国民生活・経済に関する調査特別委員会 第3号
- 発言数
- 151 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/01/23
会議録
○委員長(対馬孝且君) ただいまから国民生活・経済に関する調査特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る十二月二十一日、太田淳夫君及び桑名義治君が委員を辞任され、その補欠として矢原秀男君及び高木健太郎君が選任されました。 ─────────────
○委員長(対馬孝且君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(対馬孝且君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に刈田貞子君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(対馬孝且君) 次に、国民生活・経済に関する調査を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○竹田四郎君 私、社会党の持ち時間の前半をやらしてもらいたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。 そこで、政府の経済見通し等々も出ておりますが、今まで五十三、四年と日本の景気が上向きになってきていたわけでありますが、これが、アメリカの経済が各国の経済を引っ張っていったというような形でありますけれども、まあこの一年一体どうなっていくのか。最近のアメリカの経済発展も第一・四半期一〇%、七%、一・何%、それでまたきのうの発表で三・六%ぐらいということで若干持ち直してきたような感じはいたしますけれども、経済企画庁及び政府としては、ことしの、六十年のアメリカの経済、どんなふうに見ていらっしゃるのか。その中で特に重要な問題は双子の赤字でありますけれども、双子の赤字というものが一体どうなっていくのか、その辺が大きい問題点だろうと思いますけれども、どんなふうにお見通しになっているか、ひとつ見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 昨年、アメリカの経済が急速に伸びたものですから、日本経済もそれに助けられて輸出も伸びて大いに景気が回復したということでございますが、最近のアメリカ経済の状況は、昨日のアメリカ政府の発表にもございましたように、七—九月期が実質成長率一・六%に落ち込んだ後を受けて、十—十二月期が危ぶまれておったんでございまするけれども、年率三・九%の実質成長が見込まれるというような状況でございまして、やや拡大の速度は鈍化したといっても、設備投資等を中心に消費も伸びておりますし、住宅が少し落ち込んでおるようでございますが、景気が拡大をしております上に物価も非常に安定しておるようでございますから、まあまあ当分はこの動きに変わりはなかろうかと思うんでございまするけれども、一体日本の景気にこれからどう影響を及ぼすか、これはエコノミストの間にもいろいろ議論のあることは御承知のとおりでございます。シャボン玉のようにアメリカ経済は急速にしぼむぞという考え方の方も中にはいらっしゃるんですけれども、私どもは、常識的に見ますと、OECDの見ておりますように三%台でアメリカ経済は軟着するんじゃなかろうかと。そうすれば世界経済の二五%を占めておるアメリカ経済のことでございますから、急速なインパクトを世界経済なり日本経済に及ぼすようなことはまずなかろうと考えておる次第でございます。 ただ、御指摘の双子の赤字の問題、これは私どもといたしましても、このためにアメリカの高金利がずっと続いておるわけですから、一日も早くひとつ赤字削減もやってもらいたいと考えておるわけでございますが、まあこれも新聞報道によりますと、レーガン大統領は、二月の教書では思い切った予算の削減もやりたいと、五百億ドルぐらいはやりたいということを考えておるようでございますけれども、ここら辺の現実の姿が一体どうなるか、慎重に今見守っておる最中であることを申し上げておきたいと思います。
○竹田四郎君 確かに日本でも行財政の赤字で、赤字国債の発行をやめようと大変努力をなさったわけでありますけれども、現実には赤字国債の六十年度の発行というのは一兆円減にならなかったわけですね。建設国債合わせて一兆円ということをやっと確保するということでありますから、アメリカとしても、私はこの点はそう簡単に二千億ドルの赤字というものがなくなるとは思えませんし、かなりの時間と努力というものが必要であろうと、こう思うわけでありますが、しかし、この財政赤字というものが大きくあればあるほどアメリカの高金利というようなものがやっぱり続いていく可能性があるだろうと私は思うんですけれども、その辺は一体どういうふうにごらんになっていらっしゃるのか。 アメリカの金利が下がっていくということになれば、日本からのアメリカに対する資本移動というようなものも、まあ国内の金利の関係がもちろんあるわけでありますけれども、その辺の動きが弱くなってきて金利が下がってくる、資本の国際間の移動というようなものも少なくなってくると、こういう問題もあろうかと思うんですが、その辺はどんなふうになってくるようにお考えでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) お話しのように、アメリカの高金利が現実問題として世界の経済をひっかき回しておるわけですから、一日も早く私どもはその安定を望んでおるわけでございますが、先般二回にわたって公定歩合が下がったことは御承知のとおりでございまするけれども、やはり歳出の思い切った削減をある程度やってもらわぬことには、なかなか金利を下げる力が弱くなると我々は考えておるわけでありまして、国際的にも事あるごとにその問題を取り上げ、特に今度のボン・サミットでもそういう問題がひとつ問題になろうかと思っておるんでございますが、政府としてはできるだけの努力は払っていくつもりでおることを申し上げておきます。
○竹田四郎君 それからもう一つは、貿易赤字の問題がアメリカの財政赤字以上に日本にとっては大問題だと思うんですがね。恐らく経済企画庁の今年度の経済見通しでは経常収支が三百四十億ドルということになっているんですが、これはほかの経済指標を見ましても経済企画庁が一番小さい数字を出している。これはかなり政策的な数字であって、現実の見通しよりかなり違う、去年と同じような数字だと思いますけれども、現実にはもっと多くなるだろう。 アメリカの方では五百億ドルぐらいになるんではなかろうかというような意見もあるようでありますけれども、この問題が日本に対する日米の経済摩擦の最重要課題になっていくということで、恐らく今月末あたりはまた日米の交渉があるでしょうし、あるいは三月末までにはかなり、これは総理と大統領との年頭の話でもこの辺では決着をすると言っておりますし、アメリカの態度も、この間の正月の両首脳の話では、日本の予想以上にレーガン大統領は強い態度を示していると、こういうわけでありますけれども、この貿易収支というのは一体どうなるのか。その縮小というのが一体日本の現在の景気動向にはどう響いてくるのか、縮小するのか、しないのか、日本の経済を狂わせるのか、狂わせないのか、この辺も大きい問題になるだろうと思います。 せっかく向上してきた景気というものが、とにかく今度の景気というものが全体的に伸びてきたということよりも、私どもはまだ一般的にはかなりまだら模様な点があるというふうに考えます。特に公共事業費が余り伸びないということでありますから、特に中央から離れている、工場の少ないようなところでは非常に問題になっているんですけれども、その辺は一体どうなっていくんだろうかということは、やっぱり日本全国としてこの景気をずうっと維持さしていくのか、あるいは途中でこの景気がダウンしていくのか、この辺は将来の日本の民間設備投資にも影響なしとしないと思いますし、もちろん国民最終消費支出にも非常に大きな影響を及ぼすわけでありますから、この辺は一体どういうふうにごらんになっているのか。
○国務大臣(金子一平君) 貿易収支、経常収支の問題でございまするけれども、去年同様の三百四十億の黒を見込んでおる点についての御疑問でございますが、これは大体アメリカ経済、六十年度にOECDあたりの見方も三%ぐらいの成長と、前年の七%前後よりは相当落ちると見ておるわけでございますから、それを前提にすると、やはり輸出は鈍化すると見るのが常識的ではなかろうかと思うんでありまして、見方もいろいろございます。民間の調査機関でもっと余計見ておるところもございますが、アメリカ経済の鈍化によってある程度輸出も落ちる。輸入の方は、製品輸入を初めとしていろいろ市場開放をやりますから、膨れることを前提にして今申し上げましたような数字を出したわけでございます。 ただ、この対米貿易の観点から、一体日本の六十年度の景気がどうなるかというお尋ねの点でございまするけれども、設備投資は去年の半ばぐらいまでは輸出産業中心の設備投資が大々的に行われておったのでございますが、その後だんだんと民需中心の、特に新しい技術革新に基づく設備投資がふえてまいりまして、それが単に大企業だけでなく中小企業にも広がる。製造業だけじゃなくて非製造業、サービス業にも広がるというような状況を見せておるものですから、私どもは外需中心じゃなくて、内需とバランスのとれた景気回復というよりは、景気の拡大に、六十年度の経済は今一歩大きく足を踏み込むところまで来ておるぞというふうに見ておるわけでございます。 少し見方が甘いという御批判はあろうかもしれませんけれども、大体私どもは基本的にはそういう考え方をしておるわけでございまして、足りない点はなお政府委員から答弁をさせます。
○政府委員(赤羽隆夫君) お答えをいたします。 貿易収支、経常収支ともに六十年度は五十九年度とほぼ同じ、横並びということでございますけれども、これは大臣からも御説明がございましたように、アメリカ経済の成長率が多少鈍化する。そういたしますと、アメリカの輸入が鈍化する。こういったようなことを踏まえまして、輸入の伸びに比べて輸出の伸びの方が伸びが低くなる。しかしながら、輸出の伸びが輸入の伸びよりも低いわけでありますけれども、現に大幅な黒字が出ている。こういうことで計算をいたしますと横並びということになります。もちろん黒字というのは外国との通商取引によって稼ぎ出したネットの需要ということでございますから、これがふえないというのは、成長率に対しましてプラスアルファがないという要因になります。 したがいまして、六十年度の経済見通し四・六%ということで、五十九年度の五・三%よりは若干下がるわけでございますけれども、これは内需中心の成長ということが続くということで、外需依存度が下がった分だけ成長率が下がる、こういうふうな見通しになっております。十分内需中心の成長ということが可能であろう。輸出中心の五十八年度から、内需へバトンタッチをした五十九年度、さらには内需中心の六十年度、こういう形で経済の見通しを立てておる、こういうことでございます。
○竹田四郎君 ことしはある意味では、日米の経常収支の黒字・赤字の問題というのが恐らくかなりの議論になるだろうと思うんですが、一体どっちかというと、両方だという返事になるだろうと思うんです。 赤字を減らすのに二つのあり方があると思います。一つは日本がうんとアメリカから物を買うことによって、輸入を拡大することによって赤字を減らす、もう一つは日本の方からアメリカの方に物を出さないということによって赤字を減らすという、二つの方法があると思うんです。 アメリカの方では恐らく今の対日赤字というのは目のかたきにしているわけでありまして、相当減らせと、ある意味では最近アメリカあたりでは対日赤字の許容限度は、百三十億から百五十億ドル程度ならまあいいけれども、今ではとてもそんな大きなものはだめだ、こういうふうに言っているわけでありますけれども、結局アメリカとしては、赤字を減らすのにどっちに重点を置いているというふうに見ているんですか。例えばこっちで輸出するのは、鉄鋼にしても繊維にしても、それから自動車にしてもテレビにしても、実際は自主規制という形で輸出を制限しているわけですね。自由貿易の原則とはちょっと違うわけでありますけれども、こっちは自主的にやるということでやっているわけであります。そういう形で輸出を減らすのか、それとも、もっといわゆる門戸開放をしろ、こういうことによってアメリカの商品をもっと日本にぐんと入れるのか、どっちかにこれから話し合いでは重点を置いていくということになろうと思いますね。その辺はどんなふうに考えておられますか。 両方だと言えば、それは確かにそのとおりだと思うんですが、どっちかやはり重点にしていかなくては、この三百四十億ドルあるいは五百億ドルにも及ぶような赤字というものをなくしていくのにはどっちかに中心を置かなくちゃ、私は、ただ両方ともなんという表面の格好のいい説明ではとてもそれをやっていけないと思うんですがね。どこに政府としては貿易赤字をなくすための重点を置こうとなさっているのか。
○国務大臣(金子一平君) これは申すまでもなく、今世界各国の一部には保護貿易主義の動きがございますが、日本のやっぱり進路を決める上においては保護貿易主義を各国でとられるようなことになってはこれはもう大変なことでございますから、あくまで自由貿易主義を標榜してやっていくべきだろうと思いますし、アメリカ政府自体も自由貿易主義だということをはっきりと言っておるわけでございますが、そういう意味において、極力市場開放をお互いにやりながら世界貿易の拡大を目指してやっていくのが本筋だと思います。 ただ、一部のものについて行われたようなどしゃ降り的な輸出が行われて、先方の国の業界を混乱させるようなこともこれは差し控えざるを得ないわけでございますので、そういう意味においてはやはり自主的な規制ということも、物によっては、場合によっては必要であろうかと思うんでございまして、もう日本は市場開放だけでいきますよとか、あるいは輸出規制でいきますよと一本に決める必要は私はないと思うのでございまして、その点はやはり十分情勢を見きわめながらやっていくのが筋じゃなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
○竹田四郎君 アメリカあたりでは新しい通商法の適用、そういうようなものも適用しようじゃないかという意見もありますし、あるいは日本の商品に対して輸入課徴金などを課そうというような意見も出ていないことはないわけですね。そうすると、こういうようなものをアメリカが持ち出すときには、徹底的にこれには抵抗してやめさせる、そういう方針でいくということと今の御答弁は理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(金子一平君) 一部に竹田先生の御指摘のような議論があることは私ども十分承知いたしておりますが、輸入課徴金だとかいうようなことになりますと、やっぱり自由な世界貿易を阻害する大きな要因になるわけでございまするから、私どもとしてはできるだけこれは抑えていきたい、そういうものは発動を見ないように十分の手当てをしていく必要があると。また、アメリカ政府自体も今私どものそういう考え方を十分に理解してくれておると考えております。
○竹田四郎君 そこで、もう時間もありませんから次の問題に入っていきたいと思うんですけれども、今のお話でも、ことしの経済は内需拡大をして、アメリカへの輸出に引っ張られていった今の民間設備投資、これを日本独自の独立投資といいますか、日本の産業の中で投資を呼んでいく、投資誘因になっていく、そういうような投資というものをお考えになっているんだろうと思うんですけれども、その辺はどういうふうにお見通しでございますかね。 内需の拡大といいますと、今財政的な内需の拡大というのは、政府の投資というようなことは余り望めないということになれば、あとは投資の大部分という大きなものは、六割にも及ぶ民間の消費支出であるし、あとは一五%から二〇%ぐらいになるところの民間設備投資というこの二つが内需拡大のやっぱり一番大きな原動力にならなくちゃならないということだと思うんですけれども、今その点では確かに民間設備投資は、御承知のように、輸出で引っ張られていった民間の設備投資が産業構造の新しい改革というのか、そういう意味で国内の独立的な投資へ進んでいっているようにも私は思いますけれども、しかし、その民間設備投資が輸出にも引っ張られない、あるいは国民の消費支出にも引っ張られないというような民間設備投資というのはそう長くは続かないと思いますね。GNPの中での民間設備投資の割合、シェアというのは必ずしもうんと大きいわけじゃないわけでありますから、すぐに私は限界に突き当たってくる危険性というようなものが今年度は出てくるんではないだろうか、こういうふうに思うんですが、その辺はどういうふうに見ていますか。今の勢いでずっと民間設備投資が、かつての高度成長のような形で設備投資が設備投資を呼ぶという形での高度成長というようなものはこれから考えられるのかどうかということですね。
○政府委員(赤羽隆夫君) 最近の設備投資が好調であるという点につきましては、二つの理解がございます。 一つは、先生今御指摘のように輸出に誘発されたもの、そういう部分が多いという見方が一つでございます。もう一つは新しい技術革新、これに導かれて投資がふえている、こういう見方がございます。 私ども、この見通しをつくるに当たりましていろいろなことを検討いたしましたし、また民間の専門家の方々の意見も伺いました。その結果として見ると、五十九年度に入ってからの設備投資の回復、もう二けた台で伸びておるわけでございますけれども、これはやはり主体は新しい技術革新にこたえたものである。いわゆる先端技術分野におきまして新しい技術革新の時代が始まっておる。その時代においてそれぞれの企業はこの技術革新の波に乗らなければいけない、その時代で落ちこぼれになりたくない、こういうことで技術革新に応じた設備投資がふえておる、こういうことでございます。 しかも最近の技術革新というのは、経済社会にかなり広くかつ深く浸透している、こういうことでございます。もし最近の設備投資の主体が新しい技術革新、先端技術分野、ハイテクノロジーと言われるような分野におきます技術革新にこたえたものであるといたしますと、これは先生今の発言ではございますけれども、むしろかなり息の長いものになる、こういうふうに思います。違った言葉で言いますと、一年ぐらいでぽしゃるものではないと、こういうふうなことではないだろうか。私ども見通しの作業をするときにいろいろ調べたり議論した結果そういうふうな結論でございます。 そういうことで、六十年度というのは、設備投資も比較的順調な現在の好調な動きが続いていくと、こういうことで内需中心の成長、先ほども申しましたように輸出で回復のきっかけをつかんだ五十八年度、それから内需へのバトンタッチが進む五十九年度の後を受けて、内需主導の六十年度と、こういう見通しになっておるわけでございます。
○竹田四郎君 確かにそういう動きは示しているわけでありますけれども、アメリカ経済の動向ももちろんありますけれども、やはりかつての投資が投資を呼んでいくということは、国民消費が非常に伸びていったと、三種の神器だとかいろんな、三Cとかという言葉で、隣の家がテレビ買えばおれの家もテレビを買うと、隣が電気洗濯機を買えば家でも電気洗濯機を買うという形で、あのころ言われたように、一番物を売るのには、アパートへ一つ何か売り始めれば、それが全アパートに品物が売られるという形で、経済が自律的にぐるぐる投資と消費との間をスパイラルに上っていったということだと思いますけれども、今度の場合に、どうも経済企画庁としては、去年の当初予算のときに民間消費支出の伸びというのは四・一%というものを見込みながら、現実には実績見込みでは三・一%という形で一%というものを修正をなさったということでありますね。それから、勤労世帯の消費性向を見ましても、むしろ五十七年度あたりをピークにして、五十八年度、五十九年度という形で落ちてきておりますね。 それから、これは私がはじいた数字じゃないんですが、ほかの方がはじいた数字で見ますと、おっしゃるようにGNPの伸びに対して設備投資の伸びの関係ですね、GNPの伸び率の寄与率を見ますと、なるほど民間設備投資は八三年の四—六にはプラス〇・一二、七—九にはプラス〇・六、十—十二月にはプラス一・一、八四年の一—三月はプラス一・八、それから四—六は一・八、七—九は一・九という形で伸びていることは事実ですね。しかし、個人消費の方を見ますと、この伸び率は物すごく停滞してきておりますね。数字で申し上げますと、今と同じような形で申し上げますと、八三年の四ー六がプラス一・七、七ー九がプラス一・八、十—十二月がプラス一・三、八四年の一—三月がプラス一・七、四—六が一・六、七—九が一・四、こういう形で、個人消費の方は成長の寄与に対する寄与率が下がってきている。民間設備投資の方は先ほどおっしゃったようにどんどん伸びてきている、こういう形だと思うんですね。 先ほども申しましたように、個人の消費支出の場合はGNPのシェアの六〇%ぐらい占めているわけですよね。ですから、この伸びというのは、少なくとも伸びるという方向でいけば全体の消費をふやしていく、その消費が投資を呼ぶというかつてのやり方というものが出てくるわけでありますけれども、今のところは去年も内需拡大ということでかなり思い切って四・一%という数字にしたんだけれども、それを修正した。ことしも四・一だ。ことしは去年に比べて内需の拡大の要請というのは、世界的にも日本に対する要請というのはもっと大きいと思うんですね。それで皆さんの方も内需拡大をやろう、こういうふうにおっしゃっておるわけであります。しかし、去年減税もあった、けれども内需拡大というものが見通しほどできなかった、これは一体どういうところにあるんですか。確かに税金が減税になったけれども、片っ方では差し引きだということもあったんだろうと思いますけれども、この辺は経企庁ではどういうふうに分析をされていますか。 去年の減税が、減税をやるという当初の意見では、確かにそういう意味で消費支出をふやすんだ、内需を拡大するんだということで、所得税で八千七百億、住民税で三千一百億の減税というものがされたわけですね。その消費に及ぼした影響——むしろ私は消費には余り影響なかった、むしろ減ったんじゃないか。ビールの酒税の収入なんかが減ったというのはまさにその辺をよく示していると思いますし、また百貨店統計などを見ましても、今までスーパーと百貨店との売り上げというのは、スーパーの方が非常に伸びていた。しかし去年の一部には、むしろ百貨店の伸びが多くてスーパーの伸びが少なかったという月も幾月かあるわけですね。 そうすると、どうも内需拡大と口にはおっしゃっているんだけれども、実際上の内需拡大というものは、昨年はほとんど目立った内需拡大は行われなかった。こうした政策が、経企庁のいろんなものを見せていただくと、設備投資がふえたから個人の所得もふえて、したがってことしは内需拡大になるだろうというくらいのことしか書いてないわけですね。果たしてそういう形に一体なるのかどうなのか。もし、ことしならないということになりますと、日本の政府の内需拡大に対する努力は非常に少ない、したがって貿易赤字の問題についても、もっともっと大きな世界的な批判というものがくるだろうと思うのですね。そういう意味では、一体内需拡大というものに対して、特に経企庁としてはもっと真剣にその辺をどう打ち出すのか。去年をどう批判、総括をしていくのか。ことしは所得税の大幅減税はないけれども、ないとすれば一体どうするのか。しかし公共料金は上がっている。一体後は何で考えるのか。 もう時間あと七、八分しかございませんので、本当はその辺をもうちょっと深く聞きたいところでありますけれども、私も、はっきりした結論をここで申し上げるような材料は今持っておりませんけれども、経企庁の方としてもその辺を一体どう考えていくのか。ことしの内需拡大の問題というのは、私は単に国内の問題だけじゃない、国際的な問題になりつつある。もし、これがそうした国際的な約束を果たすことができないということであれば、これはまた大変な問題として国内の政治にはね返ってくるんではないだろうか、こう思っているのですが、その辺どうなんでしょうか。
○政府委員(赤羽隆夫君) お答え申し上げます。 まず最初におっしゃいました五十九年度の消費の見込み、これが高過ぎたという点は、確かに御指摘のように、私どもやや高目の数値を見通しとして立ててしまった、こういうふうに反省をしております。 どうしてそうだったんだろうかということでありますけれども、私どもの理解で申し上げますと、消費というのは、やはり景気の後からついていく、そういう項目である、そういう点から考えまして、どうも消費を少し早目にふえてくる、こういうふうに見込んでしまったなあ、こういうふうに思っております。 六十年度の見通しにおきまして四・一%、五十九年度の三・一%より一%くらい伸びが高まるだろう、こういうふうに見ておりますのも、また消費というものが景気の後から追っかけてふえてくる、こういう理解のもとに立ってそういう見通しを立てている、こういうふうに御理解をいただければと思います。 それを支持する資料ということになると思いますけれども、例えば、ことしの冬のボーナスというのは去年の冬のボーナスよりも二%半ぐらい伸び率が高い、こういったようなことがございます。結局、経済活動が活発になり、生産活動が活発になることで勤労者の手取り所得、実質所得がふえていく、それが消費に回ってくる、そういったような点から申しますと、五十九年度は確かに先ほど申しましたように輸出から国内需要、特に設備投資とバトンタッチする段階でありましたけれども、そこでふえてきた生産活動、この成果が消費に回ってくるのに、時間的に私どもが考えていたよりもややおくれた、こういうことではないかと思っております。そういう観点から、六十年度は消費もまたふえてくる。 設備投資の好調は先ほど申しましたように技術革新の時代、それに即応した投資である、こういう点から比較的順調な状態が続くであろう。しかし伸び率ということから見ますと、五十九年度の二けた台の伸びに比べまして若干伸び率が下がる。そういうことで設備投資あるいは生産活動を担当しております企業部門と、それから消費や住宅という形での家計部門の間のバランスがよくなるだろう、こういうふうに見ておるわけであります。つまり、内需主導であるとともに、内需の中の特に民間部門のバランスがよくなるだろう、そういう形で消費の伸びもまた期待できる、こういう考え方で私どもは六十年度の見通しをつくった、こういうことでございます。
○政府委員(横溝雅夫君) 御質問の中で、今年度の所得税減税の効果がどうであったかというお話がございましたので、それに関連いたしまして若干お答えさしていただきます。 幾つかちょっと数字を申し上げて恐縮でございますが、家計調査で勤労者世帯の収入、支出関係をちょっと見てみますと、五十八年度の実収入が名目でございますが、三・二%ふえました。ところが、その非消費支出、これが所得税とか地方税とか、あるいは社会保険負担とかいう、政府に納める方でございますが、この非消費支出が六・八%ふえました。ですから、五十八年度、減税をやる前の年度においては実収入が三・二しかふえないのに、その倍、六・八%も政府に納める方がふえたという関係がございました。したがって、これを除いた可処分所得は二・六%しかふえなかったわけでございます。 ところが、五十九年度に入りまして、五十九年の四—六月においては実収入が四・六、非消費支出が七・一。ですから、所得税減税が始まった四—六になっても四・六と七・一ですから、非消費支出の伸びが高いは高いんですが、五十八年度の倍以上というほどは伸びておりません。それで可処分所得が四・一%ふえております。ところが、七—九になりますと、地方税の減税も加わってまいりまして、実収入の伸びが四・七。ところが非消費支出は三・一と、実収入の伸びよりは非消費支出の伸びが低くなるということになりまして、これは明らかに減税の効果によって政府の方に納めるのよりは手元に残る方が多くなったということでありまして、可処分所得は七—九月には五%ふえております。昨年度が二・六だったわけですから相当の伸びになったわけでございます。 ところが、御指摘のように、消費は五十九年度多少伸びが高まっておりますが、それほど伸びていないというのは、これは先生もちょっとお話しになりましたが、消費性向が少し下がっております。五十八年度が七九・二%でしたのが七八%台ぐらいにちょっと下がっておりますので、だからその可処分所得面では減税の効果が出たんですが、貯蓄に回って消費には回らないという格好に今若干なっている感じがいたします。ただ、これは私どもはやはり一時的な現象ではないかと思います。物価が落ちついておりますし、消費者心理を示します消費者態度指数などを経済企画庁調査いたしておりますが、だんだん消費者心理が明るくなってきておりますので、ちょっと下がった消費性向はやがて上がってくるということで、消費の伸びもその面からもやや上向きに今後なっていくんではないかというふうに考えております。
○竹田四郎君 これ将来の問題ですからね。調査局長のおっしゃったとおり、将来伸びていくかどうか私はわからないと思うんですけれども。一部に、これは企画庁はそうはおっしゃっておりませんけれども、物離れだとか、あるいは耐久消費財というようなものに対する購買意欲がないだとかいうようなことが最近盛んに言われております。そうしてみると、その可処分所得、それからもう一つは将来のその年金等に対する不安材料というようなものもやっぱり貯蓄へ向かわしている。それに外国で高金利だというからそれへつながっていくという貯蓄の方向にいくんだろうと思うんですけれどもね。そういう方向というものを修正していく役割というのは私は政府にあると思うんですね。これは企画庁だけじゃないと思うんですが、政府にあると思うんですよね。 そういうふうなことを考えてみますと、今度の経済見通しで雇用者所得の伸びを五%というふうに踏んでいらっしゃいますけれども、五%では私は内需の拡大に貢献しないだろう。それは少しはしますよ。目立ってことしの政府の大きな役割である内需拡大というものにはいかないだろう。しかも、今、減税というものが非消費支出を下げたというお話でありましたけれども、それがないとすれば、当然累進課税の形はことしは受けてきますし、社会保険料だっても収入がふえればふえていくわけですからね。とても私は五%あたりで内需拡大いたしましたというような材料にはならぬ、こう思うんですよ。 あと頼るのは、もう政府の方から出すものはないわけでありますからね。政府の方は取り上げるものが多いんですから。公共料金の値上げだとか、あるいはいろんな税金、増税だとかでね。増税でも、今度だって三千百六十億ぐらいの増税にはなるわけですからね。そうなってくると、やっぱり消費の拡大へと向かう部分というのは私は少ないだろうと思うんですね。あとは春闘を一体どうするか。最近、日経連でも、定期昇給だけじゃなくてベアも認めようということですから、それは一つの大きな進歩であろうと私は思うんですけれどもね。この辺は一体五%で、これ大臣、もう少しその辺をふやしていかないと、内需拡大という大きな目標に到達しないだろうと私は思うんですね。そういう意味で、あと残るものはことしの労働組合のやる春闘だけが内需拡大をするのかしないのかという、選択は一つしかない。これで去年みたいな五%、去年は四・四六%でしたか、それが五%やっとというようなことでは、とても内需拡大には私はならぬと思うんですよ。この辺は大臣どういうふうにお考えになっていますか。もう少し内需拡大をしていかないと、ことしの経済見通しの四・一%の伸びにすら達しないんじゃないか。去年だってそうだったですからね。ことしは達しないんじゃないかと私は思うんですが、その辺は、まだ見通しですからわからぬと、そうするとおっしゃるにこれは決まっているですけれどもね。私はそういう心配を持っておりますよ。ですから、その辺は政府もやっぱり指導して、ことしは内需拡大の年にしていかないと、本当に世界的な情勢というのは私はもっと厳しくなると思うんですね。 もう時間が来ましたからお答えは要りませんからね。もう少しその辺については政府として積極的な姿勢というものを所得拡大に対して示していただきたい。このことをお願いして私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○糸久八重子君 私は高齢化問題に絞って、経企庁、そして厚生、労働両省にお伺いをさせていただきます。 まず、厚生省の人口問題研究所による将来推計人口は、二〇〇〇年における老齢人口割合が一五・六%に達すると予測をしております。二〇〇〇年には高齢化社会から文字どおり高齢社会となるわけでございます。この変化に対応して、経済社会の構造や慣習等も変えていかなければならないと思うのですが、そしてこの施策に万全を期しておかないと、社会的な摩擦が大きくなって、経済的、社会的混乱が生じてくるのではないかと思います。 国民生活に関する世論調査によりますと、四十代後半から六十代前半層の人たちが老後の設計に大きな不安を感じていると示されております。それは、政府が、高齢化社会の到来、そして年金、医療はパンクをする、さらに先進国病になる等々、大変暗いイメージを売り込んだことや、また最近の医療、年金に見られるような福祉政策の後退によってその不安度が増すばかりではないかと思います。このような高齢社会のツケを国民に回すだけでは、公的な責任の放棄と言えるのではないでしょうか。二十一世紀に確実に到来する高齢社会に向けて、明確で責任のある、そして国民の納得のできる長期ビジョンを政府が国民に示す必要があるかと思いますけれども、長官のお考えをお伺いすると同時に、また、高齢化対策は多方面にわたっているために、施策の総合化が必要だろうと思います。経企庁は高齢化の総合施策においてどのような役割を果たしているのかもあわせてお伺いをさせていただきたいと思います。
○政府委員(大竹宏繁君) 仰せのとおり、高齢化の問題に対しましては政府が総合的に対応していかなければならないということはそのとおりでございます。私どもは総合調整官庁といたしまして、そのような点から、主として長期の経済運営の観点でございますけれども、高齢化社会の到来という問題をかねてから意識をし、「二〇〇〇年の日本」あるいは「展望と指針」といった長期の政策運営の中で問題を取り上げ、具体的な問題点の指摘も行い、関係省庁で総合的な政策をとるように長期の政策の枠組みを設定し、私どもなりの勉強もし、各省庁にそういった方向で政策を推進するように協力をお願いをしておる、こういう状況でございます。
○糸久八重子君 長官、いかがでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 御指摘の点は、大変大事なことでございまして、高齢化社会を迎えるに当たって、そういった社会経済情勢に対応できるような水準で福祉の問題、雇用の問題に心配をかけないような対策を十分とるように、今、関係各省とも十分連絡をとりながら政策を練っておる最中でございます。
○糸久八重子君 それでは、具体的な問題等については、これからのまた委員会の中で詰めていきたいと思いますけれども、政府は従来、例えば「二〇〇〇年の日本」という中で、「高齢化に対応した福祉社会の形成」という言い方をしていたわけですが、最近は、「人生八十年時代」、例えば厚生白書にいたしましても、それから国民生活白書にいたしましても、そのような言い方に変えてきているわけですね。人生八十年時代といいますと、何か大きな視野から見た社会的な問題というのではなくて、個人の生き方のようにも聞こえるわけです。こういうふうに言葉を変えた理由というのはどこにあるのでしょうか。そしてまた、高齢化社会を支えるシステムと、人生八十年型システムとはどんな違いがあるのかをお伺いさせていただきたいと思います。
○政府委員(大竹宏繁君) 長期の展望をいたしております「二〇〇〇年の日本」、それから「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、いずれも高齢化社会に触れておりますが、ただいまお触れになりました「二〇〇〇年の日本」の各論の中に、「高齢化に対応した福祉社会の形成」という言葉がございます。ただその言葉は、それと同時に社会システムとして人生五十年から人生八十年の時代に改めていく必要があると、そういう指摘をいたしております。したがいまして、社会的なシステムとしてということでございますので、単に個人の生き方という、いわば社会的あるいは公的な側面を取り除いた個人ベースの物の考え方として、人生八十年時代といった言葉を使っていたわけではございません。 現在の経済計画であります八〇年代の「展望と指針」におきまして人生八十年時代といった言葉を使っておりますけれども、趣旨は、単に個人的な対応で済むということで使っているわけではございませんで、それにふさわしい社会システム、公的部分も含めました、政府の施策も勘案しました全体としての施策を総合して人生八十年時代と、こういうふうにやや言葉を具体的にしたというような意識でございまして、政策を変えるというような意図があって表現を変えたというわけではございません。
○糸久八重子君 これまでの高齢者対策は、とかく福祉給付対象となる高齢者の人々を特定化し、そして施設に隔離して保護をしたり、また通常の生活を送り得ないことを条件として援助したりしてきたのでありまして、その意味では福祉の受給者を特殊化し、そして通常の社会的な生活から隔離して扱うという傾向があったやに思えます。 我が党は「中期社会経済政策」において高齢者対策の原点原則、基本理念として「心身や経済上のハンデの有無にかかわらず、すべての人々が自立した市民としてふつうの社会生活を営みつつ、社会への参加のなかで福祉を享受しうること、いいかえればノーマライゼーションを」採用すべきだということを決めております。高齢者社会を迎えて、福祉の新たな発展を目指すためには福祉社会の形成が必要となりますけれども、政府は高齢者対策の基本原則にかかわるこのノーマライゼーションを採用するお考えはあるのかないのか。
○政府委員(大竹宏繁君) 御指摘のような方向でノーマライゼーションを進めていくという必要があるというふうに、政府としても考えておるわけでございまして、そのことは「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の中でも明確に述べておるところでございます。
○糸久八重子君 それでは次に、高齢者の雇用の問題についてお伺いをさせていただきます。 高齢化が進行している現在、一人一人の生涯生活が円滑に過ごせるように方策を編み出さなければならないわけですけれども、つまり学窓から職業生活、そして隠退生活への移行がスムーズに行われることが必要だと思われます。その中で、特に職業生活から年金暮らしへうまく道を開くことが大切ではないかと思います。六十歳前半層は、現在の四百八十五万人から十五年後には七百五十五万人、さらに二十一世紀初頭には二千万人にも達すると予測されておりますけれども、この人たちの雇用確保こそ緊急の課題ではないかと思っています。六十歳台前半層雇用対策研究会からの提言も示されていますけれども、政府は具体的にどう対処していくのかお伺いいたします。
○説明員(七瀬時雄君) 本格的な高齢化社会を迎えまして、経済社会の活力を維持し、発展させていくためには、高齢者の高い就業意欲を生かし、その能力を有効に発揮させていくということが重要である、この問題が極めて重要な政策課題であるというふうに労働省としては認識しております。 具体的には、現在六十歳定年の一般化ということで、できるだけ早い機会に六十歳まで定年延長が一般化するように行政としても努力するし、労使の方々にも御理解を賜って、現在六十歳定年が過半数を超えたというような状況で、今後とも定年延長の推進には一層努力していくつもりでおります。 ただいま先生御指摘の六十歳代前半層の問題でございますが、高齢化と申す中で、高齢化の波が六十歳前半層に徐々に移行していくという問題は、私どもといたしましても十分認識しておりまして、今後とも六十歳前半層の方々の具体的な状況に応じながら各種の施策を講じていくというふうに考えております。例えば、六十歳定年を設けている企業においても、それ以後も六十歳前半層の段階において同一企業あるいは企業グループにおける雇用延長をできるだけ進めていくようにお願いするし、また必要な助成措置を講じていくというような対策を講ずるとともに、また六十歳前半層になりますと、それぞれ労働者の方々にも希望やニーズも多様でございますので、短時間の就労あるいは任意就業を希望する方には、シルバー人材センターのシステムでありますとか、あるいは短時間雇用の助成制度を活用するとかそういった形で今後とも対策を考えていきたいと思っております。 いずれにいたしましても、こういった問題は今後体系的に総合的な施策として樹立していく必要があると考えておりますので、雇用審議会あるいは中央職業安定審議会等の関係審議会の御意見なども承りながら、高齢化社会にふさわしい施策を樹立するよう労働省として努めてまいりたい、かように考えております。
○委員長(対馬孝且君) 関連として山田君。
○山田譲君 私は、ごく具体的な問題として、今の言葉に出ましたシルバー人材センターですか、これについてお伺いしたいと思うんです。 実は、私、前橋ですが、ときどきそのシルバー人材センターのお世話になって、おばさんに来てもらって掃除をお願いしたり、あるいはまた植木の手入れをお願いしたりしているわけです。そこで、私がいろいろそういう人を見ながら考えていることがあるものですから、それについて二、三お伺いしたいと思います。 まず最初にお伺いしたいのは、今もおっしゃったように、もちろんこれは定年以降の問題でありますけれども、高齢者に対する雇用を何とか確保していくということが非常に重要だと思うんですけれども、そういう高齢者の雇用対策といいますか、そういう中で、人材センターのようなものの位置づけといいますか、それをどういうふうに考えていらっしゃるか、あるいは今後も高齢者対策を進めるに当たって、こういったものをさらに積極的に進めようとしておられるかどうか、まずそこからお伺いしたいと思うんです。
○説明員(長勢甚遠君) シルバー人材センターは、いわゆる一般的な雇用の形態から引退過程にある方々に対する対策として位置づけております。したがいまして、六十歳以降におきましても雇用の形で職業生活を送りたいという希望の方々に対する雇用対策を重視することというのは当然でございますが、調査等によりましても、六十歳を超えられますと、雇用関係ではない任意の形での就業を希望されるという方々が二割前後ございます。シルバー人材センターはそういう方々に対する対策として位置づけて進めてまいっております。 今後ともこういうニーズはますます増大をすると思っておりますので、私どもといたしましては、そういう意味でのシルバー人材センターの拡充強化というものを一層推進をいたしたいと、このように考えております。
○山田譲君 その次にお伺いしたいのは、シルバー人材センターの法的な性格でありますけれども、あれを一体どういうふうに法律的に考えるか。つまり働いている人たちとそれからシルバー人材センターとの関係は一体雇用なのか雇用でないのか。そしてまた、行った先で、例えば私が使ったとすれば、私とその掃除に来てくれたおばさんとの関係は一体雇用なのか何なんだろうか、こういう問題があるわけです。 それに関連して、安定法上はいわゆる労務供給とかあるいは職業紹介とかという関係がありますけれども、どうもいずれにもこの関係は当てはまらないような感じがしてならない。つまり労務供給でありますと、当然組織と本人との間に雇用関係があるということになるでしょうし、それから職業紹介であれば行った先の人との間に雇用関係が生ずる、そういうことになりますけれども、どうも人材センターに関してはそのいずれでもないような感じがしてならないわけです。この法律的性格をはっきりしておきませんというと、何かあった場合にだれが一体責任を持つかという非常に大きな問題が出てくる。例えば私ども植木屋さんをお願いしたんですが、人材センターから来てくれたけれども、あのようなお年寄りが、例えば木から落っこちてけがをしたというふうな場合に、一体私が責任を負わなきゃならないのか、あるいはまたセンターが負わなきゃならないのか、あるいはだれも負う必要はない、本人が勝手に落ちたんだといってほっておいていいかという問題、このような法律的な問題が出てくるわけですから、その辺はどうなっているか、明らかにお示し願いたいと思うのです。
○説明員(長勢甚遠君) シルバー人材センターは社団法人という形で組織をいたしておりまして、会員の方々の社団という形をとっております。 今、先生お尋ねの件は、仕事の関係についてでございますが、社団であるシルバー人材センターが、発注者の方々から一定の仕事を請負または委任という形で引き受けをいたしまして、その引き受けた仕事を会員の方々にまた、請負または委任という形で仕事をしていただく、こういう法律構成をとっております。したがいまして、発注者の方と会員との関係は、形式的には直接の法律関係は生じない、こういう形で構成をいたしております。したがいまして、当然御指摘の労働者供給ですとか、職業紹介という関係は生じませんし、雇用関係という問題は生じないという形で運営をいたしております。 これは最初申しましたように、雇用関係でない形で就業したい、任意就業の形で就業したいという方々に対するそういうニーズにこたえるための組織でございますので、そういう形が会員の方々にも喜ばれておるわけでございます。 なお、もし仕事中に事故等が起きた場合にどういうことになるのかという問題でございますが、今申しましたような法律関係から直接発注者の方々への責任というものは生じませんし、またセンターと会員の関係でも直接生じないわけでございますが、やはり事実上そういう問題も生じますので、具体的にシルバー人材センター団体傷害保険という制度を任意に設けておりまして、そこで万が一事故等が起きた場合には、それなりの補償ができるようなシステムを現在講じております。 以上でございます。
○山田譲君 そうしますと、関係法律としては労務供給でもない、あるいはまた有料職業紹介でもない、委任なりあるいは請負というふうな関係で成り立っている、こういう話で、それはそれなりにある程度法律的にはわかったわけですが、今の補償の問題ですけれども、これをもう少し詳しくお聞きしたいと思うのです。補償が幾らぐらいになっているのか、あるいはどういう補償になるのか。当然公的な補償じゃないと思うのですけれども、それはどうなっているか、そこら辺をちょっとお伺いしたいと思うのです。
○説明員(長勢甚遠君) これは全国のシルバー人材センターと各損害保険会社との間で、それぞれに個別にシルバー人材センター団体傷害保険契約という特別の傷害保険契約がございまして、それに加入をいたしております。契約の内容は、個々のシルバー人材センターによって若干の違いはございますけれども、したがいまして、これですというふうには言えませんけれども、例示的に申し上げますと、例えば死亡等については二百万円ぐらいとか、あるいは通院については一日二千円ぐらいとか、若干それより高いものもございますけれども、そういう形で保険契約をし、それにより補償が行われておるという実態にございます。
○山田譲君 そうしますと、その保険料はセンターが払う、こういうことになっているわけですか。
○説明員(長勢甚遠君) ほとんどのセンターがセンターで払っておるやに伺っております。一部には会員にも若干負担をしていただいておるところもあるように聞いております。そこら辺私どもの方で特別指導はいたしておりませんので、各シルバーの社団法人の中でお決めいただいておると思います。
○山田譲君 実際問題として、私が例えば有料職業紹介で家政婦を使った、そういう場合と、センターからお願いして手伝いのおばさんに来てもらったという場合に、その働いておる実態から見ますとこれは全く同じような状況にあるんですけれども、やはりそれは委任と雇用の違い。そうしますと今の家政婦の場合は、私と家政婦の間に雇用関係ありと、こういうことに考えてよろしいですか。
○説明員(長勢甚遠君) 有料職業紹介の紹介された方と先生との関係は、直接の雇用関係になるかと思いますけれども、ただ補償の問題につきましては、家事労働でございますのでまた若干別の問題があるかと思いますが、そういう意味で、センターの会員との関係とは違った形になると思います。
○山田譲君 今の法律的には、さっきおっしゃったように、あくまでもセンターが請け負って、それをさらに再び働く人に請け負わせて、そして私なら私のところへ来る、したがってそれはあくまでも請負なり委任を受けてやるということであって、私との間に雇用関係はない、こういうことをおっしゃっているんだろうと思うんです。 しかし最近は、例えば労働省で今考えていらっしゃる人材派遣事業というふうなものを見ましても、どうも今までの雇用関係とちょっと違うような雇用というものがこれから出てくるんじゃないか。今の人材センターの場合もそれに類するような感じがしてならないんですけれども、雇用関係というか何関係というか、いまだにはっきり言えないと思うんですが、そういうものについてのまた新しい立法措置というふうなものをつくって、そしてそういうものをカバーするようにする。やっぱり委託や委任という、なかなかすっきりとしない点もありますので、そこら辺についての今後の労働省のお考えはどうですか。
○説明員(長勢甚遠君) シルバ—人材センターの趣旨については、最初申し上げましたように、雇用関係ではない任意の形で、随時適当な仕事があれば仕事をしてみたい、生活のためではない一種生きがい的な就業ニーズがございますので、これに対応する形として今考えておるわけで、その関係は今後ともそういう形で運営していくのがいいんではなかろうかと思っております。 ただ、現実には先生おっしゃいましたように、非常に雇用に似通った形の就業実態もあるんではないかとか、あるいはそっちの方で面倒見るのが筋ではないかという層の方々もあるいは運営上紛れているというか、入っていることもございます。私どもとしましては、そういう方々は当然通常の職業安定機関のルートでのサービスをしていただくのが筋だと思っておりますので、シルバー人材センターの方では、今言いましたような政策目的に従った運営をしていただくように指導をし、そういう必要な方々には別途安定所等に移管をするというか、お願いをするような方向で指導をしていきたいと思っております。 ただ、先生さらに制度的に新たなものを考えたらどうかという御指摘でございますが、私ども、先ほど企画課長からも答弁をいたしましたように、今後高齢者対策全般を見直す中でこのシルバー人材センターのような機能も充実するとともに、それを政策的にどういう位置づけにしていくか、さらに改善をすべき点があるかについても、その検討の中で総合的にもう一度見直しをしてみたい、このように思っております。
○山田譲君 もう時間が来たからやめたいと思いますが、いずれにしましても定年を過ぎた人たちあるいは六十を過ぎても元気でいらっしゃる方に、雇用の場なりあるいは今のようなセンター的なものをつくって働く場所を与えてやるということは、高齢者に対する対策として大変重要なことだと思うんです。そういう意味で、人材センターはかなり各市に喜ばれているということも事実でありますから、どうかこの点について法律的にもはっきりしておいてほしいし、それから補償の問題につきましても、恐らくお年寄りですから非常に危ない点もあるわけですね、だからどのくらい補償するのがいいか悪いか、それは問題があるところだと思いますけれども、そこら辺を十分お考えの上、この制度についてはもっと充実強化していっていいんじゃないかというのが私の考えでございますから、どうぞよろしくお願いします。 これで終わります。
○糸久八重子君 雇用問題でもう一つお伺いさせていただきます。 高齢者は若年者に比べますと、とかく生産性が劣ると見られがちなんですけれども、各種の調査によりますと、工場設備を、例えば計器の数字を大きくするとか、作業姿勢の改善をするとか、機械化による筋力作業の減少とかによって、そういうことを改善することによって、長年の訓練を有する高齢者というのは若年者以上の能力を発揮すると言われているわけです。また最近の先端技術を利用した機械についても、十分な教育訓練期間を与えれば適応できると言われているわけです。このような高齢者に対応した設備投資とか、企業の高齢者の教育訓練の費用について優遇措置をとる考えがおありになるのかどうか、経済運営を担当していらっしゃる経済企画庁としての御意見を賜りたいと思います。
○政府委員(大竹宏繁君) 今、高齢者の職業能力についての調査をお引きになって御指摘がございました。私どももその調査については承知をいたしております。 昨年、当局におきましても、高齢者の職業的な能力を生かしていくという必要性についてそれなりの勉強もいたしました。新しい情報機器を使う訓練あるいは肉体的な能力を補助するといった形での新しい機器を導入することによる高齢者能力の活用ということの必要性は十分認識しておるつもりでございます。ただ、これをどのような形で実施をしていくかということは、いわば私企業の中で行うわけでございますので、政策的にどの程度政府が介入し補助するのかということは、また別途全体の施策の中で総合的に検討していかなければならない問題であると考えております。
○糸久八重子君 それでは社会保障関係の方に移りたいと思いますが、人口の高齢化が進むことで社会福祉各分野の費用の増加は避けられないと考えられます。今後国民所得の相当な部分を社会保障のために割かなければならなくなるのではないかと思いますけれども、政府の「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の中では「将来の租税負担と社会保障負担とを合せた全体としての国民の負担率は、ヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめることが望ましい。」と述べられているわけですけれども、高齢化の急速な進展を考えた場合にかなり増大することは避けられない。そこで、具体的に何%程度が望ましいとお考えなのか、長官の御意見をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(大竹宏繁君) 「八〇年代経済社会の展望と指針」で述べられておるところはそのとおりでございます。 具体的にこの率が幾らであるかということは、仰せのとおりはっきり書いてはありません。ただ、イギリス、西ドイツ等が五五%前後である。それからフランスはもう少し高いし、北欧になるともっとさらに高くなってしまうという状況でございます。したがって、西欧の水準というので五五から六〇というのもあるわけでございますけれども、それをかなり下回る。ということは現在三五でございますから、おおよそのところ、これは五十八年度の数字でございますが、三五・七という実績になっておりますので、そこから例えば五五をとった場合かなりの差があるわけでございます。それがどの程度になればかなりであるかということは、なかなか一義的に幾つという数字を現在まだ示す状況になっておらないと思います。税もございますし、特に社会保障という面からはこの負担率幾らになるかということを、制度改正も現在進行中でもございますし、そうした状況の推移を踏まえながら十分な御議論をいただき、具体的な数字については詰めていなかければいけないというふうに考えております。
○糸久八重子君 それでは続きまして、寝たきり痴呆老人問題についてお伺いいたします。 先日一月の八日ですけれども発表されました厚生行政基礎調査によりますと、全国の寝たきり老人数は在宅と入院を合わせて三十六万六千人、そして三年前に比べますと四万二千人も増加しているということが明らかになっているわけです。さらに、このほか特別養護老人ホームに入所している寝たきりの老人が約十一万人おるわけですから、総計しますと四十八万人の寝たきりのお年寄りがいるということになりますね。今後はヘルス事業の一層の充実によって健康な老人づくりの徹底が望まれるわけですけれども、寝たきりや痴呆老人など要援護老人の発現率というのは、やっぱり平均年齢が高くなるとともに高まってくることは否めません。二〇〇〇年ころには現在の二倍程度さらに寿命の延びで高齢人口は増加をするだろう。そして寝たきりや痴呆老人の出現が多く予想されるわけですけれども、このような事態に対してどのような基本的な対応を考えておられるのかお伺いしたい。
○説明員(阿部正俊君) 先生御指摘のように、現在寝たきり老人が大体約五十万弱と推計されておるわけでございまして、お話のとおり、これから高齢者の総体的な数がふえてまいりますと、特にその中でいわゆる後期高齢者人口といいましょうか、七十五歳以上ぐらいの方を念頭に置いておるわけでございますけれども、こういったような方になりますと、やはり寝たきりとかいう状況になる確率が一層高くなってくるわけでございますので、そのための予防というふうなものを、できるだけ対策を講じますけれども、それにしてもやはり相当な部分がそういった状態になるのが避けられない状況であろうというふうに思っております。 したがいまして、私ども老人福祉という意味での課題は少なくないわけでございますけれども、これからの最も力を入れなきゃならぬ対策の一つというふうに考えておりまして、具体的にはいろんな専門施設の整備とか、在宅関係のサービスというものの拡充ということを通じてやっていこうというふうに考えておりますが、どちらにいたしましても、やはりまずそのサービスの体制の量的な拡大というのは避けられないだろうというふうに思っておりますので、その辺について、財政状況との関連もございますけれども、できるだけ計画的に拡充に力を入れてまいりたい、こんなふうに考えているわけでございます。
○糸久八重子君 寝たきり老人とか痴呆老人等の介護者についても最近盛んに地域在宅対策の充実が言われておりますし、特に寝たきり老人のための特別養護老人ホームの整備が大変に立ちおくれているというのが現状でないかと思います。 厚生省の調べですと、特養への入所を希望しながらあきがないために待機している寝たきり老人は、全国で一万五千人程度とのことなのですけれども、潜在的な希望者はかなりの数に上って、そして受け皿不足から、やむなく家庭での介護が行われたり、また病院に入院をしたりという方もいるようですけれども、特に特別養護老人ホームの不足状況についてはどう認識して、また将来の高齢社会に向けてどのような整備計画を立てていらっしゃるのかお伺いさせていただきたい。
○説明員(阿部正俊君) 御指摘のとおり、現在特別養護老人ホーム、主に日常生活面で相当部分の介護を要する方、いわゆる寝たきり老人と呼称しておりますが、そういったふうな方につきましてお世話をする施設として、特別養護老人ホームというのが全国で約千五百カ所ございます。入所されている方が約十一万人程度というふうに認識しておるわけでございますけれども、御指摘のとおり、まだやはり希望してもあきがないといいましょうか、待機されておる方が一万数千人おるだろうというふうに見ておりまして、私どもとしても、そういったふうな御要望に、需要に応じまして毎年約百カ所程度新しく整備してまいってきておりますが、来年以降も、六十年度予算では、まだ具体的な数は決めていませんけれども、大体例年より以上の整備を図らなきゃいかぬというふうに考えております。 ただ、先生御指摘のように、長期的な展望となりますと、率直に申しまして先生御存じのとおり、現在老人病院といいましょうか、かなり似たような状況で病院におられる方もおりますので、果たして特養ということだけで対応していくのがいいのかどうなのかというふうな問題もございますので、量的な拡大を図るためのもう少し積極的な政策というのを打ち出す手はないだろうかということの問題の認識も持っておりまして、その辺についてもう少し多面的にといいましょうか、特養の増設というだけに限らず、少し対応策を検討したい、こんなふうに考えておるわけでございます。
○糸久八重子君 在宅の寝たきり老人の介護者を見ますと、介護者は全体の九割近くが実は女性であると。そして嫁、妻を中心とした彼女らの家庭崩壊寸前のぎりぎりのところまできているというのが現状でございますし、また私の身の周りにもそういう方たちがたくさんいらっしゃいまして、うかがい知ることができるわけですけれども、今後の要援護老人の介護につきまして地域対策や在宅対策を大幅に充実していかなければならない。家庭での介護が不可能なケースについての受け皿として、やはり専用施設を強化していかねばならないと思うんですけれども、特にこれからは女性の職場進出とか核家族化が進行し、家庭における介護力の一層の低下も考えられ、専用施設の需要というのは非常に高まらざるを得ない。将来においてこういう施設の位置づけについてはどう認識をされていらっしゃるのか。
○説明員(阿部正俊君) 御家庭での介護につきましては、先生御指摘のとおり、いわば非常に女性の手に頼っているというのが現状だろうというふうに認識しております。 ただ、一方で御老人の処遇という面から考えますと、先ほど先生から御指摘のございましたように、ノーマライゼーションというふうな視点からも、御家庭から即座に切り離して専用の施設に収容するというふうな物の考え方ではいかぬだろうというふうに思いますので、やはり私どもとしてはいわゆる在宅対策というものの強化ということもあわせて考えていかなきゃいかぬ、こういうふうに思っておりまして、例えばホームヘルパー制度の拡充だとかあるいはショートステイといいまして、いわば施設入所はしないんだけれども、まさかのときには、短期間ですが、一週間程度お預かりいただくとかというふうな制度をもう少し一般的に拡大していくとかいうふうなことを考える必要があるだろうと思いまして、限られた予算ではございますけれども、来年度もまた拡大をしたいと、こんなふうに思っております。 それからいわゆる施設といいましょうか、専門施設の位置づけでございますけれども、これにつきましても先ほど先生から御指摘のございましたように、いわゆるノーマライゼーションというふうなことは当然でございますので、私どもも五十人なら五十人、百人なら百人という入所された老人の方々だけのための収容施設というふうなイメージではなくて、その地域のいわば専門サービスセンターというふうな位置づけで物を考えていくようにしたいと思いまして、例えば先ほど申し上げましたデーサービスとかショートステイとかそういったふうな地域一帯の老人に対するサービスの機能もその施設に持たせましてやっていきたい、こんなふうに考えておりますので、できるだけ在宅と収容というふうに画然と分けまして、在宅から切り離して隔離して収容するというふうな発想ではなく、ノーマライゼーションというような考え方に立って施設の機能の位置づけをしていきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
○糸久八重子君 今の御答弁の中にもあったんですけれども、老人ホームは収容の場ではない、やはり生活の場として位置づけなければならないと思うんですけれども、老人福祉法の中には「収容」という言葉があるわけですからお使いになっていらっしゃるんじゃないかと思いますが、やはり二十一世紀の本格的な老齢社会を展望した老人福祉の発想の転換とか、それから福祉システムの再構築が必要になってくると思うんですけれども、こういう収容という言葉を変えていく法改正についてはいかがなんでしょうか。
○説明員(阿部正俊君) 老人福祉法だけにとどまらず、かなりのいわゆる社会福祉諸法が収容という言葉を法律上は使っておりますので、私も収容と申し上げておるわけでございますけれども、ただ私どもとしてはやはり収容というイメージの中には、先生先ほど御指摘のございましたように、一般社会から隔離して特別なところに入れるんだというふうなイメージがどうもつきまとうように受けとられております。したがいましてこの辺については私ども実際上の言葉遣いとしては入所という言葉に実は変えておるわけでございますので、法律改正等につきましては、いずれそういう機会がございましたときに、国民感情にマッチしたような言葉遣いに改正することも含めて検討するようにしたい、こんなふうに考えております。
○糸久八重子君 最後に一言。 高齢化社会から高齢社会に移るのはもう時間がありません。あと残すところ十五年程度で高齢社会になるわけですけれども、その短い時間の中でやはり早く対応していかなければならないと思うのですが、そういう意味では専門のスタッフがたくさんそろっていらっしゃる政府として、きょうは余り具体的な回答も得られないで、これから推進していくんだという答えが多かったようなんですが、そういう意味では、やはりスピードを上げてこれに対しての対応をしていかなければならないということを痛切に感じさせられましたので、そういう意味も含めてこれからの御努力をお願い申し上げまして質問を終わります。 ありがとうございました。
○刈田貞子君 質問をさしていただきます。 ESPで長官の年頭所感を読ませていただきました。その中から幾つかのことを伺わせていただきたいと思います。 私はきょう前段の質問の中で、本年の経済見通しあるいは経済運営等についてお伺いをする予定でございましたけれども、前段で同僚委員の方のいろいろな御質問がございましたのでそういうことは重複を避けまして、長官の年頭所感の中にその質問を含めてみたいというふうに思います。 長官の言葉の中に、後段の部分でございますが、「民間経済の活力が最大限発揮されるような環境整備を行うとともに、景気動向に即応した適切かつ機動的な政策運営に努めてまいりたい」ということをお書きになっていらっしゃるわけでございますけれども、私は先ほどから同僚竹田委員のお話を聞いていることの中で、経済は回復の兆しを見せている、そして明るい条件がそろってきているにもかかわらず、それが国民生活に還元されていく部分が非常に少ないということがことしの最大の課題ではなかろうか、それがやはり政策の中にあらわれてこなければことしは大変だというふうに思って伺っておったわけでございますが、実は私自身が持っておったテーマもそのことなんですけれども、そこでお伺いいたしますが、この民間経済の活力が最大限発揮されるような施策ということは具体的にどういうことを念頭に置かれながらこういう言葉を述べておられるのか、そしてそれを講ずることによって国民生活がいささかなりともその恩恵をこうむる形になっていくのかどうか、まずそのことからお伺いします。
○国務大臣(金子一平君) 御承知のとおり、今日財政は全くサラ金財政の様相を呈しておりまして、普通の状況ならば、公共事業費を景気が悪ければうんと伸ばすとか減税をやるとかいうことで日本全体の景気を上げることができるわけでございますけれども、それができない状況でございます。いろいろの工夫を大蔵省やってくれまして、あるいは建設省も一緒にやってくれまして、公共事業の事業量全体としては財政投融資も含めて前年並みの確保をするようなことをやったり、それから、金額としてはことしは大したこともできませんでしたけれども、私どもの持論でございました投資減税、研究開発費に対する減税もやって、その方面から景気を刺激するようなこともやったのでございまするけれども、やっぱり一番大事なことは、この段階では思い切った民間活力を伸び伸びと発揮してもらえるような環境づくりを政府としてはしっかりやることが大事だと考えておるわけでございまして、そのために必要なのは、いろんな法律的な行政的な規制を——今は役所が多いものですから、あらゆる面に網をかぶせて民間の活動を縛っておりまするけれども、その網を着実に一つずつ外しまして、経済が伸び伸びと民間主導でできるような方向に持っていきたい、そういう願望を込めて今いろいろ民間活力の導入策を講じておるわけでございまして、一つの例を挙げれば関西の国際空港でもそうでございますが、今話題に上っております東京湾の横断道路にいたしましても、やはり民間の資金を導入してやろうということでいろいろ計画を進めておるようでございます。今各省にまたがる国有地の開放も考えております。 それで、例えばこういった地域に民間の技術とノーハウを入れてひとつしっかりとやってもらう、それはやっぱり相当大きな波及効果があろうかと思うのでありまして、都市開発にいたしましても規制がきつ過ぎますから、しかも民間資金を導入しようと思うと、やっぱりペイしないとなかなか乗ってきませんから、都市開発等につきましてもそういった構想をどんどん打ち出せるような態勢づくりを今一生懸命に努力しておるわけでございます。そういうことを考えながらやっておる次第でございます。
○刈田貞子君 民間活力の導入ということはかなり前から言われてきていることなんでございますけれども、私は経済の専門でないのでよくわからないのでお伺いいたしますが、即効性ということについてはどんなふうに考えられますか。
○国務大臣(金子一平君) これは即効性から言いますと、あるいはできないものもあるかもしれませんし、あるいは国有地の払い下げによってすぐ民間の資金が投入されてどんどん工事やればできるものもありましょう。いろいろあると思います。例えば今例に挙げました東京湾の横断道路にいたしましても、関西の国際空港にしましても、すぐそれが波及効果を一遍にもたらすということじゃなくて、徐々にそれが広がっていくということだろうと思うのですが、即効性のものもそういった中長期に効果のあるものもあわせてしっかりやっていくことが大事だろうと考えております。
○刈田貞子君 最近の新聞、ニュース等で全民労協の生活実態調査を大変興味深く読ましていただきました。 この中で、国民が中流意識を持っているという実態はやはり出てきているようでございまして、総理府の国民生活に関する世論調査等でも、中の中程度と考える人が五四%という数字とごくごく近い形でここへ出てきているように思います。しかし、この調査の中身を私も見せていただきましたけれども、その中身を見ますと、やりくり算段の中流であるという中身が非常に浮き彫りにされておりまして、国民生活決して楽ではないという実情が非常によくわかって、私は実は興味深く読ましていただいたわけでございます。 年収の二割を住宅ローンの返済に充てている家庭が約半数以上あるというふうなこと、あるいはまた一年間に家族旅行等を行ったことがないというふうに答えた家庭がやはり五〇%を超えているというようなこと、あるいはまた家計は収支とんとんが五〇・四%、やりくりは預貯金の引き出しあるいは借金でやりくっているというようなところが三五・一%というように、中流というふうに言っておられながら、その中身はやりくり算段の国民生活であるということが、私この勤労者家庭の実情を大変いたく読んだわけでございますが、長官、こういうことについてどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(及川昭伍君) 全民労協の調査、御引用がありましたけれども、総理府の調査でも、私どもが行っております国民生活選好度調査でも、中流意識は八割ないし九割ということであります。ですが、私どもも、中流意識が八割ないし九割であるから生活が非常に豊かであるとは必ずしも考えておりません。特に最近は、実質可処分所得が年率にいたしまして一%ないし二%程度しかふえていないわけでありますから、景気の回復、拡大を着実なものにして、物価の安定とともに実質可処分所得が着実に増加するような、家計に景気回復の効果が浸透するような、そのような経済運営が今後大事であるというふうに考えているわけであります。
○刈田貞子君 個人消費の伸びが非常に鈍化しているということ、あるいはまた可処分所得が少ないというようなこと、そういうふうなことが大きな家計経済を圧迫している要因になっているということを私は思うわけですけれども、とにかく経済の繁栄が国民生活に返ってこない限りは何の経済やということになりますので、ぜひその点よろしくお願いをしたいと思います。 昨年の十月の調査でございますが、個人消費が伸びていないという実情の細かい内訳を見てみますと、消費支出、支出の動向は、伸びているものというのが、保健医療費が二〇・八%、それから交通通信費が一一・五%、教育費が五・五%です。そして事実上暮らしというものにじかにつながっている被服、住居、食料、家具、雑費、こういう種類のものはマイナス三・六、マイナス二・二、マイナス一・九、マイナス〇・六、全部事実上減っているわけでございます。これが国民生活の実態であろうかというふうに私は思います。こういうものが数字が変わってこない限りは、景気浮揚、実質地についた景気浮揚ということもあり得ないというふうに私思いますので、政策の中でこういうものを喚起していく形のものをぜひおとりいただきたい、年頭初感を読ましていただきながらそれを感じたわけでございます。よろしくお願いいたします。 二点目にお伺いをいたしますのは、第三として長官がお挙げになっていらっしゃいますところの対外経済協力関係の問題でございますけれども、「調和ある対外経済関係の形成と世界経済への貢献」が非常に大切であるということをおっしゃっておられるわけでございますが、経済企画庁の所管の事業として海外経済協力基金の事業が一つあろうかというふうに思います。私は前からこの事業には関心を持っておりまして、ずっとその実績を追ってきたものでございますので、経過について等は伺う必要はないんですが、過去何回かの委員会でも各所で御討論が出ておりますし、それからまた課題も多いようでございますが、六十年度の予算編成に当たってこの海外経済協力基金がどのように論議されたのか、そのことをぜひ伺いたいというふうに思います。 ここにございますのは、副理事長の青木さんがおっしゃっておられるお話でございますけれども、赤字の問題を大変苦にしておられます。「結局資金調達コストが貸付金、出資金の利回りを上回っておる、いわゆる逆ざやが出てきておりますために生じたわけでございます。五十七年末で見ますと、貸付金、出資金の利回りが三・〇九九%でございます。それに対しまして資金調達コストが三・七三八%ということになりまして、〇・六三九%というのが逆ざやになっております。したがいまして、五十七年の決算で赤字が二百九億円出ております。これは五十九年度の予算で同額の交付金が予算上認められておりますので、これで赤字を埋めるというシステムになっておるわけでございます。」というふうにおっしゃっておられて、「こういうことが生じます基本的な原因は、ODAがだんだんふえてまいりまして、貸し付けの事業規模がだんだん大きくなっておりますが、一方、財政が非常に苦しくなっておりますので出資金に頼る部分がそう伸びない、借入金でその額を補っていくという格好になりますと、どうしても逆ざやが出てくるわけでございまして、私どもも非常に悩ましい状態にあるわけでございます。」ということをおっしゃっておられます。 予算書を見せていただきますと、六十年度ではこの五十八年分の赤字二百九十五億を交付金として計上しておられる、そういう実態になっているようでございますが、長官の世界経済への経済協力の貢献をしていかなければならないという思いの中にこういう課題を抱えておられることについてひとつ御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 対外援助、特に政府開発援助は六十年度が倍増計画の最後の年でございますものですから、いろいろの批判はございましたけれども、全体として一〇%増しの予算計上をやっていただいたわけでございます。今御指摘の海外経済協力基金の方は、交付金の方は従来の赤字を二百九十五億円交付金をもらいまして埋めると、出資金も全体として千六百九十億ですか、出資をふやすようなことをいたしましたんですが、予算全体の規模を圧縮している中でこれだけの予算獲得できましたのは、大変大蔵省好意を持ってやってくれたと、私どもの努力のしがいもあったと思っておるんですが、でき得べくんばひとつ、とにかく日本経済は世界経済の一割を占めておるんですから、必要な方面にはもっともっとやりたいという気持ちを持っておることは事実でございますが、現状においてはこれが精いっぱいの段階と私ども理解いたしております。
○刈田貞子君 政治姿勢として長官がそういう姿勢を持っていらっしゃるのは私は大変必要なことであろうかというふうに思うんですけれども、事実上は赤字がどんどん累積していくということについてどういう考え方を持たなければならないかという問題がもう一つあろうかというふうに思うわけですね。 一方で、これはやはりかなり高度な判断を要する国際協力というような形の政治姿勢を持たなければならない立場にありながら、一方では赤字というふうな非常に制約を受ける判断も持たなければいけないということで、これがそういう国際協力というような場面での足を引っ張るという要件になっていかなければよろしいがというようなことを私危惧しておりますものですから、こういう問題を取り上げておるわけでございますが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 大変力強い御支援をいただいて私ども心強く考えておる次第でございます。財政さえ許せば大蔵省ももっともっと出資金をふやしてくれるはずなんですけれども、何としてもないそでは振れないで、ことしも九十億の出資金をふやすのも大奮闘をしたようなことでございましてね、たたずまいは借入金でやってくる、それは来年もまた赤字がふえるというようなこと、これは毎年同じようなことを繰り返しておってはいけませんので、私どもも抜本的な対策は講じなきゃいかぬという気持ちは持っておりますが、ことしは御承知のとおりな財政事情でございますので、精いっぱいのところではなかったかと考えておる次第でございます。
○刈田貞子君 副理事長は先ほどの言葉の続きでこういうことを言っておられます。「これを改善するためには、何といたしましても逆ざやでございますので、出資金の比率をふやしまして、一般会計の負担を多くしていただくというのが基本的な対策でございますが、同時に、非常に厳しい財政事情にございますので、やはり基金の事業規模あるいは貸付条件というもののあり方について、」検討していかなければならないというふうなことを発言しておられるわけでございますね。 そこでお伺いをするわけでございますが、そのあり方についての検討ということになりますと、例えばどういう事柄になりますでしょうか。
○政府委員(赤羽隆夫君) お答え申し上げます。 まず、日本が国際的に置かれております地位に応じた責務を果たすという意味で経済協力を拡充していかなければいけない、これは先ほど大臣からもお答えいたしました基本的な考え方でございます。しかしながら、その中におきましてやはり基金という一つの経営体としての収支対策というのを講じていかなければいけないこともまた事実である、こういうことでございまして、当面行っております基金の収支対策、これにつきましてはある一部のプロジェクトにつきましては金利を上げるといったようなこともやっております。それはそれぞれのプロジェクトを子細にチェックをいたしまして、もう少し高い金利でも払っていただける、こういったようなことも考えてやっておるわけです。これからのもう少しより中長期的な観点からの対策、こういうことになりますと、六十一年度以降の新しい経済協力のあり方、こういうものを議論する中で関係の省庁がこの収支対策につきましてさらに協議をしていこう、こういうことで今関係省庁の間で議論をしている、こういう状況でございます。
○刈田貞子君 これから国際社会の中における日本の立場としてこの事業は非常に大切な事業であろうかというふうに私は思いますので、ぜひ取り組みに真剣になっていただきたいということを希望いたしておきます。長官の所感を読ませていただいてそんなふうな質問を持ちました。 次に、私は消費者問題についてお伺いをしてまいりたいというふうに思います。 先ほど来、経済見通しをいろいろ論議される中で、物価は安定してきているという話が出てきておるわけでございますが、五十九年平均二・二%でしたでしょうか、大体物価が安定してきているのではなかろうかというふうな実感を私は持つわけでございますけれども、ところで私ども消費者間で物価の問題を考えるときに一番ひとつの尺度になるのが物価指数のことでございます。この物価指数の問題についていささかお伺いをしてまいりたいというふうに思います。 毎月大変貴重な資料を総務庁の統計局及び企画庁からちょうだいいたしておりまして、私ども関心を持っている者としてはこれに目を通しているものでございますけれども、消費者物価指数が実感と非常にずれるという問題がかねてよりずっと話に出ておりますが、総務庁の広報室から出された調査でも、五十七年度で対前年同月比二・三%の実際の値上がりがあったにもかかわらず、アンケートには五五%の人が五%から一〇%以上上がっているという感じを述べているわけですね。この辺の問題をいつも私ども論議しているわけです。それから、五十八年では対前年同月比、実際には一・八%しか値上がりしていないのが、実感としてはやっぱり五%から一〇%の間で動いているというふうに感じている人が四八%あったというふうな問題でございますけれども、こういう物価指数のずれについてはかねてよりいろいろ言われておりますけれども、経済企画庁としては指数と実感のずれということについてどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。
○政府委員(斎藤成雄君) 御指摘のように、消費者の受け取り方というのは自分の生活環境、生活経験から受けとっているものでございますから、家族構成でございますとか、あるいはその住んでおられる地域とか、そういうものの特性がどうしても反映するわけでございます。例えば進学の子供を抱えている場合にはその進学に伴う、例えば大学であれば大学進学に伴う入学金でございますとか、授業料の支払いというのはかなりの額になるわけでございますけれども、CPIの場合にはこれが全部薄まってしまう、全世帯に延ばした格好になる。どうしてもCPIの場合には標準的な状況をもとにしてつくるものでございますから、そういう意味で開きが出てくる。これはある程度統計処理としてはやむを得ないのではなかろうかというふうに考えております。 ただ、そうは申しましても、いろいろこの違いがCPIに対する不信感のもとになっては困るわけでございますから、そういう意味で、なぜ違うかということについて十分PRをしていきたいというふうに私どもは考えております。
○刈田貞子君 総務庁の統計局の方見えていらっしゃいますか。——私はこの指数の計算についてかつても自分でかかわったこともございますんですが、この指数の計算について、そういう実感とのずれをなくすために進める作業というのはありますんですか。
○説明員(小山弘彦君) お答えいたします。 指数をつくるに際しての実感とのずれの調整というお話でございますけれども、消費者物価指数は昭和三十年以降五年ごとに改定をしてきておりまして、さかのぼりまして五十六年の三月二十日、現在総務庁ですが、時の行政管理庁の統計審議会におきまして、いわゆる経済指標としての指数につきましては、西暦の下のけたがゼロまたは五のつく年、五年ごとに基準年を改めていくというような答申が出されております。したがいまして、昭和六十年、ことしでございますけれども、基準時をことしの年平均に改める、そのときにウエートも改めるということをやるわけでございます。したがいまして、ひとつウエートを改めるということは、現在の消費構造にマッチした品目それから銘柄をとっていくということになりますので、そのような観点で五年に一回、できるだけその実感と合うようにと申しますか、時の消費構造を反映した品目の設定、これを行いまして配慮していくと。このウエートにつきましては、家計調査の昭和六十年の結果を活用するということになっているわけでございます。
○刈田貞子君 五百十二品目の品目についての見直しはどうでしょうか。
○説明員(小山弘彦君) 指数をつくるに際しましての品目の見直しにつきましても、当然追加廃止、これを行っていくということになります。その辺はこれからの検討課題だと思います。
○刈田貞子君 六十年は物価指数のローリングをする年であるということを伺いましたので、その作業をよろしくお願いしたいと思います。 それから、消費者問題の第二段目として、昨年十一月二十日に行われた消費者保護会議の報告書を読ませていただきましたが、二百八十項目にわたる事柄について、幾つかのことに絞って質問させていただきたいというふうに思います。 その前に、経企庁からいただきました六十年度予算案を見せていただいて感じることでございますが、国民生活施策の推進、そしてその中で国民生活、消費者政策の推進に関する予算、これはどこの省庁、どこの予算も皆そうであると言われてしまえばそれだけのものでございますけれども、やはりかなりの減額になっている。一方では、消費者保護会議の報告書の中では、消費者施策を充実していくというふうにうたっておられるわけでございますが、この予算と方針との兼ね合いはどんなふうになっていますか。
○政府委員(及川昭伍君) 消費者保護のための政策は、消費者の利益を擁護・増進するためにこれからもますます充実拡充していかなければならない行政分野であることは、消費者保護会議の決定にあるとおり、政府としてそう考えているわけであります。 具体的に消費者行政予算について御質問がありましたけれども、充実しなければならない行政分野ではありますが、現在国、地方含めて財政事情は御存じのような状況でありまして、いかに少ない財源で効率的な行政を展開していくかということが今消費者行政分野においても要求されているところだと思っておるわけであります。そういうことで、国、地方の消費者行政の分担関係を見直したり、より仕事を効率化したりしながら、マイナスシーリングのもとで消費者行政を充実していく、消費者行政予算がトータルとしてはある程度減額になっておりますが、施策としては前進させていくような方向でこれから努力をしてまいりたいというふうに考えているわけであります。
○刈田貞子君 予算は少なくなってきているけれども、策としては充実をさせていきたいというお答えなんでございますが、国の予算が減りますと、地方公共団体の消費者行政予算というのも連動して減っていくわけです。消費者が一番消費者行政というものを身近に感じあるいは恩恵をこうむっていくのは、実は地方自治体の消費者行政がかなりのウエートがあるわけで、そこの予算が少なくなっていくということは、実は消費者行政充実につながっていかない実態があろうかというふうに私は実感しているものでございます。 調べた限りにおいては、地方の消費者行政予算が、本庁費が減額になっているところが二十二府県、それからセンター運営費が減額になっているところが二十一県、そして本庁費及びセンター運営費、両方とも合わせて減額になっているようなところが八県等々見てみますと、四分の三に近い都道府県で消費者関連予算というものを減らしているわけでございます。 先回も地方に参りましたときに、消費生活センターの電話を一本ふやしてほしいということの要望がどうしても受け入れられなくて、一本の電話がふやせないという話が出ていて、随分消費者行政もちゃちなものだなあというふうに私は思っていたんですが、つい先日東京の都民会議でも支所の電話を一本ふやすことで四、五十分の論議があったという話の報告を受けまして、私は大変びっくりいたしたわけでございます。つまり、支所に二本しかない電話が絶えず鳴りっ放しでいるために、消費者が電話による消費者相談、消費者利益につながる消費者相談ができないために、もう一本電話をふやしてほしいということに応じられないような予算の現状が現場にあるということを考えますとね、やっぱり消費者行政の充実ということはどうしても予算と相まって出てくる問題ではないかというふうに私は思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
○政府委員(及川昭伍君) 御指摘ありましたように、消費者からの苦情相談が電話が満杯で応じられないというようなことはやはり問題でありますから、それらの問題は私ども個別には承知しておりませんけれども、そういうところは重点的に予算を配分していくべきものではないかというふうに思っておるわけでございます。 ただ、例えば国と地方の消費者行政全体を考えてみますと、消費者行政が始まりましたのは約二十年ほど前でございましたけれども、その当時は消費生活センターは二カ所しかありませんでしたけれども、国からの補助金等によりまして年々ふえてまいりまして、現在は二百六十六カ所になっておるとか、予算も当時は一県当たり一千万足らずでありましたのが一県平均もう二億以上を使うようになっておるとか、非常に充実してきたと思うわけであります。その過程で、例えば地方のすべての消費生活センターが同じような品目の商品テストをやるとか、あるいは国でもやるとかというような重複がいろいろ目立ってまいりましたし、不効率も目立ってきておるわけでございますから、国や地方やあるいは県、市町村、消費生活センター相互間のネットワークをもっと緊密にして、相互の分担関係を明らかにしながら少ない予算の中で効率的に消費者行政を進めていくようにことしは工夫をしてまいりたいと思っておりますし、地方公共団体の指導もそのようなことで考えてまいりたいというふうに思っているわけであります。
○刈田貞子君 それから、今二百六十六というセンターの数をおっしゃっておられましたけれども、民営化とか統廃合の問題というのは常に出てくるわけですね。充実という方針の裏に、やはり経費の問題を考えて統廃合あるいは民営化という話が出てくるんであろうというふうに思いますけれども、現に東京都が二つつぶしたというようなことによって起きてくる消費者デメリットというものは、一つの支所に電話が非常にふえてきたということから今電話の問題が実は出てきているわけなんですけれども、やっぱり池袋、渋谷ですか、あの二つセンターを減らしたということ、これは減らしたとおっしゃらずに統合したというふうにおっしゃっておられますけれども、これは私はやっぱり後退じゃないかというふうに思うんですね。こういうことが国民生活センターの民間委託の問題なんかもときどき頭を出してきたりして大変に私は残念に思っているわけでございますけれども、充実と言うからにはやはりその充実の根拠というものを消費者行政の中でしっかりと示しておいていただきたい。それがやっぱりセンターの確立ではないかというふうに思うんですね。センターを中心としたネットワークというのがやはり一つの骨格になろうかというふうに思いますので、そういう意味で統廃合あるいは民営化というようなことをぜひちらちらさせないようにお願いしたいというふうに思います。 次にお願いいたしますのは、例の保護会議の中で二百八十項目の確認事項がなされたわけでございますが、その中で昨年に引き続きという事業が多いわけですが、とりたてて新しい時代に向けてあるいは多様化している消費生活の中で対応していかなければならない新しい施策というようなことがあれば御説明いただきたいと思います。
○政府委員(及川昭伍君) 御指摘のように、昨年の十一月の消費者保護会議で二百八十項目余の具体的施策を決めたわけでありますが、全体を実は四つの柱にまとめて決定をいたしております。消費者行政の基本は、消費者の安全を図ることであり、さらには消費者の選ぶ権利を確保する、この二つが基本でありまして、古くて新しい課題でありますが、この二つの柱は従来からの施策を継続しながら充実していくということが必要かと思っております。 新しい柱として立てましたのは、経済社会環境の変化に応じて新しい問題に対応しようということで、これには三つないし四つの項目を考えております。 第一は情報化、サービス化の進展に伴う消費者問題であります。消費者苦情が、商品の品質や安全という問題からサービスとか情報とかいう問題に非常にウエートを変えてきております。これに対応し、またニューメディアの進展等に対応しながら情報化、サービス化ということに対応した新しい消費者問題に消費者行政が施策を展開していく必要があるというのが第一点であります。 第二点は、商品の取引、販売方法が変化をしてきております。お店で現金で取引するというやり方から通信販売や訪問販売でキャッシュレスで取引するというやり方に変わってきている分野が非常に多いわけですが、そういう分野で非常に問題が多発しておりますから、通信販売、訪問販売、消費者信用、キャッシュレス、クレジットという面について消費者対応を考えていきたいというふうに思っております。 第三の分野は、高齢化であります。消費者被害が特に高齢者が非常にふえてきております。しかも多額の被害を高齢者がこうむるような事例が多発をしてきておりますから、ライフサイクルの全段階を通じて、特に高齢者向けの消費者行政、消費者対策ということを展開していきたいということを考えておりまして、国民生活審議会消費者政策部会が中心になりましていろんな施策を検討しておりますし、各省各県等と連絡をとりながら、そういう方面に新たな重点を志向していきたいというふうに考えております。
○刈田貞子君 今の高齢化社会に向けての消費者対策というのは、実は大変大事な仕事ではなかろうかというふうに思いますが、私どもも、たくさんお年を召した方が悪徳商法で泣いている例を御相談を受けまして大変に遺憾に思っておりますので、こういう事業というのは大変大事であろうかと思います。 次にお伺いいたしますのは、この施策の取りまとめの中で消費者志向体制あるいは消費者啓発の強化という事業がございますが、その中で消費者教育という問題について少しお伺いをさせていただきたいのです。 私も経済企画庁あるいは国民生活センターあるいは地方消費生活センターに通って、経済企画庁の予算によって消費者啓発あるいは消費者教育をされて育ってきた人間でございますけれども、余り鋭い経済見通しなどできないところを見ますと、個人の資質もあるかもしれませんけれども、余り教育がしっかりしてないのではないかというふうに思ったりもいたしますわけですが、すごい消費者を育てるには、やっぱり経企庁もかなり真剣な消費者教育ということを行わないと、企業の手腕の方がずっと上手でございまして、消費者はいつもやっぱり依然として泣きを見ているという傾向がございます。強力な消費者教育を行わないと、私みたいな普通の人が育ってしまうということになりかねませんのでこのことをお伺いするわけですが、この中で、「学校教育、社会教育等を通じて、消費者教育が適切に行われるよう指導する。」というふうに書いておられる。私は実は、これは長年提唱してまいりましたものでございますけれども、消費者保護会議は閣僚の方々が皆同座なさって行われる会議でございますね。そうしますと、学校教育、社会教育という場面で消費者教育を行っていかなければならない消費者啓発が必要であるということが、文部省関係のいわゆる文部大臣ですか、確認がなされているのかいないのか。実は私どもがこういう学校教育の中に消費者教育を取り入れるべきであるというような話を進めますと、一番抵抗をお示しになりますのが文部省でございますので、したがって保護会議等でそんな論議がどんなふうになされたのか大変興味があるわけですが、その点をお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(及川昭伍君) 消費者教育の重要性についてはおっしゃるとおりでありまして、特に商品の品質とか企画とかいうことでありましたなら、企業の規制で相当の消費者保護が図れるわけでありますが、サービスとか情報とかいうのになりますと規格よりは規格以外のところで問題が出てまいりますので、まさしく消費者の自主的判断能力を養うために消費者教育が従来以上に重要になるというふうに思っているわけであります。 その意味で、今回の消費者保護会議決定におきましても、「学校教育、社会教育等を通じて、消費者教育が適切に行われるよう指導する。」ことに決めたわけでありますが、これは最終的には文部大臣も含めた消費者保護会議の決定でありますから、当然文部省とも協議の上、こう書いているわけであります。文部省当局と協議いたしまして、具体的には学習指導要領の改定ということになるわけでありますが、小学校、中学校、高等学校等の学習指導要領を改定したのが、今から見ればちょっとしばらく前になるわけでありますが、その後教科書の改訂を行い、実際の指導が行われるという過程で学校教育における消費者教育が少しずつ前進しているというふうに思っているわけであります。 しかしながら、なおそれは不十分だと私どもは考えておりまして、先ほども触れました経済企画庁の予算を効率的に使う一つの事例として、地方公共団体の一定のところと協力しながら、モデル的に学校教育における消費者教育の実践等を来年度は実施してみたい、それらの成果をさらにフィードバックしながら学校における消費者教育をさらに発展させていきたいというふうに現在検討しているところであります。
○刈田貞子君 それからもう一つは、「事業者の消費者志向の促進」というテーマがございます、取りまとめがあるわけですけれども、この点について私は少し意見を持っているわけですが、事業者について適切な消費者相談及び苦情処理を行うために、消費者志向の促進あるいは教育をしていくということになるわけですけれども、例えば消費生活アドバイザー制度みたいなものをとってもわかるように、これは通産の所管の仕事でございますけれども、言ってみれば事業者保護のためのアドバイザーがたくさん生まれてきているのではなかろうかという感覚を持つわけでございます。この事業者の消費者志向の促進という問題は、かなりテーマ的には大変逆手にとられて事業者が得をしていくような形の施策にもなりかねないということで、私はこの事業者の消費者志向を促すという問題について大変いつもいろいろ考えているものなんですけれども、この点いかがでしょうか。
○政府委員(及川昭伍君) 事業者の消費者志向の促進というのは、私どもは逆説的に言えば、おっしゃるように事業者の利益になると考えております。そしてそのとき、事業者の利益になることが消費者の利益になる、消費者の利益になる行動をする企業だけが栄えるというような自由主義経済社会をつくりたいという考え方で、消費者の利益と事業者の利益が一致するような、そういう施策の一つとして事業者の消費者志向体制をより進めるようにしたらどうかということで、消費生活アドバイザー制度やその他消費者窓口の設置等を事業者に指導しているわけであります。消費者にとって安全な商品をつくり、非常に品質のよいものを合理的な価格で提供する企業が、片方において消費者選択の結果として繁栄していくということは、消費者利益と事業者利益の合体ではないかというふうに考えているわけであります。
○刈田貞子君 そういうことになるんですけれどもね。例えば、それはあなたの誤使用ですよという形で落ちになったとき、それは事業者が得をしているのか消費者が得をしているのか私はわかりませんけれども、誤使用をしないように、消費者に向けてその器具等の使い方について一生懸命説明をする、あるいは保護していくというのが、事業者の消費者志向であろうというふうに私は思うんです。ところが、今はほとんどの場合、まあ例えばの例ですけれども、それは誤使用でございますという一点で片づけられていく例が非常に多いわけです。それで、下手すると賠償か何かが出てくるというようなことにつながるんですが、賠償が出る出ないは別問題として、事業者の消費者保護というのはあくまでも消費者サイドに立ったものでなければならないというふうに私は思うんです。あなたの使い方が悪いから、だからそういう事故が起きたんですよという言い方が果たして消費者保護につながるかどうか。これいかがでしょうか。
○政府委員(及川昭伍君) ここに言う「事業者の消費者志向の促進」というのは、おっしゃるように、事業者のために全体としては行われることではありますけれども、消費者の立場に立って、例えば消費者苦情の処理を消費者の立場に立って行う、消費者の利益になるようなそういう製品開発を行う、あるいはそういう使用方法の説明にしても消費者の立場に立った使用方法を開発するというような、そういう体制を事業内でとっていただきたいということでありまして、まさしく消費者の立場に立ったアドバイザーなりあるいは消費者担当重役なりというものが企業の中に設けられるということは、消費者の利益を確保するための施策として消費者保護会議決定にのせているわけでございます。 現実に消費生活アドバイザーとかあるいは消費者問題の担当の窓口、消費者問題専門家会議とか、あるいはヒーブとか、いろいろな組織が事業者の中で横断的につくられております。それらの横断的につくられた組織も、消費者行政部門、具体的には私ども経済企画庁国民生活局でありますが、あるいは国民生活センターと連携をとりながらいろいろな仕事を進めていただいておるというふうに考えておりまして、誤った回答や誤った相談処理をいたしますと、それは私らの消費生活センター、国民生活センター等でもわかるような形になっておるわけでありますから、消費者の立場に立たずに、これらのアドバイザー等が問題を処理するということは万々ないと思いますが、そのようなことがないようこれからも指導してまいりたいと思っているわけです。
○刈田貞子君 最後に、局長にお伺いをいたしますけれども、今、予算の面なんかも含めて消費者行政は後退しているというふうに言う方もありますけれども、言い方によって、消費者行政は後退はしていないと、だけれどもおくれているという言い方をなさる方があります。 先ほど、十七回の保護会議で新しい施策等いろいろ打ち出されるやに伺いましたけれども、消費生活の中身が社会の変遷あるいは経済のあり方等によって変わってきている、消費生活そのものがそういうものにつれて変化していることに対応し切れていないものがあることをとって、おくれているというふうな言い方があるのではなかろうかというふうに私は思うんですけれども、まさに世の中はどんどん動いているわけですね。消費者対策というのは旧態依然としているということであれば、これはやはりおくれているというふうに言われても仕方がないわけで、最近の相談事例等を見ましても、相談件数大幅にふえている。その中身は、個別の商品ではなくて、先ほどもおっしゃっておられましたように、情報に関する問題とかあるいはサービスに関する問題、あるいは売られ方の問題というふうな形に、相談の中身が明らかに変わってきているわけですね。そういうものにやはり消費者行政というのは機敏に対応していかなければならないわけでありますが、そのおくれているという部分がもし言われるとするならば、どんなところを言われているのか、お考えになっておられるのか、その点を伺って質問を終わります。
○政府委員(及川昭伍君) 厳しい御指摘でございましたが、消費者行政が始まってから二十年の節目の年になりますが、確かに消費者行政は前進をしてきて、安全とか品質とか規格とかいうところでは相当成果を上げてきただろうと思います。だからこそ、そういう面の苦情が減って、他の分野に苦情がふえてきたし、世の中も変わってきたからそうふえてきたと思いますが、率直に申し上げまして、やはり旧来の安全、品質、規格というところにウエートをずっとかけてきた消費者行政が急転回をして、サービス、情報、契約あるいは消費者金融というような面にはなかなか対応し切れていなくて、消費者苦情が多発しているのに消費者行政の対応がおくれているというところは確かにあろうかと思うわけであります。そういう意味で、昨年十一月の消費者保護会議決定では、安全選択のほかに新しい問題に対応するような体制を整えていきたいということで決定をさしていただいたわけでありますが、そのような方向で、これから世の中の動きにおくれないように努力をしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
○刈田貞子君 終わります。
○吉川春子君 経済企画庁の調査局で「昭和五十九年経済の回顧と課題」というのをお出しになりました。これに基づいて経企庁の考え方をお伺いしていきたいと思います。 その中で、我が国の経済の今後の課題として内需の拡大が重要であるというふうに指摘しております。そして、五十八年度の最終消費支出の伸びは五十七年度より鈍化し、五十九年も三%の伸びにとどまったとして、その消費回復のおくれの原因としては、家計所得の伸び悩み、また住宅ローン返済、生命保険支払い等の契約的支出が家計所得に占めるウエートが大きくなったとか、所得減税も貯蓄に回ったというようなことを挙げておられます。 長官にお伺いいたしますけれども、一言で言いますと、要するに所得をふやして国民の財布の中身を豊かにして国民に物を買う力をつけるということが景気回復にとって非常に重要なんだ、こういう御指摘でしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 御指摘のとおり、可処分所得をうんとふやして将来に生活の心配のないようにして、大いに懐を緩めてもらえば消費がうんと伸びるわけで、景気も伸びるわけですが、いろんな問題があるものですから、特に去年は減税をやりましたが、ある程度それが消費に結びついて景気上昇に直接影響があるかと思ったら、やっぱり八月くらいまではなかなか財布のひもが緩まない。やっとそれが伸び出したのは、冬のボーナスがふえ、農家所得がふえ、あるいはまた年末年始の百貨店の売り上げが伸びるような事態になりましてどんどんと消費は実質的に伸びてきたと思うんですが、一時やっぱり端的に減税したからすぐ景気がよくなるというわけにいかない一つの例だろうと思います。
○吉川春子君 そうしますと、政府として、昭和六十年度の予算の中で国民一人一人の所得、個人消費力といいますか、これをつけるために具体的にどんな施策を行おうとしておられるんでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) やはり先ほど来申し上げておりますように、設備投資が今輸出だけに限らないで内需中心にもどんどん伸びております。それに伴って収益も各企業どんどん上げておりますし、その設備投資がまた製造業だけじゃなくて非製造業、サービス部門にも及んでおりますし、そういうことによってどんどんと消費が伸び、それがまた景気に結びつくというようなことで、全体として景気が上がることを私どもも期待しております。また実際、外需だけに従来依存した景気が、内需等バランスのとれた経済の姿になっていっておるんではないかと私どもは確信をいたしておる次第でございます。
○吉川春子君 大まかにはわかったんですけれども、具体的にどういうことによって内需の拡大を図ろうとしておられるのか、具体的にもう一度お伺いいたします。
○政府委員(赤羽隆夫君) 消費がふえるのには勤労者を中心とした所得がふえなければいけません。そういう意味で、可処分所得がふえなければいけないだろう、こういうふうに先生のおっしゃるとおりでございますけれども、勤労者の所得を中心として可処分所得がふえる一番の道というのは、やはり景気がよくなってそれに基づきましてみんなが余分に働く、生産活動が活発になる。所得というのは生産活動から生まれるものでありますから、経済全体としての生産活動が活発にならなければいけない。その中でそこで働く人たちの所得もふえてくる、これが基本的な所得の増加の道である、こういうふうに考えます。 先ほど大臣からもお答えがございましたけれども、六十年度は内需中心の景気、物価安定下での生産活動が活発になり、物価安定下で内需中心で景気がよくなる、こういうふうな経済を期待をする。期待をするとともに、そうしたことに対する障害になるようなものを除去していく、こういうことだと思います。 これは一つの例でございますけれども、例えば電電公社、電気通信事業の国家独占をやめる、民営化をする、電電公社を民営化する。こういうことになりましたところが、直ちに第二電電というものの手が挙がってくる。こういうことで競争がふえるような環境があればまたそこに設備投資もふえてくる、こういうことではないかと思います。内需拡大の方策の一つとしてデレギュレーションといったようなことが言われますけれども、これなども景気の維持、拡大ということに役立つ政策でございまして、その結果として勤労者の所得がふえてくる、こういうふうに理解をしております。
○吉川春子君 経企庁のお考えでは、民間活力の導入と申しますか、そういうことによって景気を拡大して、それが労働者の所得にも波及していくんだというふうに今の御答弁を受け取りましたけれども、その民間活力の活用ということで今までやってきて、なかなか労働者の可処分所得がふえなかった。今政府がいろいろおやりになろうとしているそのことも、 〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕 大型プロジェクトで、先ほど来いろんなお話が出ていましたけれども、リバーサイドルネッサンス、ポートサイド地区整備構想云々、こういう従来どおりの大企業に投資をして、そしてそれでもって活力をつけるという形はもう明確に破綻しているんじゃないか、もうおこぼれによって内需が拡大するということは望めないんじゃないかということで、この問題については私はきょうは深く入らないつもりですけれども、そのことだけ指摘しておきたいと思うんです。 今国民の生活をずっと見ておりますと、非常に家計が苦しくなっておりますけれども、政府自身の施策によって苦しくなっている点がたくさんあると思うんです。それで第一点としてお伺いしたいのは、ことし増税、公共料金の値上げがあるわけですけれども、厚生年金保険料の引き上げとか地方税の引き上げ、こういうものによって国民の生活にどの程度影響があるというふうにはじいていらっしゃるのか。また、国鉄運賃の値上げ、消費者米価、自賠責保険料の引き上げ、こういうものも行われるわけですけれども、物価のはね返り等国民生活に対する影響をどの程度と見ているのか、具体的な数字でお示しいただきたいと思うんです。
○政府委員(斎藤成雄君) 御指摘の公共料金でございますけれども、米価、国鉄など予算関連で大体CPIを〇・二%ぐらい押し上げるというふうに考えております。まだ国鉄などにつきましては値上げの申請も出ておりませんから細かい積算ではございませんけれども、大づかみに見まして〇・二%程度と。それ以外、まだどうなるか全く予想がつかないような、例えば地方の公共料金といったようなものもございますけれども、そういったものも前年の伸びを参考にして、 〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕 いわゆる公共料金というものを全部ひっくるめてみましても、大体〇・八%程度になるかなという感じでおります。これはまだ細かい値上げがわかつておりませんから、はっきりはいたしませんけれども、大体の感じとしてそのぐらいになろうかと。ちなみに、昨年度はもうちょっと高く、五十九年度、現在で言えば本年度でございますけれども、〇・九%程度かなと思っております。 ただ、もう一つお断りを申し上げなければいけないのは、この〇・九、昨年度というか五十九年度について申しますならば、間接税の値上げも含めて〇・九ということでございますから、いわゆる公共料金よりは相当幅広く、政府の決定によって影響を受けるものがそのくらいと、こう考えるわけでございます。六十年度につきましても、先ほど〇・八程度と申しましたけれども、これも自賠責保険の値上がりということが大体決まっておりますけれども、まだ細かいところがはっきりいたしませんので、これもある程度の前提で作業をして〇・八%程度ということで、昨年度よりはこういった公共料金関係のCPI押し上げの効果は少なくて済むだろうというふうに考えております。
○吉川春子君 政府のはじき出す物価の上昇率と国民が感じる物価が高くなったなという感じのずれという問題については先ほどお話がありましたが、今申し上げたことに加えて、国民健康保険本人一割負担というのが既に昨年十月から導入されていますし、来年度に予想されます百六十万の子供への手当を切り捨てる、児童手当、児童扶養手当、こういうものの制度の改悪がありますし、また、今問題になっております年金の改悪、こういうものが全部行われますと、国民の購買力というのはますます低下するのではないかというふうに思います。ちなみに、これは国鉄労働者の生活白書を国労が八五春闘に向けて発表したわけですけれども、この中で暮らし向きについての項目で、八四春闘、八五春闘というふうに比べているんですけれども、例えば衣料品の購入を控えているというのは、去年は五五・二%で、ことしは六六・三%。それから、娯楽、レジャーを控えている、貯金の引き出しが多くなった、貯金ができなくなった、食事の質を落としている、小遣いを減らしている、耐久消費財の購入を控えている、酒、たばこを切り詰めている、外食の機会が少なくなった。軒並み去年と比べて暮らし向きを切り詰めているというさまが国労の調査によっても出ているわけなんです。 こういうような国民の生活実態をごらんになって、これは私、長官に伺いたいんですけれども、これでは消費はますます冷え込んでいくんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 最近の生活の実態を見ると、やはり今御指摘のございましたように、各家庭が生活防衛の意識が非常に強くなっておる点が見受けられまして、例えば老後に備えよう、例えば子供の塾通いの費用を何とか生み出そうとか、いろんな努力をしておられます。そういった意味において、せっかく可処分所得をふやしてもそれがすぐ消費に結びつかない面も多々あろうかと思います。また他面、先ほど来御指摘のございましたような、いろんな、物価その他のやむを得ない支出面もあろうかと思うんでございますが、やっぱりこういう難しい時代でございますから、お互いにできるだけの努力はする必要があるし、政府としても、政府の施策としてやるべき点はしっかりやってまいらなきゃならぬと考えておる次第でございます。
○吉川春子君 可処分所得をふやしてもというお話でしたけれども、今、可処分所得を非常に減らしているという点について、私、例を挙げてお伺いしたわけなんですが、政府も、この中でも指摘されていますように、国民所得の伸びが思わしくなかった背景には、働く人々の給料が予想よりも値上げされなかったことがあるというふうに言っていますが、政府は、人事院勧告の実施を完全に行うという責任を果たしておりません。この人勧の完全実施が行われないということで、民間労働者の賃金の値上げ率も抑制されたというふうに、民間労働者の賃上げが低かった原因もここにあるのではないかと思うんですけれども、一因があるのではないかと思うんですけれども、いかがですか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 賃上げ率と勤労者の実質所得の関係でありますけれども、おっしゃるように直接的な結びつきはない、こういうふうに私どもは理解しております。と申しますのは、一人当たりで、一人一人の立場から見ますと、お給料が上がらないと、当然のこととして所得がふえない、所得がふえなければ消費をふやすことができない、こういうことになるわけでございますけれども、全体という形になりますと、賃上げ率が低いということは、生産性との関係がまたもう一つございますけれども、物価を抑制する上で効果があるということでございますから、名目所得の伸びが小さい場合に物価がそれに応じて下がってくれれば決して実質所得は伸びないわけではない。こういうケースはこれまでも何回もございます。したがいまして、ただ単に名目賃金の伸びだけをもって、それが低いことをもって消費が伸びない原因と、こういうふうに考えるわけにはまいらない。それは一つの要因であり得るわけでありますけれども、そのすべてではない、こういうふうに理解しております。
○吉川春子君 ちょっとこれも時間の関係で深くは入りませんが、要するに、公務員の賃金が、国家公務員も地方公務員も一斉に抑えられるわけですから、民間の労働者、あるいはパートとか、そういう人たちの賃上げ率を非常に低く抑えているという効果があるのではないか、その点についてお伺いしたわけなんです。 そういう、国民の購買力を低くするような要因がいろいろあるんですけれども、昨年の減税は消費に結びつかなかったということは経企庁もお認めになっているんですが、増税と抱き合わせで行われた結果そういうことにもなったんじゃないかと思うんですが、ことしは一兆円以上の、増税と抱き合わせじゃなくて、真の大幅の減税を、やはりこういう厳しい暮らしのもとで、国民のために行うべきであると思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(金子一平君) 正直言って、私どもはできればそれはやりたいと思っているんですが、先ほど来御説明申し上げておりまするように、日本の財政はもう底をついているんです。もう公共事業も思い切ってふやせない、減税もできない、歳入歳出の両面からやっぱりある程度洗い直さなきゃならぬ時期に来ておる、そういう状況でございますんで、まあしばらく、ことしは減税御辛抱いただきたい、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
○吉川春子君 ほとんどの政党とかあるいは労働団体等が一致して、大幅の減税をぜひやってもらいたい、こういうふうに要求をしているわけですけれども、できないというお答えでして、非常に遺憾だと思うんです。今、日本の財政の事情が非常に厳しいというお話でしたけれども、この財政をここまで厳しく追い込んだ責任はどこにあるのか。このことについてきょうは触れる余裕がありませんけれども、臨調予算のこの二年間について見てみますと、レーガン政権と財界の要求で聖域化された軍事費は二二・三%伸びています。経済協力費が二七・九%、エネルギー対策費が二一・二%。これに反して私の所属しております文教関係の予算などは二%。全くもう何をか言わんやという感じなんですけれども、私どもは少なくとも例えば防衛費で言えば、これは防衛費だけではありませんけれども、防衛費で言えば正面装備費、日米共同演習費あるいは義務の全くない思いやり予算、こういうものを前年度比少なくとも一兆二千億以上削減して、やはり財源がないから減税できないという冷たい答弁ではなくて、国民の購買力を伸ばすという点からもぜひやるべきだということを主張しておきたいと思います。 それで、もう一点長官にお伺いしたいんですけれども、内需の拡大、国民の消費能力の向上の立場からいったら、やはり大型間接税の導入というのは、あるいはいわゆる直間比率の見直し、これは非常に消費を冷え込ませるという点で絶対にやるべきではないというふうに思いますけれども、御判断はいかがでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 今お話の大型間接税の問題ですけれども、今各方面から大型間接税どうするかというような議論出ておりますけれども、中身が全然詰まっていない議論なんです。一体、消費者課税にするのか製造者課税にするのか、あるいは各種取引の段階で課税するのか。それから大型間接税導入というだけでなくて、それをやるのならばやっぱり所得税の今日の高い負担率を思い切って軽減しなきゃだめですよね。そこら辺の兼ね合いを一体どうするのかというような議論が全然なしに、ただ大型間接税とか間接税導入とかいう話が出ておるものですから、一体それが国民生活にどういう影響を及ぼすかというような具体的なあれまでいっていないわけです。今後あるいは国会の場を通じて、あるいはその他のいろいろな機会にどんどんこれが煮詰まって、国民の間の合意というものができることを私どもは大いに期待しておるわけでございます。
○吉川春子君 もう一言伺いたいんですけれども、国民の消費能力を冷やすような、そういうような形での大型間接税の導入は好もしくないと、こういう長官の御意見ですか。
○国務大臣(金子一平君) 仮に消費税に重点を置いて、あなたも御存じないかもしれぬけれども、戦前は間接税が日本では七割、直接税が三割だったのです。戦後、シャウプの税制使節団がやってきまして、直接税だけが唯一の公平な税制だなんてことを仕込んでいったものですから、日本の税制は七割が直接税、三割が間接税なんですけれども、ミッテラン政権下のフランスでも七割は間接税、直接税は三割、イギリス、西ドイツなんか半々ぐらいになっておるんでしょうけれども、そういったことでございますから、間接税をやったら途端に物価が上がる、一方においてそれは物価が上がる面があるかもしれぬけれども、所得税が安くなればそれだけ助かるわけでございますし、そこら辺の兼ね合いをどうするかということはこれからの税制の構成の兼ね合いの問題だろうと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○吉川春子君 何かシャウプ勧告も見直し、所得税減税抱き合わせ型間接税のような雰囲気ですけれども、私はやはり今ずっと経企庁のお考えを伺っていまして、内需の拡大あるいは国民の購買力を高めるという点からいえば、公共料金、税金、賃上げ、このどれをとっても政府のやっていることは逆さまじゃないか、むしろ購買力を冷え込ませるようなそういう方向の施策をやっているという印象を強く持つわけなんですね。景気の回復にとって一番重要なのは、やはり最大の景気回復のもとは国民の個人の消費能力を高めるということにあるんで、この点についてここに副題として「内需中心」と書いてありますけれども、そういう方向とは全く逆の方向に向いているんじゃないか、こういう印象を強く持つわけなんです。 さて、もう一つの問題で私は次に教育費の家計圧迫についてお伺いしたいと思うんです。これも経企庁の国民生活白書で触れられていますけれども、教育費の負担の増大が家計圧迫の非常に大きな要因になっている、こういう御指摘で、そのとおりだと思うんです。文部省の調査によりますと、昭和五十八年度の一年間に払った教育費は、小学校で十六万五千二百円、前年度比三・二%増、中学校で十九万九千七百円、公立高校で二十五万九千七百円、私立高校で五十四万二千五百円。調査対象は十五道県で生徒二万六千人を対象に行った数字なんですけれども、私立高校を除いて物価の上昇率を上回る学費の値上げというのが行われているわけなんですね。しかし、この数字を見て非常に教育費は大変だなあという面と、いやちょっと安いんじゃないかという見方とあるんじゃないかと思うんですけれども、文部省のこの調査はなぜか一番私学の多い、授業料も高い東京都を抜いているんですね。私があえて言えば、これは学費の安い、私学も少ないそういう県だけ選んでやったんじゃないかと、そういううがった見方もできるようなそういう統計なんです。 それで東京都の場合、これは東京都が独自に五十八年の十一月に発表した五百世帯対象の調査があります。これは平均二人就学している一世帯の教育費は月間六万三千七百円、年間七十六万四千四百円。生活費の月平均額が東京都の場合二十九万九千円ですから大体二一・三%が教育費という形でいってしまう。しかも、これは東京都の調査した担当者の御発言ですけれども、この調査で選んだ月が十一月だと、だから年間授業料は入っているんだけれども教材費とか教科書代とか夏季とか冬季の補習代等は入っていなくて、あくまでこれは最低の数字と思ってくださいと、こういうことを言っておられるわけなんですね。私立高校の上位五校は入学金合わせて百万を超えるところが多いと、こういうような実態なんですけれども、長官この数字をお聞きになってどういうふうに御感想をお持ちでしょうか。
○政府委員(及川昭伍君) 東京都の調査結果で、家計支出の二割を教育費に支出しているということは私どもも承知をいたしております。教育費負担が特に中高年家計にとって非常に大きな重圧になっておるということは、昨年の国民生活白書でも指摘したところでありまして、全国の全世帯の教育関係費の負担を年齢階級別に見ましても、やはり世帯主年齢が四十五歳から五十五歳の層で非常に高くなっているわけであります。また、他方生涯における教育費という視点から考えますと、全家計の教育費負担は最近必ずしもそうふえていないということが言えるのではないのかなというふうに思っているわけでございます。 ということはどういうことかと申しますと、生涯の教育費負担というのは子供の数に対応いたしますから、一人当たり教育費負担が仮に倍になっても、子供の数が半分になれば生涯教育費負担はイコールになるということが一方にありますし、また生涯教育費という観点から申しますと、子供の年齢が離れておりますと、四十五歳とか五十歳というところに教育費負担が集中するのではなくて、三十五歳のときに幾ら、四十歳のときに幾ら、五十歳のときに幾らというふうになっているわけですが、最近は子供を二人しか産まなくて、しかも三十歳前に産み終える。二十七歳で一人産んで、三十前に一人産むという形で、二人が非常に年齢が接近しておるということで、ちょうどその二人だけの子供が高校や大学に進学する年齢が集中してあらわれる、生涯の教育費負担が四十五から五十歳の前後で集中してあらわれるわけでございますから、例えばある場合には家計で二割の負担もしなければならない時期が生涯の中で出てくるということになっているわけであります。教育費負担はライフサイクル、生涯生活設計を考える上で非常に重要な問題だということをそういう意味で昨年の国民生活白書で指摘したわけでありまして、一方御指摘のように教育費の対前年度価額の伸び率も確かに他の指数よりは高いわけでありますから、両方から、生活設計の上からあるいは教育費の上昇率の面から教育費の問題は政策としても考えていかなければならない点だと考えているわけであります。
○吉川春子君 今の生活局長のお話ですと、子供を離れて産めばいいじゃないか、こんなようなふうにもとれましたけれども、もしあなたのお子さんが二人、私立の中学や高校に入りたい、大学に入りたいと二人同時に言われたらどうなさいますか、おたくの給料で入れますか。
○政府委員(及川昭伍君) 私が申しましたのは、子供を離して産んだらいいじゃないかというのではなくて、実態がそのようになってきている。実態がそのようになってきていることに対応して家計も政策も対応していく必要があるということを申し上げたわけであります。 家計の中で生涯の収入と支出は、どなたかの御指摘もありましたけれども、全体としてはバランスをほぼしているわけでありますが、ある生涯の段階においては大赤字になる時期があるわけであります。ある生涯の段階は大黒字になる時期が当然のことながらあるわけであります。生涯の生活設計がそういう意味では非常に大事でありますが、ただ単に生涯の生活設計ということで個人の責めに帰するだけではなくて、政策としても、例えば学費についての育英資金制度をもっと拡充することであるとか、あるいは教育費負担それ自体についているんな施策をそういう実態に合わせて検討していく必要性があるとか、いろんな対策が政策としても用意されなければいけないということを申し上げたつもりであります。
○吉川春子君 肝心なお答えがいただけませんでしたけれども、教育費の負担のことで、一九七〇年の授業料、入学金を一〇〇といたしますと、八四年度において私立大学、国立大学の指数はどのようになっておりますか。
○政府委員(及川昭伍君) 先ほど質問の御通告がありましたので、文部省当局に調べていただきました。 国立大学につきましては、昭和四十五年度は入学金と授業料で一万六千円でありましたのが、五十九年は三十七万二千円になっておりますから、指数で申しますと、一〇〇として二三二五というふうになっております。私立大学につきましては四十五年度十九万八千円が五十九年度八十七万六千円でありますから、指数にいたしますと四四二というふうになっております。
○吉川春子君 もう実に驚くべき数字なんですね。要するに国立大学の授業料は七〇年から二十三倍になっている、私立が四倍ということなんで、これだけ見ても家計における教育費の重圧というのがいかにすさまじいものかということがわかるわけです。特に私学にお子さんを通わせている場合に非常に学費が高いということが問題になっています。 これは埼玉私教連の調査によるんですけれども、世帯主の平均年齢が四十五・六歳、年収が四百六十四・二万円、サラリーマン家庭で見ますと、四百七十一・二万円の家庭で、五百万未満の収入の家庭の六一・二%の子弟が私立へ行っているわけですね。経済的理由で公立高校を希望する家庭が七九%ある。しかし、結局はその中で八四・六%が私学に行っているということなんです。この父母のアンケートを見ますと、いろいろ切実な声が載っていますけれども、例えばこういうのがあります。「今、教育費は家計の中の食費をも上回る状態にあります。父母として子供のため、一生懸命働いて努力をしていますが、限界にきております。家族の中一人でも病気をしたらとても教育費は捻出できなくなります。どうぞ学費の値上げをしないでください」、こういうふうに言っているんです。私学助成の額が減らされはしなかったけれども、昨年ととんとんで実質的なマイナスという状態において、全国の例えば私立大学では、全学連の調査によると学費の値上げを決めたところ、また値上げの方向で検討しているところが七三%あるんですね。埼玉の私立高校はほとんど値上げ、こういう切実な状態です。 きょうの新聞によりますと、早稲田大学では教育学部あるいは政経学部で学生大会を開いて学費値上げ反対のストライキ権を確立した。既に法学部が来月十日までストに入ってますし、商学部も決めた。この早稲田の学費の値上げも物すごい額になっているわけなんですけれども、そういう中で学生もアルバイトに追われて勉学もできない。スキーに行くとか旅行に行くとかというんでアルバイトするなんという声もあるけれども、実際にはもう親の仕送りだけではとても暮らしていけないからアルバイトするんだということを、切実な声として私は聞いております。そういうような状態の中で、やはり国民の負担を減らすという側面、それから教育費に食われてほかの方に所得の支払いが回らないという点を含めて考えますと、私学助成の増大というのは、今後とも景気の回復という観点から見ても必要なんじゃないかと思いますけれども、長官いかがでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) お互いに考えなきゃいかぬことは、やっぱり次の世代をしょっていただく若い学生諸君の教育という問題でございまして、今あなたから御指摘のような問題は十分考えていかなきゃいかぬ。特に私学助成も、苦しい予算の中だから、ことしはある程度削減しなきゃならぬかもしれぬというような声も出ておりましたけれども、どうやら確保できた。それはやはり将来の青年の教育に重点を置いた、そういう気持ちのあらわれとお考えいただいて結構でございます。今後も教育問題については十分の努力をしてまいりたいと考えております。
○吉川春子君 最後に、私これで質問を終わらせていただきますけれども、消費者物価の上昇率の中では、最高が教育関係物価であるわけですね。昭和四十年と五十八年を比較してみますと、教育が五・四七、授業料はその中で六・三五。食費の三・四一、住居の四・一七と比べても、いかに教育費の負担がふえているかということがわかっていただけると思うんです。そういう意味で、きょうは教育費を取り上げましたけれども、教育費の重圧がこれ以上国民を苦しめないような形での施策を、今長官も基本的にはお考えをお示しになりましたけれども、ぜひ要望しておきたいと思います。 質問終わります。
○藤井恒男君 経企庁長官には、前には河本さん、宮澤さん、今度は金子さん、実に大物がいつも就任されていらっしゃるわけなんです。しかし、ともすれば経企庁はペンと紙のお役所であるというふうに言われているわけです。我が党はきちっと文章にまでして、経企庁というものをもっと中長期的な観点に立った予算編成を行うためにマクロ経済運営という視点から財政政策のあり方を示す、まあ総合経済企画庁というふうな形に位置づけて、実際に予算の具体的編成に当たってその意見が十分に反映される省庁に位置づけなきゃいかぬ、そのための措置を講ずべきであるというふうに提言してまいっておるわけなんです。 先ほど長官も、大蔵省の深い御理解もいただいてというような謙虚な御発言もあるわけだけれど、私ども真剣にそのように経企庁の位置づけというものを考えなきゃいかぬのじゃないか。まして大物が座っているわけですから、その辺ひとつ金子さんどのようにお考えなのか、率直にお聞かせいただきたいと思うわけです。
○国務大臣(金子一平君) 今御指摘のございましたような姿勢で本来経企庁は仕事やらなきゃいかぬと考えておるんでありまして、中期の経済見通し等につきましても真剣に庁を挙げて取り組んでおる次第でございます。 私ども昔、二十年前に経企庁の政務次官をやっておったことがございますが、やっぱりその当時に比べますと格段の進歩でございまして、いろんな面について深い掘り下げをやると同時に、将来の日本経済の持っていき方についての議論もやっておるんです。久しぶりで戻ってきて役所の努力に非常に敬服しておるわけですが、姿勢としては今御指摘のございましたような方向に持っていきたいと考えております。
○藤井恒男君 この委員会は予算委員会じゃありませんで、国民生活・経済調査特別委員会という、衆議院にはない極めてユニークな、中期展望に立った国民生活を見つめていこうという委員会です。そういった意味から経企庁と非常に深いかかわりがあるわけですね。したがって、一般的な質疑ということよりも、お互いに情報交換し合い、我々が調査研究している課題の質を高めていきたいという願望があるわけですから、そういった意味で、くどいようだけれど予算委員会じゃないんで、ひとつ砕けて、与野党とかそういったことを乗り越えていろいろとお話を承りたいというふうに思うわけです。よろしくお願いいたします。しかし、これも持ち時間が三十分そこらだからもう何も聞けないんで、また改めて、お暇なときはないだろうけれど、一日ぐらいかけて一度お越しいただいて、隔意ない意見交換をしていただきたいというふうに思っております。余り逃げないように。 そこでお伺いするんだけれど、先ほど幾人かの御質問に長官は、ないそでは振れぬじゃないか、あるいはサラ金財政だよと、石川五右衛門もないものはとれないよというようなことを言っておられるわけなんだけれど、そう言ってしまえばこれ身もふたもないわけでして、私ども常々やはり拡大均衡経済というものを考えなきゃいけない。ただ、ないじゃないか、ないじゃないかという形で、全部が縮小した形、縮小均衡予算というものでは、これは行革にも貿易摩擦にもすべてに、あるいは財政再建に対しても結果的に逆行することじゃないかという考え方を持っているわけなんです。したがって、思い切って発想を変えて、ないじゃないかと言うんじゃなくて、つくってみたらどうだと、そのつくったものによって、思い切って例えば建設公債を発行してみる、あるいは減税も行ってみる、あるいは投資減税を行う、そういう形によって増収を図っていく、税の自然増を図っていくという発想も決して間違っていないというふうに思うわけなんだけれど、極めて漠とした問いかけだけれど、先ほど言ったような観点から、長官どのようにお考えかお聞きしたいと思う。
○国務大臣(金子一平君) ちょうど五十三年の末でございますか、私大蔵大臣に任命されましたときは、第一次石油ショックの直後でございまして、ずっと大変な不況のどん底に当時日本がございました。大蔵省に行ってみますと、五十三年度予算の編成で五十四年度の五月まで税収を食いつぶしておって、もう手も足も出ないというような状況でございましたけれども、そのときにとりましたのはケインズ流の景気刺激策、建設国債を発行して前年度の二割増しくらいの公共事業費をふやしまして景気刺激をやったわけでございます。五十四年、五十五年は、幸いとそういったことも役立ってだと思いますが、ある程度景気が回復したわけでございます。 ただ正直言って物価もある程度上がる、景気と物価の両にらみの一年間、冷や冷やしながらやってきたわけでございますが、当時はそれだけ国債が出せたんでございまするけれども、ここ最近三カ年間の不況、財政引き締めの結果、やっぱりまだまだ赤字公債の累積額がふえておりまして、ことしのごときも十一兆円国債を発行して、十兆円は国債の元利払いに充てなきゃいかぬというような状況でございまして、正直言ってなかなか去年みたいな所得税の減税もできませんし、国債発行しようにもどこまで売れるか、借りかえの時期が新年度は来ますからね、大変今、借換債の消化に大蔵省が苦慮しておるような状況でございます。 ただ、幸いに環境が変わってまいりましたのは、昨年の輸出に支えられてではございますが、日本の景気がずっと上向いてきた。特に最近は、もう実質成長率の上方修正をやるなんということは、過去十年間いまだかつてなかったことでございますけれども、そういう状況になった。新年度は少しはアメリカ経済の影響を受けて鈍化するかもしれませんけれども、それにしてもある程度景気は伸びると。だから、私どもとしましては、今外需一辺倒ではなくて、内需の方へだんだんと経済の重点が移りつつあるわけでございますから、外需と内需とのバランスが大体とれるような経済構造になろうとしておりますから、これをうまく定着させたい。 一番大事なことは、やっぱり私は物価を安定させることだろうと思うんです。景気をよくしようと思えば、調整インフレでもやって物価上げれば、みんな景気いい、景気いいと喜んでいただけるかもしれませんが、これやったら大変なことになりますからね、それは絶対にやっちゃいかぬ。やっぱり数量景気と申しますか、とにかく物価を安定させながら物の回転を速めて、それによってメーカーも喜んでいただく、消費者も喜んでいただく、雇用もふえるというような方向に持っていく、そういうことに定着させるのに今一番いい時期じゃないかと思うんでありまして、私どもといたしましては、お話のようなやり方もあろうかと思うんですよ。けれども、とにかく一億一千万人のこれは財産を左右する仕事を政府はおあずかりしておるわけですからね、とにかく一番安心のいける方法でということで、今申し上げましたような方策をとっておる最中でございますので、どうかひとつ御支援、御協力をいただければありがたいと存じます。
○藤井恒男君 実際の現在のここまで来てしまった財政破綻——破綻と言ってもいいでしょう、状況は。率直にそれはその姿を見なければいけないと思うんです。 どうしてそうなったんだということになれば、いろんな見方はできますが、私どもが見ているのは、これは行財政改革に対する取り組みが余りにも消極的であった、その面から来る構造的な赤字を野放しにし過ぎたじゃないか、あるいは景気調整機能を無視した財政運営というのが循環的な赤字になってきたんじゃないか。したがってそれを糊塗すると言うと言葉が過ぎるかわかりませんが、そのために縮小均衡型の経済財政運営、これは言葉が非常にいいわけだけれど、別な言い方をすれば、帳じりを合わすために、単純な一律的な緊縮政策というもの、それは潜在的に我が国が持っている経済成長力というものをむしろ落としてしまって、そしてこれを継続するということは、適正成長というものに結果的に水をかけることになりやしないか、そのことは財政再建達成という国民的願望に対してむしろ遠ざかることだよという考えを持っているんです。いずれこの点については、また我が党は予算委員会などでも十分論議さしていただきたいと思っているわけです。 そこでお伺いするわけですが、来年度成長目標の四・六%、これはやはり私どもからすれば少なくとも潜在成長力というものは五%はあるんじゃないか、四・六というのはいささか低きに失していないかという気がしている。同時にまた四・六のうち内需を四・一、外需を〇・五と位置づけること、先ほど政府委員の方から、タイムラグがあって一般消費というものも本年度はバトンタッチを受けて定着していくだろうと、これは私いささか強気の読みだと思うんだけれど、そういうお話もあるし、あるいは設備投資も場当たり的なものよりむしろ先端技術を追っかける形になってきているから、底がたいものだよという見通しも述べておられるわけです。 しかし、さりとて内需四・一%、私は五%潜在成長力があるという前提に立っているわけだけれど、現実にアメリカに依存したためと今長官もおっしゃったように、景気回復の大きなてこがそこにある。昨年の七—九を見ても現に減速の兆しになってますわね。したがって四・六%を達成するためにいま一つ何か手だてを考えているのか、とりわけこの内需の四・一%というものは本当にできるんかなということと、それから現にアメリカの経済が少し陰ってくると昨年七—九に見られるように成長減速を来すということですから、アメリカの今の景気というものがどう動いていくのか、どういうふうに展望していらっしゃるのか、その辺のところを総合的に聞かしていただきたいと思うわけです。
○国務大臣(金子一平君) アメリカの景気の見通し、これは先ほどもちょっと冒頭に触れたのでございまするけれども、七—九月は大分スローダウンしたんですが、十—十二月期は、きのうのアメリカ政府の発表によりますると、住宅の方は必ずしも十分じゃないようでございまするけれども、設備投資も消費もどんどん伸びておる。第一物価が安定しておる、事業活動の収益も伸びておると言っておりまするから、相当明るい見通しが持てるんじゃなかろうか。一部経済学者の言われるような、シャボン玉のアメリカの経済でもなかろうと考えておるのでございまして、その点はOECDあたりの六十年度三%台の成長と見るのが順当ではなかろうかと思うのでございます。 そういうOECDあたりの見通しとも関連いたしまして今の経済見通しをつくったものですから、お話の四・六%ということでございますが、でき得べくんばそれは五%の成長にでもできれば私どもは一番望ましい姿であるし、また現実に底力は、私はうまく引っ張り出せば日本経済はそれぐらいは伸ばせるんじゃなかろうかと、これは個人的にはそう考えておるわけでございますけれども、減税もできない、公共事業も思い切ってふやせないような今日の姿でございますから、やっぱり一番頼りにしておりますのは、民間の活力がもりもりと伸びるような環境づくりをしっかりやっていって、民間の活力の導入を図っていく、そのために必要ないろんな先ほど来申し上げておりますような細かい施策をやっていこうと。 それからデレギュレーションと申しますか、余計な政府の規制はもう極力やめるように、これは一遍にすぐやめろと言ったってなかなかできませんから、相当やっぱり長期にわたって継続的に根強い努力をいたしまして、民間の経済活動が十二分に働くような方向に持っていくことが一番大事なことではなかろうかと考えておるような次第でございます。
○藤井恒男君 ちょっと話題を変えますが、最近ケインズ型の経済政策の実効力が薄れてきたという論があるわけですが、これは数字で一度教えていただきたいんですが、計量的に私ども申しておるところの一兆円規模の所得減税、一兆円規模の公共投資あるいは五千億円程度の投資減税、この乗数効果をどのように見ておられるのか、お聞かせいただきたいと思うんです。
○政府委員(赤羽隆夫君) 所得減税及び設備投資減税の乗数効果でございますけれども、これを計算するということになりますと、いわゆる計量経済学モデルというのを使って計算をいたします。これは前提条件をインプットいたしますと必ず結果をアウトプットしてくれる、こういうことで結果が出てくるわけでございますが、実はいろいろなところで、いろいろな方々が計量モデルをつくっておりますけれども、それぞれがすべて違った結果をアウトプットしてくる。インプットは同じでございます。例えば一兆円の所得減税、五千億円の投資減税という形でインプットするわけですけれども、結果が違ってくる。こういうことになりますと、どれが果たしていいのか、このあたりのところがよくわからないということがございますし、さらに現実の問題に引き直してみますと、そうした減税が行われますときの経済情勢、それから人々の心理と申しますか、企業家心理と申しますかあるいは消費者心理と申しますか、そういったものの違いによってまた実際に効果も違ってくるだろう、こういうふうに考えられます。 そこで、大変申しわけございませんけれども、ここで具体的な数値を、これは権威のある数字であるということで申し上げることはできないということでお許しをいただきたいと思います。
○藤井恒男君 これは数字が欲しいんですわ。だからね、ここで権威ある形として申し上げにくいということはわからぬでもない。だから、そっと教えてください。きょうでなくていいですよ、きょうでなくて。インプットする条件いろいろあろうと思うからね。それはそんなことはよく理解しているんだから、心配要らないから。大体どういうふうな目配りをしておられるのかということを知りたいわけ。
○政府委員(赤羽隆夫君) 私どもの役所の附属機関に経済研究所というのがございます。経済研究所でモデルを持っております。したがいまして、経済研究所の方からモデルの試算結果というものを後ほどお届けするようにいたしたいと思います。
○委員長(対馬孝且君) よろしゅうございますか。
○藤井恒男君 これは長官ね、余り肩を張らずに、やっぱりそういうものは出した方がいいんだ。だから、これからもあることですがね、やっぱり教字は出してもらって勉強しなきゃいかぬと思うんで、後でまた下さい。 それから、先ほどもちょっと質問がありました税制改革の問題ですね。現在、行政改革、財政改革、教育改革、それから、これからは税制改革じゃないかという声がやはり非常に強い。これら全部が国民の合意のもとにきちっと位置づけられることが、これからの日本の国際社会で確たる地位を築いていく基礎になるというふうに言われています。私もこれは肯定したいと思うわけです。 したがって、この税制問題も、今、ちまたに言われている直間比率の見直しあるいは大型間接税の導入、それによる財源確保という一直線の物の考えじゃなくて、先ほどもちょっと出ました、ミッテランが来て、直間比率の違いだけじゃなく、例えば我が国が持っている累進課税ですね、所得税のピッチの高さ、これにもびっくりしておったというようなことも漏れ承っているわけです。そういった意味で、あるいはこれまでの税収確保という意味で、言ってみればこう薬を張るように、いろんな形をそのときそのときの場当たり的にとってきた、そのことが税の整合性というものをある意味において著しく欠いているということも指摘できると思うんです。したがって、そこから不公平税制という問題も出てくるし、あるいはトーゴーサンというような問題も出てくる。したがって税に対してはすべての人がみんな不満を持っている。だから、すべての人がみんな不満を持つのが一番いい政治だという見方もあるようですけれど、しかし我が国の税制というものについては、どう見てもやっぱり整合性を欠く、やっぱり一ひねり工夫が必要だなというのが私は常識的な見方じゃなかろうか。そういう意味において、抜本的な税制の見直し——それは私は大型間接税に反対ですよ。それを取り入れるとか、そういう意味じゃないんですよ。しかし、この税制全般について冷静に国民的合意を形成していくという努力は必要じゃないかなという気がしている。そういった観点から、率直なひとつ長官のお考えも聞いておきたいと思うんです。いかがでしょう。
○国務大臣(金子一平君) 今、藤井さん御指摘のように、特に所得税限界に来ておりまして、ちょっといじればますますクロヨンとかトーゴーサンとか、不合理をはっきりさせるだけでございまして、本当にいじりようがない。しかも子供さんを学校へ出すような階層、社会的に大いに活動して、そのための資金が必要な階層の負担がうんと重くなっておるとか、いろんな是正すべき点が非常に多いと思うんです。それでやっぱり所得税中心の見直しをもう一度もとからやり直して、どういう姿が一番いいんだろうか。所得税をとにかく直すんだということを基本にして、今お話しの大型間接税なんて新聞にはよく出ますけれども、中身は何にも私ども決まっているとは聞いておりません。ただ、そういう意見が出ておるだけでございますので、国民の合意のもとにもう一度じっくりこれは考え直す必要がある。 しかし同時に、税をいじくるということになりますると、一体歳出をどうするんだいという話がすぐ出るんでございまして、高度成長時代の惰性でまだぜい肉が残っておる国、地方のぜい肉落としだけはあわせてしっかりやる必要があるんじゃなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○藤井恒男君 我が国が世界に例を見ないスピードで高齢化社会を迎えることになるわけです。しかも、二五%高齢者を抱えるというような事態は地球上にまだどの国も経験していない、まさに未踏の社会というものを迎えつつある。こうなったときに、高齢化社会が我が国の生産力にどのような影響を与えていくと考えておられるのか、また極めてマクロな物の見方だけれど、問い方だけれど、所得再配分へどのような影響を与えていくのか、また、望ましいその場合の国民の負担というものはどういうふうに見られるのか。これは非常に重要な問題であり、かつ関心の深い問題でございますので、その辺のところを聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(大竹宏繁君) 人口の高齢化に伴います影響でございますが、まず生産力についてのお尋ねでありましたが、もちろん生産に従事する者の年齢が高くなるということによる労働の生産性の問題が一つあろうかと思いますし、これから高齢者がふえていくということになりますと、それから出生率が一方では非常に低いままであるというような状況を考えますと、労働力人口の比率が落ちてくるという問題もございます。そうしたいろいろな点を考えますと、そのことだけ考えますと経済にとってプラスになる要因ではないわけでございます。ただ一方、高齢者の持っております能力は、肉体的には低下するという面はございますけれども、蓄積した経験、知識といった面の活用を通じて、別の意味で活力を引き出すという可能性もございますので、一概に悲観するということは当たらないであろうし、また、そうならないような施策を講じていかなければならないというふうに考えております。 それから所得再配分の問題あるいは負担率の問題でございますが、これは一方では社会保障の充実ということ、あるいは社会保障の対象の人員がふえるわけでございますので、そのための支出がふえる、それに伴いまして負担もふえざるを得ないわけでございますが、その負担がいわば高齢者世帯、利益を受ける世帯と、それから負担をする世帯の間でアンバランスを生じないかどうかという点が非常に大きな問題でございますので、その辺が世帯間の負担、受益のゆがみが生じないような配慮が必要であるということでございます。 それから、負担率でございますが、これは御承知のように、「展望と指針」の中におきましては、ヨーロッパ水準をかなり下回る水準にとどめるよう努めることが望ましいというふうに記述があるわけでございます。もちろんその負担水準を一律あるいは固定的に申し上げるということはなかなか難しいわけでございまして、一方では社会保障による受益、すなわち公的な支出との関連で各方面の議論を重ねながら、国民の合意のもとに決めていかなければならない問題であるというふうに考えております。
○藤井恒男君 極めてざっくりした言い方すれば、現在税金が二五%、医療がおおむね五%、年金が、厚生年金の場合一〇・六%折半だから五%。三五%。こういった考え方に基づいて、年金の問題、今、国会で論議の中にあるわけだけど、欧州のある国では五〇%超えている、それがゆえに活力を減退するという問題もある。中期展望に立って、目の前に高齢化社会を迎えるわけなんだから、いろいろなこれはモデルがありましょう。年金開始年齢の問題だとか、これからの医療の動き方だとか、年金の決まり方、いろいろあるけど、おおむね外国に一応これまでの例はあるわけですから、大体どれぐらいの負担率ぐらいまでなら許容できるのか、そのためには老後の受益者がどれだけ受給されるかという前提ももちろんありましょう。しかし大体ざっくり、いろんな団体がここまではというようなことも言っているわけなんで、経企庁としては、まあこれぐらいが常識じゃないだろうかなという線を持っていると思うんだけれど、どうなんですか。
○政府委員(大竹宏繁君) 私ども具体的な率について申し上げられないという理由の一つは、やはり支出の方の受益でございますね。こちらの方のあれをどのくらい社会保障として支出をするか、そのための負担をどの程度国民として負担をすることについて合意があるのかということは、議論を詰めてまいりませんと、なかなかここで幾らという線を頭で考えてそうするというわけのものではないと思います。 御指摘になりましたヨーロッパの数字、イギリス、西ドイツが大体五〇ぐらい、フランスで五五を超えるというようなことでございます。そうした負担率そのものの高さと経済のパフォーマンスについてもいろんな意見はあるかと思いますが、いずれにしても我が国の場合は、一方では税があり、一方では社会保障負担がございますが、そのいずれにつきましても、ただいま税のお話もお触れになりましたけれども、これから制度改正もあり、議論もするという段階でございます。あらかじめ一定の率を想定してそうした制度改正を行うというのは適当かどうかというふうに考えておりますので、率を現在の段階で申し上げるという状況ではない。十分御議論を詰めて、その結果として率が決まってくるのではなかろうか。しかしいずれにしてもヨーロッパの水準をかなり下回るところにとどめるということが望ましいというのが努力目標ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○藤井恒男君 もう時間が来ましたので質問やめますが、冒頭申し上げたように、この委員会は、法律をつくったり、政府をとっちめたりというものとは違うわけなんで、やはり国会の場で論議をすることによって国民を啓発するという大きな使命があるわけなんです。それに対してやっぱり勇敢でなきゃいかぬ。まだ皆さん方、まあ言葉じりをとらえられないようにというようなこともありましょうがね、ここに座れば予算委員会みたいな気持ちになっちゃって、きょうも場所が悪かったんだけど、(笑声)どうもかみしも着ていけない。 だから、年金の問題一つとっても、将来、現在の六七%を六八%にする、そうすれば負担がこうなりますと、いろいろ現実にポーンと出てくるわけだね。しかし、そういったものはあらかじめこのような委員会で論議して、おおむねこんなところだなというような話をする中からやっぱり法律をつくっていかなきゃいかぬ。場合によったら議員立法でつくっていかなきゃいかぬということなんだから、ひとつ大いに勉強して、もっとかみしもを脱いで、フランクな気持ちでこの委員会にこれからは出てきてもらう。それでなかったらこれやったって何も意味ないんだから。その点、長官もひとつ楽しんでこの委員会に出てきてもらうということをお願いいたしまして、質問終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○青木茂君 企画庁は、昨年の秋でございましたか、五十九年度の経済見通しの上方修正をおやりになりましたわね。あれを拝見いたしまして、ちょっと内需と外需の点については問題がございますけれども、少し強気過ぎるんじゃないかと思ったんですけど、現実はそれをさらに上回るような景気回復の状況が出ておりますわね。そうなりますと、日本経済のファンダメンタルズと申しますか、その状況は決して悪くない。これは大変いいことだと思いますけれども、ミクロの数字で見ますと、必ずしもいいことばかりではないような気がするんですよ。 例えばこの委員会が、どうですか、一時から始まりまして五時ですか、四時間ですね。それで、この四時間という時間を考えてみても、この四時間の間に恐らく九つぐらい企業がつぶれているんじゃないかと思いますし、この四時間の間に、単純平均すれば十二人ぐらい自殺者が出ているんじゃないかと思いますし、あるいは失業でも、倒産がそれだけ出ているんだから当然失業も出てくる。あるいは年間の国債利払いが十兆円ということは、どうですか、一時間当たりにして十億円ぐらいになる。そうすると四時間で四十億円ぐらい金が吹っ飛ぶというような、ミクロ数字で見ますと私は日本経済は明るくないという感じがして仕方がないんです。そうすると、マクロ数字で見て非常に明るい面が出てきている。ミクロ数字で見ますと首ひねらざるを得ないような指標がある。このギャップというものをまず長官はどういうふうにごらんになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(金子一平君) やっぱり一つの過渡期としてこういう現象が起こるのはやむを得ないことではなかろうか。特に従来から業種によって、あるいはまた、北海道とか四国とかいうような地域によってばらつきがございまして、率直に言えば、まだら模様の景気がまだ少し払拭できないでおる。しかし全体として見ると明るい方向へ着実に動いておる、こういうふうに私どもは理解しておるわけでございまして、一日も早く今の経済の拡大機運が日本全体に及ぶように、せっかく持っていけるように努力したいと考えておる次第でございます。
○青木茂君 全体として明るい方向に向かっていること、これは私もそう思いますし、大変いいことだと思いますね。しかし、どうも倒産件数なんかを見ると、これが史上最高の塗りかえであるということになると、どうしても心配せざるを得ない。 見方を変えまして、例えばノイローゼだとかストレスだとか、そういう患者がどんどんどんどんふえているんですよ。医学が進歩して、伝染病だとか結核等は減っているんですけれども、ノイローゼ患者がめちゃくちゃにふえているということは、こんなに景気が明るくなったという中で、みんながいらいらしている。これ日本経済のかじ取りに何か一つ問題があるんじゃないかという私は気がして仕方がないんです。 そこで、ちょっと長官にお休みいただいて、私ちょっと労働省にお願いがございますんですけれども、一昨日のことで、私はまだ十分調査しておりませんから何とも言えませんけれども、こういう手紙が来ているんですよ。もう私はあす自殺しますというんですよ。あるところに勤めているサラリーマンなんですけれども、社会保険は全然なし、勤務時間は月間三百六十時間以上、一日十二時間以上、給料は時給にして四百二十円から四百七十円、何年たっても昇給なし、残業、深夜手当なし、その次が、びっくりしたんだけれども、ボーナスは年三万円、各手当なし。ここちょっとおかしいんだけれども、通勤費は所得に入れて課税対象と。これに文句つけたらやめろと言われて首切られたというような訴えなんですけれども、非常に明るくなりつつある日本の中においてこういう状況があるということについてひとつ政治の光をという訴えなんですね。これ労働省の方でどう扱っていただけますかね。
○説明員(菊地好司君) お答えいたしますが、御質問の点については、私も初めて拝聴したことでもありますので、もう少し詳しくお聞き取りいただいた上で、しかるべく調査して、所要の措置をとらせていただきたい、かように考えていますが。
○青木茂君 ありがとうございます。 私も、本人の名前を出していいのか、勤めている会社を具体的に出していいのかちょっとわかりませんから、今本人に問い合わせ中で、あるいは何かほかに原因があるのかもしれませんから、そこら辺わかりましたら、また労働省の方にお願いに参るかと思いますけれども、そのときはひとつよろしく、こういう状態もあるということでお願いを申し上げたいと思います。 問題をもとへ戻します。 そうすると、日本経済が回復をしてきたということは外需ですね、どうしても外需に寄りかかっている要因が大きい。この外需が集中豪雨型だとか貿易摩擦だとかなんとか言われて、非常に今後問題を起こすんではないか。そうなりますと、私は、とにかくこの消費者心理と申しますか、国民心理と申しますか、そういうものを明るくすることによって、内需主導型に自然になるのじゃなしに、内需というものを大きく喚起するような具体的な政策というものが今後とられていかなければいけないんじゃないかと思うわけなんですね。 その内需を大きく振興させるための具体策というものを経企庁のお立場で、これはさっきの方の御質問のように、本当にかみしも要らないんだから、ここで揚げ足をとるわけじゃないんだから、そういう方向というものを、お考えを率直にお述べをいただけるとありがたいと思うわけです。
○国務大臣(金子一平君) これは外需一辺倒の経済がずっといつまでも続いているわけじゃございませんで、昨年の中ごろから外需と関係のない、輸出貿易に依存しないいろいろな設備投資がどんどん進んできた。しかもそれは非製造業からサービス業に至るまで設備投資がどんどん進んでおる。大変望ましい姿に変わってきて、大体内需、外需バランスのとれた姿になってきたんではなかろうかと考えておるわけでございまして、この勢いをさらに一歩進めたいというのが私どもの願望でございます。 できれば先ほど来お話のございましたように減税もやりたい、公共事業もふやしたいということですけれども、それはなかなかできませんから、せめて来年度予算の公共事業の事業費だけは従来どおり確保するとか、投資減税をある程度やるとか、いろいろなことを財政的にはやっておりまするけれども、同時にやっぱり民間主導型の経済に持っていくことが一番望ましい姿でございますので、いつまでも国におんぶするのじゃなくて、もりもりと民間の企業に元気を出してもらえるような環境づくりをやる。余りつまらぬことを一つ一つ規制するような役所の指導なり法律は、もうどんどんやめてもらう。それから同時に、公共用地を払い下げるとか、あるいは大きなプロジェクトにもどんどん民間に参加してもらって、それがペイできるような方向でいろいろなことをやっていくというようなことが大事なことではないか。 しかも、これは一遍になかなか即効性は上がらぬと思うのでありまするけれども、例えば住宅産業を伸ばすにつきまして、今一番問題は宅地なんですね。ところが建設省は線引きをしっかりやっている。農林省は農業振興法かなんかで網をかぶせている。自治省は自治省で網をかぶせている。地方で住宅をつくろうと思っても簡単にいかないんです。一つの例でございますけれども、こういった規制をどんどん外すことによって、今停滞しておる住宅産業がある程度伸びるんじゃなかろうか。そういうことを地道にやっていくことが非常に私は大事なことだと考えております。
○青木茂君 住宅一つ考えるにしたところで、農地の宅地並み課税なんというのは、余りそれが逃げ腰、逃げ腰では、これはとてもじゃないけど住宅はできないと思います。ただ内需ということが、いわゆる設備投資でやるのか。輸出がふえたって設備投資は大きくなりますから、輸出が引っ張るということもあり得るわけですから、それよりやっぱり内需。それどころか、総需要の中心は個人消費でございますから、その個人消費をストレートに引っ張り上げるというような具体策、自然に個人消費が明るくなってくるであろうということではなしに、個人消費を直接的に引っ張り上げるような具体策というものを、経企庁は今後の長期展望としてお考えにならないかどうかということなんですけれども、長官に伺いたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) これは先ほど来申し上げておりますように、うんと給料が上がるように経済活動を活発にするということが一番大事なことでございましょう。例えば春闘相場をどうするかなんということは、組合と使用者との間の話し合いの問題でございますから、国が関与すべき筋合いの問題じゃございませんけれども、とにかく企業活動が活発になり、収益がどんどんふえつつあることは事実でございます。 それに加うるに、何とか今の税制面での手配ができるような態勢づくりをしっかりやっていく。今すぐそれをやれと言われてもなかなかできませんけれども、その基盤だけはひとつこの機会につくっておく。そして必要な財政金融上の措置をいつでも発動できるようなある程度のゆとりを財政に持たせることが一番大事なことではなかろうかと考えておる次第でございます。
○青木茂君 何となく増税の話にいきそうで怖いんですけれども、アメリカなんか見まして、あれだけの貿易赤字、財政赤字、そういうものをアメリカ経済は抱えながらうまく経済運営が行われていると思うんですよね。 その理由は一体どこにあるか。つまりアメリカは、余りほかのことは模範にせぬでもいいですけれども、あの経済政策の運営は上手だと思いますね。アメリカでやったあのハンドリングが日本経済においてとれないかどうか、どうやればとれるであろうかというようなことを、これは長期的に企画庁で御検討願いたい。どうも経済白書にいたしましても生活白書にいたしましても、非常に分析はしっかりなさいますんですけれども、その分析に基づいてさあどうするんだということについてちょっと何か舌足らずのような感じがしないでもございません。 それから、小会派というのは時間がございませんものですから、ちょっと問題を変えますけれども、最近、人生八十年ということが盛んに言われまして、それは私は人間の寿命が延びることだから結構だと思います。ただ、高齢化社会ということで、おびえを少し刺激し過ぎるんじゃないか。例えば財政がパンクいたしますよ、増税がありますよ、年金の課税が強化されますよと、そういうような、例を挙げれば切りのないようなおびえの引っ張り上げがある。それはそれで、この国会の中においていろいろ論議のあるところで、これから論議するところでいいと思いますけれども、企業の中におびえの商品化というのがあるんです。つまり個人年金保険なんというのは、もう厚生年金危ないと思うから少し個人年金保険でもってカバーしなきゃならぬ。国民は非常に努力をしているわけですね。 ところが、どうも個人年金保険の内容を見てみますと非常に高いんですよね、保険料が。試算がありますけれども、時間があと三分しかないので、とにかく結果だけ申し上げますと、二千万円から三千万円こっちが払って、受け取る年金額は二千四百万円ぐらいなものだというような試算がないことはない。だから、なかなか入りたくても個人年金保険に入れない点があるんですよ。だから、国民としては、乏しい家計の中から年金の不備を補うために個人年金保険というようなものへ入るんだから、少しでも有利なものに入りたいと思うのは私当然だと思うんですよ。 ところが、民間の生命保険会社、これは郵政省の簡易保険も含めて、比較情報というものを国民に提供しようとしないんですよ。どこの会社がどれだけであってと、これは条件さえ一定にすればそうできないことはないと思うんですね。絶対に出しませんね、この比較情報というのを。これは大蔵省あたりで、とにかく国民は本当に無理して年金の不備を民間の個人年金保険で補おうとしているんだから、少しでも有利なものを国民に知らせるというわけで、どれが有利かというようなことを大蔵省が言うわけにいきませんから、比較情報ぐらいは大蔵省自体で出すとか、あるいは出させる指導をするとかいうようなことを私はお願いをしたいんですけれども、ちょっと大蔵の保険の方いらっしゃっていますかね。
○説明員(龍宝惟男君) 先生から御指摘のございましたように、これから公的年金を補完するものとして民間保険というのをますます充実したものにしなければいけない、これはまことにごもっともでございます。一方、保険の商品というのは保険数理その他大変難しゅうございます。一方で生活に非常に密接に結びついている商品ですから、なるべくわかりやすく情報提供をする、またその充実を図るというのは、これに努めなければいけないということで私どもも考えているところでございます。 ただ一つ問題としてございますのは、個人年金保険を例にとってみますと、これは大変息の長い商品でございます。したがいまして、個人のライフサイクルの中で老後の生活をどういうふうに考えるか、あるいは老後の保障をどういうふうに考えるかということで非常にニーズが多様化をしております。一方、保険会社の方もそういうふうに多様化いたしましたニーズにこたえるように逓増型であるとかあるいは定額型であるとか、保障期間をつくったりあるいは終身型をつくったりということで、いろいろな多様な商品を提供するということになりますと、これは消費者の方が選ぶときに一番合った商品を選ぶという意味ではいいんですけれども、同じ商品ではございませんから、これの比較がなかなか技術的に難しいという、こういう問題がございます。 それからもう一つは、保険の場合に配当が幾らになるかというのがこれ大事な問題でございますけれども、これも実績の配当でございますから、二十年、三十年どうなるかというのもわからないということがございまして、この辺は法律上も比較してはいかぬというふうなことが実は決められているわけでございます。 ただ、そう申しましても消費者の方々が選ぶときに大変困ってはいけないということで、実は数年前からでございますけれども商品の一覧表というのをつくりまして、これは毎年改訂をいたしまして、地方の生命保険協会、今五十五カ所ございます、それから消費生活センターが二百五十カ所、その他に配っております。 特に去年新しい措置を三つとりましたので、これだけを御紹介さしていただきますと、一つは「生命保険加入の手引」というのを、これをつくりまして、今と同じところに配付をいたしました。それからもう一つ、配当なんかを調べる場合の手引になりますように「事業・業績のお知らせ」というのも、これも消費生活センターに配付をいたしました。それから昨年のこれも九月からでございますけれども、生保各社の商品のパンフレットを全部集めまして、少なくとも十種類以上集めまして、それを全部ワンセットにして置いておく、生命保険協会に置いておくということも始めまして、一覧表的に一律な比較はできませんけれども、消費者がお選びになるときにどれが一番合ったものなのか、まあ一番わかりやすいようなパンフレットが一堂に集まっているというふうな形で、そういう充実に努めているところでございます。
○青木茂君 最後に一問だけ、時間が参りましたけれども。 御努力は大変評価いたしますけれども、やはり余りにも保険商品が多種多様過ぎてわからないんです。無理に難しくしているんじゃないかという感じさえあるぐらいわからない。ですから、とにかく消費者が選びやすいような一覧表に持っていっていただきたい。 特にあの業界は護送船団行政という別名があるように、かなり官庁に弱い業界ですから、悪いことで護送船団やってもらっちゃ困るけれども、いいことで護送船団やってくれるなら非常に結構なんだから、その比較情報を出させるように。今の状態じゃ絶対出しませんよ、言葉を左右にして逃げていますわ。そういうことじゃ消費者は困るということだけひとつ聞いておいていただきたいと思うわけでございます。 終わります。
○委員長(対馬孝且君) それでは、本日の調査はこの程度にとどめます。 ─────────────
○委員長(対馬孝且君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りをいたします。 去る十二月十九日の委員会におきまして、国民生活・経済に関する調査のため、この自然休会中に委員派遣を行うことを決定いたしておりましたが、都合により実施できませんでした。 よって、改めて開会中に国民生活・経済に関する調査のための委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(対馬孝且君) 御異議ないと認めます。 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定はこれを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(対馬孝且君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時八分散会