社会労働委員会 第21号
- 発言数
- 302 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/05/28
会議録
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、森下泰君が委員を辞任され、その補欠として柳川覺治君が選任されました。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 前回に引き続き、児童扶養手当法の一部を改正する法律案並びに社会保障制度等に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○浜本万三君 質問さしてもらいます。 本法律案は、母子家庭の児童の福祉を後退させるものとして国民の批判を強く受けていたところでございますが、先般、衆議院の審議におきまして、未婚の母に対する給付の打ち切りを中止するなど若干の改善を見るに至ったことは大変喜ばしいと思います。しかし、私どもといたしましては、それだけではまだ不十分でございますので、さらに質問を続けまして、当局の善処を要望いたしたいと思うわけでございます。 私が考えますのに、今回の改正案でさらに改善を要望いたしたい内容の一つに、七年有期制の導入でありますとか、あるいは父の所得制限の問題でありますとか、あるいは母子世帯の所得制限の強化でありますとか、あるいは二段階制の導入でありますとかというような、内容についてはさらに改善を求めなければならないと思います。また、父と子の世帯、いわゆる父子世帯の取り扱いにつきましても、将来さらに善処を要望しなければならないと思うわけでございます。私は、以上の内容につきまして以下質問をいたしたいと思いますので、当局の誠意のある御回答を要望するものであります。 まず第一は、七年の有期制の導入の問題でございますが、今回の改正案によりますと、十八歳未満の児童を対象に、原則として支給開始後七年で支給を打ち切ることになっておるわけでございます。これは非常に不合理だと思います。そこで、まず二、三の問題についてお尋ねをし、確かめておきたいと思います。 その一つは、内容を支給打ち切り時点から見たとき、義務教育である中学卒業と同時に支給が打ち切られるのは、児童が何歳から受給すればそうなるんでしょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 七年ということになりますので、八歳半ばまでに支給を開始された場合には、ちょうど中卒と同時に終わるという形になろうかと思います。
○浜本万三君 引き続いて、高校在学中に支給が打ち切られる結果となるのは、何歳から受給を開始すればそのようになるのでありましょうか。 また、今回の改正案が実施されるとして、受給母子世帯のどの程度の割合が義務教育終了時に支給を打ち切られることになるのでしょうか。 さらに、高校在学中に支給を打ち切られる者の割合はどの程度いるものと推定できましょうか。 これらの点につきまして御回答願いたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) 高校在学刊に支給が終わるのは、先ほど申しましたように中学卒と同時に終わるのが八歳半ばでございますので、そのまま引き続き高校に進学したといたしますと、八歳半ば以降に受給を開始した者がそういう状態になろうと思います。 それから、義務教育終了順に受給が終わる者、今までの実績で見てみますと八・八%程度になろうかと、こう思っております。 また、高校在学中に受給が終わる者は、今までの実績で見ますと二・五ないし六%程度だと、このように考えております。
○浜本万三君 そのように相当影響があることは明らかであろうと思います。 そういうふうに影響がある政府案を決定いたしました根拠は一体どこにあるんでございましょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 今回御提案申し上げました改正案は、従前の母子福祉年金の補完制度というものから改めまして、母子家庭の生活の安定、自立の促進を通じまして児童の健全育成を図っていこうということを考えておりますので、自立促進のための一つのつなぎの制度という性格がございます。 そういたしますと、母子家庭が自立に至るまでどの程度の期間が必要かということでいろいろ検討してみたわけでございますが、一つ目安となりますのは、生活保護を受給なさっている母子世帯の状況が大体七年間ぐらいの受給の後には九割以上の方が生活保護の支給を受けなくてもいいような状態になっていらっしゃるということを考えまして、一応七年というめどを立てました。この期間にさらに一層御努力を願いながら母子家庭の健全な自立を図っていただきたい、このように考えた次第でございます。
○浜本万三君 お話によると、七年という実績が判明しておるので、したがって七年にしたというお話がございましたが、そういう政府側の実態把握に対しまして、私が調査いたしました資料では多少違っておる資料が出ておるわけです。 先般、大阪府の母子福祉連合会が一万人を対象に調査した資料があるわけでございますが、それによりますと、義務教育終了と同時に打ち切られる者が五四・九%、それから高校在学中に支給を打ち切られると考えられる者が一三・八%、合わせまして約七〇%もの世帯が義務教育終了時あるいは高校在学中に支給が打ち切られるという資料を報告されておるわけでございます。 そこで、大臣に一つお尋ねするんですが、大臣は、こういう状況をどらんになりまして、弱者の福祉水準を切り下げることになるというふうに御判断できないでしょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 私どもといたしましては、先ほどから局長が御説明申し上げましたような、制度の切りかえということから七年間という有期という問題が生じたわけでございまして、そのこと自体は、離婚による母子家庭というそういう現象と従来からの主として死別の母子世帯に対する年金ということの区別に焦点を当てた結果そういうことになったわけでございますけれども、御指摘の点についてはいろいろ考えさせられる点が多うございますので、今後も十分御審議をいただきたいと思います。
○浜本万三君 そういう私が質問したような点が考えられるので、十分ひとつこれから審議をしてくれというようなお話なんですが、さらに念を押す意味でお尋ねをするわけなんですが、もしこの児童扶養手当を打ち切られる母子世帯があるといたしますと、その世帯は一体どうしたらよろしいんでしょうか。貸付制度ができるので借金をしてやりなさい、こういうふうにおっしゃるのか。その点、いかがですか。
○政府委員(小島弘仲君) とういう制度の変更に伴いまして、従前受けられていた方が受けられなくなる、あるいは打ち切られるというような状況を考えまして、御指摘にもございましたが、一応、児童扶養資金の貸付制度というものを母子福祉資金貸付制度の中に新たに起こしまして、無利子の貸し付けを考えております。打ち切られる手当相当額を、従前の修学資金の貸し付けなんかとあわせまして、それと両方御活用願えるような方法で考えております。
○浜本万三君 貸付金はやはり借金でございますから、手当とは性格がこれは全然違うんでございまして、これはまた大変問題があるというふうに思います。 そこで、角度を変えまして、現在の全国平均の高校進学率というものは一体どうなっておるんでしょうか。私どもといたしましては、せっかく十八歳までは手当を支給するという制度があったわけなんでございますから、この資料は一体どのようにおつかみになっていらっしゃいますか。
○政府委員(小島弘仲君) 五十九年三月で見まして、高校進学率全国平均で九三・九%、約九四%に達しておると思っております。
○浜本万三君 そういうふうに高校進学率が非常に高くなって、ある意味では高校進学は義務教育化しておるというふうに判断できると思います。 そこで、児童扶養手当の支給が打ち切られたら一体どうなるだろうかという点について、これまたさきに申し上げました連合会の調査にあるのを調べてみますと、次のような回答が非常に多いわけでございます。それは、子供に進学をあきらめさせるという回答がございます。それからもう一つは、子供にアルバイトをさせるという回答が来ておるわけでございます。つまり、先ほどの大阪の連合会の調査では、申し上げました内容の答えがそれぞれ二七・一%、それから後者の場合に四一・五%を占めておるというふうになっておるわけでございます。 ですから、先ほど申したように、高校が義務教育化の状態になっておる趨勢でございますので、打ち切りをするということは時代に逆行することになるのではないか、かように思います。また、母子世帯の児童に対して、殊さら高校進学、在学を阻む結果を招来するようなことにもなりかねない、かように思うわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のように、確かに児童扶養手当は給付金でございます。一方、それにかわる新しい制度と申しますか、児童扶養手当が受給できなくなった方々にということで考えております児童扶養資金というのは、これはあくまでも貸付制度でございますので、これは給付金とは違います。しかし無利子ということで、また、返済期間等についても無理のない返済期間を設定したい、こういうふうに考えておりますので、こういうこと御活用願いながら、おっしゃるようにほとんどの方が高校へ進学しておられるわけですので、将来の母子家庭全体の自立のためにも、やはりそういう進学ということが円滑にできるような方途を考えてまいりたい、こう考えております。
○浜本万三君 それでは今度は、現在高校三年生の児童を持つ母子世帯の平均受給年数はどの程度の年数となっておるんでしょうか。御存じであればお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) ちょっと逆の試算が、調査がございませんものですから、手持ちの資料がございません。
○浜本万三君 それでは、これまた私が伺いました大阪府の母子福祉連合会の調査の例を申し上げますと、八・八年となっているという報告がございます。つまりこれも七年以上ということですね。したがって、高校卒業前に支給を打ち切られてしまうことがこの資料では極めて明瞭になっておるわけではありませんか。そういう点、どうでしょうか。
○政府委員(小島弘仲君) まあ大阪の調査は、調査方法、それから全国調査でない点、いろんな全国平均値との乖離があろうかと思いますが、大阪の調査は、大阪地域に限っては御指摘のような問題は出てくるものと考えます。
○浜本万三君 私はやっぱり児童の福祉ということを考えますと、少しでも後退させる条件をつくるべきではない、そういう見解を持っておるわけでございます。要するに、今回の支給期間短縮に関する改正案は、せめて高校だけでも出したいという母子世帯の、あるいは児童の切実な願いを無視しておるものであると思います。したがいまして、私は母子世帯の生活の実態をよく見られて、母子世帯の児童の教育の機会を奪わないようにしなきゃならぬと思っております。憲法でも、児童が平等に教育を受ける権利の実現を阻害してはならないという趣旨のことが明記をされておるわけでございます。 先ほども申したように、衆議院でも既に教カ所の修正をなさいましたわけでございますから、参議院におきましても、この評判の悪い七年の有期制の導入につきまして再検討をしてもらいたい、かように思いますが、厚生大臣、ひとつ決意のほどを御表明いただきたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘の点は大変理解のできる問題でございますけれども、ただ、私どもは改正法案の御審議をお願いしておる立場でございますので、これから国会におかれましての御審議の結論は政府としては十分尊重してまいりたいというふうに申し上げます。
○浜本万三君 これは委員長にお願いしたいと思いますが、せっかくそういう厚生大臣の前向きの御答弁がございましたし、理事会でひとつ引き取っていただきまして御検討をいただき、いい結果が出るように御配慮をお願い申し上げたいと思います。 それから次に、父の所得による支給制限導入の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 離別した父の所得による児童扶養手当の支給制限でございますが、これも一応衆議院の方では若干の修正が行われておるようでございまして、私といたしましてもこれは歓迎をするところなんでございますが、この問題についてさらに質疑をいたしまして問題点を明らかにし、将来再検討をいただくようにお願いをする意味で質問をさしてもらいたいと思います。 まず、離別した父についても、民法上の扶養義務があることは私も十分承知をしておるわけでございますが、それならば、離別した父は現実にどの程度扶養義務を果たしておるのか、資料があればお示しをいただきたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) 五十八年に実施いたしました全国の母子世帯の実態調査で見ますと、別れた後、父から現に仕送りを受けているという世帯が約一割、過去に一回以上仕送りを受けたことがあるという世帯が一割強でございますか、合わせて二割強という数字になっております。
○浜本万三君 今お答えをいただきましたように、義務を果たしておる者は非常に少ない。八〇%は全く受けていないのが実情であるという状態でございます。 そういう状態でございますが、六百万円以上の所得を得ておる離婚した父は、義務を果たしておるわけでございましょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 所得階級別の履行状況という資料は残念ながら持ち合わしてございませんが、この六百万という数字は、父が一人で生活しておる場合の所得、扶養義務者がゼロの場合の所得でございます。そうすると、月収五十万ということでございますので、履行はしやすい条件にある。また、そのような父については、いろいろお手数をかける面もございますが、お子様なり、それにかわって別れた母親が、その父の履行義務を果たすような請求をお願いしたいという気持ちからこういうことを考えたわけでございます。
○浜本万三君 これは大臣に伺いますが、所得の多い人は扶養義務を果たしておるかということですね。所得が多ければ扶養義務は果たすということは必ずしも一概には言えないんじゃないでしょうか。その点どうですか。
○国務大臣(増岡博之君) 所得の多い人が扶養の義務を果たしやすい条件にあるということは言えると思うわけでありますけれども、それでは現実にそのとおり実行されておるかどうかということは、先生御指摘のような問題があろうかと思います。
○浜本万三君 大臣の御答弁でも、金があるからといって必ずしも義務を果たしていないということに今実際問題としてなっておるわけでございます。したがって、義務を果たすということと所得の額が多いとか少ないとかいうことは無関係なんじゃないですか。
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のように、正確な因果関係と申しますか、それを証明する資料はございません。ただ、客観的に、所得が多ければやはり履行しやすい条件は整っていると見るのも、これも誤りでなかろうと、こう考えておりますので、その条件が整っているところについてはぜひ民法上の義務の履行をお願いしたいということを考えているわけでございます。
○浜本万三君 だから、それは役所の方で期待をされておるだけでございまして、その期待が実際実行されてないわけでございます。ですから、母子世帯にとりましては、所得が高いとか低いとかいうことは全く無意味な状態であるということがここで言えるわけでございます。 そうなってまいりますと、支給を中止するという理由にはならないんじゃないんですか。どうですか、それは。
○政府委員(小島弘仲君) そこでございますが、この児童扶養手当制度というのは、これができたからといって民法上の扶養義務を否定するものではございませんし、こういうような福祉の措置ということを考えますれば、まず活用できるものは十分活用していただきたい。その一つが父の扶養義務でございます。父の子に対する扶養義務というのは、扶養義務の中でも一番重みのあるものでございますので、我が国におきましても、従来必ずしも十分ではございませんが、今後、まず子に対する父親としての責任をぜひ果たしていただきたいということからこういう制度を仕組んだわけでございます。 先生御指摘のように、そのままではなかなか実行が難しい面もございます。直接的には母親なりお子様の御努力に期待しなくちゃならぬ面があるわけでございますが、それを確実に担保できるような仕組みというものについても、社会保障制度審議会の御答申でも御指摘を受けておるところでございますので、現在検討中でございます。これらを踏まえまして、できるだけ早期にそういう方途を講じてまいりたいと考えております。
○浜本万三君 厚生省の調査によりましても、母子世帯の年収は平均二百万円、二百万円ということは一般世帯の平均四百四十四万円と比較してみますと約四五%ということになります。これを離別世帯に限定して調べてみますと平均は百七十七万円、約四〇%程度の収入ということになっておるわけです。だから非常に厳しい状態にあることが明らかであろうと思います。こういう世帯の者に対しまして仮に手当を削減するというようなことになりました場合には、児童の育成に与える影響は非常に大きいのではないかと考えられます。 養育費の支払いの状況、それから離別母子世帯の生活実態から判断をされまして、この規定はぜひひとつ削除していただけないかと思うのでございますが、大臣のひとつ英断のある答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) この問題も大変難しい問題だと思います。民法上父の扶養義務があることは明らかでありますし、私、大臣としてではなしに個人として考えましても、常識的には父親が相当な責任を持たなきゃならぬということが、いわばこの世の中の建前であり本音であると思うわけでありますけれども、しかし、それでは一体実際にそういうことが行われておるかということになりますと、先生の御指摘のような実態でございます。ただ、私どもといたしましては、やはり民法で父親の扶養義務ということを規定しております以上は、同じ政府の法律制度の中でそれを否定するような法案を御提案申し上げるわけにもいかないし、やはり法律制度の一貫性ということを考えなきゃならぬというふうにも思うわけでありますが、そこで、それじゃそのとおり実行できるような方策というものを将来において考えなきゃならぬということももちろんでありますし、これから努力をいたさなければならないわけでございます。 そういう意味合いからであろうと思いますけれども、御承知のように、衆議院の審議の段階におきまして、父親のその責任である扶養義務の履行状況等を勘案して、別途政令で定める日から施行することにしなさいという御趣旨をいただいたわけでございまして、私どももやはりそのような実態というものが伴った時期に、国会とも御相談申し上げましてそれから実施をするということにいたしたいというふうに思っておるわけでございますので、形の上では、この点につきましては残していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
○浜本万三君 六百万円問題は、政令で、国会の意思を聞きながらということでお考えになることははっきりしておるわけでございますが、それにいたしましても、この問題のポイントは、父の扶養義務の履行をいかに確保するかというところにあるんじゃないかと思います。この点、先ほどから局長も御答弁されておりますように、制度番の五十九年二月十七日の答申におきましても、民法上の扶養義務の手だてなしには児童の福祉が確保されないので、別に検討しろ、こういうふうに言われておるわけでございます。 したがって、大臣にもう一つお尋ねするわけですが、別れた父の扶養義務の履行について、有効な措置を早急に検討しなきゃならぬと思うんでありますが、どのように今検討されておりますか、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) お示しのような制度審議会の御答申をいただきましたので、早速厚生省内部に家庭裁判所の関係者、法務省の関係者、あるいは母子福祉、社会福祉関係の専門家、あるいは学者の方々にもお集まりいただきまして研究会を設けまして、現在諸外国の状況等を参考としながら検討を進めておるところでございます。
○浜本万三君 早急にひとつ検討していただきたいと思います。 法務省に二、三今の点でお尋ねをするわけなんですが、有子の離婚の場合、どの程度の養育費が支払われておるか、また、金額はどうなっておるか、もしあればお答えをいただきたい。なければ厚生省の方からお答えいただきたいと思います。
○説明員(永井紀昭君) 正確な数字は私ども把握しておりません。ただ、司法統計年報等によりますと、家庭裁判所を通した離婚の場合におきましては、平均しますと、一人につきまして約四万円弱ではないか、こういうふうに思っております。
○浜本万三君 それでは、離婚した父の養育費支払いを確保するための我が国の法制度はどうなっておるのでございましょうか。厚生省の改正案によりますと、一定の所得が父にあれば手当は打ち切られる方向で考えられておるわけでありますが、これで母子世帯に支障は起きないでしょうか。その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
○説明員(永井紀昭君) 養育料支払いの確保の手段といたしましては、公正証書とか、調停調書あるいは審決書き、判決などの債務名義があります場合は、二つ手段がございまして、一つは家庭裁判所へ履行勧告でありますとかあるいは履行命令を申し立てるという家事審判法に定められる手段をとることができるわけでございます。それから二つ目は、地方裁判所へ強制執行の申し立てをいたしまして、動産、不動産あるいは給料等の差し押さえをするという、大きく分けますと二つの手段があるわけでございます。それで、ただ口約束だけでこういったような債務名義がない場合であるとか、あるいは扶養料が定まっていない場合、あるいは増額をしたいというような場合には、必ず家庭裁判所へ申し立てて、いわば債務名義をつくってもらうという、そういう手続をとらなければならないわけでございます。 それで現実に、扶養料の支払いが十分でないという現実に対してどう対処するかという点でございますが、その原因が私どもも十分わかっているわけでございません。ただ、意外に、家庭裁判所へおっくうがって行っていただけないということを裁判所側ではよくおっしゃっているわけでございます。家庭裁判所をできるだけ御利用いただきたいと思うところでございます。
○浜本万三君 諸外国の制度はどうなっていましょうか。その点をお尋ねいたします。
○説明員(永井紀昭君) 諸外国でも、各国ともなかなか現実の扶養料支払いが十分でないというところで非常に苦心をしているというふうに伺っております。私どもも十分外国の状況を知っているわけじゃございませんが、学者の方々の調査なんかを参考に見ますと、例えばアメリカでもわずか二五%ぐらいしか受領していないというような、そういう実態があるようでございます。 それで、例えば外国の法制でいきますと、一つは給料からの天引きという制度を非常に活用している国がございます。これは、ソ連のように各人の収入が非常に確実に把握できる国というところでは、裁判所から執行命令書というものを得まして、それを例えば別れた夫の職場の管理部というところへ持っていきまして、管理部の方で、まあ日本で言えば経理部といいますか総務課というようなところだと思うわけですが、そこから奥さんの方へ天引きして渡すという手段をとっているようでございます。 それからイギリスでも、やはり賃金差し押さえ法というのがございまして、裁判所の命令を得まして賃金から一定額を天引きして、これは日本で言いますと国税の徴収官が取り立てるという形になっておりまして、それで徴収官からもとの奥さんの方へお渡しするという、こういう手続になっているらしゅうございます。ただ、イギリスでは、現実には職場を転々とされますとなかなか把握しにくいということで、やはりイギリスなんかでも非常に苦労しているようでございます。 それから、もう一つの大きな手段といいますか、これは手段といいますより威嚇をするというのがあるわけです。刑事罰による威嚇をしている国があるわけでございます。これはイギリスとかアメリカなんかでございまして、刑事的に家族遺棄法とかあるいは裁判所侮辱、そういう罪名で、扶養料を十分払っていない場合には処罰をするという、処罰といいますか、アメリカの場合ですと州によって違うようですが、三十日未満の拘留をするという、そういう手段があるようでございます。それからデンマークなんかでも、最長期間が一年間につき百二十日以内の範囲で身柄を拘束するという、こういう手段をとっているところもございます。ところが、実はこの手段が、別れた夫を身柄拘束いたしますと収入の道が閉ざされるわけでございまして、かえって威嚇的効果も余りなくなっているという、こういうような現状だと聞いております。 それから、長くなって恐縮でございますが、第三番目の方法としまして、イタリアとかスペインあるいはフランスなんかでもそうなんですが、すべて裁判所を通した離婚手続でございますので、裁判所でいろんな人的担保それから物的担保を付させるという、往々にそういう手段をとっているようでございます。 ただ我々も、外国の例を参考にしながらもう少し研究をしてみたいとは思っているわけでございます。
○浜本万三君 これは法務省にも要望しておきたいんですが、先ほどお答えをいただきましたように、外国にはいろんな制度があるらしいんでございますが、我が国の養育費の支払い制度につきましては、比較的実効性に乏しいように伺ったわけでございます。それでは母子世帯の生活の安定、子供の養育ということについて非常に大きな問題が出ると思いますので、ひとつかっちりと挟養義務を果たさすような、そういう制度の改正について、ひとつ早急に取り組んでいただくようにお願いを申し上げたいと思います。 それから、厚生大臣にお尋ねをいたしたいと思いますのですが、今法務省からお答えをいただきましたように、この制度の裏づけが非常に乏しいわけですね。そこで、例えば養育費の天引きでありますとか、あるいは国による立てかえ制度の検討などの余地が必要なんではないかということを考えるわけでありますが、この点についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 法務省からお話しもありましたように、なかなか難しい問題があります。特に我が国の場合は、裁判所を経由しない協議離婚が九割を占めているというような実態もありますので、なかなか直ちに天引きとか差し押さえという債務名義になじむような裁判所によりますそういう判決あるいは決定がございませんので、なかなか難しい問題があろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、現在研究会を設けて検討中でございますので、できるだけ円滑に実行できるような制度を確立してまいりたい、見つけ出してまいりたいと考えております。
○浜本万三君 じゃ、もう一回大臣にひとつお願いをしたいんですが、以上私が質問をいたしましてその過程で明らかになりましたように、離別した母子世帯の平均位収が百七十七方円程度であるということ、しかも現に養育費を受けていない世帯は八割もあるということが明らかになってまいりました。また、法制面におきましても、養育費の支払いについて実効性を担保することが非常に乏しいという制度の中身であるということもわかりました。そこで、再度この規定の撤回を求めたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(増岡博之君) 先ほど局長から御説明を申し上げましたように、今後できるだけ扶養の義務を履行していただくような制度を考えようといたしておるわけでございまして、また法務省からもお答えがありましたように、いろいろ御研究をいただいておるわけでございますので、私どもといたしましては、第一義的にはやはり扶養義務者である父親が養育料を支払うということが基本のように思うわけでございます。ところがそれが現実にはいまだ実行されていない。先生御指摘のように、実行されておる方が二割で八割はされていないということでございますので、私どもといたしましては、この制度の適用というものは十分時間を置いて、先ほど申し上げたようなシステムができますまで待とうという考え方でございますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
○浜本万三君 もう一つお尋ねをしたいと思いますが、政府の政令案で、六百万円については衆議院での修正の折衝中に七百五十万円に引き上げられるというような新聞報道があったのを私承知しておるわけでございますが、その点ちょっとよくわかりませんので、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) その六百万という考え方は、所得の十分位法で一番上位の一割のグループでございます。したがいまして、それを基準として考えるということでございますので、所得の状況等によってそれは変わってまいります。改正法御提案の時期は六百万ということでございましたが、現在に置きかえますと七百万を超える額になろうかと思いますので、これを実行してまいります場合もそういう考え方で、実態に即した額を定めてまいる所存でございます。
○浜本万三君 それはよくわかりました。ひとつさらに勉強のほどをお願いしたいと思います。 それから次は、別れた父の所得を問題にしております四条五項の規定のただし書きを見ますと、「扶養義務の履行を求めることが困難であると認められるときは、この限りでない。」と規定されておるわけであります。「父が日本国内に住所を有しないこと、父の所在が長期間明らかでないこと」を例示しておるようでございます。これ以外に、「その他の特別の事情により」履行を得ることが困難なケースとしては、何が考えられるわけでしょうか。具体的にお示しをいただきたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) 実際収入があってこういう義務が履行できるわけでございますので、その他の、法文に例示してある事項以外のものといたしましては、典型的なものは、倒産とか、失業とか、あるいは病気で就労できなくなったというような状況があろうかと思います。
○浜本万三君 それから、離婚した父の所得を問題とするのは、父の離婚日の前年の所得となっておるようでありますが、その後の所得の変動も、ここでいう「その他の特別の事情」に入ると考えてよろしいんでしょうか。そうだといたしますと、どのくらいの所得の減収があればこの規定に該当することとなるのでしょうか。また、その状態は一年限りでもよいのか。具体的な基準をもってひとつ御答弁をいただきたいと思います。 また、元来変動のある所得について、前年のそれのみを問題にするのは立法形式上ちょっと不合理ではないか、かように思いますが、その点いかがでしょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のように、本来、所得制限ということになりますと、毎年毎年変化する可能性があるわけですので、それを参考にして定めるのが本当は一番望ましい措置だと思います。ただ、そうなりますと、毎年毎年所得証明をお出し願わなくちゃならぬというような畑題もございますので、ある程度高額の所得があればそう変わるものではないという前提でもってこういう仕組みを考えさせていただきました。一つは、申請者のいろいろな御不満、御批判があるところでございますので、そういう事務の軽減というようなことを考えたわけでございますが、御指摘のように、本来は毎年の所得をもって考えるというのが一番望ましい措置だとは考えております。 ただ、今申し上げましたように、事務の円滑な運用というようなこと、あるいは過重な負担をおかけしないということで考えたわけでございますので、例えばちょっと割り込んだからもうやめるというわけにはなかなかまいりませんけれども、ある程度、例えば三分の一とか何かというふうな形に大きく落ち込むというような事態には、その実態に即して、運用の間違いのないように考えてまいりたいと思っております。
○浜本万三君 関連して伺うわけでございますが、この規定の施行期日は、衆議院修正により、離婚した当該父の児童に対する「扶養義務の履行状況、父の所得の把握方法等を勘架し、政令で定める日から施行する」というふうになっておりますが、どのような状態になれば実施されるのか、この際、重ねて伺っておきたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) こういう御修正をいただきまして、これから適用を考えてまいるわけでございますが、そのときの衆議院の御審議で大臣からも御答弁申し上げましたように、役所だけの独走をしないで、十分国会にも御相談を申し上げるという御答弁を申し上げております。 ただ、我々といたしましては、修正の御趣旨が御趣旨でございますので、大部分が履行を担保できるような手だてができたときに施行させていただきたい、こう考えておりますので、そのような父親の義務の履行を担保できるような制度の仕組み、事実上、法律上も含めまして、早急に検討を進めてまいりたいと考えております。
○浜本万三君 この問題につきましては、これも大分前向きの答弁をいただいておるわけでございますが、私といたしましては、先ほど質問の中で申し上げましたように、大変不合理だというように理解をいたしておりますので、なおひとつ施行の日までに十分検討いただきまして、善処の結果が出ますように御配慮をいただくようにお願いを出し上げておきたいと思います。 それからその次は、母子家庭の所得制限の強化の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 まず改正案は、受給資格者の前年の所得が政令で定める額以上であるときは、手当の全部または一部を支給しないものとすることといたしまして、所得に応じた二段階制を導入し、所得税が非課税となる年収百七十一万円未満は三万三千円の全額を支給し、それから百七十一万円以上三百万円未満の場合は一部停止により二万二千円が支給されることになっておるわけでございます。なぜ、このような所得制限の強化と一部停止を導入されたのか、見解を承りたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) この制度は、母子福祉年金の補完制度から福祉の措置ということに改めることで御提案申し上げているわけでございますが、そういたしますと、やはり支給額も生活の実態を勘案して定めるのが妥当ではなかろうかということでございます。 まず、所得税の非課税世帯というようなものにつきましては、多い方の手当額三万三千円を考えております。それから所得税の非課税限度額を超えまして収入が三百万というところまでについてはその手当額を三分の二程度に減額することで御提案を申し上げておるわけでございます。 この考え方は、三百万と申しますのは、これは二人家族で三百万という収入でございまして、生活状況が普通だという意識をなさっている階層でございます。したがいまして、生活状況が普通以上であるというお考えのところにはこの際手当の支給はしないということで妥当ではなかろうかと考えております。 また、なぜ二段階ということかと申しますと、一つは、今申し上げましたように、所得の状況に応じた手当額ということを考えるべきであるということと、第二といたしましては、父子家庭や一般家庭は非常に収入が少なくても、三百万円以下でございましても税金を納めている。その反面、母子家庭は税金を納めながらもこれをもらえるということになりますと、納税者との均衡等も考えれば、やはり所得税非課税世帯よりは減額した手当額というのが妥当だという判断をしたわけでございます。
○浜本万三君 どうも何か無理やりに理屈をつけたような印象を私も受けるわけですね。特に私もおかしいと思いますのは、母子世帯に対する年金制度の補完制度であれば所得制限は三百六十一万円以上であるが、今度は純粋の福祉制度に改めた途端に三百万円というのでは、これは理解ができないわけなんですよ。名前が変わった、制度が変わったから三百六十一万円が三百万円になるという、どうしてもそこが合点がいかないわけですが、それはどうでしうょか。 また、提案理由で述べておるように、「行政改革の一環として」福祉切り捨て政策をここでも導入されておるんではないかという、そういう印象がしてならないわけでございます。だからこれは結局政府の財政対策以外の何物でもないのではないかという気がしてなりません。もう少し引き下げの合理的な説明を願いたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) 先生御承知のとおり、これは昭和三十四年に国民年金法ができまして、母子福祉年金という経過的な年金制度ができました。この年金の対象となりますのは、死別の母子世帯だけでございます。当時いろいろ御議論がありまして、母子世帯ということになれば生別も死別も母子世帯という状況は同じではなかろうかというようなことから、この母子福祉年金の対象にならない母子世帯を広く拾いまして、児童扶養手当制度というものができたわけでございます。いわば母子福祉年金制度を補完するような形で、保険事故になじまないとして救済されない母子世帯を対象としたということでございますので、所得制限等も母子福祉年金の所得制限に合わせるような格好での適用がなされてまいりました。 先生御承知のとおり、母子福祉年金については支給率維持というような考え方で、非常に、九割以上の方が支給を受けられるというような格好で運用されてきております。これは年金制度としての一つの姿だと思いますが、今回、母子福祉年金の受給者はほとんどなくなった。また、六十一年度からはこれは基礎年金の方に吸収されて母子福祉年金という制度はなくなります。こういう状態でございますので、そういう際に、改めてこの制度の今後のあり方を見直した結果、年金と切り離した純粋なる母子家庭に対する福祉措置として中身をどうあるべきかを検討した結果の御提案の内容となっているわけでございまして、やはり福祉の措置ということになりますれば、父子家庭、一般家庭への対応を考えましても、普通程度という生活状態ならもうそこは支給対象にしなくてもいいんでないかというのがやはり福祉のあり方としては合理的な一つの考え方であろうと考えております。
○浜本万三君 いずれにしましても、三百六十一万円を三百万円にするというのは余りひどいので、この点、激変緩和の意味でもう少し検討する余地はないか。ぜひ検討をしてもらいたいと、かように思います。 それからもう一つは、母子世帯の生活状況を見ておりますと、先ほどお話しがございましたように、九〇%の世帯は非課税世帯であるというわけなんですね。残りの大部分は百七十一万円から大体三百万円以下の世帯であろうというふうに思います。この程度の世帯に対して、所得が超えておるというので月に一万一千円、年間にいたしまして十三万二千円の手当が削減されるということは、これは母子世帯の生活に大きな影響があるんではないかというふうに思います。それから、あらゆる母子世帯の平均生活費というのが報告をされておりますのを調べてみますと、大体一カ月十四万円必要であるというふうに言われているわけですね。その十四万円のうち十一万円程度は大体母親が稼がれる。残りはこの手当によって補っておるという資料が非常にたくさん出ておるわけでございます。したがいまして、一万一千円も削減するということについては大変大きな問題があるのではないか、かように思います。 そういう点についての御検討もされまして、ひとつ誠意のある回答をしてもらいたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) 確かに一般世帯と比べまして母子世帯は、実態調査をいたしましても、やっぱり経済的な悩みをお持ちのところが多うございます。手当額を減額するというのは非常に酷ではないかという御指摘、従来もらっておられた額を減額するわけでございますので、その点、我々としても大変心苦しい面があります。お気の毒だという気がないわけではございません。しかし、やっぱり今後の社会保障制度全体の中でのバランスということを考えてみた場合には、御提案したような形が一応合理的ではなかろうかと考えております。 例えば、先生御指摘のような月に十四万円ということで年間で考えますと百六十八万円程度になろうと思います。減額されるクラスは、これを上回りまして年収が百七十一万円のクラスでございますので、そういうところも考えまして御理解願えればと考えております。
○浜本万三君 最後に大臣に。 先ほどの、三百六十一万円を三百万円に削減するとか、それから二段階制にして一定の所得の額を超えると一万一千円も削減するとかいうことはちょっとひどいんじゃないかと思うんですね。それについて大臣の誠意ある回答を求めたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘の問題につきましては、私どもの考え方は先ほど局長から御説明申し上げましたように、年金制度を補完するものから純粋な福祉政策に切りかえる。それは死別母子世帯が減り、ほとんどが離別の母子世帯になったという、対象のグループが大きく変化をしておるということから起因するわけでございます。したがって、そういう制度からまいりますと、今御提案申し上げておりますような所得制限でありますとか給付金額の限定される問題が出てくるわけでございます。 しかし、これはいずれも、今日の状態でこういう数字でございますけれども、全国平均の、社会情勢の変化によりまして所得の増額あるいは給付水準といいますか、そういうものの見直しが将来は必要になろうかと思いますけれども、現在考えております数字はやはりこの程度のものかなという印象を持っておるわけでございますので、どうか御理解をいただきたいというふうにお願いを申し上げます。
○浜本万三君 もう一つ父子家庭の問題の質問が残っておるんですが、時間が参りましたので、これで私の質問を終わらしてもらいたいと思います。
○和田静夫君 まず、最近話題になっています京セラの問題で、冒頭にちょっと質問いたします。 京セラのセラミックス製人工関節無許可販売、薬務、保険、国立病院、それぞれについて厚生省の対処方針を承りたい。五月二十四日に改めて京セラに対して三局長から指示が出されたと聞いておりますが、その内容はどんなものですか。
○政府委員(小林功典君) ただいまお話しがございました京セラの薬事法違反事件でございますが、事件発覚後に直ちに本件に係る製品の製造販売中止と回収を命じました。販売先、医療機関名、販売数量、販売額等について、早急に関係資料を提出するように指示をしたところでございます。 また、今お話しがございましたように、去る五月二十四日に、本件の社会的影響の重大性にかんがみまして、京セラの販売姿勢、販売体制の改善、それから違反品の回収等の徹底、国民の医療機関に対する信頼回復のための措置、さらに不正請求として返還を求められた医療機関に対する誠意ある適切な措置を文書をもって指示したところでございます。 あと、かなりの数量に上りますために、現在調査にちょっと時間がかかっておりますけれども、いずれ近いうちに報告が参りますので、その報告の結果を待ちまして薬事法上の行政処分を行う予定にしております。
○和田静夫君 保健医療局、病院関係者への処分というのはどういうふうになるんですかね。
○政府委員(大池眞澄君) 多数の国立病院、療養所におけまして、薬事法上未承認の人工関節、人工骨等につきまして、使用し、保険請求したことは、それぞれの施設が、未承認であったことを知らなかったとはいえ、まことに遺憾なことと心得ておりまして、二度とこのような事態の起こらないよう、現在強く指導を行っているところでございます。 処分の問題につきましては、現在各種の調査を実施している段階でございますが、個々の関与の度合い等をよく調べました上で検討いたしたいと思っております。
○和田静夫君 保険局長、患者一人一人の自己負担分についてはどういうことになりましょうね。
○政府委員(幸田正孝君) 健康保険の患者が支払いました一部負担金につきましては、この事件が薬事法上認められていないものを使用したことによる事件でございますので、私ども基本的には医療機関から患者に返還をすべきものと考えております。 ただ、この事件の場合には、かなり多額の治療費でございますので、高額療養費制度からいたしまして、患者の負担は五万一千円にとどまっているケースがかなりあるのではないかと思っております。その辺はもう少し実情を把握をいたしまして調整をいたしたいと思いますが、考え方といたしましては当然所要のものは患者に還付をすべきものだと考えているわけでございます。
○和田静夫君 薬路周、京セラへの処分ですが、どういうスケジュールで、いつごろ決定されるということになりますか。
○政府委員(小林功典君) 先ほどもお答え申し上げましたように、現在調査がまだ続行中でございます。販売量、金額ともかなりの数量、額に上ると思われますのでちょっと時間がかかっておりますけれども、近いうちに正式の調査報告書が出てまいります。それを検討いたしまして薬事法上の行政処分をしたい、こういうことでございます。したがって、今の時点でいつというふうに具体的に申し上げるのはまだちょっと無理かと思いますが、それほど遠くない時期に行政処分をしたいと思っております。
○和田静夫君 国立大阪南病院では、整形外科の医長さんが二百数十万円以上の研究費をもらって試験使用をした、それをしながら、一方では承認済みとして治療に用いていたことが明らかになっていますが、この研究費は病院関係を通して支払われていたのですか。それともダイレクトに医長に支払われていたんでしょうか。
○政府委員(大池眞澄君) 本件の受託研究につきましては、他の一般の受託研究と同様に国の予算に計上した上で執行しているものでございまして、直接会社から医師個人が受け取ったということではございません。
○和田静夫君 国立病院、国立療養所について厚生省の確認では、今六十一施設で一千六十三個、三億六千十五万円ということですが、私はずっとこれ調査をしてまいりまして、大阪南が二億二千五百万円、名古屋が二千二百六十四万円、鳴子が千二百六十四万円、東京第二が千二百十四万円、白浜温泉が八百二十三万円、がんセンターでも約四百万円ほどある。 厚生省、この数字というのは箇所を含んでなおふえていく可能性がありますね。
○政府委員(大池眞澄君) 国立病院、療養所につきましては、先般問題提起を受けまして全施設について調査を行ったものでございまして、ただいま幾つかの例を先生がおっしゃいましたそれが現在掌握しているすべてでございます。
○和田静夫君 私は、この三億六千万円ではとどまらないのではないだろうかということを、今私の調査に基づいて一つ一つ挙げていったわけです。そうするとこれを上回るだろう、そういうふうに考えられますが、そこのところはそう理解しておいてよろしいですか。
○政府委員(大池眞澄君) 国立病院、療養所の調査につきましては、使用いたしました個数はそれぞれの施設から聞いておりますし、材料費はただいま先生の御指摘のあったような金額であったかと思います。
○和田静夫君 それから自治体病院関係、公・市立病院ですね。例えば大阪府立身体障害者福祉センター病院、市立池田病院、市立堺病院、市立豊中病院、済生会野江病院、それから阪大もあるでしょう。東京でいえば、都立大久保病院、日野市立総合病院、武蔵野赤十字病院。岩手中央、新潟瀬波などというようなことに私の調査結果はなってきているんですが、これは確認できましょうか。
○説明員(石田淳君) お答えします。 自治体病院に関する件につきましては、実は私の方は調査しておりませんので、先ほど厚生省で申されたように、今後実態調査をするということでございますので、その時点でいろいろ検討させていただきたい、かように思っております。
○和田静夫君 私は、病院側が実は被害者だと考えていますが、問題はどれだけの規模かということが問題なわけですね。それで、五百病院、十億円以上という報道もけさあるようでありますが、公的、私的、自治体を加えますと、この程度でおさまらない。私の調査結果に基づけば、病院数で八百程度、金額にして二十億円近い水準、そういうふうになるのでありますが、厚生省は、既に京セラから中間報告等が入っていると思われますから、先ほど自治体病院中心に幾つかの名前を挙げたことを含んで、ちょっと少し権威のある確認の答弁を願いたいと思います。
○政府委員(幸田正孝君) 京セラからは今月中に資料を提出をいたしたい、具体的な病院名あるいは何年何月にその病院が購入をして、その個数がどのくらいだ、こういうような資料を現在提示を求めておりまして、今月中に提出をしたい、こういうことでございまして、詳細は、私どもそれを見ました上で判断をしなければならないと思いますが、例えばただいま先生のお話しのございました病院の数でございますけれども、国立病院、療養所で先ほど御指摘のありました六十一病院というようなこと、あるいは金額が三億六千万というようなことから考えまして、ただいま御指摘の数字、詳細はなお資料の提示を求めなければならないと思いますが、そう大きな狂いはないのではないかと、私ども一応推計はいたしておりますが、具体的な内容につきましてはその提示を待って確定をしていきたい、こう考えているところでございます。
○和田静夫君 その点、今認められましたように大体八百、私は一千ぐらいになるんだろうと思うんですけれども、とにかく八百程度、金額にしては二十億近い、そういう状態だろうと思うんです。 そこで厚生省、阪大附属病院に入っている数字というのは、これは確認できますか。
○政府委員(幸田正孝君) 残念ながら、現在まだその資料が提出をされておりませんので、把握をいたしておりません。
○和田静夫君 文部省、大学病院の関係というのは既に調査されましたかね。同施設ですか。何枚といいますか、何施設くらいですか。
○政府委員(宮地貫一君) 国立大学の附属病院の関係でございますけれども、私ども現在把握しているところは四十大学でございまして、未承認及び承認以前に購入しましたものとしては、契約件数で約千七百件、金額で約三億円というぐあいに把握をしております。これは五十五年四月から六十年三月まででございます。 なお詳細については、私どももとしても各大学等にさらに確認の調査等を取り進めているところでございまして、現時点で把握しております数字は以上のとおりでございます。
○和田静夫君 自治省は、自治体病院関係というのはまだ全然、先ほど私が述べた程度のものしかわかっていないわけですか。
○説明員(石田淳君) 自治体病院関係につきましては、まだ把握をしておりません。
○和田静夫君 厚生省、私は全病院について、京セラの報告を待つのではなくて独自に裏づけ調査を行うべきだろうと考えます。京セラの報告だけを待つというのは、これは行政の怠慢だと言われてもやむを得ないのではなかろうか。薬事法の違反がはっきりしており不正請求になるわけでありますから、これは急いで病院サイドからも調査されるべきだと素人目には考えられるんですが、いかがでしょう。
○政府委員(幸田正孝君) 全国で八千三百余の病院がございますが、その中で整形外科を標横しておりますのが四千三百程度でございます。ただ、今問題になっておりますこの種の人工関節の形成術ができる病院は恐らく千二、三百ではないかと、こういう専門家の話でございますから、御指摘のように、私ども京セラの資料を今月中、今週中に提出をされるということでございますので、それを参考資料にしながら、この手術の行われることの可能性のある病院につきましては調査をするように、早急に都道府県に指示をいたしたいと考えております。
○和田静夫君 最後ですが、大臣、こういう京セラのような件というのは、製薬やら医療器具に従来の企業以外が新規参入する際、今後もあり得る性格のものだと思うんです。そういう点も含めて、これは大臣の見解をまず承っておきたいんですがね。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、今後もあり得るという状況は考えられますけれども、しかし、何にしましても、医薬品や医療機器につきましては、人命、健康に直接影響を及ぼすものでございますので、これらを扱う者は一般企業よりもより問い倫理感というものが要求されるものと思います。薬事法につきましてもそういう制度を熟知して守ってもらわなければならぬというのが当然のことでございますので、厚生省としましても、新規の許可を取得する業者に対する指導の充実、監視の強化ということを考えなければなりませんし、また一面、医療機関におきましても、治療材料の購入、管理等の適正化ということが今後は必要であろうかと思います。 常識的にいって京セラの分だから大丈夫だろうということが言えるかもしれませんけれども、やはり医療機関の方も、それだけの知識と責任を持った態度で臨んでいただかなければならないという意味で、購入、管理の適正化、保険診療についての周知徹底と両面、新規参入の方の薬事法の問題と医療機関に対する問題と、両面の立場から、今後、このような事態が再発いたさないように、十分な防止対策の努力をしてまいらなければならないと思います。
○和田静夫君 本論に入りますが、既に各委員が疑問を呈してきたところですけれども、私は、今回の法律改定の根本のところで政府側の説明にどうも納得がいかない。 まず、手当の支給要件に父の所得が加えられた。これは納得できない。実は、制度論からいっても実態論からいっても納得できないのであります。厚生省の全国母子世帯調査では、養育料を受けたことがない者が七八・六%、こう出ていますね。過去に受けたことのある者が一〇・一%、現在も受けている者はわずかに一一・三%にすぎない。約八割は父の所得がどうであろうが関係がないわけですね。父の所得によって支給制限を設けるということは、父が養育料を払っていることを前提にしている、こういうことになりますが、そういうことですか。
○政府委員(小島弘仲君) 父の扶養義務の履行を前提とするという考え方でございます。
○和田静夫君 民法上の養育義務があっても、実態は今申し上げたとおりだと私は思っているんです。 〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕 厚生省、順序が逆なんじゃないか。養育費の支払い確保制度をきちんと確保することなく、扶養手当だけをカットするというのは、これ本末転倒でしょう。
○政府委員(小島弘仲君) 確かに御指摘のような問題はございます。しかし、民法上父の扶養義務は、別れたからといって一向変わるものでもございませんので、まず福祉の制度としては、そういう民法上の活用できる養育費の確保というようなことに、当然その受給対象者の方も御努力願いたい。したがいまして、まず別れた母親ないしはそのお子様の父に対する扶養義務の要請というものに期待する仕組みとして考えさせていただいたということであります。
○和田静夫君 約八割がこの養育料を受け取っていないわけですね。しかも、受け取っている者の多くが四万円以下という低水準でしょう。この事実は認められますか。
○政府委員(小島弘仲君) 残念ながら、我々の全国母子世帯の実態調査によりましても、履行をしている、過去に履行したことがある者を含めて、先生御指摘のように二割強でございます。八割近い方がそういう義務の履行を怠っているという事実、また、全国的な養育費の正確な調査はございませんが、一部の調査等によりますと、先生御指摘のような四万円程度ということのあるのも事実でございます。
○和田静夫君 母子世帯調査では、養育料の調査としては私が先ほど挙げた履行状況の数字しかない。養育料が幾ら支払われているかということは厚生省調査では出てこないわけですね、今も言われましたように。 〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕 これを母子世帯調査から落としたというのは一体どういうわけなんですか。何か行政が非常に怠慢だなという感じがいたしますがね。それとも、履行状況が一割程度だから、もうやっても仕方がないというふうに思っていらっしゃったわけですかね。
○政府委員(小島弘仲君) 調査のクロスの状況とか何かいろいろ考えまして、従前の調査については、養育費の有無、扶養義務履行の状況だけでございまして、その中身までの調査は行っていなかったわけでございます。衆議院修正段階でのいろんな御議論もございましたので、今後はこういう行政指導につきましては、そういうところにも活用できるような仕組みのものとして構成を考えてみたいと考えております。
○和田静夫君 養育料はほとんど支払われておらなくて、支払われていてもその額はわずかだ。これは指摘をしたとおり。しかも、その上に、母子世帯の所得水準は父子世帯に比べて格段に低いわけですね。この格段に低いという点は認められるわけでしょうね。
○政府委員(小島弘仲君) 五十八年調査に初めて母子世帯調査とあわせまして父子世帯の調査を行ったわけでございます。御指摘のように、父子世帯は、一般世帯より低うございますけれども母子世帯と比べますとまだ高水準だという事実は、御指摘のとおりでございます。
○和田静夫君 そうなってきますと、養育料は一割しか支払われていない。しかもその額は子供の健全な成長を促進するという点からすれば全く不十分である。そして母子世帯の所得は低い。ということは、父の所得によって支給を制限する理由は実態からして全くないということだろうと思うんです。 大体この政府案の第二条の第二項というのは一体何だろうか。私はこの条文は、予断と偏見に満ちた条文と言うほかないと思う。児童扶養手当を受給しているから別れた父親が養育料を支払わなかったり減額しているというのであれば、その実例を厚生省は示すべきであります。 五十六、五十七、五十八年度、それぞれ何件あったのか、示してください。
○政府委員(小島弘仲君) その実態の調査は持ち合わしておりません。
○和田静夫君 そういう程度でよく法律案をお出しになったなという感じでありますがね。 第四条第五項を私は削除すべきである。別れた父親を調査対象とする第二十九条、三十条も削除すべきである。あなた方は、法律にないにもかかわらず既に父親に事情聴取を行っている。そして、その証言をうのみにして支給を打ち切った例を私は知っている。現行法で父への調査をやっているということは、行政権限にないことをやっているということでしょう。
○政府委員(小島弘仲君) 調査対象が法定されておるのは御指摘のとおりでございます。 調査のやり方といたしましては十分配意しているところでございますが、父親に対する調査権、今までの規定には必ずしも十分では、御指摘のような欠けている問題がございました。ただ、母の事実婚も含めまして配偶者という形での調査対象は、従前から含まれていたところでございます。
○和田静夫君 私は、ちょっと高杉理事、提案しますが、この新法二条二項は削るべきである。それから四条第五項も削除すべきである。ここのところはもうはっきり理事会でやってください。それから二十九条、三十条も削除すべきである。こういう法律はありませんよ、実効のないものを――局長の答弁ではありますが、改定案で父親の調査を行って父親から資料を提供させることを明定しているということは、現行法にはそういうような行政権限を持たしていないということを意味しているんでしょう。現行法にはそういうような権限を持たしていないということを意味しているにもかかわらずあなた方はそれを一片の通達でやってきたんですよね。私は、これは許せませんよ。
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のように、子供の父親という観点からの規定はございませんでしたが、母の配偶者、事実婚も含めて配偶者という観点からの規定がございましたので、そういう関係で、事実上父親というものも含まれるケースはあり得たものと考えております。
○和田静夫君 とにかく頭脳明明晰局長の答弁らしくないんですが、「未婚の母子の調書」、「事実婚の解消に関する調書」では、「子の父の状況」として氏名、住所、電話番号を書かせ、仕送りの有無、連絡の有無を書かせる。そして父親側から裏をとるわけでしょう。父親の証言をうのみにして支給をしないとか支給を打ち切るとか、そういうケースがいっぱいあるわけでしょう。離婚をするとか未婚の母になるとか同棲を解消するとかという状態のときに、別れた男性の証言が本当に信用できるかは疑問でしょう。 一例を挙げましょう。東京都日野市に在住の五十三歳の女性のケースでありますが、夫は昭和五十七年に他の女性と同棲をして住民票を移しました。当時、中三になる男の子と中二になる女の子を残してこの母子は遺棄された。家裁に扶養の調停を申し立てて、月五万円の養育費で調停。ところが、一年もたたないうちに仕送りは滞りました。厚生大臣、こういうようなケースは決して特殊な例ではありません。養育費を受け取っている世帯はあなた方の調査によっても一割にすぎないのであります。 そこで、五十九年九月に扶養手当の申請を願い出た。東京都は、まず夫の住所がわかっているので遺棄ではないと、申請を受け付けようとしない。市側が都に対して現実に養育費を払っていないのだからとかけ合う。都はようやく受理した。ところが、都は夫に調査を行って、夫から、月に一度子供に会う、時々小遣いを渡すとの証言を得て、それで結局却下したんです。この却下の理由は夫の証言ですよ。ところが、妻側の証言は違うんです。夫の証言の時々小遣いを渡すというのは、妻によれば高校入学時に一度だけ入学祝いを渡しただけだというのです。これは明らかに行政手続に瑕疵があると言うほかはありません。 大臣、こういうことに対する所見を私は承りたいんです。念のために申し添えておきますが、私は、こういうケースは当人からの訴えをうのみにしたのではありません。長くかかわってきた自治体職員の調査をもとにしてきょう質問していますから。
○国務大臣(増岡博之君) この制度を適用して支給をするというその原資はやはり国税でございますので、そういう意味ではある程度の調査をするということも役所側の責任があろうかと思います。ただそれが、目的に対して適切な範囲内あるいは合理的なものであるかどうかということについてはいろいろ御意見もあろうかと思います。そういう点についての配慮はこれからもいたさなければならないと思います。
○和田静夫君 この女性は今生活保護で暮らしていらっしゃいます。本人は、夫が家を出ていった後職業訓練校に通って自立の道を模索した。いま一歩で、扶養手当さえもらえれば自立できる、そういう思いで申請をした。ところが行政は冷たくあしらった。むしろプライバシーに立ち入ったことを根掘り葉掘り聞き出して、その上夫の証言を採用する。あなた方はこの女性の自立への志向を断ち切ったわけです、行政は。 彼女は生活保護を申請する際、子供のためを思ってどんな屈辱にも耐えようと決心したと担当者に証言をしているわけです。行政が自立への志向を断ち切ったことについて、これはどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(小島弘仲君) この制度の仕組みそのものが、事実婚とか遺棄とか、事実関係をもとに手当の支給をしたり打ち切ったりという仕組みになっている制度の性格上、その調査等につきまして具体的な実態を明らかにしていただく、また、その御協力なしにはこの制度の円滑な施行はできないというような、制度の本質上そういう面を持っております。ただ、こういうことの調査権をもとにいたしまして関係のないことまでも聞くということは厳に慎まなければならぬことでもありますし、また、具体的にこの手当の支給事務を担当するに当たりまして、ありのままの実態をお話し願うわけでございますので、それを他に漏らしてはいかぬことは公務員として当然でございます。また、民生委員等についても、特別職の公務員として守秘義務がございます。厳格な職務の執行ということには今後とも十分配慮してまいらなきゃならぬ、かように考えているところでございますが、この制度の仕組み上受給者、申請者の方にやはり生活の実態、父親との関係、従前の夫との関係というようなものについて率直にお話し願うということをしていただかなきゃならぬ。 また、先生御指摘のように、一方のことだけを取り上げて一方的に支給を打ち切るというのはこれはまた問題のあるところでございます。あわせて十分調査をしながら総合判断をしていくということでありますし、どうしてもわからぬという部面については、受給者に有利になるような運用というものは事の性質上当然のことだと思いますので、今後、そういう運用については十分考えてまいりたいと思います。
○和田静夫君 私は、だれも喜んで生活保護を受けているとは思わないのですね。ほとんどの場合、自立へぎりぎりの努力をしてやむなくというケースです。母子世帯の場合、それを支えているかけがえのないものが児童扶養手当で、その支えを外そうというのが今回の法律改定。国家財政の見地からしても、生活保護よりも児童扶養手当の方が経費がかからないわけです。したがって、児童扶養手当のカットではなくて充実こそが重要だと思うのですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(増岡博之君) 生活保護と児童扶養手当というものは、同じ福祉政策の中でも、生活ということについてはある程度似通っておりますけれども、法の趣旨からいきますとやはり別の考え方になるわけでございますので、生活保護と児童扶養手当というものは並列して、双方が有効に機能するという考え方でやっていかなければならないというふうに思います。
○和田静夫君 十分に理解できない答弁ですがね。 遺棄調書をここに持っていますけれども、「子供の安否を気遣う電話、手紙等の連絡」とあるわけですね。電話が一回でもあれば申請が却下されるというケースもあるわけです。さらに遺棄調書に関して言えば、「母親の離婚の意志」を聞いていますね。「有り無し」、これ調べてどうするのですか。
○政府委員(小島弘仲君) 遺棄の状態が長く続いておりまして、もう一緒に生活できるような状態にないということまで判断しているかどうかということを参考に聞いているわけでございますが、これにつきましては、いろんな面、クロスで聞いておるのでございますので、母親が家出した場合、あるいは父親が家出した場合のそれぞれに応じて、対象項目として、聞かなくてもいいものが当然あるわけでございますので、その辺の運用を十分気をつけているつもりでございますが、今後ともこの運用に注意すると同時に、さらに本当に必要性の有無につきましても、もっと十分御協力願いやすい他の手段との兼ね合い等も考えながら、必要性についてはさらに十分もう一回再検討を加えてまいりたいと考えております。
○和田静夫君 離婚の意思があれば手当を支給するということであれば、行政が、離婚をやりなさいやりなさいと一生懸命奨励する、こういうことになりはしませんか。
○政府委員(小島弘仲君) むしろ最近の離婚の増加ということは子供のために必配していることでございますので、行政として離婚を奨励するというようなことは毛頭ございません。できるだけ事前に防止を図っていくという施策を進めていかなきゃならぬと考えております。
○和田静夫君 母親の離婚の意思と手当の支給とは、これは関係がありません。問題は、その母子が遺棄されて生活に困窮しているかどうかですね。これはやっぱり調査から削るべきです。そうじゃありませんか。
○政府委員(小島弘仲君) 離婚の意思につきましては、その遺棄の程度ということで、もうそこまで固める程度のものであるかどうかということで聞いていたわけでございますが、御指摘もございますので、これはもう一回再検討さしていただきたいと思います。
○和田静夫君 この遺棄調書には遺棄の理由を書かせる項目があるんですが、これも私に言わせますと全く意味がありません。 大臣、離婚の理由で一番多いのは何だとお考えになっていますか。離婚の理由で一番多いのはどういうことだとお考えになっていますか。
○国務大臣(増岡博之君) 考えられますのは、性格の不一致ということが一番多いんじゃないかと思います。
○和田静夫君 裁判所への申し立てのトップは、性格が合わないと、今大臣がいみじくも言われたとおりです。精神的に虐待するとか、異常性格とか、家庭を捨てて顧みないなどなどが理由として挙げられていますね。あなた方の調書は、父親の酒乱・暴力、女性関係、犯罪、サラ金、ギャンブルしか理由として挙げてはいらっしゃいませんよね。ところが、これらは離婚理由の半分にも満たないでしょう、四三・八%。あなた方は、遺棄がそれだけの理由でしか発生しないと考えているのではないですか。それは余りにも私は文学的想像力が貧困だと思うんですよ。かつ、実態把握について、私はやっぱり怠慢だと言わなきゃなりません。要するに、遺棄の理由を書かせることはむだであるということだろうと思いますね、私は。これはおやめになるべきです。
○政府委員(小島弘仲君) 通常一般に遺棄というのは、母子が遺棄されたというのは、父親が家を出ちゃっているケースが大部分だと思います。これを、先生御指摘の事項、父親のこういうような酒乱とか何かという父親の素行に触れることを聞いておりますのは、母が家出をした場合には通常遺棄にはなりませんけれども、生活をともにするようなことで耐えがたい事情があるという場合で母の方が家出をしたという場合でも、積極的に遺棄として手当の支給の対象にしようということで、この項目を調べさしていただいておるわけでございますので、これは「遺棄の区分」のところで、「父親が家出」と「母親が家出」となっておりますが、母子が家出しちゃったというような状態についてのみこの事項は調査することにいたしております。したがって、むしを積極的に、形の上では父親を捨てて母親が出たというような状況でも、実質上こういう障害の状況がある場合にはこれは遺棄であるということを認定するための調査事項でございますので、御了解願いたいと思います。 また、この聞き方、中身等については、表現の問題も含めましてまた十分検討さしていただきたいと思っております。
○和田静夫君 昭和五十五年のこの通達以降、調書が細かくなっていますね。それだけではなくて、プライバシーに著しく立ち入る設問が多くなったと思うんですよ、私は。 調書を忌避している者がふえているわけでしょう。その数は、厚生省、おつかみになっていますか。
○政府委員(小島弘仲君) 調書の忌避についての状況は把握しておりません。
○和田静夫君 調書の忌避の状態ぐらいの把握がなくちゃ、話にならぬ話じゃないですかね。だと思うんですがね。
○政府委員(小島弘仲君) 我々いろいろ陳情、要請を受ける場合にも、そのプライバシーの問題は随分指摘を受けておるところでございます。しかし、先ほども申し上げましたとおり、いわば法律婚以外に事実婚の離婚も対象にするとか、いわば未婚の母の問題とか遺棄という問題になりますと、生活の実態をお話しいただかなければ要件に該当するかどうかの認定ができないのがこの制度でございます。したがいまして、そんなことは何も調べないで申し立てどおりに認定したらどうだという声もないわけでもございません。しかし、一面この制度についていろいろ問題が指摘されておりますのも、不正受給の問題とか地域社会でいろんな声もあります。 したがって、こういう制度を健全に維持してまいりますためには、やっぱり必要な調査はきちんとやらなくちゃならぬ。そのために先生御指摘のような無用のプライバシー――あるいはおもしろ半分に聞いているんじゃないかと思われるようなことになってはならぬことは言うまでもございませんので、そういうところを必要事項も十分再検討しながら、また、調査の仕方等についても十分考えまして、この制度の円滑な運用ということを考えてまいらなければならぬと思っておりますが、いずれにしても、やはり必要事項だけは調査をさしていただく、また、それに御協力を願うということの御理解もいただかなければならぬと考えております。
○和田静夫君 私も全部必要ないなどということは一つも言っていないんですがね。問題は、その調書をとるとか調査をやられるとかという実態の中で、プライバシー等、必要のない部分と考えられるところに余りにもしつこく突っ込むものだから忌避をする。その忌避の実態を皆さん方は調査をしていらっしゃらないという、把握をしていらっしゃらないというんだから、何から学ぶんだと。経験から学ぶものは一切知りませんというんじゃ、ここの答弁はそれで済むかもしれませんけれども、学ぶべき皆さん方の姿勢はもうないということですね。局長答弁は答弁として終わってしまう。しかしながら、実際仕事をやっている諸君はそんなところから学ぼうとは思っていない。思っていないがゆえに、拒否をされている数についてさえ調べようとはしていない。把握もしていない。実態も何もわからぬ。その上に法案を通してくれと言ったって、これは余りにも調子のいい話で、そうはまいりませんよという私の方の論理の方が正当性を持っていると思いませんか、大臣。
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のように、これは地方を煩わして実施している制度でございます。したがって、実施段階まで含めまして、この制度の趣旨、運用の仕方ということが一元的にと申しますか、十分なお互いの理解が一本なければ、また、受給者も含めまして、申請者も含めまして、そういう制度に対する理解がなければ、円滑な運用はできないと考えております。 これらの運用については、関係者のブロック会議あるいは全国会議等も行われておりますし、また、問題点等についてもいろいろお話を伺っているわけでございます。また、こういうような調査事項なんかについても、そういう現場の御意見、お考えなんかを参考としながらいろいろ組み立てているという経緯もございます。今後、先生御指摘のようなところは、こちらがむしろ積極的に今まで以上に第一線の担当者に問いかけながら適正化を図ってまいりたいと考えております。
○和田静夫君 調書を拒否して支給を停止されたり、申請が却下されたりするケースがふえているわけです。それは、私が今指摘しましたように、調書が必要もないことをしつこく聞いていること、余りにプライバシーに立ち入っていると思われるからというようなことなんですね。「未婚の母子の調書」における「子の父の状況」、「妻の有無」。あるいは「事実婚の解消に関する調書」の解消理由。それから「生計維持調書」の生計援助者の住所、氏名などがありますね。こういうのま、世帯の所得状況を知る以外のプライバシーに立ち入る設問というのは、やっぱり私はやめるれるべきだというふうに強く意見を述べておきます。 父親の所得制限について再度ちょっと承りますが、政令案では六百万円ということになっているわけですが、衆議院で、養育費の支払い状況、所得の捕捉状況を踏まえることになった。一割そこそこという養育費の支払い状況がここ数年で急速に八割方が支払うことになるなどということは考えられませんね。意味のないことを法律に書く必要は私はないと思うんですが、ここは思い切りよく削除される方がよいのではないだろうかと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(小島弘仲君) まあ御指摘のような考え方、またそれができるとき盛り込めばいいんじゃないかという考え方もありますが、何と申しましても、こういう福祉制度の仕組みというのは、第一義的に、本当は扶養義務者がやっていただく、円滑にやっていただくことが最も望ましい姿であろうと思います。 したがいまして、我々としては今までの国会における御審議で示されました数々の御意見、あるいはこの修正の趣旨ということを踏まえまして、現在研究会を設けて十分検討しているわけでございますが、父親の扶養義務の履行を、事実上あるいは法律上担保できるような仕組みを諸外国の形を参考としながらも考えてまいりたい。そういうことの実行を待って、またそれを国会にもお示ししながら、この制度の規定を現実に施行させていただきたいと考えております。ただ、考え方といたしましては、やはり父親に本来の扶養義務はあるんだ、それは十分に果たしてもらうのが筋だということはこの改正案を考えたときから変わっておりません。 ただ、今お尋ねのように、八割もそれを履行していないじゃないか、その時期に何だという御指摘はごもっともであり、こういう修正をいただいたものと考えておりますので、そういう修正の趣旨を全うできるような仕組みなり履行状況の実現を待って、この規定を働かさせていただきたい、こう考えております。
○和田静夫君 今の答弁、離婚した父の児童に対する扶養義務の履行が何割になったら、第四条五項の政令は始動するのでしょう。所得捕捉率についてメルクマール。
○政府委員(小島弘仲君) 何割ぐらい――国会の御修正でございますので何割というところを今固めているわけではございません。ただ我々としては、待っていたんではなかなかこれは無理であろう、やはり一つの仕組みとして、こういう扶養義務の履行を担保できるというようなものを一つつくってまいらなくちゃならぬのではなかろうか。そういう仕組みを構築しながら、それを前提としてまた国会とも御相談させていただきたい、こう思っております。 それから、父親の所得の捕捉につきましては、別れた父から所得状況の証明をとるというわけにはなかなかまいらぬという例もあるという御指摘もございました。したがいまして、それは原則としては母親が別れた夫から所得証明をもらって提出していただくというのが建前でございますが、そういうようなことができない事情がある場合、父から居どころを隠していなくちゃならぬというような場合もあろうと思いますし、頼んでも渡してくれないというような場合もあろうと思いますので、そのときには都道府県知事がかわって関係の税務署等あるいは事業所等からそういう証明をもらえるという仕組みもここに考えておりますので、必ずしも母親がもらわなくてもいい、父親からとることが無理な場合には、この手当の実施主体がかわってそういう証明なり事実関係を把握するということに考えております。
○和田静夫君 遺棄に関して、もう一例挙げて見解を承っておきますが、夫がある種の精神異常を来して、身の危険を感じて夫のもとから逃げた主婦の例ですが、この女性は十年間にわたって夫の追跡から逃げ延びた。そして西日本のある都市、私はその都市も知っていますが、都市に生活の場を見出した。その都市の母子寮に入ることができた。そこで仕事も決まって、母子寮長の介添えで児童扶養手当を申請したところが、住民票のあるところで申請しなさいと言われて、結局は受理されなかったわけでしょう。この女性は夫の暴力から逃がれるために居所を明らかにできないわけですね。住民票を移すこと自体夫の探索による危険を伴うわけです。 こういう場合、住民票を移せない事情を行政は考慮して支給をすべきだと考えるんですが、いかがでしょう。
○政府委員(小島弘仲君) 大変お気の毒なケースであろうかと思います。住民票を添付していただくというものにつきましては、これは制度の悪用ということの防止を考えているわけでございますが、二重請求を避ける、やはり居住地で申請していただくということを考えての措置でございます。 御指摘のようなケース、母子寮に入っていた場合にはそういうようなことを守って差し上げるというような方法もいろいろあるわけだと思いますけれども、なかなか難しい問題もあろうと思います。御指摘のようなケースについて、今後どんな対応策が考えられるかはさらに検討させていただきたいと思っております。
○和田静夫君 支給額の改定についてですが、今後どういうような基準で、例えば物価スライド、生活保護基準にスライドなどの改定の基準というのはどうなりますか。
○政府委員(小島弘仲君) これは年金などと違いまして、物価スライドというような条項は法律に規定はございません。したがいまして、全体の子供の養育費の状況あるいは生活保護費の状況等も参考にしなきゃなりませんが、もう一方財政的な問題もございます。したがいまして、厚生省が所管している社会保障制度全体の中でのさまざまなバランスを考慮しながら、しかし、こういう手当の趣旨が趣旨でございますので、なお一層この手当が意味あるものでなければならぬことはお考えのとおりだと思いますので、できるだけ現在のような水準を維持できるような配慮で改定を考えてまいりたい。 ただ、具体的にここでどういう基準かということについては、物価とかなんかということに特定しているわけではございません。運用上そういう配慮をしていかなきゃならぬと考えております。
○和田静夫君 支給期間ですが、これも私は不可解です。厚生省はかつて支給期間を十五歳から十八歳までに引き上げたわけですが、改めてそのときの理由を伺います。
○政府委員(小島弘仲君) これは一つは母子福祉年金の対象となる児童の範囲の拡大に合わせまして、この制度の補完的制度であるということも考えまして、五十二年でございましたか、従前の義務教育終了時までというものを十八歳までということでございますが、これは一つは児童福祉法上の児童の範囲が十八歳だということを勘案して、母子福祉年金がそこまで対象児童の範囲を広げたのに合わせましてこちらも改善したものと考えております。
○和田静夫君 そこで、十八歳になると支給が打ち切られる、その際に高校の三年になったばかり、つまり高校三年の四月でも十八歳になれば打ち切られるわけですね。これは児童福祉法による今言われた児童の範囲の問題はもちろんありますが、実態からすれば不合理でしょう。実態からするならば、十八歳で打ち切るのではなくて高校卒業までとするのが合理的だと考えるんですよ。ここのところは、高卒まで延ばしたからといってその財政負担は微々たるものなんですね。高卒までにすることが私は必要だと思うんです。 けさの報道によれば、十八歳のところまで修正というようなことになりそうな報道がありますが、思い切って高卒までという形で手を入れられるんならおやりになる、私はそのことを強く要求する。
○政府委員(小島弘仲君) 母子団体等から高校卒までという御要望のあることも承知いたしております。 ただ、先生も御指摘のように、年金制度も、児童の範囲まで改善してとまっております。今後の基礎年金の加算の対象になる児童の範囲も十八歳という問題がございます。これは年金制度とは切り離した福祉制度として構築するものでございますけれども、一つには、これは現在は義務教育を終了して働いている方も学校へ行っている方も同じく対象にしているわけでございますし、高卒ということにすると、高校に在学中の者だけ延長するのかと、いろんな問題もございます。これは将来の課題としてあわせまして我々としても十分検討しなくちゃならぬかと思います。 この制度単独でこの際高校卒ということになると、極めていろいろ問題があります。他の制度との関連もございますし、この制度の内部におきましても、義務教育を終わって就労してしまっている者は十八歳でぱちっと打ち切る、高校在学中ならそれだけ延ばしますということにつきましても問題がありますし、また、定時制とかなんかで十八歳から十九歳というところの扱いやなんかはどうするかという問題もありますので、これは今後の検討課題ということに、宿題にさしていただきたいと考えております。高校卒までの延長ということは、ちょっと今の段階ではもう少し整理しなくちゃならぬ問題があろうと考えております。
○和田静夫君 ここは強く私は要求をしておきます。 最後に地方負担ですが、政府案は新規認定から十分の二を都道府県負担に移していくということですが、厚生省、最終的に全受給者が国十分の八、地方十分の二になるのは大体十二年後、その際の地方負担は四百から四百四十億円という水準でよいわけでしょうか。
○政府委員(小島弘仲君) これは今後受給者の数がどう動くかという問題も一つはございます。ただ、今の御質問、現行六十年水準というと、受給者数が六十五万人程度でございますので、大体そういう前後で推移すると、十二年後には今お示しのように四百四十億ぐらいが上限で四百億程度が下限になろうかなと、こう考えております。
○和田静夫君 その際の受給者というのは何世帯ですか。
○政府委員(小島弘仲君) 受給者というか、受給世帯ということになりますか、六十三万世帯程度になろうかと、こう考えております。
○和田静夫君 離婚が今後増加すると仮定しますと、地方負担はさらにふえると考えてよいわけですかね。
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のとおりでございます。 ただ、離婚件数、毎年伸びておりましたが、最近、ここ一、二年は、人口千に対し一・五ぐらいのところで伸びがとまっておるという状況もございます。ただ、アメリカ等の状況を見ますと大変な数字でございますので、どうなるかは予断を許しませんが、離婚件数が増加すれば、総体の受給者数が増加すれば、この負担も当然その二割ということで、連動して増加するということになります。
○和田静夫君 この児童扶養手当の国、地方負担割合についてですが、自治省の理解としては、どういう理解をしていますか。 私は、児童扶養手当というのは本来国の事務なのであって、国が原則として一〇〇%負担すべき義務のある事務である。憲法に基づいて国が財政面で負担すべきものである。この点の認識は。
○説明員(鶴岡啓一君) お答え申し上げます。 児童扶養手当制度に係ります地方負担の問題につきましては、かねてからいろいろな議論があったわけでございますが、今回御提案申し上げてあります政府案において、児童福祉問題懇談会の報告を踏まえまして、福祉施策としての見直しが行われましたことを踏まえまして、他の児童福祉施策における国、地方の財源負担区分等を勘案しまして、御提案申し上げているような地方負担を今後新たに改正を、施行後認定を受けた者について導入することと考えております。それで所要の地方財源措置も、地方財政計画上講ずることといたしているところでございます。
○和田静夫君 そこのところはよくわかっているんですが、基本的な認識の問題を伺ったんですがね。時間もありませんから、仮に百歩譲って、国の財政事情が極端に悪い、地方が国に比べれば多少はよい、そういうときは、一時的、暫定的に国の負担の一部を肩がわりするということはあり得るかもしれない。ところが、この児童扶養手当は今後ずっと国、地方の負担割合が固定化されていくわけでしょう。自治省は、高率補助金の一割地方負担が固定化され恒久化されようとするときに、こういうような負担の地方転嫁をどういうふうに考えるんですか。
○説明員(鶴岡啓一君) この問題、先生御案内のように、五十八年の予算編成以来五十九年にかけましていろいろな議論があったわけでございます。私どもとしましては、児童扶養手当制度について改正が行われたということを前提として、地方負担の導入についてやむを得ないというふうに現在考えております。
○和田静夫君 厚生大臣、関係閣僚会議で補助金問題が今後検討されていくわけですが、厚生省としては、六十一年度以降も福祉高率補助金を一割カットしていく、そういうおつもりですか。
○国務大臣(増岡博之君) 昨年十二月に、厚生・自治・大蔵三大臣の覚書があるわけでございまして、したがって、それをまとめるに際しましては、やはり有識者や自治体の関係者の御意見を聞きなさいという国会審議での御要請もございましたので、昨日その人選を済ませたわけでございまして、その検討会は今月三十一日に第一回を予定しておるわけでございますので、その検討会並びにその結果の関係閣僚会議の審議を踏まえてやらなくてはならないわけでございますので、したがって、現在では具体的に結論等を申し上げる段階ではないと思います。
○和田静夫君 関係閣僚会議で議論されるのは、本年度の一割カット部分を六十一年度も存続させるかどうかに限定されるか、それとも新たな領域についても見直しの対象となるのかどうか。例えば、老人ホームの利用者負担を引き上げる、国の負担を二分の一にするなどという方向が取りざたされているわけですが、大臣、こういうようなことあるんですか。あるいは保育所の運営費についてはどうですか。市町村負担を強めるということですか。あるいは結核を医療保険の対象とするというようなことが言われているようですね。そんなことがあるんですか。生活保護の支給要件を厳しくする、固定資産によって支給に差をつけるというようなことがあるんですか。
○政府委員(北郷勲夫君) 先般通過いたしました高率補助の暫定措置、かなり広い範囲にわたって取り上げられておりますのでそれが大部分かと存じますが、今後検討してまいりますのは、それにとらわれず全体的に福祉の関係の全般について見直しの検討をしていくと、こういうふうに考えております。
○和田静夫君 そうすると、今私が幾つか例を挙げたところのものも領域の中に入っているんですか。
○政府委員(北郷勲夫君) 今先生が御指摘になりましたものは、大体検討の項目に入ると考えております。
○和田静夫君 大臣ね、国と地方の負担割合を総合的に検討するということですわな。そうすると、児童扶養手当の負担割合についても当然再度俎上にのせるべきではありませんか。
○国務大臣(増岡博之君) この問題は、今回の高率補助の一律カットとは別個に従来から御提案申し上げておることでございますので、私は別の問題だというふうに考えております。
○和田静夫君 どうもやっぱり答弁信用ができなくなってきたな。補助金持別委員会で答弁されていることと模様が随分違ってきていましてね。きょうはもう時間がありませんからこれ以上ここのところ突っ込んだ論議しませんが。どうもそのときそのときに答弁変えられちゃ困るという感じでありますが。 厚生大臣ね、先日の補助金審議では、大蔵大臣は私の質問に答えまして否定的な答弁を実はこの部分でされたんですよ。閣僚会議と並行して学識経験者で構成する検討会をつくりますかと言ったら、いやと、こう言ったんですね。ところが、補助金一括法案が通ったら、すぐ学識経験者によるところの検討会をつくったんです。委員会逃れるためには巧みな答弁されますが、法律案採決さえ終わってしまうとすぐひっくり返ってしまうという一番いい例ですね。私が聞いたことですけれども。厚生大臣は幸いにしてあのとき答弁していないからいいようなものだけれども、大蔵大臣の答弁をもう鮮やかに私は記憶している。 学識経験者の検討会の結論はどういうように尊重されるんですかね。関係閣僚会議は検討会の結論を踏まえて決定されるということなんでしょうね。これはそういうことでしょうか。
○国務大臣(増岡博之君) そのようなことになろうかと思います。
○和田静夫君 そうすれば厚生大臣、一つ約束していただきたいのは、関係閣僚会議の結論は、概算要求に間に合いますか。まず一つ。
○国務大臣(増岡博之君) できるだけ早くということでございますけれども、検討会の方の日程の御都合上、あるいは間に合わない場合もあり得るかと思っております。
○和田静夫君 私の情報によりますと、概算要求は本年度と同様の方向で行うというふうに言われていますが、これは確認されますか。
○政府委員(北郷勲夫君) まだそのようなことは一切決まっておりません。
○和田静夫君 そこで、さっき言った大臣に要求ですが、検討会、閣僚会議の内容を当委員会に、それはそれにちょうど合うように委員会が開かれるかどうか別といたしまして、とにかく逐次委員会に報告をしていただく、こういうことはお約束できますか。
○政府委員(北郷勲夫君) これは今後会議がどういう形で行われるか、まだこれからの問題でございますが、検討会ではできるだけ自由に議論をしてもらいたいと、こういうようなことのようでございますので会議は非公開になる、したがいまして、できるだけ差し支えのない範囲で御報告申し上げたいと存じますが、そういった趣旨で運営されると聞いておりますので、完全にオープンというふうなことはちょっとできかねるのではないかというふうに考えております。
○和田静夫君 これは北郷さんとやりとりするつもりはありませんが、大臣、ちょっと経過からいったら今のような姿勢じゃ困るわけです。これは検討会でも自由に御論議願うのは御論議願えばいいでしょう。私たちだって自由に論議をしなけりゃとてもかなわぬですよ。私は憲法論に基づいて補助金のときにたくさんのことを申し上げましたから今ことで繰り返しません。本来ならば、先に制度改変を我々が論議をして予算へというのが当たり前じゃないかという基本的な論戦をやったわけですからね。そして、大枠その方向というのは政府側は認められておったわけです。ことへ来てまた秘密で、片っ方でやります、我々には何にも知らせません、そして、その結果出てきたものだけでというようなことじゃ、これは与党・野党を含んで、私たちの持っているところの責務というのは果たせませんよ。 大臣、ここのところは、時期がいつの時期で、委員会が合うか合わぬかは別問題ですよ。やっぱり我々にも自由な討論が保障される、こういうことは当たり前のことだと思うんですがいかがでしょう。
○国務大臣(増岡博之君) 先生方の自由な御意見を承ることはもちろんいたさなければならないことだと思います。ただ、今の検討会の内容を、だれがどういうふうにしゃべったというふうなことを具体的、詳細に申し上げることはできないかと思いますけれども、もしお尋ねでございましたら、許される範囲内ではお答えを申し上げたいと思います。
○和田静夫君 最後にしますが、この地方負担の増加に伴って各自治体がこれから支給を絞っていくということが大変危惧されますよ。そういうようなことがないように配慮をされる、大臣、これぐらいはお約束できるでしょうね。
○国務大臣(増岡博之君) 一括法案の御審議の過程から、福祉の実態が低下をしないようにいたしますということを申し上げておるわけでございますので、そのようなことはないようにいたしたいと思います。
○委員長(遠藤政夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ─────・───── 午後一時五十六分開会
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、児童扶養手当法の一部を改正する法律案及び社会保障制度等に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○中西珠子君 今回、児童扶養手当の改正案が提出されましたが、法の目的の変更をも含む改正を行う理由と、また、この改正案をおつくりになる前に中央児童福祉審議会への諮問をなさらなかった理由は何でしょうか。大臣にお聞きいたします。
○国務大臣(増岡博之君) この児童扶養手当法の改正につきましては、従来から母子福祉に関しまして、死別の方々につきましての母子福祉年金が中心でございました。補完として離婚の母子家庭等に対する児童扶養手当があったわけでありますけれども、時代が推移いたしますとともにほとんどが離別による母子家庭ということになりました。したがって、法が対象といたしますグループの態様が変わったということから、年金を補完する制度から純粋な福祉政策に変えようということでございまして、その際、改正の中身の中に、一部地方にも負担をしていただこうということもございました。 したがって、原案作成の段階におきまして、児童福祉問題に詳しい方々、あるいは地方行政に詳しい方々、双方の立場の方にお集まりいただきまして、児童福祉問題懇談会というものをつくったわけでございます。そういう立場からいろいろ御協議をいただいたわけでありまして、政府として、原案を作成いたします段階で中央児童福祉審議会の御了解をいただいたということでございます。
○中西珠子君 離別の家庭が大変ふえたから法律の改正をやったんだというお話で、また、児童福祉問題懇談会というものでいろいろ研究してもらって、その報告に基づいてやったというふうな御返答でございましたけれども、この第一条の法律の目的規定を変えて家庭に重きを置いたような感じ、すなわち「父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、」、こうなっていまして、とにかく児童扶養手当法は、立法の趣旨はやはり児童福祉法の基本理念に基づいてできたものであり、「児童の福祉の増進」というものが第一義的な目的であったのに、この第一条の改正によりまして、まず母子家庭の自立を助けるということが第一目標として出ていて、そして児童の福祉の増進ということは第二義的にできているというふうに受けとめられるわけでございます。 それで、その児童福祉問題懇談会というのは男性ばかりから成っていまして、また、母子家庭が自立していくための環境が大幅に改善されているというふうに報告書の中で言っているわけでございますが、大幅に改善されているかどうかということは非常に問題であると思うわけです。それで、児童福祉問題懇談会の中に女性が一人もいない、そして児童福祉問題懇談会の報告に基づいて法案を作成するということになさって、そして社会保障制度審議会にかけられたんですけれども、この社会保障制度審議会の中にも女性は一人もいないということなんです。児童福祉とか社会保障制度というふうな問題を審議する懇談会とか審議会におきましては、やはり女性、ことに母性の声を反映させる必要が非常にあると私は思うのでございますが、どうして女性をお入れにならないのか、その理由をお聞きしたい。 また、国連婦人の十年の最終年までには、総理を本部長とする婦人問題企画推進本部でも、審議会のメンバーが女性が非常に少ないのは遺憾であるから、少なくとも一〇%までは婦人のメンバーをふやすという決定がなされておりまして、いろいろ努力が重ねられてきたんですけれども、現在、御承知のように、五・二%しかいないわけですね。この婦人のメンバーが非常に少ないということのためにやはり偏った政策決定がなされたり建議がなされたりするということもございますので、どうしても社会保障制度審議会などには婦人を入れていただきたいと思うわけですが、大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(増岡博之君) いろいろ審議会がございます中で、婦人の委員の方が少ないということは御指摘のとおりでございます。ただ、男子の委員でも、母子家庭のことや児童のことには相当詳しい方々にお入りいただいておるわけでございますけれども、それにしましても、やはり婦人の委員がいらっしゃるということは、より細かな対応というものがおありになるだろうと思うわけでございます。 政府といたしましても、積極的に登用するということになっておりますので、私といたしましても基本的には望ましいことでございますので、その方向で対応してまいりたいと思っております。
○中西珠子君 その方向で対応してくださるそうで、それは結構でございますが、社会保障制度審議会の公益委員のメンバーを見ていますと、これは専門性を非常に必要とするという理由からだと思いますけれども、同じ方がもう長年やっていらっしゃるんですね。本当に同じ方が長年やっていらっしゃる。それで男性ばかりだということなんですね。女性の中にも社会保障の問題を一生懸命勉強してもう既に大学の教授になっている人もいるし、また社会福祉の問題を非常に勉強している、実践的な面で活躍している方もいるわけでございますから、ぜひ近い将来に社会保障制度審議会のメンバーに婦人を入れるというお約束をしていただけませんか。大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(増岡博之君) 社会保障制度審議会は一応総理大臣の所管ということになっておるわけでございますけれども、私からも、先生の御指摘の趣旨をよく申し上げて、その方向で対処してまいりたいと思います。
○中西珠子君 総理大臣に対して厚生大臣が建議してくださるというふうに受けとめてよろしゅうございますか。――どうもありがとうございます。 それでは、近い将来女性が必ず社会保障制度審議会その他児童の福祉に関する懇談会にはぜひ入れていただきますようにお願いいたします。 それから、児童福祉問題懇談会は、母子家庭が自立していくための環境が大幅に改善されていると言っているんですけれども、これは厚生省や労働省がこの懇談会に十分な資料を提供なさらなかったのか、それとも母子家庭が自立していくための環境は大幅に改善されているということが厚生省の認識でいらっしゃるのかどうかということを伺いたいんです。労働省も同じ認識でいらっしゃるのかどうかということを伺いたい。厚生省と労働省から両方お返事をいただきたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) 制度発足の昭和三十七年当時と比べますと、客観的に見まして就労の場の拡大、特に第三次産業の範囲の拡大等から見まして、女性の就労の機会は確かに増加しておると思います。ちなみに、昭和三十七年当時八百万足らずだった女子就労者は、昭和五十八年には千五百万、ほぼ倍増する状態になっておりますし、また、五十八年の母子世帯調査によりましても、昭和三十六年当時は常用雇用者は、就労している母子家庭の母のうち三四・一%でございましたが、昭和五十八年度には就労している母のうち六五・四%が常用雇用者となってまいっております。 また、これは何も就労の機会だけじゃございませんで、母子家庭のお母様方が安心して自立の道を歩んでいただくためには、例えば住宅の問題、さらにはお子様をお預かりする保育所の問題等々がございますが、昭和三十七年当時はまだまだ保育所不足という状況が続いておりましたが、現在ではもう二万二千カ所以上の保育所が整備されまして、数の問題ではむしろ収容定員にゆとりが出てまいるような状況が全体としては出ております。もちろん一部の人口急増地域等については不足等の問題がございますが、全体としてはもう数の問題は終わって、質の問題に転化している状況でございます。 また、その他母子福祉資金の貸付制度の整備等々、あるいは母子家庭に対する相談指導体制、あるいは家庭介護人の派遣体制等の整備の状況を見ますと、母子家庭の自立の条件は大分整備されてきておる、大幅に変わってきておると思いますし、また他省庁、これら労働省のお答えもあろうかと思いますが、母子家庭の母の就労のための施策も準備されてきておりますので、環境としては大いに変わってきておる。まだまだ所得の問題等には問題のあることは承知しておりますが、環境は整ってきておると考えております。
○中西珠子君 労働省はいかがですか。
○政府委員(赤松良子君) 労働省の認識についての御質問でございますのでお答え申し上げます。 児童福祉問題懇談会は、厚生省の私的な懇談会ということで、私どもといたしましては、直接資料提供等をというような関係にはございませんでした。 そこで、この懇談会の報告を拝見いたしますと、「母子家庭が自立していくための環境は、婦人の就業機会の増大、保育所の整備、貸付金制度の拡充等、大幅に改善されている。」という御指摘でございますが、保育所の整備、貸付金制度については労働省の所管外でございますので、就労機会の増大という面についての認識をお答え申し上げるのが適当かと存じます。 そこで、就労機会の増大につきましては、先ほど児童家庭局長からの御答弁にございましたのとほぼ同じ認識を待っておりまして、これは小島局長が総務庁の、その当時は総理府でございましたが、労働力調査の調査結果に基づいた数字をお述べになっているというふうに承知いたしますが、これは客観的な数字でございまして、労働省、厚生省の間に認識の違いは起こり得ないものと存じます。 また、こういう総数がふえたというだけではなくて、もう少し具体的、産業別、職業別に検討いたしましても、ほとんどの分野で女子の実数あるいは割合ともに増加しているというふうに考えられますので、三十七年当時から引き続いて女子の就労機会の増加ということは言えるというふうに私も認識しております。
○中西珠子君 女子の就労機会の増加を、働いている女性の総数から見ますと確かに最近は増加していますね。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕 しかし、雇用機会が果たしてどのようなものかということはまた別問題でありまして、労働省の方もいろいろな施策を母子家庭のためにおとりになっていると思うのでございますが、労働省の母子家庭の母の定義と母子家庭に対する施策を御説明いただけますか。
○政府委員(赤松良子君) 定義と施策という御質問でございますので、まず定義について申しますと、労働省が実施いたしております母子家庭の母等の就業援助対策の対象となる母子家庭の母等とは、これは法律レベルでの定義ではございませんが、雇用対策法施行規則の中の定義でございます。省令レベルの定義でございますが、一つは、二十歳未満の子もしくは一定の障害がある状態にある子を扶養している配偶者のない女子、二番目に、精神もしくは身体の障害により長期にわたって労働能力を失っている配偶者を扶養している女子と、この二点でございます。 そして次に労働省の対策でございますが、このような方たちの、母子家庭の母等の就業について、いろいろと一般の労働者あるいは一般の求職者に対するよりもよりきめの細かい手厚い対策を講じているところでございまして、職業訓練におきましては、職業訓練を受けている間の手当を支給する、あるいは、職業講習をより受けやすいようにするために、就業援助施設ではその間の旅費を支給をする、あるいは公共職業安定所におきましては寡婦等職業相談員というものを配置することによって家庭環境などをも配慮したきめ細かい職業指導や職業紹介を行うことができるようにするというような点を講じておるわけでございまして、このようなことは今後もより充実するという方向で進めたいというように考えております。
○中西珠子君 労働省の、配偶者のない女子というものを対象として考えていらっしゃる内訳を前にいただいたことがありましてね、それで、婚姻によらないで母となった女子で現に婚姻していない者というものが中に入っていて、そういった人たちに対してもいろいろの施策を講じていらっしゃるということを知って、そして、今回未婚の母に対する支給を取りやめるという厚生省自体の案に対しては衆議院で修正ができまして、現行どおり未婚の母に対しても支給をするということになって非常に結構だったとは思っているわけでございますけれども、厚生省の方の母子家庭の定義というものの中には、死別の場合はいいけれども、離別の場合、未婚の母というものをより冷遇するという傾向があって、そこのところが大分労働省とは違うなという感じがしていたものですから、それでこういった細かい定義をいただいたわけなんです。 厚生省は、現にやっていらっしゃいます「未婚の母子の調書」、それから「事実婚の解消に関する調書」、そういったものが余りにも微に入り細に入りプライバシーを侵害するというおそれがある。また、既にプライバシーが侵害されているという訴えもあるわけでございまして、この点に関しては、せっかくの衆議院段階で修正が行われたわけですから、以後どのようになさるおつもりなのかということをお聞きしたいのが一点。 それから、衆議院でも参議院でも大変問題になりました例の問答集ですね、昭和五十九年四月の問答集、未婚の母はおめかけさんというふうなことをおっしゃっている問答集、あれは撤回なさいましたか。回収なさいましたか。その点についてちょっとお聞きします。
○政府委員(小島弘仲君) 未婚の母の調書あるいは事実婚の関係の調書等について、いろいろ御批判もいただいております。我々のところへの要望につきましても、一切そんな調査をしないで支給しろという要望もございます。 しかし、毎々申し上げておりますが、これは未婚の母につきましても事実婚につきましても事実関係が問題なわけですから、その事実関係をやっぱりしっかり把握する必要がある。率直にお伺いして率直にお答え願わなくちゃこの制度の円滑な運用ができないという性質のものでございますので、そこは申請者、受給者の方にも制度の仕組みとして御理解願いたい、また願わなくちゃならぬと考えております。 御指摘のような、本当に必要かどうかということについては、いろいろ第一線の事務をお願いしております地方公共団体の職員のお考え等も聞きながら、こういう調査項目を設定しているわけでございますが、御指摘の向きもございますので、再度精査いたしまして、必要最小限度の項目にすると同時に、その運用についても十分な配慮を払ってまいりたいと考えている次第でございます。 このパンフレットにつきましては、特に間十関係等につきまして、表現に適切でない点がございました。もちろんこれは実施主体である地方公共団体、都道府県を中心にお配りしたものでございます。県の課長さん方、担当者の方々にその点十分、こういう趣旨であったという訂正の説明をさしていただきまして、これこれの条項はこういうふうに直して理解してほしいということを徹底しておりますので、この条項は修正したものと考えております。 またこれについて、手元にあるものはもうすべて廃棄処分にいたしましたが、回収というところまではやっておりません。修正ということ、訂正ということで趣旨の徹底を図ったところでございます。
○中西珠子君 これはちょっと余りにも品がなさ過ぎるし、そして厚生省が未婚の母に対していかに理解かないかということを端的にあらわす証拠ですから、もう全部廃棄にしていただきたいと思います。 それで、「未婚の母子の調書」ですね。これにももう本当に、安否を気遣う電話がかかってくるかとか、訪問の回数が何回かとか、認知の予定があるか否かとか、あるとすればいつごろかとか、そんなことを聞く必要がどこにあるかと思うんですね。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕 それから「事実婚の解消に関する調書」でも、電話と手紙の連絡が何回あったか、いつごろあったか、訪問回数がどのくらいかとか、ここにも認知の予定があるのかないのか、予定があるとすればいつどろなのかなんて、そういうことを本当に微に入り細に入り聞いていらっしゃるわけですね。 そうすると、これはプライバシーの侵害だと言って怒る人もいるし、これをちゃんと書かなければもらえないからということで、一回でもありと書いたらもらえなくなるから全部なしにするというふうなそういうことにもなりますから、果たしてこれがどれだけの効力があるかということは非常に疑わしいし、プライバシーの侵害というので既に訴えられている方もあるんですけれども、これについては本当に慎重に、プライバシーの侵害にならないようにしていただきたいということを強く要望いたします。 それから母子家庭に対して、殊に離別母子家庭に対して厚生省がやっていらっしゃるいろんな施策があると思うんですけれども、どういう施策がありますか。
○政府委員(小島弘仲君) 母子家庭を対象とする施策については、大変多岐にわたっております。いろんな分野で分野ごとに整理して申しますと、所得保障といたしましては、死別の場合には年金制度がございますし、また生別、お尋ねの離婚については現在御審議を願っておる児童扶養手当制度がございます。さらに、自活のための資金的な援助措置といたしましては、母子福祉資金の貸付制度がございますし、自立促進のためのさまざまな相談事業のほかに、公的施設内におきます売店等の設置の優先措置、あるいはこれは大蔵省の関係にもなりますが、たばこ販売小売人の優先許可というようなことをやっております。また、生活指導等につきましては、住居問題も含めまして母子寮への収容、あるいは母子福祉センター、母子休養ホームとか、あるいは母子相談員によります相談措置、さらには最近始めております母子家庭介護人の派遣事業というようなことをやっておりますし、お子様のためには先ほどお話し申し上げましたような保育所の整備ということをいたしております。
○中西珠子君 保育所は大分数が足りてきたとおっしゃいますけれども、延長保育をやっているところは少ないし、それから夜間保育やっているところは非常に少ないですね。これはもう早い時期に大いに改善していただきたいと思います。 それから今いろいろお挙げになりました福祉関係の施策ですが、厚生省の調査によっても、これは八ページの表十三ですけれども、利用度が低いんですね。そして、これはどうして利用度が低いのかなということが非常に疑問なんですけれども、どうして利用度が低いと考えていらっしゃるか、それについてお聞きしたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) 保育所ということになりますと、家庭で保育ができない児童ということでございますので、家庭で祖父母等がいらっしゃる家庭あるいは兄弟の同居されていらっしゃる方等、家庭で条件が整う場合もありましょうし、また、我々として本当に施策上考えてまいらなければなりませんのは、先生今御指摘になりました、例えば時間外とか夜間というような、就労の実態に対応できるような保育サービスが十分とれないのでやむを得ず私的な保育施設にお願いするというようなケースもないではない、また、相当数に上るんではなかろうかということも考えておりますので、先ほど申し上げましたように、もう量の問題は大体満度までまいりましたので、さらにゆとりも出てきているような状態でございますので、今後は十分保育所側の御努力、御理解も得ながら、延長保育、夜間保育というようなものに対応できるような施策の拡充に努めてまいりたいと考えております。
○中西珠子君 保育所の方は、とにかく保育内容の多様化というか、延長保育、夜間保育を大いにやっていただきたいということを要望しましたけれども、保育所以外の先ほどお挙げになったことも含めて、この厚生省の「全国母子世帯等調査結果の概要」に出ておりますいろいろな福祉関係の公的制度や施策といったものの利用度が非常に低いのではありませんかと、その低い理由は何とお考えになっていますかという質問をしたんです。
○政府委員(小島弘仲君) 利用状況も逐年改善しておりますので、特にこれが実態の需要に対しまして低いのかどうかという問題が確かにございます。例えば児童扶養手当を受給しておるというのは母子家庭の中で五割ぐらいという実績もありますが、それは一つは年齢層の違いもございます。これは全国母子世帯等調査上の児童の範囲は二十歳未満ということになっておりますし、児童扶養手当法上は現行十八歳ということでございますので、その辺のずれもございましたり、いろんな要素があろうかと思います。 これは、制度の存在あるいはその仕組み等については十分PRにも努めておりますが、さらに一属そういう周知徹底を図ると同時に、制度そのものを利用しやすい格好にしていくという努力も利用者の皆様の声を聞きながら十分考えてまいらなくちゃならぬし、努力してまいる所存であります。
○中西珠子君 やはり八ページに、「制度を知らなかった」というのが大分ありますね。ですから、せっかくいい制度を運営したりなんかなすっているんだから、もっとPRをして、こういう制度がありますよということを親切に教えてあげる窓口というのが区役所やなんかに必要なんじゃないですか。児童扶養手当法の改正に反対してほしいという陳情が全国からたくさん来ていまして、その中に、初めは制度も知らなかったということや、そのほかいろんな、母子家庭に対する施策を教えてくれる場所がない、窓口がないという苦情というか訴えというものが非常に多かったわけです。ですから、やはりこれはちゃんとPRを正しくする、「おめかけさん」なんという言葉を使わないでPRを正しくするということを大いに要望しておきたいと思います。 それから、やはりこの同じ表の中に労働省関係のもありまして、公共職業訓練校を利用しているのが二・二%しかないとか、それから職業安定所を利用したのが一六・二%とか、婦人就業援助センターを利用したのが〇・八%とかいう数字が出ているわけでございますけれども、これは労働省の御存じのない数字かもしれません。というのは、これは厚生省の調査でございますから。ただ、せっかくいい施策をしていらっしゃるんだから、やはり周知徹底して、そして利用度を高めるということを労働省にもお願いしたいわけですけれども、いかがですか婦人局長。
○政府委員(赤松良子君) ただいま先生の御指摘の数字は、今初めて伺った数字でございまして、大変低いなというふうな印象でございますが、先生おっしゃるようにいい制度だと思っておりますので、できるだけ広く周知を図りたいというふうに思います。
○中西珠子君 母子家庭の母を自立させるために労働省はいい政策をいろいろとっていらっしゃるんですから、雇用機会の増大、それから技能を向上させる、そしてまた、雇用のあっせん、援助という面でも大いにこれからやっていただきたいと思いますし、それと同時に、周知徹底ということに倍増の努力をしていただきたいということを強く要望いたします。 それから、児童扶養手当そのものに戻りますけれども、今回所得制限と給付の二段階制を導入なすった理由と根拠は何でしょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 今回、児童扶養手当制度の改正案を提案させていただいております基本的な考え方といたしましては、大臣からも御説明申し上げましたように、そもそもこの制度は母子福祉年金制度の補完的な制度として発足したものでございますが、その母子福祉年金の受給者そのものがもう千名を割ってほとんどなくなってくるような状態でございますし、六十一生度から母子福祉年金制度というものはなくなってしまう、こういう時期でございますので、今後の児童扶養手当制度の本来のあり方をどう考えるかということで、社会保障施策全体の中での位置づけをという形で考えたわけでございます。 そういたしました結果、目的規定にも書いてございますように、母子家庭に対する金銭給付ではあるが、これは母子家庭の自立を促進する、それを通して児童福祉の増進を図ってまいりたい。従前の制度も、母子家庭の生活の安定という点は、年金制度の補完的な制度でございますから当然その内容に含まれていたわけでございますが、それらの趣旨をより明確にいたしました。そこで、自立に必要な制度ということとともに、福祉の措置として考えた場合に、年金制度と違いまして、やはり所得の状況により手当額を考えていくのが正しいのではなかろうか、こう考えております。したがいまして、まず所得税の非課税世帯という低所得者階層につきましては現在並みと申しますか、現在の三百円増額しましたような三万三千円の手当を支給するという考え方をとっております。 それで、それを超えるところのどこまでの階層に出そうかというのが一つ問題でございますが、これは家計調査等によりまして標準的な生活を営んでおると意識されている世帯が、二人家族で大体年収三百万弱というところでございます。したがいまして、普通以上の生活と意識されているようなところにまで手当を差し上げるという必要はないのではないか。したがって、普通程度の生活程度というお考えになっている年収三百万、丸めまして三百万までの世帯を一応支給対象とする。しかしそこの手当額につきましては二段階にしているわけでございまして、本来手当と申しますか、低所得者階層に出しております手当額の三分の二相当にいたしております。これは、所得がそれだけゆとりがあるということと同時に、一方父子家庭あるいは一般の低所得者家庭等を考えてみます場合に、所得税非課税のランクを超えます所得があります場合には、同じような所得であっても所得税を納めながら手当は受給していないという状況があるわけでございますので、そのバランスも考えながら、一応三分の一程度に減額した手当を差し上げるのが妥当ではなかろうかという判断のもとにこういう御提案をさしていただいているわけでございます。
○中西珠子君 厚生省の調査にもございますけれども、離別母子世帯の平均収入は百七十七万円なんですね。そして一般世帯の三九%にすぎないわけです。今回の所得制限で給付の二段階制というものが導入されるわけで、それによりますと、今度は年収が百七十一万を超えますと、百七十万まではいいんだけれども百七十一万以上になると大変差ができてくるわけですね。例えば年収百七十一万円と百七十万円の差というのはたった一万円にすぎないのに、今度の新しい改正では児童扶養手当がどうなるかというと、年間十三万二千円という開きが出てきて、そして今までよりも十三万二千円下がるということになってくるわけです。 母子家庭の母親の常用雇用の比率が非常にふえたというお話でしたけれども、まだまだパートで働いている人が多い。一カ所でパートしただけじゃ間に合わなくて、一日に二カ所もパートで働いてやっと何とか生活しているという人が多いわけでして、それで母子家庭、殊に離別の母子世帯はもう本当に経済的な基盤が弱いわけですね。パートをやっていれば雇用の安定もないし、また社会保険、労働保険の適用もない人が多いし、賃金は安い、労働条件もよくないということですから、本当に経済的な基盤が弱い母子家庭が多いわけです。そこへ所得制限の二段階制、それに基づく給付の二段階制を導入するということは、本当に子供の成長発達権というものを脅かすことになるのではないか。福祉を脅かすことになるのではないかと非常に恐れるわけです。 この二段階制を導入したということは、結局離別の母子家庭がふえてきて、そして国庫負担がどんどんふえていくから何とかしなければならないという財政のつじつま合わせというか、財政再建の名のもとに福祉を切り捨てるのだという批判が非常にあるわけなんですけれども、そういうことは絶対にないと言い切れますか。
○政府委員(小島弘仲君) 考え方を御理解願えればそういう御批判は当たらないんじゃなかろうかと、こう考えております。 離別の母子世帯、特に所得が低いところを平均いたしますと百七十七万ということでございますが、先ほどの御質問にもございましたように、二人である程度の生活をしていくには月に十四万かかるというようなことでございましたが、それが所得税非課税ラインと大体同じところだと思います。その辺のところには厚い手当をと申しますか、本来の三万三千円の手当を支給することにしておりますし、それを超えた場合に二万二千円ということでございます。 福祉の制度といたしましては、所得の状況を考えながら必要な、これは現金給付でございますので、そういう給付をしていくということは、やはり正しい姿ではなかろうかと、こう考えております。
○中西珠子君 これまでは母子福祉年金と同じということで、ずっと、所得制限はあったけれども、もっと高い所得制限のレベルであったし、そして給付の二段階制もなかったわけですね。これを差をつけて、経済的な基盤の非常に弱い離別母子世帯にこのような給付の削減というものを導入することは、どうもやはり財政的な理由が先行しているというふうに思えてならないわけですが、まあ水かけ論をやっていても仕方がないですから、次に移りたいと思います。 今回のもう一つの改悪の例は、支給期間を有期化したことですね。七年間ということにしまして、七年間たっても義務教育が終了しないときは義務教育終了までということだったわけでございますが、これは高校への進学率がもう九四%を超える、女性の場合はもう九五%を突破しているというふうな場合に、母子家庭の子供は高校へやってはいけないのかという抗議文や陳情が全国から来ているわけでございますけれども、この点は、今までどおり十八歳までは支給するということにすることができないのかどうか。大臣はどのように思っていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) これもこの改正案を組み立てる場合の考え方でございますが、やはりいろんな御議論のあるところでございますが、制度発足当時と比べますれば、母子家庭の自立の機会あるいは道ということも広くなってきている。そういう条件のもとに、自立を促進するような措置も講じながら、できるだけ母子家庭自体も自立の御努力をお願いしたい。 そこで、自立に必要な期間というのはどのぐちいの準備期間が必要かということで考えた場合に、生活保護の受給状況等を見ますと、一応七年程度で九割以上の方が生活保護のところから脱却なさっているという実態もございますので、一応七年間。これで自立なされない方もあることも承知しております。実態として六、七%の方はまだ自立なさらないという状況もあるわけでございます。その方々にもまた今後一層の御努力を願うということで一応七年間の有期制度というふうに仕組んで、今後一層その自立の援助措置を強化しながら、そういう母子家庭自体の御努力とも相まって、こういう有期の給付ということを踏まえまして自立の促進を図ってまいりたいと考えている趣旨でございます。
○中西珠子君 近年教育費がどんどんかさばってきまして、公立高校に行ける子はまだいいけれども、私立高校に行く子はどうしてもやはりなかなか費用がかかってどうしようもないということですが、高校はまるで義務教育ほどに普及しているわけですから、やはり高校に進学させて、そして卒業できるまでは児童扶養手当の支給というものを続けてもらいたいと思うのですけれども、いかがですか。
○政府委員(小島弘仲君) 七年間の枠内で十八歳までというような改正案を現在提案しております。もちろん義務教育段階であれば、七年を超えて義務教育終了時までは手当を差し上げるということで考えているわけでございますが、御指摘のように、高校はほとんど全入というような状況が生じていることは承知しておりますし、今後の就労を考えた場合、また母子家庭として世帯単位の自立を考えた場合、高校程度はぜひ卒業していただくということも、それは我々としてもそういう気持ちでございます。 ただ、そこは手当という形だけではなくて、一応現在でも無利子で修学資金というものの貸し付けを行っております。これにつきましても、御指摘のように私立高校、公立高校というような状況もございますので、貸付額についてもそういう配慮をしておりますし、また、このような児童扶養手当を従来受けていらっしゃった方には、手当相当額を高校在学期間中は上積みしてお貸しするというような制度も考えておりますので、これはやりっぱなしの給付金とは違いますが、無利子でございますし、例えば大学にお進みになるというような場合には、その返済の猶予期間もつけるという取り扱いにもいたしておりますので、ぜひこういうものを御活用願って、そういう御努力もお願いしたい、こう考えておるところでございます。
○中西珠子君 十八歳までは現行どおり続けるつもりの修正案を用意しているとおっしゃいましたね。そうですか。
○政府委員(小島弘仲君) これは、政府は、改革案の七年間の有期化ということで御審議をお願いしているところでございますので、まあ後は国会の御審議をお願いしているところでございますので、審議でどうなっていくかということについては、政府自体まだ何も存じ上げないところでございます。
○中西珠子君 この点はぜひ現行どおり十八歳までは少なくとも続けるように修正をしていただきたいと思いますので、委員長にお願いを申し上げます。 それから、貸付金のことは非常に結構な制度ではあると思うけれども、保証人の問題がありますね。この保証人が、なかなか母子家庭ではなってもらえないという困難さがあるのですけれども、保証人の問題については、何か特別の便宜を図るというふうなことはなすっておりますか。
○政府委員(小島弘仲君) 貸付金でございますので、保証という問題がどうしても出てまいります。ただ、これをできるだけ借りやすくするということで、物的保証は要らない、人的保証でお願いしているわけでございますが、特に、なかなか保証人を見出せないのではないかという御批判もございますので、母子家庭同士の相互保証というようなことを御活用願ったり、また、なかなかそういう道も見出せません場合には、母子福祉団体の御協力をいただきまして、その役員の方々に保証をお願いする、あるいは他府県の方でも構わないというような取り扱いで、隘路とならないような配慮をしておりますので、現在我々のところには、保証人が得られないので借りられないというような苦情は出てまいっておりませんが、なお、こういう運用については、本制度の趣旨が貫徹できますように十分配慮してまいるつもりでおります。
○中西珠子君 十分御配慮を願います。 次に、困った改正の点と思っているのは、離別した夫、子供の父親の所得による支給制限というものが導入された、この点なんでございます。私は、昨年の予算委員会におきましても、別れた夫、子供の父親ですね、扶養料の支払い義務の履行状況がいかに悪いかということは司法統計なども使いまして細かく述べたので一々また繰り返しません。しかし、厚生省の調査結果にも、結局養育費をもらっている離別母子家庭は二割ぐらいなものだということになっていますし、また、社会保障制度審議会が答申の中で、父親の養育費の支払いを確保する手だてについて別途検討するようにということをはっきりと言っておられるわけですね。これにつきましてはけさほどからいろいろお話がありましたけれども、現在どのようなことをやっていらっしゃるかということは一応わかっておりますけれども、現在、研究会の結論というものがいつごろ出るつもりでいらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) できればこの夏ごろまでというようなことでいろいろお願いをしておりますが、非常に難しい問題でございますので、多少延びるかと、こういうふうにも考えております。 いずれにいたしましても、我が国の場合、諸外国と違いまして離婚法制が違いますので、父の扶養義務の履行ということがなかなか諸外国ほどいってない。しかし、何と申しましても、本来的に父親としての責任を果たしていただいて、それの足りないところを公的に面倒を見るというのが本来は筋道であろうと、こういうふうに思われます。したがいまして、何とか父親の扶養義務の履行を担保できるような道を見出しましてそれを実施に移し、このような父親の扶養義務の履行が担保できるような制度をつくってまいりたい、こう考えております。
○中西珠子君 外国と離婚の制度が違う、また、父親の扶養料の支払い義務履行を強行する手段が外国にはある、制度としてもあるということをけさも伺ったし、前からも聞いておりますけれども、何とか、支払い義務を履行させる担保ができましてからこの第四条五項というものをもう一度提案し直すということにできませんか。 例えば、けさほど法務省からいらした方が、なるたけ家庭裁判所に訴えていただきたい、現行ではそれよりしようがないというようなことをおっしゃいましたけれども、家庭裁判所の履行勧告を受けても支払う者が三分の一、支払わない者が三分の一以上という現況なんですね。それで、日本における父親の扶養料支払い義務履行を担保するものは強制執行というものがあるかもしれないけれども、家裁の履行勧告制度というのは強制力がありませんから、本当に父親の扶養料支払い義務をきちっと果たさせるための担保というものは今何にもないわけです。これから結論が出まして、そして、それが施行できますようにとか、義務を履行させることが担保できますようにいたしますとおっしゃっても、これがまたいつになるかわからないわけですし、果たしてちゃんと確保の手だてができるかどうかもわからないわけです。ですから、この第四糸五項というものは削除して、父親の扶養料支払い義務の履行というものがちゃんと担保された段階においてもう一度出し直すということにしていただけませんか。
○政府委員(小島弘仲君) これにつきましては、我々としては、当初そういう扶養義務は履行されていないことを承知しながら、これにつきましては、やはり母親の方あるいは児童の御努力も相まって、何とかこういう履行をしてまいりたい、現行制度を活用しながらもということで考えていたわけでございますが、衆議院の御修正によりまして、その条項の施行は、父の扶養義務の履行状況あるいは所得の把握の方法等を勘案して、改めて政令で定める日から施行することにする。いわば本体の施行と切り離しましてこの施行を先送りにする、実態等見合わせながら、条件整備を待って施行するという御趣旨の修正が行われたところでございますので、我々はその修正を尊重いたしまして、できるだけそういう父の扶養義務の履行を担保できるような仕組みを何とかできるだけ早く構築し、その状況を国会にも御報告申し上げながら、それを待ってこの条項を実施に移そうということを考えておりますので、御理解いただければと考えております。
○中西珠子君 この第四条五項につきましては削除はできないけれども、衆議院段階で結局修正を受けたから、施行は本体の施行とは切り離して、そして父親の養育費支払い義務履行の担保ができた段階において施行するようにする。そして、それについても国会に諮るというお約束がはっきりできますか。
○政府委員(小島弘仲君) これは、衆議院段階の修正ができた場合どうかということについて大臣も御答弁申し上げておりますが、厚生省としての独断で実施することはなくて、国会にもその状況を御報告申し上げながらこれを施行に移したいといる御答弁をされておりますので、我々もそういう形で、むしろこの条項を先送りすることによって、そういう父親の扶養義務を担保をする道をできるだけ早くつくるという努力目標にしてまいりたいと考えております。
○中西珠子君 削除ができないんなら仕方がないですから、とにかく離婚制度そのものの検討も、また父親の扶養料支払い義務履行を担保する手だても早く確保していただきまして、そして国会に必ず報告をしてからこの四条五項は施行するというお約束と受けとめさせていただきます。 それから今度は、全額国庫負担だったものが地方負担が二割導入されるということなんですね。そういたしますと、結局どのような財政面での効果というか、影響があらわれるかという点と、それから手続面では、非常に財政的な面の考慮が優先してしまって、受給資格の審査が一層厳しくなって、一層プライバシーの侵害もふえて、そして新たに認定される分が減るばかりでなく、支給打ち切りになるのもふえるのではないかという心配が非常にあちらこちらから訴えられているのでございますが、自治省はどういう御見解か。 それから、地方の議会のレベルでこの児童扶養手当の改正反対、殊に地方負担二割導入反対という決議が非常に多くなされていて、それが自治省にも伝達されて、要請となってきていると思うんですが、この点について自治省の方の御意見を伺います。
○説明員(鶴岡啓一君) お答え申し上げます。 児童扶養手当制度につきましては、今回制度の見直しが行われたことを踏まえまして、他の児童福祉施策の地方負担等も勘案しまして二割地方負担を導入することにしております。この地方負担に伴う負担額は将来的にはだんだんふえていくわけですが、当面、昭和六十年度でございますと、政府原案の段階で約四億円弱といる負担でございまして、衆議院段階の修正後で約四億程度の負担でございます。これに伴います地方団体の負担につきましては、地方財政計画にその所要額を既に計上しておりまして、それぞれ各地方団体には地方交付税の算定を通じまして所要の財政措置を講ずることにしておりますので、いわばそういう財政面からこの制度の運用に障害が出ないように手当てしているつもりでございます。 それから、自治大臣に対します、いわば自治省に対するこの手当の改革に対する反対意見等につきましては、都道府県で七団体、それから市町村は約百団体から提出されております。これにつきましては、この制度の改革が起こりまして以来、いろいろ地方団体からも御意見が出されましたし、私どももそういう意見を踏まえていろいろ折衝に当たったわけでございますが、先ほど述べましたように、今回、いわばこの制度の見直しが行われたことを踏まえて地方負担が導入されることは最終的にはやむを得ないと考えておりますし、地方団体側も了解していただいていると考えております。
○中西珠子君 手続面で一層厳しくして、そして件数を減らすということを地方団体がやるのではないかという点についてはどうですか。
○説明員(鶴岡啓一君) この事務は、それぞれ法律に基づきまして市町村が県の指導を受けながらやっているわけでございまして、私どもは、先ほど言いましたように所要の地方負担につきまして、都道府県の負担につきましてはきちんとした財源措置を講じておりますし、今後とも講じていくつもりでございますので、その面からこの制度の運用が、何か法の趣旨に沿わないような形にはならないというふうに考えておりますし、財源措置につきましては、引き続き毎年度の地方財政計画の策定に当たって所要額を確実に財源保障していくように努力していくつもりでございます。
○中西珠子君 一層の御努力をお願いいたします。 時間も参りましたので、最後に一つお聞きしたいこと、お願いしたいことがあるんですけれども、母子家庭、殊に離別の母子家庭というものは非常に経済的な基盤が弱いということで、雇用機会もなかなか見つからない、仕事がなかなかないということですね。それから、子供を預ける保育所はなかなか入れてくれない。そのほかにやはり住宅問題が非常にある。母子家庭の者はなかなか公団の住宅にも入れないし、また公営住宅にも入れないし、ましていわんや高い民間のマンションにも入れないんだ、住宅問題が一番困るということを言う方もあるくらい母子家庭の住宅問題というのは早く解決していただかなくちゃならない問題であるわけなんですね。 それからまた、母子家庭であって、そして子供を抱えているけれども老人の介護問題というものもまた抱えている母子家庭もあるわけでございまして、動けない父親とか母親を抱えていながら子供の養育もしなければならないというふうな幾つも幾つも問題を抱えている家庭があることが全国から来ております陳情の中にも、本当にもう涙なしには読めないようなものがたくさん来ていまして、私の部屋にも住宅の方にも山積しているわけなんです。 ここでお願いいたしたいことは、母子家庭に対して、労働省の方は雇用対策、また職業能力の開発の面、それから就職のあっせんの面で大いに一層の努力をしていただきたいとともに、整合性のある政策をおとりになっていただきたい。厚生省においては、高齢化社会に関する整合性のある政策をとるために、労働省と厚生省が定期的に協議もすることにしたというふうなことをお聞きして大変結構だと思っているんですけれども、母子家庭につきましてもやはり整合性のある政策をおとりになっていただいて、住宅政策も含めすべて福祉の政策は整合性のあるもので、また労働省との間の緊密な有機的な連携というものもとってやっていただきたい。 この際、大臣の御決意のほどというものをお聞きしたいと思います。労働大臣はいらしていませんから、婦人の問題の所管の局の局長でいらっしゃいます婦人局長からお聞きしたいと思います。大臣、どうぞお願いいたします。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、母子家庭の対策につきましては単に厚生省のみならず各省にまたがる問題も数多くございます。特に、雇用の機会をふやしていくということが自立への道の最大の課題でもございますので、今後労働省ともよく連携をとりまして、十分な対策を考えてまいりたいと思います。
○政府委員(赤松良子君) 母子の福祉につきましての対策は整合性が必要であるということは、まさにそのとおりだと存じます。幸い厚生省と労働省との間の協議というような場もございますので、先生のただいまの御発言の御趣旨は大臣にもよく申し伝えたいと思います。
○中西珠子君 終わります。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、村上正邦君及び田代由紀男君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として竹山裕君及び添田増太郎君がそれぞれ選任されました。 ─────────────
○安武洋子君 私は前回の質疑で、この制度の支給率、こういうことを問題にいたしました。支給率などを問題にいたしましたのは、母子福祉に対しまして厚生省の行政姿勢、これが消極的ではないかという懸念を持つからでございます。これは私、根拠なく申し上げているわけではございません。母子世帯調査を見てみますと、「児童扶養手当の受給状況」、これは離別者で七五・四%です。そして、この手当を受給していない人、これは二四・六%です。さらに調査結果を見てまいりますと、この制度を知ったきっかけ、これが「市区町村の窓口など」、こういうのが三五・四%です。「市区町村の公報など」で知ったという人が一三・八%です。行政機関を通じまして制度を知る人、これが約五〇%です。こういう数字から見てみましても、国や自治体の親切な行政努力、積極的なPR、こういうことが今後とももっと必要ではなかろうかというふうに私は思うわけです。 その点どのようにお考えか。そして、努力をするというふうなことであれば、具体的にどのようなことをなさろうとするのか、こういうことをお伺いいたします。
○政府委員(小島弘仲君) こういう行政措置のPRと出しますか公報については、いろいろ工夫もしたり専門家の意見も聞きながら拡充を図っているわけでございますが、なかなか公報紙というものは読んでいただけないという問題もございます。したがいまして、一番確実なのは、やはり市町村の窓口等でやっていただくということがこれは重要なことだと考えております。 例えば、離婚のときに離婚の届け出が出てくる、あるいは死亡の届け出が出てくる、そうすると、母子世帯になった場合には児童扶養手当だけでございませんで、このような措置が行政上制度上準備されているというようなこともあわせてお知り願えるようなパンフレットをお渡しするというようなことも今後十分に考えていかにゃならぬ。市町村の窓口で御存じになったというのは、そういういろんな届け出というようなことを契機としていろいろそういう説明を受けたということだろうと思いますので、そのような配慮を今後とも体系的に実施していけるような方法をさらに検討してみたいと思っております。
○安武洋子君 今、パンフレットなどをつくってというふうなことをおっしゃいましたけれども、そういうパンフレットをつくって市町村の窓口に置く、そういうことをなさるわけですか。
○政府委員(小島弘仲君) これは全体の母子福祉施策のPRということで、今までも市町村ごとにお願いしているところもありますし、一番見やすい、また簡潔なというようなことで、今後とも工夫を凝らしてまいりたいと思っております。
○安武洋子君 じゃ、全国的に漏れなくわかるようにというふうなことで、私は簡潔なそして正確なパンフレット、こういうものを置いていただきたいということを要望いたします。 五十八年度の全国母子世帯調査で、母子家庭の健康状態、これが調査をされておりません。一体母子家庭の健康状態はどのような状態であるという把握でございましょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、御指摘のように健康状態というのは、全国母子世帯の調査の中では取り上げてございません。しかし、国民健康調査というものの中で世帯のある程度類型別の調査も実施しております。 例えば、昭和五十八年の国民健康調査によりますれば、調査対象世帯全体のうち傷病者、病人の方のいらっしゃる世帯は三一%ということになっておりますが、母子世帯について見ますと、傷病者のいる世帯が二一・八%、この辺のところは世代の次元の差もありますので一概にどっちが多いということは言えませんが、この調査で見る限り、一般世帯に比較して、母子世帯が特に健康状況が悪いという状況ではないのではなかろうか、こう考えております。
○安武洋子君 私は調査不足だと思いますよ。私は、神戸市の五十二年の「母子家庭実態調査」、これ持ってきております。これを見てみますと、母子家庭の世帯主の三一・六%が健康状態がよくないというふうに答えているわけですね。大部分は医師の診断を受けているわけです。経済的理由等で治療を受けていないというのは一・九%にすぎない。全体の三一・六%、これが健康状態が悪いというふうに答えているわけです。 しかも、重大なことといいますのは、収入別に健康状態、これが出ているわけですけれども、これを見てみますと、一般的に低収入世帯になるほど健康状態が悪くなって、そして受診率が高くなっているんです。例えば百万円未満、ここの世帯主を見てみますと、医院・病院にかかっているという人が二七・八%です。それから百万円から百五十万円、これが二〇・一%です。それから百五十万から二百万、これが一六・〇%です。この数字からごらんいただいてもおわかりのように、百万円未満の世帯は受診率が二七・八%というふうになってくるわけですね。そして、百五十万から二百万円が一六・〇%。これでも大変多いです。 私はことで大臣に伺いとうございますが、こういうふうに大変苦労が多いから健康を害するというふうなお母さんたちが出ているというふうに思いますけれども、大臣はこの数字を今お聞きになったと思うのですが、どのような感想をお持ちでございましょうか。
○国務大臣(増岡博之君) やはり経済的に恵まれない方々というのは身体的にも無理がありましょうし、また、同じ治療を受けますにしても時がおくれるということもございましょうから、先生御指摘のような数字が現実の姿であろうと思います。
○安武洋子君 ですから私は、厚生省もこういう状態をきちっとやはり調査をして、把握をしていただきたいというふうに思うわけです。 そこで私は、地元で母子家庭の実情を調査してまいりました。昼はスーパーで働く、そして夜はまたスナックのお皿洗いをするというふうな二重パート、こういうことで就労している人たち、こういう人も多いわけです。パートの収入で生活ができないというふうなことで、児童扶養手当、修学援助と、こういうことでやっと子供を学校に行かせているという家庭も非常に多うございます。今度こういう法案が出ていますけれども、それについて一体母子家庭のお母さんはどのように思っているかと、尼崎市の母子家庭のお母さんたちにずっと聞いたんです。そうすると、意見はいろいろ出てきますけれども、集約をしてみますと、一つは、手当が減らされては大変だという意見です。その一方で、少し収入がふえると打ち切られる、これも大変だということです。それから二番目としては、せめて子供は高校にやりたいんだ、母子家庭だから進学できないというふうに侮られるのは困る、そういう面と、子供に将来非常に望みを託すという面と両方あります。しかし私は、いずれにしましても今は高校にやるというのは、これは普遍的な状態、普通の状態というふうに思うんです。こういう母子家庭のいろいろある願いの中でも、この二つというのが非常に大きな願いなわけです。 私は大臣にお伺いしたい。この母親の心情はおわかりでございましょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のようなお気持ちは、まさにそのとおりだろうとお察しいたします。
○安武洋子君 私は、おわかりいただければおこたえをいただきたいということになるわけなんですが、さらに続けます。 母子世帯調査、これでも子供についての悩みがあるということで答えた母子世帯というのは六八・七%、前回調査されておりますよりも一〇%近くこの数はふえているというふうに思うわけです。その最大の悩み、母子家庭が最大の悩みと思っていらっしゃるというのは、どういうことでございましょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 子供についての悩みで最も大きなのは、教育、進学の三五・九%でございます。
○安武洋子君 そこで、神戸市の母子家庭実態調査、ここでも、「現在、因っていること」ということで調査をいたしておりますけれども、これは、「一番困っていること」、「困っていること」、「やや困っていること」の三段階に分けて調査を行っております。これによりますと、「「一番困っていること」では」、第一位が「子供の教育、しつけ、進学」でございます、四三・八%。第二位が「生活の維持」で二五・四%と、数字がうんと落ちるわけです。さらに設問が「「二番目に困っていること」では」というふうに聞いているわけですね。ここの第一位もまた「子供の教育、しつけ、進学」、こういうことで二〇・三%です。それから「「三番目に困っていること」では」ということで、「余暇かない」というのが出てくるわけで、因っていることの合計を見てみますと、第一位が「子供の教育、しつけ、進学」、これが三二%に上ります。そして二位が「生活の維持」、一五・一%、第三位が「余暇がない」、一四・〇%、第四位に「医療費」、一二・八%、第五位に「住宅」、一一・六%と、こういう数字が出てまいっているわけです。 これからおわかりのように、一番困っていることが、先ほどからも申し上げておりますけれども、一番の悩みが「教育、しつけ、進学」で、お母さんの心情がわかると大臣もお答えいただいたわけです。 私は、一番のこの悩みに対して政府もこたえるべきということで、こういう希望に沿いまして高校卒業までは児童扶養手当、これを支給すべきでないか、このように思いますが、いかがですか。
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、御指摘のように母子家庭の一番の悩み、あるいは困っていることというようなことには、進学問題、しつけの問題があろうと思います。ただ、この問題につきましても、生活の維持との兼ね合いを見ましても、金銭問題だけではなかろう、いろいろな中身があろうと思いますので、こういう悩みにこたえられるような相談指導の体制というものも十分考えていかなきゃならぬ。 また、実質的な、経済的な面で申し上げまして、このような高校進学のための修学資金という面につきましては、現在既に母子福祉資金の中に修学資金の貸付制度というものを用意してございますので、そういうものの御活用を願いながら、行政的な、あるいは母子福祉団体の指導相談というようなことが十分行き届くような配慮をしてまいりたいと考えております。
○安武洋子君 貸付金はあくまでも貸付金で、これは無利子といえども返済をしなければならないということなんですね。ですから私はそうではなくて、高校卒までにすべきだということを申し上げておりますが、この点はいかがなんでしょうか。
○政府委員(小島弘仲君) この制度内部につきましても、現在七年間ということで改正を御提案申し上げております。現行制度は十八歳までということになっておりますが、そういたしますと、例えばその支給期間を、子供が高校にいるときには高校修了時まで延ばす、あるいは子供が勤めたり学校に行っていないという状況の場合には十八歳で打ち切るというようなことについての妥当性ということが問題になりますので、制度全体の中でもう少し、どういうやり方が妥当かということをさらに詰める必要があろうと、こう考えております。 当面の措置といたしましては、これはおっしゃるように貸付金ではございますが、無利子で、無理のない返済方法というようなことも考えておりますし、特に引き続き大学に進学なさる場合には、返済期間をその間猶予するというような措置も講じておりますので、こういう制度の御活用を願うというのが筋じゃなかろうかと考えております。
○安武洋子君 当面と承りましたので、私は、お母さん方が一番困っていると、こういうことですので、私はこのお母さん方の悩みにまずこたえるということで十分検討をして、そしていい答えを出していただきたい、そのことを要求しておきます。 所得制限とか手当額、これはこのまま据え置くというふうなことを考えてなさるんでしょうか。私は、所得制限の強化とかそれから二段階制手当額の削減、これには絶対に反対です。私はそういうことの改善とともに、今後も母子家庭の実情を十分に踏まえて、実態と要望、これを踏まえて物事はちゃんとやっていかなければならない、法律だってそうなんですよ。そういう改善を求めますが、この点いかがですか。
○政府委員(小島弘仲君) 所得制限につきましても、本来のと申しますか、三万三千円の手当を支給する層は所得税非課税世帯ということで、この限度額が引き上がりますれば当然そこは引き上げることになります。また、その上限の、ここで減額の手当も支給しないという三百万も、普通の生活状況と意識なされている二人世帯の年間収入金額が三百万円でございますので、それが変わればそれに合わせまして改善ということは考えていく所存でございます。 また、手当額につきましては、これも財政要求もあります。さらには社会保障上、全体の財源配分の問題もございますが、生活保護の状況とか物価の状況等も勘案しながら、この手当制度が意味のある役割を保ち続けられるような改善は当然図ってまいるべきものと考えております。
○安武洋子君 母親と十八歳未満の子供の世帯のエンゲル係数、これは全国平均よりも四%ほど高くなっているという事実が示すように、大変母子家庭、十八歳未満の子供を抱えた世帯というのは苦しいわけです。 私は厚生省にお聞きしますけれども、国会にも多くの請願が出されております。制度改悪に反対だというふうな内容が出されていると思いますけれども、これは当事者、母子家庭のお母さんたちがこの改正に、私どもは改正とは思わないわけですが、本法案に賛成だと、こういう意見がこざいますか。
○政府委員(小島弘仲君) 文書でいただいたものあるいは関係のところから来たものについては、この改善をということよりもむしろ改善に反対という御意見が文書で寄せられているということでございます。
○安武洋子君 賛成はないということでしょう。
○政府委員(小島弘仲君) いただいている文書の中ではございません。
○安武洋子君 だから、当事者が望まないことをしようとしているということがはっきりするわけです。この制度の見直し、これは私は臨調の答申に基づきまして弱者を切り捨てていくという以外の何物でもないというふうに思います。 母子家庭を考えてというものでないというのは先ほどの御答弁でもわかるわけですけれども、臨調答中は、児童扶養手当の社会保障政策上の位置づけ、これとそれから費用、この点についてどのような答答申出しておりましょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 臨調最終答申が昭和五十八年三日十四日でございます。その前にもちょっと触れたものがございますが、これが一番詳しいかと思います。その中では、児童扶養手当につきましては、「離婚の増加、女性の職場進出の進展等の変化を踏まえ、児童扶養手当の社会保障政策上の位置付けを明確にし、手当支給に要する費用の一部についての都道府県負担導入問題について、早急に結論を得る。」という御意見をいただいております。
○安武洋子君 社会保障政策上の位置づけなど制度の根本的な見直しということにつきましては、本来これは社会保障制度審議会とか中央児童福祉審議会とか公的な機関で検討されるべきものだと思うんですけれども、私は公的な機関、これが全く形式化されてしまっているのではないかというふうに思います。 臨調答申を受けまして厚生省は児童福祉問題懇談会、これを設置して検討に着手をいたしましたけれども、この懇談会の報告の要旨、結論、これはどんなものでございましょうか。時間の関係上簡単に。
○政府委員(小島弘仲君) 児童福祉問題懇談会の報告の要旨でございますが、それは要するに、福祉施策としての独自の役割を十分に発揮できるようにさせろと、従来の母子福祉年金制度の補完的機能ということから離れて、「母子家庭の生活の安定と自立の促進を図り、もって児童の健全育成に資することを目的とする福祉施策として独自の役割を担うべきであると考える。」、こういう基本的な考え方で、さしあたり「次の諸点に留意することが必要である。」として、 ① 児童の年齢を考慮の上、手当の支給について有期的な考え方を導入すること。 ② 手当の金額及び所得制限については、年金とは別に、対象者の必要度を考慮した妥当なものとし、その際、例えば、段階的な仕組みを導入すること。 ③ 離別した場合であっても親は子に対する扶養義務を有するものであり、それを前提とした仕組みとすること。というような御意見をいただいております。
○安武洋子君 要するに、厚生省はその結論どおりを法制化しているわけなんです。 この懇談会の結論というのは、これは初めから決まっていたのではありませんか。
○政府委員(小島弘仲君) 臨調答申も受けましたし、先ほど来申し上げておりますように、補充する対象でございました母子福祉年金制度というものがなくなるわけでございますので、こういう状態を機会に、今後どうあるべきかということで御論議願ったわけでございますので、まず初めに結論ありきというものではございません。十分な御議論の結果、こういう考え方が妥当ではなかろうかという御意見をいただいたところでございます。
○安武洋子君 そうはおっしゃいますけれども、結論が臨調答申に沿って出ること、これは初めから決まっていたようなものであるというふうに私は思います。 といいますのは、懇談会のメンバー、これを拝見してみると、六人おられるわけです。この六人のうちの三名が官僚出身者です。そのうちのお一人というのが、これは埼玉県副知事の松永緑郎さんですね。この人は知事選挙で自民党公認で出たお方でございますね。こういうふうなことであれば、これは最初からこの結論どおりに物事がいくというふうな懇談会の仕組みではございませんか。
○政府委員(小島弘仲君) 臨調御指摘の問題もございますし、地方負担という問題も御討議願わなくちゃならぬということでございますので、地方行政に堪能な自治省OBの方などのほかに、特に実際の都道府県行政をなさっていらっしゃる立場から、当時埼玉県の副知事でいらっしゃった松永さんにも参加を願ったという経緯がございます。
○安武洋子君 そういう理由づけをしていくと、私は、だれでもいい、しかし自民党公認で選挙に出られる、知事選挙に出られた、こういう人を入れる。そのあと三名は元官僚です。児童福祉問題懇談会の名簿、これを見ると、今言ったような埼玉県の副知事であったり官僚出身者、こういうことになりますと、私は、臨調答申もこれありとおっしゃいましたが、臨調答申どおりの結論、それが答申として出てくる仕組みというのが明らかにここにもあるというふうに思うわけです。これは何もこの問題に限っただけではなくて、今政府がいろんな懇談会だの諮問機関だのといろいろおっしゃいますけれども、ほとんどがこういうふうな形で運営されているということについて、私はこういうやり方というのは正しくない、お母さん方の意見が反映しないではないかというふうに思うんです。 なぜこの委員に、こういう問題であるのに、婦人が一名も入っていないんでしょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 制度の仕組みとして考えて、できるだけ絞ってということを考えまして、官僚OBとか大会社とおっしゃいますが、制度当初から携わっていたような厚生省の当時の担当局長の方とかを参画願って御論議を十分願った。その過程におきましては、個々のお母様方ということがなかなかうまくいきませんでしたが、母子福祉の第一線に従事している女子の相談員の方々などについても意見を聴取するというようなことで、できるだけ実態を踏まえた改正ということを心がけて検討に努められたと伺っております。
○安武洋子君 いえ、この制度というのは、名実ともに母子福祉に関する制度のはずでございます。それなのに委員に婦人を一名も入れない、こういう懇談会であるということは大変おかしいんじゃなかろうか、不思議ではないかというふうに私はお伺いをいたしております。この点はいかがなんですか。
○政府委員(小島弘仲君) 対象者の範囲の問題とか何かということでいろいろ考えた結果こういうことになったかと思いますが、今後やはり、大臣からも御答弁申し上げておりますように、婦人の方々もできるだけ参加願うような仕組みでの運営というものを考えてまいりたいと考えております。
○安武洋子君 私は、こういうふうになってきたということには理由があるというふうに思います。それは、この制度に関連して設置されましたのが、もう一つが離婚制度等研究会でございます。この離婚制度等研究会と比較すれば、この懇談会がなぜこういうふうなことになってきたかという性格というものがはっきりいたします。 この離婚制度等研究会、これは八人委員がおられます。この中に婦人が三名加わってなさいます。この経歴とか綱領を拝見いたしますと、非常に先ほどの懇談会とは違うなという感じがするわけなんです。学識経験者で構成をされております。いわゆる学識経験者と言われる方たち。離婚問題、これは民事に関することです。それで、一応括弧づきながら民主的な配慮がなされていると思います。しかし事国庫負担、国の財政制度に大きく関係すること、こういうことを検討する場合、これは官僚出身者を主軸にしまして私的諮問機関の構成をするというふうなことをあなたたちはやってこられている。非常に政治的だと言わざるを得ないわけです。 私はこういうふうに思いますけれども、大臣はこの批判に対してどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 母子家庭のことにつきましては、男性の中にも十分実情をよく御存じの方があるわけでございまして、特にこの懇談会につきましては地方にも一部御負担をいただこうということでございましたので、そういう意味合いから、諸制度に詳しい方々に出ていただこうという結果で、こういう姿になったものと思うわけでございます。 ただ、一般的に申しますと、御指摘のように、やはり女性の方に委員に加わっていただくということは、これは政府としてもその方向で検討いたしておるわけでございますので、今後の課題といたしましては、できるだけ知識の深い女性の方に委員になってもらうことが適当であると考えております。
○安武洋子君 私ども、私的諮問機関、こういうものを設置していくということにつきましてはこれは反対でございます。設置するならやっぱり公的諮問機関あるいは検討委員会、こういうものを設置すべきであるというふうに思うわけですけれども、その場合にも、構成によりまして誘導装置的なものになる、そういう役割を果たすということがあるわけなんです。ですから、やはり広く国民の意見が反映するように、民主的にこういうものを私は設置をすべきである。 大臣もその中に女性を加えるというふうな御回答がございましたけれども、これは何も児童の問題、婦人の問題に限った諮問機関だけではなくて、一般的な諮問機関の中にも女性を登用していく、こういうことでなければならない、この点を私は御要望申し上げますが、大臣の御答弁を聞きまして、残念ながらこれでもう時間が来てしまったんですね。まあ大変短い。よろしくお願いします。
○国務大臣(増岡博之君) 先ほども申し上げましたように、一般的にそういう考え方で参りますと言ったわけでございますので、御指摘の点は十分心にとどめてまいりたいと思います。
○藤井恒男君 私ども、衆議院段階、それから本院におきましても同僚議員があらゆる角度から質問してまいりましたので、重複を避けまして二点ほどお聞きしておきたいと思います。 その一つは、所得税の非課税世帯の手当額が三万三千円となっているわけですが、これまでは母子福祉年金にスライドしてその額の改定がなされてきたわけですね。しかし、国民年金法の改正が成立しまして、六十一年度以降は母子福祉年金は基礎年金に統合される、こういうことになりますので、従前の額の改定のよりどころがなくなることになるわけです。したがって、六十一年度以降この手当額の改定をなす場合には何をよりどころにしてやっていくことになるのか、どういう基準を定めていこうとしておられるのか、このことをお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(小島弘仲君) 確かに年金でございますと、拠出制の年金につきましては物価スライドというようなことがございますので、それを受けまして母子福祉年金についてもそういう横並びの改善が図られてきた、それに合わせてこちらも改善を行ってきたという経緯がございます。しかし、年金と違いまして直ちに物価スライドというわけにもいかぬ性格のものだというふうには考えております。 先日来の御質疑でも、現金給付ばかりでなくて、母子家庭を含めて広くいろんな必要な施策を充実していけという御指摘もございますので、必要な社会保障制度全般の中での財源の配分ということになろうと思いますので、その限りでは一般的な財政上の制約も受けます。しかし一方では、生活保護とか児童の養育費の問題もこざいますので、そういうもの等の動きを見ながら、この手当を文給する趣旨が損なわれることのないように、やはり必要な改善措置に十分努力してまいりたい、こう考えております。年金のように画一的な明確な基準というものはございませんが、全般の中での位置づけということの兼ね合いの中でできるだけの改善を図るような努力をしてまいりたいと考えております。
○藤井恒男君 今すぐにというものは手持ちじゃないと私も思うわけだけど、ただ、今まではきちっとした基準があったわけでしょう。あなたの今のお話だと、どちらかといえば全体の原資を見つめてということになるわけなんだよね。これは今までも多くの同僚議員が指摘してきたように、また我が党も衆議院段階で、もっとこれを高くすべきじゃないか、三百円ということでは手厚くということにはならぬじゃないかということをしばしば指摘したわけです。 だから、当然これは見直し、改定していかなきゃいかぬわけだから、全部の原資を見てということじゃなく、前段であなたがおっしゃったように、子女の養育費の問題、そのときどきの状況等を勘案して、やはり何かよりどころというものをつくっていくべきだというふうに私は思うんだけど、今すぐにそれをここに出せということは私は無理だと思う。しかし、時間をかけて適切な、また、得心のいくものをつくる努力をするということについて、いかがですか。
○政府委員(小島弘仲君) 確かにこの制度自体を単独で見ますと、先生御指摘のように、やはり生活保護のレベルの問題とか物価の値上げの問題とか、一般的な国民の生活レベルというようなことを考えながら運用していくのが最も妥当ではないかという御判断、これはごもっともだと思います。 その中で、やはり全体としての施策の中で、それだけで貫徹できるかということになりますと、現金給付だけじゃなくて、同時にさまざまなサービスというようなことがなければこの手当を支給する趣旨も失われてしまうという問題もございますので、そういうことの兼ね合いも考えながらということにならざるを得ませんが、当然先生御指摘のような生活レベル、それから物価、生活保護の状況、児童の養育費の状況ということを念頭に置いて、この手当の実質的な意味が失われることのないような改善の努力というのは当然我々の責務であろうと考えております。
○藤井恒男君 あなたは非常に生まじめで正直な人だから、一生懸命言っておられるけれども、この趣旨というのは新たにできるこの法の趣旨ということだろうと思うんで、もちろんそうでしょう。しかし、あなたの言外にあるように、もろもろの実態、これは三百円じゃ、あなたも実はじくじたるものがあると思うんで、その辺もよく考えてやってもらいたいと思います。 次に、手当の支給期間ですね。七年間ということになっているわけだけど、七年の範囲内であればこれまでどおり十八歳に達するまで給付が受けられますが、仮に高校在学中に七年の期間が到来したときは、その後は母子福祉資金による修学資金のほか、児童扶養手当と同じ額を児童扶養資金として無利子でお貸しすることとしており、母子世帯が高校修学でお困りにならないよう配慮しています。これは原案ですね。原案で、七年となった場合にはこういうふうにしますよと、要するに高校にかかっている人については、その人たちに、新たにできるところの資金を無利子でお貸しします。また、児童扶養手当と同じ額のものを供与しましょう。こういう趣旨だと思うわけです。 この委員会も、もうほどなく質疑が終局するわけです。これまで理事会でもいろいろ論議してまいりまして、この後修正提案がなされると思うわけなんだけど、大体これまでに話し合ってきている趣旨からするならば、この児童扶養手当の支給期間は期限を設けない、従前どおりというふうになろうかと思うわけだけど、そうなったときでも、それなら、例えば十八年ということになるわけだけど、まあ普通でいえば高校卒業は十八ですわな。ところが、早生まれの人たち、これはかかっていくわけでしょう。また、高校で不幸にして留年したりあるいは病気をすればこれは延びていくわけだ。したがって今私が申し上げた趣旨のことは、この法案が先ほど申したように従前どおり十八年間と修正されても、引き継がれるようにすべきだと私は思う。政府からすれば、あなたの性格からすればなかなか答えにくいから、これ、大臣政治家だからお答えになったらいいと思うんだけど、そうなったら、なったときでもやっぱりこれは生かさなきゃいかぬ。 それからいま一つ、役所の仕事、大切な税でございますから手続というものは当然ついて回ることだけど、手続というのは非常にうるさいですわな。とりわけ仕事を持ち子を持つこういった家庭の方たち、一々細かいことを書いたり、大変なことだと思う。だから、せっかくこういう措置がとちれるなら、本人が希望しなきゃ別だけど、希望すると言えば自動的にこれができるように、煩雑な手続を要せず自動的にできるというような温かい配慮が私は必要だろうというふうに思っているわけです。したがって、その辺のところ、あなた答えられるなら答えてほしい。
○政府委員(小島弘仲君) 現在でも十八歳で打ち切っておりますので、高校在学期間中に児童扶養手当が切れるという問題がございました。現在でも修学資金の中で特別加算という制度を設けまして、従前も児童手当の支給を受けていたのであれば、それは加算して修学資金と一緒にお貸しするという取り扱いをしておりますので、こういう取り扱いは、事態のいかんを問わず今後とも継続する形になろうと思っております。 それからもう一つ、せっかくの手当なので借りやすいようにという御指摘、ごもっともでございます。利子をとるものでもございませんので、できるだけ簡潔にする。ただ、これはあくまでも質付金でございますから、最低の手続はお願いしなきゃならぬ。先生の御趣旨を体しまして、さらに手続の簡素化については努力してまいりたいと思います。
○藤井恒男君 終わります。
○下村泰君 本法案にはちょっと関係ないんですけれども、大変私は気になりましたので、AIDSということについて二、三お伺いして、それから入りたいと思うんです。国民の健康を全部管理する厚生省さんのことなんですから、こういう問題にはむとんちゃくでいられるはずがないので、ひとつ伺いたいと思います。 これは新聞の報道なんですけれども、ことしの三日の二十二日に京都大学ウイルス研究所の方々が、AIDSの病原体が血友病治療の血液製剤を通して我が国に輸入されておる、こういう研究の成果を発表していらっしゃいます。そして、同じ新聞の報道のこれは五月二十二日、今月でございます。この報道によりますると、私は血漿というのはある程度のものにしか使われないのかなと思ったんですけれども、これを読んでみますと、 これを分離して精製したものが血漿たんぱく製剤で、やけどや出血によるショック状態の応急処置に使われる。しかし、こうした本来の使い方のほかに、たんぱくを合成する能力が低下した肝臓病の患者とか、末期ガン患者の延命など、必ずしも必要ではないとみられる患者にも安易に使われることと、規制がないことが重なって使用量は年を追って急激に増加している。 と、しかもほとんど輸入に頼っている。ほとんどアメリカとかカナダから来るらしいんですが、 アメリカでも、もちろん、赤十字が献血によって血液事業を行っており、公益法人的な血液銀行も預血という方式で採血にあたっているが、これらの機関の血漿よりも売血所扱いの血漿の方がはるかに多い。肝炎ウイルスは加熱処理され死滅、梅毒の病原体も活性を失うが、血漿からエイズに感染する可能性はある。 こういうふうに報道されている。 そこへもってきまして、二十八日の火曜日、きょうの、これやはり同じ新聞社が取り扱っているんですけれども、「福島県内の総合病院で先月下旬に死亡した男性血友病患者について、「AIDSだった疑いがまことに強い」」と、厚生省もこれ認めていらっしゃる。そして、その前に帝京大で扱った患者二名についてはAIDSと断定できないとしてシロの判定が出たけれども、帝京大の教授がアメリカの方へ血液を送って調べてもらった結果、やはりAIDSの可能性がある、こういうふうに確認された。 こういうふうになりますると、今も申し上げましたように、この血漿がいろんな形によって病人に投与されてくる、こうなりますると、いつ、どこで、どんな状態でAIDSに感染しないとも限らない。厚生省は、これからどういうふうにこれに対処していくお考えですか。それをまず聞かせてください。
○政府委員(小林功典君) ただいま先生のお話にございました、これは血漿分画製剤というものでございますが、確かにおっしゃるとおり、現在はその大部分を輸入に依存せざるを得ないというのが実情でございます。この原料について、できるだけ献血で賄おうということで鋭意努力をしておるところでございますが、現在輸入しております血液製剤について、その原料の血液をとります場合に、供血者に十分な問診とかあるいは健康診断を行うとか、そういう十分なチェックをして、そういう証明のあるものだけを輸入するという手当ては、今行政指導をやっております。 それからさらに、今お話しのございました血友病患者に使われます血液凝固因子製剤というものがあるんです。これは血友病患者にどうしてもなくてはならない薬でございますが、これも確かにそういう危険性がありますものですから、前からこの製剤の安全性を高めるために、研究の成果からいいますと、これを加熱処理、熱を加えますとそのウイルスが不活化するという研究が今進んでおりまして、当面の措置でございますが、これをとにかく進めたいということでやってまいったわけですが、現在数社から、もう既に新しい改良型の製剤の承認申請が出ております。さらに後ほどまた出るのもありますけれども、そうなっておりますので、なるべくこの承認の事務を急ぎまして、できるだけ早い時期、私ども秋ごろまでには承認がおろせるだろうと、こういうふうに思っておりますが、とにかくそれを急いでAIDSの感染の防止を図りたい、こういうことで、今対策をいろいろ考えているところでございます。
○下村泰君 まだ断定的なあれはないんですか。つまり、ただいまも新聞記事をお読みしたんですけれども、これによりますると、加熱処理をすることはできても、血漿からAIDSに感染する可能性はまだあるというふうに言われているんですが、これに対して、断定できますか、こういう方法で、こういうふうになればこの秋ころにはと今おっしゃいましたけれども。
○政府委員(小林功典君) 現段階の研究成果を見ますと、加熱しますとAIDSのウイルスが不活化して安全になるという研究でございます。ただ、今申請が出たばかりでございますので、それを例えば中央薬事審議会等でいろいろ議論してもらいますけれども、これができればまず安全になるだろうと思います。
○下村泰君 僕が心配するのは、例えば血友病というふうに限られた病気に対して血漿がそういうふうに有効に使われているならともかくも、今も申し上げましたように、何ら必要性のないものにまでこれが簡単に使われるということなんで、そこのところが怖いんですよね。やけどだとか単なるショックだとか、そんな鎮静剤程度のものに使われるとして、それが何かのはずみでこういう病気にもし取りつかれたとしたらこれは大変なことですよ。おたくだって何もないとも限らないんですからね、何かのはずみで。いや、私はホモじゃないって言たってそうはいかないからね。だれでも、自分がホモだからどうのこうのというわけじゃないでしょう、これ見ると。こういう症状のときにこういう使い方もあるんだということをちゃんと証明しているんですから。そうした場合に、もし感染したらどうなりますか。そのことを私は考えている。
○政府委員(小林功典君) AIDSの話は、かなりセンセーショナルに報道されていますのでちょっと誤解があると思うんですが、先ほど申しました血漿分画製剤というのは、中にいろいろな種類がございます。それで、例えばアルブミンとか免疫グロブリンとか、それから今の血友病患者用の血液凝固因子製剤と、幾つかあるわけでありますが、先ほど先生が挙げられましたような例に使われますのは、これはもう既に熱を加えたりしていまして、それはAIDSの危険性はございません。問題の、問題というか、AIDSの危険性がありますのは血友病患者に使われる血液凝固因子製剤だけでございますから、その点ほかの方は、確かに本当に必要な人以外にも使っているんじゃないかという御意見のあることは承知しておりますけれども、AIDSに限って言いますと、そこら辺は危険はありませんで、血液凝固因子製剤を改良すればまずは心配なかろうと、こういうことでございます。
○下村泰君 それなら安心ですが、安心させておいて後で出てきたら私は承知しないよ、本当にもう。どうもありがとうございました。 それじゃ、今度の児童扶養手当の改正点で論議されている点というのは、七年間という期限と、それからやはり所得制限の百七十一万にあると思うんですよね。これはもう局長の方もよく御存じでしょう。もうずっと過去、衆議院から参議院の段階でやられてきています。しかし、各委員の方々が同じことを同じように質問するということは、そこに対する、この手当を受けている家族の方々が、いかにこれは私どもにとって不合理かということなんですよね。ですから、もう局長はわかっているからくどく申しませんけれども、ただ何も言わないというのはどうも都合が悪うございますから多少言わせていただきます。 母親と十八歳未満の子供のみの世帯で、五十七年、五十八年の一カ月の平均収入というのが私の手元の資料にあるんです。これまた一々そちらにお尋ねしていると時間がかかりますから申し上げませんが、五十七年の場合、実収入が十八万三千百八十五円。一カ月ですよ。そして五十八年が十八万九千八百五円。幾らもふえていません。これだけの収入なんですね。これ例えば十カ月したらもう百八十万になるんですよ。だから百七十一万というのは一体どこから計算したのかね。これが私にはわからない。 私なりに試算をしてみたんですが、神奈川県に住んでいるのと東京に住んでいるのと、両方一人ずつ調べてみた。例えば東京でお米を買いますと、三千円台からあるそうです。四千円台、五千円台。十キロ五千百七十円というのがある。これ、おまえの家はどのぐらい食べるのかと言うと、十五キロ食べると言うんですね。そうしてお米代を出してみますと、一カ月に七千七百五十五円かかるんですよ。そういったような計算の仕方をしていきまして、光熱費なんかも、少なく見て一年間十九万二千円、授業料七万六千円、副食が毎日千円として三十六万五千円と、こう出てくるんです。これ全部足していきますとどうにもこうにも、これしか入ってないんですからね。このほかに健康保険だ何だかんだと、いろいろの社会的に生活する上に必要な経費を払っていく。どうしたって百七十一万じゃ上がらないんです。何で百七十一万というのが決まっているのか、どうにもこうにも腑に落ちない。ちょっとそこのところを説明してください。
○政府委員(小島弘仲君) この百七十一万と申しますのは、二人世帯、今お尋ねのようにお母さんと十八歳末価の子供のという形の二人世帯の所得税の非課税限度額でございます。ここから上の所得があると所得税がかかる、ここまでは所得税がかからないという限界値でございます。したがいまして、所得税非課税世帯という形で一応百七十一万という線を出したということでございます。
○下村泰君 もともとその計算の仕方が間違いでしょう、根本的に。そこのところを非課税対象にしちゃったということが間違いなんだ。それを基本にしてこちらはやるからこういう結果になるわけでしょう。本当は非課税限度というのはもっと上げていいはずなんです。それをできるだけ税金を取り立てる、つまり取り立てられているみたいなものですからね、こっちは。だから税務署は取り立て業みたいなものなのよ。やたらに取り立てられる。取り立てる方にしてみれば、できるだけ非課税限度を低く抑えておけば、それだけ取れるんですからね。局長、うなずいちゃだめよ、あなた、税務署じゃないんだから。そういうふうにするために非課税の限度が低くなっているんだ。だから、そういうことを基本にしてやったんでは僕は福祉の意味がなくなってくると思うんですよ。ですからこれがもう少し上がらないか、今一番の問題はそこだと思うんですよ。 それから、ここに「国政統計ハンドブック」というのがあります。五十九年版。これを見ますと、「家計・生活」というページがあるんですね。その「地域別一世帯当り一カ月間の支出」、これ五十八年。全国を幾つかに分けています。「人口五万以上の都市」とか「大都市」とか「中都市」とか「小都市」とかとランクをつけている。その中に「関東」というところがあります。「関東」というところを見ると、一カ月の消費支出が二十七万五千十円となっていますね。これだけなきゃ生活できないわけだ。それから今度はその次のいわゆる学校にかかる経費ですよ、五十七年度。「児童・生徒一人当たりの年間教育費。」と書いてありますから。公立高校の全日制で二十万七千八百十円。これが私立高校になりますと四十八万一千三百七十六円。これだけ取られるわけです、教育費が。これ五十七年度ですからね。今はもっと上がっているでしょう。こういうふうに教育費がたくさんかかるわけですよ。 今もずっと論議されておりますとおり、今どこの御家庭だって高校にやらなきゃしようがないでしょう。それは本人が行きたくないなら別ですよ、これは。本人が行きたくないなら別だけれども、向学心に燃えている子供なら、みんな高校に行きたいのは当たり前でしょう。しかも、「この法律の目的」というところを見ると、そういうふうになっていましょう、これ。離別母子家庭の生活安定と自立促進に寄与するため、児童扶養手当を支給し、児童の福祉の増進を図ることと。本当に児童の福祉の増進を図ることを考えるんだったら、やはりもうこの法案が提出されてからずっと論議されているこの二点はどうしても直してもらわなければならないし、そして本当の児童の育成のためにもこういう点は考えていかなきゃならない。もう高校へ入るというのは当たり前ですな、高校の教育を受けることは。そうしますと先ほど申し上げましたいわゆる非課税対象の百七十一万というのをもうちょっと額を上げて、ここまではよろしいよ、ことまでは全額支給しますよと。しかもけちなのよ、やり方が。百七十一万円未満は全額支給、百七十一万から三百万未満一部停止で二万二千円。三百万円以上は全部停止。やることがみみっちいと思うんですね、GNP世界第二位の国が。だから、こういうことが問題にされると、じゃ防衛費の方を少し削ればいいんじゃないかという、すぐそういう論議になっちゃうんだね。そんな論議ばかりしている場合じゃないと思うんですね。ですから、やっぱり厚生省としては、もう少しある程度の弾力性というのを持たせなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに感じます。私はもうこれで質問しません。これ以上やっても進みませんから。 大臣、私の今申し上げたことで、大臣の方の御意向を伺わせてください。
○国務大臣(増岡博之君) 今回の措置は、年金を補完するという制度が、対象が大きく変わったということに基づきまして、純粋な福祉政策に変えようということでございますので、したがって、そういう大きな原則から申しますと、所得制限というものがかかってくる、年金を補完するという立場よりも余計厳しくなるということはある程度はやむを得ないことであろうかと思います。 しかし御指摘のようなことも、現実の問題としては将来あり得ることであろうと思います。したがって、社会情勢の変化に伴っていろいろなことを考えていかなければならぬということは私どももよく承知をいたしておりますので、その際適切な措置をとらせていただきたいと思います。
○委員長(遠藤政夫君) 以上をもって質疑は終局いたしました。 佐々木満君から発言を求められておりますので、これを許します。佐々木君。
○佐々木満君 私は、ただいま議題となっております児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。 よろしくお願いします。
○委員長(遠藤政夫君) それでは、佐々木君提出の修正案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。佐々木君。
○佐々木満君 ただいま議題となりました児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 修正の要旨は、第一に、児童扶養手当の支給期間は期限を設けることなく、支給すべき事由が消滅するに至るまで支給することとすることであります。 第二点は、その他所要の修正を行うことであります。 以上でございます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(遠藤政夫君) ただいまの佐々木君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。増岡厚生大臣。
○国務大臣(増岡博之君) 児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としてはやむを得ないものと認めます。 御可決された暁には、児童扶養手当制度の適切な運用に一層努力してまいる所存でございます。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として片山甚市君が選任されました。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) ただいまの修正案に対しては質疑かないので、これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○糸久八重子君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっている児童扶養手当法の一部を改正する法律案につきまして、修正案並びに原案に対し、反対の討論を行うものであります。 大方の母子家庭が経済的に困難な状況にあることは、総務庁統計局から毎年出されている家計調査年報あるいは一昨年の厚生省全国母子世帯等調査によっても明らかであります。 同調査によれば、母子世帯の年間収入は一般世帯の半分以下であり、同じ母子世帯のうちでも、児童扶養手当の支給対象となる離別母子家庭は死別母子家庭よりもなお一層収入が少なく、離別母子家庭の家計負担軽減のために児童扶養手当が果たす意義は決して小さくないのであります。 児童福祉の理念は、児童を人としてたっとび、社会の一員として重んじ、よい環境の中で育てられることを保障するとともに、将来の社会を担う児童を心身ともに健全に育成することであります。この理念実現のためにも、児童扶養手当の改善が強く望まれているのであります。 ところが、このたび改正案を提出するに当たって児童扶養手当に対する政府の認識は、児童の福祉実現というよりも財政対策のみにとらわれているとしか言いようがありません。これが本案に反対する第一の理由であります。 離婚が年々著しく増加し、これに伴い児童扶養手当の財政負担も増加するので、何とか国庫負担を削減したいというのが政府の言い分であり、行政改革の一環として現行制度を見直すためこの改正案を提出したと言うのであります。本来、福祉の対象者が増加すれば、それに見合った施策の充実を図るのが国家の責務ではありませんか。しかし、この改正案にはそういう積極的な姿勢が感じ取れないのであります。 反対理由の第二は、児童扶養手当法の目的を定めた第一条について、現行法では父と生計を同じくしていない児童を直接の対象にしているのに対して、本改正案では、母子家庭等の「生活の安定と自立の促進に寄与するため、」という文言を挿入することによって、母子家庭が離別に伴って経験する生活の激変を緩和することにより自立促進を図る制度へと改変しており、この趣旨に沿って、その他の事項、例えば手当の認定請求期限、支給期間などが改悪されているのであります。 第三に、手当の認定請求期限であります。これは、五年たった段階で申請がなければ自立したと考えられるからということでありますが、母子家庭が困窮する事態というのは、いつ発生するか、だれにもわからないのであります。現に支給要件があり、受給の必要性があるのに排除してよいものでしょうか。 第四に、七年間を限度とする手当の支給期間の有期化についてであります。母子家庭の自立は七年間という数字にはこじつけが含まれており、支給を七年間とする根拠は全くあいまいであります。さらに、法理上から有期化の不当性を指摘しますと、手当は一定の状態に着目して、その状態が総統する間支給されるものであります。こういう手当の法的性格と有期化とは相入れないのであります。 最後に、手当額の引き上げについて、従来、母子福祉年金と合わせて改善されてきたところであり、今回差をつけられたことは納得がいかないものであります。 支給期間の有期化を削除する旨の修正案は一応評価できますが、その他の私が指摘した改悪部分については触れられておりません。 したがいまして、私は、修正案並びに原案に反対することをここに表明し、討論を終わります。
○関口恵造君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となっております児童扶養手当法の一部を改正する法律案及びこれに対して自由民主党・自由国民会議が提出した修正案につきまして、修正案及び修正案を除く原案に賛成の意を表するものであります。 児童扶養手当制度は、昭和三十七年に死別母子世帯に対して支給される母子福祉年金の補完的制度として発足しましたが、以来、二十年余を経過した今日、母子福祉年金の受給者はほとんど消滅する一方、離婚の急増に伴い児童扶養手当の受給者は六十万人を超え、その給付費も二千六百億円の巨額に達するに至っております。 今日、社会保障施策全般について、本格的な高齢化社会の到来と厳しい行財政環境の中で、制度の見直しが急務とされておりますが、本制度についても、第二次臨時行政調査会の指摘を受け、社会保障政策上の位置づけ、費用の一部について地方負担を導入すること等について検討が要請されていたのであります。 政府原案は、このような要請にこたえて現行制度を基本的に見直し、離別母子家庭の生活安定と自立促進を通じて児童の健全育成を図ることを目的とする純粋の福祉制度に改めようとするものであり、その趣旨については基本的に評価できるものであります。 しかしながら、母子家庭の現状にかんがみるとき、次の点につきまして所要の修正を行い、真に援助を必要とする母子家庭に対して十分な配慮をすることが必要であると考えます。 すなわち、手当の支給期間につきましては、政府原案では、これを有期化し、原則として七年間とすることとされておりましたが、母子家庭の自立が必ずしも容易ではなく、その生活の安定のためには、依然手厚い配慮が必要とされることを勘案し、支給期間に期限を設けることなく、現行どおり、支給すべき事由が消滅するに至るまで支給する旨の修正を行うものであります。 この修正は、本委員会審議を通じ最善の努力を尽くした上での結果であり、本法案の目的の達成と適正な実施に資するものであり、私どもといたしましては、この修正案及び修正部分を除く原案に賛意を表するものであります。 これをもちまして私の討論を終わります。
○中西珠子君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となっております児童扶養手当法の改正法案に対する修正案並びに修正部分を除く原案に反対の立場から討論をいたします。 政府提出の改正原案は、我が国の児童福祉法、また国連の児童権利宣言や国際人権規約にも違反するものであり、児童の成長発達権並びに福祉を脅かす改悪案であります。 日本が既に批准している国際人権規約のA規約第十条の三は、保護及び援助の特別な措置が「出生その他の事情を理由とするいかなる差別もなく、すべての児童及び年少者のためにとられるべきである。」と規定しています。政府は、憲法第九十八条に基づき、批准した条約を遵守する義務を負っているはずであります。 一方、児童福祉法第一条は、「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」と規定しています。このことは、母親が未婚であろうと、夫と死別であろうと、離別であろうと、子供は人間として親とは別個の人格と基本的人権を持っており、すべての子供は平等に取り扱われなければならない。そして、子供の養育は親の責任であるばかりでなく、社会全体の責任でもあることを意味しております。これが児童扶養手当法の立法の精神であり、母子福祉年金の補完的機能として発足したゆえんであったと思うのであります。 ところが、今回の改正では、母子家庭の自立を促すための救貧的、恩恵的な措置として法の目的と性格が変えられてしまいました。政府は、財政のつじつま合わせのために所得制限と給付の二段階制の導入などにより、給付の切り下げをはかっています。これは、母子家庭の経済的基盤の弱さから見れば、児童の成長発達権と福祉を脅かすものにほかなりません。 衆議院で未婚の母への支給打ち切りなどについて修正がされたこと、また、本委員会で支給期間の有期化について修正が提案されていることは評価いたします。しかしながら、婚姻解消時の夫の収入による支給制限を、父親の扶養義務履行を確保する手だてのないままで強行することは絶対に容認できません。さらに、地方の二割負担の導入で財政面の考慮が優先し、受給資格審査が一層厳しくなり、プライバシーの一層の侵害となるおそれも指摘されております。政府原案は、財政再建に名をかりた社会保障制度全体の改悪の一環であります。 以上述べた理由により、修正部分を除いた政府原案並びに修正案に反対の意を表明して、私の討論を終えます。
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、児童扶養手当法改正案並びに修正案に反対の討論を行います。 中曽根内閣は、戦後政治の総決算を標標してきました。その実態は、財界主導で自立自助の理念のもとに、軍事費は増大させながら社会保障と福祉を次々と切り捨てるものであります。老人医療の有料化、医療保険本人一割負担の導入と国民健康保険補助率の引き下げ、年金の給付引き下げと保険料の引き上げ等であります。中曽根総理の言う総決算とは、社会保障と福祉に対する国の責任の後退、すなわち国庫負担の削減と国民の負担増であることがますます鮮明になってきました。本法案もまたその一環としての改悪であります。 この改悪案の基本的性格は、法第一条の目的の改正に端的に示されています。本法案は、この制度の責任主体である「国」を削除し、母子家庭の自立の促進を求めるものと変質されています。国の責任後退について言えば、私の質疑で明らかにしたように、都道府県への負担転嫁も含めて、国は将来三分の一も国庫負担を削減する改悪となっております。その一方で母子家庭の自立促進を求めるとは、まさに財界が好む哲学の具体化で、母子家庭の多くの母が労苦から健康を害している実情も無視した非情な改悪であります。私が本法案に反対する最大の理由もここにあります。 本法案の中身は、この変質の具体化にほかなりません。所得制限の強化と手当額の二段階制の導入は、ただでさえ生活が困難な母子世帯を一層困窮させるものであります。その上に、手当支給期間を短縮する政府原案は到底認めることはできません。また、都道府県負担二割の制度化も、国の財政的困難を安易に地方に転嫁するもので、反対であります。 ところで、本法案に対して修正案が提出されましたが、この修正案は、国民の批判によって改悪案の一部を元に戻すものであり、みずからその不当性を認めたと言うべきであります。だとするならば、こそくな修正にとどまらず、母子福祉の理念の重大な変質とその具体化を進める本法案そのものを廃案にするのが当然であります。 本法案は、中曽根内閣の臨調行革路線、戦後政治の総決算がいかに母子家庭に対して非情であり児童権利宣言や児童憲章の理想からの重大な後退であることを如実に示すものであるかを重ねて指摘して、原案並びに修正案に反対する私の討論を終わります。
○藤井恒男君 私は、民社党・国民連合を代表して、今日まで審議されてきました児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する修正案及び修正部分を除く政府案に反対の討論を行うものであります。 児童扶養手当制度は、父と生計を同じくしていない児童に対して国が手当を支給することにより、児童の福祉の増進を図ることを目的として昭和三十七年に創設されました。この制度は、逐次改善される中で、母子家庭の生活を支える重要な柱となっており、現に母子福祉対策の中核的な施策であります。その意味で、同制度の充実を求めるニーズも高いと思います。今回の改正は、国民のニーズに逆行した内容となっており、私は容認することはできません。 その第一の理由は、前夫の所得によって手当を支給しない改正が行われることです。前夫の所得が、衆議院での修正によって七百五十万円になったとしても、所得によって手当支給を打ち切る思想には何ら変わりがありません。この場合、確実に養育費が受け取れるのか。受け取れない場合は、賃金と手当で辛うじて生活を営んでいる母子家庭の生活が崩れるケースが生じると思います。したがって、前夫の所得によって手当を打ち切る措置に強く反対するものであります。 第二の理由は、所得制限の強化と二段階制の導入による生活圧迫に反対だからであります。所得制限は、現行の年収三百六十一万円か三百万円に引き下げられ、現に手当を受けている三百万円以上の人は受給できなくなります。これは明らかに制度の改悪であります。また、手当額の二段階制の導入でありますが、低所得者に手厚く給付するという趣旨は理解できますが、わずか三百円のアップでは、改善されたとは言いがたいのであります。私ども民社党は、所得税非課税世帯の手当額を月額三万七千円に引き上げるよう強く主張してきましたが、これが受け入れられなかったのであります。 以上、主な反対理由を申し上げました。 本日、自民党より提案された手当の支給期間に係る修正案は評価できますが、本院の採決の慣例により、修正案及び修正部分を除く原案に反対するものであります。 母子家庭は今後増大の傾向をたどるでありましょう。したがって、母子家庭の生活の安定向上に政府が最善の措置を今後展開するよう要請し、私の反対討論を終わります。
○委員長(遠藤政夫君) 以上をもって討論は終局いたしました。 これより児童扶養手当法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、佐々木君提出の修正案を問題に供します。 本修正案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、佐々木君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。 修正部分を除く原案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、修正部分を除く原案は可決されました。 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。 この際、高杉廸忠君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
○高杉廸忠君 私は、ただいま可決されました児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。 一、手当の全部又は一部停止の所得限度額決定に当たっては、離別母子世帯の生活の実態をも勘案し、今後適切な配慮を図ること。 二、父子家庭及び養育者が祖父母である家庭等の増加に対応し、今後きめ細かな施策を検討すること。 三、児童扶養資金(仮称)制度の運用に当たっては、その趣旨に照らし、子が高等学校及び大学就学中の場合、償還金の支払いを猶予する等特段の配慮を行うこと。 右決議する。 以上であります。
○委員長(遠藤政夫君) ただいま高杉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 全会一致と認めます。よって、高杉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、増岡厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増岡厚生大臣。
○国務大臣(増岡博之君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
○委員長(遠藤政夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 次に、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を順次聴取いたします。増岡厚生大臣。
○国務大臣(増岡博之君) ただいま議題となりました国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 老人、障害者等の所得保障の中心である年金制度及び諸手当の制度につきましては、従来からその充実に努めてきたところでありますが、国家財政の再建が課題とされている最近の厳しい財政状況のもとにあっても、社会経済情勢の動向に対応した適切な配慮がなされる必要があります。 今回の改正案は、このような趣旨にかんがみ、厚生年金等の拠出制年金について特例スライドを実施するとともに、福祉年金及び諸手当についてもこれに準じた給付の改善を行うこととするものであります。 以下、改正案の内容について、概略を御説明申し上げます。 第一に、厚生年金、船員保険及び拠出制国民年金の特例スライドについて申し上げます。 現行の制度におきましては、消費者物価上昇率が五%を超えない場合には物価スライドは実施されないこととなっております。昭和六十年度におきましては、累積の物価上昇率が五%を超えないものと見込まれておりますが、公務員給与の改定及びこれに連動した共済年金の額の改定等を考慮して、特例スライドを実施することとしております。改定率は、共済年金と同じく三・四%であり、また、実施時期は、厚生年金及び船員保険については本年四月から、拠出制国民年金については本年五月からとしております。 第二に、福祉年金につきましては、本年六月から老齢福祉年金を月額二万五千六百円から二万六千五百円に改める等拠出年金に準じた額の引き上げを行うこととしております。 第三に、特別児童扶養手当及び福祉手当につきましても、本年六月からその額の引き上げを行うこととしております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金の支給を初め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回、年金等の支給額を引き上げるとともに、戦没者等の遺族に対して特別弔慰金を支給することとし、関係の法律を改正しようとするものであります。 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。これは、障害年金、遺族年金等の額を恩給法の改正に準じて引き上げるものであります。 第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正であります。これは、未帰還者の留守家族に支給される留守家族手当の月額を遺族年金に準じて引き上げるものであります。 第三は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正であります。これは、戦没者等の遺族で、同一の戦没者に関し公務扶助料、遺族年金等の支給を受けている者がいないものに、特別弔慰金として額面三十万円、十年償還の国債を支給するものであります。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、この法律案については、衆議院において、昭和六十年四月一日から施行することとしておりましたものを、公布の日から施行し、昭和六十年四月一日にさかのぼって適用することとする修正がなされております。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
○委員長(遠藤政夫君) 両案に対する質疑は後日に譲ります。本日にはこれにて散会いたします。 午後四時二十分散会