建設委員会 第11号
- 発言数
- 81 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1985/06/04
会議録
○委員長(本岡昭次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る四月十八日、赤桐操君及び柄谷道一君が委員を辞任され、その補欠として松本英一君及び山田勇君が選任されました。 また、去る四月十九日、宮島滉君が委員を辞任され、その補欠として服部安司君が選任されました。 ─────────────
○委員長(本岡昭次君) 半島振興法案を議題といたします。 まず、提出者衆議院建設委員長保岡興治君から趣旨説明を聴取いたします。保岡興治君。
○衆議院議員(保岡興治君) ただいま議題となりました半島振興法案について、その提案理由及び主な内容を御説明申し上げます。 いわゆる半島は、三方を海に囲まれた地域としての立地条件のために、孤島的な性格を有し、一般的には、平地に恵まれず、また水資源も乏しいなど国土資源の利用面の制約から産業立地も思うに任せず、所得の格差等が見られ、人口の減少、高齢化の進展など今後に大きな課題を抱えております。 しかるに、このような半島地域についてのこれまでの広域的、総合的振興を図るための施策は、かなり立ちおくれていると言わざるを得ません。 国土の均衡ある発展と地域住民の生活福祉の向上を図るためには、こうした半島地域がその後進性から脱却し、個々の半島の開発戦略を推進し、その持つ特殊性、可能性を最大限に生かせるよう、総合的な振興策を講じる必要があるというのが本法律案の提出の理由であります。 次に、この法律案の主な内容について申し上げます。 第一に、内閣総理大臣は、都道府県知事の申請に基づき、二以上の市町村の区域から成り、一定の社会的経済的規模を有し、公共的施設の整備について他の地域に比較して低位にあり、かつ、産業の開発の程度が低く、企業の立地の促進等の措置を講ずる必要がある半島地域を半島振興対策実施地域として指定することとしております。 第二に、半島振興対策実施地域の指定があったときは、関係都道府県知事は、振興の基本的方針に関する事項、基幹的な道路、港湾、空港等の交通施設及び通信施設の整備に関する事項などを内容とする半島振興計画を作成し、内閣総理大臣の承認を受けなければならないこととしております。 第三に、国は半島振興計画に基づく事業の実施に関し、必要な財政金融上の措置を講ずるよう配慮するとともに、その事業の円滑な実施を促進することに努めなければならないこととしております。 その他、地方債についての配慮、税制上の措置、地方税の不均一課税に伴う措置などを設けることとしております。 なお、本案は、公布の日から施行し、有効期限は昭和七十年三月三十一日までとすることとしております。 以上が、本法律案の提案の理由及びその主な内容であります。何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(本岡昭次君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○青木薪次君 青木でありますが、時間がありませんので、簡潔に要領よく御答弁をお願いいたしたいと思います。 半島振興法案については、昨年の国会で自民党の有志議員によって一度提出され、我が党もこの案については賛成なのでありますが、私はあの当時こちらの参議院の建設委員長としていろいろ皆さんと相談をいたしてまいりました。突如として衆議院の提案者であるべき人がいなくなってしまったというようなハプニングがありまして大変問題になったわけでありますが、いろいろ論議されたようであります。衆議院建設委員長の提案という形で法案がまとめられたことについて、行財政改革と称しまして大変弱いところに犠牲がしわ寄せされがちなだけに、この法案のいろんな意義というものが存在する、私はこう考えております。 しかし、法案の内容は必ずしも十分なものではないという感じを持っているのでありますが、全般的に抽象的で、具体的には今後の行政に運用をゆだねているということがあるのであります。個々の内容については国土庁にもただしてまいりたいと思っておりますが、提案者として全般的な考え方、すなわちもう一歩踏み込むべきではなかったのかという感じを持っているわけでありますが、この点について提案者の御意見をお伺いいたしたいと思います。
○衆議院議員(保岡興治君) 半島振興法の取りまとめに当たりましては、半島地域の置かれた状況が非常におくれているということ、そしてまた一体的に広域的かつ総合的な振興ができるような必要性があるということなどありまして、一日も早くこれらの施策が推進されるよう可能ならしめるということで、現下の状況は極めて厳しい財政事情や社会経済状況にあるわけでございますが、そういう中で各党理事の御協力をいただきまして、提案者としては可能な限り最大限努力して、現時点で取りまとめられる最高のものを求めるということで努力をしてまいったつもりでございます。 抽象的ではないかという点の御指摘でございますけれども、本法律案の成立によって半島地域の振興の基本理念というものがはっきりしてまいりまして、施策の方向づけが明確になるものと考えておりますので、具体的な施策の推進ということについては今後政府に対し強力に働きかけをして、本法律案の目的が具体的に速やかに達成されるように努力をしてまいりたい、このように思っております。
○青木薪次君 そこで、国土庁にお伺いいたしたいと思うのでありますが、この法案では対象となる地域を半島振興対策実施地域として内閣総理大臣が地域指定をすることになっているわけであります。その指定基準が二条一項に規定されているのでありますが、その要件の中で、「一定の社会的経済的規模を有する地域であること。」とは一体どう具体的に運用されるのか、公共的施設の整備の比較の二条一項についてはどことどこを比較するのか、考え方を明らかにしてもらいたいと思うのであります。 例えば瀬戸内海あたりでも島がある。その島は二町村以上でなきゃだめだ。こういった場合に、その島全体が北海道の阿寒町のようにどこかの県を一つまとめたぐらいのところがあるんですね。そういうようなところを二つないからだめだなんということは言えないと思うのでありまして、その点についてもひとつ考え方を明らかにしていただきたいと思います。時間がありませんので、簡潔に要領よく御答弁願います。
○政府委員(田中暁君) 我々の理解しておりますところでは、この半島振興法案の主なねらいといいますのは、これまでの過疎法とかあるいは山村振興法など、市町村あるいはその一部を単位といたします個別政策では十分対応できないような、いわば広域的な圏域を対象といたしました総合的な振興対策を講ずることにあるというように理解をいたしております。こういった立法の趣旨から考えますと、やはり対象地域はある程度の社会的経済的な規模を持っている地域を対象にするのがふさわしいのではないかというように考えておるわけでございますが、具体的な運用基準につきましては、客観性を保持するという観点から今後国土審議会等で例えば基準をつくるというようなことを御検討いただくのではなかろうかというように考えておるわけでございます。 それから後段の御質問の高速自動車国道等公共的施設の整備状況につきましては、この法律案の立法趣旨に照らしますと、常識的には半島地域とそれ以外の地域、あるいは半島地域と全国の平均値等々を比較するということになるのではないかと考えておりますけれども、この点に関しましても、その具体的な比較基準等は国土審議会で今後御検討していただくべきものではなかろうかというように考えております。
○青木薪次君 「二以上」とあるのを、将来町村合併もあるし、それから今私が申し上げました北海道の阿寒町は一つの県ぐらいの広さがあるということも考慮して、必ずしも字で書いたように二町村以上でなきゃだめなんだということはこれはできないということでよろしゅうございますね。
○政府委員(田中暁君) この法律を読みます限りでは、二以上の市町村の区域から成るということは裁量の余地がない事項であろうと思います。 それで、ただ、例えば二以上では成るけれども、ごく一部しか入っていないというように小さい区域というようなものも恐らく一定の社会的経済的規模を有する地域にはなるまい。だから、そちらの方はその基準によって具体的なものがはっきりすると思いますが、一つの市町村の区域から成るものを、その市町村が大きいからといって対象に指定するということはこれは解釈上なり得ない、こういうように思います。
○青木薪次君 そうかたいことを言わずに、将来地域指定の場合においてはいろんな審議会とか懇談会というやつでやるわけですから、今、田中局長はまさに石橋をたたいて、石橋を砕いて引き戻ってしまうような考え方を持たれているのじゃないかというように考えておりますけれども、その辺は今後の課題にしていきたい。よろしゅうございますね。 地域指定を受けたら知事によって半島振興計画が作成されるわけでありますが、その内容が四条に一号から六号まで規定されておりますが、これらはいずれも必要なものだけれども、このほかにも重要なもので落ちているものがあるんです。例えば医療とか福祉とか生活環境施設等が規定されていないが、地域振興の上で欠かせないのではないかというように考えますが、簡潔に御答弁を願います。
○政府委員(田中暁君) 御指摘のとおり、多くの半島地域におきましては人口の減少がかなり激しく、高齢化が進展するといったような問題を抱えておりまして、そういった意味で、医療施設でございますとか、福祉施設、生活環境施設等の整備を進めることも重要な政策課題であるという認識を持っております。 今回、提案されております法案の第四条の「半島振興計画の内容」につきましては、これについて特に明文の規定はございませんけれども、明記されたものはいずれも主要なものの例示であると受けとめておりまして、第六号にはその他「半島振興に関し必要な事項」といういわばセービングクローズがございますので、それぞれの半島地域の実情に応じまして、御指摘の事項も振興計画に盛り込まれるものと考えている次第でございます。
○青木薪次君 本案が成立し、施行されれば内閣総理大臣による半島振興対策実施地域の指定が行われて、次いで知事による半島振興計画の作成、それに基づく事業の実施という手順になるんですね。そうなれば具体的に予算措置も必要となるのでありまするけれども、これらのスケジュールの見通しはそれぞれいつごろになりますか。金丸さんは、二年はだめだ、こう言っているのでありますが、これもなかなか厳しい話でありますけれども、いかがですか。
○政府委員(田中暁君) 今後の手続のスケジュールでございますが、地域指定に関しましては、まず都道府県知事の申請の前提になります具体的な地域指定基準を国土審議会で作成していただく必要があると考えておりまして、また指定に当たりましては関係行政機関の長との協議、こういった手続が必要になってくるわけでございます。 我々といたしましては、御趣旨を体しまして、できるだけ速やかに手続を進めていきたいと考えておるわけでございますが、半島の場合は例えば離島等と比べましても基準づくりにはかなり議論を要するというような感じもいたしますので、他の地域振興立法での地域指定の例を踏まえて考えてみると、ごく常識的にはやはり一年程度はこれに要するのではないかという気がいたします。 また、半島振興計画の作成、承認につきましても、地域指定と同様に相当広い範囲で協議、調整を図る必要がございますので、やはり地域指定後これにもかなりの時間がかかるというように考えるわけでございます。もちろん、具体的にやってみませんとはっきりしたことは申し上げられませんけれども、法律ができ上がりまして直ちに具体的に動き出すというわけにはなかなかまいらないと考えておるわけでございます。 この半島振興計画に基づきます事業の実施、それからその事業に必要な具体的な予算の計上につきましては、計画が承認された後に事業の種類に応じまして国、地方公共団体、民間のそれぞれの分野で逐次事業に必要な予算が計上されまして、事業の実施が図られていくものと考えておるわけでございます。
○青木薪次君 委員長にお伺いいたしたいと思うのでありますが、本法の計画に基づく事業の実施にはどのようなメリットがあるのか、あるいはまたこの種の地域立法には過疎法や山村振興法に照らしても通常優先採択と補助率のかさ上げなどが考えられるのでありまするけれども、本案では特に補助率の優遇には全く触れられていないのであります。この点についてはどのように考えていらっしゃいますか。
○衆議院議員(保岡興治君) 半島振興計画は内閣総理大臣の承認を得るものでありますので、この計画に基づく事業の位置づけが明確になって事業の優先採択、地方債に対する特別の配慮などによって事業の実施が促進される、そういうふうに考えています。 今、先生御指摘の補助条件の優遇についてですけれども、この種の地域振興における立法スタイルとしては、直接本法に盛り込む方法と、計画策定等の状況を見ながら後年度に別途財政特例法等を制定する方法の、大きく二通りのやり方があると思うのでありますが、本法を立案するに当たっては後者の考え方をとったものであります。したがって、財政特例法の制定等、今後具体的な努力が必要なわけでありますが、他の地域立法との均衡をも考慮してできるだけ早くこれができるように努力したいと考えておりますし、政府に対してもそのように働きかけていく所存でございます。
○青木薪次君 委員長にお伺いいたしたいのでありますが、第八条の地方債については随分と言わずもがなの文章が書いてありまして、起債については厳しく制限するかのごとくの印象を受けますけれども、これでは地方公共団体の事業意欲を損ね、振興事業の進捗はおぼつかなくなるおそれがあると思うのでありまして、周辺環境厳しき折にもかかわらず、半島地域の自治体、住民の大きな期待と運動によって制定される本法でありますから、でき得る限り公共団体の要望は実現させる、金の面倒を見るというのが筋であると考えますが、提案者の御趣旨をお伺いいたしたいと思います。
○衆議院議員(保岡興治君) 第八条の先生が御指摘の部分で、多分そうじゃないかと思うんですが、「法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、」という表現がとられておって、何か制限的に書いてあるようにも見えますけれども、これは当然の事理を表明したものであって、むしろ第八条の本旨は半島振興のために起こす地方債については一般の地方債よりも取り扱いを優先すべきものと宣明した配慮規定だというふうに理解していただきたいと思うんです。そういう意味で、地方公共団体の財政事情等も勘案しながら、それらの御要望についてはできるだけこれをしんしゃくして対応していくということが大事だというふうに考えております。
○青木薪次君 第十一条の地方税に関する規定についてでありますが、ここでは固定資産税しか書いてなく、あとは政令委任となっています。半島振興には広域的観点が必要でありまして、市町村税のみでなく府県税も当然対象となるべきという声も聞かれるのでありますが、議員立法である以上、政令ではあるが提案者として何を想定されているのか明らかにしていただきたい、このように考えます。
○衆議院議員(保岡興治君) 第十一条の政令事項についてですけれども、これは今後努力をしていく課題の一つでありますが、税調等で議論するべきものでありますけれども、提案者としては固定資産税のほかに県税である事業税、不動産取得税なども考えて立案をしたものでございます。
○青木薪次君 提案者にもう一度お伺いしたいのでありますが、本法の有効期限は昭和七十年三月三十一日とされていますが、その理由は何か。七十年までには必要な事業は完了するというお考えに立っているのかどうか、その点をお伺いいたします。
○衆議院議員(保岡興治君) 半島振興法案の作成に当たっては、過疎法や山村振興法、離島振興法などのこれまでの既存の地域振興立法の例に倣って、法律の有効期限を十年間としてできる限りその期間内に立法の目的を達成するように努めることとしたものでございます。したがって、法律の有効期限が到来した場合には、その時点において半島振興のための施策がどのように行われてきたか、その進捗状況、半島のその時点での状況などを総合的に勘案して法律の延長がさらに必要か、十分な目的をこの十年間に達したかどうか、よく考えてその時点でまた対応するべきものだと考えております。
○青木薪次君 国土庁にお伺いいたしたいと思うのでありますが、昨年春に半島振興問題懇談会を設置して、半島の問題点や地域のデータを整理いたしまして、また対応策を検討して七日に中間報告がまとめられているのでありますが、半島は全国三十一道府県で五十一の半島があるようでありまするけれども、懇談会においてはそれらの地域ではどのような問題を抱えており、またそれに対してどのような対策が必要であると結論されているのか、簡単に説明をお願いいたしたいと思います。
○政府委員(田中暁君) 昨年七月に半島振興問題懇談会から出されました中間報告によりますと、半島の現状認識といたしまして、一つには交通が不便である、特に高速交通体系の整備が立ちおくれているということ、二番目には一般的に水資源が不足しているということ、三番目には第二次産業あるいは第三次産業の発展が立ちおくれて一次産業の比重が高いということ、四番目には人口が停滞ないしは減少しており、それに伴って高齢化が進展しているということ、五番目にそのもろもろの結果として所得水準が低いというような点を指摘しておりまして、いわば離島に極めて近似した問題を抱えていると言っておるわけでございます。 そして、こういったいわば半島問題に対処いたしますために、都道府県が交通体系の整備や水資源の開発あるいは産業振興、こういったものを中心といたしまして、それぞれの半島の特性を生かしました広域的かつ総合的な開発戦略を内容とする半島振興計画を策定した上で、これに基づく事業の実施に対しましては助成策として公共事業の優先配分、補助率の引き上げ、税制上の特例措置あるいは政府関係金融機関による低利融資等の措置を講じることが必要であると述べておるところでございます。
○青木薪次君 提案者は、先ほどからも前向きに努力するというように言明をいたしております。たまたま議員提案ということになりますと、関係政府当局からも軽んじて見られる可能性ということがかつてはあったと思います。この半島振興法については、これは関係市町村や知事が私どものところへもひっきりなしに陳情、要請に実は来ているわけでございます。これらの関係についてその地域から出ている同僚議員は必死になってこの法案の可決、成立に向かって努力されているということについて、私は大変結構なことだと思います。 しかしながら、例えば地理的要因により交通が不便であるとか、高速交通体系整備が立ちおくれているとか、地形的原因で水資源が不足しているとか、山地が多い、水資源が乏しい、市場への時間、距離が遠いとか、企業立地の少ないことなどによって総じて農林漁業の比率が高くて第二次、第三次産業の発展が立ちおくれているというようなことがこの法案として成立さしたいという根拠になっているし、雇用の機会が少ないことに伴う若年層の問題点も非常に多いわけでございます。 人口の停滞ないし著しい減少等が今日二十一世紀に向けて国土の問題について基本的な考え方の基礎になっておりますので、これらに対する誘導政策等についても考えなきゃならぬというように考えておりますし、そのことは勢い産業水準が低い、したがって所得が低いということにもなってくると思うのでありまするけれども、懇談会の結論を具体的に実施するのに今回提案されている法案の内容で十分対応できると考えているのかどうか、国土庁長官は所管大臣としてひとつ重大な決意を持って答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 今回の半島振興法案には半島振興に関する基本的理念のほか、地域指定、計画の策定、国の配慮規定などのいわゆる地域振興法としての枠組みが広く盛り込まれておりまして、国土庁といたしましてはこれによって半島振興の方向が明示されておるものと考えております。 なお、半島振興の実効性を高めるためには税、財政、金融上の措置の具体化が今後の課題であると考えておりますが、これについては他の地域振興法の均衡等考慮して、適切に対処してまいりたいという考えでございます。
○青木薪次君 非常に半島振興法の地域指定等についてはこれまたいろいろ問題が起こってくると思います。しかも、現況は離島と類似した厳しい面があるにもかかわらず、半島振興に対する指定対象地域になるであろう地域に対する施策はかなり立ちおくれているということを私も遺憾ながら認めざるを得ないのであります。今確かに、過疎地域振興特別措置法とか、山村振興法とか、あるいはまたその他の地域開発立法があるのでありまするけれども、これらの法律は半島地域のすべての市町村を行政によってカバーでき得るような条件にあるとは必ずしも考えておりません。 したがって、今日の厳しい財政のもとで半島の振興に対しては広く総合的な施策を講じる必要性があると考えているわけでございます。その基本といたしましては、現在策定中の国土開発計画である四全総にもその位置づけを明確にして取り組むべきである、このように考えているわけでありまするけれども、この点について大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 四全総の策定に当たりましては、国土の均衡ある発展を図ることを基本として考えておるところでございます。このような観点から、半島地域につきましてその置かれている厳しい条件を踏まえて振興施策に十分検討を進めてまいりたいと考えております。
○馬場富君 いわゆる地域開発立法としては、現在、過疎地域振興特別措置法あるいは山村振興法、離島振興法等があるわけでございますが、これらの法律と今回の半島法との関係はどのように理解すればいいのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
○衆議院議員(保岡興治君) 過疎法、山村振興法など半島振興法案との競合が問題になる既存の地域開発立法は、それなりの役割を果たしているものの、市町村道、学校、保育所などその施策の適用が市町村単位となっておりまして、半島地域を一体としてとらえた振興のためには必ずしも十分には機能していないものと考えております。このような半島振興法案は、既存の地域開発立法のメリットはそれぞれ生かしながら、高速交通体系の整備、水資源の開発など、半島地域全体を一つの圏域としてとらえた広域的な、かつ総合的な振興策を推進するためのものであると理解しておるわけでございます。
○馬場富君 半島地域は、その置かれている立地条件等の特殊性からも、交通体系の整備等の立ちおくれや、あるいは地域開発が不十分なため産業基盤や生活環境の整備が低いという点は事実でございますけれども、一方、半島は、半島なるがゆえにやっぱり豊かな自然環境にも恵まれているという点もございます。今回の法案には特に環境への配慮については明文規定はないようでございますが、建設委員長並びに大臣はこの点でどのようにお考えか、お尋ねいたします。
○衆議院議員(保岡興治君) この半島振興法案は、産業基盤の整備のおくれなどが見られる半島地域に対して広域的かつ総合的な振興策を推進し、地域住民の生活、福祉の向上を図るためのものであって、振興計画の内容としてもそのための直接的な事項について代表的に例示をしておるものでございます。したがって、法案の第四条第一項第六号は包括的な規定となっておりまして、地域の実情に応じて環境保全についても振興計画に盛り込まれるものと考えておるわけでございます。
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 御指摘のように、半島地域は豊かな自然環境に恵まれておりまして、今後半島地域の振興策を講ずる場合は、この恵まれた自然環境を保全して、さらに積極的に活用していくことが重要であると考えております。今後、具体的な半島振興計画の作成などに当たりましては、御指摘の趣旨を踏まえまして、地方公共団体等に対して十分指導してまいりたいと考えております。
○馬場富君 本法に基づきまして地域振興を推進するには、振興の対象となるべき半島地域の選定をしなければならない。特に、法案によると、「三方を海に囲まれ、平地に恵まれず、水資源が乏しい等国土資源の利用の面における制約から産業基盤及び生活環境の整備等について他の地域に比較して低位にある半島地域」という表現で輪郭的には理解ができますが、もう少し具体的な指標、基準の設定の必要はないのか。例えば、過疎法では人口減少率と財政力指数が設定してあるわけでございますし、山村法にいきますと林野率等が基準となっておりますが、半島法については何か具体的な指標の設定はできないものか、この点はどうでしょうか。
○政府委員(田中暁君) いわゆる半島と申しますと、一般的には三方が海に囲まれた、一部が本土と陸続きの部分であるというように解せられておるわけでございますが、学問上、地理学上の厳密な定義というものはないわけでございまして、そういった意味では古来からの呼称によって一般的に半島であるかどうかを判断しているということでございます。 この半島振興法の対象になる地域につきましては、一条に先生御指摘のような包括的な概念を示した上で、第二条にやや具体的な指定基準を示しておるわけでございますが、特にこの二号、三号等につきましては、さらに具体的には、「低位にある」とかあるいは「措置を講ずる必要がある地域」というのはどういう地域であるかということはこれだけでは必ずしも明らかでないわけでありまして、そういった具体的な基準につきましては今後地域の実情等を十分把握した上で、法律の趣旨を踏まえまして国土審議会等において慎重に検討していただくことが必要であるというように考えております。 御指摘のいろいろな人口減少率でございますとか等々の客観的な基準は、そのときに具体的な検討をいただけるものと考えておるわけでございます。
○馬場富君 半島振興対策実施地域の指定は内閣総理大臣が都道府県知事の申請に基づき一定の手続を経て指定することになっておりますが、その指定要件は本案二条に規定してあり、第一項で、「二以上の市町村の区域からなり、一定の社会的経済的規模を有する地域であること。」となっておりますが、二つ以上の市町村の区域から構成される地域の必要性は那辺にこの点があるのか。もう一点は、一定の社会的経済的規模の具体的基準があるのならば、この点についても御説明願いたいと思います。
○政府委員(田中暁君) これまでの地域立法でございます過疎法とかあるいは山村振興法といった法律は、市町村あるいはその市町村の一部をその施策の単位といたしておるわけでございますが、半島振興法案におきましては、こういったこれまでの地域立法では対応し切れないような広域的な圏域を対象とした施策に重点を置いて考えておられるというように理解いたしておりまして、こういった立法の趣旨から推しますと、やはりこの半島振興施策の対象となる地域はある程度の地域的な規模を有するものであるのが適当であるというように判断されてこの二条一項一号の規定になったものだと考えております。
○馬場富君 もう一点は、地方の時代と言われて非常に久しい時間がたちますけれども、地域社会独自の産業を興し、個性あるふるさとづくりを各地で見ておりますが、一方、国や地方自治体の財政事情は極めて厳しいものがあり、このような環境のもとでは私は人間の交流を基本とした都市と地方との交流、異なった年代間の触れ合いというような観点から振興策を図ることは行政の課題ではないかと考えますが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 半島の振興を図るためには、基盤となる諸施設の整備を進めることとあわせまして、御指摘のように半島地域の活性化を図るためには都市と地方との交流などソフトな施策を展開することも重要であると考えております。この趣旨を踏まえまして、今後地方公共団体、関係方面を十分指導していきたいと考えております。
○馬場富君 国土の均衡ある発展を図り、国民生活の向上を目指す上からは、半島振興計画も国全体の開発計画や国土利用計画あるいは公共投資計画と調和させなければ完全なやはり私は法律の意味がなくなってしまうと考えます。しかし、開発、発展がおくれ、生活水準の低い地域には、固有の悩みも問題も抱えております。余りにも国中心の論理にこだわり、地域の特性が等閑になることがないよう、そういう考え方を国はお持ちかどうか、お伺いいたします。
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 御指摘のとおり、半島の振興を図るためには地域の特性を踏まえて対処する必要があると考えております。今後、法律を運用するに当たりましては、御趣旨のとおり、地域の自主性を十分に尊重して適切に対処してまいりたいと考えております。
○馬場富君 そこで、この立法の関係の委員長の方にお尋ねいたしますが、また担当局でも結構でございますが、この半島振興に対しておのおの対象となる半島地域というものは日本の中で幾つぐらいあると想像され、また考えられての立案でございますか。
○政府委員(田中暁君) 対象になる半島の数でございますが、実は現段階で申し上げるということはできないわけでございます。ただ、それぞれの県が自分の県内で半島であると認識をいたして我々の方にデータ等を送ってきております数は五十一半島でございます。この中からこの法案の二条一項の基準に照らしどの程度のものが指定されるかということは、基準の作成前でございます現段階では申し上げかねるということでございます。
○馬場富君 五十幾つと言われましたけれども、いわゆる市町村や二つ以上の市町村を持つ半島で内閣総理大臣が適切と認めた場合ならばこの法案の適用を受ける、こう理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(田中暁君) 県が半島だと心得ております五十一半島の中には、御指摘のように、この二条一項一号に該当しないというようなものもありますし、二号、三号は抽象的な基準ではっきりいたしませんが、いわば後進的な半島ということだと思いますが、かなり先進的な半島も含まれております。そういったものを除いたものにつきましては指定を受ける資格といいますか、そういったものがあるということになろうかと思います。
○馬場富君 一つ例を紀伊半島にとってみますけれども、実は名古屋と紀伊半島の間には白浜という一空港しかございません。しかも、これは一航空会社の空路でありまして、先般もこれが廃止の方向に進むというような、半島法と反対の方向に実は出たわけでございます。そのために、我々地元民や和歌山県等も陳情いたしまして、これを一つは継続することにいたしましたが、そういう面で実は紀伊半島地域は交通体系の整備の立ちおくれやあるいは人口の伸びの低迷あるいは高齢化等の進行あるいは所得格差の増大などさまざまな問題がある反面、海洋やあるいは森林などの豊富な資源もあるわけでございますが、こういう地域で国土の均衡ある発展と資源の有効活用を図る上からも高速道路あるいは交通網の整備等も必要であるというように考えてくるわけでございますが、和歌山県には高速道路は近畿自動車道和歌山線のうち、わずか二十四キロしかありません。また、空港も、白浜空港一つで、しかもこれはプロペラ飛行機しかおりられないという空港でございます。そのために、私は本当にこの地方のためにも半島振興法は必要であると、行ってみて、また自分がその運動に参加してみて、しみじみ思うわけでございますが、この点はどのようにお考えですか。
○政府委員(田中暁君) 先生御説明なさいましたように、紀伊半島地域におきまして高速交通体系の整備が著しく立ちおくれている。これが非常に大きな要因になりまして、人口の伸びの低迷等々さまざまな問題が生じておりまして、これが今回半島振興法が提案されるに至りました大きな原動力になったというように我々も理解をいたしておるわけでございます。 御指摘の紀伊半島の総合交通ネットワークのあり方等につきましては、今後半島振興対策実施地域としての指定を経た上で、地元各県からその具体的な開発のあり方等を盛り込みました半島振興計画が作成され、総理大臣に提出されるという過程におきまして、関係省庁とも十分協議をしながら検討を進めてまいる所存でございます。
○馬場富君 特に、私も推進運動をしました点からも、空港等の整備等についてもジェット化の方向も検討されておると聞いておりますし、あるいはこういう地域におきましては、農業では果樹のそういう有数な生産地もございます。だが、第一次産業の比率が高いという点で、就職率等が少なくて過疎地域のような状況から後継者もだんだんと少なくなっているという実情も聞いております。そういう点で、やはりこういう面からもこの法律の必要性を感じ、特にそういうような点からもぜひこの点についての配慮を半島法の上でも御考慮願いたい。あわせて、大臣にも御意見を賜りたいと思っております。 以上です。
○政府委員(田中暁君) 御指摘のように、紀伊半島の現在の後進性というようなものは、もちろん高速交通体系というインフラの整備が立ちおくれたことが原因であろうと思いますけれども、具体的にはそのおくれの一つの態様といたしまして、非常に産業構造が一次産業の比重が高い、あるいは老齢化が進んで後継者が非常に得がたい、こういった現象としてあらわれておるわけでございます。 この対策といたしましては、基本的な基盤となります諸施設の整備を進めることとあわせまして、半島地域の活性化を図りますためのソフトな諸施策につきましても今後十分に検討し、展開させていく必要があると考えておりまして、地方公共団体にも十分協議してまいる考え方でございます。
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 紀伊半島の後進性については皆さん共通のおくれているという感覚でございますが、今後、紀伊半島の振興につきましては十分配慮して努力してまいるつもりでございます。
○馬場富君 ちょっともう一点だけ。 特に、あそこと名古屋との空路はプロペラ機でございますが、どうしても全日空側は赤字だからだめだと言ったときにも、最終的に医療設備の問題等での交流がありまして、その点で赤字ながらでもやってもらうというようなことで実はとどめたわけですが、そういう医療面につきましても非常に半島地域については不十分な点があるということを考えてぜひ臨んでほしいと要望して、質問を終わります。
○山中郁子君 私は、初めに、我が党がこの半島における地域住民の生活向上を図るために、本年の四月十九日に半島振興法案大綱を発表し、提起をいたしまして、それは衆議院の建設委員会でも実現を主張してきたものであるということをまず明らかにし、この立場から今回提出されております衆議院建設委員長の提案による法案について二、三の問題点をただしたいと思っております。 初めに、保岡委員長に率直にお尋ねをいたしますが、先ほど青木委員の御質問にも若干ありましたので、重複することは避けるといたしまして、今度のこの委員長提案に至った経緯の中で、私どもが黙視し得ないのは、全会派一致を一般的には前提として委員会を代表する委員長が提案者となってきているわけであるし、またこれは国会の民主的な運営の上からも当然のことであるわけですけれども、今回、全会一致が得られないのに、つまり我が日本共産党は反対をしてきたにもかかわらず委員長提出の形をとったことであります。これは委員長提出のいわゆる議員立法のあり方としてはこれまでの慣例からもやはりはみ出ることでもあるし、何よりも基本的なあり方としては全会一致の方が望ましいということは明らかだと思いますが、この点についての保岡建設委員長の御意見をお伺いしたいと存じます。
○衆議院議員(保岡興治君) 本法律案の起草に当たりましては、委員長としましても、衆議院の建設委員会の理事会等において可能な限り全会一致となるように各党の皆様方に十分御協議いただくなど、最大限の努力はいたしました。御指摘のように、この種の地域振興の議員立法についてはできたら全会一致で、委員長提案でという形で努力したものでございます。 しかしながら、確かに御指摘のように、共産党は、この法案は自民党案を基礎にして委員会提出法案としたわけですが、それに反対だというような御主張でございました。しかし、できるだけみんなで力を合わせて頑張っていくということで、一応、理事会においては委員長提案ですることについては共産党の方にも御理解いただいて、ただ、この提案については発言を求められましたので、理事会、各党の配慮のもとに、その発言の機会を持っていただいて反対の趣旨をそこで述べていただくということで円満に委員会を運営してきたつもりでございます。
○山中郁子君 私が申し上げるのは、共産党が、共産党に限らないと思うんですよ、一党でも反対があって、そして一致されないものが委員長提案として出されるということはやはり本来望ましくないということについて当然のお考えだというふうに思いますので、今後の問題等もありますから、そういう点での委員長のお考えをお伺いいたしました。 もう一度明らかにしておきますけれども、我が党は、衆議院段階におきましても全員が一致しないこうしたものについて提出するということについての了解を与えたことはなく、意見は最後まで申し上げてあったということについて改めて申し上げておきたいと思います。 次に、振興法案のこの基本的視点の問題なんです。私ども共産党が反対したのは、何もやみくもに反対したわけでなくて、問題点があるから反対したわけであります。つまり、その点について、大変限られた時間ですので、ごく簡潔に申し上げますと、例えば委員長提案のこの原案では、第四条、「半島振興計画の内容」のところの一項二、「基幹的な道路、港湾、空港」というふうにして、わざわざ「基幹的」という言葉を入れてある。二項では、「国土総合開発計画、首都圏整備計画」云々として、「その他法令の規定による地域振興に関する計画と調和したものでなければならない。」、問題になった調和条項ですね、こうしたものが入れられている。 そのほかにも幾つかありますけれども、こういう点を見るならば、六〇年代から七〇年代前半まで国土開発の主流だった高度成長型列島改造のパターン、しかもこれが大企業中心の産業開発策、これが基調となっているというふうに見なければならないんですが、これについての提出者の御意見をお伺いしたいところでありますけれども、大企業中心の産業誘致、こういうものを念頭に置いて産業基盤の整備を目指そうとされているのか、この御提出の法案の趣旨、真意、それとも住民本位、住民のための生活基盤の整備向上、福祉の向上に主眼を置かれているのか、どういうことなのか、率直にお尋ねをしておきたいと思います。
○衆議院議員(保岡興治君) これは、この法案の目的にも、趣旨にも、また提案理由でそのことも御説明をしているから明らかだと思うのでありますが、別に大企業優先とか、住民本位とか、どっちかに限ってやるようなことでなく、半島振興のために、今半島が置かれている現状を打開していくために有効な法案ということで総合的に考えて最善のものをつくった、このように理解をしております。
○山中郁子君 今までの経過を一つ一つ私は申し上げるまでもないと思いますけれども、そういうふうに言いながら、そういうふうに書きながら実際はどうだったかといえば、その結果は例えば広大な工場用地をつくる、そして逆にそこにペンペン草が生えて地方自治体の負担を膨大なものにしている、そういう事例が日本の開発ということの問題点であるということが大きな自明の問題になってきているから私はこのことを申し上げているわけであります。 それで、具体的な法案に照らして以下質問いたしますけれども、百一国会での議員提案の法律案の内容と今度の内容とでは、六条、七条関係ですけれども、「関係地方公共団体の財政事情等を勘案して、国の負担又は補助に係る事業に対する負担又は補助についての条件の改善」ということがすっぽり抜け落ちているわけですね。この部分は、関係地方公共団体としては極めて中心的な要求の一つであったというふうに判断できます。これも当然そういう常識的になっているわけですけれども、ここがどうして抜け落ちたのかということについて端的にお考えを伺います。
○衆議院議員(保岡興治君) 今回の衆議院建設委員会提出の半島振興法案の第六条でございますけれども、前国会で自民党から提出された法律案の第七条のうち、財政金融上の措置の例示部分を削除して、これは新産業都市建設促進法等の他の地域振興法の例に倣いまして一般的な表現としたものでございますけれども、これは法解釈上は実質的に内容の変更を伴うものでないという理解をいたしまして、いろいろ議論もありましたが、できるだけ早くこの法案を成立せしめて施策を推進するために、内容が変わらないものであればということでこのような文言に変えたものでございます。
○山中郁子君 この具体的な文言があるとかないという単純なことじゃないんですね。あったものが落ちたわけでしょう。それでいて、なおかつ内容は変わらないというのは、これは余りにも無責任な御答弁だと言わざるを得ないと思います。その問題点については先ほどからの議論もございました。 次の問題に進みますけれども、今の問題と関連しますけれども、地域振興法には離島振興法、過疎地域振興法、小笠原諸島振興法、奄美群島振興開発法、沖縄振興開発法等とあります。これらの法律がその目的を達成するために国のかき上げ補助を明記しているし、それから半島振興計画の中に住民生活の向上を明記しているわけですけれども、この半島振興計画の中では住民生活向上に役立つものが幾つか入っているとしても、国の財政上の助成措置がなければ実効ある地域振興にはならないということはおのずと明らかでありますが、半島振興法、つまりこの法案ではなぜ他の地域振興法、今幾つか申し上げました、皆さん方の方がよく御存じだと思いますけれども、そこにうたわれている補助率のかさ上げなどの補助条件の改善を法律で明記されていないのか。先ほどの質問と基本的な問題として通ずるところのあることでありますけれども、この点についてのお尋ねをいたします。
○衆議院議員(保岡興治君) 先ほど来お答えしてきたとおりでございますけれども、地域振興のあり方についてはその立法のやり方に二通りあるということで、いわゆる法律に補助率のかさ上げ等を規定せずに後で財政特例法等を制定することによって具体化していくという、二つの方法のうち後者をとった。このことについては、いろいろ厳しい社会経済状況のもとでの立法でございますので、今後半島振興計画が策定されたりあるいはその時点での財政状況やいろいろな点を総合的に判断して、そうしてよりよい半島振興ができるように具体化を進めていくということで、今後お互いの努力目標、頑張る目標としてそのような立法形式をとった、こういうふうに理解をしていただきたいと思います。
○山中郁子君 私が問題にしましたのは、先ほど六条問題でも申し上げましたけれども、この半島振興法に期待する地方自治体の中心的な要求項目である点、今の問題を含めて、そのことが御答弁のようなあえて私はあいまいというふうに申し上げますけれども、あいまいを通り越して要するに幻想を抱かせるようなものになっていてはならぬということが一つあります。 それから、政府は八一年の行革一括法でこのような地域特例の補助率のかさ上げを一律に引き下げました。こうした措置が地域振興に逆行するものであって、半島地域の振興にも少なからず障害をもたらしていることは今日明白になっているし、地方自治体の御意見としても大きなコンセンサスになりつつある。半島振興を本当に願うならば、半島地域の困難な状況を一層深刻にするようなこうした借間を改めることこそまず必要であって、段階論ではありません。基本的な姿勢として必要である。この点については御異議のないところだと私は思います。ところが、今回提出されている半島振興法案は補助率のかさ上げを明記するなどということどころか、補助条件改善さえもうたっていないわけですね。すると、この法案は半島地域振興とは名ばかりでこれに逆行する、今補助金カット一括法案なんかに象徴的にあらわれている政府の措置に追随するものだと言わざるを得ないと思いますが、その点については提出者たる保岡委員長はどのようにお考えでございましょうか。
○衆議院議員(保岡興治君) 今、山中先生がいろいろ言われたような、これが幻のものだというふうには考えておりません。むしろ、お互い半島振興の現状を打開していくことの必要性については共通の認識があるわけですから、みんなで今後努力をしてこれを必ず具体化していかなければならない、このように考えております。 また、この法律を制定することによって、半島振興の基本的理念とか国の義務ということもいろいろ内容を具体化して盛り込んだつもりでございますので、この基本理念に沿って今後具体的に国に対応していただけるようにお互いも努力していかなければならない、このように考えております。
○山中郁子君 中身も、この振興法の理念も、それから具体的な財政上の措置その他についても幻であってはいけない、地方自治体があるいは地域住民が求め期待をするものに対して幻であってはならないということの立場から私は申し上げましたので、その点については後ほどまた意見を申し上げる機会があると思います。 それで、両方あるのだ、産業開発だけやっているわけじゃない、こういうふうにおっしゃるけど、それだったら私一つだけどうしてもこれは委員長に明確な御答弁をいただきたいのですけれども、半島地域の関係者は道路建設等はもちろん望んでいます。道路建設要らぬなんてはおっしゃっていない。だけど、現在ある国鉄ローカル線を廃止されてはどうすることもできない、地域振興もお手上げだ、そういうことはこもごも訴えておられるんですね。こうした声にこたえることこそ半島振興法の提案者としての責任ある態度であり、またこの法案が持つべき理念の一つであるというふうに思いますが、この点はあなたにそういう御決意があるか。つまり、廃止されるローカル線は、半島振興法の提案者たる政治家としてのあなたに、やはり当然のことであるということで国鉄ローカル線の廃止などについてこれをやめさせていくという立場で臨まれる御決意があるかどうか、これはぜひ率直に聞かせてください。それは一つの試金石なんですよ、こういう法案をお出しになってその中身がさっきからおっしゃっているようにそういうものであるとするならば。
○衆議院議員(保岡興治君) ローカル線の維持についての先生の御熱意はよくわかるわけでございますし、これまた国策全体の中で方向を決めていかなければならない問題だと思います。私も一見識ないわけではありませんけれども、きょうはこの半島振興についてこれをどうするかということはちょっと私の答える準備がございませんので、半島振興をできるだけ頑張るという決意表明にかえさせていただきたいと思います。
○山中郁子君 一生懸命頑張ることは何回もおっしゃるし、政府もいつも大体そういうふうにおっしゃるんですけれども、頑張ることと中身について保証が欲しいんですよね。その保証の一つとして私は今国鉄ローカル線の問題を申し上げました。抽象的な御答弁しかいただけなかったことは大変残念に思います。 私どもは、そういう点で、先ほど触れました、四月の衆議院の段階で提起いたしました大綱で、具体的に補助及び負担の率、事業の選択基準などについての特別措置、こうしたものを国に義務づけることを明記して、関係地方公共団体の財政面での負担軽減を図ることを主張してまいりました。そのことは、改めて申し上げるまでもなく、委員長保岡提出者も十分御承知のはずだと思いますけれども、そういう点こそが大事であるということを重ねて申し上げたいと思います。 二、三具体的なことを、これは国土庁になるのでしょうか、それではお伺いをいたします。 法の附則では「公布の日から施行する。」となっていますが、これは先ほどもやはりあったんですが、いつごろになるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○政府委員(田中暁君) 御指摘のとおり、この法案は公布の日から施行されることになっておりますが、国会法によりまして、公布の期限というものは法成立後内閣を経由していわゆる奏上された日から三十日以内という規定でございます。通常の例を見ますと、法の成立から一週間程度で公布されておるわけでございます。
○山中郁子君 いや、私は「公布の日から施行」ということになっているから、通常のというのじゃなくて、今例えば新聞報道なんかでは半島地域の指定基準づくりが大変だ、したがってかなりの作業時間がかかって、振興計画づくりに入ってから事業化までには最低二カ年かかると言われているというふうな報道もあるんですね。どっちにしましても、この振興法自体の本質的な問題点について指摘しつつも、そのように伝えられているこの法律をめぐる見通しについてお伺いをしたかったわけですが、こうした新聞報道その他についてはどのような見解をお持ちになっていますか。
○政府委員(田中暁君) 大変法律的なことを申し上げますと、公布の日から施行されるわけでございまして、例えば御指摘のような地域指定の基準をつくるとか、あるいは計画の作成の基準をつくるとか、そういうようなものもいずれも公布、施行されないと動かないわけでございまして、そういう意味ではまさに施行の日からこの法案は動き出していくわけでございます。私は、そうして地域指定になり計画ができますと、その計画に基づく事業の実施につきましてはこの法案自身にもそれぞれの配慮規定がございますので、例えば優先配分等あるいは地方債に対する配慮等の規定はすぐにでも働き得るものだと考えております。 ただ、今までいろいろ言われてまいりました、先生御指摘の補助率のかさ上げであるとかあるいは税の減免等につきましても租税特別措置法の改正等の手続を要しますので、そういった手続が出ませんと税の減免、補助率のかき上げというような部分は実際には働いてこない、こういうことでございます。それで、地域の指定、計画の作成ということにも相当な期間がかかるわけでございますので、おのずからその補助率の特例を定める財政特例法というのはその後ということになりましょうから、ごく大ざっぱな印象として一、二年というようなことが言われているのではないかというように私は受けとめております。
○山中郁子君 時間が参りましたので、その点についてもう少しお伺いしたいのですが、やむを得ません。 私は、最初から申し上げましたように、また後で修正案を提案させていただく中で申し上げますけれども、委員会提出ならそれにふさわしく、民主的に各党各会派が一致する意見でもって提出されるべきであるということが一つ、二つ目は、半島振興法という趣旨から半島地域としてのハンディキャップ、これを取り戻すという立場で国の責任を明確にして、そして実際の住民の生活の上での地域の掘り起こしの援助、そうしたものになるべきであって、そうした法案としてつくられるべきであろうという立場に立っておりますことを最後に強調いたしまして、質問を終わります。 ─────────────
○委員長(本岡昭次君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、安孫子藤吉君及び志村哲良君が委員を辞任され、その補欠として矢野俊比古君及び佐藤栄佐久君が選任されました。 ─────────────
○委員長(本岡昭次君) 他に御発言もなければ、質疑は総局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(本岡昭次君) 御異議ないと認めます。 本案の修正について山中君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山中郁子君。
○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、お手元に配付していただいてあります半島振興法案に対する修正案の趣旨説明を行います。 今日、半島地域の多くは、自民党政府が進めた大企業本位の高度成長政策によって、生活基盤、産業基盤の整備がおくれ、過疎化や老齢化が深刻化する一方で、農林水産業、地場産業等は衰退を余儀なくされております。 しかるに、衆議院建設委員長提出の半島振興法案は、またしても大企業のための大型産業基盤整備を最優先するとともに、自治体には重い財政負担を負わせるものとなっております。これでは現在半島地域が抱えている深刻な問題を解決できないことは明らかです。真の半島振興を図るためには、大企業本位の開発優先政策を改め、住民本位の振興策を国の責任で進めることこそが今肝要であると言わなければなりません。 以上が修正案を提出する理由でありますが、引き続き、ごく簡潔にその概要を説明させていただきます。 第一に、半島振興法は、半島地域の振興並びに住民の生活の安定及び福祉の向上を図ることを目的とするという点であります。 第二は、半島振興地域指定の要件を、高速道路のおくれや企業立地の必要性に求めるのではなく、公共的施設の整備がおくれ、住民生活の安定向上のために産業の振興策を図る必要があるとされる半島地域はすべてその対象となり得るように規定をいたしました。 第三は、半島振興計画は、原案にうたわれている道路、空港、港湾等の整備などだけでなく、生活環境施設や保健衛生施設、社会福祉施設などの整備、医療の確保、防災、国土保全施設の整備、さらには環境保全、公害対策など、住民生活の安定向上に直結した計画を含めることとしております。 また、半島振興計画に、国土総合開発計画など国が策定した計画との調和を強いる条項は削除いたします。 第四は、半島振興計画の作成に当たっては、公聴会の開催や関係市町村の同意、関係地方議会の議決を要することとして、地域住民の意見を半島振興計画に十分反映し得るようにしております。 第五には、国の財政負担の責任を明確にし、事業の実施に要する経費の予算への計上、補助条件の改善等を明記いたしました。 最後、第六に、国や地方公共団体は、半島振興計画の達成に資する中小企業、農林水産業の振興のために必要な資金の確保に努めることとしております。 以上が、本修正案を提出する理由と修正案の内容の概略であります。 委員各位の御賛同をいただき、本修正案を可決されることを希望して趣旨説明を終わります。
○委員長(本岡昭次君) ただいまの山中君提出の半島振興法案に対する修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。河本国土庁長官。
○国務大臣(河本嘉久蔵君) ただいまの修正案につきましては、政府といたしましては反対でございます。
○委員長(本岡昭次君) それでは、これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました衆議院建設委員長提案による半島振興法案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成の討論を行います。 原案に反対し、修正案に賛成する第一の理由は、本法案が大企業本位の開発を進めようとする立場に強く立っているからであります。このことは、その反面で、地域の産業の衰退に拍車をかけるばかりでなく、原発立地促進など半島地域の乱開発と生活破壊を招く危険があることを指摘せざるを得ません。この点は、本法案が目的として、既に破綻した列島改造計画推進法である新産業都市建設促進法などに掲げられている国土の均衡ある発展をうたっていることや、振興地域指定の要件や振興計画の内容として高速道路や企業立地を挙げるなどしていることによっても明らかであります。 第二の理由は、半島振興のための地方自治体に対する国の財政金融上の助成措置について何ら具体的に定めていないことであります。今、自民党政府は、行財政改革と称して、農林水産業や中小企業予算を大幅に減らしたり、過疎対策などの補助金力ット、国鉄ローカル線廃止など、半島振興とは全く逆行する政策を強引に進めています。こういう状況のもとで、国が何らの財政金融上の責務を負わない半島振興とは結局名ばかりであるだけでなく、半島地域の荒廃をもたらしている自民党政府への住民の批判をごまかすものだと言わなければなりません。 以上が原案に反対する主な理由でありますが、先ほど提出いたしました日本共産党の修正案の実現こそ、これらの問題点を根本的に解決する道であることを改めて強調して、私の原案反対、修正案賛成の討論を終わります。
○委員長(本岡昭次君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(本岡昭次君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより半島振興法案について採決に入ります。 まず、山中君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(本岡昭次君) 少数と認めます。よって、山中君提出の修正案は否決されました。 それでは、次に原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(本岡昭次君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(本岡昭次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時二十二分散会