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102回国会参議院1985/02/21

外交・総合安全保障に関する調査特別委員会外交問題小委員会 第1号

発言数
33
登壇者
8
会派数
4
開催日
1985/02/21

会議録

大木浩自由民主党・自由国民会議

○小委員長(大木浩君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査特別委員会外交問題小委員会を開会いたします。  一言ごあいさつを申し上げます。  私、このたび外交問題小委員長に選任されましたが、小委員各位の御支援によりまして公正かつ円滑な小委員会運営に努め、責任を全ういたしたいと存じますので、何とぞよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。     ─────────────

大木浩自由民主党・自由国民会議

○小委員長(大木浩君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交問題に関する件の調査のため、必要に応じ参考人から意見を聴取してまいりたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大木浩自由民主党・自由国民会議

○小委員長(大木浩君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等はこれを小委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大木浩自由民主党・自由国民会議

○小委員長(大木浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

大木浩自由民主党・自由国民会議

○小委員長(大木浩君) 議題に入る前に、本日の会議の趣旨を簡単に申し上げます。  御承知のとおり、外交・総合安全保障に関する調査特別委員会は、先国会までの調査の結果を踏まえ、今国会は小委員会を設けて調査を進めることとし、去る一月二十五日の委員会で、安全保障問題、外交問題及び国際経済問題の三つの小委員会を設置いたしました。  本小委員会は、お手元の表の分担に即して外交問題を中心に扱うこととなっておりますので、一月三十一日に各派の世話人にお集まりいただき協議を行いました結果、本日は、我が国外交の実施の衝に当たっている外務省の担当者から、国連外交、経済協力、文化交流を中心に、我が国外交の現状、今後の強化策等について日ごろ感じておられるところを御説明いただき、これに対し質疑を行うことといたしました。  外務省の説明はこのような趣旨のものでありますので、個々の外交案件や政策内容に詳しく立ち入るものではなく、本小委員会の今後の審議の素材にしようとするもので、この点御了承いただきたいと思います。  それでは、外交問題に関する調査のうち、我が国外交の現状、今後の強化策等に関する件を議題とし、外務省から意見を聴取いたします。波多野外務報道官。

波多野敬雄外務省大臣官房外務報道官

○政府委員(波多野敬雄君) 波多野でございます。  二十五分間時間をいただいておりまして、我が国の主として対外広報及び文化交流を中心にお話しいたしたいと思います。  まず、対外広報でございますけれども、対外広報という場合に便宜上三つに分けてお話しいたしたいと思います。特に我々が日ごろ問題と考えておりますこと、そしてそれに我々がどのように対処していきたいかということを中心としてお話ししたいと思います。  まず三つの区分について申し上げますと、第一に政策広報、これは最近とみに重要性が増してきている分野でございまして、日本政府が何らかの政策を推進しようという場合に、その政策をどうやって広報していくか、貿易摩擦について日本はこういう考えなんだ、こういうことを今やっているんだということを交渉の一環として推進、宣伝、説得していくことが政策広報でございます。  第二が一般広報、この一般広報というのは日本の国情をどうやって諸外国に知らせ、正しく理解してもらうかというのが問題でございます。  第三に文化交流、文化交流は対外広報とは若干違いますけれども、また多分に似通った点を持っております。  以上三つの分野について申し上げた後に、一言ずつ対外プレスの問題、日本のプレスとの関係はここで御説明する必要はないと思いますけれども、外国人プレスとの関係について若干お話ししたいと思います。それから最近我々が心がけております対内広報、わかりやすい外交ということについても一言触れさしていただきたいと思います。  それではまず、対外広報のうちの政策広報についてお話ししたいと思います。  政策広報というのは、我々が推進したいと思っております個別の政策、例えば貿易摩擦とか防衛問題とか経済協力とかについて、この政策を正しく先方にPRするということでありまして、広報 の相手はいわゆるオピニオンリーダー、例えば米国においては報道関係者、上院議員、下院議員、ロビイスト、弁護士、政府関係者とか、さらに場合によっては相手側の交渉担当者に対するPRということも必要ではないかと考えております。  広報の内容といたしましては、講演とかブリーフィングとかいろいろございますけれども、私が一番力を入れていきたいと思っておりますのは、単なるブリーフィング、説明というより説得でございます。説得する広報というのが政策広報の重要な姿勢ではないかと考えております。こうなってまいりますと、広報というのはすなわち交渉の一環ということになってまいります。例を貿易摩擦にとって御説明いたします。  私は二年前まで三年半の間、米国で経済を担当してまいりましたけれども、その間輸出面ではテレビとか鉄鋼とか自動車とか、いろいろ対米輸出問題がありましたし、輸入面では牛肉、オレンジとかたばこ、電電公社とかいろいろそういう貿易交渉の問題が起きました。これら交渉の目的は輸出量または輸入量を幾らに定めて、その際の条件をどうするかということでございますけれども、この交渉において最も難しくてかつ最も重要な点は、日本の実情及び日本の主張をどうやって相手に正しく理解してもらうかということであります。その場合の相手というのは国務省の役人、通商代表部の役人、商務省の役人とかいうことではございませんで、こういう相手を説得しただけでは対米摩擦の交渉は全然進捗しない。そこでその背後にある報道関係者とか上院議員、下院議員、オピニオンリーダー、こういう人を広く説得しなければいけないということになるわけでございます。  その場合、相手の交渉担当者の、国務省とか商務省とかいうものを説得するのは経済を担当していた私の役目でございましたけれども、それじゃその背後にあるプレスを説得しろ、関係団体を説得しろ、オピニオンリーダーを説得しろという話になってまいりますと、これは経済担当公使の私の役目というよりも、広報担当の参事官とか公使の役目ということになってくるわけでございます。したがいまして、説得する相手は違うけれども、交渉成功のために根回しをしているという点では経済担当の公使も広報担当の公使も同じ目的のために同じようなことを言って回っているわけでございます。場合によっては米側の言い分そのものに直ちに反駁して、直ちに相手のプレスにそれをうまく書かせなければならないということになってまいりますと、もう交渉の席に広報担当官が座って相手と交渉している、そういう場も多くあったわけでございます。こういうような交渉に直接参画して交渉そのものを根回しするという意味の政策広報、これが我々がやっております広報の中で今後ますます重要になってくる広報分野ではないかと考えております。その場合に、広報とは外交そのものであるということになります。  次に、話を政策広報から一般広報に移したいと思います。  一般広報とは、その内容は我が国の国情を紹介することに重点を置くものでありまして、広報の対象となる相手側は、オピニオンリーダーというよりも一般大衆、草の根大衆ということになります。  広報の方法といたしましては、ただいま申し上げました政策広報の場合の説得、特定問題に関する説得、交渉への参画ということではなくて、映画とかテレビとかいう視聴覚メディアも活用いたしますし、また資料をいろいろ作成して配布したり、講演をして回ったりということが必要になってまいります。  この広報分野における私の持っております問題意識は、特定の国を特定の時点で見た場合に、日本はその国にどういうイメージを与えなくちゃいけないか、どういうことを印象づけたらいいかということをまずつかまなければならないと思う次第でございます。すなわち、もう映画をつくったり、カレンダーをつくったり、講演したりして、日本の実情はこうです、ああですと言って回ればいいというふうな量の時代の広報はだんだんと終わりつつあるんじゃないだろうか。それよりも質の高い一般広報をしなければならないと思うわけでございます。そのためには、相手国の国情とか対日世論の動向などを的確につかむ必要があると思います。そのために我々も、一例といたしましては、昨年の十二月に経団連の副会長の山下勇さんを団長といたしまして文化広報ミッションというものをヨーロッパに派遣いたしまして、民間の人が見た場合にどういうイメージを日本はヨーロッパに与えたらいいかをちょっと調べてみてくれということをお願いいたしまして、その結果、つい最近山下勇団長以下から出てまいりました提言によれば、今の時点でヨーロッパという地域を相手にした場合には、伝統的な日本を紹介することよりも現代の日本を紹介してもらいたい、昔の日本の姿にヨーロッパの人は好奇心を持っていると。確かに、大江戸展とか仏教美術展とか、そういった感じのものをやると、ヨーロッパの人は集まってきて、非常に満足して帰るけれども、それじゃそれが現代の日本、我々の宣伝したい日本にどのように役に立っているかというと、それほど役に立っていないのじゃないだろうかというのが山下ミッションの意見具申でございました。  それから、もう一つ我々が最近感じております問題としては、これまた欧州という地域を今の時点でとってみた場合ですけれども、日本の異質性、日本がどのように異なっているかということをPRし過ぎるんじゃないだろうか、それは余りPRしない方がいいのじゃないだろうか、逆効果ですらある。今の日本は、ヨーロッパに対して、日本とヨーロッパは余り変わらないのですよという同質性をもっとPRすべきではないだろうか。正直なところ、今の日本とヨーロッパの生活というのは、確かに違っている面もありますけれども、ヨーロッパの人が考えているほどは違っていない、もう非常に似たものになりつつあるということでございます。  私個人としては、安心させる日本、何だ、日本というのはヨーロッパと同じじゃないか、そうなのかということで、みんなが、講演を聞いた後、我々の展示会を見た後、つまらなかったという感じでその会場を去っていく、それはそれでいいと思います。日本というのはこんなおもしろいことをやっているんだ、こんなに変わっているんだということを一席ぶって、先方が感心して、おもしろかったなといって帰っていく、そういうPRというのは、一見よかったようにも見えますけれども、かえって誤解を招いて今の時点では弊害すらあるんではないのだろうか。驚かせる日本をPRするよりも安心させる日本、そういう日本を今の時点ではPRしたいと考えるわけでございます。  私が申し上げたいのは、山下ミッションがどう言ったか、それから私自身が異質性よりも同質性を強調したいと考えているかというようなことよりも、例えばこういうような問題意識を持って、どういう日本をどのようにしてPRすべきかを的確につかんだ上でPRする必要がある時代になっていると考えることでございます。ただカレンダーをつくり、ただ映画をつくり、ただスピーチをして回ればそれが日本のためになるという時代ではない。もう日本の紹介はいろいろなチャンネルで、または日本がやらないでも先方が自分のお金で一生懸命PRしてくれている。そういうことよりも、日本としてはどういう問題意識を持って、どういう方向感覚を持ってPRするかということを考える時代になっている。そのために、我々も在外公館を駆使して一生懸命PRの方向づけに努力しているというのがきょう申し上げたかった一般広報についての重要な点でございます。  それから、もう一つ一般広報について申し上げたいのは、民間活力の導入、民間との協力でございます。  この点につきましては、私は最近まで問題意識を持っておりませんでしたけれども、昨年末からことしの初めにかけまして予算折衝をいろいろやりまして、我々は大蔵省に対外広報は極めて重要であるということを相当認めてもらいまして予算 をつけてもらいましたけれども、その総額が三十数億円という数字でございます。これは日本の大会社が広報に使っている金額の何分の一、場合によっては十分の一というような金額だと思います。私が民間との協力の必要性を感じます理由としては、第一に我々の役所の持っている予算とスタッフが足りないということでございますけれども、他方、もう一つの理由は、民間側において最近は宣伝が、自分の商品を売ろうという売らんかなの姿勢から、宣伝というよりも広報、日本の国をどう印象づけるか、自分の会社をどう印象づけるかというソフィスティケートされた質の高い宣伝に移行しつつあるということを背景にしております。日本の大会社が、そういう宣伝よりも広報ということに重点を置いて広報活動をやり、しかもその予算が、一社をとってみても日本の外務省が持っている予算の数倍ということになりますと、外務省がやるべきことは、自分の三十数億円の予算をどう使って、どう講演会を開き、どう映画をつくり、どうカレンダーをつくりということを一生懸命やるよりも、我々がいろいろ持っている情報を民間に流し、民間の人と意見のすり合わせをいたしまして、民間の人がいい広報をやってくれるように外務省としても方向づけする、根回しする、そういう意味の民間との協力における広報というのが一般広報では極めて重要な問題になっているのではないかというのが私が最近考え始めている問題点でございます。  次に、話を文化交流及び文化交流を通ずる広報に移したいと思います。文化交流という場合に極めて重要なことは、文化交流が外交政策の極めて重要な一環となっているということでございます。その一例といたしまして日ソ関係を挙げたいと思います。  現在の日ソ関係におきまして、日本は政治、経済等の分野におきましてはなかなか関係を進展しがたい立場に置かれております。それにもかかわらず隣国であるソ連とは関係を維持していかなければならない、いい関係を維持していかなければならないということになってまいりますと、その際、最も活用すべき分野としては文化交流が挙げられるのではないかと思います。ということで、ソ連にはことしもいろいろな文化関係の行事等をできれば送り込みたいというふうに考えている次第でございます。  最近の文化交流面での最も重要な問題として、海外における日本研究及び日本語研究をどうやって助成していくかという問題がございます。文化と申しますと、映画とか歌舞伎とかスポーツとか、いろいろそういうことが従来の文化活動の中心でございましたけれども、最近、海外において日本及び日本語研究が極めて盛んになってまいりまして、例えば欧州のEC本部の対外総局長と昨年十二月に話しておりましたときには、彼は、ECとしては二十年先をにらんで、ECの中に日本及び日本語研究のプロジェクトチームをつくってそれを育てていきたいということを言っておりました。こういうふうに外国で日本研究、日本語研究が極めて盛んになっておりますので、これを日本はどうやって育てていくか、育てていくかというと語弊がございまして、これに協力していくかというのが現在の、そしてこれからの日本の文化交流活動の極めて大きな目玉になるのではないかと考えております。  以上をもちまして我が国の対外広報に関する御説明を終わりまして、あと一言ずつプレスとの関係、それから対内広報についてお話ししたいと思います。  まず、プレスとの関係でございます。日本人のプレスとの関係についてはここでお話しする必要はないと思いますけれども、私がごく最近問題意識として感じておりますのは、日本における外国人プレスとの関係でございます。  従来、そういってはなんでございますけれども、日本にいる外国人プレスというのはさほど有力な人、さほど発言権のある人が派遣されていなかった感じもございますけれども、最近は世界の有力紙の極めて有力な極めて重要な特派員が日本に派遣されてきております。そういう人が何か書けばその人の記事がワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズの一面を飾るという時代になっております。そういう人はそれなりの自負もあります。そういう人が私に申しますのは、どうも日本に来て取材活動がうまくいかない、自由でない。その彼らの不満の一番大きな理由は、日本におけるクラブ制度に外国人が参画できないという問題でございます。  例えば、外務省には霞クラブという日本人の強力なプレスクラブがございますけれども、外人から見ますと、どうも重要な話が霞クラブ中心で動いてしまう。霞クラブがだれだれ何とか大臣との懇談とか、何とか次官との懇談とかいうことで、どうもそこでいいニュースが出てしまって外国人はそこに参画できないという問題があるわけでございます。私の方から申しますのは、いや、これは日本語でやっているから、日本語ができないあなた方は参画できないのだということで今までは説明してまいりましたけれども、彼らが言うのは、いや、我々はもう日本語ができますと。現にロサンゼルス・タイムズ等々有力な日本語がうまい記者も日本には派遣されております。そういう人が、私はどうしてくれるんですかということになってまいりますと、やはりこの際、外国人プレスに対する扱いを考え直さなければならないような時代になっているんじゃないだろうか。彼らこそ日本の市場の開放性を説いて本国にそれを掲載させる地位にある人でございますが、そういう人が日本の市場の開放性の前に報道の開放性についても疑問を抱くというようなことでは、日本の対外広報がうまくいかないんじゃないだろうかということを考える次第でございます。  私は、今のポストに参りましてからこの点で一生懸命対策を講じておりまして、昨年の終わりに、東京の外人プレスが出している新聞がございますけれども、その新聞でも、最近は外務省もこの点問題意識を持ってよくやっている、これからに期待するというようなことがナンバーワン新聞という、これは東京にある外人プレスクラブが発行している月刊新聞でございます。その中に一ページ全部を使って、最近の外務省はこの点よくやっているということを書いてもらっておりますけれども、問題意識としてはあるわけでございますけれども、非常に難しいと感じている点でございます。  国内広報について一言お話しさせていただきますと、やはり日本の外交というのは最近は国内の支持を得る必要がある、国内の皆さんにわかってもらう必要があるという意味で、安倍大臣もわかりやすい外交ということを言っております。このために外務省も一日外務省とかミニ外務省とかいう行事を年に数回国内の諸都市でやって、東京以外の土地の皆さんとの接触もそれなりに深めているつもりでございます。  終わりに、外務省と関係各省との協力、調整という問題がたまに言われます。海外広報における日本の各省の行動がばらばらじゃないだろうかということが言われることがございますけれども、この点につきましては、最近関係各省の朝飯会を開いたり、意見調整をやったりしてばらばらな海外広報ということはもうなくなりつつあると思います。やはり一番重要なのは我々がやっております朝飯会とか意見交換会とか、定期的な意見調整の会合とかということよりも、電話一本で連絡し合えるようなそういう体制を日ごろからつくっておく、そのためには親しみやすい外務省、信頼される外務省というものをつくっておくことが重要なんだと思います。そしてこのためにはやはり人間関係が一番重要なんじゃないだろうか、関係各省と日ごろから仲よくして信頼し合えるような体制に、人間関係にしておくということが重要だと思いますので、この点には我々きょうは余り時間を割きませんでしたけれども、その最も努力している点の一つと申し上げてもよろしいかと思います。  ちょうどいただきました時間がなくなりましたので、これをもって終わりにさせていただきま す。ありがとうございました。

大木浩自由民主党・自由国民会議

○小委員長(大木浩君) どうもありがとうございました。  それでは続いて藤田経済協力局長。

藤田公郎外務省経済協力局長

○政府委員(藤田公郎君) 経済協力局長の藤田でございます。  本日はお時間をいただきまして、経済協力の実務を担当しております者といたしまして常日ごろ考えていることを四点ばかりに分けて御説明を申し上げたいと思います。  第一点は、我が国の経済協力の現在の姿、どのような状況にあるのかということを簡単に御説明いたします。第二番目が、内容と申しますか、我が国の経済協力の理念ないし政策というものについて御説明を申し上げたいと思います。第三番目に現在抱えております問題点、それから当委員会におきましてもいろいろ提起されました問題点を数点挙げて御説明を申し上げたいと思います。四番目に、総括と申しますか、実務担当者の抱いております感想のようなものを述べさせていただきたいと思います。  事柄が数字にかかわりますものでございますから、お手元に資料を配付させていただいております。その資料をときどきリファーさせていただきますのでよろしくお願いいたします。  まず第一は、現在の我が国の経済協力の姿、どういう状況にあるかということから始めたいと思います。ちなみに、経済協力と申します場合には非常に広い意味での経済協力、民間の協力でございますとか民間とともに協力していくもの、すなわち輸出信用それから投資金融ですとか政府と民間のお金が一緒に入っているものとか、それから極めて狭い意味での経済協力、政府開発援助、ODAでございますが、いろいろ使われ方がございますが、本日はそのうちの狭義の経済協力、すなわち政府開発援助というものに重点を置いて御説明したいと思います。  お手元にお配りしております資料の第一ページに、今まで出ております統計の一番最新のもの、すなわち一九八三暦年の経済協力の数字を掲げてございます。八三年は、このお手元の資料でごらんのように、我が国は順位は十二番目にリストしてございますけれども、DAC十七カ国中の額で申しますと第三位で、三十七億六千百万ドルの実績を達成することができました。ここにございますように、第一位はアメリカの七十九億九千二百万ドル、約八十億ドルでございますけれども、これを除きますと、第二位がフランスの三十八億ドル、次いで日本ということで、八三年には、前年まで西独が第三位でございましたが、西独を抜いて第三位の援助協力国になりました。ちなみに、このフランスの数字は、フランスが現在まだ持っております海外領土、海外県に対する経営費が含まれております。この分が大体三分の一ぐらいかと思われますが、それを除きまして純粋の政府開発援助ということになりますとこの数字は二十五億ドルぐらいになりますので、実質的に申しますと日本は第二位の援助国になったということが申せるかと思います。ちなみに、DAC十七カ国、西側先進十七カ国で世界のODAの約八割程度を供与いたしております。残りの二割のうち一割五分がOPEC、それから五分から七分程度が社会主義圏という姿になっておりますので、世界の政府開発援助の大部分はこのDAC十七カ国で供与されている。そのうちの実質的には二位の援助供与国になったと申すことができるかと思います。  このような成果を上げることができましたのは、やはり日本が、特に昭和五十三年に三年倍増計画という中期的な計画を定めまして、同時に、昭和五十三年の予算要求、すなわち、五十四年度の予算から政府開発援助につきましては通常の予算の枠外要求を認めるという決定をいただきまして、そのような形で計画的に努力を重ねてきた結果がこのような量の拡充という姿になってあらわれてきたものかと思います。三年倍増計画が五十五年に超過達成いたしまして、これは、五十二年の十四億ドルを基礎にしまして五十三年から五十五年に倍以上にするという目標でございまして、五十五年には三十三億ドルということで超過達成をいたしました。次いで、五十六年からは五年倍増計画というものに着手をいたしまして、本年がその最終年に当たるわけでございます。  本年、昭和六十年度の予算につきましては、昨年の末に、委員各位御承知のとおり、一般会計におきましてはODA予算の対前年比一〇%増ということが認められまして、それを基礎にしまして本暦年いっぱい努力を続けまして、何とか年末にはこの五年倍増計画の達成に努力したいというのが今の状況でございます。このような形で実質的には二位の援助国になった。特に五十三年は対前年比で見ますと、実績では二四・四%の増ということを達成いたしました。ちなみに、過去十年程度をとってみますと、一九七五年を一〇〇といたしますと、八三年の援助量は我が国は三・二八倍、約三・三倍になっております。  このような急速な拡充というのはほかのDAC諸国には見られませんで、日本に次ぎまして拡大の努力が大きかったのはアメリカでございますが、アメリカも一・九一倍ということでございまして、やはり、日本のここ数年の努力というものは非常にDAC、OECDにおきましても評価されておりまして、昨年の日本の援助に対する審査におきましては、DACの議長から、日本の努力を非常に高く評価するという書簡を日本政府あてに送られたという経緯もございます。このように、一応その量の拡充の面では努力が徐々に実りつつあるわけでございます。  またこの表に戻りまして、この表でごらんのように、この十七カ国の順位はGNPに対する比率で順位が書いてございます。我が国の場合は枠でかこってございますけれども、GNPの比率では〇・三三ということで、十七カ国中十二位ということで、まだ、量の面におきましてもGNP比という点では決して上位に位しているわけではない。今後とも量的な拡充の努力というものは続けていかなければならないかと思われますし、DACにおきましてもそのような期待が表明されているというのが現状でございます。国民一人当たりの負担額というもので見ましても、次の欄に書いてございますように、やはり十七カ国中では十二位というところに位しております。  より問題と申しますか、我が国の援助につきまして指摘されます点は、次の欄の「質」というところでございまして、ここでごらんのように、我が国のODAのうちで贈与の占める比率というのが他の諸国に比べると格段に低い状況にございます。贈与比率が五五・二%、大体贈与というのが半分ぐらいを占めているわけです。八三年は非常に贈与の比率が上がったわけでございますが、上がって五五・二である。すなわち、約半分ぐらいが借款で占められているということです。  その結果といたしまして、贈与の質、受取国にとってのソフト度というものを示しますグラントエレメントで見ますと七九・五ということで、ほぼ最下位に近い状況にございます。したがいまして、今後の努力のもう一つの方向というのは、この援助の質を高めていかなければいかぬというところにあることは先生方も御承知のとおりでございます。現在の我が国の援助の姿というのはこういうような状況にあるということでございます。  二番目に、それでは我が国の援助というものがどのような理念ないし政策に基づいて行われているかということでございますが、これはたびたび政府側の総理、外務大臣の御説明でも申し上げておりますように、我が国の経済協力は相互依存と人道的な考慮、この二点で進められているということでございます。当委員会の昨年におきますいろいろな御論議でも、この二つの理念というものに対しては、各委員から格別の御異論もなかったように承知いたしております。  相互依存と人道的考慮と申しますのは、日本の援助の理念であるとともに、南北問題の理念というのは一体何だという場合には、相互依存と人道的な考慮であると言われています。その場合に言われております相互依存というのは、南と北というものが極めて密接な相互依存関係にある、南の 繁栄なくして北の繁栄なしという考え方。それから人道的な考慮ということかと思います。我が国が我が国の援助の理念ないし政策の指標として言っております場合には、人道的な考慮というのは貧乏度と申しますか、そういうことですので特に差異はないわけですが、相互依存といいます場合には、我が国と被援助国と申しますか、相手国との間の政治的、経済的な相互依存関係ということで考えているということかと思われます。  それからもう一つ、特に国会でよく議論の対象になっております点といたしまして、昭和五十六年の鈴木総理御訪米の際の共同声明で用いられました、世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助の強化ということが挙げられておりますが、やはりこれは日本の経済協力というものが十年前には九割以上がアジアに向けられていた。それが量の拡大、援助国として非常に大きく成長してきたことに伴いまして、アジア以外の地域に対する援助というものも漸次拡充の傾向にあるということを反映しての表明というふうに理解しておりますが、最近数年間の我が国の援助の配分を見ますと、アジアが七割、その中で東アジアが五割、南西アジアに二割、それからあとの一割ずつが中南米、中近東、アフリカというような姿になっております。  このような我が国の援助の姿をあらわすものとして、世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助ということがうたわれたわけでございますけれども、その場合にも現実の援助の配分と申しますか、決定においてはやはり相互依存と人道的な考慮という二つの指標に基づいて現実の援助の供与というものを決めていくということを国会においてもたびたび御説明をしている状況でございます。  これはお手元にお配りしております資料の二ページに、地域的な配分、各地域に対するシェアが掲げられておりますし、それからその下の欄には、我が国ODAの十大供与国がこれは実績値として掲げてございます。中国、タイ、インドネシア、フィリピン、インド、ビルマというような姿で、ここ二年ぐらいは中国が実績では第一位の受取国になっております。  三ページをごらんになりますと、これは実績というよりも、むしろ日本の約束額ベースで見ました資金援助の十二大供与国の表でございます。これではタイ、中国、インドネシア、それからエジプト、フィリピン、ビルマと、こういうような姿になっております。このような国名ないし地域名で見ますときに、相互依存及び人道的な考慮と、この二つの指標で行われている現実の援助というものが我が国にとってやはり一番密接な関係にあり、かつ貧しさの程度においてもまあこんなところかなあというほぼコンセンサスがあるような配分の結果になっているんではないかというふうに考えております。  それから、この理念と政策につきまして、一つ特に最近ここ数年国会で議論になっております点で、戦略援助という問題がございます。これは、実は国会で取り上げられます場合には、戦略援助という言葉の意味が余り必ずしもはっきりしないのですが、国会での質問は、アメリカの戦略の肩がわりを日本が援助でするんではないかという形での御質問がほとんどなものでございますから、それに対しましてはそのようなことは全くない、アメリカの援助の肩がわりという意味での戦略援助というようなことはやっておらない、我が国は我が国の援助方針に基づいて援助を行っているということを繰り返し総理、外務大臣からお答えしております。それは本年の国会の本会議でも総理からの御答弁がございましたけれども、現実の姿を見ましても、我が国の経済協力というものは社会の体制、政治の体制というものにそれほどとらわれない形での援助の供与というものが行われているのが現実の姿であろうかと思われます。  中国ですとか、東南アジアではラオスでございますとか、アフリカではエチオピア、モザンビークですとか、ああいうどちらかと申しますと社会主義的な体制の国に対しましても相互依存の度合い、人道的な必要性の度合いに応じた援助を割と柔軟な姿で行っているということが申せるかと思います。これはまた我が国の外交政策の反映と言えるのではないかと思っております。  次に三番目の問題としまして、現在抱えております問題点ないしは当委員会で過去取り上げられました項目について若干御説明ないし私どもの感想を述べさせていただきます。  第一点は、援助の体制の問題でございます。どうも我が国の経済協力は関与する省が多くて非常にばらばらじゃないかという御指摘が見られます。これにつきましての私どもの今の状況を申し上げますと、まず先ほど申し上げましたように、援助の約半分、二国間援助の七割を占めております円借款でございますが、円借款につきましては現在四つの省庁、四省庁体制と称しまして、経済企画庁、外務省、大蔵省、通産省と、この四省が主として関与をしているわけでございます。ただし、この円借款の現実の取り運び方を見ますと、先方政府の要請を受け、各省の取りまとめを行った後、今度は相手国政府と折衝して交換公文に至る。この過程では外務省が一応一元的な窓口となって調整の任に当たっておりますし、その政府間の決定を得た後は海外経済協力基金が実施の任に当たるという姿になっております。  それから無償資金協力は、これは予算は外務省と大蔵省に一部計上されておりますが、実施は外務省が一元的に行うという形になっておりまして、もちろんプロジェクト等の性格、内容に応じまして関係の省、農水省ですとか厚生省ですとかにいろいろ御相談をし、お知恵を拝借しながら実施をしているという姿でございます。その間、六年前に国際協力事業団法の改正に伴いましてJICAが実施促進業務を行うという姿になっております。  それから技術協力でございますが、技術協力につきましては関与する省庁が十三省庁ございますが、七割は国際協力事業団が行っております。基本的には技術協力につきましても外務省の一応一元的な調整というものができているのではないかと思います。  国際機関に対する拠出、これは国連その他の機関というのは外務省、それから国際金融機関につきましては大蔵省という姿になっております。したがいまして、確かに関与する省庁というものは多うございますけれども、外務省の調整ないし一元的な取りまとめということはほぼ確保されていると申せると思いますし、今後の問題としてはむしろこのような一元的な形をできるだけ損なわないようにODAの実施を進めていくということがむしろ重要なんではないかと思います。現実の行政の問題でございますので、全くの白紙の状況からどういう姿が一番理想的かという議論をいたすこと自体はむしろ余り意味がなくて、現在の状況から一体何を改善していくのがベターかという方がより現実的な議論かと思われますので、そういう点から申しますと、やはり技術協力につきましては国際協力事業団が主として政府ベースでこれを担当するという姿を損なわないような方向で進めていくことが望ましいのではないかと思われます。  それから、第二番目の問題点としましては、よく国会でも指摘をされますが、効率的、効果的な援助、援助の効率性、効果性というものを確保するということでございます。先ほど申し上げましたように、自由世界、西側の世界では第二位の援助大国になりましたし、予算ベース、事業予算規模で申しますと一兆三千億という規模の事業予算を持っておりますので、国会はもちろん国民の目も、援助が本当に効率的、効果的に行われているのかという厳しい目が注がれるというのはむしろ当然のことかと思われます。効率性、効果性と申します場合に、効率性はどちらかというとミクロ的な、建設するプロジェクトというものが本当に所期の目的というものを達成するように動いているのかどうか、エフシェントかどうかということ。効果といいますともうちょっとマクロと申しますか、プロジェクトが一体その国の国民経済と 申しますか、その部門、セクターにおいて本当に所期の効果を発揮しているかという二つの点が挙げられるかと思います。  この効率的であるか効果的であるかということにつきましては、とにかく経済協力を行いました後で経済協力の評価ということを行うことが非常に重要かと思います。外務省も四年ぐらい前から経済協力の評価というものに非常に力を注ぎまして、評価委員会を設立しまして大体年間百件ぐらいの後追い調査を行っております。この評価の手法等も今後改善していかなきゃいけないわけですが、この評価を行いました結論として申せますのは、やはり事前の調査というものを非常にきちんとしたプロジェクトがやはり成果を上げているということが結論としては申せるかと思います。  もう一つは、ソフトと申しますか、技術協力ないし日本の技術者、青年協力隊ですとか専門家ですとか、日本の人が張りついているものはやはり非常に成功している。一つのプロジェクトの成功例であるといって新聞等にも非常に喧伝されたものが、日本の技術者が去った途端にむしろ失敗例になってしまっているというような極端な例もあるくらいでございまして、やはり技術協力と資金協力の連携というものが非常に重要であるというのが私どもの行いました評価の結論かと思います。いずれにせよ、こういう評価活動というものを今後とも充実しまして、一層効果的、効率的な援助の実施というものに今後とも努めてまいりたいと思います。  それから第三の問題は、二国間援助と多数国間援助の問題です。これはいろいろ御議論もございまして、やはり多数国間援助の方が無色透明で政治性が少ないのじゃないか。したがって、我が国はどちらかというと国際機関を通ずる援助をもっとふやすべきなんじゃないかという御議論もございます。我が国は大体、年によってこれは国際金融機関の増資のタイミング等々があるものでございますからフラクチュエイトはしておりますけれども、ほぼ三割程度が多数国間援助、七割が二国間援助という姿になっておりまして、これはDACの平均がその程度でございますので、私どもの感じ方では多数国間、マルチとバイの関係というのはほぼ適正な規模なんではないかという感じがしております。  国際機関を通ずる援助はもちろん利点もございます。例えば相手国の政策の変更を求める、もうちょっと緊縮政策をやりなさいというようなことはなかなか二国間ベースでは内政干渉がましいということで言うのは難しいですが、国際金融機関はわりとそういう点は容易に言い得るという利点がございます。ただし、非常に極端なことを言いますと、国際機関を通ずる援助ですと日本の援助だというアイデンティティーと申しますか、日の丸がついてないという点では、効果という点では、日本の援助がアフリカに来たという印象を与える点ではやはり二国間の援助の方がいいということも申せるかと思います。  それから、ちょっとどうも時間をとりましたが、第四番目に民間団体、NGOとの関係でございます。これは御承知のようにアメリカとか西欧の国はそもそもNGOの援助というのが先行しておりまして、NGOというのが二百年の歴史とかなんとか非常に長い歴史を持ってキリスト教慈善団体が活動して、ODAが後から追いかけてきたという歴史を持っておりますので、西側の西欧諸国、アメリカなどに比べますと我が国のNGOの活動というのはいまだ新しい分野に属しております。アメリカなどでは援助関係のNGOが約四百ぐらい、ほかのヨーロッパの国では百とか二百とかという数でございます。これはOECDの調査ですと、日本はそのとき三十五という数が掲げられておりますが、私どももこのNGOの活動との有機的な連携というものを今後とも心がけてまいりたいと思っております。  政府の活動とNGOとの連携といいます場合には、一つは補助金という形がございます。現在、非常に大ざっぱなことを申しますと、ODAの一%ぐらいがNGOに対する補助金という形で日本の場合は支出されておりますが、ほかのDACの国を見ますと大体一〇%ぐらい、一〇%内外が行っている。一〇倍ぐらいの差がある。NGO自体の活動規模も日本のNGOの活動の金額にしましてはるかに各国の方が多いわけですが、そういうような形での支援。それからもう一つは、個別のプロジェクトをNGOが人を送って政府が建物をつくるとか、そういう有機的な連係プレーということも今後考えていきたいと思っております。それから日本のNGO自体が、これは政府が云々ということではないんですけれども、NGO御自身が自主的に協議会と申しますか連絡組織みたいなものをつくっていただくということが非常にそういう点では便利かと思いますので、そういうことを何とか側面的に支援をしてまいりたいというふうに今考えている次第でございます。  それから最後に、五番目としまして、我が国の援助は要請主義という立場をとっております。相手国が優先度をつけまして、自分たちとしてはトップはこれ、二番目はこれというプロジェクトの優先度をつけて要請をしている。その要請を見て我が国が対応するということですから、若干これは受動的に過ぎるのではないか、もっと積極的に我が国の援助は進めるべきではないか、ないしはもうちょっと総合的に考えていくべきではないかという御指摘がございます。これはタイ、インドネシア、この非常に大口の両援助国に対しましては、大来元大臣に相手国が経済計画をつくります前に行っていただきまして、開発計画の策定の段階でいろいろ御相談をしてアドバイスもし、かつその相手国の開発計画ができる前にその内容を知って、開発計画の中における日本の援助の位置づけというものを明確にして進めていくという方針をとっておりまして、タイにつきましては東部臨海工業地帯に対する協力、インドネシアにつきましては現在、昨年から始まりました五カ年計画の重点たる島嶼間の交通、それから通信網の拡充というものを我が国の経済協力の重点という形でやっております。それからもう一つ、非常におくれた国で、プロジェクトの策定自体自分たちではなかなかできないというアフリカなどの貧困国につきましては、我が国がむしろプロジェクトをファインディングをし、プロジェクトをフォーミュレートするという形で、あくまでも要請主義という原則は守らなければいけませんけれども、守りつつももうちょっと積極的にお助けをするという形で要請主義に伴う弊害と申しますか、そういうものを打破してまいりたいと思っております。  最後に、あと一、二分お時間をいただきまして感想として申し上げるんですが、私も長年、援助の実務というものをやっておりますけれども、ある新聞が連載しておりますように「援助途上国ニッポン」。援助の面では他の先進国よりはるかにおくれて出発した。特に六〇年代の中葉までは日本はどちらかというと被援助国という姿でもあったわけでございまして、六四年でございますか、には世銀の借入国としてはインドに次ぐ大口借入国だったわけです。そういうような姿からこの二十年間の間に援助供与国として一生懸命努力をして、西側ではDACでは実質第二位の援助国にまでなってきた。時間ということから見ますと、なかなか一生懸命やってきたという成果があらわれているのじゃないかという感じがいたします。しかも、日本の場合には割とサクセスストーリーがあるということが言えるんではないかと思います。例えば、インドネシアの米自給という、今まで米の輸入国だったインドネシアが米の少なくとも自給体制が達成できたというのは、皆さん御承知のとおり我が国の極めて強力な援助の成果ということも申せますし、そういう点では日本の援助にはサクセスストーリーがあるということが一応言えるんではないかと思います。  こういうようなことを踏まえまして、やはり日本は被援助国から援助国になったという極めて独自の経験を持っているわけですので、これから特に学界の方々にお願いしたいといっていつも申し上げているのは、日本独自の開発理論というものを考えていただきたい。開発理論というのはどち らかというと先進国が考えていた理論であって、被援助国から援助国になったという非常に特異な歴史を持っている日本の学者、先生方こそ本当の意味での独自の開発理論というものが出せるのじゃないでしょうかということを申し上げているのですが、そういう点での建設的な貢献を学界ですとかいろいろ物を考えている方々に我々実務家としては御期待申し上げているというのが現在の状況でございます。  ちょっと時間を超過して失礼いたしました。

大木浩自由民主党・自由国民会議

○小委員長(大木浩君) どうもありがとうございました。  それでは続いて瀬崎外務参事官。

瀬崎克己外務省国際連合局外務参事官

○説明員(瀬崎克己君) 国連局外務参事官瀬崎でございます。  本日、実は局長がお伺いいたしまして御説明さしていただくことになっていたわけでございますが、あいにくと衆議院の予算委員会の方に出席を求められておりますので、私がかわって御説明に上がったわけでございます。  本日、国連のことについてお話しするわけでございますが、国連というのは御承知のように非常に窓口の広い仕事をしておりますので、そのうちの幾つかに絞りましてお話をさしていただきたいと思います。項目といたしましては、まず国連の平和維持機能、それから軍縮、経済社会分野の活動、それから国連組織の中の一つで今最大に荒れに荒れておりますユネスコの問題、このユネスコの問題につきましては若干詳しく御説明さしていただきたい、こういうことで進めさしていただきたいと思います。  国連は、ことしちょうど創設以来四十年になりまして、四十にして惑わずと申しますか、本来であればそれなりの成果を上げて評価さるべきでございますけれども、惑わずどころか非常に揺れておる、あるいは曲がり角に来ておるというのが残念ながら実情でございます。国連につきましては評価が非常に分かれておりまして、例えば国連本部がございますニューヨークの市長さん、この人は国連というのは何か汚水のたまり場であるというようなことを言っておる。それから国連のアメリカの大使、もう引退された方でございますけれども、昨年、国連が日没時にニューヨークの波止場から船出をするのだったならば私は喜んでそれを送り出したい、こういうことを言ったということでございます。それから日本でも数年前に、国連というのは田舎の信用組合程度のものだというような御意見もあったわけでございます。こういった非常に酷評される御意見はあるわけでございますが、やはり何と申しましてもこの四十年間世界の平和を支え、あるいは社会経済分野で非常に大きな成果を上げてきたということは否めない事実でございまして、それが証拠に、現に世界の百五十九カ国が国連に加盟しております。それから毎年国連の総会になりますと各国の元首や外務大臣あるいはその他の主要な閣僚が来られまして、その国の外交政策についていろいろ意見を開陳され、あるいはいろいろな決議を通して国際協力を推進しているというのが実情でございますので、私どもとしてはいろいろな酷評はございますけれども、国連のよい面をこれからも強力に育てていかなくちゃいかぬのかなというふうに感じているわけでございます。  そこでまず、国連が最大の目的としております平和の維持の面でございますが、戦後この四十年間に国連の調査によりますと百三十余の武力紛争があったそうでございます。この百三十余の武力紛争によって二千百万人の方が亡くなり、千六百八十万人の人が行方不明になっているということでございますので、戦後四十年間非常に平和であったとはいうものの、やはり世界のいろいろな地域において紛争があって、これだけ多数の人が死んできたということでございます。  そこで、国連の中では平和を維持するための最も有力な主要機関といたしまして安全保障理事会があるわけでございますが、この安全保障理事会というのは御承知のように五大国の拒否権によりまして事実上機能は麻痺しておるというのが実情でございます。拒否権と申しますと我々の印象で何かソ連とすぐに直結するような感じを持つわけでございます。もちろんこの四十年の歴史でソ連が拒否権を行使した数が一番多うございまして、百十五回今までに拒否権を行使しております。アメリカが三十九回、イギリスが二十回、フランスが十五回、中国が三回ということで各国千差万別ではございますけれども、とにかく自分の国益に絡めまして非常にこれは好ましくないというような決議については全部この拒否権を行使いたしましてこれを葬ってきた。この拒否権があるために安保理というのは平和維持のための機能を完全には果たし得ないという実情でございます。そしてまた、そういった拒否権を背景に、例えばベトナム戦争のような非常にアジアで大荒れに荒れた戦争は国連では全く取り上げられなかったというのが実情でございますので、やはりこの国連の組織自体の中に国連を通じての平和維持というものを完全に果たし得ない弱点があるのではないかというふうに見ているわけでございます。  他方、それでは全然国連が無力かと申しますとそうではなくて、やはり国連の、平和のための統合決議、これはたまたま一九五〇年に朝鮮戦争が勃発した当初はソ連が中国の代表権問題で国連をボイコットしておりまして、その間隙を縫って朝鮮戦争の国連軍というのができたわけでございますが、その後、ソ連はその愚を悟りましてすぐ安保理に帰ってきた。それ以降もう安保理というのは事実上大国の拒否権で機能し得ないことがはっきりいたしまして、すぐにアメリカその他西側主要国の音頭によりまして平和のための統合決議というのができているわけでございます。これは安保理で決議等が葬られたときに、すぐにその同じ案件を国連総会に持ち出しまして武力行使を含む総会の勧告的な意見を決議することができるという仕組みでございますが、最近では、例えばアフガニスタンにソ連が侵入した直後に国連の緊急安保理が開かれたわけでございますが、この緊急安保理の決議というのはソ連の拒否権によって葬られてしまった。その直後にすぐにこの同じ問題が国連の緊急特別総会にかけられまして百十カ国ぐらいの国がソ連の武力行使、侵入を非難する決議をしたわけでございます。  このように、大国のエゴというのがやはり国際社会の中で厳しく批判されるという面は国連の機能の中に残されているわけでございまして、私どもとしてはこういった国連の平和維持の面を今後もさらに強化するということを考えているわけでございます。  それから、平和維持の面では直接武力を行使したのはコンゴの平和維持軍のようなものがありますけれども、そのほかにも兵力の引し離しであるとかあるいは停戦の監視の面で現に国連の軍が活動しているわけでございます。例えばゴラン高原のシリアとイスラエルとの間に国連軍が現在千二百八十五名展開されております。またイスラエルとレバノンの国境地帯にはUNIFILという国連軍が六千二百八十六名展開されております。それからサイプラスでは二千三百四十八名の国連軍が展開されているというように、地域地域で停戦を監視したりあるいは兵力の引き離しの面で機能しているわけでございまして、こういった非常に消極的ではございますけれども、国連の平和維持の面での活動というのは依然として続いているわけでございます。  この観点で、日本では国連の平和維持機能につきましては資金面、財政面で協力する、人的な面では自衛隊法等の関係がございまして協力できないというのが従来の立場でございます。この点につきましてはいろいろ国内でも御議論があるわけでございますけれども、当面政府統一見解で申しておりますように、自衛隊法の改正を図ってまで人的な協力をしないのだというのが一応政府の公式的な立場でございます。  ただ、この点について若干私見を申さしていただいて恐縮でございますけれども、例えばベトナムの難民のボートピープルが発生したときに、日本は非常に大量の資金協力をしたわけでございま す。当時、ベトナムの難民のために大体その資金規模の五〇%ぐらいを日本が出したわけでございますけれども、当時、その難民を愛け入れる枠を五百人定住枠を設けたところが、国際社会から、日本の協力というのは金だけ出して人的な面では全く協力しないのか、あるいはその協力の仕方が非常に消極的であるというような厳しい批判を受けたわけでございます。これと同列に論じることは必ずしも適切とは思いませんけれども、今日、たまたま大規模な国連平和維持軍を展開するような必要がないということで、既存の兵力を維持する財政面での協力で現状は事足りているということもございまして、日本の協力についてとやかく言う向きはないわけでございますけれども、例えば今後どこかの地域で大規模な国連平和維持軍を展開するような必要が生じてきた場合に、日本は再び資金だけを協力して、それで国際社会の期待に十分こたえたということでとどまるのかどうかということについては、私どもとしては若干問題があるんではないかという気がしているわけでございます。  また、人的な面につきましては、一気に自衛隊での協力ということは当面国内の世論の動向等もございますし、例えば昨年一月の毎日新聞の調査によりますと、世論調査の結果、七〇%が自衛隊を通じての国連平和維持軍への協力には否定的であるというようなこともございますし、一気に自衛隊に直結する話は私ども必ずしもする必要はないと思いますが、例えば南アが不法に占拠しておりますナミビアの独立、これは現在停滞状況にありますけれども、このナミビアの独立というような状況が国連の管理下で行われた場合には選挙が行われるわけでございますが、その際に、その選挙の管理のために民間人を派遣する。こういった面での人的な協力ということは可能であろうかということで、この点につきましては現行法制の枠の中で人的協力も検討するということで、さらに検討を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。  それから、軍縮でございますが、最近の軍備競争というのは非常に憂うべき状況であるというふうに感じているわけでございます。一九六九年に国連は軍縮の十年ということを決議いたしまして、その軍縮の十年の終わりの一九七八年に軍縮第一特別総会というものを開催したわけでございます。この当時世界の軍事費、これは核兵器国あるいは非核兵器国すべてを含めました世界各国の軍事費の総計が四千四百七十億ドルであったわけでございます。ところが、現在、現時点での世界での軍備費が九千七百億ということで、その当時から比べまして約倍増をしておるということで、これは単に核兵器国のみならず非核兵器国、その大部分は開発途上国で国の開発に最も資金を投入すべき国でありますけれども、そういった国を含めましてどうも軍拡というのがとどまっていないというのが世界の趨勢でございます。  軍縮につきましては、これは国連が取り上げております最も重要な課題の一つでございますが、その実体的な交渉はジュネーブにあります軍縮委員会で、現在では改名いたしまして軍縮会議となっておりますけれども、この軍縮会議で取り上げているわけでございます。ところが、この軍縮会議と申しますのは一九六〇年代、それから七〇年代につきましては、例えば部分的な核実験の禁止であるとか、核不拡散条約であるとか、生物兵器の禁止条約であるとか、宇宙天体条約と、このように着実に具体的な成果を上げたわけでございますが、ここ数年は非常に停滞状況にありまして、特に軍縮会議を通じまして何か具体的な話がまとまったということはなくて、専らその手続的な論争に終始しておるというような実に嘆かわしい状況になっておるわけでございます。  今年、日本の軍縮会議の大使でおられます今井大使がある雑誌に寄稿しておられるわけでございますが、それを読みますと、自分は軍縮大使としていろいろやっているけれども、実に挫折感との闘いであるということを書かれております。非常に高い理想を掲げて軍縮、軍縮ということをやっているけれども、非常に現在の東西間の厳しい対立あるいは各国のエゴというものを踏まえて、なかなか軍縮が進まないのは非常に困ったことであるということです。そういうような背景を踏まえまして、昨年は外務大臣に軍縮会議に御出席願いまして、日本としては特に力を入れております核実験の禁止につきまして、従来は一挙に包括的な核実験の禁止ということを言っておりまして、これにつきましては検証問題でなかなか進まないということで、今後は段階的に、究極的には核実験を全面的に禁止するということを目標としつつ、ステップ・バイ・ステップと申しますか、段階的にこれを実現しようという提案をしていただいたわけでございます。今後も日本としては核兵器問題、特に核実験の禁止につきましては重点的に軍縮委員会を通じまして努力していきたい、かように考えておる次第でございます。  それから、国連というのは先ほど申し上げましたように窓口が広うございまして、例えば日本の卑近な例で申し上げますと、宇都宮の精神病院の問題が国連の人権委員会で取り上げられると思いますと、次の日にはほかの地域で日本の輸入した象牙の問題につきましていろいろ問題があるということで、非常に多種多様な問題を取り上げているわけでございます。  国連の平和維持機能、軍縮につきましては私は先ほどから非常に悲観的な見方を申しておりまして、今後の長期的な課題として国連を通じての成果を上げる方向で努力すべきだということしか言えないわけでございますけれども、経済社会分野におきましては非常に目に見える成果が上がっておりまして、特に国連の専門機関を通じましていろいろな成果が上がっておるわけでございます。例えば人権規約であるとか、あるいは今年の国会で御審議いただくことになっております女子差別条約、あるいは将来日本が批准を考えております人種差別条約、こういった面では非常に成果がございますし、その他もろもろの専門機関におきまして具体的な人類の平和繁栄につながるような成果が上がっているわけでございます。  ただ、この経済社会分野におきましても特に六〇年代、七〇年代に国連の一番悪い面が出てきた。と申しますのは、多数の横暴と申しますか、多数の専制と申しますか、数を頼んでやたらと実行性のないような決議をどんどん通す。これが非常に先進国と開発途上国との間で対立を生みまして、先進国から見た国連に対する厳しい目、あるいは厳しい声ということが起きてきた背景にあるわけでございますけれども、ようやく七〇年代の終わりから八〇年代にかけましてこの実行性のない決議の乱造ということがほぼ下火になってきたということが言えるわけでございます。  それにはどういう背景があるかということでよく見てみますと、政治的に非常に開発途上国の中で分裂が見られる。これは開発途上国が基盤としております非同盟でございますけれども、例えばカンボジア事件ということで、ベトナムが隣国のカンボジアに侵入いたしますと、このベトナムの行為をめぐりまして非同盟が真っ二つに分かれる。あるいはアフガニスタン事件につきましても、非同盟諸国の中で過激派と穏健派の中で意見が分かれてしまう。それからイラン・イラク紛争、あるいはキャンプ・デービッドをめぐりますイスラエルの問題につきましてもアラブの中で真っ向から対立が生じるということで、五〇年代、六〇年代に見られておりました非同盟の一枚岩的な基盤が緩んでしまったということが政治的に言えるわけでございます。  それから経済面で見ましても、オイルショック以降南の間で格差が非常に出てきたということで、南の国の中でもNICSと申しますか、新興工業国といたしまして非常に高度経済成長を遂げて高所得国になった国が生じてきたということで、経済問題につきましてもなかなか非同盟百カ国が一つになって決議案を通しにくい状況になってきたということが言えるわけでございます。  それから、非同盟の中でもやはり現実主義論、現実的な見直し論というのがありまして、例えば その代表的な例は、一九七四年に国連の世界人口会議というのがブカレストで開かれたわけでございます。このときに西側諸国あるいはアジアの国は、人口抑制ということが開発途上国の開発にとって非常に重要であるという主張をしたわけでございますけれども、これにつきましては特にアフリカの国から、人口抑制、人口制限というのは先進国の陰謀である、要するにアメリカの人が食べているカロリー一人分のカロリーでアフリカ人八十人が養われるんだ、したがって人口抑制というようなことは開発の障害なんです、むしろ人口をふやす方が開発につながるんだ、こういうのが当時、七四年でのアフリカ諸国を中心といたしました一部開発途上国の反応であったわけでございます。ところが、八四年に同じ世界人口会議の第二回がメキシコで開かれたわけでございますが、この際には全く開発途上国の反応がさま変わりいたしておりまして、開発のためには人口抑制というのがいかに重要かということについては全く異論が見られなかったというように、開発途上国の中でも非常に現実的な議論が支配的になってきたということが言えるわけでございます。  それからいま一つの例は、昨年、アフリカの飢饉ということで、日本でも非常に反応があったわけでございますけれども、昨年の七月にこのアフリカ援助問題につきまして国連がジュネーブで会議をやったわけでございます。このときにはアフリカの国は、自国の経済政策に誤りはないのである、長年植民地主義の支配のもとにさらされた植民地諸国、いわゆる欧米諸国に責任があって、我々の責任じゃないというようなことを言ったわけでございますけれども、昨年の十二月、特に日本が調整国になりまして国連でのアフリカ緊急援助宣言を作成したときには、アフリカの国々は異口同音に、やはり自国の農業政策、経済政策に誤りがあったとその誤りを認めた上で、なおかつ西側の援助が必要だというようなことで意見がまとまったわけでございます。こういった具体的事例に見られますように、従来の、とかく数を頼んで暴走していた時代というのはどうやら幕を閉じたというふうに見ることができるかと思います。  ただ、それではこういった現実的な見直し論、あるいは政治的、経済的な多様化を背景に非同盟あるいは開発途上国の態度が現実的になったということは言えるわけでございますけれども、国連の制度そのものの中にやはり非常に問題があるんではないか。特に、国連憲章が四十年たってもほとんど実質的には改正されないままに今日来ているわけでございます。日本その他多数の国が国連憲章の見直しということを主張しているわけでございますけれども、この点につきましては特に五大国を中心に強い反発を示しておりまして、国連憲章の改正ということは非常に困難であるという状況でございます。  時間の関係で、次にユネスコの話をさせていただきますが、御承知のように先般の二月十二日から十六日まで開催されました執行委員会におきまして、日本の代表が二日目に、日本が提案しております改革が実現されない場合にはユネスコとの関係を見直すことあり得べしという発言をいたしまして、この発言が日本の一部の新聞には、日本はユネスコから脱退するのではないかという形で伝えられたわけでございます。この背景につきましては、実は御承知のように昨年末をもちましてアメリカがユネスコを脱退し、かつ昨年、イギリス、シンガポールが既に脱退を通告しておりまして、改革が実現されない場合にはイギリス、シンガポールは自動的にことしの末で加盟国としての身分を失うわけでございます。  私どもが常日ごろからユネスコで主張しておりますことは、ユネスコの現在の事業のやり方には非常にむだがあるんではないかと。特にほかの機関でやっております計画、例えば開発と人口であるとか環境、人権に関する研究、こういったものは国連の専門的な機関があるわけでございますので、そういった専門的な機関で十分時間をかけて専門家が議論すべき話である。ユネスコがこういった問題を取り上げるというのは、予算が十分あって、なおかつ余裕があればこういうことを取り上げることに反対ではないけれども、今のような緊縮財政の時代に、こういったほかの機関で取り上げているようなものをまたユネスコで取り上げることについては非常に反対であるということを言っているわけでございます。それから緊急性のない事業、例えば国際的な未来志向的研究、何のことかよくわからないわけでございますけれども、こういった表題で研究が営々として行われている。あるいは教育の民主化のあらゆる側面の研究、これにつきましても、今すぐにこういったものをやらなくちゃいかぬという必要はないわけでございます。  それから平和と軍縮、これは確かに非常に重要な研究課題ではありますけれども、これにつきましては国連総会で研究委員会が幾つも幾つもつくられておりまして、いろいろな研究をやっている。それから実質的な軍縮問題につきましてはジュネーブの軍縮会議でやっているわけでございますので、これについても、どちらかというとソ連がアメリカを意図的に困らせるためにユネスコでもまたこの問題を取り上げているということで、非常に従来から東西対立の一つの火種になってきたわけでございますけれども、こういったものを好んで取り上げようとするユネスコの体質に非常に問題がある。  それから、人事の管理、人事の採用の面で不透明、不公正さがあるわけでございます。それから金の使途につきましても、私どもとしては必ずしも透明ではないというふうに感じているわけでございます。特に一番問題になりましたのは、アメリカがユネスコ脱退を決定した後、八四年の四月にアメリカの会計検査院がユネスコの会計監査をちょっとしてみたい、見せてくださいということを言いまして、これについては非常に国際機関の会計検査をメンバー国が行うということは異例なことでございますけれども、とにかくユネスコの事務局長はそれに応じたわけでございますが、アメリカの会計検査の役人が到着する十日ぐらい前にユネスコ本部に火事がございまして書類が焼けてしまったというような事態で、これはだれに責任があったかということはわからないし、また本当に失火であったのか、放火であったのかということもわからないわけでございます。とにかくどうも常識的には理解できないような事態が起こったということであるとか、あるいは採用の面で非常に公正を欠く人事が行われているというような実態があるわけでございます。  例えば、今回アメリカが脱退したことに伴いまして、アメリカとしては当然分担金を払わないわけでございますけれども、この分担金を払わないということについてユネスコの法務部長が、それは正論であるという発言をしたところが、その後でこの法務部長は首になってしまった。なぜ首になったかと申しますと、ユネスコの事務局長はセネガルの人でございますけれども、アメリカは脱退した後でも八五年の分担金を支払う義務があるということを言っているわけでございます。これはちょっとおかしな話でございますけれども、ユネスコの予算というのは二年間予算になっておりまして、八四年、八五年の予算を既に決定しているわけでございます。したがいまして、事務局長は、アメリカが脱退した後も八五年にアメリカは支払う義務があるんだということを言っておりまして、自分の意見に反した法務部長を首にしたというようなことでございます。彼はミスター・ムボウという人ですけれども、相当どうも日本語でそのまま無謀であるというように新聞に書かれているわけでございますけれども、かなり強引なところがあるということでございます。  私どもといたしましては、こういったアメリカが出たというような深刻な事態を踏まえまして、ユネスコのぜい肉をとる、あるいは運営を合理化し、公正に人事等を行うということが実現されない限りユネスコは壊滅状態に陥るんではないかということで、従来はとにかく中にとどまりまして改革をしようということでいったわけでございますが、どうも今回の執行委員会の直前、あるいは 開会した後の運営の仕方等を見ておりまして全く反省の色が見られないということで、第二日目の最後の発言者といたしまして加川大使から、日本としては将来改革が実現されないときには関係を見直すというような発言をしていただいたわけでございますが、日本としては、現時点であくまでもそういった脱退というようなことを回避する方向で今後とも欧米諸国あるいは一部の非同盟諸国と一緒になりましてユネスコの体質改善を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。従来、どちらかといいますとお金は出すけれども口は挟まないというのが美徳とされていたわけでございますけれども、これからはやはりお金を出すからにはきちんとその金が使われている、適正な目的のために使われるということにつきましては厳格に対応していくことが必要ではないかというふうに感じているわけでございます。  国際機関、特にユネスコが大荒れに荒れているわけでございますが、これは国際機関全般につきまして言えることでございますので、今後は日本としては、厳しく国内で行われているような行政改革、こういった問題意識を持ちまして国連機関の運営につきましていろいろ注文をつけていくということを考えているわけでございます。  時間がございませんのでこの辺で終わりたいと思います。

大木浩自由民主党・自由国民会議

○小委員長(大木浩君) どうもありがとうございました。  以上で外務省側の御説明は一応終了したと思いますので、それではこれより質疑を行います。  質疑のある方は小委員長の許可を得て順次御発言を願います。

石井一二自由民主党・自由国民会議

○石井一二君 質問をさせていただきます。  私に与えられた時間は約往復で十分と聞いておりまして、お三方に二つずつ質問をしたいと思います。総合で約三分でございまして、私が質問に一分半ほどしゃべりますので、残りの一分半ということで、ミスター・ムボウみたいな、無謀なことを言っているように聞こえますが、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  まず最初に、波多野報道官にお聞きをいたしますが、いろいろ外国人の記者との人間関係にも気を使っておるんだと。またその努力の跡にも敬意を表したいわけでございます。  最近、不幸な事件がございました。イタリアの記者が指紋の押捺を拒否した。その結果数次の再入国を認めないということになって、やや国際的にも報道されておるわけでございますが、今まで八回認めておいて、九回目にこれをやるというのも一貫性に欠けておると思うわけでございます。また、日本で報道しておってあなた方もしょっちゅう接しておるとすれば、そういった日本の法律に協力をしてもらうぐらいの教育をしておくべきではなかったかという気もするわけでございますが、これに対する所見をお聞きしたいというのが一点。  それからもう一点は、政策広報について特に力を入れておるということを言われたわけでございますが、それは一つの説得であるというお言葉もございました。例えば日韓関係を見た場合に、日韓経済協力その他あるわけでございますが、私は竹島の現状というものを見た場合、およそ広報活動を通じての説得ということが欠けておるのではないかと思うわけであります。  この二点についてポイントだけひとつお答えをいただきたいと思うわけであります。

波多野敬雄外務省大臣官房外務報道官

○政府委員(波多野敬雄君) 第一の点につきましては、どうもこれは所管が法務省の問題でございまして、私は完全にお答えできるかどうか自信がございませんけれども、私の知っておりますところでは、本人は相当意図的に確信犯的なことで、今回やろうということであくまで拒否する、しかも拒否した後、直ちに自分の行動を日本のプレスにみんな広く知らせて、カメラなどもそこへ駆けつけて、自分がどう言っているかというようなことをすぐにテレビにも出させたというようなことで、ちょっと行政の対応を超えた問題になってしまっていたのではないかという感じがいたします。  第二の竹島の問題につきましては、これはアジア局の専門家がお答えすべき問題かと思いますけれども、私の了解しておりますところでは、本件については韓国側も特に国内でPRしない、我が方も特にPRしない。我が方としてはあくまで主張は維持し続ける、韓国に対してもこれは主張し続ける。しかし、大局的な日韓関係という観点から、この問題について韓国は韓国で自分の主張を宣伝し、日本は日本で日本の主張を宣伝するということが現在の日韓関係で必ずしも望ましいことではないのではないだろうか、しかもそうやってみてもそれで解決する問題ではないのではないだろうかという感じがあるのではないかと思います。それにもかかわらず、我が方の主張は主張としてあくまで韓国に対しては堅持しているということだと了解しております。

石井一二自由民主党・自由国民会議

○石井一二君 次に、まだまだ言いたいことがございますが、一応藤田局長にお伺いいたします。  ODAに対するいろいろな御努力、特に実質二位であるというようなお言葉も多といたすわけでございます。国連決議等を見ておりますと、GNP対比〇・七%を先進国がすべきであるといったような決議があるわけであります。現状は我が国は〇・三三である、またアメリカの数字をとってみてもその程度である。そういった場合に、こういった非現実的な決議をさせること自体やや問題がある。これは瀬崎さんにも関連をいたすわけでございますが、現に私が日本の代表として出ましたアジアのポピュレーションカウンシルでドラフトでこういうのが出てきました。私は総会の席上三百人おる前で反対をして、日本は賛成をしないということでその場で数字を削らした実績もございます。そういう面で今後まだまだ、〇・七%というようなものが国際的なコンセンサスになっておるけど、道は遠いわけでありまして、今後の御努力を願わなきゃいかぬわけでございますが、御所見があればちょっと聞いておきたいことが一点。  第二点は、御承知のように借款にはタイドとアンタイドがある。それぞれ長所があるわけでございますが、借りる方はアンタイドを望むわけでございますが、貸す方の立場からいけば、金が一体どこへいったかわからぬというようなことも起こり得るわけであります。これは悪いジョークでございますが、ある国の指導者のスイスの銀行のアカウントだけがふくれるというようなことも実際問題として活字になって出ている書物がたくさんあるわけであります。そういう面で日本の基本政策として、このタイドとアンタイドについてどのように考えておられるか、今後どちらに向けて進まれるのか、ちょっと伺っておきたいと思います。

藤田公郎外務省経済協力局長

○政府委員(藤田公郎君) 第一点の〇・七%でございますが、まさに先生御指摘のとおり八〇年の国連総会でコンセンサスで採択されました。その際に我が国は〇・七%。その際の決議は、先進各国のうちまだ〇・七%を達成していない国については一九八五年までに達成すること、こういう決議だったわけです。我が国は八五年という時期については留保をいたしまして、〇・七という国際目標、目標である、それについてはコンセンサスに参加したというのが実情でございます。  実際、現実に〇・七%に達しております国は、先ほど申し上げました十七カ国のうち五カ国でございますが、そのうちの一つはフランスで、フランスは若干本当の意味での寄与ということが言えるかどうか怪しいわけでして、海外領土の部分を除きますと〇・四五ぐらいの実績でございます。したがって、本当の意味で〇・七%を達成しているのは非常にGNPの小さな北欧の国、オランダとかということで、四カ国程度であるというのが今の状況でございます。ほかの先進諸国でも、例えばアメリカはこの〇・七%を受諾しておりません。受諾していないけれどもコンセンサスには参加する、あえて異は唱えない、反対はしないということでございます。そのほかの国もいろいろな留保を付しているというのが今の状況でございま す。したがって、これは非常に将来の高い目標として考えておく。ただ日本とかアメリカとかGNPの非常に大きな国については、〇・七というのは時期を限って達成するという状況にはないというのが今の状況かと思います。むしろ私どもが政府として答弁いたしておりますのは、国際目標ではあるけれども、当面我が国の目標とするのはDACの平均である。これが一九八三年は〇・三六でございますが、そういうことです。  それから二番目の、タイド、アンタイドでございますが、これはまさに先生おっしゃったように受け入れ国にとってみると、やはりアンタイドであることが一番資金を効率的に使う道でございますので、アンタイドの借款を要望するというのがこれは開発途上国側の強い要請です。我が国につきましても、牛場・ストラウス共同声明というのが一九七八年でございますか、例の貿易黒字問題、貿易摩擦問題に関連して出されましたときに、我が国はアンタイドを原則とするということをうたいまして、それ以降着実にアンタイドの努力を重ねておりまして、現在約束額ベースで見ますと我が国の借款の五割が一般アンタイド、どこの国といいますか、先進国を含めてどこの国でも参加できる。  それから、一般アンタイドに至る過渡的措置としまして、LDCアンタイドと称しますが、これは日本及び他の開発途上国はどこでも参加していいというLDCアンタイドというのが四割ぐらいございます。合わせると九割が一応アンタイドの形になっておりまして、日本タイドというのは一割である。この九割というのは先進国で一番高い率でございます。それから一般アンタイドの率だけで見ますと、ドイツが七割ぐらいが一般アンタイドしておりますが、ドイツは割と一般アンタイドのシェアは高いという状況でございます。  日本もやはり開発途上国側の要望、それから先進国に対する意図表明ということも踏まえまして一般アンタイドに向かって努力をしていかなきゃいかぬと思いますけれども、他方、今先生もおっしゃいましたように、我が国の産業の状況もございますので、そう急激に全部を一般アンタイドということにはなかなか進まないのじゃないかと思います。

石井一二自由民主党・自由国民会議

○石井一二君 ありがとうございました。  最後に、瀬崎参事官にお聞きします。  ユネスコについていろいろ報ぜられておりますが、理解は深めました。一見、私たちは日本はアメリカ追従の国連外交をやるのかと思っていたら、必ずしもそうではない、そう思ったわけでございます。アメリカが国連関係でややユニークな発言をしているもう一つの問題にアボーションに対する拠出の拒否というような動きが出ておる。これについて我が政府はどのような対応をとられるのか。流れの方向だけ教えていただきたいのが一点。  第二点は、自衛隊の海外派兵絡みで、国連に対する協力が金だけ出すではいかぬのじゃないかということを言われたわけでございますが、その中の一例として南アのナミビア独立云々という問題に絡んで民間人を派遣するということも考えておる。その場合にどうのこうのということを言われましたけれども、当然相手は武装して、そういった殺伐とした光景も予想されますし、やや内政干渉の可能性もある。そういった段階で、いかに想定とはいえ、こういった公の委員会で具体的に国名を挙げ、具体的にまだ起こりもしない状態を想定して例を挙げられるということに対してやや論議もあろうかと思いますが、御所見を一度お伺いしておきたいと思います。

瀬崎克己外務省国際連合局外務参事官

○説明員(瀬崎克己君) お答えさせていただきます。  第一点のアメリカのアボーションに対する拠出拒否でございますが、この点についてはやはり各国の人口政策というのは非常にまちまちでございまして、日本では堕胎というのは事実上認められているわけでございますけれども、アメリカでは州によって非常に厳しい。特に現在のレーガン政権につきましてはこれについて厳しい態度で臨んでいるということでございますので、これについてはやはりそれぞれの対応に任せるほかないのかなということでございます。  それから、第二点のナミビアの件でございますが、実はこれは国連が一九七八年に安保理の決議でナミビア独立のためのいろいろな手続を決めているわけでございます。その中の一環で、非武装された後に国連平和維持軍を派遣し、それと同時に選挙を実施する。そのために選挙管理の人員を募る手続があるわけでございますが、このナミビア独立の決議に関連いたしまして、日本は既に国連総会で、その年の国連総会、それからその後の国連総会でも日本の外務大臣から、ナミビアの独立の際の選挙管理には人的協力とそれから資材の供与を行うということを公表しているわけでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 きょうは初めてなので私は各論には余り入りませんで、ただ初めてですから、最初にちょっと希望を申し上げておきたいと思うのです。  それは、わかりやすい外交ということをやっていただいて大変結構なんですけれども、私は外交というのはどういうわけか国民に最も遠い分野じゃなかろうかという気がいつもしております。  一つは、例えば外務委員会なんかに出ておりますと、常に気をつけていなければならないのは、ここに提出された条約が何かではなくて、提出されていない条約は何か、協定は何かというような目のつけどころをせざるを得ない。つまり、条約なり交換公文というようなものに非常に重要なものがあるのではないかというふうに思うわけでございます。私は、やはり重要なものについては、これが国会の場で十分審議されるような体制をとっていくべきだというふうに思いますので、そういう点も含めまして国民に近い外交、国民が参加できる外交、そういうような観点をひとつこの委員会で取り上げてみたいというふうに思うわけでございます。  それから第二点としましては、外交問題小委員会という名前でございますけれども、他の小委員会が安保なり国際経済なり、そういった分野別と申しますか、一つの特定のテーマを掲げているのに対しまして、この外交問題小委員会は必ずしもその辺が明らかでない。と申しますのは、他のものが分野別であるのに対して、これは切り方が違うと思うのです。そこで、当然のことでございますけれども、この外交問題小委員会は外交に関することをやる、他の小委員会との重複も当然にあり得る、アプローチが違う、そのような認識を私は持っております。また、そのような認識を確認した上で始めたいというのが第二点でございます。  それから第三点は、この委員会には外国に調査に行く費用がございません。これはせっかく調査の特別委員会を設けた上からいっても、どうも現場も知らないでいろいろなことを論議しているということは大変問題だと思いますので、参議院の使命を向上させていく、機能を向上させるという意味からいいましても、この点について私ども考えていきたいと思うのが第三点目でございます。  希望は希望といたしまして質問に入らせていただきます。  一つは、波多野報道官にお伺いしたいのですけれども、いろいろな意味の広報、本当に御苦労さまです。ただ、これが一方的だけなんじゃなかろうか。つまり日本のことを相手に説得し、知らせる、あるいは国民に知らせる、こういうことになっているんじゃないかと思うのですが、海外へ日本がいろいろな経済協力あるいは企業進出をいたしますと、そこでいろいろな問題も起こるかと思います。相手の国民がどう考えているか、あるいは日本の役割がどのように本当に果たされているかというようなことについて海外の問題を指摘されるという、そういう側面はないのかどうかということでございます。  それから第二には、藤田経済協力局長にお伺いしたいのですが、ODAがこのようにふえてまいりますと、やはり問題にせざるを得ないのは先ほ ど御指摘の効率性、効果性の問題でございます。それで私が伺いたいのは、OECDでもって目標値などを決めているんですけれども、これに関連して、OECD自身はこれの効果性につきましてどのような評価をしているか、あるいはすべきであるかというその御所見を伺いたい。それからまた、日本自身も評価をしているんではございますけれども、これについて私もちょっと拝見いたしましたけれども、かなり事なかれ主義の評価であって、本当のところがどうもよくわからないのですが、今後どのように、改善すべきであるとお思いになっていらっしゃるかどうかという点です。  それから、瀬崎参事官にお伺いしたいのは、一つは、日本の平和維持についての財政面の協力のみでいいかという御意見がございましたけれども、これについては、今の日本の政治、外交姿勢からして、日本がこのような軍隊として海外に出ていくことに、果たして受け入れ国がそんなにそれを歓迎するだろうか。それからいろいろな国を考えた場合に、その中でも先方の選びたい優先順位が極めて低いのではないか、こう思うわけですが、その点についてどうお考えになるかということです。  それから第二点は、ユネスコの問題が出ましたけれども、確かにお金の面、人事の面の不透明、あるいは組織が、非常にそのオーガナイズが悪いという管理面についての御指摘、これは当然きっちりしてもらわなければならないことだと思います。しかし、その政策面につきましては、途上国側の希望が一概に無理と言えるのかどうか。例えばアフリカなどでテレビあるいはラジオの放送を聞きますと、アメリカのギャング映画、アメリカのメロドラマ、アメリカの放送、こういったものが圧倒的な部分を占めているのではないかと思います。こういうことに対して、やはり新しい情報秩序というようなことを言い出した理由もわからないではないと私自身は思うのですけれども、このユネスコの政策面について、日本はもう少し客観的な評価を加える必要があるのではないか、このことなんでございます。必ずしもアメリカに追随するというような方策が日本にとって有利なのか、利益になるのかどうかということは甚だ疑問に思うわけです。  以上です。

波多野敬雄外務省大臣官房外務報道官

○政府委員(波多野敬雄君) 私の御説明の中で、一般広報をやります場合に、特定の国を特定の時点でとらえた場合に、どういう広報をやるかということをきめ細かく考えなければならないということを申し上げましたけれども、一方的な広報、広報というのは往々にして一方的なものになりがちなんでございますけれども、その前段階としては、その国が日本にどういうことを期待しているか、どういうことを考えているか、日本はその国にどういうイメージを与えなければならないかという点を分析するに当たっては、そこでもう密接な分析、対話が行われている。我が方は在外に百六十六の在外公館を持っておりますけれども、その相当多くのものが総領事館でございます。これらの在外公館の極めて大きな活動というのは、一般広報、そして一般広報の前提となる日本の広報のあり方を分析するということにあるんだと思います。そういう意味で、広報活動の前段階には極めて密度の濃い対話、分析があるということを申し上げてもいいかと思います。  それから、一般広報というのは往々にして、やはり当方の働きかけであって、対話のようなものがなくなりがちであるというのは、広報の性格上やむを得ないことかと考えますけれども、我々がそこで必要だと考えておりますのは広報の評価でございます。先ほど藤田局長の方から、経済協力の評価を最近は重視しているという話がございましたけれども、我々も、一方的に広報をやってそれだけで我が事成れりと思っているんじゃよくない。その広報がどのように評価されてどのような効果を生み出しているかということについては、我々としても、相手側と密接な対話を持って、場合によっては世論調査機関などを使うなどして、その点を分析した上でさらに効率のよい広報を行うように心がけているつもりでございます。

藤田公郎外務省経済協力局長

○政府委員(藤田公郎君) ただいま御質問の第一の、OECDにおきます効果的な援助についての努力いかんという御質問でございますが、二点申し上げられるかと思います。  第一は実質面でございますが、DACにおきましては、援助国側としてその援助の効率性、効果性ということは常に議論になっておりまして、その中で特に最近取り上げられておりますのは政策対話の重要性ということでございます。この政策対話は、一つは、先進国というか、援助供与国及び国際機関というものが集まって、特定地域、例えばアフリカにつきましての援助をいかに効率的に進めるべきか、こういう対話が非常に重要である、ないしは二国間とかですね、ということが非常に強調されております。  それからもう一つは、被援助国と援助国との間の政策対話というものを強化していくべきだという指摘がなされております。ただ、御承知のように、この場合には、政策対話が対話だけならよろしいのですが、考え方としては、自助努力の重要性、それから政策の改善にまで、あなたのところの為替政策をもうちょっとあれしろとか、アフリカの場合ですと、最近のOECDの議論はアフリカの食糧問題につきましては三つある。一つは価格体系、食料品の価格、農産物の価格体系の問題、それから農業インフラの問題、それからもう一つは小農の重視と、この三つをアフリカ諸国に求めるべきだというような議論が出ておりますが、そういう政策改善を求めるべきだという主張をする国もございます。そういう意味では、その政策対話をとにかく強化していこうという点では、一応かなり突っ込んだ議論が行われております。  それから第二としましては、形式的な話ですが、評価というものにつきまして、評価の手法の改善とか、一体評価というものはどういう形で進めていったらいいかということを技術的に、むしろ手法を勉強しようということで、評価委員会というのがDACに小委員会としてございまして、評価の専門家が年に二回ぐらい集まりまして、評価の分析の手法についての意見の交換というものを行っております。したがいまして、かなりOECDも効果的な援助、効率的な援助というものについては力を入れているということが申せるかと思います。  それから第二番目の、我が国の評価報告書をごらんいただいて、どうも余りぱっとせぬというおしかりを受けまして、私どもももちろん非常に立派な報告書であるというふうに考えているわけでもございませんので、今後とも改善の努力をしてまいりたいと思います。  ただ、こういう形で我が国が自分のプロジェクトを百ぐらい評価しましたものを公表しているという国は実は日本だけでございまして、アメリカなどは部分的にはやっておりますけれども、ほかの国は大体部内資料にとどまっております。悪い点もかなりはっきりと書いております。したがいまして、これについて、そういう意味では失敗例といいますか、悪い点もある程度正直に出しているという点は御評価いただけるんではないかと思います。  評価をした結果、きちんと改善をしておるのかという御指摘でございますが、一つは先ほど申し上げましたように、評価をした結果として二つ大きな問題があると思います。  一つは事前調査の必要性。やはり事前にきちんとある程度の時間をかけて調査した案件ほどうまくいっているというのが非常に大きな教訓ですので、それは今後の援助供与に際しては十分守っていきたいということです。  もう一つは、フォローアップの重要性ということで、やはり援助しまして、例えば技術協力の場合ですと、五年間ぐらい日本の技術者が行って、見て、多少は延長もして、それで相手に引き渡して帰ってくるわけですが、その後もときどききちんと見にいって、本当にうまく動いているかどうかというものを見て、例えばスペアパーツが足りないという場合には、スペアパーツの供与を新し い援助で行うというような形でフォローアップの作業というのは今までも進めておりますし、今後もっと強化していこうと思っております。特にスペアパーツ供与というのは非常に重要なものでございますから、本年の無償援助でもスペアパーツの供与というのを一つ項目として挙げて、今まで行いましたプロジェクトの後追いという形での援助を進めているのが状況でございます。  いずれにせよ、評価報告書に掲げております問題点として指摘されておりますのは、その後改善をきちんとしてするという努力を行っております。  以上でございます。

瀬崎克己外務省国際連合局外務参事官

○説明員(瀬崎克己君) それでは、最初に平和維持の問題でございますが、私、実はニューヨークの国連代表部に四年半おりまして、国連の政治問題をいろいろ現地でやったわけでございます。そのときに、日本の例えば核問題、核軍縮につきまして、非常に日本が熱心だと。いろいろな提案をするわけでございますけれども、これにつきましては各国の代表とも、日本はやはり核の被爆国である、したがって、これは非常にほかの国と比べまして熱心にやっていてよくわかるという反応がすぐ返ってくるわけでございます。  ところが、この平和維持軍の問題になりますと、例えば現にワルトハイム事務総長から、レバノンの平和維持軍に日本が派兵してくれないか、参加してくれという要請があったわけでございますけれども、その際に、日本の国内の法制からいってそれはできませんということで事務局の方に答えて、その後事務局からは、日本の問題点がよくわかっておるものでございますから具体的な要請はございませんが、各国ともいろいろな人に会って、日本はなぜ平和維持軍に参加しないのだと。もちろん我々は出先の人間でございますから、日本の国内の事情あるいは日本の基本的な考え方というものを各国に説明するのが使命でございますので、いろいろ詳しく説明するわけでございますが、やはり日本というのは非常に特殊な国であるなという感じを一様に持つようでございます。もちろん日本の現在の実情等をよくわかって、最後には、ああ、そうかということになるわけでございますけれども、どうもいま一つ、日本というのは非常に特殊な国であるという目で見られているというのが実情ではないかというふうに感じているわけでございます。  それから、現在の外務省の考え方というのは、従来政府答弁等でも繰り返し繰り返し言っているわけでございますけれども、現行の自衛隊法ではこれは認められておらぬし、また現時点でこれを改正してどうのこうのということは検討していないということでございますので、私が先ほど申し上げましたのも現時点での問題ではなくて、やはり長期的な問題としてこれを検討する必要があるのじゃないかなということでございます。しかも、現実に今大量の国連軍を必要とするというような客観的な情勢にございませんが、将来の仮定の問題としてこれは検討に値する問題じゃないかということで問題を提起さしていただいたわけでございます。  それから、それじゃ日本が歓迎されるかどうかというのは、現実に日本はもう出られないのだということをあちこちで言っておりますので、日本の例えば自衛隊に来てほしいというような具体的な話につきましては、私どもは承知しないわけでございます。  ただ、先ほどちょっと申し上げて、石井先生からも御指摘いただきましたが、ナミビアの独立の際の選挙の監視、こういった面では自衛隊以外にも日本として人的な面で貢献できる分野があるわけでございますので、そういった分野でいろいろ今後とも現行法制の枠の中で検討していきたいということでございます。  それから、ユネスコの活動でございますが、これは確かに現時点での国際協力、これはどちらかといえば先進工業国がいろいろな国際機関を通じまして開発途上国に協力するということでございますので、もちろんユネスコにおきましても、開発途上国の要請、必要等を踏まえまして日本は対応しているわけでございます。  ただ、やはり事業の内容の中で非常に緊急性のないもの、あるいは不要なものであるとか、ほかの機関でやる方が適当であるというようなことも混在いたしましてやっているのがユネスコの実情でございますので、この点については日本としてはもう少し事業を精選してほしいということでございます。この点については日本だけではなくてほぼ大多数の西欧諸国、それから一部の開発途上国も理解しているようでございますので、今後、ここ一年間、五月、それから九月のユネスコの執行委員会、十月の総会等を踏まえまして、事業の精選というのが実現するのではないかというふうに考えているわけでございます。  それから、新情報秩序の問題でございますが、これはどちらかというと開発途上国の情報産業あるいは情報組織が非常に弱い、したがって先進国のマスメディアに牛耳られるんだということから端を発したわけでございますが、これはやはり突き詰めていきますと言論統制あるいは言論の自由を規制するということにつながりかねないということで、私どもとしては非常に慎重に対応しているわけでございます。  ただ、やはり客観的に申し上げまして開発途上国の情報産業が非常に弱いということは事実でございますので、技術協力、技術指導等を通じましてこういった開発途上国の情報基盤を強化する方向で対応しているということで、最近ではこの新情報秩序につきましてもユネスコでの議論というのは若干下火になっているというのが実情でございます。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 きょうの小委員会は初めてでございます。私は外務省の方々のお話を聞いておりまして一つ感じましたことは、外交問題小委員会というのは、ほかの安全保障問題小委員会あるいは国際経済問題小委員会などに比べて対象分野が非常にはっきりしないという問題があるわけなんですが、たまたま理事の方々なんかで一応区分けされて、ここにもプリントがございますけれども、二国間外交、国連外交、経済技術協力、文化・人的交流等というふうなものが一つの対象というリストができているわけです。それに基づいてきょう御発言があったんだろうと思うのですが、外交問題小委員会として取り上げるべき一番大きな問題は、一体日本の外交というのはどういう姿勢で臨むかというふうな総合的な問題ですね。特に戦後四十年の日本の戦後外交というものをどう評価するか、そして日本の外交において外務省として胸を張れるのはどういう点なのか、それとも先進国と比べてこれはまだまだだめだというところはどういうところなのかというふうな点について、むしろ普通の委員会と違って相当何かざっくばらんな気持ちで本音のところを出していただきたいというのが我々の希望なんです。  そういう点において、いきなり波多野さんから海外広報、国内広報の話から始まったというのは、そういう意味では私は非常に残念なんです。それで一つにはそういう区分けが問題なのであって、やはりそういう総合的な見地から外交のあり方というような問題についてもう一度政府側の、外務省の人たちの見解を聞きたいと私は思いますし、小委員長にもそれをお願いしたいと思うのですが、そういう機会をつくっていただきたいと思うのです。  せっかく外交官のベテランの方々ばかりがいらっしゃっているので、きょうの発言と直接関係はないかもしれませんけれども、特に波多野さんは報道官というのだからこれはスポークスマンということなんだと思いますから、今私が申しましたような広い意味の日本外交の一番特徴、ほかの先進国と比べてここが特徴だというふうな点とか、あるいはまた、これは非常に日本の外交としては成功している、あるいはまた、これはなかなかネックが多くてまだまだだというふうなポイントの幾つかについて波多野さんからもしお考えがあれば、余り肩を張らずにお答えを願いたい。そしてほかの方々もそれぞれベテラン外交官ですから、 そういう問題について補足的にもし御見解があればお聞かせ願いたいと思います。

波多野敬雄外務省大臣官房外務報道官

○政府委員(波多野敬雄君) 日本の外交の特徴は、私なりに理解するところではやはり平和外交なのではないだろうか。これは安倍大臣が最近よく言われることですけれども、最近我々がやっているのは平和のための外交、これは平和のための外交といっても従来のように受け身に日本が何もしないということではなくて積極的に介入して平和を求めていく、紛争の処理に日本も積極的に発言し介入していくという姿勢の積極的平和外交なのではないだろうかという感じがいたします。この平和外交の背景にある哲学としては、やはり日本は平和の中においてのみ繁栄し得るということなのではないでしょうか。私は以前、中近東アフリカを担当しておりましたけれども、その際に感じましたのは、イスラエルが例えばレバノンに侵入したという一見日本とはほど遠い地域におけるほど遠い問題に次の日の円の価値は敏感に反映する、円がすぐ下がってしまうというようなことで、やはり日本の繁栄というのは平和の中においてのみ追求し得るのではないだろうかという感じがするわけで、確かに平和というのが哲学としてとうといものであるということもありますけれども、それに加えて、日本はみずからの利益のために平和を追求しなければならないのではないだろうかと考える次第でございます。その平和の追求の仕方として最近日本は、例えばイラン・イラク紛争等においても積極的にできる限りの努力を尽くしていくという姿勢をとり始めているように思います。その他イラン・イラク紛争に限らず、中近東和平と言われるいわゆるパレスチナ問題等についても日本なりにいろいろできる範囲のことをやりたいと考えている次第でございます。安倍大臣もできれば例えばシリアなどへ行きたいと。シリアなどへ行くというのは、シリアというのは日本とは経済関係も余りない国でございますけれども、次に行くとすればシリアだなと言われるのは、やはり中東和平、パレスチナ問題というものに日本も積極的に意見を述べ、できる限りの努力を尽くしていかなきゃならないのではないだろうかという問題意識のもとに行われている発言だと考えています。  以上でございます。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 ほかの方……。

藤田公郎外務省経済協力局長

○政府委員(藤田公郎君) 二点ちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  一つは、ただいまの和田先生の御発言も、それから先ほど久保田先生もお触れになりましたが、外交というのは極めて総合的なものであるべきだ、縦割り行政とはちょっと違うのじゃないかというお話でしたが、アメリカにおきましても、国務省と、アメリカの場合は国防省ですが、国務省、国防省との間の権限のあり方ということをめぐって、非常に特に五〇年代の末期、六〇年代大きな論争が行われました。そのときに、アチソン元国務長官が証言をされましたときに言われたことですが、国務省といいますか、外交というのは、国内の農務省とかいろいろな省がある、国務省の扱う所掌というのはその縦割りではなくて、むしろ横から横断的に見て対外的に国益というものを代表しているのだ、したがって、いわゆるほかの省のような特定分野というものは持たないのだ、そういう目で外交というものは見なきゃいかぬという発言をしておられますけれども、非常に至言だなあと思って私はいつも拳々服膺しているんです。一番初めに冒頭おっしゃった総合的な外交というのはまさに総合的な国益を代表して対外的に当たるということなんではないかと思います。  それからもう一つは、全然別のお話でございますが、今の波多野報道官の御発言にちょっと補足させていただきますと、経済協力という分野でいいますと、先ほども申しましたように、日本は日本としての非常に特異な歴史というものを、非援助国から援助国になってきたという歴史を持っておりますので、やはりそれを踏まえた協力ということで独自性を発揮していかなきゃいけないのじゃないかということで、日本が唱えております人づくりの重要性、人づくり協力というのは、日本の過去の経験を振り返ってみますと何といっても日本の発展というのは教育だった、教育から始まったということが結論として出てくるということで、人づくりというものを非常に強力に援助の主要眼目にしている。これはやはり日本がある程度世界に誇っていい道であり、かつ成果を上げている、胸を張って言える一つの点ではないのじゃないかということを、補足させていただきます。

瀬崎克己外務省国際連合局外務参事官

○説明員(瀬崎克己君) 私も考えていることを簡単に発言させていただきます。  私は外務省の先輩の名誉のためにこれは強く否定するわけでございますけれども、とかく日本の国連外交というのは三Sであったと、サイレント、スマイル、スリープということを新聞等でおもしろおかしく書く向きがあるわけでございます。最近、日本が国連でいろいろやっている活動の中で非常に昔と恐らく違ったと思われる点は二つございます。  一つは、日本の外務大臣が毎年国連総会に行かれるわけでございますけれども、その際に数十カ国の外務大臣からぜひ会いたいという申し入れがあるわけでございます。これは昔の方にいろいろ体験談を聞きますと、外務大臣が行っても演説をやって何回か食事に出てそれで帰ってきたという時代があったようでございます。昨年などは外務大臣が行かれまして二十二、三カ国の外務大臣とお会いになったと思いますが、ほぼそれと同じくらいの数の外務大臣との、時間がないものでございますからこちらから面会を断ったということで、これはやはり国連というのは多数の外務大臣あるいは首相が来る場でございますから、日本の外交をあるいは日本のイメージを向上する上で最大限に活用し得る場ではないか、また活用するだけ日本の国力が上がってきているんじゃないかというふうに見ているわけでございます。  それから、我々事務方の方でございますけれども、これはもうスリーSなどとはとんでもない話でございまして、各国が日本は一体特定の案件についてどう対応するのだということを非常によく聞いてくるわけでございます。昔、私どもは若いころにはよく走り使いであちこちの代表団の間を走り回って、あなたの国はどうするのだということを聞いて回って、そのころには何か向こうから聞いてきたというような記憶はないわけでございますけれども、今はさま変わりいたしておりまして、いろいろな案件について日本がどう対応するのだ、あるいは日本の投票態度ということによって各国の投票態度がかなり引きずられてくるというようなことになっておりますので、日本の外交というのは国連でも非常に積極的に展開されているということです。この点私どもとしては国連というのは非常にいろいろな、先ほど冒頭申し上げましたけれども、何かひどいところだというようなイメージを持つ向きもあるわけでございますが、日本の外交を最大限に売り込む、あるいは日本のイメージの向上のために最大限に活用し得る場ではないかと考えているわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 御三方の御説明をいろいろお聞きしたのですけれども、私も問題意識としては、戦後四十年たった今日、日本の外交がどうあるべきかという問題が探求されなければならないだろうと思うのです。そういう意味で、日本の外交で何をなすべきなのか、その目的、目標を明確にさせられるということが最も重要でしょうけれども、しかし、それを果たしていく上で何を基準とし、何を原則としてそれを進めていくのかということもまた明確にされなければならないのではないだろうか。それに若干関連するような御発言は御三方に決してなかったわけではありませんけれども、しかし、もっと明確にされたいという希望があるわけです。  時間がありませんからたくさん質問することができないわけですけれども、一つお尋ねしておきたいのは、波多野さん、最近の中で、首脳外交というものの位置づけというものが非常に国際的にも重視される状況になってきているのです。日本の外交の中で首脳外交というのはどういう位置づ けをされるのか。今後の展望としてどういうふうにその問題をお考えになるのか。首脳の御発言となると、外国に行って帰ってきて変わったり、いろいろそういうことがあったりすると広報上も大変でしょうけれども、そんなことはお伺いしませんけれども、首脳外交というものを日本の外交の中でどう位置づけるのか、今の時期、これからの歴史の中でという問題が一つあると思うのです。これは簡単で結構です。  それから藤田さんの方にお尋ねしたいのは、日本で行う商品借款や円借款なんか無償援助等々の基準が変更されたですね。その変更された理由ということよりも、今問題にされている、さっき対米追随云々という問題も若干出ましたけれども、日米関係を外交の基軸とするというこの原則と経済協力の基準ということとがどういう関係にあるのか、これも簡単で結構です。  それから、最後に瀬崎さんにお尋ねしたいのは、この四十年間国連のあり方というのは大変大きな変化を遂げてきました。だからこの四十年の間にかつての国連のあり方と違っているわけですね。内容も変わったし、あり方も変わってきた。日本としては、国連外交というのをかつてのように国連中心主義という位置づけをしてきたわけですが、今、国連中心主義というふうな位置づけをしているのかどうなのか、そういう考え方は果たして正しいというふうに認識するのかどうなのか。  御三方がそれぞれいろいろ言われたこととの関連で若干の原則、基準にかかわる問題として簡単で結構です。どうせそれぞれの問題、お話しいただくとなれば、これは大変な発言になりますから一言ずつで結構です。また次の機会にお尋ねすることにして、きょうは簡単にだけお答えいただければ。

波多野敬雄外務省大臣官房外務報道官

○政府委員(波多野敬雄君) 簡単にお答えしたいと思います。  首脳外交につきまして私なりに感じておりますのは、首脳外交というのは通常外交の一環、一部であって、首脳外交対通常の外交というように対比して考えるべきことではないのではないだろうか。外交の中に首脳が行われる部分もあるし、外務大臣が行われる部分もあるし、事務レベルで処理する部分もあるだろうし、いろいろな段階で、いろいろなレベルで処理する外交がある。しかし、すべてが同じ外交であるというふうに観念しております。

藤田公郎外務省経済協力局長

○政府委員(藤田公郎君) ただいま御質問の、商品借款の基準、無償援助の基準が変わってきたという御質問の意味が私はよくわからないのですが、基準自体は変わっていないと思います。商品借款につきましては御承知のように、所得ということよりもむしろ国際収支の状況が非常に厳しい国に対して輸入のファイナンスという形から商品借款を供与するということ……

立木洋日本共産党

○立木洋君 金額が変わったんですよ、GNP何%、幾らまでの国に。

藤田公郎外務省経済協力局長

○政府委員(藤田公郎君) そういう意味での基準はもちろん一応の目途ということで、例えば無償援助の場合でございますと、これは全部世銀の融資基準を採用しておりまして、一応の目途として三年前の一人当たりGNPという形でその年度のものを行っておりますので、無償援助の場合でございますと、八四年度は、八一年の一人当たりGNPが七百九十五ドルでございますか、一応の目途ということで、一番貧困な国というのはそのくらいだろうという感じでやっております。もちろんそれは国に限りませんで、対象プロジェクトでも縛りますけれども、そういう形でございます。それから円借款という形になりますと、千六百ドルちょっとぐらいでございましょうか、世銀の第二のカテゴリーという形になります。  ただ、これは国によりまして毎年改定されてまいります。それで、国によっては所得の下がってしまう国もございますので、そういう意味での変化というものはございます。これは、いわゆる客観的な目途みたいなものが変わっていくということに伴う変化というものはございます。ただ、我が国が供与します商品借款ないしは無償援助というものを供与する基準自体が変わったということはないと思います。  それから、日米関係を基軸とするということと経済協力の基準ということでございますが、これは日米関係、基準ということで、御質問の意味が、日米関係に配慮して我が国の経済協力政策を進めているのではないかという御趣旨かと思いますけれども、これは累次にわたり総理大臣、それから外務大臣も御答弁申し上げておりますように、我が国は我が国の経済協力の政策、基準というものに従って協力をしているし、アメリカはアメリカの基準でやっているのだろうということでございまして、特にアメリカの政策を配慮して云々ということはございません。現実の姿としましても、これは先生よく御承知のとおりアメリカの重点はエジプト、イスラエルということで、あそこに両国で恐らく三割ぐらいの援助が供与されているかと思いますが、そのほか中米とかということですし、日本の場合はアジア、特に東アジア重視ということで行っておりますので、結果的に双方が重視している国が重複しているということはもちろんございますけれども、援助の基準ないし政策自体は全く独立したものであるということが申せるかと思います。  御質問に十分お答えしたかどうかわかりませんが、以上でございます。

瀬崎克己外務省国際連合局外務参事官

○説明員(瀬崎克己君) 国連中心外交という点でございますが、かなり昔の時点で外交青書に日本外交の三本柱ということが言われたことがあるわけでございます。対米協調、アジア諸国との連帯、国連中心外交。その当時と比べまして日本の外交の選択の幅というのは非常に広がっておりまして、例えばその時点では日本の中近東外交あるいはアフリカ外交、中南米外交、ヨーロッパ外交というものはアメリカ、アジア、国連等と比べれば非常に影が薄かったということで三つの柱にまとめやすかったのだと思います。今では非常に日本の外交のすそ野も広がっておりまして、世界のあらゆる地域との関係を重視しなければいかぬということで、これを三つにまとめるということは非常に至難のわざである。すべての国との友好関係を強化する、あるいはすべての地域との関係を強化する、また実態もそれに伴っているわけでございます。したがいまして、物を書くときには国連中心どうのこうのということは言いませんけれども、やはり日本の外交の中で非常に大きなウエートを占めているということは私は確信しているわけでございます。私は国連局におりますから、日本外交はすべて国連に通ずるという覚悟で臨みたいと思っております。

大木浩自由民主党・自由国民会議

○小委員長(大木浩君) 先ほど久保田委員、和田委員等から当小委員会の運営について御意見もございましたので、この点につきましては、小委員長におきましてさらに別途各委員とも協議を進め、できるだけ実りのある審議が行われるように努力をしたいと思います。  本日の調査はこの程度にとどめ、次回は二月二十七日に開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時二十九分散会

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