社会労働委員会 第8号
- 発言数
- 515 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/03/26
会議録
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 社会保障制度等に関する調査を議題とし、前回に引き続き厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○糸久八重子君 大臣は、先般の所信表明の中で、人生八十年時代において明るく活力ある社会を築いていくためには健康が基本であり、疾病の予防や健康づくりの対策を重視して施策の充実に努めたと申されたわけでございます。 二十一世紀の本格的な高齢社会を目の前にしている今日、健康な老人をつくるための施策の充実はもはや緊急な国民的な課題であり、それには生涯を通した国民の健康づくり対策の充実や疾病の予防、早期発見、早期治療からリハビリテーションに至るまでの一貫した保健事業の充実が望まれることは言うまでもないことでございます。老人保健法による保健事業は、壮年期からの健康管理と適切な医療の確保を図るために健康手帳の交付とか、健康教育とか、健康相談とか、健康診査、訪問指導、機能訓練などの総合的な保健対策を実施することにより、国民のすべてが健やかに老いるということが可能となるような体制づくりを目指してスタートをしたわけでございますけれども、老人保健法施行後二年を経た今日、保健事業の実施状況、必要なマンパワー、施設等の整備状況についての現状をどう認識していらっしゃるのか、大臣にお伺いをいたします。
○政府委員(水田努君) 先生御指摘のとおり、私ども、老人を健やかに老いさせるためには、四十歳ごろからいわゆる健康管理を徹底していくことが最も重要であるということから、六十一年度までの五カ年計画を立てまして、その計画に即しまして、大変厳しい財政状況下でございますが、五十九年度予算においても三三%台の予算を確保し、また、六十年度においても対前年度三五%増という大幅な予算を確保し、計画的に事業が進められるようにその確保を図っているところでございます。
○糸久八重子君 老人保健法審査の際に我が党は、成人病、慢性病の予防と治療に確実な効果を持つような制度の確立を強く訴えましたが、老人保健法の保健事業を見てみますと、計画と実績との間に大きな乖離が見られるようでございます。例えば、五十八年度の健康診査における一般診査を見てみますと、予算上では二三・五%の受診率を見込んでいるわけですが、実績では二〇・七%、胃がん検診は一一・五%に対して七・二%程度にとどまっているわけでございます。 どうして計画水準を下回る結果に終わっているのか、その原因についてどう分析なされておいででしょうか。
○政府委員(水田努君) 五十八年度は実質初年度ということで、全国の三千三百の市町村がこの事業に取り組むわけでございますが、初年度ということによって立ち上がりがおくれた面が結果的に、御指摘のとおり当初予定していたものより若干実績が下回るという結果になったわけでございますが、私ども本年度あたりから県を通じて積極的に指導いたしておりますので、市町村も本格的に事業に取り組む姿勢を示してまいりましたので、これから実績も上がってまいるのではないかと、かように考えております。
○糸久八重子君 保健事業が所期の目的を達することができなければ、老人保健法は単に老人医療費の財政調整のためだけのものになってしまうわけでございます。冒頭に申しましたとおり、老人保健法の最大の目的は健康な老人づくりでありまして、そのための保健事業でありますから、一層の努力をしていただかなければなりません。 保健事業のための予算額は、、保健事業と基盤整備分を合わせて二百五十七億、伸び率が、先ほどもおっしゃいましたけれども、三五%増ということで、本事業にかける政府の意気込みはわかりますけれども、実績が伴わなければ何にもならないわけでございます。健康診査事業の実施状況を見てみますと、五十八年度、十万人規模以下の市町村では各事業について予算上の水準をほぼ超えているのに対し、都市部やその周辺地域が全般的に非常に低調でございます。 今後受診率を引き上げていくために、都市部ではどのような取り組みをしたらよいとお考えになっておられますでしょうか。また、どのような指導をお考えでございましょうか。
○政府委員(水田努君) 私ども、全国的に健診率を上げますためには、先生御指摘のとおり、都市部及びその周辺地域における受診率の向上を図らなければならない、このように考えているわけでございます。 先生御承知のとおり、都市部では地域的なつながりが大変薄いということと生活のパターンが大変多様化しているということで、受診率を上げてまいるというのは、言うべくしてなかなか難しい面があるわけでございますが、私どもとしましては、まず都市部に生活しておられる方に健診事業を行うという情報の徹底を図る。そのためには、単に広報紙による連絡だけではなく、個別のダイレクトメールで連絡をするとか、あるいは場合によっては電話等によってもこれを徹底する。さらには、今後ニューメディアが開発されますと都市部においてニューメディアの利用度は高くなると思いますので、そういうものを使って、まず、健診を実施している日時、場所の徹底というものを図るということと、それから、生活の態様が非常に農村あるいは中都市以下みたいに単一化しておりませんので、できるだけ健診の機会を身近かなところで多くつくるという以外にないと思いますので、例えばパートに出ている主婦等のことを考えましたら、夜間健診であるとか休日健診等を実施するように、県を通じて指導をいたしているところでございます。
○糸久八重子君 都市部での保健事業の実施につきましては、さまざまな困難が伴うことはわかりますが、相当な人口規模のところでも一定の実績を上げている例もあるわけでございます。県レベルの事業実績を見てみますと、一般健康診査においても、最も低い県では五・〇%であるのに対して高いところは五三・九%、市町村レベルでは一〇〇%の実施率のところもあるようでございます。 要は、行政の側の熱意と工夫が大事だと思うわけでありますけれども、受診率の向上のために、ただいま例えば夜間診療だとか、それから日時、場所の徹底とかいうことを挙げておられたわけでございますが、実際に休日とか夜間診療を行っているところというのはございますか。
○政府委員(水田努君) これはなかなか難しい問題でございますが、大阪市においては市長が先頭に立たれまして、やはり市民の健康づくりが最も大事だということで、保健所単位に理事者側が十分組合と話をしまして、組合の協力を得て、大阪市の場合は夜間休日健診体制を一年がかりで確立し、それを現在実行に移しておりますし、また、身近なところで健診をするということで、通常胃がん検診車というのはあるわけですが、循環器の検診車というのは非常に珍しいわけですが、大阪市の場合は循環器の検診車を整備しまして、できるだけ住民のそばに行って受けやすくするという便宜を図っておりまして、こういうことによって成績が上がってまいると思います。 東京で申し上げますと、下町の墨田区は零細の工場に働かれる方が多いものですから、どうしても休日、夜間健診をしないと受診率が上がらないということで、東京で申し上げますと墨田区がそういうことの実施に入っております。
○糸久八重子君 健康診査の対象人員は、五十九年度の二千七十万人から六十年度では二千七百四十万人まで拡大されるようでございます。五十八年度実績で見る限りでは、予算分を消化するにはかなりの努力を要するのではないかと思われますけれども、達成の自信はおありになりますでしょうか。
○政府委員(水田努君) 私ども、率直に申し上げまして、厳しい予算のもとで大変この事業にかける国の姿勢というものを財政当局ともどもきちんと示しているわけでございますが、それに向けての事業の達成ということは二つの面が大変重要になるわけで、それは市町村がこの事業を正面から受けとめて取り組むということと、それから国民の方がこの健診に参加していただかないことには空振りに終わってしまう、この両面を持っているわけでございます。 それで、市町村がこの事業を正面から取り組むという、その市町村行政の中にきっちりと定着をさせるということが何をおいても大事でございますので、やはりそういう意味合いにおいて健康マップというものをつくり、その事業に対する広く地域住民の関心を持つようにし、それを昨年の末に発表いたしたわけでございます。それからまた、国民の方にこの老人保健法に基づく健康診査に積極的に参加していただくということのために、いわゆる啓蒙を図るということで体育の日、十月十日を初日とする四十歳からの健康週間というものを昨年度から創設し、この期間中に国、地方一体となって健康診査の重要性のPRの徹底を図るということにいたしております。 いずれにいたしましても、私どもその二点の面を強く推進することによって、予算で予定をしております事業の達成ができるように全力投球をしてまいりたいと考えております。
○糸久八重子君 健康マップは拝見いたしましたけれども、あれはどのように活用なさっていらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(水田努君) 健康マップにつきましては、先生も御案内のとおり、胃がん、子宮がん、脳卒中につきまして過去五年のデータをもとに全国の市町村別に五段階の色分けをしまして、それぞれの市町村における胃がんなり子宮がんなり脳卒中の発生状況というものを、単に行政が知るのみではなく、広くその関係の市町村の住民にまず知っていただくということがこの事業に対する関心を呼ぶゆえんでございますので、そういうものを策定したのと同時に、各市町村における事業のそれぞれの事業の実施状況の成績も五段階の色別しまして、どの程度の成績を上げているのか、全国レベルあるいは当該県内のレベルでのその地方自治体の位置づけがわかるようにマップでつくった。これによって事業に対する市町村なり関係住民の関心を引くと同時に、長期的には市町村がヘルス事業を進める上での効果測定に役立つ内容のものにしていきたいと、このように考えております。
○糸久八重子君 そうしますと、市町村別にこれを配布して広報活動に使うということでございますか。
○政府委員(水田努君) そのとおりでございます。 これはマスコミにも公表しましたので、県内の成績のベストテンとかワーストテンとかということが発表時に出されましたし、それなりの効果があったのではないかと考えております。
○糸久八重子君 健康診査は保健事業の中心的な事業でありまして、受診率の向上とか診査内容の充実がどうしても必要でございます。 健康診査につきましては、受診率が低い上に受診者の固定化現象等もあるのではないか。さらに、健康上問題の多い者とか壮年層の受診率が低い傾向にあると言われております。これにつきましてはどう対処なさるおつもりでございますか。
○政府委員(水田努君) 御指摘のとおりでございまして、四十代の若いうち、体に自信のあるときから受けていただくのがこの制度の本来の目的でございまして、やはりそういう意味では、この健康診査事業を進めるに当たっては、事前の健康教育、特に胃がんなどは自覚症状のないときに発見すればほぼ一〇〇%近く制圧できるのだというようなこと等も十分事前教育ということで啓蒙啓発していかなければならないと考えております。
○糸久八重子君 事前のことはまた後で触れたいと思いますけれども、健康診査の結果を個々人の健康に結びつけるために、その内容について受診者に十分指導説明をして、そして問題点があれば善後策を考えるような事後管理の徹底が必要だろうと思います。これからの高齢化社会は成人病社会とも言えますから、成人病は日常の生活習慣の蓄積が発病との深いかかわりがありますので、日常的な生活管理指導が重要となります。 そこで、事後管理はどの程度行われておりますでしょうか。
○政府委員(水田努君) もうその点は先生の御指摘のとおりであるし、私ども健康診査は事後の管理に結びつくようにもっていかなければいけないという認識のもとで指導をいたしておるわけでございます。 具体的には、健康診査の会場で専門の保健婦が問題のあったケースについては個別の相談に移して応ずる。さらに事後の健康教育、例えば糖尿等の疑いのある人については食事療法なり、血圧の高い人についても同じく食事療法についての健康教室を開いていくというような形で、事後における健康相談なり健康教育というものに有機的ダイナミックに結びつくようにしてまいらなければならぬと思っているわけでございますが、いずれにいたしましても、それにつきましては練達した保健婦の確保、訓練という問題も相伴わなければなりませんので、それらを含めて、五十八年度が実質初年度でこれからでございますので、そういう方向に向かって計画的に事業の推進を図ってまいりたいと、このように考えております。
○糸久八重子君 健康教育とか健康相談が確かに重要でございます。これらの事業がどういう方法でどの程度行われておりますかどうか。政府の五カ年計画では、人口一万から三万人の市町村でおよそ月一回程度の健康学習とか講演会等が開かれることになっておりますけれども、やはり、先ほど申しましたとおり、集まる顔ぶれは固定化してしまう、本当に教育の必要な壮年層にはまだ徹底していないという現状のようでございます。 これらの健康教育とか健康相談の全国的な実施状況とか、特異な例とかいうものがございましたらお教えいただきたいのですが。
○政府委員(水田努君) 五十八年度の保健事業の実績で見ますと、健康教育につきましては、予算で予定いたしました事業量の二・六倍という成績を全国で上げております。それから健康相談につきましては、予算で見込みました事業量を上回って一一五%、健康教育は二六一%という予想外の実績を上げているわけでございます。 個別の例としては、例えば沖縄県の東風平町というところでは、町内を十六の地域に分けまして、成人病検診と予防についてという事前の教育を巡回して行う。講師としては日赤のドクターと栄養士の御協力を得ながら、スライドを使ってわかりやすい内容で実施をいたしております。それから、事後教育を実施しているものとしては、山梨県の都留市で、高血圧の教室とか肥満教室という非常に皆さんが気になるような名称の教室を開き、これも実施をする際に各世帯に徹底をしまして、できるだけグループ分けをしまして、その教室の後にさらに自主的な勉強会も進めていくようにする等、地方自治体によっていろんな工夫がなされ、その取り組みが行われているところでございます。
○糸久八重子君 厚生省は、健康に対するノーハウ集というんですか、ちょっと正式な名前を忘れましたけれども、それをおつくりになっているようでございまして、いろいろ事例等がそこに挙がっているわけでございますが、あのノーハウ集につきましても先ほどの健康マップと同じような配布の仕方等をなさっていらっしゃるんですか。
○政府委員(水田努君) 健康マップにつきましては、健康づくり財団の御協力を得まして全国の市町村に無償で配布をいたしたところでございます。 ノーハウ集につきましては、予算の手当てがなかったところから、それを編集し、保健婦の皆さん等がお買い上げしていただけるような安い値段で作成し、有償配布という形をとっております。
○糸久八重子君 そうしますと、ノーハウ集については、これは実際に働いていらっしゃる保健婦の方たちがお使いになるということでございますね。確認をいたします。 また、健康手帳がございますけれども、あの健康手帳の意義と役割についてお伺いしたいのですけれども、聞くところによりますと、余り活用がされていないようです。健康教育というのは健康手帳を手渡すときから始まるわけですが、現実的には、健康診査に来る人に何も教育しないでそのまま渡してしまうとか、積み上げておいて自由にお持ちくださいというふうにして渡しているとかというように安易に流れてしまうような傾向があるのではないか。実際に健康手帳というのは、六十円ないし七十円の単価で、やはりかなり大変な予算をお使いになっているのではないかと思いますけれども、その辺のところで、健康手帳の意義と役割について御説明をいただきたいのです。
○政府委員(水田努君) 健康手帳は二つの役割を持っていると思います。七十歳以上の方は、医療機関で受診する際にこれを提示することによって医療給付を受けるという一つの役割を持っているわけでございますが、もう一つの役割は、四十歳以上の方にも、御希望のある向きには全員渡るようにいたしまして、自己の毎年の定期健診を受けた結果を記入していくという、自己健康管理のための役割を持たせるということと同時に、健康を保持する、いわゆる成人病を予防するために必要な豆知識というものがわかりやすく入れてございまして、これを非常に親しみやすく書いてございますので、ここに実物がございますが、お読みいただければかなり役に立つのではないかと考えております。
○糸久八重子君 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、非常にその扱い方が安易に流れているのではないか。その辺のところについてはいかがでございますか。
○政府委員(水田努君) これも市町村によってその渡し方の態様にかなり違いがあるわけでございまして、例えば静岡県の人口約十万ぐらいのある市においては、まず、この手帳を郵送するのではなくて、保健婦さんが直接に対象者に手渡すことによって、まずスキンシップを図る第一歩の手がかりにするという形で、直接渡しをとっておられる。そこは健診率が八〇%を超えるという、大変脅威的な成績を上げておられる。まあ具体的に名前を申し上げますと藤枝市というところでございます。 一般的には、大都会の場合にはやはりダイレクトメールという格好で対象者のところに送る。その際に私ども、できるだけその活用方法についてもチラシなどを入れて、受け取られた方が積極的に活用できるようにという指導はいたしておりますが、スタートしたばかりということで、いまだなかなかそこまで、三千三百の市町村がきめの細かい配慮をするところまでには至っていないかと思います。
○糸久八重子君 成人病予防のためにはあらゆる手だてをしていかなければならないわけですけれども、例えば先ほど申しました健康教育の問題等も、個別に受けることがやはり最も効果があると思うのですね、今の健康手帳の場合もそうですけれども。 私は、ここで一つ御提言申し上げたいんですけれども、家庭医制度の導入を試みてみてはいかがかということでございます。保健所とか市町村は一般診査だけにして、そして各個人のデータは家庭医に、家庭医は個人の健康リストをつくって個個の検診のフォローをする。そのことによって健康管理とか予防活動の強化と結びつくのではないか。あちこちのお医者さんに行ってむだな検診を受けるのではなくて、地域の一番身近なところで信頼できる先生を持つ。このことがやはり、現在言われております過剰な診療の抑制にもつながるでしょうし、医療費の節減にもつながるのではないかと思いますけれども、この家庭医制度についてのお考えをお聞かせいただきたいのですが。
○政府委員(吉崎正義君) 家庭医でございますけれども、さまざまなねらいがございますが、お話しのありましたようなことも一つのねらいでございます。健康と病気とはつながっておりますし、大阪大学の学長のお話によりますと、健康法にも個性がある、こういうことで、一人一人に合った適切なるお世話、これが大切だと思います。 家庭医のことにつきましては、予算をお認めいただきましたならば、来年度から検討委員会を発足させまして、我が国に合った家庭医について検討を始める予定にいたしております。
○糸久八重子君 聞くところによりますと、イギリスには家庭医制度の非常に長い歴史があるということでございますけれども、イギリスの家庭医制度のあらましがおわかりになりましたらちょっと教えていただきたいと思いますけれども。
○政府委員(吉崎正義君) 十数年前から我が国でプライマリーケアということが言われておるのでありますが、なぜ私どもがこの家庭医を奨導いたしたかと申しますと、やはりこれからは国民と対話のできる言葉で検討していく必要がある、こういう観点からなのでございます。 そこで、その家庭医、プライマリーケアといいましてもいろんな概念がございまして、イギリスの場合には通常GPと称しております。ゼネラルプラクティショナーでございますから、日本語としては一般医と言った方が適切かと思いますが、それぞれ歴史がございましてなかなか一概には比べられないと存じます。
○糸久八重子君 それでは、内容につきましてはまた私の方でも研究をしていきたいと思います。 次に、五十九年度から老人保健特別対策事業、いわゆるヘルス臨調が実施をされたわけでございます。六十年度は九億円の補助が予定をされているようですけれども、この事業は地方公共団体が行う創意工夫を生かした先駆的、モデル的な保健事業に対して国が助成、奨励するための制度と聞いておりますけれども、補助率と五十九年度の事業内容や事業例をお示しいただきたいのですが。
○政府委員(水田努君) この予算は、公衆衛生審議会で、老人保健法に基づく保健事業を推進するためにはどうしたらいいかということで御答申いただいた中で、何かやはりモデル的な事業を推進するための予算の上の工夫が必要だという御指摘をいただきましたので、それを受けまして五十九年度に今お話しのとおり六億円新規で獲得することができまして、これは一応定額の補助でございますが、十分の十、いわゆる全額国が費用を見て事業をやらせるという内容のものでございまして、私どもできるだけ薄まきをしないでいこうということで、一応市町村は一件五百万、都道府県指定都市は一件八百万という形で、先駆的あるいはモデル的な事業についての募集をいたしましたところ、大変熱心に応募をいただきまして、最終的に都道府県と御相談した上で絞りまして、件数にして百五十二件、一件当たり金額は、都道府県指定都市の場合は約四百七十万円、市町村の場合は三百六十万円という形で決定し交付したわけでございます。 それで、その事業の例えばどういうものに補助をしたのかという御指摘でございますのでお答え申し上げますと、時間がございませんので一、二の例にとどめさせていただきたいと思いますが、宮城県の場合は、健康教育、プライマリーセンターをつくるということで市町村が健康教育をやる場合の視聴覚の教材というものを県でプールして市町村にそれを無償で貸与するということで、重複してそれぞれの市町村が持つ必要がないという意味で大変効果的であろうということでこれを認めたわけでございます。それから群馬県の場合は、健康教育の人材バンクを設けたということでございます。健康教育をやる場合に市町村が一番困るのは、講師にどういう適任者がいてどういう人が協力してくれるのかということが非常に困るわけでございますので、群馬県の場合は、医師会とか栄養士会とかいろんな各種団体の協力を得まして、こういうテーマについては自分は協力してよろしいという人をあらかじめ推薦候補を出していただいて、それを県の方でプールをして市町村の照会に応じて、こういう人材がおられるので、こういう方は既にあらかじめ協力してもらえるという話がついているので、そこに頼みに行きなさい、そういう健康教育の人材バンクをつくるものに金を出しておる。 それから、時間がございませんので最後に、鹿児島県の宮之城町というのが竹林宣言というのをやって、これはモウソウダケを多く出す町でございますが、御老人の方に生きがい対策として、老人クラブを通じてその竹を切って足踏みの竹づくりをやらせる。そうしてこれを町民に配りまして、一日三分間だけ足踏み運動を励行するという竹林宣言に基づく竹林運動というようなものに助成をいたしました。
○糸久八重子君 ただいまモデル的にお挙げいただきましたのは、大変いわゆる過疎地で、先ほどお伺いいたしました健康マップ等によりますと、比較的受診率の高い地域の事業のようでございます。ヘルス臨調の事業内容等を見てみますと、休日夜間健康診査事業等もこの中に入っているわけですが、冒頭に申し上げました都市部においての健康診査の受診率向上のためにこれらが使われているという事例はございますか。
○政府委員(水田努君) ちょっと具体的な内容は今手元に持っておりませんが、夜間休日健診に対して、その事業を推進するために補助を求めてまいったものにそれを対象としたケースはあると承知いたしております。
○糸久八重子君 それでは後ほどまたそれをお知らせいただきたいと思います。 教育相談、指導など地域での保健活動はその担い手である保健婦の確保が必要でありまして、ただいまの例でも群馬県のいい例が挙がったわけですけれども、我が党は老人保健法審査の際に、保健事業の死命を制するのは、市町村保健センター等の施設面の整備よりも、まずマンパワー確保にあることを強く訴えたわけでございます。六十二年度以降の事業見直しで保健婦数をさらに拡大させる考えはおありになるのか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(吉崎正義君) 五カ年計画が終了した後の保健婦等の基盤整備でございますが、これは六十二年度以降の保健事業の進め方とも深いかかわりがございますけれども、その中で、御指摘のございましたように、人材は極めて重要でございますので、その面につきましても適切な対応を検討してまいりたい考えでございます。
○糸久八重子君 ナースバンクを活用した退職保健婦の組織化の問題なんですけれども、保健事業推進のための答申の中にもこのことが盛られております。これらの実績についてはいかがでしょうか。
○政府委員(水田努君) 私ども、ぜひそういう活用を幅広くやるようにという指導をいたしておりますし、ただいま先生からお尋ねのありましたヘルス臨調も、そういうOBの積極的な活用に使うことも、私ども今後目を向けてまいりたいと思っております。 具体的にこのOBの保健婦、看護婦を活用して、健診事業、訪問指導について大変事業実績を上げておりますのは、先ほどもちょっとお話し申し上げました静岡県の藤枝市が、市役所に常勤の保健婦さん五名のほかに、いわゆるOBの保健婦さん、看護婦さん三十名から成る組織を持っておりまして、現役の方は企画、あるいは健康診査の際の相談事業等に主として用い、OBの方は訪問指導を主力としてやるということで大変成績を上げておりまして、私は機会あるごとに主管課長会議等でそういう藤枝方式の普及徹底ということをお願いをしているところでございます。 今後も、予算も十分に確保してございますので、そういうOBの活用の活性化を図ってまいりたいと考えております。
○糸久八重子君 一般診査の検査項目は、現在行われているのは問診とか身体計測とか理学的検査、血圧測定、検尿の五項目ですけれども、専門家のお医者さんに言わせますと、厚生省が示している検査項目が非常に少ないと申されております。もちろん市町村でつけ加えてもいいということになっておりますけれども、せめて血液生化学検査とか胸部レントゲンとかの追加は考えらるべきではないのでしょうか。六十二年度以降の事業の見直しで検討される用意があるか、お伺いさせていただきます。
○政府委員(水田努君) 一般健康診査の検査項目が貧弱ではないかということはよく指摘を受けるところでございますが、三千三百の市町村が全部こなし得るということが最低限必要でございまして、そのためには現在予定している検査項目等が精いっぱいではないかと考えているわけでございますが、一方、都市部等においてはこの程度の検査項目では非常に魅力に欠けるという御指摘もあるわけでございますので、私どもは一般健康診査の会場でひっかかった人については、引き続き精密検査なり、あるいはがんの検診等も総合的にその会場で実施できるようにして魅力を持たしてくれというふうにお願いをしておるところでございます。 中には大変うまいキャッチフレーズを北海道あたりの町で、半日人間ドックという形でこれを売り出しておられる町長さんがありまして、それは一般健康診査とそれから精密検査とがん検診、それから結核予防法に基づく市町村に義務づけられております結核検診、これを全部総合的に組み合わせますと半日人間ドックという組み合わせができるのでございまして、そういう非常にうまいセールスをしておられて、非常に高い検診率を上げておられる町もあるわけでございまして、そういう工夫をするように、私ども今後とも指導してまいりたいと考えておりますし、そのために、先ほど先生の御指摘のありましたノーハウ集をつくり、そういうものを見ながらひとつ工夫をしてもらいたい、こう考えているわけでございます。
○糸久八重子君 ヘルパーの増員のことについてお伺いしたいのですけれども、在宅福祉の充実方策につきまして、大臣は所信の中で、「社会福祉につきましては、すべての人ができる限り住みなれた地域で家族や顔なじみの人々とともに、誇りと生きがいを持って暮らせるようにしていくことが基本であると考えます。」、そして、「家庭奉仕員の大幅な増員等」「在宅福祉対策の充実に特に意を用いた」とおっしゃられておるわけでございます。 もとより老人や障害者も住みなれた家庭や地域の中で、家族や地域社会の人々と人間的な触れ合いを持って生活できることが望ましいということは基本的には同感でございます。しかし、それが家庭や地域への責任転嫁であってはならず、居宅での介護を援助するシステムの確立がどうしても必要と思います。 特に、在宅福祉の中核をなす家庭奉仕員につきましては、厳しい財政事情にもかかわらず、来年度では千七百五名が増員されて、合計二万一千六百十三人が確保される見通しですけれども、なお不足している現状ではないかと思います。どの程度までの増員を考えているのか、今後の目安をお示しいただきたいのですが。
○政府委員(正木馨君) ホームヘルパーにつきましては、先生ただいまお話しのございましたように、やはりこれからの老人福祉を進めていく上で在宅福祉対策というものを拡充していかなければならない、そういった場合に、やはり家庭におけるいろいろな介護についてのバックアップをしていくという面で、先生おっしゃいますように老人家庭奉仕員というものが一つの大きな柱、中核になっておると思います。 そこで、家庭奉仕員の数につきましては、先生おっしゃいますように、現在、五十九年度で一万九千九百八人、千七百五人の増員をしまして二万一千六百人余ということでございますが、この数字は諸外国に比較しまして必ずしも高い数字ではないと思います。諸外国におきましてはかなり高いんですが、それはやはり国情の違いとかいろいろなものがあると思います。 やはり今後もホームヘルパーというものについてのニーズというものの高まりというものが出てまいるということは私ども十分認識をしております。したがって、今後とも、現在市町村におきましては大体九割八分ないし九割九分の市町村が実施をしておりますが、そういった市町村の実施状況、それから家庭奉仕員ニーズというものを十分把握いたしまして、なかなか厳しい状況にありますが、家庭奉仕員制度の充実というものに努めていきたいというふうに思っております。
○糸久八重子君 私ちょっと調べてみたのですけれども、スウェーデンやイギリスのヘルパーの実情なんですが、スウェーデンの場合には、人口が八百三十万に対して約七万人。そしてイギリスでは、老人千人に対して十二人のヘルパーがいるということになりますと、日本で言いますと、イギリス並みにするとすると二十四万人必要だというような計算になるわけですね。そういうことから言うと、やはり現在のこの数は非常に少ない。これからも計画的な増員等はぜひお願いをしていきたいと思います。 続きまして、六十年度予算の中で、新たに主任家庭奉仕員制度、チーフヘルパーというのだそうですけれども、創設されるようでございます。これらの設置基準とか業務内容について御説明をいただきたいのですが。
○政府委員(正木馨君) ホームヘルパー制度、ただいまさらに拡充すべきであるというお話がございました。私どももそう考えておるわけですが、ここ数年非常な勢いで老人家庭奉仕員というものが伸びてきております。しかし、一方におきまして、老人家庭奉仕員、ヘルプを必要とする老人家庭のニーズというものも非常に多様化してきている。また、これは単にその老人のお宅を訪問して洗濯をしたり、掃除をするというだけじゃなくて、いろいろなリハビリについてのアドバイスをするとかいろいろ相談助言をするとか、そのニーズも非常に複雑、多様化してきているという意味で、現在、各ホームヘルパーの方々、非常に熱心にやっておられますが、そのケースによりまして、非常に難しいケースについては、まずベテランの方が行って指導方針を立てる、あるいは一般の家庭奉仕員に対する、何といいますか、取り仕切りをするといったようなこと。あるいは先ほど来お話しがありますように、保健婦さんあるいは保健所活動とも非常に密接な関連がある。そういった面での関係機関との連絡調整、そういった面でベテランの方々が大きな役割を果たすという面が出てきております。 そういうことで、現在のホームヘルパーの中でチーフヘルパーといいますか、主任的な役割を果たす方々について何らかの手当てをしてほしいという声が、いろいろ各方面で起こっております。そういったものを受けまして、私どもこのチーフヘルパー制度というものを六十年度予算でお願いをしておるわけでございますが、私ども現在考えておりますのは、大体ヘルパーの数が二十人ぐらいおられるところでまずチーフヘルパーをつくっていったらどうだろう。それから、チーフヘルパーの方の資格といいますか、経験年数というものも、大体ヘルパー自体がなりますときに七十時間からの研修を受けるわけですが、チーフヘルパーということになりますと、さらに五年ぐらいの経験を持った方といった方々にチーフヘルパーになっていただいて、家庭奉仕員活動というものが非常に円滑にきめ細かくできることを期待しておるということで、実施要綱につきましてはさらに十分検討していきたいというふうに思っております。
○糸久八重子君 ヘルス臨調の事業の中に保健推進員の育成というのがございまして、先ほどの説明の中にも、どこの市でしたか、そういうことで指導的な立場をとられているというようなお話もお伺いしたわけですけれども、その辺とのかかわりはどういうことになりますか。
○政府委員(正木馨君) 私ども考えておりますチーフヘルパー制度は、あくまでも現在おられます一万九千九百八人の家庭奉仕員の中で、経験年数も長く、そしていろいろな経験豊富な方々に、一般の家庭奉仕員の方々の指導的役割を果たしてもらうということであります。そういった中で、保健活動との連携というものも十分図っていかなければならないというふうに思っております。
○糸久八重子君 何か主任というような名前がつきますと、今までも給与改善と称して主任手当を、現場になじまないというような状況がある中で導入を強行している省もあるんですよね。だから、いたずらに主任というものをつくりますと、管理が強化されてしまうのではないかというようなそういう心配もあるわけなのです。ですから、やはりこの事業につきましては、また予算の方でも恐らく話が出るのではないかと思いますけれども、そういう意味で私は大変危惧をするわけですけれども、きめの細かい福祉事業を推進するための制度であってほしいということを要望をさせていただきたいと思います。 持ち時間の残りが非常に少なくなってしまいましたが、中間施設の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。 施設ケアと在宅ケアの中間に位置する中間施設の必要性はかねてから指摘をされておりまして、制度審でも昨年六月とことしの一月に中間施設のあり方についての見解を発表しているようでございますし、また厚生省も具体的な案づくりに入ると聞いておりますけれども、この中間施設をいつごろから制度化するつもりなのかお伺いしたいと思います。そして先般、これは私新聞で見たわけですけれども、二月の十八日に老人施設についての意見書が、中間施設を考える会から提出されたようでございます。市民サイドからの提言をぜひ政策に反映すべきではないかと思いますけれども、そういう意味で、中間施設の制度化についてお伺いをさせていただきます。
○国務大臣(増岡博之君) 中間施設のことでお答えいたします前に、最初お取り上げになりました保健事業につきまして、特に健康診査のことで都市対策あるいは受診者の固定化等のことで御指摘がございましたけれども、そのような問題につきましても、今後保健事業が本当に計画と予算と完全に趣旨に沿った実行ができるように配慮してまいりたいと思います。 また、老人福祉のことの中で、福祉の責任を安易に家庭、家族に転嫁してはならないという御指摘がございましたが、これは審議会の方でもそのようにおっしゃっていただいておりますので、私どももそのような気持ちで対処してまいりたいと思います。 そこで、中間施設の制度化でございますけれども、御承知のように、高齢化に伴いまして疾病構造の変化あるいは慢性疾患化等で日常の生活の介護を必要とされる方が大幅にふえるわけでありますけれども、その中でも、そのニーズもいろいろ多様化してまいるものと考えておるわけでございまして、したがいまして、その対策として保健と医療、福祉施設と医療施設あるいはまた在宅と施設というような中間的なものを考えてみたいという考え方でございまして、来年度、昭和六十年度におきまして、専門家、学識経験者の検討会に御検討をいただく考えでございます。このような問題でございますので、できるだけ速やかに一応の御結論をまとめていただきたいということで、六十年度じゅうにもお願いしたいということでございますけれども、その結果がまだ出ておりませんので、具体的なスケジュールにつきましてはいまだ未定でございます。
○糸久八重子君 最後に一言お願いしたいんです。 最後になりますけれども、老人保健審議会が老人保健制度の見直しを始めるようでございます。その内容が、定額制から定率制を導入するなど非常に負担の強化が主要議題とされるとあります。老人保健法施行以来お年寄りに大変しわ寄せが大きくなっている、その上に負担増につながる制度の見直しは慎重にしてほしいと思いますし、真の社会福祉のあり方を追求をしていただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○中野鉄造君 本日は大臣の所信に対する質疑でございますが、その中で、私は大臣の血液事業をめぐる諸問題についてお尋ねいたしたいと思いますが、それに先立って、極めて今日的な問題でこれに関することでございますが、現在我が国でのAIDS患者の第一号が発生したとこの間報道されたばかりでございますが、このAIDS患者についての現況をお願いいたします。
○政府委員(大池眞澄君) お答え申し上げます。 御指摘のように、去る三月二十二日に、厚生省でお願いしておりますAIDS調査検討委員会におきまして、東京都から報告のございました症例を検討いただいた結果、AIDSの疑いが極めて濃いという結論が同委員会で出されたところでございます。 その症例は、既に報道もされておりますが、三十六歳の男性でございまして、現在はアメリカに居住しておる長期滞在の日本人でございます。本人は、昨年の十二月中旬から本年の一月中旬にかけまして一時帰国した際に、医療機関で受診されて今回の診断ということに至ったわけでございます。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕 なお、この患者につきましては、日本滞在中に感染させるような行為は行っていないということがはっきりしておりまして、この患者を通じての二次感染、二次患者の発生というものはないものというふうに同検討委員会でも判断をいただいているところでございます。
○中野鉄造君 このAIDS患者第一号が発生したという新聞報道がありましたこの時点では、AIDS調査検討委員会、この委員会に対する例の安部論文というものについて、いろいろな詳細な報告が間に合わなかったということになっておりますが、この委員会にデータを提出してほしいという要求に対して、その後どういうふうになっていますか。
○政府委員(大池眞澄君) ただいま御指摘の論文の件でございますが、まだ同委員会には提出されたという報告を受けておりません。厚生省といたしましては、東京都を通じてAIDS調査検討委員会ヘサーべーランス報告という形で出していただくようにお願いをしておる段階でございます。入手次第同委員会におきまして早急なる検討をお願いしたいと思っております。
○中野鉄造君 特に、このAIDSの恐怖というものに一番さらされている人たちが例の血友病患者の方々だと思いますが、現在血友病患者は我が国に五千四百人ぐらいいらっしゃる。しかもこの方々は、もう年じゅう血液製剤を使用しなくちゃいけない、こういう方々なんですが、その血液製剤なるものの八〇%をアメリカから輸入しておる。そして、アメリカから入ってくるその血液のルーツをたどっていくと、これがまた非常に危険きわまりないという気がするわけでございまして、このAIDS調査検討委員会においても、最近国際往来がこのように盛んになっているだけに、今後我が国にもこうした形で患者が発生する可能性は否定できないと、こういう報道もされておりますけれども、この点いかがですか。
○国務大臣(増岡博之君) 血液の問題につきましては、私は、本来的には血液あるいは血漿分画製剤に限らず、みずから日本人が賄うべきであろうかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、まだそのような体制に至っておりませんので、これからもできるだけ献血を促進する傍ら、輸入についても厳しいチェックをいたさなければならないというふうにも思っておるわけでございますけれども、詳細につきましては薬務局長から答弁をさせていただきます。
○政府委員(小林功典君) AIDS問題でございますが、確かに血液製剤から感染する可能性があるということは言われております。そこで現在アメリカでは、供血者から採血を行う際に十分な問診や健康診断を行いまして、AIDSの危険性のある者からの採血は行わないようにという措置を講じておるようでございます。そして、我が国におきましても、血液製剤の輸入をする場合には、十分なチェックを行ったという証明のあるもののみを輸入するようにという指導を関係者に対してやっておるわけでございます。 そして、さらに血友病患者、今御指摘がありました血友病患者の治療に用いられます血液凝固因子製剤につきましては、その安全対策のために、先ほどちょっと出てまいりましたAIDSの実態把握研究班の中に血液製剤小委員会というのがございまして、そこから報告が出されております。それによりますと、この製剤を加熱処理をいたしますとAIDSウイルスが不活化するというふうなことで安全なものになるという報告が行われております。そこで、それを受けまして、現在既にこの不活化等の改良を行った製剤が数社において治験中でございまして、近くこれが製品化するための申請が出てくる予定であると、こういう段階まで至っております。 なお、同じ血漿分画製剤の中でも、今申しましたのは凝固因子製剤でございますが、アルブミンとか免疫グロブリンにつきましては、製造過程でウイルスが不活化するということが学問的にはっきりしておりますので、これはAIDSの危険性はない。問題はこの凝固因子製剤であると、こういうことでございます。
○中野鉄造君 これもこの間の新聞報道に出ておりましたけれども、血漿のほとんどをアメリカに依存している我が国の実情からして、AIDS患者が我が国にいつ発生しても決して不思議ではないと、こういうような記事が出されております。しかも、そのアメリカにおける採血の実態というものを私ほかの読み物でも見ましたけれども、それこそ何ともえたいの知れないようなそういう連中が、要するに浮浪者的な連中が年じゅう常習者として売血をしている。そういうようなものが我が国に入ってくるわけですから、しかもアメリカでは、今毎月四百人ずつAIDS患者がふえている、こういうことが言われております。 そういうような中でWHOは、各国に対して献血による自給自足を勧告しておりますが、特に我が国は、世界の血漿使用量の四分の一というものを我が国だけで消費している。しかもその九〇%以上をアメリカから輸入している、血液を。まさに全世界的な批判の的となって、吸血鬼日本などというようなありがたくない名前も出ているようですけれども、先ほど大臣の御答弁もございましたが、このWHOからの我が国に対する勧告というものの内容はどういうものですか。
○政府委員(小林功典君) 今お話しございましたように、WHOでは、一九七五年の五月に開催をされました第二十八回総会におきまして、血液及び血液製剤に関する勧告という決議を採択しております。今御指摘にありましたとおり、この勧告におきましては、加盟国に対しましては無償献血を基本とする公の血液事業の推進を要請しているものでございます。
○中野鉄造君 そこで、この血漿分画製剤の供給量についてお尋ねしますけれども、これ、国内製造と製品輸入とを合わせた数値だと思いますが、それぞれこれを分けてひとつ教えていただきたいんですが。
○政府委員(小林功典君) 血漿分画製剤の中で、国内製造が全体の四八%、それから製品輸入がこれが五二%、大体約半々というのが実態でございます。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
○中野鉄造君 先ほどもお答えがありましたいわゆる二十八回総会、つまり世界保健機構の二十八回総会において、血液及び血液製剤に関する勧告というものが出されたわけなんですが、先ほどの御答弁ではちょっと余りぴんときませんけれども、その詳しい内容はどんなですか、説明していただきたい。
○政府委員(小林功典君) 詳細に御説明しますと、先生も十分御承知のとおり、血液製剤の中には大きく分けて三つの種類がございます。全血製剤と血液成分製剤と血漿分画製剤。それで前の二つ、つまり全血製剤と血液成分製剤、これにつきましてはおかげさまで全部献血で賄っております。これは日赤がやっております。 ただ問題になりますのは、今お話しがございましたような、第三の血漿分画製剤でございます。これが先ほど申しましたように大体半々、製品輸入と国内製造で半々でございますが、国内で製造されます場合にも原料を輸入している分がございます。これが相当部分を輸入に依存していますものですから、製品輸入とそれから国内製造の原料として輸入されるものと合計いたしましてこれを全体の分画製剤で割り返しますと、大体八五%ぐらいがいわゆる実質的な輸入依存ということになるわけであります。 ただ、これは血漿分画製剤だけの話でありまして、冒頭に申しましたように、全血製剤と血液成分製剤、これは献血で賄っておるということでございます。
○中野鉄造君 先ほどからいろいろお話ししておりますように、我が国としては、アメリカからそういう非常な危険な血液を輸入しておる。しかもその点アメリカは、AIDSの点ではいわばAIDS先進国みたいな国ですが、そういうところから血液を大量に輸入しておって、しかも我が国には、その血液を年じゅう供給を受けなければいけない五千人以上の血友病の患者の方々がいらっしゃるわけですけれども、そういう非常に経験の豊富なアメリカでさえもこのAIDSを防ぐことができないでいる。 そういうときにおいて、先ほどの答弁の中で、そういうような血液も熱処理等によって危険性はないといったような答弁もあったわけですが、そんなことで十分でしょうか。
○政府委員(小林功典君) 確かに大臣が先ほど申しましたように、できることならば日本で使う血液はすべて国内の献血で賄いたいという気持ちは十分持っております。ただ、全血製剤、血液成分製剤以外の血漿分画製剤になりますと、非常に使用量も多いし、それを全部献血で賄うというのは現実問題としてはなかなか難しいわけでございます。もちろんこれにつきましては手をこまぬいているわけじゃございませんで、献血も随分普及してまいりまして、現在は総人口の七%ぐらいの非常に高い献血率を示しております。それで毎年伸びております。そういう意味で、国民の皆様方の御理解と御協力は大変ありがたく感じているわけでございますが、それでも全体を献血で賄うというのはなかなか難しい現状でございます。 そこで我々としましては、これからもさらにこの献血の推進を図るというのがこれはもちろん言うまでもないことでありますが、それ以外に、現在、昨年の秋に設置をいたしました血液事業検討委員会というのを今やっているわけでございますが、そこで、例えば採血基準の見直しでありますとか、あるいは、一番問題になっています輸入に依存している血漿分画製剤のあり方、使い方、それから血液製剤の適正使用という、ここら辺の問題を今討議をしていただいている最中でございます。これが結論がまとまりますれば、それを一つの参考としてさらに施策の推進を図りたい、こういう気持ちでおります。
○中野鉄造君 このAIDSをこれ以上日本に持ち込まないというような決め手になるような対策をひとつ早く立てていただきたいと思うんですが、今のお答えのようなことでは本当に何か不安で仕方がないわけなんです。 まあそれはそれといたしまして、ただいまお答えいただきました、献血は順調に躍進しているといったようなお話でありましたけれども、私調査したところによりますと、この献血者登録制実施要綱によりますと、予約登録者の募集目標を年間献血者の三〇%とし、五十五年から五十七年の三年で達成すると、こうなっておりますけれども、目標の三分の一にも満たないのが現況なんですね。それで献血は思うように進んでいるなんということは言えないんじゃないかと思うんですが。 ちょっと話は変わりますけれども、現在関係者の間ではもう常識とさえ言われております、医療機関内における採血についてどのようにとらえられているのか。つまり、いろいろ輸血を要するといったようなときに新鮮な血液確保の理由から行われているいわゆる院内採血、これが供血者をどうしても集めなければいけない、こういうところから、そういう患者家族に過重な負担をかけているということなんです、つまり。その中には、あくまでも善意の供血から、金銭の絡んだ売血に近い形態をとるものまでさまざまありますけれども、聞くところによれば、一人につき二万円もの大金を十人以上の血液提供者にお礼として支払ったと、こういう事実もいろいろ聞いております。献血を推進する上でこういうことが大きな障害となる、こういう状況について、どういうように対処していかれようとするのか。現場での実態はこういうことが散見されるわけですが、いかがですか。
○政府委員(小林功典君) 病院で手術を行いますような場合に、必要な血液は日本赤十字社から供給される体制は一応整っているわけでありますが、ただ、非常に高度の医療で、個々のお医者さんの医学的な判断に基づきまして、特別に今新鮮な血液成分が必要だというようなこともあるようでございます。そこでいわゆる院内採血、今お話しあったようなことがあると思うのであります。 ただ、おっしゃるとおり、こうした院内採血というのは患者とかあるいはその家族に負担を強いる面もあることもこれまた事実であります。要は、日赤における血液製剤の供給能力を高めること、これが一番近道ではないかということで、日赤もいろいろ努力してくれておりますけれども、これをさらに我々も指導して徹底をしてまいりたい、これが一つの対策になるだろうと、こういう考え方でおります。
○中野鉄造君 極めてオーソドックスな、常態に対するような御答弁でありましたけれども、実態はなかなかそうじゃないんですよ。現場でのいろいろなそういうどろどろしたお話は幾らも私も知っております。 まあそれはそれとして、いずれにしても先ほど申しましたように、目標の三分の一にも満たないようなこういう献血の状況、こういう低水準にとどまっている要因はどこにあるとお考えになっているのか。それとまた、そういう現在の制度自体の見直しをしていくべきときに来ているんじゃないかと思いますが、この点についてはひとつ大臣からお答えいただきたい。この要因がどういうところにあるのか、ここいらはひとつ担当者からお答えいただきたい。
○政府委員(小林功典君) 確かに国内の献血で賄い切れないという現実でございますが、まさにいろいろな要因があると思いますけれども、一つは、現在日本では二百ミリリットル採血でございますが、諸外国ではほとんど四百ミリリットル採血ということで、その採血基準が違うということが一つ。ただ、献血者の数は先ほど申しましたように非常に伸びておりますので、その採血基準が一つ問題になろうかと思います。 それからもう一つは、これは血液を全部輸血するのじゃなくて、血液の中の必要な成分だけを取り出して、あとはまた供血者に返すというフェレーシスという手法があるんですが、これがまだ徹底が不十分でありますから、そこら辺の技術も研究してそれも実現に移したいということ。 さらには、先ほどもちょっと触れましたけれども、何せその血漿分画製剤の使用が多いわけであります。これは非常に日本が特別に多いということで、ここら辺は医療の内容にわたりますからなかなか難しい問題があると思うのでございますが、ただ国際的に見てもこういう現状ですから、血漿分画製剤の医療の場における使用そのものを何か考えなきゃいかぬ面があるだろうと、ここら辺が大きな問題でございます。 そこら辺を問題意識として持っていますものですから、先ほど触れましたように、昨年十月に設置しました検討委員会でそこら辺を中心にして今大変御熱心に審議をいただいているところでございます。
○国務大臣(増岡博之君) ただいま薬務局長から説明を申し上げたわけでありますけれども、最初に申し上げましたように、やはり国内で自給体制ができるということが今後いろんな問題があった場合にも安心ができる状態になるのであろうというふうに思うわけでございまして、したがいまして、検討委員会で現在御検討をいただいておるところでございます。先ほど薬務局長から説明いたしましたような課題を含めまして、検討委員会の御意見を踏まえて可能な限り努力をしてまいりたいと思います。
○中野鉄造君 私がお聞きしたいのは、検討委員会だけに責任をおっかぶせるようなそういうようなことではなしに、ひとつここで、その献血の体制というものを制度的にいろいろ見直していくべきときに来ているんじゃないのかということを大臣にお尋ねしているわけなんです。 それとやはり、今も大臣からお答えがありましたように、日本に絶対にAIDSをこれ以上ふやさないというその決め手となるのは、結局国内の新鮮な血液の自給体制しかない、決め手はそれだけしかないと思うんです。いかに熱処理だとかなんだとかそういったようなことでやってみても、外国からの輸入の血液というものは、はっきり言って余り信用できないと私は思うんです。そういうところにおいて、AIDSを締め出す決め手となるのは国内自給以外にない。したがって、今その制度の見直しをすべきときに来ているのじゃないかと、このことをお尋ねしているんです。
○国務大臣(増岡博之君) これまでの献血制度でもある程度献血が伸びておるわけでございますけれども、御指摘でもございますので、今後そのような問題も含めて十分配慮してまいりたいと思います。
○中野鉄造君 最後になりますが、私は時間の都合でこれでもう質問を終わりにいたしたいと思いますが、先ほど冒頭にお尋ねいたしましたように、その検討委員会での論文の内容についての詳細な報告がまだ来ていないということでしたが、その報告が来次第ひとつ私にも文書でお知らせいただきたいと思います。この点、よろしくお願いします。
○政府委員(大池眞澄君) 内容的に問題のない限りにおいて、御趣旨に沿うような配慮をいたしたいと思います。
○中野鉄造君 以上で終わります。
○安武洋子君 まず最初に大臣に申し上げたいと思います。 今、中曽根内閣は、戦後政治の総決算と、このように申しまして、臨調行革路線を推進しております。結局のところ、この主な目的というのは、国民生活にとりましては社会保障や福祉、あるいは教育、こういう制度の抜本的な改悪であるということが今ますます明白になってきております。厚生省の予算を見てみましてもそのことがはっきりするわけです。五十九年度の当然増額、これは現行の制度のままでも当然ふえる額でございますが、この九千億円、これは千九百億に抑えております。そしてその残額の七千百億円を医療保険制度の改悪で四千二百億円、そして医療費適正化の名によって二千億円。また六十年度ですが、自然増額というのは六千五百億円でございます。これに対しまして二千五百億円に抑えてしまうということで、残額二千五百億円を補助率一率カットによって二千七百億円、それから医療費の適正化等で一千億円と、こういうふうなやり方。結局、制度改悪で捻出した金を自然増へ回して賄うというやり方を行っているわけです。そしてまた、年金制度の大改悪をやろうとしているというふうなことで、このような改悪に対しまして国民が反対するのは当然であろうというふうに思います。私は自民党の決議をここに持ってきておりますが、これは自由新報の昨年の六月の十九日でございますが、この自民党の決議ですら、社会保障は巨額の当然増が生じる、他の施策とは異なった特殊性を持つ、これにマイナスのシーリングを実施することは不可能というふうに言っているわけです。ですから、このような制度の改悪、福祉の切り捨て、私は断じてやるべきでないというふうに思います。 それで、厚生大臣として、社会保障とか福祉の向上、これに努められるのが本来のお仕事であろうというふうに思い、その点を指摘いたしまして、限られた時間でございますので、まず最初に慢性関節リューマチの対策についてお伺いをしてまいります。 厚生省は、この慢性関節リューマチ患者、何人ぐらいと推計をなさっていらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(大池眞澄君) お答えいたします。 慢性関節リューマチは、患者数につきましては、最近入手しております内科書によりますと三十万人を超えるという記述も見られるわけでございますが、統計的に把握されたものとしては、医療機関での一日断面調査がございます。その患者調査、昭和五十八年七月十三日実施でございますが、これによりますと約八万二千八百人と推定されております。
○安武洋子君 患者さんたちを大体調べてなさると。私どもも大体調べてみましたけれども、この病気で苦しんでなさる人は百万人近くいるのではないかというふうに思われるわけです。 それで、この病状をどのように心得てなさるかということで、私ここに写真を持ってまいりました。この病気というのは、まず特徴でございますけれども、何といいましても進行をすることがあってもなかなかよくならない。非常に長期間かかる。根治というのは大変難しいということでございます。そして、激しい痛みを伴う。また、原因もわからないわけですから、なかなか治療方法も確立されていない。関節がはれて変形をするということで、大臣ごらんください。(資料を示す)これは足の指が全部重なってしまってこういうふうにはれるというふうなことで、骨に大きな変形を来します。これは手ですが、手もこのようにちゃんと伸びない、はれる、そして痛む、こういうふうになります。それから、これもそうです。この関節がそれぞれはれ上がり、そしてここの骨に大きな変形を来すというふうな病気でございます。ですから、全身的に関節という関節は全部侵されていくわけです。侵されない関節というのはないわけですから、そこの関節が全部はれ、そして痛み、そしてその関節が変形をしてしまって元来の機能を果たさないというふうな病気。しかも全身的に非常にけだるい。また全身的に非常な悪影響をいろんなところにも及ぼしていくというふうな病気でございます。 大臣は、この慢性関節リューマチ、これがこのような病気であるというふうなことを御認識でございましたでしょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(増岡博之君) 私もよく承知をいたしております。
○安武洋子君 こういう方は、日常生活というのが大変不便でございます。というのは、関節というのが破壊をされるというふうなことで、痛むわけですし、変形もいたします。ですから、健常者と同じように生活をしようと思うと大変困難です。ですから、いろいろとそこは器具を使ってなさらなければならない。 まず手が上がらないというふうなことで、大臣見てください。これはブラシです。健常者の私が使おうと思ってもなかなか使えない。ここのところで力がなかなか入りませんから、こういうふうな工夫をしてこのブラシで髪を解く。あるいは、ここにくしを持ってきております。このくしも、これもなかなか私どもでは使いがたいわけです。しかし、こういうふうにしなければ髪も解けないという方がたくさんおられるわけです。そしてこれは、手が伸びないわけですから、高いところのものを少し何かしようと思えば、こういう物のお世話にならなければいけないということになります。そして、私どもは平気でひねっておりますけれども、水道の蛇口をひねるというふうなこういう動作というのはできないわけですね、なかなか。おはしだってなかなか持てないわけです。ここの関節がこういうふうに変わらないわけですから、ですからスプーンで御飯を食べるという方もたくさんいらっしゃいます。こういうのを水道の蛇口にかぶせて、そして腕で押していくというふうなことで水道の栓もあけ閉めなさるわけです。それからドアのノブですね。ドアのノブも普通の力ではこういうふうにしてはあかないということで、ドアのノブがあけやすいようにというこういう器具も開発をされているわけです。こういうふうに非常に、これはごく一部でございますし、これで全部のリューマチの患者さんたちが快適に暮らせるかといえばそうではありません。おふろに入るとき、それからトイレに行くとき、寝起きするとき、何一つするのもこれは大変です。私たちが当たり前のようにしてはなをかむとかというふうなことをいたしますけれども、それがリューマチ患者さんにとってはどんなに苦痛で、痛みを伴う動作であるかということを思い知るわけです。 この病気というのが、発病の原因がわかりません。ですから治療方法も確立はしていないわけです。厚生省としましては、この発生の予防、あるいは原因の究明、そうして治療法を確立する、こういうことのためにどのような対策をとってなさるのでしょうか、お伺いをいたします。
○政府委員(大池眞澄君) ただいま関節リューマチの問題につきまして、先生の方からいろいろの実例を挙げながらの御説明があったところでございます。 御指摘のように、慢性進行性の経過ということで、かなり患者さんの個人差もございまして、再燃したり、あるいは緩解といいますか、一見治ったふうになるというようなことを繰り返していくのが一つの特徴でございます。 それで、その病状に応じていろいろな治療法がそれぞれあるわけでございまして、軽症の者については基礎的な生活指導的な治療法もございますし、重症化した方々については、例えば関節が痛んだ場合には関節を弛緩するような手術等もございますし、いろいろな患者さんの症例に応じての治療がございます。これはその患者さんの病状に応じまして医療機関におきます、内科でございますとか、また小児の場合ですと小児科とか、あるいは今申し上げましたような関節そのものを直接手術をしたりということになりますと整形外科がその本領を発揮するとか、いろいろな診療科で取り組んでいるところでございます。 国立の相模原病院には臨床研究部というものを設置しておりますけれども、この相模原病院におきましては、通常の医療機関で行っておりますようなリューマチの治療のほかに、その臨床研究部を中軸にいたしまして新しい治療法あるいは診断法等の開発努力を行っているところでございます。
○安武洋子君 病気だから病状に応じて手当てをするのは当たり前なんです。ですけれども、このリューマチは、私が今申し上げましたように、関節の悪い人に手術をすればいいというそんな簡単なものではない。これは全部の体の関節の中で侵されない関節はないということを私は申し上げました。ですから、その患者さんがどこの関節を侵されてなさるかということはいろいろありますけれども、ではこういう患者さんが関節の治療をしたからといってよくなるかと、そんなものではないはずです。手術をされてよくなられたという方もありますけれども、痛みがとれたという方もありますけれども、手術をしたことによってかえって悪くなった、変わらないというふうなアンケートだってあるわけなんです。それから、私は御質問としましては、どこどこの病院が、外科が対応しているとか整形外科が対応しているというのではなくて、この病気の発病原因がわかっていないよと、だから治療方法も確立していない。それに対して厚生省としては、それは病気はいろいろありましょうけれども、これだけ日常生活が制約されて毎日痛みが伴うのだ、しかもたくさんの方がいらっしゃるのだ、そのことについて、私は無関心ではおれないと思うんです。ですから、その治療法の確立のためにどのような対策をとられるのかということを、厚生省がどのような対策をとられるのかということをお聞きしております。
○政府委員(大池眞澄君) 治療法の開発等を含めました研究につきましては、リューマチ性疾患の中でも非常に重症でありかつ大変見通しの難しい悪性関節リューマチというのがございますけれども、この患者さん方に対しては、治療研究事業というようなことで、医療費の自己負担分を公費で配慮するというふうな仕組みを通じまして、その悪性関節リューマチに対応するための治療研究というものには研究班も編成いたしましてかねてより取り組んでいるところでございます。また同様に、若年性のリューマチあるいはリューマチ熱等、リューマチ性疾患につきまして、治療研究事業というものを行っているところでございます。
○安武洋子君 最初にお断りしたように、私が質問をいたしているのは悪性関節リューマチでも若年リューマチでもなく、私は慢性関節リューマチで御質問しているんです。ですから、慢性関節リューマチでどのような対策をお持ちなのか。どうされようとしているのか。もう一度御答弁ください。
○政府委員(大池眞澄君) 関節リューマチ一般につきましては、ただいま申し上げましたような、非常に予後の悪い難しいところに焦点を合わして重点的な研究を行っておるわけでございますし、一般のリューマチ全般につきましては、先ほど申し上げましたように、国立病院といたしまして相模原病院に臨床研究部を置きまして、そこで鋭意研究に取り組んでおるということでございます。
○安武洋子君 要するところは、そうはおっしゃいますけれども、慢性関節リューマチというのが一番多いんですよね。非常にたくさんの方がおられて日常苦しんでなさる、それに対して対策というものがないというのが現状であろう。私は、ぜひこの慢性関節リューマチ対策というものに対して一考をしていただきたい。大臣、これはいかがなんでしょうか。——大臣に聞いているんです。
○政府委員(大池眞澄君) ただいまお答え申し上げたところでございますけれども、現在厚生省の取り組んでおります特定疾患の治療研究事業、これをさらに充実してまいりたいと思いますし、また、先生の御指摘の一般のリューマチ性疾患につきましては、それぞれの施策において医療対策、あるいは必要となる福祉対策ということで取り組んでいるところでございます。
○安武洋子君 重度化していくという性質を持っているんですよ。よくなる人もありますけれどもね。日常生活が大きな制約を受ける。医療費の面から見ましても、これは家族ともども大変だ。そして、入院している期間を見てみますと、病気別では五番目に長いというふうなことになっております。ですから私は、特定疾患調査の研究対象にぜひこの慢性関節リューマチもしていただきたい、研究をしてほしいとこう思います。 それから、患者さんたちは日本リウマチ友の会を結成されておられます。昨年の夏に創立二十五周年を迎えておられるわけですけれども、大会の決議、これは厚生大臣にも出されております。この大会決議の中で、「身体障害者手帳交付対象者の範囲の見直しをして、リウマチについて適正に障害の認定をしてください。」という御意見が出ております。私はもっともな要望であろうというふうに思います。相当関節が変形していくというふうなことでなければ身体障害者に認定されないのが現状です。ですから日常生活上の制約が大きくなる、こういう特徴があります。痛みがあるという特徴があります。ですから、運用上も十分配慮した適用を考えていただきたい、こう思います。 先ほどのとあわせて御答弁いただきます。
○政府委員(大池眞澄君) ちょっと他局に属することでございますが、便宜お答え申し上げます。 身体障害者福祉法に基づく障害認定は、その患者さんの痛みによる機能障害についても、医学的に証明されるものについては機能障害として取り扱うこととしておるということでございます。
○安武洋子君 特定疾患調査研究対象に、慢性関節リューマチも加えて研究をしてほしいということも聞いたんですよ。
○政府委員(大池眞澄君) 先ほど申し上げました悪性関節リューマチ、それから先生のただいま御指摘のそれ以外の慢性関節リューマチ、その他リューマチ性疾患については、共通基盤として、先生も御案内のように自己免疫が深くかかわっておる、そういうようなこともございます。したがいまして、その非常に悪性の度の強いものに焦点を当てての研究ということが慢性関節リューマチの診断治療にも寄与するということを期待しておりますし、また、自己免疫疾患に関しての多角的な研究も、特定疾患治療研究事業の中で行っておるわけでございます。そういったような医学的な所見が慢性関節リューマチの新しい理解、診断治療という面に反映してくることも期待いたしまして、先ほど来申し上げておりますように、従前の特定疾患治療研究事業を一層充実を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。
○安武洋子君 最後に充実を図りたいとおっしゃるので、ぜひそのようにお願いしたいと申し上げておきます。 そして、先ほど申し上げました大会の決議ですが、これはもう既に厚生大臣に届いているということなんですが、この大会決議の中で、「リウマチ診療科名の標榜を実現してください。」ということ、それから、「早期発見、適切な治療がかなうように、地域ごとに国公立のリウマチ専門病院を設置し、早急に専門医を養成してください。」ということ、それから、「国立相模原病院の「リウマチ・アレルギーセンター」を始めとして、「リウマチセンター」としての機能を名実共に発揮できるように充実させてください。」、こういうふうな要望が上がっております。 と申しますのは、患者さんはなかなか的確な診断が受けられない、そして療養指導がしてもらえないというふうなこともありますし、病気の原因がわかっていないし、治療方法も確立されていないからやはり重くなっていく。そしてあちらこちらの病院を回るというふうなことをなさっているわけです。ですから、あちらこちら訪ねていかれるというふうなこともありまして、診療科目の標榜というのは、私はこれはいろいろ問題もあろうかというふうには思います。しかし、とりあえず国公立の病院におきまして院内の標榜の対応、これぐらいはできるのではなかろうかというふうに思います。いかがでしょうか。
○政府委員(吉崎正義君) お話にもございましたように、リューマチの診療科の標榜の御要望があることは承知をいたしております。お話にも、なかなかいろんな問題があるだろうということがございましたけれども、それは御指摘のとおりでございまして、今後の大きな検討課題であると考えております。 なお、病院内で、そういう専門的に、病院内でやる分には支障はないものと考えます。
○安武洋子君 だから、せめて国公立病院内ぐらいで院内の標榜をしてほしいということを私は申し上げているわけです。それに対しての御答弁をいただきます。
○政府委員(大池眞澄君) 国立病院におきましては、先ほど申し述べました国立相模原病院を初めとしまして、そのほかにリューマチの専門外来を九カ所設けまして患者さん方のそういった御要望に対応しておるところでございます。
○安武洋子君 確認しますが、全部の国公立病院で標榜をきちっとしてあると、せめてそういうことにしていただきたいということを言っているわけなんです。全部の病院でそういうふうにやれというのはそれは難しいでしょう。せめてそこら辺ぐらいのところで、体が不自由で痛みを持つ人が訪ねていくわけですから、それぐらいのことは厚生省としても御指導できますでしょう。だから、せめてそれぐらいの要望に対してはどうですかということを聞いております。
○政府委員(大池眞澄君) ただいま申し上げましたのは、あくまでも院内標榜、あるいはその病院にそういう機能付与と申しますか、重点を置いた機能付与をしておるということでございまして、先ほど来お答えいたしておりますが、リューマチの治療は、病状にもよりまして内科なり整形外科なり、国公立に限らず幅広く一般の医療機関でも対応できる病気でございまして、その点は御理解を賜りたいと思います。
○安武洋子君 そんなこと、私何も理解していないわけじゃありません、当たり前のことですから。 全身病だと私申し上げました。しかし、どこの病院に行けば的確に対応してもらえるのかという、その標榜ぐらいは国公立の病院で出すというぐらいのことは簡単なことじゃないですか。いかに臨調行革だといったって、こんなのはお金も要らないじゃですか。どうなんですか。答弁してください。
○政府委員(吉崎正義君) 診療科の標榜につきましては、先ほど申し上げたとおりでありますけれども、個々の病院におきましてリューマチを専門にしてやっておられる方々がおるという場合に、国立病院ではそういう場所において院内でそういうことを明らかにしておる、こういうことであろうかと存じます。
○安武洋子君 私は、もう時間の関係上、がん高周波の加温療法装置、サーモトロンの件に移っていきます。 今、政府の広報誌にも出ておりますけれども、大変宣伝をなさっているということで、新しいがんの治療法として加温療法が注目をされております。一月の二十三日に、新技術開発事業団が委託開発費で実用化を進めてきた高周波加温療法用治療装置、この開発とその臨床治験結果、これが公表されております。治療効果を見てみますと、患者のうちの五割が腫瘍が消えたということ、そして二割が八〇%以上縮小したということ、それから二割が五〇%から八〇%の縮小を見ているということ、縮小が五〇%以下という患者というのはわずか八%と、このように発表されております。 そこで、この臨床治験には国立京都病院とか国立がんセンター、こういうところも協力されておりますし、それから厚生省も薬事法に基づいて医療器具としての製造承認、これを与えてなさいます。厚生省は一体これをどのように評価をなさっていらっしゃるんでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(幸田正孝君) お尋ねのサーモトロンは商品名でございまして、一般名といたしましては、高周波加温装置、要するに短波等を用いまして身体の一部について加温をしてがん細胞をやっつける、こういう装置と、こういうことでございます。今お話しのように、薬事法の承認も受けているわけでございます。 ただ、この療法につきましては、他の放射線治療その他いろんな療法と組み合わせをいたしました場合に有効である、こういうこと、先ほど御指摘の新技術開発事業団でもそういったことを述べているわけでございますが、どういったがんについて適用があるかということについては、専門家の間で必ずしも意見の一致を見ていない部分がございます。そういった意味で、私ども、いわゆる高度先進医療といいますか、そういった日進月歩する医療技術のうちの一部である、こういうふうに観念をしているところでございます。
○安武洋子君 こういう発表があって、治験段階の成績が期待できるということでありますと、これはがん患者にとりましては大きな福音です。 しかし問題は、この療法が保険の対象になるのかどうかということであろうと思うわけです。三月一日に発足いたしました特定承認保険医療機関制度、これによりまして、一部大学病院などで認められている高度先進医療の扱い、これになるのではないかという危惧があるわけです。この点で、東京都でも保険がきけば病院の器具購入費の中で措置ができる、買えるというふうに言っておられるわけです。 せっかく新技術開発事業団が四億五千万の委託開発費で開発したものですから、そういう成果というものはこれは国民に返すべきであろうというふうに思うんです。ですから、できるだけ早く保険適用になるように私は努められるべきではないかというふうに思います。いかがでしょうか。
○政府委員(幸田正孝君) 昨年の健康保険法の改正で特定承認医療機関の制度ができまして、高度先進医療と保険診療の調整を図る、こういう制度ができました。これは、有効性、効率性等については問題はないけれども普及性等について問題のあるものにつきまして、根っこの部分は保険診療で見る、しかし高度先進医療そのものにつきましては特定療養費制度で見る、こういうことでございます。 私ども、現在、この制度を発足をさせましたばかりでございまして、まだ大学病院等から申請はございませんけれども、私が承知をしている範囲では、幾つかの大学病院等で申請をしたいという動きも聞いております。その申請を待ちまして、中医協の御意見等も伺いまして決めてまいりたい、かように考えております。 なお、今後の保険適用の問題につきましては、中医協でこの問題を取り扱いましたときに、一年程度ごとにその普及性等について検証を加えていく、こういうことになっておりますので、その検討の結果によりまして保険に取り入れるべきものであれば保険に取り入れていくと、こういう格好になろうかと思います。
○安武洋子君 では大臣、先ほどから一言も物を言ってくださいませんので、最後に大臣にお伺いをしておきたいと思います。 今のように、がん高周波加温治療装置ですか、これは私が先ほど申しましたように新技術開発事業団が四億五千万の委託開発費を投じて開発している、そして治験効果も発表されているというふうなことで、今も、一定の経過を経てできるなら保険の適用にしていこうということを示唆されているわけです。私はぜひそういう方向を強力に推し進めていただきたい。 そのことと、先ほどのリューマチ患者さんの実情、大臣はよく知っておりますと、こういうふうにお答えだったわけです。ですから、要望も五項目、これはもう昨年、五十九年五月二十六日付で出されているわけですね。ですから、こういうものもよく検討をしていただいて、こういう人たちの要望にもこたえる、厚生行政は何よりも国民の命を守っていくわけですから、そういう立場に立って、厚生行政を充実させるという立場でこういう要望も十分検討していただきたい。 そのことについて大臣の答弁をいただいて、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 温熱療法につきましては、高度先進医療制度がこれからスタートするわけでございますので、将来の問題であろうかと思います。 また、リューマチ患者の皆さん一般の問題につきましても、これまでもできることはできるだけやってきたつもりでおりますけれども、今後も御趣旨を体して慎重に検討をしてまいりたいと思います。
○委員長(遠藤政夫君) 本調査に対する質疑は以上で終了いたしました。 —————————————
○委員長(遠藤政夫君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、先般当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。関口恵造君。
○関口恵造君 国民年金法等の一部を改正する法律案についての大阪における地方公聴会のための委員派遣について御報告申し上げます。 派遣委員は、遠藤委員長、高杉、中野両理事及び大浜、森下、浜本、安武、藤井の各委員と私関口の九名であります。 会議は、三月二十二日午後一時から大阪社会福祉指導センターにおいて開かれ、五名の公述人から一人十五分程度忌憚のない意見が述べられた後、派遣委員から質疑が行われ、滞りなく議事を終了いたしました。 以下、各公述人の意見の概要について申し上げます。 まず、大阪同盟副書記長兼政治部長岡田元弘公述人からは、今回の改正案は、将来における給付と負担の適正化を図ろうとするもので、基本的には評価できるが、なお第三種被保険者の期間計算の特例廃止についての経過措置、女子の労働環境の整備と保険料負担の再検討、三級障害厚生年金の現行水準の維持、五人未満個人事業所への厚生年金保険の適用拡大及び積立金の管理運用についての被保険者代表の参加と自主運用の実現を望みたいとの意見が述べられました。 次に、全大阪金属産業労働組合委員長小林康二公述人からは、本改正案に反対の立場から、厚生年金は現在でも賃金水準の低い中小企業労働者にとっては老後の生活を支えるものとは言いがたいのに、大幅な給付の引き下げは死活問題であること、制度の改革については、財源負担において特に大企業の負担増を求めること、また、政府の年金財政再計算の当否や積立金の管理運用、さらには高齢化社会における年金財源への国庫補助のあり方などについての国民的合意が必要との意見が述べられました。 次に、大阪府立大学社会福祉学部助教授里見賢治公述人からは、改正案に反対の立場から、政府の二階建て年金構想は、財源調達を租税ではなく社会保険方式とするなど、社会保障制度審議会の建議とは全く似て非なるもので、月額五万円の基礎年金も最高額にすぎないこと。また、今回の改正案は高負担、低給付を内容とする現行水準の切り下げであり、最低保障年金としての基本年金を租税方式とする見直しが必要との意見が述べられました。 次に、大阪大学経済学部教授藤田晴公述人からは、今回の措置により構造的給付水準の適正化が図られるほか、全国民共通の基礎年金が創設され、女性の年金権が確立される等の理由から基本的には賛成であるとの意見が述べられましたが、年金財政の長期的安定化、公正な老後所得保障システムの確立の観点から、将来の課題として国庫負担率を段階的に引き上げ、基礎年金制度を社会保険と税・移転方式の折衷形態に転化させることが望ましいとの指摘がありました。 最後に、神戸商科大学商経学部教授保坂直達公述人からは、今回の制度改革は、年金加入者の個人的立場から見れば改悪であるが、年金制度の存続発展のために改正は不可避であるとした上で、基礎年金水準の一〇%以上の引き上げや保険料負担の緩和、スライド制のあり方、五人未満事業所の適用拡大及び在職老齢年金制度等について再検討の必要があること。また、生涯における国民の生活保障のためには、年金以外の施策についても総合的な検討がなされるべきであるとの意見が述べられました。 以上の意見等が述べられた後、派遣委員から各公述人に対し、基礎年金の性格とその水準、財源の負担方法、必要加入年数のあり方、中小企業労働者の実態、年金財政再計算の当否及び社会保障負担の限界等の諸問題について質疑が行われました。 以上で地方公聴会についての報告を終わりますが、詳細につきましては、別途文書をもって委員長に提出いたしますので、本日の会議録に掲載されるようお取り計らいいただきたいと存じます。 なお、大阪においては、大阪市身体障害者スポーツセンターを視察してきましたことをあわせて御報告いたします。 以上でございます。
○委員長(遠藤政夫君) 佐々木満君。
○佐々木満君 仙台において行われました地方公聴会について御報告申し上げます。 派遣委員は、石井、曽根田、前島、糸久、中西、下村と私佐々木の七名でございます。 会議は、三月二十三日午前九時三十分からホテル仙台プラザにおいて開かれ、六名の公述人から一人十五分程度、忌憚のない意見が述べられた後、派遣委員から質疑が行われ、滞りなく議事を終了いたしました。 以下、各公述人の意見の概要について申し上げます。 まず、宮城県福祉事業団副理事長大沼直治公述人からは、基本的に賛成の立場から、改正案は現行制度の不都合を率直に認め、国の重要政策課題として制度改正の基本方針を策定され、その決意と取り組みの姿勢を明らかにしていること、年金制度の長期的安定の確保、世代内、世代間の公平性の確保が十分果たせるものとなっていること、さらに、法律案の内容が現実性、安定性等の見地からも、これしかない選択と言えるものではないかとして、一刻も早い成立と予定どおり遺漏のない実施を望んでいるとの意見が述べられました。 次に、岩手大学教授河越重任公述人からは、国民年金について、二十五年加入者の給付実現の直前の要件変更は、年金制度に対する信頼を損なうこと、基礎年金が最低生活の保障を欠き、学生、保険料免除者等無年金に等しい者を生み出すこと、障害基礎年金も、また最低生活の保障の趣旨から特別障害者手当を加えてもなお低きに失すること、婦人の保険料が夫の厚生年金の保険料と合わせて徴収されるなど、年金権の固有性は必ずしも完全ではないこと等の意見が述べられました。 次に、主婦桑島幸子公述人からは、新しい制度になっても、保険料の納入方法等、夫の厚生年金の附属物として扱われていること、支給開始年齢、負担の男女の同一化よりも雇用における平等の確保、賃金の差別廃止が先決であること、国民年金は、所得に応じた負担、生活できる年金額とはなっていないこと、婦人の特例措置を削ることは、高齢者、婦人の生活を脅かすものである等の意見が述べられました。 次に、宮城県商工団体連合会副会長佐藤斗亮公述人からは、基礎年金月額五万円は、四十年加入、全期間保険料を納付して初めてかなえられるもので、現行の支給額を大きく下回り、本法律案が後退したものである具体的なあらわれであること、また、保険料の引き上げは、免除者を増大させ、受給資格を満たせない無年金者を激増させるおそれがあること、国民年金の繰り上げ支給制度の廃止も実情に沿わないもので、国民の願いに逆行するものであること等を理由に、今回の年金法案は廃案にしていただきたいとの意見が述べられました。 次に、宮城県年金福祉協会専務理事成沢淘公述人からは、基本的に賛成の立場から、基礎年金の創設により公的年金制度の一元化の方向が示され、官民格差解消の足がかりができたと考えられること、婦人の年金権の確立が図られること、新制度への移行に当たっては、基本的に激変緩和の措置が講じられていること等の意見が述べられました。 最後に、ありのまま舎事務局長山田富也公述人から、現在の年金は余りに低額で、障害者が地域の中で、社会の人々と一緒に生活を送りたいという願いの実現を困難にしていたが、本改正案により、重度の障害者の場合六万二千五百円の障害基礎年金と二万円の特別障害者手当を受給できるようになると本当に生きる意欲を持ち、障害者として地域の中で生活できるようになるので、ぜひ早急に本法律案を成立させていただきたいとの意見が述べられました。 以上の意見が述べられた後、派遣委員から各公述人に対し、望ましい年金の給付水準、国民の負担可能な保険料の水準、基礎年金に要する財源方式、国民年金の二階建て部分に関する構想、婦人の固有の年金権の意義及び遺族年金選択の問題、障害者の所得保障の水準、障害者自立のための他の施策との整合性等の質疑が行われました。 以上で地方公聴会についての報告を終わりますが、詳細につきましては、別途文書をもって委員長に提出いたしますので、本日の会議録に掲載されるようお取り計らい願いたいと思います。 なお、仙台におきましては、社会福祉法人共生福祉会の重度身体障害者授産施設、身体障害者福祉工場、身体障害者療護施設等を視察してまいりましたことをあわせて御報告申し上げます。 以上で報告を終わります。
○委員長(遠藤政夫君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。 なお、各班からそれぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 午後一時半まで休憩いたします。 午後零時十四分休憩 ————————————— 午後一時五十二分開会
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 法案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○和田静夫君 年金法案につきまして、まず総論的に私の見解を述べるところから質問を始めたいと思います。 今回の政府案、二階建てをとるこの方式を採用したそのことについて、これをノーとは言いませんが、しかし政府案には、なぜ二階建てをとるのかというその理念がはっきりしていない。 第一の問題点は、基礎年金が最低生活保障原理を確立をした上で設けられていないということに気づくのであります。それは、この基礎年金が拠出主義によっているという制度的な問題に結びつくだろうと思います。 それから第二に、給付水準の極端な引き下げが指摘ができます。政府案によって成熟時に安心して暮らせる老後生活を保障できるのだろうか、そういう疑念が、読めば読むほどわくということになります。私は、財政事情が容易ならざる状態にあるということは百も承知であります。しかし、政府案にはなお多くの工夫の余地があるということの指摘をこれからずっとしていきたいと思うのであります。 それから第三に、政府案は婦人の年金権を確立した、そういう形で胸を張っているのでありますが、政府案では、私からすればなお未確立である、そう指摘をしなければなりません。 そこで厚生大臣、今回の抜本的手直しにつきまして具体的に伺っていくのですが、これによってだれもが年金を受け取ることができるというふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(増岡博之君) 将来にわたって基本的には国民のみんなが年金を受け取れるような体制にいたしたいという考え方であります。
○和田静夫君 確認のために、繰り返しますけれども、今回の手直しによって無年金者がなくなるというふうにお考えになっていますか。
○政府委員(吉原健二君) 今回の年金改正案におきましても、従来の厚生年金、国民年金と同じ考え方に立ちまして、ただいまも御指摘ございましたけれども、拠出主義といいますか、社会保険方式をとっているわけでございます。したがいまして、保険料の納付を要件として年金の支給を行うということにしているわけでございますので、基本的にはやはり保険料の納付の要件ということが前提としてあるわけでございますが、そういった条件を満たした方についてはひとしくすべて年金が支給されるということになっておりますし、外国におられました方でありますとかあるいは保険料を納められないような方につきましては、免除制度というものも新しい制度においても設けておりますので、そういった形で何らかの形の年金は受けられる。制度的には無年金者が出ないような最大限の配慮をしているわけでございます。
○和田静夫君 この前段のところは少し大臣に御答弁を願っておきたいと思います。技術的なところでは局長から十分承りますので。 そこで、政策目標として、お互い政治家ですから、政府としては無年金者が発生しないように努める、大臣が言われるようにそうだろうと思うんです。ただ努めるだけではなくて、だれもが年金を受給することを保障する。この辺、大臣決意としてまず承っておきたいところです。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘でございますが、社会保険制度でやっております限りの範囲内において、できる限りそのような対策を講じてまいりたいと思います。
○和田静夫君 そこで、まず質問要旨の後の方からいきますが、女性の年金権の問題で伺いますけれども、今回の見直しは、厚生省が婦人の年金権を確立したと豪語されている割には中身が非常に乏しいというか、新たな不公平をもたらすのではないだろうか。 大臣、まず前段的に伺いますが、大臣は夫婦共働きの御経験おありでしょうか。
○国務大臣(増岡博之君) 短期的ではございますが、あります。
○和田静夫君 やはり女性というのは家庭にいて家を守る、つまり専業主婦というのがあるべき姿だというふうにお考えになりますか。
○国務大臣(増岡博之君) 日本の昔からの姿はそうでありましたけれども、現在の社会においては、そのようなことを求めることもなかなか難しかろうと思っております。
○和田静夫君 実は、どうも私は、今回の見直し案というのが専業主婦優先で、共働きをスポイルするという気がしてならないのですが、大臣はこの法律案ができてから大臣に就任されたわけですが、そういうふうにお感じになりませんでしたか。
○国務大臣(増岡博之君) そのようなことはないというふうに思っておるわけでございます。
○和田静夫君 それでは具体的に伺いましょう。 共働きの夫婦がいるといたしまして、この解説書の十一ページと同じように平均標準報酬が二十五万四千円として、それで妻の方は平均標準報酬が十五万円とします。そのときのこの世帯の年金額は、夫婦合算の平均標準報酬に対して何%になりますか。
○政府委員(吉原健二君) ちょっと先生の御質問の数字と前提が違うかもしれませんが、私どもの手元の計算で申し上げますと、夫の方の平均標準報酬が月額二十五万四千円といたします、それから共働きの妻が十四万円、こういたしますと、現行制度によりますと、合わせまして二十六万四千五百円の月額の年金が出るということになるわけでございますが、改正案によりますと、合わせまして二十一万九百円という年金額になるわけでございます。
○和田静夫君 私が言いたかったのは、おたくの出しているところの成熟時の六九%ですね、この標準報酬の比率に比べて結果的に低いでしょう。
○政府委員(吉原健二君) 合わせますと、平均標準報酬に比べまして現在よりも改正案の方が低くなるということは確かでございます。
○和田静夫君 ということは大臣、共働きするよりも専業主婦でいた方が有利だという理屈になるんですね。
○政府委員(吉原健二君) これは、こういう考え方で改正案を作成したわけでございます。 現在の制度でございますと、共働きの場合には、今の厚生年金の水準というのはもともと夫が勤めまして奥様が家庭の主婦としておられる、そういった場合を想定いたしまして年金の給付設計をしている、計算方式を決めている。したがって、給付水準も夫婦二人の水準として決められてきたわけでございます。それは奥様が勤めて厚生年金の適用を受けられる場合にもそういう計算方式、同じ考え方で計算をされるわけでございますので、こう言っては何ですけれども、いわば共働きの方につきましては非常に相対的に有利な年金といいますか、それぞれ家庭に配偶者がいるという前提での計算になっておりますから、大変有利であったわけでございます。 今回の改正案におきまする新しい制度におきましては、個人単位の年金に基本的に考え方を変えていこうということで、厚生年金の資格要件、それから給付設計をしておりますので、あくまでも一人一人の年金として厚生年金も考えていくということにしておりますので、これからのこの改正案におきましては、夫婦が共稼ぎの場合には厚生年金全体といたしましては今までよりも低くなるということがあるわけでございます。
○和田静夫君 ここのところ、時間を食われると困りますから、私の計算で先ほど言った設定、標準報酬が二十五万四千円で、妻の方が平均標準報酬が十五万円として計算してみますと、五四・七五%ですよ。そうしますと、おたくの資料、政府が出している資料の六九%にはるかに及ばない。比べて低いんですよ。そうすれば、さっき言った私の論理というのは成り立つわけです。 私が言いたいのは、大臣、サラリーマンの専業主婦の場合に夫が保険料を支払う、それだけで二人分の給付を受けるのに対して、共働きの夫婦や独身者は一人分の給付しか受けられない。ここは一つ不公平ではないか、そういうことを指摘をしたい。 現行制度は、無業の主婦は任意加入できちんと自分の分は負担しているわけでしょう。女性の年金権、権利というのは義務を伴いますから、そういう観点からしてこれは一歩後退と指摘をすることができる状態だということなんですよ。
○政府委員(吉原健二君) 私どもの考え方は、現行の制度のままですと非常に給付の厚い面とそれから非常に給付が手薄な面と両方あるということが一つ。それからもう一つは、現在の制度のままにしますと、将来の給付の負担というものが大変なものになってくる、そういった意味におきまして給付水準というものを適正化していく、それと同時に将来の保険料負担も適正化をしていく、こういう考え方に立っているわけでございまして、ある面におきましては従来よりも給付水準が将来に向かって下がるということはあるわけでございます。 それはあくまでも適正な給付にする、そういったことによって保険料負担も適正なものにしていく、それからバランスのとれたものにしていく、重複給付やむだな給付をなくしていくという考え方に立っておりますために、今御指摘のような点につきましては、夫婦共稼ぎの場合について申し上げますと従来よりももらえる年金額が低くなるということがあるわけでございますが、あくまでもそれは後退ということではなしに、世帯としての給付水準の適正化という考え方に立ってかような措置にしているわけでございます。
○和田静夫君 そこのところ納得できない点ですが、このことを逆に言いますと、これまで無業の主婦というのは任意加入という形で年金権を保障されていたわけでしょう。ところが今回の措置はこれを奪う、こういうことですね。さらに言えば、無業の妻は基礎年金を受給することはできるが厚生年金部分は受給できない、こうなっているわけですね。これは女性の年金権という観点からすれば非常に問題がある措置だと指摘をせざるを得ません。 大臣、少なくともこれは任意加入と同様な制度を残して、そして報酬比例的な部分をつくるべきだ。報酬比例的な部分ですよ。基礎的な部分で答弁を紛らわしてもらっちゃ困るんで、私の主張のところに答えてもらいたい。——ここのところは大臣いかがですか。
○政府委員(吉原健二君) 現在の任意加入制度をそのまま残すということについては、実は大変いろいろ議論もございますし、問題があるわけでございます。もともとこういった社会保険に任意加入という、入ってもいいし入らなくてもいいというような制度を設けること自体がいろいろ議論が最初からあったところでございますし、任意加入というものを前提にしてこれからも年金の給付設計を考えていくかということになりますと、むしろ女性の年金あるいは御婦人の方の年金にとっては不安定な要素が非常に大きいわけでございます。 そういったことで、やはりサラリーマンの妻の年金の上での扱いにつきましては、いろいろ検討した末現在の任意加入については大変問題がある。いずれかの制度に強制加入ということがやはり考え方としては本当であろうということになりますと、一つは国民年金に強制加入するという考え方もあるわけでございますけれども、やはりサラリーマンの妻ということになりますと、御自分の所得は通常の場合ない方が多いわけでございますので、厚生年金の御主人の保険料でもって保険料が払われるという仕組みになる、このような改正案の仕組みの方が望ましいのではないか、適当なのではないかという考え方で、今回のような改正案をお願いしているわけでございます。
○和田静夫君 まあ詰めは女性の立場で女性の論議が後ほどなされますからあれですが、大臣、現在の女性のライフステージから考えてみると、独身時代には厚生年金、途中で結婚退職する、子育てが終わる、再就職、その多くはパートだ。このM字型の雇用構造ですね。このM字型が好ましい雇用構造であるとは言えないんですが、現実はそうなっているわけです。 母性機能という点からいってリタイアはあり得ることだと考える。その間厚生年金から離脱することになりやすい状況、これが生ずる。そうすると、現在の状態では四十年加入を満たす女性というのはかなり限られてくるのではないか。女性が母性機能を全うするためにやむを得ずリタイアすることに対して、何らかの制度的保障が必要だと考えるんですよ。ここが大臣、まず制度的な保障の問題ですから、大臣、そういうふうにお考えになりませんか。
○国務大臣(増岡博之君) 基礎年金の分野におきまして引き続き加入をしておるということになりますので、とぎれるということではないように思います。
○和田静夫君 はっきりしないんですがね。私は報酬比例部分を前提に置いて論議をしていますので、そこのところの答弁をレクチャーされる方も紛らわしてもらっちゃ困るんですよ。どうもそういう答弁になると思ったから、前提をちゃんと言っているんです。 出産のため、その後の育児のためのリタイアについて、ヨーロッパ諸国のようなクレジット、そういうものは与えるべきじゃないですか。一歩譲っても、国民年金のような免除期間——報酬比例部分ですよ、そういうことを考えるべきじゃないですか。
○政府委員(吉原健二君) 和田先生の考え方が、もう一つ私どもすぐに、正しく理解できない点もございますので、あるいは十分なお答えではないかもしれませんが、勤めておられる女性の方につきましては、勤めておられる限りは厚生年金の適用があるわけでございまして、出産等のために勤めをやめられたという方につきましては、今後の新しい制度におきましては、当然国民年金だけに入る。もちろん勤めておられる場合にも、基礎的には国民年金に当然基礎年金部分については加入しておられるわけですからその点は同じでございますけれども、報酬比例部分についての加入がないわけでございます。厚生年金は、出産のためにおやめになりますと報酬比例部分についての加入はなくなるわけでございますけれども、国民年金につきましては、勤めておられましてもあるいは出産のために勤めをおやめになりましても基礎年金の資格期間としては継続をするということになっているわけでございまして、そういった、勤めているいないにかかわらず女性の方にも国民年金に当然加入、自動的な加入の形をつくる、そういったことによって資格期間四十年が、結婚しようとしまいと、勤めていようと勤めておられまいと、その四十年の加入期間が満たせるようにしていこうというのが今度の改正案における婦人に対する年金の考え方でございます。
○和田静夫君 ここの部分の論議は後の持ち時間に残しておきますね、かなり答弁と食い違いますから。 それから、脱退一時金でちょっと一問だけ伺いますが、脱退一時金を受けた期間も、昭和三十六年四月以降については空期間として認めるということになっているわけですが、この間のいわゆる事業主負担分、これは本人に支払われていませんね。
○政府委員(吉原健二君) 脱退一時金は、本人の事業主負担分は支払われておりません。
○和田静夫君 大臣、これも私は国年の免除期間と同様の保障とすべきじゃないかと思うんですがね。
○政府委員(吉原健二君) 国年の免除期間と同じ保障をと、なぜそういう考え方になるのか、私ちょっとすぐに理解できないんですけれども、国年の免除期間というのは、あくまでも保険料が低所得のために支払えない方、支払いが困難な方について、その期間について保険料を免除するということでございまして、今御指摘のような場合にも当然国年と同じような扱いということにはならないんじゃないかと思います。
○和田静夫君 事業主負担はどこに行っていますか。
○政府委員(吉原健二君) 脱退一時金というのは、かつて国民皆年金、国民年金制度ができる前に女性の方々が、例えば二、三年という短い期間厚生年金に加入をされまして、それで年金に結びつかない、年金の資格期間を満たし得ないという方につきまして、御本人が払われた保険料相当分ぐらいは脱退一時金として出すべきであるという考え方に立ってその脱退一時金という制度ができたわけでございまして、その間の事業主負担分というのは、ずっと厚生年金におられた方の年金給付に使われているわけでございます。
○和田静夫君 ここのところも後でもう一遍詰めます。 そこで問題を変えますが、厚生大臣、この年金局監修の「年金制度改正案の解説」という小冊子、これは、もとになったものは年金局が出している「年金改革を考える 国民年金法等の一部改正について」なんですが、この「解説」という小冊子は、国民を欺瞞するのに満ち満ちた解説書です。これは社会保険研究所のだからおれは知らぬと言われればそうなるのかもしれませんが、しかし、「厚生省年金局監修」でございます。 それで、一例を挙げます。十一ページです。「昭和六十一年の標準年金額」と改正案による「成熟時の標準年金額」というのが並べてあるわけです。これは、もとはおたくから出ているやつですが、一方は十七万三千百円、他方は十七万六千二百円。そして、昭和六十一年の標準年金額は、現役男子の平均標準報酬月額の二十五万四千円に対しまして年金給付は六八%です。成熟時の標準年金額は六九%、こうなっています。これを素直に読みますと、改正案の給付の方がよいように見えるんです。ところが、私はこれは明らかに欺瞞だと思うんです。物価上昇率と名目賃金上昇率が同じであればこの解説は正しいかもしれませんよ。ただし、平均給付水準としてだけの話です、正しい部分は。問題は、物価上昇率よりも名目賃金上昇率の方が高いというのが現代資本主義の経済状態としての常識でしょう、その点をこの解説は全くなおざりにしています。 厚生大臣、今後、労働生産性が上昇しない、実質賃金が上昇しないなどということを考えた解説なんというのは正しいですか、これ。そんなこと考えられますか。
○政府委員(吉原健二君) いえ、それも私どもの考え方はそうではございませんで、あくまでも年金の額は、改正案、新しい制度におきましても、今後の物価それから賃金の上昇に応じて年金額を上げていく、改定をしていくという考え方をとっているわけでございまして、ここに書いてございます現在の標準年金の額、それから成熟時の標準年金の額は、あくまでも現在の五十九年度価格で比べた場合にこうなるということをお示ししたわけでございまして、将来、これから物価なり賃金が上がっていった場合には、実際に上がっていった場合に対応した年金額の改定が行われるわけでございまして、ここに書いてございます成熟時の十七万六千二百円という数字は、現実的には、実際にはその後の賃金上昇というものを反映した金額として支給されるということになるわけでございます。
○和田静夫君 そういう答弁だろうと大体私が想定したとおりの答弁なんですが、長期的な話はそうですよ。 それじゃ厚生省、初年度のこの標準報酬月額を二十五万四千円、年金月額を十七万六千二百円として、名目賃金上昇率を六%、それで物価上昇率を年率二・四七%、二年後と四年後の年金月額の対標準報酬比は幾らになりますか。
○政府委員(吉原健二君) 今突然の御質問でございますので、ちょっと計算にお時間をかしていただきたいと思います。
○和田静夫君 これ、大体数字のことは、きょうはどの資料とどの資料を使うかということは通告してあるんですがね、計算するのに時間がかかるようなら進めましょうか。 私の計算でいきますよ。初年度が六九・四%、二年度が六四・八、そして四年度が六〇・六。この数字間違いありません、私何遍もきのう徹夜してはじいたんですから。そうすると、この数字というのはおたくの解説の数字とは全然違う。これは、解説書を回収して訂正して再発行する、法律案はその意味でしばらくお蔵に入れておく。こうならざるを得ません。
○説明員(田村正雄君) お答えいたします。 賃金上昇率六%を前提として計算いたしますと、十七万六千二百円という年金額が五年後には二十三万五千八百円になるはずでございます。一方、賃金の方は同様に六%の上昇でございますと三十三万九千九百円ということになりまして、その年金に対する比率は六九%ということで変わらないということではないかと思います。 ただ、お話しございますように、五年目までの間でございますね、五年たつ間のところについては計算しておりませんけれども、その間については物価スライドということがありますと違った数字が出てくる、こういうことでございます。
○和田静夫君 だから私は、初年度は六九・四%変わらないと置いて、二年後、四年後の数字を申し上げたんですよ。この資料全部書き直してくださいよ。おたくが出している資料だから。この数字全部違っていますよ。そんなものをもとにして論議ができるわけがないじゃないか。
○委員長(遠藤政夫君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(遠藤政夫君) 速記を起こして。
○政府委員(吉原健二君) この冊子の考え方を正確に申し上げますと、こういうことでございます。 今後の年金水準につきましては、基本的に物価なり賃金の上昇に見合った改定をしていくという考え方をとっているわけでございます。これは現在もそうでございますけれども、今までの考え方をそのまま踏襲をして基本的には物価なり賃金の上昇に見合って改定をしていく。その場合に五年ごとに再計算をする。これも現在の制度がそうなっておりますけれども、五年ごとに給付の水準というものを、生活水準なり賃金の水準全体を見て改定をしていく。その五年間の間の期間につきましては、その間の物価スライド、物価の上昇、消費者物価の上昇に応じた改定をしていくという考え方をとっているわけでございまして、その間につきましては物価と賃金の上昇率にもし違いが出た場合には必ずしも賃金スライドという状況にはならないわけでございまして、物価の方が低ければその五年間の間の期間につきましては六九%を若干下回るということがあり得るわけでございます。
○和田静夫君 いや、これは違っている。このままでは先へ進めない。
○委員長(遠藤政夫君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(遠藤政夫君) 速記を起こして。
○和田静夫君 まだ完全に基礎が合意されたわけじゃありませんけれども、もう少し続けます。 財政の再計算時に賃金イコール標準報酬上昇率によって調整するというのですよね。その法的根拠をまず示してもらいたいのですよ。
○政府委員(吉原健二君) 現在の厚生年金保険法の第二条の二に、「この法律による年金たる保険給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」という規定があるわけでございますけれども、同じ規定を新しい改正案の中にも置いているわけでございます。これでもって従来とも五年ごとにいわばいわゆる再計算が行われて、その再計算に合わせまして年金額の賃金等の上昇に応じた改定というものが行われてきたわけでございます。同じ考え方をこの新しい新制度におきましても踏襲をしているわけでございます。
○和田静夫君 今何条と言われましたか。
○政府委員(吉原健二君) 現行法の厚生年金保険法第二条の二でございます。
○和田静夫君 この二条の二にしてもあるいは八十一条の四にしても——八十一条の四は再計算ですね、これ。
○政府委員(吉原健二君) そうでございます。
○和田静夫君 そうですね。五年置きに賃金スライドをさせるとどこかに書いてありますか。
○政府委員(吉原健二君) 法律の上では賃金スライドというふうには書いてございませんが、今申し上げましたその法律の規定、文言によりまして、考え方としては賃金というものを当然その前提に置いた再計算をするという考え方に立っておりまして、従来とも賃金スライドといいますか、賃金の上昇あるいはそれ以上の改定をしてきているわけでございます。その同じ考え方を新しい制度におきましても踏襲をしていくということにしているわけでございます。
○和田静夫君 これの法の趣旨というのは、収支のバランスをとるための手法なんですね。とれとなっているわけだ。そうすると、その手法というのは、賃金スライドをやるのも手法でしょう。しかしながら、もっと言えば、我々の望むのは保険料率を下げる、そういう手法にも通ずるでしょう。保険料率を下げるという手法はどうなるんですか。再計算。
○政府委員(吉原健二君) 保険料率の問題につきましては、この第二条の二と、それからただいまも先生から御指摘のございました保険料についての見直し規定というのが、厚生年金保険法の現行でいいますと八十一条の第四項にございまして、「保険料率は、保険給付に要する費用の予想額並びに予定運用収入及び国庫負担の額に照らし、将来にわたつて、財政の均衡を保つことができるものでなければならず、且つ、少くとも五年ごとに、この基準に従って再計算されるべきものとする。」と、こういう規定があるわけでございまして、この厚生年金保険法の二条の二の年金額の改定の規定とこの保険料についての見直しといいますか、財政再計算の規定というのはいわば実質的には裏腹の関係、一体的な関係になっておりまして、従来ともこの保険料についての見直し、財政収支の再計算をすると同時に、この二条の二による年金額の改定をやる、年金額の改定と同時に保険料率も見直す、こういうことをやってきているわけでございまして、同時に保険料率の見直しと年金額の改定というものを進めてきたわけでございます。 この考え方を、新しい制度におきましても引き続き踏襲をしていくということにしているわけでございます。
○和田静夫君 この法律解釈というのは、現行法の附則で考えても、今言われる改正案の本則の自動改定、これは物価に合わせることになっていますよ。物価にスライドする、法解釈の筋はそうなっていますよ。
○政府委員(吉原健二君) それは自動スライド、再計算とその物価のスライドとは違いまして、先ほども申し上げましたように、毎年毎年の年金額の改定というものはその前年度の消費者物価の上昇に応じた改定をしていく、それは物価に対するいわば自動スライドでございます。 今御説明申し上げましたのは、毎年の改定、物価スライドではなしに、いわば五年ごとに再計算をして、給付水準なり保険料率を見直すという五年ごとの、いわば五年ごとの財政再計算と年金額の改定というものを申し上げたわけでございます。
○和田静夫君 言ってみれば、賃金スライドと理解しておいていいわけですね。
○政府委員(吉原健二君) 五年ごとの再計算は、実質的にはそういうことで御理解いただいて結構かと思います。
○和田静夫君 ここも問題点、おいておきます。どっちみち後でまとめてあれしますから。 法律案を私は素直に読んでみれば——今のケースで計算してみたのですよ。六—八年後にはILO百三十一号勧告の基準、これとの関係がどうなるか、それから十二—十四年後にはILO百二十八号条約の基準どうなるかというと、下回ってしまうのだ。そうすると、つまりこの法律は、制度としてILO百二十八号条約の違反を想定をしているとでもいいますか、そんな言い方が酷なら言い方を変えてもいいんですが、そういうことにならないですか。
○政府委員(吉原健二君) ILOの百二十八号条約の基準というのは、三十年拠出した標準の受給者について従前の勤労所得の四五%、老齢年金の水準が四五%を満たしていなければならない、こういうことでございますけれども、この標準の受給者、年金の受給者については、ILOは年金の受給資格年齢の妻を有する男子、単身ではなしに受給資格年齢を有する配偶者を有する男子を想定をしているということが一つございますし、それから、従前の勤労所得につきましては、国によって従来の勤労所得、いろいろその労働者といいますか、勤労者の職種によって従来の勤労所得というのが違いがあるわけでございますけれども、最大多数を擁する、産業大分類のうちで最大多数を擁する中分類に雇用される者の通常の労働時間に対する賃金と、こういうことになっているわけでございます。 それで、我が国の場合におきましては、この製造業の中の電気機械器具製造業に従事している勤労者、労働者の賃金というものを前提に考えるということになっておりまして、また賃金というものをボーナスを含めるかどうかという、いろいろその国によって違いがあるわけでございますけれども、我が国の場合にはボーナスを含めない、いわゆる所定内賃金というものを基礎に計算をする、こういうことにしておりまして、この点につきましてはILOの承認、届け出をいたしまして、ILOでも承認されているところでございます。 こういった考え方でこのILOの基準を満たしているかどうかというのを計算をいたしますと、今までもそうでございましたし、今度の改正案におきましても、このILOの第百二十八号条約の基準は満たしているというふうに私どもは思っております。
○和田静夫君 百三十一号。
○政府委員(吉原健二君) 百三十一号勧告でございますけれども、これは従前所得のやはり四五%の給付を三十年拠出した場合に確保するということが書いてございますけれども——五五%でございます。失礼をいたしました。五五%の給付を確保するということが書いてございますが、この基準も満たしているということでございます。
○和田静夫君 五五%満たしていますか、これ。
○政府委員(吉原健二君) 私どもの改正案の考え方でございますと、五八・一%という率になるわけでございまして、五五%の基準は満たしているということになるわけでございます。
○和田静夫君 この法律案のどこに物価上昇率が五%と、例えば五%未満でもことしのように改定しているわけですけれども、五%未満でも自動改定をするということはどこかに書いてあるんですか。
○政府委員(吉原健二君) 法律案には五%未満の場合に自動改定をするとは書いてございません。自動改定はあくまでも前年度の物価上昇率が五%を超えた場合に自動改定をするということがございます。 ただ、前年度に超えなくても翌年度と合わせまして五%を超えたときには自動改定をするということになっておるわけでございまして、単年度ごとについて見ますと五%以上の物価上昇があった場合にその年にそれに応じたスライド改定をするということになっているわけでございます。
○和田静夫君 いえ、そうでなく、だから、五%未満でも自動改定をするときはするわけですね。
○政府委員(吉原健二君) 法律上の義務ではございませんが、従来もやってきておりますけれども、改定をするということは、政策的な改定ということは考え得るということでございます。
○和田静夫君 大臣、私は、例えば自動改定五%未満でもやられるというのならば、これは本則の中に明記した方がいいと思うんですよ。明記しない理由というのは何かあるんですか。
○政府委員(吉原健二君) 従来から、いわば再計算をするまでの間の物価スライド改定というものをどういった基準でやるかということについていろいろ議論があったわけでございますが、従来からやはり五%、単年度ごとにつきましては五%を超えた場合に改定をするというやり方をとってきておりますので、この新しい制度におきましても五%未満でもしたらどうだという御意見はございましたけれども、やはり物価スライドにつきましては五%を超えた場合に自動的な改定をすれば十分ではないか。また、実際そのほかのいろんな事情から五%に達しなくても改定をするということは政策的に十分考えられるわけでございますので、そういったことを禁じているということではございませんので、法律上の義務としては五%を超えた場合に物価スライド改定をする、法律上の義務としてはそれで足りるのではないかという考え方に立っているわけでございます。
○和田静夫君 大臣、ここのところは、私はやっぱり五%未満でも自動改定は本則に明記をすべきだ、そういうふうに要求をします。ここのところは検討の余地がありますか。——いや、この法案の改定作業じゃなくて将来にわたって。
○政府委員(吉原健二君) まあ将来の問題としては、やはりこのスライドのあり方についてまだいろいろ議論があり得るかと思いますが、現在の法案におきましては、今申し上げましたような考え方で従来の考え方を踏襲しているわけでございますが、将来はさらにいろいろ検討をさせていただきたいと思います。
○和田静夫君 では、このILO百二十八号条約の批准はどういうふうに考えるんですか。
○政府委員(吉原健二君) ILOの百二十八号条約を批准していないのは、一つには適用範囲について今問題があるわけでございまして、このILO百二十八号条約では保護対象者の範囲、全被用者の九〇%を満たすということがこの条約に書いてあるわけでございますけれども、現在の我が国の厚生年金の適用五人未満を原則として適用除外にしておりますのでこの九〇%を満たし得ない、そういう状況にあるわけでございまして、そのために、給付水準については先ほども申し上げましたように満たしておりますけれども、この適用範囲の関係でまだ批准ができないという状況にあるわけでございます。
○和田静夫君 だから、批准をするためにはどういう努力をするんですか。
○政府委員(吉原健二君) 五人未満の事業所につきましては、この新しい改正案におきましても、法人である事業所を中心に今後適用拡大をしていく、できるだけ五人未満の従業員も厚生年金の適用を受けられるようにしていくという道を開いているわけでございます。
○和田静夫君 私はこの法律案と百二十八号条約というのはワンセットで出されるのが日本政府としての常識でなきゃならぬと思うのですよ。
○政府委員(吉原健二君) ILOの条約を満たすための適用範囲の拡大につきましては、今後ともこのILO条約の基準を満たし得るような努力を続けてまいりたい。その第一段階として、今申し上げましたように法人の事業所についてとりあえず適用を拡大するという措置をとっているわけでございます。
○和田静夫君 私はどうもそこのところは、局長はそういうふうに答弁されました。大臣も当然ILO百二十八号条約を満たす努力を続けると答弁されるんでしょうけれども、ワンセットで出すべきだし、そういうことを考えますと、やはり法律案本則の中に賃金スライドというものを明記する、そういうことが必要でありまして、これは委員長に預けてもいいんですが、修正作業が始まるとすればこの辺のところはやっぱりこの法律案の修正の一つ大きなポイントだと思うので、理事会に諮ってください。
○委員長(遠藤政夫君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(遠藤政夫君) 速記を起こして。
○和田静夫君 ILO百二十八号条約はこの所得に対してとなっていますね。所得というのは一時金を含むのでしょう。これを五カ月とする。そうすると、上方シフトの方をとっても四年目には四二・八%となる。ILO基準に実ははるかに下回るんですよ。満たしている満たしていると言われますけれども、計算してみなさいよ、一時金含んで。
○政府委員(吉原健二君) おっしゃいます一時金というのは、ボーナスのことをお考えになっているのかもしれませんが、このボーナスを含めるかどうかというのは、実はその国に任されているわけでございます。その国の判断によっている。まあ国によってボーナスという仕組みがある国ない国、いろいろあるからだと思いますけれども、その点は、その国の判断によって任されているわけでございまして、我が国におきましては、所定内給与というものを前提に計算をする、またILOもそういうことで、それを承認をしているわけでございます。
○和田静夫君 ILO百二十八号条約を満たしていなくてILOILOと言われるのなら、所得というのは一時金を含むものですよ。一時金を含んで計算をすれば四二・八%にしかなりませんよ。これは明確に大臣、所得に対して四二・八%なんですよね。このことはお認めになるべきです。
○政府委員(吉原健二君) 繰り返しになるようでございますが、あくまでもその計算の仕方の違い、それは国によって計算の仕方はILOも承認をしているわけでございますので、そういった先生の御指摘のようなお考えもあるかと思いますけれども、我が国の場合におきましては、今私どもが申し上げましたような考え方でやっている、それをILOも認めているということでございます。
○和田静夫君 それじゃ、四二・八%という数字はお認めになりますか。
○政府委員(吉原健二君) 私どもの手元の数字を前提にして申し上げますと、四四・七%ぐらいの数字になるわけでございます。
○和田静夫君 これ、四二・八%というのは違いませんが、この数字が四四・七かというところを今論争しておっても時間がなくなりますから、後で詰めましょう。計算のもとになるところの違いがあるかもしれませんから。 そこで大臣、話が詰まりませんから角度をちょっと変えたいんですが、現役に比べて、四四・七%でいってみたところでどっちみち四割強、そっちをとってみても。そうすると、約四割の年金でどうやって暮らしていけるのだろう。これが安心して暮らせる老後保障だろうか。二十一世紀に向かっての高齢化社会の中で、こういう状態でよいのだろうか。 これは局長などの答弁じゃないですよ、大臣。お互いちょっと展望して、ざっくばらんにどうですか。寂しいでしょう。
○国務大臣(増岡博之君) その点につきましては、従来からの現行法にもボーナスが計算外になっておりますので、今回の改正案とは中身は同じであろうというふうに思っております。
○和田静夫君 いえ、そういうことを言っているんじゃなくて、実質の所得との関係で、現役と比べてみまして四割程度の年金でどうやって暮らしていくんだろう。常識的に考えてみたら、大臣も私も同じような頭の状態ですが、寂しい状態じゃないですか、これ。
○政府委員(吉原健二君) 年金の水準というものを、特に公的年金の水準としてどこまで保障すればいいかという考え方にいろいろな御議論があるわけでございますけれども、今のILOの基準というのは確かに一つの基準でございますし、我が国の場合にはボーナスを入れておりませんで、平均標準報酬といいますか、平均の勤労者の賃金に対しまして大体今まで六〇%台、現実には六八%ぐらいまで来ているわけでございますが、六〇%以上老齢年金の水準として保障することを考えてこれまで給付水準の引き上げをやってきたわけでございます。それが加入期間の伸びに応じまして、実際には現時点におきましては六八%になっているわけでございます。 このまま推移をしていきますと、この六八%という数字が加入期間が伸びるにつれまして八〇%を超えてしまう。現役の勤労者、労働者の賃金に対して八〇%を超えてしまう。仮に被用者の奥様が国民年金に任意加入をされますと、一〇〇%を超えてしまう。合わせまして一〇〇%を超える年金というものが保障されることになるということになるわけでございまして、現役の勤労者、通常子供さん二人おられる場合が多いわけでございますので、普通四人世帯の賃金に比べましてそれの八割、あるいは場合によっては一〇〇%を超えるような年金というものが老夫婦の年金として保障される。これは果たして年金の水準として賃金とバランスがとれているかどうか、こういう点が一つ私ども大変大きな問題だというふうに思っているわけでございます。 また、もう一つ、そういった年金を将来にわたって保障するためには、保険料率というものを、平均標準報酬賃金に対しまして四〇%近いものまで引き上げていかなければならないということになるわけでございます。毎月の賃金から四〇%近い保険料というものを現役の勤労者に負担をしていただいて、八〇%、場合によっては一〇〇%を超える年金というものを将来ともずっと保障していくことが果たしてバランスがとれているかどうかということになりますと、これはやはりアンバランスと考えざるを得ない。やはり年金の水準というものは賃金とのバランスの上で考えていく必要があるだろう。 それから同時に、やはり現役の勤労者の保険料の負担の能力、あるいはその限度、限界というものも考えなければならないということで、将来にわたっての年金の水準は私どもとしては六九%、保険料の負担は三〇%以下に抑えるという考え方で今回の改正案をお願いしているわけでございます。
○和田静夫君 いろいろのことを述べられましても、大変苦しそうな答弁でございまして、この数字は実は最高に近い給付水準ですよ、四十年加入のフルペンションですから。現役のまあ四割強にしかならない。そうすると、国民年金加入者で最悪の人は、昭和五十九年度価格で三万円そこそこですよ。この人々は現役の二・五割しか支給されない。これで生活ができますか。家賃にもなりませんよ。これはもう小遣い年金にもならないということなんですよ。 大臣、まずそういう認識をお互いに持たなきゃいかぬと思うんですね、これ。
○国務大臣(増岡博之君) もともとこの年金の改正問題は、先ほどから年金局長が御説明いたしておりますように、将来に向かって運営が安定的に、かつ長期に安定しなきゃならぬということでございますので、これまでの現行法より幾分か給付水準その他について下がっていることは否めない事実でございまして、その点につきましては、やはりこれからの高齢化社会を迎えるに当たって、ある程度の我慢はしていただこうということの、そういう意味合いも入っておると思うところでございまして、そういう点も御理解いただきたいと思います。
○和田静夫君 現役との乖離を生じさせないために何か手法がないものだろうかと考えれば、結局賃金上昇率に年金をスライドさせることが望ましい。少なくとも理論的にはそのことを認められますよね。
○政府委員(吉原健二君) そのとおりだと思います。
○和田静夫君 大臣ね、現役被用者の賃金と年金との比率を落とさないためには、やっぱり五年に一度の再計算で調整するのではなくて、これはやっぱり毎年賃金上昇にスライドさせる、それが合理的なんですよ。年々賃金上昇にスライドさせていけば、私が今指摘したようなことは起こらない。その方がつまり合理的だ。私は今次改正案にやっぱり賃金スライドを含めるべきだと考えるのは、以上のようなことを考えるからなんです。 そのことは先ほど委員長預かりになっていますから、そこに期待をいたしますが、共済年金が出てきますね。まあ出てくるのかどうか知らぬが、そうすると、共済年金との統合時にはどうなりますか。
○政府委員(吉原健二君) 従来の扱いは、共済年金は賃金スライドのような考え方をとってきたわけでございまして、厚生年金につきましては、再計算のときは賃金等諸般の事情を、総合的に勘案して見直す。その間は先ほど申し上げましたように物価スライドというふうになって違いがあった一わけでございますけれども、現在予定されております共済法の改正案におきましては、共済におきましても今度の厚生年金、国民年金の改正の考え方に合わせまして、単年度ごとに物価スライドをしてまいります。五%以上の物価についてスライドをしてまいりますが、再計算は五年ごとにやはりやる。そのときに賃金その他諸般の事情を総合的に勘案して改定をしていくという同じ考え方をとることにしているわけでございます。
○和田静夫君 共済年金が賃金スライドを否定をしないのでして、私はやっぱり統合時には賃金スライドというのはもう必然化するでしょう。余り無理な答弁しない方がいいですよ。
○政府委員(吉原健二君) 今の時点におきまして私どもが承知をしておりますのは、共済につきましても、厚生年金、国民年金に合わせまして五年ごとの間の計算につきましては物価スライドでいくというふうに承知をいたしております。
○和田静夫君 賃金スライドという制度の問題については、統合時には、遅くともそのときには問題になるでしょう。
○政府委員(吉原健二君) この共済の考え方について申し上げますと、共済につきましても六十一年四月から基礎年金を導入して、基礎年金部分については厚生年金、国民年金に合わせるという考え方に立っているわけでございまして、やはり共済につきましても今までと違って、共済だけは賃金でいく、こちらだけが物価でいくという違った考え方はとり得ないわけでございまして、共済につきましても基本的にはこちらの考え方に合わせる。少なくとも基礎年金につきましては、これは法律上、制度上は国民年金の給付ということになるわけでございますので、それに合わせていくということにしなければならない。また、それ以外に方法がないのではないかというふうに思います。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
○和田静夫君 そうだから、現行の制度として賃金スライド制度がある。そこの部分については賃金スライドは必然的にそこで問題になる。で、その制度のあり方についてはちゃんと取り入れるべきだ。遅くともそこでは。そのことが想定をされれば、今の段階で賃金スライドという問題を本則の中に入れるべきだ。私はそう主張しているんです。 そこで、基礎年金について伺いますが、これは委員長預かりになっていますから、どういう行動が起こるか、後ほど理事会等の協議を待ちますが、私は、基礎年金というのであれば、最低生活保障原理を打ち立てた上で導入されるべきである。これは大臣の見解を求めます。
○国務大臣(増岡博之君) 基礎年金につきましては、老後におきましての生活の基本的な部分を賄うという気持ちからこのような金額になっておるわけでございます。
○和田静夫君 考え方としては、基礎年金額の算出根拠というのは生活扶助基準によっているわけですね。ということは、最低生活保障原理によって額を決めたということでしょう。
○政府委員(吉原健二君) 基礎年金の五万円というその考え方でございますけれども、私ども、必ずしも生活扶助基準というものをもとにして五万円という金額を設定いたしたわけではございません。そうではなしに、今大臣が申し上げましたように、この基礎年金の額は、基本的には老後生活の基礎的な部分を賄うに足る水準でなければならない、そういった考え方に立っているわけでございます。 それで、老後生活の基礎的部分というのは、具体的には一体どのくらいな水準になるんだろうかということでございますが、私どもが一つ参考にいたしましたのが、五年ごとに総理府でやっております全国消費実態調査報告というのがございますが、それの五十四年の数字をもとにいたしまして推計をいたしますと、老後生活の基礎的な部分、つまり衣食住、光熱費等の基礎的な部分、つまり生活費の中から雑費以外の分というのが大体四万七千六百円程度になるわけでございます。単身の場合に四万七千六百円、それから夫婦の場合には八万三千七百円程度になるわけでございます。そういったものを念頭に置いて、単身の場合には五万円、夫婦の場合には十万円という基礎年金の額を設定をいたしたわけでございます。 もちろん、その設定に当たりましては、現在の生活扶助の基準、老人を対象にした生活扶助の基準額、そういったものも十分念頭には置きましたけれども、考え方としては、最底生活保障あるいは生活扶助基準を上回るというようなことではございませんで、あくまでも現実のお年寄りの方の月々の生活費の基礎的な部分を賄うに足りるような金額という考え方で設定をいたしたわけでございます。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
○和田静夫君 五万円というのは、四十年加入のフルペンションの人にしか適用されないんでしょう。制度が生活保護基準を下回る人を予定してつくられるということは私は断じて許されませんね、これは。納得できないですね。五十九年度の二級地の生活保護基準というのは、老人二人世帯で九万六百二十円ですよ。老人単身世帯、七十歳の女性で七万六千六百三十四円ですよ。ということは、四十年フルペンションでも単身の場合生活保護よりも低いケースが生ずるという、そういうことをこの法律案は意味していますよ。 大臣、これは事実関係として、フルペンションであっても生活保護基準を下回るケースが生ずること、これはお認めになりますね。
○国務大臣(増岡博之君) この基礎年金の考え方は、生活保護の扶助基準とは考え方を異にいたしておるわけでございまして、先ほど申し上げましたような、老人が生活していく上の衣食住等の基礎的な部分のみに着目いたしておるわけでございますので、そのような意味で御理解をいただきたいと思います。
○和田静夫君 私は、これはとても大臣の言われたことは理解できません。最初から生活保護を下回る年金給付を予定して何が改正ですか。何のための年金ですか。ここで私は、きちんとやっぱり基礎年金は最低生活保障原理でやるのだということを確認をされるべきですよ。
○政府委員(吉原健二君) 生活扶助基準と年金との関係、いろいろ私ども御議論があるということは承知をいたしておりますけれども、私どもの考え方は、生活保護と年金というものはおのずと給付の性格それから機能、制度のねらいが違うわけでございます。 生活保護の場合はあくまでもミーンズテスト、資産調査というものを前提にいたしまして最低生活を保障する、いわば資産も貯蓄も何もないという場合の最低生活の保障額として先ほどお示しのございましたような金額というものを水準として設定をいたしているわけでございます。あくまでも資産調査というものを前提にしているわけでございます。 年金の場合にはそうではございませんで、やはり年金で生活の全部をそれでもって支え得るというものにするためには、なかなか私は無理があるんじゃないかというふうに思います。特に、今度の改正案につきまして、基礎年金というものだけでそういった生活保護の扶助基準を上回る、あるいは生活保護の適用というものが全くないようにしようというのは、あるいは望ましい一つの考え方かもしれませんけれども、実際問題として、保険料負担等との関係を考えましても無理がある。また、諸外国の年金の水準、特に基礎年金の水準を見てみましても、生活保護の基準よりも必ずしも上回っているとは言えないわけでございます。 そういったようなことも考えまして、私はやはり基礎年金というのは老後生活の全部でなしに、やはり平均的な月々の老人の方の生活費の、何といいますか、衣食住といった基礎的な部分を賄うに足りるようなものであって、それだけで十分とは言いませんけれども、妥当な水準ではないかというふうに思うわけでございます。
○和田静夫君 四十年加入でも生活保護基準以下になるということは、かなりの生活保護基準以下の人々が出ると容易に想像されるんです。 そこで、一九七五年以降の免除率を示してください。
○政府委員(長尾立子君) お答えを申し上げます。 昭和五十年の免除率でございますが、全強制被保険者に対しまして免除を受けております者の比率は八・〇%でございます。
○和田静夫君 いえ、その以降です。
○政府委員(長尾立子君) 失礼いたしました。 次に、五十一年は八・五%、五十二年は九・一%、五十三年は九・七%、五十四年は一〇・五%、五十五年一一・八%、五十六年一三・一%、五十七年一五・〇%、五十八年一六・七%でございます。
○和田静夫君 今言われましたように、七五年以降免除率は急速に上昇しているわけです。ということは、四十年加入しても五万円受給されない人人が大量に出るということを示唆しているんですよ。いかがですか、大臣。
○国務大臣(増岡博之君) この免除率が上がっておりますことは数字の示しておるところでございますけれども、その原因となっておりますうちの幾分かは、年金に対する理解の不足、あるいはまた市町村によりましてのPRの不足と申しますか、そういうことに原因があるかとも考えております。
○和田静夫君 厚生省、免除率というのは国の基準によりますね。
○政府委員(長尾立子君) 免除を実際に判断をいたしますのは市町村長がいたすわけでございますが、どういった水準で免除をすべきかということにつきましては、先生御指摘のように、私どもの方でその基準を示しましてその市町村に判断をさせておるわけでございます。 基準の内容といたしましては、法律上、国民年金法上法定免除になるものがございます。例えば国民年金の障害年金、障害福祉年金、母子福祉年金または準母子福祉年金の受給者である者でございます。それから、生活保護法による生活扶助を受けております者も法定免除でございます。また、らい療養所等に入所している場合も法定免除でございます。 申請免除がございますが、申請免除は、法律上は被保険者が保険料を納めることが経済的に困難なときに都道府県知事に申請いたしましてその承認によって免除するという仕組みでございますが、この免除基準といたしまして私どもが示しておりますのは、被保険者、それから被保険者の世帯主、被保険者の配偶者のいずれかに所得税法の前年分の所得税があるときはこれは免除をしてはいけないということを言っております。それから、その年度分の市町村民税が賦課されていないときは、これは均等割でございますけれども、この場合は免除をするということでございまして、非免除、免除ラインはこの両方の線をはっきり示しておるわけでございますが、現実にはこの間に入る人がいるわけでございます。この場合には世帯の前年の所得とか固定資産とか世帯員の構成等の状況をあらかじめある一定のポイントで示しましてこれによって審査をし、免除するかしないかということを決定をさせております。
○和田静夫君 大臣、一九七五年、昭和五十年以降免除率は急速に上昇して、実質確認率は急速に落ち込んでいます。つまり、保険料を払えない人人が増加をしている。これは明らかに四十年加入でも満額支給されない人々が増加をしていることを意味しています。四十年加入しても九年免除となれば四万二千五百円です。十二年免除となれば四万円です。そのような人々が続発するという状態になるはずであります。これらの人々は、当然のことでありますが生活保護基準よりも低いんです。こういう点はお認めになりますね。
○政府委員(吉原健二君) そういうケースは十分考えております。
○和田静夫君 せっかくこの四十年間年金に加入しても、生活保護よりも低い給付しか得られないとすれば大臣、だれが年金に魅力を感じますか。これはやっぱり基礎年金というのは生活保護基準を上回るように最低生活保障原理が確立をされなきゃならぬ、そういう筋のものだと私は思いますよ。どうですか。もう一遍答弁を。
○国務大臣(増岡博之君) 保険制度でございますので、やはり保険料をお支払いいただくということが基準になると思うわけでございます。そのことを考えますと、ただ私が先ほど申し上げたようなことから免除を申請されておられる方がもしあるとしますならば、それに対する対策は今後十分に考えていかなければならないと思います。
○和田静夫君 質問の角度を変えますが、政府としては、だれもが五万円受給できる方が望ましいと考えられているんでしょうね、これは。
○政府委員(吉原健二君) できるだけ多くの人が五万円受給されるという状態になるのが一番望ましいというふうには考えております。
○和田静夫君 そのための政策はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(吉原健二君) 国民年金をつくるときもそうでございましたけれども、現実に国民皆年金といいましても保険料を納められないような低所得者の方がおられるということがあるわけでございまして、その低所得者に対する、あるいは所得のない方に対する年金の道を一体どういうふうな形で保障していくかということが実は議論の出発点であったわけでございます。 私どもは、昭和三十六年の国民年金をつくりましたときにもいろいろ議論がございましたけれども、そういった所得のない方あるいは所得の低い方も社会保険の国民年金、社会保険方式をとる国民年金の対象に取り入れてできるだけ保険料を払っていただく。保険料を払えないといいましても、ずっと所得が低いと、三十年、四十年保険料が払えないということはまずまれではないだろうか。一時的に払えないことがあっても相当期間は保険料を払っていただけるような期間があるということを想定いたしまして、いわばそういった所得のない方も被保険者になっていただき、保険料が払えない状態にあるときには保険料の免除という制度を設けまして、さらにその免除期間につきましても国庫負担相当分は年金給付に結びつけるというような考え方をとったわけでございます。そういったことでできるだけ所得の低い人も含めた国民全部の方が保険料拠出年金を受けられるような仕組みにしているわけでございます。それを今度の新しい改正案におきましても踏襲をいたしているわけでございます。 社会保険主義をとる限り、いろいろ議論もございますし、なかなか難しい点もあるわけでございますけれども、そういったいろいろな工夫といいますか、できる限りの措置はとって国民全部の方が基礎年金を受けられるような仕組みにしているわけでございますし、今回のこの改正案におきましても、例えば外国に長くおられて最近日本に帰ってこられた方、それから今まで保険料を納めて外国にしばらく行っておられた方、そういった方方は従来制度的には五万円の年金に結びつかないようなケースもあったわけでございますけれども、そういった方につきましても国民年金基礎年金への加入の道を認めまして、外国におられても保険料を払えるような仕組みを取り入れることによりまして、そういった期間も五万円の基礎年金に結びつくようないろいろな工夫なり配慮をいたしたわけでございます。
○和田静夫君 私は、どういう政策をおとりになるかといった場合、例えば保険料の負担を軽減させるとか、あるいは国庫負担をこういうふうにふやすとか、あるいは最低保障などというような基準を設けるとかというようなお答えが来るのかと思ったら、長々と別のお答えをされたわけですが、六十五歳以上の国民のだれしもが月額五万円支給される、そういうことのために政府としては全力を傾けると、これは大臣、そういうふうに理解してよろしいですか。
○国務大臣(増岡博之君) 保険制度の中で、できるだけそういうふうにやってまいりたいと思います。
○和田静夫君 これ大臣、当たり前のことの答弁なんです。全力を傾けられるのが当然なんです、政府は。ところが大臣、どういうふうに決意を述べられましても、厚生省がお出しになった改正案に基づく財政再計算結果の三ページに基礎年金給付費という項目がありますが、これは、西暦二〇〇〇年十兆八千七百十七億、それから二〇一〇年十三兆二千六十九億、それから二〇二〇年十四兆四千五百六十九億、二〇三〇年十四兆四千七百八十三億、それから二〇四〇年十三兆八千二百五十三億となっているんです。この額はいかなる根拠に基づく数字ですか。これは無年金者が出ることを前提とした数字ではありませんか。
○説明員(田村正雄君) お答えいたします。 私ども数理計算をやるときには、今御質問ございましたように、免除者、それから保険料を納めない方が当然おられるわけでございますけれども、そういうことを一定の数字を見込んだ上で計算しております。免除者と未納の方を合わせますと二五%くらいの方が保険料を納めないという前提の計算でございます。 ただ、今申し上げましたのは、すべて一号被保険者と申しております国民年金の現在の強制加入被保険者に対する率だけでございます。そのほかの厚生年金、あるいは厚生年金の奥さん方については一〇〇%納める、こういう前提の計算の結果でございます。
○和田静夫君 それはだめ。大臣、実態はこういうのです。僕は衆議院でどんな論議されてきたのかわかりませんが、よくこんな法律案が通ってきたと思っているんですよ。もうひどいものですよ、これ。無年金者ががっぽり出る条件が存在をしているんですよ。そのことのためにかなり時間をかけて私は指摘をしてきたんです。 私は計算をしてみましたよ。そうすると、一九八一年十一月の人口推計に基づいて六十五歳以上の人がすべて年金を五万円受け取ると考えてみた。そして、西暦二〇〇〇年は十一兆九千六百五十八億です。二〇一〇年は十四兆六千八百六十八億、二〇二〇年は十六兆七千七百億、それから二〇三〇年は十五兆八千百六億、二〇四〇年は十六兆二千七百八億となります。これは厚生省の再計算より大きいんですよ。それで、二〇二〇年には二兆三千百三十一億円、それから二〇四〇年には二兆四千四百五十五億円の差額が出ます。この差額の算出根拠をお示しください。
○説明員(田村正雄君) 先生お示しの数字は、六十五歳以上の方全員に五万円、こういう計算だと思います。先ほど私が御説明申し上げましたように、私どもの計算では、免除率それから未納率が合わせまして、現在の国民年金でございますけれども、強制加入の被保険者の約二五%ぐらいいる、こういう前提になっておりますので当然低くなっている、こういうことでございます。
○和田静夫君 この辺はもうあなた、政府委員以外の答弁だめですよ。 大臣、こういう状態なんですよ。その無年金者を大臣は、あるいは局長も、出さないように行政的にしっかりやっていく、こう言われる。しかしながら、現実の問題、ここにはじかれている数字というのは、こういう形で無年金者が前提になった数字しか出ていないんですよ。こんなふざけた話ないですよ。
○政府委員(吉原健二君) 今御説明をいたしました将来の財政収支は、現在の国民年金の保険料免除者の数といいますか、被保険者に占める割合、それから未納者といいますか、被保険者でありながら保険料を納めていない、滞納と言ってもいいかもしれませんが、そういった方々が現実には全体の何%かおられるわけでございます。現実のそういった数字というものを前提に、一応将来ともそういう状態が続くというような前提での財政再計算で将来の財政収支というものをお示しをしているわけでございます。 私ども、考え方としては、先ほども申し上げましたように、できるだけ免除者が出ないように、あるいは未納者あるいは滞納者の少ないように努力をしていくという気持ちは持っておりまして、実際にこれ以上に基礎年金の給付が受けられる方が多くなるような努力をいたしたいという気持ちでおるわけでございます。
○和田静夫君 いや、西暦二〇〇〇年から年を追うごとに差額が小さくなっていくというのなら私は少しは話はわかりますよ。つまり、傾向的に無年金者がなくなっていく、平均的な加入期間も上昇する、したがってだれもが五万円受け取るようになっていく、近づいていく、よって、六十五歳以上人口に、五万円掛ける十二カ月の六十万円を掛けたものと厚生省の基礎年金給付費の差が小さくなっていくというのならこれは多少は理屈は通りますよ。ところが、比率でとれば差は逆に拡大していっているんですね。そんなあなた、これは論理が通らぬですよ。
○政府委員(吉原健二君) これは将来の年金の財政収支の計算の仕方にも関係するわけでございますけれども、従来、これまでもそうでございましたけれども、五十年先あるいは六十年先まで見通した年金の財政収支を計算をしてお示しをする場合には、あくまでも現在までの傾向というものを前提にして一定の収支計算を、収支見通しを立てる、こういうことになっているわけでございまして、そういったことで将来も今申し上げましたように現在の免除率等を基準にして財政収支をしているわけでございますけれども、考え方、あるいは私どもの気持ちとしては、できるだけ基礎年金の受給者が多くなるようにという努力をしてまいりますし、また、この財政収支そのものも、先ほどのお話に関連をいたしますけれども、五年ごとに収支を見直す、つまりこの財政収支計算を五年ごとに見直すということにしておるのも、実際問題としてこのとおり将来ともいくということが、通常の場合違いが現実には出てくる場合が多いからでございまして、そういったことで、この財政収支につきましても今後五年ごとに見直していくという考え方をとっているわけでございます。できるだけ現実に見合った、あるいは行政努力に見合ったような財政収支というものもこれから五年ごとにつくり直していくという考え方に立っているわけでございます。
○和田静夫君 ちょっと確かめますが、この再計算で無年金者は何人と見込んだんですか。
○政府委員(長尾立子君) 先生の御質問の、いかなる形でも年金を受けられない方の数がどれくらいかということになるわけでございますが、先ほど来御議論がございますように、基礎年金を満額受ける方と、それから若干減額された形で受ける方もあろうかと思います。どういう形でか年金を受けられるという形を全部とりますと、無年金者の数をそういう前提で計算することは実は正直申し上げまして大変難しいと思っておるわけでございます。 先ほど来お話しがございますように、無年金になります例といたしましては、国民年金の免除申請をなさいませんでいわば滞納をされるという方がございます。それから、国民年金の対象者から漏れていく形という方がございまして、それを先ほど申し上げた二五%の中で免除率が大体十数%ございますので、その差が先生お話しの無年金になり得る方々ということになるかと思うのでございますが、現在、国民年金の検認率から見ますと、保険料を納めておられない方は大体五%ぐらいになっております。それから、住民登録をしておられませんで市町村の段階で転出をされまして、さらに転出先で住民登録をされないというような、そういったケースで、被保険者として把握が大変難しい方がやはりほぼ同数近くおられるのではないかと思っておるわけでございます。 これらの方々が例えば厚生年金の被用者保険、または共済組合の組合員資格をお持ちの場合には無年金にならないケースもあると思いますので、正確に数を申し上げることは大変困難だと思っておるわけでございます。
○和田静夫君 そこなんですよね。計算方法をちょっと変えてみますがね。厚生省の試算のこの基礎年金給付費から六十五歳以上人口を除して、さらに十二カ月を除してみました。そうすると一人当たり平均給付月額が出るからと考えたからです。そうすると、西暦二〇一〇年で四万五千円、それから二〇二〇年で四万三千百円、それから二〇三〇年で四万五千八百円、二〇四〇年で四万二千五百円。いずれも五万円には達しません。しかも、傾向的に五万円に近づいていくというのでもない。これは一人当たり平均で五万円支給されないというふうに厚生省が考えておって、そして二〇四〇年にも全員がフルペンションにならないと考えているということを示しているんじゃないですか。大臣、よくて四万五千八百円ですよ。こんな人をなめた試算を出すというのは一体どういうことなんだろう。
○国務大臣(増岡博之君) ただいま御説明いたしました数字は、現在のパーセンテージをそのまま当てはめた数字であるようでございまして、私どもはそのままの数字を維持しようというわけではございませんで、できる限り今後の努力によって改善をしてまいりたいと思います。
○和田静夫君 大臣せっかくの答弁ですが、私はここのところはどうしても納得ができません。この計算では無年金者が何人おって、そして受給者の平均給付額は幾らなのか、五万円受給できる人は何人なのか、これは明らかにしてもらわなきゃならぬ。そういう再計算やっぱりやってもらわなきゃいかぬ。
○説明員(田村正雄君) お答えいたします。 先ほど来申し上げておりますように、免除、それから未納というものを現状まで得られております実績をそのまま延ばしておるということでございますので五万円に達しないということなんでございますけれども、私どもが計算しました結果をここで申し上げますと、基礎年金の平均受給額でございますけれども、昭和七十五年、ちょうど今から十五年先でございますけれども、四万六千四百円、それから八十五年が四万七千九十七円、昭和百年で四万五千七百七十八円ということでございまして、先生御指摘の数字とかなり近い数字になっております。 この理由でございますけれども、先ほど来御説明申し上げておりますように免除期間、それから未納の期間が入っておりますので、その平均になって低くなっているということが一点。それからもう一つ、先ほど来ちょっと説明を省略してしまって大変失礼したのでございますけれども、実は、基礎年金については繰り上げ請求される方がかなり多いようでございますね。そうすると、五万円ではなくて割り引きされた年金額が出るということになっておりまして、それも影響しておりまして一件当たり五万円より低くなっている、こういう事実もございます。
○和田静夫君 これで何遍も時間をとって、片道じゃないから時間が過ぎていけばそれまでなんですが、五万円受給者数も出なければ、五万円以下受給者数も出なければ、その平均給付費、あるいは無年金者も出ない。全部わからないんですよ。これ、出してもらう。出してもらって後刻論議をしましょう。
○説明員(田村正雄君) お答えいたします。 手元にある数字で申し上げますと、一号被保険者と申しまして、現在の国民年金の強制被保険者に当たる方から出てまいります免除も未納もないちゃんと五万円もらえる方でございますね、それが昭和百年で四百六十三万人でございます……
○和田静夫君 昭和何年ですか。
○説明員(田村正雄君) 昭和百年でございます。ほぼ制度が成熟した時点と、こういうふうにお考えいただいてよろしいと思いますけれども、四百六十三万人でございます。その方は五万円もらえると、こういうことでございます。それから、二号被保険者と申しまして、今の厚生年金の加入者の方々とお考えいただいてよろしいのでございますけれども、千二百七十八万人でございます。それから三号被保険者、これは現在の厚生年金の被保険者の奥さん、被扶養配偶者でございますけれども、五百二万人。合計いたしまして二千二百四十三万人の方が五万円はもらえるはずでございます。 それに対して、免除未納の期間がありまして、幾らか年金が低くなっている方がどれくらいあるかということでございますけれども、ちょっと差が出ておりませんけれども、そういうものを含めまして全体の数を申し上げますと、一号被保険者から出てまいります受給者が六百十七万人でございます。それから、二号被保険者が千二百七十八万、これは一〇〇%五万円がもらえるはずということでございます。それから三号被保険者、これは被扶養配偶者でございますけれども、この方も昭和百年ごろになりますと、厚生年金の方から保険料が出されておりますから免除未納ということはあり得ないわけで、やはり一〇〇%五万円が出ておりまして、五百二万人。合計いたしまして二千三百九十八万人が年金受給者でございます。そのうち五万円もらえる人が二千二百四十三万人と、こういう内訳になっております。
○和田静夫君 無年金者は。
○説明員(田村正雄君) 無年金者については、この数字ではちょっと私ども推計では出てまいりません。
○和田静夫君 その数字を出してもらわなきゃ困る。
○委員長(遠藤政夫君) ちょっと速記をとめて。 〔午後三時三十三分速記中止〕 〔午後三時四十九分速記開始〕
○委員長(遠藤政夫君) 速記を起こして。
○和田静夫君 それじゃそこの部分は後日の論議に、基礎的な数字を一遍詰めてから述べさせてもらいます。 さらにこの改正案に基づく財政再計算結果を見てみますと、基礎年金給付費と拠出金総額の差額が出てきますね。この差額は何でしょうか。
○説明員(田村正雄君) 初年度で申しますと、五兆九千億と拠出金算定の対象になっておる五兆四千億の差でございますね。これは特別につきます国庫負担の額がございますので、そういうものでございます。国庫負担の額でございます。
○和田静夫君 ちょっと前段何と言われましたか。
○説明員(田村正雄君) 拠出金の対象になります給付というもの以外に給付がございます。その分につきます国庫負担。それから、そういうものが別枠になっているわけでございますね。拠出金の対象にしないという部分がございます。それがこの差の額でございます。
○和田静夫君 一言で言えば、免除期間等への国庫負担ですね。
○説明員(田村正雄君) はい。そういうようなものでございます。
○和田静夫君 そうすると、この免除期間に係る給付等、国が負担する額の二〇〇〇年から二〇四〇年までの金額は言えますか。
○説明員(田村正雄君) 国庫負担の額ということでございますか。ちょっとこれは難しいのでございます。私が持っております資料の中ではちょっと計算が出ておりません。はっきり言えますのは、拠出金対象額の三分の一だけが国庫負担ということだけははっきりしておりますけれども、今申し上げましたように、それ以外にたくさんの国から出る分もございますので、ちょっと計算ができておりません。
○和田静夫君 委員長、だめですよ、やっぱり。やろうと思ったけれども、次から次へとみんなひっかかるから。この辺、全部調整しよう、一遍。
○説明員(田村正雄君) 基礎年金給付費の総額と拠出金対象額の差の額ということでございましょうか。それでございましたら今すぐにでもお答えできます。例えば……
○和田静夫君 免除期間に係る給付等、国が負担する額の二〇〇〇年から二〇四〇年までの金額。
○説明員(田村正雄君) 二〇〇〇年と申しますと昭和七十五年でございますから、差でございまして、昭和七十五年でございますと約二千億でございますね。それからその次になりますと、例えば昭和百年でございますと三千八百億というのが拠出金の対象にならない国庫負担の額、こういうことでございます。三千八百億でございますね。
○和田静夫君 三千八百億ですか。
○説明員(田村正雄君) ちょっと暗算で申しわけないんですが、三千六百十億でございますね、三千六百億ですか——十四兆六千と十四兆二千の差でございますから約四千億でございますが、端数がございまして、三千六百億ということでございます。
○委員長(遠藤政夫君) 厚生省に注意しますけれども、明確に答えてください。
○説明員(田村正雄君) ちょっと差が出ておりませんので、数字だけ申し上げますので、誤解をいたしているとまずいもので、はっきり数字が申し上げられないので申しわけないのでございますけれども、数字を申し上げます。 昭和七十五年、先生おっしゃるように二〇〇〇年でございますけれども、基礎年金給付費総額が十兆八千七百十七億でございます。そのうち拠出金の対象になりますのが十兆四千七百四十四億でございます。その差額の約四千億が拠出金の対象にならない部分でございます。それが国庫負担である、こういうことでございます。それからちょっと年次が飛びまして、百年で申し上げますと十四兆六千三十四億が基礎年金の給付費総額でございます。そのうち拠出金の対象になりますのが十四兆二千三百九十三億でございますから、その差額の三千六百億ほどが国庫負担の額と、こういうことでございます。
○和田静夫君 違ってないかな。おたくからもらったやつで計算したんだがな、これ。——僕は別に何も嫌がらせをやるつもりは全然ないんですが、数字が全然違うのはどういうわけだろうな。
○政府委員(長尾立子君) 今御説明をいたしましたように、基礎年金の給付費といたしましては、昭和百年におきまして十四兆六千三十四億円というふうに見通しを立てております。このうち拠出金の算定対象額総額といたしまして十四兆二千三百九十三億円を予定いたしておりますので、この差額が今先生御質問の免除等に係る国庫負担の額になるというふうに承知しておるわけでございます。
○和田静夫君 これはおたくの数字だったんですがな。違っていますか。読み上げてみますよ。例えば基礎年金給付費、二〇〇〇年で十兆八千七百十七億、二〇一〇年十三兆二千六十九億。十四兆四千五百六十九億、十四兆四千七百八十三億、十三兆八千二百五十三億。これは二〇二〇年二〇三〇年二〇四〇年の数字です。いいですね。拠出総額十兆四千七百四十四億、十二兆八千三百四十四億、十四兆九百十四億、十四兆一千八十九億、十三兆四千四百三十七億。そうすると差は、三千九百七十三億、三千七百二十五億、三千六百五十五億、三千六百九十四億、三千八百十六億。これ、違ってますか。さっきあなたが言っている数字は違っているんだけれども。
○政府委員(長尾立子君) 今先生お話しのお示しになりました数字は、私どもが申し上げました数字と同じでございまして、それで、五年違って申し上げておったかと思います。今私は昭和百年を申し上げまして、先生は昭和九十五年をおっしゃいましたので、そこの差が出てきていると思います。
○和田静夫君 そこで、算出の根拠なんですがね。
○政府委員(長尾立子君) 給付費の総額の推計でございますが、現在の被保険者として対象となります方につきまして基礎年金としての拠出期間を計算いたしまして、その上で出てまいります総給付費を計算をいたしておるわけでございます。したがいまして、根拠になりますのは、今現在の被保険者、それから先ほど申しております、その被保険者が将来拠出をされるであろう保険料というものを前提といたしまして全体の給付費の推計をいたしておるわけでございます。 金額でございますが、これは全部五十九年度価格で申し上げておるわけでございます。
○和田静夫君 大臣、私が言いたかったのは、これまた年を追って減らないんですよ。この差額の給付費に対する比率も減少しないんですね。これは大臣どういうふうに考えたらいいと思いますか。——この辺は久しぶりに局長どうですか。
○政府委員(吉原健二君) その額は、今御質問のように大体その今の水準でもってずっと推移をしていくと、こういうことになるわけでございます。
○和田静夫君 そこで、さっきの基本的な大臣の答弁とは違っているわけです、数字は。
○政府委員(吉原健二君) 私ども、先ほども申し上げましたように、この財政収支はあくまでも現在の免除者の数、あるいは率、それから検認率といいますか、滞納者、そういったものの現在の状況というものを前提に将来も伸ばしていると、こういうことでございまして、将来私どもの行政努力としてはそういったものを減らしていきたいということでございまして、あくまでも今の財政収支は現在の率というものの状況に将来伸ばしていった推計でございます。 そういったことで、大臣の御趣旨というものとは私どもは食い違っているということはございませんで、財政収支と行政努力の考え方というものの違いだろうと思います。
○和田静夫君 局長そう言われても、この試算というのは決して国民皆年金を目指すものではない、むしろ現在の無年金を温存する、あるいはフルペンションに満たないものを温存する、そういう厚生省の方針だと言ったら怒るだろうからそうは言いませんけれどもね。数字はそういうことを意味していますね。
○政府委員(吉原健二君) やはり私は、将来とも免除者あるいは未納者というものを全然なくしてしまうということは、なかなか実際問題としても難しいと思いますし、やはり将来の推計をする場合には今までの推移なりあるいは現在の時点での状況というものを前提に財政収支をしてみる、あるいはそれをお示しする、しかしそれはそれとして、行政努力としてはできるだけそういったものが少なくなるような努力をしていく、やはりこういうことでなければならないんだろうと思います。そういった考え方でこの財政収支というものをお示ししているわけでございます。
○和田静夫君 委員長、ここのところは絶対に納得ができません。したがって、後で基本数字を打ち合わせした以降の論議の中でここの詰めはやりますけれども、納得できないことだけを申し上げておきます。 それから基礎年金の負担と給付ですがね、この現行国民年金保険料六千八百円を金利五・八%の一年定期に預けて、満期になったら郵貯の定額に入れていく。そういう現行郵貯はもう三百万が限度額ですがね。とりあえずこの点をあれして、毎年それを繰り返していくとする。そうすると、半年の複利でこれを四十年繰り返していきますと千二百四十三万六千円となりますね。これをさらに五年間据え置くと一千六百五十一万一千円になる。この額は六十五歳から、物価上昇率を三%として、初年度六十万円、二年度六十一万八千円、三年度六十三万六千五百四十円、こういうふうに物価上昇とともに引き上げていくと想定してみる。それで八十四歳まで引き出すことができることになります。そうすると、六十五歳以降の利子を考慮に入れれば、こちらの方が得になるというふうになるんですがね。いかが。
○政府委員(吉原健二君) 今の計算の前提、初めてお伺いしましたのであるいは誤解があるかもしれませんが、先生の今の御試算の中に、私どものこの公的年金におきましては物価の上昇、それから最初申し上げました賃金の上昇、それに見合って上げていく。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕 基礎年金の五万円と申しますのは今の五十九年度価格での五万円でございまして、四十年後あるいは四十五年後になりますと、その間の非常に長い期間の物価なり賃金の上昇というものがどのぐらいになるかによって大変大きな違いが出てくるわけでございまして、恐らく、仮定の計算でございますけれども、仮に毎年五%ずつ上がっていくということにしますと、四十年ないし五十年後には四十五万ないし五十万というような名目の金額になるわけでございまして、そういったことを前提にいたしますと、今のような試算が果たして公的年金と比べてどうこうというような、そういう比較というものが適当なのかどうか。私どもとしてはやはり私的年金の場合にはあくまでもそういったスライドというものは全然考慮されないということになっておりますし、公的年金はあくまでも実質的な年金の価値を保障するということになっておりますので、そこのところが非常に大きな違いがあるのではないか。したがって、単純にそういった数字の上だけでの損得の比較というものはできないのではないかというふうに思うわけでございます。
○和田静夫君 私が言わんとすることは、国庫負担を考慮に入れなくても、民間で自主的に運用すれば、同じ負担で年金給付以上の果実を手に入れることができるということなんです。 公的年金というのは、これは釈迦に説法ですが、国家が責任を持って行うということ、そういうところにこれはもう最大の存在理由があるわけでしょう。その財政的保障が国庫負担なんですよ。今私が示した例というのは利子所得への課税を全く考慮に入れなかったのですよ。そのかわりに国庫負担も考慮しなかったんですよ。利子課税を考慮に入れても、三分の一国庫負担されるのであればこちらの方が有利です。 そういうような負担と給付の配分で国民が納得できる公的年金制度となるというふうに本当にお考えですかね、これ。
○政府委員(吉原健二君) 基本的な考え方にあるいは違いがあるかもしれませんが、個人年金なり生命保険というのはあくまでも個人の貯蓄、長期の貯蓄という性格を強く持っておりまして、個人が十年ないし二十年積み立てたものをその間の利回りといいますか、運用収益、それを加えたもので返してもらう、それを十年ないし二十年後に年金の形で受け取る、こういう性格のものでございます。 これはもう本当に釈迦に説法かもしれませんが、そういう性格のものでございまして、公的年金のようにその世代間の扶養、しかも今申し上げましたように、そのときの実質価値をあくまでも保障をしていくというようなものとは全然性格が違うわけでございまして、計算の上では個人年金あるいは生命保険で相当の年金が受け取れるような計算上の仕組みはもちろんできるかもしれませんが、実際問題として、果たして四十年後あるいは五十年後に年金を受け取るときに、そのとき今の五万円に相当する実質価値というものが保障されるものになり得るかどうか、私は率直に言ってなかなか難しいだろうと思います。
○和田静夫君 一九九〇年と一九九五年の国庫負担は、政府案では幾らですか。
○政府委員(吉原健二君) 昭和六十五年の国庫負担の推計でございますが、政府案におきましては、厚生年金、国民年金合わせまして昭和六十五年では三兆三千億円、昭和七十年におきましては四兆七百億円程度というふうに、大変大ざっぱでございますけれども、推計をいたしております。
○和田静夫君 何か、初めて数字が合った。——その一九九五年に八六年度価格で、政府案によると、今言われたように四兆七百億円国庫負担が推計であれ確保される。大臣、そういうふうに、今のやつ確認しておいていいですね。
○国務大臣(増岡博之君) そのとおりでございます。
○和田静夫君 厚生省、一九九五年度以降の国庫負担はどういうように算出されますかね。
○政府委員(吉原健二君) 将来の国庫負担を金額でお示しするというのは、いろんな不確定要素がございましてなかなか難しいわけでございますけれども、政府案の考え方は、今度の新しい制度におきましては、従来ばらばらに国庫負担をしていたものを基礎年金に集中する、基礎年金に三分の一の国庫負担で集中をするという考え方を基本にいたしているわけでございます。そのほかに、先ほどから申し上げておりますように、免除者に対する国庫負担というのがございますし、経過的に昭和三十六年四月以前の期間に対応する厚生年金に対する国庫負担、そういったものがあるわけでございまして、大体今の国庫負担率は現行制度がばらばらでございますのでなかなか比較しにくいわけでございますけれども、おおむね現行の、国庫負担と同じような率でもって給付費に対して国庫負担が行われていくというふうに考えているわけでございます。
○和田静夫君 数字は出ないんですか。
○政府委員(吉原健二君) その国庫負担だけの数字を出すことにつきましてはいろんな不確定要素がございますし、金額でお示しをするというのは、私ども実際問題としてこういったところでお示しをするについてはなかなか推計が難しいという要素がございますので、一応これから約十年間という昭和七十年までの数字を何とか、大変大ざっぱでございますけれども、推計をして、これまでお示しをさしていただいているということでございます。
○和田静夫君 こういうところで出すと危険だと言われるのならば、私の数字と後で照合しましょうか。どうせ論議はまだこの次に残りますから、そういう出し方ならできますか。
○政府委員(吉原健二君) そういった試算を、実はいろんな要素がございますのでなかなか難しいということで、計算をしていないわけでございまして、昭和七十年までの国庫負担は大変大ざっぱな推計でございますけれども、今申し上げたようなことで数字を持っているわけでございますけれども、それ以降は一体どうなるかというのは、いろんな面で不確定なはっきりしない要素がございますので、私ども試算をしていないわけでございます。
○和田静夫君 私は実は二〇〇〇年から二〇四〇年に段階的に数字を出したんですが、その数字を後であなたの方に提示をしても、それに対する確認はしないという答弁かな。
○政府委員(吉原健二君) その数字を見せていただきまして、いろいろまたお伺いをした上で判断をさしていただければと思います。
○和田静夫君 そこのところをまず一つはやらないと論議が進みませんが……。 そこで、一九九五年に八六年度価格で四兆七百億円の国庫負担が確保されたとした。これは確認された。その政府予算における歳出の構成比を変えない、つまり九五年度に四兆七百億円の費用であったものがその後税収の伸び率のままに推移していくとする。そのように考えるとこれはどうなるでしょうかね。
○政府委員(吉原健二君) ちょっと恐縮でございますが、御質問の意味を少し理解できませんでした。
○和田静夫君 要するに、九五年度に確保された年金財源がそのままの構成比、いわゆる政府歳出に占める構成比で推移していくとどうなりますか。言いかえれば、これは年金財源が他の諸経費を圧迫しないと考えますと、そうすると、その財源はどういうように伸びていきますか。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
○政府委員(吉原健二君) 少し大ざっぱなお答えになるかもしれませんが、今までの推移で見ますと、年金給付費の伸びが大変大きな割合で毎年伸びていっております。現在までの推移を見ましても、福祉年金を入れました総給付費で見ますと一〇%から一四%ぐらいまでの伸びになっておりますし、それから福祉年金を除いた分にいたしましてもやはり一六%ぐらいな毎年の伸びになっていることもあるわけでございまして、今後とも相当な勢いで年金給付費が伸びていくということになりますと、大体それに対して一定割合の国庫負担が行われることになりますと、国庫負担の伸びも相当大きい、こういうことになるわけでございます。 御質問が、税収全体の中で一定割合という前提が恐らく年金に対する国庫負担率を変えない限りは、私はその税の伸びというのは今申し上げましたような年金の伸びよりも相当低いと考えざるを得ないのではないか。つまり、逆に言いますと、税収の伸びよりもはるかに大きな勢いで大きな割合で給付費が伸びていくということになりますと、税収に占める年金に対する国庫負担の割合は当然のことながら毎年大変な勢いで大きくなっていくということが当然予想されるわけでございます。そういったことが今回の改正案を考える場合の私どもの問題意識に一つあることは確かでございます。
○和田静夫君 今、委員長が御不在中にも、一つの数字を照合しなきゃならぬことになりましたし、今の部分もちょっと満足な答弁じゃありません。したがって、約束の時間が過ぎましたから、一応ここで次に送ります。
○佐々木満君 去る二十二日と二十三日の両日にわたりまして地方公聴会が開催されたわけでございまして、その概要につきまして先ほど報告があったわけでありますが、私は仙台の公聴会へ行かしていただいたわけでございますが、各公述人から大変貴重な御意見を伺ってまいりました。御専門のお立場からの御意見、あるいは主婦の立場からの御意見、また障害者の立場からの御意見、いろんな問題点をたくさん御指摘もいただきましたし、御意見も拝聴してまいりまして大変勉強になったなと、こう思って帰ってまいりました。いずれこうした公聴会で出されました御意見、御提案等につきましては私なりに整理をいたしまして、次の機会に、具体的に私の考えも述べながら、政府の御見解をお聞きをいたしまして論議を深めてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。 そこで、きょうは最初でございますので、基本問題につきまして二、三お伺いをさしていただきたいと思っております。 御案内の高齢化社会の到来を目前にいたしまして、老後の所得保障、とりわけ公的年金に対します国民の期待と関心というのは非常に高い。これは最近テレビや新聞等でしばしばこの年金問題が取り上げられておることからもわかるわけであります。そういうこととの関連でございましようが、年金制度の改革につきまして、これまで各方面からいろんな問題点が指摘をされ、そしていろんな改革案が今日まで示されてきております。 そうした中にあって、政府が今回法案を一応おまとめになられて提案をなさったその背景、あるいはこの御提案の法案の持つ意義、そういうものにつきまして、まず基本的に大臣の御見解をお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、これから本格的な高齢化社会を迎えるわけでございまして、その際、老後の生活の柱であります公的年金制度について、長期にわたって健全かつ安定的に運営していくための基盤を確保していくことが必要であることがまず第一点でございます。 続きまして、そのような問題意識のもとで、まず公的年金制度の中心でございます厚生年金、国民年金の制度創設以来の大改革を行おうとしておるものでございます。また一面、公的年金制度の一元化を考えておるわけでございまして、各年金制度の間におきます負担と給付の公平を図るため、引き続き共済年金の改正等今後の改革の基本的方向を定める意味合いを持っておると思います。 さらに、そのような努力によりまして、二十一世紀においても揺るぎない公的年金制度が築き上げられ、国民の制度に寄せる期待と信頼にこたえられるものといたすように確信を持っておるわけでございます。
○佐々木満君 このたびのこの改正案を拝見をいたしますと、いろいろな勉強をしておるわけでありますが、まことに広範囲にわたる改正でございますし、また、恐らく歴史に残る極めて抜本的な改正を含んでおるわけであります。したがいまして、その影響するところも大変大きい、国民一人一人にとって極めて重要な改正であります。年金をこれからもらう人、現にもらっておる人、あるいは若い人たちにとりましても、それぞれ重要な中身を含んだ改正になっておるわけであります。これだけの大改正をまとめると申しますか、提案をなさるに当たりましては、当然のこととしまして、各界各階層の人たちの意見、こういうものを十分にお聞きになった上でおまとめになったと思いますし、また、法案が仮に成立をいたしましても、これから運用するに当たりましては、各界各層の御意見をいただきながら国民的な合意を形成して、この運営に当たっていかなければならない、こういうふうにも私は思っております。 そこで、年金局長にお伺いいたしますけれども、政府は本改正案をおまとめになるに当たって、各界各層の意見の吸収のためのどのような努力を行ってこられたか、その経緯等について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(吉原健二君) 私どもが将来の高齢化社会の到来、人口の高齢化、それから産業構造なり就業構造の変化、あるいは国民の方々の意識の変化というものを考えました場合に、今の年金制度のままで将来ともやっていくことには大変な問題があるし困難がある、そういう意識、認識を持ち始めましたのは、実は昭和五十年代の初めでございます。そういったことから、厚生大臣の私的な諮問機関といたしまして、年金制度基本問題懇談会というものを五十一年の五月に設置をいたしまして、これからの年金制度の基本構想のあり方についての検討をそこで懇談会にお願いをしたわけでございます。その間、社会保障制度審議会等におかれましても、将来の年金制度、国民皆年金下における年金体系のあり方につきまして御審議をされまして、五十二年の十二月に一つの御答申といいますか、御意見をいただいたわけでございます。 具体的に私どもが今お願いをしております今回の改正案についての勉強を始めましたのが五十六年の十一月でございまして、社会保険審議会に今回の改正についての基本的な考え方についての勉強を開始していただいたわけでございます。約二年ほどかけまして御審議をいただきまして、社会保険審議会からは五十八年の七月に今回の改正案のもととなった考え方についての御意見をちょうだいいたしたわけでございます。さらに、それをもとにいたしまして政府部内でも検討をいたしまして今回の政府案をまとめました。それをまとめるに当たりましては、改めて社会保険審議会、それから国民年金審議会等の関係審議会に諮問をし、さらにその御意見をいただいた上で国会に法案として提出をさしていただいたわけでございます。 審議会なり、、あるいは厚生省内部で検討するに当たりましても、各界各層の御意見というもの、あるいは構想というものを十分参考にしていただきましたし、特にこの年金改正をまとめるに当たりましては、五十七年の十一月に有識者調査というものをやりまして、年金についての有識者の御意見、お考えも参考にさしていただいたわけでございます。 そういった国民的な御理解なり合意を得るためのできるだけの努力をいたしまして今回の改正案をまとめて法案として国会に出さしていただいたわけでございます。
○佐々木満君 今回のこの改正法案の中身、大変重要な中身ばかりでございますけれども、その中でもやはり基礎年金の導入の問題でございますとか、あるいは給付と負担の関係の問題でございますとか、あるいは婦人の年金権の問題ですとか、障害年金の改善の問題ですとか、こういう点、とりわけ重要な柱ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。 その中で基礎年金の問題につきまして、先ほど来いろいろ御論議があったわけでございますが、私はこの問題について、本日は一つだけお伺いをしておきたいと思います。 それは、この基礎年金のうち、いわゆる老齢基礎年金、これは六十五歳から月額五万円、これについていろんな論議がございますけれども、こういうふうになっておるようでありますが、これはこの制度に加入をして保険料拠出の義務を果たした、そういう場合に限って支給される、こういう仕組みであるように理解をいたしておるわけであります。これに対しまして、基礎年金というのは全くこれからの老後生活の基礎の年金でございますから、過去の保険料拠出というものの実績にこだわらずに、無条件で一律に一定の額を支給した方がいいんじゃないか、そのために例えば目的税みたいなものを考えてもいいじゃないか、こういう大変傾聴に値する議論を私も聞かされておるわけであります。 こういう中にあって、今回、この基礎年金の受給要件と申しますか、こういうものについて、無条件で一律支給というこの方式を採用なさらない、それは一体なぜなのか。私は、きょうは基本的な考え方だけで結構でございますので、その辺の理由をお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(吉原健二君) 各制度に共通な制度として基礎年金を設ける、その上に報酬比例あるいは賃金に比例した所得比例の年金制度、二階建ての年金制度を設ける、こういった構想を持ちましたのは、一つには社会保障制度審議会の意見というものがあったわけでございますが、社会保障制度審議会の新しい年金構想というのは、今おっしゃいましたように、一階部分の、これは基本年金と言っておりましたけれども、基本年金というのは新しい税金でもって、所得型の付加価値税でもって基礎年金をやっていくと、こういう制度であったわけでございます。私ども今回の年金改正案を作成するに当たりましては、こういった社会保障制度審議会のお考えというものも十分検討をさしていただいたわけでございますけれども、いろいろな角度から検討いたしまして、やはり最終的には社会保険方式による年金制度、基礎年金制度というものが適当であるという判断になったわけでございます。 その理由はいろいろございますけれども、一つには、やはり基礎年金全体を税方式、税金を財源にして過去の拠出の有無にかかわらず一定の年齢に達すれば年金を支給する方式、これはもう年金の方式としては諸外国でも例がございますし、十分考え方としてはあり得る構想でございますけれども、非常にやはり金額的に巨額な財源が必要になってくるわけでございます。今の現行制度における国庫負担の額、大体三兆を超える国庫負担をしておりますけれども、基礎年金全体を税でやるということになりますと、約六兆円の基礎年金給付費になりますので、初年度におきましてその程度の財源というものを税金として用意をしなければならない。大変巨額な財源というものを税として調達をしなければそういった税方式の年金がとれないということになるわけでございます。そういたしますと、今目的税というお話もございましたけれども、目的税なりあるいはその他の一般税にしろ、新税なり増税ということで考えないと現実問題として税方式の基礎年金制度はできない。果たして現在の時点におきまして国民的な合意といいますか理解といいますか、コンセンサスが得られるかどうか、私どもは、現在の時点においては大変難しいのではないかというのが第一でございます。 それから、やはり年金制度は非常に長い歴史なり経緯がございますので、今までの我が国の年金といいますのが厚生年金にしろ国民年金にしろあるいは共済組合にしろ、全部拠出方式といいますか保険方式で運営をされてきた、しかもそれが既に数十年の歴史を持っているというときに、果たして一挙に税方式の年金制度に切りかえることができるかどうか、過去の拠出の実績というものをどう評価するか、こういった非常に難しい問題があるわけでございます。過去に保険料を納めた人と納めない人を同列に扱うということは実際問題としてもできませんし、これまでの制度とのつながりということを考えますと、やはり今後とも社会保険方式というものでやっていかざるを得ないということがもう一つあるわけでございます。 そういったことから、社会保険審議会でもいろいろ御議論がございましたけれども、「これまでの公的年金制度の長い歴史に鑑み、加入者が給付と負担の両面に係りあいを持つ社会保険方式を維持すること」が適当であると、こういう御意見を最終的にいただきました。そういった御意見も踏まえまして、私どもの改正案におきましても社会保険方式で基礎年金というものを考えていく、設定をしていくということにしたわけでございます。
○佐々木満君 御承知のように、現在の公的年金制度が七つに分立をいたしておる。私は、それはそれなりの理由があってそうなっているわけでありまして、制度の発足の経緯も違いますし時期も違いますから、それはそれでやむを得ないわけでありますが、しかし、現実に考えてみますと、いろんなそういうことに伴う問題がたくさんこれは前から指摘をされておるわけでありまして、公的年金制度というものをやっぱり統合しなきゃならぬ、こういうことについては私は大方の国民のこれはもうコンセンサスができているのではないか、こういうふうに思うわけでありまして、こういう方向でお互いに勉強していかなきゃならぬと思っているわけであります。 大臣に一つお伺いをいたしたいと思いますが、大臣は年金担当の大臣でもいらっしゃいますので、この公的年金制度全般の統合一元化、こういうものについてのお考え、また、今後のスケジュール等についてお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 公務員共済年金につきましては、今担当各省において審議会その他の協議を重ねておられるわけでございます。一応厚生省所管の厚生年金、国民年金と同じ時期、すなわち来年四月一日に基礎年金を導入する姿でスタートをしていただきまして、十年後の昭和七十年に公的年金制度全体の一元化を完了させる予定で作業を進めておるところでございます。
○佐々木満君 きょうは第一回でございますので、私は、以上基本的な問題の二、三につきまして政府の御見解を伺ったわけでございますが、冒頭申し上げましたとおり、私も実はびっくりしたわけでございますけれども、公聴会へ行ってみますと、本当に年金について勉強しておられる、御関心が深い。そういうことに実はびっくりしたわけでございます。将来の年金の水準というのはこうすべきだというような御意見、あるいはそれとの関連で負担の問題、こういう点についても大変具体的な御意見の御発表がございました。あるいは先ほどの基礎年金の財源の問題、あるいは国民年金というものに二階建てをつくったらどうだろうかという構想、あるいは婦人の年金の権利について大変基本的な御意見、御提案、そういうものもございましたし、障害者の所得保障の水準等についても本当に御経験を踏まえた御意見の御開陳があったわけでございます。 いろんなそういう貴重な御意見、問題の提起、そういうものを踏まえまして、これから私も整理をして、次回に政府の御見解をお聞きをし、私の考えも申し上げて議論を深めてまいりたいと、こういうふうに思っておるわけでございますが、いずれにしましても大変な抜本改正でございますし、国民に大変関心の深い問題でございますので、私は今後政府におかれましてもよくPRと申しますか、各階層との意見の交換を重ねていただきまして、合意を形成しながら年金をこれから育てていくと、こういうふうにぜひしたいものだなと、こういうふうに思っている次第でございまして、厚生大臣のひとつお考えをお聞かせをいただきましてきょうの質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(増岡博之君) 現在の年金制度に対しましていろいろ御意見があることもよく承知をいたしておるわけでございます。御趣旨を踏まえまして、今後とも国民が安心をしておれる年金制度というもの、あるいは公平というものも考えながら施策を進めてまいりたいと思います。
○中野鉄造君 私は、まず大蔵省にお尋ねいたしますが、財政当局の中期財政展望や今後の税制改正と絡んで、国民の租税負担率がいろいろ問題になっておるところでございますが、この国民経済的に見た国民の負担を考える際には、当然ながら社会保障負担をあわせて考えなければいけないと思いますが、その妥当性を判断すべきが一番これは大事なことじゃないかと思うんですけれども、五十九年度、それと来年度、どのような負担になるとお考えでございますか。
○説明員(濱本英輔君) ただいまのお尋ねでございますけれども、税と社会保障負担の国民所得に対します比率でお示しを申し上げますと、手元にございます数字で、五十九年度、これは国税、地方税を合わせました税負担が二四・八%、社会保障負担が一〇・六%、合わせました国民の負担は三五・四%。六十年度は計算値でございますけれども、税の負担が二五・二%、社会保障負担が一〇・八%、合わせますと三六%ということでございます。
○中野鉄造君 中長期に見て、今後この社会保障負担はどのように推移していくと予想されていますか。
○説明員(濱本英輔君) お尋ねでございますけれども、社会保障の負担につきましては、私どもの主税局の方で計数を持ち合わせてございませんので、厚生省の方にお尋ねをいただいたらいかがかと存じます。
○政府委員(吉原健二君) 将来の社会保障負担というものがどういうふうになっていくかということでございますが、なかなか推計が困難な要素もございますけれども、年金の社会保障の負担の中で実は年金の負担が一番大きいわけでございますけれども、現在年金の負担率は国民所得に対しまして大体六%程度という水準にあるわけでございますが、これが現行制度のままにいたしますと、昭和百年ごろになりますと、大体国民所得に対する割合で一六%ぐらいになるということが予想されるわけでございます。今回の年金改正というものが実現をいたしますと、この年金の社会保障負担率が一一ないし一二程度にとどまるということになるわけでございます。 社会保障の負担ということになりますと、年金のほかに健康保険、医療保険に対する負担がございますし児童手当等の負担もあるわけでございまして、それをどの程度見込むかということが大変難しいわけでございますが、現行制度のままですと、年金、医療保険合わせまして二〇を超えるということが推計をされるわけでございますけれども、この年金の改定、それから昨年の健康保険法の改正等によりまして、私どもは二〇以下にとどめ得るのではないかというふうに思っておるわけでございます。
○中野鉄造君 この国民の一人当たりの年間の所得と物価の上昇、それと先ほどから申しております社会保障あるいは税負担、そういったようなものをあわせ考えるときに、少なくともこれから十年先あるいは十五年先、どのような試算をされておりますか。大蔵省わかりますか。厚生省も。
○説明員(濱本英輔君) お答え申し上げます。 ただいまのお尋ねは、要するに中長期的な将来の時点における税負担水準というのがどのぐらいに試算されるかということであろうかと存じますけれども、たまたま大蔵省の方で過日試算をいたしました中期的な財政事情の仮定計算例というのがございます。この仮定計算例というのは大変大胆な仮定に基づいた計算例でございますけれども、この計算の中に、昭和六十五年度の時点をとらえまして、国の一般会計の税収が国民所得に対してどの程度のウエートを持つものになるであろうかということを計算したものがございます。 この計算は、既に御承知おきをいただいておるかと存じますけれども、名目成長率を六・五%、税の弾性値を一・一として計算いたしましたものでございますが、その例で御説明申し上げますと、昭和六十五年度時点で一般会計の税収の国民所得比は一六%になる。昭和六十年度のこの一六%に見合います数値が一五・五%でございますので、この五年間に約〇・五ポイント上昇するという計算がございます。
○政府委員(吉原健二君) 社会保障の負担が今後の経済成長の中でどういうふうになっていくかという御質問かと思いますけれども、やはり社会保障の水準というものは、先ほど来の御議論でも申し上げましたように、経済の成長あるいは賃金なり物価の水準というものの動きに見合った形で社会保障の水準も上げていくということが非常に絶対的な要件だろうと思いますし、それ以外に社会保障の費用なりあるいは負担がふえる要素といたしましては、もう御案内のとおり、年金受給者の増加でありますとかあるいは加入期間の増大というような要素があるわけでございます。医療保険にいたしましても、老人の増加というものが医療保険の給付なり負担、費用の増大に大変寄与する、こういう面があるわけでございますので、恐らく経済の成長以上に社会保障の給付なり負担というものは伸びていく。そういったことから、先ほど申し上げましたように、社会保障の負担率というものが今後急速に大きくなっていくという要素があるだろうと思います。 その辺を適正な将来の国民の負担能力あるいは社会全体の活力、国の財政負担というものを将来見通しながら、適正なもの、国民の負担限度、負担能力の限度にそれをとどめていくというような考え方に立って今回の改正案をお願いしているわけでございます。
○中野鉄造君 先ほど来、いろいろこの保険料の負担をめぐって、免除者の問題とかそういったようなことが論議されておりましたけれども、私も全く同感でございまして、もう本当に年金を掛けていきたくとも掛けられないというような人たち、滞納するなんという、そういう人たちがこれからたくさん出てくるんじゃないか。毎月掛けて準備をしなくちゃいけないわけですから、それがなかなか思うに任せない。そういったような場合に、罰則というようなものはありますか。
○政府委員(長尾立子君) 先生の御質問は、国民年金の保険料を滞納した場合にどういうようなことになるかということでございますが、国民年金の保険料滞納者につきましては、いわゆる一般の租税並みの滞納処分というようなことをやることにはなっておるわけでございますが、御本人に対します罰則的なものといたしましては、その部分につきまして、保険料を納入されなかった場合につきましては、給付がいわば減額されるという形のものになっておるわけでございます。
○中野鉄造君 私が危惧するのは、そういうようにこれから先どんどんこれが実施された場合には、かなりの負担であるために滞納者というか、そういう人たちが出てくるんじゃないかと思うわけです。 それといま一つは、過日の地方公聴会で私お尋ねいたしたわけでございますが、この国民年金について、厚生年金の場合は職場等を通じていろいろそういうPRだとかそういうことはやっておると思いますけれども、国年の場合は非常に周知徹底していない。今度のこの年金改正がどのようにどういう部分が改正されていくのかというようなことが国民の全般の方々にもうほとんどわかっていないという場合が多いわけなんです。いろいろな情報機関を通してということもありましょうけれども、地方公聴会で——大阪の場合だったんですが、記者の人が、取材に来ているマスコミの記者の人自身がどういうように変わるのか御存じなかった。こういうことが現実なんです。あれよあれよという間に、知らない間に、気づいてみたらもう年金改正になっていた、こういうようなことでは、今申しましたようなそういう滞納者続出というようなことになるんじゃないかと思うわけですが、今、この国民年金の改正ということについて、国民にどういうようなPRをしておられるのか。また、どのようにこれから周知徹底させていこうとされるのか。国民の総意というものは今は全然得られていない、少なくとも国民年金についていえば。そういうような感じがしてならないんですがいかがでしょうか。
○政府委員(吉原健二君) 今度の改正案を作成するに当たりましても、先ほども申し上げましたように、国民のいろんな各界各層の方の御意見なり各種の団体の御構想、あるいは審議会の御意見、そういったものを踏まえて今回の改正案を作成さしていただいたわけでございまして、その間におきまして私どもの政府案の、厚生省案の考え方につきましても、それぞれの時に応じてあるいはその場に応じて十分御説明をさしてきていただいたつもりでございますけれども、今御指摘のございましたように、具体的にどういうふうに変わるのか、どうなるのかという点につきましては、確かにまだまだ国民すべての方に十分おわかりいただいていない面があろうかと思います。 その点につきましては、今、国会でこの改正案を御審議中でございますので、成立をさしていただきましたならば、国民への周知徹底につきまして私ども十分、最大限の努力をさしていただきたい、こういうふうに思っております。現在の段階におきましては、できる限りの努力をしてきたつもりでございます。
○中野鉄造君 非常に端的なお尋ねですが、少なくともこの国民年金について、どういうところがどういうように改正されて、今後どのようになっていくかということを、特にこれから先の、サラリーマンの妻だとか、そういったような方々も含めて、まあこういうことをお尋ねするのはどうかと思うんですが、何%ぐらい徹底しているとお思いですか。半分いっていますか。
○政府委員(吉原健二君) なかなか率で申し上げるのは難しいのでございますけれども、新聞でありますとかテレビ、ラジオ、そういった各種のメディアといいますか、そういったPRの手段をできるだけ使わさしていただきまして御協力をいただいておりますので、私ども、かなりの方につきましてはこの年金改正が現状ではどういう問題があり、これによって今後どう変わるのか。細かい点は別にいたしまして、大筋の考え方等はかなりの方に御理解をいただいているのではないか、こう思います。
○中野鉄造君 厚生省のお役所の方々の奥様方に聞いていただけばいかがかと思うんですけれども、これはかなり疑わしいと思いますよ。どのくらい御存じなのか。
○政府委員(吉原健二君) これも私の個人的な感じになるかもしれませんけれども、御婦人の方は今度の年金改正に大変関心をお持ちでございますし、特にサラリーマンの奥様につきましては、今までの国民年金の任意加入が厚生年金の方にかわるというようなこともございますので、やはり相当の御関心を持っておられる。それから、特に働く婦人の方につきましては、いろんな点で大変大きな変化、改正が行われることになっておりますので、こういった方々の関心も大変大きくなってきている。 私どもの厚生省の方にお見えになる関係者の方々も大変多うございます。そのときには十分御説明をさしていただいているわけでございますけれども、そういったことで、不十分ながら、内容についての御理解もだんだん得られてきているんじゃないかというふうに思います。
○中野鉄造君 そこで、ちょっと大蔵省にお尋ねいたしますが、近年の個人年金保険の年度別の新規契約状況をお知らせいただきたいと思うんです。過去五年間ぐらいで結構です。
○説明員(寺村信行君) 恐縮でございますが、所管が銀行局でございまして、理財局ではちょっと資料を把握いたしておりませんものですから、恐縮でございますが……。
○中野鉄造君 私調査したところによりますと、この過去五年間にかなり新規契約はふえつつあるわけなんですが、こういうところから考えてみますときに、ややもすると、ひところ巷間でよく耳にしましたように、国民年金は掛けたって将来パンクするんじゃないのか、もうもらえなくなってしまうかもしれないよ。だから、やっぱり自分でいろいろな個人年金の方を選択した方が賢明だと、そういうようなことをよく耳にしたわけなんですけれども、それを裏づけるかのように、今申しましたように生保あたりではかなりの契約高が上がっていっている、このように私は見受けておりますが、この点について厚生省、どうお考えですか。
○政府委員(吉原健二君) 個人年金あるいは生命保険と公的年金、その役割、機能というものがはっきり違うわけでございます。お互いに、相互に補完する関係にはございますけれども、あくまでも公的年金は老後の保障の基本的な部分、基礎的な部分を賄う、社会保障としての年金でございますし、個人年金なり生命保険というのは、それを補う自己努力といいますか自助努力による準備であるし、また貯金、一種の個人の貯蓄という性格も持っておるわけでございますので、その機能なり役割が違うということでございますので、お互いに相排斥をし合う関係にはない、あるいは競合するというような関係にはないというふうに考えておりまして、公的年金は公的年金としてこれからさらに充実をさしていく。同時に、やはりそれを補うものとしての個人年金の必要性も私ども十分わかるわけでございます。 ただ、一時個人年金の加入に当たりまして一部ではあったと思いますけれども、公的年金が将来危なくなるというような、いわばそういった前提で加入を勧誘をしたというようなことも聞いておりますので、その点につきましては、そういうことのないように私は関係団体なり関係会社にも十分注意をさしていただいたということもあるわけでございます。
○中野鉄造君 先ほども申しましたように、そういう個人年金に加入しているといったような方々は、いろいろ私も階層別に調べてみますと、どちらかと言えば自営業者の方々が多いように思うわけです。その方々のそういう個人年金に入っておられる大きな理由の一つは、結局何といっても、これは国民年金の場合、仮に五十九歳ぐらいで不幸にして亡くなった、こういったような場合には、現行法でいけばわずかに二万三千円くらいの一時金しかもらえない、こういったようなこと等があって、何とも本当に営々として掛けたその金が、相互扶助という、その制度としてはよくわかるけれども、片や個人年金として掛けた分については、これはそれが丸々自分の方に返ってくる、こういうことからそういう傾向にあると思うんですけれども、この辺のところについてはどのようにお考えですか。
○政府委員(吉原健二君) 国民年金の死亡一時金の制度につきましては、現在、今御指摘のございましたように、三年以上二十年未満の方につきましては二万三千円という程度の金額になっているわけでございますけれども、この死亡一時金制度というものが、果たして公的な年金制度の中で本当に必要かどうかということについては、実は大変議論があるわけでございまして、やはり公的年金というものは、その方が年をとったとき、あるいは障害になったとき、あるいは遺族になられたときに年金給付として出す、そういったことのために、いわば保険料もいただいているわけでございますので、もし給付を出すとすればできるだけそういった給付を手厚くする。そして、大変残念なことではありますけれども、老齢年金を受ける前に亡くなられた方についてはいわば御辛抱いただくというのが基本的な考え方になっているわけでございます。 しかしながら、実際問題として、今もお話しございましたけれども、保険料を何十年と納めてきて実際に年金をもらう前に亡くなってしまったというときに、全然給付として出ないのはどうだろうかということで、国民年金ができますときにもいろいろ議論がございましたけれども、今の死亡一時金制度ができた。今回もこの死亡一時金というものを残しておくかあるいは改善をしていくか、実は両論あったわけでございますけれども、筋としては、先ほども申し上げましたように、できるだけ年金給付を手厚くするという考え方が筋だと思いますけれども、一方におきまして、やはり今の二万三千円程度の一時金じゃ入る気がしないというような率直な国民的な感情というものも十分理解できますので、そういったことも考えまして、現在の二万三千円を最低十万円以上という給付の改善をいたしたわけでございます。 そういった経過で、死亡一時金制度につきましては、今後そういった国民の素朴な感情どいうものを考えながら対応していかなければならないというふうに思っております。
○中野鉄造君 そうした計算の上から私はこれをちょっと試算してみたんですが、結局二十歳から五十九歳まで仮に平均九千円ずつずっと納めたとしますね。そうするとこれ四百六十八カ月です、約四十年ですから。そうすると、四百二十一万円の保険料を納めた、こういうことになるわけですが、仮に四百二十一万円、これを銀行に預けていけば当然それだけの利息も上乗せになる。もっとほかのいろいろな有効な方法もあると思いますけれども。そういったようなことからどうしても何かもしその前に今のような不幸な事態になったときには、制度としてはよくわかるけれども、ばからしいなあというような気がしてくるわけなんです。 それで、やっぱり国民年金の場合、どこかにもう少し、少しでも魅力があるようなそういう制度というか、見直しというか、そういうものにはならないんだろうかと思うんですけれども、この点は、将来のことも含めて何かお考えありますか。
○政府委員(吉原健二君) 今お話しのようなことも十分考えまして、実は現在の二万三千円という死亡一時金の額というものを最低十万円以上というふうに実質五倍近い改善をしたわけでございます。 率直に言いまして、いろいろ、死亡一時金をこんなに改善するくらいならほかの年金給付というものをもっと上げたらどうだという議論もあったわけでございますけれども、やはり実際に年金を受ける前に亡くなられた方のお気持ちを十分考えまして、こういった、私どもとしては思い切った死亡一時金の改善をさせていただいたわけでございます。やはりこれからの問題といたしましても、国民年金というのは、国民のお一人お一人の方が長年自主的に保険料を払っていただく、こういうようなことが前提になっておりますので、そういった方々のお気持ちというものを十分考えながらこの死亡一時金制度というものも、将来も考えていく必要があるというふうに思っております。
○中野鉄造君 この年金加入者が仮に今申しましたように五十九歳で死亡したときの厚生年金、国民年金、また、そういうような違いをひとつ言っていただきたいんですが。
○政府委員(吉原健二君) 厚生年金につきましては死亡一時金という制度はございませんで、残された遺族、配偶者なり子、孫、そういった方々に一定の要件に該当する遺族がおられるときにいわば遺族年金が支給をされる、こういうことになっているわけでございまして、そういった遺族がおられない場合につきましては死亡一時金も出ない、これが厚生年金の仕組みでございます。国民年金の方は死亡一時金が出る。それから当然母子年金というのが今あるわけでございますが、それは御自分の保険料に基づく母子年金であるということでございます。
○中野鉄造君 ちょっと私の質問がおかしかったんですけれども、そういうように厚生年金と国民年金と、死亡した場合に非常に格差がある。そこの見直しというか、そういう場合の配慮というものはないんですか。
○政府委員(吉原健二君) 今回の改正案におきましては、その生計の中心者が死亡された場合の給付といたしましては、従来は厚生年金は遺族年金、国民年金は母子年金という形で給付が出たわけでございますけれども、今度の改正案におきましては、そういったことではなしに、遺族年金として、もっと正確に言いますと遺族基礎年金として国民年金から基礎年金が支給をされる。一定の要件に該当する場合には厚生年金から独自の給付として遺族厚生年金が出る。こういう仕組みに合わせたわけでございまして、統一をしたわけでございます。 死亡一時金制度というのは、これは厚生年金につきましては従来からもございませんし、国民年金の独自の給付でございましたので、これはこれからも国民年金の独自の給付としてだけ死亡一時金というものを残しているわけでございます。
○中野鉄造君 そこで郵政省にお尋ねいたしますけれども、郵便年金が設立されたその趣旨、精神、それはどういうものですか。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
○説明員(西村博文君) お答えいたします。 先生御承知のとおり、昭和五十六年の九月に従来の年金制度を抜本的に改正しまして新しい郵便年金制度をつくったわけでございますが、まず基本的には、今いろいろ御議論になっておりますいわゆる国民年金等公的年金制度の充実というのは、老後の所得保障の中核となって今後とも重要であるということは重々承知をした上で考えているわけでございますが、ただ、高齢化が進んでまいりますと老後のニーズというものが非常に多様化してまいりまして、公的年金を超えたところでいろいろなニーズが発生してくるということがございまして、それを自助努力によりまして大いにやっていきたいという機運が非常に盛り上がってきたわけでございます。そのために、今後の活力ある福祉社会をつくっていくために、新しい制度といたしまして個人年金制度というのは非常に有望であるということを考えまして、従来の郵便年金制度を抜本的に改善をいたしまして現在に来ているわけでございます。
○中野鉄造君 そこで、過去五年ほどさかのぼりまして、郵便年金の毎年度の加入者数と保険金額の推移をひとつ教えていただきたい。
○説明員(西村博文君) お答え申し上げます。 今申し上げましたように、昭和五十六年の九月から新しい郵便年金をやっておりますので、その前のものは、その発足に従いまして一時的に特例措置を加えまして消滅させていただいておりますが、その昭和五十六年からの成績を申し上げますと、新契約が昭和五十六年度で八万件でございます。それから五十七年度が六万件、五十八年度が九万件、五十九年度は二月末現在で十万件となりまして、毎年徐々に増加しているような状況にございます。 保有件数で申し上げますと、二月末現在で三十一万件ということになっておりまして、年金額にいたしますと七百三十四億円という数字になっております。
○中野鉄造君 今も御答弁がありましたように、郵便年金の方が毎年毎年着実にふえていっているということは、国民感情からして郵便年金の方に国民の気持ちというのが、感情というか魅力というかそういうものは近いんじゃないか、こういうように思うわけですけれども、また、郵政省としては今後も当然加入促進に力を入れていかれる、こういうように思うわけですが、この点については厚生省としてはどういうように思われますか。それはそれで結構だ、郵便年金と国民年金とを比校すれば全然その性格は違いますと言われるでしょうけれども、国民感情からすれば、先ほどから言っておりますようにどうも郵便年金の方に魅力を感じるのは当然というようになってくるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(吉原健二君) 私どもとしては、やはり先ほども申し上げましたように、それぞれ機能なり目的が違いますので、相競合する、あるいは相排斥するようなものではないと思いますけれども、公的年金、国民年金が魅力がない、だから個人年金あるいは郵便年金に入っていく、流れていくというような傾向があるとすれば、率直に言いまして大変残念なことだと思いますし、また、私どもの努力も反省をしなければならない。 やはり老後の生活の基本を支えるのは公的年金である。それを補うのは個人年金なり郵便年金である。自助努力の一つの形態であると、そういったことは十分私どもも認めますけれども、基本はあくまでも公的年金でなければならない。そういった考え方で、公的年金につきましては国の負担も入れておりますし、あるいは生活費に対する実質の価値の保障ということもやっておりますので、そういった面の理解というものもさらに国民の方々に理解していただくように努力をいたしまして、公的年金が魅力がないからそちらの方へということのないようにやってまいりたいというふうに思っております。
○中野鉄造君 まあ私、国民の声を代弁して申しますと、先ほども郵政省の方からも答えがあっておりました、いわゆる老後の生活を豊かにするための一環としてこの年金の設立というのを五十六年に私どもやりましたと、こういうようなお答えでした。また厚生省も、老後の豊かな生活をと。しかしあくまでも国民年金が主でありまして、ほかの個人年金というものはそれを補完する立場のものである、こういうようなお答えなんですね。ところが現実に、個人年金の場合は、早く言えば年金の支給時期を自分で設定できるわけなんですね。いつ何歳から年金がもらえるようにする、そしてその金額も幾らずつもらえるように自分で好きなように設定されるわけです。そして、もし亡くなったというときには、これまたそれだけのものが返ってくる、そういう仕組みになっている。片方はそうじゃない。 今お答えになるように、厚生省で言われるのはそれはよくわかるけれども、先ほどから申しておりますように、国民の素朴な気持ちとしては、どうもそれはもう一つ魅力を感じない。はっきり言ってこっちの方が魅力をより感じるというようなこと。そこらを踏まえて、同じ政府の中で片方はこういうものがある、片方は今度こういうものにこうしよう。そこのところの話し合いというか、どうしてこういう競合したような形でいくのかなという、そういう国民の疑問もあるわけなんですけれども、その点についてはどのようにお考えですか。
○政府委員(吉原健二君) 繰り返しになるようでございますけれども、やはり郵政省の郵便年金と私どもがやっております国民年金というのは全く違うわけでございまして、やはりその辺の違いというものを国民のお一人お一人の方に十分理解をしていただくということが大事だろうと思います。 そういったことで、郵政省にも公的年金の重要性というものを十分理解なり御認識をいただいた上で郵便年金の業務を進めていただく、そういった姿勢をお願いをいたしたいと思います。
○中野鉄造君 郵政省では、この加入者の促進についてのいろいろな施策は行われていると思いますけれども、もちろん今後ともこれはその増強に努めていこう、こういう姿勢でしょう。
○説明員(西村博文君) 先ほど申しましたように、まだ三十万件程度ということは、世帯の比率にいたしますと一%そこそこという非常に低い水準でございますので、今後ますます高齢化が進んでまいりますと、こういった個人年金制度というものがプラスアルファ、先ほど厚生省の方でおっしゃいましたように公的年金を補完するものとして必要になってくるというふうに考えておりますので、一層努力してまいるという考え方でおります。
○中野鉄造君 そこで厚生省としては、この点公的年金の性格というようなものもよく理解していただいて、ひとつ郵政省に御協力をお願いしたい、こういうような希望を持っておられるようですけれども、率直にこの点について郵政省と厚生省は協議を重ねられたことはありますか。
○政府委員(吉原健二君) 郵政省が新しい郵便年金制度を出発をされましたのが五十六年であったと思いますけれども、そのときに厚生省と、私どもと十分いろいろ御相談をさしていただきまして、郵政省におきましても、郵便年金の業務の実施に当たっては公的年金制度の重要性について十分留意をしながら業務を進めていくというようなお約束をいただいておりますので、そういったことで進めていただいていると思いますし、その後、特に両省の間で御相談とか協議をさしていただいたようなことはございません。
○中野鉄造君 大臣にお尋ねいたしますが、この郵便年金ももちろんですけれども、一般の民間のいろいろな生命保険会社あたりでもこうしたこの種の年金を営業を開始しておりますけれども、こういったようなものが今回のこの国民年金の方に影響があるとお考えですか、ないとお考えですか。
○国務大臣(増岡博之君) 厚生省所管の年金につきましては強制力がございますのでそのような影響はないと思いますけれども、しかしやはり私的年金にしましても郵便年金にしましても、両者が整合性をもって補完をする立場というものをのりを越えていただくことはいかがかと思いますので、今後もそのような態度でよく協議をしながら進めてまいりたいと思います。
○中野鉄造君 これは末端に行けばもう本当に、例えばどちらがいいとか悪いとかいうことは申しませんけれども、末端に行けば、郵政省の郵便年金を勧誘する現場の人たち、そういう人たちは、あからさまには言いませんけれども、国民年金というものは先々どういうふうになるかわかりませんよ、こっちの方がより有利ですよといったようなことをしきりに言って勧誘していますよ。皆さん方も御存じだと思う。 それで、影響はないとおっしゃいますけれどね、あるんです、これ、はっきり言って。だから、そこのところはもっと、同じ政府の中ですから、よくよく御協議をなさってはいかがですかと、こう言っているんです。それを、御自分の方でもそういうことは多少影響あるということを御存じでありながら、あえてここでないなんて、そんなことを言わないで、やっぱりそれは率直にお認めになって、そして協議を重ねていく、そういう姿勢の方がいいんじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘の御趣旨に即して今後よく協議をしてまいりたいと思います。
○中野鉄造君 それで、大蔵省にお尋ねいたしますけれども、この公的年金の年金を受給する金額に対して控除額が五万円まで認められておりますけれども、郵便年金を初め個人年金というこの種類に対して今後どのような措置をとられますか。
○説明員(濱本英輔君) 公的年金それから個人年金の位置づけにつきましては、先ほど来厚生省からの御説明あるいは先生からのお話にございましたような考え方と、私どもももちろん同じような考え方に立っておりまして、公的年金の場合でございますと、その加入が強制されておりますし、それから掛金自体法定されておるという性格のものでございますから、社会保険料控除という特別な控除を設けまして、全額所得控除をしておるわけでございます。 一方、これに対しまして個人年金の方は、その加入は自由でございますし、掛金も任意でございますから、これにつきましては現在生命保険料控除の対象としておるわけでございます。 ただ、五十九年度の税制改正におきまして、自助努力の奨励でございますとか、あるいは社会的な連帯意識の助長といったような観点から、新たに一定の要件に該当いたします個人年金保険あるいは個人年金共済、先ほど来お話に出ております郵便年金の掛金につきまして、従来の生命保険料控除と別枠で、さらに年五千円支払い掛金につきまして所得控除をするという制度を検討いただき、新しくその制度が導入された、そういう状況にございます。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
○中野鉄造君 そこで、今度は郵政省にお尋ねいたしますが、先ほどのような大蔵省の答弁ですが、年金受給時になるとそれは税金をかけられますよということは、加入契約の時点では余り言っていないと思うんですけれども、この点いかがですか。
○説明員(西村博文君) 本人がお掛けになりまして本人が受給される場合でございますと、郵便年金の年金額が最高年間七十二万円でございますので、その際にかかる税金というのはそれほど大きな影響を持つものではないというふうに考えておりますが、それ以外に、契約者と受給者が違うようなケースにつきましては、年金受給権の問題とかいろいろあることを十分承知しておりまして、そうした関係につきましては、現在外務員の方に十分教育をやりましてトラブルのないように努めておるところでございます。
○中野鉄造君 大蔵省、郵政省結構です。 ところで、今回の厚生年金の改定に当たって第三種特例を廃止するということがありますけれども、特例というのはどういう内容を指すわけですか。
○政府委員(吉原健二君) 第三種被保険者つまり石炭等の坑内員の方々の特例でございますけれども、二つございまして、一つが支給開始年齢についての特例でございまして、一般の被保険者、厚生年金の場合六十歳になっておりますけれども、五十五歳から支給されるというのが一つでございます。 それからもう一つが年金の資格期間の計算についての特例でございまして、一年についてそれを一年を一年として計算するのではなしに、三分の四倍をして計算するという特例が認められているわけでございまして、具体的には、通常の場合には二十年で厚生年金の資格がつくわけでございますけれども、十五年でもって二十年の計算を行って資格がつく、こういう資格期間の特例がございます。それから、若干保険料についての違いがあるわけでございます。
○中野鉄造君 それを廃止するということなんでしょう。
○政府委員(吉原健二君) その二つの特例のうち、支給開始年齢についての特例はこれからも存置をする、残しておくということにいたしております。 資格期間の計算についての特例は、これは今後廃止をするという考え方に立っているわけでございます。 なぜ資格期間十五年を二十年にみなして計算をするというような特例が認められたかといいますと、やはりそれは国民皆年金制度が発足する前、通算制度もないようなときに、十五年も加入をして坑内員でなくなった場合に年金の支給を受けられるような道がなかったわけでございます。そういったことで十五年を二十年という資格期間に計算をして年金支給に結びつけるようにしたというのがその当時の基本的な一番大きな理由であったわけでございます。 しかし、国民年金ができまして、ほかの職種に移りましても、坑内員でなくなりましても、必ずどこかの年金制度には加入をする。厚生年金の一般被保険者あるいは厚生年金を脱退いたしましても国民年金で通算をされる、こういうことがあります。当然十五年の加入期間は生きてくる、年金に結びつくということになりましたので、国民皆年金の体制ができたときに、果たしてそういった資格期間についての特例を残しておくことがいいことかどうか、いろいろ議論があったわけでござますけれども、現在まではそのままの状態にしておいたわけでございますけれども、今後とも残すかどうかについては、やはりもう必要ないのではないか。そういった特例というものはこれから廃止すべきであるという審議会での御意見もございましたので、廃止ということで改正案をつくらしていただいたわけでございます。
○中野鉄造君 そうすると、現行と比較すると、どのくらいダウンしますか。
○政府委員(吉原健二君) ちょっといろいろ資格期間が、坑内員の期間が何年であったかによって給付の水準のダウンの仕方が違ってくるわけでございますけれども、単純なモデル計算で申し上げますと、十五年で二十年並みの年金が出ていたわけでございますので、今度は仮にそれが十五年並みの年金ということになりますと、単純に言いますと大体四分の三ぐらいな計算になる、こういうことになるわけでございますが、支給開始年齢が実は五十五歳そのままになっておりますので、その点につきましては相当坑内員の、第三種の被保険者についての有利な面がなお今後とも残っていく、こういうことになるわけでございます。
○中野鉄造君 この第三種のこれに適用される人たちはどのくらいの人数でございますか。
○政府委員(吉原健二君) 現在は約三万人でございます。
○中野鉄造君 では次に、各種公的年金に国庫補助金がついておりますけれども、五十九年度と六十年度予算ベースでこれは計上されておりますけれども、国民年金、福祉年金、厚生年金、船員保険、国家公務員、地方公務員、私学教職員、農林漁業団体、これの受給者一人に対してどのくらいの国庫補助金という計算になりますか。
○政府委員(長尾立子君) 社会保険庁で所管をいたしております厚生年金、国民年金、船員保険について申し上げます。 計算の方法でございますが、五十九年度の当初予算における各制度ごとの国庫負担額を各制度の総受給者数で割りまして計算をさせていただきました。こういう前提で計算いたしますと、受給者一人当たりの国庫負担額は拠出制の国民年金の場合に八万三千円、福祉年金の場合は三十二万五千円、厚生年金の場合は十一万七千円、船員保険の場合は三十五万二千円となっております。
○中野鉄造君 私、これは過日のある新聞で見たんですけれども、今おっしゃった数字、これはかなりの違いがありますが、これは恩給が入っているのかな。——地方公務員、国家公務員、これは幾らになっていますかね。もう一遍言ってください。
○政府委員(長尾立子君) 厚生省所管のものだけをお答え申し上げましたので、地方公務員等につきましてはお答えを申し上げておりません。ちょっと私どもの方では、確実な数字を申し上げられません。
○中野鉄造君 では、残余の質問は保留します。
○安武洋子君 本法案の審議に先立ちまして一言申し上げたいわけですが、本法案は、中曽根内閣が推し進めております軍拡と財界奉仕、そして国民生活破壊の路線、これを公的年金制度の分野にまで全面的に適用しているというふうなことで、老後の生活保障に対します国の負担を徹底的に削減する。そして給付水準の大幅な引き下げと負担の大幅な引き上げ、これを同時に盛り込みました年金制度始まって以来の歴史的な大改悪であると思います。 けさほども私申し上げましたけれども、中曽根総理は、戦後政治の総決算と、こういうふうに言っておられるわけですけれども、中曽根総理の言う戦後政治の総決算、この中身というのは、国民にとりましては、福祉、教育制度の抜本的な制度改悪というふうな、もう徹底した切り捨て、こういうものであります。本法案もその一環として提出されているということで断じて許しがたいということをまず申し上げておきます。 そこで、大臣にお伺いいたします。本法の施行というのは六十一年の四月一日からというふうになっておりますが、現時点で、この施行はもう不可能ではございませんか。
○国務大臣(増岡博之君) この改正によりまして、コンピューターの作業等がございます。かなりの期間を要すると思いますけれども、これはそれぞれの担当者の努力によって解決ができる問題でございますけれども、私どもから申し上げますと、できるだけ早く御可決いただきたいというふうに考えております。
○安武洋子君 私ここに持ってきましたが、「年金改革を考える」、厚生省年金局がお出しになっておりますが、ここに「国民年金、厚生年金保険は、加入者数が五千三百万人、受給者数が千五百万人と、それぞれ公的年金制度全体の九割を占める大所帯ですから、制度の実施までには、業務処理面の整備も含め、ある程度の準備期間が必要です。」と書いて、「したがって、共済年金も含め、昭和六十一年に同時に新制度のスタートを切るためには、まず、昭和五十九年に、国民年金、厚生年金保険等の制度改正を実現する必要があります。」と、こうなっております。ということは、五十九年はもう既に過ぎ去っております。ですからもう私は間に合わないのではないかと思いますが、おたくの方で書いてなさるわけですから、いかがですか。
○政府委員(長尾立子君) 先生御指摘の点は、このパンフレットの中に、「実施までの準備に二年程度は必要」であるということを書いてございますので、この点についての御質問かと思います。その点につきましてお答えさしていただきます……
○安武洋子君 あなた違ってます。九ページのところを私読み上げたんです。
○政府委員(長尾立子君) はい、わかりました。失礼いたしました。 「昭和六十一年に同時に新制度のスタートを切るためには、まず、昭和五十九年に」「制度改正を実現する必要があります。」というふうに書いてあるわけでございますが、この点は、今私が読み上げさしていただきました、実施までの準備に二年が必要という趣旨で申し上げておるわけでございます。 このパンフレットをつくりましたのは昭和五十九年でございますが、この実施までの準備の二年という内容につきましては、今大臣からも申し上げましたように、膨大な受給者につきましての年金の裁定をコンピューターシステムでやらしていただいておりますので、このシステムの切りかえということに一番大きな時間がかかるわけでございます。システムの切りかえでございますが、これにつきましては、いわば全体のシステムの切りかえをどういうような順序でやっていくかということになるわけでございますが、全体といたしましてどの程度の開発規模になるか、例えばそれはビット数でどれくらいになるかというような基本的な全体の見積もり、こういう基礎設計でございますが、こういうものにつきましては、この法案を国会へ提出いたしましてから私どもとしては大まかな見積もりをさせていただいてまいりました。こういう意味ではこの全体の準備の二年間の一部、基本的な部分につきましては、私どもは全体の見通しを立てさしていただいて進めさしていただいております。 問題は、今後具体的には国会の御審議の中で決めていただきました給付のシステムをシステムとしてプログラムを組んでいくということに時間がかかるわけでございます。この点につきましては、システムの設計につきましては細心の注意をもちまして、かつ、テストを何回も繰り返してやらざるを得ないという実態でございまして、できる限り時間をいただければ、これはありがたいわけでございますが、私どもといたしましては、できる限りの努力をさしていただきまして、昭和六十一年四月の実施に間に合わせるため最大限の努力をさせていただきたいと思っております。
○安武洋子君 今私が読みましたのは、これは五十九年に制度改正を実現する必要があります、こういうことだったんです。ところが、今御答弁がありましたけれども、百一国会であなた方はこういう文書を配ってなさいます。これは年金局長がよく御存じで、局長が作成されて、そして大臣も御存じだということですが、百一国会、これはもう去年の八月の七日に終わっておりますけれども、「年金法案は今国会で是非成立を図る必要がある。」というふうなことで、「膨大なコンピューターシステムの切り替え作業(新プログラムの開発、その実施のためのテスト等に少なくとも一年半必要)からみて、六十一年四月実施が不可能となる。」、成立しなかったらね。こういうことをおっしゃっておりますでしょう。一年半どころか、もう一年を切っているわけです。今法案審議が始まったばかりなんです。成立の見通しも立っていないわけです。ですから、こういうことから考えると、大臣、実施不可能じゃありませんか。
○政府委員(吉原健二君) 私どものお願いといたしましては、昨年の二月に国会に法律を出さしていただきまして、何とか五十九年度中に通していただきたい、それが閣議決定の一つの公的年金の改革のスケジュールにもなっておりましたので、五十九年に厚生年金、国民年金、今のこの法案を通していただき、六十年に共済の法案を御審議をお願いして、同時に六十一年四月からの実施、そういうスケジュールがもう既に閣議決定をされておりましたので、その考え方、スケジュールに沿って五十九年度中の成立をお願いをしておったわけでございます。今の御指摘の私どものお願いは、昨年の通常国会が終わる時点でお願いをさしていただいたわけでございますけれども、その後、何とか五十九年度中に成立をお願いをいたしましたところ、衆議院では昨年の十二月に審議を終えていただきまして、衆議院を通過さしていただいたわけでございますけれども、参議院の方も何とか年度内に成立をお願いをして、今日に至っているわけでございます。 そういったことで、だんだん私ども準備の期間が短かくなってきておりまして、率直に言って焦りもあるわけでございますけれども、何とか六十一年四月の実施という基本的なスケジュールというものはそのままでやらしていただきたいというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたしたいと思います。
○安武洋子君 昨年のお願いであろうとことしのお願いであろうと、百一国会、これは現実に五十九年八月の七日で終わっております。それまでにあなた方は、六十一年四月実施が不可能になるんだということで、一年半は必要なんだと言っておられる。だから、ことしのお願いであろうと去年のお願いであろうと、そのことは変わらないわけでしょう。だったら実施が不可能じゃありませんか。
○政府委員(吉原健二君) 一年半という期間はもう来年の四月までにございませんけれども、約一年の期間がまだあるわけでございます。一年の期間というのがございますので、何とか一日も早く御成立をさしていただいて、実施に間に合わせさしていただきたいというふうに思います。
○安武洋子君 でも、同じこの「年金改革を考える」、ここの中には、「実施までの準備に二年程度は必要」と、あなた方はきちっと書いてなさる。「国民年金、厚生年金保険は、加入者数が五千三百万人、受給者数が千五百万人と、それぞれ公的年金制度全体の九割を占める大所帯であり、今回のような大改正を円滑に実施するためには、業務処理システムの整備等に二年程度の準備期間が必要です。(ちなみに、現行国民年金法の公布(昭和三十四年四月)から施行(昭和三十六年四月)まで二年を要しています。)」と、わざわざ現行国民年金法の公布で二年を要した、だから二年程度は必要なんだと、こうおっしゃる。そして百一国会では一年半必要なんだとおっしゃる、そして今になったら一年だとおっしゃる。こんなバナナのたたき売りみたいなことをおっしゃるけれども、本当にあなたたちはそんな態度でいいんですか。今現実に、あなたたちが一年半だ、二年だ、こう言っておられる、その期間がもうないわけでしょう。だから施行できないはずと思いますが、いかがなんですか。大臣、答えてください。
○国務大臣(増岡博之君) 先ほど部長から申し上げましたような、ある程度頭の中での作業はやらしていただいておるわけでございまして、また、今後あらゆる努力を重ねまして、過誤のない作業を行ってまいりたいと思いますので、どうかよろしく、なるべく早く御審議をお願い申し上げたいと思います。
○安武洋子君 頭の中の作業でなく、国会に隠れて実際の作業をやっているんですか。
○政府委員(長尾立子君) 先ほど先生に御説明申し上げましたように、具体的な給付の仕組みと制度の内容にかかわります部分は、具体的にはプログラムをかいていくという作業になるわけでございますが、この点につきましては、国会の御決定を経て後でないとできませんので、その点は先ほど御説明申し上げましたように、この御決定を経ましてから私どもやらしていただくわけでございます。しかしながら、これに至りますまで、この制度改正全体がどういうようなシステム上の問題をはらむかというようなこと、建築で例えますれば基本的な見積もり、資材がどれくらいかかるかというような、これにつきましても相当な時間がかかるわけでございますが、この部分の作業はやらさしていただいております。
○安武洋子君 じゃ、あなたたちはサバを読んで国会に対してもこういう恐喝的な態度をとられている、国民に対してもサバを読んでこういう広報誌を出されている、そういうことですね。大臣、笑ってなさるけれども、そうじゃありませんか。 じゃ、六十一年四月実施のためのタイムリミット、これを伺いますが、正確に答えてください。 一体いつがタイムリミットなんですか。
○政府委員(吉原健二君) 一日も早い成立をお願いさしていただきたいと思います。
○安武洋子君 タイムリミットはいつかと聞いているんです。あなたから成立が云々と、そんなことを私は答弁をしていただくつもりはありませんよ。 私は、こういうふうにあなたたちがサバを読んでおられるから——もう一度言いましょうか。あなたたちは、一番最初にこれには二年必要だと、こう書かれているんですよ。これは国民向けの広報誌ですよ、税金を使っているんですよ、国民の。そうして、ここには五十九年に制度改正を実現する必要がありますと言っているんですよ。百一国会に配ったあなた方の文書、これには、もし仮に今国会で成立しなかったらこれは大変なんだということで、一年半は必要だと、こういうことを書いておられるんですよ。 だから、あなたたちは二転、三転、四転、こういうふうなことを言っておられるけれども、本当のタイムリミットはいつなのかと私は聞いております。
○政府委員(吉原健二君) 率直に申し上げまして、もうタイムリミットぎりぎりのところにあるわけでございます。そういったことで、これ以上というようなことは、本当に率直に言ってございません。もう一日も早い成立をお願いしているわけでございます。
○安武洋子君 ぎりぎりだと言うけれども、いつなの。
○政府委員(吉原健二君) 私どもの気持ちとしては、もう今、現時点がぎりぎりのところでございます。ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
○安武洋子君 じゃ、現時点がぎりぎりなら、これはまだ審議に入ったばっかりですからね。成立の見通し立っていないわけ。だからもうだめだと、こういうことでしょう。大臣いかがですか。
○国務大臣(増岡博之君) 先ほどから申し上げておりますように、今後の努力もあることでございまして、法案の成立がおくれますとそれだけ現場の職員に御苦労をかけるわけでございますので、その点も御配慮をいただきまして、一日も早く御可決いただきたいと思います。
○安武洋子君 今がぎりぎりだと言っているから、職員が少々苦労したぐらいではだめなんでしょう。そんな簡単なものではないはずなんです。それは私が言っているんじゃない、あなた方が言っている。これは百一国会であなた方の配られた文書の中で、「仮に成立しなかった場合次のような問題がある。」というふうなことで、「六十一年四月実施ができない場合、次のような深刻な事態が生じる。」と書いておられるんですよ。その(1)に、「財政再計算のやり直し、経過措置の見直し等改正案を再度一から作成し直すこととなる。」と、一から作成し直したらいかがですか。もう間に合わないんでしょう。こんな重大なことをあなた方は軽々と言われる。いかがですか。一から作成し直してください。これでは審議できない。
○政府委員(吉原健二君) 私ども今お願いしております改正案というのは、やはり六十一年四月の実施を前提につくった改正案でございますので、何としても六十一年四月の実施ということができませんと、非常にその改正案の内容、考え方自体にもいろいろまた影響が出てくるわけでございます。そういったことで、六十一年四月実施が何とか間に合うようにこの法案の成立をお願いしたい、その文書もそういう趣旨でお願いしたわけでございます。
○安武洋子君 文書のことを聞いていないわけですよ、なぜ出したかなんて。六十一年四月、それにあなた方は実施したいと思っているので、その実施に向けてあなた方は二年要る、一年半要ると、もう今がぎりぎりだとこうおっしゃる。まだ法案は成立もしていない、この百一国会の中で成立しなかったら六十一年四月実施が不可能になるんだと、そして、その中身として、財政再計算のやり直し、経過措置の見直し等改正案を再度一から作成し直さなければならないんだと。そういう事態にもうなってしまっているじゃないですか。あなた方が書かれたんだから、責任を持ってもう一度これは再計算やり直して、再度一から作成し直して、出し直してください。それでなければ審議はできません。
○政府委員(吉原健二君) 繰り返しになりますけれども、今の時点ででございましたならば、何とか六十一年四月の実施に間に合わせるように私どもも努力をさしていただきたい、こう思っておりますので、今の改正案で御審議をお願いをいたしたいと思います。 〔安武洋子君「委員長、だめですよ、こんな にころころとうそをつかれたんでは」と述 ぶ〕
○委員長(遠藤政夫君) 安武君、御質疑を願います。
○安武洋子君 一遍これ理事会ででも諮ってください。こんなのだめですよ。審議の前提が狂うんですもの。
○委員長(遠藤政夫君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(遠藤政夫君) 速記を起こして。
○国務大臣(増岡博之君) 先生御指摘のように、これからも審議に日数を要するわけでございます。その間のことにつきましては、その後におきます諸準備につきまして内部で鋭意努力をいたしまして、所定の内容をできるだけ期間を詰めて、来年四月までに間に合わすようにいたしたいと思いますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
○安武洋子君 私は、もう一貫して、これは国民と国会を愚弄するものだと、国会軽視も甚だしいということを申し上げたいんです。 それだけでないんです。せっかく大臣が謝ってはくださったけれども、まだまだいっぱい問題がありましてね。この広報誌ですけれども、「年金改革には長い期間を必要とする」から、実施までの準備期間が必要だ、だから「早期にその実現を図る必要があります。」と、こういうふうに書かれているんですよね。配られたこれにも、「是非成立を図る必要がある。」。私は、この法案の成立を図るとか図らないとかというのはこれは国会の仕事、議院がやること。一体、厚生省がこういうことをやるんですか。
○政府委員(吉原健二君) 表現において不適切だったかと思いますけれども、国会での成立をお願いしたいということでございます。
○安武洋子君 どこにお願いしたいと書いてあるんですか。「是非成立を図る必要がある。」、こちらは「早期にその実現を図る必要があります。」、これがお願いでしょうか。しかも、これは大臣も認められた文書。こちらの方は国民の税金で出された広報誌。政府が責任を持って出されている広報誌に厚生省が、「早期にその実現を図る必要があります。」、これは国会軽視、国会に対する介入じゃありませんか。大臣、どのように思われますか。
○国務大臣(増岡博之君) その気持ちは、先ほど年金局長からお話ししましたように、国会にもお願いをして御審議をいただかなきゃならぬし、それから、その結果成立をさせていただきましたときには、それに伴って厚生省内部でもいろいろ努力をしなきゃならぬし、また、国民の皆様にもいろいろ御理解をいただかなきゃならぬ、そういうものを含めておる言葉であろうかと思います。決して国会に対してこういうことをしてくださいという、まあ成立はさせていただかなきゃならぬわけですけれども、そのことを強制するとかいうような気持ちでは毛頭ございませんので、御理解をお願いしたいと思います。
○安武洋子君 大臣、どちらにしても、こんなことを厚生省が書くのは行き過ぎだとお認めになりますでしょう。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のような趣旨ではございませんけれども、文言につきましては不適切であることは認めます。
○安武洋子君 まだこれ随分と問題があるんですが、私は、どちらにしましても、本法案というのは、二十一世紀にもわたる、数十年にもわたる給付水準とか保険料、こういう方向を決定していきます。ですから、こういう改悪案に対しまして、私は、その与える影響は非常に大きいというふうなことで、とりあえず最低十時間ということで質疑時間を要求いたしておりますので、これはぜひ保証していただきたいということで審議を尽くしてまいりたいと思っております。きょうは九十分ですけれども、先ほどから何か随分とこういうものが出てまいりまして、私は審議の前提が狂うというふうなことで申し上げてまいったわけです。そこで、私はきょうはこの法律のねらいとか、年金の財源対策とかということで、また他の問題につきましては後日ゆっくりと論議をしたいというふうに思っております。 それで、大臣にお伺いいたしますけれども、本法案は現行給付を、給付水準は三〇%切り下げる、保険料は将来二倍以上に引き上げていく、国庫負担は削減する、このように改めるのだと思うわけです。いろいろとその理由というのはおたくたちはおたくたちなりに挙げておられるわけですけれども、実際のところ、こういうふうになるということは、これはお認めでございましょうね。
○政府委員(吉原健二君) 私どもは、給付の適正化、それから保険料の負担というものを国民全体の方に負担をしていただける限度内にとどめるようにしようということでございまして、給付の切り下げということにつきましては、そういったことではございませんで、あくまでも給付と負担の適正化と公平ということをねらいにしているわけでございます。
○安武洋子君 じゃ、給付は下がらないんですか。それを保証しますか。
○政府委員(吉原健二君) 下がる下がらないという言葉は必ずしも適当ではございませんが、今までの制度のままですとこれだけの年金がもらえたものが、それよりも低い年金になるというケースは十分あり得るわけでございます。
○安武洋子君 だから、つまるところ給付は引き下げる、負担額はふえていく、それで国庫負担は減っていく、こういうことは間違いありませんでしょう。
○政府委員(吉原健二君) 現象的といいますか、保険料につきましても上がるというよりか、もちろん今後とも保険料を上げていかなければなりませんけれども、将来の保険料負担の限界というものを同時にやはり下げていく、そういうことも私どもは大事なねらいにしているわけでございます。
○安武洋子君 私の言ったところとどこか違うんですか。違うということを言えますか。
○政府委員(吉原健二君) そういった、何といいますか、保険料負担についても今後とも上げるということは間違いございませんけれども、やはり今後保険料の将来の水準というものを適正なものにしていくと、そういうこともひとつ御理解をいただきたいと思います。
○安武洋子君 もっとちゃんとお答えになったらいかがなんですか。つまるところ、給付は引き下げる、負担はふやすということが間違いなければそのようにお答えいただきたい。 私は、年金制度というものは国民の老後生活の基盤と位置づけている、こういうことで、国民の老後生活に大きな影響を持ちます。だから、長期な展望を持って、しかも国民の合意と納得、これが要ると思うんです。こういうもとに改革を進めるべきだ。先ほど大臣もそういうふうに御答弁の中でおっしゃっておりました。この点は間違いございませんね。こういう立場ですね。
○政府委員(吉原健二君) 保険料負担につきましては適正なものにしていく。現在のままですと大変な保険料負担になるという将来の負担の限度というものをむしろ下げていく、そういうことを非常に大きなねらいにしているわけでございます。
○安武洋子君 だれがそんなことを言っていますか。 それじゃ聞きますけれども、全然負担はふえない、給付は下げない、現行制度に比べて。こうあなた断言できるんですか。私はそうでしょうということを言っているんだから、そうならそのとおりとお答えになったらどうですか。そうでないなら、そうでないとおっしゃい。
○政府委員(吉原健二君) 保険料負担、保険料率は、現行制度におきましてもずっと、財政再計算、年金改定のときに負担の料率の引き上げを行ってきたわけでございます。そういったことは今後ともやっていかざるを得ないわけでございますけれども、現行のままにいたしますと、将来の保険料負担の水準というものは大変なものになる。その負担の限度というものを下げる、適正な負担にしていくということが非常に大事な点なんでございます。
○安武洋子君 あなたも強情な方ね。適正か適正でないかということなんか言っていませんよ。下がるんでしょう、給付はと。それで掛金は上がるんでしょう。その事実が違うのか違わないのか。 それで、私が次の質問をしているのにあなたそれにお答えじゃない。国民の合意と納得のもとで改革は進めるべきだ、どうなんだということを聞いております。二つ答えてください。
○政府委員(吉原健二君) 国民の合意と納得のもとに、私どもこの改正案をつくるに当たりましてもそういう努力をしてきておりますし、これからもそういった努力というものは続けていきたいと思います。
○安武洋子君 そういうふうに社会保障制度審議会の答申にもちゃんと出ておりますでしょう。 それで、国民の合意を得るということのためには、当然のことながらこれは正確な判断ができるということでなければいけないわけですから、正確な情報、資料、これを提供する、このことは大切なことじゃないですか。
○政府委員(吉原健二君) できるだけそういうふうにしていきたいというふうに思っております。
○安武洋子君 公的年金制度に対して、一体どのような立場で国民に情報、資料を提供なさっていらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(吉原健二君) この改正案をつくるに当たりましては、先ほども申し上げましたけれども、各界、各種のいろいろな団体の構想というものを十分参考にさしていただきましたし、今度の政府案の作成に当たりましても、主としてやはり政府案の作成の段階でございますから、審議会等の場におきまして、私どもの考え方なりあるいは財政収支の見通し、そういったものをお示しをさしていただきまして今度の改正案を作成さしていただいたわけでございます。そういったことをもとにして、今回の改正案を国会に提出をして、今御審議をいただいているということでございます。
○安武洋子君 どういう立場で国民に情報を提供しているのかと私は聞いているんですよ。それをあなた方がちゃんとお答えになっている。これは社会保険庁が、「公的年金は国が責任をもっている信頼に足りる制度であることを訴える」というふうに言ってなさるわけです。そういう立場なんでしょう。
○政府委員(吉原健二君) そういうことでございます。
○安武洋子君 そうしますと、「厚生」、これの三十二ページを見てください。ここに、成熟時の標準年金額と六十一年の標準年金額の比較表、これが出ているわけです。これが正確な資料と言えるでしょうか。私はこのページをコピーしたんですけれども、これを見ますと、国民は、まあこれなら余り変わらないからいいのではないかというふうに思ってしまうわけですよ。でもこの表は、夫婦が同時に六十五歳になる、そして加入年数は別にしまして、従前とほぼ同じ年金になるというときの表なんですけれども、一般的ではないわけです。なぜかと申しますと、日本の例というのは、妻の方が三歳以上ぐらいは若いわけです。ですから大体この妻分五万円、これが同時に給付されるということにはならないわけですね。それがいかにも妻も同時に六十五歳になって妻の五万円もここの中に入ってしまうんだというふうな書き方なんですね。この例は一般的でなくて、まことにこれは不正確ではありませんか。いかがですか。
○政府委員(吉原健二君) むしろ私どもがお示しをしている例が一般的なのではないかと、私どもはそう思っているわけでございます。やはり夫婦がともに老齢基礎年金を受ける六十五歳以上になった場合の年金額、それが現行の場合とそれから改正案の場合においてはこういう関係になると、こういうことでございまして、私はむしろ老齢年金の水準として考える場合には一般的だということで御理解をいただけるんじゃないかと思います。
○安武洋子君 夫が六十五歳、そして妻が同時に六十五歳になるという例というのは少ないわけですよ。だから国会で修正されたわけでしょう。国会の修正で六十歳から六十五歳まで妻に加給をするというふうになったわけでしょう。私はもう少し正確に物事を見て御答弁していただきたいと思います。被用者世帯ですけれども、夫婦合わせた年金水準で現行水準の維持、こういうことが法案の趣旨にもうたわれているわけですよね。私はやっぱりこういうことでは法案の趣旨にももとるということを申し上げておきます。六十五歳の問題につきましては日を改めて問題にしてまいりますけれども、さらにこの広報誌に移ってまいります。 ここの「厚生」の方です。これに有識者七人がいろいろと意見を書いておられるわけです。すべて最大級の褒め言葉、百二十点満点だと言う方もございます。余りにも私は一方的な記事ではないか。大臣は、有識者、これはすべてがこういう意見ばかりというふうにお考えでございましょうか。大臣の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(増岡博之君) ただいまその有識者の意見を見ながら申し上げておるわけでございますけれども、この改正案に対しまして、具体的な中身についてはやはりいろんな御意見もあるようでございますけれども、私どもの提案いたしております改正案全体につきましては、このような方向でやっていかざるを得ないという御結論のように思います。
○安武洋子君 有識者すべてが、こんな法案に対して百二十点満点だとか、いいんだとかというふうに思われるのなら、私は間違いだと思います。公聴会の中でもいろんな立場のお方がおられます。しかし、すべてこの法案のままでよいというお方は大阪の公聴会ではおられなかったわけですし、私はここに一つの新聞社の、こういう単に年金のことをよくわかってほしいというPR紙です、こういうものを持ってきております。しかし、単に国民にもうよくわかってほしいんだというだけでも、少し抜いてみますけれども、一人になっての五万円というのは何としても最低生活は不能です。年金自体何としても低過ぎるので云々というふうなことが書いてありますし、決して女性の年金がバラ色になってくるとはどうも思えないのは困ることですとかというふうに、こう書いてあるわけなんです。ですから私は、こういうふうな行政担当者が御自分に都合のいい人ばかりをより出して、そしてそういう意見を広報誌に載せるというのは、私は大変問題であろうというふうに思います。 さらに聞いてまいりますけれども、「厚生」の方をごらんください。この四十二ページ。この改正案をめぐりまして質問形式で記事が載っております。ここの中に、質問に答えるという形式で、「「基礎年金は誰にでも一律に出るということになる」と考えてよいのでしょうか。また、今回改正案では無年金者問題はどう扱われているのでしょうか」ということに答えておられるのです。ここに、「過去の制度加入の実績、保険料納付の実績にかかわらず給付をしようということまでは考えられていません。これまでの制度が要求していた義務に従わない人たちにまで、基礎年金を出そうというような「バラ色のもの」ではありません。」と、こういう書かれ方をいたしておりますが、これはどういうことですか。
○政府委員(吉原健二君) これは、国民年金等の制度に加入の義務がありながら、そして保険料を納める義務がありながら、そういった義務を果たしておられなかった方、いろんな事情があると思いますけれども、そういった方までも含めて基礎年金の対象にするというような制度にはしておりません、こういう趣旨でございます。
○安武洋子君 今言葉ではいろんな御事情があるでしょうがとか、そういうふうなことおっしゃいましたけれども、この書き方というのは、要するに国民年金の場合、保険料の納付義務を果たさなかったら無年金者になるとか、または五万円の年金はもらえないぞということでしょう。「義務に従わない人たちにまで、」云々と、非常な私は威嚇的な権力的な物のおっしゃり方、書き方だというふうに思うのです。 そこで聞きますけれども、国が義務を果たさない、こういうことになったらどうなるのですか。
○政府委員(吉原健二君) 具体的にどういう御趣旨の御質問かよくわかりませんが、やはり国も相応の責任なり義務を果たす、国民の方々にも法律で定められた責任なり義務を果たしていただく、こういったことによって年金制度は成り立つものだというふうに考えているわけでございます。
○安武洋子君 国も相応の義務を果たすとおっしゃいましたけれども、義務を果たしていないじゃないですか。厚生年金とか船員保険は給付費の二〇%を国が負担するということになっているはずです。厚生年金保険法の第八十条、これはどうなっておりますか。
○政府委員(吉原健二君) 厚生年金保険法の第八十条でございますが、国は厚生年金の給付に要する費用の二〇%を国が負担をすると、こういうことになっているわけでございます。
○安武洋子君 ちゃんと国が二〇%を負担するということが定められておりますでしょう。 そこで聞きますけれども、行革特例法で五十七年から六十年度の分で、この繰り延べ分です、国庫負担を繰り延べているこの元利合計、一体どれぐらいになりますか。
○政府委員(長尾立子君) 厚生年金の給付費の繰り延べ額は、繰り延べました額総体といたしまして、六十年度の現在までのものを総計いたしまして、九千四百七十億円でございます。これに当たります運用収入相当分ということかと思いますが、この計算は一応の仮定を置きまして、つまりそれぞれの年度におきまして繰り延べました分が資金運用部に預託されたといたしました場合の預託収入を前提として計算をいたしますと、千三百五億円でございます。したがいまして、両方合計いたしまして一兆七百七十五億円というふうに考えております。六十年度末の数字でございます。
○安武洋子君 この返済はいつ行なうんですか。
○政府委員(長尾立子君) 行革特例法におきましては、この返済分につきましては、将来にわたる年金財政の安定が損なわれることのないよう、特例期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、できるだけ速やかに繰り戻しに着手するという旨の規定がございますし、そういった趣旨の約束を国会で申し上げておるわけでございますが、現在のところ、具体的にその繰り戻しの時期を申し上げることはできないわけでございます。
○安武洋子君 時期も明言することができないと。私はやっぱり政府が果たすべき義務を怠っている、いわゆる滞納行為を行っている、行いながら国民に対しては先ほどのような大変威嚇的な書き方をなさっている。「これまでの制度が要求していた義務に従わない人たちにまで、」云々なんて、こういうことはやはりおかしいことじゃありませんか。
○政府委員(吉原健二君) 国は国として、やはり今後とも国の負担についての責任なり義務は果たしていかなければならないと思いますし、やはり国民の方々にも保険料の納付についての御理解なり義務を果たすということをお願いをいたしたいと思います。
○安武洋子君 国が義務を果たしていないよといって私は今申し上げているわけです。ちゃんとこの厚生年金保険法八十条で決まっている。しかしこの繰り延べをしている。その返済期限も明らかにしない。こういうふうに政府は義務を果たしていないにもかかわらず、国民に一方的に義務履行を迫るというのは、これはおかしいんじゃないかということを申し上げております。
○政府委員(吉原健二君) この厚生年金の国庫負担につきましての国の責任、義務というものは、五十七年から五十九年度までのいわば特例的な措置として、いわば会計上のやりくり——今度一年延長をお願いしておりますけれども、会計上のやりくりとして繰り延べをさしていただいているということでございまして、あくまでも制度的には国庫負担率二〇%は今も変わっておりませんし、これからも変えるつもりはないわけでございます。これからも果たしていくつもりでございます。 そういったことで、返済の時期等は、国の財政事情、そういったことがございますので、今いつから返す、繰り延べ分を返済をするということは、はっきり今の時点では申し上げられないわけでございますが、これは必ず年金財政に支障が生じないような措置をとる。実際の繰り延べ額というのは、利子の負担分も含めて必ず将来償還をするということになっておりますので、国の責任、義務というものは十分果たしていくつもりでございます。
○安武洋子君 制度は変わっていないけれども、懐ぐあいが悪いからといって国は納めていない。これは義務を果たしていないんです。ところが一方、懐が苦しくたって何だって国民に対しては義務を果たせ、こういう迫り方は一体何なんだということを私は申し上げております。もう全体として厚生省は国民を何と考えているのか。大変私は国民に対しても高圧的であるというふうに思うわけです。 それで、免除制度がありますね。これは法律上一体どのように行われておりますか。
○政府委員(長尾立子君) 国民年金の保険料免除について御説明を申し上げます。 保険料の免除は、国民年金法八十九条によりまして、法律によりまして免除される方がございます。これは、国民年金の障害年金、障害福祉年金、母子福祉年金または準母子福祉年金の受給者であるとき、生活保護法による生活扶助を受けておられるとき、らい療養所等に入所しているときでございます。 そのほか申請免除の制度が九十条にございまして、被保険者が保険料を納めることが経済的に困難なときに、都道府県知事に申請しまして、その承認により保険料を免除する仕組みになっております。 この場合の申請免除の基準でございますが、私どもから免除基準を示しまして、その線に沿いまして運用を実施いたしておりますが、この基準といたしましては、被保険者、被保険者の世帯主、被保険者の配偶者、いずれかに所得税法の前年分の所得税があるときはこれは免除できないと、非免除というふうに考えておりますが、被保険者、被保険者の世帯主、被保険者の配偶者、いずれにもその年度分の市町村民税均等割が賦課されておりませんときは免除をするというふうな、非免除、免除のラインを決めております。 問題は、この中間にある方のケースでございますが、この中間にある方につきましては、世帯の前年の所得、固定資産、世帯員の構成等の状況をあらかじめ決めておりますポイントによりまして審査いたしまして、免除するかしないかを決定するようにいたしております。
○安武洋子君 法律はわかりましたが、面倒くさいから免除をすると、こういうことがあるんですか。
○政府委員(長尾立子君) この点につきましては、私どもといたしましては、法定免除の場合には今のように該当するかどうかということの判断をすればよろしいわけでございますが、申請されます免除の方につきましては、免除をされますと給付の面におきまして給付率が下がるという事態もございます。こういう点につきましては、十分御説明の上、免除申請をお願いするように指導をいたしております。
○安武洋子君 いえ、私が聞いているのは、法律でそういうふうに行われるのはわかります。ところがただ、督促も面倒くさいから免除をすると、一体こういうことがあるんでしょうか。 私はここに「週刊社会保障」、これを持ってきております。そこにおいでの吉原さん、そして小山路男さんが新春対談をなさっております。これは「年金制度全体を統合一元化」ということなんですけれども、これを拝見いたしておりますと、この小山さんというお方は、これは上智大学の先生ですが、ただそれだけではなくて、保険審議会の厚生年金保険部会長さん、それから、今老人保健がさらに削り込まれようとしているわけですけれども、そんなことの一部負担の見直しということで言われておりますけれども、老人保健審議会の部会長さんです。この方と対談をなさっていらっしゃいます。この小山さんの発言で、「末端の行政のやり方を見ていると、だんだん保険料が高くなるので督促もめんどうくさいから免除にしてしまうというような市町村の職員の意識の問題ですね。」と、こういうふうに言っておられるわけですね。こんなことがあるんですか。
○政府委員(長尾立子君) 私どもといたしましては、保険料の免除につきましては、さっき申し上げましたように、御本人に十分その申請免除というものの性格を御説明いたしまして取り扱いをしていくように指導をいたしております。先生お話しのような事実があるということは承知いたしておりません。
○安武洋子君 ところが、吉原さんは「そうです。」と。これはどういうことですか。
○政府委員(吉原健二君) これは、全体をごらんいただければおわかりいただけると思いますが、つまり、だんだん保険料が高くなってきているということを小山先生が指摘をされまして、国会で問題になったのですが、免除率が非常に上がってきていることは事実です。この事実を私は認めたわけでございます。
○安武洋子君 まあ物も読み方ですけれども、しかし、小山さんがこう言われると、あなたは「そうです。」と、こういうことになっているわけですね。その後の方にも、今お話しの行政上の努力や取り扱い、こういうものが反映をしているのではないかというふうな気がするというふうにちゃんとおっしゃっているわけです。私は末端行政に対して本当に失礼だと思います。 私がここに持ってきたのは、これはすべて神戸市の年金に対する資料なんですね。こういうものまでつくって一生懸命やっているわけですよ。何も面倒くさいから免除をするとか、そんな取り扱いなんかしていないんです。これ見てください。まだまだあるんですけれども、一応これだけ持ってきました。こういうことに対して、あなたこういう対談に出て、それは物のはずみか何か知りませんけれども、こんなおっしゃり方をなさるというのは、私は末端の行政の人たちの努力、これを無にするものではないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(吉原健二君) これは、免除率というものが非常に地域といいますか、都道府県によって差が大きい、一体その辺の原因はどこにあるんだろうかということに関連してのお話でございまして、やはり実際問題としてその免除に対する都道府県といいますか、市町村の対応の仕方にある程度の差があることは私はあるんだろうと思っております。そういったことで、行政上の努力や取り扱いにさらに私どもとしては反省をしながら努力をしていかなければならない、そういったことを申し上げたかったわけでございます。
○安武洋子君 ろくに事務費も出さないで、そういうおっしゃり方というのは、私は本当に失礼だというふうに思います。こういうふうなやり方で国民に協力ばかりを求めていくと、こういうことになりましても、国民は信頼も納得もするはずがないんですよ。年金制度の経過を見てみましても、私は政府は余りにも身勝手だというふうに思います。厚生年金の発足と申しますのは、これは十九年の十月の一日です。二十九年に五十五歳支給、これを六十歳支給に改変をいたしております。そして二十年経過で六十歳支給を実現するということで、実現したのは四十九年です。 四十八年に年金局がパンフレットを出してなさいます。この中で、我が国の年金制度に何が望まれているかというようなことで書かれているわけですけれども、一体我が国の年金制度で一番何が望まれているというふうにおっしゃているんでしょうか。——何か困ってなさるようだから私が言って差し上げますけれども、我が国の年金制度に何が望まれているかということに、これは拠出年金額の大幅な引き上げというふうなことで、年金はまだまだ低いので引き上げるのが最大の課題と言っているんです。それから一転して、もう再検討のキャンペーンだということで世論づくりをされている。これは臨調行革だ、財政的な視点から私はこういう見直し論、世論づくりですか、こういうことで今厚生省が大合唱をされているというふうなことで、国民に対して全く無責任きわまりない。ここのところにはちゃんと我が国の年金制度に何が望まれているかということで、もうこの中にははっきりと年金はまだまだ低いので引き上がるのが最大の課題だというふうになっているわけです。こういうやり方というのは、余りにも国民に対して無責任だというふうに思われませんか。
○政府委員(吉原健二君) 四十年代までは、私どもも率直に言いまして、年金につきましては給付水準の引き上げということに重点を置いて努力をしてきたわけでございます。そういった結果、現在の給付水準は欧米諸国の年金水準に比べましても遜色のないところまで到達をしている。しかし、このままで一体将来ともそのままにしておいていいかということになりますと、先ほどからいろいろ申し上げておりますように、現役の賃金の額でありますとか、あるいは生活水準の額、それから保険料負担の関係、そういったことで非常に年金制度というものが大きくなり過ぎて、国民の負担の能力というものを超える、保険料負担の面において過大なものになり過ぎるという心配も出てくるわけでございます。 そういったことから、現在の給付水準をすぐ下げようという考え方はとっておりません。現在の水準を将来とも維持をしていく、そういったことで将来の給付の水準、それから保険料の負担の水準というものを適正なものにしていく、こういう考え方に立っているわけでございまして、四十年代の考え方と方向を転換をしたというようには決して私考えておりません。
○安武洋子君 何を言っているんですか。一番最初に、給付は引き下がっていく、掛金は上がっていく、こういうことで、一番最初に私が御質問申し上げたときに、あなたはそういうこともあり得る、そういうふうになっていくんだと。私が、私の言っていることが間違っているならそれを訂正してほしいということに対して異論を挟まれなかったはずでしょう。
○政府委員(吉原健二君) 私が申し上げましたのは、あくまでも現在の給付の水準というものは維持をしていく、将来の年金の水準というものを適正なものにしていく、こういうことを申し上げたかったわけでございます。あくまでも現在受けておられる方の年金の水準というものは、この改正案におきましても維持をしていくという考え方に立っているわけでございます。
○安武洋子君 維持かどうかということは後でまた論議をしてまいりますが、適正と言いながら、そのあなた方の適正の内容というのは、給付水準は下げていく、そして負担はふやしていくと、そういうことじゃありませんか。 国民年金の老齢年金の満額受給者、これが最初に出るのは一体昭和何年ですか。
○説明員(山口剛彦君) 国民年金、原則として満期入りますと四十年でございますけれども、現在の制度では期間二十五年で一応一人前の年金を出すということでございます。その二十五年の年金が出るのは昭和六十六年からでございます。ただ、繰り上げで受給される方はその五年前、六十一年から発生をするということでございます。
○安武洋子君 だから、満額の受給者が最初に出るのは六十六年の四月と、こういうことでしょう。
○説明員(山口剛彦君) その満額という意味が適当かどうかございますけれども、現在想定しております二十五年の資格期間の年金が出るのは、おっしゃるとおりでございます。
○安武洋子君 国民年金は三十六年の四月にスタートして、そして二十五年加入です。ですからまだだれ一人、あなたが今おっしゃった、私が満額と言っている、この満額年金を受給している人はいないわけです。 私はここに国民年金ガイドブック、これを持ってきているわけです。加入者はこれを見て加入をするわけでしょう。そうすると、ここには「老齢年金(通算老齢年金)」という欄があるんです。私はここに赤い線を引っ張ってきましたので、ここを読み上げます。「六十歳になるまでに二十五年間以上保険料を払い込んだ場合六十五歳になられたときから生涯受けられます。」、生年月日により十年から二十四年に短縮と。「厚生年金などの期間と合算した場合は通算老齢年金となります。」とこう書きまして、そして、例えば二十五年間保険料を払い込んだ場合、定額保険料を納めた人、年額五十六万五千五百円、定額プラス付加保険料を納めた人、年額六十二万五千五百円、こう書いてあるわけです。だれもこれを信じて保険に入ります。これはお認めになるでしょう、そういうことは。
○政府委員(吉原健二君) これは市町村のPRの書類でございますので、このとおりだと思います。
○安武洋子君 としますと、これは二十五年一生懸命掛ければ五万円だ、こういうことで入ったにもかかわらず、四十年掛けなければだめなんだ。こんなことで国民が一体納得するというふうにお考えでしょうか。
○政府委員(吉原健二君) 今回の改正案におきましては、四十年掛けた場合に五万円、こういうことになるわけでございますが、現在の時点では、国民年金の給付水準というのは、今もお話しございましたけれども、まだ二十五年の資格者が出ていないわけでございまして、最高十八年あるいは十九年程度の年金受給者が一番いわば高い年金、資格期間の長い人の年金になっているわけでございますが、やはり今回の改正におきましては、現在のそういった水準、既得権というものは保障しながら、将来に向けて期間に応じた年金額と水準というものを適正にしていく。そういった面におきましては、二十五年の資格期間を満たした場合における年金の水準が従来とは異なったものになる、こういうことでございます。
○安武洋子君 これを見て入るわけですよ。この条件で入るわけですよ。だから私が言っているんです。二十五年加入したらここに書いてある金額がもらえると思うのは、だれも当たり前でしょう。これでみんな入っているのに、途中でいきなり四十年でなければだめだという、こういうやり方で国民が納得しますか。
○政府委員(吉原健二君) 公的年金につきましては、実は五年ごとの再計算、そのときに年金水準の見直しをしてまいりまして、今までは、最初に加入されたときのいわば制度に比べまして給付水準が上げられてきている、そういう面があったわけでございますけれども、今後、将来の年金につきましては、やはり今の制度のままにしておきますと、保険料負担その他の面において年金の将来についていろいろな心配が出てまいりますので、将来に向けて給付水準を適正化していく、そういったこととの関係で、現在お約束しているいわば年金の水準というものが今度の改正によって違ったものになってくる。この点については、大変残念なことではありますけれども、やむを得ないと思いますし、御理解をいただきたい、私どもこう思っておるわけでございます。
○安武洋子君 私、将来のことなんか言っていません。これで入った人に、二十五年というので入った、だのに四十年にいきなりなる。これでやむを得ない、御理解いただきたい、こういうことで済む、そういう問題でしょうか。あなた方は、この広報のここのところで、「公的年金は国が責任をもっている信頼に足りる制度であることを訴える」、こうおっしゃっている。公的年金だから国が責任を持っているであろう、二十五年でこの約束どおり国がちゃんと約束を果たしてくれるだろうと思っているのに、四十年にいきなりやってしまう。こんなことで国民が納得すると思いますか。
○政府委員(吉原健二君) その辺についての御理解というものが、私どもやはり、今度の改正案については一番問題な点だと私どもも率直に言って思っております。 今の制度のままにしておきますと、仮に二十五年ないし四十年納められましても、そのときに果たして、実際に年金の支給期間を満たされたときあるいは六十五歳になられたときに、年金の給付というものが確実なものになるかどうか。そのときの年金財政というものは、どういう形になるだろうか。そういったことを考えますと、将来に向けての年金制度、年金給付というものをより健全かつ確実なものにするためには、やはりその点についても、将来についての年金水準について、今まではこうであったけれども今度こういうふうに変わると、こういうことについての御理解を得たいということで、今御審議をお願いをしているわけでございます。
○安武洋子君 まさに国民に対する恫喝じゃないですか、それは。そういう、制度を今のままでいくと将来大変なことになる。あなた方のやり方ならそうかもしれません。しかし、そうならないでいく方法だってある。それなのに国民に一方的に泣けと言う。そして、今そういうことを口にして、この法案を通さない限りはだめなんだというふうなことを言われるというのは、私は一貫していろんな書類を見せていただいて、何と厚生省というのは国民に対して威圧的なんだろうと思います。あなたの今の御答弁もそうですよ。国民に対してひどい御答弁です。こういうことが民間会社、保険会社、こんなところで通用すると思ってなさいますか。民間会社がこういうふうにして、国民に対して契約をとってくる。そして、会社の内容が苦しくなった、懐ぐあいが悪い。ちゃんと財政再建しようと思えばやり方もあるけれども、今のままでいくと財政的にも会社の経営が困難だ。だから、契約者にしわ寄せをして、二十五年で掛けてもらったのを四十年に変える、こういうむちゃくちゃなやり方というのは、私はとんでもないと。国庫負担の削減をねらったやり方ということで、ほんとに私としてもこんなもの通用しないと思うんです。 私は、こんなことでいいのか、大臣に御答弁をお伺いいたします。——大臣、お答えください。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘の面もあろうかと思うわけでございますけれども、この点につきましては、やはり保険制度として長期に安定させるためには各種改善あるいは給付と負担の関係等の考え方からそういうことになったものであろうと思いますけれども、今の二十五年から四十年になる問題につきましても、一挙にそのようなことになるのではないので、一応の経過措置をとっておるようでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○安武洋子君 一挙であろうとなかろうと、私が申し上げているのは、民間でこういうふうな契約を一たん結んだら、会社の経営がたとえどうであろうと、約束をたがえてしまう、二十五年を四十年にしていくというふうなことになりますと、裁判ざたにもなりますよ。パニックが起こりますよ。国だからといってこういうやり方が許されてよいものかどうか。国民に一方的に泣けという、こういうやり方が許されてよいものかどうかということで大臣の御答弁を求めておりまして、私が理解する、しないという問題ではない。これでは国民が納得しないということを申し上げている。もう一度大臣、答弁してください。
○政府委員(吉原健二君) 民間の個人年金なりあるいは生命保険におきましては、やはり契約加入時のいわば約束といいますか、そういったものを変えるということは考えられないと思います。同時に、やはりその年金の給付額につきましても、その後どのような物価の変動がありましょうと、あるいは賃金なり生活水準の変動がありましょうとも、約束した年金額を支払う、それは変えないというのが民間の生命保険なり個人年金の特徴だろうと思います。 これに対しまして、やはり公的年金というのは性格なり機能が全然違っているわけでございまして、先ほどからも申し上げましたように、給付の面でも物価や賃金に対してスライドして上げていくと、そういう面もあるわけでございます。従来ともそういうことでやってきたわけでございますけれども、今回はこれから遠い先の年金制度というものをより健全な安定したものにしていくために、長い時間をかけて徐々に給付と負担を適正化していこうと、こういうことでございますので、やはり生命保険あるいは民間の保険とは違った面も確かにございますけれども、十分御理解をいただきたいと思っておるわけでございます。
○安武洋子君 国だからといって、そういうやり方というのは私は許せないということを申し上げているんです。憲法二十五条、こういう立場から見ましても、高齢化社会に対応する——高齢化社会になることははっきりわかっているわけですから、そういう年金制度に対して国は、ここのところに書いてなさいますよね、あなた方が。「公的年金が基礎とするところは、国民の社会連帯です。」と。私はこれは問題だと思うんです。というのは、国の責務を放棄しておりますでしょう。憲法二十五条は、国がやはり責務を果たさなければならないということを規定しているわけです。ですから、憲法上の立場からも私は国庫負担の面でも相当な国は努力をすべきだと、こういうふうに思います。いかがですか。
○政府委員(吉原健二君) 今後とも国は、国庫負担その他の面でできるだけの努力をするということは当然だろうと思います。
○安武洋子君 努力をするなら、私は、こういう約束を一たんしたのだから、なぜこんなものを四十年にしていくとか、それから給付の水準、皆期待しているわけです。その期待権を裏切って、給付の水準を適正化の名によって下げていくのか。負担をなぜふやしていくのか。そういうことは憲法の二十五条の精神にのっとって、やめるべきです。いかがなんですか。
○政府委員(吉原健二君) やはり国の年金制度として一番大切なことは、これからも長期にわたってその年金給付というものが健全にかつ確実に行われる、そういった保障がされるということが私は一番大事なんではないかと思います。そういったことにおきまして、今の制度のままにしておきますと非常に心配な点がある。給付の面、負担の面、それから各制度間の公平の面でいろいろ問題点も持っておりますので、そういった問題点を解消し、高齢化社会の中で年金制度というものが、国の年金制度というものが有効に機能していくような制度なり仕組み、そういった基盤をつくる、そういったところに今度の改正のいわばねらいというものがあるわけでございます。
○安武洋子君 今のままでいくと云々ということを盛んにおっしゃいます。改善をしていけばいいわけです。国民が納得するように改善をしていくという方途を講じるべきです。一方的に国民に約束したこともたがえて、そして国民に対しての高負担そして低い給付、これを押しつけるということになるところに大きな問題があるわけです。ですから、国としても、私は公的年金は国が責任を持って信頼するに足るそういう制度でなければいけないと自分たちでそうおっしゃっているのに、国の責務を放棄しているということを申し上げたい。 社会保険審議会の答申でございますけれども、これは国庫負担について一体どのように言っておりますでしょうか。
○政府委員(吉原健二君) 社会保険審議会の御答申におきましては、「国庫負担の基礎年金への集中は妥当な措置と考えるが、これによって国庫負担が減少することのないよう、配慮すべきである」と、こういう御答申をいただいております。
○安武洋子君 現行制度を維持せよと言っているのは私は当然であろうというふうに思います。 それで、本法案によりまして国庫負担はどのように変わるのですか。国庫負担はどれだけ減少するのですか。
○政府委員(吉原健二君) 国庫負担の考え方をまず申し上げますと、今の社会保険審議会の御答申にもございましたように、現在は各制度ごとにばらばらの国庫負担が行われているわけでございまして、その率も違っているわけでございます。これを今度は基礎年金に国庫負担を集中する。基礎年金の給付費の三分の一を国が負担をする。これが基本になっているわけでございます。そのほかに、従来から国民年金の被保険者の免除の期間に対する国庫負担、そういったものは今後とも継続をしていくことにしております。 具体的に国庫負担がどうなるかといいますと、私ども、昭和六十一年制度発足時から約十年の推計を、非常に大ざっぱでございますけれども、推計をしておりますけれども、厚生年金、国民年金合わせまして、昭和六十一年度の国庫負担が五十九年度価格で約二兆六千九百億、それから六十五年度は三兆三千億、七十年は四兆七百億ぐらいになるのではないかというふうな推計をいたしております。
○安武洋子君 今の額は減少額ですね。私の問いに対する減少額ですね。
○政府委員(吉原健二君) 減少額ではございませんで、改正案、新制度におきまして国が負担をする額を申し上げたわけでございます。
○安武洋子君 だれがそんなことを聞いたんですか。私は国庫負担がどれだけ減少するかということを尋ねているので、そういう御答弁をされると、それが減少額というふうに受け取りますよ。なぜ正確にお答えにならないんですか。
○政府委員(吉原健二君) 現行制度との比較、まあ減少というとそういう御質問かと思いますけれども、現行制度のままにしておきますと国庫負担がどうなるか、この推計がまた大変いろいろ難しい面があるわけでございますけれども、仮に大ざっぱな推計をいたしますと、昭和六十一年度におきましては、現行制度ですと二兆六千六百億の国庫負担でございますので、むしろ改正案の方が国の負担が制度発足当初はふえるということになるわけでございます。六十五年の現行制度の国庫負担が三兆四千百億円程度ではないかと推計をされますので、この場合には改正案の方が若干国庫負担が減少する、こういうことになります。昭和七十年におきましては、現行法で大体四兆四千三百億という推計になりますので、改正案の方がこの場合にも若干減少するということになるわけでございます。
○安武洋子君 今回の法案の出発点になっております年金制度基本構想懇談会、これは大臣の私的諮問機関ですけれども、ここで、いろいろ問題はありますけれども、直接に国庫負担を減らせと言っておりましょうか。
○政府委員(吉原健二君) 手元にその懇談会の意見書を今持ち合わせておりませんので正確な表現は、あるいは違っているかもしれませんが、おおむね現行程度の国庫負担を維持する、基礎年金といいますか、共通な部分にできるだけ集中する方がいいというような趣旨の御意見だったかと思います。
○安武洋子君 今回の法案の出発点になっているんですから、そういうところはしっかり覚えておいていただかないと、勝手なところばかり覚えてもらったら困るんです。これは国庫負担を減らせとは言っておりませんよ。 臨調の第一次答申ですけれども、これは年金の国庫負担についてどのように言っておりましょうか。
○政府委員(吉原健二君) 臨調の五十六年七月の第一次答申では、「厚生年金、国民年金、国家公務員共済、農業者年金、私立学校教職員共済等の公的年金に対する国庫負担について、各制度間のバランスに配慮しつつ、当面、負担率を引き下げる等その削減を図る。」というふうに言っております。
○安武洋子君 この「年金改革を考える」ですけれども、ここに「改革の基本目標」、これが掲げてあります。「年金改革の基本目標は、本格的な高齢化社会の到来に備え、公的年金制度を長期にわたり、健全かつ安定的に運営していくための基盤を確保することにあります。」、これは臨調が言っていることとは違うわけですね。そうして、国庫負担を減らせと言っているのは臨調だけなんですね。今までは、今回の法案の出発点となっております年金制度基本構想懇談会、こういうものとか、どこも国庫負担を減らせとは言ってないんですよ。臨調があなたたちの基本的な方向と違う立場で財政的視点で国庫負担を減らせと言った途端にあなたたちは一転して臨調最優先ではありませんか。
○政府委員(長尾立子君) 先ほど先生から御質問がございましたが、行革特例法で現在国庫負担につきまして繰り延べの措置をとっております。これは、今先生御質問になりました五十六年七月十日の第一次答申に基づきまして、「行財政改革に関する当面の基本方針」ということで五十六年八月二十五日に閣議決定をいたしましたが、この中で法律改正を要する事項の部分といたしまして、「昭和五十七年度から昭和五十九年度までの間における臨時特例措置を定めることとし、」という形で受けとめまして、行革特例法を国会に提出さしていただいた、こういう経緯でございます。
○安武洋子君 申しわけないけれども、そんなことを聞いたんじゃないんです。 私が言っているのは、こういうふうにして「改革の基本目標」というのを掲げてなさる。しかし、臨調が言っているのは、これはあくまでも財政的な視点から国庫負担を減らせと言っている。今まで国庫負担を減らせと言っているのは何にもないんです。臨調だけなんです。だから、臨調がこういうふうに答申すると、何と臨調最優先だ、こういう姿勢をあなた方が示されているじゃないか、もうまさにこれは臨調の路線に沿った改革以外の何物でもない、そういうことになるではありませんかということを言っております。
○政府委員(吉原健二君) 臨調も現在の年金制度そのままではいけない、やはり合理的な将来の高齢化社会に対応し得るような年金制度に改革をすべきである、こういう考え方に立っているわけでございます。 その点につきまして私どもは全く同じ考え方で、今度の年金改革案を作成しているわけでございますけれども、国庫負担につきましては、私どもは国庫負担の削減ということをねらいにして考えているわけでございませんで、先ほども御指摘のございました社会保険審議会、それから年金制度基本構想懇談会、そういった考え方に基づきまして、国庫負担は基礎年金に集中をして公平なものにする、おおむね現在の国庫負担の水準は今後とも維持をしていく、そういう考え方に立っての改正案でお願いをしているわけでございます。
○安武洋子君 国庫負担の削減考えていないと言われましたけれども、国庫負担は現に削減していくということははっきりしている。その割に国民の方は、給付は引き下げられる、負担はふえていく、こういうことになるわけです。そうして国庫負担を減らしなさいと言っているのは、これは明らかに臨調だけ。いかにおっしゃろうとそういうことなんです。 ですから、医療保険とか雇用保険の改悪、こういうことで社会保障に対する国の負担を減らしていくということをあなた方はやってこられました。それと同じ手法で直接に国庫負担は率は変えない、しかし、給付を抑制する、分母を小さくする、そういうことで結果としては国庫負担分を削減する、こういうことを行おうとされているわけです。これが臨調方針で持ち込まれた、こういうことです。明らかに臨調の方針であなた方はいろいろおっしゃるけれどもこういうことをなさっている、こういうことではありませんか。
○政府委員(吉原健二君) やはり給付全体を適正なものにすることによって、将来の国民の保険料負担の増大も抑制をしていくということを考えているわけでございまして、保険料負担と同時に、やはり国の年金制度に対する負担というものも、金額的にはやはりそれを現行制度のままにいたしますと国の負担限度あるいは国民の負担限度というものを超えることになることが予想されますので、そういったものを適正なものにしていく、そういう考え方で今度の改正案というものはお願いをしているわけでございまして、国庫負担の水準そのものの削減というものをねらいにしているわけではございません。あくまでも国民の負担、それと同時に国の年金制度に対する負担というものも適正なものにしていく、そういう考え方でございます。
○安武洋子君 私はそれに対して異論があるわけです。ですけれども時間が来ましたので、きょう財源問題にも入れませんでしたし、その点についてもじっくり論議をしたい。 一つだけきっちりさしておきたいと思います。これは国庫負担を減らせというふうに言っているのは臨調だけでしょう。その点をきょうは確認しておきます。
○政府委員(吉原健二君) 当面の措置として国庫負担の削減を図るべきであるということを言っているのは、臨調でございます。
○安武洋子君 きょうは終わります。
○委員長(遠藤政夫君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時二分散会 —————・—————