外務委員会 第11号
- 発言数
- 329 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/05/16
会議録
○委員長(平井卓志君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十四日、吉川芳男君及び志村哲良君が委員を辞任され、その補欠として園田清充君及び嶋崎均君が選任されました。 また、昨日、鳩山威一郎君が委員を辞任され、その補欠として下条進一郎君が選任されました。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に下条進一郎君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) 千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締約国の全権委員会議(千九百八十四年七月九日から十日までパリ)の最終文書に附属する議定書の締結について承認を求めるの件、北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十四年の議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。 三件につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○久保田真苗君 初めに、千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約についてこの際お伺いしておきたいと思います。 この条約は、国際海事機関においてつくられたものですが、この加盟国は百二十七だと伺っておりますけれども、理事国というのはどういうふうに選任されているんでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、IMOの加盟団は現在百二十七カ国ございます。このうちの理事国の数は三十二カ国でございますが、三十二カ国は三つのカテゴリーに分かれておりまして、一つは主要海運国でございます。この主要海運国が八カ国ございます。それから第二のカテゴリーが主要貿易国、これが八カ国でございます。それから第三のカテゴリーは地域的配分に従いまして関心のある国ということでございまして、これが十六カ国、合わせて三十二でございます。 このIMOというのは二年に一回総会が開かれるわけでございまして、その二年ごとに改選されるわけでございますが、再任を禁止する規定がございませんので、例えば日本は一九五八年にこの条約に加入したわけでございますが、一九五九年以降引き続き理事国として活躍しているわけでございます。 以上でございます。
○久保田真苗君 日本はそのカテゴリーのどこに入り、またカテゴリー別に権能に違いがあります
○説明員(瀬崎克己君) 日本は第一のカテゴリーの主要海運国八カ国の中に入っておりまして、その八カ国は例えばソ連、ノルウェー、米国、ギリシャ、日本、英国、イタリア、リベリアの八カ国でございます。それから、主要貿易国が八カ国ございますし、第三のカテゴリー十六カ国ございますが、一たん理事国に選任されますと、その理事国の権能には全く相違がございません。
○久保田真苗君 この条約の採択に当たりまして、この条約はコンセンサスで採択されたと伺っておりますが、そうなんですか。 それからまた、条約採択の際何か問題が提起されたとか、我が国から提案したことがあれば伺っておきたいんですが。
○説明員(瀬崎克己君) この条約が採択されましたのは、一九七九年、ハンブルクにおきます五十一カ国の会議で採択されたわけでございますが、会議では、この条約はコンセンサスで採択されております。 ただ、この採択会議におきます審議の際に若干問題がございまして、一つは、外国の救助隊が捜索救助の目的で領海に入る場合に、最初の原案では義務規定になっておったわけでございますけれども、この審議の過程で勧告規定になったわけでございます。 それから、第二の点は、締約国は「実行可能かつ必要と認める無休聴守」、二十四時間傍受しているわけでございますが、この無休聴守を「国際遭難周波数で行うことを確保」する旨の規定が追加されております。 それから、第三の点は、海難が「難民若しくは流民を含む場合には、権限のある国際機関に通報する」旨の規定が追加されております。 それから、日本が参加しました会議におきまして、これは専門家グループの方でございますけれども、この捜索救助区域を関係国の合意によって定めるという規定があるわけでございますが、その捜索救助区域につきましては、飛行情報区、いわゆるFIRに基づいて画定するという規定が当初置かれていたわけでございます。しかし、日本の専門家は、航空機管制のためのFIRと船舶の捜索救助業務とは直接関係がないという点を指摘いたしまして、この区域の画定に当たりましては関係国の捜索救助組織の能力、それから交通安全の実態等を勘案して関係国の合意によって定めるべきであるという指摘をいたしまして、この点が日本の提案が受け入れられまして改正された点でございます。
○久保田真苗君 ところで、その日本の提案が受け入れられたんですけれども、日本自身はこの批准に六年かかっているわけですね。そして、結局十五カ国目が批准して、発効するのが来月になって、まあ今の段階で持ち出してきているわけなんですけれども、これに六年もかかった理由を伺いたいと思うんです。 なぜなら、恐らく日本は主要海運国ですから世界じゅうに漁業、貿易の船が行っていて、よそでいろいろお世話になることも多いだろうと思うものですから、どうぞお聞かせください。
○説明員(瀬崎克己君) この条約は、条約の第五条に規定しているとおり、十五カ国が締約国になってから十二カ月後に発効するという規定が置かれているわけでございます。 確かに、先生御指摘のとおり、この条約は七九年四月にハンブルクの国際会議で採択されたわけでございますけれども、その後、関係国といたしましては、この条約を実施するに当たりまして国内法制あるいは救助の実態がこの条約を実施するに十分かどうかということを慎重に検討する必要があったわけでございます。 したがいまして、各国ともかなり時間をかけて検討したわけでございまして、日本といたしましても各国の動向等を見きわめつつ、鋭意海上保安庁を中心に御検討いただいたわけでございますが、昨年六月、ようやく十五カ国が締約国になるということがはっきりいたしまして、ことしの六月の二十二日にこの条約が発効するわけでございますが、これに合わせまして日本といたしましても国会にお諮りいたしまして批准の手続を進めるということを決めたわけでございます。
○久保田真苗君 国内法等の関係を詰めたとおっしゃるんですがね、国内法は結局改正の必要がないことになっているわけですね。そういたしますと、国内法の解釈に当たって何か非常に時間のかかるような、そういう問題があったわけですか。
○説明員(瀬崎克己君) この条約を実施するに当たりまして、実質的には国内法改正の必要がないわけでございますが、国内法に問題があったとかあるいは海上保安庁の捜索救助活動の能力に問題があったというようなことでなくて、あくまでも各国の動向を見きわめながら、余り早く批准の手続をとりましても、日本だけが独走しても意味がないということでございましたので、私どもといたしましては国内法上特に問題があったということじゃございませんけれども、ことしの国会にお諮りするということを決めたわけでございます。
○久保田真苗君 まあ今からでもよろしいんですけれども、大体条約採択の翌年からもう批准は始まっていますね、主要海運国はほとんど翌年から、八〇年から八二年ぐらいの間にしておりますね。 日本には、これだけかかるについては、どういう問題点があったのかなと実は考えたわけなんですが、日本も自分としては海運国をもって任じているわけでございますから、日本がもっと早く批准していれば恐らくこの条約はもっと早く発効することができたんじゃないかと思いまして、問題がない条約ならばできるだけ早くやった方がいいんじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) この条約は、先ほど御説明いたしましたとおり、一九七九年に採択されたわけでございます。各国の締結の手続がどの程度の状況で進展したかということを私ども詳細調べたわけでございますが、例えばその翌年の八〇年、この八〇年に批准の手続を進めた国は三カ国でございます。それから八一年になりましてまた三カ国、八二年が五カ国、八三年が四カ国ということでございまして、各国ともそれぞれ国内事情あるいは他国の出方等を見きわめながら、余り急いで一つの国がやってみてもそれほど意味がないということでございましたので、私どもといたしましては、先ほど御説明しましたとおり、国内的に特に問題があったということではないわけでございますけれども、主として他国の出方を見きわめながら今日まで待っていたということでございます。
○久保田真苗君 他国の出方もよろしいんですが、せっかく創造的外交を標榜していらっしゃるんですから、ひとついいことはさっさとイニシアチブをとってお進めになるように希望しておきます。 そして、IMOですけれども、事務局の問題ですが、事務局の規模はどのくらいですか、つまり職員数それから我が国の参加状況はどんなぐあいでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) IMOの事務局の職員の数は、一九八三年の調べでございますが、八三年の末で、全体で二百七十九名でございます。このうち一般職の方が百五十八名。これは先生御承知のとおり、GSと申しますか、主としてローカルの方が多いわけでございますけれども、こういう一般職の方が百五十八名。それから、専門知識を持ってIMOの仕事に従事されます専門職の方が百二十一名でございます。それから、日本人の職員の数でございますが、この全体の中で三名、現在活躍していただいているわけでございます。
○久保田真苗君 途上国にも援助している海難技術先進国であると自任しているにしては非常に参加状況が悪いと思うんですが、最近の報道でございますと、国連書記官への応募が非常にはかばかしくないという報道がなされておるんですが、その理由は何だとお考えになりますか。
○説明員(瀬崎克己君) 本年の九月に国連本部から、国連職員採用、大体十名ぐらい採用していただくわけでございますけれども、これは各国とも国連の職員につきましては適正規模がございまして、この適正規模を大幅に下回っている国、現在日本を含めまして十一カ国ほどございますが、この国に対しましては国連本部から職員が来まして各国で試験を行うということでございまして、現在応募している方が、実際に願書を出している方が十六名でございます。それから、外務省に昨日まで照会をなされた方が約千名、それから千名で願書を実際に送ってほしいという方が三百十五名ぐらいございまして、必ずしもその応募の状況ははかばかしいということではございませんが、私どもといたしましては、この締め切りが六月二十六日でございますので、あと約一カ月ちょっとございますので、できるだけ広報措置を講じまして、たくさんの日本の方々が応募するように努力していきたいと思っているわけでございます。 そこで、なぜその応募の状況が少ないかということでございますけれども、一つはやはり国連の雇用形態と日本の雇用形態が非常に違っておりまして、日本の場合には一たん就職いたしますと終身雇用と申しますか、非常に安定しているわけでございますけれども、国連の場合には最初の任用が二年間、二年間で、能力のある方は引き続き採用されるわけでございますけれども、能力主義でございますので、その際に余りはかばかしくないという成績が下されますと解雇されてしまうというような、雇用が若干不安定であるという点があるわけでございます。 それから第二に、やはり国際機関でございますので、これは主として英語あるいはフランス語で読み書きが自由にできるという能力がありませんとなかなか十分に活躍できないわけでございますので、試験もおのずから語学を中心に非常に厳しい試験であるわけでございます。したがいまして、日本の方にとりましてはかなり大きなハンディキャップがあるというようなこと等があるわけでございます。 他方、給料の点でございますが、初任給は、たとえばバンコクでございますと約二万六千ドル、それからニューヨークでございますと三万三千ドルということでございますので、日本の大卒の方の給料と比べますとかなり優遇されるということもあるかと思いますので、この面ではさほど障害があるというふうには感じてないわけでございます。 したがいまして、私どもといたしましては、やはり雇用形態が若干不安定であるとか、語学の点に障害があるというふうに認識しているわけでございます。
○久保田真苗君 せっかく国連の方で日本まで出張って試験をするという体制をおとりになったんですから、この受験者が余りにも少ないということになるとそういう特別の措置も取りやめになってしまうんじゃないかと大変心配しているわけです。そういうことになりませんように、ひとつ若い方で、例えば大学を卒業した方あるいは大学院にいらっしゃる方というような方も含めまして御尽力をお願いしておきたいと思います。 さて、条約の方に戻りますけれども、先ほど義務規定とそれから勧告規定というお話が出ましたですね。それで、義務規定はもちろん当然批准に当たって満たしていなければならないと思いますけれども、勧告規定の方で日本が満たしていないという点がありましたらどうぞ。
○説明員(瀬崎克己君) この条約のテキストの十五ページをごらんいただきますと、「附属書」の「用語及び定義」のところに、一の一、「なければならない」という規定と、それから一の二の「ものとする」という規定があるわけでございます。この「なければならない」というのが条約上の義務を負う規定でございまして、「ものとする」というのがこの条約の審議の際にも好ましいが不可欠とはみなさないとか、あるいは単なる勧告であるということでございますので、この「ものとする」というのはこの条約を読みますと随所に出てくるわけでございますが、これについては一応努力義務を課されているということでございますので、必ずしも実質的に全部やれということではないわけでございます。 他方、日本の海上保安庁の方とされましては、非常に努力されまして、この勧告規定につきましても、かなり大幅にいろいろな面を既に実施されるというふうに聞いているわけでございまして、日本といたしましては、できる渡りこの努力規定に即しましてこの条約を実行するという体制を整えられているというふうに聞いております。
○久保田真苗君 そうしますと、勧告規定の方は全部満たしているんですか。それとも満たさなかったものがあって批准をするわけですか。
○説明員(瀬崎克己君) この勧告規定の方の全部につきまして一々御説明いたしますとかなり時間をとるわけでございますが、おおむね実施するということで御了解いただいて結構かと思います。
○久保田真苗君 実は、私が海上保安庁の方でございましたかしら、伺いましたときには、一カ所これを満たしていないということがあるというふうに伺ったんですが。
○政府委員(斉藤邦彦君) 私の了解しているところでは、ただいま御指摘の一カ所勧告規定を満たしていないというところは、この協定の文の第四十八ページにございます五の七の「現場指揮者の指定及びその責任」という規定がございます。この関連で、我が国は現場指揮者制度はとらない方針であるというふうに承知しております。
○久保田真苗君 保安庁の方、いらっしゃいますか。——保安庁の方もそういう御解釈ですか、どうですか。
○説明員(茅根滋男君) その件につきましては、実態的には合同のRCCを組んでおりますので、とりたてては問題ないんですけれども、当庁でこの勧告規定でやっていないというふうに判断しておりますのは、航空のRCCと海のRCC、これをできるだけ合致させられたいと、こういう勧告規定なんですけれども、御承知のように、航空の方は航空局がいわゆる航空管制に基づきます情報の一元化ということで航空局に置いております。ただ、海上保安庁の場合は海の場合ですので全国に情報源がございますので、その管区本部にRCCを置くということで、やはり航空の事故の数、海の事故の数等から、我が国の場合は一緒にしない方が能率的であろうという判断で一緒にしてございません。その辺が一番大きな差であろう、勧告が受け入れられていない大きな点であろうというふうに判断しております。
○久保田真苗君 そうしますと、日本の場合は航空と海の事故についてそれぞれどこが責任者になるわけですか。
○説明員(茅根滋男君) お答えいたします。 両方とも一つの救助調整本部というのをつくることについては同じでございまして、そのコーディネーターの役をやりますのが、飛行機の場合は航空局であり海の場合は海上保安庁である、構成メンバーとしてはほぼ同じメンバーが入っておりまして、航空の場合のその事故のコーディネーターは情報源の関係で航空局がさばかれた方が能率的であろうと、事故の、ミッシングの情報が一番先に入りますのが航空局でございますので、そこがまずこれは海の方の事故である、海上に落ちた事故であるとなれば海上保安庁の勢力が主体的に出ますけれども、これが陸上に落ちた事故だということになりますと消防なり警察機関が出ていく。海の場合ですとほとんど海上保安庁の全国に散らばっております各管区の海上保安本部に情報が集中しますので、ここでまずさばきまして我が方の船艇勢力あるいは民間の船を出していくと、このようなことで、飛行機の事故は年間一、二回、これは東京羽田に置いております救助調整本部でほぼさばけるわけですけれども、海の場合は、海上保安庁が二千件近く扱っておりますので、やはり全国に散らばっている情報源のもとでやった方がよかろう、こういう判断でございます。
○久保田真苗君 実態に基づいてそういうふうになったと思うんですが、事故というものは航空機であれ船であれ、いずれにしましても十分の調整と一体的な活動が必要だと思うんですが、その辺についてはそれは担保されるんでしょうか。
○説明員(茅根滋男君) それはメンバーが同じでございまして、海上保安庁も航空機の事故の救助調整本部の一員でございますし、また航空局の方方も海の調整本部にお呼びしてやれる体制になっておりますので、全く調整上は問題なかろう、今まで過去でも問題は特にございませんで、実態的には問題ないであろうというふうに判断しております。
○久保田真苗君 ところで、受け持ち区域についてですね、隣接する国と既に非公式の合意があるわけですか。
○説明員(瀬崎克己君) この条約に加盟した国で関係国が話し合いによりまして捜索救助区域を定めるということになっているわけでございますが、日本はまだ加盟しておりませんので、加盟した後に隣接国と具体的な話し合いに入るということでございます。したがいまして、現時点では特にこの条約に基づきまして話し合いをしているという事実はございません。
○久保田真苗君 しかし、大体千二百海里でもって、そして東経百六十五度、北緯十七度というようなそういう予想を既にお立てになっているわけですね。これは隣接国はこの場合アメリカになるんだろうと思うんですが、これについては大体何といいますか、非公式にもう合意があるわけでしょう。
○説明員(瀬崎克己君) この条約に基づきます外交ルートでの話し合いというのはまだ現実にないわけでございます。他方、条約に加盟しない前にも既に海難救助につきましては、いろいろ実施官庁間におきまして連絡、話し合いがあるわけでございまして、その過程ではあるいは海上保安庁の方でいろいろお話し合いになっているかと思いますが、この条約に基づいて云々という御質問でございましたので、私どもといたしましては、外交レベルでの話し合いはないというふうにお答えしたわけでございます。
○久保田真苗君 この条約では隣接国との間で合意すればよくて、隣接国が幾つか出てきましたときに、そういう国が幾つか集まって合意をとるということに今後なるわけでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) この条約の二の一の四、この規定、十九ページでございますが、「捜索救助区域は、関係締約国間の合意により設定しなければならない。」というふうに書いているわけでございまして、この「関係締約国間」が二国間であるのか、あるいはそれ以上のものを含むかということは、特に条約上規定しないわけでございます。したがいまして、例えば三カ国間で話し合うということは、この条約上特に排除されているというふうには解されないと思います。
○久保田真苗君 ところで、他の締約国の救助隊が自国の領海、領土、領空へ立ち入ることを認めるというのが三の一の五、三の一の六等に関連してあるんですが、ここで言います立ち入りの条件ですね、特に三の一の五ですけれども、立ち入りの条件というのはどういうことが予測されますか。
○説明員(瀬崎克己君) 立ち入りの条件でございますが、従来の経験、これを海上保安庁の方にお伺いしたわけでございますけれども、特に外国の救助隊が捜索救助目的のために我が国に入ることは極めてまれであるというふうに仄聞しているわけでございます。したがいまして、そういうような事態が生じた場合には特に特別の合意を行うというよりかも、国内法令に従うことで十分迅速な対応ができるということでございます。 したがいまして、この合意の内容でございますけれども、将来隣接国とこのような合意を取り結ぶ必要が生じた時点でどのような内容にするかということを検討するわけでございまして、現時点で特段この内容をどのように決めるかということについては検討されてございません。
○久保田真苗君 その次にあります「施設の共同管理」というのはどういうことを指しますか。
○説明員(茅根滋男君) お答えいたします。 もともとこの条約上は、例えば湾岸の諸国がありまして、各国がそれぞれ同じ施設を各国別に必ずしも持つということだけを前提にしておりませんので、いろんな国が例えば湾岸諸国が救助艇を持ち合うというようなことも、あるいは通信施設を持ち合うようなことも想定しておりまして、そういう場合のことを想定しておりまして、日本のように独立した島国の場合はそのようなものは現在のところ対象物件がないということでございます。
○久保田真苗君 わかりました。 ところで海難の数字についてなんですが、いただいた資料では日本周辺の海域の遭難件数等わかっておるんですが、日本の船は世界じゅうに行っているわけで、漁船を含めましてですね、この世界のいろいろな海で起こる海難についての実態をつかんでおいででしょうか。そのうちどのくらいの海難があるのか、また我が国が周辺以外の海域でどの程度に救助されることがあるのか、そんなことをお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(玉置佑介君) まず、前段の部分についてお答えいたします。 世界全体の百総トン以上の船舶の全損海難でございますが、これはロイド船級協会統計表によりますと、一九八一年佐は三百五十九隻、その総船腹量は百二十三万トン余でございます。それから一九八二年は四百二隻、百六十三万トン余でございます。それから一九八三年は三百四十隻、百四十七万トン余というふうになっております。
○久保田真苗君 済みません。今おっしゃったのは何トン以上の船ですか。
○説明員(玉置佑介君) 百総トン以上の船舶でございます。
○久保田真苗君 そうすると、この日本の周辺の数字とは比較ができないわけですね。日本の数字は日本でつかんだすべての船を対象にしていらっしゃるわけですね。
○説明員(玉置佑介君) はい。今申し上げましたのは世界全体の全損海難の隻数とトン数でございます。日本の海難の統計は別途またございます。
○久保田真苗君 日本の世界じゅうで起こす海難は世界の順位から言いますとどんなものですか。
○説明員(玉置佑介君) このロイド船級協会の統計表によりますと、世界で起こりました全損海難の総トン数の高い順から申しますと、我が国は持っております船腹量が非常に大きいということもございまして大体九番目ぐらい、一九八三年の数字によりますと九番目ぐらいになっておりますが、持っております船腹量に対します全損海難を起こした船舶の総トン数の比率は、日本は〇・〇二%と極めて低い比率になっております。
○久保田真苗君 周辺の海域なんですが、救助されたものが多いわけですけれども、例えば五百海里以遠の救助率が悪くなっていますね。この五百海里以遠の救助率の悪い理由というのは、まあわかる気もいたしますけれども、これをもっと改善する方策というのはどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
○説明員(草薙博文君) お答えします。 遠距離の海難の救助率の向上を図るために海上保安庁ではヘリコプター搭載型の巡視船と航空機を中心に機動力にすぐれた広域哨戒体制の整備及び本年十月から運用を予定しております船位通報制度の整備を今進めておるところでございます。
○久保田真苗君 それで、それは計画的に整備が行われている、また必要なものを入手することはできると、そういう状況にあるわけですね。
○説明員(草薙博文君) はい、今整備は計画的に進めております。
○久保田真苗君 余り細かいことになると時間が過ぎますので、ひとつ五の十三「捜索の不成功」という項目があるんですが、ここには「捜索は、生存者の救助について合理的な希望がなくなつた場合にのみ終了するものとする。」という規定になっているんです。それでこの意味ですね、例えば今度の日東丸の遭難についてこういうことを顧みてみますときに、「合理的な希望がなくなつた」というその意味を非常によく考える必要があるんじゃないか、こう思うんですが、これについての例えば反省のようなものが日東丸に関してありますでしょうか。
○説明員(草薙博文君) お答えします。 日東丸の捜索は二十四日から海上保安庁は出動して、二十九日まで実施しておりまして、捜索は現場の海潮流とか気象等を勘案して必要な最大限の捜索区域を設定し、綿密な捜索を反復しております。 それで、捜索は霧とか流氷により難航しておりましたけれども、捜索は十分にやられた。それから事実の経過、現場の気象、海象、海水温度が二度というような状況を判断し、それからまた漁業関係者、家族等との打ち合わせを行って実施しておりまして、生存の可能性はないというように判断して捜索は打ち切っております。
○久保田真苗君 十分になさったという御認識はあるのかもしれないけれども、実際問題としてこの条約に言っている「合理的な希望がなくなつた場合にのみ終了するものとする。」というこの書き方から見ますと、今回救命ボートがあったわけで、しかも食糧も積んでいたことはそれはおつかみになっていたわけですね。それはもちろん御存じでしたよね。
○説明員(草薙博文君) 救命ボートを搭載していること、それから救命ボートの中には非常用食糧等が積載されておるということは十分承知しておりました。
○久保田真苗君 そういたしますと、生存する可能性がかなりの期間にあるということになりまして、まあ細かいことは私はこれ以上言うつもりはありません。しかし、結果的に見ますと、漂流したのは十七日間でして、捜索を打ち切ったのは一週間目に打ち切っているんですね。一週間目で打ち切るという合理的な理由はどうも余りないんじゃないか、もちろん私素人判断でございますからなんですけれども、しかしどうもその生存の可能性から見れば余り合理的な場合だと言い切ることはできないんじゃないか、そういう感じがするんですね。 それで、この条約に合うこの規程の判断の下し方について、条約の意味をひとつ批准に当たって具体的に吟味していただきたいと私思うんですが、いかがでしょうか。
○説明員(草薙博文君) 合理的な判断をする場合でございますが、海上保安庁は捜索を終了させる場合は生存者の生存の可能性がなくなった場合等にのみ捜索を終了するというような内部的な規定を設けております。 なお、具体的に生存の可能性がなくなると判断すべき一定の基準というものは定めておりませんが、気象それから海水温度それから海難の態様等総合的に勘案して生存の可能性を判断しております。そして、実際に捜索を終了させる場合は、それらの事項のほかに、例えば漁船であれば関係漁業協同組合、家族等の意向を十分に考慮しながらその時期を決めて実施するというようなやり方をしております。
○久保田真苗君 この打ち切る時期というものは非常に大事だと思いまして、いろいろな諸条件はございますでしょうけれども、それにもかかわらず打ち切ってから随分長い期間漂流していたという事実はあるわけです。まあこの経験を、そういう条件が十分あり得るということをひとつ今後の教訓として、日本は人命を尊重してそれに対応してやっていくんだということを国民にもそれから外国にもわかるような、そういう決意を持ってこの際条約を批准していただきたいと思うのですが。
○政府委員(岡田專治君) 日東丸の今回の事件につきましては、結果的に幸いにも三名の生存者を迎えることができましたわけでございまして、私どももこれらの生存者の方々の心身の回復を待ちまして、よくその状況についてお尋ねし、また私どもがこれまで幸い操業中であったと推定される網あるいはそれを引っ張る曳索、そのようなものも大体すべて回収しております。ただ残念ながら船体は三百数十メートルの海底に沈んでいるわけでございますが、何にいたしましても多少のそういう物的な材料もございますので、原因の究明についてはこれからも格段の努力をいたしたいと思いますし、また今後の北洋における捜索のあり方について改善すべき点については適切な対処をいたしたい、かように考えております。 ただしかしながら、これまで海上におきましていわゆる漂流して生存なさった例というのは、例えば南の沖縄の方の海上でもせいぜい一週間程度が我々がこれまでに持っております経験値でございます。北洋、特にまだ四月でございまして、大変厳しい状況下にあり、かつ事故が発生したのが二十三日の深夜だったか二十四日の未明だったかと思われますけれども、翌日には既に海底から遺体の収容等もあり、そのようなこともございまして、私どもとしましては当時の風あるいは海流等の影響も考えましてそれなりに最善の努力はしたつもりでございます。かつ、ただいま救難課長からも御説明申し上げましたように、関係の漁業協同組合あるいは御家族の方々のお話も伺いながら二十九日に捜索を終了したわけでございます。
○久保田真苗君 この際、自衛隊の自衛艦とそれから巡視船の国際法の分類についてお聞きしておきたいと思うのですね。 先日、保安庁の方から伺ったときにお聞きしたんですけれども、船は国際法上、軍艦、公船、商船、漁船と四つに分類されていると伺ったんですが、海上自衛隊の自衛艦はこのうち軍艦に当たるわけですか。
○政府委員(斉藤邦彦君) 我が国の海上自衛隊は、その装備、組織、機能等の面におきまして諸外国の海軍と極めて類似した点を持っております。他方、我が国の憲法におきまして、必要最小限度を超える実力を保持し得ないというような厳しい制約を課せられております。したがいまして、我が国の自衛艦が国際法上軍艦であるかどうかという点につきましては、これは個々の国際法の趣旨に照らしてその都度判断されるべきものであると考えております。
○久保田真苗君 巡視船というのはそうするとどれに当たるわけですか、これは公船に当たる、こういうことですか。
○政府委員(斉藤邦彦君) ただいまの分類に従えば巡視船というのは公船に当たると考えます。
○久保田真苗君 この条約では、救助される船について船籍とか船種とか海難の種類とかを特定しておりませんですね。そうしますと、当然自衛艦とか他国の軍艦などもその対象になりますね。
○説明員(瀬崎克己君) この条約の二の一の十、テキストの二十一ページでございますが、これには「締約国は、海上におけるいずれの遭難者にも援助を与えることを確保しなければならない。締約国は、遭難者の国籍若しくは地位又は遭難者の発見されるときの状況にかかわりなくこのことを行わなければならない。」ということでございまして、特に船舶の種類あるいは国籍等を特定してないわけでございます。したがいまして、例えば軍艦が遭難に陥っているというようなときには、この規定に従いまして援助活動を行うということになるかと思います。
○久保田真苗君 仮定の話ですけれども、そういたしますと、例えば第三国同士が戦争状態にあるとしますね。そこで戦闘が行われて片方の船が沈没しかかっている、この場合日本はこの戦争に対しては中立になっているわけですが、その場合の日本はこの海難に対して救助に行く義務があるということになりますか。
○政府委員(斉藤邦彦君) この条約が戦時に適用されるかどうかという問題と関連するかと存じますけれども、この条約そのものには武力紛争が発生した場合に関する規定はございません。この条約はそもそも締約国がいかなる状況下においても遭難船舶または人員を救助しなければならない義務を課しているとは考えられないわけでございまして、例えばその救助に赴く船舶に非常な危険が当然予想され、二次災害が起こる可能性の高いような場合、これまでもどうしても救助をするということを義務づけているとは考えられない次第でございます。同様に、武力紛争が発生している状況におきまして、捜索救助活動に著しい危険が伴うというような理由によって捜索国側といたしまして救助活動を行わないということを決めた場合におきましても、それが直ちに締約国の条約の義務違反ということになるとは考えられない次第でございます。
○久保田真苗君 条約上そういう義務が必ずしもないけれども、そういう場合は一体どういうふうになりますのでしょうか。可能な限り救助に行く、そういう態度をとることになりますか、我が方としては。
○説明員(瀬崎克己君) この条約上は、先ほど申し上げましたとおり、特定の状況下におきましては船籍のいかんあるいは国籍のいかんを問わず救助する義務が生ずるわけでございます。他方、ただいま条約局の斉藤審議官から御説明されましたとおり、特定の状況下で果たして実態的に救助活動が行い得るかどうかという個々の判断、ケース・バイ・ケースで判断する状況がございますので、一概に、どういう状況でこれを救助しなくてはいかぬとか、あるいはすべきであるということは、この条約上からは判断することではなくて、その特定の状況下におきまして実際に救助活動に当たられる艦船の船長さんあるいはその他調整本部等の指示に従いまして判断されることになるというふうに解釈されると思います。
○久保田真苗君 仮定の話で申しわけありませんけれども、今申し上げたような状況で第三国のその一方が米国であった場合はどういうふうになりますでしょうか。それは米国であってもなくても違わないんでしょうか、それとも違うとお考えですか。
○政府委員(斉藤邦彦君) この捜索救助という観点から見た場合、遭難している船が米国船籍であるということによって状況が変わるというふうには私考えられないと思います。
○久保田真苗君 これに関連してもう一つちょっと伺っておきたいんですが、自衛隊法八十条によりますと、内閣総理大臣は、特別の必要があると認めるときに、海上保安庁の全部または一部を自衛隊の統制下に入れることができる、となっているんですね。そして、その統制下に入れた場合は、防衛庁長官にこれを指揮させるものとする、ということになっているんです。 ところで、こういう自衛隊の指揮下に入った場合の巡視船は、その船種はどういうふうに見られるわけですか。これは軍艦となるわけですか。つまり、巡視船といえども一定の武装を平生からしているわけですね。これが自衛隊の指揮下に入った場合、軍艦となるということになるんでしょうか、どうなんでしょうか。
○政府委員(斉藤邦彦君) そもそも自衛艦が軍艦かどうかという点は、先ほど御答弁したような問題がございますので、その点はその前提でお答えいたしますが、海上保安庁の船舶が自衛隊法第八十条によって自衛隊の指揮下に入った場合におきましても、その保安庁が所有している船舶そのものが自衛艦となるという関係にはなくて、たまたまその状況下におきまして必要と判断される救助活動を中心といたしまして必要と判断される行為をとるということにすぎないわけで、船舶自体の地位がそれによって変わるということではないと存じます。
○久保田真苗君 海上保安庁法からいいますとこれはどういうふうな規定になっていますでしょうか。
○政府委員(岡田專治君) ただいま外務省の方からお答えのあったこととほぼ同趣旨でございまして、私どもの方も、自衛隊法の八十条の規定によりまして防衛庁長官の指揮下に入った場合におきましても、庁法の第二十五条が生きておるわけでございますので、海上保安庁としての業務はあくまでも海上保安庁法第二条に掲げる任務を遂行することに限定されるというふうに考えております。
○久保田真苗君 この二十五条の解釈規定ですが、「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」と確かにあるんですが、それはこの海上保安庁法の限りのことであって、これが自衛隊の統制下に置かれた場合には、どういうふうな解釈になりますか。そこのところをちょっと聞かせておいていただきたいと思います。
○政府委員(岡田專治君) これは、自衛隊法も海上保安庁法のこういう規定を前提として自衛隊法八十条ができておるわけでございますので、海上保安庁の活動自体、性格自体が、自衛隊法八十条によって防衛庁長官の指揮命令下に入った場合に変わるということを予定しておるものとは考えられません。
○久保田真苗君 オットセイの保存の条約に移ります。 この間、大臣からの提案理由の御説明がありましたけれども、基本的には問題がないだろうと思いますが、関連して二、三伺っておきたいのは、この条約の五条二(e)というところでオットセイの「海上猟獲を行うことが、一定の状況の下において、この条約の目標に到達することに悪影響を与えることなく許容されるかどうかを研究し、」とあるんですね。これにつきまして、過去において海上猟獲がオットセイの保存に悪影響を与えたことがございますでしょうか。
○説明員(菊地徳弥君) お答えいたします。 オットセイ猟獲の歴史について申し上げますと、十八世紀の中ごろから米国等諸外国によりましてプリビロフ諸島等の繁殖地におきまして、陸上での猟獲が行われてまいりました。さらに十九世紀の後半に我が国も参加いたしまして海上猟獲が行われたという歴史がございます。その結果、資源が著しく減少してきましたことから、一八七〇年、明治三年でございますが、米国が国内法をもちまして、また我が国も一八八六年、明治十九年でございますが、その年に許可制をとりまして保護を図ったわけでございます。 しかしながら、資源の絶対数の減少を抑えるほどの効果がなかったわけで、またさらに一八八三年、明治十六年でございますけれども、米国と英国との間でオットセイ保護法に関する協定が締結されたわけでございます。しかし、これらの措置によりましてもオットセイの資源保護の効果が見られなかったという歴史がございます。 その後も関係国の保護に関する関心が高まりまして、我が国も一九一二年——明治四十五年に臘虎膃肭獣猟獲取締法を制定する等、関係国間で幾多の変遷を経まして、ようやく一九五七年に現条約の制定に至ったという背景がございました。 なお、海上猟獲を行うことのデメリットといたしましては、資源の再生産に必要な雄獣を雌獣と区別することなく猟殺してしまうという問題点。さらに二つ目としましては猟銃を使用することから毛皮を傷めまして、必ずしもオットセイ資源の有効利用にはならないという問題点。さらに三つ目といたしまして、射殺されたオットセイが船上へ引き揚げます前に沈下してしまうということがあることから、資源の最適利用には問題があるというふうにされてきておるところでございました。
○久保田真苗君 その研究についてもちろん日本も科学的調査に参加していると思うんですけれども、これが来年の十月十三日までに一応勧告が出るということになっておりますね。日本の参加状況と、日本としてどういう勧告が出そうか見通しを伺えますか。もしなんでしたら、ではどのぐらいのことを、どういう認識を持ってどういうふうに対処するかでも構いませんけれども。
○説明員(赤尾信敏君) お答えいたします。 今御説明のありましたように、海上猟獲につきましてはよく問題がありますけれども、特に海上猟獲が妥当かどうかということを立証するために今後調査しなければいけないものといたしましては、繁殖島における雌雄の割合、それから海上におけるすみ分けとか、特に雄だけが集中分布する水域があるかどうかというような問題とか、あるいは海上における雌雄の識別の可能性等特に調査する必要があるわけです。各当事国がそれぞれ実施する調査を持ち寄って、委員会においてできるだけ早く勧告を出すよう努力することについて一応合意は成立しております。日本といたしましても大いに努力したいというふうに考えております。
○久保田真苗君 つまり、おっしゃっていることは、海上捕獲については現在の状況で進んでもいいと、こういうふうにお考えなんですね。そうなんですか、どうなんですか。
○説明員(赤尾信敏君) 海上捕獲につきましては、果たして海上捕獲が妥当かどうかということにつきまして、先ほどお話し申しましたような点についてさらに調査する必要があるということでございます。
○久保田真苗君 まあ、それじゃいいです。 日本にとってオットセイの獣皮あるいはその他の部分、これはどの程度の必要性があるのか、それについて伺いたいんです。どういうふうに利用されているんでしょうか。
○説明員(島一雄君) オットセイにつきましては、現在のところ毛皮を利用するというほかに、アリュートとかそういう北方の原住民が食用として肉を利用いたしております。それから、伝統的には雄のオットセイの一部の臓器が漢方薬に利用されているということがございます。そのほか、慶應大学の教授であらせられました林髞博士等が御研究になりまして、カロペプタイドという、これがこの肉から抽出されまして、それが非常に女性の皮膚の美容等によろしいというような事実もわかっております。 ただ、現在のところ、この条約のもとで商業的な利用を行っておりますのはソ連、それからアメリカというところでございまして、御案内のこととは思いますけれども、ロベン島において二千頭、それからコマンダー島で五千六百頭、プリビロフ島では二万五千七百六十八頭、これは一九八三年でございますけれども、このような商業的な猟獲が行われている。我が方は六百九頭、調査用に猟獲している状況にすぎません。 現在、調査のために海上で捕獲いたしましたオットセイにつきましては、毛皮はもちろん利用いたしておりますけれども、その肉につきましては、密猟によって捕獲されました肉との区別等を容易にいたすために薬品等の利用、それから研究などの利用以外には、肉、臓器等の利用は原則として認めないという、そういう状況にございます。ただ、ソ連、アメリカ等がどのくらい毛皮以外の利用をどのようにやっているかということにつきましては不明でございますけれども、この条約は現在のところ明示的には毛皮の利用ということを……
○久保田真苗君 あの、済みません。私が伺いたいのは、日本にとってこの獣皮は国内需要が本当にあるのか、どれだけ必要性があるのかということなんです。どうなんですか。日本にとって非常に役に立っているんでしょうか。本当にどうなんでしょう。
○説明員(今井忠君) お答えいたします。 先生御指摘のとおり、オットセイの獣皮の需要というのがかなり日本の中で今後とも定着していくのかという疑問があることは事実でございます。 毛皮の効用といいますのは、申し上げるまでもなく寒さを防ぐ防寒の問題と、もう一つ、おしゃれと申しますかファッションの問題ございますが、最近におきましては、世界的に短い毛皮ではなくて長い毛皮が好まれるようでございます。ミンクのように毛が長くて軽いのが世界的にファッションでもてはやされているという傾向がございまして、その結果、最近五年ぐらいにおきましてオットセイの毛皮の価格がはかばかしくないという状況になっております。ところが、一方アメリカの市況というのをアメリカの毛皮商で調べましたオークションの値段で見ますと、一枚当たり百三十ドルから七十ドルまでということで、過去七、八年の間に上がったり下がったりしております。言うまでもなく、ファッション性の問題でございますから流行がございます。そういうことを考えますと、現在、価格が下がっているからといいまして将来も毛皮の需要が日本ではないんだろうかというふうに考えるのは多少無理がございます。それで、毛皮の市況の回復、需要の回復というのが十分見込めるというふうに理解しております。
○久保田真苗君 大変な暴落をしておるわけですね。そして日本はアメリカ、ソ連からそれぞれ捕獲の一五%の毛皮の処分によるお金を受領するわけですね。その場合、特にアメリカからの受領を見ますと、どんどん、物すごい下がり方で、しかも八二年、八三年はこれはなぜゼロなんでしょう
○説明員(今井忠君) 御説明いたします。 獣皮の売上金額からアメリカに支払います費用を差し引きまして、それで残りが国庫収入という形の会計処理が続いてまいりました。アメリカに支払います経費というのは、毛皮をはぎました後、毛の裏に脂肪がついておりますが、その脂肪を除去する経費だとか、生の毛皮を運ぶためのたる代とか、それから遠隔の地からアメリカ本土まで運ぶ運搬費とか、そういう状況でございます。ところが一九八三年度の場合に、八二年度の対米支払いの経費に見合う収入を得るために、前の年から繰り越しの毛皮を販売いたしまして、それで費用経費に見合う販売をしたということで収支をゼロにいたしました。言いかえますと、先ほど御説明申し上げましたとおり、オットセイの毛皮の価格は非常に安いわけでございますから、安いときにすべてを売ってしまって余り収益は上がらないという方法をとるのは適当でないということで販売を差し控えていたわけでございます。したがいまして、さらに御説明申し上げますと、八三年当初在庫というものから、八三年の当初におきましては前年からの繰越在庫が四千七百枚ほどございまして、それで八三年には経費に見合う金額としまして三千五百枚ほど販売いたしまして、八四年には千二百枚ほどの繰越在庫がまだございます。そういうことで市況の回復を待って売りたいという形をとっているために収支が完全なゼロになって表にあらわれているというのが実態でございます。
○久保田真苗君 お話を伺っていますと、今のところは日本にとってこのおつとせい条約を結んでこういうものを米ソから受け取ったとしても余り利益もないし需要もないんじゃないか、そういうふうに思われるわけです。もちろん、おっしゃるようにそれがファッションでまた値段が出るのかもわかりませんけれど、もしそうであるならば、将来配分を要求する権利を留保して、当分の間、日本への配分を辞退してもよろしいんじゃないですか。そうしますとオットセイの保存にも利するし、また繁殖島でもってこれを僕殺するというふうな方法をもって要らないものを受け取ることは何もないんじゃないか。だから環境保護団体などの要請にもこたえられると、そういうふうに思うんですが、この点どうなんでしょうか、そういう方法をとることができないんでしょうか。哺乳類を殺りくしてむだなことをすることはないんじゃないか、将来の権利が確保できれば現在は辞退してもよろしいんじゃないか。私は条約の問題を言っているのではなくて取引の実態の問題を言っているわけですが、その辺について御見解をお聞かせください。
○政府委員(斉藤邦彦君) 御質問ではございますが、条約解釈の問題についてちょっと御説明さしていただきますと、条約の第九条におきまして「各当事国は、おつとせいの獣皮の総数のうち、次の百分率に相当する獣皮が各猟期の終りに引き渡されることに同意する。」という規定がございます。したがいまして、たまたま市況から見まして、引き取ることが引き取る側の国の利益にならないからといって権利だけ留保して、これはもう要らないということを我が国として言うことは条約上できないと存じます。
○久保田真苗君 随分変な話ですね。そうするとこの条約というのは我が国にとって要らないものを、殺生の上要らないものをどんどんどんどん倉庫に積み重ねると、そういう条約になるんじゃありませんか。
○政府委員(斉藤邦彦君) 現在たまたま非常に市況が下がっておりますためにそういう関係にございますけれども、そもそもこの条約はオットセイの獣皮というものは非常に価値が高いという状況においてつくられたものでございまして、我が国といたしまして海上猟獲をあきらめるかわりに、代償として一定の獣皮を受け取るという形になっているわけでございます。したがいまして、市況というものは先ほど御説明のありましたとおり時期によって変わるわけでございますので、たまたま一時期市況の面から見まして引き取ることが利益にならないからといって、この条約全体が意味のないものであるとか、我が国にとって損なものであるというふうには言えないのではないかと存じます。
○久保田真苗君 ただ、この条約の趣旨があくまでオットセイの保存にあるわけですよね。オットセイの保存に関する条約ということでいろいろなとり方とか、そういうことを決めているわけでして、そうやって要らないものは将来はいただくかもしれないけれどということで、条約は条約として相手方から引き取らなくてもよろしいわけでしょう。権利があるんだけれども、その権利を一応保留しながら物を辞退してもよろしいわけでしょう。
○政府委員(斉藤邦彦君) 条約の名前はおつとせいの保存に関する暫定条約というふうになっておりますけれども、目的といたしましては前文にもございますとおり保存はもちろんでございますけれども、「おつとせい資源の最大の持続的生産性を達成するため」云々ということが書いてございますので、保存の面のみならず有効利用という面も条約の大きな目的の一つなわけでございます。 それから、御質問の後段の引き取らなくてもいいではないかという点でございますけれども、我が国がもらうべき権利を留保しつつ、たまたま市況が悪いから、損になるから要らないということは条約第九条の規定から見ましてどうも問題があるんではないかというふうに考えます。
○久保田真苗君 どうもわかりませんですね。あるいはほかの議員の方がもっと解明できるような質問をしてくださるのかもわからないんですけれども、私にはどうもよくわからない。要らないものを積み重ねて、それで非常に問題のある何というんですか、つまり環境団体なんかが問題にするような殺りくをして、そしてその結果倉庫に積み上がっている、そのためにこの条約をなぜ締結しなきゃならないのか、私にはどうもよくわかりません。 もう一つ問題になっています点だけ伺いますと、日本の漁網が、特に化学物質をもってつくった漁網が海中に投棄されて、それが漂流していって、そしてオットセイがそれにくるまれてむだに死ぬということが指摘されているわけですね。こういう非難を受けている面があるんですけれども、この点についてはこれが流出してしまうという分もあるかと思いますけれども、海中処分の禁止についてどういう体制をとっていらっしゃるのか水産庁に伺いたいと思います。
○説明員(島一雄君) 現在までの知見によりますと、オットセイの絡まりの原因の多くは日本の船というそういう特定はできないわけでありますけれども、いずれにせよ漁船に起因する人為的に投棄された漁網とか、こん包用に使われますポリプロピレンバンド、プラスチックバンドと申しますけれども、こういうものであるということがわかっております。 〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕 これは御案内のように投棄をなくすということが問題解決の唯一の道であると私ども考えております。このような投棄行為と申しますのは、国際条約またそれに関する国内法でも禁じられておるものでございまして、これは漁業者のモラルという問題になってくるのではないかと思います。 水産庁といたしましては、漁業者のモラルの高揚のために、もちろん繰り返し指導を行ってまいりましたし、パンフレットないしはポスター、こういうものを配布いたすことによりまして漁業者の啓蒙に努めてまいりました。今後ともあらゆる機会をとらえて指導、啓蒙を強化して問題の解決に努めていきたい、こう考えております。 以上でございます。
○久保田真苗君 この漁業の問題につきましては、いろんな面から大変な時期になってきておるわけでございます。二百海里内の日ソの漁業、地先沖合い漁業、この間締結したんですけれども、また今サケ・マスで苦労しておりますね。それから捕鯨につきましても国際捕鯨委員会等でいろいろ言われて、いよいよ捕鯨が終止符を打つような状況になってきております。そういった一連のことをまた機会があったらお伺いしたいと思うのですけれども、この間外務大臣がノルウェーに行かれましたときに、ノルウェーの外相と捕鯨の問題についてお話し合いをされたということが報じられております。 そこで、一体お話し合いのポイントはどういうことだったのか、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ノルウェーの外相と捕鯨問題につきまして意見の交換をいたしました。これはIWCにおける議論が科学的な根拠に欠けた感情的な圧力によって左右されている点については両国とも同じ考え方である。そこで、今後とも両国とも相協力して、IWCが本来の機能を果たし得るような正常化に努力したい。ノルウェーと同じ捕鯨国としてこれまで協力してまいったわけでありますが、今後とも緊密な連絡をとりながら、何らかの形で捕鯨の継続のために協力していこうじゃないか、こういう点で合意を見たわけであります。
○久保田真苗君 両国がそういった合意を見たということは、捕鯨の立場からいたしますと結構なことだとは思いますけれども、日本の捕鯨がいよいよ終止符を打ちそうな状況になっているのは、直接的にはアメリカとの関係においてこういう状況になってきておりますね。つまり日米捕鯨協議の合意でもって日本沿岸のマッコウクジラの捕鯨からも一九八八年までに撤退する、もちろん南極海のミンククジラ等についても撤退を要求されまして、それまでにIWCに出しておりました異議の申し立て撤回というような事態になってきておるわけでございます。特に、四月の段階で大臣からボルドリッジ商務長官に書簡を出しておられまして、八八年までにいよいよ全面撤退であろう、関係者は非常にがっかりしているわけなんですが、こういう状況になってもなおかつノルウェーとの間でお話し合いをされたような、捕鯨を続けていこうというような、そういう合意が日本に関して有効であり得る、そういうふうにお考えなんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ノルウェーとの間では日本はこれまで緊密に協力して捕鯨を行ってきたわけで、両方とも伝統的な、歴史的な捕鯨国なんです。それがIWCの議論の結果、結局凍結される、こういうことになって、日本もノルウェーもともに捕鯨国としては、やはりこのIWCの議論というのは大変科学的な根拠に欠けているんじゃないか、もっと資源保護という立場あるいはまた科学的な立場からの議論でもってこれが行われなければならないという点で意見が一致しましたし、確かに日本とアメリカとの間では合意ができまして、アメリカの裁判の結果によるわけですけれども、裁判で政府が勝訴すれば日本は異議申し立てを取り下げる、こういうことにいたしております。そうなれば日本の捕鯨にも二年間の漁期で終止符が打たれる可能性があるわけですが、しかしもっと広い立場からの捕鯨という、科学的な立場からの捕鯨あるいはまた鯨の資源の今後の状況というものを長期的に見れば、我々としてはまた世界の空気といいますか、IWCの空気というものも変わり得る可能性は出てくるんじゃないか。ですから、両方とも捕鯨に対しては非常に執着を持った国ですから、そういう点で現在の問題は現在の問題として我々認めていかなきゃなりませんけれども、将来にわたって何らかやっぱり捕鯨が残るような形でお互いに協力してまいりましょう、国際世論等にもそういう際に訴えていきましょう、こういうことで意見が一致したわけであります。
○久保田真苗君 一度やめてしまいますと、再開といってもなかなかそういうわけにまいりませんので、国際捕鯨委員会の論点もあるかと思いますが、そういう希望があるんでしたらば、ひとつ今後とも時期を失しないように御尽力をお願いしたいと思います。 それからもう一つ、これもちょっと新聞報道で拝見したんですけれども、外務大臣は六月の初旬からストックホルムのガットの会議に御出席になって、その後東欧等を訪問する御意向があるというふうに伺っております。ちょうど重要条約も出てまいりますような時期ですから私も関心を持ちまして、大臣がどういう目的で、どういう御日程で、あるいはどういう方とお会いになるのか、そんなことが決まっておりましたらお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 国会の了承が得られれば、六月の中旬にはちょうどスウェーデンのストックホルムで十八カ国の、先進国、開発途上国のガットの閣僚会議が開かれるわけで、これは日本がかねてから主張しております来年からニューラウンドの交渉を開始したい、そういう日本の主張の中で、サミットでは早期開催、早期交渉開始ということになったわけで、一番大事なことはやはり開発途上国の協力を得るということであらうし、あるいはまた先進国の中でもフランスなんかが依然としてまだ来年からの交渉には応じておらない、こういうことですから、いい機会だからこの際十八カ国のガットの閣僚会議で日本の立場をさらに鮮明にして、 〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕 そうして関係各国にニューラウンドの重要性を訴え、来年から開けるような、交渉を開始できるようなそういう空気を、そういう体制をぜひともつくりたい、今度はそういう意味では十八カ国が集まりました非常に重要な会議になると思いますから、ぜひ出たい、こういうふうに思っております。 それからもう一つは、東欧、特に東独とポーランドをその際訪問したいと思っております。これは東独にはまだ日本の外務大臣は一人も行っておりませんし、ポーランドもほとんど行ってない。こういうことでございますが、日本にとりましては、東欧諸国との関係は非常に私は重要だと思っております。特に日ソ間のいろんな問題をこれから進めていく場合においても、この東欧との関係を強化しておくということは、要するに意義が深いんじゃないかと思っておるわけでありますし、あるいはまた、ヨーロッパの情勢、特に東独と西独の関係ですね、こういう問題等については日本も非常に関心を持っておりますから、そうした状況がどういうふうに移っているのか、これは日本外交の幅を広げるという意味におきましてもぜひ知りたい、そうして関係をさらに深めてまいりたい、こういうふうに思って、ここにもぜひともひとつこの機会にあわせて訪問したい、こういうことでお願いをしておるところであります。
○久保田真苗君 幅広く、首脳の方が偏らないでいろいろな途上国、それから東欧圏などとおつき合いをされるのは大変結構なことだと思いますんですけれども、つい先日ジュネーブで行われましたガットの十八カ国グループの事務レベルで協議を既にやっているんですけれども、何かこれはかなり途上国との対立が鮮明になったやに伺うんですが、これに対しましては途上国はどういう角度からの新ラウンドへのアプローチをしているのか、その辺の何を彼らは求めているのか、そういう点について御見解があればお聞かせ願えますでしょうか。
○説明員(赤尾信敏君) 途上国の中も新ラウンドについての立場は大分分かれておりまして、例えばアジア・太平洋地域の国は貿易が非常に重要である、そのためには新ラウンドをやっていく必要があるという意見が非常に強いわけなんですが、一部の国は必ずしもそうでないということです。ただ、すべての国がやはりガットを通じてできるだけ貿易障壁を除去して世界の貿易を拡大しなければいけないという点については認識が一致しております。 ただ、具体的なアプローチになりますと、例えば多くの途上国の間では今ガットでやっている作業計画をまず進めるべきである、それがうまくいった後で新しい新ラウンドの交渉をやるべきであるということを特にインド、ブラジル等中心に主張しております。同時に、こういう開発途上国が非常に恐れていますことは、新しい貿易交渉が始まりますと従来の関税引き下げ等だけじゃなくて、例えば最近の新しい分野ではサービスとかハイテクとかそういう新しい分野も交渉の対象になる可能性がある、先進国にとりましてはサービスがGNPの非常に大きな比重を占める分野になってきますが、開発途上国にとりましてはこれから成長する、拡大する分野である、そういうのが交渉の対象になることについてどうかという一抹の不安があるということなんです。我々としましては、新ラウンドがいかにその開発途上国にとって利益があるかということを訴え続けて、できるだけ交渉に参加していただくようにぜひ持っていきたいというふうに思っています。その一番の重要なきっかけが、今大臣から説明されましたように、六月のストックホルムにおける閣僚会議だと思っております。
○久保田真苗君 大体そうしますとジュネーブの会議で出てきたことというのは、大ざっぱに言って、一つは、加工品を先進国へ輸出するその障壁を何とかしろ、それの行動計画をやっていく、加工品の輸出ということが一つで、もう一つは農業貿易についてのルールをはっきりさして、それによる行動計画を促進する、その二点だというふうに考えられるわけですか。
○説明員(赤尾信敏君) 大体先生のおっしゃるとおりであります。特に開発途上国につきまして、一番の関心は原材料だけじゃなくて、自分の国でできるだけ原材料の加工度を高めてそれを先進国に輸出したいという希望が非常に強いものですから、その分野の関心は非常に強いということです。同時に今の繊維とか最近鉄鋼等もありますけれども、それについては先進国における輸入障壁がだんだん強くなりつつあるということで、そういう面でも非常に懸念を表明しております。
○久保田真苗君 そうしますと、ストックホルムのこれからの会議ではやはり同じようなことが議題に上ってくる、そういうことでしょうか。
○説明員(赤尾信敏君) ストックホルムにおきましては、私たちとしましてはできるだけ、この前はOECDの閣僚理事会で合意しましたことは、ガットの新ラウンドの発足に向けてできるだけ早く、ことしの夏の終わりまでには準備会合を行う、新ラウンド発足のための準備会合を行うという合意があるわけです。私たちの関心はこれはOECDという先進国だけの合意ですので、このストックホルムではできたら開発途上国も出てきておりますので、参加する開発途上国もそのOECDの合意の方向に沿って説得したいというのが一つです。同時に、その手続問題だけでは開発途上国は説得されませんので、その新しい交渉をやった場合にどういう利益があるのかということについても、できるだけ率直に話をした方がいいんじゃないかと思っております。
○久保田真苗君 ありがとうございました。 それで、先ほど私ちょっと質問をお願いしておいて割愛した件があります。そこへ戻らしていただきます。オットセイの、漁網との関連についてはさっきお答えいただいたんですが、これに関連しまして今大変釣りブームなんです。全くこれは鳥類保護の観点からの御質問なんですけれども、大変な釣りブームでして、釣り人口が二千万人とか三千万人とか言われているわけですね。これは水産庁にお聞きすることなのかと思いますけれども、釣りそのものは大変よい趣味で手軽に安く楽しめるとよいことずくめなんだと思うんですが、最近釣りをする方たちの捨てる釣り糸とか釣り針のついた糸、そういうものがやたらに捨てられまして、野鳥とか小動物の被害が続出しておるわけです。それは例えば、かぎを飲み込むとか体にひっかかる、糸が足に絡んで足が腐って取れてしまうとか、体に巻きついて飛べなくなって死んでしまうとか、そういう思わぬ被害が鳥類、小動物に出ているわけなんですが、関係の御当局としてこういうものについてもっとPRをしていただいたり、こういうものを回収する箱のようなものを設置するとか、そういうことを考えていただかなきゃならないんじゃないかと思いますけれども、現在どんな対策をおとりになっておられて、またどういう対応をなされていくおつもりか、ちょっと聞かせていただきたいんですが。
○説明員(窪田武君) 釣り人を初め遊漁者自身がお互いにルールやマナーを守って釣り場環境の保全に努めるということが大切であるというふうに考えておりまして、水産庁では遊漁者の団体、二つございます全国団体が行うパンフレットやリーフレットの発行なりあるいはポスターの車内掲示、さらに遊漁者を対象といたします講習会というものの開催に助成しているところでございまして、その中で釣りの仕掛けやごみなんかは必ず持ち帰りなさいとか、あるいは動植物を大切にして自然を守ってくださいということも含まれております。 今後とも遊漁者に対するルールやマナーの啓蒙普及に努めることによりまして、遊漁者のモラル向上を図ってまいりたいと思っております。
○久保田真苗君 釣りが大変健康的な趣味であるので、なおさらのこと水産庁にもまた環境庁にもぜひ地道な努力をお願いしまして、こういった被害が減りますようにお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
○黒柳明君 大臣、押捺問題でちょっとお伺いしたいのですが、一昨日の運用の改正を発表しての反応、大臣御存じのように、また衆参委員会で発言も法務大臣、外務大臣、ありましたものですから、なるたけ重複しない点をと、こう思いますが、非常に批判は厳しいものがありますし、在日居留民団中心に即時に大規模な会合も開いている、あるいはハンストで極限までの闘争も辞さない、こういうようなことでいろいろ批判があります。なかんずく日米首脳会談での共同声明、あの中の待遇改善にほど遠い、こういう韓国側の批判も出ているわけでありますが、こういう一連の厳しい批判に対して外務大臣としてはどのような弁明をされるか、まずお聞かせいただきたいのですが。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今度の指紋押捺問題に対する法務省のとられた改善措置というのは、現行制度の中で考えられる最善の措置であったと思いますし、いろいろと工夫が凝らされた措置で、この点はぜひとも在日外国人あるいはまた特に関心を持っている韓国側にも評価をしてもらわなきゃならぬ、こういうことで、外務省としても早速この制度を、今の改善措置について詳細に韓国政府にも説明をしたわけですが、残念ながら、この日本政府の努力はわかる、しかし到底我々としては納得できる措置ではないというふうに、非常に厳しい対応が返っておるわけでございます。また国内的にもいろいろな反響が出ておるわけでありますが、これは法務省がもちろん中心になって、法務省のいわゆる所管事項としてやられることでありますし、これだけの改善措置をとられたわけですし、ぜひとも日本における外国人が理解をして、この改善措置に従って指紋押捺を行ってもらいたい。 これは日本としての、法治国家としての現行法である以上は、それを守ってもらうのが外国人であると日本人であるとを問わず、当然のことじゃないかと思うわけでございます。それはそれなりに、そうした改善措置がとられた。これはきちっと実行してもらわなきゃならぬと思うのですが、反面、外交上の問題としては、確かに在日外国人の中ではいわゆる韓国人を含めた朝鮮人が大半でありますし、特に韓国は非常に大きな関心を持ってきておりまして、そして韓国と日本との首脳会談においてもこの問題が持ち出されて、今後とも改善措置を講じていくということになっておりますので、これは問題が残っておるということになれば、今後のやはり長期的な問題としてはいろいろと研究をしていかなきゃならぬ課題じゃないだろうか、こういうふうに思うわけで、現行の改善措置は改善措置として、これは理解を求めるようにしたい。 最近韓国から局長が来まして、実務者レベルでもこの問題についての協議がありますから、日本のとった措置を詳細にひとつ説明をして、さらに理解を求めてまいりたいと、こういうふうに思います。
○黒柳明君 会うことに意義があることは当然なんですけれども、韓国政府が今外務大臣おっしゃいましたように厳しい批判をしている、それが撤回するとは当然思えないわけであります。向こうからの要望あるいはこちらからの要望が合致して、向こうのアジア局長が二十三日ですか来て話し合うと、こういうことに決まったという報道でありますが、今申しましたように向こうの厳しい姿勢というものは残念ながら打ち出て、局長レベル、最高事務当局の責任者が話し合うこと自体それは無意味ではないと思いますが、しょせん、おととい出た韓国政府の厳しい批判姿勢というものが二十三日の局長レベルの会談で和らぐわけでもあるいは撤回するわけでもない、こう私は想像するわけでありますが、にもかかわらずやっぱり会って話をすることの意義を一方で感じつつ、さらに、面と向かって批判なりクレームなり注文をつけられた場合にこれはさらに困るじゃないかという心配もなきにしもあらずなんですが、今のとき、局長、事務最高責任者が会ってどういう方向でこれを持っていくのか、日本側が特に責められる立場になっておりますので、ひとつ局長その点いかがでしょうか。
○政府委員(後藤利雄君) ただいま御指摘のように、この二十三日、二十四日、先方のアジア局長が来られまして、ただいま御指摘の問題、あるいはもちろんその他の問題、韓国と日本は昨年の全斗煤大統領が来られた以降新しい時代を迎えて、そういう時代でなくてもとにかく友好国でございますからいろいろな機会で意見を交換する、そういうことは大切だと思っております。したがってその一環として今回金局長が来られるという点について私は歓迎するわけでございますが、ただたまたま今この指紋押捺の問題が非常に関心を呼んでいるということでございますので、ただいま先生の御指摘のようにそれが主たる議論になろうかと思います。ちょうど来られますから、面と向かい会いまして、旧知の仲でもございますからひとつ友好的に、私どもの、特に法務省を中心にいたしました今回の運用上の措置というものが現在考えられる我々の努力のほぼすべてである。すべてであるという点につきましては、私の口からはもちろんのこと、その背景等につきましては当然のことながら法務省の私ども同僚等にも会ってもらいまして十分説明をお互いにしまして理解を得たい。先方からもいろいろな要望があろうかと思います。また私どもの方からも、やはりはっきり申し上げれば現行法令がある限りはその現行法令に従っていただかなきゃいけないという点で、私は韓国外務部のそういう面での協力もぜひ強調したいと思っております。 ただ、その結果どうなるかという点は私自身今ここで見通すわけにはいきません。もちろん一〇〇%お互いが満足するということはそれぞれの立場から見て不可能かと思いますけれども、この中において我々が最大限努力した現在の結果がこれであるという点については私自身説明し、先方がどういう反応を示すかということによってはまたもちろん大臣等にも御報告したいと、こう考えております。
○黒柳明君 まあまあ現行法の中でのベストであるということで運用の改善というものを一昨日発表した。これは日本政府としてはもう当然でありますし、法務省の専権事項ですから、外務省が外交当局としてそれを踏まえてやっぱり外交の先頭になって責任も、あるいは弁明もしなきゃならない辛さもあることはこれは十二分に承知しているわけであります。 ただ、今おっしゃったことと同時は、きのうも法務大臣が、あるいは外務大臣も、決してこれは抜本改善策ではないということもおっしゃっているわけであります。それから今局長も、現行、当面とおっしゃったかな、今の時点において、言うならば七月は現行法で運用面の改正で我慢してくれと、こういうようなニュアンスを含んでいるわけですね。決して抜本的な改善策ではないということですから、私はやっぱり弁明よりもむしろその後に来るものを日本政府としても含んで説明しないと向こうは納得しないのじゃなかろうか、こういうことも感じられます。局長の今の、現行法の中でベストの改善だから、方法だからと、こういう弁明一方じゃなくて、あるいは将来の方向も示唆しながら向こうの最大限の譲歩というか寛容というか、あるいは納得、理解というか、これを求めるという姿勢も重要じゃなかろうかと、こう思うんですがいかがでしょうか。全面的に現行法でベストなんだから、ベストなんだからと言ってそして向こうに押しつけるというのじゃなくて、さらにもうちょっと中期的、短期的将来に対しての感触なり見通しまでも説明するということが必要じゃないのかな、こう思いますが、その点いかがでしょうo
○政府委員(後藤利雄君) 現行法でベストという意味は、現在の関係省庁間で検討してきた結果、運用上でできる措置としておとといでしたかのとられた措置がある。私が現行法と言うのは、そういう措置については、日本のある法令についてはやはり従っていただかなくてはいけないという点は在日の外国人の方に十分理解を得るように努力する。これは法務省のみならず、対外的な問題としては外務省も努力するということを外務大臣もさっきもお話ししました。私はその点について韓国側のまた協力も得たい。そういう意味で努力をするということも申し上げたわけでございます。 さて、そういうきょうあしたのいわゆる今日的な問題を離れまして、在日外国人の待遇とか地位の問題というのは、法務大臣等も言っておられますけれども、国内的な配慮、また国際的な配慮もしなくてはいけないわけでございます。その点につきましては十分法務省ともよくお打ち合わせしつつ、長期的な問題としては、外国人、在日韓国人の待遇あるいは地位の問題としてはよりよいものが何であるかという点につきましては、先ほど外務大臣が答弁いたしましたように、日本の自発的な問題として検討していくということはあり得るだろうと、そういうように考えております。
○黒柳明君 それからもう一つ、やっぱり韓国側を中心にしての批判の中にあるのは、これは貿易摩擦とも関係があるんですけれども、法務を中心にして外務、警察、自治あたりの四者の話し合いにおける事務的なもののギャップというか、日本側の意見調節、これが、首脳会談であれほど、待遇の改善ということは別に押捺について法改正すると明示したわけじゃありませんけれども、当然それが含みであることはこれは間違いないわけであります。それについての四省庁の事務者の意見の相違というんですか対立というんですか、まあ活字になっているのでは、警察はこれはもう絶対必要である、外務省あたりはもうちょっとやわらかくて、こんなことはもっと法改正までに踏み切った方がいいんじゃなかろうか、こういうようないろいろうわさが立っておりますけれども、そこらあたりが日本の事務対応が遅過ぎる、こういうことがやっぱり大きく根底にあって、現行法でベストであるといういわゆる首脳会談のあの声明に盛られた待遇改善とはほど遠い、これは日本側のそういうところにも責任があるんだ、こういうクレームが大きくあるというような感触を私は各省庁に聞きますと受けるんです。 局長は実務者の責任者ですから、これは政治的な判断というものがやっぱり大きく加味されなければならない問題なんですが、そういう批判というものは韓国側を中心に押捺問題ではある。その点あたり、どうなんでしょうか。一生懸命やってないと言うわけじゃありません、やっている中においての今回の運用面の改正ということなんですけれども、これはやっぱり当事者である韓国を中心にしたその被害意識を持っている国、犯罪者扱い意識を持っている国の側からすると、対応が遅過ぎる。特に韓国からしますと、今言ったような首脳会談後の声明、待遇改善しますよという約束があるにもかかわらず、日本の都合、しかも事務レベルでの話し合いの食い違い、これがあって運用面の改正、現行法でベストなんということはこれはもうけしからぬ、こういうものがあるというふうに私たちは受けとめているんですけれども、ここらあたりやっぱり政治的な判断を加味しませんと、私はせっかく全斗煥煤大統領が来ていろんな批判もあったにもかかわらず日韓関係というものがより良好な方向に行ったはずなわけです。 それが局長おっしゃったように、これから後のことはわかりません、こういうことで事務者の最高責任者が話し合いまして、今の韓国を中心にした強硬姿勢というものがさらに強硬になると何のための首脳会談だったのか、両国がある一つの垣根を越えて良好になったというのが半年も立たないうちにこういうわかり切ったことで、見え見えのことで日韓関係にまたひびが入るという可能性があるわけでありますから、その点事務当局のおくれ、あるいは各省庁の意見の対立、これが今日の、現行法という日本政府のいわゆる詭弁をもたらした、押しつけ的なものを、結果をもたらした、こういう不満が韓国側はある。これについて大臣どうお考えになりますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日韓の首脳会談を踏まえて、この指紋押捺制度あるいはその運用、どういう点が改善できるか、特に夏の大量の指紋押捺時期を控えて我が国としてもできるだけ改善措置を講じたいということで、これは法務省を中心に関係各省が集まって議論したわけです。議論はそれぞれの立場もありますから、いろいろと出たわけでありますが、最終的には政府の統一した措置として閣議でも政令の改正を行ったわけですから、これは議論の過程は別としまして、打ち出されたものとしては統一した日本政府としての改善措置ですから、これはその限りにおいて政府全体が責任を持たなきゃならないと思うわけですし、またこの改善措置というのはそういう中で最大の努力をした結果として出たわけでありますし、その内容も詳細に見ていただければ相当な思い切った改善がなされておると。これはもっと在日外国人、特に在留韓国人もこの辺の改善の努力というものは理解をしてもらわなきゃならぬし、協力もしてもらわなきゃならぬと思いますし、また韓国側にもこれは評価していただかなきゃならぬと思います。 韓国も日本の努力というのは私は認めておると思うわけですが、ただ問題はやはり特に在日外国人の中で在日韓国人、これは歴史的にも非常にこれまでの日韓の中において配慮しなきゃならない日本の立場でありますし、これまでもいろいろ地位については改善措置を加えてきたわけです。これもまた今後ともできるだけのことをやっていかなきゃならぬというのが日本の一つの責任であろう、こういうふうに思います。 ですから当面の措置としては、これは当面これを乗り切っていくために今回の措置を講じたわけですから、これに理解、協力してもらいたいと思いますが、しかし将来にわたっては改善の余地があれば、改革の余地があればこれは日本政府としても取り組んでいく課題だ、こういうふうに私は思います。外交的にもこの問題は残ってくると私は思うわけです。ですから日韓間におきましてもこれまでの措置に理解を求めるとともに、今後の課題としては日本政府としてもまたこれからの状況等も踏まえながら研究、検討をしていく、そして場合によってはこの改正、改善も行う、こういうふうに状況によってはなり得る可能性もあると思います。また外交的にもそういう面も出てくると思いますから、そういう点はやはり我々としても否定することはできない。ですから、それはそういう状況の中でまた法務省に対しても外務省として外交上の立場から要請することもあると思いますので、政府全体としても検討することもあると思いますが、しかし当面は今やった措置で何とかこの辺理解を求めて、協力をしていただきたいものだというふうに思っております。
○黒柳明君 私は法治国家ですから事務的に意見の食い違いがあることは当然で、打ち出されたものについては当然従う、これはもう当然だと思います。 ただ、先ほど貿易摩擦のときに外務大臣も当事者でよくお覚えかと思いますけれども、アメリカが、特に議会筋が言ったのは、これはもう日本の国家的保護主義だと、向こうだって保護主義に走ろうとしてこういう立法を国会に持ち出したわけです、米議会筋でも。ところがやっぱりそういう役人のいろんな許認可について自分の権益を守るとかなんとか、これは日本的な国家の保護主義に原因している。いわゆる人権の国際的な保障制度なんというものは完全に各国では確立されているわけであります、これは南アフリカのアパルトヘイトなんか出すまでもなく。ただ、日本の場合には幸か不幸かそういう国際的な人種のるつぼにないし、そういう問題は若干数が少ないということで、こういう国際的な人権保障については案外各国よりも疎いような状況にあるわけでありますが、そういう貿易摩擦なんかも連動して、どうもやっぱり国家的な保護主義、そういうものやこういう押捺制度は日本の国民性のあらわれである、こういう意見を吐く人もあるわけでありますけれども、一方では、いや、そんなことを言ったってアメリカだって韓国だってやっているじゃないか、いろんな意見があるんです。 ただ、日本と同じようなシステムで、あるいは同じ状況下でほかの国でやっているかとなると、もう皆さん方御存じのように、亡命者とかあるいは国情不安とか、あるいは属地主義とか出生主義とか、いろんな違った条件で押捺というものを実施している国はありますけれども、日本ではそういう現行押捺をやっている国とはちょっとシステムもやる意義というものも違うんじゃなかろうかなという感じもするわけでありまして、外務大臣が非常に柔軟だというあらわれも幸いに今のお言葉であったし、また外交の当事者として非常に苦労している、こういうことも今の発言の中で端的にあらわれていると思うんですけれども、私は何も日韓関係をどうしようなんという立場じゃありませんけれども、やっぱり野党としましてもそれなりに心配、あるいは私たちもいい意味において日韓関係というものを憂えている立場にもありますものですから、今の外務大臣の考え方というものをぜひ早い時期において警察当局を説得できるような、あるいは日本政府の見解として出せるような方向に検討していただく方が私はよいと、むしろ希望せざるを得ないんです。 それから自治省がいらっしゃると思うんですけれども、これは毎日毎日数が変わると思うんですが、外登法に基づいて告発しない自治体の数、あるいは決議案を出した自治体の数、ここらあたりは幾つぐらいになっているんでしょうか、決議案を出した自治体の数は八百とかあるいは外登法によって拒否した者を告発しないなんというのは五十とか、ちょっとラフな数字は私も活字で見ているんですが、日々これは変わってくると思うんですけれども、一番最近のほどのぐらいになっているんですか。改正決議をした自治体の数と拒否者を告発しないという自治体の数。
○説明員(小川善次郎君) この外国人登録法に基づきます事務につきましては先ほどお話も出ておりますように、法務省の専管事項でございますので私の方でお答えできる立場にはございませんが、法務省の方から数字をいただいておりますので私の方でお答え申し上げます。 六十年の五月十五日現在で七十二団体というふうに伺っております。これは要するに押捺拒否者がいて告発をしていない団体の数でございます。 それから意見書の提出でございますか、地方議会で意見書提出の議決をいたしました自治体の数でございますが、これも、法務省からお伺いしております数字が、四月十八日現在で七百十七というふうに伺っております。 以上でございます。
○黒柳明君 それで、川崎なんか、今言った七十二団体、いわゆる告発せずという自治体もあるわけですけれども、それぞれの市長さんは見解を持っているわけです。ここで、三カ月の余裕を持って拒否した者に説得して告発する、今度は運用の改正でこうしたわけでありますが、さらに自治体でこの三カ月をもっと延ばす、さらにきのうは、けさのこの活字によりますと、盛岡の市長さんが、一時的な救済策で証明書を出してもいいと、こういうことも出ておりますね。ですから、どうなんでしょうか、各自治体におきまして、この改正された運用法を無視しまして、そしてきのうの盛岡市長みたいに一時的な救済策で、私は内容についてはちょっと知識がないんですが、そういう登録証を紛失したとかなんとか、そのときに出すようなものと同様なものを一時的に拒否者に対しては出してもいいという盛岡市長のきのうの発言がきょう活字になって出ておりました。そういうこと、さらに自治体において改正された運用法を無視して、そして登録済証を出す、こういう自治体があった場合にはどういうふうな処置をしますか、この可能性も私はあると思うんですけれどもね。
○説明員(川崎謙輔君) 現在の指紋押捺制度につきまして、いろんな意見のあるところでございますし、最近一部の外国人の間に指紋制度に反対であるとして押捺を拒否する者も出ているわけでございます。また、これに対する各地方日沿体の対応も必ずしも適切だと言いがたい状況がございますし、本年、御承知のとおり大量切りかえの年に当たっているわけでございます。そういう観点から、私どもといたしましては、外国人登銀事務の適正、円滑な遂行を期するために、過日新たな通達を発したわけでございまして、これは、今御指摘のとおり、押捺を拒否した者に対しても極力説得に努めるとともに、説得に応じない者に対しては法律に従って告発するようにということを指示しておるものでございまして、私どもといたしましては、各自治体がこの通達の方針に従って誠実に事務を執行されることを期待しておるわけでございます。
○黒柳明君 これは、現行法においても今言ったように七十二団体が告発なんかしないと、こういうことで真っ向から対立している自治体も現にあるわけですから、幾ら運用を改正して現行法でベストと言いましても、これは六十数万の該当者じゃなくて、肝心の自治体がこれに応じない、しかも、今申しましたように三月のアローアンス含めてと、こういうことにもかかわらず自治体の方では、そんなことは、もうすぐ二日目にして、今言いましたように盛岡のこの情報出ているわけですから、だから、これはもう期待するだけでは全くベストのものがすぐ破られちゃう。もしかしましたら、自治体の告発までも今度はしなきゃならなくなっちゃうのかなと、こういう可能性もあるわけですよ。今この該当者、押捺拒否している当事者ならいいんですけれども、この運用というものを今度は守らないで、それで、何回も言いますように、何らかの一時的な救済あるいは登録済証を自治体も出すということになりますと、これはもう自治体対法務省の争い、警察の争い、こういうふうなことになっちゃって、これは収捨がつかないような、日本国内の混乱を暴露するんじゃないか、こういうようなことも考えられるんじゃないんでしょうかね。ただ精神的にそれを希望する、希望すると、これだけで済ませる問題でしょうか、これは現実的に法運用をする上において。非常に私その点心配するんですけれども、今の精神的な訓話だけではちょっと私何かこうぴんとこないんですけれども。
○説明員(川崎謙輔君) 今回の通達に対しまして盛岡市がどういう対処方針を出したのか承知いたしておりませんが、必ずしも通達に反して登録証明書を交付するというようなことを言っておるとは承知いたしておりません。機関委任事務でございまして、法律上、地方自治体は法律の誠実な執行を義務づけられておるわけでございまして、法治国家において私どもは法律が誠実に遵守されるものであることを信じているわけでございます。
○黒柳明君 だから、それは私もそうしなきゃならないということが前提なんですよ、法治国家ですから、法に準じてやっぱりやってもらいたいということはもう前提にあるわけです。 きょうの新聞によりますと、一部しか報道されておりませんけれども、登録証を紛失したときに何か一時発行する、そういう救済策があるんですって。それに準じたものを、拒否者に対して、三カ月の余裕を持って、さらにだめな場合にはそれを発行したらどうかというコメントが出ていたわけです。それについて、専門家ですから私より知識があると思います。そういう活字が出ていたんです。まあけさの新聞は、お忙しいですから読む暇がなかったと思うんですが、そういうあれがあったわけであります。そういうことも含めて、どうですか、外務大臣、もうこれは外交問題になるならいいですけれども、外交問題からさらに国内の各省庁の意見の対立というものが、地方自治団体は今までだってこういう事例が出ているわけですから、告発せずなんていうようなことでね。それで警察当局が、三年のこれは時効だという判断で逮捕者も出したと、こういうことですから、これはやっぱり先ほど外務大臣が言った、改正できるものならばと、こういうことについては、もしかすると自治体の反発で日本国内の今まで以上の混乱をこの運用の改正はよってありありと露呈する、こういうような感じが私はするんです。今法務当局の精神訓話みたいなものを聞いて、私はちょっと納得しない面があるんですけれども、外務大臣いかがでございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは国内的な問題ですから、政府として決まった措置ですから、法治国家ですし、外国人といえども日本人といえどもやっぱり日本の法律は守ってもらわなきゃならぬ、こういうふうに思います。 ただ、私は外交的な立場から言っているわけで、今非常に日本に多くの在日韓国人がいまして、これは法的地位を改善していきましょう、日本人と同じように持っていきましょうというのが日韓間で話し合われておるわけですから、それに向かってやはり努力をしていくと、こういうことは将来にわたって大事な問題で、そういう点からも、この指紋押捺の問題というのは、国内的な措置は措置として、外交的には今残っている問題ですから、これは日韓間でも話し合いをしながら、同時にまた日本の自主的な立場で、日韓の関係、さらに在日韓国人の法的地位の向上という立場を踏まえて、これから改善しなきゃならぬ方向については研究し、検討しなきゃならぬ、そういう命題というのは残っておる、こういうふうに私は思うんですが、とにかく今のこの措置については、これはやっぱり法治国家としての日本の立場から、私は守ってもらわなきゃならない、こういうふうに思います。
○黒柳明君 そうですね、私も当然そうだと思うんです。ただ、その前提がちょっとおかしいなと。 最後に一言、法務省ですな。川崎の李さんが逮捕されて、今度当事者の方は、新宿に全く同一条件の人がいるというわけですよ。それで、これは警察当局にと思ったんですけれども、きょうはちょっと出てこないんで、そこらあたりまたお伺いしているかどうかわかりませんけれども、七月一日から改正法が運用されるわけですね、それまでは今の現行法の中で逮捕すべきはすると、ぜひ登録してもらいたいと、こういう続きになるわけですよ。そうすると、やっぱり民団中心にしまして、川崎の李さんと同じ条件の人がまだこれからある、そこまでに、七月一日の改正法は、運用でされるまでは逮捕者もまだ出る可能性があるということで非常に戦々恐々、それに対しての対応、行動しているわけなんですけれどもね。それはいかがでしょうか。七月一日から改正された法で運用されるわけですから、運用改正されるわけですから、それまでは現行法があるには間違いありませんが、ひとつ現行法というものは棚上げにする。もうあと間近です。ということになると、こういうようなくだらない、まさか第二の逮捕者が、第三の逮捕者が出るという可能性はないと思います。そんなばかなことはないと思います。けれども、やっぱり当事者としましてはね、李さんが逮捕されたんだから、それと同じ条件にある人が、まだこの次に新宿にいるらしいんですよ、韓さんとか何とか。それでその次はあっちにいるらしいんですよ。そういうことを対応しなきゃならない。さあ、それに対して行動起こそうなんということが当面の今短期的な視野に立っていることらしいんですね。何とかそれを防ぎたいということですが、こういう点については、どうでしょう、暫定的な数カ月の現行法に基づいて運用される可能性があるということについては、これはもうちょっと、やっぱりアローアンスを見た方が、はっきりした見解を出した方がいいんじゃないかと、こう思うんですが、いかがですか。
○説明員(川崎謙輔君) 逮捕するかどうかは警察当局の判断によるものでございます。川崎のケースにつきましては三年の時効が切迫しておること、また再三にわたって出頭を求めたがこれに応じなかったということから、やむなく逮捕に至ったというふうに聞いております。したがいまして、今後も時効の切迫しておるような者については恐らく捜査が行われることになるとは思いますけれども、やはり警察からの呼び出しに対しては応じていただきたいというふうに考えているわけでございます。
○黒柳明君 それはそうだよ。だけど、あと四十五日しかないんですよ、運用の改正についての施行が実施されるのが。あと四十五日間でこれに準ずる人がいるわけですよ。その人が非常にやっぱり心配するとともに、民団中心にして、そのディフェンスを固めるために、いろんなアクションを起こさなぎゃならないということが非常にあるんですよ。それに対して、応じてもらいたい。そんなことはわかってるんです。逮捕者を出すのは警察だ。これもわかってるんです。だけど、法務当局として、あと四十五日についてはこういうことを留意しながら、黒柳先生の話というのは非常によく理解できますからその点についてもひとつ留意させていただきます、こうなると非常にそういうことについて過激な、やっぱり韓国において人権を擁護する会が署名運動なんかやっているでしょう。あれについてどうかなという感じが私もします。ちょっと行き過ぎだろうかな、どうかなという感じはしますよ、私なんか見ててね。対日攻勢をむしろかき立てるような一環ではないかなというような感じもするんですよ。ですけど、問題は四十五日残された、これについてもうちょっと明快な、というよりも含みを残したものを出してもらうと相当やっぱり運動というもの、ハンストまでの極限の運動というものはダウンすると思いますよ。どうですか。やっぱり審議官じゃそんなこと言えませんか。
○説明員(川崎謙輔君) 本日そういう御意見がございましたことは捜査当局にも十分お伝えさせていただきたいと考えます。
○委員長(平井卓志君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分再開することとし、休憩いたします。 午後零時十四分休憩 ─────・───── 午後一時十七分開会
○委員長(平井卓志君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締約国の全権委員会議(千九百八十四年七月九日から十日までパリ)の最終文書に附属する議定書の締結について承認を求めるの件、北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十四年の議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○和田教美君 きょうは議題になっております海上捜索救助条約を中心に御質問したいと思っているんですが、それに先立ちまして、先ほどの政府筋の情報によりますと、けさ八時過ぎに沿海州の沖合いの日本海で、ソ連機と思われる飛行機が行方不明になって墜落したというニュースがございます。そして、これは防衛庁の情報によると、日本の防空識別圏には入っていないということで軍用機か民間機かまだはっきりしない、未確認だということでございますが、今までに政府に入っている情報を外務大臣からひとつ御報告を願いたい。 それから、もし旅客機だとすれば、日本人が乗っているのかどうかという問題も含めてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今御質問がありました件についての報道があることは承知しております。しかし、まだ事実関係については確認をしていないという状況でありまして、おいおい情報も入ってくると思いますが、はっきりとここで申し上げる段階にはまだ至っていないわけであります。
○和田教美君 報道によると、既にソ連の軍用機が捜索をしているというふうなことでございますが、防衛庁の方まだ来ていないかもしれませんけれども、海上保安庁で入っている情報、どういうことでございますか。
○政府委員(岡田專治君) 私どもは、本日十時十分、外務省の方から消息不明機に関する情報というものをいただきましたので、通常このような場合に、海難救助関係で既に確立されております第一管区海上保安本部とホルムスクの海岸局とのチャンネルがございますので、そのチャンネルを通じて照会中でございます。 以上のとおりでございます。
○和田教美君 防衛庁まだ来ていませんか。防衛庁は発表しているようですけれども。どうも八時に起こった事件にしては政府の情報収集活動が、まあソ連の問題だからソ連から通報がないということにしてもいかにも遅過ぎるという感じが今の答弁を見てもわかるわけで、もう少し詳しいデータがないと、わからないわからないではちょっと無責任だと思うんですけれども、重ねて外務省の御見解を聞きたい。
○政府委員(西山健彦君) お答え申し上げます。 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、外務省といたしましては事実関係を確認し得る立場にないものでございますので、とりあえずコメントを差し控えさしていただいたわけでございますが、少なくとも現在までに私どもが聞いておりますところでは、当該航空機はソ連機のようである、それから場所も公海ではないのではないか、それから日本人の関係も、つまり乗客関係で日本人の関係もないような状況であるというふうに了解しております。ただし、細かい詳細につきましては、先ほど大臣から御答弁のありましたとおり、なお確認を要する次第でございます。
○和田教美君 それでは、防衛庁の方、そのうちいらっしゃると思いますから、防衛庁の方がいらっしゃったら情報を提供していただくということで、次に進みます。 それで、いわゆるSAR条約に入る前にもう一つ外務大臣にお伺いしておきたいんですけれども、ウィーンでの米ソ首脳会談、シュルツ・グロムイコ会談では、この秋にレーガン大統領とゴルバチョフ書記長の米ソ首脳会談の日程や場所があるいは決まるんじゃないかというふうなことで大分期待をされたんですが、これは決定をしなかった。発表ではノーコメント。しかし、シュルツ長官は後で、双方とも首脳会談は必要だということでは合意したというふうな発表をしているわけなんですけれども、そこでお聞きしたいんですが、こういう結果というものは、まだ詰めなければならない問題があって、もう一度八月ごろに外相会談を開くということはあっても、やはり秋に大体米ソ首脳会談が開かれるという方向で動いているというふうに判断していいのか、それとも外相会談でかなり激論があったと言われているような核軍縮の問題、宇宙軍縮の問題、そういうことでまだまだ越えがたいハードルがあって、何らかの実質的進展がなければ、首脳会談の開催そのものが先送りになる可能性がある、あるいは当分開かれない可能性があるというふうに判断した方がいいのか。その辺は外務大臣としてどういうふうに判断をされているかお聞きしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 米国は、レーガン大統領のゴルバチョフ書記長に対する招待は今なお継続しており、首脳同士が顔を合わせるだけでも意味がある、こういう立場をとっております。他方ソ連側は米側の呼びかけに対して積極的に応ずるというところまでは踏み切らなかったようであります。一つには、発足後間もないゴルバチョフ政権としてはいましばらく諸般の状況、情勢を見きわめた上で態度を決めたいといった事情があるのかもしれないと思います。 いずれにしましても、米ソ首脳会談開催に至るか否かは、米ソおのおのが同会談にいかなる成果を期待するかにかかるところが大きく、それぞれに思惑があると思われますので、引き続き同会談開催をめぐる米ソ間のやりとりが続くものと、こういうふうに考えておるわけであります。
○和田教美君 それでは海上捜索救助条約、SAR条約についてお聞きしたいと思います。 この条約については、海難救助という人道的な目的、これに沿って捜索救助のための国際協力を促進するという条約でございまして、海洋国家としての日本としては、これに入った場合に受けるメリットも決して小さくないわけでございますから、我々としてもこの条約には賛成でございます。 そこで、まず第一にお聞きしたいのは、条約の締結によりまして、我が国は自国の沿岸水域における適切な捜索救助業務を実施するために必要な措置をとること、このために例えば救助調整本部を設置するというふうなことが義務づけられておるわけですけれども、政府の話によりますと、この条約の実施のために特に法律上の改正は必要ないと、あるいはまた特に予算措置を追加する必要もないというふうなことでございますが、既に海上保安庁という海難救助機関が整備されておるわけですから、それはそうだろうと思いますけれども、実質面で海上保安庁の現在の組織能力でこの条約に十分対応できるというふうにお考えか、その点をお聞きしたいと思います。
○説明員(辻宏邦君) お答えいたします。 我が国がこの条約に加入した場合、条約に規定されております捜索救助区域は、今後関係締的国との話し合いにより決めていくこととなりますが、現在締約国となっております米国との関係において、我が国の分担する区域は太平洋側では双方から大体千二百海里にも及ぶ広大な海域になることが予想されております。海上保安庁は、これら海域においても現実に捜索救助活動を行っておりまして、そういう実績を持っておりますけれども、今回の本条約加入に当たりまして、この広大な海域においてより的確にその義務を履行するため、ヘリコプター塔載型巡視船と航空機を中心といたします機動力にすぐれました広域にわたる哨戒体制を整備しているところであります。そのほか条約に従いまして船位通報制度というものを、この十月に発足させるように決まって現在準備を進めている段階でございます。
○和田教美君 今お話ございましたように、捜索救助区域というのを関係締約国の合意によって設定をする、またそれにかわる適切な措置をとるよう努力するということが決められておりますが、アメリカ、カナダ、オーストラリアなんかとの関係では、いわゆる太平洋岸、太平洋側では今お話のあった距岸千二百海里に及ぶ広大な海域が我が国の捜索救助区域になるというふうに予想されるわけで、先ほどの外務省の答弁ですと、これはまだ条約上は別に正式な話はしてないということですが、実質的にはそうなるだろうというふうに私も思うわけでございますが、今着々それに対応する整備をやっているということですが、ただ具体的にお聞きしますけれども、海上保安庁が持っている現有の飛行機のYS11、これは大体進出能力が五百海里ぐらいだろうと思います、航続距離が千古海里ですからそれの半分になると大体五百海里ぐらい。そうすると距岸千二百海里ということになると半分にも至らないということになるわけで、足が短いことは明らかでございまして、現在でも防衛庁のUS1などにときどき応援を頼んでいるというふうな状態ですが、そういうための、救助のためのもっと足の長い飛行機を整備する必要がないかどうかということが一つです。 それから、この捜索救助区域の問題ですけれども、ソ連との間は一体どうなるのか。アメリカとの関係だとこういうふうに分担区域を決めてやるということになる、そういう話ですけれども、ソ連との間には、今まではソ連との協力協定では日ソがそれぞれ分担区域を決めずに、お互いに協力するというような形になっていると思うんです。その辺はどういう見通しなんですか。 この二点をお聞きしたいと思います。
○説明員(辻宏邦君) 前般のYSで長距離の救難が可能かどうかという、今後の長距離航空機の整備の点についてお答えしたいと思いますが、現在でも先生御指摘のとおり、遠距離の捜索救難業務につきましてもおおむね海上保安庁の船艇、航空機で対処しておりますが、御指摘のとおり、大規模な事案でありますとか、かなり長距離の事案等につきましては海上保安庁の船艇、航空機のみでは捜索救助活動が十分でないと、こういうような場合には自衛隊法第八十三条に基づきまして、航空機を主体に応援をお願いいたしまして、援助を受けることとしております。最近には、去る四月に沖縄県の久米島の北西海域で転覆漂流しておるのを発見されました第一豊漁丸の行方不明者の捜索が、沖縄県の先島群島周辺海域から鹿児島県の吐喝喇群島周辺海域にかけてのかなり広範な海域にわたりましたために、海上保安庁の巡視船艇、航空機もかなり多数出しておりますが、海上自衛隊航空機等にもお願いいたしまして、延べ八機の援助を受けております。将来とも必要の場合にはこのような協力を得ていきたい、このように考えております。
○和田教美君 次に、SAR条約で勧告。されております船位通報制度、先ほどもお話ございましたけれども、これは本年度内に運用開始という予定なんだそうですが、この船位通報制度というのは、船舶から位置通報などを受けて、これをコンピューターにデータを打ち込んで、航行船舶の位置を把握して、遭難が起こった場合には速やかに対処する、こういうメリットがあるというふうなことでございますけれども、この制度を日本が始めるということになった場合に、大体どれぐらいの規模の船舶がどの程度参加するというふうに予想しておられますか。
○説明員(茅根滋男君) お答え申し上げます。 船位通報制度は、アメリカのコーストガードが今やっておりますアンバーシステムと同様の任意の加入システムをとることにしております。大型の日本の外航商船それから外国船を含めまして、ネットで約四千五百隻ぐらいが統計によりますと、今日本近海に来ております。ネットの数でございます。これが商船でいいますと、アメリカのコーストガードあたりでは七〇%の加入が努力目標である、こんなことを言っておりますので、我が方もできれば七〇以上の加入を得べく、現在いろいろな、どういうふうな仕方をすればたくさんの方に入っていただけるかということでユーザーズマニュアルなどを船員の方と一緒に今やり方を詰めております。そのほかに遠洋漁船がどの程度入っていただけるか、今漁船の方々とも詰めていますし、あと大型の近海のフェリー等も入れまして、ネットで一万隻の七〇%程度入っていただければなというのが我々の希望でございます。これを得べく、今いろいろな周知活動それから入るための努力をしておるわけでございます。 以上でございます。
○和田教美君 次に、太平洋側で我が国が設定することになっております捜索救助区域、先ほども話がございましたように、大体距岸千二百海里ということですが、これは今問題になっておりますシーレーン防衛の海域の広さと大体似たようなものになっておるわけでございます。これは海上保安庁の広域哨戒体制概念図というのにもそういうことが出ております。 また、自衛隊法の八十条、先ほど久保田委員からお話がございましたが、防衛出動、治安出動によって自衛隊の出動命令が出た場合には、海上保安庁の全部または一部を首相の統制下に入れて防衛庁長官が指揮することができるという規定がございます。あるいはまた自衛隊法の第百一条には、平時自衛隊と海上保安庁の緊密な連絡を規定いたしておりまして、防衛庁長官が任務遂行上必要なときは海上保安庁に協力を求め、海上保安庁は特別の事情がなければこれに応じなければならないという規定もございます。 こういうふうに自衛隊と海上保安庁というのは関係はかなりあるわけでございます。アメリカのコーストガードは準軍隊的な扱いを受けることが多いわけですけれども、海上保安庁がこういうふうに千二百海里に至る、そういう体制を整備していくという、海難救助体制を整備していくという過程で、シーレーン防衛問題などが絡んで、軍隊的な機能をいつの間にか帯びてくるというふうな可能性が全くないかどうか、その辺を念のためにお聞きしておきたいと思います。
○説明員(辻宏邦君) 御質問の最初の点についてでございますが、先ほども御説明申し上げましたとおり、海上保安庁といたしましては既に現実に千二百海里、その附近での海難救助の実績を持っておりますし、それから海上交通の実態等から見まして、日本船舶あるいは日本に出入りいたします外国船舶等の交通が非常に多いということ、さらには日本とアメリカ側の救助勢力を考慮いたしまして、本邦から千二百海里の海域を我が国の捜索救助区域とすることを予定しておることでございまして、その意味でこの海域を対象として広域哨戒体制の整備を進めておるところでございまして、区域的にはシーレーン防衛の範囲と似ているということにはなろうかと思いますが、シーレーン防衛とは何の関係もないと私どもは考えております。 それから第二点目の自衛隊法八十条によりまして、内閣総理大臣が特に必要と認めるときは、海上保安庁が防衛庁長官の指揮下に入ることとなる点につきましては、海上保安庁法第二十五条の趣旨に照らしまして、海上保安庁は軍隊の機能を営むことはできないということでございますので、この点につきましては準軍隊となるような御心配はないと考えております。
○和田教美君 それでは次に、サハリン沖で遭難した沖合底びき漁船第七十一日東丸の乗組員三人が奇跡的に生還したという問題に関連してお尋ねをしたいんですけれども、どうも各種の報道を見ておりますと、先ほどもちょっと話が出ましたように、捜索の打ち切りが少し早過ぎたんではないかというふうな見方が出ております。特にサハリン近くの捜索用の飛行機の飛ばし方が、ソ連の許可というか、了解というか、それを待っていたために遅かった、そして時期を失したというふうな批判があるわけです。藤波官房長官も海難救助では捜索が迅速にできるだけ広く行われることが重要だということが今度の問題の教訓としてわかったというふうなことを言いまして、捜索方法の改善、範囲の拡大を検討するよう海上保安庁長官に指示したという報道が出ておりましたが、特に問題はこの飛行機ですね、通常なら即刻飛ばすというところでしょうけれども、たまたま今度の海域は、ソ連の防空識別圏に入っているということで外務省を通じて了解をとった、そこで空からの捜索開始が二十五日になっちゃってとうとう見つけられなかったと、こういうことなんですけれども、その辺のところ、もう少しソ連の了解をとるなり、何か迅速にやるという手はないのか。またこの条約に入った場合にその関係が、ソ連が入ってくるかどうかまだよくわからないですけれども、仮にソ連も入ってくるということになれば改善されるというふうに見ていいのか。さらに、たまたま今、冒頭に質問しました航空機の墜落事故一つを見ても、ソ連から情報は全くないわけですね。ですから、そういうことも含めてどういうふうにお考えか、お答え願いたいと思います。
○政府委員(西山健彦君) 先生が冒頭にお尋ねになりましたソ連との交渉の問題でございますが、外務省レベルで行いましたことは、私どもは本件が発生したということがわかりましてすぐ、つまり二十三日の夜の十時半でございますけれども、直らにソ連側に申し入れを行ったわけでございます。それに対しまして先方は、申し入れを行った時点においてはまだ何も情報を持っていないということでございましたけれども、翌日の、日本時間つまり二十四日の午後二時になりまして、ソ連の領空及び領海、これを侵犯しないということを条件に我が方が探索することについては異議がないと、こういう回答をよこしたわけでございます。これはただいま日本時間で申し上げましたけれども、これを先方の時間にいたしますと、先方の午後五時に申し入れが行われて翌朝の朝九時には回答が来たわけですから、従来私どもが承知しておりますソ連のいろいろな行政機構の状況からいいますと、非常に早く対処したとむしろ見てよろしいのではないかというふうに考えております。
○和田教美君 海上保安庁はいいですか。
○説明員(草薙博文君) お答えします。 海上保安庁の航空機の出動の経緯は、今外務省から御説明があったとおりでございまして、情報を入手して二十三日の晩に外務省を通じて航空機の捜索についてソ連側の了解を求め、それから第一管区本部を通じてもソ連側の確認をもらうようにしておりました。そして、公海上について、そういう中を飛ぶということは防空識別圏があるだろうという想定のもとに、万が一の不測の事故を考えて了解をとるという措置をとっております。
○和田教美君 先ほど私の質問した中に、仮にこの条約が成立して発効して、ソ連も入ってくるということを考えた場合に、そういう形、今のような状態から進展があり得るのかどうか、それをまた積極的にそういう海難救助体制の相互協力ということについてソ連と交渉する意思があるのかどうか、その辺はどうですか。
○説明員(瀬崎克己君) 日本とソ連との間には、既に昭和三十一年に日ソ海難救助協定がございまして、その協定に基づきまして海上保安庁が先方の海難救助の機関と実務的な関係を持っておるわけでございます。 したがいまして、この協定の有無にかかわらず、日ソ間には既に円滑な関係があるわけでございますが、他方、この条約の作成の過程で、ソ連はこの審議に非常に積極的に参加しておりますし、既に署名しているわけでございます。この条約にソ連がいつ入るか、この点については必ずしも詳細明らかではございませんけれども、やはりソ連がこの条約の審議に参加し、かつ署名したということはソ連側にとりましてもこの条約の意義を十分に認識した上での行動であるということでございまして、私どもといたしましては、この協定が締結されることによりまして日ソ間の関係がより緊密になるというふうに考えているわけでございます。
○和田教美君 SAR条約によると、国家間の協力ということについて、締約国は国内法令に従うことを条件として、専ら海難の捜索救助の目的で他の締約国の救助隊が自国の領海、領土または領空へ立ち入ることを認めるものとするというふうなことが書いてございます。これは強制規定ではないと思いますけれども。そういうことから見ても、ソ連にも中国にもこの条約に入ってもらって、そして例えば日東丸事件のようなことが起こった場合に飛行機を飛ばすというふうな捜索協力体制というものについてもっと、何といいますか迅速な行動ができるようにすべきだと私は思うし、きょうの飛行機の墜落事件というような問題についても情報の交換などがもっとスムーズにできるような状態をつくるべきだと思うんですけれども、その辺について外務大臣は今後の問題としてどういうことをお考えでございますか。
○政府委員(西山健彦君) 今までにそういう佃題になり得るケースといたしまして例の韓国航空機の事件がございましたし、それから今回の日東丸事件があったわけでございますが、これはいずれも外交チャネルを通じての連絡ということにつきましては十分に有効に機能していたというふうに私どもは考えております。
○和田教美君 機能していた。
○政府委員(西山健彦君) はい、機能しておりました。 ですから、特段にこれ以上のことをこの面については考える必要はないのではないかというのが私どもの考え方でございます。 しかし、他方こういう場合のチャネルにはもう一つ外交チャネルのほかに日ソ海難救助協定に基づきますところの両国の海難救助機関の間での直接連絡、そういうチャネルもあるわけでございまして、こちらの分野につきましても関係者の間でもって連絡を密にする努力が続けられているというふうに了解しております。したがいまして、もちろん実際に事故が起こりましたときに一段とこういうチャネルを通じて努力をより強めることは必要でございますけれども、仕組みといたしましてこれ以上に何かをしなければならないということはないのではないかというふうに考えております。
○和田教美君 今、防衛庁の方がいらっしゃったそうですから、先ほどのソ連機の墜落事故の問題について情報をお知らせ願いたいと思います。
○説明員(堀川和洋君) 私どもが得ております各種の情報を総合的に判断しましたところによりますと、けさほどソ連の航空機が沿海州沖合いで行方不明になった、こういう情報を総合的に判断したところ、行方不明になったというふうに考えております。これにつきましては、現在当方において鋭意確認中のところでございます。
○和田教美君 民間機か軍用機かというようなこともわからないわけですか。
○説明員(堀川和洋君) その点については今のところわかりません。
○和田教美君 どうもソ連に関する情報というのは、今のお話ずっと聞いていても非常に遅いように思うんですね。ですから、耳の長い防衛体制をとらにゃいかぬなんてことを政府はおっしゃるけれども、しかし、実際にこういう事件に遭ってみると、八時に起こったことがまださっぱりわからないというふうなことでは耳の長い体制なんて到底言えないと思うんですが、その辺は外務大臣どうお考えですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは防衛庁の、いろいろの防衛庁自体の体制の中で、監視体制その他の中でキャッチしたことであろうと思いますし、別にそう情報が遅いということでもないように思いますですね、今のあれを聞いてみますと。その限りにおいては大体確認ができているような感じがいたしますけれども、機種とか何とかいうのは、それは今のところはっきりわからないようでございますけれども。
○和田教美君 外国人登録法に基づく指紋押捺制度の問題も聞きたかったんですけれども、もう黒柳委員が既に相当質問されたし、時間もございませんので、最後に一つだけお尋ねしたいのはSDIの問題でございます。 SDIの問題については、中曽根総理がボン・サミットから帰ってこられたときに、日米首脳会談で米国のSDIに関連をして、いろいろあったけれども日米首脳会談あるいは日独首脳会談などでいろいろ中曽根さんも発言をしたけれども、しかし、SDIの研究を理解するという一線を超えてはいないということを繰り返し強調されたわけでございます。 しかし、私の見るところ、日米首脳会談で総理が申されたSDI五原則といいますか、五条件というふうなものは単に道徳的正当性を認めるということだけではなくて、やはり核戦略的視点からいろいろとSDIの問題を考えているということを明確にしたわけでございまして、そういう意味では明らかに私は一歩踏み込んだ見解ではなかったかというふうに思うわけです。 それからまた、最近テレビ番組で総理は、SDIの問題については技術的な問題もさることながら、米ソ軍縮交渉の切り札としての性格を持っているんだと、そういう政治的ないわゆる切り札という意味を重視すべきだというふうなこともおっしゃっておるわけで、どうも全体の印象としては、総理は研究理解という一線を踏み外していないと言うけれども、だんだんやはり研究参加という方向への布石を打ちつつあるというふうに見ざるを得ないわけでございます。 外務大臣は総理大臣と比べるとかなり慎重な姿勢をとっておられるようでございますけれども、結局はそっちの方向に、つまり研究参加、どういう形の研究参加になるかは別としてそういう方向に動いていくのではないか、あるいは絶対にそんなことはない、まだ全く白紙であるということなのか、その辺を確認の意味も含めて外務大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私ももちろんサミットに参加したわけですが、サミットでのSDIについての議論はむしろ外相間において行われたと思います。 それから、サミット外の個別の首脳会談では、日米会談においても、日独会談においてもSDIが取り上げられた。その辺のところが詳細に報道されたわけでありますが、まあ私の判断では、総理大臣の発言は従来の線を超えてはいない、こういうふうに思いますし、また今SDIについて専門家の、アメリカの意見を聞いただけでありますし、超えられるはずは私はないんじゃないかと。問題は、これから各国がどういう対応をしてくるか、あるいはまた専門家等の意見もさらに聞かなきゃならぬと思いますが、こういうことを踏まえて慎重に、自主的に判断をすればいいんであって、今のところは理解、それ以上のものではないというのが私の認識であります。
○和田教美君 終わります。
○関嘉彦君 きょう議題になっています条約のうち、ほかの条約については抜山委員の方から質問があると思いますので、私は専ら海上における捜索及び救助に関する国際条約についてと、それから若干のカレントな問題について御質問申し上げたいと思います。 この捜索及び救助に関する条約そのものは、日本は海洋国でありますので、こういうふうな国際条約ができることは日本として大変利益になる点が多いと思いますので賛成でございます。しかし、それに関して若干ちょっとお伺いしておきたいことがございます。 まず最初に、附属書の二の一の一ですかに、自国の沿岸水域について締約国は捜索救助業務を実施するために必要な措置をとることを云々という字句があるんですけれども、その沿岸水域というのは非常に漠然とした言葉だと思うんですけれども、どの範囲であると日本の政府は理解しておられますか。そのことをまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(斉藤邦彦君) 沿岸水域の範囲につきましては、条約上の定義はございません。それから、条約の審議過程におきましても明白な手がかりとなるものは特にございませんので、この条約全体の趣旨、目的、それから自国周辺の船舶交通の実態等を勘案して、各国が合理的に判断すべきものだろうと存じます。 我が国におきましては、海上保安庁が中心となって、領海を含め、我が国周辺の広大な海域において捜索活動を行っておりますので、この附属書二の一の一の義務の履行について特に問題はないと考えます。 我が国といたしましてこの沿岸水域の範囲はどこまでと考えるのかという御質問でございますけれども、判断の基準といたしましては先ほど申し上げましたようなことでございますけれども、我が国といたしましては、具体的には領海の範囲というふうに解釈しております。すなわち、捜索救助区域というのは関係締約国間で設定される区域でございまして、締約国はその捜索救助区域におきましては救助活動の総合的な調整、その他を行うわけでございますが、その内側にある沿岸水域におきましては、専ら沿岸国が遭難者に対して適切な捜索救助業務を実施するために必要な措置をとることを確保するという義務をこの条約上、負う次第でございます。 一方、国際法上、領海では他国が沿岸国の許可がなければ捜索救助活動を行えないというのが原則でございますので、国際法の考え方といたしましては、領海においては沿岸国が専ら捜索救助活動を行うべき水域だということになっております。このようなことを考えますと、この条約で定義はございませんけれども、我が国としてこの条約に言う沿岸水域というのは、我が国の領海だと考えることには十分合理的な根拠があると考えている次第でございます。
○関嘉彦君 この条約自体が強制規定、勧告規定みたいなのを含んでいるんですけれども、強制規定にしましても、「必要な措置」であるとか「適当な援助」であるとか、必ずしもその内容がはっきりしないような字句が使われているんですけれども、私は沿岸水域というのは領海よりもう少し広いのかと思っていたんですけれども、大体外務省としては領海内というふうに理解されているわけですね。
○政府委員(斉藤邦彦君) そのとおりでございます。
○関嘉彦君 それから、同じく附属書の二の一の四及び二の一の九に捜索救助区域、これリージョンという言葉が使ってありますけれども、それを関係国と確定し、その区域内で最も適当な援助を与えるための緊急措置をとることを義務づけているわけですが、この捜索救助区域の範囲を関係国と、隣接国と協議して決める、その場合にどういう点を考慮してその区域を定められるのか、国際的な共通の理解というふうなものがその決めるときにあるのかどうか、そのことをお伺いしたいと思います。
○説明員(瀬崎克己君) この条約の作成の過程におきまして、当初、この捜索救助区域の範囲を飛行情報区の区域に合致させるという案があったわけでございます。この段階では、この範囲はどのように定めるかということはかなり画一的に考えられていたわけでございますけれども、この審議の過程で、日本側の提案によりまして、必ずしも飛行情報区域とこの捜索区域を一致させる必要はないじゃないかという指摘をしたわけでございます。そこで、現時点ではこれが双方の合意するということでありまして、それではどのような基準に基づいて合意するかということにつきましては、専門家会議におきます審議の過程からいろんな点が指摘されたわけでございます。その幾つかは、やはり飛行情報区域というのは一つの範囲としてまとまって考えるべきであるという考え方もございました。それから両国の捜索救助能力、それから各国の持っている通信能力、海域の利用状況、海難発生の状況等、こういった要素を勘案して、総合的に最終的に合意に持ち込むべきである、このような考え方でございます。したがいまして、共通の考え方と申しますよりか、このような幾つかの要素をかみ合わせましてそれぞれの区域を定める、そういうことになろうかと思います。
○関嘉彦君 これは一種の精神規定みたいなものですから必ずしも厳格に決める必要もないし、また決めることもできないだろうと思いますけれども、そうすると、例えばこの条約にはASEAN諸国なんか入ってないんですけれども、そういう国ともし捜索救助区域を確定するような場合には、特に私はフィリピンとかインドシナあたり、日本の船にも非常に関係があるんじゃないかと思いますけれども、そういう場合には、その国の通信能力とかそういうふうなことを考慮して、向こうの方は狭くといいますか、日本の方がもっと広く、そういうふうな決め方をされるわけですか。
○説明員(瀬崎克己君) 今先生の御指摘のとおりでございます。
○関嘉彦君 この「海上保安の現況」、海上保安庁から出しておられる昭和五十九年の白書によりますと、この条約のできることを想定して、対応する体制として広域哨戒体制というのをつくるんだと。その範囲が大体千二百海里の線ということになっているんですけれども、これはやはりアメリカなり関係国との交渉の上で決められたんですか、それとも単なるこちらの考え方を一方的に書いてあるんですか、どちらですか。
○説明員(辻宏邦君) 千二百海里と申しますのは、まだ我が国が条約の締約国となっておりませんので、その後の話でございますが、なった上での話でございますが、現在、実務的にはアメリカのコーストガードとの間において、大体その範囲ではなかろうかということで、実務的に下打ち合わせをしたエリアを大体千二百としてとらえてきておるところでございます。
○関嘉彦君 それは向こうと交渉して、向こうも同意しているわけですね。
○説明員(辻宏邦君) 事務的な打ち合わせをしたということで、正式に外交ルートに乗せて交渉したというものではございません。
○関嘉彦君 そうすると、束の方はアメリカと非公式ながら話し合った。南の方はそういった非公式な話し合いはあったんでございますか。
○説明員(辻宏邦君) 一応南の方につきましても、アメリカとの関係におきまして大体非公式な話しはしておりますが、確定的な線は出ておりません。
○関嘉彦君 これは先ほど和田委員からも質問があったところですけれども、久保田委員も触れられたと思いますが、今の海上保安庁の持っている飛行機では五百海里ぐらいが精いっぱいだ、そうすると、足りないところは自衛隊の飛行機に頼むんだと。海上保安庁自身としてもっと足の長い飛行機を備えるとか、そういうふうな計画あるいは考え方はございますか。
○説明員(辻宏邦君) 私どもの希望といたしましてはYS以上の足の長い航空機の整備をしたいと考えておりますが、予算等の都合もございますので、まだ実現はしておりません。
○関嘉彦君 この条約の中にまだ日本の周辺諸国で加盟していない国があるんですけれども、ソ連との間には二カ国間条約がありますが、ソ連以外の韓国、中国あるいはフィリピンとか、そういう国との間には何か公式なり非公式なりの協定といいますかね、そういうのはあるわけですか、捜索及び救助に関する。
○説明員(辻宏邦君) 救助協定としては、日ソの海難救助協定以外は特段の協定はございません。あと捜索救助機関として、実務的な関係におきましてそれぞれ窓口を設け、個々の海難等に対処していることは現実的にはやってきております。
○関嘉彦君 恐らくASEAN諸国であるとか、そういうところはやはり通信施設の問題であるとか、そういう点で手が届かない。そのために正式の協定を結ぶまでに至ってないんだろうと思うんですけれども、こういう国に対して、あるいはASEANだけじゃなしに、ほかの環太平洋地域の島嶼駅諸国に対しても、こういう問題について技術援助をする、あるいは資金援助をして施設をつくるというふうなことは、これはそういったふうな国々にとっても非常な利益であるし、日本にとっても大変な利益になると思うんですけれども、今までどういう形の技術援助であるとか、あるいは施設援助がなされているか、それをお伺いしたいと思います。
○説明員(宇多一二君) 今先生の御質問でございますが、発展途上国に対します捜索救難に関します技術協力といたしましては、主としまして海上保安庁の協力のもとに国際協力事業団が専門家の派遣及び研修員の受け入れという形で実施をしております。 海難救助の専門家派遣といたしましては、海上保安庁から昭和四十五年度以降インドネシア国に一名を継続派遣しておりますほか、昭和五十八年度にはコモロ国に二名を派遣しております。また、昨年十月にインドネシア国で開催されましたIMO、国際海事機関主催のSARセミナー、これには三十二カ国五機関、約七十名が参加しておりますが、当庁から救難課長等専門家三名を派遣しております。なお、IMOの要請を受けまして、このセミナーのフォローアップといたしまして、当庁は本年三月に東南アジア、太平洋の八カ国のSAR担当者に対します研修を実施しております。 国際協力事業団による研修員受け入れといたしましては、昭和五十七年度及び五十九年度に救難防災コース、これは約二カ月の研修期間でございますが、実施いたしておりまして、東南アジア諸国等の八カ国から計十四名の研修生を受け入れております。また今年度も九月から同コースを実施する予定でございます。その他個別の要請に応じまして、捜索救難に関する研修を実施しております。
○関嘉彦君 ソ連との間では、先ほどもお話がありましたけれども、昭和三十一年の海上において遭難した人の救助のための協力に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国との間の協定というのがあるわけですけれども、この協定の実施細則といいますか、例えば防空識別圏なんかに入る場合にどういう条件によって入るのか。そういう条件なんかの打ち合わせは、あるいは協定はできているんですか。
○政府委員(岡田專治君) 日ソ海難救助協定は、昭和三十一年でございましたか、かなり以前にできた協定でございますが、かなり技術的な協定でございまして、相互に交信する周波数の規定でありますとか、あるいは一般的な意味での相互の海難救助についての協力規定でありますとか、このような規定が設けられておりますが、さらに今先生のおっしゃられました細則的なといいますか、そのようなものについてはできておりません。 ただし、これまで円滑に機能いたしておりまして、今回の我が海上保安庁航空機のいわゆるソ連の防空識別圏と思われる区域への入域許可につきましては、先ほど外務省からお話がありましたように、極めて円滑に返事が来たところでございます。
○関嘉彦君 今度の七十一日東丸の場合は割に迅速に向こうの回答が来たように思うんですけれども、常にそうであるかどうか問題じゃないかと思うんで、例えば防空識別圏に入るときは一方的な通報だけで入れるとか、どういう態様によって入っていくかとか、そういう条件の取り決めをする必要はないんですか。
○政府委員(岡田專治君) いわゆる防空識別圏なるものは、私どもも立場上つまびらかではございませんけれども、外国に対してここからここが防空識別圏であるというふうに具体的に外に向かって表明されているものではない性質のものだと、かように存じております。 これまで例えば北千島方面におきまして海難が発生いたしました場合に、私どもの海上保安庁ではヘリコプター搭載型の巡視船も持っておりますので、この巡視船を出動せしめまして、その巡視船の積載のヘリコプターによる空からの捜索救助活動について申し入れた事例もございましたけれども、これまではこれについて返答がなかった。返答がないということにつきましては、やはり万一の場合を危惧いたしましてヘリコプターによる捜索は断念したというような状況でございます。
○関嘉彦君 防空識別圏というのは領空とは違いますわね。そうすると、そういうところに入るのに相手国の承諾がなければ入れないというのは少しおかしいんじゃないかと思うんですけれどもね。例えば通報によって捜索、それは一定の標識をつけるとか何とかそういういろんな条件は必要だと思いますけれども、入り方は必要だと思いますけれども、やはり例えば通報によって直ちに入れるというふうな協定ですか、そういうのを結ぶことが必要じゃないかと思うんですけれども、その必要を感じられませんか。
○政府委員(岡田專治君) 一般的、抽象的な意味ではそのようないわゆる空の捜索というものが円滑に遅滞なく行われるような相互の信頼システムができることは大変望ましいかと思いますけれども、他方、空というものは各国とも極めて重大な配慮を払っている問題であると思いますので、事実上はかなりそのような制度づくりは難しいのではないだろうかなというのが偽らざる感じでございます。しかしながら、海上におきましては、例えば国後、択捉のように日ソ両国におきましてそれぞれ領有について意見が異なる地域がございますけれども、私どもの海上保安庁の巡視船につきましては、例えば国後島の領海内に通告をしてそして入っていくというような事例もまれにある状況でございまして、多少、海と空とでは違いがあるのではないか、かように考えております。
○関嘉彦君 ソ連がこの条約に批准して入れば、この条約の三の一の五で、「締約国は、隣接国との間で、自国の領海、領土又は領空への当該隣接国の救助隊が立ち入るための条件及び当該隣接国の領海、領土又は領空へ自国の救助隊が立ち入るための条件を定めた合意をする」というようになっていますので、ソ連がこれに入れば、そういう条件の話し合いなんかができるだろうと思いますけれども、もし当分入る見込みがないとすれば、あえて領空、領海とまでは言わないにしましても、やはり一つの防空識別圏なんかでも何らかの通報によって入れるというふうなシステムをつくっておく必要があるんじゃないかと思うんですが、これは今後の研究課題として研究しておいていただきたいと思います。 その問題はそれで終わりですが、海上保安庁の方来ておられるので別の問題に入りたいと思うんですけれども、去る四月の二十五日に日向灘沖において国籍不明の高速艇を追跡したけれどもとうとう見失ったということが報道されておりますけれども、その事件の経過を説明していただきたいと思います。
○説明員(西山知範君) 私どもが情報を入手いたしましたのは四月二十五日午前十時四十分でございますが、宮崎県の水産課から油津海上保安部に連絡が入りまして、県の漁業取り締まり船「たかちほ」が、船名第三十一幸栄丸、登録番号はOT二—三三一一でございますが、標示いたしました十九トン型ハマチ運搬漁船に立入検査をしようといたしましたところ、突然二十二から三十三ノットの高速で南下逃走したということでございます。これに基づきまして油津海上保安部で調査いたしましたところ、実在する第三十一幸栄丸との同一性に問題が出てまいりましたし、かつ逃走速力等から密輸・密航船と、そういった不審船の疑いがありましたために、巡視船艇三隻、航空機二機を出動させました。そして、四月二十五日午後三時十五分でございますが、宮崎県の戸崎鼻から百十一度、三十七・五海里の地点で、速力約十ノットで北上中の該船を航空機が発見をいたしまして、同日午後七時三十五分に巡視船がレーダーでこれを捕捉いたしまして監視警戒を引き継いだわけでございます。なお不審船はこれに対しまして逃走いたしましたので、巡視船により停船命令を発しまして追跡をしたわけですが、これを無視しまして、増減速をしながらジグザグ航行したということでございます。そして、四月の二十七日午前一時十分でございますが、これは男女群島の女島から約二百五十一度、二百四十一海里に当たりますけれども、この地点で追跡中の巡視船のレーダーの映像から消滅をいたしました。その後、該船は東シナ海から黄海の方面に至ると予測されましたので、以後二十八日の十二時まで九州西岸海域を中心に警戒を続行いたしましたが、該船を発見するに至らなかった、以上のような次第でございます。
○関嘉彦君 追跡した日本の巡視船の最高スピードは幾らですか。そして、それを振り切って逃げているというのであれば、かなりのスピードだと思うんですけれども、大体どの程度のスピードを向こうの船は出したんですか。
○説明員(西山知範君) 当方の巡視船は最高三十ノットでございます。向こうの不審船が最高四十ノットを出しております。
○関嘉彦君 それだけのスピードを持った船というのはちょっと普通の民間の船では非常に少ないんではないかと思うんですけれども、単なる密漁船というふうに御認定ですか、それとも何か特殊な任務を持った船であるというふうに推定しておられるか。
○説明員(西山知範君) 密漁船でこれくらいのスピードを持った船はおるわけでございますが、今回の場合に追跡の結果、非常に航続距離が長かったということからいたしまして特殊な任務を持った船ではないかと考えられます。
○関嘉彦君 私は新聞の報道をそのまま信ずるわけじゃないけれども、日本の巡視艇があれだけ追及しながらしかも振り切って逃げたというのは、あるいは日本の方で手心を加えて逃がしたんではないか、そういう推測の記事もあるんですけれども、そういうことは全然ないわけですか。
○説明員(西山知範君) 海上保安庁といたしましては、船艇二十三隻を出しまして万全の措置をとったわけでございますが、該船が非常に速かったということ、それから航続距離が非常に長かったということから逃げられたわけでございまして、海上保安庁は意図的に逃走さしたということはございません。
○関嘉彦君 今度の事件を教訓にして今後どういう対策、同じような事件が起こったときに対してどのような対策を考えておられるか。
○説明員(西山知範君) 今回の不審船の追尾、警戒の結果を教訓といたしまして、この種事案にも対応できるように、全体の業務を見ながら巡視船艇、航空機の性能、装備の充実を図りますとともに、その有効な運用、捕捉手段等についても検討してまいりたい、かように考えております。
○関嘉彦君 もう少し具体的に、例えばもっとスピードの速い船をつくるとか、そういうふうなことを考えておられるわけですか。
○説明員(西山知範君) できるだけ高性能の船をつくりたいと、かように考えております。
○関嘉彦君 今、急に答えられないかもしれませんけれども、海上保安庁のもう一つの任務はやはり海上の治安を維持することであって、それに対しても今後手抜かりなくやっていただきたいと思います。 最後に、もとの台湾の軍人軍属に対する補償の問題、これは議会でたびたび取り上げられた問題ですけれども、私も実は戦争中、北ボルネオで台湾人の兵補の人たちと一緒に戦争をしたし、その後は捕虜虐待で戦犯になった台湾人兵補のディフェンディングオフィサーをした経験もあるので、特別の関心を私この問題に対して持っているわけですけれども、今度の予算に検討費として五百万円計上されておるわけですね。総理府の方、見えてますか。検討するというのはその是非を検討するということですか。それとも実施するという方向で技術的な問題を検討する、この五百万円はどういう意味の検討なんですか。
○説明員(萩原昇君) 昭和六十年度の予算におきまして、総理府に五百万円の検討経費が計上されております。私どもこれが六十年度予算の折衝の最終段階で登場してきたわけでございますが、その趣旨はいわゆる台湾人元日本兵問題についてどのように考えるかということを検討するための経費ということで、検討経費として計上されているものだというふうに理解しております。
○関嘉彦君 それでは必ずしも実行するという意味の検討ではなしに、やるべきかやるべきでないか、その問題から検討するという趣旨ですか。
○説明員(萩原昇君) 国会等でいわゆる台湾人元日本兵の遺族あるいは傷病の兵の方のために一人当たり幾らというようなお話が出ていることは承知しておりますが、この五百万円の費用はそういうことをやるという前提での問題点検討ということではなくて、いわゆる台湾人元日本兵問題というそういう御要望があるのに対して、これについてどう考えたらよいかということを検討するための経費というふうに考えております。
○関嘉彦君 もしそうであるならば、つまりどういう点に障害があるというふうに考えておられるのか、その検討される場合に。例えば財政上の問題であるとかあるいは外交上の問題であるとか、どういう点に今までこの問題が延び延びになってきて解決できないその隘路といいますか、障害といいますか、それはどういう点にあるというふうに総理府は判断しておられますか。
○説明員(萩原昇君) 政府部内のいろんな部局に関係する問題であろうかと思うわけでございますが、今まで挙げられてきた問題点といたしましては、日台間の全般的な請求権問題が未解決であること、それから台湾以外の分離地域との公平等の問題、さらには御質問のような財政事情というような問題もあろうかと思います。そういう問題が今まで指摘してこられたというふうに承知しております。
○関嘉彦君 この問題は、例えば台湾との間の郵便貯金の請求権の問題とかそういう問題とは性質が違う問題で、日本の命令によって徴用され、あるいは召集されて、命を的にして戦ってきた人に対する補償の問題ですから、普通の財産椎の問題と同じように考えられるのは私はいかがなものかと思います。 各国の例を見ましても、これも議会でたびたび言われましたから繰り返しませんけれども、やはり旧植民地の軍隊に対する補償の問題はそれぞれやっているように思いますし、日本が道義を持った国だというふうに外国から評価されるためには、やはりこの問題をまず解決することが必要ではないかというふうに思うんですけれども、ほかの国との関係の問題では、韓国との間では一応解決しているわけで、あと北朝鮮なんかの問題もありますけれども、それはまたそれとして、やはり台湾人のこの問題は早急に解決することが必要じゃないかというふうに思うんですけれども、そういうふうにお考えになりませんか。
○説明員(萩原昇君) 御指摘のように、この問題が心情的に他の問題と異なるという御意見もございます。一方で、この問題は大きな意味での請求権問題の一環であることもまた事実でございます。 外国の事例等につきましても、政府部内でいろいろ関係する省庁相集まりまして、この問題についてどのように考えたらよいか協議をしてまいる考えでございますので、そういう意味で今後検討してまいりたいというふうに考えます。
○関嘉彦君 前向きに、積極的にこの問題は解決するようにしていただきたいと思います。そういう希望を述べて質問を終わります。
○抜山映子君 まず北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を改正する件ですが、これは昭和三十二年に締結されて、そして五十九年十月十三日まで続いてきているわけです。ところが、科学的調査の実施がもう既に二十年近くたっているのに、オットセイ資源の適正な管理方法についてまだ最終的な結論が出ていないように説明されておりますが、どうしてこのように長きにわたって結論が出ておらないのでしょうか、その理由をお教えください。
○説明員(菊地徳弥君) 本条約の定めるところに従いまして、昭和三十二年の条約発効後、ちょうど二十五年を経過しました昭和五十七年度の年次会議におきまして、北太平洋おつとせい委員会は、オットセイの猟獲は、最大の持続的生産性の達成を妨げることなく陸上猟獲を行い、また一定の条件下で海上猟獲を行い得るかという点につきまして最終的な結論が得られておらず、さらに研究を継続すべしとの趣旨の勧告を行った次第でございました。 その背景といたしましては、一つには、条約発効後昭和三十三年以来、我が国を初めといたしまして関係国におきまして調査研究が実施されてまいったわけでございますが、現在までに日本海周辺は当然のことながら、オホーツク海、北太平洋、ベーリング海といった水域におきまして、調査船による目視調査によるオットセイの分布あるいは回避の状況の把握や、また海上捕獲によりますオットセイ獣の年齢組成とか性成熟、再生産、食性といったような生態面につきまして、多くの具体的な点について成果を上げてきたわけでございますが、今後の資源の動向の予測あるいは適正な資源管理のためいかなる措置が必要かという点について、結論を出すにはいまだ十分な結果が得られていないという状況にあるわけでございます。
○抜山映子君 まぐろ保存国際条約に関する議定書、これは内容自体は問題ないと思いますが、大体資源保護の観点からの条約というのはどんなものがあるんでしょうか。
○説明員(赤尾信敏君) お答えいたします。 北太平洋おつとせいの保存暫定条約については先ほどありましたけれども、それ以外の資源保存のための多数国間条約といたしましては、次のようなものがあります。 マグロの関連では、全米熱帯まぐろ類条約と大西洋まぐろ類保存国際条約があります。その次に、底魚類、タラとかヒラメとか、カレイとかアカウオ等でございますけれども、これらを対象にしたものとしましては、北西大西洋漁業に関する多数国間協力条約及び南東大西洋生物資源保存条約があります。その次に、北洋サケ・マスを対象とするものとして、北太平洋公海漁業条約があります。次に、南極の海洋生物を対象とするものとして、南極海洋生物資源保存条約と南極あざらし保存条約があります。最後に、鯨を対象とするものとして、国際捕鯨取締条約があります。 以上です。
○抜山映子君 その国際捕鯨取締条約の方なんですが、資源保護の観点から鯨の頭数は問題になるほど減っていないんだというようなことが言われておりますが、その点の科学的データはどのようになっておりますでしょうか。
○説明員(今井忠君) お答えいたします。 昭和五十七年の第三十四回の国際捕鯨委員会におきまして、三年間の猶予期間を置きました商業捕鯨の全面禁止の決定がなされました。もし仮にこの決定に従うといたしますと、南氷洋の捕鯨は、先日、四月に帰ってきた船団で終わりということになりまして、ことしの秋から出られない。それから、日本の沿岸でニタリ鯨、ミンク鯨をとっておりますが、これにつきましては、来年四月から商業捕鯨ができなくなる、こういう事態でございました。 国といたしましては、同じ年の昭和五十七年十一月に商業捕鯨全面禁止の決定はいかにもおかしいということで、異議を申し立ていたしました。理由は三つございます。 一つは、先生御指摘のとおり、捕獲の頭数または資源というふうなものにつきまして検討してまいりますと、科学的根拠がないじゃないかということでございます。二つ目は、国際捕鯨取締条約の条約の精神と違うような決定である。なお、参考まででございますが、条約の精神というのは二つございまして、鯨資源の保存を図るということと、捕鯨に関係する従事者の安定を図ると、この二つなんでございます。ですから、片方の点だけ見ているんじゃないか、こういうのが二つ目の理由でございます。三つ目の理由は、捕鯨の点につきましては、日本に、それぞれ各地に伝統的な捕鯨基地というのがございまして、多数の関係者がそれで生業を立てている。この影響を考えますと、商業捕鯨の全面禁止というのはいかにも不合理だということで、異議を申し立ていたしました。 なお、異議を申し立ていたしましたことによりまして、条約上の規定によりますと、その商業捕鯨全面禁止の決定に日本は拘束されないということになります。しかしながら一方、アメリカは、日本が商業捕鯨の禁止後も捕鯨を行いますと、アメリカの二百海里水域の中で日本漁船が活動しているその漁船活動に対して漁獲割り当てをしているわけでございますが、それを直ちに半分にする、一年たってもやめなければ残りの半分もとってしまうという国内法がございまして、それを発動するという強硬な姿勢をとってまいりました。 その二点を考えまして、アメリカ国内法に関係いたします日米漁業問題の対立を避けるため、その他いろいろ日米関係がございますが、今般四月五日の閣議におきまして、商業捕鯨全面禁止決定の発効をした後、さらに二年間効力が凍結されまして、その後、三年目以降に発効いたしますよという条件づきでこの異議申し立ての撤回をしようという方針を決めていただいたわけでございます。IWCにつきまして商業捕鯨全面禁止の決定の見直しが行われない限り、南氷洋捕鯨につきましては、先ほど申し上げましたとおり、六十二年十月から、沿岸捕鯨につきましては六十三年四月以降、商業捕鯨は行い得ないということになります。 さらに、先生から御指摘ありました資源状態はどうなっているんでしょうかという問題でございますが、南氷洋のミンク鯨につきましては、現在の推測では二十六万頭以上いるだろうという推測になっております。捕獲枠の勧告が、いろいろ検討の結果、本会議で決定されました枠が四千二百二十四頭だということになりました。そのほかマッコウ鯨、それから日本近海でとれますニタリ、日本近海でとっておりますミンク鯨につきましても、科学者の間で資源の評価の一致を見まして、その資源の評価に基づいて捕獲割り当てが決定されております関係上、私どもといたしましては、現在程度の捕獲量が続けられたとしても、資源に重大な影響を与えることはまあないというふうに思っております。 以上でございます。
○抜山映子君 反対に、鯨の数が大変にふえると、今度はほかの魚類の資源にかかわってくるというようなことはございませんか。
○説明員(今井忠君) 私、生物学者でないから正確には申し上げられないんでございますが、仮に南氷洋のミンク鯨というのは、南氷洋に大変たくさんおりますオキアミというものを食べております。オキアミの資源量につきましては、正確なことはわかりませんが、一番小さい計算の数値をとる人で五千万トンと言っております。一番大きい資源の推測をする人で二十億トンぐらいだと言っております。なお、参考まででございますが、地球上で一年間に水揚げされる魚類、水産物のすべてが七千万トンくらいなんでございます。そういたしますと、鯨がオキアミを食べ過ぎて、または鯨がオキアミを食べたから減っちゃって食物に困るということはまあ考えられないということになります。 なお、日本近海のミンク鯨は、今のようなオキアミのほかに、イワシとかサバとかイカとかタコ等も食べます。ですけれども、御指摘のとおり、日本近海でイカが数十万トン揚がっているとか、イワシにつきましては三百万トン、四百万トンの水揚げがあるという現状から考えますと、二万頭前後の日本近海のミンク鯨が幾らたくさん食べても、別にイワシが困るということはないんだろうというふうに推測されるわけでございます。
○抜山映子君 いずれにしても、反捕鯨団体の主張が、鯨の頭数がそんなに減っているわけでもないのに、かなり感情的な面から反捕鯨という旗印を上げていることは若干遺憾だと思います。したがって、日本としても主張すべきことは堂々と公平に主張しなければならないと思うのでございます。 ところで、米国の反捕鯨団体が先ほど言われました法案。パックウッド・マグナソン法案ですか、これを即発効させよという訴訟を米政府を相手取って行っている。そして米政府は、過日敗訴した。これに対して、米政府は控訴をしているそうですけれども、この判決が出ますと、先ほど言われた異議申し立てにも影響が及んでくる、撤回という事態が生ずるわけですね。この判決は、大体いつごろと予測されておるんでしょうか。
○説明員(今井忠君) 先ほども御説明申し上げました四月五日に日本政府が異議申し立ての撤回の方針を閣議で決めました、それより前でございますが、一九八五年三月十八日に、アメリカ政府は第一審の判決に対して執行停止請求をいたしました。執行停止請求した理由は、判決の中身が二つございまして、一つはパックウッド・マグナソン法またはペリー修正法に従ってアメリカ政府は日本の漁獲に対して制裁を加えないといけないというのが判決の一つでございます。二つ目は、IWCが決定しました捕獲枠を超えてとりました日本の捕鯨に対して制裁を行わないというような内容の合意を今後日本政府と一切協議してはいけない、こういうことでございましたので、協議もできないということになりますので、直ちに執行停止の手続をアメリカの方で、アメリカの裁判所にとったわけでございますが、それが三月十八日でございます。ほぼ同時に、アメリカ政府は上級審に控訴いたしまして、その日頭弁論がちょうど本日、アメリカ時間の五月十六日、アメリカの高等裁判所で行われております。水産庁といたしましても、それの推移を見守るために私どもの方から担当官を派遣したということでございます。ですから、日頭弁論の終了の様子によりまして、早ければ一カ月以内にも最終判決がおりるかというふうに思っております。
○抜山映子君 そのいわゆるP・N法ですが、これによりますと、もしこれが発動されますと、先ほど言ったように、二分の一漁獲を減らされる。これに従わないとさらにまた二分の一、すなわち全部減らされてしまう。そういうことになりますと、日本の漁業者としても大変に困るわけです。大体米国の二百海里内で操業を行っている日本の漁獲高と、それから我が国の捕鯨漁業者の漁獲高ですね、それぞれ比較するとどれぐらいになりますか。
○説明員(今井忠君) お答えいたします。 計算のしようがいろいろございまして、アメリカの二百海里水域の中だけとか、または日米加三カ国で決めましたサケ・マスを含めるかどうかとか微妙な計算の方法がございますが、総じて出しますと、アメリカの二百海里水域の内で行っております日本の漁業の状況は、漁船の数が二日五十隻以上になりまして、漁獲量が百万トンを超えます。金額といたしまして一千億をかなり上回った状況ということになります。それに従事している直接従事者の数が一万数千人になろうというふうに推測されます。一方捕鯨業でございますが、捕鯨業につきましては捕獲の頭数ではなくて金額なんでございますが、金額は大体百三十億くらい、うち八十億見当が南氷洋捕鯨、五十億見当が日本近海ということになります。これに直接従事しておる漁業者、それからその会社の本社の従業員も含めまして千三百人くらい、ですから、総じていいますと、捕鯨の関係は一〇対一という感じになろうというところでございます。
○抜山映子君 結局日本政府としては、このような数字のバランスの観点から、日本の捕鯨に携わる漁業者を犠牲にしても米国二百海里内の漁業を確保する方に軍配を上げざるを得ないと、こういうことだろうと思うんですけれども、実際にはこの捕鯨に携わっている人がいきなりできないという事態になりますと、早速生活にかかわってくるだろうと想像されるわけです。その際の補償についてもやはり日本政府としてひとつ御考慮をいただきたいのでございますけれども、現在のところどのようなお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○説明員(今井忠君) 今御説明申し上げましたとおり、国といたしましては商業捕鯨全面禁止後二年間さらに商業捕鯨を継続するという合意を、商業捕鯨を継続しても、アメリカから北洋問題でトラブルが起きないという合意を取りつけまして、ただいまのところ商業捕鯨を二年続けるつもりでございます。さてその後でございますが、商業捕鯨を二年間続けた後はどうなるかと、当委員会でもいろいろ御討議いただきましたとおり、商業捕鯨が終えんするとしても、何らかの形で捕鯨が続けることができるようにということで、これから二年の間に万全の態勢をとっていきたいということで努力するということでございます。そういたしますと、二年後どういうことになるか、現実の話捕鯨業界の経営問題とか従事者の雇用問題が生ずるだろうということは避けられないと思います。このため水産庁といたしまして、経営、雇用対策につきましては、二年間の商業捕鯨をどの程度の規模で続けられるか、その後商業捕鯨以外の道について捕鯨の道のめどが立てられるかどうか、そういう状況をしっかり見据えまして、それからいたし方ない問題については、雇用問題について手厚い対策を立てたいというふうに考えているわけでございます。
○抜山映子君 それでは、在日外国人の指紋押捺の問題について私もお伺いしたいと思いますんですが、せっかく日韓の国交が回復されてから二十年という記念の年を迎え、全斗煥大統領が来日されて、日韓共同声明で在日韓国人の法的地位及び待遇の改善を図りましょうという趣旨も盛り込まれて声明が出された。こういう中でも日韓両国で今までにない友好的なムードが流れてき始めたさなかに、今回新聞に出ておりますような指紋押捺拒否者に対する逮捕が行われたということで、非常にまたそのムードが一遍に飛んでしまったというのは大変に残念に思われるわけでございます。指紋押捺ということは、やはり国際的に見ますと相互主義という観点がまず原則として考えられなければならないと思うのでございますけれども、日本と同様な指紋押捺制度をとっている国は現在どのようなものがございますでしょうか。
○説明員(川崎謙輔君) ヨーロッパ、アメリカ等四十九カ国につきまして私どもで調査いたしましたところ、日本と同様な在留外国人に対して指紋押捺制度をとっておる国は、アメリカ、韓国等二十四カ国、そのほかに全員に指紋押捺はしておりませんが、必要に応じて指紋を押捺させるという制度の国が九カ国、全部で三十三カ国ございました。
○抜山映子君 しかし、これを子細に検討しますと、先進国、英国なんかでは外国人登録証明書の登録カードに署名する際に、識別可能な署名のできない場合に押捺するという補完的なことになっておるわけですね。それから西ドイツなんかも身分または国籍に関して疑いのある場合には指紋押捺を強制できる。フランスは、有効な旅券またはこれにかわる証明書を所持せずに入国した外国人に対しては指紋押捺が要求される。いずれも補う形での指紋押捺という形をとっておるわけですね。それから先ほど、米国、韓国は同じようにとっておるということですが、米国の場合は、査証申請時に十指の指紋を押捺すると、ただし、米国民に対し査証申請時に指紋の押捺を要求しない国の国民は相互主義により免除されるという例外規定も入っておるわけです。それから、韓国の場合は、確かに居留申告を行う際に十指の指紋を押捺するんですけれども、これは韓国人も同様に、平等に押捺するということになっておるわけです。こういうようなことを考えますと、日本の指紋押捺制度はかなり厳し過ぎるのではないか、長期的に見れば、これをもう少し緩和していく方向に持っていくのがいいんじゃないかと思うわけですが、その点はいかがですか。
○説明員(川崎謙輔君) 現行指紋制度は、正確な外人登録制度を維持するために必要な制度であると考えておりますが、この問題につきましていろいろな御意見もございますし、昨年の日韓共同声明におきまして、在日韓国人の法的地位及び待遇について政府が引き続き努力すると総理が述べられた経緯もございますので、私どもといたしましては、このような問題について制度上、運用上各般の問題点について検討をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○抜山映子君 ひとつ縮減あるいは代替の方向で速やかに改善措置を考えていただきたいわけです。 このような相互主義の観点とはまたもう一つ別の視点も必要なわけですね。すなわち、在日韓国人の問題で、一九六五年、法的地位協定による協定永住者については、日本定住に至った経緯が非常に歴史的に被害者であるという特殊な面があるわけです。一九四一年、もう皆様御存じなんですけれども、太平洋戦争の開始に当たって国家総動員法が施行された。それに基づいて労務動員計画が発表されて、この計画に基づいて、三九年の内務、厚生両次官通牒朝鮮労務者内地移住に関する件、こういう通牒に従って強制連行が始まったわけです。当初の一九三九年から四一年のころは募集方式でまだよかったんですが、一九四二年から四三年になりますと、官あっせん方式になる。さらに進んで一九四四年から四五年については徴用方式だということで、これはもうその名のとおり強制連行で日本に百万人を超える人が引っ張られてきた。私も地元の民団の方ともお話しする機会を得まして、この実際の徴用式で連れてこられた人は、いきなり、畑を耕しておったところが、どやどやと日本の官憲ですか、取り囲まれて、そしてお父さん、お母さんと泣きながら引っ張られていったという体験者の話も聞きました。こういう方たちが日本の講和を機に国籍が変動してしまった。今や二世、三世が生まれて、この人たちは日本語を話すというよりも日本語しか話せない。こういう特殊な人たちに対しては、私は相互主義とかそういう問題と離れて特殊の地位を当然考慮するのが人道的でもあり、日本の一つの申しわけないという気持ちのあかしにもなるんではないかと思うんですが、その点はいかがでしょう。
○説明員(川崎謙輔君) 我が国に在留する外国人でございましても、在日韓国人につきましては、ただいまお話がございましたような在留川に至った経緯あるいは日韓地位協定の精神など、その法的地位あるいは待遇については十分尊重をしていかなければならないものと理解いたしております。
○抜山映子君 その理解に基づきまして、ひとつ前向きに検討をお願いしたいわけです。 予算委員会で我が党の中野寛成氏が質問したのに対しまして、この点については国民と外国人と二つに分けるというような観点から、もう一つの領域を設けることはまた同じ外国人で区別するという新たな問題を生じるじゃないかというような回答がございましたけれども、この点については、必ずしも人権の問題について国民と外国人を截然と二元的に分けてしまうのはかえっておかしいじゃないか、外国人の実態に合わせて多元的にとらえることが妥当ではないか、これは差別じゃなくて区別の問題であると、このように私理解しておるものです。したがいまして、ただいま前向きに検討していただけるという、そういう御回答を得て大変心強く思います。 ひとつ今後ともよろしくお願いいたしまして私の質問を終わります。
○立木洋君 最初に、捜索及び救助に関する国際条約でお尋ねしたいと思うんですが、この条約が一九七九年四月に採択されたときの国際会議には五十一カ国が参加していた。さらに、国際海事機関に加入している国の数から見ましても、現在まで署名している国が十四カ国、そして締約している国が十六カ国という状態が、何かこういかにも少ないんではないかという気がするんです。それから、ちょっと調べてみますと、世界的に見て、五百万総トン以上のいわゆる海洋国と言われている国でも署名も締約もしていない国も存在する。何かそこらあたりに問題があるのかどうなのか。今までの場合には、航海条約だとかそれから人命の安全条約だとかいうふうなことで対応してきたと。だから、それで事足れりとしているのか、あるいはそれらの国々は二国間で別途の条約がある、協定があるから特別に加入する必要がないと考えているのか、あるいはその他特別の何か事情があるのか、そこらあたりは一体どのようになっているんでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) ただいま立木先生御指摘のとおり、この条約が採択されたときには五十一カ国が会議に参加したわけでございます。それから今日に至るまで、国会の方にお出ししました説明書では十五カ国が批准書を寄託したと書いてございますが、私どものその後の調べでは、現在十六カ国になっております。ということで非常に少ないわけでございますが、やはり一つには、この条約を実施しますといろいろな義務を負うということでございまして、開発途上国等におきましてこの義務を現時点で果たして誠実に履行し得るかどうかということについて必ずしも確信が持てないという国があるわけでございます。それから、国内法制の整備の点でもまだ時間がかかるというようないろんな理由がございまして、批准書の寄託をしている国が現時点ではかなり限られておるわけでございますが、他方、この締約国の中には、主要海洋国のほかに開発途上国の中におきましても、アルゼンチン、チリ、ブラジル、アルジェリア、バルバドスというように開発途上国の中にも既に批准書を寄託している国がございますので、私どもといたしましては、この条約は本年の六月二十二日に発効するわけでございますが、その後加盟国の数もふえるのではないかというふうに期待しておりますし、また先ほど御議論いただきましたとおり、開発途上国の中で技術援助等によりまして救助能力を向上している国もあるわけでございますので、そういったいろいろな要素を勘案いたしますと、今後この条約に加入する国は徐々にふえるのではないかというふうに考えているわけでございます。もちろん、先生御指摘になりましたように、海上人命安全条約、それから公海条約におきまして、船長さんが遭難救助義務を負うとか、沿岸国が救助活動のためにいろいろ整備をするという規定はあるわけでございますけれども、やはり何と申しましてもこの海難救助国際条約によりまして、沿岸国が主としてやっていた救助活動の国際的な協力の輪を広げるということが主眼になっておりますので、時間はかかるかとは思いますけれども、やはりこの条約に加入する国の数は徐々にふえるというふうに期待もいたしておりますし、また日本といたしまして、開発途上国の中で技術協力等を希望する国があればいろいろ御支援していきたいというふうに考えているわけでございます。
○立木洋君 アメリカ、カナダそれからオーストラリア、こちらの側とは今後いろいろ協議をし合意を見出していくということになっていくんでしょうけれども、日本海や西側の方ですね、日本の西側、西南地域、こちらの側がまだ締約していないという国が大分あるわけですが、これは先ほどもちょっと御説明聞いていますと、ソ連の場合は三十一年の協定があって現在大した支障なく進行しているというふうな状態。だとすると、そのほか加盟していないこれらの日本海や西側の国々との間で、この協定に今入っていないためにとりわけ支障が生じているというふうな現実がどのようにあるのか。その点はどうなんですか。
○説明員(瀬崎克己君) もちろんこの条約は現実にまだ発効していないわけでございますが、この条約がないままに、先ほど申し上げましたように、海上人命安全条約であるとか、公海条約におきまして海難の場合には救助活動が行われるわけでございまして、実態的には海上保安庁におかれまして、各回、隣接国との実施機関とのお話し合いあるいは連絡業務等におきまして支障がないというふうに考えておるわけでございますけれども、他方この条約が発効いたしますと、やはり国際協力の基盤が強化されるということでございますので、それなりにこの条約の意義が十分あるわけでございます。 それから、隣接国でございますが、ソ連はこの条約に署名しておりますし、他方もう一つの隣接国でございます中国は署名をしておりますし、また今年じゅうに体制を整えまして批准するというふうに仄聞しております。
○立木洋君 それから、船位通報制度ですね、この制度というのは、相手国や相手の船舶からの通報というのを受動的に受けとめるだけなのか、あるいはそれとは別に主動的にこちらからもその船舶の位置や進路などを把握するというようなことの体制を持つ必要が生じるのかどうなのか。それはどうなんでしょう。
○説明員(茅根滋男君) 海上保安庁では、ことしの十月一日から船位通報制度を運用しようということで、今着々と準備をしておるわけでございますけれども、海上保安庁では、海上保安庁本庁にコンピューター本体を置きまして、それから各船から、船位通報制度の対象海域と申しますのが大体ざっと千二百海里から日本近海すべて含んでおりますけれども、この海域を航行いたします船であれば外国船であろうが、日本船であろうが、すべて任意に海上保安庁の通信所を呼び出していただいて、本船はこれからどこを出てどこに行きたい、それから一日に一回、例えば今本船はここにいてこっちの進路に向かって走っておる、速力は幾ら、医者は乗っているかいないか、そのようなことを受けまして、それをコンピューターでずっと追跡しておるというシステムであります。したがって、こちらから積極的に何か聞くというコンピューターのソフトウェアの組み立てにはなってございません。
○立木洋君 アメリカとの場合で先ほど来話が出ておりましたけれども千二百海里、これが捜索救助の区域になるだろうということが想定されているわけですね。そうすると、この捜索救助区域の中で生じる、つまり日本側としての責任はそこの区域の中で生じた遭難に対して捜索救助する責任を負うだけなのか。あるいは、その中に航行する船舶の把握という問題についても一定の責任を持つということになるのか。その責任は全くないということで理解していいのか。それはどうなんです。
○説明員(茅根滋男君) 条約上はこの捜索救助区域の中で適切な捜索救助行為を行う。これは何も自分の海上保安庁の直接の勢力でやることのみを含んでおりませんで、付近航行船舶の動静を把握して一番近い船を差し向ける。要するに、コーディネート、救助調整という責任を有するわけでございまして、したがってその海難救助行為を適切にやるために一つの補助手段として、アメリカがずっと昭和三十三年から続けておりますアンバー、船位通報制度でございますが、これと似たようなものを各国に、ひとつ皆さん御採用になったらいかがでしょうかという勧告をしておる。日本もこの条約の勧告に従いまして、適切な捜索救助業務をコーディネートするためにこの船位通報制度をこの十月から導入しようということで、四カ年かけて準備を進めてきた、こういう状況でございます。
○立木洋君 そういうことになると、もちろんこれは全部の船舶を把握するということではないにしても、先ほど来いろいろ疑惑というか、質問がなされておりましたように、シーレーン防衛とかいう関係で、海上保安庁と防衛庁との関係というのはそれは密接な関係にあるという、場合によってはそういうことが規定されているわけですから、そうした場合にどうしてもそういう自衛隊の行う警戒態勢のシステムに組み込まれる危険性があるんではないかというやはり懸念が生じるようなことがあるんで、その点は海上保安庁の法律によりましても二十五条があるわけですから、それはしっかりその点は区別して、そういう疑惑の生じることがないように今後注意していただきたいということを、私も念のために申し上げておきたいと思うんです。 それで次に、SDIの問題でボン・サミットに出発される前に大臣に若干お尋ねしていることがありますので、そのこととの関連でちょっとお尋ねしたいんですが、今回サミットで、先ほど若干御説明がありましたけれども、日米首脳会談でレーガン大統領に中曽根首相は五条件を提示したというわけですが、この五条件というのはどういう意味合いを持って、何のためにこの五条件を提示したのか。その意味をちょっと御説明いただきたいんですが。
○政府委員(栗山尚一君) いわゆる五条件と、あるいは五原則とか五条件ということで報ぜられたものは、具体的にはソ連に対する一方的優位を追求するものではない、それから西側全体の抑止力の一部としてその維持強化に資する、それから攻撃核兵器の大幅削減を目指す、ABM条約に違反しない、開発配備については同名国との協議、それからソ連との交渉が先行すべきである、この五つの点でございますが、これらの点は委員御承知のように、アメリカがSDI構想の基本的な考え方として従来からいろいろな機会に明らかにしてきており、典型的なケースではサッチャー首相が訪米しましたときに、昨年末でございますが、サッチャー首相がアメリカとの間で合意して出しましたステートメントの中でも、表現等若干異なりますが、こういった点が盛り込まれておると、そういう背景を踏まえまして、総理の方からSDIの構想についてアメリカが研究を進めていくという上で、SDIの基本的な考え方について日本としても重要であるというふうに考えている諸点をいわば整理をして、レーガン大統領との間にこれを確認した、そういう経緯であるというふうに承知をいたしております。
○立木洋君 大臣、これは出発前に私も確認したんですけれどもね、このSDIの問題については日本国憲法とそれから国会決議、それから国是である非核三原則、これが判断の基準だというふうに言われたわけですね。この判断の基準だと言われて提示されていた憲法や、それから国是と言われる非核三原則や国会決議とこの五条件なるものは一体どんな関係になるんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いや、これは総理がレーガンさんと話をする前に、今局長が言っているように整理してやったんで、整理してこれを確認し合ったんですが、日本が最終的にSDIに対してどういう態度をとるかというのは日本の憲法だとかあるいは日本の基本原則、もちろんそういうものを踏まえて自主的にやる、こういうことですから、別にこの問題と直接関連があるということではありません。
○立木洋君 そこがどうも納得できないんですけれどもね。例えばここで今栗山さんの言われた今の五条件のうちの例えば最初にソ連に対する一方的優位を追求するものではない、あるいは西側全体の抑止力の一部としてその維持強化に資することだというふうな条件を見てみますと、これは宇宙の軍事化が前提となっているということなんですよね、既に問題は。宇宙の軍事化をしてはいけないということじゃないんですよ。しかし、日本の場合の国会決議というのは、宇宙の軍事化をしないということなんですよ。だから、日本の国としてSDIにかかわる問題で提示するならば、少なくとも憲法や国会決議や非核三原則の立場から日本としての考え方はこうですよという提示が当然なされてしかるべきだ。そうではなくて、宇宙での軍事化が容認されることが前提とされた内容を提示するというのは、いかにも日本の憲法や非核三原則や国会決議の立場から見てどうしても理解できないんですが、外務大臣どうでしょう。
○政府委員(栗山尚一君) SDIの研究に対して日本がどういう立場をとるかということにつきましては、まさに委員おっしゃるとおりに我が国自身のいろいろな立場というものを踏まえて検討し、慎重に判断をする、こういうことだろうと思います。総理がレーガン大統領との間に確認された幾つかの要素というものは、これはもともと政府といたしましてアメリカがSDIの研究を行っていくことを理解する。理解するという背景にはどういう要素があるか、どういう要素を日本としては重要と考えて理解を示しておるかと、こういう点について、もちろん前提といたしましては従来から総理あるいは大臣が繰り返し申し上げておりますように、日本政府としてはこれが非核の防御兵器であり、かつ究極的には核兵器の廃絶を目指すものである、そういう点があるわけでございますが、同時に今申し上げたようなもろもろの五つばかりに整理をされた要素というものがやはり重要な要素であろう。そういうものが、日本政府がアメリカが研究を行っていくことに対してこれを理解すると言ったことの背景にあるのであると、こういうお考えで総理がレーガン大統領との間に確認をされた、こういうふうに理解をいたしておりますので、委員御指摘の日本政府の、憲法その他についての立場を踏まえて慎重に対応するということとは必ずしもと申しますか、何ら矛盾するものではないというふうに私ども理解をいたしております。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今の局長の答弁のとおりです。
○立木洋君 私は、少なくとも今栗山さんの言われたようなことであるならば、いわゆる核ではない、完全にこれは防御的なものである、それでこれは核廃絶に導くものであるということを再度確認するということを述べるならば、これは今までの経緯から見てそういうこともあり得るかなあとは、それは考える人もいるかもしれませんね。ところが、そうではなくてこの五条件というのは全く違ったことなんですよ。新しい提示なんですよ。これはアメリカ側が言っていることをまとめて述べたようなものなんですよね。そういうふうなことをなぜこの時期に述べる必要があったのか。出発前には理解以上には進めることはいたしません、これ以上には進まないでしょうといって私はわざわざ安倍さんにも強くお願いをして、中曽根さんはちょっと進むところがありますからブレーキをかけてくださいよとまで私は言ったんです。ところが、この五条件というのは全くそういう条件とは違う宇宙の軍事化を前提として認める内容を述べているわけでしょう、これは。だから、アメリカは全く賛成だというのはこれは決まり切っている話ですよ。だから、私はこういう五条件はなぜ言う必要があったのか、言う必要は全くなかったんじゃないか。だから、ヨーロッパのいろいろな新聞を見てみますと、日本はさらに一歩進んで支持を表明したんではないかというふうに報道される新聞まで出てきているわけですね。そういうますます誤解を生じるというか、政府に言わせるならばそれは誤解だというならばそういうふうな事態にならないようにより慎重な態度をとるべきではなかったかと思うんですけれども、大臣いかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは総理が整理して言ったんでしょうからね。これ以上のものではないだろうと思いますし、アメリカももう既にこういうことを述べておるわけですし、日本の基本的な考え方は、レーガンさんが言ったこと、これは非核である、防御的であると、そういう核廃絶につながるということを大前提としての理解を示しているわけで、これから私は進んでいるとは思いませんですね。ですから、この大枠というのはあるわけですから、私は、総理はまた記者会見においても理解の域を出ていないということをはっきり言っておりますし、やはり出したからといってこれで理解の範囲をさらに超えたということじゃないと思います。これは総理大臣みずからも認めているわけですから。
○立木洋君 中曽根さんは時々外国からお帰りになって違ったことを言われるから、だから外務大臣、その点もう一遍念を押しておきたいわけですが、そうするとこの五条件を提示したということは研究参加のために、あるいは支持をさらに表明するための布石的なものでは 一切ないというふうに断言していただけますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私が整理したわけじゃないんですから、中曽根総理大臣が整理をしたわけですけれども、しかし総理大臣みずからも理解を超えるものじゃないということを言い切っておりますから、私もそれをそのとおり理解をしております。
○立木洋君 それからきのうのある新聞で、御承知のように「SDI研究 米が対日協力要請」ということで、十四日にエイブラハムソン戦略防衛構想局長が述べておる。SDI研究で日本に対してコンピューター、光電子工学、レーザー光線の技術の協力を要請する意向を明らかにした。この問題については「日本のレーザー技術を高く評価した。また日本とは政府レベルの取り決めが原則だとしながらも、民間レベルでの協力もあり得ると示唆した。」こういうふうに述べられていますが、この内容は間違いございませんか。
○政府委員(栗山尚一君) エイブラハムソンの述べたことについての新聞報道は承知しておりますが、私どもとして具体的にどういう文脈でどういうふうにエイブラハムソンが言ったかについてはいまだ承知しておりません。他方はっきり申し上げられますことは、先般御承知のようにアメリカの専門家チームが参りまして、私どもに対してアメリカの考え方をいろいろ説明をする機会がございましたが、その際の先方の説明、それからこちら側からの質問に対する先方の回答、そのいずれにおきましてもアメリカ側は現在具体的にこうこうこういう分野で日本の協力を期待したい、あるいは要請したいというようなことは具体的に考えていない。あくまでもアメリカ側の立場はこういう技術がアメリカの研究の対象事項であって、その中で日本が関心があるものがあればそれを日本の方から自主的な判断で示してほしい。こういうのがアメリカの基本的な考え方であるということを申しておりましたので、それ以上のことにつきましては私どもとしては承知をいたしておりません。
○立木洋君 この間の四月の二十五日ですね、同僚議員がこの問題で幾つかの分野に分けて詳しくお尋ねをしたわけですね。このSDIの問題に関して、例えば「追尾、追跡、探知、この分野ならば、仮に近い将来に日本企業が汎用技術をひっ提げて研究に参加することには何らの妨げもないというふうにお考えですか。」という秦議員の質問に対して、あなたがお答えになっているのは、「技術の供与ということで、もし汎用技術であればそれに対する規制は原則として現行制度上存在しない、それだけは申し上げられると思います」ということになると、つまりこの民間レベルでの協力ということがこういうものであるならば、それは何ら問題にはならない、それは進められても結構であるというのが日本政府の考え方であるというふうにまで言い切っていいわけですか。
○政府委員(栗山尚一君) 私が申し上げましたことは、結構であるとか結構でないとかいう政府としての価値判断ではございませんで、現行制度上そういう面については、汎用牧術については基本的に規制がありませんから、そういう状況のもとで商業ベースで汎用技術の移転がアメリカに対して行われるということは、これは、それが仮に軍事的な分野でありましょうとも、そういう移転というものは可能であり、制度上そういう道が開かれておる、こういう現状の制度の問題として御説明申し上げた次第でございます。
○立木洋君 それで大臣、そういうことになると、政府としては今のところ支持するとは言っていないけれども、これもこの間問題になったところですけれども、事実上こういうSDIの全体系の、それが汎用技術であるかその部分であるかどうかというようなことは問題がまたいろいろありますけれども、民間レベルでそれに技術協力を行うということについて、政府としてはそれをチェックするということはしない、それが事実上行われていても、それは現行制度上問題に、妨げにはならないというふうに考えておられるわけですね、大臣も。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今局長が答弁しましたように、汎用技術である限りにおいては、これは一般論として、これをチェックするという、そういう立場には日本はないわけです、日本政府としてはないわけですね。これは今までも、日本からあるいはアメリカの軍事兵器等について汎用技術が応用されるということは私はあり得たんじゃないかと思いますが、そこまでチェックするというのは日本の今の制度においてはない、こういうことです。
○立木洋君 新聞の報道によりますと、ニューヨークの国連総会で九月、サミット参加七カ国の外相会議が開かれるので、この席上でSDIについての日本の対応を表明するのではないだろうかというふうなことが報道されていますが、そういうふうな見通しというか、お考えというか、そういうものはお待ちなんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだそこまでは考えておりません。
○立木洋君 これは再度、繰り返しになりますけれども、ボン・サミットに出発する前に私が外相に主張しましたように、これは日本国の憲法、国会決議、非核三原則の立場から見て、事実上やはりそういう宇宙での危険な新たな兵器体系をつくるのに、民間であっても現行法では束縛されないからやむを得ないみたいな対応では私は困ると思うんですよ。宇宙の軍事化に対して国会決議でのそういうことがある限り、これに対してはそういうことにならないようにやはりきちっと対応していくということが私は重要ではないか。だから、そういうことを改めて強く要望して、あくまでも慎重に対応していただきたいし、政府としてどう共鳴するかということにかかわりなく、日本の民間レベルの技術がこの宇宙の新しい危険な兵器の開発で軍拡を進める、そういう事態に応用されるというようなことになればこれは危険ですから、その点を厳に再度申し述べておきたいわけですが、大臣の所見をちょっと伺っておきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) あくまでも日本としましては、このSDIの研究参加の問題については慎重に自主的に判断をして決めたい、こういう姿勢であります。
○立木洋君 それからもう一つ、大臣がサミットでシュルツ長官と会ってお話をされたときに、ニカラグアの問題で理解を示されたという話がありました。帰国後、国会での御答弁の中では、これはその経過と事情に理解を示したのであって、アメリカの措置に支持を表明したものではないというふうは述べられているわけですが、この理解を示された経過と事情というのは大臣はどういうふうに御判断になっているのか、ちょっとお聞かせをいただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは今おっしゃるとおりで、アメリカのニカラグア政策、経済措置ですね、これを支持したということではない。この経済措置をとるに至ったこれまでのアメリカのいろいろの経緯だとかあるいは背景だとか、そういう点はシュルツさんからも説明を受けましたし、その点についてはわかる。しかし、日本としてはあくまでもコンタドーラグループのイニシアチブを支持して、これによって平和的解決が行われることを日本は期待をし、念願をしているんだ、これが日本の基本政策だ、こういうことを言っているわけです。ですから、理解を示したというのが何か誤り伝えられておりますが、アメリカの経済措置そのものについて理解を示した、支持をした、こういうことじゃないわけです。
○立木洋君 私もニカラグアに行ってきまして、向こうのいろいろ事情も聞いたんで、私は、その経過と事情に理解を示したという場合には、ニカラグアが博かれている現状だとかそういう面にまで十分に御検討いただいてやっぱり発言なさるべきではなかっただろうか。あそこの場合、ニカラグアがアメリカにとって脅威を与えているのかどうかというと、あそこは三百万足らず、三百万そこそこですか、横浜市ぐらいの人口ですね。そしてGNPを見たって、アメリカの千二百分の一でしょう。全くこんな小さな国があんな大国に脅威を与えるなんていうようなこともない。この間、話を私は聞いてきましたけれども、あそこが受けている国際的な援助、協力というのは、一番多く受けているのは、三分の二までがいわゆる第三世界なんですよ。そして、西ヨーロッパの資本主義国から受けている金額の方がソ連を含む社会主義国から受けている援助の額より多いんですよ。ソ連とキューバが全部あそこに力を注ぎ込んで何か脅威をつくり出しているみたいに言われますけれども、そうではなくて、フランスを初めああいう西ヨーロッパの資本主義国の方が総額としては金額が多い。現実に、昨年の十一月にやられた選挙だって、一部ボイコットした党があったにしても、そのボイコットした党も自分で新聞を出して堂々と批判が展開できる。全部で七つの党が争ったわけですけれども、そのうち六つがすべてこれは野党なんですよね。そして、あそこはテレビの放送も、与党が一時間やれば野党六党とも全部一時間ずつやる。だから、ヨーロッパからあそこの選挙の視察に行った数百人の人々は、非常に民主的にやられた選挙だと。そこでやられた投票率というのが七五%でしょう。そしてサンディニスタ民族解放戦線が得た得票が六七%なんですよね。だから独裁的なそういうものではない。アメリカのこの間のレーガン大統領の選挙でも、投票率は五三%でレーガンの占めた比率というのは五八%ですからね。やはりそういう全体的な経過を見てみて経過と事情に理解を示すという発言をなさるべきではなかっただろうか。ですから、結局、このニカラグアの制裁の問題が、ボンに行ってからレーガン大統領が述べられて、できるだけ支持と理解を得ようとしたけれども、ボンのサミットでは御承知のような状態ですし、それからこの間の、去る七日ですか、非同盟諸国百一カ国がこれに対して批判的な態度表明をされている。そして、昨日でしたか、十四日でしたか行われた中南米経済機構、ベネズエラで開かれた問題についても、ニカラグアに対する禁輸を撤回するように求めて、やっぱりニカラグアに対する協力をすべきだ——どこか、エルサルバドルだけですか、何かアメリカの禁輸措置に好意的な態度を表明した。ですから、この、理解を表明するということは、非常にやっぱり誤解を生じるといいますか、そういう支持を表明したものでないというふうに述べられるならば、いわゆるあなたの話は聞きましたということだけでも、これはいいわけで、あなたの話に理解を表明したということになると、これは日本語の語感からしても外国人が受ける内容からしてもやはり誤解を生じる危険性がある。そういう意味では私はニカラグアの問題に関しては、今ニカラグアに対する援助だとか、経済的な体制等々についてはこの間大幅に低下してきておりますし、もう一遍よく検討し直していただきたいということを、最後に大臣の御所見を、その点で伺っておきたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本のニカラグアに対する基本的な政策というのはちっとも変わってないわけでして、私がシュルツさんに会う前も会った後も変わってないわけですから。日本はコンタドーラグループのイニシアチブを支持して、平和解決を求めるというのが日本の基本姿勢で、これは終始一貫今日といえども変わってないわけです。アメリカの経済措置というのがどういうことですかね、シュルツさんからも説明を聞きましたけれども、どの程度シュルツさんもこれが大きな効果があるというふうなことを言っておられるわけじゃないわけですね。アメリカとニカラグア二国間の問題として各国に支持を求めないで、アメリカ自体の権限の範囲内でやっておることだと、こういうことですし、果たしてこれが国際法違反だとかなんとかというようなことにつながっていくとも私は思いませんし、二国間の問題でこちらがとやかく言う筋合いはありませんし、そうした背景について、あるいはまた経緯については、それはそれなりの理由があると思うし、それはアメリカの言い分としてはそれは理解できる、背景については。しかし日本は、ただそれを支持するということじゃなくて、支持しているのはコンタドーラのイニシアチブを支持しているんだと、こういうことですから、私は今おっしゃるように、何か日本のニカラグアに対する政策が変わったような印象を立木さんの話なら与えるわけですが、それはないです。全く変わってないわけです。
○立木洋君 もう時間が来ましたから、次の機会にこの点については大臣にまた重ねてお尋ねすることにします。
○秦豊君 最初に海上保安庁にSAR条約に関連して一問だけ伺っておきますけれども、あなた方の現状を見ますと、広域哨戒体制を全うするというにしては、例えば現状の一万二千六十一名、巡視船艇、特殊救難艇等合わせても四百十一隻、ヘリを含めた航空機が八十一機というのでは相当以上に不備ではないかと思われてならない。 そこで、今後の海上保安庁としての体制整備の重点ですね、あるいは優先順位ですね、これをこの際伺っておきたい。
○政府委員(岡田專治君) 御案内のように、財政的な非常に苦しい国全体の現状にありまして、私どもも船艇勢力、あるいは航空機勢力の増強の必要性は感じながらも、しかしそのやり方につきましてはやはりバランスのとれた、かつ運用の妙を展開していく、そのようなハードのみならずソフトも含めた総合的な勢力の増強を図っていかなければならない、かように考えておるところでございますが、具体的にはやはりヘリコプター搭載型巡視船と基地航空機の連携プレー、さらにこれに通常型の巡視船等をいかにシステム的にうまく結合させていくか。さらにこの際に新しい与件としては、船位通報制度が今年後半からは活動いたしますので、これによりましてまた海難救助についてももう一つ効率がよくなる与件が与えられたものと、こういうふうに考えております。 〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕
○秦豊君 あなたの答弁の後半にありました基地航空機との連携プレー、これは非常に妥当な常識的な措置だと思うんだが、例えば硫黄島ですね、小笠原、南鳥島はちょっと滑走路は難があると思うんだが、そういう三つの島への常駐体制等は考えていらっしゃるんですか。
○政府委員(岡田專治君) 私どももそのようなアイデアが念頭になかったわけではございませんが、御指摘ではございますけれども、やはり現状におきましては補給の問題を考えますと必ずしも効率的ではないのではないかということで、なお検討を要する課題だ、かように考えております。
○秦豊君 今から私があなたに申し上げることは、つまり海上保安庁に申し上げることは、私並びに私たちの提案というふうにぜひ受けとめてもらいたい事項なんです。今度のSAR条約によって締約国が救助調整本部を設置したり救助隊を指定するということが義務になるわけですね。日本としては、海上保安庁の巡視船と航空機を救助隊に指定する予定である、こうなっておりますね。 そこで、海上保安庁も恐らく仄聞はされているのではないかと思うんだけれども、既に二年半にわたって衆参両院に飛行船の未来を考える議員の会というのがありまして、山口先生もそれから夏目先生も、八百板先生も、不肖秦豊も、外務委員会に限定しても四名、衆参両院を貫くと六十二名いらして、何とたまたま竹下大蔵大臣、村田通産大臣、藤波官房長官、なかなか体制がいいんですよね。元閣僚も八名、こういう有力な議員連盟が現実に存在して機能しているわけだ。そこで田村会長は元運輸大臣という観点で、海難救助や広域哨戒警戒体制の手段として飛行船の導入を検討してみてはどうかというのを二代前の保安庁長官にも提言したことがある。しかし、あなたの答弁じゃないが、予算がタイトでございましてというふうなことでもたついたままになっていると思う。 今、この飛行船というのは、少しキャンペーンを行うと、かつてのヒンデンブルクのイメージはまさに古典的であって、今はヘリウムという不燃性の有力なガスによって安全性は一二〇%である。しかも無公害長時間哨戒に耐え得て、強風の中で行動可能なことはヨットの原理に共通する。今、現実に日本でも一千時間の安全運航をしている日航の系列会社が現実に存在して、明年からはより大きい例えばイギリスからスカイシップ600というふうな二十四名を輸送できる大型飛行船の導入が予定されている。とにかくこれは広域の海流調査、広域哨戒、広域警戒等二十数時間の飛行が優に可能ですし、ヘリウムの空中給油が可能なわけです。空中給油というのは、給油船を一定の海域に置いておいて、無電で連絡をして、ドッキングをしてガスを補給する、こういうことも可能ですから、まさに一千二百海里、扇形海面の広域哨戒には私はかなり有力な手段ではないかと思う。 そこで、これは我々も強力にかつ執拗に応援をするから、とにかくそんな話は全然関心がないというふうなそういう答弁や姿勢ではさらさらなく、少なくとも明年度予算には調査費の頭を出すぐらいの熱意を、関心を、知的関心をないし行政的関心をこの際持ってもらいたいと私は、いや私たちは考えているんだけれども、保安庁どうですか。
○政府委員(岡田專治君) 飛行船につきましてはおっしゃいますようなメリットもございますし、また別に多々いろいろ問題点も実はあるわけでございますけれども、私どもも決してヘリコプターや航空機だけというふうに頭を固くする必要は毛頭ないものと考えております。 〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕 ただ、なおなおこれは検討を要する問題が多くありますので、ただいま知的関心ということをおっしゃいましたが、知的関心につきましては十分持っておるわけでございますが、行政的関心にまで高められる状況に今達し得ることができるかどうかなお努力をしてみたいと思っております。
○秦豊君 大体あなた方はそういう答弁に浸り切り過ぎていかぬなあ。大体、アメリカでもイギリスでも、それからソビエトはシベリア開発に使っている、百トンぐらいの荷物を。現実にもう実用化段階に入っている。もちろん一部対潜哨戒、ASWに使っているから、そういうきな臭い点は我が国は無縁なんだから大胆に発想し大胆に検討し、柔軟に取り入れる、こういう姿勢があったってちっとも構わない。だから、検討という日本語を余り使い過ぎちゃいけない。やっぱり調査する、調べてみますというふうな答弁を期待していたんだが、この時点で無理としても、ひとつ調べてみるというお気持ちはおありですかな。
○政府委員(岡田專治君) 大変貴重な御意見を承りましたので、なお調べてみることも含めまして検討をいたしたいと思っております。
○秦豊君 まあいいでしょう。これは今後我々議員連盟として強力にひとついい意味のアテンドをしてみたいと思います。 関連しまして海上保安庁、この間の第七十一日東丸の沈没原因、こういう質問をすると、調査が継続中です、未完ですという答弁が判で押したようにあるんだけれども、最近になりまして、これは日本人以外を含めて在京の軍事筋、これは三、四カ国の在京軍事筋なんですがね、日東丸の沈没原因がどうも不可解であると。周辺海域の気象状況はなぎの状態であり、風も強くない、乗員の証言だと網の部分に異常があって、左に旋回中に引き込まれるように没したと、こういう証言は既に行われているわけであります。しかも、潜水艦と操業中の漁船との事故というのは、これは荒唐無稽じゃなくて、五十一年九月は対馬海峡だし、同年十月にはカムチャッカ西岸沖合いで漁網をソ連潜水艦が引っかけて沈没に絡んだ事故が起こっている。これは必ずしも荒唐無稽でない。あの間の沈没原因等を考えると、潜水艦が網を引きずった、その圧力によって、衝撃によって沈没に結びついたという見方は私はあり得る原因の有力な一つではないかとさえ考えていますけれども、保安庁どういう意見を持っていますか。
○政府委員(岡田專治君) おっしゃいますような可能性というものは全く皆無ではございませんけれども、ただ、当該日東丸のあの件につきましては、私どもの方で日東丸が使用していた網とかあるいはそれを曳航するロープとか、そのようなものを揚収できております。これらのものを検分いたしたところでは、いわゆる潜水艦等そういうようなものと接触したという痕跡は全く認められておりませんので、この日東丸のケースにつきましては潜水艦の衝突の蓋然性はないというふうに……
○秦豊君 引っ張った蓋然性もないと。
○政府委員(岡田專治君) ないと、かように考えております。
○秦豊君 じゃ有力な原因としては、今どの辺まで調査が進んでいますか。
○政府委員(岡田專治君) これはまさにこれから、今市民病院に入っておるわけでございまして、生存の方々がまだまだ十六日間のいわゆる大変極限状態におけるショックから心身ともに必ずしも回復したものとは思われません。順次この回復を待ちまして、よくお話を伺って、まず幸い生きて帰った人があるわけですから、その状況をつかむことから着手して、何とか事件の全容に迫りたいと考えております。
○秦豊君 事は人命、健康、人道に関しますから無理なペースは私も期待しません。厳密で正確であればいいと思う。だけれども少なくとも回復を待って、今五月中旬ですけれども、こういう海難事故の原因究明の場合に、私はやっぱり一月とか二月、さまざまありますが、今回は単独の船による事故であって船団ではない。そういう意味で、一月以内には何らかの中間報告ができるくらいには煮詰まりそうですか。
○政府委員(岡田專治君) 一月以内とか、そのようなことを今断定的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、この事件の社会的な影響等を考えますとできるだけ近い時期に何らかのまとめをしてみたいと、かように考えております。
○秦豊君 外務省に伺っておきたいんですが、アメリカからの例の第二次のグループ、これはちょっと間遠になって先に延びたような印象があるんだけれども、いつごろの予定になっているんですか、今、SDI。
○政府委員(栗山尚一君) 第一回のチームが参りまして説明を受けた内容につきましてまだ関係省庁との間に十分そしゃくができておりませんので、したがいまして第二回あるいは今後のアメリカ側との本件に関します話し合いと申しますか説明と申しますか、そういうものにつきましては現在のところまだ具体的な計画を持ち合わせておりません。
○秦豊君 じゃ秋の国連総会ぐらいまでは、そういう調査を含めた、説明を含めたアプローチはないんですね、接触は。
○政府委員(栗山尚一君) いや、必ずしもそういうことではございませんで、先ほど申し上げましたような関係省庁との間で十分検討いたしました結果を踏まえまして、必要に応じてアメリカ側とまた第二ラウンドの意見交換と申しますか、さらなる説明というものを聞くということは基本的には考えておりますが、何月にどうというところまで詰めて考えてはおらないということでございます。
○秦豊君 各省庁のまとめ、これは大体スケジュールがあるんでしょう。いつごろ第一回の説明の解析を終えられる予定ですか。
○政府委員(栗山尚一君) これは早急に行いたいと思います。
○秦豊君 私が九月と言ったのは、たまたま一つのタイミングを言ったんだけれども、じゃ夏を含めて、この国会は六月二十五日に終わりますが、終了後から夏にかけてやっぱりあり得ると、第二次の。これはそう考えてもそう間違いじゃないでしょう。
○政府委員(栗山尚一君) その可能性も含めて考えております。
○秦豊君 今度は何が重点です。
○政府委員(栗山尚一君) 先ほど申し上げましたように、関係省庁との検討を十分まだ行っておりませんので、何についてということまで具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○秦豊君 じゃ今度の第二次説明グループ、SDI関連、それで終わりですか。
○政府委員(栗山尚一君) 今後どういう段取りになるかということを今の段階で予測はちょっといたしかねるというふうに考えております。
○秦豊君 じゃ日本から逆にアメリカに特定の調査チームを派遣する、こういうことは選択肢としてはあり得るんですか。
○政府委員(栗山尚一君) 向こうから来てもらう場合、こちらから行く場合、両方の可能性はあると思います。今別に特に具体的に考えておりません。
○秦豊君 それはそのようにいたしましょう。 それから、さっきから同僚議員も言っているが、私は四月の早い段階の当委員会でもっと詳しいデータを挙げてアメリカが期待しているであろう技術分野を具体的に述べてきたわけです。報道は報道として、エイブラハムソンSDI席長が挙げた三つの分野というのはこれは常識的なんですよね。大体こういう分野じゃないんですか、北米局長。
○政府委員(栗山尚一君) 常識論というのはあると思います。しかし、先ほどの立木委員の御質問だったと思いますが、私お答えいたしましたように、先般来日しましたチームとの意見交換の際には、先方は極めてはっきりと、アメリカの方から具体的にこういう分野について日本に対して協力を求めるというようなことは今の段階では考えていない、あくまでも日本が判断をしてもらいたい、こういうことであるというふうに申しております。
○秦豊君 それから北米局長ね、これちょっと確認さしてもらいましょう。これは五月十一日の毎日新聞朝刊じゃないかと思ったんですが、ちょっとこれはあれしたんだが、あなた衆議院の外務委員会で共産党の岡崎議員に対して、いわゆるSDIへの研究参加問題に関連し、システムの一部に核爆発を利用したエックス線レーザー兵器が含まれていても、その研究に我が国が参加しても問題はないというふうに、こんなどきっとするようなことを答弁されたんですか。これは本当ですか。
○政府委員(栗山尚一君) 外務委員会での岡崎委員の御質問に対する私の答弁、正確な表現は必ずしも私自身記憶をしておりませんし、議事録をまだ持ち合わせるに至っておりませんので、私の記憶によって申し上げるよりないわけでございますけれども、私が申し上げました趣旨は、もちろん研究参加に対する日本政府の態度というものはまだ決まっていないということでございまして、その前提のもとでエックス線レーザー兵器についての種々の御質問がありましたので、そういうエックス線レーザー兵器以外の分野について研究に参加をするか否かということを考える場合に、エックス線レーザー兵器というものが核爆発を利用するものであるという、そういう要素を判断の基準として取り入れるという必要はないであろう。そういう意味で問題はないであろうということを御答弁申し上げたつもりでございます。
○秦豊君 外務省、あなた方今いろいろ考えているわけなんだけれども、僕は安倍外務大臣の姿勢は基本的に共感しているんですが、中曽根さんはピッチが速いんだ、アレグロなんだね。外務大臣はアンダンテだ。だから、SDIについて、それでいいと思う。今後ともそのペースで貫いてもらいたい。これは僕の持論なんです。 そこで、外務省が今一番こだわっているというか、一番問題にしているのは、SDIの研究参加を考える場合に、これは十年間放置していい問題ではないようだから、あなた方の価値観の中には。そうすると、仮に考える場合に、ABM条約とSDI、あるいはSDIの共同研究、この辺が一番難物、難しい問題点だというふうにお考えなんですか。
○政府委員(栗山尚一君) 御質問の趣旨が必ずしも私理解をいたさないわけでありますが、基本的にはABM条約のもとでSDI関連の研究というものは条約上許容されておるというふうに理解をいたしておりますので、そういう関連では特に問題はないのではないかというふうに考えております。
○秦豊君 その辺はかなり見解が違うんだけれども、条約局長、ABM条約の同意条項(D)というのはどういうふうに理解していますか。
○政府委員(小和田恒君) 合意声明の(D)というのはここに書いてあるとおりでございますけれども、結局ABM条約の第三条で、特定のABMシステム及びその構成部分の配備について例外を設けてそれが許される。しかし、それ以外のものは配備しない。こういう義務が課せられているわけでございます。その義務の履行との関連において、それとは別な物理原則に基づくシステムが将来つくられるようなことがあった場合には、それは条約の第十三条あるいは第十四条に従って協議の対象になるということを規定しているわけでございまして、私は、委員の御質問の趣旨が必ずしもよくわかりませんけれども……
○秦豊君 これから言いますよ。
○政府委員(小和田恒君) (D)の内容だけについて申し上げれば、今申し上げたようなことでございます。
○秦豊君 そこの今の解釈を外さないでもらいたいんですが、まさに同意条項(D)は、あなた自身の表現をかりると、これにかわる他の物理的原則、原理に基づくものができる、ないしつくられた場合はと、これ確かにそのとおりなんです。SDIシステムというのはまさにそれなんですよ。これそのものなんです。だから、私のABM条約の理解では、十三条による常設の協議委員会でこれを協議し、十四条による条項を発動して、米ソ両国は交渉のテーブルに着いて、少なくともABM条約の修正かあるいは同意条項(D)の補足、これを終えていなければ私はSDIシステムの研究はできないというのが私の持論、見解なんです。あなたはどうお考えですか。
○政府委員(小和田恒君) これは従来から申し上げていることでございますけれども、日本政府もそうでございますし、また、アメリカ合衆国政府自身も認めておると私は承知しておりますが、SDIの問題は、配備ということになってくれば当然ソ連側との話し合いが必要になるであろう、こういう理解に立っているわけでございます。 先ほど言及のありました合意事項の(D)というのは、さっき私が申し上げましたように、条約の第三条との関連におきまして、条約の第三条が特定のもの以外については配備をしないという義務がございます。配備をしない義務との関係においてこういう協議条項が設けられているということでございますので、私どもといたしましては、アメリカはABM条約の枠内において研究を進めておる、ABM条約に違反しないものとしてのSDIの研究を進めておる、こういうふうに理解をしているわけでございます。
○秦豊君 これは、今度たっぷり一般をやる時間が必ず来ると思うので、それでSDIちょっとまとめてやりましょう。残り時間にしてはなじまないからあえて先送りいたしますが、外務大臣、ちょっとこれ確認さしてください。 衆議院の五月十日の外務委員会で安倍外務大臣の答弁とされているものですが、SDIの研究に参加をすれば常識的には支持につながるだろう、こういうことを答弁されたようですが、さっきも同僚議員が申しておられましたが、私は安倍外務大臣には政府の対応としてはまず何よりもゆっくりするということ、これを基本として今後とも理解という一線を超えることはもうあり得ない。これが安倍外交の少なくともこの一両年にわたる原則、方針だというふうに私は理解したいんですが、どうでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 急がせないでいただきたいんですがね。ゆっくりやらなければならぬと思いますが……
○秦豊君 それはスローペースは共有しましょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) スローペースでやりますけれども、しかしそれは非常に大事な問題ですから、今理解にとどめておるわけです。これからどうなるかというのは、これからの日本の自主的な立場での検討、しっかりした検討の結果出てくるわけで、そこのところにはまだ至っていないわけです。それはこれから先の問題ですからね。ですからゆっくりひとつ腰を据えて検討して自主的に判断をしていくということであります。
○秦豊君 よく重心を低くするという言葉がありますが、やはりやわらで言えば自護体のような、そういう自然体でもいいですけれども、安倍外務大臣のその姿勢を変えないでいただきたいんです。 ところがこれを翻ってちょっと角度を変えて考えてみたんですが、例えば日米安保体制でしょう。それから武器技術供与に関する包括的取り決めでしょう。それから今度はいわんや汎用技術が対象。それで今外務省の両局長が述べているように、これはABM条約に何ら背馳しないでしょう。これだけの与件が次々にそろってきますと、日本政府の政治上あるいは外交上の選択として、決定として、例えば今後とも研究には参加しないというふうなことはずっと持続的な態度として、方針として貫徹できるだろうかという疑いは、逆からこれを眺めれば、大変問題を含んでいるんじゃないか。つまり安倍外務大臣に伺いたいのは、今後とも日本政府としてはSDIを対象とした研究参加はあり得ないのだ、そういうふうなことはおっしゃれますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まず私は外交の責任者ですから、やっぱりそしゃくして判断をしなきゃならぬと思うんです。ですから今そしゃくの段階ですから、十分これの理解の中で、今の理解という段階の中でいろいろの状況というものをもう少し詳しく私自身も勉強しなきゃならぬと思うんですね。同時にまた、これは国際情勢もありますから、例えば同じ自由国家群の中でヨーロッパの国々がどういう対応をするのかということも、SDIそのものの実像とは別にこれは判断の一つの要素だと思いますし、SDIそのものについても、やはり今我々が知っておる知識というものはそれはまだまだ十分なものじゃない、こういうふうに思っておりますので、そういうものをもう少し得て、それから判断していいんじゃないか。これからどうするかこうするかということを予見するということは今の段階ではできない、こういうことですね。
○秦豊君 つまり、私の懸念が杞憂であれば幸いですよ。これは国民の懸念でもあるのは、例えば中曽根さんのペースや手法を見ますと、これ品悪く言えば手口になるんですけれども、手法ですね、一つ一つ障害物を取り除いていって、一見論理的に、そして政治判断として次第に研究参加への地ならしをしているという見方は必ずしもはね上がった表現ではない。そんな疑いを、おそれを国民の皆さんやマスメディアの多くに与えているようなあり方は中曽根さんに発するんです。総理の基本姿勢なんです、認識なんですよ。だから私は、研究参加というのはむしろだんだんだんだん自然な成り行きになりつつあるのではないかという懸念を抱かざるを得ないんですよね、外務大臣、違いますか、杞憂でしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) それは秦さんが考えられておる一つの御判断だろうと思いますよ。しかし、これは政府としても真剣に研究しておるわけですからこれはやはりもう少し時間をもらって、それでじっくりとひとつ日本の立場から自主的に判断をして、これからどうなるかということについては、それからその判断で決まることであろう、まだそこまで至っていないということです。
○秦豊君 なぜ私がこういうことにこだわるかといいますと、実はシュルツ・グロムイコ会談というのが六時間に及んだ、長い。この場合、私はこのことは大変結構だと思いますよ、長くテーブルに向かい合う。ところが激論が、最も盛り上がったのは、激発したのは、ぶつかったのはSDIなんですよ。それとジュネーブの軍縮砲括交渉との関連が正面からぶつかって、そこに最もグロムイコはこだわった。シュルツ氏は反論をした。もともとシュルツ長官はこのSDIというのを、ワインバーガー氏と違って米ソ交渉におけるバーゲニングチップとかつてプレスコンファレンスで述べたくらいの認識もシュルツ氏の脳裏にはあるわけです。だから、そういうことを含めて両氏が激突をしたわけだから、ABM条約の解釈でも正反対なわけですよ。恐らく条約局長と私の見解ぐらい違っていると思うんだな。だから、今後ともSDIはABM条約の解釈をめぐって紛糾をする。だから、やがて我々は、中曽根氏が五原則とか五条件を出したなんて言うけれども、総理に一遍聞いてみようと思いますが、ABM条約なんてよく読んでいるのかとさえ私は思われる。その辺はよろしく御進講あって、やっぱりABM条約を正当に解釈するためには、米ソ両国の外相会談あたりをステップにして、そしてABM条約の改定ないし同意事項(D)項の補足というところまでフェアにやっていって、そして研究の成果はソ述にも分かつという方針は、それをクリアしてこそ初めて生きていくんだ、私はそういう見解を持っているんです。恐らくこれについては内容のある答弁は期待できませんので、最後に一つだけ要望を申し上げて終わりたいと思うんです。 私、先般外務省にある資料請求をした、公式に、慣例に従って。これは、今度のアメリカからやってきたSDIの説明グループ、これが一体どんな資料を出したんですかという、当然議員としての関心から要求しましたけれども、資料はなかった、テキストはない、テーブルの上に何か資料みたいなものはあった。それをいただきたいと言うと、みごとに拒否されまして、立法府というのは本当にそういう点では無力だなと思いましたですね。 ところが、こういう資料なんですけれども、こんなの見たら、数年前からこれはもう専門雑誌や何かではざらにあるやつを、どなたか親切な日本の少壮官僚の方でしょうか、あるいはランクの高い人だろうか、これぐらいのページ数で、これを勉強資料としてどうも集大成されたらしいんですよ。そういうものが何か日本側内部資料として配られた。しかし、資料要求してもこういうものは返ってこない。内容はお見せしますけれども、SDI概論の、これは高校の社会科程度の内容なんですね、あえて言えば。専門的な内容はほとんどない。にもかかわらず、この程度の資料でさえ部外には出さないと言われたから、まあ適当に集めましたけれどもね。こういうものはやはり国会の当該委員会、外務とか内閣とか予算委員会とか、こういう所属議員にはどんどん資料を出す、それで情報を共有し、判断の材料を豊富にするというのが、SDIという国家的な大きな命題、これにかかわるかどうか大きな命題ですから、それに当たっての私は大事な方針ではないかと思うが、今後はこういうふうな資料を秘匿しないで、閉鎖しないで国会にお出しをいただきたいと思う。これは大臣の御見解をちょっと伺っておきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) こうした資料につきましては、出し得る資料は、国会では調査権があるわけですから、これは外務省としてもお出しはいたしたい、こういうふうに思います。
○秦豊君 終わります。
○委員長(平井卓志君) 他に御発言もなければ、三件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認めます。 三件に対する討論及び採決は、これを後日に謀ることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時七分散会