法務委員会 第24号
- 発言数
- 270 件
- 登壇者
- 35 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/09/06
会議録
○片岡委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所上谷民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○片岡委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、参考人田頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社電話企画本部準備室営業推進部長西脇達也君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○片岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 久しぶりに委員会が開かれましたので、私を初め同僚諸君いろいろ多岐にわたるわけでございますけれども、時間が余りございませんので端的に数点に限って御質問をしたいと思います。 まず最初に、法務大臣にいわゆる初の公式参拝の問題について伺いたいと思います。 私ども法務委員会というところは、法秩序の維持が基本的な共通概念でございます。法秩序の維持の基本になっておりますものは憲法であり、憲法に関しては他の委員会の諸君よりももっと厳正に憲法意識というものを身につけ、かつ、院外の各種団体に対しましても憲法を基礎にして物を言うというのが法務委員たるの職責であると思います。いわんや法務省は、その意味においては憲法の擁護者であるという観念が大臣以下特に強くなければならぬと思います。 さて、公式参拝なるものについて、政府の、官房長官の私的諮問機関であるものが答申をしたからといって、それを基礎にして公式参拝したことについては私ども多大の疑義を禁じ得ないのであります。しかも、靖国神社の国家護持につきましては、すでに当院において法制局長官等の意見陳述によりましても、この問題について政府の公式見解として疑義を表明していることも御存じのとおりであります。 私は、今、首相を初め十八閣僚が公式参拝をしたことについて問題にしたいのでありますが、特にきょうは、法務大臣としてそういう今言ったような立場の中で公式参拝をやられたということは大変遺憾千万なことだと思いますが、法務大臣は一体どういう心境で公式参拝に臨まれたか伺いたいと思います。
○嶋崎国務大臣 ただいま御質問の靖国神社の公式参拝の問題でございますが、御承知のように戦没者を追悼するということにつきましては、どこの国でも一般的に行われておることでありますし、我々自身の育った時期というようなこともありましょうし、私たち中学の同級生で陸士、海兵へ行った者は一人も残らず戦死をしておるというような環境に育ち、また当時の級長、副級長をやった五年生の友達も全部戦死をしておるというような環境に育ってきたわけでございます。また、そういう背景の中で戦没者を追悼するという気持ち、靖国神社がその中心的な施設であるということも一般的に認められておる状況でありますので、かねてから国を代表する者が公式に参拝をしたらどうかということについていろいろ経過があったことは、先ほど御指摘のあったように我々もよく承知をしておるわけでございます。 しかし、そういう中で、今回はいろいろな人の意見も聴取をして、また一般的な心情としましても、そういう中心的な施設であるところでこの戦没者の追悼をしてもらいたいという気持ちが相当あったわけでございます。そういう問題と、それから憲法に違反するかどうかというようなことにつきましても十分検討をした上で、今回の形式の公式参拝に参加をしたというのが実情であるわけでございます。
○横山委員 戦死者の墓にお参りをするということについては、私もやっておるわけであります。外国へ行きましても、私はしております。ただ問題は、憲法によって政教分離の原則が確立しておる日本であります。外国でもそうであります。しかも靖国神社が何といいましても宗教法人であり、神社であるということなのであります。 法務大臣にお伺いしますが、無名戦士の墓にお参りをされたことがありますか。靖国神社のすぐそばでございますが、本当にお参りされるならば、無名戦士の墓になぜお参りしないのですか。あるいはまた、そうするとあなたは将来公人としても伊勢神宮へお参りされる、こういうこともおやりになるおつもりでありますか。
○嶋崎国務大臣 今回はお参りはいたしませんけれども、(発言する者あり)よその機会にお参りしたことは何回かあります。(横山委員「よくわかりません」と呼ぶ)十五日の日はいろいろな都合でお参りはしておりませんけれども、別の機会にお参りしたことはあります。 いずれにしましても、将来の問題につきましてどういう考え方をとるかというようなことにつきましては、懇談会の中にもいろいろな意見があるところでありまして、我々も十分事態の推移を見て判断をしていきたいと思っております。
○横山委員 新聞の報ずるところによりますと、あなたはそれでも多少気持ちの上でじくじたるものがあったようでございますが、これを見ますと、肩書を法務大臣とせず国務大臣とされたそうであります。また談話で、「法務大臣と書くと法務省との絡みが生ずるので避けた。玉ぐし料とか供花料は慎んだ方がよい。」というふうに対応されたそうでありますが、これはどういう意味でありますか。
○嶋崎国務大臣 かねてこの問題についていろいろな議論があったわけでございます。いろいろな整理が進んだというのがぎりぎりの段階でございましたけれども、それまでは従来の考え方というものがありますし、私たちも過去に靖国神社に追悼の意味で参拝をしたということがあるわけでございます。そういうときの資格はどういうことであろうかというようなことでございまして、そういうときには私的参拝であるというのが長らく続いた考え方であるわけでございます。そういう意味で、私人として参拝をするというようなことも申し上げておりました。またいろいろな関係で玉ぐし料その他の問題につきましては、公的な考え方でこれをするべきではないというふうに思っておりましたので、そういう考え方を率直に述べておったというのが実情でございます。
○横山委員 それでは法務大臣たると同時に政治家としてお伺いしたいのでありますが、事靖国神社に公式参拝する、しないという問題ばかりでなくて、このことが政治的にどんな影響があるかという問題であります。 伝えるところによりますと、中国側の反応は、単にこればかりでなくて、総理以下閣僚が公式参拝をする、あるいは一%を突破する、あるいはまた最近伝えられたのもやはり同様だと思いますが、日の丸、国旗掲揚、君が代などが教育審議会で課題になるというような一連の政治的な動向について、一体政治家としてあなたは公式参拝だけだというふうにお考えでしょうか。その動向というものが国内及び国外に与える影響というものをあなたは全然考慮をなさいませんか。
○嶋崎国務大臣 我が国の憲法の精神というのは、我々も十二分に承知をしておるわけでございます。そういう一連の中で、今度の公式参拝の問題につきましても、これの宗教的な意義というものをどう考えるのか、あるいはその効果として宗教に何らかの意味で加担をする、あるいはそれを阻害をするというような考え方とは別個の問題として事柄を処理しておるわけでございまして、そういう意味で今度の問題についても、対外的に今御指摘のような問題があるとするならば、これらの点については十二分に説明をして、我々の考えている考え方というものを理解していただくように処置しなければならない事柄であろうというふうに思っております。
○横山委員 これはくどく言っておきますけれども、私は嶋崎法務大臣のお人柄なり、あるいは今日までのあなたの政治活動をよく承知をしておるのですが、法務大臣なるがゆえにということはやはり大事なことだと思います。他はいかんともあれ、法務大臣としては守らなければならぬ、堅持しなければならない一つのポイントがあると思うのであります。私がかつて言いました人権の問題についてもそうであります。他の閣僚とは違う。おれは法務大臣であるという立場というものは、政治家として、法務大臣として考えてもらわなければいかぬことだ、みんなが行くからおれも行くでは済まされぬ問題だということを私は強く警告をしておきたいと思います。 さて、次の問題でございますが、私ども委員長を先頭にいたしまして、先般来関西地方へ国政調査に行きました。関西を選びましたのは、皆意思統一をしたわけではございませんけれども、少なくとも最近関西において問題が続出しておる。一つは暴力団問題である。一つは指紋問題が圧倒的にあちらの方に多い。そして一つは豊田商事の問題が一番たくさんあるところである。あるいはもう一つは差別の問題があるところであるということで関西を選び、関西の法務、最高裁、裁判所系統の幹部の皆さんに非常な御協力を願って、私どもは熱心に調査をいたしました。きょう折しもハワイで暴力団がピストルやあるいはロケット砲を仕入れたという衝撃的な問題が出ましたが、ややデリケートな問題がございますので、きょうはちょっと、私次回に回したいと思うのでありますが、とりあえず豊田商事の問題であります。 現在大阪地方裁判所に集まっておりますこの豊田商事の被害者届け出の状況をまず御報告を願いたいと思います。
○上谷最高裁判所長官代理者 豊田商事関係の債権届の内訳でございますが、去る八月三十一日までが債権届け出期間ということでございましたが、九月二日現在の数字が判明いたしておりますのでその数字で申し上げますと、裁判所に直接提出されました届け出が八千五百五十五通、弁護団を通じまして届け出がございましたものが一万八千百一件、合計いたしますと二万六千六百五十六件が既に届け出がなされているという報告がございます。その後、期間が経過いたしました後も日に二、三十件程度の届け出というのがまだ出てきているというふうな報告を受けておりますが、詳細の統計については今のところまだ明確にはなっておりません。(横山委員「金額は出てませんか、まだ」と呼ぶ)金額は今集計中でございまして、正確な金額はまだ集計できていないようでございます。
○横山委員 私どもが調査した感覚で言いますと、予想よりも上回ったという感じがいたしますが、二万六千六百五十六件、推定金額がなかなかできないようではございますけれども、私どもの感じから言いますと、この被害金額と豊田商事系統の財産を差し押さえて確保し得る金額と、その比較検討を推定してみまして、私どもの予測でございますけれども、これは返還される金額のパーセントが少なくなるなどいう感じを受けておるのでありますが、いかがですか。
○上谷最高裁判所長官代理者 ただいまのところ、管財人がいろいろ努力をなさいまして手元に集めることのできました財団の額は、おおよそ十二億余というふうに聞いております。今後さらに管財人が努力をされて財団をさらに確保するというふうな状況が出てくることが期待されるわけですが、今のところまだ具体的な見通しはないわけでございます。一方、債権金額につきましてはまだ集計ができておりませんが、先ほど申しました非常に多数の債権者でございますので、膨大な額に上るであろうということは当然予想されます。したがいまして、配当率が余り高い率は期待できないであろうということは一般に言われておるところでございますが、あとは管財人の種々の御調査あるいはその後の努力いかんによって決まってくるわけでございまして、今のところ裁判所あるいは管財人といたしましても、どの程度の配当率になるか、ちょっとまだ予測がつかないところでございます。
○横山委員 予測をもっていたしますと、五%はおろか、もっと少なくなるのではないか。そういたしますと、例えば百万円損した。それに要する、被害者からの届け出費用、僕は、弁護士さんに少なくとも数千円払わなければならぬと思うのですね、弁護士を経由した人は。それから交通費、これからの債権者会議等々のあれを考えますと、実費をも賄い得ないのではないか、非常に残念なことではありますけれども。そういうことを私ども調査に行きましてまことに気の毒だということを考えたのが一つでございますが、この推定についてどうお考えになるかということであります。 それからもう一つは、この裁判所をもってしても八千五百、弁護士経由で一万八千百、これらの被害届を整理する、そして債権額を確定するという作業は大変なものだと、現場を踏まえて痛感をいたしました。主力は大阪地方裁判所ではございますが、関連をいたします例えば法務局でも検察庁でも、豊田商事の問題について、もう忙殺をされておる。だから、現場でも裁判長や関係の長に対しまして、法務省並びに最高裁に、迅速な執務体制をするために現場でもできる限りのことをしてもらいたいが、省及び最高裁に対して注文があったらどんどんと言ってほしいと。我々国会議員も超党派でこの作業が円滑に行えるように努力するにやぶさかではないと、委員長にもお願いをして、法務省、最高裁にもお伝えを願ったはずでございますが、今日のところその作業に遺憾はないかどうか、お伺いをいたします。
○上谷最高裁判所長官代理者 今御指摘のとおり債権者数が非常に多うございますので、当初申し立てがございました当時からいろいろ債権者側からの問い合わせ等もございましたし、破産宣告がございまして債権届け出の期間が定められました以後は、債権者からの膨大な数の届け出が出てまいりますものですから、破産部の担当事務は大変忙しくなっているということは御指摘のとおりでございます。そういう状況に対応いたしまして、大阪地方裁判所でも対応策を真剣に考えられまして、まず、できるだけ被害者の側の届け出をしやすくするという意味も含めまして、届け出書の用紙を定型的なものにつくりまして、大体類型的に数種類の契約に分かれておりますので、それぞれの契約ごとに、金額、契約年月日等を書き込めばそれで足りるような用紙を五万部ほどつくりまして、大阪地方裁判所だけではなくて全国の各地方裁判所、それからそれに対応いたします弁護士会にもその用紙を備えつけていただくというふうな手配をいたしたわけでございます。したがいまして、被害者としても比較的届け出をしやすいという状況になっておりますし、半面また、その用紙が統一されておりますし、記載された中身をチェックいたしますればそのまま債権表に流用できるというふうな工夫をいたしましたので、膨大な数ではございますが、事務処理についてはなるべく能率を上げるような方法を工夫したわけでございます。それにいたしましても事務量が非常に多いわけでございますので、当該事件の申請のございました直後の八月から、大阪地方裁判所の担当部でございます民事第六部では、いわゆる専従班を編成いたしまして、四名の職員にこれに専従していただいておるということでございますが、その後いろいろと債権届が増加してまいります。債権表作成のためのチェック作業等も必要になってまいりましたので、常時三、四名程度ほかの部等から応援をいたしまして、七、八名で事務を処理してまいりました。さらに、九月に入りまして弁護団からの多数の届け出書等が提出された分を整理し債権表を作成するという作業がふえてまいっておりますので、九月四日以降さらに応援をふやしまして、専従班四名のほかに応援五名、合計九名の体制で事務を処理してまいりました。さらに、今のところ九月十日、十一日には専従班そのものの人数を一名増員いたしまして、合計十名で事務を処理するようにする予定でございます。今のところ、九月十一日ごろをめどに債権表を全部集計いたしまして、今後開かれます債権者集会へ向けての準備態勢に入るわけでございます。一応、債権表の集計が十日、十一日ごろで山を越す見込みでございますので、それ以後につきましては、いわゆる専従班五名はそのままにいたしまして、必要な人数を事務局等から応援することにして体制を整えている次第でございます。九月十七日以降につきましては、大阪地方裁判所でその他の部のさらに応援を得る予定でございまして、書記官三名を専従班に加えることができる予定でございます。そういたしますと専従班の人数が八名になりますので、当分この人数で支障なく事務を処理できるのではなかろうかと思いますが、さらに、こういうふうな事件につきましては一時的に事務量が急増するということがございますので、その都度、応援態勢をとるというふうな大阪地方裁判所の体制が整っている次第でございます。したがいまして、現在のところ、非常に多忙ではございますが、この事務の処理に特別の支障を生ずるというような状況ではございませんでして、一応スムーズに事務を処理できる見通しが立ったというふうに報告を受けておる次第でございます。
○横山委員 本件についてはそれだけ努力をしながら、被害者にお年寄り、高齢者が圧倒的に多くて、裁判所の職員も気の毒で気の毒で仕方がない、だから返っていく金は少ないかもしれぬが、できるだけの努力をしたいというふうに担当者もこもごも言っておるわけでございます。ぜひ役所として誠意のほどを全力を挙げて見せていただきたいと思います。 国政調査の中で、もう一つ二つ問題になりましたのは、例えば法務局の問題であります。 大阪法務局の報告の中で特に注意を引きますのが、登記申請事件は年々増加の傾向を示しており、加えて複雑困難な表示事件の申請、サラ金業者、不良団体等による嫌がらせ強要事案、本人申請手続を含む一般人の登記相談の急増等によって事件処理及び窓口応対等における職員の一件当たりの負担量は著しく増加し、適正円滑な事務処理上の大きな阻害要因となっておる。今後、関西国際新空港及び関西文化学術研究都市の二大建設計画の推進に伴って南部及び東部地域における用地買収等の登記事件の急増が見込まれており、これらに対する対応策を迫られている実情である。これは大阪法務局の報告でございますが、大なり小なり神戸及び京都においても同じようなことが言えると思うのであります。これはもう現在困っておるし、目に見えておる。何とか措置をしてもらいたいという痛切な要望が一つ。 それから施設関係を見ますと、西淀川の簡裁が昭和二十六年木造、大阪池田が昭和二十四年木造、それから神戸簡裁が明治四十二年ですか、中には将来これはなくなるのではないかという予測のものもないわけではございませんけれども、まだ老朽庁舎が今度の調査において散在しておるということが注目を引きましたが、この法務局の人員増と老朽庁舎についてのお話を伺います。
○嶋崎国務大臣 さきに委員の皆さん方に御視察いただいた内容につきましては、同行した官房長からも早速に報告があり、かつまた、委員長みずから法務大臣室においでいただきまして、その内容等について説明を受けたわけでございます。先ほど御指摘の問題につきましても万遺漏のないように対処するように指示をいたしますとともに、今後こういう事件の防遏というようなことも考えまして、関連のいろいろなものについて一般的によく調査を進めて処理を図るようにというようなこともあわせて事務当局に指示をしたというような経緯もあるわけでございます。 また、今御指摘のような問題点につきましては、御承知のように八月の末日が来年度の予算要求の時期に当たっております。いろいろ問題を考えておるわけでございまして、非常に窮屈な予算の中ではありますけれども、できるだけの工夫をしまして、大変おくれている部面のある施設の整備につきまして、矯正施設をも含めてそれを拡充するように努力をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。かつまた、御承知のように登記の特別会計をつくっていただきましたわけでございます。六十年度の予算は御承知のように五百五十五億程度でございましたけれども、来年は八百億を相当超えるような規模の予算が編成できる、特別会計の予算がつくれるのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういうことを背景にしまして、それぞれの地域の実情に応じまして十分それに対処できるような対応を考えていかなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
○横山委員 次に、世界基督教統一協会の問題についてお伺いをいたします。 既に私が三月二十七日の法務委員会におきまして、改めて統一協会の問題について整理をして質問をいたしたのでありますが、最近統一協会の教祖、文鮮明師が脱税容疑で、重罪で刑務所へ入獄をいたしまして、それが出獄をいたしました。それを契機にいたしまして日本の統一協会の青年男女が、私の承知するところではかなりの人数が渡米をするという計画があるようであります。 先般、私のところへ参りました、これは特に名前は省略をいたしますが、京都の二十一歳の女性、親の了解を取りつけるといううそをついた。親としては信用したが、協会は知らないという。この事案を見ましても、子供が、また協会が非常にうそを言うということに親が憤激している例でございまして、パスポートはどうも取ったらしい。それから東京の人でございますけれども、娘さん、二十一歳、パスポートのための申請をしておるらしい。アメリカへ行って医療班に従事をするという。それから東京都の二十五歳になる女性、これもまた、親が外務省の旅券課へ行ったけれども、非常に困った状況である。それから秋田県の二十歳になる女性、これはサークル活動をしておる。そしてまた、どうも行方不明になってしまって所在が不明である。これもやはりアメリカへ行くらしいと親が心配しておる。茨城県の二十六歳になる女性、病気で入信したから、これは信仰だから仕方がないと思っておったが、最近うそばかり言う、それから、何かを常に隠す、何も言わない、住所が不明ということに、なってしまった。どうも現在、統一協会のハウスにおるらしい。親としてはみすみすわかっておるのに、外務省には観光ビザで申請をするそうだが、実際問題としては、従来の例からいって長期にわたって伝道と物売りをすることは必至である。だから親としてはこれはどうしても阻止をいたしたいと言っている。親たちが心配しておりますのは、私の名古屋で、やはり統一協会の女性でございますが、こういうやり方でアメリカへ行って伝道中、殺された事件が本年の春ございました。英語もわからぬ若い男女が、見も知らぬアメリカなり外国へ派遣されて物売りをする、伝道をするということについて、親としては本当に心配で仕方がない、こういうような状況であります。 私としては、法務省、特に窓口になっております東京の法務局、外務省及びアメリカ大使館と連絡をしてもらって事情を聞いてもらっておるのでありますが、まず法務省の人権擁護局へお伺いをしたいのであります。浮かび上がったこの七、八人の男女のみならず、かなりの数の渡米計画が各地であるようであります。この問題は非常にデリケートな問題で、成人をしておる人間もございますからなにでございますが、家族間の不和、家庭の破壊、それからあえて私の経験からいうならば、アメリカ大使館をだまして観光ビザでアメリカへ居座ってしまうというようなこと。それから三月二十七日に私が申しましたように、旅費その他を調達するために十倍、二十倍の多宝塔を売るあるいは品物を売る、そして、その関係の機関では脱税をする、本人の手元へはなかなか入らない、親戚、友人に対してそれを売る、そういうようなことが続発をしておるが、一番ポイントになりますのは、家庭の破壊が次から次へと起こっておるという問題であります。 私は、時間の関係上、まず第一に、全国の人権擁護部の機関がこの種の問題に十分相談相手になれるようにどうしたらいいかということについて、本省としても十分指示をするように要望したいのでありますが、いかがですか。
○野崎説明員 統一協会の若い入信者とその父母等の間では、かねてから結婚でございますとか宗教活動でございますとか、あるいは外国への出国等をめぐりましていろいろトラブルがあり、その父母等から人権機関に対しまして人権相談の形でいろいろの申し出があり、また人権擁護機関といたしましても、東京法務局を窓口といたしまして統一協会と交渉をいたし、父母等の要望を伝えてまいっておることは先生も御承知のとおりでございます。今後とも人道上の立場から、法務省の人権擁護機関としましては全国的にこの種の問題については御相談があり次第、いろいろのチャンネルを通じて努力をしてまいりたい、かように考えておるところであります。
○横山委員 外務省は恐らく、正当な理由があれば出入国は許可せざるを得ないというのが原則だと思うのでありますが、この問題の特殊性にかんがみまして、親子の対話あるいは手続の厳正等は十分に考えながら、この問題に対処してもらいたい。 なお、アメリカ大使館から私に連絡がございましたのは、そういう観光短期ビザで今まで居座ったためにアメリカを強制退去させたという例は知っておる、だから親が、できれば直接にその住所氏名、その理由、長期滞在の可能性というものについて大使館に、査証課へ持ってきてくれれば、私の方としても、それは明らかに査証申請が間違っておるという点をついて、善処するにやぶさかではないという回答を得ておるのでありますが、外務省の対応の仕方を伺います。
○飯田説明員 先日、三日に全国原理運動被害者父母の会から、信者であります会員の子女に対する旅券発給を阻止してほしいという趣旨の陳情がございました。御承知のように、旅券法上では旅券の発給を拒否できるケースというのは犯罪を犯した者など非常に限られておりますので、会員の子女がこれらに該当せず、正規の申請が窓口で行われれば、憲法で渡航の自由が保障されている以上、旅券の発給を拒否することはできない状況にございます。しかしながら、外務省といたしましては実際上の措置といたしまして、父母の会あるいは各都道府県と協力いたしまして、会員の子女から旅券発給申請が行われた際に家族あるいは関係者に連絡いたしまして、家族と子女の話し合いが行われるような措置をとりたいと考えております。 それから、先生の御指摘にございましたアメリカ大使館との関係にございましては、私どもも陳情を受けました後、コンタクトいたしまして事情を説明し協力方を申し入れましたが、アメリカ大使館の方では問題をよく理解しておりまして、先生のおっしゃるとおり協力してまいりたい、こういう返事がございました。
○横山委員 私は、たび重なるこの質問の中で、統一協会の教義に私自身疑問があるのでありますけれども、国会でその教義のいかんを議論しようとは思いません。しかしながら、ただ言えることは、キリスト教だと言っておられるのでありますから、キリスト教というものは愛が最も中心になる。その愛の原点は家庭である。ところが世界基督教統一協会につきまどうものは家庭破壊である。親子が疎外、親子がけんか、子供が親を悪魔と言う、うそをつく、隠す、そういうことがもう枚挙にいとまがないのであります。こういうようなことでは私どもも困るし、それからまたこれに付随して、宗教というものはそんなことなのかと私も思わないではありません。宗教というものは、これが神様だ、太陽が神様だ、石が神様だと言ってしまえばそれまでのものであります。だから、ある意味では宗教は宇宙観であり、世界観なのであります。しかし、それが私どもの信条だからといって、憲法を無視し、法律を無視し、そして家庭を無視して、日本の道徳なり習慣なりあるいは家庭を破壊する可能性の強いことについては、私どもとしては絶対に承服ができない、こう考えておるものでありますから、関係各省は十分この点を踏まえて、法律で、また内規で許し得る限り問題の円満解決に努力をしてもらいたいと希望いたします。 次は、台湾人元日本兵補償問題であります。 御存じのように、昭和五十七年二月二十六日東京地方裁判所は、台湾人元日本兵戦死傷者の補償請求を棄却いたしました。しかしこのときでも、原告らに同情を禁じ得ないとしながら、かかる問題は立法政策事項として解決を政府。国会にゆだねる内容でございました。今回の判決は同様ではございますが、さらに一歩を進めて、「当裁判所は以上のように解するのであるが、ただ現実には、控訴人らはほぼ同様の境遇にある日本人と比較して著しい不利益をうけていることは明らかであり、しかも戦死傷の日からすでに四〇年以上の歳月が経過しているのであるから、予測される外交上、財政上、法技術上の困難を超克して、早急にこの不利益を払拭し、国際信用を高めるよう尽力することが、国政関与者に対する期待であることを特に付言する。」このほかにもこの種の文章があちらこちらに散見をされるわけであります。 これは当然のことのように各新聞社がこれを取り上げ、翕然として社説の中でも、元日本兵である台湾人の救済は国際信義の上からいってもこれは救済すべきである、こう言っておるわけであります。 この際、関係各省、厚生省、郵政省等から、この台湾人に関する債権債務、その金額について簡潔にひとつ御報告をしていただきます。
○幸説明員 御説明いたします。 厚生省所管の未支給給与でございますが、これは合計で六万一千件ほど、それで金額にいたしまして八千二百万ほどでございます。
○舘野説明員 台湾の軍事郵便貯金でございますが、昭和六十年三月末の計数でございます。口座数で約六万口座、現在高でありますが約二億一千百四十万円という計数でございます。
○横山委員 ほかはありませんか。——厚生並びに郵政、それぞれ債務と心得ておるわけですね。 問題は、裁判の際にも原告側としてはそんな絶対額では困る、金利を乗せてもらわなければいかぬ、金利は物価にスライドしてくれということなんでありますが、とにかくこの種の問題については、私どもは判決をまつまでもなく超党派で台湾人の諸問題に関する解決についていろいろ長年骨折ってまいりました。自民党の政調会長も非常にお骨折りをいただいておるところであります。もちろんこの問題解決について配慮しなければならないのは中国側の問題であります。中国側としては、先般の際に、日本赤十字社と台湾赤十字社とのそういうルートならば、要するにまあ目をつむりましょうというところまで了解してくれたわけであります。 あと残ります問題は、日本における財政の問題にかかると私は考えておるわけであります。本件は国会で何回も何回も議論をされ、政府としても、気持ちはわかりますが、財政的に云々とか、二、三の点に籍口して問題が遷延されてきました。しかし、こういうふうに高裁の判決があり、もちろんこの判決については原告は不満として上告をしておるわけでありますが、最高裁も少なくともこれを否定することはあり得ない。むしろ違憲判決の可能性すら考えられておるわけであります。 そこで、法務大臣にお伺いするのが適当かどうかわかりませんけれども、少なくとも違憲という疑いがあるとすれば、法務大臣としても最善の努力をしていただかなければならぬと思うのでありますが、いかがでございますか。
○嶋崎国務大臣 この問題については過去相当長らく論議があったという経過は承知をしておるつもりでございます。ただ、問題の処理につきましては、既に官房長官もどこかで発言をされていた記事を私、新聞で承知をしておるわけでございますが、実態につきまして十分論議を進めて、何らかの検討の余地があるのかどうか研究さしていただきたいと思っております。
○横山委員 その答弁ちょっと不満でございます。これはもうそれこそだれでも知っている問題なんですよ。国会で何十回も議論されておる問題なんですよ。判決が出ておる問題なんです。それで、常識的にはあなたも、どういう問題が所在しておるかということは政治家としておわかりだと思うのです。要するに、判断の問題、それから銭を出す、財政支出をするかどうかという決断の問題に尽きておると思うのであります。最高裁の判決をまつまでもなく、高裁の判決で、これは政府、国会が善処しろと明白に言っていることなんであります。その点、判決が出てからもう大分時間がたっておるわけであります。その点についてあなたの方としてはどうお考えでございますか。——外務省、お見えになっていますか。この問題について外務省の答弁をひとつ。
○槇田説明員 委員御指摘のこの問題につきましては、先日、東京高等裁判所で判決が下ったわけでございまして、外務省といたしましてはこの問題につきましては真摯に受けとめておるわけでございます。この問題をどういうふうに解決していくかという問題につきましては、委員も御承知のとおり、総理府に関係各省の連絡会議というものが設置されておりまして、そこで検討が行われておるわけでございまして、いずれにいたしましても、これは真摯にとらえなければならない問題であるというふうに考えております。
○横山委員 総理府は来ているのですか、来ていないのですか。
○木本説明員 この問題につきましては、去る五月二十四日でございますが、総理府に台湾人元日本兵問題関係省庁連絡会議というものが設置されております。そこで、この連絡会議及びその下部機構でございます幹事会におきまして、この問題をどう考えるかということについて鋭意検討しておるところでございますが、ただいまの判決内容も念頭に置きつつ、今後十分検討してまいりたいと思っております。が、委員御指摘のように種々難しい問題もあるということも御理解いただきたいと存じます。
○横山委員 これは放置を許されない問題です。社会世論としても翕然として何とかすべきであるということで投書なんかにも散見される問題でありまして、やってやらぬでもいいというところは一カ所も、投書にも社説にも社会欄にもございません。金額上原告側の主張を総計いたしますと一千億ぐらいになりましょうかね、どのくらいになるかは定かではございませんけれども、少なくともこの問題は放置を許されない問題です。今いろいろな問題があるということはもう数年前からわかっておることでございまして、それを一つ一つ除去して出題解決をしなければならない判決直後における政府及び国会の問題でございます。私ども議員提案をしようじゃないかという意見もあるわけであります。極端に申しますと、自民党のある相当の方は、この問題を政府がやらぬというなら、これは国際的にも非常にまずいことになるから、それこそ中曽根内閣打倒しろなんて言わんばかりのことを言う人すらあるわけであります。問題の性質が極めて重要でございますし、高裁の判決があったわけでございますから、法務大臣としては今お聞きの状況でございますから格段の努力を願いたいと思いますが、いかがですか。
○嶋崎国務大臣 もう説明にありましたように検討も進められておるわけでございまして、そういう事態を踏まえて対処をしていきたいというふうに思っております。
○横山委員 またこれは機会を改めて何回もやります。 次は、こういう珍しい事件でありますが、東京に本社を持つ中華料理屋の大手企業、株式会社東天紅が、名古屋市内の中華料理屋有限会社東天紅を相手取って、類似の商標を商品の包装紙などに使われ、商標権を侵害されたとして商標使用の差しとめを求めていた裁判の判決が七月二十六日、名古屋地裁でありました。 東京の株式会社東天紅は、三十六年から中国料理店経営に乗り出し、三十七年十月、東天紅の商標を登録、全国に約四十の支店を持つ資本金十億八千万円の大手企業。一方、名古屋の有限会社東天紅は、四十七年、会社組織になった地元の中華料理店で、もう東京東天紅が商標を取ります三十七年以前、三十三、四年ごろから東天紅という名前で中国料理屋をやっておる私の知り合いでございます。これが名古屋地裁の判決で負けた。 原因を調べてみますと、これは理論闘争をする以前の問題でございますが、特許庁来ておられると思うのですけれども、要するに東京の東天紅が商標権を登録して取った、おれが取った以上は全国いかなるところも今まで東天紅という商標を使っておったものは取れ、あかんぞという論理なんであります。ところが商標法三十二条を見ますと、先使用権というものがあるんです。その先使用権の中で、「現にその商標が自己の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、」とある。名古屋の東天紅は広く認識されていない判決を見ますと、おまえのところは五坪か十坪じゃないか、おまえのところは店で飯食ってから土産の中国料理を買っていくのが年間数十件ぐらいしかないじゃないか、「広く」でない、だからおまえのところはこれから東天紅の商標を使ってはならぬ、看板も三つあるけれども、三つもあるということは商標に類似するから看板も取れ、こういうわけであります。 時間がないから私は結論的に申しますと、ああそうか、零細企業はどんなに前から東天紅なり横山商店なり何か使っておっても一刀両断で、広く需要者の間に認識されていなければあかん、こういうことかと言って特許庁とやり合ったわけであります。そんなひどい話はない。特許庁の人が来ているから後でその私の意見について反論があったらしてもらいたいんだが、特許庁は、三十二条はわしの知らぬことじゃ、わしの方は三条「商標登録の要件」に該当すれば商標を許可するんであって、先使用権があるかないかはわしの方の知らぬことじゃ、それは裁判でやってもらうことだということなんです。そんなばかなこともないだろう、先使用権があるとわかっておって三十二条を考慮しないというばかげたことはないではないかと言って今けんかをしておるわけであります。特許庁、何か言い分がありますか。
○山本説明員 御説明いたします。 我が国の商標制度は、権利の安定性を図るという観点から、先に出願して登録を受けた者を保護するということを原則にしております。しかしながら同時に、かねてから同一の商標を使用しており、それが広く認識されておれば、これに一種の財産的価値が生じていると考えているわけでございまして、今申し上げた先願登録主義という原則を貫くことはいささか不適当であるという観点から、先生御指摘の先使用権という規定を設けて保護しているわけでございます。 御指摘のケースは、当庁としては事実関係は必ずしもつまびらかではございません。ただ裁判所の御判断によって先使用権がないものとされたものと承知しております。 この種のケースを救済するため、私どもとしては、当然審査の段階で商標法上の登録要件がございまして、その間で広く認識されたということは当然チェックしているわけでございます。そこの段階で御指摘のようなケース、十分考えたいと思っておりますが、さらにひとつ考えた場合に、例えばその広く認識されたという要件につきましては、これは実はいわゆる登録主義と使用主義との一つのバランスを図った規定でございまして、仮に商標を使用する者のこの要件が今後再検討されるということになりますと、例えば商標を使用する者の業務上の信用の保護、それから消費者の利益の保護という観点からいろいろ問題が生ずると思いますので、私どもとしては、先生御指摘の点を含めて今後登録に当たって十分注意して運用していきたいと考えております。
○横山委員 ちょっとうまいことを言ったけれども、少し足らぬな。いいかね、私の言い分は、同僚諸君も聞いておってちょうだいよ。おれのところは神武以来から東天紅を使っておった。明治以来から横山商店という名前を使っておった。商売をやっておった。商売をやっておったけれども商標登録はしてないわけですよ。だけれども存在は広く認識されてなかった。例えば名古屋のある区で、その区の人は東天紅というのはあそこか、横山商店ならあそこだということは知っておる。それは「広く」ではない。あるいは区全体でなくても少してもいいが、近所の人はみんな知っておった。けれども、この三十二条の、広く認識されているときは先使用権があるけれども、広いでないとあかん、広くないと先使用権は認めぬ、こういう、まさに零細企業はぶった切りじゃないか。どんなに神武以来、明治以来、徳川時代からやっておってもそれはだめだと、こういうわけです。そんなばかなことがあるか。なぜ零細企業だけ先使用権を認めないのだ。だから僕は、ここの三十二条は、「広く認識されているときは、」という言葉を削除すべきだ。削除してどういうぐあいが悪いか。中以上のやつ、中以上というと語弊があるが、割合に広く認識されている中以上のやつは先使用権を認めるけれども、零細企業は先使用権は一切そんなものを認めぬ。なんでこんなばかな法律があるかということなんです。これは書いてあるから裁判官は、まあ裁判官の悪口を言っては悪いけれども、裁判官はそういう常識を考えて、「広く」という解釈はどういうものなのか。「広く」というのは、隣の人しか知らぬとかいうなら「広く」じゃない、近所の人しか知らぬのか。町内あるいは全区、あるいは区で知られておるから「広く」と解釈してやってもいいではないか。この裁判官はだめだと私は思うのです、そんなことを言うとちょっと語弊があるけれども。語弊があったら削除してもらってもいいが、言うだけは言っておかなければならぬ。それで特許庁も、この「広く」という解釈について、私の言うことはよくわかったと思うから、法律改正のときには削除してもらいたい。 それから、「広く」という解釈についてももう少し、裁判官が広くというのは日本全国かもしれぬ、愛知県全域かもしれぬ。そんなことでは「広く」という解釈、法の趣旨、先使用権の趣旨を生かしておらぬというふうに私は思うから、特許庁も善処してもらいたい。いいですね。——頭下げたから、これ、頭下げたと書いておいてもらいたい。じゃ私の質問は残念ながらこれで終わりにします。 ゴルフクラブの問題について質問をしようといたしましたが、時間がございません。ただ、法務省からメモをいただきました。法務省にちょっと言葉だけ言ってもらいたいのだが、あのメモを私の質問の答えと見てよろしいのですか。それだけ言ってもらいたい。
○枇杷田説明員 先生から質問通告をいただきました件につきまして簡単なメモを差し上げたわけでございますが、ゴルフクラブにつきましてはいろいろな形態がございますので、一概に申し上げるわけにはまいりませんけれども、先生が典型例としてお考えになっているものについては大体こういうふうな法律解釈になるのではなかろうかという観点でメモを差し上げた次第でございます。
○横山委員 終わります。
○片岡委員長 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 法務大臣という立場ですか国務大臣という立場ですか、両方にかかわると理解していただいて結構だと思うのですけれども、憲法の二十条がどういう経過からできたのか、その必要性というものについてどういうふうにお考えなのか。これは靖国神社の問題に関連するものですからお聞きするわけなのです。
○嶋崎国務大臣 憲法の中で「信教の自由」ということで二十条の規定があるわけでございます。「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」ということになっておりますし、「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」三番目に「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」 御承知のように、日本の長い宗教問題の認識についてはいろいろな評価があるところであると思いますけれども、新憲法の中では信教の自由を極力尊重していかなければならないという考え方の中でこの規定ができたものだと理解しております。
○稲葉(誠)委員 そこまで私の方も細かい通告をしたわけじゃございませんし、連絡がとれなかったのですが、今の二十条のところで旧憲法と違うところはどこにあるわけですか。
○嶋崎国務大臣 旧憲法では第二十八条に、「日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教の自由ヲ有ス」と頭がついているわけでございます。法律の解釈というのはいろいろな考え方があると思いますけれども、そういう制約条件の重さというところで考えまして、今度の規定の趣旨は、人権をより尊重するというのですか、宗教的な自由をより尊重するという考え方で書かれたものだと理解しております。
○稲葉(誠)委員 細かい質問の通告をしてなかったわけですから、開会中じゃありませんし、なかなかうまく連絡がとれなくてあれですが、今の憲法の二十条ができたというのは第三項に一つの大きな重点があるわけではありませんか。そして、それは日本の戦争との関連といいますかその反省の上に立ってできたということではないのでしょうか。これは大変失礼ですけれども、奥野先生とここにおられる森先生が非常に専門家だと考えておるのですが、その第三項に問題があるのじゃないですか。どういう戦争の反省の上に立ってこの二十条というのができたのでしょうか。そこが問題なのですね。そこからだんだん入っていかないと質問にもならないし、答えにもならない。これは本来予算委員会で十分しなければいけないことだ、こういうふうに思うわけなのですが、私の方から十分な連絡をしてありませんので急なお答えというのはなかなか難しいかとも思うのですけれども、その点についてのお答えが一つ。 それからもう一つ、これは質問としてはちょっとあれなのですけれども、靖国神社の公式参拝について新聞や何かいろいろ大きく取り上げるわけですね。それに対して大臣としては、どうしてこういうふうに取り上げるのだろうか、それは少しおかしいじゃないかとか、行き過ぎじゃないかとか、もっともだとか、そういう点についてどういうふうにお考えなのでしょうか。
○嶋崎国務大臣 昔これで試験を受けたこともあるのですが、大分背のことでございましてよく理解できないところもありますが、それらの点についてはよく研究して答弁をさせていただきたいと思っております。 いずれにしましても、その第三項が設けられたことがその改正の大きな理由ではないかという点につきましては、国家神道とかなんとかというようないろいろな理用がありますけれども、戦前でも信教の自由は尊重しなければならぬというような考え方が基礎にあったことは事実だろうと私は思っております。しかし、そういう中でいろいろな制約が現にあったということも事実だろうと思っておりまして、そういう意味では御指摘の点が大きな意味を持っておるのかもしれないと思います。いずれにしても、その点については追って研究させていただき、また御答弁させていただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 私が新聞社の方々や何かのことをあれするのはよくないかもわかりませんけれども、大きく取り上げておられる、それについて大臣としては一体どういうふうにお考えなのだろうかということをお聞きしたわけです。それに対するお答えがなかった。それは答えにくいところかもわかりませんけれども、そこら辺はどういうふうにお考えなのでしょうか。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、私たちの育った環境というのは多神教というか、仏様もあり神棚もあるというような環境の中に育ってきた人間でありますので、形而上の社会の話として信仰問題というものを考えていくのが通例の事柄であると私たちは思っておるわけでございます。しかし、我々が社会に生活していくためには、形而下の社会でもいろいろな議論がこの問題についてあることは事実であろうと思っております。 御承知のように、さきの戦争の中から多くの犠牲者が出たということは事実であるわけでございまして、それを追悼する気持ちがあるということは、多くの国民がそれを望んでおり、またそれが強く要望されてきておるという経過があることも事実だろうと思っておるわけでございます。そういう意味で、この公式参拝問題というのが長らくの経過があったことも我々承知をしておるわけでございますが、今回はいろいろな意味でそれらの問題について、靖国懇その他を中心にして広く意見を聞き、かつまた一般の議論を十分そしゃくした上でそれが憲法に違反しておるかどうかということについても吟味をした上、この参拝をすることになったというのが経緯だろうというふうに思っておるわけでございまして、基本的にはこれは形而上の社会の話であって、そういうことの中で区分けをして議論をすることが適当であるかどうかということについては、私は相当問題点があるような気持ちがするわけでございます。しかし、社会的な生活をしておるわけでございますから、そういう中でいろいろな議論が行われ、またそういうことが物の考え方について整理を進めていく段階として必要であるということも理解をされるわけでございまして、そういう中でやはり国を代表する国務大臣あるいは総理に参拝をしていただきたいというような強い要望があり、反面過去にいろいろ議論になりました合憲であるかそうでないかというようなところの議論も詰めまして、今度のような形のものならば、これはその目的として宗教的な意義というものを深く持ったものでもないし、かつまた国家としましても特定の宗教に対して援助したりあるいはこれを遠ざけたりという性格のものでもないというような判断の中でこの公式参拝が行われたというふうに理解をされており、私もそう考えておるというのが実情でございます。
○稲葉(誠)委員 靖国神社は神社ですから社則があるわけですね。それは、明治天皇の立正安国の大義が何とかということが一番最初に書いてありまして、最後のところで性格づけしているわけですね。国家神道を奉ずる宗教法人だということがはっきり書いてあるわけですね。今、大臣も国家神道という言葉を使われたわけですけれども、国家神道というものは一体どういうものであって、それが日本においてこの戦争とどういうふうな結びつきがあったのか、ここがまず一番大事なところだと私は思うわけなのです。大変失礼ですが、口述試験じゃありません、口頭試問じゃありません、そういう意味じゃありませんけれども、そこら辺がなかなか大事なところだと私は思うのです。国家神道を奉ずる宗教法人だとはっきり書いてあるのですよ。社則は独立してからつくったものですね。そういうふうにありますから、そこに公式参拝するということは、これは憲法の二十条、殊に第三項に該当するというふうに私は考えるわけなんですけれども、国家神道と日本の戦争——戦争も、大東亜戦争という呼び方を否定して、後から太平洋戦争というような形になった、この経過なんか非常に難しいというか、私は興味深いものがあると思うのですが、いろいろなことを抜きにして、日本の戦争と国家神道との結びつきというのはどういうものであったか、これについてはどういうふうに理解をされるでしょうか。
○嶋崎国務大臣 戦争の性格をどういうぐあいに規定するかということ、その考え方というのはいろいろな議論があると思いますし、また国家神道があったから戦争に直接そいつが結びついていったというような論理構成ができるかどうかということについても、私は非常に議論のあるところだと思います。しかしいずれにしましても、宗教法人である靖国神社であるということは、私たちも承知をしておるわけでございます。 ただ、そこに戦没者が合祀をされておるということでありまして、そういう神社そのものに対する宗教的な援助というような考え方、あるいは神社そのものに対するところの意義というようなことを極力排除をしまして戦没者に対して追悼をするという気持ち、また靖国神社自身に戦没者が合祀をされておるという事実、そこでこの追悼の気持ちをあらわすために参拝をしたということでございまして、神社そのものに対して宗教的な援助をするというようなこととは別に取り扱っておる、そういう整理の中で今度の公式参拝が行われておるということだと思います。
○稲葉(誠)委員 私は、国家神道が戦争を引き起こしたということを言っておるわけではございません。少なくとも、戦争と国家神道との結びつきというのはどういうふうなものであったか、戦争を助長することに国家神道が一つの貢献をしたということは一般的に言えることではないかというのが私の理解の仕方です。いろいろお答えがありましたけれども、何か質問と答えとが必ずしも合致してないわけです。 あそこに大臣自身も公式参拝をされたわけですが、あそこにはAクラスの戦争犯罪人も祭られておられる。今さらAクラスの戦争犯罪人のこと、日本の戦争を引き起こした人のことをかれこれ言うのはもう時代とともに消え去ってしまっているので、そういうことを言うのはおかしいのではないかというふうにお考えなんでしょうか。そういう議論が非常にありますね。Aクラスの戦争犯罪人があそこに祭られている、それに公式参拝するということはおかしいではないか、あの大東亜戦争といいますか侵略戦争、そういうようなものを肯定したことになるのではないかという理解の仕方をアジアの国の人々は多くしておられるようですね。そういう点については大臣はどういうふうにお考えなんでしょうか。
○嶋崎国務大臣 私たちがお参りしたのは、祖国あるいは同胞あるいは国民のために殉じた戦没者全体に対して追悼を行うというような意味でありまして、どういう人を合祀するかということにつきましては、これは靖国神社の中での取り扱いの問題であろうと思います。我々自身がお参りしたのは、そこで戦没者全体に対して追悼を行うというような意味で公式参拝をしたということになろうと思います。
○稲葉(誠)委員 私はA級の戦争犯罪人のことについてお聞きをいたしておるわけですが、それについてもお答えとしては非常にしづらいところであるかもしれません。 内閣法制局がおいでになっておりますのでお聞きをしたいのは、公式参拝ということについて、公式参拝というのはこういうものである、憲法二十条についての見解というか、靖国神社への公式参拝についての法制局としての統一見解は政府としても出ていますけれども、公式参拝というのは、こういうやり方のものを公式参拝と言うのだ、拝礼の仕方とかなんとか、そういうようなことについても規定したといいますか答弁したようなことはあるのですか。
○大森説明員 第一部長が病気休養中でございまして、事務代理の私から答弁させていただきます。 お尋ねは、公式参拝というものは一体どのようなものかということでございますが、この点に関しましては、昭和五十五年十月二十八日付で稲葉委員に対する答弁書がございます。その答弁書の中では、「靖国神社への公式参拝とは公務員が公的な資格で参拝することを指し、」このように述べた経緯がございます。
○稲葉(誠)委員 私の聞いているのは、公式参拝の仕方、公式がどうかは別として、参拝の仕方によっては公式になったりならなかったりするのですか。どういうことなんですか。二拝二拍一礼というのですか、ああいうやり方であれば公式参拝であり、そしてそれがまた憲法の二十条との関連で問題になるけれども、それが違ったら、ただ拝礼するだけならそういう問題は起きないんだ、こういう理解の仕方はどうもよくわからないのですよ、私などには。これは恐らく一般の国民も、何だかやけに、俗な言葉で言えば法律を変なふうに解釈して法律逃れのような形でやっているんだというふうに理解するので、だからそういう点を私はお聞きしているわけなんです。
○大森説明員 どうも同じ言葉を繰り返して恐縮でございますが、いわゆる公式参拝の公式とはどういうことかというお尋ねに対しましては、やはり先ほどお答えいたしましたように、公務員が公的な資格で行う参拝でああという以外に答えようがないというふうに考えております。(稲葉(誠)委員「じゃ参拝は」と呼ぶ)なお、もう一つ非常に紛らわしい言葉といたしまして、正式参拝と正式でない参拝という言葉がございます。ここの言う正式参拝と申しますのは、靖国神社に関しましては靖国神社が定めた参拝の方式を言うというふうに使われている次第でございます。
○稲葉(誠)委員 靖国神社が定めた参拝の方式というのはどういうのを言うのですか。
○大森説明員 私ども神道の祭祀に関しましてはそう深く研究しているわけでもございませんし、また専門でもございませんが、聞きかじりしたところによりますと、正式参拝と称する儀式は、まず手水の儀、それから修祓の儀を経まして、そして本殿所定の座に進み、そして玉ぐしを奉奠し、そしてその後にお神酒をいただくというような手続を経る儀式である、このように承知いたしております。
○稲葉(誠)委員 話が余り横に入っちゃいますとあれですから、もとへ戻しますが、そうすると、大臣としては靖国神社に公式参拝するということは国民の総意である、大方の総意であるという御認識なんですか。
○嶋崎国務大臣 一般的にそういう状態であるというふうに理解をしているわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それはどうしてわかるのですか、そういうことが。
○嶋崎国務大臣 諸外国でもそのとおりでありますけれども、祖国あるいは同胞あるいは家族のための戦没者に対しまして敬意を表するということ、それを追悼するということは、一般的な儀式、一般的なことであるというふうに思っておりまして、靖国神社がそういう意味で日本の場合の中心的な施設であるということでございますから、そこで参拝をしたということでございます。 今度の扱いでは、我々も従来から参拝をさしていただいたということは非常に多いわけでございますし、またそういう経験も持っておるわけでございますが、二礼二拍手一礼というような形できちっとお参りをするというようなのが通例であります。私は過去、そういう意味で、私的参拝というようなことでずっと説明をしておりますし、またそういう形でやったら、どうも現実そういう儀式にのっとった場合には何か宗教的な意義を持っているというようなことでございますから、これは私的参拝であろう。今度はそういうことじゃなしに、少なくとも宗教的な活動の内容として、その目的が宗教的な意義を持っておるかどうか、あるいはその効果が宗教に対するところの援助、助長、促進またはその圧迫、干渉になるかどうかというようなことを具体的に判断をして行われているようでありますから、そういう意味で、そういうことに傾斜をしないような形で処理をする方が適当である、そういう考え方の中でこの公式参拝が行われたというのが実情であろうと思います。
○稲葉(誠)委員 ちょっとくどくなって恐縮なんですけれども、あれは二拝二拍一礼ですか、そういうやり方が公式ですかね。そういうのをとらなかった理由、今ちょっとお話がありましたが、よくわかったようなわからないようなところなので、それなら、ちゃんとそういう方法をとったらいいんじゃないでしょうか。とらなかったというのは、そこに何かこだわりというか、理屈があるのですか。
○嶋崎国務大臣 そういう正式な参拝の姿をとると、それが宗教的な意味を持っておるというふうに、世俗の社会では一般にそう理解をされておる、そういう現実があるわけでございます。したがいまして、そういう形をとらない姿でお参りをすることによって何か宗教的な意義を持っておらない参拝という性格を出したということであろうと思います。 これは、ある意味では、二礼二拍手一礼でお参りをするとこれは私的参拝で、一礼だけすると公式参拝だというのは、まあ理屈で言うといろんな批判あるいは論評もあるかと思いますが、少なくともそういう宗教的な意味を持たないというような形を出すためにそういう形式によらなかったということであると理解しています。
○稲葉(誠)委員 そうすると、結局、憲法二十条に触れないような方式を考え出して、そしてそれを触れないというふうな前提のもとにやられた、こういうことですか。
○嶋崎国務大臣 そのとおりでございます。
○稲葉(誠)委員 これは参拝の方式とかなんとかということよりも、全体のもっと大きな問題として深くいろいろな角度から論議をしなければいけない問題だと私は考えておるわけですが、いずれ予算委員会などで、これは総理だと思いますけれども、質問させていただきたいというふうに思います。 日本航空の事故の問題について、現在その調査がどういうふうに行われて、どこまで進んで、まだ残っているのはどういう点か、こういうふうな状況について御説明をいただけませんか。
○藤冨説明員 お答えいたします。 航空事故調査委員会におきましては、八月十二日、事故発生後直ちに委員長以下十三名を現地に派遣いたしますとともに、現場調査団を編成いたしまして調査を開始したところでありますが、八月二十七日には事故解明に重要な役割を果たします飛行記録装置、いわゆるフライトレコーダーでございますが、これと操縦室内音声記録装置、いわゆるボイスレコーダー、この二つの記録の読み取りを中心といたしました中間報告を公表いたしたところでございます。 機体につきましては、海上から引き揚げられました部品及び山上の墜落現場から回収されました主要な機体残骸の現場における調査を終えた段階でございます。 今後引き続き、機体残骸の各部品の総合的な調査を先ほどのフライトレコーダー及びボイスレコーダーのさらに詳細な解析などとあわせて行いまして、鋭意事故原因の究明に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○稲葉(誠)委員 この事故で亡くなられた方々に深い弔意を表するものでございます。 そこで、この事故の原因というかそういうようなことについて、警察とそれから運輸省なりその他が加わっておるわけですが、何か警察との間で三日の日にも集まりがありましたね。その中でいろいろな点が問題になったと思うのですけれども、どういう点が問題になったわけですか。何か意見の対立があったというふうに伝えられているのですけれども。
○藤冨説明員 ただいまおっしゃいました三日の日の会議と申しますのは、現場の事故対策本部、これは群馬県警の本部長が対策本部長になっておりますが、この主宰によりまして、私ども航空事故調査委員会とそれから自衛隊とをひっくるめまして、現場におきます機体の残骸をどういうふうに引き揚げるかということについての打ち合わせを行った会議のことだと存じますが、特にここで意見の対立というようなことがあったわけではございません。私が直接行っているわけではございませんが、報告といたしましては、何しろ山の中で非常に地形も悪く、広範にわたって、引き揚げに苦労するようなところですので、それを引き揚げるにはどうするかということを技術的にいろいろ調査いたしませんとなかなか引き揚げに至らないということだったと承知しております。
○稲葉(誠)委員 警察当局と運輸省当局なりその他で、費用の分担なりやり方をめぐっていろいろな議論があったということも伝えられているのですけれども、きょうは法務委員会ですから、法務省の民事局長と刑事局長にお尋ねをするのですが、まず民事局長の方に先に。 本件のような場合の民事上の責任というのは、普通の場合は一体だれがどのようにして負うようになるのでしょうか。これが第一ですね。 それから、時間の関係で刑事局長にも。刑事事件としては、本件のような場合、一体だれが責任を負い、会社はどういう責任が刑事事件としてあるというふうに考えられるのでしょうか。
○枇杷田説明員 まず、民事上の責任の問題でございますが、御承知のとおり、商法の五百九十条に旅客運送の場合の責任の規定がございます。この五百九十条の規定は陸上運送に関する規定ではございますが、事柄の性質から申しまして、海上運送の場合にも準用規定がございます。したがって、航空運送の場合にも同様に類推適用と申しましょうか、その法理が適用されるものだと思っております。そういう観点から申し上げますと、五百九十条の規定では、「旅客ノ運送人ハ自己又ハ其使用人カ運送ニ関シ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ旅客カ運送ノ為メニ受ケタル損害ヲ賠償スル責ヲ免ルルコトヲ得ス」というふうに規定をされているわけでございますので、したがいまして、日本航空が当然その責任を負わなければならない。ただ、不可抗力であるとか、あるいは万全の注意義務を尽くしたにもかかわらず墜落事故が起きたんだというようなことを日本航空が主張、立証すれば別でございますけれども、そのような主張、立証ができない限りは、日本航空がまず第一義的な責任を負わなければならないということになろうかと思います。 あと、不法行為として問題をとらえる余地もあろうかと思いますが、その場合には、あるいは原因のいかんによってはほかに及ぶところもあろうかと思いますけれども、まずこの事案をとらえる場合には、日本航空が五百九十条の規定の類推適用を受けて責任を負うべきものというふうに考えております。
○筧説明員 刑事責任でございますが、現在、運輸省の事故調査委員会並びに警察当局で原因の究明を急いでおるわけでございます。事実関係が明らかになりませんと、だれにどういう刑事責任が問題となるかということは申し上げかねるわけでございますけれども、大きく言いまして、今までの航空事故等から見ましても抽象的に考えられますのは、この航空機の設計上、構造上のミスというようなものが問題になった場合には、その航空機の製造会社の問題が生じてまいりましょうし、あるいは具体的な飛行に際しての機体の整備点検という点でミスがあるのではないかということになれば、本件の場合は日本航空の整備関係者、会社のそういう関係者の刑事責任が問題になり得るであろうと思いますし、あるいは操縦上のミスということであれば操縦関係者ということになるわけでございます。 ただ、そのいずれの場合にも、具体的には予見可能性とかあるいは回避義務、回避可能性というような過失一般論の問題点が明らかにならなければ、刑事責任があるということにはなり得ないかと思います。もちろんそのほかに、何かの不可抗力である場合には刑事責任の問題は起こらないというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 商法の五百九十条の類推適用についてはわかりましたけれども、問題は、国が民事上の責任を負わなければならないという場合も、場合によってはこういう場合であるならば考えられるということも出てくる可能性があるのではないですか。例えば今言った整備なら整備とか、あるいは監督義務というようなものについて十分に尽くしていなかったということになってくれば、そういうことも当然考えられてくるということも出てくる場合もあるのではないでしょうか。
○枇杷田説明員 国が行政責任を十分に尽くさないという義務懈怠があり、それが事故に相当因果関係でつながっていくということがありました場合には、それは国家賠償という問題も生ずる余地はあろうかと思いますが、本件の場合にどういうところに問題があるかということは、私どもは承知いたしておりません。
○稲葉(誠)委員 この問題はまだ調査中ですし、それから、アメリカとの関係などもいろいろな調査の中で出てくる可能性もあるし、なかなか多くの問題をはらんでおる、こういうふうに私は考えるわけでございます。 ワインの問題につきまして、せっかく厚生省が来ておられるのでちょっと聞きますが、この問題は今どういうふうになっていて、どういう点が問題なんですか、将来どうするつもりなんですか。
○大澤説明員 今回、オーストレアに端を発しましたジエチレングリコール混入ワイン事件が我が国に波及し、輸入瓶詰ワイン、それから輸入のたる詰めワインをブレンドしたいわゆる国産ワインからもジエチレングリコールが検出された、こういうことでございまして、厚生省といたしましてもまことに遺憾であり、現在、全力を尽くして事件の収拾に努めているところでございますが、若干経過を申し上げまして御説明いたしたいと思います。 最初に、私どもがこの問題を把握いたしましたのは七月の十日でございまして、これはもちろん現地の情報が日本の新聞に載ったわけでございます。それから情報の収集に努めまして、最初、オーストリア産のワインが問題である、こういうことがわかりましたので、オーストリア産の関係につきまして、しかも、オーストリア産で西ドイツで製造されている、こういう状況がわかりましたので、とりあえず各検疫所、全国に十九カ所ありますが、そこに検査の指示をした。さらにあわせて、ワイン関係の業界の団体があるわけでございますが、そこについても検査をするよう行政指導を行ったわけでございます。さらに、その後いろいろな情報、特にオーストリアあるいは西ドイツにおいていろいろな銘柄のワインからジエチレングリコールが検出されたという報告もございまして、七月の下旬にオーストリア、西ドイツ産のワインについての検査の強化と、それから販売自粛通知も行ったところでございます。さらに、その後オーストリアの日本大使館からジエチレングリコールが検出されたリストがこちらに届きましたので、それに基づきまして五道県市に、オーストリア産、西ドイツ産ワインの使用八業者、十工場へ立入検査の指示、あるいはそのオーストリア産、西ドイツ産のバルクワインの調査を関係県に指示したところでございます。これは七月三十日に指示したわけでございますが、その結果、八月二日に調査した点につきましては検出されなかったということがわかったわけでございます。その後、御承知かと思いますが、一部の製造ワインについて検出された報告も若干あったわけでございます。 今回のマンズワインの件でございますが、御承知のように、八月二十九日にいわゆる国産と思われていましたワインからジエチレングリコールが検出された、こういうことが検査機関からの情報でわかったわけでございます。私どもは七月三十日に関係県に指示して検査した結果、それは八月二日に検出されなかった、こういう御報告を申し上げたわけでございますが、その約一カ月弱後の八月二十九日に国産と思われるマンズワインからジエチレングリコールが検出された。それを調べたところ、それはオーストリア産のワインを輸入して国内のものとブレンドしていたということがわかったわけでございます。 当時、七月の末に関係県に指示したときにはもちろん工場に立ち入って在庫品を調べて検査するようにという指示をしたわけでございますが、その際、マンズワインのジエチレングリコールが検出された製品についての在庫がなかったということで、消費者の手に渡っているものが検査機関に持ち込まれて製品の検査の結果出た、こういう経過がございまして、それを踏まえまして、オーストリア産、西ドイツ産、それからハンガリー産も向こうの情報では一部入っているという情報もありましたので、国産のワインにブレンドされているわけですが、それらすべてについて過去にさかのぼって調査をするよう八月の末から九月の上旬にかけて関係県に指示していたところでございます。 そういう経過がございまして、国内産については当時調べた段階では検出されなかったということだったのですが、その後、下旬にマンズワインの製品について検出された、こういう経過がございまして今日に至ったわけでございます。
○稲葉(誠)委員 時間が来ましたので、これはまたもちろん社会労働委員会なりその他の委員会で、こういう国民の生活に関係のある問題について、特にその中におきます厚生省の責任といいますか、そうした問題についても十分追及すべきものは追及していかなければいけない、こういうふうに考えているわけですけれども、きょうはこれで終わります。
○片岡委員長 天野等君。
○天野(等)委員 私の方からは外国人登録法の問題についてお尋ねをしてみたいと思っておりますが、まず最初に大きな問題になっております指紋押捺拒否の問題ですけれども、指紋押捺拒否者が留保者も含めまして現在どの程度あるのか、その辺の現状につきましてちょっと御報告をいただきたいと思います。
○小林(俊)説明員 お答えいたします。 九月五日現在で当局に対し個人別に報告のあったものを累計した数字によりますと、指紋押捺拒否者は千百八十八名、指紋押捺につきまして留保の意向を表明し、いわゆる説得期間中にある者が二千四百六十五名となっております。
○天野(等)委員 この数なんですけれども、新聞等で報道されている数と少し違いがあるように思うのです。これは九月五日現在、法務省の本省の方でつかんだ数ということになるかと思うのですが、現場の登録事務で拒否をされたものと法務省がそれをつかむまでの間にどの程度の日数がかかるものでございますか。
○小林(俊)説明員 ただいま御説明申し上げました数字は、何の何がしが拒否をしたあるいは留保をしたということで、都道府県を通じて市区町村から当局に報告のあったものを当局において累計したものでございます。窓口から私どもにその報告が届きますまでに、平均すれば大体三週間ぐらいかかっているようでございます。
○天野(等)委員 となりますと、窓口での時点で八月の半ばころまでの拒否者あるいは留保者の数ということに考えていいわけでございますね。その時点で拒否者、留保者合わせて三千五百人ぐらいあるわけでございますが、これはその時点までの切りかえ予定者でいきますと割合としてはどのくらいになっておりますか。
○小林(俊)説明員 その時点におきます予定者の割合から申しますと、この両者を合計いたしまして三%から四%の間ぐらいになっておるかと存じます。
○天野(等)委員 三ないし四%の数の拒否者あるいは留保者が出ておるということはやはり非常に大きな問題だというふうに私たちは考えざるを得ないと思うのです。 そこで、この五月十四日の通達によりますと、指紋以外の同一性確認の方法というようなものも通達の中ではっきり認められてきているわけですけれども、そういうような形で同一性を確認したという例は今までに確認をされておりますでしょうか。
○小林(俊)説明員 御承知のように、指紋以外の方法による同一人性確認は、大体三カ月間の説得期間を経過してなお指紋の押捺に応じないという場合にやむを得ざる代替措置として指示したものでございまして、すなわち、二人の信用のおける保証人を立てて本人の同一人性を確認させる、それができない場合にはさらに職権で調査を行って確認するということでございますが、保証人による確認が行われたというのは一、二件報告を聞いております。ただ、これは押捺留保の意向を表明してから三カ月後のことでございますので、まだ案件が少ないのは当然のことかと存じます。
○天野(等)委員 指紋以外の手段による同一性の確認ということについて、実は法務省で「指紋事務Q&A」というのを入国管理局長名で出していらっしゃる。その中にこういうふうに書かれているんですね。これは登録証明書の交付に関係して、従来指紋押捺拒否者に対しても登録証明書を交付してきたのに、これを交付しないようになったというふうに誤解する向きもあるようだけれども、「指紋押なつ拒否者に対しても最終的に交付相当と認められるに至ったときは登録証明書を交付することとしているのであって、その基本においては従来と異なるところはない。」というような説明があります。 となりますと、従来も必ずしも指紋押捺だけによって同一性を確認してきたわけではない。それ以外の同一性の確認の手段も従来もとられてきた。しかし、それについてこれをはっきりと、各都道府県で不整合のないように、むしろ追認をしたといいますか、はっきりさせたのだ、そういうような考え方でございましょうか。
○小林(俊)説明員 指紋の押捺は、あくまで法定の同一人性確認の手段として定められておるものでございまして、それ以外の方法による確認というのは、これがとり得られない場合にやむを得ざる措置として導入したものでございます。認めたものでございます。しかしながら、こうした方法が一般的にとり得る状況にはないのは当然でございます。と申しますのは、数十万人に上る在日外国人の同一人性確認をこうした非常に手数のかかる手段によって行うということは行政の実際においても行い得ないところでございまして、こうした事情からやむを得ざる代替の措置として認めておるということでございます。 なお、押捺拒否あるいは押捺をしないという状況のもとでこうした手段を導入したのは、外国人について外国人登録証明書を携行せしめる等、外国人に法に基づく措置を行うということの利点を比較考量して、やむを得ざる措置として認めたものでございます。
○天野(等)委員 私がお尋ねしていますのは、この「Q&A」によると、今回の取り扱いも従来と基本的には変わるところはないと入国管理局長の通達でおっしゃっているわけです。だから、結局従来においても必ずしも指紋押捺だけによって同一性を確認していたのではなくて、それ以外の確認方法で登録証を発行をしていた。それについて今回は通達という形ではっきりそれを認める形になったのだ。認めるといいますか、整合性を持たせるようにしたのだというふうな理解でよろしいのでしょうか、そうお尋ねしているのです。端的にお答えください。
○小林(俊)説明員 従来の考え方と考え方において相違が生じたわけではないということを申しておるわけでございます。また、指紋はその同一人性確認の一つの手段でございまして、それ以外にも、登録にかかわる諸事項の申請内容であるとか、あるいは写真であるとか、この同一人性確認の手段が指紋のみであるということは当初から登録法の予定していないところでございます。
○天野(等)委員 その辺をお尋ねしておきたかったのです。特に指紋押捺が同一性確認の唯一の手段ではないということ、それも従来からもそういうふうな扱いがなされていたということについて確認をいただけたと思いますので、やはりこの点は今後の指紋押捺というものの性質を考えていくときに重要な問題ではないかと私は考えるわけです。 ところで、この指紋押捺問題について、先般日韓閣僚会議で問題になったということが新聞報道でも報じられておるわけでございますけれども、この日韓閣僚会議では日本側としてはこの問題についてどういうふうな説明をなさったのか、そしてこれに対して韓国側ではどういうふうな意見が出されてきたのか、またそれに対する日本の対応というようなことで、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
○渋谷説明員 閣僚会議の際の外務大臣会談におきまして指紋押捺問題について口火を切ったのは韓国側の方でございます。まず、韓国側より次のような要望がございました。 在日韓国人の処遇問題は歴史的背景からきている。在日韓国人は日本人並みに処遇してもらいたいという希望を有しているが、こういう希望に対し、自分たちは(それが)正しいという考え方を持っている。こういった処遇問題は、両国民の相互理解に役立つような形で解決される必要がある。かかる観点から指紋問題についても是非前向きの姿勢を示してほしい。これが韓国側の要望の要旨でございました。 これに対し我が方より、次の三点を述べました。 第一点は、 去る五月十四日の指紋押捺方法に関する改善措置については、外国人登録法が昭和五十七年に改正されたばかりであるという事情はあるが、昨年の日韓共同声明の趣旨、在日韓国人の要望等を念頭に置きつつ、関係省庁において鋭意検討の結果決定したものであり、指紋問題について政府として当面採り得る最大限の措置であった。 第二点は、 本年の大量切り替えは現行法をもって対応する。また、現行法は遵守される必要がある。 第三点は、 今後については、長期的視点に立って自主的に研究・検討するというのがわが方の基本的立場であるが、本問題は将来長きにわたる日韓関係の安定、日本社会の国際化という中で考えていくべき問題であると認識している。このような認識に立って制度の問題を含め引き続き誠意をもって努力する。 以上でございます。
○天野(等)委員 今の韓国側のお話とこちらの話との間に、前提の中ですれ違いがあるのじゃないかという感じを私は持つわけです。 まず、この指紋押捺問題を含めまして、在日朝鮮人あるいは在日韓国人の地位について、日本と韓国との歴史的な経過の中でこれをとらえなければならないのだということが韓国側で示している一番基本的な点なんじゃないか。ところが、日本側の説明の中にはこの問題が全くと言っていいほど欠落をしているのじゃないか。今、指紋押捺拒否という形で在日韓国人、朝鮮人の中で起こっているいろいろな運動といいますか、あるいは個々の人たちの心の中の問題を探ってみたときに、これは日本と韓国、朝鮮との間の歴史的な経過の中での出来事だということを日本側が正しく認識をしていないんじゃないかという嫌いがどうしても否めないと私は思うわけです。この点で、外国人登録法の問題に最も直接かかわっておられる法務大臣として、この問題を日本と韓国、朝鮮との長い歴史的な経過の中でとらえていくという視点をお持ちであるかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○嶋崎国務大臣 今、内容については御報告があったところでございまして、そういう中に韓国側から、歴史的な経過の中でということがあったわけでございます。御承知のように、我々もこの問題を考えるときに、そういう歴史的な過程の中で物を考えているということは当然のことでございまして、我々もそういう点は十二分に考慮に入れてやってきておるつもりでございます。 また、もう御承知のとおりでございますが、この指紋制度を取り入れるまでの経過を考えていただきましても、講和条約の発効のとき、昭和二十七年四月二十八日からこの制度を取り入れたわけでございますが、その当時までに日本におられる朝鮮、韓国の皆さん方の数につきましても、登録を行ったときには非常に数字が減り、そうでないときには非常に多いというような特殊な事情というものも十分ある。また、長らく日本の中で生活していかれようというお気持ちも十分わかるわけでございますが、そういう経緯があった中でこの指紋制度というのが論議をされ、それもすぐ実行されたわけじゃありませんや八三十年からそれが実施に移されるというような経緯の中でも、それらの問題は十分考えられており、その後の指紋制度の運用の中でも、そういう背景というものは十分考慮をされて今日まで参っておるのだろうというふうに思っておるわけでございまして、そういう歴史的な背景を我々が全然考慮しておらないで事柄を処理しているというようなことではないと思っております。
○天野(等)委員 しかし、現実に外務省からの発言、三項目という中には、全く歴史的な経過という言葉が見当たらない。それは、歴史的な経過という中の最も重要なのは、やはり日本がかつて朝鮮半島を植民地にしていたということ、そして、その朝鮮半島から労働力として今の在日韓国人、朝鮮人の人たちあるいはその親たちを自分の出生地から引き離し、そして日本に連れてきた、そういうような事情の中で、この指紋押捺の問題も生じているんだということだと思うのです。 実は先日、福団地裁の小倉支部でございますか、外国人登録法違反事件で、指紋押捺を拒否して有罪の判決を受けました二世の女性の方、その方の裁判での最終意見陳述というのがあるわけでございます。その中で私、この問題が非常にはっきりとあらわれていると思いますので、ちょっとここで読ませていただきながら見解をいただきたいと思うのですが、その方は、私が押捺を拒否したのは、それは押したくないという感情から出ているのではなくて、もっと深い心の痛みから出ているのだ、そうして、私たちが指紋に屈辱を感じるのは、その裏に、戦争を起こしてそれを行い、そして植民地化したそのときの人の心を見るからだ、そういう戦争をした人が立てた法に、戦争を知らない子の世代、私たちが従っているのだ、問題は、指紋の有効性ではなくて、指紋の持つ意味と正当性じゃないか、戦争感情の清算されていない日韓関係の中で、植民地のときに日本人が朝鮮人を管理したように、今指紋によって自分の国の持ち物のように私たちの感情を無視し、支配しようとしているのじゃないかという意見陳述をされております。これは、戦争を知らない二世の人の本当に心の中からの叫びじゃないかという気がするわけでございますが、この最終意見陳述をぜひ法務大臣にも読んでいただきたいと思うのです。 その中で、なぜ拒否をしたかということについでこういうふうにも言っております。私たちにできるのは、痛いと言ってあらわすことだけだ、自分たちの心の痛みを気づいてもらうために、そのために私たちは拒否をしているのだ、そういうふうにも言っております。 これは、ただ単に指紋が同一性確認の最もいい手段だからというようなことだけでは済まされない大きな歴史的な経過の中で生まれてきている問題だと思うのです。その問題をしっかりとつかまえていくのが政治ではなかろうかという気がするわけです。この判決の中では、この問題も立法の裁量によるんだという形で立法府にげたを預けられたということだろうと私は思います。そうなれば立法府として、朝鮮人、韓国人の方たちのこの歴史的な心の痛みというものについて、私たちはもっともっとそれを考えた立法というものをしていかなければならないのじゃないかという気がしておるわけです。 特にこの指紋だけではなしに、外国人登録法の中で、未成年者に対して成年者と同じように刑罰を科している。十六歳以上の者に対しては成年者と同じように刑罰を科している。私は、このこともまた大きな問題じゃなかろうかという気がするわけです。これは指紋押捺だけではなしに、例えばこの切りかえ登録にしましても、あるいは再登録にしましても、責任を負わされているのは未成年者本人です。日本の戸籍法あるいは住民登録法、今は住民登録法ではなくて名前が変わりましたね、いわゆる住民登録ですが、これなんかでは、未成年者自身が登録の主体になるということはないわけですから、法定代理人による代理の登録あるいは世帯主による登録というようなものが認められている。ところが、この外国人登録法の中では、未成年者自身が、十六歳ですよ、まだ高校に通っている、その子供自身が誕生日から六十日以内に登録をしなかったら刑罰で罰せられるという状況になっているということ、このことがやはり大きな差別ではないだろうかという気がするわけです。こういう問題について法務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○小林(俊)説明員 外国人登録法上、十六歳から十九歳までの未成年者についても成人と同様の義務が課されておるということは御指摘のとおりでございます。これは登録に伴う目的上このような制度が設けられておるわけでございますが、ただ、御注意いただきたいのは、罰則の適用について青年は少年法の適用があるということでございます。したがって、少年法上、その罰則の適用について成人とは違った取り扱いが現になされておることもこの際御想起願いたい次第でございます。
○嶋崎国務大臣 ただいまの小倉における事件についての供述の内容につきましては、どういう意識を持っておられるかよくわかりませんけれども、日本に在留する外国人の皆さん方につきましてはパスポートその他のものがあるわけではありませんので、今ある制度の運用につきまして、いろいろな意味で外国人の地位なり待遇なりをきちっと整理していくという考え方からも、人の特定ということはやはり必要なのであろうと思っております。そういうときに、歴史的な過去の経過というようなことをいろいろ述べておられますけれども、現在の登録法の物の考え方はそういうことを連想して事柄を処理しているものでは決してないわけでございまして、そういう意味で、日本の法制がそういう整理をされておるという事実をよく踏まえられて、的確に事柄を判断し、行動してもらいたいものだと思っておる次第でございます。
○天野(等)委員 私は、今の法制度が在日朝鮮人、韓国人のかつての日本における地位というものを全く何の考慮もなしに行われているという、そのこと自体に問題があるのじゃないかと申し上げたいのです。やはりそこを考慮しなければならないのじゃないか。それが、日韓閣僚会議でも示されている過去の経緯、それに基づいてというその考え方だと思うのです。私は、そこのところで戦後の処理という点でも大きな問題なのじゃないかと考えるわけで、この点で、その問題についての大臣の一層の御理解をいただきたいと思うわけでございます。 時間がございませんので少し先に進ませていただきますが、ただ、私、小林局長がおっしゃいました、少年法の規定があるから、少年法の規定にのっとって行うのだからいいではないかということについては全く承服ができません。それは、例えば日本の少年が戸籍の届けやあるいは住民基本台帳についての届けを懈怠したからといって少年法の適用を受けるわけじゃございません。非行にさえなりません。虞犯少年とさえもちろん言われないはずでございます。ところが、朝鮮、韓国、あるいはその他の子供たちでも同じでございますけれども、特に朝鮮、韓国の場合には、日本で生まれ、そうして日本人の学校、日本の公立学校に学んでいるという子供たちが非常に多いわけでございます。そういう中で、外国人であるからということで単に届け出の懈怠さえ罰則で少年法の適用がされるというところに非常に問題があるのではなかろうかと思うわけです。 先日、私たち法務委員会で関西地区を視察いたしました。その際、大阪地方での御報告をいろいろいただいた際に、大阪の例えば生野区というようなところでは、外国人登録法の適用を受ける人の数が全住民の二三%近くにも及ぶんだというような資料をいただきました。そうなりますと、これはもう大変な数でございまして、そこで学校に通っている子供たちは公立の学校の中でもかなりのパーセンテージを占めることになるのじゃないかという気がするわけです。その辺で文部省の方に、どのくらいの数の方が特に大阪でどういう状況になっているか御報告をいただきたいと思います。
○林田説明員 ただいまの大阪府の学校の在日韓国人及び朝鮮人の方々の就学状況でございますが、私どもといたしまして、在日韓国人及び在日朝鮮人の方々に限った就学状況は把握していないわけでございますけれども、大阪府教育委員会の調査によりますと、大阪府の公立小中学校における外国人児童生徒の比率は、小学校の場合二・二%、生徒数にいたしまして約一万八千人、それから中学校の場合で二・四%、約一万一千人となっております。 なお、御参考までに昭和四十五年のデータでございますけれども、小中学校に在学する全外国人のうち九三ないし九四%が在日韓国人、在日朝鮮人の方々であったというデータがございますので、御報告申し上げておきます。
○天野(等)委員 大阪市のデータはございませんか。
○林田説明員 市だけのデータはございません。
○天野(等)委員 それから、在日外国人の子女の数が非常に多いという学校があれば、それを抜き出していただければということでお願いをしたのですが、この点はいかがでございますか。
○林田説明員 具体的にそういうデータをお持ちするようにという話は伝わっておらなかったものでございますから、残念ながら承知してございません。ただいまの大阪府のデータを用意申し上げたところでございますので、ただいまちょっと手元にデータを持っておりませんので、御了解いただきたいと思います。
○天野(等)委員 お願いしたのですが、私の方で調べましたので、一番多いのは、大阪市生野区の御幸森小学校という小学校では、一つの学校の中で在日朝鮮人、韓国人の数が常に大体六〇%以上ある、七〇%程度に及んだこともある状況だという調査を私の方でいたしております。そういう状況が一つの学校の中でやはりあるということ、これはもう、ただ朝鮮人は外国人だ、韓国人は外国人だと言っているだけでは済まされない問題があるのじゃないかと考えるわけです。私、文部省にお願いをしまして、一つの学校の中で朝鮮人あるいは韓国人の数が多い学校というものを選んでほしいと申しましたのは、具体的にそういう学校でどういうふうに教育をしているかといいますか、特に家庭との連絡、そういうような点で問題はないのかどうか。また、そういう学校で今起こっております外国人登録法問題について特別な問題が生じていないかどうかということをお尋ねしようと思ってお調べをいただこうと思ったわけでございますけれども、短時日でお願いをしましたので、あるいはお調べいただいてないかもしれませんが、その点はいかがでございますか。
○林田説明員 お答えいたします。 学校におきます教育の状況でございますけれども、もとよりこれらの子供たちが通っております学校は、我が国の憲法、教育基本法、学校教育法に基づきまして、我が国の公教育機関として教育を行っているわけでございますので、これらの法令に基づきまして、心身ともに健康な国民の育成ということを期して行われなければならないと思うわけでございますけれども、御指摘のように非常にたくさんの在日外国人の方のいらっしゃる学校におきましては、それなりの特別な配慮ということも必要であろうかと思うわけでございますが、大阪府の教育委員会におきましては、特に管下の小中学校に対しまして、在日外国人に対する差別や偏見をなくすため、在日外国人児童生徒が在籍しております歴史的な経緯や社会的背景を正しく認識させるとともに、在日外国人児童生徒の人権を尊重し、国際友好、親善、協調の態度の育成に努めるよう特に指導を行っているところでございます。
○天野(等)委員 私は、学校の中で外国人の生徒の親善を図るというそのために一番いいのは、やはり学校に在日朝鮮人、韓国人の先生を雇ってもらうこと、その中で一緒に教育を受けるということ、それだと思うのです。現に、日本の教員の資格を持っておられる在日朝鮮人、韓国人の方、教員免許を持っておられる方は大勢おるわけですが、その人たちについて公立学校ではこれを採用しないという形で門戸を閉ざしてしまっているというのが実情だと思います。私は、特にこういう在日朝鮮人、韓国人の多い学校、五〇%を超えるというような学校では、当然のことながらそこに外国籍を持った先生が教えるということが、これは生活習慣やその他のいろんな違いも当然のことながら出てくるわけでございますから、やはり必要なことなんじゃないかと思うわけですが、その点で文部省、御見解はいかがでございましょうか。
○林田説明員 ただいまの在日外国人、朝鮮人の方の教員への採用の問題でございますけれども、先生御承知かと思いますけれども、この問題につきましては、いわゆる公務員に関する当然の法理という考え方によりまして、公権力の行使または公の意思形成への参画に携わる公務員には外国籍の者を任用することはできないということで従来から解されておるところでございます。公立の小中高等学校等の教諭は地方公務員でございますので、その職務は児童生徒に対する教育を行い、またこのことを通じ校長の行う校務の運営に参画することにより公の意思形成への参画に携わることをその内容としていると認められるところでございまして、この法理に基づきまして日本国籍を有する者のみがこれにつき得るということでございます。
○天野(等)委員 今お答えになられたそのことの中に日本の非国際性がそのままあらわれているように私は思います。先ほど、日韓閣僚会議の中でのこの問題について中長期的に考えるという中で、国際的な視野からということを外務省の方もおっしゃっていらっしゃるわけなんですが、やはり公立学校の先生は日本人でなければならない、外国人を入れたらそれは日本の学校ではなくなってしまうというような、そういうまさに時代おくれの考え方を持っていたのでは、これからの国際化社会の中で対応できないだろうと思いますし、また、現実に一つの学校の中でこれだけ多くの外国人を抱えている学校があるとすれば、その学校について対応を考えなければならないというのが政治でもあり、行政でもあろうかと私は思うわけです。また、非常に便法ではありますけれども、講師で採用という形で外国人教師を採用した例も先日ございました。これは本当はそうであっていいというわけではございませんけれども、何といっても、たとえ外国人の子弟であってもこれを日本人の子供と同じように健やかに育てていくというその責任は日本の国としては持っているわけだろうと思うものですから、やはりそのためにも文部省でも配慮をいただきたいというふうに思います。御答弁はいただかなぐても結構ですが、その点で御配慮をいただきたいと思います。 ただ、私は、指紋押捺拒否というような問題が一つのきっかけになってきているのだと思いますが、在日朝鮮人、韓国人に対する差別の問題、人権問題としての差別の問題がかなりあらわれてきているんじゃなかろうかということを心配しているわけでございます。この点で、人権擁護局に対してこの問題で差別の提訴というようなものがあるのか、どういう状況かということを御報告いただきたいと思います。
○野崎説明員 外国人登録法上の指紋押捺を拒否した者に対しまして指紋押捺に関する意見のみならず悪質な嫌がらせを含む投書等がなされているということで、これまでに大阪法務局に四百五十九名の方が人権侵犯であるということで救済を求めてきておられます。このようなことになりましたもとには指紋押捺拒否という事実があるわけではございますけれども、しかし、だからといってこのような悪質な嫌がらせの投書や電話が許されるわけではないわけでありまして、私どもは人権擁護上まことに遺憾なことであるというふうに考えております。現在、人権侵犯事件として調査中でございますけれども、これらの投書者のほとんどが匿名であるいは偽名でもってなされておりますところから、これを行った者を確定することは非常に困難な状況にございます。そこで、私どもとしましては、この種の事案の再発を防止するために一般的な啓発活動を行っていこうということで対処をいたしておるところでございます。
○天野(等)委員 私のところにも、これは川崎の李相鎬さんに対する脅迫状あるいは嫌がらせの手紙が今私の手元にございますけれども、本当に「死ね」というような言葉を書いてあったり、私としても読むのも嫌な言葉でございますけれども、こんな言葉も書かれています。「ヨボの癖に大きな事云うな。厭なら自分の国へ帰れ。外務省の課長も云っているでないか。悪法でも法は法。分らんか! 日本を守る青年の会K.S」というような名前ではがきも来ております。私はこういう一連の嫌がらせ事件の底にあるものは、先日、この投書には「外務省」と書いてありますが、警察庁の大阪府警の外事課長が発言をされました。日本の法を守らない、それが嫌なら、指紋押捺が嫌なら国に帰ればいいじゃないかというあの発言、あの考え方がやはりこの差別の考え方の根本にあるのじゃなかろうかと思うわけです。 ここで法務大臣にお尋ねをしたいけれども、指紋押捺を拒否をするのだったら、おまえたちはもう日本にいないで国へ帰れというこの考え方について、法務大臣はどうお考えになりますか。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、やはり歴史的な経過を踏まえて、韓国との間に協定永住というような関係で、それに対応するところのいろいろな手当てを考え、現在までその法的な地位あるいは待遇について我が国としてもいろいろな努力を積み重ねてきている現実もあるわけでございます。そういう中で、この指紋問題につきまして最近非常に大きく問題が取り上げられ、またこれをめぐっていろいろな議論があることは私たちも十分承知をしておるわけでございます。しかし、御承知のように外国人として登録をしていくということは、いろいろな意味で必要なことでもあるわけでございます。したがいまして、この制度は既に御承知のように五十七年の改正、あるいは今回におきましても、できる限りそういう在日の外国人の考え方なり意見なりというものを取り入れまして、五月十四日に新しい取り扱いというものを決めたという経緯もあるわけでございます。したがいまして、国内で決まったきちっとした法律でありますから、これをできるだけ着実に守っていただき、またそれを円滑に実施することによって次のステップとなるような努力を、在日外国人の皆さん方にもぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。 今、御指摘の指紋の問題、だから外国へ帰れというような話がありますが、今の法制では七年以上の罪に服さなければ退去を求められないというようなことに相なっておりますので、そういうことはもうできる筋合いのことになっておらないことも御承知のとおりでございます。したがいまして、できるだけさきの学校教育等の問題もありましたけれども、やはり日本人と同様に生活をし頑張っていくのだという主張もあるわけでございますから、そういうことをひとつ十分考慮に入れられまして、決まった法律に従って、それを的確に守っていただくことを、私、心から望んでおるということを申し上げておきたいと思います。
○天野(等)委員 私が申し上げたいのは、それは法務大臣ですから法を守ってくださいということ、これはまあ当然のことです。しかし、それじゃ指紋を押さない者は国へ帰れというそこのところをやはりはっきり否定をしていただきたいということです。法の規定がどうかということはいろいろございます。しかし、法の規定がどうだからということよりも、そういう事柄じゃないということ、歴史的な経過の中で日本で生まれ育っている人間に、指紋を押さないから、だから帰れというこの考え方、その考え方ははっきり否定をしていただきたい、私はそう思うわけです。もう一言、法務大臣、お願いをいたします。
○嶋崎国務大臣 前にも答弁を申し上げた経過もあるわけでございますから、そういうことだから国へ帰れというような考え方を持ってないということは明らかでありますし、現在の制度でもそういうことになってないということは皆さん方も御承知のとおりでございます。
○天野(等)委員 ところが、大阪の法務局に、ことしの八月二十日にこの問題で人権擁護部に提訴に行った際に、そこの担当の係官の方が提訴に行った者に対して、法を守らないんだから仕方がないじゃないか、帰れと言われたって仕方がないじゃないか、そういう発言をされたという事実を私たち聞いております。人権擁護の最も先端に立っている人、この方が、この指紋押捺問題でも法を守れということ、それをおっしゃるのはいいとしましても、人権擁護というのはそれとは違うところである仕事だろうと思うのです。その仕事の必要性をしっかり認識していただきたい。 これについても、実は一番最初に第一次の提訴をした際の法務局の対応の仕方は大変親切で、こういう問題があってはならないという立場であったのが、八月二十日の際には変わっていた。これは指紋を押させたいためにいろんな手段を使ってくるということになるのじゃないかという気がしてならないわけです。指紋押捺をさせるということ、それだけがひとり歩きをしてしまって、そのためには多少の人権侵害にも目をつぶろうというような状況になってしまったとしたら、これは非常に恐ろしいことだろうと思います。 私は冒頭に申し上げましたように、指紋押捺というのは同一性確認の単なる一つの手段にすぎない、そこのところが非常に重要なところだと思います。現に指紋押捺でなくとも同一性の確認はできる、それは従来からもやってきたし、これからもそれでもってやる、そういうことなんです。指紋押捺だけが絶対の手段ではないはずです。にもかかわらず指紋押捺だけがあたかも絶対であるかのような、そして指紋を押させることだけが今先行をしてしまっている。むしろ大事なのは外国人登録法で、その当該の人に対して果たして同一性があるかどうかということを各窓口で調べるということで十分外国人登録法の目的は達するはずでございます。現にそれでも外国人登録法については外国人登録証を渡してもいいという通達を出しているわけでございますから、その点では私は、今度の五月十四日の通達は確かに一歩前進だというふうに評価をいたします。その上に立ってこの指紋押捺問題に対処をしていただきたい。この問題を一つのかぎにして人権侵害というようなことが絶対ないように、そのために法務局としても十分な監視をしていただきたいというふうに思うわけでございます。その点で擁護局長、お願いいたします。
○野崎説明員 ただいま御質問のございました中で、大阪の在日韓国人の方がこれまで二度大阪法務局を訪れられまして、二つの事実をもとに人権侵犯であるという申し立てをなさっておられます。その一つは、今御指摘のありました大阪府警の外事課長の発言問題でございます。もう一つは、先ほど御答弁申し上げましたはがきや電話等による嫌がらせの問題であります。 その問題につきまして大阪法務局では、外事課長の発言というものは、今お話にもございましたように、指紋押捺が嫌であれば本国へ帰れといったような発言はまことに不穏当な発言である。ただ、その趣旨が人種差別によって出ているというのはそうじゃないんじゃないか。これは、外国人が日本で暮らしていくためには外国人登録法を守ってもらいたいという趣旨を強調する余り勇み足をやっているように思われる。しかも、その問題につきましては既に国会で議論がなされておりまして、警察庁の最高責任者がこの発言は遺憾であるということで謝罪をしておられます。したがいまして、この発言については我々としては改めて人権侵犯として取り上げるつもりはない。しかし、はがきや電話による投書につきましては明らかに人権侵犯の疑いがあるので、この点については情報収集活動をやって調査を進めていきたい、かように申し上げておるのであります。 八月二十日の場合もこれは同じことを申し上げておるのでありまして、見解の対立がございますのは、この外事課長の発言を人権侵犯としてとらえるかどうかということでございます。八月二十日の場合には、韓国人の方から、警察庁の責任者がどう言っておろうと法務局としてその外事課長を呼んで調査をしろという要求がございましたが、私どもの方としましては、警察庁の方で責任者が既にこの外事課長に厳重に注意をしたということも言っておられるわけでありますから、そのことは十分信用できるんだ、したがってこれはもうこの程度にしたいということで終わったのでありまして、今御指摘になられたのはちょっと事実が違うんじゃないかと私どもは考えております。
○小林(俊)説明員 先ほど先生の御発言の中で、私の答弁から指紋が唯一絶対の同一人性確認の手段ではないということが確認されたというふうにおっしゃられましたが、この点につきまして若干明確を欠く点が私の答弁にあったやに存じますので、多少補足させていただきます。 すなわち、指紋が唯一の手段ではない、これは事実でございます。写真も使えますし、申請事項の確認もございます。しかし、その絶対ということが科学的に本人を特定し得る手段であるという意味であるとすれば、指紋のみが絶対的な手段でございます。指紋以外に絶対的に本人を科学的に特定する手段は現在のところは発見されておらないということがございます。であればこそ、指紋は同一人性について疑問が生じた際の最終的な決め手になるということがあるのでございます。また、そのことがあればこそ、指紋の導入以来これによって不法登録というものが抑止されてきて今日に至っておるということも明確な事実でございます。この点について誤解をなさいませんようにひとつお願い申し上げたいと存じます。
○天野(等)委員 少し時間があれですが、ちょっと時間をいただきたいと思います。 最初の擁護局長の話ですけれども、私は別に誤解をいたしておりません。そのことが問題だ。指紋を押させるためにはああいう発言をしてもいいという考え方がやはりあるのではないか。そうだとすれば、これは非常に重要だ。その点で人権擁護の立場からあの発言についてもしっかりと調査をし、検討をしていただきたい。単に上司が遺憾の意を表明したらそれで終わりだという問題ではないだろうということです。 それから今の小林局長のお話ですけれども、行政手続としてどうなんだということを私は申し上げているのですよ。窓口の行政の手続として、指紋押捺だけが唯一の同一性の確認ではなく、その他の手続によって同一性を確認して、それでいい、それで十分だということで登録証を出しているわけです。十分と言いますと小林局長は、いや十分ではないとおっしゃるかもしれません。しかし、現に同一性を確認した上で登録証を交付しているわけですから、その意味では行政手続として十分だ。ただ、指紋を押していないということだけは残るかもしれませんが、同一性の確認という点では十分であるということで登録証を交付されているのだというふうに考えております。 指紋がどう使われるかということ、これはまた別の問題でございまして、少なくとも登録証を交付するという窓口の行政手続の中では、必ずしも指紋の照合によらない同一性の確認の方法があるということ、これは前からそのようなことが行われてきたし、今後もそういう点ではそういう場合もあり得るのだということの確認を求めたわけです。そういう意味で私は指紋は絶対のものではないということを申し上げているわけで、何としても指紋をとらなければその同一性が確認できないものではないということを申し上げているわけです。そういう点で、何としても指紋を押させるために人権侵害にわたるようなことのないように、私はきょうは時間がありませんので触れませんけれども、例えば再入国に対する許可申請を却下しているというような事柄も問題にしていかなければならない事柄だというふうに私は考えております。この点で私の意見だけ述べさせていただきまして、時間がございませんので、これで終わらせていただきたいと思います。
○片岡委員長 午後一後三十分、再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時六分休憩 ————◇————— 午後一時三十分開議
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。三浦隆君。
○三浦(隆)委員 きょうは、毒物混入ワインの問題と、染色体異常者の殺人未遂事件、主にこの二点についてお尋ねをしていきたいと思います。 初めに法務大臣にお尋ねしたいのですが、グリコ・森永事件がまだ解決を見ておりません。しかし、流通食品への毒物混入という行為は国民の生命を脅かし、企業の利益を損なうものであって、一日も早く犯人が逮捕されるよう捜査の進展が望まれているところでございます。 さて、今回のマンズワイン社によるワインへの毒物混入は、企業利益を優先させ、国民の生命の安全を脅かす行為として、グリコ・森永事件と同じく人権擁護の立場から見逃してはいけない行為だというふうに思うのですが、この事件に対する大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
○嶋崎国務大臣 今度のジエチレングリコールの入ったマンズワインその他のオーストリア産のワインの販売問題につきましては、まことに遺憾なことであるというふうに思っておるわけでございます。できるだけこういうものを発見するためのいろいろな意味での検査というのが的確に行われる必要があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。昔は、私たちの経験によると、関税の検査というのは相当厳格に行われておりまして、割合、酒類のそういう問題については発見は容易であったようでございますが、だんだんそういう面の仕事が省略をされてきておるというようなことがこんな答えになったのではないかというふうに思っております。 しかし、いずれにしましても、こういう食料品を預かる仕事は、国民の生活に本当に密着したものであるだけに、それぞれの業者がきちっとした対応の仕方で問題を処理をすることが一番大切なことであろうというふうに思っておるわけでございます。こういう事件が生じたのは外国で起きたものであろうというふうに思いますけれども、それを国内的に消費する場合の取り扱い等について、それぞれの業者がもっと真剣に事態を判断をして対処しなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
○三浦(隆)委員 警察庁にお尋ねしたいのですが、例のグリコ・森永事件というのがこのごろ新聞紙面から消えておりまして、まごまごすると迷宮入りしてしまうのじゃないかというふうに国民も思い出しているところでありますが、その後捜査はどのようになっているか、お尋ねしたいと思います。
○藤原説明員 お答えいたします。 グリコ・森永事件の捜査でございますが、犯人グループの最近の動きといたしましては、八月十二日に在阪のマスコミ各社に、食い物に毒入れるのをやめたという、犯行の中止を内容とする挑戦状を送付してきましたが、毒物混入等の具体的な犯行はその後行われてはおりません。一方、これまでの事件の捜査でございますが、残念ながら現在、犯人の検挙には至っておりませんが、警察といたしましては、引き続き当面の最重要課題といたしまして、関係都道府県が一体となりまして、容疑人物の捜査、それから遺留されました物、こういったものに関する情報等を中心に強力に捜査を進めておるわけでございまして、現在、それなりに実績を積み重ねてきているところでございます。
○三浦(隆)委員 日本の警察は世界でも大変すばらしい優秀な警察だという評価があるし、私たちもそう思っておりますでこれだけいろいろと何回も何回も犯人から証拠らしきものが次々と出されていながら、いまだに手がかりもあるのかないのか、国民にとってはさっぱりですが。もう相当日時もたっていることですので、とにかく本当に犯人の逮捕を一日も早くお願いしたい、こう思っております。 続いてですが、もしこの犯人が仮に逮捕された場合、こうした流通食品への毒物混入というふうな、あるいはそうしたおどかしというのはどういうふうな法律名で、どのような罪状に問われるのでしょうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○筧説明員 まだ捜査中で事実関係がはっきりいたしませんので、現段階で断定はいたしかねると思いますが、一連の行為、いろいろな罪名に触れると思いますが、青酸ソーダを混入させた食品をスーパー等の店頭に配付した事案に限って申し上げますれば、事実関係いかんによってはその行為は殺人未遂罪に当たる疑いがあるということでございますし、さらに、これらの行為によってその食品を製造いたしております会社の販売を困難ならしめる、あるいはスーパーの販売を困難ならしめるということで威力業務妨害という罪名が考えられると思います。
○三浦(隆)委員 次に、毒物混入ワインの問題に戻りたいと思います。 新聞の伝えるところによりますと、オーストリアでは、八月二十九日にオーストリア国民議会で新ワイン法という法律を可決したというふうに言っておりますが、これはどういう内容のものなんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。厚生省の方、よく知っていられるかと思いますが。
○大澤説明員 ただいま先生からの御質問の件でございますが、私ども、まだ現地からその情報を把握してない状態でございまして、今できるだけ早くに二十九日にオーストリア政府が発表した内容のものについて情報の把握に努めたいと思います。
○三浦(隆)委員 事件が起こってすぐにオーストリアでは対応して、日本では対応しておらぬ。しかも、その決まったことが新聞ではある一部報道されているのに全然わからないということもないだろうと思うのですね。 記事によりますと、例えば新ワイン法の主な内容として、一つにはラベルに生産地、アルコール、糖分の含有量を明記すること、二番目に甘口、普通、辛口を区分すること、三番目、高級ワインの瓶の容量は〇・七五リットル以下とすること、四番目、すべての瓶のコルク栓に検査番号を記入するとかいろいろ決まっているようであります。言うなれば毒物どころか何でもないアルコール、糖分ですらもワインにどの程度入っているかということすら、ここではやろうとしている。いわゆる業者の皆さんにとっては厳しいかもしれませんが、昨今はワインに限りませんで、薬であろうと何であろうと、どういう成分のものだということが表示されつつあるんだろうと思うのですね。飲む方の安全の角度から言えば、どういうものがこのワインに入っているのか、あるいはそのワインがどういう過程で生じてくるのか、またそういう手続を無視したことがこういう違法ワインというか毒物ワインができるわけでしょうから、手続法的にも確立すべきものじゃないかというふうに思います。ぜひ厚生省として急いでその処置を講じてもらいたい、こう考えます。 次に、オーストリアではこの不凍液混入事件で既に逮捕者二十二人を出していると言われているのですが、そうすると、この逮捕者はオーストリアの何という法律でどういう罪状で問われているか、おわかりですか。
○筧説明員 何分外国のことでございまして、詳細は承知いたしておりませんが、私どもの承知しておりますところでは、この事件に関連してウィーンの裁判所その他二、三の国内の地方裁判所等で刑事手続が係属しているというふうに承知いたしております。罪名につきましては、食品法違反あるいはワイン法違反その他若干ほかの罪名もあるようでございますが、その罪名あるいは被疑事実については詳細は承知いたしておりません。
○三浦(隆)委員 食品法違反、ワイン法違反というお話なのですが、ワイン法というのが前からあったものなのか、今度の事件を契機として後からできたものなのか、後からできたものであれば、前に犯した犯罪にその後からの法というものが該当し得るものかどうかというふうに思いますが、どうですか。
○筧説明員 その点つまびらかにいたしませんが、推測いたしますれば、やはり現行といいますか改正前のワイン法で刑事手続が行われているのではないかというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 オースト書リアでは法律をつくったりあるいは逮捕者を生んでいるのに、我が国ではそういう法律をつくろうとする動きもなく、逮捕者も出ていない。言うならば、企業を優先させようとするのか、それを飲んでいる国民の生命を大切にしようとするのか、国の対応というものが基本的に違っているように思うのですね。基本的にはやはりオーストリアのように企業本位ではなくて国民本位に対応すべきものではないだろうかというふうに考えますので、厚生省もぜひその線でやっていただきたいし、警察もまたその方向で対応していただきたいというふうに思います。 次に、このジエチレングリコールというものなのですが、今回のワインに混入されたジエチレングリコールというのは、車のラジエーター不凍液あるいはブレーキ油配合に使われる有毒物質だというふうに言われております。この車のラジエーター不凍液あるいはブレーキ油配合に使われるというふうなものをワインに入れるということ自体が極めておかしなことじゃないかと思うのですが、厚生省はこのような有毒物質がワインに混入されたことをいつ知ったのでしょうか。また、知った後どのような対策をなされましたか。
○大澤説明員 今御質問の件でございますが、若干長くなるかと思いますが、御説明いたしたいと存じます。 厚生省ではオーストリア・ワインにジエチレングリコールが混入されているらしいとの情報を得ましたのは、西ドイツのボン駐在特派員が掲載しました七月十日付夕刊の新聞報道によって私どもは初めて知ったわけでございますが、この情報を得た後、厚生省は翌十一日に、輸入食品の監視を行っている全国十九カ所の検疫所に対しまして、オーストリア産ワインの我が国への輸入の実態等、すなわち製造者名あるいは住所、ワインの名称、製造年月日等について調査を指示いたしますとともに、在西ドイツ並びに在オーストリア日本大使館に対しましても、外務省を通じまして、事実関係の調査あるいは情報の収集を依頼したわけでございます。在西ドイツ大使館より、オーストリア産高級ワインに注意するよう報告がその後あったわけでございまして、さらにオーストリア産ワインとして我が国で販売されておるものにはオーストリアで瓶詰されたものと西ドイツで瓶詰されたものとの二つの種類がある、こういうことも判明しました。したがいまして、各検疫所に対しまして、オーストリア産及び西ドイツ産ワインについてジエチレングリコールの検査を実施するよう指示したわけでございます。また、ワイン等の洋酒を輸入している業者の団体に対しましても、各自の輸入しているワインについて、ジエチレングリコール混入の有無について確認するよう、厚生大臣の指定しました検査機関等による検査を実施するよう行政指導したところでございます。その結果ジエチレングリコールが検出され、また在西ドイツ日本大使館からのオーストリア産西ドイツ瓶詰ワインにジエチレングリコールが混入との報告に基づきまして、直ちに全国各都道府県等に対しましてオーストリア産及び西ドイツ産ワインの検査の強化及び販売の自粛を指導するよう七月下旬に通知したところでございます。 以上、長くなりましたが、オーストリアで端を発しました本件に対しまして厚生省並びに検疫所あるいは各都道府県に対しましてとった当初の段階の措置でございます。
○三浦(隆)委員 厚生省が安全宣言を出したのは八月二日ですか、それから一月もたたないうちにマンズワイン社の七銘柄からジエチレングリコールが検出されたわけです。安全宣言が出された後からこういうものが出たということは、安全宣言は何を根拠に出したのか、何を調べて安全だと言ったのか、その点をお聞きしたいと思います。
○大澤説明員 先ほどは当初の段階を申し上げましたわけでございますが、その後検疫所において私どもも研究を要するということで、すぐ手元に入る資料であります検疫所における輸入食品届出書の調査によりまして、オーストリア及び西ドイツ産バルクワインを輸入いたしました八輸入業者が明らかになり、当該輸入業者から事情を聴取し、オーストリア、西ドイツ産バルクワインを使用した製造業者はマンズワインを含む八製造業者、十工場ということが判明いたしたわけでございます。この結果によりまして七月の三十日に、これら工場所在の五道県市に対しまして立入検査と工場在庫のバルクワイン及び製品についての製造数量等の調査あるいは収去試験の実施を指示したところでございます。つまりこの検査は業者が自主的に行ったものではなく、道県市が行政検査として実施したものでございますが、これらの検査をしたところ、ジエチレングリコールについては検出されなかったわけでございます。在庫のバルクワイン及び製品についての検査の結果ではジエチレングリコールが発見されなかった、こういうことで八月の二日に公表したわけでございます。 しかしながら、御承知のように八月の末にジエチレングリコールが混入しているということが判明しましたマンズワインにつきましては、五十七年の七月から六十年の五月にかけてこれは製品化されておりましたが、さきに申し上げましたように、七月末の立入検査の時点では当該在庫がないため検査の実施ができなかった、こういう状況があったわけでございます。
○三浦(隆)委員 時間の関係もありますし、深く追及はしませんけれども、しかし国なり県、自治体が調べて安全であったというものが民間の検査では安全でなかったなどと、国なり自治体の検査というものは余り当てにならぬのかなというふうに信用を落とすのではなかろうかと思いますので、二度と同じような失態の起こらないように十分にお願いしたいと思います。また同時に、マンズワイン社も七月中旬に既に毒物混入の情報を会社として得ていながら、これを一般には公表しないで、逆に新聞では安全宣言広告を行った。会社自体はそれを知っていたわけですね。にもかかわらずそれを隠して、片方では安全宣言広告を行った。これに対して、この監督官庁である厚生省は、今後こういう企業に対してどのような対処をされるのですか。
○大澤説明員 私どもも、今回オーストリアに端を発しましたジエチレングリコール混入ワイン事件が我が国に波及してこういう事態に発展したわけでございますが、厚生省といたしましてもまことに遺憾であり、現在全力を尽くして事件の収拾に努めておるところでございますが、この八月七日にマンズワインが安全宣言を行い、なおかつ下旬に当該社の製品からジエチレングリコールが検出されたわけでございますが、マンズワイン社がこのジエチレングリコールの混入の事実を知った時期は明らかではございませんが、この社の勝沼工場にオーストリア政府発表の疑惑三十八業者の一つでありますステファン・ハーラー社のバルクワインが入荷している事実をマンズワイン社は輸入業者から知らされて、七月二十四日、この時点で知ったとの報告があります。この後、マンズワイン社は、ステファン・ハーラー社のバルクワインから製造した製品の回収を七月下旬から八月の初めにかけてやっておりまして、回収した製品は八月三日と七日に当該輸入業者に返品している、こういう状況でございます。 マンズワイン社は新聞紙上で、自社百二十八製品の自主検査の結果ジエチレングリコールは不検出、こういう安全宣言の広告を御承知のように八月八日行ったわけでございますが、厚生省といたしましては、マンズワインに当該物質が検出された、この情報入手後、直ちに、マンズワイン本社を所管する東京都及び工場を所管します山梨県に立入検査を指示し、厳重に調査させ、さらにオーストリア、西ドイツ、イタリア及びハンガリー産、これらの一部のワインについてジエチレングリコールが混入されているということがわかっているわけでございますが、これらのワインを使用している国内ワイン製造七業者十二工場に対しまして、立入検査及び収去試験の実施等を関係八道府県市に指示したところでございます。この調査については、まだ調査完了はしておりませんで若干残っているわけでございますが、大半のものについては、現在までの検査の対象となったワインからはジエチレングリコールは検出されていないということでございます。またマンズワインに対しましては、八月三十日、同社の代表取締役上野専務に対しまして厳重注意を行い、今後二度とこういうことが起こらないよう注意を行ったところでございます。
○三浦(隆)委員 マンズワイン社は、安全宣言を出すには毒物が入っているかどうかを会社で調べたのだと思うのです。ただ、この毒物が入っているか否かというのは、ジエチレングリコールが入っている西ドイツなりオーストリアのワインを混入したから入ったのであって、それをそもそも混入しない、ブレンドしないワインは何でもないのは当たり前なんですね。言うなら、マンズワイン社というのは何でもないものを調べておいて、肝心の話題となっている、これは危ないじゃないかとわかっているものを調べないでいて、そして安全宣言を出しても、これは何にも安全でないわけですね。むしろ毒物が入っているから危ないと予想されているもの、それを調べて入ったか入らないかと初めて言えるのであって、貴腐ワイン何がしを最初から除いて調べても何の役にも立たなかったのではないか。結果的に、そういう安全宣言を出したことは国民を欺いたことだし、監督官庁をも欺いたことなのであって、そういうふうなことに対してマンズワインに対する営業停止処分とかあるいは貴腐ワインですかの即時廃棄処分とか、そういうことをやられようとしたのですか、お尋ねをしたいと思います、
○大澤説明員 このマンズワイン社が製造したジエチレングリコール混入ワインは、ステファン・ハーラー社のバルクを使用したもののみで七銘柄に及び約四十万本が製造されたわけでございますが、これらの関係都県、東京都と山梨県ですが、これに対しまして、この七銘柄については大至急回収をやるようにということと、回収されたものについても現在廃棄処分を準備しているところでございます。
○三浦(隆)委員 仮に、こうした車のラジエーター不凍液とかブレーキ油配合に使われるといったようなジエチレングリコール、有毒物質ですね、これをワインに入れるというふうな行為、そしてそれを販売するという行為は、我が国の現行法上ではどういうふうな罪名に該当するのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
○筧説明員 入れるという行為につきましては、ちょっと適切といいますか該当する罰則は思い浮かびませんが、刑事上の問題としては、その結果人に傷害を与えるというようなことが起きました場合には業務上過失傷害というようなことが問題になろうかと思いますし、その内容あるいは程度等によっては詐欺になるという場合もないではないと思います。いずれにしましても、事実関係が明らかでないと刑事上の問題については断定的なお答えはいたしかねるかと思います。
○三浦(隆)委員 実はこれが前のグリコ・森永事件とも関連するのだと思うのですが、刑法そのものが明治につくられて、新しい時代の予測し得ない犯罪が起こってくるとなかなか対応しづらいだろうと思うのですね。そんなことから、自民党案として流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案というふうなものも検討されたのではなかろうかなというふうに考えますけれども、現行法で取り締まりようがない、対応のしようがない言われたのでは、会社はけしからぬ、よくなかったとは言えるけれども、手も足も出ない、にもかかわらずオーストリアでは二十二人逮捕しているとなると、向こうには対応する法律があるということですね。捕まえる根拠なくして捕まえることはできないでしょうから、そういう点では我が国も、このオーストリアが二十二人という人をどういう罪名によって逮捕しているのか、早急にお調べをいただきたい。日本で全く同じことが行われていながら、外国では対応し日本では対応し得ないということは甚だおかしなことではなかろうかなというふうに考えます。 最後に厚生省にお尋ねしたいのですが、オーストリアのような新ワイン法、そういうふうなものの立法化を検討していこうというお考えをお持ちですか、お尋ねしたいと思います。
○大澤説明員 先ほどもお答えいたしましたが、オーストリアの新ワイン法についての内容を十分私どももまだ把握していない段階ですが、早急に把握したいと思います。先生先ほど若干成分あるいは内容を明らかにするような要件というものが入っておられるということでありましたが、食品衛生法上のサイドのものと今言った表示絡みというのは別の法の仕組みになっておりますが、私ども食品衛生法サイドでは現行法で対応ができると思っておるわけでございます。先ほど若干説明が不足した点があるのですが、これらの食品衛生法で認められていない物質を混入したものを製造していた、こういうことに対しましては、食品衛生法上もちろん廃棄処分あるいは回収命令とか、それから営業の停止とか禁止とか、あるいは最終的には営業の許可の取り消し、こういうことは当然できるわけでございます。これは各都道府県知事の段階でやられるわけでございますが、調査が進んだ段階で事実関係もはっきりして、そういう措置がとられると思いますが、そういう状況でございます。
○三浦(隆)委員 食品衛生法だけの問題ではなくて、例えば不当景品類及び不当表示防止法という法律がありますが、今回のは明らかにこの法律に該当するのではありませんか。厚生省にお尋ねいたします。
○大澤説明員 私ども厚生省の方では食品衛生法を所管しているわけでございまして、不当表示関係のものは私ども直接所管をしているわけではございませんが、私どもとしましては食品衛生法上の問題については万全を期してこの問題の解決に当たってまいりたいと思います。
○三浦(隆)委員 純国産ワインというふうになっているのですが、純国産ワインの純というのはどういう意味を持つものなのですか。国産と国産でない違いというかな、純国産というのは厚生省はどういう基準で言っておるのですか、それをお尋ねしたいと思います。
○大澤説明員 厚生省の方では、国産あるいは国外、ブレンド物、そういうものについて特に規定を持っているところではございません。公正取引委員会が所管されておる関係法の方で対応されていると伺っております。
○三浦(隆)委員 安全なワインだ、純国産ワインだと言いながら、実際には輸入されたワインが混入された、しかも頭痛、目まい、吐き気、腎臓、尿毒症の原因となるというふうに言われているこの有毒物質が入ったわけですね。そういうふうなものを表示しないで販売するという行為、これはとても許されない行為ではないかというふうに思います。今後ともひとつ厚生省、しっかり監督されていかれるようにお願いしたいと思います。 次は、極めて最近、九月四日付の新聞に載った件でお尋ねします。 これは染色体異常者の殺人未遂事件ということで取り上げられているわけであります。この犯人は、この事件を起こした加害者は、既に三十年三月にも八歳の男児を殺害して、そしてこのとき責任能力なしとして刑事罰を受けず、精神病院に入った。しかし、またそれから出てきて四十五年九月十歳の男児を殺した。このとき懲役の刑を受けて、出てきたわけです。出てまたすぐに少年を襲って首を絞めた。少年が死んだふりをして辛くも助かった。言うならば一度や二度ではなくて繰り返しかかる犯罪を行ってきたわけであります。 そこで厚生省にお尋ねしたいのですが、私が引いた辞典によりますと、染色体というのは、「有糸核分裂のときにあらわれる遺伝子を含み、その数は生物の種類について一定している小体を染色体という。染色体数は一つの種類について決まっていて、ヒトでは男子、女子ともに四十六、イヌは雌雄とも三十八、アサガオは三十、イネは二十四、リンゴは三十四」というふうに書かれているわけであります。ところが、この加害行為を犯した犯人は染色体が普通より一本多いという極めてまれな異常体質の人だというふうに報じておるのですが、人間の染色体数は決まっているというのに、数が一本多いというふうな異常ということが人間としてあり得るものなのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
○小林(秀)説明員 お答えいたします。 今、先生、書物から読まれたのでありますけれども、人間の場合に四十六というのがおおむねということでございまして、病気によっては四十七もございますし、四十五もございます。
○三浦(隆)委員 そうすると、おおむねが四十六であって、そのほかの数もあり得るというお答えですか。数が違った場合に、いわゆる普通の正常な人間と一つ二つ狂った場合、正常でなくなるものかどうか、その点お尋ねしたいと思います。
○小林(秀)説明員 私もすべての染色体異常について承知しているわけではございませんので間違っている点もあるかもしれませんけれども、例えば今回事件になりましたクラインフェルター症候群の場合でも、症状が出る場合と余り症状が出ない、わからない場合があるということでございます。
○三浦(隆)委員 今のお答えですと、染色体の数が仮に狂った場合、そのことによって正常であるか正常でないかは場合によって変わるというふうに聞こえたわけですね。 それでは、今回の判決はそうではなくて、この人が染色体異常者であるから心神耗弱だ、こういうふうに判決を下したわけですね。そうなると、この裁判官は、最初から染色体数の異常だ、異常だから犯罪につながったんだ、だからこの人は心身耗弱で普通のようには罰せられないのだという論理構成がおかしくなってくるのじゃないかというふうに今の厚生省の答弁では出てくると思うのですが、どう思いますか。
○小林(秀)説明員 この裁判の記録については詳細に読んでおりませんので、どういうふうで判断されたかちょっとわかりませんけれども、今百いましたように、クラインフェルター症候群であるからといってそれで症状がすべて一定であるということはないということだけお答えしておきたいと思います。
○三浦(隆)委員 染色体異常者のこういう相次ぐ殺人なり殺人未遂事件が起こったわけであります。裁判官は、染色体異常者だからということで心身耗弱なんですね。とすると、同じような人々がまだ日本にはいらっしゃるのかどうか。今のお答えだとまだいらっしゃるような返事を聞いたわけですが、そういう調査というものをされたことがあるのですか、厚生省にお尋ねしたいと思います。
○小林(秀)説明員 厚生省では染色体異常の方が何人あるかというような調査はしたことがございません。
○三浦(隆)委員 この染色体異常者が子供を生んだ場合に、その異常性が子供へと遺伝するものですかどうですか、それをお尋ねしたいと思います。
○小林(秀)説明員 すべての染色体異常の方が子供をつくる能力があるかどうかということについて私は詳細に存じませんけれども、クラインフェルター症候群の方は無精子症になりますので子供さんはないということになります。
○三浦(隆)委員 「染色体には縦に一列に遺伝子という小体が並んでいて」云々というふうな大変詳しい解説があるのですが、そうすると、その遺伝子を有する限りにおいては遺伝体質というふうなものが伝わるような、私たち素人ですけれども大変不安を感ずるわけであります。しかもこうした人々が犯罪を犯す可能性、予備群として仮にいたとするならば、これをそのまま放置するというかそのまま知らないでは通らないことであろう。また、それをよく正確に調べて、その人をどうすればよくなるものかどうか。極端に、例えば病院に入れて治療したらば染色体の数がもとへ戻るものかどうか。全然だめなものか。しかもだめであることが犯罪につながって、仮にそれが助かるのだというふうに言われたとすれば、被害者並びに被害者の家族だけではないのであって、その人の住んでいる近所の人もあるいはその人の家族も極めて不安を感ぜざるを得ないであろうと私は思うのですね。そうした場合に、厚生省としてはそういう染色体異常者と言われる人々に対してどのような対応策を今後考えられようとしておられますか、お尋ねしたいと思います。
○小林(秀)説明員 染色体異常の有無にかかわらず精神障害がある場合には精神病院に自由入院、または家族の方に伴われて入る同意入院、それからいわゆる自傷他害のおそれのある場合には都道府県知事による精神病院の強制入院措置というのが現行の精神衛生法であるわけでございます。厚生省としては今後ともこのような措置によりまして精神障害者の医療及び保護の確保に努めてまいる所存でございまして、染色体異常であるからそれでもって精神病院に入るというようなことは考えておらないのであります。
○三浦(隆)委員 裁判は、染色体異常者であるから心身耗弱だ、こう言っているわけですね。一方、染色体異常だけでは手を打てない、何らかの異常が出てこなければだめだ。そうすると、この谷間はどういうふうに補ったらいいんだろうかということなんですね。今後この人が犯罪を犯さないという保証がないというか、一度ならず二度、二度ならず三度とやっているわけです。こうすると、社会防衛という見地からも、今度は法務大臣の方から、人権擁護的な見地からこういう事件に対してどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。
○嶋崎国務大臣 実はこの判例を詳細に読んでおるわけではありませんけれども、御指摘のようなことで犯行当時被告は染色体異常による障害で善悪の理解力を著しく欠いた心神耗弱状態であったというようなことが書いてあるようでございます。しかしまた、こういう判例は過去には例がないというようなことも書いてありまして、今後いろいろな意味で十分検討しなければならない問題が残るのじゃないかというようなことも報道に書いてあるわけでございます。私も一度この中身はよく研究させていただきたいというふうに思っておるわけでございます。 いずれにしましても、この場合の過去の状態から考えますと、たびたび犯罪が重なってきているという現実があるわけでございますから、こういう問題についてどう対処するか、こういう方について精神医療の面からどう対処するかということを今後一層いろいろな意味で研究していただきたいと思いますし、かつまた我々としましては、こういう方々についての対処の仕方というのは、御承知のように最近覚せい剤その他のものが非常に多用されるというようなことでいろいろな問題を起こしているという経緯もあるわけでございます。また、精神異常の状態にあるというようなことで非常に問題が起きる場合も考慮されるわけでございます。御承知のように、刑法の全面改正の一環としまして、その当否がいろいろ議論されておりますけれども、治療処分制度という考え方、これが刑法の側面から考えて考え得る一つの方向ではなかろうかというふうにも思っておるわけでございます。 いずれにしましても、ある意味では取り扱いが非常に難しい問題でありますけれども、さっき厚生省からもお話がありましたように、いろいろな意味で、こういう人に対して強制入院をしていただく手続を踏むとか、新しい制度改正を考えていくというようなことをやっていかなければならないのではないかというふうに思っております。
○三浦(隆)委員 この裁判長の言葉によると、「被告は染色体異常による疾患で」と言っているわけです。「疾患で」ととらえているのであって、染色体異常者イコール疾患者なんですね。染色体異常者だから正常か正常でないかまだわからないという厚生省の答弁とは全く違うのであって、染色体異常者イコール疾患者ととらえているわけです。疾患者である以上はその疾忠を治療する何らかの方途を考えなければだめなんじゃないか。どうしても治療を見出すことができなければ、それに相応すべき何らかの対応をとっていかなければ社会の人は不安で仕方がないだろう。この人が犯罪を犯す、心身耗弱で助かって出てくる、出たそばから何かするかもしれないということに対して何らかの対応策といいましょうか、厚生省なり法務省なり警察なり関係各省の人が十分に考えていただいてやっていかないとまずいのじゃないか。少なくともいわゆる精神障害者の事件ということではないのですね。染色体異常者の事件ということや極めて珍しいというか、私はこれまで知らなかったのですが、大変な問題だ。しかもこういう人が、先ほどの厚生省の見解のように一人二人じゃなくて幾らでもあり得るんだというふうになった場合、幾らでもあり得る、しかもそれは疾患者であって、犯罪を犯しても助かるということになったのでは社会としてはどういうふうにしていいか、極めて大きな問題が提起されたわけです。言うなら、この事件で終わるのではなくて、この事件を契機としてこれに対する解決策を慎重に御検討いただきたいというふうに思います。 次は矯正局長にひとつお尋ねをしたいと思います。 昨今、矯正施設、刑務所とか少年院などで珠算教育が行われているというふうに伺っておりますが、実情はどうなっておりますでしょうか。
○石山説明員 矯正施設、特に少年院が多いわけでありますが、珠算教育を伝統的に自主的な学習活動あるいは正課あるいは自由時間中のクラブ活動というような形で取り入れている施設は、全国的には今正確な数字を覚えておりませんが、かなりの数に及んでおります。これは特に少年院等でいいますとかなり伝統のある教育方法でございまして、御存じのように珠算と申しますと、我々は五つ玉で教わったわけでございますが、現在四つ玉のそろばんで、自分で指ではじいて、けたを変えて加減乗除の四則計算を行うということで、幼少時期にああいう教育をすることがかなり心情の発達に役立つという一つの効果が認められております。 例えば、最近でございますと電卓がはやってきている時代でございまして、もちろん現在電卓あるいはワープロ等も事務科の講習というような形で少年院に取り入れておりますけれども、基本的に珠算をやらせますことによって、いわば少年院に入っている子供たちで四則計算も満足にできない子供たちに対して数というものを量的な観念として自然に身につけて覚えさせる、これはいわゆる知能指数の向上にも役立つということで各施設がなり教育に力を入れているわけでございます。 やり方といたしましては、大体職員で珠算の有段者、認定を受けているような職員あるいは外部のボランティア、こういった人に専門講師になっていただいて各施設平均月に一、二回程度正規の講習を受ける、それからまた先ほど申し上げたクラブ活動その他でもって自分たちも自習的に覚える、その結果を、現在日本商工会議所で年に二、三遍珠算技能検定試験をやっていただいております。そこを受験させる。幸い、現在のところ商工会議所の方では、施設におります、特殊な環境にいる少年たちということを考慮していただきまして、施設内で試験を受けさせていただくという形になっております、ちなみに、私のうろ覚えの数字でございますが、少年院から昨年一年間に大体六千人ぐらい子供たちが出ていきますが、そのうち、何回か受験いたしまして例えば八級から七級に上がり、またさらに上に上がったという延べの合格者の数が千七百名を超えていたという記憶がございます。男子の方でも、成人につきましては、やっているところはございますが、大人になってしまいますとなかなか上達しませんで、年間三万人近く出所するわけでございますが、そういうものを特に希望して検定試験を受けたのは百名足らずというような記憶でございます。
○三浦(隆)委員 今のお話を伺っておりますと、珠算教育は矯正教育の一環として大変有意義であるというお話でございますが、そのように有意義なものであるならばそれをすべての少年院に普及させるとか、今は全部というわけではないと思いますけれども、子供たちにとってプラスになるものならばこれを全少年院で採用するのもいいことだと思います。音から読み書きそろばんといいますから、その一番基本的なことで珠算の普及もいいだろう。特に、そういう中で段級位の認定がされて、例えば八級が七級、六級へと上がっていけば、そのたびに上がった上がったと褒めることもできるし、褒められて悪い気はしないでしょうから、普通の学問においていわゆる落ちこぼれたような子供たちも、珠算であれ何であれ褒められて生きる、自分はやればできるんだという積極的な意欲を今後ともぜひ子供たちの矯正のために役立てていただきたいということをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
○片岡委員長 中村巖君。
○中村(巖)委員 最初に、靖国神社の参拝の問題をお尋ね申し上げたいと思います。 午前中も議論があったと思いますけれども、私ちょっと所用がありまして午前中の委員会に出席をしておりませんので、重複にわたる部分があるかと思いますけれどもお許しをいただきたいと思います。 せんだって、八月十五日に中曽根総理大臣を初めとして閣僚の皆さん方が靖国神社に参拝をしたということがあったわけでありますけれども、私どもは、靖国神社に公式参拝をするということはこれは憲法に違反するものである、こういう行為を憲法擁護義務があるところの総理大臣以下の閣僚の皆さん方がおやりになることは大変けしからぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。そこで、この公式参拝問題についての憲法とのかかわりということをお尋ねを、するわけですが、従来公式参拝に関しましては政府の統一見解というようなものがあったわけでございまして、政府が見解を明らかにする形はいろいろであったわけでありますけれども、例えば大臣が表明をするとか、あるいはまた内閣法制局が国会において答弁するというような形でなされて、もう数次にわたって見解を明らかにされているわけでございます。 その中では、公式参拝ということはどういうことであるのか、どういった場合にこれは公式参拝となるのかということが中心的な議論でございましたけれども、その前提としては、やはり公式参拝というものは憲法に違反する疑いがあるという憲法上重大な問題である、こういう認識を前提として、公式参拝であるかどうか、玉ぐしを奉奠をしたらどうかとか、あるいは閣議で決定したらどうかとかいうようなことがいろいろ議論をされておったわけでございます。 そこで、従来の内閣の公式参拝問題についての統一見解というものがどういうものであったかということを法制局に最初に伺っておきたいと思います。
○大森説明員 お尋ねの公式参拝に関する政府の統一見解と申しますのは、昭和五十三年十月十七日、参議院の内閣委員会におきまして安倍官房長官が答弁したものが一つと、もう一つは五十五年十一月十七日、衆議院議院運営委員会理事会におきまして当時の宮澤官房長官が説明いたしたものがございます。当面特に問題になると思われますのは昭和五十五年十一月十七日のものであろうと思われますので、とりあえずその内容を述べますと、この内容は国務大臣の靖国神社参拝について、 政府としては、従来から、内閣総理大臣その他の国務大臣が国務大臣としての資格で靖国神社に参拝することは、憲法第二〇条第三項との関係で問題があるとの立場で一貫してきている。 右の問題があるということの意味は、このような参拝が合憲か違憲かということについては、いろいろな考え方があり、政府としては違憲とも合憲とも断定していないが、このような参拝が違憲ではないかとの疑いをなお否定できないということである。 そこで政府としては、従来から事柄の性質上慎重な立場をとり、国務大臣としての資格で靖国神社に参拝することは差し控えることを一貫した方針としてきたところである。このように記載したメモを理事会にお配りいたしまして、それを敷衍説明したというふうに承知しております。
○中村(巖)委員 政府統一見解、そういうことであるわけですけれども、従来も法制局はさまざまな委員会の中で答弁もしてこられたということであるわけで、靖国神社に参拝をすることが違憲かどうかということについての法制局の御見解はどうなんですか。
○大森説明員 ただいま宮澤官房長官の発言、政府統一見解という形で紹介したわけでございますが、法制局の見解も当時は全く同内容であるということでございます。
○中村(巖)委員 そこで端的に伺いますけれども、せんだっての八月十五日に中曽根総理大臣以下が参拝をされたこの参拝というものは、法制局の御見解では公式参拝ということになるのでしょうか。
○大森説明員 内閣総理大臣としての資格において参拝されたものと承知しておりますので、公式参拝という概念に当たろうかと思います。
○中村(巖)委員 そこで、公式参拝について今までいろいろの論議がされてきた、それにもかかわらず今回公式参拝ということで踏み切ってやっておる。このこと恒対して法制局としては、その公式参拝は違憲であると考えないのでしょうか。
○大森説明員 今回八月十五日に内閣総理大臣その他の国務大臣が参拝いたしました具体的な参拝、これは憲法第二十条に違反しないという判断でございます。
○中村(巖)委員 その理由はどこでしょうか。
○大森説明員 御承知のとおり二十条第三項は、国及びその機関は宗教活動をしてはならないという規定の仕方をしております。そして、その禁止している宗教活動というものはどういうものであるかということに関しましては、議員御承知のとおり最高裁判所の津地鎮祭事件判決というものがございます。そこで最高裁判所は、この宗教活動というものはどういうものであるかということについてまず判示いたしまして、その憲法が禁止している宗教活動というのは、「当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいう」というふうに言っております。そして、「ある行為が右にいう宗教的活動に該当するかどうかを検討するにあたっては、」「諸般の事情を考慮し、社会通念に従って、客観的に判断しなければならない。」このように言っているわけでございます。 そこで、先ほどお答えいたしました昭和五十五年の統一見解と今回の参拝は違憲じゃないという関係が問題になろうかと思いますが、この判決は五十二年七月十三日でございまして、先ほど御披露いたしました政府統一見解は昭和五十五年でございます。したがいまして、昭和五十五年の政府統一見解を出す際におきましても、特定の参拝が憲法に違反するかどうか、すなわち宗教的活動に当たるかどうかということを判断するに当たっては最高裁判所の判断基準というものに照らして果たしてどうであろうかということを考えたわけでございますが、最高裁判所の判示にもありますように、宗教的活動に当たるかどうかというものは諸般の事情を考慮して、社会通念に従って客観的に判断しよう、こういうことになっているわけでございます。ことほどさように、この靖国神社の参拝が宗教的活動に当たるかどうかといいますのは法理の一点で決まる問題ではなくて、やはり深く国民意識にかかわる問題である。したがいまして、最高裁判所が言うような社会通念に従って判断するという場合には、社会通念というものは一体これに関してはどういうことであろうかということが問題になるわけでございますが、当時はそれを見定めることが非常にできなかった。そのような関係で、事が宗教に関する問題でございますので、なお疑いを否定できないということでそれを差し控えてきたということでございます。ところが、今回なおよく検討いたしましたところ、今回のような形における参拝ならば憲法に違反しない、すなわち、最高裁判所の定める基準にのっとって判断しても憲法が禁止する宗教的活動には当たらないというふうに確信するに至りましたので、私どもとしてもそのような意見を述べた次第でございます。 以上でございます。
○中村(巖)委員 今の御答弁を伺っていると、昭和五十五年から今日までに社会通念が変わってきたのだ、こういうように受け取れるわけでありますけれども、私どもは社会通念が昭和五十五年から今日までの五年間に変わってきたなどということは到底考えられないように思うのです。 そこで、社会通念が変わってきたから法制局の憲法解釈も違ってきたのだ、こういうことというふうに承ってよろしいのでしょうか。
○大森説明員 先ほどお答えした中でそのように受け取られれば心外でございますが、社会通念がその間に変わったということを申し上げたつもりはございません。社会通念というものを把握できなかった、それを今回やっと把握できるに至ったのだ、こういうことでございまして、社会通念が変わったというような趣旨でお答え申し上げたつもりはございません。
○中村(巖)委員 昭和五十五年の段階で社会通念が把握ができなかった、今日は把握できた、こういうふうにおっしゃるその根拠というのは何ですか。
○大森説明員 この問題は今までたびたび国会論議の席でも御質問を受けた問題でございまして、その都度私どもとしては検討を続けていたわけでございますが、御承知のとおり、官房長官の決定に基づく行政運用上の会合でございますいわゆる靖国懇の報告書が先般出されました。その内容をも参考といたしまして慎重に検討した結果、先ほど述べたような結論に達した次第でございます。
○中村(巖)委員 靖国懇というようなものが一定の答申をしたということ、これは事実でありますけれども、靖国懇が社会通念を代表しているんだ、こういうような見解というのは私は受け取れないというふうに思うわけでございます。 それはともかくとして、靖国懇というもの、閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会、これは官房長官の私的諮問機関だ、こういうことなんですが、こういうものは政府の行動に対して何らかの拘束力を持つものなんでしょうか。
○大森説明員 お尋ねの趣旨は国家行政組織法第八条に言う審議会等との対比で問題とされているのではないかと思われますが、この法八条に言います審議会と申しますのは、法令に基づいて設置されます国の正式の行政機関でございます。したがいまして、その所掌事務についても法令で明文の規定がございます。これに対しまして、懇談会と申しますのは、各省大臣等が有識者等からその個々の意見を聴取することなどを目的として行政運営上開催されるものでございまして、その設置等につきましては法律上の根拠がないということは御指摘のとおりぞございます。したがいまして、審議会にありましては行政機関としての意思決定が行われます。そしてこれが答申として公の権威を持って表明される。これに対しまして、懇談会の場合にはこのような機関の意思決定というものは行われません。ただ出席者の意見が行政運営に際して参考とされるという性質であろうかと思われます。
○中村(巖)委員 中曽根内閣になってからいろいろな形での懇談会というか、そういう諮問機関というようなものが設置をされておるわけですけれども、こういうような官房長官の私的諮問機関なんというものは、官房長官というのは政府の非常に枢要な地位にある閣僚であるわけでありますけれども、官房長官も含めて各大臣そのほか、勝手に自分がつくりたいと思えばそういうような私的諮問機関、懇談会をつくるということができるものなのか、そういうものに対して何の制約もないということになるのでしょうか。
○大森説明員 何でも勝手にできるかというお尋ねでございますが、行政運営上必要であるということになれば、その各省大臣等の意思決定によって設置できるということは間違いございません。
○中村(巖)委員 そこで、もともとの公式参拝問題に戻るわけでありますけれども、今法制局の御答弁でも、今回のような参拝であれば社会通念上宗教活動とは言えないんだ、こういうようなお話でございました。今回のような参拝というのは、どういう点で特別であるということになるのでしょうか。
○大森説明員 今回の靖国神社の公式参拝、これの要素を端的に申し上げますと、まず、その目的におきましてはもっぱら戦没者の追悼という目的でございます。そして、その行為の方式といいますか形式といいますか、それは靖国神社で参拝するものではございますけれども、靖国神社が定めた神道儀式にのっとったものではない、すなわち本殿または社頭において一礼するという方式でなしたものでございます。しかも、そういうもっぱら戦没者の追悼目的であるということは事前に官房長官の談話等において客観的に明らかにされておる、こういう形での参拝というものに限りまして憲法に違反しないというふうな確信に達したわけでございます。
○中村(巖)委員 そうすると、まず目的の点ですけれども、戦没者の追悼ならいいのだ、こういうふうな限定された範囲内で許される、こういうことになるわけですね。例えば靖国神社の例大祭に公式参拝する、これは憲法上の違憲の疑いを免れないということもあり得るわけですね。
○大森説明員 例大祭の当日に今回のような形において公式参拝することはどうか、こういうお尋ねでございますが、私どもは、その日がどうであるということは、憲法上ぎりぎりの議論としては特にその日によってその結論は左右されない、要するに、その目的が専ら戦没者の追悼ということであり、しかもその行為の形態と申しますか方式が先ほど申し上げましたようなものであれば憲法に違反しない、これは憲法解釈としてのぎりぎりの議論ということでお聞きいただきたいと思いますが、そのように考えております。
○中村(巖)委員 方式のことはまた別に聞きますけれども、その目的、そうなると、靖国神社というのはもともと戦没者を祭ってある、こういうことになっているわけですから、それでは靖国神社に参拝する限りにおいては、それは常に目的の点では憲法に違反をしない、こういうことになりかねないということだろうと思うのですが、いかがでしょうか。 それと同時に、内閣官房長官が戦没者の追悼なんと言ったからそういう目的なんだということですが、それでは主観的にどう思っていても、要するに名目さえつければいい、こういうことになりかねない、こういうふうに思うのですが、この二点についてどうでしょうか。
○大森説明員 まず第一点の目的さえそのように言えばよくなるのかということでございますが、私どもは目的だけで憲法に違反しないと御答弁申し上げたつもりはございません。まず、目的の点において専ら戦没者の追悼ということである必要があるということを申し上げているわけでございます。 それから第二点の、官房長官が事前にそういうことを明らかにした、これは現実に行われる参拝が専ら戦没者の追悼であるということを担保するといいますか、証明するといいますか、そういう機能を持つものでございまして、事前にだれかがそういうことを言えばどうなる、言わなければどうなるという意味で先ほど申し上げたつもりはございません。そのように御承知おきいただきたいと思います。
○中村(巖)委員 では、方式のことも言われましたから方式のことについてお尋ねをいたしますけれども、ちょっと先ほど伺っていると、靖国神社側の定めた行事の形式に従えばいけないのだ、従わなければいいのだ、こういうことになるようですけれども、要するに方式の点で憲法違反を免れる限界線というのはどの辺にあるのですか。
○大森説明員 それを端的に示せ、こう言われるとなかなか示しにくい難しい問題でございますが、冒頭に申し上げましたように、最高裁判所は、憲法が禁止する宗教的活動というものの判断基準といたしまして、その目的が宗教的意義を持ち、そして、その効果において宗教に対する援助、助長等の効果がある行為を言う、このように言うとともに、具体的な行為がこの宗教的活動に当たるかどうかというものを判断するに際しては、諸般の事情、あらゆる事情を総合判断して、社会通念に従って客観的に決めなさい、こういうふうに言っているわけでございます。どの線かということは、あらゆる事情を総合判断して決まる問題でございます。したがって、その方式においてどこまで、あるいはどの行為ならばいいということを具体的に言うことは非常に難しかろうと思いますが、少なくとも今回行われたような参拝方式のものならば憲法に違反しない、私どもはこのように判断するに至った次第でございます。
○中村(巖)委員 最高裁判所の判決の中には、確かにあなたの言われるように「諸般の事情を考慮しこという言葉はありますけれども、その中身というのは、「当該行為の行われる場所、当該行為に対する一般人の宗教的評価、当該行為者が当該行為を行うについての意図、目的及び宗教的意識の有無、程度、当該行為の一般人に与える効果、影響等こういうふうになっているわけですね。しかし、参拝の形式がいかにあれ、少なくとも当該行為の一般人に与える効果というようなことを考えれば、内閣総理大臣が靖国神社に参拝をするならば、それはそれだけでその宗教、神社神道ですか、そういう宗教を助長、援助するような印象というものを免れない、一般人に与える靖国神社に対する考え方に非常に一定の効果を持ってはないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがですか。
○大森説明員 御指摘のとおり、考慮すべき諸般の事情として、最高裁判所は御指摘のような項目を掲げ、その他諸般の事情ということを言っております。 そこで、一般人に与える効果、影響はどうかということのみに絞ってお答えいたしますと、靖国神社は国民や遺族の多くが戦没者追悼の中心的施設であるとしているということでございます。したがいまして、そこに専ら追悼の目的で総理その他の国務大臣が参拝いたしましても、新たに靖国神社に対する宗教面における援助、助長というような効果はないと、私どもは判断したわけでございます。
○中村(巖)委員 この問題だけやっているわけにもいきませんので、ほかに移りますけれども、冒頭申し上げたように、やはり非常に政府の見解というものが、従来の見解から今度は一変したという印象を与える、そういうことは免れないというふうに思うわけでございまして、そういう意味で先へ進み過ぎている。法制局というものは客観的な法律解釈をするべきであるにかかわらず、言ってみれば政府のお先棒担ぎをしているというか、そんなような印象も免れない、こういうふうに思うわけでございまして、大変にこのことは問題であるというふうに思わざるを得ないわけでございます。時間の関係もあって、この問題は一応この程度にいたしておきます。 次に指紋押捺の問題をお尋ね申し上げます。 最近の指紋押捺問題に対する韓国政府の出方というか態度、いろいろな形で先日も新聞に報道されておりましたけれども、安倍外務大臣に対して韓国側の要請があったということがあるわけでございまして、最近の韓国側の対応というものがどうなっておるのか、外務省に伺いたいと思います。
○渋谷説明員 最近では韓国側と指紋押捺問題につきまして話し合いましたのが二回ございました。 第一回は八月十三日、在日韓国人の待遇問題に関する実務者協議がソウルで行われましたけれども、その席上、向こう側から閣僚会議までに前向きの態度を示してほしいという要請がございました。これに対して私どもは、我が方がとりました措置、それから現在の国内の状況などを説明いたしまして、それは非常に難しいという返事をしてとりあえず帰ってまいりました。 第二回目は、八月二十九日、三十日の閣僚会議の際の外務大臣会談でございます。これは八月三十日の午前に行われました。その際に韓国側から次のような表現で改善措置への要望がございました。 在日韓国人の処遇問題は歴史的背景からきている。在日韓国人は日本人並みに処遇してもら いたいという希望を有しているが、こういう希望に対し、自分たちは(それが)正しいという考え方を持っている。こういった処遇問題は、両国民の相互理解に役立つような形で解決される必要がある。かかる観点から指紋問題についても是非前向きの姿勢を示してほしい。 というのが韓国側の要望でございました。
○中村(巖)委員 新聞の報ずるところによれば、その際、閣僚会議の外務大臣同士の話の中で安倍外務大臣は大変前向きな姿勢を示した、こういうふうになっているのですけれども、その会談において安倍大臣が韓国側に示しましたところの考え方というのはどういうことだったのでしょうか。
○渋谷説明員 安倍大臣の御発言は三点でございました。 第一点は、 去る五月十四日の指紋押捺方法に関する改善措置については、外国人登録法が昭和五十七年に改正されたばかりであるという事情はあるが、昨年の日韓共同声明の趣旨、在日韓国人の要望等を念頭に置きつつ、関係省庁において鋭意検討の結果決定したものであり、指紋問題について政府として当面採り得る最大限の措置であった。 第二点でございますが、 本年の大量切り替えは現行法をもって対応する。また、現行法は遵守される必要がある。 第三点は、 今後については、長期的視点に立って自主的に研究・検討するというのがわが方の基本的立 場であるが、本問題は将来長きにわたる日韓関係の安定、日本社会の国際化という中で考えていくべき問題であると認識している。このような認識に立って制度の問題を含め引き続き誠意をもって努力する。 以上でございます。
○中村(巖)委員 今の安倍大臣の考え方を示した中の第三点でありますけれども、第三点は極めてあいまいというか、姿勢としては何となく前向きだけれども何となく中身がない、こういうように受け取れるわけですが、外務省としてはその具体的内容というのは何かを考えておられるのでしょうか。
○渋谷説明員 政府の立場は「長期的視点に立って自主的に研究・検討する」ということでございますけれども、これを若干詳細に敷衍したのがこのたびの発言でございます。今後引き続き検討していくということに尽きるかと思います。
○中村(巖)委員 外務省の最後に今の点でもう一度お尋ねしておきますけれども、将来にわたっては改善をする意思があるということを表明したもの、こういうふうに受け取っていいのでしょうか。
○渋谷説明員 将来に向かっての努力は約束いたしましたけれども、改善の意向を示したということではございません。
○中村(巖)委員 それでは法務省にお尋ねをいたします。との指紋問題は長いこと懸案になりていろいろ論議をされております。その中で従来、やはりこの夏が指紋の切りかえの一つの山場である、こういうことを言われてきてこの八月が経過をしてしまったわけでありますけれども、今の時点に立って、実際問題その指紋の切りかえは数の上でどういうふうに行われているのか、その中で指紋押捺の拒否者あるいは留保者というのはどういうふうに出ているのか、その実態をお伺いをいたしたいと思います。
○小林(俊)説明員 市区町村の窓口におきまして指紋の押捺の際に拒否あるいは留保の意向が表明されるという事態が生じますと、市区町村からその一件一件につきまして都道府県を経由して当局に報告が参ります。この報告を累計しておりますのが現在手元にある数字でございます。最新のものとしてございます数字は九月五日現在のものでございまして、その結果は、指紋押捺拒否者は累計千百八十八名、指紋不押捺意向表明ということで通達に基づき説得期間中にある者が二千四百六十五名でございます。若干のタイムラグがございますけれども、最も新しい数字は以上のとおりでございます。 なお、しからば指紋を実際に押捺している人間が何人おるかということでございますが、大ざっぱに申しまして九四、五%は現在までのところ少なくとも指紋を押捺しておるというふうに了解いたしております。
○中村(巖)委員 拒否した者が千百八十八名、さらに説得中の者が二千四百六十五名、法務省としては予想以上によく進んでいるというふうにお考えなのかもわかりませんが、やはりこれだけの方方が指紋を拒否されておるということは大変重大な問題であると思いますし、先ほど外務省に伺ったように国際的にも主として韓国が非常に強い要求をしているという事実があるわけでございます。そういう事実を踏まえて、毎々大臣に伺っているわけでありますが、法務省としては何らかの前向きな検討をする姿勢がないのかということですけれども、いかがでしょうか。
○嶋崎国務大臣 この指紋問題につきましては、外国人の地位及び待遇がどうあるべきかということについてはかねてからいろいろな検討を積み重ねてきており、またそういう背景の中で在日の韓国人、朝鮮人の皆さん方については協定永住その他の取り決めもやりましてある程度の手当てをし、いろいろな意味での是正策を積み重ねて今日まで参っておるわけでございます。 そういう中で、この指紋問題が出ておるわけでございますが、とりわけ皆さん方も御承知のように五十七年に外国人登録法の改正を行いまして、そういう背景の中で処理をしておったわけでございますが、その後ぼつぼつ指紋押捺しないという人がふえてきたというのは私は非常に遺憾なことだと思っております。しかし最近、指紋問題をめぐっていろいろな議論があることは我々も十分承知をしております。そういう意味で昨年の暮れ以来いろいろな論議を積み重ねまして、今まで考えられる、またその中で許容できる、できるだけの措置を講じたいということで、この五月十四日に回転指紋を平面指紋にし、また世界全体でどこもやったことのない特殊用紙を使いまして、指の先を余り汚すことがなくて指紋がとれるようなやり方を採用し、そういうことでございますので、この切りかえに何とかうまく対応していただきたいということを申し上げて今日まで参った次第でございます。 先ほど数字的な説明がありましたけれども、数字の面で九十何%という数字を言うわけではありませんが、少なくとも五万名を超える人は押捺をしていただいておるわけでございます。そして拒否をされている人は、一番新しく、多くなったところでも千人の中で十三、四人ですか、そういう数字になっておる。すなわち一・四%かそこら辺の数字になっておる。あと留保の問題がいろいろな指導の問題で出ておりますけれども、これらの方々についても、法秩序を守っていただくという意味、我々がああいう猶予期間を設けた意味をよく御理解いただきましてぜひとも御協力をしていただきたいと思っておるわけでございます。 そんなわけでございますので、できるだけの知恵は五月十四日には出し尽くしたという感じがあります。したがいまして、先ほど外務省から御説明がありましたように、今度の大量切りかえはこれをもって対処いたしたい。前からこの委員会で私も申し上げておるような状況であるわけでございます。そういう意味でこの指紋制度が、決まった法秩序でありますし、できるだけ円滑に運用されるように在留の外国人の皆さん方の御協方を得たい、またこれを実施する自治団体の皆様方のお力添えを賜りたい、こう思っておる次第でございます。 そういう中で、この問題につきまして長期的にいろいろな問題を検討するということを外務省から申し上げておりますけれども、実は知恵のあるだけは五月十四日に出しておるわけでございますので、にわかにうまい知恵があるわけではない。また現実、指紋をいただかなければならぬということの背景には、私はこの中で余りぐだぐだした説明をするつもりはありませんけれども、やはりそれなりに指紋制度を残さなければならない背景が残念ながらあるわけでございます。また、そういう現実をよく踏まえ、今後のこの問題の進展を見ながら、さきの日韓の共同声明の中にありますように引き続いてこの問題を研究し努力していくという姿勢は持っていかなければならぬと思っておるわけでございますし、また外務大臣もそういう趣旨の発言をされたものであろうと思っておる次第でございます。
○中村(巖)委員 相変わらず制度改善については余り前向きでないように受け取れる御答弁でございまして、私どもとしては大変に遺憾であると思うのでございます。私どもの党の竹入委員長が先先月でしたか訪韓をいたしました際にも、韓国側から非常に強くこの問題を要請されているという状況にもあるわけでありまして、法務省においても制度改善に向けて今後さらに一層御努力をお願いしたいと思うわけでございます。 そこで次の問題に入ります。外国人弁護士の問題でございますけれども、この問題については五十九年四月十八日の当委員会において私が質問を申し上げておるところであります。その後一年半近く経過をいたしまして大分進展をしているようでございます。先般内閣が発表いたしました市場開放行動計画、アクション・プログラムの中に外国弁護士問題というものが「サービス・輸入促進」といった項目の中に包含をされているようでありますけれども、この外国弁護士問題が市場開放行動の一つであるというのもちょっとうなずけないところもあるのです。どういうわけで市場開放行動計画の中にこの問題が組み込まれたのかということについて最初にお伺いをしたいと思います。
○井嶋説明員 ただいま御指摘のございましたように、本年六月四日に決定いたしました「市場アクセス改善のためのアクション・プログラムの策定要領」の中にサービス部門の項目で、「外国人弁護士による顧問活動の自由化等サービスの一層の自由化」という項目が入ったわけでございます。さらにそのための作業が進みまして、本年の七月三十日に決定いたしましたアクション・プログラムの骨格におきまして、外国人弁護士問題は「日本弁護士連合会の自主性を尊重しつつ、次期通常国会における法律改正を目途に、国内的にも国際的にも妥当とされる解決を図る。」ということが決定されたわけでございます。 どこに至りました経緯というお尋ねでございますが、その経緯とそれに対する私どもの考え方をここで若干御説明させていただきたいと思います。 外国弁護士に我が国における活動を許すか否かという問題は、先生御承知のとおり、まず昭和四十九年十月にアメリカのニューヨーク州弁護士会から日本弁護士連合会に対して問題提起をされたということが発端になるわけでございまして、昭和五十二年ごろまでにかけて両者による話し合いがなされてきたのであります。しかし、その話し合いがつかないうち、昭和五十七年の三月にアメリカ政府の通商代表部が日米貿易委員会等の場面においてこれを貿易摩擦問題の一環として取り上げるところとなったわけでございまして、自来この問題が政府間レベルの問題、つまり通商問題という形で取り上げられることになったわけでございます。 政府といたしましては、この問題は我が国の弁護士制度のあり方に直接影響をする事柄であり、また国民の法律生活の安定として深いかかわり合いを持つものである、広い意味での司法制度の一環をなす問題であるというところから、委員御指摘のように、単に経済的観点からのみ処理すべき問題ではないということを基本的な認識としてこれに対処すべきであると考えてまいったわけでございます。 こういった観点から、国際的交流の活発化しつつある今日の社会的、経済的な状況を見ますときに、これに伴う法律サービス業務の自由化あるいは国際化の必要性という問題は高まりつつあり、さらに今後一層高まっていくだろうということ、すなわち日本国内における外国法に関する法律サービスの向上、あるいは外国における日本法に関する法律サービス業務の充実強化、こういった問題の必要性はますます高まっていくのではないかというふうに考えるわけでございまして、国際化する社会における我が国の弁護士制度のあり方という見地からは、この外国弁護士問題というのは避けて通れない問題だということになってきたわけでございます。 しかしながら、この問題は現行弁護士法で広範な自治権を認められております我が国の弁護士の職域に直接間接に関連する事項でございますから、そういった意味で日弁連の自主的意見を無視して進められる問題ではない、その自主的な解決に期待すべきものであるという考えを基本といたしまして、これまで政府といたしまして、日弁連の自主的意見の形成が国際的にも国内的にも妥当なものとなるよう法務省としてこれに協力をする、こういう立場で終始してきたわけでございまして、日弁連との多数回にわたる協議の場を通じて政府としての立場からの意見を申し上げてきたところでございます。 このような政府の立場は、五十七年五月の経済対策閣僚会議で決定された市場開放政策、あるいは五十九年四月、本年四月に決定された対外経済対策、あるいは先ほど御指摘のあったアクション・プログラムといった形で明らかにしてきたということでございます。
○中村(巖)委員 日弁連の方でも鋭意検討を進めながら今日まで大分問題が進展をしてきて、本日の新聞で報道されておるところによりましても、日弁連の理事会内小委員会が「外国弁護士」制度要綱試案というようなものをつくって、それを昨日の日弁連の正副会長会議に報告をした、こういうようなことになっているわけであります。その日弁連の現時点での考え方、かなり法律要綱に近いものが出されているわけでありますけれども、そういうものについて法務省としては、これにかかわって今お話のようにいろいろな協議をしてこられたと思いますが、この方向性についてどういうふうに考えておられるわけでしょうか。
○井嶋説明員 ただいま御指摘ございましたように、昨日、理事会内小委員会が「外国弁護士」制度要綱試案(第一次案)というものを発表したわけでございますが、あれにも盛られておりますように、検討段階あるいは意見があるというような形で、まだ未検討な部分も含んだ形のものとして発表されておるわけでございます。今後この試案(第一次案)をもとに、日弁連内におきましては会内合意形成に向けてさらに協議を進められるという段取りであるというふうに承っておるわけでございます。また私どもといたしましても、この第一次試案をもとに外国政府等にも説明あるいは協議をする必要もございます。そしてまた、そういった立場を踏まえまして、先ほど申しましたような立場からさらにまた日弁連と協議を続けていくということにもなるわけでございます。 〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕 そういった意味で、まだまだ未確定の部分も含んだ、いわゆる経過的な一つの試案であるということでございますから、これから将来のいろいろな作業に、もしかして差しさわりがあるというようなことになってもいけませんので、全体的な論評というようなことはこの際差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。 昨日発表された試案というのは、法律サービスの自由化あるいは国際化ということの必要性と我が国の司法制度のあり方との整合性といったようなところを踏まえながらお考えになっておるところのその一つの結論であるというふうに考えておるわけでございますが、それ以上の論評はひとつ差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
○中村(巖)委員 この案そのものについて法務省に具体的に論評してほしいということまでは言わないのですけれども、こういう概括的な方向性というか考え方の基本というものがあるわけで、それについて、それは法務省の考え方と百八十度背反しておるのか、あるいはまた弁護士会のお考え方はそれなりに結構である、そういう方向でもって大いに進めてもらいたいというふうな考え方であるのか、その辺の概括的な法務省のお考えをお聞きしたいわけでございます。
○井嶋説明員 先ほど申し上げましたように、私どもは私どもの立場及び外国政府からの要望、あるいは外国の司法制度、そういったもののすべての問題点を認識しながら過去十数回にわたる日弁連との協議に臨みまして、共同して検討してまいったわけでございます。その結果がああいう形で一つあらわれたというふうに認識しておるわけでございまして、そういった意味で御理解いただけるかと思うわけでございますけれども、今後もそういった立場でさらにこの議論を深めていく方向で協議を続けてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○中村(巖)委員 この問題の今後の成り行きでありますけれども、アクション・プログラムの中で、日本弁護士連合会の自主性を尊重しつつ、次期通常国会での弁護士法の改正を目指す、こういうふうなことがうたわれているわけでございまして、これから弁護士会の方でもさらに案を煮詰めることも必要でしょうし、それと同時に、先ほど言われたように会内合意の形成ということをやっていかなければならない。これはまた大変なことであろう。日本弁護士連合会の総会あるいは単位弁護士会の総会というものがこういった形ですんなり通るのかということになれば、非常に問題があるという状況であろうと思うわけです。 弁護士法の問題ですから、法務省としては恐らく自分の方で法案をお出しになるということはないのではないかと思いますけれども、弁護士法の改正は必要であるわけですから、その立法作業というものは今後どういう手順になると考えておられますか。
○嶋崎国務大臣 先ほど来司法調査部長がお答えを申し上げたとおりの経過で今日まで参ったわけでございまして、日本弁護士連合会の中の小委員会が策定した案ではありますけれども、過去この小委員会の中でいろいろな意味で十分な御議論を賜っておりますし、我々自身も法務省の側の意見を端的に申し上げて今日まで推移してきたわけでございます。いずれにしても、この問題、長く議論をされておると言えば長い議論かもしれませんけれども、弁護士法の改正問題としては、これまでのわずかな時間の中で非常に御苦労を積み重ねられて今日まで来られたという意味では、私は敬意を表したいというふうに思っておるわけでございます。一御指摘のように、なお国際的な問題も非常に多いわけでございますし、また、この制度内でそれを整理していくということでも大変な御苦労も要ることであろうというふうに推察をしておるわけでございますけれども、これらの問題、ある意味では長らくそれぞれの国の司法制度というものを背景にして、それぞれの国で育ってきたものであろうというふうに思います。そういう中で新しい展開を遂げるわけでございますから、そういう意味ではぜひ今後努力をしてやっていただきたいというような気持ちがあります。 かつまた、先ほど説明申し上げましたように、最近これが国際的な経済問題、特にサービス関係の自由化問題というようなこととある程度重なって出てきておるわけでございます。何しろ日本の経済的な地位がこれだけ強くなり、また国際取引も非常に大きくなっているというような現実を考えますと、私はぜひともこの改正が早急に行われることが必要であろうというふうに思っておるわけでございまして、そういう意味で、今後とも日本弁護士連合会の中におきまして十分に議論を詰めていただき、そして、そういう全体的な国際的な雰囲気というものもあるわけでございますから、アクション・プログラムに書かれておりますように、ぜひとも次の国会には法案が出せるように準備を進めていただきたいものだと思っておるような次第でございます。 その形式がどういう形になるかということにつきましては、御承知のように、弁護士法自体が議員立法でできた経緯もありますから、そういうことでやられる可能性も十分あるというふうに考えておりますけれども、一部には別の考え方もあるではないか、ある程度認定するような部面も法務省がかんでこなければならぬというようなことが書いてありますから、そういうようなこととの絡み合いで別の意見もあるようにも聞いておりますけれども、その辺のところは弁護士会とよく連絡をとりまして、間違いのない処理をいたしたいと思いますし、またそういうことにつきましては、この法務委員会の皆さん方、本当にある意味で専門家の方々ばかりであるわけでございますので、ぜひうまく運用できるように御協力を賜りたいものだというふうに思っておる次第でございます。
○中村(巖)委員 この問題で最後に一点だけ聞いておきます。 弁護士法というか、こういう問題については相互主義ということがいろいろ論議になるだろうというふうに思っておるわけですが、アメリカにおきましては日本の弁護士に対する受け入れというか開放というのが、先般までニューヨーク州一州だけが受け入れるんだという、こんなような状況であって、まあ最近二、三の州で状況が変わってきているというようなことも聞いておりますけれども、その辺のアメリカの状況はどうなっておりますでしょうか。
○井嶋説明員 アメリカにおける制度をお尋ねでございますが、日本の弁護士を受け入れるということのみならず、要するにアメリカにおいて外国の弁護士を受け入れるという制度としてでございますが、ただいま御指摘のございましたようにアメリカにおきましては現在ニューヨーク州一州のみが外国弁護士をその資格において受け入れております。 御承知のように、アメリカにおきましては、この弁護士制度そのものが州単位、つまり州の権限下に置かれておりまして、それぞれ各州が認定、監督をいたしておるという関係にございます、したがいまして、外国弁護士を受け入れるかどうかという問題は各州単位で検討されるべき問題だということにされておるわけでございます。そこで、現在のところニューヨーク州一州ということでございます。確定的なあれではございませんけれども、現在そういった形でこの国際化に対応すべく外国の弁護士を受け入れるという方向で検討をしている州が、カリフォルニア、ワシントンDC、イリノイ、デラウェアというようなところで行われているというふうに聞いておりますけれども、まだ確定したものではないというふうに承っております。
○中村(巖)委員 別の問題に移らしていただきます。 今度の問題は、迷惑電話というかそういう問題でございまして、最近非常に迷惑電話というか、電話でもって嫌がらせだとかあるいは脅迫めいたこととか、あるいはまたわいせつな電話とか、さらにはまたセールスの電話というようなことで、いろいろ電話の問題が起こってきているようでございます。電話が大変普及をしたということはいいことでありますけれども、その反面において、そういうような人に迷惑を与える電話というものが非常にふえて、そのために日常生活の平穏性が損なわれる、こんなような状況も生じているというふうに思わざるを得ないわけでございます。そこで、そういう勝手にかかってくる迷惑電話を何とか防止する方策がないものかということを考えるわけでありまして、私のところにもいろいろな形で被害の話が来るわけであります。 まず最初にNTTの方に、迷惑電話の防止の方法は何かないのかということをお伺いしたいと思います。
○西脇参考人 ただいま先生のお尋ねで、迷惑電話の防止策としてどのようなものがあるかということでございますが、私ども、五十七年の十月一日から二重番号サービス、これは電話番号を二つ持っていただく制度でございます。それから電話番号の変更制度、これは迷惑電話がかかって困っていらっしゃる方に、お申し出によりまして電話番号を変更していただく。この二つの制度をスタートさせております。そのほか、機械を使う方法としまして、私どもの「でんわばん」というサービスあるいは留守番電話をお使いになる方法、あるいはもっと簡易な方法としましては電話帳にお名前を掲載しないという方法、そのほかいろいろ応対のテクニックなどで迷惑電話を撃退する、この辺はそれぞれの方の御工夫でございますが、そのような方法がとられておるようでございます。 この二重番号サービスそれから電話番号変更制度、おかげさまで好評にお使いいただいておりまして、二重番号サービスは約一万八千件ほどこの二年半の間に、お使いいただいております。それから電話番号の変更はこの二年半に約十六万件ございました。
○中村(巖)委員 今お話しいただいた方法、例えて言えば、電話番号を変えてしまえばいいじゃないか、こういうことであります。あるいはまた二重番号制ですか、人に教える番号と教えない番号と二重にしておくんだ、こういうこと。そういう場合でもやはり番号を変えたり二重の教える電話番号を別に設けるということになれば、それはみんなほかの人に周知をさしていかなければ自分の日常生活に差しさわりがあるわけでありますから、周知をさせなければならない、こういうようなことがあるわけで、そうなりますと大変手間もかかるわけでございますし、何か非常に消極的な方策のように思えるわけでございます。 今後の問題としても、何か迷惑電話のようなものは出ないで済むような、そういったセレクトするような、例えば相手の番号がわかるとかそういった電話の方式ができないものだろうか、こういう点についてはいかがでしょう。
○西脇参考人 お答え申し上げます。 現在使っております電話交換機の機能からいいますと、なかなか発信相手を見つけるような機能はつけにくうございますが、現在三鷹で実験をいたしておりますINSのモデルシステムにおきましては、発信相手の番号がわかるようなディジタル電話機というものを実験いたしております。ただこれも、相手の電話も同じディジタル電話機でないとできませんものですから、現在の段階ではまだ実験中ということで、本格的にそのような機械を開発してお客様にお使いいただくという段階までには至っておりません。
○中村(巖)委員 迷惑電話を防止する方法として、殊に悪質な電話というものを何とかしなければならぬのではなかろうかということで、例えばある人が、深夜の二時、三時あるいは朝の五時に電話が何十回、何百回となく鳴る、出ると無言であるということで非常に恐怖を感じて、家族もノイローゼになるような状態、こういうことがあったわけであります。そういう問題について、一つはどういう人がそれをかけているのかということを知ることができれば何らかの対処する手が打てるわけでありますけれども、それができないとなると非常に困る。 まず第一に、いうところの逆探知というようなことが今NTTの場合において技術的な方法として可能なのかどうか、それはどういう方法で逆探知ができるのかということ。さらに、逆探知というものを現在全然やってないということではないと思うのですけれども、どういう場合にやっておられるのか、その二点、お伺いしたいと思います。
○西脇参考人 お答えいたします。 最初に技術的な面でございますが、逆探知のやり方といたしましては、電話機が収容されております交換機の着信側の端子から順次接続されているルートを人手によりまして逆に追っかけていく、探索をしていくという方法によっております。これは、現在いろいろな交換機が使われているということ、さらに通話の中には、同じ市内だけではなく遠くから何段階もの交換機を経由して着信するものもございますので、現在のところそのような方法で人手で順次後を追っていくという方法しかとれない状況にございます。したがいまして、逆探知をやります場合にも非常に時間もかかり、難しい状況にございます。 それから、ではどのような場合に逆探知をNTTとしてはやっておるかということでございますが、先生御案内のように通信の秘密というものがございまして、私ども電気通信事業をやる者にとりましてはこれが一番基本的なものでございまして、電気通信事業法におきましても、この電気通信業務に従事する者の守秘義務、それから違反に対する罰則、こういうものは明確に規定をされてございます。したがいまして、私どもとしましては、この逆探知の問題につきましても非常に厳正かっ慎重な運用を行っておるわけでございまして、具体的には、かつて昭和三十八年十二月に内閣法制局から御見解をいただいておりますが、脅迫の罪を現に犯している者があって、かつ被害者の要請がある場合、そして捜査機関が脅迫と判断をし、発信場所の探索について当社が協力を求められた場合、それからもう一点としまして、当該当事者その他の生命、身体、自由または財産に重大な危害が迫っておりまして、ほかの方法ではこれを救うことが困難であると認められ、捜査機関を通じて協力要請がありました場合、こういう場合に限りまして御協力をする、要するに捜査令状をいただいた場合に御協力をする、こういう形をとっております。
○中村(巖)委員 そうなりますと、やはり一般人が逆探知をしたいということで、その相手の電話番号だけでも知りたいということでNTTにお願いをしてもそれはできない、こういうことになるわけですね。
○西脇参考人 そのとおりでございます。
○中村(巖)委員 それでは法務省にお伺いしますけれども、いろいろな悪質電話、電話の中身もいろいろでございますから一概には言えないと思いますけれども、現在法制度としては、その電話の内容、それが脅迫にわたるような場合恐らく脅迫罪ということになるのでしょうが、悪質電話について関連の処罰の法規というようなものが何かございましょうか。
○筧説明員 御指摘のように、電話の内容、方法など千差万別でございますので一概には申し上げられませんが、今まであらわれました下級裁判所等における事例を中心にして申し上げますと、まず一つが、脅迫の場合、受信者の生命、身体、自由に対する害悪の告知、殺すぞとか火をつけるぞと言ってくるような場合、これは明らかに脅迫罪に当たるということで処罰の対象になろうかと思います。 次に、よくありますが、どこかの店へ虚偽の注文電話をかけて、行ったら注文してなかった。それを繰り返し繰り返しするというような場合、あるいは同じように業者、何かの商売をしておるところへ忙しいときに多数回電話をかける。それによって結局仕事ができなくなるわけでございます。今申し上げましたような場合には偽計業務妨害、あるいは方法によっては威力になるかもしれませんが、いずれにしろ業務妨害罪が成立する場合がございます。 それからもう一つは、これは特異な例かと思いますが、多数回にわたって例えば夜中に電話をかけまくる、それの応対に出た人がそれのために生理的機能に障害を受ける、けがをするという場合には傷害罪になるということでございまして、今の多数回にわたる無言電話の例としては東京地裁の判例にございますけれども、多数回にわたって電話をかけられて応対に出た六十六歳のおばあさんが精神衰弱症になったということで傷害罪という事例がございます。 いずれにしましても、今申し上げましたような場合には犯罪の成立は考えられますが、あと一般私人の場合にはなかなかそういうわけにまいらないと思いますし、今申し上げましたような場合にもなかなかその発信人を突きとめるということは事実としては相当難しいというふうな気がいたしております。
○中村(巖)委員 何かアメリカあたりにおいては、悪質な電話をしたそのこと自体を構成要件とする犯罪というようなものがあるやに伺っているのですけれども、そういうことについて郵政省は何かお調べになったことがございますか。
○品川説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおりでございまして、アメリカにおきましては連邦通信法で、例えばわいせつな、あるいは相手を困惑させるような電話をかけた者については、これは五百ドル以下の罰金もしくは六月以下の拘禁に処するというような、そういう刑事罰つきの条文がございます。これは連邦通信法で定められております。それからまたイギリスにおいても、電気通信法で同様な規定が設けられているように承知しております。
○中村(巖)委員 法務省に最後にお伺いしますけれども、なかなか構成要件をつくるのが難しいと思いますが、その種の犯罪についての処罰の立法化ということをお考えになりませんか。
○筧説明員 先生御指摘のように、構成要件も非常に難しいと思いますし、その内容につきましては、刑事罰をもってそこまでいく必要のあるのは果たしてどれだけあるか。そういう刑罰をもって臨む必要性というような点から、いろいろ検討すべき問題があろうかと思っております。
○中村(巖)委員 終わります。
○森(清)委員長代理 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 午前中の委員会でも出ました豊田商事、ああいう国民に広く被害を与えております悪徳商法が今重大な社会問題になっております。そういう中の一つと考えますが、株式会社エレーヌの健康食品の違法販売問題に関連して質問したいと思います。 私のところに集まっております被害者の訴えによりますと、例えば一つは、ことしの二月に名古屋市の地下街で被害者の人がエレーヌのセールスマンに呼びとめられ、喫茶店に案内されます。そこで、このセールスマンが、太っていた当時の写真を見せるなどいたしまして、この薬を飲めばやせられると説明します。そして、やせ薬二種類とビタミン剤、カルシウム剤と称する合計四種類の健康食品の購入契約をさせられました。やせ薬というのは、メタモルフォーゼとサランクス、それぞれ十八万円です。ビタミンE入りはエルヴェという商品で八万二千円。カルシウム剤はカルカース、七万二千円。全部合わせて五十一万五千円です。しかし、これを二年間のローン契約をしますから、手数料などを含めて六十一万四百七十円の支払い契約になっています。喫茶店で契約をするときは、頭金二千円をその場で払って、あとは毎月五千円、ボーナスのときは五万円という説明でありました。契約をさせられますと、すぐ近くの駐車場に連れていかれて、そこで商品を渡されております。家に帰って契約書の金額を見て話が違っているということで、共産党の事務所に相談するということになった事例です。 この例から販売に関連して問題になることは、医師法に言う診断行為と疑われるような健康チェックをしまして、それにはこれこれの商品が適当だという商品を組み合わせてセットで売りつけていること、それから売り込みの手口が本当にやせられるかのような欺瞞的な説得をしているということ、帰ってから書類を見直して気づくというように本当の説明をしないで承諾させるという強引なやり方をしていること、こういうことが挙げられると思うのです。 その次のケースを見ますと、今の例と全く同じようなやり方で契約をさせられて、商品を渡されて、そして指定されたとおりに数日間服用いたしましたところ、今度は嘔吐、動悸、頭痛、こうした副作用が強くあらわれて仕事に差し支えができるようになったというものであるわけです。この場合の商品は、先ほど言いましたメタモルフォーゼとサランクス、エルヴェ、これにシャルムというものを加えて合計四十五万五千円です。こういう訴えが私のところに実はたくさん来ているわけであります。 そこで、まず経済企画庁の方に尋ねますが、健康食品についての苦情相談が多く寄せられているというふうに聞いておりますけれども、全国的な傾向がわかる苦情についての統計数字を示していただきたい、あわせてその中のエレーヌ関係の苦情の数字も知らしていただきたいと思います。
○河出説明員 御説明いたします。 国民生活センター及び私どもで把握しております全国八カ所の消費生活センターに寄せられております健康食品に関します苦情相談件数でございますけれども、五十八年度で四百四十二件、五十九年度で六百十八件というぐあいになっておりまして、五十九年度は前年度に比べまして約四割増という形になっております。このうちエレーヌに関します部分でございますけれども、エレーヌに関しましては五十八年度五十三件、五十九年度は百七件と、ほぼ倍増という形になっております。 以上でございます。
○柴田(睦)委員 今おっしゃったのは、結局国民生活センターと八つの道府県のセンターの統計であるわけです。全国にはこういうような相談を受けるセンターがたくさんあるわけで、今言われたのは相談のほんの一部であるというように見なければならないと思うのです。このほかにセンターに行かないで弁護士の法律事務所などに相談するケースもあるわけで、今おっしゃった数字というのはいわば氷山の一角と見ていいのではないかというように思います。 国民生活センターの昭和五十八年度危害情報報告書、これによりますと、昭和五十八年度に寄せられました健康食品危害情報、すなわち健康食品を服用いたしまして副作用などで人体に危害が生じたというものが百七十二件あったとされております。その百七十二件の中でエレーヌは五十二件、全体の三割を占めるわけで、ほかのところに比べますと圧倒的に多いわけであります。私たちが調べたところによりますと、本年度になってもなお苦情が急増している状況にあるようです。例えば愛知県に聞いてみましたところ、健康食品のキャッチセールスに関する相談件数が五十九年度一年間で五十四件でありましたが、六十年度に入りまして七月まで、この四カ月で既に四十五件に達しているということでありますし、そのほとんどと言ってもいいくらいがエレーヌ関係だということでありました。経済企画庁が苦情を受理した事例で薬事法違反、それから食品衛生法違反あるいは訪問販売法並びに割賦販売法違反、こういう疑いのある事例があると思いますけれども、その一例ずつ、合わせて三例をひとつ挙げてもらいたいと思います。
○河出説明員 センターに寄せられております苦情の内容としましては、ほとんどすべてがキャッチセールス等強引な販売方法ですとか、あるいは非常に高額あるいは大量の契約をするとか、あるいは未成年者に対して契約をさせるとか、こういった商法に関しますところの苦情でございますが、さらにその中にはこういった商法だけではなくて、この食品を使用した結果下痢をしたとか嘔吐をしたとか身体に異常な影響があったという苦情もかなり含まれているということが、この内容からうかがわれております。 以上でございます。
○柴田(睦)委員 結局身体に影響があらわれたということあるいは便秘が治るということを言われたということ。便秘が治ると言えば、これは薬事法の問題に絡んでくると思われます。それから、健康に害があったということになればあるいは食品衛生法に絡んでくると思います。それから、未成年者に対して年齢を成年者であるように偽るように言わせて契約した。これは経企庁の方からいただいた資料ですけれども、そういうものがあるわけで、これはやはり訪問販売法などの違反につながるのではないかというような事例を示して前にいただいておりますけれども、そういうことがあることは間違いないわけですね。
○河出説明員 相談事例から見ますとさようでございます。
○柴田(睦)委員 では次に厚生省に伺いますけれども、エレーヌの関係で厚生省が把握している薬事法違反の事例、その概略を述べていただきたいと思います。
○大木説明員 お答えいたします。 厚生省におきましては、通常人が医薬品と判断する場合につきましては、無承認、無許可医薬品として薬事法による取り締まりの対象になるということで、そういう観点から取り組んでおるわけでございますが、エレーヌ関係につきましては、過去におきまして薬事監視上二件報告がございまして、それぞれ措置をしたところでございます。 その一件は昭和五十九年の違反でございまして、エレーヌビタイー、エレーヌカルシウムという商品名で売っておりました当該製品につきまして、添付文書に医薬品としての効能、効果というものが書かれてあった、そういう事例がございました。これにつきましては、本社が広島県でございますので、エレーヌに対して当該製品の販売をやめるように指導し、さらに当該製品の製造元、東海産業が存在する東京都へ措置を依頼し、東京都の方では、当該製品の回収、添付文書の改善、そういう指示をして始末書等をとっておるところでございます。 もう一件は昭和六十年の違反、でございまして、先生が御指摘しましたエレーヌメタモルフォーゼ等六品目につきまして、これは手書きで書きましたチラシで、やはり医薬品的な効能、効果、用法、用量を記載したものが発見されたわけでございます。そういうものにつきましては、これは大阪府の事例でございましたけれども、厳重注意をしまして、大阪府から広島県の方に違反内容を連絡し、広島県の方でも本社の方に厳重注意した、と同時にチラシの回収に努めた、そういう事例でございます。
○柴田(睦)委員 ところでここに、先ほどの被害実例の話の中に出ましたエレーヌサランクスというもののカタログがあるわけですけれども、この中に、「エレーヌサランクスは、大豆より抽出したサポニンで余分な脂肪分を分解して洗流してくれるので、無理なく健康的にやせることができます」こういうことを書いてあります。この記述は薬事法に違反するものではないかと思いますが、御見解を伺います。
○大木説明員 お答えいたします。 先生の御指摘したものにつきましては、直接は薬事監視のときにその文書を発見できなかったわけでございますが、先生の御指摘したものにつきましては、もしそのとおりであれば薬事法の法規に違反する、そういうふうに考えております。
○柴田(睦)委員 ここにありますし、読んだのも正確に読んだつもりです。 それから、これは被害者から聞いたところですけれども、エレーヌのセールスマンは、商品の説明に当たりまして、先ほども経済企画庁の資料で出ていました便秘に効くということ、それから血が清まる、生理痛が治る、コレステロールがたまらないというようなことを説明しておりますが、今挙げました説明というものは口頭で説明されるものであっても、これもやはり薬事法にひっかかるんじゃないかと思いますが、見解を伺います。
○大木説明員 口頭で述べたものにつきましてはなかなか証拠をつかみにくい、そういう事情がございますけれども、やはり医薬品的な効能、効果、そういうものを口頭で述べるということであれば、それとあわせて当該いわゆる健康食品を売っているということであれば、薬事法に違反するおそれが非常に強い、そういうふうに考えております。
○柴田(睦)委員 先ほどから言われましたように苦情が多く出て、現実に被害の訴えも出ております。薬事法違反行為も繰り返している。これがエレーヌの経営内容になっているわけですけれども、厚生省はこの営業自体に対して何らかの処置をとるつもりはないか、今後この問題に対してどういう対応をするのか、この点をお伺いしたいと思います。
○大木説明員 エレーヌ自体は薬事法の許可業態というものがないわけでございまして、そういう意味において我々が行政指導する場合にはかなり限界があるな、そういうふうに感じております。 ただ、先ほど申し上げましたとおり、薬事監視で発見できた事例につきましては、医薬品というふうに該当するようなものについては製品の回収あるいはチラシの回収あるいはチラシの訂正等、適切な処理というものを行政的にやっておるところでございますけれども、違反の態様あるいは悪質の程度、そういうものによりましてはそれだけでは不十分である、そういうふうに考えておりまして、そういうものにつきましては司法当局によく連絡をし、司法当局の措置というものを求める必要がある、そういうふうに考えておるところでございます。
○柴田(睦)委員 司法当局への連絡ということが出ましたので、次に警察庁の方にお伺いしますが、昭和五十八年から現在まで健康食品名目の薬事法違反での検挙状況はどうなっておりますか、まずお伺いいたします。
○清島説明員 昭和五十八年以降警察において検挙したにせ薬に係る薬事法違反のうち健康食品に係る事犯につきましては、昭和五十八年、六十八件の首四名、昭和五十九年、五十六件百二名、昭和六十年の二月から六月まで六十五件の六十八名の検挙となっております。
○柴田(睦)委員 今おっしゃいました検挙件数の中に、エレ—ヌ関係で摘発した事件の数とその容疑事実の概要をお聞かせ願いたいと思います。
○清島説明員 ただいま申しました数字の中に、昭和五十七年の十二月に静岡県警でエレーヌ製品を便秘や生理不順が治ると説明して販売していた事案につきまして、販売代理店主等二十名を無許可販売業で検挙しております。
○柴田(睦)委員 九月に入って京都の方でエレーヌ関係の摘発が新聞報道されておりましたけれども、この内容はどういうものであるか、被疑事実の概要をお知らせ願いたいと思います。
○清島説明員 お尋ねの件につきましては、今月の二日、京都府警におきまして、いわゆる健康食品でありますエレーヌ製品を、宿便を治し、やせるなどと薬効を標榜して販売していた株式会社エレーヌ京都支店の支店長等二人を、医薬品の無許可販売業容疑で検挙して、現在捜査中であります。
○柴田(睦)委員 こうした事犯というものは、一般的に考えれば単にセールスマンだけの責任ではなくて、やはり企業全体が絡んでくる問題だ、そういう疑いが否定できないと思うわけであります。 この九月は薬事法事犯の取り締まり月間となっているというように聞きましたけれども、一般的に悪徳商法で多くの被害を出した豊田商事だとかベルギーダイヤとか、いろいろな例に見られるように、被害の拡大を防げなかったということから見ましても、今日の状況の中で、健康食品ブームだというように言われておる社会状況があるのですが、この九月の月間において、薬事法違反での取り締まりというのは。これはやはり強く要請される問題だと思うわけです。月間に当たっての決意とエレーヌに対する方針もあわせてお伺いしたいと思います。
○清島説明員 国民の健康で長生きしたいという願望に便乗して行われる薬事法違反事件につきましては、適切な医療の機会を失わせるあるいは副作用によりさらに健康を害するということで、国民の健康に直接影響を及ぼすとともに、国民に不当な金銭的出費をさせるということもございますので、従来からも積極的な取り締まりを実施してまいったところでありますが、お話のように、ことしは全国一斉の集中取り締まり月間というものを設定いたしまして、現在全国警察でその実態の把握等に努めているところであります。今後とも厳正に対処してまいりたいというふうに思います。
○柴田(睦)委員 今度は刑事局長にお伺いしますが、先ほど警察の方から薬事法違反のエレーヌの問題での検挙の状況についてのお話がありました。エレーヌ関係で検察庁が受理したもののその後の結果についてお伺いしたいと思います。
○筧説明員 先ほど警察庁からお話のありました静岡の事案でございますが、昭和五十八年二月に静団地検で受理いたしました。業者一名と販売店員十九名、合計二十名、薬事法違反でございます、そのうち、右の一名の業者につきましては略式起訴し、罰金になっております。販売員のうち十七名については不起訴、二名は少年でございますので家裁送致という処分になっております。 なお、京都の事件はまだ送致を受けていない段階でございます。
○柴田(睦)委員 民事局長に参考までにお伺いしますが、商法五十八条第一項第三号の中に、法務大臣の書画による警告というのがありますけれども、これはどういう場合に出されるものでありますか。
○枇杷田説明員 商法の五十八条の第一項三号にただいま御指摘のような法務大臣の警告の規定がございますが、これはいわゆる会社の解散命令の前提としての書面による警告の規定でございます。この商法五十八条は一号から三号までございますけれども、その各号に当たる事由があって、そしてその会社を解散させないと公益の維持ができないという場合に法務大臣が解散命令の手続をとるということになっておる次第でございまして、いわば、この条文にもありますように「会社ノ存立ヲ許スベカラザルモノ」という規定は、ほかの手段では公益を維持させるという、その企業活動をさせるようなわけにいかない。したがって、よく会社に対する死刑判決を求める手続になるというふうにも言われておるわけです。 ただこの三号の場合には、ある企業において一項三号に書かれておりますような刑罰法令に違反する行為があったからもうすぐその場合には警告を発するというものではなくて、いわばほかの手段ではもうどうしようもないだろう、しかもその会社の存立を許しておったのでは公益に反するというふうな事情がありまして、そしてなお、先ほど申し上げましたように会社の死刑判決を求めるような手続でございますので、一遍警告を与えて最後の考案をさせて様子を見た上で、なおかつ反復して刑罰法令に反するような行為をすれば解散命令の請求を裁判所に対してするという手続になっておるわけでございます。したがいまして、御質問の核心部分についてのお答えをいたしますとすれば、相当ひどい刑罰法令に反する行為が既に繰り返し行われておる、しかも、ほかの手段ではもうそれがやまらないというような事情がある場合に初めて法務大臣はこの書面による警告を発する、そして次の解散命令の準備に入るというふうなことになろうかと思います。
○柴田(睦)委員 公正取引委員会にお尋ねしますが、悪質な商品販売、商行為がある、こういう場合に著名人などの推薦が販売に利用されるというような場合があるわけですけれども、不当景品類及び不当表示防止法の上でどんなことが法律違反になると考えておられるのか、重立ったことを御説明願いたいと思います。
○黒田説明員 お答えします。 私どもの方で痩身効果等を標榜するいわゆる健康食品の広告の注意点というのをことしの六月二十八日に発表しておりまして、その中で著名人等がその効能、効果等について推薦した場合、事実に反して表示しておれば景品表示法の疑いが強いということを挙げております。 それで、具体的にはこの中で五つほど挙げておりまして、一つは、推薦の事実がないにもかかわらず推薦を得ているかのように表示している場合、それから、推薦がその食品のやせる効果を全面的に肯定しているのではないのに、そのうちの肯定部分のみを利用している場合、それから三番目が、関係者に特に依頼して行われた推薦であるにもかかわらず客観的な立場からの推薦であるかのように表示している場合、それから四番目が、実際にはその著名人等は当該食品を利用していないにもかかわらず利用しているかのように表示している場合、最後が、推薦者の推薦を事実に反し、例えば当該食品の利用者にとって信頼される専門家であるかのように表示している場合、こういうふうに列記しております。
○柴田(睦)委員 このエレーヌはエレーヌ・タイムスという小冊子を発行しております。私の手元に八三年の十二月一日特別号と八四年の六月特集号があります。この八四年六月の特集号には安倍晋太郎外務大臣とエレーヌの松村社長が握手をしている大きな写真が載っているわけです。それから八三年の十二月特別号には、当時の加藤六月国土庁長官、また渡辺秀央通産政務次官、衆議院議員では森喜朗、中川秀直、小泉純一郎、この三先生、それから参議院では浦田勝、川原新次郎両先生、こういう人たちが写真とともに出ておりまして、第二回エレーヌ祭での来賓あいさつがそれぞれ掲載されております。その中で当時の加藤六月国土庁長官は、「エレーヌの素晴しい商品を高く揚げて、国民の健康を守る尖兵として進んで戴きたい、」また当時の渡辺秀央通産政務次官も、「エレーヌさんのように、良い商品を直接消費者に販売してゆく、」などと述べられたように書かれているわけです。問題は、このような小冊子が健康食品の販売におきまして、エレーヌによって、商品が確かなものであるということを思わせるために利用され得るものであるということであります。 そこで、法務大臣にお伺いしたいのは、今まで明らかになったように、エレーヌの問題については苦情も多い、そしてまた刑事事件にもなっている。こういう商品販売にこういう形で政治家が利用されるということについて、政治家の道義的責任といいますか、そういう面から考えての法務大臣の所感をお伺いしたいと思います。
○嶋崎国務大臣 御指摘のエレーヌの薬効や副作用の有無というようなことにつきまして、私も余り勉強しておりませんし、よく承知をしておりませんわけでございまして、そんな意味で詳細な判断はできにくいわけでございますが、もし関係の法令に違反するというような事実があるならば、検察庁としても的確に取り締まっていかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。そういう中で、内容について余りよく理解もしていない者がとやかく論評するというのは適当じゃないのですけれども、余りいろいろな意味で批判のあるような事柄については、政治家は慎んでいかなければならぬことだろうというふうに思っておる次第でございます。
○柴田(睦)委員 この小冊子を見てみますと、安倍外相、それから森喜朗衆議院議員は、中川秀直議員がエレーヌに仲介したという記載があるわけです。中川議員は広島県の第二区選出議員でありまして、またエレーヌ本店が広島市にあるわけです。この両者のつながりにつきましては、この九月三日に公表されました政治資金報告書を見てみますと、中川秀直議員の自治省所管政治団体であります耕道会に対しまして株式会社エレーヌが昨年の八月六日、百五十万円の寄附をしたということが書いてあります。どういう関係があるようであります。 法律違反を重ねるといいますか、先ほどから言われましたような営業をしておりますエレーヌの応援をすること自体、今おっしゃったように責任といいますか考えなければならない問題であるわけですが、政治献金を受けてエレーヌを応援しているということになりますと、なお重大になってくるというように考えます。法務大臣は、こういう事実関係についてどのように考えられるのか。また、同僚自民党議員として何か言っておかなければならないと思われるのではないかと思いますけれども、お考えをお伺いしたいと思います。
○嶋崎国務大臣 先ほども申し上げましたように、その内容等については熟知しているわけでもありませんし、全体的な関係はどういう関係になっているのかということもよくわかりませんが、政治家が政治活動をするときに、いろいろな意味で個人あるいは法人の皆さん方から応援を受けなければならぬというような事態が残念なことにあることは事実であろうと私は思っておるわけでございます。しかし、そういうことの対応についても、政治家として国民の信頼を保つという意味で、一般論としての話でございますが、十二分な配慮をしていかなければならぬというふうに思っている次第でございます。
○柴田(睦)委員 終わります。 ————◇—————
○森(清)委員長代理 この際、お諮いたします。 先般、本委員会性裁判所の司法行政及び法務行政等に関する実情調査のため、大阪、兵庫及び京都の各府県に委項を派遣いたしました。 派遣委員からの報告書は、本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森(清)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は本号末尾に掲載〕 —————————————
○森(清)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。 午後四時十七分散会 ————◇—————