外務委員会 第18号
- 発言数
- 235 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1985/06/20
会議録
○委員長(平井卓志君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨日、園田清充君及び中西一郎君が委員を辞任され、その補欠として石井道子君及び佐藤栄佐久君が選任されました。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) 前回に引き続き、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○八百板正君 早くから皆さん御苦労さまでございます。 女子に対するすべての差別を禁止する、こういう趣旨の条約の承認ですが、今までの審議の経過や政府の態度などをずっと見てきますると、現実には女子に対する差別の現状は日本は先進国の立場には立っておらないと見てよろしいのでありますが、これに対応する取り組みが、この条約の中の例えば四条にあらわれておりますような、現に差別があるところを一遍に禁止し、場合によっては罰則規定を設けても引き上げていく、こういうような趣旨について、いわゆるそういう点でおくれておる国のために設けられた例えば第四条の考え方というふうなところに日本は逃げ込んでこの問題に対応しているという感じが非常に強いのであります。日本は総理初め、日本の国際的地位についてサミットにあらわれておりまするように、先に立って指導という言葉は不適当でございまするけれども、とにかくそういう先進国の立場を少なくとも経済大国というような形で自負しておるのでありますが、にもかかわらず、事この面になりまするというと漸進的にやっていくんだという形で逃げておるというふうな感じが強いのであります。いずれにいたしましても、この条約案を承認することによって生ずる問題は今後の事柄でありまするから、当然に総理を中心として日本の政府の責任においていろいろな問題に具体的に対応して女子に対する差別をなくする実を上げていくようなそういう手段、措置、方法が期待され望まれておると思うのでありまして、こういう意味合いにおいてきょうの審議は結果としてこの条約の承認案件の最後の時間になるものだと思いますので、ひとつ総理の見解を具体的に述べていただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 八百板先生がお述べになりました点は、雇用とか昇進に関する部面等を特に念頭に置かれておっしゃったことであると拝察をいたします。我々もこの点については大きな関心を掛っております。審議会で男女雇用機会均等法の案をつくるときにこの点もいろいろ議論のあった点でございます。労使、中立、皆さん方の御意見いろいろありましたが、政府といたしましてはできるだけ早く雇用平等法を実現し、かつこの条約に批准をしたいと、そういうような考えに立ちまして作案をしたところでございます。もちろん一〇〇%十全なものとは言い切れない点もありますが、それらの点につきましては今後ともいろいろ行政指導によりまして条件の充実を期してまいりたい、労働基準監督署とかあるいは婦人少年室とか、そのほかの政府機構等も動員いたしまして、実質的にそういうことが実現するようにいろいろ行政的にも指導してまいりたい、そう考えておる次第でございます。
○八百板正君 女子に対する差別の現状はもちろん雇用の面に顕著にあらわれておりまするが、雇用の面だけではなくてあらゆる面にそういう習慣なり状況が残っておることは御承知のとおりであります。雇用の問題についてのお話がございましたが、雇用の面についてだけ考えましても、この差別に対するなくさなきゃならぬという考え方の起こりは非常に古いのでありまするけれども、具体的にはベルサイユ会議以後の、言ってみれば同一労働同一賃金というふうな考え方に立った一つの発展が今日まで積み上げられてきておるものだと思うんでありますが、この点だけを考えましても日本の現状はそういうふうにはなっておりませんで、例えば今日国際的に問題になっておりまする貿易摩擦の問題にいたしましても、農村の安い労働力を吸い上げて今日の日本の高度経済成長の基礎をつくっていることはここ十年前後の間に明らかなる事実でありまするが、その中でも特に女子労働に課せられておりまする低賃金の実態というものは本当にひどいものでありまして、私は身近にたくさんの現実の家庭を見ておりますけれども、ある場合にはもう巡査が内職をやって、家族全員で内職をして、だんなさまでも内職の手伝いをするというふうな実例を私はつぶさに承知しておりますが、この農家の内職にいたしましてもあるいはパートにいたしましても、そういう低賃金に支えられて今日の一面の経済の高度成長が積み上げられてきておるという事実は今日も現存するわけでありまして、これは物すごい苛酷な労働が家庭の中で行われておるわけでありまして、こういうふうな点も日本の国際関係の中の貿易摩擦の一つの根底をつくっておることも事実であります。 古い話でございまするけれども、そういうソシアルダンピング的な形で日本の経済が今日を築き上げたという点は紛れもない事実でありまして、いろんなどの点から考えましても、この根源になっておりまする女子に対する差別を取り除くということは、少なくとも先進国をもって任ずる日本の先に立ってやっていかなくちゃいかぬ事柄でありまして、そういう点について仕方なしに渋々と後からついていくと、そして十年ぎりぎりのあす、あさってという時期になってこれを片づけて、とにかく格好つけてというふうな考え方であっては断じて許されないのでございまして、そういう意味で特段の具体的な処置の中で、総理の及ぶ行政の責任者としての立場、また自民党の総裁としての立場、また一国会議員としての立場、あらゆる面でそういう姿勢をがっちりとこの機会に決意して前進されることを特に私は期待して、望んでおきます。 これについてもう一遍ひとつはっきり意向を表明していただきたいと考えます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先生御指摘のとおり、賃金の問題であるとか、あるいは先般来問題になっております高等学校の家庭科の問題であるとか、各般のいろんな点につきまして目を配りまして、この条約の理想が達成できるように政府といたしましても積極的に行政指導等を活用いたしまして努力してまいりたいと思っております。
○八百板正君 次に、今あらわれておりまする豊田商事の会長の殺害された事柄について総理の見解を求めたいと思います。 豊田商事の会長が多数の人が並んでおる場で、公然と犯人がわしは殺しに来た、殺すと宣言しながら殺害したことは、これは全くゆゆしい問題であります。ピストルの公然たる撃ち合いが暴力団の間に行われておるという事実、またグリコ事件の犯人が警察をやゆするような挑戦的態度を示してきたという事実、また最近の警察官の職にあった者の犯罪行為の若干の繰り返し、それからまた今回のいわゆる悪徳商法の横行、こういうふうな状況の中でこの犯人は法は手ぬるい、おれがやらぬでだれがやるかというふうな意味のことを述べていると聞いておるのでありまするが、この面をとらえまする限りまさに無法の世界であります。法治国として治安がよいということを世界に、ある面では評価され、誇っておりまする日本でこういうことが行われるということについて、これは単なる治安とか刑事の事件として考えるには余りに問題が深刻であります。悪徳商法とは同時に並んでいわゆる悪徳政法と言っていいような現実の政治のていたらくであります。また結合しているという面も往々にしてあったわけであります。国法の不信というものは国家、国政に対する不信であります。この本質を見詰めて、総理大臣としてこの際所見を述べる必要があると私は考えます。
○国務大臣(中曽根康弘君) お亡くなりになりました豊田商事の会長に対しましては、まことにお気の毒なことに相なったと思います。白昼公然とああいうことが行われましたということは、法治国家といたしましても甚だ遺憾な事態でございまして、我々としてもこの事実を厳粛に考えまして今後諸般の対策を講じていかなければならないと思っております。 最近における諸般の御指摘になりましたような問題につきましては、私も実は心を痛めておりまして、いろいろな対策を関係方面に指示してきたところでございます。十分な成果が上がらずに住民の皆さんに御迷惑をおかけしたりその他で大変申しわけないと思っております。法治国家としての実をさらに高めるように今後とも関係方面を督励して努力いたしたいと思っております。
○八百板正君 いわゆるおざなりの考えでこの問題を考えるべき問題ではなくて、やはり政治自身の、悪徳商法、悪徳政法とも言うべき現状に対してやはりみずから厳しく反省するというそういう土台の上に立ってこの世相に取り組んでいかなければならないというのが、ただいまの事態だと私は考えております。そういう意味で治安当局にどう指示するとか、可及的、善処するとかいうふうなことではなくて、もっと基本的な問題を見詰めて考えるという立場がこの際必要だということを私は申し上げまして、私の質問を終わります。
○久保田真苗君 条約批准に当たりまして私は特に一つのことを総理にお願いしたいと思います。 それは、条約の十条に従いまして、同一の教育課程を男女に保障することであります。このことはほとんど着手されていず未履行のまま条約が批准になることをぜひ総理に御記憶いただきたいと思うのでございます。詳しくは言えませんが、現在中学におきまして技術・家庭科がありますが、このうち女子は大幅に技術系の学科を学ぶことから制約を受けております。また同様に男子は家庭系から締め出されておるということは周知の事実でございます。私は特に現代のように生活、職業の面でも科学技術の進展が著しく、その知識や体験が必要な今日、育ち盛りの女子が義務教育において技術を学ぶ権利を阻まれているということは本当に一日も忍びがたいものがあるのでございます。また高校におきましても、家庭科は女子だけを必修とされまして、その分女子の体育を減じ男子はこれから事実上履修が遠ざけられているわけでございます。このことは条約の要請と私は到底両立できないものと思いますし、また憲法や教育基本法に照らしても疑問を持っております。私はやはりこういうことが指導要領という省の告示の形で今後長く維持されるということは非常に不適当なことだと思うのでございます。 総理の内閣のうちにぜひこのことを障害を乗り越えていただきまして総理の手でこの教育課程を同一の条件で男女に開放していただくようお願いしたいと思います。私は学習の権利というものを非常に重く見ておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。総理の御所信を改めて伺います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中学校あるいは高等学校における男女の教育の問題でございますが、条約の趣旨に沿いまして、同一化を図るように今後とも積極的に努力してまいりたいと思っております。 御指摘の問題につきまして、例えば中学における家庭と技術の関係とか、あるいは高校における欠落の問題とか、そういうような点につきましては、検討会議の結論を踏まえまして、教育課程審議会に諮りまして、なるべく早い機会にその結論を得て実施するように努力いたしたいと思っております。現在の状態では非常に多様性のある科目の内容を整えておって、そして男女平等に選択できる、選択的必須と申しますか、そういう形で解決しようという方向にあると聞いております。
○久保田真苗君 総理は既にこれには三年も五年もかけることを考えておるのではないというふうに衆議院でおっしゃっておられるのです。私はもう一歩を進めまして、総理は天皇とともにこの条約に署名をなさる方でございます、総理の手で中曽根内閣の間にぜひこのけじめをつけていただき、すべての教育課程がすべての子供に開放されるというそのことをお約束いただきたいのでございますが、いかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御趣旨に沿いましてなるべく早い機会に実施するように努力いたしたいと思います。
○久保田真苗君 なるべく早い機会とおっしゃいますと、ぜひそこをおっしゃってください。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは審議会に図って審議会の答申を得てやることでございますので、何月何日というふうに期間をくくることは難しいと思います。しかし、この条約を批准するという事実から見ましても、常識的にそう長い期間をかけては精神に違反すると思います。そういう意味でなるべく早い機会に実施したい、そのようにお答え申し上げる次第でございます。
○久保田真苗君 私は三年などかからないということを強く希望いたしまして、総理の御善処をお願いいたします。
○黒柳明君 総理、せっかくの機会ですから、当面の政治課題五点についてお伺いします。御案内のように時間が限られておりますので、恐縮ですがまとめて質問させていただきますので、逐条的に御答弁をいただければ幸せだと思います。 まず第一、行革審の報告についてですけれども、一昨日、内閣機能の強化についての報告書が出ておりますが、なかんずく外政調整室の新設について外交二元化のおそれがあるということで外務省は非常に反発しておりますが、総理はこの構想についてどのような見解をお持ちでしょうか。 また、内閣の機能強化に伴いまして、総理官邸の改築がもう既に検討されている、こう聞きますが、現在毎日お住まいになっております総理の率直なお考え、これをお聞かせいただきたいと思います。 第二点は、指紋押捺問題についてですが、もう言うまでもありません。外国人登録法の十四条一項に違反している者が六月十五日現在で二十七団体の市区にまたがっております。その数は七十三人でありますが、今後この増加が当然見込まれるわけでありますが、政府としましては地方自治法百四十六条を発動してあえて違法行為をして改めようとしない地方自治体に何らかの制裁措置をとるのかどうか、さらには地方自治体の告発がない限りにはこういうことはできない、こういうことで現状を過視静観するよりほかないという態度をとられるのか、または抜本的に法改正ということに踏み切るのか、この三つのうちどういう選択をされるのか。 第三点目は、会期末の政治情勢でありますが、衆議院の定数是正法案の見通しあるいは年金法の見通しを踏まえまして、秋の臨時国会の開催は必要であるかどうか、総理の御見解を承りたい。 第四点は、総理の西欧三カ国の訪問についてでありますが、七月十二日から行かれるということでありますが、ボン・サミット直後の二カ月で西欧三カ国訪問というのは何か異例なことだと思いますが、この目的と意義。さらには西欧との経済摩擦についてはどう対応するのか。なかんずくフランスがヘリコプターを購入してくれ、こういう要請がありますが、これについてはどう考えておりますか。 最後に、豊田商事の事件でありますが、会長殺害という意外な方向に進んでおりますが、この種の悪徳商法はやっぱり現行法では防止できないんではないのでしょうか。新しい立法措置が必要だと思いますが、総理の見解はいかがでしょうか。また、被害者の救済に対して国はどういう処置をおとりになりますか。国のこの種の商法を取り締まることがおくれた、こういう世論が高まっておりますが、この被害を増大せしめた国の責任は何らかの形で償うべきだ、こう思いますが、これについて御見解をお伺いいたしたいと思います。 以上です。
○国務大臣(中曽根康弘君) まず内閣の統合機能に関する問題で外政調整室の御質問でございますが、これはまだ正式に答申を得たわけではないので、部会からそういう意見が行革審に上がったということでございますので、いずれ行革審から正式の答申がありましたときによく検討した上で考えたいと思っております。 ただ、言われますように、外交一元化ということは大事なことでございまして、外交一元化を貫くという点については今後とも留意してまいりたい、そう思っております。 官邸の問題は、つくりましてから六十年になりまして、一部で雨漏りがするとかあるいは来賓を接待するときに、あの広間へ行くときに便所の前を通らなければいかぬとかあるいは廊下のはしご段のわきを通っていくとか、およそ外国の官邸では見られないような現象がありまして、それを隠すのに随分苦労しているというところで、国際国家日本となった今日ではもう適当ではないような情勢にございます。 その上に官邸としての機能が、総理大臣の応接間というのはありません。閣僚らが集まる控えの間を応接間みたいに使っている。それから秘書官についても応接間がないわけでありまして、およそ応接間というものがあそこにはないわけなんです。お客さんを待たせるのに、二組、三組と参りますとどこへ置いていいかうろうろするという状態であります。そのほか内閣として必要ないろいろな係の人間がおります。参事官とか審議官とかいろいろおりますが、一緒に同居できないで総理府の庁舎の方におるというような現象もございます。 そういう点で機能的にも非常にうまくいっておりません。特に最新式の情報とかあるいは先端技術を駆使した電子・電気通信機構とか、そういうものは皆無と言っていいぐらいの情勢でございます。そういう意味において近代的な政治を行うについてまだ条件としては非常にまずいということで、官房副長官を中心にして今研究の委員会をつくらせまして検討しておるところです。近く何か行革審の方においても内閣機能の統合というような面からも今のままではとても機能的にいかぬというので改革意見があるやに承っております。そういうもの等もよく検討し、国民の皆様方のお考えもよくお聞きしまして検討してみたい、そう思っております。 やっぱり政治にとっては大きなうちをつくったり、新しいうちをつくるというのは大変禁物でありまして、やはり先に立つ者は貧しい、質素なものの中にいるということが東洋政治の要諦のように思います。そういう気持ちで歴代内閣は今までやってきて、官邸問題に手をつけることをはばかっておったのでありますが、私は今見ておりましてもうどうしてもこれでは新しい時代の政治はできない。特に大事なのはハイジャックとかそういうような非常事態が起きた場合の電信系統というものは非常に不備でございます。みんな話していることが外へ聞こえちゃう。新聞記者の皆さんはちょっと耳を傾けて聞いていれば、すぐ大事な情報を話し合っているのが聞こえてしまうということもありまして、そういう点からもこれはもう考え直さなきゃいかぬときだ。そういう意味で別に私が入るわけじゃないので、今からそういう設計をしたりやっても安倍さんのときに入れるかどうかあるいはその次になるか、ともかくだれかがこれは改革意見を持って着手しないといかぬ問題だ、そういう考えに立って今研究を始めさせている、こういうことでございます。 それから指紋の問題につきましては、これは五十七年に法改正もやりました。私と韓国の全斗煥大統領との間で共同声明を東京でやりまして、その中に、韓国の皆さん方の待遇改善の問題について言及もしておるわけで、これを誠実に守っていかなきゃいけない、そう思って努力もしてきておるところです。従来、国籍法を変えるとか大学教授にもできるとか、あるいは国民健康保険とか児童手当の問題も平等にするとか、そういう改善は幾つかやってきて、今回も指紋問題につきましても、手の汚れないような、そして回転式でないこととかあるいは常時携帯義務をもっと簡略化するとか、いろんな改善措置を実は講じてきておるのであります。そういう意味におきまして我々の努力もまた認めていただきたいと思うのです。しかし、韓国側にまだ御不満も残っているやに見受けますので、法のある間はやっぱり法を守っていただかなきゃいけない。我々としては、将来の課題としてこれは引き続き検討してまいりたい、韓国側のお考えも頭に置いて検討していきたい、そう思っております。自治体の皆様方に対しましては政府としては、拒否者に対しては強制行為は一カ月留保する、それからいろいろ警告してまた一カ月留保する、それから警告してまた一カ月留保する、三カ月留保するという措置も今度はとって、ソフトに、いろいろ思いをめぐらして実はやっておるわけなので、そういう点もひとつぜひ御了解いただきたい。また、韓国側国民の皆様方その他についてもいろいろ御協力を願いたい、そう思っておる次第であります。 それから秋の臨時国会の問題ですが、今何しろ重要法案成立で一生懸命胸突き八丁を駆け上がっているところでありまして、通常国会をやっているときに臨時国会のことを言うというのは甚だ不見識である、そう思いまして、全く白紙の状態であると、そう申し上げる次第です。 それからヨーロッパへ参りますのは、サミット構成国について私も伺いたいと思って、向こう側からも皆さんおいでになっておりますから、いろんな国会の都合、何しろ五月の前後にあるものですから、国会の都合等もありまして行けない国もありましたりして、フランスとそれからイタリーとEC、バチカン、こういう国に敬意を表して、いろんな諸般の問題をお話ししたいし、今貿易摩擦の問題等についても日本側の立場や考えをよく説明もしたいと思いますし、来年の東京サミットの問題についてもどういうふうにやったらいいか先方側のお考えもよく承って、直接トップの方の御意見を承ってきたい、そういうことで行かせていただきたいと思っております。 豊田商事の悪徳商法に類することにつきましては、先ほど来申し上げたことでございますが、貸金業法とかあるいは割賦販売に関する法律とかその他の面の間をすり抜けていっているような感じがしないでもありません。実際は詐欺に類する行為というのは非常に知能犯でありますから、刑事的に構成要件を固めて処理するというのは非常に難しいところがあって、なかなか検事さんが令状を発行してくれない、そういうことでなかなか手がつけられない要素もあるわけです。警察としてもそういうところでいろいろ鋭意探索しておった状態でございまして、ようやく事情聴取が始まったという途端にああいうことが起きまして、甚だ遺憾な事態でございます。お亡くなりになりました方には本当にお気の毒で、お見舞いを申し上げたいと思いますが、法の問題は別の問題でありますから、これらについてはよく検討してまいりたい、そう思っております。 救済の問題については、これはよく事情を徹底的に調べ上げまして、そして事実を究明した上で判定すべき問題でありますが、今の状態で見ますと、本当に被害者はお年寄りで、とらの子のお金を召し上げられたというようなケースも多いようでありまして、お気の毒でありまして、我々も心を痛めておりますが、国がすぐ賠償するというところへ乗り出すという段階ではない、もう少し法的関係その他を究明する必要がある、そういうふうに考えております。
○黒柳明君 まだ一分ありますので最後の質問です。 今も話がありましたけれども、衆人過視の中でああいう行為が行われたわけでありますけれども、当然これは警察当局の警備の怠慢ということが指摘されると思いますが、その点について。 それからもう一つ、やっぱり人命軽視という何か社会的風潮の中でああいうものが行われたんじゃなかろうか。これは何も人命を軽視するということが皆さん方あったわけじゃありませんが、何かそういう一つの社会的風潮があるような感じがするんですけれども、それが政治と結びつくなどと、こういう論をきょうは私は述べるつもりはありませんけれども、ああいう大衆の中でもう堂堂と殺人が行われる、刺殺が行われるということはもう生命軽視の一つのあらわれじゃないか、こういう社会風潮を厳になくすべきじゃないか、あるいは政治的にそういう社会風潮というものを歯どめをかける政治もやらなければならないんじゃなかろうか、こういうように私は思いますが、その点最後に質問させていただきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は全く同感でございまして、人権尊重が叫ばれている折から、一番大事な生命というものが軽んぜられているという状況はまことに憂慮にたえません。この問題のみならず暴力団の抗争関係におきましても同様でございまして、警察側を督励して厳に一般市民の皆さんにも御迷惑がかからぬように、こういう種のことが根絶するように努力してまいりたいと思います。
○抜山映子君 男女雇用機会均等法案が国会を通過し、また女子差別撤廃条約が批准の運びに近づいてまいりました。そして国連婦人の十年の最終年を迎えたわけでございますが、今後改めてこれを起点として女子差別を撤廃すべく努力することは必要と存じますが、首相として今後どのようなことに努力されるか、大きな柱として首相がお考えになるものを三つ挙げていただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり男女雇用機会均等法の実施につきまして、これを充実して実施させていくということが大事だと思います。それから、これは雇用機会、あるいは昇進とか採用とかそういう問題でございますね。 それから、教育の場面において先ほど御質問をいただきましたような問題があると思います。 それから、やはり社会一般の問題で、女性の財産的地位、経済的地位とかあるいは社会的地位、社会的活動の舞台と、こういうような問題も我々は大いに考えていかなければならない、そう考えております。
○抜山映子君 ただいまいろいろとお挙げになりましたけれども、一番長期的に時間がかかるのはやはり意識の改革ではないかと思うのでございます。この意識の改革を今後どのような方面からどのような形で具体的に取り組んでいただけるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 意識の改革となりますと、これはやはりうまずたゆまずあらゆる方面から総合的に努力していくということ以外にないと思います。これは政府はまず雇用機会均等法あるいは先ほど申し上げたような点について細心の注意を払って法律的にあるいは行政的に推進していく。それからジャーナリズムの御協力もいただきまして、そういうような女性の社会的地位や財産的独立の問題等についてもいろいろ啓蒙をしていただく。それとやはり学校教育における男女平等感というものを教育の過程において確立していく。これは憲法に基づく両性の平等という基本精神に立ちましてやっていく必要がある、そのように考えております。
○抜山映子君 ジャーナリズムを利用する、あるいは学校教育を徹底する、こういうことももちろん大事なことでございますが、大変個人的なことをお伺いしますが、首相のお考えになる望ましい家庭像、特に夫婦の協力関係の望ましい形は、どのようなものとお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは難しい問題で、各人各様の生きざまに関係しておる問題でありますが、しかし家庭というものは国家、社会の重要な単位でございまして、国家、社会の秩序が維持されている基本は、家庭の円満と健全さにある、特に夫婦の和合にある、そう考えておる次第でございます。そういうような家なり家庭というものの社会的責任というものも自覚して、夫婦が結婚式のときの情景を常に思い出して、そして厳粛に家庭を堅実に発展させていくという誓いを新たにしつつ、子供を育て、そしてまた男、女を問わず、能力に応じ、環境に応じて社会的活動、社会的奉仕というものが十全に行われるように努めていくのが正しい、そう思っております。
○抜山映子君 夫婦の和合という一番基本的なことを説かれたんですけれども、それでは具体的にお伺いしますが、子供の数は何人が望ましいとお思いでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 少なくとも人口が減るという情勢では、余り適当ではないと思います。しかし、余りふえるという情勢でも適当でないと思います。その辺はある程度神様もあんばいしていてくださるようでございますが、最近は夫婦の間におきましても子育て計画というのがあって、私なんかは六人兄弟でありましたが、私の娘なんかは大体二人から三人ぐらいになると撃ち方やめになる、そういう状態でそれ以上ふやさないという考えを持っておるようであります。私の感じでは、やはり人口を減らさないという程度の配慮は必要ではないか、そう思うのであります。
○抜山映子君 私がそのようにことをお尋ねしたのは、実は先般婦人問題企画推進会議から出ました「婦人問題の将来展望と対策」にも記載してございますけれども、現在、平均的な子供の数は一・八人であって、これが首相が今申されましたように減らない程度の人数ということになりますと二・一人でなければならない。ところが、現状は一・八人である。これがなぜかということは、いろいろ住宅問題、それから夫婦の共働きの困難の度合いの問題とかいろいろあると思いますけれども、この大きな一つの日本の高齢化という流れにおいて、婦人が働いて老齢人口を支える一員となってもらわなければいけないという要請は今後強まっていくと思うのです。そのときに働く場合の環境が整備されておりませんと、子供が減っていく、人口が減っていくというおそれがあるのではないかと思うのでお伺いしたようなわけでございます。このような点について、首相はどのようにお考えになるか、御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 確かに人口を減らさないようにするには、家庭の自覚もさることながら、社会的環境の整備というものは必要であるように思います。そういう点につきましては、政府としても厚生省やら労働省やら各省庁よく連絡をとりまして、社会的環境の整備に努力してまいりたいと思っております。
○抜山映子君 先ほど夫婦の和合を基礎としてと言われたんですけれども、それではもう少し具体的にお伺いしますけれども、妻が職業を持っている場合あるいは職業を持っていたが、子供を産むと同時に家庭に入って、そしてさらに再就職するというM字型の場合あるいは家庭生活に支障を来さないようにパートで適当に働く場合、いろいろあると思うのですが、一番理想の形は首相としてどのようにお考えでしょうかということをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは政治家が上からこれが理想であるというようなことで押しつけるべき問題でないので、各人各人の人生観あるいはその家庭の御都合、そういうものによっておのおのがお決めくださるべき問題であろう。一般的原則は先ほど申し上げたとおりであります。
○抜山映子君 そこで、多分そのようなお答えが出るであろうと私は思ってお尋ねしたんですけれども、やはり望ましい形、理想の形としては、私はやはり男女ともに職業を持っている場合が、もし環境が許せば一番望ましいであろうということを申し上げたいのでございます。これは幾ら夫婦の和合と申しましても、片方が、例えば夫が欠けた場合に直ちに生活に支障を来すというようなことでは、余り完全な意味のパートナーシップとは申せませんし、また子供の保障の意味からも余り望ましくない。また、社会に寄与するという関係からも、女性が働く方が望ましい。また、女性自身が自己充足して、能力を開発するという意味からも女性が働く方が望ましい。これが普通に女性全般が考えている望ましい形ではないかと思うのでございます。もちろんケース・バイ・ケースで、国家が家庭の問題に容喙することは、これは許すべきじゃございませんけれども、望ましい形といいますと、やはり男女ともに働けるような形が望ましい、このようにお考えいただきたいと思うのでございますが、この点について一言だけコメントをお伺いして、私の質問を終わります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 各家庭のあり方につきましては、皆さんそれぞれの特有の事情をお持ちであり、また人生観をお持ちでありますから、政府や国家権力がそういうものに介入することは一番不適当な場所である、そう考えております。抜山先生のお考えは、一つの御意見として拝聴いたしておくことにいたします。
○立木洋君 女子差別撤廃条約について、総理は先ほどさらにこれの充実を図る努力をしていくという旨のお話がありました。 そこで、賃金の問題について最初にお尋ねしたいんですが、この条約の中でも、同一価値の労働についての同一の報酬ということが明記されているわけですが、我が国の場合に、一九七五年、ちょうど十年前に、男子の賃金一〇〇としますと、女子労働者の賃金が五五・八%という状況でした。それがやはり年々格差が拡大しまして、一九八四年、昨年度は、男子一〇〇に対して女子労働者の賃金が五一・八%、さらに四%も格差が開くという状態になっているわけです。これは極めて遺憾なことであるわけで、この十年間いろいろ努力をされ、さらには本部を設置されて、その責任者としても総理はいろいろ力をされたと思うんですが、結果的にはこういう状態になっている状況を総理はどのようにお考えになるのか、この男女賃金格差を是正するという点について今後どのような施策をお持ちになっておられるのか、その点について最初にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) この点は、法の命ずるところに従いまして、行政指導その他いろんな面を用いまして努力してもらいたいと思います。民間関係の問題につきましては、特に労使関係、賃金関係については政府が介入することは好ましくありませんが、しかし、法律あるいは条約の精神というものはございますから、そういうものをわきまえるように政府としてもいろいろ奨励措置あるいは指導措置等を講じていくのが適当であると思います。最近は、しかし女性がパートに出るのが非常に多くなりまして、それで、十年前と比べますと女性の就職志願者というのが非常に出てきておる。しかし、自分の適当な職がないというので労働予備車として残っている方々も非常に多いのです。そうなりまして、女性の仕事が男子並みの本格的な専属的なことからややパート並みの形とかいうものがかなり出てきたりして、そういう面から賃金的な格差というものも出てきている。しかし、同一労働に対する標準賃金単位というものは大体似ておるというように報告を受けております。しかし、いずれにせよ、法の精神に基づきまして政府としては積極的に行政指導等によって努力していきたいと思います。
○立木洋君 次に、雇用条件、とりわけ労働時間の問題でお尋ねしたいんですが、日本の労働条件は国際的は見ると極めて水準的には低い状態にある。これは、とりわけ法的な見地から先進諸国の中で比較してみますと、日本では、この所定労働時間というのが週四十八時間、年次有給休暇が最低基準として年六日間、週休一日というような状況になっているわけですが、国際的には、既に四十三カ国の先進的な国々ではこれは法的に定められた内容ですが、労働時間が四十時間から四十五時間というふうになっていますし、また年次有給休暇も最低基準が二週間以上の国々が五十二カ国できております。そのうち十一カ国は、最低基準ですら三十日の年次有給休暇が与えられているという状況であり、時間外労働に関しても極めて規制がされておるという状況です。このような国際的な比較を見て、極めて低い水準にある我が国の状態で女子労働者の時間外労働の規制を緩和するだとか、あるいは休暇等の問題についても、それを好ましくない方向で制限をするというふうなことが進められるならば、これは条約の精神から見て好ましくないことと言わなければならないと思うんです。ですから、国際的な状況から見て水準の低いこうした雇用条件の改善こそ力を注ぐべきであり、男女平等という名のもとに一層現状を悪化させる方向に機械的に進めるというようなやり方は行うべきではないというのが私の考えです。男女平等というのは、本来現状の改善、さらに生活条件や雇用条件の向上という方向に向かって男女平等を進めていくべきであるというふうに考えるんですが、このような雇用条件の改善の問題と男女平等のあり方の問題について総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 男女平等の実現というところは、先ほどお答え申し上げましたように、雇用条件あるいは社会的活動の条件あるいは教育の場における条件、そういうさまざまな分野があると思いまして、全面的にその法の理想、条約の理想に合うように努力してまいりたいと思います。
○立木洋君 その問題と関連して、育児休業制度の問題についてお尋ねしたいんですが、婦人問題企画推進会議でもこの問題に言及をして、働く女性が今後一層ふえていく状況が予想される、だから、完全な男女平等を実現するためには、育児休業制度の普及あるいは保育所の充実が必要であるという旨述べられているところだと思うんです。 国際的に見ましても、育児休業制度というのは、進んだ国、イタリアや西ドイツ、イギリス、アイルランド、スウェーデン、フランス、オーストリア等々では、既に法的にも認められて実施されている状況です。こういう国際的な水準を満たすためにも、また推進会議等の答申にこたえるためにも、この育児休業制度の法制化という問題は当然検討されなければならないと思いますが、この点についてのお考えを最後にお伺いして、時間が来ましたので終わりたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 育児休業といいますか、育児に関する特別の配慮というものは、男女平等の中でも例外的に認められておることであると思います。そのほかの場面につきましては、ほとんど同じぐらいに持っていきたい。ですから、今度はもう管理職とか専門職については残業を認めるとか、夜の労働も認めるとか、男がやっていると同じ並みにやっていこう、そういう精神であると思います。 育児という問題は、万国共通の女性特有の問題である、そういう意味において、これは特別な配慮がなされていると思います。そういう点については、我々も格段の配慮をいたすべきであると思います。そのために、いろいろ託児所であるとかそのほかの設備の問題、あるいはそのほか一般に言われているような諸般の対策についてもよく検討してまいりたいと思います。
○秦豊君 私は、この条約には全面的に賛成しておりますので、私の七分間は今日的な問題に絞りたいと思います。 総理、先ほどからテーマになっております内閣機能の強化の問題でございますけれども、何か私、総理御自身の持論を拝見しているような感じもいたします。総理としては、特に答申の、部会ではありますけれども、答申のどんな部分、提言に特に共感を覚えていらっしゃいますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) まだ答申はなされておらないのでありまして、答申が出てきてからよく検討してまいりたいと思います。 ただ、私は、実際やってみまして感じますことは、結局政治とか行政という問題は機構ではないんですね。それを埋める人間の見識とか能力とか勇気とか正義感とか、そういうものに依存するところが非常に多いし、そのスタッフになりあるいは各省庁のトップになっている皆さんとの間の有機的連携関係、呼吸の一致、それを行うための政策の選択、国民の皆さんに対する御理解のいただき度、そういうものが大事なんで、機構というものに対して信頼をおくという考え方に私は消極的であります。むしろ、いわゆるリビング・インテグレーション、生きている統合、そういうものが政治家にとっては非常に大事ではないか、そう思うわけで、そういう面からよく点検してみたい、そう思います。
○秦豊君 七月二十二日に正式答申が行われますけれども、総理とされましては、どんなタイミング、どれくらいのスタンスでその答申の現実化をお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 答申が出ましたら、よく検討さしていただきまして、そして各省庁あるいは党との整合性も持たせまして、できるだけ早い機会に実現するように、その結果を得るまでに若干時間がかかると思います、何しろ重要な問題でございますから、そういう意味におきまして努力してまいりたいと思います。
○秦豊君 それは、総理の一応の任期、明年十一月までには何か現実に形をあらわしますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それはもう、私のときに答申をいただいたんですから、私のときにある程度実行しなけりゃ申しわけない、そう思います。
○秦豊君 日米間の摩擦解消問題でございますけれども、何か眺めており、観察をしておりますと、中曽根総理御自身の基本認識、これには日本の命運がかかっているんだという切迫感が、官僚機構とか与党の各部会のあり方によってフィルターがかかって、それがフィルターになって希釈化されていると思えてならない。だからこそトップダウン的な総理のリーダーシップがまさに物を言う時期だと思うんです。 おとといでしたか、藤波官房長官がアクションプログラムの中には輸出の自主規制も盛り込むというふうな方針を明らかにされておりますけれども、その自主規制問題を含め、さらに関税の引き下げ問題について総理はどのようにお考えなんでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本市場をできるだけ開放して、そして国際的な要請にこたえるということは非常に今や喫緊の問題になっておりまして、今せっかく努力しておるところであります。 それから、日本の膨大な輸出超過という問題をどう解消するか、これの正攻法は輸入の増大ということで拡大均衡でなければならない、縮小均衡はとらざるところである、そう原則的に考えております。ただ、これだけ大きな、膨大なものがもしまたさらに大きく現出するというふうなことになったら大変ですから、それを起こさないように今全力を注いでおるわけであります。そういう意味で自由貿易の理想に遠ざかるような措置というものはなるたけやらぬ方がいい、輸出の自主規制にしても自由貿易の理想に反する、遠ざかるようなことであるならばできるだけやらない方がいい、あるいは金融についても同じであり、すべてそうであります。そういうような原則に立って物事は考えたいと思いますが、しかしいろんな法の措置においても、有事規制とか、いざというときにどうするかというそういうものは留保しておかなければならぬというのはやっぱり政治行政の一般原則であります。そういう意味において何段階目のいろんな措置というものも一応は考えてはおるけれども、しかし自由貿易という理想から見ますとできるだけそのような自由貿易を阻害するような規制というものは避けていきたい、そういう考えに立っております。 それから日本の今品物を見ますと、アメリカに対する輸出品の三分の一近くはもういろんな意味において規制が行われている。自動車もそうでございましたが、自動車はある程度解除されましたけれども、鉄鋼にいたしましても繊維にいたしましても、あるいはテレビにいたしましてもそうでございますね。そういう意味において、これは好ましからざることなんです。しかし、両方の産業の円満な発達という面から見ればいわゆるオーダリーマーケティングというものはやむを得ざる措置として行っておる、これが理想であるとは思っておりません。
○秦豊君 関税の引き下げ問題についてはいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 関税の引き下げについては、今各省庁動員いたしましてできるだけ努力しておるところでございます。
○秦豊君 宮澤総務会長が市場開放策はとってみてもなおかつ効果は上がらぬということも考慮に入れるという意味の発言をされておりますけれども、私は文字どおり当面はアクション以外にはないと思います。しかし、この摩擦解消問題というのは一時的な緊急避難的な対策じゃなくてやっぱり中長期的には国際的な通貨制度の改革、あるいは日米双方にまたがる税制の改正、これが早晩浮上してこざるを得ないと思います。その意味で明日から十カ国蔵相会議も開かれますけれども、中長期対策として必須なものは一体何か、通貨、税制を含めてどうお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 輸出の問題を考えますと、アメリカの強いドルあるいは高い金利というようなものが物及び金のフローを今著しく促進さしておる、むしろ日本が輸出しているというよりもアメリカに吸入されておる、あるいは吸引されておる、吸い取られておる、そういう感なきにしもあらずです。そういう意味においてこの高いドル、高い金利の調整ということは世界が熱望しておるところであり、我々もアメリカに年じゅう言っておることであり、少しずつ今変化が起こりつつありますけれども、我々としてはその面に向かって今後も努力していきたい、そう思っております。
○委員長(平井卓志君) 総理は結構でございます。
○久保田真苗君 それでは私、条約の関連ということで最後に残っております問題を取り上げたいと思います。 〔委員長退席、理事鳩山威一郎君着席〕 まず第一は、労働時間、休日・休暇などの一連の問題でございます。 これはもう既に他の委員会では私自身も取り上げたところでございますけれども、このたび男女雇用機会均等法との組み合わせという形で労働基準法の改正が行われたわけでございます。このうち、特に時間外労働につきましての規制緩和が行われましたことは、我が国の長時間労働の実態ということから見て甚だ好ましくないものであったということはどなたも否定なさることがおできにならないと思います。外務大臣も先般の貿易摩擦問題と関連して、労働時間の短縮につきましてはたびたび積極的な見解をお述べになっておられるところでございまして、今後私どもはやはりこの条約が実質的に担保されていくという、その一つの条件づくりとしてどうしても時短の問題に取り組まなければならないと覚悟をしているところでございます。 さて、この際、先日は山田国連局長から、婦人に関係のあるILO条約及びその批准についての見解ということをあらましお伺いしたのでございますけれども、きょうはそれの一つの非常に重大な背景としまして、労働時間、休日・休暇についての国際基準、また実態的な国際水準というものについての政府の御見解を明らかにしておきたいと思います。 まず外務省にお伺いいたしますが、労働時間と時間外労働につきましてのILO条約と、また日本はおよそこの系統の条約はただの一つも批准していないのでして、なぜ批准ができないか、それをなるだけ突っ込んだ形で御説明いただきたいと思います。
○政府委員(山田中正君) ILOで作成されました労働時間関係の条約、十件ございますが、先生御指摘のように、我が国は一つも批准いたしておりません。 この中で非常に基本的な条約は第一号条約、工業関係の労働時間条約、それから第三十号条約、商業関係の労働時間条約がございまして、さらに第四十七号条約、これは週四十時間の労働時間を定めた条約がございます。 労働時間関係についてのILOの基準と我が国の基準といたしましては、第一号条約、第三十号条約、ともに労働時間を一日八時間、一週四十八時間という原則を定めておりますが、この点については我が国も条約の基準に達しておるわけでございますが、問題なのは時間外労働でございます。我が国の時間外労働は先生御承知のように、ILO条約に比較いたしまして時間外労働の制限が緩やかである、また労基法三十六条に基づきまして、労使の協定に基づいて定めることができるということでございまして、時間外労働の規制の仕方の方針と申しますか、哲学と申しますかがILO条約のとっておるものと違うということがございますので、この労働時間関係の条約については批准することができないわけでございます。ただ、労働時間の短縮と申しますか、労働時間全般の問題につきましては、労働省の方において、労働基準法研究会において御検討中と承知いたしておりますので、その状況を見させていただいた上で対策を考えたいと考えております。
○久保田真苗君 労働省の方もいろいろやっていらっしゃるということですが、この基準法研究会の結論が夏にも出るというふうに伺っておりますけれども、つまり、今は追い込みの状態にあるということだと思うんですが、結論が出ます前に、どのような問題意識で、一体どこにたどり着こうとしているのか。その辺、審議の中から、あるいは労働省がこれまでとっていらした政策の中からお述べ願いたいと思います。
○説明員(菊地好司君) 御指摘のとおり、五十七年の五月以来、労働基準法研究会におきまして我が国の今後の労働時間法制のあり方について調査研究をいただいているところでございます。 基準法は昭和二十二年に制定されて以来、若干の改正は経てまいりましたけれども、労働時間その他根幹にかかわるものは変更を加えず今日まで至っているところでございます。その間に社会経済情勢のいろんな変化、我が国の国際的な地位の向上等々、あるいは産業構造、就業構造の変化、諸般の変化がございます。そのような状況に現在の労働基準法が必ずしも的確に対応できないということで、かねてから各界から労働基準法についての意見、要望が出ていたそういう背景の中で調査研究を進めているところでございます。 改正の視点といたしましては、諸外国における動向、あるいはサービス経済界の対応、女子労働者の進出等いろんな角度から調査研究をいただいておりまして、昨年の夏中間報告が出ておりますが、現在、関係労使団体のヒアリングを精力的に続けていただいているところでありますし、諸外国の法制についても調査、分析を進めていただいている最中でございます。
○久保田真苗君 次に、休日の問題もあわせて伺ってしまいたいと思うんですが、休日につきましては国際基準はどういう関係にありますでしょうか。
○政府委員(山田中正君) 休日に関しますILO条約は三件ございますが、一件は海外労働の問題でございますので、問題になるのは二件であろうと思います。第十四号条約、工業に関する週休条約、それから第百六号条約、商業及び事務所に関する週休条約でございますが、ILOの基準は、七日に少なくとも一日というのが休日でございます。我が国の労働基準法では、七日に少なくとも一日の休日か、もしくは四週四休という規定になっておりますので、この条約の規定とぴったりいかない、こういうところがございましてこの条約の批准ができないわけでございます。
○久保田真苗君 労働省、今検討がさらに行われて結論が出てくるんですけれども、先ほどからの御指摘のように、時間外労働についての規制ということが一つございますんですね。これについて今さら申し上げるまでもないことですが、労働基準法の三十六条によって、この労働時間規制というものを緩和というよりは、実際には数量的な規制をほとんど排除しているという、そういう関係がございます。 この点につきましては労働省はどういう認識をお持ちで、今後どのような姿が望ましいとお考えになっていますでしょうか。
○説明員(菊地好司君) 御指摘の基準法三十六条に基づきます時間外労働の点でございますが、ILO条約、欧米先進国が一般に残業時間の上限を設けているという法制に比べますと、我が国は俗に青天井と言われておりますように残業時間の上限を法的に持っておりません。で、我が国のとかく話題になっております過長な労働時間、わけても所定外労働時間のあり方との関連で三十六条についてどのような方向で臨むべきかということで、従来、行政指導ではありますが目安時間を設けまして、監督署に三六協定が締結される際に目安に従って指導を続けておるという状況で今日に至っております。 労働基準法研究会におきまして、この目安制度について今後の展望に立ったときにどのように制度化していくべきなのかどうか、その可否当否についても調査研究をいただいている段階でございます。
○久保田真苗君 私は、この三十六条の要するに無制限、青天井ということこそがやっぱり問題の根幹をなしていると思うんですね。もちろん労使の交渉による決定ということはあるにしましても、現実の問題として実に長い時間外労働が行われているという現実から見た場合、おっしゃったような日本の国際的地位ないし経済的地位から見ましてまことにこれはふさわしくないあり方だということを私も重ねて強調しておきたいと思いますし、労働省の今後の御尽力を大いに期待しているわけでございます。 そこで、この行政指導なんでございますけれども、行政指導はないよりはある方がよろしいんです。ただ私正直申しまして、この行政指導には労働省もかなり困っておられる面があるんじゃないかと思うんですね。特にせんだっての長野のバス事故なんかにも象徴されますように、ある業種では極端に労働時間が長く、また残業規制がなされないというところにあるわけでございまして、例えば先般の事故では、当該運転手の方は継続する一勤務の拘束時間が三十二時間半だったというような事実、あるいは二週間一度も休んでいなかった、一日も休日がなかったというような事実。しかし、このこと自体が何ら法の違反を構成しないということで、通達の違背だという非常に苦しい指導をしていらっしゃるわけでございます。そして他の運転手につきましては、四週間一日も休日をとらなかったと。繁忙期にお客が殺到することも悪いんでしょうけれども、そのニードに合わせて四週間一日も休日を取らずに働き続ける、しかも人命にかかわるような運転を二十四時間も三十時間も拘束されてやっている。どうしてこういうことがもうちょっと規制できないか。労働省は、これをもうちょっと法的に、ここから先はやったらあなたたちは法違反で送検されるよと、そういうことを言うことが労働省の立場では非常に困難ですか。それに取り組むということは非常に難しいとお考えになるんでしょうか。私は、これは特に国民の側からしますと、こういうバスにはとても怖くて乗れないので、今後もしこのままに規制がなされないのであれば、こういうことを大いに皆さんにお知らせして労働省の立場に協力をしなければならないと思っているくらいなんですが、いかがですか。
○説明員(菊地好司君) 我が国の時間外労働のあり方との関連でいつも話題に上りますことは、一つは我が国が終身雇用制度という独特の雇用形態を持っておりまして、景気の繁閑あるいは仕事量の増減に応じて労働者数を調整するということができないために忙しいときに勢い労働時間が過長になるという特徴がございます。それから、諸外国の法制と比べまして我が国の基準法は業種、規模、業態を問わず画一的な最低労働条件で臨もうという法制をとっておりまして、諸外国のある例では自動車運転者につきましては適用を外して特別の枠組みを別途設けているというような法制と対比いたしますと、なかなか画一的な手法で限界があるということにもなってくるわけでございます。そこで行政指導という形で特別の配意をしているわけでございますが、自動車運転者の労働時間の問題につきましては、御指摘のとおり国民の生命安全と直結するという特別の事情もございまして、業界、運輸省等々ともよくよく相談した上、二七通達によりましてILOの百五十三号条約の趣旨を踏まえて指導を図っているところでございます。 三重交通事故以来、関係業界に対しましても私ども直接乗り出して、このような事故の再発が絶対に起こらないように厳しく指導をしているところでございます。なお、このような点につきましても調査研究会で御議論をいただいているところでございます。
○久保田真苗君 どうぞこの例は大いに取り上げて検討していただきたいんです。と申しますのは、私は、労働時間のあるいは時間外労働の規制を行うための立法、こういったものを役所の中として提案できるのは労働省だけなんですよね。ですからその責任は非常に重大でして、こういう事故が起こったときに例えば運輸省はバスの数を減じて停車処分なんかをお出しになる。その停車処分をするときの根拠が例えば運転者の過労運転である、過労になるからと。それではその過労の基準はどこに求めるかというときに結局この二七通達にくるわけですね。それはほかにもあちらはあちらで方法を発明なさるかもしれませんよ。だけれども二七通達になっているわけです。ところが、この停車処分なりこの過労運転なりというのは運輸省の場合は罰則なんですよね。なぜ他の省庁が罰則を適用するその根拠が通達なのか、私はここのところに非常に疑問を感ずるのですね。私は労働省がこれはけしからぬと言うよりは、やっぱり二つの省庁の間のいろいろなこういうものを規制して国民の福祉を図っていく上のその制度上の均衡というものを考えて、これはもう優先的にこういう手を打っていただかなければならない。そして、この通達でなく少なくとも法に根拠のあるそういった規制をしていらっしゃるということが、三途の川で石ころを積むようなその非常に御苦労の多い現場の仕事というものを少しは楽にできるんじゃないんでしょうか。私はこのままじゃ現場も余りにもひどいと思いますね。なぜこんな状態の労働条件をやらせてお客を知らぬ顔して乗せているところに対して、行政指導だと言って、それはぺこぺこするわけじゃないけれども、やってくださいね、お願いしますね、そして、それを破っても法違反でないと言ってけろっとされるわけですね。私は少なくとも最低限度はぜひ押さえていただきたいのですね、法令によって。そして、私どもも安心してバスに乗れるようにしていただきたいのです。この事例が長くなってしまって恐縮なんですが、一般の時間外規制についてもやはり同様なことが言えると思うんですね。一月五十時間の時間外労働、しかも週四十八時間制のベースの上にあるいは四週四十八時間、それが今度均等法とあわせて労基法の改正によって女子の三次産業に許される範囲なんですけれども、私はこれは法律にするにしても規則にするにしても余り自慢をして外国へ紹介のできない例だろうと思うんです。外国の水準からは余りにもかけ離れてしまって、お互いにこれは今後考えなければならないんですが、今まさにその潮どきだと思うんですね。長くしゃべって済みません。 次に外務省、恐縮なんですが、年次有給休暇についてひとつ条約の関係をお願いします。
○政府委員(山田中正君) 年次有給休暇に関しますILO条約は、まず第百三十二号条約がございますが、これは年次有給休暇を一年につき三労働週以上と、さらに少なくとも連続二労働週間を含むと、継続してとれる有給休暇をそう定めておるわけでございますが、我が国の場合は労働基準法三十九条によりまして、年次有給休暇は最低六日ということとともに、分割については定めがございません。 〔理事鳩山威一郎君退席、委員長着席〕したがいまして、この百三十二号の条件に達しておらないわけでございます。さらに、ILO条約には第百四十号、有給教育休暇条約というのがございます。この第百四十号条約は有給教育休暇の付与を定めておるわけでございますが、その中には同条約の第二条で労働組合教育が含まれるということが定められておるわけでございますが、我が国におきましては労働組合法第七条第三号に基づきまして労働組合がその組織活動の一環として行う教育に関し、使用者が有給休暇を与えることは不当労働行為と見なされるために、この条約に入ることができないわけでございます。
○久保田真苗君 細かい点もありますけれども、やはり水準の問題といいますか、最低基準の問題が最も大きいと思うんですが、労働省の方では今回の基準法改正の中でこの点はどういうふうに扱われていますでしょうか。
○説明員(菊地好司君) 労働基準法研究会で専門的に調査研究をいただいている段階でして、労働省はそれを受けた後、政策的にどういうふうに受けとめるかという段階になるかと思いますが、研究会での御議論では、我が国の年次有給休暇は制度的に貧弱であるという点と利用率が低い、その二点に焦点が当たっておりまして、ILO条約あるいは諸外国の状況等も踏まえつつ制度的な拡充と利用の促進について中間的な報告をいただいております。その中身を簡単に御紹介いたしますと、六日という最低限の日数を二労働週相当まで引き上げたらどうかという点、消化の促進のためには計画的付与を制度的に設けたらどうかという二点でございます。
○久保田真苗君 また私がいろんな文句をつけることになるんですけれども、御努力をいただいてそういうふうな論議が行われていることは大変好ましいことだと思うんです。ただ、この利用率が低いという点、これにつきましては課長もよく御存じのとおり、労働省には行政解釈の通達がございますね。私はこれでは年次有給休暇、まさに日本はフィリピンに次いで最低日数が世界で二番目に少ない国だといっているそれすらも六割しか消化されない、その原因はこの辺にあるんじゃないかと思うんです。 その通達を簡単に申しますと、要するに年休をとった日数を賞与その他精勤手当のようなものに響かせてもそれは法違反を構成しないというものなんです。その後に労働省は、そういうことは年休の権利の行使を抑制するから好ましくないし、度が過ぎれば民法九十条の公序良俗に反して無効になるおそれがあるから気をつけなさい、こう言っているんですが、課長、この通達についてどうお思いになりますか。
○説明員(菊地好司君) 今日の段階で私なりの見解を述べるのはいかがかという気はいたしますが、基準法三十九条の年次有給休暇についての規定ぶりが、通常の賃金を失うことなく、あるいは標準報酬月額でもって休めるという規定になっておりまして、それが罰則つきの強行法規という形態から構成要件を厳格に当てはめる必要があるということで、例えば賞与だとか、精皆勤手当へのはね返りについては法違反としては取り締まることは困難であるという観点に立ちまして、年次有給休暇の労働者の権利が安心して行使できるという観点から公序良俗という理念でもってそのような不利益が及ばないように行政指導していることについては御指摘のとおりでございます。この点につきましても、今後どうするかについては一つの検討課題たり得るというふうに考えております。
○久保田真苗君 私は基準法全体の非常に前向きの姿勢から見ましてその基準は昭和二十二年の低さだということは当然ですけれども、ただ、こういったわずかな瑕疵といいますか、そういうものから基準法が自分で自分の決めたことを自律的に自治をできないということは大変悲しいことだと思うんですね。なぜ民法の公序良俗なんかにこういった具体的なものを持っていかなきゃならないのか、これはまさに、基準法自体のもし欠陥でないのであればその解釈の誤りじゃないかと私は思うんです。それを議論する気持ちはありません。ただ、私が言いたいのは、このような法律の解釈というものと労働省が一生懸命やっていらっしゃる年休の消化、時短、そういう運動とはまさに両立しないものだということだけを強く申し上げまして、先般労働大臣にもこの質問をちょっといたしましたとき労基法改正の日程があるからそういう中で考えたいとこうおっしゃっているんですけれども、今度の改正ではこの点はもう抜本的に改めて、基準法が自分で自分を律することの法律にしていただきたい、私はこのことを強くお願いしておきます。 いろんな問題指摘をさしていただいたんですけれども、今前向きに取り組んでいらっしゃるということなんですが、外務大臣実は、この労働条件の問題というのは三者構成という事情が絡みまして均等法で苦労したと同じような状態が非常にまた長年月続くんじゃないか、そういうことを恐れるんです。もちろんそういう構成でもってそれぞれの問題を出し合うということは必要なんですけれども、外務大臣もよく御存じのとおり、こういった日本の就業構造というものがやはり国際的に日本の地位を名誉あらしめないものであり、かつ具体的にはいろいろな貿易摩擦といったような関連で問題を生じているわけです。そして、もちろん自動車の輸出台数を規制するということも大事ですけれども、その背景にある日本経済の強さというものが、もし労働条件が他の国より著しく低いということにおいて強いというのであれば、私はこれは外務省の乗り出す場所だとどうしても思うんです。私は、この労働省が一生懸命やっていることについて外務省はやっぱり促進役をしていただきたいし、調整役をしていただきたいし、それから外務大臣のバックアップ態勢もとっていただいて、ことしから来年にかけての御尽力をぜひお願いしたいと思いますんで、ここで大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今いろいろと労働時間等の問題についてお話がございましたが、我が国の労働時間が諸外国に比べまして依然として長いということはこれは事実であろうと思います。こうした状況をこのまま放置することなくやはりこれを短縮していくということが、近代国家として先進民主主義国としてそれ自体望ましいということは当然でありますし、また対外的なイメージの向上にもつながっていくわけであります。あるいはまた、貿易摩擦という観点から見ましてもその点は指摘をされておるわけでございますし、労働時間を短縮するそれはまた余暇時間の増大というものにつながっていくわけですから、これが個人消費の拡大であるとか、あるいは内需振興にも結びつくわけでありますし、そういう点は対外的にも有意義ではないか、こういうふうに思っております。そうした観点から外務省としても労働時間短縮の実現のためには関係各省とも協議をしながら積極的に貢献をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○久保田真苗君 その日程が恐らくことし、来年のうちだと思いますんで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。労働省、結構です。 次に、途上国の援助の問題につきまして外務省はいろいろと婦人白書の中などにも記録をお出しになっているんですが、これに関連して日本が途上国の婦人のためにどれだけやっているか、あるいは日本の婦人が途上国の経済開発はどれだけ貢献しているか、社会開発を含めまして、それについてお伺いしたいと思いますので、例えば専門家派遣とか青年協力隊とかに女性がどんな分野でどのくらいのパーセント含まれ、そういう方たちは最近飛躍的にふえてきたのかどうか、そういうことをちょっと伺いたいと思います。
○説明員(太田博君) お答えいたします。 まず、我が国が開発途上国に対する技術協力の一環として実施しております専門家の派遣でございますが、これは協力形態から申しまして一応便宜的に二つに分けてとらえております。一つは、研修員受け入れ、機材供与、これと有機的に連動した形で派遣されるいわゆるプロジェクト派遣専門家でございまして、他の一つは個別案件ごとに独立に派遣される専門家でございます。 前者につきましては、昭和五十年度から五十八年度をとりますと、派遣された専門家総数五千三百十一名のうち婦人専門家は四百三十八名ございまして、全体の専門家に占める婦人専門家の割合は八・二%でございました。後者の単発専門家派遣につきましては、同じく同期間内に派遣された専門家の総数四千九百五十九名のうち婦人専門家は三十三名、比率といたしましては〇・六%でございまして、両方の種類の専門家を合計いたしますと、五十年度から五十八年度に派遣いたしました総数一万二百七十名のうち婦人が四百七十一名、四・六%ということでございました。 それから婦人専門家の活動の分野でございますけれども、現在のところ一番中心をなしておりますのが医師、看護婦等の保健医療分野でございますが、そのほかに園芸栽培、労働行政、中小企業振興等の分野にも最近では活躍をしていただいているということでございます。 次に、青年海外協力隊の方でございますが、青年海外協力隊の派遣隊員の中における婦人の隊員の活躍ぶりでございますが、本年六月一日現在派遣中の青年海外協力隊の隊員数は千二百五十九名、そのうち女性は三百二名でございまして全体の二四%、約四分の一を占めております。分野といたしましては、看護婦等の保健衛生分野、教員、保母等の教育文化分野でございます。 比率の最近の数年間の動向を見てみますと次第に増加しておりまして、例えば五十六年一八・一%、五十七年一八・四%、五十八年一九・三%、五十九年が二二・五%というふうに次第に派遣隊員数に占める女性の比率が増加してきておりまして、また活動分野につきましても、先ほど申しましたような看護婦とか保母というような伝統的な分野に加えまして、獣医師でありますとかあるいは野菜栽培の分野、さらには建築製図等の分野にも次第に分野が広がりつつあるのが現状でございます。
○久保田真苗君 例えば専門家というのは女性が〇・六%で非常に少ないんですが、何か女性が参加しにくいというような、そういう事情がございますか。
○説明員(太田博君) 我が国が専門家を派遣いたしておりますのは国際協力事業団を通じての技術協力の一環でございますけれども、この国際協力事業団が専門家を採用、派遣するに際しまして特に性別を含めての条件は設けておりません。もちろん健康であることというのは当然の条件でございますけれども、そのほかにつきましては、相手国の開発途上国の要請する分野に関しましてこちらから派遣できるような専門家がいれば、男子であると婦人であるとを問わず送ることができるという態勢になっております。
○久保田真苗君 わかりました。 次に研修員の受け入れなんですけれども、これは前々から女性専門コースのようなものが二コースだけはあることを伺っておりますけれども、それと別に、やはりこの条約なんかの趣旨から言いますとあらゆる分野で広い分野にできるだけということで、私はむしろ、これはこれで行政セミナー、生活改善セミナーというのは非常に大事だとは思いますけれども、その人数は非常に微々たるものでして、むしろ他の一般コースへの広範な婦人の参加ということが、特に途上国の婦人の場合日本へ来てそういういろいろな技術を学んでいくということが大事だろうと思うんですね。 それで、一般的に全部のコースからすると一体何コースあって、何万人受け入れて、女性はどのくらいなのか、そして女性が全く入らないようなそういうコースがあるのかどうか、その辺ちょっとお聞かせくださいませ。
○説明員(太田博君) お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のように、もっぱら婦人を対象としたコースのほかにも幾つもの集団研修コースというのがございまして、全体で集団研修コースは百九十一ございます。この百九十一の集団研修コースに昭和五十九年度におきましては総計で二千三百九十二名の研修員を受け入れたというのが実績でございます。 なお、そのほかに開発途上国政府からの個々の要請に基づきまして集団研修とは別に個別研修というのを実施しておりますが、これにつきましては五十九年度に千六百二名の研修員を受け入れたところでございます。 こういうコースに対する開発途上国の婦人の研修員の参加ぶりでございますけれども、昭和五十九年度について申しますと、全体の受入数の一五・九%、約一六%に相当する六百三十六名の婦人を研修員として受け入れたというのが最近の実績でございます。
○久保田真苗君 女性がいないコースとかほとんど来ないコースなんかはございますか。
○説明員(太田博君) 実際には、先ほどもちょっと御説明したと思いますが、数多くあるコースにつきまして二つだけがもっぱら婦人を対象としたコースでございますが、ほかのコースにつきましては男女を問わないということになっておりまして、建前上はそういう婦人が入れないというコースはございません。ただ実際のコースといたしましては、例えばコンピューター関係のコースというようなのはどうしても男性が中心になるということでございますし、他方それとは反対に例えば服飾デザイナー的なコース、これは婦人が参加する、そういうのが実態でございます。‐
○久保田真苗君 それぞれ専攻があってよろしいのでございますけれども、例えば応募するときにそのコンピューターみたいなものは女性のところへ紙が回っていかないとか、そういうようなことがあるのじゃないかということを私ちらっと聞いたことがあるんですね。例えばコンピューター関係などでは日本では非常に各種学校等で女性の受講者は極めて多いんでございまして、そういう実情も見ていただくということが大事だと思うんですね。ですから、これは私の間違いなら申しわけないんですけれども、今後一つはその募集のときに女性のいるような職場にもそれを出していただくような、そういうお手配をお願いしたいと思いますし、それからもう一つは、婦人白書、総理府から出されていますけれども、その中に女性専門のセミナーだけでなく、広く一般のことを書いていただけますと、皆さんの関心も高まり、口コミで伝えることもできると思いますんでよろしくお願いしたいと思います。 それからNGOの問題なんですが、例えばJICAなどですね、婦人団体その他専門団体の途上国援助活動というようなものにJICAのようなものが後ろから援助をすると、そういう方式はとられておりますでしょうか。
○説明員(太田博君) まず先生の御質問の最初の部分についてお答え申し上げますと、現在でも例えばコンピューターに関する研修員の受け入れにつきまして、特に男性だけを対象にしたような募集の方法をしているわけではございませんけれども、実際にそういうようなことに近いような事実があるといたしましたら、今後の募集に際しましては、これは研修員を派遣する開発途上国と協力しつつ募集をするわけでございますけれども、今御指摘のように、男女の差別なく応募できるような方法が実施されるように確認をいたしたいというふうに考えております。 それから総理府の白書につきましても、御指摘のように、単に婦人を対象とした二つのコースについてだけではなくて、一般のコースにおける婦人の研修員の参加状況、これが記載されるように来年度から図りたいというふうに考えております。 それからNGOについての御質問でございますが、我が国の経済協力をより効果的に行っていくために、政府といたしましてもNGOの活動が活発化するということは極めて望ましいというふうに考えておりまして、いろいろな形でNGOとの協力あるいはNGOに対する援助を図っております。例えば幾つかのNGOの団体には補助金を出しておりますし、それからまた最近は特に幾つかのできるだけ多くのNGOの団体との連絡体制、これの強化、これを図っておりまして、今後ともこういう形の協力、これを一層進めていきたいというふうに考えております。
○久保田真苗君 よろしくお願いします。 次に、国際連合の方の国連婦人の十年基金と、それからもう一つ婦人向上のための国際研究研修センターですね、これについてお伺いします。 これは国連婦人の十年の過程で国連から誕生し、世界各国が資金を任意拠出してバックアップしているものでございますけれども、何しろ国連婦人の十年がことし最終年でございまして、このような婦人のための、これは特に開発途上国の婦人を援助する基金でございますけれども、これは今後どういうふうになるか、どのように決まっておりますでしょうか。
○政府委員(山田中正君) 国連婦人の十年基金につきましては、昨年の国連総会におきまして、国連婦人の十年後におきましても、その基金の自主性を保った形で国連開発計画、UNDPでございますが、UNDPとの連携関係のもとに、現在の基金の活動の目標基準を維持しつつ継続するという決定がなされております。そしてこの基金の具体的なあり方につきましては、国連事務総長と国連開発計画との間での取り決めが行われて、今秋の国連総会に提出される予定になっております。
○久保田真苗君 これは非常に微々たる基金あるいは訓練センターでございまして、資金も非常に少ないんですが、むしろ他の大きい援助計画の呼び水的なものとして婦人に使われるということを奨励し、パイロット的な仕事をしているわけでございます。今後とも私継続されるということであれば、我が国の拠出、協力を今後ともお願いしておきたいんでございますが、基金と訓練センターの方につきましてどのようにお考えかお聞かせください。
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。 婦人の十年基金の方につきましては、我が国は昭和五十四年以降百九十万ドル拠出してまいりました。本年も約三十万ドル拠出する予定でございます。明年以降につきましては、先ほど申し上げました新しい形がどうなるのかということを見た上で具体的な協力ぶりを考えたいとは思いますが、基本的にはこの基金が継続していくことでもございますので、従来同様の応分の協力をしてまいりたいと考えております。 それから国際婦人調査訓練研修所の方につきましては、これは一九七五年の世界会議で設立の決定を見たわけでございますが、実際に本部がドミニカに定まりまして発足いたしましたのが昨年でございまして、本格的な活動が始まったばかりでございます。本年の一月に行われました国際婦人調査訓練研修所管理理事会におきましてはこの活動が評価されておりまして、八六年から九二年にわたる中期計画の承認も行われております。我が国は一九八〇年に十万ドルを拠出いたしましたが、その後、先ほど述べましたように、発足がなかなか具体化いたしませんでしたので、十万ドルの拠出にとどまっておるわけでございますが、今後これがどのように働くのかということをよく検討の上我が国の協力ぶりを考えてまいりたいと思います。
○久保田真苗君 もちろん行方とか、その効果とかを見た上でのことでございますけれども、大臣、私、せっかく婦人の十年の発展という目標に向けて誕生した国連の機関で、しかもこれが途上国の発展のために向けられる、こういうものが十年が終わった途端にどこからも寄付がなくなると、そんなことはないと思うんですけれども、私やっぱりこういうせっかくできものはこの十年の記念として今後大いに途上国婦人のために活動してもらいたいと思いますので、ひとつ激励と御援助を今後もお願いしたいと思います。いかがでございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今のお話はもっともなことであると思います。御趣旨を体しまして今後とも努力を続けてまいりたいと思います。
○久保田真苗君 よろしくお願いします。 次に、皇室典範のことなんでございますけれども、私はもうこれは既に取り上げましたんですが、時間の関係で大変しり切れトンボになりましたので、ちょっと一言だけ触れておきたいと思います。 条約の関係につきましては、外務省は、これはつまり、天皇の地位が皇室の男系男子に限られるというそのこと自体は条約と無関係だという解釈をとっておられるのでございますが、最近における諸外国のこの問題についての対応などおわかりでしたらお聞かせください。
○政府委員(山田中正君) 王制を有しております国のうちに王位継承資格を男女同等に扱っておる国といたしましてはスウェーデンとオランダの二カ国がございます。スウェーデンにつきましては、一九六六年当時より王位継承法の改正の検討が行われておりまして、一九七九年に改正が行われまして、男女平等出生順とする、こういうことになりました。オランダにつきましては、既に三代にわたって女王が続いたという経緯がございまして、一九八二年に憲法第十一条を改めまして男女平等出生順という制度になりました。王位継承資格が男女ともに認められてはおりますが、男子に優先を与えておる国といたしましては英国、デンマーク、スペイン、ルクセンブルク、タイがございます。また、王位継承資格を男子に限定しておる国といたしましてはノルウェー、ベルギー、ジョルダン、サウジアラビア、ネパールがある、私どもこのように承知いたしております。
○久保田真苗君 日本国憲法の一条にございますとおり、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」であると、こういうことになっているわけですね。私は、このことが外務省の言われるような婦人の人権と基本的自由というその範疇に入らないからということは、この条約の解釈はそれは日本政府がしておかれるということなんでございますけれども、そういう国の象徴であると憲法上決められているものが絶対的に女性を排除しているということについては私は非常に遺憾であると思うんですね。なぜそういうものが国の象徴なのかと思わざるを得ないんですね。私、このことについて直接外務大臣の御意見を今伺いたいとは思わないんですけれども、もしできましたらば、外務大臣はどういう感想をお持ちになるか、そして今後、今お聞きになったような諸外国の状況がだんだん変わっているというようなことにつきましても関心を持って情報をお集めいただけるか、そういうことについて一言お願いしたいと思うんです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほどから外務省当局も答弁をいたしましたように、皇位継承資格が男系男子の皇族に限られているということは、この本条約第一条に定義される「女子に対する差別」には該当しない、こういうふうに解釈しておりまして、したがいまして、この条約の対象にはならないと考えておるわけでございます。 ただ、今お話しのような諸外国の動静について情報の収集に努める必要があるということでございますが、外務省としましても、こうしたこれからの諸外国の王位継承等についての状況につきましては、今後その動きについて十分注意を払って情報の収集を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
○久保田真苗君 私は、条約の条文そのものの解釈というよりは、条約の精神に照らせば明らかにおかしいことなのであって、これは非常に遺憾であるという意思を表明して、この質問については終わります。 次に、売春禁止条約なんでございますけれども、これは既に抜山議員が先日この委員会で取り上げておられまして、私も、女子についてのみ片罰的な補導が行われていることは何ら不思議ではないという考えにはどうも立ちにくいんですね。特に交通事故などについて、これが業務上過失であるというような立場から非常に厳しい罰則が適用されることがございまして、交通刑務所などで指導される方はたくさんいらっしゃるわけです。そういうことから見ますと、私は、非常に常習的な方にはもっと補導があってしかるべきだという点で、私は抜山議員の御意見を支持しておきます。 次に、コペンハーゲンの会議におきましては、毎回のことでございますけれども、相変わらず売春禁止の決議が行われたんでございます。特に最近の傾向として売春組織の国際化ということを非常に憂慮しておりまして、各国政府がこれについて防圧することを要請している、こういう状況でございます。今度も間違いなくこういう決議が行われると思うんでございますけれども、最近少しはひところほど目立たなくなったのでございますが、相変わらず観光売春というようなものがございまして、こういった面ではやはり外務省にも大いに関係があるところなんですね。それで、今は時間がございませんので国連の売春禁止条約の中身にまで私は入りませんけれども、いわゆる産業による売春組織、こういったものについての関心がますます高まってきておるわけでございまして、不幸にして日本がその例に挙げられるというようなこともございますし、また、東南アジアの婦人団体から国連事務総長あてに時々手紙が舞い込んでくるというような事実があるわけでございます。これは、その国自体の中での取り締まりをやれというそういう根拠はもちろん成り立つんでございますけれども、何しろ日本が非常に経済力が強く、渡航する方も多い、こういう状況の中では、日本の経済力があふれ出して、そしてそれが途上国の婦人の人権を犯すような形で現地でいろいろなことが行われる、こういう非難がどうしても起こるわけでございます。ひところ旅行業法の改正等もありまして多少は改善されたかに見られるんでございますけれども、私は、この問題には外務省も他の関係省庁とともに大いに関心を持っていただきまして、こういうことには積極的に発言していっていただきたいし、また実際に、途上国の貧乏な国の婦人の人権が、業者によりまたは外国人によって搾取されるというようなことにつきましては、売春禁止条約に既に日本が批准し、これに加盟しているというお立場から、この条約の中身が実行されるように見張り役をお願いしたいと、お願いにとどめておきます。そして、この婦人の十年の最後に関しまして、こういうことに対してナイロビ会議でも積極的な対応をしていただくようにお願いをいたします。
○和田教美君 私は、女子差別撤廃条約に対する締めくくり的な質問をしたいと思うんですけれども、外務大臣はお昼に公式行事のために少し早く席を立ちたいという御希望のようなので、まず一般的な外交問題について外務大臣にまず質問を済ませておきたいと思います。 貿易摩擦の問題をまずお聞きしたいと思います。 七月の市場開放のためのアクションプログラム、この決定を前にいたしまして、アメリカだけでなくして例えばECなどからもいろいろな波状的な要求というようなものが強まってきております。今度のアクションプログラムについてはとにかくめり張りのきいた対策を打ち出すことが絶対に必要だと私も思うんですけれども、どうも現在の進行状況は国益よりも省益を優先する官僚の抵抗が非常に強くて事態は進んでいないというふうに我々は見ておるわけでございます。オルマー・アメリカ商務次官がさきに安倍外務大臣に、日本では首相、閣僚ら政治レベルの言うことを官僚がサボって実施しようとしていない、どうせ内閣も大臣も来ては去っていくものだ、日本の中堅官僚がうそぶいているというふうな不満を表明したというふうな記事が最近出ておりました。そういうことで、この官僚の抵抗というふうなものについて外務大臣はどう見るのか。こういう状態の中で果たして各国がまあまあ満足できるような市場開放プログラムというのをつくれるのかどうか。その辺の基本的な考え方をお尋ねします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは中曽根首相を中心に我々非常な決意を持って取り組んでおるわけでございまして、その結果を見ていただきたいと思うわけでございますが、確かに閣僚レベルの討議に移されるまでの間には非常に役所役所の何といいますか調整を要するいろいろ対立だとか、おっしゃるようなまさに省益に絡んだ問題だとかいろいろとあることは事実でありますし、またこれは役所というよりは関係の団体との関係もまたいろいろと絡んできておるというようなことで、これは相当やっぱり思い切ったことをやろうと思えばそれだけにある程度犠牲を受けるという面も出てくるわけでございますから、抵抗があることはこれは無理ないわけでございますが、しかし日本が開かれた国として保護主義を防圧するためのやはり決然たる措置をとっていかないと、もっと日本自身全体が世界の信用を失って孤立化していくといいますか、あるいは日本経済全体が大変な打撃を受けてくる。これはただ一般の工業だけではなくて、農業その他あらゆる面に至る非常なやはりダメージを受ける可能性があるわけですから、そういうことで我々としても非常な決意を持っておりますし、今のところは確かにおっしゃるような面がなきにしもあらずだと私は率直に思います。 これは最後に決めるのは政党政治で政治家が見識を持って決めていかなきゃならぬ。それでなければ政党政治の意味をなさないわけですから、そういう意味で今最終的な段階になっておりますし、最後の締めくくりのところで我々も頑張って、ひとつ世界の期待にこたえていくようなそういう一つの結論を出してみたいと、こういうふうに思っております。
○和田教美君 この行動計画には、例えばさっきから話題に出ております関税の一律引き下げとか、あるいはまた基準・認証検査手続の簡素化だとか、さらにはまた政府中心の緊急輸入の問題とか、あるいはまた総理がさっきもちょっと言及されておりました輸出の自主規制の問題とかいろいろあると思うんですけれども、今度の行動計画のどれが一番重要でどれが目玉になるのか、その辺のところについては外務大臣はどういうふうに判断をされておるんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今のところは関税の引き下げ問題とそれから基準・認証制度の改善、この二つが大きなポイントじゃないか、こういうふうに思っております。この関税の引き下げ問題については大体今月内にでも方向を打ち出そうということになっておりますし、基準・認証等のいわゆる手続の簡素化、そういった問題については七月にずれ込むということにもなると思いますが、大体これが二本柱である。こういうふうな私は認識をいたしておるわけです。
○和田教美君 おとといのこの委員会で、総理かさきに夏休み明けの九月のレーバーデー前後にアメリカの議会で日本に対する輸入課徴金法案が成立する危険性があるというふうなことを発言したことについて、外務省当局では特にそういう情報はないということでございましたけれども、しかしその後の情勢ですとアメリカの上院民主党の貿易問題の中心人物であるベンツェン上院議員らが、近く日本からの全輸入品に二〇%の課徴金をかける法案を提出する予定ということを明らかにしている。早ければ七月上旬に提出するというふうに言っております。それからまた、きょうの報道によりますと、ECの閣僚理事会も日本の行動計画の内容を見た上で満足ができなければ報復措置をとるというふうなことを言っておるわけでございます。そういう意味では輸入課徴金の問題というのは決してこれは楽観できない情勢じゃないかというふうに思うわけですが、最近の情勢についてどういうふうに外務省は判断をしておられ、どういう情報をとっておられますか。
○政府委員(恩田宗君) 輸入課徴金の問題につきましては、本年二月ぐらいから始まりまして三月四月にかけまして次々と課徴金法案、特に日本を対象とした法案が出されております。先生御指摘の一律二〇%の課徴金の賦課の問題につきましても、既に三月二十八日にハインツという上院議員が法案としては提出済みでございます。もちろん先生のおっしゃるとおりいろいろな法案がたくさん提出される形になるので、それが審議の過程において一つにまとまるということでございますので、現在でもいろいろな関係の議員がそのようなことを検討していたり、あるいは話し合ったりという動きはあるんだろうと思います。先般私どもがお答え申し上げましたのは、現在の米国議会での議論の中心はやはり財政赤字に関連する税制改革の問題に今移っている、したがってことしの二月三月の状況に比較すれば、一応四月の日本の対外経済対策の発表以来落ちついている傾向は見られるということでございますが、もちろんそのべースには日本に対する市場開放の要求というのがございますから、当然のこととして十分注意して見ていかなければいけない状況であろうか、こういうふうに思うわけでございます。 ただ、現在のところはアメリカ側は日本がやろうとしている、つくろうとしているアクションプログラムの結果を見たいということと、それから現在行われておりますさまざまな分野における日本とアメリカとの交渉、MOSS協議が行われておりますので、その進捗状況を見たいということでございますから、そうなりますとやはりそういう結果が出た後に最終的にはアメリカ議会における回答なり判断なりが出てくる。こういうことになりますと、やはり七月以降ということがむしろ主要な状況というか、行動の起こされる状況になるだろうというのがこの前お答えした趣旨であろうかと思います。
○和田教美君 話題を変えまして、ストックホルムの国際平和研究所、有名なSIPRIでございますけれども、これが世界の軍備と軍縮の八五年版という報告を出しておりますけれども、これによりますと、軍拡のもとでジュネーブでの今再開されております米ソ包括的軍縮交渉は多難を予想される、交渉の早期進展は望めないと、かなり悲観的な見方をしておるわけでございます。どうも、五月の末に交渉が再開されたわけですけれども、大してニュースも出てこないし、依然としてやっぱりSDIなどをめぐる米ソの基本的な対立が続いておるという状況のようでありますが、余り情報がないわけなんです。そこでそれがどういうふうな現状かということをお聞きしたいのと、それからこれは外務大臣にお聞きしたいのですけれども、そういうSDIの問題をめぐる米ソの対立というようなことがあって、ゴルバチョフ・ソ連書記長が登場したときにはぱっと広がったいわゆる米ソの緊張緩和という、こういうふうなムードですね、この秋にも米ソの首脳会談が開かれるんではないか、米ソのトップ会談が開かれるんではないかというふうな空気というものが最近は非常に冷えてしまったような感じがするわけで、いわゆるレーガン・ゴルバチョフ会談というものは年内の開催ということはほとんど不可能になったのかどうか、その辺の判断をどうされておるか外務大臣にお聞きしたい、こう思います。
○政府委員(山田中正君) まず、ジュネーブでの米ソの軍縮交渉でございますが、先生御指摘のように、第二ラウンドが五月三十日に開始されまして、その状況については、これは米ソ両国の間で交渉を容易にするために外部に発表しないという約束がございますので、一切外に出ておらないわけでございますが、ただ、私どもその内容についてはまだ定かにいたしておりませんが、会議自体は非常に定期的に行われておるようでございます。第一回のラウンドは、むしろ従来の総ざらいというような形で余り見るべき進展はなかったと思いますが、第二ラウンドでそれぞれの分野についての実体的な交渉が始まっておることと思います。 ただ、この米ソ交渉につきましては、外務大臣からも御答弁されておりますように、やはり非常に息の長い交渉というふうに私ども見ておりまして、相当の期間を要する問題であろうと思いますが、この重要な問題について米ソ両国の交渉が行われておるというそのこと自体に非常に大きな意義がある、そのように判断いたしております。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 米ソ首脳会談についてはいろいろの見方があります。まあ今のところは、国連の特別総会といいますか、四十周年の総会で恐らくゴルバチョフさんも見えて、そしてその際この米ソの首脳会談が行われるんではないかというふうな観測が非常に強かったんですが、それはちょっと少し冷えたといいますか、ないんじゃないかという情報の方が多いように思いますが、しかし、年内にないかといえば、これは必ずしもそうとも言えないと思います。その点については、米ソで外相会談等も持たれていろいろと話し合いもしておるようですから、年内になるか年を越すかは別にして、私は、米ソの首脳会談というのはあるのではないか。これは、国連は別として、近いうちに、年を越すかもしれないけれど、あるんじゃないか、こういうふうに見ておるわけでございます。 ただ問題は、やはり今の米ソの軍縮会議が相当米ソ間に開きがありますし、また、ゴルバチョフ書記長の場合はやはり国内の体制の整備に今主力を注いでおるというふうにも思いますし、半面また、私も東欧を回ってみまして、東欧諸国が一致して言っておりましたのは、やはり、SDIに対する警戒心、そういうものも非常にあって、そうした米ソ間の駆け引きといいますか、いろいろな問題が相当入り組んでいる。ただ、さらにその背景には、やっぱりこの際何とか世界の緊張緩和、米ソの緊張を緩和したいという基本的な両国首脳の考え方というものは依然として存在している、こういうふうに私は思っております。
○和田教美君 外務大臣に対してはもう一つ最後に、条約の関係について一つだけお尋ねしたいんですけれども、国連婦人の十年、先ほどから話が出ておりますように、ことしは最終年に当たるわけで、来月ナイロビで十年の成果を検討する世界婦人会議が開かれる、それに先立ってこの女子差別撤廃条約が国会で承認されて批准という運びになるわけですけれども、私はこれは、決して問題の締めくくりとか一段落とかというものではなくて、男女の平等社会実現へのほんの第一歩にすぎないというふうに考えるわけでございます。婦人問題企画推進本部の諮問機関である企画推進会議が最近出した報告書でも、問題解決の歩みは全く始まったばかりだというふうなことを言っておられます。特に、条約の批准に先立ってこのほど成立した雇用関係の国内法の男女雇用機会均等法については、本委員会の条約審議の過程でも、早急に見直し、是正を図るべき多くの問題点が存在することが明らかになったと私は思うわけです。それだけに、政府は、条約批准によって問題が一段落したというふうな考え方を絶対にとるべきではなくて、今後、条約にうたわれている女子差別撤廃、男女平等の理念をいかに国内の施策で実体化していくか、理想と現実の溝を埋めていくかということについて最大限の努力を払わなければならない、こういうふうに思うわけでございます。そういう見地から、重ねて、条約の実効性を確保するための政府の決意というものについて外務大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) おっしゃるように、我々としましても、本条約が批准が終わったからといって、これですべて終わりだというふうな考え方は毛頭持っておりません。条約を結んだ以上は、まずやはり条約を誠実に遵守する国際的義務というのが日本に課せられるわけでございまして、この義務をこれから果たしていかなきゃならない。まだまだ残された問題が存在をしておることは御承知のとおりでございまして、これはもう、いわゆる雇用の問題にいたしましても、あるいは教育の問題にいたしましても、その他各般にわたりましてまだ残っておる問題を我々は認識をしておりますし、こうした問題をやはり着実に解決をしていくということがこれからの日本の責任であるし、それがまた条約を誠実に遵守していくという日本の国際的な立場であろう、こういうふうに思っております。
○和田教美君 それでは、栗山北米局長にお尋ねしたいんですけれども、栗山局長は、きのうの衆議院の外務委員会で、対米武器技術供与に関連をしまして、最近になってアメリカ側から、対米武器技術供与に関する交換公文に定めた経路で武器技術供与要請があったということを述べられたという報道がございます。これについては、栗山さんは、アメリカ側が内容を明らかにしてもらいたくないからということで、具体的な内容をおっしゃらなかったそうですが、防衛庁では、これは防衛庁が開発をした画像識別によるミサイル誘導装置である、こういうふうな報道がなされておるわけでございますけれども、この武器技術供与の正式な第一号ということになるわけでございますが、今のところ政府部内の話し合いでは、これは政府部内として供与することについて何ら異議がないという方向で進んでいるのかどうか。それからもう一つ、大体手続的にいつごろに日米の武器技術共同委員会、JMTCを開いて正式に取り決めるということになるのか、その辺のところをもう少し具体的にひとつお述べを願いたいと思います。
○政府委員(栗山尚一君) 一昨年の十一月に日米間で合意されました武器技術供与取り決めにおきまして、アメリカ側から具体的な技術供与の要請を行う場合にはこれを外交経路で行うということに定められておるわけでございますが、昨日、私衆議院の外務委員会の方で御答弁申し上げましたように、最近になってアメリカからそういう経路で具体的な要請が参った、こういうのが事実関係でございます。 今後どういうことになるかという点につきましては、アメリカ側の要請が来ましたのはごく比較的最近のことでもございますし、まだ政府、関係省庁の中で十分検討を行う段階に至っておりませんので、今後どういうスケジュールでどういうことになるかということにつきましては、現段階では申し上げるわけにいかないというふうに思います。 アメリカの要請に基本的にこたえるかどうかということにつきましても、まだ政府内部で基本的な方針は決まっておりませんので、今後検討する、ある程度の検討が行われて状況が熟せば、当然のことながらJMTCを開くということになろうかと思いますし、また別途交換公文におきまして具体的な供与に当たってはその枠組みのための細目取り決めというものを持つことになっておりますから、そういう細目取り決めの交渉も行うということになろうかと思いますが、現段階においては具体的にどういう段取りでいつごろということについては一切申し上げられるような状況にございません。
○和田教美君 防衛庁の技術研究本部が開発した今申しましたような、何といいますか、ミサイル誘導装置であることは認められますか。
○政府委員(栗山尚一君) 昨日私が衆議院の外務委員会の方で御答弁申し上げましたように、本件のアメリカの要請につきましては、アメリカ側から現段階においてその技術の具体的内容については明らかにしたくないということがございます。したがいまして、そういうことで昨日私は具体的な内容については申し上げられないということを申し上げた次第でございまして、本日御質問に対しても同様なことしか申し上げられません。 新聞報道につきましては、私どもとしてはあくまでも新聞の推測報道であろうというふうに認識しております。
○和田教美君 そこが非常に問題なので、これだけ世間の関心を集めているような問題についてアメリカ側が要請してきたものの内容そのものを全く言えないというふうなことの態度をとっていることが、武器技術供与というものについての非常に大きな問題点になり得るんではないかというふうに僕は思う、これは御意見は聞きませんけれども。 それともう一つは、アメリカから十一項目の武器技術なりあるいは武器技術以外の防衛分野の技術ですね、つまり一般に言われる汎用技術といいますか、これについての関心品目の提示がこの前ございましたね。そういう問題についてこういう正式な形の武器技術はこれは委員会にかかるわけですけれども、民間の汎用技術についての要請というものは何らかのルートで来ておるということはないんでございますか。あるいはまたそれは政府の手を全く通らなくて民間ベースでやればいいということなんですか。
○政府委員(栗山尚一君) まず第一点の問題につきまして、委員必ずしも答弁をお求めになりませんでしたけれども、この種の要請につきまして要請があった都度内容を明らかにするということにつきましては、やはり要請内容がどういうことになるか、最終的にどういうことになるかということがわかりませんし、したがいまして、そういう段階で結果が海のものとも山のものともわからない状況のもとでこういう話があるとか、ああいう話があるとかいうことを一々公にするということをアメリカが好まないということは、事柄の性格上当然我が方としても理解しておかなければならないことだろうというふうに考える次第でございます。 それから御質問の十一分野との関連で今汎用技術についてどうかという御質問でございますが、もちろん具体的な技術に即しまして汎用であるか、武器技術であるかということの識別が非常に困難な場合におきましては、御承知のようにアメリカ側の要請があれば、TMTCでこれを検討いたしまして、これは武器技術であるとかこれは汎用技術であるとかいう仕分けは行うということは、取り決め上想定されておる次第でございます。初めからこれはもう明確に汎用であるというものにつきましては、これはその技術を保有しておる民間企業とアメリカ側とのいわば自主的な、自由な商業ベースの話し合いに従って両者間の話し合いが整えば供与が行われる、こういうのが現行制度上の仕組みだと思います。
○和田教美君 今のその汎用技術あるいは汎用技術か、武器技術か、明確でないようなものについての要請があるかどうかについての情報はないわけですか。
○政府委員(栗山尚一君) その種のものについては、現在アメリカ側から特に具体的な話はございません。
○和田教美君 SDIとの関連ですけれども、SDIの研究参加問題について、中曽根総理が仮定の話だけれども、これは国会の審議を正式に求めるものとは性格が違うと考えているというふうに答えられたことについて、おとといの外務委員会で条約局長が、これは政府が政策判断をするに当たって国会に諮る必要がないということだという趣旨のことを答弁されたと思います。 ところが、秦委員に対する答弁では、進め方として技術協力をする場合の手順としては、やっぱり武器技術の場合は今問題になっております武器技術供与に関する交換公文に基づいて日米の委員会にかける。民間の汎用技術については、民間の自由だというふうなことをおっしゃった。要するに、前者の私に対する答弁は、政策判断の段階の問題であって、その政策判断をしてSDIに参加をするということに決めた場合に、それを新たな交換公文なり、取り決めにするかどうかはまだ決めていないんだというふうな趣旨でございましたが、後の秦さんに対する答弁を見ると、どうも政府の本音はそういう新しい取り決めをするんじゃなくて、結局この武器技術供与に関する取り決め、これに基づいてやっていく、汎用技術ならもう全く自由だ、こういう考え方だというふうにも受け取れるわけで、その辺の関連が明確でないわけです。それをひとつ整理してお答え願いたいと思います。
○政府委員(小和田恒君) ただいまの和田委員の御質問でございますが、実はおとといのことで記録がまだ取れておりませんので、正確なことは記録でごらんいただければありがたいと思いますが、私が理解しておりますところではこういうことだったと思います。和田委員から今御指摘のような質問がございまして、それに対して大臣から、総理大臣の答えた趣旨というのは、もちろんSDIの研究参加問題については、我が国として今対応ぶりを検討しているところである。その研究に参加するかどうかということについての政府としての政策的な判断については、国会における審議等も踏まえながら、あくまでも行政府が行うべきものである、こういうふうに考えておるので、総理はその趣旨で答弁をされたものであるというふうに考えておる、これが和田委員に対する大臣の答弁の趣旨であったと思います。私も、秦委員から御質問がございましたので、総理の答弁のときに私は同席しておりませんでしたので、推測の域を出ないけれども、こういうことであろうと考えるということで私の理解を申し上げました。私の理解の内容は、今お答えいたしました大臣の答弁の趣旨と全く同じでございます。 ただ、そのとき一点、秦委員の方から、しかしこれは供与をするに当たって取り決めをつくるというような問題があるのではないかということについての御指摘がございましたので、私は、これが国際約束というような形に仮になるのであれば、それは国会承認の条約になるのか、そうでないのか、行政府限りで締結するいわゆる行政取り決めになるのかということについては、従来から政府が申し上げております条約締結に関する政府の考え方に従って処理されることになるであろうということを申し上げました。 ただ、現在の仕組みの問題としては、武器技術に属するものについては、SDIの問題を離れまして、一般論として現在の防衛関連の技術の輸出の問題に関しては、それが武器技術に該当するものであれば、先ほど来話が出ております日米の対米武器技術供与の取り決めの枠内の問題として処理されるであろうし、それから汎用のものについては原則として自由になっておるというのが現在の仕組みであるということを補足して申し上げたわけでございます。 考え方をもう一度整理して申し上げますれば、大臣が和田委員にお答えしたこと、すなわち総理の答弁というのは、政府としてこのSDIに参加するかどうかという問題について政策的な判断を行うに当たっては、これは最終的には行政府の判断で行うべきものであると考える、こういうことが総理の御答弁の趣旨であったというふうに私ども理解しているわけでございます。
○和田教美君 時間もなくなってまいりましたので、条約の関係について、少し締めくくりの質問をしたいと思います。 男女雇用機会均等法の成立とか、あるいはまた国籍法の改正などによって、条約批准のための必要な国内条件が整ったというふうに政府は言っておるわけですが、先ほどの安倍外務大臣の答弁にもございましたように、まだまだ国内措置としてし残したものが少なくないと私は思うんですが、外務省として当面どういうものが残っているというふうにお考えなのか、これをお答え願いたいと思います。
○政府委員(山田中正君) 大臣からも御答弁申し上げましたように、批准後も条約を誠実に実施するためにいろいろの措置が必要であろうと思っておりますが、先生今御指摘ございましたものを少し重点的にお答えさせていただきますと、まず第一は教育の分野でございます。政府の方針といたしまして、中学、高校における家庭・技術、家庭一般の扱いを含めまして、教育課程の同一化の方針を決めておるわけでございますが、批准の時点におきましてはまだ同一化が完全に達成されておらないわけでございますので、この同一化が合理的な期間内に実現できるよう努力いたしたいと思います。 それから、第二の大きな分野は、この条約が扱っております大きな分野の雇用の分野でございますが、これは先生も今御指摘ございましたように、雇用機会均等法が成立いたしておりまして、今後政省令の策定及びその運用におきまして、この条約に合致するような運用が行われる必要がございます。 それから第三点といたしまして、これは法制ができましても、やはり問題はそれの運用と、それから国民の皆様方の意識の問題であろうと思います。この点につきましては、この条約の趣旨というものを皆様方によく御理解いただくような、政府としての必要な広報、啓発等を行う必要がある、かように考えております。
○和田教美君 先ほどの中曽根総理に対する久保田委員の質問で中曽根総理が答えられたように、高校の家庭科の学習指導要領の改訂の問題について、総理は前に、五年とか三年とかそんな悠長なことを言ってはいられないんだというようなことをおっしゃったけれども、きょうは非常に抽象的な、なるべく早くというようなことで逃げちゃったわけですけれども、しかし常識的に見て、とにかく批准をした以上、そんなに長い期間をかけることはできないということもおっしゃったわけでございますが、この委員会でいろいろ論議をしておりまして、文部省の事務当局の答弁を聞いておりますと、例えば教育課程審議会の手続を経るとか、そういういろんなことを並べ立てて、結局そう簡単にこれが実現はできないんだというふうな趣旨の強調がしばしばあったわけでございます。 さきの教科書問題は海外からの批判が強くて、この政府の対応というのは割と早かったと思うんですけれども、やろうと思えば幾らでもそういう手続の問題については便法があると思うので、総理——政治の最高責任者がああいうふうに答えられておるのに、どうも事務当局の対応は少し鈍いんではないかというふうに私は思ったわけでございますが、その点について文部省の見解はいかがですか。
○説明員(菊川治君) 家庭科の点につきましては、先生御承知のように、文部省の中に家庭科に関する検討会議を設けまして、幅広い関係の方々にお集まりいただき御検討いただきまして、その検討会議で昨年十二月に報告をいただきまして、今後条約に抵触しない形で家庭科の教育課程を改訂していくということが確認されておるわけでございます。そして、今後実現に向かって努力していくわけでございますが、前にも申し上げましたように、教育課程の改訂のためには教育課程審議会の審議を経まして、それを学習指導要領で告示しまして教科書を作成していくというふうな手順が必要でございます。 そうして、しかし簡単にできることが考えられないかという御指摘でございますが、検討会議の報告の中にもございますように、一つの方法としましては、他の諸外国が高等学校段階でとっておりますように、とにかく男女とも純粋に選択でいいんだというふうな方法も一つあるわけでございますが、それにプラスしまして報告の中では、今後の社会の変化等を踏まえまして男子にも履修させるということを考えるべきであるというふうな提言が入っているわけでございます。 そういったことを考えますと、今後の高等学校の教育課程の全体のあり方、それからまた、その中でどのような教科科目を位置づけていくのかというふうな全体の検討を踏まえていく必要があろうということで、先ほど申しましたようないろんな教育課程審議会等の手続を経ていく必要があろうということでございます。 ただ、先ほど御指摘のように、総理の御発言もございますので、できるだけその趣旨に沿って早く実現するように努力していきたいというふうに考えておるところでございます。
○和田教美君 次に、雇用機会均等法の問題について労働省にお伺いしたいんですが、この委員会の論議でも、募集、採用、昇進、配置、これは第七条、第八条の関係ですが、男子と均等に扱うよう努めなければならないという、いわゆる努力義務規定、これではまだ不十分だとか、それからまた、労働基準法の女子保護規定を大幅に緩和したことは、家庭責任の多くを負っている女性にとっては、これは決してプラスではない、改悪だというふうな考え方、そういう意見もあるわけでございまして、さらにまた、婚姻、妊娠、出産などを理由とする解雇については罰則なしの禁止規定ということになっているけれども、しかし現に欧米の中には罰則つきの禁止規定というところもあるわけですから、これでも不十分だというふうな意見もある。こういうふうなところが大体論点になったと思うんですが、婦人団体や労働団体の意見を聞いてみますと、特に警戒をしているのは、例えば男女平等という建前のもとに女子保護規定が今後さらに緩和されて、そして残業とか深夜業、こういうものについて女子が男子と同じようにやってみなさいということになって、そうして実際には競争させられたけれども、やっぱり男性の方が優秀だということになって、女性の地位の向上ということが後回しにされる、そういう口実に使われる危険性がないかどうかというふうな点ですね、そういうものを心配されている意見が大分ございました。だから、政府は、今後条約の批准実施に当たって、よく婦人労働者の実態をこれからも見ていかなければならないというふうに思うわけで、この法律には見直し規定もあるわけですから、それを空洞化させないような努力が必要であろうというふうに考えるんですが、労働省の見解はいかがでございますか。
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。 この機会均等法、あるいは労働基準法の改正は、現在の時点では最も適当なものと判断して私どもは法案を策定し、また御審議の過程でもお答えを申し上げてきたわけでございますが、見直し規定が入りましたということも、当然のことながら正当に受けとめているわけでございまして、この見直し規定はこの二つの法律の「施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、これらの法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」という規定になっているわけでございます。その場合に、先生の先ほど御指摘のような婦人労働者の実態をよく把握して見直しを行うということは、当然必要になってくるものと考えている次第でございます。
○和田教美君 時間がなくなりましたので、もう一つだけ質問をしたいんですが、これは外務省でございますが、この女子差別撤廃条約締約国になることによって、婦人関係のILO条約との関係に多少問題が出てくるということがあるわけでございます。それは、この委員会でも何回も強調されましたように、今度のこの差別撤廃条約の建前は、女子を過度に保護することによって、かえって女子の昇進の機会を狭くするという観点から、母性の保護は認めるけれども、女性保護については、なるべくこれを少なくして、そして男女平等の方向に持っていくという、そういう考え方に基づいているという説明が外務省からあったわけですね。ところが、婦人関係のILO条約の方は、女子保護は男女平等と両立する、女性の保護は男女平等と両立する。女性保護をしても逆差別にはならないと、こういう基本的な考え方に立っているんではないかと私は考えるわけです。 そこで、ヨーロッパあるいはアメリカなど見ましても、アメリカの場合には、もうとにかく女子を特に保護するという必要はないという考え方がどうも強いようで、そういう建前でいろんな法律ができているように思うんですが、ヨーロッパでも、例えばフランスなんかは、女子保護と平等は両立するという考え方に立っているんではないか。その証拠に、フランスは、条約批准に当たって、条約の規定は女子優遇のフランスの法令、諸規定に優先しないという女子保護規定を続けられるような留保をつけておりますね。そこで、先進国の主なところの傾向が大体どういうふうになっているのか。特に日本の立場として、これはどういう考え方で政府はこれから進もうとしているのか、この点について外務省とそれから労働省の考え方をお聞きして、終わりたいと思います。
○政府委員(山田中正君) 先生仰せのように、ILOにおきましては、従来女子保護規定というのは差別ではないという建前で女子保護の条約が作成されてきたわけでございますが、ILOにおきましても、この現在御審議いただいております条約のように、女子保護規定というのが女子の社会進出を妨げるという見地から、それをなくしていくという方向の議論がILOにおかれても最近は出ておりまして、女子保護規定に関する見直しが行われる動きがますます強まっていくものと考えております。 各国の例でございますが、先生御指摘のように、米国では、女子保護規定を逐次廃止されまして、現在ではほとんどないと承知いたしております。フランスにおきましては、先生御指摘のようなまだ女子保護規定があるという見地から、解釈宣言を行っておる次第もございますが、フランスにおきましても、例えば勤務時間でございますとか、街頭での露天販売なんかの温度の規制とか、そういうものを廃止していくような動きがございますし、他の西欧諸国、これはやはり一般的には女子保護規定を廃止していく方向でございます。ただ、この方向にはやはりある程度の時間がかかるだろうと思います。我が国の場合につきましても、この条約を御承認いただきますと、基本的には女子保護規定というものをなくしていくという姿勢で臨むべきであると思いますが、ただ、その過程には、やはり日本の社会情勢、特に女子労働者の雇用、労働条件の実態というようなものを十分勘案した上で、そのような措置を進めていく必要があろうと考えております。
○政府委員(赤松良子君) 基本的な考えは、ただいま国連局長がお答えになったことと全く同じでございます。機会均等法の改正におきましても、そのような方向で考えたわけでございますが、具体的には我が国の労働条件、男子を含めた全体の労働条件あるいは労働環境の実態、そして特に女子が家庭責任において男子に比べより重い育児負担、家事負担を背負っているという実態を認識した上で、女子保護の規定を一部の緩和にとどめたという次第でございます。
○委員長(平井卓志君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 ─────・───── 午後二時十一分開会
○委員長(平井卓志君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、嶋崎均君が委員を辞任され、その補欠として竹山裕君が選任されました。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) 午前に引き続き、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○抜山映子君 厚生省の方にお伺いいたします。 婦人が雇用の場に安んじて進出することができるためにはその環境整備が必要なわけでございまして、既に社労委におきましては、夜間保育所、延長保育所の数の不足、そして劣悪なベビーホテルの問題はお伺いいたしましたので、その余の問題といたしまして児童保育の問題をお伺いいたしたいと思います。 御存じのように、夫婦共働きが多くなりますと、学校に通っております児童がうちに帰りましても留守家庭であるということになるわけでございまして、児童に対する保育、留守家庭児童の問題があるわけでございます。この児童保育の問題は、現状はどのようになっておるか御説明ください。
○説明員(堀利雄君) ただいまの御質問にお答えします。 保育所は幼児対応が主でございますけれども、学校へ上がるようになりましたお子さんにつきましての対応につきましては、現在留守家庭児童対策といたしまして私の方としましては、具体的には児童健全育成の立場から児童館等の施設を中心にいたしまして、これらにおきましてそういう子供たちを指導員が指導するということで対応しております。また、児童館等の施設のないところにおいては、児童館整備が図られるまでの間の措置といたしまして、民間のボランティア等活用いたしまして適当な施設、例えば福祉センターとか公民館等においてそういう子供たちのための活動をしておるところに対しても助成するようなことといたしておるわけでございます。
○抜山映子君 その児童館というのは日本全国でどれぐらいございますんですか。
○説明員(堀利雄君) 大体三千四百ぐらいございます。
○抜山映子君 今後の拡充態勢についてお伺いいたします。
○説明員(堀利雄君) 財政環境が非常に厳しい中ではございますけれども、次代を担う青少年の健全育成という大事な観点から毎年百カ所前後の施設整備を行っておりますので、その施設についても今後とも増設できるように努力してまいりたいと思っております。
○抜山映子君 先ほど児童育成クラブとおっしゃいましたか、ちょっと御発言の中にあったかと思うんですが、それはどういう形で運営されておるのでしょうか。
○説明員(堀利雄君) 児童育成クラブというのは私の方の呼び方でございますけれども、地域におきまして、小学校へ入った子供さんからそういう対応にいたしまして、ボランティアとか、または父兄の方の協力を得て市町村自体が行っておる一定規模の、例えば三十人前後の子供を擁してそういう活動を行っておるところに対して助成している方法でございます。
○抜山映子君 先日、私のところにお母様方が陳情に見えまして、この留守家庭児童の問題を取り上げられて、校庭開放をもっと大幅に行ってほしい、こういう要請がございました。現に幾つかの学校は、放課後も校庭を児童に開放して遊ばせる、そしてその間に、学校によっては先生がちょっと指導するというようなことを行っておるそうでございますが、この現況はどうなっておりますでしょうか。
○説明員(戸村敏雄君) 学校教育に支障のない範囲内におきまして学校の体育施設の開放を進めておるわけでございますが、昭和五十五年度の悉皆調査の結果で申し上げますというと、屋外の運動場、校庭でございますが、これの開放率は、公立の小学校につきましては七九%、中学校につきましては七三%、高等学校につきましては四九%、こういうふうなことで開放率の数字が出ております。
○抜山映子君 それで、お母様方の要請なんですが、もっと大幅にそういう学校をふやしてほしい、そういう要請が父兄の方にございますということなんですが、これについては対応していただけますでしょうか。
○説明員(戸村敏雄君) 体育施設の開放事業の推進につきましては、昭和五十一年に文部事務次官から、それぞれ都道府県の教育委員会を通じまして、この開放事業のあり方、特に開放した場合の安全対策というふうなものを考えてまいらないとなりませんので、そういう点につきまして、通知をもちましてその開放を今日まで進めてきたわけでございます。 開放に当たりましては、開放施設としてクラブハウスとかあるいはフェンスとかあるいは夜間照明とか、こういうふうな関連施設の整備、これに要します経費を一部補助をしておりますと同時に、もう一つは管理指導員の経費といいますか、それの補助を実施してきたということでございます。今後ともこの問題につきましては、いろいろと問題はあるんでございますけれども、できる限りその推進方を図ってまいりたいというふうに考えております。
○抜山映子君 それでは労働省の方にお伺いいたします。 今後共働きが進行することになりますと、普通の一般保育所では恐らくとても対応し切れないということが想像されるわけでございます。社労委員会の方で承わりました話では、夜間保育所に至りましては、全国にある二万を超える保育所の中のわずか十八カ所であると。延長保育所は夕方七時までであって、延長保育所ですら七時まででもうおしまいでございまして、これもわずか二百数カ所にとどまる、こういうもう絶対的に数が不足しておるわけです。ところが、こういう保育所ということになりますと、御存じのとおり日本の通勤時間というものが大変長うございまして、とても子供を迎えに行ったりするということは難しいわけでございまして、そうなるとどうしても企業内保育所というものが必要になってくるであろうということが言えるわけでございます。ましてや均等法で時間外、そして深夜の規制を外す、こういうことになりますと企業内保育所というものの必要性というものは絶対的に必要となってくる。それで、現在企業内保育所はどれぐらいの企業で実行されているかお伺いいたします。
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。 私どもの調査では、企業内保育所につきましては女子保護実施状況調査を昭和五十六年にいたしておりますが、事業所内保育所施設を有する事業所の割合は対象事業所の一・六%と非常に低い割合でございます。
○抜山映子君 非常に少ないわけでございますね。私の仄聞するところによりますと、富士フイルムなどでは企業内保育所というのをつくったところ、女性の定着率が格段によくなって女性の従業員にも喜ばれているとともに会社側も大変に喜んでいる、こういうことを聞いております。したがいまして、この企業内保育所の拡充、これは労働省だけでできることでなくて厚生省も関連があると思うので両省にお伺いしたいんですが、これの拡充について今後鋭意御努力いただけますでしょうね。
○政府委員(赤松良子君) 先ほど先生の御指摘のように女子労働者、特にその中の既婚女子、とりわけ子供を持つ女子労働者が増加の傾向にあるわけでございまして、現在地域保育所の利用というのが通勤事情あるいはその他の条件を考慮すると望ましいあり方ではないかというふうに考えておりますが、しかし事業所の所在地が労働者の住宅と近い場合、あるいは勤務の時間帯が地域保育所とずれて、地域保育所の保育時間と勤務時間とがずれているというような場合などは地域保育所の利用よりも企業内の保育の方が便利であると、そのような事態が生ずることも十分考えられるわけでございます。 労働省といたしましては、雇用促進事業団の融資制度というものがございまして、これが託児施設を設置する事業所あるいは事業所団体に対しまして資金の貸し付けを行っておりまして、これが中小企業の場合と大企業の場合とではその利率などの差を設けるというようなことをいたしまして中小企業の方により有利だというような制度でございますが、そのような貸付制度を活用して事業主の方たちが企業内託児施設の設置を進めていただくというように呼びかけをしておるところでございます。
○説明員(堀利雄君) 厚生省の方では、事業所内保育施設に対する対応といたしまして、国が財団法人日本児童手当協会に助成いたしまして、その中で企業における保育施設の整備とそれからそこに働く従事者の研修を県とタイアップして行っておるわけでございます。これも年々対策を推進してふやしてまいっておりますので、今後ともそういう形で努力したいというところでございます。
○抜山映子君 前向きの御発言ありがとうございました。 男女雇用機会均等法の方は平等が必要なら保護の方は外すというところで改正といいますか、ある意味では改悪というものが行われたわけですが、これを支えるための環境整備ができていないわけですね。そういう中におきまして、現在女子雇用者の内訳は、未婚が三〇%、有配偶者が六〇%、離死別一〇%、こういうことでございまして、今後ますます結婚しても就業を続ける女性がふえるということが予測されるわけでございます。この傾向は、今後の高齢化の社会の中において女性が高齢者を支える一員として社会に寄与するという観点からも大変に望ましい、促進しなければならない傾向であることは大勢の識者が指摘しているところでございます。しかし、環境整備がなされておりませんと、女性の健康、ひいては母性保護の観点からも大きな問題が生じますし、またこれが労働人口にも影響してまいりまして出生率の低下、そして高齢化の中でさらにそれを支える若者の数がますます減っていくという非常に国策としてまずいことになっていく、こういうことがございますので、ひとつこの企業内保育所の整備、御発言のとおり、ひとつ今後拡充に向かって鋭意御努力いただきたいと切にお願いする次第でございます。 それじゃ外務省の方にお伺いいたしたいと思います。 この女子差別撤廃条約とほかの条約との関係は同僚委員が数多く問題点を指摘されましたので、私はごく一部に絞ってお伺いいたしたいと思います。 この女子差別撤廃条約が批准の運びになりますと、次に問題になってくるのはどうしても男女労働者、特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約、いわゆる第百五十六号条約が今度は懸案になってくるのではないかと思われます。これにつきましては既に衆議院の方におきまして外務省の方から、種々の観点から検討している、労働省とも相談して鋭意検討させてもらいたい、こういうような御発言がございました。 そこで、種々の観点から検討していらっしゃるそうですが、どこが問題点なのか、ひとつおっしゃってください。
○政府委員(山田中正君) 第百五十六号条約につきましては、先生御指摘ございましたように、現在御審議いただいております女子差別撤廃条約と非常に密接な関連を有しておる条約と心得まして、私どもこの百五十六号条約を批准の方向に向けて努力してまいりたいと、こう思っております。 条約自体の規定が、実は百五十六号条約というのは非常に抽象的な規定ぶりになっております。それから発効後、一九八三年に発効いたしておりますが、発効後もまだ日が浅く、批准いたしました国もいまだ四カ国ということで条約の実施のためにとられた措置の実例が非常に少ないということもございまして、この条約を締結することによって我が国が負うことになる義務の詳細がどのようなものになるのかという点を詰める必要があるわけでございます。 以上が一般的なことでございますが、この条約を批准いたします際に特に問題になりますのは、先ほど来先生が御指摘になりました家庭的責任との関連での育児の問題についてのとるべき措置、これが非常に大きな課題になるかと思います。この点を含めまして関係省庁と鋭意詰めさせていただきたいと考えております。
○抜山映子君 少しお答えが抽象的な感じがするのですが、それじゃ施設としてどういうものを整備したらこの条約に批准できるということになるんでしょうか。具体的におっしゃっていただいた方が私の方は助かるんですけれども。
○政府委員(山田中正君) 育児の問題につきましては、育児の休業制度というものを男女平等に与えることがこの条約上必要なのかどうか、その点の詰めを行うことが必要だと考えております。それからまた、例えば百六十五号勧告、これがこの条約に関連する勧告でございますが、その中に規定してございますような看護休暇の問題、この百五十六号条約を実施するに際しましては必ずしもその制度を入れなくていいのではないかというふうには考えておりますが、なおこの点は検討する必要があろうかと考えております。
○抜山映子君 そうしますと、育児休業制度を法制化する、あるいは看護休暇というものを法制化するなり、行政指導するなり、そういうことが整備されればこの条約には批准してもいいということが大ざっぱに言うことができる、こういうように了解してよろしいですか。
○政府委員(山田中正君) 私御答弁させていただきました今の二つの点に限って申しますと、それが検討課題であるということでございまして、二点を必ずしも法制化する必要があるという結論を今出しておるわけではございません。むしろ今の私の感じとしては、必ずしも条約の方からいけば法制化しなくてもいいのではないかという感じは持っておりますが、ただこの条約の精神に合致するような措置がやはりとられておらないといけませんので、その点は今後鋭意検討させていただきたいと存じます。
○抜山映子君 そうすると、案外批准の見通しは間近なところにあるということが言えるわけですね。
○政府委員(山田中正君) 現在の時点でいつということをはっきり申し上げるわけにはまいらないわけでございますが、私どもの心づもりといたしましてはできるだけ早い機会に批准したいということで努力させていただきたいと思います。
○抜山映子君 女性が今後ますます職場に進出することになることは統計上も極めて明らかな傾向でございます。また、一方におきまして、高齢化というよりももう高齢社会が迫っている。その高齢社会、あと三十年ぐらいもいたしますと二人半で一人の老人を支えなくちゃいけなくなるという事態が生じるということが予測されております。こうした中におきましては、もう老人ホームとかホームヘルパーとか、そういうものの拡充だけではとても予算的におぼつかなくなってくる。そうなると、どうしても老人の自宅介護という問題が出てくるわけでございます。この自宅介護はそれじゃだれが当たるかといいますと、しょせん女性の肩にかかってくるわけでございまして、働く女性の時間外、深夜、非常にそういうものが規制が緩和されてくる中において、老人の介護も肩にかかってくる、こういうことになりますと、どうしても看護休暇というものを認めていただかないことには、女性は健康を破壊されるか、家庭を破壊されるか、どちらかに行き着かざるを得ないことになるわけでございます。 そこで、看護休暇の制度をとっている国が幾つかあると思うんです。教えていただけませんでしょうか。
○政府委員(山田中正君) 申しわけございません。資料を手元に持っておりませんので、早速取り寄せた上で先生の方にお届けさしていただきたいと思います。
○抜山映子君 それで十分結構でございます。 それではもう一つ、母性保護に関する条約、百三号条約ですね、このことについてお伺いしたいんですが、もちろんこの条文の内容を見ますと、日本の労働基準法がとてもじゃないけれどもこの内容には達していないということで、とてもこれの批准にはまだまだ前途ほど遠しであるということはよくわかるんですが、それじゃどの点とどの点を労基法を改正すればこれの批准ができるのか、ちょっと簡単で結構ですけれどもおっしゃってみていただけませんか。
○政府委員(山田中正君) 百三号条約につきましては、まず出産休暇の期間が従来問題であったわけでございますが、これは今回の労基法の改正で条約上の水準に達することとなりましたのでその問題点はなくなりました。 まだ残っておる問題といたしましては、育児時間の賃金について条約では、保育のための労働時間の中断を労働時間として計算しそれに応じて報酬を与えなければならないとされておりますが、労働基準法にはこのような規定がございません。 また、産前産後休暇に関連する追加休暇につきまして条約では、妊娠に起因する疾病に関し産前の追加休暇に関する規定を設けなければならず、また、分娩に起因する疾病について産後の休暇を延長して受ける権利を与えなければならないとされておるところでございますが、労基法では妊娠または分娩に起因する疾病についてこのような制度がございません。 さらに出産休暇中の金銭給付でございますが、条約では社会保険で与えられる金銭給付は従前の所得の三分の二を下回らないとされておりますが、我が方の健康保険法ではこれが百分の六十となっておりまして、わずかにこの水準に達しておりません。 また百三号条約では、出産休暇はよる休業中、妊娠、出産に関連して医療給付を受ける権利を有するとなっておりますところ、健康保険法では分娩費が支給されるだけでございまして、医療の現物給付が行われておらない、このような問題点がございます。
○抜山映子君 ところで、この条約を批准している国は何カ国ございますでしょうか。
○政府委員(山田中正君) 百三号条約は二十二カ国でございます。
○抜山映子君 今後日本がこれを批准する時期について、どの程度先のようにお考えでいらっしゃいますか。
○政府委員(山田中正君) 先ほど御答弁さしていただきましたように、条約との関連でまだ多くの問題点がございますので、外務省といたしまして現時点でちょっと見通しを述べさせていただく立場にございません。
○抜山映子君 それでは外務大臣にお伺いしますけれども、男女雇用機会均等法の方はどのようにひいき目に見ても先進諸国の男女平等法に比較して大変に見劣りするものになっておるわけでございます。そしてまた条約の批准をしているものの数からいきましても日本はかなり劣後しているということが言えると思うのでございます。恐らく外務大臣、貿易摩擦等その他もろもろの会合で海外にお出になることが多いわけでございますが、そのときになぜ日本はこのように婦人問題について先進諸国の間で劣後しているのかという質問がきっと出ると思うんですけれども、そのような場合に大臣はどのようにお答えになるのでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は外務大臣になりましてから三十回ばかり出張いたしましたけれども、まだそういう質問は受けたことはございません。今度この女子差別撤廃条約を批准いたしますから、これはまだアメリカもイギリスも批准していないわけですし、そういう点では相当胸張って諸外国に行けるんではないかと思います。もちろんまだまだ十分整っていない点があることは事実でありますから、これらについてはこれからも条約の趣旨を徹底するように努力をしたい、このように思います。
○抜山映子君 ただいまアメリカとイギリスは批准をしていないから胸を張って行かれると、このようにおっしゃいましたのですが、アメリカは御存じのように各州に分かれておる、それの調整の問題でおくれている。イギリスはアイルランド、スコットランド、それの関係でおくれておるということで、国内法的にはアメリカもイギリスもはるかに日本より進んだ実質的な男女平等法を実現しておるわけでございまして、決して胸を張るわけにはいかない。そういうわけで、これから恐らく海外に出ますとその種の問題が出てくると思います。時短に次いで出てくるのは必ず婦人問題だと思いますので、ひとつそういう面からも恥ずかしくないように今後国内法の整備、そして環境の整備をお願いするにとどめておきます。 それからこれも大臣にお伺いしたいんですけれども、来る七月にナイロビで国連婦人十年の最終の会議が行われるわけでございます。その中におきまして、発展途上国はどうしても発展というテーマに問題を絞って貧困とか開発の問題に焦点を当ててくるだろう、西側諸国は大体において平等の問題に焦点を絞ってくるだろう、また東欧の諸国では平和という問題に焦点を当ててくるのではないかということが過去の十年前の会議から見ても容易に想像されるわけです。恐らく過去の例にかんがみますとかなり先鋭的に各国が自己主張して終わりというようなことになりかねないんですが、日本としてこれらをコーディネートするような形で上手に意義あるナイロビの会議に持っていっていただきたいと思うんですが、これについて何か腹案をお持ちでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かにお話がございましたように、三月にウィーンで開催されたナイロビの世界婦人会議の準備会議で二〇〇〇年に向けての将来戦略案の内容をめぐりまして西側、東側あるいは途上国側の各グループの間で意見の対立があったわけでございまして、対立の主張は今お話があったとおりだろうと思います。 そこで、このナイロビの会議はぜひとも成功させなければならぬと思うわけでございますし、我が国としてもそれなりの役割を果たしていかなければならないと思っております。国連婦人の十年のテーマであります平等・発展・平和は、それぞれ婦人の地位向上のための施策をとっていく上でひとしく重要性を持っておるわけでございまして、将来戦略作成に当たっては相互の関連性に留意しながら三つのテーマがひとしく取り扱われるべきであると考えております。このような観点から、我が国としても実りのある将来戦略策定のために各グループ間の調整に努力をしていく考えでございます。
○抜山映子君 条約の前文に、「国際の平和及び安全を強化し、」、間を飛ばして、「ひいては、男女の完全な平等の達成に貢献することを確認し、」と、このようにあるわけでございます。そこで、国際平和への寄与ということになりますと、国連への関与強化ということがまず重要となってくると思うのでございます。国連機関に対する我が国の財政的寄与は世界第二位と聞いておりますが、肝心のスタッフの派遣ということになると大変に見劣りがするということが言われております。日本の国連に対する拠出のシェア、それに対して国連本部のスタッフのシェア、これをちょっとお聞かせください。
○政府委員(山田中正君) 国連の通常予算は対します日本の分担率は現在一〇・三二%でございます。一方、国連職員のシェアと申しますのは、国連職員の中で地域的配分が行われる職員、プロフェッショナルレベルでございますが、それで我が国が、日本の邦人職員の方のポストとしての数として望ましい範囲というふうに定められておりますのが百七十二名から二百三十三名でございますが、これが現在百十七でございます。ちょっと分担金のシェアとの関係で必ずしも申し上げるのが適当かどうかわかりませんので、この望ましい範囲の関係で申させていただきますと、大体望ましい範囲の半分しか邦人職員の方がおられないということでございます。
○抜山映子君 望ましい数字が百七十二名から二百三十三名ということであるのに、実際に日本人スタッフはわずか百十七名であると、こういうことでは国連において日本がその外交手腕を発掘するにも大変に心もとないことだと思うんでございます。国連の日本人職員がそのように少ない理由は何なのでしょうか。
○政府委員(山田中正君) 邦人職員の方の数が少なかった理由はいろいろあると思いますが、第一点と申しますか、一つは日本側の理由があると思います。これはやはり日本の就業の形態と申しますのが大学を出まして、大学と申しますか、学業を終えて就職し、終身雇用の形態が非常に多いわけでございます。それから、国連のような行政を取り扱います部門に入ります場合に、日本の場合は学士の学位で入る場合が非常に多いわけなんでございますが、国連の方で要求しておりますのは大体マスターの学位を持っておる者以上であるということ、それから学校からすぐということではなくて、少なくとも二、三年の社会の経験を積んだ人を必要としておるというようなことがございます。それからまた、やはり日本の国連への加盟がおくれましたためにそれ以前に他の加盟国の職員によって占められていたというふうな事情もございます。ただ、これらの点につきましては徐々に改善が図られつつあると思います。国連側におきましても日本のアンダーリプレゼンテーションには非常に理解を示しておりまして、近年はまだ満足すべき水準には至っておりませんが、以前に比して邦人職員の方の就職される率がふえてきておるという事情はございます。
○抜山映子君 この問題は同僚の和田議員からも前々回でしたか、取り上げられたと思うのでございます。この人員をふやす必要があることはここで申すまでもないと思いますけれども、これをふやすための努力を行わなくてはいけないと思うのでございます。大体給与が日本の上級職国家公務員の初任給と比較しますと国連の新採用職員の給与水準は三倍から四倍だというようなことでございますし、日本では大学院の浪人というものもたくさんおるようでございますし、また女性でも数多く海外に進出したいという人もふえておるわけでございます。これをふやすための努力はどういう努力をしていらっしゃいますか。
○政府委員(山田中正君) 先ほども少し触れさせていただきましたように、国連事務局外におきましても日本の職員をもう少しとる必要があるということを痛切に感じておりまして、職員数を増大する手段といたしまして私ども今一番効果的であると思っておりますのは、国連と政府とで共同して実施いたしております採用試験でございます。本年につきましては東京におきまして秋にその試験を実施していただくことになっております。現在その試験のための応募者が約六十名申し出ていただいております。こういう採用試験が一つであろうかと思います。 それからもう一つは、アソシエートエキスパートという制度がございますが、これは国連の職員として派遣国政府の負担で派遣いたしまして、その間に国連関係の仕事を覚えていただきまして、その後国連の正式職員になる道を開くという制度でございます。この制度につきましても随時拡充いたしてきておるところでございますが、国連諸機関への応募をもっとふやしていただく意味から我々といたしましてはさらに広報活動を推進する必要がある、このように考えております。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) 委員の異動について御報告をいたします。 本日、佐藤栄佐久君が委員を辞任され、その補欠として添田増太郎君が選任されました。 ─────────────
○抜山映子君 広報活動が必要というお言葉が出ましたが、まさしくそのとおりで、案外知らないというために応募しないという人も随分いるのではないかと思います。過日の婦人問題企画推進会議の「婦人問題の将来展望と対策」の中に国際的交流の場への女性の参加も進めるようにというような提言がなされております。恐らくそのような広報活動が行われましたらかなりの女性も応募してくるということが予測されますので、ひとつ広報活動の方に重点を置いて今後御努力いただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○立木洋君 女子差別撤廃条約の審議の最後に次の点を大臣に確認しておきたいんですが、今回の審議の経過の中で、この女子差別撤廃条約をさらに充実させるためにこれからの努力が必要であるということを大臣も繰り返し述べられたわけですが、さらに充実を図っていくその努力を進めていくためにも、我々国会の側としてもやはり力を尽くしていく必要があるだろうと思っているんです。そういう意味では随時事態の進捗状況を委員会の方にも報告をしていただいて、十分にそういう審議をさらに重ねながら充実をより図っていくということが必要ではないだろうかというふうに考えるわけです。ですから、政府に引き続き努力をしていただくと同時に、国会にも随時報告をしていただいて力を合わせて充実を図るようにしていただきたいというふうに考えますが、この点についての大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) しばしば申し上げましたように、条約に入ったからといってこれで終わりというわけじゃありませんし、これから残された問題を解決していかなきゃならぬわけでございます。そのためには日本としても報告書も提出するということになっておりますし、これはまた国会で御論議いただくということにも相なるわけでございます。政府としましても全体的に関係各省にまたがっておるわけですが、外務省も条約を結ぶ、そういう責任の立場から各役所とも十分な連絡調整を図って残された問題の処理を進めたいと思いますし、国会におかれましてもぜひひとつ政府の努力を激励していただくとともに、また御監督等もいただきたい、こういうふうに思います。
○立木洋君 審議の経過の中で幾多の問題点も明らかになったわけですから、結局それを充実するための努力、しかも速やかにそれをやっていただきたいということを重ねて強く要望しておきたいと思います。 では、きょうの審議で今国会終わりですから余りいろいろ宿題を残しておくのは好ましくないので、私の考えている幾つかの問題を最後にお尋ねしておきたいと思うんです。これは局長がお読みになっているというので質問するのがしやすいんですが、アーキン氏やフィールドハウス氏のアメリカの核専門家が書いた著作ですね、これ既にお読みになっている、特に日本問題のところはつぶさにお読みになっているようでございますから、彼らの述べている問題の中で核兵器、つまり核戦略を支援する施設という形で日本には二十八カ所ある。三沢などを例に挙げながら述べているわけですが、この二十八カ所というのは局長どのようにお考えになりますか。二十八カ所あるのか。あるとしたらどこどこなのか。あるいはそんなにないと思われるのか。どこどこが核戦略支援施設というふうに外務省としておとらえになっているのか、いかがでしょうか。
○政府委員(栗山尚一君) 委員御質問のアーキンという人とフィールドハウスという人が共著で出しました本につきましては、その中の太平洋関係の章の部分だけ私も見さしていただいたわけでありますけれども、その章の後ろに表みたいなものがついておりまして、日本というところで、アルファベット順に厚木から始まりまして嘉手納、三沢を含めて最後が横田、それから依佐美の通信施設というものまで、これは全部数えたわけじゃありませんからその二十八カ所とかいうのがこれに該当するかどうか必ずしも正確に私存じませんが、そういう一連の我が国にありますアメリカの種々の施設・区域の名前が挙がっている。その一一につきまして詳細にここで申し上げることもないと思いますが、どういう関連でいわゆる核支援施設というふうにこの著者がとらえてこういう名前を挙げておるのかということは、私ここに書いてあることからだけで判断した限りにおいてはつまびらかにいたしません。 従来からも御質問がありますが、通信施設がアメリカの核戦力部隊との間のいろいろな通信のシステムの一部に使われておるということは従来から言われておりまして、政府も従来御答弁でそういうことはあり得るだろうということは御答弁申し上げておる次第でありますが、そのほかいろいろな施設の名前が挙がっておりまして、中にはロランステーションのような名前も挙がっておりますので、そういうものを全部ひっくるめてどういう概念もとに核支援施設というふうに著者がとらえて名前を挙げておるのかということは、私は正直申し上げてわかりません。
○立木洋君 著者がどういう考えで述べているかということを私はお聞きしているのではなくて、局長自身がこれをずっと二十八カ所ごらんになって、いわゆる核戦略とおよそかかわりがある。支援施設というふうに言うかどうかはそれは著者がそういうふうに表現しているんですから別としても、今まで国会の中でもいろいろ議論になったところが大体挙がっているんですよね、総じて言えば。ですから、大体これは核戦略あるいは核に関係がある施設として一応局長もほぼ認められるというふうに理解していいですか、いや全然それは違いますというふうに言われるのかどうなのか、もう一度伺います。
○政府委員(栗山尚一君) 通信施設につきまして従来からいろいろ御質問がありまして、私どもも個々の具体的な通信施設との関連で、この施設がこういう機能を果たしているからこういう意味で核戦力と結びついているというようなことは私どもとしてはアメリカと交渉しておりませんし申し上げられないということは従来から申し上げている次第でございます。一般的にここに挙がっている幾つかの通信施設というものがそういう機能を持っているであろうということは、これはいろいろな文献等からいって推測できるところであろうと思います。 そのほかになりますと、例えば御質問の三沢の施設について申し上げれば、立木委員御自身が、昨年だと思いますが、三沢にあるいわゆるAUW整備所というものについていろいろ御質問があった経緯がありますが、この著者もそういう名前を挙げております。ただ私どもとしましては、従来御答弁申し上げているとおりに、そのAUW整備所というものが直ちに核兵器の貯蔵所ということを意味するものではないということを申し上げている次第でございますので、そういうようなものをとらえて直接核に関連がある施設であるという認識は私どもは持っておりません。
○立木洋君 局長も再々これまで答弁されていますように、仮に核を貯蔵する能力があるということとそれを今貯蔵しているということとは別であるというふうなことも今までの答弁の中ではあったと思うんですよ。ただそこで確認しておきたいのは、これまで政府としては繰り返し言われてきたように、平時であろうと有事であろうと日本への核持ち込みは一切認めないということは大臣間違いございませんね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはもう間違いありません。
○立木洋君 そうしますと、今言う、アメリカが発表していないからこの二十八カ所が核戦略支援施設かどうかということは最後的に明確にお述べにはならなかったけれども、いろいろな文献からある意味では推測もできる部分もある。しかし問題は、つまり有事であろうともいかなる場合でも核兵器を持ち込むことを一切認めないということであるならば、核兵器を貯蔵することが可能な施設などということはそもそも認めるということ自身がおかしいのではないかということになると思うんですが、局長いかがでしょう。
○政府委員(栗山尚一君) 核兵器を貯蔵する施設があるというふうには私ども承知しておりません。三沢のAUWショップ、AUW整備所について言えば、これはもう昨年も当委員会で政府委員の方から御答弁申し上げましたように、これは高性能のアンダーウォーターの兵器ということで魚雷、通常型の魚雷も含めたそういうものを整備できる場所であって、およそ対潜部隊がいるところにはすべてそういう名前のついた整備所があるということでございますので、これ自体が存在するということをもって核の貯蔵所があるということには当然ならないだろうと思っております。
○立木洋君 アメリカの核専門家がこういう形で著書を出しているわけですから、そういう核戦略関連施設等々、日本がいかなる場合でも核兵器を持ち込ませないという立場であるならば、アメリカにもそういうことを明確に通告をして、そして核兵器を持ち込むことが可能な核兵器関連施設、こういうものも、事実上日本に置いておったって無益になるわけですから、いかなる場合でも持ち込めないということが前提にあるわけですから、そういうことはやっぱりアメリカにもしかるべき時期にきちっと述べておく必要があるだろうと思うんです。しかしこの問題はなかなか議論のやりとりは、今までの経緯がありますからこれ以上追及することはしませんけれども、そのことだけは最後に述べておきたいと思うんです。 さて、六月の十三日にアメリカのレーガン大統領が米議会に対して化学兵器に関する報告書を出したということが新聞で報道されていますが、この内容については、局長、御承知でしょうか。
○政府委員(栗山尚一君) 実は、これは御承知のように経緯は、議会の方でアメリカの化学兵器の生産再開のための必要な予算を認めるかどうかということの関連から、議会の判断に資するために行政府に対して委員会を設置してその委員会の報告書を議会に提出せよ、こういうことが法律で要求されておりまして、それに基づいて委員会が設置されましてその委員会の報告書が今般出たということでございまして、報告書自体は私どもも入手いたしましたが、いわばそれの添書と申しますか、大統領自身がそれに対していかなる意見を付して議会に提出をしたか、その大統領の意見そのものについては実はまだ入手をいたしておりません。
○立木洋君 新聞報道によりますと、レーガンが出した議会に対する報告の中では、これは「ハワイ、日本、フィリピンなどに駐留する米海、空軍は化学兵器能力が弱体だと指摘し、日本を含む太平洋、インド洋地域に化学兵器を早急に配備することが抑止力向上につながるとして、極東への化学兵器配備を提唱している。」、こういうふうに報道されてあるわけですね。ところが、マスコミの方は早く内容を知っていて肝心の外務省が、レーガンがどういう提案をしているか、提唱をしているかまだ入手していないというのはいささか腑に落ちないんですけれども、この事実関係は確認はできませんか。
○政府委員(栗山尚一君) 大統領の意見については早急に入手すべく努めております。ただ、したがいまして、それを見ないで断定的なことを申し上げるわけにはまいりませんが、報告書自体には確かに新聞報道記事に似て非なることが書いてあるわけです。似て非なることと申しますのは、ハワイとか日本、それからフィリピン等にあります米軍、これは空軍、海軍両方でございますが、それから海上における米海軍というものがその化学兵器による攻撃に対して非常に脆弱であるという分析は出ております。それに対して、そうであるから早急に化学兵器を生産してそういう地域に配備をせよということは実は全く出ておらないわけです。それで報告書のむしろ最後には勧告が出ておりますが、その勧告には非常にはっきりと現段階において外国に化学兵器を配備する必要はないというふうに委員会は考えておるということが明確に書いてございます。したがいまして、従来のアメリカの政策は、現状においては海外に配備をする考えはないということでございますので、そういうアメリカの基本的な海外配備についての政策が、今回の委員会の報告が出た機会に委員会の意見以上に先に進んだというふうには私ども全く予想しておりません。したがいまして、大統領の報告を見ないで最終的に断定的なことは申し上げられませんが、現段階においては私どもはそういうふうに考えております。
○立木洋君 局長、レーガン大統領のいわゆる提唱なるものを全文よく読んでいただいて、問題はやっぱり精査して対応する必要があるだろうと思うんですね。ですから、もちろん今の時期で断定的には申し上げられないというふうに述べたわけですが、重要なことは、日本とアメリカとの関係で、いわゆる毒ガスなど化学兵器の問題がどういう経緯で問題になったかということは御承知だろうと思うんです。これは沖縄が日本に返ってくる前にあそこの中学生が、つまり米軍の毒ガスによるのではないかという疑いを持たれて、あれは二百三十何名ですか、小学生が一斉に皮膚病になるとかいろいろな事態があって、最終的には米軍の方も沖縄に毒ガスを貯蔵していたということを一九六九年に認めたですね。そして一九七〇年、七一年、毒ガスを完全に撤退するということになって、そして沖縄の返還という方向に行ったわけですね。ですから、もしか今日本にこうした毒ガスなど化学兵器が再度持ち込まれるというようなことになれば、これは大変なわけですから、そういうことはいささかも許してはならない。これは米軍に配備するということですから、日本側に一々通告しないで日本に駐留している米軍に毒ガスなど化学兵器が配備されるということが知らない間に進むというようなことになれば、これまた大変な事態ですから、こういうことは何としても避けなければならない。真偽のほどは明確にして、しかるべき場合には日本政府としてもちゃんとした対応をとる必要があるんではないかというふうに考えるんですが、ここはひとつ政治的な判断として大臣の方からお答えをいただきたいと思うんですが。
○政府委員(栗山尚一君) 大臣から御答弁をされる前にちょっと一点だけ事実関係を申し上げます。 従来からアメリカの政策は海外、米国の領域外に、すなわち他国の領域に化学兵器を展開配備する場合には、必ずその配備先の国と協議をする。要するにアメリカの独断で配備をすることはしないということは従来からアメリカの政策としては明確にしておるところでございます。 我が国の方針につきましてはちょっと大臣から御答弁していただきます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 政府としましては、一九二五年の毒ガス等の使用禁止に関するジュネーブ議定書、これは日米とも当事国であります、この議定書の精神にもかんがみまして使用禁止の化学兵器の我が国への持ち込みは認めないと、こういう立場をとっていることは御承知のとおりであります。
○立木洋君 いや、ちょっとまだもう少し足らないのですがね。だから、このレーガン大統領の報告書がこういう問題が提起されている可能性があるので、それを十分に精査していただきたいし、必要においてはそういうことがあるならば、やはり日本政府としてもきちっとアメリカ側にそういう立場を述べる必要があるのではないかという点についてはいかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは今栗山局長が述べましたように、今世上で言われているレーガン報告書ですか、外務省でこれから精査しなきゃなりませんが、その外務省が入手しておる報告書の内容とちょっと違っておるようでありまして、アメリカ政府としては海外にそういう化学兵器を配備するという考えはない、その考え方は変わらないということのようでありますから、私はそういうことはあり得ないと思っておりますが、日本の立場はもうこれは明らかでございまして、我が国への持ち込みは認めない、こういうことでありますから、これで十分だと思います。
○立木洋君 いや、大臣、局長はまだ十分に精査してないと言っているんですよ。だけど、今までのことからいえば、そうではないかと思われるということが局長の答弁ですから、ですから、精査した結果述べる必要が生じた場合にはきちっと述べてほしい。だから、必要が生じれば、日本政府の立場として明確に態度を表明しますということを言っていただければいいんですよ。どうです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは今さら申し上げるまでもないんですが、我が国への持ち込みは認めないというのが日本の立場でありますから、アメリカが勝手にそんなことできるはずはありませんから、それはもうそれだけで十分じゃないかと思います。
○立木洋君 残念ですが、時間が来ましたから、これで終わります。
○秦豊君 外務大臣、最初に本条約に直結した総論を一つだけちょっと伺っておきたいんです。 現代は既にして男社会の曲がり角であると、こういうふうに言われているんですよね。この本条約の根本理念には天の半分を支えている女性という存在は、ともすれば伝統的に優越性を誇示したがる、顕示したがる男性という存在と比べて全く対等であると。ただし、妊娠、出産、保育という独自の分野を除いてはと、ここに私は根本理念があると思うんですが、大臣は、この本条約の本質、根本理念、どうとらえていらっしゃいますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も今おっしゃる理念と全く同じ考え方でありまして、この条約の趣旨はあくまでも男女の完全な平等、いわゆる基本的人権あるいはまた人間の尊重、尊厳、こういう立場からあくまでも平等というものを訴えておるわけで、ただ、母性保護ということに関しては、これは例外を認めておる、その他の点においては完全平等と、こういう基本的な精神が貫かれておる、こういうふうに思っております。
○秦豊君 それから、今同僚議員の質問に触発されたんですが、北米局長にこういうことを言っておきたいんですよ。 この中曽根総理とゴルバチョフ氏とのつかの間の接触、会談ですね、つまり弔問外交、あのときに中曽根総理は、日本の伝統的な防衛施策を説明したんです、非核三原則を中心にして。ところが、その後の反応では、その部分が一番わからなかったと、ゴルバチョフ氏にとっては。つまり、理解されなかったんです。つまり、先ほどから同僚議員がさんざん言ってきて、これはやや古典的な論争なんだけれども、二十八カ所だろうが、二十九カ所であろうが、それはさながら、在日米軍基地に存在する対ソ核戦略支援システムの一環であるなんて認めたらこんなにひっくり返っちゃうから、あなたたちは断じて認めないだけであって、問題は、日本の国会ではこんな平べったい議論をしていますが、これを核戦略の常識という世界の軍事常識にさらしてみると、これはさながらじゃなくて、厳然とした核戦略支援システムの一環なんですよ。通信施設であろうが、三沢の弾薬調整所であろうが、すべてそうなんですよ、米軍基地はそうなんですよ。——いやいや、客観的に見ればそうなんですよ、あなた方は首を横に振るのが使命だから、縦に振ったら大問題だからやっていないだけの話なんです。 そこで、こういう安全保障論議、特に核戦略支援システムというのは、北米局長、純客観でとらえると、つまり、ソ連がどう見るかという視点が欠落したら安全保障論議、答弁というのはこれは形式論理の典型であると言わなきゃいけない。有事の際に核弾頭を持ち込めば、あるいはトマホークを装着すれば直ちに機能する艦艇、それを支援するシステム、軍事基地、メンテナンスを含めて、これを核戦略支援システムと言うんです。純客観的にはそうじゃありませんか、それがむしろ常識なんですよ、局長。その点についてはどうお答えになりますか——もちろんあなたに特に伺いたい。
○政府委員(栗山尚一君) 中曽根総理とゴルバチョフ書記長との会談内容については私も必ずしもつまびらかにいたしませんが、その際中曽根総理から言われましたことは、まさに非核三原則のことを言われたんだろうと思います。非核三原則は、委員御案内のとおりでございまして、我が国には核兵器は存在しないということでございますので、それ以上のことではなかろうというふうに私は考えます。 したがいまして、在日米軍、日本にあります米軍の施設・区域の一部が、従来から申し上げているとおりに、通信等のシステムの中でアメリカの核戦力とそれは関係があるということはこれは一般常識的に言われていることでありまして、政府もそれは別に否定をしておらないわけでございます。それ自体と非核三原則とは別の問題であるということを従来から申し上げているわけでございます。その区別は、私どもとしては十分認識して安保体制というものを考えていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
○秦豊君 ですから、私が真にあなたに伺っているポイントを巧みに交わしていますがね。つまり、二十八カ所とアメリカの核戦略、核問題専門家が指摘したそのような施設、これはあなたの答弁を裏返せば、じゃ、核戦略支援システムということになるわけですね、あなたは否定していないんだから。
○政府委員(栗山尚一君) 私は、従来から御答弁申し上げている過程で、アメリカにあります通信施設の一部がそういう、それをどういう名前で呼ぶかは別問題として、アメリカの、日本の国外にあります核戦力部隊との間の通信の一端、一翼を担っておる可能性があるということは従来から申し上げている次第でございます。 しかし、このアーキンという人あるいはその著者が私はどういう権威のある人か存じません、核問題の専門家だと言われておりますが、私はどういうことで専門家なのかも知りません。しかし、そこに挙がっているいろんな名前の施設が、私が先ほど申し上げました通信施設以外にも、横田でありますとか座間でありますとかいろんな名前が挙がっています、そういうものを全部とらまえて核支援施設であるというふうには私どもは到底考えておりません。
○秦豊君 これはやめよう、これはもう永遠の裸の王様論争だし、エンドレスだからきょうはこれ以上時間は割かない。 テーマを変えますが、きょうは、朝鮮半島では南北経済会談が開かれて合同委員会設置についての基本的合意が成立しました。我が国から見て大変歓迎すべき動向だと思います。 そこで外務大臣、私は北朝鮮と日本との連関をちょっと伺っておきたいわけですが、先般、野党の招請によって北朝鮮の代表団が来日をいたしまして、与党の中のいわゆる幹部クラスを含めて広範な接触を一連終わりました。その際にやや非公式な打診が行われたようでありますけれども、伺いたいことは、今度来た代表団は中程度のランクと仮にいたしますが、今後、北朝鮮側がより高いランクの要人の日本訪問を要請してきた場合に、例えば、東京の北朝鮮筋によりますと、労働党のAランク幹部の一人であり対日問題の最高責任者と目されている、日本式発音では「キョタン」、あちらではたしか「ホタン」と発音すると思いますが、許ダム氏の日本訪問をどうやら希望しているようであります。その場合には、外務大臣とされては、さまざまな今後の対ピョンヤン外交打開、安倍外交の創造的展開の一環としてやはり朝鮮半島をにらんだ布石がますます重要になってくるという場合に、こういうランクの高い要人の日本訪問について受け入れるお考えが今おありでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 南北会談が進んでおる、そして、経済会談として副総理を議長とする合同委員会を設置するというふうな動きが出ましたことは、大変南北の緊張緩和には歓迎すべき動きだと私は思っております。こうした動きがさらに発展をすることを期待をしておりますし、こうした南北間の交流がずっと発展していくことはやっぱりアジアのいろいろな交流関係を高めていくことになるんじゃないかと。日朝関係は、残念ながら今外交関係ありませんし、今これを持とうという考えもないわけですけれども、民間の交流というのがありますから、民間の交流は戦後これまでも相当幅広く行われたこともあると思います、そういう限界の中では、私は、これから行われる南北の対話の状況、緊張緩和の状況からは民間の交流が幅広く行われる可能性というものは否定するわけではありませんし、また、それはそれなりに可能性も出てくるんだと思います。 そういう中で北からの入国については日本政府としてどうするかということですが、これは、これまでもケース・バイ・ケースということで拒否を決定しておりました。したがって、今後とも全体の情勢の進展を見ながらこのケース・バイ・ケースという基本的な立場で対処してまいりたいと、こういうふうに思っております。
○秦豊君 そうしますと、外務大臣ね、仮に許ダム氏とたまたま特定したものだから大臣の心境としてはためらいがおありかもしれませんが、つまり、より高いランクの要人の来日も認めることがあり得る、こう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは今までのケースもなかったわけではないと思うんですね。しかしまた、いろいろと問題が起こった事実もありますから、やっぱり客観情勢だろうと思いますね。そういう客観情勢を見ながらケース・バイ・ケースで決めたらいいんじゃないか、こういうふうに思っております。
○秦豊君 日米間の事前協議じゃありませんが、イエスと言うこともあり得る、その枠内には許ダム氏というふうな、仮に対日関係の最高ランクが含まれていてもケース・バイ・ケースでお考えの中にイエスと言うケースもある、こういうふうな時期じゃありませんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはもうイエス・オア・ノーと、そういうやっぱりケース・バイ・ケースですから、あると思います。
○秦豊君 あり得ると。わかりました。恐らくそんなに遠くない時期に訪日の打診その他が行われるのではないかという感触を私は持っています。 それからもう一つ連関して、先日滋賀県の武村知事が訪朝いたしました際に金日成主席が、今後日朝間ではかつての日中間のように、ある時期の日中間のようにLT貿易ですね、廖承志・高碕達之助氏、LT貿易のような形で通商貿易関係を樹立する考えがあるというふうなことを正式に表明しておりますけれども、これについては外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私も武村知事からもちょっと聞きましたけれども、むしろ武村知事の方からかつて日中間でLT貿易というようなあれがあったじゃないかと。そしたら、それは非常におもしろい考え方だということを金日成主席が言われたと聞いております。 しかし、今北朝鮮の方でそういう方向でこれを進めようという非常に熱心な気持ちがあるようにはむしろ思えませんですね。ですから、これまた日本政府としてもこうした政府が介入するといいますか、政府にかかわるそうした事務所というようなものはまだ認めるという立場には日本政府としてないわけでございますが、こうした問題をやはりこれからの長期的な問題として、南北の状況等を見ながらいろいろとやはり見ていかなきゃならぬ、こういうふうに思います。
○秦豊君 これは北米局長でしょうかね。同僚議員からも連関した質問があったようですが、つまりアメリカから武器技術供与についての要請があったのは先月の末ですか。
○政府委員(栗山尚一君) 具体的日時、これは外交チャネルでの話し合いの問題でございますから、具体的日時については差し控えさしていただきたいと思いますが、比較的最近のことでございます。
○秦豊君 局長はそういう技術の具体的なことは言えないと。だが、防衛庁はちゃんと局長レベルでアメリカが希望している技術の部門はミサイル追尾誘導技術であるとはっきり言っているんですよね。だから、仮にあなたの感覚をとれば技術Xとしましょうか、それでもいいですよ。技術Xとした場合でも、それはSDIシステムの、私はかねがね当委員会で言っているようにある部門を十分に担い得る技術なんですよ。超先進技術なんですよ。そういう可能性については、局長、どうお考えですか。
○政府委員(栗山尚一君) 先方の要請がまだ来たばかりですので、これから関係省庁と具体的に検討することになりますので、現段階においては一般的なことしか申し上げられませんが、アメリカの要請は特にSDI関連の技術ということを前提とした要請ではないというふうに承知をしております。
○秦豊君 SDIシステムにパッケージできる技術の一つとはお考えになりませんか。
○政府委員(栗山尚一君) 私は技術の専門家じゃありませんので、現段階でまだ各省と関係省庁の専門の方々との間で十分検討を行っておりませんので、そういう可能性があり得るかどうかということについては申し上げられません。
○秦豊君 安倍外務大臣、実はこのシステムですね、防衛庁ないし防衛庁筋を含めてSDIシステムに利用できると、こういうことを申しております、国会レベルで。仮に今度恐らく供与されるであろうミサイル追尾誘導技術を供与しようという決定をする場合にはもちろん交換公文と、こうなるわけで条約局長の出番になるんだけれども、そうなった場合、では供与と決めるときには、SDIに転用可能なんだから、SDIへの技術研究参加という政府の方針が下敷きにないと連関する分野だから対応はできませんね。つまり武器技術供与とSDIの研究参加はワンパッケージだと、表裏一体だと。そうすると、態度の決定というのはそんなに言われているように来年とか再来年にはならなくて、再来年は極端としても、今年そんなに遠くないと、秋なら秋ということはあり得るんじゃないでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) その辺のところはまだ私も技術の問題ですから詳しく聞いておりませんが、アメリカの要請が例えばSDIに関連した技術だというふうな形で言ってきているのか、単なる武器技術だということで今までの武器技術の交流の取り決めに従って言ってきているのか、その辺のところはもう少し確めないと今ここではっきり申し上げる立場ではないわけです。
○秦豊君 三宅局長ね、間もなく安倍外務大臣は七月十日から二十三日、ヨルダン等々サウジを含めて回られる。あなたも前回回られましたね。あなたが準備してある程度のレールが敷かれていると思いますが、この中東和平問題の当面の焦点の一つはヨルダン‘パレスチナ合同代表団ですね、アメリカの見方は複雑、イスラエルも複雑ですけれども、ことしの夏から秋にかけてこのイスラエル、ヨルダン、PLO等をめぐる動向は中東問題を考える場合に一つのメルクマールだと思うんですね。焦点だと思うんです。だから、安倍外相の訪問は非常にまたグットタイミングだと思うんですが、局長として、この中東和平問題と連関した見通しをこの際ぜひ伺っておきたいのです。
○政府委員(三宅和助君) 御指摘の点で、今中東和平で三つ大きな問題点があると思います。 一つは、委員御指摘のジョルダン・パレスチナ合同代表団の構成の問題が第一でございます。これにつきましては、いわばアメリカ、イスラエル側とジョルダン・パレスチナ代表団側との意見がまだ必ずしも一致しておりませんけれども、ただパレスチナ人の代表をどこに決めるか、すなわちPLOを含めるか含めないか、含めないとすればどの程度で妥協するかというあたりが今争点になっておりまして、これはかなり進んでいるようでございます。したがいまして、これはまだ難しい問題を含んでおりますから確たる見通しは言えないのですけれども、アメリカが少なくとも会う可能性はかなり強まってきたということが言えると思います。たまたまこの前、日米の協議がロンドンで行われましたが、その際の米側の説明によると、双方の立場がかなり接近してきたので近くこの合同代表団と米側との会合が行われる可能性がかなり強まってきたと言えると思いますが、それではその次に中身はどうかということで、御指摘のようなパレスチナ国家建設かジョルダンとの国家連合かというような問題、これは中身の問題として相当まだ距離があります。 それから第三点の、国際会議をどうするかという点につきましては、かなりの距離があります。ですから、ようやく入口に今や差しかかろうとしている。しかし、にもかかわらず従来からの経緯から見ますとかなり進もうとしているというのが現状だろうと思います。
○秦豊君 最後に一問お許しをいただけますか。 中南米局長、ちょっと伺っておきたいのですが、対外債務繰り延べをしている国々に対しましても円借款を供与する用意があるという方針がやや仄聞されますけれども、その外務省の方針は中南米諸国にも適用されますか。
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 中南米諸国は累積債務をつくっているために大変苦労しておりますけれども、それだけにますます資金を必要としているわけでございます。そういう場合の円借の供与ということについてはなるべく弾力的にお願いしてきているわけでございます。これらの諸国もそういう要望をしておりますし、そういう方向で検討が進められておりまして、特にリスケが終わって繰り延べ交渉が終わりまして第一回の支払いが行われた後直ちに出すという方向で最近では進んできております。中南米諸国についても当てはまっております。
○委員長(平井卓志君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。 鳩山君から発言を求められておりますので、これを許します。鳩山君。
○鳩山威一郎君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び参議院の会の共同提案に係る女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に関する決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に関する決議(案) 「国連婦人の十年」の最終年において、我が国が女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を締結するに際し、政府は、この条約が我が国における男女平等の達成のため重要な意義を有することにかんがみ、これを誠実に遵守するとともに、条約批准後も、次の事項の実現に努力すべきである。 一、政策決定の場への婦人の参加を促進すること。 一、教育、雇用その他あらゆる分野における男女平等を確保するための措置を遅滞なく講ずること。 一、男女の定型化された役割に基づく偏見及び慣習その他あらゆる慣行等の撤廃のため、啓発、教育等の施策を通じ、積極的に対応すること。 一、母性の保護を充実すること。 一、この条約第十八条により、政府が国際連合事務総長に報告を提出したときは、これを当委員会に報告すること。 一、未批准の婦人関係ILO条約を可及的速やかに批准すること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
○委員長(平井卓志君) ただいま鳩山君から提出されました女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に関する決議案を議題とし、直ちに採決を行います。 本決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、安倍外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。安倍外務大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいま女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結につき本委員会の御承認をいただきましたことにつき御礼を申し上げます。 本条約は、広範な分野における女子に対する差別の撤廃につき包括的かつ詳細に規定した重要な条約でありますが、かかる重要な案件を今国会における審議の結果御承認いただきましたことは、画期的なことであろうと考えるものであります。 政府といたしましては、この条約の誠実な実施に努めてまいりますとともに、ただいま採択された御決議につきましては趣旨を十分尊重して、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の精神にのっとり、男女平等の一層の促進を図るため、今後とも一層努力を重ねてまいる所存でございます。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) これより請願の審査を行います。 第三〇九号非核三原則と非核日本宣言の実現に関する請願外六百十七件を議題といたします。 まず、専門員から説明を聴取いたします。山本専門員。
○専門員(山本義彰君) 今国会中外務委員会に付託されました請願は、お手元の表のとおり全部で六百十八件でございます。 まず、三〇九号は、すべての核兵器に反対し、核巡航ミサイル等の日本への持ち込みを拒否し、非核三原則と平和憲法を守り抜くこと、非核日本宣言を早期に実現し、アジア太平洋地域を非核地域とすること、国家補償に基づく被爆者援護法を早期に実現すること等を要請するものであります。 次に、三三八号は、核巡航ミサイル・トマホークの配備に反対し、トマホーク積載艦の日本寄航を拒否すること、F16の三沢への配備承認を撤回すること、ソ連との核不使用協定の締結交渉を即時無条件に開始すること等を要請するものであります。 次に、二ページの二〇二六号は、東北アジア・太平洋の非核化に向け、日ソ核不使用協定交渉に即時無条件で応ずることを要請するものであります。 次に、三〇八一号は、あらゆる核兵器に反対し、アジアから核兵器を撤廃し、非核三原則を堅持すること、米ソ間の核軍縮交渉を実質的に進展させること、宇宙軍拡競争を防止すること、第三回国連軍縮特別総会を早期に開催し、特に東京開催に努力すること等を要請するものであります。 次に、三ページの七二五一号は、非核三原則の実効ある厳格な措置をとり、これを内外に明らかにすること、及び核兵器全面禁止のための実効ある国際協定を呼びかけることを要請するものであります。 次に、一四九一号は、基本的人権、労働時間、休暇等に関するILOの未批准条約の即時批准を要請するものであります。 最後に、一四九六号は、路面運送における労働時間及び休息期間に関するILO第百五十三号条約を留保することなく批准することと、そのための国内法の整備を要請するものであります。 以上でございます。
○委員長(平井卓志君) 以上で説明は終わりました。 これらの請願につきましては、理事会において協議いたしましたところ、第三〇九号非核三原則と非核日本宣言の実現に関する請願外六百十七件は保留とすることに意見の一致を見ました。 この理事会の協議のとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 国際情勢等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱い等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十八分散会