法務委員会 第19号
- 発言数
- 415 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/05/17
会議録
○片岡委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所小野刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――◇―――――
○片岡委員長 内閣提出、参議院送付、証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 質疑に先立って、五月十四日、本委員会で稲葉委員の質問に答えて法務大臣から御説明がございました指紋の問題について、緊急に政府の意見をただしたいと思います、 私が後で調査したところによりますと、前夜十三日、法務省は新聞記者を集めて、そして通達を見せて、十四日の夕刊ということに口どめをして、詳細な対外発表をされたようであります。しかるところ、当委員会において稲葉質問の中で、先手を打って法務大臣から五月十四日付法務省の通達の説明をされたのでありますが、私ども聞いておりました分には、言うならば法務省に都合のいいといいますか問題点を隠して当たりさわりのない答弁をされたのであります。大臣はそういうつもりではないかもしれませんが、私ども受ける人間としては、そういうものか、回転式を、薬液で黒でなくて白で押すということぐらいかなという印象を与える答弁でございました。 本日、理事会を開きまして、私どもから、委員長は一体、通達をごらんになっておるのかと言いますと、委員長は見ておらない、与党の理事諸公は、あのとき通達を見ておったのか、全然知らない、野党の私どもは、その後入手はして事の重大さに大変衝撃を受けている。また、マスコミ各紙は一斉に社説なり紙面の中で、あるいはまた関係団体は一斉に反撃をして、通達の重大性について反対運動をいたしました。理事会が三十五分おくれましたのは、まさに法務省が、国会、当委員会、委員長、各党理事、今日まで指紋問題を何回も何回も質問して、いわば政治問題化している問題を、あろうことかあるまいことか先手を打ってさらさらと答弁をして、それで能事終われりとしておる法務省の国会軽視について、理事会は紛糾をしたわけであります。この時点では、委員長が、それでは昼の休憩の際に法務省等の見解を聞いて、そして委員長としての措置について理事会で報告をする、こういうことになっておるわけでありますが、言語道断の、今日までの法務委員会の慣例なり、信頼関係なり、与野党関係をまことにじゅうりんした措置であると言わざるを得ません。法務大臣はいかがお考えですか。
○嶋崎国務大臣 ただいま横山委員から御指摘の問題につきまして、御答弁を申し上げたいと思う次第でございます。 実は、この問題につきまして、従来から、改正問題というのは我々制度的にあるいは運用上の問題につきまして十二分の検討を続けなければならぬ、関係各省庁ともよく連絡をとって対処をしなければならぬというような考え方をとっておりましたのですが、制度的な改正というのは非常に難しい。したがって、そういうことが非常に難しいということも当委員会で申し上げておったわけであります。しかし、この問題の重要性ということにかんがみまして、何とか一つの解決策がないかというようなことで、この十四日に、非常に近い時期にぎりぎりに実は判断をさせていただいたというような経緯があるわけでございます。しかし、それにしましても今御指摘のように全くそういう余裕がなかったのかというようなことになりますと、あるいは時間的にはそういう余裕があったと私は思うのでございます。その点は運営につきましてまことに申しわけないと思っておるわけでございます。 しかし、考え方としましては、御承知のように十四日の閣議でもこの問題、私、報告を申し上げたわけでございますけれども、事柄が非常に重要な案件でありますので、そこで了承をされるかどうかということは、事務的にはいろいろ詰めてまいってきておりますけれども、決定的にそのことが通過をするかどうかということがかかっておったという現実もあるわけでございまして、何とか了承をいただいたわけでございまして、その後正式に閣議の模様というものについて御報告申し上げ、その足でこの委員会に飛び込んだというのが実情であるわけでございます。そういうことでしたが、相当新聞関係の皆さん方もお見えでございましたので、あるいは御承知かと思ったのですけれども、稲葉先生の御質問の中で端的にその話が出ませんものでしたから私も非常に心配をして、特に委員長に発言を求めまして、こういう措置を決定をいたしましたということを御報告をしたわけでございます。 その際に、御指摘のように、一つは政令改正によって回転指紋から平面指紋に直しました。これは、現実に、そのことがその日の閣議の主要議題でございました。あわせて、特殊の紙を使いまして処理をするという考え方をとります、それとあわせまして、御承知のように地方自治団体の方でもこの問題について非常に心配をしておりますので、その処理について通達を出しますということまで私は説明をしたと思っておるわけでございます。その際に十分中身まで説明をすればよかったのかもしれませんけれども、質問の中での処理でございましたので十分その点まで気が行き届かなかった点がありまして、その点はまことに申しわけないというふうに思っておる次第でございます。しかし、考え方としましては、そういう地方自治団体から切りかえ時期を迎えて早く通達を欲しいというような強い要望もありまして、そういうことを受けて対処をした次第でございます。 なお、通達をこの委員会で出すことの判断につきましては、実はこれは行政運用上のいろいろな問題点について指示をするというような性格の通達でございますので、この委員会で事前にそういうものは明らかにしなければならぬというようなところまで実は思い至らなかったところがあるわけでございまして、その点は本当に――私はそういうものだと判断をしておった次第でございまして、その責任は一にこの私の責任であるというふうに思っておる次第でございます。まことにそういう点については申しわけないと思っております次第でございますけれども、今後、これらの問題については、この法務委員会は非常に私たちとして国政のいろいろな審議をしていただく大事な委員会であるわけでございますから、十二分な配慮をして運用をさしていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
○横山委員 大臣、あなた個人の問題ではありません。あなたを含む法務省が新聞記者には事前に周到にコメントつきで発表しておきながら、国会では私どもに材料を渡さずに、あなたの方が適当に都合のいいことだけ言って、そして回避をした。もしもあのときに通達をここにみんなに配付しておれば、問題を余さず摘出して議論ができたであろうに、客観的に見れば、あなたは事前に、閣議の直後国会に報告をした、どこへでも行って、おれは何が悪いんだと言わぬばかりなアリバイをつくられたとしか思えない。しかも、この問題は何回もこの委員会でやったことである。そして政治問題化したことである。ごうごうたる社会世論の反響の中にある問題である。そうだとしたら、当然のことにマスコミ以前に我々に、実はこういうふうに御不満はあるかもしれぬけれども、こういうふうにいたしますからひとつよろしく御協力をいただきたいというのが当たり前のことではないか。マスコミにやっておいて国会にやらぬとはどういうわけですか。何という国会軽視ですか。
○嶋崎国務大臣 実は、まことにこの手続、内部的にも非常にいろいろな経過があったわけでございますけれども、新聞への発表というようなことにつきましても、何度がこういう案でやりたいということを新聞に申し上げておきながらそれを延引せざるを得なかったという事情が、過去においても何回か積み重なってきている経緯があったわけでございます。最終的にこの決定、判断をしたというのは、本当にぎりぎりの段階の判断でございまして、たしか月曜日の日も早い時間に当初予定をしたというようなこともありましたのですが、それではなかなか処理も難しかろうということで時間の設定も少しおくれてやらざるを得ない。しかも、これはあす閣議で了承を得た上で事柄が動き出す性格のものでありましょう。 ただ、この通達の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、全国で三千五百にも及ぼうという多くの市区町村の皆さん方に御協力をいただかなければならぬわけですから、これだけは何とか早くしたい。しかし、その問題を考える場合に、ぜひともあわせて制度改正あるいはその運用の仕方というようなことについてもぎりぎり工夫を凝らして努力をしなければいかぬというようなことが錯綜して実は行われてきたというのが実情であるわけでございまして、そういう点につきましては、本当に運営のあり方について十分でない点があったとしますと私も申しわけないと思っておるわけでございます。今後、そういうことがないようにせっかくの努力を積み重ねてまいりたいというふうに思っております。 ただ、先ほど来申し上げましたように、私自身の判断としましては、通達の性格というものから考えましてそれが行政運用上の説明及び指示のためのものであるというようなことで、そういう取り扱いをすべきものであるというふうに判断をしなかった点、その点は私がそう判断をしておったわけでございまして、まことに申しわけないと思っておる次第でございます。
○横山委員 国会というところは、あなた方から政令や通達を全部一々よこせというようなことまで強制はしておりません。けれども、これだけの問題の、長期にわたる問題であり政治問題化している問題を、それだけの慎重な配慮があって当然だと私は思うのであります。きょうは法案審査の予定をいたしておりましたが、とにかく三十五分間理事会でもみにもんで結論がつかずに、委員長がこの取り扱いの措置についてひとつ協議をして報告をするということになっているんだ。ところが、驚いたことに、とにかく私はある方法をもって通達をもらっているのですが、与党の理事が通達を知らないのであります。怒っていいのか悪いのかわからぬと言っている人があるわけです。それでは審議の対象になりません。直ちに五月一日の通達、五月十四日の通達、それからこの通達の中にある「別途通達をする。」という指紋実施細目、それから政令案、きょうじゅうに全員に配付してください。
○嶋崎国務大臣 極力そういう手当をしておりますけれども、まだそういう準備が整っていないものもあると思うのです。やり方自体は決まっておりますけれども、例えば特殊の印紙を使ってやるというようなことについての最終的なものの準備というのはまだ整っておらないという状態であろうと思います。しかし、準備のできたものにつきましては、また、御提示できるものにつきましては、整理をして極力提出をさせていただきたいと思っておる次第でございます。
○横山委員 準備の整っていないもの、何だか知りませんけれども、指紋実施細目、それから政令案というものではないかと思うのです。しかし、その要綱なりとも出してもらいたい。それから、本件に関する関係文書、また何か落ちこぼれがあって怒らなければならぬ場合もありますから、周到な配慮をして、それに関する関係文書を、私どもの審議がまた同じことにならないように、即座に出していただきたいと思います。 それから、この通達の文章というのは、一体通達なのか、解釈の説明なのか、それとも法律の考え方というのか、まことに奇怪きわまる通達であります。しかも、前文でもおかしなことを言っておる。例えば「制度上、運用上の各般の問題点について関係省庁間の協議を通じ検討を重ねているところであるが、政府が今国会に外国人登録法改正案を提出する方針を決定した事実はない。」これは通達の内容ですかね。通達というのはこんなものですかね。何を言おうとしているのですか。制度上各般の問題について関係各省庁の協議を通じ検討を重ねているところであるが、という意味は何ですか。法改正について検討しておるという意味ですか。イエス、ノーをはっきりしてください。
○嶋崎国務大臣 その点につきましては、もう既に御承知のとおり、今年の二月六日にこの問題について私が最初に予算委員会で答弁をしたわけでございますけれども、この指紋問題を含める外国人の地位及び待遇の問題については、いろいろどういうぐあいにするかということは十分検討していかなければならぬわけでございますけれども、そういうときには国内的な事情あるいは国際的な事情というようなことを十分研究してやらなければいかぬ、しかし、御承知のように、五十七年に法改正をしたところであるので、この制度の改正をするのはどうだろうかというふうには思いますけれども、いろいろな議論がありますことに加え、かつ、昨年の九月における日韓の共同声明の中で引き続き検討するというようなこともありますので、制度的あるいは運用的な面につきまして今後検討をいたしますということを御説明したわけでございます。そういうことはずっと経緯として引き続いて検討してきたわけでございます。 ただ、御承知のように、非常に残念なことではありますけれども、我々が何か制度的なことを検討しておる、そのことが実は指紋を拒否する理由の一つに挙がっておるわけでございます。例えば、川崎の例なんかでもそうなんですけれども、どうも政府がそういうことを検討しているから指紋を押さないんだという理由の最大のものとして挙がっておるわけです。そういうことでは困りますので、やはり我々はこの国会ではもう法律の改正はいたしません、大量切りかえの時期を迎えまして、この措置をもってぜひとも、この措置というのは、後にありますように……(横山委員「わかりましたよ。簡単に言ってください」と呼ぶ)後にありますように、平面指紋であり、こういうようなやり方でやるというようなことの改正で対処をするということでそういう文章を書いたと思うのでございます。
○横山委員 私の聞きたいのは、この通達の前文というものは、こういう方針で窓口で対処してくれという意味で書かれたと思うのです。こういう物の考え方で窓口で説明してくれという意味だと思うのですよ。その説明の中に「制度上」、つまり法改正も今検討しておるよということを言っておるのです。言っているのですよ、ここで、文章で。ただ、今国会には「提出する方針を決定した事実はない。」と。何ですか。今国会には提出しないということで言うならいいけれども、「事実はない。」と言う。「事実はない。」という文章の言い方なんですね。「制度上」、つまり今法律改正は検討していますよということを言おうとしている。そうなんですね。次の国会に提出するつもりなんですか。そういうことを説明をしていてくれという意味でしょう。 それからもう一つは、「最近一部報道機関によって、政府が指紋押なつ制度の緩和を内容とする外国人登録法改正の方針を決定したというような報道が行われたため、」と書いてあるのですね。これもおかしな文章だな。政府が方針を決定したというような報道なんてないですよ。マスコミは怒りますよ、これ。政府の一部がそういう、例えば外務省がそういうキャンペーンを張ったことは事実じゃありませんか。政府内部で意見があったことは事実じゃありませんか。この前文の書き方は極めて政治的で、事実に反することで、そしてまた、あなたがいかぬと言いながら、窓口では法律改正も検討しておると言ってくれ、けれども、今回は国会へ出さない。出さないと言うならいいけれども、「決定した事実はない。」という言い方がまた通達の中ではおかしな言い方だ。大臣の方針なら方針のようにきちんと書きなさいよ。こういう書き方がかえって誤解を――あなたが言っていることと窓口と、これによって今政府も法律改正を検討しておりますから、さしあたり押してちょうだい、こういうことを言わせるつもりですか。
○嶋崎国務大臣 今、御説明申し上げましたような経過がありまして、何かこの法律改正をされるのじゃないかということを前提にそういうような議論が行われてきたというふうに思いますものですから、そういうことを書いたのだろうと思うのです。(横山委員「この文章に、今法律改正を検討しておると書いてあるのです」と呼ぶ)それは御承知のように、最初に申し上げたように、引き続き検討するということになっておるわけでございますから……(横山委員「法律改正をやるのですか」と呼ぶ)いや、やりません。(横山委員「やらなければ何で……。検討しておると書いてあるのです」と呼ぶ)しておりますけれども、したがって、終わりの方でやらないということを書いたのだと思います。
○横山委員 どこに書いてあるんだ。この国会には出さないとは書いてあるけれども、法律改正を今検討しているところであると書いてあるのです。ごらんなさいよ。ここに、制度上、運用上の問題点については関係省庁間の協議を通じて検討を重ねているところである、つまり「制度上」というのは、法律改正を検討しておりますが、この国会では提出する方針を決定した事実はないと。逆に読んでごらんなさいよ。窓口は、この国会に出ませんけれども、将来法律改正は政府がやっておりますからと説明をしろと書いてある。
○嶋崎国務大臣 そんなきちっとしたつもりでそういうふうに書いたわけじゃありませんで……(横山委員「これを素人が読んだって読めるじゃないですか。これはあなた、そう読まぬのですか」と呼ぶ)今申し上げましたような経緯のことを……
○横山委員 これ読んでごらんなさい。入管局長の出した文章は、法律改正を今検討しておりますが、この国会では提出の方針を決定した事実はない、法律改正をすると書いてあるのです。検討しておると書いてあるんだ。
○小林(俊)政府委員 御指摘の点につきましてお答え申し上げます。 ここに書いてございますことは、制度上、運用上の各般の問題点について検討するということが書いてあるのでありまして、これをもって直ちに制度上の改正をする方針であるというふうにとられるとすれば、それは読み方の問題であろうかと思います。また、そういうふうにとられるというふうには私どもは考えておりません。 また、「決定した事実はない。」という言い方の点につきましては、そういう事実があったというような印象を与える報道がなされておりましたので、そのような事実はないという説明をしたわけでございまして、これは、各般の報道によって生じた窓口の混乱をこの際明確に是正するということを目的とした文章でございます。 重ねて申し上げますが、制度上、運用上生じてきておる、生ずることのある問題点について検討をするということでありまして、このことが直ちに制度上の改正を行う方針であるというふうに受け取られるとすれば、これは私どもの真意をそのままおとりいただいたことにはならないということになるわけでございます。
○横山委員 そんなことは、あなた、勝手な解釈で、自分で通達を出しておいておかしいじゃないの。「制度上、運用上の各般の問題点について関係省庁間の協議を通じ検討を重ねている」ということが、法律改正は含みませんよと白々しく言えますか、あなた。法律改正を含まない場合もあるが含む場合もあると言うならまだわかる。けれども、「制度上」とわざわざ書いておいて、これは法律改正は含みません、そんなことは日本語として通りますか。しかも、この国会では政府案、改正案を提出はしない。この前文と後文との普通の認識からいうならば、この国会では改正はせぬけれども、次の国会なり将来は制度上の検討を今しておるのですよということは、素人の初歩的な解釈で当たり前じゃないか。あなたがこの中に法律改正は含みませんと言うなら、ここへ法律改正は含みませんとなぜ書かなかったのです。窓口がこれを読んでみて、そして外国人の皆さんに「制度上、運用上の各般の問題点について」今検討しておりますということは、近い将来法律改正も含んで検討しております、どうぞさしあたりは判こを押してちょうだいという説明に引用するのは当然の帰結じゃないか。そういう説明はいかぬと言うのかね。
○小林(俊)政府委員 私が申し上げましたのは、制度上の、運用上を除きまして制度上について申し上げますが、制度上の問題点について検討をしているということは制度改正、法改正を行う可能性を示唆するものであるというふうに直接的におとりいただいては、読み方の問題かと申し上げたのでございます。法改正にかかわる問題について検討をするということは私は否定したつもりはございません。法改正の問題について検討はいたしておりました。また、これからもいたすでありましょう。しかし、それによって法改正が行われるということを期待させるとすれば、それはこの文書の正しい読み方ではないということを申し上げたのであります。法改正の問題について検討をするということを排除する、そういうことを私は否定したつもりはございません。
○横山委員 そういう勝手な解釈をして、検討はするけれども法改正案をつくるという気持ちはない。全くインチキじゃないか。法改正を、制度上の問題点について「関係省庁間」まで具体的に書いてあるのだぞ。「協議を通じ検討を重ねているところであるがこそこまで言っておいて、そして、だから今回は出さないから判こを押してくれ、指紋を押してくれという意味でしょう。前段で将来に希望を持たした文章でなくて。何だねこれは。あなたの言うところによれば、検討はするけれども法改正にはならぬよ、そう言いたいのかね。法改正の検討はするけれども法改正案を提案する気持ちはないよ、そう言いたいのかね。そうだとしたら、全く人を愚弄した文章じゃないか。あなたは自分で書いたからなかなか言えぬだろうが、法務大臣、あなた、どう思いますか。この文章で、私、議論をして、けしからぬと言っているのだけれども、同時に、将来の具体的な政治的な問題として、今回はだめだ、将来は考えますから、ひとつしばらく検討するまで待ってくれということなら、まだこの文章としての説得力はあるけれども、そういうことは考えない、飾りに書いてあるだけであってそんなことは考えないというのは、愚弄するもはなはだしい文章じゃありませんか。
○嶋崎国務大臣 先ほど来、少し長目の説明だから簡単にやれと言われましたけれども、実は、過去そういう経緯がありまして、私自身もこれは困ったことだなというようなことで随分中で話をしておったことがあるいはそういう文章になったのだろうというふうに思っておるわけでございます。 御承知のように、外国人の地位及び待遇の問題について引き続いて検討する、そういうもの一般についてそういう考え方をとっておるということを何も我々否定をするわけではないわけでございます。また、世の中がどんどん変わっていっておりますし、また現に、過去におきましても、この種の問題だけとっても、やはり時代に対応していろいろな改正、検討が行われてきた事実はあるわけでございます。 ただ、御承知のように、この国会では、さきにもこの委員会でもお話し申し上げたようにとても改正できない。この回転指紋にするのは制度上の問題なのかあるいは運用上の問題なのか、実はその辺のところは、私自身の頭の中では随分行ったり来たりしておったのですが、運用上の問題というようなことで整理をして説明を申し上げているのですが、ともかくそういうようなことで、まあともかく工夫をして今日に至った、大ざっぱにそういう実情にあるわけです。 ただ、御承知のように、どうも法案の検討をしておるから、だからこれはもうやらぬでもいいんじゃないかと言われたんじゃ、それだけはたまらぬぞという話だけは私は中で随分やかましく言っておるので、それとは話は別ですよ、ここでも一遍御答弁したと思いますけれども、そういう感覚を中で非常に強く言っているのがそういう文章になっているんだろうというふうに思うのでございます。 私も、在留外国人の地位なりあるいは待遇問題について一般的にそういうことを検討するという問題は、日韓の共同声明の文章が残っておるわけでございますから、当然そういうことは考えていかなければならぬことだというふうに思っております。
○横山委員 同じ問題ですが、そういうことを言っておいて、検討はする、制度上検討する、政府はこの国会には提案しない、そして「ついては、」「この際こということなんです。「この際、」というのはどの際ですか。制度上は検討する、そしてこの国会には提出しない、「ついては、」「この際ここの際というのは暫定的という意味ですよ。あなたの言われる運用上の――この際は運用上の問題にすると言う。だから、私の言いたいことは、この通達の前文は非常に政治的だ。そして窓口がこれを読んで、制度上の問題、この国会へ提出しない、そしてこの際、運用上というふうに説明しろという示唆を与えている文章です。ですから、それを仮に善意を持って、説得力がある文章だとしてみたら、窓口で、将来、法務省としては制度上、つまり法改正を検討しておりますからしばらく我慢してくださいということになるのではないか。この文章は、そういう示唆を、書いた人の意思いかんを問わず与える、そういうことになるのではないか。それを、違っておる、おまえの認識は間違っておるということがどうして言えるのか、そういうことなんです、私のこの前文についての結論は。そう期待をさせてもいいんですね。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、この七月から大量切りかえが行われるわけですね。したがいまして、いろいろな経緯はあったかもしれませんが、この際、きちっとした整理をやらなければならぬ。特にそういうような要望も強いわけですから、この通達によってその処理を的確に行わなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
○横山委員 内容的にちょっと一、二伺いますけれども、登録済証明書が交付されないときは、私が計算したら十一の問題が生ずる。一番目、運転免許がもらえない。二番目、営業の許可がもらえない。三番目、健康保険の加入ができない。四番目、社会保険の加入ができない。五番目、不動産の売買ができない、登記ができない。六番目、学校入学ができない、試験が受けられない。七番目、身元保証ができない。八番目、各種資格が取得できない。九番目、融資を受けることができない。十番目、就職することができない。十一番目、交通取り締まりなどにひっかかった場合警察官の検問、登録証の常時携帯違反など、登録済証明書が交付されないときには社会生活上の打撃が如実に起こってくる。これは承知の上でこういうことをお考えでしょうね、登録済証明書は発行できないとなれば。法務省はそういうことは承知の上で、それでもなおかつやれ、登録済証明書を渡すな、こういうことでございますね。
○小林(俊)政府委員 その御質問にお答えする前に一言申し上げたいと思いますが、この通達の文章の問題は事務当局の責任でございます。したがって、文章の表現において欠けるところがあるとすればこれは事務当局の責任でございますので、その点においておわび申し上げたいと思います。
○横山委員 ちょっと待ってください。あなた、小林俊二名義だから事務当局の責任だと言うけれども、それじゃ済まされないですよ。全国の都道府県知事にこの書面が行って、それから市町村へ行って、市町村の窓口はこれを拳々服膺して国の意思としてやるのですよ。それが、語句が間違っているのは私の責任だでは済まされませんよ。そんなことを言ってはだめだ。
○小林(俊)政府委員 それでは、その点についてさらにお答え申し上げます。 今週から、各地方、全国におきましてこの問題に関する県当局者のブロックによる研修会が開かれております。私どもとしては、これらの機会を通じてこの通達が正確に理解されるように、係官から直接口頭でも説明をいたしております。これらの手段を通じて、私どもとしては窓口の職員の方々に私どもの意向あるいは通達の意味が正確に理解されるようにさらに補足の措置を講じつつあるところでございます。こうしたことによって、私どもとしては誤解がないように今後とも努力をいたしたいと思っております。 次いで、先生の御質問についてお答え申し上げます。 登録済証明書の問題につきましては、先生御指摘のとおりでございます。ただ、先生の御発言の中には登録済証明書と登録証明書とを混同していらっしゃる点が若干あるやに思われます。 また、さらに申し上げれば、学校等の問題につきましては、指紋が問題になりますのは十六歳以上でございますから、したがって小中高等学校への入学については指紋押捺拒否の問題は起こりません。したがって、登録済証明書が発給されないという問題も生じ得ないわけでございます。この問題は指紋押捺について起こった問題だから、そうなるわけでございます。それ以外の登録済証明書の持つ問題点につきましては、私どもとしても十分承知した上でとった措置でございます。 さらに御説明申し上げますれば、しかしながら指紋を押捺しなかった人につきましても、三カ月あるいはそれを若干上回る説得期間を過ぎてどうしても押捺をしないという場合には、指紋不押捺ということを明記した登録証明書を交付することにいたしております。そうした登録証明書が交付された場合には、登録済証明書も申請に応じてまた発給されることになるわけでございます。 したがって、問題は登録証明書の給付されていない説得期間中の問題であろうと思います。また、説得期間中であっても既に登録を行っておる既登録者につきましては、既登録事項につきましてその限度において登録済証明書を発給するという措置を講じておるわけでございます。
○横山委員 あなたはそう言うけれども、いずれにしても私が十一項目挙げた中であなたが説明したことは二点しかない。学校入学は十六歳以上の学生への問題であってそれ以下は関係ない、そんなことは当たり前のことじゃないですか。それから、指紋押捺しない人は三カ月過ぎて同一人だとなれば登録証明書を出す、登録証明書を出せば登録済証明書は出せるということなんでしょう。けれども、原則的に十一項目は覚悟の上でやったという意味だ。指紋を押さないと、運転免許はとれなくてもしようがないじゃないか、営業の認可ができなくてもしようがないじゃないか、健康保険に加入できなくてもしようがないじゃないか、社会保険に加入できなくてもしようがないじゃないか、不動産売買はあきらめよ、登記はあきらめよ、学校入学はあきらめよ、身元保証はあきらめよ、各種資格の取得もあきらめよ、融資もあきらめよ、就職もあきらめよ、お巡りさんにとっ捕まったらあきらめよ、こういうことです。 それだけの犠牲を負わせるだけの必要性がどこまであるのでしょうか。法務省はそれは関係ないかもしれぬけれども、これらの私が整理しただけの十一項目で関係各省は、法務省のやり方でそれはもう往生するよ。本人は、これら十一項目で営業生活、社会生活できませんよ。それだけの犠牲をどうして負わせる必要がある。 それから、登録済証明書というものは機関委任事務ですか、どうですか。登録済証明書を出していかぬというのは政府に権限があるのですか。
○小林(俊)政府委員 登録済証明書は登録原票にそのような事項が確認されておることを証明する住民サービスのための行為でございます。(横山委員「機関委任事務じゃないだろう」と呼ぶ)したがいまして、これは登録事務の一つの反映であるというふうに私どもは理解いたしております。
○横山委員 私の質問に答えなさい。これは機関委任事務か。これは政府の仕事かね、地方行政独自の仕事じゃないか。
○小林(俊)政府委員 この点につきましては、従来の慣行上確立してきた慣行でございまして、法律に明確な規定があるわけでございません。したがいまして、これは外国人登録から付随して生じたサービスであるというふうに理解いたしております。
○横山委員 だから、あなたはごまかしてはいかぬよ。これはサービス行政です。登録済証明書を発行するのは地方自治体のサービス行政の一環です。確かに登録証明書の発行は機関委任事務かもしれぬが、登録済証明書の発行はサービス行政であって機関委任事務じゃないです。そんなことはわからぬはずがないだろう。
○小林(俊)政府委員 私どもは登録業務の主管官庁といたしまして、登録原票に基づいて証明し得る限度を明記したのでありまして、その点についての窓口の疑問を解くために通達を発出したわけでございます。 例えば、告発についても私どもは指導いたしております。しかし、告発が機関委任事務であるかどうかという問題は一つ別の問題でございまして、この点については明確な統一的な見解がいまだはっきりいたしておりません。しかしながら、これは外国人登録業務に密接に結びついた問題でございまして、地方窓口においては中央の考え方について指導を求めてくる要請が当然あるわけでございますから、主管官庁といたしましては、この要請にこたえる義務があるということで私どもの考え方を示したということでございます。
○横山委員 考え方じゃないです。考え方なら、私どもはそう思うと書けばいい。それが、あなたは登録済証明書を発行してはいかぬと法務省の通達の中に書いてあるじゃないですか。そんな命令権がどこにあるのですか。「外国人登録事務取扱要領」二十五ページ、それには機関委任事務じゃないと書いてあるじゃないの。独自の行政権にまで――私どもとしては発行なさらない方がいいと思いますが御協力願いますと言うならいい。しかし、発行してはいかぬという命令権をどうしてあなたのところが持っているの。越権ですよ。
○小林(俊)政府委員 私どもの現場に対する通達は、すべて命令という言葉をもって適当するとは必ずしも限りません。例えば告発をしろということは、告発をしろという命令であるというふうに法律的に解釈することは困難でございます。 したがいまして、それと同じ意味でございまして、この登録済証明書の発給につきましても、登録原票によって証明し得るには確認が済むまでは限度がある。したがって証明し得る限度を明記したということでございます。
○横山委員 ちょっと大臣、このやりとりを聞いておって、あなた、どう思いますか。この通達は行き過ぎが甚だしいですよ。山ほど地方自治体に仕事を押しつけているのです、あなたの部下でもない地方自治体に。山ほど仕事を押しつけて、告発しろ、登録済証明書を発行しては相ならぬ、山ほど指示しておる。これについて地方自治体は何と思いますか。そんなことはおれの仕事じゃない、おれの仕事に命令権がどこにあると言いますよ。それについてあなたの方は何の根拠を持って命令するのですか。あの外国人登録事務取扱要領には、機関委任事務でなく市町村固有の事務である、サービス行政の一環としてと書いてある。そういうものをやれと命令する。聞かなければけしからぬと言わんばかりのことを言うのはおかしいじゃありませんか。大臣、どう思いますか。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、外国人の身分関係あるいは居住関係を明確にするという意味で外国人登録法はできておるわけでございますし、それに関連をして指紋制度というものが運用されておるというようなことから考えまして、それを維持するという考え方から従来引き続いてそういう処理の仕方をとってきておるのだろうと私は思っております。
○横山委員 あなたのおっしゃっていることもわからないですよ。局長が言ったものだから、しようがないので合わせているにすぎないのですよ。こういう点は明白にしてもらわなければいかぬ。そういうものについては命令権はございません、ございませんけれども、切にひとつ希望いたしますというなら話はわかる。命令権がないものを何で命令ができるかね。 それから、局長が刑訴法二百三十九条を引用しました。この文章もまたおかしな文章だな。告発は公務員の告発の事務的手続と解釈する、告発がなければ処罰されないというものではなく、告発があれば必ず処罰されるというものでもない、だから告発してくれ、こういうことですな。もう一遍言いますよ。この文章ですよ。告発がなければ処罰されないというものではない。つまり、地方自治体が告発せぬでもお巡りやだれかが告発するものだ。告発があれば必ず処罰されるというものではない、地方自治体が告発したからといったってお巡りや検察陣が必ずしも処分するものではない、だからどうぞ安心して告発してくれ、こういうことです。告発というと重いように思うけれども大したことないから告発を頼む、こう言っているわけです。こんなばかな文章、どこにありますか。 あなた方は格好だけ地方自治体が告発してくれと言っているけれども、地方自治体として告発する以上は、どうしてもこれだけは処分してもらわなければいかぬというときに限定さるべきですよ。そうでしょうが。県知事や市町村長が何ぼ言っても指紋を押さぬ、何ぼ言ってもだめだから、法務省もやかましいので仕方がないから告発する、しかし告発した以上は処分してもらわなければ困る、そんなものをいいかげんにされては困るというのが本当のこっちゃないですか。地方自治体が告発するということは処分を求める場合に限定されるというふうに解釈すべきですよ。何でもええでひとつ告発してくれ、おまえのところが告発せぬでもよそで告発できるんだ、おまえのところが告発したからといって必ずお巡りや検察陣がやるわけではないから気楽に安心して告発してちょうだい、これはこういう文章だ。 そんなばかな文章がどこにありますかね。私の解釈、違いますか。あなたが市町村長の立場になったときに、やむを得ぬ、この人を告発するか、しかし、した以上は処分してもらわなければ困るという立場になるのが当たり前じゃないですか。それを、格好だけでもいいから告発してくれ、そんなばかな解釈をよう麗々しくも出したものだと私は思う。どう思いますか。
○小林(俊)政府委員 先生が処分と言われるのは、起訴ないし有罪判決のことであろうかと思います。しかしながら、起訴につきましては捜査当局、特に検察官がこれを判断するわけでございまして、有罪、無罪は裁判所の判断に属する問題でございます。したがって、告発をする当局あるいは告発する公務員がそこまで判断をする必要もなければ、また判断をすべきものでもないというふうに私どもは考えます。したがいまして、ここに書いてありますことは法律に書いてあることをそのまま説明しているにすぎないということでございます。 しからば、なぜこういう書き方をしたかと申しますと、川崎の事例をとりましても見られますように、この告発という行為が地域の住民を犯罪人として警察にあたかも密告するかのごとき印象を持つ向きがあるというふうに感じられましたので、そういった考え方、そういった印象を払拭するために説明をしたのでありまして、説明の内容は全く法律に即した客観的な事実を示したにすぎません。(「犯罪があって告発するのは公務員の義務だよ。そう書いてあるじゃないか」と呼ぶ者あり)
○横山委員 今、自民党の席から、公務員は犯罪を発見したときには告発しなければならない義務がある、そう書いてあると。私も認めるが、それは一般的、拘束的義務だと解しますか。だれが答えるかな――刑事局長、一般的、拘束的義務だと思いますか。そして、拘束的義務だとあれば、それに対してやらなかった公務員は処分されますか。
○筧政府委員 刑事訴訟法上は義務規定であるというふうに解しております。義務規定でございますから、したがいましてその要件を満たす場合には告発をしなければならないということでございます。ただ、これにつきまして、罰則とかその他の強制手段は定められていない。そういう意味では訓示規定か義務規定がという言葉の解釈もいろいろございますが、やはり一般的な義務規定である、ただし、これを強制する罰則等の手段はないということだと思っております。
○横山委員 私もそうだと思っておる。もしそういう解釈をするとするならば、公務員が自分の所管の問題で告発した事例というのはどのくらいあるのでしょうか。今回の通達は、三カ月待ってもだめ、六カ月待ってもだめだったら絶対にやれということだ。この文章はそれを強制している。そんなことを言うなら、刑事局長、公務員の汚職があったとか何だとかいうようなときに、所管の関係庁はみんな告発をしておるかね。地方自治体のいろいろな関係の問題で、警察を待たずに地方自治体が、首長が告発した事例というのはあるのかね、この種の問題に関連して。何も例がないじゃないか。今回は徹底的にやれ、格好だけでもいい、どうなるかわからぬでもいい、とにかくこの条件に合ったものは全部やってくれ、告発をしなければならぬ義務がある、こう言うんだ。書いてあることを文字どおり解釈するとそうだと思う。しかし、汚職だとかほかのことはやりもせぬでおいて、これだけやれやれと言うとは何事だ、私の言っているのはこういうことです。
○小林(俊)政府委員 私ども、外国人登録業務の主管当局でございますので、その立場から申しますと、外国人登録法が制定されまして今日まで三十数年にわたりまして、外国人登録法違反につきましては地方公共団体、市区町村長からの告発は極めて忠実に行われてきたのでございます。告発が行われないようになりましたのは、昨年の末から特に指紋押捺拒否問題に関しまして若干の混乱が生じたためでございます。その混乱を是正することがこの通達の大きな目的の一つだったわけでございます。
○横山委員 大臣、私の言い分と見解はわかるでしょう。これだけやれやれと言って、やらなんだらどうするの。市町村長でも処分するのかね。違反したときには、刑事局長はそんなものはどうしようもないと言っている。それをやれやれと言って、だれもやらなんだら、あなたはどうするの。法務大臣のメンツは何にもあれへんじゃないか。 それから、こういうことを、一体どうやってやるんだろうと私は思うのですが、窓口で指紋の同一人性を確保するについて、ほかの方法で同一人と確認できた、つまり、信頼するに足りる保証人二名が証明してくれれば、指紋を押さなんでも登録証明書を出す、こういうわけだ。それを認めたら何でこれをオーソドックスな道にせぬのか。さんざん指紋を押せ押せと言っておいて、押さぬと言ったら、そんならおまえさん、二人ばかり連れてこい、有名な人なら森さんと高村さんがええで、横山さんはあれは間違いない、本人だと言ってくれれば堪忍したる、そういう処置をやるんだ。それを認めるなら、指紋を押さぬ人は森と高村を連れてこい、何で初めからそういうふうにせぬのか、そういうことなんです。
○嶋崎国務大臣 御承知のようにその手続につきましては、この指紋問題を解決するために――最近この指紋押捺をしてない人というのが出ておるわけでございますけれども、数字的に見る限りにおいては千人中の四人前後の方々が指紋を押されないわけでございます。私は、この問題を解決するときに、九百九十何人かの人が少なくともこの問題について積極的に御協力をできる意思を持ち、またそういう背景の中でこの問題をぜひうまく解決していただきたい、そんな気持ちでこの改正問題について取り組んでまいったわけでございます。したがって、この改正の趣旨というものをよく御理解願いたいと思う。 もう一つは、今お申し出のように、それを先にしろと言われましたけれども、やはりこれは個人的な問題でしょうから、できるだけ勧奨措置というものを講じまして、それでもなおどうにもならない――もとは登録証明書を出すときには指紋が条件だったのですね、それを改正しまして、それを条件でなくしているわけです。そうなってきますとやはりきちっと整理をしなければならぬ。そのときには、我々もお願いしにくいことだけれども、きちっとした人を立てて、これは間違いないんだというぎりぎりの判断までさせていただかなければしようがないじゃないかということでこの案はできているのだろうというふうに思っています。
○横山委員 初めから、わしは指紋を押しません、森代議士と高村代議士の証明書を持ってきましたでお願いしますと言っては。いかぬのかね。
○小林(俊)政府委員 登録を要求されておる外国人の数は現在少なくとも六十万人に上るわけでございまして、これらの六十万人につきましてすべてそういう手続を導入するとすればこれは行政の大変煩瑣な状況を招来するわけでございまして、行政合理化にも反するわけでございます。より多くの公務員を必要とするということもありましょうし、より長時間を要するということにもなるわけであります。私どもとしましては、そういった手続を省いて、最も簡便にかつ確実に同一人性を確認する手段として指紋押捺制度を導入しておるのでございまして、指紋押捺制度とただいま先生の御指摘になられたような制度との違い、その間に要するいろいろな手数あるいは時間の違いをお考えいただければ、指紋押捺制度の合理性はさらによく御理解いただけるものと思います。
○横山委員 何を言っているかわからぬがね。初めからわしは指紋は押しません、何遍も名前言って済みませんが、ここに森代議士と高村代議士、その二人の証明書、横山利秋は間違いありませんという証明書を持ってくればオーケーと言うのか言わぬのかと言っておるのだ。あなたは面倒くさいので嫌だ、そんな面倒くさいことを――何が面倒くさい。それなら、指紋というものは目の前で押すのではないのです。ずらっと並んでいるから押して持って来た、この指紋が横山利秋の指紋であるか、同一人と確認するか、窓口でそういう設備があるわけじゃないよ。それよりも、森、高村の証明書の方がわかりやすいがね。
○小林(俊)政府委員 ここに書いてございます補足的な要件は、保証人二名が現場に出頭して証言をするということを求めているのでありまして、保証人から証明書を持って来いということは申しておらないわけでございます。もし証明書というような手段を講ずるならば、しからばその証明書の真正、バリディティーを立証する手続がさらにまた必要になるわけでございます。したがいまして、そういう保証人二名を六十万人について一々窓口に出頭させるというようなことは言うべくして不可能であるということを申し上げたのであります。
○横山委員 けれども、できればいいのでしょう。その証明書を本人が持って来いとこの通達のどこに書いてあるのですか。
○小林(俊)政府委員 信頼すべき保証人二名の出頭を求めてその陳述を得るというふうに書いてございます。
○横山委員 この何ページに、どこにそういうことが書いてある。出頭を求めて陳述をと、どこに、何項ですか。
○小林(俊)政府委員 六ページの(3)にございます。「市区町村長は、不押なつ意向表明者が三回目の交付予定期間指定書により指定した期日に出頭した際にもなお指紋を押なつせず、指紋による同一人性の確認ができない場合には、写真の照合、原票の記載内容の点検及びその他の確認手段によって同一人性の確認ができるかどうかを判断し、同一人性の確認ができた場合には、」云々とございます。「この場合において、その他の手段による同一人性の確認は、同一市区町村内に居住する信頼するに足りる保証人二名から同一人物である旨の陳述を得て行うものとし、保証人には登録証明書の提示又は住民票の写しの提出を求めることとされたい。」とございます。
○横山委員 「陳述を得て」ということは、本人が窓口に来なければいかぬとは書いてないのです。いいかね。そういうことは、この通達のまた細目通達を出して、この第三項の「陳述を得て」ということは本人が窓口へ来なければいかぬと書くつもりかね。とにかく、そういうふうになってくると通達のまた通達が必要だ。それから、ブロック会議をやって説明をされるうちにこの解釈にまたいろいろな問題が出てくる。だから、私は全面的に反対だけれども、信頼するに足る二人の保証人という制度が、この際オーソドックスに窓口を広くして本当に信頼する人が証明するならこれはよろしいというふうに、あなたみたいにきめの細かい縮小解釈をしないで拡大解釈をして、これによってあなたの方の指紋制度のメンツを保ちながら少しでもこの運用を活用することを僕は勧めたい。どうだね、法務大臣。
○嶋崎国務大臣 先ほど入管局長から説明があった問題もありますが、この問題の性格から考えまして事前にぜひ押捺をしていただきたいという手続を踏みまして、その上でそういう整理をする方が筋合いとして合っておるのではないかと私自身は思っておる次第でございます。
○横山委員 先ほど、理事会で言った、当職に照会し、指示を求めよという文書、ここに四つあるのです。北海道のある村で村長が困ったときには当職に指示を求めよ。当職というのは入管局長。何の指示を求めよというかということで、第一に肉眼による指紋照合が困難で、同一人と判断するのが困難だ。肉眼によってこの指紋が同一人であるかどうかわからぬ。技術的にどういう施設でどうやって――天眼鏡で見るか何か知らぬけれども、そんな施設なんか窓口の北海道の村にありはせぬわ。九州の鹿児島の奥の村にはありはせぬわ。どこにもそんな施設はありはせぬ。厳密に肉眼によって同一人と判定困難――「肉眼によって」と書いてある。困難なときには当職に指示を求めよ。おれに聞いてこいと言う。おまえさんに聞いたらわかるのか、そんなことが。 二番目、六カ月経過して同一人であることの確認が困難なときにはおれに聞いてこい。おれは偉いものだな。 三番目、同一人性に疑問のある場合あるいは出てこない場合、おれに聞いてこい。指紋照会について関係機関がいろいろ照会してきた場合に判断に困ったときにはおれに聞いてこい、みんなおれに聞いてこいだ。当職に照会し、指示を求めよ。そんなに当職は偉いのかね。神様かね、おまえさん。そうして、全国から当職に照会してきたときに処理する能力を持っておるのかね、当職は。県知事を経由して当職に指示を求めよ。そんな大げさなことを言って、これはどういうことだ。行政簡素化に逆行すること甚だしい。あなたを信頼しますからひとつしっかりやってくださいと言うならいいけれども、ちょっとでも疑問があったら当職に指示を求めよ。逆行も甚だしい。当職だってそんな神様でもあるまい、仏様でもない。今のところ鬼だ。鬼がそんなことできるはずがないではないか。そうして、いたずらに当職は迷って部下に「これはどうだ、あれはどうだ」「今検討しております」「そうか、早くやれよ」。明くる日「どうだ」「まだ検討しています」、一カ月かかる、二カ月かかる、三カ月かかる。行政の渋滞を招くこと甚だしいことになる。当職の指示は実現不可能だ。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、指紋の問題については、何というか、肉眼で見分けができないのだという前提で事柄を処理されるということが非常に多いようでございますけれども、現実に法務省の中でもいろいろな整理をやっておるのですが、肉眼でその区別ができるという場合が非常に多いわけでございます。そういう努力を第一線でもぜひやっていただきたいと私たちは思っておるわけでございます。 それからもう一つは、そういうような問題について途中でいろいろな疑問があったことについてはできるだけ早く連絡をして処理して対処していくという方がいいのではないかと思っておるわけで、別に胸に手を当ててこうやうているつもりでは全然ありませんで、いかにその事態、事態に応じて的確に対応するか、問題があったらそれは連絡をしてくださいよ、こういうことが書いてあるわけでございます。
○横山委員 私は、この委員会で、一番人間を増加させなければいかぬのが登記所だ、その次が入管だと、応援軍のつもりでおった。これは人が足らぬからそう言っておった。登記所は皆さんが割合に好意を持って人をふやしてきたけれども、入管には皆さん認識が足らぬで、応援軍のつもりだった。当職に指示を求めよ。その指示を次から次へとさばいていく人間がおるのですか。私の認識違いだったかな。当職の手助けをする人間がわんさとおって電光石火のごとく処理できるようなことになっておるのかね。それなら定員増加運動をやめるわ。そんなにうまいこと手さばきができるのかね、当職に指示を求めたら。
○小林(俊)政府委員 私どもといたしましても、通達に書いてございます法務省当局に指示を求める事例がおびただしい数に上るとは考えておらないわけでございますが、指紋の照合のみについて申し上げますと、指紋の照合そのものは、これは裁判所にも指紋のひな型を提示して、裁判官にこれが肉眼で照合できるものかどうかということを判断していただいたこともあったくらいでございまして、第一義的に肉眼による判断ができないものではございません。そこで、非常に似通った指紋が出てきた場合、あるいは似ているけれども若干違うといったような疑問が生じた場合には法務省の方に照会してほしいということでございます。その場合には、その件数がそんなに多くないということを前提といたしまして、法務省においてこれをさらに綿密に審査するということは可能でございます。入国警備官の中には指紋の鑑識の専門的な教育を受けた者も現に存在するわけでございます。
○横山委員 かねがね当委員会で私が法務大臣に言っているように、あなた方の部下が現場におってこの通達を全部やるならそうは言わぬ。けれども、指紋問題については、一にかかって全部地方自治体がやらなければならぬ。あなたの気持ちと実現性の担保の間に、命令権、それを受任して、通達を受任してやるという人間との間に見解なり服従度なりいろいろなことで違いがある。だから、そこのところをよう心得て法務省はやらなければいけませんぞ。気持ちはわかるけれども、実行が困難なことを言ってはいかぬ、恥をかくばかりだという意味のことをしばしば申し上げておる。今回の通達で地方自治体がどんなに仕事がふえるか。ただでさえ三十数万の切りかえで大変なときに、新たに同一指紋の確認について厳密な手続をせよと言う。それから、告発義務を厳重にやれと言う。登録証明書の取り扱いについてこうしろと言う。不押捺者に対する措置については説得行為をやれと言う。サービス行政というのは――説得行為と言うけれども、これは脅迫行為ですよ。あなた、判こを押さぬで、そして交付予定期間指定書を渡すからそのときに来ないといかぬよとか告発されるよ。説得行為というけれども、これはある意味では脅迫行為ですわ。照会、回答の取り扱いとか、今度はどういう運動があった、押しかけた、どういう処置をしたということの報告をしろ。実に、地方自治体に対してたくさんの新たな任務を課しているわけです。これは法務省がどう考えても地方自治体が迷惑千万だと言うに決まっておるのです。ごうごうたる反響が今沸き上がっているのですよ。窓口としてはまあここまで来たらやらなければならぬかもしれぬけれども、これは我々の苦衷なり我々の意見なり、我々が今まで何ぼ言ってきたかわからぬ。指紋押捺について反対した議会は八百、それから告発はしないという方針をほぼ決めたのが二十の地方自治体の首長。そして窓口からは、何回も何回も皆さんにいろいろな陳情なり今度の改善についてはこうしてもらいたいといったことが一顧だにされなかったという批判は実に横溢しておるのですよ。(「少数派」と呼ぶ者あり)冗談じゃないよ。聞いてごらん、おまえさんの選挙区に。市長は、おまえさん、法務委員だったらもっと頑張ってもらわなければ困ると言いますよ。 そういう天の声、地の声、人の声を全く無視してやられては、これはあなたの部下がやるならそうは言わぬけれども、地方自治体がやるについては大変なことだ。ブロック会議でごうごうたる不満の声が出ますよ。そして、そこへ行った人はこの通達を説明しながら、先ほどから私が言ったような愚文章をまた入管局長が言ったように適当に解釈してそして説明をする。この文章と口頭の説明と違いますがという問題が出てくる。私はこの通達はまことに間違っておると思います。 委員長に御相談ですが、冒頭申し上げたように、きょう理事会で大もめにもめて、結局は一応質疑に入るということだったですね。自民党の皆さんが理事会で通達を見たこともない、重大性がわからぬということですから、私はあえて事の問題点を自民党の諸君にもよく聞いてもらうように言ったわけです。一人帰ってしまったけれども、けしからぬ。――おるか。ちょっと森さん、聞いておいてくれよ。何のために二時間私がしゃべったか、わけがわからぬ。 この問題提起を含めて、委員長にこれから休憩のときにどうすべきであるかということを判断してもらう。問題は二つですよ。一つは法務省の取り扱いの不手際、国会軽視、一つは内容的な問題点ということなんです。その話をお伺いすることになるのですが、私は、かかることがなければ法案審査に入るべきだ、ところが、かかることが起きたために法案審査に全然入れないのです。私は国選弁護人について二時間要求しておる。今の二時間は法務省の不手際から起こったことですから、私は法案審査に対する二時間の質問権を留保いたします。 ですから、その点をお含みの上今後の議事運営を御検討されるよう希望して、一応休憩をお願いいたします。
○片岡委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十一分開議
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。小澤克介君。
○小澤(克)委員 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案について若干お尋ねしたいと思うのですが、その前に、きょう午前中の横山委員の質疑を聞いておりまして、いろいろな問題点があろうかと思いますので、これについて若干重ねてお尋ねしたいと思います。 外国人登録事務の運用についての五月十四日付通達、これが当委員会で午前中に議論になったわけでございますが、この前文の中で「政府が今国会に外国人登録法改正案を提出する方針を決定した事実はない。」こういう記載があるわけですが、しからば今国会以降についてはどうなのか、これをまず明確にお答えいただきたいと思います。
○嶋崎国務大臣 この問題につきましては、かねて検討をしてまいったわけでございまして、さきの委員会等におきましても今国会中提出することは困難だということを申し上げたわけでございます。これ以後どういうことになるかということでございますけれども、御承知のように今大量切りかえというものを前にして、何らかの検討を進めなければいけないというようなことで、さきの政令の改正及び指紋押捺の方法等につきまして工夫を加えたわけでございます。また、多くの自治体の皆さん方にも御協力を得てこの仕事をやっていただかなければならぬということを前提にして、ぎりぎりこの十四日というような日程の中にこれを整理してきたというのが経緯であるわけでございまして、そういう意味で、今後この問題は今の条件の中で何とか消化をしていきたいし、またそういうことを前提にする以上新たな改正というものを行わないというような気持ちでおるわけでございます。
○小澤(克)委員 今の点に関して午前中の答弁で、制度上、運用上の各般の問題点について協議を重ねている、しかしこれは問題点についての協議を重ねているということであるから、法律改正ということには直ちにつながらない、こういう答弁があったのですが、これはこのとおりなんでしょうか。確認させていただきます。
○嶋崎国務大臣 実は、その通達を書くときに随分苦労して書いてきたのだと思いますし、午前中御答弁申し上げましたように、そういう考え方で特に日韓の共同声明で外国人の地位及び待遇については一般的に引き続き検討するという事実が書かれており、そのこと自体が残っておる、そういうことでその問題点について整理をするという作業を進めてきた、そしてここで先ほど申しましたような事態を前提にしまして一つの答えを出して対処をすることになったわけでございます。そして、今後としましてはそれで対処をしたいというふうに思っておるわけでございます。その後どういうぐあいな扱いになるかということにつきましては、やはりそういう事実の中で具体的に問題の運用を取り仕切ってやっていき、行政制度の問題でございますから、いろいろな意味で経験なり実績なり、我々が努力した経過がどういうぐあいになるかということを十分見きわめて判断をすべき性格のものであって、今ここで将来どうするかということを御確約申し上げるということには少なくとも指紋制度に関する限りはないと思っておるわけでございます。
○小澤(克)委員 この通達の前文なんですが、先ほど横山委員も指摘しておられたところですけれども、「制度上、運用上の各般の問題点について」「検討を重ねているところであるが、」「今国会に改正案を提出する方針を決定した事実はない。」こう書いてあるわけです。先ほどの入管局長の御答弁では、問題点について検討を重ねているということだから、法律の改正ということにはつながらないのだ、こういうことだったのです。 それではお尋ねするのですが、この文章で「重ねているところであるがことした上で法改正について言及しているのはなぜなんですか。別のことを書いてあるのであれば、文章として、こうこうであるがこうこうではないというのは論理的につながらないでしょう。その点どうなんですか。
○小林(俊)政府委員 特に「今国会に外国人登録法改正案を提出する方針を決定した事実はない。」ということを書きましたのは、そういう印象を与える報道が本年二月の末以来行われていたことに関連するわけでございまして、それを念頭に置いて疑念を払拭するために書いたのでございます。「制度上、運用上の各般の問題点について」「検討を重ねている」というのが現在までのぎりぎりの言い得る事実に即した表現でございまして、後段の点は今のような考慮からつけ加えられたものでございます。
○小澤(克)委員 それじゃおかしいのですよ。AであるがBでないという場合には、AとBの間に密接な関連があるわけでしょう。問題点について検討を重ねているということと、法令について改正云々を検討しているということは全然別の事柄だということであれば、AであるがBでないというふうに文章をつなげるわけがないでしょう。それが別のことだと先ほど答弁したからおかしいと言うのですよ。この文章に即してないではないか、こう指摘しているわけですが、いかがですか。
○小林(俊)政府委員 全く論理の問題として申し上げれば、制度上、運用上の問題点について検討するということは、改正案を考えるということと全く無縁のことでございません。検討の結果、改正案になるということは観念的にはあり得ることでございます。したがって、論理的に関係のないことを並べたということにはならないと存じます。
○小澤(克)委員 そうすると、午前中の答弁はおかしいのじゃないですか。これは問題点について検討を重ねているということであるから、法改正にはつながらない、別の問題だ、こういうふうに言ったのじゃないですか。
○小林(俊)政府委員 私、議事録をもう一遍見てみないと確信を持っては申し上げられませんけれども、改正の方針を決定したということを意味するものではない、あるいは改正の可能性があるということを意味するものでもないということでございまして、そういう観点から申しますと、先生さっき問題点について検討を重ねているということは改正案を提出するということと必ずしも直ちに結びつかないという意味なんですねというふうに御質問になりました。したがって、これに対する大臣の御答弁はそのとおりであるということだと思います。
○小澤(克)委員 結論としてどうなんですか。さっきから何度聞いてもわからないのですよ。問題点について検討を重ねている。今後も重ねるのでしょう。それで今国会には改正案を提出する方針は決定していない、今国会にはという限定をしているわけですよ。それでは次国会以降はどうなのか、だれだって疑問に思いますよ。その点についてはっきりさせてください。どうなんですか。
○小林(俊)政府委員 一言でお答え申し上げれば、次国会と申しますか、ことしの大量切りかえ以降、すなわち来年以降の問題については白紙であるということだと思います。
○小澤(克)委員 白紙であるということは、改正もあり得る、あらゆる可能性がある、だから白紙だ、こういうことですね。 次に、午前中にも問題になりましたが、この通達の5のところ、九ページ以下登録済証明書の取り扱いについて言及しているわけですけれども、この登録済証明書の交付ということは機関委任事務なのか、そうでない独自の事務なのか、とうとう午前中答えなかったのですが、どっちなんですか。はっきりさせてください。
○小林(俊)政府委員 厳密に法的に申し上げればこれは機関委任事務の一部とは言えないと存じます。
○小澤(克)委員 そうすると、この通達の5の部分は、委任者が受任している機関に対して委任の事項について一定の指示をしたという意味合いはない、こういうことになりますね。
○小林(俊)政府委員 この登録済証明書の交付という事案と申しますか、措置は、自然発生的にと申しますか、住民の方の必要に応ずるための住民サービスの一つとして経験的にまた慣行的に発生し行われるようになったわけでございます。しかし、この措置は外国人登録法に基づいて行われておる登録の結果作成される登録原票の記載事項を証明するものでございますので、外国人登録業務に密接に結びついておることでございます。また、そういうふうに経験的に発展してきました制度が地方ばらばらでは、これはまたいろいろと矛盾あるいは困難を生ずるわけでございますので、中央におきましてそのやり方を統一する必要が住民の利益の上からも存するわけでございます。そういう観点から、その外国人登録を主管しております当局といたしまして全国的に同じようなやり方が行われるように一つの方式を定めてこれを地方に提示したということでございます。 そういう意味でございますから、指示するということの意味がまた非常に観念的に言えばあるいは問題になるのかも存じませんけれども、私どもとしてはこうあるべきであるという見解を示したというふうにお受け取りいただいても結構でございます。
○小澤(克)委員 確認しますが、そうすると、一定の基準を示したのである、委任者としてこうやれという受任者に対する指示、命令という意味合いはない、こういうことですね。これは自治体の労働者などから私、聞かれることがあり得ると思いますので、はっきりさせておいてください。今のような言い方でいいわけですね。要するに基準を示したのである、これに法的な拘束力はない、こういうことですね。
○黒木説明員 この登録済証明書と申しますのは事実証明でございまして、先ほど入管局長がお答えしましたように、いわゆる私どもの委任事務には入っておりません。ただし、この事実証明という行為を市町村が行う場合には私どもが機関委任事務をして作成された登録原票を利用して証明するということでございますので、ちょっと言葉はラフになりますけれども私どもの登録証明書を勝手に使われるということについては問題がございますので、私どもが事務を委任しております範囲内のものを利用していただく場合に、こういった場合は利用してもらって結構だ、こういった場合は利用してもらっては困りますということは申し上げられる、こういうことで通達の中に入れているわけでございます。
○小澤(克)委員 そうすると、固有の事務であるが、そのもとになるものが、その資料が機関委任事務によって作成されたものであるから、その利用に当たってはこうこうこういうふうにしていただきたい、要するに要望であり基準を示したものだ、こういうことですね。いかなる意味でも法的な拘束力は持たない、委任者として受任者に対する指示、命令としての効力は持たない、こういうことでよろしいのですか。イエスかノーではっきりさせてください。
○黒木説明員 厳格に申せば固有事務でございますので、市町村が勝手に使うという場合はあり得るだろうと思いますが、ただ私どもの委任しておる原票をそのようにみだりに使ってもらっては困るということは国の立場からはっきり言っておるわけでございます。
○小澤(克)委員 そうすると、この原票に基づく登録済証明書の交付を行ってはいけない、そういうことを勝手に使っては困るよ、こういうことになるわけですか。もし勝手に使えばそれを一種の法違反になる、こういうことになりますか。
○黒木説明員 使ってもらっては困るということを言っているわけでございます。ただ、これにつきまして、仮にその違反と申しますか私どもの指示に反するような行為があった場合、じゃどういう手が打てるのかということについては、法律上これに対する手当てといいますか、規制措置というのはございません。
○小澤(克)委員 そうじゃなくて、観念的にそもそもこの通達の5に従う義務があるのかどうかということですよ。事実上それを強制する手段があるとかないとかいう問題じゃなくて、そういう指揮命令の関係に立つのかどうか、そこをはっきりさせてください。さっきから重ねて聞いているわけですがね。
○黒木説明員 勝手にお使いいただいては困るわけでございます。
○小澤(克)委員 そういう指揮命令なんですね。どうなんですか。困るというのは単に困惑するというだけじゃないでしょう。
○黒木説明員 私どものお願いしております外国人登録事務ということでつくられ管理されている書類が市町村の都合で勝手にほかに転用されるということについては、私どもとしてはこれを使ってもらっては困りますということを申し上げるわけでございます。
○小澤(克)委員 おかしなことを言いますね。ほかに勝手に転用すると言うけれども、目的外に転用するわけじゃないでしょう。何でほかに勝手に転用することになるのですか。
○小林(俊)政府委員 この登録済証明書を作成するためには、先生先ほど御指摘のように外国人登録法に基づく登録原票を使用するほかないわけでございますが、これを使用するに当たりましては、この業務の主管官庁である当局さらに広くは政府の指示を行う余地が十分あると存じます。したがいまして、これを使用することにつきましては当局の指示に従う義務を市町村は負っていると私どもは考えます。また、逆に言えば、登録済証明書を市町村が発給しない場合に、これを発給しろという命令あるいは指示を出せるかどうかということは非常に疑問でございますし、その点は恐らくそこまで指示はできないのだろうと思います。しかし、それは登録原票を使用しないということでございますから、使用することにつきましては、政府としてはこれを指示する余地があると思います。しからば、その指示に反して市町村が登録済証明書を作成してしまったという場合に、これは明確に通達に反するわけでございますけれども、その場合にこれを担保する法的な根拠があるかという点は、これはなお詰める必要があると思います。これは地方自治法百四十六条に基づく職務執行命令の対象とすることができるかどうかということに尽きると思います。その点につきましてはさらに詰める必要があると思いますから、私は軽々にお答えを申し上げませんけれども、しかしその条項に最終的にはかからしめる可能性が全くないとは私は存じません。
○小澤(克)委員 おかしいですね。機関委任事務じゃないということを最初にはっきりおっしゃったのじゃないですか。固有事務であれば、おかしいでしょう、今のは。そうすると、法務省として、あるいは入国管理局として言えることは、原票についての管理責任者であるから、その利用方法について一定の、単なるお願いではなく、拘束的な効力を持った命令をなし得る、原票の管理者たる地位においてそれをなし得るということですね。交付を行う、行わないという行為に関して、その行為それ自体について言及し得る立場ではない、こういうふうに言っていいわけでしょうか。
○小林(俊)政府委員 先ほど申しましたように、交付を行わないことについては政府としては恐らく何もできないと思います。(小澤(克)委員「行うことについては」と呼ぶ)行うことにつきましては、これは原票を使用するわけでございますから、政府の指示に反して使用する場合に、その指示というものが市町村の負っている義務に違背する、指示に違反するということが義務に違背するということに解する余地は大いにあると思います。
○小澤(克)委員 だから、それは、交付を行う、交付行為それ自体に対して言及し得るのか、それともその資料の使用方法についてのみ言及し得るのか、どっちなんですか。
○小林(俊)政府委員 資料の使用についてであるというふうにお考えいただいて結構であると思います。
○小澤(克)委員 それから、この登録済証に関して、法務大臣が十六日に毎日新聞社の記者のインタビューに対して、切りかえ前の登録証に基づく登録済証明書の交付は可能だ、それはこの通達にも書いてある、こういうふうにおっしゃったという記事が出ておりますが、まずこれは事実でしょうか。
○嶋崎国務大臣 毎日の記者さんがインタビューに来られたときに話をしておったわけでございますが、前の登録証を引き続いて持参をしておるという状態になっておるでありましょうし、それからそういう申請が出てきたときには、このただし書きにありますように「新規登録以外の申請に係る不押なつ意向表明者で交付予定期間指定書を交付されているものから、指紋不押なつ意向表明前の登録事項について登録済証明書交付方申請があった場合には、備考欄に」こういうことを書いて、「記載した登録済証明書を交付して差し支えない。」こうなっておるわけでございまして、そこをそういう処理をして対応するということに相なりましょう、こう申し上げたわけです。そして、そういうことの運用の中で、具体的なケースの判断というのはそれぞれのそれを処理するところで御判断を願うということになりましょう、こういうことでございます。
○小澤(克)委員 さらに、同じ新聞記事によりますと、川崎謙輔法務省審議官が「古い登録証による登録済証明書が有効か無効かは処理にあたる自治体が判断することだ」とし、さらにその使用を「拒否する自治体はないだろう」というふうに述べたとありますが、これも事実関係はこのとおりでしょうか。
○小林(俊)政府委員 指紋不押捺の意向を表明したために登録済証明書の作成、交付について一定の限定が付されるわけでございますが、しかし既に登録してあるものについては、既登録事項についてはその証明書を発給してもよろしいということでございます。したがいまして、その証明書そのものは明らかに有効な証明書でございます。文書としては有効なものでございます。ただ、その文書に証明されている内容に限定があるということでございます。したがって、その証明書が文書として無効だというふうに言われることはいかなる場合においてもあり得ないと思いますけれども、その証明している内容に限定があるわけでございますから、それが有効に作用するか否かということは、その証明書が何の目的のために請求され、提出されたかということによって差が出てくるということはあり得ると思います。例えばこの証明書が結婚の場合の相手方に対する一つの資料として提出されることもあり得るでしょうし、あるいは商取引の場合に相手方の信用を得るために提出されるということもあると思います。そういった場合にそれがどう受け取られるかということは、提出を受けた方の対応によって変わってくるわけでございます。また、行政の窓口にそれが提出された場合どうなるかというと、行政の窓口に提出された目的によって変わってくるのじゃないかと思います。したがって、普遍妥当的にこれがいつも通常の指紋押捺者の証明書と同じように扱われるだろうという保証は申し上げることはできませんけれども、しかし、そういった限定があるにせよ、証明書そのものが文書として有効であるということは間違いないと存じます。
○小澤(克)委員 私がお尋ねしたのは、事実関係がこのとおりですかと聞いたのですが。
○小林(俊)政府委員 川崎審議官が毎日新聞に答えた説明全般が出ておりませんし、またどういう説明をしたのかということについて報告を受けておりませんので、そこに引用されておる一部分だけを取り上げますと、的確に何を言おうとしているのか必ずしも明確ではない。その市町村がそれを無効として……(小澤(克)委員「要するに報告を受けていないのね、この事実関係について」と呼ぶ)説明の内容については報告を受けておりません。
○小澤(克)委員 この川崎発言については報告を受けてないということですが、今聞かないことに一生懸命に答えられましたけれども、今のお答えの内容で、文書としてはもちろん有効だ、それはそうでしょうね。そしてその効力についても、大抵の自治体はその文書の使用を断らないだろう、こういう判断についてはどうなんですか。正確なんでしょうか。
○小林(俊)政府委員 これも、先ほど申し上げましたとおり、その証明書が提出される目的によると存じます。
○小澤(克)委員 では、一つ一つ聞きますが、先ほども横山委員が指摘されたことがありましたね、運転免許証の取得のための手続にこれを添付した場合は有効ですか。
○小林(俊)政府委員 それは、運転免許を主管している官庁ではございませんので、私としては何ともお答えの仕方がございません。
○小澤(克)委員 ほかについても全部そうですか。営業の許可とか健康保険の加入とか社会保険の加入、不動産売買登記、学校の入学、身元保証、各種資格取得、各種融資、これらについても答える立場にない、こういうことになりますか。
○小林(俊)政府委員 端的に申し上げればそういうことでございますが、私どもとしては、同じ行政目的のためにこの限定的な証明書が使用された場合に、窓口によって取り扱いが違うということが起こっては困ると思い壊す。もしそういうことが起こるようであれば、これは何らかの調整措置を講ずる必要があると思いますが、しかし目的が違う場合に、取り扱いが変わってくるということはあり得ると思います。
○小澤(克)委員 不動産売買登記については、民事局の方いらっしゃらないですか、これは広い意味で法務省だと思いますが、どうでしょうか。
○小林(俊)政府委員 これも責任を持ってお答えし得る立場にございませんので、法務省内で検討と申しますか、照会の上お答え申し上げたいと思います。できれば別途先生に直接お答え申し上げたいと思います。
○小澤(克)委員 そんな効果についてわけのわからぬものについて、この通達でこういうものをわざわざ何とか書いた上で、何日以降未確認と書いた上の登録済証を発行しなさいなどということを通達したのはなぜなんですか。
○小林(俊)政府委員 これは登録原票に基づいて私どもが証明し得る限度がそこに生じておるからでありまして、それ以上のことはその時点においては少なくとも証明できない、証明できるところまで証明いたしますという趣旨に即するというのがその理由でございます。
○小澤(克)委員 何日以降確認未了と記載した登録済証を交付して差し支えない、わざわざ通達しているのですよ。これは何を予想して、こういうものなら交付していいということをわざわざこの通達に入れたのですか。
○小林(俊)政府委員 これは既に登録を何回も下しておる人物についてそこまでは証明することが事のことわりの上からいっても当然でございますし、証明できるところまでは証明してあげるというのがとるべき措置であろうというふうに考えたからでございます。一概に、指紋の押捺拒否を表明している者については登録済証明書を発給しないということをしてしまうのは度を過ぎた措置ではないかという反省があるいは考慮があったからであります。
○小澤(克)委員 だから、何の目的を予想してこんなものを発行して差し支えないとわざわざこの通達に書いたのかと聞いているのですよ。そんな、何に使われるか、どういう効果を持つかわからぬものを、わざわざこんなものを発行していいと書けばかえって混乱するでしょう。だから、何らかの目的があって書いたのじゃないのですか。どうなんですか。
○小林(俊)政府委員 もしその規定をあるいはその記述を設けなければ、市町村においては指紋押捺を拒否している人に対しては、新たな登録証が発給されるまで一切登録済証明書を発給しないということになるおそれがございます。また、その間に、そこに書いてあるようなことはよろしいのではないかという気持ちを持つところも出てきますでしょう。そういった混乱あるいは不統一を生ずることを避けるために、できるところまではしようということで統一的な措置を定めたものでございます。
○小澤(克)委員 何に使う目的でこういうものを交付して差し支えないと書いたのかと先ほどから聞いているのですがね。
○黒木説明員 私どもがこの規定を入れますときに考えましたのは、現在でもあるわけでございますが、過去の事実についての証明ということがございます。これも限定的になりますけれども、いついつどこに住んでいたとか、そのときの世帯主がだれであったかといったことの証明願もあるわけでございますので、そういった場合に備えてでございます。
○小澤(克)委員 そうすると、切りかえ前の過去の事実についての証明としての効力はあるであろう、こういう予想のもとにこの通達にこの一文を入れた、こういうことになりますね。 では、もう一遍聞きます。 運転免許の取得の更新に当たってはどうなんですか。
○黒木説明員 その登録済証明書が現在の状況を証明するためのものであるとすれば未確認でございますので、私どもとしてはその原票を利用されることは困るし、適当でないということで登録済証明書を出さないように、こう言っているわけでございまして、仮に運転免許の場合、そういう例が当てはまるかどうかは存じませんけれども、過去の住所を証明するために必要であるというものであれば利用できるであろうというふうに思います。
○小澤(克)委員 そうすると、過去の住所を証明して、それが何らか役に立つ場合というのは何があり得るのですか。旧登録証でも登録済証明書を交付するから一定の救済措置になる、こういうふうにおっしゃっているのじゃないですか。どういう場面で救済措置になり得るのでしょうか。
○黒木説明員 具体的にと申しますか、私どもが先ほど申しましたように、過去においてそういう過去の事実の証明、証明願というのが現にあるわけでございますので、過去の部分まで原票の利用を断るうというつもりはなかったということでございまして、お尋ねのように、具体的にどういう例だといいますと、ちょっと適切な例と申しますか思い浮かばないというわけでございます。
○小澤(克)委員 過去の事実を証明したって余り意味ないですよね。その後住所が変わっておればそれっきりですから。そうすると、何でこれが救済措置になるのですか。
○黒木説明員 ちょっとお尋ねの趣旨がよくわからないのでございますけれども、そういったものが現在は未確認であるということで、私どもが証明を、原票の利用をしないようにという指示をしたわけでございますけれども、例えば、では拒否する前の状態はどうであったかということについて、もし証明することができるのであれば、それが限定的に活用されるのではないかというふうに思うわけです。
○小澤(克)委員 これは毎日の生活の問題なんですよね。運転免許の更新をしたいとか、営業許可を申請したいとか、健康保険に加入したいとか――現在の住所を証明する効力はない。そのものを持っていったときに、その手続を受け付ける側ではどうしていいかわからぬでしょう。こんな通達を出すと混乱するばかりじゃないですか。どうなんですか。通達を出すなら、この証明書についてはこうこうこういうふうに使いなさい、そこまでやらないとかえって混乱するのじゃないですか。そこを統一的な見解を出してくださいよ、困りますよ。第一線で受付事務をやっている人はどうするのですか。
○黒木説明員 登録済証明書の点でお尋ねでございますけれども、理屈を若干申し上げますと、例えば確認申請などに出てまいりました外国人が指紋を押さないという意向を表明した場合におきましては、写真、指紋その他によって人物の確認をするということが法律上の要請になっているわけでございます。ところが、指紋を押してもらえないために人物の確認がまだ完全に終わっていない、こういう状態の登録原票の正確性はどうであるかということになりますと、まだ完全な確認が終わってない状態のままでその人物がこういう人物である、どこに住んでいるだれであるという証明は理屈としておかしいということで、本人を説得している期間、すなわち私どもの通達では三カ月でございますが、この三カ月間に限っては、登録をしているという証明を願い出てきても原票を利用するというのは不正確な内容を証明することになるからそれは差し控えるように、こういうのが通達の趣旨でございます。 ただ、それだけで申しますと、先ほど申しましたように、現在は不確実かもしれないけれども過去においてその町でこういう状態で登録していたということの証明を願い出てくるケースがあるわけでございますから、その場合までも断わることはないだろう、だから、その部分は証明できるんだからそこは証明してあげよう、こういう趣旨で通達も書かれておるわけでございます。
○小澤(克)委員 それはわかっているんですよ。だから、そこまで親切に、証明できる範囲で証明書を交付しなさい、そういう通達を出しているわけですよね。それによって交付された証明書がいかに利用されるのか、いかなる効力を持つのか、それについては知りません、これじゃ困るでしょう。運転免許だったら公安委員会ですか、公安委員会の方で判断してください、これじゃ混乱しますよ。こういう証明書を出しなさいと通達を出した役所の責任はどうなるんですか。そんな効力のわけのわからぬものを発行させたら混乱しますよ。この通達、こんなものでいいんですか。
○小林(俊)政府委員 この通達によって交付される限定的な登録済証明書の証明内容、その証明に伴う限界というものは一目瞭然だろうと思います。何月何日まではこういう状態にあったということを証明しているんだということであります。したがって、その証明書が提出された目的に従って十分と認められるか否かというのは行政目的によって変わり得ると思いますし、また、その行政機関の行政目的に照らしての判断に係る点が多いと思います。しかし、私どもとしてはそこまで一々規制する立場にはございません。ただ、同じ行政目的で提出された場合に、窓口によって取り扱いが違うということがあっては困ると思います。いずれにせよ、もしこの問題について具体的に行政の窓口、これを受ける方から疑問あるいは混乱が生じた場合には恐らくその中央機関に対してその疑問が行くでありましょうし、その中央機関から私どもに協議があると思いますので、その際には十分その性質に照らして協議に応じたいと思います。
○小澤(克)委員 どういう方向で協議するのですか、法務省として。通達を出すからには、そこまで計算の上でしょう。
○小林(俊)政府委員 この種の証明書が利用される行政目的は極めて多岐にわたりまして、その多岐にわたる行政目的の一々についてこれが認められるべきである、これは認められないということを私どもの方から一々関係各省に指示をするあるいは意見を申し述べるという必要は別にないと存じます。何となれば、その証明内容がはっきりさえしておれば、通常の場合には行政目的に従って、照らして判断がなされ得るものと考えるからであります。
○小澤(克)委員 今、統一的に扱われるべきだとおっしゃったのではないですか。
○小林(俊)政府委員 統一的にと申し上げましたのは、同じ行政目的に関する限りその枠内においては統一的でなくては困るということでございまして、それに混乱が生ずるようであれば私どもとしては何らかの調整措置を講ずる必要が生ずるであろうということを申し上げた次第でございます。
○小澤(克)委員 運転免許の取得なら取得の枠内で各公安委員会によって取り扱いが違っては困る。それは法務省がどうこう言う問題ではないでしょう。統一的というのは、運転免許であれ営業許可であれ、それら全体について統一的に使われないと混乱を生ずる、こういうことになりませんか。
○小林(俊)政府委員 再々申し上げましたように、この証明書の証明する内容あるいはその限界は明確でありますので、その証明する限界内において十分だと判断される行政目的もありますでしょうし、現在の状態が証明されない限り不十分だと判断されなければならない行政目的もあると思いますので、その点についてあらゆる場合に統一的である必要は私はないと思います。ただ、同じ目的に使用された場合に違った受けとめ方がされるというのは混乱を招きますので望ましくないと思いますから、その場合には調整をするであろうというふうに考えたわけであります。
○小澤(克)委員 抽象的な議論をしていても時間のむだですから、運転免許の取得について公安委員会でしょうか警察庁になるのでしょうか、問い合わせがあったら法務省としてどう答えるのでしょうか。
○小林(俊)政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、静岡の公安委員会ではこれを受理するけれども東京では認めないということでは困るであろうということでございまして、その間の統一は必要であろうと私どもは考えます。ただ、この点について警察庁の方から協議があった場合どうするかという御質問でございますが、その前に、まず警察庁がどう考えるかということが来ると思います。そこで、警察庁の方でさらに疑問があればその疑問に応じて私どもは協議に応じたいと思います。
○小澤(克)委員 法務省の入管の通達に基づいて出した公文書ですよ。その効力についてどう扱おうかというふうに問い合わせがあったら、どう答えるか。そんなことぐらい検討の上でこの通達を出したのではないのですか、どうなんですか。その辺は全く白紙のままで出したのですか。
○小林(俊)政府委員 その証明書が証明している限度が明確でございますから、したがって行政官庁において判断し得ると私は考えます。その上で判断できないということであれば、判断できない理由を聴取して私どもの見解を述べたいと思います。
○小澤(克)委員 だからどう述べるんですか、免許証について。抽象論はいいから、法務省の考え方を言ってくださいよ。そこまで検討してないままにこの通達を出したというならそれでも結構ですから、そう言ってください、正直に。
○小林(俊)政府委員 私は、この段階におきまして、この限定的な証明書について公安委員会がどう判断するかということについて承知いたしておりませんので、それをもとにして……(小澤(克)委員「公安委員会の判断なんか聞いてないよ、そんなこと聞いてもしようがないでしょう」と呼ぶ)しかし、行政官庁として公安委員会が……(小澤(克)委員「問い合わせがあったらどう答えるのかと聞いているのだ」と呼ぶ)どういう問い合わせがあるかによると思います。
○小澤(克)委員 運転免許の取得について、この過去の事実を証明する登録済証が書類に添付されていた場合に、どう扱おうか、公安委員会としてはこう考えるが法務省はどうだ、この公文書の発行を通達で指示した法務省はどう考えるのだという問い合わせがあったら、どう答えるのですか。
○小林(俊)政府委員 ただいま先生は、公安委員会がこう考えるがどう考えるのだとおっしゃいましたが、こう考えるがということを私はまず承知したいと思います。
○小澤(克)委員 それで、どう考えたらどう答えるのですか、場合に分けて答えてください。
○小林(俊)政府委員 警察庁の方の統一的な見解で、この限定的な証明書では不十分だという見解が示された場合には、これに反対することはないと思います。
○小澤(克)委員 そんないいかげんな証明書を交付して差し支えないなんて、何でこんな通達に書いたんですか。それで、これが救済措置になるなんて新聞で宣伝して、まやかしじゃないですか。余りにでたらめですよ。どうなんですか。
○小林(俊)政府委員 この点は、先ほど登録課長から御説明申し上げましたとおり、過去の事実について証明を求める要請あるいは申請があるという事実を前提にして、私どもはその必要に応ずるためにこの措置を特に明記したのであります。
○小澤(克)委員 結局、今の答弁を聞いていてわかったことは、この過去の事実についての登録済証明書、こういうものが出たら、それがどう扱われるかはわからぬ、それによって起こる混乱というのは全部あなたの責任ですよ、そういうことだけが今わかりました。救済措置だなんて、全然救済措置になっていないということもよくわかりました。この問題についてはもういいです。 この通達は告発に関しても言及しているわけですが、告発事務について、これはそもそもどうなんですか、刑事訴訟法二百三十九条二項に言う「告発」、これについて入管局が有権的な解釈をなし得る立場にあるのですか。
○黒木説明員 告発の義務は公務員に課せられておりまして、刑事訴訟法に基づくものでございます。したがいまして、告発という事務を行うこと自体は機関委任事務の範囲に入っているとは考えておりません。しかし、私どもの、国が機関委任いたしました事務を遂行する過程において法違反が発生したという場合に、その取り扱いについて、国が市町村に対して指導するということは許されているというふうに解釈しております。
○小澤(克)委員 あなたの言う国というのは入管ですか。入管が刑事訴訟法の解釈について有権的な解釈をなし得る立場にあるのですか。
○小林(俊)政府委員 その点についてお答えする前に、先ほどの答弁を一つ補足したいと思いますが、もし公安委員会の見解に基づいて警察庁が統一的に限定的な登録済証明書でも有効であるという意見を出してきた場合に、これに反対する理由も私どもとしては持たないと思います。(小澤(克)委員「要するにどっちでもいいということですか」と呼ぶ)したがって、それは統一的な判断である限りにおいては行政官庁の判断が先行するということでございます。 なお、ただいまの告発の件につきましては、これは刑事訴訟法に明確に記してあることでございまして、有権的な判断は法務省の刑事局において行われるわけでございますけれども、それとの協議の上において指導をするということに別段の問題はないと思います。 なお、その点につきまして、先般来、機関委任事務に入るかどうかといったような難しい問題がございますけれども、告発をするようにという指導を行うということに別段の問題はないと思います。
○小澤(克)委員 法務省の刑事局に有権的解釈の権限があるということにも疑問がありますよ。これは罰則がないわけですからね。罰則を適用しようということであれば、法務省といいますか検察官としては、法の執行に当たってこれをどう解釈するかという問題に直面しますから、当然何らかの判断をしなければならぬわけですが、刑事訴訟法の規定そのものが、法務省として法の執行の段階で法解釈の問題に直面しない限りは有権的な解釈をなし得る立場にないでしょう。 それはともかくとして、少なくとも入管はこの告発義務に関して有権的な解釈をなし得る立場にないことは明らかだと思いますが、それはそれでいいですね。
○小林(俊)政府委員 刑事訴訟法について疑問が生じた際には刑事局と協議してその見解を求めるというのは、実際にも行われておりますし、また法の建前上、当然であると思います。
○小澤(克)委員 だから入管はどうなのかと聞いているのですよ。
○小林(俊)政府委員 入国管理局が刑事訴訟法について有権的な解釈を行う立場にないということは事実でございます。
○小澤(克)委員 そうすると、この通達の八ページの刑事訴訟法云々というこのくだりは、入管としての、何ですかね、希望といいますか見解といいますか、それを単に述べたものにすぎない、こういうことになりますね。機関委任者として委任された機関に対する指示、指揮命令という効力は一切ない、こう解釈していいですね。
○小林(俊)政府委員 先生の御質問はいろいろな御題にかかわるのでございますが、例えば機関委任事務であるかないかといったような問題にもかかわるのでありますけれども、そういう観点を含めまして、ここに書いてありますことは、指示ではあるけれども、いわゆる機関委任事務の一部としての命令の対象となり得ることではないというふうには言えると思います。
○小澤(克)委員 命令ではないが指示である、指示というのは何ですか。指示される側はこれに拘束されるのですか。
○小林(俊)政府委員 これは法律的に議論いたしますと、拘束するかしないかは、結局何によってそれが担保されているかということに結びつくわけでございまして、機関委任事務の場合には、先ほども申し上げました地方自治法百四十六条の職務執行命令、さらに裁判所の一定の手続といったものによって担保されるわけであります。 そういったものに担保されていない指示というものが拘束するかしないかという議論をする場合には、拘束するかしないかということの意味が問題になるわけでございまして、多少概念的な話になってしまいます。私どもとしては、実際上これに従ってくれることを期待しているわけでございますし、それが法的な拘束であるか否かということを議論しなくてはならないのは、これに関する違反あるいは背反が生じた場合にどう処理するかというときにのみ生ずることであると存じます。
○小澤(克)委員 いや、わからぬのですよ。あなたが指示という言葉を使ったから、その指示という言葉の意味内容を聞いただけの話でして、どうなんですか、担保はなくても観念的にはその指示に従う義務があるということは理論的にはあり得るわけでしょう。だから、あなたのおっしゃる指示というのは、命令ではないが指示であるとおっしゃったから、指示というのは一体どれだけの効力を持つのかと聞いているのですよ。議論をしているわけじゃなくて、その指示という言葉の持つ意味内容ですね、どれだけの効力を持つのか、それを明らかにしてください。
○小林(俊)政府委員 拘束の基本的な法的な基盤は刑事訴訟法にございます。刑事訴訟法に定められている義務を、入国管理局長として直接主管しておる外国人登録業務に直接、密接に関連しております関係上、これに関連してその義務をリマインドしたというふうに申し上げてもよろしいかと思います。(小澤(克)委員「日本語で言ってくれませんか」と呼ぶ)想起せしめたということであります。
○小澤(克)委員 想起せしめたということですね。では、自治体の直接窓口の職員としては想起すればいい、こういうことになりますな。 ほかのこといっぱい聞く予定だったのですけれども、時間がなくなってしまったのですが、指紋押捺を行うということは、新規登録あるいは切りかえ登録含めまして、登録申請の適法要件なんでしょうか。つまり、指紋押捺がなければ申請としての適式な申請ではない、したがってこれは受けづけられない、こういうことになるのでしょうか、いかがでしょうか。
○小林(俊)政府委員 外国人登録法の規定によれば、これは申請の要件ではございません。ただ、その登録証明書を受領するときに押捺する義務を法律が明文で定めておるということでございます。
○小澤(克)委員 そうですね。申請そのものは適法である、ただ押捺義務違反という法十四条違反の効果があるだけである、そうなりますね。だからこそ、この通達でも、最終的に拒否しても登録証は出すのだ、こうなっておりますね。そうなりますと、この指紋押捺の義務というのは、法十四条違反は別といたしまして、指紋押捺を拒否しても申請の手続自体を不適法ならしめるものではない、こういうことになりませんか。
○小林(俊)政府委員 御指摘のとおりであります。
○小澤(克)委員 それでは、なぜ三カ月間登録証を交付してはならぬ、こういう通達を出したのですか。違法じゃないですか。
○小林(俊)政府委員 私が申し上げましたのは、申請の要件ではないということでございまして、それが行われなくても申請そのものは有効であるということであります。 しかしながら、その証明書を交付する際には指紋押捺義務を課しておるわけでございます。指紋押捺義務を課している理由は、その同一人性を確認することにございます。したがって、確認の手段が欠けるということはその証明書の交付ということについて問題を生ずるわけでございます。したがって、その交付ができるようにするために指紋押捺が必要なわけでございまして、指紋押捺をしてもらうために、あるいはまたさらに政策的に申し上げれば、指紋押捺拒否という案件が少しでも発生する度合いを制約するために説得という期間を設けてさらに指紋押捺が実現するように努めてほしいということでございます。
○小澤(克)委員 適式に、適法に申請がなされていれば、そして何らかの手段で同一人であるということが確認できれば、これは逆に登録証を交付しなければいかぬということになるのでしょう。もしそれを怠れば、それは不作為の違法ということになりますよ。しかも、その同一性の認定には必ずしも指紋を用いなくてもいいと通達みずからが言っているわけですよ。おかしいじゃないですか。法違反に対して法違反をもってこたえよということをこの通達は指示していることになりませんか。
○小林(俊)政府委員 非常に簡単な言葉で申し上げれば、指紋の押捺は外国人登録の申請要件ではないけれども交付要件であるというふうに言うことができると思います。したがって、その交付要件の設けられた理由にさかのぼって同一人性確認のために慎重な手続をとるように、そしてそれが満たされた上は登録証明書に指紋押捺という要件を欠いているということを明記した上で本人に手交するようにというふうにしたわけであります。
○小澤(克)委員 外登法の五条に指紋押捺が交付の要件だなどと書いてありますか。
○黒木説明員 外国人登録法第十四条の第五項に「第一項又は第三項の規定による指紋は、第一項に規定する申請に伴って交付される登録証明書」これこれの「受領と同時に押すものとしこというふうになっておりまして、一つの要件になっているというふうに考えております。
○小澤(克)委員 十四条第五項というのは、押捺の機会を決めたものじゃないですか。これによって指紋押捺が交付の要件だということになるのですか。そうすると、これまで行われていた、拒否者に対して交付していたことは法違反になるのですか。
○黒木説明員 外国人登録法は、登録の正確性を維持するために指紋制度を設けているわけでございまして、それによって最終的な人物の同一人性も確認をした上で登録証明書を交付するというのが法の仕組みになっているわけでございます。 したがいまして、従来この通達を発出する前は、指紋押捺を拒否した人についても市町村でそれなりの確認をした上で、指紋にかわるべき方法で確認をして登録証明書を交付しているというのが現実でございますが、今度はさらにその運用を画一的にするということで、まず一つは説得を続けるということを要件とした上で、三カ月たってなおかつ説得に応じない場合には指紋にかわる他の方法によって人物を確認した上で登録証明書を出すというふうに通達で新たに指示したわけでございます。 これが法的にどうかということになりますと、法の要求しておるところは依然として指紋を押した上で登録証明書を交付するということが法の目的としているところであるわけですけれども、これまでの運用それから今度の取り扱いにつきましては、押さなければいつまでたっても登録証明書を交付しないという取り扱いになりますと外国人の側にもいろいろ不便が出てくるということで、他の方法によって、指紋にかわるべき方法によって人物の同一人性を確認した上で交付をするというふうにこちらの方が一歩緩和すると申しますか、解釈をやや広げて交付する、こういうような規定になっているわけでございます。
○小澤(克)委員 だからどうなるのですか。指紋押捺するということは申請の要件でもなければ交付の要件でもないわけでしょう。交付の要件だと言ったけれども、これは明らかな間違いですよ。今までやっていたのはみんな違法だということになりますよ。現にこの通達だって、最終的に指紋押捺しなくても、何らか二人の証人がいれば交付すると書いてあるじゃないですか。そうしたらこの通達は違法なんですか。この通達はおかしいのですよ。三カ月後に指紋押捺ないままに登録証を交付することが適法ならば、それ以前に交付しないことは不作為の違法になりますよ。逆に、指紋押捺がないままに交付することが違法ならば、三カ月後であろうと何だろうと違法になりますよ。この通達は三カ月前と三カ月後が両立しないですよ。指紋押捺義務違反は十四条違反の問題を生ずるだけだということはあなた明言しているでしょう。これおかしいでしょう。十四条違反に対して五条違反をもって国家が対応するということになるのですよ。こんなことがあっていいんですか。
○小林(俊)政府委員 私が先ほど端的に申し上げればと申し上げたのは、わかりやすく申し上げればというつもりで申し上げたわけであります。申請要件と交付要件というふうに申し上げたのは、申請のときの問題点及び交付のときの問題点、申請のときに行われるべきこと、交付のときに行われるべきことをわかりやすく御説明したつもりで申し上げたわけであります。もし要件という言葉が、それがなければあることができないということを意味するのであれば、これは交付要件ではありません。そこには、交付されるときに、交付に先立って「指紋を押さなければならない。」と書いてあるだけであって、指紋を押さなければ交付してはならないと書いてあるわけではございませんので、そういう意味では要件ではございません。したがって、今日までも押捺のないままに交付をした例があるわけでございますが、しかし指紋押捺の目的にさかのぼって考えればそれはおかしいという判断がございますので、その判断に基づいて、その趣旨に沿うようにそれなりのこれを補足する措置を講ずべきであるということが今回の通達の内容であるわけであります。
○小澤(克)委員 だから、三カ月間交付しないわけでしょう。これ、違法でしょう。同一性さえ確認できれば指紋押捺なくたって交付はできるわけですよ。同一性が確認できるにもかかわらず、指紋押捺がない、それを説得中だからという理由で五条による交付をサボれば、これは不作為の違法になりますよ。おかしいでしょう。
○小林(俊)政府委員 先生ただいま同一人性の確認ができれば交付すべきではないかとおっしゃいましたが、まさにそのとおりで、指紋の押捺がない場合には同一人性の確認が不十分である、あるいは確実ではないということから、これを確実ならしめる措置をとれということを通達したわけであります。
○小澤(克)委員 時間を過ぎて大変恐縮ですが、これで終わりますので……。 そうなると実態が問題になるのですよ。自治体の窓口の職員が、第一線の職員が今まで指紋によって同一性を確認したことはない、そんなことはできっこないということをいろいろな裁判などでも証人として証言しております。できないのですよ。ましてや今回回転式をやめて平面式ですか、それ自体悪いことだとは思いませんけれども、そうなってこれによって同一性を確認しろと言ったって無理なんです。今まではどうやっていたかというと、写真で十分に確認しているわけですよ。なぜこの通達一本で突然それがいけなくなるのか。こんなことはないでしょう。もし指紋によって確認しなければならないというこの通達をきちんと守るのであれば、全県法務省に問い合わせすると思いますよ。それに対応する能力があるのですか。
○小林(俊)政府委員 これは午前中にも御説明申し上げたことでありますが、同じような方式で押された二つの鮮明な指紋を肉眼で照合すること、その異同を判断することは別段の訓練がなくても可能であります。肉眼で行うことが可能であります。この点は裁判でも問題になっておりまして、実際に指紋を裁判官に提示して、その判断が困難であるかどうかについて裁判官の判断を求めたこともあるという経緯もございます。ことほどさように、指紋そのものが鮮明でありかつ押捺の仕方が同じであれば、別段の訓練がなくても肉眼でこれを行うことは可能なのであります。 ただ、それは疑問を生ずる場合もあるでありましょう。例えばたまたま指紋が非常に似ておった、あるいは同じだと思うけれどもどうも押し方の関係から若干疑問があるといった場合に照会してきなさいということなのであります。
○小澤(克)委員 指紋によって同一性の確認が可能であるとおっしゃいましたけれども、現実にやっている自治体の職員が、そんなことはやったこともないしできっこない、照合する器械もなければ拡大鏡のような装置も何もない、人の顔なら印象でわかりますけれども、指紋なんというものを重ね合わせて透かして見るような方法もないのに照合できないと言っているのですよ。そういう現実を無視して、ただ単にメンツを保つためにあくまで指紋で同一性の認識をしろなどというできないことを押しつけているわけです。この通達に直面した自治体の職員は大混乱を生ずると思いますよ。正直な人はこの通達どおり指紋によって同一性を確認しようとして、そんなことは素人にできないから全県法務省に問い合わせするでしょう。要領のいい人はこんな通達はどうせ役人が適当につくったものだからというので従来どおり写真等によって同一性を確認すると思いますよ。 時間が来たので終わりますが、この通達については先ほどからいろいろの点を指摘しましたけれども、混乱を生ずるばかりで全く事態の本質的な解決にはなっていないということを指摘して、きょうほかにもいっぱい予定しておりまして、警察庁の方にも来ていただいていて本当に恐縮なのですが、申しわけありませんがまた次の機会に質問させていただきたいと思います。
○片岡委員長 橋本文彦君。
○橋本(文)委員 本来の証人被害給付法につきまして質問いたします。 九十六国会におきまして、この国選弁護人に対する被害給付の問題を取り上げましたけれども、給付の額の問題あるいは証人と国選弁護人の地位の問題とかで日弁連の方にいろいろ異論があった、もう一度基本的に立ち返ってよく考えてみたいということで九十六国会の改正では国選弁護人は入ってこなかった、そういう経過がございます。その後三年たちまして今回の改正なんですけれども、全くその間に基本的な問題はなしに、従来論議されておったような形でもって今国会の改正になってきた。しかも、その一連の論議を聞いておりますと、ただ裁判に協力するという共通事項、そのために証人被害給付法の中に国選弁護人の被害の場合も含めるということなんですけれども、その辺のところをもう少し、財政的な問題もあるでしょうが、ただ単に裁判に協力するのが共通なんだということだけじゃなしに、もっと本質的な問題から入っていきたいと思うのです。まずその点を局長からお伺いいたします。
○筧政府委員 橋本委員十分御承知のとおり、本件については、昭和五十四年三月の法曹三者協議会で協議が調いまして、その結果、日弁連が要望される国選弁護人の被害補償制度につきまして、法務省でその実現方を検討するという条項が定められたわけでございます。その後、主として日弁連と法務省との間でその立法について協議がなされたわけでございます。 相当長年月を要しましたのは、今先生御指摘のように日弁連側のいろいろな御要望がございまして、それは基本的な問題になるわけでございますが、立法形式の問題。それから、被害の範囲を人的に、例えば同居しておる弁護人あるいは弁護士会といいますか事務所の従業員等にまで及ぼすべきだというのが日弁連の御主張でございます。それから内容的には、物損、火をつけられたとかいう場合の財産上の損害、あるいは精神的な損害まで含めるべきであるというような御意見。さらには弁護士、国選弁護人の地位、性質等から見て、一般の証人とは違った手厚い補償と申し良すか金額的にも多い基準を立てるべきであるというような御主張、これは立法形式にも絡まるわけでございます。もう一つは、審査の手続の過程で日弁連の意向を何らかの形で反映するような方法、審査の過程に参与するということであろうかと思います。そういうような御要望が当初からあったわけでございます。 それにつきまして、その後最近に至るまで、日弁連との間でいろいろ協議をしたわけでございまして、基本的な問題と申しますのは今申し上げた四点に尽きようかと思います。協議の内容も、その点をめぐりましていろいろな意見の交換がなされ、最終的には日弁連側も今回御提案申し上げております内容でやむを得ないということで御了承を得て提案の運びになったわけでございます。 その過程でいろいろ出たわけでございますが、単に裁判に協力したのでその立場は同じであるということだけではございません。国選弁護人と証人、参考人との違いというものは十分考えられるわけでございます。同じく刑事司法、刑事訴訟に協力するといっても、その協力の度合い、内容において差があることは、これは何人も疑わないところであろうかと思います。しかし、それでは別に国選弁護人だけを取り上げて今申し上げたような要望を全部入れた手厚い補償をするべきであるか。損害の補償あるいは被害の補償は、ごく大ざっぱに一般論で申し上げれば、手厚いにこしたことはない。国家財政的な見地は別といたしまして、精神論としてはそういうことになろうかと思います。 しかし、同種といいますか、いろいろな関係で国家事務に協力し、あるいはそうでなくても何らかの被害を受けた者を国が補償するという制度はいろいろあるわけでございますが、それをどういうふうに位置づけるべきかということが問題であろうかと思います。その点で広く国家補償といいますか賠償といいますか、被害の補償ということの中にもいろいろな形のものが考えられるわけでございまして、御承知のように被疑者補償といいますか刑事補償、これも国家の適法な行為により違法な結果が発生した場合に責任等を問わず国が補償するという制度でございます。あるいはまた国家賠償法では、国家の違法な行為、これは故意、過失を要するその結果の損害発生に対して賠償をするという制度。あるいは土地収用等によりまして財産上の被害を受けた人に対する国の補償というようなもの。その他いろいろ程度がある。 それでは、国選弁護人の被害補償あるいは証人の被害補償というのはどういうふうに考えるかということでございますが、これは国家の違法な行為とかいうようなものでの補償ということとは違って、刑事司法の運用に際して国選弁護人あるいは証人が身内の者等が害を受けることを恐れて協力しにくいという状況があっては刑事司法の円滑適正な運用を欠く、現にそういう事象が予想されておるわけでございますから、そういうことを除くために、いわば国の刑事政策の一環として、一定の被害があった場合にその補償を国が約束するという性質のものであろう。したがいまして、刑事補償あるいは国家賠償などとはその性質も違うのではないか。そうすると、現行法上で刑事訴訟に協力したという立場も含めまして一番近いといいますか同性質のものは現在御提案申し上げておる証人被害給付法であろうということに落ちついたわけでございます。 それでは内容をどうするか、さらに手厚くするかということでございますが、先日申し上げましたように、会社の社長その他収入の多い人から収入のほとんどない人まで当然証人、参考人になり得る、その人たちの協力を得なければならないということ。その意味では、弁護人の報酬がどのくらい得られているか正確にはわかりませんけれども、一般社会の水準としては高い水準であろうということは言えるかと思いますが、やはりその中にもいろいろ差があるであろうと思います。それを一律にといいますか、司法に協力するという同一性質の中で証人等と区別して特に高くする必要はないのではないか。合理的な理由は認めがたいのではないか。しかも現行の証人被害給付法によりますれば、現在では基準が六千百円から最高一万三百円と広い幅を持っていますので、現実に弁護人の方に被害が生じました場合には、現実の収入を考えますればその上限の方をいく場合がほとんどであろうというふうに予想もされるわけでございます。 それやこれや数年に及ぶ両者の協議の結果、これで双方納得して早期の立法化を図ろうということに意見が一致して今回の御提案に至った次第でございます。
○橋本(文)委員 ちょっと話が変わるのですけれども、証人の被害に対して給付を行う、あるいは国選弁護人に対して被害が加えられた場合に被害補償をする、そして刑事司法の円滑化を図るんだということが基本となっておりますけれども、今回のような給付額でもって本当に安心して証人が裁判所に出る、あるいは国選弁護人が弁護活動が大いにできるかというと、甚だ疑問に思うのです。こう言ってしまえば身もふたもありませんけれども、どうしたらこういう問題が起きないかということをむしろ先に考慮すべきなんでしょう。しかし、これはあくまでも現実に証人が法廷で証言をする、あるいは国選弁護人が職務行動をする、その結果危害に遭って死亡する、あるいは重傷を負う、結果論についての補償であって、甚だ心もとないと言えば心もとないのですけれども、その辺の問題はどう考えておられるのか。これは難しい問題かもしれませんけれども……。 〔委員長退席、亀井委員長代理着席〕
○筧政府委員 被害が発生してしまった場合におきましては、仮に相当な手厚い補償をしても、確かにそれは損失として残るわけでございます。そういうことを発生させてはならないということは大前提であろうかと思います。 証人被害給付法が制定されました昭和三十三年でございましたか、あのころはちょうど暴力団等のお礼参りとか証人あるいは参考人等に対する被害が相当数頻発しておりました。それに対して何とかしなくてはいかぬということで、そういうような対策の一つとして被害給付法ができますと同時に、刑法を改正いたしまして、証人威迫罪が確か新設されたと思います。それから刑事訴訟法の規定によって、暴力団等がお礼参り等をしないように保釈関係の規定の整備等が行われ、実体法の面あるいは手続法の面を整備してその根絶を図るという措置を講じ、同時に、万一不幸にしてそういう事態が発生した場合の補償ということで考えられたものであろうかと思います。最近ではその例が余りない。幸いなことであろうかと思います。一時期には現にけがをされた人も数名おられるようでございます。現実になった被害事例というものは余り承知いたしておりませんけれども、そこに至るおそれのある事案、支援者あるいは被告人が弁護人に、早くやめろとかおまえは何だとか脅迫的な言辞で取り巻いてなにするとか、家へ脅迫電話をかけるとかその他の方法をもっておどかすというような被害を受けかねまじき情勢が顕著にあらわれたということが今回の改正案の契機となったわけでございます。これにつきましても同様に、そういうことがあってはならないということで根絶を図るべきであることは申すまでもないところであろうかと思います。 それでは、ほかにどういう措置があるかということでございますけれども、法廷におきましては裁判長の法廷警察権といいますか訴訟指揮権の活発な運用が期待されますし、そのほか、検察庁あるいは警察等の捜査当局においても、国選弁護人がそういう害を受けないようにいろいろな機会にできるだけの配慮をするべきものと考えております。これは証人、参考人等が主になりますけれども、検察庁におきましても、そういう被害が生じたことにかんがみまして、待合室を区別するとか、安全な取り調べを確保するために、そういう危険の多い者については庁舎内に呼び出してそこで調べないで、ほかの場所で調べるとかいうような措置を従来からとっているところでございます。 また、現に被害が発生した場合にこういう法律があるということはかねがね一線の検察官にも十分周知徹底せしめておりまして、被害が発生すれば当然刑事事件として検察官はこれを聞知する立場にあるわけでございますから、その際にはこういう法律があって補償を受けられるのだということを関係者によく話をするというような措置も積極的に講ずるように、従来から通達等で措置しているところでございます。
○橋本(文)委員 ずっと昔、何かの本で、法律というものはキルビー鳥である――これはギリシャ神話に出るような話らしいのですが、前方に飛ばないで羽ばたきをすればするほど後方に下がってしまうという鳥がキルビー鳥と言われる。法律というのはそういうものなんだ、制定された瞬間から過去の遺物である、これが法律の宿命である、あとはその解釈によって運用するんだというようなことをどこかで読んだ記憶があるのです。この法案を見ましても、本当に証人なり国選弁護人の給付について万全かと言えば、そうとは思えない。むしろ極めて低廉ではないかと思うのですよ。 それはともかくといたしまして、この法案の被害の範囲とか補償の状況、給付の範囲、金額、支給方法、これは警察官職務協力援助給付法、国家公務員災害補償法とほとんど同じような範囲を定めておるわけなんです。ただ、国家公務員災害補償法につきましては過去三カ月分の報酬を基準として出す。ところが、警察官の職務協力援助者あるいは証人被害者、これに対しては金額が初めから決められてしまっておる。今度は六千百円ですか、それから上限が一万三百円まで上がったという。これによって、先ほどもお話がありましたように、証人の中にも大社長がおるだろうし国選弁護人でも収入の高い人がおるだろうから、その上限を、規定を適用する、それで金額的にばらつきが生じないだろうということだったのですけれども、私はその計算ではとてつもない、比較できないような金額の場合もあると思うのです。 それはともかくとしまして、国家公務員の災害補償の場合には三カ月間の平均、あとの二者の法律につきましては基準額を決めている、この辺の差異はどうしてできたのでしょうか。
○筧政府委員 確かに、国家公務員災害補償法の場合は過去三カ月間の平均給与ということになっております。これは御承知のように、国家公務員の場合、八等級から上は指定職までいろいろございます。したがいまして、当該災害を受けた本人が収入の低い人であればそのように低くなる、上の人は高くなるということでございまして、ざっとでございますが、行政職一等級、普通の役人と言えば役人でございますけれども、それの最低ですとたしか日額が二千八百円くらいにしかならないと思います。そういう意味で国家公務員と比べました場合には、この法律との間で基礎額の関係では高くなる場合もあるし安くなる場合もあるということで、この法律の場合には、六千百円から一万三百円までの相当な幅、これは現実には警察官等の俸給が一応の基礎になっておるわけでございますが、平均的な巡査の俸給の日額というのは六千百円でございますし、相当幹部でございます警視クラスの俸給の日額を計算しますと一万三百円になっておるというところから出てきておりまして、その意味では国家公務員の場合と比べてそう低廉に失するということはなかろうというふうに考えております。 それから、国家公務員あるいは警察官等の場合と違いますのは、国家公務員等の場合は当該本人が害に遭った場合の補償でございますし、本件の場合は近親者に対する害というものもその中に加わっておる、そういう意味では若干範囲が違うのではないかというふうにも考えております。
○橋本(文)委員 証人と国選弁護人というものは、先ほど何回も言いましたけれども、裁判に協力するという点では共通の人であるということで今回の法案では含ませておる。目を転じて考えれば、同時に刑事裁判においては検察官もおるし裁判官もおる。そういうことを考えていきますと、補償の範囲、金額を国家公務員災害補償法と同じように考えていった方がむしろすっきりするのじゃないか。つまり、国選弁護人と証人を同列に置いておるような考え方がこの法案にはある。いかがでしょうか。
○筧政府委員 弁護人あるいは検察官、裁判官というものが裁判の場でいろいろ職務を持って活動するということは御指摘のとおりでございます。今回、国選弁護人の場合のみ補償するわけでございます。これはいわば裁判所の命令といいますか選任行為によって、正当な事由がなければ受任しなければならないわけでございますから、いわば一方的に選任されてその立場に立つという意味で補償の対象としたわけでございます。そういう意味で、弁護人も国選に選任されれば国選弁護人として協力しなければならない、あるいは証人、参考人等も、国民の司法に対する義務と言うと言葉はどうかと思いますが、一般的な協力をすべき立場にあるというようなことから、従来はそういう被害の補償もなく、当然にというと変ですけれども協力をしてもらうということで現在までに至っておるわけでございまして、証人も国選弁護人も立場はある点では共通しているのではないか。国選弁護人を検察官あるいは裁判官と全く同じように、今回の法案の中身にありますような被害補償の面で一緒にしなければならないというところまでは合理的な理由は認めがたいのではないかというふうに考えております。
○橋本(文)委員 逐条的に言っていけばいろいろと問題点があるのですけれども、余り時間がありませんので……。 第九条で、時効ではなくていわゆる除斥期間二年となっておりますね。この件につきましては、加害者がすぐわかるのだから時効にかかる、そういうことはないのだというようなことが参議院の質疑で取り交わされておったようですけれども、そのように断言できるわけですかね。例えば国選弁護人がその職務に関して危害を受けた、ところが加害者が判明しなかった、その間に二年間過ぎてしまったという場合も十分想定できるのですが、そういう場合はないのですか。お答え願います。
○筧政府委員 そういう例も絶対ないとは申し上げられませんが、一般的に言って証人の証言なりあるいは国選弁護人の職務行為を原因としての加害行為ということでありまして、そこには裁判が現に行われているわけでございますから、そういう意味からいっても早期にこれを確知し得る性質のものである、一般的な性質として申し上げた次第でございます。
○橋本(文)委員 ですから、除斥期間としての二年ではその保護に欠ける嫌いがあるように思うのですが、いかがでしょうか。
○筧政府委員 これを除斥期間とするか時効とするかは、いろいろどちらも考え方があろうかと思います。ただ、除斥期間にいたしまして法務大臣の裁定を申請するのに二年間、そこで裁定がありますと、これは国に対する債権といたしましてそこからまた時効が三年進むわけでございます。それと、この場合の時効の中断というような事由もちょっと考えられないわけでございますから、いろいろな条件等を考えてみますと、どちらが有利とも不利ともそう断定はできないのではないか。しかし、必ずしも時効にしてはいかぬという強い理由があるわけでもございません。
○橋本(文)委員 では、この法案について最後なんですけれども、いわゆる給付基礎額六千百円から一万三百円、この範囲内で決まるわけですが、この裁定は法務大臣がするわけですね。この給付基礎額についていわゆる弁護士会の関与、これを設けるべきだという声がございましたね。今回の法案では日弁連は一切くちばしを入れることはできないとなっておりますけれども、査定手続といいますか、その点は弁護士会の方ではどのような見解を持っておったのですか。
○筧政府委員 特に、法案が最終的に現在のような形で定まってみますと、基礎額の裁定といいますか、六千百円から一万三百円、現行で言えばその間に相当幅があるわけではございます。しかし、その幅の範囲内に定めるという点では自動的になっておって、それ以上に実際の損害を見て査定するというまでのものではないということで――もしそういう形の立法になりますれば、当然日弁連の方としてはぜひその損害の査定等には我が方の意見を反映させてほしいという御要望があるはずでございますし、現にあったわけでございます。しかし、こういう形になりますればその範囲内においては自動的に行われるということと、その範囲内においても当該被害を受けられた方の収入を現実に考慮して、公正を失するときはその上限一万三百円までいくと定められておりますので、こういう形であれば特に日弁連の方の意見を個々の審査の過程で反映させなければならないというまでの強い御要望はなくなって、御同意をいただいたと承知いたしております。
○橋本(文)委員 七条に関連いたしまして、いわゆる犯罪被害者給付法についてちょっとお尋ねしたいと思うのです。 昨年の三月、横浜の鶴見区で下校中の高校生四人が、ワゴン車を運転しておった運転者から車ではねられそうになって、その後登山ナイフで次々に刺されたという事件がありまして、犯罪被害者等給付金支給法の適用がある、世間ではこう思っておったわけなんですけれども、現実にはこの犯罪被害者給付法、極めて制限がございまして、まず死亡しなければならないあるいは将来永久に働くことができないというような重障害でなければならない、そうでなければこの補償がないのだということになりまして、仮に一年入院しようと二年入院しようと、先行き社会に復帰できる見込みがあれば何らの補償がされないという問題がございます。具体的にこの四名のその後の救済がどのようにされておるか、もしわかりましたらお知らせ願いたいのです。
○井野説明員 お答えいたします。 事件の概要はただいま先生がおっしゃったとおりでございまして、四人の被害者のうち一名の方は死亡されまして、ほかの三名の方は入院いたしまして、現在三名とも退院はしておりますけれども、うち一人は通院しながらリハビリを続けております。
○橋本(文)委員 その補償はどうなっておりますか。
○井野説明員 犯罪被害給付法では、犯罪被害を原因といたしまして、ほかの法令によって給付がなされるときにはそちらの方を優先するということで、本法は適用されておりません。
○橋本(文)委員 本件の場合には、ワゴン車ではねられそうになったということを奇貨としてというか、そのために自賠責の適用があったように聞いております。 そこで、もしワゴン車がなくて初めから行きずりに登山ナイフで四人を刺したと想定した場合にはどうなるでしょうか。
○井野説明員 この事案は高校生の下校中の事案でございまして、日本学校健康会法という法律がございまして、これが適用をまず検討すべきであろうと思います。もしそれが適用されない場合には、先ほどおっしゃっておりました自賠責ももちろん適用の対象となりますし、どちらの法律も適用されない場合にはうちの関係の法律が検討対象になるということでございます。
○橋本(文)委員 今回は幸いに下校途中ということで救済の道がありましたけれども、そういうような他の救済手段がない場合にはまさに犯罪被害者給付法でやるしかないと思うのです。ただ、この場合にどんなに入院しても将来社会に復帰できる可能性があれば適用がない、こう言われておりますけれども、その点はどうでしょうか。
○井野説明員 そもそもこの制度制定のいきさつから、死亡とそれに準ずるような重障害を対象としておりまして、これはほかの制度との絡みとかいろいろの事情がございまして重障害だけに限定しておるわけでございまして、この事案につきましての適用は難しいと考えております。
○橋本(文)委員 重障害という言葉が出ましたが、この法律ができましてから、財団法人犯罪被害救援基金ですか、これをもとにして、この給付制度ができる以前の犯罪行為によって重障害を負ったという人がおったとしてもその人に見舞い金を給付するような制度をつくろうというようなことが五十九年の警察白書に載っておるのですが、その後どういう状況になっておりますでしょうか。
○井野説明員 五十九年四月から財団の方で重障害者に対しますお見舞い金を給付するようになりまして、現在までに計十八名の方々にお見舞い金を交付しております。うち九人は法施行以前の被害者についてでございます。
○橋本(文)委員 その場合の重障害を受けたというのはどういう人をいうのでしょうか。
○井野説明員 この場合の重障害も、犯罪被害者給付金支給法で規定しております重障害と同じでございます。
○橋本(文)委員 重障害といってもぴんとこないのですけれども、要するに、わかりやすく言えば再び仕事につけないという条件が必要なわけですね。だから、私が言っているのは、一年、二年、三年入院しておっても、その後仕事に復帰できる可能性がある場合には重障害とは言わないのか、もし言わないとすれば、そういう長期にわたる、二年、三年の場合には補償を考えていくべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○井野説明員 我々の制度では、障害の程度について労働基準法で定めておりますけれども、そのうち一級、二級、三級につきまして対象にしておるわけでございます。三級と申しますと、例えば片方の眼が失明いたしまして片方の眼の視力が〇・〇六以下になった場合あるいは両手の手指の全部を失ったものとか、いろいろ具体的に幾つかの形態を規定しております。具体的には労働基準法に定めております三級までの障害を対象としておるということでございます。
○橋本(文)委員 よくわからないのですけれども、今までこの犯罪被害者給付法の適用で二十億ぐらいのお金が出ていると聞いております。それから、国選弁護人の支給額が年間二十億ぐらい。国選弁護人と犯罪被害者の金額が大体同じようなのでびっくりしたのですが、この犯罪被害者給付制度は余り世間に知られていない。それで、どのような広報活動を行っているのか。行きずり殺人があったら被害補償がされますよとコマーシャルすると犯罪がふえそうな気がするのですけれども、それはそれとして、この制度を知らないために苦しんでいる方もおると思うのですけれども、その点で広報活動というのはどのように行っているのか、具体的に教えてください。
○井野説明員 この制度の広報につきましては、一般的な広報活動、例えばポスターとかリーフレット等によります広報を行っております。それから個別広報と申しまして、明らかに対象事案が起きました場合には、その都度被害者等に対しまして警察官から具体的にこういう制度があるということで教示をしております。
○橋本(文)委員 最後に、この犯罪被害者給付法と今審議しております証人等の被害についての給付に関する法律の七条との関係はどうなっておるでしょうか。
○井野説明員 犯罪被害者給付法でも調整規定を設けておりまして、規則でこの証人被害給付法を具体的に規定しておりますので、犯罪被害を原因といたしまして証人被害給付法による給付が行われた場合にはうちの方は支給しないということになります。
○橋本(文)委員 ただいま通達をめぐりましていろいろ議論がございましたけれども、私も全く同じような質問をせざるを得ないのです。 法務大臣が毎日新聞のインタビューに答えての新聞記事、これで拒否者にも救済措置があるんだというようなことが出ております。そして教育、医療、福祉など日常生活あるいは事業経営面で支障があると言われているが、そんなことはない、こういうような発言をしたんだと書いてあるのですが、それは間違いございませんか。
○嶋崎国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、この通達の中で、指紋を押捺していただけなかった方につきまして登録証明書の交付を行わないというのを原則にしておるわけでございますけれども、ただし書きで「新規登録以外の申請に係る不押なつ意向表明者で交付予定期間指定書を交付されているものから、指紋不押なつ意向表明前の登録事項について登録済証明書交付方申請があった場合に」、条件はついておりますけれども、そういう条件のついた「「以降確認未了」と記載した登録済証明書を交付して差し支えない。」こういう処理をしておるわけでございます。 この解釈をめぐって先ほど来いろいろな議論があったわけでございますけれども、この問題の処理につきましては、私たちはそういう本人と決定的に同一人であるということを指紋を通じて確定をできない、したがいまして、確定しておる時期までのいろいろな資料というものはあるわけでございますから、そういうことについて明確にお知らせをする、そういう交付書を出すわけでございます。そのこと自体がどういうぐあいに各般の行政に運用されるかというような問題はいろいろあると思いますけれども、そういう処理をやっておることに伴いまして、今事例で挙がっているよう有事柄につきましてそれぞれの官庁で御判断を願うというようなことに相なろうかと思うのでございます。そういうようなことが全く行われてないというような考え方ですべてどうも新聞等の報道があるようでございますが、そういうことにはならないのではないだろうかということを私自身が話を承ったときに申し上げたというのが実際であるわけです。
○橋本(文)委員 先ほど小林局長と小澤委員とのやりとりを聞いておりまして、大臣、要するに端的に言えば過去の証明なんだ、これからの証明としては機能しがたいというような内容の議論がありました。それを聞いておりまして、大臣は、ここに書いてあるような教育、医療、福祉、日常生活に支障がないのじゃないかと思われるか、どう思われますか。さっきは過去の証明なんだという議論がありましたですね。現在を証明するものじゃないんだ。そうなりますと、教育、医療、福祉に重大な支障があるように思うのですけれども、いかがでしょうか。
○嶋崎国務大臣 私も、個々の具体的な事案についての一つ一つの判断、また具体的な他省庁の仕事の立て方とこの登録証明書との絡み合い、またそれの運用の仕方、そういう個別の具体的な内容についてはもちろん十分承知をしておらないわけでございますけれども、その運用の形の中でそれぞれの立場の行政を担当されている部面で的確な判断が行われていくだろうと思っておる次第でございます。
○小林(俊)政府委員 一言つけ加えさせていただきたいのでございますけれども、大臣がああいう御発言をなさったのは、新聞であるいは私どもの受け取った朝鮮総連の声明書において、今回の措置があたかも一たん指紋押捺を拒否すると登録済証明書を全く出さないというふうに解釈したかのごとき記述がございましたので、その点について訂正をされたものと承知をいたしております。 訂正の点は二つございまして、まず第一は、説得期間中であっても押捺の拒否の意向を表明した者が既に登録された人間である場合、すなわち確認申請中の者である場合には過去の登録事項についての登録済証明書を出します。これが第一点。第二点は、押捺を拒否した者であっても、三カ月なり何なりの説得期間を経てなお拒否したままやむなく指紋不押捺という朱記をした登録証明書が交付された場合には登録済証明書も出します。この二点が欠落しているように思われましたので、この点を訂正するためにそういう御発言をなさったものと承知いたしております。
○橋本(文)委員 通達を拝見しまして、五ページの3「指紋不押なつ意向表明者に対する措置について」、たくさん項目を分けて書いております。これを見て一番びっくりしたのは、三回説得してなおかつ押捺しない者については「写真の照合、原票の記載内容の点検及びその他の確認手段によって同一人性の確認ができるかどうかを判断しこういうことがございまして、指紋を押捺しなくとも同一性の確認ができるんだというようなニュアンスがあるのですけれども、ここでまず具体的にその他の確認手段とは何を意味するのか、お答えください。
○小林(俊)政府委員 先生御指摘のページの(3)の後段に「その他の手段による同一人性の確認は、同一市区町村内に居住する信頼するに足りる保証人二名から同一人物である旨の陳述を得て行うものとし、保証人には登録証明書の提示又は住民票の写しの提出を求めることとされたい。」とございます。これが、その他の手段内容でございます。
○橋本(文)委員 「写真の照合」――もう写真の照合というと必ず言われることは、髪型あるいは年齢の三年、五年の変化、これで同一人の識別は困難であるというようなことを言っておりますけれども、写真の照合、これは第一番目ということになっている。これはいろいろ議論がありましょうけれども、写真の照合は現実に行われているところと思います。 それから、次の「原票の記載内容の点検」、これはどういうことを具体的に意味しているわけですか。
○小林(俊)政府委員 原票には二十項目の記載事項があるわけでございますが、それらの事項と、新たに確認のために提出された申請書の内容が適合しているかどうかということを照合する、あるいは疑問があれば本人にその事項について質問をする。その質問に対する答えが、記載内容に照らして疑問を生じさせるものではないかどうかということを点検するといったようなことでございます。
○橋本(文)委員 三回説得して出頭させて、そして、いわゆる告発されて処罰されますよということを言って、それでもなおかつ押捺を拒否するといった場合に、こういうような写真の照合あるいは原票の記載内容の点検、それから保証人二名によって本人の同一性を確認する。なぜこんな三カ月待たなければならないのか、理屈の上では。すぐにでもできるわけですよね、やろうと思えば。つまり、三カ月たってこういう確認手段方法をとるというのであれば、その三カ月という根拠は何なのですか。すぐでもできる、あるいは一年後でもできる。三カ月、三回目にした理由は何でしょうか。三回もやれば、仏の顔も三度ですか。こんなことできているのでしょうか。
○小林(俊)政府委員 この点については既に御説明したこともあるかと存じますが、現在の建前――現在ではございません、この通達が発出されるまでの建前、その当時において有効であった通達の本件に関する指示は、指紋押捺拒否といった事案が発生した場合には遅滞なく告発するようにということでございました。ところが、実際に、特に昨年末あたりからの各市町村における対応の仕方を見ておりますと、指紋押捺拒否事案が発生しましたときに、これに対して何とか法の定める義務、守ってもらうということを実現するために、説得の期間を置く、説得に努めるということが一般に行われております。そのために告発というものが留保されるといった事例が非常に多数に上っておるわけでございます。この実際の窓口の業務に当たる市町村の担当者の考え方は、こういった事案については重要な問題であるので直ちに告発ということをしないでできる限りの説得に努めたい、そういう気持ちが非常に強いようでございます。 そこで、現在のまま放置すれば有効な通達に反するという事態が続くことになりますし、一方また、説得を行って少しでもその効果があるならば、違法状態というものを減少させることができるわけでございますから、そのこと自体も望ましい、こういう二つの考え方から、今回新しい通達で説得というものを制度化して、三カ月間は一まあ三カ月とは必ずしも書いてございませんけれども、結果的には三カ月程度は告発がおくれても、それによって説得が行われ、少しでもそれで違法状態が是正されるという望みがあるなら、それはそれで望ましいという観点からこういう制度を設けたのでございまして、一方において、その間においては告発はしなくとも結構ですということを言うと同時に、また三カ月たっても何カ月たっても同じ状態が続いたのでは困るということで、一定の限度を設けた、そういうことでございます。 〔亀井委員長代理退席、委員長着席〕
○橋本(文)委員 各自治体で、告発をしないという動きがだんだん多くなってきた。違法状態を放任してもいいのかというような考え方も法務省にはあるでしょう。今回のこの通達につきまして、いわゆる違法状態の解消ができるのじゃないかという期待を持って出したと思うのですけれども、どうも新聞紙上等で見る限りでは、逆に火に油を注いだという感じがするのですね。ある新聞の論調でも、一歩前進、二歩後退というような話がありましたね。単なる、黒インクをつけてのいわゆる回転式から、無色の特殊なインクをつけてのいわゆる平面押捺、それで心理的な負担が多少は緩和されるだろう、それはほんの少しは、犯罪者扱いよりはましだろうけれども、後が悪いというような内容のようですけれども。何かこの通達は、はっきり言って、何を言っているかわからないという感じが私にはするのです。 結局のところは、新規押捺、新しくする人については全く登録済証明書は発行されません。辛うじて、過去に登録をした人間については、大臣が言っているように旧登録証でも登録済証明書は交付できる。ただ、この登録済証明書はどの程度の効果があるかは全くわからぬ。各自治体なり各関係機関なりあるいは民間の団体なりが、過去の証明によって有効か無効かを独自で判断してもらうしかない。つまり、法務省は有権的な解釈はできません。そんなことをしたら、ますます違法状態、不法状態、無法状態が蔓延するのじゃないでしょうかね。あるところではこれは有効である、あるところではこれは無効である、あるところではこれはもう価値がない、私が知りたいのは現時点であなたが何者かを知りたいのだ、押捺を拒否した時点でのことなんかは関係ないと言ったらば、何のことはない、これは意味がないのですね。結局のところは、場合によっては旧登録証で登録済証明書が交付されたとしても、いわゆる実効性がない場合も多々ある。 結局のところは、ほとんど、八〇%以上が在日韓国人と言われております。この立場は、昔の忌まわしい出来事から強制的に日本国に残留している人がたくさんおります。それを結局は、大臣が新聞に言ったみたいに、日常生活には支障がないだろう、事業の運営面でも支障がないだろうと言っているけれども、現実には大変な支障がくる。そこで在日韓国団の方たちが大変な憤りを持って、おかしいと言っているのじゃないでしょうか。それを形の上では、三回やってもなお聞かなければ、他の確認手段に訴えていわゆる登録済証明書は交付しましょう、しかしそれには指紋不押捺というような烙印を押す。これですな。これで事態の解決になると思っているのでしょうかね。ますます、日本政府は何を考えているんだという形でもって、さっき言ったように火に油を注ぐ結果になりはしないか、大変心配しております。御意見を伺います。
○嶋崎国務大臣 この問題につきましては、御承知のように指紋制度の存続自身はこれはあくまでも守っていくという基本的な考え方を我々持っておるわけでございますが、そういうことを前提にしましていろいろな問題の検討をやってまいりました。しかし、今までの経緯から考えまして、この大量の押捺をやっていただかなければならぬ時期がこの七月一日から来るわけでございます。私たちは、少しでも在日外国人の皆さん方にこの指紋の押捺についての感覚というものをいい方向に持っていきたいというようなことで、御承知のように政令を改定しまして、回転式の指紋の押捺ということをやめまして、そして平面指紋というような形にやり変えたわけでございますし、かつまた、黒インクとか赤インクとかいうようないろいろな議論がありましたけれども、そういうことも後に残らないようにというような対策を講じて、どうしてもひとつ御協力をしていただいて、この制度がうまく運用していけるようにぜひとも皆さん方のお力添えを得たいというつもりでこの制度改正をやったわけでございます。 ついては、一方、この仕事を具体的に担当していただくのは地方自治団体の皆さん方でございますから、またいろいろな意味での指紋押捺をめぐる議論というようなものもあるわけでございますから、それをきちっとしたような格好で整理をしていかなければならない。そうした場合に、従来地方でもいろいろな説得を重ねて努力をしていた経過というのは現実にあるわけでございますから、そういう現実というものも十分踏まえながら事柄の対処をしなければならぬ。しかし、やっていただかなければならない指紋押捺だけはひとつぜひ在留の外国人の皆さん方挙げてやっていただきたいということが基本で、事柄をお願いをしておるというのがこの問題の基本的な考え方であるわけでございます。 そういう我々の考え方であるのですけれども、今御指摘のような論議を立てられますと、私たちの考えているところとどうも走っている方向が少し違うのじゃないか。私自身、今までこの問題に取り組んできていた感覚と、およそ仕事の方向が違ったような一般の状態になっていることは非常に遺憾なことだと思うのでございます。 しかし、今までるる申し上げましたように、そういう経過でこれを考え、しかも現に協力をしていただく人が千人おられれば四人前後の押捺をされない方がおいでになる。しかし、そのほかの人は、この改正においてみんなある意味では何かの工夫をしていただいたということを御理解願っている。その残る四人の方々についてもそういう気持ちで我々がやっているということを何とか酌んで協力を願いたい、こう思っておるわけでございます。 そういう一連の考え方に立っておるわけでございますので、この問題についての御理解を深めていただきたいと思っておる次第でございます。
○橋本(文)委員 大臣の答弁を聞いていますと、回転式から平面式に変える、しかも無色の特殊な薬液を使う、手に残らないのだ。比喩を使えば、焼きごてをぎゅっと押しつけるかわりにちょっとつける。どちらも焼きごてには変わらないというような表現がございます。大きいか小さいかの問題で、本質的には変わっておらない。ただ、程度の問題だけで事を処理しようとなさっておる。今ここで大きな問題になっているのは、指紋そのものがいいのか悪いのかということで論議しているわけです。やはり指紋は存置するんだという形で反発が出ているんじゃなかろうかと思うのです。いろいろ議論がありまして、押捺拒否の裁判の例を見ましても、これは立法上の問題であるというふうに裁判所が判断しているわけです。まだ一審の判決だからということでもって法務省は腰を上げないというのであれば、やはりこれは国際世論の中でもちょっと問題ではなかろうかと思うのです。 時間がありませんけれども、いわゆる本人の同一人性確認という問題は、通達にもありますように写真の照合、原票の記載内容の点検あるいは保証人二名の陳述ということでもって確認ができるわけですね。それを、指紋に拘泥しないで何らかの形をとられるべきだと思うのです。専門家が本当に真剣に考えれば解決できるのじゃないでしょうかね。 例えば原票の記載内容。いろいろ議論されまして、サインというものがあるんだけれども、いわゆる書けない人がおるから、そんなことでもってサインはだめなんだという話もありましたけれども、例えば原票の記載内容の中にその人が登録するときに自分の名前を書かせる、あるいは自分の好きな絵をかかせる、何でもいいのです。要するに銀行のキャッシュカードみたいなものですね。暗証番号を書かせてもいい。暗証番号ではまずいかな。やはり視覚に訴えるものでなければいかぬでしょうから、特殊な自分の好きな文字あるいは図形をこちらに保管しておく。あなたが書いた字なり図形は忘れないでほしいとそのときに言っておいて、そうしてそれを五年後に再現してもらう。五年間にそんなに極端に変わるわけはないのですよ。そういうようなことでやれば、指紋でやらなくても同一人性の確認は僕はできると思うのです。だから、要するに運用面での改善をするのであれば、そういう形でもって幾らでもできるのではないかと思うのです。 写真でやるのは角度の問題あるいは髪型の問題で変わってくると言うけれども、多少金がかかるかもしらぬけれども、国際的な不評を買うよりは、やむを得ないということでもって写真を徹底的に撮る、横から上から下から。そういうふうにすれば写真だけでも十分機能すると私は思うのです。だから、何回も言われているように指紋というものは別の意図があるのではなかろうか、こういう議論に結びついてくるわけです。それがまたいわゆる人権問題にまで発展するのではなかろうかと思うのです。その点で、今回の通達で、図らずも指紋によらなくても本人の同一性が確認できるという表現が出たものですから、この辺で本人同一性確認の手段、方法を真剣に考えていただきたいと思います。大臣から。
○嶋崎国務大臣 今、御提案になったいろいろな方法というのは、これは現実に問題を処理する場合になかなか困難を伴うということもあるわけでございますし、また窓口の仕事の処理の立て方というようなことから考えましても相当問題点があるのだろうと思います。また、技術的にいろいろなことを検討するということについてもおのずから限界がある。また、将来の問題としては、いろいろな検討というものは時代の推移に伴って検討していかなければならぬと思いますが、この大きな切りかえを前提にして、現段階ではこういう工夫しかないのではないかという判断をしたというのが事実でございます。 それから、いろいろな議論はありますけれども、回転式の指紋でなしに平面的な指紋にしておる、そのこと自身も、例えば犯罪捜査その他のことから少し隔離した感覚というものをはっきり出したいというような、またそういうふうに受け取っていただけるのではないか。また、現に、過去においてもそういう感覚で外人登録の問題は処理をしてきている。今度の場合についても、いろいろと手続的に厄介な面もありましょうと思うけれども、そういうおそれのあるようなことについては法務省で的確な判断をしますから、いろいろな指示を求めていただきたいというようなこともつけ加えて、少なくともそういう御心配というものを少しでも消すような気持ちで事柄を考えておるということも現実であるわけでございます。 そういう意味合いから、先ほど来申し上げましたように、指紋制度の運用についてはぜひこういう姿で運用させていただくということについて御理解を願いたいと思っておる次第でございます。
○橋本(文)委員 いずれにいたしましても、説得に次ぐ説得を重ねて、しかも登録している人についてはいわゆる指紋不押捺という記載をつけての登録済証を出すという形でもって何かお茶を濁そうという感じがするのですけれども、本質的な問題が何ら改善されていない。逆に、告発をせよということがしきりに出てきますので、自治体については極めて厳しい内容の通達ではなかろうかと思っておりますので、今後とも運用面の改善を期待して、質問を終わります。
○片岡委員長 三浦隆君。
○三浦(隆)委員 初めに、大臣にお願いしたいと思います。 けさ方の件なんですが、けさ方、理事会が開かれまして大変におくれをとりました。その理由は、大臣御承知のように、十四日は本当は法案の審議の日でありましたのにあえて例外的に一般質問に入りましたのは、指紋問題あるいは平沢問題がかかっていたからだというふうに思っております。ということで、一般論ではなくて、少なくとも当日質疑するメンバーは決まっていたわけでありまして、その質問の一番中心事項である指紋の資料が質問しているさなかには全くわからない、それで夕刊を見たら大変大きく載っているというふうなことで、質問が勢いピント外れになってしまうという事態が起こってきたわけです。 国会はやはり国権の最高機関であり唯一の立法機関だといった場合には、より立派な法律をつくり、あるいはその法がどのように行政面その他で運用されているかも常々監視しながら、さらにまた法改正なり、よりよい法律をつくる方へと努力していかなければいかぬのだろう、こう思っております。そのためには、国会でこうした法務委員会などが開かれますけれども、これは国会開会中であり、その他の諸要件を考えますと回数がおのずと限られておりますし、それぞれの持ち時間もまた大変制約されているとすると、一回一回の時間というのは本当に貴重な質疑の時間ですから、最大限のよりよい資料をもとにしながら質問を行っていくのが当たり前のことだろうと思うのです。 最近、憲法三十一条ですか、ここにアメリカ的なデュー・プロセス・オブ・ローといいましょうか、適正手続条項をも含めたいという説が有力になっておりますのも、法の内容が適正妥当ないわゆる価値内容を持つものであるということはもう当然のこととして、その法律がどういう過程でつくられているのか、あるいはまたその法律がどのように適用されているのかという手続面的なことも極めて大きな問題に今なっていますし、特に指紋押捺をめぐります外登法の課題は、この法があり、法そのものにも若干の問題が皆さんから言われておりますが、さらにその適用の問題でも大きく今話題になっているわけであります。しかも、通達の内容というのが質問内容に全面的にかかわると言ってもよい内容を持っております。しかも当日の大臣のお言葉ですと、この指紋押捺のむしろ緩和されたような一面だけの御発言があったものですから、我々としては少しは前進したのかなと思いながら、それでもまだこれでは不十分なんではないかという角度から質問をさせていただいたわけであります。 結果的には、悪意からではなかったとは思いました。けれども、結果的には行政による国会の軽視につながった件だと思います。こうした事例は何回も起こることとは思いませんけれども、今後のこともありますので、この際大臣の御見解を承って。おきたいと思います。
○嶋崎国務大臣 さきの十四日の委員会、実はその直前まで閣議の判断を求め、あるいはその後のいろいろな整理に追われ、またそういうことを前提にしながらいろいろなことも考えてまいりましたのですけれども、どちらかというと非常に押せ押せの仕事の中で処理をしたという経過があって、そういう意味では指紋押捺問題を含め、この問題が法務委員会でも非常に問題になっていることを承知しておっただけに、手続の点で手落ちがあったのはまことに申しわけないと思っております。私も、通例のこういう行政の運用的な問題でございますからという判断でこれを処理したわけでございまして、そういう点についてはまことに申しわけないと思っておるような次第でございます。 ただ、この問題の処理に当たりましては三つの問題がありまして、一つは政令改正の問題であり、一つはやり方の問題であり、もう一つは地方自治団体の方からもいろいろな要望がありましてということで通達も出しますというようなことを申し上げておったわけでございますが、そういう細かい段取り、また、その説明の仕方に非常に不十分な点がありましたことを非常に反省しておるわけでございます。今後、こういうことがないように、我々としましても十分注意をして事柄を運用していかなきゃならぬというふうに思っている次第でございますので、御了承願いたいと思います。
○三浦(隆)委員 それでは、法案について質疑を続けたいと思います。 まず、今回の法改正の理由についてでありますが、法改正の必要とその要点についてお尋ねをしたいと思います。
○筧政府委員 この法律案による改正の要点でございますが、国選弁護人がその職務を行い、または行おうとしたことによって、国選弁護人またはその配偶者、直系血族もしくは同居の親族が、他人からその身体または生命に害を加えられた場合に、その被害者等に対して国において療養給付、傷病給付、障害給付、遺族給付、葬祭給付または休業給付を行うこととするものでございます。 その必要性でございますが、御承知のように過激派の裁判を契機といたしまして、被告人またはその支援者と国選弁護人との間に裁判に対する対応あるいは意見の相違が見られ、その結果、双方が対立といいますか、被告人側の方が国選弁護人に脅迫その他の害を加えるということから、国選弁護人がその身体に害を加えられるおそれが生じた事例が多数発生したということから、刑罰法令の適正かつ迅速な適用、実現を図るためには、国選弁護人またはその近親者がその職務の遂行に関して被害を受けた場合にも、刑事事件の証人及び参考人の場合と同様に国において一定の給付をすることが必要である、刑事裁判の適正かつ円滑な運用を図るために必要であるというふうに認められたからでございます。
○三浦(隆)委員 改正法案の提案理由の説明の中に、「いわゆる過激派裁判等を契機として、裁判所または裁判長によって被告人に付された国選弁護人の弁護方針と被告人等の裁判への対応方針の相違等から国選弁護人がその身体に害を加えられ、または加えられるおそれが生じた事例も発生していることにかんがみここうあるわけです。そこで初めに、過激派裁判による国選弁護人に対する加害行為の事例はこれまで何件あって、どういうことであったのでしょうか。
○筧政府委員 過激派裁判におきまして現実に身体、生命に害を受けたという事例の具体的な内容は、私どもは承知いたしておりません。ただ、過激派の裁判におきまして、被告人らに国選弁護人が意見の相違からいろいろ暴力といいますか、暴力をもって連れ出されるとか軟禁されるとかあるいは取り囲まれるというような事例はあったようでございます。しかし、その当時はこういう法律ももちろんございませんし、弁護士さん、やはり被告人との信頼関係というのがあるためかと思いますが、その被害の申告ということをなされておりませんので、実際の被害の詳細については承知いたしておりません。
○三浦(隆)委員 「過激派裁判等」とありますけれども、「等」というのは具体的にどのようなことだったのでしょうか。
○筧政府委員 過激派裁判以外の一般事件におきましても、国選弁護人の弁護方針と被告人の裁判への対応が著しく異なったような事件という趣旨でございます。
○三浦(隆)委員 今の答弁をお聞きしておりますと、わざわざ法改正してまで国選弁護人のことを入れることが今直ちに必要なのかどうかとすら思えるくらいに、現実には国選弁護人に対する問題というのは余り起こっていないというふうに例えたわけですね。言うならば、国選弁護人に対する人権上の配慮というのは大変速やかだ。ほとんど事件が起きていないのに対応できている。ところが、先ほど来繰り返し問題になっている外国人の人権に対する配慮になりますというと、いろいろとあるのだけれども、なかなか改正への手がかりが出てこないということは、これはこの法改正の問題と離れますけれども、一つの大きな問題ではないか。いわゆる人権上の配慮をすることですから決して悪いことではないわけで、この法改正に限らずいろいろとやっていただきたいと思うわけです。とするならば、外登法の改正の方もぜひとも並んでやってもおかしくないのじゃないかというように私は思っております。なお、この件につきましては、先ほど別室で理事の皆さん、個々的に、インフォーマルにお会いしている間に、また近いうちに指紋集中の日にちをとりましょうということでございますから、改めてまたその日に触れたいと思います。 さて、その次でございますが、昭和五十七年三月二十六日の衆議院法務常任委員会の記録によりますと、日弁連は、弁護人の収入は高いのであるから、国選弁護人に対する給付額を引き上げてほしい旨の主張を行い、法務省側は弁護人だけを特別扱いにして差を設けることに難色を示し、結論として、法務省はむしろこの際は見送って、もう少し基本的に検討してやった方がいいと法案提出を見送った経緯がございます。 そこで、今回の法案提出に関連しまして、これまでどのようなことについて基本的に検討されたのか、このことについてお尋ねをいたします。
○筧政府委員 お尋ねの昭和五十七年三月二十六日の常任委員会で、御指摘のような議事が載っております。ただ、その場合、法務省側から、さらに基本的に検討しようということに加えまして、日弁連の方からもそういう点についてさらにお互いに基本的に検討したいという御要望もあって、双方一致してその後基本的な検討に入ったということでございます。その基本的検討と申しますと、給付額を引き上げてほしい、一言ではそういうことになりますけれども、それをめぐりましては被害者の範囲あるいは財産的損害等の被害そのものの範囲をどこまで広げるかというようなこと、さらにはそれを国選弁護人についてすることとなりますと、立法形式も単独立法の方がいいというような日弁連の御要望があったわけで、それらとさらに給付の基礎額等の金額も含めましてそれらの点を基本的な問題点としてその後数年間検討を続けたわけでございます。
○三浦(隆)委員 今の件で基本的に検討されて、結論は前進したわけですか。
○筧政府委員 今回御提案申し上げております法律案の内容のような形で双方の合意に達したということでございます。
○三浦(隆)委員 内容はまた順次お尋ねいたしますが、昭和五十八年一月号の「自由と正義」によりますと、日弁連では、国選弁護人の被害補償に関連しましてこれまで単独立法を望んでいたと思われますのに、今回この主張を撤回し、法案化に歩み寄った理由はどこにあったのでしょうか。
○筧政府委員 先ほど他の委員からの御質問にお答えしたところでございますが、単独立法となりますとそれなりの合理的な理由がなければならない、それをどこに求めるかということになりますと、この補償の性質等をめぐりましていろいろな議論があったわけでございます。日弁連の方でも、あえて単独立法までしなくても納得できる内容で納得できる補償の範囲であれば早期立法の方が望ましいということで合意に達したということでございます。
○三浦(隆)委員 日弁連でも納得できると今言われたわけですが、当該法案の規定によりますと、日弁連の願った国選弁護人に対する給付額引き上げにつきましては特別の何の規定も設けていないわけで、そこで日弁連がなぜ納得したのかというのがこの法案だけでは浮かんでこないように思うのです。そこで、法務省は国選弁護人に対する給付額の引き上げについて、当該法案とは別に何か日弁連との間の約束事項なりあるいは何らかの対案というものをお示しになったんでしょうか。
○筧政府委員 今申しました立法形式その他、あるいは補償の性質等から考えまして、やはり証人等と差を設ける合理的理由は見出しがたいということで日弁連の方も最終的に御納得をいただきましたわけで、これを実際に引き上げるとかあるいは今後どうするというようなことで日弁連との間で我々の方から法案にない対案というようなものを示したというようなことはございません。
○三浦(隆)委員 先ほど質問しましたように、この法案が最初見送られたいきさつは、日弁連の方から弁護士の収入は高いから特段の配慮をしてほしいという御要望があったようです。ところが、今御答弁いただきましたように特段の違いがないとなると、この基本的な検討事項そのものは日弁連にとってそれほど進歩した結論が出たとは思われないのですけれども、どんなものでしょうか。
○筧政府委員 先ほど申し上げましたように補償ということでございますので、そう多く発生するとは思われないわけでございます。したがいまして、発生しました事案については補償はできるだけ手厚い方がいいということは一般論としては当然のことでございます。日弁連からの御要望もその意味で無理からぬことということで、私どもも三年間にわたりまして、単独立法が可能であるか、可能とした場合、どういうふうな理由でもってどういう差等をつけることができるかというようなことをいろいろ案をつくってお互いに検討を重ねまして、その結果、日弁連の方で最終的にこれでやむを得ないという御納得をいただきましたわけで、前進とかということではなくて、双方話し合いの上、これで早期立法を図るということで意見の一致を見たということでございます。
○三浦(隆)委員 次は、給付の実情についてお尋ねをしたいと思います。 初めに、法施行以来の実績についてお尋ねしたいと思います。
○筧政府委員 昭和三十三年でございますか、証人等の被害給付法が成立いたしましてから現在まで五件事例が発生いたしております。 一件は昭和三十四年の事例で、証人が軽便かみそりで切られてけがをしたという事案、次は昭和三十六年の事案で、やはり証人が顔面等を手拳で殴打されて傷害を負ったという事案、あるいは昭和三十八年の事案では自己に不利な証言をした証人に対しましてその被告人が刑務所で刑期を満了して出所をした後に小刀で刺してこれを殺害したという事案、それから四番目は昭和四十三年、これも証人の証言中に被告人がボールペンで顔面を突き刺したという事案、最後は昭和五十八年の事案でございまして、やはり証言中に被告人が手で顔面を殴打して傷害を負わせたという五例でございます。
○三浦(隆)委員 それらの証人等の被害の給付状況はどうなっておりますか。
○筧政府委員 最初の軽便かみそりで証人を切りつけたりけがをさせたというのは療養給付二千七百五十四円でございます。それから二番目の顔面を手拳で殴打したという事案は療養給付約千三百円と休業給付六千五百二十八円でございます。それから三番目、刑期満了後殺害したという事案でございます。これは昭和三十八年の事案でございますが、遺族給付として百二万円、葬式等の葬祭給付が六万一千二百円、それから四番目昭和四十三年のボールペンで顔を刺した事案につきましては、療養給付三万五千円、休業給付一万九千八百円、それから五番目昭和五十八年の顔面を殴られた事案、これは傷害の程度は全治六日間でございます。療養給付が五千五十円となっております。
○三浦(隆)委員 今の給付の金額を聞きますと、どれもこれもみんな低いなという感じを受けたわけです。例えば昭和三十六年の事例ですと顔面等を大変ひどく打たれて全治二週間というふうな傷を受けている。しかし、療養給付額は今言われましたように約千三百円にすぎない。全治二週間ぐらいの傷を受けて千三百円というのですね。昭和三十六年でございますが、現在もしこれを同じ事例でやったら幾らぐらいになるものですか。
○筧政府委員 昭和三十六年の事案は療養給付でございます。療養給付と申しますのは、被害者が負傷して病院で治療する必要がある場合に国の方で指定した病院へ行って治療を受けさせるといういわば治療そのものを現物給付するという場合と、その治療に要した費用を給付するという金銭による給付と二通りあるわけでございます。この場合は金銭の給付であろうかと思いますが、これはいずれも傷害の療養に要した経費、実費でございますので、現在ではそれより高い実費が要るかと思いますが、実費であるという性質においては当時と今でも変わりはないかと思います。
○三浦(隆)委員 正確には療養給付が千二百九十六円、休業給付が六千五百二十八円とございますが、これは一日当たりの金額ですか、全治二週間という十四日間での合計金額ですか。
○筧政府委員 休業した全期間でございます。
○三浦(隆)委員 幾ら実費と言われても、千三百円にも満たなかったり、あるいは六千五百円の費用というのは十四の日で割った日にはほとんど取るに足らない。これは大変に低過ぎるのじゃないかというふうに思うのですけれども、どうお考えでしょうか。
○筧政府委員 療養給付は実費でございますので、昭和三十六年当時二週間、傷害の程度、内容にもよりますけれども、これで完治したものとしか言いようがございません。休業給付につきましても、やはり昭和三十六年当時、二週間でございますので、この場合に基礎額がどの程度になりましたかわかりませんが、やはりそれ相応の金額で、当時としては、全体的に低いか高いかということは別としまして、そう低いものではなかったというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 現在、もし同じような事例が起こったら休業給付は幾らになりますか。
○筧政府委員 その当時も給付基礎額というのは当然にあったわけでございます。今先生御指摘のこの事例はその当時の給付基礎額の最高額、今でいいますと一万三百円に当たる最高額の六百円をもとにして計算されております。休業給付の計算方法といたしましては、給付基礎額掛ける百分の六十掛ける休業日数ということになっておりますので、現在これを約一万円としますと、十四日で十四万円の百分の六十、八万四、五千円になるのではないかというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 先ほど六千五百円、十四日で割ると単純計算五百円にも満たないということですね。証言に立ってこれでは本当にとても合わないという気がいたします。 次の昭和三十八年の事例ですと、証人が犯人により証言についての恨みを理由に殺害された事件が起こったわけです。先ほども答弁がございましたように、これに対しましては遺族給付が百二万円です。葬祭給付が六万一千二百円でありまして、これでは証人として証言協力をした代価としては本当にひどいなという感じがするわけですが、現在ならどのぐらいになるのでしょうか。
○筧政府委員 現在の遺族給付でございますが、現行法を適用いたしますとこれは年金になるわけでございます。昭和三十八年当時は遺族給付は一時金のみとなっておりまして、その後の改正により年金制度が導入されております。そうすると、現行法で適用してざっと計算いたしますと、年額が百六十四万三千二百二十円、これはその当該受給資格者が生存する限り年額としてこれだけのものが支給されるということでございます。それから葬祭給付につきましては六十四万四千四百円ということになり、必ずしも現行法を適用すれば低きに失するというふうには考えておりません。
○三浦(隆)委員 年額百六十万円という金額は多いか少ないかというのは、生活の仕方にもよるでしょうけれども、やはり余り多いとはとても言えない金額、現在の世知辛い時代に生きていくのに、家族にとっては大変なことではないかというふうに思います。言うならば結論としては極めて低過ぎるなという感じでございます。 次は関係法律との比較でございます。 お尋ねしたいと思うのですが、給付金額の算出の基礎となります証人等の被害についての給付に関する法律施行令第四条、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令第五条に言います給付基礎額と国家公務員災害補償法第四条に言います平均給与額との差異についてお尋ねをしたいと思います。 そこで第一問は、両者間の差異の実情はどうなっているのでしょうか。また、その差異はなぜ生じてくるものなんでしょうか。
○筧政府委員 御承知のように、国家公務員災害補償法第四条では過去三カ月間の平均給与額ということになるわけでございます。それとこの給付基礎額というものとの比較でございますが、国家公務員災害補償法の適用を受ける国家公務員につきましては、俸給表が幾つかございますが、その中で相当多数に分かれております。したがいまして、公務員になって間もない者と、それから三十年なり四十年なり勤めた人とでは相当の開きがあるわけでございまして、どちらが高いか低いかということになりますと、国家公務員災害補償法の適用を受ける人の給与がどの程度であるかということによって高くなったり低くもなったりということになろうかと思います。
○三浦(隆)委員 もう少し具体的にお尋ねをしたいと思うのですが、そうすると、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員にありましては、その平均給与額の算定に当たりまして俸給のほかに俸給の特別調整額、初任給調整手当、扶養手当、調整手当、住居手当、通勤手当、特殊勤務手当、特地勤務手当、超過勤務手当、休日給、夜勤手当、宿日直手当、義務教育等教員特別手当というふうなものが加算されるようになっているわけです。私は、これだからこの人たちが高いと言っているわけでは決してございません。こういうふうに算出されてくるわけです。そこで働いている一般職の職員の人が何年働いているかあるいはどの程度の等級にいるかによって違いがあるかと思いますけれども、そうしたものを含めまして、管理職でない一般職の職員の平均給与額は現在幾らになっておりますか。
○筧政府委員 これは人事院の統計を見るしかないかと思いますが、人事院月報によりますと、昭和五十九年四月現在で行政職俸給表の(一)と(二)適用職員の平均給与月額、これは二十二万八千八百五十円、それから同時期の全職員、行政職(一)、(二)のみならず全職員の平均給与月額は二十四万五千九百十九円となっているというふうに人事院月報に登載されてございます。ただ、この平均給与月額の場合には、俸給には俸給の調整額及び教職調整額を含むとありますので、それ以外の手当は含んでいないもののようでございます。
○三浦(隆)委員 そうすると、それを含ましたら幾らになりますか。
○筧政府委員 その点については、人事院等の統計にもございませんので、ちょっと正確には申し上げかねます。
○三浦(隆)委員 実は、それが知りたくて、こういう質問をいたします、人事院の方とよく打ち合わせされて、そして幾らになったかお調べをいただきたいともう大分前に言っていたわけでして、これは調べれば概算づくんじゃないかというふうに思うのですね。それがないと本当はこの法案の審議は進まないのです。高いか低いかというときに、今何を基準として高いか低いかというのにその額が決まってこなくては、論ずる以前の問題だと思うのです。私はこれは大変に大切な問題だと思いまして、実は早目にお願いをしておったということでございます。 同じことで、恐らく管理職の平均給与額、これもわからないということなんですか。
○筧政府委員 人事院の方でもちょっとわかりかねるということでございます。
○三浦(隆)委員 急に質問した場合にはわからないというのは十分うなずけるのですけれども、十分なる期間を置いておいたわけでして、そこで人事院とよく打ち合わせして資料をいただいて、そして計算してほしいとお願いしていたわけですから、それだと質問上ちょっと困るなという感じなんです。といいますのは、先ほど来言いましたように給付基礎額と平均給与額というのはどちらも算定基準になっているわけですね。ですから、その基準そのものもそれぞれの働く立場によって変わってくるとするならば、そこいら辺もぜひ知りたかったなと思うのです。 やむを得ませんので進みます。それでは、弁護士さんの昨年度における平均所得はどのくらいでしょうか。
○筧政府委員 弁護士さんの所得につきましては、特に公表されているというものもございませんし、正確にこれをつかむことはちょっと難しいかと思います。一つのよりどころといたしまして承知しておりますのは、日弁連が発行されました「自由と正義」、これはちょっと古くて昭和五十六年でございますが、五十六年の「自由と正義」によりますと、昭和五十四年における弁護士の平均所得、これは課税前ということでございますが、これも東京地域とか各地域に分かれて、どういう調査かは存じませんが調査結果が載っております。それによりますと、東京地域が七百六十万円、大阪、名古屋地域が六百八十三万円、その他の高裁所在地は七百十一万円、高裁不所在地の平均が六百十四万円というふうになっております。
○三浦(隆)委員 これも大分前にお願いしておきまして、税務署の方その他をよく御検討いただきたい。結局弁護士さんに限りませんで、税務署はお医者さんから歯医者さんから弁護士さんあるいは司法書士さん、平均大体全体はどのくらいだということをつかんでいるわけですね。ですからその申告額が余り極端に低かったりすると、平均の上下ならどうってことはないと思うのですが、著しく平均よりも、例えば損失を招くような大変低い金額を言いますと、これはおかしい、むしろよく調べなければならぬというふうにお感じになるようですね。これはそうした自由職業の方でなくて料理飲食店におきましても、食べ物屋さんその他、大変明細な記録が税務署にはございまして、テーブルが幾つ、いすが幾つ、何時から何時まで、働いている人が何人ぐらいいる、そうするとこの店はどの程度の収入があるというおおよそのものをつかんでいられるというふうに聞きましたので、きょうの法案審議ということで国選弁護人のことをお尋ねしようと思って早くからお願いしておったわけです。ですから、それほど難しくなく、ちょっと電話でもいいからお尋ねになれば、国会の質疑ということであれば教えていただけたんじゃないかと思うのですね。個人のことを尋ねているのじゃなくて全体としての平均が幾らかということなんです。わからなければこれも飛ばすことにいたします。
○筧政府委員 弁護士さんの所得につきましては国税庁へも照会いたしましたが、弁護士の平均所得というものは把握しがたいということで承知してないということでございます。国税庁で出しておりまする統計年報等に載っておりますのは、弁護士、税理士、建築士等、そのほか公証人、司法書士、行政書士その他、いわゆる士(さむらい)の何とか士というのが多数含まれて、そういう人たち三万人ぐらいの所得合計額というようなものが載っておるわけでございまして、弁護士さんの平均所得というのはちょっと把握が困難であろうかと思います。
○三浦(隆)委員 ですから、この法案が基本的なことを検討してほしいということで、法案が今まで延びてきた理由は、日弁連の皆さん方が、一般の人よりも弁護士の方が収入が高いんだから高いなりに何とか給付額を上げてほしいという要望だったわけです。ですから、一般の人よりどの程度高いかというのを調べてみませんと法案の実際の審議にはならないわけで、そこがわからなければなぜ弁護士の方が納得したのかもこれまたよくわからない。言うならば、わからないままこの法案の審議が終わってしまうということであります。ただ趣旨的にはいいことだから賛成するのはやぶさかでないということだけでありまして、中身的には余り深まっていかなかったなという気がいたします。 次に、国選弁護人の報酬についてなんですが、最高裁での場合、以下簡易裁判所の間ではどのような違いになっておりますか。
○小野最高裁判所長官代理者 御承知のとおり国選弁護人の報酬の額は刑事訴訟費用等に関する法律八条二項に「裁判所が相当と認めるところによる。」こういうふうになっているわけでございまして、それぞれの受訴裁判所の裁量にゆだねられているわけでございます。したがいまして、各受訴裁判所では、事件の難易でございますとか、弁護人がどのくらい活動したか、どのくらいの事前準備を要したか、あるいは法廷が何回開かれて、何回出頭されたかというようなことをいろいろしんしゃくして相当の額を決める、建前はそういうふうになっているわけでございます。ただ、これは予算を伴うことでございまして、予算の上でただいまのところ、地方裁判所が三開廷をした場合ということで予算単価として六十年度では五万三百円をいただいているわけでございます。そういうようなことがありまして、予算の適正な執行というようなことを考慮いたしまして最高裁判所で一応の支給基準額というものを参考に送付しております。その支給額で申し上げますと、最高裁判所は五万八千五百円、高等裁判所が五万四千二百円、地方裁判所が五万三百円、家庭裁判所が四万九千百円、簡易裁判所が三万六千円、こういうふうに基準額を定めております。
○三浦(隆)委員 今御答弁いただきましたように最高裁が六十年度では五万八千五百円、簡易裁判所では三万六千円ということで、簡裁の報酬は最高裁の約六二%でございます。こうした報酬額の差というのが、仮に簡易裁判所で国選弁護人が証言に立ってけがをした、最高裁で証言に立ってけがをしたというときに明らかな差がございますけれども、給付額の算定では同じになるものですか。
○筧政府委員 法案の趣旨といたしましては、やはり被害を受けた弁護士さんの平均的なと申しますか、その日常の収入ということを考えておりますので、最高裁あるいは簡易裁判所での国選弁護を受けた際に発生した事案でありましても、その人の通常、年間なら年間等を通じましての収入を勘案いたしまして給付基礎額を決定するということになろうかと思います。
○三浦(隆)委員 次は、犯罪被害者等給付金支給法等の関係ですが、昭和五十八年度中に給付金支給の裁定を受けた事例は、被害者数にして二百十人、給付金総額にして六億七千三百六十五万五千八百四十八円になっています。単純に二百十人で割りまして平均を出してみますと、一人当たり約三百二十万八千円というふうになってくるわけですね。この場合には、何にもしていない、ただ道を通りすがりにぱたっとやられた場合にそういうふうになっている。今度のこの法案で言うのは、証人として国のお役に立とうということでなっているわけですね。こうした金額を比べてみまして、どっちも高いとは思わないのですけれども、やはり今度の法案の金額は低いのではないかなという気がいたしますが、いかがですか。
○筧政府委員 犯罪被害者等給付金支給法の支給状況については、私ども詳細は承知いたしておりませんが、被害者が死亡した場合の同法による給付額は、一時金でございますが、最高で八百四十五万円というふうに、違っているかもしれませんが、承知いたしております。 同様に、被害者が死亡した場合における証人等被害給付法による給付額、これは給付基礎額のほかに扶養親族の有無、その人員によって加算額がありますので、それによって変わってくるわけでございますが、仮にその亡くなられた人に妻と子供二人がある、いずれも扶養親族である場合、いわゆる標準世帯における夫の死亡ということを仮定して計算をいたしますと、遺族給付年金の最高額が二百三十三万六千二百四十円ということになるわけでございます。これは年の年金でございます。 なお、年金を受けるべき遺族がないという場合には遺族給付一時金を支給するということがこの法律の建前でございますが、その最高額は千三十万円ということになっておりますので、今申し上げました犯罪被害者給付金の一時金八百四十五万円と比べまして、決して低くはないというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 その低い、高いという感覚なんですが、人の命をどう評価するかということで大分違いが出てくるかと思います。 次に、刑事補償法との関係なんですが、これは憲法四十条の具体化だと思いますが、この法では現在、無実の罪で仮に刑務所に入っていてそこで亡くなったとしますと、幾らですか。
○筧政府委員 刑事補償法によりますと、「死刑の執行による補償においては、二千万円以内で裁判所の相当と認める額の補償金を交付する。」ということになっております。
○三浦(隆)委員 私の読んだ本が古くて、私の本では千五百万円となっておりまして、きっと改定されて上がったのだと思います。いずれにしましても、ここの場合も、無実の罪を受けて、そのままもし亡くなって、仮に二千万としても、これまた人の命というのが大変安く扱われているなというふうな感じがいたしますね。これは交通事故やなんかの場合とはちょっと違いますけれども、いずれにしろ大変低い。こういう場合に、別途いわゆる国家賠償法やなんかでも、またさらに差額を政府に要求するということはできますか。
○筧政府委員 国家賠償法に定めております要件を満たす限り可能でございます。
○三浦(隆)委員 次に、刑事訴訟法の三十六条に「請求による国選弁護人」のことが載っているわけですが、これによりますと「被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、」云々とあります。この場合の「貧困」によりというその基準は、どのくらいの基準に置かれているのでしょうか。
○小野最高裁判所長官代理者 特に基準というようなものはございませんけれども、裁判で一般に考えられているところでは、要するに私選弁護人を選任するだけの費用がないというふうに解されていると考えております。
○三浦(隆)委員 仮に、特に具体的な基準がないとすると、人によっては可能性があり、人によっては可能性がなくなってしまうという、裁量の幅がかなり出てくるのじゃないかという気がいたします。例えば生活保護を受けている水準の家庭とか、やはり何らかの客観的な基準というものが必要になってくるのじゃないかなというふうに思います。特に貧困という概念も時代によってかなり変動性を持つものですから、やはり何らかのものがないと、ある人は気弱く、本当は余り持ってないのに無理してやられる方も出れば、片方は相当持っているのに、厚かましく、貧困を理由にお願いするというふうなケースが出るかもしれないと思っております。 言うならば、法そのものは結構なことだと思っておりますけれども、とにかく証人として国のために証言に協力するわけですから、この人たちをかなり優遇しませんと、一般に大変困る事態が多分起こるだろう。特に暴力団事件その他に絡んできますと、だれでも怖いですからね。そのことが、極端に言えば、無実の人を場合によると有罪にする、いわゆる死刑その他に送る可能性すらあり得る。昨今の新聞にも載っていたところでありまして、女性が刑務所から出た後、時効が完成してから、私は実は真犯人を見ていたというふうなことを言う。じゃあ、なぜ発言しないかと言ったら、実は発言したら殺されるとおどかされたからだと、この二、三日前の新聞に載っていたと思います。そんなことがありますというと、これはお金の問題ではなくて、証人に立ってくれないというそれだけのために、何でもない人があたら青春というか、ひどい目に遭ってしまうということを我々としては人権擁護の立場から十分心していかなければいけないなと思っております。 時間でございますので、質問を終わります。
○片岡委員長 林百郎君。
○林(百)委員 本件で問題になっておりますのは、提案理由の説明にもありますように、いわゆる過激派の裁判等を契機としてこのような事態が起きてきて、それに対処をする必要があるというわけなんで、いわゆる過激派、にせ左翼暴力集団、この問題を少し究明してみる必要があるのではないかというように思うわけなんですけれども、一体、このいわゆるにせ左翼暴力集団、これは今何派あって、人数にしてどのくらいと警察の方では見ていますか。
○鏡山説明員 私ども警察といたしましては、五流二十二派、三万五千人というように見ております。
○林(百)委員 それによって起きた事件の数ですね。殺人事件、傷害事件、それはどういう数字になっていますか。できたらこの十五年間の。
○鏡山説明員 昭和四十五年からどうだという御質問でございますけれども、実はその当時からの極左事件全般についての統計はございません。昭和四十五年以降現在まで、内ゲバ事件で殺人事件だとかあるいはゲリラ事件で殺人があったとか、そういう特殊なものについては統計をとっておるわけでございまして、例えば内ゲバ事件にいたしますと昭和四十五年以降現在まで発生が千六百十六件ということになっておりますし、あるいは爆弾事件でございますと百五十三件というふうになっております。 それで、死者あるいは傷害ということでございますけれども、私ども今手元に持っておりますのは死者の件数でございますが、昭和四十五年から現在まで殺人事件というのは七十一件、百一名の死者ということになっております。その内訳で申し上げますと、内ゲバ事件では六十四件、八十一人の死者、それからゲリラ事件では二件、三人の死者、爆弾事件では五件、十七人の死者、こういうことになっております。
○林(百)委員 私の方の調査によりますと、一九六八年から一九八三年までの傷害事件が五千二百十七件起きているわけなんですが、この三年間でにせ左翼暴力集団の事件の検挙数というのは何%になっていますか。
○鏡山説明員 実は、きょう三年ということでなくて五年どうだという御質問でございましたので、その数字でやってきておりますので、五年間で説明させていただきますけれども、昭和五十六年以降現在までの五年間で私ども把握しております犯罪の発生件数は五百九十五件でございまして、そのうち検挙しておりますのが千百五十七人でございます。 なぜ私が件数を申し上げないかというと、実は内ゲバ事件につきまして、殺人事件というものについては個々に件数をとっておるのでございますけれども、一般内ゲバ事件については何件、何人の検挙というのを出しておりませんので、ここでは発生件数は五百九十五件というふうになっておりますが、検挙ということでは人員が千百五十七人という数になっております。
○林(百)委員 昨年の十月五日の地方行政委員会で柴田説明員というのがこう答弁しているのです。「過去三カ年におきますゲリラ事件の検挙率を見てみますと、大体三三%ということになっております。この種の事件は発生後相当捜査に時間がかかることが多いわけでございますが、警察といたしましては、すべてのゲリラ事件を解決すべく一生懸命捜査を続けていく所存でございます。」この三三%の検挙率というのは普通の事件の検挙率に比べてどうなんですか。
○鏡山説明員 三三%というのは一般事件に比べますと非常に低い数字になっております。
○林(百)委員 大臣にお聞きしたいのですが、いわゆるにせ左翼暴力事件、ゲリラ事件の検挙数が少ないのは、自民党がこれを泳がしているということを我々は考えているわけですが、それは中曽根首相がかつて、六九年五月三日付の新聞に出ていますが、佐藤内閣を支えているのは反日共系学生だという見方もある、彼ら暴徒が反射的に市民層を反対に回し、自民党の支持につながる作用を果たしている、こういう記事がある新聞に出ているわけです。このように、自民党がこれを泳がしているということを我々は考えざるを得ないわけです。 それから、昨年九月の自民党本部放火事件のときに、事件の翌朝、浜田幸一衆議院議員が日本テレビのインタビューに答えて、この責任はだれにあるか、泳がしていた我々にあると思います、中核派を泳がしていた、こういうことも言っているわけなんですが、こういうことについては大臣はどう思うのですか。
○嶋崎国務大臣 我々としましては、えせ左翼事件とおっしゃられましたけれども、そういう事件につきましては今の社会秩序から考えてみまして全く適当でない事案であるというふうに思っておるわけでございまして、泳がしておくとかなんとかということは全く考えておらないと思っております。
○林(百)委員 大臣は考えておらなくても、中曽根総理は、かえって自民党に有利だ、浜田幸一氏は、これは自民党がにせ左翼暴力集団を泳がしていた、そこに責任があるのだ、こういうふうに自民党の幹部が言っているわけですが、大臣は思っていないというのですから、そういうことをやっていることは認められるわけなんですか。
○嶋崎国務大臣 全くそういうことは行われていないと思います。
○林(百)委員 そうすると、中曽根総理がこう言ったり、浜田幸一さんがこう言っていることはどうお考えですか。
○嶋崎国務大臣 何か時の勢いでそういうようなことがあったのかもしれませんけれども、全くそういうことはないことだと思います。
○林(百)委員 警察にお聞きしますが、自民党本部に放火をしたという犯人が一人だけ捕まったのですが、これはどういう性格の犯人ですか。いわゆるにせ左翼の犯人ですか。
○鏡山説明員 先般、警視庁で昨年九月十九日に発生しました自民党本部放火事件の犯人一人を検挙いたしたわけでございますけれども、これはいわゆる極左暴力集団の中核派に属する者と見ております。なお、これは検挙一人でございますけれども、あと一人を指名手配しておるところでございます。
○林(百)委員 それから、これは新聞名は伏せておきますが、グリコ・森永事件につきまして大阪府警と兵庫県警の合同捜査本部によると、京都大学出身のSなる男、四十八歳から四十九歳、このグループが捜査線上に上がっている、こういうことを合同捜査本部が発表しているわけなんですけれども、これについては警察はどう考えておりますか。
○藤原説明員 御質問の関係でございますが、このグリコ・森永事件の捜査につきましては、現在近畿の警察を中心に物に関する捜査とか人に関する捜査などを幅広く進めておりまして、お尋ねの報道があったことは承知いたしておりますが、特に発表したというものではございませんし、その報道が指摘しているところが必ずしも定かではございませんし、事件全体が現に捜査中の事件でございますので、内容に関することは差し控えたい、こう考えております。
○林(百)委員 この発表の新聞によりますと「合同捜査本部によると」と書いてありますので、根拠は合同捜査本部になっておるわけなんですが、それで京大出身のSなる四十八、九歳の人物という特定も出ておりますし、グループは六、七人のグループだということが出ておるわけですが、すると「合同捜査本部によると」というこの新聞の記事は警察としては根拠がないということですか。それともこれに似たようなことを発表されたわけですか。
○藤原説明員 合同捜査本部はそのようなことは一切発表いたしておりませんし、それに関するようなことのコメントもいたしておりません。
○林(百)委員 新聞によりますと「警察庁広域指定一一四号「グリコ・森永脅迫事件」で大阪府警、兵庫県警などの合同捜査本部は四日までの捜査で、京都大学出身のSをリーダーとした六、七人のグループの存在をつかみ、極秘に一連の事件の犯行当日のアリバイなど、身辺捜査に乗り出した。捜査当局はこれまでの情報捜査で数グループを捜査線上にあげ、プロジェクトチームによる裏付け捜査を進めてきたが」、Sという名前もわかっていますが、新聞にはSとありますからSと言っておきますけれども、「Sをリーダーとするグループもこの一つ」である。これはしかるべきところから発表がなければこれだけの記事が書けるはずはないわけなんですが、それではこういう記事、はっきり申しますと四月五日の日本経済新聞に出ておるわけですが、それではなぜこういう記事が出たかということについて警察ではお調べになりましたか。
○藤原説明員 その警察庁指定の第一一四号事件でございますが、非常に社会的に反響の大きな事件でございまして、各種のマスコミにいろいろの記事が載っておりますので、その関係について一々出所その他調べるようなことはとてもできませんので、いろいろとマスコミに出た問題については出所等について調べたことはございません。
○林(百)委員 とにかく極左暴力集団、にせ左翼暴力集団がこのように社会的な非難を受けておるのに検挙数が非常に低いというのは、これは一体どういうわけなんでしょうかね。これは何か原因があるわけですか。
○鏡山説明員 私ども警察としても全力を挙げて捜査をやっておりますけれども、結果がよく出ないということは十分やってないのじゃないかという御指摘でございますが、この種事件がなかなか進まないというのには、一つは非常に時間がかかるという問題もございます。要するに彼ら犯行をやる者が、例えばゲリラの場合ですとゲリラ事件をやる場合に時限装置なんかを使います。例えば昨年の九月十九日のあの政党本部に対する放火事件にしましても、時限装置を使っておりまして、火が噴き出したときにはもう犯人たちはよそに行ってしまっておる。それから犯人たちは眼鏡をかけたりタオルを巻いたりしてなるべく自分たちの素顔を見せないようにしている。内ゲバのときも同じでございます。凶器に指紋がつかないようにするとか、あるいは計画的、組織的にやるために、なるべく人に見つからないような時間帯、それで相手だけが油断している時間帯、こういうのを見定めてやってくるということで、私どもが捜査いたしましてもなかなか目撃者が見つからないという問題もございます。それから現場に遺留されました凶器等でございましても、使われた品物で、例えば材料なんかでも、そこにつけてあるどこの会社がつくったとか、それからそこの製造番号が何番というのをみんな削ってしまってあります。もっと問題がございますのは、内ゲバなどでは被害を受けた被害者側ですら私どもの捜査に全くと言っていいほど協力してもらえないというような事情がございまして、私どもの捜査は非常に困難をきわめておるわけでございます。 そういう中でも、各県それぞれのところでは捜査本部をつくりまして全力を挙げて捜査しておりまして、中には八年、十年とかかっておりますけれども、徐々に検挙もいたしておりますし、あるいは最近におきましても昨年の九月のものをやっと今検挙するということで、やはり時間がかかりましたけれども確実に極左暴力集団のそうした犯行というものを抑えていくということで全力を挙げているところでございます。
○林(百)委員 成田事件で、トロツキストたちがしばしば事件を起こして、同僚の柴田議員も質問していますが、十七、八件と言われています。非常に不安を感じているわけなんですけれども、これは一体犯人が検挙されているのですか。成田空港事件で犯人を挙げた例がありますか。
○鏡山説明員 ただいま申し上げました九月十九日の自民党放火事件も、これは成田闘争の関連でございまして、これは先ほど申しましたようにもう検挙をしておるわけでございます。 今御指摘の、例えば成田の現場におけるゲリラはどうかということでございますけれども、これにつきましては、まだ非常に検挙がおくれております。しかし、現場で成田闘争ということで極左暴力集団による過激な現地闘争が行われておりますけれども、その際においてはかなりの数の者を検挙しております。
○林(百)委員 かなりの者というのは、何件のうち何件検挙されているのですか。
○鏡山説明員 成田闘争をめぐって発生しました極左暴力集団による不法事案といいますのは、それの検挙人員でございますけれども、昨年中、昭和五十九年中には十四件、九十六人ということで、極左暴力集団総検挙人員の大体三七%になっております。本年も、六十年に入りまして本日まで十一件六十四人を検挙しておりまして、これは極左総検挙人員の四四・五%になっております。
○林(百)委員 極左の犯罪の特徴として、自分がこういうことをやった、あるいはこういうことをやるということをあらかじめ警告して、はっきり責任の所在を表明しているにもかかわらず検挙率が三十数%というようなことは非常に不可思議だと思うのですけれども、それはどういうわけなんでしょう。
○鏡山説明員 御指摘のように、極左暴力集団は、成田闘争をやるんだとか、あるいは犯行をやった後に記者会見とか、報道機関等に対して電話、機関紙等で自分たちがやったんだ、こういうことを言っておるわけでございますけれども、このようなゲリラなどをやっている者は、全くの非公然の組織でございまして、私どもの目の前からは全く姿を消している、彼ら自体がお互い同士がペンネームで呼び合うというような形で縦の組織でつくられている、そういうような完全な非公然になっているために、これを発見するのが非常に難しいわけでございます。私どももそういう努力をいたしまして、例えばことしの一月九日には三重県警察が四日市の中核派の秘密軍事アジトを摘発するとか、昨年、一昨年と、それぞれわずかずつでございますけれどもそうした秘密アジトを発見しております。まずこのアジトを発見すること自体も非常に難しいわけでございます。ただいま自分たちで犯行自認しているんだからもう少し捕まえられるんじゃないかということでございますけれども、この犯行自認にいたしましても、この内容を見てみますと、いずれも自分がやったとか、それからだれだれがやったというようなことは言っておりませんで、自分たちの組織がやったというようなことを言っておるわけです。そういうことになりますと、現行刑法の個人責任主義の立場からいいましても、その自認声明だけでは、中核派だ、革労協狭間派だということで関係者を捕まえるわけにいかないということになるわけでございます。ただ、私どもは、そういう犯行自認声明などがございますと、それをもとにしましてさらに捜査を進めていく、こういう状況でございます。
○林(百)委員 何々派がやったと言えば、その派の系統を警察はつかんでいるべきだと思うのです。それからまた、記者会見までしているのにそれが捕まらないということは、どう考えても不思議だと思うのですよ。普通の事案で、殺人なりあるいは傷害なり放火なりしておいて、記者会見しておるのに警察が捕まえられないなどということは、これは異例だと思うのです。 そこで、私は大臣にお聞きします。またもとへ戻るのですが、要するに自民党の政府が、これはかえって反日共系学生だという見方もある、彼らの暴走が反射的に市民層を反対に回し、自民党の支持につながる作用を果たしている、何か共産党と関係があるようなことにとって、そしてそれによって市民層を反対に回し、自民党の支持につながるからこれは泳がせておいた方がいいんだという思想があるから、常識的に考えれば当然逮捕されるべきものが逮捕されないという理由があるということを我々は考えざるを得ないわけなんです。記者会見をする、何々派がやった、あの事件は我々がやったと言っているのに捕まらないというのですからね。だから、今後絶対に政府としてはこういうことを行わない、あるいは泳がせ政策はとらない、また、中曽根総理やあるいは浜田幸一氏がこういうことを言っていますけれども、そういうことは絶対させないという約束ができますか。ともかくあなた方の仲間が公然とこう言っているのだから、あなたがここで弁解しても仲間が言っているんじゃどうにもしようがない。現に総理大臣が佐藤内閣のときに言っているのだから。いいかげんなことじゃ済みませんよ。
○嶋崎国務大臣 今いろいろな御議論がありましたけれども、過激派集団は不法事案を反復敢行をしておるようなことでございまして、特に最近は火炎噴射装置やロケット弾等を使用して空港関連の諸施設を攻撃するなど、その手口は一段と悪質化しておるというのが実態であろうと思うのでございます。そういう意味で国民に非常に大きな影響を与えているわけでございまして、治安維持の上からもまことに遺憾至極のことであるというふうに思うのでございます。およそ自分たちの主義主張を貫徹するために暴力的な手段に訴える行為というのは民主主義国家にとって絶対に容認し得ないものであると思っておるわけでございまして、法務・検察当局としましても、今後とも警察等関係機関と密接な連絡をとって、事態の解明と適正な刑罰権の実現のために全力を挙げてこの種事案の防止、治安の維持に努力をしなければならぬというふうに思っておる次第でございます。また、そういうような考え方で対処しているわけでございますから、こういう事案に対して、それを泳がしておくとかあるいはそういう余裕のあるような対策を考えていく余地というものは全くないというふうに私は思っておりますし、またそういう気持ちでこの問題に取り組んでいかなければいけないというふうに思っておる次第でございます。
○林(百)委員 大臣、とにかくあなたの自民党の本部が放火されているのに、それで二人のトロツキストがやったということがわかっているのに、一人は捕まったが一人は捕まっていないということは、これは皆さんと何か深い関係でもなければあり得ないことだと思うのですね。だから、そういう点で法務大臣は十分に将来反省をすべきだと思うわけです。 次に、私は、都議選が近づいておりますので、公正な選挙をやるという意味で、非常に不法なことが行われていることについて警察当局にお尋ねをしたいのです。 実は、四月二十一日に都議選の演説会を行うというポスターを三枚張った。三枚張ったのが軽犯罪法にひっかかるということで、張ったと称する人を逮捕した。そこで四月二十五日に抗議の集会をやったところが、その自動車の窓ガラスを警察官の方が割って、で、警察官が傷害を受けたら、いやこれは公務執行妨害だということで自動車に乗っておった者を逮捕していった。これは四月二十五日に抗議集会をやって、五月十五日に強制の捜査をしてその自動車まで押収していった。ところがそのポスターを張ったという三人の家は共産党支持者であって、ちょうど留守だったので後でお宅へ張ったのは御迷惑だったですかと言ったら、いや決して迷惑ではありません、張ってくださって結構です、告訴などはもってのほかです、とこう言っているのに軽犯罪法で……。それだけならいいのですけれども、それを理由として、黙秘権を行使しているということで共産党の港地区委員会の地区事務所を強制捜査をして、地区委員会の構成員名簿、それから地区党会議をやった代議員の経歴書、そのほかいろいろの名簿を押収している。しかもその三人を逮捕するのは、明らかに後ろからついていって、もうあらかじめ逮捕する態勢を整えて、そしてこういう事態を行っている。その共産党の地区委員会の事務所をやっただけでなくて、今度はポスターの名義人である加藤和太利という、これも区会議員ですが、この家を今度は強制捜査して、それで奥さんの電話帳の名簿だとか、あるいは茶封筒に入った名簿だとか、あるいは支部長会議のレジメだとか、要するに共産党に関するものは全部押収していっている。それで、このポスターの名義人の家から押収された茶封筒の中には党を支持してくれている方々の百二十名から百三十名の名簿が入っている。こんなことをどうして警察はやるのですか。ポスターはみだりに張ってはいけないということになっているのです。一体、警察は、御了解を得たのですかどうかということを聞いたのですか。確かめたんでしょうかね。それが一つ。 それから、軽犯罪といったらもう御承知のとおり、これは小便をするとか、つばを吐くとか、人にかみつくような犬を放すとか、そういうようなことであって、しかもその軽犯罪法の最後の条項には、いやしくも人権を侵害するためにこの法律を行使してはならないということまでちゃんと書かれているわけなんですね。それにもかかわらずこういうことをやるということは、これは明らかに共産党に対するあらかじめの弾圧を考えていたというよりほか考えようがないわけなんですけれども、これについてはどうなんですか。あらかじめポスターを張った人に対して了解を得たのですかどうですか、あるいは党との関係はどうですかということを確かめられたのですか。
○吉野説明員 お答え申し上げます。 このビラ張り事件でございますが、いろいろ申された中で事実関係が違っているところもございますので、その点も含めて御説明申し上げたいと思うのであります。 昭和六十年四月二十一日午前十一時十五分ころでありますけれども、愛宕警察署の管内でポスターを一枚個人の家の塀に張っているのを警戒中の愛宕署員が見つけまして、ただいまお説の許可を得ているかどうかというのが問題でございますから、二人の男に聞いたわけでございますけれども、そんなことは答える必要はない、後からもらうつもりだというようなことを言って逃げようとしましたので、もうちょっと待てということで住所、氏名を聞いたところが、それまた言う必要がない、こういうことでございましたので、これは軽犯罪法とはいえ現行犯逮捕の要件に当たるわけでございますので、現行犯逮捕いたしたということでございます。後からその家の持ち主に聞きましたところが、もちろん承諾を得てない、こういうことでございます。 お尋ねの第二点は、日本共産党に対する計画的な弾圧ではないか、こういうお尋ねのようでありましたが、もちろんそういうことはございませんで、たまたま警戒中に見つけて事件を送致したということでございます。
○林(百)委員 それでは何で共産党の地区の事務所を捜査して、そして地区委員会のメンバーの経歴からそこにありました書類を全部押収していったのですか。それは何もビラとは関係ないじゃないですか。明らかにこれは共産党を弾圧するための手段としか考えられない。
○吉野説明員 少し御説明申し上げないとそのつながりが出てこないわけでございますが、先ほどお答え申し上げましたビラ張り事件がございまして、その後日本共産党の方々が何度も大勢で愛宕署に抗議に参りました。それで問題のその日は四月二十五日でございますが、百五十名ほどの日共港地区委員会のメンバーと思われる人々が抗議と称して署へ押しかけられたわけでありまして、大変いろいろ交通の妨害にもなりますし、愛宕署としましては部隊を出して整理をしておったわけでありますが、この部隊の指揮官が愛宕署の警備課長でありますが、警備課長が見ましたところ、抗議集団を指揮しておった日本共産党の宣伝カーがございまして、それが違法駐車をしておりまして、そういうことでございますので、警備課長が車両のところへ参りまして、乗っておりました運転手に免許証の――その前に相当警告をしているわけですが応じないので、違反処理をしようと思いまして免許証の提示を求めたところが、免許証は一たん出したのでありますけれども、抗議集団の中から免許証なんか渡すなというような声が聞こえましたので、それを合図に運転手が助手席の方に移ったわけですね。それで、おりてきなさい、署で違反処理をするからおりてきなさいと言ったのですが、言うことを聞かないので、警備課長が車の前を回りまして、助手席の方に回りまして、少しあいておった窓ガラスから手を入れて、本人にさわったわけじゃないのですが、手を入れて、おりてきなさい、こうやっていたところが、突然抗議集団の中から飛び出してきた男が運転席に乗り込みまして、手を突っ込んでいることを承知をしておりながら急発進をして逃げてしまったわけであります。この際に警備課長が負傷をいたしまして、これは大変悪質な公務執行妨害事犯である、傷害事犯であるということで、これは捜査をする必要があるわけでございまして、ただ問題は、顔は見ておりますけれども被疑者の名前がわからないわけでありまして、捜査をする上では被疑者を特定する必要がございます。そういう必要から裁判所の捜索、差押令状をとりまして、日本共産党港地区委員会の捜索を行って被疑者の特定に必要な資料を押収したというのが実情でございます。
○林(百)委員 しかし、その抗議をしたのは、警察ではなくて道路上で抗議をしているわけでしょう。しかも、軽犯罪法のもとはポスター三枚張ったか張らないかじゃないですか。しかも、党の支持者のところに張っている。しかも、その張る人の後ろには警察がもうちゃんとついている。しかも、軽犯罪法には「この法律の適用にあたっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」とあるんですよ。だから、これは明らかに共産党の弾圧だということで共産党の人たちが集まって、警察のやり方はこの軽犯罪法の精神に反しているという抗議をしているときに、あなたの方の警察官が来て、そのとまっている自動車の窓ガラスを自分で割っているんですよ。それで自分の方が傷ついているんですよ。中に入っている運転手もそれで傷ついているんですよ。もとは三枚のポスターなんですよ。それで、名前を言わなかったというけれども、刑事訴訟法で黙秘権が行使できるのですから。そんなことのために共産党の事務所へ行って、共産党の地区委員会の経歴から党大会の代議員の名簿から、それからポスターの名義人の奥さんのところへ行って百二十名か百三十名もある名簿もとったり、あるいは電話帳まで押収するなんということは、共産党の弾圧と思わなくてどう常識上で考えられますか。こんな大げさなことをしなければいけないのですか。警察はこの後始末をどうするつもりですか。我々の方は逆に警察を傷害罪で告訴するつもりでおります。これは中にいる運転手さんの方が傷害を受けているわけなんですから、職権乱用で告訴するつもりです。いずれ裁判ざたになると思うけれども、しかしもとは三枚のポスターで、しかも党の支持者で前にもそこへ張ったことがあって、私が留守だったもので返事がすぐできなかったのかもしれませんけれども、私はそんなのは張ってもらって結構です、張った人を告訴するなんてとんでもない話です、こうまで言っているのですよ。その三枚のポスターのために共産党の地区委員会を、しかも十数名の警察官が行く、周囲には数十名の警察官が取り巻いている。そんな大げさな捜査をするということは共産党の弾圧以外の何物でもないですよ。今後都議選があるというのに警察がこんなことをやっていたら公正な都議選は行われませんよ。どういう始末をつけるつもりですか。
○吉野説明員 先ほど来御説明申し上げておりますように、公務執行妨害事案として現在捜査中でございます。押収したものから被疑者の特定を図って鋭意捜査を続けているところでございます。 捜査の内容につきましては、事柄の性格上答弁を差し控えさしていただきたいと思っています。
○林(百)委員 もとはポスター、あなた、警察が自分でガラスを割ったのですよ、あなたよく調べてください。それで、自分のここのところへ傷を負ったのですよ。そのガラスの破片で中にいる者も傷を負ったのですよ。警察官が自分で自動車のガラス窓を割って、キーを渡さないからといって、それで傷害を受けたのですよ。しかも、そのもとはポスター三枚の問題なんですよ。本来ポスターを張る場合は、あなた、本人の了解を得なければいけませんからとあらかじめ注意をしてからやるべきことなんですよ、そういうことも何もしてない、そしてすぐ逮捕している。それから、あなた方はそのときその張られた塀の持ち主に、これはあなたに断って張りましたかどうかということを聞いてないのですよ。そんなことはあらかじめ計画的に逮捕することを目的として、それで後ろからついていったということは間違いないじゃないですか。公正な選挙が行われるべき首都の都議選で警察がこんな不公平なことを行うなら、我々は警察に対して至るところで抗議をせざるを得ない。だから、どう始末をするつもりですか。ポスターの問題をまずどうするというのですか。その張られた人の家へ行って聞いてみましたか。これ、みだらに張ってはいかぬとあるのですよ。みだらであったかどうかということは本人に確かめなければわからないじゃないですか。しかも、小便をしたとかつばを吐いたぐらいの軽犯罪法で、共産党の地区委員会全体を包囲して党員の名簿を持っていくとか、あるいは地区党大会の代議員の名簿を持っていくなんという非常識なことを行えるはずはないじゃないですか。どう思いますか。
○吉野説明員 私どもには、警察はもとより中立不偏公正妥当にやることを義務づけられておりますので、私どもとしては、政治的に何かをやるというつもりは毛頭ございません。要するに、犯罪があればこれを捜査するということでございます。 今回の事案も、いろいろおっしゃっておられましたが、それを単純に実行したまででございます。ビラ張りの問題につきましても、これは本人に確かめたかどうかということですが、被疑者の方ですね、この人たちに確かめたわけです。子供さんじゃないので、許可を受けたかどうかと聞いたときに、そんなことを答える必要はないとか、受けてないとかということを言って逃げ去ろうとするわけですね。受けておれば、はっきりその場で言っていただければよかったわけであります。さらに、住所、氏名を聞いても名のらないということであります。軽犯罪法違反で随分検挙しておりますけれども、そのほかにも現場の指導、警告にとどめているものが相当ございます。それは許可を受けていなくても、その場で反省するなりあるいは住所、氏名を言っていただければ、指導、警告にとどめているわけでありますが、今度のような場合大変悪質でございまして、なるほど軽犯罪法は「軽」という字はつきますけれども、また私どもとしても、みだりに不当な目的に使ってはいかぬということは十分承知しておりますけれども、一方では現存する法律でございまして、国民の卑近な道徳律を維持するという立派な目的もございますので、これはやはり存在する以上、これを取り締まっていくというのが警察の責務であろうというふうに考えているわけでございます。
○林(百)委員 この質問で終わりますが、あなた、ポスターを見てください、東京都じゅうにポスターは幾らでも張られていますよ。共産党の三枚のポスターだけ何でそんなに目につけるのですか。それとみだりに張ってはいけないというのだから、被疑者は黙秘権があるのだから黙秘しますよ。そんなことは、あなた、刑事訴訟法で保障されている当然の権利ですよ。だから、張られた方がみだりと感じますかどうかということを確かめなければいかぬ。張られた方のことを確かめたかどうかということです。そこが事件の発端ですよ。確かめていないでしょう。確かめていなければ、みだりかどうかわからないじゃないですか。それでは軽犯罪法が成立するかどうかわからない。そんなことで共産党の地区委員会を捜査するなんということは、どんな弁解をしようと、政治的な意図を持っていることは言わざるを得ない。それでは張られた人のところに行って確かめて、私のところに答弁してください。それはどうですか。
○吉野説明員 これは二十二日の日にこの張られた人からとった調書でございますが、この中で明確に、「私の所有し、管理する自宅のコンクリート垣に共産党のポスターが張られたことについては許可しておりません。」こういうふうに述べております。 それから「みだりに」ということでございますが、これはやはり承諾なしに他人の財産に、そういうどんなものであれ、紙を張りつけるというのはみだりにというふうになるのだろうと思います。そういう解釈で執行いたしたということでございます。
○林(百)委員 ちょっとおかしい。許可しておらないということと、張られても、迷惑だ、私の方はこれは迷惑です、告訴しますと言っていますか。それは党の支持者で、それで留守していたのですから、許可のしようもないじゃないですか。だから、どういう事情だったか。その後、私の方は何も告訴などする必要はありません、私の方は張ってくださって結構ですと言っているのですよ。留守だったかどうかということを確かめましたか。 それで私の質問を終わります。
○片岡委員長 時間が大分経過しておりますから……。
○林(百)委員 どうも恐縮でした。 要するに、事後承諾をしているかどうかです。
○吉野説明員 調書の中で明確に述べておりますけれども、留守ではございません。自宅におりました。
○片岡委員長 横山利秋君。
○横山委員 委員長初め同僚諸君並びに政府、国会職員の皆さんには、まことに御苦労さまでございますが、今日かかる延長をいたしましたのは、一にかかって政府の責任でございますから、私は本法案に二時間の予定しておりましたところ、あちらからこちらからというか、あちらだけだな、自由民主党の方からできるだけ時間を短くしてくれということでございます。抵抗いたしましたけれども、残念でございますが諸般の事情、皆さんの御努力もありまして、一時間ばかり本法案について質問をさせていただきます。 最初に、法案の提案理由にこういうことが書いてあります。「国選弁護人またはその近親者が、国選弁護人の職務の遂行に関して被告人もしくはその事件の被害者またはこれらの者の支援者等から身体または生命に害を加えられた場合に」と書いてある。ところが、法案の一条は「国選弁護人又はその近親者が国選弁護人の職務の遂行に関して他人から」と書いてある。法案には「他人から」と言う。他人ならば本人たち以外のすべての日本人、外国人です。提案理由には「被告人もしくはその事件の被害者またはこれらの者の支援者等から」と書いてある。これはどういうわけなんです。看板に偽りありだ。
○筧政府委員 提案理由には御指摘のように「被告人もしくはその事件の被害者またはこれらの者の支援者等」とありまして、第一条及び第三条には「他人」というふうになっております。この提案理由にあります「被告人もしくはその事件の被害者またはこれらの者の支援者等」というのは、一条、三条に挙げられております加害者の例示でございます。ですから、法律要件としては「他人」ということになるわけでございますが、提案理由でございますから、なぜこのような法案を御提案申し上げるかという理由として、その加害者の典型的な事例といいますか、典型的に考えられる類型として今申し上げました「被告人もしくは」云々というものを加害者の例示として掲げておるというふうに御理解いただきたいと思います。
○横山委員 筧さんは理路整然たるをもって有名ですが、そういう答弁はないですよ。日本語を知っておるの、あなた。法律用語を知ってるの。「これらの者の支援者等から」というのは例示列挙だ。「等」です。「等」はそれらに類するものを等という。こちらの法案一条は「他人から」、本人たち以外なら全世界のすべての、十億の人がみんな対象になる。提案理由では例示列挙ですよ。その違いが、あなた、わかってそんなことを言っておってはいかぬ。大変申しわけない、これは提案理由の誤りでございます、こう言いなさいよ。そんなことわかっておるじゃないの。そこでまた時間をとってしまうと二時間になっちゃうのです。
○筧政府委員 第一条、第三条は法律そのものでございますので厳密に要件を掲げなければならないということで、害を受けるとすれば本人以外の者、すなわち「他人」ということでございます。ただ、それを御説明申し上げるのにこういう人たちから害を受ける事例が頻発しておるので、この法案をつくる必要があるということをいろいろ御説明する過程でそういう表現を使っておるというふうに考えております。
○横山委員 それは説明にならぬ。例示列挙というのは少なくともこういう人たちである。等がつくのはだれでもいいのじゃない。それに類する人を等というのだ。当たり前のことじゃないか。こういうふうに書いておいて、法案ではそういうような人たちではなくてあらゆる人から、こういうわけだ。私の言わんとすることは、あなた、わかっておるのでしょう。わからぬの。わかっておったら、大変恐縮でした、これは法案が正当でございますと言えばすぐ次に移るのです。
○筧政府委員 正当かどうかということではなくて、法案はやはり厳密な規定を要しますので、これは法案の中にこのように考えられるいろいろな加害者の事例をたくさん挙げまして、それで「等」とすると、またその範囲は不明確になりますし、いろいろな場合が考えられまして、その場合にこれを厳密に定義するということは困難であろうかと思います。そういう関係で、法案の方は「他人」というふうに表現し、提案理由の方はその趣旨を御理解いただくために「支援者等」というふうに書いてあるものと考えております。
○横山委員 だから役人は嫌いだ。法務大臣、わかったでしょう。私の言うこと。私の部屋へ来たら、いやそれは済みませんでしたとみんな言っておるのだ。一たんこういう公式のところへ出てくると、強弁をして率直に認めない。きょうは法務大臣、私の追及に対して本当に御苦労さまだと私も思う。理事会にまで出てこられてえらい申しわけなかったと言われるのは見上げた態度だと思う。それに比べてあなたの部下の態度の悪いこと。本当にこれはちょっとまずかったのですけれどもこういう趣旨でございますからと言えば、私はすぐ次へ移れると言うのだ。 法務大臣、どうですか。ちょっと見習わしなさいよ。――もういわく言いがたしか、大臣。それならそれでいい、私の言うことはわかったと思うから。 それから、次は三条です。三条で「供述をし、若しくは供述の目的で出頭し、若しくは出頭しようとしたことによりこれは「供述の目的で出頭し、」「出頭し、」ははっきりしているのだが、「出頭しようとした」ということは、本人の意思ですから、おれは行くつもりであるかつもりでないか、まだはっきりしないこともある。それを家へやってきて、がたがたやってぶん殴るというときには、まだ出頭しようとした意思もないかもしれぬ。供述をするつもりがなかったかもしれぬ。しかし、加害者にしてみれば、あいつ供述しておれに不利なことをしゃべるかもしれぬと思う。だから「しようとしたことによりこというこの文章が、後で非常に問題になると思うのです。その点はどうですか。
○筧政府委員 今、横山先生御指摘のように、やはり出頭しようとしたときということでございますから、その意思がまだ確定していない場合に、今後やるであろうと相手が思って、そのことによりまして害を加えた場合には、本法案のこの要件には当たらないという解釈になろうかと思います。やはり、証言あるいは出頭という国の司法、裁判に協力する行為そのものがまだそこにないわけでございます。やはりそれは外部的にあらわれたこと、そのことによってということでないと、本件の被害の対象にはならないというふうに解しております。
○横山委員 それで、僕は、この「しようとしたことによりこという言葉が問題だと思う。あなたは狭義に解している。私は広義に解釈する。本当は「若しくは出頭しようとしたこと」ということは、客観的にはそうわからない。あの弁護士は、あの証人は、あの参考人は法廷へ行っておれの悪口を言うに違いないと思い込んでそこへ行くのですから。あるいは傍聴するだけで行ったのだけれども、あれはやるに違いないと思い込んでぶん殴った、けがをさせた。しかし本人に聞いてみたら、おれは出頭しようと思ったのではない、ないけれどもぶん殴られたというときは、これは適用できないのですか。
○筧政府委員 この法案では適用できないというふうに考えております。本人の意思おさることながら、やはり本人の証言協力行為と申しますか、証言あるいは出頭という行為が外にあらわれてないといけないのではないか。横山委員御指摘でございますけれども、段階を考えますと幾らでも広がっていきます。 例えば裁判所で証人決定をしなくても、どうせあの裁判になればあいつが呼ばれて行くに違いない。本人はそのつもりもないし、そういう裁判所の決定も何もないときにやられた場合はどうかというふうに幾らでも広がっていく。そうすると、やはりこの特別の補償というとオーバーでございますが、補償する趣旨から考えても、司法に協力しようとする行為が外にあらわれる、本人の意思が、そういう出頭しよう、あるいは証言しようということが外にあらわれた時点、簡単に言いますれば、証人に出頭しようとして家を出たこと、そこから始まるというふうに解せざるを得ないかと思います。
○横山委員 家から出なければいかぬ、家の中におったんではいかぬぞ。そういうことは、これは広がれば切りがないと言うけれども、少なくとも例えば刑事事件に関し供述の対象となったことによりくらいならいいけれども、出頭しなければいかぬ、また出頭しようとした事実がなければいかぬ。それは筧さんに言わしてみると、行くつもりで家を出た、家におるときはだめだ、家を出てなければいかぬ。 それから、その次には、「当該証人、参考人若しくは国選弁護人又はこれらの者の配偶者、直系血族若しくは同居の親族」でなければいかぬということなんですね。三条ですよ。そうすると、国選弁護人がそれじゃ弁護するということで、弁護士事務所へ相手がやってきて、おまえはけしからぬと言う。そこで、先生ちょっと奥におってちょうだいと言ってほかの弁護士なり事務員がかばう。それを、何をてめえと言ってぶん殴るわな。けがするわね。これはだめだね。それから、自宅の場合においても、自宅に相当なところなら同居人がおるかもしれぬわな。そういう者は該当しませんか。
○筧政府委員 結論としてはいずれも該当しないということになろうかと思います。その理由としまして――その前に、本法の被害の対象は、先ほど来論議になっております本法案の元というと変ですが、関連いたします警察官の職務に協力した者の給付法あるいは国家公務員災害補償法等、これは当該本人が害を受けた場合に限るわけでございますが、本法案ではそれを広げまして、本人並びに近親者というものを被害の対象として広げておるわけでございます。それはそれなりに理由があることと考えておるわけでございます。 しからば、これをどこまで広げるかということでございますが、この法律の目的からいって、そういう害を受けるおそれが現実に、一般的に見て多いと思われる人たち、さらに当該国選弁護人で言えば国選弁護人の人が危ないといいますか、国選弁護人を引き受ける場合にどういう心配をするかというその心配する範囲、害を受けるのではないかといって心配する範囲がどこまでだろうかというその二つの点から考えるべきであろうかと思います。そうしますと、従来この法案の必要性が叫ばれましたころでもやはり当該国選弁護人本人並びにその近親者といいますか、特に同居の直系血族、同居の親族に対する自宅への脅迫電話とか脅迫状とかいろいろなものが来た状況から考えまして、これはそういうおそれがあるであろう。それから一方、当該国選弁護人の方も自分の親兄弟あるいは同居の親族、ここに言う近親者でございますが、それが害を受けるおそれがあるのではないかということで不安を感ぜられるとすれば、その不安を取り除くことによりまして円滑に、安心して国選弁護人の職務をやっていただこうということになるわけでございます。そういうことから考えますと、同一事務所における同僚の弁護士さん、それは害を受けることが絶対ないとは申しません。暴れ込んできた場合にはそういうこともあり得るかと思いますが、一般的にそういうおそれが強いという範囲には入りにくい。それから国選弁護人の方が心配される範囲にも入らないのではないか。やはり親族として親近感を持ち、その害を受けることに不安を感じ心配をするというのは、ここに書いてございますいわゆる近親者、同居の親族、直系血族または同居の親族という範囲に限られる。刑法の親族相盗等の例にもございますが、やはり日本で親族、身近な者といいますか近親者として一般的に考えられているのはこの法案に書いてある範囲ではなかろうかというふうに考えております。
○横山委員 確かにあなたの言うように不安を感ずるのは近親者です。けれども、そういう暴漢が来たときに手を広げるのは近親者ではありませんよ。むしろ従業員です、同僚の弁護士です。事務所へ来たら、先生前へ出ぬ方がいい、わしらがとめるぜと言って本人よりも従業員、同僚の弁護士が手を広げる。そこで、そちらの方がぴんと来られる場合の方が多い。自宅においても、やはり奥さんはまあええ、娘はええと言って同居人なり従業員が手を広げる。だから、不安を感ずるのは家族、本人であるけれども、被害を受ける可能性の方はそういう人たちではないと私は思うのです。今言ったような、しようとしたこと、それからその被害の実態等からいって、まあ横山提案に該当するけれども給付をしてやらなかったという例はあるのですか。
○筧政府委員 従来この法律で給付をいたしました例は、午前中申し上げました五件でございまして、いずれも今御指摘のような案件ではなくて、証人そのものが証言中にあるいは証言を根に持って被告人が出所後にナイフで刺し殺したというような事例でございますので、特に今の御指摘のような点で給付をしなかったというような事例はございません。いずれにしましても、そういう場合はまだ現実には発生しておりません。現実に発生のおそれがどの程度あるかという考えのもとに、今申し上げましたようなところで線を引いているというふうに御理解願いたいと思います。
○横山委員 今後あり得べきことが、私が指摘したことだと思います。 第四条の二項「証人等が加害行為を誘発したとき、」三項、「虚偽の陳述をしたとき。」これは用語としてはわかるんだけれども、実体論から考えると、証人が加害行為を誘発したというのは、あいつがああいうことをやりましたと言うことでしょう、それを言って回っては困るということなのです、加害者にしてみれば。そういう本当のことを言ったことによって加害行為を誘発するということになるのですか。そういうときには、証人等が加害行為を誘発したときには全部か一部を払ってやらぬぞ、給付しないぞということですね。そんな「加害行為を誘発したときこという文字がなぜ必要であろうか。 それから三項の、証人が、「当該刑事事件に関する重要な事項について虚偽の陳述をしたとき。」全くうそ偽りを言えばそれは問題があるだろう、けれども、うっかりして間違い、思い違いということも虚偽の陳述の中に入るであろうか。その間違い、思い違いというときも全部または一部を給付しない、こういうことになるのですか。
○筧政府委員 まず、虚偽の陳述でございますが、これは解釈といたしましてはやはり故意に虚偽の陳述をするということでございます。(横山委員「悪意ですか」と呼ぶ)はい。虚偽であると知りながら虚偽のことを述べるということでございますので、思い違いで述べたことは客観的事実に反しておったということでは要件に当たらないということでございます。 もう一つ、誘発でございますが、当該行為者の責めに帰すべき行為の一つとして挙げられておりますが、これは証言でございますから求められるままに自分が体験しあるいは自分の感想を率直に述べてそれで相手が腹を立てたといたしましても、これは別に非難すべき行為ではございません。求められもしないのに相手といいますか被告人なら被告人を侮辱するようなことあるいは腹を立てさせるようなことをわざわざ言うとか、あるいは証言を終わった帰りにその相手を面罵するとか必要もないのに相手をかっかとさせる、そういう行為をした場合を想定しておりますので、真実の証言、真実の実験した感じ等を述べる場合には、それはいかに相手が現実に腹を立てたとしても誘発したという場合には当たらないというふうに考えております。
○横山委員 とにかく、この文章は給付の基準に重大な影響があることでありますから、私は、「加害行為を誘発したとき、」なんという言葉は本当は不必要ではないかと思いますし、それから「虚偽の陳述をしたとき。」というのは、故意に虚偽の陳述をしたとか、故意に加害行為を誘発したときというまくら言葉が必要ではないかと感じておるわけでありますが、運用に当たっては格段の注意を願いたいと思います。 それから次に、今一審で国選弁護人が行っているのは何%ぐらいでありますか。私が承知するところでは五十何%ということですが、どうですか。
○小野最高裁判所長官代理者 昭和五十八年で見ますと、地裁でこの年に終局した事件に対する弁護人のついた率は九八・一%でございます。その九八・一%の中で私選と国選との割合を見ますと、私選が四〇・九%、国選が五八・一%、同様に簡裁でその比率を見ますと、私選が一八・三%、国選が八一%ということになっております。
○横山委員 本年度予算で国選弁護人に支払う予算はどのぐらいでございますか。
○小野最高裁判所長官代理者 二十五億二千三百六十二万二千円でございます。
○横山委員 二十五億円の国民の税金が国選弁護人、しかも五八%が一審で国選弁護人。私は、実はうろんな話でございますけれども、国選というものはパーセントが低くてほとんど全部私選だと思っておったのです。ところが、聞いてびっくりでございます。一審の五八%が国選で、国費は二十五億国選に払われておると聞いた。そして、よく見ましたら、法律並びにいろいろな感覚的なことを言えば、まず私選が主であって、貧困その他の事由で弁護人を選任することができないときは国選だ、法律の解釈なり憲法の解釈はそうなっているわけです。 それで、五八%の国選弁護人が行われた被告というものは、一体本当に貧困その他の事由で弁護人を選任することができなかった人たちであろうかどうか疑問を持ったわけであります。端的に言えば金持ちに弁護料を払っておる、十分に資力のある被告に対して国選をつけておる。何でそんなことを一般の国民が負担しなければならぬか、おまえ、銭があるじゃないか、何で私選でやらぬのだ、何でそれがうまく作動しないのだろうかということを不思議に思うわけであります。そういうことについて最高裁はどう思っているのですか。
○小野最高裁判所長官代理者 国選弁護人がふえたということでございますが、それはどういう理由によるかということにつきましては、私どももそれを分析する資料を持ち合わせておりませんので正確なことは申し上げられないわけでございますが、私どもが推測しているところによりますと、国選弁護というものが制度的に一般国民の理解を得、また多年の国選弁護人の活動によって信頼が得られたことが一つ挙げられるのじゃないか。 それからもう一つは、ただいま資力のある者が国弁を請求しているのではないかというお話でございましたけれども、最近ずっといろいろ見てみますと、例えば訴訟費用の負担、これは原則として訴訟費用は負担させるという建前でございますが、訴訟費用を納めることができないという場合には負担をさせなくていい、こういうことに刑事訴訟法でなっているわけでございますが、その訴訟費用を負担させない率がだんだん高くなってきております。それから、訴訟費用の負担を命ぜられた場合でも負担ができないというときには負担の免除の申し立てをするという制度がございますが、その免除を申し立てられる件数もだんだんふえてきているというようなことを考えますと、どうも資力がある者が国弁を請求しているというよりも、やはり私選を選任するだけの資力のない者が増加してきているのではないか、このように考えているわけでございます。 〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
○横山委員 二十五億、予算で計上して、そして後で判決でおまえの負担だと言って国へ戻ってきた金はどのくらいあるのですか。これは刑事局か、どっちに聞いたらいいんだ。おまえは金があるから戻せと言って、本人が裁判で訴訟費用を負担した総額はどのくらいだね。わからぬですか。
○筧政府委員 訴訟費用でございますので、国選弁護人の費用あるいは証人に支給した費用全部込みでございますので、国選弁護人に支給した分がどれくらい戻ってきておるかということは、ちょっと比較、計算できにくいかと思います。
○横山委員 そうすると、最高裁は払うだけ、国選、国選と言って五八%も国民の税金を使って、裁判で訴訟費用は本人負担ということを勝手に言っても、その銭をどれぐらい払ったかわしは知らぬ、そいつは検察陣の方でわしは知らぬ、こういうことではいかぬですね。 どう思いますかね、法務大臣。私が言わんとすることは、国選が少し多過ぎるのじゃないか。それは今の話で、どういうわけだか知らぬけれども国選がこのごろふえてきちゃった、国選が信用がある、そんなこと、ないですよ。 大臣、ちょっとこれを見てちょうだい。これは「弁護人選任に関する通知及び照会書」だ。「あなたは、弁護人を選任することができます。1 あなたは、貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所に対して弁護人の選任を請求することができます。」いきなり冒頭に国選の宣伝だわ。 その三項目、見てちょうだい。「3 私選弁護人を選任したいときには、弁護士会へ弁護人の推せん依頼をすることができます。」これは逆じゃないですか。あなたは弁護人を選任したいときは弁護士会へ弁護人の推薦を依頼することができますということをまず最初に書くべきだ。しかし、あなたが金がないというならば裁判所へ弁護人の選任を請求することができます。わしに言わせれば本末転倒だ。こういうように書いたらだれだって国選だわ。しかも、被告がそんなに弁護人を知らぬものだで、わしは知らぬで、わしは貧しいて、それでは国選にしてくれというようにこの文章は指導しておる、誘導しておる。そうでしょう。 〔高村委員長代理退席、委員長着席〕 だから、こっちの方の、この本の一節ですが、これを見ますと、こちらの方もそういう嫌いがあるのですね。そこに今お渡しした回答書、これはまあいいのですけれども、通知及び照会書は、これはまず国選宣伝だわ。そして、私選を選任したいときには、弁護士会へ推薦依頼することができます。これは書き方が間違っておる。税金のむだ遣いを慫慂しておる文書だ。この文書、あなた知っているの、わかっているの。どう思いますかね。これをまず第一に直しなさいよ。
○小野最高裁判所長官代理者 ただいま委員からお示しのありました選任照会書、これは名古屋地裁のものかと思います。この選任照会書と申しますのは各裁判所ごとにそれぞれ工夫してつくっておるものでございまして、全国統一というようなものではございません。したがいまして、これはまさにいろいろでございます。 ただ、今御指摘ありました、まず私選が原則じゃないかということでございますが、被告人の場合には、とにかく取り調べ、捜査段階で、被疑者として、あなたの方で弁護人を選任したければいつでもできますよと、いわゆる私選のことは取り調べのときに必ず告げる、逮捕、勾留というような場合でも告げるということになっておりまして、大体それを知っているという前提でこれはつくられているのではないか、そういうふうに私は思います。ただ、これはそれぞれの裁判所でみんなで相談して適当と思うものをつくってこうなっている、こういうことでございます。
○横山委員 ここに東京のものがある。東京も、「右被告事件については弁護人を選任することができます。又貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所に請求して弁護人を選任してもらうこともできます。」東京もやや同じようだ、類型だ。 それから私は時々思うんだが、私は弁護士でも何でもない、素人だけれども、私選弁護人という言葉は気に入らぬのですよ。そんなもの、町の中へ行って私選と言ったって、それ、何だ、私選弁護人とは何だと聞きますよ。文章でやると、私(わたくし)と読んじゃって、私選と読む人はいないですよ。こういう裁判所や弁護士の自分のなべの中の話をしてもらっては困る。素人にわかりやすいように、私選弁護人は弁護人でいいんだ。弁護人があってほかに国選弁護人があるというならわかるけれども、私選弁護人なんて、知っている人少ないですよ。勝手な自分たちの術語を使って、こう並べてみると、私選弁護人と国選弁護人と比べると、私選って程度の低いやつか。実際は私選の方が程度が高いんだ。私選弁護人、そうかこれはとろくさいやつか、国選は国が選んだで偉そうだな、それで銭が安いなら、それは国選に決まっておるわ。そういう感覚で、自分たちが知っておることだけを難しい字を並べればいいと思っているからいかぬと私は思うんだ。 それで、今の、各裁判所ごとにやっておるから最高裁としては私の知らぬことだ、そんなこと今私が言うわけにはいかぬ、横山代議士の言うことだと思うけれども、私の方から通達を出すというわけにいかぬ、こういうことかね。
○小野最高裁判所長官代理者 実は、刑事訴訟法が新しくできました際に、例えば逮捕状あるいは勾留状、その他いろいろ裁判文書というものはどういう形のものが考えられるかということで、当初一応最高裁判所の方でひな形をつくりまして、参考として、一応自分たちで考えたものはこういうものだけれども各庁で応じてつくってくださいということで、昭和二十三年、二十五年当時にひな形を裁判文書について流したということはございます。ただ、これは事柄が裁判文書でございまして、特にその選任照会書も各庁ごとに印刷というようなこともありましてまとめておりますけれども、これは一つの裁判官なりが照会するそれぞれの裁判事務にわたることでございますので、私どもでこれでやれということではなくて、それぞれの庁で工夫してやっていただくというようにしているわけでございます。
○横山委員 これは技術的なことですよね。私は、この間、名古屋弁護士会へ行ったり裁判所へ行ったりして、そんなに国選が多いのは何でたと言っていろいろ調べたときに、もう素人がぴんときたのは、裁判所が国選を宣伝しておる、自動的に国選の方へ行くように誘導しておる。どのくらい銭使っておるんだ、二十五億使っておる。どのくらい返っておる、わからぬでよう聞いてくれ。聞いたけれども、あなた方返事ができぬ。それは少し考え直す必要がありますよ。少なくとも私の言わんとするところは、税金で二十五億使うのだから、だれでも国選になるように誘導する、結果として誘導しているのだから、少しは国選制度について何らかの抑制なりあるいは指導なり、そういうことをすべきだと私は思うんだ。それについて見解はないかね、こういう文書の書き方を含めて。
○小野最高裁判所長官代理者 自分で弁護人を依頼できるという人たちが弁護人を自分で選ぶというのは当然であろうかと思います。ただ、実際の裁判の問題といたしましては、必要的弁護、要するに弁護人がなければ開廷できないという事件が非常に多うございます。一応、重大な罪ということにはなっておりますけれども、現実に必要的弁護がどれぐらいあるかと申しますと大体八割が必要的弁護事件でございます。弁護人を選任しなければ、結局は、裁判所で国選弁護人をつけなければいけないというようなこともありまして、弁護人をつけなければ、結局、裁判所で後から国選弁護人をつける、そうしますと訴訟がおくれる、身柄拘束中の者であると身柄の拘束期間が長くなるというようなこともございまして、最初にそういうようなことも書いているわけでございますが、私ども決して国費をむだ遣いしていいというふうに考えているわけではございません。その辺は御理解をいただきたいと思います。
○横山委員 被告がそんなに累犯ではあるまいし、初めて入った人が多いんだが、被告が弁護士を知っておるなどということはそんなにありはせぬですよ。それで、被告にこういう文書を出せば、そんなに安いなら国選、いいんだなと思っちゃう。それで、あなた、弁護士を選任しなければなりませんよ、あなたが知らないならこの地方の弁護士会へ依頼してあげますというのが第一でなければいかぬ。それは知らぬで、私は銭がないので、それならば国選を裁判所が指定いたします、これが第二ですよ。従的な問題です。その感覚がないではないかというのが私の意見です。これは時間がございませんから、その点について十分考えてもらいたい。 それから国選弁護人の日当ですが、この表を見ますと、国選弁護人の報酬は、簡易裁判所が、五十九年度予算で、三万四千五百円、家庭裁判所が四万七千百円、地方裁判所が四万八千二百円となっておりますね。これは何日出廷しても一件当たりの単価ですか。
○小野最高裁判所長官代理者 これはあくまでも支給の一応の基準額ということでございまして、最高の場合は一応二日その他は三日ということが一応の建前になっております。
○横山委員 私の言いたいのは、数年間、失礼ながら当委員会で裁判官の給料も上げた、検察官の給料も上げた、大したことではないにしてもいろいろ可決をした。国選弁護人の報酬はそれに伴ってちっとも上がっておらぬじゃないの。戦後からずっと進んできて……(「もうけ過ぎだよ」と呼ぶ者あり)国選弁護人の報酬をやっておるんじゃないか、何を言っておるんだ。 そのことをどう考えますか。裁判官それから検察官のベースアップに比較して国選弁護人の報酬がちっとも上がっておらぬのに対してどうお考えですか。
○小野最高裁判所長官代理者 実は、国選弁護人の報酬につきましては、私ども毎年予算編成時期に非常に努力してまいっているわけでございます。 ただいま、最近上げてないではないかというお話でございましたが、仮にたまたま持っております五十一年から六十年まで、これは裁判官、検察官はこの間たしか三回俸給のアップ率の据え置きということがありましたけれども、そのうちの公務員全般について据え置きがあった五十八年度、このときには弁護人のアップはいたしませんでしたが、そのほかは私どもとしても最大の努力をしておるわけでございます。六十年度予算につきましては四・四%のアップをさせていただきました。ここ数年、厳しい財政状況の中でございますけれども、私どもも最大の努力をし、また財政当局の御理解も得て、大体公務員の給与改定率の少なくとも一%、それを上回る額はずっと上げてきているつもりでございます。
○横山委員 弁護士さんが法廷へ出た日、大体あなたが言ったように基準をつくってやっておるけれども、期日外活動の実費、記録だとか謄写だとか電話代だとか、そういう期日外活動については事務総長の通達があるという話でございますが、それが領収書だとかなんとか言ってちっとも認めてくれぬ、嫌らしいので余り出さぬということがあるのですが、期日外活動の実費についてもっと上げてやったらどうですか。
○小野最高裁判所長官代理者 御承知のとおり、国選弁護人に支払われるものは旅費、日当それと報酬、こういうことになっているわけでございまして、いわゆる電話代とかあるいは交通費あるいは謄写というようなものは、一般的には報酬の中に含まれているというふうに考えているわけでございます。 ただ、その中に、一般的には非常に軽微な場合が多いということでそうでございますが、例えば格別謄写を要するというような場合には、それは報酬の中に謄写料も含めるのでございますけれども、税金の手当てというようなこともございまして、うち謄写料幾らというようなことでそれを含めて支給するというようなことでそれは加味して……(横山委員「勝手な解釈だ」と呼ぶ)いえ、そういうふうに実際上運用しているわけでございます。
○横山委員 よう言うわ。税金の関係で報酬の中に謄写料を含めておる。脱税を唆しておる。そんなことが記録に入ってどうするか。報酬が高いのは――まあ、あきれたな。
○小野最高裁判所長官代理者 私の申し上げているのはそういう趣旨でございませんで、一般的なものは報酬の中に含むというふうに解されておりますが、特別にそういうものが高くつくというような場合には特別な加味をするわけでございます。 ただ、単なる報酬といたしますと、それにも課税という面がございます。しかし、それは実費でございますので、特に謄写料が高額だ、例えば十万円払ったとか二十万円払ったという例も謄写料だけであるわけでございまして、そういう場合には報酬の中には含めますが、括孤して謄写料幾らということを書くことによって、それは実費であるということで課税の対象からも外れるというような措置をしておる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○横山委員 被疑者の国選弁護の問題について質問をいたします。 憲法の三十四条には「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。」とあります。つまり、拘禁、抑留をされるときには理由を告げられること、直ちに弁護人に依頼する権利を与えてもらうこと、これは憲法です。ところが、御存じのように刑事訴訟法によって、私選弁護人についてはいいけれども、国選弁護人が被疑者については認められないという状況になっているのですね。これは私は検討に値すると思います。 本年、法務省は躍起になって最大の努力をいたしましたが、拘禁二法はこの国会に提出ができませんでした。拘禁二法が提出できないバックグラウンドになっているのは、代用監獄、留置場で行われる自白偏重傾向、そういうものである。ああいうところではいかぬ。二十四時間密室の中で弁護人も与えられずにぎゅうぎゅうやられて自白をする、そういう密室の調査、拘禁が問題である。したがって、そこまで拘禁二法に対する抵抗の基盤があるわけですから、この際、拘禁二法をこれからどうなさるか知りませんけれども、憲法三十四条を、被疑者に対する国選弁護人制度も設置をすべきだと思いますが、いかがですか。
○筧政府委員 御指摘のように、憲法三十四条では、「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。」と書いてございます。それから憲法の三十七条には、「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。」というふうに規定されておるわけでございます。文面から明らかなように、憲法三十四条では弁護人の依頼権というものを規定しておるのに対しまして、三十七条では刑事被告人に関する規定として、みずから弁護人を依頼できないときは国がこれを付するというふうに規定されております。したがいまして、憲法上からは、被疑者にも国選弁護人を付すべきであるというふうに憲法が解しているというふうには考えておりません。 その理由としては、被告人の有罪、無罪を最終的かつ直接的に決するのは刑事裁判の場でございますので、その場で防御権を十分に行使する上では弁護人の役割が特に重要であるということから国選弁護を受ける権利を保障したということで、憲法上は、それ以前の捜査段階での国選弁護ということは定めていないというふうに解せざるを得ないところであろうか一と思います。 まあしかし、刑事訴訟法の立法論ということとまた別の問題でございます。刑事訴訟法上の立法論ということになりまして、今、横山委員、自白偏重の防止ということをお挙げになりましたが、自白偏重をしてはならない、自白を強要してはならないということはもう申すまでもないところでございます。 ただ、自白偏重を防止し、自白を強要しないということを徹底するためには、やはり裏づけ捜査あるいは科学的捜査の徹底あるいはその客観的事実に関する捜査を徹底的に行うということ、そして公判廷で十分な攻撃、防御の機会を確保するということが肝要であろうかと思い、直ちに被疑者に対して国選弁護人を導入すべきであるというところに直接結びつくものではないのではないかというふうに考えております。 なお、被疑事件について国選弁護人制度を設けるという立法論があることは承知いたしておりますが、職権主義的、合目的的な捜査という現在のあり方を当事者主義的に改めるということで、現行の刑事訴訟法の根幹に触れる問題でもございますし、また、現実問題としまして、捜査のように裁判手続と比較して格段な迅速性を要求される段階において、弁護士の地域的偏在から可能であるかどうかとかあるいは国の財政能力との関係というような現実上の問題もあるわけでございまして、このように、解決すべき種々の難点がございますので、私どもとしては慎重な検討を要するというふうに考えております。
○横山委員 いつに似合わぬ朗読をして、慎重な答弁を、材料を検討されたようでありますが、敬意を表します。 ただ、私は、三十七条で刑事被告人の国選弁護人の制度は書いてあるが被疑者については書いてないから、三十四条で依頼権は与えておるけれども、書いてないからやる必要はないという論理はいささか納得しかねるものでありまして、これが仮に私の言うように被疑者に対する国選弁護人制度ができたからといって、憲法違反にはならないですね。それはあなたも納得してくれると思うのですね。今言われたように、自白偏重傾向を除去する唯一無二の手段だと私は言っているわけではないのです。けれども、まあ政治的に考えてみて、この検討に一歩を進めることがいろいろな意味においても必要な時期ではないか、こういうことを言っておるので、確かに刑事局長のおっしゃるようにいろいろな問題があるということは私は認めますが、しかしながら、そういう問題を含めてこの問題は、今後の拘禁二法の進展と見合って検討に値する時期に来ておると私は政治判断をするわけなんですよ。それをやってくれたら拘禁二法を通すと言っているのではないですよ、いいかね。けれども、そういう示唆を与えてあげると言っておるのですわ。法務大臣、いかがですか。
○嶋崎国務大臣 捜査の段階に着手した時期から弁護士をつけるかどうかという判断の問題につきましては、今刑事局長から御説明がありましたように、非常に幾つかの条件があるんだろうというふうに私たちは思っておるわけでございます。しかし、いろいろそういう点についての多くの議論があるということは我々承知をしておりますけれども、よくこの問題についてはひとつ実情を調べまして、検討を進めてまいりたいと思っておる次第であります。
○横山委員 同じ問題で、再審請求人への国選弁護権の問題があります。これはもう時間がございませんから多くを申しませんが、刑務所の中に閉じ込められておる被告が再審請求するためにどのくらいの努力をするか、金がかかるか。再審開始になればそれはいいのですよ。いいけれども、開始になるまでの努力というものは並み大抵のことではないことは容易に想像できることであります。だから、この再審請求人への国選弁護制度、それから家庭裁判所少年事件に対する国選付添人。それから、刑訴法三十七条、刑訴規則二百七十九条、未成年者、老齢者、聾唖者、心身障害者は任意的弁護事件でも裁判所は国選をやっておると言うんだが、この扱いの問題等々国選弁護人制度について、この際政府としてはいろいろな角度から検討をすべきであると思います。いかがでしょう。
○筧政府委員 最初の再審請求段階における国選弁護の問題でございますが、再審請求の性質が通常手続による確定判決を経たものの手続である、その他性格がいろいろ異なるとか、これに国選弁護人を付するについていろいろ問題があるということは、横山委員十分御承知のとおりであろうと思いますので省略いたしますが、社会党、共産党あるいは日弁連から提案されておりますいわゆる再審法改正案におきましては、国選弁護人制度に関する提案が含まれていることは十分承知しております。そういう事情もございまして、私どもでも現在再審法改正問題を検討しておるわけでございます。この検討に当たりましては、この点も一つの重要な問題点として論議の対象としているところでございます。 それから次に、少年審判中の少年に対する国選、これは言葉は国選付添人ということにはなろうかと思いますが、御承知のように昭和五十二年六月二十九日、法制審議会の会長から法務大臣に対する少年法改正に関する答申におきまして、その中に「弁護士である国選付添人の制度を設ける。」ということが挙げられておりますことは御承知のとおりでございます。これを受けまして、現在法務省におきましてはこの答申の線に沿って検討中でございます。
○横山委員 警察から来てもらっておりますが、以上の私の質疑の中における問題として、警察としては憲法三十四条による抑留、拘禁の要件、不法監禁に対する保障、あなたには弁護人を選任することができますよ、あなたはなぜ拘禁、抑留をされたかという告知をしておるかどうか、これが一つ。二つ目は、弁護士の皆さんの話を聞くと、被疑者になって豚箱におる、会いに行ってもちっとも会わせてくれぬとか、まだ取り調べ中だからいかぬとかいうように、憲法三十四条における弁護権について阻害をしておるという訴えが極めて多い。それから、先ほど私が言ったように、警察の留置場における自白偏重傾向、それが拘禁二法の審議の舞台裏での国民、国会内における留置場に対するいろいろな不信、そういうものが重なって拘禁二法、留置施設法案は敗残の運命に遭ったということについての反省を含めて、御答弁を願いたいと思います。
○中門説明員 お答えいたします。 まず最初の弁護人選任権の告知についてでございますが、これはもう御承知のとおり刑事訴訟法第二百三条に規定がございまして、被疑者を逮捕し、または逮捕された被疑者を受け取ったときには、司法警察員は犯罪事実の要旨を告げ、弁護人を選任できるということを告知しなければならぬことになっておりまして、この規定を励行しておるところでございます。この際は、弁解録取書というのをとるようになっておりまして、その弁解録取書の中に弁護人についての被疑者の意向について記載をするようにいたしております。 それから、第二点目の弁護人の接見の問題でございますが、これにつきましても御承知のとおり刑事訴訟法第三十九条という規定がございまして、一般的に弁護人が選任されまして接見を申し出てまいりました場合には、刑事訴訟法第三十九条第三項に、捜査のため必要があるときは接見の日時、場所、時間等を指定することができるようになっておりますが、そういうふうなケースはその指定を行いますし、また捜査のための必要との関連がない場合には接見をしていただくというふうな措置をしておるわけでございます。(横山委員「そんなことは知っておる、実態はどうかということだ」と呼ぶ)実態につきましては、個々のケースによりまして、事案によりまして異なるわけでございまして、ケース・バイ・ケースで処理をしておるところでございます。 なお、三点目の自白偏重の問題でございますが、これも言うまでもなく、私どもが捜査をする場合に自白に偏重しないということは当然のことでございまして、先ほど法務省の刑事局長も申されましたような物的な証拠からの事実の解明ということとあわせまして、被疑者の供述につきましてもその任意性あるいは信用性の確保に最大限の配慮をして取り調べを行うということで指導しているところでございます。 以上でございます。
○横山委員 私の質問はこれで終わるのですけれども、今の最後の御答弁を聞いて、つくづく本当にそうなら――ここ数年来、最高裁で死刑囚が再審開始になったり無罪になったり、本当に一世を聳動させる無罪裁判が続出した。裁判官も反省しなければいかぬ、検察陣も反省しなければいかぬが、一番反省しなければいかぬのは警察ですよ。警察がそういう反省もなくしてやっておるから拘禁二法は通らないのですよ。それをよく考えてもらわなければいかぬ。 以上で質問を終わります。 ―――――――――――――
○片岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
○片岡委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○片岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ――――◇―――――
○片岡委員長 近藤鉄雄君外七名提出、工場抵当法の一部を改正する法律案を議題といたします。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。近藤鉄雄君。 ――――――――――――― 工場抵当法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○近藤(鉄)議員 工場抵当法の一部を改正する法律案についてその趣旨を御説明申し上げます。 近年、大規模にして、多チャンネル・多目的な有線テレビジョン放送事業の活動が活発化しており、地域の経済、社会、文化の発展に大きな役割を果たすものとして期待されているところであります。しかし、有線テレビジョン放送事業は典型的な装置産業であって、その施設を建設、拡張、更改する際には多額の資金を必要としており、今後、有線テレビジョン放送が高度情報社会における重要な社会基盤として順調に発展していくためには、多大の資金が円滑に融資されることが必要であります。この法律案は、有線テレビジョン放送事業に工場抵当法による財団抵当制度を適用し、もって有線テレビジョン放送の振興を図ろうとするものであります。 その内容は、有線テレビジョン放送の目的に使用する場所を工場抵当法における工場とみなすこととしようとするものであります。 以上がこの法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
○片岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
○片岡委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。高村正彦君。
○高村委員 アメリカでは、CATVは衛星と結びついて大変な発展を遂げていると聞いているわけでございます。日本の中でも、難視聴の解消というところから都市型CATV施設の計画もどんどんできていると聞いておりますけれども、今後日本においてCATVの将来性はどうなのかということを、提案者でありこの問題について最も造詣の深い近藤鉄雄先生にお尋ねしたいと思います。
○近藤(鉄)議員 お答えいたします。 高村先生からも御指摘がございましたように、アメリカにおいてはCATVに長い歴史があるわけでございますけれども、特に非常な振興を見ましたのは、通信衛星を打ち上げられまして、その通信衛星のチャネルを利用して非常に多くの番組がアメリカ各地のCATV局に配給されることが可能になり、それがいろいろなソフトの開発と相まって世界で最もCATVの普及している国に今なっていると私どもは考えているわけであります。 日本におきましても、これも御指摘がございましたように、CATVは難視聴解消のための一手段として過疎山村地域にしかるべき番組を提供することが当初その目的であった場合が多かったわけでございますが、しかし、近年になりまして、いわゆる多メディアといいますか多チャネルといいますか、数多くのいろいろな放送の要求が都市を中心に大きくなりまして、そういった要求にこたえての都市型CATVが各地において漸次普及しているのが現状でございます。 そうしたことで、これからもますます、高度情報化社会、ニューメディア時代を迎えまして、単に一律の放送、テレビではなしに、それぞれの地域の個性に応じ、またそれぞれの嗜好、趣味に応じた形でのCATVがさらに普及されることになると思いますし、また一方、アメリカにおけるように通信衛星が今後日本で打ち上げられてきてそのチャネルの利用が普及してまいりますと、通信衛星のチャネルを使ってのCATVの番組提供が、これも漸次普及してくるというふうに考えるわけであります。したがって、私どもも日本におけるCATVはこれからさらに大きく発展するものであると考えております。
○高村委員 日本においても、現在でも四百万世帯ぐらいがCATVを利用している、地域情報ニュースの提供等に大変な役割を果たしていると聞いていますが、地域文化の振興とか地域社会の活性化にどういう役割を果たしているのか、これから果たしていくのか、お尋ねしたいと思います。
○近藤(鉄)議員 CATVに対する非常に大きな期待は、東京において見られる番組を地方において見ることができない、それをCATVを通じて自分たちも見たいという要望が一方であり、それは例えば放送衛星なんかを通じて全国に番組を供給できるわけでありますが、しかし、同時に、地域地域の特性に応じたニュースからいろいろな行事、そしてまた地域に応じた文化的なものをCATVで見たいという要望も並行して強くなってくると私どもは考えておるわけであります。 そんなことで、単に全国一律の番組の提供ではなしに、地域文化の振興から地域スポーツの振興、さらには地域における教育の振興、そういったものに対する強い要望を受けて、それぞれの地域ごとのCATVが多面的な発展をするであろうと私たちは考えております。そういった多チャンネル化と地域地域の個性に応じた文化の振興といったものが地域の文化活動、そして経済活動の活性化に大きな貢献をするものであると私たちは考えております。
○高村委員 今の提案者の御説明によりますと、CATVというのは大変公共性があるものだと理解したわけなのですが、CATVは公共性があるものだと今後考えていかなければいけないと思いますが、この点についての郵政省のお考えについてお伺いしたいと思います。
○徳田政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、CATVというのは今後進展いたします高度情報社会におきまして極めて重要な役割を果たすことになるのではないか、そのように考えておる次第でございます。したがって、公共性は極めて高いと私ども考えておるわけでございます。そういう趣旨から申し上げまして、公共性にふさわしいCATVになるように郵政省といたしましてもしかるべき行政施策を講じていかなければならない。具体的には税制上の優遇措置を講ずるとか、あるいは財政投融資を活用する、こういうようないろいろな措置を講じまして必要な環境整備を図ってまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
○高村委員 先ほど、提案者から、CATVも都市型になって大規模、多チャンネルといった方向に進んでいるというようなお話もあったわけでございますが、その建設には莫大な投資が必要だと思うのですが、その資金借り入れ上の問題点というのを御説明いただきたいと思うわけです。
○徳田政府委員 お答え申し上げます。 現在は、CATV施設全体を一括してこれに抵当権を設定するという制度がございません。したがいまして、CATVの施設を建設する場合、あるいは施設をさらに拡充する場合、あるいは更改するような場合には、山林であるとか田畑であるとか家屋、こういうような経営者の個人財産を抵当に入れるとか、あるいはその経営者個人の信用を背景といたしまして融資を受けるというような状況にあるわけでございます。 実際にCATV施設を建設する場合には莫大な資金を要するわけでございますが、一例をちょっと申し上げますと、三万加入の施設で全体で四十四億円程度の資金が必要でございます。このうちほとんどは引っ張るケーブルの費用とその工事費でございまして、このために一加入当たり大体十二万円の費用がかかります。したがって、三万加入ですと三十六億がその費用である。残りはスタジオの設備であるとかそのスタジオの建物あるいは土地、こういうものでございます。したがって、三万加入で四十四億という莫大な資金を要するわけでございます。 こういう資金を調達するためにこれまで具体的にどういう困った事例があるかということでございますけれども、二、三の例をちょっと御紹介申し上げたいと思うわけでございますが……。
○高村委員 借り入れできなかった例だけで結構です。
○徳田政府委員 これは一万五千加入の施設の例でございますけれども、昭和五十五年にその施設を拡張するための工事資金といたしまして三千万円を中小企業金融公庫に借り入れの申し込みをいたしたそうでございますが、公庫の方から、ケーブルとかあるいは増幅器、こういう施設は担保にならないというふうに言われまして、やむなく社長が持っておりました自宅を担保にしてお金を借りたという例がございます。 それからもう一つは、ちょっと規模の小さい三千加入程度の施設でございますけれども、こういう施設を最初に建設するというときに、工事資金として一億円の資金を借り入れるために地元の信用金庫に申し込んだそうでございますけれども、同じくこのCATV施設というのは担保にできないということで、この会社の役員十五名の連帯保証によりまして社長と副社長の個人の担保を供しまして資金を借り入れた、こういう例がございます。 その他、担保物件がないために、せっかく借りようとしても資金の借り入れができなかったという例もございます。
○高村委員 先ほどからの提案者並びに郵政省の御説明によると、CATVは大変将来性があって、地域文化の振興、地域社会の活性化に大きな役割を果たす、そういうことから公共性も大変あるのだ、そういうものが金融が受けられないために建設ができないという事例もあるということで、この工場抵当法の改正というのはまことに時宜を得たものだ、こう思うわけでございますが、この法案について政府提案をなぜしないのかということを法務省にお伺いしたいと思います。
○稲葉政府委員 御案内のとおりこの法律は明治三十八年にできた法律でございまして、かなり古い法律でございます。その主な対象はいわゆる第二次産業と申しますか製造を中心にする工場ということでございまして、このほかに、時代の進展に伴って有線放送テレビのほかにいろいろ同じような取り扱いを要求されるものがあるのではないかという危惧の念があるわけでございます。これは私どもの対応がおくれているという面ももちろんあるわけでございますけれども、そういう見直しをするために政府提案をするとすれば、相当の時間をいただきたいというふうに考えているわけでございます。一方では、こういう要請が非常に強いということもございまして、政府提案にはできないけれども議員提案の形で今回の国会に提出された、こういうことだと考えております。
○高村委員 法務省自体も、議員提案されてこういう改正がされることは好ましいと考えておられるわけですか。
○稲葉政府委員 私どもとしては、今申し上げたようにできるだけ全面的な見直しをしてやる方が法制的には望ましいというふうに思っておりますけれども、そういう御要望がある限りにおいてこれを満たすということについてはいささかも反対するものではございません。
○高村委員 全体的な見直しができてきれいな形ができないと必要でも政府提案はできないのだということは、私自体はよく理解できないのですが、それはそれとして、工場財団抵当の適用範囲、具体的にCATVの施設のどういうものに適用されるのかということをお尋ねしたいと思います。
○徳田政府委員 工場抵当の範囲でございますが、このCATVの施設の放送所というのがございます。スタジオ等があるところでございますが、この放送所の土地建物、こういう不動産はもちろん該当するわけでございますけれども、さらにCATVの施設を構成いたしますスタジオ等にございます放送設備であるとか、あるいは各家庭まで引っ張っておりますケーブルでございますとか、途中に増幅器というのがいろいろ入っております、こういう機材類も全部含まれるわけでございます。
○高村委員 今、適用範囲についてお答えいただいたわけですが、経済的にはどの部分に一番価値があるのでしょうか。
○徳田政府委員 スタジオ設備と各家庭までのケーブルと二つに分けられようかと思うのでございますが、実際にかかる費用としてはケーブル類に大体八割ぐらいの経費がかかります。スタジオとかというところは全体の二割程度でございます。したがって、従来の抵当権設定ができます土地、建物はほんの一部でございます。抵当権の設定できない線材類の材料と工事費、これが圧倒的な部分を占めておるということでございます。
○高村委員 先ほど、難視聴解消から大規模、多チャンネル都市型CATVもどんどんふえる趨勢にあるというお話があったわけですが、現時点における都市型CATVの申請受理件数あるいは許可の状況といったことについて、わかっていたらお知らせいただきたいと思います。
○徳田政府委員 お答え申し上げます。 私ども、通常、都市型CATVと申し上げておるわけでございますけれども、必ずしも定義は明確ではございませんが、一応大規模なものといたしまして、一万端子以上の規模のもの、しかも多チャンネルのもの、多目的なもの、こういうようなCATVを仮定いたしますと、こういう種類に該当するもので既に受理されております件数としては、現在全国で二十四件の申請がございます。それから、この程度の規模のもので既に設置許可が出されましたCATVでございますが、現在東京の町田市で建設しようとしておりますインターナショナル・ケーブルネットワーク、ICN、こういうような施設を初めといたしまして、全部で九件のものが許可済みでございます。
○高村委員 見込みをちょっとお尋ねしたいのですが、申請されている都市型CATVは、工場抵当法が改正された場合に、この制度を利用して新たに金融を受けるという見込みが非常に強いと思われますか、どうなんですか。
○徳田政府委員 先ほど大体の所要金額について御説明申し上げたわけでございますけれども、三万加入で約四十四億かかりますので一万加入でも十億から二十億くらいのところだろうと思います。そのような多額の資金を要しますので、抵当法が改正されましたならば、ほとんどの事業者は新しく施設をする場合にこの制度で融資をしていただくということになるのではないかと思っております。
○高村委員 CATVの施設の建設について、この法案によって民間資金の活用がしやすくなるというわけでございますけれども、先ほど大変公共性があるものだという御説明があったわけです。この法案以外の点で、CATVの育成策あるいは振興策は現在どういうことをやっておるか、将来どういうことをやりたいのかということをお尋ねしたいと思います。
○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、このCATVは非常に大きな潜在性を秘めたといいますか、将来に非常に可能性を持ったメディア、施設であるわけでございます。したがいまして、今後進展する高度情報社会におきまして地域社会に密着した通信システムとして機能することが期待されておるところでございますので、郵政省といたしましても、財政投融資を活用するとか、金融税制面の措置を講ずるとか、技術開発が進んでおりますので新しくそういう技術の基準の策定をするとか、実際にCATVの事業を始める場合に一つの大きな問題として番組のソフトの供給上の問題がございますのでこれの円滑化を進めていくとか、CATVの施設を設置する場合の道路の占用許可の問題あるいは電柱共架の問題とかいった問題もございますので、これらについて関係の機関との協議を進めていくとかいうようなことで、必要な環境整備等を進めておるところでございまして、今後ともこれらの施策を積極的に推進いたしまして、育成、振興に努めてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
○高村委員 電電関係の整備法はもう既に施行されてしまったわけで、この附則第二項は必要ないのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○近藤(鉄)議員 先生御指摘のとおりでございまして、私ども、昨年来この工場抵当法の改正をお願いしておったわけでございますが、現在既に電電関係の法律は全部成立、施行されておりますので、附則第二項の点につきましては後ほど修正をお願いいたしたいというふうに考えております。
○高村委員 懇切丁寧、明快な説明をどうもありがとうございました。 それでは質問を終わります。
○片岡委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時五十七分散会 ――――◇―――――