、積み残し分を含めてこの間物価上昇が四・八%あったことを考えますと、原爆諸手当額は実質的に目減りを余儀なくされています。 原爆諸手当は、広い意味であれ、国家補償の性格を持つものでありますから、国の財政を理由にした実質的な手当額の引き下げは断じて認められません。 本修正案の趣旨は、原爆諸手当の実質水準を維持すべく、老齢福祉年金額を物価上昇率どおり引き上げた額を根拠として、原爆諸手当のスライドを実現しようとするものであります。 以上、三修正案について、何とぞ、委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
○委員長(遠藤政夫君) ただいまの安武君提出の三案に対する修正案はいずれも予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から修正案に対する意見を聴取いたします。増岡厚生大臣。
○国務大臣(増岡博之君) ただいまの日本共産党提出の三つの修正案については、いずれも政府としては反対でございます。
○委員長(遠藤政夫君) 別に御発言もないようですので、各修正案に対する質疑はないものと認めます。 それでは、これより三案並びに各修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部改正案及び原子爆弾被爆者に対する特別措置法の一部改正案に対し、反対の討論を行います。 私が両法案に反対するのは、以前の積み残し分も含めて、この間の物価上昇率は四・八%であったのに、拠出制年金のスライド率を三・四%と値切っているからであります。したがって、年金額等は実質的な目減りを余儀なくされており、年金に老後の生活の大半を頼っている老齢世帯等の生活水準の低下をもたらすもので許せません。 また、値切ったスライド率を根拠に改定した特別児童扶養手当も実質的には価値が下がっており、障害者家庭にまで労苦を強いるもので、反対であります。 また、原爆諸手当の値切りの措置も絶対に認めることはできません。 したがって我が党は、せめて物価上昇分程度の引き上げの修正案を提出したものであります。 被爆四十周年を迎え、被爆者が高齢化している今日、すべての被爆者の切実な願いである核廃絶、平和と国家補償の被爆者援護法の制定こそ政府の緊急にとるべき責務であることを申し添えて、私の反対討論を終わります。
○関口恵造君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案並びに原了爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、原案及び自由民主党・自由国民会議提出の修正案に賛成するとともに、日本共産党提出の修正案に反対の立場から討論を行うものであります。 まず、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。 今回の改正案は、昭和六十一年度からの年金制度の大改正を控え、昭和六十年度において現行制度のもとで年金、手当につき所要の給付改善を図ることを目的とするものであり、高齢者等の所得保障の確保という面からも十分評価できる内容であると考えます。 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案についてであります。 今回の改正案は、戦傷病者戦没者遺族等の置かれた状況にかんがみ、障害年金、遺族年金等の額を恩給法の改正に準じて引き上げるとともに、遺族に対して特別弔慰金を支給しようとするものであり、十分評価できる内容となっていると存じます。 次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。 今回の改正案は、原子爆弾の被爆者の福祉の向上を引き続き図っていくため、被爆者に対して支給される各種手当の額の引き上げを行うものであり、まことに妥当な措置であると考えます。 我が党といたしましては、今後とも被爆による放射線障害の実態に即応した適切妥当な対策が講じられることを切に希望することを申し添えます。 以上により、各原案及び自由民主党・自由国民会議提出の修正案に賛成であることを表明いたしまして、私の討論を終わります。
○委員長(遠藤政夫君) 以上で討論は終局いたしました。 これより国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、安武君提出の修正案を問題に供します。 本修正案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 少数と認めます。よって、安武君提出の修正案は否決されました。 次に、佐々木君提出の修正案を問題に供します。 本修正案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、佐々木君提出の修正案は多数をもって可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。 修正部分を除く原案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、修正部分を除く原案は可決されました。 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、安武君提出の修正案を問題に供します。 本修正案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 少数と認めます。よって、安武君提出の修正案は否決されました。 次に、原案全部を問題に供します。 本案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 全会一致と認めます。 以上の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、高杉君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
○高杉廸忠君 私は、ただいま可決されました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘、各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項につき、速やかに格段の努力を払うべきである。 一、戦没者遺族等の老齢化の現状及び生活の実態にかんがみ、国民の生活水準の向上等にみあって、今後とも援護の水準を引き上げ、公平な援護措置が行われるよう努めること。 二、戦没者遺族等の老齢化の現状にかんがみ、海外旧職域における遺骨収集、慰霊巡拝等について、更に積極的に推進すること。 三、生存未帰還者の調査については、引き続き関係方面との連絡を密にし、調査及び帰還の促進に万全を期すること。 四、中国残留日本人孤児の肉親調査を今後とも積極的に推進するとともに、帰国を希望する孤児の受入れについて、関係省庁及び地方自治体が一体となって必要な措置を講ずること。 また、中国からの引揚者が一日も早く日本社会に復帰できるよう、中国帰国孤児定着促進センターの運営の充実強化を図る等その対策に遺憾なきを期すること。 五、かつて日本国籍を有していた旧軍人軍属等に係る戦後処理のなお未解決な諸問題については、人道的な見地に立ち、早急に、関係省庁が一体となって必要な措置を講ずるよう検討すること。 六、ガス障害者に対する救済措置は、公平に行うとともにその改善に努めること。 七、法律の内容について必要な広報等に努める等更にその周知徹底を図るとともに、相談体制の強化、裁定等の事務の迅速化に更に努めること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(遠藤政夫君) ただいま高杉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 全会一致と認めます。よって、高杉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、増岡厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増岡厚生大臣。
○国務大臣(増岡博之君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
○委員長(遠藤政夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、安武君提出の修正案を問題に供します。 本修正案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 少数と認めます。よって、安武君提出の修正案は否決されました。 次に、原案全部を問題に供します。 本案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。 以上の結果、本案は原案どおり多数をもって可決すべきものと決定いたしました。 この際、中野君から発言を求められておりますので、これを許します。中野君。
○中野鉄造君 私は、ただいま可決されました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、その実現に努めるべきである。 一、原爆被爆者については、広い意味における国家補償の見地に立って、その対策が講じられるべきであるとの原爆被爆者対策基本問題懇談会の意見が出されていること等にかんがみ、被害の実態に即応した援護対策を一層拡充するよう努めること。 二、被爆者について、死没者の状況が十分把握されていないことにかんがみ、その調査を行うこと。 三、被爆者の障害の実態に即して所得制限を撤廃するとともに、医療特別手当等については、他制度との関連も考慮し、生活保護の収入認定からはずすことについて検討すること。 四、原爆症の認定については、被爆者の実情に即応するよう、制度と運営の改善を行うとともに、健康管理手当の認定についても、制度の趣旨が生かされるよう地方自治体を指導すること。 五、原爆病院の整備改善を行い、病院財政の助成に十分配慮し、その運営に当たっては、被爆者が必要とする医療を十分受けられるよう万全の措置を講ずるとともに、被爆者に対する家庭奉仕員制度の充実及び相談業務の強化を図ること。 六、被爆者とその子及び孫に対する放射能の影響についての調査、研究及びその対策について十分配慮するとともに、原爆医療調査機関の一元一体化について検討し、その促進を図ること。 七、放射線影響研究所の研究成果を、被爆者の健康管理と治療に、より役立てるため、運営の一層の改善、同研究所の移転、原爆病院との連携強化などにつき検討すること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(遠藤政夫君) ただいま中野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 全会一致と認めます。よって、中野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、増岡厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増岡厚生大臣。
○国務大臣(増岡博之君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
○委員長(遠藤政夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 次に、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。 この際、私から、各派の御賛成を得まして、恒久平和への決意及び被爆者対策充実に関する決裁案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 恒久平和への決意及び被爆者対策充実に関する決議(案) 本年は広島、長崎に原子爆弾が投下されて四十年を迎える。 これまで、昭和三十二年に原子爆弾被爆者の医療費に関する法律が、昭和四十三年に原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律がそれぞれ制定されて、これらを基軸に被爆者対策の充実が図られてきた。 この際、原子爆弾の投下がもたらした数多くの死没者やその遺族に深く思いを致し、弔意を込め平和への祈念を新たにしなければならない。 本委員会は、二度とあのような惨禍に見舞われることのないよう改めて恒久平和への決意を表明するとともに、政府は、死没者を含めた実態調査を行い、更に被爆者の被害の実態に即応した対策の充実に努めるべきである。 右決議する。 以上であります。 本決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 ただいまの決議に対し、増岡厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増岡厚生大臣。
○国務大臣(増岡博之君) ただいまの御決議につきましては、政府といたしましてもその御趣旨を十分理解し、原爆被爆者対策の充実に取り組んでまいる所存でございます。
○委員長(遠藤政夫君) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十六分散会