予算委員会 第9号
- 発言数
- 336 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/02/14
会議録
○天野委員長 これより会議を開きます。 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡山利春君。
○岡田(利)委員 私は、本論の質問に入る前に、きのうカネミ油症訴訟の判決が行われておるわけです。これはカネミ油症訴訟の全図統一第三陣の訴訟に対する判決でありまして、ちょうど昨年の三月十六日、福岡において第一陣の控訴審の判決が行われましたけれども、そこで初めてこの事件に対する国の責任が認められたのであります。そして昨日、同様の判決が行われたわけであります。 振り返ってみますと、昭和四十三年にこの事件が発生して、実にもう十七年もの長い時間が経過をいたしておるわけであります。したがって、被害者の救済という問題はもはや緊急を要する課題になっておるのでありまして、国はこの判決を素直に認められて控訴を断念されるのが最も妥当な道ではなかろうか、私はこう思います。 そしてまた、現在まだこの被害に苦しんでいる患者の救済をどうするのか、またこの治療の対策すらも確たるものがないという状況であります。また生活に非常にあえいでいる被害者も多いのであります。もちろん政府としてはこの案件に対して、きのうの判決でありますから今すぐ態度を決めかねておるかとも存じますけれども、法務省、農林水産省そして厚生省がこの判決に対する態度を決めると同時に、これらに対する対策についても当然積極的に取り組まなければならぬのではないか、私はこのように極めて厳粛に受けとめておるのであります。この点についての御答弁を願いたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 カネミ問題に関しまする被害者の皆様方に対しては、政府としても心からお見舞いを申し上げ、できるだけの措置を講じたいと念願しております。 訴訟に関する問題につきましては、内容が内容でございますだけに、我々も厳粛に受けとめなければならないと思います。ただ、判決の内容等につきましては、いろいろ法律的な観点からも検討してみる必要があると思いまして、今関係各省庁におきまして検討を開始し始めるというところであります。 具体的な問題につきましては関係各省大臣から御答弁申し上げます。
○佐藤国務大臣 岡田先生にお答えいたします。 カネミ油症事件の被害者の長年の御苦労に対し心から御同情申し上げるわけでございますが、判決に対しましてはまことに厳しいものがある、実はこう感じております。そんなことで、今総理から御答弁がございましたが、関係各省とも協議の上速やかに決定したい、こう考えております。 ただ、今まで、裁判の問題は別といたしまして二つの点で、一つは、厚生省によくお願いしまして、行政としての立場からとり得る措置をお願いしています。また我が省におきましては、会社がつぶれてしまっては事業の継続ができませんから、つぶれないためにはどうするかということで、事業の継続維持を図る努力をしているところでございます。
○増岡国務大臣 厚生省といたしましては、従来から油症に関する治療研究等できる限りのことをやっておるわけでございますけれども、今回国の主張が認められなかったことは極めて厳しい判決だと考えておるところでございます。今後関係各省とも協議の上、速やかに決定をいたしたいと思います。 なお、治療研究につきましては、これまでどおり、またさらに力を加えてやってまいりたいと思います。
○岡田(利)委員 今、総理からも答弁をいただきましたけれども、三月十六日の第一陣の判決が出る前に、福岡高裁は国に対しても和解の勧告を勧めたわけであります。この種の事件というのは過去非常に多いわけでありますから、従来の政府のこれらの問題に対する対応等から判断しても、私はやはり早目にこの対策がとられるように心から期待をいたしたいのであります。もちろん法律的な検討もいろいろあるでしょうけれども、要はこの被害に苦しんでいる人々に対して政府は一体どう政治の手を差し伸べるか、こういう人道的な立場にも立って十分対策を講じられますように心から強く希望を申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。 中曽根総理は、今年正月早々アメリカを訪れて、レーガン大統領と首脳会談を行ったのであります。ことしは総理は元旦を二回迎えられたようでありますけれども、私ども国民として、日米の首脳会談に対しては極めて重大な関心を持って注目をいたしておりました。お互いに、レーガン大統領が再選をされ、総理も自民党総裁に再選をされて、その後初めての首脳会談であります。また正月早々でもありますので、総理はレーガン大統領にたくさんお土産を持っていかれたのではないかと思うのですけれども、お土産の内容を発表できますか。
○中曽根内閣総理大臣 別にアメリカにお土産を持っていく必要はないのでありまして、新年おめでとうというあいさつ、あと私的に私は日の出の農場でつくったロン・ヤスと彫ってあるひょうたんを持っていきまして、それは非常に喜ばれました。日本ではこれにお酒や水を入れて飲むんだと言ったら、レーガン牧場でカリフォルニア・ワインを入れて飲みましょうとナンシー夫人が言って、喜んでおられました。 日米関係におきましては、今や別にお土産を持っていくとか持っていかないとかいうそんなかたい関係ではございません。全くフランクに、自由に彼我の感懐を述べ、そして世界の平和と繁栄のために協力し合う、そういう立場にございます。
○岡田(利)委員 日本には「ひょうたんからこま」という話もあるわけであります。ひょうたんをお土産に持っていかれて、ひょうたんから何かこまが出ましたですか。
○中曽根内閣総理大臣 世界の平和と繁栄を念願する日米協力というこまが出ました。
○岡田(利)委員 私ども国民の側から見ますと、どうも総理の土産は単にひょうたんだけではなくして、別途二つのお土産を持っていかれたのではないのかな、こう実は考えざるを得ないのであります。その一つは、十二月に日本とアメリカで調印をされましたいわゆる日米共同作戦計画案、そしてもう一つについては、いみじくもロスで総理が述べられたように、今度の予算編成に当たって他の歳出は私としては厳しく抑えた、だがしかし防衛費六・九%、そしてまた政府援助についての予算は最大限伸ばした、このような予算の伸びを示しているのはNATOの諸国でもないと言って胸を張られたと実は報道されておるのであります。まさしくその言動から判断をいたしますと、この防衛費の突出六・九%、GNPO・九九七%、この予算の内容を今回の会談のお土産に携えたのではないのか、こう勘ぐりたくなるのであります。この点については偏見ですか。いかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 日本の防衛は、日本独自の見地に基づきまして、日本列島の防衛を主に、「防衛計画の大綱」の水準を達成しようという努力の一環として行われておるのでございます。先ほどの日米共同作戦計画というものは、長い間両国の専門家の間で討議され、研究されました要するに研究でございまして、これは時間が来て、それがちゃんとまとまったというようなものであります。 それから防衛費の問題は、日本の防衛を全うするために必要最小限の経費として私が党と相談をして決めたものでございまして、別にアメリカを見てやったというようなものではございません。
○岡田(利)委員 そこで、私は日米共同作戦計画についてお尋ねをいたしたいのでありますけれども、もう脇に本委員会でもこの問題は取り上げられておるのであります。今回のこの共同作戦計画は、もちろん日米安保条約に基づいて、そしてまた「日米防衛協力のための指針」、こういうものに基づいて長い時間がかけられて作成されたものと思うのであります。しかしながら、この共同作戦計画を進めるに当たって一体どのような手続がとられたのか、まだ明らかにされていないのであります。そしてまた、総理は一体この作戦計画について逐次どのような報告を受けたのか、同時にまた、この作戦計画についてそれぞれ制服の代表者が署名するに当たってどのような会議で最終的に了承を与えたのか、依然不明なのであります。この点について明らかにしていただきたいと思います。
○加藤国務大臣 日米共同作戦計画の研究は、委員御指摘のとおりガイドラインに基づいて行われておりまして、ガイドラインが決定されました五十三年の国防会議及び閣議で防衛庁長官が責任を持ってやるということが了承されて、その前提のもとにスタートいたしております。そして、確かに制服組がやっておりますけれども、その研究につきましては内局が随時その内容を把握し、防衛庁長官に報告があり、そしてそれぞれの主要な段階では防衛庁の方から総理大臣にその巡行状況、内容等を御報告いたしておりますので、シビリアンコントロールの面からいいましても万全の体制をとってやっておるつもりでございますし、その自信はございます。 詳細に総理大臣に何月何日御報告したかにつきましては、政府委員より詳細にお答えさせたいと思います。
○岡田(利)委員 ガイドラインに基づく場合は、当然これを担当する委員会というものが存在いたしておるわけですね。私の認識では、日米防衛協力小委員会がこの日米防衛協力のための諸問題については随時協議をする、こう位置づけられておるものと判断をいたすのであります。しかしながら、どうも今回の日米共同作戦計画の作成に当たって最終的にこれらの委員会に報告されていない、いわばこれらの委員会に付託することを、承認を求めることを省略したのではないか、こういう認識があるのでありますけれども、この点はいかがですか。
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。 ガイドラインにおきまして、この共同作戦計画の研究につきましては自衛隊と米軍との間で行うということがうたわれておりまして、したがって、その実施態勢は、我が自衛隊で申しますと統合幕僚会議の事務局、それから米軍で申しますと在日米軍司令部が担当をすることで進めるということが了解をされておりますので、その点につきましては共同作戦計画の研究という形で現在まで進めてきておるわけでございまして、特段にこの小委員会なりあるいはその上部機構にこの内容そのものを報告するということが予定されているものではございません。
○岡田(利)委員 しかし、日米安保条約全般に関する運用については外務省の所管であり、外務省の北米局がこれを担当いたしておると思うのであります。したがって、当然防衛庁だけではなくして、外務省もそういう意味で重大な関連があると思うのでありますけれども、この作戦計画について、外務省は、この計画が検討されて調印されるまでの間、随時相談にあずかったのかどうか、この点について明確にお答え願いたいと思うわけです。
○栗山政府委員 防衛協力小委員会との関係につきましては、先ほど防衛庁の方から御答弁申し上げたとおりでございます。外務省といたしましては、防衛庁の方から共同作戦計面の内容等につきましては、必要に応じ通報、連絡を受けております。
○岡田(利)委員 この通報を受けておる問題について、どういう段階、段階において通報というか連絡あるいは説明を受けておるかという点について、私の方に明らかにできますか。
○栗山政府委員 具体的にいかなる段階でどういう内容について説明を受けたかということについての御説明は差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、案の作成の段階で外務省としてはその内容につき必要に応じ説明を受けておりますし、最終的に作成された研究案につきましても同様に説明を受けております。
○岡田(利)委員 実は私が説明を受けておる資料の中には、今の答弁の面については欠落しているわけですね。私はこのことは非常に重要問題だと思うのです。いわゆる我が国のシビリアンコントロールというものを確実に、しかもより機動的に常に発揮される一つの条件として、本件を私は非常に重要視するのであります。北米局長は今私に随時連絡を受けている、通報を受けている、こういうことを述べられておりますけれども、しかし、私どもが防衛庁から受けている説明の中にはその点は欠落しているわけですね。しかしながら、日米安保条約の運用上の問題としても、本件から考えれば極めて重要なポイントじゃないかと思うのです。その点については間違いがありませんか。外務大臣、いかがですか。
○安倍国務大臣 事安保条約の関連につきましては、外務省は防衛庁から正確に連絡を受けております。
○岡田(利)委員 この安保条約に関する問題ですが、ただいまの問題も含まれておるという外務大臣の答弁だろうと思うのです。この問題は、予算委員会の理事会にも委員長預かりになっておるわけです。この内容がどこまで出せるのかということが一つの問題であります。全部の書類は出せなくても、相当な、やはり大綱的なものは出してもらわなければ、国会としてのシビリアンコントロールに問題があるのではないかということを指摘をいたしているわけであります。これはいつ、どの程度の範囲のものを出すということになっておるのか、この機会に明らかにしていただきたい。
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。 御指摘の問題につきましては、先般来当委員会におきまして種々御議論がございまして、その経緯を踏まえまして理事会において協議をしていただいているものと承知をいたしております。私どもの考え方は、先ほど来御説明申し上げておりますように、この研究内容自体は非常に機微にわたるものでございますので、これは公表をしないという考え方を持っております。そういう点につきましては今後とも引き続き御理解を賜るように努力をいたしたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、作戦構想の内容につきましては、その骨格はガイドラインの中に示しているところでございまして、その辺のところも含めまして御理解をいただくように努力を重ねていきたいというふうに存じておる次第でございます。
○岡田(利)委員 私も理事の一員でありますから、この問題をここでこれ以上進めるということについて若干問題点を感ずるのであります。しかし、一応私の受けた説明資料の中には外務省の関係というものは含まれていない。これは明確だと思うのです。したがって、今私の質問に対してそういう答弁をするが、そういう状況判断からすれば事実と違うのではないか、こう言わざるを得ないのであります。しかし、この資料を今ここで出すわけにまいりませんから、今後また理事会でこの点について究明をするということにして保留しておきたい、かように思います。 そこで、次の問題でありますけれども、既に衆議院、参議院の補正の中でも、今回訪米に当たってのいわゆる戦略防衛構想についての問題がいろんな角度から質問されておるのであります。私もこの問題について総理の答弁を聞いておるのでありますけれども、総理は極めて楽観主義者だなという実は感じがいたすのであります。アメリカ内部であっても、いろんな意見が今日出されておることは総理も御承知のとおりであります。特に、この構想を進めることによって、逆に宇宙の軍拡競争が果てしなく始まっていくのではないのか、こういう懸念というものは非常にアメリカ内部でも大きいのであります。 あるいはまたストックホルムの年次報告の中にも、この問題について触れられておることは総理も御承知ではないかと思います。その内容は「米ソ双方ともに、核兵器の一部が相手の目標に到達できるようにするため、攻撃核兵器を大幅に増やすであろう。こうした弾道弾防衛システムは核軍拡を抑制するどころかかえって加速するであろう」こういう見解をこの年次報告は述べておるのであります。またアメリカの内部でも、アメリカ議会に対する資料の中で述べられている点をここで取り上げて申し上げますと、確かに「「長期的には、SDIは……核兵器の大幅削減、さらに究極的にはそれらの廃絶」への手段としながらも、「抑止力を顕著に高めるために、一〇〇%の防護を提供する必要はない」」のだ、こういう重大な基本的な考え方の変更と思われるものが資料として出されておるわけであります。この意味は、都市を一〇〇%防衛するというのではなくして、いわば相対峙しているミサイルの基地を防衛する、そのことで十分足りるということを意味いたしているわけであります。そういたしますと、ミサイルとSDI、これはちょうどやりと層との関係になると言わざるを得ないのであります。私はそういう点についてアメリカの議会の資料は非常に大きな問題を投げかけておるのではないかな、こう思うのであります。ですから、このアメリカの議会の資料でもこういうことが述べられておる問題でありますから、我々国民がこの問題について疑念を表明することは極めて当然だ、かように思うのであります。 そういう意味で、私どもはこのSDIに対する認識は総理のような楽観主義ではなくして、むしろ宇宙における軍拡競争が一段と激しくなっていく。もし一方において一方的にSDIの研究を進め、この配置を進めていこうとすれば、一割でもあるいは〇・五%でも大陸間弾道弾が相手に届くように核弾頭を大幅にふやしていく、あるいはまた移動性、低空を飛ぶ巡航ミサイル、そういう新たな兵器を開発していく、もちろんSDIの総合的な配置も当然行われていく可能性があると思うのであります。いわばそういう意味で、世界の経済そのものが軍拡によってさらにいびつになっていくような状況すらも私は予想されると思うのであります。したがって、総理のこの楽観主義というものは、私はむしろ国民のためにも、また世界の資源というものを軍拡から解き放すという観点に立っても、あるいはまた平和軍縮の総理の言う施政方針の趣旨からいっても、この問題についての考え方を変える必要があるのではないか、こう思うのでありますけれども、私の一連の指摘について総理の見解を求めたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 SDIにつきましては、このお正月のロサンゼルスの会談でレーガン大統領自身から私に対しまして、それは防御兵器であり、非核兵器であり、そして核兵器の廃絶を目的とするものである、そしてこれはまだ長い研究を要するものであり、この研究の情勢によってソ連とも話し合う、そういうことを聞きまして、私は、非核であり、防御兵器であり、かつ核兵器を地球上から完全に追放するための一つの方法としてこれが研究されるということについては理解を示した、こういう態度でございます。しかし、SDIのその意図はよくわかります。そういう意図を表明するについては、研究もある程度進んでいるのではないかと思います。しかし、その具体的内容等については、いずれ研究の成果が出てきたときにわかってくるものでございますから、常に情報を日本に与えるように、また必要に応じて協議してもらいたい、そういうことを言いまして、先方は了承したわけでございます。私は、以上のような意図を持っておる新しい兵器体系が出て、核兵器を地上から抹殺することができれば非常に大きな前進である、そう思うのであります。そういう意味において今後の展開と推移を見守っておる。 ここで大事な点は、この開発研究が進むにつれてアメリカはソ連と話し合うと言っておることであります。これは恐らくソ連との間で、核兵器廃絶を目的とするためにこの発展に応じて話し合うという態度を持っておるのである、そう思います。また、今回のSDIの研究というものの影響も受けて、ジュネーブ会談が開かれたという面もあるのではないかと予想しております。ジュネーブ会談において、米ソがともかくテーブルに着いて、世界の平和と軍縮のために四つの分野に分けて具体的話に入るということは大きな朗報でございます。全世界がその成功を祈っていると思うのです。SDIというものに触発されてかどうか、ともかくテーブルに着いて氷が解け始めつつある、薄日が差し始めつつあるという情勢がもたらされたことは、私は大きな前進でもあると思うのです。国際政治におきましては、やはりそういう具体的な、着実な段階をたどって平和と核の軍縮というものは進むのでありまして、そういう現実的な方法に一歩ずつ前進していることを私は歓迎するものなのであります。
○岡田(利)委員 しかし、総理は反面、我が国の憲法や我が国の国是、こういうものを十分念頭に置いて今後の推移に対処してまいりたい、こういうことも実は述べられておるわけであります。そのことはSDIの持つ危険性といいますか、軍拡への歯どめになるのではなくして、むしろこれをより促進する結果にもなりかねないというもろ刃のやいばの効用もあるのではないかという心配があるのではないかと私は思うのであります。私は、この計画がこのままもし進められていくとするならば、レーガン大統領は歴史に平和の名誉ではなくして、軍拡の悪名を残すことになるのではないか、それに加担した中曽根康弘総理大臣も、いわば軍拡に加担をし、我が国の国是に反する行動をとった、そういう悪名が歴史に刻まれるのではないか、こう心配をするのであります。 先般参議院でも――当委員会の質問で総理は答えられておりますけれども、当面の問題として、既に技術協力の問題は公式、非公式を問わず、大体確かなる情報のように向こうの協力要請が伝えられておるのであります。それに光電子とかミリ波の問題が既に報道もされておるのであります。この場合には、私は、単にこういう技術を提供するというためには、その技術者、科学者が積極的に参加をしなければこの技術の提供というものは実際できないのではないか、こう思うのであります。いわば武器輸出と同じように技術の輸出にとどまらないで、我が国の科学者、我が国の技術者がその研究に参加をしてその技術を提供していく、ハイテクの場合にはこういうことにならざるを得ないのではないかと思うのです。いわば表裏一体の関係にあるのではないか、こう思うのであります。 そういたしますと、武器技術供与の閣議決定が既に五十八年になされておりますけれども、これとまた別な意味合いを持ってくるのではないのか、こう思うのであります。総理も答弁の中では、この武器技術供与の閣議決定には触れないで、そのときそのときの状況で十分判断をしてこの技術を提供するかどうか判断する、こう一応とどめておるのでありますけれども、この関連の問題についてどう考えられておるか。同時に、技術の提供と科学者や技術者を積極的に参加をさせるという点についての区別を明確に持たれておるかどうか、見解を承っておきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 岡田さんが申されましたように、私は、この将来の問題につきまして、どういうふうにどういうものが出てくるかわからないと思っておりましたから、用心深く日本の憲法あるいは日本の国是、政策の範囲内において我々は行う、そういうことをちゃんと留保しておいてあるのでございます。その意味の中には、武器技術というような問題が将来出てくる場合のことも頭に置いて、それは今まで我々が国会の御承認を得、また政府の政策として国民から承認されている、いわゆるアメリカとの武器技術の取り決めの枠内においてこれは当然やるべきものである、そういう点についても用心深く先回りをしてちゃんと留保しておいたわけなのでございます。どういうものが出てくるか、ともかくそれが出てきたときに、今のような立場に立って、日本の独自性を守りながら、我々独自の立場において主体的に判断をしていく、こういう立場を貫いてまいりたいと思っております。科学者の協力とか派遣とかそういうような問題につきましても、今申し上げたような立場に立って行うということでございます。
○岡田(利)委員 そうしますと、五十八年、本委員会でも大変問題になったのですね、武器技術輸出の関係。武器技術の提供の関係とSDIに対する技術の提供の関係と区別して考える、こう理解してよろしいですか。
○中曽根内閣総理大臣 憲法及び国是あるいは日本の国策の範囲内ということを言っておりますのは、今まで国会の中で御議論もされ、我が政府が皆さんにお約束してきたその範囲内において行うということで、SDIに関しましても、それは日米の武器技術供与に関する既存の枠組みの中でこれが行われる。もしそういうことが行われた場合でもそういうことであろう。しかし、その判断の場合には、それはどういうものが出てきてどういう影響を及ぼすかというような点については、厳密な検討を必要とするであろうと思います。
○岡田(利)委員 冷静に総理の答弁を聞いておりますと、やはり建前と本音が違うんだなという感じがしみじみとするわけですよ。いわゆる武器技術の輸出の関係とこの問題というものは、前回答弁したと同じような文脈の中で判断をする、こう言うのでありますから、そうすると既にこの面は穴があいているわけでしょう。だから別々のものではない。五十八年の閣議決定のいわば枠内で判断をするのだということになるわけですから、態度としては別に真新しいものではないのではないですか。いかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 そうです。別に真新しいものではないです。
○岡田(利)委員 総理がそう答えられると非常にわかりやすいのです。ところが、総理の説明の文脈を聞いていると、ごまかされちゃうわけですよ。私も非常に不思議だと思って聞いておったわけです。しかし、総理はこの問題についてはそういう見解があるけれども、さらに念には念を入れるという意味を述べているのですか。
○中曽根内閣総理大臣 今までの我が方の立場を堅持しつつ、出てきたものについて判断をする、そういうことでございます。
○岡田(利)委員 時間もありませんから、また同僚の議員がこの点専門的に質問しますので、次に進みたいと思います。 次に、私は、日米会談の経済的な文脈の面についてお聞きいたしたいのであります。 総理は、首脳会談でレーガン大統領から、特に異例とも言われる四項目について提案を受けて帰られたのであります。だがしかし、総理が帰られてすぐ、木材の関税引き下げについては、その後訪米された二階堂自民党副総裁がブッシュ副大統領に対して、木材の関税の引き下げはできないという趣旨のことを申し入れをしました。また金丸自民党幹事長も、レーガンに対して同様趣旨の見解を述べておるのであります。いわば本件は農産物と全く同じであって、決着済みだというような認識が一致しておるものと、こう思うのであります。こういう点について総理は一体どのような感想をお持ちなのか、聞きたいと思います。 あるいはまた通信機器のような場合、この場合もずっと調べてまいりますと、せっかく電電公社が政府調達の五〇%を受け持っているわけです。そういう努力をしておるのでありますけれども、一方において、我が国の通信機器の輸出はどんどん伸びているわけであります。これを五十八年で見ますと、輸入の方は大体十分の一強ぐらいなんです。十倍近くも輸出をされておるということであって、これは昨年も同様の傾向をたどっておるのであります。 ですから、こういう問題は全然触れないで、アメリカ側の要望を一体どう消化をするのか、こういう点で問題を受けとめるという点について問題があるのではないのか。いわば、日本は今アメリカの産業の資材倉庫のような、資材供給基地のような観もあるわけであります。そういう根本的な問題を掘り下げて考えてみなければ、この問題は基本的に解決しないのではないのか。あるいはまた、医療の問題についても同様であります。医療機器や薬品の問題、薬品などは基準なども違うのでありますから、よく添加物などの場合にそういう問題が出るのであります。そういうものをもう少し掘り下げて検討しないとそう簡単にオーケーというものは言えない仕組みのものではないか、私はこう思うのであります。 あるいは石炭などについては、インフラの関係から見れば、国際的に見て圧倒的に高いものになってしまうわけであります。千七百キロも内陸輸送があって、一万二千キロも船で運ばなければならない、こういう状況にあるわけですから、高いものを買うというわけにはなかなか産業界は動かないのであります。ですから、そういう問題が既に厳然として存在しておるのでありますから、そういう点を掘り下げて、やはり静かなる検討を続けていくという姿勢が大事ではないか、こう思うのです。 しかし、総理はいとも簡単に、私がチェックをして、三月までに解決するように努力をする、いわば新聞では、泣かせる文句だ、こう言っていますね。まさしくそうだと思うのですよ。これを聞いたレーガン大統領はやはりいたく感激をしたのだろう、私はこう想像いたしますね。 しかしながら、私はそれでは足らないと思うのであります。今日、日米間における基本的な経済関係の問題、マクロ経済において解決しなければならぬ問題、その中の中心になっている課題、こういうものについて、第二期目を迎えているレーガン政権が新しく発足をするのでありますし、ソフトランディングの新しい経済政策を打ち出してまいるのでありますから、そういう中で、真にこれらの問題について総理から発言を求めて、日米間で意見を交換するということが基本的でなければならぬ、このことが首脳会談の基本命題ではないか。我々国民は、この会談の内容についていたく失望いたすのであります。この点についてはいかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 ロサンゼルスにおける首脳会談におきまして、レーガン大統領より四項目にわたる要請があったことは事実でございます。何しろ先方は、この年度におきまして三百五十億ドル以上に及ぶであろうと予想される貿易の対日赤字というものを抱えておりまして、アメリカの国内、特にアメリカの国会筋におきましては、日本との関係はこのままでいいのか、そういう面から保護主義の台頭が今非常に憂えられてきておる状態でございます。もちろん、アメリカの輸入超過という現象は、日本と南米あるいは日本周辺の途上国あるいはNICSと言われる国々あるいはECの国々の倍率を見ますと、ECや南米等々の国々からのアメリカに対する輸出は日本の率よりもはるかに大きい率になっておる。ただ、六百億ドルの輸出の中で三百五十億ドル以上も日本が黒字になるという面からこれは目につくわけです。そしてアメリカの千二、三百億ドルと予想される赤字の三割強近くが日本の輸出から来ているというような印象をアメリカの議員や国民は持っておる、事実としてそれだけの金額に上る危険性は十分あるのでありますから。 理屈はいろいろあります。私もレーガン大統領に、まずアメリカの高金利を直してもらいたい、彼我の金利差が五%という状態のもとにおいては円は安くなり、円が安くなればどうしたって輸出が伸びる、これをほっておいていかに我々が努力したってそうできるものではない。そういうこととか、アメリカ自体が日本に対してもっと売り込みに熱心になってもらいたい。フランスは去年これだけのフェアをやった。ドイツもドイツ博をやった。フランスの場合には非常に売れたのでもう一回やろうというくらいになってきておる。したがって、努力をすれば日本の市場には入れる要素もあるんです。アメリカは、それから見れば別にフェアをやったこともないし、むしろ日本は、ことしは名古屋でアメリカ・フェアをやってアメリカ商品を売る、そういう協力を名古屋やジェトロがやっておる。日本側としては、日本の代表的な経済関係の婦人等を三十人もアメリカへ派遣して、アメリカの各州を回って、そして家庭用品やその他いい物を買わしている。そして約三十万ドルの成約がそのとき直ちにできた。あるいは今後の契約率等々を見ると、大体三百万ドルくらいにはなりそうだ。日本側としてはこれくらいの努力すら実はやっておる。アメリカ側はそれに匹敵するような対日売り込みの努力をしているかと、私はレーガン大統領に最高首脳会議の席上でそういうことまで言って、そしてアメリカ側の努力の不足を指摘してきておる。それは向こうも黙っておりました。そういうことをお互いが努力し合いながら、この難関をお互いに協力して解決していきたいということであります。 そういう面から、ともかくアメリカ国会において課徴金であるとか対日差別撤廃法案等でも出されたら、これは日本の景気が一遍にダウンして不景気になってしまいますから、それを予防して、先制的に日本がそういう場面に陥らないように努力するのは政治の当然の今の仕事であります。そういう意味において、日本は総理大臣以下先頭に立ってこの問題解決に懸命の努力をしているという誠意を示すことは非常に大事なことである。私は、そういう意味から自分でチェックする。そのことは資本及び金融の自由化の問題について、竹下・リーガン会談及び大場・スプリンケル会談等によってかなりの成果を上げてアメリカも喜んでおる。ああいうモデルがあるからほかの問題についてもそういう努力をしよう、やったらどうですか、そういう話をして、そして今のようなものもできた、しかし木材は難しいですよと私は言っておるのです。それは日本の環境の保全、緑の問題、水資源の問題、災害の問題、そういうものも係ってくるし、現在の森林保全という面から見ても、今のような木材の価格の低迷状態で非常に苦労している状態ではなかなかこれは難しい。しかし、努力はするが継続審議だ、継続的に努力しよう、そういうことをちゃんと私は言ってきておるのであります。この間、ブロックさんが来ましたときも重ねてそのことは言っておる。 それで私は、帰ってきまして、言ったことは実行しなければいけませんから、閣議でまず閣僚諸公に、こういうことを言ってきているから次官を督励して、各省に次官を中心にする委員会をつくって、自分の省の関係事項については対策を直ちに進めてもらいたいということを要請をして、それが進められている。そしてさらにアメリカもやってまいりまして、次官同士くらいのクラスで今話が進められておる。私は大体大事な省の次官を自分で呼んで、どういう状態である、これからはこういうふうにやりなさい、大蔵省の場合はこうである、そういうことも指示しまして誠意を示す。大体、今まで日本の公務員は非常に忠実であるから、ややもすれば逃げの姿勢をやる、あるいはあいまいな答弁をする、これが日本に対する不信感になっておるのです。だから、そういうふうな逃げとかあいまいさというものはこの際は出してはいかぬ。端的に正札で勝負をしろ、真剣勝負をしろ、そういうやり方まで指示しまして今やらしておるのであります。今後も努力していくつもりでございます。
○岡田(利)委員 総理は、部内に指示をするときは建前よりも本音を優先させる、国会では建前を優先させて本音を隠す、こんな感じが私はしてならないのであります。日米首脳会談の新聞発表の記事もありますけれども、今とうとうと述べられた、そう長くはなくとも基本的なポイントというのはこういう新聞発表の中に明確に述べるという姿勢がなければ、国民は、どうも中曽根さんはアメリカに行ったら防衛費突出のような要らないことは言うけれども、あとの肝心なところは日本に帰ってきてからこう述べてきたという説明をする、こんな印象があるのであります。そういう不信感というものを持たせないためにも、公式に発表される新聞発表などには、長くこの問題を述べる、こういう期待はしませんけれども、極めて重要ポイントについては日本側の主張として述べる、こういうことを私は強くこれからの日米関係において期待をいたしたいのであります。そういう意味で、今回のこの経済的な文脈の面では残念ながら画竜点睛を欠いておる、こういう厳しい指摘を私はせざるを得ない、こう思います。 次の問題点として、私は太平洋協力の問題についてお伺いをいたしたいのであります。 この協力の問題については、ごくさらっと触れられただけのようであります。また新聞発表についても、特段この問題については触れられていないのであります。しかしながら、日米首脳会談の中ではこの問題について相当触れられたのではないか、こういう感じもするのであります。そして、先般一月三十一日、アメリカの外交政策を語る公聴会においてシュルツ国務長官は次のように述べておるのであります。「アジア諸国間で広範な協力があることに勇気づけられる。地域協議が拡大されており、地域安全保障における共通利益を発展させるとの認識も存在する」こう外交委員会において証言をされておるのであります。このアメリカの環太平洋構想、いわゆる太平洋協力については、アメリカの政策が既に発表されております。いわば太平洋共同体を目指す、そういう文脈になって構想が述べられておることは恐らく総理も御存じだろう、こう思うのであります。しかし総理は、その後南太平洋に行って、中曽根ドクトリンとして太平洋協力についての考え方を明確に述べられています。そこには軍事的な共同体の文脈はないのであります。しかしながら、日米では一方において太平洋協力についての原則的な合意がある。もちろん、この合意の中にも安全保障面については触れていないということは明らかであります。だがしかし、日本の太平洋協力に対する基本的な考え方とアメリカの環太平洋構想から出てくる基本的な考え方、当面は、人事の交流あるいはまた経済の交流、文化の交流、こういう面で一致はするけれども、アメリカの目指すのはこの共同体構想であり、中曽根さんが言うように、この原則が偽りがないとするならば、そこでどうも折り合わない面がある、こう思うのであります。しかし、今日の日米関係からいえば、どうもこの二つの面は結局は同心円になっているのではないのか。そして、中期で見るか長期で見るかによって変わるのではないのか、こういう心配があるのであります。この点について明確な御答弁をいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 太平洋協力につきましては、私は、日本の国会におきましても、あるいは新聞記者会見等におきましても、いわゆる四原則の内容を申し述べてきました。ロサンゼルス会談におきましても、同じ今のような四つの原則を述べて、我々は慎重に対処する必要があるということを言うたのであります。 その一つは、まず第一に、これは経済、文化、技術等を中心にして、軍事的、政治的目的を含まない。それから、ASEAN等を中心にする。特にASEAN外相会議の機能というものを重要視する。それから、排他的でない。常にこれは窓を開いておくという原則にする。そして、民間を中心にして奨励していくのが望ましい。この四原則を述べまして、そしてレーガン大統領も、その考えは非常に自分も賛成である、そういうことを言いました。 初め、アメリカは太平洋協力についてはかなり積極的な考えを持っておったようですが、フェアバンクス特使が太平洋の国々を回ってみて、そしてASEANやその他について独自の考えがあるということがわかって、これは慎重にやらなければいかぬなという考えになったのじゃないかと思います。私がそういうことをロサンゼルスで言いましたときには、先方もよく事情を理解しておって賛成したわけであります。私は、アメリカが賛成したから結構だなと。そういうことで、今度はオセアニアに参りましたときにも同じようなことを申し上げてきた。 こういう考えで、徐々に、着実に経済、文化等を中心にして、太平洋の交流、提携が進んでいくということが現在の段階である。軍事的なことや政治的な結合というようなことは、もちろん考えておりません。
○岡田(利)委員 時間がありませんから次に進みますが、総理は、五月の二日から四日、ボンにおける先進国の首脳会議、サミットに出席をされる、こういう外遊日程が既に決まっておると思います。同時に、九月十七日、第四十回の国連総会に総理が出席をされて演説をされるのかどうか、これまた我々は非常に注目をいたしておるのであります。九月の時期になりますと、国際的な情勢も全体的に今の枠組みが濃度が濃くなってくるのではなかろうか、こういう感じがするのであります。また、伝えられるところによると、総理はこの七月、八月ごろには中東、アフリカを訪問する、外交展開をする、こういう意思もお持ちのように報道されておるのでありますけれども、この日程は確定いたしておりますか。
○中曽根内閣総理大臣 ボン・サミットへ出席することは確定しておりますが、それ以外はまだ確定しておりません。しかし、やはり日本がこれだけ大きな力を持ってまいりますと、世界に対する影響もあり、また世界において安定した地位を確保していくためにも、箱時日本の外務大臣あるいは総理大臣あるいは関係閣僚が各国へ行って、そして友好親善を上げていくということは非常に大事なのであります。 最近見ましても、例えば国連の経済社会理事会の議長に日本の外交官がなったとか、OECDの経済開発関係の議長に日本人がなったとか、ガットの理事会の議長に日本の大使がなったとか、あるいは国際司法裁判所の判事に小田判事がまた再選したとか、あるいは軍縮会議におきましても日本が委員長を占めるとか、日本の外交官や日本人が相当国際機関、国際会議の長に今選任されてきておる。これは一朝一夕にしてできるのではないので、日本の国力あるいは日本国民のそういう国際意識、それから外務当局やあるいは日本の各省、民間団体の常時絶えざる世界各国に対するそういう積極的な交流やら誠意の努力の成果がだんだんだんだんそういうふうに実ってくる、また日本にそういう人材が養成されて国際機関にも顔を売った人間が出てくる、こういう結果できておるのでありまして、そういう意味におきましても、これだけ経済的に世界に影響力を持っておる日本は、今後もそのような外交活動を積極的にやって日本の国際的地位を確保していくということは非常に大事であるということをこの際強調申し上げたいのであります。
○岡田(利)委員 ボン・サミットの中で、恐らく今回の議題として経済問題も取り上げられるでありましょう。私は、その場合に、日本とECの関係の中で、いわゆるドル高問題に対する認識の落差というものが表面的に出るのではないか、こういう感じがするのであります。日本の場合の考え方は一貫しておるのでありますけれども、最近のアメリカ経済の動向とにらみ合わせますと、欧州の関係は、余り極端なドル高は別にして、ある程度のドル高についてはむしろ住み心地がいい、そのことが欧州の経済にとっても景気の面からもいいし、同時にまた、EC通貨の安定もむしろそのことによってできる、こういう認識が最近強まっておるのではないかと思うのであります。そうしますと、ECと日本との関係で、このドル高問題について認識の落差というものが当然生まれるのじゃないか、既に生まれつつある、こう思うのでありますけれども、これらが議題になる可能性があるとお思いになるかどうか。 同時にまた、通貨問題というのが研究課題として取り上げられるかどうか。いわば通貨問題というのは、通貨の改革の面を含むのであります。一方の説によりますと、既に通貨問題については、アメリカではまあ金本位なんていうことはなかなか難しいでしょうけれども、金準備というものをある程度リンクさせる、こういう新しい通貨政策等について検討されておる、実はこういう説もあるのであります。この点について政府の見解を承りたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 ボン・サミットにおける討議事項については、首脳の個人代表が累次会合いたしましてそれを詰めている段階でありまして、まだ別に決まっておりません。しかし、今までの例等から見ますと、世界経済にわたる問題等は当然出てくる問題であると思いますが、各国がいかなるポジションを持つかということはその直前になってみないとまだ何とも申し上げられない状態です。
○岡田(利)委員 今回、米ソの関係改善という面で包括的な軍縮交渉が恐らく四月ごろから正式に開始をされるのではないか、こう言われておるのであります。また、シュルツ長官も三月日本に来て、その後ソ連を訪問するのではなかろうかというような情報も伝えられておるのであります。 私は、今回のアメリカとソ連の外相会談で合意された中で、見落としがちな重大な文脈があるのではないのか、こう思うのであります。それは何かというと、軍縮交渉以外に今までアメリカがソ連側に提起をしておりました地域問題、あるいは米ソの二国間問題についても話し合いたいということがアメリカ側から投げかけられておったのであります。この会談の中で、これらの問題についても米ソ間で話し合う、こういう合意に達したという面があるのであります。私はこの意味を非常に重要視いたしておるわけです。 地域問題であれば、まず当面中東問題であります。エジプトの大統領は近くアメリカに渡って、米ソ間で中東問題を論議するに当たってエジプト側の意見を述べたいということも既に訪米の目的の一つに加えられておるのであります。したがって、米ソ間で中東問題について積極的にこの問題の解決について話し合いが行われる、二国間の問題についても話し合いが行われる、しかもそれは専門家レベル、すなわち局長クラスで全般的に行われていくということになっておるのであります。 私は、この面の進みぐあい、この協議の前進していく方向、一方において包括的な核軍縮交渉が行われる、相当時間がかかるでしょう。一方においては、ソ連の問題についても対話が始まる、貿易関係についても関係改善が行われる、今度はワシントンでこれらの会議も行われるという日程が既に決定をしている。と判断をすれば、米ソ関係改善の中で、米ソ首脳会談というものが、いわばこれはやれば十回目でありますけれども、過去のように、SALTⅡとかそういう一つの交渉の協定時に首脳会談が行われるということももちろん想定されるでしょうけれども、そこから離れて、アメリカとソ連が率直に二国間の問題を、地域問題というのは中東のみならずアフリカの問題もあるでしょう、中南米の問題もあるでしょう、そしてまた米ソ二国間の問題もあるでしょう、これらの全般について話し合いをする。そういう意味では、核軍縮交渉は相当時間がかかるけれども、その過程においても米ソ首脳会談が開催される可能性があり、また総理は、そのことを期待しているという認識をアメリカで述べられたかどうか、この点について私は見解を承りたいのであります。
○中曽根内閣総理大臣 私は、前から申し上げていることでありますが、米ソ首脳会談が十分なる準備を持って実りある会談が行われることを、できるだけ早く開かれるように期待もし、そういう環境醸成に努力してまいりたいと思っております。これは一貫しております。 そういう会談が行われる場合には、軍縮の問題もありましょうし、あるいは中近東そのほかの世界情勢に関する問題も当然行われるでしょう。しかし、そういうような会談が行われるについては、やはりある程度着実な準備とそれから実りのある成果を期待する、そういうことで行われるのでありまして、今どうということは何とも言えない状態だろうと思います。
○岡田(利)委員 今日の国際情勢から判断しますと、余りにも地域問題の解決が遅い。あるいはまた、中南米を見てもアフリカ問題を見ても、いわば東西関係の中でこれらの問題についても問題点が整理をされることが解決に近づく極めて望ましいことである、こういう認識も私はあるのではないかと思うのであります。少なくとも、そういう米ソ関係が全般について話し合いができるような環境づくり、このために我が国もその役割を果たすという意味のことを今総理が述べられたと思うんでありますけれども、そういう積極的な努力を私は期待をいたしたい、かように思います。 次に、ちょっとこれは離れるのでありますけれども、昨年、アメリカ海軍の演習でフリーテックス85が行われたわけですね。そして、この中で日米の共同対潜訓練というものも行われているわけであります。対潜訓練といえば、アメリカのいわゆる航空母艦を日本の海上自衛隊の護衛艦が防衛をする、こういう側面があっただろうと思うのですね。しかも、これには、三空母機動部隊三十隻が参加をし、第七艦隊のみならず第三艦隊もこの演習に参加をいたしておるのであります。これに当たって吉田海上幕僚長は、海上自衛隊の、フリーテックス85に参加をしたいという希望を実は記者会見で述べられたとも伝えられておるのであります。いわば今回の日米共同対潜訓練はフリーテックス85に参加をした、こういう認識でよろしいかどうか、承りたいと思います。
○大高政府委員 お答え申し上げます。 海上自衛隊は、昨年の十一月の十五日から三十日までの間でございますが、本州の東南方海域におきまして、昭和五十九年度の第二回対潜訓練を実施いたしました。この対潜訓練の末期でございますが、二十七日から三十日の早朝にかけまして、米軍が別途独自に実施しておりますフリーテックス85と申す訓練、先ほど先生御指摘の訓練でございますが、これに参加中の米空母部隊三個機動部隊でございますが、これが北上いたしてまいりましたので、その際に、この空母部隊の方から戦術情報の提供等支援を受け、効果的な訓練を行ったということでございまして、フリーテックス85と、それから我が海上自衛隊が米海軍と行いました日米対潜共同訓練は全く別個のものでございます。
○岡田(利)委員 私は、少なくともフリーテックス85がずっと計画が組まれていて、十一月十五日から三十日の間は今度はここだけが日米共同訓練だという考え方が、フリーテックスに参加したのと別だということが通るかどうか、非常に疑問があるわけであります。 そこで、このフリーテックス85については、大体演習の概要、演習が行われる海域について事前に日本側は承知しているのかしていないのか、そういう連絡を受けているのかどうか、承りたいと思います。
○大高政府委員 お答え申し上げます。 今回のフリーテックス85でございますが、これにつきましては、海上自衛隊におきましては、第二回の対潜特別訓練を行うということで米側と打ち合わせをやる過程におきまして、米空母部隊が独自の訓練であるフリーテックス85、これで北上してまいるということが判明し、支援を受けられるということで、先方から事前に状況を聞いております。 これによりますと、このフリーテックス85の訓練におきましては、米国の第七艦隊の司令官が演習を主宰するということで、十月の中旬から十二月の初めでございますが、この間、五個の空母群、バトルグループでございますが、これを中核とする艦艇六十五隻、それから航空機五百機、人員三万四千五百、この実施の海域でございますけれども、第三艦隊及び第七艦隊の担当の海域、ここで訓練を行うということでございまして、この訓練の際に、十一月の中旬くらいに第三艦隊の海域から第七艦隊の海域に入る、その後十一月の下旬に日本の近海に北上する、こういう状況について事前の説明を受けております。 なお、フリーテックス85でございますが、これにつきましては、あくまでも米空母部隊の艦隊レベルの練度の向上を図るためのものでございまして、このために必要な訓練想定というものは設けるけれども、特定の国からの攻撃を念頭に置いた訓練はない、高レベルの訓練である、こういうような説明を受けております。
○岡田(利)委員 十月十九日からフリーテックスが始まって、十一月の十五日から三十日の間、共同対潜訓練が日米間で行われて、その後十二月に入ってミッドウェー、エンタープライズ、カール・ビンソン、これらが日本海に今度は入るわけですね。艦船、大体五十隻と想定されておるのであります。 したがって、この日本海における演習が行われた場所は、ソ連のいわゆる太平洋艦隊の基地のあるウラジオストク海域でありますから、沖合いでありますから、このときにソ連側は、洋上艦艇、戦闘機、爆撃機、偵察機百機、いわば米ソ間で、第二次世界大戦後、このような近接して軍事力が対峙したということはないと言われる大変な状況が生まれたのであります。このことは、我が国のごく近海であり、我が国の二百海里、ソ連の二百海里、これは日本海でありますから、我が国としても極めて重大な関心を持たなければならないのであります。一体こういう訓練が何ゆえ必要なのか。 最近、アメリカは、アリューシャン列島からオホーツク海、日本海、いずれもアメリカの艦隊は、海軍はどこにでも、その海を他の国に独占させるものではないというデモンストレーションを展開している傾向があるわけですね。こういうことがもし日本側に綿密に事前に連絡なしで行われるとするならば、極めて私は重大問題だ、こう思うのであります。今の答弁では、ここまでの連絡はなかったというぐあいに私は解すのでありますけれども、そのような理解でいいのかどうか。そうであるとするならば、この点について、アメリカ側に対して日本の外務省は照会したことがあるのかどうか。国家間の場合でも、国境の近くで大演習をやる場合にはお互いに事前通知をする、こういう関係が今地球の上では生まれつつあるのであります。 我々は、第三者のアメリカは日米安保条約の締結の相手国でありますけれども、米ソ間の関係から考えますと、これらの大演習が日本海で行われるという点について無関心でおられるはずがないと思うのですが、この点についてどういう見解を持っているか、承っておきたいと思います。
○安倍国務大臣 今お話しのフリーテックス85につきましては、これは米独自の演習ですが、その概要につきましては日本は説明を受けております。 それから、アメリカ軍のこうした種類の演習は、これはやはり世界の平和といいますかアジアの安定、そういうものに寄与するためのいわゆる抑止力としてのアメリカの演習である、こういうふうに理解をしております。
○岡田(利)委員 理解するのはいいわけですけれども、私は、こういうデモンストレーションが行われて、いわば抑止力として理解しているという、そういう態度でいいのかどうか。私は、国民の側からすれば、むしろ、そういう点についてはできるだけ緊張が発生しないように、そういう点についてある程度の考慮を払ってもらうとか、またそういう事前の打ち合わせがあって当然しかるべきではないのか、こういう素直な声があるのですよ。だから、やはり外務省も、こういう狭い日本海の中で、しかも漁業海域で言えば公海がないわけでしょう、日本の二百海里とソ連の二百海里しかないのでありますから。そして前には漁網に対する事故も起こした経験のあるところでありますから、そういう海域で演習をする場合には、相当日本に密度の濃い連絡とそして調整が図られるということが原則的に確立されないといけない、こう思うのですけれども、こういう主張に対しては間違いですか。やはりそういう国民の主張というものは素直に聞いて、そういう方向で外務省は努力しなければならぬ問題ではないでしょうか。
○安倍国務大臣 こうした演習につきましては、もちろん日本としても関心を持っておりますし、アメリカが概要の説明をこれまでもしてきておりますし、今後ともこれはしていくわけですが、しかし、こうした演習につきましては、先ほどから申し上げますように、これはやはり、アメリカ自体の抑止力を維持していくという意味ではそれなりに御理解をせざるを得ないわけであります。これはやはり、米ソ関係がそうした包括的軍事交渉、軍術交渉が始まるとかあるいはまた米ソの二国間の関係が緩むとか、そういう国際情勢は全体的にいい方向に進んでおりますけれども、そういう中でも、やはり演習はそれなりの私は必要性はあるものというふうに考えておるわけであります。そうした演習が、しかしこれでもって何かそうした米ソ間の緊張緩和に水を差すとかそういうことには私はつながってはいってない、こういうふうに思っております。
○岡田(利)委員 外務大臣も楽観主義者で結構でありますけれども、しかし、大体世界の歴史というものが証明していますように、大演習というのが相手国の国境周辺で行われるというのは一つのやはり威圧的行為である、こういう受けとめ方が普通常識なわけですね。ですから、何か問題が起きると国境周辺で大演習が行われる、こういうことがあるわけでしょう。それは社会主義国の場合でもあるいは資本主義国の場合でも、そういうことが最近の例からいっても行われておるわけであります。それが極めて狭い日本海で、しかも公海がないような海域で行われるということについて日本が無関心でいられるはずがないし、そういう意味では一歩進んで、もう常に、素朴な国民の声というものを相手方に伝えるというような姿勢がないといけないと思うのです。でなければ、安倍外交の積極外交だとか創造的外交なんといったって、国民の側は信用しないと思うのですね。私は、そういう点の整理を外交上なさるべきではないのか、そういう点で国民の素朴な声について外務省はどうこたえるかという点について、いま一歩ぜひ御検討願いたいということを強く要求いたしておきたいと思います。 きょう、問題をたくさん提供したいと思っていたのでありますけれども、時間もずんずんなくなってまいりましたから、ここで税制改革の問題にちょっと触れたいと思います。 本委員会でも随分税制問題について触れられておるのですが、総理は公正、公平、簡素、選択、総理も随分スローガンが好きなお方なんですね、大抵はスローガンを出しますから。それで、スローガンというのは一つの理念を象徴するものがスローガンに掲げられる、こう思うのであります。 そこで、このスローガンの意味を、私、わからぬものですからお聞きいたしたいと思います。公正はわかりますけれども、公平というのはどういう意味でしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 公平は公正の中へ入るものだろうと思います。しかし、その公正の中でも、公平というものを特に取り出すぐらい重要性を持っておる、そういう意味で公平ということを申し上げております。 いわゆる公正ということはどういうことであるかといえば、財政民主主義に基づいて、そしていわゆる国民の社会正義観念に合致する、そういうような税の体系あるいは執行の方法、これを意味すると思いますし、公平という場合には、国民のバランス観念に合う、平等感というかバランス概念に合う調和力の伴ったもの、そういうことが強調されると思います。
○岡田(利)委員 何かわかったようなわからぬような言い方ですね。税改革といいますか税理論的に言うと、公平というのは、特別措置などというものはできるだけなくする、こういうような思想が一杯強く含まれておると言えばわかるのですよ。私のそういう理解でいいですか。
○中曽根内閣総理大臣 特別措置にもいろいろ性格がありまして、不公平税制の是正ということでは、順次直されてまいってきております。しかし、あれらも、政策的立法として特別にいろいろな措置が図られた面で歴史的使命を果たしたものは、順次もう整理していく、これは正しい考え方であると思います。
○岡田(利)委員 次に、簡素、シンプルの問題はこれはわかるのですが、選択というのはどういう意味をこのスローガンで語っているのでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 上から押しつけられるばかりの要素ではない、国民が自主的に、あれがいいこれがいい、あれがいいこれがいいというふうに自分で選べる、そういう国民の自由性というものを大いに考えたということであります。
○岡田(利)委員 何か税調に対するスローガンですね、そうしますと。私は何か、これもやはり税感覚といいますか税理論的に言うと、間接税ですね、こういうものを意味するんじゃないのか。選択がきくのは間接税よりないわけでしょう。間接税の中の消費税ですね。買わなければ税金は払わなくてもいいわけですから、選択がある程度きくわけですよ。そういう意味で選択ということを述べられたとすれば、なるほどなと思うのですけれども、そういう意味にとることはいかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 上から押しつけられないという意味において、国民が主体的に選ぶでしょうという意味になりますと、間接税の中へ、一部分に入ってくる、そういうふうに思います。が、しかし、基本的にどういう税体系を選ぶかということは、最終的には国民の判断で、国民が自分がいいと思うことを選んでいく、そういうことが主軸でなければならない、そういう国民の主体的な意思と合意というものが基本であるというような点を強調したところもあるのです。
○岡田(利)委員 そうしますと、総理の言う公正、公平、簡素、選択の税改正のスローガンからいって導き出される総理の税制改革の理念というものは、どういう内容なんでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 結局、国民を主体にして、そしてみんなが、これの方がいい、落ちつきのいい、そして国民の満足感が今以上に達せられる、そしてあんまり煩雑でない、割合にわかりやすい、そういうようなものを期待しているわけであります。
○岡田(利)委員 税体系が公正であり簡素であるとか、そういう意味はわかるのでありますけれども、税というのは我が国の経済の安定的発展、成長発展、これを目指すものであることは基本的原則だと思うのですね。同時にまた、我が国の財政事情からいえば、財政再建というのが最大の命題でありますから、財政再建にやはり果たせるもの、より効率的にそういう機能が果たせる内容も当然含まれなければならぬのではないか、こんな感じがするのですけれども、そういう意味で、私の述べた二点についてどのようにお考えになりますか。
○中曽根内閣総理大臣 私は、昨年の暮れ、ことしの正月からは、財政再建を主とした目的とするものではありません、増収を目的とするものでもありません、シャウプ税制以来のあのゆがみとかひずみというものを画して、国民の公平感や満足感に合致するようなよりよきものを目指しているのです、そういうことを申し上げておる。政府税調を見ますと、十二月の答申を見ると、今までは財政再建というのは増収的な色彩が強かったですが、十二月の税調の答申というものはむしろそういうトーンは消えてきて、そして公平感とか国民の満足感というものを中心にした発想に大きく転換をしておるのであります。これは非常に大きな転換であって、いい方へ来てくれたと私は思っておるのであります。
○岡田(利)委員 増税なき財政再建、増税なき税制改革、そうなりますと、総理の諮問機関である現在の政府税調では、来年度の税制改革をやらなければならぬわけですね。短期的な問題も審議をしなければならぬわけですから、そういう意味を込めて、総理は、シャウプ勧告以来の我が国の税制の大改革を断行する、そのためには税制臨調というものが必要であるということをぶち上げたこともあるわけですね。しかし、最近の動向を見ますと、あくまでもこれは、この税制改革は政府税調でやる、こういうことをぴしっと決意されておるのですか。いかがですか。
○中曽根内閣総理大臣 別に税制臨調なんて言ったことは全くありません。よく私の言葉が引き出されると、今度は税制臨調だ、今度は防衛臨調だと、よく臨調という言葉が出されますが、そういうような考えは別に持っているわけではありません。今政府税調というものがあるわけでございますから、政府税調の内部において深く、広く、よく検討していただいたらいいんではないかと私は思っております。
○岡田(利)委員 シャウプ勧告、シャウプ勧告という言葉も随分出るわけでありますけれども、このシャウプ勧告というものをもう一度、我が国の戦後の税制の原点でありますから、それに立ち返って、昭和二十五年に我が国が取り入れた税制の体系というものについて再評価をする、こういう姿勢が私は当然出発でなければならないと思うのであります。そういう意味で、政府は、シャウプ勧告、この税制についてどのような今日的評価を与えているのか、この機会に承りたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 私は総論を述べまして、あとは竹下大蔵大臣にお願いしたいと思いますが、私は、シャウプ勧告というのはあの時点においては非常に両期的な、今までの日本の税体系を基本的に改革する画期的な、あの当時としてはいい改革ではなかったかと思います。 その趣旨とするところは、直接税を中心に大体持ってまいりましたね。そして、その中でも所得弧というものを重視しておるということ。それから、中央と地方との関係においても、平衡交付金でございましたか、そういうようなバランス感覚を伴った平衡交付金という発想をあそこへ持ち込んだ点。そのほか、当時としては非常に画期的な、国民の租税に対する観念というものを確立しようとした。つまり、自主申告的な発想というもの、租税に対する責任感とか自主姓というものを非常に強調して、いわゆる財政民主主義を基本にした税体系というものを持ってきた。そういう点においては、あの時代としては画期的なものではなかったかと思います。 詳細は大蔵大臣からお聞き願いたいと思います。
○竹下国務大臣 私は、今の総理の答弁でおおむね尽きてわると思っております。 昭和二十四年、カール・シャウプさんがこちらに参られまして、日本税制報告書、俗に言うシャウプ勧告でございます。これは、所得税を日本の税体系の中心に置くという考え方に立っておって、今日においても、税制の基本的考え方として、いわば基幹税とでも申しますか、そういうことはやはり評価されるものの中へ含めて結構だというふうに思っております。 いろいろな問題が指摘されておりますけれども、税負担の公平化、適正化を推進する観点に立って、税制全般にわたる改革というものはこれから行うわけでございますが、シャウプ勧告で、お言葉をおかりするならば味のある勧告とでも申しましょうか、そういうものは、私どもも、やはり今日もそれは原点として維持すべき問題が多々あるというふうに思っております。ただ、時代の変遷の中にいろいろなでこぼこができたことは否定できないことであろうと思います。
○岡田(利)委員 シャウプ勧告の中で、特に付加個価税なんというのが世界で初めて採用されたという点などは、これは大変画期的なことだと思うのですね。また、そういう意味では、単に所得税の総合累進課税、当時は五五%ぐらいでしょうけれども、その反面富裕税というものを設定した、こういう面なんかもバランス感覚として非常にすばらしいものがあったのではないか。ただ、そのときの事情はインフレの状況の中にありましたから、新たな問題点が出てくると思うわけです。二十八年には富裕税を廃止し、二十九年には付加価値税を廃止しているわけですから、付加価値税も約四年間実行に移されているわけです。富裕税は大体三年間実施に移されている、こういうことになるわけであります。そして、租税特別措置法が、我が国の資本の蓄積、こういう面を重視をしながら、経済発展を考えながら、どんどん拡大されてきたという一つの過程というものを我々は振り返ってみなければならない、こう思うのであります。 そして、最近の我が国の税制の中で、税の中立性というのは大原則、基本であるわけですね、しかし、どうも税制のあり方の中で不公平税制などが横行し、いわば税そのものが経済に対して中立性に欠くる面も多少なしとはしないのではないか。私は、そういう意味で、今回の税制改正を論議するに当たって、最も基本原則であるこの税の中立性という問題を、もう一度注意を喚起するためにむしろ要点に挙げてもいいくらいではないか、こういう感じすら私は持つのであります。そういう意味で、税制改正について、総理は、先ほど言ったように増税なき税制改革を行うというのでありますから、新しい税制が施行される場合にはもちろん総体的には総額としては増税にはならない、少なくともスタートにおいては増税にならない形でスタートすることが増税なき税制改革である、こう言わざるを得ないと思うのですが、そのようにとってよろしいですか。
○中曽根内閣総理大臣 シャウプ勧告に関する認識においては、私も岡田さんとはかなり近い点があると思います。しかし、その後、日本の体質に合わないというような点もありまして、いろいろゆがみやひずみが出てきたとかアネックスがつけ加えられたとかいうのは、租税特別措置とかいろいろあったという面も反省される、またそれは政策的にもあったけれども歴史的使命も次第になくなってきた、そういう面もあるだろうと思います。 シャウプ勧告のときには、おっしゃるようにたしか所得税が五五%でございましたね。しかし、その後、地方税を入れると大体八八%ぐらいまで最高税率が上がってきておる。これはいかにも外国に比べて高いし、一つの問題点です。それが高いがゆえに、三百万、四百万、五百万の収入の方々も高い税率を曲線のかげんでとらざるを得なくなってきておるという面もある。そういう意味において、シャウプ勧告が示している線というものはここでもう一回再検討していい線である。そういう意味において、所得税とか法人税というようなものはむしろ減税したいと私は思っておるのです。どの程度できるか、要するにそれででこぼこ調整という関係になる。しかし、所得税や法人税を減税するといっても、赤字公債で財源を持ってくるわけにいきません。どこかから財源を持ってこなければならぬ。そういう意味で包括的に、根本的にもう一回見直していただきたい。 そういう場合には、やはりシャウプさんは学者でありましたから、財政民主主義という税の素直な基本原則、基本体系の上に立って組み立てましたですね。だから、今回基本的、根本的に見直しをやるという場合には、やはり租税の諸原則、学問的な基礎というものを背景にしつつ、それを日本の民族性や心理や、あるいは流通段階やさまざまなものに調和がとれるように手直ししつつ、国民がまあまあと満足感が今よりさらに大きくなるような形の税体系に直してほしいなと、それが課題である、そう思っておるわけであります。
○岡田(利)委員 ですから、新税制がスタートする場合には増税にならない、結局、減税してこちらの方で財源を得るわけだから、総合的に判断をすると、少なくとも新税制のスタートの時点においては増税にならない、こう言えますか。
○中曽根内閣総理大臣 増税を目的とするのでもないし、財政再建のためにやるのでもない。今言った公平や公正や簡素や選択、こういう原則に基づいて、国民のより満足感を得る税体系に持っていきたいというのでありまして、それで増税を意図するものではないと申し上げております。
○岡田(利)委員 それでは結果的に増税になることを、財政再建につながることを期待するわけですか。期待しませんか。期待感はあるわけですか。
○中曽根内閣総理大臣 いや、前から申し上げているように、ひずみやゆがみを直して、国民の満足感をさらに増すというのが私の願っておるところであります。
○岡田(利)委員 非常に警戒的な答弁ですね。 そこで、どうしてもこれは聞いておかなきゃならぬのですが、昨年三月十三日、本委員会で私に対する答弁、随分問題になっておるのですが、どうも私はわからぬところがあるわけです。いわゆる総理の答弁は、流通の各段階でちょうど投網を打つように普遍的にその過程で税金を取っていく、そしてそれがかなり大規模のものである、つまり各段階においてすべて網羅して取っていくものの大型の間接税はやらない、こう言われたのですが、要するに多段階の大型間接税は、総理の答弁のこの意味に合致をするということなんでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 その点は矢野書記長に対して本委員会で御答弁申し上げたとおりでございまして、一般消費税あるいは取引高税あるいはいわゆる付加価値税、そういうようなものは多段階になっておると思います。そういう意味で、矢野先生に対する答弁で整理して申し上げたということであります。
○岡田(利)委員 いや、私に対する答弁も整理されていますよ、念には念を入れて質問して答弁されたわけですから。ですから、何も矢野書記長と言わないで、岡田さんに前に答弁したとおりですと言えばいいんじゃないですか。そうとっていいですか。
○中曽根内閣総理大臣 その前に岡田さんに対する答弁でも用心深く、注意して御説明しております。
○岡田(利)委員 したがって、整理された答弁であってもEC型の付加価値税、取引高税、いわゆる仮称一般消費税などはこの総理の答弁の趣旨に入るんだということを述べていますね。ですから、やはり私に答弁したように、これらの多段階の大型間接税は中曽根内閣としては導入しないんだということなんでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 私が申し上げました中で急所は、第三項の「税制調査会の答申について現段階で予見を持つべきではないと思います。ただ、私がただいま申し上げたとおり、EC型付加価値税といってもいろいろの態様が考えられますが、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方はとらないという立場でございますので、これに該当すると考えられるようなものは、中曽根内閣としてはとりたくないと考えております。」こういうことでございます。
○岡田(利)委員 そうしますと、EC型の付加価値税といってもいろいろな態様が考えられると言いますけれども、もちろん税率の違いなんて当たり前の話でしょう。態様が違うというのは何が違うんでしょうか。もちろんその範囲が多少違うというのはありますよ。こんなことは抹消的なものなんです。EC型の付加価値税というのは、そういう意味では税率がそれぞれの因で違うとか多少対象の範囲が違うとか、多少違うというだけであって、大宗的に見ればEC型の付加価値税というのは明確に理論的に統一されているものなんですよ。そういう理解は成り立ちませんか。
○中曽根内閣総理大臣 私はこういうものはやらないとかやりたくないということを申し上げたので、これをやるという積極的表示はしておらないのです。それは税制調査会においていろいろ御検討を願う余裕は残しておく必要がある。税制調査会の論議まで我々がここで余りかたく縛り過ぎてはいけない。ただ、やはり同会で御決議になった、一般消費税(仮称)については国会の御決議というものがございますから、念のために税調にも申し上げておくことは、これは責任であると思いますが、しかし税調は税調でいろいろ御議論願う。しかし、それを最終的に採択するのは政府でございますから、政府といたしましては、国会等の今までの御答弁等の経緯も踏まえていろいろ最終的な決断を下す、こういうことでございます。
○岡田(利)委員 私は、ちゃんと一般消費税と付加価値税というのを分けて述べておるわけです。その質問に対しても、総理の答えというものは、そのことを肯定する立場に立って総理独特の表現で述べられておるというのが去年の答弁の文脈になっておるということであります。ですから、中曽根内閣は多段階の大型間接税は導入しないということなんですから、しないという意思がある場合には、総理の諮問機関でしょう、どこかの諮問機関じゃないんですよ。あなたの諮問機関で、私は国会でこういう答弁をしていますということを政府税調には伝える義務があるんですよ、あなたはいかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 私が最終的に申し上げたのは、今申し上げたとおり、「EC型付加価値税といってもいろいろの態様が考えられますが、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方はとらないという立場でございます」、そういうふうにここで申し上げている。こういう態度で、いわゆる多段階やあるいは今申し上げたような税体系について考えを持っているということを申し上げるのであります。
○岡田(利)委員 総理がそう読むと、私が質問したことと総理の答弁したことを読みますよ。同じことだよ、私の方が先なんだから。それは違うと言えば修正したという意味なんですよ。そこをちょっと本音を聞かしてほしいんですよ、いかがですか。
○中曽根内閣総理大臣 岡田さんに御答弁申し上げたときに、私の頭にあったのは取引高税、まず取引高税。これは昭和二十三年でありましたか、私が民主党におって、大惨敗をしたのであります。八十九人ぐらいいたのが四十九人ぐらいに議員が減ってしまった。そういう状況も知り、また、大平さんが一般消費税をお唱えになったときも、私はそういう経験があるから、これはあかんぞ、そう思って大平さんにはやめた方がいいと申し上げて、反対の意思を表明したこともあります。果たせるかなそういう結果が出ました。そういうことで、私の頭にあったのは、そのいわゆる一般消費税というようなものあるいは取引高税というものが頭にあって、それであなた様にお答えしたというのが正直なところです。
○岡田(利)委員 そうしますと総理は、いわゆる仮称一般消費税というのは、これはEC型の付加価値税の変型なわけですよね、仕送り状がないというだけですから。あと、範囲がちょっと零細な企業を外したとか、この二点だけなんです、違いは。原型はEC型の付加価値税なんです。したがって、仮称一般消費税があるということは当時の学説、定説であって、その原型は、これはもうEC型の付加価値税である。そして、自民党の税調の中でも、当時中川一郎君なんかも大蔵省の政務次官で、しょっちゅうヨーロッパに行ってきて、EC型の付加価値税をやらなきゃいかぬと彼は言っておったわけですよ。私はよく覚えている。ですから、その議論はもう一般的にはなされておった。政府でもあるいはまた自民党内部でもなされておった議論なわけですよ。 ですから、この付加価値税というのは一般消費税、EC型の付加価値税、そうですね、ということを私は質問で述べているわけです。ですから今、そういうことしか頭になかった、しかし、ECの付加価値税について私としては魅力を感ずる、したがって答弁のときはなかったんだから、そういう意味でひとつ御了解願いたいというのなら、男らしく言わなきゃだめじゃないですか。それを何か文脈で逃げて、そしてあとは税調で出てきたら、まあ賛成はできないんだから、出たらすぐ、一年間以上の準備がかかるんだから、ぱっと引き継ぐなどというこそくな手段は中曽根政治らしくないんじゃないですか。あなた、言うところはぱちっと言うけれども、肝心なこういうところははっきり言わないですね。
○中曽根内閣総理大臣 そのEC型付加価値税といってもいろいろな内容や態様があると思うのです。だから、いわゆるEC型付加価値税と一般的に言われてきても、私は非常に慎重な態度を持っておるのです。なぜかと言えば、例えばグリーンカードをやって、あれはいいだろうと思ってやってみたら、理論的にはいいかもしれぬけれども現実になればあれだけの拒否反応が出る。税というのはある意味においては国民心理作用。ですからね。我々はそう思っておるのです。そういう意味において、ヨーロッパでいいからといって日本にいいとは限らぬ。日本のような場合はこれだけさらに大きい重層構造の流通段階を持っておりますし、税に対する観念でも、いわゆる財政民主主義が徹底しているヨーロッパ型と日本の場合では税観念がまた非常に違ってきておりますね。そういういろいろな日本独特の条件もよく考えてみて慎重にやらなければいかぬ。 しかし、税調がいろいろ御議論なさることはどうぞあらゆる観点から洗ってみてやってください、そしてシャウプ税制以来の税に対して、税体系、税に対する学問的な諸原則、そういうものを当てはめることが公平とか公正というものが出てくるもとでもあるわけでありますから、そういう意味においてはもう自由におやりください、しかし政府がこれをいただくというときにはこれは慎重にやりますよという態度を私はあくまで確保しておきたい。それで今のように岡田さんの御満足のいかない答弁にもなるわけであります。
○岡田(利)委員 私は納得できませんですね。これは矢野答弁と私の答弁がどういう意味で違うのか、もう一度はっきり統一見解を述べてもらわなければならぬわけですね。残念ながら時間がありませんから、委員長、私は、まだこれからの委員会もありますから、この問題については保留をいたしておきたいと思います。 そこで、時間がありませんから最後にお聞きいたしたいのでありますけれども、国鉄の問題についてこの機会にちょっと承っておきたいと思うのであります。 国鉄問題は来月、三月にダイヤ改正が行われて、さらにいわゆる余剰職員というものが生まれる極めて深刻な、厳しい状況があることは御承知のとおりであります。しかし、今我が国の労働政策で何が大事なのか。本委員会でもしばしば論議されておるのであります。今アメリカでは、家族と一緒に毎日夕食を食べるサラリーマンは四二%なんですよ。西ドイツでは三六%、日本でサラリーマンが家族と一緒に夕食を食べるのは一八%なんですね。これは労働時間の問題、労働条件の問題、そして今労働を分け合うということが我が国の労働政策で重要じゃないかと思うのです。いわば時短と雇用の拡大、今度の労働白書にも述べられておるわけであります。こういう状況の中で、今雇用政策の強力な展開ということが述べられておるのであります。私は国鉄問題を考えながら特にその感を一層強くするのでありますけれども、まず基本的な考え方を労働大臣から承っておきたいと思います。
○山口国務大臣 ヨーロッパ等におきましては非常に失業率が高いわけでございますので、仕事を分配するということで一人当たりの労働時間を短縮しながら仕事を分け合ういわゆるワークシェアリングが非常に進められているわけですけれども、日本の場合には、高齢化時代を迎えて高齢者の雇用の延長や定年延長の中で、ここ数年の間に五百万規模の労働人口がふえるということで、今からそれに一歩一歩取り組んでいく必要があるというふうに考えております。そういう意味で、労働時間短縮の問題とか連続休暇の問題も含めて、勤勉をもって誇る日本人の意識を、ひとつ技術革新の時代、高齢化時代に備えて、新しく勤労と国民的文化生活というものをあわせて国民経済、国民生活の立場から取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
○岡田(利)委員 国鉄再建は、国鉄監理委員会が七月を目途にして再建計画を答申するという状況にもあります。この三月のダイヤ改正で余剰職員が生まれ、既に貨物、荷物の廃止に伴って余剰職員が生まれておるのであります。最近そういう意味で雇用不安が極度に増大をいたしておるのであります。この雇用不安というものをまず静めることが大事ではないのか。そういう中で労使がこれからの国鉄再建に対して一体どういう協力をしていくのか。いろいろな多面的なことが考えられなければならぬし、また真摯に労使間で話し合いが行われなければならないと私は思うのです。 私はそういう意味で、この国鉄の余剰職員の問題については、生首を飛ばすようなそういう乱暴なことをするとするならば政治不在だと言わなければならぬし、少なくとも公務員の雇用政策の面からいっても非常に重要な基本的な問題を発生させると思うのであります。したがって、私はそういう意味で、当面これらの余剰職員について生首を飛ばすようなことはしないということを政府に明確に断言をしていただきたい、こう思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○山下国務大臣 国鉄の余剰人員の問題につきましては、避けて通れない大変大切な問題であることは私も十分認識をいたしております。しかも、今御指摘のように現段階においては労使よく話し合うということで、先般労使の代表を私がお招きして、それぞれにひとつ同じテーブルに着いて話し合いを進めてくださいということを強く強く要請したのもそういう趣旨からでございました。 そこで、ただいまお話ございました余剰人員の問題につきましては、御心配のような雇用の不安の問題が生じないために、現在国鉄当局が、退職制度それから休職、さらに派遣、こういった余剰人員対策を推進しているところであると私は承知をいたしておるのでございまして、これらの対策を労使が相協力して確実に実施して実効を上げることが肝要である、かように存じておりますので、関係者の御理解と御協力を賜りたいと思っておるところでございます。
○岡田(利)委員 国鉄は大変長い歴史を持っておるところであり、いわば政府関係の機関なんですね。民間とは違うのであります。したがって、この雇用問題は国の責任において対処するという基本的姿勢がなければならないと私は思うわけであります。当面大事なことは、そういう不安を取り除く、そして再建合理化の方向に本当に真摯に労使がテーブルに着いて真剣に話し合う、そして国鉄の再建の方向を軌道に乗せる、こういう大事な時期だと思うのです。だから、私はそういう意味で当面生首を飛ばさないという政府の確たる決意がなければいかぬと思うのです。 私は、この機会にそういう意味でこの問題についての総理の見解を求めたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 岡田さんの申されることに私も同感でございます。過去におきましても、石炭産業の合理化縮小に際しましては、雇用問題等につきまして政府を挙げて関係各省協力し、また財界にも協力していただきまして処理をいたしました。国鉄の場合におきましても、もしそういう事態が出てくる場合には、事前に十分な準備もし、政府を挙げて、また財界の御協力もいただいて対処したいと思っております。
○岡田(利)委員 総理からのせっかくの答弁をいただきましたが、それだけでは私はまだ不十分だと思うのであります。残念ながら時間がございませんからなんですが、国鉄を再建しないでつぶすというんじゃないんですよ、全部やめにしちゃう。炭鉱はそうですね。炭鉱は閉山すると皆もう出なければいかぬわけなんです。集中的な失業の発生が行われるのであります。国鉄はそうではないのです。国民の財産である国鉄、これはどういう形態になっても、我が国民の生活の安全保障の一環として我が国の国鉄を再建しなければならぬわけであります。そのための人材は確保しなければならぬのであります。そうしますと、やはり基本は雇用を守っていく。そういう一方的な生首は飛ばしませんよ、そのかわりこれだけ重要な国民課題だから再建について十分協力をしてほしい、そのためにお互いに誠意を持って話し合っていこうじゃないかということが当面確立されなければならない、こう思うのであります。もう一度私の述べた点について、総理のせっかくの答弁でありますけれども、いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 この問題はまず国鉄の経営側がいろいろ政策を決めてやるべき問題であり、次に労使交渉においてまた当然処理さるべき問題であります。そして、出てきた結果については、政府は官民を挙げて協力をしたい、こう申し上げたので、今も、もしそういう事態が出た場合と、もしという言葉がついておるわけでございます。もちろん石炭産業の場合と国鉄の場合は違います。国鉄の場合は非常に弾力性がありますし、またいろんなやり方も多様性を持ってやり得ると思うのであります。ですから、性格は違いますが、もしそういうような事態が出た場合には政府としては十分対応したいと申し上げているわけです。
○岡田(利)委員 せっかくの答弁でありますけれども、そのとおりで了解しますという内容では、まだ残念ながらありません。しかし、時間もありませんので、この問題については、非常に重要な問題であって、これから予算委員会の審議の過程でもいろいろまた問題が出ますので、一応これを保留さしていただきたい、こう思います。 以上で私の質問を終わりたいと思います。
○天野委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。 午後零時五十分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十一分休憩 ――――◇――――― 午後零時五十二分開議
○天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。二見伸明君。
○二見委員 私は、最初に老人問題について総理並びに厚生大臣の御見解を承りたいと思います。 御存じのように、我が国の人口の高齢化は平均寿命の伸長と出生率の低下が相まちまして世界に例を見ない速度で進行いたしております。例えば昭和六十年は、六十五歳以上の老人は千二百十九万八千人であり、七十五歳以上の老人は四百五十七万一千人と推定されております。ところが四十年後の昭和百年になりますと、六十五歳以上は二千七百七万九千人、全人口比一二・三%であります。七十五歳以上は千三百八十四万人、全人口比の一〇・九%にまで達するものであります。昭和百年における七十五歳以上の老人というのは、現在の三十五歳以上のまさに壮年、婦人であります。したがいまして、高齢化社会対策、老人対策というのは、とりもなおさず現在生きている我々の未来のための対策であると言っても過言ではないと私は思います。 私は、老人対策というのは大きく分けて現在三つに分けられると思うのです。一つは年金の問題、年金制度。もう一つは老人医療。もう一つが寝たきり老人とか痴呆性の老人、いわゆる要援護老人と言われておる人に対する対策であります。このうちの年金あるいは老人医療につきましては、内容に不満がある、賛否両論があるといたしましても、制度的には私は整いつつあるという認識をいたしております。しかしながら、いわゆる寝たきり老人、痴呆性老人については、正直言いまして対策そのものは全くお粗末だとしか言いようがありません。 例えば、六十五歳以上で六カ月以上寝たきりの老人というのは、五十九年の「厚生行政基礎調査の概況」によりますと三十六万六千人であります。五十六年の調査よりも四万二千人ふえております。そのうち、在宅の寝たきり老人というのは二十六万七千人であります。この三十六万六千人というのは六十五歳以上の約三・一%に当たります。したがいまして、この三・一という数字で単純計算いたしますと、昭和百年には約八十四万人の寝たきり老人ということになりますけれども、しかし、寝たきり老人というのは年齢が高くなればなるほど出現率が高いということを勘案いたしますと、しかも昭和百年の七十五歳以上の老人というのが、調査した時点よりも三・〇二八倍の千三百八十四万人であるということを考え合わせますと、昭和百年、四十年後には百万人以上の寝たきり老人、六カ月以上寝ている寝たきり老人が百万人以上出現することも、私は予想されるのではないかと思います。 しかも、寝たきり老人のほかに、寝たきりではないけれども、痴呆性老人というのがおります。しかも、痴呆性老人の出現率というのは年齢が高くなればなるほど高くなります。すなわち六十五歳から六十九歳ではその年代の一・二%の人が痴呆性老人になっております。七十歳から七十四歳では三・一%、七十五歳から七十九歳では四・七%、八十から八十四歳では一三・一%、八十五歳以上では二三・四%と、年齢が高くなるほど出現率が高くなっております。現在、痴呆性老人がどのぐらいいるかといいますと、推計で約五十万と言われております。したがいまして、四十年後の痴呆性老人というのは、これは年齢によって出現率が違ってきますけれども、七十五歳以上を考えた場合に、七十五歳から七十九歳の四・七という一番低い率で単純計算しても六十五万人になります。 私は、高齢化社会、長寿を喜んでいるばかりではなくて、長寿を喜ぶ反面、高齢化社会というのは寝たきり老人と痴呆性老人がたくさんふえる社会だ、こう考えております。しかも、この問題の非常に重大なことは、寝たきり老人あるいは痴呆性老人そのもののみならず家庭や家族にまで影響を及ぼす、まさに家庭を崩壊させるというところに大きな問題があります。 実は、私自身が痴呆性老人、寝たきり老人を抱えた体験者でございまして、私の家では数年前に私の、いわゆるおばあちゃんが、ある日突然に痴呆性になりまして、ぼけになってしまった。例えばガスの栓をひねる。自分では一生懸命家事の手伝いをしているつもりでいながら、空っぽのなべをのせてガスをつけてしまう。あるいはなべものせないでガスをつけてしまう。目が離せません。点火しなかったならばガス中毒です。点火していれば火事です。そういうようなことになってしまった。ですから、おばあちゃん一人を置いて外出するときには元栓切るだけではだめで、元栓の元栓を切らなければ外出できない。そのおばあちゃんが病気になり、寝たきりになりました。最後には、要するに身動きもできなくなってしまった。汚い話ですけれども、下の始末もしなきゃならない。私の家は、いわゆるおむつの世話というのは、女房と、当時高校と中学と小学校の三人の男の子がおりましたけれども、家内とこの男の子三人が全部その世話をした。私は、さすがにおむつの取りかえはできなかった。御飯を食べさせることはあったけれども、おむつの取りかえはできなかった。おばあちゃんが、夏に亡くなりましたけれども、亡くなったとき、正直言って、ほっとしたという気持ちです。悲しみというのはそれが終わってからです。私はそのときに、この寝たきり老人、痴呆性老人というのは、これはもう家庭を破壊するなあ、私のうちは一年ちょっとで済みましたけれども、これが三年、五年、十年と続いた家庭というのはどうしようもなくなってしまうのではないか、こういう思いでした。 ですから、先日、社会保障制度審議会が「緊急課題として優先的に取り上げるべき社会的責務は、いまや極めて重かつ大である。」こう言い切ったことは、私はそのとおりだと思っておりますけれども、総理のまず基本的な御見解を承りたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 二見さんの貴重な御経験をお聞きいたしまして、私も深く胸を打たれたところでございます。私の知っている人でも、そういうことで自分の本業をやめざるを得ないという方も出てきておりました。そういうことが頻発して出てくるような段階になりつつあります。 そういう意味におきまして、ある程度先見性を持ってそれに対する政府の施策を順次充実していかなければいけない、そのように思います。
○二見委員 この問題、さらに敷衍いたしますけれども、六カ月以上寝たきりの老人の介護者というのは八八・八%が女性であります。しかも、その女性のうち大半は同居の配偶者とその子の配偶者、要するに寝たきり老人が男であれば妻です。それから、さもなければ子の嫁です。それに最大の負担がかかっている。私は、したがいまして、この問題というのはせんじ詰めれば婦人問題じゃないか。婦人問題の専門家に言わせれば、婦人問題にはしてはならぬとおしかりを受けるかもしれないけれども、やはり婦人問題じゃないか。しかも、子の嫁といっても、まず七十五歳以上のお年寄りの面倒を見る子の嫁ということになれば四十歳を恐らく過ぎているでありましょう。職場に勤めていれば一定の地位にあり、あるいは子離れでもってこれから社会的にいろいろな活躍をしたりボランティアもやりたい、そういう社会とかかわり合いをこれから深く持とうとする御婦人たちが恐らくこれの介護者になると思います。ということになれば、これは婦人問題としても見過ごせない問題だと思っております。 実は、きょう私は、大変申しわけないけれども、わずかこの一問のために労働省の赤松さん、婦人局長においでをいただきました。婦人問題としてとらえるとあるいはおしかりを受けるかもしれないけれども、どういうふうにこの問題をお考えになっていらっしゃるか、率直な御意見を承りたいと思います。
○赤松政府委員 お答え申し上げます。 老人問題と婦人問題とのかかわりというのは二つの方向から考えられるのではないかと考えております。一つは、先ほど先生が数字を挙げておっしゃいましたように、老人の数が大変ふえていくわけでございますが、その中のマジョリティーは女性でございます。女性の方が長生きをいたしますので、女性は老人の中で現在でも六割というような、それがだんだん年をとってまいりますと、なおさら女性の比率が高まるわけでございますが、女性が老人の中に多いという点が一つでございます。 それから、老人を介護をする、お世話を、面倒を見るという方に女性が非常に多いというのもまた御指摘のとおりでございまして、これは九割が女性だというような調査がございます。その中には仕事を持っている方もあれば専業の家庭の主婦の方もおられると思いますが、いずれにいたしましてもその方にずしりと老人の介護という重荷がかぶさってまいるわけでございます。中には「女は三度老いを生きる」という本の表題もございますし、また「女が職場を去る日」という本もございますが、女性の背中に老人の問題を背負っている、そしてしかも自分はやがて年をとっていくという運命にあるわけでございますので、婦人問題という表現が適当かどうかは別といたしまして、婦人に非常に関係のある問題であるというふうに認識をいたしております。 そこでさらに、現在七人で一人の老人を面倒見るわけでございますが、二十一世紀になりますと、三人に一人がそれを背負わなければならないということになるとも言われております。その三人というのは男女含めての三人でございますから、女性だけが老人の介護をしなければならないということではとても背負い切れないのではないかというふうに思っておりましたところ、先ほどの先生のお話では、先生御自身がお忙しい中をお母様の御面倒をお見になったということで大変心強く感じた次第でございますが、将来老人の介護に男性がぜひ加わっていただきたい、また老人対策の中に政策参加という面から女性の声がぜひ反映するように、これも私どもの立場からは切望しているところでございます。
○二見委員 ありがとうございます。 それで、具体的な問題に入りますけれども、総理、寝たきり老人にも重介護を要する老人とそうでない軽いのもおりますけれども、重介護を要する老人に対しては、医療と福祉と両面からやはり見ていく必要があるのじゃないか。老人病院、特養ホームという分け方じゃなくて、両方の面からサービスを提供する必要があるんじゃないかと我々考えております。 先日の社会保障制度審議会の提言にもございましたけれども、いわゆる老人病院と特養ホームを統合して、その長所を持ち寄った中間的な施設ともいうべき介護施設の制度化、これを制度審では提言をいたしております。私は今後の老人問題として、この中間的な施設というのは絶対に必要だというふうに認識いたしておりますけれども、この点について総理の御認識と、あわせて厚生省の考え方と進捗状況についてお述べをいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 老人問題、特に痴呆性の老人等の問題が重大になってくるというときを見ますと、今の答申にある中間的施設というものも私も非常に大事で、大いにこれが機能する必要がある、そういう必要が出てくる段階が案外早く来るであろう、そういう気がしております。 さて、私もあなたに対する答弁審を読んでみて、この中間的施設というのはどういうものがあるのであろうか、これがまだよく私には消化できないのです。それをいかに機能的にうまくやるかということは今後の課題であろう、私、個人的にそう思っています。 あとは厚生大臣から御答弁願います。
○増岡国務大臣 先生御指摘のように、私どもは高齢化社会を迎えるに当たりまして、できるだけ健康で長寿でありたいということを考えておりますけれども、御指摘のように、痴呆性あるいは寝たきりの老人が多数今後いらっしゃるだろうということは、否めない事実だろうと思います。また、そういう痴呆性、寝たきりにつきましては、医療のみで対処するのかあるいは福祉の面でやるのかということになりますと、老人ホームは福祉に偏っておりますし、今度は病院の方は、福祉の方があんまり手厚くないという面がございますので、医療と福祉との中間あるいはまた老人ホームその他の入所者と在宅の場合の中間、その双方につきまして中間的機能を有する施設をつくろうということでございまして、厚生省も従来からいろいろ検討委員会その他でやっておるわけでございますけれども、昭和六十年度におきまして、その検討委員会の一応の結論を出していただこうということで、省内でプロジェクトチームをつくりまして予算化も、予算案の中に盛り込んでやっていきたいというふうに考えております。
○二見委員 中間施設というのはどういうものになるか、個人的にまだわからない面があると総理大臣おっしゃられました。その点、そのとおりだと思います。厚生大臣も今検討委員会で結論を六十年度に出すということでございますので、この点について、中身の問題にまた立ち至った結論を六十年度中にぜひとも出していただきたいことを御要望申し上げておきます。 それから厚生大臣、もうちょっとさらに細かくなって申しわけありませんけれども、特別養護老人ホームというのがありますですね。これは原則として六十五歳以上の者で身体または精神上著しい欠陥があるため常時介護を必要とし、居宅でこれを受けることが困難な者を対象とし、全国千四百十カ所、定員十万五千八百八十七人、こういうことになっておりますですね。定員はほぼ満床で、現在約一万五千人が待機中と推定されております。しかし、初めからもう入所は無理だろうと、こう考えておる人もおりますし、こういう施設のあることを知らない人もおりますので、潜在的な入所希望者というのは一万五千人以上になるだろうというふうに思われます。 それで、私は中間的施設というのはぜひともつくっていただきたいのですけれども、それは検討委の結論にまつということにいたしましても、当面の対策としては特養ホームの増設と施設従事者の養成、確保ということはやはりやらなければならないことだと私は思います。 もし数字が違っていたら訂正していただきたいのですが、厚生省の六十年度の整備計画では百二十カ所、約六千人ぐらいの増加を見込んでいるように思いますけれども、私はむしろ一万五千人も待機者がいるという現状を考えるならば、我々としては少なくともこの二万五千人を早急に解消するという面から見ても六十年、六十一年でさらに百カ所、五千人、少なくとも六十年度でもってさらに五十カ所、二千五百人分ぐらいの増設は必要じゃないかと思います。私はこの点について厚生省に御検討していただきたい、これをお願いしたいと思います。と同時に、あわせて向こう五カ年間この特養ホームについてどういう展望をお持ちになっているか、この点についても御見解をお示しいただきたいと思います。
○増岡国務大臣 お答えいたします。 百二十カ所、五十人と仮定いたしますと六千人ということでございます。これは従来この数カ年間百二十カ所ぐらいできておりますのでそういうふうにお考えだと思いますけれども、定員百名のところもございますので、従来の実績からいきますとこの数年間八千人ということでございます。しかしそれでも十分とは申せませんので、従来から新しい施設については老人ホームをほかの施設よりか重点的に考えておるところでございますけれども、今後もますますその方面に力を入れていかなければならないと思うわけでございます。 問題は、御指摘のように、せっかく入りましてもそこに働く人が十分な機能を発揮してもらわなければならぬわけでございまして、その従事者につきましては、社会福祉協議会の研修センター等でいろいろ養成をし、さらに再教育をするということをやっておるわけでございますけれども、その面についても十分配慮をしていかなければならないというふうに考えております。
○二見委員 このことでがたがた細かいことを詰める気はありませんけれども、一万五千人が現在待機中である、さらに潜在的希望者も含めればもっと多くなるだろうという現実を考えれば、私は六十年度予算百二十カ所、八千人で甘んずるんじゃなくてさらに、これはそういっても場所の問題もあるし従業員の問題もあるから、そうこちらで言うとおり五十カ所、二千五百人ないし三千人分つくれと言っても、はいそうでございますと簡単にいかぬかもしれないけれども、その追加をするぐらいのことは検討していただかないことにはこの問題は解決しないと思うのです。もう一度はっきり答えてください。
○増岡国務大臣 御趣旨に従って十分検討してまいりたいと思います。
○二見委員 私は私の家の経験から言うわけじゃありませんけれども、おばあちゃんが病気になって動けなくなった。そのときおばあちゃんに、どうだ老人病院に行くかと言ったら、真っ先に言ったのは、いやだ家に置いてくれ。やはり寝たきりで痴呆性だ、あるいは動けないといっても、病院あるいは特養ホームに入るよりも自宅で家族に見守られていたいというのが心情だろうと思う。また家族としてもでき得る限り面倒を見たいという気はあるわけです。そうすると、そうしたいわゆる自宅で介護をしようとする人に対する支援体制というのが整わなければ、そういう希望があったってかなえられるものじゃありません。確かに厚生省からいただいたそういう対策を見ると、ショートステーだとかデーサービスだとかいろいろあるのです。メニューはそろっている。注文をすると、ただいま品切れでございますとか、先ほどで全部売り切れましたとか、そういうことになるわけです。ですから、私は具体的な問題でまた厚生大臣にお尋ねしますけれども、在宅の寝たきり老人を介護する支援体制というのは絶対に強化しなければならぬ。例えば老人保健法では保健婦による訪問指導というのが行われることになっております。現実にはどのくらい行われておるかというと年に二、三回です。しかも限られた人に対して二、三回しか行われてない。私はこれは月に一遍訪問できるだけの大幅な拡充が必要だと思います。まあことしじゅうにできるとか来年じゅうにできるという問題じゃないだろうけれども、この大幅な拡充については厚生省としても見解を示していただきたいと思います。それが一つ。 もう一つ、ヘルパーというのがある。私はホームヘルパーの数というのは六十年度予算では千七百人ふやすことになっておりますが、ふやしても全国で二万一千六百十三人です。人口十万人対比では日本は十八・三人、イギリスでは二百三十二・六人、フランスは百一・四人、アメリカは四十二・五人、ホームヘルパーの数もかなり低い。これは数はふやさなければならぬ。もう一つびっくりしたのはホームヘルパーの活動費というのがある。これが月額二千五百円、日曜日を除いて全部活動をしたとしても一日百円だ。こんな低い活動費がありますか。幾ら半分ボランティア的な要素があると言いながら、月額二千五百円の活動費。それは報酬は年間百四十万あるかもしらぬけれども、活動費の月額二千五百円というのは余りにもひど過ぎると思う。これも検討していただきたい。よろしいですね。後でまとめて御答弁いただきます。 それから、これは大蔵省の方になるのかもしれませんけれども、在宅サービスがおくれている原因というのはどこにあるかというと、やはり補助率なんですね。例えば施設に入った場合にはその措置費というのかな、これは十分の八が国の負担だ。今度は高率一律カットが適用されれば十分の七になりますがね。十分の八、地方が十分の二です。ところが在宅サービスということになると補助率は三分の一なんです。ですから地方自治体は在宅サービスを強化するよりも特養ホームか何かつくってもらった方が地方の持ち出しは少ない。これはやはり問題ですよ。この点については補助率の格差というものは長期的には縮めてもらわなければならぬ。縮めるというと、わかりました、十分の八を十分の五にします、そっちの方の縮め方では困るんだ。三分の一を例えば十分の四にするとか十分の五にするとかという形で考えてもらわなければならぬ。この点は大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。 以上、厚生大臣と大蔵大臣、御答弁をお願いします。
○増岡国務大臣 私どもは、お年寄りが幸せであるためには家族とともに地域社会で顔見知りの人と一緒に暮らす、こういうことが一番大切だと思うのですけれども、そういう意味で在宅者に対する施策というものは御指摘のとおり非常に大事でございます。したがいまして、老人保健法によります指導者の派遣につきましては、その指導者そのものの人材を確保するということを含めましてこれまでも予算の確保に努めてきたところでございますけれども、今後も保健事業の五カ年計画に沿って人材の確保を含め、必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。 御参考までに申し上げますと、予算規模におきましてはかなりな増額を見ているところでございますので、なお今後も努力をしてまいりたいというふうに思います。 家庭奉仕員の問題につきましては、御指摘のように手当が百四十万円あるわけでございますけれども、これは手当でございますから、活動費が年額にして三万円というのは、大変私どもといたしましても今後その改善に力を入れなければならぬ問題だというふうに考えておるわけでございます。 なお、あとは大蔵大臣にお答えいただきます。
○竹下国務大臣 老人福祉対策を実施しております地方公共団体等に対する国の補助率、これにつきましては、施設入所者に係る運営費の補助率と在宅福祉サービスに係る補助率の格差があることは御指摘のとおりであります。 補助率は、それが決まった段階で申し上げますならば、国と地方公共団体間の費用負担の問題、一つ一つについてそういう角度から議論をいたしまして、確かに家計負担という問題と必ずしも直接の結びつきなしな議論として結果が出ておるわけであります。が、今もおっしゃいましたように、施設による福祉と在宅における福祉について、両者の連携をとりながら整合性を持たせてその充実を図る上では補助率の格差を是正すべきである、この意見、今おっしゃったとおりの意見がございます。したがいまして、この社会保障に係る国と地方公共団体の役割分担、費用負担、これにつきましては政府部内で検討をする、こういうことになっておりますので、その中で私どもはこの点も含めて総合的に検討をしてまいりたい、このように考えております。
○二見委員 大蔵大臣、お言葉を返すようですが、大蔵大臣の言葉を聞いていると、補助率がアップするんじゃないかなという期待を持たせながら何となく別の方で地方の負担を削るんだというようなニュアンスも受けるのですけれども、要するに在宅サービスに係る補助率三分の一は引き上げるという方向で検討するというふうに理解してよろしいですか。
○竹下国務大臣 それは、予言をしろとおっしゃればなかなか難しい問題でございます。結果としてホームヘルパーの方に対する活動費として届くものを減すという考えはございませんが、いわば社会保障全般に対する国と地方の負担割合をどうするか、そういう議論の中の一つとして位置づけてこれから検討を可能な限り、私の期待感としては六十一年度予算編成までに、こういうことでございますので、上げるとか下げるとか、それは地方と国との費用負担のあり方という点で根本的な議論をしよう、こういうことを三省三大臣合意をしておるところであります。
○二見委員 その地方との費用負担の問題はどうせ私はこの後で高率一律カット問題でもって議論しようと思いますので、それはちょっと置いておきます。 ただ、大臣、これは考えていただきたい。例えば在宅者、寝たきり老人については税法上どうなっているかというと、御存じのように扶養控除三十三万円が認められますね。それから障害者控除三十三万円が認められておりますね。このほか、老人ホームとか老人病院とか施設に入っていない在宅の寝たきり老人に対してはさらにプラス七万円の控除が認められておりますね。ところが、在宅の者と施設に入っておる者とを比べた場合の家族の負担というのはどういうことになるかというと、例えば老人病院に入っている場合は、本人というか家族の負担は今の老人保健法によって一日三百円の入院費を二カ月間ですね。それ以後はゼロですね、本人の負担ということを考えれば。寝たきり老人、自宅でもって寝ている老人に対しては税法上七万円の控除しか認められませんね。これは、自宅の者とそうでない者との間に公平という点から見れば余りにも差があり過ぎるのじゃないか。それは、施設がたくさんあって自由にだれでも入れるような状態であってなお自宅で介護しているならわかる。施設に入れたくたって、ないんだから。そういう施設に入ること自体が不可能、難しいという段階の中でこの不公平というのは私は許されるべきではないと思う。したがいまして、私は在宅寝たきり老人の介護控除制度というような、例えばそういう名前のもの、これは新たに考えていただきたい。六十年度予算で考えるとは申しません。六十一年度税調にこの問題を検討するように大臣の方からも助言をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○竹下国務大臣 新たなる特別控除を創設するということになりますと、これはいろいろ議論のあるところであると思います。どういうふうな工夫でやるか。現在もう七十三万円ということは、一般扶養控除の場合からすれば二・二倍だ。だから税制面においても最大限の配慮をして五十九年も改正してもらった、こういうことになるわけですが、今の御意見は正確に税調へもお伝えして、議論をしていただくべき課題だというふうに私も思います。
○二見委員 総理大臣、今のいろいろな御議論をお聞きになりながら、総理としてもいろいろな御見解がおありだろうと思いますけれども、私は老人問題への対応というのは非常に幅広い、すそ野の広いものだろうと思います。先ほど赤松婦人局長から、老人問題については婦人も参加させていただきたいというお話もございました。私は、この問題は二十一世紀、高齢化社会を展望した場合に今からその基礎というものをつくっておかなければならない。そのためには医学の分野、保健学の分野あるいは社会学の分野、いろいろな分野からの総合的な観点でもって老人問題というものは考えなきゃならない。そのための基礎研究というものをしなければならぬと思うのです。そうした基礎研究に基づいた長期的な対策というのがこれから出てこなければならぬ。場当たり的では処置し切れるものではないと思います。アメリカやソ連などのいわゆる高齢先進国では、国立あるいは国が指導したそうした機関があるそうであります。残念ながら我が国にはありません。聞くところによりますと、アメリカの国立のそういう研究所から日本政府に共同研究しないかという呼びかけがあった。国の方には受け皿がないから、たまたまそういう機関を持っている東京都の方に渡したという話も聞いております。 総理は、就任されたときにがん対策に大変熱心になられた。私は、同じように老人問題へ本気になって取り組んでいく研究機関といいますか、総合研究機関というのか、そうした幅広い意見を結集した研究機関というものを設立して、長期的な対策、基礎研究、これをやるべきだと思いますけれども、総理、この老人問題の結論として私はお尋ねしたいと思いますが、総理の御見解はいかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 お説のように、総合的な幅広い面からの研究が必要であると思います。ただ、そういう研究機関設立云々という問題についてはよくこちらも研究してみたいと思います。
○二見委員 防衛問題、財政問題をやる予定ですが、ちょっと時間がわからなくなりますので、最初、防衛問題からまたお尋ねをしたいと思います。 最初にいわゆるSDIについてお尋ねいたします。 中曽根総理はSDIについて、これは防衛的兵器であり非核兵器である、それから核軍縮につながるということで、レーガン大統領との会談のときに研究に理解をお示しになられた。そしてSDIはABM条約、宇宙条約には違反しないとこの委員会でもおっしゃられました。私は、ソ連がこの外相会談に応じて三月十二日から軍縮交渉が始まりますね、ソ連がその交渉に乗り出してきた背景には、アメリカがこのSDI構想の研究に着手したという事実があったことは事実だと思います。しかし、それだけを取り上げてSDIはいいものだ、総理の方はこれは核廃絶につながるからいいものだという御認識がおありのようだけれども、私は必ずしもそういう認識はしていない。私はむしろ、どちらかというと疑いの眼を持って見ている方であります。ですから、楽観的に、肯定的にお認めになる総理の立場と私の立場は違います。違いますけれども、この問題はここで議論が済むものでなくて、これからいろいろな角度から議論していかなければならない問題だ。そういう意味でもってあるいは意見のすれ違いになるかもしれないけれども、お尋ねをしていきたいと思います。 私は、SDIが宇宙条約に違反してないというのは、宇宙条約が締結されたのは昭和四十二年でしたか、そのころにはこういうものが出るという予想をしていなかったということがあると思うのですね。ですから、SDIが宇宙条約に違反してないというのは、その条文を見る限りにおいてはそのとおりだと思います。では、ABM条約については、これは違反してないかというと、研究の段階では違反してないけれども、これが開発や実験、実戦配備という段階になった場合には、ABM条約五条一項に触れてくると私は思います。この条約が締結されたときに、アメリカとソ連の間では、プロトタイプというのですか、実戦配備をする前の段階、これからは禁止だという米ソ両国の合意があるというふうに聞いております。したがって、研究の段階ではABM条約に違反していないけれども、実戦配備あるいはその前、プロトタイプの段階になったならばABM条約にこれは必ず違反する、したがって、ABM条約は改定をするか破棄しなければならない性質のものだとSDIについて私は理解をしておりますけれども、総理、いかがでしょうか。
○栗山政府委員 ABM条約が、一定の条約で決められておりますごく限られた範囲のものを除きまして、委員御指摘のように対弾道ミサイルシステムの開発、配備というものを禁止しておるということはおっしゃるとおりでございますし、米ソ両国もそういうふうに認識しておるということは明白でございます。したがいまして、アメリカの基本的な立場は、今委員御指摘のように、研究段階は現行条約で禁止をされておらないけれども、これを現行条約の範囲を超えて配備、開発に進む場合には、これは当然ソ連と交渉をしなければならないことである、こういうことはアメリカの認識でございますし、対外的にもその態度は明らかにしておるところでございます。
○二見委員 このSDIの影響というのは、私は二つの段階に分けて考えなければならぬと思うのです。一つは、開発に成功してアメリカもソ連も実戦配備するという、その段階で世界の安全というか防衛構想がどうなるかということを考えなければならない、これが一つあります。もう一つは、研究開発の段階です。この二つに分けて、このSDIの影響というか、SDI問題というのは考える必要があると私は思うのです。 総理に伺いたいのは、まず研究開発の段階、今は研究の段階ですね、この段階で、恐らくこれができるのはアメリカとソ連だけだと思います、現実的には。我が国は向こうの国よりも大分研究ではおくれているな、このままいったならば向こうがかなり早い時期に開発してしまうなという認識をした場合は、その国はどういう行動に出るかというと、向こうが開発を完了し、実戦配備する以前にそんなものを、例えば実戦記術する場を持っていないとなればもう無条件降伏以外にありませんから、そうなれば我が方は相当おくれているなという認識をした国が、悪い言葉で言えば過剰防衛反応、そういうことから相手国に核の先制攻撃を加える可能性が高まってくるんじゃないか。そうした意味で、これはSDI構想というのは、米ソの間にかえって不安定な要素というのが出てくることもあるんじゃないか。同じようなレベルでずっと進んでいけばいいです。こう違った場合に、先制攻撃を加えるんじゃないかという可能性が出てきて、アメリカとソ連の間にかえって不安が高まってくるんじゃないか、私はこういう判断をしておりますけれども、総理はいかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 直線的に考えればそういう考えも一つは成り立つと思いますが、その間において、米ソ間においてはさまざまな交渉、話し合いが行われる可能性が非常に大であると思います。 アメリカ側もソ連に対しては話し合いをする、そう言っておりますから、あらゆる相当な過程、過程で、そういう不意打ち的戦争を防止するための措置は当然両方が心してやるだろうと思います。また、そうすべきであると思っています。
○二見委員 要するに、この問題は仮定の問題ですから、でき上がっている問題を議論するんじゃありませんけれども、一つには、私が申し上げたような危険性については総理は否定はなさらなかった。と同時に、そういうことを避けるために米ソ間でいろいろな話し合いがあるから大丈夫だろうというお見通しをお述べになった。要するに、この点については二つの見方があるということだけは、総理のような見方と私のような疑問と両方があるということだけは、これは事実だと思います。 それでは、この問題はこれで一度打ち切っておきましょう。 それではもう一つは、今度は米ソともに開発に成功した、これもあり得るわけですね。途中で、ABM条約のときのように、いや、こんな金のかかるものはやめちゃおうじゃないかというので、両方で新たにSDI条約か何か結んでやめてしまえば別ですけれども、そうでない場合には、米ソともに開発に成功した、そうすると、これは理論からいけば核が無力になりますね。そうすると、今は米ソともに核による抑止論というのが防衛というか戦略になっておりますね。相互確証破壊とかそういう核抑止理論が大勢を占めているわけでありますけれども、そうなった場合の抑止、均衡というのは何で保たれるのだろう。核が無力になった、そうすると抑止と均衡は何で保たれるのだろうということになると、これは通常兵力の重要性というのが今までよりもずっと高まってくるんじゃないか。これはヨーロッパにとってはかなり深刻な事態になるんじゃないか。 そうしてそうなれば、通常兵力の重要性が出てくれば、これは当然、ソ連の通常兵力とヨーロッパのNATOとはこんなに違いますから、NATOはソ連、ワルシャワ機構軍に合わせるように通常兵力で軍拡をしなければならぬ。理論的にはそうなる。それは極東にも波及して、日本の防衛力増強という結果ももたらすのじゃないか。ということは、SDIが理想どおりいったとしても、今度は逆に通常兵力の分野での軍拡競争というのが新たな問題として国際場裏に出てくるんじゃないかというふうに私は考えるわけですけれども、総理は、そういう可能性についてはどうお考えになりますか。
○中曽根内閣総理大臣 二見さんはよくお考えになっておりますから、そういう到達点をよくお調べになってお述べになります。一つの推理としては、そういうものも否定し得ない可能性の一つとしてはあり得ると思います。 しかしその前に、例えば戦術核がどうなるかという問題があるわけですよ。それはICBMやIRBMはやられても、では戦術核はどうなるか。それで、あなたがおっしゃるようなワルシャワ条約体系とNATO体系におけるヨーロッパ正面の防衛問題が出てくる。そういうものが出てきた場合に、じゃNATO体系の国々がどういう反応を示すか。そこで、米ソの話し合いあるいはヨーロッパ、NATOとソ連との話し合いという問題が出てくる。しかし、その間に、あるいは精密誘導兵器であるとか通常兵器における新しい発展ということも考えられないこともない、あるいは航空機による新しい発展というものも考えられないこともない。そういう未来についてはいろいろの、さまざまなフィクションが可能なのであって、そればかりが一つの到達点ではない、そういう少しふっくらした気持ちでお考え願った方がいいと思っています。
○二見委員 そのふっくらした気持ちがまた非常に危険なわけでありまして、おっしゃるようにICBMについても無力になる。おっしゃられたように戦術核がどうなるという問題がある。そうすると、核廃絶というのは、私は戦術核まで含めた核廃絶かと思っていたけれども、そうじゃないのですか。その点もちょっとお答えいただきたいことですね。 もう一つ、よく総理は、これは核廃絶を目指す防御兵器だと非常にふっくらした気持ちでおっしゃられているのだけれども、私は、要するに例えば、ICBMというのはやりでしょう。パーシングⅡもやりでしょう。ソ連にとってみれば、SS20もやりでしょう。SDIは盾でしょう。やりと盾と両方持った。このやりでは向こうの盾は突けない、向こうのやりではこっちの盾は突けない、お互いにやりは持っても要らないから、もうやりは捨てましょうかとぱっと捨てますか。捨てませんよ。減らすかもしれない、捨てることはない。盾も持ちながら、やりだって持っている。すきあらばとこうくる、これが本能というものですよ。防御優位にはなるかもしれないけれども、核という攻撃兵器はやはり温存されると思います。したがいまして、これをやれば核廃絶につながるのだと言う。私の言うことを、二見さんは先の先まで見て一つの到達点を見つけるけれどもと言うが、総理の方だって、勝手に自分の方で到達点を見つけているんじゃないか。そうなるとは限らないのです。どうですか。
○中曽根内閣総理大臣 核廃絶を目的とするときはもちろん戦術核まで廃絶すべき、そういう方向に進むべきである、またそこへ努力していくべきであると思います。 そこで、今の想定の中で、やりは捨てないだろうというお話がありますが、だんだん減らしていって、今のように千五十三のランチャーであるとか何万発というようなそういうものはだんだん減っていくかもしれませんね。それで必要ぎりぎりという面にいくかもしれませんね。それでも今よりは大進歩です。そして、そこまでいったら、次に、今度はそれをまた、なくしていく、そういう方向に人類の英知は進めていかなければならな 今の戦術核の問題その他の問題にしても、あらゆる可能性というものは将来像についてはあり得る。しかし、そのあらゆる可能性の中で核廃絶を目指して我々はひたむきに前進させていく。今のままなら今のままで膠着してふえていく危険性があるわけですから、少なくとも減っていくとかぎりぎりまで減らすとかそういう可能性が出てくれば一歩前進ですから、そういう発想についても我々は温かく注意深く見守っていく必要がある、そう考えております。
○二見委員 先ほど私が、核が無力化した場合、通常兵器がふえるんじゃないかという話を申し上げましたが、総理が精密兵器だとかいろんな分野でまた新しいものが出てくるというようなお話をされましたけれども、実際に核が減るのかどうかまだわからぬ話で、そういう期待感を総理はお持ちになっている。それから一方では、通常兵力だけではなくて、例えば化学兵器、あるいは別の新しい兵器、別の面でも、核がだめならほかでもあるさというので別の兵器体系というのが出てくるだろう。別の角度での軍拡というのが進んでいくんじゃないかという危険性を持っております。そのことだけを私は申し上げておきたいと思います。 それからもう一つ、これは全く素朴な庶民的な意見で申しわけないのですが、SDIというのは物すごくお金がかかるという話です。最終的には五千億ドルとか一兆ドルとかいうお金がかかるそうです。総理が理解されたのは結構なんだけれども、私はイエスという意味じゃありませんよ。アメリカはGNP第一位の世界人国でしょう。アメリカは、世界の安全保障のみならず世界経済にも大きな影響力を持っている、責任を持っている国だ。ところが、そのアメリカが世界に一番悪影響を及ぼしているのは財政赤字。アメリカの財政赤字は高金利を生み、その結果、日本が円安になっている。そういう事実があるにもかかわらず、なおかつこんな五千億ドルだ、一兆ドルだなんというお金をアメリカがSDI構想につき込むということは、人の懐を心配するようではあるけれども、アメリカにとっても大変だろうし、それは世界経済に決していい影響を及ぼさないと私は考えているのですけれども、同じことはソ連にも言えます。ソ連もGNPの十何%を防衛費に使っているという、ソ連が経済的にかなり破綻しているんじゃないかという情報も聞いております。私は、米ソともにこんな金の使い方は、世界経済に悪影響を及ぼすんじゃないかと思いますけれども、総理はどうですか、認識は。
○中曽根内閣総理大臣 それは、アメリカには議会というものもあるし、反論というものもあるし、非常に強いジャーナリズムの力もあるわけですから、国政というものは当然国民の福祉を中心に、常識で行われるべきものであって、そんな巨大な兵器ばかりに金を使って国民が塗炭の苦しみに遭うようなばかなことは、民主主義社会には行われるはずはない。日本では少なくとも行いませんね。アメリカでも行わないでしょう。ソ連でも行われないでしょう。そういう点は、やはり人類がここまで到達した文明の高さや、良心とか良識とか国際世論とか、これから行われるであろう高度情報社会、テレビが普及して国境はだんだん下げられていく、そういうようなそっちの方のコミュニケーションあるいは交流、そういうものの力がますますもっとふえてくる時代になってくるので、私は人類の前途について二見さんほど悲観的ではない、むしろ大体ああいう核兵器を使ったような戦争が行われるのだろうか、私は行われるはずはない、また行ってはならぬし行われるはずはない、そう人類を信じておるわけです。
○二見委員 私も、よほどばかでない限り、アメリカとソ連が核兵器を持ち出して、それこそ核の冬が地球上を覆うようなばかなまねはしないだろう、それだけの英知というか理性をアメリカもソ連も持っているだろうと信じております。しかし、信じているからといって油断をしてはいけない。あらゆる機会に核の恐ろしさを訴え、核の廃絶を訴え、そればかりではなくて、通常兵力の削減もこれから目指していかなければならないと私は考えております。 それで、総理、もう一点お尋ねいたしますけれども、レーガン大統領と会談されたときにSDIについてあなたは理解を示され、節目節目で情報を提供するよう申し入れたとおっしゃられまして、岡田委員の質問に対しても、アメリカはそれをオーケーしたとおっしゃられました。私は、SDIについて賛否の別はあるとしても、総理のようにこれは核廃絶でどんどん行けという、何かお話によると、これはおもしろいアイデアだと思った、この兵器を甘く見てはいけないとか、子供が何か新しいおもちゃを見るような再びでいらっしゃるのだけれども、総理の立場と、私みたいに、こんなことをやったらどうなってしまうのだろうと非常に悲観的な立場で見る者との違いはありますけれども、ただ、節目節目で情報を提供するよう申し入れたということは私は非常に適切だったと思います。アメリカとソ連がそういう研究開発を進める、日本だけがその情報の外に置かれたのでは、賛否は別としてこんな恐ろしいことはない。したがって、その研究段階で情報提供を申し入れたということは適切だったと思います。 ただ、総理、SDIの研究というものは、これから日本でもあらゆる角度から議論しなければなりません。もちろん、世界全体でこれがいいとか悪いとかどうなるか、今までの核戦略はどう変わるのか、兵器体系はどうなるのか、いろいろな角度からの議論がこれから沸き起こってこなければなりません。ということになれば、この情報はもちろん中曽根総理ばかりじゃなくて、その次の総理、その次の総理、いろいろ続いていくわけでしょうけれども、歴代の総理が自分のものにしてはいけない。もちろん外交秘密はありますから、全部が全部一〇〇%というわけにはいかないだろうけれども、可能な限りSDIに関する得た情報というのは国民の前に明らかにする、そして国民のいろいろな立場からの批判を仰ぐ、判断の材料にする、これが私は絶対にこの問題に必要だろうと思います。その点について総理は、可能な限り公表することをお約束していただけますか。
○中曽根内閣総理大臣 私は、そのことはいいと思っております。ただ、両国間の関係でありますから、相手と話し合ってここまではいい、これ以上は困る、そういう限度は守るべきであるが、できるだけ広く国民の皆さんに状況をお知らせするということは一般的に大事であると思っております。
○二見委員 外交上秘密のあることは、私も理解いたしております。でき得る限り公表する、国民の前に明らかにして、各界各層の意見、批判を受ける、そして、そうした批判に基づきながら、SDIに対するそのときどきの政府の考え方を決めていくということは大変大事なことだと思いますので、ぜひともお願いをしたいと思います。 防衛問題をさらに続けさせていただきますけれども、防衛大綱について二、三承ります。 総理の私的諮問機関である平和問題研究会は先日、総理お読みになったでしょうけれども、「防衛計画の大綱」を再検討することを提言しました。要するに、基盤的防衛力の考え方は主として平和時のものだから、基盤的防衛力の概念とは趣を異にする防衛体系をつくるべきだ、こういう主張だったというふうに思います。もう少し別の角度で言えば、一九七〇年代後半から極東ソ連軍の増強など国際環境は変化しているので、有事に即応できるように防衛大綱を変えろ、そうした防衛体系にしろというのが平和研の提言だと私は思います。しかし、我が国川辺の国際構造につきましては、私は、単に米ソの軍事力の不均衡、その点だけをとらえて云々すべきではないと思っております。 そもそも防衛大綱、私たちは防衛大綱そのものを一〇〇%認めるわけではありませんけれども、防衛大綱は我が国周辺地域において米ソ中の三国間に一種の均衡が成立している、こういう判断に立っている。加藤防衛庁長官は大綱の見直しを記者会見で否定されました。これは私なりに考えれば、極東におけるソ連の増強はあったかもしれないけれども、基本的には米中ソの枠組みというものには変化がなかったんだ、だから加藤防衛庁長官は大綱を堅持するという発言をされたんだと私は理解をしております。総理は、事あるごとに我が国周辺の国際情勢の変化というものを非常に強調されておりますけれども、平和研のいわゆる大綱見直しについてはどういうようなお考えでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 大綱の見直しを今すぐやるという考えはありません。大綱の水準に早く到達しよう、それが今当面、我々が一生懸命努力しているところであり、私の考えてあります。
○二見委員 そういたしますと、総理、さらにつけ加えてお尋ねいたしますけれども、平和研では、基盤的防衛力の概念と趣を異にする有事に即応できる防衛体系をつくるべきだという提言をしておりますね。この提言については、今はその段階ではない、そんな必要はないと否定なさるというふうに理解してよろしいですか。
○中曽根内閣総理大臣 大綱をつくるについてはそれなりの思想的根拠があって、そして行われた。それは、いわゆる基盤的防衛力と称せられるものが基礎にあった。大綱を我々が守っていくという背景、その基礎的な考え方というものは変える必要はない、こう思っております。
○二見委員 くどいようですけれども、要するに米中ソ三国というこの枠組みが大きく変化していない、だから大綱は変える必要はないんだ、こういう認識でよろしゅうございますね。
○中曽根内閣総理大臣 米中ソ三角関係の枠組み云々という問題ではなくして、それは国際情勢は大きく激変していますよ。アフガニスタン問題が起きたり、新しいソ連の航空母艦が来たり、あるいはダナンやカムラン湾に相当の兵力が展開したり、いろいろ変化していますよ。ですから、その変化はよく承知しておる。だがしかし、何しろ大綱の水準に達するというのが我々のずっととってきた政策でありますから、それを大綱水準に達しもしないうちに変えようというような考えはないのです。したがって、その基礎になっておる考え方も変えるものではない。しかし、変化はあるということは知っています。
○二見委員 長官、私は長官が大綱堅持とされたときに、いろいろな変化はあるだろうけれども、基本的な枠組みは変わっていないから堅持するんだというふうに、これは新聞記事だけなんだけれども、そういうふうに判断したのです。私の判断は正しいですか。
○加藤国務大臣 総理が申されましたように、大綱の水準はまだ現在達成されておりません。したがって、歴代の内閣が公約いたしましたように、またこの国会でも数次表明いたしましたように、できるだけ早く大綱の水準を達成するというのが私たちの急務だろう、こんなふうに思っております。 それから、大綱をつくったときの国際情勢から見ますならば、現在いろいろな意味で国際情勢は厳しくなっておるといいますことは、ただいま総理が申し上げたとおりだと思います。一方、大綱をつくりましたときにどんな骨組みを考えたのかということでございますけれども、東西のグローバルな関係で言いますならば、いわゆる東西対立の厳しさはあるけれども、核についての相互抑止が働いておりますし、平和のための努力もまだございましたから、その中では大きく紛争が発生するような骨組みにはなってないのではないだろうか。我が国周辺を考えますときも、確かに朝鮮半島等の厳しさはあるけれども、しかし、この地域における大国間のある種のバランスもあり、また日米安保というものがあるので、我が国が直接すぐ侵略されるような状況にはない、そういう状況が維持されるのではないか、そんな骨組みを当時は考えていたと思います。その骨組みは、現在のところも基本的な国際情勢は変わりはないけれども、しかし、国際軍事情勢とか我が国をめぐる極東の情勢等を見れば、厳しさが増しているということは総理御指摘のとおりということだと思います。大きな骨組みというのはまだ変わっていないので、現在のところ大綱の水準を早く達成すること、それを目標にすべきでないか、こんなつもりでおる次第でございます。
○二見委員 私は、総理の我が国周辺を取り巻く認識と長官とはちょっと違いがあるような感じがいたします。しかし、それはまず置いておきましょう。 その前に、総理は大綱水準達成ということを今もおっしゃられました。まず大綱の水準達成が大事なんだ、だからそれは見直しどころか水準の達成が大事なんだと今もおっしゃられましたね。今の発言それ自体、私は後で問題にしたいのだけれども、その前に、じゃ大綱の水準の達成というのはいわゆるこの別表にある量の達成のみをいうのか、それとも量のみならず兵器体系の水準に、――水準というか、兵器体系の水準は変わってきますね、上がっていく。それに伴った質的な更新、より新しいものに変えていくということも含めているのか、この点についてどうですか。
○中曽根内閣総理大臣 それは、大綱をつくったときの文書であったか了解であったか、たしか私も読んだことがあるので、それは質的変化は当然認めておるわけです。現に、四次防あるいは三次防のときにできた兵器が、大綱の達成がおくれているために、その更新がどんどんどんどん出てきて、そっちにばかり金がかかってしまって新しい兵器の調達の方に金が回らない。そういう意味でも、大綱の水準達成が非常におくれている。したがって、大綱水準達成の速度がもっと遠ければ兵器の更新に使う金もそれほど多くはなかった、大綱の達成費用に関する限り。そういうこともあり得たのであります。したがって、質的変化、質的転換ということは、もちろん大綱の中で認められていることです。
○二見委員 要するに、一日も早く大綱の水準を達成したいと言っているのは、量的な問題で総理は言っているのか。質的な大綱の水準ということになりますと、これはエンドレスですからね。例えば五九中業で量的には達成できた、新しいものに変えて。しかし、質的にはということになれば、質的な問題ではエンドレスだ。総理は一日も早く大綱の水準を達成したいというのは、それではどちらに重点を置いているのですか。
○加藤国務大臣 大綱の水準達成と申しますのは、委員御指摘の言葉で言えば質的な面と量的な面、その両方を早く達成しなければならないと思っておることでございます。
○二見委員 じゃ、質的な問題はこの後ちょっと議論いたしましょう。その前に、栗原前防衛庁長官は五九中業で何とか水準を達成したいと考えていたようですけれども、防衛庁も同じですか。もしそうだとするならば、私はきょうはこの問題はいわゆるGNP一%の論議とは絡めません。というのは、これと絡めて議論すると、防衛庁も本当のことを言わないし、議論がそこでその一%でもってストップしちゃって発展がないので、一%論議はどうせこの総折質疑が終わった後集中審議もありますし、また他の委員からもこの問題は論議いたしますので、我が党は一%は守るという基本原則に立っているけれども、あえてきょうは目をつぶって一%論議をしないで固くわけです。 五九中業は、この予算というのは、五六中業と比較してどの程度になるのか。つまり、その間の防衛予算というのは、単純に五で削ってもいいですよ、五年回ですからね。計算上GNP比どのくらいになるのか。GNPは、いやそのときどきいろいろ経済見通しがありましてということになるだろうけれども、それは政府の七カ年計画とかいろいろありますね、それに当てはめてもいいし、ことしのGNP、六十年度のGNPの伸び比で類推しても構いません、これはあくまでも仮定計算の話だからね。その点どうでしょうか。
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。 五九中業は御承知のように六十一年度から六十五年度までの五カ年間が対象でございますが、現在その五九中業の中でどういった事業をやるかということを事務的にいろいろと検討している段階でございまして、今の時点で経費が一体どの程度になるかということを申し上げられるような段階ではございませんので、したがいまして、今御指摘のGNP比についての推計などということも今の時点では具体的には申し上げられないということで御理解を賜りたいと思います。
○二見委員 私は、そういうことを言われると、一%の問題を言いたくないんだけれども出てくるんです。仮定の問題なら、まだ計算ができてないならば、私はあえて言わせてもらうけれども、五九中業というのは、GNP比一%を守る、守るように努力する、守りたい、この精神を踏まえた上で五九中業はつくるんですね。要するに、五九中業で――五六中業では目標の六〇%に対して四三%しか達成されないとなっている、推定では。五九中業ではこの不足分も埋めて、なおかつ五九中業で達成したいということになれば、GNP比一%を超えるのはわかっているんだ。計算していないのならば、GNP一%は念頭に置いて、五九中業で水準の達成は本当はしたいんだけれども、そういういろいろな国会論議の歯どめもあるので、あえて五九中業で達成することは、五九中業の次の中業になるかもしれない、そこまでの含みを持たせた上での五九中業の作業なら私わかる。どうですか、これは。私は一%の問題は絡めたくないから申し上げているんだ。
○中曽根内閣総理大臣 その点については、この間おたくの矢野書記長に私がここで御答弁申し上げた、あのことに尽きると思っています。
○二見委員 それでは、総理の答弁というのは非情に、矢野書記長に答弁いたしたとおりですと言われると、私は素直に五九中業――防衛庁長官、聞きますが、五九中業で水準の達成を図るのですか、完成させるのですか。それとも、いいですか、総理は矢野書記長に答弁したとおりでございますとおっしゃった、そのことを踏まえると、五九中業で一〇〇%達成は必ずしも、これは防衛庁長官個人としては望むかもしれないけれども、それはさらに先に延びてもやむを得ないんだという御判断は持っているんでしょうね、これは。
○加藤国務大臣 昨年五月だったと思いますが、前防衛庁長官の粟原さんが、五九中業で大綱の水準に到達することを期する、そういう前提で五九中業の作業を開始しなさいという防衛庁長官としての指示を出されたわけでございます。私たちとしては五九中業で大綱の水準の達成を期したい、こう思っております。
○二見委員 いや、長官、期したいのと矢野書記長に対する総理の答弁とはどういう関係になりますか。
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。 五九中業とGNPの一%に関する閣議決定との関係につきましては、昨年もしばしば御説明申し上げたことがございますけれども、これは五九中業の性格を御理解賜りたいわけでございまして、中業と申しますのは、防衛庁の内部の参考資料、概算要求等の参考資料という性格のものでございますし、それからまた期間も、先ほど申し上げましたように五年間を対象とするという性格のものでございます。他方、GNP一%に関する閣議決定と申しますのは、これは政府の問題でございまして、政府レベルで毎年度の予算のときの防衛力整備を進めるに当たっての判断の一つのめどということで決められた性格のものでございます。そういう意味で両者は直接結びついているものではないわけでございます。 現在は、先ほど申し上げましたように、大綱水準の達成を期するということで五九中業の作業をいたしておるわけでございますが、最終的にどういうふうに取りまとめるかということにつきましては、最終段階で慎重に判断をいたしたい、こういうことでございます。
○二見委員 総理、じゃ重ねてこの問題をお尋ねしますが、五九中業は防衛庁がつくるものだ。防衛庁としては昭和六十五年に水準達成ができるように、防衛庁はいわゆる別表、買い物計画をつくる。それはつくりますから、恐らくこれはGNPをこんなに超えるかもしれない。それはわからない。まだ計算できておりませんからわからない。しかし、これをそのとおりやるかあるいは先送りするかは、今の矢崎さんの御答弁では、これは政府の判断だと思っている。一%というものを念頭に置いて政府の判断だというふうに私は理解しております。政府が、防衛庁で五九中業をつくった、見積もりをつくった、しかしそのとおりやるかどうか。いや、これは国会のいろんな議論があり、六十五年には無理だから、防衛庁はそう考えるだろうけれども、七十年まで延ばしてもいいじゃないかとか、そういう政策判断はこれは当然あり得るというふうに理解してよろしいですね。そのときの財政の事情もある。景気の問題もある。そう理解してよろしいですね。
○中曽根内閣総理大臣 まず第一に、二見さんは一%との関係、非常に御興味をお持ちのようでありますが、私は、これは矢野書記長に対する御答弁のとおりでありますと。あれは中をよく読んでいただけば御理解いただけると思います。 それから、五九中業に関しましては、防衛計画大綱の達成を期して今いろいろ作業しておる最中であります。したがって、その結果が出てきて、それは事務当局の案ですから、中業としてある程度政府部内において承認するという場合には、大蔵省や関係各省もこれに対して合意するということが必要になるでしょう。たとえ防衛庁の内部の業務見積もりみたいな計画であるといっても、そういうことにはなると思います。そういうようなことから、そのときのできぐあい等を見てやりますが、その場合、私が矢野書記長にお答えしたそういうことを踏まえてやるということになると思います。あの文章の中には、私が今まで答えた答弁の内容が含まれておりますから、おわかりいただけると思います。
○二見委員 それから、総理、総理が四日の本委員会で、私がちょっと聞き間違いがあったら申しわけないんだけれども、五九中業について、これは新自由クラブの小杉さんの質問だったと思いますけれども、洋上撃破を中心とした思想で大いに練るよう防衛庁に指示していると述べて、海空重視の考え方をお示しになりました。私は五六中業のできぐあいというのを見ておりまして、防衛庁の推定では目標の六〇%に対し四三%と、かなり下回っておりますね。しかし、個別の装備では、例えば対地支援戦闘機F1というのは一〇〇%。それに対して、シーレーン防衛の上で大きな役割を果たす自衛艦の全体の達成率は、四十九隻の目標のところ十九隻しかできていない。三八・八%だ。これは発注ベースだと思いますがね。そういうばらつきがありますね。私は、総理が海空重視と言ったのはどういう意味なのかなと実は考えているんですけれども、大綱の水準を達成するというのは、いわゆる別表、陸上自衛隊、いろいろ別表が書いてありますね、それを達成することだというふうに理解しているのですが、海空重視ということになりますと、例えば別表の中では陸上自衛隊、こう決まっていますね。もう少し俗な言葉で言えば、陸上自衛隊に使おうと思っていた予算を削って海と空の方に持っていくんだというふうな意味で海空重視という考え方をお述べになられたのか、そういうお考えがあってお述べになられたのか。それとも、別表、決まっていますね。それはそれでやるんだけれども、それ以外にプラスアルファで海空、要するに別表の枠外で、プラスアルファで海空を重視した予算づけというか施策をするのか、この点については総理の御指針はどちらなんですか。
○中曽根内閣総理大臣 私が指示したというのは、指示という言葉は必ずしも適当じゃありませんが、栗原長官から期すという話を持ってこられて私が承知したときに、五九中業をつくる際にはこういうことをよく配慮してほしい、そういうことを念のために彼に申し渡した、そういうことであります。 それから、防衛計画大綱には枠ができていますね、別表で。陸上十三個師団とかなんとかという。その枠は、それを実現していく枠として生きていく。その中身というのは、今申し上げたように質的に変えられる。例えばファントムからF15にかわる。新しい近代装備に持っていかなきゃ意味ないわけですから。そういう意味において質は転換していける。そういう意味で枠はあのままであるけれども、その中身について、経費あるいは質的増強という面について、両方にわたって海空という問題、列島防衛についてはバランスから見てそっちに非常に重点を必要としておる、そう思いますから、そういうことを配慮してほしい。つまり、今以上に予算がだんだんふえていくわけです。その増加のパリティを見た場合に、陸も多少ふえるでしょう、海空も多少ふえるでしょう、そういう場合に、質とそれから量を見て海空というものを頭に置いてやってほしい、そういう意味であります。
○二見委員 そうすると、例えば航空自衛隊では主要な装備としてF15とかF4Jとありますね。F15を例えばF16にかえるとか、既に防衛大綱のとき予想した以上のものを、むしろ海空重視というのは、それ以上のものを五九中業でやれ、より新しいものをということになりますか、これは。そういう意味での重視になりますか。場合によるとこれは、大綱を守ると言いながら、大綱は確かに質について言及しているわけだから、質をどんどん変えることによって実質的に、大綱の中身はありながら、別表はありながら、質を変えることによって大綱それ自体を実質的に変えるということも私は可能だと思っているのです。その心配があるから申し上げるわけです。
○中曽根内閣総理大臣 それは同じ予算を使うにしても、性能のいい、そして防衛力、抑止力としてきき得るいいものを使わなきゃ国民に対して申しわけがない。古いものを幾つつくったってこれは経費のむだになる場面が多いわけですから、そういう意味においては質的変化というものは当然受け入れてしかるべきである、そう考えておる。ただ、その場合にどの程度のお金がかかるかという問題は別の次元としてかかってくる。それは予算全体のバランスという問題もありますし、国民の気持ちという問題もありますし、国際関係から来る情勢に対応するという問題もありましょう。そういうようなものは政治の総合判断として、かつ総合安全保障という考えも十分取り入れてやるべきものであると思っております。
○二見委員 ちょっとお尋ねしますが、洋上撃破、海空重視という考え方が示されましたね。これは大変素朴な質問なんですが、総理は、どこかの国が、仮想敵国が日本に上陸するということは万々ないだろう、日本のこれからの防衛を考えた場合に、上陸の可能性は薄くなったので海と空で守るべきだなというふうに、防衛戦略といいますか、そういうふうに総理は防衛戦略そのものをお変えになったのか、その点どうですか。
○中曽根内閣総理大臣 侵略を許さないということであって、それはまず第一に、来る途中でそれを抑止する、その意図を挫折させる。もし万一不幸にして上がった場合には、そこでまた挫折させる。何段階かの用意をしておかなければならぬと思っております。
○二見委員 確かに、我が国はどこかの国が、仮想敵国が上陸をしてくれば、正直言って大変なことですね。ですから、戦略的には海と空で水際作戦でやる以外にはないというふうに、確かに私もそう思います。しかし、その背景には、逆に言えば、海と空を守る、総理がここでさんざっぱら議論されたシーレーン防衛、むしろ、どこかの国が日本に上陸するというよりも、そこに想定してこれからいろんな作戦を考え予算をつけるよりも、むしろシーレーンを防衛する方が国益に合致するのじゃないか、上陸の可能性は薄いのだから、むしろシーレーンの方に力を入れた方がいいんじゃないかという御判断を持ってそういうふうなことを言われているのですか。
○中曽根内閣総理大臣 それは、シーレーンばかりを考えてやっているのじゃありません。私の場合は、要するに日本に寄せつけない、日本列島については少なくとも上着陸ということは許さない。そんなものは途中でやっつけてしまうのが一番いい。あるいはそういうことを起こさせないのがなおいい。孫子の兵法をもってやっているわけであります。
○二見委員 私も、政治的価値として自由、民主主義というのはこの上ない価値だと思いまして、この価値を、自由あるいは民主主義という、これはくっつけると自民になっちゃってまずいのだけれども、自由主義、民主主義というこの政治的価値は非常に大事なものであります。したがいまして、もしこれを侵すような勢力があるならば、外的勢力であれ内的勢力であれ、それと対決しなければならぬと私も思っております。しかし、そういうナショナリズムが偏狭な形で出てきてしまって、軍事大国への道を歩むことを非常に心配しております。私は、自由主義者であり民主主義者であると同時に、私自身は極端なくらいな平和主義者だと思っておりますので、そういうおそれがあることは――おそれがあれば、体を張ってでも対抗するけれども、そうでなければ、できるだけ日本の周辺は穏やかであっていただきたい。穏やかであるような外交政策をしなければならぬというふうに思っております。 それはそれといたしまして、要するに、五九中業があるいはその次かわかりませんけれども、総理は、先ほど私が大綱の見直しの話をしたらば、いや、今水準を達成することが大事なんだ、あくまでも水準の達成が大事なんだ、こう何度もおっしゃられました。そうすると、水準の達成が昭和六十五年になるのか、昭和六十八年になるのか、昭和七十一年になるのか、それはこれからの政治情勢、いろんな情勢があるから判断できませんけれども、達成された段階で、そしてこれも国際情勢が大体今と同じような枠組みの中にあると仮定すれば、大綱の見直しをする必要はないと思うのですけれども、水準が達成された暁で、大綱の基盤的防衛力というこの基本的な方針は守っていくのか。水準が達成されるまでは、うっかり見直しなんということを言おうものなら世論の袋たたきに遭う、どんなことになるかわからぬ。一%も超えるかもしれないというので、軍事大国になるんじゃないかと国民は恐れている。防衛大綱の見直しまで言った日には、もう国民は不安を抱くばかりだ。だから、とりあえず大綱だけは達成しよう。それが、水準が達成したならば見直しはやるんだ。平和研の提言しているような基盤的防衛力の概念と趣を異にするような新たなる大綱をつくるんだ、つくるべきだという判断をされておりますか、どうでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 ともかく、先ほど申し上げましたように、大綱の水準達成というのはまだはるかなる道でありますから、それに今全力を尽くしてやっていきたいというのであって、じゃ、それが達成した場合の将来の問題についてはそのときに周到な用意をもって考えていくべきである、今からそのときの段階をどうするこうすると言うことは過早である、そう思っています。 それから平和主義、民主主義ということについては、私も二見さんに負けないぐらい平和主義者であり自由主義者であり民主主義者であると思っております。しかし、仏様の前にも不動明王さんもおりますし、お寺に入れば山門もあって仁王様もいますから、やはり長い人類の歴史を考えてみるとそういう抑止力というものは必要じゃないかと思います。
○二見委員 私はなぜ大綱の見直しにこだわるかというと、大綱ができたときにも、これは脅威に対処していないからといってかなり制服組に不満があったと聞いております。自民党の中にも、国防部会の方からはかなり強い意見で大綱の見直し論が出ているやに聞いております。民主政治ですからどんな意見があってもそれは構わないのだけれども、そういう議論が出てくる。また、総理は事あるごとに日本周辺の国際情勢が大きく変化した、ソ連の極東における軍事力が増強したと、それだけ聞いているとびっくりするくらいの、あしたにでもソ連が攻めてくるのではないかという感じを受けるような表現をされるわけであります。そういう極東のソ連軍の軍事力が増強されたされたということになれば、そういうふうに強調しているということは、私は防衛大綱の見直しはやむを得ないんだという世論操作というか下地づくりをしているんじゃないかとしか考えられない。しかし、今は水準の達成を念頭に置いているからそれは言えないだけなんだ、うっかり今ここで見直しは結構でございます、平和研の提言も全く否定できるわけじゃありませんなんて言おうものならば大変なことになるから言わないだけじゃないかなという、私は大変疑心暗鬼を持っていることだけはどうか心にとめておいていただきたいと思います。 重ねて私はお尋ねしますけれども、基盤的防衛力という現在の防衛大綱の基本方針、これはそれなりに評価できる方針だというふうに思いますけれども、総理はこの基盤的防衛力という大綱の基本理念、これはずっとこれからも持っていくべきだという判断をされておりますか。それとも、いつの日か有事即応態勢に切りかえる、こちらの方にウエートを置くべきだというふうにお考えですか。
○中曽根内閣総理大臣 大綱の水準達成に今月をいたしておるという状況で、その基礎になっておる基盤的防衛力という考え方は維持していく、これは前から申し上げているとおりです。大綱の水準達成後の問題というものはそのときの情勢で慎重に周到に考えるべき問題である、前から申し上げているとおりです。
○二見委員 大蔵大臣、お尋ねいたします。その前に大蔵省にちょっとお尋ねしますが、今度の国会にいわゆる高率補助一律カット法案というのが提出されますね。これはいわゆる日切れ法案であります。したがいまして、もしこれが年度内に成立しないということになりますと、これはどういうことになりますか、交付決定ができないということになりますか、どういうことでしょう。
○吉野政府委員 お願いをいたしております補助率の引き下げにつきましての法律案でございますが、六十年度予算とまさしく重要な一体をなすものとしてお願いをしているわけでございます。したがいまして、もし仮に六十年度予算がスタートになります四月一日までにこの法案の成立がございませんと、私どもといたしましては、現に国会で法案を御審議いただいているわけでございますので、この引き下げに係る補助金の交付決定は見合わさざるを得ない、こういうふうに考えております。
○二見委員 大蔵大臣、私はこのいわゆる高率補助一律カット法案ほどけしからぬ法案はないと思っております。大蔵大臣は一月三十一日の田邊書記長の質問に対しまして、「今後の問題につきましては、昭和六十年度以降の補助率のあり方については、まさに国と地方の間の役割分担、費用負担の見直し等とともに、政府部内において検討を進め、今後一年以内に結論を得るものとするという合意に達して、とりあえずは一年限りの法律を御審議いただくということになったわけであります。」こう答弁なさっておられる。 いいですか、これは私は本末転倒だと思うのです。国と地方の役割分担、費用負担の見直し、まずこれがあって、しかるべき後に出てくるのがこのいわゆる補助率カット法案だ。一番大事な根っこの国と地方の役割分担の方はほったらかしておいて、地方に負担だけをしわ寄せさせる一律カット法案なんというのは、これは私は本未転倒の法案だと思っている。こんな法案は出し直してもらいたいと思っている。しかも、これは一本でしょう。各省にまたがる法律を一本にまとめて出す、こんなばかな法律がありますか。これは全部もう一度出し直してもらいたい。ばらばらに各省別に出し直してもらいたい。
○竹下国務大臣 恐らくこの法案を提出いたしますと、まずは各ばらばらに出せ、あるいはその次は審議方法、そういう順序でいろいろな御質問があるだろうということを私どもも予測をしながらこれの議論を詰めていったわけであります。法制局とも随分議論を詰めました。が、やはり何としても今年度予算の、私どもの方から見れば、いわば財政そのものの中身であるという意味において、一括ということで合理性があるではないか、こういう考え方に立ったわけであります。その付託委員会とかいうのは私が言うべき問題ではございません。 したがいまして、これはそういう議論のあることは十分議を尽くした上でお願いしているわけでございますから、出し直しすることなく、提出したものを整々と御審議いただければ幸いこれに過ぐるものはない、こういうふうに考えております。
○二見委員 私はこの法案を、もう一点けしからぬと思うのは、先ほど吉野主計局長が答弁されましたけれども、通らなければ日切れ法案で交付決定ができない。これは、いいですか、国会の審議権を事実上制約ですよ。こんな法律を地方は喜んでいない。出されてしまった以上はしようがないと思っている。それを交付決定しないぞと、地方自治体を人質にして国会をおどかしているようなものだ。こんなばかなことがありますか。これが、例えば税法でもいろいろな日切れ法案があります、関税とかいろいろある。これはずっと毎年議論を積み重ねてきている。だから、日切れ法案だといっても、過去の議論の積み重ねがあるから、日切れ法案でも理解できる。これは全く新しい、しかも、国と地方の財源の問題にかかわる。そうでしょう。制度の問題にかかわってくる。それを日切れ法案でもって処置しようなんて、こんなことは許されませんよ。こんなばかなことがありますか。国会を一体何と思っているのです。
○竹下国務大臣 今のような議論も含めて国会で議論をしていただければと、私はこういうふうに思っておるところでございます。種々な議論を積み重ねました、それは一つ一つに対して反論もございますが、種々の議論を積み重ねた結論、やはりこの財政を主体とした法律であるだけに、一本化して一括法の中で御審議いただくことにおいても違法性はない、こういう結論を得るまでに時間を費やした上のことでございます。
○二見委員 時間がありませんので、この問題先に進みますが、要するに国会の審議権を制約している、このことだけは大蔵省は心にとめておいていただきたいのです。 と同時に、国と地方の役割分担、費用負担の見直し等とともに政府部内において検討を進め、今後一年以内に結論を出すということでこの法案が出たのですね。ということになると、この結論が出なければ六十一年度以降は現行法に戻る、もとに戻りますよと解釈してよろしいですね。そのときになって、いや、結論が出ませんでしたのでさらに一年延長してくれとか、三年延長してくれとか、あるいはこれを既定事実として一年間やって余り支障がなかったからこのとおりいってくれとか、そんなことを言われたのでは困る。どうですか。
○竹下国務大臣 この問題は、私はやはり二つの点から考えなければいかんじゃないかな、一つは主として公共事業関係、一つは社会保障関係、こういう二面性があるのかな、こんな考え方で議論を詰めてみました。確かにそれぞれの二つの問題以前に今日の財政事情等からするところの地方と国との費用負担のあり方という議論も詰めてみたわけであります。公共事業ということになりますと、これが事業費の増加にも結びつく、あるいは従来とも予算補助その他においてそのときどきの国と地方との財政力に応じて高い場合もあるし減す場合もありました。ただ、社会保障の問題につきましては昭和二十一年以来の議論をずっとフォローしてみますと、いろいろな経過を経ながらも今日の補助率というものが定着した形で今日まで来ておる。したがって、社会保障面の問題についての議論もまた詰めてやってみました。 それで、結論から申しまして、暫定措置ということでやはり一年以内にもう一遍昭和二十一年以来の議論もしてみようということになったから、暫定措置という形で法律をお願いするということになりました。したがって、暫定でございますから、あくまでもこれは一年限りの措置でありますから、一年間の間に何らかの合理的な整合性のある結論というものを出さなければいかぬ、出さなかったらどうするか、出すように努力するというのが第一義でありまして、やはりそのときの事情によって決定さるべきものであろう、結論が出なかったらという仮定に答えるということは必ずしも立派なことじゃございませんが、そのときどきの財政事情によってその費用負担のあり方を検討していく、基本的には一年間の中でそれぞれの問題に対する整合性のある結論を得なければならぬということであろうと私は思います。
○二見委員 政府は、今国会にも「中期的な財政事情の仮定計算例」というものを出されました。毎年出してくるわけですね。これを何で出してくるのかと私もいろいろ考えてみたのですが、その目的というのは、金が足りませんので赤字穴埋めの方法を考えてくださいということだと私は思うのです。昨年私は、大蔵大臣は各般の論議を見てと国会で答弁されているけれども、要するに国会にげたを預けるのかと申し上げましたところ、去年の三月十二日の本委員会ですが、大蔵大臣は私に「我々の方が何にも勉強しないで完全にげたを預けているというわけのものではない、」言われたのです。そして、昨年六月二十六日の参議院の大蔵委員会では、政府は昭和六十五年度赤字国債依存体質脱却への手順と方策を明らかにする、こういう決議がなされた。そのときに大蔵大臣は、いつまでも要調整額を示すだけでは済まない、このようにお述べになったと聞いております。 また、昨年十月十五日、世界経済研究協会主催の講演会で、六十年度予算編成及び財政再建問題に触れまして大蔵大臣は、「現在国民に対して増税か、歳出削減がどちらを選ぶか問いかけているところだが、いつまでも青写真なしてはすまない。半歩先の手順を示す必要がある」と述べた。ところが、六十年度予算では半歩先の手順なんというのは全然示されていない。強いて言えば、一律カット法案だけだ。こんなものは半歩先の手順ではない。その場限りの方策だ。一体半歩先の手順というのはどういうものを大蔵大臣は用意されているのか、それをお示しいただきたい。それを大蔵大臣にお願いしたい。 それから総理大臣に、これは最後でございますのでお願いいたしますけれども、総理大臣は財政改革ということを言われております。総理の財政改革というのは、歳出面では、ことしも歳出面をかなり厳しくゼロに抑えられましたですね、歳出面では一般歳出を今後ともずっとゼロに、例えば六十一年、六十二年とゼロに抑え、歳入面では税制の抜本的見直し、しかも多段階、網羅的、包括約、投網をかけるような税を取らないという意味での税制改革で行うというのか。一般歳出は六十年度予算ゼロに抑えたことに対して、総理はその前に、ぬくもりが必要だなんておっしゃられて、多少一般歳出のアップをにおわすような発言もあったわけですけれども、今後ともこうした方針をお続けになるのかどうか。歳入面では今申し上げたような税制改革で行おうとするのかどうか。しかも、要するに税制改正というのは要調整額、財政赤字を穴埋めするに足るだけの税制改革をやるのか、税制改革と要調整額、赤字穴埋めとは全く別であって、税制改革の結果、依然として要調整額、財政赤字が残っても、それはそれでやむを得ないのだという立場で進まれるのか、この点を明確にしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○竹下国務大臣 まず、確かに今回の資料は昨年と同じものであります。ここで半歩進んだことになるか、こう言われた場合、私も、言葉は必ずしも正確でないにいたしましても、随分苦心をいたしてみました。いわゆる参考資料として、御審議をいただく手がかりとして試算というものを出した。要調整額がある。その要調整額の中身をどのようにしてもう少しでも明らかにするか、こういう議論を詰めてみました。 お示ししたのは、結局、別途法律案で、これは暫定措置とはいえ一括法というものがあります。そしてまた税調答申に基づいて税調の抜本的審議をいたします。こういう一つの方向があります。 それからいま一つは、いわゆる電電株等の処理に関する方向が決まった。そういう方向がいろいろな議論の中に出てきたわけですが、それがまた定性的なものとならず、ましてやそれを定量的なものとして中へ当てはめることは結論としてできなかった。したがって、昨年同様の手法による試算をして、その中身の議論の中でいま少し諦めていかなければならないということで私どもはいろいろ苦心をいたしましたが、このようなものをお出ししたということであります。
○中曽根内閣総理大臣 財政改革の方途をお尋ねいただきましたが、まず臨調答申の線に沿って歳出歳入構造の見直しを行う、そして「増税なき財政再建」あるいは六十五年赤字公債依存体質からの脱却、こういう大きな目標に向かって全精力を注いでいくということであります。 今回の予算でも、一兆円の国債を減らすとか、あるいは今お話しになりました電電株や専売公社の処分可能な株式を国債整理基金特別会計に入れるというようなこともその一環でもありますし、あるいはさらに民活ということを中心に考えて景気の浮揚というものも考えていくということもそうでございます。 しかし、税制改革というものは、増収とか財政再建のためにのみこれを行うものではない。前から申し上げているように、シャウプ税制以来の税体系のゆがみ、ひずみを直して、国民の納得のいく、より満足する税体系にこの際改めていく課題を持った、そういうことを申し上げている次第でございます。
○天野委員長 これにて二見君の質疑は終了いたしました。 次に、大内啓伍君。
○大内委員 よろしくお願いいたします。 これまで鈴木内閣、中曽根内閣を通じまして、昭和五十五年度、五十七年度、五十九年度、三回にわたりまして赤字国債ゼロ方針というものを打ち出されてきました。そして、その三つのゼロ方針は全部失敗いたしました。私はこれまでも、政府の今までのようなやり方では失敗するであろう、こう警告を発し、失敗いたしました。今中曽根内閣が掲げておられます六十五年度赤字国債ゼロ方針というのは、政府としての不退転の目標なのか、それともまた失敗の可能性を持った単なる努力目標であるのか。達成の自信はおありでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 六十五年赤字国債依存体質からの脱却というのは、我々の一生懸命果たすべき努力目標であります。
○大内委員 それは後で具体的に議論したいと思うのでありますが、総理は今度の施政方針演説で、昭和六十年度予算においては財政改革の重要な一歩を進め得たと考えております、こういうふうにおっしゃいました。それは恐らく一兆円の国債減額をやったとか、あるいは電電株式を国債整理基金、つまり国債償還財源に充当するとか、あるいはGNP比の国債発行率が幾らか下がってきているというようなことを踏まえてあるいはおっしゃられたのかもしれないのでありますが、私はこの認識はいかがかと思っているのです。と申しますのは、全体的に今の日本の財政を見ますときに、むしろその財政構造は破局的とも言えるような悪化をしているのです。私は、このことをもし客観的な事実を踏まえて中曽根内閣が認識するのでなければ、総理のおっしゃる行革も、あるいは財政再建も到底できるものではないとすら考えているのであります。 そこで、私は、具体的にどういうふうに財政が悪化しているかを簡単に申し上げたいと思うのです。本当は、これは具体的にもっと説明する必要があるのであります。しかし、簡単に申し上げます。 財政再建の第一の課題というのは、言うまでもなく赤字国債を減額することにある、ここに一つの重点が置かれたわけでございますが、実質的な赤字国債の動向を見てください。昭和五十六年から五十九年に至る四年間、実質的な赤字はずっと八%台であります。六十年度、これは定率繰り入れの停止を含めまして、七兆五千九百二十七億円。そして五十九年度からは毎年一兆七百億の赤字国債の減額をするはずでございましたが、五十九年度は御存じのとおり五千二百五十億、ことし六十年は七千二百五十億に終わった。つまり六十五年度赤字国債からの脱却方針というのは現実に崩れてきている、これが一つであります。 もう一つは、大蔵省当局が国会で実質的な赤字国債と言いました定率繰り入れの停止。これは五十七年以降、もう既に四カ年も続いておりまして、その総額は何と六兆七百十二億にも達しています。その結果どういう状況が起こってきたかというと、国債整理基金が枯渇寸前の状態にある、これは客観的な事実であります。 そして、予算のツケ回しによる見せかけの歳出抑制。これは、いろいろ言われてまいりましたが、毎年相当額に達しています。今申し上げました定率繰り入れの停止など、いわゆる実質的な赤字国債と合わせますと昭和六十年度だけで、つまり単年度だけで三兆四千百二十三億にも達しているのです。 四つ目には、その上、大蔵大臣がこれまで再三にわたって財政の節度を失うと厳しく戒めてきた赤字国債の借りかえが六十年度からスタートいたしました。一兆八千八百三十八億、しかもその償還は当面は六十年後だ。まさに後世代にツケを回す状態が起こってきています。 「増税なき財政再建」、これは鈴木総理が五十五年七月十八日に言ったのです。去年の七月十八日には、秋には風が吹くとおっしゃった。そっちの方は当たったのです。新税を導入しなければ何をやっても構わないんだという理由づけで、今やこの「増税なき財政再建」は完全に崩れていると思うのです。つまり、昭和五十五年度以来毎年増税続き。やらなかったのは五十八年の選挙のあった年だけ、あとは全部増税。この総額は幾らか御存じでしょう。地方税と合わせて三兆七千億、これが「増税なき財政再建」の実態です。 そして、昭和五十六年度から強引に行われました縮小均衡の財政運営によりましてどういう現象が起こったのでしょうか。一つ、税収の伸び悩み、二つ、自然増収の著しい落ち込み、三つ、税収欠陥の発生、三%台の経済成長。財政再建の足を引っ張ることばかりが出てきたじゃありませんか。 中曽根内閣にとって一つ惜しむべきものがあるとすれば、それは財政政策です。私は国際関係は相当よくなってきていると思うのです。日本の地位を向上させてきていると思うのです。私はそれなりに率直に評価します。しかし中曽根内閣にウイークポイントがあるとすれば、財政政策です。「増税なき財政再建」というのは今や「財政再建なき増税」といったようなものに変質しました。財政は、「改革の重要な一歩」どころか、明らかに悪化していると思うのですが、総理、いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 財政状況は非常に厳しい状況にあると考えて、御指摘の点も当たらずといえども遠からずという点が私は率直に申し上げてあると思っております。それは、私が政権を担当いたしましたときからそういう非常に厳しい状況にあるということは自覚しておりました。あの当時の予算委員会に提出した政府の仮定計算例等見ましても、昭和六十二年から六十五年ぐらいにかけてが一番苦しい状況で、国債償還の国債費がどれぐらい上がってくるかとなると、たしか六十三、四年、五年ぐらいから十五兆から十七兆ぐらいに上がるという数字になっております。最近出した仮定計算例を見ましても、ゼロ%でいった場合、三%でいった場合、幾つかの仮定計算例が出ておりますが、あの機械的な計算例を見ましても、二兆六千億円ぐらいの要調整額から三兆九千億円、うまくいった場合でも三兆九千億円ぐらいの要調整額が六十五年には必要である、そういう仮定計算の数字が出ております。 しかも、国債償還の期日は近づいてきて、六十年からは何らかの措置をしなければならない。そういう情勢は私もよく承知して、しかし、あえて突っ込んでいかなければいかぬ日本の国家の現状である。そういう考えに立って六十五年赤字公債依存体質脱却という旗をあえて掲げまして、その苦しい中でも最大限の努力をしている。旗をおろしてはならぬ。これを達成するという意味において全力を尽くして、国民の皆様方にもお訴えして努力していかなければならぬ。もしそういう旗を立てなかったりおろした場合にはどういうふうに国家財政が、あるいは乱費されたりあるいはゆがんだりしていくかもしれぬ、そういう心配をいたしまして、苦しい、厳しい状況を知悉しながらあえてそういう目標を立てて、苦しい中でもともかくその目標を達成するために努力していこう、そういうことでやったのであります。 その間におきまする大蔵省あるいは我々がやったいろいろな措置につきましては、必ずしも御納得のいかない、あるいはやりくり措置と見られるものもないとは言えないと思います。しかしこれは、日本の政治を前進させていく上において、地方団体との調整とかあるいはそのほかのいろいろな調整措置をしなければそれはぎくしゃくして動かないという日本のそういう現在の、現段階における状況があるわけなのであります。その状況の中で最大限の努力をしてともかく一応の予算は編成し、今まで約束したことを曲がりなりにも大まかにおいて実現してきている、そういう努力をしているということを御認識願えればありがたいと思うのであります。
○大内委員 私が先ほど申し上げたことは私の私見ではありません。つまりデータなんです。ですから、その客観的な事実というものを総理が厳しく踏まえなければ本当の意味での財政再建はできないであろうと思うからこそ申し上げているのです。そこが出発点になるのですよ。いろいろな意味でいい面もあるということもあるいはあるかもしれません、政府からいえば。しかし、財政そのものの構造というものの最も重要な骨組みというのは、今私が申し上げた諸点なんです。そして、それはことごとく悪化の方向をたどっているというこの事実はやはり認めていただかなければなりません。むしろ、財政再建の第一歩を切り開いてきているなんというその楽観論からどうして財政再建ができましょう。というのは、私は中曽根内閣においても財政再建の一つのレールを敷いてもらいたいと思っているからこそ、野党であってもそう要望したいのです。 例えばツケ回しという問題も出ました。そして総額三兆四千百二十三億にも達する、こう私は申し上げました。一つ一つは申し上げません。しかし、大蔵大臣、おかしいじゃありませんか。昨年私は住宅・都市整備公団の補給金、これが本予算に未計上であるのは予算提出の瑕疵にも通ずる、こういう指摘をしたときに、大蔵大臣はこの問題については十分検討させていただきたい、正確な措置をとりたい。また同じように本予算に計上していない。これはどういうわけでしょう。
○竹下国務大臣 確かに大内さんから住宅・都市整備公団の補給金、これを当初予算に計上すべきでないかあるいはこれについて確実な措置を行うべきである、こういうことでございました。私はそれに対して、検討の上確実な措置を行う旨をお答えをいたしたことも事実であります。で、この予算計上につきましては幾つかの方法が可能であります。これまでそのときどきの財政事情のもとで適切と考えられる方法をとってきております。六十年度においては、御指摘のように厳しい財政事情のもとで国民の居住水準向上のため住宅建設を促進する必要があるという理由から同公団への補給金を当初予算に見込み計上を行いませんでした。 それで、昨年本委員会で大内さんから御指摘をいただきまして、それを契機として見直しを進めてきました。検討に当たりましては、近年公団の補給金等が累増していることもあって、補給金等の補給方法等基本的問題を含めて見直しを行うことといたしました。で、公団等の事業運営については、臨調答申においても経営の効率化、活性化が指摘されております。このため、今回の見直しに当たっても、補給金等の補給方法を現在のように事業実績に基づき単純に補給するという方法から公団の企業的努力を最大限に引き出すために最も適した方法とするという考え方で取り組みました。建設省、公団とはこうした方向で基本的な合意に達し、現在協議を進めておるところであります。補給金等の問題の解決が一歩前進し得たではないかというふうに考えておるところであります。
○大内委員 私はこの問題で深入りすることは避けますけれども、この種の予算は十年間予算化されていることなんです。しかも、それは五十億、六十億の金ではなくて一千億を超える。恐らく六十年度は一千五百億を超えるでありましょう。そういうものが初めからわかっているのに、一つのシーリングという問題を盾にしてそれを補正で措置するやり方は私は適正なやり方ではないということを改めて厳しく警告しておきたいと思うのです。つまり、そういうやり方がツケ回したと言っているのです。 そこで、私はできるだけ本論に入りたいのでございますが、ここに大蔵省が出しました「財政の中期展望」、仮定計算、この仮定計算等々子細に検討しました。その結果、一つだけはっきりしてまいりましたのは、要調整額というものがクローズアップしてくる。これは本当は大蔵省から一つ一つ数字を言っていただければいいのですが、長くなりますから私の方から申し上げますと、例えば三%一般歳出を増加させるという一つの前提に立った要調整額は、六十一年度が二兆六千三百億、六十五年度が三兆九千三百億、一般歳出五%増の場合は三兆二千八百億から六十五年度は何と七兆七千四百億に達する。この中期展望と仮定計算というのは、この要調整額をクローズアップさせることによりまして国民に増税の選択を理解させようという一つのやり方ではないのか。つまり、形の上では歳出削減か増税かということは国民の選択にゆだねる、こういう格好をとっておりますが、歳出削減というのは限界に入ってきました、したがって、増税しか残っておりませんと言わんばかりです。なぜならば「増税なき財政再建」の第一段階でございます六十五年度の赤字国債の脱却につきましても、一般歳出の伸びを向こう五カ年でゼロにすればできる。しかしそのかわり一般歳出の国民所得に占める割合は六十年度が一三・一%、そうですね。六十五年度には九・六%に落ちる。つまり、公共サービスは低下する。もし国民の皆さんが低下させることを欲しないならば、政策費を確保するために増税が必要だ、こういう論法になっているのです。そうとしか受け取りようがない。国民に増税を理解させるためにこの資料をお出しになったのですか、大蔵大臣。
○竹下国務大臣 今回提出しました中期展望の試算は、中期的に見ました我が国の財政事情の厳しさを示したものとなっておりますが、この試算はいずれも、さまざまの角度から検討いただくためのまさにたたき台となります基礎資料であって、あらかじめ特別な政策的意図が込められているわけではございません。 それで、今の大内さんの議論を進めていきますならば、私どもが常に、負担するも国民、受益するもまた国民といった角度から御検討をいただきたいということを申しておりますだけに、ぎりぎりサービスを削減するならば、やはりそれは増税の必要性を国民に示し、それを世論誘導の一助に使うではないか、こういう表現は少し拙劣でございますが、そういう見方もあろうかと思います。が、私は、やはりこの問題は、まさにそうした世論誘導をするとかあるいは政策的意図を持っておるということではなく、あくまでもたたき台という形の中で議論されていくべきだ。それから私として気になりますのは、要調整額をいま少し浮き彫りにするような資料を出すだけの努力をしろ、こういうことに対して孜々営々と努力をしてまいりましたが、客観的な事実の中に、御提案しております法律とかあるいは将来の方針とかいうものがその中に定性的、定量的に描ける時期までにまだ至らなかったということは、これはおわびをしなければならぬことではないかな、こういうふうに私は思っております。
○大内委員 この「財政の中期展望」と仮定計算というのはそこがポイントですよね。まさにこれは増税誘導資料ですよ。しかし、竹下大蔵大臣も今ちょっと半分ぐらい認めましたよね。財政については党主導と言っていますね。六十年度予算では党主導と藤尾政調会長がおっしゃっておりました。そして、その藤尾政調会長は再三にわたって、増税は避けられないと言っています。金丸幹事長になるともっとおもしろいですね。「義務教育を受けた日本人なら、できっこないと思うのが常識だ」と言っております。これは驚きましたね。中曽根総理は義務教育以上の教育を受けておられる。何か我々国民がごまかされているような感じがする。こういう資料を政府、大蔵省当局が出してくる。中曽根内閣を支えている政調会長、幹事長が、増税は避けられないと公言してはばからない。これでどうして「増税なき財政再建」なんかできるのでしょう。中曽根内閣は「増税なき財政再建」は放棄ですか。いかがでしょう。英国の議会制度というのは、質問者と答弁者がけんけんがくがくと討論していますよ。大いにやってください。頼みますよ。
○中曽根内閣総理大臣 「増税なき財政再建」は守ってまいるつもりでおります。党の要人がいろいろ発言をいたしますが、それはすべて過程の、あるプロセスにおける発言でありまして、最終的には、十二月に党は一致団結して収れんするもので、ごらんになっているとおりでございます。
○大内委員 どうでしょうかね、できるだけ率直なやりとりの方が国民はわかりやすい。総理は非常にレトリックがうまいですよね。ですから、レトリックの議論ではなくて、やはり、多少レトリックが乱れてもいいですから、率直なものをやらしていただきたいと思います。 しかし、総理は「増税なき財政再建」は理念として守るとおっしゃっていましたね。その精神、考え方としては守りたいのだけれども、実際の財政運営では守れないこともある、それが正確な意味ですか。
○中曽根内閣総理大臣 「増税なき財政再建」の定義について臨調が言っていることは、私の記憶によりますれば、たしか、当面の財政再建に当たっては、国民所得に対する租税負担率を上げるような新たな租税上の措置をとることは基本的にはとらない、そういう文章になっていると思います。それで、それは当面の今の措置でありますが、臨調は中長期的な見通しもまた別に言っている。この場合には、租税プラス社会保障の負担率というものは、西欧の水準に比べてかなり低い水準に置くようにしておけ、それと、直間比率の見直し等も研究してよろしい、こういうようなことは中長期的の部分では言っておるのです。私は、後の部分についてはまだ触れてもいないし、考えてもいない。前に申し上げた「増税なき財政再建」、そういう部分につきましては、大体その原則は守ってきている。それで、当面の問題とか、基本的にはやらないとか、あるいは新しい税目を設けないとかということで、それじゃ何を意味しているかといえば、不公平税制の是正とかそのほかの若干の調整措置は認めている、そういう解釈で今までやってきたつもりでおります。
○大内委員 私は、言葉と現実は違っていると思いますね。さっき私が具体的に指摘したのはそのためです。租税負担率の上昇をもたらすような新たな税制上の措置はとらない、しかし租税負担率は上がってきています。増税はこの五年間で三兆七千億に達している。これは事実です。 そこで私は、この中期展望と仮定計算の根本的な欠陥というのは、これは大蔵省当局も今後のこういうものをつくる上でよくお考えいただきたいのですが、一つは、要調整額というものを示しながら、その解消策については全く触れていない。それから今臨調の問題が出ましたけれども、租税負担率の上昇をもたらすような税制上の措置はとらないということを貫くための租税負担の六十五年度の目標値というものを全く出していない。もう一つは、歳出削減の具体策を出していない。これでは、本当は何のための資料がわからないでしょう。こうした中期展望と仮定計算で国民はどういう選択ができるのですか。選択しろと言ったって、この数字だけ見せられては無理です。私は、政府は要調整額の解消策、租税負担や国民負担の目標値、歳出削減の具体策、そういうものを盛り込んだ経済計画というものを国民の前に提示することが政府の責任だと思いますよ。多くの政府はそれをやっていますよ。財政再建の青写真も示さないで、どうやって財政再建ができるのです。私は、もちろん数字というものは、今の変動の中で非常な変化が起こってくる、だからそれを余り固定視するような計画というものを申し上げているのではありません。しかし、今公共投資を見たって、福祉を見たって、教育を見たって、防衛政策を見たって、計画の立たない政策というのはどこにあります。それを締めくくる財政については、計画性がなくてどうして財政再建なんかできるのです。私は、そういう意味で、ローリングシステムによる中期経済計画と、そしてそれとの政策的整合性を持った中期財政計画というものを政府は明らかにする責任がある。少なくとも財政再建とか六十五年度赤字国債ゼロというものを実現したいのだと言う以上は出す責任がある、私はこれは堂々たる議論だと思う。総理、いかがでしょう。
○竹下国務大臣 これも大内さんから毎年厳しく指摘される議論でございます。実際問題、かつての、今出しておりますのが八〇年代後半における経済社会の展望と指針でございますか、それを作業します以前に私どもも議論をして、例えば若干というよりも二百四十兆が百九十兆というように公共事業でも大幅な修正、こういうことになる。なかんずく五十六年、五十七年においてこの世界的同時不況というものから先行きの見通し等を立てるというのは大変に難しい問題になったというところから、この中期経済計画いわゆる「展望と指針」においても、数字と言えば七、六、五抜きの四、三、二、一、それだけが数字としてございます。したがって、私どもも今日の状態の中で、いわゆるその経済の一部である財政ということを見ますときに、先行きをきちんと定めるということにはやっぱり問題がある。したがって、まず基本的考え方というもので御審議の土台にしよう。 その基本的考え方が、要は六十五年までにまず赤字財政依存体質からの脱却、そしてその後これに対して、まだ対GNP比と、これもまた数字があるわけではございませんが、いかにして公債残高を滅していくか、一応二段階というものをお示しして、それに努力するにはこの歳入歳出両面からやっていかなきゃならぬ。当面は、いやしくも「増税なき財政再建」というこの理念そのものを忘れた途端に歳出抑制圧力に対抗できなくなるということから、あくまでもこれは理念として貫いていこうということで今年までまいりまして、三年間、言ってみれば一般歳出を横ばいないしマイナスということで抑えてきた。そこで、もうこれ以上搾っても一滴の水も出ないという感じも私も十二月の終わりにはしないでもございませんでしたが、しかしこれを旗をおろしたらそれこそその瞬間に財政改革というものはつぶれてしまうということで今日までさらに心を引き締めてきておるわけでありますが、今の大内さんの議論というものは、私は定量的で定性的なる財政計画をつくるということは、経済全体というものが、なかんずく五十六年、五十七年の体験のように、流動的であるときに困難な問題であるとこれは言わざるを得ない。 そこで、せめてたたき台、こういうことで要調整額を持ったものでもってこのたたき台を御提示申し上げておる。そのたたき会も、要調整額の中にある種の少なくとも定性的な論理がかける段階になるのにもいま少し私は時間がかかるんではないか、こういう感じがしておりますので、今の段階で歳出削減の計画、いわゆる社会保障からいろんな政策の長期計画を積み上げ、それを調整するという段階でなく、一つ一つの政策そのものの、いわば二十一世紀をにらんでの中長期計画というものに今一つ一つ腐心して対応しておるところであるという現状であって、財政全体の枠組みの中でそれに一定の縛りをかけていくというのは、私は今日の時点では困難な問題であるということを理解いただかざるを得ない。
○大内委員 私は、竹下大蔵大臣の言質も相当調べているつもりなのですよ。竹下大蔵大臣は昨年蔵相留任後の記者会見でこう言っておられますよ。つまり「サービスの低下(歳出削減)かあるいは負担(増税)か、それは国民の選択の問題だが、六十五年度赤字国債脱却の目標に向けて具体的な手順を示したそういう素案を提示することが第二次中曽根内閣の中での私に与えられた課題である。」手順というのはまさに計画じゃありませんか。つまり、竹下大蔵大臣自身が財政計画策定の必要性をこうやって認めておられるじゃないですか。今は全然違ったことをおっしゃっている。手順というのは何です、それじゃ。
○竹下国務大臣 いや、大内さんから、中期財政計画を示すべきだ、それで私も精いっぱいの努力をしましょう、それが私の頭にずっと今日もなおこびりついております。したがって、十一月でございますか、引き続き大蔵大臣を務めることになって、まずそこからもう一度我が省挙げての知能を絞って議論をしてみようということで、結果として要調整額の裏に描かれたものは何か、こういうことになりますと、私は今整理してみますと、昨年度示したものと今年の実績の違いというものと、そしていま一つは、やっぱり電電株等の売却の方針が決まったということ。ところが、方針は決まりましたけれども、これこそまた何年でそれが、どれぐらいがいつの年に利用できますということが、まさにこれこそ現状でかけるものではない。それから、説もいわゆる抜本的見直しという方向が決まりました。しかし、これしもまだ、さればどのような形になっていくかというものが示されるものではない。そこでぎりぎりの決着として、昨年同様の後年度負担推計に基づくいわば要調整額づきのこの試算を含めたもので参考資料を御提示するに至ったということであります。
○大内委員 ある時期とまた今とでは同じ問題について見解、内容が全く違う。大蔵大臣の間はそれでいいかもしれないのですけれども、総理大臣になるとそうはいかないですよ。私は、政府が国民に対していろいろな意味での協力を求めようとするならば、六十五年なら六十五年における一つの目標というものを指し示しながら、できるかできないかわからないけれども、政府はその目標を達成するための最善の努力を尽くします、国民の皆さんも協力してもらいたい、そしてそこに至る政策選択としては実はこういうものがあるのです、どういう方法が皆さんのために一番いいでしょうか、それを問いかけるのが政府の責任なのじゃないでしょうか。私が財政計画をつくれと言う意味も実はそういう見地に立って申し上げているのです。 この中期展望を出しながら、仮定計算を出しながら主要経費別の内訳も出さない、出してくれない。そして防衛費の後年度負担、これは二兆数千億ある、歳出化がどうやって行われるかもちっとも言われなければ、明らかにしない。六十五年度の赤字国債のゼロという方針は出すけれども、そのときの租税負担率、国民負担率は一体どうなるかも示さない、そして財政について皆さんの議論をお願いしたい。無責任じゃありませんか、これじゃ。財政計画を出す検討をすると約束してください。
○竹下国務大臣 財政計画というものは、私はやっぱり単年度主義の中で毎年毎年努力する積み上げの中で示されるべきものでありまして、あらかじめ定量的な実行計画という形でもってお示しすることは、私は現実問題として困難ではないか。だから、毎年毎年の新たなる方向とか措置とかを御説明申し上げることによって議論を詰めていかなければならぬ。ただ、ことしよりは来年の方がまた新たなる措置、方向は出てくるでございましょう。そういう本当に積み上げの中にできるものでありまして、あらかじめ定量的な実行計画というのは、されば要調整額を埋めるためには幾らの増税をいたします、これから税制の論議をしようというときに、増税が定量的に示されるものでもございませんし、その点は私どもは、大内さんがこのような姿で計算したものを作業してみる、そういう作業は幾らでも応じますが、私どもの方から、いわばこの国会の問答を通じた形のもので提出することはできても、私どもの方から定量的な実行計画というものを今出せと言われても、これはやはり毎年毎年の努力でいかなければいかぬ。 去年、出します、少しでも近いものを出しまして、ことし、背景にはいろいろな問題があっても、現実の資料としては出し得なかったわけでございますから、約束をして来年までに出しますと言うだけの、私には定量的な実行計画を出す自信はありません。
○大内委員 私はこれはおかしいと思いますよ。おかしいという意味は、例えば租税負担率についても国民負担率についても、結果として出てくる数字じゃないかとおっしゃるなら、なぜそれじゃことしは四・六%の実質成長になるのでしょう。なぜことしはGNPは三百十四兆六千億になるのでしょう。なぜその数字を出されるのでしょう。この数字は出せながらこっちの数字は出せないなんという理由は成り立ちませんよ。これとて結果として出てくるのじゃありませんか。 こっちの数字は出すけれども、一番大事な国民にとっての負担の数字は出せない、そして「増税なき財政再建」をやる、こんなことで国民をだましてどうしてこれ、審議できるのです。どうでしょう、これは。委員長どうでしょう、この数字を出すように言ってください。租税負担率と国民負担率の目標値は出すべきです。なぜならば――じゃ、もう一回、進んで言いましょう。(発言する者あり)ちょっと待ってください。 昨年の、いや一昨年になりましたか、あの「展望と指針」の中では、いろいろな政策、結論が出ていますよ。しかし、ここではちゃんと国民負担率も租税負担率も計算していますよ。そして、そういう数字は表には出さない。そして、後ろから官僚に聞けばそういう数字を我々にそっと教えてくれる。そして、一番大事な六十五年度のそういう目標、重大な数字については伏せておく。これでどうして財政論議ができるのです。委員長、出すように命じてください。――それは大蔵大臣の言うこと。大蔵大臣に今、政治的な問題として求めている。
○竹下国務大臣 いわゆる全くの仮定の問題として一般歳出五%、この問題は、数字でございますから後ほど政府委員からこれは説明をいたしますが、国民負担水準の目標数値については、究極的には政府部門と民間部門に資源をどう配分するかという問題と裏腹をなすものでありますので、国民が必要とする公共支出の水準に対応して定まってくるものであると考えられます。このようなあるべき公共支出の水準とそれを裏づける国民の負担水準は、結局年々の予算編成で、予算過程における国民の選択を通じて明らかにされていくべきものでありますので、これについてあらかじめ固定的に考えることはこれは難しいことであるというふうに私は思います。 国民の負担率の水準の中期的な方向は、先ほども申し上げましたが、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、それから臨調最終答申の趣旨を踏まえて、私どもとしては、結局もとへ返った答弁になりますが、いわゆる「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」、そして今後高齢化社会の進展等により現状よりは上昇することにならざるを得ないが、最終的にはヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめるということにしておるわけであります。 昨年と同様、六十五年度の租税負担率を仮定計算例に基づいて計算するということでございますならば、これは政府委員をして答弁させることはできます。だから昨年と同様、六十五年度の租税負担率を仮定計算例に基づいて計算するとどうなるかという質問に答える形で政府委員から答弁をさせます。
○大内委員 私は、財政というのは非常に破局的な悪化の方向をたどっている、こういうことを冒頭に申し上げたのは、やはりこういう現状をお互いに立場の相違を超えて克服するために協力しなければならぬ、そして国民にもそのことをお願いしなければならぬというときに、政府が政策選択ができるような案を示さずして、つまり財政再建の青写真、計画というものを示さずしてどうして国民に協力を求めるようなことができますか、そう申し上げているのです。 例えば国民負担率についても、ヨーロッパの諸国よりか低い水準と言いますけれども、どの水準がわからないじゃありませんか。それが六五%なのか五〇%なのか五五%なのか四〇%なのか、さっぱりわからないじゃありませんか。それを示す義務というものが政府にはある。その数字が狂うなら狂った段階で、その狂った合理的な理由を国民に説明する。それがわかりやすい、親切な政治だと私は思う。出してください。
○竹下国務大臣 それは私ども、今日の五十六年、五十七年というものの一つの反省がございます。これは、世界同時不況であったかもしらぬ。そこで改めて五十九年、赤字公債依存体質からの脱却ということを決めて、そして第一目標年次を六十五年に置いて、そこで今までのような状態でなく、国会の問答等を通じて要調整額も埋めていこう、あるいは将来の計画も問答を通じながらより明らかにしていこう、こういう姿勢で臨んでおるわけであります。だからあらかじめそれを、いわば財政計画の形で示すということは、私は定量的な示し方というものは、これが狂ったときの責任、そういうものをあえて恐れる、責任を回避するために申し上げるわけじゃございませんが、そういう動く経済の中でそういう手法の方がいいのかということであります。 ただ言えることは、要調整額をさればすべてを増税でやった場合は、いわばどれぐらい租税負担率が増加するかとかいうような数字は私は出せますけれども、しかしそれ以前に、現状の議論を積み重ねながらどういう形で要調整額を進めていくか。しかも歳出は、現状の施策、制度をそのままにという前提でありますから、それの一つ一つをどう変えていくかという多岐にわたるものを短時日で財政計画の中で締めくくってお示しするということは非常に難しい問題だということは私は御理解をいただきたいものだと思います。
○大内委員 私は政府が出したこの中期展望と仮定計算、これはまさに要調整額をクローズアップさせることによって国民を増税へ誘導する資料であると申し上げたんですよ。そしてさらに、さっきから申し上げているように、政府の「増税なき財政再建」とかあるいは六十五年度赤字国債脱却という方針を結論として言われるならば、例えばそれと関連する租税負担率や国民負担率というものを盛り込んだ一つの計画というものを国民の前に示すことが政府の責任だ。それでなければ、こういう財政審議などというものは前に進まないし、国民の選択もできない。だから出せと申し上げているのです。この問題はどうしてくれますか。
○吉野政府委員 第一点の六十年度の国民負担率、これはもう先生御承知のとおりであろうかと存じますが、租税負担それから社会保障負担合わせまして国民負担率が三六・〇%というふうに試算をいたしてございます。 それからお尋ねの第二点は、六十五年度における国民負担率についてのいわば目標値というようなものを示すことができないかという御趣旨のお尋ねかと存じますが、先ほど来大臣からも御答弁申し上げておりますとおり、税制改正の方向も決まっておりません。それから分母になります国民所得の六十五年度の数字がどういうことになるのか、これももちろんわからないわけでございます。したがいまして、具体的に六十五年度の目標値としての数字をお示しすることは困難である、こういうふうに申し上げておるわけでございます。ただ、ある前提を置きまして仮定の数字を推定をしてそれを示してはどうかということになりますれば、いろいろな前提を置きまして推定値はお示しができようか、こういうふうに考えます。
○大内委員 五カ年という先は不確定要素がたくさんあるのですよ。しかし、その中で、例えば租税負担率についてはそれを上昇するような措置はとらないということが増税なき財政期間における一つの政府に課せられた使命でしょう。したがって、政府としては、大体租税負担率についてはこのくらいの目標を持ち、国民の負担率についてはこのくらいの目標を持って政策運営をしていきたい、例えば税制調査会に対する諮問だってそういう姿勢を示すべきですよ。片っ方では、こうした中期展望と仮定計算を国会が出されて、そしてその中身を吟味していけばそれは増税しかないという方向だけを出されて、国会が承認できますか。国会の我々はばかにされているようなものじゃありませんか、それじゃ。ですから、そうした中身を持った、もっと工夫をしたものを総理大臣及び大蔵大臣としては検討する、そのくらいの誠意は示すべきだと思いますが、これは政治問題です。でなければこれは難しいですよ。
○竹下国務大臣 あらかじめ申し上げておかなければならぬのは、去年も私は可能な限りの努力をしようと思う、ところが定量的なものは出ない、さらにこれを広げますと、結局また名目成長率を六ないし七の中間値をとって六・五%の名目成長率で、そしてそれをずっと伸ばしていわゆる六十五年のGNPの数値が決まって、そして租税弾性値が伸びていってと、こういう単純なものにならざるを得ない。そうするとその裏にあるものは何かというと、それが一つの方針であって、電電株をどうするかとか税がどうなるかという問題の方針をこれからやろうということが決まった今日でございます。だからそれらのものをひっくるめて、大内さんが毎年主張なさることに対応して、精いっぱいの努力、検討は私は続けます。これは私に課せられた使命の一つだと思いますが、なかなか定量的なものを出すということは困難な問題であるということも理解をいただきたいものだ。私は、引き続きの努力をするということは、これはかたくお誓いすべきものであろうというふうに考えます。
○大内委員 それでは、竹下大蔵大臣、自分の言質についてだけ責任を負ってもらいたいのですけれどもね。さっきから申し上げるように、六十五年度赤字国債脱却の目標に向けて具体的な手順を示した素案を提示することが私に与えられた課題だと言ったんでしょう。これがそうなんですか。この中期展望の仮定計算が竹下大蔵大臣のお言葉の裏づけなんですか。そうじゃないでしょう。これは手順は示されてないでしょう。では、これはどういうふうに実行しますか。
○竹下国務大臣 それも含めまして結果として出した仮定計算、要調整額、そうしたものの昨年から何が進んだかと言えば、いわば税の見直しをこれからやりますという方針と、そしていま一つは、電電株、専売株等を国債整理基金へ直入しますという方向が決まっただけで、その方向を数値としてそこに入れることはできなかったということは、私は、これは素直におわびを申し上げるべきだ、こう思っております。
○大内委員 では、その手順はいつ出されますか。
○竹下国務大臣 これは毎年毎年の努力の中でどれだけのものが出ていくか、それをやはり私は御理解を得なければならぬ。これだけ叱咤鞭撻を受けて何にもしないというわけにももちろんいきませんし、それから一生懸命で努力もいたしましたが、結果として定量的な数値のものが出し得なかったわけでございますから、これからいかにその要調整額の部分が、あるいはどのような形で色塗りされていくかというのは、やはり毎年毎年努力の中でお示しするしかない。その努力は、これから、私が大蔵大臣であろうとなかろうとずっと続けていかなければならぬ課題だというふうに思っております。
○大内委員 本当はこれはちょっと無理なんですね。少なくとも竹下大蔵大臣はその手順を示すということが私の課題だと言い切っているのですから、私が申し上げた提案に最大限近づくようこれから検討するとか努力するということを言うべきですね。それでなければ無理ですよ。
○中曽根内閣総理大臣 大内さんが数字を挙げていろいろお示しになりましたプリンシプル等もよく勘案いたしまして、大蔵省で検討させることにいたします。
○大内委員 それでは、総理の今のお言葉が実行されるように、これから我々重大な関心を持って見守ります。 そこで、中期展望を出しながら主要経費別の内訳は出さないというのはおかしいと思いますね。これを出していただけませんか。それと防衛費ですね。後年度負担の歳出化が来年からどのように起こってくるのか、これを出してくれませんか。
○竹下国務大臣 いわゆる主要経費別、これも大内先生何度が御指摘があって、これも相当な議論を積み重ねてまいりました。この場で何度か議論させていただいたこともございます。したがって、財政当局としましても真剣な検討を重ねてまいりましたが、やはり主要経費別内訳を作成して公表するということはまことに困難な問題や誤解を招きやすい問題がいろいろございますので、結局今回も提出を差し控えさせていただくことといたしました。 しかしながら、御議論の参考として、一般歳出の中の二つの大きな重要項目であります社会保障移転支出と公共投資について将来推計の数値をお示しすることができますので、それを政府委員から正確に説明をいたします。
○吉野政府委員 まず、社会保障移転支出でございますが、これは御案内のようにいわゆる社会保障関係費から施設費などを除いたもの、これと恩給関係費との合計、これに大体一致するものでございますけれども、本年度、六十年度が十一兆六千四百億円でございます。以下、六十一年度は十二兆九千九百億円、六十二年度が十三兆八千四百億円、六十三年度が十四兆六千百億円ということになっております。 それから公共投資でございますが、これはいわゆる公共事業関係費から補給金とか出資金のような経費を除いたもののほかに、逆に文教施設費あるいは社会福祉施設費などが含まれているわけでございますが、これは六十年度が六兆七千億円というふうになっております。この公共投資の推計値でございますが、これにつきましてはおおむねいわゆる政府投資のデフレーター、一%でございますが、これで機械的に伸ばしたものを合計いたしております。六十一年度が六兆七千八百億円、六十二年度が六兆八千四百億円、六十三年度は六兆九千億円程度になろうかと存じます。 なお、ただいま申し上げました社会保障移転文出とそれからこの公共投資合わせますと、これが六十年度予算におきましては一般歳出の約六割を占めているということになっております。
○宍倉政府委員 防衛関係費の後年度負担額についてのお尋ねでございました。昭和六十年度の後年度負担額は、総額で二兆三千五十八億円ということになっております。その今後の支出見込み額でございますが、六十一年度は一兆一千八百四十億円、六十二年度は七千七百七十億円、六十三年度は三千五十億円、六十四年度は四百億円になるものと見積もっております。 ただ、お断りを申し上げておきたいわけでございますが、国庫債務負担行為につきましては年割りというものがその性格上決まっておりません。今後、取引相手の会社と交渉の結果によって決まるという性質もございますので、一応の見積もりだということをお断りいたしておきたいと思います。
○大内委員 私は不満足です。主要経費別内訳を当然出すべきです。今二つしか出しませんでしたけれども、これで押し問答しておりますと審議が進まないですね。ですから、審議を進めましょう。しかし、宿題、検討課題として残しておきます。 大型間接税の問題です。 中曽根総理は、私が昨年二月の十七日に本委員会で質問した際にこういう答弁をされていることを御記憶だと思うのでございますが、大型間接税について私が質問したのに対しまして、総理は、「その点も誤解を生んだので、この際、改めて正しく申し上げてみたいと思いますが、大型間接税というようなものを考えてはおりません。今まで国会決議というものがありましたから、それが念頭にありまして、それで国会決議に示されたようないわゆる一般消費税に類するようなというようなことをつけましたが、今までの答弁どおり、大型間接税というものは考えておりませんと、そういうふうに申し上げる次第であります。私の言葉足らずの点であったと思います。」こう言っておりますね。この答えは、言うまでもなく、中曽根総理がしないとしているものは、国会決議で示されたいわゆる一般消費税のようなものだけではなくて大型間接税全部、こういうことに昨年は答弁をされたわけであります。 そして、今度は二月六日ですね、総理は大型間接税問題で見解を示されました。これはよく御存じのとおりでありますが、その見解によりますと、こういうことをおっしゃっているのですね。EC型付加価値税、取引高税は多段階のものであり、その意味では否定されると思います。多段階という点ではそのとおりでございます、こう言っているんですね。しかし、EC型付加価値税といってもいろいろな態様があります、こう言っておられます。この文脈は、多段階であっても、態様いかんによっては、包括的、網羅的、普遍的で大規模な投網をかけるようなものでなければ考えていいということになるんじゃありませんか。つまり、多段階でも一概に否定しない、こういう意味でしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 去年の答弁の中で、今までの答弁のとおりと申し上げた私の頭の中には、前にも申し上げましたが、一般消費税とかそれから取引高税というようなものが頭にあって、そしてそういう筋の答弁を時々してきたと私は思っております。 それから、今回の矢野書記長に対する答弁の中の部分を御引用になりましたけれども、やはり一般消費税とかあるいは取引高税というものが私の頭にあったということはこの席でも申し上げたとおりでございます。 それで、EC型付加価値税というようなものは多段階に入ってくると思います。しかし、EC型付加価値税といっても、大型か中型か小型かとか、あるいは適用範囲をどうするとか、いろんな面でいろんな組み合わせがあり得る、そういうふうに思っております。 そういう中であっても、しかし、私が今申し上げたような網羅的な投網をかけるような消費税のものはやる考えはない、やりたくない、そういうことを申し上げているんで、それ以外のものというものは税制調査会においていろいろ研究されることは御自由であるし、また答申として出てくることもあり得る。しかし、その場合、それを採用するという意味ではないのです、それは。私はこういうものはやりませんという否定はやったけれども、積極的にこういうものをやりますとは言っていないのであります。それらは対象にはなるでしょう。しかし、政府が最終的にどれを採用するかということは、よく税の中身を調べ上げて、そして日本の国民性になじむか、あるいはきょうも申し上げましたけれども、非常に重層構造的な、多段階といってもヨーロッパよりもはるかに多段階な複雑な様相を持っている日本の消費流通構造に適応するかどうか、あるいは日本人が持っておる心理性というようなもの、租税需要体質というものに合うかどうか、そういう点はよほど慎重に考えなければならぬので、私はそういう点についても極めて慎重でありますと岡田さんにも申し上げた。そういう態度で臨んでいるということを付加させていただきます。
○大内委員 私は、そういう態度が再三表明されましたので、それを踏まえて実は御質問申し上げているんで、私の質問の趣旨を今必ずしも正確におとりにならなかったのではないかと思うのですが、多段階というのは、政府が示しましたように、一般消費税と取引高税とEC型付加価値税ですね。そして、これまで一般消費税はいけない、取引高税はいけない、残るのはEC型付加価値税だけである。そして、EC型付加価値税は、多段階という意味においてはそのとおりである。しかし、そのEC型の付加価値税の中でも全部を否定するのではない。それがこの間の、二月六日の総理の見解なんです。ですから、私はその意味をお尋ねしているのです。 それをぐっと整理してみますと、多段階でも一概には否定しない。つまり、多段階であっても態様のいかんによっては考えてもいい、こういう意味ですね、こう聞いているわけです。そういう余地があるのですね。それとも、全然余地がない、つまり去年の私の質問に対する総理の答えですと、余地がないのです。今度の見解は、余地がある。その辺を正確を期しておく必要がある。そして、もし余地があるとすると、我々いろいろ研究してみましても、どういう例があるのかちょっと見当がつかないのです。その例を教えてもらいたいのです。
○中曽根内閣総理大臣 それは、大内さんが最後に申されたように、「EC型付加価値税といってもいろいろの態様が考えられますが、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方はとらないという立場でございますので、これに該当すると考えられるようなものは、中曽根内閣としてはとりたくないと考えております。」おっしゃるように、余地がある、そういうふうに考えてしかるべきであると考えます。 ただ、その場合に、どういうものか。しかしこの場合でも、先ほど来申し上げましたように、すぐそれを採用するという意味ではない。税調がそういうものを持ってきた場合には、それは検討の対象にはなるでしょう、しかしその場合といえども、今申し上げた日本の体質から見てこれがなじむかどうかという点については慎重な態度を持っていますときょうも申し上げたとおりであります。 じゃ、どういうのがそういうものとして出てくる可能性があるかといいますと、この「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかける」これ全部がかっているわけです。このうちの一つでも抜ければ、あるいはその余地の中へ出てくるかもしれませんね。そうすると、まず大型というのが中型になるかもしれぬ、あるいは包括的、網羅的、普遍的とか、そういうような多段階というものが欠けてくる場合もあり得る、いろいろなそういう組み合わせがあり得る。そういうものが出てきた場合には、これは税調でも論議もされるし、あるいはこっちへ出てくるかもしれぬ、そういうものは一応は検討する。しかし、その場合といえども、今申し上げたような一般消費税あるいは取引高税で我々は苦杯をなめたので、そういう点は極めて注意深く、非常に警戒的に考えますよということを申し上げておるのであります。
○大内委員 聞いている皆さん、わかったでしょうか。包括的消費税というのはありますか。包括的消費税というものをひとつ教えてください。
○竹下国務大臣 包括、網羅は、要するに例外なしという意味でございますから、現実採用されておるものの中には、私も詳しくは知りませんが、恐らくないと申し上げます。
○大内委員 これはあれでしょう、包括的とか網羅的とか普遍的とか大規模などか投網をかけるとか、みんな一つのことでしょう。どうしてこんなにたくさん言葉をお使いになったのですか。これはごまかすためでしょう。これだけ言葉を並べておけばどこかにひっかかる。これは一つにした方がわかりやすいのですよ、本当は。そして、包括的消費税は何だと聞いてみると、私もよくわからないのだけれども、例外なくと。例外があるということは、例外とはどういうことです、それじや。
○竹下国務大臣 例外とは、英語でエクセプトということで……。(笑声)
○大内委員 あなた、バレンタインのチョコレートを食べ過ぎたのではないかと思いますが、日本語で答えてください。今、考えているのですね、これは。ですから、考える時間を与えたわけです。
○竹下国務大臣 例外とは、要するに完全性を欠くとでも申しましょうか、税の概念の中でありますのは、これを除くというのが例外……。
○大内委員 それじゃ、ちょっと具外的に聞きましょうか。 例えばフランスでは、このEC型付加価値税は一八・六%の課税をしていますね。例えばこれを五%に圧縮する。まあ五%で大体五兆円取れますけれどもね。そういう場合は例外的になるのですか。
○竹下国務大臣 私が申しました例外とは、例えば五十四年税制で答申をいただいた場合の食料品を除くとかいうようなものを例外という意味で……。だから、一般的な言葉として包括とか網羅とかというのを漢和辞典等で定義づけるとしたら、例外なくということでございましょう。だから、例外というのは――まあ日本の税制というのは例外の多い税制でございますが、そういう例外なくというのは私はそういう意味であろう。したがって、今、大内さんのおっしゃった、イギリスの付加価値税率は一律一五だから、これが幾らであった場合にはイギリスのものからすれば例外ではないか、この議論は私は必ずしもお答えしにくい議論ではないかな。免税が輸出等ごく一部に限られておる、あの税率の問題については、輸出は免税になるのは例外かと言われれば、それは例外です、こういうことになると思います。
○大内委員 総理が二月六日に出されました、これは総理の見解ですからね。総理の見解ですわな。その中で、しない、とらない、とりたくない、三つ言葉を使っているのですよ。大型間接税の中で、とらない、しない、とりたくない、その大型間接税をここではっきり種類で示してもらわないとね。包括的とか網羅的とか、それは例外だとか、人の頭を混乱させるようなそういう説明ではわからない。ここで言う、つまり、政府がとらない、とりたくない、しないと言っている内容がわからない。これでは一番大事なこの予算審議の焦点がわからない。これは何か強弁でしょうか、私の。これは政府の統一見解を出してください。しない、とらない、とりたくない、この三つの種類を出してください。統一見解を出してください。これは、矢野さんに対する見解だけでは不足です。だって、皆さんわからないと思うのです、聞いている人は。私も幾らか税はやっておりますけれども、全然わからない。例外とはどういうものかと聞いてみれば、全然わからない、今の答弁では。これは出してください。矢野質問の答弁ではできない、わからない。
○天野委員長 ただいまの大内君の発言は、集中審議までに提出するように命じます。
○大内委員 何を出すのですか。
○天野委員長 統一見解を……。
○大内委員 私は、今度の予算審議の中で中期展望や仮定計算が出され、そしてその中で大型間接税への誘導というものがはっきり行われながら、その大型間接税の中で、とらないという総理見解の中身がはっきりしないということは、重要なことだと思うのです。そういう意味で、私は当然の要求を申し上げたのでございますし、ぜひそういうことで統一見解を出していただくということにしていただきたいと思います。 先へ進みます。 税制の根本的見直しという問題を総理も大蔵大臣も出されております。これはもちろん政府の税制調査会で、ある程度の答申をいただくということを踏まえてのことだと思うのですが、それは時期はどういうふうになるのでしょう。と申しますのは、中間報告という形での政府税調の答申的なものを受けてやるのか、それとも三年に一回出される中間答申といいますか、基本的な最終答申といいますか、そういうものを受けてやるのか、その時期はどういうふうになるのでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 これは私は施政方針演説でも申し上げ、またここの答弁でも申し上げてきておりますが、そういうことを行うことを課題として受け取っておる、そういうことを申し上げておるのであります。いつから始めるかということは、時期的にはっきりしたことを申し上げる準備はまだできておりません。いずれにせよ、予算が成立し、そして税制調査会の審議の内容とか、あるいは計画とか、そういうものをよく調べ、かつまた我が党の税調やら、政調会関係の人々の意見も聞いて、その上でよく判断をしたい、そう考えておる次第でございます。
○大内委員 あるいは失礼になるかもしれないのでありますが、例えば中曽根総理の任期は、我々の知るところでは一応は六十一年の十一月ですね。そして、中曽根総理自身が戦後税制の見直しという意味から、税制の根本改正という問題を出しているわけですね。任期中にやはり答申を受けて、一つの方向を政府として出したいという意味になるのでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 国民の皆さんは減税を早くやれ、また、このでこぼこやらひずみを直してくれ、そういう声はかなり強いと私は思っているし、最近、私がこういうことを言い出しましてから、いろいろな反応を見ますと、早くやれという声が非常に強いように思います。したがって、国民の皆さんのお気持ちも考えてみると、条件が許せばできるだけ早くやった方がいい、そういうふうに感じておりますが、いつからという時期を明示することは、まだちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
○大内委員 本当はこの時期を明示していただくということが、大型間接税等々の予測をする意味で重要なんですが、それだけに、総理としてもなかなか言えないところなんでしょう。 委員長にお願いしておきますが、私は先ほど来の議論を通じまして、一つは仮定計算のもっと詳細な内訳というものを出すように、理事会で御検討いただきたい。いかがでしょう。
○天野委員長 それは検討するようにいたします。
○大内委員 大型間接税等の問題は、まだまだ議論したい面がございますが、時間が相当中断されまして経過しましたので、急ぎます。本当は経済、財政政策の転換という問題を本式に議論したかったのです。しかし、これは到底時間がありませんので、一つ二つだけお伺いをしておきたいと思うのです。 一つは、減税の条件という問題なんです。 今度は、総理も大蔵大臣も、六十年度予算においては減税の余地はない、こういうふうにおっしゃっている。しかし、この間じゅうの議論から見ましても、減税をしなければならない状況というものは相当あると思うのですね。例えば課税最低限の引き上げと消費者物価の上昇の割合を見ますと、減税は半分ですね。勤労者の給与の上昇と税金の上昇を比較してみますと、税金の方が倍ですね。経済の実質成長率と可処分所得の状況を見ますと、成長の方が三倍以上ですね。これは減税をしなければならない条件が現実に存在していると思うのです。しかし、財政の状況からしてそういう余地はない、こうおっしゃられる以上、減税というのはどういう条件が整えばできるのか、その辺、大蔵大臣のお考えをお聞きしたい。
○竹下国務大臣 減税というものを行う条件というものは、財政事情あるいは経済情勢の動きの中で、時には可処分所得との対比だけでは考えられない、我慢してもらわなければならぬ場合もあるでございましょう。一般論として申し上げますならば、減税のできる環境というのは、国民に対する普遍的サービスというようなものが既存税収の中で可能な状態にあった場合ということが、一面的な見方ではなかろうかと思います。
○大内委員 河本国務大臣はこう言っているのですね。「直接税の大減税とともに、これと同程度の規模の間接税の増税が当然考えられる」、河本大臣はそうおっしゃっていますが、いかがですか。
○河本(敏)国務大臣 私は最近になりまして、税に対する考え方は、政府それから与党である自由民主党とも、昨年と比較しますと根本的に変わってきた、このように思います。一つは、昨年の十二月に政府と党の税調から、現在の税制は抜本的に見直せという趣旨の答申が出ておりますし、総理も、三十五年ぶりに雨期的な税制改革をやりたい、こういうことを言っておられます。その内容については断片的に言っておられますけれども、例えば所得税と法人税の減税を考える。大型間接税については、先ほど来の御議論のとおりのことを言っておられます。 ですから、私は、そういう機運が出てきたわけですから、この際やはり減税と増税、抜本的な改革を、先ほどもできるだけ早くやりたい、こういうお話がございましたが、そういう形で行うということが望ましいのではないか。やり方いかんでは財政と経済に非情に大きな力を出すことができるであろう、こう思いますので、そういう内容の税制の抜本改正が一刻も早くスタートすることを期待しております。
○大内委員 金子経企庁長官は、直間比率を七対三から六対四に、五対五、さらには逆転と直していかないといけない、こうおっしゃっていますね。事実ですか。
○金子国務大臣 戦後、直接税に比重がかかり過ぎまして、戦前と全く逆の直接税七、間接税三のような状況になりましたけれども、現実問題として、特に所得税の累進の度合いがきつうございますから、やはり所得税減税を中心にして、その負担分は間接税に切りかえるという方向で検討すべきだと考えております。それは、いきなり戦前の七対三というようなわけにはいきませんから、せめて六、四か五、五というようなところから順次改善を進めていったらどうかと考えている次第です。
○大内委員 それは大増税ですな。そうですね。それは大増税になりましょう。
○金子国務大臣 それは、一遍にそうできるわけじゃございませんし、だんだんと経済が成長する段階においてそういうことを考えるべきで、今すぐそれができるなんということは毛頭考えておりません。ただ、気持ちとしては、所得税を減税して、その分は間接税にウエートをかけていく、これは真剣に考えなければいかぬ問題だと思います。
○大内委員 今お聞きのとおりでございますが、竹下大蔵大臣あるいは総理としては、減税は必要だと思っているのでしょうか。そして、その減税というものは、増税と抱き合わせが必要だと思っているのでしょうか。
○竹下国務大臣 税調で、これから税制全般の見直しの中で我が国の所得税制をどうするかということで議論していただく前に、いささかでも予見を与えるようなことを、いわば税の担当であります私から申し上げるわけにはまいりません。が、私の表現の限界を申しますと、所得減税を要求されておる気持ちというものは私も十分理解できますが、今の財政状態の中で、後代の負担となる赤字公債の増発によって賄われるものであってはならないというところまでが私の答弁の限界ではなかろうか。あとは、今問答があっておりましたような、所得税制をどうするかという観点から、結果として、検討課題として税調で取り上げていただく問題であろうというふうに考えております。
○大内委員 そうしますと、政府としては減税と増税は必ずしも引きかえのものではない。これは総理大臣ですね。これは非常に重要なところなんですよ。
○中曽根内閣総理大臣 私は、所得税や法人税の減税はやりたいと思っております。これは、国民の皆さんも大いに感じているし、私がシャウプ税制以来のいろいろな不合理性を是正しよう、そういうことを申し上げた中には、今言った所得税あるいは法人税に非常に加重されてきておるという現実もありますし、それらの税体系の内部においても、制度あるいは執行面において不合理性がある。そういうふうな考えに立って公平、公正、簡素あるいは選択という原則でやりたい。しかし、これは増税を目的とするのではない、税収を目的としてやるのではない、ひずみを是正するということが主眼であって、国民により満足してもらう税体系や税の執行に直していきたい。ただし赤字公債はいけませんよ、これはもうはっきり申し上げている。では、その税源をどこから得てくるのか。場合によっては税外収入も考えられましょうし、あるいは自然増収も考えられましょうし、さまざまな努力が考えられる。場合によっては、あるいは政府税調あたりで間接税の一部見直しとか拡充とか、あるいはそのほかのアイデアも出てくるかもしれぬ。ともかく赤字公債はいかぬ。 そういう考えに立ってみた場合に、いろいろなそういう案が出てきた場合に、一体国民はどっちを選ぶだろうか。減税が欲しい、所得税や法人税のゆがみを直しなさいといって非常に国民が望んでみた場合に、ではこっちはこうなりますよ、まずやるのはとんとんですからね。ですから、こっちはこうなりますよ。それならおれは嫌だ、今の方がいい。そういう声が出るか、いや、それでもいいからやってくれという声が出るか。これは最終的に国民が選択するところであって、そういういろいろな案が出てきた場合に、国民の反応を見ながら、政府は、何がいいかということを慎重に選択していきたい。いろいろな案の中で、国民がどうしても嫌がる、あるいは日本の体質になじまない、前からいろいろ申し上げているような、そういうようなものは、もちろん政府としては、これは慎重にやるべきである、こう考えておるわけです。
○大内委員 そうしますと、減税と増税が五十九年度やったように抱き合わさってくるという可能性も、今の御答弁ではあるわけですね。その問題は本当はもう少し深く聞きたいところですが、一つだけ別の問題を聞いておきたいのです。これは大蔵大臣ですね。 仮に大型間接税というものを導入するということになった場合、地方財源は非常に困りますね。なぜならば、地方交付税交付金は所得税、法人税、酒税の三税ですから、間接税で国が取る、しかし地方には全然入らぬ。そうすると、例えばそういう国が間接税を取っていく場合に、地方に対して何らかの地方消費税的なものを考えないと、地方は財源的に重大な危機に立ちますね。そういう地方消費税といったようなものについてはどういうふうにお考えなんです。
○竹下国務大臣 これ、地方税でございますが、しかし恐らく税全般の論議の中に出てくる問題としての御指摘でございましょうから、そういう問題指摘は税調の場で問題指摘として検討されるであろうとは私も思いますが、今いわゆる地方消費税とかそういう問題として議論が展開されるであろうとは、必ずしも私からは申せないのではないか。そういう議論は展開するであろうということは申し上げられると思います、仮定の事実といたしまして。
○大内委員 時間の関係で防衛問題に移ります。初めは一%からです。 私は、防衛力の整備についての歯どめというのは、基本的には憲法、自衛隊法、それらによって例えば専守防衛であるとか、我が国の非核の原則であるとか、あるいは海外派兵はしないとか、そういう基本的な歯どめがこの基本法及びそれに伴う諸立法で確立されているのではないか、そしてそれをチェックするのが、例えば国会のこうした論議であったり、あるいは国防会議の機能であったりすると思うのですね。 一%枠が昭和五十一年の三木内閣の段階で設定された経緯を見ますと、その後の防衛白書がその辺をきちっと書いていますね。どういうふうに書いてあるかというと、目標とする防衛力の規模を具体的に明示するとともに、そのときどきにおける経済財政事情を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ行うものとするという基本方針を示すことで、必要かつ十分であると判断された。「しかし、」と書いてある。しかし、年々の防衛関係費の「めど」を示すことも必要であると考えられたので、「防衛計画の大綱」とは別に、昭和五十一年十一月五日の閣議で、当面一%をめどにすることを決定した。しかし、この決定は必要に応じて改めて検討されるものであるとして決定されたものである、こう書かれています。このとおりでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 そのとおりです。
○大内委員 この経緯で明らかなように、一%枠というのは憲法等の基本的な歯どめに対する補完的な歯どめという性格で決められているという経緯がありますね。中曽根総理もその国会答弁で、「一%の問題は他の経費とのバランスという考えのもとに一つのかんぬきをかけた政治姿勢である。」こう答弁されておりますのも、恐らくこうした経緯を踏まえてのことだと思うのです。つまり、一%枠というのは、理守防衛のような日本の防衛の基本原則ということよりか、当面の政策という政策をもって設定されている。したがって、この方針というのは、時代の状況に従って、より合理的かつ現実に即して見直しが行われるべき性格を本来持っているものだ。私は経緯を調べてみて、一%の生い立ちというものはそういうものじゃないか。そういう認識を政府は持っておられますか。
○中曽根内閣総理大臣 その生い立ちの性格は、まさに御指摘のとおりであると思います。
○大内委員 問題はことしなんですね。政府は、六十年当初予算段階では辛うじて防衛費の一%枠を守りました。しかし、ことしの八月の人事院勧告が一・六七%以上のベースアップ勧告となって、これを政府が完全実施するとしますと、一%枠は完全に超えることになりますね。額にいたしますと二百二十二億円ですね。昨年の人事院勧告、これは六・四四%でしたけれども、これを三・三七%に値切った状況からしまして、ことしは一・六七%を大きく上回る人事院勧告が出るということはまず決定的でしょうね。人事院勧告の完全実施を図るというのは政府の公約だと思いますし、この昨年の勧告の積み残し分というのは、これはどう処置されるのですか。
○後藤田国務大臣 本年度の人事院勧告を決定した際に、いわゆる積み残し分、一・四%程度でございますが、それを実施をしたわけでございますが、政府としては少なくとも同程度の積み残しの解消を六十年度もやります、こういうお約束をいたしておりますから、そのとおり実行いたしたい、かように思っております。
○大内委員 今、後藤田長官の答弁、なかなか重要なんですよ。去年ぐらいのもの。そうすると一・六七%じゃなくて三・三七%程度。これ、一%を超えてしまうのです。 加藤防衛庁長官は一月五日、こういう記者会見を大分でしていますよね。「六十年度予算で防衛費は一%内に収まったが、すき間は非常に狭くなった。六十年度のGNPがどう推移するか、不確定な要素はあるが、ベースアップが通常通り行われるとすれば、」つまり、今後藤田長官が大体そういう方針だと言われましたような形で行われるとすれば、「一%内に収まらなくなるのは事実と思う」。防衛庁長官、そうおっしゃいましたね。そうでしょう。
○加藤国務大臣 そのときの記者会見で、六十年度についてのGNPの見通しが現在の政府見通しのとおり推移し、そして通常のベア、例えば昨年並みのベースアップが仮に実施されるようなことになれば、計数上一%を超えることになるだろうということは堅実だと思います、そういう趣旨のことは確かに申しました。
○大内委員 今、後藤田長官の御答弁、そして加藤防衛庁長官の御答弁によりますと、六十年度段階で一%を超すという可能性は極めて濃厚ですね。 私は、この問題がこれだけ大きくなるという理由の中に、やはり国民が、この一%という一つの水準を突破したら、防衛費というものが無節度に膨張していって、あるいはそれが軍事大国化へ進んで、いくのではないかという懸念において、この一%というものに非常に関心があるのだと思うのです。しかし、一%というのは国会が決めた一つの歯どめじゃないのです。野党が出した歯どめではない。政府自身がみずからお出しになった歯どめですね。そして、政府自身がとる政策によって、これが今や守られなくなるであろうという状況にあることも、今二人の大臣によって言われたわけですね。 そうしますと、これは一%枠を決めた政府自身の責任として、その枠を突破した段階で空白を残しておくということはよくないです。そこに何らの基準もなくなってしまうということは避けなきゃなりません。当然その段階で新しい歯どめというものを国民に示さなきゃならない、そう思いますが、いかがでしょう。総理、いかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 この一%の問題については、この間矢野書記長に対して御答弁を申し上げたとおりでございます。私は、今回の議会におきましても、いろいろ御質問に応じてお答えをいたしまして、私の答弁の軌跡を御検討くだされば、私の考えもおわかりいただけると思います。そこのところで、矢野書記長への答弁の中に、国会における各般の御論議や過去の政府の答弁等も踏まえて、慎重に対処いたしたいと思います、そういう言葉があると思うのであります。しかし、できるだけ一%以内にとどめたいという願望はあくまで持っておるのでありまして、私たちはそういう時が来るまで全力を尽くすべきである、そう考えておるのであります。
○大内委員 私の聞いているのは、一%という歯どめが崩れた段階において、新しい歯どめを国民に対して政府自身が提示するということは政府の責任でしょう、こう聞いているわけです。
○中曽根内閣総理大臣 これは仮定の条件つきの御質問でありますから、仮定の条件つきとしてお答えいたしますが、そういうときがもし至ったならば、そのことも当然考えるべきである、それが適当であると考えます。
○大内委員 歯どめについては、空白期間はつくらないということは約束されますか。
○中曽根内閣総理大臣 空白期間というのはどういう意味がわかりませんが、ともかく国民が納得いくような、安心できるような政策をとっていくということは政府の責任ではないか、政府としてやるべきことではないか、そう考えて、そのように処置することが適当であると考えております。
○大内委員 わからないという意味は、その判断の時期が不確定だという意味だと思うのですね。 そうすると、八月に例えば一・六七%以上の勧告が出る。政府はこれを完全実施するかどうかという問題について協議し、閣議決定する。そして、閣議決定した段階において、それを補正予算あるいは改正法案として国会に提出する。その段階においては、例えばGNP等についても当然見直しが行われる。いつの段階で判断をされるのでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 それは予算上数字的に突破するという可能性が十分出てきた、その前後にやるべきものであると考えます。
○大内委員 この時期等はなかなか難しい議論なんですね。総理は今度の国会で、人事院勧告やGNP等の不確定要素があるためにはっきりは言えないという趣旨をおっしゃったのですね。私は去年同じ質問をしている。そうしたら、人事院勧告と一%は別個の問題だからこれは関係ないと言っておる。ことしは関係があるのですね。まあ、でもそれは皮肉になりましょう。 私は、これからいずれにしても政府は早晩新しい歯どめを出さざるを得ない事態に入るであろうと思います。だからこそ我々は、その問題を昨年以来総理及び政府が真剣になって考えるように言ってきたのです。GNPの何%というのは、GNP自身が物すごく動きましょう。あるときは一三%になったり、あるときは五%になる。その一%という決め方は、防衛費というのは本来積み上げていくものですね、あるいは防衛計画というのは年次的に積み上げて整備していくものですね。ですから、そういう非常に流動的な、変動的なものを一つの基準にして、めどとしていくという考え方自身に非常に無理があったと私は思う。だからこそ今度こういう問題が出てきた。こういう基準で防衛費の枠を設定している国は、私が調べた限りでは世界にはな、いですね。 世界で出している数例のやり方は、例えば五カ年計画なら五カ年計画という形で、必ず防衛計画との関連性を持っています。私はアメリカの場合も随分調べました。なかなか言わないですよ。しかし、アメリカの中では五カ年計画と八カ年計画があります。そしてその総額は明示されます。大統領も国防長官もその総額を知っています。そしてその中身について国会は真剣に論議します。フランスでもそうです。西ドイツでもそうです。お隣りの韓国でもそうです。ですから、本来は、防衛費というものは今後どういう形で推移していくのか、そのおおむねの総額はどのくらいか、その中で調達される装備というのは専守防衛に沿った装備がどうかということを国会がチェックし、国防会議がチェックする体制をつくり出すのが本当の歯どめじゃないかという意見もあるのですよ。 その近辺を含めて、私は、総理は本当にまじめにこの問題をお考えになっていると思うのですよ。国民の懸念というものを解消することが一番必要なんです。そういう点についてどうお考えでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 GNPで今のようなリミットを設ける国はないと私も思います。 ただ、あのときは四次防の後どうするかということで、基盤防衛力というような発想をもとに「防衛計画の大綱」をまずつくりまして、大綱が出発してから一週間たって、これは何とか少し当面の歯どめをつくる必要がある、毎年毎年のこととして歯どめを研究しよう、そういうことでああいう一%という三木内閣の方針決定が行われた、そういういきさつがございます。しかし、そのときの前提は、これは数年で達成できる、つまり四次防の次の五次防というような意味も、そういう名前ではありませんが、必要の根底にはあったのではないかと思います。数年で達成できる、というのは当時のGNPが大体一三%ぐらいですから、そして経済計画も大体一〇%以上の成長率を見込んできておったわけです。それが石油危機によりましてがたんとGNPが落ちました。そういう意味で達成が非常におくれた。あの後の長官をおやりになった、ここにいらっしゃる三原さんあるいは金丸さんの国会における答弁を見ると、大体四、五年でこれはもうできるというような見通しを言っておられる。これはGNPが高かったからそれが言えたわけなんです。しかし、GNPががたっと落ちてしまったから、それが期間内にできない、それが十年近くたってもまだできない、そういう状況ですから、古い兵器を全部更新しなければならぬというのがうんと出てきた、そっちにお金を全部取られてしまって、そして目標とする大綱達成の正面兵器やそのほかに回る金がどうしても回らない、その間に人件費で食われていく、こういう情勢がここ十年近くの間の情勢であったわけです。この過去の経験にかんがみて、我々は将来、歯どめをつくるときにはよく検討し直さなければならぬ。それでおっしゃるように、計画全体を考えつつ、それを一つの歯どめにするという構想も外国がおやりになっておる構想でありまして、これも研究の一つの対象としてまじめに取っ組んでみたいと思います。
○大内委員 先般のあの一%に対する政府の見解の中には、これまでの政府答弁を踏まえ、これはなかなか重要な文言が入っていますね。そのことの意味は、例えば総理がこの一月の代表質問に答えられました、一%の方針を変更する事態が生じたときは、その時点で対応措置を検討したい、手続としては閣議のほかに国防会議での討議が必要であり、節度ある防衛力のあり方を十分考えたい、もちろん、この答弁は生きているわけですね。
○中曽根内閣総理大臣 生きております。
○大内委員 節度ある防衛力というのはどういう条件を満たすことなんでしょう。 もう一つ、軍事大国にはならない、この歯どめをどこに置かれようとしているんでしょう。国民の関心事はここです。
○中曽根内閣総理大臣 これは冒頭に大内さんが申されましたように、我が国には憲法以下で基本的に歯どめが厳重にかかっておると思うのです。専守防衛、非核三原則あるいは近隣に脅威を与える軍事大国にならない等々、節度がある防衛力であるとか必要最小限のものにとどめる、ちゃんとした文民統制も含めてある程度歯どめがかかっておると思うのです。その範囲内において執行計画を実行する、防衛の実務を実行する、そういう意味における各年度年度の今度は歯どめを白制的に政府自体がつくってみようというので、ああいう一%というものに来た。これは政府自制的意味で、それが節度のある防衛のあり方というものを政府みずからが設定して国民に御理解をいただいた、そういう形になっておる。その姿勢は、やはり今後も姿勢としては続けていくのが正しい。文民統制以下、政府が持っておる自制力によるあり得べき節度のあるあり方をお示しする、これも大事だろうと思うのです。 そういう考えに立ちまして、もしそういう必要性が出てきた場合には、各党の御意見や国民の御意見もよく踏まえて、慎重に検討していきたいと思います。
○大内委員 軍事大国にならない歯どめというのはどういうことです。もう一回。
○中曽根内閣総理大臣 これは我々の防衛の一つの方針にありますように、限定、小規模の侵略が日本列島について行われた場合にそれで独力で対処する、そういうような基本方針に対応できる一つの防衛力を考える、しかし、それをつくる場合においてもほかの予算のバランスとの関係も十分考える、こういうことであると思います。
○大内委員 私は、政府が防衛力整備を国民の理解のもとに進めるというためには、やはりしっかりした歯どめというものをいつでも国民に提示する、この責任があると思いますので、私が先ほど申し上げたような問題を含めて今後真剣に御検討をいただきたいと思うのです。 あと二、三分しか残っておりませんが、一つだけ。 これは総理の発言にかかわることでもありますのでぜひ伺っておきたい問題は、衛星の平和目的利用という問題なんでございますが、この間発表されました、つまり二月六日に発表されました「国会決議の「平和の目的」と自衛隊による衛星利用についての政府見解」ということによりますと、こういうことなんですね。非軍事的なものはもとより、平和目的に沿ったものである、しかし仮にそれが軍事的なものでも、一つ、直接、殺傷力、破壊力として利用するものでない場合、二つ、その衛星自体が一般的に利用されていたり、その衛星自身が仮に軍事衛星で一般には利用されていなくても、同種の衛星というものが一般的に利用されている場合は、その利用は平和の目的の範疇に入る、つまり、軍事的な利用の面でもケース・バイ・ケースである。これがこの間の見解であったと思うんです。 私は、これからハイテク時代の防衛になりますので、そういうことを踏まえて、当面の糊塗策だけの答弁に終始してはならないと思っている。そうしますと、これまで総理及び関係の閣僚の皆さんが答弁されてきた平和の目的に限るとは非軍事的なものに限るというこの答弁は、不正確ですね。これは、防衛庁長官や科学技術庁長官が答弁をされまして、それを総理が後からオーソライズするような形で答弁されているのです。したがって、今度の見解でいきたいのでひとつ理解を頼むという以上は、前の平和的な目的に限るとは非軍事的なものに限る、この見解、答弁というものは修正される必要がありますね。これは総理のお答えにかかわるものだけに、総理自身が訂正される必要があるんじゃないでしょうか。このことをもって私の質問を終わります。
○中曽根内閣総理大臣 これには一つの系譜、歴史がありまして、原子力基本法をつくりましたときに、前にも申し上げましたが、私は提案者の一人として説明を申し上げ、委員の質問に答えた。そのときに、日本でも原子力推進の潜水艦はつくれるときがある、それは原子力推進というものが商船あるいは輸送船等において一般化した場合に、そのときには防衛庁の持っておる潜水艦といえどもこれは使える、それは軍事的ではない、そういう解釈をそのときに確立させておいて、自来政府は答弁してきた。 つまりそれは汎用性の理論と言われております。一般がこれを使うような段階になった場合には防衛庁や自衛隊が使ってはならないということにはならない、それは軍事性を超越した一般性を持ってきているからである、そういう解釈によるものです。 そこで、衛星につきましても、今やインテルサットとかそのほかのものが随分出てまいりまして、毎晩NHKやテレビで国民はその利益を享受しておるわけでありますから、これだけもう一般性が出てくれば、今の原子力推進の問題と同じように、これは軍事目的というものを離れて、そして一般的な利用の範囲内に入ってきている。したがって、防衛庁や自衛隊といえども一般的利用の範疇の中のものとして我々はこれを利用できる、そういうふうに考えまして、衛星の場合もそういう解釈をしたわけでございます。 大内委員のお考えは、そういう物に即した解釈よりもむしろ目的に即した解釈に持っていけという御議論のように思います。確かに自衛隊法によれば、日本の平和と独立を守りと書いてあるので、平和を守るということは明記してあります。そういう意味において自衛隊が行うことは平和目的ということも自衛隊法上からは書いてある、目的として確立されております。そういう点を御指摘になったかもしれませんが、御指摘のところはよくこれからもひとつ検討してまいりたいと思います。
○大内委員 以上の問題は集中審議でやらしていただきます。 以上で終わります。
○天野委員長 これにて大内君の質疑は終了いたしました。 次に、佐藤観樹君。 〔委員長退席、大西委員長代理着席〕
○佐藤(観)委員 今私は、日本経済というのは三重苦を持っているんじゃないかと思っているわけであります。一つは何といっても財政の問題であります。もう一つは個人消費と申しましょうか、家計が大変苦しいという問題。そして三つ目は、確かに国際収支は大変いいわけでありますが、資本収支がこんなにマイナスでいいんだろうか、これは将来にわたっても、雇用の問題からいろいろな問題が私は出てくるんじゃないだろうかということを思いますと、この三重苦、一つずついろいろな格好で質問していかなければいかぬわけでありますが、時間の関係もありますので、ひとつ財政の問題、税制の改革の問題についてお伺いをしたいと思うわけであります。 これまで何人かの方々から財政問題、税制改革の問題について御質問があったわけでございますが、どうもいま一つはっきりしない。新聞の世論も、何かこれから新しい時代にいろいろな意味で入っていくんじゃないかということは薄々感じているけれども、どうも国民の皆さん方がしっくり腹の中にそれが落ちていることにならない。というのは、どうも論議が余り先の方にいっちゃって、せっかく中曽根総理が公平、公正という言葉をお使いになっているけれども、その中身について、だからなぜその次の税制にいかなければいかぬのかということについて余り深く論議がされてないからではないかということが言われているわけであります。 そこで、今まで総理が言われてまいりました発言の具体的な税制改革にわたる部分について、ちょっとおさらいをさせていただきたいと思うのでございます。 一つは、順不同でございますけれども、これからの税制の包括的な見直しの中で、所得税の減税それから法人税の減税、これをひとつ検討していきたいということが一つであります。 とりわけ二つ目として、所得税の減税の中では、一つ、最高税率七〇%というのは余りにも高過ぎるのではないだろうか。中堅層、総理は年収二百万から六百万と言われておりますが、そういった方々の累進のカーブというのは少しきつ過ぎるのではないだろうか。こういう手直しをぜひしていきたい。それは一〇・五から七〇%という、今十五段階の所得税の刻みをもう少し緩やかと申しましょうか、十五段階の段階を少なくしていきたいということも総理が言われているわけであります。 それから三番目は、その減税の財源として、赤字国債によるんじゃないんだ、これはいわばでこぼこを直すという意味においての増税でやっていきたいということが三番目。 それから四番目としまして直接税、間接税の比率、これを直していきたいということも言われております。 それから五番目として、その間接税のあり方として投網発言、このごろ新しい言葉になってきましたけれども、投網をかけるような多段階的、包括的、網羅的、普遍的な消費税は導入をしない。これはどうも、きょうも岡田委員の方からお話がございましたけれども、竹下大蔵大臣というのは大変言葉をつくるのがうまいようでございますけれども、この多段階的、包括的、網羅的、普遍的というのは、要するに、辞書を引いてみると、この意味というのは例外なく課税するということなんだ。ここから類推をしますと、私の類推ですよ、それから今までの総理のお話を聞いていると、取引高税は入れない、それからいわゆる一般消費税(仮称)は入れない、ということになりますと、どうも私の見るところ、EC型で、免税点があって、課税しないものの範囲が結構あって、こういうものは総理の言う多段階的、包括的、網羅的、普遍的なものではないのではないか。どうもそういうことを考えていらっしゃるのではないだろうか。あるいは中小企業の方々を除くとか日用品とか食料品を除くとか、こういったことをやれば、総理の頭の中では、今四つの形容詞をつけたようなEC型の付加価値税という範疇に入らないのだという感じでどうも私は受け取っているのです。 いろいろな角度から物を申し上げましたけれども、どうも今までの総理の言われた税制改革の具体的にあらわれてくる面というのは、この五つじゃないか。今、理念の話ですね、公正、公平、そして国民の選択、あるいは簡素という理念の話はもちろんあるわけでございますが、具体的な税制という制度というものにあらわれてくるものは、どうもこの今日までのことを整理をしてみますとこの五つであるようでございますが、それでよろしいですか。
○中曽根内閣総理大臣 佐藤さんの非常に明晰な整理力に敬意を表しますが、私は積極的にこういうものだというポジティブな表現は言わないわけです。こういうものでないということは言っているわけです。それは税制調査会の皆さんにいろいろ自由に御議論願いたい、税制調査会の皆さんが自由に自分で発掘して組み合わせて、そして自由な論議をやってもらいたい、そう思うから申し上げておるわけで、我々の方はニエット、ニエットと言う方である、つくる方は税制調査会でいろいろなものをアイデアを持ってきてもらいたい、そういう立場を持っておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 税制調査会に逃げられるわけですが、税制調査会といっても学者の方々が税理論の勉強をなさるわけではないので、具体的な政治の中に生かすわけでありますから、税制調査会は税制調査会のお立場があるけれども、その最高のいわば審議機関というのはこの国会、この場だと私は思うのであります。ですから、総理が一応ニエット、ニエットで否定をされた部分を除いてひとつ審議をしていただくというのが、税制調査会の総理の諮問機関としてのあり方だと私は思うんですね。私はそうお逃げになることはないと思うんです。今申しましたことは今まで総理がここで答弁したことを一応網羅をしてみただけの話でありまして、総理自身の口から出ている話なんでありまして、そうお逃げになる必要はないんだと思うんですね。税制調査会の方で、税制調査会は税制調査会の角度としていろいろな形で審議をなさることは、私はこれは当然だと思いますし、そのことは重要だと思うのであります。 そこで、もう一つ国民の前ではっきりしないのは、それでは総理はいろいろな形で、竹下大蔵大臣の表現をかりれば税制上のでこぼこをなくすあるいは公平、公正、簡素、国民の選択という視点に立って税制改革を進めていきたい、シャウプ勧告以来のいろいろなひずみというものを直していきたい、これは私は後から申し上げますけれども、本当にそれなら非常にいいことだと私自身思っているわけであります。 そこで、一つだけ最初にお伺いしておきたいのは、国民の皆さん方が、それではそういう税制改革をやった後一体国民負担がふえるのか減るのか、今の財政事情からいって減るということはないと思うのですね。少なくも国民負担は今と一緒なのかふえるのか、これがどちらかというのはどうもわからない。この点はいかがなんですか。
○中曽根内閣総理大臣 税制調査会でどういう御案を持ってくるか、それを我々は見守っておるところでございますが、私個人が頭の中で描いていることは、スタートのときはとんとんだろう、そういう感じですね。これも厳密に正確にそうという意味じゃないんです。大体の見当としてはその辺がいいんではないかというふうに感じております。
○佐藤(観)委員 スタートのときはとんとんだというのは、後になれば上がるかもしれない、ただしそれは中曽根内閣じゃないかもしれません、先の内閣かもしれませんが、まあそう受け取っておきます。 それで、この議論というのは、今総理に初めにそのことを御確認いただいたのは、初めに増税ありきとかそういうことで出発をしてはいけないと私は思うのであります。私も十五年間大蔵委員会にいまして、税の問題をずっとやってきた、税の問題をやってきたというのは、結局は考えてみれば不公平税制じゃないかということで、税制の公平ということをずっとやってきたわけであります。ですから、総理が公平、公正、簡素、国民の選択という言葉を言われるということは、これは非常に私は重要なことだと思っているわけであります。 ただ、今だによくわからないのは、簡素というのはこの前御説明がありましたように、そうそうしち面倒くさくないやり方で申告ができるようにしていこうじゃないかという意味におきましては、それは非常にわかります。ただ一面では、余りこれを簡素にしますと、別の不公平が出てくることがあるものですから、そのことは留意していかなければいけませんが、しかしそれでもやはり制度としてなるべく簡素の方がいいだろうということはわかります。 それで公平と公正につきましては、公正の方がむしろ広い概念で、それを税に当てはめればもう少し公平という方が税の言葉としてはマッチしているんじゃないかという総理の御答弁もございましたが、私もそれはそうだと思っておるのであります。 そこで、一体総理の言っていらっしゃる公平というのはどういうのを公平というふうに言われていらっしゃるんだろうか。もう少し逆の問いかけをすれば、それは今の税制というのはやはり不公平なところがあるんじゃないか。ですから、シャウプ勧告以来のひずみ、それはシャウプ勧告自体は、あのときの二十四年、二十五年は、私はそれはそれなりに立派な答申だと思うわけであります。ただその後経済のいろいろな情勢が変わってまいりましたし、あるいは租税特別措置というようないろいろな問題が入ってきたり、やれ直間比率でも一時は間接税の方が大変高かったわけであります。これは片方の方では直接税の方を減税しましたというようなこともあるわけで、それはそれでいいのでありまして、そこまではいいのでありますが、今新しい時代を迎えようとしているときに、総理の言われておりますこの一番基本になる公平という言葉ですね、これは非常に重要な要素だと私は思うのであります。その意味で、私は総理がこのことを指摘をされることについて大変賛意を表するわけでありますが、総理の言われるその公平の逆言葉の不公平、今の日本の税制の中でどういうところが不公平になっているんだろうかということの反対語として、総理の頭の中で公平ということが出てこられているのか、そのことをちょっとお伺いしたいのですが。
○中曽根内閣総理大臣 これは税を納めていらっしゃる国民の皆様方あるいは法人――法人にもいろいろの種類のものがあります。そういうものの中においてバランスがとれている、そういうことで一言言えるだろうと思うのです。
○佐藤(観)委員 総理に余り細かいことを私も聞きたくはないのですが、その場合、例えば具体的にトーゴーサンというのが言われておりますね。しかし大蔵省は公式にはこれはないんだということを言われていたわけでございますが、総理は少なくも公平と言う限りはその相対する語の不公平が存在しているという観念がなければ、いわば四つの言葉というのは、理念は出てこないわけで、そうなってくると、やはりトーゴーサン、クロヨンと言われるように、業種によってやはり不公平は存在しているんじゃないだろうかという、やわらかく言えば感じですね、感じは総理はお持ちなんですか。
○中曽根内閣総理大臣 トーゴーサンというようなことを私は直接申し上げませんが、所得税にいたしましてもやはり税の重圧感がかかっている層というのはありまして、不平を言っていらっしゃるのを我々も耳にいたします。そういうようなものをよく調べて、そしてその不当な重圧感がなくなるように努力するということはいいことではないかと思います。
○佐藤(観)委員 税をやっていて一番難しいのは、自分だけが不公平じゃないか、ほかの人はうまくやっているんじゃないか、もう少しこれを公平にやってもらいたい、こう言うわけですね。公平にやることによって自分が重くなるかもしれないのです。そうすると文句を言うというのが、実は税を扱っているときの非常な難しさなんですね。 そこで大蔵大臣――大蔵大臣も三年余やられていて大変御専門家ですが、どうでしょう、総理が公平と言われている言葉の中には、今総理は巧みに逃れられていらっしゃるけれども、やはり何となく日本の税制というのは不公平じゃないかという観念があるから公平という言葉、公正という言葉が出てくるわけだと思うのですが、実際にやっていらっしゃる大蔵大臣として、日本の税制というのはやはり不公平なところがある、率直に言ってどうお感じになっていらっしゃいますか。
○竹下国務大臣 確かに公平、公正、簡素、選択。簡素が一番簡素にわかる。それから選択というのもよくわかりますが、公平という言葉が使われるのは、これは総理の頭の中を推測するという意味じゃございませんが、一般論として、公平というのは水平的公平と垂直的公平とある。要するに、等しい能力を持つ人々の間で税負担は異なるべきでない、また、能力の高い人は能力の低い人よりも重い税負担を負うべきであるというのが水平的、垂直的税制の上の公平。いつも大蔵大臣として、また大蔵省として答えますのは、トーゴーサンピンとかいわゆる不公平税制とかいうものがあるとは、私どもの立場では断定できません。しかし、観念的にそういうものが存在しておるということはわかります。そこでもう一つの面からいうと、やはりいわゆる能力に応じた公平と受益に応じた公平といいますか、応能と応益の不公平感というのがいろいろできてきているのではないかな。具体的に見ましても、先ほど来御議論のありました所得再配分機能の中のいわゆる中堅所得者の問題とか、あるいは所得の捕捉の面であるいはトーゴーサンという言葉もその中に入るかもしれません。そういう問題でありますとか、あるいは赤字法人はどうだとか、あるいはまた租税特別措置の中の問題であるとか、あるいは非課税貯蓄の議論もございましょう。そういう意味におけるひずみというのは確かに出ておるから公平という言葉が出て、佐藤さんを初めみんながそのことはいいことだ、こういうことになるのではないかな。少し長くなりましたが。
○佐藤(観)委員 総理、大体大蔵大臣が言っていらっしゃる内容ぐらいのことは総理も、そんなことがあるものだから公正、公平という言葉が出てくるのだ。余りもう細かいことは総理はそう知らなくていいのだと思うのです。だけれども、感じとして大蔵大臣が今言われたようなことは何となく、何となくという言い方はおかしいが、あるので、やはり次の税制改革というのはそこをポイントにしていくべきだ、こういうふうにとってよろしいですか。
○中曽根内閣総理大臣 応能負担とか応益負担という言葉がありますが、そういう点も十分考慮さるべきでありましょうし、例えば所得税にすれば、刻み方の関係においてもこれはもう少し検討する必要があるのではないか、そういう気もいたします。
○佐藤(観)委員 なぜ私がそう言うかといいますと、次の改革、これはいわば税の永遠の改革のテーマみたいなものでして、ここになかなかいい言葉があるのですが、人間の知恵が発達したといってもいまだに公平な課税方法を考え出していない、これはだれが言っているかというと、あれは何代目になりますか、初の西部出身のアメリカ大統領になりましたアンドルー・ジャクソンなんですね。一八四五年に亡くなった大統領が言っている言葉なので、税の公平感というのは非常にいわば永遠の課題なわけであります。そういった意味では、税全体を見直す、先ほど私が言いましたように、大蔵委員会で十五年税の問題をやってきたのは、いわば公平とは何かを追求してきたに尽きるわけでありまして、竹下大蔵大臣からお話があったようなことをずっとやってきたけれども、確かにきょうの総理の御答弁のように、租税特別措置も随分、我々が言いますと二年か三年ぐらいたつと大体大蔵省も入れてくれるようになった。確かに高度成長以降大分減りましたけれども、まだまだあるんじゃないだろうか。 例えば、過日稲葉委員からお話があった退職給与引当金も、当時私が入ったころは、たしか六割くらいまで認めていたと思うのですが、今は四割になってきた。何も少なければいいというものではないと思うのです、退職金でありますから。しかし、ただ事実上経理操作のためにだけ使われて、その分が税に上がってこないというやり方は、私はこれはおかしいのじゃないかということを言ってきて、今日まで四割まで来たわけでありますが、まだまだ私は、例えば規模別にもう少し変えてもいいのじゃないか、中小零細の方は例えば一〇〇%積んでもいいのじゃないか、あるいは過日稲葉委員からお話があったように、外部積み立てを本当にしているんなら、これは税で、働く者のものでありますから税で見てもいいのじゃないか、こう思っているわけでありますが、そういった意味で一度私は、せっかく総理が戦後政治の総決算ということを言われ、公正、公平、簡素、そして国民の選択ということを言われたわけでありますから、この際本当にそういう視点に立って、本当に税の大改革をもう一度国民的にやってみたらどうだろうか。 それは単なる今申しましたようなことだけに限らず、もう少し根本に戻って、例えば税の原理原則から、あるいは制度、運用、それから執行の面、アメリカではこういう財政あれだけ厳しいのでありますが、アメリカでは三千三百人国税庁職員をふやしているんですね、連邦職員を税務署の職員は。ところが日本の場合は、若干切る率は少ないというものの、税金がない税金がないというのに、一律これも減らされて、大体コストが、最大見積もったとして、一人入れたって一千万くらいしかかからないですよ、税務職員一人。そうすると、増収の方はどうなるかというと、大体平均しますと五千万くらい取って、取ってくるという言い方は嫌だけれども、ふえてくるわけですね。それを切るというのですから、何を考えているのかよくわからないのであります。 こういった税の執行面、なぜならば、それは実際に調査に行くということがなければ、やはり税の公平の執行面での担保というのはできないわけでありますから、そういったことも含めて一度税制調査会、私もいろいろな形でおつき合いさせていただきましたけれども、税制調査会は税制調査会で過去の長い積み重ねがあるわけですね。それは非常に重要でありますけれども、それはそれでわきに置いて、まさに新しい、これから情報化社会、国際化社会あるいは消費の支出も変わってくる、所得も変わってくるという、国民の生活実態の態様がいろいろ変わってくる中で、一体税というのはどうあるべきかということをもう一回もう少し幅広い次元から、それから従来不公平だと言われていたものも全部もう一回洗いざらいしてみて、税というものを考え直してみる。 そして結局、結論的にはまたもとに戻るかもしれません。結論はもとに、何らかの格好で消費税を入れたらどうかとか、そうしたら、この消費税を入れるならこっちの例えば物品税をなくしたらどうかとかということになるかもしれませんが、せっかく総理がシャウプ勧告以来の見直しをしたいと言われるのでしたら、総理は臨時何々というのが好きですから、ひとつ臨時拡大税制調査会みたいなものをつくって、白地にこれから日本の社会の対応、経済のありよう、そして二十一世紀へ向かって、税というのはやはり一面では安定的に取るということが国民福祉のためにも必要なのでありますから、そのためにはどうするかということを一度、税制調査会の論議は税制調査会の論議としてそれはそこに置いておくか、それを拡大しても結構でございますが、全くクールな新鮮な、新鮮と言うと今度は税制調査会が新鮮じゃないみたいになるけれども、全く別な角度からもう少し幅広く、臨時税制調査会か、名前はどうでもいいのでありますけれども、新しい対応で新しい発想で考えてみるということが必要なんじゃないだろうか。そのことを経て結論がどうなるか、これはやはり国民の皆さんといろいろ議論を行き来してみて初めて私は一つの結論が出るのだと思うのであります。それがないと私は、初めに増税ありき、そのために大型間接税なり、いや消費税なりという話に次になっちゃうものだから、本当の財政のあり方ということになっていかないのだと思うのであります。 ひとつそういった意味で全く白地から発想を変えて、何にも税制がなかったとする、なくて、しからばまず公平感を得るには、例えば間接税を一〇〇%入れたらどういう不公平が出てくるんだろうか、それでは、これではまずいから間接税はこのくらいにして直接税はその上にあれして、本当の意味で国民の合意を得られるような公平感の得られる例えば所得税制というのはどんなものだろうかということを考えてみる。ただ、その際に非常に私は重要だと思いますのは、過日堀委員からも御指摘があったように、これから年金、医療という福祉ですね、この財源が非情に重要になってまいりますから、私はその辺いわばそれと一体として考えなければいかぬと思いますので、その意味で私の考えておりますのは、拡大税制調査会プラス財政審プラス社会保障害議会のような、そういった幅広い立場で考えてみる必要があるんじゃないかということを、いろいろ考えてみますと思うのでありますが、総理のお考え、いかがでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 佐藤さんのお話を聞いて、非常に鮮度と感度がいい、そういうふうに敬意を表する次第でございます。やはり私、きょう午前中も御答弁申し上げましたが、税理論から出発して、白紙の立場から要するに幾つかのプリンシプルを立てて、そして全く素人というか学者的な発想から何が一番ベストであるかという、そういう立場から一応組み立ててみてもらう、それを現実に適用してみて、それをさらに政治の段階に持ち込む、そういう発想の仕方が好ましいと思います。 それから、臨時何とか調査会というのは、調査会や懇談会をつくると社会党から怒られてはかりおりますのでこれをつくるのはやはり申しわけないと思いますから、今の政府税調というものがございますから、政府税調を補強するなりあるいは今のような考えで運用を考えていただくようにして、そしてせっかく今までも努力していただいておるから努力していただいたらいいのではないか、そう思っております。
○佐藤(観)委員 私は何度も申しますように、一度総ざらいをしてみないと、この問題というのは初めに増税ありきという話になってしまうと思う。しかし、総理の言われる四つのスローガンは非常に重要な示唆に富んでいる話ですから、それをいわば実現をして国民の皆さん方に本当に入っていくためには、大体テーマは決まっているわけでありますから、この一年間でぜひ何らかの格好で一度総ざらいをしてみる必要があるのではないか。 きょう午前中の審議の中でも、税制について日本は日本流のやり方があるというお話もございましたけれども、片方では税制自体も国際化しているんですね。日本の国ではこうだけれどもアメリカではこうですというのが通じないところが随分出てくるわけであります。アメリカで言えばユニタリータックスの問題だってその一つなんでありまして、そういった意味では、私はひとつ本当に総ざらいをしてみて、国民の皆さんとの議論の中で公平感というものをつくっていく、そうして結論が、そこでこういうふうになるということが納得されるかどうかということだと思うのであります。ひとつそういう本格的な論議を、まさに不公平を是正をするという立場で審議をしていただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。 次に、本当は債権国の累積債務の返済問題、とりわけ、きょうも岡田委員からもお話がございましたけれども、政府の経済協力だけじゃなくて、民間から貸し出しているのが、世銀の調査によりますと、八五年が恐らく九千億ドルになるだろうというわけであります。九千億ドルといいますと、これは金利が恐らく八百億ドルから九百億ドル、つまり発展途上国から先進国へ逆に返ってくるということになるわけでありまして、これは単なるリスケジューリングだけやれば、リスケだけやって後ろへ延ばせばそれですべて済むという問題じゃないし、南の発展途上国の安定というのは世界の平和にとりましても大変重要な要素でありますから、その辺のお話をお伺いしておきたい、そしてそれはボン・サミットに少し何らかの格好で日本として提案をしてもらいたいということがあったのでありますが、ちょっと時間が、少し先を急ぎますので、それはまた別の機会にさせていただきたいと思うのであります。 その次に、財政の厳しさにつきましてはもう総理自身も御承知でありますし、それから委員各位からお話があったわけでありますが、こういった中で整備新幹線を着工に向けて予算をつけられた。その手続の問題につきましては、閣議決定の問題につきましては過日お話がございましたが、したがいましてその問題は私は触れません。しかし、今国鉄が累積欠損金が十兆六千二百五十億円、元金と金利を棚上げをしてくれということになっている。そして長期の債務残高が十九兆九千八百三十二億円というふうになっている中で、一体整備新幹線というのをどうやってつくられるおつもりなのか。 私は、新幹線そのものは別に決して反対ではないのであります。私は名古屋でありますから大変便利をさせていただいているわけでありますし、国土の平均的な発展といいますか、均衡ある発展をするためには、やはりそれはそれなりに非常に重要なことじゃないかというふうに考えております。私が去年衆議院の災害対策特別委員長をやったときに、北陸地方に大変雪が多かったわけでありますけれども、あの上越新幹線が定時に発車するということが、あの地域の雪の深いところで、上越新幹線まで行けばとにかく東京へつながっているということの安心感、これは私ははかり知れないものがあると思うのであります。そういった意味では原則的に何も反対するわけじゃないわけであります。 ただ、今度の予算のような出し方というのは、私は、これは国会で審議をするという立場から申しますと大変困ると申しましょうか、どういうふうに審議をしたらいいのかよくわからないのでありますが、とりあえずちょっとお伺いしますけれども、この整備新幹線の工事費を国鉄なり鉄建公団につけました。東北新幹線盛岡以北、それと北陸新幹線、これは建設費は幾らぐらいかかって、一体幾らぐらいで収支が合うようになるということになるのですか。
○棚橋(泰)政府委員 お答えいたします。 先生ただいま御指摘の、まず東北新幹線盛岡以北と、それから次に北陸新幹線の工事費でございますが、これはまだ正確なものではございませんけれども、計画の段階におきまして昭和五十四年度にまず積算をいたしましたときでは、東北新幹線盛岡-青森間約百七十キロでございますが、これが約六千百億。それから北陸新幹線、これは大阪まででございますが、工事費としましては、高崎-大阪間でございますが、約五百九十キロでございますが、二兆二千五百億、こういうふうに試算をいたしております。ただ、これは少し古うございますので、その後五十七年に環境影響評価というのをいたしましたが、この際に若干計算をし画したところによりますと、東北新幹線の盛岡-青森間で約七千億、それから北陸新幹線は、とりあえず環境影響評価をいたしました高崎-小松間で約一兆四千二百億でございます。 それから、もう一つのお尋ねのこの収支採算はどうか、こういうお話でございますけれども、新幹線の収支採算は、ただいま申し上げましたように、工事費は非常に大ざっぱなものでございますし、また、何年間かけて工事をやるか、ないしはどの区間から開業するか、さらには輸送需要の見通しはどうなるか、それから助成その他の制度がどういうふうになるかというような試算の前提によって非常に大きく変動をいたすものでございますので、まだその前提条件を明らかにしておりませんこの東北、北陸新幹線につきまして、収支採算の見通しを申し上げるということはなかなか困難であるというふうに考えております。ただ、いずれにいたしましても、従来のような全額借入金方式で建設をするとした場合には、並行在来線の問題もございまして相当程度の赤字を生ずるというふうに想定をいたしております。
○佐藤(観)委員 総理、幾らかかるかわからないものを――私は、公共的なものでありますから全部が黒字にならなければいかぬとは申しません。申しませんが、しかし、今国がこういう財政事情、それから国鉄はどういうふうにしようかといって、もう何ともならぬような状況になっている。その中でこの新幹線を、しかも工事費が全体幾らになるかわからない、もちろん財政負担がどうなるかわからないから収支が一体いつどうなるかわからない。そんなわからない、わからない、わからないものを審議をしろと言ったって、これは我々はどうしたらいいんでしょうね。よくこういうものを恥ずかしげもなく出してこれたと私は思うのですよ。 いやしくも国民の税金をつける、あるいは財投をつける以上は、これはだれの責任か知りませんけれども、つける以上は――工事費は大抵、過去の新幹線でも当初よりも上がっています。かなり上がっています。特に東北新幹線なんというのはひどく上がっているわけでありますけれども、それはいろいろなことが、物価が上がりますからそういうものはいいとしましても、しかし、たった今お話があったものでも五十七年度ですよね。五十七年度価格でこれぐらいですという話でしょう。一体これは六十年度だったら幾らかかります。せめてもう少しもっともらしく国会に対して説明をする資料ぐらいはやはり準備をするのが物をつくる者の発想じゃないでしょうかね。しかも、在来線との関係で一体いつ黒字になるかわからない。 まず私は、この基本的なスタンスと申しますか、姿勢がおかしいのじゃないかと思うのですが、総理、いかがでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 この予算をつくるときに党の方でいろいろ話もありまして、特に住民の皆さん方の非常に熾烈な御要望があったわけです。政治というものを考える場合には、やはり住民の要望というものも一つは考えておかなければならない。長い間の念願を持っておられるわけです。そういうようないろいろな面から最終的に党で調整いたしまして、そして一体在来線との関係をどう調整するか、まあ立法をして廃止するという強い言葉も載っておりました。それから地元負担がどうなるか。大体一〇%程度でしたか、いろいろ話し合ったときの雰囲気というものは。それから一番大事なのは再建監理委員会、これとの調整というものをやって、その上であの予算を執行する。そういう条件つきみたいな形になっております。ですから、再建監理委員会が七月ごろ答申を出されるでしょうが、それまでの間に十分話し合いをして、そちらの御意見もよく聞いて、そして最終的に調整をしてそのお金を現実化する、そういうことになるものと御了承を願いたいと思います。
○佐藤(観)委員 御了承はとてもできないので、しかしそれにしても、国鉄再建監理委員会というのが法律に基づいてあるのも私も知っています。しかし、いやしくも国会に予算を出してくる以上、工事費は幾らかかる、いつ収支はこうなるという基礎データぐらいなければ、これは本当は審議になりませんよ。 それで、ちょっと運輸大臣にお伺いしておきますが、何か運輸大臣は予算ができた後の新聞記者会見で、国鉄にはびた一文迷惑はかけません、こういうことを言われたというのだが、一体迷惑はだれにかけるのですか。
○山下国務大臣 今御指摘の点が一番の問題点でございます。御案内のとおり、東海道新幹線が開業いたしましてから既に十年以上経過いたしております。この地域における住民の福祉は、このことによってこれは相当のものだったと思います。したがって、やはりいつも私は申し上げるのですけれども、国会の屋上に灯台をつけた場合には、距離によってだんだん光が遠くなる、そういう周辺、かなり遠くなったところに政治の恩恵を垂れるという意味において、もうここらあたりで新幹線を一つつくってくれないかという切なる要望というのは極限に達しているということでございます。 そこで、今おっしゃったように、しからば今日まで行革あるいは再建監理委員会、そしてそれを受けて閣議で当面これを見合わせるといったことは、これは一つには、やはり国鉄に負担をかけないという趣旨からであるから、国鉄に負担をかけない方法は何かあるかということを、実は今回の予算の折衝のときも詰めてまいりまして、当面財投といったような形で一応はつけておくけれども、八月の開始前にさらに十分検討して、国鉄に負担をかけない方法でひとついこうではないか、その内容についてはこれからその時期までにひとつ検討しようということでございます。
○佐藤(観)委員 皆さん方と、政府とこれは自民党との約束というのでしょうか、その中に、一項目は、要するに六十年度から建設に着手する、二番目に、そのために五十億ずつ計上するということを書いてあって、三番目に、「着手に当たっては、所要の立法措置を講じて並行在来線の廃止を決定するとともに、政府、党で国及び地域負担(建設費一〇%)等、事業実施方式のあり方、国鉄再建監理委員会の答申との関連等について調整を進め、その結論を待って六十年八月をめどにこれを行う。」こういうことが書いてあるわけですね。 これを素直に読むと、「並行在来線の廃止を決定するとともに、」ということは、これは例えば東北新幹線ができた場合には、盛岡から青森までの走っている従来の東北線、これは廃止をする。もっとも、これは完成しなければ廃止できませんけれども、それは、この文面を読む限りは、その部分については、盛岡から青森までの在来線の東北線はこの着工と同時に、着工したときに「所要の立法措置を講じ」とあるのだから、それは恐らく実際に廃止するのは完成したときだと思いますが、完成したらなくなる、こういう意味ですか。これは日本人が日本語で読むと、私はそういうふうに読むものだと思うのですがね。
○山下国務大臣 問題は、過去の新幹線の敷設につきましても金がかかり過ぎたということでございますから、かからないようにしようということでございます。そこで、先ほど政府から全く今後試算も何もないではないかとおっしゃいましたけれども、それはさっき申し上げましたとおり、それぞれについて、五十四年度の時点でございますけれども、一応の基礎は私どもも持っておるわけでございますが、それよりさらにさらに安くするためにはどうしたらいいかということをいろいろと検討いたしました結果、今お話がございました在来線の問題とかあるいは一〇%地元負担とかいろいろのことをこれから八月までの間に検討して、最終的には立法措置等をやって決めようということでございまして、例えば在来線と並行するということでございますけれども、鉄道が必ずしも並んではかりいない、場合によってはこんな形もありましょうし、そこらあたりを、全部廃止で、いわゆる撤去するという意味における廃止であるかというようなことは、これからまたいろいろと審議をしながらひとつ立法措置を講じていくということでございます。
○佐藤(観)委員 それじゃもう一つだけお伺いします。 ここに「国及び地域負担(建設費一〇%)」、こうありますけれども、これは地方自治体が、県なり市町村がどういう割合になるのかわかりませんが、これは持つことは決定したのですか。
○山下国務大臣 地方負担が一〇%ということは、今お話しのとおり、予算を詰める段階においては一応それが条件となっております。しからば、その一〇%といったのは施設の一体どういう内容であるかということはこれから詰めるわけでございまして、これはまだ決まっておりません。
○佐藤(観)委員 もう一つお伺いしておきますが、総理も言われた国鉄再建監理委員会との関係ですね。今、決して私たちはそれを認めるわけじゃありませんし、これから国鉄改革の問題はいろいろな格好で議論をしていかなければいかぬと思っているのですが、まあ言われるところ、北海道、九州、四国はおのおの一つずつにして、あと本州を五つか六つか八つか十二にするというような話がいろいろあるわけですね。一体この国鉄再建監理委員会の答申との関連というのは、例えば着工することを前提としましたら、この整備新幹線というのはどういう格好になったときに一体着工の条件というのは整うのですか。 その分割をするときに、例えば東北は東北だけ全部一本にしますよとか、あるいは新幹線は全部新幹線だけ一つの会社にしたらどうだという話も話としてあるわけで、いい悪いは話は別ですよ、それは認める認めないは話は別でありますけれども、そういう話もあるわけですね。 一体、国鉄再建監理委員会の答申との関連というのは、だめと言ったらだめ、とても採算がとれないからだめと言ったらだめになる場合もある。いい場合というのは、一体どういう場合なら本当に着工できるのですか。 〔大西委員長代理退席、委員長着席〕
○棚橋(泰)政府委員 御承知のように、先生今お話しのように、再建監理委員会がどういう答申を出してくるかというのはまだ十分わかっておりません。ただ、整備新幹線というものはその分割された会社のどこかの地域に属するものでございますから、その答申との関連において十分な調整をしませんと、その新幹線のあり方等、細かい点について明確にならない。したがって、再建監理委員会の御答申との調整を十分済ませて判断をする、こういう趣旨だというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 お聞きのように、国会に予算はつけてきたけれども、皆目わからない。これはどうなるのか、さっぱりわからない。これで例えば東海道・山陽新幹線の場合も、確かに東海道・山陽新幹線、無手だ黒字だ、五十八年が三千六百八十七億円黒字が出ているわけですね。しかし、在来線はほぼ等しく三千四百六十六億赤字です。だから、要するにプラマイ・ゼロですよ。そこでいろいろな便利さが生まれ、経済的に活発になった、それはまた今ちょっと別です。採算の面からいえば、国鉄の経理という面からいえばこれは別の話であります。東北新幹線も、御存じのように、もちろん五十八年が千五百六十一億の赤字。これはほぼ二十年たつと大体東北新幹線は黒字になるんじゃないかと言っておりますから、二年目の話でありますから。しかも、それに伴って在来の並行して走っているものが九百四十七億の赤字、しかもそれは東北の場合には五十七年の在来線が六百五十九億の赤字でありますから、問題なのは、新幹線がよければよいほどますます在来線が赤字赤字、こうなっていくわけですね。 総理、私は冒頭申しましたように、新幹線そのものが何も悪いと言っているわけじゃない。それから、地域発展のためにそれはそれなりに非常に必要だと思うのでありますが、一体本体自体が、本体の国鉄自体が、これは原因がどこにあるかどうかは別として、こういう財政事情になって、今国の財政事情もこういうふうになっているときに、しかも、七年だては黒字になりますとか、建設費がぴたりこうなってこうですというふうに我々が納得できるようなものが出てくれば我々もこれは何も頭から、否定するわけではありませんけれども、皆目わからないものを、これは、いや予算は通りました、ところでと僕がだれかに聞かれて、整備新幹線は走るのですか、走らぬのですか、さあそれはよくわかりませんという話では、これは国会議員として職務を果たしたことにならないですね。これはならないのですよ。 そこで、再建監理委員会の問題がありますが、これは答申が七月か八月かと言っているわけでありますからこれは別といたしましても、少なくも国会で予算が上がる前に、これだけは建設費がかかります、それから費用負担はおのおのこういうふうにします、それは閣議決定の問題もあり、あるいは再建監理委員会の問題もありますけれども、着工しようといって予算を出してきた以上は、建設費はこれだけです、収支はこのくらいになると思います、そして費用負担は地域はどれくらい持ってもらいます、財投はどのくらい持ってもらうのです、国庫からはどのくらい出すのですということをやはり国会に出してもらって、そして、これは本当に後世に負担が大変かかる話でありますから、これはいいとか悪いとか判断をする材料がなければ予算審議にならぬと思うのでありますが、いかがでございますか。
○山下国務大臣 さっきから申し上げておりますように、おおよその予算につきましては、五十四年の時点の計算でございますけれども、申し上げたとおりでございます。あるいは物価の指数等によって若干の変更はあるかと思いますが、さらにそれよりもこれからこれをどう切り詰めて、どう安くしていくかということをいろいろ試算をしてまいらなければなりません。そのために、とりあえず今年度の予算に頭出しはしておくけれども、在来線と一緒にするかとか地元にどう負担していただくかとか、そういうことを詰めて、そうして立法化の段階でまた皆様方にこの点は御審議いただくことでございますから、そういう意味でひとつ御了解をいただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 何かどうもよくわからない。運輸大臣、安くなるというのはどういう意味なんですか。要するに国の出し分が安くなる、国鉄の出し分が安くなるという意味で、結局それは建設費は、盛岡から青森百七十キロかかる、鉄が要り、セメントが要り、レールが要るというのは一緒なんだ。問題は、だれがどう負担するか。それは最終的に国民がどう負担するかの話なんで、安くなるという表現は適切じゃないと私は思うのです。 それはそれでいいのでありますが、三月何日かに予算が通っていくわけであります。その時点までに、一体これは本当に着工できるものかどうなのかの基礎資料も何もなしに我々がこれはいいとか悪いとか、後世の負担がどうなるか、そのことも全然わからずに予算が終わったということでは、我々は国会議員という立場から、はあ、そうでございますかと素直に聞くわけにいかぬわけでありまして、国鉄再建監理委員会がどういう結論を出すか、これは一つの機関でありますから、それはそれでいいと私は思います。しかし、六十年度の予算に出してきた以上、六十年度のときに、今つくってみたら一体どれだけかかるか、収支は、大体乗客がどれくらいあるか、そうすると、在来並行線はなくすというわけでありますから、そのときには、本来的に言うと赤字がなくなるのでありましょうけれども、それだって壊すためにあれするわけでありますし、先ほどの運輸大臣の話では、何か一部はまだつながっているような話であります。地域の希望は、それは大変強いわけであります。そうなってくると、その赤字はどうなるだろうかとか、後世に大変な負担をかけてくる話でありますから、何も私はつくってはいかぬということを前提として言っているわけじゃないわけでありますけれども、それを出さずに予算が終わりましたということでは、とてもじゃないけれども、終わるわけにいかぬわけでありますから、予算委員会が終わってからではいかぬのでありまして、終わるまでに、私はもう一度質問ができる機会までにそれを出してもらうということをひとつお約束いただきたいと思うのです。
○天野委員長 佐藤君の発言内容については理事会で預かりまして、佐藤君の期待する段階まで出させるようにいたします。
○佐藤(観)委員 極めて不満でありますけれども、時間のこともありますから次へいかしていただきます。 その次は、四月一日から電電公社が電信電話株式会社になるわけであります。私も審議に参加をし、民営化することのそれなりのメリット、それはそれであるだろう。しかし、従来公社として持っていたサービスというものは低下をさせてはいかぬという観点で随分いろいろと審議をしてきたわけであります。しかし、民営化の魂というものを本当に生かせるかどうかは、せっかく中曽根内閣の中で行革の一環としてこれをやられた以上、民営化というものの精神が具体的にいろいろなところで生きてこなければいかぬと私は思うわけであります。 そこで、まず一つお伺いしていきたいのでありますが、郵政省の方にテレトピア構想というのがあるわけですね。これは簡単でいいですからちょっと説明してください。そしてその後、通産省にニューメディア・コミュニティー構想というのがあるわけですけれども、一体どう違うのか、簡単でいいですから答えてください。
○左藤国務大臣 高度情報社会の到来に関連いたしまして未来型のコミュニケーションモデル都市構想というふうな形でやっておるのが、俗称テレトピア構想ということでございます。そういうことで、基本的な考え方といたしましては、ニューメディアそれからアプリケーションレベルの各種のシステム、実用を前提にいたしまして一つのケーブル、そういったものをインフラストラクチュアとして構築していこうという構想でございます。したがって、具体的には、地域のINSそれからキャプテンサービスというふうなものを優先的に導入するとか、あるいはそういった大都市とモデル都市を結ぶ高速の大容量の回線を引くとか、そういったことをいたしまして、それに対する財政、税制の優遇措置とか、そういうものをやる、あるいはまた国の技術開発成果の移転をするというようなことで、地方におきまして、そういう各地におきましてのそういった一つの高度情報社会を構築していく上におきます核をそこにつくり上げていこう、こういうシステムでございます。五十九年度予算におきまして大体十カ所程度を予定いたしております。
○村田国務大臣 佐藤委員にお答え申し上げます。 ニューメディアコミュニティー構想というものでございますが、今郵政大臣からもお話がございましたが、これからの社会の移り変わりというのは、技術開発と高度情報化社会、この二つがこれからの二十一世紀にわたって世の中を変えていくであろうということが言われているわけでございまして、その意味で高度情報化社会の早期実現を図るということで、地域コミュニティーの産業、それから社会、生活の各分野におけるニーズに即応した各種モデル情報システムの構築を促進しまして、その成果を普及するということで、全国レベルでの地域の情報化を図るということでございます。五十九年度で八地域の指定を既にいたしました。六十年度では六地域の指定予定でございます。 ニューメディアコミュニティー構想とテレトピア構想との関係はどう違うかということでございますが、これは立脚点の相違にあるわけでしょうが、ニューメディアコミュニティー構想というのは、地域のニーズに立脚したシステム開発というソフト面からのアプローチでございます。それからテレトピア構想というのは、今お話がありましたように、通信インフラストラクチュアの優先的な整備というハードな面からのアプローチである。こういう点で相違をしておるわけでございますが、理想とするところは、創造的な、文化性豊かな、しかも人間性あふれる、そういった高度社会を目指して協力し合っていきたいという点では基本的な共通点を持っておると思っております。
○佐藤(観)委員 今お聞きの答弁、どこがどう違うかわかった方というのは大変な方だと思います。まあ村田通産大臣も、何か最後は少し言いわけめいて言っているような感じがありますが、総理、これから私たちも情報化社会の中にますます入っていくわけでありますから、そういった意味で各省が一生懸命やられることは非常に重要なことだと思いますし、建設省の方でも、少しタイプが違うわけでありますけれども、情報化社会になったときに一体都市整備をどうしたらいいだろうかということで、インテリジェントシティーなどという、英語の堪能な総理ならおわかりだと思いますが、何か頭脳都市というののいろいろな研究をなさっている。各省とも新しいものだと、わっとおれのところは勢力を拡大しなきゃいかぬということで一生懸命やられる。それはまさに総理の言うところの活力であって、それはそれなりにいい面はあると思うのでありますが、ただ問題は、各省またばらばらに同じようなことを、今、村田通産大臣がいみじくも言われたように、基礎が一緒なのにこれはそんなに違うわけはないわけですよね。ひとつこれこそまさにソフトとハードでいろんな意味で一体化をしてやっていく方がより効率的だし、予算の配分からいってもいいのじゃないか。それこそまさに総理の言うところの行政改革の新しい部門じゃないかというふうに思うわけであります。村田通産大臣は盛んに首を縦に振っていらっしゃいますけれども、総理、どうなんでしょうね。今度でも基盤技術研究促進センターというので、何か郵政と通産がまた縄張り争いをしたというのが出ておりまして、これは管轄がどちらになったのか、時間がないから聞きませんけれども、というように、新しいところはどんどん入ってくる。それは意欲的でいいと思うのですが、何かやっぱり情報通信産業というか情報通信行政というか、これはやっぱりどこかで調整していただく必要があるんじゃないか。もう各省ばらばらでやっていくことは、非常に私は非効率だと思うし、それこそ行革に反するものだと思いますが、総理いかがでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 情報社会というものは今入り口にありまして、どういうふうに展開していくか、まだ未知の世界が多いわけでありますが、通産は通産、郵政は郵政の個性を持って競争的共存をすることが活力を生むゆえんであると考えております。
○佐藤(観)委員 きょうはそれぐらいで、了承したわけじゃありませんけれども、しておきますけれども、今後具体的に、本当に税金を使ってやる限り余り同じようなものがダブることは好ましいことじゃないと私は思いますので、この一元化問題というのは今後も少し詰めていきたいと思うのであります。 その次に、何か株式会社になるといったら、人数からいっても、働く人の人数からいっても、資本金からいっても小さいであろうという東京電力が三十九人役員がいるんだから新電電は五十人ぐらいいたっておかしくないというので、まあこの中でほとんど手を挙げていない省庁はいないぐらい役員を送り込みたい、送り込みたいと、こう言っては失礼でありますが、一番マスコミ等で言われたのが、どうして消防庁が関係あるんだろうか。これは世田谷でこの前火事があったから消防庁も電電に送り込むんだというようなことが――総理、笑っている場合じゃないのでありまして、というようなことまで書いてあって、私はそんなに非常識なことないと思いますが、しかしいずれにしろ今まで役員十二、三人でこうやって実際運営をしてきたわけであります。民営化したからといったって別にそんなに役員多くいる必要ないので、ひとつそういった意味では各省庁ももう少しこれは自粛すべきだと思うのです。民営化したら今度は役人の天下みたいになっちゃったんなら、総理の言うところの民営化して活力あるものにしていこうということにはならないと思うのでありまして、そういった意味でひとつ総理の口から各省庁にけしからぬ、大体そう電電に人を送り込むなどということは自粛するようにというひとつ発言をいただきたいと思うのであります。
○中曽根内閣総理大臣 全く同感でありまして、これは民活のためにやるのであって、官活のためにやるのではない。したがいまして、私のところへどういうものが出てくるかわかりませんが、厳重に絞り上げて少数精鋭、そういうことにいたします。
○佐藤(観)委員 まことに結構な御答弁でございます。ひとつそういうように、本当に天下り先が一つふえたなどというような、そんな省庁は絶対入れないということをひとつ監視をしていただきたいと思うわけであります。 それでもう一つは、新会社になった場合にその役員、これは担当としては郵政大臣の認可ということになるわけでありますけれども、これもやはり、特に監査役ですね、これは郵政大臣の特命事項等になってくるわけであります。そういった監査ができるわけであります。確かに監査というのは、自主監査というのは監査にあらずというのがいわば監査の原則でありますから、そういった意味では監査、それはそれなりに非常に重要なんでありますが、さりとて監査する監査人が余りにもまた絶大な権限を郵政大臣をバックにしてすることは、これこそまた何のために民営化したんだということになってしまうと思うのでありまして、そういった意味では、この監査役につきましてもその監査できる内容についても、おのずと民間会社を扱うんだという立脚点に立ってやはりやってもらうように確認をしておきたいと思うのでございますが、よろしゅうございますか。
○左藤国務大臣 この法律案を作成する段階におきまして、監査役というものの責任というものにつきましての御意見がございまして、法案の検討が行われたわけでございますが、非常に大きな、事業規模の巨大な、また公共的な役割を持つ会社であるという見地から、そういった特別の監査権限というものが付与されたんじゃないかと思いますけれども、そういった問題につきましては郵政省としては、特に今お話がございましたようなことで、特命事項として重大な問題だけに限ってやって、あくまでも商法の建前からこうした監査を実施してやっていただきたいというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 せっかく民間会社になるということのメリットを生かすことが非常に重要なことでありますから、その趣旨にのっとってひとつやっていただきたいと思うのであります。 まだまだ電電公社の民営化に当たって少し具体的にお伺いをしたいこともあるのでありますが、時間も迫っておりますので、次に朝鮮半島の緊張緩和の問題についてお伺いをしたいと思うわけであります。 総理の施政方針演説をお伺いしたわけでありますけれども、総理の施政方針演説には、アメリカの話があり、その次にアジアの話があって、そのアジアの一番最初に中国があって、その次に韓国の話と、こういうふうになっているわけであります。わずか数行、「韓国の全煥斗大統領が、昨年九月、同国の元首として、初めて我が国を公式訪問されましたが、これは、長い歴史を持つ両国の関係において画期的なことであり、善隣友好関係を一層強固にする契機となったと確信いたします。」ということで朝鮮半島のことは終わっちゃっているわけですね。外務大臣はもう少し述べておられるわけでありますが、そこでお伺いをしたいのでありますけれども、総理の頭の中には朝鮮半島の南しかなくて、朝鮮半島全体というものがどうもないんじゃないか、日本外交のちょっとエアポケットになっているんじゃないか、そういう感じがしてならないわけであります。 これは仮想敵国という言葉を使っていいのかどうかわかりませんけれども、総理がソ連の防衛力の強化を言う。ソ連という話はありましたが、朝鮮民主主義人民共和国の話というのは今まではなかったですね。しかし、恐らく日本の防衛体制の中での仮想的な敵国というとらえ方で共和国もなっているんじゃないかと思うのであります。そうなってくると、やはり共和国との関係というのは、いろいろな形で私は非情に重要なことだと思うわけであります。 そこでお伺いをしたいのでありますけれども、ラングーン事件という不幸な事件があり、あるいはロス・オリンピックの統一チームの話が決裂をするということでございましたけれども、その後共和国から韓国への水害の物資の見舞いというものを契機にいたしまして、経済会談なりあるいは赤十字の会談なりということがいろいろな形で話し合われているわけであります。本来ならば、チームスピリット85がなければ、共和国はそれを理由にしているわけでありますけれども、経済会談は一月の十七日に、赤十字会談は一月の二十二日に本来会談があるはずだったわけでございますけれども、残念ながら北側の言う理由は、チームスピリット85を理由にいたしまして会談が中断をしている。しかし、共和国も副首相級の会談をやったらどうかとか、あるいは三者会談をやったらどうかとか、あるいは韓国の方も金日成主席との会談を希望するとか、あるいはソウルとピョンヤンに常設の連絡代表部を設置したらどうかというような提案を韓国側もしているわけであります。そういった意味で、私は、この南北の関係というのは一時中断をしているように見えますけれども、南北対話あるいは緊張緩和の流れというのは大体変わらないのじゃないか、こう見ているのでございますけれども、総理あるいは外務大臣、その認識でよろしゅうございますか。
○安倍国務大臣 北朝鮮との関係につきましては、我が国は基本的な考え方を持っております。国交はもちろん回復しておりませんが、経済、文化、この交流は維持していくというのが基本的な政策であります。 なお、朝鮮半島の緊張緩和のために努力をしていくことは当然のことであります。やはりその基本は、何といいましても南北の会談が進むことであるというのが、日本の基本的な考え方であります。今中断はしておりますが、これは今の状況でこの緊張緩和というのが進んでいけば、南北対話というのは進んでいくんじゃないかというふうに我々は期待をしておりますし、そのための日本としての努力はやはり払っていかなきゃならぬ、こういうふうに思います。
○佐藤(観)委員 その努力というのは、安倍外務大臣の外交演説にも言ってらっしゃるわけでありますが、具体的にどういうことを考えていらっしゃるのか。
○安倍国務大臣 例えば、ことしの一月一日から御承知のように北朝鮮に対するラングーン事件における制裁措置というものを撤廃をいたしました。それによりまして、北朝鮮との民間のいろいろな交流がケース・バイ・ケースで開かれるということになるわけでありますし、あるいはまた中国を通じましてのいろいろの話し合い、日本との話し合い、そしてそれによるところの中国側の努力というものもあるわけでありましょうし、基本的には我々としては、この二国の南北の対話というものが推進されるような環境というものをつくっていくことが必要ではないか、そういうふうに思っております。そういう情勢というものは今あるわけですから、今のチームスピリットの問題で中断をしたわけですけれども、これは終わったわけじゃありませんから、私は再開される可能性というものはあるんじゃないだろうか、こういうふうに思います。
○佐藤(観)委員 確かにラングーン事件後の規制を緩和した、これはいわばマイナスをゼロにしただけでございまして、それから民間とのあれでも、口幅ったいようでございますが、我が党の石橋委員長が行って漁業協定をやるとか、我が党もそれはそれなりに補完外交として国民のためにやっているつもりでありますし、我が党の委員長が総理大臣に、私がやれることなら何でもお手伝いをしますという演説をするというのも、これもそう今までなかったことじゃないかと思うのであります。そういった意味からいいまして、どうしてもこの問題というのは、我が党が共和国との関係を、皆さん方が持っていらっしゃるパスポートに「エクセプト・ノース・コリア」と書いてある、このことを根本的に変えていかない限り、南北の緊張緩和を日本が何らかの形で手助けをしていこう、確かに私も一番大事なのは当事者同士の話でありますから、このことは否定をしないわけでございますけれども、これはぜひ、国交が開かれる、そこまでいかないまでも、もう少し交流があってもいいのじゃないか、こう思うわけであります。 そこで、私は総理にお伺いしていきたいのでありますけれども、日本の戦後外交の中で鳩山一郎総理、日ソ外交でありますね。そして田中角榮総理が日中国交回復、それはいろいろな条件、世界的な情勢が整って初めてできたことだと私は思うのでありますけれども、そうなってきたわけでありまして、あと残るのは、この朝鮮半島の北の共和国なんであります。ひとつ中曽根内閣の時代に、私は、この最後に残された国交のない、交流のないこの共和国と何らかの形の糸口をつけること、これは私は朝鮮戦争以来、アメリカとソ連も軍縮交渉をより一生懸命やろうということになっている、あるいは中国とソ連ともいろいろな格好でもう少し交流をしていこうという、中国とアメリカとの関係も大変いい方向に行っている、こういう中で、いわば朝鮮をめぐる周りの状況というのはかってない状況じゃないかと言われている中で、ひとつ日本外交が、中曽根総理がやらなければならぬあり方というのは大変重要なんじゃないだろうか。かつては安保条約のいわば仮想敵国として中華人民共和国というのは置いてあったわけですね。しかし、今や防衛庁の職員が中国に行く時代になった。今やだれも、日本国民の中でほんの一部の方を除けば、私は中国を仮想敵国と考えている方はいないと思っているわけであります。 こういうことから考えてみると、やはりそれと同じように、確かに南北に分かれているという大変難しい状況であることは私もわかります。なるがゆえに、北とすれば、今度は南との関係がいろいろな問題が発生してくるだろうということはわからぬではないわけでありますが、当事者同士がいろいろと緊張緩和をしようじゃないか、なるべくなるべくそういう方向へ向かっているときに、私は中曽根総理の手で、最後に残されたこの北との関係の窓口を日本外交もつけるべきである。そして仮想敵国という言葉は私は余り好きじゃありませんけれども、いわばそういった関係になっている共和国との関係というのをより友好的な方に持っていく、これがいわば朝鮮半島の極東有事と言われるものを幾らかでもなくしていく根底になってくると私は確信をしているわけでありますが、総理はそのお考えはございませんか。
○中曽根内閣総理大臣 何といっても朝鮮半島の問題は、北と南の自主的話し合いによって進められるべきものであると考えております。我が国としては、南と北との自主的話し合いをあくまで基本としてこれを尊重していくべきであると思います。したがいまして、北と南の話し合いが友好的に進んで、そして今おっしゃるような方向に北と南の合意ができることを私は望んでおります。また、そういう緊張緩和のためには、我々は周辺の諸国とも協力をして、そういうような緊張緩和達成の方向に向かって、環境醸成に努力してまいりたいと思っております。
○佐藤(観)委員 具体的にどういうふうに環境をよくしていくのかという話がないのでありまして、私も当事者同士の話し合いが一番重要だということは何も否定をしていないわけであります。ただ、環境をそういうふうにするためには、かたくなに日本国政府が共和国と関係を持たないことは、これはまずいのではないか。そういう態度をとるべきではないんじゃないか。しかも、今共和国の方も、御存じのように、中国の経済特区を視察をして、何とかああいうふうにならないだろうかといって、盛んにいわば開放政策に向かっていっているわけでありまして、いろいろな意味で日本の援助というものを求めてくる、そういう状況になってきたと私は思うのであります。これこそは、そういう意味で私は大変チャンスだと思いますので、ぜひそういった緊張緩和に向けてやる一つの手だてとして、日本も共和国との交流についてなお一層考えるべきだということを申し上げておきたいと思うのであります。 それ以上言っても、総理は絶対に残念ながらお話しにならないでありましょうから、ひとつこれは残念ながら次の世代の、独創的外交をやっていらっしゃると言われる安倍さんの時代になるのか、創政会で勉強なさっていらっしゃる竹下さんの時代になるのかわかりませんけれども、私は、日本外交が、確かに田中内閣の日中国交回復はそれはそれなりに大変立派なことであったけれども、ニクソン訪中前にそれができたならば、もっと日本外交というのははえある日中国交回復だったと思うわけでありますが、残念ながら、アメリカが行ってから、アメリカのニクソン大統領が訪中してからそういうことになったというのは、私は戦後日本外交の一大汚点であると思っているわけであります。朝鮮半島の問題についても、かつては日本の植民地化したところでありますから、そのこと自体は北も南も三十八度線もないわけでありますから、私は、その点を十分頭に置きながら、日本外交二つ目の大きな汚点にならないようにぜひしたいということで言っているわけでありますが、残念ながらそれ以上の答弁は出てこないと思いますので、そのことだけ申し上げておきたいと思います。 その次に、ここに朝日新聞の昨年の十一月二十六日に、韓国の東亜日報と行いました世論調査があるわけであります。それで、時間がございませんから全部を読むわけにいきませんけれども、そこで韓国の対日感情というところの調査があるわけでありますけれども、一体日本と聞いてまず何を思い出すかと。何を思い出すと総理、お思いでございましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 私は、その記事を読んだ記憶がございますが、忘れてしまいましたが、何か豊臣秀吉に関することがあったと思いましたね。
○佐藤(観)委員 まあ歴史をさかのぼればそこまでも入っているかもしれませんが、やはり最大のものは植民地時代の三十六年間、このことが最初にとにかく頭に出てくるわけでありますね。それが調査に出ているわけであります。それで、韓国内で日本を好きと言われる方が二三%、嫌いだと言われる方が三九%、どちらでもないという方が三四%。三四%、三分の一の方々がどちらでもないと言われているわけでありますけれども、例えば、日本政府がこの前、日韓文化交流委員会をつくろうと提案をしましたら、韓国の方ではこれは拒否をなさいましたね。やはり私は、この日本が戦前三十六年間にわたって統治をし、併合したという植民地時代というのは、本当に韓国の方々、これは韓国だけではなく北の方々もそうでありますけれども、朝鮮半島の方々に大変な心の痛手というのを残してきた。このことを日韓の本当の交流を考えるときに――確かに経済的なり外交的には大変うまくいっているわけでありますけれども、本当に韓国の方々が日本人を尊敬をしているか、あるいは日本という国をすばらしいとして考えているかどうか。私は、この植民地時代の三十六年間のことを、決して忘れてはならぬ重要なことだと思っているわけであります。こんな観点から、私自身、昭和十七年生まれでありますから、必ずしも実感としてそういうことがないわけでありますが、しかし、このことを日本外交は、また日本人として私は忘れてはならないと思っているわけであります。 そんなことを思いながら一つのことをお伺いをしたいのでありますが、ここに吉田清治さんという方、七十一歳、今品川区の上大崎に住んでいらっしゃいますが、吉田清治さんという方がいらっしゃいます。現在は強制連行犠牲者遺骨祭祀送還協会の会長というのをやっていらっしゃるわけであります。つまり朝鮮半島から強制連行をしてきた方々の日本に残っている遺骨を祖国へ返したい、そういうことを調査をし、そしてその運動をやっていらっしゃる方であります。この方は元山口県の労務報国会の動員部長をやられていた方であります。戦後、サラリーマンあるいは団体の役員として過ごされてきたわけでありますけれども、従来ならその過去のことに目をつぶって生きていこうとしたわけでありますけれども、しかしどうしても脳裏に焼きついております記憶を消すことができないということで、若い朝鮮人の男女を泣き叫ぶ中を連れてきたこと、あるいはその泣き叫ぶ声というのが夢の中にも繰り返し出てくる、このままではいけないということで、この吉田さんは過日、一昨年の十二月でございますけれども、韓国に渡りまして、天安市にいわば謝罪の碑を建ててきたわけであります。これは新聞では「たった一人の謝罪」というふうに報道され、ここに吉田さんが地べたに手をついて謝っている写真があるわけでありますけれども、天安市に韓国の国立墓地がある、その入り口に日本人の謝罪の碑というのをみずから日本語とハングル文字でつくってきたわけであります。「あなたは日本の侵略戦争のために徴用され強制連行されて、強制労働の屈辱と苦難の中で、家族を思い、望郷の念も空しく、貴い命を奪われました。私は徴用・強制連行を実行した日本人の一人として死後もあなたの霊の前に拝跪謝罪を続けます 元労務報国会徴用隊長吉田清治」こういう碑をつくってきたわけであります。 彼の本がここにありますけれども、私も読ませていただきましたけれども、本当にやりたいほうだい、人間狩りを朝鮮半島でしてきた。「私の戦争犯罪」という中に、彼はやはり後に継がなければいかぬということでこれを書いているわけであります。彼はその中で、大体一九三九年から四五年の間に、韓国の赤十字社が調べた人数で七十二万人の人々が徴用されたんじゃないか。これは日本の公安調査庁の資料でも七十二万四千七百人ということで、大体数字が合っているわけであります。その中で、この吉田さん自身の告白では、約六千人の人を朝鮮半島から徴用ということで連れてきた、その中には、九百五十人が女子挺身隊員ということで、いわば南方に送る慰安婦として連れてきたという告白がされているわけであります。今、彼は、ざんきの念にたえずに、在日本大韓民国婦人会中央本部の方々と一緒に、大体そういう強制労働をされたダム工事とかトンネルの工事とかあるいは炭鉱とか鉄道とかこういった工事のあったところを、もちろん協力をしてくださる方々もいらっしゃるわけでありますが、調べ上げまして――上げましてといっても、まだまだ緒についただけでありますが、調べ回っておりまして、そして供養に回っているわけであります。私も、韓国の方々からこういった話を聞いたときに、一体日本政府というのは何にもしなくていいんだろうか。当時は、日本は一体だと言って使いたいだけ使い、人権はもちろんのこと、人間としての精神あるいは肉体も抹消するような、人間以下の扱いをした強制労働者の人々、こういった方々の遺骨があちらにもこちらにもあると言われているものについて、今一生懸命この吉田さんと在日大韓民国婦人会の方々は、支部を通して、お寺にあるそういったお号や、あるいはどっかに埋まっていると聞けば、それを捜しに行っているわけであります。 総理、一体こういった問題というのを日本政府は何にもタッチをしなくていいんだろうか、日本人としてこれは大変恥ずかしいことではないか。確かに法律的には、日韓基本条約なりその他の法律によって、金銭的にはあるいは政治的には解決をしたかもしれないけれども、しかし、戦後政治の総決算を言う前に、戦前に我々の先輩たちが起こしたこういう間違いというものについて、できることがあればやるべきではないか。法律的な、行政的ないろいろな難しさはあるかもしれませんけれども、何らかの形でこういった強制労働をされた朝鮮人の方々、北も南もありません、そういった方々の遺骨収集ということについて、私は政府が関与すべきであると思いますが、総理はいかがでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 朝鮮半島で日本が行ったことに対する日本人自体の反省につきましては、全く同感であります。 それから、吉田清治さんがおやりになっていることは非常にとうといことであると思います。今初めてお聞きいたしましたので、よく調べてみたいと思います。
○佐藤(観)委員 時間も余りないのですけれども、この吉田清治さんが書いたものをちょっとだけ読ませていただきたいと思います。これは昭和十八年、今の韓国の光州のあたりでございますけれども、 町の入口で私の組が降りると、二台の護送車は速度を早めて土ぼこりをあげて町の中を北へ直進して行った。私の組の隊員は山田と大野で、二人とも以前は山口県の大撤炭鉱の労務係だったので、朝鮮人の狩り出しには手慣れていた。 吉田さんは、あえて当時呼んでいた、日本人が朝鮮半島の方々をべっ視をしたそのままの呼び方でこの文章を書いている。それはあえて彼は言っているわけでありますけれども、 二人はすぐ土塀のなかへはいって行った。若い朝鮮人巡査がはじめての徴用の仕事に緊張して、私の顔を見つめて突っ立っていた。私が目くばせして指示すると、あわてて二人のあとを追った。 私は道路を歩いて町の様子を調べた。秋晴れの日ざしに国民服と将校用乗馬ズボンに長靴はからだが汗ばみ、肩からつった軍用水筒の水をラッパ飲みしながら進むと、道路の両側に古びた朝鮮家屋が建てこんで路地が入り組み、狩り出しには手間どりそうだった。通行人は年寄りや女がまばらで、徴用できそうな男の姿は見当らなかった。どの家も戸口や土塀のかげから老婆や子供がたまって私を見ていた。道路沿いの片側は数軒に一軒は商売をやっていて、軒先の台の上に乾物や雑貨を並べていた。飲食店の前は煮物の異臭がたちこめて、年寄りの主人が出てきて私におじぎをして歯の抜けたしわだらけの顔で卑屈に笑いかけた。私は雑貨屋の前にあった古い椅子にこしかけて隊員の狩り出しを待った。 山田が一人狩り出して道路へ追い立ててきた。白い朝鮮服を着た四十才くらいの男だった。手ぬぐいで鼻血をふきながら顔をひきつらせておびえていた。山田は男の尻を靴でけって私の前へ突き出して、木剣で肩を押えて道路に坐らせた。「木工品組合の班長だと言って、態度がおうちゃくでした」 山田はすぐ次の狩り出しに駆けだし、路地裏へ姿が消えると、男が地面に両手をついて秋に哀願をはじめた。「わたし病気です。ろくまく悪いから、徴用行ってもしごとできんです」 男の肩幅は広く胸も厚くがんじょうな体格だった。私が相手にしないと男はうつむいて黙りこんだ。 土塀の中から朝鮮人巡査が一人連れ出してきた。二十才前後の若い男が巡査に腕をつかまれて歩きながら朝鮮語でわめいていた。うしろから大野が木剣を肩にかついで笑いながら見張って来た。若い男は私の前へ来ると礼をして上手な日本語で言った。「この次の徴用にしてください。父が病気で寝ています。私が綿花の供出をしないと、役所から罰金を取られます」 その男は色白で百姓をやっているようには見えなかった。皮靴なんかはいていて顔付きも商人のようだった。私は大野に命じて二人の男を護送車へ連れて行かせた。 私は朝鮮人巡査をつれて路地へはいって行った。間口の大きな家の前に青竹の束が積んであった。なかへはいると爺と女が竹細工をしていた。この町は木工品と竹製品が特産であった。広い土間に積み上げた竹製品の大きな山は、こんな爺や女だけで作れるはずがなかった。壁にかかっていた衣類を見ても働きざかりの男がいることは見当がついた。私は巡査に男がどこへ行ったか調べると命じた。巡査が尋問をはじめると、爺が大声で何か言いたてた。朝鮮人は年寄りにたいして弱気で、若い巡査は爺から言い負かされている様子だった。私はいらだってきて巡査をどなりつけた。 「徴用から逃がしたりすると、逮捕すると言え」 巡査が声を大きくすると爺は観念したのか、女をふりかえって何か言いつけた。女は私の顔をにらむように見つめて裏口へ走って行った。まもなく女といっしょに三十才くらいの男が帰ってきた。私は巡査にその男を連行しろと命じた。巡査が何か言うと男は巡査に向かって激しい口調でしゃべりだし、二人は大声で口論をはじめた。朝鮮人どうしの話はらちがあかないので、私は木剣を上段に構えて男を威嚇した。女が悲鳴をあげ、巡査が私をさえぎるように男の前に立ちふさがった。男は青ざめてまだ何かしゃべっていた。巡査が男のことばを通訳した。 「徴用に行くから、荷物をつくるまで待ってくださいと言っています」 「荷物はあとで家族に警察へ届けさせる」 巡査は男の肩を軽く押して戸口へ向かわせると、爺と女をふりかえって声をかけた。女は私をにらんで朝鮮語で何か言った。こういう話がずっとあるわけでありまして、山口県から朝鮮半島へ渡って一週間、五日間あるいは何度がこうやって吉田さんは、まあ知事の命令で、当時は労務報国会は知事が会長だったわけでありますから、命令で行ってきたわけであります。 私はこういったのを読みますと、この吉田さん自身に私もお会いをしましたけれども、大変記憶力のいい、しかもいろいろ足で集めた方でございますから、ここに書いてあること自体一つの創作だとは私は思っておりませんし、またわざわざソウルまで行って、韓国まで行って謝罪をする、これは私は心の問題といえどもなかなかできることではないと思うわけであります。 そこで、もう一つ話を進めて具体的にお伺いをしたいのでありますけれども、今、私の手元に一枚の見取り図があるわけであります。総理、こういう見取り図があるわけであります。これは皆さんもひとつ見ておいてもらいたいと思います。この白丸、黒丸は、実は福岡県の嘉穂郡桂川町の麻生炭鉱のかつては一角だったところであります。三年前にこの麻生炭鉱の会社の方から、もちろんその当時は麻生炭鉱ではなくなっていたわけでありますけれども、約二千平米あるわけでありますが、雑種地としてこれは町に寄附をいたしました。それで、ここに公民館があるわけでありますけれども、この公民館は四年前に建てられたのであります。この公民館を建て、そしてこのあたりに児童公園をつくったわけでありますが、そのとき既に白骨化した遺体というのがもうぼろぼろになって出てきていたわけであります。しかし余り注意もされずに、子供たちが頭蓋骨を学校へ持っていって話題になるとかというようなことでその当時は済んでしまったようであります。この見取り図は何かといいますと、実はこの麻生炭鉱が労働組合に対して、当時、三十五年以前はこういうふうに朝鮮人の労働者の遺体を埋めましたという見取り図なんであります。そして三十六年のお彼岸の日に改めて掘り出しまして、そして近くのお寺に埋めたということを労働組合に説明をしているわけであります。しかし、実はそれはうそでございまして、労働組合にはそういうふうに言いましたけれども、実は実際に掘ってみた。その後二年前に、桜の木をこのところに植える、これは少し山地でございますけれども、約四百坪くらい、こちらが二百坪くらいあるわけでありますが、全部で六百坪くらいでありますが、五本の桜の木を植えるというので、一メートルくらいの穴を掘ったら下から頭蓋骨がどんどん出てくるわけであります。これはまさに穴を掘って死んだ朝鮮人労働者をぽんぽんと投げ捨てたそのままの頭蓋骨がぼろぼろと出てきているわけであります。今これはもうほとんど貝のように白くなって、もちろん原形をとどめるものはほとんどないわけでありますけれども、これは今申しましたように、桂川町の町有地に今はなっているわけであります。 戦後四十年たって、強制労働で連れてこられた方々、何の供養もなくそのままずっと今日までこうやって日を過ごしてきたわけであります。私は何らかの形で、これは日本人として、日本政府として供養する、そしてできれば祖国へ帰してあげたい。ただ、どこかわかりませんから、そのことは後にいたしますけれども、何らかの形で吉田さんのこういった活動あるいは在日朝鮮人、大韓民国婦人会の方々、こういった方々の運動というのを、私もいろいろ行政的な難しさというのがあることはわかりますけれども、何らかの形で、やはり現実にこういったものはまだまだたくさん残っているわけでありますから、政府としてこういったことに対して何らかの形でお手伝いをする、これは日本人として当然ではないか。そして本当に日韓なり朝鮮半島の方々との友好を考えるときに、長い間犯した過ちを日本人として心からわびる一つの残された手段というのは、この遺骨を早く発掘をし、そして祖国へお返しをすることじゃないか、こう思いますが、総理、いかがでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 非常に大切なことをお聞きいたしました。やはりそういうことが残っておるということは甚だ残念であり、申しわけないと思います。その実態をよく調査させまして、厚生省なりあるいは労働省なりしかるべき役所に命じまして、そして発掘なりあるいは供養を行うとか、そういう措置に協力するようにしたいと思います。
○佐藤(観)委員 総理からお言葉があったからそれ以上のことは申しませんが、ひとつ外務大臣、これはやはり韓国との関係のこともある問題でもありますし、あるいは厚生省もかんでくるでありましょうし、戦前の労務報国会というのを見ると、どうも今で言えば自治省も絡んでくるでありましょうし、あるいは総理府も総務庁も戦後処理という面から言えばかかわってくるでありましょうし、あるいはお寺にちゃんと名前も書いて出身地も書いて残っている遺骨もあるわけでありますので――しかしなかなかお寺も協力をしてくれないものもあります。お寺ということになりますと文部省の管轄、文化庁の管轄でございますので、文部大臣も絡んでくるわけでございますので、そのあたりをひっくるめてどういうふうに具体的に御協力を申し上げるか、これを取りまとめていただくよう、ひとつ官房長官から御答弁をいただきたいと思います。
○藤波国務大臣 今、先生から御指摘のありました、そういう厳粛な事実、前々から少し話題としては伺ってきておりましたが、きょうは詳しくいろいろお教えをいただいた次第でございます。 総理からお答えを申し上げました線で関係省庁よく連絡をとり合いまして、まず実情がどういうことになっておるか、それにどう対処したらいいかということを関係省庁でよく相談することが大事かと思いますので、そういう連絡、そしていろいろ話し合う機会をつくりまして、政府としての考え方をまとめていくようにいたしたい、このように存ずる次第でございます。総理から御答弁申し上げました線で作業を進めてまいります。
○佐藤(観)委員 結構でございますが、私が申し上げたのは、具体的な福岡県嘉穂郡桂川町の麻生炭鉱の問題に限らず、まだまだ遺骨が残っておるものもございますし、その方のことも含めて、今、官房長官からあるいは総理大臣からお話があったような点で前へ進めていただきたいと思うのであります。 私の手もとにこういうものがあるのですが、ちょっと私たちの時代ではもう時代が違うのですが、「勤報隊 半島鑛員 徴用鑛員 索引」というので朝鮮人の人々の名前が、生年月日、住所が全部書いてあるのがあります。「貝島炭鑛第七坑」、これにも姓名、棟号そして解雇理由、依願解雇となっておるもの、無断退坑とかなって帰国、あるいはよく見ますと、中にはこれは次の鉱山には回せないというような印が書いてあるのもあります。韓国ではやはりこういった強制労働で連れてこられた方々の御親戚がそれなりの会を持っていらしているようでございます。それは当然だと思うのです。私先ほど「私の戦争犯罪」という吉田清治さんの本のほんの一部を読ましていただきましたけれども、それはまさにむちゃくちゃなことをやってきたわけでありますから、ひとつそういう意味で、外交や経済やそういった意味での友好だけではなくて、本当に心のつき合いができる、日本人として本当に恥ずかしくない行動というのをお互いにやっていきたい、こういうことを総理からも御答弁がございましたので、お願いを申しまして、最後の問題に移らしていただきたいと思います。 最後は、政治資金規正法の話と政治倫理の話でございます。 五十八年の政治資金の額が、自治省が発表した額が千四百七十二億という額になっているわけであります。五十七年が千九十四億、五十六年が一千億と年々ふえておるわけであります。ただこの数字は、もちろん合計をした方でもそう言っておりますけれども、一つの政治団体から他の政治団体へ移ったときには二回計算に入ってまいりますから、その辺の実態を全部追いかけることはなかなか大変至難なことでございますので、そのことが一つございます。 それから、私調べてみたのでありますが、この千四百七十二億の中で、例えば政党の収入、例えば失礼ですが共産党さんとらしてもらいますと、二百二十九億が収入になっておりますが、うち事業収入、つまり赤旗その他の新聞の代金二百十一億が事業収入なんであります。したがいまして、この中には紙代も印刷代も全部入っているのですね。例えば我が党の場合でも六十五億でございますが、共産党に比べて少ないのでありますが、うち事業収入は二十八億であります。それも当然のことながら紙代と印刷代その他が入っているので、これを政治資金というふうな概念でするのは、私は正直言って個人的には少し抵抗があるのでありますが、こういった政党の収入は千四百七十二億に対しまして六百五十六億あります。うち事業収入が三百四十七億あるわけでありまして、かなりの事業収入があるわけでありますね。それがございますので、千四百七十二というのはそのまま受け取るという数字ではないと思うのであります。 ただもう一つ、もう時間がありませんので私に言わせていただきますが、地方の都道府県に届けている額があるわけでありまして、これは五十七年分でいいますと四万二千三百団体、九百三十三億という数字になっています。これだってやはりダブりがないとも限りません。それから地方から自治省に届けているもののダブりがあるかもしれません。そういったものを引いてみて、ざっと二千億を幾らか切るんじゃないか。国と地方を合わせて二千億をどのくらい切るのだろうかということで、その辺のことは正確な数字というのはわかりませんが、総理、どうでしょう、こういう金額というのは、国民感情からいってかなりの額だとやはり見なければいかぬと思うのであります。 あわせて自民党さんの方では、今度の党大会でこの政治資金規正法の枠をふやそうということをぜひ今国会に提出をするということをお決めになっているようでございます。一体これはどんなものであろうか。まだロッキード事件の問題も国会内としても片づいてない。何か忘れられたような格好になっている。やはり政治と金という問題は非常に重要な要素でございまして、そういった意味では、新聞の書き方だけがすべてじゃないと思いますけれども、金権政治の土壌というのは変わってないんじゃないか、あるいは第二期の金権政治の時期じゃないかとかいうような書き方になっている。これは私は大変国民に政治不信を起こさせることになるんじゃないだろうか。これは政治資金規正法の枠を、確かに十年たっています、しかし、今のような政治風土の中でこれをふやすということは、私は決して好ましいことではないというふうに思いますが、総理はいかがでございますか。また、今国会に政治資金規正法の改正を提出をされる御意思がおありなんでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 政治資金の問題は、国民も大きな関心を持っていることであり、政治倫理にも関係することでございますから、我々としては、厳粛にこれを取り扱って、そしていやしくも誤解を受けることがないようないろいろな措置をしていかなければならぬと思います。 ただ、あの法律にも書いてありますように、五年たって見直すとかそういう規定があります。それはいろいろ不合理な点とか、あるいは改善すべき点があった場合に、これを各党協力し合って直してよろしい、そういう趣旨でできているのだろうと思います。私は、そういう意味において制度が硬直しないように、常にこれが本来の目的を達するように改善する措置をしていくということは心がけていいことであると思います。ただ、その内容をどういうふうにするかということは、これは各党等でいろいろ御相談願って、そして国会へ上程してくる、こういう筋のものであると思っております。 私は今、党から今度の国会へその改正案を出すということはまだ聞いておりません。実情を党に聞いてみてもいいと思いますが、私のところにはまだ来ておりません。
○佐藤(観)委員 総理、この附則について見直し条項は、要するになるべく個人献金にいくようにしようじゃないかという見直しがついているので、その趣旨がついているのでございまして、もう全然、さらには実情に合うようにしようではないかというようなことではないのでございまして、私も昭和五十年のときにいろいろ、小泉さんもいたし、皆さん大変苦労してあれをやったわけでありまして、ちょっと誤解のないようにしていただきたいと思うのであります、それは。 それで、もう時間も最後でございますので、あと政治倫理の問題について一言だけお伺いしておきたいのでありますけれども、昨年の二月六日に政治倫理協議会が発足をして、ほぼ一年を目安にということで協議を続けてこられた。大体焦点は絞られたのでありますけれども、どうも自民党さんの方がウナギのようになかなかとらえどころがないということのようでございまして、私たちが今日まで聞いていた報告では、審査の対象には行為規範に違反をした人だけではなくて有責議員というのは有罪議員も含むのだということを昨年六月に自民党さんも〇Kをしたという話を聞いてずっといました。何かきのうになったらまたそれが、いや違うのです、そいつは入ってませんというような話になったり、あるいは議員辞職勧告が倫理審査会を通ってからできるようにしたらどうだろうか、あるいは直に一審であろうと判決が下ったからやるというのでは立法府としてまずいのではないかということで、もう一段階クッションを設けてひとつ議員辞職勧告なり、あるいは議員活動の自粛をしたらどうだろうかというようなことを言っているのでありますが、これもなかなからちが明かない。 その上、きのうもう一つ、これはまた不思議なことなんでありますが、そこにできます政治倫理審査会、それは国政調査権に基づいたものであるということで今日までずっと来ていたわけであります。その証拠に、昨年の八月十九日に、これはおたくの派の、と言ったら悪いけれども、あの有能なる江藤国会対策委員長が、これはNHKの放送討論会で岡村さんの確認に対して、政治倫理審査会というのは国政調査権を持っているのですということを全国民にブラウン管を通してお話しになっているのですよね。江藤国対委員長が昨年の八月十九日、ここにそれを起こしたものがあるわけであります。総理のまさに支えとなる国会対策委員長が述べているわけであります。それをきのう何か協議会をやったら、これはいや、実は議長の近くに置きます、そういう同政調査権を持ってないものでございます、話がもとへ戻っちゃったのですね。これはもう本当に時間稼ぎを自民党さんはやっていらっしゃるのかと、こう言われてもしようがないわけでありまして、本当ならここで審議がとまってもしようがないところでありますけれども、残念ながら僕の時間が過ぎちゃったからきょうのところはとまりませんが、総理、このままではちょっと国会としても、二月六日というのをほぼ一年をめどにということでやってきたわけでありますから、一体総理はどういう報告を受けられているのですか。受けられたときに一体総理はどういう指導性を発揮されているのですか。 どうもやはり総理。総裁として、この政治倫理問題は、この前の選挙のときのあの宣言を見ても、あのような気持ちになられたのなら、本当にやはりけじめをつける。その際には、この政治倫理問題というのは、実は我々全部が政治倫理問題にひっかかっちゃって、我々は正直言って貧乏代議士で、貧乏じゃない方もいらっしゃるかもしれませんが関係ないので、私なんか全然触れるところがないのに、私もいわば政治倫理協議会の対象の一員に原則的にされているわけですな。国会議員の行為規範なんでありますから、我々が全部なっちゃうという、私、大変な迷惑を受けているような気持ちになっているわけでありますけれども、問題は、これはやっぱり田中角榮元総理のロッキード事件から事を発しているのでございまして、そのことを抜きにして、この政治倫理問題というのは切り離して考えることができないわけであります。 総理のひとつ指導性を発揮していただく決意をお伺いいたしまして、決意次第では、その後にいろいろとまた控えておりますので、予算委員会が前へ進むのか、着工できない新幹線になるのかわかりませんけれども、ひとつ総理の決意をお伺いをさせていただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 政治倫理問題については、私も積極的に取り組んでまいりたいと思いますし、現にやっております。行為規範もできまた綱領もやり、今審査会の設置に向かって各党の考え方も提示されてきて、我が党の考えも固まって提示する、こういうことになっておりまして、今後とも積極的に努力してまいりたいと思います。
○佐藤(観)委員 極めて不満な答弁でございますが、時間が来ましたので、残念ながら私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○天野委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。 次回は、明十五日午前十階より閉会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十九分散会