決算委員会 第8号
- 発言数
- 251 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/05/29
会議録
○委員長(佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る五月十七日、稲村稔夫君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。 また、昨五月二十八日、安武洋子君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。 ─────────────
○委員長(佐藤三吾君) 昭和五十七年度決算外二件を議題といたします。 本日は、法務省及び裁判所の決算について審査を行います。 ─────────────
○委員長(佐藤三吾君) この際、お諮りいたします。 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤三吾君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
○委員長(佐藤三吾君) それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○丸谷金保君 北方領土の関係について御質問いたしますが、一昨年隣接地域の振興法ができまして、北方四島に対する本籍地の申請ができるようになりました。これがどの程度行われているか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 北方領土四島のうち歯舞諸島につきましては従前から根室市におきまして戸籍事務を取り扱っておりますが、残る三島につきましては五十八年の四月一日から本籍地をそこに定めることができるということになったわけでございます。その五十八年四月以降今日までその三島に本籍を設けることにいたしましたのは戸籍数で二十二戸籍、人の数で申しまして五十四名ということになっております。
○丸谷金保君 これは受け付けをした各それぞれの町村の内容はわかりますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 戸籍のいろいろな届け出事件の関係で申しますと全部で二十九件出ておりますが、色丹村で六件、泊村で三件それから留夜別村で六件紗那村で三件、留別村で三件それから蘂取村で八件ということになっております。 戸籍事件の内容と申しますと、そこに本籍を移すということにする事件が一番多うございまして、転籍が二十件、分籍が二件、それから出生が二件、婚姻が三件、死亡が一件、その他一件という内容になっております。
○丸谷金保君 もう一回、転籍の色丹村から。
○政府委員(枇杷田泰助君) 転籍の関係で申しますと、色丹村が二件、それから泊村が三件、それから留夜別村が六件、留別村が三件、それから蘂取村が六件、合計二十件でございます。 そのほか転籍と同じような形になります分籍というのがございまして、それが色丹村で一件、紗那村で一件、合計二件でございます。
○丸谷金保君 この受け付けた方の市町村の内訳はわかりませんか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 受け付けた方と申しますと、この戸籍事務を取り扱っておりますのは根室市長でございます。そこで全部受け付けておりますが、その本籍として定めた場所でございますが、それは先ほど申しましたその村ということになるわけでございます。
○丸谷金保君 たしか振興法の制定の時点では、窓口として根室支庁管内の一市四町がその窓口になるということで、いろいろそういう面も含めて振興基金というふうなものを国も支出して特別な措置を一市四町にすることになったはずなんです。ですから各町村で受け付けをしているはずなんですが、それはおわかりになりませんか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 戸籍に関しましては特別措置に関する法律の十一条の規定で、戸籍事務は隣接地域の市または町のうちから法務大臣が指定した者が管掌するという規定になっております。その規定に基づきまして法務省の告示といたしまして北方領土関係の戸籍事務を取り扱う者としては北海道根室市長を指名するという告示で定めております。したがいまして、戸籍事務に関する限りは根室市長のところで全部まとめて処理をするということになっておる次第でございます。
○丸谷金保君 根室市長というのは根室市の市長ということですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) さようでございます。
○丸谷金保君 そうしますと、この関係についてはほかの四町は受付事務は行わないということでございますね。そうすると、当時の法案のときの説明の状況とちょっと違うんですけれども、それは法務大臣が指定する市町村というふうなことはあのときの法にはありましたか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 先ほども申し上げましたけれども、北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の第十一条に、先ほど申し上げましたように、「戸籍事務は、他の法令の規定にかかわらず、法務大臣が北方領土隣接地域の市又は町の長のうちから指名した者が管掌する。」ということになっておりまして、これはそうたくさんの長に分散さして仕事をさせるよりは一カ所に集中した方がよろしいということでこういう規定が設けられたものと考えております。この規定に基づきまして法務大臣が根室の市長をその戸籍の管掌者として指定したということになるわけでございます。
○丸谷金保君 実は、これは委員長にお願いしたいんですが、この問題について私は自治省の方にも資料として、法務省が根室市長だけを指定したということを私たちは報告受けておりませんので、各一市四町がどのように受け付けをしたかということを調べてほしいと言ったんですが、これは所管が違うということで、まあまだきておらないのですが、資料の要求、私はこういう問題については自治省から同市長を通じればもう即座にわかることなんです。だから、いわゆる建前だけで資料要求というふうなものに対して対応するということになれば、我々も例えば建前だけで質問しなきゃならぬととになる。政府委員として、政府がこれらの者を国会の答弁要員としますということで出してきて、それらを国会が承認しておりますわね。ところが、実際にはそうは言ってもいろいろあるだろうから、忙しいときには他の説明員をもってかえるということはこれは便宜我々の方も取り計らっているはずなんです。したがって、こういう調査要求に対して、できるはずのものを我々のところじゃそういう協力できないというふうなことは大変遺憾だと思うんです、この問題なんかについても。このことはひとつ十分委員長の方でも決算委員会として、いわゆる調査だけじゃなく資料の協力要請に対して建前論だけでやられるかどうか、この委員会が終わるまでの間に十分ひとつ検討をしておいていただきたい。
○委員長(佐藤三吾君) 理事会で後刻協議いたします。
○丸谷金保君 戸籍の方はそれで本籍地ができたわけですね。当時もいろいろな問題があるからもう少し慎重にあの法案を審議すべきだというふうに私主張したんですが、会期末でばたばたと上げざるを得なかったのです。 北方領土にも、もともと本籍地も移せるくらいですから所有権もありますわね。これらの所有権関係の登記事務はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 北方領土四島につきましては行政権が及んでおりませんので、正規な形で不動産登記法が及んでおるということは言えませんので、登記簿は備えつけられておりませんけれども、しかしながら、戦前の登記簿が釧路地方法務局の根室支局に保管をされております。それに基づきまして、いわば北方領土が返還された場合に直ちに登記簿が復元できるようにという意味合いからの資料収集ということで、その登記簿は厳重に保管をいたしておりますし、そしてまた、その登記簿に記載されております所有者について相続が開始した場合には、その申し出によりましてその相続人を普通の相続登記と同じような形で記載をして、そして所有権関係が後々までもわかるようにという、そういう行政上の措置をとっております。
○丸谷金保君 それで相続も手続的には、公簿上は行われているわけですね。そうすると、これは大蔵省に聞きたいんですが、相続税の関係はどうなります。
○説明員(庄島修君) お答え申し上げます。 相続税は、日本国内に住所を有する人が相続または遺贈によりまして取得しましたすべての財産について課税されるのが原則でございます。しかしながら、現在の租税特別措置法六十九条によりまして「在外財産等についての相続税の課税価格の計算の特例」という規定がございます。また、これを受けまして、相続税法施行令附則第二項によりまして、現在歯舞群島、それから色丹島、国後島及び択捉島にある財産につきましては相続税の課税価格に参入しないこととされております。
○丸谷金保君 この場合、あくまで居所でなくて住居ですね。
○説明員(庄島修君) そうでございます。
○丸谷金保君 それで、この租税特別措置法の施行が三十二年四月一日、旧法は二十二年ですわね。そして、それによりますと昭和二十年の八月十五日から以降ということになっておりますわね。私、これちょっとおかしいんじゃないかと思うんですがね。というのは、八月十五日にはまだこの四島にはソ連軍は進駐してきていないんです。十日くらい後なんです、逐次ね。その間は平常に日本国内と同じような生活が行われておった。その間の問題はどうなるんです。ちょっと僕はこれおかしいと思うんですよ、その点。
○説明員(庄島修君) 大変申しわけないんですが、そのところの答弁の資料ちょっと持っておりませんので、この場ではちょっと答弁いたしかねるわけでございますが。
○丸谷金保君 後ろの方に何かあるようですよ、何か出してきていますから。
○説明員(庄島修君) これは昭和二十二年の租税特別措置法でございますが、これの第七条によりますと、「昭和二十年八月十五日以後に相續の開始があつた場合において、相續財産」「が含まれてゐるときは、命令の定めるところにより、當該在外財産等の價格を算定することができることとなるまで、當該相續についての課税價格の計算上、その價額を相續財産の價格に算入しない。」と、こういうふうになっております。
○丸谷金保君 それは在外財産でしょう。北方四島は終始一貫して日本政府は国内だと言っているんですよ。それで読めますか。
○説明員(庄島修君) そういうことで、明確な答弁をちょっといたしかねます。
○丸谷金保君 北方振興法というのはそういう問題を、本当はこの法を制定するときにもっと私たちは十分論議をして、法の整合性をきちんとしなければ、本籍地の問題だけ便宜的にやってもいろいろ問題が残りますよといったことの一つなんです、これは明らかに。それじゃ、その点で非常に問題があるということだけこの機会に指摘しておきます。 それで、今度自治省、お伺いしたいんですが、基地交付金の問題。基地交付金というのはあれですか、算定の基礎になるのはどういうものです。
○説明員(佐野徹治君) お答えいたします。 基地交付金の対象になりますのは、国有財産のうちの一定の土地、建物、工作物でございます。
○丸谷金保君 それで、その土地の場合、基地交付金はどこが申請することによって算定の基礎にしますか。
○説明員(佐野徹治君) 基地交付金の算定方法でございますが、これは国有財産台帳に登録されております土地、建物、工作物の価格、これを基礎といたしまして、一定の基準により計算をいたしまして、自治大臣が配分をいたしておるものでございます。
○丸谷金保君 国有財産の台帳と。そこで建設省、国土庁おいでになっているが、国土調査というのは一体どういうものなんですか。
○説明員(森本茂俊君) 国土調査は国土調査法に基づきまして実施しております。各筆の土地について、その所有者、地番及び地目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い、その結果を地図及び簿冊に作成するもので、その実施主体は市町村でございます。
○丸谷金保君 国土調査については境界測量とか、いろんなあれがありますけれども、地積調査とか、いろいろありますけれども、これは市町村が実施する場合には補助金が国から出まして、それによってやるんです。たまたま国土調査の除外地域というのがあるんですね。これは国有財産、今自治省の方で答弁になった国有財産なんかが除外地区になるんです。それで、その市町村の面積というのは国土調査からは出てまいりませんね。しかし、市町村が依頼をして国土調査を行った面積プラス除外地区の面積を足せば、その町村の地積というのは出てくるということになりますか。
○説明員(森本茂俊君) 先生のおっしゃるとおりだと思います。
○丸谷金保君 そういうことになりますね。 それで、実は私、法務大臣ね、大変に遺憾に思っていることがあるんです。昭和三十四年の一月に、北海道十勝支庁管内の士幌町と鹿追町との境界での問題で争いがあったんです。それは境界変更で争いがあったんでなくて、所有権の争いなんです。防衛庁と地域の農民及び農協との間です。このとき、いろいろ問題になったけれども、結局それがそのまま保留になって、今日に至るも解決していないんです。 そこで、私は帯広の法務省の支局もお訪ねいたしましていろいろ便宜を図っていただきました。また、お聞きもしてきたんですが、私はそれぞれの町村の地籍が決まっていて、それで所有権の争いがダブってあるということはあり得ないんじゃないか。 ちょっともう少し詳しく申し上げますと、鹿追町の公簿面積で防衛施設庁は土地の買収をしたんです。それから士幌町の方は、士幌町の方の公簿面積、これは上士幌と帯広と登記所が違うんです、公簿面積で買収をしたわけです。それぞれ国の自作農創設でもって買収して、国から個人が買ったわけです。鹿追の方は、国から買った個人から防衛施設庁がまた再買収をしたわけなんです。それが、防衛施設庁が調査をしてはかっていきますと、士幌町の現に使用している農地のここまでがうちの土地だ、こういうことなんですよ。そして、境界がこっちだあっちだという境界争いがまた一つ別にあるんですが、それが片づくまではこの問題は解決しない。それから、帯広の支局では、防衛施設庁がここは私の土地であり地番だと言っている、鹿追町字瓜幕百三十七番六十三という土地は図面がないというんです、登記はしているけれども図面がない。こういう明らかにダブル登記になっているところというのは、法務省が職権で訂正ができることになっておるんじゃないでしょうか、法的には。いかがでしょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) ただいま御指摘の具体的な事案につきましては、詳細実態がつかめておりませんけれども、一般的に申し上げますと、要するに土地の境界に争いがあるという場合には、いろんな各個の資料等を総合いたしまして、そして最終的には裁判所で決着をつけていただくほかはないだろうと思います。境界確定の訴えによって画定をしていただくほかはないと思います。 不動産登記法上は登記官が職権で土地の形状、面積等について登記をすることができることになっておりますけれども、そういう紛争のありますような土地につきまして、登記官が明確に認定をしてここだというふうなことができるまでの権限はございませんし、そのようなことをいたしますと、またかえってそこに一つの紛争の種をさらに拡大をするということにもなりますので、実際上もやっておらない次第でございます。
○丸谷金保君 それで、これはこういうことなんですよ。一方では所有権が、どっちがどこまでだということが決まるまでは境界が決まらないんです、今のところ。決まらないという形でペンディングになっているんです。それから、一方ではまた、境界が決まらなければ所有権の決めようがない、とういう形になっているんです。ダブル登記をしたということは明らかに登記所のミスですよね、ダブル登記をしているということは。境界がどっちであろうとどっちかがダブル登記なんですよ、そうでしょう。その場合に、明らかに登記所のミスによって公簿を作製したものが登記所でもって訂正できないというのは私はどうしてもわからないんですが、どういうわけなんですか。自分のところのミスですよ。
○政府委員(枇杷田泰助君) 御指摘のようにこの地域につきましては、いわゆる台帳の附属地図、公園と言われているものも備わっておらないようでございますので、事実関係が極めて認定しにくいという状況にあろうかと思いますが、物理的に同じ場所を二重に登記をしたという事案であるかどうかについてはいささか疑問があると思います。要するに東側の土地の人は、ここまでが自分の所有地だ、何番地の範囲内だと言い、西側の人は自分はここまでが所有権の範囲であって、境界がここなんだという、そういう要するに紛争地域がダブっている場合と、それからまさに同じ物理的な場所を二重に登記してしまう場合とはいささか実態が違うだろうと思います。この事案につきましては、恐らく前者の場合ではないだろうか。要するに紛争地域につきまして、その部分が片っ方の者は自分の所有している、登記簿上あらわされている地番の範囲内であり、片っ方の者も同じようなことを主張するという形態であろうかと思います。その境界を明らかにするための手段が、その登記所で資料的に備わっていないということは、それは私どもの制度としては不十分なことではありますけれども、そういう状況のもとに職権で登記官がこうだというふうなことはちょっとできないのではないか。また、そういうことをすることによって、先ほど申し上げましたように紛争がさらに拡大をするというふうなことになる事案ではないかと思います。
○丸谷金保君 そういう事案でないんですよ。というのは、それぞれが登記をした時点では紛争がなかったんです、何も。それで平穏に、例えば士幌の鈴木さんという方は、そこに牧さくを巻いて牧場として使用していたんです。戦前からですよ。そして、それは鹿追町の人たちも認めていたわけです。だから、境界がどうあろうとそこは紛争はなかったんです。 たまたま公簿上登記所が違うものですから、二重に登記をしてしまったので、片っ方の登記公簿によって防衛施設庁が買収したものですから、そこから紛争の原因が起きてきたんです。最初から争いがあったのじゃなくて、最初は争いがなかったんです。その時点では明らかにここは法務省の登記上のミスだと思いますよ、ダブってね。紛争はないんですよ、全然。この時点まで戻して考えた場合には、このミスは当然法務省が訂正しなきゃならないのじゃないですか。争いはなかったんです、このときは。どうなんですか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 事実関係がはっきりいたしませんので明確なお答えはいたしかねますけれども、紛争がないというのがどういう意味であるかにもよるわけでございまして、これは少し難しいことを申し上げて恐縮でございますが、筆界というのはこれは客観的に決まっておる、神様はわかっておるという、そういうものだというふうに一般的に理解をされておるわけでございます。その神様だけがわかっておる筆界というのを人間が認識する最終の手続としては、先ほど申し上げました裁判所の境界確定の訴えによって決まるということになるわけでございますが、その紛争がなかったというのは、占有関係について争いがなかったのか、それからここが境目であるという、いわば境界線を事実上何か、こういうところではどうか知りませんけれども、都会地あたりでは塀だとか側溝だとか、そういうものによって明確化している。その物理的な状況について争いがなかったという場合等いろいろあるわけでございます。 したがいまして、本件の場合にはどういうふうな状況のものなのかということがはっきりわかりませんので、最終的には先ほど申し上げました客観的に決まっている筆界線というものを認定をして、そして決着をつけざるを得ないだろうと思います。そういうふうな関係につきまして登記官も全く責任がないとは申し上げませんけれども、登記所が、ここがその筆界点なんだということを、当事者が争っているさなかにここだというふうなことで処理をするということはいかがなものであろうか。むしろ裁判所できちんと決めていただくことが解決の方法としては一番正しいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○丸谷金保君 まあ事実関係は今おたくが言うのと違うんですけれども、境界の争いもなかったんです。昭和二十年代に私はその境界に立っているんですから、ここだということでくい打ちまでして。そのときの当事者なんです、私が。今、私も年ですから生きているうちに解決してくれというふうに頼み込まれてこの問題をやって、やってみたら、八幡のやぶ知らずのように、全部私のところでない、私のところでないということで、因っているのは現に使用している所有者なんですよ。 それで、農林省、鹿追の清水盛一ほか八名に対する農地売り払いの当時の経過、簡単に説明してください、自作農かどうかというだけでいいです。
○説明員(日下部完治君) 鹿追町の瓜幕百三十七の六十三番地に係る買収、売り渡しの経過を北海道庁を通じて調べたわけでございますが、当該土地は旧自作農創設特別措置法の四十条の二の牧野の買収規定としまして買収し、昭和二十六年十一月一日に同じく牧野として当時自作農に精進する可能性のあるという農業委員会の認定のありました九名の方々に売り渡しが行われたというふうに承知しております。
○丸谷金保君 それで、牧野の認定をする場合には現地調査をして認定をするわけですよね。どうですか。
○説明員(日下部完治君) 農地改革に当たりましては、農地につきましては農地委員会におきまして全筆につきまして調査をいたすことになっておったわけでございますが、牧野につきましては牧野調査規則というものがございまして、牧野の所有者からの申告をベースに、それに加えまして行政的に実態把握ということが行われたと承知いたしております。
○丸谷金保君 その場合に、もしもそれが実際に自分たちが使ってない牧野だということがわかれば、それは取り消しになりますでしょう。
○説明員(日下部完治君) 牧野の売り渡しの相手方につきましては、当時旧自創法によりまして第一順位の方がその牧野を現に使用している方、つまり小作人の方でございますが、小作人の方がいないあるいは希望しないという場合につきましては、農業委員会が自作農に精進する者として認定する方に売り渡すこともできるような仕組みになっておりましたので、一概に取り消し得るものというふうに判断することはまたできないかと思います。
○丸谷金保君 この場合は現に使用しているということで共同放牧地として払い下げているんです。だから、一概にという以下の答弁はこの場合必要ないんです。それで僕がこの経過を詳しく調査しておいてくれと言ったのは、そこのところなんです。払い下げをした原因が希望者がいないから牧野として今後使用する者に払い下げたんであれば、今おたくの言った一概に以下の答弁になる。そうでなくて、現在自分たちが使用しているんだからここは自分たちにくれと言って共同して申請をして、共同放牧地として払い下げを受けているんです。それが事実と違った場合には取り消し原因になるでしょう。どうですか。
○説明員(日下部完治君) 先ほど来本件につきましては、大変古い話で事実関係の把握にいろいろ問題があるというように各省からも話があったかと思いますが、同様に、当時この九名の方々がどのような形でこの牧野を利用していたのか利用していなかったのかという実態関係の把握につきましては、なおややつまびらかでない部分があることは事実でございますので、引き続き私どもとしては道庁等を通じまして調査に努めてまいりたいと思っております。
○丸谷金保君 そうすると、自分たちがここを使用しているから払い下げてくれという第一順位の申請に基づいて払い下げたのが、事実は使用していなかったとすれば取り消しの原因になりますね。
○説明員(日下部完治君) 完全な違法な仮に売り渡しが行われたとすれば、御指摘のように取り消しということもあるわけでございますが、私どもの承知している範囲内におきまして鹿追町の売り渡しに関して違法があったというふうには承知していませんし、また非常に長年月を経過しました段階におきまして行政処分を取り消すということにつきましては、判例等によりますとなかなかその保護、法益あるいは関係者に及ぼす影響等々を比較考量して行うべきだというような判例もございますので、慎重に取り扱うべきものと考えております。
○丸谷金保君 各省庁が全部慎重に昭和三十四年から扱っているんだよ、二十五年も。法務大臣ね、慎重に扱って、結局全然どこも直してないんです。その一番の問題はダブル登記です。ダブル登記をした。両方の地番で両方の登記所がここだと言ってかぶさっているんですから。境界線関係ないですよ、これ。このダブル登記をした土地については、どちらかの地番を変更して所有権者確定しなければならないんじゃないですか、法務省として。裁判なきゃわし知らぬと言えますか。どうなんです。
○政府委員(枇杷田泰助君) 明らかに二重登記であるということになれば、これはどちらかの登記を消すということになるわけでございますけれども、ダブル登記であると言えるかどうかが実はこの事案については問題だろうというふうな気がいたすわけであります。
○丸谷金保君 ダブル登記でなければ、私はこの間も行ってきたんですが、ここにくいが入っているんです。そうして牧さくはこっちの方から士幌町の人が使っていて回っているんです。これは昭和二十年代、私がここで農民運動やっていたときから変わってないんですよ、もう。ここはしかし、くいは打って、くいからこちらは防衛施設庁だと言っている。地番が両方にあることは明らかなんですよ。施設庁の方の鹿追分から言えば、この士幌の農民がずっと使っていた牧野は演習地だというんですから。くいまで打ったんです。戦車持ってきてくい打っていったというんです、このとき。ダブル登記であることがわかれば職権訂正できますね。
○政府委員(枇杷田泰助君) 二重登記であるということが明確に認定できれば、それは登記所の方でも処理をしなきゃならぬことになると思いますが、ただいま御指摘の場合にそれが占有の問題と、それから先ほど申し上げました客観的な筆界の問題とどちらの問題であるかということは、大変難しい問題であろうと思います。
○丸谷金保君 質問に答えてください。私はダブル登記だということが明らかになった場合には職権訂正できますかと聞いたんです。
○政府委員(枇杷田泰助君) その場合にはできます。
○委員長(佐藤三吾君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(佐藤三吾君) 速記を始めて。
○丸谷金保君 確認します。農林省ね、いわゆる使用していることを原由として自作農創設で国が売り払いをした土地が、事実と違うということがわかった場合には取り消しの要因になるということは、それでよろしゅうございますね。いいか悪いか答えてください。
○説明員(日下部完治君) 先ほどもお答えしましたように、それは事実関係をしっかりと見きわめた上で判断すべきことと存じます。
○丸谷金保君 質問に答えてください。 いいですか、私が聞いているのは、そういう事実があった場合には取り消し要因になりますねと言っているんで、あったかないかのことを聞いているんじゃない。あった場合には取り消し要因になりますねと。答えてください、もう一回はっきり。
○説明員(日下部完治君) 行政処分が行われましたのが昭和二十七年当時でございますので、非常に長年月を経過している本件に関して言えば、なかなか難しい問題があろうかと思います。
○丸谷金保君 私の聞いているのは、いいですか、事実誤認に基づいて、事実関係は調べなきゃわからないでしょう、それは。一般論で聞いているんですよ、一般論で今度は。一般論でそういう申請に間違いがあって、申請者自体の方が事実誤認に基づいて、そしてそこに売り払いをしたというふうな場合には取り消しの原因になります、要因になりますねと聞いているんです。なるとかならぬとか言ってください。
○説明員(日下部完治君) 御指摘のケースに該当するならば、そういうこともあり得るかと思います。
○丸谷金保君 あり得るかということでなくて、私の聞いているのは、その場合にはなるのかならないのか聞いているんだよ。どっちなんだよ。いいかい、そういう間違って売り払いをした場合には取り消しの要因になるかならないかなんです。あり得る場合とか、それは事実関係によってでしょう、あり得る場合というのはね。ある場合もあるし、ない場合もある、事実調べてみたらこうだと、それを聞いているんじゃないんだよ。いいですか、もう一回答えてください。
○説明員(日下部完治君) 一般論としてはおっしゃるとおりかと思います。
○丸谷金保君 一遍で済むやつ何分かかるんだよ。これね、私の質問にきちっと答えてくれればこんなの三回も四回も再質問しなくてもいいんだよ。 もう時間がありませんので、きょうはここまでにしておきます。やむを得ません。
○菅野久光君 初めに裁判所の昭和五十七年度決算についてお伺いをいたしたいと思います。 五十七年度の決算書を見て一番目につくのは流用が多いということであります。流用は財政法第三十三条で認められているわけでありますから、私は流用することが悪いとは言いません。しかし、五十七年度は他の年度に比べると特に最高裁判所の職員の給与関係に多額の流用が見られます。 その中の目の休職者給与は、職員の諸手当から六百五十四万三千円、委員手当から四百八十万円、常勤職員給与から四十四万円、児童手当から二十八万五千円、司法修習生手当から二千五百五十万円、委員等旅費から百十五万四千円の計三千八百七十二万二千円が流用されております。こうした多額を流用しなければならなかった理由、それからなぜこのように休職者がふえたのか、それをまずお伺いいたします。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 数字は御指摘のとおりでございます。 休職者給与の積算に当たりましては、過去の実績を勘案いたしまして積算しておるわけでありますけれども、五十七年度におきましてはこの休職者数を五十名程度というふうに予測していたところ、現実には七十名に増加したためにこれだけの不足を生じ、流用の措置をとらざるを得なかった、こういう次第でございます。
○菅野久光君 じゃ当初の見込み五十名が七十名になった、いわゆる二十名ふえたことが結局これだけの流用をしなければならなかった理由だということですね。そこでこの流用額約三千九百万円のうち六五%は司法修習生手当から約二千六百万円を流用したものですね。司法修習生手当というのは裁判所法の第六十七条の第二項及び司法修習生の給与に関する規則によって支給されているものです。昭和五十七年度当時の司法修習生の給与月額は十二万八千六百円ですね。このほかに一般職の国家公務員に準じて扶養手当、調整手当、住居手当、通勤手当、期末手当及び勤勉手当が支給されています。いわば司法修習生手当は一種の生活費といいますか、生活給的な意味合いを持っているものだというふうに考えてもいいのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) そのとおりであると考えております。
○菅野久光君 そういうことだとするならば、そういう費用の中から約二千六百万円を他に流用すれば何らかの影響があるのではないかというふうに私は思います。なぜかと言いますと、司法修習生というのは最高裁が司法試験合格者の中から命じたものですね。大まかに計算すると、一年間の合格者数が五百人、研修期間が二年間ですから約千人分の手当が毎年度予算計上されていることになります。約二千六百万円を他に流用して影響がないということであれば、その積算はどうなっているのか、ひとつ詳細に御説明をいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) まず御理解を得るために御説明をいたしますが、修習生手当は先ほど御指摘のとおりの中身でございます。修習生手当と申しますか、修習生に支給される月額は先ほど御指摘のとおりであります。この予算は修習生が何人最終的に採用されるであろうかということを見通して積算をしております。ところが、現実にはその見通しを下回る場合がかなり多いわけでございます。五十七年度における流用減もそういうことのために、いわば余ったということから他に流用をしたという経過でございます。
○菅野久光君 それでは伺いますが、五十七年度の司法試験の合格者は例年に比べて少なかった。五百人とるというやつが五百人じゃなかったということであれば何人だったんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 五十七年度におきます司法試験の最終合格者は四百四十六名でありまして、採用者は四百三十八名でございました。
○菅野久光君 それじゃこの司法修習生の採用が決まった、四百三十八名が決まった時期、それはいつでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 正確にはちょっと覚えておらないのでありますが、毎年十二月中ごろであると承知しております。
○菅野久光君 それでは十二月中ということになれば、まだ予算案が決定されていない、そういう時期だというふうに確認してよろしいですね。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) そのとおりでございます。 先ほど申しました司法試験の最終合格発表は、十月ごろございます。ですから、おおよその見当はつくわけであります。最終的に修習生に採用される者が何人かということは見当はつきますけれども、辞退してほかに行く人等がございますので、減ることが通常でございます。これが予算折衝段階では確定できないというふうに御了解いただきたいと思います。
○菅野久光君 一応五百人ずつということであっても、その年度によってはそれを下回るというようなことで余るのだということでありますが、とりわけ今非常に財政が厳しいという中で、この司法修習生の手当、これはある程度何か定額的に非常に積算のしやすいものではないかというふうに私は思うんですよ。そういう意味で、ある程度積算のしやすいものがこのように安易に流用されるということが、やっぱり国費を使う、予算化していく、そういう場合に非常に安易ではないかというふうに思いますので、その点で今お伺いしているわけでありますが、例えば五十三年度は約六百万円を退職手当に流用しています。それから五十八年度の決算書でも、職員基本給の不足に関して司法修習生手当から約八百四十万円、職員諸手当の不足に関して約七百三十万円、常勤職給与不足のために五万七千円、そして五十七年度と同じ休識者給与の不足に対し約千八百万円の、計三千三百七十八万円もの額が流用されているわけです。加えて言うならば、この司法修習生手当はいずれの年度も流用したにもかかわらず、これは不用額を発生しております。この五十三年度あるいは五十八年度のこういう例についてどのように御説明になりますか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 司法修習生手当のところからほかに流用いたしました金額は、御指摘のとおりであります。それは、先ほど来申しました関係で流用財源となったわけであります。その流用減をした結果、なお不用額が出ております。例えば五十七年度で申しますと、五十七万ばかりの不用額が出ております。五十八年度は四十四万、御指摘の五十三年度は十七万余りということであります。これらの金額は、確かに予算額と歳出額がぴたり合うのが理想だろうと思いますけれども、この程度の残が出るのもやむを得ないと申しますか、ぴたり歳出額を合わせるというわけにはまいらないのが、人件費の性格からいってやむを得ないところなんだろうというふうに考えております。
○菅野久光君 先ほども申し上げましたけれども、何か積算そのものにやはり問題があるのではないか。今言われるように、ぴたっという形にならないことは私もよくわかります。しかし、余りにも多額の予算が他に流用されるということは、やはり積算するぎりぎりの段階といいますか、概算要求の段階でこれが出されて、それが最後の段階まで、何というんですか、いってしまって、それがこういう形になっているのではないか。例えば夏の概算要求の段階ですね、そこで一応要求をして認められたと。認められたらそれはそのまま最後までいってしまう。十月かあるいは十一月あるいは十二月、その前でも司法修習生の採用する人数というのは決まってくる。そうすれば当然概算要求で積算したのとは変わってくるはずだというふうに私は思うんですよ。これは金額は何千何百万——国で言えば何千何百何十何億というような数字ですから、この程度のものはというふうな何といいますか、一千万単位のものであればそう大した額ではないというふうによもやお考えになっているのではないというふうに思いますけれども、一般的にこのように司法修習生手当があちこちに流用されていくということについては、私はどうも財政の厳しい、そしていろんなところの補助も切っていく、そういう中ではやっぱりちょっと納得できない、そういうものなんです。どうですか、これはやっぱり概算要求の時期に要求したものがそのまま本予算になっていくということだというふうに見てよろしいですね。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 概算要求は八月末の時点でございますから、ある程度の目算で修習生手当の積算をいたしまして要求をいたしております。しかし、先ほども申しましたとおり、十月段階で司法試験合格者の数が確定いたしますので、概算要求時点の人数を修正して要求をするということもございます。ですから、当初に概算要求段階で要求した人数そのまま最終段階までいってしまうというわけでは必ずしもないということでございます。なお、こういう財政事情の厳しい折でありますので、ある程度のゆとりを持った手当予算を積算するというようなことはできるだけ避けておるということが実情でございます。
○菅野久光君 そうしますと、この五十七年度は概算要求の段階の、例えば司法修習生手当のやつは、最終的には四百三十八名ということで六十二名減になったということで、これは歳出予算額をお決めになったというふうに見てよろしいですか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 五十七年度における修習生の手当予算の人数が今ちょっと手元に正確な数字がないんでありますが、四百三十八が採用人数でありまして、これを上回っておったことは間違いないところでございます。
○菅野久光君 二十三億三千百四万九千円が歳出予算額になっているわけですね。そうすると、おおよそ千名に近い数だというふうに私は思わざるを得ないわけですよ。ですから、これはちょっと概算要求の額がそのまま最後までここに載せられたというふうに見てよろしいのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 先ほどの御質問に対してちょっと補充させていただきますが、五十七年度におきましては概算要求時点で五百名ということで要求いたしまして、最終的には四百六十名という予算になったわけであります。現実には四百三十八名という者が採用されたと、こういう経過でございます。大体当時修習生一人当たりの年間の給与支給額は二百五十万円くらいであります。でありますから、十人少なくなりますと二千五百万、大まかに言って二千五百万の余りが出てくると、こういう計算になっておるわけであります。私どもといたしましては修習生の採用人数を下回った予算を組んだのでは非常に支障がございます。そういうようなことも考えてこういう誤差が出てくるというふうに御理解をいただきたいと思うわけであります。
○菅野久光君 積算を厳密にやる、支出をきちっとこうやるということは、これは財政運用の基本的なことでありますから、そういう点で非常にそのことが目につくものですからお伺いをしたわけで、これからはやはり予算の策定の段階では積算をきちっとやって、できるだけこのような人件費にかかわっては、予算と支出との関係ができるだけ整合されるようなそういう形に持っていってもらいたいと思うんです。これは裁判所だけではなくて、過日郵政省の関係でもそのことが非常に顕著に出ていたものですから私も指摘をいたしました。今後ともそういうことでひとつ運用してもらいたいと思います。 ところで、五十七年度の下級裁判所の委員手当を見ますと、ちょっと信じられないような額の流用が、これも行われております。理由は後ほど聞きますから流用額だけ教えてください。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 流用増が一億八千七百九十四万四千円でございます。
○菅野久光君 そうですね、一億八千七百九十四万四千円、約二億円ですね。流用しなければならなかった理由は何でしょうか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) この委員手当というのは、調停委員の方々に支給する手当でございます。民事調停、家事調停の事件数に応じてこの手当額は積算をしておるものであります。大まかに言いまして前々年度の事件数を基礎にいたしましてこの手当予算額を積算しております。ところが五十六、七年ごろから、もう現在も続いておりますが、いわゆるサラ金紛争にかかわる調停、民事調停事件が非常な伸びを示してきたわけであります。そのような関係がございまして、このような大幅な不足が出たために、流用の措置をとらざるを得なかったということでございます。
○菅野久光君 これらは下級裁判所の職員諸手当を減額したものを充てたと。そのように言ってもいいと思います。職員諸手当を減額した額は一億九千三百三万六千円で、このうち一億八千七百九十四万四千円が先ほど申し上げましたこの額が委員手当に流用されたと、こういうことになっておりますね。職員諸手当というのは管理職手当、初任給調整手当、通勤手当、特地勤務手当、宿日直手当、期末手当、勤勉手当、寒冷地手当、そして住居手当だというふうに思うのですが、これは間違いありませんね。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) そのとおりでございます。
○菅野久光君 五十七年度の裁判所所管の各目明細書を見ますと、職員諸手当は正確に積算されたものというふうに思います、やはり正確に積算しなければ予算案自体がおかしくなるわけでありますからね。このように正確に積算された職員諸手当を約二億円も減額して何ら不都合がなかったのかどうか、その辺をお伺いいたします。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 職員に対するいわゆる人件費というものは、法令でその額が決まっておりますので、これを減額したり増額したりはできないわけでありますから、そういう意味で客観的に額は決まっておりますし、人数がはっきりすれば、その所要額は正確に積算できるわけであります。ところが、こういう流用財源といいますか、流用減の対象になったのはなぜかということでありますけれども、これは裁判所職員およそ二万五千人おりますけれども、予定していない退職者あるいは死亡者、あるいは休職者等が出ますと、その基本給等に、あるいは諸手当等に余剰が出てくる、大体その人数減によってこういう減が出てきたということというふうに御理解をいただきたいと思います。
○菅野久光君 しかし二億という額は、やっぱり幾ら二万五千人いることはそれはそれとして、大変な金額だというふうに思うんですよ。それが減額して何ら不都合がなかったのかということになれば、法令に従ってきちっと支給をしたということですから不都合がなかったということになるんだろうというふうに思うんですけれども、そうであれば、やっぱり当初予測しなかったということからこういったようなことになったのかもしれないけれども、しかし、ここのところもまた積算そのものがやっぱり甘かったのではないかというふうに指摘せざるを得ないわけですけれども、その辺はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 結果から見れば、そういうことになると思います。ただ、先ほども休職者のところで申し上げましたとおり、あくまで予測計算をせざるを得ない、人件費については、そういう経費でありますために、予測が若干狂いますと、もうすぐ億の単位の不用額といいますか、余りが出てくるということでございます。そういう実情を御理解いただきたいと思います。
○菅野久光君 それじゃ、昭和五十六年度、この年度の下級裁判所目の職員諸手当の支出状況、これはどうなっていますか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) これは下級裁判所の項で申し上げますが、職員諸手当が三百六十億七千六百五十万三千円であります。それで支出済額が三百五十五億二千三百二十七万四千九百五十八円でありまして、この差、余った金額が三億三千五百九十万余でございます。
○菅野久光君 五十六年度は、この歳出予算額約三百六十一億円のうち二億一千七百万円を職員基本給と超勤手当に流用しているんですね。流用した理由は給与改定があったためというふうになっております。給与改定があれば、当然それは諸手当にも改定分ははね返ってくるはずですね。そういうものからこの二億円も減額すれば、やはり何らかの影響が出たのではないかというふうに考えるのが普通だと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 繰り返しになって恐縮でありますが、その各職員に対する支給額に影響が出てくるということはあり得ないことであります。結局、予算定数と現実の職員の数との差がそういう金額となってあらわれてくると、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○菅野久光君 私も先ほど言っているように、全く予算額と支出済み額がぴったりになることはあり得ないといってもいいぐらい、これだけ大きくなれば、そのことは理解はできるんですよ。まあしかし、これは別に最高裁判所の方だけじゃなくて各省庁そうなんですけれども、どうも人件費の積算が少し甘いんじゃないか、そしてそれが安易に他に流用されていくというような傾向があるのではないかということを私は決算書を見ながら考えるものですから、積算というものをやっぱりもう少しきちっとやってもらいたいということでこのことを申し上げておりますので、その点はひとつ今後の運営の上でやっていただきたいというふうに思います。 では次に時間も余りありませんので移りますが、裁判所の五十七年度の決算について裁判所の予備経費というのがありますね、この予備経費という言葉は一般に余り聞きなれない言葉ですが、これを簡単に説明願いたいと思いますが、これは大蔵省ですね。
○説明員(吉本修二君) 予算作成後に予見しがたい経費に充てるためということで一般会計全体で予備費という制度がございます。そういうことで全体的な不足財源に充てていくわけでございますが、国会と裁判所につきましては、例えば裁判所の裁判所独自の事由で生ずる予算不足額を一々内閣に相談して使用するというような形では問題であろうと、三権分立の問題でございますが、そういうことで裁判所法あるいは国会法において予備金制度というのが設けられておりまして、必ず予備金を計上しなければならないという規定になっております。そういうことで特別の予備金を計上しておる次第でございます。
○菅野久光君 国会と裁判所にだけ設けられていると。この予備金を設けることができるのは今のお話のように国会と裁判所、これだけ設けられておる。わかりました。 それで、この予備金というのは国会と今の御答弁のように裁判所のみに認められているということですが、裁判所予備金に関する法律というのがありますが、この法律は昭和二十二年十月十五日に公布、施行されています。つまり戦後すぐにこの法律ができたということですが、今お話しのように他の省庁にない予備金が裁判所に認められたというのは、三権分立というそういうことがあってそれで認められたということで、先ほどの答弁のとおりでよろしいですね。
○説明員(吉本修二君) 昭和二十年代で非常に古い話でございまして、実は私も不勉強で立法の趣旨を十分勉強したわけではございませんが、従来からいろいろ物に書いた本とかその立法趣旨というものを勉強してみますと、そういう趣旨で設けられたものであるというふうに言われております。
○菅野久光君 それではこの予備金の中身についてお伺いいたしたいと思いますが、昭和五十七年度は予備金を何に使ったかといいますと、賠償償還及び払戻金に約二百三十三万円支出しています。この賠償償還及び払戻金ですが、項の最高裁判所にもありますし、項の裁判費にもあります。予備金を支出したのはどの項の賠償償還及び払戻金であったのか、またなぜ賠償償還及び払房金が予備金を使わなければならなかったのか、そこをお伺いいたしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) この予備金から使用いたしました賠償償還払戻金は項最高裁のものと同質のものでございます。
○菅野久光君 最高裁判所のものと同質のもの、この賠償償還金と払房金は、その裁判費の中にある賠償償還及び払戻金とこの予備金から支出したのとは同じものだということですか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 項最高裁にあります賠償償還払戻金というのは、例えば裁判所職員の違法行為によって損害を与えた、その場合の賠償金なんかを支払うためのものであります。項裁判費の賠償償還払戻金はこれはちょっとわかりにくいんでありますが、執行官送達の手数料等がここから支払われるということであります。 そのほか訴状に手数料として印紙を張りますが、これが納め過ぎだったという場合にこれを返すというような場合、この項裁判費の賠償償還払戻金から払うということになっております。今予備金から立目いたしまして使用いたしました二百三十万余りは前者のたぐいの経費に充てるために立目したものである、こういうことでございます。
○菅野久光君 そうすると、前者のものと性格的には同じものをこのときは予備金を使った、あるときには最高裁判所の予備費ですね、賠償償還及び払戻金から払うこともあるということですね、両方から出している、この場合は、そのように理解してよろしいですね。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) もちろん項最高裁の賠償償還払戻金に不足を来した場合に予備金から立目して使う、こういうことでございます。
○菅野久光君 過去の年度の決算書を見ましても、大体八百万の予算額全額が不用になっている年度もあります。予算額全額が不用になったというのは、使う事態が発生しなかったというふうに私は理解するわけでありますが、予備金の性格は、先ほど大蔵省の方からもお話がありましたが、予見しがたい予算の不足に充てる、一般的な予備費と同じようなものだけれども、また性格的に特に裁判所と国会に設けられているというような説明がありました。そうすると、裁判所には予備金があるから予備費の使用は認められていないかと思うとそうではない。この点についてはそうですね。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) そのとおりで乙ざいまして、例えば五十九年度におきまして刑事補償金という科目がありますが、五十九年度におきましては大きい事件といいますか、再審無罪事件が相次いだためにかなり多額の不足が生じました。このために政府、大蔵省が管理しておられます予備費からの支出の承認を得ております。
○菅野久光君 予備金と予備費あるいは先ほどの予備金が賠償償還及び払戻金に使われる、似たようなところのものですから、その辺使い方について何か一定の内規的なものといいますか、どちらから支出するのかということについては何か決めのようなものがございますか。
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 特にそういう定めはございません。できるだけ裁判所の場合は裁判所の予備金の範囲内で賄えるように努力をいたしておるところでありますけれども、どうしてもそれで賄えない事態が、先ほど申しました刑事補償金等について発生します場合には、やむを得ず予備費の使用の承認を求めるということになっておるわけでありまして、特にその間にルールがあるわけではございません。
○菅野久光君 特にそういう使うことについての決めがあるというわけではないと。しかし額は多い少ないはあるにしても、国民の税金であることについては間違いがありませんから、予備費はきちっと調書をつくって何月何日閣議決定と、あるいは大蔵大臣決定とかというような形で出されますね。裁判所はこれは最高裁判官会議か何かでこの支出については決められるわけですね。最高裁判所の裁判官会議の承認を得なければならないということでありますから、そういうことで使われているんだろうというふうに思いますが、何か同じような費目で、片方は予備金から、片方は賠償償還及び払戻金から出されておるというようなことで、ちょっと一般の認識ではわかりづらいような、しかも同じ性格のものが出されているということでわかりづらいところがありましたのでお伺いいたしました。 それじゃ、時間が余りございませんので裁判所の関係はこのぐらいにして、次に法務省の関係についてお伺いをいたします。 登記事務だとかそういうことがふえて職員の勤務状況というのが大変だということで、過日四月二十三日の法務委員会で一応コンピューターの導入にかかわる問題について決められたというふうに承知をしておりますが、法務省にかかわる職員の勤務状況というか、勤務実態といいますか、そういったようなこと等について私は資料要求をいたしました。ところが、きょう九時半までに頼むと言ったのに、今実はここへ届いたんですよ。しかも何か法務省としては全体の、全国各地の法務省にかかわる職員の勤務状況等については掌握をしておらぬと。本省は本省、それぞれの地方の局は局ということでしか掌握をしていないと、こういうことですけれども、それはそのとおりでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 法務省におきましては、法務省職員健康安全管理規程というものを定めておるわけでございます。これによりますと各組織ごと、例えば法務局で申しますと、法務局あるいは地方法務局単位にそれぞれ健康管理に関します事務を担当いたします健康管理者を指名いたしておるわけでございます。この健康管理者がそれぞれの組織ごとに職員の健康状態、そういったものを把握しておると、こういうような仕組みになっておるわけでございます。
○菅野久光君 それにしても、それぞれの局だとかなんとかでは当然これはやらなきゃならないことですけれども、私は法務本省においては全国各地方局のあれも全部集計して、全体的にはこういうような状況になっているということは当然把握しておかなければならないことだというふうに思うんですけれども、その辺はどのようにお考えですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 確かに先生御指摘のように、職員の健康状態といいますか、勤務状態、条件といいますか、こういったものの実態把握ということは重要なことでございますので、現在のところは各組織ごとにこの把握に努めておるところでございますが、今後その点につきましては十分ひとつ検討をいたしたいと思っております。
○菅野久光君 検討ではなくて、当然私は労務管理やなんかの、いろんなそういうことも含めてやらなければならないことだというふうに思うんです。検討じゃ私は納得できませんよ。
○政府委員(岡村泰孝君) そういう方向で対処いたしたいと思っております。
○菅野久光君 私の持ち問題もあとわずかになりましたのですが、たったこういう資料一つ私がもらいたいと言っても、もう全部各局に電話をして、そうでなければこれは集計できないんですよ。ですから私が要求した時刻までには持ってこれないということでは、やっぱり審議にも重要な影響があるわけですから、その方向でということでなくて、そういうことでやるということでひとつお願いをいたしたいと思います。 いろいろ聞きたいことがたくさんあったわけでありますけれども、資料がなかったということと時間がないこと、両方ないということでまた別な機会にこのことについてはやらせていただきたいというふうに思っております。
○委員長(佐藤三吾君) これは大臣、先ほども資料提出の問題でございましたが、今またそういう問題が起こっておる。大臣の方から決意なりお考えをいただきたいと思います。
○国務大臣(嶋崎均君) 国会の運営というのはもう基本的に一番大切なことであると我々心得ておるわけでございまして、今後とも資料等につきましては十分の注意をしなきゃならぬことはもちろんのことであろうと思います。ただ、いろんな仕事の立て方等でそごをしておりまして大変御迷惑をかけたわけでございますけれども、今後できるだけそういう事態がないように注意してまいりたいと思っています。
○目黒今朝次郎君 じゃ短い時間ですから、馬蹄形答弁でなくてずばり答弁お願いします。 五日十八日の日経新聞で豊田商事、これはレクチャーなされておりますが、豊田商事が悪質な金の取引をやっておりまして、多くの被害者が出ておるわけであります。相談を受けた全国弁護士会の皆さん、有志八十四名の皆さんが、このやり方は極めて悪質だと、したがって商法第五十八条に基づく解散命令を法務大臣に請求したいと、こういう新聞記事が出ておるわけでありますが、最近の悪質な企業犯罪、頭脳犯罪から考えるとその典型的なものだと、私はそう受けとめておるわけでありますが、この豊田商事の解散命令について弁護団から申請があるのかどうか、もしもまだないとすれば、この問題について法務大臣としては社会正義の立場から解散命令については前向きに取り組んでほしい、こういうふうに考えるわけでありますが、まず大臣の冒頭の見解をお伺いいたします。
○国務大臣(嶋崎均君) 一部テレビあるいは新聞等で豊田商事の問題について報道がありましたことは承知をしておりますし、今商法の第五十八条の解散命令というようなことを取り上げられておりますが、それはどういう手続で進んでいくかというのはまだ先の検討事項になっておるように聞いておるわけでございます。しかし、いずれにしましてもこれらの問題というのは非常に重要な問題であり、過去こういうことで解散命令をやったということは一度もないというような、そういうことであろうというふうに思っておるわけでございます。 また、実態、その豊田商事の内容等につきましては個々的な事件がありまして、御承知だと思うんですが、一部等は早期にやりましてすぐ返還をして不起訴になったというような処理もあります。それからいろんな訴訟案件が係属をしております。具体的には個別案件にわたることでございますから説明は省略をいたしたいと思いますけれども、こういう何というか、社会的な秩序というものを脅かすような案件というものが一刻も早く少なくなるような対処をしなきゃならぬというようなことでございまして、検察当局とも密接な連絡をとりながら事柄の処理を図っていきたいと思います。ただ、その解散命令の話になってきますと、事柄いかにも重要な話であります。また、これ下手に処理しますと現にそれを利用している人たちに対する影響等非常に深刻な問題が出てくる問題だろうというふうに思います。どういう手続で進められるのか、それらの中身をよく検討させていただきたいと思いますけれども、非常に話は深刻な問題だと思っています。
○目黒今朝次郎君 ぜひこういうのがはびこっているという点については法務行政から許しがたい問題と、こういうことを銘記してやってもらいたいと思っております。 それと、これと同じような形が日本信販の長野支店の、いわゆる他人の名義を借りて住宅ローンとしてやってそれを事業の経費に使うと。他人名義に使われた人は大変な御迷惑をこうむっているという点で、五月十七日の決算委員会でこのクレジットを担当をしておる通産省にいろいろお願いなり問題提起をしたわけでありますが、その際、通産省の矢橋審議官が、この日本信販の住宅ローンの問題は、法の谷間を渡り歩いておる事犯であってなかなか難しいと、こういうことを答弁されましたので、私は、法の谷間にあるというならばその谷間を埋めるためにどういうふうにして考えるべきかというのが、いわゆる政治の政治たる問題じゃないかということでさらに追及いたしまして、村田通産大臣は、関係省庁と十分に連携をとって、大蔵省、法務省などの関係と十分連携をとってこの法の谷間を悪用する問題についてはそれなりにやりたいと、こういう発言があったわけでありますが、私は、法を預かる法務大臣として、この法の谷間を渡り歩くということに対しては、今の豊田商事の一件も含めて、やっぱり毅然たる態度をもって臨むべきだと、こう思うんでありますが、その法の谷間に対する基本的な考えをお聞かせ願いたい。大臣、お願いします。
○国務大臣(嶋崎均君) ただいま問題になりました日本信販の問題につきましては、長野の警察の方にそういう告発があったということを承知をしておるわけでございまして、個別の案件で我々の方にも具体的な内容については必ずしも承知をしておりませんけれども、それらの整理が的確に行われるように警察当局にも努力をしていただきたいと思うし、我々自身もその推移というものについて十二分の配慮をしていかなきゃならぬというふうに思っておるわけでございます。 今御指摘の問題でございますけれども、さきのこの決算委員会でいろいろこの問題について御議論があった経緯を承り、また我々の方にも、下部には多分連絡があったんだろうと思いますが、私自身はまだその詳細については承知をしておらないわけでございます。しかし、いろいろ考えてみますと、これらの案件はどうも何か民事法の基本に重なるような、例えば商法改正とかあるいは民法その他の法制、法例の改正というような、民事法の改正にストレートにつながるものであるかどうかということは私必ずしもどうも自信がないわけでございますけれども、関係の通産、大蔵あるいは建設等でよくひとつこの問題について連絡、協調を図っていただいて、そしてそれらについて問題点があるというようなことで法務省に議論が持ち込まれましたら、これはせっかく検討してその対応を考えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
○目黒今朝次郎君 通産省にお伺いしますが、この前の十七日の大臣なり審議官の答弁後、何かこういう問題について大蔵その他と交渉なり折衝なりそういうことをしておられるかどうか。我々の考えでは、基本的にはもうこれは立法措置で何らかの手を打たなければ、各省間の谷間を渡って歩くわけでありますから、やはり立法措置などを通じて防止を考える以外になかろと、私はあるいは社会党はそう考えています。したがって、通産省はこの前の五月十七日の村田大臣の答弁後どういう対応をされたか、短期間ではありますが、今後の取り組みを含めてまず通産省の考え方を、この前の審議官の答弁は要りませんから、その後の考えについてありましたら御答弁願いたい、こう思います。
○説明員(糟谷晃君) 日本信販の件につきましては、先般の決算委員会で通産大臣から御答弁したとおりでございまして、私どもこの住宅ローンにまつわる不正融資が行われたということで会社からも詳しく事情を聞きまして、今対応を考えているところでございますが、この問題はやはり、名義貸しと先生今おっしゃいましたとおり、名義貸しの問題がかなり大きなウエートを占めていると私ども考えておりまして、ただ名義貸しと申しますと、住宅ローンに限ったことではございませんで、いろいろ人の名義を借りる、あるいは人に名義を貸すという一般的な話でございまして、なかなか幅が広く根が深い問題でございます。対応に若干時間はかかろうかと思いますが、この間の国会審議の結果も踏まえまして現在各省と御相談を始めているという段階でございます。
○目黒今朝次郎君 相談は相談で結構ですけれども、やはり根本的な対策を考えるという視点で私はやってもらいたいなと、こういうことをとりあえず要望しておきます。 それで大臣、私きょう電車の中で見たら、毎日新聞の社会面のトップに「ズサン融資六億円 相銀共同出資のローン会社 倒産業者が分譲の造成地 担保を過大評価」、こういうことが挙がっている。これも私はサラ金とかその際に指摘したとおり、この中身を見ますと、驚くなかれ、私が指摘したとおり、全国の相互銀行の共同出資をした住宅ローン専門会社、これは徳陽相互とか平和相互とか、随分やってまいりました。いろいろ苦しくなると何やるかわからぬよということを、私もサラ金なり相互銀行関係で警告をずっと大蔵省関係でやってまいりました。私が警告しておったことがもう現実にこういう社会問題になっていると、こういうことであります。これも簡単に言うと、仲介人を通して不動産なり名義貸しをやって、その名義貸しをやった人に十分に相談しないまま不動産を担保に入れて、担保も二束三文の担保を過大評価して入れて、それで契約をして、それで不動産会社は倒産をすると。この場合は埼玉県の新幸商事会社、これが不動産業者です。これが倒産をする。倒産をしてしまえば、残ったのはその不動産を担保にした、名義を貸した方だけだと。そうすると、その名義を貸したところに返済を強要されると。ところが、担保が二束三文ですから、五千万の金借りて五百万や三百万の担保ではどうにもならないと。じゃ、二千五百万はどうぞ現金でお返しください、返さなければあなたの持ち分を全部差し押さえをしますよと。そういう悪質な、ちょうど日本信販と同じ例ですよ、これは。 それから、この前言われた総評弁護団、きょうもここに持ってきましたが、これは五十九年七月二十一日、これは日東住宅購入被害者連絡会、代表長田さん、これも不動産会社は日東住宅株式会社。これもやっぱり今言ったこの関係と同じ手口。そうして金融機関は、ペテンにかけたこの不動産業者は日東住宅株式会社、そしてこれをそそのかした関係金融機関は第一住宅金融株式会社、それから日本モーゲージ株式会社、小岩信用金庫、地銀生保住宅ローン株式会社、これがいわゆる仕掛人ですよ。そして仕掛けて、走り使いしたのが不動産業者。それで倒産をして、結局使われた名義人だけがほいほいほいと。この人は今のところ六十何名ですね、これは。こういうことがこの住宅ローンという、まあ私ら貧乏人も含めて住宅を持つというのは三十代、四十代の夢ですよ。その夢を巧みにひっかけて、そうしてぎりぎりのところでやっておって、そうして、私はだから法務省に関係あると思うんですよ。いろんな謄本を出すとき、十分に確かめないで事務的に謄本を出していますから、その謄本を二重三重に、土地の転がしじゃなくて謄本の転がしをやっているんです。謄本の転がしをやってこういう書類を偽造しているんですよ。そういうことが行われているというのが現状なんですよ。 ですから、豊田の問題も日本信販の問題もこの相互銀行の問題もそれから信用金庫の問題も全部共通しているのは、住宅ローンという庶民の願いを悪用して、巧みに悪用していろんな金を集めて、そしてぐあいが悪くなると倒産という非常手段を使ってドロンをして、名義を貸した住民だけをいじめているという、全部同じパターンです。ですから、今私は、通産省が関係方面と云々だということはわからないわけではありませんが、やはり法の谷間をくぐっているこの現実は、法務大臣ね、私はもうゆゆしい社会問題だ、こういうふうに断定しても間違いない、こう思うんです。ですから、大蔵省、通産省、それからこっちは、これも銀行、通産省、それから建設省、土地の売買ですから建設省、こういうところときちんと連携をとって、むしろ、法務大臣が法の執行者として社会正義を守る、庶民の生活を守る、法の建前を守っているのが法務省でありますから、こういう社会問題が共通しているという事実認識をぜひこの法務の決算で、私は法務大臣に認識を再確認してもらいたい、こう思うんです。その上で、この法の谷間を歩いている悪質なこういうものについては立法措置を含めて、やっぱりきちっとした、弱い国民を救済する、守る、そういう意味の法的規制を積極的に講ずるという姿勢で大蔵省、建設省、通産省をぜひ指導してもらいたいし、あるいは中曽根内閣としてもこういう問題については、やっぱり内閣の生命として、こういう庶民が——いろいろなことが出ているわけでありますから、毎日毎日社会面をにぎわしておるわけであります。しかも単位が大きいんですね。億単位、五億だ、十億だ、二十億だ、三十億だ、億単位でありますから、これは企業犯罪を許す温床になっているという点で、ぜひ積極的に法務大臣としても、また中曽根内閣の閣僚としても、この谷間を悪用している問題については関係省庁と十分に連携をとって調査をした上で、立法措置を含めて早急に対応してほしいということを、社会正義を守る、庶民の立場からあなたにお願いする以外にないということで、きょうはこの前の通産省問題の総括としてあなたにお願いしている、こう思うんですが、法務大臣、その関係省と十分連携調査して、立法措置を含めて、庶民を守るという立場の行動をぜひとってもらいたい、こう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) ただいま目黒委員御指摘のそれぞれの問題につきましては、既に警察あるいはそれらの担当の省庁においてこれらの問題を御検討し、あるいはそれのための対策について御苦心を願っておるところだろうというふうに思っておるわけでございまして、私たちもそういう各省の意向というものを十分受けて対応していかなきゃならぬというのはもちろんのことであろうと思います。ただ、言うまでもなく、国民の生活の安定をどうして確保していくか、また国家社会の平和と繁栄を図っていくということを考えていくためには、その基盤になるところの法的な秩序というものがきちっと整理をされているということが一番大切なことである。また、そういう決まったルールがある以上、それにのっとったいろんな仕事の立て方というのは、一般の国民の皆さん方にも強く要望するところであることはもちろんのことでございます。しかし、それを担保するためのいろんな登記その他の問題につきましては、その処理というものを的確に行うことによりまして少しでもそういう非違が発生する余地を防圧していくということに努力することは当然なことであろうと思うのでございまして、そういう意味でも十分注意をして対処をしてまいりたいと思っておるわけでございます。 いずれ、御指摘の問題等につきましては、それぞれ具体的な案件につきましてこの手続が進められてくる、それに対応して、検察行政というものを一層充実してそれに対応するということは当然のことであると思いますが、そういう事件に発展する前に、今御指摘のような問題が広くあるという事実を踏まえまして、これらの省庁からの御意見というものを承りまして適切に対処をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
○目黒今朝次郎君 大臣ね、「適切に対処」もわからないわけじゃありませんが、このクレジット問題、日本信販の問題などについては、事前のレクチャーで随分政府側に説明しました。その結論として、この前十七日の答弁では、このクレジット問題を扱っている担当の最高責任者の審議官が、法の谷間を渡って歩くんでどうにもなりません、極めて困難であります、という答弁をこの国会で既に答弁しているんですよ。法の谷間を潜ってやるんでなかなか困難だということは、裏を返せば、あなたが言った、庶民を守るためには、法の谷間を渡って歩く、その法の谷間を渡って歩けないように埋める、埋めるしかないと思うんですよ。埋めるのは行政指導か立法か、その二つしかない。ですから、私はやっぱり、立法問題を含めて、行政指導の強化を含めて、今大臣が言うとおり、通産、大蔵、建設、省庁は事件ごとに十分調査することが必要でありましょう。だけども、この日本信販とか豊田金融の問題をめぐって、担当官庁である通産省の最高責任者の審議官が、法の谷間を縫って歩くんで困難だ、こう認めておるんですから、やっぱり法の谷間を埋めるための行政指導、あるいは立法ということを含めて、やはり法の番人であるあなたが決意する以外にない、こう思うんでありますから、行政指導あるいは立法化を含めて十分に閣内で努力してもらいたい、あるいは閣議で検討してもらいたいということを重ねて要請したいんです。 そうしますと、この問題だって、大臣、これは去年の七月二十一日、竹下大蔵大臣に出されている書類なんですよ。これをよく見てくださいよ。一年たってもやっぱり今言った法の谷間を逃げて歩いてるものだから、なかなか大蔵省でも、がちっとつかまえることについては、警察とも協力しているけれども、なかなか事件解明に困難をしているというのが大蔵省のいわゆる非公式の回答なんですよ。これは通産省も同じなんですよ。通産省も法の谷間、大蔵大臣も法の谷間、それで出てくる事案は全部共通性を持っている、こうなりますと、大蔵省も通産省もだめだとなれば、やっぱり法の執行者であるあなたのところで、行政指導か立法ということを含めて、やっぱり詰めた議論、詰めた対応をしないとこの問題は解消しない。解消しないということは、イコール、この問題で泣いている庶民は、強制執行に毎日毎日泣いているというんだ、国民が。ですから、やっぱりあなたが、検察行政を預かる、社会正義を守るという立場から、あなたのところで積極的にやる以外にない。私はこの通産省と竹下大蔵大臣のこれを見た上であなたにお願いしている。あなた以外にない、法務省以外にない、法の谷間を解消するには。 そういうことで法の番人であるあなたにお願いするわけですから、ひとつ、行政指導、立法問題を含めて、一日も早くこれで泣いている庶民に明るい希望を持たせる、そういうための、やはり国民に向かって表明と同時に、悪質なものについてはもう容赦せぬぞ、立法を含めてやるぞということでやっぱり天下に公表すべきだ、それが問題解決のやっぱりポイントだ、こう思いますから、しつこいようでありますが、もう一度、行政指導あるいは立法を含めて、庶民を守る、悪質なものには厳しい反省を促すという立場で、法の執行者のあなたの見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
○国務大臣(嶋崎均君) ただいま御指摘の問題、長い経緯があるということについて、私も実はまだ六カ月余しかたっておりませんで、長い経緯を必ずしも十分承知をしておるわけでございませんけれども、最近の新聞等によりますと、非常に大きな問題が出ているということはよく承知をしておるわけでございます。何らか、その御指摘のような問題は、法の谷間というような言葉は非常に文学的な表現でございまして、よくわからないところが多いわけでございますけれども、私はどうも、何か商法の改正とかなんとかいうようなことで対応できるような問題ではないような感じがするわけです、これは私の個人の意見でございますけれども。しかし、こういう問題が非常に多いということになりますと、それの対応の仕方というのが、ある意味では、いろんな意味での行政指導を行い、あるいはこういう事案に対して我々が的確に対処をするという姿の中で何らかの反省を一般に求めていくというような、そういうような両方の過程からこの問題の整理を進めていかなきゃならぬというふうに思っております。 しかし、いずれにしましても、御指摘のことでございますから、これらの省庁とよく連絡をとりまして、何らか対応の工夫ができるのかどうかというようなことについて検討さしていただきたいと思っております。
○目黒今朝次郎君 これは通産大臣もそう言ってるんですから、私はあえてまた総括でもやりますがね、各大臣に関することですから、中曽根さんの決意を聞きたいと、こう思っていますが、しかし現実に庶民が泣いている、この現実は私も政治家の端くれとしてこれは放任できませんよ。どうしてもあなた方が踏み切らないなら、我々は弁護士会と相談して社会党の議員立法でもこれはやらざるを得ない。そうしないと泣いている貧しい庶民が救済できない。これは政治家として放任できません、遺憾ながら。ですからぜひひとつ大臣の立場においても最大の努力をしてもらいたい、こういうことを再度要請して、あとは総括質問でもやります。 それから、日大問題で一問だけお願いします。 日大問題でこういうのを私もらいました。これは日本大学綱紀委員会委員長押切徳次。日大総長高梨、あるいは日本大学理事長柴田殿と。この答申書はこの委員会の設置の理由として、五十九年十二月十二日、参議院決算委員会で目黒今朝次郎議員より、私立学校助成法に関する国政調査権に基づき、日本大学生産工学部がアメリカ合衆国テネシー州立大学と留学生派遣計画について具体的な事実を摘示し、顕著な規律違反、巨額な金銭上の紊乱が糾弾された。このことは日本大学の名誉、信用に関することで、断固として真相を究明して糾弾しなければならない、こういう文書がありまして、この文書を私はこれは三月二十三日答申、三月二十六日、私がいただきました。そして四月の二十日ごろ生産工学部教授会で発表したものでありますが、その中で二つだけお伺いします。 一つは、この堺教授の奥さんが六回にわたってアメリカに旅行しているわけでありますが、私は奥さんの金は大学で払うべきでない、しかし現実には大学の金を使っている、こういうことについてこの委員会は堺教授の奥さんは大学の許可を得ないで六回にわたって学校の金を使ってアメリカに行っている。あるいは目黒議員の指摘のとおり、ヨーロッパも回っている。実際にそれは確認したと、こう言っているわけでありますが、学校の公金を使ったという場合には、許可を得ないで金を取ったという場合には公金流用あるいは公金横領、こういうふうに言われても仕方がない、こう思うんですが、法務省の見解を、これは国の助成をもらっている日本大学ですから、そういう点で法務省の見解を聞かしてもらいたいと思います。
○政府委員(筧榮一君) 今御指摘の日本大学の生産工学部の学部長の旅行に際し、奥様の旅行費用を学校の金を使ったというようなことでございますが、私も新聞は読んでおりますけれども、事実関係は詳細に承知しておりませんので、具体的な事実関係が明らかでない前提で刑事責任がどうなるかということについては、ちょっとお答えをいたしかねる段階であろうかと思います。 その場合にも、大学内におきますいろいろな手続あるいは規程等もございましょうし、それに伴いまして従来大学でこういう場合にどういうふうに扱っていたかという取り扱い等もございましょう、その他当該旅行の目的あるいはその旅行に至る事情等、いろいろな事実関係を前提といたしませんと刑事責任があるかないかということは、結論は出ないわけでございます。 一般論として申し上げますれば、公金と言えるかどうか別といたしまして、自己の保管する他人の金銭をほしいままに自己または所有者以外の第三者のために使用するということであれば、刑法上横領あるいは業務上横領あるいは背任等の財産犯の成否が問題になるということもあり得ようかと思います。
○目黒今朝次郎君 時間がありませんから、私はあなたの一般論を受けとめておきましょう。 それから、学校の正式の、学内における正式の委員会ですからこのネタをあなたにあげますから、この答申は、寄付金として受理した公金から、同伴夫人に対し前後六回にわたり出張許可申請することなく旅費を支給することは不当であると調査委員会自体が、一切の手続をしないで勝手に金を使ったということを調査委員会が認めているわけでありますから、この事実に基づいてあなたの一般論にどう適合するか、委員会終わってからやります。 それから二番目には文部省にお伺いします。 この答申では堺生産工学部長は罷免する、いわゆるこういう不当なことは、目黒議員の指摘どおり罷免することを当然と考えるということで、そういう答申を受けて、現在給与何とか委員会に諮っているということを聞いておりますが、この罷免の手続はどうなったか、大学側でどう掌握しているか、現在の経過をお教え願いたい、こう思います。
○説明員(佐藤孝安君) ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、綱紀委員会の答申を受けて学内の人事・給与委員会でそのことについて検討が行われているようでございます。これにつきましてほぼ同様の結論が出されたということでございまして、それを受けて具体的措置についてどうするかは今後学内でまた慎重に検討したい、こういうことでございます。
○目黒今朝次郎君 人事・給与委員会では答申どおりと、こうなったということですな。
○説明員(佐藤孝安君) そのとおりです。
○目黒今朝次郎君 そういうことで、今具体的な事実関係で学内でやっている、こういうふうにじゃ確認します。 最後に、お願いです。日大問題でこれは法務省にも大学にもお願いしますが、この問題を私が取り上げた段階で、いかがわしいこういうようなパンフレットが私のところに来よったり、あっちこっちのルポライターとかブン屋に流れておるんですが、これは私の名誉のためにぜひ法務省と大学にお願いします。張本人は生産工学部西川助教授、この西川助教授が堺学部長、今罷免を答申された堺学部長の命を受けて、現金○○円、何百万円だか何千万だか知りません、○○円を堺教授からもらって、私や私の秘書をもみ消すために、自民党の関係である田沢参議院議員なども巻き込んでもみ消しをする、そして目黒は受け取ったとか受け取らないとかそういう問題を生産工学部内にばらまいている、こういう文書も流している。もう言語道断だ。でもまあ別な面から見れば、この西川助教授がまた自分のポケットマネーをつくるためにやっている芝居かもしれないという面もあるわけでありますから、この西川助教授堺生産工学部長、この関係で目黒議員をかどわかすために、もみ消すために画策しているという事実についてぜひ法務省と文部省で調べてもらいたい。もしもこれが事実でなかったならば、私はもってのほかだと、侮辱罪で西川助教授を訴える用意があると、そう思っております。 したがって、この文書は全部後ほど大学側と法務省関係にやりますから、どこからでもひとつ調べてもらって、この日大問題、テネシー事件のもみ消しの工作についてその真相を究明してもらいたいということを要請いたしまして、これは答弁要りません、法務省と大学側に要請して、私の質問を終わります。
○委員長(佐藤三吾君) 午前の審査はこの程度とし、午後三時まで休憩いたします。 午後零時八分休憩 ─────・───── 午後三時開会
○委員長(佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、昭和五十七年度決算外二件を議題とし、法務省及び裁判所の決算について審査を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○田代富士男君 最初に法務大臣にお尋ねをいたしますけれども、憲法に規定している基本的人権の擁護につきましては、だれよりもこの問題については法務大臣が率先垂範していくべき立場ではないかと思うのでございますけれども、まあ当たり前のことと言われればそれまでですけれども、このことに対するまず大臣の所信をお伺いしたいと思います。 それと同時に、その意味におきまして法務大臣といたしましては外国人と日本人との間に何ら差別もないというのが基本であると思うのでございますけれども、この問題あわせてお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(嶋崎均君) ただいま御質問の問題でございますが、外国人につきまして基本的な人権が尊重されなければならないということは、私はもう当然なことであるというふうに思っておるわけでございます。ただ、そういう基本的な人権を保全をしていく場合に、何というんですか、公益的な理由というか公共の福祉というんですか、そういうような観点からある程度制約があるということも事実であると思うのでございます。しかし、いずれにしましても、現在我々としましては、日本人の場合にはいろんな意味で戸籍あるいはその他の施設なり制度が準備をされておるわけでございますが、外国人の場合には御承知のように外国人登録法に基づくところの制度というものが唯一に存在をしておるというようなこともありまして、この指紋制度その他を含む外国人の地位あるいは待遇の問題について慎重に検討し、現在に至っておるというのが実情であろうかと思うのでございます。 それからもう一つの問題点であります外国人と日本人との間でございますが、基本的な人権を尊重すべきことはこれはもう当然のことであろうと思うのでございます。しかし、いろんな諸制度があり、また過去のいろんな長らくの歴史的な経過というようなことも存在をするわけでございまして、また第一に申し上げましたように、日本人の場合のいろんな諸制度と外国人の場合に対応する諸制度の間に、ある程度事実上の差が生じておるということも事実で、またある程度必要なことであろうというふうにも思っておるわけでございまして、そういう意味で一般的に基本的な人権を尊重すべきであることは当然のことでありますけれども、ある程度外国人と日本人の場合に制度的な差異があるというのはどこの国でもそういうようなことになっておるんだと私は思っておるわけでございます。
○田代富士男君 そこで、外国人登録法に基づく指紋押捺につきましてこういうことを言っている人がおるんです。日本の法治体制に対して、外国人になめられている、法体制がいやなら自国に帰ればよい、また日本で生まれ、日本人として同じように育った人は日本に帰化すればよい、こういうことを言っておるお方がいらっしゃるわけなんですけれども、こういう考えは一部であると言われればそれまででございますけれども、こういう考え方があるのも事実でございます。 これに対してただいま法務大臣は、事実上は差があるけれども、これも必要じゃないかというような御答弁もされましたけれども、今のこのような一部の考え方につきましての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(嶋崎均君) ただいま田代委員から御質問のあったことにつきましては、一部報道等で我々もそれを承知をしておるわけでございまして、少なくとも公的な立場にある者がそういう発言をするというのはいささか適当ではないというふうに私たちは考えておるわけでございます。どういう全体的な話の中でその部分が語られたのか、そういうことを私十分承知はしておりませんけれども、少なくともこういう問題を論議をするときに世上一般どういうような議論が行われているかということは別としまして、少なくとも公務員である人がそういう発言をするというのは適当ではないというふうに思っている次第でございます。
○田代富士男君 これは公務員の人の発言でございます。あえて名前は伏せてありますけれども、大臣が今おっしゃったとおりじゃないかと私も思っております。 また、こういうことがあります。日本人として生まれまして韓国に帰化した御婦人が反発をしております。それは指紋押捺は在日韓国人に対するいわれなき差別で、日本人の血が流れる人間として恥ずかしいとこの指紋押捺拒否宣言をされております。このことにつきまして大臣はどういう御感想をお持ちなのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(嶋崎均君) 指紋押捺の制度というのは、御承知のように日本に在留する外国人にすべて適用されておるような制度でございまして、そういう意味では特定の場合についてこれをやっておるという事柄でないことは十二分に御承知のとおりでございます。したがいまして、そのことが韓国人に対して今御発言のありましたような趣旨であるというのは、私は少し事柄の判断、もう少し落ちついて判断をしていただきたいというような気持ちを持って見ておるわけでございます。 御承知のようにこの指紋押捺の制度というのは、外国人をどうして特定をするか、ぎりぎりの議論、御承知のように指紋という制度が万人それぞれ違っておる、不同である、そうして終生不変である、そんなことで同一人性を確認する最終の手段であるわけでございまして、そういうような考え方から外国人登録法の外国人の地位及び待遇を考えていく場合に、ぎりぎりの判断、そういう制度を取り入れておるというのが現実であるわけでございます。したがいまして、これが何か人道上の理由であるとかあるいは犯罪捜査のため必要であるとかというような論議が非常に多うございますけれども、我々が指紋の制度を考えておるのはそういう趣旨ではないわけでございます。 今度の改正におきましても、御承知のようによそでは十指指紋をやられる場合が非常に多いわけでございますが、日本の場合には今度は回転指紋から一指の平面指紋にする、いろんな意味で工夫を凝らして指紋押捺をしていただく人の感触というもの、心理的な負担というものを少しでも軽減をしたいというような意識を持って改正したゆえんも、そういうことを十分理解をしていただきたいというつもりで処理をしたわけでございまして、その点はひとつぜひ御了承願いたいと思っておる次第でございます。
○田代富士男君 今法務大臣として国内的な立場で御答弁をされたかと思うのでございますが、国際社会の中で日本が孤立していくつもりならばともかくも、国際社会の一員といたしまして協調と連帯の輪を広げまして、また、その発展に大きく肯献していくべき立場が我が国ではないかと思うのでございます。そういう立場から考えた場合、こういうようなことは許されなくなってきているのではないか、これは私個人としてそういう考えを持っているわけでございます。 そこで一時、外国人のこれは登録法のみに目を奪われての考えではないかと思うのでございますけれども、もちろん法治国家として法を遵守すべきことは言うまでもありませんけれども、そこで指紋押捺に関して在日外国人やその団体、あるいは海外における論調がどういうようになっているのか、やはりこれも収集していかなくてはならない立場ではないかと思いますし、そういうような国際社会の一員である日本の立場という上からも対応しなくちゃならないんですが、そういうところあたりを大臣として、今さきの答弁は国内向けの法務大臣としての立場でございますけれども、重ねて御質問を申し上げます。
○国務大臣(嶋崎均君) かねてあちらこちらでも御答弁申し上げておるわけでございますけれども、指紋制度を含む外国人の地位及び待遇の問題につきまして、その制度がどうあるべきかということにつきましては、今御指摘のように、国内的な事情だけではなしに国際的な事情というものも十分酌んで研究し、それに対応するような考え方をとっていかなきゃならぬということは私当然そうだと思うのでございます。しかし御承知のように、この外国人登録法の改正というのは昭和五十七年に改正をやりましてその際に、まあ御承知だと思うんですが、三年のやつを五年にするとか、あるいは十四歳のを十六歳に上げるとかいうふうに、ある程度の改善を進めてきたことは事実でありますし、またその審議も国会の中で十分に行われまして、そういう点、指紋問題も含めていろいろな議論があったことはもう十分承知をしておるわけでございます。そういう事態でありますから、この改正をどうするかというのは非常に慎重に考えなきゃならぬということでしたけれども、この問題についてのいろんな御議論もあるということを承知をしておりますし、かつまた、在日韓国人の地位及び待遇の問題については、昨年の九月の日韓共同声明の中で引き続き努力をするというようなこともありましたので、我々としては何か制度的にも、あるいは運用上の面でも検討していかなきゃならぬ、そういう気持ちを持って今日までまいっておるし、またそういうことの一環としてさきの改正を行ったわけでございます。 冒頭申し上げましたように、これは国内的な事情というのは、もう外国人の処遇問題というのは私はやっぱり日本の国の政策として事柄を考えていかなきゃならぬことは基本であるとは思いますが、先ほど申しましたような外国の事情も考えていかなきゃならぬ。そこで外国等の事情につきましても十分調査をいたしまして、非常に警察権が強くてそういう中で外国人の管理というのが非常に的確に行われているというようなところにつきましては、指紋制度は割合ルーズにというか、寛大に運用されているようなところもあります。しかし、自由圏の諸国の中でいろいろ調べてみましたところ、我々全部調べたわけじゃありませんけれども、二十数カ国の国はこの指紋制度をとっておるという現実があるわけでございます。そういう事実を踏まえ、またいろんな制度の改正をやったところでも、それらの問題についていろんな議論があり、またそれについての代替的な手段をいろんな準備をしておるというような事柄もあるわけでございます。そういう中でこの問題を考えてきまして、何か制度的な改正というものもできないかということで関係各省庁とも十分な検討を加えましたが、なかなか国会の中で処理をすることができない。そういうことになればせめて何か知恵が出ないかということで、先ほど申し上げたような改正を行ったというのが実情であるわけです。それとともに、この問題について非常に多くの議論があるもんですから私は、地方市区町村これらの方々にいろんな御協力を得ながら仕事をやっておる、七月からの大量の切りかえという時期を迎えておる、ぎりぎりそういう時期を迎えてこういう判断をさしていただいたというのは経過であるわけです。 話は少し脱線したかもしれませんけれども、今までの経過を申し上げ、そして我々も国際的な感覚というものを全く離れて議論をしておるというわけではないということ、しかも非常に残念なことには、この指紋問題というのは外国でずっと調べてみましても、およそそういう制度をやっていてもそのことが日本ほど議論をされている国はまたどこにもないというそういう特殊性を持っておるということで、この問題の処理というのはなかなか工夫の要る離しい問題だなということをつくづく感じておるのが実情でございます。
○田代富士男君 こうした動きの中で、御承知のとおりに初の控訴審といたしまして注目されておりました東京高裁におきます裁判が去る三月二十九日、異例の結審を見たわけでございますけれども、この概要を簡単でよろしいですから、御説明いただけませんでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) ただいま御指摘の事例は、米国人モリカワ・キャスリーン・クノルドという女性にかかわるものでございます。昭和五十七年九月九日に神奈川県大和市長に対して登録証明書の切りかえ交付申請を行った際、外国人登録法十四条一項に違反いたしまして、外国人登録原票、指紋原紙及び登録証明書への指紋押捺を拒否したものでございます。このため当該法の刑罰法規に該当するということで起訴され、横浜地裁の判決を経て、控訴後ただいま御指摘のように本年三月二十九日控訴を取り下げたために第一審の判決が確定したわけでございます。
○田代富士男君 このモリカワ被告でございますが、今御答弁がありましたような結果になったわけでございますが、そのときに罰金一万円につきましては良心を売らない方法で払いたいということで、五日間の刑に服する意思を表明したわけでございまして、もちろんこれには外国人登録法に基づく指紋押捺に対しまして激しい抗議の意思が込められたという、こういうようなことが報道されたわけでございます。そういうわけでこのモリカワさんやさきの韓国人御婦人のように、指紋押捺に対しまして拒否をしている在日外国人の人数はどれくらいになっているのか、私が掌握しているのでもだんだんふえてきているというような現状ではないかと思いますが、どういう状況になっているのかということをお答えいただきたい。それと押捺拒否者を告発しないとする自治体の数はどれくらいあるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(小林俊二君) 昨日現在指紋押捺を現に拒否して在留している者の数は二百六十名でございます。ただ、この点について一言つけ加えますと、二百六十名という数は、現在までに指紋押捺の義務が生じた人数に比べますと千人中三名ないし四名というのが現況でございます。 また、次のお尋ねでございます告発しないといった意向の表明でございますが、市長等がこの問題について慎重な態度を表明したという意味で新聞等に報道されました事例は、自治体の数にいたしまして十二と承知いたしております。ただ、こうした数は私ども報道機関を通じて承知しておるのみでございまして、直接私どもに報告があるわけではございませんので必ずしも的確ではないかと存じますが、私どもの承知している数はそういうことでございます。また、議会が不告発を決議したといった自治体は私どもの承知する限りございません。いずれも自治体の首長の発言が報道されたものでございます。
○田代富士男君 そこで、押捺拒否者を告発しないとすることについてちょっとお伺いしたいと思いますが、まず神奈川県の川崎市が指紋押捺拒否者を告発しないと決定をいたしましたが、五月八日、神奈川県警の外事課と川崎臨港署は川崎市川崎区池上町の李相鎬保育園主事を逮捕いたしまして、二日後の五月十日、処分保留のままに釈放いたしました、これは御承知のとおりだと思いますが。これは川崎市からの告発なしで行われたものでありますが、これに対しまして、これも御承知のとおりに、韓国の国内世論は次第に批判が高まっております。 また、去る五十七年、外国人登録法の一部改正案が審議された際、衆議院法務委員会に参考人として出席された大阪市生野区の区長山崎仙松さんは、自治体の立場を述べております。私も、大阪在住の一人といたしまして、この生野区の事情はよく知っております。韓国あるいは北朝鮮関係の人が多く住んでいるところで、例えば、韓国の方から日本国猪飼野というあて先だけでも手紙が届くところでございます。 そういうような土地柄の生野区の山崎区長がどう言っているかといえば、大阪市生野区の韓国人、朝鮮人の多くは、二世代、三世代にわたって生野区に住んでいる。社会保障制度も適用され、納税義務も負っている。また、地区の活動にも積極的に参加して、全員でもって生野区を形成している。こうした生活実態、歴史的経過を考えると、当区としては、外国人登録事務、特に指紋押捺制度は実情にそぐわない点もあるのではないかと。 この山崎生野区長の発言は、まさに外国人と直接接する立場にあります自治体の責任者のものであり、告発がいかに住民行政になじまないものであるかということを言外に物語っているのではないかと思うのでございますが、法務大臣としてどう受けとめられるのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(嶋崎均君) 先ほど来御説明申し上げましたように、外国人の地位及び待遇の問題については、国内的な事情のみならず国際的なこともよく判断をして行わなきゃならぬというふうに思っておるわけでございます。 特に我が国の場合は、御承知のように、戦後いろいろな問題がありましたけれども、昭和二十七年ですか、この問題が具体的に議論をされ、指紋押捺制度が導入されたのが三十年でございますが、その際には、私も昔のことはよくわかりませんが、資料等で見ますと、十一万人近いいろんな非違事実というか、指紋を押されないというような事柄があったというふうに聞いております。その後も、相当年々でもこういう問題を重ねてきたケースがあったわけでございます。最近だんだんそういう情勢が落ちついてまいってきておったわけでございますが、どうしたことか、この五十七年の改正をやった以後、この問題というのがだんだんに大きく取り上げられるようになり、それまではほとんど指紋不押捺の方というのはおいでにならなかったわけでございますが、ふえてきたというのは、私も非常にある意味では残念なことであるというふうに思っておる次第でございます。 そういうような事態の中で、この指紋押捺の仕事というのは、法務省の人間だけでとても整理ができる話ではありません。また、法務省の施設というのは、ごく特定の地域にしか散在をしておりませんから、それを実施していくのには、どうしても地方自治団体の御協力を得なきゃならぬということで、委任事務としてこれを処理してきているというのが現実であるわけでございます。それらの点につきましては、十分御理解をいただけるように従来努力をしてまいったわけでございますけれども、今申し上げましたように、五十八年ごろから、そういう形というのはだんだん積み重なって今日まで来ました。その中でもだんだん整理をしてまいったわけでございますけれども、どうも最近これらをめぐる論議が非常に多くなりまして、不押捺の方がふえておるというのは残念なことであると思います。 先ほどお話を申し上げましたように、千人中の九百九十六人であるか、あるいは五人であるか、あるいは七人であるかよくわかりませんが、それくらいの方は御協力をしてやってきていただいておるというのが現実であるわけでございます。したがいまして、地方自治団体の皆さん方もこの問題の経緯というものをよく踏まえていただき、また、特に先ほども申し上げましたけれども、五十七年に法改正をした、そういう現実というものをよく御理解を願って、やっぱりこの問題の処理を図っていただきたいと思います。 また、国内的にはやはりそういう法秩序、法制度ができておるわけでございます。指紋押捺に反対だということと、不押捺をやるということとは、私は次元の違う問題だというふうに思っておるわけでございまして、そういう意味では、いろんな立場の議論がありますけれども、ひとつぜひこの大量切りかえに御協力を得て、外国人の皆さん方にも積極的に指紋押捺にも応じていただきたいし、また、関係の市区町村の皆さん方にも御協力を賜りたいというふうに思っております。 また、例が出ました川崎の件でございますが、いろんな議論がありますが、拒否の理由というのは人道的な理由というのが第一でありまして、第二番目は、どうも法務省その他でこの制度の改正を考えておるようだから、だから指紋の押捺をしないというのが第二の理由になっておるわけでございます。そうなりますと、非常に我々の問題の扱いというのは難しゅうございまして、私は、今度の十四日に出ました制度の改正及び法運用ということについては、やはりこの時期を迎えるだけにきちんとこの制度で対応しなければいけない。そうしなければ、とても全国で三千三百市町村あり、また、区まで入れると非常にたくさんの数になるわけでございますから、そういう意味で、こういう通達でひとつ御協力を賜りたいということを訴えておるのが実情であるわけでございます。 そういうこともひとつよく御判断をしていただいて、我々の通達の趣旨というものも御理解願い、ぜひ御協力を賜りますことを心から念願をしておるというのが実態であります。 また、外国人の皆さん方も、こういう時期だけにひとつ我が国の諸制度というものをよく御理解いただいて、積極的に協力を賜りますことを心から願っておるというのが実情でございます。
○田代富士男君 私が申し上げました生野区長の発言でもわかりますとおりに、外国人登録業務はそれ自身いろいろな問題があるわけでございますし、また、法務大臣御自身が各自治体、市町村にお願いをして仕事をやってもらっているんだということでございます。これが超過負担の原因ともなっていることなどを考えていかなくてはならないのも一つじゃないかと思うんです。 特に、行政改革という問題も大きく打ち出されているわけでございますから、そういう観点からもこれは考えあわせますと、自治体にとって、どちらかというならば、ありがた迷惑な機関委任事務ではないかと思うんですけれども、この点、大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、五十七年の改正でそういう手当てをし、今回もある程度の改正をしたわけでございます。いろんな御議論はあると思いますが、我々十分であるかどうかよくわかりませんけれども、機関委任事務になっておりますことに対応する経費等についても、ある程度考えておるような実情であるわけでございます。 いずれにしましても、先ほど来申し上げましたように、こういう制度というのはある程度の歴史というものを持っており、そういう中で日本の中でも、外国人ということをぎりぎり判断するには、戸籍抄本もありませんでしょうし、現住所その他のことについてもいろいろ問題がある。そうなりますと、やっぱり日本人と同じように生活をしておられ、税金も納めておるというふうにおっしゃっておられますけれども、政治ベースの話については、少なくとも日本人でないということだけははっきりしておるわけでございます。そういう中でぎりぎりの話、やはり指紋制度というのは外国人の最後の特定をする手段としてこういう制度があるわけでございます。ぜひともそういうことを御理解願って、大阪の例を挙げられましたけれども、これらの市区町村の皆さん方にも御協力を賜りたいというような気持ちでおるわけでございます。
○田代富士男君 五月十四日の通達についてお尋ねをしたいと思いますけれども、まず最初に、五月十四日、法務省は「外国人登録事務の適正な運用について」という通達を出されましたけれども、今も法務大臣からいろいろここに至った経過等も話がありましたけれども、今の時期に出された理由は何であるのか。第二番目には、またこれについて、五月十七日、嶋崎法務大臣が記者会見をされ、その後かつ井嶋秘書課長からも補足説明がされたようでございますけれども、その経緯並びに内容についてもお答えいただきたいと思います。それと同時に、重ねて三番目としてお尋ねをいたしますけれども、通達によりますと、この指紋押捺方式を従来の回転式から平面式に変更して黒インクを使用しなくなったので、在日外国人の心理的負担を軽減することができると、法務大臣も今御答弁の中で何回もこういうことを申されましたけれども、押捺そのものを廃止しない限り心理的負担は同じであると思うわけなんです。これはもう理由のいかんにかかわらず崩せないと思うんです。なぜ心理的負担の軽減というのか、そこらあたりの理由も私なりに納得できません。これは三つ重ねての質問ですが、通達に関係した質問でございますから、あわせてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(嶋崎均君) ただいまの田代委員からの御質問でございますが、御承知のようにこの七月の一日から一番大量切りかえの山場が来るというような実態になっているわけでございます。もう法律的な制度というのはこの国会の中で非常に困難だということになって、それじゃぎりぎり議論をされたらどういうことになるかということで、実は私ら自身も相当苦心惨たんをしてこの問題の整理に努力をしてまいったというのが実態であるわけです。通達の末端への浸透というようなことを考え、かつまたこの制度というものを受けとっていただく時間的な余裕ということを考えてみますと、そういう時期にもう判断をするというのはぎりぎりの時期だというようなつもりで回転指紋を平面指紋にすると。しかも、御承知だと思うんですが、こういう特殊の紙を使いまして、ことには本当に軽くさわっていただいてちょっと押していただくというようなことで、これは全世界で指紋制度にこういう手当を講じたのは我が国が初めてだと私は思っておりますけれども、そういう制度改正をやり、かつまたそういうことを前提にしまして、先ほど来何回も申し上げているように、三千以上ある市町村の皆さん方にこの重要な時期というものを協力をして処理をしていただきたいというようなことで、この時期に通達を出したというのが現実であるわけでございます。 それから二番目に、何というんですか、新聞の問題でございますけれども、実はあの日も私非常に委員会その他で遅くなったので、私自身はその日ストレートに話をしたわけじゃありませんけれども、その後ある新聞社の皆さん方が来られまして説明を申し上げたというのが実態であるわけでございまして、そういうときに、どうも翌朝の新聞を見まして、我々も相当苦心をしてやったわけでございますから、ある程度の評価がしていただけるかなと思いましたら、これはもう全く新聞の紙面だけでは評価どころか反対の御意見であるというふうに受けとられました。非常に残念なことであると思いまして、たまたまインタビューに来られた新聞記者の皆さん方に私がお会いをして、この制度の趣旨ということを御説明申し上げたというのが実態であるわけでございます。秘書課長がどういうような話をされたかというのは余り詳細聞いておりませんけれども、そんなに私と違った意見を申しておるというふうには思っておりません。 それからもう一つ、最後の問題でありますけれども、この指紋押捺を全廃しろとかあるいは携帯を全くやめるとかこれについての罰則を全部やめるとかいうのは、これはもう基本的にこの制度を、我が国の外国人登録制度というものを運用しているその根っこの基本的な制度を全部やめろということとある意味で通ずる話だろうというふうに思っておるわけでございまして、そういうこと、実は我々のところにいろんな人から話がある場合に、そういうことを前提にして事柄を考えろという話になりますと、これは容易なことじゃない、特に五十七年の改正をやった時分の論議というものを踏まえてみましても、それはもう朝令暮改のそしりを私は免れない論議であるというふうに判断をしておるわけでございます。あるいは人間生まじめ過ぎて少し深刻に物を考え過ぎているのかもしれませんけれども、私自身はそうだと思っておるわけでございます。そういうことの中でぎりぎり判断するとどういうことかということで判断をしたわけでございまして、そういう世界各国でもああいう制度というのはどこ一つとっていないそういう改正もやった。ともかく犯罪その他に連想されるということも嫌なものでございますから、一指のしかも平面指紋でやっているわけです。これはもう十指の回転指紋をやっているところとは随分様子が違うわけでございまして、そういうこともひとつよく御理解を願って、委員の皆さん方はもちろんのことでございますけれども、この制度を支えていただく市町村の皆さん方、さらには外国人の皆さん方にもひとつぜひ御協力を賜りたいと思っておる次第でございます。
○田代富士男君 じゃ、重ねて通達の内容についてお尋ねをいたしますけれども、通達を読ませていただきましたその三項の三ですけれども、三においては、「指紋による同一人性の確認ができない場合には、写真の照合、原票の記載内容の点検及びその他の確認手段によって同一人性の確認ができる」場合のことについて記述しておるわけでございまして、これは指紋によらずとも確認することができることを認めているわけであります。これは明確になっている。一方五項の三においては、「押なつきれた指紋によっては同一人性を確認し難いため」云々とありますけれども、仮に同一人であっても一項の一にもあるように疑問を生ずることがあり、専門的鑑識によって確認するとしているわけでございます。こういうことを考えてみますと、これは通達の中に明記してあるわけでございます。そうしますと、指紋によらずとも確認することができるとしながら、肉眼でなく専門的鑑識によらなければ指紋といえども確認できないことがあるということもみずから物語っておるわけですが、指紋にこだわる法務省としては、この矛盾をどのように説明されるのか、お答えいただきたいと思うんです。
○国務大臣(嶋崎均君) 事柄が事務的な問題にも重なってきますから、後から事務当局に御説明をさせますけれども、実はこの指紋押捺の問題というのはどういう時期に事故が発生する、その発生時期はどうだというような、そういうごく技術的な問題は別にいたしまして、やはりこういう制度をとっておるから、本当はその指紋押捺をされないということですぐ問題が顕在化する性格のものであるというふうに私は思うのでございます。しかし、過去特にこの五十七年の法改正以降いろいろ出てきておる問題でございますが、やっぱり市町村ではできるだけ説得にこれ努めて、そして事柄を処理をするというような考え方をとっていただいておるわけでございます。やっぱりそういうことが現実できました以上、ある程度ぜひ御協力をして指紋押捺をしていただきたいということを再三にお願いすると、これは三回少なくとも建前としてはお願いをするということになる。そうした場合に、今の何というか、登録票を御持参になるというようなことを判断をする場合に、これはぎりぎりの判断、その指紋を押捺をされないと決定的に御本人であるかどうかということのその同一性の判断というのは不可能なわけでございます。そういうことを積み重ねてきてもどうにも御協力を願われないと、その中でいろんな問題が出てくるでしょう。そこで、最後の手段として、少し厄介かもしれませんけれども、そういう手続を設けまして、そしてもうこれは先ほどお話し申し上げましたように、千人中の四人あるいはその前後の方々でありますけれども、今までの実績で見ますと、そういうぎりぎりの人についてやはり何か最後の結論を出すということを工夫しなきゃいかぬじゃないか。そこでお二人の人にそういう工夫をやってひとつ何とかそういう努力というものを積み重ねてみたいというようなことでございます。ある意味で意識的にやられる方もあるし、そうでない方ももちろんあるのかもしれませんけれども、そういうことでございますし、そういうぎりぎりの判断としてそういうことを求めておるというのが実態であろうというふうに思っておる次第でございます。
○政府委員(小林俊二君) お尋ねの第一点につきましては、先生御指摘のとおり信頼するに足る同一市区町村に居住する保証人二名の出頭を求めて同一人物であるという陳述を得て行うということにいたしたわけでございます。またその際に、保証人となる者が外国人である場合には正規の登録を行っておるということを証明する文書の提出を求めますし、日本人である場合には住民票の写しの提出を求めるということにしたわけでございます。これは指紋の押捺が行われないということから生ずる不確実性を補完する最終的な手段として私どもが指示したものでございまして、この指紋制度を一切撤廃してすべての外国人の登録に際してこういう手続をとることは、誠に煩瑣な手続その他を要するわけでございまして、言うべくして到底不可能なことでございます。拒否者という限られた事例であるからこそこういう手続を実際に考え得たということでございます。 第二点の指紋の照合につきましては、二つの指紋が同じ方法によって鮮明に押捺さえされておれば、これを肉眼で照合することは別段の訓練を経た者でなくても容易でございます。ただ、場合によってはその押捺が鮮明に行われてないという場合もございます。そうした場合に素人が見たのでは容易に異同を判断できないというケースも起こるわけでございまして、こうしたケースに限って法務省本省の方に照会してくるようにという指示を行ったわけでございます。法務本省には指紋の鑑識について専門的な訓練を経た警備官もおりますので、そうした場合には専門的な鑑識によって判断を下すということにしたわけでございます。
○田代富士男君 法務省といたしましては確認未了と記載した登録済証明書があれば生活に支障が出ることはないとしていらっしゃいますけれども、法務省の説明によりますと、この登録済証明書というものは指紋押捺を拒否した時点までの証明で、交付申請時点の本人証明とは違うので有効か無効か別問題とされているわけなんです。例えて言いますと、厚生省は国保や生活保護については旧登録証でも大丈夫だ、OKだ、こうなっておりますけれども、入学手続についても東大などはOKですけれども、運転免許証を扱う警察では慎重に検討していくというようなことが明らかにされておりまして、冒頭法務大臣が幾分の格差はあると御答弁をされたけれども、こういうことが明らかになりまして、これは生活の中におきまして混乱はないと法務大臣も言っていらっしゃるけれども、現実にこういうことが起きているわけなんですけれども、こういう責任をどのようにお考えであるのかお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(嶋崎均君) 先ほど来再々御説明申し上げているように、ともかく千人中の九百九十六人の方は指紋押捺をしていただいておるわけでございまして、それらの方については少なくとも今度の制度改正というのは悪い方に解釈される余地というのは私は全くない、いい方の改善だろうと。それは全廃とおっしゃるとそうじゃないじゃないかとおっしゃることはあると思いますが、そういうことだと思います。 それから拒否をされた人も、これはある程度意識を持っておやりになっておるというような方々であるとするならば、ある意味で選択の問題だと思います。思いますけれども、そういうきれいごとで事柄が済む性格のものではないでしょう、したがいまして決定的な判定はできませんから、そのためには不押捺という処理をいたします。 しかしこの通達を出すのに、先ほど来何回も申し上げておりますように、あるいはこの五月の十四日というのは私はぎりぎりの線だというようなことを判断したわけでございます。そうした場合に想定をされるあらゆるケースで、しかもそれの具体的な場合がいろいろ変わっておるときに、関係各省に全部それを整理をして通達を出すということは全く不可能なことでありまして、そこで、そういうことでもって処理をいたしますと、そういう処理をした。何というか、三年間やっておいでになるのがいつ切れるのか人によっては違いますけれども、それから後の御判断で不押捺の方には不押捺であるということを明記したものでお渡しする。また登録証明書その他の問題につきましてもそういう処理はいたしますと、しかしそのことが今問題になっているいろんな例で、何か新聞の紙面によると非常に強烈なことでぎりぎり首を絞めるようなことをやったというようなことでは私はないと思いましょうと。法務省の事例で考えてみましても、例えば不動産の売買するときの登録をどうするかというような場合でも、これはもう物についての動きというのが中心でございますから、そういう判断というのがある程度私の頭の中では消化をしている部面もあります。しかし、全体的にこれを処理するということはなかなか困難でございましょうから、そういうことできちっとしたお話をされるというんなら、そういう時間的なこともありましてああいう通達を出したというのが実態であるわけでございます。 したがいまして、今それで生活が非常にかかってもう何ともならぬというような事態と判断をするのかどうか、人それぞれの御判断の仕方はあると思いますけれども、私はさようには考えていない、新聞記者の皆さん方にもそういうぐあいにお話し申し上げたというのが実態であるわけです。
○田代富士男君 いろいろ私角度を変えてお尋ねをしましても、大臣の姿勢というものは一線を画してそれからなかなか進んでいらっしゃらない点があるわけなんです。 外務省にお尋ねをいたしますが、去る五月の十日、衆議院の外務委員会におきまして安倍外務大臣は、在日外国人の指紋押捺問題につきまして、一つは法律改正、政令改正を含めて検討している、二つ目に、ことしの秋には日韓定期閣僚会議が予定されており、それまでに一つの方向を打ち出さなければならない、こういう意味の答弁をされているわけでございます。 また、五月の十五日の閣議におきましても、制度面に及ぶ改正の必要性を強調されておるようでありますけれども、外務省の考えを承りたいと思いますし、また五月の二十三、二十四の両日にわたる日韓両国政府の実務者協議においては指紋押捺問題については平行線であった、このように報道されておりますけれども、そのとおりであったのかどうか、これもお答えいただきたいと思います。いつか合意を見なければならないと思いますけれども、外務省の立場としてその見通しはどうであるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(有馬龍夫君) まず二十三日に行われました我が方の、外務省のアジア局長と先方の外務部のアジア局長との非公式の意見交換において、この問題がどのように語り合われたかということをお話しいたしたいと思います。 韓国側からは、先般の日本政府の指紋押捺の運用改善の措置につきましては率直に申して十分なものではなかったと、失望しておりますと、日本側におかれてこの制度を早急にやめていただきたいというのが要望なのであるということを申したわけでございます。 これに対しまして日本側からは、この今回の運用の改善の措置につきまして、実は我が方には外国人登録法が昭和五十七年に改正されたばかりという事情はあるのだけれども、昨年の日韓共同声明の趣旨あるいは在日韓国人の人たちの要望を念頭に置いて、制度上、運用上の問題について関係省庁で鋭意検討をして、そしてその結果として得られたものであるのだということ、それからこの現行の法制というものは遵守される必要があるということ、いずれにしても在日韓国人の方々の待遇問題一般につきましてはより長期的、そして自主的な立場から内外諸般の情勢を踏まえて研究、検討をされていくべきものであると考えているということ等を伝えたわけでございまして、これが私どもの外務省の今の考え方でございます。
○田代富士男君 今度は法務省側にお尋ねをいたしますが、今も御質問申し上げました通達の前文において、ただいまのところ政府が今国会において外人の登録法の改正案の提出をするというような方針はない、そういう意味を述べていらっしゃいますけれども、そのように言いながら、政府においては、指紋押捺制度について各方面から表明されている種々の意見、また昨年の九月の日韓共同声明の趣旨等を踏まえて、制度上、運用上の各般の問題について関係省庁間の協議を通じて検討を重ねているとしていることからも明らかなように、この制度改正については全く否定しているとは私は思われないと思います。そういうことから、ただいまは、この時期には何らかの示唆をも与えたくないということではないかと思いますけれども、外務省の立場、法務省の立場としては言いにくい点があるかと思いますけれども、ここらあたり法務大臣としても明確にお答えできない面もあるかと思いますが、ここらあたりをはっきりしてもらわないことには納得できないわけなんです。 そこで、そのことをお聞きすると同時に、お聞きしたいことは、本年度の登録更新の予定者はどのくらいいるのか。今さっきも御答弁いただいていたんですけれども、総数としてどのくらいか、また大量の拒否者を出すおそれがある、今二百数十名ということでありますけれども、私がつかんでいるのではもっと多いわけなんですけれども、違反者に対しまして告発、検挙さえすれば法秩序が守られるという観点からだけでは何の解決にもならないと私はこのように思います。 そういう意味で、今日ただいまこの改正に着手するというくらいの決意でなければ、私冒頭申し上げましたとおりに、国際社会の一員として今後伸びていくか、孤児になるかということも言われるのではないかと思いますけれども、ここらあたりを含めまして、最後に大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(嶋崎均君) ただいまの田代委員の御質問でございますが、実はあの通達を書くにつきましていろんな議論があったわけでございますが、実は本年の二日の六日に矢野書記長の御質問に対して私が当初申し上げたような御答弁をしておるわけでございまして、その文章を実はその前段のところをそっくり引いているというような感じになっていると思うのでございます。そういう中で制度的な改正の問題というのもいろいろ議論をしてきましたけれども、省庁間の協調も得られないし、制度的に直すということは現実難しい。そこで、今度大量切りかえを迎える、何とかこのために工夫をしなきゃならぬ、ぎりぎりの話、先ほど来申し上げましたように、今月の十四日の決定に及んだというのが実態であると思うのでございます。 したがいまして、この問題につきましては大量切りかえ時期を迎え、しかも市町村の皆さん方にもある程度同じような物の考え方で整理をしないと、法務省はところによって違う判断をしているんじゃないかなんというような質問を地方自治団体の方からも問い合わせを受けておるというようなことでございますので、そういう意味でぎりぎりの時期を選んで処理をしたというのが実情であるわけでございます。 しかも、一番最初のときに御答弁申し上げましたように、どうもこの制度を変えるということが指紋をやらない理屈だというようなことを地方自治団体の皆さん方におっしゃられてはこれはもうたまらぬ話だと、したがいまして私たちはこの制度の改正はもうやりません、少なくとも今度の国会はやりません、今度の通達でこの時期は乗り切ります、したがってただいまのところこれについて法律的な改変その他ということは一切考えておりませんということを明確にしまして、その通達を出したというのが実情であるわけでございます。 また、実はこの制度を取り扱うについて、先ほど御指摘ありましたけれども、十四日の閣議におきまして関係する省庁の全くの賛同を得まして、一応この制度に踏み切ったわけでございます。またそういう背景につきましても少なくとも関係の皆さん方は御了解をしていただいておるというふうに我々は思っておるわけでございまして、そういう意味でただいま何か、何というか制度的な改正あるいはこの上に何らかの運用上にプラスの何か改正をやるのかと聞かれますと、それはやる気持ちはありません、またそういうことを前提にひとつぜひ運用していただきたいというのが我々の気持ちでございます。
○田代富士男君 次の質問に移ります。 まず最初に登記特別会計の問題についてお尋ねをしたいと思います。 一般会計から今回区分されまして特別会計を設けるようになっておりますけれども、相当の理由がなければならないと思います。このことは臨調の最終答申におきましても、特会の新設については極力抑制をするという方針が出されておりますけれども、財政法十三条の運用についての政府の基本的態度をお伺いしたいと思います。簡単で結構でございますから、まず最初に。
○説明員(吉本修二君) 財政法十三条は第一項におきまして「国の会計を分って一般会計及び特別会計とする。」ということで、それから第二項におきまして、条文は省略いたしますが、三つの場合に限って特別会計を認めるというような構成になっております。現在の財政法の考え方は特別会計を設置することあるべし、特別会計と一般会計が併存するという考え方でできておるわけでございます。これは現在のように国の活動が広範、複雑化してまいりますと、単一の会計で各般の会計を一括処理いたしますと、かえって国の各般の事業の成果計算や資金の運用実績等が不明確となりまして適切な管理ができないということから設けられているというふうに考えております。 ただ、御指摘ございましたように、臨調において「特別会計の設置については、真に必要なものは認めつつも、全体として抑制的に考えていくべきである。」という御指摘も受けているところでございまして、こういう趣旨を踏まえまして、特別会計の設置はみだりに行うべきではない、また既存の特別会計についてもその必要性について絶えず検討を行って見直しを行っていく必要がある、そういうふうに考えて行っているわけであります。 特別会計の設置が財政法上の要件に該当しまして、かつその経理を一般会計と区分して行うことが特定の行政目的を達成するために必要があるかどうかという点につきまして、したがって従来及び現在、今後ともその必要性を厳しく厳格にしんしゃくしてまいるということを基本的態度としております。
○田代富士男君 臨調答申の尊重は御承知のとおりに中曽根内閣の基本方針であるわけでございますけれども、その最終答申におきまして「特別会計の新設については、財政の膨張抑制等の見地から極力抑制する。」、ただいまも申し上げたとおりでございますが、このように言ってあるわけでございます。これはスクラップ・アンド・ビルドを示唆したものでなくして、スクラップ・アンド・スクラップの方向を示している、私はこのように理解をしておりますけれども、しかし最近の動きを見てみたときに、竹下大蔵大臣が去る三月二十八日参議院の大蔵委員会で比喩を用いて説明していらっしゃるのに、乳母車に例えられるあへん特会を一つつぶして機関車に例えられる登記特会を創設し、スクラップ・アンド・ビルドでやるという趣旨の答弁をされておりますけれども、これはどうみてもノースクラップ・アンド・ビルドとしか言いようがありません。 そこで、大蔵省に伺いたいんですけれども、大蔵省は当初、今申し上げたように臨調の最終答申に反するそういう立場から、また仮にスクラップ・アンド・ビルドにしてもスクラップすべき特会が法務省にない、そういう立場から事実今回スクラップになったのは厚生省のあへん特会でありますけれども、また多額のコンピューターのための経費を要するなど、そういうものを理由に挙げられまして、登記特会創設に反対していたと仄聞してたんですが、大蔵省がこれらの理由があったにもかかわらず態度を変更された理由は何であるのか、これも与えられた時間が余りありませんものですから簡単に御説明いただきたいと思います。
○説明員(吉本修二君) 簡単にお答え申し上げます。 まず最初の大蔵大臣の答弁の関係のお話でございますが、まさに臨調の答申の指摘そのものが、新設はもちろん抑制的に考えなさい、ただそれは真に必要なものは認めつつも抑制的にできるだけやっていきなさいということと、既存の特別会計についても大いに見直して、規模がちっちゃいとかいろいろの問題があるものについては廃止を考えて見直してやってくれと、こういうのがポイントでございまして、そういう意味でまさに乳母車みたいなものは廃止していくという趣旨でございまして、必要があるものはできるのはそれは大きなものでございますから、そういうことでやるのもこれは当然臨調の精神に沿っておると、こういうふうに考えておる次第でございます。 それから法務省との折衝の問題でございますけれども、私どもは特別会計の運用に関する基本的な態度、先ほど申し上げましたそういう態度に基づきまして新設という問題について極めて厳密にその必要性について十分検証する必要があるということで濃密な議論を法務省と行ったということでございます。それと同時に、臨調答申のそういう全体的な趣旨をも勘案しながらやはり見直すべきものを見直して、そちらとして本当に廃止できるのかどうかという問題もあったということはございますが、最終的に政府全体の結論といたしましてやはり登記特別会計を新設しなければならない、その必要性があると、そういうことを十分認識して現在特別会計の新設をお願いしておると、こういうことでございます。
○田代富士男君 今、御答弁の一番最初の竹下大蔵大臣の比喩の問題に対して正当づけられましたけれども、それに対しては異論があります。しかし、今ここで言っておりましたら時間がありませんから、ただ異論があるということを申し述べておきます。 今回創設される登記特会は、財政法第十三条第二項に規定してあります特会の三つの場合のうちに、今御説明になった中では区分経理特別会計に当たるんではないかと思うわけでございますが、これは換言いたしますと受益者負担の原則で運営するということではないかと、このように理解をしておるわけでございますけれども、今回の登記特会においてはいわゆる乙号事件については手数料で賄われるけれども、いわゆる甲号については一般会計からの受け入れが行われることになっておりますが、受益者負担の原則というのならば、この甲号と乙号御承知のとおりに税と手数料を区分いたしまして、税制上の措置を講じた上で登記特会の創設というものを考えるべきではなかったかと思いますけれども、この点はどうでございましょうか。
○政府委員(枇杷田泰助君) この登記特別会計につきましては、登記全体の事務処理経費を特別会計で賄おうとするものでございます。したがいまして、その財源をどうするかということについては、ただいまお話しのようにいわゆる甲号事件と言われておるものにつきましても何か自主財源があるということの方が、形としてはうまくいくという面もあろうかとは思いますけれども、乙号の事件につきましてはその実費に見合うものを手数料としていただくという制度ができておりますけれども、いわゆる甲号事件の分野につきましてはこれはそういう手数料を納めていただくということになっておりません。これに見合うものは何と申しましょうか、甲号事件の申請の際に国民の方が納付していただくものは、これは登録免許税でございます。そういう税金をこの特別会計の自主財源とすることについてはかなり問題があるわけでございます。また、この登録免許税というのは申し上げるまでもありませんけれども、登記をするというその背景にある物件変動その他の行為の中に担税能力があるということから課せられる税金でございまして、決して登記制度充実のための目的税という関係ではございません。そういう面で、この特別会計の財源の中に登録免許税というものを考えることは非常に難しいというふうなことから、一部の乙号事件については手数料というものを自主財源にすると同時に、その足らない部分、すなわち甲号事件に当たる部分については一般会計の繰り入れによって賄うというほかはないという結論になっているものでございます。
○田代富士男君 時間がありませんからまとめて御質問を申し上げますけれども、大蔵省として当初反対でありましたけれども、この登記特会創設のメリットにつきまして今日までるる御説明になっております。簡単に言えば四つじゃないかと思います。一つは受益と負担の明確化、二つ目には剰余金による手数料の標準化、三つ目には長期借入金による施設の整備、四つ目には弾力条項の設置による事務費等への充足ということではないかと思うわけでございます。 これについてまとめて質問いたしますと、まず一つのメリットとして受益と負担の関係を明確化するということが挙げられておりますけれども、この登記特会が区分経理特別会計であるというならば、今も申し上げましたとおりに手数料ですべてを賄うことが大原則であると考えますけれども、実際には御承知のとおりに五五%を超す一般会計からの受け入れが予定されておりますし、しかも受入額は歳出予算の幅によって決まることになっております。そうしますと、受益と負担の関係を一層不明確にしているわけでありまして、これに対してはどういうお考えであるか、これが第一点です。 それとあわせて歳出予算については人件費、事務費、施設費、建設費などについては、これを甲号事件相当部分と乙号事件相当部分に峻別することが難しいのであって、したがって一般会計からの受け入れは無原則になるおそれがあるのではないかと私は思うのでございます。 まず第一番にあわせてお尋ねしますし、二つ目のメリットといたしまして剰余金の繰り入れによりまして手数料の標準化が図られるということでございますが、つまりこのことは初年度において高い料金設定をいたしまして、その後の数年間改定しないで済ませるということを示しているのであって、登記所利用者にとって必ずしもメリットにはならない、料金についてもきめ細かな配慮をさるべきではなかろうか、この四つのメリットに対する質問でございますし、最後にこれは大臣にこれらのものを含めまして、今後コンピューターの導入が始まるとしましても、特会創設の必要が本当にあるのだろうかという気がしないでもありません。これは私の考えでございますけれども、一般会計のまま厳しい財政当局の管理下にあることの方が国民の利益につながるのではないかと、これも私の考えでございますが、法務大臣といたしまして、登記特会が財政膨張の因とならないよう臨調答申も踏まえた決意を伺いたいし、あわせてかつて大蔵省に席を置かれたことのある大臣といたしまして、こういう特別会計一般の運営のあり方についての所見を伺いたいと思います。時間がありませんから、まとめて質問いたしましたが、お願いいたします。
○政府委員(枇杷田泰助君) まず、最初の点でございますけれども、登記特別会計を創設すべきだということになりました理由が、登記制度が非常に現在混乱をいたしております。いろんな物的人的な条件が悪いためにパンク寸前というふうな状態になっておりますものを、非常に特別な手当てをしてそして諸条件を改善する必要があるというところから出てきたわけでございます。そのために、今コンピューターの導入を中心に据えまして、施設の改善であるとか、あるいはその他の能率器具の大幅な導入であるとかという、もろもろの施策を講ずるために何か財政的な特別な手当てをする必要があるだろう。しかしながら、それらのことは受益者負担によってやっていこうということでございます。したがいまして、そういう場合に手数料を納めていただくということを中心として、受益者負担の関係でその充実を図るのだということを打ち出すのが適当だということになりますと、その手数料収入というものが経理区分によって登記全体の改善に役立つという形にするということが国民の側から見ても納得のいくところではないかということから、先ほど来の一般会計からの繰り入れ問題というものもあることはございますけれども、そのような区分経理でやるということが基本的に大事だということからこのような形になっておるわけでございます。そして、なおそのような形でございますけれども、実際上の登記関係の事務というのは、先ほど甲号事件、乙号事件ということで御質問ございましたけれども、いろいろな支出の面につきましては、はっきりとした区別が支出の面ではできがたいという面もございます。例えば一人庁とか二人庁とかという小規模庁につきましては実際上分けがたいというものがございますので、全体として登記全体の特別会計を創設するという面があるわけでございますのです。ただ、無原則に一般会計の方が縮小されていくのではないかというふうな点につきましては、これは手数料の関係が実費について、謄抄本の発給等の対価としていただくということになっております。したがいまして、おのずから予算を組む場合の積算といたしましては、その乙号事件に見合う分についてはこれはその手数料の金額がそこに投入されるということは当然のことでございます。そういうことでございますので、決して無原則に一般会計の繰入額が変動するというふうなことにはならないというふうに考えております。 それから、第二点の手数料の額の平準化の問題でございますけれども、特別会計になりますと剰余金を繰り越しまして、それによって歳入の関係について若干の弾力的な運用ができるというメリットはございます。そういう面で、特別会計のメリットの一つの点として掲げられておりますけれども、手数料というのは先ほど来申し上げておりますように、その実費分をいただくということでございますから、ですからある単年度において非常に値上げをして、それを意図的にストックをしてそして平準化をするというふうな性質のものではもともとないと思います。三年ぐらいを大体めどにいたしまして、実費の金額をはじき出すというふうなことをいたしますけれども、そんなに当初の年度に多額の手数料歳入を上げるというふうなことはもともと許されないものでございます。先ほど来申しましております平準化は、若干の弾力的な運用ができて、それによって手数料の平準化を図るという、そういうメリットもあるという程度のことだというふうにお受け取りをいただいてもいい事柄ではないかと思っております。
○国務大臣(嶋崎均君) 田代委員御指摘の問題、私たちも登記の特別会計を設けるということにつきましては、非常にやっぱり深刻な問題だというふうに思っております。特に法務省につきましてはそういう特別会計を持っておるわけじゃない、そういう中で整理をするということは不可能なわけです。行政改革というのは、いろんな議論がありますけれども、縦割り行政で残念なことには仕事がやられるということが非常に多い中で、大蔵省あるいは関係の省庁の皆さん方の大変な御協力をいただいて、少なくともよその省庁の特会を整理をして認めていただいたという、そのことだけでも私は大変ありがたいことだというふうに思っております。 この特会を設けた趣旨というのは、今民事局長からもお話がありましたように、もう何ともならない状態になっておるわけでございます。大体一年に千六百五十万件ずつ乙号事件ふえておるというのが現実でございます。ちょうど愛知県一県の分だけ年々増加をしておる。それに対して何かやっぱり法務省の方でもいろいろ知恵を出せというようなことで、皆さん方にも御迷惑をかけておりますけれども、支所、出張所の整理その他苦心惨たんなことをやりながら対応し、そして職場の環境というものをどうしてうまく整備をして切り抜けるかということに惨たんたる苦心をしているというのが現実だろうと思うんです。単に、例を申し上げますと、乙号一件を請求されるのに、謄本いただくと平均四時間近い時間がかかっておる。これではもう本当に国民のサービスも何もないじゃないかと。それを今の実験でやってみますと、二分半か三分ぐらいで謄本が出てくるというような、ちょうどワードプロセッサーが世に普及しまして、ちょうど今乗りどき、ちょうどそういう技術革新が進んでおるときに際会をいたしましたものですから、ぜひこれを実現をすることによって長期的にこの問題を解決さしていただきたいということで、非常に我々なりにも各省に御協力をいただき、またそういう御判断の中で認めていただいたわけです。したがいまして、そういう何というか、登記を請求される皆さん方のお立場というものを十分踏まえて、その迅速化それから的確化を図っていくということはもちろんでございますけれども、その運用に当たりましては、そういう温かい制度をつくっていただいたわけですから、その制度の趣旨というものを間違えないようにしっかり運用をしていかなきゃならぬというふうに思っておるわけでございます。これから十五年ぐらい全体をやるとかかるような大計画でございまして、私自身がこれを収拾をするわけじゃありませんけれども、法務省の中でもそういう気持ちというものを十分踏まえて、しかも今御説明申し上げましたように、いろんな負担の問題、またこれを特会として整理をしていくだけのいろんな技術的な問題ということについて間違いのないように処理をするように、極力の努力というものを図っていかなきゃならぬということを示達しているというのが現実でございます。
○内藤功君 私の方から最初に、いわゆるロッキード事件の控訴趣意書に関する質問をさしていただきたいと思います。 最近の報道によりますと、いわゆるロッキード事件の丸紅ルート、田中元総理の側の控訴趣意書が五月の三十一日の趣意書提出期限までに提出をされると、こういうふうに報道されております。通常これに対する検察側の答弁書が出されるものと思われますが、これはいつごろ出されるという見通しなのか。まずこの点。
○政府委員(筧榮一君) 御指摘の丸紅ルート、田中、榎本両被告人の控訴趣意書でございますが、本日午後裁判所に提出されたという報告を受けております。まだ検察庁の方もこれから内容を検討するところのようでございます。したがいまして、これにつきまして答弁書を検察側としても当然提出することになろうかと思いますが、その時期につきましては、新聞等によりますれば相当分厚な控訴趣意書だとも言われておりますし、内容をつぶさに検討いたしましてそれに対する答弁書でございますので、検察側としては審理促進のためにできるだけ早く出すという基本姿勢ではございますが、その作成、提出に至るのがいつごろであるかという時期については、ちょっと現段階では申し上げかねる次第でございます。
○内藤功君 例えば夏休みを返上して秋にお出しになるとかあるいは年内とか、今からそういうせっつくような意味で聞くわけじゃないんですが、どんなお見通しでございましょうか、重ねてお伺いいたします。
○政府委員(筧榮一君) 現段階で申し上げられますことは、検察官としては適正かつ迅速な裁判に可能な限り協力するという見地から、今内藤委員御指摘のように場合によっては夏休みも返上するというような努力も重ねまして、できるだけ早期に出したいということを申し上げたいと思います。
○内藤功君 同じく報道によりますと、控訴趣意書の中で、いわゆる五億円の趣旨はトライスター関係ではなくP3C対潜哨戒機などの軍用機の売り込み活動の資金として引き渡されたと、かように考えれば大部分説明ができると、矛盾、疑問は大部分説明できると、こういう部分が記載されているようでございます。まだ原本が手元にないわけでありますが、検察側としてはこのような趣意書が出ればそれが一つの控訴審の争点になるわけでございますが、これを受けてP3C対潜哨戒機との関連についてはどのように対応をされるか、新たな対応をされるのかどうか、あるいはまた一審段階と同じく全くP3Cについてはこの事案とは関係がないという一貫した立場を貫きになるのか、そこらあたりの基本的なお考えはいかがでございますか。
○政府委員(筧榮一君) 何分まだ内容を私どももあるいは検察官の方も承知しておりませんので、新聞等によれば確かにそのような内容が含まれておるという報道があることは承知いたしておりますが、いずれにいたしましても控訴趣意書の内容をつぶさに検討いたしまして、そのP3Cに関する被告側の論点が犯罪の成否に関係を有するという論点でございますれば、それに即応して適切な答弁を検察官でこれから検討していくということに相なろうかと思います。
○内藤功君 国会の委員会におきましてもP3Cとの関連が論議されたことでもあります。今回の弁護団側の控訴趣意はまた別の観点でありましょうけれども、大きな関心を我々持っているということを申しまして、まだ趣意書の原本も手に入っていないようでありますから、これはまた別の機会に追及をしたい、質問をしたいと思います。 ところで、本日は裁判官のいわゆる令状実務の問題、特に捜索差し押さえ令状の発付並びに執行の問題につきまして若干お尋ねをしたいと思うんです。 まず私の聞くところ、現在裁判所の中で令状発行事務の特別な専門の係をお持ちのところは東京地方裁判所の管轄下の各簡裁であるように伺っておるわけでございますが、そうだとすればこういういわゆる令状裁判官の現在任にある裁判官の方の就任直前の御経歴はどういう方がなっておるか、大体大ざっぱなところで結構なんですが、例えばいわゆるキャリアの裁判官あるいは検事出身、弁護士出身、裁判所の事務官、書記官の出身、その他官庁の出身の方あるいは民間の方などいろいろございますと思いますが、どういうふうになっておるか、できる限りのところで結構ですが、お教えいただきたいです。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 東京簡易裁判所には令状係と申しますか、東京地方裁判所において東京簡易裁判所の裁判官に令状担当という事務部の事務分配をしている定めがあるわけでございますが、東京簡易裁判所の場合、それを割り当てられている者八名でございます。そしてその八名のうち、一名が判事の定年退官者、それから残りの七名が部内の職員から任命された者であります。判事の退官者は高等裁判所の裁判長の経歴を有する者であります。それから七名の部内職員の経歴を有する者は、そのうち二名が裁判所事務官であった者、それから五名が裁判所書記官として勤務していた者でございます。
○内藤功君 このほか地方によりましては、私の知るところでは警察を含めた官庁の出身者の方、それから民間企業におられた方などもおられるように聞いております。 そこで次に、裁判官に対する令状事務の研修とか研究はどんなふうに行われておりますか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 裁判官の令状事務の研修でございますが、令状事務と申しますのは国民の基本的人権にかかわる非常に重要な事務でございます。そしてそれが件数も多く、また迅速処理も要求されるということで大変重要であり、かつ難しい仕事でございます。そこで、簡易裁判所判事に任命される者にはその重要性を十分認識させ、かつそれについて事務を行っていくに十分なだけの知識を与えるということを目標にして研修を行っております。簡易裁判所判事が任命されますと、最初に二カ月ほどの研修がございますけれども、その間にその令状事務の基本につきまして十分な講義を行い、かつ問題の研究を行う。またその後、二年目の研修、五年目の研修、あるいはさらにその後行われる高等裁判所の管内別の研修等の機会にも、必ず令状事務は簡易裁判所判事の行う重要な事務でありますので、それをその研修の中の重要な柱として行っているわけであります。 またそのほか、簡易裁判所判事の会同というのがございますが、これは高等裁判所の管内別に行われるわけでありますけれども、その会同の機会にも令状事務は大きな柱として必ず毎年これをテーマとして会同員による研究が行われているということになっております。
○内藤功君 一番大事なのは私は判例、先例だと思いますですね。特に令状発付が不服だとして争われて準抗告手続でひっくり返されたと、原決定が取り消された案件の判例は速やかに確実にこれらの令状裁判官に知らせると、その資料を与えると、資料を提供して差し上げるということが非常に私は大事だと思うんですね。そうしませんで、ただ自分で読んで勉強せよというだけでは私は足りないことだと思うんです。特にこの種の判例は判例集、それから法律雑誌、判例雑誌に未登載のものが多いように私は思いますので、そこらあたりの方法はどのようにしておられるでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) ただいまの準抗告審の決定例でございますが、これはできるだけ私ども刑事局で出しております刑事裁判月報、これで、なるべくそれに入れてできるだけ早くお伝えするというように心がけておりますが、準抗告の決定例を全部載せるわけにもまいりません。そういうことで毎年私ども会同の機会にいろいろな資料をお配りしているわけでございますが、その中で準抗告の決定例というようなものなどを集めましてその都度配付する。またそういうものを集積されましたもの、これは準抗告だけでございませんで、要するに令状に関係する裁判例というようなものを全部集めまして昨年逮捕、勾留に関してまとめたものを出しましたが、ここ数日中に保釈でありますとか、捜索差し押さえとか、そういうものを集めたものを発行するという予定になっております。
○内藤功君 言うまでもなく憲法は、勾留、捜索などの強制処分についていわゆる令状主義の原則を定めておる、憲法の三十五条であります。そのほか国際人権規約のB規約というのを見ますと、「何人も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され」ない、こういう権利を定めておる。これは令状主義の当然の原則を定めていると思うんですね。私は、特に日本の運用の場合に、改めて申し上げるまでもないのですが、戦前の治安維持法などのああいう立法のもとで警察などによる人権侵害が繰り返された、こういうことへの反省の上に立って今の憲法が原則として打ち立てた、こういうふうに私は理解をしておるし、刑事局長を初め皆さんもそう思っておられると思うんですね。令状主義の尊重は、今私B規約を読みましたが、国際的にも確立された近代刑事司法の大原則でもあると思います。この令状主義のもとでは、裁判官は、特に警察などの捜査権力によってともすれば不当な人権侵害が行われて後を絶たないのであります。一方、森永・グリコ事件なんかはなかなか捕まらない。しかし反面において行き過ぎの侵害が行われる。こういうことがないように厳格な司法抑制を行って国民の負託と信頼にこたえるということが私は非常に大事だと思います。これが裁判官の私は憲法上の大事な使命の一つであるというふうに理解しておるのですが、いかがでございましょう。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 令状の処理が直接人権にかかわるということで非常に重要なものであるということはまさに仰せのとおりでございまして、裁判官は令状主義ということでそれについての権限を与えられているわけでございまして、その行使について遺憾のないように日ごろから研さんして努力しているつもりでございます。
○内藤功君 ところが最近、正確に言いますと三年来と私は思うんですが、一九八二年四月、昭和五十七年四月に日本航空の労働組合の組合員が羽田空港内で春闘の立て看板を立てたところ現行犯で軽犯罪法で捕まりまして、それだけじゃなくて十八日たった後に今度はその労働組合の事務所が捜索をされた。この案件は不起訴になったわけです。私は細かい個別の事件に深入りするつもりはないんですが、例として一つ申し上げます。このときからこの三年来ずっと私いろいろ見てみますと、裁判官が警察などのこういう令状請求に対しまして必ずしも厳格な疎明資料などの審査検討を加えないで、いわば安易にこの種の令状を発付して、これに乗じて警察当局が過剰な捜索押収を行うなど、令状主義の今局長言われた本旨を逸脱して人権を犯すというケースが東京を初め全国でいろいろと昇られておると思うんでございます。 私、ここに後で局長にお見せしたいと思うのですが、八二年四月以降のそういう例をとりあえず九件書いた資料を持っております。これを見ますと、軽微な形式犯を捕らえましてその人の属する組織、政党あるいは労働組合あるいは団体全体を捜索し物を押収する。それを許可する令状が私をして言わしむれば非常に安易に出されているということを思うのであります。例えばポスター、ビラ張り、これが一番多いと思います。軽犯罪法一条三十三号違反、みだりに張り札をしという、これで現行犯の逮捕をする。そうしてその行為者も行為の実態も現認して明らかであるにかかわらず、その被疑者の住居それからポスターの掲示責任者の住居をやる例もある。それから政党、団体、労働組合の事務所までの、そこまでの捜索押収令状が発付をされるというのが、今私の言った九件ないし十件に上っておる。もっとあるかもしれませんが私の調べた範囲ではそれだけあります。中には、被疑者を不詳として被疑者を割り出すための必要な名簿類を差し押さえたいのだと称して請求して捜索押収をやる。その人のうちだけじゃなくて、その人の属する事務所までやる、こういうことが行われておるのです。私はこれをつぶさに見まして、軽犯罪法が本来つくられた趣旨を逸脱した乱用にわたっているのじゃないか、それから令状主義の本旨を逸脱している現象が今起きているのじゃないか、こういうふうに認識をするわけです。これは裁判所を批判する意味で今言っているのじゃありません。こういう現象が裁判官の発付された令状によって行われておる、かような社会現象は刑事局長はその一端でも御認識でございましょうか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 軽犯罪法につきましては軽犯罪法の規定がございまして、「この法律の適用にあたっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。」という規定があるわけでございます。裁判官としても当然この規定は承知しているわけだろうと思うわけでございますが、ただいま八件か九件不当だというのが御指摘になりましたけれども、私ども裁判のことでございますので、またそれがどういう事実関係にあるのか承知もしておりませんので、それについては何ともお答えしかねるわけでございますけれども、裁判官といたしましては、私先ほど申し上げましたように、人権にかかわるということでこれは非常に重要な、重大な職責であるというふうに考えて慎重に検討して処置しているというふうに確信しているところでございます。
○内藤功君 私は、このようなことがずっと行われていきますと、今後政党、労働組合、団体は、ビラ活動は非常に重要な活動でございます、ポスターを張るということは。そういうポスター一枚、ビラ一枚を理由に事務所などの捜索を受ける危険、これを覚悟してこれからいかなきゃならぬというふうに危惧を感ずるわけなのです。表現の自由は保障されているし、政党のこういう政治活動は民主主義の基礎でありますが、私はこういうものについての配慮が非常に足りない裁判官の令状発付が行われているのじゃないかという感をぬぐい得ないのです。さらに、これは法務省の方にもしこの認識があればお伺いしたいのですが、これらの軽犯罪法等の形式犯を理由に組織自体の捜索押収を行う、こういう事案は、検察庁に事件が送致されますと不起訴になっているという例がほとんどであります。このことは逆に分析しますと、軽微な事案を口実として強制捜査そのものが目的で行われている。その目的は、ある場合は組織内の資料の確保が目的な場合もありましょう。ある場合は何か他の強制捜査をやったということ自体が目的の場合もありましょうと思われます。いずれにせよこの軽微な事案を口実として過大な、過剰な捜査を行うということでありますから、事件の起訴、不起訴の段階ではこれは不起訴にせざるを得ない、こういうのが多いわけであります。法務省刑事局はいろいろこういう実務の面についても目を配っておられるお立場でありますが、私の今言ったことにつきまして何かお心当たりのことはございませんか。
○政府委員(筧榮一君) 御指摘のように軽犯罪法の三十三号でございますか、みだりに張り札という事例は年間相当件数検挙をされておるということは承知をいたしております。個々の事案について、それが今内藤委員御指摘のような特別の意図、目的を持ってなされているかどうかという点については承知いたしておりませんが、先ほど最高裁の刑事局長からもお話がありましたように、軽犯罪法第四条、これは議員修正でなされたと承知しておりますが、「国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。」という第四条が追加されておるわけでございまして、その趣旨からいっても、今先生御指摘のように他の目的でもって軽犯罪法を利用するというようなことはあってはならないと思いますし、またそういうことはないものというふうに考えております。
○内藤功君 今御指摘の四条が空文になっていると思うんですね。 最近のもう一つ事例を挙げてみましょう。愛宕警察署、昭和六十年四月二十一日にこういう逮捕をやったんですね。これは軽犯罪法一条三十三号違反を理由に二名の者を尾行いたしまして、あるお宅の塀に演説会告知のポスターを一枚張ったところを現行犯で逮捕したんです。私の調べたところによりますと、この二名の人はその家は従来からポスターを張ることについて許可を受けていた、そういう塀である、そこで一枚張って、張った後でこの塀の所有者の許諾は十分得られることが予想されたのでポスターを張ったと。後でその方に許可を得ようとしていたと。今まではずっとその塀に張っておったんですね。現にその塀の所有者は逮捕の事実を知りますと、ポスターの貼付は以前同氏のポスターを張っていたことを認めていたんであるから、また自分の家には実害もないから即時釈放されたいという旨の書面を関係者に示しておるとのことでございます。私はこの例、一番新しい例ですけれども、今局長の言われた四条がまさに空文になっているというふうに思うのでございます。私の今指摘した事件について、法務省の方で関係機関等お調べになって、何かこれに該当することございませんか。
○政府委員(筧榮一君) 御指摘の事案は、被疑者二名、本年四月二十一日、港区内で民家の塀に「核兵器をなくし、軍事費を削って平和で豊かな町づくり おんだ耕一郎 六月六日PM七 三光小学校」という内容の印刷物を貼付しているところを警察官に現認され、その貼付について同民家の所有者の許可を得ていないということが判明したわけでありますが、被疑者両名とも氏名、住所を黙秘したという状況でございましたために、軽犯罪法違反で現行犯として逮捕したということでございます。同事件は四月二十三日に東京地検に送致されまして、現在東京地検で捜査中でございまして、近く最終処分を行う予定であるというふうに承知いたしております。
○内藤功君 それですね。まさにポスター一枚、しかも従来そこに張っていたと、その家に一枚張ったというだけの現行犯逮捕。しかも、これで翌日に裁判官の令状を持って警察官約十名が掲示責任者、ポスターに書いてある掲示責任者という方の家を、自宅を家宅捜索をした。差し押さえるべき物件の中に犯行を指示した事実を証明する文書というようなのがあったのであります。しかし、捜索差し押さえ令状の執行の結果は該当する物がその家から出てこなかった。私は捜索差し押さえの執行の結果、物がなかったということはかえって別の意味で非常に重大だというふうに思うんです。なかったということは何を根拠にそのお宅に物があると認めたのかと、こういうことがさかのぼって問題にされなければならぬと思うんです。また、何かあるという確実な証拠がないが、そこに捜索をされて、そして捜索を受けたお宅は大変な大げさな捜索の執行で名誉を著しく傷つけられる。物はなかったということは大変なやはり御本人にとっては名誉に対する侵害だというふうに思うんです。とかく裁判所、検察庁の中におられますと、こういう差し押さえを受けて、ああ来ましたよ、ああありませんでした、どうも済みませんと、これで済まないというのが国民のやはりやられた人の心情ですね。もっと強く言いますと、屈辱感というものはぬぐい切れないものであろうと思います。屈辱感というのは言葉がおとなし過ぎるのかもしれません。私は、こういう点に思いをいたして、この令状の発付の実務というものは本当にやはり一つ一つ念を入れてやらなくちゃいけない。そういうふうに思うわけなんであります。 そこで、今までこういうような案件について準抗告を行って、あるいは特別抗告を行って、そうして捜索差し押さえの限界はここにあるんだということをいろんな裁判所の判例が出してきておりますが、例えば最高裁はたしか四十四年の三月に国学院事件という新聞等にも報道されました有名な事件で、この差し押さえ、捜索というものはこういう限界があるんだということを判断していると思いますが、これは要点で結構ですが、どういうふうな判定をしておりますか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) まあ差し押さえにつきましては、普通犯罪の嫌疑があるということと、差し押さえの必要性が必要だと、こういう場合に出せると一般的に言われているわけでございますが、この最高裁判所の判例は差し押さえ物がそういうようなものである場合であっても、「犯罪の態様、軽重、差押物の証拠としての価値、重要性、差押物が隠滅毀損されるおそれの有無、差押によって受ける被差押者の不利益の程度その他諸般の事情に照らし明らかに差押の必要がないと認められるときにまで、差押を是認しなければならない」ものではないと。こういうことで、要するに差し押さえの必要性というようなことについても裁判所に審査権があるんだということを明示したものと言われていると思います。
○内藤功君 非常に常識に立った私は決定であると思います。この一般論を日常の実務に本当に生かせばいいわけなんですよ。 もう一つ、東京地裁のこれも有名な決定だと思いますが、四十年七月二十三日にいわゆるこれは熊谷決定ですか、こういう決定があると私聞いておりますが、これは同じく差し押さえ処分についてどういうふうにその限界を示しておりますか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) まあこの事案は、個別に個々具体的なものにつきまして、これは犯罪と関係があるかどうかということで認定をしているんですが、一般論というところは余りないわけでございますが、一般論に属するところをちょっと読んでみますと、「法の認める強制処分であってもその強制力の行使は無制限なものではなく、合理的に考えて必要な最少限度に限られるべきものであることは基本的人権の尊重をうたった憲法下の捜査の一般原則に照し、疑いがないところである。」と、こういうようなことでございます。
○内藤功君 この決定はまた、今局長がちょっと省略されたようですけれども、その後のところに「警察権力の行使については一般的に警察比例の原則が認められているのと同様に司法警察権の行使についても捜査比例の原則が認められるべきであって、捜索押収についても、これを受ける者に過大な負担を生ぜしめるような強制力の行使は許されない」ということをまたあわせて念を押して判示しているわけであります。そうして私の見るところ、「令状基本問題追加四〇問」という書物があります。ここで秋山さんという裁判官がこの決定を評論しておられるんですが、こういうふうに言っていますね。この事案は戸別訪問というのを口実に、政党の支部事務所を捜索して政党の支部活動の総括文書を押収したという案件ですが、「この事例のように、形式犯を突破口として組織の日常活動全般に関する資料まで差し押えるのはゆきすぎとされてもやむを得ない」と、こういうことを現職の裁判官秋山という人が判例の評論で言っております。それから、大臣もよくお聞きいただきたいんですが、法務省の刑事局の公安課長を務めた河上和雄さんという人がおられます。この人が証拠法ノート「捜索差押」という書物の中でこう言っています。「例えば、一通の郵便物を捜索するために郵便局内のすべての郵便物を捜索することは、その中を開披しないのでも、差出人、名宛人の住所、氏名等本来通信の秘密に属する事項を調べることになるし、公共の福祉(犯罪捜査)のためとはいえ、基本的な国民の権利に対する制約は最少限度にとどめられるべきは当然であるから捜索は許さない趣旨とみるべきであろう」と。一通の郵便物を調べるために局内のすべての郵便物を捜索するのは中を見なくてもこれは許されないと、こういう人権尊重の精神をうたっているわけですね。 大臣、今までの論議を聞かれまして、細かいことは結構なんですけれども、やはりこの捜索押収というのは人の財産と家屋の中に入っていくわけですからね。これについての行き過ぎということは、裁判所はもちろんですが、法務当局あるいは検察当局としても重々やっぱり戒めて、とかく警察の場合にはありがちなことですから、これは十分留意をしていただかなきゃならぬというふうに私思うわけですが、さっきの最高裁判例を含めてお考え、ちょっと伺いたいと思うんです。
○国務大臣(嶋崎均君) 犯罪の捜査というのはどこまでも厳正公平、不偏不党でなければならないということを我々も考えておるわけでございます。私も法務省に着任したときに、最初に「君子不黨」という字を書いて、私はこんな気持ちでこれから一生懸命に仕事をやっていこうじゃないかという字を書いた記憶があるわけでございます。そういう意味で、どこまでもそういう考え方で対処をしなきゃならぬというふうに思っておるわけでございまして、今いろんな事例を指摘されましたけれども、私自身がそういうような点について詳細に存じておるわけじゃありませんけれども、今後とも、御指摘になるように、政党活動の抑制であるとかあるいは言論あるいは表現の自由というようなものを制限をするというようなことについては慎んでいかなきゃならぬというふうに思っておる次第でございます。
○内藤功君 先ほどから軽犯罪法の事例を私も出しましたし、また最高裁、法務省の両刑事局長からも同法第四条を引用して乱用は許されないという旨の御答弁がありました。一般論はまことにそのとおりなんですが、具体的なこういう例にひとつ今後留意をしてもらいたいと思うんです。 そこで、軽犯罪法が国会で、これ昭和二十三年でございますが、できるときに、軽犯罪法は乱用してはいかぬということのほかに、軽犯罪法の運用につきまして、軽犯罪法違反と強制捜査との関連について時の法務庁、当時は法務庁と申しましたですが、法務庁側から強制捜査についての、これは抑制すべきだと、不適当だという答弁があったと私は記憶しているんですが、お調べいただけたでしょうか。
○政府委員(筧榮一君) 昭和二十三年に軽犯罪法が議会で御審議をなさいました際の司法委員会の議事録を見ますと、今委員御指摘のように、法務庁の政府委員が出てこの運用等について論議を重ねておるところでございます。これにつきましては、逮捕あるいは現行犯逮捕について、軽犯罪法であっても一定の要件、住所の不定または住所、氏名のわからないというような要件等を前提として、逮捕する権限は警察官にも与えられておるということを前提にいたしました上で、「しかし実際の問題といたしましては、かような軽微な犯罪につきまして、逮捕状を用いて身柄を拘束し調べることは、不適当だろうと思うのであります。」という趣旨の答弁があるわけでございます。この委員会におきましてはその問題も含めまして、その運用についていろいろ論議があったわけでございますが、その際に、四条に典型的にあらわれておりますように、労働運動や政治運動に対して、その取り締まりのために用いられるというようなことは絶対にないということが論議されておりますし、今申し上げましたように、捜査、実際の運用についても、逮捕状を用いて身柄を拘束して調べるという点については慎重に行うという旨が答弁されているというふうに理解いたしております。
○内藤功君 そのとおりなんですよ。ですから、軽犯罪法というのは本来、できたときに、これは「日常の卑近な道徳律に関するものを取上げまして、これを取締りまして、社会の秩序を維持するという考えからできておるものでございます。」というふうにも別のところで言っておるんです。その反面として、逮捕状を用いて身柄を拘束して調べることは不適当だと、こう言っておるんですね。ところが、逮捕状、現行犯逮捕はもとより、さっき言ったような広範な捜索押収が行われている。私は全くこの軽犯罪法四条、それから軽犯罪法のできたときの趣旨が忘れられていると思うんです。これはやっぱり改めてここで私は強調せざるを得ないですね。これは今後の検察実務あるいは警察に対するいろんな面での協力あるいは場合によったら指導というような面において、また裁判官の令状実務においてぜひ強く留意をしてもらいたいということを重ねて私要望したいと思うんですね。いかがでございましょうか。
○政府委員(筧榮一君) 今申し上げましたように、制定当時の審議を見ますと、慎重な運用を図るべきであるという趣旨が随所にあらわれておるわけでございます。しかし、内藤委員十分御承知のように、刑事訴訟法上は逮捕の権限、現行犯逮捕の権限も与えられておるわけでございまして、軽犯罪法違反につきましてもその事案事案によって、場合によってはやはり強制捜査をせざるを得ないという事案もあるであろうということは当然であろうかと思います。ただ、全般的な運用といたしましては、慎重な運用を図るべきであるという点ではそのとおりであろうかと思っております。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 先ほども申し上げましたが、軽犯罪法の四条に書いてあると、このことは私どもも留意しているところでございますし、裁判官もそういう趣旨にのっとりまして慎重に令状処理に対処しているというふうに考えているところでございます。その趣旨は私どもも今後とも十分体して処理したいというふうに考えております。
○内藤功君 ちょっと質問が前後しましたが、最高裁に伺いたいんですが、この種の事案で令状請求が来た場合に、その資料が膨大で仕事量が非常に多いために十分時間をとって検討できない、こういうことは私は今の令状実務の中であり得ないと思うんですが、そこらあたりの現場の状況をあなたは御存じですか。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 現場の実情すべてを承知しているわけではございませんけれども、私どもの経験から申しましても、その資料を審査するいとまがないとかというようなことはないわけでありますし、また重要なものにつきましては捜査官にいろいろ質問したり、あるいは説明してもらったりいろんなことをするわけでございまして、そういう審査が慎重に行われる時間的な余裕がないとかいうようなことはないのではないかというふうに考えております。
○内藤功君 時間が残り少なくなりましたので、最後に私の結論を一言申し上げておきたいと思うんです。 私はこの質問を通しまして、この三年来、ポスターを初めとする表現活動、軽微な犯罪を口実とする捜索差し押さえ令状が次々と請求されてきておる。一番典型的な例は、最近行われた四月二十一日の捜査であります。ただ、少なからざる裁判官は基本的人権保障の見地から請求について厳密な態度をとっておる方のあることも私は承知しております。しかし、一部であれ、こういうことが起きるということを続けられてはならないと私は思うんです。最高裁はよい判例があり、一般論としてはいいものがある。しかし、行き過ぎた捜索が行われれば救済する方法は事後的な準抗告しかない、後でやるしかないですね。勾留の場合は勾留理由開示という制度があって、勾留中に裁判官にどうして勾留するんだと言えるけれども、捜索の場合は、全部終わって物を持っていかれてしまってからでなきゃ救済できない。それだけに慎重にしなくちゃいけないというのが私の申し上げたいところです。局長はよくおわかりと思いますが、一般論を、ことで立派なことをおっしゃるが、これが現場でもって、特に警察との関係においてどうも安易になっているということが私の繰り返し申し上げたいことなのであります。司法部が、こういう警察等による言論、表現の自由、結社の自由に対する侵害に手をかすというような批判を受けないようにしていただきたい。そうして、裁判官が改めて憲法の定める司法的抑制の立場、令状主義の本旨というものに立ち返ること、そのことを裁判実務、司法行政、法務行政等に生かしていただくことを私は最後に要望いたしまして質問を終わりたいと思います。
○三治重信君 この法務省の決算書を見ると、刑務所の作業収入が二十四億三千五百三十九万円、それから歳出の方で矯正施設における被収容者の収容作業等に要する経費二百五十一億五千二百四十八万円となっております。それで、何といいますか、刑務所の中における作業の方針、収容者に対してどういうふうな方針でこういう作業をやらしているのか。単に遊ばしておくのはもったいないから何か仕事をやらしておくというのか、それとも職業訓練的にある一定の職業というものを覚えさせて、そして社会へ出てからも再び悪いことをしないように一定の職業をそれぞれの囚人の性格、性状、また前の経験、今までの個人的な経歴というものを勘案して、いろいろ分類して作業をやらすのか。作業収入という問題だけでなくて、こういう刑務所の中における作業をどういうふうに利用されているのか、そういうものについての一般的な説明をひとつお願いいたします。
○政府委員(石山陽君) 今、委員御質問ありましたように、刑務所内におきます受刑者の作業の基本的方針と申しますのは、やはりこれらの人々がいずれ更生し社会に出所してまいるといった場合に、何か職業的な技能を身につけさせるということを主眼としてこれまで作業を課す、こういう方法で今までやってきておるわけでございます。 作業を課すことの理屈づけは、御存じのとおり刑法に懲役囚については定役を課すという成文がございますので定役に課せなければなりませんが、ただこれは何をやってもいいということではございませんで、最近では、やはりただいま申し上げましたように受刑者自体の勤労意欲を向上させる、それから何かしら職業的な技術を身につけさせる、それから作業に従事することによって忍耐心、克己心を養わせる、こういった理念的な眼目をまず前提に置いて実施しておるわけであります。 それから、作業の内容と申しますると、どういうふうに決定してまいるかの仕組みでございまするが、これは私どもが本人の資質等につきましては科学的な分類調査をまず入所時に行います。それによりまして本人の適性、社会内にありましたときの職業でありまするとか、今後の将来設計上本人の希望でありまするとか、こういったものをいろいろ勘案いたしまして大体受刑者に今は全国の施設で二十種類ぐらいの作業を行わしております。 例えて申し上げますると、木工でございますとか、それから金属、縫製、革工といいまして革細工でございますとか、こういった種類の中から本人の一番向いた仕事を選択してやらせておると、これが大体の原則でございます。 そのほかに、ただいま委員仰せのように、全くそれまでその種の仕事は知らないけれども、ぜひ社会へ戻った場合にその方面で技能を身につけて出たいという希望者につきましては、そのほかに職業訓練課程というのを設けておりまして、これにつきましては従前から例えば労働省の職業安定局、並びにその外郭団体でございます雇用促進事業団、職業訓練大学校、こういった外部機関の方々の御協力を得ましてこれはまた四十種類ぐらい、例えばただいま申しました品目のほかに自動車の運転でありまするとか、自動車整備でありまするとか、こういった職業訓練項目も含めまして前広にやっております。この関係が大体年間に約千六百から七百名ぐらいを養成しておる、こういう現状でございます。 概況でございますが、大体の一般的な方針について御説明申し上げました。
○三治重信君 そうすると、今の御説明だと、この作業は全部職業訓練としてやるんじゃなくて、今までの前歴なりまた本人の希望によって純粋な木工とか金属のいわゆる作業の熟練をやるという、普通の労働としてやる部面と職業訓練的な、きちんと訓練課程を経て仕事を覚えさすというのと二通りあるというふうに理解していいわけですか。
○政府委員(石山陽君) 数は実態において職業訓練生の方が非常に少のうございまするが、二通りあります。
○三治重信君 そうすると、それは別々の場所で行われているのか、施設の作業場というのは大体同じ場で行われておるのか。それと、そういうふうな作業も、そういう木工とか金属とかいう作業場の施設、自動車の整備においても、そういう訓練をやる作業場の施設の整備というものは、やはり相当予算措置がとられて、また作業規模なんかも、労働省がやっているような一つの訓練課程の規模とかそういうものが、一つの何といいますか、制度として完備されておるのかどうか。
○政府委員(石山陽君) 今仰せのとおり、訓練過程を主として持っておりまするのは、私どもの施設の分類で申しますると、初犯の人が入る施設に数としては多うございます。それから、いわゆるB級と申しまして、累犯以上で入っております者は、委員も御案内のとおり、最近累犯で入ってきますのは暴力団あるいは覚せい剤事犯者、こういうものが中心でございまして、社会内において有用作業についておりませんし、我々もできるだけ職業訓練の機会に親しませて正業につけさせたいと思っておりまするけれども、やはり本人のこれまでの教条、経歴から見て、資質的に、忍耐心の要る細かな作業で更生して手に職をつけたいという意欲自体がない、こういうケースもございます。ですから、本人の資質や希望、先ほど申した適正、こういうのをいろいろ勘案いたしまして、できるだけ悪いあかが身につかないうちに、きちんとした職業的な技能を身につけさせられるものはしてやりたい。 そこで、現在行われておりますのは、例えばA級施設におきますと、関東地区で喜連川の刑務支所というのがございます。ここは比較的準開放処遇になじむA級の人を集めまして、そして建設機械、ブルドーザー、これ等の運転、それを実際に使いまして開墾等をやるという作業、こういったことについての開放的な処遇を通じて運転技能を身につけさせるという、こういう処遇を行っております。これは職業訓練課程でございます。 それから、B級その他におきましても、長期のB級受刑者は、刑期が長いということもありまして、何かもう一つ、所内でできれば身に技能をつけたい、こういう希望もございますので、これらにつきましては、木工でありますると、例えば、非常に手間暇かかりまするけれども、木彫等を中心とした技術を身につけさせるとか、こういう形で作業をさしておるわけでございます。もちろん、B級施設では絶対に職業訓練をやらぬという意味ではございませんで、導入的な意味で作業の技官が指導しまして、何カ月も、場合によりますると一、二年もかかって技術を身につけさして、そして一人前の仕事をさせる、こういうような方法もとっておるわけでございます。
○三治重信君 もちろん囚人の人たちは、刑務所に入っている人たちの中でいわゆる職業訓練または作業をやらすのは、相当精神的な訓練を経た上、またそのほか労働意欲を持ったとか、そうしないというと、やはり作業過程においてけがをしたり、または作業の先生の言うことを聞かなかったり、またほかに迷惑をかけるというようなこともあって、その人の選択というものは非常に必要だろうと思うんですが、もう一つはやはり、せっかくそういうふうに選ばれて作業過程に入ったり職業訓練をやるというふうになった場合に、本当にそういうことが、囚人の人たちが納得する施設または先生——やはりあっても、ただ、時代おくれのものや、余りいい先生でなかったりというふうになってくるとやる気がしない。かえってそれが余りよくないということになってしまうんじゃないか。私もそれは現場をよく知らないけれども、そういうものについて本当に配慮をされているのかどうかという問題と、それの作業を十分やらしていくためには、やはり原材料を全部資材として刑務所で買って与えていくというのはなかなか難しいだろうと思うんですよね。そうすると、一定の業者と、大量生産なり作業過程をやっていくというと、一定の業者から原材料を相当供給されて、いわゆる委託加工的なものをやらなくちゃならぬ、またそういう問題があろうかと思うんですが、そういういわゆる原材料の入手とそれからそういうふうな委託加工というような割合というものはどんなふうな状況になっているんですか。まず第一に、一つの施設というものを、さっき言ったような、それが本当に満足すべきものかどうかという問題と、それから、作業過程をやっている場合に、そういう原材料のいわゆる刑務所自体が買ってやる問題と、その作業の請負的なものがどの程度入っているか。
○政府要員(石山陽君) 御質問は大きく分けて二つになろうと思いますんで、順次申し上げます。 まず、刑務所の中においてさせる作業ができるだけ本人の将来の更生のために有用であって、また、その技術を身につけたことが行く行くまで助けになるようなものでなきゃいかぬ、これは私どもも全く委員の仰せと同じ考え方でいろいろ考えているわけでございます。ところが、現実をありていに申し上げますると、これまで刑務作業の場合には、民間から材料と機械をお持ち込みになりまして、下請的に物をつくってほしいということで、いわばうちが賃仕事の形でお引き受けする作業と、それから国で原材料を買っていただいて、その原材料を利用しまして国の企画によってつくる場合と、この二通りの作業がございます。これは便宜上、前者を賃金収入作業、後者を製作収入作業というふうにこれまで分類しております。 そこで私どもは、まず、賃金収入作業に大きく頼ることになりますると、やはり業者の指定されました品物を正確におつくりしてお届けする、これに本旨が集中いたしますので、例えば小さな機械の部品なら部品だけを年がら年じゅうつくってなきゃいけない、あるいは素材だけをつくりまして組み立てまで終わらない、こういうような実態があるわけで、これが要するに、収容者にとりましては、単純作業でございますんで余り意欲がわかない、こういうようなこともございます。そこで、できるだけ有用作業といたしましては国の製作収入作業の中で一貫作業を行わせて、その結果として、何か物をつくる喜び、こういったものを体得させる方法はないかということを常日ごろ考えておるわけでございます。 第二の関連でお答え申し上げまするが、たまたま、おととしの七月から、国家財政事情によりまして、これまで国がみずからの製作収入に要しておりました原材料費はすべて打ち切られまして、三年間、財団法人矯正協会刑務作業協力事業部というところに二十億円の補助金をいただけることになりました。この補助金を使って、矯正協会の刑務作業協力事業部が国に対しいろいろな企画を持ち込んでつくってもらうようにいわば発注をしていただく、そしてその製品を事業部の責任で売りさばく、こういうシステムがとられたわけでございます。それで、私どもといたしましては、この作業を通じまして、できるだけ有用作業で、しかも社会のニーズに合ったものを大量生産できるような体制をつくりたいということで、まあおととしの後半以来鋭意作業に努めておるところでございます。 それから、最後になりますが、予算的なことをちょっと申し上げますると、ごく大ざっぱな話でございまするが、おととしの第三セクター方式と申しまするか、刑務作業がそういうふうに切りかわる前は、年間約五十億円の原材料費及び作業諸費をちょうだいしております。それで国庫に約百六、七十億のお金を納入しておりました。この体制は切りかえました後でも実際の国庫納付金はそんなに変えないで済むだろうという見通しを立てております。ちなみに、本年度の予算では、原材料費が補助金として出ることになりましたので、作業諸費の分で約二十億国庫からちょうだいしております。ことしの納入目標額は約百七十億円、これが歳入として国庫に納入する分でございます。 以上のように相なっております。
○三治重信君 そうすると最後にお答えになったやつを、刑務所作業費の二十四億というふうなのと、百五、六十億のやつというのは、歳入として国庫に納めているというのはどういう関係になるんですか。
○政府委員(石山陽君) その二十四億という数字、今私ちょっと手元に持っておりませんで、大変申しわけないんでございまするけれども、私どもが諸経費でやります場合に、例えば民間の賃金加工者でございますね、委託加工を受ける部分、先ほど申した賃金収入、この分といたしましては、私どもはいわば人件費相当の賃金だけを国庫にいただいて、材料と機械は向こうがお持ち込みになるわけでございます。これが大体年間で、私の記憶しておるところでは百二、三十億ございます。 それで、そのほかに刑務作業の一昨年から出発しました分で本年度、約三十数億納入の予定でございます。ですから、それらを合わせますると、刑務作業からもろもろの分合わせまして入れた分は二十四億ではとてもないというふうに実は考えておるんでございますが。
○三治重信君 その原材料費のやつは、財団法人つくられて別会計でやられたというのは、これは一つの改善だと思うんですが、刑務所の作業収入というものを法務省の歳入の中へ入れるというのは、何かせっかく財団法人つくった意味がないような気がするんですが、もう一遍ちょっと御説明願いたい。第三セクターで財団法人つくって二十億を投資して大蔵省がくれたならば、その中で原材料を買い、そしてそれで上がったやつは回転をして、作業収入で回転して原材料をさらに膨らましてやれるのが普通なんだが、どうしてここへ第三セクターをつくったのに刑務所作業収入が二十四億三千五百三十九万円余、法務省の歳入としてなっているのかどうか。
○政府委員(石山陽君) 今の二十四億、数字を拝見しましてわかりました。それは昨年度に比較いたしましての増加の額が二十四億でございまして、全体の収入額と違います。昨年に比較して二十四億、ことしつまり決算上上がってきておると、そういう意味でございます。 この増加しました要因は、刑務所作業収入が二十四億ふえたという意味でございます。ですから、全体の予算額で申しますると、例えば五十七年が決算額、百八十九億でございます。
○三治重信君 ああそうか、どうも失礼。わかりました。増加した要因か。
○政府委員(石山陽君) なお、次のお問いでございまするが、私どもが第三セクター方式をとりました場合、その第三セクターはつまり刑務所の作業に対しまして原料を供給して、そして大衆のニーズに合った製品をつくってほしいという、いわば協会の名において国に今度は委託加工を頼むわけでございますから、ですから協会はもちろんその原材料を利用いたしまして製品を売りさばくことによって収益を上げるわけでございますが、国に委託加工した分の賃金相当分はやっぱり払わなきゃいかぬ。そこで第三セクターの分からも国庫に納付金が納まると、こういうシステムでございます。
○三治重信君 一般の刑務所では、そういうふうなことで非常に、中身を聞くと大分改善をされて、しかもだんだんいわゆる中身の充実が図られるような体制がとられていて、職業訓練というものがさらに整備されるように思いますから、非常に結構なことなんですが、こういうやつを少年院の方はやっているんですか、やっていないんですか。
○政府委員(石山陽君) 先ほど冒頭に申し上げましたように、受刑者には法律上定役を科さなきゃいけませんが、少年院の少年は実はこれは受刑者ではございませんで、保護処分として施設内教育的な処遇をするという建前になっておりますので、原則として、受刑のために作業の定役を科すという観念は少年院にはございません。 したがいまして、これは少年院の場合はあくまで教育活動の一環として、早いうちに立ち直らせるために職業訓練の機能を、そういう機会を利用さして勤労意欲を養成しようじゃないかという教化教育の課程の中の一活動というふうにして考えておりまするが、これもかなり広範な種類にわたりまして全国各地の少年院で教官が技術指導を現に行っております。
○三治重信君 そうすると、それの原材料とか何かの製品のやつは、同じように財団法人が共通して処理をしているんですか、職業訓練のやつの原材料とか何か、製品販買。
○政府委員(石山陽君) 少年院の分は、実は国の方からなお残りとしてちょうだいいたします作業諸費その他の関係の中から少年院分は出しております。
○三治重信君 全然別。
○政府委員(石山陽君) はい、別でございます。
○三治重信君 わかりました。 だけれども、少年院でも職業訓練等、若いのが、中学卒業したのをやっていて、若いときにやるのが本来の趣旨。本来からいけば一番技能を身につけるのにいいわけなんで、ひとつそれも作業というんじゃなくて職業訓練の課程としてやって、そして十分な作業をやるためには、やはり原材料なりからできた製品がまあ結構売れる——いいのができるわけですよね。だから、そういうのはやはり同じように財団法人でやれるようにやっていったらいいんじゃないかと思うんですが、これは一つ意見で申し上げておきます。ありがとうございました。 今度は指紋押捺の問題なんですけれども、各ほかの党も、同僚も質問して大分法務省の方も答弁になれてこられているわけなんですけれども、また大改正をやって今さら改正どうのこうのということもできないと、こういうことのようなんだけれども、まあ日韓の外交関係もこれあり、我が党としてもひとつ態度をはっきりさす必要があるんじゃないかとこういうことで、民社党とすれば日韓地位協定による永住資格の在日韓国人については、我が国に居住するに至った歴史的経緯等にかんがみて、日本人に準ずるものとして今後指紋押捺及び外国人登録証明書の常時携帯は不要とし、それから、指紋押捺、それから、外国人登録証明書の常時携帯、この二つを、地位協定に基づく永住居住者については外す必要があると、こういうふうな態度なんですけれども、この点ひとつ何といいますか、今後ともさらに改善、改革に検討をしていただきたいことを表明しておきます。 それで、この中で殊にこの間朝日新聞の五月十八日の、韓国の文公相が来たときのやつだと、「韓国内では、在日韓国人の待遇問題が大きな関心を集めており、内政問題ともなっている。その中核には指紋押捺問題がある」というふうな李文公相の発言として報道されておるわけなんですが、何かいろいろ法務省の調査によると、韓国では韓国民全部に指紋捺印の制度をとっているというのは本当なんですか。
○政府委員(小林俊二君) 私どもの承知しているところでは、韓国におきましては内外人の区別なく十指の指紋を採取しておるというふうに承知いたしております。
○三治重信君 外務省にお伺いしますが、そういうふうな韓国では内外人について全部指紋押捺をとっておるというのに、韓国の人が日本の方へ来て、在日韓国人のそれを外してくれというやつについて、外務省は、あなたのところでも全部やってるんじゃないかということについては何かこう、言ったようには記録——非常に改善に努力するというふうなことに外務省は答えたようになっているんですが、そういう問題については言っているんですか、どうなんですか。
○説明員(渋谷治彦君) これは、従来の協議その他の機会には言っております。
○三治重信君 韓国の中ではそういうふうにやっていて、日本の在日韓国人だけを外せということについてのやつについては反応はどうなんですか、向こうの。これは向こうがわざわざ万博の賓客として来たときにそういう発言をしたということが朝日に報道されているのですが、そういうことを言われ、韓国の中では内政問題ともなっているというのだったら、自分の国の住民の全部に指紋押印をやっているというんなら、日本の在日韓国人だけが韓国の内政問題になっているというのは、何か矛盾している発言のような感じがするのですが、どうなんですか。それに対して外交関係としては、外務省としては。いや、我々は在日韓国人の指紋押捺はもう日本に居住している人はやめろと、こういう主張ですよ、我が党は、主張なんだ。主張なんだけれども、外交関係として韓国がやっているということの事実から言って、向こうがそういうふうに外せと言う資格が何かもうどうも余りないような気がするんだけれども、外務省の対応はどうなんですか。
○説明員(渋谷治彦君) 韓国側のそれに関する主張は、在日韓国人が存在するに至った歴史的な特殊性にかんがみ、日本側の好意的な配慮をお願いするということでございます。それに加えまして、在日韓国人は日本の社会に生活し、今後も生活していくと、そういう韓国人をできるだけ日本人と同じように扱っていただけないかというのが向こう側の主張でございます。
○三治重信君 何と言いますか、日本人と同じようにということについての要請はいいんだけれども、非常に韓国の中で日本人のそういう問題が内政問題ともなっているというのは、少し過大な、オーバーな表現じゃないかと思うんですね。そしてこういう問題の処理についてはやはり法務省の固い態度と間に入って外務省はこれから苦労することだろうと思うのです。そういう対応についてどちらの方に味方をするような態度で進まれるのですか。
○説明員(渋谷治彦君) 外務省としては基本的には現行法制が守られるべきであるという立場でございます。しかしながら、昨年の日韓共同声明の趣旨等諸般の情勢もございますので、そういった事情を勘案しつつこの問題を研究していきたいという立場でございます。
○三治重信君 法務大臣、在日韓国人の取り扱いというのは今の世界から見て、日本が負けて韓国が独立したときのいきさつの一つの申し子になっている。ところが、民族が多重に混在して一つの国家をなしているというのはどこの国でもたくさんある。日本人もブラジルへ行ったり、南米の各国へ行ってやっている。しかしながら、それは行ったところはその国の国籍を持ってやっているのがだんだん多くなって、特別のその国の地位を認めろというふうな関係をやるというのは、日本だけでなくてどこの国でもそういう外交的な主張はほとんどないんじゃないか、日韓だけの特殊な事情じゃないかと思うんですよ。そういう中でしかも二代、三代になっておって、在日韓国人の法的地位は韓国人として韓国の国籍を持って、日本の在住者として、いわゆる外国人扱いだということは認めつつも、日本の社会の中へとにかく入って、日本の社会の法秩序を守り、そして日本人と親密な関係に入ろうと。そして日本の社会や経済に貢献をしよう、こういうのが韓国居留民団の非常な積極的な意欲だと思うんですよ、我々接触しているときには。 そうすると、そういう戦後の処理として、在日韓国人は韓国の国籍を持っておる特別な関係ということで、ややこしい問題が残っているけれども、しかしながら、日本に住む在日韓国人そのものは、やはり居留民団として日本の社会に溶け込んで、そして日本の社会に貢献をし、そして日本人と仲よくして生活していくようなことに努めなければならぬということを、非常に居留民団として方針を出しているわけです。 そういう中で、韓国がやっているからといって、指紋を全部とって、しかも五年なり何なりで更新するというのは、どうも特別な法関係をやっている限りにおいて、また非常にいろいろな問題を残すようなことになる。そういう意味においてできる限り早く、在日韓国人としてもう二代、三代になった、あるいは来てから十年以上たったというような者は何か特別扱いをしてもいいじゃないか、そうでもしないというと、何かいつまでも隣国の民を特別扱いするような、法律的にはいかにも特別扱いするような格好で外交的なトラブルを起こすことになる、こういう点からも十分将来検討して、早いところそういう問題、こういう制度上の問題を民族の感情問題の一つの糸口にされぬように対処してもらいたいと思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(嶋崎均君) 指紋問題も含めて在留の外国人の地位ないし待遇の問題につきましてどういうぐあいに取り扱うかということは、国内的な事情ばっかりじゃなしに、国際的な事情というものもよく判断に入れて検討しなければならぬということ自体我々何も否定するわけではないんです。ただ、御承知のように、五十七年に法改正をしているわけです。その際にある程度、何というんでしょうか、制度の改正は従来のものよりも改善をしているというんですか、十四歳を十六歳に引き上げるとか、あるいは三年ごとの切りかえを五年にするとか等々幾つかの改正をやったわけでございます。非常に残念なことなんですが、その改正をやった直後から実はこの問題というのがやかましくなってきているというのは、私も非常に奇異なことの一つだと思うんです。いろんな経緯が私はあると思うのでございます。しかし、こういう問題を考えていく場合に、そういう改正を行ったという現実もあり、また、しかし、その後そういう議論が出てき、そして、それを受けて昨年の九月に日韓の共同声明がありまして、その中で、在日韓国人の地位なり待遇なりについて引き続いて検討いたしましょうという言葉も入りました。そういうような事情というものを十分踏まえて、何らかそういう誠意というものを入った以上は努力をしなきゃならぬ、私はそう思っておるんです。そういう意味で制度的な面あるいは運用上の面についていろんな意味で検討をして今日までまいったわけです。しかし、今御指摘のように、長年韓国なりあるいは台湾関係の在留の外国人の方々、戦後のいろんな経緯があったということは私たちも十二分に承知をしているわけでございます。いますが、諸外国の事例等をずっと調べてみますと、長期に滞留をされるような方々については、こういう指紋制度というのはより厳格に行っているというのが実は外国の例でもあるわけでございます。日本人の場合には、戸籍の制度もありますし、あるいは日本の国民、本当に同一民族であるというような契機もありまして、そういうことは非常に秩序立って動いておるわけでございます。我々もしょっちゅう戸籍抄本を出したりいろんな意味で現住所を明らかにするというようなことは、これはもう皆さん方も再々あると思うんです。私だって随分再々使っておることでございます。そういうことで安定をした状態になっておるんですが、外国人の皆さん方の場合には、まあ日本人と同じように生活をし、同じように努力をし、日本人に溶け込むような工夫をやっておいでになる、確かにそうだろうと思います。思いますけれども、最後ぎりぎりのところ、まあ政治的な面でもこれは日本の国籍をお持ちになっておらないわけでございます。それから、外国人の場合には相当移動も激しゅうございます。やっぱり何というか身分関係なりあるいは居住関係というものはある程度明らかにしておくということはどうしてもその全体的な管理等の上から必要である。しかも、戦後御承知のように、二十七年に改正をし、そして三十年に具体的な実施をする、そのときには非常にたくさんの、何というのですか、問題のあるケースというのは出たわけでございます、その点は先ほど御説明したと。その後もいろいろやっぱり問題があって今日に来ておるというのが実情であるわけでございます。そういう歴史的な経緯もありますし、それから、何というのですか、身分なり、あるいは居住関係というのがなかなか明確にならない。そうすると、最後ぎりぎりの話は、やっぱり外国人登録法によるところの登録という問題が出てくる。それを最後に担保するものは何かといったらやっぱり指紋制度である。現に、そういうことであるから、非常に警察力の強いところで、余り指紋なんかやかましく言ってないところは警察の方で非常に整理をされて、これはあるいは言い過ぎなところもあるのかもしれませんが、そういう国々もある。しかし、そういうところは除外視して、自由圏の中でいろいろ調べてみますと、相当のところは指紋制度をとっている。とってないところについても、それを廃止したことによっていろんな議論が現にある。それからまた、かわりの手段としてサインその他、日本人が余りなじまない制度というものが現実の問題として動いておるというそういう実態があるわけでございます。そういう事態というものを十分踏まえながら、また調べてみますと、やっぱり指紋制度をやっておるというのが相当多い。しかも、先ほど来申しましたように、長期におられる人についてはそういう点が厳格に行われている現実がある。そういう状況でこの制度というのは今日に及んでおるというのが実態であるわけでございます。 私たちも、そういう中でいろいろ言われまして、何というか、人道的な理由であるとか、あるいはいろんなこの制度についての改正がどうであるとかというようなことが批判の理由になっておるわけでございますけれども、私のところは、ともかく今までは回転指紋でした、今度はそれを改めまして平面の指紋にいたしましょう、そういう改正を行いました。ここに色をつけてやるのも非常に心理的な感触が悪いとおっしゃるから、それを何とか解決する工夫はないかと。本当にこの五月の十四日の直前まで実は我々はいろんな議論をしましたし、またいろんなデータを集めまして、世界じゅうどこでもやってないああいう制度に切りかえている。ずっと制度を見ますと、やっぱりそういう外国人に対して指紋制度というものはやっていかなければならぬ。実は特例の居住者、長らくおられる方についてはいろんな意味で手当てをしておるということは皆さん方もよく御承知のとおりでございます。しかし、それ以外のことはやっぱりよその外国人と同じように扱うんだというのが通例の取り決めになっておる。そして、この部分で、長らくおられる人だけ別扱いだというんで、外国人の中でそこのところに線を引いてここだけ特別扱いをしろというのは、これはより難しい話だろうと私は思うのでございます。やっぱり外国人であるか日本人であるかというところで整理をして、もし別に扱うとすると、それはまた最恵国的な扱いをどうするのかというような問題にも及んでくるような話があると思うんです。よその人には一体どういうことなんだ、そのバランスはどういうことなんだ、長くおられる別の国の人はどうなんだ、そうなってきますと、やっぱり我々も、そういうさっきのように引き続き努力をするという事態も受けておるわけでございまして、精いっぱい努力して私はこの改正をやったつもりでございます。 ところが、どうも先ほどいただいた、民社党からもこんなふうに、そうですけれども、あるいはよその党からいただいたのにも、これはともかく指紋制度をやめろとか、携帯するのを全部やめちまえとか、これじゃもう距離があり過ぎて、御満足いただけない。御満足いただけないのがこの騒動になっている。諸外国で指紋制度というのが問題になっている国があるのかと調べたら、どこにもない。そういう経緯の中で、やっぱりこの七月一日からの大量切りかえということを目前にして、私たちはぎりぎりこの判断をし、そして閣議の中でも一応その説明をしてこの案でいくよりしようがないということで、各省のあるいは内閣としての決定をいただいて、対処をしているというのが現実なわけでございます。今後もいろいろな議論があると思いますけれども、けさほど申し上げたように、どうも改正をしているというようなことだから指紋を押さないんだというような理屈が立ったり、それからことしはこれ平面指紋に直しておる。これはもう犯罪捜査とは違うんですね、犯罪捜査というのは十指使ってそのうちのどれかが残るかもしれない。しかも、真っ正面で押したものだから非常に簡単だというようなことで、そこまで割り切っておるんですから、そういうところもそんな大きな問題に私はなると思わない。制度の改正というようなこともそんなぐらぐらしたことじゃどうにもならない。したがって、私はこの制度はもう変える気持ちはなくして、この山場は乗り切っていくんですと。どうかそういう意味で在留の外国人の方にもぜひこの指紋問題というものについて御協力をいただきたいし、またその運用をやっていただく市区町村の皆さん方にもどうか御尽力を賜りたいということを申しておるわけでございます。幸いにして今まで多くの方々には御賛同を得まして、指紋を押さない人がふえておりますけれども、しかし幸いにして現在のところ千人中の九百九十六人の方々、非常に大ざっぱにいえばそこまでは御協力をしていただいておるような状況であるわけでございます。こういう制度改正をやった趣旨ということを十分御理解願って、ぜひともこの制度がうまく運用できますように、委員の皆さん方はもちろんのことでございますけれども、在留の外国人の方あるいは自治体の皆さん方の御助言、御協力を賜りたいと思っておるというのが実情でございます。
○委員長(佐藤三吾君) 他に御発言もないようですから、法務省及び裁判所の決算についての審査はこの程度といたします。 次回の委員会は六月三日午後一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十二分散会