予算委員会 第11号
- 発言数
- 204 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1985/02/16
会議録
○天野委員長 これより会議を開きます。 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
○井上(一)委員 私は、世界のすべての国からなくすべきは核と差別である、守るべきは平和と人権であるという強い信念、理念を持っています。今世界の人類が直面している大きな危機をすべての力で回避していかなきゃいけない。一つは核の危機だと私は思います。熱い危機と私はこれを称しています。もう一つは教育の危機だと思うのです。静かなる危機。まさにこの二つの危機をすべての力で回避するための私たちにとっては努力が必要ではないだろうか。そういう観点から幾つかの問題を取り上げてまいりたいと思います。 まず最初に私は、私のすべてのスタッフの協力を得ながら調査いたしました一つの大きな問題を提起したい、こう思うのです。それは我が国の先端企業である京セラのアメリカにおける子会社、京セラ・インターナショナル・インコーポレーテッドがアメリカにおいて核兵器トマホークの製造に大きくかかわっていたということであります。アメリカの核兵器製造関連企業ビッグエイトの一つでありますゼネラル・ダイナミックス、この企業から発注を受けて巡航ミサイル・トマホークの部品を製造していた、こういうことが明らかになったわけであります。愕然とせざるを得ないというのが実情であります。今世界で反核の声が沸き起こっている。そういう中で、そのトマホークの心臓部であるコンピューターのセラミックパッケージが海外進出の日本企業の手によって製造が行われていた。二十四時間ガードマンをつけての厳しい状況の中でそういう操業が、生産が行われているという事実、大変遺憾であります。武器輸出三原則をいわば国是とする我が国、その我が国の企業が最新鋭の、いわゆるトマホークですね、核兵器トマホークに使用されているというこの事実を一体通産大臣はどういうふうに受けとめ、どういうお考えをお持ちなのか、まずお聞きをしておきたいと思います。
○村田国務大臣 井上委員にお答え申し上げます。 現在、今御指摘になられました事案は、急成長のハイテク産業で知られております京セラのアメリカの子会社、京セラ・インターナショナル・インコーポレーテッド、KIIと申しますが、これがカリフォルニア州のサンジエゴにございまして、これが米国の軍需産業GD、ゼネラル・ダイナミックス社に自社工場内の作業区域を貸与した上、GD社の最新鋭巡航ミサイル・トマホークの部品などにKII製の特殊セラミックパッケージを納入している疑いが強い、こういう御指摘でございます。 御承知のように、武器製造業に対します対外直接投資の取り扱いにつきましては、武器輸出に関する政府方針に準じて取り扱っておるところでございます。具体的には大蔵省において必要な規制を実施しているところでありますが、通産省といたしましても、上記方針にのっとり、これに協力をしております。 井上議員御指摘の事実関係については、関係企業の責任者を呼びまして調査をする所存でございます。
○井上(一)委員 武器輸出三原則は、いわば我が国の、先ほども申し上げたように、国是であり、いわゆる国際紛争等を助長することを回避すること、それを目的としたものだ、これは我が国の平和国家としての基本理念でもあろう、こういうふうに思うのです。 しかし、近年我が国の一部産業界の中で利益追求のみに走る傾向、そしてその結果、巧妙な方法をもって武器輸出が行われている。私は昭和五十六年の当予算委員会で堀田ハガネ事件を取り上げました。それはまさに一つの警鐘を乱打したわけでありますけれども、今回また、この京セラの場合は違った手段を講じたわけですね。直接の輸出ということよりも、むしろ直接武器の輸出はできないから現地法人、現地に子会社を設立して、そしてそこで武器をつくっている。まさに私は、手段、方法というものが、こんな形で武器輸出三原則の精神を踏みにじるようなことに結果としてなっている、非常に残念である。 ひとつ大蔵にお聞きをしたいのでありますけれども、一般論として日本の企業が武器を製造することを目的として外国に子会社を設立する場合には、実際許可をされているのかどうか、あるいは子会社が海外に進出をした場合、どのような事業を行っているかということを常に承知していらっしゃるのかどうか、その点について大蔵当局にお聞きをしたいと思います。
○行天政府委員 お答えいたします。 本邦企業が海外に子会社を設立いたします行為は、直接投資という資本取引に該当するわけでございます。現在この資本取引は原則として自由化されておりますが、御指摘のような武器製造を目的とするというような場合には、これは届け出を受理いたします段階におきまして、これに対して変更、中止を勧告もしくは命令できるということになっておりますので、そういう事態が起これば、そのように処置をする所存でございます。 それから、設立された後の現地法人の活動についてどの程度把握しているかという御質問でございますが、率直に申しまして、直接投資の数は非常に多うございます。それからまた、海外において海外の法律に基づいて海外の会社として設立され活動をするということになりますと、なかなかこれを日本の法律でもって直接コントロールするというのは難しい問題でございます。
○井上(一)委員 そこが問題になるわけであります。海外進出を申請し許可をする場合には、当然武器輸出は許可の範疇に入らないわけであります。しかし、一たん外へ出てしまえば、何をつくっていっても、あるいはその何年かの中でどういう仕組みを組み立てていこうがチェックでき得ない。これは外務省もいわゆる在外公館が、在外における我が国の企業がどういう活動、活躍をしているか、決してその内部にまで干渉は及びませんけれども、一定の方向は把握すべきである、そういうことが我が国企業の現地における正しい企業活動をより推進、育成していくわけになるのだと私は思うのです。そういうことになりますと、出るときには一定の歯どめはあったとしても、出てしまえば、何をつくってもこれはわからない。私が指摘をして初めて、まあびっくり仰天、調査をしますと言ったって、本当は調査する権限はどこにあって、だれがどういう方法で調査をするのか。これは通産が調査をするのですか。通産がそんな権限を持っているのですか。調査ができるのですか。私はそういうような点についても、特に今回の京セラについては子会社の社長が親会社である京セラの常務をしているわけです。そして子会社の会長が親会社の社長をしている。いわばこれはもう本当に法の抜け穴というのでしょうか、いわゆる隠れた形で武器製造にかかわっていた。京セラについてはデクセル社という二年前にいわゆる軍需産業としていわば前科があるわけなんです。これは確信犯だと私は思っておる。こんなことが許せるのか、こんなことをこのままにしておいて武器輸出三原則が遵守されると思っていらっしゃるのか。私はあえてここでもう一度、調査をしますというような通り一遍のそんな答弁でこの問題が片づけられるものでない、こういうことなんです。いかがですか。
○村田国務大臣 非常に重大な御指摘だと思います。実は京セラについて今御指摘になったデクセル社の関係も調べてみました。これで見ますと、五十八年二月の調査でありますが、京セラは五十六年四月には所有に係るデクセル社の全株式を信託するとともに、京セラ側の役員三名全員が退任をした。以後事実上デクセル社の経営に関与しなくなった。さらに五十八年二月には米国の電子・電気機器メーカーに全株式を売却したということが判明をしているわけでございます。 確かにこういった前歴もございまして、京セラからパッケージを取り寄せて調べてみましたところ、マルチレイヤーのパッケージズというのがありまして、真ん中にシリコンを置いた、こういったような部品がつくられておって、それが汎用品であるのかあるいは御指摘のような武器関係の専用品であるのか、実はまだ判明をいたしておりません。伝えられるところによれば、京セラは御指摘のような事実は絶対にないと言っておる由でございますが、このことは実は大変重要な問題でございまして、よく京セラから事情を調査いたしませんと、簡単に、そうか、それじゃ結構だというようなことが言いにくい件でございまして、これはまさに井上委員御指摘のとおりでありますから、本件につきまして御指摘のように、武器の専用部分品の製造が行われているという事実がありますれば、通産省としては、大蔵省等の関係各省とも相談をいたしまして、親会社に対してこれをやめるように指導をする方針でおります。
○井上(一)委員 ゼネラル・ダイナミックスというその会社は、御承知だと思いますけれども、先ほども指摘したように、トマホークを初めアメリカにおける大きな軍需産業なんです。そして今、汎用品であるかどうか、恐らくそういう答弁が返るであろうと私は思っていました。幾つかの資料があります。そして、新聞報道だけですけれども、事務所を貸与していたんだ、リースしているんだというようなことも言いわけをしている。事務所を貸しているんじゃないのですよ。製造している部分、工場の中にちゃんと今言ったように二十四時間ガードマンをつけてトマホークの部品をつくっている。それはトマホークのICのパッケージの規格品をつくっているわけなんです。汎用品はどこにでも使える、そしてそこにたまたま軍需用に使ったのだ。そうじゃないわけです。トマホークの中心部分、中枢部門に限られた部品をその子会社でつくっている。まさに現地のそのゼネラル・ダイナミックスもいわゆる京セラの子会社も同じところに同居している。なぜなのか。一つの流れとしてどうしてもそこで作業をやらなければ一つの製品が、トマホークが完成しないわけでありますから、そういうことをさっき調査すると言ったって、現場にできるのかどうか。私は非常に難しいと思いますよ。権限もないんだし、入れてもらえないですよ。そこへ入れるのかどうか、外交官といえども。だから、私は本当にしっかりと調査をいつまでにされるのか、そしてその調査がこの当委員会に、私は予算委員会——まあアメリカだからすぐにわかるわけなんです。外務省の外交部門での出先機関もあるわけなんです。本当にそんなことが確かめられるのですか。私はむしろ京セラは、先ほども言ったように、デクセルの問題もあって前科のある企業である、調査云々ということ、それも必要であります、しかしやはりもっと強い行政指導が必要ではないだろうか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
○村岡政府委員 KII社の調査の問題でございますが、井上委員御指摘のとおり非常に困難性は伴うと思います。御存じのように、外国企業でもありますし、あるいは企業秘密というものも多分に存在しておると思います。しかし、先ほど大臣が答弁いたしましたように、私どもといたしましては、親会社を通じてあるいは必要があれば外務省などにもお願いいたしまして、この実態を厳正に調査をいたしたいと思っております。やや困難な調査でございますので、調査には一月程度の日時はかかるものと理解しております。
○井上(一)委員 私は非常に調査は困難であろう、そのことも十分理解をします。しかし、今一月の日時を要して調査をする。当然調査をしていただかなきゃいけないし、さらには、私は、即刻京セラの、いわば親会社であり現地の役員であるその社長、会長から事情聴取をする、そういうことも可能なのでありますから、そういうお考えを持っていらっしゃるのかどうか、このことについても聞いておきたいと思います。
○村田国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、親会社の役員を呼ぶことはもうすぐでも可能でございますから、これは早速調査にかかります。既に連絡はとってございます。
○井上(一)委員 私は、さらに、今回あえて京セラの問題を指摘させていただいたわけでありますけれども、これは全く氷山の一角だと私は思っているわけなんです。今後ますます我が国企業の海外進出というものは盛んになっていくであろう。当然こういうケースも起こり得る可能性もあるのではないか。改めて関係各方面に対して注意を喚起すべきである。我が国の企業としての、いわゆる平和国家日本の企業としての自覚の上に立った経営活動を求めていく、そのことが我が国の世界各国に対する平和友好関係を維持することにつながっていくのではないだろうか。そのことが我が国の国益をさらには守っていくことにつながっていく、こういう考えに立つわけであります。 この際、海外進出の各企業及び関係業界に対し、武器輸出三原則の理解とその精神の遵守を求める何らかの手だてを当然行ってしかるべきだと私は思うのでございますが、通産大臣の御意見はいかがでございましょうか。
○村田国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。通産省といたしましては、企業を所管するという立場から、我が国企業の海外活動についても、武器輸出に関する政府方針に準じて適切な指導を行っておるところでございます。 御指摘になりました海外進生活動をしている業界に対して、武器輸出三原則の趣旨、目的を徹底させるような措置ということでございますが、御指摘のような事実があり、武器の専用部分品の製造が行われているという事実があれば、関係各省と相談の上で関係業界の注意喚起を行うことも検討していく所存でございます。
○井上(一)委員 ちょっと私はひっかかるのだが、御指摘のような事実があれば云々と、こうきているわけです。今私が指摘したことは、できるだけ早い期間、一カ月の期間に調査をするということだから、これは調査を待ちましょう。しかし、こういうことを私は指摘したのですから、私も、私のスタッフを総動員して相当期間の時間を要してきっちりと整理をしてきた。だから、一つの警鐘を打ったわけでありますから、事実調査が判明する以前にちゃんとした行政指導、非核国家日本、そして武器輸出三原則を遵守するという平和国家の日本の通産行政として周知徹底をさせるべきだ。そんなものは調査をして明らかになってからなんというようなことでは。——それじゃそれまで一カ月待ちましょう、それじゃ待ちますよ、僕はそうじゃない。今も即刻あなたは親会社の社長を呼んだ。それは通産としては、きのう新聞にたまたま載ったから、予告をしているからそういう手だてをとられたわけです。だから、すべての海外進出企業にきっちりとそういう行政指導をするのがまさに通産の役割ではないだろうか。いかがなんですか。
○村田国務大臣 京セラに関しましては、先ほど申し上げましたように、調査そして指導をするということで今後早急に対応をしてまいります。それと同時に、井上委員の御指摘になりました関係業界に対しましても注意喚起を図ってまいりたい、このように考えております。
○井上(一)委員 再度確認をします。私が指摘したように、京セラは当然でありますけれども、海外進出企業、それぞれの関連企業に武器輸出三原則の精神を、そして再び疑惑、疑いを持たれることのないように周知徹底をさせる、こういうことでございますね。
○村田国務大臣 そのとおりでございます。
○井上(一)委員 それじゃ私は京セラの問題については、事実を早急に解明し、私自身はよくもう実情を知っているものですから、ひとつ強い行政指導をお願いしておきたい。 次に、総理に伺いたいと思うのですが、総理、私が冒頭申し上げたように、核と差別をなくしていこう、平和を守っていこう、人権を守っていこう、今お聞きの質疑を通してのひとつ御感想もいただきたいわけです。 総理は、ことしは平和と軍縮の年にしたい、こういうことを新年おっしゃって、新年早々アメリカに、さらに帰ってすぐに大洋州へ飛ぶ、いわゆる得意の外交をなさっていらっしゃるわけです。私は本当に御苦労さまでございますと申し上げたいわけですが、いろいろアメリカからも——お土産を持っていった。まあ、この間ひょうたんを持っていったなんて言っていらっしゃったが、何をおっしゃっているんですか。あなたはしんどいお土産を持って帰ったのじゃありませんか。アルミの問題にしたって宇宙衛星の問題にしたって、レーガンさんからビッグブラザーと言われて、大変アメリカ政府から、赤字解消策として何とか二百億ドルは年内に解消するためにアメリカの物を買うべきだ、いろいろなことを注文をつけられたわけです。しんどかっただろうと私は思っています。そして、そのお土産を全部受けたら大物政治家が落選するから日米関係が不安定になる、そんなことも政府としては言いわけをしなければいけない、そういう事実があるわけです。 しかし、僕はきょうはそのことは余り総理とレーガンさんの話について問いただそうなんて思っておりません。むしろ私がきょうお尋ねをしたいのは、総理が、今申し上げたように、軍縮の年にしたい、そういうふうにことしを位置づけていらっしゃる。よく福祉元年である、あるいはことしは何の年だ、その年の初めにはそういうことをおっしゃるけれども、だんだんそれが消えうせていく。そういうことで、特に私は、西側の強化、結束による平和と軍縮の促進というのが総理の基本的な考え方だ、こう思っているわけです。それは再三お答えになっていらっしゃるわけです。西側が結束を強化していく、そのことでソ連が軍縮交渉の場に出てきた、これが現実の姿である、こういうふうにおっしゃっているわけなんです。言葉だけでは何ら解決しないとまで言い切られているわけです。 そこで、私はお伺いをしたいのでありますが、我が国が国是としている非核三原則、この非核三原則は米ソ核戦略の中にあってどう位置づけられていると思うのか。言いかえれば、西側の一員である日本が非核三原則を厳格に堅持していくということ、このことはアメリカの核戦略上マイナス要因になっているのかどうか。あるいはマイナス要因でないのか。これをひとつ聞いておきたい、こう思うのです。
○中曽根内閣総理大臣 非核三原則は、我が国の防衛の一つの国是として我々はこれを堅持しておるところでございます。日本の防衛は、日本の国民の意思により、日本の主権のもとに独自の見解を持って貫いておる一つの例でもあると思います。しかし、日本全体の防衛を構成するいろいろな要素を考えてみますと、我々がアメリカの核の抑止力のもとにあるということも認めておる次第であります。包括的意味においてはそれが抑止力になって戦争の勃発を防いでいるという要素も認めておるわけであります。しかし、世界的なスケールにおいて平和を維持しよう、ソ連との均衡を保持しつつ戦争の勃発を防ごうというアメリカの戦略側から見た場合に、日本の非核三原則というものがアメリカ側にどういうふうな影響を与えているかということは、私はアメリカ人でないからよくわかりません。アメリカがどう評価しているかということは、私は直接アメリカから聞いたこともありませんし、それは想像の域を出ませんから、私がこれに対して評価を下すということは差し控えたいと思います。
○井上(一)委員 総理、何を言っているのですか。私はアメリカ人に聞いているんじゃないですよ。総理に聞いているのですよ。我が国の持っている非核三原則がアメリカの核戦略上どういう要因になっているのか、僕はそれを聞いているのです。何を言っているのだ。別にアメリカ人に聞いているわけじゃない。総理に聞いているのです。アメリカはどう評価しているかは別として、あなたはどう位置づけていらっしゃるのですか、こういうことです。
○中曽根内閣総理大臣 今申し上げましたように、日本は日本の独自の日本列島防衛の戦略及び戦術構想を持ってやっているわけであります。その一つの特色として非核三原則というものを日本は持っておる。それをアメリカがどういうふうに評価しているか、そういう御質問なんでしょう、御質問は。(井上(一)委員「いや、違う」と呼ぶ)そうじゃないのですか。——どういう御質問か趣旨がよくわかりませんので、もう一回お願いします。
○井上(一)委員 我が国が非核三原則を堅持することは、いわゆるアメリカの核戦略上マイナス要因になるのか。いや、そうじゃないのだ、そんな要因には入らないのだ、プラス要因なのか、非核三原則を堅持することが。そういうことなんですよ。
○中曽根内閣総理大臣 アメリカの戦略上プラスになるかマイナスになるかということを日本の立場から判定せよ、そういう御質問でございますね。 まあこれは非常に難しい御質問でございまして、アメリカの戦略、世界戦略全体というものがどういう基本的なものに基づいて、我々の知らない部分もあるでしょうし、そういういろいろな面から見まして位置づけられているかという全体系を把握しなければ的確な評価はできないと思いますが、しかし普通の考えからしますれば、アメリカ側としては、日本がこういう立場をとっていることについては若干戸惑いを持っているのではないか。全体のそういうようなレベルから見れば、イギリスの政策とかあるいはドイツの政策とかNATOの政策とか、そういうヨーロッパ側におけるいろいろな今の状況から見ると、日本は独自の、特異の政策を持っているわけですから、それとはちょっと違う、そういう感じを持っておると思います。
○井上(一)委員 いわゆる西側の一員である我が国が非核三原則を持っているということは、NATO諸国とは違う非核三原則、表現はストレートではないけれども、むしろ戸惑いを持っているというお答えで、私の指摘をしたマイナス要因なんでしょうかと聞いたその分野に入るのではないだろうか、こう受けとめているのですけれども、よろしゅうございますか。
○中曽根内閣総理大臣 プラスかマイナスかという評価まではちょっとやりにくいと思うのです。ただ、アメリカ側としては、NATOやあるいはヨーロッパの情勢から見れば同じレベルてはいけない、そういう意味においては戸惑いを持っている、そういうふうに判定いたします。
○井上(一)委員 私は、それは逆に大変なことじゃないのだろうか。十分非核三原則の——なぜそれじゃ西側の結束強化を、安倍外務大臣もきのうかおととい、そういうことをどこかでおっしゃっているわけなんですが、私は、非核三原則にアメリカ側は戸惑いを持っているのではないだろうかという総理のこのお答え、非常に重要だと思うのです。私はマイナス要因と、こういう問いかけをしました。言葉は違うけれども、気持ちの上でNATOとは違った、そこに総理、私は日本の非核三原則の精神と、なくすべきは核であるということの理念をもっと強くアメリカに伝えるべきではないだろうか、総理として。 ちょっと若干話がそれるかもわかりませんが、風見鶏だと言って中曽根さんをいろいろ言われるわけなんですよ。私はいろいろな解釈をして、風見鶏というのは、昔キリストの弟子がいわゆるキリストとの関係を問われて、三日三晩強い拷問というのでしょうか、そういうものにあえぎ、悩んだ。しかし、朝一番のおんどりの声で正義を貫くという、そういう一つの説があるわけなんです。私はわかりませんけれども、今こそやはり二十一世紀に向けて平和な世界という方向をあなたがお示しになる、その風見鶏であってほしい、僕はそう思うのです。 そういう意味では、アメリカが戸惑いを持つならその戸惑いを払拭させなければいけないし、日本としてはそのことをアメリカにもっともっと強く日本の国是を理解させなければいけない。アメリカから大きな荷物を背負って持って帰るのでは何らこれは日米首脳会談の成果はないと私は思っているのです。大変なあなたの受けとめ方ではないでしょうか。戸惑いを持っているかもわからない、でもそれを理解させるのだという強い中曽根総理の行動力というか、外交への力をやはり私は期待したいのですが、いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 日本は日本独自の防衛戦略、防衛戦術、原則を持ってやっておるのでありまして、アメリカがどういう考えを持とうが、日本は広島、長崎の惨害を受けた国として、この問題についてはこういう国策を持っている、これは厳として持っている、そういうことで、これを一貫して今まで貫いてきておるところであります。そのことはアメリカ側にもよく話をし、アメリカ側も承知しておるところでございます。今後ともそういう一貫した原則を我々は持っていきたいと思っておりますし、貫いていきたいと思っております。 核兵器を廃絶するということは、そういう面も多少は関係しないとは言えませんけれども、やはり米ソの間の大きな世界的な力の仕組みの構造を変える必要がある。そういう意味において、ジュネーブ会談というものはそのスタートにぜひしたい、そう思って、まずジュネーブ会談を開かせる。それからできるだけ早く、周到な準備をした上で、アメリカとソ連の首脳会談に次は持っていきたい、これが核兵器を廃絶させる最も具体的な、的確な方法である、そう考えて、今その線に向かって努力しておるところであります。
○井上(一)委員 西側の多くの諸国が非核三原則を提唱し出した、まねて。ニュージーランドが、これは後でかかわってくるわけですけれども。そういう現象が、これもストレートな問い方ですが、好ましいとお受けとめになられるのか、いや、それは恐らくそれぞれの国家の主権でございますとあなたはお答えになるでしょう。しかし私は、主権の侵害、あるいはそれぞれの国が主権を持っておるということはわかっているのだけれども、西側の諸国が我が国と同じような非核三原則の精神というか、そういう政策をすべて提唱する、そういうことになると、好ましい状況である、あるいは余り好ましくないのだ、どうお考えになられますか。
○中曽根内閣総理大臣 私は、前から核兵器は業の兵器である、この業の兵器は地球上から早く追放しなければならない、そういうことも申し上げ、日本は、そういう意味においては核拡散防止条約にも参加して、この核拡散を防止しているという立場にも立っておるわけでございまして、そういう方向で今後とも一貫して努力していきたいと思っております。
○井上(一)委員 それは核の均衡が崩れるということ、西側の結束強化というのはなぜ今ごろ、今強く言わなければいけないかというと、逆に言うと、結束がちょっと緩んでいるというか、少しバランスが崩れ出した、こういうことなんですよ。だから総理、私は、核の均衡が崩れるから、本当はそれぞれの国の主権でそれぞれの国の政策で判断されることだけれども、我が国は堅持する、しかし西側の結束にどう影響するのか、あるいはこれがどうなるのか、核の均衡が崩れると思う、あるいはそうじゃないと思う、あるいは結束にどう影響を及ぼすのか、いかがですか。
○中曽根内閣総理大臣 これは世界に百七十近くの独立国がありますが、みんな独自の主権のもとに独自の政策を行っておるのでございまして、その独自の政策の多様性の上に調和をとりつつ、一つの均衡をつくりつつある、それが現実であるだろうと思います。 ヨーロッパにおきましては、フランスはNATOに入っておりません。NATOの体系からフランスが脱退したというときには若干波乱が起きたと思いますが、その後また一つの水準に均衡点ができておるわけです。アジアにおきまして日本はこのような戦略、戦術をとっておる、その水準において一つの均衡点がやはりできている、そういうことであるだろうと思うのであります。やはり各国が持っておる独自の主権に基づく戦略、戦術というものは尊重されていくべきであると思っております。
○井上(一)委員 私は、ニュージーランドでオフリン国防大臣だとかそれぞれの関係の人にも会って、ニュージーランドがどのような政策を今回展開していくか、いわゆる核軍縮で若干の意見を交換してきたわけです。総理も訪問をされていろいろな意見の交換がなされて、新聞紙上ではいろいろとその会談の一部を報道されていました。私はその会談の内容についてとやかく今ここで申し上げるわけではありませんが、ニュージーランドの核政策を聞けば聞くほど我が国の核政策と全く同じではないだろうか、こういうふうに思うわけです。総理もそういうふうに思われたのかどうか。もし違うというところがあれば、どこが違うのか。恐らく事前協議云々ということをお答えになられると思うのだけれども、僕はそれはちょっと答弁にならないと思うのだけれども、どこかニュージーランドと違うところがあるのでしょうか。我が国の非核三原則と全く同じではないでしょうか、こういうふうに思うのですが、総理、いかがでございましょう。
○中曽根内閣総理大臣 これは国会でも答弁申し上げましたように、我が国は事前協議制というものが制度として確立されている、そしてそれは何回も確認されておる、そういう点において違うと思います。ニュージーランドのロンギ首相と会ったときにいろいろ話を聞きましたが、そのようなしっかりした取り決めはないようであります。
○井上(一)委員 総理は、核抑止力を含む力の均衡、世界平和がその上に成り立っておる、西側の結束が大事だ、そういうことを言われておるわけなんですけれども、ニュージーランドが現在核積載艦の、核艦船の寄港拒否をアメリカに通告しているわけです。ANZUSのいわゆる合同演習も中止をする。それに対してアメリカ側は経済制裁も検討していると一部報じられているし、ニュージーランド議員の、ハワイでありますけれども訪米を拒否していこう。これは総理の言われる西側の結束強化、その言葉からすれば非常に何か結束強化をつぶすような、結果としてゆゆしき事態だと私は思うのです。ニュージーランドの核艦船の寄港拒否についてどう総理は受けとめていらっしゃるのか。それは先ほどから、それぞれの国の主権でございまして、それぞれの国のというそれは、それじゃ西側の結束強化にどう影響をしてくるのか、そんな点について少し総理に聞いておきたいのです。
○中曽根内閣総理大臣 世界の平和を維持していくために西側、自由世界の国々が連帯し、結束していくということは好ましい現象であるだろうと思います。それは平和を維持するためという目的のために努力し合うからであります。 ニュージーランドの場合には今までと政策が違いまして、少なくとも今までのステータス・クオは変わってきている。しかし、だからといってニュージーランドが独立主権国家であるものを曲げてまでもいろいろやるということは、これは好ましいことではございません。すべて国際関係というものは平和裏に話し合いで納得ずくで物は進んでいくのが望ましいからであります。そういう意味におきまして、大前提としては平和を維持していくために西側が友好、連帯、団結していくということは望ましいと思っておりますが、それぞれの国のそれぞれの立場や国民の意思というものがございますから、そういうものはまた尊重されてしかるべきであると思っております。
○井上(一)委員 アメリカとニュージーランドの関係がぎくしゃくしていくということが西側の結束強化にどう響くのかということを聞いているのです。それぞれの国の主体性という、主権というものは尊重しながらも西側結束から見てどうなんでしょうか、そういうことを聞いておきたい、一つね。 それからもう一つ、アメリカはこのニュージーランドの政策に対して、アメリカとして、これはニューヨーク・タイムズが報じていたのですけれども、経済制裁を検討している、こういうことなんです。アメリカがそういう措置に出ることはまさに西側の結束強化にひび割れがくるわけでありますが、日本もアメリカと一緒にそんなことは右に倣うというようなことはないでしょうね。このことを聞いておきたいのです。
○中曽根内閣総理大臣 アメリカとニュージーランドあるいはANZUSの内部の関係ということでありまして、我々はこれらに対して内政干渉をする意思は毛頭ございません。しかし、少なくとも今までのステータス・クオは変化した、そういうことは言えると思うのであります。 それから、これに対して経済制裁とかなんとかという考えをアメリカは持っていないと思いますが、もし新聞報道が、そういうことがあればよほど正確に調べ上げる必要があると思いますし、日本もまたそういうことがあったからといって経済的措置などという考えは毛頭ございません。
○井上(一)委員 若干外務省に尋ねておきますが、アメリカが寄港を要請している艦船、現在この艦船名はわかりますか。
○栗山政府委員 御質問の趣旨、必ずしも私理解いたしませんでございましたが、委員御承知のように安保条約、地位協定によりまして、一般的にアメリカの艦船については日本の港への出入の権利を認められておりますので、個々の艦船につきましてアメリカ側から入港要請があるというようなことにはなっておりません。
○井上(一)委員 いや、ニュージーランドがアメリカの艦船の寄港を拒否した船の名前は外務省は御存じですかということを聞いたのですがね。
○栗山政府委員 これはアメリカ側が発表しておりまして、誘導ミサイル駆逐艦のブキャナンという船でございます。
○井上(一)委員 ブキャナンはどういう艦船だと位置づけていらっしゃるのでしょうか。
○栗山政府委員 先ほども申し上げましたが、一般的ないわゆる艦級で申し上げれば誘導ミサイルの駆逐艦ということでございます。なお、詳細何か御質問があれば、知っている限りのことをお答えいたします。
○井上(一)委員 ニュージーランドが、核兵器積載可能艦船であるということでこれは断ったわけなんです。もし、この駆逐艦ブキャナンが日本に寄港する場合は、日本政府はどのような態度をとろうとなさるのか、このことについて聞いておきたいと思います。
○安倍国務大臣 これはまだブキャナンが日本に入るかどうかにつきましては、アメリカから何も連絡があるわけではございませんが、先ほど北米局長が答弁いたしましたように、アメリカの艦船は安保条約その関連規定によって日本の港に入る権利を有しておるわけであります。したがって、日本としてはこれを安保条約その関連規定において認めるということでございますが、もちろん核を積載している場合は事前協議の対象になるわけでありまして、その際は日本はノーと言うことは、私が申し上げておるとおりであります。
○井上(一)委員 いや外務大臣、私はそんな答弁聞いているんじゃないのです、答弁を求めているのではないのですよ。ニュージーランド政府が核積載艦であるそのブキャナンを寄港を拒否したのですよ。(「可能だというんだよ」と呼ぶ者あり)そのブキャナンが日本へ来た場合に、寄港を要請した場合にどうするのか。それは今、後ろでやじっているが、可能だという。だから、可能だから核積載艦である、核兵器を積めるんだ、積んでいるんだという、いわゆる内部資料、ニュージーランド独自の内部資料でこれを拒否したのですよ。そういうやはり外務省は的確な状況、状態の把握というのが必要であって、事前協議がなければ云々という、事前協議については後で聞きますけれども、やはりそういうところに外務省が情報収集力の弱さ、外務省の仕事の貧弱さ、もっとしっかりしてもらわなきゃいけない。まあこれは何ぼ聞いたって寄港を拒否するなんというのはそのときまで言えないでしょう、言わないでしょう。また拒否するということも事前協議がなきゃ拒否できないのですと、そういう答弁しか返ってこな それじゃ、一月二十八日横須賀基地に初めて寄港したロサンゼルス級攻撃型原潜ラホヤ、これは核トマホーク搭載艦である可能性は極めて高いとされているわけです。この場合、ニュージーランドでは寄港を拒否するであろう。しかし、日本政府はこのラホヤに対して核の有無を問いただすことすらしなかったのではないんですか。したのかどうか。どうしてしないのか。あるいは積んでないという、一定の内部の、あるいは独自の調査で、資料で、そういうことがわからないのか。ニュージーランドは独自の資料で、国防省の、日本だって自衛隊があるんだから。そういう意味で、我が国の、まあそんなことも言えないんだ、国会にも言えないんだ、国民にも知らせられないんだというならそのようにお答えをいただきたいし、私は、あらゆる資料でこれは核を積載していないということを判断なさって寄港をお認めになったのか、そういう点についても聞いておきたい。
○安倍国務大臣 核を積む能力を持っておるというのと核を現実に積んでおるというのは違うと思いますね。 それで、今ニュージーランドのお話が出ましたが、私の知っておる限りにおきましては、ニュージーランドはやはり核を搭載する可能性のある能力を持った艦船はこれを拒否する、というのはアメリカは核の有無については明らかにしないという大前提がありますから、したがって、ニュージーランド政府が果たして核を積んでいるかあるいは積んでいないかという、そういうことは断定できない。したがって、核を積む可能性のある艦船は、積んでおる、おらないは別にして、そういう可能性があれはすべて拒否する、こういう立場に立っておるようであります。 日本の場合は、先ほどから申し上げておるように、制度として事前協議制度があるわけでありますし、核を積む可能性があるとしても、核を現実に積んで入ってくる場合にはこれは事前協議の対象になるということはもう条約上明快でありますから、そのときは日本の立場は明らかである、こういうことでございます。
○井上(一)委員 これは何回質問をしても、そういうことを、あるいはそれを応援する人と、これは意見の相違。 それで私は、外務省にきっちりと聞いておきたいと思う。事前協議制というのは、それじゃ聞きますよ。事前協議制というのは、日本側から、我が国から一切核の存在を確認することができない、そういう制度なのでしょうかと、こういうことなんです。もうそういう制度ならそういう制度、そういう制度でないというならそういう制度でないと、どちらなんだと。
○栗山政府委員 従来からいろんな機会で御答弁申し上げておりますが、事前協議制度、核の持ち込みに関する事前協議制度というのは、核を持ち込むということであればその許可を日本政府に求めてくる、そういう制度でございます。向こうが求めてこない限りは持ち込むことができない、求めてきたときに日本政府がイエスと言わなければ持ち込むことができない、そういう制度でございます。
○井上(一)委員 いや、それはもう一度ちょっと私の質問を繰り返します。 事前協議制、この事前協議制というのは、日本側から一切核の存在を、核の有無を確認することができない制度なのかどうか。できるのかできないのか、このことを聞いているのです。事前協議制、そのことはわかりました。だから、その事前協議制というのは、日本側から一切聞けないのか、聞けるのか。聞かないのと聞くのとその意味は違うのだよ。聞けないのか、聞かれないのか。
○栗山政府委員 事前協議制度そのものといたしましては、何もなければ核兵器の持ち込みは当然ございませんし、日本政府としては認めないということになっておるわけでございますから、何事もなければ核兵器は入ってこない、核兵器を持ち込もうとすれば事前協議をかけなければならない、そういう制度でございます。
○井上(一)委員 私の質問に対する答弁になってないと思うのです。だから、私はやはりきっちりと私の質問に対して答えてほしいと思う。
○栗山政府委員 たびたびの繰り返しになって恐縮でございますが、事前協議制度につきましてはそういうことでございます。 それじゃ安保条約のもとにおいてそういう核の持ち込みを確認する手段が全くないのかという御質問でありますれば、これもまた従来から申し上げておりますが、安保条約のもとでは第四条で随時協議制度がございますので、条約上の仕組みといたしましては、そういう随時協議というものを通じましてアメリカ側に核の持ち込みの問題について協議をするということは、これは条約の仕組みとしては道が開かれておる、こういうことでございます。
○井上(一)委員 どうも答弁が的確でない。 それで委員長にこれはひとつお願いをしたい。私の質問が、日本側から一切の核の存在を確認できるのかできないのか、その事前協議制という制度というものは、こういうことを言っているのですから、できるのかできないのか。事前協議、第四条の随時協議についてはまたこれから触れようと思っているところですから、その前段のものを整理して文書で出していただけませんか、私の質問の答えを統一して。今の答弁では私は不満足だし時間のむだになりますから、まだ私の時間があるわけですけれども、これはちょっと後に残します。それで、これは僕の持ち時間内できっちりと答弁をしてほしい。 どうせ考えなきゃいけない問題だから、相談をしなきゃいけない問題だから、続いてもう一つ質問をしておきます。それで、時間つぶしのような答弁は避けてください。私はきっちりと聞いてほしい。今の自民党内閣、今の政権で真の非核三原則遵守、これはできるわけがない、私はそう思っているのですよ。そこで、これは政治家に聞くのではない、中曽根さんに聞くのではありません。外務省に、役人、官僚に聞きたい。もし近い将来非核三原則を遵守する政権が誕生する、まあ我が党、社会党を中心としたそういう政権が誕生した、そういう場合、アメリカから事前協議の申し入れはない、しかしあらゆる公式な、いわゆる正当な判断のできる資料で、その船が核艦船の疑いがある、そういう場合、その艦船が寄港したい、寄港する場合、それを拒否することは現在の安保条約の諸文章、いろいろな安保条約の取り決めがありますね、そういう諸文章の中で寄港を拒否することができるのかできないのか。そういうことは諸文章の中で可能であるのかどうか、私はこれをひとつ聞かしていただきたい。 条約的な解釈になるかもわかりませんが、このことを二つ聞かしていただきたい。これは、すぐにお答えができるのなら答えてください。
○小和田政府委員 条約上の仕組みについて御質問でございますのでお答えいたしますが、今委員が御指摘になりました第二の問題、これは、御承知のように安保条約及び地位協定のもとにおいてアメリカ側は一定の条件のもとに日本の港への出入を認められているわけでございますから、したがいまして、事前協議の対象になる場合を除きましては日本側としては拒否する権利がないわけでございます。事前協議の対象になる場合には、先ほど北米局長から御説明いたしましたように、アメリカ側がこれについて希望を持つ場合には日本側に協議をしなければならない義務がございますから、それはアメリカ側が当然そのことを申し出てこなければならない、こういう関係になっておるわけでございます。 しからば、それにもかかわらず非常に疑問があるケースについて日本側が拒否できるかどうかというのが委員の御質問だと思いますが、これは先ほど北米局長からも御説明いたしましたように、事前協議というものはアメリカ側が義務としてそれを履行しなければならないわけでございますので、もし本当にアメリカが事前協議の義務に違反をして持ち込むということになれば、これは安保条約の義務違反という問題が生ずるわけでございます。ただし、日本側がそうではないかというふうに考えているというだけでございましたならば、これはアメリカ側が義務違反をしたということになっているわけではございませんし、また、友好関係にある安全保障の関係を持っております二国の間で、信頼関係に基づいて安全保障条約を結んでおります相手に対してその疑いをかけるというのは、やはり主権国家に対して大変な問題でございますので、手続といたしましては、北米局長から申し上げましたような随時協議という道を通じてアメリカ側とこの問題に関連して協議をするという道が開かれておる、その道が使われるであろう、こういうことになると思いますが、いずれにいたしましても、これは条約論を離れますけれども、政策論の問題としては、先ほど申し上げましたように安保条約が基本的に日米の信頼関係に基づいておる、したがってアメリカが条約の義務違反を行うことはない、こういう前提で政府は考えておるわけでございます。
○井上(一)委員 委員長も今の答弁を聞いておって、何を言っているのか……。条約上それができないのだ、諸文章の、それはとんでもないことだと思うのです。私は、政策としてそういうことを選択するということはまた別な問題だと思うのです、政権がいろんな政策を持つということは。しかし今言ったように、今の政権でない、もし我々がニュージーランド、反核の立場に立った政権、そういうことになった場合に、安保条約の諸文章の中でそれすらも断ることもできないんだということになると、我が国の主権は一体どうなのか、とんでもない条約をしているんじゃないか、要はこういうことなんですよ。だから私は、今ここで、前に言った質問、それで今申し上げた質問、これについて政府のきっちりとした統一見解を文書で出していただきたいと委員長、お願いしたいと思うのですが。
○安倍国務大臣 これはもちろん文書にして出してもいいのですが、事前協議の発議の問題につきましては、これまでしばしば政府としましても統一的な見解も表明しているわけです。この事前協議につきましては、米国がこれらの行動をとろうとする場合に、事前に協議を我が国に対して行わなければならないことを義務づけたものであります、例えば核持ち込みですね。こうした性格上、米国から提起をすることが建前と考えられ、我が方から米側に対して事前協議を行うという筋合いの問題ではありません。この点につきましては、交換公文が日本国政府との事前協議の主題とすると決めておることにもあらわれておるわけであります。 それから、後の問題につきましては今条約局長が答弁したわけですが、やはり安保条約は基本的には両国の信頼関係というものが根本にあるわけであります。したがって、信頼関係がない安保条約というものの確保といいますか、そういうものはあり得ないわけで、したがって、今お話しのように、核の持ち込みについて政権がかわった場合にどうだこうだというあれがありますけれども、しかし私は、そうしたことは基本的には安保条約の改正とかあるいはまた安保条約の廃棄とか、そういうものでなければ、今申し上げましたような事前協議制度というものがありますから、それ以上のことはできないのではないか、こういうふうに思います。
○井上(一)委員 信頼関係云々というのは、もう何回かここの答弁には繰り返されているわけなんです。私はむしろ、そういう信頼関係も当然作用しているし、条約上どうなんだと。そしてさっきも、事前協議というのは我が方から聞けないのかと。聞くことができるんだ、信頼関係があるから聞かないんだ、向こうが提起するまでは聞かないんだと、そういうことならわかるんです。事前協議制というのは聞けないのか、聞けるんです、聞けるんだけれども、信頼の上に立って聞かないんだ、こういう話なのか。そういうことについて私は、むしろこれは大臣よりも担当の局長なり事務レベルできっちり話を聞きたいわけなんです。 それじゃもう一度繰り返して恐縮ですが、事前協議というのは日本側から一切核の有無を聞けないのか、いや聞けるのです、聞けるのだけれども日米の信頼関係の上に成り立って、向こうから事前通告がない限り聞かないんですと、そういうことなのか。これはもうはっきりしたことなんですよ、私の質問は。どうしてストレートにお答えになれないのですか。どうしてそういうことがはっきりと言えないのですか。堂々と胸を張って、国民の信を得た内閣だからはっきり言われたらいいんですよ、ややこしいことを言わなくたって。私は、意見の違いは意見の違いとしたい。しかし、ごまかした答弁あるいはそんなややこしい答えを求めているんじゃないのですよ。
○安倍国務大臣 その事前協議につきましては、あくまでも向こうが核持ち込みという行為を起こすわけであります。ですから向こうが事前協議をかけてくるというのが筋合いであって、先ほどから申し上げましたように、私ども日本からこれをただすという筋の問題ではない、こういうのが政府としての見解であります。
○井上(一)委員 私は、この問題については、先ほども申し上げたように二間については改めて統一見解を文書でもってお答えをいただきたい。これはまた後に譲ります。 続いて私は、人権問題について質問をいたしたいと思います。 まず、先ほども申し上げたように世界のすべての国からなくすべきは核と差別である、守るべきは平和と人権だ、こういうことを申し上げたわけです。それで一番最初に、もうわかり切ったことなんですが、南アフリカがとっているアパルトヘイトの政策について基本的にどのように御認識を持っていらっしゃるのか、外務大臣にこれは聞きたいと思います。
○安倍国務大臣 この点につきましては、最近の国連総会で、例えば昨年の九月二十八日に採択された南ア情勢に関する決議におきまして、南アのアパルトヘイト政策を、人類に対する犯罪であり国際の平和と安全に対する脅威であるとして、これを非難をいたしております。我が国も、このような南アのアパルトヘイト政策は今日の国際社会において決して許されてはならない、こういうふうにかたく考えておるものであります。
○井上(一)委員 今、差別は人類への犯罪である、平和への脅威だ、こういうことなんです。まさにそのとおりであります。平和を守り一切の差別をなくすために、それでは外務省はどういうような実践的な行動をとっていらっしゃるのか、具体的な、あるいは今後何をなさろうとしていらっしゃるのか、そういう点について聞きたいと思います。
○安倍国務大臣 具体的な行動につきましてはまた局長から例を挙げて説明をいたさせますが、やはりアパルトヘイト政策が南アに存する限りは南アとの外交関係は持たないというのが日本の基本的な姿勢であります。それに従って、そうした基本方針のもとに種々の日本政府としてのできる限りの措置をとっておるということであります。
○井上(一)委員 大臣、まことに、基本的な認識にしても今のお答えにしても、しかし実際、外務省はどんなことをやっておるのだろう。私は具体的に問題を提起したい。アフリカとのかかわりを、今アフリカに対する救援、いろいろな食糧、医療、あらゆる面で協力をしているわけなんです。しかし、アフリカの人たちが真に求めているのは何なのか。人種差別に対する強い闘いに向けて一緒に闘ってほしいという、その心ですよ。物や金じゃないんだ。まさにアパルトヘイトに対する強い闘いなんですよ。それに対して外務省はどんなことをしてきたのか。何をなさってきたんですか。
○安倍国務大臣 これまでいろいろなことをやっております。私も基本的には、人種差別政策につきましては井上さんと同じように大きな怒りを覚えております。特に、最近アフリカを訪問して、ザンビアに参りまして、カウンダ大統領から切々として差別政策、南アのアパルトヘイト政策についての自分の経験を踏まえた怒りが吐露されまして、私は大変感銘を受けたわけであります。カウンダ大統領がいかに人種差別のもとで、ローデシアにおったときに苦しんだか。肉を目の前に投げつけられて、拾えと言われて、それ以来自分は肉を食べていないんだということを言われた。私は大変感銘を受けたわけでありますが、日本としても、アフリカにはいろいろな飢餓等の問題もありますけれども、こうした人種差別をアフリカから撤廃をしていく、特に南アフリカのアパルトヘイト政策を改めさせる、そのために日本としてこれまでも国連等において積極的に努力もしてきましたし、今後ともさらに世界的にやっていかなければならない。具体的にもこれまでいろいろとやっておりますが、基本的には国交を回復しない、これが南アに対する一つの大きな抗議でございます。
○井上(一)委員 今、大臣がいろいろ申されました、アフリカに行って感銘を受けたと。私自身も世界宗教者の平和会議に昨年ナイロビに参りまして、いろいろなアフリカの人たちと交流をし、その話し合いの中で強い感激、感銘を覚えてまいったわけでありますが、そのときに、どうしても私の許せない我が国の外交のあり方について、ひとつ警鐘をこれまた鳴らしておきたい。 南アフリカは、そのアパルトヘイトの非難決議、いわゆる世界からの自分たちの孤立に対して何とか緩和をしたいという、そういうことに手助けをしているのが外務省じゃないですか。そして、そういう手助けをしているのをアフリカの担当に位置づけているじゃないか。もってのほかだ。任意団体だとあなた方は逃げられるかもわからない。しかし、南アフリカに協力をする任意の団体に、現職の外交官を含めて十数名の人がその組織に入って、南アとの文化交流を促進していこう、そんなばかなことを、実際問題としては現実にそこに入会しているじゃないですか。それが南アに対する、アフリカに対する政策の担当者なんて、こんなばかげたことで外務大臣、あなたはアフリカに胸張って行けますか。アフリカの人たちとどうあなたは連帯を深めていこうとなさるのか。私は、日本の外務省なんというのは全くもってけしからぬと思う。こんなことで、何がアフリカの年、アフリカの救援ですか。差別と闘う、一緒になってその苦しみを分かち合って闘っていくという愛の心が外務省にはない。だから、日本の国益、世界の平和なんというのは、外務省は考えておらぬ。 私は、余り多くを申し上げたら時間がありませんが、今言っているように具体的に問題を提起したわけです。南アとの任意団体ではありますが、現職外交官がその組織の中に入っている。いかがなんですか。
○三宅政府委員 お答えいたします。 井上委員御指摘の団体とはスプリングボック・クラブのことを指しておられると思いますが、私たちが調べたところによりますと、この団体は南アに在勤した領事館員なりあるいは民間の団体の方が日本人の親睦クラブとして結成されたわけでございます。そういう意味におきまして、在勤者が四百数名入っておりまして、いろいろなゴルフのことをやっておりますが、ただ委員御指摘の点につきましては、南アの財団との関係があるということが第一点。これにつきましては事務局長の方に直接照会したわけでございますが、自分が任意団体としての、また親睦団体としての範囲を若干超えて、たまたまその財団との連絡員の役を引き受けた、それが誤解を招いたので、早速それについては南ア側にも連絡いたしてその関係を断ち切りたいし、またその旨親睦団体の中にも広報で周知徹底せしめたいということでございます。 それから、スプリングボックそれ自体の活動につきましては、当初発足のときには若干範囲が広かったということのようでございますが、最近、実際にはほとんど親睦的なことをやっておりませんので、範囲を狭くしまして全く純然たるものにしているわけでございます。 なお、そういうような誤解もありましたものですから、外務省の省員につきましては、任意的にそのクラブからは既に脱退しているという状況でございます。
○井上(一)委員 局長、言いわけなんかしなさんなよ。誤解を与えたという、そんな問題じゃないのです。そのスプリングホックの活動方針、ここで読みませんよ。読まないけれども、あなた方は脱会しなければいけないほど良心がとがめたんでしょう。今までは気づかなかった。僕はそう思うのです。今までは気づかなかったけれども、私が指摘をした。もちろん事前にこれは指摘をしました。だから全部脱会をしたのです、十数名。南ア研究会への参加とか、その活動の中にうたっているのですよ。誤解じゃないのですよ。誤解を受けるような、全くもって南アに対する理解を深めてそれを世界に広く啓蒙しよう、いわば南アの立場を、少しでも孤立化を防いでいこうということじゃないですか。そして、その中にアフリカ担当の外交官がおるということも事実でしょう。どうなんですか、事実でしょう。脱会をしたというのも事実だ。しかし、アフリカ担当の外交官もおるということも事実でしょう。いかがですか。
○三宅政府委員 入っておることも事実でございます。
○井上(一)委員 外務大臣、そんなことで実際南アに対して、あるいはアフリカに対して、南ア政策は我が国はこうこうなんですよなんて、あなた言えますか。国連向けの顔と、いわゆるやっていることとは全く正反対なんです。こんなことが総理、許されるのでしょうか。こんなことであなた、それこそ日本が先進国として、あるいは日本の外交の三つの大きな指針の一つですよ、開発途上国に対する援助は。総理、いかがですか。いや、外務大臣はもう聞いたからいいです。総理、私は具体的にこういうこと——いや、最後にまた聞きますから、外務大臣。総理大臣、今私が言ったようなそのことについていかがですか。
○中曽根内閣総理大臣 アパルトヘイトに対しては、我々は毅然たる態度をもってけじめをつけていくつもりであります。それが国際間に、特にアフリカ諸国に対して信を得るゆえんであると思います。特に政府関係のものにつきましてはよく注意して、いやしくもそういう誤解を与えるようなことはないようにしたいと思います。
○井上(一)委員 次に外務大臣に聞きますが、外務大臣、民間人が南アへ行くと言ったら、いやこうだああだと言って協力要請だとか、口幅ったいようだけれども一言の指導というんでしょうか、そんなこと言えた立場ですか、あなた、資格がないじゃないか。南アへ行くと言ったら何とかと言って、何とかこうしたいわけでしょう。自分たちが堂々とそんなことをやっておるわけ。こんなことが外務大臣、私はこれは何か罪滅ぼしというか外務省が一新をしなければ、そうじゃないということを海外に向けて、世界に向けて一つは取り組みを積極的にやらなければいかぬし、あるいは部内におけるというか省内におけるというか、国内的な問題としても、むしろ役人に対して、官僚、いわゆる仕事をしているそういう人たちに対して、もっとしっかりとした意識を植えつけない限り、世界の外交の場に出られないし、そこにアフリカに向けての顔はない。御苦労いただいて、暑い中あなたも行かれたわけだが、アフリカの国民、アフリカの人たちは今何に苦しんでいるか。飢えに苦しむよりも、この南アの人種差別と闘うこと、これに強い怒りと苦しみを覚えているんじゃないですか。外務大臣、どうぞお答えになってください。
○安倍国務大臣 この反アパルトヘイト政策につきましては、これは国の政策でありますし、外交を推進している外務省としては一体となってこれを推進している、これは私は自信を持って言い切ることができるわけであります。先ほどから井上さんのいろいろとお話を聞いておりますと、何か親睦団体、これはやはり正すべきは正さなければなりませんから、誤解を正すということで脱退したわけですが、あの団体の話を聞いてみますと、南アに在勤した商社の連中とかあるいはまた総領事館なんかにおった外務省の連中が、あそこで親しくなるわけですから、日本に帰って一つの親睦的なクラブみたいなものをつくってゴルフをしたり一杯飲んだり、こういうふうな親睦団体的なものだというふうに私は聞いておりまして、その団体でもって何か反アパルト政策に反するようなことをやるとか、あるいはまた南アを支持していくとか、そういう姿勢のものではない、南アのアパルト政策を支持するとかそういうものではない、私はそういうふうに理解をいたしております。しかし、いろいろと御指摘もありまして、そうしたアパルト政策に対してきちっとした姿勢を外務省としては隅から隅まで正していかなければなりませんから、そういう意味で誤解を招くようなことはしないように、これからも十分気をつけていきたいと思います。
○井上(一)委員 外務大臣、何を言っているのですか。あなた、実際にそのすべてを知っているのですか、スプリングホックの。すべてを知っているのですか、そういう答弁。私はすべてを知って——だれがレクチャーしたか知りませんよ。南アフリカ財団から、外資系企業からの資金援助によって設立されたそのアプローチによって南アの問題を、少しでも孤立化を緩和させたい。それは南アに居住したいろいろな、僕は民間人についてはとやかく言いませんよ、それぞれの哲学をお持ちであるし、それぞれの価値観を持っているわけなんです、民主主義は。だけど、少なくとも外務省の職員が、アフリカを担当する職員がそういうところに入っておって、何が誤解ですか。過ちなんですよ。僕は、毅然と過ちは過ちとして正していかなければいけないし、そういう立場に立ったときに初めて差別に向けての取り組みが正しくできる、こう思うのですよ。外務大臣、少し弁解をされたから、あえて私は言うのです。だれがあなたにその報告をしたか。誤解であれば誤解を解いて、脱会する必要ないですよ、誤解なら。誤解を解きなさい、誤解なら。外交官としてそこに過ちだと。僕は民間人には波及しません、いろいろな考え方を持つ人がいる。しかし、我々は差別と闘うという、その立場を堅持していくのですから。外務省がそういうことで誤解だなんて言って弁解がましいことを言う。だから私は、一緒に反省の上に立って、そういう差別の実態に苦しむ人たちと一緒になって、今度はともに差別に闘っていくという姿勢に立ってくれることを願って、この質問をしているわけなんです。大臣、いかがですか。
○安倍国務大臣 井上さんの質問の趣旨はよくわかりますし、私も全くこれは同感なんです。やはり人種差別はあくまでも撤廃しなければなりませんし、アパルトヘイト政策に対しては断固排撃していくというのが日本政府、外務省としての基本方針で、これは貫いていかなければならぬわけであります。したがって、そういうようなことに対して何か誤解を招くとか……(井上(一)委員「誤解じゃないです」と呼ぶ)いや、誤解を招くとかそういうふうに見られる、アパルトヘイト政策を支持するように見られる、そういうこと、見られるというようなことになれば、これは今の私が申し上げました外務省の方針に相反するわけですから、やはり姿勢を正さなければならぬ、こういうふうに思います。したがって、外務省の役人がその団体から脱退したというのは、やはりそういうふうに見られる節があるということならばこれは脱退していくのが当然だと私も思います。
○井上(一)委員 外務大臣、見られるとか見られないとか誤解だとか——先ほどから何回も私は言っているのですよ。外務大臣もまだそんな認識では、アフリカへ行って日本が平和外交を推進できませんよ。だから私は、アフリカ担当のそういう人たち、外務省の職員、さらには国家公務員、地方公務員を問わずすべての日本の人たち、世界の人たちが差別と闘っていく、そういう立場に一日も早く理解を求めていかなければいけないし、そういう努力が必要だ、こういうふうに思うわけです。 これはもう一度確認をします。局長、すべてその外交官は、十数名の外務省現役あるいは退職者も含めて、もうやめられた方も含めて、外務省関係の方は脱会をされたわけですね。
○三宅政府委員 本省におります三名分につきましては自発的に脱退したと聞いておりますが、外務省をやめられてOBの方、これは全く個人でございます、また、現在外国に赴任している方もおります。この方々は、実際どういう活動が行われているかは承知してないと思いますので、模様につきまして別途連絡いたしたいと思っております。
○井上(一)委員 それは、在外に勤務する外交官については脱会を指示するというのか、脱会も含めて正しい対応をとる、こういうことですね。あるいは外務省としてどういう対応を今回とられたのか、このことについても若干聞いておきましょう。
○三宅政府委員 在外の職員及びOBの方に対しましても今回の趣旨を説明いたしまして、しかるべき方法で連絡いたしたいと思っております。
○井上(一)委員 さらに、人種差別撤廃に関する国際条約というのがあるわけなんですけれども、残念ながら我が国はこの人種差別撤廃に関する国際条約についても十分な対応がなされてないわけなんですが、国際的なこの条約についてどういうふうに今後対応をなさるおつもりなのか。こういう問題が明らかになったとき、まさに一つの大きな考えを世界に表明するときではないだろうか。これはひとつ外務大臣に対応の考え方を聞いておきたいと思います。
○安倍国務大臣 我が国としましては、人種差別撤廃に向かいまして、特に南アのアパルトヘイト政策を断固として排撃するという立場を内外にまず宣明をしていくとともに、国連におきましても積極的にこうした活動に参加をしていきたい、こういうふうに思っております。
○井上(一)委員 具体的に、今私が申し上げた人種差別撤廃に関する国際条約についての一日も早い批准というのでしょうか、そういうことに対しては積極的に取り組むというお考えはお持ちなんでしょうか。
○安倍国務大臣 この人種差別撤廃条約につきましても、我が国としても、積極的にこれが検討といいますか審議を進めていかなければならない、こういうふうに考えております。
○井上(一)委員 さらに、国連が創設されて四十年、戦後四十年という一つの節目であると同時に国連創設四十年、まさに国際平和年になるわけですけれども、こういう国際平和年を十月二十四日でしたか、布告することに国連は一応統一して決めているわけなんです。そして、それはたしか八二年の十一月の国連総会でそういうことが決まったわけなんです。だから、国際平和年に対して積極的に参加をしなければいけないし、そして、そのためにも具体的な政策というものに取り組まれていかなければいけないと思うのですが、何かこのことについてお考えなのでしょうか。
○安倍国務大臣 これは国連四十周年、国際平和年という年で、画期的な年であろうと思います。そういう中で、国連としましても、これを記念をする記念集会を計画をしておるわけでございますが、これはいつ、どういう形で、どういう内容でやるかということにつきましては、今いろいろと国連自体で検討しておる、こういうことでございますので、我が国もその検討の仲間に加わっておりまして、この進捗状況を見ながら、我が国としてどういう姿勢で臨むかということを決めなければならない、こういうふうに思っております。
○井上(一)委員 ここで一つ国内的な問題ですけれども、国内における差別、あらゆる差別があるわけでありますが、私は部落差別も一つの大きな事象だと思うわけです。あらゆる差別を廃絶していくというか、なくしていくために、すべていろいろな柱を立てていかなければいけないし、そしてその一つの——まあそれぞれの考えがあるわけですけれども、やはり差別は法によって禁止をしていかなければいけない。ただ、本当はそういう法律がなくても差別が生まれないという世の中、社会というのを望むわけでありますけれども、悪質な差別はやはり一定の制度で規制をしていかなければいけないのではないだろうか。あるいは差別の結果生まれたもの、いわゆる劣悪な状態、そういう実態、それを解消していくための特別な積極的な施策がやはり行政として必要である。さらに、偏見に対して、あるいはそういう意識に対して、積極的にその意識を変えていく、それが教育であり、あるいは啓蒙、啓発、いろいろな表現がありますけれども、人の考えを変えていくというのでしょうか、誤った認識を正していく、そういうこともやはり力を入れる大きな柱ではないだろうか。あらゆる社会のベースの中に差別が生じないように社会の骨組み、仕組みをしていかなければいけない、こういうふうに思うのですけれども、そういうことについての取り組みの決意をひとつ聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
○後藤田国務大臣 いわゆる国内におけるいろいろな差別の問題、これの解消、これは極めて緊要な課題であるということについては、私は井上さんと全く同意見でございます。したがって、いわゆる同和の地域の施設の改善、これはあと二年でございますから、私としては何とかこの二年の間にあらゆる努力をして地域改善を完遂をしたい、この努力をこれからも続けていきます。 ただ問題は、やはり日本人の心の問題が一方にあるわけでございます。この面についてはやはり粘り強い、今おっしゃったような教育の問題とかあるいはいわゆる啓蒙の問題もございますから、こういうことは社会悪なんですから、だから我が序としては粘り強く努力を進めていきたい、かように考えております。
○井上(一)委員 ひとつ差別をなくすための諸施策を強く期待をし、かつまた要望、お願いをしておきたいと思います。 それから、私は地方自治に対する問題について幾つかお聞きをしたいわけでありますが、総理、国と地方が痛みを分かち合う、国の財政状況が悪いから地方に少し負担を分けたいんだという一割補助カット、これは私、少し考え直さなければいけないと思うのです。具体的に、国立の小学校や中学校で必要としている教材費、自治体で使っている教材費——自治体で苦労して使っている教材費というのはもうごくわずかなんです。それが今度は全額カットされるのです。ところが、国立は倍以上使っているんです。それらは一銭もカットしないんです。国は全く痛みがなくして自治体が痛む。さらには、東大の電気料金を五千万から国は徴収してないんですよ。そういうようなことで、地方自治体にそんな厳しいことを言う前に国がまずみずから姿勢を正していく、そういう姿勢がない限り、東大なんてそういう五千万も電気代も払わずにのうのうと、ぬくぬくと、そこを出てきた人がここへ座るなんというようなことになると、これは大変なんだ。国民はそういうことを望まない。国の附属小学校、中学校へ行った者は、教材費は子供一人に対して十万も二十万も、片方は三万、四万、五万、こんな少ない額を全額カットだという、こんなことが許せるだろうか。私は、そういうことで大変残念である。 さらに、地方自治体に厳しく中央が介入をしていくということは、やはり地方自治の本旨に反するのではないだろうか、こういうふうに思うのです。特に東京の中野区における教育委員準公選制について、地方自治体の意見決定を尊重しなければいけない、そういう立場に立って、何か今回も政党が、あえて申し上げれば自民党が、そういうところに介入をしていく、何か中央の国家が地方自治に対してあらゆることを干渉していく。そういうことがよいのかどうか、決してよろしくない、こういうことなんです。ひとつこのことについても、投票用紙の破棄を呼びかけていく、まさにこれは自治権への侵害ではないだろうか、こういうふうに思うわけです。
○松永国務大臣 お答えいたします。 一番最後からお答えいたしますが、中野区の教育委員のいわゆる準公選の問題でございますが、先生よく御承知のとおり、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によりまして、教育委員の任免権は区長にあるわけでありまして、その区長の権限を制約するような形での教育委員の選び方は法に反する、また教育の政治的な中立という見地からもよくないということで、文部省としては、そういうことをなさらないで法に基づいた任命の仕方をしていただきたいということを都の教育委員会を通じて指導してきておるところでございます。 なお、政党のことにつきましては、私が答える立場でありませんので、答えは差し控えさせていただきます。
○井上(一)委員 私は、地方自治を守るという基本姿勢はやはり貫いていかなければいけない。そういう意味では中野区の準公選制についての政党の介入、そういうことについては、政権党でありますから、国家権力に結びつけたくはないのですけれども、どうもそういうことにつながっていくのではないか。国はいささかも干渉すべきではない。第一義的には明確に地方自治体の意思であるということを、地方自治を守るということを私は約束してもらわなければいけないのではないか、こういうふうに思うのですが、総理、いかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 教育委員の選任につきましては、かつては公選制度であったわけです。その公選制度を法律によって改めまして任命制度に変えたのを、また公選制度を復活するという形をある一つの方法を編み出してやらんとしておるので、我々から見れば一種の脱法行為ではないか。何しろ公選制をやめて任命制にしたのです、全く逆の方に戻そうというやり方ですから。そういう意味において私たちはこの違法状態は直していただかなければいけない、この点は井上さんと考えが違うのはまことに残念であります。
○井上(一)委員 私は、やはり地方自治体の意思決定というものを一義的に尊重したい。それが脱法であるとかどうということは次の問題であるのじゃないだろうか、こういうふうに思うのです。むしろそのことによって、政党が介入することによって混乱を招くということは避けなければいけない、こう思うのです。だから私が申し上げたいのは、自民党の総裁でもありますし、——実は私の友だちである、たまたま国民運動本部長である中山先生が行ったということを聞き、それはもう友情は友情としても、やはり政党がそういう地方自治体に介入するということは余りよろしくないんじゃないでしょうか、こういうことなんですよ。総理、いかがでしょうか。法律論は別においても、そういうことは余り芳しくないのじゃないでしょうかということです。
○中曽根内閣総理大臣 憲法に定められておりまする地方自治の本旨というものは、我々も今後とも守り、また、地方自治のそういう存在は大いに尊重していきたいと思いますが、この問題についても中野区においてしかるべく配慮をされるように期待しております。
○井上(一)委員 さらに私は、文化についてお尋ねをしたかったわけなんですが、中曽根総理は施政方針の中で余り文化にについてはお触れにならなかったわけなんです。非常に私は残念だと思っておるわけなんです。まさに豊かな暮らしの中から豊かな文化は生まれてくるし、それが後世に引き継がれていく、そういう新しい文化を創造するためにどういう施策を講じていくべきか。もちろん日本独自の文化も必要ではありますけれども、国際的に、人間性に普遍的な文化、そういうことを考えれば、いろいろなことを二十一世紀にたくましいたいまつを受け継がせたいのだ。そのたいまつはまさに文化のたいまつでなければいけないと私は思っているのです。その文化の中で、今京都ではいわゆる古都税という問題で大揺れに揺れているわけなんですよ。これもまた、地方自治体がお決めになられたこと、そしてそれに対する課税を受ける側の意思、いろいろあるわけなんですが、私は、すべて、すべからく混乱から安定へ、安定を混乱に持っていってはいけない。中野区も安定を混乱にしてはいけない、さらに京都についても混乱を招くようなことのないように、こういう認識に立って総理にお尋ねをしているのです。文化論は、またいずれの機会かを見つけてぜひ総理と文化の話はしたいと思うのでありますが、京都の古都税についても、自治大臣からお答えをいただいても結構ですし、さらにその後で総理からのお考えも聞かせていただきたい、こういうふうに思います。
○古屋国務大臣 京都市から申請が出されております古都保存協力税につきまして、自治省の姿勢についてお話をいたします。 法定外普通税の自治大臣の許可は、自治大臣としては法律の要件を備えておればこれを許可しなければならないということは御承知のとおりであります。昨年八月に申請が出ました京都市の古都保存協力税につきましては、現在その内容を審査しておるのでありますが、自治大臣として、審査の結果に基づきまして、法律の定める判断を下さなければならない立場におるわけであります。しかし、京都市の条例におきまして、古都保存協力税の特別徴収義務者として予定されておりますお寺さん、寺社の相当数が条例の実施に強い反対の意思を表示しておりまして、自治大臣の許可を受けて京都市が条例を実施しようとするならば拝観停止を行うというような動きも出ております。このため、条例をめぐる大きな混乱を避けまして、この税の円滑な実施を行うことが必要であると考えておりますので、申請者であります京都市に対しまして、お寺側と十分話し合うよう要請をしているところでありますが、現に京都市におきましては、第三者のあっせんの動き等もあると聞いておりますので、いましばらく地元でのあっせん、話し合いの成り行きを見守ってまいりたいと考えまして、本条例の許可に関する判断を留保しております。
○中曽根内閣総理大臣 この問題は地方自治体の問題でありますから、京都市とそれから寺社側と円満に話し合って、妥協点を見つけるように期待しております。
○井上(一)委員 時間が参りましたので、最後に一点だけお尋ねをしたいのであります。 これは、昨年、私が当委員会で指摘をしたのですが、点字に市民権を与えてほしいという、私はこのことを特にお願いをしたわけです。福祉は十年前は何か特別なことであった。今は当たり前のことなんです。十年後、いや、もう来年には、その福祉というものを私は文化の中に包括していきたい。福祉は文化であるというのは僕の持論なんですよ、総理。そういう意味で、特別な問題じゃない、あらゆる人が強く生きること、そのことがやはり教育ではないだろうか。自由化論、いろいろ論議されていますが、私は静かなる危機という表現をとって教育問題をもっと論じたかったのですが、少なくともせめて点字に市民権を与えるという、そのための最大の努力をする。去年も、文部大臣も、さらには官房長官も、総理も、一定の前進した御発言、お答えをいただいたわけでありますけれども、重ねて詳しくは申し上げません。点字に市民権を与える、そのために最大の努力をするというか、具体的に——僕は労働大臣にこの間会ったら、点字の名刺を全省の職員が持っている。一番理解のある人だと思ってびっくりした。本当は労働大臣に、点字の市民権の問題で総理に進言して、あなたは非常にアイデアマンだから、それこそひとつ閣議で提言して、ちゃんと市民権を確保してくださいよとお願いしたいのですよ。だから、去年の議事録、今持ってきていますけれども、もう時間がありませんので、点字に市民権を与えてほしい、そのことを私は最後に強くお願いをしたい。そして、そのことに対するひとつ総理の心構えあるいは中曽根内閣の対応を聞かしていただいて、私の質問を終えます。
○中曽根内閣総理大臣 井上さんの前の御質問に対して、私も積極的な発言を申し上げておりますが、今重ねて御質問をいただきまして、私もこの問題については積極的に努力して推進していきたいと思います。 具体的にどういう面でどういうことをしたらいいかという点につきましては、厚生大臣や今お話しの労働大臣のお知恵等もおかりして、そして積極的に推進いたしますということを申し上げたいと思います。(井上(一)委員「閣議で一応決定してちゃんとやるということはどうだ」と呼ぶ)閣議でやる前にいろいろ各省の調整を要します。予算もかかることですし、地方との関係もございます。そういう意味におきまして、積極的に推進するということを申し上げます。
○井上(一)委員 ありがとうございました。
○天野委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。 午後零時五十分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十五分休憩 ————◇————— 午後零時五十一分開議
○天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。工藤晃君。
○工藤(晃)委員 まず税金の問題について、焦点になっている大型間接税について伺います。 昨年来の国会での総理の答弁を伺っておりますと、大型間接税は導入しない、これは中曽根内閣の公約である、これにかかわるいろいろな説明を聞けば聞くほどよくわからなくなってまいりました。これは私一人だけではないと思います。それで、これまでの答弁を整理して伺うことになりますが、まず、単段階のものであって庫出税、売上税、これは大型間接税の外にある、いいですね。それからもう一つ、多段階のものであって取引高税それから一般消費税(仮称)、これは大型間接税に入るから導入は考えない。残るはヨーロッパ型付加価値税ということになりますが、これは今のところ何とも言えない。それでいろいろ形容詞がつきましたね、網羅的、普遍的、大規模とか。こういうものは大型だけれども、そうでないものもあるかもしれないということになるわけですが、ヨーロッパ型付加価値税でも検討し、導入するものはあるということですね。総理、お答えくださ
○中曽根内閣総理大臣 付加価値税やその他について御質問でありますが、私はかねてから、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方でやることはしないと申し上げてきていることは御指摘のとおりです。 したがって、矢野委員に対してお示ししたように、同委員が例示された課税ベースの広い間接税の五つの類型のうち、EC型付加価値税と取引高税は、私のかねての答弁から見ますと多段階のものでありますので、その意味では否定されることになるではないかとの御指摘は、多段階という点においてはそのとおりであります。しかしながら、EC型付加価値税といってもいろいろの態様が考えられることも御理解願いたいと思います。 ところで、政府といたしましては税制調査会に対して、既に昨年六月「社会経済の進展に即応しつつ、国、地方を通じて財政体質の改善に資するため、税制上とるべき方策」という包括的な諮問をいたしておりまして、また税制調査会の検討の結果がどのようなものになるか、例えばEC型付加価値税とか取引高税とかになると現段階で予断することはできないわけであります。いずれにせよ、税制全般について広範にわたり検討していただくこととし、当面はその検討にゆだねているところであり、御理解を願いたいと思います。 税制調査会の答申について現段階で予測を持つべきではないと思います。ただ、私がただいま申し上げたとおり、EC型付加価値税といってもいろいろの態様が考えられますが、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方はとらないという立場でございますので、これに該当すると考えられるようなものは、当内閣としてはとりたくないと考えております。 こういうわけであります。
○工藤(晃)委員 これまでの答弁をそのまま読まれましたが、私はそれを読んだ上で質問しているわけですから質問は進行しなくなってしまうわけです。EC型付加価値税にもいろいろ態様がありますということを言いましたけれども、じゃ例えば主税局の資料で、西ドイツの場合、医療、教育、放送、金融、保険、郵便を非課税にしていますね、そうするとこれはもう包括的ではない、網羅的ではない、普遍的ではない、そういうことになると思いますが、それでいいですか。これは総理の答弁について私伺っているわけですから、総理答えていただきたい。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど読みましたところでも申し上げましたように、税制調査会に対していろいろ御検討願うということでありますので、あらかじめ具体的に枠をはめるようなことはできるだけ避けたい。しかし、いわゆる取引高税とか一般消費税(仮称)というようなものは避けるべきである。これは国会の御決議にもあり、そういうことを申上げておるわけですが、それ以外のものにつきましては、税制調査会においていろいろなアイデアやら御論議を願いまして、最終的に答申が出てきた場合に、政府は、今まで国会で申し上げた線に沿ってどういうふうに判断をするか最終的に決めたい、それ以前において税制調査会を拘束するような考え方は慎むべきであると考えております。
○工藤(晃)委員 これは中曽根内閣の公約として大型間接税を導入しないと国民に明らかにしたことで、総理が御説明になったことで伺っているわけですから、それをはっきりしてもらわないと困ります。さっき言った包括的、網羅的、普遍的、大規模ですか、これに当たるか当たらないかが問題だと言われて、それでヨーロッパ型の付加価値税にもいろいろございますと。で、私が、じゃ例えば西ドイツではこれを外しておりますけれども、これは総理の言う包括的、普遍的、網羅的と外れるという解釈になると思うかどうか。これは総理の御発言に関して具体的に伺っているわけですから、そこのところを答えていただかないとさっぱりわけがわからないわけです。
○中曽根内閣総理大臣 私は税の専門家でもありませんし、また、税制調査会というものの機能も尊重しなければならぬ立場にあります。そういう立場から、あらかじめ税制調査会を具体的に拘束するような考えはできるだけ避けるのが正しい、そういう考えを持っておるわけでございます。今のようなお話ですと、じゃ税率はどうするとか、あるいは控除はどうするとか、あるいは範囲は、生活必需品はどうなるのかとか、いろいろそういう具体的な問題に波及いたしまして、そうなりますとどうしても拘束する、そういう形になると思いますので、避けさせていただきます。
○工藤(晃)委員 これは中曽根総理の国民への公約としての問題で伺っているからぜひはっきりさせなければいけませんし、もう一方では、税制改革をやると出されている以上、少しはその構想がはっきりしないと国民にとってはわけがわからないから聞いているわけであります。例えば今私、西ドイツの例を挙げましたが、ヨーロッパ、どの国をとりましても、医療、教育、金融、保険、放送とか、そういうものはどの国も例外なく外しているわけですね。ですから、あの説明を伺った限りではヨーロッパにあるどの付加価値税もみんな網羅的でないと言える、包括的でないと言える、普遍的でないと言えるということになって、大体今ヨーロッパでやっているぐらいの付加価値税は導入する枠を残しておきたい、そういうふうに受け取っていいわけですか。そのことだけお答えいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 ともかく税制調査会の御論議を政府側がお願いしている上に立って、余り拘束しないように、しかし政府としては、これだけは絶対国会の関係その他で困るという点だけは留保しますが、あとは自由に御論議願って、出てきた段階におきまして、今まで我々が各党に対してお答えしたこと等をよく勘案して選択をする、そういうことで御了承をお願いいたします。これ以上はちょっと答弁できない立場にございます。
○工藤(晃)委員 それならばヨーロッパ型付加価値税、今ヨーロッパで行われているようなものの検討、導入があり得る余地を残した答弁だと受け取らざるを得ないから、それをそのままにして進めたいと思います。今度は竹下大蔵大臣、お答え願いたいと思います。 あなたは、七九年十二月の国会の決議で否定されたのは一般消費税(仮称)でEC型付加価値税ではないと何回か繰り返し言われたと思いますけれども、どうもおかしいのではありませんか。ひとつあの決議文をもう一度読んでちょっと確かめてみたいと思うのですが、どうでしょうか。
○竹下国務大臣 財政再建に関する決議、昭和五十四年十二月二十一日、これは歴史的な事実でございます。これを各党で御協議になりますときに、私も当時大蔵大臣でございましたので、意見を申し述べる機会をお与えをいただいておりました。工藤さんもたしかいらっしゃったような気がします、その後お休みがありましたけれども。 そこで、一番大事なことは、最初、 国民福祉充実に必要な歳入の安定的確保を図 るとともに、財政によるインフレを防止するた めには、財政再建は、緊急の課題である。その次です。 政府が閣議決定により昭和五十五年度に、導入するための具体的方策として、これまで検討してきたいわゆる一般消費税(仮称)は、その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった。従って財政再建は、一般消費税(仮称)によらず、まず行政改革による経費の節減、歳出の節減合理化、税負担公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に推進することにより財源の充実を図るべきであり、今後、景気の維持、雇用の確保に十分留意しつつ、歳出、歳入にわたり幅広い観点から財政再建策の検討を進めるべきである。 右決議する。 これでございます。
○工藤(晃)委員 今読まれた中に「いわゆる一般消費税(仮称)は、その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった。」という点がありますね。それで政府税調がいろいろ検討して、中期答申、一般消費税導入に関する中期的答申が出され、それからもっと詳しい案が出されたわけでありますが、中期答申でははっきり書いてありますね。ヨーロッパ型の付加価値税と比べて、売り上げから仕入れを差し引いたそれにかけるところでは全く同じである、流通の各段階で。この部分はいわゆる付加価値でしょう。この仕組み、構造は全く同じである。しかも、インボイス方式はとらないということになるわけでありますが、特に、EC型付加価値税では大部分の中小業者が納税者に取り込まれていろいろ問題がある、精緻な前段階税額の控除のため手数がかかる、それから小規模零細事業者がその負担にたえられるかという問題がある。つまり中小企業にとっていろいろ問題があるからというので、そこを緩和して出てきたのが一般消費税である、そういう仕組みですね。 ですから、この仕組み、構造について国民に理解されなかったというのは、この中期答申でもはっきりさせているように、そのもとになった一般消費税の方と同じ仕組みなんだけれども、特に中小企業にとってきついところは少し緩和しましょうといって出てきたのが一般消費税ですから、この一般消費税の仕組み、構造に国民の理解が得られなかったら、そのもとのヨーロッパ型の付加価値税の仕組み、構造について理解が得られるわけがないじゃありませんか。だから名前が否定されたのじゃなしに、中身の仕組み、構造が理解されなかったということになり、したがって、ヨーロッパ型の付加価値税はまだ否定されてないというのはいささかこの決議の解釈について行き過ぎであるし、正しくないと思いますが、どうでしょうか。
○竹下国務大臣 ここのところが大事なところでございまして、あの当時もお話し合いしましたのは、いわゆる税には所得の段階あるいは資産の段階、そして消費の段階、その三つに担税力を求める、あるいは着目した税体系というものが学問上もある、したがって、いわば国会決議によって消費一般に対して着目した税制そのものを否定するというのは国会のまた見識にもかかわるではなかろうかというような議論をいたしまして、しこうして先ほど朗読したようなことになったわけであります。 それで、EC型付加価値税というもの、これは確かにその後、とにかくいわば間接税、課税ベースの広い間接税というものの類型を出せという国会の御要請に基づいて、六類型というものを学問的にやや整理しまして出したわけであります。したがって、今、国会で否定されておるものは読んで字のごとくまさに一般消費税(仮称)、これを財政再建の手法としてはとるなよということだけは実に明らかでありますが、ヨーロッパ型付加価値税とかということでなく、いろいろ考えられる問題はあろうかと思いますが、広く消費に着目した税制そのものが否定されたという考え方は、これはとるべきでないというのがここのところ五、六年私が言い続けてきたところであります。
○工藤(晃)委員 五、六年言い続けているから取り上げているわけでございまして、また決議は各会派が寄って、文案でこうまとまったわけでありまして、その解釈その他が統一したという、別にそういうものがあるわけではありません。ここに書いてあるように、さっき言ったように、仕組み、構造について十分国民の理解が得られなかったからこれによらないというふうにしている。ですから、大蔵大臣のその解釈は私は正しくないし、受け入れることはできません。 例えば、これをつくられた木下和夫さん、大蔵大臣も御存じでしょう。税制調査会長代理で大変専門家ですね。中期税制の答申、この後のやつですが、「月曜会レポート」に書いてありますが、これを読んでみますと、「付加価値税というのは、」といろいろ説明してありますね。それでその後何と書いてあるかというと、要するに「この付加価値税を焼き直して、実は一般消費税というのをつくったのです。ECでやってる付加価値税よりもっと柔かな税をつくりました。ところがこれに対して非常な反対が起こった。」と言っているのですね。つくった税調の責任者の方はこれは付加価値税の焼き直したと言っているのですよ。焼き直しじゃないのですか。
○竹下国務大臣 これは、いわゆる一般消費税(仮称)は多段階にわたる付加価値税であります。だから、ヨーロッパ型の焼き直しであるのかという物の考え方をとらないで、日本の政府税調で考案されたものがいわゆる一般消費税(仮称)である、こういうふうに御認識していただきたい。
○工藤(晃)委員 大分しどろもどろになってまいりましたけれども、しかし、ともかく税調の文章を読んでくださいよ、EC型付加価値税。日本に最初一般消費税があったわけじゃないですからね、ECのを検討してこの部分をこうしよう。ですから、もっと端的に木下和夫さんの方は焼き直してつくりましたと言っている。大変正直である。だから仕組み、構造について理解が得られなかったというのは、当然その原型であろうが焼き直されるもとであろうが、もっと厳しいものについて得られないと考えるのが常識であって、また国民もそうとしか理解できないと思いますが、そういう問題がありますので、その国会決議に対する考えは我が党としては絶対に認められないという立場を表明して、もう少し先にこの問題で伺いたいわけであります。 それは、一般消費税にしろ付加価値税にしろ非常に逆進的になる、所得の少ない人に重くかかってくる、それから中小業者に負担が大きい、つまり転嫁できないときは自分がかぶらなければいけない、こういう問題がある。それから物価の上昇を伴う、あるいは私がかつて予算委員会で明らかにしたように、財政再建にも役立たない。こういういろいろな問題があり、最近も各方面でこの調査研究が行われております。それについていろいろ聞くわけではありませんが、きょう前もって「家計調査年報」の五十八年版につきまして、収入の順番に並べて第一から第五のグループ、第一。五分位−第五・五分位と言いますが、そこに今税金が幾らかというのは出てくるわけですが、仮に消費の中から食料を外して——食料を外せば完全にこれは普遍的ではなくなる、包括的でなくなる。その場合、その残りに五%税をかけたら一体どうなるのかということで私が試算してまいりましたが、大蔵省の方でその試算でいいかどうか答えていただきたいわけであります。 これは、第一・五分位について言いますと、増税額が六千五百八十三円になって、そしてこれまでの税一万四百四十八円に比べて増税後は一万七千三十一円ですから、六三%ふえる。間は抜きましょう。一番収入の高い第五・五分位は実収入五十七万四千三百十四円で、これまでの税が七万八千七百四十六円ですが、今度の食料を除いた包括的でない消費税五%がかかるとその税額が一万三千二百七十四円で、合わせて九万二千二十円になる。この方の増税額は一六・九%になる。一番所得の少ないところは六三%ふえる、高いところは一六・九%になる、こういう計算になりますが、これはあらかじめお願いしておいたですから、大体そういうことでいいですか。
○梅澤政府委員 家計調査による税負担の問題につきましては、別途私どもの方から十分位に細分いたしました資料を当委員会に差し上げてございますけれども、工藤委員から試算としていただきましたもので、資料のいわば問題点のようなものを指摘させていただきますと、食料品を除きまして五%の税率で仮定計算をなさいまして、それが丸々増税額というふうになっておりますけれども、私どもの方で資料を差し上げてございますように、現在も個別消費税のいろいろな税目があるわけでございます。この増税額の中には既存個別消費税の負担額も入っておりますので、そこが整理されてないという意味では余り正確ではないというふうに考えております。
○工藤(晃)委員 くだらぬことを言いなさるな。家計調査にはそれは載ってないのですよ。そうでしょう。載ってますか、家計調査に。載ってないものを整理のしようがないけれども、しかし仮にこういうふうにすれば——今までだって物品税とか間接税、これは逆進的ですよ。収入の少ない人もかかるでしょう。だから、それに一般消費税がかかれば、それはダブリをやったって同じように特に低所得ほど負担がかかるという、この事実は認められないんですか。そんな簡単なことがわからないんですか。
○梅澤政府委員 私が申し上げましたのは、この工藤委員の資料によりますと、仮定計算されてはじき出されたものがネットの増税額というふうに表示されておりますので、それはやはり正確ではないだろうということを申し上げたわけでございます。
○工藤(晃)委員 家計調査に出ている税というのは、これは所得税とか住民税とか固定資産税とか、そういうものでしょう。あの中にはもともと物品税やなんか計算されてない。したがって、それを除いて計算するという場合も、それは精密にやればあるけれども、おおよそのこととしてこのように食料を除いた消費支出に同じくかけた額、これを比べてみても、特に一番収入の少ない人は所得に対して二・六%、それから一番高いところは二・三%という逆の数字になるんですよ。これは別に増額でなくてそうなるでしょう、それはどうですか。そんなことわかり切っている。整理しようがしまいがそうなるじゃないですか。
○梅澤政府委員 同じことを申し上げているわけでございますけれども、仮定計算をされました税額をそのまま現在の消費税負担に直ちに……。
○工藤(晃)委員 そうじゃないよ。その五%をかけたら今みたいにそれが二・六%なり二・三%になる、そんなことわかっているじゃないですか。
○梅澤政府委員 それはわかっているわけですね。お互いにわかっているわけでございますが、(工藤(晃)委員「それでいいじゃないか」と呼ぶ)それが増税額ということで収入にかけて増税率と表示されているものですから、それは正確でなかろう。 それからもう一点言わせていただきたいのですが、冒頭に申し上げましたように、私どもは、家計調査に基づきまして、各個別物品税目ごとの負担率を当委員会への資料として差し上げてございますので、あわせて御勘案願いたいということでございます。
○工藤(晃)委員 そんなことで時間をとっていたらどうしようもないです。ここでは一般消費税、食料を除いた場合でも、五%が導入された場合にはそれぞれの階層にどれだけそれが税金になるかというそれだけであって、これは別に委員会に配った資料でも何でもないですよ。あなたのところでこういう計算をしたらどうかと言っているので、主税局がそういういいかげんな返事をすることでは困るわけで、しかし、結果としては、一番収入の少ない人の方が負担が重いということだけは今認めたわけですから、議論を進めたいと思います。 そこで私は、総理が公平、公正、簡素、選択ということで税制改革をやられるということを言いましたけれども、収入が多い人それから少ない人、その収入の少ない方に税金が重くかかるのを逆進的と言うのですが、そういうことが大型間接税導入によって起こるというのは公平、公正になるとお考えですか。この点についてお答えいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 これは一般論として、いわゆる間接税というものは、それが従量税であれ従価税であれ、それは別といたしまして、選択の自由があるという面と、一方、同じものを所得の違う人が購入した場合でも同じだけ税金を納めるという意味におけるよく言われる逆進性、こういうものは、それは間接税そのものの持っておる本質でございます。で、公正、公平というのは、そのほかにいろいろな組み合わせがあるでございましょう。いわゆる所得税そのものとか課税最低限とか、そういう総括して言われるのが総理のおっしゃっておる公平、公正。垂直的、水平的、公正、公平というものはもろもろのものを抱合して判断すべきものである、こういうことでありましょう。
○工藤(晃)委員 要するに、逆進的であるというのを公平、公正に入れるということではあるのかないのかというのが余りはっきりしませんでしたが、これも総理の方に伺いたいのです。 今度税制改革をやるのに、アメリカの財務省の税制改革案は大変参考になると言いましたけれども、どこから学ぶ点、どのような点が学ぶ点多いのか、お答えいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 所得税、法人税につきまして、例えば所得税については三段階、一五%、二五%、三五%、非常に簡素化してわかりやすくしているというような点、あるいは法人税についても、一五%から四六%ぐらいの間で刻みがあるのを三三%にしてしまおうとか、それでいろいろな特例措置はそのかわり整理しよう。その後多少いろいろまた特例措置の整理についての議論があるようでありますが、ともかくそういうような形で割合にわかりやすい、そして複雑多岐にわならない、そういうような方向に持っていって税の公平、公正を期そう、また国民の満足感を得よう、そういうような思い切った考え方、発想について、我々も大いに思い切ったそういう発想を、勇敢な発想と申しますか、そういう点について考える必要がある。我々はややもすると重箱の隅をつついたような議論が多過ぎる、そう思っておるのであります。
○工藤(晃)委員 今挙げられた点は特に税率、大企業、大法人であっても下げるとか所得税の高額所得も下げる、そういう点の日本のお金持ちや財界でも大分歓迎されそうな内容のところだけ特に言われたのですが、私、ニューヨーク。タイムズのコピーを持ってまいりました。その中でリーガン長官がいろいろ説明されておりますけれども、例えば法人税二五%増収にするというねらいがありますね。そのことについて、法人の税収を高めることは公平のポイントである、何となれば大企業の中には税金を払ってないところがある、例えばこういうところの観点はやはり参考になるとお思いでしょうか。
○竹下国務大臣 これはアメリカの財務省の提案、今法人税を例にとっておっしゃいましたが、その点も確かに参考になるところでございましょう。だが、大筋からいいましていわゆる財務省提案は、これは実現するかどうかは別といたしましても、特別措置等についてそれらを可能な限り全廃に近くして、そしてシンプルな形で法人税そのもので徴税していこうという基本的な考え方に立って、そういうところからすべての発言が出てくると思うわけであります。
○工藤(晃)委員 大法人ゼロ、法人税ゼロ、そういう問題については是正にやはり意欲を燃やさなければならないかのようにも受け取れたわけでありますが、私が実は昨年、大商社の法人税がゼロでおるということを取り上げました。その後、国税庁の方で、海外取引にかかわる所得についていろいろ大企業のごまかしがあった、それから外国税額控除の計算上もいろいろ直さなければいけない点があったということで、昨年引き続き調査、発表されましたが、おおよその点でいいですけれども、ここで答弁していただきたいと思います。
○村本政府委員 経済の国際化が進展し、企業の海外進出が活発になってきたことに伴いまして、海外取引が増大し、また外国税額控除も増加をしてきております。このような状況に対処いたしまして、国税当局といたしましても、海外子会社を有するような大法人に対しては、相当な調査日数を投入し、海外取引関係等に重点を置いて徹底した調査を実施いたしております。 お尋ねの、国税局調査課が所管しております資本金一億円以上の法人に係ります調査結果について申し上げますと、まず海外取引にかかわる不正所得金額、昭和五十七事務年度、これは五十七年七月から六月でございますが、この間に把握いたしましたものが四十四億円、昭和五十八事務年度が百二十一億円となっております。また、外国税額控除にかかわります否認額につきましては、外国税額控除の対象として申告されましたが、調査の結果、対象とならないとして否認した外国法人税の額が昭和五十七事務年度で百八十四億円、昭和五十八事務年度で五十二億円、これに伴い、あるいはまたその他の調査の結果、我が国の法人税額から過大に控除していた外国税額控除の否認額が昭和五十七事務年度で九十八億円、昭和五十八事務年度で十二億円となっております。
○工藤(晃)委員 今海外取引がどんどんふえておりますけれども、それに伴って多国籍型租税回避とか脱税とかいろいろ広がっている、これが調査の結果出てきた。その額はもう軽く百億、二百億という単位で出てきている。極めて大きいわけですね。ですから、このような調査の努力については私も評価するものでありますけれども、やはり外国税額控除という制度そのものに問題がある。今外国税額控除が、五十八年度の税額控除額は幾らで、十年前と比べてどうなったのか、それから資本金別に特に五十八年度百億円以上が大体幾らで、全体の何%になるのか、そのことだけ簡単にお答えいただきたいと思います。
○村本政府委員 昭和五十八年分の外国税額控除額は四千五百五十三億円でございます。その額は、十年前の昭和四十九年分に比べますと二・七倍となっております。それから資本金別に見まして、昭和五十八年分で百億円以上の法人にかかわります外国税額控除額は三千九百七十二億円でございまして、全体に占める割合は八七・二%ということになっております。
○工藤(晃)委員 外国税額控除のそもそもの目的は何ですか。これも簡単に答えていただきたい。
○梅澤政府委員 外国税額控除は、国際間の二重課税の排除というのがこの制度の基本的な目的といいますか、機能でございまして、現在先進諸国間、国際間で、それぞれの国によりまして若干排除の仕組みに違いがございますけれども、基本的に同じような制度をとっている国際的なルールでございます。
○工藤(晃)委員 今お聞きになったように、二重課税防止である。日本の企業の国外所得に外国の税金がかかる、この国外所得を日本で全体としてまた法人税をかけるときの二重課税を除くということだけれども、しかし、タックス・スペアリング・クレジットという制度がありますね、減税をする、ただである。そのただである税金、払ってもない税金の控除を受ける、これをやっているわけですね。これは二重課税防止じゃないじゃないですか。これは五百三十億円と言われておりますが、丸々さっき言ったような資本金百億円以上の大企業に対する補助金になっているじゃないですか。二重課税防止というなら、なぜそういうものをいつまででも続けるんですか。これは大蔵大臣にお願いします。
○梅澤政府委員 最初に申し上げましたのは、いわゆる一般的な外国税額控除でございまして、これは資本の取引、経済取引に対するむしろ中立性を確保するという観点からの国際的な定着した制度でございます。後でおっしゃいましたタックス・スペアリング・クレジットは、これは先進国が発展途上国と租税条約を結びます場合に、発展途上国が主として先進国からの企業の誘致あるいは資本の流入を促進するために、パイオニア企業とか利子とか配当とかロイヤリティーとか、そういったものに対して減免措置を講ずるわけでございますが、発展途上国がそういう減免措置を講じましても、それをそのまま放置しておきますとその税収が全部先進国に還流する、つまり発展途上国がねらったインセンティブ効果が働かないということで、二国間におきまして、いわば経済協力的な観点から取り決めを行っているということでございます。
○工藤(晃)委員 私は、二重課税防止ということじゃなしに、丸々払ってない税金、それをそれ相当額をまける、税額控除をする、補助金同様だ。こんな不公平なことありますか。それをやめたらどうか。 例えば、これは大蔵省主税局国際租税課長の真鍋さんというのがある専門誌に書いておりますけれども、この中でも、やはりそろそろこれは検討しなければいかぬ、国内で企業優遇税制の見直しもある、タックスヘーブン対策税制などもあるから十分慎重に考えていかなければいけない。これも小松さんといって租税の専門家、御存じでしょう。この方も、いわゆる海外投資のインセンティブと言うけれども、今どき、日本はもう世界一の資本輸出国だなんて言われるようになっているときにインセンティブなんて必要ないじゃないか。そういうことで「私は、タックス・スペアリング・クレジットも既に見直しの時期が到来したように思う。」こう言っていますね。 それから、先進国先進国と言うけれども、アメリカでは、タックス・スペアリング・クレジットを政府としてはやろうとしたけれども、議会として否定してやっておりません。こんなばかげた税制ないというのでやってないわけでありますから、今度の税制改革で——総理もちょっと目を覚ましていただきたいよ。(中曽根内閣総理大臣「よく聞いております」と呼ぶ)、税制改革でそれこそ全般的な見直し、不公平の見直しをやると言うけれども、少なくともこういうタックス・スペアリング・クレジットなどは今後続けていいのかどうか、アメリカがやってない、そういう検討をすべきじゃないか。こういうことさえやれないようじゃ何が不公平の是正だとなりますよ。少なくとも検討の対象にするかどうか、竹下大蔵大臣。
○竹下国務大臣 今お話ししたように、それは二国間の租税条約等で取り決められた、まきに経済協力的な面からするとインセンティブを与える、こういう問題は現に存在をしております。で、これについて検討するかどうか、こういうことでございますが、ここで行われた議論は、当然のこととして正確にその専門家の集まりであります税調に報告されるわけでございますから、したがって、その報告した段階でまさかこれは議論するに足らない愚論であるというふうにはおっしゃらないと私も思います。
○工藤(晃)委員 このタックス・スペアリング・クレジットというのは、もう丸々の大企業への補助金であります。インセンティブはもはや存在しないというのが一般の見方であります。何でそんなことをやるのか。これがどんどんふえていく。 もう一つ、私は資料について御説明願いたいわけでありますが、外国税額控除に関する直接納付、間接納付、それからさっきのみなしですね、タックス・スペアリング・クレジット、それぞれ幾らか、業種別に調査をしたものがあると思いますが、それについて簡単に報告していただきたいと思います。
○村本政府委員 お尋ねの数字につきましては、外国税額控除の対象とした外国法人税額が幾らかということにつきまして、昭和五十六年四月から昭和五十七年三月までの間に終了した事業年度についてサンプル調査をしたもの、それに基づきましてお答えさせていただきます。 それによりますと、まず業種別の内訳でございますが、製造業では、直接納付税額が二百二十億円、間接納付税額二百五十億円、計四百七十億円、卸売業では、直接納付税額三百八十億円、間接納付税額三百六十億円、計七百四十億円、その他の業では、直接納付税額五千九百十億円、間接納付税額四十億円、計五千九百五十億円となっております。またこれらの金額のうちタックス・スペアリング、みなし外国法人税額は、製造業で六十億円、卸売業では百億円、その他の業では三百七十億円となっております。 以上の直接納付税額、間接納付税額の企業種合計が七千百六十億円でございますが、御承知のとおり、これは外国で納付した法人税でございまして、日本で控除されますのは一定の限度額の範囲内に限られておりますので、その全額が我が国の法人税額から控除されたものではないことは御承知のとおりでございます。
○工藤(晃)委員 本当を言えば、直接納付、間接納付それからタックス・スペアリングと三つに分けて出さなければいけないのが、直接納付、間接納付にまぜて、みなしというのを入れてしまったため、ちょっとわかりにくくなっているわけですが、タックス・スペアリング・クレジットは大体直接納付税額にかなりの部分入る、ほとんど入る、そう理解していいでしょう。私も調べたら、そうなりましたよ。そのことだけ、イエスかノーかでいいですよ。
○村本政府委員 ほぼ御指摘のとおりでございます。
○工藤(晃)委員 これでなぜ大商社が法人税ゼロになるかというなぞがだんだん解けてくるわけですね。というのは、もう一度卸売業、これは資本金三百億円以上ですからほとんど大商社が入ると言っていいでしょう、七百四十億円外国税額控除を受ける。さっき直接納付三百八十億と言うけれども、タックス・スペアリング・クレジットを百億組んでいるとするならば残りは二百八十億である。つまり、外国税額控除は七百四十億円、しかし実際に商社が海外で払った税金は二百八十億なんですよ、三七・八%。残りの六〇%以上は何か。これは払っていない。架空上の、払ったとみなしたとか子会社が払ったものを親会社が払ったとみなすとか、みなしでしょう。これはもう丸々補助金をやっているのと同様じゃありませんか。製造業だってそうですよ。四百七十億、そのうち本当に払った分は百六十億、三四%。六六%はみなしで計算しているわけです。こんな不公平な税制がありますか。しかも受けているのはみんな大企業じゃありませんか、資本金三百億とか。こういうことをやはり直していかないと、日本の税制はめちゃめちゃですよ。しかもさっき言いましたように、海外投資はどんどんふえていくわけでしょう。去年だけでも、一ドル二百六十円くらいで換算すると、十四兆を超えるお金が海外に出ていっている。そういう勢いのときに、外国税額控除のこういう不当な、補助金みたいなやり方を是正するということについて、これは大蔵大臣及び総理の決意を伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 いわゆる各種租税特別措置というのは、最近言われる言葉で租税歳出とか、言ってみれば納めるべき税金を納めざりし場合は、それは補助金をもらったと同じ性格である。租税歳出という言葉で最近各方面でも議論されておるわけであります。したがって、そうした問題をすべて抱合して、税制の論議の際には当然のこととして議論さるべき課題であるというふうに私は考えております。 ただ、今のみなしだけとか直接だけあるいは間接だけとか、そう限定されますと、これはやはり税制全般に対する広範な諮問をしております税調に対して審議の範囲を限定する形になりますので、あえてその点には触れないことにいたします。
○工藤(晃)委員 総理にも、幅広く国民各層の声を聞いて税制改革を行うという立場から、外国税額控除を含めてやはり検討の対象にしていく、ここで行われた議論は十分考えなければいけない、その点についての決意を伺いたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 租税に関する二重課税の防止の網をくぐって対外取引等について不正行為が行われないように、この点は税調においてもし つかり審議してもらいたいと思っております。
○工藤(晃)委員 それは税制として、税制改革と言われたわけだから、制度としての見直しのときにこういう問題も考える。先ほどアメリカの財務省の租税改革案は大変学ぶところが多い。私も持ってまいりました。この中でも外国税額控除は改めなければいけないと書いてあるでしょう。何となれば、確かに二重課税は防止しなければならないけれども、外国の払った税金がアメリカの税金を減らしてしまう、こういうことがあってはならないから、国別に限度を設けよと書いてあるじゃありませんか。学ぶべきところが多い、多いと言って、具体的に聞いていくと肝心なところで何か逃げてもらっては困るので、やはりこういうことも含めて検討の対象にするということで、もう一度総理のお考えを伺いたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 租税に関する二重課税の防止等の網をくぐって不正行為や脱税行為等が行われないように、税調において、よく適正な税制がしかれるように大いに努力してもらいたいと思います。
○工藤(晃)委員 総理はよくおわかりになっていないようでありますが、竹下大蔵大臣の方は当然、税制の見直しの中に外国税額控除の問題も入ってこなければいけないということと受け取っていいわけですね。
○竹下国務大臣 いわゆる二重課税防止等における外国税額控除を入れる、こういう表現は私は慎むべきだ。国会においてきょうのような御議論が行われたことを正確に報告し、国政全般の角度から税制改革の際御検討いただける課題であるという事実認識をしておれば、私としてはいいんではないかと思います。
○工藤(晃)委員 ともかく検討をしていかなければいけないということのようでもありますけれども、先ほど来いろいろやりとりがありましたが、本当に少数の大企業に何百億もただでくれるような補助金をどんどん出して際限なくふえていく、そういう問題こそ不公平の最大の問題として考えてまず検討するという姿勢は見られなかったし、それからアメリカの財務省の改革案は大変いい、いいと言うけれども、肝心なことになるとさっぱりそれにはむとんちゃくである。我が党ももちろんあれ全部がいいなんて言っておりません。いろいろ問題はあります。しかし、そういうこともあるわけですから、もっと広範に国民の議論をというときに、我が党のこういう議論もはっきり考えていかなければならない、そういうふうに受け取ってもらわなければ困るわけです。 しかし、こればかりやっておれませんので、次に国鉄の問題に移りたいと思います。 さて、この政府の予算案に整備新幹線の建設費を計上をしたわけです。しかも、この問題では既にここで問題になりましたように、閣議決定に全く反したやり方になっている。概算段階でもこれはなかった。大蔵原案にもなかった。それが、政府が自民党に押し切られたと伝えられておりますが、ともかく政府の予算案になって出てきたわけであります。しかし、このことにつきまして、本当に今の中曽根内閣は国鉄再建にどう取り組んでいるのだろうかという疑問が国民の間には広がっていますね。 そこで運輸大臣に伺いますけれども、整備新幹線の建設費は幾らになりますか。収支見込みはどうなりますか。在来線の収支見込みと合わせてどうなりますか。国鉄の財政再建にどのように役立つのですか。この点について簡単に御説明願いたいと思います。
○棚橋(泰)政府委員 整備新幹線は全部で五線ございますが、その五線全部の建設費につきましては、昭和五十四年度で試算をいたしました概算の価格といたしまして五兆二千三百億でございます。 それから、整備新幹線の収支というお尋ねでございますけれども、御承知のように新幹線の収支と申しますものは、輸送需要の見通し、建設費の正確な積算のほか、どのような財政上の資金を使用するか、またどのくらいの工期をかけて完成させるか、何年ごろから運転に入るかというような前提条件によりまして、収支の見通しというのは大きく変わるものでございます。そのような収支の見通しの前提となりますものが明確でない段階でございますので、その収支見通しを申し上げるということは現段階では困難であるというふうに考えております。 いずれにいたしましても、しかし、従来のような全額借入金の方式で建設をいたしました場合には、並行在来線の赤字額を含めまして相当の赤字が生ずるというふうに予想をされるところでございます。 また、国鉄の財政に与える影響という問題につきましては、ただいま申し上げましたように、収支採算が明確でございませんというような点もございまして、現段階で云々する段階ではないというふうに考えております。
○工藤(晃)委員 大体収支の採算の見込みがないのにこれを始めようというわけですか。これは大変なことですね。運輸省の方針「五十七年度整備新幹線の取扱いについて」、五十八年度もありますけれども、これはやはり事業採算性等を慎重に検討の上やりましょうというふうになっておりますし、それから建設費は公的助成及びいろいろこういう方法で整備を進めて、それを待って工事というのに運輸大臣、今度の場合は採算の見込みはさっぱりわからぬ、しかもちゃんとお金が出るのかどうかさっぱりわからぬ、それでもともかく始めるというわけですか。国鉄の財政再建をどうお考えなんでしょうか。
○山下国務大臣 今政府委員から御答弁申し上げましたように、従来のような借り入れの方式、そして従来のような公共事業方式でやるならば今後も赤字はふえるであろうということを申し上げたのであって、そのために苦心もしましたし、御案内のとおり過去二カ年間も同様に一応は工事費も計上してまいったわけでございます。しかし、その見通しが立たないためにこれは見送ってきたわけでございますから、既にこの問題が議せられまして十数年たっておりますし、もはや地方、地域住民のこれに対する熱望も極限に達しておるということから、ほかに手はないかということで政府と党と財政当局といろいろ話し合いまして、地元に一〇%程度持っていただく、あるいは在来線を廃止する、このことについては立法措置も講じようではないかというような諸般の情勢を詰めまして、しかも監理委員会の御意見等も承った上でこれは発車しよう、工事に着手しよう、こういうことでございまして、従来と同様に全く見通しのつかないものをやるということでは決してございません。
○工藤(晃)委員 そんなことを言ったって、今度の百億円というのは財政投融資と利用債など借金で建設をやるわけでしょう。
○山下国務大臣 この資金につきましては八月の着工をめどといたしておりますので、それまでに最終的にはどういう財源を見つけ出すかということ、どれから出すかということはそれまでにきちんと詰めて、それが詰まった段階で着工する、こういうことでございます。
○工藤(晃)委員 国鉄の事業の再建再建と言いながら、どうですか、何兆円もかかる工事、採算の見込みがどうなるかわからない、当然国鉄を破綻に導くようなことを既に目の前で発車させていく、こういうことを見ると、本当にどこまで国鉄の再建に熱心なのかだれだって疑いたくなりますよ。だって東北・上越新幹線、在来線と合わせて四千億円近い赤字をもう既に生み出しているじゃないですか。今度はもっともっと人口の多いところじゃないわけでしょう。青函トンネルどうするんですか。本四架橋どうするんですか。国鉄が利用すると本四架橋が五百億から六百億、青函トンネルが八百六十億というような負担がかかるということを現に進めて、国鉄を破綻させよう、させようということが同時に進められている。それで、それが批判されているにもかかわらず、今言ったように採算を見きわめてからやらなければいけないということを、国鉄の財政再建に役立つ方向でしかやれないはずのものを既にスタートさせる。我が党だって新幹線の国民の要求はよくわかっております。しかし国鉄の財政の破綻状態を直さないでどうしてそんなことをやれるんですか。どこから財源が出てくるんですか。ですから私が言いたいのは、現に財政再建と言いながら破綻させるようなことを目の前でどんどん進めている、これに対して少しも反省しないのは遺憾だということであります。
○山下国務大臣 先ほども申し上げましたように、昨年度も一昨年度も五十億程度の工事予算は計上してまいったわけでございますけれども、その財源あるいはまた諸準備が着工に至るまでにできておらないということで、計上しておきながら見送ってきたということでございます。したがいまして、こういう状態で毎年毎年着工資金を組んでおきながらさらにいつ着工できるかわからないという状況では、地域住民に対していつまでも不安を持たせるということで種々協議をいたしまして、先ほど申し上げましたように、地元にどの程度持っていただくかとか在来線をどうするか、そのことについてはまた立法化も必要であろうとか種々詰めまして、従来よりも一歩進めまして、今年度はひとつここらあたりで何とか結論を出そうではないか。そして監理委員会の意向も聞いて——今すぐやるというのじゃないんですよ。八月までに財源等も結論を出して、そして全部が整った段階でやろうということでございますから、五十億円計上したということは昨年、一昨年と同様である、このように御理解いただきたいと思います。
○工藤(晃)委員 今の整備新幹線工事着工に対する中曽根内閣の態度は、これは実は過去一貫して続いてきたんですよ。国鉄財政には御迷惑をかけません、だからこういう工事をやりましょうと。私もずっとこの関係の会議録をみんな持ってきて、これ全部読むのは大変なんですが、例えばこれは大分昔になりますけれども、鉄建公団をつくったとき、これは田中角榮大蔵大臣ですね。「しかも他の政策目的で、政府のより高い立場で新線が建設せられる場合もあるわけです。そういうものに対しては国鉄は責任はないのです。」「最後のしりはどうなるか、これは政策目的の責任を負わなければならぬのは政府です。」こう言ってどんどんつくってきたでしょう。あの鉄建公団の建設にかかわる線で今国鉄が経営してどれだけの赤字になっておりますか。それについて資料を要求しておりましたが。
○仁杉説明員 随分たくさんございますが……(工藤(晃)委員「いや、もう合計だけでいいですから」と呼ぶ)今合計を出させますので、ちょっとしばらく……。
○工藤(晃)委員 合計が出ないようなので、また先にちょっと進みます。 これは新幹線の整備法ですね。この中で、今度は橋本登美三郎運輸大臣が、従来の新幹線のように国鉄の財政の中で賄うんじゃないんだ、別個の金で賄うんだ、だから始めるんだと言って、だけれどもどうしましたか。これは東北新幹線やなんかみんなかぶったわけでしょう。それから田中内閣の列島改造計画になった。ここで九千キロというような話が出てきた。このときに、やはり運輸大臣ですね、佐々木運輸大臣が、お話しのように新幹線だけの予算で百兆からの財源を必要とするのでありますから、今のような非常に赤字を持っております国鉄自体では到底これを処理することはできない、政府といたしましては思い切った財源処置を講じなければいけない。講じないじゃないですか。そうしてこのとき、せいぜい設備投資というのは三千億円台でやりなさいという立派な答申があるにもかかわらず、一兆円規模に乗せてしまったじゃないですか。それをやったのはみんな、国鉄の財政再建に迷惑をかけません、これ以上破綻を進めませんと言いながら、いつもさっきの説明と同じようなことが繰り返されてきた。もうこれ以上許されないと思います。 ところで鉄建公団まだですか。——まだならば、これは「経営の現状と改善方向 五十九年十月」にありますけれども、昭和四十四年から五十九年の設備資金、そのうち倍入金が幾らで助成金が幾らか、これをひとつ答えてください。その後で整備新幹線やってください。
○仁杉説明員 十三兆のうち借入金が十二兆一千億、助成金が二千四百九十億、それから政府出資が四千四百七十一億という内訳でございます。
○工藤(晃)委員 鉄建公団はまだありますから、それは後にしてください。必ず答えてください。 今お聞きのように、国鉄には財政再建の課題があるから迷惑をかけないと言いながら、ちょうどそれが問題になってきた四十四年から五十九年度十二兆も設備投資を押しつけて、そのうち十二兆一千億円は借金でやらせてきた。これじゃ破綻するのは当たり前じゃないですか。こうして破綻したんじゃないですか。 そこで総理、目をあけて答えていただかなければならないわけでありますが、総理は国鉄の破綻の原因につきまして、私も直接聞きましたけれども、国鉄という経営形態とそれから全国一元的運営、これが原因だというふうに言いましたけれども、今言ったように、考えてみますと昭和三十年代国鉄は黒字時代ですよ。昭和四十年代になってから採算がいろいろと問題にされてきた。まさにその時期に、国鉄には迷惑をかけません、鉄建公団だ、国鉄には迷惑をかけません、お金は別に出します、それで新幹線をやる、国鉄には迷惑をかけません、そうして列島改造だ、あるいは景気対策だとべらぼうに借金を負わせてきて、それで破綻したのじゃないですか。それでもまだ足りないというので、まだ青函トンネルがある、橋がある、整備新幹線がある。一体どうなんですか。これは国鉄という経営形態で説明できないと思います。別のメカニズム、別の力学が働いて、どんどん勝手に国鉄の財政再建に矛盾することをやってきたのは自民党政府じゃありませんか。だから、国鉄の経営形態に原因があるというのはおかしいんじゃないですか。これは総理にお答えいただきます。
○中曽根内閣総理大臣 国鉄の赤字の原因にはいろいろな原因があって、必ずしも国鉄の責めに帰すべからざるものもあるであろうと私は前から申し上げているとおりです。しかし、最近の事態、特に赤字が出てきている事態というのを見ると、モータリゼーションに柔軟に対応できなかった、あるいは労使の関係が必ずしもうまくいかなかった、運賃の値上げがタイムリーにうまく行われなかった、さまざまなそういうことも行われまして国鉄の経営の硬直化というようなものもかなりあると考えなければなりません。あるいは労使関係が必ずしもうまくいってなかったという面も大いにあると思いますし、規律の乱れがそういう点からも来ているとも考えられております。そういうところからも大きく来ておるのでありまして、それはやはり今の経営形態やら仕組み自体を考えなければならぬときに来た、そういうふうに考えておるわけであります。
○工藤(晃)委員 おかしなことを言われますね。国鉄の労使関係でこんな設備投資を決めてきたんですか。十三兆の設備投資、それをほとんど借金でやるようなことをだれがやらしたのですか。それで整備新幹線だとかそれから本四架橋だとか青函トンネルだとか、今度の整備新幹線もありますけれども、これは国鉄で決めているのですか。そうじゃないでしょう。もちろん国鉄の官僚的体質とかいろいろそれは改善ということからすれば私たちも考えます。日本共産党も国鉄の労働者は国民への奉仕ということを考えてもらわなければいかぬということを言っています。しかし、この破綻ということは一体どうなんですか。まさにさっき言ったようにむちゃくちゃに借金を負わせてきた、これが最大の原因じゃありませんか。現にやっているじゃありませんか、整備新幹線で。だからこういうことで、国鉄はこの経営形態が問題である、だから分割・民営化しなければいけない、こういう飛躍が出てくるけれども、これはもう全く間違ったことであります。 現に国鉄の監査報告書を見ますと、純損失一兆六千六百四億といいますけれども、このうち、当然国の政策で余計に負わされている特定人件費というのが六千六百二十九億円、東北・上越新幹線資本費相当額三千五百五十一億円、残りの一般損失相当額というのは六千億円台になりますけれども、さっき言ったのはみんな外から負わされた余計な負担である。残りは六千億であるというけれども、さっき言った約十二兆を超える借金による押しつけられた設備投資、これに七%という利子をかけていただいても大体年間八千億ぐらいになる、さっき言った東北新幹線の利子とのダブリを除いても六千億円、七千億円残るじゃありませんか。だから、今の財政の破綻はみんな政府・自民党が外から押しつけてきたことだということは、このことがはっきり物語っているわけでありますので、私はこの問題について、分割・民営化のそもそもの出発点が間違っているということをはっきり指摘すると同時に、最後に一問だけ総理に伺いたいと思います。 それは、総理は、分割・民営化ということにいったときに、国民にとってのいろいろなサービスですね、公共サービス、地方の住民に非常に不便をかけることはない、分割・民営化にしても国民に対するサービスは絶対にこれ以上下げないということをはっきりここで約束できるかどうか、こういうことであります。今問題になっている地方線、国鉄全体で年間六十七億、人が乗るといいますけれども、地方線では五億人以上は利用しているわけであります。これを絶対に下げませんというふうに約束していただきたいと思いますが、それはどうでしょうか。
○山下国務大臣 監理委員会の御指摘でもわかりますように、従来の公社制度の普遍的な、一元的な運営が今日の国鉄の危殆を招いておるということは明らかでございますから、したがって、これを改めにゃならぬということでございましょう。ですから、それをどう改めるかということはただいま監理委員会において鋭意詰めていただいておりますから、その答申を待って政府としては対処していくということでございます。
○工藤(晃)委員 もう全然見当違いなんだ。そうじゃなしに、分割・民営化を仮にやるときに、その案によると国民にとっての非常に不便が起きる、負担が重くなる。そういうことは絶対にさせないということの限度で認めていくのかどうか。それがここで約束できないようだったら明らかに国民にとっては大変な悲劇だと思います。そのことだけ一言でいいんです。総理大臣から伺います。
○山下国務大臣 監理委員会の答申が出なければ、今の段階で政府にそれを言えとおっしゃっても、それは無理じゃないかと思っています。
○工藤(晃)委員 総理大臣がことしこそ国鉄改革をやるんだと言われているから。しかし、やるに当たっても国民にとって交通上のサービスをこれ以上低下させません、それを条件にしてやるつもりですということがなぜ言えないんです。言えないとすれば、国民にとっては全くひどい案が出てきても受け取るというふうに受け取りますよ。それでもいいんですか。
○中曽根内閣総理大臣 監理委員会でいろいろ御検討願って、その答申を見て政府は措置するということでありますが、国民の皆様方にできるだけ御迷惑をおかけしないように努力してまいりたいと思います。
○工藤(晃)委員 できるだけというのは全く不満でありますが、先ほどの鉄建公団の答えはどうなったでしょうか。もしできなければ別の機会に私留保しますから、答えてもらいます。
○仁杉説明員 先ほどの鉄建公団からの有償借入金の状況でございますが、それのお答え……
○工藤(晃)委員 いや、そうじゃないんだよ。ちょっとこれはだめですから、この問題については改めて——これはもう前もってちゃんと詳しく伝えてあるわけですから。鉄建公団が建設した線を国鉄がいろいろ運営して赤字が大変ふえている。今見積もると年間どのくらいだ。あるでしょう、上越新幹線も。そういうのを全部含めて言ってくれと言って、出せるような話だったので聞いたんですが、これは改めてこの委員会中に答えてもらえますか。よろしいですか。
○仁杉説明員 まとめて後でお答えをいたします。
○工藤(晃)委員 それでは三番目の問題に参ります。 核燃料サイクル基地の立地の問題です。これは総理よく聞いていただきたいんですが、電事連が昨年青森県六ケ所村に核燃料サイクル三施設の立地を決めて以来、県内では安全性をめぐり大きな不安が広がっております。それは私も昨年科学技術委員会で繰り返しいろいろ問題点を明らかにしてきたわけでありますから、ここで技術上の問題についていろいろ質問するわけではありませんけれども、およそまとめてみますと、再処理工場をつくるというけれども技術的に未確立であるということが一つ。それからクリプトン、トリチウム、沃素などの環境汚染あり、これが一点であります。 それから二つ目に、再処理工場自身が高レベルの廃棄物をたくさん出しますし、フランスやイギリスからもここへ戻ってまいります。ところが高レベル廃棄物の安全貯蔵の技術は未確立である。 そして三つ目。一地点に三施設できるわけですね。これはさっき言いましたように、これほど高レベルの廃棄物だとか、非常に危険な再処理工場とか、さらに濃縮工場だとか、これを一地点に集めるというような計画というのは、ただ技術的に未確立ということだけでなしに、非常にまだ人類にとって未経験のことをやることになるわけであります。したがって、この三施設設置に当たって安全の上にも安全を期すべきだと考えますけれども、総理はどうでしょうか。これは青森県民の不安にこたえるためにも大事だと思いますので、答えてください。
○中曽根内閣総理大臣 原子力法体系で、核燃料の処理あるいは炉の安全性、再処理の場合における諸般の注意、それらは法体系的にも確立しておりますし、かつまた原子力安全委員会におきましても、その実施、運用については厳重に規制し、監督しておるところであり、また英米におきましても既に行われておるところでもあり、それらの法規を守って適切にやれば心配はない、私はそのように確信しております。
○工藤(晃)委員 総理の確信の問題でなしに、実際に原子炉等規制法になりますとこの責任は総理の責任に直接なってきますから、それをやるに当たって安全の上にも安全を期す、そういう心構えでなければならないと思いますが、そのことだけお答えいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 諸法規を遵守いたしまして、また実際の実施面におきましても十分監督を加えまして、住民の皆さんにいささかも心配をかけないように処置いたします。
○工藤(晃)委員 科学技術庁長官に伺いますけれども、核燃料サイクル三施設の予定地周辺には三沢の米軍、自衛隊基地があります。四月からアメリカのF16核攻撃機二個飛行隊四十八機以上が配備されることになります。電事連から施設の申請が出されたときに、原子炉等規制法では、例えば再処理施設について言えば、位置、構造、設備が災害防止上問題がないか審査を受けることになるわけでありますが、当然この審査には三沢の米軍、自衛隊基地、さらにはそこにF16が二個飛行隊やってくる問題あるいは天ケ森射爆場、ここでは米軍、自衛隊が盛んに使用している、こういうことも立地審査に入ると思いますが、どうでしょうか。
○竹内国務大臣 お答えいたします。 核燃料サイクル施設の安全審査に当たりましては、当然のこととして施設周辺の状況も考慮するわけでございまして、それが安全確保上支障がないものであるかを厳重に審査することと相なります。 御指摘の基地あるいは射爆場の件につきましては、今後必要に応じ飛行航路等に関係省庁間で調整が図られ、あるいはまた必要に応じ事業者において施設設計等に所要の配慮がなされるものと考えておりますけれども、具体的には安全審査の段階で十分慎重な判断を行い、安全確保上支障のないことを確認をいたす方針であります。
○工藤(晃)委員 運輸省に伺いますけれども、核燃料サイクル三施設の予定地の上空を自衛隊が専ら軍専用で管制を行っている三沢特別管制区がかぶっておりますね。 それからもう一点、昭和四十四年七月、運輸省の航空局長が原子力関係施設上空の飛行規制に関する通達を出しておりますね。その点を御確認ください。
○西村政府委員 ただいまお話しの原子力関係施設を含む上空付近は、三沢の特別管制区域になっております。 また、昭和四十四年に運輸省の航空局長から「原子力関係施設上空の飛行規制について」という通達をいたしまして、こういう施設上空の飛行はできる限り避けるようにという指示をいたしております。
○工藤(晃)委員 おわかりのように、まさに電事連が世にもまれなる核の、全く未知な、安全性の問われるものをつくる、それは特別管制区の真下につくるという案になっているということ。それから航空局長の通達からも、原子力施設の上は飛行機は飛んではいけない、こういう通達が出されているにもかかわらず、こういう計画がどんどん進むこと自体私は大変不思議で、電事連のやっていることは全く無謀なんだけれども、一体政府のどこと相談しながらこんなことをやっているのか、私は非常に疑問に思います。 そこで、私も実はこの地域を調査しましたが、資料を配付していただきたいわけであります。まず、資料からもわかります。上のこれをかぶったのが特別管制区の限界を示すわけですね。ですから、ここにあるウラン濃縮施設、低レベル、それから再処理の工場、みんなこれはかぶっております。それから、五十四年から五十八年につきまして、これはまず青森県が調査した資料に基づき、私も現地に行きましていろいろ実情を聞きながらここに記入しました。とりわけこの地点につきましては六ケ所村の村の当局に直接行ってプロットしていただきましたし、この外れにある横浜町の分もやはり町にお願いして書いたものであります。ここで五十四年から五十八年というわずかな期間に六ケ所村で十件、米軍機の誤爆、誤投下、自衛隊の誤爆、誤投下賛とが起きております。この爆弾印をしたものは、まさにこれは模疑爆弾を落としているのですから、こういう表示をするのが適当だと思って、してあるわけであります。 ここで非常にはっきりしていることは、ここの船だまり、再処理施設の下にある、これは「たかほこ」と読むわけですが、鷹架という湖のここがいろいろな使用済み核燃料だとか高レベルが陸揚げされる港なんですが、そのわずか一キロから二キロしか離れていないところに、例えば五十五年十二月九日米軍機模擬爆弾が落とされたとあります。この丸がついている方が自衛隊なんです。五十八年十一月十六日、この絵で見ますとそのすぐ左側ですが、これは自衛隊の訓練弾の誤射であります。誤爆ではありません。 それから、ここで見ていただきたいのは天ケ森でありますけれども、この天ケ森の西側あたりにかなり落ちているだけでなしに、この訓練というのは、こうおりてきてぐうっと急旋回して上がるわけですね。これを何度も繰り返しているわけです。ですから、それこそ原子力施設に近いところまで落ちているということと、もっと驚いたことに五十七年四月二十六日、この地図でいいますと左の肩の方でありますが、こんな石油備蓄基地の近くにまで落ちているわけであります。このほかこの地域では、例えば私が行った上北町では、沼田さんというお宅でありますが、五十五年八月でありますが第三航空団のF1が墜落した。そのときのエンジンがこのお宅に落ちてきたわけです。これは横浜で起きたミッドウェー艦載機による大惨事。幼いお子さんが二人亡くなられた。そして和枝さんもその後必死になって生きようとして亡くなられた。あの事件とそっくりよく似ている。というのは、実はその晩、いつもならここで食事をするという台所から離れて三人家族が隣の部屋で食事をし、それで奥さんがスイカを切って隣の部屋へ移った途端にここにエンジンがおっこってきて、もしふだんの部屋にいたら大惨事になったわけですね。よくこれだけおっこって今まで人身事故がなかったと思われるほどでありますが、このことを見ても大変危険な地帯である、こういうふうに考えるわけであります。 しかも、私のこの調査も氷山の一角だと思います。というのは、この落ちた地点というのはみんな目撃者がいて、あるいは直接自分の家のすぐそばに、庭のど真ん中に落ちて、そしてトラクターに穴をあけて、もう実に十メーター以上も深くまで入ってしまった。こういう目撃者がいたり直接の被害者がいて、こういうのが通報されて出てきたわけでありますから、人口過疎なこのところで一体どれだけあるかもわからない、こういうことであります。こういうことでありますので、私は総理にもこのことを強く要求するわけでありますが、この地域にはこういう特別管制区であって、それで現にもうめちゃめちゃな誤爆がある。こういうところでこういう計画がどんどん進められていくということ自体非常に不思議であるし、一体安全をどう考えているのか疑問でしょうがない。そして東海村で再処理工場がつくられるに当たって、水戸の射爆場撤去ということがその前提となりましたけれども、今後ここでこういう計画が仮に進められるとするならば、この天ケ森の射爆場の撤去問題を含めて検討するのが当然であります。そのことを要求しますが、総理、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 天ケ森の射撃場とサイクルの施設との関係でございますけれども、いろいろ今御意見ございましたけれども、サイクルの立地予定地から十キロ離れたところが射撃場でございまして、先ほど委員御指摘のとおり、模擬弾をやっているものでございます。もちろんいろいろ御意見がございまして、この安全性の問題につきましては細心の注意を払わなければならない、こう思っておりますので、国のエネルギー政策と安全保障政策が十分調和できますように関係省庁と十分に協議をしておりますし、今後とも続けてまいりたいと思っております。
○工藤(晃)委員 十キロなんと言ったけれども、特別管制区は入っていると言ったじゃないですか。十キロなんと言うけれども、現におっこっているところと何キロ離れているのですか、この港。一キロから二キロじゃありませんか。十キロなんて、確かにここから十キロかもしれないけれども、実際に一キロ、二キロのところへどんどん落ちているじゃありませんか。この特別管制区がある限りそういうことになるじゃないですか。この特別管制区というのは、これはF16ですから、これからここで何やるかわかりませんよ。カール・ビンソンが来たときだって艦載機が来る。ミッドウェーが来たときだって艦載機が来る。韓国の群山からもF16が来て訓練やっていますよ。こういうことを次々とやって、めちゃめちゃな訓練をやっているからわずかの間にこれだけ起こるわけで、こういうことをそのままにして十キロ離れていますなんという答弁では、これは絶対納得いきません。本当にまじめに核サイクルを進めるというなら、こんな危険なところによりによってどうしてできるのでしょうか。だから、これは総理大臣、お答えいただきたいと思います。
○天野委員長 いや、まず具体的な問題ですから、防衛施設庁の佐々長官。
○佐々政府委員 お答えいたします。 いろいろな質問が出ましたので、事務レベルから具体的にお答えをいたします。 まず米軍関係の誤爆、誤投下とおっしゃいますが、先ほど来先生御自身おっしゃっていらっしゃいますように、これは二千ポンド以下の模擬弾でございます。爆発するものではございません。五十四年以降おっこった事件で私ども確認いたしておりますのは、模擬弾が二件、五十六年の十月十六日、それから五十七年の四月十二日、F4が訓練をしたときに模擬弾が落ちたケースがございますが、これは一番近いので九キロ、遠いものは十二キロでございます。それからあとは、機関砲のリンクと薬きょうが落ちたというのが五十四年にございましたけれども、米軍につきましては私どもの調査では、地元からは米軍が誤投下したというような御通報があって現地に行きましても、確認に至っておらない。確認したのは以上三件でございまして、本件につきましては米側にその都度厳重に安全措置の再確認の申し入れをいたしまして、五十七年の四月十二日以降、私どもは誤投下の事実を確認しておりません。先ほどお示しの地図の核燃料サイクル施設に近いところに落ちたというのについては、私ども確認いたしておりません。 それから天ケ森にございます三沢対地射爆撃場でございますけれども、十キロ離れておりまして、この訓練の飛行パターンをよくお考えをいただきたいと思います。飛行パターンは高度六千フィート、西から東に直進をいたしまして、海の方向に向かって訓練を行うわけでございます。その正面には安全水域四十六平方キロを保安水域として提供をし、左旋回をいたします。左旋回をして回ってくるわけでございますが、この旋回の範囲が幅で四・五キロ、長さで十二キロ、こういうことで、一番近接した場合でも予定地とは六キロの安全距離がございます。また飛行方向あるいは射角その他から申しまして、予定地の方に弾が飛ぶという可能性は非常に少ない安全な飛行パターンを選んでおります。 またもう一つ、先ほど三沢特別管制区の問題が出ましたので、この点もちょっと触れさせていただきますが、これは先ほど運輸省にお尋ねのとおり、昭和三十八年運輸省の告示によって設置されたものでございまして、航空交通の安全を図るために設置されたものでございます。三沢の飛行場は米軍のも自衛隊のも予定地から約三十キロ南にございます。 それから、これも昨年の科学技術委員会でお尋ねがございましたので、後で質問が出ると思いますのでついでにお答えをいたしますと……(工藤(晃)委員「質問しないのはいいよ、時間をとらせないで。いいから、いいから、要らない」と呼ぶ)
○天野委員長 質問の出ないのは後にしなさい。
○佐々政府委員 R129という訓練区がございます。これは約七十キロ離れておりまして、この特別管制区の中を飛びまして訓練区に行きましても、この予定地は全然飛びません。この上空は飛びませんので、念のため申し上げます。
○工藤(晃)委員 そういうのは不届きな答弁だと思いますよ。 私も聞きましたけれども、この地点というのは、まず県からいただいた資料に基づいて歩き、同時に関係のある六ケ所村へ行ってこの地点を確認しました。確かに私の行ったところでも、十メーター以上模擬爆弾が潜っちゃうのですよ。だから確かに取り出すというのは大変ですよ。どういう角度で入ったか。井戸掘りと同様だというのですよ、そこは。そういうのは確かにやってないものもあります。あるけれども、これはみんな目撃者がいたり被害者がいるから警察に届ける、消防署に届ける、それで村当局が来る、場合によれば米軍が来る、自衛隊が来るといった地点でありますから、防衛施設庁がこの中のは確認できないなんて、全くこれは怠慢ですよ。国民の安全を何と思っているのだと言いますよ、私は。 だから、それからやれ十キロ離れているとかなんとか言いましたけれども、飛行の経路があれだと言うけれども、どうですか、大体こう来てこう行くのですよ、みんな。私は三沢の自衛隊、第三航空団へ行って聞いてきたのですよ、訓練の状況を。だからごまかしたってだめですよ。ここからこう来てこう飛ぶのですから、ここのところは必ず——この辺の人はいつも上空を飛ばれるからうるさいと言っていますよ。やっているのですよ。現にここまで落ちているじゃありませんか。だから、ここの今の天ケ森が安全性に支障がないなんという前提を防衛施設庁が言うなんというのは言語道断だと思いますし、これはもうやはり総理として、さっき安全の上にも安全をというふうに言われたわけでありますから、この点について総理の今後の決意を述べていただきたいと思います。やはり東海村のときには水戸射爆場を撤去した。だから仮にこういう大きなサイクル基地をやるならば、どだいこういうものをそのまま置いては無理だ、だからもう天ケ森を撤去するか、もうこういう計画をここにやらないか、どっちかだと思います。その点についてはっきり答弁していただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 安全の上にも安全を期するように今後とも注意してやります。
○工藤(晃)委員 安全の上にも安全をと言いましたけれども、今言ったように、東海村と比較にならない危険をはらんだ原子力施設ができるわけで、しかもこの天ケ森には今度F16が二個飛行隊やってくることから、これはすごい訓練をここでやるということはもう予想されております。これまででも自衛隊が使っていた。それこそ艦載機が使っていた。さまざま使っていた上に来るわけでありますから、もっと頻繁になる。もっと危険が高まる。そういうことを前提にしてしか論議をすることはできないわけであります。そういうことですから、今後この問題を進めるに当たっては、この天ケ森を撤去を含めてどうするのか、これを考えていかなければいけない。その点についてもう一度御答弁願いたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 私は安全であると思っています。東海村のとき、あそこへ原子力施設、研究所をつくるときにもいろいろと私、経験いたしておりました。私は今のリサイクルの問題につきましても関心を持ちまして調べてみましたけれども、飛行進入路とか距離とか、そのほか諸般の問題を考えてみまして大丈夫である、そう思っております。しかし、さらにいよいよ具体的な建設という場合になりますれば、原子力安全委員会におきまして厳重にチェックいたしまして、安全の上にも安全を期するようにしていただきたいと思っております。
○工藤(晃)委員 大体東海村のときも安全だと思ったと言いますけれども、これはアメリカの上院外交委員会のサイミントン委員会の中の聴聞会の一節がありますけれども、この中で、水戸射爆撃場は日本の原子力研究センターにどのくらい近いか、それは二・六マイルである、そしてそれは驚くべきケースである、射爆撃場が原子力研究施設から二マイル、これでは飛行機で飛べばたった二秒ほどではないか。アメリカでも大問題になって、およそ安全の常識から外れたことを今、総理はあのときも安全であったと言うのは、これはとても納得できないし、そういうことでは困る。 先ほどの答弁もありましたけれども、二千ポンド爆弾まで使えると言いましたけれども、二千ポンドといったら九百キロですよ。これはもう最大でかい爆弾が落ちてくるかもわからない。その真下につくるという問題であります。こういうことで、私は、前も科学技術庁の方からはこの問題は審査の対象として一層進めるということでありますので、次に問題を進めたいと思いますが、その前に、国鉄総裁の答弁ができるということですから、お願いします。
○仁杉説明員 鉄道建設公団から国鉄が借用いたしております線路は、今十五線ございます。そのうち八線区につきましては、一部の区間を国鉄が使用しているということでございまして、これについては実はこの区分経理をしてございませんので、ちょっと赤字が幾らということを申し上げかねるわけでございます。残りの七線区について申し上げますと、収入が八百七十六億、支出が二千百五十六億、赤字千二百八十億、このうちには大きなものとしては上越新幹線が入っているわけでございます。
○工藤(晃)委員 今の答弁のように、鉄建公団がやって、そのときの田中角榮大蔵大臣は後で政府がしりを見ると言いましたけれども、さっぱりそれなしに来ているという例だと思います。 最後に、時間も少なくなりましたが、経済協力の目標、方針について伺いたいと思います。 私は、日米諮問委員会の報告を持ってきております。一月の日米首脳会談をめぐる新聞発表の中でもわかったことですが、総理はやはりこの諮問委員会の報告、これを尊重してやっていくという立場だ。このことを前提にして私は進めるわけですが、この中で経済協力がどう扱われているかといいますと、まず第三部の第二章の「防衛問題」というところで、安全保障との関係でこういうことが出てきますね。「戦略的重要性を持つ第三世界の諸国に対する防衛努力と経済援助は、地域の平和と安定の維持のために必要である。」「日本がこれらの国に対する経済援助を通じて、安全保障に果たしている貢献を認識する必要がある。」というふうにして、いわば防衛問題の中に経済協力が位置づけられている。しかし、これはちょっとおかしいのじゃないか、こう思いますね。それからもう一つ、じゃ「第三世界の安定」のところでどう書いてあるかといいますと、「最近になってみられるエジプト、パキスタン、トルコ、スーダン、ソマリア、およびアラブ湾岸諸国の一部、さらにカリブ海地域などに対する援助の拡大は、戦略的に重要な地域に対する援助の政治的重要性を日本が認識していることと、より広範囲にわたって日本が世界において政治的イニシアティブを発揮していく決意の表われとして大いに評価すべきものである。」ということなんですけれども、こういうものを読んで、仮に総理がこういう考え方、精神でこれからの経済協力を進めるとすると、まるでアメリカの軍事的戦略のために日本の援助があるかのようでありますけれども、総理は我が国の経済協力の目標を一体何とお考えでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 全地球的ベースにおきましてその地域の住民の福祉と生活安定のために我々は経済協力をやっておるので、戦略的観点からするというようなことはやっておりません。 なお、その諮問委員会の報告書につきましては、その努力を多とする、そしていいところは大いに尊重して実行したいというので、自衛隊の海外派兵的なごときものはやりません、こう言っておるわけであります。
○工藤(晃)委員 外務大臣に伺いますけれども、外務大臣は去年の三月一日の衆議院予算委員会でも、アメリカが二国間援助にウエートを置いている、少し反省してもらわなければならない、そういうことで、アメリカの戦略的な方向に連動して日本が動くことはあり得ないという趣旨を答弁されておりますけれども、一月二日、シュルツ国務長官との会談で戦略援助拡充の要請があったと伝えられている。これは事実か。それから、春に予定されている審議官級の高級事務レベル協議で米国からそういう要請があったときには今までの答弁、今の総理の答弁を貫いて、戦略的なものは断るということかどうか。
○安倍国務大臣 日本の経済援助の方針は、今総理大臣もお答えになりましたように一貫をしておりますし、今後も変わらないわけです。あくまでも人道的な立場を貫いていかなければならぬし、あるいはまた相互依存というのが日本の基本的な姿勢でありまして、アメリカはアメリカの経済援助の行き方があるし、日本は日本の行き方があるわけであります。そういう中で、世界の平和と安定に対して両国が両国のそれぞれの枠組みでどういうふうに協力できるかということを話し合おうということで高級事務レベル会談を持つことになったわけでございます。これは経済援助を効率的に行うためには、また世界の平和と安定のためにはそうした協力も必要であろうか、こういうふうに考えております。
○工藤(晃)委員 外務大臣にまた伺いたいわけでありますけれども、後発発展途上国、LLDCに対しての日本のODAはとても少ないですね。これはOECDの資料から見ても、八三年日本のODA中一〇・九%しか回ってない。こういうことがあるから、アメリカの戦略関心国へ偏り過ぎているためこっちが少なくなるのではないかとどうしても考えるわけです。例えばデンマークは四一・一、フィンランド三五・三、オランダ二五・〇、スウェーデンは二八・一、スイス三〇・二ですね。日本だけが一〇・九。日本の経済力がこれだけ大きくなった、これだけ多額の援助ができるようになったとき、この方向いかんでやはり世界の平和への貢献とか、それこそ今の飢えの問題への貢献の結果が違ってくると思う。これは私は大変残念だと思います。 もう一つこれに関連してきまして、これは国際協力推進協会、亡くなられた牛場さんも理事長でおられたから御存じだと思いますが、この雑誌の中にアフリカの大使の会議というのがございます。五十九年度アフリカ大使会議、これを見てきましたらこういう項があるのですね。要するに「東側寄りの国であっても最貧国である場合や国と国とのコレクトな関係を保つためにはミニマムな援助は行う等関係はつないでいくべきである」とか「従来東側寄りとされてきた国の中にも、経済困難克服のためには西側の援助が必要との認識から西側寄りの姿勢をとり始めている国が散見されるところ、かかる動きを助長すべきであるとの議論」もあるということがここに出てくるわけです。今アフリカの飢えの問題がこれほど重大になりながら、アフリカにおける大使の皆さんの議論で、こういう人道上の立場から援助するのかどうかでなしに、東側寄りならば最低限にとどめておこうとか、少し西側に寄りそうな国ならうんと出そうとか、これはとんでもないと思いますが、人道主義とどういう関係でしょうか。こういうことがあってはならないと思いますが、どうでしょうか。
○安倍国務大臣 これは我が国の二国間のODA、特にLLDC諸国を含むところの低開発国に対するODAは全体の六、七割ということであります。ですから、あくまでもODAの中心が低所得国ということになっておるわけであります。そういう中で、確かにLLDCに対する援助が二国間援助全体で一割から二割ということもございます。これは一九八二年が一七%、一九八三年が一一%でありますし、また無償援助全体の二割ということでありますが、これらの諸国には、こうした無償援助を中心にしまして、量的、質的にも拡充に努めていかなければならぬ、こういうふうにも考えておるわけであります。 アフリカにつきましては、これは最近特に力を入れておりまして、過去十年間にシェアにおいては五倍以上になっております。また絶対額におきましては十五倍以上ということに増加をいたしておりますし、特に最近のアフリカの窮状、そういうものから、去年以来援助には特段の力を入れておることは御承知のとおりであります。援助は、先ほど申し上げましたように人道的な立場、相互依存ということで、別に東西という立場から援助をしておるわけではありません。エチオピアなんかは今や完全に東側の国と言えるかもしれませんけれども、しかし、エチオピアのああした惨状は見るに忍びないという立場から、人道的な援助を、これは政府だけではなくて、国民的な規模においても集中しているというのが実態であります。
○工藤(晃)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、我が国の経済協力の基本方向を人道主義、世界平和への貢献、民族独立への貢献という方に切りかえることを要求して、私の質問を終わります。(拍手)
○天野委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。 次回は、来る十八日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時三十九分散会