予算委員会 第2号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1985/01/31
会議録
○天野委員長 これより会議を開きます。 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田邊誠君。
○田邊(誠)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、当面する政治課題について総理に質問をいたしたいと思います。 質問に入る前に、この時期にはいつもマスコミをにぎわす事故が起こるのでございまして、大変悲しいことでございますが、最近も長野市内においてスキーバスが転落をして、二十五名の若い人たちの命が奪われた、まことに悲しいことでございます。聞くところによると、運転手の過労の重なりというようなことも原因の一つではないかと言われておるわけでございまして、今非常に旺盛な企業活動が行われておりまするけれども、やはり節度あるところの労働者に対する態度、そしてまた人命を何よりも尊重するというところの態度、これが必要だということを痛切に感ずるわけでございます。 また、昨日の報道によりますると、最近校内暴力が非常に多いということでございますが、昨年だけでも千六百八十三件の校内暴力があった。そして、昨日は教師が死亡した。初めて教師が死亡するというような事態になった。あるいはまた少年少女が自殺をしている、こういう事態でございます。 私も、昨年、この質問のときにちょうど三井有明鉱の災害、事故がありまして、こういった事故が再び起きないことを念願をしておったわけでございますが、そのときにはお互いにもうこういう事故は起こさないようにしようじゃないかということを言い合うのでございますが、しかし、三井有明鉱の事故にいたしましても、その後の事故探求がまだ行われていない、あるいはまた保安施設等に対するところの措置が万全でないということが言われておるわけでございまして、やはり我々政治に携わる者としても、何よりも人間の今、国民の生命というものに対して、よりこれを尊重し、厳粛に対処しなければならぬということを痛切に考えるわけでございます。 亡くなられた方々に対して御冥福を祈ると同時に、そういう心構えをお互いに持ちたいなということについて、一言総理の所見を承っておきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 ただいま田邊書記長から、最近の事例につきまして大きな御関心の御表明があり、御指摘をいただきましたが、私も全く同感に思います。 長野県下におけるスキーバスの事故につきましては、遭難者に対しまして本当に心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。特にそれが運転手の過労によるものであるという情報、報道等がなされ、政府としても、今厳重にこの真相究明をやっておるところであります。このシーズンになりますと、スキーバスが大体十万台くらい日本の中で往来する由でございますが、これらの点も考えてみますと、ますます安全について政府として監督を厳重にしてやらなければならないと思います。 それから、炭鉱の事故等につきましても、昨年、有明鉱の問題があり、その後の問題等も考えまして、確かにおっしゃるように、そのことが起きたときにはみんな引き締まるのでありますが、校内暴力についても同様でございましたが、昨年もこの予算委員会において論議された大きな問題でございました。 そういういろいろな点もよくもう一回再検討いたしまして、御指摘の趣旨に沿いまして、政府全体としてさらに気持ちを引き締めて対処してまいりたいと考えております。
○田邊(誠)委員 総理、あなたは、昨年自民党総裁に再選をされたわけでございます。佐藤内閣以来長期の政権担当という形になったわけでございまして、祝意を表したいと思います。 しかし、それだけに責任が重いこともあなたは痛感をされておると思うのであります。第一期目の中曽根内閣は、時にタカ派的な言動を吐いて国民の批判を受けるという場面もあり、そしてまた一転をしてハト派のポーズもとって国民の支持を集めるという使い分けをしてきたわけでございまして、我々としては、本当に中曽根さんという政治家が持っておるところの本質は一体何だろうか、こういうことについて、時に希望も持ち、時には大変疑問にも思い、この一期目を実は眺めてきたわけでございますが、いよいよ後のない二期目でございます。今度は中曽根総理の本音を出した政治をやられるのではないだろうか。 あなたは、もともと憲法改正論者であることはみずから認めておるわけでございますが、この改憲論者中曽根康弘、そのいわば政治家として持っておるところの本質というものを下敷きとしてこれから先の政治をやられるのではないだろうか、こういうように我々は実は心配もしておったのであります。本会議における施政方針演説、各党の代表質問に対する総理のお答え、これを聞いておりまして、いよいよどうも衣の下のよろいをむき出しにしてきたのではないかと実は我々は思って、質問もし、また実は大変驚きもしたのであります。 時に、憲法改正問題について総理は、いかなる制度といえどもそれを検討するという宿命にある、こういう持論を吐かれたのであります。しかし、国民が一番心配しておるのは、いわゆる憲法にしても法律にしても検討することは自由だ、こういういわば一般論、抽象論、評論家的な実は言葉でなくて、中曽根さん、あなたの中曽根内閣は憲法改正はこれはしないと今まで言ってこられた、このことは本音ですね、本音ですか、これを聞きたいのでありまして、何も憲法改正に対するところの、いわば制度論として検討することができるというような、そういうことを実はあなたに聞いておるわけではないのであります。二期目の冒頭に当たって、中曽根内閣は憲法改正の考え方はありません、それを手がけることはありません、そしてまた、憲法改正というようなことを念頭に置いたそういう政治はやりませんということを、もう一度国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 私は、組閣以来一貫した考えを持ち行動もしておるつもりであり、今後も一貫してまいりたいと思っております。組閣以来申し上げておりますことは、中曽根内閣は憲法改正を政治日程にのせることはいたしません、こう申し上げてまいっております。これは一貫して今後も継続していく覚悟でございます。
○田邊(誠)委員 中曽根さんに二つの顔があることはだれしも言っておるわけでございまして、非常に自信のあるときにはあなたは壮大な構想などというものをお述べになる。しかし、大変苦境に立ったときには、実は大変惨めな形でもって心にもない、不徳のいたすところなどというような言辞を吐いていられる、こういうことで実はこの二つの顔の使い分けに対して国民は戸惑いながら今日まで来たと考えておるわけでございまするが、そういう中でもって私は、今度はひとつ本音で、素顔でもって国民に相対してもらいたい、こう思っておるのでございます。 その意味からいいまして、今国民が考えておるのは一体どういうことか。第二期中曽根内閣は、国民の意識の上に立ってどういう政治目標でもってこれから取り組むのかということが一番大事だろうと思うわけでございます。施政方針演説で述べられておりまするけれども、私は、中曽根さんが本当にこの二期目でもってやりたい政治家としての目標、これを一言で言ったら何であるかということを、この際ひとつ本心を吐露していただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 一口で申し上げれば、二十一世紀まであと十五年であります。十五年といいますと長いようでもあり短いようでもありますが、瞬く間に来るものであると考えます。もう二十一世紀は目の前に、手の届くところへ来たと考えて、その準備をするということが非常に大事なことであると思います。それには、二十一世紀の世界はどういうふうになってきているであろうか、日本はその中でどういう位置を占むべきであろうか、そのためには内政でどういう地固めが必要であるか、国際政治の中においてどういう準備をしていく必要があるか、そのために国民の皆さんにどういうことを申し上げ、また気持ちを固めていただく必要があるか、そういう観点が第一でございまして、そのためにいろいろな改革も申し上げ、また私の気持ちも訴えておるところでございます。 しかし、それと同時に、やはり戦後四十年というものの過去を振り返ってみまして、どこがよかったか、どこが悪かったか、それをこの四十年の節目に見るのも非常に意味があり、それが二十一世紀にかけての足場にもなります。そういう意味におきまして、この四十年間の政治を振り返ってみて、そして直すべきものは直し、また新しく創造すべきものは創造していこう、こういう考えでいろいろなこともまた申し上げてきた次第でございます。
○田邊(誠)委員 二十一世紀を展望して、非常に社会情勢の変化が激しい。高齢化、高学歴化、そして高度情報化、なかなかこれに対応できない、こういう国民のいら立ちが実はあると思うのですが、これを的確にとらえて政治が解決に当たるということは何より大事だという趣旨に私は感ずるのであります。その点で実は何より大事なのは政治に対する信頼感であろうと思うのです。ところが、どうも国民は、今の政治はフェアでない。あなたもあるところでもって、日本が外国からアンフェアだと言われているのは恥辱だというようなことを言われたのでありますが、どうもアンフェアじゃないか、こう実は思っておるのじゃないでしょうか。そこに私は、何をやっても国民が本当に受け入れるということにならない最大のものがあると思うのです。ですから、この国会でもいろいろな課題を言われておりまするけれども、政策課題の前にどうしてもやはり政治姿勢というものが問われるという形になってくるわけでありまして、我々はどちらかと言えば、そういった問題は早く卒業して、そして具体的な政策課題に取り組むということが何より大事だろうと思うのです。 その意味から、私は総理大臣そして議院内閣制の立場に立つところの自民党総裁としてあなたの今までの実は発言を聞いておると、どうも肝心の政治姿勢の問題については多くの言葉を語らない、逃げの姿勢に終始する。ですから、その次のいわば政策問題について踏み込む前の前提条件が確立していない、こういう印象を実は我々は受けるのでありまして、それは大変残念であります。ですから、以下お聞きをすることは、もう十分今までの質問でもって出し尽くされていることでございまするから、端的にお答えをいただいて、次の課題に移りたいと思うのでございます。 第一は、政治倫理の問題でございますが、やはり国民の厳しい目というものを、政治は目をそらしてはならない。ロッキード事件に象徴されるような疑惑が再び起こってはならない。これにけじめをつけてそれが再発しないような、そういういわば防止策というものを国会の自浄作用として我我はつくらなければならない。こういう気持ちでもって今日まで取り組んできたと思うのであります。 そして、与野党の間でもって政治倫理協議会を通じて、政治倫理確立のための方策について今日まで実は協議を続けてきた。そして政治倫理審査会をつくるということでもって一応の合意を見ているのでありますが、さて、この政治倫理審査会というのは、今申し上げたように、重要なポイントというのは、直接的にはロッキード事件によって失われてきたところのいわば政治に対する信頼感を回復するということにあることは、もうこれは疑いない事実でございます。したがいまして、審査会の性格というものもそれによっておのずから決まってくるものである、こういうふうに考えておるわけでございます。 いわば、この審査会が対象とするという中に、今申し上げた観点からいえば、我々は当然有責議員、有罪議員を含むところの有責議員、これを対象にする、そしてこの審査会は、国会の中における権威ある機関として国政調査権を持つものであるということは、当然の成り行きだろうと思うのであります。今、野党間におけるところの大体のいわば意見の一致点はそこにあるだろう、要は、自民党がこれに対して率直に対応する、これを認めるということにきているんじゃないかと思うのです。 ですから、総理は、これは各党間の話し合いだと言われまするけれども、いわゆる自民党総裁としての中曽根総理が、このいわば審査会の性格づけ、その中身からいって、今私が申し上げた、我我が一致して要求しているところの有責議員、有罪議員を含むところのもの、これは当然含まれる、そしていわば国政調査権に基づいた機関でなければならないということについて、あなたは当然お認めをいただけるだろうと思うのですが、いかがですか。
○中曽根内閣総理大臣 政治倫理の問題は、民主政治を立派なものにしていくためについて、その基礎的な非常に重要な問題であると考えております。やはり国民の信頼を確保していく基礎は道徳性にある、そう考えまして、個人もあるいは政党等の団体も、ともにその道徳性の高揚に努めなければならぬと考えております。 そこで、国会におかれましても、各党各派の御協議により政治倫理の協議会ができまして、個人個人の行為を律する行為規範等もいろいろ御努力していただきまして、また、その行為規範に基づいて国会としてどういうふうな規律を行うべきかという意味の審査会の設置に向かって、今各党で折衝しておるところでございます。審査会の設置は、国会法の改正を伴う重大な政治行為でございます。画期的な、また政治倫理への前進であると思います。そういう意味におきまして我が党も積極的にこれに参加をし御協議していきたいと思っております。 ただ、その内容を具体的にどうするかということは、今各党各会派の中でいろいろ樽俎折衝しておる最中でございます。そういう意味におきまして、我々は審査会の設置に向かって前向きに、できるだけ早期にその各党の話がまとまるように今後とも努力してまいりたい。内容につきましては、今後の各党の折衝の状況を見まして最終的には判定を下す、こういうことにいたしたいと思っております。
○田邊(誠)委員 ですから、今協議を続けておる審査会のポイントはそこにある。そして、それはやはり自民党総裁たるあなたのいわば決断にかかっておる。したがって、これから先協議をして一致点を見出す上に当たって重要なポイント二つを私は申し上げた。これは当然有罪議員を含むところの有責議員を対象にしますね、そして国政調査権を持ちますね、すなわち証人喚問等ができるようなそういう機関ですね、これに対してあなたが同意すれば一挙にまとまるのです。ですから、あなたの考え方はどうですか、協議を、これから結論を見出すために中曽根総理の考え方はどうですかと私は聞いておるのです。
○中曽根内閣総理大臣 この点につきましては党内に三池議員を中心にする政治倫理の調査会を設けて今検討もしておりますし、自民党も公党でございまして、機関で調査をし機関で決定をして最終的に決めていくというので、私が独裁できるような党の情勢ではございませんし、またそれは党則にも反することであります。そういう意味におきまして、今党内の諸般の検討と手続を進めておる段階でございますので、私の所見は差し控えさせていただきたいと思います。
○田邊(誠)委員 この協議会は昨年の二月に一年をめどにして結論を出そう、この二月が間もなく来るわけでございます。したがいまして、いよいよ最終的ないわば決断を迫られる、こういうところへ来ておるわけでございまして、したがってあなたのこのことに対するところの意思表示があってしかるべき時期に来ている、こう私は考えるから自民党総裁としてのあなたの率直なこれに対する意見を、これはあなたの意見どおりになるかならないかは別として、あなたの意見を実は私はお聞きをしておるのです。そのことがこの前で言えないということはありませんでしょう、これは。中曽根さん、あなたの持っていらっしゃる、こういった機関の性格づけについてあなたの御意見というものがあってしかるべきである。そして、自民党の機関がそれを認めるのか、あるいは違う結論を出すのか、それは別といたしまして、やはり中曽根さんの決断というものがこの際表明されるところに来ていると私は思うからあなたの意見を聞いておるわけでございます。何かありますか。
○中曽根内閣総理大臣 自民党総裁も党の一つの機関でございまして、党の手続の上で成立していくべきものでございます。総裁の職務というものは非常に重いと思っております。そういう意味におきましても、今党内の各機関におきまして所定の調査と手続を進めておるところでございます。したがいまして、私が先に予断を与えるようなことを申し上げるのはこの際差し控えさしていただきたい。ただし、政治倫理審査会をつくり国会法改正を行うということはお互いの約束でございますから、できるだけ早期にその目的を達するように積極的に我が党は取り組んでまいりたい、こういうことははっきり申し上げたいと思います。
○田邊(誠)委員 党高政低の中曽根内閣、なかなか党内で物を言えないというあなたの基盤の弱さ、これは十分私も承知をいたしておりまするけれども、しかしもう一年がたつわけでございます。そして、あなたはやはり総選挙後におけるところの総裁声明に基づいて、この問題については積極的に取り組むことを党内外に表明したというこういういきさつがあるわけでございます。それならいつまで、この予算委員会、これからまだ続くわけでございますけれども、あなたはいつになったら党内の機関も経てこの問題に対して意思表示をされることができますか。この予算委員会というのは国政の一番中心課題について取り組む委員会でございます。この予算委員会の期間の間にあなたは表明する機会がございますか。
○中曽根内閣総理大臣 審査会の設置につきましては前から各党間で話し合いがありまして、大体のめどがあると思います。したがって、そのめどに合うように我々も努力しなければならぬと思います。それに間に合うように我々の方も党内の調整を行う、そうしてまた積極的に審査会を結成することに努力してまいりたい、こういうことで前進してまいりたいと思います。
○田邊(誠)委員 委員長にこの点に対して、この予算委員会は今申し上げたような観点からいってこのことについて避けて通るわけにいかないんです。どうしてもこの予算委員会中にこれに対するところの結論を出さなければならない、それには総理のこれに対するところの考え方というのが、これが表明されなければ事態は結論に入らない、こういうことになっておるわけでございまするから、したがって、この問題については委員長、各党間において総理の意思表明があることについて御協議を賜りたい、こう思いますが、いかがですか。
○天野委員長 田邊君、理事会で話し合いをするということで御了承願っておきたいと思います。
○田邊(誠)委員 それでは、改めてこの問題については発言する機会を私なり同僚が留保するということにいたしておきたいと思います。 いずれにいたしましても、この問題については間近く結論を出さなければならないところの政党間の約束の時期に来ているということを念頭に置いて総理が対処されるようにお願いしたいと思うわけであります。 もう一つの問題は、国会が問われているのは言うまでもなく衆議院の定数是正でございまして、いわばこれは司法から待ったなしの解決が実は国政の場所にゆだねられておるわけでございます。今政府・自民党はこれに対していわば六増・六減案を考えていらっしゃる、こういうことが伝わってきておるのでございますが、しかし総理、違憲ないし違憲状態と言われるこの定数是正の問題というのは、いわば国会がこれに対して自主的な判断というものがもちろん加わらなければなりませんけれども、しかし違憲状態をいわば解消するということが大前提でございますから、したがって今自民党が考えているところと言われる六・六案というのは、これはことしに国勢調査があれば直ちにまた三倍以上になる、こういう案であることはあなたも御存じのとおりである、そういったいわば当面を糊塗するようなやり方では私は世論は許さないんじゃないだろうか、こう思っておるわけでございます。加えてこの六・六案というものは一部に二人区をつくるということがあるわけでございますが、とにかくあなたが衆議院に出られた昭和二十二年からこの中選挙区制というのは実は四十年間この国の中で定着してきたところのものである、政党の基盤に関するところの実は制度であるということを考えてみたときに、この二人区をつくること、それがひいてはその次の改正にまた暫定的じゃない二人区をつくらなければならぬ、ひいてはいわばこれが一人区、すなわち小選挙区へと向かう一里塚になるんじゃないだろうか、こういう心配をされるのは当然だろうと思うわけであります。 したがいまして、このことについて自民党内におけるところのいわば党議決定等も急がれなければなりませんけれども、あわせて、このこと自身はいわば国会の基盤の問題、ハウスの問題でございますから、与野党間におけるところの話し合いも精力的に行わなければならない課題である、こういうふうに考えておりますが、私が今申し上げたような観点から政府は一体どう対処されようとするのか、あるいは政府がこの法案を出すとすれば一体いつの時期に出されようとするのか、その中身は一体どういう形になろうとするのか、このことについてひとつ端的なお答えをいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 衆議院の定数の問題につきましては、たしか五十八年の秋に最高裁の判示がありまして、大体おおむね一対三ぐらいを目途に定数是正が望ましい、それが限度であるというように考えております。また、その後も、各高裁の判決等におきまして、今の状態は違憲であるというような判示も高裁の判決ではございます。 そういうことを踏まえまして、できるだけ最高裁の趣旨に沿う是正を行わなければならぬと思って努力してきておるところであり、党内でもいろいろ御努力を願いまして、一応我が党の、こんな考えていこう、一対三という限度を守ることをめどに改革案をつくろうというので、今懸命な党内調整を行っております。とりあえず、当面その一対三というものを大まかなめどとして是正するという形で法案を提出さしていただきまして、そしてこれをぜひ今国会において成立さしたい、党内調整ができ次第法案を提出したい、そう考えております。 その後のこの定数問題という問題につきましては、長期的に各党で、基本的にどういうふうに行ったらいいか各党で話し合うとか、あるいは選挙制度の院の特別委員会におきまして仕組みを考えて、その長期的な取り組み方法を各党で御協議願う、そういう形で二段構えでいったらどうか、このように考えております。
○田邊(誠)委員 今申し上げたように、六・六案というのが直ちに違憲状態にまたなるのじゃないだろうか、そしてまた、二人区をつくることは現在の中選挙区制のいわば枠組みというものを外すんじゃないだろうか、こういう心配があるということを私は申し上げたのであります。その点に対しては、自民党もそれを強行することはない、こういうふうに承知していいですか。
○中曽根内閣総理大臣 とりあえず法案を提出さしていただいて御成立をお願い申し上げて、その後の中長期の問題については各党各派で相談もし、あるいは選挙制度に関する特別委員会で仕組みをつくって各党各派の合意を得る、そういう形でこの問題を解決していったらどうか、そう考えております。
○田邊(誠)委員 委員長に注意をしてもらいたいのですけれども、私の質問は非常に端的に問題の焦点だけを申し上げているのですから。それに対して総理も率直に、六・六案というのは一体どうなのか、あるいはまた二人区というのは一体いいのか悪いのか、そういうことについて端的なお答えをいただかないと論議はかみ合わないのです。これは本当に時間の空費でございますから、ひとつぜひ注意をしていただきたいと思うのです。 肝心なことは総理はお逃げになって、各党の話し合いとか党に任せるというので、幾ら中曽根さんのリーダーシップが少ないこの内閣といえども、やはり重要なポイントはあなたがお答えにならなければならないだろうと私は思うのでございますが、この問題に対してだけ時間をとるわけにいきませんので、ぜひひとつ我々の考えていることを入れました上に立って、この国会で必ず成立させますね。それはよろしゅうございますか。
○中曽根内閣総理大臣 各党各派の御協力をいただきまして、ぜひ成立させたいと念願しております。
○田邊(誠)委員 ですから、政府としては、もう国会は四月二十九日で終わるわけですから、成立をさせるためには、逆算をすれば一体いつまでには出さなければならぬという心構えでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 今、我が党の内部で調整しておるので、実は選挙区の調整というのは、田邊さんも御存じのように、非常に議員さんの政治生命権ともいうべき大きな問題にさわるものですから、なかなか苦しいところもあるのです。しかし、最高裁の判示された趣旨に沿った案はともかくつくらなければいかぬというので今努力している最中でございますので、調整ができ次第速やかに提出するように努力いたします。
○田邊(誠)委員 これもひとつ委員長、やはり総理がいつまでにこの問題に対する政府の結論を出して国会に提出するかということは、与野党で相談の上でもってもう一度総理にはっきりさせていただくということを要望しておきます。
○天野委員長 わかりました。
○田邊(誠)委員 そこで、総理、この定数是正に関連をして、衆議院の解散権の問題について、総理は、解散権は内閣に与えられた人権である、法律的に縛られるものじゃない、こういう趣旨の答弁をされましたね。これは私、質問者の意図はわかりませんけれども、我々の承知しているところでは、違憲ないし違憲の状態、こういう状態で選挙をやれるはずがないじゃないかという一つは政治論、もう一つは、そういう状態の中で、憲法違反に問われているような状態の中で選挙をやると、有識者の中には、その選挙自身が違憲ではないか、こういう指摘すらもあるわけですね。ですから、これは何も、あなたの解散権に対して法律的に縛られることはないというような、実はそういう次元の低い話ではないのですね。ですから、今の状態の中では当然政治論、そしてやはり憲法論からいって、これはにわかにあなた、解散の人権を行使するわけにいかない、これは常識ですね。
○中曽根内閣総理大臣 法律論、憲法論からいたしまして、私は本会議でも申し上げましたように、解散ということは、憲法上、政府に認められて、あるいは国会が行う重要な国政運用上の機能であります。そして、憲法上見ますと、解散権を制約する条文というものは特には見当たりません。そういうようないろいろな情勢から見まして、やはり国政を運用して、停滞を打開しあるいは国際関係を適切に処理していく、そういうような意味からこの解散という機能が政府に与えられておるので、私の考えは、前に申し上げましたように制約されない、そう考えておるのであります。 しかし、政治的にどういうことであるかという第二の御質問については、これはやはり国民世論とかあるいは政治の運用状態であるとかそういうものを全般を考えて政府は決断すべきものであり、また各党とも情勢によっては相談すべき問題でもあろう。しかし、我々政府といたしましては政府が決断すべきものである、そう考えております。
○田邊(誠)委員 これも、解散・総選挙をやってもその選挙自身が違憲になるんじゃないか、こういう説もあるのですね。ですから、今までの状態とは違うんだという認識はお持ちでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 それは、最高裁の判決が出たという状態と出る以前とは、これは若干政治情勢は違っておる、それは認識しております。 ただ、法律解釈論というものは一貫しておるものでありまして、そういう意味では法制局長官から御意見をお聞き願いたいと思います。
○田邊(誠)委員 この問題についてもなかなかかみ合った論議になりませんので、またひとつ同僚の引き続きの質問にゆだねたいと思いますが、そう簡単に、中曽根さん、あなたが自分の都合のいいところでもって解散をしようといっても、なかなかそれは許さぬぞというような状況になっていることだけはしかと御認識を賜っておきたいと思います。 今の政治がフェアじゃないと私は言いましたが、議会制民主主義という点からいって、最近の中曽根内閣のいわばとっているところの手法、これに対して私は大きな疑念があると思うのです、それは、あなたの好みの私的諮問機関というものをやたらに乱発をいたしまして、この私的諮問機関でもって一つの結論が出ると、これがいわば世論であり、それによって政策決定がされる、内閣の意思が決定される、こういうような方向に誘導しよう、こういう意図がどうも最近あらわになってきている。最近の平和問題研究会にいたしましても、そのとおりですね。 そもそも、この種の私的諮問機関というものは本来つくるべきでない。これは一番あなたと相対峙できるのは国会である、国会が行政組織法第三条によって組織をつくる、ないしは八条によっていろいろな審議会をつくるということを限定的に認めているだけである、これは議会制民主主義のいわば根幹である、こういうふうに考えておるわけでございますが、どうもそういう風潮にならない。ところが、あなたは、これに対する質問を受けて、いわばいろいろな有識者の意見を聞くことはかえって議会制民主主義を発揚することになるのではないかというような、こういうことでもって、実は食い違いがあるような答弁をされてきておるわけであります。 そもそも、私は、さかのぼってみまするというと、池田総理のときから、懇談会というものが問題になったときに、池田さんは、いわゆる懇談会のようなものは個人の意見を聞くだけであって、機関としての意思決定を行うべきものではない、個人の意見を並列的に聞くだけなんだ、こういうことを三十六年の三月には実は発言をしていらっしゃるんですね。ですから、池田政治に学ぼうと言われておるあなたも、こういったいわば基本的な議会制民主主義にかかわるようなことについて、平然と何かこれをやっているということについては、大変実はゆゆしきことではないかと私は思うのであります。 しかも、平和問題研究会の問題については、後で私が問題にいたしたいと思いますけれども、実はこの討議のさなかにおいても、どうもあなたが強引にこれを一本化しようとした形跡がある。すなわち、報告書を出すようなことをかなり強引にやってきたという形跡がある。しかも、総理の意思をかなり反映をするようなこういう工作を行った形跡がある。ある政府高官が、そこら辺に並んでいるかもしれないが、三回にわたって、総理の分身としてこの平和問題研究会の座長なる人に会って、総理の意思を伝えだということが実は一部に報道されておる。こういったことを見ますると、この私的諮問機関というもののあり方について、ここでもう一度問い直さなければならぬというように私は思うのです。 国会においても、この問題が取り上げられて、総理なり官房長官からの発言があった。そして、今後は、正式な審議会と私的諮問機関との間においては明確に区分をしていきたいという官房長官の統一的な見解がある。また総理も、官房長官の言われたことを受けて、そのように運営してまいりたいということを言われておるわけでございまするが、大体あなたの好みのブレーンが多いですな。これを国民の意思を代表するような形だなんということでとらえて、それがいわばあなたの意思決定に向かうというようなそういう手法はやめてもらいたい。あなたのそのブレーンの中には、国会議員は多忙であってなかなか実は全般の国政に関係できない、だからエリートを集めて政策決定をすることは大変大切なことだというようなことを言っておる、こういう人があなたの審議会なりに入っておるのですよ。そういった形でもって議会制民主主義というものがいわばだんだんと形骸化しているということについて、あなたはどう考えますか。
○中曽根内閣総理大臣 いわゆる私的諮問の機関につきましては、池田内閣の考えを我々も踏襲しておりまして、これは首相あるいは各大臣が行う私的な研究機関でありまして、答申というようなことはやっておらないのであります。意見をみんなで述べ合って、そして一致した部分、一致しない部分、そういうものを意見書として出してもらう、こういう形でやってきておるのであります。 私のときになってからも幾つかつくってお願いしてありますが、私がその内容を改ざんしたとかあるいは指導したとか曲げたとかということは全くありません。これは委員の皆様方の自由な御発言を我々は素直に聞いて参考にしたい、こういうことでやってきておるのでございます。今後も、そういうふうな国家行政組織法上の審議会の趣旨及びそういう私的研究機関との性格の差異というものを厳格に意識いたしまして、慎重に対処してまいりたいと思います。
○田邊(誠)委員 どうもあなたのお好みの、あなたの意を受けたような人たちの集まりだけでもって重要な国策決定がされることについては、我々は苦々しく思っておる。どうもあなたの一番嫌いなのは国会のようなんだな。これはいけませんよ、中曽根さん。いかにあなたの好みといっても、やはり国会というものが、あなたにとっては一番意見を聞き、政策決定に至るところの過程としては重大な機関であるということについての認識を改めて持ってもらわなければならぬと私は思っておるのです。 そこで、この私的諮問機関というものが、総理、閣僚の私的諮問機関として今数えただけで四十九あるというのですが、この運営費は一体どうやって払われているのですか。公表しないことになっているそうでございますけれども、これは一体どうなっているのですか。これはだれが答弁しますか、官房長官ですか。
○藤波国務大臣 今お話しのような私的研究会、勉強会につきましては、それぞれお願いをした者の会計から出しているということになっております。
○田邊(誠)委員 それでは時間の関係もございますから、委員長、この運営費を賄っておる私的諮問機関についての列挙、並びにこの運営費の中身、これをひとつ我々国会の委員会に提出をしてもらいたい。よろしゅうございますか。
○天野委員長 理事会で相談します。
○田邊(誠)委員 いや、待ってください。それはだめだ。(発言する者あり)
○天野委員長 理事会に提出していただきますから。
○田邊(誠)委員 その上で、またひとつ改めて同僚議員によって質問をいたしてもらいたいと思います。 いずれにいたしましても、非常に不明朗だということを言われておりまするこの私的諮問機関は、この辺でひとつ整理をされて、総理、閣僚の私的諮問機関は当然ですけれども、役人もそれに類するような懇談会を局長クラスでたくさん持っておる。あなた、行政機構というのは一体どうなっているのですか。そういった点から見ても、この問題については我々は厳格にこれから先の運営をやってもらいたいということを申し上げて、ひとつ委員長の処置にお任せをいたしたいと思います。 次に、国民の暮らしと経済、財政に関する問題について質問をいたしたいと思います。 国民の暮らしが一体今どうなっているのかということについては、まあいろいろと、中流意識をほとんど持っていらっしゃるのじゃないだろうかと言う。しかし、どうも先行きが不安だ、高齢化社会になって一体先ほどうなるのか、高学歴化になって子供の教育に対するいら立ちがある、そしてまた、高度技術化あるいは高度情報化の中でもって人間疎外が起こるんじゃないだろうか、こういういろいろな悩みが実はあるだろうと思うのであります。そういうことからいったときに、我々が考えなければならぬのは、やはり原点に戻って我々は政治に携わらなければならない。今さら憲法を持ち出す必要もないけれども、憲法二十五条によるところの国民の生活を国が保障する、こういう観点に立っていかなきゃならないというふうに思うのです。 そういう意味合いからいいまして、やはり今日の段階における、そしてまた総理が言ったところの二十一世紀を目指した展望の上に立って、一体国民の生活はどういう水準にあるべきか、最低の生活は一体どこに置くべきか、これは常にお考えだろうと思うのですが、このミニマムというものを我々としては据えつけて明確にして、その上に立って政治をやることが私は必要じゃないかと思うのですね。ところが、どうも最近の傾向を見ておりますというと、そういった理念、あるいは哲学と言ってもいいでしょうか、そういったものが欠けているのじゃないだろうかと思うのです、後で指摘をするところの財政運営の上からいって、どうも赤字がかさんできた、したがって便法的に取れるものはどんどん取ろう、こういう考え方というものが先行して行われてきているんじゃないか、その結果がいわばミニマムというものを排する、これを水準を下げるというような状態に自然になってきているんじゃないだろうか、こういうふうに私は心配するのですね。 昨年成立いたしましたところの医療保険にいたしましても、その前の老人保健法にいたしましても、こういった形でもって、国民の命を守る立場に立ったところの保険制度としての医療がこれで一体いいのだろうか。ところが、大蔵大臣などが盛んに締めつけをいたしました結果というものが、このような法律ができました結果、政府管掌の健康保険は黒字になった。黒字になった途端に、今まで赤字だからといって保険料を上げてきたけれども、幾らか財政がよくなったといったところが、今度は九百三十九億円も一般会計に繰り入れをする。国民健康保険も、これも幾らか市町村によっては黒字になってきた、これも何とかしようじゃないか、こういう状態になってきた。年金もそうですね。年金の抜本改正案というものが審議をされておるわけでございまするが、これもどうもやはり、これはもう私が言うまでもない、厚生大臣の方が専門でございましょうけれども、年金のことを考えるときには、一体年金の水準はどうなのか、掛金がどうなのか、国の負担がどうあるべきかという、この三つのファクターを実は組み合わせることが大事ですけれども、どうも国の負担というものをどれだけ削ることができるかというところに発想があるのじゃないだろうか、こういうふうに私は考えるのですね。 三年前に特例法でもって厚生年金の国庫負担、これを一部借用して、返済しなければならぬ時期に来たけれども、またこれを延長しよう。まことに便宜主義である、こういうように我々は考えざるを得ない。そして、今度はいよいよ社会福祉に及んできた。地方の財政が国よりも幾らかいいということに目をつけて、そしてひとつこの高額補助というものを一律にカットする、当面は何か手当てをしたようなことを言いますけれども、これがめぐりめぐって国民の負担になることは、地方債の発行を見ても明らかなとおりですね。 そういった立場というものを政府はとってくることによって、一体、あなたの目指すところの豊かな二十一世紀というものとこれから本当に相反するような状況に来るんじゃないだろうか、そして国民の生活、国民の人権、こういったものを損なうような結果になってくるんじゃないだろうか、こういうふうに私は思うのです。 中曽根さん、これは理念の話ですからお互いに言い合ってもいけませんけれども、これから先の国民の生活というのは、例えば老人もあるいは心身障害者も、別の施設に置いておくというのじゃない、別に隔離するんじゃない、一緒に生活を行う、こういうことにだんだんとしてやらなきゃならない、それがいわばノーマライゼーションとしての正常な社会である、こういう観念というものを持たなければならぬと私は思うのですが、どうですか、あなた。
○中曽根内閣総理大臣 次の時代を目指しての国民負担の水準をどの程度にしていくかという基準は、一つは、臨時行政調査会の答申におきまして、税及び社会保険料等の総合的な負担がGNPのどの程度であるべきかというような論議から、ある限度が示されております。それは西欧の水準からかなり低い水準に負担を下げるように、そして維持していくように、こういうことが示されております。それから、一九八〇年代の経済社会運営に関する展望と指針、この展望と指針におきましても大体のそういうめどが示されております。これらを基準にいたしまして、政府といたしましては、いろいろな政策の運営を行い、また必要な改革を行っておるところであります。 なぜ改革を行っているかと申しますと、これは高齢化社会が急激にやってまいりまして、そしてそのための負担がかなり増高してまいってきております。それから、年金にいたしましても同様でございますし、恩給その他の面に多少ございます。そういういろいろな面からしまして、できるだけ長期的に安定的にこの制度を持続していくように、途中でこれが崩壊するような形で、今、年金やあるいはその他納めている皆さんが自分が年をとったときになったら不当な待遇を受けることがないように、そういうことで、この急激に来ている高齢化時代に備えて、世代的公平を維持していこう、そういうおもんぱかりもありまして、今懸命の努力をしておるのでございます。 そういう意味におきまして、健保の改革とかあるいは年金制度の改革とかその他についてもいろいろ御審議を煩わしておりますが、政府としては、そういう長期的な展望に立って国民全体が次代的にも公平で安心できるようなシステムを築こうという、そういう努力として御理解していただきたいと思うのであります。
○田邊(誠)委員 そういうあなたのいわば美しい言葉、あなたのいわば構想、そういったものと現実の政策というものが余りにもかけ離れているということについて、我々は実は大変心配もし、また批判をしなければならない、こう思っておるわけでございまして、個々の問題についてはまだ逐次質疑を展開いたしたいと思います。 そこで、総理はよく、戦後政治の総決算というような言葉が好きで、言われるのでございます。しかし、戦後は一体終わっているのかと言えば、私は終わっていない。いわば四十年という節目だとおっしゃったけれども、何よりも忘れてならないのは、あなたも長崎の被爆のところへ行かれて誓われたけれども、この被爆四十年を今日迎えて、原爆によるところのいわば犠牲者、これに対する手だてが四十年間本当に確立したかと言えば確立していない。何回となくこれに対するところのいわば制度確立を願ってきたけれども、政府はいまだに実はこれに対する対応をしていない。 被爆者も年をとってまいりました。その二世、三世と言われる人たちの、いわば病に倒れている人たちのことを思ったときに、この原爆被爆者援護法を国家補償に基づいてつくるというこの願いというものに対して一体どうこたえようとするのか。もうこの辺でもってこれに対するところの結論を出してもらわなければ、戦後政治の総決算はない、戦後の処理ができないじゃないか、こういう考え方に立つ人が多いだろうと私は思うのですが、この原爆被爆者援護法の制定について、この際、総理の勇断をひとつ求めたいと私は思います。いかがですか。
○中曽根内閣総理大臣 広島、長崎における御遭難なさいました皆様方につきましては、心から哀悼の意を表する次第でございますし、このような惨害を再び起こしてはならないとかたく肝に銘じておるところでございます。 政府といたしましては、あのような大きな惨害にかんがみまして、広い意味における公的補償という意味で、いろいろ対策もやってきており、原爆二法による対策をやっておるところでございます。この原爆二法を充実さしていきまして、これらのいわゆる広義における公的補償としての措置を進めてまいりたい、このように考えております。
○田邊(誠)委員 これはもう私がここで論争する必要のないことでございまして、私も過去において若干この問題について一生懸命やってきた、こういう経過がございますが、やはり国家補償に基づくところの援護法の制定を願う火というのは、消えないところか、この四十年を契機としていわば本当に燃え盛っておる。これは政府だけでなくて、我々を包んで実は今燃え盛っている。これにこたえなければ、核廃絶をあなたが長崎でいかに言ってみても、私は本当に心からの対応になったとはいえない、こう思うわけでございまして、これはひとつぜひ中曽根総理並びに政府のこれに対するところの勇断をお願いしなければならぬと私は心から願うものであります。 もう一つは、戦後処理の一環として、海外の抑留者に対する補償の問題が、繰り返し繰り返し言われてきたわけでございまするが、何か政府は今度の予算の中でもって祈念事業の検討費として五千七百万、そしてまた実情調査費として一億円、これを計上した。さて、抑留者の方々は、いよいよそれならば個人個人に対するところの補償の道が開けたのかと実は大変喜んでおるのであります。これが何かそういった補償ではなくて、ただ単なる一つの事業に終わる、こういうことであれば、まさにこういったことを願っておる人たちを裏切る格好になるというふうに思っておるわけでございまして、その点に対して、ひとつ政府の取り組みの基本的な姿勢、これは一体いかがでございましょうか。
○藤波国務大臣 戦後処理問題は非常に関係者も多く、また非常に各方面でいろんな論議を呼んできた問題でございます。そこで、戦後処理問題懇談会の御厄介になりまして、水上座長さんを初め、委員の方々でいろいろ御相談をいただいてまいりました。その御意見が出されてまいりましたが、その御意見によりますと、いわゆる個人補償という形は非常に厳しい、難しい、こういう考え方に立ちまして、むしろ基金を創設をして、その基金をいろいろな形で活用することによって、大変御苦労をいただいてまいりました、いわゆる戦後処理問題の該当者の方々、例えば軍人恩給の欠格者の方々であるとか、あるいは在外資産の問題で補償を要求しておられる方々であるとか、あるいはシベリア抑留の補償を考えておられる方々であるとかといった方々の大変な御苦労に対して、その御苦労に報いるべきではないか、実はこういうような意見が出されたわけでございます。 今度、予算化につきましては、その基金の創設ということを中心にいたしまして、どのようにその基金を活用していくかということをいろいろ検討していくということが大事かと思います。そういう意味で、その基金の検討をすること、そしていろいろな実情調査をいたしませんと、ただ個人補償は無理だから基金をつくってやっていけばいいということではなかなかすぐに結論が出しがたい、該当者の方々のいろんなお気持ちもあるというようなことを考えまして、実情を調査するということも含めて、予算化をお願いをしたところでございます。 この予算が成立をいたしましたならば、総理府が中心になりましていろいろ政府部内御相談を申し上げて、そしてどのようにこの基金の検討並びに実情調査の予算を実行していくかということについて相談を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○田邊(誠)委員 やはり性格づけを明らかにしないのですね。それはかえって疑心暗鬼を呼んで心配をかけると思うのですよ。ですから、そういったこれから先の検討の中には、将来個人補償も含めるなら含める、こういうことをはっきりしないと、何かぬか喜びでもって、結果はそういった方方の意向に全く相反するような形になる。ですから、きょうのところはまた期待を持たせている。しかし、そういったことでなくて、やはりきちんとした生活設計と同じように設計があって、その上に立ってやはり調査もされるという形でなければならぬ、こう思うのですけれども、この個人補償まで含めて検討するということについては間違いないですか。
○藤波国務大臣 基金をどのように活用していくかという検討と実情調査費ということで予算化をいたしておるところでございますが、予算化をいたしました中心の考え方は、やはり基金をどう活用していくかということをよく検討するというのが中心になろうかと思います。しかし、長い間それぞれ関係者の方々も、団体を組織していろいろとお話もいただいてまいりました。したがいまして、今後この予算を執行してまいります段階で、いろいろな関係団体の方々の御意見なども聞いて、そして取り組んでいくようにいたしたい、このように考えておりますので、この取り扱いにつきましては少し時間をいただきまして、いろいろ御相談を申し上げていくようにいたしたい、こう考える次第でございます。
○田邊(誠)委員 どうもやはり性格をきちんと位置づけた上に立っての予算の計上でないというのは、私は予算の計上のあり方からいってもこれはいかがか、こう思うのですね。ですから、ぜひ長い間のそれぞれの方々の御要望でございまするので、今官房長官が言われますとおり、通り一遍でなくて、そういった団体や対象者の方々の意向というものを十分踏まえて、これがひとつ今後の取り組みについて立派な結論が出せるように、私としては特に要請をしておきたいというふうに思います。 そこで、今国民の暮らしの実態はどうなのかということについて、経済企画庁の五十九年度の国民生活白書を拝見してまいりました。「人生八十年のゆとりと安定のために」こういう中身でございまするが、八十年の生涯をどうやって有意義に送るかということについては、実はいろいろな課題があるわけでございます。これらについて我々としても心していかなければならないというふうに思っておるわけでございまするが、しかし最近の勤労者の生活状態というものを見たときに、何か上辺だけは幾らかよくなったような、こういうことが言われまするけれども、実際に中身に入ってみますると、なかなかそうでない。 例えば可処分所得は実際は余り伸びていない。しかも実質可処分所得、さらに突っ込んで実質任意可処分所得、こういった点から見ますると、どうもやはりこれは鈍化している、こういうふうに考えられておるわけでございまするが、この一つの要因に、幾らか収入はふえるけれども、実際には基準内の賃金といいましょうか基本になるところの収入、これが余りふえない。時間外労働とか賞与とかというものはふえるけれども、実際はそのもとになるような賃金が余りふえないということが一つと、もう一つは、税や社会保険料あるいは教育費、こういった非消費支出といいましょうか、公的負担を含めたそういう支出額というものが非常にふえているということが言えるのじゃないだろうかと思うわけでございまして、そういった点について、我々は実はかなり関心を持ってこれから先の経済運営に当たらなければならないというふうに思っておりますが、これは経済企画庁でしょうか、いかがでございますか、大体そのとおりならそのとおりで結構でございます。
○金子国務大臣 お答え申し上げますが、可処分所得は昨年の所得税の大幅の減税で相当ふえたわけでございますけれども、現実の姿として八月くらいまでの状況を見ておりますると、なかなか各家計の財布のひもがかたいのです。それは、一つは先行きに対する御心配もありますし、生活防衛という点についての関心が最近非常に高まっております。あるいはまた貯蓄性向が、いろいろな金融資産の運用の方法が出てきたものですから、なかなか消費に向かわないというような問題もあったかと思うのでございまするけれども、その後の状況、特に農家の所得がよくなったとか冬のボーナスがふえたとかいろいろなことで、最近大分消費の実態もふえてまいっております。特に雇用者所得の状況を見ますと、最近ずっと伸び続けておるものですから、私は、先行きに対してある程度明るい見通しを持っていいのではなかろうか。今、政府は、六十年度の実質経済成長率を四・六%に見ておりまするけれども、これはもう確実に達成できると私どもは考えておる次第でございます。
○田邊(誠)委員 非常に実態まで突っ込んだあなたの答弁ではないのです。実質可処分所得は大体一%くらいしか伸びていない。そして、非消費支出というものがここ数年非常に多くなってきている。昭和四十五年から五十八年までの間を見ますると、率からいって大体倍ぐらいにふえている。こういうことからいいまして、雇用者所得はかなりふえるだろうと言いまするけれども、実はその中身が問題なんです。ですから、後で申し上げまするけれども、総体的な枠組みだけの中でもって今後の動向を判断することは極めて危険であるということを警告しておきたいと思います。 そこで、我が国の経済の今までのあり来った状態を見ますると、どうもこれは国際経済の中に生きる日本でございまするからもちろん孤立して考えるわけにはいかないのでありまするけれども、余りにもアメリカ経済に依存している、アメリカ経済との関係が多過ぎるというところに大きな問題点があるわけでございます。したがって、今経企庁長官がこれから先の経済見通しについて言われましたけれども、しかしそれを考えたときにも、やはりアメリカを中心としたところの外需主導型の経済成長、これを内需型成長へと転換しなければならぬということはもうしばしば言われてきたけれども、なかなか実効は上がらない。その実効の上がらない原因は何かということを私は突き詰めたいのでございまするけれども、その前提としてのアメリカの経済をどう見るかということについて、政府の所見を承りたいのであります。 アメリカの経済は確かに今好調でございます。GNPの伸びも、昨年ほどでないけれども、OECDの見通しては大体三%ぐらい伸びるだろうと言われておるわけでございます。個人所得も大体変わらないだろう。それから、設備投資も一〇%くらい伸びるだろう。鉱工業生産というものは一時低迷したけれども、またこれは復活をしている。金利は依然高いわけでございまするが、幾らかは低下傾向になって設備投資を誘発するのではないだろうか。物価もまあまあ比較的安定をしている。しかし、不安材料というのが非常にあるのですね。失業率は依然として高い。何よりも、アメリカ経済を見たときに我々がこれから先、先行き心配だと思うことは、何といってもアメリカの財政赤字、これが非常に巨大な状態になってきているということだろうと思うのです。 もう一つは貿易の赤字、これが大変大きくなってきているということではないかと思うのであります。したがって、このアメリカの巨大な財政赤字、二千億ドルを超すのではないかと言われておる。そしてアメリカの貿易収支、そしてまた経常収支が一千億ドルの赤字を超すのではないだろうかと心配されておるわけでございまするが、実は依然として景気が続いておるけれども、そういった不安材料、このことを念頭に入れてアメリカの経済を見なければならぬ、そのことによってまで日本の経済の今後を我々律しなければならない、こう考えておりますが、いかがですか。
○金子国務大臣 お話のとおり、アメリカ経済の動向が世界経済の全体にどういう影響を及ぼすか、あるいはまたそれが日本経済にどうはね返るか、これは私ども大変注意して見ていかなければならぬと考えておるのでございます。御承知のように、エコノミストの間にも、アメリカ経済に対する悲観論を主張しておられて、アメリカ経済はシャボン玉みたいなもので、そのうちにしぼむのではないかという考え方をとっておられる方もあります。しかし、これは少数説でございまして、先ほど田邊さんから御指摘のございましたように、この九月から十月、十二月の状況を見ておりますると、実質成長率も相当伸びておりますし、物価にいたしましてもあるいは生産状況にいたしましても、収益にいたしましても、ぐっと伸びてまいっておりますので、そういうことが反映いたしまして、今のドルに対する信認というものも相当強まってきておる。ドルにかわる通貨は世界にないぞというようなことで、世界各国の金がアメリカに集中しておる。それが日本にも相当響いておるわけでございまするけれども、アメリカの財政赤字が高金利を呼び、それがまた輸入をふやすために経常収支の赤字を生み、あるいは輸入によって物価が安定するというようないろいろな複雑な関係を呈しておりまするが、この姿はすぐ解消できるような状況にはないと私どもは思っております。 二月のアメリカ大統領の教書でどういうような政策転換をやるのか、いろいろ伝えられておりますが、国際収支の改善その他をやるためには、あるいは高金利を是正するためにはある程度の政策転換が必要でございますから、それを注意深く見ながら日本の対応策も考えてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○田邊(誠)委員 そういったことをひとつ念頭に置きながらこれから先の経済運営をやってもらいたいのですが、いずれにいたしましても、アメリカの貿易赤字は非常に巨大になってきている。大体その三分の一ぐらいは実は日本との貿易の関係、こういうことになっているということは御案内のとおりでございまして、したがって、その意味では、貿易摩擦について我々が今後どうやって対処するかということは当然求められる。あわせて、その貿易摩擦のことを考えてみたときに、どうも我々としては、やはり今後の日本経済の運営というものについて、いわば外向けだけでない、内に対する充実をさらに求めていくような経済運営をすることが必要だということは当然だろうと思うのであります。 我が国の経済の現状と特徴的な面を明らかにする必要がありまするけれども、時間がございませんから、私から端的に申し上げておきたいと思います。 企業収益は、今のところ大企業を中心としてよろしい。しかし雇用状態というものは、失業率が二・七%ということでもって、五十三年の不況時におけるところの状態以上になっている。これは我々としてはひとつマークしなければならない状況である、こう考えております。民間の設備投資に頼ってきたわけでございますが、これも内容的にアンバランスがありまするけれども、一応よろしいのではないだろうか、こう言われておるわけでございます。 そうなってまいりますると、これから先我々が日本経済の運営について考えなければならぬことは、企業収益はいい、設備投資も旺盛だ、そして貿易は依然として非常に盛んである、問題点はありまするけれども、ということになったときに、残されたものは何かというと、個人消費、消費支出をどれだけ高めるか、こういうところに力点を置いたものでなければならぬということが言われるだろうと思うのでございますが、残念ながら個人の支出については、政府の見通しては、五十九年度は三・一%、そして六十年度に四・一%を見込んでおるわけでございますけれども、これはなかなか私は困難だろうと思うのです。そういった点で、この困難な事態をどうやって乗り越えていくかということについて一体政府はどれだけの力をかそうとするのか、これが私は問題だろうと思うのです。 今までのところ、昨年も竹下大蔵大臣と論争をいたしましたけれども、政府支出が非常に少ないということは統計上も明らかですが、財政が、経済に対する寄与率はゼロである、中立だと言っております。これはゼロだということで景気を刺激し、景気の回復を願うということを言っておりますけれども、実際は、財政運営からいいますと、それに対するてこ入れは何らしてないという状態ですね。国公有地を何か売却しようというようなことがせめて言われておるわけでございますけれども、あとは民間活力に頼るということでございますが、今私が申し上げた消費拡大、そのためには何といっても労働分配率を上げなければならぬ。労働分配率を上げるためにはやはり賃金をアップしなければならぬ、こういう仕組みになってくるだろうと思うのです。経企庁長官は、雇用者所得はふえるだろう、こう言っているのですが、さっき私が申し上げた中身が問題だ、こういうように私は言ったわけでございます。 そういった点から見て、この際、ただ単に民間活力というだけでなくて、政府自身の考え方からいってもこの労働分配率を上げる。労働分配率を上げても、今物価はいわば安定期にあるということですから心配ない。企業収益は上がっておるということでございますから、企業に対するところの打撃は少ないという状態でございまして、この際にこそ個人消費を高めるというこの三つのうちの一つの大きなファクターを、これをひとつ政府がこれから積極的に進めるために労働分配率の引き上げが非常に重要な意味を持ってくる。去年、河本さんに聞きましたところが、かなり雇用者所得を上げなければならぬ、こうおっしゃったわけでございますけれども、その点に対しては昨年以上に留意していく必要があるということについてはお認めでございますか。
○金子国務大臣 御承知のとおりの財政事情でございますので、昨年に引き続いて大幅の所得税減税をやれるような状況ではございませんし、また公共事業費を増額できるような状況でもございません。ただ、一般公共事業につきましては、ことしの予算で昨年を上回る事業量を確保しておるようなことでございますし、また税制面でも、昨年実施いたしました投資減税とあわせて、ことし、中小企業や流通基盤の強化に関する減税措置をやるようなことをいたしまして、まあ財政の許す範囲内のことは精いっぱいやっておるつもりでございます。 御承知のとおり、昨年の半ばくらいと違いまして、最近民間の力がもりもりとついておりますので、やはりその力が最大限に発揮できるような環境整備をしっかりやることが大事だということで、今いろいろな規制の緩和措置なんかをやっておる次第でございますが、お話しの賃金の問題につきましても、収益が増えておりますから、春闘で幾ら上がるというようなことは労使の間の話し合いの問題でございますけれども、ある程度の増加が見込まれるものと、冬のボーナスでも相当ふえておる状況でございますから、だんだんとそういった状況になってくるのじゃなかろうかと私どもは考えておる次第でございます。
○田邊(誠)委員 半分ぐらい意味はわかりませんでしたけれども、いずれにしても賃金の引き上げが必要だということについてはやや判明したわけでございますが、政府はこれに対してやはり誘導をしなければならぬ、こういうふうに私は思っておるわけでございますけれども、ひとつこのことについての政府側の積極的な対応ということを求めていきたい。そのことなしには内需を拡大する、そして、全体の景気を浮揚する道はないだろう、こう私は思っておるわけでございます。 今、民間の賃金のことを言われましたけれども、公務員の給与も当然です。ところが、実は人事院勧告は毎年毎年凍結ないしは値切られるという状態でございまして、人事院勧告の完全実施をしなければならない政府の責任は全く放棄しておるということはまことに遺憾であります。これは今まで見ますると、人事院制度というのはどうも有名無実じゃないか、大体人事院しかつくっちゃならないところの俸給表も政府は勝手に改ざんするという状態になってきておるわけでございますから、この辺でもって人事院総裁も踏ん張ってもらわなければならないというふうに考えておるわけでございます。どうでしょう、これだけ毎年毎年人事院勧告が値切られる、勝手に政府が措置するということに対して、一体人事院総裁、どうお考えでございますか。この際ひとつ、年一回というのじゃなくて、もう一度再勧告するというくらいの決意を持たなきゃならぬじゃないか、こう私は思っておりますけれども、人事院総裁のお答えをいただきたいと思います。
○内海政府委員 お答え申し上げます。 人事院勧告がここ数年にわたりまして抑制あるいは凍結等が行われまして、そういう状態が続いておることにつきましては私ども本当に残念に存ずる次第であります。したがいまして、我々は在来もしばしば勧告を守っていただくことを政府にも強く訴えてきておるわけでございます。昨年度におきましても強く要望申し上げましたけれども、そしてまた政府におかれましてもいろいろと実現のための努力はされたやに承っておりますけれども、残念ながらそれが実施されなかった。したがって、そういうふうなことが積み重なることによって人事院の勧告制度自体を見直すべきではないかという声が起こるということも、私どもは政府に対してもそのおそれがあるからということも申し上げてきたわけですが、さりながら、私どもが考えますと、やはり長い、昭和二十三年以来いろいろ試行錯誤もございましたが、今の勧告制度というものは制度として極めて有効に定着をしておる。これが公務員の生活の安定あるいは士気の維持、さらに生活を一層確保していくためにも極めて大事な制度でございます。その制度を守るために、政府が、あるいは国会におかれまして、慎重に御審議をいただき、ぜひ実現していただくということによって、この機能が生き、また制度も生きてくるわけでございます。制度の本質論はいろいろございましょうけれども、この制度を生かすということが今一番大事なことであろう、これが私の意見でございまして、私どもはこれからも全力を挙げてより適切な勧告を行うとともに、政府及び国会の御尽力をいただいて完全実施になるように努力をいたしたい、こういうふうに思います。
○田邊(誠)委員 心構えだけわかったけれども、私の質問の要点についてはお答えがなかったのですが、時間がないからよろしゅうございますが、勧告は完全実施されるように当然人事院としてもやってもらいたい、定着している制度を壊しているのは政府なんですから。 そこで、官房長官、今年は完全実施がされなかったわけですけれども、この積み残し分は三年間、去年まで含めて三年間でこれを実施するということを官房長官談話並びにILOに対する追加報告でもってされたわけでございますね。そういたしますると、三年間でもって積み残し分をやってみてもこれは完全実施にはならぬのです。ならぬわけですけれども、ともかくも政府はそういったことについて意思表示をされたわけでございまするから、したがってことしの政府案によって、人事院勧告との差は三%前後ですけれども、新ベースに直すと二・九幾つ、こういう状態だそうでございますが、これをあと二年間の間に大体積み残し分は解消するというのはそのとおりでございますね。
○藤波国務大臣 制度の趣旨から考えまして、五十九年度については人事院勧告が出ればこれの完全実施に向けて誠心誠意取り組むということで今日まで来たわけでございます。六十年度の勧告が出ました段階で六十年度の勧告内容を完全実施するためにあらゆる努力をしていく、これは当然のことでございます。 しかし、公務員の皆さん方のお気持ちなどを考えますと、六十年度を完全実施、六十一年度も完全実施、それは政府は努力するだろう、しかし一体今までの見送った分あるいはカットした分はどうなるのだろうという御心配が随分ございましたので、少なくとも五十九年度を含めて三年間で積み残し分を解消するという方向をやはり示唆しておくことが大事か、こんなふうに考えましてそういった官房長官談話にいたしましたけれども、しかし、繰り返して申し上げますけれども、制度の趣旨から考えまして、六十年度の勧告が出たら六十年度の勧告を完全実施するようにあらゆる努力をするということが建前でございますし、またそのように努力をしたい、こう考えておるところでございます。
○田邊(誠)委員 この内容についてはまだ同僚議員からさらに突っ込んだ意見開陳があると思うわけでございまして、人勧完全実施に向けるところの政府の改めての決意を特に要求しておきたいというふうに思っておるわけでございます。 そこで、財政運営については時間がございませんので多くを申し上げることができませんが、やはりさっき申し上げたような内需型経済成長を遂げるためにはどうしてももう少し積極的な財政運営をしなけりゃならぬということは当然だろうと思うのでございまして、全体のパイを大きくしていかなければこれはどうにもならないということが言えるのじゃないかと思うのでございます。やはり国民の生活を第一に考えて、その上に、そのために財政があるという観点から言えば、ただ単にいわば総理が言っているような臨調行革路線というだけで事が済まなくなってきておるということは当然だろうと思うわけでございます。さっき私が申し上げたように、国民生活は非常に狭め、抑制をしながら、防衛費だけは突出する、こういういわばまことに偏った予算を組むという形になったわけでございまして、そういった点で我々としてはこの予算の性格について非常に大きな疑念を実は持っておるわけでございます。 その点でもって一つだけお聞きしておきたいのは、地方自治体に対する高率補助金でございますね、この一律カットでございまするが、これはさっき私が申し上げたような国の責任のあり方からいっても問題でございまするし、長い歴史がございますね。私は戦後の歴史も繰ってみたのですけれども、これは実は最初からなかなか問題のあったところだということでございますが、四十年間定着してきたところのいわば制度である、これを一挙に覆すということは国の責任のあり方からいって我々はとるべきでない、こういうふうに思っておるわけでございますが、これはまさしく一年限りの措置であって、前の行革特例法のように三年間だと約束をしながら三年たったらまた引き延ばすというようなことは、この一律カットについてはこれは絶対ないということをひとつはっきりと確約していただきたい、こう思っていますが、いかがですか。
○竹下国務大臣 今御指摘になりましたように、高率補助率の引き下げは六十年度における措置として実施することにしておりまして、したがって、法律上一年限りの措置で御審議をお願いするわけでございます。 六十一年度以降の取り扱いにつきましては、今後、所要の検討を行って適切に対処していくわけであります。 このことでございますが、今御指摘になりましたように、このたびの高率補助の引き下げによりまして、経常部門で約二千六百億円、投資的経費で約三千二百億円、御指摘の五千八百億円、この地方負担が増加するわけであります。したがいまして、これを交付税の特例措置で千億、建設地方債で四千八百億ということでこの措置をしたわけでございますが、今も田邊委員から御指摘がありましたように、なかんずく社会保障に係る補助金というようなものは昭和二十一年、二十二年、長い議論が積み重ねられて、言ってみれば定着した一つの補助体系というものがあるわけであります。 私どもといたしましては、行財政改革の制度、施策の根本にさかのぼって、すなわち国と地方の役割分担、費用負担の見直しということでことし議論してみよう。しかし、結局私どもが合意をいたしましたのは、とりあえずは一年限りの措置として、本当に、その後経済、社会の変化も生じておりますので、いかにあるべきかという議論を、一年間きっちりした議論をしようじゃないか、こういうことでもって今年は一年限りの措置として法律は御審議をいただくことになった。だから、今後の問題につきましては、昭和六十年度以降の補助率のあり方については、まさに国と地方の間の役割分担、費用負担の見直し等とともに、政府部内において検討を進め、今後一年以内に結論を得るものとするという合意に達して、とりあえずは一年限りの法律を御審議いただくということになったわけであります。
○田邊(誠)委員 大体こういう制度の根幹にかかわることを変えるときは、一体制度はこうあるべきだということがまず決まって、それによって変更するなら変更するという形にならなくちゃいかぬ。あるべき姿は全然わからないでもって、とりあえずそっちから借りておこう、こういうような無定見なあり方というのは許されない、こういうように私は思うのですね。 ですから、この制度自身は本来、これは私が申すまでもなく、憲法規定から言うところの最低保障を国がするというこの精神から来て、いろいろな議論があったけれども、ひとつ、例えば生活保護等については八割の負担は国がすべきである、これは国民的な合意であるだけでなくて、政府が今までいわば不磨の大典として持ってきたところの基本的な原則なんですよ。とりあえずなんという形でもって無定見にこれは変更すべきものじゃないということであるから、この出し方自身が誤りであると同時に、そういったことであるとすれば、とにかく一年限りというこの法律について我我は賛成はできないけれども、しかし政府としてはこれは一年限りでもってもうやめる、そして制度全体にかかわるところの問題については改めていわば国民的な合意を得るということが筋道じゃないでしょうか、これは。ですから、これ保から検討するなんということは、これはやはり政府として言うべきことじゃない。 そんなことでもってこれだけの大問題をいわば政府が財政上の措置だというだけでもってやることは一体どういうことになるか。これはすべての自治体、議会が、これに対しては反対だという意思表示を都道府県議会全部やりましたね。当然だろうと思うのです。ですから、そういった意味合いでは、これは一年限りでやめます、こういうことをはっきりしなければ、私はこの補助金法等の変更に対するところの法律の審議はにわかにできない。
○竹下国務大臣 私のお答えの中で「とりあえず」という表現は適切を欠くと思いますので、これは取り下げさしていただきます。 今、田邊書記長の御意見、補助金の一律カットは一年限りの措置である。まさに今回の高率補助率の引き下げは六十年度における措置として実行しておるわけでございます。一年限りの措置であります。 今後いかにするかということも、今田邊書記長御指摘の、確かに昭和二十一年憲法が制定せられまして、社会保障は国の責任においてやるという長い議論があって、当時GHQは二十億でしたか、大蔵省は一億、厚生省は七億、これが昭和二十二年の予算のときの生活保護論争の基礎にある数字であるようでございます。いろいろな議論をして、その後も議論いたしましたが、不磨の大典という表現をそのまま受け入れるかどうかは別として、そういう長い議論の中に定着したものであることは私もそのとおりであると思っております。しかし、その後いわば経済情勢あるいは国と地方との負担区分等いろいろな角度から検討する時期に来ておる。そこで、一年限りです、が、今後はやはりかつて議論したと同じような広範な議論の上でしかるべき負担区分というものが決まっていくべきものであろうという考え方でございますから、心がけの違いが若干あっても論理の筋は余り田邊さんと私と違ったことを言っていないような感じがしております。
○田邊(誠)委員 竹下さん、あなたは当面だけそうやって切り抜ければいいと思うけれども、あなたも長い政治家としてこれからますます発展しなければならぬ、こういう立場にあるのだから、やはり責任を持ってこれに対応するということがなければならないだろう、私はこういうふうに忠告しておきます。 この一律カット問題について、ぜひ委員長、我我としてはこれに対する明確な答弁をいただくことがこれから先予算委員会だけでなくて今後の法律審議について非常に重要だ、こういう認識の上に立って、この問題と行革特例法の三年延長をさらに延伸する、こういう問題についてはぜひひとつ各党間の話し合いをしてもらうことを要望いたしますが、いかがですか。
○天野委員長 結構です。御期待に添うようにいたします。
○田邊(誠)委員 時間が大分経過をいたしましたので、ずっとした流れを申し上げますと時間をとりまするから全部省かしていただきまして、財政運営のアウトラインをきょうしたかったのでありますが、それはまた同僚議員に譲らしていただきまして、財政再建のこれから先のいわば筋道ですね。大蔵省からの提示をされました「財政の中期展望」も拝見をいたしましたが、このままでいきますると今後いわば歳入欠陥、要調整額が三兆円ないし六兆円も出てくる、何とかしなければならぬということが言われておるわけでございます。したがって私自身は、さっきも申し上げたように、発想の転換をしなければならない、やはり全体的な経済をさらに掘り起こして、そして国民の所得もふやし、その中から税収もふやす、こういう積極経済への転換を求めておるわけでございまするが、政府は相も変わらず歳出カットを主体としたところの財政手法を今後もとっていく、こういう考え方でございます。そういったことでは財政再建は達成できない、私はこういうふうにも考えておるわけでございます。 総理の、増税なき財政再建は理念として持っておる、このかんぬきを外したらばもうどうなるかわからぬということでもって、理念として持っておるということでございまするが、この発言は微妙に変わってきておるわけですね。最初は大型間接税は導入しない、新規増税は行わない、税負担率は変えない、こうだんだんいろいろと変わってきておるわけでございまするが、率直にお伺いして、なかなか財政再建ができづらい状態になってきているというこの認識の上に立って、一体今後の取り組みとしてのいわば基本の手法は何か。歳出カットだけに偏ることはできない。ましてや国民からの要望もあり、今申し上げたように自民党からの強い要求もあって、整備新幹線の着工等、いわば行革路線から一歩はみ出すような、そういう予算編成もせざるを得なかった、こういう状態の中でございまするけれども、そこで歳入について何を主体に考えるかといえばやはり税制である。改正をしなきゃならぬ。そこで政府は、税制全般にわたる改革を検討する、こう本会議で施政方針演説で言われましたね。大蔵大臣は税制全般にわたる広範な角度からの論議と検討をする。これもちょっとニュアンスが違うのでございまするけれども、そういう中で、今まで政府が公約をしてまいりましたいわゆる大型間接税というものは導入をしないという中曽根内閣の公約、これは今後も持ち続けられる、こう認識をしてよろしゅうございましょうか、総理。
○竹下国務大臣 簡単にお答えいたしますと、昭和五十四年十二月に否定されましたいわゆる一般消費税(仮称)、その手法は財政再建の手法としてとらないという国会決議は今日もなお生きておるというふうに私は理解しております。
○田邊(誠)委員 大蔵大臣、大型間接税と言うけれども、総理は私の質問に対して、昨年は、いわゆる一般消費税というところの大型間接税は導入しない、こう言って、なかなか、使い分けているのか意識してやっていないのか知りませんけれども、言葉の使い分けをしているのですね。 大型間接税と言われるものの中には幾つかありますね。私が言ってもよろしゅうございますが、一つは製造者の消費税、庫出税、それから卸売の売り出し税、小売の売り出し税、付加価値税、取引高税、こういうものでよろしゅうございますか。一般消費税とあなたが言っておるものはこの中のどれに属するのでございますか。
○竹下国務大臣 五十四年度の政府税調から答申を受けたこれがいわゆる一般消費税(仮称)、こういうものでございます。いわゆる一般消費税というのは多段階方式と単段階方式とあります。かつて議論したのは多段階方式の問題でございました。したがって、今、国会で明確に否定されておりますのはかつての一般消費税(仮称)、これは否定されておる。あのときも随分議論しましたのは、とはいえ消費一般に係る税制全部否定したら税の議論はできなくなるじゃないか。したがって、そこに非常に限定していただいたわけです。だから、いわゆる消費一般に係る税制そのものの議論というのは、これは私は将来ともエンドレスに続く問題ではなかろうかというふうに思っております。 そこで、今度ちょうだいしました答申というのは、それらを含めて基本的に検討すべき時期が来ましたよという御答申をいただいて、それを問題意識として今日持っておるということでございます。
○田邊(誠)委員 頭のいい竹下大蔵大臣が切り出したいわば論法でございますけれども、これは私ばかりではなくてどなたが聞いておってもわからないのでございまして、いわゆる大型間接税は導入しないと言う中には一般消費税もあるし、私が今申し上げたようなものもある、いわゆる大型間接税なんですからね。何も間接税全体まで-今、現に行われているのですからね。ですから、いわゆる大型間接税と総理が定義したんですよ。総理が約束された。そして、国会でも、一般消費税というものは導入しないという決議がある。こういうことでございますから、総理の言われた大型間接税というのは、私が今五つばかり列挙しました、その中のいわば付加価値税というものがいわゆる一般消費税に当たる、こういうふうにとられておるようでございまするが、それらを含めて大型間接税の導入は中曽根内閣はしないという約束は今日でも守られますね。
○中曽根内閣総理大臣 流通の各段階に投網をかけるように総合的にその売り上げ等について税金、消費税をかける、そういうような考えは持っておりません。私は、一般消費税を導入しないと言ったのはそういう意味でもあるし、そういう精神に基づいて今後税制というものを考えていきたい、こう申し上げる次第です。
○田邊(誠)委員 念を入れて、一般消費税を含むところの大型間接税の導入はいたしません、もう一度言ってください。
○中曽根内閣総理大臣 これはその定義がどういうふうになるかということでも大分違うのであります。では、大型と小型というのはどこが違うのか、そういうような問題がすぐ出てくるわけであります。しかも、今田邊さんがおっしゃるように、間接税は現に物品税そのほかでとられておる、そういうようないろいろ定義の問題もありまして、それは税制調査会や専門家がよくケースごとに分析してみないと一概に申しにくい点もあるのであります。したがいまして、私が今申し上げたような考えに立って消費税という問題については考えておるということを申し上げました。それ以外の問題につきましては、今後課題として取り組むと申し上げました総合的な抜本的な税制の改革の取り組み、そういうときにおいて検討してみたい、また、そうなるべきものであろう、それについては政府は白紙である、こういうふうに申し上げておるわけです。
○田邊(誠)委員 私の方で要求したり、いわゆる強要したりしているわけじゃないのでして、あなたが言っていることは今日も引き続き守られますか、こう言っておるわけなんです。中曽根さん、あなたが言ったのですよね。同僚の岡田議員の質問に対しても、大型間接税は導入いたしませんということをこれは明確に言っておるのですから、そのことは今日も守っていかれますね、こう聞いておるので、これは委員長、ちょっと注意して、きちんと答弁させてください。
○中曽根内閣総理大臣 この点は衆議院本会議でも申し上げましたが、ともかくシャウプ税制以来の税のゆがみあるいは不公正、こういうようなものを改革したい、その改革の本旨は、増収のためではない、財政再建のためではない、ともかく四十年近くになる長い間のゆがみや不公正、不公平、あるいは国民の不満、こういうものを考えて根本的に見直していただきたい。そういうことを申し上げまして、その中にこういういろいろな問題、直接税、間接税の問題も当然入ってくるだろうと思うのです。そういう場合に、私たちが先に予断を持ってあれこれしろというようなことは申しません、ただ先ほど申し上げましたような類の消費税は、これは私はここではっきりやりませんと言っているわけでありますから、やりませんと申し上げておきます。(「答えになってない」と呼び、その他発言する者あり)
○天野委員長 総理、簡潔にひとつ今の質問に答弁してください。
○中曽根内閣総理大臣 いわゆる大型間接税という定義が甚だ不明確で、いよいよ本格的にこれを検討するという場合には専門家の検討をまたなければ難しいということになり得ると思います。ただ、私が申し上げましたのは、間接税の中でも、さっき申し上げたような類の間接税はやりません、そういうことを私は申し上げました。それ以外の、では間接税はどういうものがあるか。物品税もありましょうし、その他のいろいろなものもございましょう。それがどの程度広げられるものがいわゆる大型となり、あるいは小型となり、中型となるか、そういう点は、専門家のある程度の検討、あるいは国会議員の皆様方の御感触、御見識等も聞かなければなかなか定義づけにくいものがあるわけです。私は、間接税の中でもこれはやりません、そういうことははっきり申し上げておるのでありまして、あとは専門家の検討にまとう、こういうことで御了承いただきたいと思います。
○田邊(誠)委員 それは総理の方から言っているのです。総理はあのとき、我々に対する答弁で、間接税というものの定義はよくわからぬのだ、しかしともかくも間接税は導入しない、こんな不見識なことがありますか。一国の総理大臣が国会において大型間接税は導入しませんと言った以上は、あなたはちゃんとその定義を知っておって答えたのじゃありませんか。そんな不見識なことは許されません。したがって私に対するところの昨年の答弁、そしてまた同僚の岡田利春君に対するところの答弁、大型間接税と称するものは導入する考えは持っていない、これは公約であると言っていいかと言ったら、結構だ、このことを私は問うているのでございまするから、総理がその公約、党首会談においても我々に対して明確に言ったところのその公約、中曽根内閣の公約、これに対してはっきりと守っていただくということに対してきちんとした答弁を求めたい、こう思います。
○中曽根内閣総理大臣 一般消費税型という大型間接税は導入しない、こういうふうに申し上げます。
○田邊(誠)委員 これはもう一度本委員会におけるところの今までの議事録も調査をされて――今のは明らかに総理は食言に当たりますよ、そんなこと言ったら。あなたは、大型間接税は導入しない、これは公約と言っても結構だ、こういうふうに言い切っておるじゃありませんか。だから、そのあなたの公約と言われた答弁は変わったとおっしゃるのならば、私の考え方は変わっているのですよ、こう言わなければいけないのですよ。これは重大な政治責任になりますよ。中曽根内閣の重大な政治責任であるということについて、ひとつお考えの上でもってこれに対して対処願いたい、こういうふうに思います。委員長の方からも、ひとつこれに対して、これは政治的な責任ですから、口先だけでもって終わる問題じゃないのだから、明確にしてもらいたい。
○天野委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 正午休憩 ――――◇――――― 午後一時開議
○天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。田邊誠君。
○田邊(誠)委員 午前中の最後に総理に確かめました大型間接税導入はしないという中曽根内閣の政治公約、昨年来の私に対する答弁、同僚議員に対する答弁、ないしは党首会談において大型間接税は導入しないと約束されたところの総理の発言、こういった点から見て、先ほどの答弁は極めてあいまいでありまして、私としては了解はできません。したがいまして、引き続き当委員会において、同僚議員を通ずるところの質疑の中でもって明確に政府としての方針を示されたい、このように強く要求をいたしておきます。委員長、よろしゅうございますね。
○天野委員長 そのようで結構です。
○田邊(誠)委員 それでは、まだ内政問題が残っておりますが、特に当面の重要課題である国鉄の改革の問題、ないしは教育改革の問題がございまするけれども、時間の余裕がありましたならば質問をすることにいたしまして、とりあえず外交問題について質問をさせていただきたいと思います。 総理は、一月のレーガン大統領との会談、ないしはニュージーランド、オーストラリアその他の諸国に対するところの歴訪、首脳会談、一連の外交日程をこなしてこられたのでありますが、私は、これをずっと通じて見ましても、総理の言うところの今年は平和と軍縮の年にしたいということがいささかも実行されていないのじゃないか、実はこのように大きな危惧を抱いておるわけであります。一体あなたの言うところの軍縮を目指すということは何なのか、国民から見たときには、どうも逆の方向に行っておるのじゃないだろうか、実はこのように考えられるわけでございまして、ぜひとも国民の願うところの軍縮、特に核廃絶を目指すところの核軍縮、これをひとつ我々は今年の大きな政治課題としてとらえていかなければならないというふうに考えておりますので、さよう御承知をいただきたいと考えるのであります。 ロサンゼルスにおける日米首脳会談は、実は幾つかの大きな課題に当面して会談が行われたというふうに思っております。後ほど確かめますところの貿易摩擦の問題あるいは経済協力の問題、その他の問題についても重大な問題でございますが、まずもって最大の関心でありましたのは、SDI、すなわちスターウォーズ計画と言われる宇宙の軍事化の問題でございます。このレーガンの提案に対して、総理は、将来の発展がどうなるか、これは我々はわからぬけれども、ともかくも、しかしレーガンが言っておることであるからこれに対しては理解を示す、こういうことを言われたと承っておるのであります。 中曽根総理の理解としては、幾つか挙げられておりまする理由の中に、自由社会を守るため、あるいは包括的な軍縮の一環である、核軍縮につながる、防衛的な性格を持っておるのだ、非核兵器である、いろいろなことを言っておるのでありまするけれども、あなた自身がその後のステートメントで発表されているように、これから先の発展がどうなるかわからないのだ、研究開発というのがどうなるかはっきりしない点がある、したがって憲法や国是、日米安保条約の運用上のことにかかわるから、いわばその都度その都度節目において協議を求めていきたいと言われるのですけれども、一体この、内容がはっきりわからぬものに対して理解を示すというのは、我々の常識ではできませんね、これは。内容がよくわかっておるから理解を示したというのならば、これはまた話は別ですけれども、将来についてのいろいろな、わからぬけれどもまあともかくレーガンが言うのだから本当だろう、これは非核三原則の核船艦の寄港と同じなんですよ。向こうが言うから、あるいは向こうが言わないから問いたださない、これと全く軌を一にする問題でありまして、我々としては断じてこれを承服することはできない、こう思っておるのでございます。 第一、この中身が一体どうなるかということについては、アメリカの中でも非常に大きな疑問がある。西欧諸国の中においても批判を持っておるということでありまして、それぞれの思惑がありまするからサッチャーなりミッテランなり、それぞれの意見があるわけですけれども、消極的な態度を示すようなものもあったりという形でございまして、アメリカの中にも、完全な要撃網の建設というものは不可能じゃないかという意見もある。要撃技術は進歩をするけれども、それをしのぐところの、それを上回る攻撃兵器ができるんじゃないかと。私も思いまするけれども、このSDI、いろいろと研究してまいりましたけれどもよくわからない。しかし、ただ一つ言えることは、これは究極兵器にならない。ただ核を用いないというようなことだけであって、そういった形だけでもって、一体これが完全な核攻撃を防ぎ得るものになるかどうか、これは疑問である、こういうように言われておるわけであります。 そういったことはさておきましても、宇宙の軍事化ということについては、国民はだれしもこれに、対しては納得しないということではないかと考えておるわけでありまして、これは私からちょうちょう説明するまでもなく、我が国の宇宙開発及び利用の基本に関する国会における決議があります。そして宇宙条約があります。国連における決議があります。国連の決議のときにはアメリカが反対をして、イギリスは棄権したけれども、それ以外の国は全部賛成した。このときは日本も、これに対して実は賛成をしたという形でございますね。したがって、この条約や国連決議や、そして何よりも我が国がとっておる今までの非核の国是、そして宇宙を軍事化しないという国会決議、こういった点からいって、あなたがこのレーガン提案に対して理解を示したということは、この三つからいって大きく踏み込んだものである、余りにも危険なものを持っておる、将来に対して大きな禍根を残すものじゃないだろうか、こういうふうに我々は心配をいたしておりまするけれども、総理はいかがでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 いわゆるSDI、戦略防衛構想につきましては、我々が理解している範囲内におきましては、大陸間弾道弾いわゆるICBMを発射して、そしてモスコーなりワシントンなり、到達する間に五段階でこれを要撃して無力化する、そういう研究でこれが進められて、途中で無力化させてしまうやり方は、核兵器を使わない、そしてこれは完全に大陸間弾道弾を無力化するというので、相手を攻撃するという兵器ではない、そういう意味においては防御兵器であり、核兵器の機能を喪失させる兵器である、そういう考えであるということを我々は聞いておりまして、これは非常におもしろい一つのアイデアである。この宇宙を大陸間弾道弾で原爆が飛び交うというような、こんな物騒な危険なことは一日も早くやめてもらいたいと私たちは思っているわけでありますから、そういうものをやめさせる、そういう新しい発想が出てきて、これがある程度有望であるという状況になってきていると思うのです。 ですから、ソ連はこれが最大の関心事でジュネーブ会議に応じたと新聞でも報ぜられ、皆さんもそうおっしゃっておられるわけです。ソ連がジュネーブ会議に応じてきたという背景を考えてみれば、やはりSS20を片っ方で先に展開したけれども、片っ方ではパーシングⅡが展開され、あるいはクルージングミサイルが展開されて、だんだん均衡がまた回復されてきた。そこへSDIという大陸間弾道弾の機能を喪失させるような兵器を研究し始めるということで、あるいは研究がかなり進んでいるかもしれぬ、こいつは大変だというので、私は、ジュネーブ会談というものが開かれた面が一面ですけれどもあるのだろうと、そう思います。 そうであるならば、我々の情勢判断におきましては、この兵器は余り甘く見ることはできない。また、この将来性について深く研究してみる必要がある。今まで、第二次世界大戦まではいわゆる通常兵器の戦争でございました。第二次世界大戦が終わったら、今度は核爆弾の体系に入って、お互いがICBMを持っていて、我々の上空を行ったり来たりして核爆弾が飛び交うという、ICBMというような第二段階が出てきた。今度は二十一世紀にかけて何が出てくるであろうかという兵器体系の進歩を見た場合に、このICBMや長距離弾道弾が無力化されるという形で出てくれば、これは核廃絶へ向かって進む上に一歩前進になるかもしれぬ、そういうような感じもしないではないわけであります。これは、我々が一番念願していることにやや近い方向に行く可能性も十分あるわけであります。そういう意味において、これは核廃絶を目指す防御兵器である、そういう意味において我々は理解を示した、こういうことなのであります。 しかし、これが、具体的に五段階でこれを遮断するのか、遮断する方法がどういう方法で行われるのか、これからの発展段階はまだ秘密にもなっており、またどういうふうに展開していくかもわかりませんから、これはその都度情報を供給してくれ、また随時協議してほしい、そういうことを言いまして、先方は承知しました、こういうことになったのであります。これは核兵器を地球上からなくそうという我々の悲痛な願いへ向かっての一つの理解である、そのようにお考え願いたいと思うのであります。
○田邊(誠)委員 私は、総理の持っておるところの基本的な理念というのが大変危険だと思っておるのです。今我々は、軍事技術上の問題についていわばせんさくをしているのじゃない。あなた、なかなかおもしろいアイデアだと。おもしろいアイデアだなんと言って、人類が絶滅するような方向に行くことについて我々はくみすることは断じてできない。 何よりも私は、中曽根さん、あなたが何か米ソの超大国と同じようなレベルでもって物を考えたり、物を律したり、それと協議するような、そういう錯覚に陥っているのじゃないですか、あなたは。我が国が持っているところの憲法、非核三原則、こういった国是の上に立った日本、この日本の総理大臣として、あなたがアメリカに渡ったときに一体どういう立場をとるべきかという、あなたは基本的なことを忘れているのじゃありませんか。何か、世界に秀でるところの総理大臣である、列国に肩を並べるところの中曽根だというような意識ばかりが先に立って、一体あなたは日本の足元というものを、これまで我々がたどってきたところの四十年間の足元を、あなた方の自民党ですらも、戦後において軍事は経済に優先させないと言っていたんじゃありませんか。それをあなたは今一挙に覆そうとしている。そこに大きな危険を感ずるから、我々は、この計画に対してあなたが、将来はわからぬけれどもとりあえず理解を示したなんということを許すことはできないのです。 何よりも、あなたは一生懸命、五段階がどうだなんということを今言ったけれども、その程度の知識は私持っているが、問題は、いわば宇宙の中でもってそれが戦場化される、宇宙が軍事に利用されるということに対して、我々は、それはいけないぞ、日本の国是からいっても国連の決議からいっても宇宙条約からいってもいけないぞということをきちんと基礎に置いて、前提に置いて、このことに取り組むという姿勢がなければ、国民は納得しない。我々の日本の将来を危うくする、こういうことになるのじゃないだろうかと我々は考えておるのです。どうですか。あなたの基本的な理念、日本の総理大臣としての持つべき立場、これを放棄してまでいい格好されて意気揚々と帰られても、我々はそれに対して納得することはできない。私の言うことは間違っていましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 日本の総理大臣は、世界のどの国の総理大臣や大統領よりも核兵器の廃絶に向かっては熱心でなければならぬし、声を大きくしなければならぬ、私はそう思っておるわけです。したがいまして、この核兵器を廃絶するという目標の、そういう構想なりそういう考え方が出てきた場合には、かなり勉強もしてみて、そしてその可能性が将来あり得るということを見たら、これは核兵器廃絶のために我々としては理解も示し、そうして核兵器を一日も早く地球上から消滅させるために全力を注ぐというのは、総理大臣としての義務であると私は考えている。そういう意味において、大陸間弾道弾をふやせとかなんとかという話ではないのであります。これをなくそうという話なんです。 しかも、現に今アメリカ、ソ連はICBMを持っていて、いざというときになれば宇宙にICBMが飛んでいくという状態になって、宇宙自体が使われるという可能性が今ですらもあるわけなんです。いざとなれば、宇宙が核戦争、大陸間弾道弾の使われる通路になるわけでしょう、今の状態でも。それをなくそうという意味でありますから、私は、やはり次の時代、人類の平和や文明を考えて、これは我々としては真剣に考うべきものである、そう思って理解を示した、こういうことなのであります。
○田邊(誠)委員 私は、日米関係の中でもってあなたがいろんなことを約束されてきたけれども、そのことによってあなたが背負った荷物が非常に大きいぞ、責任は重いぞということを言いたいのであります。こういったことに対して、日本の果たす役割というのをお忘れじゃないですか。今、大陸間弾道弾が飛び交うという状況の中で、日本が一方の側にくみして力の結束を示さなければならぬという、そういう発想が間違いじゃないですか。被爆国日本、平和憲法を持っておる日本の総理大臣としては、別のいわば立場があるのじゃないですか。別の核廃絶に向けるところの努力があるのじゃないですか。こういうことを私は言いたいのでありまして、あなたのそういった強弁に対して、我々は納得することは断じてできないということだけ申し上げておきたいと思います。 そこで、防衛問題はいろいろございまするけれども、私は、その中の象徴的なこととして、今まで我々が取り組んでまいりました防衛費のあり方について実は問いただしたいと思います。 多くを語る必要はないだろうと思うわけでございまするが、総理にその決断を、そしてまたお約束を願う前に、安倍外務大臣、あなたは昨年の六月十二日におけるところのジュネーブ軍縮会議において外務大臣として演説をされ、そしてその中では、日本は「平和への決意に立って、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国にならず、また、核を持たず、作らず、持ち込ませず、との所謂非核三原則を堅持しつつ、軍縮の促進に務めることを以て、一貫して我が国外交の基本方針としてまいりました。」こういうふうに実は述べておられる。私は、これはなかなかいい演説だろうと思います。 そして、あなたは、昨年の衆議院の外務委員会、五十九年十一月九日でございまするからまだ最近でございますが、我が党の土井委員の質問に答えて、「軍事費のGNPに占める割合を一%以内に抑えるということは、三木内閣のとき閣議で決まりまして、現内閣もこれを踏襲しておるわけでございます。閣僚としても、これを守るための努力を重ねておるわけで、こうした日本の姿勢というのが、おっしゃるようにアジアの国民をして日本が軍事大国にならない決意をしておるという一つの象徴といいますか、あかしであるというふうにも私は思いますし、こうした軍事大国にならないというこの道がまさに日本の」これから先進むべき道である。日本「外交を強く進める推進力になるということを、私はロサンゼルスの演説でも強調したわけでございます。その気持ちは今も変わりません。」と、これも明確に答弁をされておるのでございます。このジュネーブの軍縮会議における外務大臣の演説、そしてこの国会におけるところのあなたの答弁、私はこれはまことに一見識であろうと思っておるわけでございますが、この発言は今でも変わりございませんね。
○安倍国務大臣 もちろん、日本の基本的な方針として軍縮を世界に向かって強く推進していくということは、日本の外交の基本中の基本であると思いますし、さらにまた、国会で答弁をいたしました一%を守っていくという三木内閣の考え方を歴代踏襲してきたわけでありますし、これを中曽根内閣としても踏襲するために努力をするということも、これは閣僚として当然な考えてあります。これを素直に言ったまでのことであります。
○田邊(誠)委員 河本さん、河本大臣も随所でもってこの防衛の問題について御発言をしておるわけでございますが、あなたの著書を拝見をいたしました中にも、「皆さんもご案内のように平和憲法、非核三原則、シビリアンコントロール、専守防衛、これは我が国の防衛の基本方針であります。そして予算の面ではGNPの一%以内ということで、平和国家としての路線を歩んで参りました。最近、これに対して何か勇ましい論議が出ているけれども、私は冷静に対処する。」すなわち、一%の枠は守っていくということが何より大事であるということを二度にわたって実は言われているのを私は拝見して、これまた河本さんらしいところの考え方だ、私はこう思っていまするけれども、あなたのこの考え方は今でももちろんそのとおりでございますね。
○河本(敏)国務大臣 そのとおりであります。
○田邊(誠)委員 そこで総理、この一%問題はいろいろあります。いろいろな考え方がありまするけれども、これは私は去年も当委員会でもって質問をいたしましたとおりでございまして、繰り返す必要ございません。これはただ単に数字の問題でない。これは三木内閣で五十一年に決定いたしましたのは、その前にいろんな防衛論争がありました。三次防、四次防、いろんな実は論争がありまして、与野党間の話し合いもあったという中でもって、自民党政府としての方針が決められた。したがって、ややもすれば軍拡に走ろうとするのじゃないかという国民が危惧を持っている、そのことに対して政府みずからが律して平和原則として定めたものである、このように承知をしているからこそ、歴代の自民党政府はこれは防衛の基本である、こういうふうに言って守ってきたのではないかと私は思っておるのであります。 したがいまして、この一%問題について、あなたは本会議でもっていろいろと実は答弁をされております。いろんな答弁をされておりまするけれども、しかし、昨年、私に対してもしっかりとしたお約束をいただき、そして党首会談その他を通じて見ましても、あなたは一%の枠は中曽根内閣としては守っていくと実は言われてきました。まさに中曽根内閣の政治公約であります。これは国民に対するところの明確な実は公約である、このように私は承知をいたしておるわけでございまして、そういった意味合いでの考え方に立つならば、当然ただいまも中曽根内閣としてはこの防衛費、GNP比一%の枠は守っていくということは間違いないですね。改めて明確なお答えをいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 昭和六十年度の当初予算におきましても、一%以内にとどめるように全力を尽くしまして、そのとおり実行いたしました。ただ、政府といたしましては、「防衛計画の大綱」水準にできるだけ早く近づける、こういう方針を持っておりまして、これは三木内閣以来、大体そういう方針を継続して持ってきておるのであります。しかし、一%以内にできるだけとどめよう、全力を尽くしてそういう方向で今までやってきたわけであります。しかし、実際、現実問題になってみますと、この一%との幅が非常に少なくなってきました。これは認めざるを得ない。そういう状況のもとに今後のことを考えてみると、人勧がどうなるか、ことしの経済成長がどういうふうになるか、そういうようなことにもよって情勢は必ずしも安定はしていない、そういう状態であるということは遺憾ながら認めざるを得ないのであります。
○田邊(誠)委員 その論議は昨年もいたしてきたのであります。昨年もGNPが動くじゃないか。GNPはあなたの方で決定しているのですよ。ことしの見通しとして決定したことである。昨年、実は不確定要素があるというようなことを言われたけれども、我々はこれは承知できないと言った。ことしは、この不確定要素というのはほとんどないのです。私は、GNPがどのくらい動いたかも知っている、それでもって引き直した試算も持っている。そんな、実は数字じゃないのです。あなた方が今まで本当に日本の防衛の基本としてとってきたところの原則、この原則というものは、中曽根内閣は今後もきちんと守っていくということを表明されなければならない、こう思っておるわけでございまして、できるだけ守るなんということは、昨年も言いましたけれども、それでは承知できないということでもって、改めてあなたははっきりとGNP一%の枠というこの閣議決定は守ってまいりますと言ったのですから、ことしもそのとおり守っていきます、こういう答弁をいただかなければなりません。
○中曽根内閣総理大臣 守っていきたいと思っておりますと、こういうふうに申し上げておるわけです。ただし、ことしは昨年の答弁から比べますと、条件がついてきておる、これらの計数、関数の変化にもよります。しかし、守っていきたいと思って、努力したいと思っております。そういうふうに、昨年と比べて答弁の変化があるということは認めざるを得ません。
○田邊(誠)委員 それは断じて承服できない。一%問題は、いわば三木内閣当時のGNP比一%の間があいているときは精神訓話だと私は言ったのだ。このいわば間があいていない、天井まで間際に来た、ここに初めて一%枠を守るという政府の決定が生きてくる、これは。したがって、中曽根内閣としては、このGNP比一%の枠は断じて守ります、こう言ってもらう以外には、私はこれ以上進めることはできない。
○中曽根内閣総理大臣 これは前から各歴代内閣も申しておることでございますが、「防衛計画の大綱」水準にできるだけ早く近づける。このGNP一%問題というのは、閣議に出てきましたのは、私の記憶では、たしか大綱水準が先に決定されて、それから一週間ぐらいでこの閣議了解、閣議決定がなされたものであります。つまり、大綱水準というものが先にできているわけなのであります。これは四次防というものをやりまして、四次防の次にどうするのかといろいろ議論がありましたときに、たしか今の議長の坂田君が防衛庁長官であったと思いますが、基盤防衛力という発想のもとにこの大綱水準を決めまして、この大綱水準を今度は実行しようというのが第一義に出てきたわけです。四次防の次に来るものは大綱水準の達成、大綱水準の達成をやるために年度ごとの中期業務計画を防衛庁内部は内部としてこれを策定した、そういう体系に変わってきたわけなのであります。 それで、大綱水準達成というこの一番大きな目的を達成していく上においても、一%を守るように努力していこう、そういう気持ちを閣議で確認したわけなのであります。そういう意味では努力してまいりまして、あの当座、私の記憶では、大綱水準達成までに大体どれぐらいかかるか、当時はGNPの成長率が平均名目一三%ぐらいの予定です。当時の経済計画を見ますと、これでいきますと、大体数年で大綱水準は達成できるという見通しであったように思います。数年とは何年だというと、明確な答えはできませんが、多分五、六年とか五年と十年の間とか、その程度の考えがあったと思います。その間において、二度の石油危機によって名目成長率がぐっと下がってきた、そして大綱水準の達成が非常に難しくなってきたが、その中におきましてもみんな努力してきたわけでございます。 大綱水準の達成を大体その予定年度で実行したい、それはやはり私は変わっていない。なるたけ早くやりたい、これは自民党政府としての重要政策でもあるわけでありますから、我々も内閣の一員としてそういう努力をしてきたわけなのであります。現段階において、その大綱水準達成にはまだかなり時間がかかる。そういう状況のもとにおきまして、やはり大綱水準達成のための努力ということを私たちはやっていかなければならないと思うのであります。 それを考えてみると、いろいろ人事院勧告やらその他の今までの累積もございまして、実際問題として幅が少なくなってまいりましたから、去年御答弁申し上げた――去年は一%以内にもうやれる、またやってみせよう、そういう気持ちがある。ことしも、あることはある。だけれども、去年よりもその可能性は薄れてきていると認めざるを得ない。なぜなれば、人事院勧告の問題やら経済成長の模様を見ますと去年とは状況が違ってきている。そういう意味で、私は正直に、今申し上げましたように、去年とは答弁のニュアンスが違っていると遺憾ながら認めざるを得ません、これこれの条件がついてきております、そういうふうに申し上げているわけであります。(「重大な発言だ」と呼び、その他発言する者あり)
○天野委員長 速記をやめて。 〔速記中止〕
○天野委員長 速記を始めて。 暫時休憩いたします。 午後一時四十五分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕