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102回国会衆議院1985/06/24

本会議 第38号

発言数
42
登壇者
16
会派数
6
開催日
1985/06/24

会議録

坂田道太無所属議長

○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。      —————・—————  公職選挙法の一部を改正する法律案(金丸信君外六名提出)及び公職選挙法の一部を改正する法律案(田邊誠君外六名提出)の趣旨説明

坂田道太無所属議長

○議長(坂田道太君) この際、金丸信君外六名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び田邊誠君外六名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。提出者藤尾正行君。     〔藤尾正行君登壇〕

藤尾正行自由民主党・新自由国民連合

○藤尾正行君 公職選挙法の一部を改正する法律案の趣旨とその内容の概略を御説明申し上げます。  衆議院議員の定数配分は、過去において、昭和三十九年及び昭和五十年に議員一人当たり人口の多い選挙区について定員を増加させ、総定数をそれぞれ十九人、二十人増員することによって、その是正が図られたのでありますが、その後の十年間におきましても大幅な人口の地域間移動が生じましたため、議員定数の配分は、選挙区によって著しい不均衡を生じております。このため、衆議院議員の定数是正について、自由民主党においては、数年来、幅広い角度から真剣な検討を行ってまいりました。  定数是正を行うに当たっては、衆議院のあり方、選挙区のあり方等の根本論議を踏まえ、広い見地から見直しを行うことが望ましいことは申すまでもありません。しかしながら、現在の衆議院議員の定数配分規定につきましては、昭和五十八年の最高裁判決において違憲状態にある旨の判断が示されており、国民世論の動向から見まして、その是正はゆるがせにできない緊急な課題となっております。このため、責任政党として我が党は、世論の動向等諸般の状況を勘案してこの際、早急な定数是正が必要であると認識し、  一、総定数は現行どおりとする、  二、最高裁判決を踏まえて最大格差を三倍程度とする等最小限の是正を行うとの基本方針に基づき、議員一人当たりの人口の格差が特に著しい選挙区につきまして、選挙すべき議員の数の変更を行おうとするものであります。  この法律案は、前回と同じく当分の間の措置として、議員一人当たりの人口が少ない順に六選挙区について選挙すべき議員の数をそれぞれ一人減員し、議員一人当たりの人口が多い順に六選挙区についてそれぞれ一人増員するものであります。これによりまして、議員一人当たりの人口が最も多い選挙区と最も少ない選挙区との間の議員一人当たり人口の格差は三倍以内となるものであります。  なお、この法律案は、次の総選挙から施行することといたしております。  以上がこの法律案の趣旨と内容の概略であります。(拍手)     —————————————

坂田道太無所属議長

○議長(坂田道太君) 提出者田邊誠君。     〔田邊誠君登壇〕

田邊誠日本社会党・護憲共同

○田邊誠君 日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、社会民主連合、以上四党共同提案に係る公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。  選挙権は、国民の政治参加を保障する基本的権利であって、議会制民主主義の根幹をなすものであります。この基本的権利が著しく不平等とされ、その価値を失うことは、民主主義の危機に通する重大な事態を招くと言わざるを得ません。残念ながら、我が国における衆議院定数の不均衡は、憲法上の基本的権利である選挙権の平等、投票価値の平等に反していると言わざるを得ません。  衆議院の議員定数の不均衡是正は、憲法に定める平等原則を守り、公正な政治と選挙の実現を図るために緊急な国民的課題であります。いわゆる一票の重みの格差は、昭和五十五年の国勢調査人口によりましても、既に一対四・五四倍に達しており、昭和五十八年十一月七日の最高裁判所大法廷の判決においても、「憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至って」おり、違憲状態であると断じ、「できる限り速やかに改正されることが強く望まれる」として、国会の自律的かつ公正な是正の実現を期待しておるのであります。  我々は、この緊急かつ重要な課題に対し、数年来、各党それぞれに検討を重ね、その考え方を公表し、また自由民主党・新自由国民連合をも含めて、各党間で協議を行ってきたところであります。しかし、会期末の五月三十一日になってようやく提出された自由民主党・新自由国民連合の改正案は、この間約一年間にわたって党内合意を得るための調整期間を費やしながら、党派内の混乱を残して議員立法として提出されたものであります。その内容について見ますと、格差解消の程度が極めて不十分であり将来の改善の約束が明言されていないことに加えて、小選挙区制に通ずる二人区を創出し、現行の中選挙区制の根本を乱すものであり、我々としては容易ならぬ問題を内包するものと考える次第であります。(拍手)  ここにおいて、我々四党は、協議の結果、現行定数三ないし五の中選挙区制堅持の原則を維持しつつ、抜本的な対策については引き続き検討し処理することを前提として、違憲状態にあるとされる現在の極端な不均衡状態を改善するための暫定策としてこの法律案を提出いたしました。すなわち、緊急の措置として、自由民主党・新自由国民連合のいわゆる六増・六減案に対応し、これによって定数が二名となる選挙区については、その位置、地勢、交通、沿革等の事情を考慮して隣接する選挙区のいずれかを選んで合区することとし、この結果六人区以上となる場合は、改めてこれを分区することとして中選挙区制のルールを貫こうとするものであります。  また、この改正案では、いわゆる一票の重みは一対二・九九倍にしか改善されず、我々は、この程度の改善ではなお不十分であり、昭和六十年国勢調査の結果も見ながら、現行中選挙区制のもとにおける、より抜本的な改善の検討を行うことが必要であると考えており、今回の提案は、そのことを前提とした当面の改革と位置づけているものであります。  次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。  第一に、増員すべき選挙区についてでありますが、埼玉県の第二区と第四区、千葉県の第一区と第四区、東京都第十一区、神奈川県第三区、以上の六選挙区につきその定数を一名ずつ増加することといたしております。その結果、千葉県第一区と東京都第十一区は五人区、他の四選挙区は四人区となります。  第二に、定数を減ずべき選挙区についてでありますが、まず秋田県第二区及び山形県第二区の定数を各一名減じ、それぞれ三名とすることといたしております。  次に、石川県第二区は現定数が三名であり、これを減ずると二人区となりますので、三人区である石川県第一区と合わせ、いわゆる全県一区である石川県選挙区を定数五名とすることといたしました。兵庫県第五区につきましても同様の考え方で兵庫県第二区と合区することといたしましたが、合区による定数は七名となりますので、改めてこれを二分することとし、現在の第二区の区域から宝塚市、川西市、三田市、川辺郡の三市一郡を除いた区域をもって兵庫県第二区を定数四名、右の三市一郡と現在の第五区の区域をもって兵庫県第五区を定数三名とすることといたしました。  また、愛媛県第三区につきましても現定数が三名でありますので、同じく三人区である愛媛県第一区と合わせて愛媛県第一区を定数五名とし、さらに同様の鹿児島県第三区につきましても、現在定数一名である大島支庁管内いわゆる奄美群島区と合わせて鹿児島県第三区とし、その定数を三名とすることといたしております。  なお、この法律は、次の総選挙から施行することといたしております。  以上がこの法律案の趣旨と内容の概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに可決されんことをお願いいたします。(拍手)      —————・—————  公職選挙法の一部を改正する法律案(金丸信   君外六名提出)及び公職選挙法の一部を改   正する法律案(田邊誠君外六名提出)の趣旨   説明に対する質疑

坂田道太無所属議長

○議長(坂田道太君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。森清君。     〔森清君登壇〕

森清自由民主党・新自由国民連合

○森清君 私は、ただいま議題となりました田邊誠君外六名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案について、自由民主党・新自由国民連合を代表して質問をいたします。  選挙区制、定数配分の問題は、衆議院の構成に関する最重要事項であり、代表制民主主義の根幹にかかわる問題であります。したがって、国権の最高機関である国会の構成方法として、それにふさわしい選挙制度でなければならず、我々は常に選挙制度を検討し、是正すべき点は是正しなければならないのであります。しかし、今我々が早急に解決しなければならないのは、違憲状態となっている定数配分規定の改正であります。すなわち、昭和五十八年十一月、最高裁判所において違憲状態にあると判決され、近く行われる判決においても違憲判決が予想される定数配分規定を、少なくとも違憲状態ではないものとする必要があるということであります。  今回提出された自由民主党の改正案は、戦後、昭和三十九年、五十年と二回行われた定数是正方法と基本的には全く同じ手法を用いたものであり、前二回と異なるのは、格差を三倍以内としたことと、総定数を据え置くこととした結果、定数減を行わなければならない選挙区が生じたことであります。なお、定数減につきましては、昭和三十八年の選挙制度審議会の答申及びこれを受けて同年政府より提案された改正案、これは解散により廃案となりましたが、兵庫五区を二各区としていたことは御承知のとおりであります。  野党各党は、二名区はつくらないと主張しております。大正十四年の中選挙区制以来、奄美の例外を除けば三名ないし五名の中選挙区制であったことは事実であります。  そもそも我が国では、明治二十二年の衆議院議員選挙法以来、最初は小選挙区制、次いで明治三十三年、府県を単位とする大選挙区制、大正八年、小選挙区制という沿革があります。どの教科書にも書いてあるとおり、一選挙区から一名を選出するものを小選挙区制、二名以上を選出するものを大選挙区制というのであります。たまたま我が国では府県を単位とするものを大選挙区制といい、府県を幾つかに分けて選挙区をつくり複数の議員を選出する制度を、それまであった大選挙区制と区別するという意味で中選挙区制といったのであります。その中選挙区制の定数が大正十四年では三ないし五名であり、それが現在まで続いているのであって、中選挙区制とは三ないし五名であるということではないのであります。  戦後、一度大選挙区制がとられ、これを中選挙区制にすべく各党が案を出しましたが、二名ないし五名の中選挙区制、三名から五名、四名から九名、または四名から七名の中選挙区制などの案がありをした。また、社会党が第一党となり政権を担当したとき、与党三派で選挙法改正案をつくることとし、片山首相私案として報ぜられたのは、選挙区制は二人区、三人区の中選挙区制とするというものでありました。また、昭和三十八年の選挙制度調査会の答申及びこれを受けて政府から提案された案は、さきに述べたとおり、二名区、六名区、八名区をつくるというものでありました。  このように、原理的にも沿革的にも、中選挙区制には二名から相当数の数まで種々の形があるのであります。特に今回の我が党の案は、一部の選挙区について、格差是正のために結果的にできた二名区であり、選挙区を分割してつくったものではないのであります。野党はこのような二名区になぜ反対するのか、その理由、根拠をお聞かせ願いたい。  小選挙区制につながるから反対であるという意見もありますが、さきに述べたとおり、二名区をつくるということは、小選挙区制とは何の関係もありません。我が国の選挙制度を小選挙区制とするか現在の大選挙区制いわゆる中選挙区制のままとするかあるいはまた比例代表制とするかは、衆議院の構成、政治のあり方に関する根本問題であり、二名区をつくったからそれが小選挙区制につながるというものではないのであります。このようなこそくな考えで小選挙区制などできるわけがありません。この問題は、正面に据えて堂々と論議すべき問題であり、二名区をつくることが小選挙区制につながるなどという議論は、およそ次元の異なる問題であると考えます。  野党各党は、この定数是正問題について、最近までそれぞれの党の理想案のごときものを掲げておりました。しかし、それは今要請されている問題に対し、現実の政治の場において実現可能な案とは思われないものであったと考えますが、野党各党の御協力により、ようやく我が党の六増・六減案を基礎とし、その修正案ともいうべきものを共同の案としておつくりになりました。他の政党との調整という難しい問題を解決されたその御努力に敬意を表するものであります。また、我が党の六増・六減案の考え方に基本的に同意されたことも高く評価するものであります。しかし、残念なことに余りに遅きに失したと言わざるを得ません。  我が党は、数年前から定数是正に精力的に取り組み・本国会に提案すべく最大の努力をし、会期終了前約一カ月、五月三十一日に提案し審議をお願いしたのでありますが、野党案、共産党がお入りになっておりませんが便宜野党案と言わせていただきますが、野党案が提案されたのは六月十七日であります。定数是正は院の構成に関することであり、各党各派の合意が望ましいという点からしても、いま少し前に提案いただけば与野党で十二分に審議ができたのではないかと残念であります。  しかし、遅きに失したとはいえ検討に値する現実的な案が提案され、大筋において我が党の案と同じであり、我が党の案の是正すべき十二選挙区のうち八選挙区については同じであり、二名区となる四選挙区についてのみ異なるのでありますが、その四選挙区の是正方法については根本的に見解を異にするものであります。  選挙区は、社会的、経済的、政治的、行政的に一体性がなければならず、その一体性の中からその代表として国政へ参加する者を選ぶのでありまして、便宜的に継ぎはぎしたり、みだりに分合すべきものではありません。このようなことがみだりに行われれば、選挙そのものの本質的な問題が生ずるのであります。  野党案の合区、境界変更の対象となっている八選挙区は、奄美は復帰後三十有余年、その他の選挙区は大正十四年以来、一部町村合併、境界変更等がありましたが、六十年間一つの選挙区として定着しているものであります。また、兵庫五区は人口三十三万人であり、野党案によれば、それに新たに加わる人口がそれより多い三十六万人であります。これでは、農村型選挙区である兵庫五区が兵庫二区の一部にすぎない北部の阪神のベッドタウン的な地域に吸収される形となり、六十年間一体となって国政参加の基盤をなしてきた兵庫五区は消滅すると言っても過言ではないのであります。選挙区の抜本的改正を全国にわたって行う場合はいざ知らず、当面の是正措置としては選挙区の合区や境界変更はすべきものではないと考えますが、いかがでございましょうか。このような措置をとり、生き物である選挙区を切り刻み、あるいは何十年間異なる選挙区であったものを合併して、選挙基盤を根本的に変更することとなる合区などは行わず、定数の増減により措置することが最も妥当な方法であります。  次に、およそ選挙制度の改正特に選挙区、定数の改正は、政党の利害と消長、個々の議員の利害に直接関係するものであります。すべての党、すべての人が納得する案をつくることは事実上不可能に近いのであります。そこで、改正に当たっては、一定の合理的な原則をつくり、それに基づいて具体案を作成し、その具体案が、ある党、ある個人に部分的に有利、不利であってもそれに従うべきであり、個々具体のところを自己に有利なように原則を曲げて手直しをするということでは、定数是正はできがたいと思うのであります。  我が党の案は、さきに述べたとおり、三十九年、五十年の二回行った合理的な方式の先例に忠実に従ったものでありますが、結果は我が党に不利なものになっております。例えば、今与野党の争点となっている二名区となるところを見ますと、過去十回の選挙の結果、石川二区は延べ三十名の当選者すべて我が党であります。これを二名区にするのでありますから、我が党は絶対的に減少いたします。鹿児島三区は三十名のうち二十七名、愛媛三区は三十名中二十六名、兵庫五区においても三十名中十五名が我が党の当選者であります。これらの選挙区の定数が二名になるのでありますから、我が党に不利であることは明白であります。しかし、一定の合理的な方針である限り、不利であっても涙をのんで二名区としたのであります。ところが、野党案は、二名区をなくするため隣接区を合区する方針をとったのではないかと思われますが、兵庫五区のみ合区をせず境界変更をしておりますが、その理由をお聞かせ願いたい。  次に、兵庫五区と二区との境界変更をするにしても、これは両区を合区した上分区すると言いかえても同じことでありますが、分区をするときは両者の議員一人当たり人口をできる限り平等にすることが選挙制度の本質からいって当然であり、三十九年、五十年の分区もこの方針で行ったものであります。  ところが、伊丹市は五区に入れていない。伊丹市を入れて初めて平等になるが、なぜ伊丹市を五区に入れなかったのか。また、格差三倍以内とするための最小限の是正ということからすれば、宝塚市あるいは川西市のいずれか一方を五区にすればよいのでありますが、両市とも五区に入れることにしている。二市一郡か四市一郡を五区に編入するのであれば、人口基準からは合理的説明がつきますが、なぜ三市一郡としたのか、その根拠をお聞かせ願いたい。  野党案は二名区を絶対につくらないという意味においては一応筋を通しているのでありますが、三選挙区については合区し、一選挙区については境界変更するという一貫しない案となっており、さらに境界変更も合理的でないものとなっております。せっかくつくられた案でありますから、ゲリマンダーであるとの批判を受けないよう、合理的な明快な御説明を願いたい。  以上、私は野党案について疑問とするところを御質問申し上げたのでありますが、最初に申しましたとおり、選挙制度は民主政治の根幹をなすものであり、国権の最高機関である国会の構成に関する問題は国会の権威と責任において解決すべきものと考えますので、本日の審議が実り多いものであることを切望して、質問を終わります。(拍手)     〔田邊誠君登壇〕

田邊誠日本社会党・護憲共同

○田邊誠君 森清議員にお答えをいたします。  今回の極めて暫定的な定数是正案を提出をいたしましたその基本的な態度は何かと申しますならば、第一には、何といっても憲法違反と指摘をされておるこの不均衡をできるだけ是正すること、その点からいえば、今回の改正というのはあくまでも緊急避難的なものであることをお互いに認めなければならぬと思います。  それから第二は、やはり現行の選挙制度すなわち中選挙区制度、こういったものに手を触れてはならない、暫定案でありまするから、あくまでも現行の中選挙区制度の上に立ってこの是正を考えるというのは当然だろうと思います。  第三には、総定数の五百十一以内、そして各府県別の定数配分を動かさない、こういうことが暫定案としてみれば当然考えられる基本的な態度であろうと思うのであります。  森さんは、二人区は原理的にも沿革的にも中選挙区制であるということを申されましたけれども、これはあなたが御存じのとおり、その考え方は全く正しくないのです。我が国の選挙制度の歴史を振り返ってみまするならば、沿革的に見ても、二人区は小選挙区制の範疇に入る、中選挙区というのは三名から五名区、こういうのが理解されている今までの経過であります。  我が国の選挙制度は、森さんも御指摘をされましたとおり、当初は小選挙区、次いで大選挙区、一時小選挙区に戻りましたけれども、最終的には中選挙区制が採用されて今日に至っております。そして、大正十四年法以来今日に至るまで六十年間、二十二回の総選挙というのは、昭和二十年法によるところの一回の例外を除いては、すべて三ないし五名区の中選挙区制で行われてきたのは御承知のとおりであります。ところが、明治二十二年法の小選挙区制では、一人区が二百十四に対して、全選挙区の約二割に当たる四十三選挙区は二人区であります。大正八年法におけるところの小選挙区制でも、一人区二百九十五に対して、若干の例外を除いた六十八の選挙区については二人区が採用されてきたのであります。一般に明治二十二年法、大正八年法における選挙区制というのは、この二人区を含めて小選挙区制と言われたものであります。(拍手)  大正十四年、選挙法が従来の制限選挙からいわゆる普通選挙法へと大改正が行われて中選挙区が採用された際に、中選挙区制のもとにおける各選挙区の配当議員数について、このように実は提案理由の説明がされております。「其標準トシテ、一選挙区ニ配当スベキ議員ノ数ハ之ヲ三名乃至五名ト定メマシテ、二名以下又ハ六名以上ト云フガ如キ例外ノ選挙区ヲ設ケナカッタノハ、中選挙区ノ主義ヲ徹底センガ為デアリマス」このように述べられておるのであります。すなわち、二人区は小選挙区制に通じ、六名区は大選挙区制に通ずるものとして、大小選挙区制の弊害を排するための中選挙区制としては、三名ないし五名を採用することこそその趣旨を生かすものであることは、森さん自身が御承知のとおりです。  自来、二十一回の衆議院総選挙、とりわけ現行公職選挙法制度以来今日に至るまで十九回の総選挙は、すべて三名ないし五名区の原則としてきたのであって、三名ないし五名区の中選挙区制はもはや選挙区制として国民に定着した、慣熟した選挙制度であります。(拍手)  今回の定数是正案は、それが緊急避難的なもの、暫定案であるといたしましても、今後の六十年国調以降の定数是正の基本型となるものでありまして、今回二名区を創設することは、今後同様手法による是正の道を開くものであって、将来の多数の二人区創設に通ずる、これが与党自民党にだけ有利なことはさきに述べたとおりでありまして、我々としては絶対承服することはできません。  二人区が小選挙区制とは関係ないという主張が誤りであることについては、今私が申し述べたとおりであります。確かに、二人区は一名区の小選挙区制そのものではありません。しかし、まさしく小選挙区制に通ずるものと言わなければならないのです。  しかも、自民党内の大勢は、将来の抜本策について、現行中選挙区制の維持を前提とした格差の是正は不可能であって、抜本的な是正は選挙制度改正以外にはない、その方向は小選挙区比例代表制であるとの意見が大勢であると伝えられております。といたしまするならば、一人区の小選挙区型二人区の採用が小選挙区制の採用に通ずると考えるのは当然じゃないでしょうか。(拍手)  最後に森さんが、野党案の提出が遅きに失したというような主張を言いましたけれども、これはみずからの怠慢を省みない言われなき非難であることは、私があえてちょうちょうするまでもないのです。自由民主党・新自由国民連合が定数是正の公約を今日までたなざらししてきたところの責任は一体どうするのですか。  我々は、野党各党ともに、早くから大幅な是正を内容とするところの格差是正案を提示してまいりました。しかし、政府・与党は、選ぶ側である有権者の強い是正要求を顧みず、ひたすら選ばれる側の議員の被害調整の立場からしか問題をとらえてこなかったのであります。一年前にできた六増・六減案ですら、党内合意を得るための今日までの長い調整期間を費やしながら、ついに党派内の混乱を残して、議員立法として、延長国会の会期末が近づいた五月三十一日になってやっと提出したのじゃありませんか。  しかも、同法案提出に際して、聞くところによりますると、成立させない条件が付された。さらには、自民党内一部議員から修正案の形をとった対案が提出される予定だとも伝えられておるのであります。与党が党内の意見をまとめられず、全く内容の異なる二本の法律案を同時期に提出するがごときは、議会制民主主義、政党政治に背くものと言わなければなりません。  野党案は、御承知のとおりそれぞれの考え方を持っておりまするところの党を我々は代表して提案をいたしてまいりましたけれども、しかし、与党が出してまいりましたこの暫定案に対応して、極めて短期間に意見調整して四党提案したことを皆さん方がお認めいただきたいと思います。  残りの答弁は他の提案者によって行います。(拍手)     〔矢野絢也君登壇〕

矢野絢也公明党・国民会議

○矢野絢也君 森先生の御質問にお答えを申し上げます。  まず、森先生は、野党のそれぞれの固有の案につきましては、これは実現の可能性があるとは思えない、このような御指摘がございました。野党それぞれの固有の案、これは、例えば格差を一対二あるいはそれに近い線で固有の案をそれぞれの野党がまとめておるわけでございますが、いずれにいたしましても、自民党さんの一対三という考え方よりも、主権者の一票の重み、この格差をできるだけ少なくしよう、一票を尊重していこう、このような立場で野党の固有の案ができておるわけでございます。この定数是正の問題は、選ばれる者の立場で考えるべきではございません。主権者の主権の行使という立場からこれを考えなければならないわけでございまして、そういう立場から考えますれば、野党の一対二あるいは一票の重みを尊重しようという立場につきましては、実現の可能性がないなどと自民党がおっしゃらないで、それを実現するように御努力をされるのが本来の筋でございます。(拍手)  それから第二点は、六・六案につきまして野党が基本的に同意されたことは高く評価するとお褒めのお言葉をちょうだいしたわけでございまして、御評価をいただきまして大変恐縮をしておるわけでございますけれども、本来私どもは、今田邊先生からもお話がございましたとおり、東京高裁で一対二の格差がおおむね妥当である、このような判決の趣旨に沿いまして、それに近い抜本的な改正を考えておるわけでございます。しかし、ずっと自民党さんの党内の調整を拝見いたしておりますと、この一対三という不十分な内容、そしてその六・六案をおまとめになるその間の大変な自民党の御苦労、大変な御苦心をなさっておる、この御苦労を拝見するにつけましても、より理想的な案をぶつけたいのはやまやまでございますが、あと会期も少ないという事情を勘案いたしまして、将来抜本的な改革を行うんだという本院の意思を明らかにするということを前提にいたしまして、この自民党の六・六案、一歩前進、半歩前進という点は評価できますので、六・六案に私たちは同意をしておるわけでございまして、手放しで同意しておるわけではないということを御理解いただきたい、将来の抜本的改革を考えておるということを御理解いただきたいわけでございます。  さて、森先生は、なぜ野党は二人区に反対するのかという疑問を呈されました。今田邊先生からもるるそのことについて御回答がございましたが、若干それを補足いたしますと、この選挙制度が発足いたしました大正十四年、その大正十四年の国会におきまして、この中選挙区制が発足いたしました。そのとき政府は、この問題につきまして次のような見解を明らかにしておるわけでございます。  二人または六人以上というような定員の選挙区は、事情のいかんにかかわらず絶対に設けてはならないという方針をとりました。けだし定員二人というような小区画の選挙区は、実質上ほとんど小選挙区制と相違しないものなので、部分的にもこれを認めることは、現在の小選挙区制を廃止しようとする根本の理に背反する。定員二名の選挙区または六人以上の選挙区を設けることが都合のよい事情があっても、結局各具体的場合における便、不便の程度の問題であって、主に各人の主観的判断による。ゆえに、もし一つの場合においてこれが特例を認めるときは、他の場合においてもまたこれと類似し、また近接する事由によってさらに特例を認めなければならないことになると思いはかる。かくして、三人ないし五人という画一的標準を設けて全国をいわゆる中選挙区制に分画しようとする改正の根本目的を達することができなくなる。この理由によってもまた選挙区の定員に関しては一切例外を認めることはできないと答弁をしておられるわけでございます。これが第一の理由。  もう一つは、仮に自民党さんの一対三という立場を前提にいたしましても、将来国勢調査の結果、やはりまた将来減員をしなければならない選挙区がふえる可能性がございます。理論的にそのような選挙区は今わかっておるわけでございますが、それらのほとんどが三人区でございます。したがいまして、今回二人区を認めます場合、国勢調査の結果によりまして、次の段階の是正対象区は三人区がほとんどでございますので、これまた二人区になってしまう。今回だけが特例ということにはならないで、二人区がどんどんふえてしまうという理由も十分自民党において御勘案をいただきたいわけでございます。  それからさらに、野党の考え方には一体性が、論理的に継ぎはぎであるとか合区であるとか区制の線引きのあれであるとかという、そういう意味での原則的に一貫性がないという御指摘がございました。決してそのようなことはないのでございます。便宜的に継ぎはぎなどはいたしておりません。あくまでも合区という原則を守りながら、例えば兵庫五区の場合は合区をいたしました結果、その選挙区は七名になる。したがいまして、合区した結果七名になりますので、中選挙区制を守るという前提に立ちますならば当然これを分区する、こういうことになるわけでございまして、ある選挙区で合区、ある選挙区で線引き引き直し、そのような考え方ではないということを御理解いただきたいと思います。  なぜこのようなことを私強調するかと申しますと、例えば理論的な問題、仮定の問題として申し上げますが、将来さらに国勢調査の結果によりまして是正の必要があると理論的に考えられております例えば新潟四区などを例にとりますと、これはお隣の選挙区となりますと新潟三区ということになります。合区、そうするとこれまた七人区、これまた合区した結果、分区して三人区、四人区という処理をしなければ、どうしてもつじつまが合わなくなるということもお考えをいただきたい。これは兵庫五区だけの特例ではないということを御理解いただきたいのでございます。  さらにもう一点、選挙区の伝統がある、一体性がある、したがって、みだりに継ぎはぎをしてはならないという一体性の立場から論理を御展開されたわけでございますが、そういう理屈をとりますと、いかなる事由があっても選挙区は変えてはならないということになってしまうわけでございます。選挙区の事情ということよりも、先ほど申し上げましたとおり主権者の立場、有権者の増減に対応して、一つの県内において、中選挙区制を前提として合区なり、あるいは合区に伴いまして七人とか八人になりました場合には分区をするという、この考え方こそ選挙区制の一体を保持したやり方であると私どもは考えておるわけでございます。  ぜひこういったことを御理解賜った上で、野党統一案に御賛成を賜ることを心よりお願いを申し上げまして、答弁を終わる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)     〔大内啓伍君登壇〕

大内啓伍民社党・国民連合

○大内啓伍君 森先生の御質問にお答えをいたします。  まず、兵庫五区と同二区との合区後の分区は野党統一案の原則を逸脱したものではないか、こういう御指摘がございました。  私どもは、今回の定数是正案を作成するに当たりまして幾つかの原則を設定いたしました。その第一は、現在の定数三名から五名の中選挙区制をあくまでも堅持する、したがって減員によって定数二名区が生じない、このことをまず配慮をいたしました。原則の第二は、定数の格差は少なくとも三倍以内に抑えたということであります。原則の第三は、今回の是正は国勢調査後の抜本改正までの緊急避難的なものであることにかんがみまして、その対象の選挙区をできるだけふやさずに、かつ従来の選挙区への影響を最小限にしたということでございます。原則の第四は、暫定的かつ緊急避難的な是正でありましても、選挙区割りの改正についてはすぐまた改正しなければならぬ、こういうようなことのないように中期的な安定性を配慮した、ここが重要な特徴でございます。  すなわち、そのような原則に立って是正すべき選挙区を摘出いたしまして、特に合区によって一名減ずるところにつきましては、合区によって発生する不合理、例えばそれが七名区になってしまうというようなところについては、その不合理を是正するためにさらにそれを分区するという方法をとったのでございます。  森先生が御指摘いただきました兵庫五区は、その面積が東京都の一・四倍にも達しております。また、その地域の八割が山林あるいは山村であるという過疎地であること等の特殊性を持っておるわけであります。したがいまして、合区対象の選挙区のうち、まず兵庫五区と隣の四区との合区を行った場合どうなるかといいますと、定数一名減では、分区をいたしましても新五区の面積がさらに前よりか広大になってしまう。また、それでは五区と三区と合区したらどうかという話もありますが、その場合には、同様に新選挙区の面積が余りにも広大になり過ぎてしまいます。さらに、五区と一区との合区を行った場合におきましては、定数一名減では当然分区が必要になってまいりますが、その場合には神戸市の分区が不可避になるという難点があるわけであります。したがいまして、交通機関の接続等の地理的、経済的条件や新選挙区の面積が極端に大きくならないようにすること等の理由から、兵庫五区と同二区の合区による定数一名減とその後の分区という方法が最善のものである、こういう結論に達したのでございます。私どもは、それは最も合理性を持った選択であり、決して森先生がおっしゃるような無原則かつ恣意的なものではないというふうに考えておるわけでございまして、どうぞ御理解をいただきたいと思います。  第二点は、さらに森先生は、その兵庫五区の割り方について踏み込まれました。  新たな兵庫五区の範囲の問題については、確かに御指摘のとおり、新五区の一議席当たり人口が格差三倍以内となる最低人口を満たすためには、当面は三田市、川西市あるいは川辺郡の二市一郡を五区に編入するだけで間に合うのであります。しかし、よく考えていただきたいことは、旧五区の区域の過疎化というものは今後も進む状況にございます。御指摘のとおり、この二市一郡の編入だけでは、短時日のうちにせっかくつくった新兵庫五区がまたまた格差三倍以上の選挙区に逆戻りをしてしまうおそれがあります。選挙区の定数がすぐにも再び違法な状態になることに目をつむることは私どもできなかったわけでございます。この見地から、御指摘の二市一郡と地理的に一体となっている宝塚市を新五区に編入することによってそのような事態を将来に向かって回避し、かつ是正影響を最小限にとどめるため、それ以上に御指摘のような不必要な区域の拡大を行わず宝塚市までを新五区の区域に編入することにとどめたわけでございます。  なお、土地の人の話によりますと、昔から、丹波篠山からおりてくるイノシシも三田、川西から宝塚地方までは出てまいりますが、それ以上は決して越境していないと言われる話があることも御披露申し上げまして、私の答弁といたします。ありがとうございました。(拍手)     —————————————

坂田道太無所属議長

○議長(坂田道太君) 佐藤観樹君。     〔佐藤観樹君登壇〕

佐藤観樹日本社会党・護憲共同

○佐藤観樹君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、自由民主党・新自由国民連合提出による二人区創設を含みます公職選挙法改正案、いわゆる六増・六減案に反対、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、社会民主連合四党による公選法改正案、野党統一案に賛成の立場から、議員定数是正問題につき、基本的な重要課題につき五点に絞って質問をいたします。  議会制民主主義が代議制を基本とする限り、この議場の構成は民意を正確に映し出した鏡でなければなりません。しかし、現在、兵庫五区と千葉四区の格差が四・五四倍を筆頭に、格差二倍以上が全国百三十選挙区のうちの約半分五十六選挙区に及び、前回の五十八年総選挙に対する定数訴訟が二十一選挙区二十三件に至っては、議会制民主主義の基盤を揺るがせる異常事態であり、ひいては政治不信を呼ぶことは必定であります。近代民主主義社会では、個人一人一人が尊重されることが基本であり、ある地域の人は一回の投票で他の地区の人より三票も四票も投じたのと同じ効果を持つのでは、憲法第十四条の法のもとでの平等を引き出すまでもなく、極めて不平等であります。  一昨年秋の最高裁の判決は、いわば執行猶予つきの違憲判決であり、できるだけ速やかに改正が望まれると異例の要望をつけているのであります。現在係争中の訴訟に対する最高裁の判決も、来月の七月があるいは九月かと言われておりますけれども、その内容はさらに厳しく、選挙無効まで踏み込むのではないかというのが司法関係者の大方の見方であります。我々議会人として、国権の最高機関を構成するものとして、言われるとおり司法の指摘、督促を待つまでもなく、議会制民主主義の健全な発展のために真剣に取り組むべき最重要課題であります。民主主義の先進国イギリス、西ドイツ、アメリカ等におきましても、選挙制度が政党本位という違いはありますものの、厳しく人口に比例するよう法律を設けたり、あるいは区画委員会を設置したりいたしまして、定数と境界線変更に取り組んでいるわけであります。  そこで、質問の第一は、一票の価値、重さをどう考えていらっしゃるのでしょうか、この問題の重要性をどれほど深刻に受けとめていらっしゃるのでしょうか。  この問題について総理が主導的な役割を果たした場面にお目にかかったことは残念ながらございませんでした。一体提案者は、あるいは総理は、憲法がどれくらいの不均衡まで許容してくれていると考えているのか、この答弁次第では、本当に抜本改正を考えているのかどうかのリトマス試験紙ともなるからであります。  第二の質問は、いわゆる六増・六減案の欠陥二つについてであります。  一点は、格差の是正を三倍以下にしかしない是正、いわゆる三倍案であること、もう一つは、二人区を創設したことであります。一体六・六案の基礎である三倍是正は何を根拠に置いたのでしょうか。確かに五十八年の最高裁判決は、五十年の定数是正状況、格差が二・九二倍でございましたけれども、これを是認しているようでございますが、しかし、その中身をつぶさに見てまいりますと、三倍まで是正すれば平等が保たれるとか、何ゆえ三倍以内なら合憲ということを真正面から言い切っているわけではございません。少数意見ながら一対二を超えてはならないという最高裁判事の意見もありますし、五十九年九月の広島高裁の判決でも、最大格差は一対二程度とすべきであるということを判決の中で言っております。同じ有権者でありながら、ある人は一票、ある人は三票一回に投票できるというのでは、国民の常識からかけ離れております。これからの判決もますます一対二に近づいていくことが考えられるわけでありますが、提案者は何をもって一対三の根拠とされ、いつまでこの非常識が認められるとお考えになっているのかお伺いをしたいと思います。  さらに、八月の末には、ことしの三月に行いました住民基本台帳の結果が公表され、三倍案ですら、新潟四区、北海道一区が追加をされることが予想されております。住民基本台帳と公選法でいいますところの数字的基礎でございます国勢調査とはその内容が若干違うことは私も承知をしているわけでございますけれども、人口の増減の傾向を推定することはできます。さらに、本年十月一日に行われます六十年の国勢調査の結果が、要計票による概数人口ながら十二月の末には公表されると言われ、三倍案を超える選挙区は、減員区に和歌山二区、大分二区、新潟二区、増員区に大阪三区、神奈川四区、千葉四区がさらに追加をされて該当すると予想されております。法案審議中に既に実態からかけ離れた数字が出たのでは、国民を到底納得させることはできません。いかにもその場しのぎ、拙速のそしりを免れることはできません。一体、六十年国勢調査が出たとき、三倍案を超えている選挙区の定数是正はどう対処するのでしょうか。まさか、合理的期間が過ぎ再び訴訟になって判決が出るまで放置しておくわけにはまいらぬと思います。とても世論は納得しないと思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。  三番目の質問は、六増・六減案の最大の欠陥であります二人区の新設問題についてであります。このことが、自民党内ですらついに一致できなかった最大の原因であり、野党がこぞって反対をしております欠陥であります。  ことしは普通選挙法施行六十年、大正十四年から今日まで、戦後一回の大選挙区制を除きまして二十一回の総選挙、五十九年間は中選挙区制を堅持してきたわけであります。大正十四年、先ほど田邊提案者からもお話がございましたように、時の若槻礼次郎国務大臣は提案理由の説明の中で、「二名以下又ハ六名以上ト云フガ如キ例外ノ選挙区ヲ設ケナカッタノハ、中選挙区ノ主義ヲ徹底センガ為デアリマス」と述べておりますけれども、普通選挙法以前の大選挙区、小選挙区の弊害を除去する制度として定数三ないし五の中選挙区制で出発をした。もちろんこのときの政治情勢から、憲政会、革新倶楽部、政友会の政治的妥協の産物であったことは私も否定をいたしませんが、以来、日本の民主主義はこの中選挙区制の中で発展してきたこともまた事実でございます。三十九年あるいは五十年の定数是正も増員によりましたけれども、六名区以上になるところにつきましては最低三名を基準といたしまして分区をしたのでありまして、二名ではなかったのであります。  このように、普通選挙法六十年の歴史は、定数三名ないし五名の中選挙区制の歴史であり、既に慣熟をした制度として国民に深く定着していると言っても決してこれは過言ではないわけであります。提案者は、この歴史的な重みというものを無視して二人区を新設することは国民に著しい違和感を与えると思いますけれども、その点についてはいかがお考えでございましょうか。  これに対しまして野党の統一案は、二人区となる選挙区は隣接選挙区と合区することによって中選挙区制を維持する案でございますが、提案者は何ゆえこの方法を採用しなかったのでしょうか。これに対しまして提案者は、先ほども質問の中にも言っておられましたけれども、合区によって選挙区の地域的な一体感がなくなるんだ、こういうことを盛んに言っております。しかし、この答弁は私はうなずけません。私たちも、選挙区が地域的一体感を持つこと、このことについては決して否定をしているわけではないわけであります。しかし、現在の選挙区の境界線というのは、昭和二十一年、日本が焦土と化した、そしてまた疎開をした人々があちらこちらにいた、その状況の中の国勢調査でできた人口をもとにしたものでございまして、それから四十年、交通の便やあるいは通信の発達状況を考えましたときに、距離感は著しく縮まっております。行政の効率化のために、ごみの焼却なりあるいはし尿処理なり上下水道なり、私たちの衆議院の選挙区の境界線を越えて広域行政をやっていることはたくさん例があるわけであります。少し性格は違いますけれども、分区によりましてもこの地域的な一体感を二つに分けたことがあるわけでありまして、そういった意味から言いますと、地域的な一体感がそれによって損なわれるというのは極めて私は根拠が薄いと思うのであります。  国会議員は、憲法四十三条を挙げるまでもなく、地域代表の性格ではなく全国民の代表であります。国民の代表として郷土や地域の発展に尽くすことは当然でございますけれども、全国民に関係をいたします国政全般から、宇宙船地球号の生存から、SDIに関する宇宙まで国会議員は担当いたします。こう考えてみれば、地域的一体感が合区によって薄くなるという反対理由は、極めて根拠薄弱、積極的理由に乏しいと言わざるを得ません。むしろ、合区される選挙区にも同じ党の議員がおり、選挙地盤の競合から反対と抵抗が強くて合区ができないとはっきり国民の前に表明すべきだと考えますけれども、合区できない理由につきまして、ひとつその理由をお伺いしたいと思います。  四番目の質問は、今度の六・六案と今後の抜本改正のあり方、二名区新設と小選挙区制導入との関連についてであります。  六・六案の趣旨説明の中には、「定数是正を行うにあたっては、衆議院のあり方、選挙区のあり方等の根本論議を踏まえ、幅広い見地から見直しを行うことが望ましい」と述べていて、選挙制度の改正まで踏み込んで定数是正問題を解決しようとしているように解されます。加えて、二人区を新設し、三ないし五名の中選挙区制の一角を崩そうとしていると私たちは見ております。私は、二人区が小選挙区制そのものとは言いませんけれども、一歩近づいたと理解をするのが常識だと思います。もし、二人区新設による是正を二倍までやれば、十二選挙区、つまり全国百三十選挙区の約一割が二名区となり、自民党の二名独占も夢ではなくなってまいります。ダブル選挙以外、最近の選挙では過半数をとれなくなった自民党にとりましては、まことに都合のいいことであります。しかし、このような党利党略は世論が許しません。一体、暫定措置でない抜本改正とは、小選挙区制の導入のことではないのですか。六十年国勢調査の結果をどう定数是正に結びつけていくか、このこととも関連をいたしまして、抜本改正とは一体いつから、どんな方法でやるおつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。  国民が望んでいるのは、制度改正ではなく定数是正であります。一定の枠組みを決定をし、定数と選挙区割りを協議することに限った選挙制度審議会を設置をする考えはないのか、あわせてお伺いをしたいと思います。  最後に、総理に定数是正の実現と解散権との関連についてお伺いをしておきたいと思います。  法律面につきましては、憲法には解散権を制約する条文は見当たらないから、定数是正をしなくても憲法に規定する首相の解散権は制約されないんだ、こういう見解のようであります。法律面のことはとりあえずおいたといたしましても、違憲状態の定数で再び選挙をすることになれば、今度は選挙差しとめ、選挙無効、損害賠償の訴訟が次から次へと提起をされ、大混乱になるばかりか、一選挙区でも違憲判決が出れば全選挙区が違憲になるというのが今多数意見でございますから、選挙自体をやり直さなければならない。そのとき、一体公選法の別表の定数はだれが改定をするのかなと、こういった起こってくる政治的な混乱を考えましたら、たとえ法理論上解散権があるといたしましても、違憲状態が解消された定数是正が実現されない限り政治的には解散できない、こう考えるのが常識だと思うわけであります。

坂田道太無所属議長

○議長(坂田道太君) 佐藤君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

佐藤観樹日本社会党・護憲共同

○佐藤観樹君(続) 法解釈の前に、政治的常識、市民的常識のもとで政治運営をすべきであって、総理の民主主義観がこれで問われると私は思います。一般的な政治的な意味での解散をやるやらないの問題ではなく、民主主義の議論としての解散について総理にお伺いをいたしまして、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 佐藤議員にお答えをいたします。  まず、一票の価値の許容量の問題でございます。  衆議院議員の定数の不均衡は、参政権という憲法で保障する基本的権利にかかわる重大問題でありまして、昭和五十八年十一月の最高裁判決は、現行の衆議院議員の定数配分規定が違憲状態にある旨判示しており、今や重大な問題であると認識しております。これが是正につきまして努力してきたところでございます。事柄が政党間、選挙の基本ルールの問題でありますから、立法府を構成する各党各会派における御論議をお願いするとともに、今国会において是正が実現するよう期待し、努力してきたところでございます。自民党案並びに野党の四党案は、いずれも昭和五十年の定数是正と同程度に格差を是正するものと承知しております。これによって定数是正が実現すれば、違憲状態は解消するものと考えております。  次に、解散権の問題でございますが、本来解散権は、憲法が国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に付与した基本的に重要な機能であります。憲法上解散権の行使を制約する規定はございませんなどの理由により、法律的には制約されないと思います。要するに、主権者である国民の意思を問うということが、政治的にもまた法律的にも極めて重要な機能であると認識しております。  以上で答弁を終わりにいたします。(拍手)     〔藤尾正行君登壇〕

藤尾正行自由民主党・新自由国民連合

○藤尾正行君 ただいま総理からもお答えがございましたけれども、まず投票価値の不均衡についてどう考えるか、また五十八年の最高裁の判決をどのように受けとめているかという御質問でございました。  五十八年十一月の最高裁判決では、五十五年六月の選挙の時点における議員一人当たり選挙人数の格差が一対三・九四であったことについて、公職選挙法の定数配分規定が違憲状態にあるとされましたが、立法府の一員といたしまして、また自民党といたしましても、これを厳粛に受けとめておる、このことをまずもって申し上げたいと存じます。さらに、現在定数格差は、昭和五十八年判決で違憲状態にあるとされた一対三・九四を上回る一対四・五四となっていることを考えますると、現行の定数配分規定が違憲状態にあることは十分に認識しているところでございます。申すまでもなく、このような投票価値の不平等は、法のもとには平等の原則が厳存をするということに照らしてみましても、もはやこれを放置することは許されません。その是正は焦眉の急を要するものと考えております。我が自民党といたしましては、定数是正を一日も早く実現するため真剣に取り組んでまいりましたが、その努力の成果といたしまして、このたび最終的に党といたしましての是正案を御提案申し上げた次第でございます。  第二に、どのくらいの格差までが不平等でないと考えているか、また三倍是正の根拠は一体何かという御質問がございました。  昭和五十八年十一月の最高裁の判決では、衆議院議員の定数配分に関し、国会における裁量権をしんしゃくいたしましても、一対三・九四という格差については合理性を有するものとは考えられないとするとともに、最大格差を一対二・九二といたしました昭和五十年の定数是正については、投票価値の不平等状態は一応解消されたものと評価をいたしております。この判決を踏まえまして、今回の定数是正案では格差を三倍以内とすることで提案をさせていただきましたが、緊急暫定の措置、すなわち必要最小限の措置といたしましては許容されるものではないか、かように考えておる次第であります。現在提案されております野党四党統一案におかれましても、格差を一対三以内にとどめることを目指された、私どもと同じお立場に立っておられるものと解釈をいたしております。  次は、六十年国勢調査の結果が判明をいたしまして格差が三倍を超える選挙区が出たときにどのように是正をするかという御質問でございました。  この点につきましては、六十年国勢調査の結果が判明した以降におきまして定数配分の見直しにどう取り組んでいくかということにつきましても、各党と十二分に御相談をさせていただきまして検討をいたしていくということが私どもといたしましてとるべき措置ではないか、かように考えております。  次は、二人区の問題でございます。  確かに、我が国におきましては、戦後の一時期に大選挙区制がとられた以外は、奄美群島区を除きましては、大正十四年以降定数三人から五人の中選挙区制が維持されてきたところでございます。今回の定数是正案では、四選挙区が二人区となるわけでございまするけれども、これは総定数を据え置き、当面不均衡の著しい選挙区について、選挙区別定数の調整のみによって是正を行うことといたしましたために結果的に二人区が生じたというものでございまして、当面の緊急暫定措置といたしましてはやむを得ないものと考えており、現在行われております中選挙区制の変更を意図したものではないということをはっきりと申し上げておきます。  次に、二人区の解消をいたしますために、自民党案ではなぜ合区をしなかったのかという御質問がございました。  合区をいたしますと、代表選出の基盤を大きく変動させることになり、また、不均衡の生じていない隣接の選挙区をも是正の対象とすることになるのでありますが、これは、当面必要最小限度の是正を行うという今回の措置の性格上適当ではない、かように判断をいたしたためでございます。  次は、抜本的改正の問題でございます。  定数の配分は、立法府の構成にかかわります基本的な事項であり、議員の総定数や選挙区のあり方とも関連をいたします重要問題でありますので、今回の緊急暫定措置が実施されました後、定数配分の見直しにどう取り組んでいくかにつきまして、各党とも御相談をいたしながら検討をしてまいる課題であろう、かように考えております。  次は、定数の是正及び境界変更を行うために、選挙制度審議会等の第三者機関を設置する考えはないかという御質問でございます。  国会議員の定数配分は、申すまでもなくこれは法律事項でございます。第三者機関の御意見がありましたといいましても、最終的にはこれは、立法府であります私ども国会自体がどう判断をし、どう決定をするかということにかかっておるわけでございまして、そのような第三者機関の設置をするという考えは一つの御意見としては承っておきますけれども、最終的には国会、私ども自体が立法府といたしまして決定をすべき問題である、かように考えざるを得ないと思います。今後の定数配分の見直し、これをどうするかという問題の一環といたしまして各党とも十二分に御相談をいたしまして、この第三者機関の活用、こういうことも考えていく必要はあるかもしれない、かように考えております。  以上でございます。(拍手)     —————————————

坂田道太無所属議長

○議長(坂田道太君) 中村巖君。     〔中村巖君登壇〕

中村巖公明党・国民会議

○中村巖君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました金丸信君外六名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案について、提出者並びに総理に質問をいたします。  現行公選法のもとにおいて、衆議院議員の選挙区間に定数配分の不均衡があることは明らかであり、かかる不均衡は、昭和五十五年六月当時の状態についてすら、最高裁判所をして、「投票価値の不平等は、国会において通常考慮しうる諸般の要素をしんしやくしてもなお、一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達し」「憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至っていた」と言わしめるほど甚だしいものであったのであります。その後、今日まで五カ年が経過をいたしますが、この間に不均衡の是正は全く行われておらず、現在ではそれが一層拡大しております。そうだとすれば、この是正こそ立法府に課せられた最大の課題であり、現下の急務であると言わなければなりません。     〔議長退席、副議長着席〕  投票価値の平等は普通、平等の選挙権と並んで国民主権のもとにおける議会制度の根幹であって、国民の投票の価値が不平等であることはこの制度を揺るがし、国民の議会政治への信頼性を失わしめるものと言っても過言ではありません。それゆえに、立法府は少なくとも公職選挙法の定めるところに従い、五年ごとの国勢調査の結果によって選挙区の定数の配分を是正していかなければならないのであり、五十五年の国勢調査の直後にもこれがなされていなければならなかったのであります。  ところが、多数党である自民党、さらには自民党を与党とする政府も最近までこれを行わず、今般、国会の延長段階に至って、自民党から小手先の是正としか言いようのない本法案が出されてきたのであります。  私は、五十五年の国勢調査以来五年近く、その時点の定数配分を違憲状態とした五十八年十一月の最高裁判決から一年半近くを経た時期まで定数是正が放置されてきたのは、ひとえに自民党の党利党略、さらにはその党内事情によることは明白であると考えます。その上、今回本法案を提出するに当たっても、伝えられるところによると、自民党内では、提出するだけで成立にはこだわらないなどと言われているようであります。  そこで、まず冒頭に提出者並びに総理にお伺いをしたいのは、政府・自民党はこれまでこの問題を放置してきた責任をどう考えるのか、本気で定数配分の是正のための公選法改正に取り組んでいるのかどうか。また、今国会において定数是正ができないとすれば、臨時国会を開いてでも早急にこれを実現する気があるのかどうかという点であり、この際、明確な答弁を求めておきたいのであります。  次に、本法案の内容に入るのでありますが、これは定数配分を憲法の要請する一人一票の原則に基づいて抜本的に改めるというのではなく、単に六選挙区において各一名をふやし、六選挙区において各一名を減らす、しかも四つの選挙区において定数を二名にするというものであります。そしてその結果、選挙区間の投票価値の格差は最大一対三になるとされております。  我が党はかねてから、総定数を増加することなく、かつ一票の格差を少なくとも一対二の範囲内にしなければならない、各選挙区の定数は三ないし五名とすべきであると強く主張し、これに沿う是正案を発表してまいりました。今なおこの原則は絶対に守られるべきだと考えております。したがって、格差を一対三とすること及び二名区をつくることに対しては根本的に疑問を持つものであります。  それゆえに、まず第一に問題にしたいのは、一対三という格差が果たして憲法上の要請を満たしているのかということであります。  定数配分を行うに当たっては、投票価値の等価の要請から、行政区や面積、人口密度といった非人口的要素を多少加味しなければならないとしても、人口比例が重要かつ基本的な原理とならなければなりません。衆議院の場合には特にそうであります。多くの憲法学者も、非人口的要素を加味しても格差は一対二以内でなければならないとしておりますし、昭和五十八年十一月の最高裁判決も一対三を容認したものと解することはできません。この判決の原審判決である五十五年十二月の東京高等裁判所判決は、格差の許容程度について一対二以内ということを明言しているのであります。共産党を除く野党四党が提出した公選法改正案においても確かに格差は一対三程度になるのでありますが、我が党がこの法案に賛成するのは、後に述べるように緊急避難のためであって、一対三を正当であるとしているからではありません。この点で私は、本法案の提出者及び総理に対して、格差一対三という定数配分は憲法解釈上許容されると考えるのかどうかをお伺いいたします。  第二に問題にしなければならないのは、二名区をつくるという点であります。  二名区が小選挙区制である、あるいは小選挙区制に道を開くという論議はここでは差し控えますが、従来我が国の選挙制度は一選挙区三ないし五名という中選挙区制を原則としてきました。すなわち、大正十四年以来、奄美群島区の特例以外には一名あるいは二名の定数の選挙区は存在せず、一選挙区は三ないし五名であるという意識は国民の間に定着しております。一あるいは二名という定員では多数の死票を生ずることが明らかであって、多党化している政党政治のもとでは、少数党を無視することのない三ないし五名の中選挙区制こそ最もふさわしいものであります。そうだとすれば、一、二名区が生ずる場合には、原則として合区をなすべきであります。  ところが、本法案は、兵庫五区ほか三選挙区を二名区としてしまおうとするのであり、これは絶対に許さるべきではありません。我が党ほかの野党が提出している改正案においては、兵庫五区について二区と合区後、分区をするということはあるものの、二名区を一切つくっていないのであって、妥当なものということができます。私は、本法案提出者に対して、なぜ二名区という特別な選挙区をつくるのか、合区によってこれをなくし、三ないし五名の選挙区制を堅持すべきではないのかをお尋ねいたします。  ここで、我が党が他の野党とともに提出した公選法改正案に触れたいと考えます。というのは、この案も六増・六減という点で、さらに格差がほぼ一対三であるという点で本法案に類似しているからであります。  さきに述べたように、我が党は、投票価値の可能な限りの平等という観点から、定数配分の格差一対二以内を主張してきております。にもかかわらず、このような法案を提出したのは、今回自民党が二名区をつくる六増・六減案を提出してきたからであり、六増・六減にとどまるにしても、格差が一対三であっても二名区をつくることだけは何としても阻止しなければならないという考え方に基づくものであります。(拍手)  すなわち、自民党案が提出された現在、このまま推移するとすれば二名区ができてしまうという差し迫った危険があり、これを避けるために二名区をつくらない六増・六減案の成立を図ることを考えたのであります。自民党案成立によって生ずる不正な侵害、弊害を避けるという意味でまさに緊急避難の案であります。と同時に、全く肥大化してしまった一票の価値の格差をこのまま放置すれば、立法府に対する国民の批判は免れがたいことを考えると、今後早急な抜本改正を要求しつつ、今国会において不十分な案であっても定数是正を少しでも前進させなければならないという判断の上に立っております。さもなくば、今後国民に対する関係であるいは最高裁判所の司法判断との関係で、一層困難な事態が生ずるであろうことは明らかであります。  以下、このような観点に立って三つのことを伺っておきたいと思います。  その一つは、もし本国会において定数是正がなされなければ今後どういうことになるかということであります。  現在、周知のとおり五十八年の衆議院選挙の定数不均衡を理由とする選挙無効の訴訟が最高裁に係属中であり、これについての判決がこの夏にも言い渡されると言われております。その場合、既に最高裁が五十八年判決で是正のための猶予期間とした合理的期間はとうに過ぎているはずですから、選挙無効の判決が出る可能性があります。また、かかる状況下では総理の解散権も制約されるという憲法解釈論もあり、解散を行った場合、選挙差しとめあるいは新たな選挙無効の判決のおそれがあります。これらの可能性について、本法案の提出番及び総理はどう考えているのかをお聞きをしたいと思います。  二つ目は、本年十月に昭和六十年度の国勢調査があり、その結果は、五十五年国調に基づく格差一対三を簡単に無意味にしてしまうということに関するものであります。  現に、各選挙区間の人口格差は五十五年当時よりはるかに拡大しており、現時点で五十五年国調に基づいて一対三以内の改正案を成立させてみたところで、六十年国調の結果が判明すれば、それは一対三を超えるものとなることは明らかであります。こうなると、この改正案は到底許容されない定数配分ということになってしまいます。したがって、本年の国勢調査の直後、速やかに再び定数是正を行う必要があり、また、そうすべきであります。我が党は、とりあえず暫定的に定数の是正をするのだとするならば、同時に、本年の国勢調査結果が判明し次第、直ちに定数配分の抜本的改正を行うということを国会で決議すべきであるとの提案をいたしております。私が伺いたいのは、本法案提出者は、このような国会決議をする意思をお持ちかどうか、六十年国勢調査に基づく改正についてどう考えておられるのかということであります。  三つ目には、今後早急に定数の抜本的改正をしなければならないとすれば、第三者機関の設置が必要ではないかという質問であります。  すなわち、定数配分を党利党略、党内事情と無縁なところで速やかに行おうとすれば、配分の具体的内容をその都度国会において論議するのではなく、あらかじめ公職選挙法に定数配分のあり方に関する基本原則を定めておくとともに、具体的な配分を決めるために、西ドイツ、イギリスで行われている区割委員会のような第三者機関を設ける必要があると考えます。この点について自民党案の提案者はどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。  以上、何点かにわたってお尋ねをいたしましたが、議員定数の問題はすぐれて国民の基本的人権にかかわる事柄であり、いやしくも国民の権利をないがしろにするようなことがあってはならない、この観点から、本問題は真剣に論議をされる必要があることを付言して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 中村議員にお答えをいたします。  まず、定数是正放置の責任と今後の対応の問題でございます。  衆議院議員の定数是正問題については、五十八年の最高裁判決あるいは昨年の高裁判決もありまして、政府としても緊急かつ極めて重要な問題であるとして努力してきたところであります。また、自由民主党におきましても、昭和五十七年以来党の選挙制度調査会を中心に是正の方策について研究を重ね論議を交わしてきたところであり、その結果、本日趣旨説明が行われたところの定数是正案が提出されたという次第でございます。国会におきましてできるだけ早期に御審議を進めていただき、早急に定数是正が実現するように念願してやみません。なおまた、国会においてこれから審議を進めていただく段階で、臨時国会について云々するのは不適当でありまして、まず審議して合意形成に努力することを希望いたす次第でございます。  憲法解釈上の許容量の問題でございますが、昭和五十八年十一月の最高裁判決では、一対三・九四という格差を違憲状態とするとともに、最大格差を一対二・九二とした昭和五十年の定数是正について、投票価値の不平等状態は一応解消されたとの評価をしております。今回の各党案は、いずれもこの昭和五十年の定数是正と同程度の是正をしようとするものであると承知しており、昭和五十八年の最高裁判決に沿うものと考えております。  次に、選挙無効判決等の可能性でございますが、お尋ねの訴訟あるいは判決について意見を申し述べる立場にはございません。裁判所の将来の行為についてコメントすることは適当でないと考えております。  残余の答弁は提案者からいたします。(拍手)     〔藤尾正行君登壇〕

藤尾正行自由民主党・新自由国民連合

○藤尾正行君 中村議員にお答えを申し上げます。  まず、定数配分の是正について自民党の責任があるかというお話でございましたけれども、確かに、前回の五十八年十一月以降の状態につきまして私どもが進んでこの是正の措置をとってこなかったということにつきましては御指摘のとおりでございますけれども、これは国会全体がこの問題につきまして同一の責任をとるべき問題であり、その中で最大多数党といたしまして自民党は、より以上の大きな責任感を持っておるということを申し上げたいと存じます。  選挙の基本的ルールをつくる定数是正の問題であり、かつ、立法府の構成にかかわる非常に重大な問題であります。代表選出の基盤に直接変動をもたらすことにもなりまするので、現実的に処理をするということは非常に困難な問題でございます。しかしながら、定数是正が焦眉の課題となっていますことにかんがみ、責任政党である自民党といたしましては、昭和五十七年以降、選挙制度調査会を中心に五十回の会議を重ね、精力的に党内意見の調整に努めますとともに、これと並行いたしまして、昨年の三月以降、与野党の実務者会談を中心といたしまして、定数是正についての各党の合意を得るように努めてまいったのであります。残念ながら、基本的な点におきまして合意を得ることに至りませんでした。したがいまして、このたびやむを得ず、自民党内におきまして調整のつきました定数是正案を単独で国会に提出する運びとなった次第でございます。  次に、本気になって定数配分の是正をやる気があるのかというお話でございましたが、自民党といたしましては、定数是正の案を各党に先駆けて国会に提出をさしていただき、御審議をお願いをいたしたのでありまするから、定数是正の案を提出いたしました以上は、ぜひともこの国会ででも成立をさせていただきたい、かようにお願いをいたしたいと存じます。  次に、本国会において定数是正が行われる可能性及び本国会において定数是正がないとすれば臨時国会で定数是正を実現する気があるのか、こういう問題でございました。  本国会の会期は余すところわずかとなりましたが、提案者といたしましては、各党の御協力をちょうだいをさせていただきました上で、どうしても本国会中にこの定数是正が実現されますことを強くお願いをする次第でございます。(拍手)  次に、格差一対三という定数の配分は憲法解釈上許容されるのかというお尋ねでございますけれども、今回の改正案で格差一対三といたしましたのは、昭和五十八年十一月の最高裁判決におきまして、衆議院議員の定数配分に関し、国会における裁量権をしんしゃくしても一対三・九四という格差については合理性を有するものとは考えられない、こういう御判決でございました。最大格差を一対二・九二とした昭和五十年の定数是正につきましては、投票価値の不平等状態は一応解消されたものと評価されておるところでありまして、格差一対三というのは憲法上許容されるものと考えたからでございます。  次に、一選挙区三ないし五名の中選挙区制を維持すべきではないか、なぜ二人区というような特例的な選挙区をつくるのかというお尋ねでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、総定数はふやさないで、かつ選挙区の境界の変更は行わないという方針のもとに定数是正案を作成をいたした、この結果といたしまして二人区が生じたのでございまして、また、合区によって二人区をなくする努力をすべきではないかというお尋ねでございましたけれども、合区をするということは、その代表選出の基盤を大きく変動させるということになり、かつ不均衡の生じていない隣接の選挙区をも是正の対象とするということになりまするために、今回の定数是正の性格上適当でない、かように判断いたしたためでございます。  次に、定数是正がないままでは、最高裁によって選挙無効判決がなされる可能性、さらには、解散をしても選挙差しとめ、選挙無効判決の可能性があり、この点をどう考えるかというお尋ねでございましたけれども、今後どのような判決が裁判所によってなされるかどうかを軽々に私どもが今予測することは厳に慎まなければならない問題であろうと考えております。  選挙無効の判決がなされる可能性に関しましては、御存じのように、去る昭和五十一年の最高裁判決におきましては、昭和四十七年総選挙当時の定数配分規定を憲法違反とする一方、当該選挙の効力につきましては、いわゆる事情判決によりまして無効とはされなかったという事実がございます。また、選挙差しとめの訴訟は現行法の予定するところではございませんで、裁判所によって認められることとは私は到底考えられないと考えております。これについても、しかしながら、これに対する出訴をする可能性はないかと申しますと、私は、その可能性がある、かように考えております。そのような事態が起こらないように、早急に定数是正がなされなければならない、かように考えておる次第でございまして、この点からいたしましても、何とぞ私どもの提案をさしていただいております六・六案といいまするものに御賛同いただきたい、お願いをいたす次第であります。  次に、昭和六十年度の国勢調査の結果が判明した直後に定数配分の抜本的改正を行う必要があり、その旨の国会決議を行うべきではないかという御意見でございました。  昭和六十年度の国勢調査の結果が判明した以降におきまして、定数配分の見直しについてどのように取り組んでいくかという問題につきましては、定数の配分は立法府の構成にかかわる基本的な事項であり、議員の総定数や選挙区のあり方とも関連をするところでございますので、これは議会を構成をいたしております私ども、各党ともに一緒に御相談をいたしながら検討をしていかなければならない問題であろうと考えます。また、抜本的定数是正につきまして国会決議が行われるということにつきましては、定数是正案の審議の状況を踏まえながら検討さるべき問題である、かように考えておりまして、今日この段階で私どもがこの問題に触れるべきではない、かように考えております。  次に、定数配分の原則を定め、具体的な配分は第三者機関に行わせてはどうかという御質問がございました。  先ほども申し上げましたけれども、基本的な定数配分の原則を打ち立てます、このことは法律事項でございまして、最終的には立法府であります私ども国会の責任でございます。したがいまして、第三者機関を設置するというお考えは一つの御意見である、かように承っておく以外にはございません。しかしながら、国会議員の定数配合は、申すまでもなく、第三者機関の意見といえども私どもがこれを参考にする必要はあるわけでございますから、立法府といたしまして国会自身が判断をし決定をしなければならない問題であろうと考えております。いずれにいたしましても大事な問題でございますから、十二分に各党と御相談の上、これから検討をさしていただきたいというのが私どもの考えでございます。(拍手)     —————————————

勝間田清一無所属副議長

○副議長(勝間田清一君) 岡田正勝君。     〔岡田正勝君登壇〕

岡田正勝民社党・国民連合

○岡田正勝君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました自由民主党・新自由国民連合提出の略称六・六案、すなわち公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに提案者に対して逐次質問をいたしてまいります。  議員定数の不均衡、すなわち一票の価値の不平等が叫ばれて久しく、選挙区ごとの議員一人当たりの格差は、昭和五十五年国勢調査の時点で既に四・五四倍、昭和五十九年三月末の住民基本台帳の人口によれば四・八倍にも達しておるのであります。これはまことに異常な事態と言わなければなりません。憲法では国民に平等な参政権が保障されています。平等な参政権とは一票の価値の平等であります。一票の価値の基本となるものは人目であります。この原則が大きくゆがんだまま長期間にわたって放置されているということは、憲法が保障する平等な参政権が侵害されているということでありまして、最高裁からも厳しく指摘をされておるところであります。投票権の平等が損なわれるということは代議制民主主義の正当性を損なうものであり、ひいては国民の政治不信を招くものであります。議員定数の不均衡という問題の持つ意味は極めて重大と言わなければなりません。  我が党は、このような認識に基づいて議員定数の抜本的な是正をかねてより主張してまいりました。また、他の野党の皆さんとともに政府・自民党に対して抜本的な定数是正を行うことを要求してまいりました。しかしながら、政府・自民党は我々の要求を無視し、じんぜん日を送り、ようやく去る五月三十一日、格差二・九九倍の六・六案を提出されたわけでございます。これをこのままほっておきますると小選挙区制を認めるというようなことになりますので、断じて中選挙区制を守らなければならないという立場に立つ私どもは、緊急避難として野党統一案を出したわけであります。  さて、以上のような認識と経緯を踏まえてお伺いをいたしますが、まず第一に、自民党としては議員定数是正の必要性と重要性をどのように考えておられるのか、これは提案者にお尋ねをいたします。  また、たび重なる裁判所の厳しい判断をどう受けとめていらっしゃるのか、これは総理にお尋ねをいたします。  次に、自民党案の性格が問題であります。  野党との接触の中で自民党は、今回提出した法案は自民党案ではなく自民党の有志の案であると説明されたことがあります。推察しまするに、党内に強い反対を抱えているからとも思われますが、公党としてはまことに無責任きわまる態度と言わざるを得ません。  そこで、第二に、今まで数回にわたる定数是正はすべて内閣提出でありましたが、なぜ今回はそうしないのか、総理にお尋ねをいたします。  さて、現行の議員定数の不均衡が違憲あるいは違憲状態という裁判所の判断がある以上、現行の公選法の定数規定で行われる選挙は再び違法なものとなることは明らかであります。そこで、総理の解散権行使は、違法な選挙を必然的に行うこととなりまするから当然制約されるという有力な考え方が存在をするわけであります。政府は、解散権はあくまで統治行為であって何ら制約されないとの見解でありますが、我が党は、いやしくも一国の総理が違法な選挙の執行に手をかすというようなことは、政治的にも道義的にも行うべきではないと考えておるのであります。  そこで、第三に、違憲状態下における解散権の制約の問題についてどのような見解を持っておられるのか、さらに、是正法案を提出したというだけで解散権は確保できるんだよという安易な考えなのかどうか、これは総理にお尋ねをいたします。  さて、今回の自民党案は、その内容におきまして重大な問題点をはらんでおります。それは是正の幅と二人区の創設という問題であります。  まず是正の幅の問題を取り上げてみますと、自民党案では、最大格差は昭和五十五年国勢調査の人口によってさえ二・九九倍までしか縮めることはできません。これは、最高裁の判断が格差三倍以内なら合憲であるとの見込みに立ったものでありましょうが、まさに小手先だけのびほう策と言わざるを得ません。最新の資料であります昭和五十九年三月末の住民基本台帳の人口でも、格差三倍以内におさめるためには六増・六減案では足りず、七ないし八の増減が必要であり、昭和六十年の国勢調査が年末に出れば、自民党提案者の一人である森先生ですら十増・十減が必要であると見込んでおるのであります。  そこでお伺いをいたしますが、六十年国調の後、まさかこの案で当面を糊塗して逃げるというようなお考えはないと思いますが、自民党の総裁でもある総理の御見解をお伺いいたします。  また、格差の許容範囲はあくまでも厳格な人口比例が原則であり、最大限でも一人に二票は与えないというのが原則でなければなりません。この憲法の精神にも常識にもかなったものが二倍以内の案であると考えておりますので、今回の双方から出たこの案は、あくまでも昭和六十年国勢調査に基づく抜本的是正までの緊急避難的措置と私どもは位置づけております。  そこで、第四といたしまして、自民党は格差三倍以内で事足れりとしておられるのかどうか、また、そうでない場合にはどのような抜本的是正案により格差を何倍以下にすべきとお考えになっていらっしゃるかについて、これは提案者にお伺いをいたします。  また、自民党は今回の案を抜本的是正という課題の中でどのように位置づけをされておられるのか、このことについても提案者の見解をお伺いいたします。  続いて、二人区創設の問題を取り上げてみますと、自民党案は単純な一増・一減方式をとっていますから、減員対象区が三人区である場合には二人区が出現することとなっております。これは、現行の三ないし五名を定数とする中選挙区制の根幹を揺るがす大問題であり、伝統ある中選挙区制を崩して小選挙区制に道を開く暴挙であります。自民党は、二人区の創設は中選挙区制の原則を崩すものではないと主張しておられますが、中選挙区制とは、先ほど来申し述べられておりますように三ないし五名の定数によるものであることは、大正十四年の若槻国務大臣による普通選挙法の提案理由の説明の中にも明確に述べられており、これは自民党の人々もひとしく認めておるところであります。さらに昭和五十年の定数是正時の与野党合意事項でもあり、六十年間も続いてまいりました国民に定着をした立派な制度であります。英国には成文憲法はなく、すべて慣習に従っております。これによって言うならば、大正十四年以来連綿として六十年間も定着した中選挙区制は我が国にとっては不磨の大典であり、憲法とも言うべきものであります。  そこで、第五として、自民党は二人区の創設を中選挙区制を崩すものとは考えてはいないのでしょうか。また、中選挙区制のあり方をどのように考えていらっしゃるのでしょうか。提案者にお伺いをいたします。  最後に、今回の自民党案は、与党サイドの独断で出されたものであります。定数是正案というものは、本来与野党の合意のもとで出されるべきものではないのでしょうか。現在、両案が出されていますが、さらに自民党の他の有志議員から、委員会になりましたら修正案提出の動きがあると聞いておりますが、自民党といたしましては、野党並びにこれらの案と話し合いに応ずるつもりがあるのかどうか、提案者にこの際お伺いをいたします。  また、昭和六十年の国勢調査を踏まえた抜本的是正案の作成を与野党合意の方針のもとに早急に行うべきであると考えますが、自民党はこれに応じられるのかどうか、提案者にお伺いをいたします。  以上、我が党の基本的な考え方に照らして自民党案の問題をただし、私の代表質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔藤尾正行君登壇〕

藤尾正行自由民主党・新自由国民連合

○藤尾正行君 岡田議員にお答えを申し上げます。  まず、定数是正の必要性と重要性をどのように考えているかという御質問でございます。  衆議院議員の選挙区及びその各選挙区において選挙すべき議員の数は公職選挙法によって定められているところでございますけれども、昭和五十五年の国勢調査人口により選挙区制の議員一人当たりの人口を比較してみますと、その最高と最低の差は四・五四倍となっております。このような一票の重みの格差は、憲法上要請されております平等の原則から考えまして許容される限度を越えていると申さざるを得ませんし、国会議員を選挙する権利は代表民主制を支える根幹である、かように思いをはせますと、定数不均衡の是正は喫緊の課題である、かように認識をいたしております。我が自由民主党といたしましては、定数是正を一日も早く実現するため定数是正に真剣に取り組んでまいりましたが、その努力の成果といたしまして、このたび最終的に党といたしまして是正案を御提案申し上げたところでございます。早急にひとつ御賛成をいただきまして成立をさせていただきたい、かように考えております。  次に、格差三倍以内で事足れりと考えているか、さもなければどのような抜本的是正案で、何倍以下にすべきと考えておるかという御質問がございました。  昭和五十八年十一月の最高裁判決では、衆議院議員の定数配分に関し、国会における裁量権をしんしゃくいたしましても、一対三、九四というような格差については合理性を有するものとは考えられないとするとともに、最大格差を一対二・九二といたしました昭和五十年の定数是正について、投票価値の不平等状態は一応解消されたものと評価をされておられるところであります。したがいまして、今回の定数是正案では、昭和五十年の定数是正と同程度の是正をいたしますこととし、具体的には議員一人当たり人口の選挙区間の最大格差を三倍以内といたしたわけでございます。ちなみに、現在提出されております野党四党の御統一案でも、格差を一対三以内にとどめるということを目指しておられます。  さきの最高裁判決から見まして、今回の是正後の定数配分規定は、少なくとも次回総選挙に関し、最高裁におかれまして違憲の判決がなされることはない、かように考えますけれども、その是正が十分なものであるかどうかにつきましては、今回の緊急暫定措置が実施されました後、各党とも御相談をしながら検討してまいりたいと考えております。したがいまして、私どもは、一対三がいいのか、一対二がいいのかということにつきましては、各党の御意見をいただきながら、ともにこれを検討していきたい、こういう姿勢でございます。  次に、この是正案を抜本的な定数是正の課題といたしましてどのように位置づけるかということでございますけれども、各党とこれは御相談をしていかなければならない問題でございます。  二人区をつくることにつきましては、中選挙区制を崩すことにならぬかという御質問でございましたけれども、今回の定数是正案では二人区が四選挙区生ずることになりますけれども、これは、総定数をふやさない、かつ選挙区の境界の変更を行わないという方針のもとに定数是正を行うことにしておりますためでございまして、いわば当面の緊急暫定措置としてやむを得ないものであり、現在行われている中選挙区制の変更を意図するものではございません。  さらに、本来定数是正は与野党合意のもとに出すべきもので、自民党は話し合いに応ずるつもりがあるか、また、六十年国勢調査を踏まえた抜本的是正について話し合いに応ずるかという御質問でございました。  衆議院議員の定数是正の問題は選挙の基本的なルールづくりの問題であり、かつ立法府の構成にかかわります重要な問題でありますので、これは衆議院を構成いたしております各党の御意見をちょうだいして、合意を得た上で定数是正の案を提案することが望ましいことは御指摘のとおりでございます。各党の合意を得た上で私どもも定数是正の案を提案しよう、かように考えまして、昨年の三月以降、各党との間に実務者会談を中心にいたしまして努力をいたしてまいったわけでございますけれども、残念ながら基本的な点において合意を得るに至らなかったのでございます。他方、衆議院議員の定数是正の問題は早急に解決をしなければならない課題でございますので、このたびやむを得ず自民党単独で定数是正案を提出することになった次第であります。今後は、国会におきます審議を通じまして各党からの御意見を伺ってまいりたいと存じております。  また、六十年国勢調査の結果が判明した以降におきまして、定数配分の見直しについてどう取り組んでいくかという問題につきましても、各党の御意見を十二分に拝承をし、御相談をしながら検討してまいるというのが私どもの方針でございます。  以上お答えを申し上げました。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 岡田議員にお答えをいたします。  まず、昭和五十八年十一月の最高裁判決は厳しい判決と受けとめまして、厳粛にこれを早期に解決するように努力いたしたいと思って、せっかく努力してきたところでございます。  今回、内閣提出法案としなかった理由につきましては、過去、三十九年及び昭和五十年の二回にわたりまして提出したのは、いずれも政府提出でございました。昭和三十九年の定数是正は、第二次選挙制度審議会の答申を受けて政府提案し、昭和五十年の定数是正は、国会における各党合意に基づき政府提案の形式をとりました。定数是正問題は、選挙の基本的ルールづくりであり、各党の党内合意形成ということが中心でございます。政府としては、これに対応することにつきまして真剣に考慮いたしましたが、過去二回の場合と若干状況が異なっておりまして、党内合意の成立及び迅速なる国会への提出等々も考えまして、政府与党であり責任政党である自由民主党において改正案を取りまとめて提出していただいたという理由でございます。  次に、解散権の問題でございますが、本来解散権は、憲法が国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に付与した基本的に重要な機能でございます。憲法上解散権の行使を制約する規定はありませんなどの理由により、法律的には制約されませんと考えております。民主政治におきましては、民意を問い、そして民意を尊重すること、これが国政上の最も大事な価値であり、基礎であると考えております。このことは、定数是正法案の提出の有無とは関係はないと考えております。  昭和六十年国勢調査後の対応についてでございますが、まず、その結果を見た上で、立法府を構成する各党間で十分論議を尽くしていただきたいと同時に、政府も適切な対応を検討し、与党と協議したいと考えております。  以上で答弁を終わりにいたします。(拍手)     —————————————

勝間田清一無所属副議長

○副議長(勝間田清一君) 野間友一君。     〔野間友一君登壇〕

野間友一日本共産党・革新共同

○野間友一君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました定数是正に関する自民党案及び社会、公明、民社、社会民主連合四党共同案について、その重大な問題点をただします。  まず、現状の認識についてであります。  今日の最大一対四・五四にも及ぶ定数格差が裁判所によって憲法違反だと断定されていることは周知のところであります。そこで伺いますが、総理並びに両提案者は、今日の状態が憲法が明文で保障する選挙権の平等原則に反していると認識しているのかどうか。公正、民主的な定数是正を実行して、有権者の一票の価値の平等を実現することが、議会制民主主義を守る上で今日の国会に課せられた重要かつ緊急な課題とお考えかどうか、明確な所見を求めます。  法案の第一の問題は、選挙区間格差についてであります。  格差が二倍を超えているということは、ある選挙区の有権者が他と比べて一人で二票以上の権利を持っていることであり、これが法のもとの平等を定めた憲法に反することは明らかであります。このことは憲法学者の大多数の意見であるとともに、東京、広島の各高裁でも判示されているところでおり、是正に当たって格差を少なくとも二倍未満にすることは、国会が国民に対して負っている最低限の責務と言わなければなりません。(拍手)  一票の価値の格差是正について、より根本的に言えば、かねて我が党が主張するように、得票率を議席に反映させ、死票をなくすることのできる都道府県単位の比例代表制をとることであり、格差を少なくとも一対二未満に是正することは、当面の緊急課題、直ちに是正しなければならない問題であります。しかるに、なぜこの是正に取り組もうとしないのか。総理並びに両提案者の明快な見解を求めるものであります。(拍手)  さらに、現在の人口格差がどうなっているかを示す目安として、有権者台帳の基礎となる住民基本台帳があります。それにより昨年三月末現在の人口を調べてみますと、自民党案による是正を行っても、今日既に北海道一区を初め三つの選挙区が格差三倍以上となっているのであります。この点について間違いないかどうか、自治大臣の答弁を求めます。  また、自民党の調査でも、あと数カ月後の国勢調査実施時期の十月一日にはさらに新たな選挙区での是正が必要となります。すなわち自民党案は、それを持ち出した根拠とする五十八年の最高裁の格差三倍以内の基準すら現在満たしておらず、明らかに憲法違反と言わねばなりません。これらの問題について自民党提案者の答弁を求めるものであります。  さらに、四党もみずから二倍程度の是正を主張しておきながら、自民党案と同様のこのような矛盾、破綻が明白な案をなぜあえて提出されるのか、四党共同提案者の答弁をあわせて求めます。  第二に、二人区導入問題についてお尋ねいたします。  議員定数は、国民の意思が国会の議席に公正に反映する方向で是正されることが重要であります。この見地から、自民党案の最大の問題は、四つの選挙区について議員定数を二名とする二人区を新たに導入している点であります。選挙区定数は、基本的には六十年間にわたって三ないし五人としており、制度的慣行であります。しかも中選挙区制を維持するため定数が六名となった場合、かつて埼玉一区ではあえて飛び地選挙区をつくることまでして分区してきたのであります。人口増による選挙区の分区に対してこれほどの厳しい措置をとりながら、人口減の場合にのみ選挙区の歴史、地理等の条件をあえて持ち出し、合区を避けてあくまで二人区に固執する合理的な理由はありません。なぜこのような二人区に固執されるのでしょうか。  二人区制の問題の第一は、死票が大きく増大する点であります。  今回二人区となる選挙区について、さきの選挙結果に照らし第三位の当選者と落選者の票を合計しますと、兵庫五区の四九・九%を初め半分近くが死票になるのであります。自民党の議員の中にも、三ないし五人の中選挙区制を維持することは、死票を最小にする意味において与野党を問わず政界の大勢との指摘もあるほどであります。二人区制は死票を現行よりさらに増加させ、有権者の意思がいよいよ議席に結びつかなくなるではありませんか。  第二に、二人区の導入が選挙制度の根本的改悪になるという点であります。  一たび二人区制を取り入れるなら、今後五人区を二と三、四人区を二と二に分割するなど中選挙区制の歯どめを失うことになり、事実上の小選挙区制に道を開く突破口にもなるのであります。  自民党提案者にお伺いします。  あなた方の試算した昭和六十年の国勢調査の推計によれば、格差を三倍以内にするには、新たにそれぞれ四つの選挙区で定数の増減が必要となっております。定数減となる選挙区のうち新潟四区など三つの選挙区は三人区であります。合区も境界変更もしないという自民党の主張に従えば、これらの選挙区の是正に当たっては、さらに二人区をつくらなければならないということになります。また、大都市及びその周辺地域の選挙区は、行政区の人口は多いが、逆に行政区の数は少ないのが一般的傾向であります。そのような地域を抱える選挙区で人口増のため定数が六以上となった場合、これまた自民党の主張に従うとすれば、行政区画を尊重する上からも二人区の導入が必要となるのではないでしょうか。この点についてどのようにお考えなのか、答弁を求めます。  自民党が二人区導入をあくまで固執するのは、戦後保守勢力が一貫してねらってきた一選挙区定数一の小選挙区制導入、つまり、四割台の得票で八割の議席を確保するその布石として位置づけているからにほかなりません。現に、岸元首相が小選挙区制を提唱されておりますし、提案者の森議員みずからも、政治の安定のためには小選挙区制が最善と言われています。自民党の趣旨説明では、選挙区のあり方について見直しを行うことが望ましいとも述べていますが、どのような見直しが望ましいと考えているのか、さらに、小選挙区制による見直しは行わないと断言できるのか、明確な答弁を求めます。(拍手)  次に指摘しなければならないのは、本案提出に至る経過とその手続についての不当性であります。  議員定数是正に当たっては、国会がみずからの意思と責任に基づいてこの問題の解決に取り組まなければならないのは当然のことであり、その際、主権者たる国民の意思を尊重する上からも、国会を構成するすべての党派による公正な協議が行われることが不可欠であります。公選法特別委員会こそは、まさに国会におけるその機関として設置されているのであります。我が党は一貫してこの立場を主張してまいりました。  ところが、この道理ある主張にもかかわらず、先国会では、すべての党派が一堂に会してする協議は一度も行われておりません。今国会に入ってからも、会期延長後になってやっと開かれ始めた、こういう事態であります。これは、中曽根総理の、国会議員の定数配分につきましては各党各会派で十分論議を尽くすとの所信表明に反するばかりか、国会を自民党案成立の機関にしようとするものであり、議会制民主主義を破壊するものと言わねばなりません。総理並びに両提案者の見解を求めます。  定数是正に当たって今何よりも必要なことは、我が党が明確に指摘しているように、現行中選挙区制の維持、二人区を認めない、格差を少なくとも二対一未満とする、是正に必要な合分区に当たっては党利党略を排し公正に行うという基準をまず確立することであります。選挙区ごとの是正は、これに基づいて検討すればおのずから決めることができるのであります。現に、岡原最高裁元長官も、国会が方針さえ決めれば作業は自動的にやれます、やる気があれば抜本策もと指摘していますし、前回の是正では、各党の協議によって基本方針の合意を得て是正が行われたのであります。  両提案者にお伺いします。今後、是正のための基準を国会の意思としてまず最初に確定していく必要があるとお認めになるのかどうか、答弁を求めます。  質問の最後は、法案提出に関する意図についてであります。  自民党が党内にある派利派略、個利個略を抑えてあえて本案提出に踏み切った背景には、とにかく提出さえすれば解散権が確保できるとか、最高裁に対して国会の努力を評価させることができる等の思惑があったことは、よく言われるところであります。このような態度は、本来の是正目的に反し、国民を愚弄するものであり、国民の基本的な権利である参政権まで自民党の党利党略のもとにもてあそぶものと言うべきではないでしょうか。断じて容認できません。  また、四党共同案は、みずからの抜本是正という従来の態度を急変させて、自民党案と同次元に立って提案されたものであります。暫定の措置にも値せず、結果的に自民党案の審議を促進し、解散権確保の条件づくりになるのではないでしょうか。  以上の諸点についての両提案者の明快な答弁を求めます。(拍手)  あわせて、総理にお尋ねいたします。  解散は内閣の政策についての是非を国民に問うために行われるものであります。しかし、一票の価値のこのような不平等を放置しての解散は、本来国民に総意を問う前提が失われているではありませんか。総理の主張するように解散権は制約されないなどというのは、明らかに民主主義に反するものであり、許されるものではありません。解散についての総理の認識をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)     〔藤尾正行君登壇〕

藤尾正行自由民主党・新自由国民連合

○藤尾正行君 野間君にお答えを申し上げます。  まず、現在の格差が違憲状態にあると認識しているかというお話でございますが、先ほどから申し上げておりまするように、五十八年最高裁判決で違憲状態であるとされました一対三・九四を上回る一対四・五四となっておることを考えますと、現行の定数配分規定が違憲状態にある、かように考えられましても、これは仕方のないところである、かように認識をいたしております。  次に、格差を一対二以内に抑えることが憲法の要請するところではないかという御質問でございますけれども、去る五十八年十一月の最高裁判決あるいは五十年の判決、その結果を考えてみますと、一対二・九二という定数是正につきましても、投票価値の不平等状態は一応解消されたと評価をされておるということを申し上げておきたいと存じます。  次に、全会派によって協議を行うべきであるという御意見でございますけれども、当然のことであり、私どもは、選挙の基本的なルールづくりといいまするものを厳粛に考えまして、与野党合意の上で提案がなされることが望ましい、かように考えております。自民党といたしましても、野党各党との実務者会談、日本共産党・革新共同との会談も数回にわたって行っており、各党とも十分に意見の交換は行ってきておるのでございます。残念ながら基本的な合意を得るに至らなかったことは事実でございます。しかしながら、他方、衆議院議員の定数是正の問題は早急に解決すべき課題でございますので、このたびは、やむを得ず自民党単独で定数是正案を提案させていただくに至ったわけであります。  次に、定数是正のための基準を定めることの必要性についての御質問がございました。  定数の配分は、立法府の構成にかかわる基本的な事項でございまして、議員の総定数や選挙区のあり方とも関連をするところでございます。したがって、総定数や選挙区のあり方との関連を考慮して定数配分の基準を定めるというのは、一つの御意見として承っておきます。現行の衆議院議員の定数配分規定につきましては、昭和五十八年の最高裁判決によって違憲状態とされておりまして、その一日も早い是正が要請されておるということを考えまして、当面の緊急措置といたしまして、共産党もこの私どもの案に御賛成をいただきまして、成立をさせていただきたい、かように考えております。  なぜ二人区をつくるのかというお答えでございますけれども、総定数をふやさず、かつ選挙区の境界の変更を行わないという今回の緊急暫定措置の性格上、やむを得ず生じたものでございまして、二人区では死票が増加するというようなお尋ねでございまするけれども、それはいわば結果論でございまして、選挙制度としてどのような制度をとるかということにもっぱらかかるものと考えております。  今後、合区、境界変更を認めない場合に、二人区を導入しなければ是正できないときにはどうするかというお尋ねでございますが、二人区はあくまでも特例でありまして、将来的にも今後の定数是正をどう進めていくかという問題の中で検討さるべき問題でございます。なお、自民党といたしましては、今回二人区をつくるということは、小選挙区制を導入するということとは全く関係がない、かように考えております。  解散権の問題とも関連いたしまして、いろんなお話がございましたけれども、この私どもの提案をいろいろ御批判をいただきまして、自民党の党利党略であるというような御指摘がございましたけれども、これはもってのほかのことでございまして、私どもの政党といいまするものを侮べつをするそのような御批判を私どもはいただくわけにはまいらないということを申し上げておきます。(拍手)     〔田邊誠君登壇〕

田邊誠日本社会党・護憲共同

○田邊誠君 野間議員にお答えいたします。  現在の格差が憲法に違反してないか、こういう御質問でございますが、これはもう当然、現在の一票の重みの格差は、五十五年の国勢調査によっても既に四・五四倍に達しているのでありまして、憲法の要請している選挙権の平等原則に明らかに違反しているということは、これは論をまたないのであります。  格差を一対二以内に抑えることは憲法の当然に要請するところと考えないか、こういう御質問でございますが、これも憲法の平等原則の要請を最大限に尊重して、できる限りその要請にこたえるべく努力しているというのが我々の考え方でございまして、そのために我々は暫定措置であっても四党共同提案をいたしたのであります。ただし、この場合においても総定数は増員しないという考え方に立っているのでございまして、共産党のように、今日の衆議院の五百十一の総定数をふやしても構わないという安易な考え方に対しては、くみすることはできません。  是正後でも最高裁の示す格差基準すら満たしていないものをなぜ提出するのか、こういう御質問がございましたが、一対三の是正が憲法が求める平等原則に照らして十分でないということは、先ほど答弁したとおりであります。したがいまして、六十年国勢調査が出た段階で、三倍すら超えている選挙区については改めて検討の対象とすべきことは当然であります。  全会派による協議をまず行うべきであって、国会を自民党案成立の機関とすべきでない、それはそのとおりですね。我々も、自民党が十分各党との協議を調えることなしに、自民党内におけるところの対立案を消化しないで今日自民党案を出したことについては我々は反対である、こう言っておるのでございまして、今後公職選挙法改正調査特別委員会において与野党の十分な論議を尽くすのは、これは議会のルールからいって当然でございます。  それから、是正のための基準をまず決めるべきではないかということでございますが、これも当然でございましょう。我々も、与野党が協議を尽くして是正のための基準をまず決めることが最も望ましいやり方であると考えております。自民党が会期末に一方的に是正のための努力の体裁を整えるがごとくに、二人区を新設するいわゆる六・六案を提出して、これが独走するおそれもある以上、これに対抗する野党統一案をつくって国会で堂々と論陣を張っていくことは、議会制民主主義の正しいあり方であると考えております。  まして、御質問の中で、四党共同案も結果的には自民党案の審議を促進させることにならぬか、あるいは自民党のねらうところの解散権確保の条件づくりになるのじゃないかというような御質問がございましたけれども、これはもう私が改めて実はお答えする必要もないことでございまして、自民党が一つの案を出してきたとして、その場合に、野党はただ沈黙をして何らの対案も示さないということ自身が野党の責任を問われることになるのじゃないでしょうか。我々与野党が双方に案を持って、その上に立って、この土俵の上で十分な審議をすることが国民から課せられた任務を果たすことになる、このように考えておりまする促し、自民党の独走をストップさせることにもなる、このように思っておるのでございまして、ただ遠くの方で反対と言っているだけでは国会は済まないのでございます。  どうか共産党の諸君も、今からでも遅くはありませんから、我々の統一案に対して御賛同いただきまして、その土俵の中で正々堂々たる論議を尽くしていただくことを心から祈念をいたします。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 野間議員にお答えをいたします。  最高裁の判決等につきましては、政府はこれを厳粛に受けとめまして、定数是正問題につきまして努力してきたところでございます。  許容される格差についてはいろいろの考えがありますが、五十八年十一月の最高裁判決では、最大格差を一対二・九二とした昭和五十年の定数是正について、投票価値の不平等状態は一応解消されたものとして評価しております。したがいまして、現段階における一応の基準を示しているものと考えます。  次に、各党各会派で十分論議せよという考えについては、もちろん賛成でございます。公職選挙法改正に関する調査特別委員会におきまして十分御審議を願いたい。そうして早期成立を念願しております。もっとも、この場合に、定数増というような考えがもしあるとすれば、それは、行革をやっている今日の民意に反する時代錯誤も甚だしい考えである、そう考えております。  次に、解散権の問題でございますが、本来解散権は、憲法が国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に付与した基本的に重要な機能であり、憲法上解散権の行使を制約する規定はないという理由などにより、法律的には制約されません。民主政治におきましては、民意を尋ね、これを尊重するということが国政上最も重要なことであり基礎であると考えておる次第であります。(拍手)     〔国務大臣古屋亨君登壇〕

古屋亨自由民主党・新自由国民連合自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(古屋亨君) 住民基本台帳によります格差の状況についてのお尋ねでございますが、仮に昭和五十九年三月末の住民基本台帳人口によりまして、現在提案されております定数是正案と同様の考え方で対象選挙区をとらえますと、二選挙区が加わりまして十四選挙区となります。しかしながら、衆議院議員の定数配分の基準といたしまして人口を用います場合には、従来から国勢調査人口によっておりますし、また、公選法別表第一の規定も国勢調査の結果により更正するものとしておりますので、国勢調査人口によるべきものと考えます。したがいまして、現段階で定数是正を行いますには、直近の国勢調査であります昭和五十五年の国勢調査人口によるほかはないものでありまして、今回提案されました両案とも、昭和五十五年国勢調査人口を基準として格差三倍を超える選挙区について是正を行うこととしておるのであります。(拍手)

勝間田清一無所属副議長

○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。      —————・—————  日程第一 万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第二 万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結につい承認を求めるの件(参議院送付)  日程第三 小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第四 郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第五 郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)

勝間田清一無所属副議長

○副議長(勝間田清一君) 日程第一、万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件、日程第二、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、日程第三、小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件、日程第四、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件、日程第五、郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件、右五件を一括して議題といたします。  委員長の報告を求めます。外務委員長愛野興一郎君。     —————————————  万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書  万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書  小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件及び同報告書  郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件及び同報告書  郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     —————————————     〔愛野興一郎君登壇〕

愛野興一郎自由民主党・新自由国民連合

○愛野興一郎君 ただいま議題となりました五件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  万国郵便連合憲章外関係五文書は、昭和五十九年六月十八日よりハンブルクで開催されました連合の第十九回大会議において、連合の運営を改善し、料金その他の業務上の事項について変更を加える目的でその内容に修正及び補足が行われ、憲章については、追加議定書の形でその一部が改正され、その他の文書については、現行の文書にかわるべき新たな文書が作成され、同年七月二十七日に署名されたものであります。  まず、万国郵便連合憲章第三追加議定書は、連合の機関のうち事務小会議と特別委員会を廃止すること並びに国際事務局はスイス連邦政府にかわって執行理事会の監督を受けることに改めるものであります。  次に、万国郵便連合一般規則は、執行理事会の権限に連合の財政規則を定める権限等を加えること、連合の年次経費及び次回の大会議開催の経費の最高限度額を改めること並びに各国の連合経費の負担について新たな分担等級を設けること等を内容としており、また、万国郵便条約は、通常郵便物の基本料金及び到着料等の引き上げなどの改正を行うものであります。  次に、小包郵便約定は、保険つき小包の保険金額の限度額及び亡失等の場合の賠償金額の引き上げ等について定めております。  次に、郵便為替及び郵便旅行小為替約定は、複合交換方式の新設、為替一口の最高限度額及び為替振出料金の最高限度額の引き上げ並びに払い渡し手数料の率の改定等を行うものであります。  次に、郵便小切手約定は、郵便保証小切手の口座加入者から料金を徴収することができること、及び郵政庁は加入者名簿の記載に関する情報の交換方法について取り決めを行うことができることといたしております。  以上五件は、いずれも参議院から送付されたものでありまして、四月十七日外務委員会に付託され、同月二十四日安倍外務大臣から提案理由の説明を聴取し、六月七日質疑を行い、去る十九日採決を行いました結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————

勝間田清一無所属副議長

○副議長(勝間田清一君) 五件を一括して採決いたします。  五件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

勝間田清一無所属副議長

○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、五件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。  日程第六 日本放送協会昭和五十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書  日程第七 日本放送協会昭和五十七年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

勝間田清一無所属副議長

○副議長(勝間田清一君) 日程第六、日本放送協会昭和五十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書、日程第七、日本放送協会昭和五十七年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書、右両件を一括して議題といたします。  委員長の報告を求めます。逓信委員会理事関谷勝嗣君。     —————————————  日本放送協会昭和五十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書及び同報告書  日本放送協会昭和五十七年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     —————————————     〔関谷勝嗣君登壇〕

関谷勝嗣自由民主党・新自由国民連合

○関谷勝嗣君 ただいま議題となりました日本放送協会の昭和五十六年度及び昭和五十七年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書について、逓信委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  この両件は、放送法第四十条第三項の規定に基づき、会計検査院の検査を経て内閣より提出された日本放送協会の決算書類であります。  まず、昭和五十六年度の決算について申し上げますと、昭和五十六年度末における資産総額は二千三百四十二億九千八百万円で、前年度に比べ二百十八億七千八百万円の増加となっております。これに対し負債総額は九百三十八億一千五百万円で、前年度に比べ六十六億七千百万円の増加となっております。また、資本総額は一千四百四億八千三百万円で、前年度に比べ百五十二億七百万円の増加となっております。  次に、損益について申し上げますと、昭和五十六年度中の経常事業収入は二千八百十五億七千六百万円、また、経常事業支出は二千六百六十七億九千九百万円となっており、この結果、経常事業収支差金は百四十七億七千七百万円となっております。これに特別収入八億三百万円及び特別支出三億七千三百万円を含めた事業収支差金は百五十二億七百万円となっております。  次に、昭和五十七年度の決算について申し上げますと、昭和五十七年度末における資産総額は二千五百二十四億一千五百万円で、前年度に比べ百八十一億一千七百万円の増加となっております。これに対し負債総額は一千四十八億一千六百万円で、前年度に比べ百十億百万円の増加となっております。また、資本総額は一千四百七十五億九千九百万円で、前年度に比べ七十一億一千六百万円の増加となっております。  次に、損益について申し上げますと、昭和五十七年度中の経常事業収入は二千八百七十七億四千六百万円、また経常事業支出は二千八百六億二千八百万円となっており、この結果、経常事業収支差金は七十一億一千八百万円となっております。これに特別収入五億二千万円及び特別支出五億二千二百万円を含めた事業収支差金は七十一億一千六百万円となっております。  なお、これら両件には、いずれも「記述すべき意見はない。」旨の会計検査院の検査結果が添付されております。  本委員会におきましては、この両件について、去る六月十九日左藤郵政大臣及び日本放送協会当局から説明を聴取し、審査を行い、次いで採決の結果、いずれも全会一致をもって異議がないと議決した次第であります。  以上、御報告を申し上げます。(拍手)     —————————————

勝間田清一無所属副議長

○副議長(勝間田清一君) 両件を一括して採決いたします。  両件の委員長の報告はいずれも異議がないと決したものであります。両件を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

勝間田清一無所属副議長

○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり決しました。      —————・—————

長野祐也自由民主党・新自由国民連合

○長野祐也君 残余の日程は延期し、本日はこれにて散会されんことを望みます。

勝間田清一無所属副議長

○副議長(勝間田清一君) 長野祐也君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

勝間田清一無所属副議長

○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会      —————・—————

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