社会労働委員会 第18号
- 発言数
- 304 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/04/25
会議録
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨二十四日、藤井恒男君、矢野俊比古君、和田静夫君及び斎藤十朗君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として抜山映子君、前島英三郎君、粕谷照美君及び川原新次郎君がそれぞれ選任されました。 また、本日、川原新次郎君及び曽根田郁夫君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として山東昭子君及び森山眞弓君がそれぞれ選任されました。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) まず、労働問題に関する調査を議題といたします。 質疑のある方は御発言を願います。
○高杉廸忠君 実効ある男女雇用平等について今国会会期末の重要な審議に際し、恐縮でありますが、お許しをいただいて緊急問題について労働大臣にただしたいと存じます。 労働大臣、昨日、長崎県高島町にある三菱石炭鉱業高島礦業所で、死者十一人、重軽傷五名を出した痛ましい炭鉱事故、坑内災害が起こりました。この際、亡くなられました方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の方々にも御家族の方にも、心から弔意を表する次第であります。 報道によりますと、同礦業所は可燃性ガスの含有率が高い甲種炭坑でありまして、事故現場近くの送風ファンがとまっていたため、坑道上部にメタンガスがたまり、何かの火源で爆発したのではないかと報じられています。また、一説では、安全対策の手落ちから人災ではないかとも報じられているわけです。 炭鉱災害や労働災害については本委員会においてもしばしば取り上げられまして、その安全対策については万全を期すために今日まで労働安全問題に取り組んできたところであります。 そこで大臣、調査と緊急対策についてお伺いしたい。こういう災害についてどのように考えているのか、この際、お伺いをする次第であります。
○国務大臣(山口敏夫君) 今般のような大災害の発生はまことに遺憾でございます。心から十一名の犠牲者の方の御冥福をお祈り申し上げております。 労働省といたしましては、先生から御心配、御指摘もちょうだいいたしましたが、長崎労働基準局に災害対策本部(本部長長崎労働基準局長)を設置いたしました。また、長崎労働基準局労働衛生専門官、労災補償課長補佐、長崎労働基準監督署次長以下七人のスタッフを現地に派遣をいたしました。また、本省から労働衛生課の主任労働衛生専門官を現地に直ちに派遣したところでございます。また、長崎、九州、大牟田、筑豊、熊本の各労災病院及び産業医科大学におきまして被災者の受け入れ態勢を整えたところでございます。また、緊急医薬品、CO中毒治療用の再圧タンクを手配をいたしましたところでございます。 今後の措置といたしまして、被災状況、発生原因等の調査を進める、被災労働者及びその遺族に対する労災補償について迅速な給付が行えるよう、事務処理体制の整備を行い、補償の万全を期す、また、被災者に対する緊急検診等に万全を期する、かように進めたいと考えております。
○高杉廸忠君 こうした災害によってとうとい人命の多くを失う悲劇というのはまことに不幸なことであると思うんです。私は、本委員会においても機会あるごとに、働く人たちの安全対策についてはその万全を期すために提言も行ってまいりました。大臣、しばしば私も言っておりますように、安全なくして労働なしであります。こうした不幸な事故を繰り返さないためにも、関係省庁とも十分な協議の上、その安全対策に万全を期すべきであると同時に、被災されました方々の御家族に対しても十分な手厚い援護を行うべきだ、こう考えます。 大臣の労働者の安全確保並びに御家族の方の援護についての所見、そして今後の決意、これを伺いまして、貴重な時間を割愛をいただき、御協力をいただきましたことにお礼を申し上げて私の緊急質問を終わります。大臣の決意を伺います。
○国務大臣(山口敏夫君) 繰り返しますが、こうした大災害の発生はまことに遺憾に存じ、こうした事故が再び起こらないように、まさに万全を期すということが労働行政の基本である、かように認識をしております。 労働者の命と健康を守る、これを最重要課題として、今後とも労働災害問題についての改善方を一層進めたい、かように考えます。 また、本件につきましても、今後通産省等関係省庁とも十分連絡をとりまして、災害原因の調査と事故の再発防止のために全力を挙げて取り組みたいと考えております。 また、遺族、被災者の補償等につきましても万全を期す、かような決意で取り組まさせていただきたいと考えておりますので、またよろしく御協力のほどをお願い申し上げたいと思います。
○委員長(遠藤政夫君) 本調査はこの程度にとどめます。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 前回に引き続き、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○粕谷照美君 最初に、大臣に婦人差別撤廃条約に関連して質問をいたします。 私事にわたりますが、私は一九七四年、第十回の参議院選挙に初めて当選をいたしました。当時、田中寿美子議員、また市川房枝議員というような我々の大先輩がいらっしゃいまして、この婦人問題について非常に熱心に取り組みをされました。翌七五年にはメキシコで国連婦人の十年の世界会議がありました。それをきっかけにして、この国会の中でも超党派の「国連婦人の十年」推進議員連盟が結成されました。当時は二百二十名を超す人数がいましたが、今は選挙があったりお亡くなりになったり、なかなかこれがふえませんで百八十人ぐらいになっておりますが、この国連婦人の十年議員連盟は、国会の中で法律の改正だとかあるいは制度の改革などについて熱心な討議をしてきたというふうに思っております。それを受けてまた政府も大変な努力をされてきました。あわせまして院外では、四十八の民間婦人団体あるいは労働組合の婦人部なども入りましてその連絡会議が結成され、それぞれの自分たちの団体において、そしてまた団体としてまとまっての大きな運動を展開してきたと思います。 そういう中で、八〇年に中間年世界会議がデンマークで開かれました。私もそのときは国会から派遣をされてデンマークに行っておりましたけれども、その中間年のときに婦人差別撤廃条約が出され、それを日本の国が批准を前提に署名をするという非常に重要な会議だったわけですが、なかなかその署名をしてよろしいという通知が本国から来ない、本国から来ないと、こう外務省が騒いでいたのを今でも覚えております。しかしようやく許可が出まして、高橋展子大使がこれに署名をされました。私は、あのときの感激を今でも忘れることはできません。 そしてことしは八五年で、もう国連婦人の十年の最後の年であります。その条約批准というのは世界的な女性の闘いと同時に、また男性の協力もあったからこそ大きく前進をしてきたのだというふうに思いますけれども、そういうバックがなければ私は今の日本の政府が婦人差別撤廃条約を批准をするということをなかなかオーケーはしなかったのではないだろうか、こんな感じがするわけであります。 大臣は、この差別撤廃条約を批准すること、あるいはその批准をすることに伴ったいろいろな法改正、それをあわせて、どんな感慨をお持ちですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 先生が七五年からの経過についてのいろいろな感想、所感も御発言いただいたわけでございますが、この十年間だけでも女子労働者が五百万規模で労働市場に参加をしていただいておる。これはそれぞれの女子の皆さん方の職業人としての意識やあるいは能力、意欲というもののたまものであろうと思いますが、同時に、家庭の中における男性側の共同責任とか理解も今までとは違って大きな改善も図られておると、こういうことでもあろうと思うわけでございます。 そうした社会の大きな意識の変化、また状況の中におきまして、日本政府も女子差別撤廃条約の批准というものに大変熱心に取り組んでおるわけでございますし、その国内法の整備の一環として、こうして社労委員を中心として男女均等法案が熱心に御論議いただいておることにつきましても、我々も心から敬意と感謝を申し上げておるところでございます。願わくはこの均等法の成立をいただき、この法案を一つの踏み台として、さらに、粕谷先生、皆さん方がお取り組みいただいておりました男女のあらゆる分野における差別や問題が改善、前進される一つの要素になっていただけないか、こういう気持ちでこの法案の御審議をお願いしておるところでございます。 さらに、こうした問題の論議を含めて、雇用問題に限らずあらゆる社会分野における女子の能力、また意欲、また参加への姿勢が前進、拡大されることを私は心から望んでおるものでございます。
○粕谷照美君 前労働大臣の坂本さんは去年の予算委員会で、糸久議員の質問に対しましてこういう言葉を出していらっしゃるのです。何さまこれはコペルニクス的転回でございましてというわけです。つまり、この婦人差別撤廃条約の中に含まれている文言、あるいはそれに伴って日本の国がいろいろな法律を変えていこうという、そのことはコペルニクス的転回だというんです。今まで天が回っていると思っていましたのに、今度は自分が立っている地球が回っているのだということで、そのことを発表したコペルニクスが大変な弾圧を受けたわけでありますが、そういう状況だという認識をお持ちだったわけです。大臣は昭和十五年生まれで随分お若いから、そんな発想をお持ちじゃないと思いますけれども、私たちは役割分担をめぐるこの論議が男性の中の意識を揺さぶっているという感じがしてなりません。 ところで、その差別撤廃条約の精神にふさわしい、雇用における男女の平等のいい法律をつくってもらいたいと運動してきた大勢の婦人たちにとって、今回出されている法律というのは非常に残念な法律だ、もう期待に反するというふうに私も考えます。それで、その法律の中身についてはいろいろな議論があったわけですし、質疑も展開されました。そのことを踏まえながら、二時間の時間をいただいておりますので、私なりに別の角度から質問をしていきたいというふうに思っております。 法制局来ておられますか。――すべて我が国の法律というのは憲法のもとにつくられているというふうに思います。しかしながら、その憲法の理念に基づきとか憲法第何条に基づきとかという、こういう法律というのは極めて少ないのじゃないかと思うんです。ですから、一つは、法律は憲法のもとで、憲法の精神を具現するためにつくられるということの私の理解でよろしいか。 二番目に、例えば警察法などを見ますと、「いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等」というふうに、憲法条項が法律の中に入っております。公職選挙法でもそうですね、第一条に、「日本国憲法の精神に則り、」、こう入っております。また、生活保護法などは、「日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、」、こうあります。憲法のもとの法律にわざわざ憲法条項をきちっと入れたということの意味は何でしょうか。
○政府委員(大出峻郎君) ただいま御指摘がありましたように、すべての法律は憲法の下位に置かれておる、こういうことでございますので、憲法の許容する範囲内において法律というものは制定をされるべきものである、いやしくも憲法の規定に反してはならないということは言うまでもないところでございます。 ところで、いろいろな法律の中には、その目的規定等におきまして、ただいまお話しのございましたように、日本国憲法の精神にのっとりとか、あるいは日本国憲法第何条に規定する理念に基づきと定めている、そういう立法例が時としてあるわけでございます。このような規定が設けられておりますのは、一般的、抽象的に申し上げますれば、憲法が定めている基本原則あるいは憲法のいわば理念というようなものを具体化するための法律に使われていることが多いかと思います。こういう法律につきましては、憲法の諸規定やあるいは憲法の理念と密接な関係のあるそういう法律でございますので、そういう意味におきましてこれらの関係を明らかにしたり、あるいは強調をするためにそのような文言が用いられておるというふうに考えられるわけであります。 例えば、今お話しのございましたように、生活保護法の第一条におきましては、「日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、」というふうにございます。公職選挙法第一条におきましては、「日本国憲法の精神に則り、」というふうな規定ぶりがあります。地方自治法第一条におきましては、日本国憲法という文言は用いられておりませんけれども、憲法の第九十二条に規定されている「地方自治の本旨」というような言葉を引用いたしまして、そういう精神に基づいてという意味で「地方自治の本旨に基いて、」というふうにあるわけでありますが、これは、これらの法律の目的なりあるいはその内容がいずれも憲法に定める理念なりあるいは制度というものを具体化するためのものであるという観点から規定をされているというふうに考える次第であります。
○粕谷照美君 労働大臣、これ労働省でもいいのですけれども、今の法制局の説明によれば、憲法の精神に密接に関係のするものだったら憲法条項が入る、こういうふうにおっしゃるんですけれども、先ほどの坂本前労働大臣の話じゃありませんが、コペルニクス的転回の中からつくられてくるこの法律なんです、勤労婦人福祉法の焼き直しとは言いながらもね。そういう中で憲法条項が入っていないということは、出されてきた今の案に入っていないということはちょっと弱いのではないかと、今の法制局の説明を聞きますと私は思うのですが、これはわざわざ断らなくても当然その文言は入っていると。もし入っているとすれば、憲法のどの条項が入っているというように理解をしたらよろしいでしょうか。
○政府委員(赤松良子君) 機会均等法案は、具体的には憲法の理念を実現するために、「目的」、「基本的理念」その他に書かれているような精神で法案化されたものでございますので、憲法の精神にのっとってつくられたものであるということは、私どもの立法趣旨の中に明らかだというふうに今までもお答えもしてきたつもりでございます。
○粕谷照美君 何条何条ということをおっしゃっていただきたいのですが、時間がありませんので次に移ります。 大分この問題について厳しく、福祉法であって、この法律の目的の中には女性にとって男性と同じように働くことが基本的人権であるという視点が欠落をしているとか、このような福祉法では女子差別撤廃条約の十一条一項の(a)に言う「すべての人間の奪い得ない権利としての労働の権利」を保障するという、こういう考え方が入っていないという指摘は厳しくこの参議院においても、我が党の糸久議員あるいは久保田議員から質問があったところであります。追及もされたところであります。 しかし、福祉法といいましても、また考えてみますと、例えば母子及び寡婦福祉法、それから児童福祉法、あるいは老人福祉法、さらには生活保護法などが私は福祉関係の法律だというふうに思うんですけれども、これなんか同じ福祉法といっても、この法律と違いまして権利意識というものがぴしっと国民の中に入るような文言になっているんですね。そういう意味では、私は権利、基本的人権であるというこの視点が非常に欠落をしているという皆さんの指摘は正しいというふうに思いますけれども、労働省としては、これはもう確実に婦人の人権を、働くことについての人権を保障しているという法律であるというふうに考えていらっしゃいますか。
○政府委員(赤松良子君) 憲法の基本的人権の中の勤労権が男女平等に保障されるということが、この法律案の、このたびの改正の中の主たる目的であるというふうに感じております。
○粕谷照美君 そうなんですね。男女平等であるという今の局長の答弁は私はよろしいと思います。しかし平等の「平」の字が入っていないのですね。「均」が入っているのですよ。議事録を拝見しますと、局長は、平等とは入っていないけれども、労働法規においては平等と言わないで均等と言うのだ、したがって、「均等」という言葉を入れたのだ、こういう説明をしていらっしゃる。まあ共通一次だったらこれは通るかなと思いながら、議会で確認をされたことですから、均等ということは平等ということと同じである、このことを再確認をしたいというふうに思います。いかがですか。
○政府委員(赤松良子君) 憲法では法のもとの平等という言葉が使われておりますが、労働法規におきましては、労働基準法その他すべて、平等と全く同じ概念のもとに均等という言葉が使われておりますので、この法案が労働関係の法案であることから均等という言葉を使ったということを従来申し上げてきたところに全く変わりはございません。
○粕谷照美君 それではこういうように読み取っていいですね、題名において、雇用の分野における男女の平等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案、いかがですか。
○政府委員(赤松良子君) 意味上では、全くそのとおりだと思います。
○粕谷照美君 次に、皆さんから非常に厳しい指摘があるこの法律案でありますが、一体なぜ政府がこのような勤労婦人福祉法の焼き直しで出してきたか、大勢の人々が、たくさんの団体が一致して雇用平等法という単独立法を出してもらいたい、こう言ってきたにもかかわらず、このような形になって提案をされてきたかということをいろいろ考えますと、そのバックというものをやっぱり考えないわけにはまいらないと思うんです。 去年の三月の二日、日経連から質問状が出されておりますね。その内容は一体何か。そして、その質問にはどのような形でお答えになったか伺います。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 今先生おっしゃいましたように、日経連から、昭和五十九年三月二日、総理大臣、外務大臣、労働大臣に対しまして、女子差別撤廃条約が企業経営に与える影響及び批准のための最低要件についての質問書が提出されました。これに対しまして労働省は、政府の統一見解としまして次のように回答をいたしております。 女子差別撤廃条約は女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃することを目指しているものでございますが、本条約は条約の規定ぶり等から判断して、雇用の分野においては漸進的な実施が認められると解されることから、本条約の批准は我が国社会の現状を踏まえつつ、条約の要請を満たす法的整備を行うことによって十分可能であるというふうに考えられること、及びその批准のための最低要件といたしましては、雇用の分野については法的措置を講ずる必要があること、その場合、「妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているか否かに基づく差別的解雇」については禁止措置(最低限民事的強行規定)により担保しなければならないと解せられること、また批准のための最低要件として、母性保護措置以外の労働基準法の女子保護規定については、基本的には見直すことが必要であるが、条約上漸進的実施が認められると解せられるところから、批准時にすべて改正していなくても許容されるものと考えられることを回答いたしております。
○粕谷照美君 私もこの文章を読んでみましたけれども、非常に詰問的でありますね。最後の文章に、「何卒宜しくお願い申しあげます。」という言葉はついていますけれども、非常に日経連としては不満であるという態度が明確に出されています。しかも問題なのはこの質問が文書で出されているにもかかわらず文書で回答されなかった。国民の前に明らかにされていない。意見の対立があるわけですから、経営者側でない人たちにもきちんと労働省がこのような考え方を持っているということを私は明確にすべきであったと思いますが、なぜ文書で回答しなかったのか。しかも、文書で回答しなかったにもかかわらず、日経連タイムスを読みますと、ちゃんと今御報告になったようなことが書いてあるわけですね。これ、文書でやられたのじゃないですか、それが一つ。 それから、日経連が何で四年近くも前の話を質問してきているのですか。これは昭和五十五年七月十七日、鈴木内閣発足の当日署名されたのでありますが、「署名することを決定した閣議は、その前々日七月十五日伊東首相臨時代理の内閣においてなされており、このような企業経営に重大な影響をもたらす条約の署名について事前に我が方になんの連絡もなかったように記憶するのであります。政府としてはたいした影響をもたらさないというお考えであったのでしょうか。」と、嫌みも含めての、これは何というのですかね、大変な圧力だというふうに思うわけです。私はこういう圧力に労働省が屈したのではないんだろうか、こんな感じがしてなりません。労働省、御答弁いただきます。
○政府委員(白井晋太郎君) まず第一点でございますが、文書で回答するかどうかの問題でございますけれども、労働省としましては、これは日経連に限らず労使団体からの意見書、要望書に対しましては、通常、文書で回答はいたしておりません。文書で正式に回答すべきものとは判断しなかったわけでございますし、日経連も口頭での回答ということで了解いたしたわけでございます。したがいまして、政府が正式の立場で文書で回答するということは、ちょっと先生の考え方と違うかもしれませんが、そこまで考えなかったということでございます。 それから第二点の、四年もたって云々ということでございますが、これは推測するところ、当時日経連の質問書は、当時、労働省の婦人少年問題審議会におきましてこの問題が活発に議論されておりまして、雇用における男女の機会均等と待遇の平等を確保するための方策については、法的整備もやむを得ないというような審議の中身でございました。その場合に、どのように整備をする必要があるのかということを日経連としても検討するために、この条約が企業に与える影響及び批准のための最低要件について政府の見解を求めたものであろうというふうに推測をいたしております。我々としては、財界の圧力とは受け取っておりません。
○粕谷照美君 その当時、「男女雇用平等法は日本を潰す」、屋山太郎さんという政治評論家がいろいろ書いているのですけれどもね。何を書いているかと言いますと、いろいろありまして、「政府が立法化にあたって重要な問題点を隠蔽し、まさにペテン師の如き態度で作業を進めていることだ」、こういうことをも言っていらっしゃる。 さらには、条約の署名式が七月の十七日、デンマークのコペンハーゲンで行われ、「日本からは高橋展子首席代表が署名した。奇しくもこの日は鈴木善幸氏が国会で首相に指名された日だが、「署名する」旨を決めたのは二日前の十五日。つまり、伊東正義官房長官が首相代理を務める臨時閣議で署名を決めたのだ。まさにドサクサまぎれの閣議決定であり、その証拠に当時の藤波労相もその後任の藤尾労相も共に「さっぱり記憶にない」ありさまなのだ。日経連は「当時、全く相談を受けなかった」と今になって政府に質問状を出す始末である。」このようなことを言われているのですね。 私はこういうようなことが本当にそういうものであったとしたならば、いいかげんな、まさに差別撤廃条約の審議になっているというふうに国民に思われるのではないかと心配をするものであります。労働省としては、この時期にどのような考え方で対処しておられましたか。
○政府委員(赤松良子君) この条約が大変広範な内容を持っていること、また先ほどコペルニクス的転回というような言葉が出ておりましたけれども、今までの価値観を大きく揺るがす可能性を含んでいるものであるというようなことにかんがみまして、非常にその及ぼすところは大きいという認識で政府部内では慎重に検討がされていたというふうに承知をいたしております。 そして、内閣総理大臣を長とする、各省庁事務次官を本部員といたします婦人問題企画推進本部で、この署名に先立ちまして、六月の二十二日だったと思いますが、国内行動計画後半期における重要課題として、批准のため国内法制等諸条件の整備に努めるものとするという内容の申し合わせを正式にしているところでございます。このような申し合わせができたということで署名に踏み切ったというふうに私は理解をいたしております。 本部の正式なメンバーでございます労働省といたしましては、その本部の申し合わせに臨むに際しまして、部内で適切な検討は当然されたわけでございます。
○粕谷照美君 慎重な審議の結果、この差別撤廃条約の署名をするという態度が決まったということについては了解をいたしました。 ところで、ことしの一月の十七日、日経連の労働問題研究委員会が「活力ある社会をつくるために」という表題で報告を出しております。その中を読んでいきまして私はびっくりしたのですけれども、「第六章教育問題 (一)家庭教育」の部分です。「われわれは離婚の増加傾向を憂える。いったん結ばれ、子供までもうけた親が、子供の幸福を無視して離婚する。」云々とこうありまして、「われわれは男女雇用機会均等法案の審議過程において、何回か児童の福祉のことを頭に置くように要望してきた。」これは何も企業側からだけではないとは思いますが、その次がいけないんですね。「この法律の施行後、離婚が増加し、児童に不幸をもたらすというようなことの起こらないことを切望せざるをえない。」。 大臣、この法律が通ったら離婚が増加するというようにあなたはお考えですか。
○国務大臣(山口敏夫君) せっかく子供までもうけた両親が離婚をするということが、幼児の心身の発育によい影響を与えるはずがない、こういう見解は私も同感でございます。 しかし、この男女雇用均等法が成立をして離婚がふえるかどうか。これはやはり家庭内における共同責任を夫と妻がいかに理解し合うか、そこで協力をお互いがし合うか、こういうことでございまして、むしろ、やはり男女の、日本の社会的な大きな変化や女子勤労者の社会参加における社会の前進発展、こういう大局的な大きな意義もあるわけでございますから、私はこうした法案を通じて、男性、女性の役割分担と同時に理解と協力が促進をされる、こう確信をしておるものでございます。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
○粕谷照美君 大臣の見解は、ちょっと私の質問とはすれ違っているんですよね。しかし、この法律が出て結果が出なければ私自身も自信がないわけでありますけれども、どうしてもやっぱり家庭責任は男女ともに負うんだ、この教育を徹底させていくことと、女性が働きやすい条件をつくっていくということ、この保証なしには心配されるようなことがあるかもしれない。したがってそれに対する国の責務、それから地方公共団体の責務、あわせて労働組合も含めて女性自身の自立とか学習とかというものが私は大事だというふうには思っております。 さて、それでもう一つちょっと労働省にお願いをしたいのですけれども、やっぱり最低働く者を守ってくれるのは労働省だというふうにみんな思っているわけです。ところが、こんな法律が出てきたのでは、労働省は一体どっちの味方なんだろうかという心配をしているわけです。例えば建議で両論併記といいますけれども、本当は三論あった。労働者側と使用者側と意見が対立した。これはもう雇う側と雇われる側ですから対立して不思議はありません。一致しているところもあるわけですけれども。しかし、対立したときに、もう一つ公益委員の側が別の考え方を出しているわけでしょう。そうすると、せっかく公益委員をお願いをしたということは、企業と労働者側の意見が対立したときのその調整であったというふうに思うんですね。せめてその公益委員の意見というものをなぜ取り入れなかったかという不満は出てくるわけであります。その点はどのようにお考えですか。
○政府委員(赤松良子君) 先生の御指摘のように、審議会では三つの意見が違って書かれている部分が数カ所ございます。そこで、その場合、公益委員の御意見のままにするということになりますと、機会均等の方は確かに強行規定が多いということでございますが、しかし同時に、それは労働基準法の保護規定の解消についても、現在の法案よりもずっと広範囲に言っておられるわけでございます。 その両方をにらみまして、この公益委員の先生方の御意見は、現実からそれほど離れているということではございませんが、しかしどちらかというと長期的な展望といいますか、あるべき方向に向かうという点により重点のかかった御意見であったというふうに思われるわけでございまして、労働省といたしましては、機会均等の部分についてはやや後退とお受け取りかと存じますが、同時に、労働基準法の女子保護の規定についての解消も公益委員の先生方の御意見ほどにはすることがふさわしくないと思って、その面につきましても公益委員の御意見とは違った法案をつくったわけでございまして、その両者を勘案いたしまして、より現実的な対応をしたというふうに御理解をいただきたいと存じます。
○粕谷照美君 私はこの労働基準法の改悪――産休の部分については改正だと思いますけれども、あとの部分についてはまだまだ働いている人たちの実態を知らない改悪法案ではないかと思っているわけです。最近職場で女性に対するいろいろな差別というものが陰湿に形を変えて出てきているわけですね。今までのようなことが裁判闘争で闘われると、その闘われたことからどのように逃げていって女性を差別しながら採用していくかという、こういう実態があると思いますよ。 例えば朝日放送の事件であります。これは女性はすべてアルバイトだ、雇用期間は六カ月以内、三回まで、二年を最長とするという、若年定年、結婚定年以前の採用が行われていますね。こんなのを雇いどめと称するのだそうですね。それでは、そういう雇い方でありますから、仕事は簡単な仕事かといいますと、そうじゃないんですね。正社員と同じ仕事をさせている。こういうことにたまりかねて裁判闘争やる。そしてこれは訴えた人が勝利をする。あなたの言うことは正しい、確かに女性差別をした、こういうような雇用問題はいけないんだという判決をもらっているわけです。これは女性ばかりじゃありませんけれども、それでも六名訴えた中の五人が女性であります。 東芝臨時工問題、これも判決で訴えた女性が勝っているわけですね。それから仙台の河北新報、ここの大槻さんという方が男女差別の定年で退職をした。この当時は男が五十五歳で女が四十五歳、十歳若いですね。やめさせられた後は二号嘱託でした。この嘱託制度を何回か繰り返していって、そしてもうこれをやめますよと、こういうことになっているわけですが、十三年目にして初めて仙台地裁で大槻さんの言うことは正しいと、そして会社は大槻さんをもとの社員のままにしなさいという判決が出たにもかかわらず――それは権利がありますから結構ですけれども、会社側は上告をしておる。司法が裁判で違法だと、こう言われた後にもやっぱり職場の力関係が許す限り明白な違法行為を改めようとしていない。 こういうことに対して労働省の労働基準監督官は一体何の仕事をしているのかという不満が出てくる、こういうようなものに対して今つくられている法律は有効に働くのかどうかという心配を持っていますが、どうでしょう。
○政府委員(赤松良子君) 職場におけるいろいろな男女の差別が存在し、これをある方法で指導する、取り締まりをするというふうなことをいたしますと、また別な形でそれから逃げるというようなやり方というのが現実に存在するわけでございまして、これは大変難しい問題で、そのようにだんだん陰湿になり、いわば上手にうまくやるというようなやり方をどこまで追及できるかということは非常に難しい問題でございます。 私どもといたしましては、現在提案中の法案は、現実から余りにかけ離れた規定を設けるということではその法案自体が機能しないのではないかという基本的な観点に立っているわけでございます。したがいまして、これを徐々に考え方を改めていただくということは非常に大事なことだというふうに考えて、法律ではっきり守ることができることについては、もちろんそのようにいたしますが、そうでないものも含めて、基本的に女性を単なる補助的な労働力あるいは一時的な労働力というふうに認識をして労務管理をしているというような考え方について、基本的にその修正を迫ろうとしているのが今の機会均等法であるというふうに考えている次第でございます。
○粕谷照美君 そうすると、労働省としては、均等法は、十分ではないけれども有効に働くであろうと、こう判断をしている、そして提案をしているということでしょうか。
○政府委員(赤松良子君) まさにそのとおりでございます。
○粕谷照美君 労働大臣はいかがですか。今私が具体的な例を挙げているわけですから。
○国務大臣(山口敏夫君) 婦人局長の答弁以上に、私は有効に機能すると、かように確信をしております。
○粕谷照美君 何か後ろで不規則発言が起きているようでありますけれども、大臣、よくお聞きいただきたいと思いますね。 先ほどの日経連に対する回答の中で、「「妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているか否かに基づく差別的解雇」については何らかの制裁を行う禁止措置により担保しなければならないと解される。」と、こういうふうな御答弁があるわけですが、これが「解雇」だけになっているのですね。私はあらゆる一切の差別についてやっぱり禁止措置をしなければならないというふうに思っているんですが、日本シェーリング社の裁判闘争の問題について労働省は御存じでしょうか、内容を説明していただけますか。
○説明員(松原亘子君) 日本シェーリング社の賃金請求事件、これは第一審判決が昭和五十六年三月三十日に大阪地裁から出されたものでございますが、争いになりましたことは、労働者の賃金を引き上げる場合に、その賃金引き上げ対象者を出勤率八〇%以上の者ということにするという協約条項がございまして、その場合の出勤率の算定の基礎、つまり、逆に言えば欠勤率をどう出すかということでございますけれども、その欠勤といたしまして年次有給休暇ですとか生理休暇、産前産後休業等を取得して休んだ日を欠勤とみなして算定をしておったというようなことに対しまして判断が出されたものと承知いたしております。
○粕谷照美君 今、松原課長の報告どおりなんですね。しかしこれは私はひどいと思うんです。産前の休暇六週間産後の休暇六週間と、こう計算しますと、産休をとっただけで、決まっている出勤日のそのうちの八割は働かなければあなたの賃金は上げませんよという項目にひっかかるわけですから、あとお葬式があってもだめだとか、自分自身が病気になって欠勤をしても賃金引き上げの中に入っていかないとか、こんな厳しいことはないと思うんですね。サボって出勤をしないで賃金が上がらなかったとか、具体的に、その他労働基準法で守られていないような条件の中でそのようなことがあったというなら別ですけれども、母性を保障しなければならない産前産後の休暇まで対象に入れるということについては、大臣、どのようにお考えですか。
○政府委員(赤松良子君) 労働基準法その他法律の現行法の趣旨に照らしても、このようなことは好ましくないと考えております。
○粕谷照美君 大臣、これは子供を産むなということですね、具体的に言えば。そのかわり産んだら月給が上がらぬでも当たり前だよと、こういうことなんですね。この会社は日本シェーリング社といって全額西ドイツの、外資系の会社なんです。 これに対して、やっぱり大したものだなと思うのは、地労委が命令を下しております、それはもうやめなさいと。ところが、その地労委の命令を聞かないで中労委に上げています。それと同時に、一方労働者は協約をのんじゃったのです。なぜのんだかといえば、それは、賃金を上げないから別に裁判で闘争しますよ、それは争ってそのかわり協約だけはのみますと。裁判で闘争してその協約を破棄していきましょうというこういう闘いを組んでいくわけであります。 こんなことがまかり通るような現状というものを労働省は早急に見て、これは本当に申しわけないんですけれども、国家公務員の定員を削減しましょうなんという臨調の中で定員をふやすなんということはできないけれども、労働基準監督官の数なんというのも極めて微々たるものですね。そして会社はいっぱいになってきていますからよく見ていられないわけですよ。だから悪口言うのがきょう監なんということを言うのですね。そんなことを言われないようにきちっとこういう問題を取り上げて、そして対処をしていただきたいと思います。 一方でアメリカにどんどん企業が進出をしております。そういう企業が進出している中で、こんな日本的な感覚でもってアメリカでいろんなことを、アメリカに限りません、差別撤廃条約を批准をし、さらにもっとすばらしい、日本のこんな均等法なんかよりももっとすばらしい法律をいっぱいつくっている国々において、その企業が女性をどのように待遇をしているかということについて問題が出てくるのじゃないかという私は心配を持っております。持っておりましたら「朝日ジャーナル」に三井マリ子さんという方が住友商事の裁判の問題についていろいろと書いております。これ御存じですか。御存じだったら労働省から報告をしていただきたいし、質問の事前通告をしておかなかったので、そうでなければ私の方から言っても結構です。
○政府委員(赤松良子君) 住友商事の事件につきましては、アメリカでの最高裁の判決等はよく承知しておりますが、先生今御指摘の三井マリ子さんとおっしゃいましたが、あの記事につきましては現在承知いたしておりません。
○粕谷照美君 私は三井マリ子さんのもので知ったのですが、労働省としてはどのような形でニュースを取り入れていらっしゃいますか。内容を説明してください。
○政府委員(赤松良子君) アメリカ住友商事の事件につきましての内容でございますれば、アメリカの最高裁で判断が示された時点におきましていろいろ報道もございましたし、また、論文等も、アメリカで出版されたようなものもございますので、そのようなものを通じて承知いたしております。 これは概要を申し上げますと、日本の企業がアメリカに進出をして、そこで独立の子会社と申しましょうか、そういうものができたわけでございますが、その中での就業規則は非常に日本的なと申しますか、ものでございまして、日本人であること、そして男子であることという条件を、幹部職と申しますかエグゼクティブの仕事に就く方の条件としていた。そこで、それに対してイタリー系のアメリカ人である女性が訴訟を起こして争って最高裁まで参りました。 この争点は二つあったかと思いますが、この会社がアメリカの法律の規制のもとに服すかどうかという点と、具体的な差別ということであったと思いますが、日本の会社といえども、アメリカで企業を営む以上アメリカの法規の規制に服するという点についての最高裁の判断が示されて、その観点のもとで下級審でもう一度当該会社の就業規則について判断を下すようにということで下級審に差し戻されたと、そのように理解をいたしております。
○粕谷照美君 大臣、よろしいですか。男は幹部の仕事ですよ、女は秘書の仕事ですよと、こういう日本的な雇用の慣行をそのままアメリカに持っていったわけですね。アメリカの法律ではそのようなことはいけないと明確に書いてある。ですから、女性を雇用したあそこの住友商事が、権利意識、自立心の高い女性に、我々はなぜ秘書から上にいかないのか、なぜ昇格をさしてくれないのかということで訴えられているのです。 こういう問題について、大臣としての感想をお聞かせください。
○国務大臣(山口敏夫君) 今までは日本の雇用関係における特に女子の労働者の地位、昇進あるいは給与、その他の問題においてもそういった補佐的な仕事というような先入観で職場が提供されていた、こういうことは多分にあったと思うんですね、率直に申し上げて。やっぱりこれからはコンピューター時代に象徴されるように、大きな腕力や力というよりもやはり個々の能力や職業人としての資質や意欲というものが公平、公正に評価され得る職場条件にある。そういう中で、私は女性の職場進出と同時に、こういった法案の論議が進められておるというふうに思うんです。 ただ、やはり国会の外においては、現実の実業社会においては、まだまだ今先生が御指摘いただいたような認識で女子労働者の問題を位置づけしているところもたくさんあると思います。しかし、私は関係者の皆さんの努力と女子労働者の実績に応じてそういった偏見というものは逐次改善されていくというふうに考えるわけでございますし、そういう改善のスピードが一歩でも促進されるべく労働省はこうした法案の整備と同時に、行政的な立場からも促進をしていかなきゃならない、こういう立場での責任を持たされているというように私は考えておるものでございます。
○粕谷照美君 これが、そういうことをしてはいけませんという法律でないんですよね。そうして、そんなことをしたらあなたのところには何らかのことをやりますよというような罰則のついた法律でもないから、私は、信用しないというのはいけないんですけれども、非常に効果が少ないのではないかというふうに思います。しかし、それはまた女性自身の闘いも一つあるでしょうし、だんだん企業の側の、あるいは周りの男性の考え方を変えていくというこういう運動もあるでしょうし、行政指導も役に立つと思います。しかし、行政指導をやるといいましても一体どれだけの力があるのでしょうか。先回も当委員会におきまして、世界に冠たる行政指導であると、こう大臣はおっしゃって花と緑と大型連休のお話をなさいましたけれども、ぜひ世界に冠たる行政指導は女性の雇用における平等を保障するということにおいて発揮されたという評価を出さしていただきたいというふうに思うんです。 ところで、行政指導をするのは政府ですね、その政府の中には一体そういうことがないのだろうかという疑問が出てまいります。この法律の中から公務員を外した理由についてお伺いいたします。
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。 政府と申しますのは国家公務員ということになりますが、国家公務員につきましては、既に国家公務員法第二十七条で、憲法十四条の趣旨を具現化いたしまして、具体的な平等取り扱いの規定があるわけでございます。また、ついでに申し上げますと、地方公務員についても地方公務員法の第十三条で同様の規定があるわけでございます。したがいまして、既にこの点につきましては措置をされているものと考えて、この法案では適用を除外したものでございます。
○粕谷照美君 平等に取り扱いをされている、措置をされているというふうに考えてというのは、机の上でお考えになってでしょう。現場へ行ってごらんになったらそういうふうになっていますということで答弁いただけますか。
○政府委員(赤松良子君) ただいまのお答えは規定上のことでございまして、法律上規定がなされているということでございます。
○粕谷照美君 なぜ公務員を外したかということは、一つはその法律があるということと、労働省が例えば厚生省へ行ってあなたのところにこういうことがあるじゃないかとか、文部省へ行ってこういうことがあるじゃないかということを行政指導するということはできるのですか、どうでしょうか。
○政府委員(赤松良子君) 労働省がそのようなことをするのは適当でないというふうに考えております。
○粕谷照美君 随分今までの審議の中で、五、六年前にも私も質問をいたしましたけれども、そういうことが取り上げられまして、最終的に人事院がそういうことをしないようにというような文書を出したことはありませんでしょうか。――人事院を呼んでおりませんでしたので、失礼しました。 労働省はそういうことを御存じない。ただ、人事院が出したのは、門戸を閉じている部分がありますね、その門戸を外して女性をなるべく入れなさいと、あのときこういうふうに出した文書を私も見ましたけれども、それに伴って採用が随分開放されていますね。それはどの程度のことを労働省としては認識していらっしゃいますか。
○政府委員(赤松良子君) 差別の禁止につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、法律の枠組みとしてあり、それを責任を持って実施するのは人事院でございますので、そういう意味で、労働省がやるのは適当でないというふうに申し上げたわけでございます。 それから、ただいまの先生の御指摘は多分、国家公務員にいろいろと女性が受けられない試験がございまして、そのことについて人事院からそういうことは国家公務員として適当でないというような考えが示されまして、各省それぞれ、そういういわば女性を受けさせない試験というようなものを持っていた省庁におきましてはそれを検討いたしまして、当初十二だったと思います、十二の職種がございましたが、それを順次女性に開放といいますか、試験が受けられるように変えていったわけでございます。そして、現在なお残っておりますのは、一般国家公務員では郵政職のBというのがまだございますが、これは深夜業があるとか長時間の時間外労働が必要だというような、これは季節的なものかと思いますが、そういうような特別な理由があってなお女性には門戸を開放していない。それ以外の十一の職種については前進が見られたというふうに理解をいたしております。
○粕谷照美君 今まではそういう受験について女性を受けさせないということが差別だなんて思わなかったわけですよね。それがこの運動の中でやっぱりこれは女性の差別だ、女性の地位向上につながらない、能力を発揮することにつながらないというような機運が盛り上がりまして、その十一まで広がってきたわけですね。随分早くから、五十一年度ぐらいから始まっているようであります。国家公務員初級行政事務Bとか航空管制官だとか気象大学校学生だとかいろいろありまして、いよいよことしからは防衛医科大学校学生まで開放されている。私も、この防衛医科大学校については問題もあるけれども、なぜ女性を受けさせないのかということで質問したことがあるものですから、隔世の感があるのですね。あのときの答弁を考えながらこの数字を見ますと。 それで、運輸省おりますか。――この門戸開放について、運輸省としては随分努力をされて幾つかやっておられますが、そういうふうに今まで受けさせなかったところに女性が入ってきて、その効果といいますか、それはどのようなことがあるというふうに認識をしておられますか。
○説明員(小山昌夫君) お答え申し上げます。 昭和五十五年度から女性管制官を採用いたしております。その時点で人事院等の規則を改定いたしまして、女性も応募できるように改正したわけでございますが、現在管制官といたしましては二十一名が現場に勤務いたしております。なお、現在九名航空保安大学校で研修を受けております。そして、一部の方は第一線で資格を取りまして勤務をいたしております。男性と同様な勤務環境また勤務条件のもとに勤務をしているわけでございます。 現在の時点では、女性の管制官が男性の管制官と比べましてどのような差があるかというような問題もあろうかと思いますが、まだ卒業しまして有資格者になるまでの期間がいろいろとかかりまして、そういう面で現時点での公正な評価というものはまだ少し早いのではないかというぐあいに考えております。
○粕谷照美君 まだ発足したばかりのひよっこだからとても評価をする段階ではないと言われても、でも随分張り切っていらっしゃるようですね。本当にすばらしい若い女性が出てきたというふうに私は喜んでいるのですが、そういう人たちが失望することのないような、やっぱり一生働き続けていくのだというような条件をつくっていかなきゃならないと思うんです。 じゃ、国家公務員はそのような条件になっているかどうか。先日、日本学術会議が女性の研究者にやっぱり大きな男女差がありますということの報告をしています。これは文部省から科研費をもらってのいろいろな調査ですから、すばらしい報告書なんかも出されているのですけれども、こういうことでは困りますね。 それから、私のところに大分古い手紙ですけれども、国税に働く人たちが、自分たちの給料が一体どういう等級のところにあるかということの表を持ってきてくださいました。もうたまっているのですね。上の方にはほとんどいないんですね。そういうふうに男女差がありますよというこれは怒りの手紙であります。 先日も私は文教委員会で長野県にあります東京天文台の野辺山宇宙電波観測所を調査に行ったときに、そこで頑張っていらっしゃる女性の研究員にお会いしました。去年、おうし座の暗黒星座の中から星間分子、一酸化三炭素を発見された婦人研究者の方々もおられました。星を追うわけなんですね。何といったって三年後とか三百メーター先じゃなくて、三億光年向こうの方の星を追い続けるわけですから、それはもう勤務時間ですよなんということにはならない。実に厳しい中で研究をやっていらっしゃる。それでも世界の学者たちがびっくりするような発見をされているのですね。本当にすばらしいというふうに思いました。 その学術会議でさえやっぱり女性任用についての差があるというのですけれども、労働大臣、こういう各省庁における昇任とか昇格とかの差をなくしていくにはどういうことを具体的に行政指導していったらよろしいのでしょうかね。ここに東京大学の職員組合婦人部のアンケート委員会調査というのがあります。やっぱり、もう結婚したからやめなさいだとか、あるいは女だから研修にも出してもらえないとか、大変な差別を受けていますよ、というのがあるんですね。労働省としては、文部省に言うことができないわけでしょう。どうやって行政指導していったら具体的にこういうことがなくなるとお考えですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 今まで女性の職業人としての生活分野においていろんな種類における差別というものが存在をしているということは先生御指摘のとおりだと思うんです。そういう問題をどう改善、改革をしていくかというための、先ほど来から申し上げているように、この法案が一つの大きなてこといいますか役割を私は果たし得るというふうに確信をしているわけでございますし、これは因果はめぐるというか、女子労働者の場合、現在働いている方の就業に対する意欲や努力とか熱意に対しまして、私はこの百年の女子労働者の歴史の中においてはやっぱり大半の方が過去においては結婚と同時に職場を離れたり、あるいは家族とか家庭に対するロイヤリティーの方に、職業人としての生活よりはウエートを置いたりというような場面の中から、今日、社会変化と合わせて女子の労働者の意識あるいは職業人としての自覚というものの中に、職場的な条件も随分変わってきて、結果的にこういう法案までが成立するような社会、世論になってきた。 こういうことでございますから、審議会等におきましても女子の審議委員をさらにふやせということを政府でも徹底してこれを再三取り上げております。これは国会で取り上げていただいたということの前提がございますけれども、そういう不断の努力を積み上げながら、今粕谷先生の御指摘いただいたような問題の改善に社会全体としてやっぱり取り組んでいく、公務員の採用においても、そういった一つの傾向をさらに改善させていくという中に男女の真の平等と公平というものが確立されていくというふうに私は認識をし、労働省としてはそういう立場で努力をする責任を負わされている、かように受けとめておるわけでございます。
○粕谷照美君 わざわざ公務員は除くというようになっていますからね。因果はめぐるといったって、そんなわけにいかないんですよ。やっぱりきちっとしたものを、行政指導ではなくてどこかの部分につくっていただかなきゃならない。
○国務大臣(山口敏夫君) この間の決算委員会での刈田先生の御質問で私申し上げたのですけれども、労働大臣がこういう委員会で申し上げるのは適当かどうかわかりませんが、例えば公務員試験なんかでも、上級であってもこれは試験だけで採用すれば、現在の局長の半分ぐらいは女子になっちゃうということだってあると思うんです。それから、ことしの大学卒業生の答辞というのですか、あれの半分以上が女子学生という、男女共学の学校でも女子学生というような形で、成績だけで人間、能力、すべて評価するということであれば、これはそういうことになる場面も想像されますね。 しかし、じゃ、そういう立派な成績だからといって、人生、四十年全部職業人として、国家公務員として、あるいは地方公務員として住民サービスに奉仕徹底していただけるか、こういう保証をお願いすれば、やっぱり現実は半分以上の方が結婚と同時に職場を離れられるという場面も――まあ後ろで不規則発言ございますけれども、そういう現状が過去においてはあったわけでありまして、私は、男性社会といいながらも、別に女子の能力とかあるいは意思とか職業人としての適性とかで疑問を抱いている男性というのは私はほとんど一〇〇%おらないんじゃないかと思うんですね。しかし、にもかかわらずそういう差別があるということは、やっぱり現実の社会において、女子の職業人としての生活においてどうしても男性とは別な意識というものを持っている方が多い。全部が全部ということじゃありません、多いというようなこともあってそういう今日まで引き継がれていたような差別の現状というものをやはり冷静に受けとめて、そこからの改善、改革というものをどう取り組んでいくか。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕 もちろん先生が御指摘のように、託児所の問題とか子供さんの問題とか、いろいろなすべての社会環境の整備ももちろんでございますが、私はそういう総合的な問題を今こそ取り上げ、改善、改革していかなきゃならない。こういう認識がなければ、頭の中だけで考えてはあとかほうと言ってたってこれはなかなか現実は進まない、こう私は確信をしておるわけでございます。
○粕谷照美君 大臣の後半の部分、私よくわかります。ちょっと前半の部分で気になりましたね。試験だけだと女性の方がよろしい、しかし今までは、結婚したり子供を持ったりするとやめちゃう。国家公務員は厳しいですからね。三年間は東京を離れて名古屋へ行け大阪へ行け北海道へ行けなんという、やっぱりそういう厳しさに耐えて松原課長なんかもきちっと課長の座についていらっしゃるわけでありまして、そういう条件を保障するようなことをやらなきゃいけないんですね。 それじゃ、公務員の採用が、試験だったら女性がいいのに、なぜ女性が少ないのかというと、やっぱり意図が働いているわけですね。そうしますと、逆にいいまして、せっかくこの法律ができるのですから、そうしたらやっぱりある程度の意図を働かせて、採用者のうちの何%は女性にしますというようなことを目標にするということは非常に大事なことじゃないかと思います。その辺は政治的な問題でありますから大臣にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(山口敏夫君) ですから、今の男女均等法案の一つの理念というのは、何%女性を採るという、そういう差別をしないで、やっぱり同じステージで能力のある人が採用される、こういうような社会にしていかなきゃならない、こういう理念を願いながら国会で御審議をいただいておるということでございまして、私が成績だけでなら女子の方が多いのでないかという、想像と想定の中でたまたま申し上げたわけで、だから、成績プラスいろいろ、何といいますか、社会的適性とかいろいろな問題もあって現状そういうことになっておりますけれども、私は、これからは皆さん方や赤松局長や松原課長のように、やっぱり職業を持っている女性の努力と忍耐力も含めてそういうことが進められる中で今粕谷先生の御指摘いただいたような女子労働者の職場条件というものはかなり大幅に改革されていく、改善されていくという環境状況にあるというふうに認識をしておりますので、行政の立場からもやはりできる努力は進めていかなきゃならない、かように考えております。
○粕谷照美君 何%女性を採るというようなことが差別になるという今の労働大臣の発言は取り消していただきたいのですね。やっぱりせめて一〇%ぐらいは採りましょうとかというようなことがあっていいのじゃないんですか。身障者雇用促進法なんという、やっぱり障害を持った人たちを採用しなければなりませんと法律をわざわざつくっているのは差別じゃないでしょう。 私、前に社会労働委員をやっておりましたときに、トヨタの自動車工場だとかヤマハのオートバイ工場だとか見学に行きましたけれども、ヤマハなんかではもう女性労働者が先頭に立って頭張っていて、そしてちゃんとリーダーもやっているわけですよ。その中に、手が動きながらしゃべっているわけです、労働者同士。なぜしゃべっているか、あそこの社長さんが、やっぱりもう女性の労働者を雇わなきゃだめだといって女性労働者をうんと採用した。そして、法律に基づいて身体障害者も雇わなきゃいけないというので大勢採用した。ところが、耳の聞こえない人たちですから教えるには文字で書かなきゃいけない。通訳が入ってくる。そうしたら、その耳の聞こえない人たちが、我々が教えるからぜひ手話を健常者であるあなた方労働者が習ってくれといってそして教えるわけですね。以後健常者がみんな手話を覚えてやっぱり労働の中でお互いに高まり合い、いったということがあるわけですからね。女性は何%採りましょうなんということが差別になるなんて、これはもう絶対許せないと思います。努力してくださいよ。 文部省来ておりますか。――私、新潟にいましたけれども、私がいたときに十一人の女の校長先生がいらっしゃいました。初めて十一人の女の校長が出たときに生徒が何を言ったかといったら、今度スカートをはいた校長先生が来たといってびっくりしたのですね。校長というのはみんな男でズボンをはいているものだと思っていたら、スカートはいているのが来たわけですね。こういう女性の進出について今大体どのくらいの人数いらっしゃるか。そして、男性との比でどのくらいになっているか。文部省はやっぱりこういう問題について、教育をやっていらっしゃるのですから先頭に立っていい条件を示していただかなきゃ困るわけです。実態を御報告ください。
○説明員(横瀬庄次君) 今の御質問でございますが、国公私立を含めまして小中高等学校の校長、教頭の男女別の実態というふうにとらえましてお答えいたします。 五十九年五月一日現在の数字でございますが、校長につきましては六百四十七人、これは全体の合計の数が三万八千五百六十五校でございますので、一・七%ということになります。それから教頭につきましては千六十人、これは全体の数が四万二千二百三十九人でございますので、二・五%というような実態になっております。
○粕谷照美君 これは非常に少ない数ですね。一・七%なんてもう問題にもならない。 それじゃ、先ほど申しました女性の研究者の問題ですけれども、国立大学で教授、助教授、講師と、こういらっしゃるわけですけれども、大体この比率はどのくらいになっていますか。
○説明員(横瀬庄次君) 国立大学におきます教授の女性の比率でございますが、これも昭和五十九年の五月一日現在の数字で、教授につきましては二百七十一人。これは、全体の教授の数が一万四千八百六十人でございますので、女性の比率は一・八%ということになっております。
○粕谷照美君 助教授は四・〇%ですね。それから講師が六・七%。下へいくほど女性の比率は高くなって、上の方は全然と言っていいくらいいないのですね。 これは、なぜ女性の教授を採用しないか、こういうふうに言いますと、それは国立大学の自治です、大学の自治であります、こういう答弁が返ってくるのですね。大学の自治ですといったって、絶対的に男が多い中で決められる。今度採用をしましょうという数字は、それは男の人になるという傾向は大きいに決まっていますよ。そこのところに労働行政の、あるいは文部行政の行政指導というものが必要になってくるというふうに思っております。あなたは文部大臣でないから言えないけれども、ぜひ文部省としてもしっかりとこういう点では努力をしていただきたいと思います。文部省結構です。 それでは今度は自治省来ておられますか。――国家公務員については大体そういういろんな条件がありますよということがわかっていただいたと思いますからあれですけれども、自治省関係で、男女差で何か問題になるようなことはありませんですか。お考えになっておりませんか。男女差はありませんというふうに御回答いただけますか。
○説明員(紀内隆宏君) お答えいたします。 法の規定上の関係は、先ほど赤松局長からお話しになったように、国家公務員法と同じように平等取り扱いの原則が地方公務員法上規定してございます。恐らく今先生のお話にございましたのは、例えば採用等について男女の性別によって区分を設けたりしていないかという趣旨を含んでのことだと思いますけれども、その点につきまして、私ども採用試験の実態とかあるいは昇格の運用とかということにつきまして全体的な調査をしたものはございませんけれども、都道府県の職員の募集要綱等から見ますと、例えば初級の一般の事務職などにつきまして性別による試験区分を設けている団体が一部にございます。 先ほど申し上げました平等取り扱いの原則というのは、例えば警察官とか消防士等のように、女子の深夜業の禁止というふうな法の規定等との関連でいわば合理的な区別であるというふうに考えられるものはこれを禁ずるものではございませんけれども、今例に挙げました一般事務職の定期的な採用試験のような場合には、あらかじめこれは男子のみをもって充てるべき職とか、これは女子のみをもって充てるべき職とかというのを事前に区分しておくことは、なかなか困難ではないかというふうに考えます。といたしますれば、このような職種につきましては原則として男女双方に受験の機会を与えておくべきものというふうに考えております。自治省はそういうふうに考えまして、かねてから指導をしております。 各地方団体におきましてもこういう点は非常に留意して管理に当たっておられるようでございますけれども、まだそういうものが残っておりますので、私どもさらに拍車をかけて指導に努めてまいりたい、このように考えております。
○粕谷照美君 私、この問題を五十五年に取り上げまして、五十五年度の採用の募集案内書を取り寄せて点検してみました。具体的に何県何県というところまでやりました。やってみても直っていないんですよ。あなたのところは何を行政指導をしているのですか。私はやっぱりそのことを指摘したいと思います。
○説明員(紀内隆宏君) 私どもの主宰しております例えば全国の総務部長の会議であるとか、あるいは地方課長の会議であるとか、あるいは人事委員会の寄り合いであるとか、人事委員会の事務局長の会議とか、いろんなものがございます。さらに個別にブロック会議等もございまして、その都度私ども口を酸っぱくして指導しております。 まあその割には遅々たる進みだという御批判があるのかもしれませんけれども、数字を申し上げてみますと、現在五十九年度末で男女を分けて採用を区分しておるというふうなもの、これはいろいろ形はございます。男と女を別々、あるいは男子の枠プラスフリー枠というふうな形はございますけれども、そういうものが五十九年度におきまして二十一ございます。これは都道府県でございますけれども。六十年度におきましては、私どもいろいろ個別にやりとりをした結果、完全にこれを改正するという予定を立てておりますところが五団体ございまして、そのほかに前向きに改正すべく検討をするというものが十六団体ございまして、私どもはさらに馬力をかけて指導いたしますけれども、徐々にいい方向に向かっていくのではないか、こう思っております。
○粕谷照美君 私は、お役人の方が前向きに検討すると言うのは信用できないんです。やっていただかなきゃならない。中曽根総理はがん撲滅と言いますけれども、やっぱり女性差別撲滅までしっかり頑張っていただかなきゃならないと思っています。 最近、採用に当たって女子職員を採らないでほとんど男子にしていく、女子は臨時だというような条件は、それは都道府県にはないですよ、自治省から次々と随分天下っていく部長がいるわけですから、きちっと守ってもらわなきゃならないわけですけれども、市町村なんかにふえているのですね。この辺のところも十分に御留意いただきたい。いかがですか。
○説明員(紀内隆宏君) 具体的な事案につきましては承知しておりませんけれども、よく背景を調べました上で、合理的な理由がなくて男女の雇用の平等を害するというふうなことがないように指導してまいりたい、かように考えます。
○粕谷照美君 安心しました。この次質問するときはぜひいい報告が聞けるようにやっていただきたいと思います。 それで、まあ採用のときは話はわかりましたね。門戸が開けます。しかし、昇任昇格というところで、これはどうしても問題が出てくるのですね。三重県の鈴鹿市で問題が出てました。これは自治省としては十分御存じだと思いますけれども、報告いただけますか。
○説明員(紀内隆宏君) 鈴鹿市の案件につきましては、上告がなされてその後の扱いにつきまして私ども子細に承知しておりません。 二審が名古屋高裁で行われまして、その判決によりますと、昇格制度の運用に関しまして任命権者において、女子であることのみによって、あるいは恣意的に社会観念上著しく妥当を欠く運用が行われたとは言えないという旨が判示されまして、職員の請求が認められなかった、このように承知しております。
○粕谷照美君 しかし、津の地裁ではちゃんと本人の訴えに対して百四十二万六千百五十円の慰謝料、損害額、弁護士費用、こういうものを支払いなさいという判決を下しているのですね。 これは、先ほども話をしましたように、国家公務員と同じようにある特定の部分に女性が集中をしている。それで、受験というのですか、昇任の試験のチャンスさえなかなか与えられない。こういう状況は国家公務員同様、地方公務員にもあるわけですから、ここもきちんと指導していただくことを要望しておきます。 さて、そういう状況の中で、こういう女性差別を受けた人たちは一体どうしたらいいかという問題が出てくるわけであります。もう一つ明確でないんですけれども、陰湿ないじめなんですけれども、私、ゆうべ十時ごろ電話が来まして、きょうの質問に向けて一生懸命勉強しているときだったから、ああ困ったなと思いながら電話に出て、四十分、長々と。佐渡からです。夫が校長になるということで、あなたはやめなさいと、こういうことを言われたというのです。大臣、こんなこと考えられますか。東京あたりですと、私の同級生なんか自分も校長になっている、夫も校長になっているなんという例がありますけれども、田舎の方――田舎というのは悪いですね、地方へ出ますと、夫を教頭にする校長にするという条件の一つに、女房をやめさせなさい、こういうのがあるのを御存じでしょうか。埼玉あたりはないと思いますけれどもね。――大臣は御存知ない。こういうことについて、いかがお考えでしょう。
○国務大臣(山口敏夫君) 埼玉県は比較的文化県だと思いますので、そういう極端な差別はないと確信をしておりますけれども、地方によってはそういった差別が教育の現場においてもしあるとすれば、これは大変私は問題だというふうに受けとめますね。
○粕谷照美君 これまた行政指導をしてもだめなんですね。なぜかといえば、そんなのはありませんと、表に絶対出てこないのですから。 そして、私は言ったんです。もう何回取り上げたかわからない。教育委員会交渉も何回やったかわからない。最後に勝つのは何か。夫が、私は校長にならないでよろしい、教頭にならぬでもよろしい、女房をやめさせないでくださいと、こう言うことしかないんだ。そういう人たちがふえていくことによって初めて女性教師もずっと自分が働きたいところまで働くことができるし、夫も、人格力量を認められれば校長になれるんだ。そこのところを言わなきゃだめ。あなたは私に名前も言わないけれども――自分の名前を私に電話で言うことすらできないような、こういう陰湿ないじめがあるわけですね。何も生徒だけじゃないんです。教員同士の中だってそういういじめがあるわけです。大臣のところはダサイタマじゃなくて文化都市だと、こうおっしゃったから、それはないのでしょうと思いますけれども、こういうような訴えを持っていくというのは本当に大変なんですね。どこに持っていきようもない。訴えたことによって差別を受けるわけです。例えば、私は何々教育委員に夫がおまえ校長になりたければ女房をやめさせろと言われましたと一言言ってごらんなさい。それはもう僻地へ飛ばしていくとか、あるいは夫婦が別れるような条件のところにどちらかが転任をさせられるとか、こういう何というのですか、報復手段があるわけです。 こういうことをなくしていくためにも、やっぱりこの法律は有効に働かなければならない。訴える場所がちゃんとなければならない。訴えられたところはちゃんと実情を調べて、そして適正な行政指導が行われる、あるいは処置が行われるというふうにならなければならない。ところが、その措置がこの法律ではどうしても足りないという意見が次から次へと出ているわけじゃないですか。 先日も糸久委員が取り上げられました、鉄連に働く女性が差別を受けましたと言って東京都の苦情処理委員会に提訴をした。何か新聞を見ますとこの間取り下げたということでありますけれども、それはなぜ取り下げたか、労働省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。御存じないですか。
○政府委員(赤松良子君) 鉄連の事件につきまして、取り下げられたという点についてはよく存じておりません。
○粕谷照美君 私もあれですけれども、鉄連のその闘っている女性たちから毎回ニュースが送られてくるんですよ。もう勇断をもって取り下げましたと。絶望して取り下げているのですね。なぜかといえば、苦情処理委員会は権限ないんだから、あんなもののところに――そういうふうなことは明確に言いませんけれども、しかし使用者側が、法的な強制力がないという弱点を知っているから、その弱点を利用して対処しているわけです。だからこの人たちは、最後は裁判で争う以外にないという判断をしていらっしゃるのだというふうに思います。 どうもこの法律に出てくる救済措置もそういうふうになるんじゃないんですかね。片方がうんと言わなければこれは調停できないわけでしょう。そういうことはないようになりますとお考えですか。
○政府委員(赤松良子君) 東京都の苦情処理委員会のことにつきましては私ども余りよく存じませんが、同種のものであるということで研究はさせていただいているわけでございます。 新しい雇用機会均等調停委員会は、できるだけ効果が上がるように、そういうものも検討しながら万全を期してまいりたいと思っております。
○粕谷照美君 どうやったら万全を期せられるかは、もう本当は局長お困りになっていらっしゃるのじゃないだろうか、私はそういうふうに思われてなりません。権限ないんですからね。片方が同意したときだけでなければ機会均等調停委員会が本当の機能を出すことができないというのでは、これはもう働く人たちはたまったものじゃないと思うんですよね。 具体的に、どのようにしたら相手側が出てくるというようにお考えになっていますか。
○政府委員(赤松良子君) これは地方婦人少年室長が主として使用者の方にお話しすることになろうかと存じますが、いろいろな新しい法律の考え方、社会的な意識の変化、その他をよく御説明をいたしまして、差別というものが世の中からは既に認められないものになってきているということをまず基本的にわかっていただく。その後は、個別の紛争については、やはり相互に譲り合って解決するというやり方が一番望ましいやり方だということをよく御説明をし、調停に応じていただくということについて説得をするということが肝要かと存じております。
○粕谷照美君 東京都の苦情処理委員会でマミヤ精機の問題が上がってきたわけですね。それで労政事務担当が会社を訪問していらっしゃるわけなんです。そうしたら門前払いを食わされているのですね。もう門前払い、こうやられているわけです。まあ、その他これは解雇問題も絡まっていたりいろいろしますから、いろんなこともあったかと思いますけれども、そういう担当官そのものがもう門前払いを食わされている。これじゃ困るのですね。さらに今度は、担当官じゃだめだからというので、使用者委員がおりまして、その使用者委員ならわかってもらえるかと思って会社の方に連絡をするのですけれども、それでもやっぱり出てこなかったということが担当であります苦情処理委員会会長江幡さんなどという方がいろいろ苦労話を書いていらっしゃるのです。 それでも東京あたりはこういうように問題が出てきますからいいですけれども、本当は問題が出てくる以前に問題を探していくという、そういう積極的な姿勢、そしていろんな問題が入ったならば、訴えがあるということもあろうけれども、やっぱりその問題を十分に調査をし指導していくというような姿勢、こういう積極性というものが私は調停委員会には必要になるんじゃないだろうか。ただ上がってくるのを待っていますよということではだめなんではないだろうか、こう思いますが、その点はいかがですか。あくまでも申告をしなければだめですか。
○政府委員(赤松良子君) 個々の紛争につきましては、これは申し立てがあった場合に取り上げるというシステムでございますが、婦人少年室長のもう一つの任務といたしまして、一般的な啓発、指導というものはあるわけでございまして、問題になるような点については、個別の紛争というようなことが起こる前にでも行政指導の対象にするということは可能でございます。
○粕谷照美君 大変心強いことをお伺いいたしました。 そうすると、婦人少年室長の任務というのは非常に重くなりますね。今の体制でやれるのでしょうか。全国的にはどんな状況になっておりますか。
○政府委員(赤松良子君) 婦人少年室の現在の体制は、平均四人程度でございまして、小さいところでは三人という室もあるわけでございます。また、もう少し多い室もございますが、その程度の人員でございまして、今後、この法案が成立いたしまして、それを施行するという段階になりますと、婦人少年室の責任が今までよりも非常に重くなるという点はまさに御指摘のとおりでございます。 この充実強化については、私どもこの法案が成立した暁には最大の課題として取り組まなければならないものと考えております。
○粕谷照美君 労働大臣、コペルニクス的発想のもとにこの法律が通りますと、本当に大変だと思うんです。よく労働争議なんか起きますと暴力団まで雇ってきて労働者を追い散らすような、そういう会社側もあるわけですから、そんな中で、か弱いとは言いませんけれども、女性の差別を受けた訴えを本当に守ってくれる、そういうシステムをつくっていただかなきゃならないと思うんです。これはやっぱり予算との関連ですよ。行革で人数を減らしましょうなんと言っているときに、私は女性の人権を守る意味では労働大臣の奮起をお願いしなきゃならないと思いますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(山口敏夫君) 婦人少年室の持つ機能、今日までの役割も大変高い評価をいただいておるところでございますけれども、これからは、この法案を通していただきますとさらにこの婦人少年室の全国的レベルにおける責任、役割は非常に重大なるものがあると私も考えております。 したがいまして、労働省の中でも、総体的にはやはり公務員の員数というものは基本的に抑制されておりますけれども、でき得るだけ配置その他を工夫をいたしまして、さらに予算的な措置においても努力いたしまして、今先生から御指摘いただいたような部分につきましても、十分労働大臣としても努力することを考えなきゃいけない、かように認識を持っております。
○粕谷照美君 私は先日岩手へ行きまして、岩手の県営バスが大変な赤字の中で、やめなさいという攻撃がかかっている、そういう中でも特に車掌さん、女性労働者にきつい攻撃がかかっているんですね。その車掌さんたちは一体何をするか。もう働いていかなきゃならないから、借金取りが家に来て子供の前でけんかをしている、そういう状況の中でどうしても私は働き続けていかなきゃならないからといって頑張っているのですけれども、どういうことをやっているかといいますと、とにかく朝五時に家を出て会社に着く、そして仕事をして――これはきっとバスに乗ってどこかへずっと行くんですね、長野スキーバスじゃありませんけれども、きっとそういうことだと思いますけれども、そして十時に到着をする。それから車内の清掃が、お客が汚しますから、一時間以上かかります。家に帰るのが十一時過ぎるというんです。労基法違反がまかり通っているじゃないですか。それでも働きたいからやっているのだと。もう涙が出るのですね。そして、夜行と言われる深夜乗務にガイドは一切使えないんだけれども、しかし、本人の申し出があれば便乗させてもよいということがあり、うっかりしていると本人に通告のないままにダイヤが組まれてしまう。 タクシーの運転手に限りますなんていう今回の法律のあれなんですけれども、こういう問題を積極的に取り上げて指導をする責務が私は労働省にはあるというふうに思いますので、ぜひ頑張っていただきたいということをお願いし、今までは随分きつい質問ばかりいたしましたけれども、しかし、まあそんなことばかり言っていたって通りませんから、これからは男女が同一基盤で働けるようにするための環境整備のことに関連してお伺いをします。 まず、育児休業について伺います。 育児休業について、労働省としてはどのようなことを今考え、具体的に普及をさせようとしていらっしゃいますか。
○政府委員(赤松良子君) 育児休業につきましては、まだその普及の状態が一四%程度と低いわけでございますので、これについて請求権化をするようにという要望があることもよく承知はいたしておりますが、審議会におきましても、直ちに請求権化することについてはまだ時期尚早というような御見解もいただいておりますので、まずはこの普及に努力をするということで、これまでございました奨励金の額を大幅に増額をし、十分に誘因となるようなものにしたいということが一つございます。 また、普及のための普及指導員をこれまた増員を六十年度においては図る予定でございますし、育児休業のための普及の旬間というようなキャンペーンの企画も今具体化しているわけでございまして、そのようなもろもろの活動を通じて、ともかく育児休業というものが働く婦人にとって非常によい制度であるということを広く世の中にわかっていただき、制度を普及するということを第一の任務と考えております。
○粕谷照美君 労働大臣、大臣はすごくセンスのいい方で、アピールもお上手だというふうに思いましたけれども、前の労働大臣で藤尾さんという方がいらっしゃいますね。この時代にこういうことを言っているのですよ。私は自民党のことはよくわからないんですけれども、それでも八〇年のダブル選挙のときはたしか選挙公約の中に育児休業の制度をつくりますというようなことをおっしゃったので、国民はみんな法律をつくってくれるのだなというふうに思っていたわけですね。でもそうじゃなかったのでがっかりしているんですけれども、新聞報道なんかを見ますと、育児休業制を全面実施、期間は一年から半年、次の通常国会に法案提出なんて、そして早川議員がヨーロッパ諸国を回られまして、何々国はこういうような育児休業の実態だというようなすばらしい報告書なんかもいただきまして、我々国連婦人の十年議員連盟はその資料をいただいて物すごく喜んだんです。しかし、健保のお金は全額企業が負担だなんていったころからどうも様子がおかしくなって、育児休業の育の字もだんだん表面に出てこなくなったわけです。 今、局長がおっしゃったようなことを私も予算を見て随分わかるのですけれども、その奨励金というのは一体幾つの企業に出されていったのか、あるいはこの普及指導員というのは何人ぐらいいらっしゃるのか。普及指導員というのは一体どういうふうに具体的に普及を指導されるのか、そこをお聞かせください。
○説明員(川橋幸子君) まず第一点目の奨励金の方でございますけれども、六十年度におきましては奨励金の単価を大幅に拡充いたしましたと同時に、件数につきましても、従来の件数よりはかなり大幅なものを認められたところでございます。千五百七十五件という件数になっております。奨励金の件数についてはそのとおりでございます。 育児休業普及指導員につきましては、六十年度におきまして六人増員が成りまして、三十二室に配置されるということになっております。 育児休業普及指導員の実際の活動につきましては、それぞれの各室におきまして管内の実情に応じまして各企業やあるいは労働組合の方々や、非常に小まめに地道に努力している。普及指導のPRをいたしましたり、あるいは動員に当たりましての具体的な個別指導をやったりという、そういう活動をやっております。
○粕谷照美君 そうすると、企業まで出かけていって指導していらっしゃるという報告だというふうに受けとめて、大変御苦労なことだと思うんですが、たった六人の増ではこれはどうも足りませんですね。六人になったのですか、六人の増なのですか。
○説明員(川橋幸子君) 大変失礼いたしました。二十五室に配置のところ、六十年度に七人増員になりまして三十二でございます。どうも申しわけございませんでした。
○粕谷照美君 それから、いつも労働省の発表は育児休業の普及率何%ということなんですけれども、何%というこの数字の出方は、企業が幾つ幾つありますよ、そして育児休業をやっているのは幾つですよ、したがって何%だというふうに数字をお出しなんですか。
○説明員(川橋幸子君) 育児休業の普及率でいつも御報告申し上げておりますのは、女子保護実施状況調査というものに基づいております。この調査は、三十人以上の規模の事業所を抽出してやっておりまして、抽出した数は一万程度の調査でございますが、もとの母集団は二十五万五千程度という、そういう数になっております。ですが、普及率につきましては統計上の設計をいたしておりますので一四・三。ちなみに、二十五万五千を、分母といいますか、母集団にいたしまして一四・三%掛けますと約三万六千ぐらいと、そういう事業所の数になるかと存じます。
○粕谷照美君 三万六千も育児休業をやっているなんて私はちょっと信じられないんですけれども、それじゃ、三万六千のうちの千五百七十五件奨励金がありますよというのですが、この奨励金は毎年払うわけじゃないと思いますけれども、どうやって配分するのですか。私はそのパーセントそのものが信用できないんです。
○説明員(川橋幸子君) 育児休業の普及率の三万六千という数を申し上げましたが、この数は、奨励金が始まりましたのが五十一年からでございますので、ちょっと奨励金の対象に当たった企業とパラレルには考えられない数で、もっと大きな数になっております。 奨励金の支給につきましては、制度導入に当たりまして企業が非常にコスト負担が大きい、そういう調査結果、御意見が多いものでございますから、そういうコスト負担を軽減するという趣旨で、制度を導入した企業に対しましてトップランナーと申しましょうか、導入しただけでなくて、実際に取得者が出たところで奨励金を支給する、そういう手続をとっております。
○粕谷照美君 そうですね。制度を実施しますなんと言って、お金だけもらって実際的にはやらなかったなんということでは困るわけですから、とった人がいたところにお金を出すというのは、これは当然のことだというふうに思います。しかし、もう少し実態をきちんと把握をしていただきたいなということを要望しておきます。 それで、どうも企業側は育児休業の制度を実施すべきではないと、こういうことを言っているのじゃないんですか。法制化をすべきではないということを言っているのじゃないんですか。どうでしょう。
○政府委員(赤松良子君) 企業と申しますか、数年前に使用者団体からの申し入れがございまして、その中で、昭和五十六年十月六日付でございますが、経団連、日本商工会議所、経済同友会、日経連、この四団体から当時の労働大臣あてに要望書が出ておりまして、その中で、いろいろ問題があるのですぐに制度化をすることは適当でないというような要望が出されております。
○粕谷照美君 すぐにやることは適当ではないという要望書ですね。逆に言うと、早く育児休業の制度をつくってくださいという、こういう意見もちまたに満ちあふれているわけで、どちらの意見をとるかというのは、私は労働省の判断だというふうに思うわけであります。 そういう意味で、我が党は育児休業法についての法案をぜひ成立させてもらいたいと思って提出をするわけでありますけれども、大臣としては、この育児休業法の制度はいかがお考えですか。まさか藤尾労働大臣よりは後退する姿勢は、だんだん世の中は前進していくのですから、おとりにならないと思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 藤尾労働大臣は、顔の割には非常に進歩的考えをお持ちでございまして、育児休業その他にも大変御理解がある方でございます。我々も、労働省の政策として、育児休業制度を十分機能させたい、こういう認識のもとに、先ほど婦人局長からも答弁申し上げましたように、いろいろ予算的な面からの充実、また、この環境整備に努めておるところでございますけれども、この間、婦人少年問題審議会におきまして、「現段階において全企業に本制度の実施を強制することは困難であり、当面、行政側の積極的な指導、援助等により本制度のなお一層の普及を図ることが先決である」と、こういう建議をいただいておりまして、労働省といたしましては、この趣旨に基づいて育児休業奨励金の大幅拡充等充実に努めている、また普及促進を図りたい、かように考えております。 ただ私は、今先生の御指摘の育児休業法の法の成案ということ、むしろ産前産後の休業を母性保護の立場でさらに十分当事者が納得のいくような期間の設定という問題に真剣にさらに取り組む必要があるのではないかというふうに考えております。
○粕谷照美君 女が働いていくということと、家庭の生活を両立させていくということについての条件整備は、そのほかにも再雇用の制度だとか、あるいはパートの雇用の労働条件をきちんとやっていくことだとか、もうたくさんあると思います。そして、きょうはせっかく厚生省においでいただいて、保育所の実態などについてお伺いしたいと思ったんですけれども、もうあと一分になりましたので申しわけありませんでした。ぜひ子供たちの福祉のためにも、この保育所問題はきちんとやっていただきたい。先ほど労働大臣、託児所なんておっしゃったけれども、これは保育所の間違いでありますので直しておきたいと思います。 そういうことも含めまして、それではこの法律はいいかといえば、私は先ほどから厳しい指摘をしておりました。じゃ、悪いからもうちょっとしたら世の中はよくなるんだから直せばいいじゃないかということもあります。しかし、直すということになりますと、この法律は労働基準法を改正する、改悪するという問題と重なってくるわけですね。そうすると、その労働基準法の方は企業家側から言えば、もっともっと保護を撤廃していけということになるわけでありまして、両方ワンセットで出ている法律を簡単に見直しますということにはなかなかならないのではないかという意見を申し上げまして、時間が来ましたので私の質問を終わります。
○委員長(遠藤政夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。 午後零時三十分休憩 ─────・───── 午後一時三十五分開会
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案を議題にいたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○中西珠子君 私は、これまでたびたび質問をしてまいりましたので、きょうは、これまでお聞きしなかった部分をお聞きすると同時に、もし時間が許されるならば確認をしたいと思うわけでございますが、大変時間が限られておりますので、答弁はなるたけ簡潔にお願いいたしたいと思います。 この前の四月十七日の公聴会におきまして、私どもがお願いいたしました四十八婦人団体の代表の方、また、労働団体の代表の方々が、政府が提出された機会均等法案について非常な失望を漏らされ、そして全く期待を裏切るものだという感想を述べられました。そして、この均等法案が勤労婦人福祉法の改正部分と労働基準法の改正部分とが抱き合わせになっているということについて大きな憤りを表明されたわけでございます。この法案は、働く婦人ばかりでなく女性全体の大きな関心事であり、また、日本ばかりでなく世界の目がこの勤労婦人福祉法改正案プラス労働基準法の改正案に注がれていると思うわけでございます。 私は、本会議におきましても予算委員会におきましても、また、この本委員会におきましても、たびたび労働基準法改正部分の切り離しというものを要求してきたわけでございますが、労働大臣はこれが最もよい、妥協の産物とはおっしゃらなかったけれども、非常にいろんな意見を中和してやってきた、これが一番いいものだという点においてはお譲りにならなかったわけでございますが、この点については依然としてそのように大臣はお考えでいらっしゃいましょうか。
○国務大臣(山口敏夫君) いわゆる女性化時代の中におきまして、あらゆる社会的な諸課題において、旧来の男女の差別的な状況を改善していく、前進させていくという起点としての合意事項としては一つの理想と現実の接点ということがこの法案に言えるのではないか。しかし、さらにこれが先生方の御発言に見られるように、大いに一層の前進、改善が促進される過程においてさらによりよい条件、あるいは成案の整備というものが当然必要になってくるという私は考え方で取り組んでおるわけでございます。
○中西珠子君 意見の相違ということもございますからいたし方のないことかもしれませんけれども、私は依然として女子保護法規の部分はこれは何も今改正する必要は全然ないと考えておりますし、また、労働基準法全体の見直しというものが日程に上っているときに、なぜ保護法規だけを急いで改正しなくちゃならないかということは大変疑問であります。そして、既に批准をやりましたほかの国々を見ましても、保護法規を残したまま女子差別撤廃条約、これを批准している国は多いわけでございます。 保護法規を残したまま批准している国がどのくらいあるか、また深夜業などのような保護法規を留保して批准した国がどのくらいあるか、私も大分調べてきたのでございますが、最も最新の情報につきまして、労働省よりもむしろ外務省からお聞きしたいと思います。
○説明員(村田光平君) お答え申し上げます。 女子保護規定につきましての留保状況は次のとおりでございます。まず、オーストリアでございますが、オーストリアは女子の深夜業及び女子労働者に対する特別保護に関しまして、国内法令の範囲内で本条約を適用する権利を留保しております。次に、ニュージーランドでございますが、ニュージーランドは一九三八年三月二十九日に同国が批准しましたすべての種類の鉱山の坑内作業における女子の使用に関する条約、これはILO条約第四十五号でございますが、この規定と本条約が抵触する範囲内でこのILO条約の規定を適用できるように留保しております。留保している国は以上二カ国でございます。 これに加えまして、フランスにつきましては、本条約のいかなる規定も、男子に比し女子を優遇している同国法令の規定に優先するものと解されるべきではないという宣言を行っておるわけでございます。
○中西珠子君 私は、昨年の十一月に西独に参りまして、西独の婦人問題担当の責任ある地位にある人に聞いたわけでございますが、西独は近く批准をする、しかし深夜業の禁止などについてはこれは留保もしない、ILOの八十九号条約、深夜業の禁止条約ですね、これを批准しているから、もう留保もしないで批准する予定だということを言っていました。また、イギリスにつきましても、やはり保護規定はそのままにして批准をするらしいということを聞いております。 こういった情報は入っていらっしゃいますか。外務省いかがですか。
○説明員(村田光平君) 西独につきましては、御指摘がございましたように、既にこの条約につきましては国会の承認を得ておりまして、批准の手続を進めている状況でございます。西独におきましては、我が国同様女子保護規定を見直す意向で既に法案が用意され、昨年八月議会に提出もなされていると承知しております。イギリスにつきましては、一応近く批准するという方向で国内法との整合性につき検討中という状況でございます。
○中西珠子君 留保して批准している国があるわけですね。今オーストリアとニュージーランドの例を挙げて御説明くださいましたけれども、日本においても女子保護規定を今急いで改正する必要は全然ないんです。 私は、これは何回も言ってきましたから、ここでまた繰り返して言いますと時間ばかりたってしまいますから言いませんけれども、なぜ日本では、女子保護規定の検討がもっと徹底的になされ調査もなされ確信が得られるまで、また、労働時間の短縮がなされそして婦人の働く環境というものがもう少しよくなり――それはもちろん保育施設の整備とか老人ホームその他のものの増設とかいろんなものも含みます、少なくとも労働条件、労働時間、育児休業、そういった条件が整うまで、なぜこれを留保できないのでしょうか。その理由を御説明ください。労働省と外務省と両方からお願いいたします。
○政府委員(赤松良子君) 留保をして批准をするという方法があることは当初から承知いたしておりました。しかし、我が国の場合、すべての保護法規を撤廃するわけではございませんで、雇用の機会の均等、待遇の平等ということを進める上で必要と思われる程度にとどめて保護法規を緩和することにしたわけでございまして、今日の時点でこのやり方は適当であると信じております。
○説明員(村田光平君) 政府といたしましては、できる限り条約の要請を満たした上で本条約を批准したいというのが基本的姿勢でございます。均等法の成立につきましても、この女子差別撤廃条約の不可欠の条件であるという立場をとりましたのもそういう考えからでございます。 外務省としましては、女子差別撤廃につきまして重要な意味を持ちます女子保護規定を維持し続けることは、この条約の要請に沿うものではないと考えた次第でございます。
○中西珠子君 私は、この点につきましては条約の十一条を引用しまして何回も言いましたからもう言いませんけれども、大臣にお聞きいたします。 女子保護規定を緩和したりなどをいたしまして、このような労働基準法の改正というものをお図りになって、女性の雇用機会がふえるとお思いになっていますか。大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(山口敏夫君) 中西先生から再三この問題に対して御熱心に御質疑もいただいているわけでございますが、私も再三申し上げておりますように、やはり女子の雇用の拡大と、それから女子の職業生活におけるやる気と、また一つの熱意という中で、全般としての雇用面の拡大が図れるということを申し上げておったわけでございます。そういう意味での御質問でもあろうと思います。 女子を男子と同様に扱えない理由として、特に法制上の制約を挙げる企業が今日まで多かったわけでございまして、また、管理職、専門職の女子で組織されている婦人団体、建築士、タクシー運転手、卸売市場等における業務、旅行業における添乗業務などに従事している女子労働者等からも規制の緩和について強い要望も出されておりました。そういう中で、今回の雇用機会、職域の拡大に寄与するかどうかにつきましては、従来、女子が法規制による就業を禁止されていた業務や時間帯に女子の就業が可能になるという直接的な拡大効果、いま一つは男女の均等な取り扱いの障害になっていた時間外労働の規制などが緩和されるという観点から、女子を一層有効に活用すべきだという企業がふえる、こういう間接的な効果等を考えますと、これから女子の能力、資質、意欲というものが公平、公正に職業社会において評価されるのではないかというふうに私は考えるものでございます。
○中西珠子君 大臣はそうおっしゃいましたけれども、私はどうも時間外労働の制限の緩和、深夜業の禁止の解除などによりまして、婦人労働者は、また殊に家庭責任をしょわざるを得ない婦人労働者は、本人の意思に反してフルタイムの仕事は退職を余儀なくされるということにもなりますでしょうし、また、婦人が家庭と職業を両立させるためには結局パートになっていかざるを得ない、派遣労働者にならざるを得ないというふうな状況が出てきて、せっかくいい意図を持っていると大臣はお考えでいらっしゃいましょうけれども、婦人の雇用機会が減っていく、そしてパートや派遣労働者がふえていくという方向に行くのではないかと大変心配いたしております。 それから、今危険有害業務の就業制限を外してほしいという要望が非常にあるというお話でございましたけれども、現行法の危険有害業務の就業制限を外すに当たって、個々の業務について調査をなさいましたんでしょうか、いかがですか。
○政府委員(赤松良子君) 個々の業務についてどの程度のことをするかということはただいま専門家の御見解を伺っているところでございますので、省令をつくります際に十分反映ができるものと考えております。
○中西珠子君 調査をやってから法律を変えていただきたいと思うんですね。これから調査をするということで法律をお変えになっては、これはもう大変危険なことだと思うんです。ですから、やっぱり危険有害業務の就業制限を外すというときに当たっては――これは外しちゃだめだとは申しませんですよ、もう三十八、九年も前にできた基準法ですから、それ以後の技術革新、科学の進歩ということもあります、医学の進歩ということもありますから見直しをしてもよろしいんです。しかし、やはり個々の業務について慎重な調査をやっていただいた上でないとこれは見直しをするべきではない。少なくとも法律の上で早く廃止するべきではないと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 先生の御指摘のように、危険有害業務等につきましては、十分調査した上で一つ一つの項目を検討、措置するということが適当かと思います。 それから、先生御承知だと思うんですけれども、誤解があってもいけませんので、私が先ほどの答弁の中で申し上げたのは、危険有害業務をそういう中で外していくということじゃなくて、いろいろ時間外労働の部分において、建築士でございますとか、タクシー運転手とか、卸売市場等における業務、旅行業における添乗業務等に従事している女子労働者からそれを外してほしいという要望も労働省の方に随分来ておる、こういう御紹介を申し上げたわけでございますので、その点よろしくお願いを申し上げます。
○中西珠子君 一応、一般女子労働者の危険有害業務の就業制限をお外しになるわけですね。そして妊産婦に関する有害業務というものはこれからまたお決めになる、その中で一般女子にも適用されるというか準用されるものを命令によってお決めになるということですね。 この命令の中身は一体どういうものですか。
○説明員(松原亘子君) 危険有害業務の就業制限につきましては、医学的、専門的立場からの御検討を踏まえて私ども具体的に命令の内容を定めたいと思っておりまして、現在の段階では具体的に申し上げられる状況ではございません。
○中西珠子君 それでは国会に白紙委任をしろとおっしゃるのと同じですね。もう審議会でやるからとか専門家にこれからやってもらうからというふうなことでは、国会審議の軽視も甚だしいと言わざるを得ないのです。すべてこれからやるからまあ委任しろ、あとは命令で決めますという形では、私たちは到底納得してこれで結構でございますと賛成はできないんですね。危険でしょうがありません。やはりある程度納得がいく線を出していただかないと、私たちここに何のために座っているかということになるわけです。 大臣、いかにお考えですか。国会審議を全く無視していらっしゃる、我々を軽視していらっしゃるも甚だしいと今申し上げたんですよ。
○国務大臣(山口敏夫君) 私は、国会でも随分いろいろな婦人議員の方が大勢おられるわけでございますし、議会開設以来百年近くたっているわけでございますが、こんなに真剣に男女問題を論議しておる機関はないわけでございまして、心からの敬意と、その改善のための前進を願っておるものでございます。
○中西珠子君 ちょっと笑いがとまらなくなりましたけれども、やはり国会審議を慎重にやらしていただいて、そして私どもの主張もある程度は入れていただきませんと、まるで白紙委任しろと、国会軽視も甚だしいと怒らざるを得なくなるわけですね。 じゃ、危険有害業務につきましては全く危険なことはやらないでくださいという要望を繰り返しまして、この間の続きになっています坑内労働の禁止の緩和ですね。禁止を解除する対象はどんな職種かということをお伺いしまして、そこのところで私の質問時間が切れてしまったんですが、一応そのときのお答えによりますと、医者、看護婦、新聞記者というふうなことをおっしゃいましたけれども、けさほども緊急質問が出ましたけれども、この人たちが鉱山の災害の場合に中に入っていけるものでしょうか。通産省お願いいたします。
○説明員(久賀俊正君) お答えいたします。 鉱山におきましては、保安に関する事項を管理する者といたしまして、保安統括者が置かれております。この保安統括者は、発生しました災害の対策に関する事項を管理することになっております。いわゆる均等法によりまして医者、看護婦さん等の女子の坑内労働が認められたと想定した場合でございますが、非常災害時におきましてこれらの女子労働者が坑内に入るということにつきましては、保安統括者が災害の防止に十全の配慮をした上で判断をするものと考えております。
○中西珠子君 それでは、保安統括者が許可を与えるときに、婦人の労働者の状況を検査というか、調べることができますか。例えば女子労働者は妊娠二、三カ月というのは目立たないんですよね。そういう状況にあるかどうかというふうなことを調べることができますか。
○説明員(久賀俊正君) 女子労働者が坑内に入るというケースは、これまでは法律の禁止によりましてなかったわけでございます。今後、もしこれが認められた場合につきましては、一件一件非常に慎重に保安統括者の判断が働くものと信じておりまして、その辺につきましては心配はないのではないかというふうに考えております。
○中西珠子君 心配は本当にないとお約束できますか。
○説明員(久賀俊正君) 今後、そういうふうな場合になりましたことを想定いたしまして、この法律で医師、看護婦等の坑内労働が認められた場合には、十分鉱業権者、保安統括者に対して教育してまいりたいというふうに考えております。
○中西珠子君 十分教育してまいりたい、十分措置をとってまいりたい、十分に予防をいたしますとおっしゃっても、随分日本は鉱山の災害が多いですね。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕 そういった災害の場合、この六十四条の四の「臨時の必要のため」というふうになっていますが、この「臨時の必要」は災害の場合を含みますか。どうですか、労働省の御見解は。
○政府委員(赤松良子君) この「臨時の必要のため坑内で行われる業務」と申しますのは、通常は坑内で行われない業務でございます。これまでの審議会の審議の過程で出てまいりました実例といたしましては、例えば新聞記者の取材、あるいは医師、看護婦の治療、これは病人が出たというような場合でございまして、必ずしも大規模な災害というようなことを予定しているわけではございません。
○中西珠子君 大規模な、人命にかかわりのある災害においては、決して女子労働者を坑内の業務に服させるようなことはありませんとお約束ができますか。
○政府委員(赤松良子君) そのようなことを予定してこの改正を行っているわけではございません。
○中西珠子君 そのようなことを予定してこの改正を行っているわけではございませんということは、災害のときには絶対に入れるようなことはしませんということでございますかとお聞きしているんですよ。災害のときには、無理に医者とか看護婦とかいう者が、また、新聞記者が取材に入るというふうなことは、これは避けるべきだと思うんですね。やはり危険のあるところには入るべきではないと思うんですね。ですから、そういう災害時に無理に入らせるようなことはきちっと予防ができますかとお聞きしているわけです。
○政府委員(赤松良子君) 災害のときに、男性の医者といえども入れないというような場合に、もちろん女性を入れるつもりはございません。
○中西珠子君 危険な坑内労働の禁止を緩和するのですから、どうぞその点の御配慮は十分にやっていただきたいと思います。 それから、既に深夜業のことは大分お聞きしましたけれども、また危険有害業務との関連におきましてもう一つ確認させていただきたいことがございますので、六十四条の三に参ります。 この六十四条の三の一項の二ですね、そこに出ております「女子の健康及び福祉に有害でない業務で命令で定めるものに従事する者」というのがございますね。この「命令で定めるもの」とはどのようなことをお考えになっていますか。
○政府委員(赤松良子君) この条文は現在の労働基準法と変わるところはございませんし、また、内容も現行のものと同様のことを考えております。すなわち、スチュワーデス、女子寮の管理人その他現行のものというふうに御理解いただきとう存じます。 ただ、今後関係審議会にも諮って、従来どおり「健康及び福祉に有害でない業務」が該当するという場合には当然審議の対象になろうかと存じます。
○中西珠子君 現行の深夜業の禁止の除外例、すなわち女子年少者規則の中の第六条ですね。ここに挙げられている「女子の健康及び福祉に有害でない業務」で、それは今局長がお挙げになったように、「スチュアーデス」以下ずっとあるわけですね。その業務以外のものをまた「女子の健康及び福祉に有害でない業務」というふうにお定めになってこの二号の中にお入れになるといたしますと、そうすると三、四、五にある「前条第四項に規定する命令で定めるもの」というその後は、「品質が急速に変化しやすい」で始まる四号ですね、それから五「深夜業に従事することを使用者に申し出た者」、こういったものは、「健康及び福祉に有害でない」というふうな認定もしくは認識はなしに、全く別個のものとして扱っていらっしゃるわけですか。
○説明員(松原亘子君) 二号で「女子の健康及び福祉に有害でない業務」というものを定めまして、三号以下に特段そういうことはないわけでございますが、これは必ずしも二号以外のものが「女子の健康及び福祉に有害」であるということで分けているということではございませんで、わざわざ分けましたのは、現行法では一本になっておりますけれども、三、四、五というように具体的にどういう考え方で適用を除外するかということを明らかにした方が適当だというふうに考えたものについて別建てにしたわけでございまして、二号の「健康及び福祉に有害でない」ということが三、四、五とは関係ないという考え方ではございません。
○中西珠子君 それでは、三、四、五のそれぞれの号に該当すると考えられて深夜業の禁止から除外されるものは、「健康及び福祉に有害でない」というふうにもあわせてお考えになって除外されるというふうに理解してよろしいですか。
○説明員(松原亘子君) 今、そういうふうにお答えしたつもりでございます。
○中西珠子君 確認させていただきました。 それから、私は、くどく何回も言うようでございますけれども、この四の「品質が急速に変化しやすい食料品の製造又は加工の業務その他の当該業務の性質上深夜業が必要とされるものとして命令で定める業務に従事する者」と、こうなっておりますけれども、この前私は時間の関係で、パートも含みますかというふうなことをお聞きしましたけれども、きょうは「業務の性質上」という業務の性質は一応公益上の必要性ということであるという御説明がございましたけれども、それ以外に、やはり技術上の必要性とか経営上の必要性とかいろんな必要性を考えられて、これが拡大する危険があるのじゃないかと非常に心配しているわけでございます。 ですから、やはりこの労働基準法の改正というものを切り離すことも、またしばらく棚上げにすることもできないということであれば、ここのところはきちっとはっきりしておいていただきませんと、また命令に白紙委任はできないと、さっきと同じようなことを申し上げざるを得ないということになるわけでございますが、「当該業務の性質上」というものをもう少しはっきりと説明していただけませんか。
○説明員(松原亘子君) ここで言います「業務の性質上」というのは、業務そのものの性質から深夜業が必要かどうかということを判断するわけでございまして、企業がコストダウンのため行うとか生産競争のために行うといったような深夜業まで「業務の性質上深夜業が必要」というふうに私どもは考えているわけではございません。その範囲を今具体的にということはなかなか難しいわけでございますけれども、例えば国民生活の利便のためといったような公益上の観点といいますか、そういう観点からの必要性を考慮する必要があるのではないかと思っております。 多少具体的に申し上げますれば、これにつきましては、審議会の審議の過程におきましては新聞配達の業務ですとか、卸売市場における生鮮食料品の卸売業務等が検討の対象になりましたので、今後の検討に当たりましても、こういうものがその対象になるというふうに考えているところでございます。
○中西珠子君 なるべく範囲を拡大しないでいただきたいという要望を重ねて申し上げておきます。 それから、またこれは確認の御答弁をいただきたいわけでございますが、五号ですね、「深夜業に従事することを使用者に申し出た者」となっておりまして、「命令で定める事業に従事するものに限る。」となっていまして、今タクシーの運転手ということをお考えだそうでございますが、これがやはり本人が申し出たか申し出ていないかということがまたこれ自体が基準法の精神に合致するかどうかということは大変問題なのですが、もっと問題なのは、使用者側が深夜業をしなくちゃ雇ってやらぬぞとか、深夜業をしないと解雇するぞというふうな場合、本人が申し出たということになって、そして行政官庁の承認を得るという段取りになりますと、その行政官庁の承認は本当に本人が申し出たかどうかということをきちっと確認していただいて、そして承認を与えるというふうな手続をはっきりとつくっていただきませんとこれは困るわけで、この前はそのようにいたしますということでしたけれども、この点の確認をもう一度お願いいたします。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
○説明員(松原亘子君) 五号に、「深夜業に従事することを使用者に申し出た者であって、当該申出に基づき、命令で定めるところにより、使用者が行政官庁の承認を受けたもの」というふうに書いてございますが、ここで「命令で定めるところにより、」といいますのは、今先生がおっしゃいましたその申し出が女子労働者の真意に基づくものであるかどうか、そういったことの確認をするために必要な手続等をここにおいて定めたいと思っているわけでございます。
○中西珠子君 これはお約束として受けとめておきます。 それから、時間外労働の規制の緩和でございますが、これはもうこの前もその最も高い上限、これは法技術上どうしても書かなければならなかったからこのように書いてあるという御説明でございまして、この最も高い上限、すなわち一週間で四十八時間も残業をさせるというふうなことはあり得ない。そして、これはもっと低いところで考えてくださって結構ですという御答弁がございましたけれども、この点に関してはいかがですか。もう余り心配しないで命令に委任して大丈夫でしょうか。
○政府委員(赤松良子君) 一週間ではございません、四週四十八時間でございます。これはあくまで上限でございまして、我が国の現状から考えまして、上限ということは、直ちにそういうものでは必ずしもないだろうというふうにお話し申し上げたわけでございます。
○中西珠子君 一週四十八時間というのは、この六十四条の二の二項を読みますと、これ一週間にまとめれば一週間四十八時間の残業も可能なということになるんですね。ですから、そんなとんでもないことになったらもう女工哀史の再現ですからね。これはもう絶対に避けていただきたいということで、この間からくどくど申し上げておりまして、そんなことはしない、大丈夫だということでございましたので、どうしても削除ができないとなれば、何とかこれはもう大臣とそれから婦人局長、基準局長の良識に訴えるより仕方がないということなんでございますので、その点はもう本当に私は働く婦人の立場に立って考える場合にどうしても、現行のままと言いたいのだけれども、それも可能ではないということであれば、やはり時間外労働はなるべく少なくしてほしい。 御承知のとおり、世界の国々では男女ともに労働時間の時間外労働を制限しているところがあるんですね。そして週四十時間というのが世界一般の傾向で、欧米諸国はみんな週四十時間というものが定着しているわけです。これをILOの第一号も批准できないでいる日本の状態では、週四十八時間ということでこれにもまた特例がついているし、また基準法研究会あたりは週四十五時間、しかし一日九時間なんという方向も出しているという、そういうときに、やはりこの点につきましてはくどいほどお願いいたしまして、一挙に婦人の時間外労働を長くなさらないようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 六十四条の二の三項にもございますように、「身体の負担の程度」、「事業活動の状況等を考慮し、かつ、女子の健康及び福祉に支障のない範囲内において、」、こういうふうにうたっておりますけれども、行政の立場におきましても、今中西先生の御指摘いただいている部分は私も非常に大事な問題の部分だというふうに認識は持っておりますので十分きめ細かい行政的な配慮をするということが肝要かと存じております。
○中西珠子君 きめの細かい配慮をぜひお願いいたしたいと思います。 それで、今の同じ条項の第三項に「同項の事業の事業活動の状況等を考慮し、」というのがあるのですけれども、それよりもむしろ「女子の健康及び福祉に支障のない」という方に重点を置いてやっていただきますように重ねて大臣にお願い申し上げておきます。もう時間もだんだん迫ってまいりますので、大臣の本当に御理解のある御指導に期待いたしておりますからよろしくお願いいたします。いいですか大臣、一言どうぞ。
○国務大臣(山口敏夫君) よく承りました。一生懸命やります。
○中西珠子君 次に参ります。 今度は勤労婦人福祉法改正部分に戻りますけれども、この間、育児休業につきまして育児休業の普及率というものをお伺いいたしました。そのときに一四%という数字が出ましたけれども、これは公共部門を含んでいるのであって民間企業自体のやはり普及率というものは把握していらっしゃらないということでございましたけれども、民間における再雇用特別措置、これはいかがですか。どの程度普及しているものか、またその内容はどのようなものか、これは把握していらっしゃいますでしょうか。
○説明員(川橋幸子君) 再雇用制度についての先生の御質問でございますが、現在、再雇用制度の普及率という点では、私どもの女子保護実施状況調査、五十六年でございますけれども、女子のみに適用する再雇用制度を有している事業所の割合というものは七%程度となっております。 その再雇用制度の実施の具体的内容でございますけれども、これは業種により企業により非常にさまざまでございますが、おおむねの内容といたしましては、退職事由として妊娠、出産、育児等を挙げる企業というものが半数ぐらい。それから、一たん離職して再雇用されるまでの最高離職期間といいましょうか、その期間が育児休業に比べますと比較的長い。比較的長いのですけれどもその期間も企業によりまして非常にさまざまでございまして、一年を超え十年以内というぐらいに企業による大きな違いが見られます。 それから、今度は再雇用時点の話でございますが、中途採用をするに当たりまして企業が再雇用制度の対象者を優先的に再雇用するように配慮するとか、それから再雇用時の労働条件、賃金、格付等の労働条件面についてでございますが、退職時の条件を勘案するものが多く見られます。それから、中途採用者に比べまして労働条件面について配慮する、そのような制度を仕組んでいる企業が多くなっております。
○中西珠子君 どうもありがとうございました。 それで、第二十四条、「再就職の援助」のところに行きますが、「国は、妊娠、出産又は育児を理由として退職した女子に対しその希望するときに」云々と書いてありますね。それから二十五条、これは「再雇用特別措置の普及等」ということころですが、「事業主は、妊娠、出産又は育児を理由として退職した女子について、必要に応じ、再雇用特別措置」――おしまいまで読むと遅くなりますから読みませんが、そこのところ、どうして妊娠、出産、育児に限定していらっしゃるのでしょうか。やはり婦人が仕事をやめざるを得ない、涙をのんでやめざるを得ないという理由には、妊娠、出産、育児だけではない。今、老人介護とか近親者の病気の看護とかそういった問題でどうしてもやめざるを得ない人が出てきておりますね。それで、ILOの百六十五号勧告、また百五十六号条約などにも、近親者や子供、老人、そういった人たちの看護休暇というものを家族的責任を持った男女労働者には与えなければならないということになっていますが、そういったものもない、看護休暇もないような日本の現実におきまして、再就職の援助というところ、また再雇用特別措置の普及というところに、「妊娠、出産又は育児」と限定をなさらないで、妊娠、出産、育児等と、等を入れていただきたい。 二十四条もそうですし、二十五条も妊娠、出産、育児等と入れていただきたいと思うのです。これはやはり現在老人ホームも老人病院も本当に施設的な面で立ちおくれて、そして高齢化社会の急速に追ってきている状況にもかかわらず、老人の介護問題というのはやはり婦人の肩にほとんどがかかっておりまして、またその婦人自身が中高年化していたり老齢化しているという状況の中で、また働く婦人が年をとった親を見なければならないというふうな状況の中で、これはやっぱり老人介護その他の理由というものも考慮していただきたい。再就職の援助や再雇用特別措置の援助普及というものに考慮していただきたいと思うので、ここのところに妊娠、出産、育児等と、等を入れていただけませんでしょうか。二十四条、二十五条ともにそのようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣いかがでしょう。
○政府委員(赤松良子君) この規定は、女子に対する援助の規定でございます。妊娠、出産につきましては、これは女子の特有な現象でございますから、こういうふうにいたしても条約上の問題も起こらないかと思いますが、結婚あるいは老人の介護ということであれば、女子についてだけ規定するということはいかがかというふうに思うわけでございます。
○中西珠子君 条約の要請、すなわち雇用の入り口から出口まで差別禁止規定にしていただかなければこれは条約の要請を満たさないということとか、それから同じ条約の二条の(C)ですね。差別を受けた婦人を効果的に保護する措置がなければならない、原案の救済措置というのは実効性がない、効果がないということを御指摘申し上げましたりいたしましたときに、これは日本におきましては日本の特殊事情からこのようなやり方で条約の要請を満たすというふうに御主張になりましたね。それならば、この再就職の援助、再雇用特別措置のことに当たりましても、現在の日本において本当に働く婦人が老人介護、近親者の看病などによって仕事をやめざるを得ないという状況がたくさんあるわけですから、今の御答弁では、等を入れないということにはならないと思うんですね。
○政府委員(赤松良子君) 現在の時点で、「妊娠、出産又は育児」に限定いたしましたのは、妊娠、出産が次代を担う世代の出生という社会的に重要な行為であり、母性として位置づけられるものであるということからでございます。
○中西珠子君 しかし、働く婦人が現在困っている問題、また、やめざるを得ない理由の中には老人介護というものもございますし、政府の老人介護に対する対策の立ちおくれということは指摘されているわけですから、これはやはり他の部分で日本の特殊事情を御主張なさるのであれば、ここにおいても日本の特殊事情を考慮してしかるべきだと考えます。これは御再考をお願いいたします。私、時間がなくなりますから次に移りますが、この点はぜひ再考していただきたいと思います。 それから、婦人差別撤廃条約の今の二条の(b)、(c)を満たしていないという点を何度も御指摘いたしましたし、十一条の「すべての人間の奪い得ない権利としての労働の権利」ということと安全、健康をどうしても男女ともに守らなければならないというのが条約の要請であるということと、それから保護法規というものは何も急いで改正するということだけが条約の要請ではなくて、条約は必要に応じて見直しをしたり、これは廃止したり、また適用拡大するべきだと言っているわけですね。このような状況を見ますときに、この勤労婦人福祉法の改正案とそれと抱き合わせになっている労働基準法の改正案がそのまま通った場合、私は世界のほかの国々、殊に欧米の先進諸国に比べて恥ずかしいと思うんです。それでまた国際経済摩擦の原因がもちろんいろいろありますけれども、その構造的な原因というものがやはり日本の長時間労働であり、輸出花形産業における婦人の賃金格差というものは、男性を一〇〇にしたときには四二なんですね。この日本の女性の低賃金、こういったものがもう世界じゅうに知れわたっているときに、この政府御提案の法案がこのまま通ったときに、私は女子差別撤廃条約批准のための法的な整備ができましたと胸を張って世界に言われるかと非常に疑問に思うんでございますが、この点は大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(山口敏夫君) 過去の女子の職業人生活に比べましてこの法案の持つ意義、その効果等を考えますと、批准のための国内法といたしまして、これを第一歩といたしまして大きな評価とこれを土台としての改善、前進が図られる、またそうあらねばならない、かように私は考えております。
○中西珠子君 大臣は、今これを第一歩として前進をするというふうなことを、一口に言えばそういうことをおっしゃいましたけれども、この法律をとにかく実施してみて、そしてここがまずいなと思ったらそれは本当に見直しをすぐに行って、そして手直しをするということをお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(山口敏夫君) これは政府の立場としても、当然そうしたこの問題について十分取り組まなきゃならないと思いますし、国会におきましても引き続きまた御関心、御論議もいただきまして、さらによりよい形での中身にしていく。また同時に、国会の外における現場の世論啓発といいますか、改善への努力に対しても啓発を行政的にも指導していかなきゃならない、こう私は考えるものでございます。
○中西珠子君 世界に冠たる労働省の行政指導ですから、大いに啓発してやっていっていただきたい。また、ここはまずいと思ったらもうさっとお直しになるだけのやはり大きな広い心をお持ちいただきたいと考えるわけでございます。 そして、国内における啓発、そしてまた国内における婦人の運動、労働組合の運動ばかりでなく、そういった方々のその御意見にも素直に耳を傾けていただくということばかりじゃなく、やはり条約の第十七条に基づいてできております婦人差別撤廃委員会というのがございますね、どうせここに報告書をお出しになって、そこでまた御説明をなすったりいろいろなさるわけでございますが、この十八条に基づく報告といったものにおいても、日本政府は恥ずかしい点のないような命令、その他の細かい規則をぜひおつくりになっていただくように、これからこれが批准の前の段階におきまして、結局、細かい規則や命令を私どもが委任せざるを得ないという状況に追い込まれているわけです、時間的にも。そういたしますと、本当に大臣と基準局長、婦人局長の良識に期待する以外になくなってくるわけですからね。幾らここでその命令の内容を言ってくださいとわめいても出てこないわけですから。結局、よりよきものにしていただくという良識を期待するのは大臣と婦人局長と基準局長、職安局長、その他の労働省の幹部ということにもなりますから、ぜひ婦人の声、労働組合の声といったものにもよく耳を傾けていただきまして、そしてよりよきものにしていただく。そして、我々が委任せざるを得ない命令の内容は、本当に婦人の安全と健康を守り、それこそ福祉を高める、婦人の地位を高めるものであってほしいと心からお願い申し上げます。 大臣の御決意のほどを一言聞かせてください。
○国務大臣(山口敏夫君) 審議会でも十分論議をいただいた経過もございますし、また、国会及び婦人団体からもいろんな形でこの男女均等法の問題につきましては御論議、御指摘をいただいたわけでございます。そういう中で、多少中身については後先の問題があることも御指摘をいただく点もあろうと思いますけれども、今先生からもお話しいただきましたように、この運用につきましては、これだけ国会で大きな議論をいただいたわけでございますし、また婦人団体からもいろんな形での要求、要望も出していただいておるところでもございます。 この法案が成立さしていただきました暁には、その運用については、労働省、労働大臣としても省を挙げてこの公平、公正な運用のためにさらに努力をする責任がある、こう痛感をしております。
○中西珠子君 お約束としてしかと承りました。よろしくお願いします。 終わります。
○安武洋子君 婦人、とりわけ働く婦人にとりまして、雇用の場でどれほど平等を願っているかわかりません。私日身も二十年婦人労働者として働いてまいった者です。比較的差別の少ないと言われている公務員労働者、しかも私は労働省の一職員として働いてまいりました。しかし、その中でも、どれほど多くの差別を感じてきたかわかりませんし、平等を願ってもまいりました。今、それにもかかわらず、婦人の願いと全く裏腹なこのような本案が、しかも審議はわずか今まで二日です。きょうを入れても三日です。その中で打ち切られてしまおうとしている。そのことに対して私は心の底からの憤りを感ぜずにおれないわけです。私は、本当に平等を願っている婦人を代弁して、このような審議不十分のままで審議を打ち切ってしまうという暴挙に対して怒りの声を上げ、反対を表明いたします。そして、このようになった審議をもし打ち切るなら、私どもは抜本的修正案を用意しております。これこそ真に婦人の平等を願う声にこたえるものであるというふうに思っております。私はこの本委員会で、この私どもの抜本的修正案、これを成立させていただきたい。そのことを心から願いまして、質疑に移らせていただきます。 私は、先日の質疑の中で、いかに今提出されている均等法そのものが、婦人が最も差別を感じている賃金に対して働かないか、このことを明らかにしてまいりました。私は、きょうはさらに、労働基準法で同一労働、同一賃金をうたわれている唯一のこの条文も、いかに男女の大きな賃金格差に対して有効に働かないか、そのことを明らかにしてまいりたいと思います。 まず、お尋ねいたします。女子労働者の雇用管理に関する調査、これをお出しでございます。これは労働省の婦人少年局のものです。これを拝見しますと、初任給が男女異なる企業、これが高卒で六三・六%、大卒で六五・六%、これだけの企業で行われております。女子の方が男子より低いと思いますけれども、その比率は男子を一〇〇にして女子がどれぐらい低いのか、お伺いをいたします。
○説明員(松原宣子君) 男女別の初任給の実態でございますけれども、労働省が実施いたしております昭和五十九年の貸金構造基本統計調査によりますと、男子を一〇〇といたしますと、学歴別に数字は違っておりますが、中卒の場合は女子が九五、高卒の場合も同じく九五、短大卒が九四、大卒、これは事務系でございますけれども九五というふうになっております。
○安武洋子君 初任給、ここから男子よりももう五%から七%も低い、こういう数字があらわれているわけです。これは今までもこういう傾向がずっと続いてきている、このように思います。その点どうかということが第一点です。 それから、公務員の初任給はこれは男女とも同じでございます。民間の方では、なぜこのように出発点から格差があるのか、この点をお答え願いとうございます。
○説明員(松原宣子君) 今手元にある数字は五十七、五十八、五十九の三年分しかございませんのでそれでお答えいたしますと、先ほどの数字にそれぞれ該当する数字でございますが、男子を一〇〇にしますと、中卒の場合、五十七年は女子は八九でございましたが、それが五十九年は先ほどの九五というふうに格差が締まっております。高卒の場合は五十七年が九四、それが五十九年には九五でございます。それから、短大卒の場合は五十七年が九六、五十九年が九四ということでございます。大卒事務系でございますが、五十七年が九四に対しまして五十九年は九五というふうになっているところでございます。 それから、初任給に男女間格差をつけているその理由は何かという御質問でございますけれども、これは先生から御指摘ございました女子の雇用管理に関する調査によりますと、初任給が男女異なっているという企業を一〇〇といたしますと、その理由は、配置職種が男女で異なるというものが最も多いわけでございます。高卒につきましてはこれが七〇・五%、大卒につきましては六六・一%でございまして、次いで同じ職種だけれども仕事の内容が異なるというのが、高卒の場合につきましては三三・一%、大卒につきましては三六・九%というふうになっております。
○安武洋子君 要するに初任給から格差がある、こういうことが続いてきた、これは間違いないと思います。 それから、なぜこういう格差があるのかということに対する御答弁というのは、これは配置職種、それから仕事の内容が違うということでございますが、じゃ、この職種、それから仕事の内容が違う、こういうことは一体だれが決めるのですか。
○説明員(松原亘子君) 採用した労働者をどのような職種、どのような仕事につけるかということは、原則として企業が採用方針、人事配置計画等に基づいて行うものというふうに考えております。
○安武洋子君 ですから、初任給に男女格差があってもこれは仕方がない、配置された仕事が違うから、それから職種が違うからと、こういうことは企業が決めるわけですね。結局、労働基準法四条、この違反でない、企業がこう言う。そして仕事が違うから、職種が違うから、こういうところに配置しているのだからということを企業が言う。企業の基準で物事を決定する。こういうことだろうと思います。 そこで、大臣にお伺いをいたします。小学校、中学校、高校あるいは大学で同じ教育を受ける、そして就職をする、その出発点で初任給は女子が低い。こういう差別的な取り扱いこそ条約の精神に基づいても私は撤廃すべきではないか。こういう差別をなくさなければならないんではないか。大臣はどのようにお考えでございましょう。
○国務大臣(山口敏夫君) それぞれの就業状況あるいは労使協定、その他の仕事、どだい現場に立っておりませんと、どこに差別があるかということの具体的な指摘はできないと思うんですが、一般的には、今安武先生の御指摘いただいているような部分もいろいろあるのではないか。そういう問題の改善のためにも、こういう法案が国会で御論議をいただき、そして条約の批准とあわせて国内法を整備して、女子労働者の職業人生活の差別的な状況を改善していく、こういうところにもこの法案の意味があるというふうに私は考えております。
○安武洋子君 では、この法案でどうして今私が申し上げたような格差が是正できるんでしょうか。企業が、これは仕事が違うんだ、これは配置した職種が違うんだ、こういうことになりますと、これは企業が決めるわけですから、こういうことに対して労働省は手も足も出ないじゃありませんか。本法で、どういう条項でこういうことを是正なさるわけですか。
○国務大臣(山口敏夫君) それはやはり安武先生が国会でいろんな問題をお取り上げいただいて、こうすべきである、ああすべきであると、こういう御指摘も、何の改善への実績にもならない、こういうことであれば論議する必要がないじゃないか、こういう議論と私は同じだと思うんですね。この法案が賃金差別を一挙に改善するというふうに私は申し上げているのじゃなくて、あらゆる総体的な女子労働における諸条件の環境整備というものは、やはり意識の変化にも非常に影響があると思うんですね。 ですから、やはり賃金の問題も含めまして、それからまた就業する女子の労働者の就業に対する意識あるいは意欲という問題も含めて、あらゆる面で改善へのいろんな環境づくりが進んでおる、こういうとらえ方の中で一歩一歩今御指摘いただいたような問題の改善を図っていくことが大事なのではないか、こう私は申し上げておるわけでございます。
○安武洋子君 私は、今均等法、この法案を審議させていただいている。この均等法が、今言ったような初任給から差別がつくということに、企業の言い分が通ってしまって働かないじゃないですかということを申し上げているわけです。こういう差別こそ是正しなければいけないということになれば、私は均等法が働くようにすべきだ、こういうことなんですよ。ですから、今の大臣の御答弁というのは全くいただけないわけです。 私は、前回の質疑の中で東芝の例を挙げました。これは男女の賃金格差がどのようにして広がるか、こういうことを私は東芝の実例を挙げて追及をしたわけです。これは女の人が多い職種、職群をつくりまして、この職群に対しては低くランク付けをする。そこに女子労働者を長年にわたって放置したままにする。そして本給、能率給、仕事給、三つに分けたそのいずれもずっと格差を広げていく、こういうふうになるわけです。ですから私は、実に巧妙な男女別二本立て賃金である。古典的な男女別二本立てではなくて、今大企業の中ではこういうことが行われておりますよということを申しました。だからこそトータルでどうなるか。十年もたてば男子一〇〇として八〇%台に女子の賃金がなってしまうわけです。これは東芝だけでない。私は、この前のときにも調査をしてほしいと申しましたけれども、ほとんどの大企業の中でこういうふうに実に巧妙に男子と女子が差別されて格差賃金がつくような構造的な仕組みがあるわけなんです。 そこで私は、きょうは大商社の例を挙げます。大商社の例ですけれども、ここでは二十二歳で同一賃金、こういうことであっても年を追うごとに差が大きくなる。四十五歳の女性と二十六・五歳の男性が同じ年収です。この人たちがどう言っているか。仕事は男並み、賃金は半分。そして仕事の違いは、海外へ出かけて商売をしているかしていないかだけ。賃金は男女一本にすべきだ、こう言っております。 どういうふうになっているかということをもう少し具体的に挙げますと、高卒、勤続二十一年、男女の賃金は、月収で男が四十五万三千二百円、女が二十三万六千九百円、差額二万一千六百円――二十一万六千三百円、年収三百六十万の差が出ます。こういうふうな、私が言い違えるぐらいにひどい差なんです。こういうふうな実態でも、労働省は最賃さえクリアしておればいい、そして仕事の内容が違えば仕方がないんだ、こういうお考え方だということが先日の質疑の中で明らかになりましたけれども、均等法は全く作用しない、仕事の内容が違えば男女にこういうふうな賃金格差があってもこれが救済できない、こういうことですね。お答えください。
○政府委員(赤松良子君) 仕事の内容が違い、責任が違う場合には、給料の差があるということはやむを得ないというふうにお答えすべきだろうと思います。
○安武洋子君 このように労働省がお答えになる、そういう態度だから――じゃ、どういうことになっているか、総体として、日本の男女の賃金格差を見てください、先進国の中でけた外れなんです。男子一〇〇に対しまして女子が五二・八、これは性を対象にして差別をする、女であることを理由にして差別をする、それ以外にはこんな差は出てこないわけです。賃金差別も労働基準法第四条違反にならない。仕事が違う、職種が違う、責任の度合いが違うというふうに言われましたけれども、そう企業が答えさえすれば、こういう賃金格差をどんどんどんどん生むということに何ら労働省は有効な手が打てない。労働基準法第四条があっても何らこのことが解決できない。こういうことではありませんか。
○政府委員(赤松良子君) 基準法四条は、あくまで他の条件が同じであって、女子であることだけを理由にして賃金に差をつけた場合に違反になるという規定でございまして、そうでないものから、違う要素から出てくる賃金格差を縮めるということまでを労働基準法四条に求めるのは無理かと思います。
○安武洋子君 企業が一方的に定める、賃金格差については仕事が違うからと、こういうことに、労働省は、それはそうでない、これとこれは同一価値の労働だ、これは同一賃金にしなければならない、そういう公の基準はありますか。
○政府委員(赤松良子君) 労働基準法四条の内容につきましては、基準法の性格から申しまして労働省が解釈をしております。これは、労働者が女子であることのみを理由として賃金について男子と差別的取り扱いをすることを禁止した規定である、したがって、従事する職務の内容、資格、勤続年数等が同一である男女労働者について、一方が女子であることのみを理由として賃金に差異を設けて支給する場合は同条に違反することとなる。しかし同条は異なる職務についての賃金の差異についてまで規定するものではない。それぞれの職務についてどのように評価し、それに従事する労働者の賃金をどうするかは労使間において定めるべき事項であると考える。これが労働省の見解でございます。
○安武洋子君 同一労働、同一価値の労働、その基準というものがない限り、私はこの労働基準法第四条というのは世界に冠たる男女の賃金格差、これを是正することに働かない、こう思うわけです。だから男子一〇〇に対して五二・八という状況が放置されてきたわけです。 労働法令上重要な問題、これにつきましては皆公的な基準を設けているはずなんです。あなたたちは賃金だけを聖域扱いにされている。はっきりしているわけです。既に本法案でも、募集、採用、配置、昇進、これはガイドラインを設ける、こういう態度を打ち出しておられます。そして賃金は労使間、こうおっしゃいますけれども、時間外労働、これは三六協定を結びます。しかしそれではということで月に五十時間、大臣命令でこれはガイドラインを示してなさいます。ですから賃金につきましても、賃金一般ではありません、これは世界にもけた外れの男女間のこの賃金格差是正について私はガイドライン、指針を設けるべきだ、こう思います。大臣いかがですか。
○政府委員(赤松良子君) 先ほど申し上げましたような見解が労働省の公にしております四条の解釈でございます。先ほどいろいろ均等法案のガイドラインについてもお触れになりましたが、この指針は、努力目標になっているがゆえにその努力目標の内容を明らかにするということで指針をつくるということになっておりまして、強行規定の部分につきましては、これは労働省が解釈を明らかにいたしますれば、それがその法規定の正式な内容として明らかにされるわけでございます。
○安武洋子君 四条がいかに働かないかということの実例を挙げてきたわけです。そして私は四条の解釈総覧、これを持ってきております。そうすると、この第四条につきましては、いかに労働省がこの解釈について、昭和二十二年十一月から今まで全然何も手を触れておられないかということがよくわかるわけです。 しかもこの解釈、これはいかに古臭いものであるか。戦前の名残についてこの解釈例規を示しておられるだけです。中に、最もひどいのを挙げてみます。四つしかないわけです。その一つは、男の人には月給を払って、女には日給を払ったら差別がついてくるけれども、これはどうであろうか、それはまずいなということですね。もう一つ、「女子であることのみを理由とする差別」の中に、これは「女子労働者が一般的、又は平均的に能率が悪いこと、知能が低いこと、勤続年数が短いこと、扶養家族が少いこと等の理由によって、女子労働者に対し賃金に差別をつけることは違法であること。」。女子労働者を何と心得ているのです か。これは、女子労働者が一般的、そして平均的、能率が悪い、知能が低い、勤続年数が短い、扶養家族が少ない、こういうことで差別したら、どうでしょうか、それはまずいですねと、こんなものじゃありませんか。これでどうして日本が世界に冠たる男女間の賃金差別を生んでいるということに有効に働く解釈例規になるんですか。
○政府委員(赤松良子君) その解釈例規は昭和二十二年のものだと存じますが、その当時の解釈が今間違っているというふうには考えられません。
○安武洋子君 これはこんなものを差別でございませんと言ったら、それはおかしいですよ。これは間違っておりませんよ。しかし、いかに現状に合わないか。おっしゃったように、これができたのは昭和二十二年でしょう。そんなときから今女子労働者がどれぐらいふえていますか。女子の労働条件、地位向上。あなたたちは国連婦人の十年だ、女性の地位を上げなければならない、こうやってこられたわけでしょう。そして、明らかに女性が一番差別を感じている中心部分の賃金部門でこれだけの差がある。そのことに有効に全く働かない。こういうものを掲げて、そして解釈例規もこのまま。 大臣、今ごらんになっておられますけれども、それについて大臣はどういう御所見をお持ちでございますか。
○国務大臣(山口敏夫君) ですから、この中にも書いてある「知能が低いこと」……
○委員長(遠藤政夫君) 傍聴席は静かに願います。
○国務大臣(山口敏夫君) 「知能が低いこと」ということは、要するに学歴の問題等にも、特に女子の場合は男子に対して当時は学歴その他における差もあったという意味での表現だと思いますが、いずれにいたしましても、賃金の問題も含めてこの男女均等法というものは、そういう男子の労働者に対して同等の賃金的条件を得られるような職場の拡大ということの意味にもこれはつながるわけでございまして、この均等法がどうして賃金格差に貢献するんだ、こういうおしかりもございましたけれども、私が先ほど来から申し上げている総体的に女子労働者の職業人としての生活条件の環境整備につなげ得る一歩にしていかなければならない、こういう決意でこの法案に取り組んでおるところでございます。
○安武洋子君 決意は結構ですけれども、私が言っておりますのは、企業が仕事、職種、配置した職種が違うんだと、こう言えば均等法もだめ、労基法もだめ、四条もだめ、しかもその四条の中には、労働省の法令というものは、時間外勤務のように、残業のように、ガイドラインを設ける、そういうふうにやってきているわけです。賃金だけは聖域扱いで、この第四条については先ほど私が言ったように、女子の知能が低いとか能率が悪いとか、そんなのは差別だ、困ります、こういうふうな、まだ戦前の名残のようなことしか挙げていないわけです。現状に対応し切れていないわけですよ。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕 ここで私は、ちゃんとした公的基準、同一価値の労働、同一労働というそういう公的な基準を設けない限り男女の格差というものは是正されませんよと。大臣の御決意は立派でございますから、そうなら私は公的な基準を設ける、指針をつくると、そういうふうにお答えになるべきである、こう思います。いかがですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど来から答弁申し上げていますように、賃金その他就業条件というのはやっぱり労使双方でいろいろ協議をして決めていく。今そういう極端な賃金差別という問題は、労働組合を初めいろんな公的な機関におきましてもそうした保護、また改善への努力というものがなされる機関もあるわけでございまして、我々としては、先ほど来から取り上げていただいている中にもございますが、勤続年数の問題とか、あるいは扶養家族が少ないとか、今までの過去の経違の中で男子と女子が同じ条件にありながらも賃金的な差があったとするならば、そういう過去の経違から引きずっている問題もあったということもあるいは言えるかもわかりません。しかし、じゃ、そういう問題をどの時点で断ち切るべく、あるいは改善への、前進への取り組みにつなげるか、こういうことの広範な議論と実践の中で今先生から御指摘いただいたような諸条件の整備に努めていかなければ、私は、論議も大事でございますけれども、やはりそこに具体的な改善への取り組みというものがより大事であるということで、まずは、そういったこの男女均等法案の問題をめぐってのいろいろな環境整備というものの中に一つの改善がなされていくということを期待しているわけでございます。
○安武洋子君 大臣、極端な賃金差別がもしあるならと、今現存しているわけでしょう。それは統計でも出ている。そして、過去を引きずっている云々とおっしゃいますけれども、そうじゃなくて、今の初任給でも、既にもう初任給から格差がついている。そして、私が言いましたように、じゃ、均等法の何条でこれが解決できるか、そうはならない。四条でもそうはならない。これははっきりしているわけでしょう。仕事が違うんだ、職種が違うんだと言うのなら、どれが同じ職種であるのか、同一価値の労働であるのか、そういう四条の厳密な運用、あるいは基準、そういうものを設けたら、今大臣がおっしゃるようにうまく、こういう格差もなくなっていくのだということになるわけですよ。 私は、何もここで無益な議論をしているわけでない。そういうようになされば、こういう世界に冠たる男女格差というものがなくなっていく、それが今この時点では唯一の方法じゃないですか、こういうことを申し上げている。検討してください。
○国務大臣(山口敏夫君) そういう問題が一部の企業あるいは地域的な経済市場においてあるいは存在をしているという御指摘でございますが、私どもとしては、やっぱり労使の就業規則あるいは労使協定の中で賃金、条件その他が協約されて今日運用されておる。こういうことでございますから、政府が、この賃金は低過ぎる、高過ぎると――もちろん最低賃金の問題はありますけれども、これは春闘その他を含めてもそうですけれども、介入する立場にないわけですし、全体的な条件の整備やレベルアップの問題についてはやはり政府としてもまじめに真剣に取り組んでいるわけでございます。 その環境づくりの一端としてこういった法案を、私は過去の経緯を引きずっているということは、そういういろんな女子の労働者の就業条件の問題の中で、今先生が指摘されたような部分もあるいは一部あるのではないか。それを今日のような女子が十分活動でき得る社会条件の中でこれからどう改善していくべきか、こういう立場からいろいろ取り組むべき努力ということをここでお約束、お訴え申し上げているわけでございまして、そういう総体的な問題の中から改善されていくということは非常に大事なことではないかということを先ほど来から申し上げているわけでございます。
○安武洋子君 ちっとも議論がかみ合わないですよ。私が申し上げているのは一部の企業のことを言っているのじゃありませんよ。だって、男子一〇〇に対して五二・八なんという数字が出ているというのは、全企業のトータルとしてそういうものが出ているわけでしょう。ですから、一部の企業の問題でないと認識を改めていただきたい。 それから、賃金を決定するのは労働組合とか労使の関係でしょう。しかし、こういう世界に冠たる男女賃金の格差、賃金一般で言っておりません。こういう格差が出ていることについて、じゃ、大臣はいいと思われるんですか。よいと思われなければ、大臣が今おっしゃったような方向でなぜ改善ができるのですか。均等法のどこが働くのですか。四条のどこが働くのですか。私はその点明確に答えていただきたい。仕事が違う、それから配置された職種が違うということであれば同一賃金でなくてよろしいということで、この解釈だって女子が知能が低い、こういうぐらいしか出ていないというような中で、もっと厳密な運用規定、そしてどうすればこの男女の格差がなくなるのかということについてきちっとガイドライン、指針を設けて女子の要求にこたえるべきだ、せめてそれぐらいのことはすべきだと、私はこのように主張いたしますが、いかがですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 安武先生が先ほど来からお取り上げいただいているような問題の改善のためにも、こういった均等法等によって職業の公平な機会を確保するという中に改善がなされていくというふうに私は申し上げているので、全く議論はかみ合っていると思っているわけでございます。 これは、先生も国会に出られる前には女子の職業人としての生活、経験の中でいろいろ闘ってこられて、どうやったらそういう今発言されているような問題が改善されるか、こういう立場での御経験も御判断もお持ちだと思うんです。私は、そういう先生の心底からのお取り組みの考えというものからすれば、私がここで申し上げていることに対して、全くとんでもない発言だということよりも、かなりそれが現実の問題として具体的な改善、前進につながるのだなということはわかっていただけるという確信のもとに御答弁申し上げているわけでございます。
○安武洋子君 悪いですけれどもわからない。別に私を褒めていただかなくたって結構なんです。 私は職場の中で差別を味わってきました。だから私はこういう方向でしか男女の大きな格差はなくせないと。だって、あなたたちのおっしゃるそういう均等法、それから労基法、全部ざるで水をすくうようなものではありませんか。歯どめがきかないということを、何だったら反論してみてください、どうきくのかということで。だから私は申し上げているのです。本当に残念ですけれども、きょう私に与えられた時間というのはわずか三十分ですよ。こんなものでどうして審議ができるか。ここに私はいっぱい質問を持っているのです。どれほど悔しい思いをしているかということを私は申し上げたい。 そしてもう時間がありませんから申し上げますけれども、こんな実効性のない、今の賃金だって全然だめじゃないですか、どうしてなくするのですか。労基法四条だって見てください、そしてこの均等法は何も働かないということははっきりしているじゃないですか。だから、私ども婦人にとって、一体国連婦人の十年は何だったのかということなんですよ。この中で婦人が本当に平等を願ってきた、それをあなたたちは今しっぺ返しのような方向で、全く婦人の願わないことをしているじゃありませんか。あなたたちがなさることというのは、これは実効性のない均等を生むのです。そして労基法の改悪です。それに加えて、婦人労働者が望んでもいないのにこういう均等法を出してきなさる。だれが望んだでしょうか。望んでいるのは財界だけじゃありませんか。私は、政府が財界の要求に屈服したとしか思えない。そのことを申し上げまして、残念ですが私の質疑を終わります。
○抜山映子君 前回、前々回とかなり細かい技術的な問題もお尋ねしてまいりましたので、きょうは比較的総論的な立場から質問を展開してまいりたいと存じます。 この法案を見ますときに、基本理念といい、募集、採用、昇進、配置については努力義務規定であることといい、有効な救済機関がないことといい、働く婦人の勤労権を基本的人権としてとらえるという観点よりも、むしろ経営者側の雇用管理、経済効率を優先しているように思われます。公益委員の意見よりも後退していることはその一つのあらわれかと存じますが、この点について労働大臣の御所見をお願いいたします。
○国務大臣(山口敏夫君) 私は、いろいろ午前中以来の論議の中で、政府原案というものが男女の職場における真の機会均等に機能し得ないのではないか、こういう不安と不信の御批判もちょうだいしているわけでございますが、しかし私は、国連婦人の十年を振り返ってみましても、この十年間で五百万人規模の女子労働人口が職場に進出しておる。これはやはり社会のニーズが女子労働者の職業人としての能力と意欲とまた業績というものを評価しておるということと、また、家庭責任における男女の、夫と妻の問題認識の大きな変化、そういう協力という問題、いろいろあって今日を迎えておると思うわけでございます。 そういう中で女子均等法も、政府も条約の批准と同時にそういう社会的機運をさらに前進、改善させていかなければならない、こういうことで今回の均等法を御審議をお願いしておるところでございまして、政府として、経済界あるいは管理者側からの立場でこの法案を取りまとめたというのは全くの誤解、偏見でございまして、我々はあくまで女子勤労者の職業人生活のいわゆるトータルとして十分差別がなくなり、よりよい方向にいく大きな一歩につながると、こういう確信で、御批判、御論議をちょうだいをしておるということを申し上げさしていただきたいと存じます。
○抜山映子君 私が申し上げましたのは、経営者側の意見を取り入れてというように申し上げたのではなくて、基本的人権の観点よりも経済効率の方に重点を置いた法案になっていないかということを申し上げたわけです。この点はもう議論を差しおきます。 次の質問でございますけれども、前々回、前回を通じまして、女子の勤続年数が短いということが何回も大臣または局長の口から出ました。しかし、女子の勤続年数が短いのは、その背景、原因を見なければいけないと思うのでございます。すなわち、女子業務が補助、単純、簡易業務に限られていること、あるいは賃金格差があるということ、その賃金格差もだんだん陰湿なもので、職種による区別だといって賃金格差をつくっているような事例があるということ、それから昇格、昇進がないということ、結婚によって退職を余儀なくされているのは保育所等の設備が整備されていないこと、こういうような背景、原因の方がむしろパーセンテージが大きくなって女子の勤続年数が短いということになっていると思うのでございます。もちろん、意識の低いという面もあるかもしれません。しかし、これらが相互的に影響し合いまして、現在悪循環になっていると思われるのでございます。 したがいまして、この悪循環を断ち切る意味におきまして、ひとつ入り口のところも平等にするよう取り扱わなければならないという禁止規定にすべきと思いますが、大臣いかがですか。
○政府委員(赤松良子君) 私もこの委員会で、これは確かに悪循環で、鶏と卵の関係のようなものがあるというふうにお答え申し上げたように記憶いたしておりますが、先生方るる御指摘になりましたような条件が女性の勤続年数を短くしているということは全く否定するつもりはございません。 それで、その悪循環を断ち切りたいという念願は私どもすべて持っているわけでございますが、その悪循環を切るのに、非常に強い規定で直ちにあしたからそれは違法であるというようなやり方をするのが正しいか、私どもが現在御提案申し上げておりますように、差別というものはいいことではない、なくしていこうではないか。しかしそれは、とりあえずは目標を掲げて、具体的にこのようなものはなくしていこうということを指針で示しつつ、努力義務として規定をする方が適当か、これは私どもとしては考えた末に現在のような形のものにしたわけでございまして、勤続年数と使用者あるいは社会の偏見ともいうべきようなものとの関係について、先生と違う見解を持っているわけではございません。
○抜山映子君 前回労働大臣は、現在の努力規定を禁止規定にしても必ずしも社会的混乱が起こるとは思わないと、こういう御回答をなさいました。これは確かにそのとおりで、大変明快な御答弁で私も感銘しておりますが、局長はどうお思いでしょうか。
○政府委員(赤松良子君) いろいろな前提があるわけでございまして、急激に変わるということは、大きな混乱という言葉が適当かどうかはわかりませんが、いろいろと風波を巻き起こすということは否定できないのではないかと思いますし、また、現実と余りにかけ離れた規定というものは、それをくぐるためにいろいろ陰湿な違反が起こったり、かえって思わざる弊害が起こるというようなこともございますので、現実というものと余りにかけ離れた規定ということでないということが私どもの御提案している法律の内容でございます。
○抜山映子君 このような法律はある程度やはり社会にショックを与えるようなものでなければ前進しないと思うんです。やはり法律というものは先見性とか理想というものがなくてはいけないと思うんです。 先ほど局長は風波が起こるということを言われましたけれども、努力規定を禁止規定にしてそんなに風波が起こるとは、私、労働大臣同様思わないんです。なぜかというと、その選考基準というものはおのずから公正で、公平で、妥当で、客観性があって、そしてだれしもが納得できるものでなければならない。そういうものがあれば、決してそれは差別にはならない。例えば、専門知識による選別というものもございます。あるいは目的意識とか生涯雇用とかいう条件もございます。あるいは勤務の対応性、海外に派遣されるのはいやだ、地方に派遣されるのはいやだ、こういうことを言う女性については当然はねられてしかるべきであると思うんです。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕 したがいまして、学業成績、受験成績のみならず、このような条件が公平、公正に選考基準として出されるならば、幾ら禁止規定になっても、この選考基準さえ企業が明らかにしておけば、そんな風波が起こるというようなことは決してないと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(山口敏夫君) 抜山先生の御発言の中にも、これこれこういうことでない限りという御指摘の中で傍聴側にもため息が出ましたけれども、やっぱり禁止規定と努力規定の問題は、女子労働者の職業人としての責任意識の問題ということと相対的な面で私は前進さしていかなければならないというふうに前回も御答弁申し上げたつもりでございまして、冒頭の御質問のように、基本的人権の部分よりいわゆる経済効率、合理性の問題が優先しているのじゃないかということ、私は、基本的人権を守り確保するためにはやはり当然の義務、責務というものが伴うわけでございまして、女子の労働者の職業人としての生活においてもこれは決して例外ではない。そういう部分の取り組み、乗り越えという中に、今抜山先生が御指摘いただいたような形で法案が将来あるいはそういう方向に行くということも十分私は考えられるということは今もってそう考えておるわけでございます。
○抜山映子君 それでは、差別行為の救済の点についてお伺いしたいのです。 差別行為の被害救済というのは、簡便にして迅速な救済ということが非常に大事だと思うんです。裁判になりますとどうしても時間もかかりますし費用もかかりますし、立証責任という大きな負担もございます。それであるからこそ大部分の国が平等委員会とか雇用機会均等委員会とか、そういうものをつくって差別是正についての救済を行うようにしておるわけです。 ところが、先般来局長さんは、これは一つの行政サービスである、したがって調停には相手方の同意がなければ開始されないんだと、こういうように言われたわけです。ところが先ほどおっしゃいますには、調停が効果を上げるよう万全を期したい、そのために意識の変化を、差別は許されないものだということを御説明し、調停に応じるよう説得いたしますと、こういうことを言われました。もしそのようなお気持ちがあるなら、わざわざそのような手数をおとりにならなくても、簡明、明快に、括弧書きの、相手方の同意を要するというのを削っていただければと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(赤松良子君) そのような努力をいたすつもりでございますが、それを、ただいまある括弧書きを削れば努力をする必要がなくなるという御指摘かと存じますが、これはもともと相手方に相互に譲り合うという気持ちがなければ調停というものは成り立たないものでございますので、括弧書きを取ることによってその点が非常に変わるというふうには思わないわけでございます。
○抜山映子君 その点は何度も申し上げたのですが、民事調停にしても家事調停にしても、開始のときにはお互いに互譲の意思はないわけです。ところが、調停をやっているうちに調停委員から説得され、あるいは相手方の主張も聞き、やはり互譲しなければいけないなというところでだんだん互譲の意思が醸成されていく。時間を経過するに従って互譲の意思ができていくわけですから、最初の開始のときに、互譲の意思がないから調停はできないと、これでは余りひどいのではありませんか。
○説明員(松原亘子君) ただいま局長が御答弁いたしましたように、互譲の精神が全くない状態で同意に全く応じないという場合にあっては、婦人少年室長がこの調停委員会の事務局を担当いたすわけでございますので、調停の趣旨ですとか法律の趣旨等を十分説明し、互譲の精神が必要だということも十分説明した上、同意が得られるように側面から努力をいたしたいというふうに申し上げているわけでございまして、今先生がおっしゃっているようなことにつきましては、このようなことを通じて十分達成されるというふうに考えているわけでございます。
○抜山映子君 ですから、その都度御努力いただくのは余りに煩瑣でしょうから、どうぞこの際括弧書きを取ってくださいと、こういうことなんですが、いかがでしょう。
○説明員(松原亘子君) 煩瑣ということでございますが、それは行政機関としての任務でございますし、そういうことを啓発することによってこの法律の趣旨が正しく労使に認識されるということにもなるわけでございますので、私どもはこれは必要だというふうに考えているわけでございます。
○抜山映子君 その点は、どっちが正論か、多分皆さんもおわかりだと思います。 さて、本法は国際的に見まして、救済機関の面でも物すごく見劣りしておるわけでございますね。しかも、調停に同意を要するなどというのは世界的に類を見ない悪文の例だと思います。さらに、民事的救済にとどまらず、外国では、イタリア、フランス、ベルギー、デンマークにおきましては刑事罰を科している国すらあるわけです。したがいまして、本法案は国際的に見まして日本の後進性を示す、世界的に恥辱的な内容だと思いますけれども、その点は労働大臣、いかがですか。
○政府委員(赤松良子君) この法案は、日本の現状その他いろいろ勘案をいたしまして慎重に審議をされた審議会の建議を待ってつくったものでございますので、諸外国と実情が違う中でつくられているわけで、先ほど先生御指摘のような、罰則をつけている国もあることはそれはもちろん存じておりますが、それはその国の実情に応じてつくられたわけでございます。すべての国に罰則がついているというわけでもないことは御存じのとおりでございます。各国がそれぞれの実情に応じた法律をつくるということは、国際的にももちろん理解されることだと思います。
○抜山映子君 私が申し上げたのは、日本の後進性を示すものになりませんかというように申し上げたのです。
○国務大臣(山口敏夫君) 現行における条約の国内法としては、外務省からも再三答弁いただいておりますように、諸外国に比べても十分見劣りするという中身の問題ではないということが一点でございます。 また、私の気持ちといたしましては、そういった今先生から指摘していただいたような諸外国の経済的あるいは社会的諸条件というものを考えますと、雇用率の問題あるいは経済的安定度の問題あるいは家庭内における離婚その他等の問題においても、非常に家庭的にも家族的にも日本の環境の方が逆に評価されておる。こういうのも現状でございまして、私は、諸外国並みにいろいろな問題を近づけるということの努力の大切さと同時に、また日本の中におけるよさも十分活用する、こういう立場もやっぱりこの法案とは別に非常に大事なことだと思います。
○抜山映子君 少し大臣、強弁に過ぎるような気がするのですよ。前回聞きましたけれども保育所は大変にお粗末なものでございました。 養護老人ホームもありませんでした。少のうございました。あるいは日本では中小企業構造の経済体質でございます。決して諸外国に比べて社会的条件、経済的条件がすぐれているというように言えたことではございませんし、この法案が諸外国に見劣りがしないなどということは、余りにも見え透いていて、失礼ではございますが多少こっけいに、少し無理があり過ぎるのではないか、こういうように思うわけです。 それはさておきまして、通産省の方にお伺いいたしますが、住友商事が米国で訴えられたという事案、先ほどこの委員会でちょっと提起されましたけれども、通産省の方から、どのような事案であったのか御説明ください。
○説明員(川口順子君) 米国の住友商事は日本の住友商事の現地の子会社でございますが、この子会社の従業員の女性十二名から、同社では日本人の男性のみが管理職に採用されており、同社が日本国籍の男性のみを重視する結果、その女性十二名は秘書職にとどまらざるを得ないというような訴えがございまして、これが人種、皮膚の色、性別、出身国を理由とする差別を禁止した公民権法の第七編の規定に違反するということで、違法な雇用差別の差しとめと補償を求める訴えを提起されたという事件でございまして、この事件につきましては、現在なお米国の裁判所におきまして審理中と承知いたしております。
○抜山映子君 このような差別扱いについて、日本の企業ないしは日本から進出した合弁会社が現地の人から訴えられるというようなことは、やはり新聞だね、雑誌だねにもなりますし、大変に日本としても恥ずかしいことになると思うのでございます。 したがいまして、今回出されましたような均等法案、諸外国に比しまして格段に見劣りするような均等法案が出ますと、そのような法案の意識のもとに、海外に派遣された日本人スタッフも当然そういうような意識を持って行動してしまう、そういうことで現地で訴えられる、こういうようなことで、昨今貿易摩擦も大変激しいことでございますし、そういうような観点からも、少しでも世界的レベルに近づけた法律をつくらなければいけないのではないか。こういうように思うのでございますが、いかがでしょう。
○政府委員(赤松良子君) 私がこのアメリカの住友商事事件を初めて見ましたときに、やはり日本にも男女の雇用の平等ということが内容となる法律というものが非常に必要なのではないかと実は思ったわけでございます。そういうものがなくて差別が普通のこととしてまかり通るということは非常によくないと。アメリカでの法律の内容と日本での法律の内容とはおのずから差があるということは、先ほども申し上げましたように起こってくるかと存じますが、およそ差別というものをなくしていくべきであるという規範意識のようなものが我が国の企業の中にも定着していくということが必要なことであろうというふうに私どもは認識をしているわけでございます。
○抜山映子君 どう見てもこの法案は平等については得るべきものは非常に少ないわけでございます。すなわち、従来裁判で無効だと確定しているような部分のみ改めて禁止規定にしただけのことで、肝心の画期的な部分については皆努力規定にしてしまったということ。一方、保護については、時間外といい深夜業といい、保護について失うものは大変に大きい。実質的に影響を受ける大きな改悪だと思うのでございます。このように労基法の改悪とも言うべきところをセットにして、批准を前にして慌てた時期において一緒に審議するように持ってこられたことは大変に私残念に思うんです。 私のところで、流通部門が一番陳情が実は多いわけでございます。この流通部門について聞きますと、時間外の制約を外すことは大変に困る。特にスーパーですね、スーパーマーケットでは、終業が支店ごと、さらには同じ支店の中でも売り場ごとに個別化しているのだそうです。すなわち、お客さんが来るとどうしても閉められないで閉店がおくれてしまう。おまけに店次長というものがございまして、売り場ごとの責任者はどうしてもノルマを達成したい、成績を上げたいということで、時間が来てもお客さんがいれば売り場をクローズしない。特に過当競争のスーパーマーケットのところでは特にその状況がひどい。店を閉めてからスーパーマーケットにある生ものを収納する作業が始まるわけで、もう残業をぎりぎり強いられる、こういうことなんです。 こういうことになりますと、日本では単身赴任も多うございますし、だんな様の方はほとんど一週間に一回家庭で食事すればいい方という方が多いわけですから、実際には子供が一人で食事をするという事例がたくさん出てくるであろう。そうなれば家庭も崩壊ということになるかもしれません。健康が破壊されるということもあるかもしれません。女性は退職を余儀なくされるでしょう。あるいはパートタイマーへの転換が強要されることになりましょう。さらに私が憂えるのは、出生率の低下ということにつながらないかということを大変に恐れるわけです。 そこで厚生省、日本の最近の出生率の動きをちょっと明らかにしてください。
○政府委員(小島弘仲君) 出生率を見ます場合に、人口千対に比較しました普通出生率と、一人の御婦人が生涯に何人のお子様をお産みになるかという合計特殊出生率と両方ありますが、人口問題というようなものを考える場合には合計特殊出生率の方がよろしかろうかと思います。 戦後、母子保健なんかの向上とともに急激に合計特殊出生率は低下をしてまいっておりましたが、昭和三十年代の後半から四十年代を通してはほぼ人口の置きかえ水準に近い線で安定しておりました。五十年代に入りまして多少でこぼこはありますが、人口の置きかえ水準、現在は二・一前後と言われておりますが、それを割りまして一・七七、一・七五という水準まで落ちましたが、直近では一・八ぐらいのところになっております。今後どう動くかということは予断を許さないところだと思います。
○抜山映子君 厚生省としては、現在一・八人だそうですけれども、どれぐらいであることが日本の国策上望ましいとお考えでしょうか。
○政府委員(小島弘仲君) 国策ということになりますといろんな見方があろうかと思います。厚生省として社会保障を進めておる立場、老齢年金、年金問題にも見られますように、やっぱり世代間の連帯で社会保障制度を支えていくということになりますれば、人口は置きかえ水準を保つ前後のところで安定的なものが一番そういう制度の運営がスムーズにいくのじゃなかろうか。あるいは子供の健全育成という面でも、余り少なくなりますといろんな問題が出てまいっているようでございますので、その辺が望ましい線ではなかろうかと考えております。
○抜山映子君 労働大臣、ただいま厚生省の方で、人口の再生産が行われるところのレベルが望ましいと、現在一・八であるということでございました。したがいまして、このような婦人労働者を過酷な労働条件に追いやるような均等法案はひとつなるべく近いうちに見直していただきたいし、あるいはこの機会におきましてもよりよいものをつくるように大臣として進言していただきたい、こういうことを切望いたしまして私の質問を終わります。
○下村泰君 各委員からそれぞれこの法案の内容について詳しくあらゆる角度から分析なさっていらっしゃいます。私はいつも申し上げますが、一番最後に質問いたします関係上、あれもこれもと準備してまいりますと、ほとんど前の方がお話しになりまして、中にはダブるものもあればダブらない私独特のものもあるのですが、本日はほとんどダブります。ダブりますけれども、また私の感覚でお尋ねをいたします。 私は、この世の中に女性ほど恐ろしい存在はないと思っています、私の家に参りますれば男女平等どころじゃないんですから。かみさんの方が私の地位よりはるかに上なんです。 ですから、こういう法案をつくらなきゃならないというような日本の国全体のあり方が私にはむしろ理解できないんです。最初から平等でなきゃいけないものが、何でこうなっておるかというのが私には不思議に思えるくらいなんですよ。 労働大臣、失礼ですが、おしめを洗ったことがありますか。
○国務大臣(山口敏夫君) おしめをしたことはございます。
○下村泰君 洗ったことはないわけですな。おしめをかったことはかった――赤ちゃんに御自分でおしめをしたわけですな。
○国務大臣(山口敏夫君) 女房を信頼し、期待して、すべてお願いをしておるわけでございます。
○下村泰君 私の経験を申し上げますと、うちの女房は、赤ん坊が離乳期に入ってやっと普通の食事をする前の段階ですからまだ六カ月から七カ月、そのころになりますと、消化不良を起こして緑便をするのですね。そうしますと、うちのかみさんは汚がって洗えないんですよ。これは傍聴者の中にもいるかもわかりません、そういう人は。緑便がついていると洗えない。これで育児の役が務まりますか。私が洗い方を教えたんです。気持ちが悪かったらまずぬるま湯につけろ。たらいにぬるま湯を入れてつけなさい。それでも落ちなかったら竹の棒でかき回せ。竹の棒でかき回したら緑便が全部取れるんです、ぬるま湯につけておきますとね。それからその緑便の分だけ流して、もう一度ぬるま湯を入れて洗いなさい。そうすればそんなに汚ないという感覚はなくなる。自分の腹から出た子供の、しかもその子供が緑便をしたからといって汚がっているようじゃ、おまえは母親としての資格がないぞという説教を食わしたことがあるんです。 また、乳幼児のときに風邪を引きます。はな水をたらします。時によってはこのはな水で呼吸のできないくらい詰まることがあります。普通何にも教育もない母親ですと、ティッシュペーパーみたいなものでふいたり、あるいはチンしなさいとか――チンしなさいと言ったって乳幼児のうちはチンなんてわかりゃせぬのですよ、自分のおしっこも教えないくらいなんですから。そういうとき、私の母親に教えてもらったのは、母親みずからがはなを吸うことです。私自身もやります。吸いますと、赤ん坊の鼻の中に詰まっているはな汁が口の中にびゃっと飛び込んでくるんですよ。汚がってやらないのです、普通の母親は。殊に近ごろの若い母親は。そういうことをして初めて子供を育てるんですな。ですから母親というものは偉大なものなんです。先週の委員会でも、私はここで刀自という言葉について御説明をいたしましたけれども、上古の時代には女性の方が男よりもはるかに地位が上だったんですよ。それがいつの間にか時代の変遷でこうなった。それで今日こんな法案が出てきているわけだ。 さて、そこで一つお伺いをいたしますけれども、今度のこの法案の中には、いわゆる使用者側に、働いている女性が何か不満、不服、しかも差別をされるような事態が発生した場合にはどうするか。いわゆる苦情の処理、そして調停という何カ条かあります。一つ伺いたいのですが、こういう委員会ということになりますと、すぐ欧州とか欧米先進国という言葉を使うんです。じゃ、一体先進国はどうなっているのか。アメリカ、イギリス・カナダ、イタリア、フランスとあります。もちろんスウェーデン、デンマークもありますけれども、私が今ここでお尋ねしたいのは、アメリカ、イギリスそれからイタリアですね、これちょっと聞かせてください。そちらに資料がありましたら、どうぞひとつ。
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。 救済機関についてのお尋ねかと存じますが、アメリカにはイコール・エンプロイメント・オポチュニティー・コミッション、略称はEEOCと申しますが、委員会がございまして、そこであっせん、調停をいたすことになっております。そして、その中で調停案が受け入れられない場合は、これは強制的な命令を出す権能がございませんので、裁判に申し立てをするというシステムになっております。 イギリスはイコール・オポチュニティー・コミッション。これの違いは、アメリカはエンプロイメントのみに限っておりますが、イギリスはエンプロイメント以外の分野、雇用以外の分野についてもこの委員会が所管をすることになっておりまして、ここでは助言、調整、仲裁等のサービスを行うことになっております。 それからイタリアをお尋ねかと存じますが、イタリアにはこのような機関は設けられていないわけでございます。
○下村泰君 イタリアには機関はないけれども、いきなり罰則がありますな。
○政府委員(赤松良子君) 御指摘のとおりでございます。
○下村泰君 その罰則は「二十万リラ以上百万リラ以下の罰金」、こういうふうになっておりますね。この私の資料は森山眞弓さんの資料でございます。おたくの大先輩、そこに座っていらっしゃいますがね。 これを拝見して、一つ一つ細かく読みたい心境なんですけれども、読んでいると長くなると思いますが、例えばアメリカの場合には、「苦情処理手続」として、 被害者は、雇用機会平等委員会に苦情を申し立てる 雇用機会平等委員会は、苦情について調査し、その結果理由ありと認めた場合 ①非公式の会合、調整、説得等により解決に努める ②調整不成立の場合 委員会又は委員会の提訴がない場合は被害者が、裁判所に民事訴訟を提起する 裁判所は、救済命令を発する(違法な雇用慣行の禁止、賃金の遡及支払い、復職、雇入れ筆) そして、「救済機関とその機能」の項目には、 雇用機会平等委員会 差別待遇除去のための手段についての報告、 立法についての勧告 法の目的達成のための調査の実施、結果の公表 教育・振興活動のための他機関との協力 苦情処理 差別の定型的慣行についての民事訴訟の提起 ここまでいっていませんな、我が国の方は。いかがでございますか。
○政府委員(赤松良子君) アメリカにおきましては、一九六四年に公民権法の第七章と申しますか、タイトルセブンの中でそのような規定が設けられたわけでございますが、当初は説得及び調停ということでございまして、七二年の改正におきまして、裁判に委員会自体が申し立てを行うという改正がされたというふうに理解をいたしておりますが、調停委員会自体が中止命令を出すという権能は今なお与えられておりませんで、それをいたしますのはやはりアメリカにおきましても裁判所でございます。
○下村暴君 今局長のお話を聞いていると、一九六四年といったらもう二十一年前でしょう。それから、一九七〇年代にまた改正されたわけですね。そうすると、今回出されている法案は、これはやっぱり一九六四年代ですか、内容的には。いかがでしょう。それだったら恥ずかしくないんですか。
○政府委員(赤松良子君) アメリカで一九六四年にこの種類の法律ができましたときは、その主たる目的は人種差別の禁止ということに重点が置かれていたというふうに承知をいたしております。当時の人種差別の問題というのは非常に深刻な問題でございまして、その後もこの問題についての歴史的な背景というものは我が国とは非常に違ったものがあったというふうに認識をいたしております。
○下村泰君 ですから、こういったものを、例えば諸外国のこういうものに類する法律を研究されてこういうものができ上がってくるならば、ほかの国よりももう少しましなものができてこなければならないような気がするんですが、これはこれ以上いろいろ言うてもだめですね。だめならもう聞きません。 ただこの中で、まず、「苦情の自主的解決」というのがありますが、これはもう無理でしょうな。使われている方としてはそんなことをなかなか使用主に言えたものじゃないでしょう。言っていけばその日からマークされるでしょうな、言った方は。すると、その段階で自主的解決どころじゃない。自主的解雇になりますわな。自分でやめざるを得ない、そういう状態になると思いますよ。そんなことはないとおっしゃるかもわかりませんが絶対になる、私の感覚では。 それからもう一つお聞きしますのは、いわゆる「都道府県婦人少年室に、機会均等調停委員会を置く。」、この委員は「学識経験を有する者のうちから、労働大臣が任命する。」しかも、この委員会は「三人をもって組織する。」学識経験というのは一体どういう形の人を学識経験というのでしょうかね。それをちょっとお尋ねしたい。
○説明員(松原亘子君) 女子労働の問題について、何といいますか、専門的な知識、それから実際に労使関係の問題について、具体的な仕事に携わっておられる方、そういった方を想定いたしているわけでございます。
○下村泰君 現場からの人の意見は聞かないのですか。現場から育ってきたような方たちの委員は置かないのですか。あくまでも学問的に見てきた人たちだけですか。
○説明員(松原亘子君) 現場からとおっしゃいましたのはどういうことか十分に理解はいたしておりませんけれども、必ずしも学問として研究をしてきたということだけに限定をいたしているわけではございません。
○下村泰君 つまり、実際に働いた経験のある方、あるいはその経験をしたことの上から学識経験を持った人、私はそういうふうに言ったつもりなんですけれども、どうでしょうか。
○説明員(松原亘子君) 過去にどういう御経験があるかということを、今おっしゃいましたように働いた経験があるというようなことにつきましては、特段、現段階における学識経験者ということが、それによってそうでないということの判断の材料になるわけではございません。 ただ、これを学識経験者といたしましたのは、労使間の紛争の調停に当たる方でございますので、あくまでも労使双方から信頼の得られる中立的な立場に現在お立ちになっておられる方ということが必要だというふうに考えまして、学識経験者の方というふうにいたしたわけでございます。
○下村泰君 それはそれでいいでしょう。選ぶ方が労働大臣ですから、下手すりゃ企業主の方へ偏って、企業主に都合のいい人を選ばないとも限らない。いかがですか。これは大臣にお聞きします。
○国務大臣(山口敏夫君) 大変な偏見でございます。
○下村泰君 しかと受けとめておきます。 そこで、十八条の中に、これはちょっと問題だろうと思うんですがね。「事業主団体が指名する関係労働者を代表する者」と、これ「事業主団体が指名する関係労働者」って、私ら余りそういう経験がありませんけれども、企業の中に行くと何か御用組合と言われるような組合があるのだそうで、会社にとって都合のいい方の、企業にとって都合のいい方の組合を代表する人に来てもらったらこれはどういうことになるんですかね。
○説明員(松原亘子君) 第十八条、この条文はちょっと読みにくいんでございますけれども、書いてありますことは、「主要な労働者団体」が「指名する関係労働者を代表する者」と、それから「事業主団体が指名する」「関係事業主を代表する者」というふうにこれは読むわけでございまして、前段が「又は」で続けて後段も「又は」でございますが、それはたすきがけに読んでいただくというところでございます。御理解いただきたいと思います。
○下村泰君 たすきがけに読んでがんじがらめになるおそれがある。 いずれにしても、こういう法というものは解釈の仕方によって随分変わってきますわね。事実、この委員会でいろいろと諸先生方のお話を聞かしていただきましても、それぞれの立場でそれぞれの解釈がある。ところがお答えになる方は全然そういう解釈をなさらないで、ただ逃げの答弁だけなんだ、これじゃいつまでたってもかみ合わない。それでこれを審議して採決なんていうのは本当はこれは間違いですよ。 それからその次に、坑内労働のことについて伺います。「坑内労働の禁止」という条項がありますね、六十四条の四ですか。「使用者は、満十八才以上の女子を坑内で労働させてはならない。ただし、臨時の必要のため坑内で行われる業務で命令で定めるものに従事する者については、この限りでない。」と、ここのところが大変ひっかかるところなんです。「命令で定めるもの」というのは、どういう業種のことを言うのでしょうか。
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。 この場合、省令で関係審議会にお諮りした上で決めることになっておりますが、具体的には、これまでの経過から申し上げて、新聞記者が取材で坑内に入るとか、あるいは病人が出た場合に医師や看護婦さんがその方の救急処置をするために坑内に入るとかというふうな、本来坑内で行われる業務でない業務を命令で定めるというふうに考えております。
○下村泰君 審議会と今おっしゃいましたけれども、今までの状態を見ていますと、審議会に出す前にはもう労働省側の案があるのでしょう。今までの審議会はみんなそうじゃないですか。例えば米価審議会もそうでしょう、ほとんど決まっているんじゃないですか。それでどっちかをおとりなさいと。そういうコマーシャルがあるでしょう、頭をひっぱたいて片方をとらせる。もうほとんど労働省の方にあるんじゃないですか、この命令で定める業種というのは。審議会なんかの答えなんか待たなくたって。こういうものを質問いたしますと、審議会のお答え待ちでございますと、すぐ隠れみのに使う。ほとんどもうこれとこれとこれってあるんでしょう、それをちょっと答えてください。
○政府委員(赤松良子君) 審議会にお諮りする原案は、この場合には労働省がつくることを予定いたしております。その場合、どのようなものが考えられるかということは、ただいま具体的に申し上げましたのである程度おわかりいただけたのではないかと存じます。
○下村泰君 そうすると、今おっしゃった新聞記者、それから坑内で何かあったときの看護婦さん。この二つ以外にありませんか。(「医師」と呼ぶ者あり)医者ね、はい。お医者さんでも女性の方がいますね。女医さん。これだけですか。
○政府委員(赤松良子君) これから審議会にお諮りするまでの間、まだもう少し検討する必要がございますでしょうが、ただいま申し上げたものは今日までこの法案について御審議いただいた審議会の中で出てきた職種でございますので、これらをお諮りすることになるのはほとんど間違いなかろうかと思います。
○下村泰君 今局長のおっしゃったのは、病人という言葉であらわしていらっしゃいましたけれども、その急病人という状態が単なる人体の病気である場合もありましょうし事故ということもありますね。例えば昨日ですか、長崎県の三菱石炭鉱業高島礦業所の坑内ガス爆発災害、こういうとき看護婦さんも女医さんも入りますか。
○政府委員(赤松良子君) そういう大きな事故が発生した場合には特別な配慮が必要となるのではないかと思いますので、先ほど通産省の御見解にもあったように、その場合に具体的な検討が行われるというふうに理解しております。
○下村泰君 そうしますと、そういう方たちは例えばレスキュー隊のようなものじゃありませんわな。特別訓練されなければ、そういう事故が起きたときなんかとても入れるものじゃありません。ですからこの方たちは、特別な訓練を受けて十分それだけの技術を持ち体力もあるような人でなければできないわけですね。そうしますると、例えばその事故の起きたところからはるか手前、坑道の入り口あたり、何ら危険のない場所というところまでというふうに解釈していいのですか。
○政府委員(赤松良子君) 特別の訓練が、あるいは特別の組織が必要な者のみが入れるようなところには、多分入れないことになると思います。
○下村泰君 そういうことを、いわゆる看護婦というものを職業にしている方たちは大変心配しておるわけですね。命令で決められて行けと言われたら行かなきゃならない、とんでもない話だというあれが出ているわけです。 ですから、局長の今の見解、果たして現場でそれが守り切れるのかどうか、こういう点はちょっと気になりますが、いかがですか。
○政府委員(赤松良子君) 命令で行けというような種類の命令ではございませんで、坑内に臨時に入ることが認められる者を省令で定めるという趣旨でございます。
○下村泰君 それでは最後に一つ、これだけ伺いたいと思います。 せんだって私が申し上げましたように、企業側のある人は、この法案ができるということは革命であるということを言ったという人もいます。 こんなものができたら大変だ、ぶっつぶせと言う方もいらした。しかし法案はこうして審議されてでき上がっていきます。これが施行された場合、今度逆に企業側の方が、こんな問題を多く抱えた者は雇うのは嫌だと、むしろこの法案が成立することによって逆に忌避するような業者が出てくる。業者というのはおかしいですな、経営者側が出てきはせぬか、こういう心配も私はしているのです。ですから、この法案が成立したとして、雇用における男女平等は前進するのでしょうか。それを労働大臣に承って私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(山口敏夫君) やはり今日のような時代におきましても、職業人としての生活に重きを置きたいという方もおりましょうし、家庭における家庭責任で女性としての立場を、役割を果たしたいと、こういう方もおられると思うんですね。しかし、基本的に、この法案が審議、成立をいただくことによって確実に女子の労働者のいわゆる職業人としてのステージにおける雇用の機会は拡大をするというふうに私は確信をしております。 しかし、それをさらに賃金の問題あるいは昇進その他の問題についてより一層の改善、前進を図るためには、やはり女子労働者の方の職業人としての意識、また意欲というものを能力に応じて大いに発揮していただく、こういうことがより大事なことではなかろうか、こう私は考えております。
○委員長(遠藤政夫君) 他に御発言もなければ、(「委員長委員長」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり)質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」「反対」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
○委員長(遠藤政夫君) 質疑を終局することに賛成の諸君の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。――傍聴席は静粛にしてください。――よって、質疑は終局することに決定いたしました。――静粛にしなければ傍聴人は退席を命じます。静粛にしてください。 佐々木君及び安武君から発言を求められておりますので、順次これを許します。佐々木君。
○佐々木満君 私は、ただいま議題となっております法律案に対しまして、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。 よろしくお取り計らいを願います。
○委員長(遠藤政夫君) 安武君。
○安武洋子君 私は、ただいま議題となっております雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案に対し、日本共産党を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
○委員長(遠藤政夫君) それでは、佐々木君及び安武君提出の修正案を議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。佐々木君。
○佐々木満君 ただいま議題となりました雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 その要旨は、第一に、「目的」の項でありますが、「目的」におきまして、この法律が法のもとの平等を保障する日本国憲法の理念にのっとっておるものである、こういうことを明確にすることであります。 第二は、「基本的理念」の項でありますが、この項におきまして、女子労働者の福祉の増進の本旨は、女子労働者が母性を尊重されつつしかも性別により差別されることなくその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営む、これが一つ。もう一つは、職業生活と家庭生活との調和を図ることができるようにする。この二つであることを明確に法律で規定することであります。 第三番目は、この法律による改正後の雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律及び改正後の労働基準法第六章の二の規定、この二つにつきましては、この法律の施行後適当な時期において、その施行状況を十分勘案して、必要がある場合には検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずる、こういう見直し規定を明確に挿入することであります。 以上でございます。 どうぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(遠藤政夫君) 次に安武君。
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、政府の男女雇用機会均等法案に対する修正案の提案理由及び内容の概要を説明いたします。 本来、雇用における男女の平等とは、国の民主主義の問題として、母性の保護を当然の前提とし、雇用機会、賃金、昇進昇格等職業生活のすべての面で男子と同等の機会、権利を保障するものでなければなりません。それは、婦人労働者の人格的尊厳の確立に資するとともに、社会的生産活動において、女子の能力の全面的な開花、発揮を保障し、民主主義の発展と社会進歩に貢献するものです。 ところが、政府提出の男女雇用機会均等法案は、長年の婦人労働者の願いと期待に背き、極めて実効性の薄い機会均等法と抱き合わせに、女子労働者の労働条件を大幅に悪化させる労働基準法の改悪が一体のものとされています。 国会の審議などを通じて政府案の内容が明らかになるにつれて、全国で労働基準法改悪反対、実効ある雇用平等法の制定という多くの婦人労働者の声が沸き起こっているのは当然のことです。日本共産党は、この婦人・国民の声と要求にこたえ、真の男女雇用平等法を制定するために、本修正案を提出することとしました。 次に、修正案の概要について御説明いたします。 第一は、政府案の全文を削除し、雇用の分野における男女の平等な機会及び待遇の確保等女子労働者の権利の保障に関する法律にかえます。 この略称男女雇用平等法では、目的の中で雇用における男女の差別的取り扱いの禁止と差別的取り扱いを受けた女子労働者の迅速な救済を行うことを明確に規定することとします。 第二は、使用者は、募集、採用から訓練、賃金、配置、昇進、福利厚生、定年、退職、解雇に至る労働者の全ステージにおいて、男女の性別を理由とする差別を禁止することとしています。 第三に、中央及び都道府県の婦人少年局(室)に雇用平等監督官を配置し、この法令の施行に関し、事業場の臨検、尋問、命令などの強力な行政権限とともに、司法警察官の職権行使など現行労働基準法に規定する労働基準監督官と同様の権限を行使できるようにすることとします。 労働者は、男女平等の機会、権利の保障に違反する事実があるとき、その事実を婦人少年局(室)に申し立てることができるよう定めています。申告した労働者が報復を受けないよう不利益扱いの禁止規定を設けています。 第四に、不服審査のため、国の機関として中央、地方に男女雇用平等委員会を新たに設け、行政の行った判断や処分などについての不服審査を行うこととします。 第五は、必要な罰則を設けることとしています。 政府案には罰則が全くありませんが、本修正案は実効の上がる法律とするため、差別違反及び行政命令に対する違反なども含めて必要な罰則を設けることとしております。 第六に、労働基準法の一部改正について、政府案のうち産後休業の延長など、妊娠、出産に係る改善部分を除き、現行労働基準法上の女子の時間外、休日労働の制限、深夜業の禁止、危険有害業務の就労制限、坑内労働の禁止、生理休暇の権利を大幅に後退させる改悪部分等については、すべて削除することとしています。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いします。
○委員長(遠藤政夫君) ただいまの安武君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。山口労働大臣。
○国務大臣(山口敏夫君) ただいまの日本共産党の修正案につきましては、政府としては反対であります。
○委員長(遠藤政夫君) 静粛にしてください。 傍聴人、制止に応じられない方は退席を命じることがあります。それでは、各修正案に対し、質疑のある方は御発言を願います。――別に御発言もないようですから、質疑はないものと認めます。 それでは、これより原案並びに修正案について討論に入ります。討論は五分以内に願います。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○高杉廸忠君 私は、日本社会党を代表して、政府提出の雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案及び自由民主党・自由国民会議提出の修正案並びに日本共産党提出の修正案に対し、反対の討論を行うものであります。 政府が女子差別撤廃条約を本年に批准するために、国内法の整備の一環として提出した本法案は、条約の根本精神に反し、女子労働者の置かれている厳しい現状に対する配慮に欠けるものであり、数々の問題点をここに指摘し、明らかにするものであります。 第一に、政府案は、女子差別撤廃条約の基本理念から余りにもかけ離れていることであります。 そもそもこの条約の根本精神は、女子に対する差別は、人間の尊厳と権利の平等の原則に違反するものであり、男女平等は基本的人権であるという点にあります。これに対し政府案は、勤労婦人福祉法の改正という形をとり、男女の均等な機会及び待遇の確保を、女子労働者の福祉の概念で包み込んでいるところであります。今日求められていることは、女性の働く権利を基本的人権として保障することであり、それを理念として法律において明確にすることであります。 第二に、男女の雇用差別撤廃の規制措置に実効性がないことであります。 政府案は、雇用におけるすべての女子差別を禁止するものとはなっていません。募集、採用、配置、昇進については事業主の努力義務にとどめ、教育訓練や福利厚生も限定的な禁止でしかありません。我が国では雇用の入口である募集、採用段階での女性に対する差別が深刻であります。入口での差別が放置されるならば、その後の賃金、昇進、昇格など、すべての差別につながってしまうのは確実であります。真の男女雇用平等を実現するためには、募集、採用から定年、退職、解雇に至る雇用のあらゆるステージにおいて禁止規定とすることこそが女子差別撤廃条約の趣旨に合致するものと確信する次第であります。 第三に、女子労働者が不当な差別を受けた場合の救済措置が貧弱なことであります。 政府案では、苦情処理については労使の自主的解決にゆだねてしまい、紛争解決の援助については、都道府県婦人少年室長が単に助言、指導、勧告ができるだけであって、是正命令の権限が付与されておりません。機会均等調停委員会についても、調停開始の要件の一つとして、使用者側の同意が必要とされ、使用者が応じなければ全く機能しないものであります。しかも、女子労働者が行政機関に差別撤廃を申し立てたことに対する使用者の不利益取り扱いの禁止について何ら規定がないことはまことに遺憾であります。差別からの救済を迅速に図るため、是正命令を出せる行政機関を設置すべきことをここに強く主張するものであります。 問題点の最後に、政府案が労働基準法の改悪を打ち出していることであります。 政府案は、現行労働基準法上の女子の時間外、休日労働の制限、深夜業の禁止、危険有害業務の就業制限、坑内労働の禁止などいわゆる女子保護規定を大幅に緩和しております。特に、女子の時間外労働について、工業的業種では現行一日二時間の枠を外したほか、非工業的業種では現行の一日二時間、一週六時間、一年百五十時間から四週四十八時間、一年三百時間へと大幅に拡大していることは問題であります。 また、男女がともに家庭責任を分担し合うことを強調している女子差別撤廃条約の精神に照らして考えるならば、男女を含めた全体の労働条件を国際的水準に向上させることが急務であり、私は条約の理想とする姿をできるだけ高い水準で達成することは国際的に見ても我が国に課せられた責務であると確信するものであります。したがって、女子の労働条件を切り下げ、労働強化を促進する今回の労基法の改正は断じて容認できないところであります。労基法の改正問題は、労働時間の短縮、週休二日制、有給休暇の拡大や保育施設の充実など、女子の家庭責任を軽減する諸施策を進めた上で考えるべきものであることをここに強く表明いたします。 以上申し述べましたように、政府案は条約の精神に逆行し、真の男女平等の実現にはほど遠いものがあります。 我が党は、公明党・国民会議、民社党・国民連合並びに二院クラブ・革新共闘と終始協力して衆議院での四党提案の男女雇用平等法案の趣旨に沿って政府案の矛盾を追及してきたところでありますが、我々の要求を受け入れなかったことは極めて遺憾とするところであります。 政府は、四党案による真に実効性のある法律を制定することが必要であることをここに強く強調いたしまして、私の反対討論を終わります。
○石井道子君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案について、自由民主党・自由国民会議提出の修正案及び修正部分を除く原案に賛成し、日本共産党提出の修正案に反対の意を表するものであります。 御承知のとおり、経済社会の発展、変革の中にあって、平均寿命の伸長、出生率の低下等により女性のライフサイクルが変化するとともに、高学歴化や社会参加意識の高まり等を反映して、女子の職場進出が進んでおります。女子労働者は、今や雇用者全体の三分の一強を占め、あらゆる職場で活躍しており、その職業生活の中でそれぞれの能力を開発し、発揮していきたいと望む意欲と能力に富んだ女性も増加してまいりました。国際婦人年以来、あらゆる分野における男女平等の実現が世界的な大きな潮流となっており、欧米諸国では雇用の分野に関しても均等な機会と待遇の実現のための努力が続けられております。女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約が国連条約として採択され、この条約の締約国数も漸次ふえてきております。我が国においてもこの時期に雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための立法措置を講ずることはまことに時宜を得ていると考えます。 今回の政府案の主要な柱である雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の促進のための措置については、募集等に関しては努力規定にし、定年、退職、解雇等に関しては禁止規定とするとともに、その実効を図るため、努力規定については指針の策定、事業主による自主的解決の促進、都道府県婦人少年室長の助言、指導または勧告、都道府県ごとの機会均等調停委員会の調停を措置しております。これらは婦人少年問題審議会における法律の制定改廃を行う場合には、その内容は将来を見通しつつも現状から遊離しないように、女子労働者の就業実態、職業意識等我が国の社会経済の現状を十分踏まえたものとすることが必要であるとの建議を踏まえて措置されたものであり、我が国の現状に照らし適切なものであると考えます。これにより男女の機会均等を目指して一歩一歩着実に前進していくことができるものと考えます。 また、政府案においては、出産や育児等で一時期家庭に入り、育児から手が離れた段階で再び働きに出るという女子もまた多くいることを考慮いたしまして、職業生活と家庭生活との調和を図るために、女子の再就業の援助についても配慮し、再雇用特別措置の普及等を図るとともに、女子の就業の継続が可能となるような育児休業の一層の普及促進のための援助措置を新設することとしているのは当を得た措置であると言うことができます。 また、労働基準法の女子保護規定につきましては、政府案は産前産後休業期間の延長など母性保護措置は拡充されております。母性保護は個々の女子労働者の健康のためのみならず、健全な次の世代を産み育てるという社会的視点からも重要であるので、私は今回の母性保護措置の拡充を高く評価するものであります。 一方、その他の特別の保護措置は女子の能力発揮や職業選択の幅を狭める結果をもたらす場合があり、意欲と能力のある女子にとってはその能力の発揮の妨げとなるという声も多く出ております。これらの保護規定は男女の均等取り扱いとは相入れないものであり、女子差別撤廃条約の趣旨に照らせば本来廃止すべきものと考えますが、政府案においては、女子労働者の家事育児等の家庭責任をより重く負っているという現状等を踏まえまして、男女の機会均等を推進していく上で特に緩和が必要な事項について部分的に改廃を行ったものであり、適切な措置がとられたと考えます。 その点、日本共産党提出の修正案については、現実的ではなく、賛成しかねるものであります。 以上の理由により、私は政府案に賛成するとともに、日本共産党提出の修正案に反対するものであります。 なお、政府案に対する自由民主党・自由国民会議の修正案は、法のもとの平等を保障する日本国憲法の理念をこの法律案においてもより明確にしたものであり、この法律の施行後の状況に照らして見直すべきであるという関係審議会に出されました公労使の一致した意見を規定したものであり、妥当であると考えます。 最後に、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するに当たって配慮すべき点を要望したいと存じます。 この問題は、単に雇用の分野の問題に限らず、文化的歴史的背景とも深く関連をしており、実際の職場において女子労働者の地位が向上するためには均等な機会と待遇が法制上措置されるだけではなく、それに向けての労使双方のたゆまざる努力が求められるところであります。 また、家庭生活における責任についても、男女が協力し合いともに担っていくことは、女子労働者が職業と家庭生活との調和を図り、子供が心身ともに健全で豊かな人間として育っていくためにも大切であると思われます。 また、今後職場において男女が同一基盤で働けるようにするためにも、労働時間の短縮など、男子を含めた全体の労働者の労働条件や労働環境の整備がより一層推進されるとともに、女子自身も職業能力の発揮と開発向上に努め、職業生活における責任を全うすることも重要であります。 このような点を踏まえまして均等な機会と待遇を確保していくための施策が強力に推進されてまいりますよう要望して、私の討論を終わります。
○中西珠子君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案について政府原案並びに自由民主党提出の修正案、共産党提出の修正案に反対の立場から討論をいたします。 婦人に対する差別は、人間としての尊厳を侵すものであり、基本的人権の平等の原則を侵すものであるということは、国連憲章にも、また、既に我が国が批准をしております国際人権規約にも明らかにされており、また、国際人権規約が採択された翌年に国連が採択いたしました国連の婦人差別撤廃宣言にも明らかにされているところであり、また、これから我が国が批准しようとしている女子差別撤廃条約にも明らかにされているところであります。 女子差別撤廃条約は、御承知のとおり婦人に対するあらゆる差別を禁止することを要請し、また、婦人が差別を受けたときは差別から効果的に保護される救済措置を要請しております。自民党、共産党御提出の修正案は、ただいま申しました点ばかりでなく、あらゆる面において婦人差別撤廃条約の理念並びに要請を全面的に生かしているとは残念ながら言えないのであります。また、私どうしてもこれは指摘したいのですが、もう時間もございませんから繰り返しては申しませんけれども、政府原案につきましてはこれまで何回も指摘してまいりました多くの問題点がそのまま残されているという状況では反対を表明せざるを得ないのです。 簡単に反対の理由を申し上げます。 第一に、私どもが強く要求いたしました労働基準法の改正部分が切り離されていないということであります。 女子保護法規の改正は、労働基準法全体の見直しの中で行われるべきであり、男女ともに労働時間を短縮し、労働条件の改善を行い、かつ育児休業の普及や保育施設、老人病院や老人ホームの充実など、婦人の働きやすい環境の整備を行った後になされるべきものであります。今回の労働基準法改正、殊に現行の危険有害業務の廃止、坑内労働の禁止の緩和などにより、働く婦人の健康と安全が脅かされることになるのではないかと大変危惧いたします。また、特に家庭責任を持つ婦人にとっては、時間外労働の規制の緩和や深夜業の禁止の緩和は、職業生活と家庭生活の両立を著しく困難にし、フルタイムの仕事をやめてパートや派遣労働者にならざるを得ないという状況に追い込むに違いないというふうに考えるからであります。 次に、原案は雇用の入り口から出口までの差別を禁止していないことであります。 すなわち募集、採用、配置、昇進において差別をなくすことが雇用上の平等を実現するには最も重要であるにもかかわらず、これらが努力義務規定になっていることは容認できません。人間としての尊厳、基本的人権を侵すものである差別を撤廃するという女子差別撤廃条約の要請にも反するものと言わざるを得ません。 第三に、差別を受けた婦人を救済する措置は、原案では全く実効性に欠けるということであります。 条約の第二条の(C)は、「差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保すること」を要請しているにもかかわらず、原案にございます機会均等調停委員会は調査権も是正命令権もない、また相手方の同意がなければ調停を始めることもできないというものであり、全く婦人を差別から効果的に救済するという機能を果たしているとは絶対に言えないのであります。 第四に、原案には不利益取り扱い禁止規定が欠如していることであります。 差別を受けた婦人が差別を訴え出たことによって解雇その他の不利益な取り扱いを受けないという保証がなければ、差別を受けた婦人は安心して訴え出ることもできないのであります。 第五に、原案には制裁規定が何もないということであります。制裁規定のない法律は効果が期待できません。 以上、反対の理由を、ただ主な理由だけを簡単に述べましたが、政府原案並びに修正案双方に反対の意を再び表明して、私の討論を終えます。
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案、いわゆる男女雇用機会均等法案、また自由民主党・自由国民会議提出の修正案に対して反対の討論を行います。 国連は平和、平等、発展の目標を掲げ、一九七五年から八五年を国連婦人の十年と設定しました。この目標実現のために婦人差別撤廃条約を採択し、我が国も署名しました。同条約はその前文で、「婦人に対する差別は、権利の平等の原則及び人間の尊厳の尊重の原則に違反するもの」であると述べ、婦人に対するすべての差別を撤廃するために、立法や制裁を含む必要な措置をとることを各国政府に求めました。我が国の婦人は、労働条件の劣悪な現状改善と、条約批准のため実効ある男女雇用平等法の制定を切実に求め、大規模な運動を展開してきました。しかるに、国連婦人の十年の最終年であるこの年に、くしくも我が国の婦人労働者は本法案の成立によって、政府からまるで足げにされるがごとき処遇を受けようとしているのであります。しかも、当委員会における本法案の審議が、わずか三日間のみで、審議も尽くさないまま慌ただしく採決をしようとすることに私は激しい怒りを覚えるものであります。 私が本法案に反対する第一の理由は、いわゆる均等法が極めて実効性に乏しいからであります。 男女の平等が雇用の入り口である募集、採用から雇用関係成立後の配置や昇進までが事業主の努力義務とされ、また教育訓練、福利厚生、定年、解雇等も禁止規定とはいえ、女子であることのみを理由とした場合しか規制できず、職場における差別の現状の改善にはほとんど役立たないものであります。ましてや、私が質疑で指摘したように、婦人労働者の最も強い要望である大きな賃金差別の是正には何ら効力を持ち得ないものであります。 反対理由の第二は、本法案には労働基準法の改悪が含まれているからであります。 本法案は、現行労働基準法上の女子の時間外、休日労働の制限、深夜業の禁止等を大幅に緩和するものとなっております。もともと我が国の労働時間は、先進国の中でも非常に長くて有名であるばかりか、今日の貿易摩擦を惹起している主要な一因でさえあります。政府が今とるべき態度は、すべての労働者の労働時間を週四十時間、週休二日制とし、時間外労働や深夜業の厳重な規制等、労働時間の短縮を先行させるべきであります。ところが、本法案は全く逆に、女子の時間外労働等の規制を緩和するというもので、到底認めることはできません。このような改悪を許すならば、我が国の長時間労働に拍車がかかるのみか婦人の母性と健康を損ない、家庭生活をすら破壊するものとなります。婦人労働者へのこのような攻撃は、男子を含めた労働者全体の賃金や労働条件を一層劣悪化させるものであり、絶対に許せません。 以上が反対の理由であります。 本法案は、結局財界の要求してきた労働基準法改悪を鮮明にし、いわゆる均等法はその許容範囲内にとどめたところに本質があります。自由民主党・自由国民会議提出の修正案は、かかる本質を何ら変えるものでなく、ともに反対であります。 私は、最後に、我が国の婦人労働者は不屈であり、必ずやこのような悪法を乗り越えて、真の男女平等と婦人の地位向上、平和のために前進し続けるであろうことを強く申し上げ、反対の討論を終わります。
○抜山映子君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました政府提出の雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案及び自由民主党・自由国民会議提出の修正案に反対の立場から、また日本共産党の修正案に反対の立場から討論を行うものであります。 憲法第十四条ですべて国民は性別により差別されないと明記されておりますが、就労、勤労の分野では依然として男女間の差別が存するのは残念ながら衆目の認めるところであります。 政府は、昭和五十五年に婦人差別撤廃条約に署名し、国内準備体制を整えて本年までに批准することを決定いたしておりましたが、この五年間政府の活動にはまことに遅々たるものがあり、やっと提出したのが我々の期待した雇用平等法とはほど遠い、従来有名無実とのそしりがあった勤労婦人福祉法に接ぎ木をした形の雇用機会均等法であったわけです。 以下、政府案に反対の理由を申し述べます。 まず、雇用の分野における男女の機会及び待遇の均等を実現し、確保するための立法は、憲法第十四条に規定する基本的人権の保障措置の一つであります。したがって、この立法は、政府案のように採用、募集、昇進、配置について努力義務規定にするのでなく、雇用の全ステージについて差別的取り扱いを強行規定によって禁止し、その実効性を確保することを基本としなければならないと考えるのであります。 第二に、差別的取り扱いの是正、救済は、基本的人権の侵害に対する措置である以上、労使間の調整である調停によって解決すべき性格のものではなく、公権力による権利侵害の是正、権利の救済、回復の措置を命ずることができるものでなければならないのであります。しかも、本案の調停の開始には相手方の同意を要するとして、実質的には調停を封じることになっていることは致命的な欠陥となっておることを指摘したいのであります。 第三に、労働基準法の改正については、本来、労働時間の短縮等、昭和二十二年以来本格的な改正が行われてこなかった同法の抜本的な改正をまず行うべきであるにもかかわらず、女子保護規定のみを抜き出して改正するというのは本末転倒であり、しかもこの改正部分について、国民、特に女子勤労者の理解が得られているとは到底考えられないのであります。 また、自由民主党・自由国民会議提出の修正案は、まことに微々たるものであり、以上述べた根本的な点について何らの修正もなされていない状況においては、反対の態度を表明せざるを得ないのであります。 以上、討論を終わります。
○下村泰君 私は、二院クラブ・革新共闘を代表し、ただいま議題となっております雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案に対する両修正案並びに修正部分を除く原案に対し、反対の討論を行います。 本法律案は、女性差別撤廃条約批准に向けての国内法整備の一環をなすものであります。したがって、法律案は条約の趣旨を正しく理解し、認識するという基盤に立脚するものでなければなりません。本条約は、女性に対するあらゆる形態における差別を人間の尊厳に対する重大な侵害であるととらえ、男女平等の原則を国際社会における基本理念であることを宣言したものであります。 しかるに政府の姿勢は、雇用と経済の効率性の側面を重視した態度が基本的に流れており、いかにも現状に妥協したものとなっているのであります。これでは現状を打破し、長期的展望に立った態度とは全く矛盾するものであります。経済性と効率性を基軸にするとしたら、それは全く条約の精神と相入れない態度と言わざるを得ません。 例えば募集、採用といった就業の入り口に関する差別撤廃の規定が努力義務規定というのでは、これまでの男女別建て採用をさらに固定するだけでなく、助長さえするのではないかと危惧されます。私も本案が提出されてから幾つかの職場を見てまいりましたが、採用段階で女子は補助的業務、男子は基幹職務と最初から分けて採用している実態を見てきております。ヨーロッパ諸国が一九七〇年代末から八〇年代にかけて、雇用における男女平等法を制定した契機は、女性の雇用を増大させることであったはずであります。そうして、平等法が成立して採用面、昇進、賃金の面で大きな改善を見ているのであります。 次に、女子の保護規定の改廃であります。現在我が国は経済大国になっていると言われておりますが、男子でさえ労働基準法上の地位、特に労働時間、休日、休暇関係は発展途上国も賛成したILOの水準以下であります。休日は、近く開かれますサミットへの参加国は、日本を除いてすべて週休二日制を実現しているのではないですか。女子に家庭奉仕のすべてを負わせたままで現在の女子の労働基準法の保護をカットして、現在のような労働時間初め労働条件を強いられる男子と無制限に競争させるなら、女子は健康を害し、かえって男子と対等に働くことさえできなくなるのではないでしょうか。むしろ深夜労働は男女ともできるだけ、公共のためか、技術的理由に基づくものに限定し、深夜勤をできるだけ少なくし、深夜勤務時間と拘束時間を短縮する努力こそなされるべきではないのでしょうか。 女性労働者は、本法律案に対し、失うものが余りに大きいので、平等法など要らないといった声が大きくなっているのであります。女性を二分し、こうした分裂した労働観の中に陥れてしまう本法律案には到底賛成できるところではありません。 また、自由民主党・自由国民会議提出の修正案は実効を伴うものではなく、実質的に何ら改善を見ていないのであります。さらに、日本共産党提出の修正案は、今日の時点で全部改正と言われましても、検討の時間もありません。したがって、両修正案にも賛同できません。 以上で、反対討論を終わります。
○委員長(遠藤政夫君) 以上で討論は終局いたしました。 これより雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案について採決に入ります。 まず、安武君提出の修正案を問題に供します。 本修正案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 少数と認めます。よって、安武君提出の修正案は否決されました。 次に、佐々木君提出の修正案を問題に供します。 本修正案に賛成の諸君の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、佐々木君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。 修正部分を除く原案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 傍聴人は静粛に願います。 多数と認めます。よって、修正部分を除く原案は可決されました。 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。 本日、粕谷照美君が委員を辞任され、その補欠として片山甚市君が選任されました。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 次に、職業訓練法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に対する質疑は既に終了しておりますので、これより直ちに討論に入ります。討論は三分以内に願います。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、職業訓練法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。 今日の技術革新の進展やサービス経済化の進行、高齢化社会への移行などの社会的背景のもとで、職業訓練の拡充は労働者の間からも求められております。その基本は、憲法に定められた教育権、職業選択の自由、勤労権に基づく生涯を通じての教育訓練が受けられる体制を強化する点であり、具体的には公共職業訓練の充実、学校教育との連携、有給教育訓練休暇の改善などが求められています。 ところが、本法案はこのような労働者の求める職業訓練拡充の方向ではなく、専ら企業の側の要請に沿った形で企業内訓練のあり方の転換を図ることを主目的にした極めて不十分な内容となっております。 本法案に反対する理由の第一は、今回の改正が労働者の教育権、勤労権の保障をするという職業訓練における国の役割を民間の職業能力開発の推進を中心に据え、国や地方自治体はそれを援助するという立場に後退させ、公共職業訓練の役割を相対的に低下させるものであるという点であります。 第二、公共職業訓練の弾力的運営の名のもとに専門学校等への委託訓練を拡大しようとしていることであります。公共職業訓練は職業訓練の中核として拡充すべきものであるにもかかわらず、逆に委託化を進めるという安上がりの職業訓練体制づくりを推進することに反対であります。 第三は、臨調行革の一環として、都道府県立の職業訓練校等の運営費への補助方式を負担金方式から交付金方式に改悪することであります。交付金化による定額化は長期的には国庫負担の削減となって、公共職業訓練校の縮小にもつながるものであり反対です。 以上、本法案は雇用保険法改悪、男女雇用均等法における労基法の改悪、労働者派遣事業法の提案に見られる戦後労働法制の総決算的改悪の一環として行われる職業訓練の転換であり、我が党はこれに反対の立場であることを表明して、私の反対討論を終わります。
○委員長(遠藤政夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 職業訓練法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、高杉君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
○高杉廸忠君 私は、ただいま可決されました職業訓練法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 職業訓練法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について特段の配慮をすべきである。 一、技術革新の進展、高齢化等の諸情勢に対応し、訓練料、内容、施設、設備等の基準の弾力化を図り、機動的に職業訓練を展開できる体制を確立するとともに、指導員免許制度の総合的改善と研修制度の充実を図ること。また、特にME関連訓練の充実に努めること。 二、生涯能力開発給付金について、その充実や受付窓口の拡大等を図るとともに、有給教育訓練休暇制度等の活用を通じ、職業訓練が労働者の自発性を尊重するものになるよう、関係者を指導、援助していくこと。また、中小零細企業等において、訓練計画の策定や給付金の手続き等が円滑に行われるよう、公共職業訓練施設が相談等の援助に努めること。 三、公共職業訓練については、その内容の改善を図るとともに、施設、設備、指導体制等の充実、強化に努め、現存のものについては訓練期間の短縮を行わないこと。特に、中高年齢離転職者、女子労働者及び障害者の訓練については、職種の開発、職業訓練手当の改善等を図るとともに、委託訓練については、受講者が訓練職種を選択できる幅を拡大する観点から実施し、これにより、公共職業訓練の活性化と弾力的対応を図ること。 四、職業能力開発体制の基盤となる養成訓練をも重視した施策を配慮すること。特に、国、都道府県は、昭和五十三年法改正時の附帯決議をも踏まえ、中卒者に対する職業訓練を、地域の実態に応じ引き続き実施し、新規学卒者及び若年労働者が不当に受講機会を失うことのないようにすること。 五、都道府県に対する職業訓練事業交付金については、人件費及び物価等の上昇、地域実態等に配慮した予算の配布を行うとともに、交付金制度の導入により、都道府県の職業訓練体制が後退することのないように措置及び指導すること。 六、訓練受講者の再就職の機会の拡大を図るため、訓練内容、種類の弾力化を図り、各種資格の取得などの便宜を与えるとともに、労働市場等の情報、分析等を含め、職業安定機関との連携を一層密にすること。 七、継続した技能習得を可能にするため、技能検定の多段階化と内容の整備の検討を行うとともに、受検の促進に努めること。 また、営利を目的としない法人等が行う認定職業訓練に対する援助、助成を充実するよう努めること。 八、中央及び都道府県職業能力開発協会並びに公共職業訓練施設の運営、職業能力開発推進者の選任等について、労働者の意見が十分反映されるよう努めること。 九、職業訓練を通じての国際協力を充実するため、職業訓練担当者の海外派遣及び海外労働者の受入体制を強化し、計画的な訓練の実施を図るとともに、関連施設、設備の充実等の総合的対策を講ずること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(遠藤政夫君) ただいま高杉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の諸君の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤政夫君) 全会一致と認めます。よって、高杉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、山口労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山口労働大臣。
○国務大臣(山口敏夫君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
○委員長(遠藤政夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 次に、育児休業法案(参第三号)を議題といたします。 発議者糸久八重子君から趣旨説明を聴取いたします。糸久君。
○糸久八重子君 ただいま議題となりました育児休業法案につきまして、日本社会党を代表し、提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 我が国における人口の高齢化は急速に進んでおり、出生率の低下と相まって、来るべき社会の担い手となる児童の健全育成が一層重要な問題となっております。 また、近年、婦人の職場進出は目覚ましく、一九八四年には、雇用されて働く婦人の数は、千五百十八万人に達し、そのうち有配偶者が約六割を占めるに至っており、今後も乳幼児を持ちながら働く婦人の増加が見込まれております。 しかし、働く婦人の職場環境を見ますと、出産後も勤続する意思を持ちながら、育児のために職場を離れなければならない例が多く見られ、一度離職すると再就職が難しく、また、不利な労働条件を余儀なくされる場合が多い実態にあります。この職業と家庭生活との調和の問題に対処するためには、保育施設の整備充実とあわせ育児休業制度の普及が不可決となっております。 現在、我が国では、公務員である女子教員、看護婦、保母等については、育児休業が制度化され、対象範囲が限られておりますが、国家公務員について、その利用状況を見ますと、対象者に対する利用率は一九八二年度で五二・七%となっております。 また、勤労婦人福祉法は、勤労婦人の育児休業の実施について事業主の努力義務を規定しております。しかし、一九八一年では三十人以上規模の事業所で育児休業を実施している事業所はわずかに一四・三%にすぎません。しかも、この数字は教員を含んでいるものであり、一般事業所はさらに低いものとなっております。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕 一方、ヨーロッパ諸国では、多数の国において育児休業制度が立法化され、働く婦人の人権と母子福祉、育児についての手厚い配慮がなされております。 一九八〇年に我が国が署名した国連の女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約は、「子の養育には男女及び社会全体がともに責任を負うことが必要であることを認識」すると述べております。 また、ILOも、一九八一年に男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約及び勧告を採択しており、その勧告では「両親のうちのいずれかは、出産休暇の直後の期間内に、雇用を放棄することなく、かつ、雇用から生ずる権利を保護された上、休暇(育児休暇)をとることができるべきである。」とうたっておりますが、現在、これらの理念が世界共通の認識となるに至っております。 しかるに、本日審議議了となりました雇用機会均等法には、「育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与を行うように努めなければならない。」との規定のみであります。 かかる実情の中で、すべての労働者を対象とする所得保障を伴う育児休業制度を早急に確立する必要があります。 これが、ここに、育児休業法案を提出する理由であります。 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。 まず第一に、この法律は、子を養育する労働者に育児休業を保障することにより、労働者の負担の軽減と継続的な雇用の促進を図り、もって労働者の福祉の増進に資することを目的としております。 第二に、使用者は、父または母である労働者がその一歳に満たない子を養育するための休業を請求したときは、その請求を拒んではならないものとしております。ただし、共働きである父母の一方が育児休業をするとき、または一方が家事専従でその子を養育できるときは、重ねて他方が育児休業をすることを拒むことができることとしております。 第三に、これが、最低の労働基準として遵守されるための必要な規定を設け、また、育児休業を理由とする不利益取り扱いの禁止を規定しております。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕 第四に、育児休業期間中の給付については、別に法律で定めるところにより、賃金の額の六割に相当する額の給付を行うこととしております。 なお、この法律は、公務員を含めた全労働者に適用されますが、公務員関係規定の整備等は、別に法律で定めることとしております。 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(遠藤政夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 次に、育児休業法案(参第四号)を議題といたします。 発議者中西珠子君から趣旨説明を聴取いたします。中西君。
○中西珠子君 ただいま議題となりました育児休業法案につきまして、公明党・国民会議を代表し、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 近年、既婚婦人の就労が著しく増加し、昭和五十八年には女子就業者は二千二百六十三万人を数え、非農林女子雇用者は千四百七十五万人で、このうち有配偶者、いわゆる共働きの妻の数は八百七十七万人となっております。このような婦人労働者の増加が保育需要を増加させ、保育所の数も年々ふえて、昭和五十九年四月一日現在では全国で二万二千八百八十一カ所とはなりましたが、婦人の就労形態の多様化、通勤時間の延長、また核家族が総世帯の六割以上を占めるに至った家族構成の変化などにより、延長保育、夜間保育、ゼロ歳児保育に対する要望が高まっているにもかかわらず、午後七時ごろまでの延長保育を行っている保育所は全国で二百九十七カ所、午後十時ごろまでの夜間保育を行っているところは全国で十七カ所にすぎません。産休明け保育やゼロ歳児保育を行う公立保育所は皆無に等しく、ベビーホテルの繁栄の陰に乳児の悲惨な事故が後を絶たない状況です。 このような状況のもとで我が国の出生率は近年激減し、昭和五十八年には人口千人につき一二・七にまで低下しています。六十五歳以上の人口の総人口に対する比率は、十五年先には一五%前後となり、二十五年先には、二十歳から五十九歳までの生産年齢人口は四九・八%となり総人口の半数を割ると予測されています。 かくも急ピッチで人口の高齢化が進んでいる我が国において、婦人が経済社会活動の担い手として一層職場に進出せねばならないことは明らかであります。しかしながら、共働きの妻は家事育児と職業生活の両立が困難であり、また育児のために離職をすれば不利となるような状況では、子供を持つことをためらい、出生率は一層減少することになりましょう。働きながら安心して健全な次の世代を産み育てることが可能な環境をつくらなければ、我が国の永続的な発展は阻害されるのではないかと危惧されます。 雇用を継続しながら一定期間休業し、育児に専念できるように、所得保障つきの育児休業制度を確立することこそ、労働者の福祉の向上と次の世代の健全な育成のためにも、また国としての人口対策の見地からも緊急課題であると考え、この法案を立案いたしました。 最近の離婚率の上昇、交通事故死の増加などにより父子家庭が急増し、昭和五十五年で既に三十万世帯を突破している状況から見ると、女子労働者のみならず、男子労働者にも育児休業がとれる権利を与える必要があると考え、この法案は男女労働者いずれにも育児休業を請求する権利を確保しています。ヨーロッパでは既にスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、フランス、イタリア、スペイン等が男女双方に育児休業請求権を与える法律を制定しています。 ILOの百五十六号条約すなわち家族的責任を有する男女労働者の機会均等と平等待遇に関する条約第三条は、家族的責任を有する者が、差別を受けることなく、またできる限り就業にかかわる責任と、家族的責任との相克を防ぎながら、就業の権利を行使できるようにすることを国家の方針とするよう求めています。また、同名の百六十五号勧告は、両親のうちいずれかの者は、出産休暇の直後の期間に親として育児に専念する休暇をとる可能性を有すべきである。ただし雇用を放棄することなくかつ雇用から生ずる権利が保護されるものとすると言っています。このような休暇や育児休業の普及には、育児休業制度の法制化が絶対に必要であると痛感いたしまして、ここに育児休業法案を提出する次第であります。 次にこの法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。 第一に、この法律案は、子を養育する労働者について育児休業制度を設けることにより、労働者の雇用の継続を確保し、あわせて、子の健全な育成に資することを目的とすると定めております。 第二に、育児休業とは、労働者がその一歳に満たない子を養育する為の休業をいうと定義し、育児休業は一定の期間を定めて請求するものとしています。請求は育児休業期間の始まる一カ月前にすることとし、期間の延長の請求も同様とします。 第三に、使用者は父または母である労働者が育児休業を請求したとき、また育児休業期間の延長や短縮を請求したときは拒んではならないと規定しています。ただし、共働きの場合、他の一方が育児休業をしている期間は拒むことができるとし、また、両親の一方が無職で家庭にいる場合は、疾病、負傷、出産、その他やむを得ない理由でその子を養育できない期間を除き、拒むことができるとしています。しかし、多胎出産の場合は、共働きの父母双方が同時に育児休業をすることができるとし、この場合に妻が専業主婦であっても、父親の労働者が育児休業をすることができることとしております。 第四に、育児休業中は労働協約により賃金を支払う定めのある場合を除き、原則として無給としております。しかし、労働者の生活の安定と子の健全な育成に資するため、別に法律で育児休業基金を設け、この基金から当該労働者の賃金の額の百分の六十に相当する額の育児休業手当を支給することにしております。 育児休業基金はスウェーデンの両親保険のようなものを考えておりますが、社会保険方式をとることを考慮してただいまやっております。別の法律でこれはお出しいたします。 第五は、この法律で定める育児休業に関する基準は最低の基準とし、この基準に達しない労働契約は関係部分について無効といたしております。 さらに、年次有給休暇の日数算定上、育児休業期間は欠勤とみなさないことにしています。また、不利益取り扱いの禁止条項を設け、使用者は育児休業を理由として労働者に対し解雇、その他不利益な取り扱いをしてはならないものとしています。 第六は、この法律の規定に違反する事実のあるときは、労働者は都道府県労働基準局長、労働基準監督署長、または労働基準監督官に申告することができます。労働基準監督官等には報告徴収及び立入検査の権限を認め、この法律の違反については労働基準監督官は刑事訴訟法の規定による司法警察員の職務を行うものとしています。 第七に、この法律の適用対象は公務員を含み、船員以外のすべての労働者としています。なお、船員の育児休業については別に法化で定めることにしています。 また、この法律の実効性を確保するため所要の罰則を設けております。あわせて関係法律の改廃整備をも行うこととしております。 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、述やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(遠藤政夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 次に、林業労働法案(参第五号)を議題といたします。 発議者目黒今朝次郎君から趣旨説明を聴取いたします。目黒君。
○委員以外の議員(目黒今朝次郎君) ただいま議題となりました林業労働法案につきまして、日本社会党を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 我が国の森林は、国土面積の七〇%に当たる約二千五百万ヘクタールを占めておりますが、このうち人工林の面積は約一千万ヘクタールに及びその蓄積は十億立方メートルと全森林蓄積の四割を超えるまでに達しております。 この豊かな森林は木材などを生産し、建設資材、家具、紙などの形で国民の生活必需物資の供給を担う等の経済的機能を果たしているほか、国土保全、水資源の涵養、大気の浄化、自然環境保全、保健休養等の多面的な公益的機能など、はかり知れない重要な役割を果たしております。殊に、国土開発に伴う山地災害の多発化、水需要の増大さらには都市への人口集中などによる生活環境の悪化等から、森林の公益的機能の充実が一層重要になっております。 しかしながら、森林、林業を取り巻く情勢は近年非常に厳しく、危機的な状態を強めております。すなわち、木材需要の七〇%に及ぶ外材輸入と住宅建設の大幅な落ち込み等による国産材需要の不振、山村の過疎化の進行による林業労働者の減少等により、森林資源の保全、管理機能は著しく低下しております。このため、造林の育成に不可欠の除伐、間伐の立ちおくれ、脆弱な森林の増加さらには山地崩壊、水害などの国土災害の危険性の増大、水資源の不足といった状況を現出させておるのであります。 二十一世紀へ向けて、人類が避けて通れない課題は資源と環境だと言われます。我が国においては、まさに林業こそが森林の育成を通してこの二つの課題にこたえ得るのであります。そして、この森林の育成に不可欠なのは、その生産の担い手である林業労働者の安定的維持と確保であります。 ところで林業労働者、とりわけ民間林業労働者の置かれている労働の実態は、極めて憂慮すべきものになっております。すなわち、民間林業労働者は季節的、短期的雇用が多いため不安定であり、健康保険、厚生年金等被用者保険の適用はごく少数であり、賃金は他産業に比べて低い上に、出来高払い制のため労働強化を強いられ、振動病の罹病者は毎年増加するという状況にあります。また、労働基準法さえ適用されないなど、まさに劣悪過酷な労働条件のもとで重筋労働に従事しております。 このような民間林業労働者の労働環境のもとでは、新規学卒者や若年労働者の就労は皆無に等しく、労働力の高齢化、女子化が進んでおり、このまま推移するならば我が国の森林、林業の危機的状況は一層深刻なものとなることは明白であります。 世界的な森林の減少による環境変化が懸念されている中で、今後我が国が森林の管理を適正に実行し、国産材の供給能力を飛躍的に向上させ、国産材時代への展望を切り開いていくためには、何といってもその生産労働力の確保対策が重要であります。 しかるに、現行労働関係の諸法律やその運用のみでは、林業労働の特質から来る諸問題は解決し得ないところであります。したがって、民間林業労働者の雇用安定、労働条件の改善、安全衛生、福祉面での施策の整備、充実等のためには林業労働の特質を踏まえた新たな立法が必要であります。 これが日本社会党が林業労働法案を提案する理由であります。 次に、法律案の主な内容について御説明申し上げます。 第一に、この法律は林業労働者の雇用の安定、労働条件の改善、安全衛生の確保、福祉の増進等に関する施策を講ずることにより、林業労働者の地位の向上を図るとともに、山村地域の振興に寄与することを目的としております。 第二は、林業労働計画の策定であります。すなわち、労働大臣は本法の目的を達成するための基本となるべき事項について、五年ごとに全国林業労働計画を策定し、都道府県知事は全国林業労働計画に即して、毎年市町村長が策定した市町村林業労働計画に基づいて、都道府県林業労働計画を策定することとしております。市町村長が策定する市町村林業労働計画では、林業の事業の量、林業労働者の雇用の安定及び福祉の増進に関し必要な事項について規定し、山村経済の発展のための林業の振興及び林業労働者の雇用の開発について配慮することとしております。 第三に、専業労働者とは常用労働者以外の林業労働者で、一年間に通常九十日以上雇用される者をいい、兼業労働者とは、常用労働者及び専業労働者以外の林業労働者で、時期を定めて一年間に通常三十日以上雇用される者をいうこととしておりますが、公共職業安定所長は、林業労働者について、専業労働者及び兼業労働者別に林業労働者登録簿に登録するとともに、林業事業体の届け出に基づき、林業事業体登録簿を作成することとしております。また、林業事業体は、公共職業安定所の紹介を受けて雇い入れた者でなければ、林業労働者として林業の業務に使用してはならないものとしております。 第四に、林業労働者に対して、一年間のうち最低限の雇用が確保されなかった場合及び本年度雇用実績が前年度雇用実績を下回った場合においては、雇用の安定を図るため、雇用保障手当を支給することとしております。雇用保障手当の費用については、一定規模以上の森林所有者、林業事業体及び登録林業労働者から納付金を徴収するとともに、国が費用の三分の一を補助することとしております。 第五に、振動機械を使用する登録林業労働者等について、定期及び特殊の健康診断を義務づけるとともに、振動障害を予防するため、出来高払い制の禁止、振動機械の操作時間の規制等を行うこととしております。また、振動障害者の福祉増進のため、国は療養施設等の設置、軽快者の雇用安定のための助成、援助、職業転換希望者に対する職業訓練等について、それぞれ適切な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。 その他、政府は、労働保険及び社会保険制度について検討を加え、その結果に基づき速やかに必要な措置を講ずるものとし、また、労働基準法の労働時間、休憩及び休日に関する規定を、林業労働者にも適用するために、労働基準法の一部改正を行うことのほか、監督、罰則等について所要の規定を設けることとしております。 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださるようお願い申し上げます。
○委員長(遠藤政夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十二分散会