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102回国会参議院1985/06/12

国民生活・経済に関する調査特別委員会 第6号

発言数
82
登壇者
13
会派数
6
開催日
1985/06/12

会議録

対馬孝且日本社会党

○委員長(対馬孝且君) ただいまから国民生活・経済に関する調査特別委員会を開会いたします。  参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国民生活・経済に関する調査のため、本日、参考人として経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワーキンググループ座長・日本長期信用銀行常務取締役竹内宏君、全国農業協同組合中央会農畜産部長松本登久男君、日本労働組合総評議会経済局長宝田善君及び全日本労働総同盟政策室長幸重義孝君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

対馬孝且日本社会党

○委員長(対馬孝且君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

対馬孝且日本社会党

○委員長(対馬孝且君) 国民生活・経済に関する調査のうち、経済摩擦と内需拡大に関する件を議題といたします。  本日は、お手元の名簿にございます四名の参考人の方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、当委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。本日は、経済摩擦と内需拡大に関する件につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の委員会の調査の参考にさせていただきたいと存じます。  それでは、これより御意見を述べていただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。  御意見をお述べ願う時間は、議事の都合上お一人十五分程度とし、その順序は、竹内参考人、松本参考人、宝田参考人、幸重参考人といたします。参考人の御意見の開陳が一応済みました後で、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、竹内参考人からお願いをいたします。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 竹内でございます。経団連を代表いたしまして御意見を申し上げたいと思います。  経団連では、五月二十一日にお手元にございますような「日本経済の展望と課題」、副題が「経済体質の強化と安定経済の実現に向けて」というような見解をまとめました。この見解といいますか、この特色につきましては、現在、内外の経済がアンバランスでございますので、このバランスを是正して経済体質を強化し、均衡のとれた安定成長を実現したいと、このような問題意識に立ちまして、まず日本経済の現状につきましては、当面の緊急課題として対外経済摩擦への対応、行財政改革の推進を取り上げ、続きまして、中長期的な課題といたしまして、経済体質の強化という観点から社会資本の整備と企業体質の強化を訴えているわけでございます。  この時期にこの見解を発表させていただきましたのは、昨今、経済摩擦対策のプログラムといたしまして内需拡大策などが議論されているわけでございますけれども、経団連では、かねて主張してまいりましたような増税なき財政再建の基本方針の堅持を訴えたいと、こういうようなことでございまして、このアクションといいますか、対外摩擦の緩和のために行財政改革がおろそかにされることを懸念したと、このようなことで、それに対しまして総合的な経団連としての考え方を明らかにしておきたいと、このようなことでございます。  まず、日本経済の現状は、御案内のとおり、景気は順調に回復しております。設備投資を中心に内需がやや拡大しているというようなことでございます。ことしの一―三月の指標は大分悪くなってきておりますけれども、現在のところまだ財政が出動するような状況にはないと、このような判断をさしていただいているわけでございます。それよりも中長期的な観点に立ちまして、今後高年齢化社会あるいは経済の情報化などの構造変化に対しまして、今のうちに巨額な財政赤字を解消し、さらに長期的な観点から対外貿易摩擦を解消するような構造的な対策を打つ必要があると、こんなようなことでございます。  さしあたって、当面の対外経済摩擦に対する緊急な課題といたしましては、現在、アメリカを初め世界ではいわば対日批判が荒れ狂っているわけでございます。これは貿易立国といたしまして、日本にとりましては大変ゆゆしき問題でございます。これに対しまして我が国は、まず、新ラウンドの展開に主導的な役割を果たしていくとともに、残存輸入制限品目の縮小、農産物、工業製品を通ずる関税率の引き下げ、非関税障壁の撤廃など市場の実質的な開放を図っていかなければならないというように考えているわけでございます。それから輸出につきましても、特定商品が特定地域に集中的に輸出が増大するというようなことを避けるように、経済界みずからが自覚を持って行動すべきだと、こんなようなことを考えているわけでございます。  それから、現在対外資本流出が大変巨額になっているわけでございます。これはまさに経常収支の黒字が対外資本流出によってバランスしているわけでございますけれども、あるいは対外資本流出の方がやや大きな額になっておりますけれども、これは日本の資金、貯蓄、経営資源、技術などのアメリカやその他のアジア諸国に対する移転でございますので、世界経済を活性化するために役に立っているというようなことでございます。一方、対外の経常収支の黒字を解消し、それから、この貯蓄を海外に流出させるよりも国内で使った方が有利でございますので、そういうようなことができるようなもろもろの規制緩和をとる必要があると、こんなふうに考えているわけでございます。  内需拡大をいたしまして経常収支の黒字をなくしていくというようなことの意見がございますけれども、現在、御案内のとおり財政が破綻状態にございます。これをカバーするために従来のような考え方の増税で賄いますと、国民経済の成長力はぐっと鈍るわけでございますし、国債を増発いたしますと結局金利が上昇いたしまして、その結果、長期的な経済成長率が鈍るというような懸念があるわけでございます。そういうことになりますと、サミットの経済宣言にございましたように、各国が共通して節度ある財政金融政策の堅持が必要であるというように考えているわけでございます。つまり、増税なき財政再建がこれからの経済政策の基本であるというようなことでございますし、六十一年度予算につきましても歳出の徹底した削減というようなことが行われ、増税なしに財政が再建されるような方向を歩むべきだと、こんなふうに考えているわけでございます。  先ほど申し上げましたように、貯蓄が余りまして海外に資本流出しているというようなことは大変惜しいわけでございますので、これに対しましてはもろもろの規制の緩和をいたしまして、民間の活力、民間の経営資源を活用していく必要がある、こんなふうに考えているわけでございます。  御案内のとおり、日本はフローで見ますと経済大国でございますけれども、社会資本ストックはまだまだ欧米水準と比べて低いというような状態でございます。例えてみますと、土地を除く実物資産は昭和五十五年末でアメリカの三二・六%にすぎない、こんなような状態でございますし、公共部門の持つ社会資本のGNP比率、経済規模に比べた社会資本の大きさ、これは五十八年度末で六三%でございます。アメリカの一〇四%に比べて圧倒的に低いというような状況にあるわけでございます。それからさらに、道路、住宅、下水道などは、これはアメリカとか西ドイツに比べますと大変劣った状態にある、こういうように思われるわけでございます。  これから、御案内のとおり、日本の人口構成は急激な高齢化の一途をたどっていくというようなことでございます。高齢者人口がふえますと、当然のことながら貯蓄率は低下してまいります。貯蓄が低下するということは、とりもなおさず将来の投資に向けるものが少なくなっていくというようなことでございますから、長期的な生活水準の向上、あるいは高年齢化社会においてもスムーズに生産活動が進んでいくためには、現在からもろもろの社会資本を拡充していく必要がある、こんなふうに思われるわけでございます。  当面といたしましては、大規模宅地とかあるいは住宅の開発、都市の再整備、あるいは鉄道、航空などの交通網の充実、あるいはニューメディアと言われるような通信ネットワークの整備などについて民間の活力を利用し、それによって貯蓄を海外ではなくて国内に使っていくというようなことが非常に必要だというように思われるわけでございます。  例えば、ニューメディア時代になってまいりましても、ちょうど情報が方々から頻繁に伝わりますと、それにつれて人々が動く、人の移動の量が多くなるということであります。現在のように、例えばニューヨークから頻繁に新しい情報が入ってきますと、それに伴いましてニューヨークへの出張者が急増する、こういうことでございますから、国内の情報ネットワークが整備されると、それにつれまして人々の移動が激しくなりますし、例えば将来ホームショッピングみたいなことができる時代になってまいりますと、非常に便利で多様なものを御家庭内のターミナルで注文できて配達していただくということになれば、当然日本の都市の道路は宅急便で埋め尽くされるに違いないと、こういうようなことでございますから、新しい時代のためには、どういたしましても現在から社会資本整備を充実していく必要があるというようなことでございますし、高年齢化した後ではそれが非常に困難だというような事情にあるわけでございます。  そういうことを考えますと、さしあたってそれらの分野で民間活力を利用していくということになりますと、当然のことながら土地政策を改めていくというようなことが必要でございます。例えば、線引きの見直しとか借地、借家法の改正であるとか、あるいは宅地開発等の指導要綱の是正であるとか国有地に関する土地信託の導入とか、あるいは土地収用、権利調整の円滑化などが大変必要だというようなことではなかろうかというふうに考えているわけでございます。それに伴いまして、民間事業の活動を制約している諸規制を早急に撤廃していくならば、多分内需が拡大していくに違いないというようなことでございます。  つまり、財政による刺激よりも、諸規制の撤廃によりまして民間企業の活動範囲を広げ、それによって投資を拡大し、国民生活を豊かにし、将来の発展のための社会資本を充実していくというようなことが重要ではなかろうかというようなことを主張しているわけでございます。  それからさらに、日本の企業は現在のところ一見強そうに見えるわけでございますけれども、実際には現在の輸出の増大の重要な理由は、ドル高というような一時的な現象によるものであります。日本は現在ドル圏に対しては輸出が急激に伸びておりますけれども、ヨーロッパ圏については輸出が鈍化しております。これは、日本とヨーロッパ通貨を見ますと、ややヨーロッパ通貨の方が弱くなっているというようなことでございます。ですから、ドル高の状態がなくなりますと、日本は輸出力が決して強いとは言えないというようなことであります。実際に賃金などの生産コストの上昇とか、あるいは自己資本が脆弱であるとか、そんなような点で日本の企業の中にはまだまだ不安要因があるわけでございますし、研究開発費支出とか研究開発メンバーの数であるとか、そんなものを見ますとまだアメリカと圧倒的な差がつけられているというような事情でございます。  御案内のとおり、アメリカはレーガノミックスと言われるような政策で、マネタリズムの考え方に従って通貨量をコントロールしてインフレを抑えて、それからさらに、企業には継続的に大幅減税をし、それから高額所得者の累進課税を引き下げながら貯蓄率を増加させていくというような非常にダイナミックな政策をとっているというようなことでございますし、諸規制も撤廃されているというようなことでございます。  このような環境を考えますと、日本のアメリカに比べて弱い企業の力、つまりそれは、将来の日本経済の成長の一つの担い手である企業の力がまだまだ強くないというようなことを考えますと、これからはさらに企業の体力もつけていくというようなことも必要ではなかろうかというような感じがいたしているわけでございます。  そんなようなことで、経団連ではかねてから法人税一・三%引き上げの時限措置の撤廃などもお願いしているわけでございますし、アメリカは日本よりも法定耐用年数が短くなってきております。日本の機械設備はだんだん古くなっているというようなことで、そのような観点からむしろ税制の改正といいますか、アメリカのように経済を刺激するような税のあり方が重要ではなかろうかというような点も、はっきり述べておりませんけれども、背景にはそんな考え方があるというようなことでございます。  以上、簡単でございますけれども、経団連の考え方について述べさせていただきました。

対馬孝且日本社会党

○委員長(対馬孝且君) ありがとうございました。  次に、松本参考人にお願いをいたします。

松本登久男全国農業協同組合中央会農畜産部長

○参考人(松本登久男君) 全国農協中央会の松本でございます。  私の担当しております仕事は、農家の利害関係にある政治問題を解決していく部署でございまして、今その仕事を担当しているわけでございますので、本日、若干私どもこの摩擦問題に関連いたしまして意見を述べさせていただいておりますので、その点の要点を御披露させていただきたいと存じます。  御案内のとおり、政府は対外経済政策諮問委員会で一定の摩擦に対する解消策といいますか、そういった提言を報告書としてまとめまして、それを受けまして現在摩擦解消のための一定の経済政策を組み立てている過程でございます。私どもこの報告書が今次対外政策のまとめの根底に据えられるというふうに考えておりますので、対外経済問題諮問委員会報告の要点を少し私どもの見方から批判的に意見を述べさせていただきたいと思っております。  この諮問委員会の報告書によりますと、現状認識につきましては、自由貿易体制が保護主義の台頭で危機に瀕しているという認識を持っております。私どももこの点につきましての認識についてはかなり考え方は近い考え方を持っておりますが、そのためにどういう対策が必要かということについては、より一層の市場開放が必要だと、こういうことが打ち出されておりまして、現在それを第一の政策の優先選択順位にいたしまして、それの具体化のための努力が行われているということでございます。  しかし、私どもは、こういった政策選択で現在問題とされております日米間あるいは日本と近隣諸国との経済摩擦が果たして解消するのであろうかということについては、大変強い疑問を抱いております。この摩擦の背景は、既に識者の方から多面的に指摘されていることでございますが、一方的に我が国が貿易黒字を蓄えてアメリカが貿易赤字にあえいでいる、そのために摩擦が生じているというふうに原因を指摘する方が多数でございますが、私どももその点はそのとおりだというふうに考えております。しかし、先ほども冒頭に申し上げましたように、そのための手段といたしますと、手段の選択ではより一層の我が国への市場アクセスの改善、それを関税を引き下げることなどによって行いたい、こういった選択が表明されているわけでございますが、私どもは、そういった選択をしても現在の経済摩擦は根本的にほとんど解決しないだろうというふうな認識を持っております。  それはどういう理由かと申しますと、仮に輸出を急激に減少させて輸入を急激に増大させるという結果を、我が国への市場アクセスの改善をしただけで招くことはできないからでございます。その点については後ほど若干申し上げますが、それはなぜかと申しますと、我が国の多くの工業製品分野で、特に高度生産技術の分野では圧倒的に対米、対近隣諸国に対して比較優位を持っておりまして、このために品質がよくて廉価な製品を製造しております。したがいまして、仮に我が国への市場アクセスを改善いたしまして、市場をより以上に開放いたしまして、相互主義に基づきまして相手国の市場開放を求めるという政策を選択いたしましても、そのことによって受益するのは日本のみでありまして、これはさらに日本の黒字がますますふえる結果にしかならない、こういうふうな認識に立っております。したがって私どもは、こういった現在政府がとろうとしております政策は、強者の論理だというふうに理解をしております。  今日、世界の貿易政策の中で我が国が指導的に行わなければならないことは、強者の論理を捨てて近隣諸国との協調の論理に立たなければいけないというふうに私どもは考えておりますが、現在政府が考えておる路線は、必ずしもそういう方向には行かないというふうに考えられる路線の選択ではないかというふうに考えておりまして、先ほど御紹介しましたように、私どもの考え方を世間に披露して御理解をいただく運動を展開しているところでございます。  また、もう一点でございますが、輸出がさらに伸びるということのほかに、果たして市場開放して輸入がそんなに簡単に伸びるであろうかという問題もございます。我が国の輸入はGNP対比いたしまして大体一一%ないし一三%とされております。といたしますと、現在の貿易黒字額をゼロにするだけ輸入をふやすということになりますと、GNPだけでも二百七十五兆円ほど今以上に拡大しなきゃならぬ、こういうことに計算上なるわけでございます。そうなりますと、現在の成長率をどれくらい高めなきゃならぬかというふうに試算してみますと、現在のGNP全体の大体四分の一程度、つまり二六%ぐらい高めないとこういった輸入は可能にならない。そういう経済構造になっておりますので、輸入がそんなに簡単に伸びるということを思わせるような政策の宣伝といいますか、そういったことはあくまでも宣伝であって、事態の解決に何にも益しないものではないかというふうに考えられるわけでございます。そういった点で私どもは、新しい視点に立った貿易政策をとるべきだということと同時に、内需を拡大することによって、国内の内需に支えられた経済成長に大きく路線を転換していかなきゃならぬということを方針として打ち出しているところでございます。  以上が一般的に政府が打ち出しております方針についての私どもの意見でございますが、この場をかりまして、若干の時間でございますが、農業の分野に関しての私どもの考え方を現状の御紹介とあわせて若干させていただきたいと存じます。  まず、農業の分野に関しましてでございますが、多くの論者は、より一層の市場開放ということに現在合唱しているような状況でございますが、私どもは、先ほど申しましたように、強者の論理を貫いていきますと、我が国で輸入が可能になってくる品目というのはほとんどが農業を中心とする一次産品の分野、こういった分野に限定されてまいります。そういったものをより以上市場開放して輸入をふやすということは果たして可能であろうかということと同時に、仮にふえたといたしますと、その帰結がどうであろうかということを考えておかなければならぬというふうに考えております。それは、そうなりますと恐らく我が国の農業という産業分野は相当大幅な経済規模の縮小を強いられる。その結果、我が国の経済の循環は非常に大きな構造的なゆがみを生じるようになる。ひいては工業分野の成長にも支障を来すようになるということは当然の帰結ではないかというふうに考えておりまして、今程度の産業規模を持っております農業を、今程度の形で均衡とれた発展を追求する経済政策の方がよりベターではないかというふうに考えております。  それからもう一つ、輸入の可能性の方でございますが、農林水産物資を仮に市場開放いたしまして、諸外国から関税引き下げその他をやりまして輸入を促進するということをいたしまして、果たして輸入が可能であろうかということを考えてみますと、それも必ずしも容易ではないというふうに思われるところでございます。  最近の農林水産物資の輸入額、過去、中曽根総理が総理に就任されましてから六次にわたる経済開放をやっておりまして、その過程で農林水産物資の関税については大幅な引き下げが実行されております。しかしながら、昭和五十五年以降は我が国における農林水産物資の輸入額はほとんど横ばいという状況でございます。したがいまして、関税を引き下げることによって国内市場のアクセスが改善されて輸入がふえるということにはならないということは、これも当然過去の実態からいたしまして指摘できることでございます。  また、農林水産物資の中心であります農産物につきましても、その輸入弾性値は五十年代に入りまして極端に低下しておりまして、過去、高度成長を我が国が謳歌した時代の昭和三十五年からおよそ二十年近くの期間持っておりました農産物輸入の飲食費弾性値は、現在、その過去の期間の三分の二以下に下がっております。直近時点をとりますとさらに下がっておりまして、ほぼ一に近い水準にまで下がってきております。したがいまして、飲食費支出が一伸びましても輸入が一しか伸びないということでございますから、大した輸入の伸長は期待できない。こういう状況になっているのが現在の農業の実態でございます。  さらに、もう一、二点農業の実態に沿った意見を申し述べさせていただきまして、先生方の御議論の参考に供したいというふうに存じますが、一点は、最近になりまして農家経済が非常に大きくさま変わりしてまいりまして、農家総所得のうちいわゆる第三の所得と言われる部分が非常に肥大しております。第三の所得と申しますのは、農家経済は三つの所得源泉がございまして、一つは農業から上がる所得、いわゆる農業所得でございます。第二の所得は農外所得、農家の方々が農外に働きにいくことによって得る所得、これが第二の所得でございますが、最近第三の部分の所得が非常にふえておりまして、第三の部分と申しますのは、出稼ぎ、被贈、年金扶助、農林補助金、そういったいわゆる移転所得が大半を占めます分野でございますが、これが非常な勢いでふえてきております。最近の傾向を見ますと、これも昭和五十五年以降、第三の所得がいわゆる第一の所得、農業所得を上回る状況になっております。つまり、農家は移転所得によって経済を支えている、こういう状況になっておりまして、これは国の産業としての農業を考えた場合に非常にいびつな事態だというふうに考えざるを得ないわけでございます。そういった状況を強いている政策環境といいますか、そういったことを早急に改めていくことが国内における産業としての農業の体質を改善していくよりベターな選択ではないかというふうに考えております。  第二の問題でございますが、同じく農家経済に関しまして、最近農家の非消費支出がこれも異常な伸びを示しております。非消費支出の大半は租税公課負担でございます。租税公課負担が、農業所得と対比いたしますと今日の段階で農業所得を上回る水準に、ほぼ均衡する水準に近づいてきております。稲作所得だけでこれを対比いたしますと、稲作所得につきましては、既に五十三年以降稲作所得を非消費支出が上回っている、つまりみずから得た所得以上に租税公課負担をしている、こういう経済の実態に農家経済は追い込まれております。そういうことの上により以上の市場アクセスの改善で市場を開放しまして、国内の農林漁業の振興が果たし得るということは到底考えられないことでございます。  それから第三番目の問題でございますが、時間がございませんので簡単に申し上げますと、農家と勤労者の税負担の問題でございますが、これも一部の方々から御批判を受けている点でございますが、現実の実態調査によりますと、昭和四十五年以降は、農家の租税負担の方が勤労者の租税負担を負担率からいいますと上回っております。負担率は、正確に御議論いただくために御紹介しておきますと、農家の場合は農家総所得に対して租税公課負担の割合、勤労者の場合には実収入に対する非消費支出の割合でとっておりますが、これで四十五年以降は農家の負担率の方が高くなっていると、こういう状況でございます。したがって、こういった農家経済を基礎にしておるわけでございますので、私どもは、この際より一層の内需の拡大ということを考えますと、農家の場合には特に研究開発投資の促進のための施策、同時に租税負担の軽減の施策と、こういったことがより一層必要になるんじゃないかというふうに考えております。  以上、簡単でございますが、私どもの考えております意見を御紹介さしていただきました。

対馬孝且日本社会党

○委員長(対馬孝且君) ありがとうございました。  次に、宝田参考人にお願いをいたします。

宝田善日本労働組合総評議会経済局長

○参考人(宝田善君) 本日私の言いたいことは、主として内需論の方でありますけれども、論点は二つであります。  第一は貿易摩擦と内需拡大の関係論であります。これも中身が二つありまして、一つは、やっぱり日本経済のあり方としての内需と貿易との関係論であります。かなり根本的なフレームの問題あるいは深層の問題であります。それに対しましてもう一つは、表層といいますか、非常に具体的なところでこの二つがどういう関係になっているかと。関係論にも二つございます。それから第二は、いわゆる内需ということが盛んに言われておりますけれども、内需の中身についてどう考えるべきかと。大きく言ってその二つであります。  日本とアメリカあるいはヨーロッパとの経済摩擦というのは過去に何回か山がございましたのですが、今起きておる問題というのは大体一九八一年以降急激に強くなったものであります。労働組合としましては、一九八一年に労働三団体がいわゆるオタワ・サミットに関する共同申し入れということで、これはレーバーサミットの行動なのですが、政府に申し入れをしております。この時点で我が国は、内需主導の経済成長を実現して、各国との協調の中で世界経済の回復に貢献するようにというのが日本の労働組合の態度であります。同年の末に、今度はもう一団体ふえまして、労働四団体が総理に、日本経済を内需中心の安定成長に定着させるように経済運営を行うようにという申し入れを行ったわけであります。それまではいわゆるオイルショック後の混乱期でございましてインフレ問題だったんですが、オイルショック後の日本のあり方としては、もう輸出主導型の成長というのはいずれ限界が来るということが我々労働側の認識でありました。にもかかわらず、日本の経済政策の運営というのは、そういう路線転換をやらずにやってきて今の日米とか日欧の貿易摩擦問題が発火点に来てしまったというのが実際の経過だと思うんであります。  当時財界は、稲山経団連会長、いわゆる稲山流の我慢の哲学で内需抑制論を唱えておりました。一方政府は、第二臨調の時代で、経済政策よりも財政縮小政策を優先させて今日までやってきました。ごく最近になりましてアメリカ、ヨーロッパから日本の内需拡大ということを言われて、今やっと口の先だけでも政府は内需拡大ということを言わざるを得ないという状況になってきておりますので、私は、現状でもまだ政府の内需拡大論というものは外圧によるものだというふうに見ております。したがって、まだ外圧でありますから、実体を持っていないと。政府の経済政策運営というのは、そういう根本的な転換は遂げていないのだというふうに判断をしております。  その証拠として一つ取り上げますと、四月に出ました対外経済問題諮問委員会報告を受けた政府の態度がございますが、諮問委員会報告書そのものは一体何を提言しているかといいますと、中核の部分は、中期的政策の提言ということで六項目の提言をしている。もう御承知だと思いますが、その第一項がいわゆる市場アクセスの改善であります。第二項が内需中心の持続的成長となっているんであります。これは、それまでの加工貿易型の産業構造というものを転換していくための基本的な条件の問題であります。以下、投資・産業協力の拡大、新ラウンドの促進、開発途上国への対応、摩擦回避の努力と、これが報告書の六項目でございますが、内需拡大論というのは二番目に入っているわけであります。  ところが、それを受けました経済対策閣僚会議の対外経済対策というものを見ますと、市場アクセス論だけが登場しておりまして、内需拡大というのはたった二カ所単語で出てくるだけでありまして、内容は全く入っていない。  同じく、ボン・サミット宣言における日本の態度というものを見てみますと、これまた周到に内需拡大という言い回しは避けた表現になっている。というのは、ボン・サミットにおける日本政府の態度というのは、一方では財政面の規律と称しまして今のマイナスシーリングの態度を主張していますから、財政のマイナス下で内需拡大と言うことは政府としては論理矛盾になっている、いわゆる政策手段を持たない主張になりますので、周到に内需という問題は避けております。したがいまして、今もって内需論というのは日本の政府の政策の筋金には入っていないというふうに私は見ている、非常に不十分なものだと考えています。  もともと、内需の拡大というのは貿易摩擦回避の単純な手段ではないのでありまして、根本的に貿易加工型経済の転換の基礎条件であります。あるいは国民生活とのかかわり、あるいは日本の経済の将来のあり方ですね、そういう問題にかかわる問題だと思うのであります。  そこで、今のは基本的な問題でありますけれども、具体的に今出ております貿易摩擦と内需の問題として、林業対策というものを考えてみたいと思うのであります。  これは一月二日、日米首脳会談においていわゆる木材を含む四分野についてレーガン大統領から要請が出たと、総理はこれを受け入れて帰ってきたということから事態が始まったわけですが、関係者にとりましては全く寝耳に水の問題であって、大変驚いたわけであります。下旬に日米ハイレベル協議でさらに範囲がふえまして、紙パルプまで入ってきた。その後三カ月を経過しまして先ほど述べました政府の対外経済対策が決まったわけですが、幸いにしてそこでは森林・林業、木材産業活性化のためのということで、「財政、金融その他所要の措置を当面五か年にわたり特に講ずる」という項目が入りました。それは大変結構だと思うのでありますが、今私どもが懸念していますことは、それが今後果たしてどの程度実行されるかという問題なのであります。  それは、ボン・サミット宣言にもありましたように、今の大蔵省はマイナスシーリングの枠を絶対に崩さないという方向で動いております。要するに例外を認めますとどんどん崩れますから例外は認めないということで、シーリングの枠内でしかこの問題は取り上げないと言っているはずなんであります。これはもう推量するにかたくない。事はそれだけで済みませんで、農水省も同じ態度をとっている。要するに農水省予算にマイナスシーリングがかかっている間は、林業対策費は農業とか水産業の犠牲でやるわけにはいかないと、これはマイナスシーリングの枠のもとでのそういう態度なのであります。そうなりますと、政府の決定というのは一体どの程度の実効力があるものなのかということについては、今もってだれも安心できない。かなり形骸化、矮小化の危険が多いのではないかというふうに私は考えます。  もし、そういう対策が手順よくちゃんと行われないで関税の引き下げその他が行われますと、もともとこの関連産業は構造不況産業でございますから、倒産とか所得の減少、失業の増大と、川上から川下まで非常に影響が大きいだろうということは予想されることであります。既に今、合板の値段が、先行き安い合板が入るのではないかということで値崩れを始めてきている。それは当然木材価格にはね返ってきております。木材価格にはね返りますと、それは当然林業のコストをふやすわけでありますから、利益を減らすわけでありますから、今言われております間伐問題その他林業対策は全部崩壊を早めるという関係になっております。総評及び関係労働組合というのは、こういうようなやり方の関税引き下げには反対だと、もっと対策と要求をちゃんとせよということを既に政府に申し入れているわけでありますが、事態は非常に憂慮すべき状況にあると思います。  これは一つのケースでありますけれども、後で述べますように、今まで保護されてきたものというのは全部歴史的な事情を持っている。したがいまして、当然そういうものに対して自由化とか関税引き下げをやるのであれば事前の措置というものもちゃんと計画的にとるべきであると、この順序を逆にするというのは非常にショックを大きくするゆえんであるというふうに思います。  最後に、内需という問題でありますけれども、そもそも内需ということを考えるときは、非常にマクロの量的な側面からの内需と、今言いました木材のように構造的なといいますか、質的な側面と両面から考えなければいけない。労働団体は今までいわゆる量的な内需拡大論ですね、このことはもう数年間共通の態度になっておりますから、後ほど幸重参考人の方からお話があると思うのでありますけれども、少しつけ加えますと、今起きております経済の情報化とかあるいはサービス化というものは、過去の高度成長の重化学工業化時代と違いまして、社会資本、社会システムあるいは最終個人消費というものと非常に直結しやすいものでありますから、今後の日本の経済成長というものを確保するためには、どうしても社会資本と個人消費というものの基盤を厚くしませんと、せっかく実った技術革新というものは失業の増大とかそういうものだけに終わる公算が大きいのでありまして、内需論というのはこれから非常に重要になってまいる。  そのためには我々は、実質賃金と実質経済成長率のバランスというものがまず第一であると。第二は、可処分所得論あるいは不公平税制論からいいまして、勤労所得税の減税というものを持続的にやらなければいけないと。第三は、いわゆる社会資本充実ということを十分やるべきだと。第四は、労働時間の短縮なのであります。  これは労働組合が言っているのではないのでありまして、対外経済問題諮問委員会報告書の内需拡大と、先ほど言いました第二項目ですね、これの中身は実は三つございまして、公的規制の緩和と週休二日制の一層の普及と労働時間の短縮、三番目が住宅・生活環境整備などの社会資本充実、これが諮問委員会の報告でございます。  日本の労働時間を二十一世紀までに、あと十五年の間にヨーロッパ並みの千八百時間まで持っていきませんと、これは国際労働基準からいっても、国内の雇用問題、高齢化問題からいっても大変な事態になると。今労働組合の組織率は三割でありますから、あと七割の未組織労働者についてこの千八百時間というものを実現しなければならない。今は市場アクセス論が摩擦の焦点でございますが、この次の段階というのは当然日本の長時間労働論が国際非難の的になることはもう既に明らかなのでありまして、政府は一体そういう長期的な日本の労働時間短縮をどうするのかと、大変な課題を背負っている。これも手おくれになりますと、これこそ社会摩擦を引き起こす最大の原因になるだろうというふうに思います。  今のはマクロの内需でございますが、これを質的に見ますと、日本の産業というものは、先ほど農業の例が出ましたが、生産力格差が非常に大きいと。あるいは一つの産業の中でも、銀行をとりましても、大銀行と小銀行が共存をしている現状であります。そこへ規制緩和と自由化、アクションプログラムをこれからやるわけでありますので、問題点が二つ出てまいります。  一つは、規制緩和というのは、国有地の払い下げに出ましたように、特定資本を非常に有利にする。一般的に、自由化というのは弱内強食の論理でありますから、内需の拡大といいましても、政府による弱肉強食の奨励になることは経済的な実態なのであります。したがいまして、先ほど言いましたように、周到な事前対応というものが必要なのだと。このことは大規模店舗の地方進出などの経験を見ればよくわかるのでありまして、無原則に弱肉強食がいいというわけにはいかない。  それからアクションプログラム、要するに対外貿易摩擦解消のための自由化といいますか、これをやることも同じような効果が出てまいります。 今、既に我々の身の回りの産業では、マス流通というものの中から非常に手づくりとかミニ流通、一村一品運動とかそういう運動が出てきているように、世の中はマスプロ型の競争力、大企業型の競争力だけで成り立つわけではないのでありまして、下手に自由化をしますと、残すべきものを一遍つぶしてしまうということは今まで十分戦後例があったわけでありますから、内需というものの質の問題、あるいは産業の内部構造ということを十分考えませんとマル金、マルビを促進するだけに終わると、非常に不幸な内需拡大になりかねない。  したがいまして、内需の量と質という面についてもう少し政府は真剣に考えるべきではないかというのが私の提言であります。  以上です。

対馬孝且日本社会党

○委員長(対馬孝且君) ありがとうございました。  次に、幸重参考人にお願いをいたします。

幸重義孝全日本労働総同盟政策室長

○参考人(幸重義孝君) 全日本労働総同盟の幸重でございます。お招きをいただきまして大変ありがとうございました。  冒頭、お許しをいただきまして配付をさしていただきました資料につきまして、若干申し上げておきたいと思います。  お手元に、私のほんの四行程度に書いてありますレジュメとともに、恐らく「八六年度予算編成について」と題するコピーを差し上げてあろうかというふうに思います。八六年度経済運営の基本姿勢並びに八六年度予算編成についての十項目の内容について記載をいたしております。これは、私自身のいわば現在作業中の素材とも言うべきものでありまして、私たち全日本労働総同盟では、明年度の予算編成についての要求を現在まとめていく作業を展開いたしておるところであります。したがいまして、いわばその途中にある極めて非公式なものでございますので、そのようにひとつ御理解を賜りますようお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  いま一つ、「OECD閣僚理事会並びにボン・サミットに対する声明」という、いわゆるTUAC総会の決議をぜひ御一読いただきたくお手元に御配付を申し上げました。先ほど宝田参考人も言われておりましたけれども、本日のテーマが経済摩擦と内需拡大についてということでございますので、ボン・サミット等を中心とする公式的な問題点の背景に、各国労働組合のこの種問題に対する厳しい考え方があることをぜひ正確に御紹介することが必要ではないんだろうかと、このように考えましてあえて総会決議を御配付申し上げたわけであります。詳しくは後ほど、労働時間短縮の立場から内容に関しまして若干触れてまいりたいというふうに考えております。  さて、私どもの考え方の基本でありますが、今日のアメリカの高金利並びに我が国の貯蓄超過は、円安、ドル高をもたらしまして、現在の我が国の最大の課題たる対外経済摩擦の主因となってまいっております。  昨年十二月二十日、政府の経済審議会の企画委員会が公表をいたしました「昭和五十九年度リボルビング報告 参考資料」におきまして、「日本経済の動向が世界経済に与える影響は極めて大きく」、「我が国が内需を中心とした安定した経済成長を持続することは、世界経済の安定的発展に大きく寄与するといえる。こうした観点から、日本国内において内需を喚起し、循環的な要因によって生じる経常収支黒字の縮減に努める必要がある。」と指摘をした上で、「我が国経済は現在、貯蓄超過の状況にあるが、これは国内に投資機会がなくなったことを意味するものではなく、まだ多くの投資機会を残していると考えられる。国内の資源配分の効率を高めるという観点を重視して、中長期的に国内の投資機会を創出し、国内投資を促進することは、①日本経済の中長期の生産力を高め、その活力の維持に役立ち、②国民生活を豊かにすると同時に、③経済摩擦緩和の対策にもなるものである。」と述べられております。  私もこの意見に全く賛成でありまして、私は、世界的な高金利の是正に努め、国内投資を促進することによって我が国経済の潜在成長力を顕在化させ、実質五%以上の成長を確保し、もって対外経済摩擦を解消することが急務だというふうに考えております。  さきのボン・サミットにおきまして、我が国の課題として、「財政面での規律及び、特に投資を促進して行くための市場機能強化の政策を堅持すること」が求められました。私は、この「財政面での規律」とは行財政改革の一層の推進を意味し、また「投資を促進して行くための市場機能強化の政策」とは、積極経済政策の推進による拡大均衡型経済運営への転換を意味するものと考えております。この国際公約の遵守のためにも、適正成長の実現のためにも、また増税なき財政再建の達成のためにも、速やかに政策転換が不可欠だと確信をいたしているところであります。  本年二月十三日でございましたが、私は、衆議院予算委員会公聴会におきまして、六十年度予算について意見を述べさしていただきました。いささか重複する部分もあろうかと存じておりますが、参議院の当委員会では初めてのことでもありますので、若干申し述べさしていただきます。  今日、我が国の財政が抱えている国債発行残高は六十年度末で約百三十三兆円に上り、その対GNP比率も近年急上昇を示してまいっております。このような事態を今後とも放置し続けるならば、財政の弾力的対応の阻害、民間資金の締め出しや財政インフレの招来などが我が国経済に混乱をもたらすおそれがあります。このような危険性をはらんでいる我が国の財政赤字は、構造的な赤字と循環的な赤字とによるものであろうというふうに考えております。いわば行財政改革の不徹底がもたらした構造的な赤字も、景気調整機能を無視したその結果によるところの循環的な赤字も、いずれも政府の失政をいわば成因とするものであります。政府による縮小均衡型経済財政政策、すなわち単純一律的な緊縮政策によっては財政再建の展望は何ら切り開かれなかったばかりでなく、むしろ我が国財政は悪化の一途をたどっているというふうに判断をいたしております。  内需主導による適正成長は実現されず、対外経済摩擦は改善の兆しすら見せておりません。縮小均衡型の経済財政政策の継続は、国内的には財源不足を理由とする福祉の大幅後退や、あるいは社会資本整備の遅延などを不可避とし、国民生活の安定向上と我が国経済、産業の発展を阻害していると言っても過言ではありません。国際的には、内需の停滞による対外経済摩擦の激化と財源不足による経済協力の抑制など、我が国を国際的に孤立に導くおそれなしとはいたしません。  経済審議会が「昭和五十九年度リボルビング報告」で報じておりますが、「適切な経済運営に努め、内需中心の安定成長を中長期的に持続させていく必要がある。」と指摘し、内需中心の持続的成長は、経常収支の黒字、財政赤字の問題に適切に対処し、雇用の安定を図っていくためにも、また世界の一割国家へ到達した我が国にとってその地位にふさわしい貢献をしていくためにも必要であると指摘がされているところであります。  私は、政府が経済審議会のこの指摘を十分尊重し、行財政改革の断行による構造的赤字の早期解消を目指すとともに、積極的な経済財政政策を推進し、内需主導型の適正成長を維持することにより循環的な赤字の着実な解消を目指し、よって対外経済摩擦に処するべきだというふうに考えております。  申し上げてまいりました以上の立場が私たちの基本的なスタンスとなって、お手元にお渡しを申し上げております八六年度の予算編成に対する要望となってこようかと思っているわけであります。  さて、具体的な問題につきまして十項目ほど申し上げてみたいと思います。  まず第一に、本年度予算のシーリングにつきまして、先ほど宝田参考人も言われておりましたけれども、一律削減方式を改め、積極経済財政運営のために必要な予算を確保すべきだと考えております。同時に、補助金統廃合や総人件費の抑制など歳出の徹底した節減合理化を図る必要があろうかと思います。  第二に、来年度の赤字国債発行については、財政の果たすべき景気調整機能に十分留意し、税収動向などに応じた着実な減額を図るべきであり、これまでの実績から判断をして、六十五年度赤字国債脱却方針を絶対視した、まず最初に一兆円の減額ありきとする来年度予算編成は、適正成長を阻害し、ひいては財政再建にも逆行する危険をはらんでいるものであると言わなければならないというふうに考えております。  第三に、内需の過半を占める個人消費の拡大や国民負担の軽減、税負担の不公正是正などを図るため、今年度から来年度にかけて本格的かつ大規模な所得減税、単身赴任減税などの政策減税を実現すべきであります。  第四に、先行き不安の出てまいりました民間設備投資を促進するため、投資減税の拡充や法定耐用年数の短縮、法人税率の引き下げなどを速やかに実施すべきであります。  第五に、住宅取得者の負担軽減を図り、安心して住宅ローンの返済が行える条件を整備し、住宅建設を促進するため、現行の税額控除方式によるものにかえて、ローン返済額に対する所得控除方式を創設すべきだと考えております。  第六に、下水道、都市公園、道路などの生活関連社会資本を欧米並みの水準に引き上げるため、今年度の公共投資の追加並びに来年度の増額を図るべきだというふうに考えております。  第七に、都市再開発や宅地開発などを促進するため、未利用の国公有地の積極的な有効活用や規制の緩和などを図るとともに、民間の自由かつ創造的な事業活動を促進するため、各種の政府規制や許認可の緩和、撤廃を図るべきであります。第八に、五月の六日の日本経済新聞であったというふうに記憶をいたしておりますが、通産省で現在検討が続けられているようてありますが、機械輸入損失準備金制度や輸入機械割り増し償却制度など輸入促進税制を確立するとともに、金融面の処置の拡充など大幅な貿易黒字の縮小に努めるべきであります。  第九は、本年四月に政府が発表した対外経済対策を着実に実行し、七月に具体化が図られますアクションプログラムにつきまして実効性のあるものにするとともに、新ラウンドを強力に推進すべきであります。  最後に、労働時間を私どもは当面二千時間以下とすることに最大限の努力を払うべきであるというふうに考えております。先ほど宝田参考人の方から二〇〇〇年レベルにおいて千八百時間というターゲットを発表されておりますが、そのターゲットそのものに関しましては私どもは基本的に同じ認識を持っております。  冒頭申し上げましたように、お手元の資料の中にTUAC、OECD労組諮問会議でございますが、その総会決議をお渡し申し上げております。中に幾つかの基本的な問題点が入っております。パラグラフの八には、各国政府が共同で雇用機会の創出のための努力を行うこと、そして、そのための具体策を七点にわたって示されております。その七項のうち第三項並びに第五項は、まさに我が国に対する指摘であろうかというふうに考えております。あるいはパラグラフ第十八、第十九、第二十一におきまして、労働時間、労働基準に関する我が国のあり方についての厳しい指摘があると受けとめなければならない決議となっております。  貿易摩擦問題が政府間の外交上の緊急課題にとどまるものではなく、その背後に直接その影響を受ける労働者の存在がある。そして、職場を脅かされる労働者や、学校を出ても働くべき職場のない若者たちの多くが、我が国の雇用あるいは労働条件が公正競争の観点から見てアンフェアであるという、そういう指摘と反感を増幅するということは決して軽視するわけにはいきません。このTUACの決議の第十九パラグラフに見られるように、TUACに参加をする労働組合というのは、可能な限り感情を殺して我が国のみずからの努力を求めているわけであります。私どもとしては何としても、そのレベルにおきまして、その段階においてそれらに対してこたえていく必要があろうかというふうに考えております。  幸いに、四月九日発表されました対外経済問題諮問委員会報告書にも、週休二日の普及や労働時間短縮は消費機会を増大させ、内需拡大に結びつくという指摘もなされておるようであります。  なお、本日全く同じ時間帯で、院内各会派によるところの時間短縮懇談会も開催をされているようでありますが、いかような結論になるか存じておりませんが、いずれにしても私たちは、この時短懇におきまして太陽と緑の週の法制化を提唱いたしました。こういったさまざまな手法によって時間短縮を図っていきたいとする努力を私ども続けてまいっておるわけてありますが、その基本的な観点というのはこのTUACの決議にあるというふうにひとつ御理解を賜りたいというふうに思います。  労働時間短縮に向けて、あるいは今申し上げました十点にわたる具体的な内需拡大の手法につきまして、それぞれの先生方の御賛同と御協力を賜りたいというふうに考えているところであります。  以上であります。

対馬孝且日本社会党

○委員長(対馬孝且君) ありがとうございました。  以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより参考人の方々に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 大変多岐にわたっておりますので、どこから具体的に御質問申し上げていいかよくわからないんですが、まず、宝田参考人、幸重参考人にお伺いしたいと思うんです。  お二人とも、内需の拡大ということについては大きな目標に掲げておられるようでありますが、内需の拡大には、公共事業をふやすというようなこともありますし、民間設備投資をふやすというようなこともあるわけでありますけれども、そうしたものについてはある一定の限界が私はあるように思います。公共事業については財源問題が一つあるでしょう。それから、民間設備投資についてはやっぱり貿易との関係というものがありますから、簡単にそう伸ばすというわけにはいくまいと思うんですけれども、やはり一番大きい問題は、国民の消費をいかに伸ばすかというところが一番大きいし、これが中小企業に対する影響も一番大きいだろうというふうに言われているわけであります。そうした意味で、企業の収益というのはことしの春はかなり高かったというふうに報道されておりますし、私は事実であろうと思うわけです。  そういうのに対してことしの春闘ですね。私は、七%ぐらいをおっしゃっておりますから、七%はことしはとってもらわなくちゃ困ると、それが内需拡大の一番基本になるんではないだろうかと、内心そう思っていたわけでありますけれども、これも横並びということが労働組合にあるのかどうか知りませんけれども、なかなかその辺がうまくいかなかったような気がするんです。やはり今の時期は私はとれるところはどんどんとっていただくと、そして将来底上げをしていく、こういうような賃金のとり方というものが必要ではないだろうかと。確かに幸重参考人もおっしゃられたように、国内の投資の機会というのは、ウサギ小屋と我々言われているぐらいでありますからたくさんあると思いますし、あるいは都市の再開発なども非常に重要なことですし、下水道もあるわけでありますから、そういう意味で、どうもことしの春闘というのはもう少し頑張ってもらわなくちゃいかぬと、こう思っていたんですけれども、この辺は一体どうなんだろうかなと。もう少しやりようを考えていただかなくちゃいけないんじゃないだろうかというふうな私は感想を持っているんですが、お答えをいただければ幸いだと思います。  それからもう一つは、そうした意味では、労働者間の賃金格差の拡大といいますか、労働条件についても格差の拡大というのが非常に大きくなってきていると思うんですけれども、特にパートタイマーなどの労働条件というのは必ずしもいいとは思いませんし、あるいは出稼ぎ労働者等の条件というのもいいとは思いませんし、その辺の底上げをやっぱりもう少し頑張ってもらわなければいけないだろうと。  特に最低賃金制ですね。これは地域最賃もあるでしょうし、業種別最賃金もあろうと思いますけれども、この辺が最近は正常に決められていないという話を実は聞くわけでありまして、なかなか労使それから公益ですが、三者の協議によるっていうんですけれども、何かなかなか三者の協議に入れなくて、公益委員だけが差しさわりなく決めているという話も私ども聞いているわけでありますが、この辺がむしろ賃金を引き下げる役割を私はしているんじゃないだろうかと。この辺についてのお話を承れれば幸いだと思います。

宝田善日本労働組合総評議会経済局長

○参考人(宝田善君) 第一点の賃上げにつきましては、戦後、昭和三十年ごろからの統計をずっと押さえて考えてまいりますと、オイルショックの前までは実質の成長率と賃金の引き上げ率が大体パラレルできておりまして、いろいろ言われておっても、各国の成長の度合いと実質賃金の度合いというのと国際比較をいたしましても、日本の場合ほぼ真ん中辺に位置をしております。ですから、いろいろと我々の中には問題がございましたが、大体成長と労働者の賃金というのは見合ってきたと思うのであります。  これが大きく崩れましたのはオイルショック以降でございます。それも最初の七、八年はまだかなり頑張っていたのでありますが、一九八〇年代に入りましてからは、最近、ことしのはまだ計算はしておりませんが、ほぼ見当がつきまして、大体経済の成長三に対しまして賃金の上昇が一ぐらいの非常に大きく後退をしております。これをどう立て直すかというのは、これは我々労働組合の存立にかかわる問題でありまして、ことしも失敗の春闘でありまして、おっしゃるとおり、七%とらなければ実際は世の中から立ちおくれてしまったということで、今、自己批判をしておるところであります。  二番目の賃金格差の問題でございますが、これも、日本の中小企業というのは割合、今、健闘しておりまして、今までのところは余り大きく格差が拡大するという状況には来ていない。ただ、むしろ問題は、労働時間の格差であるとか、一時金格差であるとか、退職金格差であるとか、トータルな労働条件というのは大手と中小ではだんだん格差が開いてきているというところが問題なのであります。  その一番底辺を支えます最低賃金問題ですけれども、これは理念としての最低賃金制というものが今だんだん形骸化をしているというふうに私は考えています。といいますのは、今の地域包括最賃が一番基盤でありますけれども、今までの地域包括最低賃金というものは大体春闘相場を超えて上がっていたわけであります。その意味は、最低賃金というのは、労働組合の団体交渉権のない気の毒な労働者のために法定といいますか、第三者の手によって一定の水準を保障しようという制度でございますが、何を基準にして最低賃金を決めるかというときに、全労働者の平均の賃金の状況あるいはそれプラスアルファですね、これは構造格差をなくすときはプラスアルファを乗せなければ格差は縮まらないわけでありますから、大体そういうことを目指して今までやってきたわけであります。ところが実態は、地域ごとに最低賃金を決めておりますので、中小企業、零細企業がだんだん大企業の成長から取り残されてまいりますと、地域の三十人未満のいわゆる地場産業というものの賃金の上がり方を見て実際の最低賃金というものは決まっていると。これはおっしゃいましたとおり、労使が非常に厳しい対立をしておりますから、第三者、公益の方々が多少妥協的に案を出すわけですが、そうなりますと、周りの地場の賃金よりも高い最低賃金を出すというのは非常に出しにくいということで、心ならずも未組織の零細企業の賃金状況に引っ張られた最低賃金の決まり方をしているというのが最近の状況であります。  そうなりますと、世間のいわゆる平均的な賃金の動向から最低賃金というものがだんだん置いてきぼりを食うということになってまいりますので、今は、この最低賃金というものはいかなるレベルで決まるべきかということにつきまして、余り地域、地域の事情ではなくて、一国全体としまして最低賃金論というものをもう一遍見直すべき時代に入ったというふうに私は考えております。

幸重義孝全日本労働総同盟政策室長

○参考人(幸重義孝君) 基本的にはただいまの宝田参考人の答弁とほぼ同じようなスタンスになろうかと思います。  ただ、いわば単年度で見て、例えば本年五%程度でもって終わってしまったと、そのことが宝田さんの場合は、今、いわば端的に負けたという表現はされましたけれども、私たちは、少なくとも労使間において責任を持ってよかれあしかれ決定をいたしたわけでございますから、その限りにおいては勝った負けたという論議を私は展開したくない、展開するべきでないというふうに考えております。当然、不満が残ったかあるいは不満が残らないかということになるとすれば、いわば私たち七%要求を組み立てて要求いたしたわけでありますし、そういう意味で整合性を持たしてきたわけですから、結果的にそれに到達をしなかったということになるとすれば、これは当然不満は残ります。したがいまして、その残った不満を一体これからどうやってカバーしていくのかという問題は、それは当然出てこようかと、こういうふうに思います。  あわせて、いわばロングレンジでもって賃金あるいは労働者の生活全体を考えていきますと、まさに内需拡大にとって一番中心的なのは個人消費であると。したがって、個人消費に対してインパクトを与えて、いわばより大きくしていくためにも賃金は当然大きくなっていかなければいけないと思いますけれども、私は、やはりそれと同時に、さまざまな法的な処置、例えば年金なり、あるいは私たちが働いているいわば将来に向かっての信頼がどう法によって担保をされていくのかという、そういった観点のものがきちっと裏打ちされていて、それとの整合性において賃金が労使間において決定されていくという、この構図がしっかりしていませんと、これが例えば信頼が担保されているべきはずのさまざまの社会保障関係その他が、その都度財政の状況によって変化をしていくようなことがあったんでは、賃金を決定していく際にもやはりそれなりの不安感を持って決定していかざるを得ない、そのことは結果的に個人消費に結んでいかないという、そういった絵が描かれてくるという点が心配であるというふうに申し上げておきたいというふうに思います。  それから、パートタイマーあるいは最低賃金の問題については今いろいろ言われましたけれども、たしか一昨年だったでしょうか、確かに三者構成が機能しないまま、先生御指摘のように、公益側の裁定によって処理がされるというようなケースというのはありましたけれども、昨年は三者構成は機能をいたしておりますし、本年もある意味ではその方向へ向かって動いているようでありますから、最低賃金制そのものの是非に関しては、これはいろんな論議があるところでございますけれども、機能としては今のところは生きていると、そういうふうに思います。  それと同時に、不安定雇用の問題に関しましては、まさに賃金ということだけに限らず、総合的な労働条件の面において、例えばつい先日、本院において御決定をいただきました人材派遣の問題等を含めまして、ある意味では新しい不安定雇用労働者の形態が産業の動向として出てまいっておりますから、そういったものに対して私たちがどうアプローチをしていくのかということをきちんとやっておきませんと、先生御指摘のように、いわば格差が拡大をしていく、それを労働運動が見過ごしてしまうという、そういう現象になる可能性がある、そういうふうに考えております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 もう一問伺わせていただきたいと思いますが、ことしも一兆五百億の所得税減税あるいは地方税の減税ということを私ども承りまして、かなり努力をしたつもりでございますけれども、現実にはどこからその金を引っ張り出してくるのかという、財源問題というので実に頭を悩まして、その付近に余りいい知恵が私どもも働かなかったということが現状でありますけれども、それについてお二人の参考人は、財源問題ということについて何かお考えがありましたら、ひとつ御指導を賜りたいと思います。

宝田善日本労働組合総評議会経済局長

○参考人(宝田善君) 財源問題ということになりますと、今のマイナスシーリング枠、これをどう考えるかということになると思うんですね。総評の場合には、今のような財政再建のやり方、いわゆる行革のやり方というのはもう限度であって、この辺でもう検討し直すべきであると。  といいますのは、問題が二つございまして、一つはさっきも出ましたように、本来、財政の枠を先にゼロとかマイナスとか天井を決めて財政を編成するというのは、そういう枠を決めることによって不効率なところを削って財政の質をよくすると、要するにむだをなくすという外科的手術として行われたと思うんですね。しかし、今の実際は、むしろ悪平等のままで縮小しますから、政府あるいは国会から見ましても政策の選択の余地がなくなっちゃっている、一律悪平等のマイナスになるということで、ことしは恐らく厚生省は予算編成不可能になるだろうと言われているのもそういうことなんでありまして、本来期待した効果ではないマイナスの効果だけが強く出ているやり方でありますから、こういう財政編成そのものについて、これはもう見直さなければいけないと思うのであります。  したがいまして、こういう悪平等型のメスの入れ方というのは短期的な手術にすぎないのでありまして、ここまで参りますと、日本の財政の再建ということを考えますと、これは長期ベースで考え直さなければいけないと、短期療法ではだめなのだと、むしろマイナス効果の方が強く出ているというふうに考えますね。  そうなりますと、先ほどの内需の問題と絡むんですが、まず日本が潜在的に持っております成長能力というものをむしろ十分に発揮させることによって税収をふやす、パイを大きくして税の収入をふやすことによって財政は再建すべきであって、むだを探し回ったり、必要なものまで切ることによる再建というのは、むしろ限界が今出ているというふうに考えます。  先ほど言いましたように、林業対策もそうでありますし、勤労所得税の減税もそうでありますけれども、全部シーリングの枠で財源がございませんということでもし行くのであれば、それはもはや政治における価値の選択を放棄したものであって、官僚型の財政編成にすぎない。この辺でやっぱり長期的なビジョンに立って政策の選択を行うときに来ているというふうに私は考えますから、ある程度の赤字国債の発行もやむを得ないし、むだを省くこともやむを得ない。 軍備に対する縮減とか停止とか、そういうこともあってしかるべきでありますから、特定の財源と特定の政策というふうにリンクをすべきものではなくて、むしろ今の画一型縮小財政編成そのものにメスを入れることが先決だというふうに考えます。

幸重義孝全日本労働総同盟政策室長

○参考人(幸重義孝君) 先ほど冒頭陳述の中で、私、幾つか先生の御質問に対するお答えをさきに申し上げました。したがいまして、それに関しましては省略をさせていただきます。  基本的には、いわば循環的な赤字、要するに財源がないということは循環的な赤字を招来いたしておるわけでありますから、その循環的な赤字の原因を除去していくために、財政の出動を含めてやはり財政の持っている景気調整機能というのを果たしていくべきであろうというふうに考えております。  ただ、具体的な内容に関しまして、実は本年の予算委員会の場で、私が公述人として出席をいたしました段階で、幾つかの具体的なことについて財源問題に触れておりますので、お答え申し上げておきますが、当然一兆五百億の減税要求に対する財源として私ども主張をいたしたわけであります。  財源対策としては、第一義的には経済の安定成長による自然増収や不公平税制の是正、歳出削減などによることとしてもらいたいし、中でも国税においては、申告納税制度の強化拡充による所得捕捉率の是正やあるいは社会保険診療報酬に対する特例措置の廃止あるいは利子配当所得の総合課税化、有価証券譲渡所得の非課税措置の廃止、有価証券取引税率の引き上げ、各種準備金に対する租税特別措置の廃止、減税効果による税の増収分等を見込むことによって財源になり得るというふうに考えております。そしてまた地方税においても、利子配当所得の総合課税化、法人住民税均等割の適正化あるいは医療等事業税非課税の廃止、社会保険診療報酬に対する特例措置の廃止などを提言をいたしております。 そのことを既に衆議院予算委員会の段階で私の方から提言をいたしております。  それからもう一つ、大事なことでありますが少額利子課税問題、一応当面の解決がなされたわけでありますが、たしか昨年十一月でしたか、日にちは定かに記憶をいたしておりませんけれども、実はあの限度額管理に至る前に、私ども労働団体が政府税調の場におきまして、いわばマル優カードを発行すべきである、マル優カードに関して、言うならばカード発行に必要な経費はそれぞれ国民一人一人が負担をしてもよろしいではないかという、まさに労働組合がある意味ではその必要経費を負担してもなおかつマル優カードを発行すべきであるという提言を、実はこれは労働団体がこぞっていたしたことがあります。  残念ながら、実はそれは実現いたさなかったわけでございますけれども、こういう問題というのがある意味では国政レベルにおいて税調の場の中ですっと消えてしまうんではなしに、この種の問題というのが、ぜひ財源問題として真剣に論議をいただくような機会をぜひつくってもらいたいものだというふうに考えております。  財源については、以上申し上げたとおりでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 松本参考人に二つばかりお尋ねしたいと思うんですけれども、きょう新聞に出ておりました、これはアクションプログラムの将来一環になるのだろうと思いますけれども、関税の引き下げについて農林水産品目二十六品目、この中には木材製品等もありますけれども、これについてのひとつお考えを承りたいと思います。  それからもう一つは、この間のボン・サミットでニューラウンドの話が非常に出ておりますけれども、ニューラウンドの一番大きな目玉は、農産品の自由化を主要な内容として考えているように言われておりますけれども、これは日本農業に対しては一体どういう影響が出てくるだろうか。途上国ではかなりこれについては反対の意向を表明しているところもかなり多いわけでありますけれども、その辺について伺いたいと思います。

松本登久男全国農業協同組合中央会農畜産部長

○参考人(松本登久男君) お尋ねの点でございますが、第一の点につきましては、本日新聞にも出ておりましたように、六月二十五日を目指して関税引き下げ問題が論議されておりますが、このたび相当多数の品目が、特にASEAN諸国から関心品目として挙げられておりまして、それについて関税引き下げについての検討がなされているようでございます。  私どもは、この問題について幾つかの疑問を持っているわけでございまして、その点については政策効果は必ずしも高いものではないだろうというふうに思っておりますので、その点と、それから、市場アクセスの改善なり自由貿易を守るために、国際貿易を促進する阻害になっておる事項を関税を含めて排除するのだという、こういう建前からいって、現実と余りにも乖離し過ぎているというケースがございますので、その点について若干御説明させていただきます。  第一の、政策効果は余りないだろうというふうに思われる点でございますが、御案内のとおり、今日我が国における農林水産物資、特に林水産については私もちょっと詳しくないところがございますので、農産物について申し上げますと、農産物の関税水準は七%ないし八%の水準になっております。非常に低関税でございます。ECが大体一二%ないし一三%ぐらいの水準でございまして、アメリカが四・五%ないし五%ぐらいの水準ということでございまして、日本の農産物関税はかなり低い水準まで下がってきております。この七%程度の関税について、それを一%下げる、二%下げるということが仮に議論されてそういったことが行われる、政治的なイシューとして取り扱われるということについて大変疑問がございますのは、そういった反面、為替につきましては現在の円・ドル交換レートに象徴されますように、非常に短時日の間に為替が一割も二割も振れるという状況がございまして、関税を操作することによる貿易拡大効果よりも、むしろ為替の変動によります貿易の拡大なり縮小に対する影響効果といいますか、そちらの方がはるかに大きい意味を持ってきておりますので、そういったものを総合的に論議いたしませんと、いたずらに単品ごとの関税率表をいじくってそれを下げてみても、貿易の改善には余り役に立たない面があるんではないかというふうに感じられるわけでございます。  それからもう一点は、関税引き下げを要求しておりますASEAN諸国の関心品目、例えばタイでいきますとブロイラー、フィリピンのバナナとか、バナナは熱帯産品でございますから日本に競合品がございませんが、その種の、水産物も含めまして韓国のノリとか、そういう関係国の関心品目がかなりございます。それらの品目について相手国の関税水準を調べてみますと、それぞれが同一品目につきまして日本より低いもので三%、高いものでは一〇%、もっと高いものでは三〇%も高い関税を自国は外国に対しましてかけている。それで日本には、現在の水準より関税を下げろというのは、これは貿易の相互主義からいって、それから一つの主張としても大変おかしな主張というか、非常に不公正な考え方ではないかというふうに思っております。  日本の政府は、そういったことを、ただ東南アジア諸国との貿易収支が悪化しているから、反日感情が盛り上がらないように、その一つの手段として関税を操作するということを考えるのではなくて、もっとそういった点については公正な議論ができるように、しかも冷静な議論ができるような場面でそういったものは取り扱うべきではなかろうかというふうに私どもは考えておりまして、いたずらにそういう政治的な圧力によって先行き見通しがない、しかも事態が改善されない、さらに問題が深刻になるようなそういった取り扱いは避けるべきじゃないかというふうに思っております。  それから、具体的な事例で申し上げますと、例えばブロイラー、これは今ボンレスチキンが非常に大きな政治的な課題になっておりまして、最大の政治関心事になっております。これは先ほど対米で骨つき鶏肉につきましては関税を引き下げております。これは二・五%ほど下げておりまして、現在一一・三%の関税になっておりまして、来年からさらに関税は一〇%まで引き下げるという協定になっております。そのことをとらえまして、タイの方はボンレスの方も一応骨つきと同じように関税を下げてもらいたいと、こういうことでございますが、問題はそういうところにあるわけではなくて、現在、タイ国の副首相が日本に来てそういったことを言っておりますが、タイ国におけるブロイラーの輸出企業、これは八つほどの会社がございます。そのうち七つは日本からの資本進出企業でございまして、日本に流通ルートを持っていて、日本が資本進出をしている企業で、現地人のチープレーバーを使って生産をして日本にその生産物を持ってくる、こういうことをやっている企業でございまして、これをあたかもタイ国の関心事であるかのような扱いをすることは大変私はおかしいというふうに考えております。  また、日本の進出企業については、そういった点では非常に不公正な貿易慣習をとっておりまして、例えば企業が進出しまして、日本の国産の製品と同じ製品をつくらしている企業もございます。そういったものは、企業内の経営政策といたしまして輸出エリアを限りまして、日本には輸出させない、あるいは日本が大変輸出しているある種の産品につきまして、名前を挙げるのはちょっとはばかりますので失礼さしていただきますが、日本がマレーシアに大変輸出しているものについてはマレーシアにも輸出しちゃいかぬとか、経営政策としてそういうのを抑制しておいて、貿易のバランスを当然欠くような貿易政策をとっておりながら、経営政策であるから政治的には介入できない、こういうことで野放しになっている。一方、弱者である農林水産業者についてはそういった関税の引き下げをやってくるということは、大変その議論が政治的に公平でないというふうに私は思っておりますので、そういったことをもう少し、これは冷静に議論するような場を設けまして、やはり専門的に議論をしていくことがベターではないかというふうに考えております。  それから第二の点でございますが、ニューラウンドへの影響でございますが、このアクションプログラムがニューラウンドにどう影響するかということについて、私どもまだアクションプログラムの基本的な方針についてつまびらかに承知しておりませんので、その影響がどう出てくるかということについてはなかなか明確なお答えができにくい状況でございます。  ただ、私ども希望を申し上げさせていただきますと、ニューラウンドで農産品がかなり取り扱われるという可能性は非常に大だというふうに判断はしております。と申しますのは、途上国は一律にかなり共同歩調でニューラウンドに疑問を呈しておりますので、途上国を引きずり込むためには、やはり農産品を俎上にのせるということは大変関心を引きつけやすい手段でございますので、農産品はニューラウンドにおいても相当大きな分野として取り扱われる可能性は高いというふうに判断はしております。  それからもう一つは、ニューラウンドがいつ開かれるかということもまだはっきりしておりませんし、これは実は、昨年協定いたしました日米農産物協定が四年間の期限ということでございまして、それらとこのニューラウンドの期限が重なってくる場合に、交渉事で取り扱わなければならないものをニューラウンドに向けて国内であらかじめ政策を決定しておくということは、明らかにこれは外交交渉を不利にする要素もございますので、そういった交渉事にひっかかっている項目については、この際行動計画から外しておくのが好ましいのじゃないか、そのことによって日本農業の影響を、極力政治的なしわが寄らないように最低にとどめるように持っていっていただきたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。  以上でございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 最後になりましたけれども、竹内参考人にお伺いしたいと思いますが、竹内先生、いつも明快な論理で、私尊敬をしていたわけでございますけれども、きょうは経団連の代表だということで、若干どうもいつもの切れよりもちょっとあっちこっち鈍いような感じがいたしまして、ちょっとお伺いをしたいと思うんです。  確かに経団連は、増税なき財政再建ということで、公共事業も一時は伸ばしてもいいというようなことを稲山さんはおっしゃいましたけれども、そのうちにまた変説いたしまして、最近はそれはいかぬと、こうおっしゃっているようでありますけれども、先ほどのお話で、社会資本のストックが土地代を除くと日本は非常に小さいとおっしゃって、まさにそのとおりだと思うんですね。しかし、社会資本のストックを増加させるのに経団連はどう考えていらっしゃるのか。  一方では、民活ということを盛んにおっしゃっておられるわけでありますけれども、民活でできるものというのは私は限界があると思いますし、そういうものは果たして本当に一般的な日本の国民が利用できるような社会資本なのかどうなのかというと、これは特殊なものになる可能性が非常にあると思うんですね。  例えば、都市改造などで小さな住宅を横にのけて立派なものをつくっても、なかなか小さい人はそこへ入れない。入ってくるのは、大きな企業がどかっとそこへ座って、小商人は追い出されちゃうというのがあっちこっちで見られているところですね。これは住宅・都市整備公団あたりでやっていてもそうなんですね。それが民活でやられるというようなことになりますと、果たして本当に公共性というものが守られるのかどうなのかといいますと、どうもその辺はちょっと私疑問があるし、たとえそれを第三セクターでやるにいたしましても、ある程度の利益というものを考えながらやらないと、私はそれは存立しないんじゃないだろうか。あるいは、そういうもののために環境や安全、そういうものが犠牲にされる心配があるんではないだろうか。  そういう意味では、先生の御議論ではちょっと何か矛盾されているような気がしてならないんですが、その辺は少し経団連を代弁されているんじゃないだろうかという気がしてならないわけでありますけれども、この点を一点お伺いしたいと思います。  それから、赤字特例債ですね、特例債の発行なども恐らく六十五年ゼロにするという形でこれをなくしていくというのが経団連の考え方のようでございますけれども、私はそれでは内需拡大、必要がないと言われればそれまででありまして、もっと締めれば締めるほど種油のように油が出てくるからいいという議論はそれならそれでありますけれども、私はまさかそういう御議論ではないと思うんです。そうしますと、余り赤字をなくする、特例債をなくするということのために活力を失わしてしまうという心配はないだろうかということを考えているわけでありまして、先ほど宝田、幸重両参考人からもそのお話があったわけでありますけれども、そういう意味では、去年の暮れでありますか、現代総研が一つの案を出しまして、現在の国債の額を固定するとか、あるいはGNPに対する割合を固定して、それによって順次下げていくという提唱をされているわけでありますけれども、私は一つの見解であろうというふうに思います。これに対しては一体どういうふうにお考えになっているのか。私はやっぱり少なくともその辺まで妥協していただかなければいけないんじゃないだろうかと内心思っているわけであります。  それから、資本設備の充実という点も、おっしゃられるように、今、設備、機械の寿命は、恐らくアメリカと比べても日本の方がちょっと年とっているというような状態であろうと思います。そういう点では御指摘のとおりではなかろうかと思うんですが、そういうことであれば、最近は経団連に加盟されている会社等は相当もうかっているところが多いようでありますからね、この際、内需拡大という意味で大いにひとつその辺では、みずからのお手で設備の投資をおやりいただけないものだろうか。余り投資減税とかいろいろなことをおっしゃられますと、またいろいろ税制面に関連してまいりますから、みずからのお手でひとつ設備投資をおやりいただけないものだろうかというふうに思います。  それから、この間ボン・サミットで国際通貨制度の問題が若干出まして、その後もいろいろ議論されていますけれども、フランスの言っているターゲットゾーンの通貨制度についてはこれはちょっと問題があるということであります。しかし、今のような為替相場制度というものがいいのかどうなのかというと、やっぱりこれは私は問題があるんじゃないか、松本参考人のお話もそのとおりでありますし、こういう点ではもう少しその国のファンダメンタルズというものに対応した為替制度というものがあってしかるべきではないか、こういうふうに思いますけれども、この点について御教示をいただきたいと思います。  最後に、最近輸出課徴金問題というのが一部で議論されておりますけれども、これについて経団連はどのようにお考えになっているのか、同時に、これは組合側もどんなふうにお考えになっているのか、どちらさんでも結構でございますので、この点についてはひとつ組合側もお答えいただきたいと思います。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 先生の御指摘、まさにいろいろ御示唆に富む点が大変多いわけでございます。先ほど歯切れが悪いという御指摘がございましたので、評論家的な立場で経団連の主張をさせていただきたい、こう思うわけでございます。その方が経団連の主張がはっきりするのではなかろうかと思うわけでございます。  御指摘のように、公共事業は将来とも成長の基盤でございますから拡大しなければならないということで、これが民間活力で果たして充実できるかということになりますと、御指摘のように限界があるということであります。現在、公共事業を拡大してまいりますと現在の財政赤字に対する歯どめがなくなるというようなことでございまして、先ほどほかの参考人の方々が申されました点にまさに賛成でございますけれども、つまり予算の内容にウエートをつけろというような御指摘かと思いますけれども、ウエートをつけていった場合に財政赤字がなくなるかというような問題が深刻な問題だろうと思います。多分ウエートづけが困難だからマイナスシーリングをせざるを得ない、こういうことで、経団連もそういう立場からマイナスシーリングに賛成しているというようなことだというふうに理解しているわけでございます。  先ほどいろいろ御指摘がございましたように、これから将来を考えますと、公共事業を拡大していくということは重要でございますけれども、今申し上げましたように、例えばこの財源を増税でやったということになりますと、多分税金として最も取りやすいのはだれが負担しているかわからない税金でございます。負担が明確になった税金は取りにくいということになりますと、当然のことながら過去と同じように法人税に依存する度合いが大きいということであります。現在、日本の法人の実質税負担は約五二%でございます。アメリカの場合は、御案内のとおり三三から四だというようなことになるわけでございます。つまり公共事業とかそういう面を拡大していきますと、増税によった場合にはどうしても法人税の増税になる可能性があるということであります。ですから、非常に悪い言い方でございますけれども、豚は太らせてから食べるのがいいわけでございますけれども、太る前に食べてしまうというようなことで、現在、法人は食べられつつあるのではなかろうかというようなことであります。アメリカは現在、まさに太らせて食べるというような政策に転換した、こういうことが第一だと思います。  それから第二番目に、これを国債に依存してまいりますと国債の残高がぐんぐんふえる可能性がございますから、そうなりますと政府の財政内容が硬直化する、フリーハンドがなくなるということでありますし、国債が大量に発行されていけば、当然のことながら金利が上昇していくというようなことになるわけでございます。それから、国債の期近物が既にぐんぐんふえております。間もなく短期国債も発行されるに違いないということになりますと、短期の金融資産が大変ふえてまいります。そうなりますと、預金から短期への金融資産のシフトが起きますから、先ほど宝田参考人が御指摘のとおり、中小金融機関の経営上の問題が出てくるというような、当然の帰結として自由化が進み、そうなる、こういうようなことになるわけでございます。そういうことになりますと、現在のところ、公共事業を拡大いたしましても、拡大をしていって財政のバランスがとれるかというようなところが最大の問題でございます。もし、ほかのものをカットして公共事業を拡大できるということになりますと非常に結構でございますけれども、現在のところそれは多分不可能に違いないというようなことから、公共事業の中でも、現在のところさしあたって民間活力を利用できる分野で公共事業を拡大していったらどうかというようなことでございまして、これはもちろんベストではございませんで、最悪の状態を避けるというような感じかなというように考えさしていただいているわけでございます。  それから、社会資本が充実いたしましても、過去は、例えば道路ができますとすぐ混雑する道路でございます。ということは、投資したものがすぐ生産の上昇にといいますか、経済活動に結びつくということでございますけれども、だんだん豊かな社会になりますと、社会資本が充実するということは、人がいないとか、あるいはすぐ走れる道路とか、つまり効率の悪い道路がふえるわけであります。それが豊かさであります。そういうことを考えますと、現在の豊かな社会で公共事業をぐんぐん拡大していった場合には、それによって起こる経済成長率の増加分は低いということであります。そうなりますと、それによって社会資本が拡大し、内需を拡大し、税金をふやして財政をバランスするという循環が働きにくくなっているというようなことでございます。そういう点から考えますと、まずさしあたっては、マイナスシーリングによって財政の再建をするということが最優先だというのが評論家的な立場からいって経団連の主張だというふうに思うわけでございます。  それから次の御指摘でございますけれども、重複いたしますけれども、現在の国債残高は、御案内のとおりGNPで割りますと四八%ぐらいになりますか、世界最高の国債残高を持った国になってしまった、こういうことでございます。これは先ほど申し上げたとおり、財政のフリーハンドが全くなくなっていく姿である、こういうことでございますので、どういたしましてもできるだけ早く、六十五年に赤字国債をゼロにするというのは非常な至難のわざでございますけれども、それに向かって稲山会長が言われますような我慢の哲学が必要だと、こういうようなことを背景にしてその哲学があるんじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。  それから第三番目に、経団連の企業が設備投資をしたらどうかということでございますけれども、残念ながら経団連には構造的不況業種が多いわけでございます。重化学工業の企業が大変多いというようなことでございます。実際現在のところ、ハイテク産業では設備投資が順調に上がっているということでございますけれども、構造的不況業種は収益がなかなか上がりませんし、その上、先ほど申し上げましたような収益の過半を税金で取られていくというような姿でございますから、現在のところ日本の企業は、極端に言いますと、アメリカに出ていって、そこへ行きますと地価ははるかに安い、賃金は同じ程度である、税金ははるかに安い、こういうことになりますとどうしてもアメリカに出ていく、つまり資本流出が起きている、こういうようなことであります。他の国、アメリカに資本が出ていくということは、その資本が日本に投下されれば――つまり経常収支が大幅黒字、資本収支が大幅赤字、これは言ってみれば、日本はあり余る金とあり余る物を持ちながら国内の中では使い切れない、ですから、これをアメリカやその他の国に持っていき、我々よりもはるかに豊かなアメリカの成長のために助けている、こういうような非常に残念な状態にある、こういうことであります。ですから、これを日本に取り戻していくためには、諸規制の撤廃とか税制を国際的水準並みに引き下げるとか、いろいろな手段が必要かと、こういうふうに考えさしていただいているわけでございます。  それから第四番目に、御案内のとおり、現在の変動為替制度には大変大きな問題があるというのは御指摘のとおりでございます。ところが、これが従来のような固定相場制度に戻れるかということになりますと、世界各国の成長率格差が余りにも激しいというようなことになるわけでございますし、固定相場制になりますと各国の金融財政政策のとり得る幅が少なくなるというようなことであります。そうなりますと、経済危機を迎えているような国は非常にやりにくくなるというようなことで、変動為替制度が最善とは思えませんけれども、さしあたって他にかわる手段がないのかなというように思われるわけでございます。現在のところ日本の場合には、まさに日本に投資機会がございませんので海外に資本流出し、その結果円安になってしまっているというようなことでございます。ですから、円安、ドル高というのはまさに、アメリカの特に南部における成長力を高く評価し、そこに世界の資本が流れ込んでいるというようなことかなという感じがいたします。  それから、最後の輸出課徴金でございますけれども、最初に申し上げましたように、現在アメリカでございますと、例えばフラッシュジャップなんという言葉が大変はやっているといいますか、ごく普通に使われると。非常に極端な言い方を言いますと、日本人が座っているだけで不愉快であるというようなぐあいに対日批判がクレージーな状態になっているというようなことであります。実際に外国の方が成田におりられるとか、日本人が海外旅行から帰ってきますと、いずれもワインとかお酒とか、そういうものとチョコレートをたくさん持ってくるわけでございます。こういうのを外国から見ますと明らかに日本は関税障壁があるというようなことでありますから、あの土産物というのは、皆さんお持ちになっているウイスキーや何かはまさに日本の関税の高さを世界にPRしているような感じがするわけでございます。ですから、日本に余り影響がないものはぐんぐん関税を引き下げていくというようなのが非常に重要ではなかろうかと思うわけでございますけれども、それだけでは現在の経常収支の黒字は減らない。他の参考人の松本さんなんか御指摘のとおり、まさに減らないわけでございます。このままでいきますとことしは四百億ドル、来年は五百億ドルぐらいになる可能性があるということになりますと、まさに対日批判は高まる一方でございます。  これに対して防ぐ方法は何かということになりますと、ごく簡単に申し上げれば、要らない物を買うということであります。国民一人当たり百ドル買おうなんというのもまさに要らない物を買うというのが一つであります。それから第二番目には、輸出を制限するということであります。輸出課徴金がそれであります。第三番目は、ただでお金をくれてやるというようなことかなというようなことであります。  そこまで対外的な環境は押し迫っておりますし、まさに対日批判はアメリカだけではない、アジアに強烈にある、こういうことであります。日本に対する赤字は、アメリカのGNP分の対日赤字と韓国のGNP分の対日赤字を比べれば、問題なく韓国のが大きいというようなことであります。そういうことになりますと、何らかの意味で輸出制限をせざるを得ないだろうというようなことであります。そういうことになりますと、やはり自主的に輸出を制限していくとか、あるいは集中豪雨的な一国への輸出は企業の自主的努力によってやめていくというようなことが大変重要だというようなふうに考えているわけでございます。経団連もそんなようなことで自主規制というような立場といいますか、集中豪雨的な輸出をやめていくというような立場に立っているというふうに考えているわけでございます。  以上、やや評論家的な立場で申し上げましたけれども、大体経団連の真意をお酌み取り願ったと思うわけでございます。

対馬孝且日本社会党

○委員長(対馬孝且君) 労働団体の宝田参考人、幸重参考人、時間の関係もございますので、一言輸出課徴金問題でお答えをいただきたいというふうに思います。

宝田善日本労働組合総評議会経済局長

○参考人(宝田善君) 傘下の組合の中にも、先ほど言いました合板の組合とか農林関係の組合がございまして、輸出課徴金をかけるべきだと、我々が原因で今、貿易黒字が出ているわけじゃないじゃないか、だから原因者の方で、公害と同じで発生者負担の原則があってもいいじゃないかということを再々言ってまいりますが、今のところ、一般原則として余り日本は保護貿易的なことを主張することはやっぱり総論としては非常に難しいということで我慢してもらっているというのが実態でございます。  輸出課徴金問題というのは非常に難しいのでありまして、こんなものは永久にかけるものではないし、やむを得ざる非常手段だと思いますが、それにしても先ほどの為替の問題もございますし、アメリカのドル高との絡みもあるし、一体何を基準にしてどういう品目に何%をいつの期間かけるべきかと。事態が少しでも変わったときどうするかとか、実際問題としてはテクニカルに非常に難しい問題であると思います。  ですから、もしも仮にアメリカが輸入課徴金をかけるのであれば、それならば、アメリカに税金を差し上げるならば、むしろ国内で国債の償還に充てた方がまだましではないかということは抽象的に言えますが、輸出課徴金というのはそう簡単に、まず技術的に難しかろうということを考えて、最後の手段ではなかろうか。その前は、やっぱり昨年の対米輸出もまさに集中豪雨的に出ているわけですから、そういうことを直すことの方が先ではないかというふうに考えます。

幸重義孝全日本労働総同盟政策室長

○参考人(幸重義孝君) 私ども率直に申し上げまして、内部にかなり輸出中心の組合を持っております。  輸出課徴金の問題に関しましては、結論から申し上げますと、現在のところ組織的に討議をし、結論を出しておりません。したがいまして、今ここでコメントするのは率直に申し上げまして差し控えたいというふうに思います。

松岡滿壽男自由民主党・自由国民会議

○松岡満寿男君 私は、国民生活・経済に関する調査特別委員会で経済摩擦と内需拡大ということで、四人の参考人の方においでいただきまして、それぞれの分野から貴重な御提言をいただきまして、心から御礼を申し上げる次第であります。  参議院の改革の一環として国民生活・経済に関する調査特別委員会というのができてまいりました。いろいろと国民生活全般にわたって討議、検討してまいったわけでありますけれども、私自身は一昨年まで地方で市長をさせていただいておったわけでありますけれども、そういう経験からいいましても、それぞれの地方あるいは国の福祉、文化、教育あらゆる分野におきまして、その根幹をなすものはやはり安定した経済活動がなければならないということを痛切に感じながら仕事をしてまいったわけでありまして、まさに本日の議題でございます経済摩擦と内需拡大、これをいかに我が国がクリアしていくかということが国、地方を通ずる大きな課題であるわけであります。それだけに四人の先生方のそれぞれのお立場からの発言を伺いまして、非常に感銘を受けたわけであります。  特に現在、我が国は貿易立国でありますから、自由主義経済を堅持していかなければいけない。どうやってこの摩擦を切り抜けて将来の展望を開いていくか、さらに財政赤字の中における内需の拡大というものをどう取り組んでいくか、非常に厳しい問題があるわけであります。経済摩擦の問題につきましては、先ほど来それぞれのお立場から御指摘のように、市場アクセスの改善、内需中心の持続的成長、そして投資・産業協力の拡大、新ラウンドの促進、開発途上国への対応及び摩擦回避への努力、こういうものが対外経済問題諮問委員会の報告によりまして政府が経済政策を発表し、それぞれの立場からいろいろな意見が今出ておるわけであります。特に国際化の基本的な視点を原則自由、それから例外制限としておるわけでありますが、こういう形で対応しなければいけないということであります。  そこで、まず竹内先生にお伺いしたいんですけれども、この例外制限、これは各分野によりまして、先ほど来松本参考人のお話もあったわけでありますけれども、いろんな御意見が分かれておるわけであります。政府の調整と対応がこの問題については非常に厳しい状況に追い込められていくというふうに考えるわけですけれども、非常に困難な状況になってくる。この点につきましてまずひとつ御意見を伺ってみたいというふうに思うんですが、よろしくお願いいたします。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 現在、御案内のとおり、経常収支の黒字が四百億ドルあるわけでございます。これに対して資本流出が約五百億ドルあるわけでございますけれども、この四百億ドルの経常収支の黒字といいますか、これは当分なくならない、むしろふえるぐらいだということであります。  と申し上げますのは、国内で投資が著しく伸びる環境にないということでありますし、政府もそれを刺激すべき財政上の問題からいって手段がないということでありますし、あるいは国民が変化を嫌うようになったというようなことでございますから、大きな投資になりますと、あるいは地域開発とかもろもろの新しいアイデアを持った開発に対しますと著しく拒否反応がある、こういうことでございますから、どういたしましてもある投資、大きな大型プロジェクトをやるといたしましても、その期間が大変長いということでありますし、それを実施するためのコストが大変かかるというような状態でございます。そんなような状態でございますと、国内にはなかなか投資が起こりませんので、当分の間、経常収支の黒字は大きいままである、こう考えざるを得ないわけであります。そういうことになりますと、当然のことながら、日本から輸出がどんどん伸びますと、海外からの輸入がふえるといいますか、輸入の制限、もろもろの制限を撤廃していかなければならない。つまり、国内で投資が順調に伸びない限り、日本の関税率は間もなく世界最低になっていくに違いないというような羽目に追い込まれていくというような感じがいたすわけでございます。  そういうことになりますと、当然のことながら、被害を受ける産業が出てくるということでございますけれども、先ほど宝田参考人が御指摘のように、自由経済というのは、国際的な自由貿易というのは一種の強者の理論でございます。    〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕 つまり、安くて消費者に喜ばれるものをつくった企業ないし国が伸びる。そして、高いものをつくった産業や、消費者に好まれない製品をつくった企業や国が衰退していくというのが自由主義の原則でございます。そういうことになりますと、自由主義を主張する限り、必ず血が流れなければならないということでありますし、実際アメリカに日本の製品が流れていって、アメリカに血を流しているということでありますと、当然のことながら、日本ではある種の血が流れなければいけないというような羽目になるわけであります。これがどうしても嫌だということになりますと、保護貿易の主張に加担するというようなことであります。ですけれども、もちろんその場合に急激に自由化されていって、一挙に何か市場が変わってきた、途上国や中進国の製品であふれてきた、こういうことになりますと、大変な社会的な摩擦がございますから、一定期間、三年とか五年とかそのような余裕期間を置いて、事前に通告して引き下げていくというようなことが必要かなというような感じがいたしているわけでございます。  つまり、国際的な自由貿易を主張する限り、産業構造の変化はやむを得ない。その変化を通じて日本経済は成長していくというようなことかなというように考えさせていただいているわけでございます。

松岡滿壽男自由民主党・自由国民会議

○松岡満寿男君 自由貿易主義というものを原則として貫いていくためには、いろいろな努力を我が国としてはしていかなきゃいかぬと思うんですけれども、自由貿易主義を唱えているアメリカ自身も、いろいろと都合のいいところでは輸入に対する規制もしておるわけですね。ですから、それぞれの国の一つの自主的な政策判断というものは、当然その段階でなされなければならないとは思うんですけれども、今回、特に農業問題につきまして大きな分岐点に現在差しかかってきておるわけでありまして、その辺になりますと、松本参考人の方は、今の竹内先生の御意見に対して反論があるんじゃないかと思うんですけれども、    〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕 その辺についてのお考えですね、産業構造はどんどん変わっていく、その中で、新しい事態にどう農業としては対応をしていかなきゃいけないか、そういう努力は当然なされなきゃいけない。しかし、片方で現実問題として、地域の産業の中で農業の持つ地位というのは実力的にはどんどん低下してきているという現実があるわけですね。この点についてのお考えをちょっとお伺いしたいと思うんです。

松本登久男全国農業協同組合中央会農畜産部長

○参考人(松本登久男君) 先生の御指摘でございますが、私も基本的な考え方で竹内先生がおっしゃっている考え方とそれほど違っているわけではございませんが、現実に施策を展開するということになりますと、それなりのテンポなり影響なりを具体的にカウントしながら政策を展開していくということが私は必要なんだろうというふうに思っております。  日本の農業の場合、これは既にもうかれこれ十年近く前になりますか、アメリカやECから大体十五年ぐらいおくれて食糧が過剰という時代を迎えるようになってきた。その過程で、今、再編成が始まっているわけでございますが、やはり競争力の強い、効率の高い産業にしていかなきゃならぬということで再編成を手がけているわけでございますが、現状においては、なかなかそれが私どもが考えているようなスピードで進みにくい環境がございます。  一つは、再編成といいましても、農業だけで三つの分野がありまして、特に資本集約的な分野、この分野につきましては再編成はかなり進んでおりまして、現段階におきましても、現在程度の為替相場であれば十分国際比価が一以下になっているということでございまして、国際競争力が十分ある分野でございます。これはもう総産出額の大体二割ぐらいはそういう分野で占めております。施設園芸、小家畜その他そういう地位を今獲得しつつあります。  それから、一番問題なのは土地利用型の分野でございまして、こちらは現在食管制度、国家貿易品目でございますから、ガットということを建前にした貿易ルールのもとでは一応保護されている、ガット上合法だと、こうされております。  中間の分野が今せめぎ合いになっておりまして、その象徴品目とされているのが一応果樹であるかんきつ、それから牛肉、こういうことになっております。この分野をどの程度、どういうスピードで開放していくかということがやはり一つの私どもの関心事でもありますし、国のやっぱり政策の上で御考慮いただかなきゃならない問題点というふうに思っております。  これについては問題が二つありまして、一つは、私は経済学者でも何でもありませんから、素人の議論でございますが、先生方の御高論を拝聴しておりますと、従来のように日本が全産業を国内で保持していきながら経済を運営していくということは必要なくて、むしろ特定の産業構造に特化していっていいんじゃないか、こういう議論がございます。確かに日本の経済が小さかった、弱かった時代に比べまして、そういう要素が強まっていることは私も事実だろうというふうに思いますが、だから仮に国内で農業が全くなくなったような産業構造になっていって、例えば半導体なら半導体産業あるいは自動車とカラーテレビだけに特化した産業になった場合に、その方が国の経済として安定するのかどうかということになりますと、私は、地方経済まで含めた経済運営を考えた場合には、必ずしもその方が安定ということにはならないだろうというふうに考えております。ほどほどというか、適当なところで産業の構造がバランスとれた形で一国に存在していかないと、現状においてはまだ、経済は国際化しておりますけれども、政治構造は一国ごとの構成になっておりますから、そういった中では、そういうバランスのとれた産業構造を維持していくということは絶対に必要だろうというふうに考えております。  それから、第二のスピードの問題でございますが、現実のスピードの問題になりますと、やはり私どもも想像しておりました以上に現在国際化のスピードというのが外圧で促されているということは事実でございます。ただ、それは外国からの国際収支その他の事情からそういったことを促されているわけでございますが、それのみによって産業調整が果たして進められていいのかどうかということになりますと、そこには一つの問題がございます。例えば、じゃ農業を一挙にアメリカなりASEANなりの言い分を一〇〇%聞き入れて、農業の今の政策環境を全く不利にするということをした場合に、そこから排除されていく人たちが他の産業に吸収されるスピードがそれに追いついていくかということになりますと、それには追いついていかないわけでございまして、これはかなりの者が失業なり何なりということになる。先ほども御紹介しましたように、今日でさえも農家経済の構造は、いわゆる移転所得の部分が第一所得の本来の所得構成部分であります農業所得を上回っているような状況になっているわけでございますから、そういう構造以上にさらに失業が出てきて不健全な経済体質になっていくということは、これは個別経済にとってもそうですし、地域経済にとってもなかなか大きな障害が出てくるだろう。そういう産業調整は可能かといいますと、現実的には私は可能ではないというふうに、人間は生きて生活しているわけでございますから、プランを立てていくというものと問題の性質が違いますので難しいだろう。その点が一番大きな問題だろう。  また、特に農業の場合も、最近は非常に資本集約化しておりますから、農業固定資本を非常に多角に運営しておりますので、この資本も産業調整のスピードがよろしきを得ないと無価値物になってしまって、資本の転換もなかなかうまくいかないということになったりして、結局経済に混乱が起こり、農業関係者には不安のみを与える、こういう結果になるので、それはほどほどのスピードでやるということが好ましいんであって、私ども現状を保持しながら変化を拒否するという考えは全く持っておりませんで、そのスピードがやはり許容できる範囲であればいいんではないかと、こういう考え方に立ってこの問題に当たっておるところでございます。

松岡滿壽男自由民主党・自由国民会議

○松岡満寿男君 私の田舎でも、例えば蔬菜の自給率なんというのは三〇%ぐらいで、七〇%ぐらいは島根県とか鳥取県から持ってくるという状況なんです。しかし、それでも自給率を高める努力をお互いにしようじゃないかということをやってきておるわけですけれども、やはりそれぞれの地域の中での工業の実態とか、あるいは漁業、農業との関係とか、あるいは都市化の進展状況、宅地の状況とか、それによって微妙に地域ごとに違ってくる。それを拡大したものが国の全体の問題として出てきているんじゃないかという感じがするんです。  いずれにいたしましても、農業ももっと資本の集中化をやっていかなきゃいけない、圃場整備をどんどんやはり進めていくという努力も必要だし、いわゆる農協団体でも、従来の金融機関からもっと営農指導体制を確立していくというそういう体質の変化も当然必要であろうと思います。  同時に、各産業の分野で行われておりますいわゆるハイテク化の問題とかいうことも必要な問題だと思うんですが、これは例えば、この前筑波の科学万博へ行きまして、政府館に一万個のトマトというのがあります。ちょうど今四千個ぐらいまでできておる。それで試食をしてみたんですけれども、普通のトマトと同じように結構おいしいわけですね。そういうふうにバイオをそういうものにどんどん入れていくと、ハイブリッド米とかいろいろあるわけですけれども、一本の木で一万個もなるようなトマトをつくってしまう、これはもう大変な問題が出てくる。だから、そういう標準化、集中化というものを求めていくと物の過剰というものが出てくる。  だから、あらゆる分野でも問題になっておりますように、一つの標準化、多量生産化という量の時代から、今度は質的な転換をしなきゃいかぬ時期がやはり当然日本経済全体に来ているんじゃないかと思うんですけれども、その部分については農業の関係ではどのようにお考えでございましょうか。

松本登久男全国農業協同組合中央会農畜産部長

○参考人(松本登久男君) 御指摘のとおりでございまして、先ほど御紹介しましたように、昭和四十年代の後半から再編成の必要性ということが経済環境としても醸成されてまいりまして、私どもも、そういった環境のもとで我が国の農業がやはり産業として自立するという形になるような体質を持たないといけないということで、現在、農業再編成ということを掲げましてその問題に取り組んでいるところでございます。  今、一番問題なのは、先ほども御紹介しましたように、三つぐらい分野がありますうちの土地利用型の分野でございまして、この分野は大体国際比価が三・五ぐらいはあるということで、米がその代表として今よく指摘を受けるところでございますが、この比価を悪化させない、むしろ改善していく努力をするということのためには、御指摘のような研究開発投資をし、技術開発をしていくということと同時に、やはり規模拡大の可能性がないとそれはどうしてもコスト的にそういったレベルになかなか行かないという面がございます。  この規模拡大の問題は非常に難しい問題がございまして、一つは制度的な障害、もう一つは社会経済的な慣習なり価値意識の問題、そういった問題と、三番目は経済関係の問題、この三つのうち制度的な障害については既に先生方の御努力をいただきまして、農地制度その他でかなり取り除かれてきております。問題は、経済的な関係と価値意識の転換ということでございまして、この二つを現在追求しているところでございます。  経済的な関係につきましてはまだまだ大変難しい問題、特にこれは農業だけで処理できない問題がございます。土地の利用型の場合には、農地の規模拡大をするために農地の集積をしなければなりませんが、農地の地価が非農業との競合の結果、農業以外の要素によって非常に高い水準につり上がっている。こういう状況ですから、農業の収益性からいきまして、農地を集積するということが経済的に言っても非常に難しい、こういう環境が形成されております。したがって、そこはもう少しやはり政策的な環境の整備の手助けを受けない限り、なかなか経済的な関係のみをもってしてそういったことをやり切ることは大変難しい。それには、例えば線引きなら線引きということをもう少し厳密に、厳格に行っていくような形をするとか、そういうことによって非農業と農業との土地利用をめぐる競合がもう少し秩序立てられていくといいますか、全体の将来の産業構造を理想的な形に持っていくために必要な政策環境として整えられていくことが必要であるということがございます。  それからもう一つは、社会的な意識の問題でして、こちらはやはりなかなか時間のかかる問題でして、特に現在の世代は戦後の農地改革を経験しておりまして、要するに生産手段である農地についての執着が非常に強いものがございます。やはり自己が耕作をしないで、人に貸して生産手段として活用していくということがこれからの方向だというふうに私どもも考えておりまして、そういった方向を追求しておりますが、特に高齢化社会になりますとそういったことは必至でございますので、個々の人々が後継者が就業しないで農地を生産手段として活用していくためには、一定のところに集積をして、働き手のあるところで生産手段として活用していく道を開かなければならないわけでして、そういった方向は少なくともこれから七、八年先にはもうはっきりした方向として確立してくるというふうに思っておりますが、それらの過程に非常に社会意識が障害になっているといいますか、どうにもならなくなって、みずからの手で耕作できなくなるまではそういうものがなかなかブレーキをかけるといいましょうか、流れにブレーキをかけるものとして働いております。  その点については、私どもも最大の努力をしまして、環境の変化、時代の流れはこうであるということをやはり構成員には十分訴えて、そういう方向に誘導するように努力をしておりますが、現状は、先生方から御指摘をいただきますように、世の中から求められているテンポに比べると、確かに望ましいテンポからいけば緩やか過ぎるという御指摘を受けかねない状況でございますが、これも極力スピードアップをいたしまして、国内の農業を産業として自立し得るような路線を追求していきたいというふうに考えております。

松岡滿壽男自由民主党・自由国民会議

○松岡満寿男君 農業問題につきましては、我々政府・与党としても、皆さん方とともに十分に話し合いながら、次代の農業の充実のために努力したいと考えておるわけですが、ひとつ業界の方も頑張っていただきたいと思います。  竹内参考人にちょっとお伺いしたいんですが、先ほど貯蓄の問題も出ました。我が国の貯蓄は、今回の経済摩擦の中で世界的にも脚光を浴びたようでありまして、シュルツ国務長官までが日本の高貯蓄の問題に触れておるわけですけれども、実際に国民経済計算ベースで国民の金融資産、これは四百兆に近い数字が出ておるわけでございますね。それで見ますと、企業が若干負債を抱えておりますけれども、まあとんとんぐらいで、そして国は百三十三兆円の借金、そして余り言われないんですけれども、地方自治体が五十七兆円、実際はやはり国、地方を通ずる借金で全体を見てもらわないとこれはいけないと思うわけですけれども、そういうものがあるわけです。ですから、財政赤字の中で国民の貯蓄を有効に活用していくということは非常に大きなテーマだというふうに思うわけです。労働団体の方は、可処分所得をふやすために消費を拡大するということが内需の振興につながるんだと、そういう意味から減税をということで、過去減税もやった経過もあるわけでございますけれども、それが消費に回っているかというと、そうでもない過去の実績も実はこれあるわけですね。  それはそれとして、どうして貯蓄が我が国には多いのか。これについては、例えば租税負担率あるいは社会保障費の合計で見ましても我が国は三三%ですか、五%。欧米諸国に比べるとはるかに低い。一つは、やはり貯蓄が大きいのはそういう税の問題と関係があるんじゃないかという議論もありまするし、同時に、いやそうじゃないんだ、社会保障が十分でないから、先に対する不安があるから貯金しているんだ、あるいは、いやそうじゃない、伝統的な勤倹貯蓄の精神、これは日本人の国民性のすぐれた部分じゃないかという、評価がさまざまあるわけでありますけれども、この高額貯蓄の問題につきましてどういう背景があるのか。そしてこの貯蓄の有効活用、これは世界経済にも、先ほど竹内参考人からお話しございましたように、アメリカは非常に貯蓄がない、財政赤字。これをやはり高金利ということで日本の資金が流出して、そういう面ではアメリカ経済に貢献している部分がこれはあるわけでありますけれども、そういう貯蓄の功罪でございますね、こういう部分につきまして若干の御説明をお願いしたいと思うんです。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 御指摘のように、日本は大変貯蓄率が高いわけでございますけれども、なぜ高いかについて現在のところ定説がないわけでございます。  社会保障が貧しかったからだということでございますけれども、戦後から現在まで、個人の貯蓄率は二〇%前後で変わらないわけでございます。つまり、社会保障が非常に未成熟だった段階から、現在のように成熟しても貯蓄率が変わらないと。住宅が貧しいから、そのために貯蓄したんじゃないか、こういうお話もございましたけれども、過去のような住宅が貧困であった場合と、現在のように住宅の空き屋率が七%を超していると、一戸当たりの床面積が、東京こそウサギ小屋でございますけれども、地方に行けば大変広うございます、大体フランス水準にはなっていると。それでも依然として貯蓄率が高いということでございますから、このいずれも説明ができないわけでございます。最後の説明は税だと。アメリカの場合で申し上げれば、住宅を建てるために銀行からお金を借りれば、その金利は損金算入になる、こういうようなことでございますから、借金して住宅を建てましても税負担はむしろ軽くなると。金利が今度は、何か有価証券を買ったり預金をいたしまして金利が入りますとそれが総合課税になる、こういうような状態ですが、日本はその全く逆でございますから、税制上貯蓄率が高くなっているんだと、こういうような意見もあるわけでございます。そんなところからマル優廃止というような意見も出てくるわけでございますけれども、それにしても高過ぎるわけでございます。  アメリカの貯蓄率が低いのは、ここ十数年ぐらいとりますと、過去インフレがあったから貯蓄率が低いんだろう、こういうインフレの懸念が一つあった。日本は政府に対する国民の信頼感が甚だ高いので、インフレがあっても間もなくおさまるだろう、また、インフレにならないかもしれないというようなことで貯蓄しているんだというようなことでございます。  いずれにいたしましても、貯蓄率の高さに対する決め手がないわけでございます。そこで、仕方がないから、国民性だと言っておけば解決つくのかなというようなことで、言ってみれば、日本固有の美徳であるというようなことで解決しているわけでございますけれども、残念ながら理由がよくわからないわけでございます。  貯蓄と申しますのは、これは物の面から見ますと、例えば所得を一〇〇といたしますと、二〇%貯蓄したということは、物の面からいいますと、その年にできた生産物一〇〇のうち、八〇はその年に使ってしまい、二〇は将来のために残すと、こういうことでございますから、将来のために使えるものが大変残っているということで、貯蓄率が高いというのは大変成長率が高い源であると、こういうことで、日本の過去の高度成長はまさにこの高貯蓄によって達成され、我々は豊かになった、こういうことでございます。ただ、現在のところの選択は、消費をふやして、ことしできた生産物をほとんどキリギリスのように食って豊かな生活をするか、将来のためにまだ物を残すかという国民の選択にかかっているということでございますから、消費をもっとふやす方がいいと考えるのか、現在程度の高い貯蓄をして将来のために残す方がいいと考えるのかは、言ってみれば国民的な選択だと、こういうことになるわけであります。現在のところ依然として貯蓄は高うございますから、それで、先ほど申し上げましたように投資が起きておりませんから、将来のために残したものが向上にならないということてありますから貯蓄が余っている、貯蓄過剰になるわけであります。  つまり、日本経済全体でいきますと、買い手がないものが大変残っている、こういう経済であります。この買い手がないもの、つまり、物の貯蓄といいますか、それをどう処分したかということになりますと、今まで政府に買い上げていただいたということであります。政府に大量な国債を発行していただいて買い上げていただいた。その結果、道路ができ、美術館ができる、それから社会福祉も拡大して、ほとんど自動車が通らない山の上まで美しい舗装道路ができ上がったわけでございます。そのようにやりました結果、ついに財政が破綻したということであります。さらに物が余ったと、その余った物は仕方がないから外国に売り飛ばしたと、その外国に売り飛ばした結果、経常収支が四百億ドルの黒字になって、現在それによって悩んでいると、こういうことになるわけでございます。  そうなりますと、貯蓄を避けて、その年にできた生産物や何か経済をサービス化して、みんなで飲んだり食ったり騒いだりして豊かな生活をするか、それとも、将来のために残しておいたもので社会資本を充実するような仕組みをつくっていくかというようなことでしかこの問題は解決ができないんじゃなかろうかと、こんなふうに思われているわけでございます。  そうなりますと、先ほど申し上げましたように、将来の壮大な計画を立てて都市を開発したり、東京などは、例えば飛行場が一つしかございませんけれども、国際空港も一つ、国内空港が一つでございますけれども、これぐらいの都市でございますとどこの国でも七つか八つの飛行場があるわけでございますし、四国や何かは高速道路もろくにございません。ところが、そういうものをつくろうということになりますと国民的なコンセンサスがどうもできませんし、制度上のいろいろなことがあったりいたしましてできないと、こういうような状況だろうと思います。そうなりますと、先ほどからの議論のとおり、財政赤字はしばらく残るだろうということになりますし、経常収支の黒字はなくならないと、こういうことになるわけでございます。  ですから、国内的に貯蓄は使えないとなりますと大変日本経済は国際化していって、国際化していきますと、それによって被害を受ける産業があると、こういうようなことで、そのあたりはどのあたりがいいかというのはまさに国民的な選択にかかっているというような感じが、口幅ったい言い方でございますけれども、そんなような感じがいたしているわけでございます。

松岡滿壽男自由民主党・自由国民会議

○松岡満寿男君 今の貯蓄の問題でございますけれども、労働側の方はどのように考えておられるでしょうか。

宝田善日本労働組合総評議会経済局長

○参考人(宝田善君) 竹内さんはかなり所得の高い方の人ですから、貯蓄動機については余りよくわからないんじゃないかと思うんですが、私の方はマルビの方ですから、なぜ貯蓄率が変わらないかというのは肌に感じてわかるわけです。  といいますのは、社会保障は確かに昔は貧困であった。要するに、戦後は失対事業しかなかった。今は、曲がりなりにも年金とか健康保険とかいろんな制度ができてきたと。じゃ、要らなくなったのかといいますと、要するに、昔と病気の構造が変わってしまいまして、今は、肝臓をやられたとか心臓がどうとか、いわゆる成人病になりますですね。そうすると医療費のけたが違ってまいると。  それから、例えば住宅で言いましても、昔は、住宅公団が典型でございますが、住宅公団で昭和三十一年にできました二DKというのはあれは当時は高ねの花で、勤労者にとればかなりハイレベルのものだったと。今それが、住宅公団は、あれは七十年で減価償却するようにして家賃が決まっているわけですが、ことしはもうつぶしにかかっていますね。というのは、昔のあの二DKでは、設備も悪いし、狭いし、どうしようもないというので、お国の資金でやっています住宅公団でも、二DKは二つ合わせるか、つぶすかということに今なっちゃっているわけですね。そうしますと、昔と同じ住宅なら確かに余っちゃうんですが、だから貯蓄の必要はないんですが、今、住宅のレベルも我々の所得の上昇以上に上がっていますから、必要な頭金の量というのは物すごく高くなっちゃっていると。  そうなりますと、やっぱり老後のコストも、年金水準がこれから三割下がるということになると、またまた貯蓄率を上げなければ老後も迎えられないと。項目は変わっていないと。教育費もどんどんコストが上がると。昔はみんなこんなに高校にやらなかったわけですね、新制中学ができたころは。今はもう九十何%、大学も四割やるわけですから、ニーズの方はどんどん上がるわけですね。そうしますと、進学準備金の額もけた外れに上がってくる。  したがいまして、二〇%の貯蓄率を維持していてなおかつゆとりがどうもないと、事態の方はむしろ先に進んでいるという構造になっていますから、これは、気まぐれとか貯蓄好きとかいうことじゃありませんで、生活設計上必要な貯蓄率はこのくらいになっている、あるいはもっと多いかもしれないというのが私の理解なんです。

幸重義孝全日本労働総同盟政策室長

○参考人(幸重義孝君) 全く私も同感であります。  ただ、ちょっと二点ほど追加をしておきますけれども、全体的に見て高齢化社会が二十一世紀初頭に極めて深刻な状態になるということだけは国民一人一人がもう予見をしていると。ちょうどその段階においてみずからが高齢化に入っていくという階層の方々が大変多いわけでございまして、そういう方々にとって、先ほど竹内参考人あるいは一般的なアンケート等に出てくる国に対する信頼感というのはかなり高いんですけれども、では、そういう高齢化社会、例えば二・八人でもって一人のお年寄りを抱えるようなそういった高齢化社会に現実に入っていく段階でもって、社会保障のシステムが果たして将来的にきちんと担保されているのかどうなのかということに関しては、必ずしも国に対するような信頼感、いわゆる一般的、抽象的な信頼感と制度に対する信頼感は明らかに違いがあるわけでありまして、その意味において今回手直しをされたんだというふうに私どもは理解をいたしておりますけれども、しかし、それでもなおかつそういった信頼をどう担保するのかということについて、やはりそこはかとない不安感を持っている、そのことが貯蓄性向を増強しているというふうに私どもは判断をいたしております。  それと同時に、あわせていわば高齢化社会へ向かっていく、例えば家族等に関する社会的な価値観の変化、それに対して一体どういうふうに対応していったらいいのかが現実の問題としてやはり不明確である。その不明確さは何らかの形でもってみずからがカバーするとすれば、それはもう貯蓄に頼らざるを得ないというのが私は現実の姿だろうというふうに思います。

松岡滿壽男自由民主党・自由国民会議

○松岡満寿男君 貯蓄につきましても、それぞれのお立場でお考え、御見解が異なるということがよくわかりました。これはまた別の議論に譲ります。  本日のテーマであります内需拡大の問題でありますが、これは先ほど来お話のございました公的規制の緩和でございますね、それと週休二日制の促進、労働時間の短縮、公共事業への民活導入による社会資本の整備、また税制の見直し、こういういろいろな問題点が内需拡大策としては考えられると思うんですけれども、一番具体的な問題としてはやはり国民生活環境の整備と消費の拡大、この二点に分けられるんじゃないかなと思うんです。  先ほど来お話ございました社会資本の充実の問題なんです。これは実際に地方でいろんなそういう仕事に携わっておった立場から見ますると、数字的には、例えば下水道普及率の問題とか、道路の整備率とか、国民一人当たりの公園平米数とかいろいろな基準がございますけれども、あの基準だけで地方のそういう社会資本の充実というものをはかっていいのかなどうなのかなという感じが実は一つするんですね。下水道の問題なんかにつきましても、これはやはり内陸型のヨーロッパの下水と島国の我が国の下水というのは歴史的にも当然異なるし、環境が違うという問題がありまするし、同時に公園率の問題につきましても、地方にはまだ緑が十分にあるわけですから、都市公園だけで比較するというのもどうかなという感じがしないでもないわけです。  そういう社会資本をこれから充実整備していく、財源の問題は別にしまして、そういう段階でいろいろと考えてみまして、実際に現下さまざまな問題があるわけでして、地方ではかなりいい施設ができ過ぎているんじゃないか。あるいはこの前ある団体からの陳情の中で、地方自治体が非常に立派な庁舎を建てておる、そして退職金も大企業の二倍、三倍だ、あるいは中小企業の四倍、五倍ではないか、こういう中で交付税率を考えなきゃいかぬのじゃないか、まことに物騒な議論が出てきている状況です。しかし、片方ではまだまだやらなきゃいけない仕事がたくさん現実にはあるわけですね。そういう社会資本の整備の問題について、お立場によって現在かなりおくれているという見方をしておられる方々、あるいはかなり進んでいるんじゃないかという評価、それぞれ私はあるんじゃないかと思うんです。  それを進めていく段階では、民間活力ということをちょっと言われましたが、今度は財源の話になりますが、そういうものを民間でやり得る部分というのはどの程度社会資本の整備ではあるのか、私はこれも一つ大きな疑問としてあるんですね。そういう問題につきましてひとつ竹内先生と労働側の宝田先生、幸重先生の方からちょっと御見解を承ってみたいと思うんです。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 御指摘のように、地方の社会資本は一見大変充実していると思います。  以下は私見でございまして、経団連の意見ではございませんけれども、この充実したものの中には、かなりお役所が当然のことながら建てられたものがあるわけでございます。美術館とかあるいは運動場とかいろいろなものがあります。ところがお役所が建てられますと専ら建前が優先するということで、ある意味では仕方がないことでございます。例えば御指摘のとおり、日本人は自然を大変愛しているのだ、こういうことで公園やいろんな自然施設をつくりましてもほとんど人が来ない、こういうようなことだろうと思います。これはやはり建前が優先するわけでございますから、建前と本音がどうも違うような感じがするわけでございます。実際に人々が喜んで行きますのは、政府が介入しない、例えば六本木とか新宿とかそういうようなところ、つまり無秩序に広がっていった、民衆の英知みたいなものが働いたところに人気があるような気がするわけであります。  ですから、非常にこういう席で不遜な発言で御容赦願いたいと思いますけれども、例えば日本人は大変自然が好きだ、こういうことになっておりますけれども、自然がそんなに好きだったならば東京から多分単身赴任はいないのじゃないかというような感じがするわけであります。私ども当然そうなれば多分単身赴任するわけでございますけれども、本来だったら地方に転勤して東京に本社勤務になったら、あるいは東京の出張所でもいい、勤務になったときこそ単身赴任するというのが自然を愛する姿でございます。ですから、どうも自然に対する考え方も主張と建前が随分違うということであります。お役所になりますとその建前でやらなきゃならないということであります。  ですから、音楽堂をつくりましても、特殊な音楽堂をつくれば人が入るかもしれませんけれども、あるいは公民館みたいなものをつくればできるわけでございますけれども、皆どこの地方でも、何でもできる公民館とか劇場を建てられる。何でもできるということは隣の町でももっと向こうの町でもできますから、そうなりますと人々はそこの劇場を使わないでもっと大きな劇場に行ってしまう、こういうことになるわけでございまして、どうしても建前が優先しているというような感じがするわけでございます。  そうなりますと、やはり民間の活力というのはまさにそれで、民間は建前をやらなくてもいいということになるわけでございます。ただその場合に、民間が出ていきますといろいろ秩序を乱したりする場合がありますから、社会的な規制は必要だろうと思いますけれども、中身について余り介入しない方が効率のいい社会資本が充実していくのじゃなかろうかというような感じがいたすわけでございます。  それからさらに、もろもろの社会資本の充実でも、ちょうどまさに先生御指摘のように、日本人は公園というのは余り好まないようでございます。それよりも曲がりくねった路地なんかがございまして、この中でお互いに向かい同士で話をし合うというのが、幼なじみができましたり、あるいは井戸端会議ができて、真にそこがコミュニケーションの場でございます。何度も同じでくどいようでございますけれども、大きな繁華街なんていうものは大体狭い道で、日本の空間というのはそういう狭い道が我々にフィットした空間になるというような感じでございますけれども、建前でいきますとそうはいかないというようなことでございます。  そういう面から見ますと、一見うまくできた基準も、先生御指摘のように、ヨーロッパを基準として公園を考えたら日本では人々が寄らないかもしれないということでございますけれども、建前の議論はどなたもヨーロッパかアメリカの公園を頭に浮かべて、そのまねだ、これこそ社会資本の充実だという建前になっておりますから、その点は民間活力の利用というのはそういうところにあるのじゃなかろうかというような気がするわけでございます。  それから、地方にとりまして最も不足しているのは多分交通の手段だろうというような感じがいたします。ある地域に行きましても、例えば首都圏に残念ながら情報が集まっておりますから、首都圏に簡単に行けるというところが情報が流れてきていいアイデアの産業ができるわけでございますけれども、最近になりまして、地方でも空港なんか随分できてまいりましたけれども、所によっては地方から東京まで日帰りできるということは困難でございます。空港を使いましても、羽田空港が満員でございますから日帰りはなかなかできない地域があるということでございましょうし、そういう大都市への交通ができるだけ発達すれば地方の成長性があるわけでございますけれども、むしろそのような地方の成長を考えますときには、もっと交通施設にも投資がどうも必要ではなかろうか、このような感じがするわけでございます。  その中にも、例えば土地の買収の仕方とか、残念ながら現在でございますと、政府がいろんな点をおやりになりますと、どうしても我々大衆は政府からたくさん高く売りつけられるとかいろんなことがあるわけでございますから、そういう点はやっぱり民間が入りました方がスムーズな建設ができるのではなかろうか、そういう意味で、民間活力というのはそんなところにお使いいただけるんじゃなかろうか、こんなふうに考えさしていただいているわけでございます。

宝田善日本労働組合総評議会経済局長

○参考人(宝田善君) 私は三つほど申し上げたいと思います。  一つは、都市計画の問題です。今は都市計画権というのは国の方にありまして、地方に権限がない。ですから、どこの都市も都市計画は全部建設省の承認を得ないと計画も立てられない。その場合の都市計画というのは、私の感じでは非常に古い観念でありまして、おっしゃるとおり、道路であるとか、公園の面積であるとか、それは確かに一番基礎的な条件で必要だとは思うんですが、行革審で実は大阪府やなんかのヒアリングをやってみますと、現代の都市の問題というのはもっといっぱいあるんだ、住民が住みよい都市になるための条件は必ずしも道路とか公園だけじゃないんで、もっと上にさまざまな問題が乗っかっている、そういうものを全部含めて地方の方々は自分の都市を設計する権利が今ないものですから、一番極端なことを言えば、箱物とか土地物とか、そういうものだけで、しかもお上の権限で許認可がないと計画もできない、これはやっぱり根本的におかしいのではないかと。ナショナルな社会資本というのももちろんございますけれども、やっぱり住んでいる人の立場からいいますと、地域の社会資本というのが一番暮らしで大事ですから、上下水道もまだ普及率が低いんですが、もっとさまざまな社会資本というものをこれから考えていかないといけないというふうに考えます。そのニーズというのはまだわかっていない。本当に高齢者が多い社会ですと、どういう施設とかどういう社会資本が要るかというのはこれから考えなきゃならない問題であって、建設省型の、高度成長期のあるいは戦後期の社会資本論ではないかというふうに考えます。  それから二番目に、関連しますが、今、テクノポリスとかいろいろ問題になっていますのは、社会資本というものの中に非常に無形のものが入ってきていますね。いわゆる情報インフラという言葉が最近はやっていますのは、道路とか港湾とか学校だけではなくて、その地域に情報を内部で生産させ、発展させるための基盤的な社会資本があるかないか。これは例えば大学でありましたりいろんなものを含めますけれども、情報網であるとか、非常に今まで目に見えない教育、文化とか、そういうものはやっぱり社会資本でなければならない。その場合にも、公民館の入れ物だけではなくて、どういうシステムなり、それを賄える人材が集まっているかとか、養成されているかということで、社会資本の観念を相当変えませんと住みよい社会にはならないだろうというのが二番目でありますね。これはむしろこれから新しく出てくる問題であります。日本の場合に、道路とか空港とかいろいろおっしゃいましたけれども、やっぱり年寄りが住みやすい社会とか、子供がちゃんとした人間形成ができる社会に必要な社会資本というのは、むしろこれから考えなきゃいけないことだろうと思います。  それから三番目に、じゃ、それを全部民間資本で賄えるのかといいますと、これは私は非常に限界があると思います。例えば、今、都市で健康ということを問題にしますと、ホテルには入会金五十万円のアスレチックとかなんとかがあるとか、要するにマル金族にはかなりいろんな設備が民間で供給されるわけです。テニスコートも非常に高い。じゃ、貧乏人がやれるテニスコートとかアスレチックはどこにあるかというと、やっぱり区の体育館以外に都市部では全くないわけですね。それから、寝たきり老人ホテルというのが最近横浜にできるそうですが、どのぐらいのお金で入れるかということを想定しますと、民間で至れり尽くせりのお医者さんがついたひとり暮らしの老人がホテルに入れますよと言われても、我々が年をとったらとても入れない。やっぱり今の老人問題を解決するためには公的な特別養護老人ホームとか、さまざまなものがもっと充実されませんととても間に合わないわけで、私的資本を御利用になってやるのは結構でありますが、それですべての国民、あるいは平均以下の国民が賄えるかというととても賄えない。やっぱり公的分野の役割というのはかなり大きい。その上にゆとりのある方はどうぞ私費で御自由にさまざまなものをお使いになってもいいが、それは私は社会資本とは呼ばない。というのは、マイカーがどんなに普及しましても、地方でバスがなくなりますとお年寄りとか子供は交通手段がゼロになってしまう、いわゆるトランスポーテーションプアでございますね。ですから、マイカーがあるからといって公共バスを否定することはできない。社会資本というものはあくまで社会的なものであって、私的なものではないというふうに考えます。

幸重義孝全日本労働総同盟政策室長

○参考人(幸重義孝君) 考え方はほぼ似ているんですが、私ども具体的に八六年度予算編成に当たってこれから要求を組み立てるんですが、その中で、お手元の資料にもありますけれども、「防災、下水道、都市公園、文化施設など、将来の国民生活の基盤となる生活関連社会資本を欧米水準に引上げるとともに、高速道路、空港、情報通信施設など新技術展開の社会基盤を形成し、地域の均衡のとれた発展に資するため、新たな長期公共事業計画を策定し、八六年度はこれにもとづいて、中成長実現の下支えに必要な規模を確保すること。」、こういう考え方を予算編成の要求の中に実は入れたいというふうに考えております。  当然、これに連動する意味合いで、八五年下期のいわば公共投資を、まあ臨時国会を要求して一体どうするのかという問題が出てくるんですけれども、その辺までひっくるめて総合的に我々としては考えているわけであります。  以上です。

松岡滿壽男自由民主党・自由国民会議

○松岡満寿男君 それぞれの分野から貴重な御意見を伺いまして大変参考になりました。特に、最後に御指摘ありました高齢化社会の問題は、今の高齢化社会は地方が支えておるわけですけれども、二十年たちますとやはり大都市の高齢化というもの、お年寄りをどこに住まわせるかという重大な問題が私は出てくるだろうと思うんです。また、行政につきましても経済の分野でもまさに量から質への大きな転換期に来ておる。各分野でそういう問題にお互いが取り組んでクリアしていかなきゃいけない重大な課題だと思います。  それぞれの先生方の御活躍をお祈りいたします。ありがとうございました。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 きょうは、参考人の皆様お忙しい中大変ありがとうございます。  私は、時間の関係で高木先生と二人で時間を分けますので、参考人の方々に質問を全部最初に私の方から申し上げてしまいますので、お一人、お一人後からお答えいただきたいと思います。  まず、竹内参考人にお伺いをするわけですけれども、私は、都会の人間でありますけれども、大変農業に関心を持っておりますもので、農業の問題を少し申し上げてみたいんですが、お伺いしたい中身は、日本の経済における農業が果たす役割というようなものをお伺いしたいというふうに思います。  過日、私は他の質問をする必要がありまして少し調べてみましたところ、これは農林水産業ではなくて農業だけでございますけれども、農業を支える部門のつまり肥料だとかあるいは農薬だとか農機具、飼料、施設資材、あるいは生産物を国民に提供するための食品産業、製造業ですね、あるいはまたそれを運ぶ流通倉庫業あるいは研究部門に携わる人あるいは普及部門にかかわる人、そして農協関連等生活を守るためにかかわってくださる人、こういう人たちを含めて農業関連就業人口というふうに考えた場合に、これは農業人口が現在九・八%であるにすぎないのが、関連就業人口ということになりますと、人口の三五%を占めているというデータをもらいました。これは農業だけですから、農林水産業というふうになりますと、もっと大きな就業人口ということになろうかというふうに思います。  それからまた、私が他のことで調べたものですが、日本の農村農家が耐久消費財等についてどんな普及率を持っているかということを調べましたところ、自動車では、非農家が六三・三%しか乗用車を持っていないのに、農家では七八・九%持っているということ。それから、オートバイ等については、非農家では三〇・九%だけれども、農村では五六・四。それから、テレビの普及率は、非農家では、つまり都会では九九%ですけれども、農村では一〇一%というような形ですね。それから、電気洗濯機、都会で九八%が農村では九九・二二。それから、電気冷蔵庫、都会では九八が農村では九九。ステレオが、これだけは都会が多いんですね、五八で農村が五〇%。こんなふうなんで、耐久消費財についても農村農家が物すごく消費の役割を果たしているということを私は一つの実例として調べてみたわけでございますけれども、とかく日本の経済の足を引っ張っているかのように思われている農村農家でありますけれども、私は日本の経済の中で果たしている役割というのはあるのではなかろうかというふうに思います。  今、市場開放等の問題がある中で、農産物も聖域ではないというようなことを政府も基本的方針を固めているようですけれども、私は、先ごろ総理府が調査した食糧に関する調査の中で、四分の三の人たちが日本の食糧の自給率について大変心配である、したがって、できるものについては国内で自給を進めるべきであるという声が七五%、たしか四人に三人はそういう声を持っていたというふうに記憶しております。  それで、まず竹内参考人にお伺いをしたいのですが、先ほどの、日本の経済の中で農村農家が果たす役割、そしてこの市場開放をめぐって農産物をどのようにお考えになりますか、まずお伺いいたします。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 今の御指摘でございますけれども、農業のウエートは大変高うございます。実際に現在、今御指摘のように、自動車の普及率が大変高いとかオートバイが高いとか、こういうのは多分交通が不便といいますか、自動車がなければならない生活をされているせいだと思いますけれども、一方、国民的な立場に立ちますと、先ほど松本参考人が御指摘のように、農家の方々は社会保障費でかなりの部分を食べられている。その結果、このような豊かな耐久消費財を買われているというのはまさにすばらしい日本の平等社会であると、このように考えさしていただいているわけでございます。  農業でございますけれども、当然日本にとっては農業は非常に重要な産業だというように考えておりますし、特に国土保全の上からいって、あるいは日本の純風美俗といいますか、そういう共同体的な意識を守るためにも大変重要だというふうに考えさしていただいております。ただ、日本の農業の競争力が非常に弱い。ここが問題でございますけれども、農業の方にももちろん優秀な方がいらっしゃいますから、北海道の一部とかあるいは幾つかのところで大農経営をやられている方はまさにアメリカの農業と比べて決して劣らないだけの生産性を上げられていると、こういうふうに承知しているわけでございます。  先ほど御指摘になりましたように、これからは農業の技術進歩は目覚ましい。ちょうど一本の木にトマトがたくさんなるというようなこととか、あるいは都会型の、土地がなければ循環いたしまして、その中で野菜を栽培いたしまして、太陽のかわりに人工太陽をつくって、意外と省土地型の農業もできてくると、こういうことでございますし、現在、バイオケミカルと言われているのはまさに農業における技術進歩が始まったと、こういうようなことであります。農家の方々にも、日本の製造業と同じように、世界で冠たる才能を持たれている方があると、こういうことでございますから、農業の発展性は非常に多い、こういうことであろうというように考えさしていただいております。  ただ、この能力をフルに発揮させるためのメカニズムがないのではなかろうかというようなことでございます。つまり、やる気がある農家の方々がその才能をフルに生かして、アメリカやヨーロッパに負けないための農業をつくり上げていくというような条件が現在のところ果たしてあるのかなあというようなことであります。ですから、松本さんがまさに申し上げましたように、農業がこれから産業として発展していくということでございますから、そのための条件が非常に必要だということでございます。  ただ、いままで営々として農業をやられてこられた方々が急激にそのような変化に耐えられるかということになりますと、なかなか耐えられないということでございますし、そういう年配になられて農業いちずでこられた方は、急激な変化に耐えられないだろうと。それには何らかの政府の措置が必要だということでございますけれども、そういう方々の生活を守ることが農業のすばらしい進歩を妨げてはいけないというように思うわけでございます。  ある意味でいきますと、急激に関税を引き下げたりいたしますと、まさに日本の農業には過度な摩擦が生ずる可能性がございますけれども、どういたしましても、外からの刺激というのが農業に対する活力をさらに高めていくことではなかろうかというようなことで、これからいよいよ日本の農業が目覚ましく発展していくための技術的な基礎とかそういうチャンスがやってきた、あとは制度的な問題ではなかろうかと、このように考えさしていただいているわけでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 農業の問題については大変まだまだ申し上げてみたいことがたくさんあるんですが、今承ったことでとどめておきます。  それで、竹内参考人には、続いて大変恐縮でございますが、先ほど貿易摩擦を解消するためには、要らないものを買うことと、ただでお金を配ることと、自主的規制というようなことをおっしゃいましたけれども、まさにそのただでお金を配るところの分のODAについて少しお伺いをしておきたいんですが、日本のODAは七〇%が今ASEANに注がれておりますけれども、今日の日本のODAの施策、状況についてどのように御認識なさっているかを後ほど伺います。  それから松本参考人には、大変恐縮ですが、今、竹内参考人がおっしゃったような、まさにやる気と刺激でございますが、現在の農業にはやる気と刺激、まず何が必要なのかということをお伺いしたいわけですね。五百四十五万ヘクタールの耕地があります。しかし、三十万ヘクタールは耕作放棄のままになっているというような状況も聞いておりますし、私ども現に地方を回りますとそういう部分が見えてくるわけでございまして、まさに農業というのは農民みずからによって放棄をされていかれる部分があろうかというふうに思います。これには何を与えたらばよろしいのかということを端的に伺いたいと思います。  それから、いただきました資料の中に、こちらの関係では輸出課徴金は短期暫定的に必要であるというふうに頑と主張していらっしゃいますので、これについてお伺いいたします。  それと、新ラウンドについては安倍外務大臣も海外でその土壌づくりをしていらっしゃるようでございますし、七月には総理もお出かけになってその環境づくりに励まれるやに聞いております。このニューラウンドについてどのようなお考えをお持ちなのか。その三点についてお伺いします。  それから宝田参考人にお伺いいたします。  ことしの会期の初め、予算委員会のころに大型間接税の問題が大変華やかに出ました。私どもも大変関心を寄せたわけでありますが、ここのところぱたと声がなくなりました。大変不気味でございます。一方で中曽根総理は、今レーガン大統領が取り組んでいる大幅な税制改正に対して大変重大な関心を寄せているというふうに言っておられます。その大幅な税制改正という問題の中に、先ごろ予算委員会の時期に盛んに話に出た大型間接税というものが導入されてくるという気配があるのかないのか。私はこのことがまことにひそかに進んでいると聞いておりますので、大型間接税についてどのように考えておられるか。そして、これが導入されれば一体内需拡大というものはどうなっていくのかということについてお伺いいたしたいと思います。  それから、時短の問題でございますが、これも宝田参考人にお伺いしたいのですが、現在超過勤務等をする場合には、基本賃金のカバーをするような形でむしろ行われているやに私は思っております。そういたしますと、時短を行うことによって生活水準を上げ、あるいは文化的な生活を営むということにストレートにそれがつながる環境が今あるのかないのかという問題について、端的に教えていただきたいと思います。  それから、幸重参考人には、最後にお伺いしたいのは、経済成長を遂げようとするとき、とかく人間の問題とかあるいは環境の問題とかが侵されていくことは高度成長期、私どもがたくさん教訓として得てきたところでございますが、こうした問題、やはり私どもは目を離さずに監視していかなければならないと思いますので、そういう問題について国民生活とじかにかかわってもし何か御意見がおありでしたらお伺いしたいと思います。  以上でございます。

対馬孝且日本社会党

○委員長(対馬孝且君) それでは、質問が多岐にわたっておりますから、時間もございませんので、ある程度ひとつ要点を絞って、まことに済みませんがお願いいたします。  それじゃ、竹内参考人にODAの問題から先に。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 経済大国といたしますと、ODAは当然の責任であるというように思うわけであります。これによって、特に日本はアジアの一国でございますから、アジア諸国がこれによって社会的基盤が確立される、こういうことになりますと、これらの国が成長する、成長いたしますと日本の輸出が伸びる、こういうようなことになりますし、それから、これらの国が政治的に安定いたしますので、そういう面からいきますと、日本の安全のためのコストが幾分下がるというようなことで、大変重要な課題であるというように思われるわけであります。ただ、財政赤字が大きいものでございますから、これがなかなか思うように伸びないというような問題があるような気がいたします。  ただ問題は、口幅ったいようでございますけれども、アジアに大変援助をしておりましても、果たして報いられているのかなという感じがするわけでございます。これも、言い方が不見識になりますけれども、アジアでは日本人のことをバナナと言われている。つまり、顔が黄色なくせに心は白い気になっているというようなことでありますし、それからさらに、日本の道徳の基準をもってアジアをはかるというようなことであります。私どもが、先ほどの社会資本の状態でも都市再開発でも、ちょうど欧米の基準をもって我々に当てはめていた、そのようなことによって社会資本が非効率になっているという面が多々あるわけでございます。同じように、我々の基準をもってアジアをはかるというのは非常に間違いだというようなことでございます。御案内のとおりでございます。  そんなようなことを考えますと、アジアの国々の風土とか習慣とか道徳とか羞恥心とか名誉心とかあるいは恥とか、そんなものは国によってかなり違う、こういうことであります。でございますけれども、この辺に我々が対応できているかなということになりますと、やや問題があるということであります。  私も、現在のところ韓国から五十人の大学生を受け入れる、それでホームステイをさせたい。つまり、韓国でございますと日本に対する反日感情が強烈でございますから、日本には鬼もいないよ、日本もそんなに悪い人ばっかりじゃないということを知らせたい、こういうことでございますけれども、韓国の方になりますと、日本はホームステイは拒否される方が多い、アメリカ人だったらオーケーだというようなことであります。ですから、アジアの方々が実際に我々の心の中でODAと同じような心で受け入れられるかというと、どうもそうではないらしいというようなところに非常に大きな問題があるというような感じがしているわけでございます。  口幅ったいことを申し上げましたけれども、そんなようなことでございます。

松本登久男全国農業協同組合中央会農畜産部長

○参考人(松本登久男君) 先生御質問の点につきまして簡単にお答えさせていただきますが、まず、現在の日本農業を活性化するために刺激として何が必要か、端的に答えよというお話でございますが、私どももこれが端的に答えられるぐらいなら苦労はないということでございまして、ぜひいろいろこれからも何かいいお知恵がございましたらお教えいただきたいというふうに思っております。  考え方といたしまして、よく、農業にもっと競争システムを導入してはどうか、こういう御意見がございます。例えば農民の新規参入とか、いろんな具体的にはそういったことを背景に持ちましてそういう御指摘がございます。しかしながら、例えば大潟村の例に見られますように、私どもは今日の日本農村で一般的に考えた場合は、農村の場合には、あるいは現在の大多数の農業者は、やがて入れかわるにいたしましても、引き続き農業に継続従事していくわけでございますから、そういったことを前提にいたしますと、むしろ競争システムよりは近隣協調システムの中で生産力が伸びる方向というのを社会の中間システムとして何らかのものを生み出していかなきゃならぬ、そういう基本的な考え方に立つべきじゃないかというふうな考え方で現在事に臨んでおります。私どもはそれについてもある程度幾つかの仕組みを具体化いたしましてその推進に当たっておりますが、特に当面地域営農集団という新しい中間システムみたいなものを考えてその推進にも当たっておりまして、その効果もこれを推進する過程でもう少し詳しく観察をしていきながら、日本の農業者並びに農村の現実に合ったシステムの構築に当たっていきたいというふうに考えております。  それから、輸出課徴金の必要性の問題でございますが、これも対外経済問題諮問委員会の報告書が出た段階で私どもいろいろ論議いたしましたが、当面確かに摩擦の背景というのは、八一年以後は慢性的なやはり日本の一方的な貿易黒字の集積、特に対米貿易黒字の集積ということがその背景になっていることは紛れもない事実でございまして、それについていろいろな手段が構じられてまいりました。例えば、先ほどほかの参考人の方がおっしゃっておられましたように、自主規制なりなんなりといういろんな手段が講じられてまいりましたが、これほど激しい慢性的な摩擦が生じているということになって、これを本当に解消する道を追求するとすると、今までの手段だけでは足りないから新しいことが模索されているんであって、そういう意味では、非常にある意味でデメリットも大変ございますので、限定つきであっても輸出課徴金ということを検討してもいいんではないか、こういう気持ちで私どもの提言の中にはそういうことを加えております。多くの方々の御賛同がいただければそういった方向で問題を煮詰めてみたいというふうに考えております。  それから、ニューラウンドの問題についてでございますが、ニューラウンドの問題については、先ほどもちょっとほかの先生から御質問いただきました際に若干お答えしておきましたが、まだニューラウンドの骨格が明確になっていない部分が大変ございます。今のところ言われておりますことは、関税問題にとどまらず、いわゆるNTBの問題もかなり広範に取り扱うというような考え方に立とうとしているというふうに伝えられております。その点はまだ各国の合意ができていないようでございますから、それがかなり具体的な姿になってきた段階で私どももその問題に対する農業者としての対処の仕方は考えてみたいというふうに思っておりますが、そういった広範な方向で、単に関税のみにとどまらないということは必至の情勢のようでございますので、私どもはその際には、農業についてはガットの中でも従来と同様に、現在ガットの中に常設部会が設けられておりまして、農業についてはかなりそれなりの実態をまとめて新しいルールづくりの話し合いが進んでおりますが、それらを参酌しながら、やはり一般工業製品とは異なった貿易ルールで農業問題は臨むべきじゃないかという考え方を主張してまいりたいというふうに現在の段階では考えております。  以上でございます。

宝田善日本労働組合総評議会経済局長

○参考人(宝田善君) 大型間接税の問題ですけれども、私どもはこれは来年出てくるというふうに覚悟をしております。もうこれは中小企業の方々と組んで絶対に阻止しなきゃならないというふうに今のところは考えております。ことしはこないだろう。  その理由は、経済が成長しているのに財政が縮小しているということが正常でないですから、必ずどこかでこの問題は解かなきゃならない。解くときは必ずそういう格好で出るであろうというのが一つですけれども、もう一つは、恐らく今の中曽根にやらせようという雰囲気が暗黙のうちに何かあるのではないかと、次の政権を担う人はどうもそう考えているのではないかという節がございます。  それから、その問題ですけれども、まず第一に間接税が出てまいりますと、法人はこれは関係がないわけです。消費者、要するに個人にかかる税金でありまして、社会全体でかぶるなんてものではない。それから、税金を納めていない層でも強制的に取られてしまう。しかも、額が全く同じでございますから、所得無関係でございますから、逆再配分税でありまして、これをやられたらもう庶民はまたらないという意味で、これは絶対に阻止しなければいけないというふうに考えております。  それから、確かに残業は割り増し、ペナルティーがかかっていますから所得はふえております。それがありますから、おっしゃるように、今、労働者の中にも未練があることはあるんですね。ただこの問題は、所得の問題ではないのであって、日本人の文化革命なのだという今我々はPRをやっているわけでございます。  それは、刈田さんも御婦人だからわかっていただけると思うんですが、今、男は残業、出張をもうざらにやりますね。したがって、婦人は今なかなか地位が上に上がれない。おまえ課長になって夜中までやるのとかおどしがかかっている。共稼ぎ上も婦人の地位の進出上も、大変長時間労働が問題になっています。  それから家庭の方で考えますと、何で男が自分の子供の教育に関心を持たないか、それから、奥さんとちゃんとした話し合いをしないかといえば、長時間労働でくたくたになって寝るだけだからであります。いわゆる粗大ごみというのは、長時間労働というのが裏にちゃんとあると。これは家庭のためにも婦人のためにも教育のためにも、何よりも本人自身のために、日本の社会というのは長時間労働を絶対に減らさなければ、健康も保てない、ストレスもなくならないということで、今我々は、銭金にかえられない人間らしさの回復の問題なんだということで運動を始めているような事情でございます。

幸重義孝全日本労働総同盟政策室長

○参考人(幸重義孝君) 高度成長期に私たち大変貴重な経験をいたしてまいったわけでありますから、そういう意味で、いわば環境公害問題に関する私たちの経験というのは、これから先、二十一世紀へ向かっていかなる経済成長を遂げようとも私たち自身が十分に配慮をしていくという、そういうことになるだろうというふうに私たちは考えております。  ちなみに例えば、私は同盟本部で政策室長をやっておりますけれども、出身は電力労連の出身でございまして、私は長い間原子力発電所の環境問題等に直接携わってまいりました。今や日本における原子力発電所の環境あるいは環境に及ぼす影響というのは、それに対応する対策というのは、これはもうまさに世界に冠たる状態でもって確立をしているというふうに私たちは考えております。こういった努力というのは、これから先もやはり継続して貫かれていくべきだろうというふうに思います。  さらに、同盟本部の方がこれから先の大きな課題として考えている問題として、例えばMEの問題があります。まさにMEの問題は、これは環境の問題として一体どうかという問題はあろうかと思いますけれども、現実問題としてMEを導入した職場における労働者個々人に与える影響、そういったものを考えてまいりますと、これはやはり今いささかその取り組みの姿勢が弱いんじゃないのかというふうに考えておりますけれども、例えば導入に当たって新しい考え方として、テクノロジーアセスメント等を中心とした制度施行によるところの導入に当たっての国民的なコンセンサスを得るような、そういった手法が何らかの形でもって考えられていかなければいけないんではないのか。こういったものに関するいわば社会的なコントロールをどう強めていくのかを国全体としてもやはり考えていくべき時期に来ているというふうに私どもは考えております。  以上です。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 時間が少ししかございませんので、竹内参考人にだけお伺いいたします。  先ほどもちょっとお話しなさいましたように、外国と日本とのあれは、いわゆる貿易摩擦というよりは一種の文化摩擦ではないかというふうな御発言がございました。国々によって考え方が違うと。私も、貿易摩擦が今非常に大きく叫ばれておりますが、その根本には文化摩擦というようなものがあるのじゃないか、そういう意味でなかなかこの問題はおいそれとは片づかない問題であるというふうに認識しております。  そういうことはそういうことといたしまして、時間が十八分であと三分しかございませんので、一つだけお伺いいたします。  いただきました資料の参考図表というのがございますが、ページが二十三ページと、それからもう一つは三十ページ、二つとも研究開発に関係した問題でございます。今のところは日本が米国に対して輸出超過という、貿易収支が黒字であるという状況でございますが、この状況が私いつまでも続くとは思っていないわけであります。いずれはアメリカは技術開発に力を入れる、現在のところは国防費あるいは国防の研究のためにかなりのエリートがそこへ集中しているという状況でございますが、また状況が変わればその人たちは普通の産業の方へ戻ってくるのではないかというふうに思います。そのときこそが日本の危機になるのではないかと私は思っているわけです。  そこで、ちょっと二十三ページの図でございますが、研究者数というのがございますが、この白い部分は何でございましょうか。斜線を施したところと白い部分がございますが、白い部分というのは人文科学じゃなくて、産業における研究者数というのは斜線で、その上の白い部分は何に当たるでしょうかということです。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) これは政府が持っているといいますか公的、国立といいますか、国立研究所、政府の部門でございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 これの比は余り変わらないように思うんですが、それでも政府の方が日本も研究者数は少ない。  ところが、その次の三十ページを見ますと、これは国防費を含んでおりますけれども、一つは、このうちどれぐらい国防費が含まれているかということをぜひ私は知りたい。  それから、政府の負担の割合が日本は絶対値はもちろんでございますけれども、その比率におきましてもアメリカあるいはその他の国に比べましても、西ドイツに比べましても非常に少ない。これについては経団連の方ではどのようにお考えか。私としてはもっと政府の負担をふやすべきでないか。というのは、民間のものはどうしても応用的な部門に偏りがちである。そのために息が短いという気がするわけです。これについて竹内参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 御指摘のように、長期的に見ますとアメリカの方が研究開発力がはるかにあるというようなことでございます。この原因につきましては、御指摘の軍事のウエートが、今どの程度かはっきりわかりませんですけれども、軍事研究を中心としてアメリカの研究開発力がすぐれていると、こういうことがございますけれども、そのほかにアメリカの研究がすぐれている理由が幾つかあります。  それはもう時間がございませんので、簡単に要約さしていただきますと、まずアメリカの研究は研究株式会社だと、こういうことでございます。ですから、企業と委託研究いたしまして、その結果いい成果が得られますとさらに委託研究がふえ、それによって施設が拡大し、大学のプレスティージが上がっていくというようなことでございます。それに対しまして日本の大学は、いわば極端に言いますと、単なる教育機関だというようなことでございます。大学のあり方が違うという点が第一でございます。  それから第二番目に、アメリカの研究は案外一人当たりの人件費が安うございます。これは大学で研究しているとかあるいは博士号をもらおうという人々がアルバイトで働くというようなことで、この賃金が案外安いということでアメリカの研究レベルを高めているというふうに思います。  それから第三番目に、アメリカでは寄附金が損金算入になるわけでございますから、案外自由になるお金があるというようなことであります。ですから、フリーハンドを持ったお金が何か大量にどっかから出てくる、こういうようなことで、基礎研究に充てられる資金が国家資金のウエートと同様に大きいということが第三番目にあると思います。  それから第四番目には、ナショナルプロジェクトの持っていき方がうまいということであります。NASAなんというのは研究開発の結果いろんな成果が生まれておりますけれども、これも一種のお祭りみたいなもので、御案内のとおり、ケネディの打ち上げのところへ行きますと人々は自由に入れますし、それからヒューストンでコントロールのルームに行きますとだれでも入れる。つまり人々が税金を納めた成果はこんなようにアメリカのプレスティージが上げられていますというような意味の、大型研究をお祭りに持っていくといいますか、国民の世論といいますか、あるいは税金をそれに使ってもよろしいというようなコンセンサスのつくり方が大変うまいというような感じがいたすわけでございます。その上にアメリカは国家からのお金も多うございますし、民間企業も長期的な研究をされていると。こういうことで現在の基本的な発明、つまりLSIでもあるいはバイオケミカルでもほとんど主要な発明はアメリカからやってきている、そういうようなことでございます。この点では圧倒的な差がございますし、さらに最近気になることは、日本の研究所がアメリカに移動しているということであります。例えば光ファイバーの日本の最大の某メーカーさんの最大の研究所はアメリカに移っている、こういうことであります。つまり、アメリカ人のアイデアをかり、そこてアメリカには最先端の製品を使うマーケットがございますので、そちらに研究所も移動しているというようなことになるわけでございますから、長期的に見ますとまさに御指摘のように、日本とアメリカとの先端産業における研究開発力格差はどうも拡大しているような感じがするわけでございます。  自動車とかテレビとか大型製品をマスにつくる技術は日本は世界に冠たるものがございますけれども、最先端の技術は大変心細いものがあるというような感じで、まさに御指摘のように、国家がもっと研究開発力に資金を投入すべきである。しかもその投入すべき資金はある程度自由に使えるというふうなお金をもっとふやさないと、長期的な革新的な技術は生まれないということでありますし、日米摩擦が厳しくなってまいりますと、向こうは最新技術を与えなくなってくる。実際に現在最新技術を与えなくなりつつあるというような感じがしているわけでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 ありがとうございました。大変結構な御意見を伺いまして、ほかの三人の参考人の方にもお伺いすべきであったと思いますが、時間の都合もございましたので失礼をいたしました。立派な御意見をお伺いしまして、参考にしていきたいと思っております。ありがとうございました。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 どうも四人の参考人の皆さん御苦労さまでございます。共産党の吉川春子ですが、私は松本参考人に四点お伺いいたしまして、引き続き橋本委員が質問されますので、よろしくお願いいたします。  報道によれば、ことしの生産者米価の値上げは行わないというふうに言われています。農家の収入がふえないことになれば、農村地帯のもろもろの産業の景気回復がおくれて、商店の売り上げも伸び悩み、多方面に悪影響が及びます。農村をバックとする地方、例えば北海道などの中小企業の倒産率がいつまでも高いのも農家収入との関連があるのではないでしょうか。結果として生産者米価の値上げを抑えるということが内需の拡大にもやはりマイナス影響を与えると思いますが、この点について第一点お伺いします。  二点目は、公務員労働者の賃上げは、人事院勧告の値切りで不当に低く抑えられ、民間大企業は、みずからは利益をため込む一方で、労働者には低い賃金、長時間労働を強いています。農家の生産した農産物を買ってくれるはずの労働者の懐はすっかり冷え込んでいるのが実情です。内需の拡大のためにも労働者の賃上げは不可欠な条件ではないかと思われます。農協中央会は生協など市民団体と連携して運動を進めておられますけれども、労働者の賃上げとか時間短縮の闘いも支持できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。  三点目は、「対外経済問題諮問委員会報告に対する農林漁業関係団体の意見」の中で、日米経済摩擦の原因について、「正当な指摘を行いながら、その原因を除去するための米国の経済政策の是正については、それを暗に求めているにすぎず、我々は、その外交姿勢の卑屈さに失望を禁じ得ない。」と言っています。そして「米国に対しても、言うべきことは言うという姿勢を貫いて行くことが、経済外交においても基本に据えられなければならない。」とも指摘しておられます。私も全く同感であります。なぜ政府が卑屈な姿勢をとってきたか、今後具体的に何を要望していかれるのか、アクションプログラムをつくろうとしている政府に対してこういう点どういうふうに要望していらっしゃるのか、それをお伺いします。  四点目は、我が国の食糧自給率は三二%に落ち込んでいます。我が国の農林水産物の市場開放も可能なものはすべて自由化していると農漁業団体は指摘しておられますが、中曽根内閣はアメリカの圧力に押されてさらに農産物の自由化を推し進めようとしています。こうした自民党あるいは中曽根内閣のやり方は、真に国民の食糧を心配して、それを生産する農家を守っていこうという考え方が欠けているんではないかと私は率直に思わざるを得ません。こういう政府の態度について参考人はどのようにお考えなのか、その点をお伺いいたします。

松本登久男全国農業協同組合中央会農畜産部長

○参考人(松本登久男君) いずれも大変難しい問題でございまして、十分なお答えはできかねるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。  まず第一点の本年六十年産米の米価の問題でございますが、この点については新聞等で米価を値上げしないということが報じられておることは私どもも承知しておりますが、本年の情勢はまだ米価については煮詰まってくる情勢ではございませんで、情勢についてはまだ正確な把握ができかねておる状況でございます。  したがいまして、本年米価については言及をする条件を持っておりませんが、米価を抑制することが内需拡大にマイナスになるのではないかと、こういう御指摘であったと思いますが、私どもは、そういう要素もあるかもしれませんが、従来のように価格水準の引き上げということによって農家の所得を確保していくという、そのことが農家の所得を確保する主要な手段であるという経済環境では現在ないというふうに考えております。むしろ多面的な所得確保の方法があるわけでございまして、そういった長期的に見て農家の経済が改善され、産業としての農業の体質が強くなっていくような方向を追求しませんといけないというふうに考えておりますが、一般論で申し上げますと、価格のみに依存して所得を確保するということでなく、もっと多面的な所得確保の方法を考えていきたい。もちろん価格も一つの手段だというふうに考えておりますので、それについて全く否定的な考え方をとっているわけではありませんが、そういった気持ちでございます。  第二の公務員の賃上げの問題でございますが、この点についてはむしろ私がお答えする資格があるのかどうかあれでございますが、本年の場合、私も余りその方を詳しく勉強しておるわけではございませんので、あるいは見当違いになるかもしれませんが、賃上げの結果が要するに生産性向上の割合よりも低かったというふうに承っております。やはり内需拡大ということで考えていきます場合に、賃金の水準がこういう水準で決まるということは必ずしも適正な経済運営の上で好ましいというふうには考えておりません。そういった意味で、現在の時点で本年の春闘についてコメントさせていただきますと、そういった考え方を持っております。  それから第三番目の、対外経済問題諮問委員会報告の米国への姿勢についての私どもの言及についての御意見でございますが、二つ御指摘があったと思いますが、なぜ政府がこういう卑屈な姿勢になったのかということについての考え方を、私の理解をというふうな御指摘が一つだったと思いますが、この点については私もそこまでまだよく勉強しておりませんので、なぜ現在の政府がそういう姿勢になったのかということについての説得力ある論拠を特に持ち合わせているわけではございません。現象についてもっと言うべきことは言ってほしいというのが私たちの気持ちで、それを率直に表明しているわけでございまして、その原因についてまでなかなか子細に検討している状況ではございませんので、それについての意見はお許しいただきたいと思います。  それから、今後の持っていき方でございますが、私はやはり対外経済関係を整序していくということがこの基本にあるわけでございますから、特に今次の段階で最も問題が大きいのはやっぱり対米関係でございまして、そういう意味では、対米関係についてもう少しやはり私どもは、一つは正確な情報を迅速に把握するということに心がけていきたいということで、本年からそういった体制の整備を図っております。  またさらに、アメリカの農業団体等との交流を通じましても、非常にマクロ的な経済についての問題のとらえ方が皮相的といいますか、あるいは一般的に言って浅いというんでしょうか、そういうことを非常に私どもも感じさせられております。例えば、これだけ貿易収支で日本が大幅な黒字、アメリカが大幅な赤字になっていながら、なおかつ円安になっているということについては、日本政府が何らかの形で目に見えない介入をしているのではないか、その秘密を教えてくれなんということを、農業団体のかなりレーガン政権のスタッフ的な地位を占めている人すらもそういう発言を私たちに対してするという状況でございます。  そういう意味で、私たちはまず事態の正確な認識を向こうの人にも持っていただきたいということで、そういったことの努力をこれから相当続けていかなければばならぬのじゃないかというふうに思っておりまして、従来の国内だけの活動の枠を超えて、今後そういった方向に活動の枠を広げていきたいということで、既にそれに取りかかっているところでございます。  第四番目の農産物の自由化の問題でございますが、私、先ほどもほかの先生の御指摘にお答えしましたように、農産物の自由化についても、そのテンポなり範囲なりについてもう少し実態に合った選択をしなければならないんじゃないかということを申し上げておきましたが、確かに現在のようなやり方をやっていきますと、少なくとも現状の農家を現状のまま守っていくということについては非常に大きな打撃を与えることは必至でございます。私どもは、そういう面ももちろん現実の対応でございますからそれなりに非常に大事なことだというふうに思っておりますが、私どもが最もこの自由化問題で心配しておりますのは、将来の目本農業をこうしていきたいという一つのターゲットを私どもなりに持っておりますし国も持っておりますが、そういったことすらも摘み取ってしまうような、そういった形の自由化の取り扱いが現在されているということについてはどうしても賛成することができない、むしろそれは排除していかなきゃいかぬという強い姿勢で臨んでいきたいということでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 残された時間、質問をさせていただきます。時間が短いので各参考人にお願いできませんので、宝田参考人にお願いしたいと、こう思います。  まず第一は、私は、貿易摩擦問題をめぐる国際関係の中で、本当に日本の政府がもっと対等、自主的な立場を貫かなくちゃならぬのじゃないかということを強く感じておるわですね。貿易摩擦問題でも竹内参考人もおっしゃいましたが、アメリカの議会はクレージーではないかと思われるぐらい本当にヒステリックに声を上げて対日批判をやるというようなことをやって、アメリカ政府が後押しをやってくる。それに対して私どもも、日本の国会としてもっともっと声を上げてもよかったんでありますけれども、どうも日本の政府は押しまくられているのではないかという感じがしてならぬわけですね。私は、これは一つは対米関係が対等、平等だと言いながら、どうしてもやっぱり従属させられている傾向を脱し切れないというように思うわけですが、その原因が、一つはアメリカの莫大な赤字とドル高にあるということは、これは多くが認めるところですから、日本だけが対外経済政策を打ち出し、そしてまたアクションプログラムを何月までにやるということを言わされる、そういうことじゃなくて、日本もやるけれどもアメリカの方もいつまでに赤字解消対策を出すか、あるいはアメリカ自身のドル高の解消について国際レートの関係でどういう措置をとるか、そのアクションプログラムはどうか、これぐらい対等に物を言って、一つは日本の内部においてどんどん押しまくられて国民生活が犠牲にならないように、自主的な立場と国民生活を守る立場で考え直さなくちゃならぬのじゃないか。そういう意味で、当面の対外経済政策あるいはアクションプログラムの策定を、本当に対等、平等の対米関係に立って国民の利益を守るという立場で見直してもらいたいというように私は思っておるんですが、そういう点についてひとつ宝田参考人の御意見を聞きたい、これが第一点です。  それから第二点としては、内需拡大の根本はこれはやっぱりいろいろあります。多くの参考人から貴重な御意見も伺いました。しかし当面、突き詰めて言えば私は、内需拡大の根本は労働者の皆さん、市民の皆さん、農民の皆さんの懐が豊かになるというこのこと以外には、基本的には解決の道はないというように一つは思うわけですね。日本の貿易の黒字、国際競争力、これがついている最大の原因は、いろいろありますけれども、何といってもそういう巨大な輸出産業を中心とする長時間労働、低賃金あるいは下請企業への工賃の切り詰めなどもあるということはこれは事実なんで、例えば統計でも人件費割合を見ますと、輸出の花形である自動車、鉄鋼で企業経費の中の人件費割合は、鉄鋼はアメリカ二九%、日本は一二・九、自動車ではアメリカ二四・五、日本は数%と、こうなっておりますね。だから、これを見ても明らかであります。  それから、経企庁の家計調査報告を見まして非常に大事に思いますのは、七五年から八四年までの間に実収入は一・二倍ふえている。わずかですが一・二倍ふえている。この中で選択的消費支出のふえ方はどうかといいますと、ふえないで逆にマイナス四・四になっている。つまり実収入はふえたというけれども、これは選択的消費支出に回らないで、実際はその他いろいろ生活防衛、あるいは必要的な公共料金の支払いだとかその他に回っていくという、契約支出にも大分食われているんですね。だから、ここらの家計構造を変えるためには、一つは福祉、教育を含めた家計を下から支える社会構造の福祉の問題がありますが、基本的には賃上げという問題が大きくやっぱり出てくるだろう。  そこで、先ほど松本さんのお話もあり、また皆さんのお話もあり、ことしの春闘をどう見るかというお話もあったんですが、労働者の賃上げをやっぱり大きく進めるということが日本全体の国民にもプラスになるという立場で見ていかなくちゃならぬのじゃないかというように思いますが、この賃上げ問題について御意見を重ねて伺って質問を終わります。

宝田善日本労働組合総評議会経済局長

○参考人(宝田善君) 二つの質問ですけれども、第一の立場は、私も対等、平等にはなっていないと思いますね。もっと対等で物を言うべきだということだと思いますが、それは同感なんですが、こう先進国の間で孤立をして対等、平等にやれるのかと。今、労働組合もそのあおりを食ってといいますかね、日本の問題についてかなり非難をされているわけですよ。我々、幸重さんもおっしゃいましたが、TUACですね、OECDの労働組合諮問会議によく二人顔を会わせるんですが、日本の長時間労働とか、雪崩のような輸出とか、失業の輸出とか、そういうことを言われて本当に弁明もしようがないんですね。特にこれから長時間労働というのは絶対に弁明ができませんから、これは何としても自力でやらなければならないと覚悟しているんですが、少なくとも労働組合間の連帯をまずとらなければ、どこの国に対しても物を対等、平等で言えないと思いますね。そういう意味で私は、内需というものをちゃんとやった上で対等、平等になれるんじゃないか。要するに競争力の強いものだけを売り込んで、問題が出てきたらそれ以外のところは対等、平等の論理でというわけにはいかないと思うんですね。やっぱり国内でなすべきものをなして、その上で対等、平等というものは成立するんじゃないかというふうに考えております。  それから二番目の内需拡大というのは、確かにいろいろな社会システムの改善の問題もございますが、基本的にはやっぱり賃金の引き上げと時間短縮しかないと。我々、今、日本の労働組合にその能力がないことについては御批判をいただいているとおりで、大変私としては自責の念を持っていると。これは先ほども出ましたが、勝った負けたの問題ではありませんで、少なくとも昭和三十年以降の日本の労働組合あるいは日本の労働者というものがとってきた成果というものを、例えば定年制の延長であるとか労働時間の短縮の程度、それから雇用の確保の程度とか、それから実質賃金の伸び方というもので整理した結果、客観化されたものとして出てきたものを見ましても、どうも八〇年代に入りまして賃上げ率が低下をしている。それを基準にして私は、七%とれないというのはこれはやっぱりマイナスであると評価せざるを得ないので、この点は今後我々自身の運動の仕方といいますか、努力あるいは自己批判の問題とわきまえております。  ただ、春闘相場の問題がございまして、日本の場合には、今まで概して企業別組合の集合なものですから、やっぱり春闘相場というものが一つ立ちますと、弱い組合もそこまではとれるということがございまして、欧米のように産業別組織ではございません、企業内組合でございますので、企業内ばらばらにやりますとこれは相場なき社会になるんで、どうしても春闘相場というものをつくらなければいけない。これはメリットの面でございますが、今のようにパターンセクターといいますか、基幹部隊が弱いと、相場は維持されているが相場の水準が低くなるということになりますと、全体のマクロの内需論にマイナスになるような賃上げになってしまうんで、力のあるところだけとればいいじゃないかというふうなお話もございましたが、それはできない。それをやりますと労働者間の内部矛盾の拡大に輪をかけるということになりますので、今我々はどんなことがあっても労働団体全体が足並みをそろえて相場というものを少しでも上げていく。相場というものもまた一方で非常に重大なものであるということだけ申し上げて質問に答えたいと思います。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 きょうは御苦労さまでございます。  最初に、松本さんにお伺いしたいと存じます。  日本の農業の問題なんですが、自給率が三十数%、食糧の安全保障の意味からもこれは維持しなければならないという感じのお説であったかと思います。そのほかにも農業は治山治水の観点、空気の浄化の問題、環境保全の問題、そういう問題から農業がなおざりにされてならないことは言うまでもないことでございます。  しかし、農業オンリーで食べている家庭はほとんどなくなってきているという状態は先ほど伺いました。実際に農家に具体的にいろいろ問題を聞いてみますと、農機器が大変高い、それを各家庭が購入してそれのローンの返済に常時苦しんでいるという実態があるということ。それから、農業地帯におきましては大変に高齢化が進んでおりまして、若年層が都会に出てしまうともう戻ってこない、こういう問題もあるわけで、将来の農業展望について大変不安を感じるわけでございます。農業について木材、ミカン、肉エトセトラ、そういうものを全部自由化いたしましても四百億ドルの二十分の一にもいかないだろうということも言われておりますし、将来の農業のターゲットについて持っているということを先ほどおっしゃったので、農業の将来の展望についてどのようにお考えか、そのターゲットをお聞かせいただきたいと思います。

松本登久男全国農業協同組合中央会農畜産部長

○参考人(松本登久男君) 時間の関係もございますから、御質問でございますが、できるだけ簡単にお答えさせていただきたいと存じます。  御指摘の点でございますが、確かに、現在農業を専業でやっていく人間が、経済的にそれで支えられている人間が非常に少なくなっていることは御指摘のとおりでございます。また、例えば米をとりましても、農機具費はおよそその五七%ぐらい占めておりまして、相当高い割合でありまして、それが年々モデルチェンジその他でコストを押し上げていっていることは事実でございます。これは一つは、やはり農機具が我が国の場合には一週間弱、五日程度しか年間稼働しない、ところがアメリカの場合は百五十日も稼働しているという、そういう稼働率の低さも一つの原因がございます。そういったことも含めて今日の農業を現在のままで維持していくということは非常に難しいということは私どももよく承知しているところでございます。  そこで、将来のターゲットでございますが、先ほど申しましたように、やはり産業として自立できるためには、国際比価を一に近づけていくということを基本的な目標にして、それに努力をしていかなきゃならぬわけですが、これも御紹介しておりますように、三つの分野がございまして、いわゆる施設型の資本集約型の農業については現在その水準にほぼ到達しております。また、中間型の分野につきましては、労働集約的な要素がございますんで、どうしてもアメリカのように無限に規模を拡大していってやるという農業経営形態に現在なっておりませんで、そのかわりというとあれですけれども、日本の社会の体質に合うような形で中間的な分野を高品質化をねらって一応所得を上げていっていると、こういう形態をとっております。  第三の分野は土地利用型、これが農業の一番基本でございますが、土地利用型の分野が、先ほど来御紹介しておりますように、比価が非常に悪いということでございますが、私どもはこれはあと十年ぐらいの時間の経過とともに基本的には改善の方向に急速に向かうであろうというふうに考えております。そのための先ほども御紹介しました中間システムみたいなものをつくりまして、現在そこに接近していくための誘導手段といいますか、そういったことを考えておりまして、それは、現在例えば日本の都府県の集落、北海道はちょっとまた別な形態をとっておりまして、農業の経営規模も違っておりますから、都府県に限定して申し上げさせていただきますと、平均の一戸当たりの農地の保有規模が〇・八ヘクタールということになっておりまして、それが大体二十戸、大きい集落は四十戸ぐらいで構成しております。その二十戸の集落でいきますと一戸当たり大体〇・八ないし一ヘクタールの土地を保有しておりますから、集落全体の土地の賦存している量は二十ヘクタールぐらいになるわけでございますが、最近の調査で見ますと、日本の集落の過半、六割、およそ三分の二近くの集落は十戸に一人以下しか基幹的農業従事者がいないという労働力の賦存形態になっております。労働力と土地の保有が現在非常にずれてきておりまして、結局農業を専業でやっていく労働力の存在が最終的には農業経営を支える支柱になりますから、これと土地の保有まで手がつきませんので、基本的には土地の所有はそのままにして利用の形態をこれに集積をしていく、そういったことをやれば、仮に二十戸の集落で一人ということになりますと、二十ヘクタールの農地を一人の人が中心になって、周辺に高齢者その他の補助的な労働力がついた一つのシステムができるわけでございまして、そういった形での土地利用ができてくれば、土地利用型についても相当程度生産性の高い農業が実現できるというふうに考えております。  現状において農業で食えないのは、規模が非常に零細であるために食えないということが決定的な問題でございまして、耕種農業でいきますと大体一・八ヘクタールぐらいないと一人の家計費が賄えないと、こういう所得の状況でございます。したがいまして、今、農家も核家族化してまいりまして、大体四・二人ぐらいの世帯人員でございますから、仮にこれを四人といたしますと七ヘクタールぐらいの経営が実現できれば、これは農業だけの所得で家計費を十分賄っていくことができるというふうになるんじゃないかと、こういうふうに考えておりまして、その方向に行く条件は徐々に整いつつありますが、それにはこれは大変時間がかかります。高齢化とともに、労働力の組み立てと土地の利用の仕方を変えていくわけでございますから、非常に時間がかかるわけでございますが、そういう方向で土地利用型の農業も、しかもそうなりますと、今の戸別〇・八ないし一町を所有して利用している農家に比べますと生産性も非常に上がりまして、コストも三割ぐらいはそれだけでダウンいたします。農機具の利用コストその他の点からいきましてそういったこともございまして、生産性は相当改善されるだろうというふうに考えておりまして、その方向を目指して現在誘導しているということでございます。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 では、竹内さんにお伺いいたします。  日本の資本流出、技術輸出というのはかなりふえてきており、このことは先方の地において雇用を創出して経済を活性化させると、こういう意味で大変に国際化の進展に伴い望ましいことだということだと思うんですけれども、実際に日産、三菱、本田とかいうのはよく耳にするんですが、どうも業種がかなり偏っているような気がするんですけれども、これについて日本が今後技術輸出、資本の流出についてどういう分野に力を入れてやるべきか、またどういう国に進出するのが望ましいか、そういうあたりの展望をお教えください。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 現在、自動車とかそういう耐久消費財関係はアメリカ、それから繊維とかそんなようなやや技術水準が低い産業はアジアを中心に展開しているということでございますが、アジアの中でも自動車とかそういうものも既に始まっております。ですから、古い型の産業といいますのは全世界的に展開しておりますし、ハイテク産業の一部はアメリカに進出していると、こういうことでございます。ただ、日本の中には当然のことながらブーメラン現象を恐れると、こういうことになるわけでございますから、余り日本から海外に進出いたしますと、先ほどタイの例で松本さんから御紹介ございましたように、その製品で日本が負けてしまうということでございますから、これはなかなか難しいわけであります。  つまり、発展途上国は日本から来てもらいたいけれども、日本の企業は余り行き過ぎると困るというような、この辺のバランスが難しいわけでございますけれども、方向といたしましては、日本は設備投資がなかなか起きませんといたしますと資本流出しかないと、こういうことになりますから、周辺の諸国、特にアジア諸国に資本進出いたしまして、それから現地の工業化を促進すると、こういうことが非常に重要だと思います。そうなりますとこれらの国に対する日本の輸出が伸びますし、同時に彼らの国からの日本に対する輸入も伸びるということですから、一部摩擦が起きるのはやむを得ないことかと思いますけれども、そのような形でアジアが発展し日本が成長していくと、こういうことになるわけであります。  それからさらに、アメリカの南部なども大変重要な地域でございますので、こういうところも資本進出していきながら、アメリカではなかなか認められにくいことでございますけれども、アメリカの経済の成長に役に立っているというようなことを根気よく説明していく必要があるのではなかろうかと思われるわけであります。  ただ、大局的に見ますと、先ほどもちょっと触れましたように、資本流出というのは日本にとりまして損でございます。それらの資本は日本に投下されるべき問題でございます。日本が世界最高の国になっておりますと、周りの国の成長も助けていきませんと日本のマーケットが拡大いたしませんけれども、現在のところ、我々の技術とか経営ノーハウとか資金は、主として我々よりもはるかに生活水準も経済力も強大なアメリカに向かって流れつつあると、これも大変惜しいことでございます。ですから、経常収支が常に黒字になり、資本流出が起きるということは非常に広い意味でいきますとイギリスがたどってきた道だと、こういうことになるわけでございます。  最後に、余分なことでございますけれども、かつてイギリス人に、日本もいよいよ資本流出国になってイギリス病になってきたと申しましたら、イギリス人は、それはイギリス病とは言わないと、イギリスは世界最高の地位をきわめてから転落したと、二流国から転落するのは日本病ないし西ドイツ病と言ってくれと、こういうことでございます。実際にはもっともっと内需を、投資をして環境をよくして我々自身が成長するということが、そうなりますとアジアの国々からの輸入も拡大してこれらの国の成長を助けるという意味で非常に望ましいことではないかと、かように承知しているわけでございます。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 もう余り時間もございませんので、宝田さんと幸重さん、それに竹内さんに同じ質問をいたしたいと思います。  このたび雇用機会均等法が通りました。そして、女子差別撤廃条約も恐らく来る十八日に採決されて批准の運びに至る、こういうことになるわけでございますが、時短の問題が貿易摩擦の観点から非難されるという時代が到来するであろう、こういうことを言われまして、その次に来るのはどうしても女性に対する門戸を開いていないというところが非難の対象になるであろうということが予測されるわけです。そして私が今一番心配するのは、この均等法案が、特に経営者側にこれの逆作用が出まして、かえって女性を採用しないという傾向もちょっとことしあたり出ておる企業が大企業にあるらしいですから、そのことを特に竹内さんにはお伺いしたいんですけれども、そのあたりを今後どういうように対処されていくか、お三人の方に御回答願います。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 現在のところ企業では、女性を本格的労働、中核労働として採用したがらないというのはおっしゃるとおりでございます。これは言うまでもないことでございますけれども、やはり労働基準法の問題がございます。ですから、深夜労働ができないということでございます。ですから、仕事というのは季節的に集中するわけでございますから、その点女性の人々は幾つかの問題がある、このようなことではなかろうかと思うわけでございます。  でございますけれども、既にだんだん女性の方々の中には中核労働に入りつつあるというように思われるわけであります。ただ、非常に残念なことでございますけれども、日本のビジネス社会はまだ男中心の社会になっているわけでございます。ですから、残業いたしまして、みんなで一杯飲んで、そしてよかったと、こう言って帰るわけでございますけれども、そのとき、労働基準法の関係でお早く帰ってしまうとなると何となくその人は仲間でないと、お客さん的な立場になるわけでございますから、この点なかなか時間がかかるというようなことでございます。  ただ、我々のようなホワイトカラーでございましても、女性の方が男と同じに活躍している方がだんだんふえてきたというようなことで、ここ数年間見ますと大変目覚ましい進歩だということでございますけれども、女性の全体から見ますとまだまだ御指摘のように問題が多いというふうに考えております。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 済みません、ちょっと一点落ちていました。逆作用が出てきておらないかという点を特にお答えいただきたいと思います。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) これはやや逆作用が部分的には出ているというような感じがするわけでございます。ですから、女性が男女平等に扱われてまいりますと、女性によって男の地位が奪われるというような可能性があるわけでございますから、心理的な逆作用みたいなものは決してないことはないわけでございますけれども、それが表立って出てくるというようなことではないような気がいたします。  ただ、長期的に見ますと、現在の、余分なことでございますけれども、日本の最大の問題は出生率の低下でございます。ですから、単純に計算してみますと二千年後には日本の人口はたった千二百人になるわけで、現在のように一・八人でございますと永遠に高年齢化社会だと、こういうふうな問題がそのほかにあるような感じがしております。

宝田善日本労働組合総評議会経済局長

○参考人(宝田善君) 確かにおっしゃるように、企業というのは非常に信用ならないところがございまして、罰則のない法律でもそのぐらい忌避するといいますか、そういうことは起こり得ると思うんですね。これはあらゆる法律について言えることでありまして、法律で規制をしますと必ず抜け穴といいますか、逆を考えるわけですから、婦人の解放運動というのはそういうものの中をくぐってやっぱり今日までヨーロッパの場合でもやってきております。したがいまして、戦後の日本の婦人労働、婦人運動の流れを見ますと、必ずこれは運動で僕は将来克服していけると思うんです。  それから二番目は、さっきも言いましたが、男子が今の竹内さんの話にありましたように、職場を離れても仕事の何かグループがあったり、そういうことをやっていることがそもそももう時代おくれなんであって、ですから、男女平等のためには男子を相当変えませんと実質的な平等というものはこれはかち取れないということはもう事実です。

幸重義孝全日本労働総同盟政策室長

○参考人(幸重義孝君) 参考人の答弁が大変上手に答弁をされておりますので、非常に本音がなかなか出ていかない部分だろうと思います。率直に申し上げまして、私は逆作用という質問に関しましては可能性としては大変濃いというふうに思います。そういった問題というのは、意外と日本型の労使関係の内部において、日本の労使関係は企業労使関係でございますから、その中でもって処理ができるんだというふうに私どもは理解をしております。  ただ問題は、日常的な職場内におけるところの、この法律が通過したことによる女性に対する非常に心理的なぎくしゃくとした関係というのが、いわばこの法律になじんでいく職場環境が生まれてくるまでにはかなりな時間がかかるだろう、そのように考えています。  したがって、ある意味では婦人運動の面で、むしろ労働組合のいわば組織運動として考えてやっていかなければならない点があるんじゃないだろうか。今回の法律の中でもっていわば努力義務として片づけられました募集、採用、昇進、昇格、こういった問題、特にこれからの問題としては募集の問題に関して逆作用の問題を含めて、私たち労働組合がかなり企業別労使関係の中でもって気をつけて企業経営者に対して注文をつけていかざるを得ない面というのが出てくるだろう、そのように考えております。  以上です。

青木茂参議院の会

○青木茂君 まず松本参考人に、これは御意見ではなしに数字の中身だけちょっとお教えいただきたいんですけれども、先ほど、農家総所得分の非消費支出ですね、そういうお話がございましたけれども、農家総所得だからその中にはいろんな所得形態、つまり給与所得も入るわけですね、入りますね。そして、この非消費支出の中で一番大きな金額を占めている部分は何でしょうか。

松本登久男全国農業協同組合中央会農畜産部長

○参考人(松本登久男君) 非消費支出の中の大半は、租税並びに公課諸負担でございます。

青木茂参議院の会

○青木茂君 その租税の中で一番大きな金額を占めているのは源泉所得税じゃございませんか。

松本登久男全国農業協同組合中央会農畜産部長

○参考人(松本登久男君) そうです。

青木茂参議院の会

○青木茂君 わかりました。  じゃ、お三方にお伺いしたいんですけれども、私は貿易摩擦というやつは、これはしようがないというのか、つまり国際品と国内品がイコールチャンスならば、幾ら黒字が出ようともこれはしようがない。イコールチャンスということは相対的という意味ですね。例えば、農業の肩を持つわけじゃないけれども、農業なんてどこの国でも保護しているんだから、日本だってしてもいいわけですね。そういうわけで相対的にイコールチャンスなら、貿易摩擦というのは起きたってしようがない。それで向こうさんが保護主義をとるならとってもしょうがないじゃないか、それはとった方が悪いんだから。世界の世論というものは、僕は保護主義をとった方に非難がいくと思いますね。  僕は、基本的にそういうふうに考えるんですけれども、それはちょっと書生論として、とはいうものの、内需中心のものでなくてはならないことは当然なんですから、内需が振るわない原因ですね。特に内需の中心である個人消費が振るわない原因というのは一体何なんだろうか。  三つ考えられるわけなんですけれども、家計そのものにゆとりがないから個人消費がふえないのか。あるいは貯蓄の必要性がより大きくなっているから個人消費へ金が回らないのか。あるいはよく言われる消費飽食ですね、もう買う物はないじゃないか、日本は豊かになって。消費が飽和状態になったからこれ以上個人消費支出が伸びないのか。この三つのうち一体どれが一番大きいんだろうかということをお三方にお伺いをしたいと思います。まず、お座りになっている順序で、竹内参考人からお願いできればありがたいと思います。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 前半の部分でございますけれども、やはり日本はアメリカに対する輸出がなくてはやっていけませんので、保護主義をやられると一番困るのは日本だ、こういうことでございます。  ただ、アメリカとの関係からいきますと、アメリカはオイルショック以後、景気拡大政策をとりましたので、それによって日本からの輸出が伸びて日本がうまく立ち直った、こういうことでありまして、オイルショック以後、日本が比較的うまくいったのはアメリカのおかげであったというような点があります。ですから、向こうが困ったときには、ある種の態度が必要だというふうに思うわけであります。  それから、第二点の消費が伸びない最大の問題は、可処分所得が伸びないという点にあろうかと思います。

宝田善日本労働組合総評議会経済局長

○参考人(宝田善君) なぜ消費が伸びないかというおっしゃるところの前の二点はそのとおりだと思うんですね。  三番目の消費飽食ではなかろうかというのは、これは消費のパターンがどんどん今変わっているわけでございます。例えば、今いろいろ教養的なものがございますけれども、何とか教室とか、これは男が行かないで九割以上が婦人でございまして、そこから男の粗大ゴミが出るんですが、要するにサービスも消費でございますから、ある程度の、例えばテレビであるとか、一〇〇%入ったようなものはそれはこれ以上三〇〇%までいくことはないと思うんですが、むしろ我々はもっと勉強するとか、もっと自分の生きがいのために何か活動するとか、いろんな意味で消費の形態が変わるのだというふうに御理解願いたいと思います。

幸重義孝全日本労働総同盟政策室長

○参考人(幸重義孝君) ごく簡単にお答えをいたします。  私は、やはり家計にゆとりがないというのが直接的な原因だと、そのように思います。

青木茂参議院の会

○青木茂君 家計にゆとりがないということを私も実はそのとおりに思っているわけなんですけれども、ただ一方において、家計黒字論というのが政府の方から出ていまして、家計は黒字なんだから、これは都市だって農家だって黒字なんだから、その黒字の一部を割いてもう少し税金たくさん出してくれというような意見が結構あるんですよ。そうすると、家計の黒字というのは一体何なのかということが私ども非常に摩訶不思議な気がしておるんですけれども、これは御専門の竹内さん、いかがでしょうか。

竹内宏日本長期信用銀行常務取締役経済団体連合会経済調査委員会経済調査ワ-キンググル-プ座長

○参考人(竹内宏君) 建前からいいますと、可処分所得が伸びないというようなことが建前になるだろうと思います。  一方では、現在ですと例えば宝石類で一番売れておりますのは五百万ぐらいのダイヤモンドである、ニューオータニでやりました三万五千円のあのフランス料理が満員である、こういうことでございますから、どうも建前と事実とはかなり違うらしいというような感じでございます。  そうなりますと、一体何かといいますと、どうももう一つは買う物がないというのが非常に重要なことだと思います。買う物がないといいますのは、物欲をそそるような耐久消費財が出なくなった、つまり技術革新の現在は低迷期でございます。そうなりますと人々はサービスを買い求める。先ほど宝田さんが言われましたように、教育とかいろんなものを求める。ところが、それらの供給体制がうまくいってないというようなことだろうと思います。例えば成人学校をやりたいと言っても、あるいは老人の方がこれから勉強したいと言っても、そういう教室が方々に最適に配置されていないというようなことでございまして、どうも消費構造の急激な変化に対しまして供給側が対応できてないというようなことで、ここにも一つは政府の規制問題があるのではなかろうか。  構造的な問題はそんな問題でございますし、表面的に言いますと可処分所得が伸びない。それは賃上げ率が低いということのほかに税金が重いということであります。特に勤労者の税金は重税でございます。

青木茂参議院の会

○青木茂君 そこまで言っていただくと私どもとしては満足なんですけれども、これ以上ないんですけれども、ただ、こういうことも一つ言えるかもしれないんですよね。  確かに家計にゆとりはない。そのゆとりがないのは、非常に多くの部分が社会保障の不備による貯蓄の必要性がなくなり切ってないということと、非消費支出の増大ということは確かに言えるんですけれども、例えば物の消費なんか見て、ボーナスなんかもらったとき、大きな物を買いたいんだけれども置くところがないというような問題もありゃせぬかと。農家の場合は割合家が広いから置くところがあるんだけれども、都市の場合は狭いから置くところがないわけですね。ですから、どうも消費拡大の基本が、もう少し置くところを広くするというのか、いわゆる住宅政策の問題にいくんじゃないかという気がするんですけれども、労働組合のお二方、どんなものでしょうね。

宝田善日本労働組合総評議会経済局長

○参考人(宝田善君) その前に、黒字というのはゆとりだというのは非常に大福帳的な発想でございまして、現代というのはある程度の黒字を持たなければ子供を大学にもやれないし、老後も生活費がないということで、いわば黒字はゆとりというのは昔の家計論でございまして、現代では延ばされた、企業で言えば投資資金ですね、そういうものだというふうにまず御理解願いたいと思います。  それから、都会における住宅事情というのは確かに限度が既に来ておりまして、最近のようにアルミサッシになりますと換気も非常に悪い。したがいまして、たばこを一本吸いますと奥さん、子供さんに被害が非常に大きいとか、今の日本の住宅というのは、面積だけじゃなくて、容積を見ましても国際基準からはるかにおくれていますから、根本的にやっぱり都市の住宅というのは建てかえないと、人間の心理的ストレスも治らないし、衛生もだめだし、物の置き場所もないということは事実でございます。

幸重義孝全日本労働総同盟政策室長

○参考人(幸重義孝君) 簡単に申し上げますが、まさに住宅政策、そういう意味で大変大事だというふうに私も思っています。  一般的にゆとりがないのは、率直に申し上げまして、大体都市型の労働者が住宅を持って住宅ローンを返済するときに、どうしても資金的な関係それから返済金の関係、ローンの関係からいわば傾斜型のローンを組みます。そうすると、本来であればある程度ゆとりがある年齢階層に達した段階に至っても、なおかつ傾斜型のローンを返済しておりますから、大体十五年、二十年という長い年月にわたって可処分所得が全く変化をしないという、そういう現実があるんです。ですから、帳簿上はかなりゆとりのあるようなことになっていても、実際上ゆとりがない生活が続いているというそういうことじゃないでしょうか。

青木茂参議院の会

○青木茂君 委員長、あと三十秒お願いしたいのですけど。  そうなりますと、住宅政策がこれからの内需拡大の決め手になってくるんではないかということ、それよりも何か僕は、今まで国家にとっていいことは企業にとっていいことだ、企業にとっていいことは個人にとっていいことだという発想で経済政策が流れ過ぎた。これを逆にして、個人にとっていいことは企業にとっていいことで、企業にとっていいことは国家にとっていいことだという発想をやれば、私は、個人消費は突き上げられて、内需拡大はそんなに難しいことを考えないでもできるんじゃないかという意見を持っておって、御意見を伺いたいんですけれども、時間がまいりましたから、結構です。

対馬孝且日本社会党

○委員長(対馬孝且君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終わりました。  参考人の方々に一員御礼申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわりませず、長時間にわたり当委員会に御出席をいただき、大変貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会

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