法務委員会 第8号
- 発言数
- 311 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/03/27
会議録
○片岡委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所上谷民事局長、小野刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――◇―――――
○片岡委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 最初に、この間本委員会において答弁のございました、平沢貞通の再審請求及び恩赦出願のいずれもがなされていなかった日数について、政府側から答弁の訂正が申し入れられておるそうでありますが、いかなることでありますか。答えてください。
○俵谷政府委員 ただいまの点につきましてお答え申し上げます。 去る二月二十日の法務委員会におきまして、横山委員から御質問がございました際に、平沢貞通から再審請求及び恩赦出願のいずれもがなされていなかった日数につきまして、法務大臣からその日数は百二十三日であると御答弁をされましたが、この百二十二日という日数はその計算を誤っておりまして、正しくは八十二日間でございます。これは、事務当局におきまして、本来算入すべきでない再審請求棄却決定に対する不服申し立て期間等の期間を誤って算入して大臣に報告いたしておりましたことに基づくものでございます。おわび申し上げまして、訂正させていただきます。
○横山委員 これは事務的、技術的な問題でございますから、訂正を了承いたします。 ただ、この際法務大臣にお伺いしたいのでありますが、先般、私は平沢貞通氏の問題についてくどく意見をお伺いいたしました。その後、新聞でごらんになったかと思いますが、平沢貞通の問題につきまして、たしか八十数名に及ぶ議員の連盟ができまして、懇談が行われておるわけであります。法律的な問題もさはさりながら、三十年にわたる獄中生活、そして老体であること、一応健康ではあるけれども高齢者であること等を考えて、やはり貞通氏を獄中から出すべきではないかという油然たる世論が国会の中に巻き起こっておることはお聞き及びになっておると思うのであります。先般も申しましたように、大臣の権限ではない。けれども、これだけの国会超党派の世論が巻き起こっていることについて、大臣としては政治的条件づくりについてお骨折りをなさった方がいいのではないか。その条件づくりということは、だれかが言い出さなければ、中央更生保護審査会も考えないであろうと思われますので、再度法務大臣のそういう意味の御努力をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○嶋崎国務大臣 ただいま横山委員からお話のありました平沢氏の問題でございますが、ここでも再々御説明申し上げておりますように、十七回に及ぶ再審の請求がありまして、また今五回目の恩赦が出ておるというような状況になっておるわけでございます。 これまでに来た長い経過の中で、いろいろな点につきまして十二分の審査を遂げて今日まで参ったのが経過であろうというふうに思っておるわけでございます。そういう意味で、この時効の問題というのについての議論も、先般来申し上げておりますように、法務省の側としましては、現在のところは時効が進行していないというような考え方をとっておるわけでございます。しかし、いずれにしましても、非常に長い、三十年にも及ぶ期間が経過をしておるということ、さらにまた、御承知のように相当の高齢におなりになっておるというようなこと、そのことについては私も十二分に承知をしておるわけでございます。しかし、先ほど御指摘になりましたように、この問題は今の状態で非常に弾力的な処理を図れるような状態にはどうもないような感じが私はするわけでございます。そういう中でいろいろと事情等についても調査をさせておるわけでございますが、御指摘のようにこの際外に解放するというような処置をとることは非常に難しいのじゃなかろうかというふうに思っておるのが実情でございます。
○横山委員 これは、有志の議員連盟数十名、超党派の動きがこれから始まるのですから、ひとつ大臣、難しいと言わないで三十年きっちり終わった後について何らかの配慮を望み、これからもさらに要請を続けることを申し上げておきます。 それから、この機会にもう一つ、懸案の問題で一、二伺いたいのでありますが、一つは、新聞の伝うるところによりますと、法務省、警察庁、さらに進んで政府が今国会に提出予定でありました拘禁二法の提出を断念をしたと言われておるのでありますが、それはどういうことでありますか。
○嶋崎国務大臣 明治四十一年に公布された監獄法は、今まで世の中も相当変わっておりますし、また法規の体系というものも直さなければならない時期が来ておるということはかねてから指摘をされておるところであります。また、法制審その他からの答申もありまして、御承知のように第九十六国会から百国会まで国会に提案をしておったという経緯もあるわけでございます。その後の経過についてはよく御承知のところだと思うのでございますけれども、できるだけ弁護士会その他関係の省庁との連絡を密にしましてこの問題の整理を図り、そして国会にぜひともお願いをしなければいけないというようなことが法務省の基本的な考え方だったと思うのでございます。 私も、法務大臣就任以来この問題についてはいろいろな意味で真剣に考えさせていただきまして、御承知のように弁護士会との打ち合わせも日時を経過するくらい時間をかけて検討していただき、その中でのいろいろな苦心の末の調整というようなものもやらせていただいたわけでございます。また、関係の警察庁との間にも過去二十二回に及ぶ打ち合わせの内容等も通知をしておりますし、また、法案を提出するというような状況になりましたので、相ともに、留置場法案とともに出しましょうということで昨年の暮れからそういう調整を図って互いに努力をして今日まで参ったというのが実態であるわけでございます。 そういう中におきまして、この三月の初めになりまして、いろいろな国会の事情あるいは関係者への説得が必ずしも十分ではないというようなことを理由にされまして、留置場法案については提出を取りやめるというような状況に相なってきたわけでございます。私たちは、やはり過去の長い系譜があるわけでございますから、ぜひとも刑事施設法案につきましてはこの国会に提出をいたしたいという気持ちを捨て切れませんで、十分析衝を重ねてまいったわけでございます。過程におきましては刑事施設法案のみで対処するというような工夫はないか、そうした場合の調整はどういうようなところに問題があるのか、かつまた、それが非常にいろいろな意味で十分でないというようなことになるならば、さらにこの法案を一体化してでも処理をする工夫はないだろうかというようなことについていろいろな論議をしてまいったわけでございます。しかし、時期的に非常に切迫をしておる状態でありますし、そういう中で純粋に法技術的にそれが不可能かということになりますと、私はもう究極においては不可能ではないような感じを持っております。しかし、政策的にやはり両省庁間の調整というものを確実にやらなければ、なかなか法技術的な問題への調整も困難だというような過程が多々あったようでございます。 そういうようなことで、非常に残念ではありますけれども、今国会への提出というのが非常に難しいというようなことでありました。その中にもいろいろな調整作業を進めてまいりましたけれども、答えが出なかったというのは非常に遺憾千万であると思いますけれども、我々としましては、今後とも刑事施設法案につきましては努力を積み重ねまして、ぜひとも皆さん方の御審議をいただき、監獄法を改正して刑事施設法案が日の目を見るような状態にさせていただきたいというような気持ちを捨て切っていないというのが現実の状態でございます。
○横山委員 つまり今国会はあきらめて次期国会までに調整をして、次期国会に提出をいたしたい、そういう意味ですか。
○嶋崎国務大臣 まさしくそんな気持ちでおるわけでございます。
○横山委員 もう一つお伺いをしておきたいのですが、例の指紋の問題でございます。 先般ここで大臣にお伺いをして以後も、やはり地方自治体としては指紋を押捺してもらう人が拒否したときに告発をするかせぬかで動揺があります。大臣から記者会見その他で告発をしてもらいたいという意思表明がございましたけれども、必ずしもあなたの直接の支配下にある機関ではございませんので混乱が予想されるのであります。この種の政治的に発展する状況について何らかの打開策というものをお考えでしょうか。例えば切りかえ時期をしばらく延期するとか、何か打開策をお考えになりませんか。
○嶋崎国務大臣 ただいま御指摘の指紋押捺の問題につきましては、かねてここでも御論議いただき、我々自身も、さきに申し上げましたように、日本に在留する外国人の法的な地位あるいはその待遇の問題については、やはり国内的な条件だけじゃなしに、国際的な感覚というものも十分入れて判断、研究をしていかなければならぬというふうに思っておるということを申し上げ、かつまたそういう中で、御承知のように五十七年の改正というものがある、そういう事態を踏まえまして、その直後からいろいろな問題が出てきておるわけでございますけれども、この指紋押捺問題についていろいろなたくさんの議論があるということはよく承知しておるわけでございます。加えまして、御承知のように日韓の共同声明があったわけでございまして、そういう趣旨から、制度上あるいは運用上のいろいろな問題について今後研究を進めていこうという気持ちを持っておる。それは一日も休むことなくそういう考え方を持って努力をしていかなければならぬというようなつもりでおるということを申し上げておったわけでございます。 しかし、その後この問題についての処理をいろいろ考えてみますと、内部的ないろいろの問題ももちろんないわけじゃありませんけれども、一つはどうも日の当たり過ぎているような問題にこの問題がなってきているような感覚すらあるわけでございます。と申しますのは、私が着任してから五万件近い切りかえがあったんだろうというふうに思うのですけれども、その中で百五十一人協力を得られなかった事例が出ておるわけでございまして、それらにつきましてもできるだけの説得をして、整理を進めていきたいというようなことで対処をして今日まで来ておるというのが実態であるわけでございます。そういう中で、今御指摘になりましたように、地方自治団体の中で告発をしないといったような問題が川崎市を中心にして出てきておるわけでございます。川崎市に対しましてはいろいろな曲折はありましたけれども、私のところへの報告は、内部的な処理であるというようなことで、告発しなかったのは非常に時期的に時効の問題で切迫をしておる、そういうことの中で調査に入っておるというような状況もあってそういうことだったという趣旨だと私の方は読んだわけでございますが、どうもこういう問題というのは、取り上げられてみますと表土は非常にやかましい処理になってしまう、非常に残念至極であるというふうに私は思っておるわけでございます。その後も、幾つかの省庁でそういうことを言われるところがあるわけでございますが、現に拒否者があってしかも告発をしないというような決定をしておるというのは、たしかわずかに二つか三つの市町村であろうというふうに思うのでございまして、相当のところはそういうケースがないところでの御発言が多いというような実態であるわけでございます。 この問題はいろいろ真剣に考えていかなければならぬし、我々自身も冒頭申し上げましたような努力を積み重ねておる状況であるわけでございますが、逆に、そういうことがあるから告発をしないでもいいんだとか、あるいは人権じゅうりんだから云々だとかというような事柄で判断をされるというのは非常に残念なことであるというふうに思うのです。やはりさきの改正の中で議論をされた経過というのもあるわけですし、その中で幾つかの進歩というか改善というものも行われたことも現実であるわけでございますから、ひとつ地方の中においてもそういう過去の実績というものをよく御判断を願って御協力を願いたいじ、また在留外国人の皆さん方も、ちょうどそういう改正から、ことし五年目を迎えてきておるわけでございますから、この姿を非常に積極的に対処をしていただきまして円満に問題を解決していただくということが、次の改正のために非常に大切なことじゃないかというふうにすら私は思っておるわけでございます。 そういうのが実情であるわけでございますが、冒頭申し上げましたように、今後ともいろいろな問題について十分詰める努力を積み重ねていかなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
○横山委員 もう少し簡単に所見を述べてもらいたいと思います。 要するに法秩序の維持、それがあなたの法務大臣としての使命である。告発せねばならぬと法は書いてある、それが告発できない、しない。それから押捺しないという人が多数出てくる可能性がある、それを告発しろと言ってもしない。しない地方自治体に対して政府はどういう処分の方法があるか。それはくやしいと思っても、現実問題もう起きている、しかもそれが広がる可能性がある。法がある以上は守らせなければならぬが、それが守られないというのは何でなのか。あなたの意見は意見としても、現実的にそうなっていくことについて法秩序の権威が阻害される。だとすれば、告発せねばならぬと決めてあることにどうしても無理がある、そう思わなければいかぬのですよ。しかも、だれがどう言ったということではないのですが、外務省を含めて政府筋には、考え直したらどうだという意見がある。あなたも、将来検討するという気持ちの片りんが見える。そういう状況の中で現実問題をどう打開するかということですから、現行法どおりのことを今何遍言っても問題は解決しないと私は思います。そこを政治家として、法務大臣として、法の権威のためにも何か打開策を考えなければならぬのではないかと私は初めから言っているわけです。これはまだ時間もあることでございますから、状況を判断して、ひとつ適切な打開策を考えてもらいたい。 次に脳死の問題でございます。 これはもうこの国会で、あちらでも脳死、こちらでも脳死と言って花盛りのようなことでございます。今までの政府側の答弁を要約いたしますと、まず増岡厚生大臣は、「①脳死と判定する基準が、まだ学界で一定の学説なり、すべての医者に共通の認識に至っていない面があるのではないか②国民的合意が得られるか、生命と倫理に関する諸問題も考慮しなければならない――として、「総合的に脳死をもって死とするという判断は直ちには出せない」」というふうに二つの問題を提起した。それから嶋崎法務大臣、あなたは、「脳死の認定問題に関連して、法務省としても法律的な位置付けについて検討作業に入る意向を明らかにした。脳死問題は、医学上の論争が展開されている一方で、「死」をめぐる法律上の認定が不明確なため、臓器摘出などをめぐって訴訟問題に発展する余地を残しているが、同法相の答弁は、法制上の見地から整備する方針を明らかにした」となっている。それから寛刑事局長は「「現在の三兆候説(心拍停止、呼吸停止、瞳孔散大)をもって死とする判例があり、またそれが一般的だが、具体的にどういう条件で脳死が認定されたのかにもより、断定的に言えない。従来の三兆候説を基本に、個々のケースでどう認定されたのか、妥当なものかどうかなどが検討されるべきだ」としている。」今のところ、新聞で要約いたしました法務大臣の見解並びに筧さんの見解はこういうことだと承知してよろしいですか。
○筧政府委員 そのとおりでございます。
○横山委員 そこで、やはりこれも議員連盟ができまして私も出席をしておるわけなんであります。そこで、きょうはこれを前提にしてお伺いをいたしたいのです。 まず厚生省に聞きたいのだが、「国民的合意が得られるか、生命と倫理に関する諸問題も考慮しなければならない」と厚生大臣の言っている「国民的合意」というのは何を言おうとしているのか。「生命と倫理に関する諸問題」というのは何を言おうとしているのですか。
○多田説明員 厚生大臣が「国民的合意」ということを申し上げましたのは、死というのはどういう状態を言うのかということにつきましては、医学的な見地ももちろんでございますけれども、そのほかに倫理的なあるいは価値観にかかわるような問題を総合的に判断していかなければいけない、あるいは法律的な問題も種々生じてくるというようなことで、幅広い見地から検討されなければならないのではないかということを申し上げたかったので、そういうふうに申し上げたのだろうと思っております。 そういう広い角度での国民的コンセンサスというのは具体的にはどういうことかということは、私どもでもこれがコンセンサスであるというふうに単一的に申し上げるようなあれはなかなかできないと思いますけれども、おのずから常識的に国民のコンセンサスといったものが大体できてきたのではないかという判断があるかないかということが必要ではないかということを申し上げたのだと承知しております。
○横山委員 私の聞いているのは、「国民的合意が得られるかこということは、医学的に例えば脳死を死と見るということについて、そうだと国民の合意を得られる、これが一つの見解ですね。それからもう一つの見解は、命というもの、御臨終ですと言ってお医者様が脈拍を診るという一般的常識からいって、国民が常識的にそんなことはという人情論、感情論、社会常識論、そういう医学的以外の面で合意を得られるのか、どちらに力点があるのかと聞いている。
○多田説明員 社会的に死というものを考えるときには、先生おっしゃる二つの問題についてはどちらもやはり考慮に入れて考えられるべきものではないかというふうに考えております。
○横山委員 それでは刑事局長にお伺いしますが、あなたは「三兆候説をもって死とする判例があり、またそれが一般的だが、具体的にどういう条件で脳死が認定されたのかにもよりここう言っているのですね。要するに、脳死があった、それからもうこれは死ぬと決まっている、けれども心臓が動いているということで、心臓をもっと動かそうとすれば機械で植物人間みたいにずっと一カ月も二カ月も動かし得る今の医学の進展。そこで、具体的にどういう条件で脳死が認定されたのかという点は、例えば大きな病院で、医者が複数で、これはどうあっても脳死である、そして心臓が多少動いておるけれども、これはもう死ぬに決まっている、と言ってはおかしいな、これはもう死に至る、間違いない、医学的に諸条件を備えて脳死と、いわゆる死と認定をしたときには死と認めてもいいという意味を含んでいるのですか、あなたの意味は。
○筧政府委員 先ほど委員御指摘の、私がお答えしましたのは、たしか具体的告発等もございますから、具体的事例が発生した場合にやはり三兆候説でやるのか、三兆候説でやるとすれば、新聞等で伝えられております、例えば筑波の問題、その他につきましても明らかにこれは殺人になるというような御意見があったわけです。それに対しまして、具体的な事例、そのケース、ケースによって医師がどういう段階で、どういう基準で死を認定したかということが問題であって、それに基づいて判断すべきものと思うというふうに申し上げたわけでございます。基本にその三兆候説というのが現在判例にあるからというのではなくて、現在まで医師の大多数といいますかほとんどの医師の通説としては、三兆候説によりまして三兆候が認められた時点でお亡くなりになりましたという判断が下されているというのが一般であり、かつ、それが国民の間で一応なるほどと、確かに死であるというふうな、いわば合意といいますか、現在の国民的な合意はその辺にあるという意味でそれを基本とせざるを得ないというふうに申し上げたわけでございます。 したがいまして、今先生御指摘のように、大病院の医師が、これはいわゆる脳死でもう回復の見込みがないというようないろいろの状況からして死と判断した場合に、それを法律上といいますか法律判断をする場合の死と認めるのかというお尋ねについては、やはりその具体的ケースによってしかお答えしようがない。そのときにどういう状況のもとで、どういう基準でもって、どういう考えで医者がこれは死であるというふうに判断をされたのか、そしてその判断が現在の医学的水準において妥当なものであったかというような点も問題になりましょうし、あるいはその判断が医学界全体の中での大勢であり、かつそれが国民に支持せられる、国民的合意が得られるものであるかどうかという判断も最終的には必要であろうかと思います。そういう意味で、やはり具体的な事例によらなければ断定的な結論は得られないと現在でも考えております。
○横山委員 けれども、もう実際問題としては動いておる問題で、そのあなたの判断を、刑事局長の判断を求めざるを得ない問題がこれからあちこちに出てくると思うのですが、厚生省としては脳死と判断する基準がまだ学界で一定の学説なり、すべての医者の共通の認識に至っていない面もあるのではないかと言っておるけれども、しからば、厚生省で検討を進めておると思うのですが、五十八年九月に脳死に関する研究班を設置しておるわけですね、そして日本脳波学会がつくった脳死判定基準を見直す作業を今しているのでしょう。そこで厚生省は医学的に脳死を死と認めるかどうかのガイドラインとでもいいますか、判定基準をつくるための作業をしているのですか。
○多田説明員 厚生省で研究班にお願いをいたしまして研究をいたしておりますのは、脳死とはいかなる状態であるか、そしてそれを医学的に正確に判定するにはどういう条件が必要かということについての検討をお願いしているということでございまして、これが社会的な死との接続がどういうことになるかということに関しては、この研究班に特段お願いをしているわけではございません。
○横山委員 尊厳死協会ができておりまして、「尊厳死の宣言書」というものがあります。「リビングウィル」というのです。尊厳死、前の名前が安楽死というのですけれども、誤解を生ずるので尊厳死という名前に変えまして、そこで生存中に、「リビングウィル」「尊厳死の宣言書」を健康なうちに書いて、そして協会に付託しておくというものであります。ちょっと読みますと、 私は私の病気が不治であり、且つ死が迫っている場合に備えて、私の家族、縁者ならびに私の医療に携っている方々に次の要望を宣言いたします。 なおこの宣言書は、私の精神が健全な状態にある時に書いたものであります。 従って私の精神が健全な状態にある時に私自身が破棄するか、又は撤回する旨の文書を作成しない限り有効であります。 ①私の病気が、現在の医学では不治の状態であり、既に死期が迫っていると診断された場合には徒に死期を引き処すための延命措置は一切おことわりいたします。 ②但し、この場合、私の苦痛を和らげる処置は最大限に実施して下さい。そのため、たとえば、麻薬などの副作用で死ぬ時期が早まったとしても、一向にかまい。ません。 ③私が数カ月以上に渉って、いわゆる植物状態に陥った時は、一切の生命維持措置をとりやめて下さい。 以上、私の宣言による要望を忠実に果して下さった方々に深く感謝申し上げるとともに、その方々が私の要望に従って下さった行為一切の責任は私自身にあることを附記いたします。 氏名(自署) 印 年 月 日生 こういうことになっています。 法務大臣、尊厳死、リビングウィルについてあなたのコメントをちょっとしていただきたいのですが。
○嶋崎国務大臣 今お読みになりました「尊厳死の宣言書」の中身一つ一つを読みますと、死についての物の考え方あるいは自分の処し方というものをある程度整理をされて、きちっとした内容のものを残されているというような感じがするわけでございます。 私は、この問題は、法務省として物を考える場合にはなかなか難しい問題がいろいろあると思うのです。脳死の問題については、先般私がお答えした時分は、ちょうど厚生省の方で研究会が三月の終わりぐらいまでにいろいろな検討をされるというような事態もありまして、そういう意味で医学の問題を中心にしていろいろな議論をされるというようなことを、先ほどお読みになったことで申し上げたわけでございます。この問題につきましては、非常にきちっとした、整理のされた物の考え方が表明をされているなというふうに、ある意味で感心をして見ておるわけでございます。
○横山委員 要するに大臣、高齢化社会になって八十近くまでみんなが生きておる。そしてその高齢者たちが考えておりますことは、せめて生きがいのある生涯を送りたい、自分の仕事がある人はともかく、ない人でも人間らしく最後まで生きたいということ。それから同時に、人間らしく死にたい、これはもう高齢者はみんな共通です、どこへ行きましても。人間らしく自分の人生を生き抜きたい、そして同時に、死ぬときは人間らしく死にたい、まあぽっくり病でもかかって死んだらいいと思っている人が圧倒的ですね。そういう願いを込めたものだと私は思うのです。ただ、法務大臣として、これに対する法律的な所見は差し控え木いというお話ですが、刑事局長はどうお考えですか。
○筧政府委員 延命治療といいますか終末医療の問題、やはり脳死等にも絡みまして深刻な問題であろうかと思います。先生が今お読みの尊厳死協会の宣言書でございますか、確かにまじめに、真摯に、人間らしく生きようという意思のあらわれであるというふうに私も拝聴しておるわけでございます。したがいまして、このような意思が真摯なものであり、人間として尊重に値する意思であるという点は確かにそのとおりであろうかと思います。 ただ、こういう宣言がなされた場合に、延命のためのそれ以上の積極的な治療行為をやめてしまうということが直ちに嘱託殺人なり自殺幇助なり、そういう犯罪の違法性を全くなくしてしまうのかどうかという点になりますと、社会通念上許容される限界というものがどこかにあるのではないかということで、そういう真摯なる宣言があったからといって、延命治療を打ち切るということが違法性がなくなるというところまでは断定しにくいというふうに考えております。その限界を策する上に当たりまして、そのような真摯な意思に基づく宣言というものが重要な判断の資料といいますか、要素になることは間違いございませんけれども、これがあるからといって直ちに違法性が完全に阻却されるというふうには断定いたしかねる。やはり先ほどの脳死と同じように、社会的合意といいますか、人間の倫理観、生命観、いろいろなものがまたかかわってくる問題であろうかと思います。この点につきましてもやはり国民的合意といいますか、国民の大方が納得するという状況が必要ではなかろうかというふうに考えております。
○横山委員 私、いろいろ意見がありますけれども、時間の関係で次に移ります。 昭和三十七年十二月の名古屋高等裁判所の判決文、附則文として六つのいわゆる安楽死の要件が列記されております。 (1) 病者が現代医学の知識と技術からみて不治の病に冒され、しかもその死が目前に迫っていること。 (2) 病者の苦痛が甚しく、何人もこれを見るに忍びない程度のものなること。 (3) もっぱら病者の死苦の緩和の目的でなされたこと。 (4) 病者の意識がなお明瞭であって意思を表明できる場合には、本人の真摯な嘱託又は承諾のあること。 (5) 医師の手によることを本則とし、これにより得ない場合には医師により得ない首肯するに足る特別な事情があること。 (6) その方法が倫理的にも妥当なものとして認容しうるものなること。 これが名古屋高裁で、嘱託殺人に対して有罪の判決をしたけれども、たしか私の記憶ではそうだと思いますが、しかし事情がよくわかる、もしこれを認めるとするならば六つの原則によらなければならない、こういう趣旨で有名な成田裁判官の判決文の中に列挙されているわけであります。 どうですか、寛刑事局長、この六つが認められれば、尊厳死も認められる、こういうふうに理解できますか。
○筧政府委員 確かに、今六つの原則を示しました名古屋高裁の判決は嘱託殺人、一審は普通の殺人のようでございますが、二審で嘱託殺人とした上で、安楽死の要件として六原則を出したわけでございます。その後の裁判例で、この六原則に言及したのが二、三見受けられますが、いずれも六原則から見ても完全に満たしていないということで、無罪といいますか違法性なしと認めた判例はないようでございます。 また、学説等を見ましても、安楽死を認めるべきであるという学説が多数を占めておることは間違いございませんが、その中でもいろいろな条件、この六項目をめぐりましても、その条件の当否をめぐってはいろいろ議論があるようでございます。確かにこの六項目の要件を、詳細に考え得る条件をいろいろ列記してあって、それなりに貴重な御意見といいますか判例であると思いますけれども一現段階で、この六条件を満たせば安楽死を認めていいというまでには考えておりません。やはり先ほども申し上げましたように、国民的な合意といいますか、国民の今後の意向あるいは学界の動向等も見た上で、あるいは判例の動向も見た上で結論を出すべきものというふうに考えております。
○横山委員 いざとなれば厚生省も法務省も、こういう点については慎重であります。慎重である気持ちは、私もわからぬではない。しかし、先ほど申しましたように、高齢化社会にあって、高齢者の考えておる人生観あるいは死生観というものはかなり深刻なものがある。お年寄りにつき合ってみますと、「ねがはくは花のもとにて春死なむ」と西行法師が歌ったような、本当に人生末期を人間らしく生き、そして人間らしく死にたいという気持ちは共通のものがあって、この種のリビングウィルにしましても成田原則にしましても、非常に共感を持っておる。アメリカでは、もう御存じかと思いますが、八つの州に安楽死の州法がある。そして、この安楽死、尊厳死についてもことしで五回目の国際会議をするというような状況でありますから、法務省も厚生省も具体的な事案についての検討をなさるときに十分考えるべきことではないかと私は思うのです。 それにつきまして、この尊厳死協会が長らくの運動、運営の結果、公益法人として、社団法人としての認可を厚生省に求めているのですが、厚生省がなかなか許可をしないというのはけしからぬと思うのですが、どういうことになっておりますか。
○多田説明員 日本尊厳死協会が社団法人として設立申請をお出しになっておられまして、私ども、いろいろ検討させていただいておりますが、先ほど来お話のありますように、尊厳死というものは人間の死に方、死にざまといったようなものを、どういうものを好ましいか、あるいは正しいかといったようなことにかかわってくる問題でございまして、これを、ある一定の方式を正しいというふうな感覚でそれを公益法人として認めていくというようなことを、現段階で厚生省としてとても踏み切れる状況にないということは御理解いただけるのではないかと存じておりまして、そういう時点でございますので、この尊厳死協会について法人の認可をいたすということは、恐らく無理であろうというふうに考えております。
○横山委員 先ほど、だからいろいろな事例を挙げて話をしたのですけれども、尊厳死協会というものが高齢者の非常な共感を得て、国内的にも国際的にも人間らしく生き人間らしく死ぬということをテーマにして尊厳死協会の活動をしておる。それが非公益的な動きであるか、社会に害毒を及ぼすものか、悪い影響をもたらすものであるか、どこにその問題があるのか。
○多田説明員 社会に害毒を及ぼすのでこれは認めないというつもりはございません。しかし、この方式が社会の公益を増進する、非常に好ましいものであるという判断で厚生省という行政官庁がそういう認定をするということに若干問題があるというふうに私どもは考えております。公益法人として許可をするということになりますと、やはりその事業というのは積極的に厚生大臣としては好ましいあるいは正しい方向である、推進すべきだという一つの判断が入るわけでございまして、そういう判断を現時点で求められましても、先ほど筧局長のお話もありますような若干の問題もございますし、それから死にさま、死に方というものにつきましては、個々人がどういうふうに考えるかということは別にいたしまして、これを役所がこういうことが望ましい死に方である、したがってこれを普及することが非常に公益性があるという判定をするということはなかなか難しい問題であるというふうに考えているわけでございます。
○横山委員 それならば公益法人になっておる雲霞のごとき公益法人が、あなたの言うように公益法人に認可した以上それが社会、公益のものにみんななっている、なっているものをみんな法人として認可していると本当にあなた言えますか。中にはインチキのおかしなものまで公益法人になってやっているじゃありませんか。これは堂々と今日的問題、高齢化社会における問題をとらえて正々堂々とやっているじゃありませんか。厚生省だって脳死が死であるかどうかの判定について研究班もやっているじゃありませんか。それが公益でないとはだれも言っていないわけですけれどもね。だから生きる、死ぬの問題についてまじめに議論をし、まじめに人間らしく生き、死ぬということを議論をするこの団体がひとつ公益特殊法人としての認可をもらいたいということに、あなたが表から、それはならぬ、それは公益じゃないと判断する要素は極めて薄弱じゃありませんか。
○多田説明員 私ども、先生のおっしゃっている尊厳死というものを社会的に認めないというようなことを主張してこの公益法人の問題を扱っているわけではございません。しかし、積極的に公益増進だということでこの法人を認めるということは、要するに行政権を持っている厚生省としてはこの死に方というのが普及されるべきであるという発想を持ったというふうにどうしても世の中は評価する、そういう性格のものだというふうに理解をしているわけでございます。したがいまして、現段階でそういうふうな受け取り方をされる公益法人の許可というのはなかなか難しい。逆に言えば、自然死を進める協会が今度は申請をしてきたというようなことが仮にあったとした場合にも、双方価値観のぶつかり合いみたいなものでそれぞれにやはり理屈もあるし、考え方としては通るものがあっても、それを公益法人として認定するかどうかということにつきましては、やはり一定の行政権を持った厚生大臣の判断というものが入るわけでございますので、そういう点でやや慎重に扱わしていただいている、こういうことをぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○横山委員 ぜひ御理解できませんね。しかし、またこれから厚生省とやり合いますからそのつもりでおってください。 次に、世界基督教統一神霊協会の問題についてひとつ政府の意見を聞きたいと思います。 これは私が五、六年前本法務委員会で数回にわたって取り上げた問題でございまして、きょう短い時間に、法務大臣十分内容を御存じございますまいから少し前提を申し上げたいのですが、これは五十九年七月一日発行の「文芸春秋」、副島、井上両氏が随分書いた「これが「統一教会」の秘部だ」という膨大な文章であります。これを読み上げると時間がかかりますから、ここに要約した文章がございますから、法務大臣も政府側もしばらく聞いておってもらいたいと思います。省略せざるを得ない箇所もございますので……。 文鮮明師は昨年の世界日報暴力事件に続くこの痛恨の痛手を振り払うかのように、二つの指令を出した。 一つは昭和五九年度の年頭標語を、「祖国創建」と定めたことであり、もう一つは、第七回世界言論指導者会議を、今年去年のことですね。十一月、東京で開催するという計画である。 〔1〕 年頭標語「祖国創建」とは 祖国の創建とは、文字通り統一教会が国家を盗る、という意味である。文鮮明師はここ数年、統一教会は国を持たなければならないと言い続けてきた。これによると文鮮明師はメシアであり、「王の王」であるから、全人類から崇められなければならない。天皇陛下も、レーガン大統領も、全斗煥大統領も文鮮明師を拝跪しなければならない、というものである。 統一教会の四大名節(記念日一における早朝五時からの敬礼式(儀式)では、聖壇に座した文師とその家族に対し、統一教会の主要幹部が三拝敬礼(拝礼)する。場所は主として、文鮮明師の私邸、イースト・ガーデン(ニューヨーク州)が使用される。そこでは、天皇陛下を始め、レーガン大統領、全斗煥大統領ほか主要国の元首の身代わりを幹部が担当し、文師一族に拝跪して全世界の主権者が文鮮明師に拝礼したという儀式をとりおこなうのである。 天皇陛下の身代わりを演ずるのは、日本統一教会々長・久保木亮光氏である。 このように、統一教会内で世界の王を演技する文鮮明師が、その具体化の一歩として、まず最初の一国を掌握しようと準備し始めた。その国は、言うまでもなく韓国である。そもそも文鮮明師が渡米し、この十年間アメリカを舞台に富と力を蓄積してきたのは、韓国の主権に挑戦する資格を手にするためであった。しかし実際は、現在の統一教会には全斗煥政権と競うだけの力はない。にもかかわらず、文鮮明師は「祖国創建」の年頭標語(スローガン)をうち出したのである。 この背景には次のような事情がある。 昨年の昭和五八年九月十三日、アメリカ・ニューヨーク州高等裁判所は、一審でニューヨーク州地裁が昭和五八年七月十六日に下した懲役十八ケ月の実刑、及び罰金二万五千ドルの判決を、その通り認めた。統一教会は直ちに上告したものの、ニューヨーク州の最高裁は上告を棄却した。 統一教会は、更に上部機関である連邦最高裁判所に上告申請の書類を提出、同時に原告側であるアメリカ政府も書類提出をおこなった。同最高裁は、三月頃書類審査をおこない上告許可の判断を下す。 しかし上告が取り上げられるか否かは、六月の裁判日程発表日まで伏せられ、政府側、教会側いずれにも通知しないことになっている。過去の統計では、年間の 云々、云々とありますが、結局文鮮明師は下獄をいたしました。一年六カ月でしたか、監獄に今入っております。 上告棄却の場合、文鮮明師の有罪判決は直ちに効力を発し、投獄あるいは海外追放は避けることはできない。 現実は投獄されました。文鮮明師の十年間のアメリカでの活動は、失敗したのである。 そして日本統一教会の会員が送金しつづけた、毎月二十億円、昭和五十年七月の送金命令以来累積二千億円余の日本の送金も、アメリカにおける文鮮明神話の崩壊によって、全て無為な努力と化してしまったのである。 昨年十一月以来、文鮮明師は保釈金を積んで韓国へ帰り、勝共講演会の名目で地方回りを始めた。 「祖国創建」という年頭標語は、アメリカにおける入獄を回避して韓国に逃げ帰るための受け皿を作れ、という意味なのである。 現に、韓国内での勝共活動要員の名目で、百五十名の日本人会員の人事発令がなされている。 〔2〕 世界言論指導者会議の日本開催について 世助言論指導者会議は、昭和五二年十月、文鮮明師の指示によって生まれ、第一回は東京で、世界日報社主催のもとに開催された。 その後毎年定例となり、昨年の第六回会議は昭和五八年九月五日から九月十日まで、南米のコロンビア・カルタヘナ市で開催された。 この会議は、学界工作である「科学の統一に関する国際会議」及び、「世界平和教授アカデミー」(会長・松下正寿氏)のマスコミ版である。その目的は、学界における松下正寿氏・福田信之氏(筑波大学学長)のような、統一教会と文鮮明師の擁護者となるジャーナリストを獲得するごとにある。松下氏、福田氏は月々六十万円の手当を教会本部会計から受け取り、その他に、統一教会の指令を実行する度に、一時金が支払われるという極めて優遇された立場にある。 こうした人物を獲得するため、世界言論指導者会議が開催される度に、著名ジャーナリスト、学者、文化人に執拗な勧誘が繰り返されているのである。その中心メンバーは、松下正寿氏、福田信之氏、今井久夫氏、井上茂信氏等である。 世界日報が文鮮明師の指示を受けた国際勝共連合の暴力によって占拠され、自由な新聞の様態を失った事件は、未だに生々しい記憶として残っている。その後再刊された世界日報は、統一教会の責任役員・石井光治氏、国際勝共連合理事長・梶栗玄太郎氏の二人を社長とする、事実上の機関紙となった。 統一教会は、この十月一日の暴力事件の汚辱を拭い去るために、紙面向上に必死であるが、諸賢の評する通り、良識ある学者・文化人は一斉に紙面から去っていった。 文鮮明師は、世界日報事件により、組織の社会的評価が失墜し、有力なジャーナリスト・学者・文化人が離れたことを大変苦悩している。この痛手を回復したい、背を向けた人々を取り戻したい。この焦燥が今年十一月、東京で世界言論指導者会議を開催するに至った最大の原因である。 この世界言論指導者会議東京開催については、もう一つ重要な目的が隠されている。それは、文鮮明師の日本人国である。これまでの会議では、文鮮明師は提唱者の資格で、必ず開会の辞を述べてきた。当然、今年の東京会議でもそのつもりである。 文鮮明師は、昭和五三年九月以来、日本に入国していない。日本政府が入国査証を発給しないからである。 日本統一教会はこれまで、昭和五四年、五六年、五七年と三度、法務省入国管理局に教組の入国許可請願をおこなった。担当者は日本統一教会々長・久保木亮光氏である。その下に国際勝共連合の宮下昭彦氏、ハッピーワールドの中田三次氏がおり、更に衆議院議員が統一教会の内意を受けて、法務省との交渉を担当してきた。しかし、いずれも失敗に終っている。 今回も、統一教会本部に文鮮明師入国渉外班が組織され、前述の 某々氏が 法務省への工作を開始している。 ①第一回の入国騒動(昭和五四年) 昭和五四年六月二三日、アメリカ滞在中の久保木亮光氏は、文鮮明師の内意を受け、文師の特別補佐官・朴普煕氏と共に、ニューヨークの日本国総領事館を訪れ、文鮮明師の査証申請をおこなった。内容は、文師の韓国帰国の途中、十日間の通過査証を発給して欲しい、というものである。 文鮮明師の入国意図は、合同結婚式の主催と、日本統一教会の地方組織を巡回し、集金活動を直接叱咤激励することにあった。 文鮮明師は、前年の昭和五三年九月二十日から二三日まで日本に入国し、埼玉県神川村で千六百十組の、指名による組み合わせをすでに終了していた。 この時も日本統一教会は、教組の来日は通知されていたものの、その目的が指名婚約であるとは寸前まで知らされていなかった。そのため会員三千五百人を収容できる場所を設営できず、急拠埼玉県児玉郡神川村二ノ宮にある、統一教会の企業・統一産業神川工場を会場にあてた。そこで、わずか二日間の間に、文鮮明師から組み合わせを受けたのであった。 今回は、その千六百組の男女の合同結婚式を日本で挙行する、というのが入国目的であった。 久保木氏からの連絡で、文鮮明師の入国計画を知った日本統一教会は、直ちに法務省入国管理局との交渉に入った。日本統一教会が法務省に打診せざるを得なかったのは、ニューヨークの日本国総領事館が円滑に査証発給をしなかったためである。すなわち、文鮮明師の入国申請は、日本の外務省に問い合わせられ、更に外務省から法務省入国管理局に審査が依頼されたのである。 日本政府が査証発給を渋ったことは、いつかは、と予測していたものの、さすがに衝撃であった。そこで拒否理由を法務省入国管理局に尋ねるところから交渉が始った。当初法務省入国管理課長黒岩周六氏は、査証発給の権限は、法務大臣にあり、その理由を説明する義務はないと、厳しい態度であった。 日本統一教会は、この問題の解決を、衆議院議員に依頼した。選挙応援と政治献金が代償といわれる。等々、この辺は個人的な名前が出てきますから省略をいたします。 すなわち昭和五十年二月に入国した際、通過査証であったにもかかわらず、武道館で布教講演をおこなったこと、同じく昭和五三年、神川村で指名婚約を強行したことが、いずれも、出入国管理及び難民認定法に抵触したのである。すなわち、文鮮明師は通過目的と偽って、日本に入国し、実際は宗教活動、政治活動をおこない、日本の国法を侵犯したのである。交渉は難行した。更に痛手だったのは、昭和五四年七月十一日、第八七回国会、衆議院法務委員会において、社会党議員横山利秋氏が、法務省入国管理局長小杉照夫氏に対して、文鮮明師の入国を許可するか否かの質問をおこなったことである。横山議員の質問に対し、小杉照夫局長は、「単純な通過目的ならば入国を認める」「但し、過去いろいろ問題があったから、統一神霊協会、原理運動、国際勝共連合関係のいかなる集会、会合にも出席しない旨の誓約書を提出することを条件としている」と回答した。これが致命傷となり、文鮮明師は入国を断念した。②第二回入国騒動(昭和五六年)統一教会の企業ハッピーワールドは、社長古田元男氏の下に統一教会々員三千名のセールスマンを擁し、文鮮明氏への送金を専門に担当する部門である。セールスマン達は、宗教的熱情と二十四時間拘束の中で、一人月百万円の純益を強制される。取扱い品目は、いずれも韓国の統一教会系企業が製造する、人参茶、人参エキス、大理石室、大理石の多宝塔であり、他に印鑑があ る。 セールスマンは、非常識なノルマを果すために、薬事法違反、訪問販売法等に関する違反、脱税、窃盗、詐欺という犯罪を、犯さざるをえない情況に追い込まれる。そして、終に昭和五八年七月には、恐喝事件が発生し、青森地裁弘前支部は、宗教がらみの悪質な犯罪として、統一教会会員である岩井達雄、大沼美津子、太田孝雄の三人に、懲役二年六ケ月、執行猶予五年の判決を言いわたした。 統一教会とハッピーワールドの顧問弁護士は、こうした事件を取り扱い、警察と交渉し、本体の統一教会、文鮮明師、古田元男氏に当局の手が伸びないように多額の資金をつぎ込んで、必死の裏工作をする使命を持っている。 第二回の入国交渉は、法務省の各事務官に打診が続けられた。そのため法務大臣奥野誠亮氏は、事務次官、入国管理局長等を集め、文鮮明師の査証発給を促すことまでしたが、実務側は、文鮮明師の前歴を楯にとって譲らなかった。情況はやや進展した。すなわち、文鮮明師が、東海大学大学院に留学中の、前妻の子文型進氏に面会をするという名目を使えば、通過査証を発給できる。入国後、文鮮明師が何をやろうと法務省は知らないことにするというものだった。日本統一教会に安堵の声があがった。しかし、この努力は文師自身により水泡に帰してしまった。何故なら文師は、合同結婚式を実行することを法務省に承認させ、宗教活動を目的とする査証を取れと非現実的な命令を出してきたからである。こうして第二回の入国も流れた。③第三回の入国騒動(昭和五七年) 昭和五七年七月、ニューヨークのマジソンスクエア・ガーデンにおいて、合同結婚式が実行された。文鮮明師は、続いて日本で合同結婚式を実施すると宣言した。日本統一教会は、法務省と三度目の交渉に入らざるをえなかった。法務大臣は坂田道太氏である。しかし、過去二回の経緯から、統一教会からの直接交渉による進展は期待できなかった。 一方「世界平和教授アカデミー」の事務局長、尾脇準一郎氏は、かねてより工作中であった、自民党本部調査局一局長・中島源太郎衆議院議員)所属のコショウ、マキタ、スズキの三氏に、文鮮明師入国の査証発給を党本部から圧力をかけてくれるように依頼した。 コジョウは、競馬で使い込んだ八百万円の穴埋めをしてくれるならという条件でこれを請け負った。尾脇準一郎氏は、八百万円をコジョウに支払った。しかし、当のコジョウは八月で自民党本部を解任されてしまった。又、マキタ氏も秘書に転出してしまった。等々があり、三回目も文鮮明師の入国は許可されなかった。 原因はいくつか考えられる。 法務省の公式見解は、昭和五十年と五三年の入国に際し、文鮮明師は通過目的であるにもかかわらず、密かに宗教活動、政治活動をおこない、入国目的違反を犯したというものである。しかし政府側の本音は別にある。 法務省は、統一教会の合同結婚式自体に疑念を抱いている。すなわち文鮮明師が、組み合わせを指名している事実、文鮮明師とその周辺にある「血分け」の証言から、統一教会の実態が、公序良俗に反し、日本の伝統美風にそぐわないという判断である。加えて、各地で頻発しているハッピーワールドの経済活動に伴う事件の報告も、法務省人権擁護局に多数集中している。これも統一教会を反社会的団体と認定する、大きな要素となっている。 自民党では、党本部調査局長である中島源太郎議員が、公安委員会の第三係長以下三人を呼び、統一報会についての報告を受けた。係官は冷静に次の三点について述べた。(1)韓国中心主義であるから、国益に沿うかと うか検討を要する。(2)壷、印鑑等のセールスは現時点では違法で はないが、売り方に問題がある。(3)勝共連合の組織作りは、初期の公明党と酷 似している。 以上よく確認したうえで、対応してほしいとのことであった。 しかし、今回の入国拒否については、法務大臣坂田道太氏の私的事情もあった。坂田道太氏といえば、祖父が貴族院議員、父が衆議院議員、そして坂田法相と政治家が三代続いている家柄であるが、坂田法相の父道男氏に静一氏がいて分家している。その静一氏の長女康子氏は、統一教会の会員であった。 坂田康子氏は東京芸術大学声学科に在籍中、統一教会の学生組織である原理研究会に入会した。卒業後も同会に残留し、「無窮余」という同会のコーラスチームで活動を続けていた。更に昭和五六年、韓国でおこなわれた合同婚約式に参加し、文鮮明師から韓国人崔光明氏と組合せを受けた。崔光明氏は、文鮮明師の側近崔昌林氏の従兄弟にあたる。統一教会は、康子氏が坂田道太氏の姪ということで、何とか筋金入りの会員になるよう特別の指導をしてきた。その統一教会の計画が効を奏して、康子氏を韓国人と婚約させるという最大の成果を得たのである。 坂田法務大臣は、結論を保留したまま、欧州へ保安処分の視察に出発し、文鮮明師の入国は立ち消えとなった。その結果、日本で開催を予定していた合同結婚式は急拠変更となり、韓国での合同結婚式に合流せざるをえなくなったのである。 統一教会の企業ハッピーワールドは、違法な物品販売に狂奔している。その実態は文鮮明師の韓国へ帰る方針と相まって、顕著になってきている。重要な点は、こうした統一教会の活動が日本統一教会の決定によるものではなく、全て国外からの教祖文鮮明師の直接指示によっていることである。 ちょっとこれ、長過ぎましたが、こういう前提に基づいて、何か法務省のことも出ていますし、公安委員会の意見も出ています。入国管理局のことも出ていますが、法務省側でそれは違っている、コメントしたいということがありましたらどうぞ。――ありませんか。なければ結構です。 国税庁に渡してありますが、その今大臣や委員長にお渡ししましたのは、五十五年十月会計会議においてハッピーワールド本社経理の溝口志津代氏が配付した文書であります。時間がないけれども、これ、記録に残す必要があるので……。 (株)ハッピーワールドの取扱商品は各々3~4つの卸売段階を経て販売されていますが、経理はこれらの卸売会社を別々に考えるのではなく、経理上完全に一つの組織であると考えて下さい。この会計処理のシステムはいかに万物をこの世(社会)に渡さず天の側(ハッピーワールド)に復帰するかという事に基づいています。 云々とありますね。そうして、ここに印鑑、ニンジン、つぼ、多宝塔の原価率、小売倍率、販売事例があります。小売倍率は印鑑が九倍から十一倍、ニンジンが六倍から八倍、つぼが四百倍、多宝塔に至っては原価の五百倍のものを売れ、そして、右記の利益を卸売の各段階に配分していますが、印鑑の場合は、販社で利益一万五千円、原価一万円ですよ。代理店で五千円、委託セールスマンで七万円の利益ですね。 ここでおわかりのように登記等により表面に出ている販社、代理店に利益を出さず(税務対策)、個人である委託セールスマン(統一教会員)に最終小売値の七〇%を利益として落とします。 しかしこの方法では個人の所得税問題が発生しますから高額所得者となっている委託セールスマン(会員)をピックアップしておき、ハッピー本社の定期的な人事移動の時に優先するなり、住民票を地方に散らす等の指示に従って下さい。私達は天の知恵で税務署の目を逃れなくてはなりません。 更に委託セールスマン(会員)に落とした七〇%の利益はハッピー本社に個人の必要生活費を除いて全額返金するシステムです。各店舗は一体ですからこれは帳簿上の動きたけであって店舗間では実際の現金は動きません。ここに各経理が本社と連絡を密にして帳簿を作成する必要があります。もちろんセールスマン以外の従業員、(会員)についても給料は実際支給する給料(実質生活費)の3倍~5倍を計上して差額を元への献金(裏金)とします。この裏金の運用方法の一例として本社では兄弟達(会員)の名義で優の定期預金に積んでいます。なお本人には一切知らせる必要はありません。本社の人事移動ははげしく本人が処理する暇もなく事後処理は結局経理が責任を持たなければならないからです。このような一連のシステムは春山正義税理士とも相談して決定をみたものです。 これが全国的に配付されているわけですね。 まず第一に国税庁、これをどうお考えですか。
○友浦説明員 お答え申し上げます。 個別の法人にわたる事柄につきましては答弁を差し控えさしていただきたいと思いますが、一般的に申し上げますと、法人が商品の流通段階におきまして役務の提供を行わない販売会社を介在させ、利益の分散を図っている場合あるいはその法人の商品を販売しているセールスマン等から利益の一部の返却を受け、その法人の所得として申告していない場合等におきましては、その行為に仮装、隠ぺいの事実があるというようなことがございますと、いわゆる不正所得としての申告漏れが出てくるものと考えております。いずれにいたしましても、税務調査に当たりましては、新聞雑誌を初め、ただいまお示しありました資料のような外部の諸情報や税務内部の諸情報、さらには国会で論議されました事柄などを念頭に置きまして十分検討しているところでございます。 お尋ねの法人につきましても、ただいま申し上げましたような観点から十分検討し処理してきているところでございますけれども、また今後ともそのような方針で対処してまいりたいと考えております。
○横山委員 これは私が数年前、本委員会でいろいろの法律違反、人権じゅうりん、それから訪問販売法違反、それから脱税、場合によれば銃砲取締法違反等々、数々の事例を挙げた中の脱税問題として取り上げたところ、今あなたのおっしゃったように個々」の企業についての報告は勘弁してくださいということであった。それで、さらに国税庁を私の部屋へ呼んで実際はどうなんだと言うたら、集中的にやってみた、やってみたけれども、こういうところはほかの中小企業と違って、やれば必ずぼろが出てくる、内部告発がある、従業員がぽろっと物を言うということでやれるんだけれども、ここは結束しておってなかなかぼろが出てこないんです。それはそうでしょうね。幹部だけが承知して帳面を全部つくって、帳面上十万円やるとやっておいて本人には生活費だけ一万円やって、あとはぱっとやって、本人は十万円ということを知らないのですから、しかもお父様、お母様のことでございますから悪口を言うはずがないのですね。堂々たるものです。それで、とにかく国税庁があの当時音を上げている。しかし、これはまことに具体的に理路整然と、しかもこれはうそか本当知らぬけれども、春山正義税理士とも相談して決定を見たと書いてある。春山さんもどういう立場だったか糾弾する必要がありますね。税理士がこんな脱税幇助の相談を受けたというなら、資格に関係しますよ。春山さんは、そんなことはうそだと私は思う。春山さんの名前をかたっているのじゃないかと思うけれども、これは極めて明白な問題でございます。時効にかかっておるかもしれぬ。かかっておるかもしれぬけれども、これは悪質ですよ。そう思いませんか。一体このハッピーワールドは年々どのくらいの申告所得を出し、どのくらいの税金を出しているのですか。
○友浦説明員 ハッピーワールドにつきまして、最近五カ年間の公示された所得金額を申し上げますと、五十五年三月期二億五千四百万、五十六年三月期三億二千二百万、五十七年三月期三億二千二百万、五十八年三月期五億一千五百万、五十九年三月期、七億二千四百万となっております。
○横山委員 これらの金は一体どうやってつくられておるかということであります。 私のところへきのう仙台市沖野の武藤忠雄さん、五十六歳が奥さんと一緒に、娘がいなくなったということで陳情に来られました。 二月十四日に家族として事の重大さを発覚し、当人に聞いたら、昨年の夏に街頭でアンケートによって誘われたらしい。修練会は昨年暮れに一週間受け、また、三月十四日に第二回の修練会を受けているのを知って急速上京し説得した。約七時間かかったが、効なく、お願いかだがた参上したわけです。聞けば、上京のときはすべてうそをついてきたようです。これに先立って大学教授にお会いし、いろいろと知恵を授かっておるけれども、もう本当につらいと言って私の部屋で両親が泣きました。 それから、私の手元にまだ幾つも来ております。 秋田県鷹巣町七日市、佐藤恵美子氏は住所はうそでした。また、秋田県大潟村、遠所恵美子氏も、不明より二年経過していますが、住所は不明です。また、京都市右京区の松原氏長男の住所もうそで、連絡がつきません。千葉県柏市の小宮さんの長女もまだ不明です。 住所の判明した人は、東京都渋谷区小松氏の娘さん、九州福岡西原氏の娘さん、静岡県浜松市川島氏の長女、静岡市諸隈氏次男、また、東京都武蔵村山市の田代氏長女は月一回ずつ警察介入で姿を見せています、綿々としてこの種の陳情があるわけであります。 ここにテープがあります。このテープをここでやる時間がございません。要するにこのテープは、小山田という会長代理が統一教会の会計巡回使、心霊巡回使に対して行った年頭の訓辞の一説なのであります。 このテープを聞きますと、平然と法を犯す精神が明白に表現されております。つまり、法を犯しても、お父さん、お母さんのために朝鮮つぼなり何なりをどんどん売れ、それは天のためである、神のためである。それで、少しぐらい逮捕があると思っておったけれども、逮捕がなくて大変よかったという論旨がこの中に入っているわけです。これをやっている時間がございません。 それからその次に、警察庁から、昨年の、この中に出てまいりました新聞社襲撃事件というか乱闘事件というか、その結果はどうなっていますか、報告をいただきたい。
○藤原説明員 お尋ねの事案でございますが、五十八年九月三十日、十月一日の世界日報社の役員改選をめぐる暴力事件の関係でございますが、この事件につきましては、五十八年十一月二十一日及び十一月二十五日に計三通の告訴を受理いたしまして、関係者の取り調べ等所要の捜査を行いまして、被告訴人五人につきまして、暴行傷害及び暴力行為等処罰ニ関スル法律違反容疑で、昭和五十九年六月十二日東京地方検察庁に事件を送付いたしております。
○横山委員 「印鑑、大理石の壷および多宝塔に関する調査結果」というのを私は入手いたしました。調査対象機関は、全国二百四十七の消費生活センター、印鑑が千七百十九件、大理石のつぼが八百五十一件、多宝塔が六十三件、合計二千六百三十二件、購入価格は、印鑑の最高額百六十万円、多宝塔の最高額二千三百万円、最低額は二十一万円、この販売の手口の調査を見ますと、販売の手口から具体例から全部書いてあります。 販売の手口を例にしますと、類型A、病人に対し、購入すれば病気が治る、または購入しなければ一層悪化する等病人の弱みにつけ込んで販売したもの。B、不幸に見舞われた人に対し、購入すればその不幸から救われる、購入しなければ一層不幸になる等相手の不幸につけ込んで販売したもの。C、購入しなければ、先祖の犯した罪のたたりにより近い将来事故死する、または大病をする等宗教的不安感をかき立てて販売したもの。D、印相が悪い、または名前が不吉なため購入しないと不幸になる等A、B、Cに類した販売で、古来からの言い伝え、迷信を強調して販売したもの。E、購入すれば病気にならない、幸せになる等根拠のないことを強調して販売したもの。F、長時間にわたる勧誘、暴力的行為を伴う勧誘等精神的圧力を加えて販売したもの、及び喫茶店へ呼び出す、車で展示場へ連れていく等勧誘の仕方に問題があるもの。G、その他非常に悪質な言辞を弄して販売したもの等々、この種の印鑑、大理石のつぼ及び多宝塔に関する調査結果でありますが、通産省、コメントしていただきますか。
○糟谷説明員 ただいま先生がお読みになられました調査結果は私どもも承知しております。私ども自身も、通産省に消費者相談室というのがございまして、そこで全国からの消費者の相談を受けつけているわけでございますが、今先生がおっしゃいましたような大理石のつぼであるとか印鑑にまつわるトラブルというのもかなりございます。ただ一このハッピーワールドという名前は私どもの方には必ずしもはっきりした形では出てきておりません。と申しますのは、消費者との接点になりますとあるいは別の企業の名前になっているのかもしれませんが、いずれにしましても、私どもの方に消費者の方から寄せられたトラブルの中では、つぼとか印鑑にまつわるトラブルはかなり多うございますけれども、今先生がおっしゃった固有名詞はなかなか出てこないというのが実情でございます。 私ども、そういう相談を受けますと、個々の事例ごとにたどりましてその救済を企業に働きかけるといったことで対応する、あるいは一般的な手段でございますけれども、訪販法の内容を消費者にPRするといったこととか、あるいは業界の自主的な対応を促すといったようなことで消費者のトラブルを減らすように努めているところでございます。
○横山委員 街頭募金の問題があります。私、先般名古屋で体験した報告を受けたのですけれども、街頭募金をしておったので、責任者の名前を言えと言ったら、言わないで逃げちゃったと言う。それでついていったと言うのですね。そうしたら、ある統一協会の家へ入った、こう言うわけです。その女性は保母だったものですから余計に一生懸命になりまして、赤十字社から新聞社からNHKから全部この協会から募金の献金があったかどうか調べました。千円だとか二千円の口が二口か三口あっただけだと言うのです。まだ献金していないのかどうなっているのかわかりません。募金条例のある都市とないところとありますから何とも言えませんけれども、募金が最近いろいろ話題になるのですけれども、街頭で無責任にやっておって、責任者もなくて、その献金がどこへ行ったかわからぬような状況がかなりあるわけであります。私は、その意味で、時間がございませんから最後に法務大臣に所見を伺いたいのですが、文鮮明師は今投獄されているはずですね。こういう人は、二、三回日本への入国を法務省は一貫して拒否をしてきましたが、少なくとも重罪にあった人間の入国を許可することは今後もあり得ないだろうね、ということが一つであります。 それからもう一つは、あなたの所管にあります人権擁護局ですね。今東京法務局の人権擁護部がこの種の問題の父母との間の真ん中に立ってやっておってもらうはずであります。全国の人権擁護部が、この父母の訴えなり仲介なり何なりについて、さらに一層精力的に努力をしてもらいたいということが第二番目でございます。 第三番目は、通産省、といっても結局は通産省が手足を持っておるわけではございませんけれども、訪問販売のありようについて、違法的な事実がございましたら、即刻これはひとつ対処してもらわなければなりません。いわんや多宝塔に至っては、原価の五百倍です。いかに宗教的な信仰心があるとはいえ、そんな原価の五百倍に売るとか、何かあるとめちゃくちゃなことをやっておるわけです。今海外へ金を持っていくには余り制限がありませんけれども、当時は制限にひっかかった問題がございました。 私は、今いろいろ話しましたが、宗教的な教義について何らの問題を提起しておりません。これは断っておきます。宗教的なありようについてはまだ何も言っておらないのでありますが、少なくとも違法だとか人権じゅうりんだとか、詐欺だとか、暴力だとか、そういうことは、宗教団体であると否とを問わず断固として処理をしてもらわなければいかぬ、こう考えますが、大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
○嶋崎国務大臣 ただいまお話のありました統一教会の問題、あるいはハッピーワールドの取引の問題等につきましては、お話は十分承ったわけでございます。先ほどいろいろ長く読まれて意見があるかと言われましたけれども、私は実は全く承知をしておりませんので、その点はそういうことで御了承願いたいと思うのでございます。 今御提案のありました入国の問題等、よく実態を調べまして、的確に入国管理の仕事を進めてまいりたいというふうに思っております。内容的には、私はどこまでどういう人の範囲をどう考えられるのか、ということもよくわかりませんが、過去の経緯等もあるわけでございますから、事情をよく調べまして、的確な判断をさせていただきたいと思います。 それから、人権擁護の問題についてお話がありましたけれども、この点につきましては、御指摘されるまでもなく、人権に関連する事実があるならば的確にそれを処理し、またいろいろな苦情等についても、よくそれを受け付けて処理をするような努力をさせていかなければならぬというふうに思っております。 また、私の所管外でございますけれども、訪問販売、その他今御指摘になりましたようなことが仮に事実であるというならば、非常に適当なことではないというふうに思います。そういう点につきましても、十分の調査を進めていきたいと思っております。なお、これに関連して税金等の問題も出てきており、ある程度の申告をしておるものですから、私もよく判断はっかないわけでございますけれども、そういう問題が仮に生ずるならば、まず第一次的には国税庁なり警察等におきましてそれをよく調査してもらわなければなりませんし、またそれを検察庁もよく受けて、的確な判断で対処をしなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
○横山委員 終わります。
○片岡委員長 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 先刻、拘禁二法についての質問がございまして大臣から御答弁があったわけですが、私のお聞きをいたしたいことは、まず刑事施設法が今度提案されなかったということによって実際に収容者に対してどういうような差異が出てくるというか、差し支えが出てくるかということです。聞いているところによりますと、大体通達で実際は行われておるのであるからそう具体的に差異はないのではないかというふうにも聞いておるのですが、そこのところはどういうふうなことなのか、まず矯正局長からお答え願いたいと思います。
○石山(陽)政府委員 ただいま委員お尋ねのとおり、今回の諸般の事情によりまして刑事施設法が提案できないという事態になりまして、まことに私どもとしても遺憾であり、次回を期して再起いたしたいというふうに考えております。 お尋ねの点でございまするが、刑事施設法ができなくても現在の行刑の実勢においてはそれらの趣旨を通達行政等によって先取りしているのではないかという点、一面においてはその御指摘は当たると思います。 〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕 しかし、何と申しましてもやはり明治以来の古い監獄法という、監獄という名前がまだついている法律でございまして、これらのものをそのまま今日的な新憲法下の法律として我々が旗として掲げることができるかどうか、この点につきますと種々の問題が必ずしもないわけではございません。例えて申しまするならば、日本が各国との矯正関係の国際会議に出る場合がございますが、この際必ず国際会議等の資料といたしまして現行監獄法の翻訳文を添付する、これがいかにも前時代的であるということで、各国の行刑マンから非常に驚きあるいは遺憾の指摘を受けておる、こういう現状がございます。 それから、処遇上の配慮は一応弾力的な運用の関係でできない点もございませんが、例えば新法案で予定しておりました受刑者についてのいわゆる外泊制度、こういったものは現在少年院の一部しか施行しておりませんので、新法ができませんとこれが先送りになる、こういう問題がございます。 それから収容者の権利の法律化という点につきましては、例えば苦情申し立て制度、不服処理制度、こういったものにつきましても現在法律上その手続要件、それから審査の内容等に関しまする内部規定、これらが整備されていないことによりまして、これらの不服申し立てが訴訟事件となった場合に、その処理上、裁判所からも速やかに監獄法制の整備を望むというようなことが判決理由中で指摘されておる、こういうのが実態でございまして、一応間に合うところは間に合うのじゃないかという御指摘でございましたけれども、私どもの立場から申しますれば、何とか新しい法律によって整備を今後とも図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○稲葉(誠)委員 いつか国際連合の行刑関係の会議が京都であったときでしたか、大分前ですけれども、羽山さんが矯正局長のときでしたが、報告書があるわけです。あれを見ると、日本の行刑水準というものは国際連合から見ると低いというようなことが書いてあるのですね。その後これはどういうふうになったのですかね。それが一つ。 それからもう一つは、刑事施設法という名前を使いますけれども、これはおかしいと私は思うので、施設法というのは建物なんで、いわゆるハードな面なんで、中に入っている収容者の問題を処遇を中心として考えるならば、法律の名前から変えていかなければいけないのじゃないかと私は思うのですよ。そこら辺のところ、二つ、ちょっとお答え願えますか。
○石山(陽)政府委員 国際会議におきまして、今委員御指摘のようにいろいろな、例えば被収容者に対します国連のいわゆる処遇の最低基準規則、こういったものが既に国際会議の席上提言されまして、各国がそれらについて合議、決議をしたというような事実がございます。これらの水準から比べますと、我が国のいわゆる監獄法の水準が必ずしも統一的にはかれない場面はございまするけれども、まだまだ水準には足りていないというような面もございますので、私どもは、現在、これを実効の問題としてなるべくならこれに近づこうという努力は現在もいたしております。しかし、新監獄法では、それらの理念をより明確化しようということで、いわゆる監獄法の改正の柱の一つとして国際化の傾向ということを取り入れていく努力をこれまでしておったところでございます。 そういう面と、それからもう一つのお尋ねでございます刑事施設法という名前でございますが、おっしゃるとおり、内容がほとんど処遇面が中心となっておりますので、必ずしも施設法という名前でなくてもいいのではないかという御指摘は当たるかと思います。ただ、冒頭にいわゆる刑事施設の種類を定めるという形から書き起こしておりまするので、この表題につきましては、法制審議会の御答申をいただく際に、本法の予想される題名についてということで御審議いただきました結果、一番多かった刑事施設法という表題をちょうだいしておる、こういうことに相なっておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 私、この法案が仮に出ても出なくても、前から問題にしておりますことは、結局捜査のあり方の問題が一番大きいと思うのですよ。そうなってきますと、刑事訴訟法全体との絡みで問題を理解していかないといけないのだというのが私の基本的な考え方なんです。 そこで、刑事局長にお聞きしたいのですが、刑事訴訟法ができたでしょう。警察は最初四十八時間持っていますね。これはどういう根拠があるのですか。それはどういうところからそういうふうになったのですか。
○筧政府委員 制定当時の事情はつまびらかにしておりません。たしかその前も、旧刑訴法時代から四十八時間という時間は規定されていたようにおぼろに記憶いたしております。
○稲葉(誠)委員 いや、だからどうするのですか。四十八時間を警察が持っていて、あとをどうしようということになるのですか。だから、それによって捜査の構造というものが全体に違ってくるでしょう。前のときには、検事は警察官に対して指揮権があったわけですよ。具体的に何かは別として検事に指揮権があったでしょう。それも今度はなくなってしまったわけでしょう。そういう中で、四十八時間というのは一体どこから出てきたことなのかということですよ。そのまま残っているわけでしょう。警察は四十八時間、一体何をするのですか。終わったらどうするという考え方なんですか。あとは検事がみんなやるという考え方なんですか。検事はそんなあれはないわけですよね。だから、実際には結局、今の日本の刑事訴訟法の制度というのは、基本的に四十八時間で送って、また戻してきて、警察がずっとやる。検事は十日間の勾留の最後の一日か二日に結局ちょこちょこっと検事調書をつくってそれで終わりにする。普通の事件ですよ。特捜の事件やなんか、ああいう特別な事件は別として、その他の事件はほとんどそうなんですよ。だから、その点を基本的に変えていかなければいかぬのですよ。変えていくというと語弊があるけれども、考えていかなければいけないわけですよ、捜査のあり方。だから、基本的な問題点は刑事訴訟法における捜査のあり方の問題として、もちろん代用監獄の問題にも関連してくるのですけれども、検事と警察官との関係の問題、そして勾留期間の問題、全体を含めて、刑事訴訟法全体を基本的に見直していかなければいけないわけですよ。これが全然されていないで、ただ刑事施設法で通してくれなどと言ったってだめなんで、代用監獄が問題になれば、代用監獄というのはどこから生じてくるかといえば、検事と警察との捜査の関連から生じてくるわけですから、それから勾留期間の問題からも生じてくるわけですから、そういう点をずっとちゃんと吟味しなくてはいけないというふうにも私は思うのですが、きょうここで議論してもあれだと思います。 そこでお願いをしておきたいのは、今法務省のアタッシェがいるのはアメリカと西ドイツと、今度はイギリスですね。それらの国の刑事訴訟の制度が、今私が申し上げたようなことを中心として一体どういうふうになっているかということと、同時に、身柄の収容が実際にどういうふうに行われているかということですね。それが捜査に一体どういう影響を及ぼすのかということです。捜査のやり方によっては犯罪が非常に多発してくるということに影響を及ぼすかもわからないとか、確かにいろいろな問題はあるかと思うのですが、それと同時に、制度はこうであっても実際はそうでないというのがどうもあるらしいのですよ。 去年、法務委員会で西ドイツに行ったときにいろいろお聞きしたのですけれども、どうもよくわからないのですね。制度としては、例えば二十四時間以内ですか、何かその日のうちに一たん送るのだけれども、送ったものをどうも拘置所へ入れておいて、また裁判所の許可を得るかなんかして警察へ持ってきたりなんかしてドイツではやっているらしいというのですけれども、実態はわからないのですね。イギリスではどうなっているかということを聞いたら、これはロンドンの空港でしたから時間がなかったのですが、今やはり検事と警察官の間のことをサッチャー政権が見直しにかかっているとかなんとかいろいろ言っておったのですけれども、よくわからない。アメリカの場合は、また制度が全然違う。アメリカの場合で一番問題なのは、アメリカの起訴の仕方の問題、それから、もちろん検事と警察官の関係もあるし、殊にFBIがやる捜査の場合に、一体どういうふうに実際やっていて、アメリカの無罪の考え方と日本の無罪の考え方が、全く制度が違うから考え方が違ってきますから、いろいろありますけれども、そこらのところは一月ぐらいあればできるでしょう。難しいかな。三つの国と日本との間のいろいろな制度の違い、実際にはどうなっているかというようなこと、一月ぐらいでできますか、しかしそれはあなたの方で刑事施設法を出そうとしたのだから、そういう調査が当然できていなければならぬわけですよ。それをできもしないで法案を出そうとしたって、とてもそんなもの通りっこないですよ。まあ出さなかったからいいけれども、それは僕はだめだと思いますよ。
○筧政府委員 今先生御指摘の、例えば西独あるいはイギリス、アメリカ等でございますが、制度が日本とは相当違っておることは事実でございますし、例えばイギリスでは、現在、警察と訴追機関との関係、従来、地方分権的に警察で全部起訴まであるいは公訴維持までほとんどやっておったわけで、それについて統一的な訴追機関あるいは公訴維持機関が必要であるということで、いわば検察官に当たるような組織をつくるような法案が提案されていると聞いております。また、西独につきましても、今先生御指摘のように、二十四時間で日本で言う拘置所に当たるところへ収容される、しかし、その後裁判所の許可を得て警察へ連れていって調べるということは可能だという法令がございまして、それに基づいてなされておる。それは夜になると必ず帰すというようなことも言われておりますが、その辺の実情は御指摘のように必ずしもつまびらかにはなっておりません。 そういうことで、私どもとしても、今、捜査段階での身柄の問題等についてはアタッシェのおりますところを中心に各国の法制を整備いたしておりまして、一月で完備するかどうか、ちょっと自信がございませんので、もう少し時間がかかるかと思いますが、あわせてその実情もできる限り調査をいたしたいと思います。
○稲葉(誠)委員 私は、刑事施設法を提案しようとしたのだから、そういうところの整備などはもう当然できていると思っていたのですよ。できていなければおかしいわけで、それができていないで法案を提案しようというのだからなかなかあれだと思うけれども、一月の間というのは無理かもわかりませんよね。実際、ドイツなんかでも教えてくれないというのです。実際のあれがよくわからないというのですよ。そんなことを言っていましたけれども、いずれにしても、一月でなくても何でもいいですけれども、じっくりとしたものをつくっておいていただきたいというふうに思います。それが一つ。 この旭川の事件については、これはまだ確定してませんから、きょうちょっと質問するのはあれします、確定してからにしますけれども、確定するかどうかわかりませんけれども。 私の疑問なのは、検察官の論告は一体どういう論告をしたんだろうかというのが私の疑問なんですよ。新聞で伝うるところが果たしてそのままなのかどうか、論告要旨を見ていないものですから何とも言えません。 それから、代用監獄に非常に長い間置かれていたときの模様ですね。殺人事件は、最初認めていて五回目に否認するに至ったわけですね。だから、その経過がどうなのか。そういうような代監で行われた捜査の内容を検事が一体いつごろどういう経過で知ったのか、知らないのか。これは、第一回公判のときに弁護人が違法な捜査だと言った意味が、単に別件捜査だから違法だという意味で言ったのか、具体的なそこまでの細かい内容を知っていて違法だというふうに具体的に言ったのか、今の段階ではどうもよくわからないものですから、だから私の方でも書きょうはいいですよ。また、確定してからの方がいいでしょう。確定して、論告要旨とか判決ができるのが、仮にできてもおくれるかとは思いますがね。だからそれからでいいと思いますけれども、いずれにしてもそういうものをいただいてからじっくり内容としては検討したいというふうに私自身も思っているわけです。 あなたの方に実際は論告要旨なんか来ているんでしょう。来ているんだけれども、ちょっとぐあい悪いから来てないようなふりしているのかな。どうなんです、そうでもないのですか。わかっている範囲内でお答え願えれば――答えられてもいいですよ。
○筧政府委員 論告要旨は、正直申し上げまして私どもの方に報告は参っておりますが、これは外へはお出ししないという扱いになっておりますので、御了承いただきたいと思います。 論告の内容を簡単に申し上げますと……(稲葉(誠)委員「いいよ、それは」と呼ぶ)それはよみしゅうございますか。 そのほか、今御指摘の点も詳細調べておきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 それは確定すれば確定記録が見られるわけですから、ゆっくりあれしますがね。 そこで、別のことになりますけれども、私はお聞きをいたしたいのは、近ごろ公報を見てみますと、スパイ防止法の問題がいろいろ研究されているようなんですね、研究されるのは研究される自由があるかとも思いますが。このスパイに関しては刑法の仮案なりあるいは草案なり、その後どういう経過をたどっておるわけですか。
○筧政府委員 いわゆるスパイ防止法といいますか、機密探知罪というようなものは、国家機密でございますが、これにつきましては戦前は刑法にあったことは御承知のとおりで、終戦後廃止されたわけでございます。その改正関係につきましても、戦後の法務省の刑事局に設けられました準備会でつくりました準備草案というのがございますが、そこの中には国家機密の探知罪というのが設けられておったわけでございます。それにつきましては、刑法改正の諮問を受けました法制審議会におきまして審議の結果、その必要はないということで、昭和四十九年に答申されました改正刑法草案、その中からは削除されておるということでございます。
○稲葉(誠)委員 何で削除されたのか、その理由。
○筧政府委員 削除の理由につきましては、法制審議会の審議結果の説明書等によりますと、設けるべきであるという意見もあった、しかし、これに対しまして反対論といたしまして、機密探知・収集というような概念が不明確で乱用の危険がある、新聞記者等の取材行為にまで適用されるということになると、表現の自由を侵すおそれもあるというようなこと。それから、機密を保護する必要があるとしても、機密の範囲を具体的に限定して乱用の危険をなくすためには特別法で詳細な規定を設けるとする方法が適当であること。それから、外国から武力の行使があった場合に防衛上の機密を探知したりまたは通報したりする行為は別の罪名である外患援助として処罰の対象になることなどが指摘されまして、刑法には機密の探知等に関する特別の規定は設けないという結論に達したというふうになっております。
○稲葉(誠)委員 これは、憲法の八十二条で「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」こうあるわけでしょう。そして「裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となってゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。」こういうふうに憲法の八十二条でありますね。これは旧憲法ではどういう規定になっていたのですか。
○筧政府委員 旧憲法におきましては第五十九条と思いますが、「裁判ノ対審判決ハ之ヲ公開ス個シ安寧秩序文ハ風俗ヲ書スルノ虞アルトキハ法律二体リ又ハ裁判所ノ決議ヲ以テ対審ノ公開ヲ停ムルコトヲ得」となっております。
○稲葉(誠)委員 そうすると、旧憲法と今の憲法とはどこがどう違うわけですか。これは法制局がいいかもわからぬけれども、あなたのところでもわかるでしょうね。「但し」が入ってきたでしょう。「但し、政治犯罪」云々が入ってきて、これは常に公開しなければいかぬわけに、なってきたでしょう。そうすると、例えば国家機密が機密だということに仮にして起訴したときに、国家機密が何であるかということをこっちが争えば証明しなければならぬでしょう、主張して立証しなければならぬでしょう。公開の法廷でそれをやるわけにはいかないわけですよ。そうすればみんなにわかっちゃうでしょう。そうでしょう。だから、この憲法の規定があって、わざわざこれは、旧憲法時代というのは非常に暗黒時代で危なかったからというのでこれが入ったのですよ、「常にこれを公開しなければならない。」というのがただしで入っているわけですからね。だから、一生懸命スパイ防止法を御研究なさるのは結構だ。結構がどうかは別として、個人の自由か何の自由か知りませんけれども、この憲法の規定がある以上は、結局、これはできないんじゃないですか。どうなんです。政府から答えると言っても無理――無理だと思えば委員長からお答え願って、参考人として
○筧政府委員 秘密に関する犯罪として、現在国家公務員法等がございます。その場合も、やはり秘密は秘密で公にしてはならない事項を漏らしたということで過去何件か裁判になった例がございますが、その場合には、当該本当に秘密である部分についてこれを墨で塗って出したという場合がございます。これは税務署関係の標準税率表等でございますが、その数字のところを全部消して出したあるいは証言等でやった例もございます。 いずれにしましても、当該事項が秘密であるということをその当該内容を明らかにしないでも立証し得るという方法がございますので、そういう方法で現在まで秘密に関する裁判については裁判が行われておりますし、その方法で今後も可能であろうかと思っております。
○稲葉(誠)委員 いや、そんな方法でやられたんじゃ、あなた危なくてしようがないじゃないですか。国家機密だと言うのならば、国家機密が何であるかということをやはり明らかにしなければ、国家機密を侵したか侵さないかなんということはわからないですよ。そんなことをやられた日には人権がじゅうりんされて非常に危なくてしょうがない。これは前に問題になったことがあるのですよ。そうしたら自民党のある長老の方が、もう亡くなられた方ですけれども、この方が、日本の憲法のこの規定がある以上、日本の国家機密罪というかそういうようなものはできない、これに伴って刑事訴訟法なり民事訴訟法というものが改正されない以上はできないということをはっきり言われている記録が残っているのですよ。そういうことなんですね。だから、これは非常な危険性を伴うし、実際はできないことであると私は考えておるわけです。後藤田さんが官房長官のときにここで答弁しているのです。これは世の中を暗くするからやらないということを答えているのです。それに反対する意見の方もあるかもわからぬけれども、そう答えているわけですから、これはこれ以上ここで議論するほどの価値はない、こういうふうに思いますので、この程度にしておきます。 〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕 きょう私が特にお聞きしたいというふうに考えましたのは、実は私どもの方でこういう委員会をつくったのです。不正商行為対策特別委員会というのをつくったわけです。これは、「悪質商法、過剰信用供与を規制し、消費者の保護を図るための委員会の設立について」ということでやっておるわけなんですが、そこで私がお尋ねをいたしたいのは、これはまず警察にお尋ねをした方がいいと思うのですが、堺市、伊勢崎市、金沢市、北九州市、そこで外務員がいろいろな事例で検挙されたというのがあるわけですね。これは具体的にどこのあれで、どういう事例なのか、どうなったのか、まずお答えをお願いをいたしたいというふうに思います。
○清島説明員 お尋ねの四件の事例について申し上げます。 まず、堺市の事案は、五十七年四月二十一日、豊田商事の営業社員が被害者方を訪れた際に、金の購入を断られまして玄関先に押し出されたことに憤慨をいたしまして、所持しておりました雨傘で被害者の頭部を殴打して二週間の傷害を与えたという事案であります。大阪の堺北警察署で現行犯逮捕しております。罰金二万円の処分となっております。 それから、伊勢崎市の事案は、五十八年十一月二十四日、同じ会社の営業社員が七十歳の老人に対しまして七時間余りにわたって居座りを続けまして、金の購入を強要した。脅迫あるいは顔を殴打するということで現金一万円、額面合計百六十四万円余の預金通帳及び印鑑を喝取したという事案で、恐喝で緊急逮捕をしております。その後暴行で起訴され、罰金五万円の処分となっております。 それから金沢市の事案は、同じく豊田商事の営業社員が八十四歳の老女に対しまして五時間半にわたって居座りを続けまして、金の購入を強要いたしました。純金二百グラムの純金ファミリー契約に応じせしめたということで、現金五十万円、額面百九万円余の預金通帳一通を出させて持ち去ったということで、県の迷惑防止条例で通常逮捕しております。これについては罰金一万円の処分が確定しております。 北九州市の事案は、本年の一月十六日、同じ会社の営業社員三名が銀行の北九州支店に預金の解約に訪れた際に、その手続が遅延したということで腹を立てまして、物を投げたり、カウンターの上に立ったり、大声でどなるなどして営業中の同店の業務を妨害したという事案でございます。三人を逮捕しております。処分につきましては、現在起訴されておりますが、まだ処分は確定しておりません。
○稲葉(誠)委員 そこに出てくる豊田商事という会社、これは何をやっているどの程度の会社なんですか。これはどこに聞いたらいいのかな。
○筧政府委員 私どもの手元の資料によりますと、商号は豊田商事株式会社で、本店所在地が大阪市、支店が全国に約三十カ所、資本金が二億五千万円、目的は非常にたくさん書いてございます。石油精製業、原油及び石油製品の輸出入及び販売、貴金属の輸出入及び販売、商品市場における先物取引投資、有価証券の売買、土木建築設計及び工事請負業、山林の伐採及び売買、テニスコート、プール及びゴルフ場並びに食堂の経営、金融業、不動産の売買、自動車、書画、彫刻、時計、宝石、事務機類の古物の売買、最後に前各号に附帯関連する一切の事業ということになっております。
○稲葉(誠)委員 その豊田商事というのが今言ったように各地に支店を設けていろいろ活動をしているわけですね。各地でいろいろ問題を起こしておるようです。 そこで、大阪に本社があるということでしたが、五十九年の三月二十四日に詐欺罪と出資法違反で告訴がされて、そして追加告訴もされているわけなんですね。これは一体どういうふうなことで告訴をされて、その後検察庁としては何をどの程度やられたのか。告訴代理人、弁護士がついているはずですが、弁護士を呼ばれて聞かれたのか、あるいは当事者を呼んで事情を聞いたのか。去年の三月二十四日だからちょうど一年たっているわけですが、その間の捜査の模様というのはどういうふうになっているのですか。
○筧政府委員 御指摘の特捜は、その後もいろいろ告訴がなされまして、関連従業員等の分も含めますと相当件数の告訴を現在大阪地検で受理いたしております。基本になりますのは、社長以下の従業員に対します詐欺と出資法違反でございます。詐欺につきましては、純金ファミリー契約締結名下に全員を騙取したということで、この全員を集めたことがまた出資法の「業として預り金をし」たということに該当するという告訴でございます。告訴を受けまして、現在大阪地検で捜査継続中でございます。
○稲葉(誠)委員 形の上では捜査継続中ですよ、みんな。何もしてないのじゃないですか。大阪地検の特捜部はここのところ忙しかったのは私も知っていますけれども、実際には何もしていなかったのじゃないの。告訴代理人を呼んだのですか。これはどうなっていますか。
○筧政府委員 捜査の内容については差し控えさせていただきたいと思います。基礎調査その他いろいろな調査に始まりまして、それから関係者の取り調べという順番になるわけで、今どの段階にあるか、とにかく捜査を継続中でございます。
○稲葉(誠)委員 もう一年たっているのですよ。忙しいのはわかるのですけれども、あちこちで、今言ったような四市で外務員が事件を起こしているわけですよ。そういう中で告訴があって、今刑事局長ははっきりしたことは言わないのですけれども、基礎調査といったってそれは基礎調査がなかなか難しい事件なんですよ、率直な話。これは警察でもやっているのですよ。防犯の方で一部やっているところもありますけれども、それは貴金属店などに行って普通のやり方などについて聞いて回ってはいるのですよ。これは基礎調査がなかなか難しいことは私もわかりますけれども、一年もかかって何にもしないのですよ、と思うのですね。これは大阪の特捜部だから別所君でもいれば一生懸命になってやったのだろうけれども。一そこで、もう一つの問題は、こういうのがあるのですよ。今、福井の警察から福井の地検に来て、ことしの三月十六日の逮捕だそうですね。四人逮捕されているのです。ちょっと事件の内容がこの事件と関連があるのかないのかはっきりしない。あるいは関連がないのかもわかりません。まず、福井で今勾留延長になっているようですが、その四人が逮捕された事件の概要についてお話し願えませんか。
○筧政府委員 お尋ねの事件は、被疑者高橋季男外三名に係る無限連鎖講の防止に関する法律違反被疑事件であろうかと思います。この事件につきましては、福井地検におきまして本年三月十七日に警察から被疑者四名の送致を受け、現在被疑者を勾留して捜査中でございます。 被疑事実の要旨は、被疑者らは共謀の上印鑑セット販売に諸口した金銭配当組織を主宰し、昭和五十七年七月ごろから昭和五十八年一月ごろまでの間、百十五名を加入させるなどし、無限連鎖講を運営したというものでございます。入金額は千九百八十七万円となっております。
○稲葉(誠)委員 今のお話で無限連鎖講の防止に関する法律というのがあるのですね。第一条目的、第二条定義、それから第三条禁止、いろいろあるのですけれども、これは難しくてちょっとよくわからないですね。専門的でよくわからないのですけれども、この無限連鎖講の防止に関する法律というのはどういう経過でできて、どういう法律なのか、ちょっとわかりやすく説明してくれませんか。具体的に例を挙げてひとつ説明してよ。
○筧政府委員 いわゆるネズミ講でございまして、ネズミ講等が害が大きくなったことからこの法律ができたのだと記憶しております。ネズミ講的なものでございますから、一番の親といいますか元がいまして、それから、この場合は印鑑の販売ですけれども、子供をつくって、その子供から金が入ってくる、その子供がまた一人ないし二人、孫といいますか次から次から会員を募集していく、そこから金が入るとまた上へ入ってくるということで、最初に入った者は下がふえるに従って出した金を回収しもうかるわけです。しかし、それはいわば無限に広がるはずでありますけれども、途中から行き詰まりますと、その一番下の周辺の方が金銭の回収ができなくて、もうかるというもうけ話で入っても結局は損をしてしまう、損をしてしまうことが目に見えておるわけでございます。したがって、そういう行為を処罰するという法律ができたのであろうと思っております。
○稲葉(誠)委員 あろうと思いますなんて言ってはだめですよ、刑事局長がそんなことを言っては。もっと断言しなければだめです。 それで捜査の端緒はどういう端緒になっておりますか。今の福井の事件の捜査の端緒。これは警察の方でいいです。
○清島説明員 五十八年七月二十九日に二百数名からの告発によるものでございます。
○稲葉(誠)委員 そのとおりですね。こっちにも書いたのがありますからそのとおりですけれども、なぜ調べるまでに二年もかかったのですか。そこはどういう説明ができますか。二年もない、一年半ぐらいか。
○清島説明員 一つは、無限連鎖講といいながら通常のネズミ講と違いまして、印鑑を販売するという販売形態の組織でございまして、実際にそういう商品の販売組織であればなかなか無限連鎖講と言えないわけでありまして、商品販売を仮装した金銭の配当組織であるという点の捜査はなかなか難しい面がございましたのと、被疑者らが所在不明になりまして探し出すのにちょっと時間がかかったという面もあるようでございます。
○稲葉(誠)委員 そこではっきりさせておきたいといいますか希望しておきたいのは、大阪地検で告訴事件は全部で何件ありますか、ちょっと説明願って、一体一年もたって、今言ったようなことで詐欺、出資法違反ということで告訴がどんどん出ておるわけですね、これは一体どう対処していくのかということをはっきりさせてもらいたいと思うのです。あっちこっちで被害が出ておるのですよ。ここでは申し上げませんけれども、これは電話をかけるのです。電話をかけて、そうして来てもらって承諾の署名をとってネズミ講みたいなものに入らしたりなんかしていろいろやっておるようなんですね。被害は続出しておりますよ。どんどん出ておりますよ。だから、これは大阪のあれですから大阪地検で具体的にどうするのか、どうさしたいのか、そこら辺のところどうなんですか。
○筧政府委員 現在大阪地検で受理しておりますのは、本年一月十日に告訴を受けましたものまで含めまして合計七件であろうかと思います。これにつきましては特捜部におきまして早急に所要の捜査を遂げて適切な処理を図るということであろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 はっきりきちんと捜査をしてあれしてください。それを要望しておきますが、どうですか。
○筧政府委員 早急に事実を解明して、それに即した適切な処置をとるべきものと考えております。
○稲葉(誠)委員 福井の方の事件は豊田商事ではないわけですね。――いいです、わかっておりますから。ですけれども、大阪を中心として今非常に広がっておりますから、今刑事局長言われましたから、この趣旨を伝えていただきたい、こういうふうに思います。 そこで、まだほかにこういうのはいっぱいあるのですよ。多いのが最初は金だったでしょう。金があって、それからパラジウムになって、今海外商品取引から国内商品取引。これは本当にどうしてこんなにお金を出すのかと思うくらいなんですね。断り切れないのです。絶えず夜に電話がかかってくるのです。年寄りの人が電話を受けて、断り切れなくなって承知しちゃうのですね。そして判こを押しちゃう。お金は私の知っているのでも二千万くらいになるのです。四、五百万から一千万、二千万という金を渡しちゃうのですね。どうにもしようがないですからしっかりやっていただきたい、こういうふうに思います。 それから、もう少し全体としてこれはよく勉強してもらいたいと思うのです。これは警察では中央警察が中心にやっているわけですけれども、地検の方でもよく勉強をしてもらいたいというふうに思います。一般の検事などでもなかなかこういうのは難しいでしょうし、苦手でしょう。それは捜査が難しいのはわかるのですよ。誠備の事件でもああいうふうになるということは、公判の経過をずっと僕らは聞いていたときに、ああこれはというふうに大体わかりましたけれども、そういうようなことにあれしないで、もっとしっかりこういう事件をどんどんやっていただきたい、こういうふうに思います。 そこで、話が実は違ったところにいくわけですけれども、日本と韓国との間の問題で、法律関係、いろいろな問題がもちろんあるわけですね、一つはこの問題があるわけです。日本にいる韓国人が例えば事件なら事件を起こす、民事事件ですよ。不法行為なら不法行為を起こして韓国に帰っちゃうでしょう。そうした場合に訴状の送達がどうもできないらしいのですね。これは今実際はどういうふうになっているのですか。現実にどうやっているかというのじゃなくて、建前というか実際はどうなっているのですか。それをどうやって補っているのですか。
○上谷最高裁判所長官代理者 実際の事件について特に報告を受けておるわけではございませんので、一般論として申し上げますと、結論としては、裁判所が訴状その他の書類を送達する場合には民事訴訟法第百七十八条によりまして公示送達を行っているというのが実際だと思います。
○稲葉(誠)委員 いや公示送達では、公示送達で勝ったところでそれは執行できないでしょう。それではだめなんですよ。
○上谷最高裁判所長官代理者 申し上げるまでもなく委員十分御案内だと思いますが、民事訴訟法第百七十五条には、日本の裁判所が外国で送達しようとするときは相手国の裁判所あるいは相手国に駐在する我が国の大使、公使、領事に嘱託して送達することができる、こういう規定があるわけでございます。ただ、これはいわゆる国内法の規定でございますので、このような送達を現実に外国で行うためには、一種の裁判権の行使でございますので、日本国と相手国との間の条約でありますとかその他取り決めなどがあって相手の国がこのような送達手続をすることを容認しなければならない、こういうことが当然の前提でございます。もちろん相手国の裁判所が嘱託で応じてやっていただく場合、これは容認がないとというかむしろ承知していただかないとできないことは当然でございますが、領事等によります嘱託についても同じように考えられておるわけでございます。 そこで、現在、御承知のとおり、民事訴訟手続に関する条約でありますとか民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約等の多国間条約かございます。この条約に加盟してくれておる国でございますればこれらの条約で送達することができますし、それから個別の、例えば領事条約等ができておりますとかあるいはそうでなくとも個別の取り決めがございますと、その手続に従って嘱託による送達あるいは領事による送達ができるわけでございますが、現在、韓国はこのような多国間条約に加盟しておりませんし、韓国との間で特別の取り決めもないものでございますから、裁判所としては百七十五条による送達を実施することができないというのが理論的な結論になるわけでございます。したがいまして、民事訴訟法第百七十八条一項にございますとおり、百七十五条による外国における送達ができませんので公示送達を実施するということになります。ただこの場合、百七十九条二項にも規定がございますとおり、公示送達をすると同時に通常郵便でその旨を相手方に通知することができるということになっております。現に裁判所の方で、執務資料等でもこの通常郵便による通知をするように取り扱うのが相当であるというふうな考えを全国の裁判所にお知らせしておりますので、実際は公示送達をいたしますと同時に通常郵便で通知をするという扱いがなされるケースが大部分と存じております。この通常郵便を現実に発送いたしますと、住所がわかっておりますので実際は届くわけでございまして、届いたことによりまして現実に裁判所へ出てきて応訴をするという例もあるように聞いております。
○稲葉(誠)委員 それは日本と韓国との間に、訴状なら訴状というふうなものを、韓国側で受け取るとかなんとか、今の多国間条約、そういうものを日本と韓国との間で結ぶ必要があるのじゃないですか。私もよくわからないのですが、これは外務省の管轄か、どうなんですか。
○枇杷田政府委員 私どもとしては韓国との間には、いろいろ接触が多いところでございますので、そういう送達関係の条約ができることが望ましいというふうに考えております。かつて事実上そういうふうな話も、進行というとおかしいのですけれども、接触があったということもあるようですが、外交折衝といいますか問題もあるようなので余り進展はしておらないようでございます。また機会を見て、そういうような条約ができるような方向に行くように外務省にもお話をしてみたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 それから執行の場合は、判決で勝っても公示送達の場合だと執行はできないようになっているのじゃないですか、外国人の財産に対しては。そこら辺のところはどうなっているのですか。
○上谷最高裁判所長官代理者 お尋ねは、日本の裁判所で裁判があった場合に、これを例えば韓国で強制執行するということであろうかと思います。これは強制執行自体が韓国内で行われるということになりますので、本来私ども最高裁判所の直接の所管ではないわけでございますが、たまたま一般的な法律問題ということでよろしければ私どもの知る限りでお答え申してもよろしいのでございますが、それでよろしゅうございましょうか……。 韓国の法律の最新の情報は実は私どもも存じませんでして、数年前の情報でございますが、やはり韓国の民事訴訟法の規定の中に日本の民事訴訟法で申しますと第二百条とほぼ同じような条文があるようでございます。つまり、日本の制度で外国の判決を日本において強制執行いたします場合に、裁判所のいわゆる執行判決が要るわけでございますが、同じような要件が韓国の民事訴訟法の中にも規定されておるようでございまして、その規定は日本の民事訴訟法二百条とほぼ同じでございますので、その中で公示送達によってなされた判決については執行判決ができないというふうな要件になっておるようでございます。したがいまして、理論的に申しますと、公示送達ということであれば向こうの韓国内で強制執行されるということは法律上の要件を満たさないというふうになろうかと思います。したがいまして、その外国人がたまたま日本に来たというふうなときでありますれば日本の国内で執行ができますが、外国で執行ということは、現実の場合外国の制度に依存しますので、私どもの方としてはこれ以上申し上げるわけにはいかないということでございます。
○稲葉(誠)委員 だからここら辺のところが、実際に裁判をやっている弁護士なんかも非常に困っているのですよね。 それからもう一つ困っているのは、韓国とは関係ないのですが、今たまたま執行の話が出ましたから、民事執行法のときは僕ら気がつかなかったのですけれども、例えば一審であれして今度は東京高裁なら東京高裁へ控訴提起に伴う執行停止の申請をしますね。そうすると、供託は東京でなければいけないわけですね。そうでしょう、今は。高裁の所在地でなければ供託できないわけですね。各地の地裁の所在地での供託を認めないわけです。これは私も気がつかなかったのですけれども、どうしてこういうふうな制度にしたのですかね。今は交通も便利だし、それからいろいろな電算機や何かも通じているという時期ですから、債権者の便利のためかもわからないけれども、債権者の便利といえば各地裁の所在地の方がいい場合もありますし、高裁所在地でなければ供託ができないというのは、僕はちょっとよくわからないのです。これはどういうところに理由があるのですか。 それから、もう一つ困っているのがあるのですよ。それは私もよくわからないのですが、現金じゃなくてボンドでやるでしょう。そうすると、ボンドを供託する場所が例えば高裁のところであっても、しかも大阪なら大阪のところであっても、そのボンドの所在地が大阪にないという場合があるらしいですね。そうすると、東京まで出てこなければならぬというようなこともあるらしいのです。それは非常に困っているようですよ。それは執行法の制定当時にはそこまでは気がつかなかったのだと私も思うのですけれどもね。その二つについて、どういうふうにしたらいいのですか、どういう理由でそうなっているのか、お答え願えればと思うのですが。
○枇杷田政府委員 民事執行法の制定の際には、債権者の便宜とかどこの供託所であるとかということが当然わかるようにすることが便利だろうということで、ただいま御指摘になったような形になっておると思います。それについては不便だという声も聞かないわけではございませんけれども、ある面では一つすっきりしたという面もあるわけでございますので、今後、実情の推移は見守っていかなければならないと思っております。 あとのボンドの問題については、ちょっと私どういう事案がよく検討しないとわかりませんけれども、何か都合が悪いような点があれば解釈なり何かの方法でやる余地があるような問題かもしれませんので、少し検討させていただきたいと思います。
○上谷最高裁判所長官代理者 突然のお尋ねでございましたので、特にボンドの運用状況についてそういう御指摘のような問題が生じているのかどうか調べてまいりませんでしたが、そういうふうな問題があるようでございましたら、ボンドの関連につきましては最高裁判所の規則で規定いたしておりますので、今後の研究課題にさせていただきたいと存じます。 これはせんだって、別の議員からのお尋ねもございましたが、現在ボンドの契約をする金融機関が比較的限定されておりまして、それをもう少し広い範囲にまで広げた方が利用しやすいのではないかという御指摘もございました。これは現在、執行事件の執行停止等でボンドが使われる例は非常に少のうございまして、むしろ保全処分の損害賠償の保証で使われる例が多いようでございます。そういうケースにつきましてはそれほど御不便をおかけしているわけではないと思うのですが、しかし、なるべく債権者の方の御利用を得やすいような形でもう少し金融機関を広げてはどうかという御指摘がございまして、私どももこれは現在既に検討を始めているところでございますので、いずれ制度を利用される債権者の御意見等もよく伺いました上で、問題があれば規則の改正等を含めまして検討してまいりたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 ボンドの問題は、裁判所の執行係に聞いたら、執行係は非常に困っておるようですね、そういう話があったものですから。 それから、今の供託の方は、これは不便なんですよ。場合によっては、何回も高裁所在地へ出ていかなければならない。だから非常に不便なんで、どこで供託したって、供託書を持っていけばよさそうなものだと思うのですが。だから地裁の支部で仮処分する場合などでも、供託の場所は特定しているわけですか、どうなんですか。あれも不便なんですよ。それで、供託を扱わない裁判所の所在地があるのです。簡裁の所在地があるでしょう、そこで仮処分で保証金を納めることとなっても、そこにある法務局はそれを扱わないのですよ。だから別のところへ行かなければならないのですね。そういうような不便もある。きょうの問題ではありませんけれども、そういうようなあれがあるわけです。 そこで今、日本と韓国との間で問題になってまいっておるのは指紋の押捺の問題が出てくるわけですが、この前も聞いたのですけれども、わからないのです。指紋の押捺の時効、これは公訴の時効ですね。それを即時犯と考えるか継続犯と考えるかによって違うわけでしょうけれども、一体どっちと考えるのが正しいのかというと、法務省の意見を聞いてみても、二つ意見があってどっちだかよくわからないというようなことを言うでしょう。よくわからないでは困るので、どっちなのかひとつ決めてもらわないとと思うのですが、これはどうなんですか。
○筧政府委員 即時犯か継続犯かによって端的には時効の問題に差異が生じてくるわけでございます。時効の問題で差し迫って現実に余り問題になったことがございませんので、この点について突き詰めた議論をしたことはないのが現状でございます。一つの継続犯であるという考えは、この前分科会で稲葉委員御指摘の入管等において、また従来書物等に書かれてある説でございますが、これも前の不申請罪が継続犯であるという判例がございますけれども、それと性質が同じか違うかという議論はございますけれども、そういう考えを持ってくれば継続犯であるという説も成り立ち得ると思いますし、十四条各項に書いてあります受領と同時に押さなければならないというような規定の仕方からいいますと即時犯と見るのが素直ではないかという考えも出るわけでございます。いずれが正しいのか、私どもとしてももう少し議論をして結論を出したいと思っております。
○稲葉(誠)委員 それは時効の問題だけではないのです。またほかにも関連してくるのです、どっちの意見をとるかによって。それは私どもの方でもう少し研究して別の機会にしますけれども、時効だけではないですよ。時効も主であるかもわかりませんけれども、ほかにも関係してくるということなんです。 そこで、ちょっと時間があるのでお聞きするのですが、時効の問題が出ましたけれども、これは例えば起訴するでしょう。起訴して被告人が保釈になる、逃亡してしまった、保釈金没取になる、これは別として、そうするとこの場合、裁判が始まってからの事件ですよ、その場合は時効はどうなんですか。
○筧政府委員 起訴され、公判が始まっておりますれば、時効の問題は生じないかと思います。
○稲葉(誠)委員 どうして時効の問題は生じないの。逃げちゃっているのですよ。
○筧政府委員 今の場合は公訴時効の問題になろうかと思いますが、公訴を提起する前の問題でございますから、公訴を提起してしまえば後は公訴時効の問題がございませんから、いわゆる時効の問題は生ずる余地がないというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 それは旧刑訴のときには時効の問題はあったのでしょう。新刑訴になってからその点についての、起訴された後の時効の問題については規定がないのですよ。調べてごらんなさい。そういうことは知っているでしょう。時効の規定がないのですよ。だから永久に事件を抱えていなければならないのです。それで困っているのです。知っているでしょう、それは。しようがないもので、しようがない、しようがないで整理して公訴を取り消しているのもあるでしょう、たまには。そういうふうになっているのです。あそこは何か刑訴をつくるときに、そこまで考えなかったのですか。もとは公判中でも時効になって途中にあれしていたわけですよ。公判期日を指定していたのですよ、時効になってしまうからというので。今度の刑訴の中ではそれがないのですよ、規定が。そうなっているんじゃないですか。それはよく考えてそういうふうにしたのか、あるいはケアレスでそうなったのか、どうなのですか。
○筧政府委員 旧刑訴の規定は全く存じませんのでございますが、ただ、今委員御指摘のように、現行では十年たとうが二十年たとうが時効の問題は生じませんので、例えば現実の問題としましては、昭和二十年代に起訴したごく軽微な事案について、被告人所在不明のままできた場合、これをどの段階で公訴取り消しの措置をとるかということが各検察庁で検討対象になっていることは事実でございます。
○稲葉(誠)委員 余り細かい問題をここでやってもあれですからあれしますが、もとへ戻しますと、さっきも話がありましたよね、大臣。ことし大体七月から八、九ごろで指紋の押捺の問題が起きてくるわけですね。そうすると、そこでこれについてはまず外務省はどういう考え方を持っているわけですか。これはひとつ、来ておりますか、外務省の方は。
○渋谷説明員 お答えいたします。 外国人登録法が昭和五十七年に改正されたばかりであるという事情はございますが、他方指紋押捺制度の撤廃ないし緩和を求める意見が存在しているということも十分承知しておりますので、昨年の日韓共同声明の趣旨をも踏まえて、制度上及び運用上の諸問題につきまして、関係の省庁と討議を重ねているというのが実情でございます。
○稲葉(誠)委員 ここで問題になってくるのは告発の問題ですね。確かに法律では告発を起訴の条件としているわけではありませんわね。告発を条件としておるのは、間接国税の何か、関税か何かのやつがありましたね。そのほか何かありましたかな。告発を待って論ずるというのが何がありましたか、ちょっと忘れましたけれども、たしか税法にあったと思いますが。だけど、実際は市町村の告発ということを条件とするというのは、訴追の条件とするというようなのが非常にずっと長く続いた慣行になっているわけですね。慣行になっているということは、これは認められるわけですか。
○筧政府委員 従来の例でも告発なくして起訴した事例も何件かあるわけでございますが、従来の実際上は告発を受けて捜査をし、起訴しておるというのが慣行といいますか、ほとんどでございます。
○稲葉(誠)委員 そういうふうな中で、大臣、今お話ししましたように、三十七万人、これからの大きな問題になってくるわけですね。 これともう一つの問題は携帯義務の問題ですね。それは聞きますと、法務省の場合は携帯義務の場合に一回や二回の場合は普通不起訴にしているのですよ。起訴猶予にしているのが普通なのですけれども、しかし実際には免許証のときに出せとかなんとか言ってそこで警察が逮捕したり何かしている例が非常に多いものですから、そこで、この二つの点、指紋の押捺の問題と、それからもう一つ今言った不携帯に対する処罰の問題というか、これが今後大きな問題になってくるわけですね。それに対して法務大臣としてはどういうふうにお考えなのかということ。これは外務省と法務省と警察の考え方は違うようなんですよ、ニュアンスは。それはそれとして法務大臣としてはどういうふうにお考えなのかということをお聞きをして終わります。
○嶋崎国務大臣 今御指摘の外国人の登録制度の問題につきましては、御指摘のとおり、五十七年の改正でちょうど三年というのを五年に改めたというような絡みもありまして、ことしの七月、八月、九月というようなところに相当大量の切りかえがあるということは事実であるわけでございます。実は私自身着任してから五万件ぐらいの切りかえがあったと思うのですけれども、その中で百五十一人ですかぐらいの指紋をやらなかったという人が出ておるというのが現実であるわけでございます。そういう情勢というものをどういうぐあいに判断するかという問題が一つあると思うのでございます。 しかし、御承知のように、前々から申し上げておりますように、五十七年の改正をやって、今度最初の切りかえの時期になる。私は、やはりこういう制度でございますから、在留外国人の皆さん方もそういう制度に従ってきちっと協力をしていただくということが非常に大切なことではないか、ぜひそういうことで御協力を願いたいというような気持ちを持っておるわけでございます。 御承知のように、この制度の中身につきましては、先ほど御指摘のように、いろいろな中身の論議があるわけですが、やはり基本的には朝令暮改のそしりを免れない。ともかく五十七年に通った法律でございますから、これはやはりきちっと守ってやらなければいけないのじゃないかというのが基本的にあるのだろうと思うのでございます。私の時期じゃありませんけれども、日韓共同声明がいろいろ論議をされる中で、引き続いて努力をするというような経過があったことは十二分に承知をしており、したがって、その後この問題についての各省庁間の調整ということに努力をして、今日まで参っておるわけでございます。ところが、なかなかその調整がし切っていないというのが現実でございます。さきのこの委員会でも、さていつやれるのかというようなことになりますと、この国会の中で調整するということは非常に難しい状態ではなかろうかということを申し上げたわけでございます。ただ、共同声明の中にありますようなことでございますので、我々も今後制度面にもあるいは運用上の面でもいろいろな方向でどの辺で調整をできるものか、何かいろいろな工夫が可能ではないかというようなことについて研究をしていかなければならぬ。そういう努力は引き続いてやっていかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。 それから、告発の問題につきましていろいろな議論がありまして、先ほども申し上げたわけでございますけれども、今までは割合時効の問題というようなことも絡みまして件数も非常に少なかったものですから、ほとんど問題が生じておらなかったというのが現実なわけでございます。ところが最近三年目にかかってくるというようなものがようやく出だしたことで、告発問題というものが出てきておるというのが現実であるわけでございます。しかし、我々も地方公務員の皆さん方も、こういう事案があった場合に告発をしていただくのが筋であろう。それから地方公共団体の方でもいろいろそういう面については直ちに告発することはしない、できるだけ説得をして事柄を処理する方が、円満に事柄を処理できる考え方だという考え方をとっておられる部分が大部分でございます。やはりそういう努力というものを積み重ねていって、ともかくこの夏場の大量切りかえというものを乗り越えてまいりたい。またそういう協力を、在留外国人の皆さん方がそういう御苦労をしていただくことも、いろいろな意味で次の改正というものを考えていった場合に非常に大切なことではないか、そういうぐあいに判断をしているというのが実際でございます。
○稲葉(誠)委員 終わります。
○片岡委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時休憩 ――――◇――――― 午後一時三十四分開議
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。橋本文彦君。
○橋本(文)委員 昭和五十九年版の犯罪白書をじっくり読ませていただきまして、そして感じたことがたくさんあるわけなんですけれども、今、高齢化社会、高齢化社会と言われまして、その対応があらゆる分野で叫ばれておりますけれども、この犯罪白書を読みましても、この問題が大きく取り上げられているということがわかりました。 〔委員長退席、亀井委員長代理着席〕 ついせんだって、総務庁の統計局の方の資料で、総人口が一億二千二十三万人になった、そのうち六十五歳以上の老年人口が千百九十六万人、全人口の九・九%で、もはや一割突破が目前となっておる、こういうような発表がございました。その高齢化というのは、年寄りがふえるというのではなくて、いわゆる総人口に占める若年層がふえないという現象でございますね。こういう状況の中で、いろいろ刑事訴訟法上の規定、例えば七十歳以上の老人の場合には、いわゆる自由刑の裁量的刑の執行もあるとか、いろいろな形であります。あるいは裁判官の定年制の問題とか、いろいろな問題がありますけれども、このように二十一世紀に向かいまして高齢化が必至の状況の中で、いろいろ犯罪類型あるいは社会状況の変化、経済的な問題、社会的な問題、文化の問題もありましょうけれども、これから突入するであろう高齢化社会に向かって、法務省としてはどのような対策を持ってこの高齢化社会を迎えようとしているのか。その辺のお考えがございましたら、まず最初にお聞かせ願いたいのですが、ちょっと話が急に抽象論過ぎますけれども、お願いいたします。
○嶋崎国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、日本の場合には本当に老齢化が急速な勢いで進んでおるというのが現実であろうというふうに思っておるわけでございまして、そういう意味で、一般社会の社会的ないろいろな問題、あるいは経済的な問題を含めて、非常に老人対策というものがどうあらなければならないかということは真剣に検討されなければならぬ事柄であるというふうに思っておるわけでございます。しかし、私たちが扱っておる刑法関係のいろいろな犯罪の態様というものを眺めてみますと、御指摘になるようにうんと老齢の人が犯罪の対象になる場合は、このごろマルチ商法その他の問題がありまして問題が出ておりますけれども、刑を受ける人、要するに犯罪者の側では必ずしも老齢化が非常に進んでおるというような事態は見受けられないというふうに思うのでございます。しかし、こういう時代の進展がいろいろあるわけでございますから、やはり犯罪者へのいろいろな対応の仕方、あるいはそういうところの背景、事情というようなものを十分判断をして、そういう時代が来ておるということを背後に受けて物を考えていかなければならぬ時期がそろそろ来るのではないかというふうに思っておるというのが実態でございます。
○橋本(文)委員 今大臣からお話ございましたけれども、まだまだ高齢化社会というのは現実の問題になっておらない、まだ先の問題であるというような感じが見受けられるわけでございますけれども、そうしますと、現段階においてはいわゆる高齢化社会を迎えてのいわゆる刑事政策上の問題あるいは犯罪の傾向、そういうものを真剣に検討しているという状況ではないということでございますか。
○嶋崎国務大臣 一般的に数字から申しましてそういうことがうかがわれるわけでございますが、御承知のように、午前中、あるいは間々議論になりますように、平沢事件の例で見られますように、死刑の判決を受けた人が九十三歳まで刑務所におられるというような実態もあるわけでございますし、全くその事柄が関係がないというわけじゃありませんけれども、一般的にはそういう状況ではなかろうかという判断を申し上げた次第でございます。
○橋本(文)委員 犯罪白書にも指摘してありますけれども、とにかく高齢者を犯罪から守ることがまず不可欠なものだ、それから高齢者が犯罪者になればその場合の犯罪者の処遇の問題、あるいは今度は高齢者が逆に被害者になる場合のその救済方法というものを一応述べておるのですけれども、残念ながら、犯罪白書によりますと、法務総合研究所の判断ではもう研究できないという形でさじを投げている感じがするわけなんですよ。もう一歩踏み込んだ議論あるいは示唆というものがあればな、こう思ったものですから、きょう質問させていただきました。 今、平沢問題が出ましたので、若干、これは質問通告をしておりませんけれども。 聞くところによりますと、本来ならば死刑の判決が確定して六カ月以内に執行しなければならない。ところが、その間に恩赦の請求あるいは再審の申し出があるといったような場合にはその間の期間がとまるということであるわけですが、現在、平沢の問題では十七回の再審請求と五回にわたる恩赦出願をしてきている。こういうわけで三十年がたったのだろうと思うのですけれども、その間にいわゆる六カ月の期間がぽんとあくことはなかったのですか、今まで。
○嶋崎国務大臣 今御指摘になりましたように、再審請求が十七回、最近さらに追加的に恩赦が出まして、五回目の恩赦が出ておるというような状況であるわけでございます。私たちの仕事としましては、現実に犯罪の捜査あるいは起訴あるいは。公判の維持、またその決着がついたところで矯正あるいはその後の保護、そういう一連の仕事があるわけでございまして、実はこの三十年という日限の長さというものを考えますといろいろな問題があったろうと私は思うのでございますけれども、現在そういう現実になっておるわけでございます。 そういう中で、先ほど、前の答弁を訂正をいたしたわけでございますけれども、六カ月以内で終了しなければならぬというようなことを考えられておるわけでございますが、何しろあいた日時が八十二日というようなことに相なっておるわけでございます。もちろん再審の中でも決断をして処理をしなければならぬというようなことは過去にもないわけじゃありませんけれども、事件の性格、今日まで至った状態、非常に老齢になっておられるというようなことから考えますと、現在再審も行われておるというような事情もよく見て判断をしなければいかぬと思っております。三十年という時効の問題については、前々から御指摘申し上げておりますように、法務省としては時効の進行は進んでおらないという考え方をとっておるわけでございます。そういう考え方でもってしばらく事態を見たいというふうに思っておる次第でございます。
○橋本(文)委員 済みません。質問が悪かったかもしれませんけれども、十七回の再審請求あるいは恩赦申し立て、この間のいわゆる区切れ区切れがあるわけですね。その間に八十二日間の間があったのが最高なのですか。六カ月という期間はあかなかったということですか。
○嶋崎国務大臣 御指摘のとおりでございます。
○橋本(文)委員 そうしますと、次から次へと再審請求、恩赦の申し立てをしてきてここまで来た、このように伺っていいわけですか。いや、もう前と同じ理由だから理由がないという形で早期に決着がつかなかったのかどうか。
○筧政府委員 ただいま大臣から八十二日という御答弁を申し上げましたが、これは今まで三十年になんなんとする期間で、再審ですと、請求をして却下、異議申し立て、却下と確定して次の再審があるまでの間、それから恩赦も申し立てて却下される、その間何日かずつあるわけでございます。それを寄せ集めて八十二日という計算がなされておるわけでございます。それから、十七回の再審は、それぞれその再審につきまして審理期間の長短はございますけれども、それぞれ審理を遂げて結論が出されておるという状況でございます。
○橋本(文)委員 そうすると、却下されるとまた新たな次の手段を講じてくる、こういうことになるわけですね。 ところで、現在六十五歳以上の死刑が確定している人は何人ぐらいおるのですか。
○筧政府委員 今手元にその数を所持しておりませんので、ちょっとお答えいたしかねるところでございます。
○橋本(文)委員 法務大臣になりますと一番嫌なのが、死刑の執行の判こを押すのが一番つらい、こういう話をよく聞くのでありますけれども、現実に年間どの程度の死刑が執行されておるのでしょうか。
○筧政府委員 死刑の執行をするにつきましては、年間ごとに統計等で公になっておるところでございますが、最近は、ここ二、三年はたしか毎年一名ぐらいであったかと思います。相当前には相当の数があったときもございますが、最近ではそう数は多くはございません。
○橋本(文)委員 一年に一人だけ執行される。ところが、現実に死刑の判決が確定している人間は毎年何名ぐらいですか。
○筧政府委員 現在の確定している執行者は二十七名と思います。
○橋本(文)委員 毎年何名ぐらいずつ死刑の確定者が出てくるかということなんですが……。
○筧政府委員 今手元に統計を持っておりませんが、これもやはり年によって相当むらがあることは間違いございません。 それから、一つには、去年でございますか、例の連続射殺事件がございました。あれの最高裁判決が出るまで死刑の確定が事実上とまっておりました。そういう関係でここ二、三年は確定の数が非常に少なくなっておるということは事実でございます。
○橋本(文)委員 今死刑が確定している人間が日本全国で二十七名ですか。平沢も含めて二十七名だと思いますけれども、そうすると、これがみんな再審の申し立てあるいは恩赦の出願をしておるわけでございますか。
○筧政府委員 その数字も今ちょっと手元に持っておりませんが、していない者もおるわけでございます。
○橋本(文)委員 していない者があればその死刑の執行の数が相当ふえると思うのですけれども……。
○嶋崎国務大臣 先ほど来お話がありましたように、法務大臣の非常に大事なというか非常に厳しい仕事の一つであるというふうに思っておるわけでございます。しかし、長年の裁判の経過を経て決定をされた死刑の判決であるわけでございます。死をもって報いるということはなかなか大変なことで、それに、死刑が行われるともうあらゆる意味でそれで終わりになるという処罰でございますから、みんなその問題について慎重に考えるということは事実であろうというふうに思います。しかしながら、法務大臣の仕事としては、刑が確定した事柄でございますから、いろいろな事情をよく判断をして、そしてある程度きちんとした処理をしていかなければいけないのではないか。特に最近、三十年時効というようなことが非常にやかましく言われてまいりますと、この問題について深刻な考え方を我々持って考えなければならないんじゃないかというふうに思っておるというのが実情でございます。
○橋本(文)委員 刑事訴訟法の四百七十五条と思いましたけれども、六カ月以内に刑の執行をしなければならないという規定があるわけですわ。それを見ますと、全員が再審の請求あるいは恩赦の出願をしていなければ二十七人がそんなにいつまでもとまっていないと我々は思うのですよ。そうすると、現実的にはその刑事訴訟法の四百七十五条の規定は現在もう守られていない、こういうふうに見るしかないように思うのですけれども、いかがですか。
○筧政府委員 確かに刑事訴訟法に規定がございますが、この規定につきましては、私どもはこれはいわゆる訓示規定であるというふうに理解いたしております。事は死刑という極めて厳粛な事柄に関することでございます。したがいまして、再審あるいは恩赦があります場合に限らず、これが確定いたしました場合には、さらに全記録を検討し、いろいろの面からさらに慎重に検討を加えた上で執行に至るという過程をたどるわけでございまして、その間に六カ月を超えるということもないわけではございません。できるだけ早期に執行すべしという訓示規定であるというふうに理解いたしておるところでございます。 〔亀井委員長代理退席、委員長着席〕
○橋本(文)委員 刑事訴訟法上の六カ月以内というものは刑の執行を速やかにしなければならぬという形で決められておるというふうに我々は理解しておったわけなんですけれども、きょう初めて、訓示的規定である。そうなりますと、現実的には死刑廃止論に拍車がかかってくるように思いますね。 平沢問題がきょうのテーマではございませんので、差し控えます。 すぐそばに刑事訴訟法四百八十二条というのがございまして、ここに七十年以上の場合には自由刑の裁量的停止、こういう規定があるわけですけれども、現実に七十歳を超えた懲役あるいは禁錮刑の服役者、これがそのまま帰されるというケースはあるのですか。
○筧政府委員 七十歳以上の懲役、禁錮囚がどれくらいあるか、定かには数は承知いたしておりませんが、現実に執行停止が行われておりますのは、この七十歳の規定というよりも、その一号に、その刑の執行によって身体あるいは健康に著しく害を及ぼすでございましたか、という規定がございますが、主としてそちらの方で執行停止がなされておるということで、それがないのに七十歳の方だけを適用するという例は余り、というかほとんどないように承知しております。
○橋本(文)委員 では、矯正局長さんにお尋ねしますけれども、今六十五歳以上の服役者というのは日本でどのくらいおるのでしょうか。
○石山(陽)政府委員 今手元に持ってまいりました数字が五歳単位でなくて十歳単位になっておりますので、申しわけありませんがそれでお答えさせていただきます。 六十歳以上六十九歳までの昭和五十八年度におきます年齢別在所受刑者数は九百四十二名、全体の受刑者数が約四万五千でございますから、率にしますと二%強ぐらいになります。それから、七十歳以上の受刑者数は同じく五十八年度におきまして百六十四名、率にすると〇・四%程度ということになっております。
○橋本(文)委員 今刑事局長の方からは、七十歳ということを理由にしての執行停止はない、その前の一号の規定で執行停止がなされておるのですが、具体的に執行停止の例がもしありましたならば、お聞かせ願いたいのです。
○筧政府委員 七十歳以上で今の一号等を理由として、あるいは二号の例も全然ないわけではございません、まれにはあるというふうに承知しておりますが。その具体的事例と言ってもなかなかございませんが、公になったものといたしましては、国会でも御議論になりました日通事件の池田それから福島という方でございます。これにつきましては一号の理由によって二号の事由を考慮するまでもなく刑の執行を停止したという事例が最近ではございます。
○橋本(文)委員 話はがらっとまた変わりますけれども、今いわゆるぼけ老人とか痴呆老人という言葉が出てきますね。大臣、おわかりですか。わしはまだぼけてないから大丈夫。ぼけというのは自分が食べたものを覚えていないというのがぼけらしいのですね。それで、自分が食事をしたかしないかも忘れてしまうのが痴呆老人である、こんなような差異が言われておるのですけれども、今社会問題になっております。 服役している御老人でいわゆるぼけないし痴呆性老人というような症状を呈する人間はおるわけでございましょうか。
○石山(陽)政府委員 服役中に高齢のためにいわゆる老人性痴呆症、いわゆるぼけの症状が進んでくるという例は絶無ではございません。
○橋本(文)委員 その場合にはどういうような処置をとるわけでございますか。
○石山(陽)政府委員 医療的な看護の方法で措置できるものは、刑務所内のいわゆる看守その他の刑務官の共助作業と申しましょうか、本人たちにできるだけ自覚を促すというような形で作業その他に支障がないように介助の仕事をする場合がございます。ただ、程度が非常に進んでまいりますと、これは一般刑務所ではどうにもなりませんので、その場合には医療施設であります医療刑務所へ移送するというような形によって処遇をいたしております。
○橋本(文)委員 その場合に、絶無ではないわけでございますけれども、発生する年齢あるいはその数は把握しておりますか。
○石山(陽)政府委員 一般的に見て、一般社会内におります老人のいわゆるぼけ症状の発生率というのは私、つまびらかにいたしておりませんが、刑務所の中におきましては比較的それなりの健康管理それから社会のストレスから離れた意味での独自の施設内処遇ということがありますので、一般の症状よりもやや発生率は低いというふうに聞いております。数はつまびらかではございませんけれども、そのような症例がありました場合には、先ほどのような措置をとって、できるだけそういった症状の軽快になるようにこの医療行為をまずやりますし、それからそれて間に合わぬ場合には正規の医療機関に入れる、これは先ほど申し上げたとおりであります。
○橋本(文)委員 私はその数が知りたかったわけなんですけれども、そうですか。発生率が一般世間に比較して少ない、これは何か意味があるのかと私もよく思うのですけれども。刑務所内の食事というものが一般世間に比べて非常に粗末である、カロリーも少ない、それから決められた仕事をしなければならない、それから休息の時間も決まっておるという、いわゆる規則正しい生活を強いられるという形でそういう成人病ないしぼけ老人の発生が少ないんじゃないか、ごうよく言われるわけなんですけれども、それは統計的には間違いないわけですね。 少年の非行の場合にはいわゆる少年院とかいう制度がございます。最近、新聞紙上をにぎわすのは、出所してきてはすぐ窃盗、万引きを働いて、また刑務所に戻る、こういうたぐいのケースがよく報道されます。果たしてこんな人を刑務所に入れて何になるのだろうか。とにかくあしたの飯と寝る場所を確保するために犯罪を犯すような人もたくさんおるように思うわけです。それを機械的に刑を執行しておっても全く無意味である。老人が自分が社会の一員であるという自覚は全くなしに、ただ本能のまま寝る場所と食べるところを与えてくれる場所が刑務所であるというのは大変な問題だと思うのです。 そこで、そういう小さな事件の累犯で来る人は年間どのくらいおるのですか。
○石山(陽)政府委員 今正確な数字は資料を持ってきておりませんが、大体六十歳以上の高齢受刑者のうち窃盗事犯で入ってきます者が約五〇%、詐欺で入ってきますのは一〇%、これは普通の中あるいは若年齢の受刑者の場合の比率が二つ合わせて三〇%台になりますので、老人特有の犯罪現象ということが言えるのではないかと考えます。
○橋本(文)委員 現在では数まではわからぬわけですね。
○石山(陽)政府委員 年度別で犯罪発生件数の中で老人が、何歳の者が何人いてそれに対する窃盗あるいは無銭飲食等の詐欺事犯が何名というところまでの矯正資料を持ち合わせておりませんので、お答え申し上げられないことをお許し願います。
○橋本(文)委員 私が指摘しておきたいことは、高齢化社会に向かって人生八十年型社会と言われておる。そうすると、六十歳、七十歳なんというのはまだまだ壮年の域だ、こんな説もあるわけでございますけれども、そういうようなこれからも一生懸命頑張ってもらわなければならない人間が無銭飲食あるいは万引き等で刑務所生活してくる、しかし一向に矯正はされない、改善はされない、出てくればもとのもくあみという形で果たしていいのだろうかという疑問がいつもあるわけなんです。 そこで、そうではない、年寄りと言ってもまだまだ一生懸命頑張らなければならぬのだということを専門的に教育することを考えていく時期にそろそろ入ってきたのではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○石山(陽)政府委員 確かに仰せのように、老人関係につきまして私ども施設内で処遇します場合に、若い人と年を走った人たちを一緒に混禁することの可否は行刑問題では一つの大きな課題になっております。それと同時に、年寄りは年寄り向きの処遇をして、いろいろな家庭環境その他、長いこと刑務所に出入りしている者が多いわけでございますから、これがどういう環境原因から再犯を重ねるに至ったか、そしてそれをどういうふうにつなげて社会内処遇に切りかえても大丈夫という見きわめをつけるか、これは刑政にとりましては一つの大きな課題だと思います。 私どもの調査によりますと、例えば一つの具体例を申し上げますが、広島の管内に呉刑務支所というのがございます。これは、広島管内で受刑者になりました年齢六十歳以上の高齢者だけを約五十人集めて、老人刑務所とでも申しましょうか特別の処遇をしている施設でございます。これらの人々の中で家族関係あるいは知人関係、親族関係につきまして帰住地が定まっておるかどうかを調べた数字がございますが、これによりますと、一般の若年の受刑者に比べて家族環境が著しく悪くなっておる。つまり、長年年を経るまで刑務所暮らしをしておることによりまして、家族から見放された形になっておる。そのため、保護会に入れようと思っても、保護会も年寄りだということで、働き場所がないという理由でなかなか引き取ってくれない。こういった人たちを社会内に戻します場合に、我々施設側としては非常に苦慮するわけでございます。 老人関係の受刑施設を預かっておる管理者といたしまして、何とか疎遠になりがちな親族との連絡をよくさせ、もう一度引き取ってもらえるような帰住環境を整備してあげたい、それから、社会内のその他篤志家、一般の共感を得まして、老人の養護施設その他で引き取ってもらえるようなものがないか、いわば社会福祉との連携プレーをよくするという点が常に私どもの課題になっている、これが実情でございます。
○橋本(文)委員 今お話を聞きまして、老人受刑者の服役した後の姿はまことにみじめだなという感じがするわけです。 そこで、少年院がこれから犯罪を起こさないように、健全な社会の一員になるようにという形でもって存在価値があるというのであれば、またまた違った意味でいわゆる老年院、この言葉は私の思いつきでございますけれども、老年院というような形でもって、一般の刑を科して改善できる人間と高齢者のためにもうその見込みはないのだという、その辺の違いをそろそろ検討すべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○石山(陽)政府委員 御提題が刑事政策から進んで社会福祉政策との関連になってまいりましたので、私どもでお答えできるかどうかわかりませんが、私どもそのような意味で先ほど来申しましたように、施設内処遇でいわゆる社会福祉政策を代行するというのにもおのずから限界がございます。 そこで、これらの身寄りなき放浪癖のある、あるいは累犯歴のある老人受刑者をどうやって社会内にうまく帰住あるいは安住の地を見出せるか、こういう点につきましては、外へ出ましてからの福祉政策との接点になると思いますが、この点において社会が老人政策をもう少し見直すといいますか温かい目で、受刑者の出所後の刑余者としての立場にある老人たちを温かく受け入れてもらえる、そういう施設がもっとあったらありがたいものだというふうに私どもの立場では痛感いたしておるところでございます。
○橋本(文)委員 行刑上、制約があるのはやむを得ません。しかし、高齢化社会が来るということでもっていたずらに――福祉の問題の協力がなければいけないという議論はわかるのですけれども、行刑制度そのものの中に老人受刑者対策をもっと真剣に考えていくべきではないかと思ったので言っておるわけでございます。 確かに、犯罪はあらゆる社会的な要因から成り立ってくるわけでございますから、法務省だけですべてを解決しようと思っても無理な話でございますけれども、少なくとも老人の犯罪が犯罪白書によっても他の年齢層に比べてふえてきておる。これはただ単に人口そのものが老齢化したからそこに占める老人の犯罪も多くなったのだという書き方をしていないわけです。高齢化に伴って高齢者の犯罪が速度を速めながらふえてきている、こういうことを白書で言っておるわけでございますので、その辺のところをよく認識していただきたい。通常の刑務所という概念の中ではこれが対応できないのではないかと思うわけです。 こういうふうに考えできますと、服役した後、完璧に社会から疎遠になってしまう、家族からも見放される、あと行くところはどこかといったら厚生省関係の福祉施設だ、これでは老人の最後が余りにも悲惨じゃなかろうかと思うわけなんです。この問題につきまして厚生省当局とは真剣に議論しておるわけでございますか。
○石山(陽)政府委員 私どもは中央レベルで、いわゆる福祉政策と国の刑罰の執行とでも申しましょうか、そういう行政の面における接点を見出すべく交渉をするということはやったことはございません。しかしながら、地域社会におきましては、各施設から出る受刑者、これらにつきましては帰住環境を整備するために施設側が努力するということは当然でございますので、関係機関は、保護観察所あるいはそういった福祉施設を経営しておられる民間の篤志家、そういったもろもろの社会保障の手段を含めまして、連絡協調を密にして彼らに帰住の安住地を与える、こういうことに努めておることは事実でございます。
○橋本(文)委員 今までは高齢者による犯罪、それから服役した後の状況と聞いてまいりましたけれども、新聞を見ておりましても、本当に高齢者の犯罪がふえてきておる。まず、これをどうしたら防止できるのか、その辺のことはお考えですか。
○筧政府委員 特に高齢者による犯罪の防止について研究いたしたことはございませんが、御指摘のように高齢者による犯罪が最近目につくといいますかふえつつあるやにもうかがわれるわけでございます。これらにつきましては、個々の事件ごとにその原因あるいは経過、その犯罪者のその後の状況というようなものを細かく観察いたしまして適正に処理をする、そういうものの積み重ねによってそういう高齢者の犯罪に対する防止策というものも考えていきたいと考えております。
○橋本(文)委員 高齢者の犯罪の激増というか増加に伴いまして、高齢者の犯罪によって受ける被害者、これもまた高齢化が進んできておる、これも犯罪白書に書かれております。ところが、高齢の被害者の場合、非常に救済手段が少ない。これから立ち直るにも働く場所がない、あるいは福祉の問題だけでは生きていけない。そこで、いわゆる犯罪被害者給付法ですか、ああいう問題がありまして、適用の枠が非常に厳しいわけですけれども、身寄りもないというか、そういうような高齢者が犯罪の被害者になってしまった、この場合はどういうふうに法務省としては救済手段を考えておりますか。
○筧政府委員 一般に犯罪の被害者につきまして、今先生御指摘の犯罪被害者給付に関する法律が最近制定されております。これは、通り魔等によって被害の補償を受けられない方への給付金の支給措置を定めたものでございます。それを超えまして、特に高齢者の被害者について何か特別の対策ということになりますと、私どもの範囲を超えて広く高齢者対策といいますか、社会福祉の一環としての高齢者対策の中で検討をされるべきものかと考えております。
○橋本(文)委員 ずっと聞いてまいりましたけれども、現段階におきますと、法務省としては高齢化社会に向かってはまだまだ真剣にその対応策を考えていないという姿勢が感じられるわけです。そして、すべては社会福祉の問題で解決していただきたいというような姿勢をきょう感じました。 確かに困難な問題であるかもしれません。しかし刑というものがなすのはあくまでも社会復帰でございますので、その社会復帰ができないままに、後は社会施設、福祉施設でもって面倒見てもらいたいという考えでは、本来の刑務所のあり方を根本的に問い直さなければならぬのじゃないかなという気がするのです。 少し変わった視点から、高齢化社会に向かっての犯罪者、それから犯罪者によって受けるところの被害者の問題もこれまた高齢者でございます。時代が変わりつつあるということをその念頭に置いて、問題提起をさせていただいたような形できょうの議論はおきます。
○嶋崎国務大臣 ただいまのお話でございますが、御承知のように法務関係の仕事の中におきましては保護行政をやっておるところもあるわけでございまして、保護司の皆さん方とかあるいは更生保護婦人会の皆さん方であるとかいうような方々が社会復帰のためにいろいろな努力をしていただいておりますし、かつまたいろいろな雇用関係をやっておられる人も特別の雇用主の立場というものを維持していただいて、そういう意味で再就職の機会というものを確保するように大変努力を願っておる。役人側の問題ではなしに、そういうボランティアの皆さん方の大変な御努力の中で、今日日本の更生関係の仕事というものは割合うまく運用されているのが現実でなかろうかと私は思っておるわけでございます。 一方、御指摘のように高齢化がどんどん進んでおり、午前中も議論になりましたけれども、マルチ商法その他で老人の皆さん方に非常に御迷惑をかけているというような問題も出てきておるわけでございます。 しかし、一般的に申しまして、戦後福祉政策というものがいろいろな面で相当進んでまいりまして、そういう面と総合的に物事を考えていくならば、雇用の機会等々につきましても、本当に本人それ自身が誠実であるならば、犯罪を行った人も立ち直るチャンスというものが十分得られるような環境というものもできてきておるわけでございます。そういう意味で、今後とも保護関係の仕事をうまく運用することによって、できるだけ老人の犯罪者の皆さん方にも立ち直る機会というものを十分与えていくように努力をしていきたいというふうに思っている次第でございます。
○片岡委員長 岡本富夫君。
○岡本委員 先ほど同僚の橋本委員からも話がありましたが、最初に帝銀事件について御質問を申し上げたい。 三月二十日だったと思うのですが、「平沢貞通氏を救う会」という会に自民党の小宮山代議士から要請を受けて私も入ったわけです。そこでいろいろな人の意見を随分お聞きをいたしておりましたが、先ほども話がありましたけれども、この平沢死刑囚がことしの五月七日に死刑確定から三十年を迎えるのであります。刑法三十二条の規定を根拠に三十年の時効説、これを盛んに討議をしたわけでありますけれども、私はこの法律論争は別といたしまして、御承知のように平沢氏は九十三歳という高齢になって、小宮山君に聞くとベッドで寝たり起きたりしている、非常な老衰ぶりだということでありまして、このままいきますと、最悪、牢獄死ということになるのではないか。これは人権上重大な問題であるというように考えるわけですが、まず法務省の御意見を承りたいと思います。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、前々から御説明のあるような経緯でこの三十年が経過をしておるわけでございます。しかも、御指摘になりましたように、九十二歳というような老齢に達しられておるわけでございまして、そういうことにつきまして、先ほどの議員の皆さん方のお話ももちろん私自身承知をしておるわけでございます。 ただ、御承知のように、現在再審が行われ、かつ恩赦の申請があるというような中でございますので、そういうことの推移というものを現在の段階では見守っていきたいというふうに思っておるわけでございます。ただ、うんと長期になった点についてのいろいろな点を考えてみますと、この問題についての処理というのはこれでよかったのかなという感覚は私の心のどこかにいつも残っておるというようなことでございます。
○岡本委員 いまお話がありましたように、これまで各法務大臣が執行もできなかったというところに問題があろうと思うのですが、その前に、今お話がありましたように、再審請求が今度十七次ですか、ある。仮にこれが通ったといたしましても釈放までまだ三、四年かかる、こう思われるわけですが、この平沢氏の年齢から見て、たとえ恩赦の適用になったとしてもこれは非常に厳しいものじゃないか、こういうことを考えますと、いろいろ問題はございますけれども、法務大臣として何かもう少し、一歩進んだ考え方が出ないものだろうか、こういうふうに感ずるのですが、いかがでしょうか。
○嶋崎国務大臣 今御指摘のように、十七回の再審が行われ、かつまた結論が出ていない恩赦の問題につきましても、五回目の恩赦が出ておるというような実情に現在あるわけでございます。そういう状況でございますから、その推移を見なければならぬというふうに思いますけれども、私自身としても、何か工夫はないものであろうかというような気持ちはもちろん持っておるわけでございますが、何しろ今そういう過程でありますから、この席で御答弁をすることを差し控えさせていただきたいと思っております。
○岡本委員 まあ答弁できないという大臣の心中も察することができるわけですけれども、それで角度を変えて質問をしますと、もしも恩赦がない、審査会ですか、そういう結論が出た場合は刑の執行をなさるような考えなのか、これもちょっとお聞きしたいと思います。
○筧政府委員 今大臣からも御答弁ありましたように、再審及び恩赦が現在進行中でございますので、その推移を見守っているというのが現状でございます。その後どうなったらどうなるかという仮定の問題については、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○岡本委員 なかなか答えないですね。 法務省の恩赦事例集をちょっと見ますと、刑の執行免除についての主な情状として、「刑の執行の停止の事由となっている病気が治癒せず、今後も好転する見通しかないこと。」「今後とも長期にわたり、刑の執行の見込みがないこと。」「本人が本件刑の一部執行等によって十分制裁を受け、また、刑の執行を継続することが家族に著しい損害、不利益を及ぼすこと。」その他云々ありますけれども、この事例集から見ましても、今後とも長期にわたり執行の見込みがないのではないか、こう思われるわけです。なぜならば、もう九十三歳。したがって、今刑事局長がその答弁は差し控えたいと言うけれども、そうではなくして、やはり刑の執行はちょっとできない、こういうふうに解していいのじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○筧政府委員 先ほど申し上げましたように、再審及び恩赦の推移を見守っておる段階でございますので、先のことにつきましては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○岡本委員 そうすると、恩赦の適用があれば、これはもう早速釈放する、これはそうなんですね。
○筧政府委員 恩赦の決定がありました場合には、その恩赦の内容に従った措置がとられるということでございます。
○岡本委員 この恩赦の内容にそういうあれがあるのですか。釈放してはいけないというような恩赦もあるのですか。その点についてちょっと……。
○俵谷政府委員 お答え申し上げます。 恩赦の内容といたしまして、例えば死刑を無期に減刑するとか、あるいは刑の執行を免除するとかいろいろの種類がございますので、それに応じて措置がとられるということになるのだろうと思います。
○岡本委員 最近のアメリカの機密文書、これが報道されておりますけれども、帝銀事件についてGHQが大きく関与していた事実が明らかにされた。また、自白のみでも死刑にできる旧刑事訟訴法の最後の死刑囚となっているわけですが、こういう点から考えても、恩赦は当然であろうというように考えるわけです。 しかも、昭和四十四年の七月八日に当法務委員会で当時の西郷法相は、再審特例法案の代案として恩赦の積極的運用についての努力をしたい、こういうような言明もされておるわけでございまして、その該当者となった七名の死刑囚のうち五名が恩赦あるいは無罪で釈放、一名が執行されている。残るは平沢氏一人だ。この特例法案については、どうも平沢氏のことを念頭に置いて言っておるのではないかというように考えられるのですが、この点についての御意見を承りたい。
○嶋崎国務大臣 今の西郷法務大臣のお話につきましては、私自身も聞いて承知をしておるわけでございます。答弁の趣旨は、現在においても変わらないでいると思っておるわけでございまして、平沢の場合につきましても、御承知のように第四回目及び第五回目の恩赦の上申がなされている状況にあるわけでございます。したがって、現段階において、この問題について恩赦の結論を見ない段階でとやかくこの議論をするというのは差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、考え方としてはやはり恩赦ということで事柄を考えておられたのではないかというふうには、私は思っておりますけれども。
○岡本委員 そうしますと、大体この老衰されておるところの平沢氏は、今の法務大臣の答弁からいけば、恩赦が適用されるというように考えていいのでしょうか。
○嶋崎国務大臣 現在恩赦の上申がなされているという現段階でありまして、それによっていい答えが出てくるというようなことを、私は全然申し上げておる筋ではないわけでございます。その推移を見ながら判断をするということであろうというふうに思っております。
○岡本委員 ここで、やはりちょっと法務大臣がいい答えを出してもらわないと、なかなか平沢氏の救出はできないということで、今の慎重な御答弁でありますけれども、先ほど話しましたように、GHQが帝銀事件に非常な関与をしておるとか、こういうのを今から再審するというのは、なかなかこれは難しいだろうと思うのですね。そうなりますと、自白だけ、こういうようになるのですね。今まで財田川事件やいろいろなものを見ますと、やはり自白だけじゃちょっとだめだったというような判決も出ているわけですが、そういうことを考えますと、そしてまた、平沢氏が出て、何かまたこういう事件を起こすというような、再犯を起こすような、とてももうそんな力はないということを考えますと、人道上の立場からも、やはりここで大臣に早く釈放をしてやりたいというような願望の、ひとつ御意見を承らなければならぬ、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
○嶋崎国務大臣 私も詳細な書類を読んでいるわけじゃありませんけれども、今御指摘になりました戦後のいろいろな事情の中で、麻薬を使っておる経験のある関係の方の事件ではないかとか、あるいはそういうことでそう心配のない状態じゃないかというような議論があるようでございますが、中ではやはりそういういろいろな活動の中から、平沢氏の犯罪というのは浮かび上がってきているというような経緯もあるようでございまして、そう簡単な話ではないように承知をしておるわけでございます。また、心神喪失の状態というような状態ではとてもないわけでございまして、そういうような意味合いから、この処理を決めるというのも現実の問題、なかなか難しい状態になっておるということも事実でございます。
○岡本委員 大臣、この前も当委員会でこの平沢問題が出たわけですが、余り細かいところまで勉強してないという話ですけれども、もうたったこの人一人だけ残っているわけですね。しかもその特例は、今話がありましたように、平沢氏一人を対象にしておるのではないかというようにも考えられるという、あなたからも御答弁をいただいた。したがって、これはこんな年の方を、あなたが判を押す、死刑の執行の判なんでなかなか押せるわけはありませんけれども、もう少しひとつよく調査をしていただき、大臣として判断もしていただき、そして一日も早く釈放した方がいいのじゃないか、こういう御意見に、私は全部調べたらなると思うのです。 私も、この問題を余り知らない。帝銀事件は知っておりましたけれども、私ども学生時代わかっておりましたけれども、こんなにお年がいってまだ入っているというところまでは余り勉強していなかった。しかし「平沢貞通氏を救う会」という会に入れてもらっていろいろ勉強した、またいろいろと資料を見せてもらったのですが、やはり人道上救ってあげた方がいいのじゃないかというように決意をしておる次第なのです。したがって、少しよく勉強していただいて、法務大臣としての立場もあろうかと思いますけれども、また人間として、罪を憎んで人は憎まずということもあるわけです。しかもまだ、これによって再犯が起こるというようなことでありましたら、一般の市民、一般の国民に迷惑をかけますから、これはあれですけれども、そうでもないようであります。したがって、ひとつ勇断を振るって、また同時に人間的の立場に立って、再度ひとつ検討をお願いしたい。きょうはこのくらいにお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○嶋崎国務大臣 先ほど来、再々お話を申し上げている非常に難しい案件だと思うのです。たまたま私の在任中、三十年というようなときを迎えるわけで、そのこと自体は時効の進行その他の問題について議論はありますから別の問題にいたしましても、やはりこの問題を真剣に考えなければならない時期が来ておるというふうには思っておるわけでございますけれども、何しろ先ほど来申し上げましたように、恩赦が続いて四回、五回と出ておる、再審も現実にあるというような事態でございますので、それだけに事柄は慎重に判断をさせていただきたいと思っておる次第でございます。
○岡本委員 そういう答弁じゃちょっと困るのです。というのは、御承知と思いますけれども、刑法三十二条、判決確定後三十年間「其執行ヲ受ケサルニ因リ完成ス」というような条文がありますけれども、これで三十年間逃亡しておりましたら、この刑の執行もなくて無罪になってしまう。あるいはまた時の経過で犯罪の立証が困難になる、あるいは被害者や世間の感情も薄らぐ、こういうことになりますと、三十年間たつと大体これは刑の執行がなくなるのです。三十年間逃げておったらこれで助かるということですね。片一方は三十年入っておるわけですけれどもね。この論議も先般のこの法務委員会でございましたけれども、被害者や世間の感情も恐らく薄らいだと思うのです。また、時の経過で立証がやはり非常に――最近出てきたところのGHQの関与なんか見ますと、立証が非常に困難になってくるのではないかということを考えてみますと、こういうところを加味していただいて、そうして大臣にもう一度再考をして検討をしていただく、こういうふうに私はお願いしているのです。この点いかがでしょうか、もう一度。
○嶋崎国務大臣 御承知のように現在恩赦が行われておりまして、中央更生保護審査会の方でその内容というものを十分吟味していただいて決定をされるわけでございますが、そういう実情にあるわけでございます。私の判断で処理ができることの限界というのはおのずからあるわけでございますから、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
○岡本委員 法務大臣一人の判断でいくわけにはいかぬということはわかりますけれども、しかし人権擁護の責任もありますし、いろいろな面から考えて、大臣としてその点についてやはり関心を持ち、そして一日も早く救済してあげたいという心になっていただきたい。まず、これを要求しておきます。 そこで、次に指紋押捺問題でございますが、当委員会でもたびたび触れたわけでございますが、若干新しい事態が出ておりますので、これについてお聞きをしておきたいと思うのです。 兵庫県の高砂市におきまして、職員である在日韓国人が指紋押捺を拒否したと聞いておるのです。公務員というのは見つけたら告発しなければならぬ。この立場にある人が押捺を拒否したというような報道があるのですが、これについて法務省はどういうように考えておるのかお聞きしたい。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 お尋ねの件につきましては、兵庫県に事情を照会いたしましたところ、本年三月六日に、高砂市の市民病院の事務員である二十一歳の韓国人男性が外国人登録証明書の切りかえ申請に出頭いたしました際、指紋の押捺を拒否したということでございます。拒否の理由につきましては、自分の考えに基づくと言うのみで具体的な理由は述べていないようでございますけれども、現在、高砂市において押捺を説得中であるということでございます。
○岡本委員 過去においても公務員の押捺拒否はございましたのでしょうか。また、それに対する法的問題はどうなっておるのかお聞きしたい。
○小林(俊)政府委員 我が国の公務員の資格を有する外国人が指紋の押捺に応じなかったという例は、現在までのところ私どもは聞いておりません。
○岡本委員 そうしますと初めてということでありましょうが、この事態をどういうふうに見るか、また、この押捺拒否問題が社会の大きな関心事になっておるわけですが、こういう情勢においてどういう処置をなさるのか、これをお聞きしておきたい。
○小林(俊)政府委員 公務員である外国人の事例につきましては、たまたま本件が地方公務員であります関係上、本来、懲戒その他人事上の処分はその地方公共団体の長が行うものでございますので、国の立場からこれを云々するのは多少問題があるやと思われますけれども、一般論として申し上げれば、地方公務員法は、公務員が全体の奉仕者たる責任を負っていることを前提といたしまして、そのような職務を担当する者として、「その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」と定めております。そしてまた、「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」には懲戒処分の対象とすることができるともされております。したがって、本件の場合に、あくまで説得に応じない場合には処分の対象になることもあり得ると考えております。私どもといたしましては、もとより住民の模範たるべき地方公務員が公然と法規に違反して指紋を押捺しないということは甚だ遺憾と考えておるわけでございまして、高砂市におきまして、法規に従って指紋を押捺するよう指導の上、それが実を結ぶことを期待しておるわけでございます。また、指導にあくまでも応じない場合には、地方公務員法上の処分とは別に刑事責任が追及されることになると存じます。
○岡本委員 公務員個人の場合はそういうような処罰の対象となるということでありますけれども、これもこの間ちょっと時間がなくて少し質問したのですけれども、今、川崎市、それから東京都の町田市、奈良市、埼玉県の上尾市、桶川市、大宮市、こういうところがこの拒否問題があっても告発しないというように報道されております。こういう実態についてどの程度まで法務省としては実態調査をなさっておるのか、これについてひとつお聞きしたい。
○小林(俊)政府委員 私どもこの事例の関係において承知いたしておりますのは、主として新聞報道によるわけでございます。その事例はほとんどいずれも市議会等における質問に応じて市長が行った答弁が基礎になっているようでございます。そうした事例として私どもが承知いたしておりますのは、先生ただいま御指摘の地方自治体のほかに、摂津市、大津市等六市がございます。そのいずれの事例につきましても、所在する県を通じまして実情を口頭で照会いたしました。その結果は区々でございまして、多くの場合においては、報道されておるような今後一切告発しないというようなことではない、告発に慎重に対処するとか、あるいは説得をもってまずあらゆる努力を払うといったようなことであるという説明に接しておるわけでございます。 実際問題といたしまして、こうした報道の対象となっておる地方自治体のうち、実際に押捺拒否者が出ておるのは川崎市のほか滋賀県大津市と奈良市のみでございまして、その他の地方自治体、すなわち町田、摂津、上尾、桶川といったところはいずれも拒否者が実際には発生しておりませんので、現在現実の問題として差し迫った問題となっているわけではございません。概念的な問題でございますけれども、しかしながらさればといって事態を放置するわけにもまいりませんので、私どもとしては、その回答において私どもとして納得のいく説明のない自治体につきましては、さらに真意を確認の上しかるべき指導を行っていきたいと思っておりますし、また、もっと一般的に申し上げまして、地方自治体の窓口における混乱を軽減する、あるいは回避するという上からも、国としての外国人登録、特に指紋押捺問題についての立場を明確にする通達を早急に発出するように現在部内で手続を進めておるところでございます。
○岡本委員 本年はちょうど五年目の切りかえの年になるということはもう御存じだと思うのですが、これから拒否問題というのは相当な数が社会問題になってこようと私は思うのです。そこで、この前も少し話をしておきましたけれども、例えば永住権の取得者、これは日本に生まれてもう日本人と同じだ。私は、外国人である限りは何らかの登録制度というものは必要だと考えております。我々国民はみんな住民票とかいろいろありますから、やはりそういうものは必要だろうと思うのですけれども、指紋押捺制度のこういう犯罪人扱いを何とかやめる、それに対するところの代替措置、これがやはり必要ではないか。そこで、本人を確認するための別の措置を考える、そして指紋押捺制度を撤廃する、こういう考え方はどうでしょうか、大臣。
○嶋崎国務大臣 指紋押捺問題をめぐっていろいろな御意見があることはよく聞いておりますし、またその中でいろいろな御提案なり考え方が提示をされているというような場合も、我々、承知をしているわけでございます。しかし御指摘になりましたように、戸籍というような制度がないわけでありますし、また住民票その他の問題にもきちっと整理をされるというような意味では、日本人と同じように――身分関係が非常に明確でないことは事実であるわけでございますから、何らかの意味で在留外国人についてきちっとした制度をとっていかなければならぬということは避けられないことだというふうに思っておるわけでございます。現にこの制度が発足をする前までの時代は非常に多くの問題がありまして、こういう指紋制度を導入することによって、随分たくさんの非違が出まして、それを整理をして今日に至っておるというのが実情でございます。現在でもそういう事案が全然ないわけではない、相当数あることも事実であるわけでございます。そういう意味で、今御提案になった、いろいろなことがありますけれども、どういう具体的な内容をお考えかよくわかりませんけれども、私は、指紋制度を全廃するというようなことは、現実問題としてなかなか無理なのではないかというふうに思っておるわけでございます。
○岡本委員 基本的人権擁護あるいはまた国際化の現状、またこうした非常にたくさんの拒否者が出てくるであろうという、したがって、ここで制度の問題、いろんなものを検討しなければならない時代に入ってきたと思うのです。 そこで、今申しましたように、例えば自動車の免許証、あれなんかは写真をつけてぴしゃっとなにして、なかなか偽造できないですよ。この前、警察やなんか、偽造して発行しておったところがありますけれども、あれは警察で発行しておるから出たのでありまして、ああいうものをやりますと、指紋にかわる一つの方法ではなかろうかというようにも考える。これについては、法務省で一遍よく研究してもらわなければならぬと私は思うのです。したがって、指紋制度にかわるものをここらで検討する時代に入った。今まで一々本帳簿から書いておった、登記所へ行きましたら、あれがコンピューターでできる時代になったのですから、時代の進展とともにそれにかわるものがあれば、これは検討する時代に入ったと私は思うのです。 もう一つは、永住権の取得者については歴史的経緯並びに日本の社会での生活の実態を考えると、もう日本人と同じです。したがって、外国人登録証明書の常時携帯義務、こういうものを緩和をしていかなければならない。おふろに行くのもそんなのを持っていかなければならないのか、こういうようなこともよく言われますけれども、密航してとかそういうのは別といたしまして、もう永住権を取得している、それで、日本で生まれて日本でずっとこうやっているという人たちは、日本人と一緒なんです。だから、常時携帯の義務を緩和するとか、そういう緩和措置と、それから指紋押捺制度の代替措置、こういうものの検討をひとつ私は要求したいと思うのですが、いかがでしょうか。
○嶋崎国務大臣 当初から御答弁を申し上げておりますように、在留外国人の法的な地位なり待遇なりというものを考える場合、非常に慎重に考えていかなければならぬということはもちろんのことでございますけれども、そういう中で、国内的な事情ばかりではなしに、国際的な事情というようなものも十分織り込んで考えていかなければならぬというふうに思っております。既に申し上げておりますように、確かに五十七年の改正が行われて最初の切りかえ、五年の切りかえが今回あるわけでございます。そういう時期なものですから、ある意味で、私たちも朝令暮改のそしりを免れないというような意味で、この問題について慎重な考え方を基本に持っておることは事実であるわけでございます。しかし、日韓共同声明の中でも、引き続き努力をするというようなことがうたわれておるわけでございます。したがって、その制度的な面あるいは運用的な面で、できるだけの工夫というものがないものかどうかということを、関係省庁との間でいろいろな意味で議論をしていることは事実であるわけでございます。 そういう中で、今御指摘になりました、写真を使ったらどうだとかいうような御議論がありますけれども、これらの問題については、ひとつ事務当局の方から、過去どういう問題があったか、写真でなかなか決着がつけにくいというようないろいろな問題もあるわけでございまして、そういう点についてはひとつ話を聞いて御理解願いたいと思っている次第でございます。
○小林(俊)政府委員 ただいま大臣から御答弁いただきましたとおりでございますが、写真の問題につきましては、五十七年の法改正で切りかえ申請が三年から五年に延びたということで、端的に申し上げまして、五年前の写真と本人を照合する必要が生じておるわけでございます。したがいまして、三年あるいは二年、かつての一年であった場合に比べ、容貌の変化等の上から照合がより問題を難しくする場合もあり得るという状況でございますので、そういう写真による照合のみで、すべてのケースが万全を期し得るということは、より難しくなっておるということを一言申し上げておきたいと思います。 また、常時携帯の問題につきましては、現に、登録証明書の不携帯ということで、不法入国あるいは不法残留が摘発されたケースも昨年じゅうだけでも九十九件起きておりますので、この携帯義務を廃止することは、なかなか現実の問題として難しいのではないかと思います。 指紋の問題につきましては、大臣から御答弁いただきましたとおり、運用上あるいは制度上の問題について引き続き検討は行っております。
○岡本委員 入管局長、法律に五年にしたのは指紋のときでありますから、五年にしたわけですね。それまでは三年でしたか。車の運転免許なんというのは、大体一年ですか、二年ですか、ちょっと僕持ってないからわからぬけど。あれなんかもう十分その用を満たしているわけですよ。五年もたつと、ものあった人がなくなったりするかもわからぬ、これは別として、だから少し短くするとか、要するに確認ができればいいわけですからね。あなたの答弁を聞いていると、初めからだめなんだという考え方の御答弁なんです。代替していろいろとやっていこうという考え方の、何といいますか個性がない、こういうように感ずるしかないと私は思うのです。 したがって、もう一度、法務省内で検討して、罪人扱いしなくてもいいように、そしてきちっとした確認ができれば、外人登録の制度というものが生かされればいいわけですから、その点をひとつ再検討をお願いしたい、こういう要求をいたしておきます。 最後に、大阪拘置所内の覚せい剤問題についてちょっとお話ししようと思ったのですが、もう時間がありませんので、これまた後でお聞きすることにして、きょうはこれで終わります。 どうもありがとうございました。
○片岡委員長 三浦隆君。
○三浦(隆)委員 初めに拘禁二法の問題について法務省と警察庁にお尋ねをしたいと思います。 今国会に拘禁二法が出るということで、これは国民の人権にかかわる重要法案だということで、我が党も、大変に時間をかけまして、これにどういうふうに対応しようかということで今日までやってきたわけであります。これに対しまして、法務省からも警察庁の方からもこの二法が出ないというふうになったようでございますが、この間のいきさつについて、まず法務省の方から、なぜ出すと言ったものが見合わされるようになったのか、お尋ねしたいと思います。
○石山(陽)政府委員 三浦委員お説のように、私どもは、今回、監獄法の改正でございまする刑事施設法案につきまして、早くから国会上程をいたし、速やかな御可決をいただきたいということで努力を重ねてまいったわけでございますが、私どもの法案と同時に提出を予定しておりました警察庁所管の留置施設法案につきまして、国会の審議日程その他各般の事情等から、今回は提出を見合わせたいという御意見が今月の初めごろ出てまいりました。その後、各問題点につきまして両省庁間でいろいろと意見の調整をいたしましたが、いろいろな対応を含めましてなお調整すべき問題点が多く、今国会の審議に間に合わせていただくには時間がかかり過ぎるということから、今回は両法案とも提出を断念する運びになった次第でございます。
○三浦(隆)委員 次の国会ではどうなるのですか。
○石山(陽)政府委員 刑事施設法案につきまする限りは、長年の悲願であります監獄法改正を速やかにやりたいという意欲はいささかも変わっておりませんので、できるだけ早い機会に再度提出をさせていただきたいと考えております。
○三浦(隆)委員 同じ問題でありますが、警察庁から、なぜこの法案を見合わせたのか、あるいは次の国会はどう対応されるのか、お尋ねしたいと思います。
○福島政府委員 お答えいたします。 留置施設法案につきましては今国会へ提出のため鋭意努力をしてきたところでございますが、国会の会期からも十分な御審議をいただく時間がないこと、なお関係者の十分な御理解を得る必要があることから、今国会への提出は困難な情勢であるというふうに判断したものでございます。しかし、刑事施設法案と一体のものとして必要なものでございますので、今後、次期通常国会への提出に向けまして努力してまいる所存でございます。
○三浦(隆)委員 次に、指紋押捺問題についてお尋ねをしたいと思います。 初めに、川崎の李相鎬さんに関する問題でございます。 昭和五十七年の八月、外国人登録法に基づく指紋押捺を拒否いたしまして、今その李相鎬さんに対して、川崎臨港署が外国人登録法違反容疑ということで任意出頭を求めていたわけであります。これに対しまして、事件の時効期限は八月七日のようでございますけれども、それに対して、任意出頭を促して、もしその任意出頭に応じない場合には強制捜査に踏み切るより仕方がないという強い姿勢をもって地元警察は対応したようでありますが、これに対して李さんは出頭に応じなかった。そしてまた、きのうの新聞でありますが、改めて二度目の出頭要請を受けたこの李相鎬さんは、川崎の保育園の仕事が忙しいという理由をもちましてまた出頭を拒否しておるわけであります。これに対して、地元の警察署では李さんが出頭に応じない場合は強制捜査もやむを得ないという方針を打ち出していると伝えられておるのでありますけれども、これに対して、まず警察庁の対応をお伺いしたい。
○赤木説明員 お答えをいたします。 本件につきましては、神奈川県警におきまして現在ただいま捜査中の事件でございますので、その内容について申し上げることは差し控えさせていただきたいと存ずるわけでございます。
○三浦(隆)委員 調べる調べないという事実関係というのは、ほかの事件と違ってこれは不必要と言ってもいいくらい明確な事件でありまして、指紋押捺をしたかしないか、それだけであります。既に裁判によりましても、一たび指紋押捺を拒否して後から押捺をしても、押捺を拒否した時点で既に法違反は明確であるということで、裁判事例によっては有罪判決を受けている方もいるわけであります。そういうふうなことで、現に今まで指紋押捺は拒否して、一度ならず二度、こう現在に来ているわけであります。ですから、これに対して警察が、強制捜査をするやもしれないというふうにおどかすというのですか、そういうふうな態度を現にとってきているわけであります。ですから、それに対して警察の方はこうした強制捜査を行うのかどうか、特に八月七日が時効の期限と言われておりますと、時効の期限までに何らかの処置をとるのかとらないのか、この点についてお尋ねしているわけです。
○赤木説明員 ただいま御答弁申し上げましたとおり、現に捜査中の事件でございます。ただ、先生御指摘になりました強制捜査をするのかしないのかという問題につきましては、一般論として申し上げますれば、捜査につきましては当初から強制捜査というものを排除するものではないということは申し上げられようかと存ずる次第でございます。
○三浦(隆)委員 そうしますと、いわゆる指紋押捺の問題は、この夏から秋にかけてこうした同種の事例がむしろふえるやもしれない、こう思われるわけですが、これに対して地元の新聞では再三再四にわたって、そういう拒否事例が出た場合には強制捜査も行い得るというふうな発言を続けてこられたわけであります。ですから、私が今質問しているのは、たまたまこの李相鎬さんというのは八月七日がその時効の期限であると言われているから、警察が強制捜査するかしないかはもはや日にちが限られてきているわけですよ。限られているからどうするのか、するのかしないのか、これは本人にとっては重大問題ですし、しかも同じような立場に置かれている人たちも今たくさんいらっしゃるわけですね。もう少しはっきりとしたお答えをいただきたいと思います。
○赤木説明員 先ほどお答えいたしましたように、現に捜査中の事件でございますので、その内容、捜査方針等について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○三浦(隆)委員 それでは、ここでは李相鎬さんという名前は伏せることにいたします。一般論として、法違反を行った人がおる、その人を強制捜査するかしないか、その時効の期限が目前に迫った場合に、それに対して目をつぶるのかつぶらないのか、一般論として質問いたしたいと思います。
○赤木説明員 一般論としてお答えを申し上げますれば、強制捜査の有無、強制捜査をするかどうかということは個々のケースによって決まってまいる問題でございまして、先ほども御答弁申し上げましたように、捜査そのものにつきまして強制捜査はあり得ないあるいは強制捜査をするということを事前段階で申し上げることは難しいと思います。
○三浦(隆)委員 これは全く答えにならぬと思うのですね。これは警察の裁量の問題じゃないのですね。現にこれによって有罪の判決を受けている人もいらっしゃるわけですよ。これに対して警察が、ある人の場合には強制捜査をする、ある人はしない、そんな勝手な判断が警察には許されるのですか。これは大変おかしなことだと思うのですね。法というものは平等につくられているし、平等に適用する要請というのは憲法十四条ではっきりと決まっていると思うのです。ですから、この方の場合には、法そのものの是非は一応おくとしますと、法に違反していることは明白なんです。これに対して、明白である以上は、しかも時効のときまでに何もし得ないなら、これはこの法そのものがだめな法というか、これははっきりと言うべきじゃないのでしょうか。警察にもう一度お尋ねしましょう。
○赤木説明員 繰り返し御答弁申し上げておりますように、捜査につきましては、これが強制捜査によるものか、あるいは強制捜査によらないかということは個々具体的な事件について考えるべき問題でございますので、必ずしもこれがある事件につきまして強制捜査によるのだというふうなことをあらかじめ申し上げるわけにはまいらないだろうと思います。
○三浦(隆)委員 先ほど来、この問題だけで時間をつぶすのは本意でないのですけれども、八月七日がもし時効の日であるとしますと、それまでは何度でも任意においでいただきたいということを繰り返したとします。しかし、どうしてもその時効の日まで任意の出頭をお願いしても来なかったというぎりぎりの場合はどうするのですか。例えば八月七日と想定いたしましょう。六日になったらどういたしますか。
○赤木説明員 御指摘の点でございますが、やはり仮定の問題でございますので、具体的に個別の事案に即して考えてまいるべきだろう、かように考えるわけでございます。
○三浦(隆)委員 今、李相鎬さんと言ったのじゃないのですよ。 では、一般の人として、ある一般の人が八月七日に時効が完成してしまう、そのときに警察は八月六日にどうするのですか。
○赤木説明員 繰り返し申し上げておりますように、これはあくまでも個々の事案につきまして子細に判断をした上で措置を決定すべきものだと考えます。
○三浦(隆)委員 委員長、残念ながらこれは全く答えになってないと思うのです。これが殺人を犯したとか何かでその人が真犯人であるか否かがとてもまだよくわからないというふうなケースの場合と今回は全く違うのでして、法に基づいて指紋を押したか押さなかったか、ただそれだけの極めて単純な事例なんです。この方の場合にはいろいろのお考えがあって指紋を押さなかった。この点では法違反は明白なんですよ。何ら調べることもないくらい明白なんですよ。しかも、その時効が八月七日ともし限られているとすれば、これに対して法に基づいて警察のとり得る道は、その前に任意出頭を促す、それだけじゃないでしょうか。もしそれで来なかった場合、警察が何もしないようであれば、これは警察の方針が変わったというべきなのか、それを明白にすべきじゃないですか。そうなると、むしろ今まで捜査されて有罪の判決を受けた人とのバランスが極めて合わなくなってしまうと思います。しかも、この件が川崎だけでそう言えるのか。全国で今そういうふうな運動が起こった場合に、これはただこれから起こる一件の李相鎬さんだけではなくて、五件、十件、百件、千件あるいは一万件、十万件とふえるかもしれない可能性と絡む指紋押捺事件なんだということでして、むしろ警察が口では強気に強制捜査もやむないと言いながら、現実にはこれをうっかりすると大きな社会問題になり政治問題に発展するかもしらぬ、ここはちょっと手を控えて動くに動けぬのだという立場をはっきり表明するなら、それはそれで一つの答えだと思うのです。そうでない限りは、これはどなたが聞いていても、私の質問に対する何の答えにもなっていない。 私は、捜査を邪魔するとかしないとか、そんなことを一言も言っているわけじゃないのです。いわゆる犯罪の容疑者、だれが犯罪を犯したかわからないということについて今捜査のあり方を言ったらまずい、真犯人究明においてまずいということであるならば、これは発言を慎むほかございません。今回のはそうじゃないのです。外国人登録法に基づいて指紋を押捺しなさい。これに対して、しなかった。事は単純なんですよ。こんな簡単なことであって、これまで先ほど来言うように既に有罪になった人がいるのですよ、指紋押捺を拒否して。後から促されて押捺したのだけれども、拒否した時点でもはやだめなんだ、有罪になったわけです。もし同じ論旨が成り立つものならば、李相鎬さんも同じになる可能性を持っているわけですよ。これに対して、まだ捜査中であるから云々というふうなことは答弁逃れというか極めておかしなことじゃないか。むしろ国会での質疑に対して答え方としては極めて不まじめな答えというか、これはあり得ないことだと思うのです。決して私は捜査の妨害をしたとか一切そんなことを言っているわけじゃないのです。これに基づいてこの法のあり方そのものを今問いたいわけです。たまたま前段階としてこれを聞いている、それだけなんですよ。 本当にこの法に対する自信を持っているならば、すぐでも現行犯逮捕であろうと何でもどんどんやらなければならない。はっきりとこの法に違反することが本当の犯罪者として許しがたいものであるならば即座に、相手は犯した罪もわかっているわけです、なぜ捕まえることができぬのですか。私はそれを問いたいのですよ。それができないほどこの法はだめな法なんじゃないかというなら、それはまた一つの大きな答えじゃないか。その点について警察の意見を聞いておる。それに対して、ある事件では強気に出る、ある事件では言葉を左右にして何を言っているのかわからない、こういうふうなことでは警察というのは極めておかしくなってしまう。弱い人に対しては強く、強く出た者には弱気に出る。警察のあり方としてむしろ国民の不信感を招く。少なくとも今の答弁は不信感を招くと思うのです。ほかに警察の当事者でかわってお答えできる人がいるならかわってお答え願いたい。
○片岡委員長 客観的に言って、ちゃんと答えてください。赤木外事課長。
○赤木説明員 お答え申し上げます。 個々の事件処理につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますけれども、個別具体的にその事件を把握いたしまして、その上で場合によってはそれを強制捜査をするものなのか、あるいは任意捜査でいくべきものかということを判断するべきものでございます。したがいまして、一般的に強制捜査をする、あるいはしないということをお答え申し上げることは大変困難であると考える次第でございます。
○三浦(隆)委員 お聞きのとおりの答弁の繰り返しでして、これは全く答えになっておらないと思うのです。委員長の御見解をまずお尋ねしたいと思います。
○片岡委員長 ちょっと委員長から言います。 私も客観的に聞いておって、何か警察が人によって甲乙つけるようなふうに聞こえるのだ、あなたの答弁では。それでは警察の信頼を国民の前に疑われることになると思うのです。ですからそれは客観的にこういう事実があり、こういうときにはどうするのだということをちゃんと答えてもらわないと答えになりませんな。私が客観的に聞いておってそう思います。もう一遍、外事課長。
○赤木説明員 私が申し上げておりますのは、恣意的に捜査をするという趣旨では決してございませんで、例えば事件はそれぞれ、ある犯罪行為を犯した人間がすべて違うようにさまざまでございまして、態様も異なれば、その動機の点においても、あるいは情状の面においてもすべて異なっておるわけでございます。したがいまして、私が先ほど来申し上げておりますのは、そのそれぞれにつきまして個々具体的に把握をした上で、先生御指摘のように強制捜査をすべきものなのか、あるいはそうすべきでないのかという判断をしなければならない、かように申し上げておるわけでございます。
○三浦(隆)委員 せっかくの委員長の御配慮にもかかわらず、全く答えは前進がございません。ということは、先ほど来同じようなことをこちらも繰り返すようになるのですが、事は調べる調べないではなくて、指紋を押したか押さないかという極めて単純明快な事例なんですよ。そして、もしそれを押さないことが犯罪であり、許し得ないものならば、その人はすぐでも逮捕されても仕方がないわけです。押したか押さないかがわからないというならば、これはよく調べてということがありますけれども、押さなかったということはもはや明確なんですよ。ただ、もし調べるとすれば、あなたはどういうふうな気持ちで押さなかったのかどうかとか、せいぜい聞くのが精いっぱいのことでありまして、それすらも恐らく、情状の酌量か何かの要件になるに過ぎないのであって、旧来の裁判例を固執するとするならば、押さなかったという単純それだけであって、後で押してももう有罪なんですよ。では前の有罪の人はどうしてくれるのだ、前にこのために有罪の判決を受けた人をどうしてくれるのですか。同じ法律、同じ条文によって、前の人はひどい目に遭っておるんですよ。そのときはたまたま今回のような盛り上がりがなくて件数が少ないから、たまたまその人はやられてしまった。今回、今大きく盛り上がる雰囲気があるから警察は手をつけられない、こういうふうになったら、同じ法というものが、例えばこの事件をおいたとしまして、大きな力、圧力がかかってくるときには目をつぶって、圧力をかけることもできない弱い人には警察はかさにかかってくる、これは警察不信の最たるものじゃないかというふうに思うんですね。もしそれほど自信がないものなら、警察の答弁として、この今の指紋押捺を決めている外国人登録法という法律がくだらぬのだ、この法律に自信が持てないのだと、その方がむしろ答えとしては私ははっきりしてくると思うんですね。これが絶対に外国人登録法、その中の指紋押捺というのは守らなければならない必須不可欠のものであるならば、まさにそれを李相鎬さんは破ったのです。それに対して、これをどうしようかな、こうしようかななんという、そういう裁量する余地というものがあるのかないのか。これだけ事実が明確にもかかわらず、もしそれで目をつぶるなら、はっきりと目をつぶるということを鮮明にする方が私はいい。恐らくこれからたくさんのそういう事件が来る。不必要に心配をかける必要がなくなってしまうということなのです。 もっと極端に言えば、指紋押捺に対しては、一度も押す必要がないという見解もあれば、一度だけは押した方がいいという見解もあれば、何回でもやはり法に基づいて押すべきだという見解もある。いろいろとあるわけです。たまたま今の現行法というのは、何回でも押さざるを得ない、そういうふうに言っているわけです。これに対して、その法律はおかしいじゃないかという抗議の意思が指紋押捺拒否、こう出たわけです。だから、それにもかかわらず、この法律が絶対信念を持って正しい法律であるならば、法違反者に対して断固たる処置をとってもおかしくないのだ、私はそう思うのです。もしとれないとするならば、この法律そのものが本当にくだらないものなんだということを認めてかかるべきじゃないか。警察としてそこまで言えないのは、少なくとも警察としては、この法があるから迷っておるのだと、そのくらいでも答えられぬのですか。
○赤木説明員 法律違反がございました場合には、これに対して徹底した捜査を行うべきことは、これは警察の責務から言って当然のことでございます。私どもは、その厳正な捜査を推進していきたいと考えております。 ただ、個々の事案についていかような措置をとり得るかにつきましては、これは個別のケースによっておのずから異なってまいるであろう、かように考えるものでございます。
○片岡委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○片岡委員長 速記を始めて。 赤木外事課長。
○赤木説明員 時効完成前にいかなる措置をとるだろうかという御趣旨の御指摘がございました。確かにぎりぎりの段階まで警察といたしましては御本人の出頭を求め、所期の目的を達すべく努力をいたします。そして、その段階で今度はいかような措置をとるか、例えば強制捜査をするのかという御質問でございましたが、これにつきましては、やはりそのときそのときの状況によるとしかお答えのしようがないと私は考えるわけでございます。
○三浦(隆)委員 ただいま委員長から私にかわりまして、私以上に明確にただしていただきまして、恐らく聞いている委員の諸先生方もよくおわかりいただけたかと思います。これに対して、委員長も今言われましたように、時効の完成直前までは任意でもって出頭してほしいというわけです。それでも来ないぎりぎりのときに警察はどうするのか。今の答えとして、そのぎりぎりのときもまだはっきりと強制捜査に踏み切るかどうかは言い得ない、はっきり言って。それほどこの法というものはまことに自信のない法なんだ、私はこう理解せざるを得ないだろうと思います。本当にこの法に自信を持っているならば、時効完成までに明確に何らかの処置をとらなければいかぬと思うのです。今まで各自治体の首長も、告発をするかしないか迷っておるのも、この時効ということが頭にあっていることだろうし、押捺をするか、拒否するか迷っている人たちも、みんなこの時効というタイミングに合わせて迷っていられるかもしれないわけですね。そのとき警察が、その時効の完成目前になっても、なおかつどっちをとるか判断がつかない、今、答弁はそこまで来ているのだと思います。としますと、これははっきりと、警察の旧来の方針と大きな変更が今行われようとしている、こう理解をせざるを得ないと思います。なぜなら、既に何人もの人が逮捕されて、そして裁判の結果、有罪の判決を受けていらっしゃる方もいるわけであります。この流れとは、今明らかに大きく変わろうとしている。 時間をとりますので、この問題については一応ここでとめさせていただきたいと思います。 そこで、むしろ今度は大臣にお尋ねをしたいと思うのです。大臣のお立場上、大変難しいこととは思うのでありますが、今質疑をお聞きいただいたとおりでございまして、この指紋押捺については、立場上、一度も押す必要がないのだという説もあれば、一度はやはり押してもらいたい、それに対して、今の法のように何回でも押さざるを得ない、大別三つの考え方があると思います。我が党は、前回も言いましたように、一回押すということにとどめたいというふうに考えておりますし、このように法改正をしていただきたいと思うのですが、旧来、幾つかの御意見があって、法改正は時期尚早であるというふうなお答えをいただいております。改めてその理由をお尋ねしたいと思います。
○嶋崎国務大臣 指紋押捺の問題については、数多くの御議論があるということは私も承知をしておりますし、その中で、今おっしゃったような具体的な御意見を述べられておる方も何人か承知をしておるわけでございます。しかし、御承知のようにこの問題につきましては、省庁間でのいろいろな調整というものを進めて今日まで参っておるわけでありますが、まだ結論を得るに至っていないという現実があるわけでございます。 しかし、御承知のように法改正が行われた五十七年、そういう事実をよく踏まえ、かつまた現在までの推移というものをよく眺め、かつまたことし大量の切りかえがあるという実態もよく承知をしておるわけでございますが、私たちとしては引き続きこの問題につきまして制度的にあるいは運用上いろいろな問題点がないかということを関係当局と検討してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。御提案のようないろんな御意見につきましては、検討の場合にどんな御意見があるかというようなことも十分踏まえながら議論を進めていきたいというふうに思っております。
○三浦(隆)委員 法改正できない理由としてこれまで新聞に伝えられたものを要約しますと、三つあると思うのです。一つは、現行制度は五十七年に改正されたばかりで、今改めることは朝令暮改の指摘を受ける、これが一つです。二番目には、五十七年改正は全党一致で実現したが、これを尊重しないといけない、これが第二。第三番目は、現行制度でも大きな混乱にはならないとの見方が政府部内にもある、まあこんなようなことだろうと思います。大臣、これでよろしいでしょうか。もしつけ加えたい点があったらお願いします。
○嶋崎国務大臣 大体はそういうことでございますけれども、在留外国人の皆さん方も、こういう制度改正を過去にやっておるわけでございますから、そういう事実というのをよく踏まえて御協力をしていただきたい、心からそう思っておるわけです。
○三浦(隆)委員 今の御答弁にもありましたように、改正を今するのは早過ぎるというのは、大体三つに分かれているようであります。まず最初の方はちょっと置くとしまして、二番目の全党一致で実現したからと言われることは、野党の私としては大変つらい立場になります。一昔も前のように与野党を激突させたいわゆる階級対立の時代であるならば、法案の是非、善悪ではなくて、何でも反対というのも一つの行き方だと思うのです。これに対して、納得はいかないんだけれども、今よりは半歩でも前進するという点を評価をして賛成するということがあると思うのです。むしろ我が党は、特に全面的に納得しているわけではないけれども、政府の立場も尊重しながら少しずつでもよくなればよいということで賛成に回っているわけでございます。ある法案に対して、例えばこの外登法に対して各野党も同じような立場でお考えになって賛成したとするならば、それを逆手にとって、だから改正し得ないと言われたんでは、今後法の成立に対して野党は全員何でも反対というふうにならざるを得なくなってしまうということにおいて、この第二の理由は撤回していただかざるを得ないだろう、こう思います。 次に、第三番目に大きな混乱が起きないというのは何を根拠にそう言われているのかがこれまた極めてあいまいであります。言うならば、ことしは特に三十七万にも及ぶ人たちの問題がかかわっておりますし、今警察の答弁にもありますように、それほど確固とした法の内容を持っているわけではなさそうでありまして、しかも有力な自治体の市長が不告発の方針を鮮明化しあるいはまた幾つかの市長もそれに追随するというような事態の中にあっては、混乱が起きる可能性はむしろ高まってきていると見てもおかしくはないだろうというふうに見ますと、少なくとも理由の中の第二番目、第三番目は恐らく答弁の理由にはなっておりません。 強いて言えば第一番目の五十七年に改正されたばかりであるからという意見でありましょうけれども、これとても外登法が一九八〇年改正の二年後の一九八二年に改正が行われた、この事実を見れば、改正までの期間はわずか二年であります。とすれば、むしろことしの方が二年以上たっているんだということになれば、改正の時間的な根拠もこれまたなくなってしまったじゃないかということで、むしろそれよりも法の内容に照らして、守るに値する法だから改正はする必要がないという方が論旨としては明快なんだと私は思っております。 また、場合によっては改正する方が望ましいならば、例えばまだ改正したばかりであるからという答弁にもし固執されるならば、それでは二年ではだめなんです、三年ではだめ、四年たったらいいという答えが出るのかというふうになると思うのです。今五十七年改正だからまた間もないんだと言うなら、それではあと一年待ったら改正しますか、もし時間的なことだけを理由とされるなら当然そうなってしまうと私は思います。 外登法の目的が外国人としての身分関係なり居住関係を明らかにするのに必要であるというならば、現行法がその法の趣旨に照らしてふさわしいかふさわしくないか、これがまず第一点。同じふさわしくあるようにするのにも、指紋を何回も押さなければだめなものなのか。一回押しても何回も押したと同じような、ほかに有効な何かうまい手だてがあるものならば、それにかわっても法の趣旨を全く何にも阻害しないでできるものならば、それに改めても何らおかしくないじゃないかというふうに思うのです。 そこで、次の質問は、私は一つの提案として、指紋のコンピューター化の導入をお願いしたいと思うのであります。たまたま今法務委員会には電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案がまさに提案されて、昨日は板橋までパイロットシステムというのをみんなで視察に出かけてきたわけです。そういうふうに時代というものは変わってきているわけです。コンピューターなどというもので昔は考えられなかったことが今や考えられる時代に入ったということを踏まえていただきたい。指紋は何回押しても前の指紋と一致するかどうかというのは、よほどの専門家でなければその鑑識はできないというふうに言われているわけです。とするならば、指紋をコンピューター化すれば一発でできる、一回でもってできるわけであります。既に圧倒的多くの人たちは指紋を押されておるわけであります。既に押されているそのものを根拠としながらコンピューター化すれば、これから押すのをいやがる者を強いる必要もないし、国としても指紋をはっきり確保することができるし、どちらにとっても何ら傷つかないで済む方法じゃないか。ですから、指紋一回でよし、そのためのコンピューター化を導入する、これをひとつ提案させていただきたいわけてあります。あるいは別にコンピューター化でなくても、他にも同一人物であることを確認する有効な方法があり得るならばそれもまた結構なことじゃないかということで、今国会にすぐ間に合う間に合わないは別としまして、来年までにかけてとか、ある程度の期間を置いて、これから登記に関するコンピューター化を論議するわけですから、もしそれがいいものであるならば、そのいいという成果を踏まえて、同じような方法論をもって指紋の問題にも対応しようじゃないかというふうに御決断いただけるならば、これは来年でもすぐに決着がつく、私はこう思うのです。これが国にとって法治主義というものを守りながら、そして国家としてのあり方をいささかも傷つけないで済む最善の方法なんじゃないかというふうに私は思うのです。 そこで質問なんですが、まずパイロットシステムによる検証の導入をお考えいただきたい。いわゆるこの指紋のコンピューター化に当たって考える点が幾つかございます。一つは法制度上の問題、一つは行政運用上の問題、一つは執務上の問題、一つは現行指紋原紙からコンピューター指紋原紙への移行上の問題点などの究明です。あわせまして、コンピューター化による経費上の問題。また、各種端末機及びソフトウェアの実用性などの測定が必要だ。とするならば、これらの究明のために、どこでも結構ですが、現実の市町村の窓口における指紋確認事務処理の中にコンピューターを介在させて実験してみることが指紋問題解決のために必要な検討事項であるのじゃないかというふうに思うのですが、この考え方に対して大臣はいかがお考えでしょうか。
○嶋崎国務大臣 指紋をコンピューター化するかどうかということについては今御指摘のような幾つかの問題があるように思うのでございます。ましてや今犯罪捜査その他には余り使わないという前提になっておりますけれども、これをコンピューター化することについてまたそれなりの議論がいろいろ出てくるような気持ちがするわけでございます。いずれにしましても、こういう制度をうまく活用していくためには何かできるだけその利用度が高まるような工夫ができればそれにこしたことはないと私自身は思っておるわけでございますけれども、具体的にそういうことをやることに伴ってどんな問題が出るかといったようなことをよく研究させていただきたいと思っておる次第でございます。
○三浦(隆)委員 十分に御研究いただきたいのですが、先ほどまでに言いますように、外登法というのは単純に外国人の身分関係なり居住関係を明らかにするというだけの法律でありまして、だから外国人の身分関係なり居住関係がわかればそれでよいわけであります。指紋に限る必要もないのでして、ただ指紋というものが一人の人に一つというか、それで指紋に固執しているというだけですから、指紋にかわる方法がもしあり得るならば何ら固執する必要がないわけであります。これは立法の当初から、決してこの外登法は犯罪の摘発のための法律ではないんだということであります。にもかかわらず、現実には警察捜査の中で犯罪の捜査のためにこれが使われてきたというところに幾つかの混乱が起こったし、押す人も犯罪者まがいの扱いをされるということで嫌がってきたわけなんです。ところが、その大きな前提そのものが先ほどの答弁のように今大きく崩れてきたと言っても差し支えないと思うのであります。 今、私がここで幾つか述べました検討の要件がございます。もしそうだとすれば、これは登記事務処理におけるコンピューター化よりももっと簡単なことであります。法そのものが今言ったような趣旨のものであるということが言えるでしょうし、対応する行政当局の対応の問題から第一線の警察さんの執務の問題なり市町村の窓口の問題など、そういうことを勘案しても何ら難しい要素がここでは出ていないのです、私の挙げた幾つかの要件というのは。しかももっと簡単だというのは、もう既に指紋の原紙というものはあるのです。それをコンピューター化すればよいというわけで、技術的には阻害する何物をも持っていない。もしあるとするならば費用の問題に限るわけですが、その費用そのものも、今これだけの大きな問題になってきたとすれば、登記事務処理に特別会計をやるぐらいならばこれでやってやれないわけはない。しかもそれほど費用のかかる問題でもないということですね。ですから、これを現実化するためにぜひとも十分な御検討をいただきたい、こう思います。 それでは指紋にかわりまして、今度、指紋以上に的確に同一人物であることを確認し得る方法としてこれまで写真の問題が挙げられてきたわけです。写真の問題にしても、ただ、張った、はがしたではなくてまた方法があると思いますが、一応写真はおきます。大臣は、アメックスのカードに紫外線を当てる方法による確認という、こうし、たカードのあり方を御存じでしょうか。もしおわかりいただけなければ法務省のほかの方でも結構です。出入国管理の担当第一線の方にひとつお答えいただきたいと思います。
○嶋崎国務大臣 私自身は余り存じておりません。
○三浦(隆)委員 では局長、お願いします。
○小林(俊)政府委員 私も残念ながら存じておりません。
○三浦(隆)委員 それでは、カードにホログラムのシールを張りつけて確認する方法というのは大臣、御存じでしょうか。カードにホログラムのシールを張りつけるという方法です、これはレーザー光線をホログラムに当てることによって、いわゆるレーザー光線でつくる立体画像の意味であります。
○嶋崎国務大臣 よく存じておりません。
○三浦(隆)委員 局長、いかがですか。
○小林(俊)政府委員 私もその特定の手段については存じておりませんけれども、現在のところ指紋をめぐりまして研究班を設けまして種々具体的な対策、改善策を研究中でございますので、そういった研究班の中ではあるいはそうした方法も検討の対象になっているやに存じ上げでございます。
○三浦(隆)委員 それでは、温度の変化により色彩を変える液晶カードを利用するカードの方法というのを御存じですか。
○小林(俊)政府委員 私自身は存じておりません。
○三浦(隆)委員 私は、まだまだいろいろな方法が、現在もあるでしょうし、これからも可能であろう、こう思うのです。ですから先ほどから言うように、外国人登録法が指紋を絶対押せ押せと繰り返し言っているのは、同一人物であることを確認したい、それだけのことだと思うのですね。とするならば、それを大勢の方が嫌がっている以上、それに固執しない方法を国としても考えるべきじゃないか。法律があるから、法律では指紋を押せと言っているからと、かたくなにそれを守り続けるという感覚は私はおかしいと思うのですよ。むしろ国家権力の横やりというか強制というか、これは国民の決して納得のいくところではないと思うのです。国家目的を無視しろと言っているわけではないのですよ。いわゆる国の法律の趣意は尊重しなければならぬ。ただ、ほかによい方法が、現在ですらも開発されているものがある、しかも将来もっといいものもあるかもしらぬ。とするならば、むしろ法改正の論議のときにすぐそう言ってくるべきものだ。それに触れないでいて、まだ改正してから間がないからだめだとか、あるいはそれに違反したからすぐ処罰だとにおわすような強権的な発想はこれからの時代にふさわしくないのじゃないかということなんです。ですからそういうことを踏まえて、改正を急ぎたい、法改正しないのじゃなくて法改正を速やかに急ぎたいというふうな御答弁をぜひとも大臣からいただきたい。
○小林(俊)政府委員 先ほど技術的な二、三の方法について御指摘がございましたが、またその御指摘の方法について私、知識を自分自身持っておらないと申し上げましたが、この点については先ほど申し上げましたように研究班において広く研究中でございます。ただ、その際に問題になります一つのことは、それではそれによって経費がどうなるかということでございます。私どもとしては、現在技術的に利用可能な手段であればいかなる手段も用い得るというわけではございません。と申しますのは、現在外国人登録は全国約三千三百にわたる市区町村その他において行われておるわけでございます。これは登録を受ける外国人の便益のために、各地において居住地区に近いところで登録が行われるように、あるいは変更登録が行われるようにということから出ておるわけでございます。したがって、そういった三千三百余の市区町村において備えつけ得る程度の機械以上のものを設けることは予算的に不可能なことでございますので、たとえ技術的に可能であってもそれが非常に多額な経費を要するものであれば、実際にはそれを導入することはできないという点があることを御承知いただきたいと思います。 また、将来の方向といたしまして改正の意向を表明してほしいというただいまの御発言でございましたけれども、私どもが改正について非常に消極的と申しますか、慎重と申しますか、そういう発言をいたしておりますのは、現に拒否者が出ておる、また拒否に伴って訴訟が行われておる、民事訴訟、刑事訴訟双方が行われておる。さらにまた、そうした訴訟あるいは地方自治体における告発に関する意見において、中央において改正の動きが見えるとかあるいは改正の方針がうかがわれるということがそういった方針の表明に伴って発言されておる。または、訴訟の過程において、押捺を拒否した理由として中央において既に改正の方向が動き出しておるといったことを言明して理由としているところもあるわけでございます。したがいまして、私どもが軽々に改正の方向あるいは軽減の方針を意向として表明すれば、それが直ちにそういった方面に響いてきて、現実の動きとかけ離れて好ましからざる結果をもたらすというのが事実でございますので、私どもといたしましては実際問題として改正の方針を決定するまではそれについて内容を申し上げることはできないという事情にあることも御承知いただきたいと思います。
○三浦(隆)委員 ちょうど憲法のときに、憲法改正の手続に従って改正するのと、現実に運用の面において、なし崩し改憲というせりふの人もおりますけれども、憲法が変わってくることもあるいはあるやもしれません。同じことで、法というものは、外登法を改正するという手続によって改正する場合と、先ほど来の警察の答弁にあるようなあいまいな言葉の中に今まで訴訟も起こっておるとお答えがあったけれども、訴訟自体が起こるかどうかわからない事態が来るやもしれないというふうに、まさに外登法は、改正しなくてもなし崩し的にも改正される可能性をこれまでの答弁では示してきていると思います。 もう一つには、資金の問題を挙げたのは答えにはならなかったと思います。もし資金だけのことで言うなら、あしたからの登記にかかわる法案は審議する必要がない。今国はお金があるかと言えば国はないのです。なくても必要だから特別会計というのをやるんだろう、余ってやるわけじゃないんだと思うのです。金が幾らなくてもやらなければならない仕事はやらなければならないということでありまして、この外登法がもしお金だけで決着がつくものなら、つけることが国家的にどうしても必要であるならば、資金は何としてでも、極端に言えばもう一度特別会計を組んでもやるべきことなんであって、今の答弁だけでは答えにはならなかったというふうに思います。 まことにきょうは残念でした。十の質問のうち一つしか質問してないというか、あとほとんど全部残してしまいました。せっかくですので、一問だけちょっとやらしていただきたいのは、例の川崎市長の発言についての問題であります。といいますのは、川崎市長は、今後も告発しない方針は変わらない、県を通じて法務省に提出した文書には今後慎重に対応すると書いたが、公式文書なので言葉を慎んだだけだ、法相は真意を曲解しているのではないかというふうに述べました。また別のところでは、市長は、告発しないと言った以上、私は逮捕されても仕方がないと思っていると地元の神奈川新聞には答えております。さらに、告発しないと言った以上、責任は自分がとるというふうにも述べて、川崎市長としては告発しないという方針を終始一貫とっているわけでありまして、これに対する大臣の御答弁をまずいただきたいと思います。 もう一つには、この市長の発言は刑事訴訟法二百三十九条二項に形式上というか明らかに違反するものでありまして、そこで市長自身も、このため逮捕されても仕方がない。この法から出たんじゃないかなと思います。しかし、考えてみますと、この市長の発言は、逮捕されてもいいというこの市長は、国は逮捕できるわけはないんだという市長の判断が働いていたんだと私は思います。言うなら、それは、先ほど来質問に出るようにこの法が頼りないからであります。しかし、いずれにしろ真っ向から国法への不遵守を表明したものだということは、現憲法下、法治国家としての根幹にかかわる発言だというふうに受けとめるべきだと思いますし、もっとオーバーな表現で言えば、自治体が国への挑戦とまで言ってもいいかもしれない。これに対して国の法務大臣としてはどうお考えであるのかということをお尋ねしたい。 それから、もう一つ続けます。もし大臣として川崎市長の発言がけしからぬというのであるならば、国家行政組織法十五条第一項に基づきまして、指紋押捺拒否者を告発するよう、川崎市長を初めその後に続きました不告発を表明した各市長に対する指揮監督権を行使するものじゃないかというふうに思いますが、あわせて御答弁をお願いします。
○嶋崎国務大臣 ただいまの川崎市の問題でございますが、まず第一点。いろいろな報道があることは事実でありますけれども、市としましても、時効というような関係もありましていろいろと今まで説得に努めてまいったわけでございますが、告発を初め文書照会や参考人の呼び出しなどの数回に及ぶ強い要請が警察の方からありました、このような過程の中で、前記の理由を踏まえ内部的に決めたものでありますという連絡が入り、また今後の問題につきましては、今引用されたような言葉もありますけれども、今度の措置は時効との絡みの中で対処したものであります、したがって今後においては諸般の情勢を十分勘案しながら慎重に対応してまいりたいと存じます、私はこういうものを外に話するのは余り好まなかったわけでございますが、わざわざ引用されてお聞きになりましたから、そういう返事であったわけでございます。これはどういうぐあいに読むのかよくわかりませんけれども、いろいろ外向けのこともありましょうから報道的にはそういうような形になったのだろうと思いまして、ある意味では非常に残念なことであるというふうに思っておるわけでございます。 それから、今後どういうぐあいな対応をするかということでございますけれども、やはりきちっと決まった法の手続というものがあるわけでございますから、どこまでもそれに沿うた処理をやっていただきたい。この問題については、直ちに告発するというようなことはやらないというのは各市町村の中でありますけれども、それは今までもある程度の説得を続けて事柄を処理するというのがこの問題を扱う場合により適当ではないかというような考え方でやってきた経緯があるわけでございます。したがいまして今後とも、きちっと決まった法律があるわけでございますから、それに沿うように的確に対処していただきたい、それを強く求めてまいりたいというふうに思います。 それから最後の問題については、仮定の問題でございまして、そこまで事柄を考えなければならないのかどうかということは、まだ私自身は考えておらないというのが実情でございます。
○三浦(隆)委員 まことに申しわけないのですが、これも先ほどの警察へのお尋ねと恐らく同じになってくる問題だろうと思うのです。市長が言葉を使い分けたと言いますが、先ほど私が引用しましたように、法務省に答えた。それに対して、大臣が今お答えになったと同じようなことを御発表になったわけです。その後の答えとして川崎市長は、私の真意はこれこれで、法務大臣は違った理解をされておるということを繰り返しその立場を明らかにしたということであります。しかしそれも、その個々の時効の期限満了までにあるいは市長の態度が変わるものかどうかわかりませんが、もし極端に言って、時効を超えても市長がはっきりと告発をしないというふうに踏み切ったとしますと、これは明白に法上の問題になるだろう、私はこのように思います。しかも事件はもはや八月七日と限られてきておるのだということを考えた場合に、同じような事件が相次いで起こってくるわけですね。そのときに、法の期限を超えてもあえて市長が告発をしないというふうに明確に法に違反するようになった場合、国として、主任の大臣としてどういう態度をとるのかという問題が残されると思います。 ということで、残念ですが時間でございますので、この続きはまた次の一般質問のときにあわせて伺わせていただきたいと思います。
○片岡委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 最初に簡単なことから聞いていきますが、「死刑確定者の接見及び信書の発受について」ということで昭和三十八年三月十五日法務省矯正甲第九六号の通達があります。その内容ですが、要約しますと、「死刑確定者には監獄法上被告人に関する特別の規定が存する場合、その準用があるものとされているものの、接見又は信書の発受については、同法上被告人に関する特別の規定は存在せず、かつ、この点に関する限り、刑事訴訟法上当事者たる地位を有する被告人とは全くその性格を異にする」、それから、「監獄に拘置する目的に照らして」制限は行われるべきである、「死刑確定者は」「拘置所等における身柄の確保及び社会不安の防止等の見地からする交通の制約は、その当然に受忍すべき義務である」、さらに死刑確定者については「その処遇に当たり、心情の安定を害するおそれのある交通も、また、制約されなければならない」、こういう前提があって、「死刑確定者の接見及び信書の発受」について「一 本人の身柄の確保を阻害し又は社会一般に不安の念を抱かせるおそれのある場合 二 本人の心情の安定を害するおそれのある場合 三 その他施設の管理運営上支障を生ずる場合」、こういう場合はおおむね許可を与えないことが相当である、これに従ってやりなさい、こういう通達が昭和三十八年ですから随分前に出ておりますが、この通達についてその後変更されたことがあるか、それともこの方針で今もやっておられるのか、まずお伺いします。
○石山(陽)政府委員 昭和三十八年のただいま委員お読み上げの通達は、内容もそのとおりであり、現在も生きております。
○柴田(睦)委員 そこで、これは具体的な問題になりますけれども、仙台拘置支所に在監しておりますいわゆる牟礼事件の佐藤誠に関することですけれども、佐藤誠は仙台拘置支所に在監して二十五年、捜査段階から一貫して無実を主張し、冤罪を叫んでいるわけです。そして、現に東京地方裁判所に第八次の再審申し立てを起こしております。免田だとか財田川、松山、この死刑再審無罪判決を得るために、再審成功のために全国にわたって多くの人々が物心両面の協力をしてきましたが、この協力があったればこそ再審が成功したわけです。再審が成功したということは、国家が冤罪の人間を死刑台に送るという一番野蛮な行為をしないで済んだということであるわけです。こういう点からしても、佐藤誠にとっても協力者や支援者との接見の自由を確保するということは極めて重要であると考えます。 ところが、仙台拘置支所では佐藤誠との接見について、今どんでもないことをやり始めております。この点につきましては、昭和六十年二月二十日牟礼事件全国連絡会と牟礼事件再審弁護団が連名で内容証明郵便を出しておりますが、その中には、要するに仙台拘置支所が佐藤誠について 昭和五九年三月一〇日以降、佐藤誠と交通をはじめた新規文通者については、佐藤誠との面接を許さないという措置をとるに至りました。その結果、昭和五九年九月四日面接を申入れた川端純四郎、高野実、梶谷敏夫、同年十一月十五日および同年十二月二十五日面接を申入れた川端純四郎、高野実などが面会を拒否されました。これでは、佐藤誠の再審に協力するため、同日以降文通をはじめた人々は絶対に佐藤誠と面会が出来ないということになります。貴支所のこのような措置は多数の人々の協力を得て、再審活動を強めようとする同人の行動を妨げるものであり、同人の防禦権を不当に侵犯するものであります。それで再審請求人として処遇し、同人の外部との交通を可能な限り許すべきであると考えます。すくなくとも、 譲って言っておりますけれども、 すくなくとも、昭和五九年三月十日以降の新規文通者との面接を絶対に許さないという措置について合理的な理由を見出すことは出来ません。死刑確定囚といえども、外部との交通権なとその人権が保障されなければなりません。まして、再審請求人においてはなおさらです。 こういう点から、三月十日以降の新規文通者との面接を許さないこの措置を撤回するようにという要求書を内容証明で出しているわけです。 内容証明を出す前にはいろいろ折衝がありました。現に今言いました高野実、川端純四郎というような人たちは、仙台の弁護士会の人権委員会に対して処遇に関する救済申立書も出している。それから、支所の課長とも交渉している。そういうことをやって結局らちが明かないので内容証明に至っているわけですけれども、三月十日という日を区切って、それ以降の人には面会させないということは、先ほど現に効力を有すると言われた通達の趣旨も超えるものだと思いますけれども、こういうやり方は是正しなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。
○石山(陽)政府委員 現在全国で数カ所の拘置所または刑務所におきまして死刑囚の収容業務を行っておるわけでございまするが、率直に申し上げまして、宮城のいわゆる拘置支所におきましては、死刑囚に対します接見交通は全国的に見まして極めて緩やかにこれまで行ってきております。これはある意味では部内の恥を申すようでございまするが、あそこにはかなり有名人となった死刑囚が多数おられるということもございまして、いわゆる国民的な支持を集めて再審運動を起こそうという各種の団体の支援者、それから親族はもとより各種の方々が遠くから大勢集まって面接に来られます。現行監獄法によりますると、そういう接見を求める者がある場合には、施設の長の裁量によりましてこれを許すことになっておりまするものですから、施設長の判断によりましてそれぞれ多少の差異が出ることはやむを得ませんが、特に宮城におきましてはそれがずっと歴代続きまして、だんだん既得権として広がり過ぎておって、ほかの施設の死刑囚の取り扱いとは大変な格差が生じてしまっておる、こういうこともございまして、三十八年当時にそのような通達を出しましたのも、戦後の運用にかんがみてそういった反省点がありましたので、一つの統一基準を出してそのように扱いたいということからだったわけであります。 ところが、その後の運用の実情を見ましても、一種の既得権でありましたものはなかなか是正が言うべくして行いがたい面がありまして、宮城は依然としてその意味では死刑囚に対しまする接見交通への便宜供与は非常に緩やかであるという実態は現在まで維持されております。 もう一つ、昨年そのような措置をとりました理由の一つには、現在の監獄法によりますると、新たに接見を請う者がありますときには、施設の係員がその人の氏名、年齢、職業とかかかわりとかといったことを調査した上でなければ面接させないことになっております。その意味におきまして、従来から長期にわたって面接に来られております例えば支援団体の幹部の人々にとってみますれば、これらの方々は面接の際所員も立ち会い、既に十分面識もございますので、簡便な手続で面接をさせられまするが、ここ数年その種のいわば再審請求等の国民運動が非常に盛んになるにつれまして、今まで全くその運動に加入してなかった方々が新たに入られ、それらの方々が文通を求めてこられる、その次には面接に突然お見えになる、こういうケースがありまして、実はお話の牟礼事件の被告でありました現在の佐藤死刑囚の別のケースなどでは、仮の名前をAといたしますると、年間に面会者が千人を超える、非常に異常な事態になっているわけでありまして、ほかの処遇をやっておりまする各地の収容施設と余りにも歴然たる差異が生じてしまった、こういうこともございまするので、もう少し管理運営上あるいは本人の心情安定上の理由から、できるだけ合理的な面会につきましての規制措置が必要ではないか、こういう反省からそのような措置をとることにいたしたわけであります。ただ、現在でも弁護人あるいは親族、これにつきましては、全く制限を宮城ではいたしておりません。それから、ほかの方々につきましては、支援団体は一日五回まで面会の機会を与えるというようにしております。他の施設では一日に一回ないし二回が限界でございまするから、この事実をごらんいただきましても、宮城の場合にはかなり優遇措置が講ぜられているという事態であろうかと思います。 そこで、三月十日以降新たに文通を始めた人につきまして一切面会を許さない、こういう措置のように確かに表面上なっておりますが、いろいろ支援団体の幹部の方たちでありますれば、これらの人々が、例えば任期が満ちて交代される場合もあるかと思います。こういった方につきましても、そのかわられた人が、三月十日以降にかわられたので一切面接を認めないというようなところまでいっていいものかどうか、これは今後とも検討を要する問題だと思いますので、この点は実情に即して合理的な解決を今後図っていきたいというふうに考えているところでございます。
○柴田(睦)委員 まだ言いたいことがありますけれども、時間がありませんので、今の合理的な解決を図るということを、正しく法を運用してもらうということでやっていただきたいということを申し上げます。 次にアキノ事件ですけれども、二年近く前になりますけれども、八三年八月二十一日ベニグノ・アキノ元フィリピン上院議員がアメリカから帰国された直後、マニラ空港で暗殺された。これは非常に重大な事件で世界じゅうの注目を浴びました。自民党の代議士の方が書かれたものを見ましても、フィリピンは近代社会のていをなしていないとか、あるいはマルコス独裁政権の支援を反省する必要がある、こういう意見があります。 ひとつ大臣に、こうした暗殺事件というものについてのコメントを簡単にお願いします。
○嶋崎国務大臣 ただいまのアキノ氏事件は、フィリピンにおいて捜査し、現在同国において裁判が進行中の事案でありますので、所感を申し述べることは差し控えたいと思っております。
○柴田(睦)委員 事は暗殺事件という、暗殺ということについて所感をお聞きしたかったのですが、今おっしゃいましたように、結局最初は首都圏警察本部長が犯人は殺し屋だ、こう言っていた。しかし、いろんな世論の中で、真相究明委員会ができて、軍人の犯行というように断定いたしました。これが捜査あるいは裁判ということになってまいりますけれども、昨年来、フィリピン政府から国際捜査共助法に基づく協力要請がありましたが、外務省と法務省に伺いますが、いつ要請があって、どんな対応をされたか、結論だけ……。
○小林説明員 お答えいたします。 フィリピンのアキノ事件調査委員会は我が国に対しまして、アキノ暗殺事件関連の邦人関係者よりの事情聴取方を要請してまいったわけでありますが、政府はこれを受けまして、邦人関係者より事情聴取を行い、その結果をアキノ事件調査委員会に伝達済みでございます。 具体的なフィリピン側からの要請等の時期についての御質問でございますが、要請国であるフィリピンの捜査の秘密にかかわることでもございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存ずる次第でございます。
○柴田(睦)委員 今裁判に入っていますけれども、裁判所では、検察側はアキノ氏の帰国に同行したフリージャーナリストの若宮清氏や共同通信の上田勝雄記者ら日本人報道関係者六人の証人申請をしたように報道されておりますけれども、外務省は司法共助の要請を受けておりますか。
○小林説明員 お答えいたします。 御質問の件につきましては、いまだフィリピン側より司法共助の要請は受けておりません。
○柴田(睦)委員 打診もありませんか。
○小林説明員 お答えいたします。 フィリピン側より我が国の司法共助の手続などについて照会があったことは事実でございます。これに対しまして、我が方よりは適宜説明を行っている次第であります。
○柴田(睦)委員 最高裁判所が絡むといいますけれども、外務省から、これは仮定の問題になるかもしれませんけれども、しかし打診があるようですから、打診について最高裁判所は相談を受けていますか。
○小野最高裁判所長官代理者 私どもの方にはフィリピン政府から直接来るということはございません。ただ、外務省の方から、司法共助というものがあった場合にどういうふうになるかというようなこと、あるいは送達がされるというのは期間が大体どれぐらいかかるのかというようなお問い合わせはございました。
○柴田(睦)委員 法務省に聞きますけれども、司法共助の要請があれば、どういう形の協力をすることになりますか。
○筧政府委員 私どもの方では国際犯罪捜査共助の方でございまして、司法共助の方は裁判所の方のお仕事になろうかと思います。
○柴田(睦)委員 最高裁判所の方では、司法共助についてはどういうことが考えられますか。
○小野最高裁判所長官代理者 司法共助と申しますのは、書類の送達と証拠調べの要請、この二つであろうかと思いますが、これが行われますには、外国の裁判所からその当該国の外務省に行きまして、その外務省から在日の大使館に参ります。在日大使館と我が国の外務省との間で司法共助について取り決めがある国はそのままでよろしいのでございますが、取り決めのある国は今五カ国だけでございまして、取り決めのない国につきましては司法共助をすることについて、外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法というのがございますが、それに定めておりますようないろいろな合意をしていただくということになります。その合意ができますと、我が国の外務省の方から最高裁判所の方に参ります。そういたしますと、私の方では、外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法に適合するかどうかということを一応見まして、大体間違いないというものであれば、それを管轄する地方裁判所の方に送りまして、管轄地方裁判所の方でそれを実際に送達する手続をとる、こういうことになるわけでございます。 今、送達のことについて申し上げましたが、証拠調べにつきましても同様にその管轄の地方裁判所で行うということになるわけでございます。
○柴田(睦)委員 そうすると、嘱託尋問があるかもしれない、あるいはまた向こうの法廷に日本人が証人に出ることがあるかもしれない、司法共助の関係が進んでいけば。そういうことになりますと、特に外国に行った場合は、証人の身柄の安全確保、こちらでやる場合でもやはり安全の確保という問題が起きてまいりますけれども、だれがやったかはともかくとしても、こういう暗殺事件であるし、世界的にも注目されている事件でありますし、そういう意味で、その裁判の証人として出る人などの身の安全というような問題について、司法共助で協力することは大いにやってもらわなくてはならないと思いますし、安全を保障することもやってもらわなくてはならないと思いますけれども、法務大臣、御見解はいかがですか。
○嶋崎国務大臣 これらの問題につきましては、まだ具体的な話を承知しておりませんからよくわからない点があるわけでございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、アキノ氏の事件は非常に残念な事件であると私は思っております。また、これらの問題についてどういうような連絡があるか、そういう事態になったときに適切に対応したいと思っております。
○柴田(睦)委員 次に、自動車販売業界における行為の中で、行政書士法違反などに関する問題についてお伺いします。 自動車販売業界では、悪徳商法がまかり通っていると私は見ております。この業界の悪徳商法を、私も国会で幾つか追及いたしましたが、一部の中古車販売業者と業界から、中古車販売専業の中小零細業者いじめではないかというようなことで陳情を受けました。大手業者が進出してくる、過当競争がある、自動車税の納税を代行させられる、いろいろなお話を業者からも聞いております。 きょうは、この業界の悪徳商法の中で、アウトサイダーのディーラーからメーカー系列のディーラーに至るまで、この業界全体で長期的かつ系統的に反復継続して行われております行政書士法違反のケースと、これらによるディーラーの不当利得問題について尋ねます。この事件の概要を示す参考資料を委員長の許可を得て配付しておりますので、随時ごらんいただきたいと思います。 第一は、ディーラーが車庫証明申請書の作成業務を代行して、その費用を不法、不当に徴収している問題です。一車庫証明手数料は、各都道府県ごとに若干のばらつきはありますけれども、おおむね千数百円から二千円程度。ところが、ディーラーの中には一万円前後の費用をユーザーから徴収して、車庫証明申請書の作成、提出を反復継続している者が相当多数に上っております。このため、各都道府県行政書士会や日本行政書士会連合会などは、これまで繰り返し関係業界や関係当局に対して行政書士法違反をやめさせるように要望してまいっております。ユーザーも全国各地で不当利得返還請求を行っているわけです。ディーラーが法定の手数料を上回る費用、つまり報酬になると思いますが、これを徴収して車庫証明申請書の作成業務を代行することは、これは行政書士法に違反すると思いますが、自治省、いかがでしょうか。
○片山説明員 お尋ねの件でございますが、一般に行政書士でない者が報酬を得て官公署等に提出します文書の作成を行うことは、行政書士法違反でございます。したがって、ディーラーが車庫証明申請に際しまして書類作成の対価として報酬を得ていることが明らかでございますれば、これは法律違反、こういうことになります。
○柴田(睦)委員 これらのディーラーは、自動車注文書にあらかじめ車庫証明費用として一万円前後の金額を印刷して、あたかも規定の公定料金であるかのように欺罔して公定料金を上回る費用を、ユーザーの申請書作成、提出の依頼や明白な同意を受けないで事実上強制的に徴収しております。こうした費用徴収のやり方は詐欺罪になるのではないか、また、悪意による、そういう形で取った金については不当利得返還義務がディーラーに生ずるのではないか、こういうふうに思いますが、法務省の見解を。
○筧政府委員 今お尋ねの件に関しましてはまだ事実関係が明確でございませんので、断定的なお答えはできかねるかと思います。一般論として申し上げますれば、請求する根拠がないのに虚構の事実を申し向けてユーザーを誤信せしめて諸費用名下に全員を騙取したという事実が認められれば、詐欺罪が成立することもあろうかと思います。
○柴田(睦)委員 このような申請書の作成業務の代行が行政書士法に違反することは、実は関係業界の方でも認めているのです。このため、自販連は日行連との間で、セールスマン等はユーザー本人が車庫証明申請書を記入作成するよう努める、セールスマン等はユーザーが記入作成しない場合は行政書士に記入作成を依頼する、これらを確実に実行することにより行政書士法違反を防止する、こういったことを内容とする「合意確認書」を交わしております。しかし、この合意確認事項は確実に実行されてはいない。相も変わらずディーラーが申請書作成業務の代行を独占しております。 例えば、私がいる千葉県で調べてみましたら、年間車庫証明件数約三十九万件、これは五十八年度ですが、そのうち行政書士が関与しているものは一カ月にわずか百件から二百件にすぎない。ディーラーによる違法な業務代行独占による不当利得、つまりユーザーの被害は、こういう点から見ますと年間約二百億円余りに上ると推計されます。通産省としてはこの際、ディーラーによるこのような行政書士法違反と不当利得をやめさせるため、日行連と自販連の合意事項の徹底を図ることは当然のことでありますし、ユーザーの依頼と明白な合意なしに法定料金を超える費用徴収をしないよう関係業界を厳重に指導しなくてはならぬと思うのですが、どうでしょうか。
○黒田説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、車庫証明業務にかかわる申請書の作成につきましては、昭和五十二年に日本行政書士会連合会と日本自動車販売協会連合会の「合意確認書」がございまして、自動車販売店は車庫証明書の申請書はまず第一に必ずユーザー自身が記入作成するように勧める、それからユーザーがみずから作成しない場合には行政書士に依頼するように勧めるという合意がなされております。それからまた昨年、五十九年九月に改めて、この行政書士法の遵守についての周知徹底を図っていくこと、それを尊重していくこととあわせまして、行政書士に作成を依頼する場合の具体的な業務のあり方について関係者間で協議することを確認しているところでございます。この確認に基づきまして、自販連の各支部、行政書士会側では都道府県の行政書士会といったところで協議が行われているわけでございまして、既に約半数の地域で協議が調った、あるいはほかのものについても現在協議中と聞いているところでございます。 通産省におきましても、従来から自動車販売業界に対しましては行政書士業務との関係を適切に整理するよう指導してきておりまして、今後ともこの協議の行く末を重大な関心を持って注視してまいりたい、かように考えております。
○柴田(睦)委員 そういう経過があってもまだ今言いましたような現状であるから、なお一層ちゃんとしなければいけないということです。 次に、自動車登録諸費用の不法不当徴収問題です。 自動車の登録をめぐっても、ほとんどすべてのディーラーが新車、中古車の別を問わず車庫証明申請の場合と同様の行政書士法違反と不当不法な費用徴収を継続して行っております。自動車の検査登録手数料は、新規登録申請が一両五百円、変更登録が一両二百円、新規検査と継続検査がそれぞれ一両九百ないし千三百円、登録番号標交付手数料は、東京都の場合、中型の自動車登録番号標が一枚五百八十円、中型の車両番号標が一枚五百八十円となっております。ところが、ほとんどのディーラーは新車、中古車を問わず一台当たり約二万一千円にも上る登録諸費用をユーザーの依頼と明白な同意なしに徴収しております。さっき言ったのと同じやり方です。 ディーラーが法定料金を上回る費用、つまり報酬を徴収して検査登録申請書を作成することが行政書士法に違反することは明白であると思います。ディーラーが注文書に登録諸費用として二万一千円前後の金額を印刷し、あたかも規定の法定料金であるかのようにだまして事実上強制的にこれを徴収するというやり方は、やはり同じように詐欺罪、また不当利得返還義務を負うべきことも明らかだと思います。この点は、先ほど事実関係を調査してないので一般論として言われましたけれども、やはり答弁は同じことになりますか。
○筧政府委員 先ほど車庫証明費用に関して申し上げたと全く同様でございます。
○柴田(睦)委員 ディーラーが検査登録申請書作成提出業務の代行で手にする不当利得、つまりユーザーにとっては被害になるわけですけれども、被害は少なく見積もっても年間千七百億円前後の巨額に上ると推計されます。これについても、車庫証明申請についての日行連と自販連との合意確認と同じように、ディーラーはユーザー本人に申請書を作成させるよう努める、ユーザーが作成しない場合行政書士に作成を依頼するなどの措置を講じて、ディーラーによる行政書士法違反を防止するとともに、ユーザーの依頼と明白な同意なしに法定料金を上回る自動車登録諸費用の徴収を直ちにやめるよう関係業界を厳しく指導しなければならないと思います。 通産省、現在まだこういうことが行われているのですが、この点について指導の決意をお伺いしたいと思います。
○黒田説明員 ただいま先生御指摘の中で二つあろうかと思います。 まず、車庫証明業務以外の登録業務についての行政書士法との関係でございます。 自販連傘下のディーラーが販売した自動車についての登録関係業務につきましては、自販連の各支部に設置された登録代行センターに事務を集中いたしておりまして、そのセンターから行政書士に対して代書業務を委任する方式が通例であると承知いたしております。現在のところ、こういう業務の扱いをめぐって自販連と日行連の間に特に問題が生じているとは聞いていないところでございます。 それから、登録関係の諸費用を含む各種の手数料の問題でございます。 これは法定の手数料だけではございませんで、当然のことながら、それを代行する場合には人件費、交通費等いろいろな費用がかかるわけでございまして、したがって私どもとしては、こういう各種の手数料の徴収に当たりましては、一つは、合理的な計算に基づいて適正な料金とすること、それから、各種の費用を一括徴収することは自動車購入者の誤解を招くおそれがございますので、手数料を区分してあらかじめ明示するとともに、必要に応じて算定根拠等その内容をユーザーに説明して了承を求めるよう従来から指導してきているところでございまして、今後ともその指導の徹底を図ってまいりたいと考えております。
○柴田(睦)委員 いろいろ言いたいこともございますけれども、時間がなくなってきますので、次に進みます。 この業界でこうしたことが公然と通っておって、むしろ温存助長されているのはなぜかという問題です。 その原因の一つとして、各警察署や陸運事務所が行政書士法違反の車庫証明申請書や車検登録申請書を問題なく受理しているという問題があります。そこで、警察庁と運輸省はこの際、ディーラーによる行政書士法違反申請書の作成やユーザーからの不法不当な費用徴収をチェックする仕組みや方法がないかどうか、検討しなければならないと思うのです。料金を収納した際に領収書や受領書を発行してユーザーにそれを手渡すことをディーラーが来ればディーラーにちゃんとやらせるということも一つの方法だと思いますが、検討の余地はございませんか。
○越智説明員 車庫証明の方は私ども警察の方が窓口になっておりますけれども、車庫証明の申請があった場合におきまして警察署の窓口では、法令上申請に際し必要とされる書類が整っている場合には受理すべきものと考えております。したがって、御提案がありましたようなディーラーとユーザーとの間でどういう契約が行われているかということについてその書類の提出を求め、その提出の有無によって申請そのものを規制するということは考えておりません。
○柴田(睦)委員 時間が過ぎて申しわけありませんが、あと二、三分お願いします。 考えていないということですけれども、警察庁と自治省は各ディーラーが行政書士法違反をやめるように関係業界に警告を発するとか、所管省庁に厳重な指導をするように申し入れるなどの措置を講ずべきであると思います。この点について、日本自動車ユーザーユニオンから警察庁長官を初め関係各省大臣あてに同趣旨の請願書が提出されております。この点についての責任ある答弁を求めたいと思います。
○片山説明員 いろいろお尋ねございましたが、昨年の九月に日行連と自販連とで一応の合意がなっておりますので、この趣旨に沿いまして円満に事が進みますよう関係業界なり関係省庁に要請したい、行政書士法所管の省としてそういうふうに考えております。
○柴田(睦)委員 この業界ではこのほかにも、ユーザーが店頭に車をとりに行っているのに納車準備費用を取る、あるいはユーザーが自分で車を引き取りに行くと言っているのに車を持ってきて納車費用を取る、あるいはユーザーの依頼もないのに、また同意もないのに下取り車の査定料や下取りの手数料を取る、あるいはユーザーの意思も確かめずにJAFに加入する料金を徴収する、あるいは公正証書をつくらないのに公正証書費用を取る、こういうようなことがあります。こういうものの被害面からいいますと七百億円ぐらいに達すると推定されます。 これらも詐欺あるいは不当利得という問題が生じますけれども、このディーラーによる行政書士法違反その他による不当利得をめぐって絶対に見逃せない問題は、自販連の健全経営推進運動本部のメンバーになっております日産プリンス東京のM、本人の名誉のために名前は伏せますが、M社長が新聞紙上で、ディーラーの周辺利益の確保という点で――これは車庫証明や納車費用などのことをいうのですけれども、その手数料収入は見逃せないとか、手数料などはユーザーからきちんと徴収できるものなんだからこういうものを確実に取っていけば収益増につながるなどと言って、不法不当な費用徴収で大いにもうけよう、こう督励しているわけです。 しかも重大なのは、通産省がこういう無法を公認するかのような指導通達まで出しているという問題があります。この際、通産省は、ディーラーによる諸費用や手数料の徴収実態とこれまでのこの業界に対する指導通達を全面的に調査、再検討して、ディーラーが法令違反等ユーザー泣かせの不法不当な費用徴収を継続し、拡大しないように改めて関係業界を厳重に指導すべきであると思います。 大臣のはっきりした答弁が出ておりませんけれども、こういう問題を踏まえまして、輪郭はおわかりになったと思います。この業界が文字どおり組織ぐるみで長期にわたって行政書士法違反を継続していて、しかもユーザーに大きな被害を及ぼしているという問題があることはおわかりだと思うのです。法務省としてもこういう業界の問題、無法状態を野放しにしておいてはいけないと思うのです。関係省庁や業界に対し何らかの発言をしなければならない、何らかの措置を講じなくてはならないと思うのです。 そこで、最後に大臣に今の問題についての感想をお伺いして終わりたいと思います。
○嶋崎国務大臣 お尋ねのような自販連とユーザーとの関係のいろいろな問題でございますが、行政書士会と販売業者との間でいろいろな合意確認事項というようなものがあってその間の調整を進めておるやに聞いておるわけでございまして、そういうことがそれぞれの業界の立場というものを十二分に織り込んで処理をされておるのだろうというふうにも思っておるわけでございます。いずれにしましても、そういう中で非常に不当なことがあるということになれば、結局警察等において第一次的な調査をするということになり、またその結論を受けて、検察当局においても何かその事態に即応した対策を講ずるというようなことに相なるのだろうと思います。しかし、先ほど来お話を承っておりますと、どうやら前段階のところで話が進んでおるようでございますので、そういう状態を関係の省庁において十分調整ができるように監視し、見守っていただきたいと思っておる次第でございます。
○片岡委員長 太田誠一君。
○太田委員 今国会において司法書士あるいは土地家屋調査士の職務にかかわる法律案が二本提出をされておりまして、今週からその審議に入る見通してございますが、それに先立ちまして、司法書士及び土地家屋調査士制度の根幹につきまして御所見をお伺いしたいと思うわけであります。 まず、司法書士制度、土地家屋調査士制度は国民にとってどういう意義を持っているとお考えでしょうか。
○枇杷田政府委員 司法書士の業務は、登記のほかに裁判所や検察庁に提出する書類の作成もございますが、大部分が登記のことでございます。それから土地家屋調査士は表示の登記の関係の仕事をしておりますので、登記の仕事を中心としてお答えを申し上げたいと思います。 登記の関係は、不動産、商業その他ございますけれども、いずれも私人の権利の関係に重大な影響を持つものでございますので、それを登記という形で保全し明確化していくということは、国民の権利、財産について重大な影響があるわけでございます。したがいまして、その登記の申請、表示の登記にいたしましても権利に関する登記にいたしましても、これはゆるがせにできない。正確に実態に合った登記がされる必要があります。これは国家の側から見ても重要でございますけれども、国民の側にとってみれば各個人の財産の問題として非常に重要な課題でございます。そのような正確な登記を実現していくには、それぞれ専門的な知識に基づいてやりませんと正確を欠くということが考えられるわけでございます。そういう面で、そのような登記を正確に実現をしていくということの専門的知識を有する司法書士あるいは土地家屋調査士の制度というものの存在の理由があるわけでございますし、またそういう意味で現に大いに社会的に有益な機能を果たしておるものと考えております。
○太田委員 今日の登記制度そのものと司法書士、土地家屋調査士の両制度というのは不可分の関係にあるというふうに思うわけでございますが、特に登記を申請し、またそれを受ける、あるいは閲覧をするというふうな行為に必ず登記官が関係をする、そういうことと司法書士あるいは土地家屋調査士の制度というものは不可分の関係にあると思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○枇杷田政府委員 登記は、大別いたしますと、いわゆる登記を実現する甲号事件と謄抄本閲覧等の登記情報を公開するという乙号事件とに分かれるわけでございますが、いずれも登記官が関与してする仕事であることは御指摘のとおりでございます。 特に甲号事件につきましては、登記官が申請を受け取りまして、そしてその画的あるいは登記原因が法律的にどうであるかということを判断し、またその登記を認めるために必要な添付書類がそろっているかどうかということを逐一審査をした上で事件を処理するわけでございますが、司法書士、土地家屋調査士というのはいわばその登記官の審査に必要なといいますか、その前提となるような基礎的な判断をして、そして登記原因あるいは登記の目的というものを法律的に構成し、そして申請が通るような完全な添付書類をそろえるというふうな仕事をいたしておるわけでございます。そういう仕事は、もちろん申請人本人がやっても法律上は差し支えないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、なかなか法律的に難しい問題でもあり、なお間違っては将来に禍根を残すということでもございますので、そういう面で、専門的な知識を持った方がそこに職業的に存在をするということがいわば国民の立場にとっても必要なことであり、また正確な登記を維持していくというためには、国家の側から見てもそのような専門家がおるということが必要だろうと思います。そういう意味で登記制度と司法書士制度あるいは土地家屋調査士制度というものは不可分といってもいいぐらい密接な関係にあるものだというふうに考えております。
○太田委員 登記を申請をするのは必ずしも司法書士に依頼しなくてもできるわけで、本人申請もできるわけでありますけれども、本人申請のケースというのは趨勢的に言うと増加をしているのでしょうか。
○枇杷田政府委員 一般私人の登記の申請は司法書士、土地家屋調査士が代理をしてやるのが多うございます。しかし、本人申請がないわけではございませんが、最近の傾向といたしますと、そのような本人申請の数が、ある種類の登記については若干ふえているという面もなくはございませんけれども、全体としてそれほど目立って本人申請がふえているというふうな傾向とまでは考えておりません。
○太田委員 特に今度の、登記事務処理のためにコンピューターを導入をするという法律にかかわることでありますけれども、当初計画をされていたよりも、例えば不動産登記だけではなくて商業登記も含むようになったとか、あるいは登記所の中で端末機を置く件数が大変拡大をされたとか、そういうふうなことも聞くわけでありますけれども、当初計画と今度の特別会計を新設して、以後こういうふうにするのだという計画の関係はどうなっておりますでしょうか。
○枇杷田政府委員 これから登記制度をコンピューター化していこうということは、方向としては決まっていると申しますか、私どもはそういう方向を決めまして、そして御審議をいただいている登記事務の円滑化法案の御審議をお願いをいたしておるわけでございますが、それをどういう範囲で、どういうふうな手順で進めていくかということは、これから審議会の意見を聞きながら進めていくところでございます。 しかしながら、一応今度の特別会計の予算編成の際に持ちました構想としては、二十一世紀までには全国の登記所、そしてあらゆる種類の登記をコンピューター化をするということを目標にしようというふうな考えに立っておるわけでございます。
○太田委員 民事局長の諮問機関で、調査委員会ですか、そういうようなものがあるというふうにお聞きをしましたけれども、その中で登記所の外に端末機を設けて閲覧をすることができる、謄本に相当するものをとることができるというふうな議論があったというふうに聞くわけでありますが、法律的にではなくて技術的には、謄本を端末装置でもって受け取るというふうなことは可能なわけですね。
○枇杷田政府委員 登記所で保管しております情報を他に、登記所外に端末装置を置いて、それと結びつけて情報を伝達をするということは、技術的には可能でございます。
○太田委員 それから、これはそういうふうな閲覧とか謄本を受け取るということだけではなくて、今後の情報処理機器の普及とかあるいは発達を考えれば、将来の可能性としては、甲号登記についても登記所外に端末機を設けて入力を行うということも不可能ではないと思うわけであります。ただ、その場合に、もちろん添付書類が必要でありますから、その添付書類にかかわる役所の事務処理も十分に電算機化が図られた、自動的に処理ができるようになったというふうな暁には、これまた技術的には、甲号登記についても登記所外で行うということも不可能ではないと思いますけれども、いかがでしょう。
○枇杷田政府委員 技術的な問題といたしますと、登記所に置かれているような機械を登記所外に置いて回線で結びつければ何でもできるということにはなろうかと思いますが、それは、コンピューターの機械としてはそうだということになるわけでございまして、登記法的に考えますと、それは全くナンセンスといいますか、登記として意味がないことになります。殊に甲号事件につきまして、登記所外に機械を据えつけて、そこで登記所の職員以外の者が入力をしていくということになりますと、そのようなものを民法などで認めておりますような登記の効力を与えるようなそのようなものには性質上ならないということになろうかと思います。
○太田委員 これは、乙号事件の場合と甲号事件の場合というのは質的に、性格的に全く違うものだろうというふうに思うわけでありますが、しかしそれにしても、仮に乙号の方が閲覧とか、あるいは謄本をとることが登記所外の端末装置で可能であるということになりますと、本体のコンピューターとそれから登記所外の端末機が直接接するというふうなことになるわけでありますから、乙号についてそれを認めるということは、可能性としては甲号もまたそのように使われる、入力をされるおそれなしとはしないと思うわけでありまして、もしそのようなことになりましたら、金融機関などで最近コンピューター犯罪ということがあるわけでありますが、それと同じように直接外部の端末機と本体の電算機が結ばれることによって、その種の不正な登記が行われるという可能性もあるわけでありまして、この際、その辺の危険性というものを考えれば、乙号事件についても、これは外部の端末機で閲覧をするというふうにすべきではないのではないかというふうな感じもいたします。ともかく乙号にせよ甲号にせよ、これは今日の不動産登記法あるいは民法の関係からいたしましても、法律的には両方の場合とも不可能であるというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
○枇杷田政府委員 先ほど来、登記所外に端末機械といいますか、コンピューターの機械を置きまして、そこで情報を入れたり出したりするということは技術的には可能だと申し上げましたけれども、法律的には、甲号事件のときでも、先ほど申し上げましたけれども、これは許されないことだと思っております。殊に現行法のもとにおきましては、登記官がみずからその情報を直接管理をして、そしてみずから直接管理している情報について、それをその申請人に提供する、あるいは認証して謄抄本を交付するという仕組みになっておりますので、現行法のもとにおいては、それは全く許されないことでございます。 なお乙号の端末機械を外部に出すということも技術的に可能だということは、実は東京法務局の板橋出張所のパイロットシステムの実験の評価をお願いをしている委員さん方に問題点の検討をしていただいた際に、そのようなことも技術的にはできるし、そういうふうなことを望む人もあるかもしれないけれども、これはむしろ問題ではないか、慎重に検討すべき問題だ、そういう指摘がなされておるわけでございます。 私どもといたしましては、技術的に可能であり、また、法律上の手当てをすればそのようなこともあるいは許されるということになるのかもしれませんが、実際問題からいたしますと、ただいま太田委員のおっしゃいましたように、外部でやるようなことになりますと特別のシステムをつくらなければなりません。そのようなことは経費的にも大変でございますし、それからまた、不正に使用されることを防止するということもいろいろ考えていかなければならない問題を背負い込むことにもなります。したがいまして、現段階で私どもは、そのような方向についてはむしろ消極的であるというふうな考え方をとっておる次第でございます。
○太田委員 今のお話で、司法書士会の一部にこのような登記事務処理の円滑化を電算機の導入によって図る、そのことによって外部とそれから登記簿との距離が短くなるというか、アクセスが容易になるということを踏まえて、みずからの職域にこれが影響をしてくるのではないかというふうな心配をする向きもあるわけでありまして、今のお話ではそういうことはないんだということだと思うわけであります。 登記制度が存在する限り、このような今回の法改正について、登記制度とのかかわり合いで司法書士制度、土地家屋調査士両制度については影響がないという点について、最後に法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○嶋崎国務大臣 今お話を承っておりまして、やはり登記所の制度、またそのことが客観的にいろいろな取引を非常に安定的なものにする、またそういう記録を十二分に登記所の方できちっと整備をするということがどこまでも前提であろうと私たちも思っておりまして、また、業界としましてもいろいろな御心配はされると思いますけれども、やはりこういう制度を運用していくためには、先ほど来御説明がありましたように、司法書士あるいは土地家屋調査士の仕事というのはどこまでも、今後世の中が進展すればするほど重要性を増していく、そういう分野であろうというふうに思っておりますので、業界との調整については十二分の配慮をしてやっていきたいと思っておる次第でございます。
○太田委員 どうもありがとうございました。終わります。
○片岡委員長 次回は、明後二十九日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三分散会