環境特別委員会 第7号
- 発言数
- 175 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/05/22
会議録
○委員長(粕谷照美君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 公害及び環境保全対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に愛知県がんセンター研究所副所長兼疫学部長富永祐民君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(粕谷照美君) この際、富永参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。 委員からの質疑を通じ、忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願いいたします。 ─────────────
○委員長(粕谷照美君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○片山甚市君 きょうは、たばこに関して、国民生活の上に、健康の上にどのような影響を与えるのかについて質問をいたしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 去る四月一日、専売公社が日本たばこ産業株式会社として民営化されたことは御承知のとおりでございますが、そのことによって輸入たばことのより一層厳しい販売競争が行われることになり、通称たばこ販売戦争が始まったところであります。もともとたばこは有害商品でありまして、法的規制を持っております。これは御承知のとおり販売、消費の管理がなされてきたのですが、一方、税収の一部として必要性がありますから財政専売のお墨つきがあります。そういうことから、国として、必要悪として多くの問題点を覆い隠した形になってきておることは御承知のとおりです。最近ようやく専門家や関係団体の積極的な努力によって注目を集める段階に至りました。列車、公共のバス等についても分煙といいますか、たばこを吸う場所を少しずつ狭めていっておるような状態であります。そういう問題で、国策としてとられてきたたばこ専売でありますから、民営化されることによって国としての喫煙対策が今まで十分とられておりません。今後企業として財政専売の義務、すなわち売り上げの強化を求められ、輸入たばことの激烈な競争ということになれば、今まで以上にたばこの与える影響が出ることは必至だと考えます。 五月二十日の日本たばこ産業がまとめたものによると、五十九年度の製造たばこの輸出量は十一億九千四百万本で、前年度に比べ約七千万本、六%増加した。成田、大阪など国際空港の免税店向けが海外旅行者の増加で四億七千四百万本、八%増と順調に伸びた。こういうように書かれておるように、日本のたばこが外国に売れるということは、外国から日本に入ってくるたばこもなければ中曽根さんが言う百ドルの物を買えというのに合わないのでありますから、大変厳しいことになろうと思っておるところです。 私は、第九十六回国会の予算委員会、昭和五十七年の三月二十五日において多くの問題点を指摘したところですが、当時の渡辺大蔵大臣も、国策としてたばこ専売は財政上重要でありますが、それ以上に国民の健康を守ることが優先されるべきであると、政府の金庫番がやむなく答えている。初めはたばこは嗜好品で、いいマナーである、こうおっしゃっておったんですが、途中で変更しまして、最終的にそういう御答弁になりました。 私は、これまで取り組みをしてきましたところを通じ、環境行政においても我が国の喫煙対策はいかにあるべきかが非常に重要な施策であると痛感しておるところです。この際専門家の御意見を聞き、国政に反映させたいと考えておったところ、幸い本委員会に、委員長のお取り計らいにより委員会の御同意を得て、参考人として御出席いただきました愛知県がんセンター副所長兼疫学部長富永祐民先生から貴重な御意見を聞くことができることになって大変ありがたいと思っております。 まず最初に富永参考人にお聞きしたいのですが、喫煙対策の重要性を意識された動機、経過、その理由はどのようなものであったか御説明を賜りたいと思います。
○参考人(富永祐民君) 本日は、我が国の喫煙対策につきまして私の意見を述べる機会をお与えいただきまして大変感謝いたしております。 ただいまの御質問でございますが、動機あるいは理由としまして三つございます。 第一番目は、私は昭和四十二年から四十八年の間約七年間アメリカに留学いたしておりましたが、その当時既にアメリカでは喫煙問題が大変重要な社会問題になっておりまして、喫煙に関する意識は非常に高くなっておりました。ちょうど昭和三十九年のアメリカの保健教育福祉省の公衆衛生総監から喫煙と健康に関する第一回の報告が出された直後に近い時期でございましたので、非常に喫煙問題が盛り上がっていたかと思われます。その当時、例えば公衆衛生学会などでは、アメリカの百万人の子供が将来肺がんで死亡するのを防ごうというようなスローガンを掲げまして喫煙対策に取り組んでおりました。しかし、当時の日本の現況を振り返りますと、事実上野放しに近い状態でありまして、私自身も含めまして喫煙問題は余り深刻にとらえておりませんでした。しかし、アメリカでは非常に喫煙が重視されていたということ、さらにその根拠としましては、喫煙と健康に関する各種の調査が行われておりまして、喫煙の健康に対する悪い影響が続々と明らかになったからでございます。 アメリカでは心臓病、特に心筋梗塞、あるいは狭心症のような虚血性心疾患がアメリカの国民病、死亡原因の一位でございますが、その原因究明のための疫学調査の結果から、高血圧、高コレステロール血症、喫煙という三つの危険因子が明らかにされました。ですから、心臓病の原因としても喫煙が非常に重視されていたわけでございます。もちろんもう既に喫煙と肺がんの関係については、かなりはっきりわかっておりましたので、それらのことが絡みまして、特にアメリカで喫煙対策が重視されたと思います。それが第一番目のきっかけでございます。 第二番目の動機としましては、実は私は、昭和四十九年の一月から五十二年の三月まで環境庁の環境保健部に技官として勤務いたしておりました。その間大気汚染系の公害病患者の救済、あるいは補償関係の仕事に従事しておりましたし、またあわせて大気汚染と呼吸器症状あるいは呼吸器疾患に関する疫学調査のデータの取りまとめなどにも従事しておりました。その作業を通じてわかりましたことは、大気汚染が呼吸器に悪い影響を与えることは確実に証明されましたが、それに負けないぐらい喫煙が呼吸器疾患に悪い影響を与えていることがわかりました。そのとき痛感いたしましたのは、当時、大気汚染の影響を受けてかなりの数の公害病患者が発生していたわけでございますけれども、大気汚染だけ改善してもその人たちの健康はちっとも回復されないだろう。やはり公害病患者の健康回復を図るためには大気汚染はもちろん、それに悪い影響を与えている喫煙対策、これもやらなければだめだろうというふうに思ったのが第二番目の理由でございます。 第三番目の理由が最も重要な理由でございますけれども、昭和五十二年の三月から愛知県がんセンター研究所の疫学部へ移りましてがんの疫学の研究を始めることにいたしました。疫学と申しますのは、まず病気の実態を明らかにしましてその原因を究明し、原因がわかりましたらそれを取り除くことによりまして病気を予防するわけでございます。がんの疫学の場合にはまずがんの原因を究明して、それでその原因を除いてがんを予防するわけでございますが、私がその当時感じましたのは、これから日本で非常にふえていくがんを研究のテーマにしようと思いました。いろいろのがんがふえておりましたが、特にふえ方が目立っておりましたのは当時肺がんでございました。現在まだ日本人では胃がんが一番多く、肺がんは二番目に多いがんでございますが、今の肺がんのふえ方が続きますとあと七、八年もすれば男では胃がんと入れかわりまして肺がんが一位になるぐらいの気配でふえております。したがいまして、肺がん対策は非常に重要であると思いました。 もう既に当時は喫煙と肺がんの関係がかなりはっきりわかっておりました。もちろん肺がんはたばこだけでは起こりませんで、ほかにいろいろの原因がございますが、特に男の肺がんについて言いますと、肺がんの原因の約三分二は喫煙によるということが、我が国の研究報告あるいは諸外国の報告からそういう結果が出ておりました。ですから、喫煙対策を推進いたしますとかなりの肺がんの予防が可能であるということがその当時わかっておりましたので、もう喫煙と肺がんの関係に関する研究をやるよりも喫煙対策の方、応用問題の方に取り組むべきではないかと思いましてそれで喫煙問題をかなり重視したわけでございます。 以上が私の喫煙問題に取り組み始めた、あるいは喫煙問題を重視した動機あるいは理由でございます。
○片山甚市君 ありがとうございました。 昭和五十六年の四月二十三日、社会労働委員会では私の提案によりまして「喫煙禁止に関する申し合わせ」として「喫煙と健康の問題については、厚生省公衆衛生局長の通達にもみられるとおり、各種疾患との密接な関連が指摘され、国民間に嫌煙権が提唱されている折でもあり、国民の健康を守る立場から、委員会開会中委員室においては、議場と同様喫煙を禁ずることとする。 なお、午後の審議に際しては、概ね二時間毎に休憩時間を設けることとする。以上であります。」ということで、長官もそのときちょうど委員でおられて満場一致で決まったわけです。そのときには園田直さんが厚生大臣でございまして、大変なヘビースモーカー、共産党の沓脱タケ子先生も大変なヘビースモーカーでありましたけれども、それでも今おっしゃったことは平山雄先生にそのときに説明していただきまして、そのとき健康保険の収支改善が大事だとか何とか言っておるけれども病気をなくすことが社会労働委員会の任務ではないか、たばこを吸う人も吸わない人も公の場所でのめばたばこを吸ったことになるじゃないか、そういうことでやめようじゃないかということで国会で審議しました。昭和五十七年、八二年にも参議院で審議をやりまして、衆議院では草川代議士がやっていただいておるのです。 先生にちょっとお伺いしますが、今までの国会における審議の状態などを見てどのように受け取られていますか。
○参考人(富永祐民君) ただいま片山先生が申されましたように、昭和五十六年の第九十四回国会の参議院の社会労働委員会で、当時先生が委員長をなさっておりますときに禁煙を呼びかけられました。それは私もその当時新聞で拝見いたしました。それから翌年の三月に開かれました第九十六回国会の予算委員会で片山先生が喫煙問題を取り上げられたわけでございますが、その当時実は私も議事録を読ましていただいておりましたが、今回参考人としてお呼びいただくことになりましたので、改めてもう一度議事録を読ましていただきました。 その結果、印象といたしましては、片山先生は喫煙問題の核心を非常に的確にとらえておられまして、それから片山先生の御指摘に対する当時の厚生省の公衆衛生局長さんあるいは大蔵大臣などから、財政よりも健康を重視するというような答弁を引き出しておられますし、国会議員の先生方の御発言あるいは御活躍は非常に社会的に影響力が大きいものですから、私たち喫煙問題に取り組んでいる研究者あるいは科学者のグループからいたしましても大変心強い感じがするわけでございます。 以上が先生方の、特に先生の喫煙問題に取り組まれていることに関する私の印象でございます。
○片山甚市君 私は今から五、六年前はたばこを一日に六十本ぐらい吸っておったのでありまして、たばこを悪者にする資格はありませんので、そういう意味でたばこについて申し上げるのは、病気をつくるたばこ病と称する有病率の高い有害食品といいますか商品をどうしても日本の国からできるだけ少なくしていきたい、根絶できるならしていきたいというつもりでありまして、本日もたばこ好きな人がたくさんおりますから、あのやろう勝手なことを言っておるのじゃないかとおっしゃるかもわかりませんが、並み並みならぬ決意をしてたばこをやめたのでありまして、決してたばこが簡単にやめられるものでないということを知らないものでありませんから、そのつもりでお聞き願わないと、少し私の言い方は乱暴ですからとげが刺さることがあるかわかりませんが、決して悪意はございませんので御了承願いたいと思います。 そういう意味で、たばこの問題では吸われる人の自業自得はある程度やむを得ないとしても、副流煙、間接喫煙によって大変な被害をこうむることになるのですが、その事例として先生は副流煙、それをどういうふうに受け取られるか、まずお答えを願いたいと思います。
○参考人(富永祐民君) 副流煙の影響について御説明さしていただきたいと思います。 まず副流煙でございますが、副流煙は御承知のようにたばこの火のついた先端から立ち込める煙のことでございます。それに反しまして、たばこの吸い口から吸い込む空気を主流煙と呼んでおります。一般的に副流煙の中には主流煙に比べて発がん物質を初め、いろいろな刺激物質などの有害成分の濃度が二、三倍から多いものでは数十倍も高くなっております。ですから、主流煙に比べまして副流煙の影響はかなり大きいものと考えられます。なぜ副流煙でそのように有害物質が多くなるかと申しますと、主流煙ではたばこを吸うときに空気を吸いますので、火がよく燃えます。よく燃焼いたしますと有害成分の発生が少なくなるのでございますが、たばこを置いた状態では自然に燃焼する形になりますので、酸素の供給が不十分になりまして不完全燃焼の形になります。そうしますと、有害成分が非常にたくさん発生するわけでございます。副流煙の問題は、特に影響に関しては受動喫煙としてとらえられるわけでございますが、今までのいろいろな疫学調査の結果は主として主流煙、たばこを吸う本人の健康に対する影響を調べておりましたが、最近いろいろと副流煙に関する疫学調査が行われまして、副流煙も健康にいろいろと悪い影響を与えることが明らかになってきております。
○片山甚市君 実は、たばこ産業株式会社もたばこの箱に健康のために吸い過ぎないようにということを書いております。たばこが有害なものだと書かないで、たばこを吸い過ぎなければいいというようにとられるようなたばこの表示をしておりますが、外国と違うということで私が指摘をしておるのですが、先生、このたばこに対するたばこ産業の警告についてもっと適切な言葉はないでしょうか。
○参考人(富永祐民君) 我が国のたばこの包装に書かれております警告文は、「健康のため 吸いすぎに注意しましょう」ということでございますが、印象として非常になまぬるい感じがいたします。諸外国では、特にアメリカ、カナダ、北欧諸国あたりではもっと端的に喫煙の影響を警告しております。「吸いすぎに」と言いますと、もう既に吸い過ぎているということは「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということでございますので、やはりもう健康を害してもそれは吸い過ぎだったのだという逃げ口上にもとられる可能性がございますので、喫煙は吸い過ぎなくても、少し吸っていてもそれだけの影響がありますので、やはりもう少し適切な警告文に変える必要があろうかと思います。
○片山甚市君 これも商売の関係で人の命より金をもうけることが忙しい人にはそう言ってもおもしろくないと思うし、好まれる人からいえば大体そういうものを書いてもらったならばおもしろくない、気持ち悪い。お金を出して買うのに、これは有害商品ですと書かれたら大変だと思う気持ちはありましょうが、現実に医学的にも疫学的にも有害商品であることが明らかでありますから、そういう意味でこれから国民の合意を得て、他人に迷惑をかける喫煙はできるだけおやめいただくように、本人のためにもならない喫煙はできるだけ節煙するように、のむとしたら自分だけこっそりのむようにしてもらって、大きな顔してのまないようにしてもらう、こういうことをするのが公衆道徳。道徳教育をやられる先生方は特にこれをやってもらわないと今後道徳を語る資格はない。人を殺すようなたばこを顔に吹きかけておいて、知らんふりして親孝行をせよとか日の丸を掲げよとか君が代を歌えと言っても聞きませんから、そういう意味で私たちとしては相まって、親孝行をする、日本の国をあがめるということはいいですけれども、そういうことで特にお聞きしました。 そこで、子供のことですが、自動販売機が大変たくさんあるのでありますが、そのことは子供たちが自由に買えるのでやめたらどうかと私は言いましたけれども、一向に減る様子がないのですが、それについての対策はどういうようにとられたらいいと思われますか。
○参考人(富永祐民君) 自動販売機は非常に重要な問題でございます。自動販売機があるがゆえに特に未成年者でも大人の目を盗んであるいは保護者の目を盗んで簡単にたばこが手に入ります。したがいまして、その自動販売機の設置場所を規制する、あるいは自動販売機の設置台数を規制するということは我が国の喫煙対策を進めるための具体策の中では大変重要な問題でございます。特に私は未成年者の喫煙問題を大変重視しておりますので後ほどこのことについて述べさしていただきますけれども、その具体策の一つとしまして自動販売機の規制が非常に重視されると思います。
○片山甚市君 ありがとうございました。 それで、我が国における喫煙対策の重要課題としてどういうことを重点的にやられたらいいと先生は思っておられますか。
○参考人(富永祐民君) 我が国における喫煙対策の重点課題はたくさんございますけれども、特にその中でも私自身が重要と考えていること——多分私だけではなくて、喫煙問題に関心をお持ちの方はほとんど同意見であろうかと思いますが、次のようなことが考えられます。 五つございますが、まず第一番目に思いますことは、特に政府部内に喫煙対策本部あるいはそれに類したような協議会あるいは連絡協議会のようなものを設けまして、我が国の喫煙対策を策定する必要があろうかと思います。これまで政府部内、関係省庁ではそれぞれに喫煙対策に取り組んできておられますけれども、やはり関係省庁がそれぞれ意見を交換し、持ち場をきちっと決めた上で対策に取り組んだ方がより効果的ではないかと考えます。それで、このような組織は単に政府部内だけではまだ不十分でございまして、関連する民間団体なども組み込んだ形で我が国の喫煙対策推進のための中心的な役割を演ずるような組織になっていただきたいと思います。 二番目に思いますことは、先ほど申し上げましたことでございますが、未成年者の喫煙開始の防止でございます。我が国には未成年者喫煙禁止法がございますので、未成年はたばこを吸ってはいけないことになっております。従来、未成年者の喫煙は非道徳的な行為としてとらえられておりましたが、後ほど申し上げますように、未成年者の喫煙は健康に特に悪い影響を与えますので、これを大変重要な問題であると考えております。 三番目は禁煙対策の推進でございます。我が国特に男性ではまだ喫煙者が非常に多うございますので、今たばこを吸っている人たちになるべくたばこをやめていただくような、そういうふうな対策を推進すべきであろうと思います。 四番目に大切と思われますことは、最近若い女性の喫煙がかなりふえております。若い女性の喫煙はまたいろいろな意味で大変重要な深刻な影響を与えますので、若い女性の喫煙開始の防止、あるいは吸っている人では禁煙のための対策を強力に推し進めること、これが大変重要であろうかと思います。 五番目に重要なことは、あるいはこれが最も緊急の課題であるかもわかりませんが、公共施設での禁煙の推進、これがあろうかと思われます。 以上の五つの点が特に今重要と考えられる喫煙対策上の課題であろうと思われます。
○片山甚市君 そういたしますと、たばこの広告について、テレビとか新聞とかでアメリカや外国に比べると非常に野放しになっておる感じがするのですが、先生はああいうふうな広告については是認されますか。
○参考人(富永祐民君) 先ほど重点課題の中で広告を別に取り上げませんでしたけれども、この第一番目の喫煙対策本部のようなものを除きまして、二番目以降、未成年者の喫煙あるいは禁煙対策の推進、若い女性の喫煙開始の防止あるいは公共施設での禁煙推進、これをやろうと思いますと、やはり広告というのは非常に重要な問題になります。 今先生の御指摘の広告というのは、多分たばこの販売促進の広告のことであろうかと思われますが、やはりこれは、当然何らかの形できちっと規制する必要がございますし、逆に、たばこを吸い始めないように、あるいはたばこを吸っている人がやめるように健康教育のための宣伝あるいは広告、これも今後もっと強力に推し進める必要があろうかと思います。
○片山甚市君 私は、消極的に、たばこを売ることについての広告が行き過ぎではないか、こう言ったんですが、先生は、むしろ防煙、禁煙、節煙をする、たばこは害がありますよ、だから気をつけなさいよ、できるだけ遠慮した方がいいですよというダメージを与えるような広告をしようというのですから、先生は非常にラジカルですね。 そこで、第一番の政府部内に喫煙対策本部を設置するということを言われておるのですが、そのあり方についてどういうものが関係しておるのですか、ちょっと説明してください。
○参考人(富永祐民君) まず、第一の課題の政府部内に喫煙対策本部のようなものを設けるということでございますが、これは既にWHO——世界保健機構が各国の政府に勧告していることでございます。したがいまして、我が国でも何らかの形でこのような組織をつくる必要があろうかと思います。 政府の中でいろいろな省庁がたばこに関係しておりますが、まず健康に関係している省庁から申し上げますと、中心的役割を演ずるのはやはり厚生省であろうかと思います。厚生省では特にがんあるいは循環器疾患などの成人病の予防あるいは健康づくりのための禁煙あるいは特に母子、妊婦の喫煙に対する指導などがございます。 それから、文部省におきましては、初中教育などを通じまして、単に非行の立場で未成年者の喫煙を取り締まるのではなくて健康問題として喫煙をとらえる必要があろうかと思います。 それからさらに、労働省におきましては、労働者の健康、これに喫煙が大変関係しております。もちろんアスベストあるいは砒素、クロムのような有害物質を取り扱う職場での喫煙は非常に危険でございますので、それらは法律で規制されておりますが、私が痛感しておりますのは、一般の職場でもかなりたばこを吸っている人が多いものですから、たばこを吸わない労働者が受動喫煙の影響を受ける可能性が非常に大きいことが挙げられます。それから、労働者自身の健康づくりとしても禁煙は重要なことであろうと考えます。 それから、本日のこの委員会に関係することでございますが、環境庁におきましても、私が冒頭で申し上げましたように、特に大気汚染系の大人の指定疾病にかかった患者さんの中でたばこを吸っている患者さんがおりましたら、これはやはり一般的医学常識からいいまして、健康回復のために禁煙を勧める必要があろうかと考えます。 これらの省庁は特に健康サイドで関係している省庁、政府機関でございますが、ほかにもいろいろな政府機関が喫煙問題に関係しております。それを挙げますと、例えば大蔵省におきましては、たばこからの税金、これが国家歳入の中で大変重要な役割を演じておりますので、そういう意味から、大蔵省も非常に関係しております。 それから、農林水産省の方では、葉たばこ生産農家が関係いたしております。 それから、通商産業省では、葉たばこあるいはたばこ製品の輸出入、あるいはたばこの自動販売機の設置にも関係していようかと思います。 警視庁あるいは警察庁などでは、未成年者喫煙禁止法の関係で、非行少年の取り締まり、青少年の取り締まりなどに関係しておりましょう。 それから、運輸省の方でございますが、これは公共輸送機関、特に国鉄あるいは飛行機、そのほかいろいろな乗り物がございますので、このような乗り物の中での禁煙席をたくさん設けることなどでやはり関係いたしております。 郵政省の方は、テレビ、ラジオなどを通じてのたばこ販売のための広告、これの規制に関係いたしております。 それからまた、消防庁などは、火災に関係しております。 したがいまして、たばこは、健康問題だけではなくて、経済面、そのほかいろいろな面で非常に根が深いものですから、それだけに関係している省庁も多くなっております。しかし、このようにいろいろな省庁が関係しておりますけれども、ほかの国の動きを見ておりますと、健康を守るサイドの省庁と、それから税金を介して歳入を多くしようとする省庁の間でやはりそれぞれ利害が相反しておりますので、その政府部内でも必ずしもしっくりいっていないようでございます。少なくともいろいろな省庁の中で、健康問題に取り組んでいる省庁は、最低限情報を交換するなり、持ち場をきちんと分担するなりしまして、政府部内でそのような連絡機関、協議会のようなものを設置する必要があろうかと考えられます。 それから、政府部内にこのような機関を置くことも大事でございますが、やはりそれを実行するのはいろいろな実施機関でございますので、特に関係のある民間団体、例えば一例を挙げますと、日本対ガン協会などはがんの予防、それから結核予防会なども肺がんあるいは閉塞性肺疾患の予防、日本心臓財団は心臓病の予防、それから健康・体力づくり事業財団などは、健康づくりとして喫煙問題を取り上げる必要があろうかと思います。したがいまして、このような民間団体が一致団結してやれるように政府が一応調整の役割を演じ、指導する必要がございます。また、民間機関は財政的に非常に弱いものですから、財政的な援助もある程度必要であろうかと考えます。そのほか、日本医師会、あるいはいろいろな教育機関、研究機関などとも連携を保ちながら我が国の喫煙対策を進める必要があろうかと思います。
○片山甚市君 先生のお話は、政府部内に喫煙対策本部を設けて、指摘されるように十一省庁に関係するのですから、政府としての統一見解を持つことが何としても大切だ、その上に関係団体の協力だと言われておるのですが、これから未成年者の問題も含めまして喫煙に関する教育機関の役割についてお聞きしたいのですが、いかがでしょう。
○参考人(富永祐民君) 喫煙に関する教育機関でございますが、いろいろあろうと考えます。 まず、大学から始めますと、大学の中でも特に医学部などでは医師の教育をやりますので、医学生に対して喫煙と健康の害、これをきちんと教え込みまして、医学生が医師になったときに、患者さんの診療に当たったときに喫煙対策をきちんとやれるようにする必要があろうかと思います。 それから医師と並びまして看護学校あるいは看護短大あたりでも看護婦さん、保健婦さんの養成をいたしておりますが、この人たちに対しても喫煙と健康に関する知識をきちんと与えておく必要があろうかと思います。 それから、特に教師を養成する大学の教育学部あるいは教育大学などでも、単に保健体育の先生だけではなくて、すべての先生に喫煙と健康に関する知識を与えまして、先生が生徒の喫煙に関する指導ができるようにしておくことが重要かと考えられます。 以上が特に喫煙に関係のある教育機関でございます。
○片山甚市君 喫煙対策に対する研究機関としての役割としては大体今どうなっていますか。
○参考人(富永祐民君) 研究機関といたしましても幾つかございます。特に基礎医学の領域では病理学、生理学などがございますが、これは喫煙と健康に関する影響を、基礎医学的な立場で動物実験などをいたしまして、きちんと証明する必要がございます。臨床、特に内科、小児科、産科などでは患者さんが喫煙している場合にはその健康回復のために、療養のためにたばこを吸わないようにきちんと指導する必要はございますし、妊婦が喫煙しております場合には胎児に非常に悪い影響を与えますので、そのような指導もきちんとやる必要がございます。 それから私たち公衆衛生、疫学領域では喫煙は大変重要な課題でございますので、特に疫学調査を行いまして喫煙と健康の関係をさらにはっきりさせるとか、あるいは両者の因果関係だけではなくて、どうすればたばこがやめられるか、やめた人たちはどういう理由でやめているか、あるいはなぜ吸い続けているか、こういった心理行動学的な研究なども必要であろうかと考えられます。 以上でございます。
○片山甚市君 今、先生のお話によると、基礎医学、臨床医学、公衆衛生、疫学について三位一体でこの研究を行わなければ十分な効果は上げられない、こういうことで教育機関並びに研究機関の役割の重要性が明らかになったと思います。 そこで、先生から先ほど御指摘のありました未成年者の喫煙開始を防止するために努力しなければならぬ、喫煙対策の基本はそこにあるというふうにおっしゃったのですが、それについてのお考えをお述べいただきたいと思います。
○参考人(富永祐民君) 未成年者の喫煙防止は私が最も重視している分野でございます。私が喫煙に関心を持ち始めましてからまず手がけましたのは、現在たばこを吸っている人にやめていただくようにする運動、仕事でございましたが、既に長年たばこを吸っている人たちにたばこをやめていただくのは大変難しいということがわかりました。あなたの健康に悪い影響を与えるから、あるいは肺がんにかかる危険性が五倍であるからと幾ら申しましても、なかなかその影響力はないわけでございます。強いて言いましたら、たばこを吸わない周囲の人たちにも悪い影響を与えるからと言いますと少しは手ごたえがあるようでございましたが、それとて決定的なものではございませんでした。 そのときに、その過程で思いましたのは、喫煙習慣が身についてしまってからではやめるのはなかなか大変だ。したがって喫煙習慣が身につかないようにする、具体的にはまだたばこを吸い始めていない小学、中学、高校——高校ではもう少し遅いかもしれません。特に小学高学年あるいは中学一、二年生ぐらいを対象にして喫煙と健康に関する知識をきちっと教えて、そしてその人たちが大人になってから安易に軽い気持ちでたばこに手をつけないように、たばこを吸わないようにさせることの方がうんと効果的ではないかというふうに考えました。それで、未成年者の喫煙が重要であるのはもう一つ理由がございます。それは何かといいますと、喫煙の健康への悪影響、特に肺がんの危険性を高めることなどにつきましては、吸い始めの年齢が若ければ若いほどその危険性が大きいということが疫学的研究から明らかにされております。したがいまして、高校生よりも中学生の喫煙はより危険でございますし、小学生の喫煙はもっと危険であろうと思われます。したがいまして、未成年者の喫煙はより悪影響の度合いが大きいということからも特に重要であろうと考えられます。
○片山甚市君 私の手元に、日教組が参加する「禁煙教育を考える会」渡久山長輝さんの言葉がありますが、昨年から団体をつくられて教育の場でこれを生かしていきたいということでありますが、未成年の喫煙の状態は、小学校のときから始めた人が三割ぐらいおるというふうにとらえておるのですが、先生の方ではお手元に何か資料はございませんか。
○参考人(富永祐民君) 実は二十歳以上の喫煙の実態につきましては、昨年度まで日本専売公社がかなりきちっとした調査を、以前から毎年喫煙の実態調査をやっておりますので、二十歳以上の喫煙の実態はかなり明らかになっております。しかし、未成年者の喫煙は、未成年者喫煙禁止法があることが一つの理由になっておりまして、余り大大的に、系統的に喫煙の実態についての調査は行われておりません。幾つかの断片的な調査はございますし、私たちも中学、高校生を対象にした喫煙の実態調査を行っておりますが、それからいいますと、高校生などでは三〇%から五〇%ぐらいは喫煙しているようでございますし、中学生の間でも、特に男の生徒ではもう一〇%ぐらいは喫煙しております。高校生ではもう常習喫煙者もかなりふえておりますが、小学、中学生の喫煙はおもしろ半分にちょっと吸ってみたというのが多うございまして、大人のように毎日たばこを吸っている生徒の割合は比較的少ないわけでございます。俗に七五三などと呼ばれておりまして、高校生七割、中学生五割、小学生三割などという数字が挙がっておりますが、毎日吸っている生徒の割合は決してそんなに高いものではありませんで、やはりおもしろ半分に吸ったことがあるというのを含めましたらそのような数字になるかもわかりませんが、実態は余りはっきりいたしておりません。したがいまして、これからやるべきことは大人の喫煙の実態調査だけではなくて、小学、中学、高校生など、あるいは一部大学も含めまして未成年者の喫煙の実態もきちっとした形で明らかにしておく必要があろうかと考えます。
○片山甚市君 日教組の中小路書記長の言葉によると、未成年者の禁煙は私たちの責任であるとの認識で、非行調査の一環ではなくて、本格的な健康教育ととらえてこれから取り組みたいとおっしゃっていますが、恐らく文部省も同じような気持ちだと思いますが、そのようなことで防煙——喫煙を防いでいくということに中心を置かれる、先生はこういうようなお考えですか。
○参考人(富永祐民君) 今、片山先生の方から防煙という言葉が出ましたが、これは煙を防ぐ、たばこを吸い始めることを予防することを防煙と呼んでおられると思います。禁煙という言葉は全く普通に使われておりますのでよくおわかりいただけると思いますが、もう一つの言葉で最近分煙という言葉が生み出されました。以前は嫌煙権という言葉が出されまして、大変社会的にも注目を集めましたが、嫌煙権といいますとやや権利主張、とげとげしい感じもございまして、一部にはたばこを吸っている人たちの反発を受けるようなこともございました。最近は嫌煙と並んだ形で分煙、つまりたばこを吸っている人と吸っていない人を分けようというふうな形になってきたわけでございます。 一番最初は防煙、第一のとりでと申せましょうか、これが防煙でありまして、防煙で失敗しますと吸い続けるわけでございますから、次には禁煙ということになりますが、どうしてもたばこをやめられない、あるいはやめたくないという人もかなり残ると思います。この人たちはたばこを吸わない人たちに迷惑をかけないような形で吸っていただけばよろしいのでございまして、その場合には最終の段階で分煙ということになろうかと思います。したがいまして、分煙というのはもうぎりぎりの一番最後の線でございますので、これは対策がおくれた場合の処置でございますが、しかしながら緊急課題でございますので、当面分煙に関する対策も強力に推し進める必要があろうかと思います。禁煙がかなり進みますと、余り分煙をしなくても周囲に対する影響は少なくなるわけでございますから、禁煙はもっと効果的でありますし、たばこを吸っている人自身の健康づくりにも役立ちますし、がんあるいは循環器疾患の予防にも役立つと思いますので、より効果的でございます。 しかし、先ほど言いましたように、一度吸い続けてしまいますとなかなかやめられないものですから、やはりたばこに安易に手をつけて、知らぬ間に習慣性になってしまわないように防煙が一番最初の対策、これを強力に推し進める必要があろうかと思います。防煙の効果というのはすぐにはあらわれませんで、やはりスウェーデン、カナダあるいはアメリカなどで計画しておりますように、十年、二十年の計でやっと効果があらわれてまいりますが、このような長期計画とあわせまして、現在緊急と考えられております分煙対策あるいは禁煙対策、これも同時に推し進める必要があろうかと思います。
○片山甚市君 先生から防煙、禁煙、分煙の戦略的なお話を聞きましたが、そこで、日本の国における成年男子の喫煙率は先進国の中でも最も高い感じで七〇%を超えております。アメリカ等では三〇%台、四〇%台でありますが、これについてどのようなお考えを持たれるか。私たちはやはり親が模範を示すのでありますから、これからどのような形で喫煙対策をしたらいいのか、先生のお考えを聞きたいと思います。
○参考人(富永祐民君) ただいま片山先生からお話しのように、我が国の喫煙者、特に男性の喫煙者の割合は世界的に見まして非常に高率でございます。昨年度の日本専売公社の調査の結果から見ますと、二十歳以上の男の喫煙率は六五・五%、女は一四・〇%でございます。この六五・五%という数字でございますが、これは実はかなりこれでも低くなっております。一番高い数字は、私が調べましたところ昭和四十一年度の調査でございまして、そのときには二十歳以上の男では約八四%が喫煙者でございます。女性でも一八%が喫煙者でございます。女性は従来一五%前後でございますので、先進諸外国と比べますと日本人女性の喫煙率はかなり低率でございますので、むしろ模範的といいますか、かなりいい線をいっているわけでございますが、特に男の喫煙率は、最近非常に下がってきたとはいえまだ六五%、これは先進諸国の喫煙率と比べると非常に高率でございます。 最近の調査の結果から見ますと、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスあたりでは男性の喫煙率はいずれも三〇%台に下がってきております。諸外国のうちでもイタリア、フランスなどでは、日本ほどではございません。比較的高率でございますが、大部分の先進国では喫煙者の割合は非常に下がってきております。我が国では男の喫煙者の割合が非常にまだ高いのでございますが、やはりそのことが一つの大きな原因になりまして、肺がんを初めとしましていわゆるたばこ病というものを非常にふやしている可能性がございますし、肺がんなどにつきましてはその影響がすぐに出ませんで、たばこを吸い始めてから二十年、三十年、あるいは場合により五十年もたちましてから影響が出ますので、将来ますます肺がんなどもふえてしまう危険性がございます。したがいまして、最近喫煙率は低下傾向にありますけれども、まだ他の国と、特に先進諸国と比べますと非常に高いものですから、さらに禁煙の対策を進める必要があろうかと思います。特に、喫煙率は高いのでございますが、今たばこを吸っている人たちの中でも約半数以上の人たちはできることならたばこをやめたい、何度かたばこをやめようとしたけれどもなかなかうまくいかないという人たちが非常に多いわけでございますから、やめようと思っている、やめたいと思っている人たちに対していろいろな形で政府あるいは民間団体などが手を差し伸べてたばこをやめやすいようなしかけをつくる、これが大変重要であろうかと思います。
○片山甚市君 先生から温かいお言葉いただきました。たばこをのむ者は何も好きこのんで始めたのではなくて、初めはいたずらだったりおもしろ半分でやったことでしょうが、習慣性というのは恐ろしいもので、やめることは苦痛でありますし、やめたいといってもやめ切れない。そういうことでやはりそのノーハウをつくることがこれからの我々の役割だと思っております。 説明がありましたうちで、若い女性についての喫煙対策が最も大切だと思うのは、やはり子供をお産みになるお体、子供がお生まれになったらば子供を育てなければならない。子供に対しての、次の世代を担う者に対しての非常に大きな課題で、男の場合は奥さんの健康を害したり家族の健康を害したりするだけで、同じ世代ですからどうということはありませんが、女性の場合は次の世代に対する責任があるという意味で、先生の一つのお考えを述べていただきたいと思います。
○参考人(富永祐民君) 未成年者に対する喫煙対策と同じぐらい重要な問題としまして若い女性に対する喫煙対策が挙げられます。これは今、片山先生が御指摘のように若い女性で妊娠した場合に胎児の成長に悪い影響を与えること、これが一番大事でございますが、若い女性の喫煙はこれだけではなくて三重に悪いと考えられます。 それを言いますと、まず、若い女性が妊娠してもしなくても、これは男であろうと女であろうと、たばこの健康に対する影響は同じでございますので、たばこを吸いますと本人の健康を害する。我が国の女性の喫煙率は一四、五%で比較的低いものですから肺がんの率もそれほど高くはありませんが、最近女性の肺がんもかなりふえております。したがいまして、女性といえどもたばこの健康に対する悪い影響は男性と全く同じです。これは私の言葉ではありませんで平山先生の言葉でございますが、「男女同権同被害」というふうに言っておられます。やはりたばこは吸っている若い女性の健康そのものを害しますし、また同時に、女性ですと美容にも悪い影響を与えます。なぜかといいますと、たばこの煙に含まれるニコチンのために皮膚の血液循環が悪くなること。それから、たばこを吸いますと血液中あるいは組織のビタミンCをかなり破壊しますので、その面からも美容に悪いと考えられます。 第二番目は、先ほど申されました一番大事な問題、つまり妊婦の喫煙でございますが、妊娠中にたばこをずっと吸い続けておりますと今までのいろいろな調査から未熟児あるいは早産児の生まれる率が非常に高くなることが明らかにされております。未熟児、早産児のほか流産、死産の率も高くなっております。特に妊婦の喫煙とその胎児の成長に与える悪い影響のこの両者の関係は、たばこと肺がんの因果関係と同じぐらい明白にされておりますし、またその影響度も非常に大きいと考えられます。 三つ目の悪い影響といいますのは、妊婦が出産を終わりまして子育ての段階に入りまして、お母さんになった段階でたばこを吸いますと乳幼児に対して、また特に呼吸器に対して悪い影響を与えます。このお母さんの喫煙と乳幼児の呼吸器疾患などにつきましてはいろいろの調査が行われておりますが、愛知県の知多保健所で三歳児健診を行ったときに、両親、家族の喫煙状態を同時に聞きまして三歳児の呼吸器疾患との関係を調べた調査がございますが、その調査の結果からわかりましたのは、お父さんがたばこを吸っておりましても、もちろん少しは関係しておりますが、そんなには三歳児の呼吸器疾患、特にぜんそく様気管支炎と呼ばれる呼吸器疾患でございますが、ぜんそく様気管支炎を少しはふやしている傾向がうかがわれますが、それほどはっきりしておりません。しかし、お母さんがたばこを吸っておりますと三歳児のぜんそく様気管支炎が非常にはっきりとふえております。これは父親よりも母親との接触時間が長いからでありまして、当然のことかと思われます。今申し上げましたように、若い女性の喫煙は本人の健康に対する悪い影響、それから妊娠したときの胎児の成長に対する悪い影響、それからさらに喫煙を継続した場合には子育ての段階で乳幼児に、特にその乳幼児の呼吸器に悪い影響を与えるであろう、こういうことから若い女性の喫煙対策が非常に重要視されます。 日本専売公社が毎年行ってきました調査の結果から見ますと、男性ではほとんどの年齢層で喫煙率は低下しております。女性でも四十歳以上では低下しております。三十歳代では横ばいに近い状態でございますが、二十歳代の女性では明らかに増加してきております。十歳代、ハイティーンにつきましても多分かなり増加しているのではないかと考えられますが、これにつきましては調査が行われておりませんのではっきりした数字はござ いません。
○片山甚市君 「タバコは動くアクセサリー」ということで御婦人に大変魅力的なキャッチフレーズでたばこを押し売りしていますから、そういうことが早くやまるように願うところです。成人男子の問題が出ましたところで、若い未成年の方、若いお母さんのことが出ました。 そこで、公共の場所における喫煙対策ですが、列車など移動体の中の問題、あるいは公会堂みたいな会場の形、こういうところにおける禁煙対策についてどのような措置をとることが今日的に、具体的に実現できることであり、すべきだと思われますか。
○参考人(富永祐民君) 先ほど申し上げましたように、我が国の男子の喫煙率は諸外国に比べて非常に高いわけでございます。特にこれまでは喫煙者の喫煙マナーもそれほどよかったとは考えられませんで、今までの日本における社会習慣からしますと目の前でたばこを吸ってもそれは当たり前という感じがいたしましたが、最近は嫌煙権が社会問題化したこととあわせまして、周囲のたばこを吸わない人の健康に対しても悪い影響があるということが科学的にかなり明らかにされてきましたので、特に最近は公共施設での禁煙対策がかなり進んでおります。しかし、まだこれは不十分でございまして、いろいろな公共施設、不特定多数の人々が集まる場ではできるだけ禁煙にすべきだと思います。これまでは病人あるいは高齢者あるいは乳幼児などが集まる場では特に影響が強いと考えられますので重点的に禁煙対策を進めてまいりましたが、一般人、元気な人に対しましても悪い影響を与えると考えられますので、さらに禁煙ゾーンを拡大する必要があろうかと考えられます。 特に乗り物を取り上げますと、最近は新幹線でも禁煙車両がかなりふえてまいりましたけれども、日本人のたばこを吸わない人の割合から考えますと禁煙車両の台数はまだ少な過ぎると考えられますし、飛行機あるいはバス、そのほかいろいろな乗り物で禁煙をさらに進める必要があろうかと思います。そのほか病院、役所、あるいは駅の待合室、あるいは不特定多数の人々が集まる場所としまして、大都会にあります地下街などでも換気の関係から禁煙を推進すべきではないかと考えられます。さらにレストランあるいは喫茶店などでも、完全な禁煙はできないまでにしましても、いわゆる分煙という形でたばこを吸う人のコーナー、吸わない人のコーナーというような形で分けていくことは実現可能だと思います。 これまで余り公共施設としてとらえられなかったところで禁煙が必要な場所がございますが、具体的に申し上げますと、一般事業所の職場でございます。職場もこれは公共施設とは言えないかもわかりませんが、大勢の人たちが同じ部屋で仕事をしますし、その場合にはたばこを吸わない人もまじって仕事をいたしますので、職場におきましてもたばこを吸わない人が悪い影響をこうむらないように、具体的に申し上げますと喫煙室を設けるあるいは喫煙コーナーを設けるなどしまして、たばこを吸うときにはそこへ行ってたばこを吸ってまた仕事をするというような形であれば比較的害は少なくなろうかと考えられます。 御承知かと思いますが、サンフランシスコあるいはロサンゼルス、最近ではそのほかの都市でも普及し、かなり進んでいると言われておりますが、いわゆる分煙条例、ここでも嫌煙条例という言葉を使いませんが、事業所、特に労働者の喫煙者と非喫煙者を分けて、非喫煙者が迷惑をこうむらないように事業主が対策を立てなければならないというような条例ができております。この条例は、我が国でいいますと労働省の筋から行ったものじゃございませんで、むしろ市民活動から沸き上がってこの条例が制定されたものでございます。 〔委員長退席、理事丸谷金保君着席〕 したがいまして、我が国でもやはり労働者の健康保護あるいは健康づくりの観点から単に労働安全衛生法で示されている基準をクリアしているからこれで大丈夫というのではなくて、いわゆる公共施設での禁煙と同じような配慮で職場の喫煙対策もぜひ進めていただきたいと思っております。 もう一つ、公共施設ではございませんが、職場、蝟集で大事なところは小学校、中学校などの学校の職員室の禁煙でございます。これはやはり若い女性の喫煙と同じでございまして、やはり三つの影響があります。 一つは先生、これはたばこを吸ってもいいわけでございますが、吸いますと、吸っておられる先生の健康を害します。職員室の禁煙は、たばこを吸わない先生も非常に多うございます。特に女の先生の喫煙率は非常に低率でございます。大部分の女の先生はたばこを吸われませんので、女の先生方はたばこを吸われる男の先生方の煙の影響をかなり受けられます。 また、若い先生で妊娠されておりますと、受動喫煙で胎児の成長が阻害されるというふうなデータはまだはっきりと出ておりませんが、その可能性も否定し得ませんので、特に職員室あたりなどでは禁煙対策をぜひ進めていただきたいと思います。 さらに三番目の理由としましては、学校の先生は生徒の喫煙を取り締まる、規制する、監督する立場にあるわけでございますが、職員室がたばこの煙でもうもうとしているような状態ではやはり生徒の喫煙を取り締まる場合にも影響力は余りないかもしれませんので、そのような三つの観点から、つまり本人の健康に対する悪い影響、周囲のたばこを吸わない先生に対する悪い影響、それから生徒の喫煙を指導する立場にあられる先生という立場上の問題、この三つの理由から、一般の公共施設のほかにさらに職場、特にその中でも学校の職員室などの禁煙あるいは分煙対策をぜひ推進していただきたいと考えております。 〔理事丸谷金保君退席、委員長着席〕
○片山甚市君 頂門の一針のようなお言葉をいただいて、実行が非常に望まれるところでありますが、関係の方々の御努力によって今言われたようなことが本当に一つ一つ積み上げられて実現するように期待をしたいところです。 先生のお言葉を要約すると、まず政府が中心となって我が国の喫煙対策を推進するための基本構想政策を具体的に示して、先ほどおっしゃった防煙、禁煙、分煙のような戦略を確実にできるような方策をつくることだとお聞きしました。これができましたならば、次に緊急を要する課題、計画的に各分野の担当者がリーダーとなって次々と広範な方々の御努力で実施していかなければ、ごく一部のリーダーの方々だけではだめです。ボランティアの方々の必死な努力だけでは十分な効果が上がらないというようなお言葉だったように思うのですが、先生のお考えはどうでしょうか。
○参考人(富永祐民君) 全くそのとおりでございまして、関係省庁がまず我が国の喫煙対策を考えて、それを打ち立てた上で民間団体あるいはそのほかの関係団体などの協力を得て、一丸となって喫煙対策を推進する必要があると考えられます。
○片山甚市君 行政機関に対する御指摘だと思って承っておきます。 そこで、富永参考人から貴重な御意見を拝聴することができ今後の喫煙対策に対する取り組みに大いに参考になりました。御出席をいただきましてどうもありがとうございました。 さて、お聞きしたとおり多くの問題点が指摘されましたが、まず厚生省から、これらの意見を踏まえ、具体的にどのような対策をとられるのかお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(郡司篤晃君) お答えいたします。 喫煙の健康影響につきましては、昭和三十九年に局長通知をもちまして、長期多量の喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは明らかであり、国民保健の立場からその害に関する啓蒙措置をとる必要があるということで、努力方を各都道府県等に通知したわけであります。その後におきましても、病院等におきます公共の場所における喫煙の規制等あるいは調査研究あるいはその調査結果の公表等を通じまして、国民の一人一人に自覚を求める啓蒙政策をしてきたわけでありまして、今後も可能な限り、またあらゆる機会を使いましてそのような行政を続けていきたいというふうに考えております。
○片山甚市君 具体的に、今どういう取り組みをしていかれるのかについて、ありませんか。
○説明員(郡司篤晃君) 先ほど先生から御指摘のとおり、四月からたばこの販売合戦が強まることが予想されておりまして、喫煙と疾患との関係、疫学的な因果関係は明らかでありますので、喫煙率がふえれば疾病が増加する、こういう関係にあるというふうに考えておりまして、厚生省といたしましては危機感を持っているわけであります。 厚生省は喫煙の健康影響に関する判断をする主務官庁であるというふうに思いますので、そういう立場からWHOの勧告等を受けまして何らかの組織が必要であろうというふうに考えておりまして、現在省内でこれはまだ準備途中でありますので先ほどお答えしませんでしたけれども、さらにお尋ねでございましたので、そういう状況を御説明させていただきます。
○片山甚市君 速やかに策定していただきまして、喫煙対策のかなめの省としての役割を果たしてもらいたいと思います。 次に、富永参考人からも御指摘がありましたが、労働省としては、職場環境を浄化する立場からいっても、職業病をつくらないためにも、どのような施策をとるべきか、お話を聞いてのお考えを述べていただきたいと思います。
○説明員(福渡靖君) 労働省におきましては、従来から、労働安全衛生法等に基づきまして、労働者の健康を確保する、こういうために労働衛生管理対策の徹底を図ってきておるわけでございます。これらの労働衛生管理対策は、言いかえれば、生産活動に伴って生ずる労働者の健康障害を予防し、そして健康を確保するという観点から、事業者に実施を義務づけているわけでございます。 御指摘の喫煙問題につきましては、本来的には、私どもは個人の嗜好等に帰する問題というふうに受けとめており、喫煙対策を従来の労働衛生管理対策と同様の観点から、事業者に一律に義務づけるということは大変困難であろうかというふうに思います。 しかしながら、間接喫煙が健康に及ぼす影響については、社会的にも関心が深まっていること、それから、私どももその影響については十分に承知しておるわけでございますので、こういう観点から、関係省庁と連携をしながら、労働者の健康的な生活習慣を確立するためにも、職場においてこの問題が十分に論議されまして、事業所における自主的な取り組みが行われるように、今後とも十分に配慮してまいりたい、このように考えております。
○片山甚市君 そこで、問題があります。十一省庁の足並みがそろわない中に、人を雇っておる立場の企業が有害商品についての責任をとる、いわゆる作業所における喫煙をしないのは作業能率上の問題であって、事務所ではどんどんやりなさいと、こういう形であれば間接喫煙の問題も解決できない。 通称珍念さんと言われる物わかりのいい山口大臣が来ても、相変わらず財界が怖い、企業主が怖いですね。知恵があって大変立派だという大臣が来ても、こんな答弁しかできない労働省には期待が持てない。私は、春闘がどうやらこうやら言う前に、人の命を大事にできないような労働省は労働基準法もへったくれもない。男女雇用平等法ができないのも、そのような物の考え方、がきどもの根性がそうしておると思います。怒り心頭に発するところです。ほかの省庁は別としても、せめて労働省ぐらいはきちんと、厚生省と力を合わせ、社会労働委員会のメンバーでありますから、労働者の健康のために、今までの非を悔い改め、たばこが嗜好品で楽しいものであるというのは間違いで、大変難しいものだと、これからできるだけそういうことにしたいと言ってほしかった。けれどもまあ、かねてそんな労働省だろうと思っていましたから、これ以上言いませんけれども、心を改めてもらいたい。改めないでもよろしいけれども、改めてもらいたいと言っておきます。 次に、文部省ですが、先ほど先生がおっしゃるように、防煙の実現を図るためにはどうしても教育の力をかりて、率先垂範もさることながら、やはりカリキュラムの中に入れていただきたいし、いろいろなことをやってもらいたい。解放運動のときは副読本まで出して、部落差別などをなくすためにやっているのでありますから、これは命にかかわる問題でありますから、それと同じように文部省はお力をいただけると思う。 きょうお話を聞いて、ここは厚生省がタクトをとるけれども、本当の出番は文部省だな、そしてその方々が、いわゆる喫煙問題、特に防煙、禁煙、分煙という段階を一挙に縮めていきながら、国民の健康を守るための役割を果たすようになる。それが今やかましく言われる教育臨調にまさる効果だろうと思う。文部省のいいお答えをいただきたい。労働省みたいなつまらぬ答えだったらせぬ方がよろしい。初めから断っておきますから。すかっと文部官僚らしくやってください。
○説明員(下宮進君) お答えします。 たばこの有害性に関する教育につきましては、中学校及び高等学校における教科の保健体育において行うとともに、特別活動の学級指導、ホームルーム等の機会をとらえて適切に指導していることとしているわけでございます。また、未成年者である児童生徒等の喫煙は健康に悪影響を与えるということは申すまでもございませんが、非行の前兆でもあることから各学校におきましては生徒指導上の重点事項としてその防止に取り組んでいるところでございます。文部省といたしましては、従来から教師用指導資料として生徒の問題行動に関する基礎資料を作成するとともに、各種の講習会等を通じまして、たばこの有害性についての専門的知識や喫煙防止のための指導方法の向上に努めてきているところでございます。 特に、今年度からは三カ年計画で小中高等学校におきます教師用の喫煙指導の手引を作成することといたしているわけでございまして、今年度はとりあえず小学校教師用の手引を作成していることにしているわけでございます。それとあわせて、たばこの有害性に関する教材映画の作成を行うことにしてございます。今後、これらの資料をもとにして教員に対してもたばこの有害性を認識させるとともに、子供に対しての指導の充実も図ってまいりたいと考えている次第でございます。
○片山甚市君 環境庁長官にお伺いするのですが、当然のこととして環境汚染あるいは公害による呼吸器疾患などに大きな影響を与える喫煙に対して、積極的な施策を講ずるよう対処すべきではないか。大臣は社会労働委員会に長くおられて、その一部である環境衛生の問題についてもよく御理解を得ていると思うのです。ぜひとも、各省庁からお話がありましたけれども、まとめて、本日は大臣がお一人ですから、国務大臣の肩書も含めてお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(石本茂君) 富永先生のお話をお聞きいたしまして、私も深くいろいろなことを考えさせられた一人でございますが、片山先生の今日までの喫煙に対します御高説も私は深く傾聴してまいりました。 環境庁といたしましては、今日までしてまいっておりますことは、公害健康被害補償法によりまして認定を受けておられます呼吸器系の疾患患者につきまして、その健康の早期回復も含みますが、症状の緩和ということも考えまして、こうした患者さんに対する禁煙指導の充実に努力をしてきているところでございます。 また、私個人としましては、公の場ではなるべく喫煙を控えるというコンセンサスが広がっていくことを期待しておりますが、こうしたいろいろなことを含めまして、協力体制を確立するということが非常に重要な問題だということをただいま確認いたしましたので、そうしたことで役立てる問題は一生懸命になって今後努力してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
○委員長(粕谷照美君) 富永参考人に一言お礼を申し上げます。 本日は貴重な御意見をお聞かせいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。
○片山甚市君 喫煙問題についてはこれで終わりまして、次の問題に移らせてもらいます。 建設省にお願いしますが、琵琶湖の水源に関する南郷洗いぜきの操作規則について、一点お伺いいたします。 ことしは、いわゆる菜種梅雨のおかげで琵琶湖の水位も回復しましたが、このことによって琵琶湖の汚染や流域における諸問題は単に先送りになったにすぎず、いわんや高水位ともなれば流量調整等で生ずるものは別問題でありましょう。この機会に南郷洗いぜきの操作規則について二、三質問したいと思います。 まず、南郷洗いぜきにおける流量のデータ、昭和四十八年渇水期以降現在までのものはどうなっておりますか。まずお伺いします。
○説明員(萩原兼脩君) お答えいたします。 四十八年以降昨年までということで十二年間の御指摘の瀬田川の洗いぜきの流量でございますけれども、その間を通じまして最大の流量は毎秒八百三十立方メートルというものを記録しておりますし、最小の流量は毎秒五立方メートルというものを記録しておりまして、この十二年間を平均いたしますと大体毎秒九十立方メートルのものがこの洗いぜきを通過したという記録になってございます。
○片山甚市君 平均ですからそれは数字としては具体的ではありませんが、平均として受け取っておきます。 現在の洗いぜき操作の基準はどうなっておりますか。
○説明員(萩原兼脩君) お答えいたします。 瀬田川の洗いぜきの操作についてでございますが、平常時と申しますか、つまり琵琶湖の水位でプラスの三十センチからマイナス三十センチの間にございます場合には適宜放流量というものを調節いたしまして下流の用水の補給の確保、これを目的として操作をいたしております。また渇水時、つまり琵琶湖の水位がマイナス三十センチを下回りますときには、先ほどの下流の用水の確保だけでなく、琵琶湖の周辺の水位低下によります被害の発生状況等にも注目いたしまして放流量を制限、調節を行っております。また、水位が三十センチを超えました場合には、放流量を拡大いたしましてできるだけ早い時期にプラス三十センチ以内に水位が戻りますように操作をいたしております。 また、いわゆる洪水時でございますが、洪水時にはゲートを全開いたしまして琵琶湖の水位の低下に努めることにいたしておりますが、洗いぜきの目的の中には琵琶湖湖岸の洪水を防ぐことのほか、下流の淀川流域の、淀川の沿線の洪水を調節する目的もございますので、下流に枚方という基準地点がございますが、ここの水位が警戒水位を超えましたときと、それから下流にございます天ケ瀬ダムというダムへの流入量が、ややこしくなりますが、洗いぜきの放流量を差し引きましてある一定の洪水流量以上になりました場合にゲートを閉塞するということを基準にして操作を行っておるわけでございます。
○片山甚市君 その基準は操作規則として載っていますか。載っておらなければ何でやられていますか。
○説明員(萩原兼脩君) お答えいたします。 一般に河川法に基づきましてこのような瀬田川の洗いぜき等のいわゆる重要な河川管理施設、しかも操作を伴うものにつきましては操作規則をつくることが義務づけられておるわけでございまして、これは昭和三十九年に河川法が新しく改正されましたときにそういう義務づけができましたので、洗いぜきにつきましても滋賀県と昭和四十一年から操作規則の作成につきまして協議を始めたわけでございますが、せきそのものの目的あるいは利用水深の問題その他でいろいろな意見の食い違いができまして現在までのところ操作規則ができていないわけでございます。ただ、私ども洗いぜきにつきましては、古いせきを含めますと八十年間にわたる操作の実績を持っておるわけでございまして、その間上下流の治水、利水上の状況を見きわめながら実質的に操作を行ってきておるわけでございます。現在におきましても近畿地方建設局長の判断によりまして洗いぜきの操作を建設省が行っておるという状況になってございます。
○片山甚市君 既成事実、内規で操作基準を決めて操作規則にかえておるということですが、昭和六十六年にならなければ規則ができるかどうかわからないということでありますと、それは河川法に基づく措置としては適当でない、改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。早く決めるべきだと思いますが、局長の一存でやる方がよろしいですか。
○説明員(萩原兼脩君) こういう重要河川管理施設につきましては操作規則をつくるべきであると河川法に定められておりますので、法制上から見ましてないことは問題があると思います。したがいまして、私どもも可能であればできる限り早い時期に操作規則をつくるべきであると考えておるわけでございますが、上下流の利害が全く相反する点等もございます。難しい構造物でございますので、結果的にただいままでないわけでございますが、事実上、先ほど申しましたように私どもの実績、経験に基づきましてできるだけ上下流に対して広い範囲で情報を収集いたしまして適切な操作をしておるつもりでございますので、御批判をいただくような操作にはなっていないと私どもは思っておるわけでございます。
○片山甚市君 知事の意見を尊重して決めることになっておって滋賀県知事の意見が入っていない。そういうことでは意見がありますし、我々問題があると思う。操作規則をつくるべきであると思いますが、つくる意思はないのですか。つくるべきなのですか。既得権益でやれるのですか。
○説明員(萩原兼脩君) ただいま申しましたように、河川法上このような重要な河川管理施設には操作規則をつくることが義務づけられておりますので、私どももつくるべきであるということで努力を繰り返しておるわけでございます。 法的な手続といたしましては、このような一級河川の重要な河川管理施設につきましては関係都道府県知事の協議を経ましてつくられることになりますので、その協議が整わない段階にあるということになるかと思います。
○片山甚市君 規則ができていないということは問題があり、言葉で言えば違法的である。既成事実を積み重ねてそれを法律にかえるということは、規則にかえるということは反対でありますが、それでは規則作成に当たってどのような手続をとられるか。とる場合に水利に詳しい住民代表や有識者の意見等を取り入れるべきではないかと思いますし、また規則作成後違法操作などを生じさせないためにも規則の公開が大切な条件ではないだろうか。役人がやって間違いがないんだから規則など住民に公開する必要はないとお思いですか、それとも規則ができれば公開するつもりですか。
○説明員(萩原兼脩君) 作成に関しましては河川法に手続が定められておりますので、私どもといたしましては関係都道府県知事、下流県の知事さん方も入られるかと思いますが、協議いたしましてやらせていただこうと思っております。 また、水利に詳しい方を作成の相談の仲間に入れるべきではないかという御主張がございますが、洗いぜきの操作に関しましては上流県、下流県を含めまして大変高い、またきつい関心を持っておられまして、当然県内のあるいは府内の住民の方々の操作に関しますお考えというものも県当局が十分承知しておるといいますか、吸い上げておるのではないかと私ども考えますので、今のところそういう形での操作規則の作成をいたそうということは考えてございません。 また操作規則の公表の問題でございますが、河川法上ではつくりました操作規則を公示する手続あるいは義務はないわけでございますが、逆にこれをマル秘扱いしておかなければいけないという判断もないわけでございまして、操作規則をつくりました時点で情勢を判断いたしまして考えようと思っております。また、操作状況の公開でございますが、これは操作規則のない現状の操作におきましても操作の状況につきましては逐一発表、公表しておりますし、マスコミ等によりまして一般の住民の方にも周知が図られているように思っておりますので、これは今後ともそういう形をとらせていただこうと思っております。
○片山甚市君 琵琶湖の問題についてはやはり水利に詳しい住民の代表や有識者の意見を聞いて作成すべきだと考えますし、規則ができましたならば公開されることは当然だと考えます。それは意見が分かれるところではなくて、住民の協力を得て水利がうまくいく、水資源が管理できるようにしたい、こう思いますから、今の意見についてもう一度私の方の意見を述べて、あなたの答弁についての反論にしておきます。これから考えるのではなくて、当然そういうことは公開すべきだと、規則は、公開されなければならぬものであるというふうに私の方からもう一度強く言っておきます。 そこで、南郷洗いぜきの流水量四十立米のことですが、枚方における取水量プラス四十立米との関係はどういうふうに理解してよいか。既得水利権量百四十三・九七立米と三川——桂川、木津川、宇治川の関係と、琵琶湖の宇治川からの流水量はどういうように判断されるのか、まずお答え願います。
○説明員(志水茂明君) お答えいたします。 琵琶湖の開発事業におきます新規開発水量毎秒四十立方メートルというのは、木津川、宇治川及び桂川の三川合流点下流の大阪府枚方地点より下流で取水を予定しているものでございます。このために、琵琶湖からの渇水補給は枚方地点の流量が枚方地点下流の維持用水及び既得用水の補給など、流水の正常な機能の維持と申しておりますが、これに必要な水量、先ほど先生から御指摘の最大毎秒百四十三・九七立方メートルと、それからまた琵琶湖開発事業の新規開発水量、これも最大毎秒四十立方メートルでございますが、これを合わせた確保水量最大毎秒百八十三・九七立方メートルに不足する場合にその不足量を補給いたすことにしていまして、年間を通じて毎秒四十立方メートルの開発水量全量を琵琶湖から渇水補給するというものではございません。したがいまして、琵琶湖からの放流は、渇水補給というのは淀川の上下流の水の利用の状況、それから桂川、木津川を含めました流量、それから降雨の状況等を勘案いたしまして行いますので、したがって、木津川及び桂川の流量が多くて枚方地点の流量が先ほど申し上げました確保水量の最大毎秒百八十三・九七立方メートルを超えていますときには琵琶湖からの渇水補給はいたしません。逆に、両河川の流量が少なくて枚方地点の流量がこの流量に達していないときには琵琶湖から補給をいたします。そのような考え方でございます。
○片山甚市君 よくわかりました。 そこで、水量と水質の関係について滋賀県自身大いに心配しているとのことでありますが、琵琶湖総合開発計画を促進するということで、これ以上の開発は施策を遂行してはならぬのじゃないかと思いますが、建設省はどうでしょうか。
○説明員(志水茂明君) 先生の御指摘の点は、今回非常な渇水がございまして、琵琶湖の水位が最大マイナス九十五センチまで下がりました。それに対して余り問題が出なかったということではないかと思うのですが、実際には琵琶湖開発事業におきましてマイナス一・五メートルまで下げるということで現在、琵琶湖開発事業の進捗を図っておりまして、したがいまして、いわゆる水位低下対策として水産業に対します補償だとか、それから水道の取水施設の対策、それから港湾のしゅんせつあるいは桟橋、船だまりの改築、こういったものを順次進めておりまして、まだ全部ではございませんが、これらを実施しております関係上、今回このように水位が下がりましてもそれほど大きな問題はなかったわけでございます。しかしながら、今後一メーター五十まで下げるということにつきましては、全体から見て非常に重要な問題でございますので、今後とも琵琶湖開発事業は促進していく必要があると考えております。
○片山甚市君 もう一度最後に言いますが、琵琶湖の総合開発については促進すると言うけれども、これ以上やることについては水質汚濁につながるということになりませんか。逆行しないと言い切れますか。
○説明員(志水茂明君) その問題につきましては、私どもで所管しておりますのは琵琶湖開発事業の水資源開発部門でございますが、全体としては琵琶湖総合開発事業で国土庁で所管いたしております。その中ではやはり水質対策というのが一番大きな目玉になっておりまして、これらが下水道を含め水質対策が進められることによりまして私どもでは十分対応できるものと考えております。
○丸谷金保君 三月の二十七日に御質問いたしました十勝川河口付近における赤潮対策の問題について、再度御質問しておきたいと思います。 実は後から記録を読んでみまして、水質保全局長さんの方は、五十年代の初めからここで赤潮が発生しているというふうなことは知っていたけれども、具体的な十勝沖の問題に限っていえば、これは水産庁の方で原因究明まで含めていろいろ御研究いただいているように考えていると、こういう答弁があったわけです。ところが水産庁の方では、北海道庁から六十年度から新たに調査研究をしてくれという要望が出ておりまして、私どもとしても積極的にこれに取り組んでまいりたいと考えていると。環境庁の方の御答弁ですと、これは水産庁の方の所管で、私たちはその赤潮が出ているということは知っているけれども、具体的なことの調査研究は水産庁の方の所管でやっていると考えていると、こう言うんですね。水産庁の方はこれからやると言うんですよ。これは水産庁の方が本当だと思うんですが、環境庁の方はどこからこういうふうに水産庁がやっているというふうに考えたんですか。
○政府委員(佐竹五六君) 私は、今手元に速記録を持っておりませんので、正確なお答えになるかどうかわかりませんが、私が御答弁申し上げた趣旨は、具体の海域の問題につきましては、これは水産庁の方でその対策も含めて御検討いただく。私どもがやっておりますのは、国公研も含めまして赤湖の発生のメカニズムの検討というような非常に基礎的な部面での検討が主体になっておりますので、そういう観点から申し上げたわけでございまして、具体的な事実については、これは水産庁が答弁したとおりでございます。
○丸谷金保君 それで水産庁、水産庁の答弁を後で読んでみますと、結局サケの漁業に対してどういう影響が出るかということが水産庁の調査の対象ですね。
○説明員(小野登喜雄君) お答え申し上げます。 私どもは赤潮の発生の機構を解明するというところに重点を置いて調査いたす所存でございまして、サケの漁業への影響ということとは直接関係はございません。
○丸谷金保君 そうすると、「ただいま先生から御指摘ありましたサケ漁業が赤潮によって影響を受けている、それに対していろいろ調査研究をしなさいという御指摘かと思います」、こういうふうな受けとめ方をしているんですよ。それじゃ、そういうことではないというふうに理解してよろしゅうございますね。原因究明だと。
○説明員(小野登喜雄君) お答え申し上げます。 北海道庁から実は六十年度から調査をしてくださいということで要望が出ておりますが、その内容を御披露しまして御説明にかえたいと思います。調査の実施主体は北海道の釧路水産試験場でございまして、この釧路水産試験場は本年の七月から十月にかけまして、大津港と広尾港の沖合で定点を設けまして、そこの定点におきましてプランクトンの種類だとか、あるいはどのくらいプランクトンがいるかというその密度の調査あるいは水質、水温、塩分とかpH、それから栄養塩につきまして調査をし、さらに気象条件も調査をするということで私どものところに要望が参っておりまして、私どもとしましてもそれに対応したいというふうに考えております。
○丸谷金保君 先日の答弁ですと、水質保全局長さんの方では、ここの藻類はギムノディニウムというふうなことで赤潮の内容的にはある程度もうおわかりになっているような御答弁だったのですが、いかがなんでしょうね。
○政府委員(佐竹五六君) 種類が同定と申しますか、いかなる種類の赤潮であるかということについては一応判明しているということでございます。
○丸谷金保君 そうすると、水産庁の方で調査するのは、その発生源の、今度はプランクトンその他がどういうものか、こういうことにメスを入れていくというふうに理解してよろしゅうございますか。
○説明員(小野登喜雄君) 赤潮の発生の機構の解明ということでございます。
○丸谷金保君 そうしますと、十勝川の河口から西の方にずっと潮の流れに沿って赤潮が発生するんです。そうすると河川に原因があるというふうにどうしても考えられるんですが、そこに踏み込むと今度これは水産庁の所管でもないし、環境庁としてもやれないということになりますか。
○政府委員(佐竹五六君) 具体的な行政手段を私どもは持っていないという意味では先生のおっしゃられるとおりでございます。
○丸谷金保君 そういうことだと思うんです。 大臣にお願いしたいのですが、総合的な調整機能としての環境庁がこの問題についても関係の各県、特に建設省の方に、河川についても十分な調査をするように御指導していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(石本茂君) 先生のただいまのお言葉を十分に踏まえまして、そして局長等事務当局を含めまして十分調査をさせていただきます。わかりました。
○丸谷金保君 それではよろしくお願いいたします。 建設省おいでになっていると思うのですけれども、アクアトピアという指定を全国各地でやっておりますけれども、これはどういうものなんですか。ちょっとこう聞いてもわからないんですよ。
○説明員(斉藤健次郎君) 御説明いたします。 下水道事業を実施している市町村の中に、昔から水の都とか、あるいは水郷などと呼ばれている都市におきまして、少しでも早くきれいな水辺を復活させたいというような声が上がってきております。また、そういう背景には、水辺、水環境に親しむことを目的とした市民活動なども積極的に行われるようになってきております。そういうところが出てまいりました。こういうような状況を踏まえまして、五十九年度からでございますけれども、今申し上げました良好な水環境の復活、あるいはそれの保存を積極的に図ろうとしている都市をアクアトピアというものの対象都市といたしまして私ども指定をいたしまして、その都市に対しまして重点的あるいは効率的にその市町村の下水道整備が促進されるようにお手伝いする、こういった性格のものでございます。
○丸谷金保君 今説明を聞くとなるほどと思うのですが、アクアトピアという言葉を聞いてぱっとその内容の連想できる人というのはほとんどいないんじゃないでしょうか。これは英語でもないんですね。どうしてこういう難しい名前を最近——これは建設省だけじゃないんですよね。環境庁の方でもアメニティタウンなんて何でわざわざつくらなければならないのかと思うんですが、これはどなたでもいいんですけれども、もう少しわかりやすい表現の方法というものはないものなんですか。皆さんはこれで非常にわかりやすいんですか。
○政府委員(山崎圭君) 御指摘のように、アメニティタウンというようなことを俗語といいますか、俗称といいますか、そういうことで私ども使っていることがございます。これは正式に申しますと、予算上の費目では快適環境整備事業という名称でやっておりまして、そういうことでございまして、御案内のように、豊かな緑でございますとか水辺との触れ合いでございますとか、そういった全体の身近な環境の快適さといいますか、あるいはまた居住空間における居心地のよさといいますか、そういったものを概念としては持っておるわけでございまして、それを端的に表現する言葉が快適環境整備とか快適環境づくりとか、私どもこういうことで言っております。どうもその辺もまたひとつぴんとこない面もあるということでございますが、これは実は経過がございます。 先生も御案内のように、五十二年に経済協力開発機構、OECDが日本の環境政策を点検し、評価をした結果その報告書を出しております。日本の環境政策についてという報告書でございますが、その中でアメニティという言葉を強調しておるわけでございます。つまり、日本の公害防除政策というものはそれなりに相当の成果をおさめております。しかし、なお住民一般が不満を持ち続けているのは、実はこの環境の質とか、その快適な環境というものが足りないと。それで英語でアメニティという表現を使われたわけです。つまり、アメニティの増進ということの努力が日本にとっては非常に大事だと、こういう指摘がございまして、実は英語からそういうものが始まったものでございますからそのアメニティが残っておった、それを何とか日本語でうまく熟した言葉がないものかというようなことで、当時は快適な環境というような訳を一応つけておりまして、例えば快適な環境懇談会というような有識者の集まりなんかも持ったのでございますけれども、そんな経過がございます。そういうようなことで私ども正式には快適な環境ということで統一しているつもりでございますが、俗称としてはアメニティー、こういう言葉も併用させていただいている、こういうようなことでございます。
○丸谷金保君 それでは、時間が参りましたので要望だけ申し上げておきますが、アメニティータウンの方はそれでも一億四千九百万、ことし予算がついているのですが、アクアトピアの方は指定はしても、協力、指導はするけれども、特別にそのための予算というものはまだないんですね。やはりせっかくこういう難しい名前を何とか住民も覚えて協力しようとしているのですから、予算化についても考えるようにお願いをして、きょうはこれで私の質問を終わります。
○委員長(粕谷照美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時一分休憩 ─────・───── 午後一時四分開会
○委員長(粕谷照美君) ただいまから環境時別委員会を再開いたします。 午前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
○飯田忠雄君 まず最初に、先般の委員会のときに諏訪湖の下水道につきまして経費その他について文書の回答をお願いいたしたわけですが、いろいろの御都合もおありということを承知いたしましたので、この際その文書回答という点は撤回いたしまして、口頭でいろいろお話を承りたいと思うものであります。 参議院の常任委員会の調査の結果によりますと、一般論として流域下水道と公共下水道を比較した場合に経費は必ずしも流域下水道が安いとは言えないという結果が出ておりまして、それで御質問申し上げたわけです。この点、諏訪湖ということだけに限りますと諏訪湖周辺の特殊事情があろうかと思いますので、一般論以外に、特殊な事情でやはり流域下水道の方がいいという御見解かとも思いますので、その点の状況について数字を示して御説明をお願いする次第であります。
○説明員(斉藤健次郎君) お答えいたします。 諏訪湖におきましては、先生御指摘のとおり湖を取り巻きます岡谷市、諏訪市、茅野市及び下諏訪町の三市一町を一体といたしました諏訪湖流域下水道によります下水道整備が行われております。先生御指摘のとおり、この場合は諏訪湖という閉鎖性水域でございますので、これの富栄養化を防止するためには湖に入ってまいります下水を遮集して処理する。さらに湖外にバイパス放流をするとか、あるいはさらに高度な処理をいたしまして窒素、燐を除去するというようなことを実施する必要がございました。また、湖の水質汚濁防止という観点からいいますと、やはり諏訪湖周辺の各都市が一体となりまして下水道整備を促進しまして湖の浄化に取り組むというような必要もあったわけでございます。仮にそれぞれの都市が単独の公共下水道で実施するというふうにいたした場合に、それぞれの都市の終末処理場というものを各都市ごとに設ける必要が出てくるわけでございますが、諏訪湖の場合は地形的にもその用地の確保が困難であったというような条件もございました。仮に全体の整備に要します費用を試算してみますと、いずれのケースの場合でも通常の活性汚泥法によります高級処理を行うとした場合に、建設費につきましては、それぞれの都市が単独の公共下水道で実施した場合が約千五百億円、それから根幹的部分を流域下水道で行いましてそれにつながります関連公共下水道をそれぞれの都市が行うというふうにいたした場合に約千三百億円ほどかかる。これに維持管理費を含めた場合、あるいは先ほど申し上げました湖の富栄養化を防止するということで仮に処理水を湖の外に放流するというような条件をさらに加えた場合には、その差が大きくなるというような結果が出ております。
○飯田忠雄君 その点はそうだと思いますが、公共下水道でやった場合には環境保全上いろいろ都合の悪いことが生ずるということもございますか。
○説明員(斉藤健次郎君) お答えいたします。 下水道を整備する手法には幾つかございますが、主として公共用水域の水質保全を図るという見地から広域的に整備するという計画にいたしまして、そのうち二市町村以上にかかわります幹線管渠とかそれから終末処理場を都道府県が整備するというものが流域下水道でございまして、この場合もそれぞれの市町村の枝管といいますか、細かい管につきましてはそれぞれの市町村が実施する、こういう仕組みになっております。したがいまして、公共下水道と流域下水道といいますのは下水道の機能という面から申しますと全く同じでございます。したがいまして、対象といたします地域におきまして流域下水道方式を用いるか、あるいはそれぞれの都市が単独で公共下水道を実施するかという点につきましては、その地域の地形など自然的な条件とか、あるいは土地の利用状況、水の利用状況などを十分勘案いたしまして、また水質保全効果とか、あるいは経済性なども総合的に判断をして検討する、その上で決めるということをやっているわけでございます。 例にございました諏訪湖の場合は、前にも御説明いたしましたように、湖の浄化を図るためにはやはり周辺の都市が一体となって下水道整備を図る必要があるということ、また、それぞれの都市で処理場をつくるということになりますと、地形的に用地の確保が困難であるということがございました。また、これは一般論でございますけれども、広域化することによりまして技術者とか、そういう技術力を集約できるとか、あるいはここの場合のように高度処理や系外放流、湖の外に処理水を放流するというようなことが必要な場合には広域的に実施した方が有利であるということもございました。また、技術的に見ますと、広域的にすることによりまして、入ってまいります下水の水質とか、あるいは水量を平均化することができますので、そういった意味では安定した処理水を得ることができるというような判断もございまして流域下水道方式が採用されたわけでございます。
○飯田忠雄君 建設省の方、ありがとうございました。 次に、最近新聞紙上で石綿の問題が取り上げられております。石綿の粉末、粉じんが発がん性を持つと、こういう記事でございますが、この問題に関しまして環境庁の方の御見解として、現在の段階では発がん性はなるほどあるにしても、その量が少ないので国民の健康には影響がない程度である、だから基準は設けない方がいい。基準を設ければそこまでは許されるということになるので基準を設けない、こういう御発表になったということが新聞に書かれております。 そこでお尋ねいたしますが、この石綿の発がん性という問題につきまして、その発生源について細かい御調査をなさっておりますかどうか、なさっておればその状況の御説明をお願いいたします。
○政府委員(林部弘君) アスベストに関しましては、五十二年以来いろいろな角度から調査、検討しておりまして、その初期の時点で十四事業場について発生源の調査を行っております。その内容といたしましては、石綿スレート製造、スレートかわら製造、不燃建材製造といった製造事業場が九カ所、それから紡織品、保温材等について五カ所の事業場で測定いたしております。調査の結果はもう既にことしの二月に公表いたしましたレポートに記載されておりますが、その結果を申しますと、繊維数で一リットル当たり十のマイナス一乗から十の五乗までの繊維数という広い範囲に分布をしております。しかしながら、敷地境界線での測定値を見ますと、十のマイナス一乗繊維・パー・リットルから十の一乗繊維・パー・リットルということで、平均値を申しますと、一リットル当たり一・四一繊維ということでございまして、職域でのガイドラインから比べましても非常に低い値を示していたわけでございます。
○飯田忠雄君 新聞によりますと、スレートの屋根とか水道管とか、住宅の断熱材、自動車のブレーキ、こういうものに使われておるということでありますが、こういうものに使われておるのが粉じんとなって一般の公害源となるのはどういうような状況からなるものでございましょうか。
○政府委員(林部弘君) 今、先生のお尋ねでは公害になる場合というふうにおっしゃったように思うのですが、現在、発生源と思われるような工場、事業場から発しましたアスベストによって公害が現実の事例として生じたという報告は、国内においてはまだないように私どもは承知いたしております。
○飯田忠雄君 これはことしの二月二十三日の読売新聞でございますが、いろいろ調査をなさったということが書いてありまして、調査結果によりますと、「アスベスト製品を作っている十四の事業所を調べたところ、基準の五十倍ものアスベストを排出している違反工場が見つかった。同工場の敷地境界では濃度が下がっていたとはいえ、じん肺研究の権威である労働科学研究所の佐野辰雄博士は「私の調査では、アスベストを多用する造船所周辺では、老人の中にアスベスト肺と疑われる人が多く見つかる。発生源をおさえたキメ細かい調査をしなければ、”一般国民に心配はない”などとは言えない」と指摘している。」ということが書いてあるわけですが、この調査は環境庁でおやりになった調査ではありませんか。
○政府委員(林部弘君) 佐野先生がじん肺関係の非常に権威の方であるということは間違いございませんが、私どもが事業場ではかった調査のこととは違いまして、佐野先生のこの御研究というのは、たしか、実際に人間の肺の中にアスベスト小体のようなものが見出されることがあるということに関しての御研究からこういうことを言っておられるということだと思います。現実に石綿は一般の環境の中で随分長い歴史のあるものでございますから、いろいろなところで住民あるいは亡くなった人の肺を解剖いたしましてその中を調べますと、アスベスト小体というものが発見されることは別に珍しいことではないわけでございますので、私もこの佐野先生の御発表になったものの内容を詳しく存じておるわけではございませんが、恐らく造船所の周辺の一定の年齢の方の肺の中にアスベストボディーが発見された、こういうような御発表をここで引用されているのではないかというふうに理解いたしております。
○飯田忠雄君 新聞には、環境庁ではこういうデータをアスベスト発生源対策検討会にかけて検討している、こういうことが書いてございますが、こういう検討会はいつ設けられて、現在どのような活動をしておられるものでしょうか。
○政府委員(林部弘君) 先ほど私が申しました六十年二月に公表いたしました検討会は、現在継続はいたしておりますけれども、一応今までの検討の結果は二月に公表したということでございまして、産業医学総合研究所の輿先生が座長になっておられまして、これは主として発生源サイドでの問題ということで発生源の調査、それから発生源についての防止技術の問題についての検討、それから一般環境中のアスベストの濃度を調べる、そういうようなことを五十二年から五十八年までやっていただきまして、五十九年以降におまとめをいただいたものが六十年の二月に公表されたと、こういう形になっておりまして、その後につきましても検討会そのものはまだ持続いたしております。 それからもう一つ、健康影響絡みの問題があるわけでございますが、そちらの方は既に五十四年、五十五年当時に、今はもう故人になられましたが、当時、産業医学総合研究所におられました河合先生を座長といたします健康面での文献レビューの検討会というのがございまして、そちらの方は既に五十五年の時点でおまとめいただいた報告書が出ております。それで、その後少し時がたっておりますので、五十九年と六十年の二年をかけまして、これは国立の近畿中央病院の横山邦彦先生を委員長とする文献レビューの検討会というのが、また別にこれは健康問題の方とのかかわりでございますが、そちらは文献レビューを今なお行っているという状況でございまして、検討会は今申し上げましたような二つの性格のものがあるということでございます。
○飯田忠雄君 いろいろ御検討になりましてお調べになった結果について、まあ新聞によりますと非常に低い濃度しかないということが書いてありまして、工場内の労働安全衛生基準の百分の一から一万分の一程度の低いものだから、安心だから環境庁としてはこのままほっておくという方針に決まったということになっておりますが、ここで一つ疑問が生じますのは、こういう低い状態だからこのままの状態を保つという御努力がなされておるのかどうか。簡単に言いますなら、この程度で基準を決めておけばこれで保たれるわけなんですが、基準を決めるとむしろ濃度が高くなるという御見解はどうも解せないわけなんです。基準というのは元来現状との妥協からできるわけでしょう。現状がある程度悪くなっているのにそれと妥協するために基準というのはできますね。現在非常にきれいであるなら、きれいな段階で基準をつくってそれから上げないというやり方もあると思われるのですが、そういう点につきまして国民の側では疑問を持っておるように思われるわけであります。こういう点についての御見解はいかがでございますか。
○政府委員(林部弘君) 先ほどから申し上げております、輿委員会と私ども一般に言っておるわけでございますが、輿委員会の方で五十二年以降いろいろな角度から御検討いただき、一般環境での測定をたしか七百検体ぐらいについて行ったかと私記憶をいたしておりますが、その結果に基づいていろいろな領域での濃度レベルが十分に低いという状況でございます。 それで、私どもの現在の考え方としては、いわゆる規制ということになりますよりは、いろいろなところでのレベルをこのまま維持していくための一つの方法として継続的に監視していく。長期的なモニタリングという言葉を私ども使っておるわけでございますが、それが六十年度の新規の予算から、千二、三百万ぐらいだったと思いますが、お認めいただいておりますので、それによって全国的に過去の調査から問題のありそうなところを中心に継続して監視測定を行っていく。それによって問題となるような上昇傾向が出てくるところがあれば、そこに対して重点的に必要な措置を講じていく、そういう方法が一番現実的でもあるのではないか。 と申しますのは、アスベストそのものは非常に長い間昔から使われているものでございまして、実は私どももっと高い濃度が出てくるのではないかということを懸念しておりましたところ、現実にはそれほど高い濃度ではないという現状でございましたので、かなり広範に継続監視、一般にモニタリングと申しますが、それを長期的に行うことによって十分抑えていくことができるのではないかと、こういう考え方でございます。
○飯田忠雄君 ただいまおっしゃいました監視機構ですね、これにつきまして現実には具体的にどういう方法、制度がつくられておるのでございましょうか。
○政府委員(林部弘君) 一般的な監視の問題といたしましては、もう御案内のように硫黄酸化物あるいは窒素酸化物等につきましては自動測定装置などもかなり完成したものができ上がっておりますから、全国的に千数百カ所の自動測定点で継続して一時間ごとに記録されるという形の監視を行っております。 アスベストの問題はまだ測定の技術そのものが十分に普及し切っているところまでいっておりませんので、その意味ではかなりの専門的な技術というものが要ります。それで、私どもといたしましては、地方公共団体の方にお願いをし、また、集めたサンプルを労働科学研究所の方でクロスチェックを行うというようなことで精度を確かめる形で見ていく、こういうことでございますから、いわゆる自動測定ができるというところまでは技術のレベルとしてはいっていないわけでございますけれども、毎年定まった地点で定まった方法でサンプリングをいたしまして、それで地方公共団体の、恐らく地研が現実には測定をやるわけでございますが、同じ検体を労研の方でクロスチェックして精度をチェックする。それから、ごく一部のものは産業医学総合研究所の方で電子顕微鏡によるチェックも併用していくというようなこともあろうかと思いますが、一般的には光学的な方法でやる。こういう方法で全国的に逐年追っかけていく、こういう方法でございます。
○飯田忠雄君 それでは次の問題で御質問申し上げますが、他の省庁からおいで願っている人がございますので、先にその方面から質問さしていただきます。 まず森林保護対策についてでございますが、ここで御質問申し上げますのは主として新聞などで書かれておる問題とか投書などをもとにしての質問でございますので、あるいは質問が適切じゃないかもしれませんが、その際は御訂正を願います。 熊本県の秋吉太平というお方が毎日新聞に書かれておる文章でございますが、「森林荒廃防ぐ道」という題で書いておられます。これによりますと、今日森林が荒廃していくのは、結局経費倒れが多いからであって、殊に搬出費——材木を運び出す経費が高いのでこれを軽減する方策を講ずることがまず第一だ、こう書いてあります。 それから第二に、間伐を積極的にやらねばいかぬのですが、それが労働力不足と経済的な理由で熱意を失ったためになされない、こういう状況があるので森林荒廃が防げないというような趣旨のことを書いておられます。そして、その中で細かく、現在造林をやっている人は土地の状況を明確に把握していない。例えば、従来は竹とか雑木が生えておった場所、そこの竹とか雑木を切り払って造林をなさる、これが間違いのもとだということを書いております。つまり、下は岩盤であって、表土が薄い、そういう薄いところに竹とか雑木が生えるのであって、そういうところに植林をすれば必ず地崩れが生じてしまうということを秋吉という人は書いておられるわけなんですが、こういう点について林野庁の方ではどのような御見解をお持ちであろうかというわけでお尋ねするわけでございます。 まず、竹とか雑木、岩盤の状況、表土との関係とか、こういうような問題について秋吉さんは問題にしていますので、現在我が国において杉とかヒノキの植林が崩れてくる現状ですね、現状をどのように把握されておるか、把握されておればその内容をお聞かせ願いたい、こういうわけでございます。
○説明員(依田和夫君) お答え申し上げます。 先生からの御指摘は幾つかの部門があるかと思いますが、とりあえずいわゆる森林造成に当たりましてどのような指導を林野庁がやっておるのかというような点についてとりあえずまずお答え申し上げたいと思っております。 私ども、民有林におきます森林の造成を推進するに当たりましては、まず適地適木というような観点に立ちまして、地域のそれぞれ土壌条件なり地質条件といったようなものを全体的に都道府県に調査をしていただくというのがまず第一点でございます。この調査データに基づきまして都道府県がそれぞれの森林所有者、先ほどの先生の例示にもございましたような森林所有者の皆さん方に森林造成の指導を行う、このような体系になっておりますので、少なくとも森林を造成したい森林所有者の皆さん方は都道府県のそのような指導が行っておるというふうに私どもは理解いたしておるわけでございます。それで、特に杉、ヒノキ等を植えたから山崩れが起こるというような観点も若干は誤解があるような面もあるかと思うのですが、私どもの認識といたしましてはやはり山崩れといったような問題は少なくともその地域の地質とか土壌、または植生、それからそこの場所に降ります降雨量といったようなものが総合し、または複合して起こってくる問題だというふうに理解いたしておるわけでございます。そういう意味で、特に杉、ヒノキを植えたからこれが山崩れの原因であるというような形にはなっていないというふうに私ども林業試験場等においても調査をいたしておるところでございます。 後段の先生の御質問でございますが、どの程度崩壊地等が生じており、どんな実態になっておるかという点につきましての数字的な中身は現在持ち合わせがございませんので、後ほど、また先生の方に御説明に参りたいと思いますので、御了承賜りたいと思います。
○飯田忠雄君 この秋吉さんが言っておるのは、竹とか雑木というのは岩盤の上の土の層が非常に少なくでき上がっているので、昔の人は竹が生えたところとか雑木のあるところはそのまま残したんだ、そういうところは植林をする場所にはしなかったものだ。ところが最近はそういうところも全部木を切り払って竹を取ってしまって植林をする、だから岩盤の上の層が少ないので、大きな杉とかヒノキが育ちますと、ある程度大きくなるとその根が保たないからしっかりした状況にならない、だから雨が降ったりするとそこから崩れるんだ、最近杉の植林とかヒノキの植林が自然的に崩壊していく現況が非常に強くなっておる、多くなっておる、そういう問題の考慮がないからだ。これは、一つには今日の経済が長い目で見る経済じゃなくて、非常に金の回収率を短くとるために起こってきた問題ではないか。そういう点について何らか根本的な対策を講じなければ森林の荒廃は防げないということを言っておるわけなんです。そういう点について林野庁の方ではどのような御見解をとっておられるのか。そういう問題に対して、そうじゃないんだ、今のやり方でいいんだという御見解なのか、やはり間違いは間違いとして正しい指導をしていくという御見解なのか、あるいは都道府県に対する指導においてどうなさるおつもりなのか、こういう質問なんです。
○説明員(依田和夫君) お答え申し上げます。 先生が例示に挙げられました方は大変貴重な林業技術をお持ちの方だと私どもも考えておる次第でございまして、先ほど先生挙げられましたようないわゆる先人の残しております技術体系というものはやはり継承していく必要があるというふうに我々理解いたしておるわけでございます。先ほどお答え申し上げました点につきましても、そういう中身を十分指導せよということでございますので、若干舌足らずの点がございましたけれども、私どもは常時そういう先人の技術を十分尊重した上で森林造成を進める。森林の造成といいますのは、先生御指摘のように非常に中長期を要しまして、少なくとも五十年、百年の単位というものがかかるということでございますので、やはりかみそりで切ったような林業技術というような、いわゆる先端産業的な技術が今すぐ生まれるというようなものではございません。そういう意味では極めて貴重な技術なりお考えであるというふうに我々は理解いたしておるわけでございます。 後の御指摘のいわゆる林業振興の問題でございますが、先生御指摘のように現在森林、林業を取り巻きます情勢は極めて厳しゅうございます。特に間伐、保育等が進まない。戦後、一千万ヘクタールもの多くの山林所有者または農家、林家の皆さんの御努力で森林が造成されたというような大成果が残っておるにもかかわらず、現在その森林の間伐や保育が行われがたい状況になっておるということはまことに問題であると私ども認識いたしておるわけでございまして、この間伐なり保育なりというものを早急に実施するような各般の対策が必要であるということで、従来からこの対策の充実に向けて努力をいたしておるところでございます。
○飯田忠雄君 現在、郵便貯金をいたしましても十年たつと貯金が倍になる、こういう話なんですが、実際には経済界は十年で倍どころか千倍ぐらいになる場合もあるんですね。そういう時代に一体、森林業というものを自然のままに放置しておいて成り立つだろうかということなんです。非常に経済が激しい形で変わっていくときに森林のような二十年、三十年、場合によれば百年もかかるようなそういう仕事、しかもそれは人類にとっては欠かせない仕事なんですが、それを個人の責任にしておいて果たしてうまくいくだろうかという問題があると思うのです。従来、米については大変御支援になって、現在ではもう米をつくるのはやめろとまで言わなければならぬほどになってしまったのですが、森林の場合は米よりもっともっと経済循環が悪いわけですね。こういう点について林業の振興ということを個人に任せないで、何らか公共団体の手で補完する、つまり補っていくような制度というものを御研究になっておるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
○説明員(依田和夫君) お答えいたします。 大変御理解ある内容の御質問等賜りましてありがたくお礼を申し上げたいと思っております。後段のいわゆる個人の力でなかなか森林の造成が進まないというような点については御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、林業基本法の七条には森林所有者の自助努力の助長ということがうたわれてございますので、今の日本の経済社会体制におきましては、森林所有者が自主的に林業を展開できることが重要だというふうには考えているわけでございますが、先生御指摘のように、なかなか自助努力だけではいかぬ場所についてはどのようにするかという点、各方面からいろいろと検討いたしておるわけでございますが、現在施策化いたしておりますのは森林開発公団がございます。この森林開発公団は、緊急かつ計画的に森林造成を推進すべき地域につきましては国が責任を持って推進するといういわゆる事業団方式で現在分収造林を推進いたしておるところでございます。 このほかに、各都道府県におきまして公益法人をつくりまして、これは林業公社なり造林公社と呼ばれるものでございますが、現在分収造林をかなり推進いたしておるところでございます。このほかに、市町村等に相当のお力添えをいただかねばならないというふうに私ども認識いたしておりまして、五十八年には森林法の一部改正を行いまして、市町村等が中心になりまして森林所有者の間伐、保育を推進する制度、いわゆる森林整備計画というような制度を立法化いたしたわけでございます。このようなことで各方面からいろいろと知恵を集めて、個人ができない場合についての方策についていろいろと充実方を図っているところでございますが、また、いいお知恵等ございましたらいろいろとお教えを賜りまして、なお今後森林造成に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○飯田忠雄君 森林の荒廃という問題につきましては、各方面で心配しておるところですので、それを防ぐ何らかの方策を立法化するという問題についてお考えになったことがございますか。それとも、その問題にまでは至っていないでしょうか。森林荒廃を防ぐための立法化ですね。そこまではとてもできない問題であるかどうかということです。
○説明員(依田和夫君) ちょっと、先生の御質問の趣旨に十分合う答弁になりますかどうかでございますが、現在、森林荒廃を防ぐ方策といたしましては、森林法の中に保安林制度というものがございまして、森林を保安林に指定いたしまして、この保安林についても、水源涵養保安林からいわゆる土砂崩壊防備林といったような保安林、さらには魚つき林といったような魚をふやすといったような保安林、非常に広範な保安林がございますが、この保安林制度を軸といたしましてまず森林荒廃を防ぐということ。それからもう一点は、先生御指摘のように、やはり適正な森林施業を行う、健全な森林の造成を推進するということが基本であるというふうに私どもは考えておりまして、現在、間伐、保育といったものに公共造林事業なり、またはその他の事業で助成を行うといったようなことを推進いたしております。 このようなことで私どもとしては森林荒廃を何とか食いとめ、健全な森林造成に向けて、また、林業の発展に向けてこれを振興してまいりたい、このように考えている次第でございます。
○飯田忠雄君 これは、先ほど述べました秋吉太平さんの新聞社に対する手紙ですが、その中で、専門家が言うのには今全国に一千万ヘクタールの森林が育っておるので、やがて木材過剰時代が来ると言っておる。秋吉さんの言うのには、しかし、自分はそうは思わない。今のまま森林荒廃が進めば、山ごとだめになるところが多くなり、一千万ヘクタールの半分か、それ以下しか育たず、過剰にはならないはずだ。こう書いておるわけですね。そして、よく関係機関から間伐をしようというチラシが来るのだが、しかし、一向に効果はない。そういうチラシだけじゃどうにもならないので、もっと根深い荒廃の実態を分析した指導が欲しいものだ。こう書いておるのです。そういうような根深い荒廃の実態を分析した親切な指導を要求しておることに対する御見解ですね。 それから、間伐を積極的にやってくれ、やれとこうおっしゃるのなら、間伐を積極的にできるような環境をつくってくれ、こういう要求であるわけです。自分が一人幾ら頑張ってもだめだからというわけなんですが、こういう点についていかがお考えでしょうか。
○説明員(依田和夫君) お答え申し上げます。 先生から御指摘のいわゆる間伐の促進、これは健全な森林造成を図る上で現時点で最も重要な私どもの課題になっておるところで、これは御指摘のとおりでございます。今、先生のところにお話が参っております方の御提言によりますと、道路がないとか、または間伐材が売れないとか、いろいろのお話が中に入っておるかと思いますが、要するに、今の森林を施業する、取り扱うような環境条件に現在はないというような御指摘でございますが、私どもはそのような厳しい情勢は十分理解しておりますので、先ほども申しましたように、現在、造林補助事業なり、それから間伐促進総合対策といったような制度をつくりまして、相当の金を投入いたしましていわゆる作業道の作設とか、または間伐材の需要開発といったような事業を推進しておりまして、森森所有者の皆さんに何とか森林の手入れを推進していただくというようなことについて大いに助成策を講じておる次第でございます。 まだまだ不足の点もあるかとも思いますけれども、こういう点について私ども一生懸命推進しておりますので、先ほど先生からお話がございましたように、戦後私ども日本人、先人の努力で一千万ヘクタールに及びます人工林、世界にも相当評価されておるわけでございますが、こういう人工林が先ほどのお話のように、将来は全く壊滅状態になってしまうということがあってはならないというふうに私どもは理解しておるわけでございまして、先ほどいろいろ御要請のあった点等につきましての施策の充実に相努めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
○飯田忠雄君 それでは次の問題に入りますが、「教育森林」ということを提言なさっておるということが本年の三月三十一日の朝日新聞に載っております。 そこで、国民森林会議が御提案になっておるような教育森林を設置するということについて文部省及び林野庁それぞれ違った御見解があると思いますが、御見解をお聞かせ願います。
○説明員(依田和夫君) お答え申し上げます。 先生から御指摘の森林が果たします青少年の健全な心身の育成とか、それから国民の潤いのある生活等に果たしますいわゆる公益的な機能、これは極めて大きいものと私どもは理解いたしておるわけでございます。特に、教育問題等に絡みましては、私どもといたしましては文部省とも協調、共同いたしまして特に学校林の造成といったような学校で森林を造成すること、それからさらには二十一世紀の森造成事業と言っておるのですが、これも学校の児童生徒等が森林に参りまして、森林の造成の体験なり、勉強をするためのいろいろの施設なり、森林の造成、こういうような事業を推進しておるわけでございます。 このほかに国有林を活用いたしまして体験林業の場の造成とか、それから先ほど制度化いたしたわけでございますが、都市と農山村が共同いたしまして、一緒になりまして触れ合いの森といったようなものをつくり出す、そこに青少年が行きましていろいろと勉強をする、自然体験をするというような場等もつくっておるところでございます。こういうような制度を現在いろいろとつくっておりますので、こういう制度を総合的に活用いたしまして、今後とも青少年の心身の健全な育成に資するような森林づくりを大いに私どもとしては進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
○説明員(遠山敦子君) 児童生徒の健全な成長のためには、それぞれの発達段階におきまして自然と触れ合ったりあるいは自然の中で学んだりというのは極めて大事なことであるというふうに考えております。そういうことを通じまして、知育、徳育、体育の調和ある発展を遂げるということは非常に大事だと思っているわけでございまして、 文部省といたしましても、昨年度から自然教室推進事業というのをやっております。これは昨年度から発足したわけでございますが、全国千三百の小中学校、二十四万人の児童生徒がこの事業に参加いたしておりまして、これは単に森林だけを使うというわけではございませんけれども、森林などを中心といたしまして、自然の中で大いに伸び伸びと学ぶ、正規の教育活動の中の一環として自然と触れ合いながら備えるべき人格形成なり知力を磨く、そういう事業を行っているわけでございます。そういう中で、日ごろの学校体験では得がたい経験を積み重ねさせることが今日の教育の問題にとって非常に重要な解決の手段であるというふうに考えているわけでございます。 御指摘のその新聞に載っておりました国民森林会議の件につきましては、たまたま明後日、関係者が当方へお見えになりましてお話をされるそうでございますので、いろいろ趣旨を承ってみたいと考えておりますが、森林等の自然の中で教育していくことの重要さについては私ども十分理解しているところでございまして、今後とも、例えば自然教室推進事業などを大いに進めてまいりたいというふうに考えております。
○飯田忠雄君 教育森林の内容でございますが、ただ子供、学童を森林へ連れていってそこで空気を吸わせるというだけのものなのか、それとも造林技術というものをある程度まで理解させて森林に対する認識を深めるということまでおやりになるのか、その点どのようなものでございますか。
○説明員(遠山敦子君) 国民会議の御提言の中身は、先ほど申しましたように、その責任者にお話を伺いましてどの程度のところまでをお考えのことかをよく伺いました上で考えたいと思っております。義務教育の中では、いろいろ教えたいことが大人の目から見ましてあるわけでございますけれども、精選をして、本当の意味でゆとりある充実した教育内容を展開していくという要請もございますので、その中で調和ある教育を展開したいというふうに考えております。
○説明員(依田和夫君) ただいま文部省の方からお答え申し上げましたとおりでございまして、これはあくまでも民間の団体が提言した内容でございますので、私ども具体的にどこまでどのようなことを考えておるかという点についてはまだ詳しく了知いたしておらない状況でございます。ただ、今まで陳情書等の内容を見ますと、私どもの方の森林の関連ですと、そのような児童教育の場所を十分準備しなさい、それから学校教育のカリキュラム等にもそのような自然教育を組み込みなさいといったような趣旨の中身を書いておるかというように理解しておるわけでございます。私どもといたしましては、先ほど文部省のお答えにもございましたように、十分関係者の意見等をお聞きいたしまして、この内容を十分参考にさせていただき、今後の森林づくり等を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
○飯田忠雄君 文部省の方はこれで結構です。ありがとうございました。 次の問題に入ります。これもまた新聞で取り上げておる問題でございますが、二月二十四日の朝日新聞ですが、「カモシカへ風当たり強まる」「保護のあと殺害 天然記念物と害獣」と、こういう題で書いております。それからこれは毎日新聞ですが、二月十四日、「特別天然記念物ニホンカモシカ 人間との共存の道を」とこう題しまして、「保護地域への封じ込め 行政に必要な慎重さ」こういうことを書いております。そのほかいろいろの記事がございます。 そこでお尋ね申しますが、北海道のキタキツネとか、今読み上げましたカモシカその他の動物の保護政策はどのような政策をお立てになっておるのでしょうか。これは文化庁の方の御所管でしょうか、お尋ねいたします。
○説明員(田村誠君) ただいまお話しのキタキツネは天然記念物になっておりませんが、天然記念物である動物についてどういう保護施策をとっているかということで文化庁の方からお答え申し上げたいと思います。 天然記念物は、ここでお話しするまでもないかと思いますけれども、動物、植物あるいは地質鉱物のうち、学術上貴重で我が国の自然を記念するものということで指定しているわけでございまして、さらに天然記念物のうち特に重要なものを特別天然記念物に指定して保護を図っているということでございます。それで、天然記念物に指定されますと、動物であれば捕獲をしたりすること、あるいは植物であれば採取したりというような現状変更を行う、あるいは保存に影響を及ぼす行為を行うというような場合には文化庁の長官の許可を必要とするというようなことになっているわけでございます。 さらに、文化庁としてこれらのものに対して保護の措置はどのようなことを講じているかということでございますが、特に動植物につきましては、近年生息環境が悪化しておりまして、その保護が緊急な課題となっているというものが多いわけでございます。このような場合に環境を含めた生態調査あるいは保存対策のための調査、減少の原因の調査を緊急に実施するというようなことで天然記念物緊急調査というものを行っているところでございますし、絶滅のおそれのある天然記念物に対しまして人工増殖あるいは給餌、植物の場合ですと植生回復等の天然記念物保護増殖事業というものを地方公共団体が行う場合に国庫補助を出している。また文化庁みずからとしては、全国的な動植物の実態把握のために全国の植生図、主要動植物地図の刊行などを行っているところでございます。 なお、特別天然記念物のカモシカにつきましては、食害が起こっているということで、食害対策につきましても国庫補助を行っているところでございます。
○飯田忠雄君 キタキツネの殺害を許可するという理由の一つに寄生虫のエキノコックスというのがあって、それをキタキツネが伝播するからだということが新聞に書いてあったわけでございますが、この寄生虫のエキノコックスというものはどういうものか。あるいはこれの駆除対策としてキタキツネを殺さなければならぬのかという問題につきまして御質問申し上げます。厚生省の方、よろしく。
○説明員(熊谷富士雄君) お答えいたします。 最初に、このエキノコックスとはどういうものであるかというお尋ねでございますが、これは寄生虫病でございまして、例えば先生がおっしゃったキタキツネに寄生しております虫でございますが、この虫の卵を人間が経口的に何らかの機会に摂取いたしまして発病する病気でありまして、この病気は我が国では北海道の地方病ということになっております。この病気は非常に経過の緩慢な病気でございまして、十年、二十年と経過する非常に慢性的な寄生虫病とされております。 それで、二つ目のお尋ねでございますが、これの対策のためにそういうキタキツネなどの希少な自然動物を殺さなければいけないかということでございますが、この対策につきましてお答え申し上げたいと思います。 エキノコックスから地域住民の健康を守るためには、予防から治療に至る総合的な研究並びに対策が必要でありますが、これまでの調査研究の結果、エキノコックス症が人間に発病するルートはほぼ解明されております。これによりまして具体的な予防方法、例えばキタキツネのふん便に汚染されているおそれのある山とか小川の生水を飲まないとか、あるいはいろんな山の果実を直接食べないとか、こういったような具体的な予防方法が確立しておりましてこういう流行地域の住民に対する普及、徹底を現在なされているところであります。 それから、この治療方法でありますが、従来から外科的な治療法があったのでありますが、これに加えまして薬剤による内科的な治療方法の研究も地元の大学などが中心になりまして現在推進されております。ただ、残念ながら直ちに安全で有効な駆虫薬というものの開発はまだできておらないというのが今日の状況であります。そのような状況を踏まえまして、厚生省としては地元の北海道庁とも十分これまでの研究の成果など協議を重ねましたところ、エキノコックス対策の、特に治療につきましては、先ほど申しましたように非常に経過の長い病気でございますので、現在、仮にその地域住民に感染している人がおったとした場合、その病気の進行程度が今どのようなところにあるのかということを的確に診断する方法をまず確立してほしい、そして必要な外科的な、現在実用化されておる治療法を適用したいと、こういうようなことでその方面の研究をまず助成したいと、こういうふうに考えておるところでございます。
○飯田忠雄君 そうしますと、病気にかかってしまったものについてはその病気を直す方法でやればいいということになるわけなんですが、かかってしまったものを治すためにキタキツネを殺さなければならぬという理由はないわけですね。それから、現在予防方法として今おっしゃったように水を飲まないとか、果物を食べないということが徹底すれば別にキタキツネを殺さなくてもいいということにもなると思いますが、要は、キタキツネを殺さないで生かしておいた場合に寄生虫原というものがなくなるのかなくならないのかということなんです。寄生虫原というものを何かの方法でなくしてしまえばキタキツネの寄生虫もなくなるわけであると思いますが、そういう点についての見通しはいかがでございますか。
○説明員(熊谷富士雄君) お答えいたします。 最初の、キタキツネをなぜ殺さなければならないのかという点につきまして、実は誤解のないように申し上げますが、私どもの方で計画的にキタキツネを捕らえて、そして解体して研究をしている、こういうことではございません。要するに、あくまでも解禁中に狩猟されたキタキツネを狩猟した方から一部提供いただいて研究のために役立てていると。そこで、研究の必要性でございますが、その地域におけるエキノコックスという寄生虫の蔓延状況を的確に把握するためにはどうしてもキタキツネでありますとか、あるいは野犬とかオオカミとか、そういった寄生虫が寄生するところの動物を解剖してどうしても確認する必要がある。その結果によりましてその地域住民に対していろいろな警告を発するなり、あるいは予防方法を教育するという面でどうしても必要である。そういうことで絶対にキタキツネでなければいけないということではないということと、それから、そういう一般の方が狩猟したものを有効に研究用に役立てさしていただいている、こういうことでございます。 それから、エキノコックスの根絶についてのお尋ねが二番目であったかと思いますが、エキノコックスという寄生虫は、幾つかの種類の動物の体内で生き続けておるわけであります。その寄生虫の生き続けるサイクルの中に動物の方ではキタキツネとか、あるいはオオカミとか、犬とか、野ネズミとか、猫とかおりまして、そしてたまたま人間もそのサイクルの中に入っておるということでございまして、このサイクルを断ち切れば理屈的にはよろしいのでありますが、これは大変困難なことだと思います。 自然界を自由に動き回る動物のサイクルを断ち切るというのは大変でございますが、これまでの研究成果によりまして、そういう動物と人間の間を寄生虫がサイクルしておるということでして、その一つに例えば野ネズミも入っておりますので、全く有用性がないと申しますか、動物などについては徹底的に駆除すると申しますか、そういうサイクルの一カ所を断ち切る方法などがあるかと思いますが、何分にも大自然界相手の仕事でございますから、直ちに効果ということになるとまた非常に大きな問題もあるかと思います。
○飯田忠雄君 時間が参りましたので、私の質問はこれで終わります。 通告いたしましたものがまだたくさん残りましたが、次回に譲りたいと思います。どうもありがとうございました。
○近藤忠孝君 きょうは水俣の問題を中心に質問したいと思います。 昨年の質問の中で、熊大医学部で水俣病の病理解剖を担当されていた衞藤先生、現在アメリカに留学されておるようでありますが、この衞藤先生の研究を取り上げました。その中で、九十歳以上の高齢者のケースで十三例中十一例までが水俣病の病変を有しているということが出てまいりまして、この事実は大変ショッキングであります。そういうことで、研究としましても高齢者に注意が向けられて、その後、熊大で九十歳以上の剖検例を探したところ熊本市内に三つの症例があった、そのうち二例については水銀値が高い。そこで、脳の所見を入念に見てみようということになって病理の立場から組織化学的検索が続けられてきたと思うのです。その経過はもちろん環境庁は十分御承知だと思いますね。その結果の詳細、まだレポートは公表されていませんが、伝え聞くところによりますと、九十歳男子の剖検例では、大脳皮質、小脳に障害が認められる、水銀汚染との関連が示唆されるものだというわけであります。このように熊本市内居住者の剖検例について、そういう事実を環境庁は御存じだと思いますが、どうですか。
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。 先生のただいまお話しになりました研究報告と申しますのは、水俣病の総合研究班でおやりになっていらっしゃる研究の中身に関するものであろうというぐあいに思うわけでございますが、特に熊本市における高齢者の病理解剖所見の問題については、何か五十九年度の研究でやっているというような感じは聞いてはおるわけでございますが、まだ具体的に五十九年度の研究報告書を私どもいただいていないところでございますので、詳細についてはよく把握していないところでございます。
○近藤忠孝君 私は何も五十九年度の水俣病に関する総合研究の中身をここでしゃべれということを言っているわけじゃないんですよ。本当はしゃべったっていいと思うんだけれども、何も秘密じゃないので、私の方もきのうから資料を要求しているけれども余り出てこないんです。 それはそれとして、しかしそういう研究が続けられ、今私が指摘したように熊本市内居住者の中に剖検例で障害が認められている、そういうような状況、環境庁も、どこでつかんだかは構いませんよ、それはいいのだけれども、そういう状況は御存じでしょう。
○政府委員(長谷川慧重君) 先ほど申し上げました総合研究班の方でいろいろな角度におきます水俣病の影響といいますか、研究を進めておられるわけでございますから、そういう研究報告書をいただいた上で、私ども十分に中身を検討さしていただきたいというぐあいに思っているところでございます。
○近藤忠孝君 そこで、もう既に、二月二十何日ですか、そういう検討会が開かれたというのは明らかですよね。きのうも私は環境庁に聞いたんだから。そこでどういう討議があって、どういう結論なりどういう報告が出たか、そんなことを聞いているのじゃないんです。私が今言ったような事実は、これは否定できないでしょう。そういう事実はないと言うのですか。もうすぐ公式に発表になるということだから、それはもう明らかなことで、当然環境庁が委嘱した全体の研究の中のあれで進んでいるのでしょうから。私が今指摘したような事実は否定できないのじゃないですか。どうですか。
○政府委員(長谷川慧重君) 同じ答弁で恐縮でございますけれども、私どもといたしましては、研究班の中の先生方がいろいろな角度からこの水俣病に関するいろいろな研究をいろいろな分野でやっていらっしゃるというぐあいに把握いたしているところでございまして、その中におきまして個個の先生方が具体的にどういうテーマでどういうフィールドにおいてどういう方々が研究をやっていらっしゃるかについての詳細は把握いたしていないところでございます。いずれ近いうちに報告書が参るはずでございますので、それを見た上で 先生の御指摘のような、あるいは御心配のようなことにつきましても私ども十分検討さしていただきたいというぐあいに思っております。
○近藤忠孝君 九十歳の方の剖検例で、大脳皮質、小脳に障害が認められて、それが水銀汚染との関係が示唆されているという、そういう事実について、立場上お答えにならないのですが、そういう否定はないということで前へ進みたいと思うのです。 そこで問題は、今まで水俣湾あるいは不知火海沿岸の居住者が問題だったんですね。しかし実際に、熊本市内の居住者の剖検例から水銀汚染との関係で、大脳、小脳の病変が認められるということは大変大事なことだと思うのです。既に熊本県衛生研究所が昭和三十六年十月から三十七年三月にかけて、不知火海沿岸住民の毛髪水銀値の測定調査を実施した結果が出ています。それは水俣病に関する毛髪中の水銀量の調査というもので、これは熊本県議会で公表されているんですね。その第二報として公表されているものによりますと、熊本市民百二十四人を調査して、毛髪中の水銀値が一〇から五〇ppmが五十九人、全体の四七・六%、五〇から一〇〇ppmが一人、〇・八%、一〇〇から一五〇ppmが一人、〇・八%、地区平均が一二・三ppmで最高値一二二ppm。それから第三報、これも公表されているものですが、やはり熊本市民百七十三人を調査して、一〇から五〇ppmが十七人、九・八%、五〇から一〇〇ppmが一人、〇・六%、一〇〇から一五〇ppmが一人、〇・六%、地区平均が七・四ppmで最高値一〇四・五ppm。実際に、毛髪に水銀がある人が発病に至る可能性というのは大体三〇から四〇ppmぐらいからとされているのですが、データが大体一から一〇、一〇から五〇というので、その一〇から五〇の中はちょっと区別できないのですが、ともかく一〇ppm以上が大変多い。第二報で六十一人、四九・二%、第三報で十九人、一一%。このことはもちろん公表された資料ですから、こういうデータがあることは承知しておるでしょう。これはどうですか。
○政府委員(長谷川慧重君) 先生からお話しございましたように、熊本県におきまして、三十五年から三十七年にかけまして、衛生研究所におきまして不知火海沿岸の漁民の方々、それからその際、対象の地域ということで有明海沿岸の漁民の方々及び熊本市の住民の方々について、合計といたしまして三千三百件余の方々の毛髪水銀を測定したというのは事実でございます。 その結果につきましては、ただいま先生からお話がいろいろあったわけでございますけれども、概略を申し上げますと、いわゆる水俣病の汚染の広がりのあったと思われる不知火海沿岸での毛髪水銀値のプラスになった方々の割合でございますが、五〇ppm以上の割合は三十五年に一七・七%、三十六年に九・〇%、三十七年に三・三%というぐあいに、逐年減少いたしているところでございます。また三十七年の五〇ppm以上の割合を申し上げますと、有明海の沿岸では〇・六%、それから熊本市で一・二%と、先生の率と少し違うかもしれませんけれども、とり方の差でございますけれども、大体先生のおっしゃっているような感じでございます。 いずれにしましても、総括といたしましては、この三カ年の調査の結果、不知火海沿岸の漁民の毛髪水銀の汚染度は、三十七年におきましては三十五年に比べまして著しく改善がみられておるという結果が得られているというぐあいに報告を私ども承っているところでございます。
○近藤忠孝君 改善の問題はいいんです。問題はやはり熊本市内にも毛髪中の水銀があったということが大事だと思うんです。この汚染経路は何だと考えていますか。
○政府委員(長谷川慧重君) 毛髪水銀、人間が水銀を摂取したことによりまして、その過程において一部が毛髪中にあらわれてくるというのは言われているところでございますので、先生からお話のございました熊本市内の方々が一般的な魚等に含まれます水銀を摂取したことによってそういう形になっておるのか、あるいは水俣湾等に見られます水銀に汚染された魚を摂取したことによるものなのかどうか、これらについては私どもよくわからないわけでございます。ただ一般的には、例えばマグロ等におきましてはかなりの量の水銀が含まれておるということもあるわけでございますので、この水俣地域あるいはその周辺以外の全くそういうことのないような地域におきましても、詳しく調べました場合におきましては、一部の方々に毛髪水銀値が見つかることもあり得るであろうというぐあいに思っているところでございます。
○近藤忠孝君 端的に言えば、かつては不知火海の魚が知らないで熊本市内でも売られておった。だから魚屋さんの経路でしょう。これは容易に想像つきますよね。その点どうですか。
○政府委員(長谷川慧重君) 先生の御推論を否定するようなものは何も持っておりません。
○近藤忠孝君 それは十分推測できるわけで、しかも先ほど指摘したように大変高い数値なんですよ。改善されたといいながら高い数値ですね。となれば、その人々はどうなったのか、その追跡調査があってしかるべきだと思うのですが、この追跡調査はされてきたでしょうか。ということは、先ほど申し上げたとおり、ここでは数値としては一〇から五〇ppmが一緒になっておるから中身はわからぬけれども、少なくとも三、四〇あたりから水俣病に発病する可能性は否定されていないわけですから、それはむしろ指摘されているんですから。となれば、追跡調査があってしかるべきだったと思うのだけれども、実際行われたのかどうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 先ほど、熊本県の衛生研究所で調査研究いたしました調査報告の概要を御説明申し上げたわけでございますが、熊本県衛生研究所におきましては、この調査の目的といいますのは、当時の汚染がさらに広がっているのか、さらに進んでいるのかどうかという汚染の実態の把握を目的といたしまして不知火海沿岸あるいは有明海沿岸の方々についての調査を行っておったところでございます。それからまたもう一方、水俣病であるかどうかという医学的判断につきましては、先生も十分御案内のとおり、ただいまお話しがございました毛髪水銀の濃度あるいは汚染された魚介類の摂取状況等、有機水銀に対する暴露歴と臨床証拠につきまして専門の方々によります総合的な判断が行われているところでございます。 そのようなことで、この毛髪水銀につきましては、かなり高い人においても発病しない方もおられますし、低い人におきましても発病される場合があるというようなことで、この毛髪水銀の評価といいますのは非常に難しいところでございます。WHOの評価によりますると、五〇ppmから一二五ppmが最低発症値であろう。非常に感受性の高い方々につきましてもそこら辺の数値が最低の発症値の閾値であろうというようなことが言われているわけでございますが、そのような関係もございましてこの毛髪水銀と水俣病の発症といいます問題につきましては評価が非常に分かれるといいますか、非常に難しいといいますか、簡単にそう推測する、両者を結びつけるというわけにはなかなかいかない事情であることは先生も十分御案内のとおりであろうと思います。 そのようなことで、私どもといたしましては、ただいま先生からお話しがございましたようなことにつきましてどう対応するかいろいろ苦慮いたすところでございますが、いずれにいたしましても、この調査といいますのが三十五年から三十七年にかけて行われた調査でございまして、非常に古い調査でもございますし、かなり高い方々の中におきましては恐らく症状も出てまいりまして、その長い期間の間にそれぞれ申請もなされて水俣病であるかないかの判断をされる、あるいは現在もまだ保留のままの形になっておられる方もあるかもしれませんけれども、そのような形になっているだろうというぐあいに思うわけでございまして、この調査の目的やらあるいは水俣病の判断基準といいますもの、それから毛髪水銀の特異性といいますものを考え合わせた場合におきまして、先生の御指摘のようなフォローアップといいますか、追跡調査といいますものはそう軽々に取り組むべき問題ではないのじゃないか、いろいろ慎重に配慮しながらやらなければならぬ問題であろうというぐあいに考えておるところでございます。
○近藤忠孝君 毛髪中水銀と水俣病がどんずばり、数量的にもぴっちりするというものでないことはそのとおりだと思うのですが、ただ一応の目安にはなるでしょう。それは否定できないと思うんですよ。 そこで、それはそれとして、問題は先ほど私が冒頭に指摘した剖検例ですね、九十歳男子の大脳皮質、小脳に障害があるというこの事例は、今第二報、第三報ということで具体的に示した熊本市内で毛髪に水銀が検出されたそういった中の一人じゃないのかという疑いが大変強いのです。そうだとすれば、まさに発病したわけだから、当時の調査、三十年代の調査の中でだれの毛髪中にどの程度の水銀があったかということはもうわかっているのだから、追跡調査して、そういった人々がどうなっているのか、発病していなければ大変結構なことだし、この九十歳の方のように発病しておれば、単に不知火海沿岸だけじゃなくて熊本市内というそこにさえ影響があるんだと、こうなれば環境庁もほっておけないことですから、これは早急に対策を立てなければいかぬことだと思うのですが、そういう追跡調査はやればできるのですから、これはやるべきじゃないだろうかと思うのですが、どうですか。
○政府委員(長谷川慧重君) 先生から御指摘ございました熊本市内の九十歳以上で亡くなられたお二人の方々についての報告もまだ正式にいただいていないところでございますので、何とも申し上げられないわけでございますが、仮にそういうことでありますれば、その方々が過去にどういうような食生活をたどっておられたのかどうかといいますものにつきましては、ある程度私どもの方は調査をする必要があるのじゃなかろうかというぐあいに思っておるところでございます。
○近藤忠孝君 ある程度調査をするとおっしゃると、具体的には大体どういうことを考えておいでですか。
○政府委員(長谷川慧重君) その方が特に魚を多くとられるか、あるいはその方の職歴ですね、前に漁船に乗り組んでおられたことがあるのかどうか、あるいはそういう魚等を特に多く食べられるような方であったのかどうか、ここら辺についての調査といいますか、そういうものも少し調べておく必要もあるのじゃなかろうかなと。ただ問題は、その報告書をまだいただいておりませんけれども、本当にその方の脳の所見が水俣病の所見であるというぐあいに報告書が出されているかどうか、それまだ何とも言われませんのでちょっと確定的なことはお話しできませんけれども、もし報告書においてそのような形のものでありますならば、その方について少し周辺といいますか、調べてみる必要があるのじゃなかろうかというぐあいに思っておるところでございます。
○近藤忠孝君 そのデータが出てからで結構です、それは特定されたわけだから。となれば、その方について調査する。もしそれがかつて毛髪中に水銀が多量に検出された方であり、例えば恐らく魚屋さんであるとか魚をたくさん食べた可能性があるとなれば、その人だけじゃなくて当時毛髪中にたくさん水銀が出た方々も同じような状況になっている可能性があると思うのです。となれば、特定の人だけじゃなくて追跡調査の範囲をもっと広げるべきだと思うのですが、その点どうですか。
○政府委員(長谷川慧重君) 先ほど私からお答え申し上げましたように、この毛髪水銀値と水俣病といいますのは必ずしも因果関係が強い形にはなっていないわけでございます。その点は先生もお話があったわけでございますけれども、毛髪水銀値が高いからその後に水俣病になるのだというような印象を持たれることについては、逆にいろいろな面での問題が起こる可能性もあるというぐあいに思っておるところでございます。そのようなことで、私どもといたしましては、過去に水銀を多く食べられた方々で水俣病の症候をお出しになられる方々につきましては、非常に長い年月たっているわけでございますので、その間に申請等がなされておって、審査会において御判断がそれぞれなされておるというぐあいに思っておるところでございます。
○近藤忠孝君 今問題になっている、間もなく報告書が出てくるかもしれぬ、その人だけやっておったら意味がないんですよ、もう亡くなったわけだから。問題は同じような条件の人を、まだ生存している方、それを救済するのが仕事だと思うのです。そのことをぜひやってほしいと思うのです。 時間の関係で次に進みますが、最近の朝日新聞四月二十七日、二十八付でありますが、熊本版です。二十五年前の毛髪水銀検査結果のニュースが載っています。二十七日付では、二十五年前、これは津奈木町赤崎に住んでいた当時中学生だったA子さんの毛髪水銀値が未成年者では史上第二位の三三七ppmという高い数値でしたが、この方は十二年前に申請したにもかかわらず、その後棄却され、現在、行政不服審査で争っているという、こういう状況のようです。A子さんが三三七ppm、当時四十六歳の父親は急性劇症で狂い死にした人で、篠原保さんという方です。これは死後認定されました。この方は七〇五ppm。母親は認定されて一八四ppm。妹が二人おって、一人は一七九ppm、もう一人は一三一ppm。弟は一六四ppm。兄さんは死にましたが七一ppmと、家族総ぐるみで濃厚水銀汚染を受けた実態が明らかなんです。 それから、さらに御所浦町の牧島にある椛ノ木在住の松崎ナスさん、これも新聞の記事でありますが、これまで九二〇ppmで史上最高と言われてきたんです。ところが、この朝日の記事では一八五五ppmとされているんです。これは松崎ナスさんのほかに別の人がおって、その人が一八五五ppmを示したのかと思って朝日の担当記者に確認したところ、これは松崎ナスさん同一人物の毛髪水銀値で、幾つか測定した平均値が九二〇ppmだと、だから一八五五というのはそのうちの最高値なんですね。そうすると、先ほどの篠原さんの家族の毛髪水銀値のデータも、それから今の松崎さんの水銀値のデータも、今の数字は本邦初公開、今まで知らされていなかった、こういうことなんです。こういう重要なデータ、一八五五というのは大変な話ですね。こういう重要なデータが非公開のまま二十五年も経過しているということは、こういうデータを隠していたのじゃないか。環境庁はこういうデータの存在はつかんでおりましたか。
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。 個々の人々ごとにその毛髪水銀値は幾らであるかという数値については私どもは承知いたしておりませんけれども、ただいま先生からお話しがございましたように、最高の数値が九二〇ppmであるというようなことは県の公害衛生の研究所の報告にそれぞれ載っておるところでございます。そういう面で、個々の方々の数値についての報告はなされておりませんけれども、それをサマライズしたものといいますか、そういうものについてはそれぞれ発表されているところでございまして、私どもそういう面での数値は把握いたしているところでございます。 こういう事々につきまして、先ほど申し上げましたように、県といたしましてはこういう水俣病の汚染がさらに広まっているか、拡大しているか、減少の傾向にあるのかといいますものを調査するために、それぞれの地域におきます人々の協力を得まして毛髪水銀を調べておるわけでございまして、そういう面での目的から申しまして、個個の方々の水銀値がこうであるからどうだということを言うのはなかなか難しいわけでございますけれども、実際には協力をいただいた方々の毛髪水銀値につきましては、個々の方々が申請されました時点におきましては、個々の方々の判断の資料といたしましてそういう数値が使われておるということでございますので、御理解いただきたいと思っております。
○近藤忠孝君 そうすると、今の一八五五ppmはどこで環境庁はつかんだのか。今まで公表されているのは、先ほど申し上げた県議会で発表された第一報から第三報までなんですね。となれば、その前の、これは昭和三十五年二月から県衛生部が実施した調査、要するに第一報の部分の調査が始まる前ではないか。それは今まで公表されていないのですよ。環境庁はつかんでおった。そういうデータがあるということですね。
○政府委員(長谷川慧重君) 大変失礼いたしました、話を取り違えまして。 私どもは、県でやっております毛髪水銀調査の結果につきましては、県の衛研の年報において把握いたしております。それから、熊大が調査をおやりになりました数字につきましては、県は熊大からの報告書をいただいているところでございますが、私どもはそこまではまだいただいていないといいますか、把握いたしていないということでございまして、先生のお話が熊大の調査の結果でございますれば、環境庁としてはそこまでは知らなかったと。県のやっているものにつきましては私ども十分よく承知いたしておりますということで、前の発言を取り消さしていただきたいと思います。
○近藤忠孝君 その点はまた触れますが、今私は新聞記事で例を挙げたのですが、この問題は二つの意味があると思うのです。一つは、こんなに高濃度の毛髪の汚染の方が棄却されている。しかも、一家総汚染なんですからね。それに対するこれはおかしいと思う。しかし、きょうは時間がないのでもう取り上げません。 もう一つは、今までこういうデータが全く非公開だったということです。環境庁は知っておったかもしれぬけれども、少なくとも第一報から第三報になかったんだから。ということは、それ以前のものだと思うのです。これも現に熊本県に確認してみますと、熊本県の調査と、それから熊大の調査と二つありますね。毛髪水銀値検査データについては、県衛生研究所が昭和三十五年から三十七年にかけて実施したもの、これはさっき言ったとおり、第一報から第三報で公表しているのですが、そのほかにもあるというのです。それが先ほど言ったものですね。確認したら、原本はないがコピーは残っておると。このコピーはまだ整理されていないのでまだ出していないと言うのですが、これはやはり実際の中で大変大事な資料だと思うのです。今回、はしなくもその一端が出てきたので、少なくとも二十五年間にわたってこういう大事なデータが未公開であったというか、隠しておったと言われてもしようがないと思うのです。 そこで最後にお聞きしたいんですが、これをむしろ公表して、個人の名前を出すにはそれなりの問題がありましょうから、それはいろいろと出し方がありますが、例えばマル、バツさん、何とかいろいろあると思うのだけれども、そういう方法でこういう大事なデータは公表していかなければ真実がわからぬのじゃないかと思うのです。と同時に、こういうものの追跡調査、これを実施して、水俣病発生の有無をもっともっと深く広く探求していくべきじゃないかと、こう思うのですが、これについての答弁を得たいと思います。 時間が来ましたので、大臣、今までずっとお聞きいただきまして、資料がやはり出ていないのですよ。こういう問題についてもっと大胆に、本当は五十九年度の水俣病に関する総合的研究のこれも公表したって差し支えない、あと印刷になるだけなんだから。国会から聞いた場合に、それもまだ正式に報告を受けていないと。だけれども、実際環境庁は立ち会ってわかっているのですからね。そういうものもどんどんやはり明らかにしていくべきだと思うのですが、そのお答えを最後に大臣にお聞きして、質問を終わりたいと思います。その前にちょっと部長の方から。
○政府委員(長谷川慧重君) 事務的なこともございますので、私の方であらかじめ御答弁させていただきます。 ただいま先生からお話しございましたような毛髪水銀量の調査といいますのは、県におきましては個々の人ごとに出すのは難しゅうございますが、例えば年次別に、何検体ありまして、〇ppmの方は何人、一から一〇の方は何人というような形のものはそれぞれ公表されているわけでございますので、必ずしもしまっておるというわけじゃないというぐあいに思っておるわけでございます。ただ、当時……
○近藤忠孝君 さっきの数字は初公開でしょう、一八五五というのは。
○政府委員(長谷川慧重君) ええ。そういう面では平均値的なものが載っておるわけでございますので、一人の方の検査を何回かおやりになった場合におきまして、個々の検査ごとの数値といいますものは出ていないわけでございまして、それを平均したといいますか、その人に対する数値としては幾ら幾らということで、例えば最高の方が九二〇ppmでございますか、そういうことも県の年報に載っておるところでございます。 なお、先ほども申し上げましたように、当時も、毛髪水銀と患者さん発症との関係が非常に評価が分かれているところでございますので、そういう面でなおのこと、個々の方々に対しまして、あなたの毛髪水銀値はこうこうでありますよということについての御説明といいますか、お話しすることにつきましては、いろいろな面でのまた心配といいますか、悩みをもたらすおそれもあるわけでございますので、そういう面では県の発表といいますか、ある程度まとめた形で、サマライズされた形での発表といいますものもやむを得ないものというぐあいに思っているところでございます。いずれにいたしましても、先生の御指摘をいろいろいただいたところでございますので、私ども県とも十分相談しながら、過去の資料の中で有益なものについては患者救済の観点から扱っていかなければならないというように思っているところでございます。
○国務大臣(石本茂君) 先生の御指摘くださいました点は、これは大変に大切な問題だと思って聞いておりました。 汚染実態の把握でございますので、この問題については慎重に検討さしていただきたいと思いますし、それから、データにつきましてもその性格にこたえまして対処してまいりたいというふうに考えております。
○近藤忠孝君 終わります。
○木本平八郎君 私、通知申し上げておいた質問の内容もあるのですけれども、その前に実はナショナルトラストの問題があります。私はきのう、おとついと知床へ行ってきたわけです。その間、現地の環境庁に非常にお世話になりまして、どうもありがとうございました。おかげさまで非常に勉強さしていただきまして、やはりもう現地を見ないとだめなんだなとつくづく痛感して帰ってきたわけでございます。それに関しましては、また別のナショナルトラストのときにいろいろ質問さしていただきたいと思うのですけれども、ただ、一つだけきょうぜひ御考慮いただきたいという問題がございますので、まずそれから入りたいと思うのです。 網走のところにオホーツク海に面した海岸、砂浜の海岸ですけれども、そこに小清水の原生花園というのがあるわけですね。あれはまた私はよくわからない、不思議だと思うんですけれども、オホーツクの北風が吹いてくると、それが砂浜に打ち寄せて砂丘ができているわけですね。ところがその砂丘にハマナスがびっしりついているわけです。しかもその先へ行きますと雑木林なんかがあって、自然の防風林というか、防砂林になっているわけですね。これは私、非常におもしろいなと思った。普通は鳥取の砂丘みたいになっていくはずなんですね。それは別にして、ここが天然記念物、国定公園にもなっているわけです。そのハマナスのところに、エゾスカシユリだとかエゾキスゲとか、あるいはヒオウギアヤメのような花がその間にずっと咲いていてきれいだと、一面きれいだというので、何か天然記念物あるいは国定公園にされたらしいんですね。ところが最近どんどん花の方が後退してきたと。ハマナスの方はまだそれほど影響を受けていないのですけれども、どんどん花が少なくなってきたというので、地元は慌てて、私が行くということはわかったらしいのですけれども、地元の町会議長さんが来て、ぜひこれはひとつ、まあ結論的には野火というのですか、火を放って枯れ草をばっと焼きたいということなんですね。そういうことで大分いろいろ説明されたわけです。それで聞いていますと、これができたのは多分江戸時代にはハマナスだけで、そういう花はなかったんじゃないかという説もあるようなんですね。要するに蒸気機関車ができて、そこの真ん中を国鉄が通っているわけですね。それの火の粉で、毎年そこがその野火で焼かれていたというんですね、毎年同じところかどうか知りませんけれども。そういう野焼きを、奈良の三笠山の芝焼きみたいにやられていたので花がどんどんふえたんじゃないかということと、それからもう一つは、何か昔は地びき網をやっていて、それを引っ張るのに牛や馬を使ったらしいんですね、使わないときは放牧しておく。そうすると勝手に歩いて草を食べるわけですが、彼らは不思議に花の咲いている草は食わないそうなんです。それで禾本科の、我々から見たらいかにもまずそうな草しか食わないらしいんです。そのおかげで片一方のこういうユリだとかキスゲなんかが非常に広がったというのが地元の見方なんです。ところが最近はディーゼル機関車になって、火の粉が飛ばなくなった。それから牛や馬も使わなくなったということで、どんどん枯れ草が堆積してくるわけですね。普通で言えば、非常に有機質がふえるから土地が肥えてきていいようなんですけれども、こういう植物にとっては肥沃になることは余りよくないらしいんです。それからやはり砂が少しずつ移動していかないとこういう植物は育たないというのが地元の非常に一致した意見だったわけです。そこでせめて火を入れさしてくれということを非常にやかましく言っているわけですね。ところがこれがたまたま天然記念物で、しかも国定公園にあるので、ちょっと火を入れるなんてとんでもないと、草一本、枯れ枝一本取ってもいけないんだと、特別保護地区になっているらしいんですね。そういうことで何回申請してもなかなか許可してもらえない。鉄道の反対側の涛沸湖の方の牧場になっているところは、これはトライアルで焼いたらしいのですけれども、そこは花はないわけですね、こういうきれいな花は。したがって、花を保護するということで、帰ったら環境庁の本庁をぜひ口説いてくれということを頼まれてきたわけです。その辺環境庁の方ではどういうふうに受けとめておられるか、まずお聞きしたいわけです。
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。 先生、現地まで出向いていただきまして大変詳しく御視察並びに御勉強をいただきましたことに深く感謝申し上げます。 まさに先生から御指摘のお話は、おっしゃるとおりの事実関係と申しますか、小清水原生花園の状況はおっしゃるような状況にございます。これは直接には実は国定公園で、北海道庁が管理しておる関係がございます、ちょっと事務的な話で恐縮でございますが。しかし、当然私どもの方は自然公園法の総括官庁でございますので、相談に乗りあるいは御指導申し上げておるところでございますので、十分先生のお話は承りまして今後相談してまいりたいと思います。 若干、御説明並びに御答弁させていただきますと、まず一般論でございますが、自然公園の管理の仕方につきましては、特に特別保護区域というような地区につきましては大体二種類ございまして、自然の推移に任せるという地域もございます。それから若干の人為を加えて維持回復を図る方がいいという地域もございます。その地域の特性に応じましてさまざまな対応が要求されることはもう御承知のとおりでございます。したがいまして、望ましい状態に回復させるために火入やあるいは逆に放牧を行って草を食わせるというようなことも有効な自然的な方法でございまして、現に火入れをしたり放牧が行われている地域ももちろんございます。 先生、ちょうど御指摘の原生花園につきましては、北海道知事の管理、さらに具体的に言いますとあそこは網走支庁でございまして、網走支庁の中に自然保護を担当する部局がございまして、そこが直接は管轄いたします。早速私ども連絡をとりましたところ、既に数年前から火入れをテスト的にはやっておる。ただまさに、先生おっしゃいましたように、それは涛沸湖側の分でまずやってみておる。といいますのは、これも学問的にはなかなか難しい話のようでございまして、それだけが原因ということが確定できればもちろん思い切ってやるわけでございます。 今後の問題にもなりますけれども、先生おっしゃいました鉄道線路から海岸寄りの方につきましても、まずはテストということもあるかもしれませんし、あるいはこれはやった方がいいということになればそうすることによって貴重な花が損なわれることなく、かつ将来もっと盛大になって観光客の皆さんもあるいは子供さんたちも観察できる、あるいは楽しめるということになれば非常にいいことだと思っておりますので、今後とも適正な一番いい方法を北海道庁と連絡をとりながら、先生の御趣旨も十分生かしまして対応してまいりたいという考えでおります。
○木本平八郎君 それで、私、この際理屈を言うつもりじゃないのですけれども、環境保護というものをやはり基本的に考え直してみる必要があるんじゃないかと思うのですね。環境庁ができて十二年ぐらいなんですけれども、いろいろそれなりに努力なさってきた。きのう御案内いただいた現地の方なんというのは実に立派な哲学を持っておられて、非常に二日間教えられたんです。 それで、いろいろ私が素人なりに聞いていて思ったのは、例えば特別保護地域にするということ自体が、非常に大事だから特別保護地域にされた。ところが、確かにそこは枯れ枝一本、枯れ草一本取ってはいけないのだという、大事だという気持ちはわかるのですけれども、逆にそういうことのためにどうしようもない。例えばこの地域に観光客が入っているので展望台があるわけですね。展望台にどんどん入ってくる。ところが、そこの近くにタンポポが生え出しているんですね。このタンポポは昔はなかったと言うんです。観光客が洋服かどこかにつけてよそから持ってきてこれが広がっていると言うんです。ところが、このタンポポを長官の許可なくして取るわけにいかないんですね、この区域の中だから。例えば、その地区を本当に保護するなら鉄道も取っ払う、道も国道がありますからそれも取っ払うということでなければいかぬのだけれども、そこまでいかない。といってやはりタンポポは取った方がいいんじゃないかと思うのです。昔ならそんなものが生えていてもすぐ牛や馬が食ってくれたわけですね。ところが今はそういう天敵がいない。しかも人間が逆にそういう破壊をやっているわけですね。 そういうことになると、あの地域を特別保護地域じゃなくて少しは手入れができるという地域にした方が本当にあれを保つためにはいいんじゃないかという気がするわけです。したがって、地域の指定がえをするとか、あるいは例えば、密林のまま、原生林のままおいておくとこれはそれこそ風倒木といえども手をつけないということでいいと思うのです。それと、やはりこういう原生花園なんというのはもう完全に人間の都合のために、人間のためにやっているわけですね。先ほど出ましたように、こういう自然はキタキツネだとかそういうためじゃなくて、人間のために、人間が楽しむために残すわけですから、そういう点ではある程度まで一番いい状態に保たれるように人為を加えていってもいいんじゃないかという気がするのです。ちょっと乱暴なことを言いますと、 時々は肥料でもぱあっとまくぐらいのことをやってもいいんじゃないかと私は思うわけですね。そうしてできるだけいい状況にもっていくということがやはり必要なんじゃないか。 それからもう一つ、対応の問題として、それじゃ原生花園の花が後退しているということについてはやはり火を放っていないからなのか、いや牛や馬がおらなくなったからなのか、もっとほかの原因か、これは確かにわからないと思うんですね。これはまだ大学の先生だって環境庁だって文化庁だって皆わからないと思うのです。わからないけれども現実に後退してきているから、やはりこの際は行政としては思い切ってトライアル・アンド・エラーで、試行錯誤でもやっていただくことが必要なんじゃないかと思うのです。法があるからやれないというのではこれは主客転倒になりますので、長官とかあるいはそういう責任で、少し区切ってそれじゃ、ことしは一遍火を入れてみようとかそういう思い切った行政に転換していただく、法律を変えていただくとかいろいろな方法があると思いますけれども、その辺を少しやっていただいた方がいいのではないか。少なくとも現地におる人たちは、専門家も含めて、火を入れたら必ずいいという確信はないようですけれども、少し火を入れさせてくれと、試したいということを非常に言っているんですね。その辺を聞いてまいりましたので、それについて御感想をお伺いしたいわけです。
○政府委員(加藤陸美君) 先生のお話を伺っておりますとまさにそのとおりだと存じます。それから、若干事務的、法律的な話を申し添えさせていただきますと、法律を変えなければいかぬのなら変えてもと、こうおっしゃいましたのですが、その点は変える必要は全くございませんで、法律でございますので、客観条件その他必要に応じて動かすような形になっております。今の火を入れるといいますか、人為を加える加え方の程度、方法はいろいろございますけれども、地域の状況に応じて当然できるわけでございます。むしろそれを管理する側の方の判断力とそれから決断というのはもちろん必要かと思いますけれども、その辺のところは実はこれ先ほども申し上げましたように北海道庁の管理でございますから、よく道庁と相談をいたしまして、現にある程度相談をしておるように承っておるわけでございますけれども、適切にかつなるべく早く、まあ一遍にやるかテスト的にやるかはひとつ道庁並びに私どもの方の相談にお任せいただきたいと思いますが、そう考えております。 なお、一般論といたしまして、一木一草もと例えではよく言いますけれども、これは保護と利用と両面を考えておる制度でございますので、その辺は対処よろしきを得るように我々も努めてまいりますが、また今後とも御指導賜ればありがたいと思います。
○木本平八郎君 ぜひお願いしたいのです。それで、北海道庁と打ち合わせていただいて、できればことし一部分でもいいから実験していただく。ということは、やはり一年一年何かどんどん減っていくようなので、現地の話を聞いているとこっちが怖くなるような感じがしたものですから、ぜひよろしくお願いします。 それで、もとに返りまして、実は、私きょうは暴走族の騒音の問題をぜひ取り上げたいと思ったのです。 これは一、二カ月前ですか、夜の夜中に私の家の前を、三台ぐらいなんですがブアッとやられまして飛び起きてしまったわけですね。まさか住宅街のそんなところにまで来るとは思わなかったのですけれども、最近聞きますと、だんだん小グループになって、警察に追われるものだからどんどん住宅街まで入り込んできているという状況なので、まあゲリラ的といえばそうなんでしょうけれども、こっちのやられる方は困るというふうなことがありまして、こういうものに対してどういうふうに——警察の方としては非常に厳しく対応されているようには私はもちろん承知しているのですけれども、ちょっと警察の方の対応をまずお聞きしたいのです。
○説明員(山崎毅君) お答えいたします。 その前に、暴走族の現況について若干御報告をしたいと思います。暴走族の勢力は、昭和五十九年末、昨年末現在では全国で五百六十一グループでございまして、人員は約三万七千人ということでございます。その前の年に比べますとグループ数それから人員とも減少いたしておるわけでございます。それからまた、暴走族の集まったりあるいは走ったりする回数でございますが、昨年は走行回数、集まった回数が二千百回、参加人員が約十万一千人ということになっておりまして、それに参加しました車両の数は四万三千台と、いずれも概数でございますけれどもなっております。これもその前年に比べますと若干減少しておるということでございまして、先ほど先生から御指摘のように、最近では以前のような大規模な集団暴走行為というものは相当に減少してきておるという状況でございます。しかし、若い方の暴走志向といいますか、走りたいという気持ちは相当根強いものがあるようでございまして、私どもの取り締まりの間隙を突いた小規模な集団によるゲリラ的な走行、中には住宅地に入り込んで走るというものもございますし、またゼロヨンだとかローリングといった新しいスピードを競うスピードレース型といいますか、そうした暴走行為というものも散見されるわけでございます。そのほか、グループ間の対立抗争事案なども依然として発生しておるということでございまして、全体として数は減ったけれどもやはり悪質なものが相当にあるという状況でございます。 これに対しまして私どもは交通安全の見地はもとよりでございますけれども、市民の安全それから平穏の確保という観点、あるいは少年非行防止というような観点から、主として週末を中心にいたしまして特別の警戒取り締まり態勢を組みまして暴走行為等不法事業の取り締まりを実施しております。そのほか、免許の取り消しの行政処分を迅速にやるとか、あるいは特別の解体、補導活動をやるとか、そういうことを積極的に推進いたしておりますし、また警察独自としても暴走族関連の広報活動というのをいろいろやっておりますし、また根源対策としましては警察の取り締まりあるいは車対策だけではなくて関係機関、団体、あるいは地域の皆様方の御協力による総合対策といいますか、そういうものが必要でございますので、そうしたものを進めまして暴走行為をさせない環境づくりというものに取り組んでおるところでございます。しかしながら、ゲリラ的な走行で御迷惑をかけている向きもありましてまことに遺憾に思うわけでありますけれども、今後ともそうした対策を徹底して進めてまいりたいというぐあいに考えております。
○木本平八郎君 私がもらった資料では、昭和五十七年から五十九年にかけて事故もどんどん減っているわけです。五十七年に三百三十四件あったのが五十九年はもう約半分の百八十八件になっている。暴走事故において死んだ死者も七十四人が三十人で半分以下になっている。負傷者も六百三人が三百十六人で約半分になっているというふうに非常に減っているわけです。これはやはり警察の努力があったと思うのですけれども、何かほかの資料では警察官の出動が取り締まりだけで年間に八十四万人出動して、警察のパトカーその他の車が二十四万台も出動しているというわけです。大変な犠牲を払って、これは予算もかかると思うのですけれども、これだけのものをつぎ込まれたのでこれだけ減っているのか。それとも、ただ単に取り締まるだけではなくて、今お聞きすると、グループのボスと何かいろいろ話をつけて、お前もう解散しろよと刑事さんがいっていろいろやっておられるというふうな話も聞いたんです。あるいはスピードウェーなんかに集めていろいろ、スピードウェーじゃないですか、どこかでオートバイの乗り方の指導訓練なんかをやって非常にいい方向に導いていっておられるというふうなことも聞いたんです。 それでお聞きしたいのは、こういうふうに事故が減ってきているということはそういう取り締まりの効果なのか、それとも取り締まり以外の効果が大きいのか、それは感触的にはどういうふうに受けとめておられますか。
○説明員(山崎毅君) 非常に難しい御質問でございますが、私どもも取り締まりと、それから警察の立場からする広報なり補導なりというような働きかけ、その他の作業をしておるわけでありまして、それから先ほど申し上げましたように、関係機関なり団体、あるいは地域の方々の非常な御努力というものがありまして最近は暴走族の数が減ってきた、そしてまた数が減る以上に事故というものが減ってきたというのは、どれが主ということではなくて、そうしたものの相乗効果であろうというぐあいに思っております。ただ、私どもなりに努力をしている一つの取り締まりの問題につきましては、さっき御報告しましたように暴走族の数、そして集まって走る回数は減っておるのですけれども、道路交通法違反を初めとする諸法令の検挙は従前よりもむしろ増加いたしておるわけでございまして、そこらは私どもの取り締まりの努力が一つの数字としてあらわれてきた面もあろうかというぐあいには思っております。
○木本平八郎君 それで、こういうふうにずっと減ってきていますので、カーブをとっていくとずっと減っていく。六十年も六十一年もずっと減っていって、そのうちにほとんど下の方までいくのじゃないかという気がするのですけれども、その辺の見通しはどうでしょうか。
○説明員(山崎毅君) 先生の御指摘のような状態になることが望ましいわけでありまして、私どももそうした希望を持って仕事をしておるわけでありますが、ただ、暴走族の本当の現場で仕事をした経験は私自身もございますが、そうした経験を通じての感触では、やはり暴走族の減少というのは、なくなってしまうところにはなかなかいかないのではないだろうかというぐあいに思います。本当はだんだ下火になって、最後にはゼロに近くなるという形になるのが望ましいことだと思いますけれども、現場の感触としてはそれはなかなか難しいかという感じでございます。
○木本平八郎君 やはりそうじゃないかと私も思うのです。 それで、ここにまた資料があるのですけれども、昭和三十四年から四十二年ごろまではいわゆるカミナリ族と言われた。その後はサーキット族になって、昭和四十八年から今までは一応暴走族、こう言われている歴史があるようなんですね。ところが、こういうなにを見てみますと、だんだん何かたちが悪くなってきているというか、昔はちゃんとしたグループのリーダーがおって、それが統率のもとにやっていた。ところがだんだん無頼の徒みたいななにがふえてきているとか、いろいろな現象があると思うのです。それで、なぜ暴走族というものが起こるかということについてはいろいろな分析がありますし、私も二、三の本を読みましたけれども、やはり基本的には若い人のうつぼつとして盛り上がってくる若さとエネルギーみたいなものがあると思うんですね。これを例えば受験勉強なら受験勉強というものにつぎ込んでいればいいんですけれども、そういうチャンスに恵まれていない人はいろいろなことを考える。そのうちの一つが暴走族であるというふうにも考えられるわけです。 それで中には、これは警察の方が非常によく御存じなんですけれども、スピードの陶酔感もあるけれども、人に迷惑をかけて喜んでおるというやつもおるわけですね。これが一番困るわけですが、こういういろいろなものがあると思うのです。しかし、その根本にはうつぼつとして出てくるエネルギーの吐け口を求めている。ということになりますと、今のような社会情勢で、極めて平和で非常にいい社会なんですけれども、こういうものが続いていく限りやはり若い連中のそういう意味のエネルギーの吐け口というのはなかなかないのじゃないか。そうすると、やはり今後ともこういう形で爆発してくるんじゃないかという気がするのですね。 そこで、私の提案なんですけれども、私はこれを一挙に壊滅させるとかあるいは警察の取り締まりをやっても、それは一時的には壊滅できても、なかなかそう自然に絶えていくということはないんじゃないか。したがって、いろいろな対策を組み合わせて、できるだけ社会的な影響が少ないように持っていくということで、絶滅は期せられないにしても少しずつ影響力を下げていくということをあらゆることで考えなければいけないんじゃないかと思うのです。 それのうちの一つとして、例えば鈴鹿サーキットとか、富士スピードウエーとか、ああいったところへ障害物をつくったり、ゼロから四百メーターを何秒でやるというゼロヨンですか、ローリングというのはどうか知りませんけれども、坂道だとかカーブつくってそこで競わせて、そこで思い切りやらせる。それで、マフラーを取りたいならそこでは取ってもよろしい、どんなに車両を改造してもよろしいと、その場所だけは。それで、むしろ大人は救急態勢をやるとか、あるいは場外に出ないようになにして場内ではもう思い切りやらせるわけですね。これは少し乱暴ですけれども、やはり死者だけでも毎年六十人、八十人死んでいるわけですから、その死者を逆に五人でも十人でも減らした方がいいんだというふうに割り切ってしまうわけですね。負傷者も六百人から三百人出ているわけですから、これを二十人でも三十人でも減らした方がいいんだというふうに考え方切りかえてしまうわけですよ。それで十人でも二十人でも、死んでもいいと言ったらこれ問題になりますけれども、逆にそういうことをやって少しでも少なくしたらいい。それで、この中でやる限り一般市民が巻き添えを食うということないわけですからね。 それだけをやっただけで絶滅するとは私は思わないのです。それ以外に技術指導をやるとかいろいろなことを組み合わせていかなければいかぬと思うけれども、そういうことも思い切ってやらした方がいいんじゃないか。今までの行政の考え方では、そんなことをやって事故でも起こって一人でも死んだらえらい騒ぎになるからとんでもないということなんですけれども、そうじゃなくて、もう今私が申し上げたような考え方に切りかえないといけない時期に来ているんじゃないかと思うのですが、その辺いかがでございますか。
○説明員(山崎毅君) 非常に示唆に富んだ御提言だというぐあいに思います。 モータースポーツの健全育成につながる問題であろうと思いますが、これは青少年の教育なりあるいは交通社会の発展といったようなことから考えても非常に好ましいことだというぐあいに考えます。したがいまして、警察といたしましても関係機関、団体などと相図りつつ、交通安全教育の延長線上のものとして積極的に協力してまいりたいというぐあいに思うわけであります。 ただ、先ほどの御指摘の中にもございましたが、暴走族は加入した動機というものを時々アンケート調査などで調べてみますと、若さの発散の場がないから発散するのだという動機も相当あるのですけれども、また、それと並びまして、これも御指摘にありましたように、スリルというか、それも例えば単なるオートバイに乗ってのスリルとか、車を運転してのスリルじゃなしに、それ以外のスリルを楽しむとか、あるいは暴走族用語でナンパをしたいと。これは要するに、車に乗って女の子をということとか、そういう動機を持っている者が非常に多いわけです。それからまた、暴走族全体の一つの特性としまして、非常に目立ちたいとか、それから人の目の前で喝采を受けて格好よく行動したい、こういう気持ちも非常に強うございまして、一言で言えば自己顕示欲といいますか、そういうものも非常に強いものですから、したがって、見物人が余りいないようなところに誘導をして、そこで走らせるというのは、若さの発散には確かになりますけれども、そういう特性から見ると、必ずしも全部が全部そこへ参加してくれるということはなかろうかと思います。 しかしながら、健全なモータースポーツの育成というのは非常に大事なことでありまして、冒頭に御答弁申し上げましたように、私どもも交通安全教育の延長線上の問題として、そうした計画というものには積極的に協力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
○木本平八郎君 それでは、最後に大臣から、私が今申し上げましたことで、簡単で結構でございますから御所見をいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(石本茂君) 先生の非常にユニークな御提言を聞かしていただきましたが、このような問題というのは、地域全体のやはりモラルの問題もありますし、若人の、どう言いますか顕示欲という言葉もありましたけれども、そうした本能的なものもありますが、要は適正な運転ルールというものを自覚してほしいなということと、それから国としましても、各省庁がそれぞれの立場で啓発活動をしておりますけれども、これも関係省庁ともに相提携いたしまして、何とか健全な育成方法を見つけ出してその実現に努力していきたいというふうに考えております。ありがとうございました。
○委員長(粕谷照美君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 ─────────────
○委員長(粕谷照美君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 公害及び環境保全対策樹立に関する調査のうち、ナショナルトラスト問題に関する件について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十四分散会