運輸委員会 第10号
- 発言数
- 103 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/05/21
会議録
○委員長(鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。 船員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては、第百一回国会において既に政府より趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○瀬谷英行君 大臣にせっかく御出席をいただきましたので、船員法の問題の質疑に先立って、先般の補助金の特別委員会で行われました問題について質問したいと思います。 先般、これ新聞にも大々的に出たのでありますが、亀井国鉄監理委員長が、国鉄の分割民営化を認めなければ国鉄総裁の更迭ということも考えなきゃならぬという趣旨の発言をしたということがニュースになりました。これは極めて大きな問題だと我々も考えざるを得ないんです。その発言に対して総理からの答弁もあったし、運輸大臣の答弁もあったわけでございますけれども、何となくこの内容が後になるほど、メモを見てどうのこうのという話であいまいになっておるという感じがいたします。そこで、きょうは本当は総理にも聞きたいところでありますけれども、政府側を代表いたしまして運輸大臣からこの問題についての政府の見解というものを明らかにしてもらう必要があると思いますので、この監理委員長の発言問題について政府としてはどのようにこれを受けとめ、どのように対処するつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) まず、政府としての見解と申しますか、私は見解と申し上げた方がいいかどうか、その問題は別といたしまして、その前に、今も御指摘がございました、後でメモでいろいろ言っているがということでございますが、その問題をもう一遍ひとつ私振り返ってみまして、亀井委員長から言われたことをそのままお伝えいたしておきたいと思います。 それは、先般の新聞報道については真意を伝えていない、こういう前提のもとに、記者とのやりとりについて、国鉄総裁はやめるのか、こういう問いに対して、答えは、我々は国鉄総裁の人事についてとやかく言う立場にない、監理委員会は現在再建案を作成中で、政府がそれを受けて決定をしたら、国鉄は国の機関である以上それに従うことになるであろう、もし従わなかった場合は進退問題に発展せざるを得ないだろう、こういう趣旨のことを話したのであって、したがって新聞報道は真意を伝えていない、こういうことが私の方にメモとして参ったわけでございます。これがいわゆるメモでございますから、改めてまたここでお伝えしておきたいと思います。 監理委員長の発言の趣旨は、再建監理委員会の答申が出れば政府はそれを尊重するということになっておる、その答申に国鉄幹部が反対するようなことがあるならばそれは辞任に結びつくこともあるであろう、こういう趣旨として私は理解をいたしておるわけでございまして、そのこと自体は内閣の人事権を決して侵す問題ではない、かように私は理解をいたしておる次第でございます。 運輸省といたしましては、国鉄が本年一月に独自の案を発表いたしましたことは御承知のとおりでございますが、その際、総裁談話で、政府の最終方針が明らかになればこれに協力する旨のことを総裁は表明をしておられるわけでございますので、今後協力体制が得られるものと政府といたしては期待をいたしておる次第でございます。
○瀬谷英行君 政府の方針が出れば総裁としてはこれに従うということを総裁は言っておる。それなのに監理委員長は、政府の方針が決まっても総裁が従わないならばという前提をつけて、そして総裁の交代あるいは更迭ということを大きくにおわせておる、この点が私は問題だと思うんですよ。こういう前提というものは言わずもがなのことなんです、はっきり言えば。そういう言わずもがなの前提をつけて、なおかつ大々的ににおわすところのねらいは、総裁は更迭をするかもしれないぞという一つのおどかしであります。こういうことを天下に公表する、新聞がそうするとその小さな 前提を省略をして総裁更迭という大問題だけを取り上げるのは当然の話なんです。新聞の取り上げ方とすれば私はこれは至極もっともな取り上げ方だと思うんですよ。 ところが、その小さな前提を、メモで来たからといってそれを弁明に使うということはちょっとこれはできにくいことだと思うんですね。だからそういう点、監理委員長が言わずもがなのその前提に基づいて国鉄総裁の進退問題についてまで口外をするということは、これは立場をわきまえないということになるというふうに思わざるを得ないと思うのでありますが、大臣自身がこの監理委員長の表明に対して何かその気持ちがわかるといったような発言をされたということも聞いておるのでありますが、その点はどうなんですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 今申し上げましたとおり、これは記者団の質問に対して答えられたという形でございますから、国鉄総裁をやめるのかという設問に対して、しかも、もしという、そういうことがあればという、云々すればという前提に立ってのことでございますから、そのことはそのとおりに私は理解をいたしておるわけでございます。 ただ、わかるような気持ちがすると率直に私は申し上げました。それはそのとおりでありますが、それは、総裁談話にもありますように、政府が決定をすればそれに従うよという総裁の談話であるけれども、そのときに急に従うというのか、あるいは、政府と委員会も適宜すり合わせをやっておりますから、その過程においては、あの一月十日の国鉄の中間答申と申しますか、あれから一歩も出ないということじゃなくて、さらに双方が大いに詰めていかなければならぬ、目下ずっと私は詰めながら作業をされるべきであると思うのですが、もしそういう気持ちが若干でも総裁にあるとするならば、その前提として十分に協力を得られておらないのかなという、ただ単に私はその程度で申し上げたのであって、実際は両方の間のすり合わせがどの程度に協調的に進められているかということについては、実は私も正確には承知いたしておりません。
○瀬谷英行君 仮定に基づいた発言というのはみだりにしないのが普通なんですよね。吉田総理が、仮定の問題には答えられませんという答弁を大分昔にやられて、このことが今に至るまで我々の記憶に残っているわけでありますが、亀井監理委員長は仮定の問題にあえて答えている。その答えが大きな問題になるであろうことを十分に計算の上でなお答えておる。ここに本心がはっきりあらわれておるというふうに見ないわけにいかないんです。だから、記者会見で聞かれたのだからしようがないというわけのものではないと思うんですね。たまたまこれはその真意があらわれた。みずからが国鉄総裁よりはるかに上に鎮座をしている、こういう意識がなければこんな発言は出てこないと思うんですよ。これは私どもやっぱり、総裁の上の総裁、大臣の上の大臣気取りになっているんじゃないのか、そういう危惧の念を持っているんですよ。そういう危惧の念を持っているところへもってきて監理委員長のこういう発言が出てくる。 そういうことであれば、一片のメモでもって釈明をしてもらうというには問題が大き過ぎると思うんですね。これは監理委員長の出席を求めて、その小さなメモでもって大臣に真意を伝えるんじゃなくて、我々の前で国民の前に明らかになるように真意を表明してもらわなきゃならない、こういうふうに思うんですが、その点どうですか。
○国務大臣(山下徳夫君) おっしゃるとおり、仮定の問題について責任ある立場の人がなかなか答えにくいことは私も何回か体験したことでございますし、過去の通例からしてもおっしゃる点が多いのではないかと思いますが、にもかかわらず、仮定の質問が非常に多いこともこれは事実でございます。したがって、それにどう答えるかはその答弁者のお気持ち次第だと私は存じますが、今御指摘の点につきましては、私も所管の大臣として近々一回お会いしてよく真意を確かめてみたいとは思っている次第でございます。
○瀬谷英行君 物陰に隠れていろいろ物を言う、新聞記者に対しては物を言う、こういう習慣はよくないんですよね。国会に出てきてどんどん言えばいいと思うんです。ところが国会に出てこいといったってなかなか出てこないんですよ、もったいをつけて。このぐらいもったいをつけて出席を渋るところはないんです、率直に申し上げて。これは人前で余りしゃべりたくないという意識があるのかなと思うんですけれども、やっぱり答えが出ればそれを政府が尊重するということになると大きな問題ですから、こそこそやられたんじゃ迷惑なんです。 先般、読売新聞の世論調査というものが出ました。国鉄の問題で分割民営賛成か反対か、そうしたら全国世論調査の内容は、「分割・民営化ともに賛成」というのは四一%だった。しかし四一%が賛成だというけれども、じゃ、この賛成した人は分割民営の内容がどういうものなのか知っているのかどうかということですね。私は知るはずがないと思うんです、答申が出ていないんだから。分割だっていろいろあるわけです。今まで言われているように、赤字ローカル線と幹線を分割をしろというのもこれは一つの分割ですよ。しかし、巷間伝えられているように、島別に分けて、本州をまた三つにも四つにも分けるといったような七分割案などというのも、NHKでも報道されておるし新聞にも出ているんですから、こういう分割も一つの方法なんです。あるいは地域別に分ける方法じゃなくて機能的に分ける分割だって分割の方法なんですよ。 そういうたくさんの方法があるにもかかわらず、分割賛成か反対か、こういう問い方をするということも随分私は乱暴な話だと思うんですよ。余り見識のある方法じゃないと思います。しかし、内容がわからないで答える方も答える方だと思うんですけれども、そういうアンケートをとっておること自体がこれは問題だと思いますが、しかし、それにもかかわらず四一%しか賛成していないということは、この問題がいかに複雑なものであるかということをうかがわしめるものがあると思います。 したがって、仮定の質問には答えられないというけれども、仮定の質問にやたらと答えるような格好をとるならば、その前に出るところへ出て我々の質問に対しててきぱきと答える、検討中だとかなんだとか言って見当のつかないことを言わないで、はっきりと物を言ってもらうということが立法府の立場からはどうしても要求したくなる。大臣としても、自分の頭越しに勝手なことを言われて勝手な作業をされたんではおもしろくないだろうと思うんですよ。その点、監理委員会の行き方に対して、大臣とすれば何も遠慮する立場はないと思うんでありますが、監理委員会のやろうとしていること、やっている作業、それから今までの問題になるような言明等について注意をする気持ちがないのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(山下徳夫君) ただいまの世論調査の結果の四一%が民営分割に対して賛成であるということでございまして、これがはっきりわかっているかというと、おっしゃるとおりだと私も思います。残りの五九%がそれじゃ反対かというとこれまたあいまいであろう、どちらかわからぬという答えもかなりあったのではないかと私思います。 したがって、事ほどさようにこの問題は一般国民からすれば非常に難しい問題であるということは、私どもも容易に理解できるわけでございます。それだけに、そのような複雑な内容についての作業は監理委員の皆さん方も非常に御苦労なさっているという点も、私これまた理解できるわけでございますから、ただ単に国会において皆さん方と政府委員との間に一問一答形式でいろいろと討論的な質疑を行うような、そういうことに対して一々お答えできない面も私はあるという点も推察できるわけでございまして、何申せ、監理委員会に現段階においては一任されている状況でござい ますから、もうしばらく監理委員会の作業を見守りたい、かように思っている次第でございます。
○小柳勇君 関連して大臣に一問伺います。 それは、監理委員長に対しましては正式に私の方から公開質問状を出すつもりでありますから、改めてこれは監理委員長から聞きます、この間の問題は。 ただ、運諭省の領域でぜひお聞きしておきたいのは、一つは、国鉄が一月の十日に基本方策というものを出しました。これは全国一本、しかもできるだけ地方ローカル線を廃止して、全国一本でなければやっていけないということを出した。これは専門家としての国鉄の一つの方策を出した。それに対して監理委員会が頭にきまして、自分たちは今分割の方向で検討しておるのに全国一本とは何事か。それからずっと監理委員会対国鉄の間で協力とか非協力とかいう議論がなされて、そのこと自体、運輸省も監理委員会側に立って、国鉄はなぜ監理委員会に協力しないか、こういうようなことで責め立てをやっておると聞いています。 監理委員会は、国鉄の将来に対して今までいろいろやってきて、赤字ができた、大きな三十兆円を国民に示しながら、初めから分割民営化ということで検討させている、そのこと自体矛盾があります、私はそう思いますが、国民全体で一体どう考えているのか、国会はこれからどう考えるか、いろいろ問題はありますけれども、もう民営分割の方向で強引に進めている。それに国鉄の幹部及び国鉄の職員が、いや分割じゃとてもやっていけませんと。特に、分割した上になお貨物だけはまた別に一本でやります、同じ線路の上を走る、旅客は分割しておいて、貨物はこれで一本で走るなんということはダイヤ編成だってこれは大変なことだ。そういうことを進めているから、国鉄の方では国鉄の幹部諸君もあるいは職員諸君もとてもそれは無理ですと言っている。それを今度は、いやそんな無理なんてない、分割民営を今監理委員会がいろいろ検討しているからそれに協力せい、資料を出せ、強引にやっておるやに聞いています。また、運輸省もその監理委員会と一緒になって、とにかく国鉄なぜ協力しないかと言っているようでありますが、私は、あの国鉄の専門屋たちが、幹部及び職員全部が、いや最大限度譲っても全国一本ですよ、そう言っている。 したがいまして、それは監理委員会がどういうような結論、答申を出すか、まだこれから二カ月半ありますから、その結果を見てからまた論議しますけれども、それを強引に監理委員会と運輸省が一体となって国鉄を何でもかんでも抑えつけて、もし聞かなきゃ総裁の首を切る。それは言っていないというから、それはまた後で確かめますけれども、そういうような言い方、言葉の端々で圧力かけるようなことは一切してもらいたくない。国民にかわって大臣の見解を聞いておきたい。これが一つです。 いま一つは、この間新聞見ていましたところが、国鉄が第三次地方ローカル線廃止を運輸省に申請したという。ところが、先般ここで監理委員長の答弁では、特別地方交通線というのは将来各地域で検討してもらうことにして、今廃止するということは反対だと監理委員会では言っておられる。国鉄は第三次線の廃止の方向を運輸省に申請しておる。それは監理委員会に対する国鉄の抵抗といいましょうか、いや私どもは基本方針どおり緊急提言の方向でやっておりますよと。言うなら基本方策に沿って国鉄は動いているわけです。したがって、運輸省としては、この第三次路線廃止の問題でもう申請したと聞いておりまするが、この地方ローカル線の廃止というのは非常に重要な問題でありますから、私どもの方としてはせめて、もっと地方自治体あるいは住民の意見を聞くために、五年ぐらいの時限立法で、もっと意見を出し合って、その上で最終的に要らなきゃ切る、要るやつはどんどん育てる、そういうものを考えていますが、今のこの第三次路線廃止の問題で申請されたものを早急に結論を出す用意があるのかどうか、聞いておきたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) この問題、ただいまの御質問でございますが、これもさかのぼってあらましだけ申し上げておきたいと思いますが、御案内のとおり、再建監理委員会は第二臨調の線に沿って作業をなさっておられる。第二臨調でも民営分割は明示してあるわけでございますが、その後これを受けて作業しておられる再建監理委員会が、第二次緊急提言として昨年の八月にこれまたその問題について触れて明記をしておられる。これに対して政府は全面的に協力すると賛意を表して、協力するということも閣議で決定をいたしております。したがって、そういう観点から、国鉄の一月十日の答申案についてはまことに遺憾である、民営化については特殊会社のことを明記してありますからこれは了とするけれども、分割について全く触れておらないのはまことに遺憾であるということを大臣として申し上げたとおりでございます。 その後、作業につきまして、この点がいけないよ、国鉄のこれがだめだよとか、一々その問題について運輸省がけしかる、けしからぬと言ったことはございません。ただ、再建監理委員会の作業については協力をしてくださいよということはしばしば申し上げているとおりでございます。 なお、第三次廃止路線の扱いについては政府委員より答弁をいたさせます。
○政府委員(棚橋泰君) 第三次地方交通線について国鉄が廃止の申請をするというような趣旨が一部新聞紙上に報道されましたが、現在のところそのような事実はございません。また、私どもの方で国鉄に確認をいたしましたところ、現在のところそのような準備をしているという段階ではないというふうな答えでございます。 三次線につきましては、御承知のように、一次線がほぼ終了いたしまして、現在二次線について鋭意協議会その他で地方もお入りいただいて御検討いただいておる段階でございまして、現在の段階で三次線について手をつけるとか、国鉄が申請をするというようなところまで来ていないというのが現状でございます。 ただ、三次線については、再建監理委員会の緊急提言で、三次線の選定についての調査に取りかかるように、こういう御提言がございまして、国鉄において基礎的なデータについて現在調査中の段階である、このような段階でございまして、その取り扱いについてはまだ基本的に方針を決定したとか、そういう段階ではございません。
○瀬谷英行君 臨調の答申というところにさかのぼっておっしゃられるけれども、臨調の答申自体が具体的にはさっぱりわからないんですよ。どういうふうに分割するかということは大臣自身がわからないでしょう。わからないものを、答えが出たら尊重する、これも随分考えてみればおかしな話なんですよね。これは鬼が出るか蛇が出るかわからないでしょう。やぶ蛇なんて言葉があるけれども、出てくるものがわからないんですからね。宝物が出てくるかマムシが出てくるかわからないんだから。にもかかわらず、尊重するなんということを考えること自体がどうかしているんですよ。 私は、そもそも臨調の答申そのものは、これはどうも動機に不純なものがありはしないか、素人の浅知恵でもって固められたものじゃないか、こういう不安がある。国民が問題をゆだねるには全くどうも頼りない。そこへもってきて、監理委員会がこれまたいまだに具体的なプランを国民に明示することができない、こういう状況にある。にもかかわらず、これがいいとか悪いとか、言うこと聞かなきゃ承知しないぞという脅迫をかけるといったようなこと。やりたければ自分たちで分割の案をつくるべきですよ。どうもやってみたけれどもうまいことできない、だから責任逃れのために国鉄に案をつくらせる、こういうようなことをやる。木に竹を接いで、おまけに花まで咲かせようというんだからどだい無理な話なんですよ。 そこで、きょうはこの問題について関係者を別に大臣以外には呼んでおりませんから、これ以上質問はいたしませんけれども、事柄が極めて重要であるし、内容不明のまま国民がふたをあけてみ たらびっくりするような、びっくりするというよりあきれるような内容が出てきたのでは、これは政治家の責任として黙っているわけにまいりませんから、これは近々この問題について徹底的に集中審議をやる機会を持ちたいというふうに思いますし、その際には、監理委員会が内密でいろんなことを調査をしようとして資料の提出を求めているといったようなことがあればよくないと思いますから、それもあからさまに運輸省なり国鉄なりから我々の前に示してもらうということを約束をしてもらいたいというふうに思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 集中審議において十分検討するということは私の方からもお願いしたいことでございますが、これらの機会に監理委員長を呼んでいろいろ御質問等なさるということは大変結構なことでございますし、ただ、これは委員会なり議会が決定されることであり、決定に基づいて委員長が出席して皆さん方の御質問に対して答えることはこれまた当然のことだと存じます。
○瀬谷英行君 わかりました。大臣のそのような言明のとおりに我々も委員会の方を運びたいというふうに考えておりますので、どうぞ委員長よろしくお願いいたします。 それから、船員法に関連してもう一つお伺いしたいんですが、この間サハリン沖で漁船が沈没をして漂流をするという事件がございました。こういう事件について、果たして捜索活動において万全であったのかどうかということがあるわけです。十何日も漂流をしていて奇跡的に助かったということは極めて劇的な出来事なんですよね。しかし、漂流をしているにもかかわらず捜しててわからなかったということも随分これは残念な話で、人命に関する問題、今炭鉱の事故、漁船の事故では犠牲者が絶えないんですよ。きょうは炭鉱は別といたしまして、漁船の問題についてですが、やはり救助体制というものを考えなきゃいかぬと思うのでありますが、海上保安庁がもし捜索でもって手が届かないというような場合に、海上自衛隊に対する協力を要請するということもできないのかどうか、あるいはそういうことをやったことがないのかどうか、これもあわせてお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(角田達郎君) 第七十一日東丸の遭難事故につきまして、生存者が乗っておった救命いかだについての発見が結果として私どもの手でできなかったことをまことに遺憾に思っております。 ただ、この遭難事故につきましては、私どもで情報を入手しましたのが四月二十三日の午後五時十分ごろでございまして、今までのいろいろな資料によって推定いたしますと、遭難いたしました時日は四月二十三日の明け方、未明ではなかろうかというふうに推定されます。したがいまして、私どもが情報を入手するまでの間にもう相当な時間がたっておるということが一つの問題点でございまして、その結果我々の救助体制の立ち上がりがおくれた、これは事実でございます。 それで、ただ、遭難情報を私どもが入手しまして直ちに救助対策本部を設置し、巡視船を出動させ、また、この北海道周辺の空域においては初めてでございますが、航空機を飛ばして、それで海空両面から徹底的な捜索を行ったわけでございます。しかし、その結果、救命いかだについての漂流を見逃したということでございますので、私どもただいま生存者から事情を聴取しておりますが、そういうような生存者からの事情聴取その他を踏まえまして、これからもっと効率的な救助体制のあり方がないかどうか、その点について具体的に今後詰めていきたいと思っています。 それから第二点の、必要とあれば海上自衛隊に援助要請をお願いしたらどうかという点でございますが、これは従来から、私どもの若干手に負えないような場合には海上自衛隊の航空機、艦艇等に出動を要請して両方で協力し合って救助をしている、こういう状況でございます。 それからなお、今回のサハリン沖の海難につきましては、私どもから、遭難情報を入手しました時点で直ちにソ連の方に救助要請もしておりまして、ソ連からは、沿岸部については自分の方で捜索活動をする、こういうような返事もいただいておったわけでございます。いずれにしましても、今後捜索救助体制の効率化についていろいろともっと研究してまいりたい、かように考えております。
○瀬谷英行君 この原因はいまだにはっきりわからないのかどうかということが一つ。余り原因について明らかにしないといろんな憶測が生まれるわけですよ、潜水艦にぶつかったんじゃないかとかなんとかいうような。だから、生存者からやっぱり話をよく聞いて原因を究明するということも必要だろうと思いますし、それに基づいて海難を予防するという策も立てなきゃならないだろう、ボートの装備、整備等も含めてですね、と思うのでありますが、その点についてはどうですか。
○政府委員(角田達郎君) まず遭難原因でございますが、ただいま先生のおっしゃいましたように、生存者からの事情聴取を始めておりますが、ただ、この生存者三名とも稚内病院に入院中でございまして、事情聴取につきまして、まだなかなか体力が回復していないものですから、事情聴取につきましても医師の了解をとりながらやっているという状況でございます。したがいまして事情聴取の状況がなかなかまだ進展しておりません。 海難の原因についてもいまだ明らかになっておりませんが、ただ、潜水艦がひっかけたのではないか、あるいはその辺等ぶつかったのではないかという点につきましては、これは漁網が割合完全な姿でほとんどすべて漁具関係が揚収されております。これを四月の二十六日ほぼ一日かけて我々海上保安官の方で実況見分したところ、そういうものに当たった、あるいはそれによって切られた、こういう痕跡は全くありません。したがいまして、私どもとしては、潜水艦が原因で、あるいは潜水艦に引きずり込まれて沈没したというようなことはまず考えられない、このように考えております。 それから、今後こういうような海難を防止するための策でございますが、私どもの捜索救難体制についての研究もしなければいけませんし、ただいま先生がおっしゃいましたように、ボートなり何なりにある装備をつければもっと発見が容易ではなかったかという点につきましても、これからの大事な検討課題だというふうに考えております。
○瀬谷英行君 生存者がいたということは不幸中の幸いだったと思います。しかし、一人でもって漂流していたわけじゃなくて、あれだけのボートですから、船なり飛行機なりから捜して見つからないものだろうかなというふうに素人判断では不思議に思うのであります。したがって、今後のやっぱり検討ということをさらに望みたいというふうに考えております。 それから、女子船員の実情でありますが、先般高千穂丸を見学をさせていただきました。実はああいう船の乗組員の居住区などというものは初めて私も見せてもらったのでありますが、何しろ、女子の場合でありますと確かにこれは居住区等について相当神経を使わなきゃならないという気がするし、プライバシーを保てるのかどうかということも問題であろうと思います。これがやはり労働条件としては、船の場合はほかの勤務と違いますので、常時こういうところに寝泊まりをしているわけですから、その居住環境というものが悪いとこれは労働条件にそのままつながるわけでありますから、高千穂丸の一船しか見ておりませんが、ほかのフェリーボートも同じようなものなのかどうか、あるいはまたクルーズ船等もっと大きな船もあるようでありますが、それらの乗員の居住環境、労働条件等についても同じようなものなのか、あるいは船医とか看護婦、衛生管理者といったような人たちも乗り組んでああいう長期の勤務をやっておるものなのかどうか、それらの点についてもお尋ねをしたいというふうに思います。
○政府委員(武石章君) 女子船員のための船内設備についての御質問でございますが、先生に御視察いただきました高千穂丸においては、かなり設 備状況はよかったと私どもも認識しておりますが、私どもで昭和六十年の二月に行った調査によりますと、長距離フェリーでは、全体の八割強の船舶で女子船員のための居住区、バス、トイレが別に設けられております。海上保安庁の巡視船についても、六十年五月現在十七隻になった、女子の海上保安官が乗り組んでいる船が十七隻になっておりますが、そのすべてについて居室、バス、トイレを別としております。またそういう船に乗り組ませておるわけでございます。ただ、居住区は個室になっておりますが、別に特に分けてはおらないようでございます。 それから、商船大学等の学生が乗船実習を行う航海訓練所の練習船につきましては、新日本丸については女子学生が乗船するということを前提に建造されておりますので、女子専用のバス、トイレ、居室が完備されておりますが、他の練習船については、こういう事態を考えておらない時代の船でございますので、そういう設備を設けてはございません。 長距離カーフェリーにおける女子船員における施設状況でございますが、現在四十九隻おりますうちで、居住区を別にしておるものが四十四隻、バスが別のものが四十一隻、トイレが別のものが四十一隻ということでございます。 今後の船舶におきましては、新しくでき上がってくる近代化船等を中心としまして、船員の少数精鋭主義というようなこともございまして、船内の居住設備というのは非常に完備したものになっておりまして、それぞれ個室となっております。部屋にはかぎかかるようになっておりますし、もちろん便所につきましては、女子船員が今後乗ってくるような事態になれば当然に区分けしてやっていくということになろうかと思います。今後の船の建造というものは、こういう女子差別撤廃条約に対応する国内措置の進展とともに、徐々にそういう環境整備が進んでいくというふうに考えておるところでございます。
○安恒良一君 私も、既に瀬谷先輩から海難救助のことについて聞かれましたが、大変気になりますから、このことについてちょっとまずお聞きをしておきたいと思います。 流氷の海から奇跡的な生還をした北海道稚内の沖合底びき漁船第七十一日東丸、三人の乗員が奇跡的生還をされたわけであります。生還をされたときに、これは総理だったですか、外務大臣でしたか、運輸大臣でしたか、海上捜索救難活動のあり方を見直したいということを言われたわけですね。今、瀬谷先輩とのやりとりを聞いておりましたが、どういう点を具体的に見直すのかということが明らかになっておりませんので、これは長官なり大臣、具体的にどこの点をどのように見直しをされるのか。新聞にそれは報道されて、その後中身が全然報道されておりませんから、このことをお聞きします。 二つ目には、これと関係しますが、一九七九年の海上捜索救助に関する国際条約、SAR条約、去年デンマークが批准してことしの六月二十二日に発効いたします。批准国は十五カ国になるということなんですが、日本、ソビエト両方ともこれにまだ加盟をしていないということで、そんな点もあって海上捜索がうまくいかなかったんじゃないかなという感じが私はします。我が国は、世界有数の海運国でもありますし、水産国でもありますから、当然私はこの国際条約、SAR条約を批准すべきだと思うんですが、今日までそういう状況がありませんが、これをどうしようとされているのか。 この二つの点についてひとつお考えを聞かせてください。
○政府委員(角田達郎君) 第七十一日東丸の生存者が発見されました直後に、官房長官から、日東丸の捜索状況について説明をしていただきたい、こういうお話がありまして、私が官房長官のところへ参りまして、これは五月十三日の一時半でございますが、官房長官に対しまして私どもの海上保安庁の本件についての捜索救助体制の概況について御説明をいたしました。その際に私が申し上げましたのは、船艇も航空機も動員して私ども懸命に全力を挙げて捜索救助をいたしましたが、遺憾ながら救命いかだの発見についてはこれを見逃してしまった。 ただ、この問題につきまして官房長官に対して私が特に強調いたしましたのは、北海道周辺の、特にソ連の領土の沿岸海域について航空機を飛ばして捜索をする、この点につきましては今回が初めてでございまして、この周辺の海域において海難がありまして、私どもが航空機を飛ばすことについてソ連に照会をいたします。そうしますと従来はこの点について全く返事がなかった。それで、第七十一日東丸の遭難したと思われる地点は、これは具体的にはっきりとした防空識別圏というものをソ連は示しておりませんけれども、その防空識別圏の中にあることは間違いないわけでございまして、ソ連の支障のない旨の回答を得ずに我が方が航空機を飛ばして捜索をする、この点につきましては、不測の事態が発生するということで、従来からソ連側に対して連絡をしていたところでございますが、今回に限って初めてソ連側も支障のない旨の連絡をしてまいったわけでございます。 それからもう一つは、ソ連に対しても救助要請をしたわけでありまして、それに対して非常にソ連側も協力的に、沿岸部については当方で捜索するというような返事もいただいております。 そういうようなことでありまして、今までの遭難に対する救助体制よりも、我々としては、航空機も飛ばし、ソ連側の援助も受けながら捜索をしたという点について、捜索体制については具体的にどの点がまずかったかというような点についてはまだ判然としない。ただ、官房長官に申し上げたのは、遭難した場合に一番大事なことは、やはりできるだけ早く救助船なりあるいは我が方の航空機なりが現場に行って救助することが一番大事でございます。そのような観点から、我が国の沿岸の隣接国と海難の捜索救助について緊密な連絡関係、協調関係を今後も一層強めていかなければならぬと思っていますということを官房長官に申し上げたわけであります。 ただいま先生がお話ございましたSAR条約でございますが、この一九七九年の海上における捜索救難活動に関する国際条約、いわゆる先ほど先生がおっしゃいましたSAR条約でございますが、これに加盟いたしますと、それぞれの締約国が救助調整本部というものを設けまして、そこを窓口にしてお互いの国の救助体制が迅速にできる、これが大きなメリットでございます。ソ連と私ども日本とがこの条約に加盟しておれば、今回の捜索についての立ち上がりももっと迅速にできたのではなかろうかとも考えられます。そういうようなことで、私どもこのSARの条約に加入すべく、加入の承認についてただいまの国会において審議をしていただいております。これが通りますれば、六月二十二日に発効するSAR条約に対して日本は締約国になる、こういうことになります。 ただ、ソ連と韓国、中国、これにつきましては、ソ連はまだ加入していません。ただし、条約については批准を条件としてということで署名をしております。したがって基本的な姿勢は前向きではないかというふうに考えております。それから中国におきましても、これは署名をしておりますので、これも加盟をする可能性が非常に高い。韓国については今のところ不明でございます。 そういうようなことでございますので、今後ソ連なり中国なり、こういう隣接国がSARに加盟してまいりますれば、私ども現在より一層の緊密な連絡関係をとって捜索救助に万全を期してまいりたい、かように考えております。 それからもう一点の、具体的な捜索方法についての改善点でございますが、先ほど申し上げましたように、ただいま生存者からの事情を聴取している段階でございまして、その辺の状況が、救命いかだの漂流の状況とか、そのほかの具体的ないろいろな状況が出てまいりまして、私どもの捜索救助体制そのものについて改善すべき点が出てま いりますれば、改善のための努力について一層やってまいりたい、かように考えております。
○安恒良一君 我が国がこれを批准しまして効力が発生するのには一年のあれがあるわけですけれども、それ手続されているということなんですが、大臣、我が国の漁船の遭難の範囲の関係国は今長官が答えられたとおりですから、こういうことはお互いに重要なことなんですから、ソビエト、韓国、中国等々の関係国もこのSAR条約を批准するという方向に、こういうことこそ私は外交努力だと思うんで、そういう点でひとつぜひ批准促進を国際的にも進めてもらいたい。 それがためにはまず日本が加盟しなければなりませんが、私は、日本の加盟、やっと今国会でということなんですが、少しおくれていると思うんでありますけれども、いずれにしましても、その御努力を願いたいと同時に、生存者も幸いおられますから、具体的にいろいろ聞かれまして、今後は早急に発見ができるような具体的な、官房長官談話もあることなんですから、活動のあり方を見直したい、こういうことが新聞にでかでかと載っているわけですから、大臣としてぜひ御努力をお願いしたいと思いますが、大臣よろしゅうございますか。
○国務大臣(山下徳夫君) 今長官からも御説明申し上げましたように、今回の事件でソ連当局が航空機による捜索について正式にコメントしてきた、よろしいということを言ってくれたということ、しかも領海あるいは沿岸地域についてソ連も海上の捜索に協力をするということを伝えてきたということについて、大変な進歩と申しましょうか、私ども非常にうれしかったわけでございます。したがって、今先生の御指摘のとおり、これからこういう隣接の国々と日ごろもっと協調しながら、いざというときにさらにひとつ協力を得るということは大変にこれは国策上必要なことでございますから、御指摘のとおり私ども努力してまいりたいと思います。
○安恒良一君 船員法の一部改正に対して入りたいんですが、その前に私は一言意見だけ申し上げておきますが、これももう既に先輩委員から言われましたが、私は、国鉄の監理委員長は監理委員長としての使命をきちっとやられるべきであって、事人事に関する権限は一切ないと思うんですね。ですから、私どもがしばしば予算委員会やこういう委員会でいろんなことを聞きますと、大臣以下ほかの大臣も皆、仮定のことは答弁できませんという言葉が簡単に返ってくるんですよ。ですから、私は仮定のことについて、事人事について質問があった場合には、いやそういうことについては私は答える立場にない、もしくは、仮定のことについては答えられない、こうおっしゃるのが私は亀井委員長の立場ではないだろうかと思う。ですから、少なくとも人事権は運輸大臣なり総理なりお持ちなんですから、そういうところであるべきことを、そういうことがないように、これはもうとやかく言いません。私はひとつ大臣から厳重に言っておいてほしいということだけ一言申し上げておきます。 そこで、中身に入りたいのでありますが、今回の法律改正はもともと、既に参議院等も通過いたしましたところのいわゆる男女雇用均等法案、この法案の改正に基づく船員に関する労働基準法部分だけでありますから、肝心の本体である男女雇用均等法案にはいろんな問題があって、私ども社会党としては反対ということで今回国会を通過しています。 そういう基本的なことをこの際明確にしておきながら、事船員法について少しお聞きしたいんですが、まず、今回の法改正で女子船員の就職職場の拡大について具体的な展望ですね、精神的なことでなくて、こういうふうに今度これだけの改正をすることによって女子の船員としての職場が本当に拡大されるのかどうかということについて私大分疑問を持ちますから、まずその点について聞かせてください。
○政府委員(武石章君) 今回の法律改正でございますが、男女の均等な雇用機会と待遇の確保を図るとともに、女子が船員として就労することを実質的に制限しておりました深夜労働の制限とかあるいは危険有害業務への就業制限等の規定を見直しまして、これにより女子が海上労働に進出するための条件整備を図ろうとするものでございます。海運業界は、先生もよく御案内のように大変長期にわたって不況下にございます。日本船員の過剰状態というようなことも現実の問題としてあるわけでございます。それから、海上労働に対する一般女子の認識というようなことから見ましても、女子船員が急激に増加するということは私ども当面考えがたいと思っておるところでございます。今後とも船員の雇用対策をさらに推進するということで、女子が船員となりやすいような環境の整備に努めてまいりたいと思うところでございます。 なお、女子船員につきましては、商船大学、商船高等専門学校あるいは海員学校といった船員の養成機関におきましても、特に商船高専につきましては今年度から、商船大学は既に五十五年及び五十七年から女性に対して門戸を開放しているところでございます。海員学校につきましてはそれ以前から開放しておるところでございますが、海員学校につきましての女子船員の応募というものは実は従来までございません。商船大学につきましてはこの五年間にだんだんと人数がふえてまいっております。 そのようなことでございまして、本当に意欲と能力のある女子がこういう職場に、海上労働という厳しい職場に進出することを私どもとしては大いに期待しているところでございますが、具体的にこれこれという形にまでまだ煮詰まってきていないのが現状でございます。
○安恒良一君 私は既に資料として女子の船員数の実態をいただいていますから、これは読み上げる時間を省略して、この資料に基づきますと、現実に今女子の方の就職されているのは、余りいい言葉じゃありませんが、マリンガールという方が中心で、もしくは清掃員等々であって、あとは船長とか機関長とか航海士とか、そういう方は非常に少ないですね。そして甲板部員というのが六十八ありますが、これは主としていわゆる同居親族、家内労働的なものであって、あとそれから看護婦さんが十二名おられるというようなこと、それからいわゆる炊事関係ですか、賄い関係ですか、こういうようなことでありまして、そうでなくても男性の船員が、構造的不況という中で今職業紹介状況は全然改善されておりません、余っていますね。そういう中で、今回の法改正が、私は女子の就職職場の拡大に具体的な展望を与えるかといったら、現状はなかなかそうならぬのじゃないかという気がしています。 そこで、そのことは具体的にここで論争しようと思いませんが、そういう状況の中で法改正が非常に問題点があると思うのでありますが、海上と陸上では非常に特徴が違うと思うんですね。勤務形態はどちかというとはるかに海上の方が過酷だ、これはもうお認めだと思いますね。特に女性の場合に私は過酷だと思うんです。そういう状況にあるにもかかわらず、今回の基準法改正について、妊産婦以外の女子の深夜労働については、本法の方の改正労働基準法では、午後十時から翌日の午前五時までの深夜労働については禁止規定を原則として存続させているわけですね、今回の法改正にもかかわらずに。ところが船員法におきましては、妊産婦以外の女子の深夜労働制限規定を撤廃をする、今まであったのを撤廃する、ここのところがどうしてもわからぬわけです。 陸上においては午後十時から翌日の午前五時までの深夜労働については禁止規定をやはり原則として継続するということになっている。ところが船員法の方におきましては、妊産婦については海上勤務ということにおいて陸上と違った保護規定を今回も存続させられておりますけれども、一般の船員について深夜労働の制限規定をこの際なくすという考え方がどうしてもわからない。なぜなくさなければいけないんでしょうか。それから、海の方が非常に過酷にもかかわらずに、どうして こういう深夜労働をさせようとされるんですか。しかも、今申し上げたように、女子の就業している実態の上に基づいてなぜこれが深夜労働の制限を撤廃をされるんですかわかりません。その点について聞かせてください。
○国務大臣(山下徳夫君) 船上における労働の方が非常に過酷と申しますか、非常に労働が厳しいという面があることは私も承知しております。 余談でございますけれども、先般私も海上保安庁の巡視艇の登舷礼というのをやったことがございます。ヘリで、すれすれに飛んで、一列に並んでいる船員に対して私は答えたわけでございますが、後で船長から、あの中に四名の女子船員がおったのをお気づきでしたかと。私、わからない、スカートでもはかしておけばいいじゃないか、帽子からズボンまで同じじゃちょっとわからないよと言ったら、とんでもございません、船の上でスカートなんてはかせられませんよ、第一、階段だってはしごみたいになっていますし、それから非常に労働が過酷であるということで、私もよくわかりました。したがって、この点は先生御指摘のとおりで、おかよりもはるかに厳しいなということが私もわかりました。 しかし、この深夜労働につきましては、これは一つには、おかにおいては大体家庭持ちの方が大部分でございますから、家庭の責任やあるいは家庭生活との両立を果たすという意味において一つは深夜労働を禁止する私は意味があったと思うのでございます。しかしながら、これが船でずっと航海をいたしますと、家庭責任とか家庭生活というものとの両立ということはもはや考えられない、そういう意味におきまして深夜の勤務を私は解いたものと理解をいたしております。 よき例は、陸におきましても例えば飛行機のスチュワーデスの例がございます。マリンガールとやや似ておりますが、これもそういう意味から、今日やはり一応順当に作業が続けられているという現状にかんがみ、マリンガールについてもこの点はこのように理解していいのではなかろうか、かように思っている次第でございます。
○政府委員(武石章君) 若干補足して申し上げたいと思います。 夜間労働というものにつきましては、確かに船の労働が厳しいということは先生の今おっしゃったとおりでございますし、大臣からも申し上げたとおりでございます。ただ、夜間の労働につきましては、男女を問わず人間の生理機能上生体のリズムを攪乱させるといったような影響はあるわけでございますが、特に一般女子の妊娠とか出産にかかわる機能に有害であるというような医学的な根拠はないとされておるわけでございます。このため、今回の改正では、女子に対するあらゆる差別の廃止等を求める女子差別撤廃条約の規定第二条(f)項に従いまして、深夜労働についての規制を廃止し女子の雇用機会の一層の拡大を図ることとしたものでございます。特にこの点につきましては、従来から、職員として入ろうというような女性、あるいは甲板部員、機関部員というような当直に立たなければならないような職務に入ろうとする女性の進出を事実上阻んできたものでございますので、雇用機会の一層の拡大を図るという見地からこういう改正をすることといたしたわけでございます。 陸上労働者にございましては、労働基準法の改正後も引き続いて深夜労働が原則として禁止されることとはなっておりますが、これは陸上での労働環境や、女子が現実に家庭責任を負っている、そういう現状等を深く配慮いたしまして、暫定的に規制が残存されるということになったものであると私どもでは承知しておるところでございます。海上労働につきましては、生活と労働が船舶という一般社会や家庭から全く隔離されたところで行われておる、女子が家庭責任や家庭生活の両立を果たすことが本来的に無理であるということ、それから、航行中にありましては夜間も当直を絶やすことなく続けなければならないといった海上労働の特殊性を考えますと、女子船員にとってもその要員として夜間に働く必要が高いというようなことを考慮いたしまして深夜労働の禁止を撤廃するということにいたしたところでございます。
○安恒良一君 わかりません。なぜかというとまず、飛行機の例を挙げましたが、飛行機と船の勤務状態を考えたら、飛行機はある一定の高度以上になると、それは乱気流に巻き込まれることもときにはありますけれども、そんなに揺れるものじゃないんですよ、飛行機は。それでも私はスチュワーデスさんは大変だと思っています。しかし、船の場合は飛行機に比べて、非常に風波が高くなればしょっちゅう揺れるわけですね。男でもあの上へ乗っておって、お客で乗っておったって吐き気がするわけですから、そういう状況の中で、スチュワーデスが夜間やっているからいいじゃないかということにならない。 今あなたたちの説明の中で、どうしても深夜作業をさせなきゃならぬ職種というものをまずちょっと挙げてみてください、女性の勤務実態の中で。この表に基づいて、この職種とこの職種はどうしてもやっぱり深夜作業してもらわなきゃ困るんだという職種についてちょっと挙げてみてください、これいただいていますから。今女性がこれだけ就労している実態、この実態に基づいて、この職種とこの職種はどうしてもやはり、例えば今あなたがおっしゃった例ですね、船の安全航行、こういうものについて必要だからこれは深夜作業が必要だというのなら、それをちょっと挙げてみてください。
○政府委員(武石章君) まず船長でございます。船長は船の航行について……
○安恒良一君 いや、中身はいい、職名だけ言えばいいんです。
○政府委員(武石章君) それから機関長でございます。それから航海士、機関士、これも職員でございます。それから甲板部員、機関部員でございます。これは当直に立つということが現実にございます。司厨員につきましては深夜、早朝ということは余りございませんが、ある程度早朝から食事の準備をするというようなことがございます。それから看護婦でございます。これは時間を限らず常に就労することがあり得るわけでございます。それからマリンガールでございますが、これは主として長距離フェリーその他でございますが、出入港が深夜にわたることが必ず船の運航上出てまいるものでございます。これは特に長距離フェリーなんかにつきましては、夕方あるいは夜出まして早朝着くとか、あるいはかなり深夜出まして翌日の昼着くとか、旅客の動きに合わせて運航せざるを得ませんので、そういう際には当然に深夜労働が出てまいるということでございます。清掃員については特にございません。
○安恒良一君 大臣、私は職種をある程度どうしても必要だということで指定されるというならわかるんです。例えば船長というのはこれは実態から見るとわずか五十九名ですね。その中でいわゆる同居親族でやっているのが三十三名ですから実際は二十何名しかおいでにならぬ等々で、この表を見ていただきますと、船長とか機関長とか航海士とか、そういう人についてどうしても必要だというなら例えばその職種をこの際指定をする。陸上の場合でも、深夜作業をさせる者については今後審議会の中で具体的な職名を決めていくことになっているわけですよね。 ところがこの女子就業の場合、大多数は何といったって、まあ看護婦さんはこれは今でも深夜やっていますから、医者、看護婦はこれは別ですから、そうするとこの中で一番多い職種というのはマリンガールとか清掃員とか司厨員、いわゆる賄い関係、こんなところが一番多いわけでしょう。こんなところが夜中に、今申し上げたような午後十時から翌日の午前五時まで何でマリンガールが働かなきゃいけないんですか。何で船の中で働かなきゃいけないんですか。私は働かせる必要ないと思うんです。乗っておるお客さんも寝ているんですからね、この時間は。そうでしょう。夜の十時から明け方五時まで起きている人の方がおかしいぐらいであって、みんな寝ているわけだから。に もかかわらずに、陸上では原則的に今までどおりしようというのに、いわゆるマリンガールの皆さんがやっている仕事の中身については私たちは十分承知していますけれども、どうしても深夜にこの人たちを働かせなきゃならぬということについてわからない。 この仕事は、どうしても深夜にお客から要望があれば男子の船員でできる仕事なんですよね。このマリンガールと言われている方が何も全部女でなければならぬということじゃないんですよ。そういう仕事じゃないです、中身を聞いてみましても。このマリンガールは主としていろんなことで客室のサービスに当たるわけですから、深夜どうして使わなきゃならぬのですか。私はどうしてもそこのところがわからないんです。その点について説明してください。
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の法の改正の基本的な趣旨というものはやはり、べからず集と申しますか、婦人はこういう場合に働いてはいけない、どうしてはいけないというものがあって、それが雇用に対する逆差別になっておったということでございますから、こういう機会にやっぱり雇用の拡大、そういう機会を与えるという意味におきまして、できることならば認めていいのではないかという趣旨から出発している。 したがって、今のマリンガールの問題でも、例えば十時から五時までと申しますけれども、現実には十一時、十一時半あるいは十二時近くまで働く機会もあるから、基本的にはこれを認めておいてあとは運用でという趣旨であって、ぴしっと十時から五時までということになると、ここでまた雇用の機会を失うという面も考慮されていると思いますが、私も概括的にしか存じませんので、細かなことが必要であれば政府委員から答弁をさせます。
○安恒良一君 少し中身を話してみてください。というのは、それじゃこれをやることによって、今マリンガールという人が八百二十八人おる、しかし今は深夜作業ができないからこれだけだけれども、これが深夜作業ができるようになったらこれだけ雇用が拡大をするという具体的事例で説明してください。 深夜作業ができるようになったら女性が何百名も採用がふえるんですか。私はふえると思いません。また、ましてや深夜まで働かせてだれがそんな職場へ行きますか。船の上で大変過酷なのに、夜中になってもマリンガールという人はこれから接客サービスをしなきゃならぬ、だれが働きますか。私は今のいわゆるマリンガールの皆さん方の就業実態、平均年齢、平均勤続、全部聞いて知っています、賃金も知っています。そういうような状況の中で、一番多い職種である八百二十八人が今回深夜作業を認めることによって女性に対する雇用の機会がうんと拡大しますか。そういうふうにあなたたちは考えているんですか。甘いと思いますが、どうですか、実態について。
○政府委員(武石章君) 現在の主としてマリンガールの就労状況についてまず御説明申し上げたいと思います。 長距離フェリーの中で、現在出航時間が二十一時以降のものについては、阪九フェリーが一日三往復ございます。それから新日本海フェリー、これが週四往復、もう一つありまして、週八往復ございます。日本カーフェリーにつきましては、一日一往復でございます。それから関汽系の会社でございますが、これが一日二往復ございます。日本沿海フェリーというのは特に遅い時間に出ておりますが、二十四時出航というものでございます。これは一日一往復半、二日で三往復でございます。それから近海郵船というところでやはり三日に二往復というものが出ております。太平洋フェリーにおきましても……
○安恒良一君 具体的に何名ふえるのかと聞いているんだよ。そんなこと聞いていない。
○政府委員(武石章君) これらの人たちの数というのはかなりな数に上っておるものでございまして、四、五百名はこの深夜労働によって雇用されている事態があると思うわけでございます。 先ほど申し上げましたように、この規定を置いたから直ちにマリンガールについて女子船員の雇用が促進されるということではございません。私どもとしては、女子船員一般についてそういう機会を確保するという意味で条件整備のこの法律の改正をしたところでございまして、一般船員がそれでは急激にふえるかと申しますと、先ほど申し上げましたように、海上労働の今日は非常に厳しい状況でございます。外航海運についても、タンカー、不定期、その他、三部門同時不況というような状態、内航におきましても非常に厳しい状況でございまして、ここ数年の間に二〇%以上の荷物が減っておるというような状況でございますので、女子船員だけがふえる要素は特にあるとは私ども考えておりませんが、こういう機会を拡大することによりまして今後女子船員が本格的に出てくることを、そういうことを期待いたしまして条件整備を図ったというのが今回の法律の趣旨でございます。 マリンガールにつきましては、今言いましたような深夜労働、現実についておりますが、それは特別な、地方運輸局長の許可を得ましてこういう軽易な作業、接客業務とか案内とか、こういう軽易な作業について許可を受けまして実際にそういう深夜の労働に携わっておるという状況でございます。この点につきましては、船員中央労働委員会におきましていろいろと議論が行われまして、特にマリンガールのこういうような現状にかんがみ、また女子船員の中で占める割合も非常に大きいという点にかんがみまして、これらの女子船員にこの法律改正によって新たな不安を与えることがないようにということで特に配慮を求めたこと、そういう答申となっておりまして、私どもとしても、実際の運用上ではこういう事態に対して急激な変化が起こるようなことがないよう十分慎重に指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
○安恒良一君 何便何便ということじゃなくて、現在八百二十八名という私の手元にいただいている五十九年十月一日現在のマリンガールの皆さんの中で、深夜作業をしている人は何人いるんですか。
○政府委員(武石章君) 現在長距離フェリーの深夜労働の許可を受けておりますものが十六航路、四十隻でございます。それに乗っている女子の船員数は三百四十五名でございます。
○安恒良一君 そうすると、八百二十八名の中で三百四十五名の人は現在深夜零時を超して働いているわけじゃないでしょう。これは何時まで働かせているんですか。それとも明け方の五時までこれは既にもう三百四十五名働かせているんですか。
○政府委員(武石章君) 二十四時まででございます。零時を超えて働かせている例はございません。
○安恒良一君 そうすると、大臣、今は八百二十八名の中で三百四十五名が特別な許可を受けて二十四時までやっている。ところが今度の法律でいきますと、これは午後十時から翌日の五時まで働いてもいいということになるんですが、私が何回も言っているんですが、船の航行安全に関するものについて、船長になっておられる方とか機関長とかおられますから、一部これを拡大するということは女性の職場拡大という意味で私はわからぬわけじゃないんです。しかし、船の安全航行に直接関係しないところについて、いわゆる陸上よりも非常に勤務状態が激しいわけですよ。例えば盛んにいや家庭責任がないというけれども、陸上でも独身の女性たくさんいるんですからね。全部奥さんだけが勤めているわけじゃないんですよ。独身の女性で勤めている人がたくさんあっても、その人たちはやはり原則的に深夜作業は禁止していこう、ただし、職種によって責任あるポストについた者についてはこの際考えなきゃならぬだろうというのが今の陸上における労働基準法の改正の焦点になっているんですよ。 何も陸上の女性がみんな家庭の主婦じゃないんですから、独身もたくさんいるんですから。にもかかわらずに、このマリンガールと言われる人が、 現在でも約三百四十五名は二十四時までは特別許可している。それをなぜ今回午前五時までこういう方々について接客サービスその他を船の中でさせなきゃならぬか、必要性がわからないんです。例えば看護婦さんが、病気だから行くという、これはわかりますよ。病人を診る、これはわかりますけれども、今マリンガールのやっている仕事の性格からいいますと、そんなに深夜どうしてこの際、それじゃ拡大するのかといったら、拡大の見通しはないんですよ。男の船員が余っているんですから、今男の船員がうんと余って、そして海運業界は不況なんですからね。 私はなぜこのことにこだわるかというと、今は特別許可で二十四時です。しかし、これが法律が通ると、いや二十四時以降は必要ないといっても、二十四時以降明け方の五時まで、中には、酔っぱらって水が飲みたい、水を持ってこいとかなんとか横着なことを言うやつが出てくるんですよ、これはやっぱり夜中に。客室サービスじゃないか、こうなっちゃうんですからね。そういうことにこれは発展をしかねない。この法律には私はですからそういう意味から基本的に反対なんですが、これを具体的に施行するときによほどこれは注意をしていかないと、ここのところは大きい問題になる。またそんなことを国民は欲していないですよ。一般の常識ある人は、深夜にマリンガールの皆さんにサービスしてもらいたいなんという、そんなことを考えませんよ。にもかかわらずに、船の航行安全に直接関係のないこういう職種の人々について午前五時までやるという考え方はどうしても私はわからない。大臣そこのところを説明してください。
○国務大臣(山下徳夫君) 基本的には、さっき申し上げましたように、女子の雇用の拡大を図る、就職の機会を与えるということでございますから、先生がおっしゃるように、男子の船員が余っているから要らないということではなくて、男子の船員が余っておれば女子を押しのけていいということではないんじゃないでしょうか。 そこのところ、ちょっと私も先生の御趣旨がよくわからないものがございますけれども、ただ問題は、先生がおっしゃるとおり、やはり女子は女子としての体の構造上、余りむちゃをやらしてはいけないということは当然であります。しかし、べからず集ばっかりでは雇用の機会を失うということから法の改正が行われるわけで、これにつきましては、法の実施に当たって、中央労働委員会から、過去における女子の労働の実態にかんがみ、今後も十分注意しなさいよということを言われておるわけでございますから、法の運用あるいは実態に当たって、労働省あたりとよく協議しながら、この運用に当たっては注意していかなきゃならぬ、これは当然のことだと思います。
○安恒良一君 私は、男子が余っているから女子を、そんなことを言っているわけじゃないんですよ。この法律の目的が就業の機会を増大をすると言っているが、実態はなかなかそんな実態にないじゃないか。男の人ですらも求職はあっても求人はないんですよ。そういう今の状況の中でなお女性を拡大をするという意味で、船の航行安全に直接影響しない部門についてまで午前五時まで働かせるということについての誤りを指摘をしているんです。 そこで、これは幾ら言ったってすれ違いになりますから、少なくとも陸上における労働基準法、今回の法律制定に伴って、労働基準法の設定によって省令、政令等で職種を私は指定をしていくと思うんですよ。こういう職種についてはある程度深夜認めましょうということになると思うんです、責任ある関係審議会の中で。ですから、船員労働委員会もそういうことを言っているならば、具体的にこの省令、政令をおつくりになるときに、今私が申し上げたことは十分にやっぱり理解をしてもらって、何でも世の中便利になればいいということじゃないんですよ。世の中便利になればいい、夜中でもサービス受ければということじゃないんです。船という非常に過酷な労働条件で働いている女性の保護ということも重点に考えないといけないと思うんです。 御承知のように、今回の場合、陸上の方では妊産婦について規定を外したことについても、やはり船の場合はということでこれを残そうとされている、このことは私はいいことだと思いますよ。それと同じように、やはり深夜におけるこういう仕事ということがどうしても必要な仕事ならば、これは私はやむを得ないと思いますが、今マリンガールと言われている皆さん方の仕事の中身を見ると、深夜にどうしても働かさなきゃならぬということにはならぬのですよ。だから、その意味からいうと、大臣、私はもう時間が来ましたからこの際申し上げておきたいんですが、具体的にこの法を施行される際には十分そこのところは注意をしてやってもらわないといけないと思いますが、どうですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 今も申し上げましたように、今回の法の施行に当たっては、中央労働委員会から、過去における女子の労働の実態にかんがみ、これからはその点も十分考慮してやれよという注文がついていると申しますか、運用上について答申の中にそう盛り込んでございますので、今おっしゃるとおりに、十分この運用に当たっては注意してまいらなければならぬと思っております。
○矢原秀男君 本題の前に、重複するかと思いますけれども、日東丸の件について質問したいと思います。 〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 四月の二十三日午前零時四十分、僚船との無線交信後沈没した沖合底びき漁船の第七十一日東丸、百二十四トン、十六人乗りでございますが、サハリンのチェルペニア岬から南南西約百三十五キロの水深三百六十八メートルの海底に沈没されたと思われるわけであります。この中で、同僚議員からもいろいろ御質問がございましたので、重複するところは、はしょって御質問したいと思うのでございますが、一九七四年SOLAS条約、海上人命安全条約でございますけれども、これが一九八三年の条約、そして来年一九八六年には発効される予定になっているわけでございます。 この中で私が特に質問申し上げたいと思っておりますのは、漁船特殊規程の第四十八条というのがあるわけでございます。これは第三章「設備」、第一節「救命設備」、第四十八条でございます。そしてまた、遭難信号自動発信器については第五十一条の四というものがあるわけでございます。一般漁船には、「最大とう載人員を収容するため十分な救命艇、端艇又は救命いかだを備え付けなければならない。」とあるわけでございます。同条の二項では艤装品が詳細に決められております。この艤装品の詳細を見ておりましても、甲種安全弁付投下用、二番目には甲種進水装置用、三番目には乙種、こういう船舶用のライフラフト、膨張式救命いかだの中で決められているわけでございます。艤装品も二十五品目の取りつけというものが、これは省令等によって、運輸省の省令だと思うんですが、決められております。こういうあれを今回の報道の中からずっと見ておりますと、落下傘付信号、信号紅炎、水密電気灯、日光信号鏡、雨水採集袋、こういうふうなものが二十五の艤装品の中で決められております。 こういう中で問題になりますのは、このSOLAS条約というものは、外航船、それからトン数、人員、こういうことが規定をされておりまして、今回の遭難を受けた船舶については、無線装置の義務づけ、省令化、行政指導というものが、このSOLAS条約に基づけば法的な責任というものは運輸省関係にはないわけですから、細かくそこまでは行政指導もされていないわけですね。ですから、長期間漂流をして、幸いに生き残った方もおられるわけでございますけれども、もしこれが無線装置が救命ボートの中にも軽量化で精密のものが開発をされてセットにされておれば、五名のうち三名が生存、二名が亡くなられたわけでございますけれども、この二名の方も生存をされたのではないか。こんなに長く漂流をする、そういうふうな悪条件もなかったのではないか。 こういうことで、今申し上げた、いわゆる漁船特殊規程の各条項を今読み上げたわけでございますけれども、こういう今回の船舶のような形のものの中にも無線装置というものをこの艤装品の中に加えておれば、これはこういうふうな非常に長期化した問題というものが速やかに解決をされていく、これが私の解釈でございます。ですから、現在の産業技術をもってすれば軽量、コンパクトな無線装置というものは当然製品化もされますし、艤装品の中に取りつけなさいという省令か行政指導というものもできる、こういうふうに私は解釈をしているわけでございます。そういう点については当局ではいかがお考えでございますか。
○政府委員(神津信男君) ただいま先生御指摘ございました無線救難設備でございますが、この種の漁船につきましては、私どもと農水省の共同省令でございます漁船特殊規程におきまして、遭難無線通信の設備を義務づけておるところでございます。ただ、海難時の遭難通信は本来は本船の無線装置によるのを原則としておりまして、無線装置が使用できない場合のためにSOS発信機の備えつけを義務づけておるところでございます。このSOS発信機には持ち運び式とブイ式の二種類がございまして、どちらを装備するかはその船の種類あるいは船型などによりまして船舶所有者の選択に任されておるところでございます。 今回の事故の第七十一日東丸の場合には持ち運び式のSOS発信機が備えつけられていたわけでございますが、それがうまく作動をしなかったという結果が今回のような救助がおくれたということになった原因の一つかと思いますので、今回の事故にかんがみまして、ブイ式の強制をできるかどうかというようなことにつきまして、そのブイ式を備えつける場合には、積みつけの場所であるとかあるいは保守の問題いろいろございますので、至急に検討をしてまいりたいと考えております。
○矢原秀男君 ぜひ検討をしていただきたいと思います。そうすればこういう問題は非常に私は今後——総理府の資料を見ますと、漁業、水産養殖業等の人口が約四十六万人と推定、漁業船舶乗組員二十一万人、漁業だけを見ますと十一万人、こういうふうなところの家族等を入れましても非常に安心されるのではないかなと思うわけでございます。 〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 私も遭難自動通報機のメーカーからいろんな資料を取り寄せながら検討をしておりますと、救命いかだの中に、艤装品の中に取りつけていく開発というものは不可能ではない、こういうふうに解釈をいたしております。またレーダーターゲット等についても救命いかだに取りつけていく、そういうふうな検討もこれはやはり鋭意努力をしていただきたいと思うわけでございます。 それから質問の二点でございますけれども、昭和五十七年の一月にベーリング海で起きた日魯漁業所属の遠洋底びき漁船の第二十八あけぼの丸、五百四十九総トンでございますが、この遭難事故では乗組員三十二名が亡くなっておられますけれども、今回の事故と全く類似をしている。ただ違うのは荒海、荒波であったか静かだったか、そういうふうな違いがあるわけでございますが、この問題が言われておりますのは、舷側の開口部のガーベージシュートがあいていたために、そこからの浸水によって沈没した。急な沈没のためにやはりSOSが発信されなかった。私は、これは舷側の開口部については、波が静かであるとか荒れているとかいうことによって船舶の判断もあろうかと思いますけれども、やはりそういうふうなところもこれは技術的な検討というものが行政の中で行われていかなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけですけれども、その点はいかがでございますか。
○政府委員(神津信男君) 漁船のガーベージシュートのような開口につきましては、先生御指摘のございましたように、五十七年の第二十八あけぼの丸の転覆事故の原因の一つと考えられておりますので、その後、原則としてもう閉鎖すべきである、特に荒天時及び揚網時はこれは確実に閉鎖すること、それから長時間使用せざるを得ない操業形態のものについては、その開口をさらに上層の甲板に導いて排出する方式をとるか、またはこれができないときは遠隔制御方式の閉鎖装置を備えることという内容の通達を出しまして、関係業界を指導し、その後新造されました漁船につきましてはいずれもこの趣旨に従って建造されておるところでございます。 なお、今回の事故の原因がまだはっきりはしておりませんが、同様の事故であるとすれば、さらにこの趣旨の徹底を図って、今回のような事故が二度と起こらないような指導をさらに強化をしてまいるということを考えております。
○矢原秀男君 今二点の質問をいたしましたけれども、運輸大臣、特に救命いかだの中に艤装品を二十五、六種類取りつけというものが義務づけられているわけですが、そこに今申し上げた無線の、SOS用のトランシーバーのような軽量のものが開発されて艤装品の中に一つ加えていただければ、私は人命救助のためにも非常に大きいものがあろうかと思います。 今御答弁いただいたので、一応検討もしていただくわけでございますけれども、運輸大臣としてのこれに対する見解をひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま局長から答弁申し上げましたことは、これは国際的な一つの動向でございまして、私どもといたしましても、そういうものを備えつけ、しかも義務づけるということにつきましては今後とも国際的な動向に沿うように鋭意努力をしてまいりたいと思っております。
○矢原秀男君 次に移りますけれども、大臣、今御答弁いただいたんですが、SOLAS条約では、そういう本船のような船舶以下については条約ができても適用外になっているところに問題点があろうかとも私は思っているわけなので、我が国としては、我が国の漁船についてそういう適用除外になっているかもわからないけれども、小型船舶についても努力をしていただきたい、こういうことを要望をしておきたいと思います。
○政府委員(神津信男君) SOLAS条約は一応国際航海に従事する船舶を対象にしておりますが、既に我が国におきましては、その条約の適用以外のものであっても、内航船であるとかあるいは漁船につきまして十分その精神にのっとった規制を行っておるところでございまして、ただいま先生の御指摘のございましたような趣旨を今後とも十分踏まえまして船舶の安全の確保に一層努力をしてまいりたいと思います。
○矢原秀男君 よろしくお願いします。 船員法の一部を改正する法律案でございますが、提案の経緯を伺っておりますと、本法律案は、女子に対する差別の撤廃に関する条約の批准に備えるための国内法令整備の一環として、女子船員について就業制限を緩和するとともに、母性保護の充実を図る観点から、女子船員の労働条件に関する特別規定の整備を行おうとされているように伺っているわけでございます。 そこで一、二質問をしてまいりたいと思いますけれども、女子船員数の実態、一覧物の資料をいただいたわけでございますが、外航四十二名、内航で九百九十一名、漁船で六十四名、その他で二十六名、合計千百二十三、これは同居の四百六十三を外した女子船員数の実態でございます。その他、商船大学女子学生数は東京、神戸合計で五十三名となっているようでございます。 そこでまず御質問をしたいと思いますのは、男女雇用平等法の精神が今後私は生かされていかなければならない、こういう観点からただしてみたいのでございますが、先般国会でも、雇用面での男女差別解消を目指す男女雇用機会均等法案が、国連の女子差別撤廃条約批准のための国内法の整備として本国会でも可決成立し、政府も条約批准となっていく過程が来ているわけでございます。そういう中で、男女雇用機会均等法案の内容を見ておりますと、男女差別の著しい募集、採用、配 置、昇進についての差別解消を企業の努力義務としている等々あるわけでございますけれども、問題点の一つは、募集、採用、配置、昇進における男女平等の確保を企業の努力義務にゆだねていること、禁止規定としていないこともやはり問題の課題になったわけでございます。また、差別を受けた女子を救済する調停委に調査権、是正命令権がない、しかも企業側の同意を必要とする点も問題がある、実効性の乏しい内容ではないか、こういうことも課題になったわけでございます。 そういうふうなこと等々を考えておりますと、またこの法案の中には、女子の時間外労働、今も問題になっておりましたが、深夜業の規制、廃止、緩和といった労働基準法に対して改悪ではないかという問題にもなったわけでございます。こういうふうに女子の時間外労働の取り扱いの具体的な部分については今後労働省令で決められるわけでございますけれども、こういうふうないろいろの問題が出た中で、今申し上げたような、一つは、男女雇用平等法の精神がこの船員法の一部を改正する法律案の中で今後ずっと生かされていかなければならない、こういうふうに私は思うわけでございますけれども、この点いかがでございますか。 そしてまた二番目といたしましては、女子が雇用される環境整備というものも付随して配慮されなければならない。 こういう二点について、原則論として伺いたいと思います。
○政府委員(武石章君) 雇用均等法の精神が生かされるように十分配慮されたいということでございます。 雇用機会均等法につきましては、先生からのお話もございましたように、既に今国会の、特に参議院では採決、成立しておるわけでございますが、それから衆議院に回りまして成立をしておるわけでございますが、雇用機会均等法は、女子船員をも含めたすべての女子労働者に関しまして初めて募集、採用から退職までに至る間について男女の雇用機会均等などを規定したものでございます。歴史的な法律として評価さるべきであろうと思うわけでございます。その内容につきましてはいろいろと議論がありましたことは承知しておりますが、この法律は、今回一部改正をお願いしております船員法と一体となって、海上労働の分野での男女の平等を進める上で大きな役割を果たすことが期待されるところでございます。政府といたしましても適切な運用をしてまいりたいと考えておるところでございます。 特に、この法律と一体的に運用される今回の船員法の改正につきましては、女子差別撤廃条約の定めております男女の差別についての禁止に即応するために、一般女子についての深夜労働の撤廃あるいは就労制限についての大幅な緩和というようなものを図るようなことを趣旨としているわけでございますが、その適切な運用によりまして、条約及び機会均等法、さらに船員法の一体とした運用を図ってまいりたいと思うところでございます。 それから今後の女子の雇用機会でございますが、このような環境整備を進めることによって、意欲と能力のある女子が積極的に海上に進出してくるということを私どもは大いに期待しておるところでございますが、その点について現在の経営環境といいますか、海上におけるいろいろな産業の周辺の環境が非常に厳しい状況であるということが反映いたしまして、直ちに大幅に拡大してくるというようなことは女子の進出について期待できないというふうな実情もございますので、こういう整備を図った上で着実な女子船員というものの進出を今後育ててまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○矢原秀男君 運輸大臣、私、今答弁いただきましたが、重ねて、この男女雇用平等法の精神を今後やはり生かしていかなくてはならない、こういうふうに思うわけですけれども、運輸大臣としてはこの基本的な考えについてはどういうふうな御意見を持っていらっしゃいますか、伺いたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 今部長から答弁申し上げましたが、実はあのとおり私は答弁する予定にいたしておったのでございまして、全く趣旨は同じでございますが、まさに画期的な、これは歴史的な法律であるということは今申し上げたとおりでございます。これは、今から十年前のメキシコにおける国際婦人年の決議に基づいて、それから十年間そういう思想というものがこれは世界じゅうにずっとこう伝わってきている。それが十年後にこういう形であらわれているということでございまして、画期的な、歴史的な法が制定される以上は、我々もそれに対応して女子の労働の機会均等、その他全般にわたって十分注意しながら対処してまいらなければならぬ。これは非常に私どももやはり心を引き締めてこの歴史的な法律に対応していくということだけを申し上げておきたいと思います。
○矢原秀男君 よろしくお願いいたします。 次の質問でございますけれども、改正法案の第八十八条の八では、本法案の適用除外として次の規定が設けられております。第八十八条の八「適用範囲」ですね、「この章の規定は、船舶所有者と同一の家庭に属する者のみを使用する船舶については、これを適用しない。」と、こういうふうなことでございますけれども、時間がございませんので簡単に申し上げるわけでございますけれども、生業的なオーナーの経営が非常に窮地に追い込まれているということが運輸省の内航海運事業者実態意向調査の中間集計でも出ているわけでございます。船舶の設備投資も意欲も薄いし、圧縮記帳の拡大利用というものは二割ぐらいが予定をしている、こういうようなことで非常に大変な状況のようでございますけれども、これら生業的オーナーへの助成とかまた保護政策、こういうふうな問題についてはどういうふうに考えていくべきであるか。育成強化の政策というものも必要ではないかなと思うんですけれども、いろんな現状分析の中でどうしていくのか、これも非常に大きな問題だと思うんですけれども、この点はいかがでございますか。
○政府委員(栗林貞一君) 先生ただいまおっしゃられました内航海運事業者実態意向調査というもの、これは昨年実施いたしまして、最終的には本年の二月にまとまったものでございますが、それを見ますと、先生おっしゃいますように、生業的オーナーについて非常に厳しい状況が出ております。例えば船員の年齢が一般的に高い、その割に所得が低い、企業として見た場合には赤字の企業が多いなどの問題が多い上に、転廃業とかあるいは集約を希望する者も多いという実態が明らかになってきておるのでございます。 これらに対する対策というものは非常に難しい問題でございますけれども、この内航海運業というものがそもそも構造的な不況に陥っているという状態が続いているということにもかんがみまして、業界全体の抜本的な構造改善を図ることが必要であるということで、実は昨年の六月、内航海運業構造改善指針というものを定めまして、構造改善に積極的に乗り出すことにいたしたわけでございます。 主な点を二、三申し上げますと、今おっしゃいました生業的オーナーで転廃業する者に対しまして、転廃業助成金などを内航海運組合総連合会が交付するという一つのやり方をつくりました。それから、転廃業、集約等に伴って船舶を売却する場合につきまして、圧縮記帳ということを適用することによりまして税制上の優遇措置を講ずることにいたしました。また、生業的オーナーの新規参入の問題でございますけれども、これは、従来は許認可基準のうち船腹量に関する基準というものを一般的には設けておったわけですが、この生業的オーナーについては実はこれを免除しておったわけでございます。いわば入りやすい格好でありましたが、この免除措置を廃止いたしまして、一般的なルールでいこうということにいたしました。また、悪質な内航海運業法違反につきましては行政処分を含めて厳しく対処するということといたしました。さらには、内航海運組合というも のがございますが、その組織及び活動を強化いたしまして、組合員である事業者の体力を強化することなどの措置を実施いたしました。昨年来私ども関係者鋭意努力している最中でございます。
○矢原秀男君 ひとつよろしくお願いしたいと思います。 次に移ります。ちょっと関連でございますけれども、今後の外航海運政策と余剰船員の問題についてお尋ねをしたいと思うわけであります。 海運造船合理化審議会の中間答申が昨年の八月に出されております。答申の中では初めて過剰船員問題を取り上げております。その対応も極めて緊急の課題であると述べておるわけでございます。また中間答申の中では、外航海運の問題点として、我が国が主要資源のほとんどを海外に依存しておる、そういう中で我が国関係海上荷動き量は世界海上荷動き量の二〇%に達している。しかしながら、いろいろな問題の中で、日本船の国際競争力の低下、船員問題、企業経営上の問題等の大きな課題点も取り上げられていらっしゃるわけでございます。まず、今後の外航海運政策についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 今先生の御指摘は、外航海運の中の余剰人員対策だと思うのでございますけれども、この問題につきましては、それぞれの各企業におきまして今日まで日ごろ非常な努力を重ねてきていると私は思っております。 例えば、船員をおかにおろすとか、適宜配置転換等についても各会社でもって努力をしてこられた。その結果、非常に余剰船員が顕在化しているという現状ではないのではないかというふうに理解をいたしておりますけれども、こういった各企業の努力に対して、国といたしましても努力をしてこれを援助しなければならぬということで、日本船員福利雇用促進センターというものがございまして、これを通じて外国船への職域開拓及び就職のあっせん、あるいは外国船に乗り組む船員に対する技能訓練の実施あるいは職業転換等を容易にするための技能訓練の実施、さらにこれらに関連する船主及び船員に対する助成、こういったことにつきまして今日まで援護措置を続けてきている状況でございます。
○矢原秀男君 この問題も大きな課題であると思いますので、鋭意努力をしていただきたいと思います。 最後になりますけれども、船員の高齢化問題でございますけれども、運輸省の昭和五十八年十月現在の船員統計調査によりますと、高齢化、いわゆる人生八十年時代でございますから、高齢者の方のいろんな職場というものは各分野で進出しなければいけないので、一面では是とするわけでございますが、逆に若年の船員が減少の傾向がデータで出ております。この高齢化と若年船員のバランスの問題、若年船員をどういうふうにすればまたいろいろと就業の中に取り込んでいけることができるか、こういう絡みの問題を伺いたいと思います。
○政府委員(武石章君) 船員の年齢構成の不均衡の是正ということにつきましては、外航海運企業における選択定年制の導入あるいは企業内での陸上職種への転換というような各種の努力をしているところでございます。 このような企業側の努力を私どもとして支えていくということといたしまして、日本船員福利雇用促進センターというところを通じまして、陸上の職業への転換を容易にするための技術訓練の実施、部員の職員化に必要な技能訓練の実施、これは社内で職員に登用するということによって部員の数を調整していくという方法でございます。これに関連する船主及び船員に対する助成というような助成措置を講じておりますが、このほかに、私どもに属しております海技大学校におきまして各種の技能訓練、例えばクレーンの扱いとかあるいは玉掛けであるとか、陸上の職業への転換を容易にするような技能訓練を行っているところでございます。 先生が御指摘いただきましたとおり、中高年船員の雇用というのは、ここ数年にわたってだんだんと中高年船員の割合が増加しているということで、非常に大きな問題になっているわけでございまして、これは基本的には、海上企業が経営状態が極端に悪い、不況が長く続いているということが原因でございまして、そういう中高年の船員を雇ったまま、これが拡大している、要するに業況が拡大している時代でございますれば、どんどんと新しく若い船員を採用していくことができるわけでございますが、それがなかなか思うように任せないということで、基本的にはこういう企業の環境条件というものをさらに好転させていくということが必要でありましょうが、今日のような時代の中で、やはり先ほど申し上げましたような事柄を一歩一歩着実に積み重ねながらこういう事態の解消に努力してまいるということが必要だろうと思います。 特に若年の船員につきましては、私どもの海員学校におきましていろいろな教育を行っているところでございます。その教育を受けるために入ってくる人たちの数が非常に減っております。これはやはり同じことが原因となっているわけでございまして、そういう問題というのは、基本的な基調として解決していかざるを得ないわけでございますが、雇用対策といたしましても、今申し上げましたようなものを積み重ねて今後とも努力してまいりたいと思っておるところでございます。
○小笠原貞子君 まず最初に大臣に伺いたいと思います。三光汽船の問題なんです。 三光汽船の経営危機が最近また云々されてきております。金融業界の支援だけではもう限界があるというふうに言われて、用船タンカーの買い取りとかスクラップの促進とか、財政的な援助も含めて国のさまざまな支援が不可欠なようだというふうに言われているわけです。 三光汽船というのはどういうのかとちょっと考えてみましても、便宜置籍船をフルに使っている、そして時には船転がしと言われるようなこともやった。海運業界では異端児的ないろいろな商法をやってきた、そしてその中で時には大きな利益も上げてきた会社だ。そうして、苦しくなってくると今度は国に泣きついてくる。河本さんの関係もあり、いろいろ新聞などを見ますと、山下大臣の熱心さは異例であるとか、また、運輸省事務当局はそれに対して冷ややかであるとか、いろいろ、もう時間があればみんな並べたいんですけれども、こういうふうに書かれているわけです。 まず、その三光汽船というものの今までの商法ややり方の責任をはっきりさせることがこの際必要ではないか。そういうことをはっきりしないで、新聞によれば、異例の、閣僚二人ひざ詰め決着劇なんというふうに言われているんでは、これはますます問題というのが大きくなるのではないか。申し上げましたように、三光汽船の今までのあり方、商法のやり方などについてはっきり責任をさせるべきではないかと私は思うんですけれども、大臣としての御所見を最初に伺いたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 三光汽船問題につきまして、新聞の例をとっていろいろ先生からお話ございました。私が今お伺いする限り、私自身よりも先生の方が余計このことに関する新聞をごらんになっているようであれなんですけれども、今までのことにつきましてここでとやかく言うべきかどうか。 と申しますのは、集約集約、昭和三十八年でございましたが、ございまして、そのとき日本の船団というものが、商船隊というものが世界に伍して頑張らなきゃならぬ、どうもそれに対して不安があるということで政府がてこ入れをしてああいう制度が起こった。当時は三光汽船は、当時の言葉で言うならば、一匹オオカミといいましょうか、政府の援助は受けない、そのかわり政府の規制も受けないということでやってきた、そういうことでございますから、かなり苦しい経営の時代もあったでしょう、政府の経営に関する援護も受けないんですから。したがって、御指摘のような点があったかもしれないが、当時私はその衝にありませんからつまびらかにしておりません。 ただ、現状における認識において、先生の御認識はかなり間違いがあるのではないかと思います。私が大臣という立場から三光汽船のみに非常にてこ入れをしている、もっと極言をするならば、大臣という地位を利用してやっているのではないかという御推測もありやしないかという点でございますが、結論から申し上げて、今日まで私は三光汽船に対して大臣の立場で何一つやっておりません。 ただ、構造不況、今陸海空の交通を私は預っておりますけれども、やはり国鉄の次には造船であり海運であるということはみんなが見ていることでございまして、したがって、これらの業種に対して、いわゆる構造不況でございますからこれは政府として何らかの措置をとらなきゃならぬことは当然でございます。過去における四十年の戦後の歴史の中でも、石炭の不況のとき、あるいはその他さまざまな不況、私がかつて通産政務次官のときだって、構造不況に対しては三つの法律をつくっております。そういった歴史的な過去にかんがみ、構造不況に対するてこ入れということは当然でありまして、それは一つの海運政策であります。その中に抜いて一つだけ三光にやったということは何一つございません。 ただ、御指摘の異例の云々ということでございますけれども、三光と融資銀行団との話し合いについて、融資銀行団が自分たちはもうできないと言ったということ、それは私もそんなことは聞いておりません。融資はもうできないということは聞いておりません。が、融資をするについて、政府はこういう構造不況に対して一体どうおやりになるということであろうか、我々も協力しなきゃならぬが、まず構造不況ならば政府としても施策として何かあるはずである、それを承りたいということについて私が政府の方針を御説明したことはございます。
○小笠原貞子君 私の言ったことが杞憂であればこれに幸いすることはございません。いろいろ私も心配いたしますのは、例えば、今おっしゃったけれども、今まで何もやってこなかった、だからこの際大臣になったときにやろうなんていう考え方がもしもあったら大変なことだということもありますし、また、海運業界ぐるみをどう支援するかというお立場だとおっしゃっても、そこで最も利益を得るのは三光汽船であろうと、こういうふうに言われているわけですから。だから、今おっしゃったように、そういう立場でやっているのではないという、そういう姿勢でもしおやりになるんだったら私は大変結構だと思います。こればかりに時間とっていられませんから、一応そこのところをお伺いして、また十分御注意をいただいて行政の立場でやっていただきたいと思います。 次に、私は大手海運会社の実態というのをこの関係でちょっと調べてみました。非常にここに端的に女性差別というものがあったというのでびっくりしたので伺いたいと思うわけなんです。 大手の海運会社なんです。その賃金体系を見ますと、まず賃金の一つである家族手当というのがあります。その家族の手当は、昭和海運というのを見ますと、男の場合だけ配偶者手当として三千円、女性の場合は手当の対象とはなっておりません。つまり結局、配偶者という名前の手当だけれども、妻手当という形になっているわけです。ほかの川崎汽船を見ますと、同様で、男に対しては配偶者として妻に対して五千円、富士浅野海運も六千円、ドッド・ウエルという外資系は二万四千円、インターオーシャンというところは五千円、こういうように妻手当だけがあって、女の方には配偶者手当というものが適用されていないんですね。これは明らかに婦人差別であると言えるのではないか。赤松局長にこれを聞いていただいて、そしてお調べもいただきたい。差別だと私はもうはっきり言えると思うのです。 それから基準局にもお伺いしますけれども、これも四条の男女同一賃金の原則に明らかに違反するのではないか、そう思うわけなんです。これは事実でございますので、急にきょう申し上げましたので、お調べがないといたしますれば、ぜひ御調査をいただきたい、そして速やかに是正指導をしていただきたいというのがお願いでございますので、お二人からお答えいただきたいと思います。
○政府委員(赤松良子君) 労働基準法四条の趣旨から申しまして、手当の名前が配偶者手当であれば、その名前自体は違法ではないと存じますが、実態が配偶者手当といっていながら妻には支給されないという性質のものであれば、これは女性であることを理由にした差別であるというふうに考えるところでございます。
○説明員(菊地好司君) 労働基準法の履行確保を図る基準局といたしまして、御指摘の点調べまして、改めるべき点があれば是正させたい、かように考えております。
○小笠原貞子君 私も調べてみてびっくりいたしました。 それじゃ住宅手当はどうなんだろうと、これも賃金の一つでございます。住宅手当も全く同じでございました。調べていきますと、商船三井の場合は、男性の場合、妻帯者の人は一万九千円から三万円の住宅手当が支給されておりました。ところが女性の場合は、結婚していても男性の独身者とみなすということで、結婚していても男性の独身者とみなすというのはまたこれおもしろいんですけれども、みなされているわけなんですね。これも明白な差別だと言わざるを得ないと思うんです。そして額も一万円ないし一万六千円。こういたしますと月に一万四千円の差が出てくるわけですね、結婚していても男の独身とみなすということで。月に一万四千円の差で、年に直すと十六万八千円ということになっているわけなんです。女性でも少なくとも主たる生計者の場合このようなことはあってはならないはずではないかと思うわけです。最近の岩手銀行の裁判の判例もございました。女性は結婚していても独身者とみなすということはまさに今どき珍しい、言語道断だと思うわけですね。それが一つ。 これが商船三井なんですけれども、商船三井だけじゃなかったんです、ずっと調べてみましたら。山下新日本汽船というのがございます。ここは男性の場合には、年齢によって違いますけれども、一万二千円から一万六千円の住宅手当。しかし女性は条件がいろいろあるんですね。まず未婚で、親と別居して、みずからが家賃支払い責任者の場合のみという条件をつけて、額は七千円支給と、これもまた明らかに差別、具体的に差別になっているわけです。これも私はこの事実を考えたらおかしい。先ほどのお答えと同じようになると思うんですけれども、局長いかがでございましょうか。
○政府委員(赤松良子君) 具体的な例は存じておりませんが、ただいまのような御指摘であれば条件が男女明らかに異なるということになろうかと思いますので、その場合は男女の差別になるのではないかというふうにただいまお聞きしていて考えられるところでございます。
○小笠原貞子君 この海運会社というのは非常に、何といいましようか、私も初めて今度調べてみてわかったんですけれども、もう明らかに婦人であるということでまさに差別しているということでちょっと驚いたわけなんです。家族手当しかり、住宅手当しかりです。 今度福利厚生はそれじゃどうなっているんだと、こういうふうに調べてみましたら、住宅資金貸し付けというのが非常に今必要とされているわけで、これも調べますといろいろございました。まさに女性差別なんです。日本郵船という会社、ここは土地購入するときに男性は一千万ないし一千三百万借りられるわけです。ところが婦人は全然ないんです。借りられないということですね。それから今度、土地住宅を購入する場合には男性は千七百万借りられます。ところが女性は一千万というふうに、ここでも額の差が出てまいります。 それから、先ほど申しました商船三井、ここの財形住宅融資のところを見ましたら、男性は一千万、二十八歳以上、勤続六年以上、加入三年以上、こうなっております。女性の場合には二十八歳以上じゃなくて三十二歳以上、勤続は男が六年以上、女は十年以上、加入は男が三年以上、女が五年以 上と厳しい条件がつけられて、そして額は男が一千万借りられる、女は五百万、こうなんですね。これはまさに女は半分なんですよ。これでまたびっくりいたしました。 川崎汽船というのを調べますと、男性は一千万から一千八百万、三十六歳から四十四歳でちょっと違ってきますが、一千万から一千八百万。女性は幾らかといったら年齢全然関係ない、三十六歳以上の男が一千万借りられて、四十四歳で千八百万借りられるところを、女は五百万と、ここじゃ三分の一になっちゃうわけなんですね。 こうしますと、平等どころか、女は男の半分になり三分の一になりというような明らかに差別ということが出てまいりました。確かにこの福利厚生の場合には、賃金そのものではない、福利厚生でございますけれども、労基法四条の趣旨、精神に照らしてみると、やっぱり私はここでも差別というものがなされているなと。雇用均等法が通りましたが、その第十条の「福利厚生」というところを見ますと、この問題が書かれているわけです。「事業主は、住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生」について「女子であることを理由として、男子と差別的取扱いをしてはならない。」そういうことでございますね。そうすると、私はこれまさに均等法違反の第一号でないか、見ていて、これは大変なことだと思いました。 先ほどから申しておりますように、婦人局としても、具体的事実で私申し上げましたので、これについて御調査いただいて、そして基準局ともども御指導をいただきたいということを、この福利厚生の面についてもお願いしたいと思います。
○政府委員(赤松良子君) 先ほどの基準法の部分につきましては施行は基準局ということでございますが、福利厚生においては機会均等法の第十条の問題でございますので、婦人局が施行を担当することになろうかと存じます。そこで、ただいま御指摘のような事実でございますれば、賃金ではございませんが、福利厚生の問題として第十条の違反の疑いが非常にあるのではないかというふうに考えられますので、来年四月一日施行になるわけでございますので、そうなった暁には第十条の違反を構成するというふうに考える次第でございます。
○小笠原貞子君 来年ですから、もう一年しかございませんので、ぜひきちっと御指導いただきたいと思います。
○政府委員(赤松良子君) ちょっと今申しおくれましたが、第十条の内容につきましては、関係審議会にお諮りをいたしまして労働省令で具体的に決めることになっておりますが、既にこの条文の中に「住宅資金の貸付けその他これに準ずる」と明定しておりますので、住宅資金の貸し付けであれば、この省令を決めるときにその省令の中に含まれることは余り疑いのないところだというふうに考えております。
○小笠原貞子君 時間がございませんので、最後に大臣、今お聞きになった、賃金である家族手当、今指摘したように妻のみ、いわゆる妻手当、こういうふうになっておりまして、女性に対しては配偶者手当というものは全くない、住宅手当も、女性は結婚していてもすべて独身とみなす、独身とみなして正当な手当を支給しない。また今の福利厚生の面でもそうです。こういう業界というのは、しょっちゅう見ているところじゃありませんので、やっぱり盲点になっていたんだなと、私は調べましてびっくりいたしました。 ということでございますから、きょう申し上げました事実を具体的に御調査もいただきまして、今局長などからもお答えをいただきましたけれども、改善の措置をぜひ具体的にとっていただきたい、そう思いますので、最後に大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 先生の今の御要請は、大部分は労働省の所管ではないかと思われますが、よく事務当局とも検討いたしまして、私の方の所管がございますれば十分今後検討させて、また改めるべきは改めさせていただきたいと思います。
○伊藤郁男君 まず、船員法関連で三点お伺いをしたいと思います。 第一は、産前産後の休業の期間が今度は延長されたわけでございますが、延長された部分の賃金保障、これらの対応についてどのようになっておるのか、まず御説明をいただきます。
○政府委員(武石章君) 今回の船員法の改正によりまして、妊婦の船内就労を原則として禁止をするということといたしましたのは、海上労働の特殊性を配慮いたしまして、条約の規定にのっとって母性保護の充実を図る目的で行ったものでございます。 しかしながら、これによりまして実際上収入減となるようなことが考えられますので、この点を配慮いたしまして、この法律の附則第四条で、船員保険法を改正して、船員保険から、妊娠中と産後五十六日間のうち、船内労働ができない全期間にわたり標準報酬日額の百分の六十を出産手当として給付することといたしたのでございます。従前は産前産後各四十二日間以内ということで最長八十四日間でございましたが、今回の改正によりまして、いつ妊娠をしたかという確認がいつの時点で行われたかによって左右されますけれども、非常に早い時期に確認されれば三百日以上というところまで出産手当が給付されるというというに改正をしたところでございます。
○伊藤郁男君 次に育児休業でございますが、これは雇用均等法では努力規定ということになりましたが、船員の場合は船に乗っている期間が多いわけですから、家にすぐ帰るなんということはできません。したがって陸上労働者とは非常に違うわけでございますけれども、この船員法上の育児休業というのは私は義務規定にすべきではないか、こういうように思うのでございますが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(武石章君) 育児休暇につきましては女子差別撤廃条約に特に規定がございません。その批准のための条件整備として要請されてはいないということでございます。 それから、我が国におきまして育児休暇の制度が普及率が非常に全体として低うございます。一割強にすぎないというようなことなどから、労働基準法の改正に当たってもその法制化が見送られることとなっておるところでございます。船員の場合には、今先生御指摘のように、陸上労働者とは異なり、毎日自宅に帰れない場合が多く、育児休暇制度の法制化の必要性が大きいということも考えられるところでございますが、女子船員についての育児休暇制度の普及状況などから見まして、現在の時点では先行的にこれを法制化するということは時期尚早と言わざるを得ないというような感じを持っておるところでございます。当面、雇用機会均等法第二十八条の育児休業の普及に関する規定に従いまして、行政指導等によりその普及を図ることといたしたいと考えております。
○伊藤郁男君 次に、先国会の船員部長の答弁に関連をしてもう一度確認をしたいんですが、夜間労働禁止の撤廃に関連いたしまして、先ほども若干質問がございましたが、就業上女子船員に不安がないか、中には不心得者がおる、したがって不安がつきまとうのではないか、こういうことに対しまして、そういうことのないよう十分配慮して法の運用を行っていきたい、こういうことを船員部長も答弁をされていますが、この十分配慮した法の運用とはどのようなことを指すのか、どういう方法でこういう不安をなくしていくのか、その点についての運用上の問題についてお伺いをしておきます。
○政府委員(武石章君) 女子船員の夜間労働禁止の撤廃に関しまして、先生の御指摘のとおり、船員中央労働委員会の答申にもございますように、女子船員の従来の労働実態にかんがみて、女子船員の就業上の不安がないように十分配慮した法の運用を図っていきたいということを私は先国会で答弁いたしております。 具体的な改正法の運用といたしましては、深夜労働の禁止規定を撤廃するということとしました今回の趣旨を十分関係事業者等に徹底させまし て、それと同時に、現在、船舶所有者が作成して所轄の運輸局に届け出ることになっております就業規則のチェックをするというような段階で、女子船員の就業上の不安を招くような事態に立ち至らないよう監督してまいりたいと思っておるところでございます。
○伊藤郁男君 次に、第七十一日東丸の遭難事故に関連をいたしまして質問をしていきたいと思うんです。 今回の事件は、幸いにして三名の方が救助された、その点では大変結構なことだと思うんですが、沈没の原因等はまだ明らかではありません。ああいう北洋の事故は大変悲惨でございまして、一度事故が起こるとほとんど全員が死亡されてしまう。この事故原因についてもよくわからない、したがって、原因がわからないから救援対策も明確な救援対策が出てこない、こういうことで今まで捨てておかれた面があると思うんですね。しかし、幸い生存者が三名おられますから、今後の海難救助対策の面でよい教訓といいますか、対策上さまざまな有効な対策があるいはできるかもしれないという希望を持っておるわけであります。 それはそれとしまして、最近漁船その他の海難事故がずっと続いておるわけですね。ことしに入ってからでも十数回海難事故が起こっておるわけでございまして、そういう意味から、今後このような事故を再発させてはならないという観点から私は質問をしていきたい、こういう立場でございます。 そこで第一点は、ソ連に対して捜索救助要請をやって、ソ連も快くその要請にこたえた、こういうことが報道されておるわけでありますが、ソ連は、日本の要請にこたえてどのような捜索を一体やったのかどうか、その辺がどうもはっきりしませんので、わかっておりましたら御説明いただきたい。
○政府委員(角田達郎君) ただいま先生がおっしゃいましたように、第一管区海上保安本部といたしましては、遭難情報を得まして直ちに巡視船等の出動命令を出し、同時にソ連に対して援助要請を行ったわけでございます。ただ、我が方の援助要請に対しまして具体的な船艇、航空機をどういうふうに出動させて救助活動に当たったか、その辺のところは明確でございません。それからもう一点は、先ほども御答弁申し上げましたが、北洋の海域において、ソ連の領土に近いところで我が方の航空機を飛ばしてそれで捜索救難にあたることについて、ソ連に支障があるかないかの問い合わせをずっと今までの海難においてもしていたわけでございますが、今回は、航空機による捜索について支障はないという了解を初めて得た、こういうことが今回の特徴でございます。
○伊藤郁男君 それにも関連をいたしますけれども、SAR条約の批准は今国会で恐らく行われるだろう、こういうふうに思っておりますが、日本がSAR条約を批准した場合、この種の事故の捜索方法は、隣接国ですね、ソ連、中国、台湾、韓国、いろいろありますが、この隣接国とどのように調整をして捜索を実施をしていくのか、SAR条約を批准した場合ですね。その点をお伺いいたします。
○政府委員(角田達郎君) SAR条約に日本が加盟いたしまして、そのSAR条約のほかの隣接の締約国と協力して捜索救助を行います場合には、両方が締約国である場合には、両方の救助調整本部、略してRCCと申しますが、両国のRCC間で迅速な連絡がとれることがまず第一でございます。それから、常にそのRCC間で遭難情報の連絡等をやっておりますので、お互いに捜索救助の協力体制が素早くとれる、この辺が最大のメリットではないか、かように考えております。
○伊藤郁男君 次に、今回の日東丸の捜索はかなり綿密に広範囲に、しかも飛行機まで飛ばし、巡視艇も出し、そして僚船も含めますと延べ一週間に二百何隻も出て捜索活動をやられた海上保安庁の御努力に感謝を申し上げますが、しかしそれでもなお、今回漂流をしている、遺体を含めて五名の方々のいかだが発見できなかったということなんですが、今回の場合は少し初動体制が、先ほど長官の言われましたように、時間がありましたので、その間に急速に流れていってしまったということもあるでしょうし、あるいは氷山の陰に隠れたということもあって大変捜索は難しかったとは思いますが、今後の問題として、あの救命いかだが容易に発見できるような、こちらのレーターにもキャッチできるような、そういうような方法はないだろうか。 例えば、あの救命いかだに、あれは二十人乗りでかなり立派なものなんですが、天幕等に、レーターにちゃんとうまく反射できるような反射板というんですか、そういうものをつけておけばかなり遠くからもそれは感知できるのではないか、こういうように素人なりに考えるわけでありますが、そのような反射板みたいなものを設置する、それを義務づける、こういうことが今後必要ではないかと思うんですが、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(神津信男君) その点につきましては、国際的にも、より捜査を効果的にするために、救命いかだにレーダーリフレクターを備えつけることを義務づけることを含めまして、より人命の安全に資するような海上人命安全条約の改正を明年一月一日で発効する予定で既に作業が進んでおるところでございます。我が国におきましてもこのような国際的動向を踏まえまして、救命いかだにアルミ箔などのレーダーリフレクターを備えつけることを義務づけるよう、現在関係省令の改正等を含みます所要の作業を鋭意進めているところでございます。
○伊藤郁男君 それから次に、救命設備は、これは漁船特殊規程の定めによりまして、遭難信号自動発信器かあるいは持ち運び式無線装置を備えつけることになっておる、こういうことなんですが、ところがこの両方の機械とも、いざというときに、備えつけている場所へ行って持ってきて操作をしなきゃいかぬ、あるいは海中に投げ入れるということですから、今回のようにあっという間に沈没したようなときには間に合わないですね。あの機械を備えつけるのに、NHKのテレビを見ておりましたら、大体一分かかるというんですから、一分も待っていられないわけですね。 そこで、膨張式救命いかだの中に、艤装品の一部ですね、これはコンパクトにかなり入っているのを私も見ましたが、二十五種類も入って、相当のものが入っておりますが、今の通信機器の発達状況から考えまして、この中に、艤装品の中の一部として小型の、そしてかなり遠くまで電波が発信できる、到達できるというような携帯用の無線機、こういうものを艤装品の中に一緒に入れておくことができないのだろうか。入れておけば、今回の場合はかなり遠くへ流れていっても発信を聞くことができるのではないか、こういうように思いますが、そういうような意味でそういうものをぜひとも備えるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(神津信男君) 先生御指摘のように、遭難した場合に、救命いかだに遭難無線装置をあらかじめ備えておくということは非常に有効な方法であると私どもも考えております。 ただ、現状では、現在の周波数の無線機を小型軽量化をしなければ、現在の救命いかだには、先生御指摘のように二十五品目、かなりもう積んでおりますので、搭載場所がなかなか現在の無線機では難しいというような技術的な問題がございますし、それから、小型軽量化するためには電波の周波数をさらに短波とか超短波にする必要がある。そうした場合には受信態勢、今度は受け取る方の態勢、これは国際的に遭難信号の周波数は決まっておるわけでございますが、そういう問題について国際的な調整をする必要もあるというようないろいろな問題もございますので、今直ちにというわけにはまいりませんが、今回のような事故の経緯を踏まえまして、私どもといたしましても、今後関係省庁とも十分相談をしながら検討を進めてまいりたいと思っております。
○伊藤郁男君 今回の沈没の一つの原因と言われ ているのは、ダストハッチというんですか、あれは載貨門とも呼ばれているようですが、あそこから傾いたときに海水が入って沈没した、こういうことになっているんですが、この種の沈没というのは前からも言われておるわけですね。これは第二十八あけぼの丸の転覆事件の場合の海難審判庁の審決文もあるわけですが、こういうのはやっぱりしっかりと常時閉めておかなきゃならぬ。できればああいうものは私はもうなくしたらどうだろうか。ああいうものをあげておかなくても、今パイプでごみやなんかを、残存物を船の上から放出する、こうしておけばそれは十分できるわけですから。だから、何も穴をあけておいてそこから汚物を流すということをわざわざしなくても、これからの新造船はああいうものを一切、もうああいう船の側面には穴をあけない、穴をあけるようなところを設けない、こういうことを、やっぱりあけぼの丸の転覆事件の際にそういうことが十分指摘されておるわけですから、そういう指導を十分にやっていただきたい。 ところが、これも漁船員の話などを聞いておりますと、あんなもの別にあいていても、あそこから海水が多少入っても沈没なんかしないよというような安易に考えておる者もまだおるようですよ。これはやはり行政側の徹底した指導がその面では必要ではないかと私は思いますし、ぜひともそういう面で、漁船の場合は特に構造の改善、そういう意味の指導強化、こういうものが私は必要だ、こういうように思いますので、ぜひともそれをやっていただきたいと思うし、パイプで上からそういうものはやれということを強力に指導していただきたい、こういうことをお願いを申し上げます。 最後にこれは大臣にお伺いをしておきますが、今度の場合は幸い生存者もおられることですから、これからおいおい原因の究明も行われてくると思います。したがって、徹底的に、先ほども冒頭申し上げましたように、この種の海難事故というのはほとんどの人が生存をしていないために原因も明らかでない、したがって有効な対策がそこから生まれない、こういうのが今までです。しかし幸い生存者が三名おりましたから、十分に徹底して事故原因を究明していただきまして、二度とこういうことが起こらないように十分なる御配慮をいただきたい。この点についての大臣の御答弁と、前段の話の答弁をお聞きをいたしまして終わります。
○政府委員(神津信男君) 先生御指摘ございましたように、漁船の場合にはガーベージシュートというような船側の開口がございまして、そこを作業中あげて使うという構造になっております。ただ、ここから水が打ち込みますのがやはり遭難の一つの原因になる可能性も非常にございますので、前回第二十八あけぼの丸の事故の結果を踏まえまして、原則として閉鎖をしておけ、特に荒天時であるとか揚網時、これは確実に閉鎖をすること、それから、長時間開放をするような場合には、今先生御指摘のように、上まで上げまして上から捨てるような構造にする、あるいは遠隔の制御で閉鎖装置、しっかり閉鎖をするような装置を備えつけるという指導強化をいたしておりまして、新造船におきましては全部上から捨てるというような構造になってきております。 しかし、今回伝えられるところでは、開口からの海水の流入もあったようでございますので、さらにその原因の調査を鋭意いたしまして、その構造の問題も含めまして再検討いたしたいと思っております。
○国務大臣(山下徳夫君) 第七十一日東丸の海難事故につきましては、けさからいろいろと先生方から貴重な御意見、御質問等もちようだいいたしまして、私もこの席から拝聴いたしまして大変得ることが多うございました。 この事故自体に非常に教えられることが多かったのでございますけれども、不幸中の幸いは、今回の事故で天佑とも言うべき三名の方が奇跡的に生還されているということでございます。これも長官から御答弁申し上げましたように、ただいまは目下療養中でございまして、深く立ち入って原因その他についてお聞きすることできません。やがてお聞きする時期が参ると思いますが、貴重な体験等を十分お聞きし、それを重要な参考といたしまして、これらの事故の対策について大きく私どももこれからいろいろと検討をしてまいりたいと思っております。
○委員長(鶴岡洋君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の船員法の一部改正案に対して反対討論を行います。 本法案は、国連の婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約を批准するために国内法としていわゆる男女雇用機会均等法が提案され、この機会均等法の労働基準法の改正部分に相応するものであり、文字どおり機会均等法と一体の改正法案であります。しかし、今度の男女雇用機会均等法案も本改正法案も、国連の差別撤廃条約でうたわれている、女子に対する差別は権利の平等の原則及び人間の尊厳の尊重の原則に反するものという差別撤廃の目的や理念から全くかけ離れ、婦人の願いにこたえないものとなっています。とりわけ重大なのは、平等の名のもとに女子船員の労働条件の改悪を法的に推し進めようとしていることです。 本来、雇用における男女の平等とは母性の保護を当然の前提とするものであります。ところが、本改正法案は、女子船員の夜間労働の禁止、危険有害業務等の就労制限、生理休暇など母性保護規定を大幅に緩和させています。海上労働という特別過酷な就労環境の中でこのような規制緩和を許すならば、女子船員の就労を逆に困難にさせることになり、同時に母性と健康の破壊につながることは明白であります。女子船員に対するこのような攻撃は到底容認できるものではありません。 我が党は、以上の理由から本改正法案に反対するものです。 労働条件の改悪に反対し、母性保護を前提とした真に実効ある男女雇用平等法の実現のため一層努力することを明らかにして、反対討論を終わります。
○梶原清君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、本案に対し賛成の討論を行うものであります。 近年、我が国では、女子労働者があらゆる産業、職業に進出し、また女子の職業に対する意識も高まってきております。特に、男女の平等を実現することが国際的潮流となっている中で、我が国は昭和五十五年に女子差別撤廃条約に署名しましたが、先進国の一員として早期に関係国内法を整備し、この条約の批准に備えることが要請されております。 今回の船員法の一部改正法案は、条約の批准に備えるための国内法令整備の一環として、女子船員についてその特別規定の見直しを行うとともに、母性保護の充実を図ろうとするもので、まことに時宜に適したものと賛意を表明するものであります。 今回、女子に対する特別規定の見直しとして、従来、女子船員の就労を妨げてきた女子船員に対する夜間労働の禁止規定を廃止するとともに、危険有害業務の就業制限規定について、妊娠または出産にかかわる機能に有害なものに限定することとしたことは、男子船員との雇用の分野における男女の均等な機会を確保し、女子船員の今後における活躍の場の拡大に資し得るものと考えられますので、極めて適切妥当なものと考えるものであります。 また、反面、今回の改正は、女子船員に対する母性保護を従来にも増して充実しようとするものであって、妊産婦船員に対する産前産後休業の大幅な拡大、時間外、休日労働の制限等、きめ細かく、 かつ手厚く規定しておりますことはまことに適切な措置として賛意を表明するものであります。 以上、本案賛成の理由を申し述べましたが、政府におかれましては、マリンガール等に見られる女子船員の従来の労働実態にかんがみ、本改正法の施行に当たっては、女子船員の雇用、就労上の不安が生ずることのないよう十分に配慮すべきことを要望いたしまして私の賛成討論を終わります。
○委員長(鶴岡洋君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 船員法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鶴岡洋君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十一分散会