国民生活・経済に関する調査特別委員会 第5号
- 発言数
- 123 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/04/24
会議録
○委員長(対馬孝且君) ただいまから国民生活・経済に関する調査特別委員会を開会いたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 国民生活・経済に関する調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁澄田智君の出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(対馬孝且君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(対馬孝且君) 国民生活・経済に関する調査を議題とし、経済摩擦と内需拡大に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○竹田四郎君 日銀総裁を初め、皆さん大変お忙しいようでございまして、御出席もいろいろ時間に切れ切れがありまして、あるいはそういう点ではまとまった形でなくて、あちらこちら飛び飛びの質問になると思いますけれども、その点はお許しをいただきたいと思います。 まず、日銀総裁にお伺いしたいと思いますけれども、総裁は最近IMFの会合にお出になりまして、各国の金融担当者とお会いになったと思いますし、ボールカー議長あるいはアメリカのベーカー財務長官等々ともお会いになったと思いますけれども、こういう方々とお会いになりまして、アメリカの現在のドル高、高金利あるいは日本の貿易の大幅黒字、こういう問題についていろいろなお話があったんではなかろうかと思いますけれども、それらの方々にお会いになってどんなお考えをお持ちでお帰りになりましたか、御説明いただきたいと思います。
○参考人(澄田智君) 私、去る四月十六日、七日、IMFの暫定委員会に出席いたしました。 その席上、我が国の貿易黒字に関しましては当然に各国から強い関心が示されたわけであります。これは我が国だけでなくて、先進国間の貿易のアンバランスというような形で指摘された場合もございます。そしてその場合に、日本に対しまして若干の国からは名指しで、日本の内需を拡大するというようなことによって黒字を減らすべきではないかというような発言が全然なかったわけではございませんが、しかしこれはごく一部でございました。当面は、日本政府がこのほど決められました、対外経済対策で決定した市場の開放措置の具体化を見守りたい、こういう意見の方がはるかに大勢でございました。 会議の席でもそうでございますし、また、別途ボルカー連邦準備制度の議長にも面会をいたしましたが、その場合の意見は、アメリカにおきまして本年は昨年よりは経済成長が鈍化をすることは必至であると、なお、三%を超えるような成長は可能と思うが、しかし昨年には及ばない、そこで、日本及びヨーロッパに対して、アメリカの成長が鈍化する分を補うような意味において、かつての機関車論ではないけれども、今まで以上の役割を期待したい、こういう意味合いの発言はございました。 一方、お尋ねのアメリカの高金利、ドル高でございますが、高金利がドル高の極めて有力な背景でありますし、そうしてそのドル高が日本のみならず、あるいはアメリカの赤字、それからLDC諸国を含めて対外不均衡問題を惹起しているという点については、これは一般にドル高のそういった影響ということについては、各国ともこれを指摘したところでございます。我が国やヨーロッパ諸国も、その点はこちらからも指摘をしたわけでございます。このためには、高金利の原因であります巨額の財政赤字をできるだけ早く基本的な改善措置をとることが必要である、こういう意見が非常に強かったと私は感じました。
○竹田四郎君 ベーカー財務長官とお会いになりまして、ベーカー財務長官から何かお話はなかったですか。けさの新聞を見ますと、ベーカー長官が、日本、ヨーロッパはLDCから二百五十億ドルぐらいの輸入をしてくれないかと、そうすればそれだけアメリカの負担が少なくなることが一つと、それをカットすると、LDC国がいわゆる言われております累積債務の支払いという問題に大きな支障が来て、そしてそれが世界的な信用危機といいますか、信用秩序を著しく害される、そして国際的経済というものもそれによって混乱をする、アメリカの分を日欧で負担をしてくれないとそうした危機が生まれる、だからひとつ日欧もそれぞれの分担をしてくれないかと、こういう議論でありまして、今までの議論は、アメリカの物を買えという議論が非常に多かったわけでありますけれども、私はこのベーカー財務長官の議論というのは、そういう意味ではある程度筋が通っているなと、確かに相当協力しなくちゃならないという気はしているわけでありますが、何かそういうお話はなかったかという気がいたします。 また、最近アメリカの動きがどうも少しずつ変わってきたというような感じがいたしますし、何か、二十四日の晩ですからあしたの晩ということになりますか、レーガンは財政赤字問題で全米にテレビ演説放送をするということもかなり今までとは変わってきた動きだという気がいたしますが、どうもここへ来てそういう意味で、ただ今まで日本にだけかなり感情的に向けられていた動きが全体的に少し動いてきたなという感じがするんですが、そういう印象はございませんでしたでしょうか。
○参考人(澄田智君) ベーカー財務長官は、もちろんIMFの暫定委員会へ出席しておられたわけでありますが、その場におきましては、御指摘のような日欧で二百五十億ドルでございますか、そういうものをLDCに対して輸入をするということで振り向ける、そういった具体的な数字を挙げての話は一切ございませんでした。 先ほど私申しました、アメリカの成長鈍化に伴って世界経済全体の成長がやはり鈍化をする、これはLDCの債務問題等に非常に影響するところが大きいから、日本及びヨーロッパにおいてインフレなき成長の持続ということを基本的な今後の方針として各国がそういう共同歩調をとるべきであると、そういう話は一般的に基調でございましたし、ベーカー財務長官ももちろんそういう意見でございました。 それから第二点の、アメリカの財政赤字に対する問題につきましては、昨年末から本年の二月ないし三月ごろまで非常にドル高が続いたわけでございますが、あの時点におけるようなドル高はこれは明らかに行き過ぎであると。そうして、従来アメリカは、ドル高によってアメリカの国内のインフレが抑えられているというような、そういったドル高のメリット面というものを主張もしてきたわけでございますけれども、ドル高の行き過ぎという点について今やアメリカの政府、議会を通じましてこれはやはり是正をする、そのためにはそのもとにある高金利、さらにそのもとにあるアメリカの財政赤字を何とかしなければならないと、こういうふうなその間の関係というものを認めて、そして、これに対応する措置が必要であるということが一般に言われてきているような、そういう変化は確かに感ぜられるところでございます。シュルツ国務長官の四月十一日のプリンストン大学における講演等にもそれがあらわれているところであると思います。
○竹田四郎君 時間がございませんから少しまとめて御答弁をいただきたいと思います。 ドル高というのは、ドルに対する国際的な需要が高いということがドルを強めているというふうに理解されるわけでありますけれども、全体的に国際的に見て、ドルに対する圧力をどう低くしていくのかということもやはりドル高を直していく一つの手であるだろうと、こういうふうに思うわけであります。ドルというものが基軸通貨であるということから、どうしてもドルに集中していくわけでありますけれども、最近は日本でも輸出に関する貿易決済等々はかなり円であろうという動きが強まっているのも私は一つの方法だろうと思います。ただ、日本の円の国際化というものの進行状況と相呼応するのかもしれませんけれども、輸入決済というのはほとんど今ドルで決済されていると。そういうものが、全部ではありませんけれども、一つはドルへの圧力のような気がいたしますし、こうした意味で私は、ドル中心の決済でなくて、先進国のそれぞれの通貨によるところの決済というものがもう少しあっていいんではないだろうか、国際的にもそうした点を協議する必要があるような気もいたしますけれども、その辺に対する総裁の御意見をひとつ承りたいと思います。 それからもう一つは、大体変動相場制というものは、各国のファンダメンタルズを正直に反映するものだということでこの変動相場制というものにかつて踏み切ったわけでありますけれども、実際その実情というのは必ずしも最近はそうでないわけでありまして、むしろ変動相場制というものを見直すべき必要があるんではないだろうかというようなことで、一つはフランスあたりのターゲットゾーンというような話も出ているし、アメリカなんかでも話に聞きますと、金本位制にカムバックしたらどうだろうかという意見もあるそうでございますけれども、そういう点でやっぱりもう一回今の為替政策というようなものを国際的に考え直してみるというような段階にも来ているように思うわけでありまして、日本で開かれていた日米欧の委員会でもロックフェラー北米委員長の発言として、ベーカー長官がもしそういう通貨制度の介入をやるというなら私もそれは賛成だし、大いにやりたいというような御発言もあるようでありますし、また、この日欧米の会議におきましての四つの項目の中に国際金融上の不均衡、特に基軸通貨をめぐる不整合と為替レートの過度の変動について日欧米の専門家会議を開催しようと、国際金融システムの再評価をやろうと、こういうような決定も出ているわけでありますから、そういう意味ではアメリカのドルの強さ、あるいはアメリカの双方の赤字というような問題も、そうした国際通貨の面からもう一回見直してみる国際的な会議というものを、日欧米の主要国の通貨担当者でやはりその辺のことも検討をすべき時期へ来ているというふうに思いますけれども、この辺も総裁の御意見をひとつお伺いしたいと思います。
○参考人(澄田智君) まず、最初に御指摘のありました我が国の輸入の円建ての問題でございますが、おっしゃるとおり、我が国の素原材料、燃料等の輸入のほとんど全部はドル建てで行われておるわけでございます。これを円建て化するという問題は、我が国の輸入業者の為替リスクを回避するという意味においては意味があることであると思いますが、それが直ちに基軸通貨であるドルの役割を減ずるというようなことにはすぐにはつながらない、そういうふうに思うわけであります。 なぜかと申しますると、円を受け取ったその相手方でございますが、それがそれをドルにかえるということになりますと同じことになるわけでございまして、したがいまして、円の国際化という観点からはそれは確かに前進でございます。そうして円の国際化は、長い目で見ればやはり円の強化につながる、そういう意味合いを持っていると、こういうふうに考えるわけでございます。 それから、次の御指摘の変動相場制の問題でございますが、これは現在変動相場制が、当初言われましたように、経常収支が黒字になりました場合に、黒字国の通貨の相場が上がって、それによって調整されるということは必ずしもそうなっていないということも事実でございます。非常に大きな資本取引が行われる結果、貿易取引によって相場が決まるというものでは必ずしもないという現状であるわけでございます。しかし、この問題について変動相場にかわる制度、御指摘のターゲットゾーンその他でございますが、これはこれで非常にいろいろ技術的な点も含めて問題が多いわけでありまして、当面すぐ現実の問題として考えられるかというとなかなかそうまいらないという状況であるわけでございます。 国際会議につきましては、八三年のウイリアムズバーグで行われましたサミットで国際通貨制度について検討をするということで、そうして十カ国の蔵相会議あるいはその代理会議というようなところで検討を今日までしてきておりまして、六月の二十一日東京で開かれます十カ国蔵相会議において、今までの代理会議で検討されてきた報告をそこで取り上げて、恐らくその報告がそこで決まる、そういうことになっておりますが、ベーカー財務長官が通貨会議というような提案をいたしましたのも、そういう今の国際会議における検討の一連の中に、さらにそういうようなものを加えることによって通貨制度についての検討の機会を持つということではないかと思いますが、この点につきましては、今回の暫定委員会等においては、重ねてそういう会議をそのほかにやるかどうかということについては何もまだ決まっておらない。要は、今後の東京の十カ国会議、それからソウルで開かれますことしの国際通貨基金の総会というような場を経て、そうしてさらにその後に検討をする機会が持たれるかどうかと、そういう現状でございます。
○竹田四郎君 もう一つだけ質問さしていただきたいと思いますが、最近アメリカの金利動向というのは、景気の減速というようなことによりまして下がりぎみなわけであります。アメリカがある程度金利を下げてくれば日本もその範囲ぐらいで金利を下げるということも、日本国内の経済を、いわゆる最近言われている内需拡大に金利の面から役立たしていくということも可能だろうと思うんですけれども、しかし金利を下げていけばまたドルがアメリカへ流れていくという問題も出てくるかもしれませんけれども、それはこの範囲の問題であります。ですから、アメリカが下がった範囲内ぐらいで日本の金利を下げていくというようなことが必要ではないか、そういう意味で内需拡大をやっていくということも、たくさんの方法の中の小さな一つだと思いますけれども、一つの方法として考えられるんではないか、こう思いますが、そういう金利についてはどうお考えでございますか。
○参考人(澄田智君) 現在日米間の金利格差、長期金利で申しますと四・五%から五%ぐらいの格差があるわけでございます。確かにアメリカは一—三月のGNPの暫定の見通しの数字が低かったというようなことから、比較的金利がこのところ若干下がっております。先安感というようなものがあるわけでございます。しかし、依然としてまだ金利差が大きいわけでございますし、一方、我が国におきましては現在内需が設備投資等によってかなり回復をしてきているわけでございますし、また、金融政策の面で見まするとマネーサプライの伸びが名目成長率を上回っている状態でございまして、企業の資金調達も一段と容易になっているというようなことで、金融は十分に緩和されている状態であるわけでございます。こういう状態のところでアメリカの金利が若干下がっていると申しましても、ここで我が国の金利を引き下げるということになりますと、これは現在、本日は二百五十円というところで一時よりは若干円が高くなってはおりますが、しかし、なお極めて不安定な状況でございますし、こういうところで金利を引き下げるということになりますと、それは円安を促進しかねない、そういう状態であると思われるわけであります。当面金利の引き下げは適当でないというふうに考えておりますが、今後内外の情勢というものはもちろん慎重に見守ってまいらなければならない、かように考えておる次第でございます。
○竹田四郎君 総裁にはどうも大変お忙しいところありがとうございました。時間がありませんので、またひとつお尋ねする機会をお与えいただきたいと思いますが、きょうは大変ありがとうございました。 金子経済企画庁長官にお伺いしますけれども、この前一月でありましたか、私がこの委員会の中でアメリカの景気をお聞きしたときに、アメリカの景気はそう下がっていかないだろうというふうな印象を私はお答えの中で受けたわけであります。現実にあのとき、当時のお話に比べてみますと、二・一%の速報値よりも確定値は上がるだろうというようなことを大蔵大臣は言っておりましたけれども、実際は一・三%になっているというので、数字的にはどうかわかりませんけれども、そういうものを政府は頭に置いてアメリカの速報値よりも実際の確定値は上がるんだ、こういうふうにおっしゃっていたんですが、どうもその反対の結果が出てきた。今度もあの数値を見まして、いや個人消費は減っていないんだというまた強いコメントがこれについているような気がするんですが、経済企画庁でお考えになっているアメリカ経済の先行きというものはどうも当たらない。最近は天気予報の方がよく当たるんじゃないか、こういう話も冗談に出ているような状態でありますけれども、経済企画庁としては、ことしの六月にはアメリカは債権国から純債務国になるとかいろんな問題がたくさん出ていると思いますし、去年が大変急激な成長であったわけでありまして、そういう意味ではことしはぐんと落ちてくる可能性があると思います。企画庁はことしのアメリカ経済というのをどうごらんになっているのか、あるいはことしだけでなくて、今いろいろな意見出ておりますね、一九九〇年くらいになるとアメリカの債務は一兆ドルぐらいになるという話も出てきておりますし、アメリカのかつての経済的なことをおやりになってきた人たちというのは、率直に言ってみんなそんな明るい絵はかいてない、暗い絵をかいている方が多いと思うんですけれども、それに比べれば日本の企画庁は大変明るいアメリカの経済の絵をかいていらっしゃるというふうに私は感ぜざるを得ないんですが、本当はどうなんでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 御指摘のとおり、先般発表されました暫定値では、一—三月のGNPの成長率は一・三%に落ち込んでおります。これは一番大きな原因は、純輸出額が大幅に落ちたのが原因でございまして、今お話のございましたように、消費自体も堅実な伸びを示しておりますし、設備投資もほどほどということでございまして、それに物価も安定しておりますので、各方面の調査の結果を総合いたしますと、大体ことしのGNPの成長の見通しは三%から四%くらいの間ではなかろうか。去年のような調子にはまいりませんけれども、急激な落ち込みはまず心配がないんじゃなかろうかというような見方をいたしております。しかし、我々は、これはやはり世界経済のみならず日本経済にも直接大きく響くことでございますので、その動きをしっかりと見守っていきたいと考えておる次第でございます。 先ほどもお話のございましたように、とにかくアメリカの高金利が世界経済を大きく揺さぶってまいりましたけれども、この問題につきましてはベーカー財務長官も、八八年までには千億ドルくらいは確実に歳出削減によって減らしたいというふうな発言を先般もしておりましたし、だんだんと私は、アメリカ経済は行き過ぎから軌道に戻りつつあるんではないかという感じがいたしております。
○竹田四郎君 通産大臣、大変お忙しいところをお見えいただいて、またすぐどこかへ行かれてしまうようでございますので、もっとしたいんですが、一問だけひとつさせていただきたいと思います。 通産大臣は、外国製品を買いなさいという先頭を切って、毎日大変御苦労さまでございますが、ひとつ立派な成果を得られるように心から期待をしたいわけであります。 そこで、先ほど日銀総裁にお伺いしたんですが、けさの新聞の中で、ベーカー財務長官が、LDCから日本とヨーロッパで約二百五十億ドルぐらいのものをひとつ買ってくれないかと、それがアメリカの経済を非常に助けるんだし、今までアメリカの経済、特に財政がそうしたLDCの累積債務の償還とか、あるいはそういう国々がアメリカの品物を輸入するというようなことで、実際にはアメリカの財政の中から二百五十億ドルというものを支出したんだと。だから、そういうことで今まで累積債務の危険性というものは表面化しなかったわけであるけれども、これからアメリカの経済が鈍化する、同時に財政赤字も少なくしなくちゃいかぬと、こういうことを考えれば、日本とヨーロッパでLDCからひとつ二百五十億ドルぐらいのものを買ってくれ、努力をしてくれという発言をなさっておりますけれども、通産大臣としては、こういう申し入れはどう考えて、どう対処しますか。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 ベーカー財務長官の発言につきましては、二百五十億ドル、約六兆円になりますが、二年間で買ってほしいと。この発言自体は、今まで例えばシュルツ米国務長官とか、あるいはボルカー米連邦準備制度理事会の議長だとか、そういった方々からもいろいろそういった趣旨の発言があるわけでございますが、私は、二百五十億ドルという額の拡大を輸入ということで求めるのは、なかなか大変な難事であると思っております。現実に、実は二、三日前にも、関係六十社の代表者を通産省にお招きいたしまして、外国製品をぜひ買ってくれという要請を申し上げました。ところが、なかなかそれにいたしましても百億ドル、二百億ドルという買い付けをすることについてはいろいろな難点があるのは事実であります。 したがって、それは一体どこにあるのか、日本の流通過程あるいは関税その他いろいろ理由はあると思いますが、そういうこともひとつ洗いざらい検討をして、これに対応すべき時期が来たというような決意を私自身も持っておるところでございます。もちろんLDCに対する対応というのは、A SEANあるいはその他の国々に対して極めて重要な問題であり、債務累積課題等いろいろ抱えておりますLDCに対しまして、日本はアメリカやECに対するのと同様、誠実に対応しなければなりませんので、この財務長官の発言もよくその真意を考えまして対応をしてまいらなければならない、このように考えておるところでございます。
○竹田四郎君 この間の中曽根総理の説明だと、百億ドルぐらいの輸入をするのは非常に簡単ですな、一人百ドル買えば、全体では一年間に百二十億ドル日本は買えるんだというんですからね。あの調子でいけば、ベーカーは二百五十億ドル全部日本で買えと言っているわけじゃないですね、そうすれば、もっと簡単にいくんじゃないですか、どうなんでしょうか。 それからもう一つ、今のには正確にお答えいただかなくても結構でございますけれども、宮澤総務会長が、日本の工業製品全体二五%関税カットしろ、こう言っておりますけれども、これは私はできるんじゃないだろうかと思うんですが、これはどうですか。通産省と大蔵省の将来の問題になるわけでありますけれども、この辺は積極果敢におやりになったらどうでしょうか。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答えを申し上げます。 まず、一人百ドルずつ製品輸入に協力してくださいという中曽根総理の呼びかけは、私は決意を述べられたものとして理解をいたしております。なるほど、百ドル皆さんが買っていただければ、年間百二十億ドルの輸入増大になるわけでございますから、これは大変望ましいわけでございまして、言うなれば、ここへきて観念のはっきりした切りかえの必要な時期が来た。私も戦中派でございますので、国産品は多少問題があっても買いましょうという時代に長く育ったのでございますが、ここへきて問題が少々あっても外国製品を買ってくださいと、こういうキャンペーンを今や挙げてお願いをしておるのでございまして、昨日の閣議でも、通産省はみんな一人百ドルずつ買おうということをお互いに同意をし合って推進しておりますと。例えば通産省でことしは七台自動車を購入する予定がございますが、うち二台は外国車を買うことにすることを決めましたと、ぜひひとつ御協力をということで、関係閣僚の御同意を得たわけでございますが、そういったような精神的な協力姿勢というものが非常に必要だと思います。 ただ、百億ドルの輸入をふやすということは、なかなかこれは至難のわざでございますが、しかし一昨日やりました製品輸入拡大会議におきましても、関係六十社の社長あるいは代表者、また団体の代表者等が一人残らずその趣旨には賛同をしていただいたわけでございまして、こういった気持ちでひとつ日米、世界の経済関係のためには、日本国民が理解をしていただいて、しっかり外国の製品を買っていただくのが、本当に日本のためになり世界のためになるんだということで進めていきたいと思います。 第二点について申し上げます。 工業製品についての関税の引き下げを宮澤総務会長がおっしゃっていただいたわけでございます。私は、関税引き下げは、これは非常に大切なことだということで、その趣旨には賛成でありまして、例えば、今世界ではびこりつつある保護貿易主義というものが蔓延すればどうなるか。それは五十数年前の世界を襲った不況を考えてみればすぐわかることでございまして、世界のGNPが減り、そしてまた世界の貿易が縮小したのでございます。 したがって、日本の一割国家としての使命の上においても、関税は本来ならばすべて撤廃するという建前がいいわけでございますが、なお国民的産業その他いろいろな困難な事情もあろうかと思います。そういった事情を見ながらも、やはり新ラウンドに向かって関税引き下げ、あるいは世界の貿易をさらに自由開放体制に導いていくという信念のもとに進めるべきであると、このように認識しておりますし、総理の御認識も全く同様であると考えております。
○竹田四郎君 じゃ、通産大臣、あと結構でございますので。 河本さんは内需拡大を今までもずっと主張をされてきているわけでありまして、中曽根総理は、いつだったですか、これは新聞で私ども見ましたんですが、内需拡大は古典的で惰性的だということをおっしゃっているわけですね。河本さんはこれからアクションプログラムをずっとおつくりにならなくちゃならぬわけでありますけれども、私も、内需拡大は古典的で惰性的だというのはよくわかりませんし、それから、総理は盛んに内需拡大というのか、貿易のいろいろな手続やあるいは検査を簡素化しろというデレギュレーションをよくおっしゃっていらっしゃいますし、民活の活用によってというようなことをおっしゃっているんですが、どうも私、これよくわからないんです。デレギュレーションをやれば一体どのぐらい輸入がふえていくのかというようなこともよくわかりません。河本さんはこういうものをアクションプログラムの中に盛り込まなくちゃならない当面の責任者というふうに私は思うわけでありますけれども、こういうものについて河本さんはどういうふうにお考えでしょうか。さっきの内需拡大は古典的で惰性的だとか、あるいはデレギュレーションと民活なんという点は、どうも政治的にはいいのかもしれませんけれども、経済的には余り効果的ではないような気がいたしますが、どうでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 去る四月の九日に、一連の対外経済対策を決めましたが、それは二つから構成されておりまして、一つは緊急の市場開放対策、それから第二は抜本的な中期対策と、この二つに分かれております。緊急の市場開放対策は、主としていわゆる四分野における対策でございますが、中期的対策といたしまして諮問委員会から六つのなすべき課題を提起されまして、政府はそれを全面的に尊重して、そのように実行いたしますと、こういうことを正式に約束し、それに基づいて総理大臣が御案内のような長文の談話を発表したわけでございます。 それじゃ、中期的な抜本対策とは何ぞやと言いますと、その第一が今御指摘のアクションプログラムの作成でございます。これは七月までに作成すべく今準備をいたしております。 第二が内需の拡大でございまして、内需の拡大を積極的にすべしと、こういう答申をいただきまして、政府はそれを全面的に採用することにいたしましたが、これには四項目が諮問委員会から指摘をされております。その第一が、内需拡大ができるような税制の抜本改正を早くやれと、こういう趣旨でございます。それから第二が、今お話がございました経済上の規制緩和が民間の設備投資あるいは経済活動等を非常に阻害をしておるから、経済上の公的規制は全廃するぐらいな気持ちでひとつこれに取り組め、こういう趣旨のことが書かれております。それから第三は、財政資金による社会資本投資については、現在やっておる方法は非常に非効率である、効率が悪い、だからもっと効率が上がるように、同時に重点的にやりなさい、同じ財政資金を使うにしましても、もっともっと効果があるはずだ、こういう指摘をいただいております。それから第四が、労働時間の短縮、週休二日制、これを早く実現をすべきである、こういうことを中心に内需の拡大を積極的に図りなさい、こういう内容でございますが、これは要するに、市場の開放だけをいたしましても、国内に購買力がなければそれは思うようにいかぬのではないか、門戸を開いても、家にお金がなければ物が買えない、こういうことでございますので、とにかく内需を拡大して国内の購買力を高めなさい、こういうことだと思います。 それから第三項目には、現在の円安、ドル高、為替問題、これをもっと真剣に解決するような方向で検討しなさい。第四が産業協力、第五が技術協力、それから第六がODAの問題、こういう六つの課題を早急に解決すべきである、こういう答申でございますが、これを政府は全面的に採用する、そういう方向で具体化を図っていきます、こういうことを決めたわけでございますから、内需の拡大ということは既に九日に決まった基本方針でございまして、それは正式に決定したことでございます。
○竹田四郎君 河本さんは前には経済企画庁も御担当になっているわけですが、それでどのくらい内需の拡大ができるというふうに見ていいわけですか。そういう数字というのは全然考えていないということですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 諮問委員会が今申し上げました四項目を答申されました背景には、第一期レーガン政権の経済政策の大転換による大きな成功ということを頭に描いておられるんではないかと思います。レーガン政権がスタートいたしました当初に大規模な減税をやりました。所得税の大規模減税、それから非常に内容の充実した投資減税、この抜本的な税制改革、それと規制の緩和、それによる経済活動の活性化、この二つがマイナス成長を続けておったアメリカ経済をよみがえらせた、見違えるような力強いものにした、こういう経過がございますので、それを頭に描いて私は答申をされたんだと、このように理解をしております。ただ、答申の内容には、内需が拡大できるような税制の改革をやれと、これだけが書いてありまして、それを受けましてどのようにこれを具体化するかということはこれからの課題でございます。日本経済の規模は現在GNP三百二十兆という規模でございますから、その三百二十兆という大規模な経済を動かすのにはどのような内容の税制改革が必要か、ちょっぴりやったんでは効果は全然ないと思います。これにふさわしい充実した内容の税制改革をやらないと内需の拡大になりませんので、これらの内容をどうするか、数字をどうするかはこれからの政府税調あるいは党税調が取り扱う問題でございますが、その経過をもう少し見たいと、こう思っております。
○竹田四郎君 今おっしゃられたことでかなりはっきりしてまいったわけでありますけれども、三百二十兆の国民総生産を動かしていくだけの税制といいますと、恐らく一兆以下ということはないと思いますね。少なくとも三兆ないし五兆というくらいの数字になると思うんですけれども、これはこれからの検討であろうと思うんですが、今どうも政府はそういう方向にはないような感じがいたします。これは財政再建、国債残高の問題あるいは国債発行額、こうした一連の財政問題と関連が出てくるだろうと思いますけれども、その辺はあるいは別個の新しい税制をつくって、それと引きかえにやるということになるとプラス・マイナス結局はゼロになってしまう、こういうことになってしまうわけでありますが、その辺の考え方は何かお示しいただけるんですか、どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) この問題につきましては、先般の衆参両院の予算委員会で税制改革問題が随分議論をされましたが、そこでの総理や大蔵大臣からの御発言を総合いたしますと、大規模な間接税の増徴をやりたい、しかしそのことによって国民の税負担の増加は求めないと、したがって増徴する分は全部所得税と法人税の減税に充てたい、スタートのときはプラス・マイナス・ゼロであると、ただし、そのことによって経済や財政が活性化されると当然自然増収が確保できる、自然増収による国民の税負担の高くなることは、これは別問題である、こういう趣旨の答弁が繰り返しなされております。それから、去る十二月の政府税調、党税調——党税調というのは自由民主党の税調のことでございますが、そこでも、この際税制の抜本改正をやれと、こういう答申がされております。それを受けての総理、大蔵大臣の委員会における発言であったと、このように思いますが、私は今のようなやり方で結構だと思うんです。ただ、それが小規模でありますと効果は出ない、経済の規模にふさわしいような大規模なものであれば、スタートのときはプラス・マイナス・ゼロであっても大きな効果は出てくるであろうと、このように理解をしております。
○竹田四郎君 残念ながら、もう少し進めたいと思っておりましたが、時間がございませんので、最後に外務省と経済企画庁ですか、どなたかわかりませんけれども、アメリカから一千万トンの食糧を買えと、こういう話がありますけれども、これはどんなふうにお考えなのか。私は、むしろ黒字もあることでありますから、財政の中でいじくっていけば、特にアフリカの危機、その他の国でもそうでありますが、そういうところへ直接送ってやるというようなことを今の日本の役割としてはやった方がいいんではないか、こう思うんですが、この点について外務省その他のところでどんなふうにお考えになっているのか、御答弁をいただきたいと思います。
○説明員(木幡昭七君) お答え申し上げます。 アメリカからの一千万トンの援助用として穀物を購入してほしいというお話は確かに事実としてあるわけでございます。我が国は、従来から食糧援助規約に基づきまして、小麦換算三十万トンの食糧援助を行ってきているわけでございます。その一部といたしまして、既にアメリカ産の小麦も、例えば昭和五十九年度の例をとりますと、七万七千トン使用しているわけでございます。しかしながら、アメリカが希望しておりますような一千万トンというような大量の穀物の使用につきましては、援助の枠内で対応する場合にかなり大きな問題がございます。一つは、当然のことながら我が国の食糧援助予算の規模でございます。国会の御承認をいただきました六十年度の食糧援助予算は二百十四億円でございます。さらにまた、食糧援助の規約上は、援助用の穀物を調達するに当たりましては、開発途上国産の穀物を使用すべしということが一般的な目標、いわゆる原則とされているわけでございます。そのような問題点がございまして、アメリカからの本件の話につきましては安倍大臣は、このような立場をお踏まえになられまして、アメリカ側の考えは一つのアイデアとして承っておきましょうというふうにお答えになったと私ども伺っております。 なお、アフリカ等に対する援助につきましては、食糧援助を含めて鋭意努力しているところでございますが、我が国の場合には食糧援助のみならず、食糧増産のための援助あるいは食糧を輸送するための援助、貯蔵等の設備に対する援助等、そういう中長期的な観点も踏まえて対処すると、このように考えているところでございます。
○最上進君 河本大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、四月九日に我が国政府が示しました対外経済対策に対しまして、今回の対日批判の火種と言われておりますアメリカ議会は、今回、反応といたしましてはまさに沈思黙考という大変冷ややかな対応を示しているというふうに見られるわけでございます。実際には、これらの態度の裏には、私ども考えておりますのは、どうもこの五月二日、三日のボン・サミットが大きく絡んでいるんではないか、そういうことを大変感じております。要するに、国際会議のサミットの立場を利用いたしまして日本側の譲歩を大きく引き出そうという戦術転換にアメリカ側は出たのではないかというふうに考えられるわけでございます。 そこで、どうしてここまでアメリカ側と日米貿易摩擦問題がこじれにこじれてきたか。既に、日米貿易摩擦問題というのは過去に経緯がございまして、一九六九年以来三期間にわたりまして、それなりにその都度政府が対応を実は示してきているわけであります。第三期目の昭和五十六年以後今日までのこの経済摩擦というものを見てまいりますと、なぜここまで放置をしてきたのか、国際世論というもの、あるいはまたアメリカなりAEANなりを大変日本は甘く見てきたんではないかということを感じざるを得ないわけでございます。昨年夏、自由民主党の軽井沢セミナーにおきまして、河本大臣に御出席をいただいたわけでございますし、そのときに河本大臣の御指摘の中に、日本の歴史上かつてなかったような貿易黒字が出つつある、これがこのままほうっておくと引き金になって、世界に保護主義的な傾向というものを生ずる懸念があるという御意見を表明されておられるわけでございます。したがいまして、そこまで将来を見通しておられた河本大臣でいらっしゃると思いますけれども、今回の日米貿易摩擦を初めとする対外経済対策につきまして、率直なところひとつお感じをまずお示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 去る九日の対策に対しましては、先般の安倍・シュルツ会談におきまして、アメリカ政府は私はかなり評価しておると思います。安倍大臣の報告によりますと、まずまず政府間の理解は得られた、こういうお話でございました。議会は、御承知のようにしばらく休暇が続いておりまして、新しい動きはございませんが、やはり休暇前の論調に比べますと大分鎮静化の方向に向かっておるのではないか、こういう感じがいたします。 それから、なるほど、ただいま御指摘がございましたように、私も昨年の七月にそういうことを発言したことは十分記憶しております。そこで、昨年の十二月の中旬に緊急対策といたしまして東京ラウンドの関税前倒しを相当大規模に行いました。工業製品については二カ年これを前倒しする、それから農業製品は一カ年の前倒しでありますけれども、発展途上国向けに対しては二カ年前倒しを繰り上げ実行する、そういう内容の決定をいたし、それから先般総合的な対策を立て、さらに七月末までにはアクションプログラムを含む数項目についての方向づけをしたい、こういうことで今進めております。 なぜ、今こんなに急激にアメリカとの間に摩擦が拡大したかといいますと、それはアメリカ経済が、先ほどもお話をいたしましたが、レーガン政権になりましてからの一大決断によりまして目覚ましい方向転換をしたと、想像もできないような経済拡大の方向に急上昇したと、こういう背景がございまして、一昨年はアメリカは輸入が二百五十億ドル世界各国からふえております。それから、昨年は約七百億ドル輸入が拡大をしておりまして、昨年と一昨年わずか二年の間に一千億ドルの輸入が拡大をしておるのでございます。そして、二年前には二千四百億ドルであった輸入が現在は三千四百億ドルになっておると、こういうことでございますが、それは要するに、経済の規模が急拡大をいたしまして国内生産では追っつかないということも一つはございますが、アメリカの異常なドル高、それ以外の通貨は安くなる、こういう背景がございまして、アメリカに向かって大変な勢いで世界各国からいろんな品物が流れ込んでいったと、こういう背景があるんだと思います。 そういう中で、日本のアメリカ向けの輸出は昨年一年で増加した分は約百五十億ドルございますが、しかし、アメリカ全体の輸入の拡大から見ますと私はそんなに驚くほどの規模の拡大ではないと、このように理解をいたしております。昨年の黒字は三百数十億ドルになっておりますけれども、お隣りのカナダは二百億ドルの黒字でありますし、それから台湾なども百億ドルの黒字でございます。要するに、アメリカの輸入が急拡大をした、そこに背景があり、さらにこれを加速させたものがアメリカのドル高である、こういうことでございますので、よって生じた原因を正確に分析をいたしまして適切な対応を立てなければならぬと思いますが、アメリカ側もそのことは十分承知をしておりまして、アメリカの国務省あるいは通商代表部の最高責任者などは、黒字の責任の七、八割はアメリカ側に責任があると、こういうことを言っておりますし、二月の初めにアメリカ政府が発表いたしました大統領の経済報告などを見ますと、大統領みずから責任はアメリカにあると、こういう趣旨のことを認めておりますので、その点は私は先方も正確な認識をしておると思うんです。ただしかし、残された二、三割は日本の責任だと、そこをしっかりやってもらいたいと、こういうことでございますので、先般来の対応策を正確に具体化していくということが何よりも肝心である、このように理解をいたしております。
○最上進君 大臣の御指摘のように、アメリカはかなり今回の日本の措置に対して評価を与えている、鎮静化の兆しさえ見えるというお話でございますが、私ども大変心配をいたしておりますのは、この対日報復法案、これが本当に完全に立ち消えになっているのかどうか。五月のボン・サミット以後にこれを持ち越して、サミットでの対応いかんによってはこれがまた再燃をする可能性というものがなきにしもあらずという感じを抱いているわけでございますけれども、この点、第一点もう一度お伺いをしたいということ。 それから、ただいま七、八割はアメリカ側に責任があるということで自認をしているというお話もございました。これは、裏づける話といたしましても、ことしの大統領の一般教書の中にもやはり大変明らかにされている面がございます。例えば日米貿易の不均衡に関しては、日米の二国間の収支を取り上げるのは間違いであるという指摘さえございますし、八一年からの貿易収支の悪化というのは、対EC、対ラテンアメリカの方が対日本よりも大きいとさえ実はこの教書の中で指摘をいたしているわけでございます。したがいまして、この対日報復法案というものの行方というもの、これにつきましてはどのように大臣はお感じになっておられるでありましょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 報復法案あるいは報復的な考え方の最たるものは輸入課徴金を日本だけに限ってかけると、こういうことでございますが、私はそういうことは実現しないと、こう思っております。と申しますのは、アメリカと日本が中心になりまして来年から新ラウンドをスタートさせようと、そこで世界の自由貿易体制を守り、そして世界全体の貿易を拡大均衡の方に持っていくべきである、このために何年間がかりでできるだけ世界各国から多くの参加を得て、自由貿易体制を守るためには何が必要であるかということについてひとつ協議、議論をしていこうではないか、こういう基本方針がほぼ決定をされまして、その一番の中心の提唱者がアメリカであり日本でございます。そういうときに議会の一部で言われておりますような内容の報復法案が通るとは思いません。ましてや現在の貿易不均衡の責任の八、九割までは自分のところにある、こういうことを認めておるわけでございますから、私はアメリカが世界全体の立場から軽々にそういう対応をするとは思いません。ただしかし、そういう対応が仮になくても日本としてはやるべきことはきちんとやっていかなければならぬ。既に日本の経済の規模は世界の一割を超えておるわけでございますし、世界で果たすべき役割というものは非常に大きいわけでありますから、何事によらず言いわけばかりしないで率先をしてすべての問題に対して積極的に前向きに対応していく、こういうことが何よりも必要だと思うんです。できないできないという、そういう言いわけばかりするということは今の日本の立場としてとるべきではない、このように思います。
○最上進君 今もちょっと触れましたけれども、レーガン大統領の第二期初の一般教書、本年二月でありますけれども、この中で一つ注目をしておることがございます。それは七つの具体的目標を挙げているわけでございますが、特に経済の強化と安定について触れておりまして、長期の経済強化と安定には健全な金融政策がかぎである、金利を人為的に高くすることなく、また不必要に成長を低下させることなく、物価安定のための堅実な政策を目指すというふうに実は記載されているわけでございます。今日のアメリカ高金利について、人為的に高くすることなくと大変微妙な言い回しを大統領教書の中でしているくらいでございますけれども、このアメリカの高金利の問題、特に人為的という言葉がここに入ってきているわけでございますが、この点につきまして何かお感じになるものがございましたらお示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 国際会議があるたびにアメリカの高金利問題が指摘をされてまいりました。アメリカの高金利が異常なドル高の背景である、そのために世界全体が思うように経済政策、財政政策、金融政策を展開できない、もう少し思い切ったことをやりたいんだけれども、とにかく大変やりにくい、こういうことから何とか早急に修正をすべきである、そのためにはやはり財政赤字の縮小が必要ではないか、こういうことをたびたび繰り返し指摘をされ、アメリカもその方向に努力をいたしましょうと、こういう約束をしてまいりまして、現在でも数年計画で財政赤字縮小のためのいろんなプランがあるようでございますが、私は、最近のドル高というものは果たして高金利だけでドル高になっておるかどうか若干疑問に思っております。 と申しますのは、アメリカ経済が少し成長がスローダウンするということになりますと、それだけでたちまちのうちにしてドル安、円高、こういうことになりますし、どうもアメリカ経済が非常に強くなった。他の国の経済が悪い方向から方向転換をしていい方向に向かったのでありますけれども、しかし、その回復の力というものは大変弱い、その間に非常に格差ができた、その経済の基礎的条件の格差というものが現在の為替の背景にあるのではないか、こういうことを私は感じておりますが、そういう意味におきまして、私は、やはり日本が外需依存の現在の体質から内需依存の体質にとにかく早急に転換するということが日本経済の基礎的条件を強くするということでありますから、現在の円安、ドル高という問題を修正する非常に大きな背景ではないか、このように考えておりまして、先ほども御答弁をいたしました先般の諮問委員会の答申、内需拡大の四項目等が速やかに具体化されることを強く期待をいたしております。
○最上進君 そこでお伺いしたいのでございますが、日本の今後の貿易収支のあり方といいましょうか、方向づけといいましょうか、現在の黒字基調が黒字体質として定着をしたと見てよろしいのかどうか、黒字体質として資本の輸出国として世界にこれから伍していけるのかどうか、私はまだまだ国際競争力の面から見ましても大変不安が残る者の一人でございますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 日本の現在の経済体質は黒字的体質に転換をした、こういう説も非常に合理的な強い説としてございますが、しかし過去十年の動きを見ておりますと、石油危機が二回起こっておりますが、石油危機が起こりますと日本はたちまちのうちにして赤字体質になるわけです。それで二、三年後に経済が立ち直る、世界経済が平常に戻る、そうなってきますと黒字になる、こういうことでございますので、世界に一切波風が立たないで平穏である、第三次石油危機その他の異変は起こらぬ、そういうことを前提にすれば黒字体質ということも言えましょうが、世界は激動期でございますから、やはり何が起こるかわからぬ。したがって私は、そういう意味からいえば本当に黒字体質になったのかどうか、この点についてはやはり留保条件をつけるべきではなかろうかと、こういう感じがいたします。
○最上進君 対外経済問題諮問委員会の答申の中にも、これは経常収支と資本収支の中期展望の中で、我が国の経常収支は米国経済や為替レートの動向に微妙に左右されるが、ある程度の黒字が続く可能性があるというふうに指摘をされているわけでございます。そういうことからいたしまして、ただいま大臣の御答弁で必ずしも黒字体質になったというふうには考えないという御指摘でございますけれども、こうした問題と相まちまして一点お伺いをしておきたいと思いますのは、そもそも今回の日米経済摩擦の最大の原因でございます日米間の貿易アンバランスは、今回アクションプログラムを組むわけでございますけれども、単なる日本市場の開放という大きなそういう政策だけで果たして解決、解消されるものなのかどうか、この辺につきましてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) アメリカは、この一月、二月、つまり四分野の交渉が始まります直後までは、四分野の市場開放をやってもらえばそれでいいんだと、それでアメリカの赤字が解消できない、日本向けの輸出が拡大できなければそれはもうすべてアメリカの責任である、したがって四分野の市場開放をぜひひとつしっかりやってもらいたいということを要請しておりましたが、三月の後半から、四分野の市場開放ももちろん大事だけれども、同時にアメリカの赤字が減るようなそういう具体的な実績が上がらないと評価はできない、こういうことを言い出しております。多分議会から非常に日本批判の強い意見が出ましたので、そういう意見も受けてある程度の影響があったのではないか、こういう感じがいたします。 ただ、アメリカ経済も果たして昨年のような急上昇を続けるかどうか疑問でございまして、一部に言われるような大きな落ち込みはないと思います。アメリカ政府の考えておりますように、一九八九年まで実質で四%前後、名目で八%前後というその見当の成長は続くと思いますけれども、昨年のような急上昇はないと思いますので、ことしももちろんアメリカは輸入が拡大すると思います。しかしその拡大幅も私は若干減少するんではないかと、こういう感じがいたしますので、四分野の市場開放に続きまして、先ほど来申し上げておりますようなアクションプログラムを誠実に実行し、そしてあわせて、諮問委員会から指摘をされ、政府が採択をすることに決定いたしました五つの分野における対策の具体化等を並行して進めていきますならば、私は順次鎮静化の方向に向かうであろうと、こう期待をいたしております。
○最上進君 最初はアメリカは四分野だけでよい、あとはアメリカの責任であるというそういう考えから、途中から、三月後半から徐々にやはり態度が変わってきたようでございますが、特にアメリカの貯蓄と資金需要のバランスの回復を図るということが実質的な金利の低下につながっていくということは、これはもう事実だろうと思うわけでございます。これがやはりドル高是正という問題につながるわけでございますので、どうも今回の日米貿易摩擦の一連の動きを見ておりますと、来年の中間選挙を背景にいたしまして、何となくムード的に押せ押せというそういう印象を実は私は免れない一人でございます。したがいまして、政府は、今回のボン・サミットにおきましてもいろんな意見が出ると思いますけれども、米国政府に対しても毅然としてこうしたアメリカ政府自体の努力をも求める私は必要があろうかというふうに考えております。この辺につきましてひとつよろしくお願いをしたいと思います。御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 国際会議といいますと、来月初め開かれますボン・サミットが最大の会議でございますが、私は、今回の対策によりまして、日本から総理及び三人の閣僚が参加されますけれども、日本としては言うべきことは言える、そういう対応はつくったと、このように考えております。 六月の末にはASEAN諸国と日本との閣僚会議がございますが、これは六月までに若干残された問題がございますので、それは解決しなければならぬと思いますが、私は、やはり日本としてはこれまでは外国から言われて渋々いろいろなことをやって作文をつくっておったと、こういうことでございます。この点は先般の諮問委員会からもそういうことを指摘されまして、これからは日本は国際国家としての自覚に立って、外国から言われなくても前向きに積極的に何事も対応すべきである、態度を変えると、こういうことを指摘されております。まさにそのとおりであろうと思いますが、そういう方向に方向転換をいたしますと同時に、さしあたっての国際会議については日本は言うべきことを堂々と言うと、特にアメリカに対しましては高金利問題についてもう少し工夫ができないかということは私は引き続いて言うべきではないか、このように考えております。
○最上進君 日本経済が拡大路線の入り口にあるという、そういう御意見も河本大臣の以前のお言葉の中にも出てくるわけでありますが、それは外需によるものであって、内需はむしろ従来の予測さえ下回っていると、内需の不足を外需でカバーして、結局貯蓄と投資の差額を対外債権の蓄積に変えるということは、これは経済構造の健全なあり方ではないというような御指摘も一部にはあるようでございます。 そこで、内需拡大によりまして貿易の拡大均衡を図ろうという御意見を大臣はお示しになっておられるようでございますが、特に市場開放、為替対策、そして同時に内需拡大を行うということが貿易収支のアンバランスを是正していく道だというふうに考えておられるようでございます。実際には国内投資を広げる、あるいはまた個人消費を伸ばすというような方法がとられるわけだと思いますけれども、今日の行財政改革という中曽根内閣最大の命題のもとで、特命大臣がこの点につきましてどのように内需拡大策を実現、実施をされるかということに私どもは大変注目をいたしているわけでございますが、大変難しいお役であると思いますけれども、この辺につきましてはどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) この問題につきましては先ほどもお答えをいたしましたが、諮問委員会から内需拡大をすべしと、こういう答申を受けておりまして、それじゃどういう方向で内需拡大をするかということについても具体的なやり方について示されております。 繰り返して申しますと、その第一は、内需が拡大できるようなそういう内容の抜本的な税制改革を早くやれと、こういう趣旨でございます。それから第二は、経済上の公的規制が非常に経済活動を阻害し、それから民間の設備投資をこれまた阻害をしておると、だから一刻も早く経済上の公的規制を解除すると、そういう方向に具体的な行動を起こせと。それから第三は、社会資本投資、これのやり方がよくないと、もっと重点的、効率的にやれば現在の資本をもう少し効果的に使うことができるんではないか、もう一回やり方を見直せと、こういうことが第三点。それから第四点は、労働時間の短縮とそれから週休二日制と、とりあえずこういう四つの問題を具体化することによって内需の拡大を図りなさいと、こういうことでございますが、貿易摩擦という問題は緊急の課題でございますし、内需の拡大をぼちぼちやると効果が出てくるのはいつのことかわからぬと、こういうことでは困りますので、やはりできるだけ早く効果が出てくるような、そういうタイミングを考えながら進めていくということが必要であると思います。 さしあたっては、政府の正式な決定といたしましては、この四つの方向で対策を進めますということは九日に正式に決定をいたしまして、そして総理大臣も内外にそのことを談話として発表されておりますので、その正式決定の線に沿って進めたらよろしいんではないかと、このように思います。
○最上進君 質問を終わります。
○高木健太郎君 いろいろ今までお話ございましたので、私から新たにお聞きすることは少ないわけでございますが、最初に、経企庁長官はお見えになっていませんか。——現在の経済摩擦、特に日米間における経済摩擦というものが問題になっているわけでございますが、その主要な原因というものが、今までお話がございましたように、アメリカのいわゆる高金利、そしてそれに伴うと言っていいかどうかわかりませんが、主な原因は高金利であって、それに伴ってドル高が起こったということでございまして、アメリカは今までは世界経済の主導権を握っておった、それがあるいは債務国になるかもしれない、アメリカが何となく世界における主導権から離れていって、そういう状態で日本の対外輸出が非常に大きい、これが貿易のアンバランスになって問題が起こっていると、こういうふうに言われているんだと思うんです。 そこで、最初にお聞きしたいのは、これは小学校の生徒のような初歩的な質問でございますが、御存じのように、戦後ブレトンウッズの協定ができまして、そしてIMFとかあるいはガット協定というものができました。このときの原則が自由、それから無差別、多角化というものの経済原則が決まったわけでございます。そのときにはドルが基軸通貨として世界を支配しておったと。また、いわゆる戦争によって荒廃したときにマーシャルプランが一九四九年にできまして、ガリオア資金なんかがやられた。こういうところをずっと見ていきますと、アメリカが世界経済の立て直しに非常に大きな貢献があったということはだれしもこれは認めるところだと思うわけです。ところが一九五〇年ぐらいから、それを境としてアメリカがだんだん赤字国に転落していった。特にベトナムの戦争がありましてから、六〇年ごろになりましてから非常にドルの信用が薄くなりまして、いわゆるゴールドラッシュというようなものが起こる。あるいはヨーロッパにおける投機的な投資があった。そのために国際の通貨体制が壊れてしまって、スミソニアン協定がそれによってでき、そして現在の変動制の為替制になったということでございますが、その後、結局これでドル体制が終わりまして、非常に不安定な経済になってきたと。我々、昔三百六十円と言ったものが、現在高いと言っても二百五十円台、こういうことになったという経緯がございますけれども、現在いわゆる高金利、ドル高というように言われている。これは長官は、何が一番大きな原因であるかということをお聞きしたいのは、これが是正されればある程度経済はよくなるかもしれないと、世界経済がまともにいくかもしれないというふうにみんなが思っているものですから、だから原因がわかればある程度それに対する対応策が講じられるのではないかと、生意気なことを言うわけでございますが、長官のひとつ御所感を承りたい。
○国務大臣(金子一平君) 高木さんの今の御指摘の点でございまするが、やはり直接的には先ほど来話が出ておりましたように、アメリカの大きな財政赤字が原因となりまして高金利が続き、それがドル高を招いておるということで世界経済全体が攪乱されたと私どもは考えております。四月十一日、十二日に開催されましたパリでのOECDの閣僚理事会におきましても、日本を初めこの点についての強い指摘が行われまして、これに対してはアメリカ代表のベーカー財務長官も、八八年までにはできれば一千億ドルぐらいは、増税ではなくて歳出削減で歳出カットをする必要があると考えておるということを率直に表明しておりました。 私は、世界経済全体がバランスのとれたインフレなき経済成長を遂げますためには、やはりその元凶であるのがアメリカの高金利、財政赤字と考えてもいいと思うんですが、ただ、今御指摘のございましたように、アメリカの力というものが相対的にある程度崩れかかってきております。それはやっぱり第二の経済国になりました日本やそれから何といってもEC、こういった先進国が協力して世界全体の経済を支える決意をしなきゃだめでございまして、お互いに悪口を言い合っておったんじゃ、それこそ保護貿易の巻き返しに遭って世界経済全体が小さくなる危険性がある、そういう点については各国とも非常に深刻な認識を持っておりまして、一部新聞では何か日本を袋だたきにしておるというような記事も出ておりましたけれども、実はそうじゃなくて、あのOECDの場というものはお互いに相手の悪口を言い合う場ではなくて、どうやって協力しようかということを相談する場と私どもは理解しております。コミュニケ自身にもそういった点がはっきり出ておるわけでございます。日本は、例えば先ほど来お話のございましたような市場開放によって国際収支のバランスを図るとか、それから、EC各国は産業構造の硬直化を是正して失業対策を重点的にやるというようなことによって全体の世界の経済の活性化を図ろうという方向で結論が出ましたが、この方向は私は、五月早々開かれるボン・サミットにおきましても同様の方向の結論が出るものと考えております。 ただ、先ほど来高木さんからお話のございました為替の問題、通貨の問題、これをどうするか、長い間各国がいろいろ議論してまいりまして、先般もIMFの総会等でいろいろ議論があったことは私どもも聞いておるのでございますが、結局はやはり世界各国が経済の秩序を守り、財政の秩序を守っていけば、おのずから適正なバランスがとれるような国際収支になるのではなかろうかという結論を出しておって、今すぐそれでは固定制度に復帰した方がいいという議論まではいってないと理解いたしております。現に私どもも日本の円レートが非常に落ちまして大変心配しておったのでございますが、その点は少しずつ改善の跡が見られるので、もう一息というところじゃなかろうか。日本の経済のパフォーマンスはいいんですから、為替レートがある程度安定することによって、黒字大国日本という一部の非難にこたえられるような情勢がだんだんと形成されるのではなかろうかと考えておる次第でございます。
○高木健太郎君 ありがとうございました。 今、市場開放ということが出ているわけでして、もう一つは内需拡大というふうなことが大きな二つの方針のように思います、柱になっていると思うわけです。ヨーロッパの方の例の産業構造の転換といいますか、それの是正といいますか、実際一〇%以上の今でも失業率があると聞いております。早くからわかったことなんでしょうけれども、これはなかなかうまくいかないんじゃないかと、特にイギリス病なんかと言われまして、イギリスではなかなかそれがうまくいかない。そういうことも頭に置いておきまして日本の市場開放ということもやらなければいかぬ。これは関税障壁を取る、あるいは非関税障壁を取るとかと、いろんな話がございます。その中で原則自由あるいは例外制限ですか、そういう原則をつくられてそれによってやろうというわけですが、総理は、市場開放の際に農産物といえども聖域化しないというようなお話がございますけれども、私は、各国にとってどうしてもこれは守らなきゃならないという一線がある、どうしても保護主義に傾かざるを得ないというようなお国の事情があるだろう。農産物とか、あるいは木材というようなものは実際には例外制限の中に入るとお考えでしょうか。あるいは、いやこれも例外ではないというふうにお考えでしょうか。これは質問の中へ入れておかなかったんですけれども、市場開放というのが出ましたので、お考えをちょっと長官にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 農産物等につきましては、食糧の安全保障の関係からやはり原則自由というわけにいかぬ場合が多々あります。これは日本だけじゃございませんで、各国とも同じような事情を抱えておりますので、私どもはそういった点で全部開放する必要はない、しかし、最大限の努力だけはしなきゃいかぬと考えておるわけでございます。 それから、申すまでもないことでございまするけれども、関税の税率引き下げと同時に、やはり各国が日本に対して大きな批判を今日まで加えてきた一つの原因は、輸入の認証その他の手続で非常にアンフェアな不透明な面が多過ぎるということが大きな原因でございまして、これは今河本国務大臣のところでお進めいただいているアクションプログラムを諮問委員会が取り上げまして、それを一つずつシラミつぶしに片づけていこう、こういうことで、関税の問題とあわせて今の非関税障壁の取っ払いを精いっぱいやりたいということで今進めておる段階であることを申し上げておきます。
○高木健太郎君 できるだけこれは開放しなきゃいけないということですが、あるところを保護主義にしますというとほかにもまたそれが広がって、おれのところではこれは例外だということになると、一番最初の原則にまた反するようなことになってくるというので、もう自分が出血するということを覚悟でこれはやらないとうまくいかないんじゃないかというような気もしましたので、ちょっとお尋ねし、しかも総理が農産物といえども聖域化しないということを言われたその決意はどうしても持たなければこの問題は片づかない。これは金額の問題ではなくて、こちらの覚悟の程度を見せることが今望まれているのではないかと、こう思いましてお聞きしたわけです。 次は、内需拡大のことでございますが、これは河本特命相のお考えがありましていろいろ御勉強なさっていることは私よく存じております。大変また御苦労なことだと思います。河本国務大臣にお聞き申し上げますが、内需拡大ということになりますと、拡大するためのお金をどこからか持ってこなきゃなりませんが、税金の中の増税あるいは国債の発行というようなことが一つ考えられます。あるいはまた、民間の自由な流通を規制するようないろんな公的の規制を撤廃するとか、民間が持っておるあるいは一般の国民が持っておるようなそういう資金といいますか貯蓄を出させるような、そういう方策を講じる。総理が百ドル輸入品購入と言ったのもその一つのあらわれであって、何も百ドル買えというわけじゃないと私も思っておりますが、そういう民間の購買心をあふるといえばおかしいのかもしれませんが、内需を引き出すと、そういう購買を引き出すということが一つの方法でしょうが、今河本特命国務大臣もおっしゃいましたように、週休二日制であるとかあるいは労働時間の短縮というようなものは、恐らく中期のこれは一つの計画になる。さしあたり内需を拡大するという方法については、河本国務大臣はどのような方法をお考えでございましょうか、具体的なひとつ方法をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) この問題については、先ほど諮問委員会の答申を中心に御説明いたしましたが、もう一回申し上げますと、とにかく税制の改革が必要である、税制の改革なくしてなかなか内需の拡大はできないと、こういう考え方を一つ示されております。内需の拡大ができるようなそういう方向の税制の抜本改正をやれと。それから、今お話のございました経済上の規制のために経済活動が阻害されておる、したがって投資を拡大するにもやはり経済上の規制緩和が必要ではないか、これを思い切ってやりなさいと。これはもう御案内のように、既に行革審が中心になりまして作業を進めておりますが、二月に基本的な考え方、総論が発表されまして、今のスケジュールでは七月ごろに具体案が発表されると、こういうスケジュールになっております。私どもの特命室もそれに関係をしておりますので、産業界と何回かの懇談を重ねまして、それでは具体的にどうすればよろしいかということについても意見交換をいたしております。そして、行革審の方にその内容をつぶさに報告をいたしておるところでございます。七月に答申が具体的に出ますと、それじゃその後どう取り扱うかというスケジュールが残りますけれども、その問題が非常に大事ですよと、こういう御指摘がございます。それから第三が、財政資金が毎年非常に大きな金額が出ておるわけでありますが、どうもそれが特に社会資本投資の場合に効率的に使われていない、もう少し重点的、効率的に使えばはるかに大きな成果が上がるんではないか、その点を工夫し考え直したらどうですかということと、それから第四は、先ほどお話しの労働時間の問題でございます。 さしあたっては、この四項目については政府部内ではもっともなことでもあるからこの方向でひとつ至急やってみようと、こういう合意ができまして、これから具体的な作業に入るところでございます。
○高木健太郎君 ちょっとお聞きしますが、税制改革というのは具体的にはどういうふうなことをおやりになるんでございますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 税制改革につきましては、昨年の十二月に政府税調とそれから自由民主党の税制調査会より答申が出ておりますが、抜本的な税制改革をやりなさいと、こういう趣旨の答申でございまして、それを受けまして、御案内のように、総理大臣とそれから大蔵大臣が予算委員会でその方向は明らかにしておられますが、それは要するに間接税の大幅増徴をやろうと、そして、それでふえた税収は全部所得税と法人税の減税に回そうと、したがってスタートの段階では国民の税負担は変わりませんと、一方がふえれば一方が減るということでありますから、税負担は変わりませんと。しかし、税制改革を抜本的にやりますと、そのことによって経済に大きな力が出てまいりますから、そこでやはり税収がふえることになります。いわゆる税の自然増収については、それは仮に国民の税負担がふえてもそれは別問題ですよと、こういう趣旨のことを何回か言っておられますが、そういう方向でこれから政府と党の税調で作業に入る、こういうスケジュールでなかろうかと思います。それ以上のことはまだ明らかになっておりません。
○高木健太郎君 これは非常にまだまだ難しい問題を残しているのではないかと私考えておりますが、全体のいわゆる私たちの民需といいますか内需をふやそう、拡大しようというときに問題になるのは、いわゆる家計の中にある貯蓄、あるいはゆとりと言ってもいいでしょうが、もう一つは企業がそれによって何かやるというこの両方が主なものだと思います。いわゆる消費というものを逆に見ますというと、これはGNPと考えても、国民総支出あるいは総生産と考えてもいいと思いますが、そのうちの家計の貯蓄はGNPの六〇%と言われております。また企業の方は、先ほど村田通産大臣がおっしゃいましたように、いろんなことをやりましても、あの新聞にも載っておりましたが、大体三十億ドルぐらいがそこから浮くんだろう、三百何十億ドルという輸出の黒字に比べて三十億ドルというのは小さいものだなと、こう私ちょっと思ったわけです。 もう一つは、これは宮澤総務会長もおっしゃいましたように、民需を何とかしてふやしていこうということですね。いわゆる潜在需要を喚起しようということだと思いますが、それが六〇%あるわけなんです。ところが、実際はなかなかこの金が出てこない。今の大型間接税の導入ということについてもいろいろと問題があるというのは、あるように見えてないんだよということに問題があるんじゃないかと思うわけです。家計の貯蓄が六〇%もある、非常にたくさん貯蓄があると言われております。大体百三十兆とか四十兆ぐらいあるんじゃないかというようなことも言われておりまして、現在の政府の赤字の百三十兆と同じぐらい国民は貯蓄しているんじゃないかというようなことも言われております。 ところで、それではこの貯蓄が出てくるかどうかということなんですけれども、幾つか説がございまして、なかなか出てこないんじゃないかという感じの方が強いんですね。一つは、もう買う物がなくなったという、いわゆる飽和説といいますか、そういう説がある。もう一つは、我慢説といいますか、収入の伸びが少ない、可処分所得がふえておるけれども、しかし貯蓄の方が多い。それで何かあったらいけないといって我慢してためているというわけです。もう一つは、貯蓄優先説でありまして、高齢化あるいは学校教育費その他の費用がたくさんかかる、それから景気が変動して先行きが不安である、そういう不安のために自分たちがその金をとっておくと。だからなかなかその金が出てこないと、こういう三つの説があるわけなんですけれども、これは宮澤さんはおいでになりませんからお聞きするわけにもいかないんですけれども、どちらにしろ内需を拡大するということになれば、税でそれをとるのか、あるいは逆に輸入品を買いなさいというような形でいくのか、あるいは何か消費をふやすという方法がなければいけないと思うわけですけれども、これについては企画庁長官か、あるいは通産省からどなたかお見えになっているということですが。
○国務大臣(金子一平君) 今お話のございましたようにいろんな理由がございまして、それがみんな絡み合っていると思うんでございますが、なかなか減税をやりましてもすぐそれが消費に結びつかないんです。昨年一兆円前後の減税をやりましたけれども、八月ぐらいまでは全然可処分所得がふえてない。これは新しい経験でございましたけれども、今お話しのいろんな要因が絡み合っておるのだろうと思うんでございます。 お尋ねの宮澤総務会長の話でございますが、やっぱりこの貯蓄を動員して、例えば家屋の修復、新築に充てるとか、生活環境の整備に充てるということになれば、いかようにでもこれは有効な利用ができて、内需拡大ができるわけでございますから、私どももその考え方には全く賛成なんでございますが、それをどうやってそういう方向に振り向けさせるか、個人じゃなかなかやりません。やっぱり勤倹貯蓄の明治以来の伝統が日本人には長く根づいておりますから、それはそう簡単にいかぬと思うんでございますけれども、いろんな税制その他の面を通じて、やはりこれを真剣に考えなきゃいかぬと思います。 特に、せっかく対米輸出で稼いだ金が一千億近くも全部アメリカの証券投資に流れておる。これは金利差から出ておるわけでございますけれども、それをだんだん是正してもらって、そう遠方へ持っていったってもうけにはならぬぞと、国内で有効な活用をしなきゃいかぬというふうに持っていくことが大事でございますが、なかなかその手段、方法は、今せっかく検討中でございますけれども、これをやれば大丈夫ですという結論を出す段階にまだ至っておりません。
○政府委員(福川伸次君) 消費をどういうふうに伸ばしていくかということでございますが、今企画庁長官からもお話がございましたように、確かに消費が停滞しているということについてはいろいろな要因がまじっておると思います。確かに実収入はふえてはまいりますけれども、可処分所得がそれほどふえない、あるいはまた可処分所得の中でも強制的な貯蓄部門と申しましょうか、いわゆるローンの返済であるとかいったようなものがふえてまいっておりますので、実際に消費に向ける部分というのがそんなにふえないというところがございまして、所得階層別によってそのパターンはいろいろ違うわけであります。あるいは私どもでも、最近の実際の消費に振り向ける部分が減る要因として、そういった強制貯蓄に当たるような部分というようなものが指摘されておりますし、まさにある意味ではむしろ我慢をしているという要因もあろうかと思います。私どもとしては、ある程度個人の所得が伸びていけば消費もふえていくという要因もあろうと思いますし、あるいはまたさらには、今お話のございましたように、例えば住宅が建てかわるというようなことになってまいりますれば、中の需要も出てくるというようなことでございます。週休二日制の御提案も、河本大臣からお話がございましたが、そういった自由時間を増加するというような形で消費を伸ばしていく、こういう面もあろうかと思っております。 現在のところ、設備投資が内需としては火がついて、所得も緩やかな拡大を遂げておるわけでございますが、今後とも、今いろいろな御議論がございましたけれども、週休二日制の推進、そのほか今後の新しい商品の出現、あるいはレジャー的な面、いわゆる余暇の利用といったようなことから、消費は緩やかながらも伸びていく可能性があるものと思っております。
○委員長(対馬孝且君) 高木君、ちょっと時間が……。
○高木健太郎君 時間がございませんから……。 最近は、物が余っているものですからね、建て増しをする者が多い。あるいはちょっと大きな家へ移りたい、あるいは核家族のために家を分けたい、そういう場合に非常に税金とかそういうものがかかってくるわけですね。だから、こういうものを少し検討していただいて、これも規制のうちに入るんじゃないかと思うんですが、そうしなければこれは伸びないんじゃないかという気がするわけですから、ひとつお考えをいただきたいと思います。 終わります。
○委員長(対馬孝且君) 午後四時まで休憩いたします。 午後二時五十五分休憩 ────◇───── 午後四時一分開会
○委員長(対馬孝且君) ただいまから国民生活・経済に関する調査特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、国民生活・経済に関する調査を議題とし、経済摩擦と内需拡大に関する件について質疑を行います。
○山田譲君 それでは私は、大変時間も短い、二十分しかありませんから、なるべく端的に数点にしぼって、ぜひともこの際外務大臣にお伺いしたいと思うことをお尋ねしていきたいと思います。 大変お忙しいところを来ていただいて感謝にたえませんが、まず最初に、これからサミットがあって外務大臣はそれに当然出られるわけでありますけれども、去年のサミットと違ってことしのサミットはこういう点が問題になるんじゃないかというふうなところがあると思いますけれども、それについて外務大臣のお考えをまず冒頭にお聞きしておきたいというふうに思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ことしのボン・サミットにつきましては、政治問題、経済問題いろいろと議題が今個人代表のもとに詰められておるわけでありますが、政治問題につきましては、戦後四十年たったということで一つの節目であるということから、いわばこれから自由主義、民主主義という同じ価値観を有する国々が、いわゆる戦勝国、戦敗国という立場を乗り越えて、これまでも結束してきたし、今後とも世界の平和と安全のために相協力していこうというふうな、そういう趣旨の宣言を出すということが大体方向として決まっておるようですし、それをめぐってのいろいろな議論があると思います。同時にまた、今最大の世界の問題点は、米ソの軍縮交渉、それに伴うところの米ソの首脳会談といったことも予想されるわけでございますし、こうした問題をめぐっての議論も行われるのではないかと思いますし、さらにまた、地域的な今起こっておるところの紛争解決の問題であるとか、あるいはまた、アメリカのレーガン大統領が熱心なSDIの問題も議論になり得る可能性もあるんじゃないかと思うわけでございますが、政治問題はどういう問題が出るか、首脳の集まりですから、そのときにならないとなかなかわからない点もあるわけでございます。 経済問題につきましては、これまでのインフレなき持続的安定成長というものを一つの基本的な路線としてサミットは取り組んでまいりましたし、これを踏まえた形で今問題になっておる日本の黒字問題あるいはアメリカの高金利、ドル高の問題、さらにまたヨーロッパの構造調整の問題、あるいはまた南北の、特に南の債務累積問題、南に対する援助の問題、そうした問題等が議論の対象になってくるのであろうと、こういうふうに考えております。
○山田譲君 ありがとうございました。 そこで、いろいろあると思いますけれども、まず最初に私が伺いたいことは、貿易摩擦ということで、特に日本にとっては日米の貿易摩擦が非常に大きな問題になっております。もちろんこのことは日本とアメリカだけの関係じゃなくて、ヨーロッパのEC諸国ともいろいろと関係ある問題だと思いますけれども、とりわけアメリカについて何といっても一番問題なのは、アメリカの高金利であるとか、あるいはドル高の問題であるとか、こういうことが言われております。それらは、いずれもアメリカの巨大な財政赤字、こういうものが影響していると思います。もちろん経済情勢のことですから、原因なり結果なりがお互いに絡み合っていて、そう単純に物を言えないと思いますし、さらに国際関係となりますと、これは相対的な関係ですから単純でもないということはありますが、ごく大ざっぱに言って、何といってもアメリカの財政赤字というものが高金利なりドル高の原因となっていて、さらに何が財政赤字の原因であるかということを考えると、これはやはり軍事費の問題があるんじゃないかというふうに思わざるを得ないわけであります。どうも最近のレーガンさんのやり方を見ておりますと、何か失われていくアメリカの威光というふうなものを再び強いアメリカへ戻そう、あるいはアメリカの威光を維持していかなければいけない、こういうふうな考えが働いて、とりわけ軍事費が非常にふえていっているということを実際に見ざるを得ないわけであります。 試みに、アメリカの軍事費の増強ぶりをずっと過去何十年かにわたって調べてみますと、やはり何といっても一番突出して大幅な軍事費を使っているのは朝鮮動乱のときでありまして、それが終わればがた落ちに落ちる。そしてしばらく続いて、そしてベトナム戦争のときにまたふえる。朝鮮動乱ほどじゃないけれども、かなりふえております。またカーター大統領あたりのときに最低になってきておる。ところがまたレーガンさんになると、一九八〇年ぐらいからどんどんとふえてきておりまして、そうして一九八五年から一九九〇年になりますと、むしろ一番高かった朝鮮動乱のときよりもさらに軍事費がふえるというふうな、そういう予測になっております。これは名目の金額じゃなくて実質に直したものでありますから、これは間違いないと思うのです。 そうなると、何といっても世界の現在貿易摩擦や何かの一番の元凶と言われております高金利というふうな問題のもともとは、アメリカのこういった軍事費をふやす、そして強いアメリカを維持していこうというふうなものが一番影響して源になっているんじゃないか、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。国民総生産との関係を見ても、やはり同じようなことが言えるわけで、ですから、問題になっております世界の現在の貿易摩擦というようなものを解消しようとしたら、アメリカの膨大な軍事費を何とか減らすということをまず考えない限り財政赤字も減らないし、当然高金利も下がってこない、こういうことになるんじゃないかと思うのですけれども、そこら辺について外務大臣はどのようなお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) レーガン大統領が強いアメリカを標傍しまして、国民の支持を得て当選をいたしました。さらにまた、その後の政策につきましても、今お話しのような、やはり世界に対する発言力を持ってアメリカを強くしていかなければならぬという政策が進められて今回の再選ということになっておると思います。 その背景には、今おっしゃるように、確かに軍事力を強化しようということで、それはもう予算案にはっきり出ておるわけでございます。今回も相当軍備力の増強を予算案には盛り込んでおりますけれども、しかしアメリカの議会も、なかなか今財政赤字が厳しい状況でありますから、例えば共和党も三%増に抑える、民主党はさらに抑えようという動きがありまして、これから議会でいよいよアメリカ自体の予算が論議をされて、どういうことになっていくかはまだ予測ができないわけでございますが、こうしたレーガン大統領の基本的な立場の背景には、やはり強いアメリカというものをバックに自由世界の結束を図って、それに基づいてソ連を軍縮の場に引っ張り出して、そうしてお互いに軍縮を進めていこう、そういう戦略的なものもあるわけでございます。これまでにとった措置によって少なくともソ連が再びジュネーブのテーブルに着いたということは、それなりに私は評価できるんじゃないかと思うわけです。 しかし、やはりこうした膨大な財政赤字というものについてはアメリカ自体も大変な悩みを持っておりますし、そうしてそれが高金利、ドル高というものにつながっておることはよく承知をしておりますし、また世界もその辺は十分承知をしているわけです。日本の黒字自体もやはりその大きな原因というのはアメリカの高金利、ドル高にあるということも御承知のとおりでございますから、そういう意味では、アメリカの財政赤字というもの、さらにそれによって派生しているところの高金利、そういったものが経済論議の場においてはいろいろ議論になると思いますが、ただ、この大きな世界の平和とかあるいは米ソの軍縮を進めていくとか、あるいはまた自由世界をやっぱりまとめていく、集まっていく、こういう立場からすれば、またそれなりにアメリカは犠牲を払っているということにもなるわけでございますし、先ほどおっしゃいましたように、これはなかなか微妙な国際情勢の中での論議でございますので、一応議論としてはいろいろ闘わされるとは思うわけでありますが、アメリカはアメリカの政策があるわけでありますし、そうしてそれはアメリカも一つの理想を追求してやっておるわけでございますから、それはそれなりに評価をしなきゃならぬと思います。財政赤字というものが世界経済を混乱させるということになりますれば、これはまた自由世界がかえって危殆に瀕するということに持っていかれる可能性もあるわけですから、そうした点等はやはり十分お互い同士が話し合っていかなきゃならぬ課題じゃないだろうか、こういうふうに思います。
○山田譲君 そのとおりだと思うけれども、私がこういうことを言っているのは、どうもアメリカも自分のところに原因があるのを隠して、それで何か日本の内需拡大をもっとしなきゃいけないとかなんか、そういうことを言うのはけしからぬ話だというように思いますけれども、そこはひとつ頑張っていっていただきたいと思うわけであります。 その次にちょっと伺いたいのは、アメリカはともかくとして、その他のヨーロッパ、EC諸国というんですか、そういうところと日本との間に貿易摩擦がやっぱりあるのかないのか、あるとすれば一体どういうことなのか、それに対してEC諸国は日本に対して何を望んでいるか、こういうことをお伺いしたいと思うんです。 とりわけ日本のいわゆる長時間労働というようなもの、あるいは社会資本がずっと悪いんだ、貧弱だ、そういうふうなことを問題にしているのかどうか、あるいはまたハイテクノロジーというふうな問題が将来当然問題になってヨーロッパにもやってくる、これを今から予防しておかなきゃいかぬ、こういうふうな考えがあるのかないのか、この辺のところをまとめて恐縮ですが、ひとつお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) EC諸国は、対日貿易の収支不均衡が依然として縮小していない、百億ドルと言われておりますが、これもどんどんふえていっているという状況ではありませんが、縮小していないとして我が国に一層の市場開放を求めております。特に製品輸入の拡大であるとかさらに関税の引き下げ、輸入制限の撤廃及び基準、認証手続の改善等、いろいろな対日要求を行っているわけでございまして、我が国としましては、こうしたECの要求に対しましてやっぱり自由貿易体制を守っていくためになさなければならないものは取り組んでいく、改善していくという姿勢のもとで、今回の対外経済対策を決定するに当たりましても、これらのEC側の要求に対してできる限りの考慮を払ってきたわけでございますが、EC側は基本的には今回の措置を歓迎するとしながらも、その効果は現時点では明確でないということで、今後の我が国の具体的な行動に強い期待を表明しておるわけでございます。 私たちはECに対しても言い分をもちろん持っております。ECもいろいろと主張してくれます。やはりECから見れば日本は非常にいろんな貿易障害を持っているということを言っておりますが、我々から見ればECにはまた大変な貿易障害があるというふうに考えておるわけでございます。しかし、何といいましても百億ドルという大きな黒字を持っておりますし、また、ハイテクの分野については、ECと競争力においてもまさっておるという状況でもありますし、そういう立場も踏まえながらやはりECとの間の協力関係、自由貿易体制を守っていくためにECの要求にもある程度の配慮を払って協力関係というものをつないでいかなければならない、こういうふうに考えております。 私は、OECDの閣僚会議にも出席したわけですが、ECとの間で一つの議論になりましたのはニューラウンドの問題でありまして、日本としましてはこのニューラウンドを何とか来年早々には交渉を開始したいということをアメリカとともに主張しましたけれども、残念ながらECは時期は明示できない、しかし、ニューラウンドそのものには反対でない、賛成だということでございまして、この点については意見が一致しませんでしたが、これは我々が早々と交渉を開始したいというのは、やはり自由貿易体制というのが崩れ始めようという状況にもありますから、何とかしてこれに歯どめをかける、それには時期を明示して、それに向かって作業を進めていくということが基本的に大事だということで主張したわけでございますが、なかなかEC内部はそういう面でいろんな問題で日本と比較しましてもむしろ日本以上の貿易的な障害といいますか、そうしたバリアを持っておる面もありますし、その点はECの経済は決してよくない。アメリカ経済は非常に伸びていますから、それなりにある程度の伸びは出ておりますけれども、しかし雇用の問題にしてもあるいはまた企業の経営の内容等にしましても、産業自体の構造調整の問題にしても進んでいないということがあって、なかなか大きな悩みがあることは事実でございますが、日本、EC、アメリカ、やはり先進国が相協力して、そうして自由貿易体制を守っていかなきゃならぬということで、日本自身もやはりやるべきことはなさねばならぬという基本的な方針のもとに、これまでの対策をまた強力に進めていこうということで実施本部もつくって取り組んでおるわけでございます。
○山田譲君 与えられた時間も非常に短いもんですから、もっといろいろお伺いしたいんですが、もう一つの問題としてお聞きしたいのは、例の海外援助の問題、ODAの問題でございます。 これについて日本も目標を定めてかなりやってきているようですが、どうもまだ外国に比べて少ないんじゃないかということが言われているようです。アメリカなんかは日本よりむしろ少ないようですけれども、先進国で一番高いのは私の見る限りフランス、フランスはGNPに対して〇・七四%というふうなことになっている。日本は〇・三三%であります。この辺についてやはりほかの国から日本はもっと援助すべきじゃないかというふうなことが当然言われていると思いますけれども、これらについてこれをもっとどのくらいまで日本としてふやすべきか、その辺について外務大臣のお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ODAにつきましては、確かにまだ日本はGNP対比〇・三三%、それに比べてヨーロッパの国々は、国連等が目標として定めました〇・七%あるいはそれ以上という水準に達しているところもありますけれども、しかし、量からいえば日本のGNPが圧倒的に大きいわけですから、量は私はそれらの国と比較しても非常に伸びておると思いますし、またフランスなんか今例に挙げられましたけれども、フランスなんかの援助のやり方を見ておりますと、昔の宗主国であったいわゆるフランスのかつての植民地に対する援助等が非常に大きいわけで、全体的に見て果たしてそれじゃODAのあり方として公平に行われておるかどうかということについては、私自身も多少の疑問を持っておるわけでありますし、そのやり方等についてもいろいろと問題もあるように思います、決して非難するわけじゃありませんけれども。 日本のODAについては、これはやはりこれから日本の国際的責任がますます大きくなってきますし、そういう立場でこれまでも予算で三年間倍増計画を達成いたしましたし、また六十年度で五年間倍増計画も達成をいたしたわけでございます。ただ、円安だとか、あるいはまた国連関係の機関とかそういう多国間援助というものが、各国の意見がまとまらないで進まないという面もあって、実質の面ではちょっと伸び悩んでいる点もありますが、しかし予算では完全に倍増を達成したと言ってもいいわけで、これからも我々としてはこのODAに一つの大きな国際責任を果たす、特に最近は貿易摩擦といった面もありますから、日本として力を注いでいきたいと思っております。 これからも新しい中期計画をつくろうということを政府としても決定して、今作業をしておるわけでございまして、予算を見ていただいてもおわかりと思いますが、六十年度の予算も一〇%という二けたに乗ったわけで、全体の財政再建の厳しい中では最も突出した予算をいただいておるわけで、これは日本のやはり国際社会に対する責任を果たそうという一つの大きな意気込みを示すものである、この点については今回参りましたOECDの閣僚会議等も、日本のODAに対する熱意というものについては評価をいたしておるわけでございます。さらに中期計画をこれから作業いたしまして、来年も再来年もこのODAについては、財政再建が非常に厳しい状況でございますが、政府全体として力を入れていかなきゃならない、こういうふうに考えております。
○山田譲君 終わります。
○吉川春子君 それでは外務大臣に、非関税障壁、NTBについてお伺いいたします。 何をもって非関税障壁というふうにお考えなのか、まず最初にその定義をお伺いいたします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 非関税障壁の定義ですけれども、これはガットの上で明確な定義づけというものは行われていないと思いますけれども、通常、関税以外の、非関税というわけですから、関税以外の措置で貿易に制限的な影響を与えるものを指しておるわけでありまして、例えば輸入制限であるとか、補助金であるとか、関税評価であるとか、基準であるとか、認証制度であるとか、輸入手続等が挙げられるのじゃないか、こういうふうに思っておりますし、こういう点に我々も照準を置いて、いわゆる非関税障壁の改善というものに力を尽くしてきておるわけです。
○吉川春子君 日米貿易摩擦で、アメリカは日本の習慣をアメリカ流に変えることも求めてきております。アメリカでやっていること以外はすべて非関税障壁というような考え方もあります。伝えられるところによりますと、日米交渉の席上、対日輸出をふやすにはアメリカも輸出車を右ハンドルにするくらいの努力が必要ではないかと言ったら、アメリカ側が、日本が車を右側通行にすればよいと、こういうふうに切り返してきたということです。数十年も日本に定着してきた交通ルールまで変えよと、それも非関税障壁だと、こういうようなアメリカの言い方に対して、大臣はこれも非関税障壁とお考えですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ハンドルを右か左かという話、それは正式な今おっしゃるような話に出てきたかどうかは知りませんけれども、アメリカもそんなことまで私は言わないんじゃないかと思いますが、しかし、やはりアメリカが言うのも日本としてまじめに取り組んでいかなきゃならぬ面もあると思うのですね。やっぱり日本のいろいろの非関税の分野もひとつ国際的な基準に持っていってほしい、日本の場合はなかなかその点がいろいろの段階で日本自体が長い間の慣習とかあるいはまた法律制度もありますし、そうした面から複雑な手続だとかあるいはまた流通制度とかそれ自体の問題を持っておりますから、日本もこれだけの国際的国家になったし、あるいはまた自由貿易制度というものを日本自身が多くを主張するなら、国際的な基準を日本も採用すべきである、こういうことも言っておりますし、それは私はそれなりに日本が自由貿易体制を主張しておりますし、自由貿易体制というのがひっくり返ったら日本が一番大きなダメージを受けるわけですから、我々は相当苦しくてもそういう点の改正は必要じゃないか。アメリカが日本に対して無理やりに強引に押しつけてきている、アメリカ流の、ただアメリカだけの問題を日本に勝手に押しつけてきている、中にはそういうのもあるかもしれませんが、全体的にはそういうことではありません。
○吉川春子君 日本の習慣とか文化とか交通ルールとか、こういうことまで非課税障壁とお考えかどうか、その点だけ端的にお願いします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本の文化とか文明とか長い間の習慣とか、そう言えば日本語そのものも日本の中で根づいた言語ですから、そんなことまで非課税障壁などとは考えておりません。今は貿易をやっていく上の国際的なルールといいますか、そういうものに相反するというのはこれからやっぱり改めていく必要があるのじゃないか、こういうふうに思います。
○吉川春子君 経済団体連合会が「輸入円滑化に関する意見」の中で、「食品添加物の許容範囲を欧米なみに拡大するべきである。」と言っています。これはアメリカの貿易摩擦に便乗した虫のいい日本の財界の要求であると思います。日本において食品添加物の規制は、日本人の食生活にマッチさせる形で行われてきたはずであり、それがNTBだというアメリカ側の主張は、日本の食生活のアメリカ化を求める実に不当なものだというふうに思うわけです。日本へ食品の輸出拡大を図るならば、日本人の食生活を研究して好みに合わせるべきではないでしょうか。食品添加物の国民の健康に及ぼす影響もいろいろ指摘されておりますし、政府は安易に添加物の許容範囲を拡大すべきではないと考えますが、厚生省いかがですか。
○説明員(市川和孝君) 各国で現在認められております食品添加物は、それぞれの国の歴史的な経緯あるいは食習慣というようなものを反映いたしまして、必ずしも共通するものではないのでございますが、昨今のように食品の国際流通が増大してまいりますと、新たな添加物についての指定の要望が出てくるということは考えられるところでございます。 このような場合、私どもといたしまして欧米から要望があったというだけで無条件に受け入れるということではございませんで、指定するかどうかということにつきましては、我が国での食生活ということもございますし、個々の食品の摂取量などを考えなければならない点もございます。そういった点も考慮いたしまして、食品衛生調査会におきまして個別にその安全性等を科学的に審議していただきまして、安全性及び有用性が確認されたものに限ってその使用を認めるという考え方で対処してまいりたいと考えております。
○吉川春子君 また経団連は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の運用について、既存化学物質の品目数を欧米並みにふやして、届け出不要の範囲を拡大すべきだという意見も経団連週報の中で述べているわけです。そしてまた、届け出を不要としている既存の化学物質が欧米の約五万に対して我が国は二万五千で差が大きいと、こういうふうに指摘しまして、継続的に摂取をしても健康を損なうおそれがないとの判定を受けなければならないとされている現在の制度について、届け出と検査に伴う試験費用の負担が新製品の開発と輸入の重大な障害になっているなどとしていますけれども、もしこういうような財界の考えを認めるとすれば、国民の健康を守るという点で非常に重大な結果になるのではないかと思うんです。これはやはり国民の健康を守っていくというための制度で、NTBでは断じてないと思うんですけれども、通産省いかがでしょうか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 化学物質につきましては、御指摘のとおり、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づきまして、難分解性というような性状を有して、かつ人の健康に影響を及ぼす化学物質によりまして環境の汚染がないように所要の規制を行っております。 既存物質と申しますのは、法律施行のときにもう既に製造販売されていたものが法律上既存物質でございますので、今、既存物質を拡大するということは法律上もあり得ないわけで、そこは何か誤解があるのかもしれないと思っております。 いずれにしましても、私どもは国民の健康、安全に与える影響というものに十分配慮いたしまして法の適正な運用に努めてまいりたいと、かように考えております。
○吉川春子君 外務大臣、貿易の自由化という問題も非常に重要だとは思うんですけれども、このように、国民の健康とか食品の安全とかあるいは公害防止とか、いろいろな角度から食品添加物の規制やら化学物質の規制が設けられているわけですけれども、こういうものを非関税障壁だというように安易にとらえて、枠を外したり届け出をしなくていいとか、そういうような形で緩和するというようなことはやっぱり国民の立場からは断じてやっていただきたくないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに日本は日本独自の食生活もありますし、あるいはまた慣習というのもあるわけでしょうし、あるいはまた公害等については日本も世界で最も規制等は進んでおると思います。そういう点については、これまでの政府、国会が一体となって国民生活を守るというために努力してきたゆえんであろうと思いますが、しかし同時に、それは一般論として言えるわけですけれども、そういう中でやはり国際的な水準とかあるいはまた基準というのがあるのじゃないかと思うんですね。ですからそういう点で、一般論としては確かにおっしゃるとおりですけれども、やはり具体的な問題として、そうした日本の持っておる基本的な立場というものを害さない限りは、これは場合によってはまた国際基準に合わせていくということも必要な場合も私はあるのじゃないだろうか。これは具体論で言わないと、一般論として言うといろいろと誤解を招くのじゃないかと思いますが、そういう点はあるのじゃないだろうかと、こういうふうに思います。
○吉川春子君 例えば食品添加物の問題にいたしましても、日本人の食生活から発生して規制がされているということがあると思うんです。日本人はお米を食べますし、魚を好みますし、そういうさまざまな食生活の中でこれは有害だというような規制が今まで国民の運動やら政府の努力やらによってなされてきたと思いますので、個々の問題で検討するということは結構なんですけれども、一概に非関税障壁だということで処理すべきではないと思うんです。 それで、これは大臣に対する最後の質問になりますが、要するに、貿易とは関係のない社会的、文化的な問題までNTBだとするようなアメリカの理不尽な要求には絶対に応じるべきではないと思うんです。さっき大臣が言われましたけれども、日本語も非関税障壁なのか、あるいは日本が東洋の端っこにあるというようなことまで非関税障壁なのか。こういうような形でどんどんアメリカに迫られてくるということはやっぱり正しい貿易の発展と国民の利益を守るという立場から好もしくないと思いますし、何でもアメリカの言うままになるというような態度は絶対にとるべきではないと思いますけれども、その辺いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはもうおっしゃるとおりであろうと思います。政府の態度もやはり、できるものはやらなきゃならぬ、できないものはできないということで日米間で相談をしておるわけでありますし、確かにアメリカの今の一部には、日本に対して、日本の黒字がこれだけ拡大している、アメリカは国際競争力でどんどん日本から追い込まれておる、あるいはまたアメリカの製品が日本になかなか輸入が拡大しないというふうな、そういったことから一種の反動的に何でもかんでも日本が悪いんだというふうな議論があることはあるわけですけれども、しかしアメリカの交渉に当たっておる当局者とかアメリカのやっぱり国民の良識というのは私はそんなものじゃない。ですから日米間でよく腹を割って話をして、そしてやはり国際的な基準とか国際的な常識というものもあるわけでしょうから、そういうものを踏まえながら、日本としてできるものはやっていく、しかしできないものは、あくまでも日本の立場というものがあるわけですから、これは日本の立場を貫いていかなきゃならない。そういう姿勢でいわゆる貿易障害の問題に取り組んでおるわけでございますし、今後ともそういう姿勢でまいりたいと、こういうふうに思っております。
○吉川春子君 終わります。
○高木健太郎君 本日は、理事の先生方のおかげで忙しいところ暇を割いて出てきていただきましたので、外務大臣に敬意を表して御質問を申し上げます。妙なことを聞くかもしれませんが、ひとつお答えいただければありがたいと思うんです。 日米経済摩擦というものに対していろんな手を打っているということはもう皆さん方よく御存じのことでございますし、対外経済対策委員会のところでもいろいろ苦労をされているということは聞いておりますが、いろいろ努力をしても、現在三百三十億ドルですか、そういうものを消すだけの大きさのものはできない。何か日本がやってくれればそれで大体済むんだという、ある程度心情的な、あるいは心理的な、あるいは感情的な面がかなりあるのじゃないかと思います。私のこの仮定は間違っているかもしれませんが、私にはそう思えるわけですね。全く日本が黒字をなくするということはこれはまた不可能なことでございますから、ある程度心情的なものがあるだろう。ここまでやってくれればいいというようなことはよく言っておられますから、そうだと思うんです。とすると、例えば日本が三百三十億ドルぐらい、ヨーロッパでは百億ドルぐらい、その他の国もかなり大きな輸出をやっているわけですが、どうも日本に対する風当たりがかなり強い。こちらの何かひがみかもしれませんがそう見える。こういうことについてその原因はどういうふうにお考えか、そういう原因があるのかないのか。 例えば今でも、私の今までの彼らとのつき合いの上で感じたやはり人種的な違いとかカラーですね、そういうものが何かありはせぬかということ。それから、日本はイミテーションがうまい、科学そのものはできないけれども、それを模倣して、技術でカバーしていってよりよい物をつくって逆輸出してくるというようなことに対する反感がありはせぬか。もう一つは、例えば私は、腎臓の移植をやっていますけれども、向こうからはもらってもこっちからは全然そういうことはやらない。向こうは脳死というものを決めているのに、こちらは脳死は決めない。もらうことはもらう。ギブ・アンド・テークじゃなく、テーク・アンド・テークというようなことをやっている。これは日本の習慣ですからしようがないといっても、向こうにはこれはわからないと、こういうことがあるんじゃないか。あるいはまた、これまで戦後随分お世話をしてきてここまで成長してきた。何か向こうは飼い犬に手をかまれたというような、そういう感じがありはせぬか。 いろんな原因が考えられると思いますが、長い間外務大臣としていろいろ向こうの方とおつき合いになっているわけでしょうけれども、どういうことで日本だけにこういうかなりの強い矛先が向いてくるのか、そのことについて何か感じられたことがあったら、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今おっしゃいましたようないろいろな原因がやっぱり積み重なって一つの欲求不満といいますか、日本に対する反感ということになったんじゃないか。その象徴が三百三十億ドルという日本のアメリカに対する貿易黒字、アメリカから言えば三百七十億ドルと、こう言っています。統計上の差もあるわけですけれども、そうしたアメリカから言えば日本は三百七十億ドルの貿易の黒字が出てきている。そして、日本に対してはアメリカの製品が思うように入っていかない。これは日本から言えば三百数十億ドルの黒字の背景には、やはりアメリカのドル高だとか高金利だというのがそういう背景にあるということは、我々はしょっちゅうアメリカにも言っているわけです。アメリカは、それは識者はちゃんとわかっていますけれども、しかしやっぱりこの黒字の圧力は耐えかねられないと、今言われるように、なぜこう日本に負けているのか。それはやはり一つはアメリカの議会なんかで非常に議論されているのは、日本のやり方が不公正だ、アンフェアだというのが、どうもアメリカの議会で九十二対〇まで追い込んだんじゃないだろうか。それは、日本がこれまで六回も市場アクセスの改善をやりながらちっとも成果が上がっていないじゃないか、だから日本は幾ら言ってもだめだ、もう日本に対しては制限立法で日本からの輸出を制限する以外に道はないというふうな、そういう議員が随分ふえてきて、いわゆる知日派と言われる議員までがそういう考え方を持ってきているというのは、大変危険な状況だと私は思うわけであります。アメリカがそういう措置を本格的にとってきますと、これはアメリカにも問題が出てきますが、日本自身もやはり一番大きな打撃を受けるわけですし、世界の自由貿易体制というものが根底から崩れるおそれがあるわけですから、その辺のところは日本としても理屈ではいろいろと言い返して議論のあるところは多いわけですけれども、やはり貿易の黒字がどんどんこれからも伸びていくということについて日本自身もいろいろと対策を講じて、これを縮小するように、一遍にはいかぬとしても、努力をしてその実が上がらなきゃいかぬと思います。アメリカの製品の買えるものは、やっぱり買う努力もしなきゃならぬ。特に不公正だと言われる問題については、今の基準だとか認証制度とか、あるいはまた輸入手続とかいろいろなことがあるわけです。これは随分改善してきたわけですが、そしてまた、アメリカにも随分誤解がこれはあると思います。これはやはり先ほどからもお話が出たように、やっぱり文化とか習慣とか、そういうものの差にも一つの根源があるようにも思うわけですが、しかし少なくともアンフェアだと言われないような、そうした日本としての国際水準、そういうものを一つの基準にして努力をしていかなきゃならぬのじゃないか。余り理屈で言い合っても結論が出ないわけで、これはヨーロッパにもそうした空気があるわけで、現在、私もOECDの閣僚会議へ参りましたけれども、去年までの空気と違いまして、大変ヨーロッパの先進国の空気も日本に悪くなっている。これは黒字の問題、それからやはり輸入がふえないという焦り、その背景には日本が何か障害をつくっているんじゃないかという一つの疑惑ですね、アメリカはまさにそれを端的に議会で表明しているわけです。 そんなことをいろいろと見ますと、なかなか日本も重大な関頭に立っておるということをつくづく思います。したがって、政府の方も総理大臣を中心にいたしまして、本部長ということで、七月までにアクションプログラムを初めとしていろいろな政策をこれから打ち出していこう、そしてこの危機を乗り切って自由貿易体制というものを前に進めていこうという決意でおるわけでございます。
○高木健太郎君 もうお帰りになるそうですから、もう一問だけお伺いしますが、どうも私見ていると、先進国のいわゆる資本主義、自由主義国家というものによるいわゆる産業を興し、物をつくり、そしてその物が消費されなければやっていけないという、こういう一つのシステムですね、そういうシステムがある程度天井へ来ているんじゃないかという不安を一つ僕は持っているわけです。だから、これは輸入の拡大均衡をとるとか言っても、もうエネルギーを使うものがなくなってきているというそういう懸念もあるわけです。今までは蒸気によって汽車を動かすとか、あるいは石油によって耐久品をつくるとか、あるいは飛行機を飛ばす、自動車を走らせるということをしてきたんですが、それは先進国の間ではかなり飽和しちゃった。次に出るものは情報産業である。ところが、情報産業というものはほとんどエネルギーは要らないわけなんで、お金が余り動かないんじゃないかと思うんですね。だから情報産業が石油産業にかわることができるとお考えかどうか。いわゆる先進国家の経済を支えていくだけの原動力に情報産業というものはなり得るのかどうか。私は余りならないんじゃないかと思うんですね。だからして、このままではどうも先進国家の経済というものは少し低調になっていくんじゃないだろうか。 そのために今後やらなきゃならぬ問題は、いわゆる南の国ですね、途上国あるいは中進国というところへそういう企業を興して、そして原料をもらい、こちらから技術を提供する、あるいは向こうの技術を盛んにしてこちらの品物をあげるとかというように、南の国中心というのじゃなくて、北北じゃなくて、南北の技術交流というものを盛んにしなければ、これから三十年ぐらい後の話ですけれども、それをやらないとこれは行き詰まりが来るんじゃないかな。今やっているのは何となく私は小手先のような気がするわけです。そういう意味で、最後になりましたけれども、外務大臣から御所見を、あるいはビジョンを、将来展望をひとつ伺いたい、こう思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も全く同感であります。やはり今の先進国経済だけでは、これから安定して発展させようとしてもなかなかいろいろと問題が出てきておりますから、非常に困難なことになっていくと思います。むしろ今お話しのように、世界の大半の地域はやっぱりいわゆる南の国でありますし、圧倒的な多数の国を持っているわけですし、これはやはり南と北との関係を調整して、南に力がついてくるということが世界経済を前進させることにつながる最大の課題じゃないか。ですから、南の発展なくして北の繁栄はあり得ないということを日本もしょっちゅう主張しておるわけでありますが、これからむしろ南の国の経済をよくしていくという方向に向かって先進国も努力をしていく必要がある。ニューラウンドというようなものを我々が主張しているのもそうした一つの立場であります。 南の国と同時に、また日本の場合は、アジア太平洋地域というものが二十一世紀にかけての私はやっぱり世界の最も大きなエネルギーを持つ国々になってくるんじゃないだろうか。今のAS EAN諸国等の経済の非常な活力を見ますと、やっぱりこれからは非常にダイナミックに動いていくのがアジア太平洋地域だろう。そういう中でこれから日本の役割というものはますます重要になってくるし、そういうアジア太平洋地域の発展というものを踏まえながら、これをてこにして世界経済の安定を図っていくということも、これから我々アジアの先進国としての大きな役割の一つじゃないだろうかと、こういうふうに思っております。
○高木健太郎君 お話を伺いまして、ぜひこの方向に進んでいただいて、これから三十年後にはそういうことができているように、余り細かいところでいわゆる貿易摩擦なんかを起こさないように、先進国というのは二〇%ぐらいの人口しかないわけですから、土地も狭いわけですし、そういう意味では、私は、解決法としてはそういう今おっしゃったようなことしかなかろうと思っておりますので、どうかひとつその方向へも進んでいただきたいと思っております。 何かお時間だそうでございますから、これで安倍外務大臣に対する御質問は終わりたいと思います。 最後に、ここには企画庁長官と、それから特命大臣である河本国務大臣しかおいでになりませんが、本当は科学技術庁長官あるいはまた文部大臣等にもおいでになってぜひお願いしておきたいと思うのですけれども、日本はさっき申しましたようにイミテーションしかやってないと。しかし、これから日本がやらなきゃならぬ問題の一つは、新しいアイデアに基づいた新しいものをつくって、それによって人類が幸せになるような創造をしていかなければ、今までの向こうのものだけを改良してやっていくということでは本当の解決にならないと私は思っておるわけです。河本国務大臣並びに金子経済企画庁長官に対しましては直接御関係でないかもしれませんけれども、どうぞ今日本が余裕のある間にベーシックサイエンスを盛んにされまして、全世界が潤うようなそういう何か創造をしていただくようにお骨折りいただきたいと。外国では政府と民間のそういう助成金、奨励金というものは一対一でございますけれども、日本は政府一、民間三という割合でございます。もう少し政府が民間と同じぐらいあるいはそれ以上の奨励金をお出しになりまして、ベーシックサイエンスというようなものを盛んにしていただいて、あるいはクリエーティブなサイエンスをつくっていただくように、この席をかりましてお願いを申し上げる次第でございます。 私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
○吉川春子君 それでは、租税法定主義の問題についてお伺いいたします。 アメリカ、ヨーロッパなどの先進諸国において関税法定主義をとっていない国はありますでしょうか。
○説明員(吉田道弘君) お答え申し上げます。 アメリカにつきましては、関税につきましては合衆国議会の専権事項になっておりますし、ECにおきましては、立法府に相当します理事会が関税の改正について決定権を持っております。そういう意味におきまして、いわゆる租税法律主義という形は我が国と同様であると存じます。
○吉川春子君 そういたしますと、なぜ日本を初め世界の先進諸国が関税法定主義というものをとっているのでしょうか。
○説明員(吉田道弘君) お答えします。 これは沿革のある話でございまして、民主主義の根本は租税を民主的に管理すると、国民の代表が決めるという租税法律主義の一環として、関税もいわゆる租税の範疇に入るということから出ているものと考えております。
○吉川春子君 この原則について政府・与党対外経済対策推進本部決定の「市場アクセス改善のためのアクション・プログラムの策定要領」の中で重大な変更がもくろまれようとしておりますけれども、どうなっておりましょうか。
○説明員(吉田道弘君) 今御質問の趣旨は、対外経済問題諮問委員会の報告にございますいわゆるアクションプログラムの関税の項のなお書きのところにございます「一定条件のもとに暫定税率を施行しうるような授権法についても検討する必要がある。」という点についての御質問だと存じますが、これにつきましては、去る四月十九日の政府・与党対外経済対策推進本部の決定におきましても全く同文の決定が策定要領として決定されております。ただし、ここで言っておりますのは、あくまでもこの文句のとおりに今後検討していくという点でございます。 なお、租税法律主義と関税の関係を一般的に申し上げますと、これにつきまして私ども今後さらに検討していく、これから手順を決めていくという段階でございまして、本件について具体的な検討、どう考えていくかという点についてはまだこれからの問題と考えておりますが、一般論として申し上げますと、関税につきましては租税法律主義の中でも内国税よりも若干対外関係がある、あるいは対外関係で緊急に対応しなきゃいかぬというふうな点で、法律により若干の内国税等よりも弾力的な運用が認められている例がございます。例えば相殺関税でございますとか、不当廉売関税でございますとか、緊急関税でございますとか、関税定率法の中で規定がございますように、国会の御承認を得てそういう弾力的な対応ができる形になっているのも関税の特殊性があるかと存じます。 ただし、本件につきましてどのような考え方でこれから整理していくかという点につきましては、先ほども申し上げましたように、今後の課題として研究していきたいと存じております。
○吉川春子君 そういたしますと、一定の条件のもとにという留保がついておりますけれども、このことについても今後の検討にすべてかかっているということですか。
○説明員(吉田道弘君) おっしゃるとおりに、今後のまさに研究の対象だと存じます。
○吉川春子君 租税は国会で決めるというのが憲法上の原則で、この法定主義を外すというのは憲法違反の疑いもある重大な問題だというふうに思うんですけれども、こういうような問題を検討しようとするのはなぜでしょうか。
○説明員(吉田道弘君) 対外経済対策諮問委員会で御検討されたときの話は、私ども間接的に伺っているところでは、一般的に弾力的に関税を動かす方法はないのかと。もちろんその前提としまして租税法律主義というのは憲法の大原則でございますので、その範囲内でどの程度のことができるかという御趣旨でこの文章が入ったように私ども伺っております。それを受けまして、先ほど申しましたような実施要領で私どもこれから研究する課題として与えられたものでございますので、あくまでも租税法律主義の範囲内で検討するというのが私どもの考え方でございます。
○吉川春子君 河本特命相にお伺いいたしますけれども、仮に一定の条件のもとに関税法定主義を取り外すということになれば、相互主義の立場からは例えばアメリカやヨーロッパ諸国にもこういうことについて要求するということになるのでしょうか。
○説明員(吉田道弘君) これからどういうふうなことを考えていくかという点につきましては私どももまだ決まってないと先ほど申しましたが、アメリカにつきましては、行政府に対して授権をするという法律慣行がございます。例えばつい先ごろ三月一日から施行しました半導体の相互撤廃の場合におきましては、アメリカの議会は大統領に対して授権法で関税の引き下げ権限を与えております。そのとき同時にコンピューター部品につきましても関税引き下げ権限を与えまして、五年間という期限がございましたが、与えております。そのほか、アメリカにおきましてはケネディ・ラウンドでございますとか、東京ラウンドでございますとか、大統領府に対して立法府が授権をするという慣行がございます。ただ、ECにつきましてはそういう慣行はないようでございます。あと私どもの承知している限りにおきましては、カナダがやはりそういう行政権に対する授権的な規定があるようでございます。したがいまして、それぞれの国、それぞれの状況があると存じますので、必ずしも我が国がこれからどういうふうにやるかということとは切り離して、各国それぞれの事情においてそれぞれの国の考え方で授権の方法をとっていると私ども承知しております。
○吉川春子君 対外経済問題諮問委員会では、アメリカの意見も尊重してこの報告書をまとめているんですけれども、アメリカの意見を尊重してアクションプログラムをつくったわけですか。
○政府委員(海野恒男君) アクションプログラムの策定ということに関する諮問委員会の報告書、この策定過程におきまして、アメリカだけでなくてECの代表、それから東南アジアの代表、EFTA、オーストラリア、韓国といった諸外国の代表と申しますか、在日の財界人等から意見を伺いました。これは、従来から我が国の対外経済政策に対する一つの批判として、我が国の政策スタンスが非常に不透明であるということから、政策の策定過程並びに実施過程において外国人の意見を十分聞く必要があるということからこういう措置をとったわけでございまして、アメリカだけの意見ではございません。先ほど申しましたように、いろんな方々から御意見を伺っております。
○吉川春子君 関税法定主義という憲法の大原則まで外して日本がなぜそんなことをやらなくてはならないのかという重大な疑問があるわけですが、これは、アメリカなど外国に対して主権放棄の屈従と言われても仕方がないのではないかと思いますが、こういう憲法にも違反するようなものも含まれたアクションプログラムというのは撤回すべきではないかと私は思うんですけれども、大臣いかがですか。
○説明員(吉田道弘君) 先ほども申しましたように、私ども今後検討する場合におきましても、当然憲法の大原則でございます租税法律主義の範囲内で検討なするというのが当然のスタンスでございます。ただし、どのような方向で、どういう考え方で、仕組みでやっていくかという点は今後の課題として考えております。そういう意味で御了解いただきたいと存じます。
○吉川春子君 私、大臣にもぜひお答えいただきたいと思うんですけれども、憲法の枠内でとか今おっしゃいましたけれども、やはり関税法定主義を動かしていくということがこのアクションプログラムの中に入っているということはもう重大な問題だというふうに思うわけですね。なぜ日本がそういうところまで譲歩しなければならないのか、そのことに対する大臣の御見解、いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 憲法の条項に違反をして今度の政策を決めたことはございません。
○吉川春子君 先ほどの御答弁もあったわけですけれども、じゃ、租税法律主義という立場は崩さないと、そういうふうに受けとめてよろしいわけですね。
○説明員(吉田道弘君) これは憲法の大原則でございますので、当然のことと承知しております。
○吉川春子君 関税法定主義とかあるいは租税法定主義とか、こういうものはやはり憲法の大原則であり、日本の主権に属する問題ですから、アメリカなど外国の圧力に屈して貿易摩擦の問題の解決というようなことと引きかえになるような、そういうことは絶対にやっていただきたくないということを強く要望しておきます。 それで、さらに大臣にお伺いいたしますけれども、政府は一人当たり百ドルの輸入品を買えというキャンペーンをしております。この百ドルを買えという中身なんですけれども、今まで日本製品を使っていたのにかえて外国製品を買えというのか、それとも、今まで買っていた以上のものをさらに百ドル余計に出費して外国製品を買えというんでしょうか。
○政府委員(黒田真君) それぞれの国民の方々の御都合がありましょうし、そこまで政府として述べているわけではございません。通商産業省といたしまして、せんだって関係の主な企業の方々に輸入を拡大してほしいというようなことを申し上げた際には、特に今後輸出を伸ばすような企業については特段のことを考えてほしいということを申し上げたような経緯もあるわけでございまして、今後の増加分というようなニュアンスをその際は持っていたということが言えると思います。
○吉川春子君 これが最後の質問ですが、河本大臣、国民が百ドルの輸入品を買える、そういう余裕があるとお考えでしょうか。閣議でもこの問題については異論続出ということが報道されておりましたけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) この問題につきましては、先般の参議院本会議における緊急質問でも何人かの方々から質問が出ておりましたが、総理はそれにお答えになりまして、百ドルという意味は、できるだけ外国の品物も使ってくれと、こういう比喩的な、つまり例え話の意味だと、そういうように理解してもらいたい、このように言っておられました。閣議でこの問題が具体的に話題になったことはございません。
○吉川春子君 そうしますと、新聞の誤報だというわけですね。 私は最後に申し上げたいのは、やはり今国民が非常に物価高といいますか、重税で苦しんでいるし、百ドルも余計に外国の製品を買う余裕はないし、それから同時に、今まで買っていた商品にかえて外国の物を買うということになれば、じゃ日本の中小零細企業はさらに仕事がなくなって困るじゃないかという問題もあると思います。こういうようなキャンペーンでもって何かアメリカのセールスマンのような立場でやられるということに対して、私はやっぱり日本の総理大臣のおやりになることではない、日本の内閣のおやりになることではないということを強く申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○青木茂君 日米貿易摩擦の解消といったら、もう整理してみれば三つしかないんで、一つはアメリカのドル高、高金利を是正してもらえば一番いい。しかし、これは相手のあることですから、なかなかそう思うようにはいかぬ。そうすると第二番目は、外国を納得させ得るに足るような市場開放策というものなんです。しかし、市場開放策と言うのは簡単だけれども、国内産業の保護というのが、これは本音の世界と建前の世界があって、本音の世界ではある程度これは政治力学が背景になっているというのか、票田構造が背景になっているというのか、そういうこともございますから、そう簡単にはこれもいかないんじゃないかと。ただ、外国の不満というものは、外国製品が日本市場に接近できない何かがあるんじゃないかと。しゅうとの嫁いびりというのか嫁のしゅうといびりというのか知らぬけれども、そういうところがちょっとあるんじゃないかと。通産省いかがでしょう、こういう外国製品を日本の市場に接近させる、この品目についてはこういうふうに計画をしているというようなことを一つか二つ具体例ございますか。まずそこから。
○政府委員(黒田真君) 大変難しい御質問でございまして、先生御指摘のように、輸入の拡大を決定する要因というのは多種多様にあるわけでございまして、需要がなければいけないし、競争力のあるものが当然なければいけない。そして制度的障害を除去しなければならないし、輸出者も努力をしなければならない。そういう中でアクセスの問題というのは、本来制度的な障害を取り払って機会を与えるということであったわけであります。しかしながら、昨今次第にそういったアクセスの改善ということについて結果を求めるといったような形で議論が出ておりまして、そういう意味から申しますと、なかなか多種多様の要素の組み合わせでしか増加しない輸入について、何か目立ったことを私ども政府の手で実現をするということは実際問題として非常に難しい。象徴的な品目を少し買ってみたらどうだというような御意見がいろいろあることは承知しておりますが、多分実現できるものについては今まで実現されている、残されているものについてはそれぞれ問題があるように思います。したがって、どうも直接のお答えにならないわけでございますが。
○青木茂君 今お答えございましたように、外国を納得させる市場開放策というのは、やっぱり言うはやすくしてかなり行うは難しいと思うんです。そうすると、残された第三点は内需拡大策しかないわけなんですね。 そこで、特に家計という面に焦点を絞って内需拡大の方法が何かあるだろうかということを考えてみたいんです。特命相と企画庁長官というより、むしろ新旧企画庁長官がいらっしゃるわけですからちょっと伺いますけれども、どうも個人消費が伸びないと、これは日本の貯蓄率が非常に高い。この高貯蓄率の原因というものは一体何なんだろうか。いわゆる国民性とか勤勉性だけで説明していいのかどうか、ここのところを両大臣に、どなたでも結構ですからちょっとお伺いをしたいんです。
○国務大臣(金子一平君) 今、青木さんのおっしゃいました高貯蓄、これはやっぱり日本人の生活に根差す勤勉、貯蓄という思想が明治の初めからずっと続いてきたんじゃなかろうかと。それは、最近の経済の動きの中でずっと見ておりますと、やはり高貯蓄が続いております。しかも最近は、住宅ローンの問題あり教育費の問題あり、あるいは老後の生活不安の問題あり、しかも一方においては、また金融機関の有利な商品の販売があるということで、どうもやはり簡単に消費に向かわない。せっかく去年一兆円前後の減税をやってみましても、それがすぐ消費に結びつかないという、これはあると思うのでございます。 それじゃ、どうやったらこれを投資に向けさせるか、あるいは消費に向けさせるか、それが一番厄介な問題でございまして、諮問委員会の答申にもこの問題が取り上げられて、税の問題をどうするかというような一項目が出ておりますので、河本大臣のもとで今いろいろ検討もしていただいておりますし、私どももまた、この問題には早急な解決を迫られている次第でございます。
○青木茂君 いわゆる勤勉性だとか国民性で日本の高貯蓄率が説明し切れるとするならば、戦前の方が、戦前はむしろ強制貯蓄をやらされたんだからはるかに貯蓄率が高くなくてはいけないんですけれども、必ずしもそうなっていないということ。そして、これは企画庁からもいろいろ資料をいただいたんですけれども、日本の貯蓄の構造の中には非常に生命保険の割合が強いとか、アメリカは株式なんかに行くんですけれども、日本の場合は預貯金あたりに非常に行くと。これはどうも日本の場合は、将来生活に不安があって無理して貯蓄をせざるを得ないというような何か社会的背景がある、そこに貯蓄率の高い秘密があるんではないかという気がしておるわけなんですね。 そうすると、そういう社会的な不安、特に住宅、教育、老後、この三つの不安を取り除くような政策がもし可能であるとするならば、私は貯蓄が消費に回る条件はあると。そうすると、一番手っ取り早いのは住宅なんですけれども、どうなんですかね、日本人の貯蓄を、住宅という一つのクッションを通じて家計投資とか消費の向上、そちらに回すような何か妙案はないかどうかということをちょっと伺いたいんです。
○国務大臣(金子一平君) 今、御指摘のございましたように、最近の家計調査を見ておりますると、住宅ローンの返済のウエートがだんだん高まってきております。しかもそれが、年代別で大分違うのでございますけれども、三十五歳から四十九歳までの可処分所得に占めるローンのウェートが大変高くなってきております。やはりこれは一つの問題であると思いまして、数年前でございましたけれども、住宅ローンの返済につきまして、税額控除の制度を設けたり、あるいは控除の限度額を引き上げたりいたしまして少しでも可処分所得が増加するような方向に誘導できるような体制をとっておりますけれども、これをさらに一層広げる必要があるんじゃなかろうか、十分検討する価値があると私どもは考えておる次第でございます。
○青木茂君 今いろいろ前向きにお答えをいただきましたように、住宅ローン返済世帯の消費性向は七二・八だと、これに対して住宅ローンを持っていない世帯の消費性向は八二・二だから、一〇ポイントも違うんですね。だから、この住宅ローン返済世帯に一つの何かインパクトを与えると消費性向はぐっと上がると、つまり、個人消費がぐっと伸びて内需拡大の条件が出てくると。しかも住宅ローンの返済世帯は、総収入の中において、妻の稼ぎが住宅ローンを持っていない世帯より高いわけですね。そうすると、共働きをやって本来なら豊かな消費の方に回るのが、ローンの返済という方向へ回って消費を抑え込んでいるという感じがいたして仕方がないわけなんですけれどもね。 こういうことはできませんでしょうか、これはアメリカの税法ではあることなんですけれども、住宅ローンに限らず一切の借金の利子は、本当は税額控除が一番いいけれども、税額控除がぜいたくならば、せめて所得控除にするというようなことで、借金世帯を何か消費世帯に振りかえるような方向というのは断固とるべきではないかという気がいたしますけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 大変有益なる御提言をいただいておりますが、ことしは税制改正の見通しはございませんけれども、来年度の所得税、法人税の見直しをする場合に、今お話しのような点も含めて検討をしてもらいたいと考えております。
○青木茂君 その点はぜひお願いをしたいんです。ただ、それをやっていただくときに、財源の問題があるから間接税をしろというようなセッティングをされると困りますけれども、とにかく、ローンを通じての消費の刺激ということは僕は大変必要なことだと思います。 それからもう一つ、日本の住宅政策というのは今まで持ち家主義に非常にアクセントを置いてきたと。ここでひとつ発想を転換させまして良質低廉な賃貸住宅をたくさんつくる、これが一つの景気刺激というのか、消費刺激ですから、そういう方向に政策の基盤を変えていくというようなお考えは企画庁にございませんでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 私どもが学校を出たばかりの当時は大体貸し家中心でございまして、自分でうちを建てようとか持とうなんという気持ちは若い者は全然ございませんでした。それくらい貸し家が充足されておったわけでございますが、戦後非常にその点が変わってまいりましたけれども、最近は大分ゆとりができてまいりまして、借家をつくろうというような風潮がだんだんと出てまいりましたものですから、私どももこれは一つの行き方であると、今この際全面的にそういう切りかえがすぐできるかどうかは別問題といたしまして、できるだけそういう方向で住宅建設を進めるようなことを考えていくべきであろうと、その点は全く同感でございます。
○青木茂君 時間がもう来つつあるわけなんですけれども、もう一つ私は、最近貯蓄と消費の問題につきましてどうも少し行き過ぎではないかという心配があるんですけれども、なるほど不慮の事故だとか不時の出費だとか、それから住宅、教育、老後に対する不安というものが日本人の生活の中にプレッシャーとしてあることは事実です。あることは事実ですけれども、何かそういうおびえですね、おびえというものを金融機関が何かあふるというのか、おびえの商品化というのですかね、個人年金保険なんかまさにそうなんですね。高齢化社会が来るから、とても公的年金だけじゃ足らぬから個人年金保険をやってくださいやってくださいとか、あるいは大蔵省も、そんな税制を複雑にすることはいけないいけないと言っておきながら、わずか五千円の個人年金保険の控除をやると。政策がちぐはぐなんですよね。私は、どうも金融界が何か将来のおびえをあふりまくって貯蓄を吸収しよう吸収しようとする傾向に若干の不満を持っておるわけなんですけれども、最後にこの点の御感想を伺って終わりにしたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 金融機関としては大変仕事熱心で、公的年金の不足を私的年金で補完する必要があるぞということを声を大にして言っておられると思うのでございますが、両々相まって老後の生活が保障されるように私どもはぜひ持っていきたい。行き過ぎのないような、このことは非常に大事なことでございますので、御指摘の点は十分心にとめておきます。
○青木茂君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(対馬孝且君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十二分散会