法務委員会 第5号
- 発言数
- 298 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/02/26
会議録
○片岡委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所勝見事務総長、山口総務局長、櫻井人事局長、川嵜経理局長、上谷民事局長、猪瀬家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○片岡委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本文彦君。
○橋本(文)委員 私、社会労働委員を兼務しておりまして、この一年間、いわゆる高齢化社会を迎える形でもって、あるいは二十一世紀を迎えるに当たって今後どうするかというビジョンの問題、展望の問題をやってまいりました。そういうわけで、冒頭に、裁判所に関しましてもいわゆる司法のビジョンというか、これをどの辺に置いておるのか、まずその辺をお聞きしておきます。大変抽象的な問題であるかもしれませんけれども、いわゆる適正配置の問題もその一環かと思いますけれども、もっともっと、少年の非行化の問題も発生しておるあるいは老齢人口の急増に伴ってその犯罪も行われておるとかいろいろ問題があろうと思いますが、まずさしあたり、当面の司法のビジョンというものがありましたら、この際お答え願いたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねの点は大変難しい問題でございまして、司法のビジョンをどこに求めるかというのは、私どものレベルではなかなか論じがたい点ではございます。ただ、裁判所の使命は、時代が変わりましても常に変わらないものでありまして、適正迅速な裁判の実現ということに帰するわけでございます。しかしながら、その裁判の対象となります事件は時代の変化に応じて種々さまざまな姿を見せてくるわけでございます。したがいまして、裁判所といたしましては時代の変化を十分見据えて、時代の要請にこたえられるよう、そのニーズに対応できるよう常に考えていかなければならないと思うわけでございます。そういうふうに、時代の変化に適切に対応し、時代の要請にこたえられるよう裁判の使命を全うしていくというのがいわば現時点における司法のビジョンではあるまいかというふうに考えております。
○橋本(文)委員 抽象的にはそのとおりでございますけれども、もう少し具体的に、こういう問題が将来起こり得ると予想されるとか、こういう問題で今困っておるというようなことを実はお聞きしたいのでございますが、いかがでしょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 将来生起するであろう法律的紛争というものを予測することはなかなか困難なわけでございます。ただ、現在の時点において何について困っているかというお尋ねでございますと、私ども昨年の二月に問題提起をいたしました裁判所の適正配置という問題がございます。簡単に申しますと、戦後四十年間における社会事情の変化があるにもかかわらず、裁判所の配置は昭和二十二年当時のままである。そのことによって、裁判所全体の機能から見ますといろいろなむらとかひずみが生じてきておる。これを何とか是正すべきではないかというのが当面抱えている一番大きな問題であろうかと思っております。
○橋本(文)委員 適正配置の問題に触れられましたけれども、古くてまた新しい問題だと思います。訴訟の遅延、これはよく裁判の拒否に等しいと言われますけれども、本当に裁判が長期化している。これにつきまして国民の大部分は、当初裁判が起きたときには関心を持っておるけれども、だんだん日を追ってその後薄くなってくる。例えばロッキード裁判にしましても、もはや過去のものとなりつつあるようなそんなような雰囲気さえ受ける。したがいまして、訴訟促進、審理促進ということについてどのように考えておられるのか。国民の大多数に裁判所にある程度のあきらめというかもうしょうがないんだというような気持ちを持たしてしまったら、これは大問題である、まさに司法の権威にかかわる、このように思っております。したがいまして、訴訟促進に関しましてまずお尋ねいたしたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 訴訟の遅延は訴訟の拒否に等しいということは古くから言われているところでございます。私どもも裁判の適正とともに訴訟の促進についてこれまで種々努めてまいってきたわけでございます。御承知のとおり、訴訟の場合には対立当事者がございまして、一方は早期の解決を求めれば相手方は逆に解決の遅延を図る、こういう宿命的な対立構造がございます。 訴訟遅延の原因をいろいろ考えてみますと、当事者側の原因もあれば事件そのものに内在する原因もあるし、もちろん裁判所側の問題もあろうか。そういうそれぞれの原因があるわけでございますから、その原因に応じていろいろ対策を講じなければならないわけでございます。増員その他手続、運用の改善面であるとか訴訟促進のための種々の方策を講じてはきておりまして、幸いに昨今、民事の事件について申しますと、地裁の民事訴訟の場合でございますと、四十八、九年、五十年こうに比較しますとかなり平均審理期間が短くなってきております。刑事につきましても、やはり地裁の刑事訴訟で見ますと、平均審理期間というものは短縮化の傾向がございますので、今後ともさらに訴訟の促進が実現できるよう種々の方策を講じてまいりたいというように考えております。
○橋本(文)委員 私は、訴訟促進が最大の司法のビジョンであらねばならない、このように思っております。 そこで、今回財事増員九名ということでありますけれども、五十四年を初めといたしまして逐年判事の増員がございます。また、反面事務官の減員という形がございますけれども、判事の増員、これは今後どのような推移を示していくのか、もし御見解がありましたら、どのような数で、どの程度、どの時期までこういう趨勢が続くのか、もしそういう計画がございましたら、この際お答え願いたいと思います。毎年毎年、何名何名ではなくて、この先こうなっていくんだという将来的な展望がありましたら、これもあわせてお願いいたしたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 裁判官の増員についての長期的な展望ということになりますと、これもまた非常に難しい問題になるわけでございます。と申しますのは、やはり将来予測される事件に応じて増員措置が考えられるわけでございますので、将来例えば五年先、十年先どのような種類の事件がどの程度係属するであろうかという予測は非常に困難なわけでございます。さらにはまた事件処理につきましては、増員のみならず例えば運用改善方策であるとかあるいは能率器具の開発であるとか種々の方策もあるわけでございまして、五年あるいは十年先にどのような方策が講じられるのか、これまた非常に予測の難しいところでございます。裁判官そのものにつきましても、五年、十年先の人々の資質というものがどういうものであるか、これもまた極めて予測の難しい問題でございます。したがいまして、せっかくのお尋ねではございますが、五年ないし十年先の裁判官の増員計画というものは、実は今の段階では持っていないわけでございまして、これまでもやってまいりましたように、過去数年間の事件の係属状況を見て近い将来の事件の動向を予測して、かたがた裁判官の給源をにらみ、充員の可能性を検試しながら増員をお願いしていくということになろうかと思います。 判事の点につきましては、ある時期は判事補の増員を要求してまいった時期がございます。そのことによりまして判事補の層が厚くなっておりまして、判事補は十年たちますと判事に任官するわけでございますので、ここしばらくは判事の増員をお願いする状況が続くのではないかというように考えております。
○橋本(文)委員 判事補の増員があって、それが十年たって判事に昇格する、そのための増員だというのであれば、当然計数的には数が簡単に出ると思うのです。私が聞いているのはそうではなくて、そう十年、二十年先のことを言っているのではありません。確かにどんどん事件数がふえておる、社会が複雑化すればするほどいろいろな形の犯罪がふえてくる、それに対応しなければならないというようなことは現段階でもある程度予測はつくのではなかろうか。それを毎年毎年いろいろな条件を考慮してその都度考えるのだというのではなくて、もう少し大きな目でもって考えていかないと最高裁判所の健全な発展というものはないのじゃないかと私は思うわけでございますけれども、いかがなものでしょうか。一つには裁判官の不足ということがよく言われておりますけれども、裁判官はこのようなことを考えているのだということをこの際示しておいた方がよろしいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 再度のお尋ねでございますが、例えば今の時点で六十一年度予算要求においてどの程度の数を要求するのかと仰せられましても、概算要求を提出いたします八月三十一日までの段階でどのような事態が起こり得るのか。いろいろな突発事態も起こり得るわけでございます。例えば、最近問題になっております消費者信用関係事件でございますけれども、これは昭和四十年半ばごろから消費者信用供与額というものはかなり増加してまいっていたわけでございますが、事件数は必ずしもそれを反映しておりませんで、五十七年になって急に突発的にふえてきた、こういう現象もあるわけでございます。そういうふうに予測不可能な要素もあるわけでございますので、甚だ恐縮でございますが、現在の段階におきましては先ほどの答弁を繰り返させていただくほかはないと考えております。
○橋本(文)委員 それでは、発展性がありませんのでこの辺でやめます。 昨年の委員会で山口局長が裁判所の適正配置の問題に触れまして、いわゆる民事不取り扱い問題につきまして、人口の急増等に関してはそれがまた復活する例もあるという話でございました。それで、相模原簡易裁判所の例が出されました。実は私のところのすぐそばに相模原簡裁がございまして、よく行ったり見たりしておるものですから、そこで見た感想等を交えながら質問したいと思います。 たしか五十八年の四月に民事取り扱いとなった。しかし、なったけれども人員構成はそのままである、全くふえない。それに加えて、簡易裁判所には珍しいのですけれども、普通ならば甲号支部に置かれている家庭裁判所の支部、それが相模原簡易裁判所には家庭裁判所の出張所もある。そういう極めて過重な労働といいますか、事件を抱えておりながらもスタッフは全く変わらないということで、現場の声ではもうギブアップであるというようなことを雑談も交えながらよく聞くのですけれども、いかがなものでしょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 橋本委員御指摘のとおり、相模原簡裁は従前は民訴事務は横浜簡裁に移転していたわけです。したがいまして、調停と刑事事件のみを処理していたわけでございます、事件数も比較的少のうございましたので。五十八年四月一日に民訴事務不取り扱いの指定を解除いたしまして、訴訟、督促等も取り扱うことになったわけでございます。五十八年の新受件数は、民事訴訟で二百六十一件、督促で千八百五十一件、調停で百二十六件という状況でございます。刑訴事件は、長期的には減少傾向にあるわけでございます。 そこで、先ほど人員は変わらないという仰せでございましたが、民訴事務を取り扱うことになったことに伴いまして、新たに簡裁判事一名、書記官一名を増員いたしております。それから、事務官二名のうち一名を書記官にかえまして戦力アップを図っているわけでございます。したがいまして、簡裁判事二名を含めまして総数八人という体制を組んでいるわけで、従前に比較いたしますと戦力アップにはなっているわけでございます。 家裁の出張所につきましては、簡易裁判所で幾つかの庁につきましては家裁出張所を設置いたしまして、相模原の場合でございますと横浜家裁から週二回、書記官なり裁判官なりが出張されまして、そこで事務処理をするということになっておりまして、毎週火曜日に裁判官一人と書記官二人が横浜から出向いてくるわけでございます。それから、毎週金曜日には書記官一人が出向いてきて事件の処理をしているという状況でございます。したがいまして、相模原簡裁が従前に比較いたしまして忙しくなったということはございますけれども、人的にも、それから庁舎の増築等もいたしまして物的にも相応の対策を図っておりますので、私どもといたしましては、ギブアップの状況ではないのじゃないかというように考えております。五十八年以降も事件の増加が見られますので、ごく最近超過勤務の状況を調査してみたわけですけれども、民事訴訟事件を担当する者が一名、督促事件を担当する者が一名がそれぞれ一カ月平均八時間程度の超過勤務をしているにすぎないようでございまして、ほかの庁に比べまして過重な負担ではないのではなかろうかというように考えております。
○橋本(文)委員 現場の声と最高裁の方とでは随分違うように思いますけれども、現実的に家庭裁判所の出張所が置かれているために、本来ならば刑事あるいは民事の方の事務を取り扱う書記官あるいは事務官がこの家庭裁判所の出張所のためにその相談件数を受理する。確かに火曜日とか金曜日には裁判官あるいは書記官が出張いたしてきますけれども、それ以外の日は相模原簡易裁判所の事務官がその事務をとらざるを得ない。この点は考慮に入ってございますか。 それから、昭和二十二年ですかにできました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律、これによりますと、確かに相模原以外に津久井簡易裁判所というのが管轄区域の中に一応あります。この名称で、堂々と津久井簡易裁判所とあるのですけれども、これは実際どうなっておるのですか。
○山口最高裁判所長官代理者 まず最初に、家裁出張所が置かれております簡裁の職員の配置の問題でございますけれども、その際には、もちろん簡裁の事務量のほか家裁出張所の事務量も勘案いたしまして職員の配置はいたしております。そのほかに家裁からのてん補の人たちで処理するわけでございます。 次に、お尋ねの津久井簡裁でございますが、津久井簡易裁判所は昭和二十二年五月三日に設立されたものでございまして、当時は神奈川中野簡易裁判所と言っておりまして、その後名称を変更したものでございます。昭和二十九年、簡易裁判所の事物管轄が訴額三万円以下から十万円以下に拡張されました際、これによりまして増加を予測される民事訴訟事件の処理に対応できる程度の人員を、物的設備を備えていない庁につきまして民訴事務は最寄りの本庁または支部で取り扱わせることになりまして、津久井簡裁も民訴事務を横浜簡易裁判所で取り扱わせる序として指定されたわけでございます。したがいまして、民訴事務はその段階で横浜簡易裁判所に移転され、津久井簡易裁判所ではその後は調停と刑事事件のみを扱うという形で動いてきたわけであります。その後、昭和三十九年三月一日、当時津久井町から借り受けておりました庁舎の老朽化が著しく進みまして、ほかに適当な庁舎、敷地の確保ができなかったことから、調停と刑事事件の事務を相模原簡易裁判所に移転したわけでございます。これは裁判所法三十八条で「簡易裁判所において特別の事情によりその事務を取り扱うことができないときは、その所在地を管轄する地方裁判所は、その管轄区域内の他の簡易裁判所に当該簡易裁判所の事務の全部又は一部を取り扱わせることができる。」という規定がございまして、その裁判所法三十八条の規定に基づいて事務の移転を行ったわけでございます。ところが、先ほど申しましたように昭和五十八年四月一日、相模原簡易裁判所につきまして管内人口の増加であるとか事件数の増加等によりまして従前行われておりました民訴事務不取り扱いの指定を解除されることになりまして、相模原簡易裁判所におきまして民訴事務を取り扱うことになった。地理的関係からいたしますと、津久井簡裁につきましては民訴事務を含めまして全部相模原簡裁で処理させるのが相当と認められましたので、所要の手続を経まして民訴事務につきましても相模原簡裁に事務移転したわけでございます。
○橋本(文)委員 つまり、津久井簡易裁判所というのは昭和三十九年の段階から建物は取り壊されて、しかも敷地もない、名前だけが載っかっているということですね。そういうことになるのでしょうか。名前だけ載っかっている裁判所である。現実には物的設備も人的設備もないものだ。今までの議論の中で、いわゆる二人庁があるとか、一人庁がございませんと言うけれども、これはゼロ庁である、このように伺ってよろしいですか。
○山口最高裁判所長官代理者 津久井簡易裁判所そのものは法律的には存在はいたしておりますけれども、その事務は全部相模原簡裁に移転されてそこで処理されている、こういうことでございます。津久井簡裁独自の庁舎というようなものはございません。
○橋本(文)委員 御承知と思いますけれども、神奈川県におきましては甲号支部が川崎、横須賀、小田原、この三カ所ございます。ところが、人口でいいますと、横浜市、川崎市に続いて相模原市が第三番目でございます。四番目が横須賀、こうなっておるわけでございますけれども、この人口急増地域相模原を管轄するだけでなく、隣接の座間市も包括し、さらに今御指摘のありましたように津久井郡全体をも扱う。恐らく神奈川県におきましてもこの相模原簡易裁判所は相当大きな、面積的には一番大きいんじゃないかというふうに我々は考えております。我々仲間に聞きましても、とにかく相模原簡易裁判所は弁護士が本当に来たがらない。いろいろな点で、五十八年四月以前の問題もあったのでしょうけれども、とにかくそこの裁判所に行くことを嫌われておるというのが実態なんでございます。それは面積が広いし、それからいわゆる物的施設も人的施設も全くお粗末であるということからくると思うのですけれども、この人口急増、適正配置の問題も行われておりますけれども、人口から一言えば確かに第三番目。この相模原簡易裁判所はまさに神奈川県の真ん中にあるわけでございまして、県央。ここにいわゆる甲号支部あるいは乙号支部をつくるような考え方はございませんでしょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 簡易裁判所所在地の市町村から支部設置の陳情の出ておりますところはいろいろございますけれども、相模原簡裁につきましては、これまで民訴不取り扱いであったとかというような状況もございまして、そのような上申はこれまでなかったわけでございます。ただ、管内面積が広く、かつ人口急増地帯である、そういうような状況を踏まえまして、先ほど申しましたように社会事情の変化に対応できるように裁判所の適正配置を考えていきたいというように現在問題提起をしているわけでございますけれども、今御指摘の相模原簡裁への支部の設置の問題も裁判所の適正配置の問題の一環の中で考えていかなければならない問題ではなかろうかと思っております。 ただ、それは現在の人口増等から将来の事件増がどの程度になるか、それから管内住民がどの程度裁判所を利用することになるのか、横浜と、相模原に支部を設置した場合でどのような利用状況の相違が出てくるのか、その辺のところを十分勘案しなければ何とも申し上げられない問題ではございますが、相模原市内にも弁護士さんが在住されるようになりました。恐らく今後発展の可能性はあるんだろうと思います。今後の推移を十分慎重に見守っていきたいというように考えております。
○橋本(文)委員 先ほど司法の長期展望ということを聞きましたのは、実はこの辺に視点を置いたわけでございますけれども、事件数が少ないから、あるいは裁判所のニーズが少ないから、だから現状のままでいいんじゃないかとか、あるいは従来民訴の取り扱いをしなかったとかいろいろ経緯がございますけれども、私は逆と思うのです。もう裁判所がないから裁判を起こしたくたって裁判所に行くのは遠過ぎて面倒くさいからやめておこうというような気風が、実は私は横浜に住んでおりまして今度は相模原に来まして、よくわかるのです。裁判所がないから使わない。つまり、これは強いて言うならば、今、国会で衆議院の定数是正問題が叫ばれておりますけれども、これはまさに裁判所の定数是正だ。つまり裁判をするその権利すらないのだというような雰囲気がこの相模原にはあるように思われなりません。そういうわけで事件がふえてきたからするのではなくて、むしろ将来性を見込んで、ここにつくっておけば必ずやその辺の裁判所は利用されるであろうし、また周辺住民の数が大きく、裁判という場を通じて自分の権利保全ができるのじゃなかろうか。本当に権利救済ができない、泣き寝入りが多い。もっと言えば、裁判所に行くことすら恥であるというような風潮が生まれておる、これは大きな問題だと思っております。事件がふえたらというのじゃなくて、人口急増地帯、今後どうなっていくのか、その辺のことをよく見据えて御考慮のほどをお願いしたいと思います。これは要望でとどめておきます。 さて、次に移りますが、最近いわゆる手形凍結の仮処分ということが新聞紙上をにぎわしておりまして、年間十億程度の被害がある。これが連日というとオーバーですけれども、新聞等に報道されまして、主犯格も捕まったりあるいは黒幕が捕まったりというような報道が行われております。 これは、当初手薄な裁判所あるいはへんぴな裁判所というところがねらわれておりましたけれども、何と都市部の八王子とか川崎ですか、そういうところでも仮処分が出されてしまっておる。問題は、どういうような主文なのか。本来ならば振出人といわゆるその手形をだまし取ったと称する人間の間だけの効力が、なぜ現在の所持人あるいは金融機関まで凍結の効力が及ぶと思って支払いを拒絶しているのか。ちょっとその辺をお聞きしたいと思います。
○上谷最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘のとおり、最近この種の仮処分が新聞紙等でかなり報道されておることは私どもも十分承知してございます。ただ、最近新聞報道で見ておりますと、いわゆる約束手形の振出人とぐるになって、虚偽の報告書をつくってこの種仮処分申請をさせているグループがある、こういう報道でございますが、実際事件が本案に至らないで終了いたしておりますので、裁判所の手続の中で果たして報道のとおりであったかどうかということまでを確認することはできないでいるということでございます。 確かに報道されているようなことがあり得ることではございますが、私どもといたしましては、当該事件を眺めて、果たしてそういうにせといいますか虚偽の陳述でそういう仮処分が出されたケースなのかどうかということまでは確認できないということを前提にして申し上げたいと思いますが、一般的に申しまして、もう委員も十分御案内のとおり、約束手形を振出人がだまし取られたとか、あるいは割引をしてやるというようなことで手形を預かったまま返してくれないというふうなケースはよくあるようでございまして、そういう理由で、手形の振出人から直接の相手方を債務者として手形の裏書き譲渡あるいは支払い呈示の禁止を求める仮処分の申請がなされるケースが時々ございます。 この場合、主文例でございますが、大きく言いまして、一つは、当該手形の返還請求権を被保全権利といたしますので、当該手形を債務者から取り上げて執行官に保管させる、そういうふうな主文が申請されるケースもございます。それとあわせまして、先ほど申しましたとおり、当該債務者に対して手形の裏書き譲渡あるいは支払いの呈示の禁止を命ずる申請の趣旨を付加してくるというのがございます。さらに、当該手形の支払いを担当いたします金融機関を第三億務者にいたしまして、当該手形の呈示があった場合に支払いに応じてはならないという旨の申請を付加してくるケースが実務的には非常に多うございます。こういうふうな仮処分の申請がございました場合に、裁判所といたしましては疎明書類等を審査いたしまして、申請の理由のありなしを審理した上正当と認めるときには申請の趣旨に沿った仮処分命令を出すことになるわけでございます。 ところで、こういうような場合に、支払い銀行を第三億務者にして当該手形の支払いを求められて支払わないように、こういう申請がついている場合に、これを是認してよいのかどうかということにつきましては理論上異論がないわけではないようでございます。ただ、実務上はこれを認めているという例が多うございまして、これはかなり古くから議論のあるところでございますが、実務の慣行としては第三億務者である銀行に対して支払いしてはならないというふうな主文を付加する例がむしろ通常といってよいかと存じますが、こういうふうな仮処分命令の主文につきましては、委員も御案内のとおり、法律上特別の規定はございません。民事訴訟法の第七百五十八条第一項によりまして裁判所はその意見で主文の内容を定めることができるとされておりますので、実際の主文例も各裁判所で若干違っております。 ごく大まかに申しまして銀行に対して手形の支払いをしないように命ずる、つまり第三億務者に対して命じている部分に限って主文例を申し上げますと、第三億務者、これは金融機関でございますが、第三億務者は債務者に対して右約束手形に基づく支払いをしてはならない、こういうふうに書いておる主文もございますし、その債務者に対してという部分を省きまして、単に第三億務者は右約束手形に基づく支払いをしてはならないというふうな主文を掲げる裁判所もあるようでございます。これは物の本などにも両方の主文例が挙げられているようでございますので、実務例としても両方の主文例が見受けられるわけでございます。今度新聞等で報道されております部分につきましても、裁判所の主文がどうなっておるかということを一、二報告を受けております例を見ましても、半々でございます。 ただ、特に債務者に対して支払いをしてはならないというふうな限定がない場合でございましても、これも民事訴訟法の通説から申しますと、もともと仮処分の効力は仮処分債権者と相手方である債務者との間でしか及ばないというのはもう当然のこととされておりますので、この趣旨は、どのような主文形式をとりましょうとも、いずれにしても債務者と債権者との間での効力であり、したがって第三億務者である銀行に対し支払いを禁じているのは債務者に対する関係で支払いを禁じているというふうに一般的には解されると言ってよいかと思います。裁判所が、主文例は二つに分かれておりますが、いずれの主文例をとります場合にもそのような考えを前提として仮処分命令を出しておられるものと私どもとしては承知いたしております。
○橋本(文)委員 ところが、現実的には第三億務者である銀行等が現在の所持人、善意の所持人にも支払いを拒否しているというところからいわゆる新しい金融不安が起こりつつあるということまで報道されているわけですね。どうしてこういうような問題が起きるのか——大蔵省来ておられますか、銀行局、まずその辺から、どうして銀行等がそういうような仮処分を見て支払いをストップさせているのか、その現実をお尋ねしたいと思います。
○北村説明員 お答え申し上げます。 従来は手形の支払い禁止の仮処分が出されました場合、銀行の取り扱いにつきましてはそれぞれの手形交換所規則等に明文の規定がなかったために、銀行側におきましては必ずしも統一された対応をとっていなかったというわけでございます。したがいまして、御指摘のように、手形の支払い禁止の仮処分が出された場合の対応といたしましては、先生が御指摘になったような形で手形の支払いを行っていないというケースが見られたわけでございます。
○橋本(文)委員 銀行協会のそういう中で仮処分の場合の明文がないからという、そういうお答えではちょっとおかしいんですがね。手形といえば、もう現金と同じであるというような感覚が世間一般にはあると思うのですね。そして、その手形を信用性を増すために、いわゆる手形の所持人はとことんまで保護されておるという現実があるわけですから、それを明文がないからというだけでもってほいほいと禁止、凍結させるんだということ、これはどうなんですかね、手形をまさに扱っている当事者として。何か裁判所というものはそんなに権威があるのか、仮処分というものはそんなに権威があるのかと思っていらっしゃったのかどうか。
○北村説明員 理由は必ずしも明確に私どもとして把握しているわけではないわけでございますけれども、今先生が御指摘になりましたような点、すなわち先ほど最高裁の方からもお話がございましたように、仮処分の内容が、第三億務者に対しそういうふうな問題になっている約束手形について支払いしてはならないという内容になっているのがかなり大きく響いている面はあろうかと思います。
○橋本(文)委員 直接の債務者に支払ってはいけない、こう書いておれば支払いはしたんだ、しかし、ただ単に第三者債務者はこの手形に基づいて支払いをしてはならないとあるから、現在の善意の所持人に対しても支払いをしてはいけないというふうに誤信した、こういうことでございますか。
○北村説明員 確かに御指摘のような面があるわけでございまして、銀行協会といたしまして、これは東京銀行協会に代表されるわけでございますが、そういうふうな問題を踏まえまして、最近、二月十九日でございますが、手形交換所の規則というものがございますけれども、それに関連いたします施行細則というものを改正するという形で対処しようとしているわけでございます。二月十九日は、理事会におきましてその議論が行われまして、私どもが承知している範囲では三月五日に臨時の総会を開きまして、その後正式な決定にするというふうな予定であるというふうに聞いております。
○橋本(文)委員 質問が前後して恐縮でございますけれども、第三億務者は支払いをしてはならないという主文があるからそれに従って支払いをしなかった。これはまあ一応は納得できるのですが、じゃ仮に、第三億務者はその債務者に対して支払いをしてはならない、その債務者と現在の所持人は違う人間だという場合には、従前どおり支払いはしておったわけですか。
○北村説明員 お答え申し上げます。 先生が御指摘になりました点でございますが、その点につきましては必ずも従来はっきりしていなかったということもございまして、金融機関、銀行といたしましては支払いを行っていなかったというのが実情でございます。
○橋本(文)委員 では民事局長にお尋ねいたします。 実務上では、主文の書き方、例えば第三億務者はこの手形に基づいて支払いをしてはならないと書いてあろうと、あるいは直接の債務者に対して支払いをしてはならないと書いてあろうとも、銀行協会では善意の所持人に対しては支払いをしていなかった、こういう実態のようでございます。 そこで、こういうような錯覚に陥るようなこういう主文の書き方に問題があると思います。前回もいわゆる家庭裁判所のモデル試案をめぐりましていろいろ議論がございましたけれども、まさにこういうような社会不安を起こすような問題についてこそある程度、第三億務者があるいは現在の所持人が迷惑をこうむらないような主文の書き方を、むしろ親切、懇切丁寧に流すべきではなかろうかと思うのでございますが、いかがでしょうか。
○上谷最高裁判所長官代理者 私どもは全国のすべての手形交換所のお取り扱いを承知しているわけではございませんが、たまたま今回の報道がございましたことを契機にして、実際それの支払いの禁止がなされているのかどうかということを若干調べてみましたが、手形交換所によりましては、こういう仮処分がありましても、殊に、債務者に対して支払いをしてはならないという主文になっております場合には、支払い禁止に当たらないということで不渡り届けを出させるというお扱いをなされたところもあるやに聞いております。これは、私どもは直接の所管ではございませんので全部追及したわけではございませんが、そういうことで手形交換所によりまして若干扱いが違う面があるやに聞いております。 それはともかくといたしまして、委員御指摘のとおり、もしこういう主文の書き分けいかんによりまして、手形交換所の方であるいは支払い銀行側で誤解をするというようなことがありますと、確かに御迷惑をおかけすることになりますので、私どもといたしましては、仮処分の主文の内容を定めますのは、これは裁判所のいわゆる司法権としての作用でございますので、その中身に立ち入ってどうこうというふうに論評し、あるいは指示をするということはできないわけでございますが、今度の報道をきっかけにいたしまして、こういうふうな悪用をされる例もあるやの報道があるということは、早速全国の民事の首席あてに私どもの課長から通知をいたさせました。 それから、例えば東京のように保全の専門部があります部では時々この種の申請があるわけでございますが、そのときにどういうふうな主文にしたらいいか、あるいはまた、もし悪用が疑われるような場合にどのように審理上の工夫をしたらいいかということをいろいろ研究しておられますので、その研究の成果をまとめていただきまして、全国の地方裁判所の民事の首席書記官にその研究の成果等を御披露するというようなことをいたしまして、各裁判所の一層の御工夫をお願いするという措置を早速とらしていただきました。以上でございます。
○橋本(文)委員 この手の事案が根絶できるようによろしくお願い申し上げます。 そこで刑事局長、ちょっとこれは簡単でございますけれども、この件につきましていわゆる二項詐欺という形でもって警察の方は逮捕しておりますけれども、これは今後どういうような罰条で処罰されるのか、もし御見解がございましたらお答え願いたいと思います。
○筧政府委員 御指摘の手形凍結に関する事件として、最近警察の方で一件立件をいたしまして、本月の二十四日に東京地検において受理した事件がございます。何分まだ受理して間もないことでございますので、これから捜査を進めるわけでございますが、今いろいろ御議論のありましたようにいろいろの問題がございまして、まず基本的には具体的な事実関係を確定した上で法律の適用、犯罪の成否を考えなければならないと思っております。現段階でどういう犯罪が成立するかという点についてはお答えいたしかねる段階でございます。
○橋本(文)委員 家庭裁判所関係で、最高裁がいわゆるモデル試案をつくったと前回議論になりましたけれども、これについて答弁を見ておりますと、部外秘にしたのはただ単にたたき台にすぎないということである。それから、目下検討中であるので、これを公表することになるとかえって誤解を招くからというような形で答弁があったように記憶しておりますけれども、最高裁の方でそういうようなモデル試案をつくれば、やはりこれは事実上の指示というふうに受け取られかねないのではないかと思うわけでございます。 せんだって、新聞の記事を見ておりまして、TBSですか、「家族・愛の転変」というような番組がございました。各国の家庭崩壊のさまをるる報道したようなのです。それが新聞記事に載っておったのですが、スウェーデン、西ドイツ、デンマーク、アメリカ等々の国がこういう形で家庭が崩壊していく。そのメーンテーマは、法や社会が整理されている先進国ほど家庭が崩壊している、近代化や合理化に内在しているマイナス面ではなかろうかというようなことがテーマのようでございました。それで結論的には、やはり本能とか愛というものが機能する社会が排斥されればされるほどだんだん世の中は悪くなっていく、合理主義を追求するということは果たしていいんだろうかというようなことが新聞に書いてありました。 このまま新聞を丸のみするわけではありませんけれども、今回のこのケースはまさに合理主義を追求するものでありまして、そこにはいわゆる少年に対して愛情を持って考えていこうとか、そういうものがないように思うのですね。ただただ事件の処理が多過ぎる、軽微な事件が多過ぎる、非行化が増大している、何とかせなならぬというので、簡単な方法でどんどん処理をしてしまおう、まさにこれは合理主義の極致でございまして、家庭崩壊、ひいては社会崩壊、国家崩壊までいくんじゃないか、大変な問題を内在しているように思います。逆に、少年事件であるからこそ、軽微な事件であるからこそどうなんだろうか。ちょっと見てみますと、簡単な事件なんだから審判不開始でいいじゃないか、そうじゃないと思うのです。どんなささいな事件であっても、その少年に犯罪の萌芽があるのであれば、それを摘み取り、矯正しなければならないし、仮にどんな重大な事件であろうとも、一過性の問題であるならばその少年に対して審判不開始、これがいわゆる個別主義ではなかろうか。その個別主義を定型化してしまいまして、チェックしていって、はい一件落着という形では、これでは少年はどうなるんだろうか、家庭はどうなるんだろうか。 いろいろ問題がありましょうけれども、一つには無罪の場合どうするのか、あるいは有罪の場合であっても、単純に審判不開始で返されて、逆に、何だ裁判所というのは怖くないんだというような形でもってさらに非行が増大するということも考えられないことはないわけですね。そういうわけで、モデル試案は大変な問題を含んでいると思います。家庭局長の御意見をお伺いいたします。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 私どもで作成しましたモデル試案の趣旨、内容は、ただいま委員から御指摘のようなものではございませんで、家庭裁判所に係属いたします少年事件は、万引きあるいは自転車の窃盗などの事件に多く見られるような一過性の軽微な事件から、少年の性格や環境に複雑な問題を抱えた困難な事件まで極めて幅広く、多種多様でございます。それで、これらの事件について家庭裁判所は一律な取り扱いをすることは、これは少年事件の取り扱いとして適当ではないのでありまして、複雑困難な事件については綿密な調査をし、慎重な処理を行うことが必要でございますし、一過性の軽微な事件については、必要な限度での簡略な調査によって早期に処理をして少年の心情を早く安定させ、早期治療を図っていくということが大切なことでございます。 最近における家庭裁判所の取り扱いは、今申し上げたような基本方針にのっとって処理がおおむね行われてきておるわけでございます。処理をするに当たって、各家庭裁判所はそれぞれの庁において処理要領をつくって、それに基づいた運用が行われているわけでございます。今回のモデル試案は、それらの各庁の処理要領を参照しまして標準的な処理要領をつくる際の参考に供する趣旨のモデルをつくろうということで、そのいわばたたき台としてつくった試案でございます。 そのモデル試案に盛られております考え方は、ただいま申し上げました少年事件処理の多くの庁で行われている基本方針を取り入れておりまして、綿密な調査をすることを必要とするものとそうでないもの、これを経験豊かな主任家庭裁判所調査官の専門的な知見を活用して選別を行いまして、一過性の軽微な事件については、先ほど申し上げましたような早期治療を図っていこうとするものでありまして、万引きをしたからこれは審判不開始であるというような、そういう画一的な処理を考えているものではございません。簡略な調査をしましても、その少年にかなり問題性があるということを担当調査官が気がついた場合には、担当調査官の判断においてより詳しい調査を行うことを予定しているわけであります。 このように少年の特性、事案の内容に応じた事件処理を予定し、個別的な解決を図っていくという考え方にモデル試案は立っているのでありまして、その意味におきまして、まさに少年法の掲げております少年の健全育成の理念に沿ったものであり、かつ個別処遇の原則にも合致したものと考えておるわけでございます。 委員から御指摘の非行がない場合はどうなのか、こういう御指摘でございますが、記録を調査して、極めて軽微な一過性の少年であって家庭裁判所において特段の手当てを加えることを必要としないというような場合には記録調査によって処理をするということも一つ考えておるわけでございますが、その場合はやはり十分に非行事実の存否について調査をしまして、いささかでも問題がありそうなものについてはさらに詳細な調査、審理を行うということを考えておりますので、その点についても十分な配慮は加えているつもりでございます。
○橋本(文)委員 少年非行が激増しておるということから、それを画一的に迅速に処理をするというところに本来のねらいがあるのじゃないでしょうか。今おっしゃったようなことを言っていると、余りモデル試案をつくるような意味がないように思われるわけです。何とか早く少年非行の数を処理してしまって、裁判所の負担を軽減しようとしか考えられないのですけれども。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたような各家庭裁判所における事件処理要領に基づく少年事件の処理は、昭和四十年ごろに家庭裁判所の一部においてそのような方式を採用し始めまして、それが次第に全国的に各家庭裁判所において少年事件の処理として適正妥当なものであるというふうに認められ広がってきまして、現在では家庭裁判所の大多数の庁がそのような処理をしつつあるわけでございます。少年事件が増加傾向に転じましたのは昭和五十年以降でございまして、ただいま申し上げましたように、モデル試案が取り入れておりますような少年事件の処理の仕方というものはすでにそれよりもかなり前からなされてきているところでございますから、少年事件の増加とモデル試案の考えております少年事件処理の方針、方式は必ずしも結びつくものではないのでございます。 モデル試案は、先ほど来何回も申し上げてございますように、適正処理とともに両立する限りで迅速処理を考えておりますが、適正処理を犠牲にして迅速処理を追求するというようなことは全く考えていないところでございます。
○橋本(文)委員 各家庭裁判所で取り扱いが区々である、ばらつきがある、そこで均一化しようというようなことが言われておるようでございます。部外秘のために私の方もそれをよく質問するわけにいきませんので遠慮いたしますけれども、全国津々浦々の各家庭裁判所が一堂に会する機会がたくさんあるわけでございますね。そこでおのずから少年非行の問題も論議される。こういうケースの場合どうなっているというようなことは一遍にすぐ出るわけですよ。だから、そこでもってばらつきなんということは考えられないわけであって、裁判官の、いわゆる司法の独立も侵さない限度で、ああ、あそこはこうやっているのか、なるほどなというぐらいでおさまっていい問題じゃないでしょうか。それをあえて最高裁がこのケースの場合はこうなんだというようなことで指示していくというようなことは、やはり迅速処理、事務処理のスピードアップ、これしかないと思うのですよ。 別に僕、責めているんじゃないんですよ。ただ、そういうふうにしなければならぬというのは、裁判所の人的構成が貧弱だから何とかしなければならぬというんじゃないでしょうか。いろいろ問題はあるでしょうけれども、事務官の減員問題につきましても、聞いておって非常に情けないと思うのですよ。例えばポケットコンピューターを導入した、あるいはワープロ化をした、あるいは郵便法の改正によって送達状が還付される際に還付料を支払わなくてもいいとか、そんなところでもって事務の繁雑さから多少解放されます、そんなようなことでもって、しかし、いわゆる行革関連絡みで人員は削減していこう、そういうような本当に涙ぐましい御努力と思うのですけれども、そのために本末転倒があったんでは何にもならぬ。むしろ裁判所というのは、先ほどありましたように、そのときそのとき、時代時代に応じてわからぬものだ、予見性がないんだということをおっしゃっているわけですから、いたずらに事務官の、あるいは書記官のというような削減を図るんじゃなくて、必要なものは必要なんだ、将来の日本を背負う若者はどうするんだろうというもっともっと大きなところに視点を置いて考えていただきたいと思いますね。 いかがでしょうか、私の考え方の方がおかしいでしょうか。結局はスピードアップにつながっていく。個別主義であるのならば、むしろ人的構成をもっともっとふやす必要がある。いかがでしょうか。いわゆる第六次定員削減計画とかいうのがありまして、それに余りにも引きずられていくんじゃないかというような気がしてならないわけです。前の委員会か知りませんけれども、例えば予算要求にいたしましても、大蔵省の主計官と個別的に本当にやりとりをしながら最高裁の言い分をよく聞きますとか法務大臣おっしゃったように思いますけれども、本当にそうなんだろうか。逆に厳しい、これは多いのじゃないか、これは多いのじゃないかという形でもってしわ寄せがいわゆる事務官の方にも来ているのじゃないかというような気もするわけです。その辺からこんなような形でもってスピードアップが図られているとしたら、これは大問題である。いわゆる行政と司法とは根本的に違うんだ、その辺も私は強調したいわけでございます。いかがでしょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 モデル試案の目的、趣旨、内容につきましては、ただいま家庭局長がるる御説明申し上げたとおりでございます。 私ども、そのことによって省力化を図るとか、そういうことを考えているわけではございません。先ほど御指摘の定員削減計画の協力分と申しますのは、何度も申し上げておりますように、総務、人事、会計、資料といったような事務局部門におきましての方策をいろいろ講じますと、定員削減を図り得る余地が出てくるわけでございます。事務局部門で減らして、そのかわり裁判部門でふやす。言うならば、事務局部門から裁判部門へ人を動かしているわけでございます。家庭裁判所調査官につきましても、昨年度三名、今年度も三名増員要求をいたしておるわけでございまして、今後も家庭裁判所事件の推移を見ながら所要の措置は講じていかなければならないと思っております。あくまで適正迅速な裁判の実現という司法の達成のためには万全の措置をとるよう、増員を含めまして今後十分に努めてまいりたいというように考えております。 〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
○橋本(文)委員 これで終わります。
○森(清)委員長代理 岡本富夫君。
○岡本委員 裁判所定員法一部改正の法律案審議の前に、法務大臣おいででございますので、ちょうど今予算委員会が開かれている最中でございますが、我が党の矢野書記長が総括で法務大臣に質問いたしました指紋押捺制度の見直しについて、ちょっとお聞きしておきたいことがあります。 御承知のように、いよいよ大量の登録の切りかえ時期に入るわけですが、新聞報道等を見ますと、在日外国人に義務づけられておるところの指紋押捺問題の運用緩和の方針を発表されたようでありますが、これをちょっとお聞きしておきたいのです。
○嶋崎国務大臣 現行の外国人の登録制度についての政府の見解につきましては、先ほど御指摘になりましたように去る二月六日の衆議院の予算委員会において私の考え方をお述べしたわけでございます。したがいまして、結果から申しますと、我々、今の指紋制度を大幅に緩和するとか全廃をするとかいうような一部の報道等がありますけれども、そういうことは全く考えてないというのがざっくばらんに言って現実でございます。そのときに御答弁申し上げましたように、現行の外国人登録法というのは昭和五十七年に改正されたばかりでありまして、現段階において制度改正を行うこととするのはどうだろうかということを申し上げたわけでございます。 また、指紋制度についていろいろな御議論のあることは私たちも承知はしておるわけでございますけれども、これらの問題につきましても、今申し上げたいろいろな制度的な検討というようなことを部内でいろいろ研究をしているということは事実でありますけれども、少なくも早急に法改正をするというような段階ではないと私は思っておるわけでございます。ただ、昨年の日韓共同声明におきまして、在日韓国人の法的な地位及び待遇改善問題に関し、総理が、引き続き努力する旨発言をされておるという事実をも十分踏まえまして、法務省としてはこのような各般の事情を踏まえて、引き続き制度上及び運用上の諸問題について関係のところと鋭意検討をしてまいりたい、そういう趣旨のことを当時申し上げたわけでございます。我々も、総理の引き続き努力をするという話もありますから、そのことの結果を全く放棄しておるというわけではありませんけれども、少なくとも法改正をやるというようなことを考えてないというのが現実であろうかと思っております。
○岡本委員 そこで、まず国内問題としまして、例えば川崎市、あるいはまた札幌市。川崎市では、捜査機関に押捺しなかった人たちを告発するということはやらないと市議会も決定いたしておりますし、また市長もそういうような談話を発表しておる。札幌市も、告発の時効が切れる三年間は告発はしない、法的な手続をとらないというような、地方自治体でそういう問題が起こってきております。この問題について法務大臣はどういうようにお考えになるでしょうか。
○嶋崎国務大臣 川崎市が御指摘のような措置を決めておるかどうかということについて正式な報告はないわけでございます。したがいまして、その内容を熟知しているわけではありませんけれども、新聞等に報道するところから拝察するところによりますと、内部的な決定であると言っておられたり、いろいろな捜査の面については協力をするんだというようなことを言っておいでになったりしておりますので、憶測の域を出ないわけでございますけれども、少なくとも川崎の方からはそういう連絡がないというのが現実であるわけでございます。 しかし、御承知のように公務員が告発をするというのは、犯罪の事実があった場合に公務員に課された法律上の義務であるわけでございます。これを履行しないというのであれば、これはまことに遺憾千万なことであるというふうに私は思っているわけでございます。一々憶測で判断するわけじゃありませんけれども、法務省というのは法秩序を維持するのが基本的な大事な仕事であるというふうに私は思っておるわけでございまして、そういう中で地方公務員の方が告発をしないということはまことに適切ではない。本当に国と地方一体になって仕事をしなければならぬというような情勢を考えるならば、まことに遺憾千万だというふうに思っております。
○岡本委員 公文書ではそういうことは言っておりませんけれども、私の手元に参りましたのは、川崎市議会で告発をやめよというような決定をいたしておる写しがあるわけです。市議会でそういう決定をされると、市の吏員としては、お役人さんとしてはこれはなかなかできないということを考えますと、これは今二カ所だけ挙げたわけでありますけれども、そういうところが各所に出てくる。それをしないと警察の方で検挙するという場合もあるでしょうけれども、これを見ますと八十何万ですか、特に我が国の場合八十三万の登録対象者、そのうち韓国、朝鮮人が六十七万だそうでありますけれども、そんなにたくさんどんどん検挙するわけにもいきませんし、したがって、検挙された人とされなかった人、こういう何といいますかアンバランスということを考えますと、これから起こってくるであろう社会秩序の混乱というものをやはりここで考えていかなければならぬのではないか。この間聞いておりますと、大阪では高校生が集まりまして押捺拒否の盛んな運動をやっておりました。こういうように高校生といった子供にまで問題が起こってから法務省がおしりを上げるというようでは、私はちょっとぐあいが悪いのではないかと考えるわけです。 法務省は法律にのっとって、こういう大臣のお話でございますが、例えば、指紋採取は最初の登録だけにし、五年ごとの更新をやめるとか、そういった改正をやるという、まあ次の国会くらいには見込みをつけておくというような法務大臣の発言があってこそおさまるのではないか、そうでなければ相当社会秩序が壊れる、私はこういうように考えるのですが、もう一度ひとつ御答弁いただきたいのです。
○嶋崎国務大臣 幾つかの問題がありますけれども、こういう時代でございますからいろんな言論が風発をするということについて私はとやかく言うつもりは全然ありませんけれども、やはり地方の議会が現にあるその法律を破れと言っているわけではないし、方向としてそういう気持ちがあるというようなことを言われること自体を私何も否定するわけではありませんけれども、方向としてのそういう議論があったからすなわちその現在ある法律について批判をしていいんだというようなことにはならないと思うのです。やはりこの法の改正問題、私は先ほど申し上げましたように、引き続き検討するという事態になっておるわけでございますから、そのこと自体は我々もきちっと検討していかなければいかぬと思います。しかし、そういうことがあるから今のある法律を破ってよろしいんだという論理には少なくともならない。少なくとも法治国家でありますから、そういうところのけじめだけはやはりきちっとつけていかなければいけないというふうに思っております。 また、御承知のように、この五十七年の改正で十四歳から十六歳まで引き上げておるわけでございまして、集団的にどれだけ出ておるのかという件数等につきましては後から御説明をしても結構でございますけれども、そういう事実自体はまだ私自身は承知をしておりません。しかし、これはそういう規定になっておるわけでございますから、少なくともそういう方々にもきちっと指紋を押していただくということが適当なことではないかというふうに思っておるわけでございます。 それからまた、御承知のように、私自身も本年度は三年から五年に延ばした、そういう年でありますから、この非常にたくさんの人が、例えば三十七万人というふうに通常言われておりますけれども、そういう切りかえが行われるということについては十二分に承知をしておるわけでございます。しかし、民団系の皆さん方でも全く法規を守らないでこれを実行していいというような考え方ではないように私は承知をしておりますので、これは全部がそういう忌避犯になるというようなことにはならないんではないか。やはり外国の皆さん方も日本に生活をされているわけでございますから、その法律はきちっと守って御協力をしていただきたいと心から念じておりますし、またぜひそうあっていただきたいと私は思っておる次第でございます。 いずれにしましても、そういうことでございますから、先ほども申しましたように、この改正後初めての今度の切りかえ時期でありますから、それを本当に、本当の姿で着実に実施をしていただく、そういうやはり互いの信頼の中で次の問題というものは真剣に考えられるし、また改正その他の問題も考慮できるのではないかというふうに思っております。したがいまして、いつごろまでにというような日時を言われても、そのこと自体に今お答えするような段階に現在なっておらないというのが実態であろうかというふうに思っております。
○岡本委員 報道によると、この指紋の押捺の運用を緩和する、例えば今までは黒い墨でぎゅっと犯人と同じような、警察へ行ったようなやり方をしておりましたですわね。それを朱肉にして回転を廃止するとか、そういうような何といいますか運用の緩和といいますか、こういうことは考えていらっしゃるのですか。
○嶋崎国務大臣 実は、私、新聞でその記事を見まして、法務省がそんなことをやっておるようなことを書いてあるのでびっくりしたわけでございますけれども、どういうところから出ましたか私は全然承知をしておらないわけでございます。いずれにしましても、そういう事柄について少なくとも私は全く承知をしていないというのが現実であるわけでございます。ただ、その運用その他につきましても、例えば法改正に至らないところの分野につきましても、いろんな工夫がないかということは内部でもいろいろ議論していることは事実でありますけれども、何か全面的なものではなしに簡単に済ますというようなことで処理をするなんというようなことを少なくとも法務省で検討しているという事実はありません。
○岡本委員 時間があれですからあれですけれども、大臣、制度が現にある以上法は守らなければならないという法務省の立場はよくわかるのですけれども、その制度に対する余り硬直した姿勢ではかえって混乱を起こすのではないか。御承知のように、韓国、朝鮮人ですか、ほとんどは戦前から日本に住んでいた人たちの子孫ですし、それから普通日本に生活の根をおろして、もう余り変わらない、定住した、日本人と同じ、これを外国人扱いするということに非常に抵抗があるわけですね。特に子供たちが学校へ行っておりまして、初めはわからなかったけれどもそういうことでわかってきたというのでそれを隠した、そんな問題で、法は法でありましょうけれども、余り硬直した姿勢をお示しになっておりますと特に混乱が起こってくるのじゃないか、こういうように考えられるわけですので、今国会はこれは法改正したところですから、次の国会にはどうしても検討したものを出していこうという、法務省としても若干やわらかい姿勢といいますか、やはりこういうのを示すときが来たのではないか、こういうように考えられるのですが、いかがでございましょうか。
○嶋崎国務大臣 私自身も新聞等を見まして、今御指摘のようなこともありますし、また皆さん方からも何か非常に硬直的な姿勢をとるというのはかえってマイナスになるのじゃないかというようなお話を承っておるわけでございます。私自身も、先ほど来申し上げましたように、矢野書記長への御答弁の中でも、これはもうやはり国内的な問題だけではなしに国際的な問題というものも十分踏まえて慎重に検討しなければならぬということでありましょうし、それからまた総理の引き続き努力をするという発言もありましょうし、議論は十分承知をしているということも言っておりますし、それから制度的にもいろいろな工夫をやっていかなければならない、そういうことを前提にお話を申し上げておるわけでございますが、そういう中で今にも大幅改定をやるとか全般的な改正をやるというような新聞の報道がなされておるわけです。そういう政府の中で非常に不統一のあるような新聞記事が出るというのが本当に逆に皆さん方を惑わす結果になるのじゃないかというふうに私は思っておるわけでございます。私たち自身も今度の通常国会に必ずけりがつけられるというようなことはこういう席でお約束できるような状態に現在のところない姿であろうというふうに思っておりますけれども、そういう姿勢は持っていかなければならぬことだと私と思うのです。 ただ、そのことと、だから告発をしないとかいうような、国家公務員が、法律を守って仕事をしていかなければならぬ人がそういうことをやらないんだという考えとの間には完全に中に一つの区切りがあるはずだ、私はそう思うのでございます。そういうことをひとつ皆さん方にもよく理解をしていただいて、やはりきちっとするところはきちっとしていただかないと、皆さん方も関西地区でいろいろなケース、過去の経験もおありでしょうけれども、そういうような事態にならないように、やはり事柄はきちっと整理するところは整理をしていく、いろいろな検討していくところは引き続き検討する、やはりそこは分けて事柄を考えないと非常にぐあいが悪いのじゃないか。川崎市の場合あるいは先ほど続いて札幌もお考えになるというようなことだとすると、どうもまことに余り適当なことではないように私は思っておる次第でございます。
○岡本委員 外務省、おいでになっていますか。この夏にソウルで行われるところの日韓定期閣僚会議の席上今のこの話が出ると思うのですが、これは乗り切れるわけですか、どうですか。これについて一遍御意見を承りたい。
○渋谷説明員 お答えいたします。 日韓定期閣僚会議の日程は未定でございます。今後、韓国との間で外交ルートを通じまして、日程等につきましては話し合っていくことになると思います。指紋押捺問題を含めて在日韓国人の待遇の問題につきましては、従来から日韓の間で設けられております実務者協議の場を通じまして、今後話し合っていくことになるかと思います。
○岡本委員 課長さんに言うのは少し気の毒だからあれですが、大臣、例えば川崎市議会でそういう決議をしてしまいますと、川崎市役所にいるお役人さんというのはこれはできないわけですよ。市会で決議してしまって、市の吏員ですからね。そういうことを考えますと、しかも人数が二人や五人や十人ということであれば、これは今大臣がおっしゃったようなことで済むと思いますけれども、何せ七十万ですか、新聞報道で、韓国とそれから朝鮮人がそのうち六十七万ですか、こういうように書かれておりますけれども、そんな、何十万という人たちが一律に歩調をそろえて全部やる。これはできないということは大臣としては、法務省としては建前でありまして、実際にはそういったことで登録する人もいるかもわからない、しかし、しないで頑張る人もいる、こういうことでありますと、しないで非常に頑張った、またしないけれども、告発をされずに済む人もいる。同じ人間でありながら、同じ国籍でありながら、同じ条件でありながらそういった非常なアンバランスということは考えられることでありますから、こういった混乱を今から法務省としては考えておかなければならないのじゃないか。したがって、それについて私が今一つの提案を申し上げましたように、今国会、法律がちゃんとあるんだから無理だ、しかし近い将来には何とか緩和するような方向でいこうというような温かい案を出していくということでそういう混乱がおさまるのじゃないか、私はこういうように考えるのですが、いかがでしょうか。
○嶋崎国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますように、私自身も、引き続き検討するということに日韓の共同声明でなっておるわけでございますから、その点については本当に今後とも研究をしていかなければならぬし、またその改善に努めていく努力もしていかなければならぬというふうに思っておるということ、これだけは御答弁申し上げたとおりでございまして、何にも、それを逃げも隠れもしておるわけではありません、そういう方向で考えていきたいと思います。 ただ、先ほど次の国会に出せるかというような日限を切ったお話をされるものですから、そこまで話はとても煮詰まっている現在の段階ではありませんというようなことを申し上げたような次第でございます。しかし、共同声明の趣旨もありますし、それからこの問題は、ただ単に日本におられる韓国の皆さん方だけの問題じゃなしに、どの国籍を持っておられるような方々に対しても、ひとしく適応されるような考え方で事柄を処理していくということが基本的な大事なことでございますから、そういうことも含めて、その問題については十二分に検討を進めていきたいというふうに私は思っておる次第でございます。
○岡本委員 大変恐縮ですけれども、そうしますと、次の国会は約束できないけれども、近い将来にそういったものを検討して——ただ検討しておる、検討しておるで何年もかかったのでは話になりませんので、次国会はやりますということはなくても、近い将来には政府部内でそういった調整をとって、法改正も含めて研究をしていくということでございましょうか。これだけちょっとお聞きしておきたい。
○嶋崎国務大臣 今検討を進めておる段階でございますから、法改正の問題も含めて、いろいろな、実行上何らかの対策がとれないかということについては、これはもう引き続いて検討をしていきたいというふうに思っておる次第でございます。
○岡本委員 余りいい答え、出ませんね。私は、この問題は、やはりことしは非常に大変な騒ぎが起こる、このことをひとつ頭に入れて、世の中の治安のためにひとつ手を打っていただきたいことを重ねて要求いたしておきます。
○嶋崎国務大臣 岡本委員のお話は、十二分に受けとめて考えてまいりたいと思います。
○岡本委員 時間が余りありませんから、そこで次は、裁判所の適正配置問題について、若干お聞きをいたしたいと思っておりますが、昨年来この問題が法曹三者協で検討されているようでありますけれども、現在の状況はいかがになっておりましょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 昨年二月に、三者協議会で裁判所の適正配置問題につきまして協議したいという申し入れをしました。六月に議題として取り上げて、その後現在までおおむね月一回のペースで協議を重ねてきたわけでございます。この間、主として裁判所側から全国の簡易裁判所について、昭和三十年以降の人口動態の変化であるとか受件数の推移、交通事情の現状等に関するかなりの資料を提供いたしまして、簡裁配置の見直しの必要性、その背景事情のほか見直しについての基準のあり方等について説明してきたわけでございます。 御承知のように、簡裁制度発足以来、今日まで四十年たっておりまして、その間に地方から都市への人口集中化という現象もございますし、その結果、簡裁の受件数そのものも都市部に著しく集中いたしまして、地方では激減するという現象が生じております。都市部の簡裁と地方の簡裁との間で、受件数の面でも、受件処理の面でも著しいアンバランスが生じておる。簡易裁判所全体の機能を眺めてみますと、種々のむら、ひずみが生じていること、他方、交通事情はモータリゼーションの発達等によりまして著しく好転しておりまして、住民の生活圏域というものも大変拡大しておる。各簡裁間の距離関係というのは、時間的に見ますと短縮されてきておるというような基本的な社会事情の変化と、現在の時点における簡易裁判所の配置によって生ずる問題の所在を明らかにいたしまして、その上で今日、配置の見直しを考えるに当たっては、基本的には地域住民の簡裁利用のしやすさ、いわばアクセスの点、それから現実の簡裁利用の、需要度の、いわばニーズの二つの面から見ていくべきではないかというようなことを御説明したわけでございます。 裁判所側の一通りの説明を受けまして、日弁連側におきましては、昨年末ごろから各単位弁護士会で各地の実情を調査しておられるようでありまして、近々これらを踏まえた御意見を述べられる予定になっております。今後はその御意見を伺いまして、全国的な観点から見直しの方向、規模、内容等につきまして、意見交換を行いますとともに、この問題は、国民の裁判所利用の便益にかかわる問題でございますので、法曹以外の各層の有識者が入っておられる法制審議会という、より広い場で御検討いただきたいと考えております。
○岡本委員 確かに、国民の裁判を受ける権利、それと絡む重要な問題でありますけれども、過疎地に行きますと、小学校を統合したり中学校を統合したり、いろいろな適正な、大変なところもやっておりますが、昭和二十二年でしたか、裁判所が各所に配置されました。中には、その地域に弁護士さんもいない、それから、特に過疎地に配置転換される職員の皆さん、単身赴任だとか、各地裁の事務長さんといいますか事務局長さんといいますか、あなた今度行ってくれと言っても、この配転問題で頭が痛いようであります。それで、また、弁護士さんもそんな遠いところへ行くということは非常に事務が煩雑である。現実の問題は、そういうような問題を非常に含んでおる状態だと私は思うのです。 裁判のように長い間かかって、いつまで、何年も何年も検討されておるようではこの問題は推進できないのではないか、こういうように私は考える一人なんです。法曹三者協ですか、法務省もこれに入っておるわけですが、法務省の考え方はいかがでしょうか。
○菊池(信)政府委員 先生御指摘のとおり、現在、法曹の三者の協議会で協議しておりますが、先ほど裁判所側でおっしゃいましたように、三者協議会で一定の話の段階に達して、ある内容の話が煮詰まったという場合に、次に、簡易裁判所配置の問題は法律の改正の問題になりますので、法制審議会を恐らくやることになるだろうと存じております。その法制審議会は私どもの法務省がいたすことになりますが、その結果、一定の結論が出ました場合に、その結果に応じまして、地元を初めとする各方面の御意向を十分承りながら法案化の段取りになってまいると思います。したがいまして、これは、おっしゃいますように、物事の進め方としてはできる限り早くということが望ましいと思っておりますが、反面、いろいろな各方面の御意見も承りながら慎重でもあらなければいけないと思っておりまして、そういうことで、可能な限り適正なスピードで物事を進めてまいりたいと思っております。
○岡本委員 調べてみますと、年間十件もない、そういうオーダーしかないというような乙号支部あるいは簡裁、それに反面、簡裁で済んでいたところが今度は人口が急増いたしまして、もう甲号支部と同じぐらいの事件がある。こういったアンバランス、これはやはり早急に着手をできるようにしないといけないのではないか。このことによって裁判に影響があるとは考えられないと私は思うのです。裁判は最後まで公正な裁判をやる、また調査もそうしなければいけませんけれども、今話がありましたように、私は兵庫県なんですが、これを全体見まして、ずっと回ってみまして、本当に手持ちぶさたといいますか、少し住民のために法律相談にも乗ったらどうだというようなことがありますけれども、この職員さん、事務官あるいは書記官という方は、やはり裁判官じゃありませんし、それから、そのときに結論を出せる人じゃありません。あるいはまた、言ったことに結局責任があるということになりますから、弁護士さんのようにいかないわけですね。したがって、どっちかといいますと、お気の毒な立場、暇で仕方がない。ところが、そこへ単身赴任しなければならない。こういうようなことで、非常に現実に即していないように思うのです。したがって、私は、この問題はひとつ早急に解決できるように裁判所の方もやってもらいたいと思うのです。そこで、提案といたしまして、中央、要するに東京で日弁連さんと法務省とそれから裁判所が寄っていろいろな相談をなさるのもよろしいのですけれども、一つ一つの現実というものは、これは望遠鏡で見ておるようでなかなかわからない。そうすると、必要なところを統合してしまったり、そういうことはありませんでしょうけれども、あるいはまた簡裁でどうにもならないところを残しておいたりする。これを一番よくわかっておるのは、何と申しましても地方の裁判所、地裁だと私は思うのですね。同時に、そういったことを一番よく知っておるのは、また地方の弁護士会。だから、この地方の三者でよく相談をして、そして各地裁ごとにそのたたき台をつくってもらって、そしてそれを中央で検討する、そうした方がより現実的であり、また、より進むのではないか、私はこういうように考えておるわけですが、この点についての御意見はいかがでしょうか。まず裁判所の方から伺いましょう。
○山口最高裁判所長官代理者 適正配置の問題は、何よりも地元の実情をよく理解し、また地元の方々の御意向も十分伺いながら考えていかなければならない問題であろうかと考えております。先ほどちょっと申しましたように、各地方の弁護士会におかれまして地元の市町村あるいは商工会等について調査をなさったりされる動きもございました。そのほかいろいろ動きがございまして、地元の市町村から地方裁判所の方にこの問題はどうなっているのであろうかというお問い合わせが最近しばしば寄せられるようになっております。私どもといたしましても、中央で机上の空論のような論議をしていても、これは必ずしも好ましくないわけでございまして、しかるべき機会に各地裁から地元の市町村等に伺いまして、簡裁が置かれている状況を十分御説明申し上げ、御理解いただくようにいたしますとともに、十分地元の御意向も承るような手はずを整えたいというように考えておるわけでございます。また、地元の裁判所におきまして対応します単位弁護士会のお考え方も、これもまた伺わなければならない。もっとも、日弁連を通じまして現在の段階でも各地元の単位弁護士会の御意見というものが吸収されつつあるような状況ではございます。それから中央の段階でもそういう御意見は伺うことはできますけれども、地元の方でもいろいろな関係方面の御意向を伺わなければならない。地元でたたき台をつくって持ち上げていくというのも一つの方法ではございます。しかしながら、この問題はやはり全国的規模で考えなければならない問題でもございますので、中央でもひとつ基準についていろいろ論議もしなければならない、かたがた地元の方でどのような受けとめ方をなさっておられるか、その辺のところの情報も十分把握した上で物事を進めていきたいと考えております。
○岡本委員 法務省は、どういうお考えでしょうか。
○嶋崎国務大臣 ただいま最高裁からお答えになったとおりでございますが、我々も出先があるわけでございまして、そういう意向というものを十二分にくみ上げて三者協議会の中でも論議をしていこうと考えております。ただ、御承知だと思うのですが、例えば法務局の出先の整理問題を一つ考えても、総論は賛成いただいても各論になりますとなかなか理解をいただけないというケースも相当多いわけでございます。そこで、やはり全国的な視野も持ちながら、しかも地元の意見を吸い上げる、そういう絡みをよく考えて運営することが必要であろうというふうに思っておるのが実情でございます。 しかし、せっかくの三者協議会でございますから、できるだけ早く実を結ぶような努力をやっていかなければいけないと思っておる次第でございます。
○岡本委員 時間が参りましたので、たくさんお聞きしたいことありましたが、これで終わりますが、大蔵省にも後でまた保険等について御説明に来ていただきたい。とこでは質問をやめておきます。 ただ、裁判官の手薄に乗じて手形処分禁止のにせ仮処分問題、先ほど同僚の橋本委員から話がありましたが、この再発防止はきちっと手を打っておいていただきたい。そうでないと、特に中小企業あたりはこういう問題で非常に被害を受けることが多いわけです。それによって結局倒産してしまうというような場合もございますので、非常に大事な問題ですからきちっとした処置をお願いしたい、これだけ要求いたしまして、きょうはこれで終わります。御苦労さまでした。
○森(清)委員長代理 午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時十三分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○森(清)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 委員長所用のため、委員長の指名により私が委員長の職務を行います。 質疑を続行いたします。中村巖君。
○中村(巖)委員 本日は裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審議でございますので、この法案に即した事柄だけを私は御質問を申し上げたい、こういうふうに思うわけでございます。法案の内容は裁判官の増員あるいは書記官の増員、事務官の減員というような、こういうような法案でございますけれども、最初に裁判所のことからお伺いをいたしてまいりたいと思います。 まず、大ざっぱな言い方で大変に申しわけないのでありますけれども、現在裁判所が運用をされているわけでありますけれども、最高裁判所としては、現在のこういう定員の中で裁判所が運用されているということについて、一体裁判官というものが足りないという御認識なのか、そうでもないという御認識なのか、こういうことから伺っていきたいわけであります。つまり、逆さまから言いまするならば、裁判官をもっともっとふやせば一つには訴訟がもっと迅速に進むのかどうかということ、さらにはまた、裁判官が足りないという意味では、今の裁判所で裁判官が執務をしておられる、忙しくて忙しくてしようがない、人並みの生活が送れないようなこんな忙しさがあるのだということなのか。そういうようなことを含めて、先ほどの審理促進の問題からするならば、裁判官をふやせば既済事件の平均審理日数というか、こういうものも減らせるのかどうか、その辺のことをまずお伺いを申し上げたい。
○山口最高裁判所長官代理者 現在の裁判官で不足かどうかというお尋ねでございますが、裁判官の適正数というものを考えるのは、これは非常に難しい問題があるわけでございます。裁判制度に対する国民の考え方であるとかあるいは裁判制度のありようであるとか、そういういろいろな点にも関連いたしますし、裁判所が受理いたします事件の数、内容、そういうものにも左右される問題でもあるわけです。訴訟の遅延の問題につきましては、よく言われておりますように、事件そのものの複雑、困難性という事件に内在する原因であるとか、あるいは多数の集団訴訟の場合も事件に関連する問題でございます。それから、当事者双方に起因する問題もございますし裁判所に起因する問題もございます。裁判官の数をふやしましても、裁判所に起因する訴訟遅延の原因についてはある程度はカバーできますけれども、当事者双方にかかわる問題であるとかあるいは事件そのものに内在する要素につきましては必ずしもカバーし切れない面があるわけでございます。 そういう観点からいたしますと、裁判所の裁判官のあるべき数というものを考える場合には、はなはだ抽象的な物の言い方で恐縮でございますけれども、裁判所の使命である適正迅速な裁判に支障を来すかどうか、これを判断する一つのメルクマールとしては、今御指摘の平均審理期間というようなものも取り上げられようかと思います。幸いに現在までのところ、五十八年度は民事訴訟事件につきましては事物管轄改正の影響等が若干ございまして平均審理期間が若干ふえましたけれども、五十九年度にはまた下がってきつつあるように見受けられまして、四十七年、四十八年あるいは四十九年、五十年当時からいたしますと、民事訴訟にしましても刑事訴訟にしましても、簡易裁判所の刑訴、民訴にいたしましても平均審理期間はかなり縮まっておりますので、そういう意味では現在の裁判官の数でも決して足りないというわけではないだろうと思います。まあ、それで十分かと言われますと、これはそうでもございませんので、今年度も裁判官の増員をお願いしておりますし、これまで逐年増員をお願いしてきたわけでございます。 裁判官が忙しくて困るかというお尋ねにつきましては、私ども経験的に申しますと、地裁の民事訴訟を中心にして考えますと、未済事件を二百件抱えまして年間の新受件数二百をこなしていく、大体この程度であればそう負担は重くないだろうというように考えてきておりますが、現在はそれよりも若干下回っているような感じでございます。
○中村(巖)委員 今ちょっとお話を伺ったわけですけれども、もう一つはっきりしないで、何というか、そのときそのときで社会の状況というものは違ってまいりますからそれに対応しなければならないということはあるでしょうけれども、司法部自体、裁判所自体というものの今後の構想として、やはりもっともっと裁判官を多くしていきたいのだ、しかしながら今いろいろ、国家の財政の問題とかそういうことで一定の制約があるのだからこのくらいで我慢をしておるのだ、こういう御趣旨なのか、それともこのくらいならばちょうどいいのだというおつもりでおられるのか、その辺のことをもう一つはっきりおっしゃっていただきたいと思うのです。
○山口最高裁判所長官代理者 裁判所には、中村委員御承知のとおり、二重予算権の制度があるわけでございます。したがいまして、裁判の適正迅速な実現という裁判所の使命を果たすために必要な増員はどこまでも要求していかなければならないというようには考えるわけでございます。他面、裁判所も国家機関でございますから、国家が置かれている状況、財政事情というようなことも十分考慮しなければならない、これもやはり国民に対する使命であろうかと思います。 もう一つは、裁判官はやはりかなりの水準を維持して確保しなければならない。そうなりますと、裁判官の枠を広げても充員ができないというようなことであっては困る。充員の可能性をにらむ必要もございます。その辺のところから勘案いたしまして、今回の裁判官九名の増員という結論を出しているわけでございます。
○中村(巖)委員 私は今抽象的に聞いたので、それは、充員の可能性がなければこれは充員ができるわけはないので、司法試験から研修所、こういう一つの制度が設けられていて、そこから任用をしなければならないわけでありますから、それはおのずと限度があることは私も十分承知をしているわけでございます。そこで、今回の裁判官九名の増員、こういうことでありますけれども、建前としていろいろ名目がついておるわけでございましょうけれども、それと同時に、やはりそれだけの定員の枠を広げることができるというか、充員の可能性というか、そういうものがあるからこそおやりになっている、こういうことだろうと思うわけでございます。 そこでお伺いをいたしますけれども、資料によりますれば、現在のところ裁判官は判事は三十一人の欠員である、こういうことになっているわけでございます。これが昭和五十九年の十二月一日現在でございますから、さらにことしの四月に新しく十年の判事補を終えた人を任官するということになりますと、その枠がなければ困るわけでありまして、現在の欠員三十一から、ことしの三月の末までにさらにおやめになる方が、定年でおやめになったりあるいはまた公証人その他になられておやめになられる方があるわけで、そういうのは、大体どのぐらいあるということで見込んでおられるのでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 昭和五十九年十二月一日現在の判事の欠員が三十一名でございます。それで、その後現在まで少しずつ減少してきているわけであります。裁判官の充員は、四月の大体半ばになりませんと、三月の末から四月の初めにかけての退官とかあるいは新規の任命とか、そういったものが一応落ちつく状態にはならないわけでございます。そこで、四月の半ばころまでの欠員を予測するわけでございますが、いろいろ浮動的な要素がありましてはっきりした数というのはなかなか出にくいわけでございますが、一応、現在のところ十二月一日から四月の半ばころまでの新たに生ずる欠員は、三十名程度というふうに見ております。
○中村(巖)委員 それでは一方で、判事補を卒業してと言えばおかしいけれども、判事補を終わって今度は判事に任官をしよう、こういう人たちの数というかそういうものがあるわけでございまして、ことしの四月に判事になろうとする人は昭和五十年に司法修習を修了したいわゆる二十七期という方々だというふうに思うのですけれども、その方々の中で、今判事補として今度判事になる予定、なり得る立場にある人は何名ぐらいおるわけでございましょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 この春に判事任命資格を取得する第二十七期の判事補でございますが、現在見込まれております判事任命の予定と申しますか、判事に任命することを希望しておる者は六十八名でございます。
○中村(巖)委員 そうなりますと、先ほどのお話で、ことしの春までに欠員になることが見込まれる人数と、それから判事になろうとする人の人数との差というものはどうしても出てきて、やはり定員の枠を広げなければその判事に任官を希望している人を任用することはできない、こういう関係になるわけですね。
○櫻井最高裁判所長官代理者 先ほど申しました昨年の十二月一日現在の判事の欠員三十一名と、それからその後四月の半ばころまでの判事の減少約三十名、これを合わせまして六十一名でございます。これに、今回増員をもしお認めいただければ九名の判事の定員が加わりまして、大体七十名程度の枠ができるわけでございます。それを主として二十七期の判事補六十八名で埋める。それ以外に、春には人事異動がございまして、例えば検察官から戻ってくる人とか、いろいろございまして、大体七十名の枠をほぼ埋めることになるだろうというふうに考えております。
○中村(巖)委員 建前はともあれ、そういうことで新しく判事になる方々の受け入れ枠を広げなければならないから裁判官の定員の増を必要とする、こういうことになるのだろうというように思っているわけでありますけれども、しかし、この判事補の、今は二十七期の話でありますけれども、二十七期以降去年研修所に入った人までの、それはまだ最近入った人は何名が判事補になるかわかりませんけれども、その数の変動というものが逐年あるわけで、各期の判事補の数というものはいろいろまちまちだろうと思うわけでありますけれども、その変遷というか、数が順次二十七期以降どうなっているかということがおわかりでしたらば教えていただきたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 二十七期以降の判事補の数でございますが、二十七期は当初任命八十四名でございました。それが、各年度順に申しますと、二十八期が七十八名、二十九期が七十名、三十期が七十六名、三十一期が六十一名、三十二期が六十三名、三十三期が六十一名、三十四期が六十二名、三十五期が五十七名、三十六期が五十八名となっております。
○中村(巖)委員 そういうふうな状況を見ますると、二十七期が特別に数が多いというふうな状況になっているわけでありまして、どちらかというと逐年判事補の数は減っていくということで、今のお話で、五十八年、五十九年の三十五期、三十六期ということになりますと、今度は五十七人とか八人とかそういう人数になってしまうわけでございます。となると、今定員の枠を広げておきましても、今度は定員が余ってしまうという現象がどうしても出てくるわけで、五十一年度の、つまり二十八期ですら二十七期に比べて六人ないし七人少ないわけでありますから、そういう状況がどうしても生じてくる。そうなると、今度は裁判所としては定員の減ということでおやりにならなければならない、こういうはずになるわけでありますけれども、その辺はどうお考えでございましょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 仰せのとおり判事の給源を判事補のみに求めてまいりますと、計算上は将来判事の定員にあきが生ずるという事態が生じてくることも考えられるわけでございます。将来の問題になりますと非常に見通しが困難なわけでございますけれども、仮に将来事件の増加が著しくて複雑困難な事件も現在よりも多く係属するというようになってまいりますと、やはり事件処理の中心である判事の充員というものがどうしても必要になります。そういう場合には単に判事の給源を判事補のみに求めるだけではなくて、弁護士あるいは検察官、その他いろいろの層からも判事の任官希望者を求めて欠員の補充をして事件の処理の遺憾なきを期さなければならないという事態になってまいろうかと思っております。 そうではなくて、欠員ができて、それはむしろ定員減を図ってもいいんだというような状況でございますと、判事補あるいは簡裁判事とのいろいろな絡みで考えなければならないわけでございますが、今この段階で将来のある時点における判事定員を削減するかどうかということについては、何ともお答え申し上げかねるわけでございます。
○中村(巖)委員 局長はそう抽象的におっしゃるけれども、この判事補の現在の現実の姿というものを見ますれば、これは必然的にそうならざるを得ないことは明らかであるわけで、検察官あるいは弁護士から裁判官を任用するといってもそんなことは現実には不可能なことで、現にそういった時代にも、弁護士から近年全然任用をしていないわけでありますから、やはり将来は給源が非常に少なくてお困りになる事態が来るだろうし、やはりそうなると、枠を狭めるかどうかは別にして、判事の欠員が非常に多く出るというようなことは起こり得ることであるというふうに思うわけでございます。 そこで、今そういうふうに判事補への任官というものが、二十七期以降は大変に数が減っている、こういう状況、これはなぜ生じているのか。また、これについて裁判所はどういうふうにお考えになっておられるのか、その点をお伺いをいたします。
○櫻井最高裁判所長官代理者 まず、判事補の任官状況をちょうど二十七期から申し上げましたので、ずっと下降の一途をたどっているような観を呈したわけでございますけれども、実はその前の方、例えば二十二期から二十五期あたりを見ますと、このあたりもかなり少ないわけでございます。例えば二十二期は六十一名、二十三期が六十三名、二十四期が五十八名、二十五期が六十五名というように少ない時期がございまして、ちょうど二十六期、二十七期のところが一つのピークになっておるわけでございます。そういったこともございますので、この十年間だけをとってみますと、確かに減少してきてはいるのですけれども、それが本当に今後も減少の一途をたどるのかどうかということにつきましては、必ずしもそうも言えないのではなかろうかと私ども思っているわけでございます。 ただ、最近の傾向ということで見ますと、これはどこに原因があるのか。個々の司法修習生の事情というものを逐一検討しないことにはなかなかわからないわけでございますが、一般的に感じられているところを申し上げますと、一つは、これはもちろん昔からそういう点があったわけではありますけれども、裁判官の仕事を修習生が実務修習中に見ておりますと、責任が重い割には地味な仕事である、しかも記録に埋もれて毎日を過ごすようなそういう仕事である、そういう意味で、必ずしも若い人たちの気持ちにぴったりこないというところがあるのではなかろうか。司法修習生でございますから、裁判官になれなくとも、弁護士の仕事もあり、検察官の仕事もある、そういった生き生きとした仕事を選ぶことができるというようなところが一つ原因しておるであろうかというふうに思います。 それからもう一つは、最近子供の数が少ない家族構成がふえてきております。そうなりますと司法修習生になっている人たち、例えば一人っ子であるとかあるいは兄弟があともう一人であるとかいったような人たちがやはりふえてきております。その人たちが転勤のある仕事であるところの裁判官を選ぶというのは、その修習生の属している家族から見ると、やはり相当に抵抗を感ずるものがあるようでございます。そういったようなことがその原因として考えられる中の幾つかであろうかというふうに思っております。 しかし、さっき申しましたように、これで減少の一途をたどっていくのだというふうには私たち考えないわけでございまして、来年度以降、裁判官の仕事の意義といったようなものを十分理解してもらって、さらに裁判官の任官というものを確保していきたいと思っているわけでございます。
○中村(巖)委員 今後減少の一途をたどっていくかどうかは私もわかりませんけれども、少なくとも昭和五十八年、五十九年の司法修習終了者、つまりその人たちが判事になる昭和六十八年とか六十九年、こういう時代には、判事補は別といたしまして、判事そのものは非常に不足をする深刻な事態にならざるを得ないのではないかということを危惧をするわけでございます。 それから、簡易裁判所の判事の定員が今七百七十九、こういうことになっているわけでありますが、まず、簡易裁判所の数が全国にどのくらいあるかということと、それから、簡易裁判所の中においても、事務を取り扱ってない庁があるわけでありますから、それを引いて、実際に事務を取り扱っている庁というのはどのくらいあるわけでございましょう。
○山口最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の総数は五百七十五でございます。そのうち、御指摘の全部事務を移転いたしております庁は二十二庁でございます。
○中村(巖)委員 その簡易裁判所におきまして、裁判官の配置のない片あるいは兼務裁判官しか配置をされていない庁というのはどのぐらいございましょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 簡易裁判所で裁判官の常駐しておりません庁は合計で百四十九でございます。そのうち百三十四庁は別なところの裁判所の常駐判事が兼務いたしております。それから、十五片はよその庁の勤務者がてん補によって事務処理をいたしております。
○中村(巖)委員 今、裁判所の適正配置というようなことがいろいろ言われて、三者協議でやられておるわけでありますけれども、裁判所としては、やはり簡裁の判事をふやせないような状況ということから、それなら簡易裁判所そのものを減らしてしまったらどうだ、こういうような発想で適正配置のことをお考えになられているような感じが非常にいたすわけでありますけれども、その辺は、本当のところは、この適正配置問題と簡易裁判所の判事の数の関係というのはどういうふうにお考えになっておられるのでございましょう。
○山口最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の判事の増員ができなくて、いわばその穴埋めをするために適正配置の問題を考えているのかというお尋ねのようでございますが、これは何回となく御説明申し上げておりますように、戦後の四十年間の社会事情の変化がございまして、現在の裁判所の配置が現在の社会事情にマッチしていないでいろいろなむら、ひずみが出ているからそれを是正したいという考え方に基づいているわけでございます。 もちろん、ただいま申しました非常駐庁の問題がございますので、非常駐庁と申しますのはできる限り解消していきたいと考えているわけで、その一面からいたしますと、要するに非常駐庁に判事を配置すればいいのに、そのかわりに集約化をして非常駐庁の解消を図るのではないかとあるいは申されるかもしれませんけれども、私どもは、そういうふうな消極的な意味での考え方では決してございませんで、裁判所を集約化することによって、そこを人的、物的にも充実していく、それから、簡易裁判所の事件数の増加が著しゅうございますけれども、今後の傾向も見ながら、適正配置をてこにして、必要な増員であればこれは断固として求めていかなければならないというように考えているわけでございまして、単に簡易裁判所の判事の人員増のかわりに適正配置を考えている趣旨では全くございません。 〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
○中村(巖)委員 今お伺いしたように、簡易裁判所は事務を取り扱わない庁も含めれば五百七十五片、事務を取り扱っている庁だけでも五百五十三庁というふうな数に上るわけで、その四分の一が裁判官の非常駐庁でありまして、そうならば、私の方の考え方とすれば、簡易裁判所の判事をもっとふやせばいいではないかということで、簡易裁判所の判事に関する限りは、これは給源が判事補からというようなことはないわけでありますし、また、判事補みたいに司法試験を合格してこなければという話はないわけでありますけれども、簡易裁判所の判事の増員というものを裁判所がお考えになられておらないという理由はどこにあるわけでございましょう。
○山口最高裁判所長官代理者 仰せのとおり、ここしばらくは簡易裁判所の判事の増員はいたしていないわけでございます。御承知のとおり、昭和四十五年に民事の事物管轄が拡張されまして、その後、簡易裁判所の事件は一たんはふえましたけれども、年を追うごとに少なくなってきたわけでございます。今から十年前の五十年当時と比較しますと、昨今は非常に事件はふえております。ふえておりますから、形式的には負担増のようには見受けられますけれども、実は従来の簡易裁判所の負担は比較的軽かったという問題が一つございます。 それから、昨今の事件増は、御承知のとおりサラ金、クレジットのいわゆる消費者信用関係事件が多うございます。訴訟でございますと、こういう事件はおおむね欠席判決で処理されるわけでございます。それからサラ金調停につきましても、事前の調査とか定型的な処理がかなり可能なようになってまいっておりまして、処理率も非常に高まっております。 そういうような状況からいたしますと、事件数に見受けるほどの負担増にはなっていないわけでございまして、そういう観点から、さしあたり要求度の強い地裁の民事執行、破産の処理のための裁判官の増員要求あるいは家庭裁判所における一般少年保護事件処理のための裁判官の増員要求をいたしているわけでございます。
○中村(巖)委員 裁判官の問題はそのくらいにいたしまして、裁判官以外の裁判所の職員のことについてお尋ねをするわけでありますけれども、今回の法案の内容、これは結局せんじ詰めると、事務官の関係で最高裁から三人、高裁から七人、地裁から八人、家裁から十人定員を減らして、合計二十八人の定員を減らして、その一方で簡裁に十六人の事務官をふやし、かつ地裁、簡裁の書記官を合計して十人ふやす、こういうような内容になっているわけでございまして、結局、主として簡裁の事務官の充実あるいは書記官の充実ということのために員数合わせ的に地裁、高裁、最高あるいは家裁の事務官を減らした、こんなような感じがするわけですけれども、実際のところはそういうふうな考え方でこの計画が立てられているのでございましょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 片方で増員、片方で減員という関係がございますので、員数合わせという御指摘があったわけでございますが、私どもといたしましては、書記官の場合はやはり一定の資格が必要でございますから給源の関係をにらまなければならないわけでございますが、先ほど来申し上げております地裁、簡裁における事件増、これはいろいろ事務の省力化を、例えばパソコン、ポケコンの配付であるとか、あるいは送達事務の合理化であるとか、そういう形で片方では図りますし、それから内部努力といたしましては、比較的余裕のある裁判所から忙しい裁判所の方へ配置がえをするとか、同じ裁判所でありましても、比較的ゆとりのある刑事から民事に移すとか、そういう内部努力を一方ではいたしまして、他方では、事件処理に必要な増員要求といたしまして合計四十名の数を出しているわけでございます。 それから、定員削減につきましては、やはり政府の第六次定員削減計画というものがございまして、それの協力依頼もございます。やはり我が国の置かれている財政事情その他を勘案いたしまして、司法行政事務部門におきましては、報告事項の整理であるとか、あるいは行政文書の取り扱い方を変えるとか、さらにはゼロックスあるいはワープロ等の導入によりまして省力化が図られるということで、司法行政事務部門から三十九名、それに上積みの三名がございまして、四十二名の減を図ったということでございます。
○中村(巖)委員 現在、裁判所事務官と裁判所が言っている方々はいろいろな職種があろうかと思うわけでありますけれども、その中でかなりの部分、書記官になり得る人たちを事務官として採用しているという状況があると思うわけでありますけれども、この事務官の中には書記官へ先行きなっていく人たち、そういう者を多数包含をしているわけでございましょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判所事務官の場合は毎年相当数の職員を採用しているわけでございますけれども、いずれもかなりの程度法律の素養等を試験科目として試しまして、そして合格した者を採用しているわけでございます。したがいまして、その中からかなり多くの者が何年かを経過した後裁判所書記官に任命されていくということになっております。
○中村(巖)委員 裁判所書記官を今回十名ふやすということでありますけれども、裁判所書記官の給源というか、そういうものはどういうことで考えておられるのでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判所書記官はいずれも部内の職員から一定の研修を経て、あるいは一定の試験を受けて任命されるわけでございます。そのほとんどは裁判所事務官でございます。ごく一部裁判所事務官でない者から裁判所書記官に転官する例はございますけれども、まずそのほとんどは裁判所事務官からなっていくというふうにお考えいただいて結構だと思います。
○中村(巖)委員 時間がなくなりましたのでこれ以上なかなかお伺いをできないわけでありますけれども、一点だけ聞いておきます。 家庭裁判所における少年事件、これのための調査官がいるわけでございますが、この少年事件の調査官というものが今回は三名の増員ということですけれども、近時、先ほどのパターン化の話じゃありませんが、いろいろ工夫はされていると思いますが、少年事件が物すごくふえているために一人当たりの手持ち件数というものが大変に増加をしているというふうに思われますけれども、ここ三、四年の一人当たりの手持ち事件の増加傾向というものはどういうふうになっておりましょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 少年事件の最近の新受件数は大体六十万台で推移いたしておりまして、昭和五十年ころから漸増傾向にあるわけでございます。他方、調査官の定員につきましては、五十年以降五十八年度まで増員措置がとられなかったために、調査官一人当たりの負担件数も六百件台から七百件台へ漸増傾向にございます。ちょっと重い少年一般保護事件の最近の傾向で見てみますと、やはり五十六年が二十八万九千、それから五十八年になりますと三十万三千件というように漸増いたしておりますので、調査官一人当たりの負担件数も五十六年は百九十一件、五十八年になりますと二百件、わずかではございますけれども増加しております。このような少年事件の増加傾向がございますので、五十九年度においては調査官三人の増員をお願いいたしまして、本年度も三人の増員をお願いしているところでございます。
○中村(巖)委員 これで質問を終わりますけれども、今の家庭裁判所の調査官の問題でも、非常に手持ち件数がふえているにもかかわらず調査官が三名程度しか増員がない、こういうような状況でございます。確かに国の方では行政改革ということでいろいろやられているわけでございまして、行政改革はやらなくちゃならない、行政の肥大化というものは何とかしなければならないということは事実でありますけれども、司法部というものは行政ではないわけでありまして、行政の肥大化の問題とは何のかかわりもない、こういうことでありますので、やはり司法部は迅速適正な裁判をやっていただくということで、それに必要な規模というものを確保をしていかなければならないというふうに私どもは思っているわけでございます。そういう意味で最高裁判所でもそのために御努力をお願い申し上げたい、こういうことで私の質問を終わります。
○片岡委員長 三浦隆君。
○三浦(隆)委員 初めに、司法修習生の修習後の進路選択の問題についてお尋ねをいたします。 手持ちに「司法修習生からの検事任官者数等調べ」というのがございますけれども、これによりますと、司法修習生終了人員は昭和五十年、五百四十三人をピークといたしまして、昭和五十九年、四百三十六人と減少した。だんだん減ってきているわけでして、昨今減ってきたことの理由というのはどうなっているのでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
○堀田説明員 特別この原因によって減ったという明確な理由はございませんで、受験者数も若干減っておりますけれども、そのときどきの合格基準、これは試験の性質に照らしましてある絶対的な基準で定めますので、それに合格する者がこのところ若干少なくなっておる、こういうことでございます。
○三浦(隆)委員 戦後の昭和二十四年には終了人員百三十四名でありまして、それがずっと一貫して昭和五十年まで例外なくふえ続けてきているわけです。そのときどきのあれではなくて、一貫してふえてきたわけです。逆に言いますと、それを頂点として一貫して例外なく減ってきているということであります。決してそのときどきではないのだということで、もう一度お願いします。
○堀田説明員 戦後当初のころから申しますと、受験者数は現在と比べましてかなり少のうございました。そういうことで絶対基準に達する者がどうしても比較的少なかったということでございますけれども、大体五十年ごろに入りましてピークに達しまして、以後はやはりそのときどきの基準によるという、それ以上の説明はないので、それで御了承願いたいと思います。
○三浦(隆)委員 五十八年が四百八十三名でありまして、五十九年が四百三十六名です。かなりの減でして、ちょうど富士山の頂点のように一貫して今減り続けているということは、この流れからするとさらに来年もその次の年も減っていくのではないかと思うのですが、歯どめはあるのですか、あるいは歯どめなく限りなく減っていくものですか。
○堀田説明員 将来のことでございますので明確な予測をすることは困難でございますけれども、私どもといたしましてはなるべく優秀な人たちを司法府に集めたいということで、試験の内容等につきましてもいろいろと工夫いたしております。そこで、今後は合格基準に達する者が何とかもう少し多くならないかというのが私どもの願いでございます。
○三浦(隆)委員 御答弁でありますけれども、例外なくふえ続け例外なく減少するということは、数学の専門家を持ってくれば予測的には来年も再来年も減るということだと思うのですね。ところが、今の答弁だとあるいはふえるかもしれないような、その点余り科学的ではないのじゃないかと思います。必要であるならば本当にふやさなければならないのであって、この流れだと確実に減っていくだろうと思います。 さて、二番目でありますが、裁判官の任官数が昭和二十五年が百六人、昭和二十九年が四十五人、昭和五十九年が五十八人です。こちらの方は減ったりふえたり減ったりというわけですが、このばらつきの理由はどうなっているのでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のような任官者数のばらつきがあることは事実でございます。これも特にこういう理由があってというわけではないのでございます。そのそれぞれの年度で判事補に任官する希望者が非常に多いか少ないかということもございますし、またその希望者の中で判事補として採用するにふさわしい人がどれだけあるかという点にかかってくるわけでございます。 ただ、例えば昭和二十五年度の百六名、第二期でございますけれども、この辺の任官者数というのは恐らく戦前の司法官試補時代の連続的な意識のようなものがあって、そして修習生の中で任官の意向が非常に強かった、そんなふうなことが理由で昭和二十五年、二十六年ごろに非常に多数の任官者があったということではなかろうかと思っております。
○三浦(隆)委員 昭和二十五年が百六人ですが、実はその前年の昭和二十四年は七十二人でしかなかったわけです。 それはそれといたしまして、次に、最近におきます司法修習生からの判事補及び検事の採用状況はどうなっていますか。
○菊池(信)政府委員 最近の十年間で見ますと、修習生から判事補、検事に採用された者の数は、判事補の場合には年に六十名ないし八十名程度、検事の場合は四十名ないし七十名程度となっております。これを平均いたしますと判事補の場合毎年六十七人程度、検事の場合五十一人程度ということになってまいります。
○三浦(隆)委員 同じようなことですが、本年度の司法修習終了予定者の判事補及び検事の採用状況はどうなっておりますか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 判事補の関係で申し上げますが、これから試験が行われ、そして採用のための手続が行われるということで、もちろんまだ確定的なものではございませんけれども、現在、希望を申し出ている者が五十三名でございます。
○三浦(隆)委員 関連いたしまして、弁護士の人数が昭和五十年度が四百十五人とピークでありまして、次第に減少いたしまして昭和五十九年では三百二十五名となっております。これもピークから確実に減り続けているということでして、弁護士の人数は今もう過剰な状態にあるのでしょうか。
○菊池(信)政府委員 先生御指摘のとおり、五十年を起点にして見ますと、五十年に弁護士になりました者は四百十六名でございまして五十九年に至るまでその数を超えた年はございません。 ただ反面、この十年間、修習生の総人数に変動がございまして、おおむね先ほども御指摘のように減ってまいっておりますので、したがって弁護士になりました者の修習終了者に対する比率ということで見ますと、先生御指摘の五十年の場合に七七%弱になるわけでございますが、例えばこの十年で五十六年以降、いずれもその比率を超えるかほぼそれに近い比率になっております。したがいまして、修習生の中での弁護士になる者の割合ということで見ますと、必ずしも減ってまいっておるということではないようでございます。 それから、ただいまのお話の弁護士の数がもう過剰なのかということでございますが、これは非常に難しいことで、余り割り切ったお答えもいたしにくいわけでございます。 いろいろ指摘されますように、我が国での弁護士の単位人口当たりの数と申しますのは諸外国等と比較いたしましても確かに少ないわけでございます。しかし、弁護士人口がどの程度のものが本来適正規模の数がということについては、制度の内容、社会のあり方あるいはその社会の中での弁護士の果たす役割というようなものでいろいろ異なってまいると思われます。 最近、私どもが聞きますところでは、例えば弁護士が大都市を中心に地域的な偏りがある。一方で弁護士過疎という言い方がされます反面で、大都市を中心に弁護士は相当集中しております。大都市の場合には飽和状態ではないか、収入も頭打ちだという声も私どもは聞くことがございます。しかし、弁護士の数が果たしてどの辺が適正かということは先ほど申し上げたように難しゅうございますし、現在の弁護士の業務のあり方あるいは弁護士の役割がこれから我が国の社会の中で変化していくかどうかということで申しますと、恐らくは弁護士の役割は変化してまいるだろうと思います。 したがいまして、弁護士の役割が恐らく将来さらに重くなる方に変化していくのではないかとは思っておりますが、現在も含めて将来に向かって弁護士の数がどの程度が適正であるか、現在の数が果たして過剰になってきているかどうかということについて割り切ったことを申し上げかねる次第でございます。
○三浦(隆)委員 我が国及びアメリカ、ドイツ、フランスなどの主要国家におきます人口に占める裁判官、検事あるいは弁護士の比率は客観的にどうなっておりますか。
○菊池(信)政府委員 主要な国につきまして——先生、弁護士だけとおっしゃいましたでしょうか……。
○三浦(隆)委員 裁判官、検察官、弁護士、三つともお願いします。
○菊池(信)政府委員 法曹一人当たりの国民の数がどれほどになるかということで申し上げさせていただきたいと思います。 これはいずれも把握できます一番新しい数を基礎にしておりますが、我が国の場合、裁判官につきましては、裁判官一人当たりの国民の数は四万三千人ぐらい、検察官の場合には五万七千人ぐらい、弁護士の場合には九千四百人ぐらいということになるようであります。アメリカの場合には連邦と州とで分かれておりますが、まず連邦について申しますと、裁判官は三十二万六千人程度に一人、それから検察官は十一万五千人程度に一人ということになるようであります。州の場合には、裁判官は九千二百人程度に一人、検察官の場合には一万一千人程度に一人という数になるようであります。弁護士の場合は三百七、八十人に一人という数になっております。それからイギリスの場合でございますが、裁判官につきましては二千二百人程度に一人ということになるわけであります。我が国のような検察官制度というものはございませんので、弁護士について申しますと、千四、五百人について一人というような割合になります。それから西独について申しますと、裁判官の場合は三千六百人に一人、検察官の場合には一万六、七千人に一人、弁護士の場合には千五百人程度に一人というようなことになるようであります。フランスの場合は、裁判官の場合は一万人弱に一人、検察官の場合は五万人強に一人、それから弁護士の場合には三千四百人に一人、大体そういうような比率になるようでございます。
○三浦(隆)委員 済みません、弁護士さんについてですが、日本の場合をちょっと聞き落としましたのでお願いします。 アメリカの方は七、八十人に一人、イギリスが千四百人から千五百人当たりに一人、西ドイツが千五百人当たり一人、フランスが三千四百人当たり一人、これでよろしゅうございますか。
○菊池(信)政府委員 日本の場合は九千四百人ぐらいに一人でございまして、米国の場合には三百七、八十人に一人ということでございます。以下、先生の御指摘のとおりでございます。
○三浦(隆)委員 今のを確認させていただきますと、日本では九千四百人で一人だ、アメリカでは三百七十人から三百八十人で一人だ、そしてイギリスでは千四、五百人で一人、西ドイツは千五百人で一人、フランスは三千四百人で一人ということになりますと、仮に国のあり方が違いましても、日本における弁護士さんの数が少ないことはもはや数字的に明らかであろうというふうに思います。と同時に、日本人の権利意識の高まりその他からしますと、まだまだ弁護士への願い事というのはふえることはあっても減ることはとても考えられないだろうというふうに思います。とするならば、司法試験のあり方というものも絡めながら弁護士さんへの道を広げる方向で御検討いただかないとぐあいが悪いんじゃないかなというふうに思います。この問題につきましてはまた後ほど触れたいと思います。 次に、裁判官の任命についてお尋ねをいたします。 裁判所法の四十一条に言います最高裁の裁判官、あるいは同法四十二条に言います高裁長官及び判事の任命、そして同法四十四条におきます簡裁判事の任用においてですが、初めに助教授より裁判官への任用の事例について、あるいは関連して、検事への任用の事例についてお尋ねいたします。
○櫻井最高裁判所長官代理者 大学の助教授から判事に任命された例は、現在まで一例でございます。
○三浦(隆)委員 せっかく法律で助教授よりというふうに書いてあって、しかも毎年のようにこうした裁判官、あるいは検事、あるいは弁護士が司法試験を通じて選ばれてきているわけですね。なぜ助教授から採ってはいけないのか。法律が助教授を明記したということは、助教授から採っても大丈夫だという自信を持って法律をつくっているはずでありますから、その点についてお尋ねしたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 助教授から採ってはいけないというわけではございませんで、もちろんそのような御希望の方がおられます場合には、私どもとしてそういった方に来ていただくつもりは十分あるわけでございます。ただ問題は、助教授の方は判事補への任命資格はないわけでございますし、また、助教授で相当年数たちますと、教授になられます。教授になられますと、教授として判事に任命する、あるいは判事補に任命するということは可能なわけでございます。そういう意味で助教授からの任命例は一例であるというふうに申し上げたわけでございます。
○三浦(隆)委員 今の答えですと、助教授からの御希望があれば採れるというふうなお話ですが、本当に希望があったら採れるものですか。判事補であれ、あるいは検事でも同じなんですが、助教授から所定の基準に合った人が希望した場合、採りますか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 もちろん希望があり、かつ適任な方でなければならないことは当然でございます。ただ、助教授から裁判官に任命を希望するという例自体が非常に少ないのがまた事実であるわけでございます。
○三浦(隆)委員 大学の現場とこうした司法の現場というものが切り離されないで、相互に交流があった方がむしろいいのではないかと私は思うのです。 そこで、司法試験ならば、その試験科目に合格しなければいけないとか、ちゃんとそれぞれの手順が決まっているわけですね。ところが一方、助教授からというのは、法律で助教授を三年なら三年以上としか決まってないわけであります。ですから、本人が希望すれば、本当にそのとおり採っても法上はおかしくないのではなかろうか。もしなんでしたら、私の後輩を早速そのように希望させてもいいわけでありますが、そのほか、適任か否かというのは法律でどういうふうな基準でお考えなんですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 今まで助教授で判事任命を希望されて、しかも適任でないということでお断りした方があるという意味で申し上げているわけではないわけでございます。もちろん判事に任命するという場合には、最高裁判所において、裁判官会議で裁判官の名簿、判事の名簿に登載するかどうかという審議は経なければいけないわけでございます。そして、それによって内閣で任命されるわけでございますけれども、そうやって適任である方があれば、これは何も採用するのに問題があるわけではないわけでございます。
○三浦(隆)委員 答えは大変回りくどくてよくわからないのですね。ですから、具体的に可能であれば、私の大学を踏まえて、後輩は幾らでもいるわけなんです、助教授なんというのは。助教授がもしよければ、私は幾らでも判事補に推薦したい、積極的に推薦したい、こう考えているわけです。それはどうなんですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 判事補の任命資格というのは、司法修習生の修習を終えた者だけでございます。したがいまして、助教授からは判事補には採用できないわけでございます。あとは、助教授として一定年数勤められた方が判事として任命されるかどうかという問題であるわけでございます。
○三浦(隆)委員 ですから、同じことなんですね。先ほど私は、法規に基づいていわゆる裁判官なりあるいは検事なりへと言ったわけであります。そのときの答弁で、助教授からすぐ後判事補へ、判事補から判事になる人がいるとかいないとかいう答弁があったので、たまたま判事補へと言っただけであります。ですから、節回しを変えれば、判事さんでなくて検事さんと言ってもいいのかもしれないわけであります。法律では道を開いているわけです。法律では開きながら実際には任用されないということは、どこかでその道がとまっているんだということなんですね。むしろ採らないなら採らないとはっきり書いておいた方が明白でありまして、法律の条文ではすぐにでも採れるように書かれていて、現実には採られることがほとんどないということの方が問題なんだろう。ですから、それがもし希望する、しないというだけであるならば幾らでも希望者は探してまいります。このように答えているわけです。 そのほかに、適任か否かというふうに言われるならば、その適任か否かという条件は法令上どういう根拠に基づいてのものなのかということが質問の趣旨であります。もっと言うならば、大学という現場と、もう一つこうした司法の部というのは交流があった方がいいのではないかというふうに考えたのでそう言っただけであります。いかがですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判所法では、判事につきましては一定の官職あるいは一定の職にある者についてその任命資格を与えているわけでございます。それ以外に、例えばどういう人間でなければならないということはもちろん何も定めていないわけでございます。ただ、任命資格があります場合に、今度はその中からどういう方を採用するかというのは、それはまた別問題でございまして、やはり判事として任命するためには、司法権を担うにふさわしいだけの学識経験、識見のある人かどうかという点は十分審査、検討をして、その上で判事として任命すべき者の名簿に登載するということは必要であろうと思います。 ただ、今申しておりますのは、現実に希望する人がたくさんありながら次々とお断りしているというわけではございませんで、私自身の経験からいたしましても、少なくとも最近そのような希望がありながら採用されなかったという方は聞いてないわけでございます。やはり問題は、現在の仕事をなげうって裁判所へ来るという気持ちの方がおありかどうかというそこのところが一番問題なのであろうと思っております。
○三浦(隆)委員 それはそうではなくて、助教授からむしろなれないものだというか、一般的には司法試験を合格しなければなれない、そういうふうな認識が広まり過ぎているからではないのですか。今言った資格があった後で具体的にどういう方を個々に選ぶかというのは、さらに識見を云々とか審査を経てというふうに出ているわけですね。ですから、私が先ほど来繰り返し言っているのは、それでは具体的に私の友人、知人の助教授を御推薦いたしたい、その場合その人の識見というふうなものを評価するというのであれば、いわゆる裁判所法以外のどういう具体的な法令の根拠に基づきその人物の識見というふうなものを、識見というのを調べるのは大変難しいと思いますけれども、識見というのはどういうふうな角度、基準で評価するのですか、お聞かせいただきたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 先ほども申しましたとおり、裁判所法にはどういう人間でなければならないという定めはございませんし、それ以外に、判事とはおよそどういう人格でなければならないあるいはどういう識見を持っていなければならないということを定めた法律は何もございません。ただ、裁判官として採用する場合にはおのずと一定のこの人はそれにふさわしいというだけの評価ができる人であることが必要であることは当然であろうと思うわけであります。どんな人であってもとにかく裁判所法に定める資格があれはすべて採用の義務があるんだということはやはり言えないだろうと思うわけであります。ただ、何度も申し上げますように、そうは申しましても具体的にそういうふうに申し出をしてきた方というのは非常にまれでございまして、助教授から判事に任命を希望してこられて現実に採用された方というのは一名あるだけでございます。
○三浦(隆)委員 今一人だと言うのですが、それでまれだという答えもあったのですが、現実に希望した人はこれまで何人いたのですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 確かな数字を持ち合わせているわけではございませんが、私の知っております範囲ではその採用された例以外にはないと思っております。
○三浦(隆)委員 そうすると、今後とも希望した人がいた場合に、明確な答えはさっぱりとないのですけれども、その識見とやらを調べながら適格であるかどうかを御判断になると思うのです。これはある程度客観的な、教員でいけば勤務評定みたいなあれがありますけれども、ある程度採用の基準がないと、極端に言えば、抽象的に恣意的にこれはよさそうな人、これはだめそうな人というふうになったのでは極めてぐあいが悪いだろうというふうに思いますね。客観的になるほどなと言われるような識見というものの調べ方というのだって、これは必要なんじゃないでしょうか。そういうものがないと本当に恣意的だというふうに見られても仕方がなくなってしまうというふうに私は思います。少なくとも法律で書いてあるものが、法律以下の低次のものをもって高度のものが覆されるということは好ましいことではないだろうと思います。国が憲法を頂点としてその下に法律があり、その下に命令などをつけている場合には、上が下をだめだというせりふはあり得ても下の基準で上はだめだというふうなせりふはあり得ないところだろう、こう考えるわけであります。そうすると、少なくとも裁判所法では間口が大変広くなっているのに、現実には物すごく狭く狭くされているということは、法律を下位の、規範まであるのかないのか今の御答弁だとわかりませんけれども、あるかないかわからないものによって現実に窓口が閉められてきているということが今の御答弁で事実であっただろうと思うのです。今後そういうことはむしろ改めていただくことの方が筋であろうというふうに思います。 もし助教授から来るのが早過ぎてだめであるというなら、それはそれで当委員会などで検討して助教授の規定を削除するか何かしていくのが当たり前であろう。少なくとも助教授というもので認めたということは、助教授で十分に法曹の仕事が勤まるんだというふうに論議、検討されてこの法律は可決されているはずでありまして、それを法律以外の別な基準でもって勝手にその人の識見が云々だというふうなことで進路を狭めてしまうということは許し得ないことではないかと一つには思います。十分御検討をいただきたいと思います。 その次に、同じ助教授であっても裁判所法では「別に法律で定める」というふうに書いてありますが、この場合の別に定めるというのは、法学部を持つ大学院というふうに狭く限定しているんですか、一般的に大学院大学ということですか、まずそこからお尋ねをいたします。
○菊池(信)政府委員 先生御指摘の裁判所法四十一条一項六号の言います「別に法律で定める大学の法律学の教授又は助教授」、この同じ条文が四十二条あるいは四十四条でも引かれておるわけでございますが、そこに申します「法律で定める」というのは裁判所法施行法の五条にそれが相当しておりまして、五条によりますと「学校教育法による大学で大学院の附置されているもの及び大学令による大学とする。」というふうに規定してございます。
○三浦(隆)委員 単に大学院のある大学というふうに書いてあるのですが、どうしてそうならなければいけないのでしょうか。同じ大学でもって民法なり刑法なりをずっと教授をしているという場合、普通の大学の法学部なら法学部で結構ですし、あるいは他学部でもいいと思うのですが、専門に刑法を教授として仮に五年やり十年やり二十年やっていた、極端に言えば法学部でない大学院でも三年やったらば資格がとれる、おかしいんじゃないでしょうか。法律学の知識ということで純粋に考えていただくならば、法律の教授をやっていれば大学院大学であろうとなかろうと多年その道に研さんを積んだ者は十分な有資格者と考えてよろしいんじゃないでしょうか。
○菊池(信)政府委員 ただいまの裁判所法の条文と極めて似通った条文が先生御案内のとおり弁護士法にあるわけでございますが、弁護士の資格の特例を定めました弁護士法五条の中に、別に法律で定める大学の学部等において法律学の教授または助教授の職にあった者という規定がございまして、それを受けて弁護士法第五条第三号に規定する大学を定める法律というものがその大学を定めてございます。 そこの定め方といたしましては、「学校教育法による大学で法律学を研究する大学院の置かれているもの及び旧大学令による大学とする。」という規定でございまして、したがって裁判所法施行法の五条と対比いたしますと、弁護士法の場合には大学院というものの上に「法律学を研究する」という限定がございます。裁判所法施行法五条の場合には「学校教育法による大学で大学院の附置されているもの」というだけでございます。したがいまして、規定の形から申しますと弁護士法五条の方は法律学を研究する大学院の置かれているところでなければいけないということになりますけれども、裁判所法の場合には、規定の形といたしましては法律学を研究する大学院と言えない大学院が附置された大学の教授または助教授の職にあった者でも任用資格はあるということになると思います。
○三浦(隆)委員 今の最後のお答えのところ、よく大切にしていただきたいと思いますが、本来大学院大学と言う必要があるのか、そのことが問題だと思います。 ここで要求しているのは、判事なり検事なり弁護士となるのにそれ専門の、それにこたえ得るだけの法律の知識を仮に持っているか持っていないかということであって、それを客観的に司法試験にかわるもの、尺度として考えてたまたま大学院大学の助教授以上三年やったらばどうかなと出たんだと思うのですね。とするならば、大学院大学でなくても一般の大学の法学部であっても刑法なり民法なりを十年二十年なりと仮にやったとすれば、大学院大学の人と匹敵するというか、中にはそれ以上の専門の知識を持っている人だっているんではないか。現実に私が知っている方でも幾らでもいらっしゃるわけです、私の先輩その他の中でも。そういう方のためにもむしろ門戸を狭くし過ぎているんではないか。これは先ほどの基本の質問と同じなのですが、大学というものとこうした裁判所あるいは検察庁あるいは弁護士というものを隔離する考え方をとらないで、もっと自由な交流を積極的にできるようにする方がよっぽどいいんじゃないんだろうかというふうな基本的な考え方が私にはあるわけです。ただ、そのときに、だれでもいいということではいけないというので一つの基準があるとするならば、大学の教授なり助教授をというわけですから、別に大学院ということに固執する理由は一切ないと思うのですけれども、いかがなものですか。
○菊池(信)政府委員 私、先生の御指摘をちょっと正しく理解しかねているかと存じますが、御指摘の御趣旨が、別に大学院大学でなくとももう少し資格を広げてもよいのではないか、そういう方向に法律改正を考えてもよろしいのではないかというお考えだと存じますが、実は私その点につきましては特段の検討も用意もしてまいっておりませんので、御趣旨を承らしていただきたいと思います。
○三浦(隆)委員 といいますのは、ちょっとくどいようでございますが、大学院大学でなくとも個別の大学の法学部などで民法学、刑法学を専門に十年でも二十年でもあるいは三十年でもというか、やっておられる方がいて、そうした意味では大学院大学で三年やった人以上に法学の知識において一歩も引けをとらない人があり得るんだということであります。もう一つには、大学院大学としても、別に法学部の大学院ではなくとも商学部の大学院であっても、そこでは商法という科目を専門とする教授があり得るわけでありまして、ここでは大学院では法学部ではないというだけであって、商法学においてはそれ相応の権威の方が幾らでもいらっしゃるんだというふうに思います。ですからもし実力だけをということであるならば、これまでの枠にとらわれないで選ばれても何ら差し支えないではないか、むしろ狭める必要はないじゃないかということを質問したわけでして、将来十分御検討をいただきたいと思います。 次に、弁護士さんの場合には、特に今の条件が判検事の場合には三年以上であるのに五年以上となっているわけです。判検事が三年以上というのに弁護士は五年以上。判検事より弁護士の方が難しいということですか。
○菊池(信)政府委員 ただいまの点でございますが、裁判所法の四十一条は最高裁判所でございますが、通常の判事の場合を考えますと四十二条になりますが、四十二条の場合には、その大学の教授または助教授十年というものが基本資格になっておるわけでございます。さらに最高裁判所の場合には教授、助教授の在職二十年ということになっております。したがいまして、簡易裁判所判事につきましては教授、助教授三年以上ということが資格になっておりますが、ちょうど弁護士の場合に五年で資格が出る、判事の場合には十年で資格が出る、最高裁判所判事になりますと二十年で資格が出るということで、一応裁判官の職責に応じて資格要件がだんだん厳格になっていっておるという形になっておると思います。
○三浦(隆)委員 それでは検察官は三年以上ではないのでしょうか。
○堀田説明員 先生御指摘のとおりでございます。
○三浦(隆)委員 そうしますと、検察官の場合には任命資格が三年以上で弁護士は五年以上、なぜ弁護士は三年でなくて五年となるのですか、そこをお尋ねしたいと思います。
○菊池(信)政府委員 実はただいまの点の、検事が三年で、それから先ほどもちょっと触れましたように簡易裁判所判事の場合にやはり三年でございますが、それとの関係で何で弁護士が五年になっておるかということにつきましては、私どもそこのところの説明を十分申し上げられるだけ、いろいろ調べてみましたけれども、ちょっと材料がないわけでございます。 ただ、先生御存じのように、今の弁護士法の前の、昔の弁護士法では、三年以上の帝国大学法科教授について弁護士資格を与えておりまして、それを、現在の弁護士法ができますときに、三年以上という年限の点を幾分厳しくして五年以上にし、ただ反面、大学を帝国大学に限らぬ、旧帝国大学の教授等に限定しないということでやや広げたという形があるようでございますが、判事で十年、最高裁判事で二十年ということとの対比では、それなりにそれよりは短い年数で資格が出るということにはつり合いがとれておりますが、先生御指摘のように、検事が三年あるいは簡裁判事が三年ということとの間でどういうつり合いがとれているかということにつきましては、私どもどういうふうな御説明をすることになるのか、ちょっと御説明いたしかねる次第でございます。
○三浦(隆)委員 司法修習生からの場合には別段の差がないのに、弁護士法だけになると五年になってしまう、そこがちぐはぐだろうということ。検察官にはすぐなれても弁護士にはだめだ、弁護士の方が上だ、こういう格付けをされるならともかくとして、もしそうでなければ、これは三年以上なり、五年以上なりどっちも同じ基準にするのが私は当たり前なんだろうというふうに思うのです。強いて言えば、弁護士への道を狭めるのが目的なのかどうかということであります。弁護士への道を広げるのではなく、弁護士への道を狭めようとするのかどうかというふうなことになってくるのじゃないでしょうか。少なくとも昔は、司法試験はなくても、今の御答弁にあったように旧帝国大学の東大の法学部であれば無条件でもあるいはなれたかもしれなかったわけでして、そしてその人が、司法試験がなくても法学部を出ただけで十分にすばらしい弁護士となり得たわけですね。実力があったわけですね。とするならばそれでよいのであって、それ以上なぜ厳しくしなきゃならないのか。特に特段、今はこのように大学院大学で、先ほど御答弁あったように法学部を持つ大学院大学で三年以上なりとかいろいろ約束をしているわけですから、それでいいんじゃないでしょうか。むしろ将来の法改正としては、どちらかを直すとするならば、弁護士法を引き下げて三年以上でもいいんじゃないかというふうに思うのですね。門戸開放へあけていただきたいというふうな気がするのです。少なくとも矛盾しているというふうに思いますが、その点についてどうですか。
○菊池(信)政府委員 先ほど申し上げましたわけでございますが、実は現在の弁護士法は先生御案内のとおり政府提案ではございませんで、議員立法でできております。したがいまして、当時の、例えば立案の際のいろいろな資料というものを特に探すことはできませんので、私ども、特に弁護士法の関係での御説明をいたしかねておるわけでございます。 門戸をもう少し広げる、いわばもう少し資格を緩くしてはどうかという方向でございますが、この点につきましては、現在の弁護士法の五条三号につきましても、むしろ従前弁護士の方々の中にある程度あった意見としては、この内容をむしろ絞る方向に考えるべきではないかという御意見もあったかのように私、聞いております。 したがいまして、いずれにしましてもこの辺のところは法曹資格の一番基本のところにかかわりますことでございますので、本来の基本資格ではなくてこういう特例資格の点について、それぞれの特例の資格についての年限の定めを見ますと、必ずしも合理的な説明がし切れるものばかりではないようには思いますけれども、この内容を今検討してまいるというふうにちょっと申し上げるわけにもまいらないことでございまして、大きな法曹資格の基本にかかわる問題として、将来ともいろいろ研究さしていただきたいと思います。
○三浦(隆)委員 先ほど、弁護士さんの数がむしろだんだん減ってきているのですね。そして、弁護士さんへの依頼する国民の方の人権意識は逆に高まっているんだというふうに考えると、弁護士さんがふえてもおかしくはないわけです。ただでたらめにふやすということがおかしいというのであれば、それ相応の基準を設けてふやせばいいわけであります。その一つの基準というものは、検察官が例えば三年であるならば同じに合わせてもおかしくはないのじゃないだろうか。いわゆる憲法十四条の法のもとの平等というのは、適用だけの平等を言っているのではなくて、制定段階においてもやはり平等が要求されていることだろうということでして、もしそれが確固とした理由がなければ、その不合理を合理的な基準で違えるならともかくとして、合理的な基準というか合理的な理由がなくしてそういうものを立法されるということ自体、これはまた一つの別な大きな問題になるのじゃなかろうかなというふうに思います。 次に進みます。次、簡易裁判所判事の選考任命の問題について、裁判所法四十五条なんですが、「多年司法事務にたずさわり、その他簡易裁判所判事の職務に必要な学識経験のある者」とございますけれども、そこで、裁判官以外の裁判所の職員の中から、特に秘書官とか書記官というふうな人で簡易裁判所の判事さんとなった事例がございますか、お尋ねをしたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判所法四十五条による選考任命の簡易裁判所判事、毎年三十人ぐらいの方々が任命されているわけであります。そのほとんどは裁判所の職員でございます。裁判所の職員の中でも、またそのほとんどは裁判所書記官でございます。ただいま秘書官というお話がございましたが、秘書官から、選考任命で簡易裁判所判事に任用された例というのはございますけれども、最高裁判所判事秘書官とか高等裁判所長官秘書官といいますのは、多くの場合は裁判所書記官あるいは裁判所事務官からなって、そして一定年数勤務した後でまた裁判所書記官なり裁判所事務官に戻っていくのが通常でございますので、そういう経歴のある人は、もちろん相当数おられます。
○三浦(隆)委員 今の方々で、地裁さらに高裁などの判事さんとなった事例はございますか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判所法の定めによりますと、この選考任命の簡易裁判所判事は、判事の任命資格はないわけでございます。判事に任命されますためには、その人たちは司法修習生の修習を終えるということが必要なわけでございます。ただ、簡易裁判所判事として在官中に、例えば司法試験に合格いたしますと、司法試験に合格した後の年数というものは判事任命資格として認められますので、そういう形で判事に任命された方は、今までに八名ございます。
○三浦(隆)委員 四十二条の一項の二号のところに、簡易裁判所判事さん、こう書いてあるのですが、これはどう理解するのですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 四十二条の一項二号で簡易裁判所判事が判事の任命のための年限として認められるということが書いてあるわけですが、その三項で「前二項の規定の適用については、第一項第二号乃至第五号」、すなわち簡易裁判所の判事が含まれるわけでございますが、その「職に在った年数は、司法修習生の修習を終えた後の年数に限り、これを当該職に在った年数とする。」というふうに定めてあるわけでございます。
○三浦(隆)委員 結局その人たちの行く道というのを拒んでしまうということなんですね。結局、私が言いたいのは、実力のない人を登用するのはおかしいかもしれないけれども、地裁の判事さんであれ高裁の判事さんであれ、十分にやっていくことのできる実力のある人であれば構わないのじゃないだろうか。今、たたき上げて苦労されて、それ相応の年数をとって十分な力を持って簡裁の判事さんになった、また大変十分な実力がある方であれば、これは全部とは言いませんが、中には一人や二人はと言ったらかえっておしかりを受けると思うのですが、かなり御立派な方もいっぱいいらっしゃるであろう。むしろそういう人に将来もっと伸びる道を開くということは、そこで働く人たちに対する大きな夢を開くのじゃないでしょうか。あなたはどうやってももうここまでだととめるのではなくて、あなたにはまだ無限の行く道があるのだというふうな開かれた制度へと変えていく方がいいのじゃないかと思うのです。これは将来の、今の法規の建前じゃないですが、これからのあり方としていかがなものでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判所法四十五条で、簡易裁判所判事に選考で任命された者の中に非常に立派な方がおられることは事実でございます。その方たちの法律的知識あるいは人柄、識見といったものが地方裁判所以上の裁判所の裁判官として十分通用する方はたくさんおられます。 ただ、現在の法律の建前はこのような形になっておりまして、私たちとしてはそういうふうに制度が改まればそういった方たちに十分力を出していただくに非常に結構なことであろうとは思うわけでございますが、しかしこれは制度の改正の問題でございますので、裁判所の方からその点についての御意見を申し上げることは控えさせていただきたいと思うわけでございます。
○三浦(隆)委員 ただいま裁判所の方としては現行法上はこれこれ、しかじかで仕方がない、しかし法が改まれば可能であるということですが、法務省としての見解はどうですか。法を改めていこうという考え方はいかがですか。
○菊池(信)政府委員 先生御案内のとおり、現在の法曹養成の中心的な課程は司法試験、さらに司法修習の制度ということが原則的な、いわば中心的な課程になっていますが、その中では法曹養成の課程を一元化する、そして統一的な修習を行わせるということによりまして法曹三者について同一の高度の資格を確保するということで、そのルートがいわば原則的なルートとしてとられておるわけでございます。 ただ、簡易裁判所につきましては、比較的に軽微な事件を簡易迅速に処理するための裁判所だということ、あるいは数が五百数十庁という非常に多数に上るということ、したがってこれに配置する裁判官につきましても必ずしも法曹としての厳密な資格要件を備えた者ばかりである必要はないということで、むしろより広い観点から、必要な学識経験を備え、識見がすぐれ、徳望のある人材を迎えるということがあってもよろしかろうというようなことで、特別に現在のような選考任用の制度が設けられたわけでございます。したがいまして、この選考任用の制度というのは、やはり簡易裁判所というものの特質ということと結びついておるように思います。 一方、判事補の場合、判事の中心になりますいわば原則的な課程のようなものとして実際上判事補十年ということがあるわけでございますが、その判事補につきましては先ほどの一元的な養成のルートだけを予定しておるというようなことがございます。したがいまして、特任の方を判事に任用するという方法をとるということは、現在の法曹の資格の一番基本のところにかかわってまいることでございまして、それは非常に大きな問題で、いろいろ問題があろうかと思います。 やはり裁判所の裁判官というものは、最高裁判所の裁判官でありましても、地裁の裁判官でありましても、簡易裁判所の裁判官でありましても、事、裁判を担当いたします以上、裁判官としてどちらが上ということはない、それぞれとうとい職務を遂行しておるものだと思います。したがいまして、特任の方々についていわば定年の七十まで簡易裁判所裁判官としての道しかないということであっても、現在の簡易裁判所の裁判官の方々も皆さんそうだと思いますが、やはり裁判官としての使命をお感じになって達成に身命をかけていらっしゃることだと思います。したがいまして、簡易裁判所の裁判官の特任の方を遇する道というものが必ずしも判事になる道を開くということではなくて、簡易裁判所の裁判官を簡易裁判所の裁判官としてそれなりに処遇していくということも恐らく一つの道だろうと思います。いずれにいたしましても特任の裁判官を判事についても採用するということにつきましては、現在の法曹養成あるいは法曹資格の一番基本を変えるということになりまして、にわかにそういう方向はとりがたいのではないかというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 ですから、その一番基本的な物の考え方なんですね。法曹資格というものを一般社会と隔絶した特殊なものと考え、特殊なプロ的な人だけしかそういうふうなものに上がれないと考えるか、もう一つは、むしろそういうものをプロ的なエキスパートだけと考えない、アマチュアでもだれでもがそこに行き得るのだという考え方。これは日本、外国でそうした道への考え方はいろいろと変わっておるわけでして、そこが外国では陪審制度へとむしろ発展してきているんだと思うし、陪審制度がよいのかどうかは論議のあるところですが、少なくとも我が国としても法としてはつくってあるわけです。現実は寝ている状況でありますが、法としてはあるわけです。法としてはあるということは、それを認めた、少なくとも廃止し得ないで今日もあるということは、陪審裁判ということを根本的に否定し切れないものがあるから、現実にありもしない必要でもないそうした陪審法というものをなくせないで今日もあるんだろうと思うのですね。そうすると、そこの考え方にはアメリカなりヨーロッパなりを共通して踏まえている、そういう法曹というものが特段のプロだけがやらなくても構わぬのだ、アマチュアが幾ら入っても構わないという考え方があるわけです。我が国ではどっちもかけているというふうな発想で、その点が大変踏ん切りが悪い。陪審法というところではアマチュアへの道を認めているかのように見えて、一方それは廃止しないで寝かしっ放し、片方ではかなり高度な、今言った資格条件を付与しているということなんです。 そこで、戦前の我が国が明治憲法体制であるならば、戦後、新しい憲法で開かれた体制なんだというふうになれば、根本的な発想そのものをもう変えてもいい時期なんじゃないだろうか。言うならば裁判官であれ、検察官であれ、根本的にもっと民衆と親しみの持てるようなそういうふうな基準へと基本的に改めていただいても私は何ら差し支えないのじゃないだろうかというふうに考えるのです。 もう一つには、今の御答弁の中に、その法曹資格で同一の高度の資格をということがありました。同一の高度のと言うけれども、先ほどのように、検察官は三年以上で弁護士は五年以上で、決して同一ではないわけであります。こういうふうに片一方では食い違いがあって、お答えを聞いている限りではどうもまだぴんとこないところが正直ございます。しかし先に進むことにいたしましょう。 次は、検察官の任命資格の問題ですが、検察庁法十八条二項二号のところでありますが、「三年以上政令で定める二級官吏その他の公務員の職に在った者」とあります。裁判官任命資格より幅広く認めたことの理由はどこにあるのでしょうか。また続きまして、検察庁法施行以来こうした事例はどのくらいあったのでしょうか、お尋ねをいたします。
○堀田説明員 検察庁法十八条の二項二号に副検事の任命資格といたしまして、三年以上政令で定める公務員ということになっておりますことは御指摘のとおりでありまして、その内容は検察庁法施行令の二条でそれぞれ列挙しておるわけであります。例えば検察事務官であるとか法務事務官であるとか、そういうものでございます。 御質問の御前提が簡裁の判事の任命資格、裁判所法四十五条のものより広いがその理由はどうであるかということでございますけれども、先ほど来この四十五条が引かれておりまして、これは非常に抽象的な基準、「多年司法事務にたずさわり、その他簡易裁判所判事の職務に必要な学識経験のある者」こういうふうにされておりますので、基準の定め方が違っております。片一方は非常に抽象的であり、片一方はかなり具体的である。そこでこれを比較いたしまして、どちらが広い、狭いということを言うのは大変困難であろうかと思います。 ただ、御質問でございますので、このように具体的に定めております内容について申し上げますと、先ほど申しましたように、検察事務官あるいは法務事務官あるいは入国審査官、入国警備官と、かなりそれぞれその経験におきましていろいろ捜査あるいは捜査に類する調査というものをやってきた者を取り出しましてこういう資格の定め方をしておるわけでございまして、この点がやはり副検事の場合には、簡裁の判事と違いまして捜査をみずから行うという点に特色がございます。そういう点に着目して定めておるということでございます。 そこで、事例としてどの程度あるかという最後の点でございますけれども、副検事は、毎年大ざっぱに申しまして五十名前後任用いたしておりますけれども、すべてこの規定によって任用しておるということでございます。
○三浦(隆)委員 ちょっとよくわからなかったのですが、五十名程度というのは副検事の数ですか。
○堀田説明員 そうでございます。
○三浦(隆)委員 毎年五十名程度ということでございますか。
○堀田説明員 そうでございます。
○三浦(隆)委員 それでは次に進みます。 関連しまして、弁護士法第二条によりますと、「弁護士の職責の根本基準」として「深い教養の保持と高い品性の陶やに努めこというふうな規定があるわけですが、裁判所法なり検察庁法にはない言葉だと思いますが、なぜ「弁護士の職責の根本基準」としてこのような規定が挿入されたか。言いかえれば、裁判官、検察官の場合にはなぜこういう規定を設けないのか、その点についてお尋ねします。
○菊池(信)政府委員 弁護士法の二条が先生御指摘のような条文を置いております。この二条は、一条の弁護士の使命のようなことを規定しましたその条文を受けておるわけでございますが、この一条、二条といいますのは、昔の、以前の弁護士法には該当する条文はなかったわけでございまして、現在の弁護士法で初めて設けられた規定でございますが、先ほど来申し上げますように、現在の弁護士法が議員立法でもありますために、制定当初どういう意図からこの条文が設けられたかということにつきましてはどうも余り的確な材料がございませんので、はっきりしたお答えをいたしかねることは恐縮でございますが、この弁護士法第一条は「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命」とし「誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力」すべきである、こういうような規定をまず置きまして、二条はそれを受けまして、そういう重要な職責を全うするためには、その前提条件として、弁護士はいつも深い教養を保持し、高い品性を陶冶することが不可欠であるという考えからこういう二条のような条文を設けたものだろうと思われます。二条の条文はいわゆる精神的なもの、精神規定とか精神条項と言われる性質のものだろうと思われます。 いずれにしても、日本国憲法のもとで新しい弁護士制度を新しい理念のもとにつくり上げていく、そこでの弁護士のあるべき姿というものを明確にしようという意図からこういう条文が置かれたものだろうと思っております。
○三浦(隆)委員 この弁護士法に書いてあるような、今言ったあるべき姿というのは、別に弁護士だけでなくて、裁判官でも検察官でも同じことなんじゃないだろうかと私は思うのですが、せっかく大臣もお見えでございます。この辺で大臣にもひとつお願いをしたいと思うのですが、大臣は、理想的な裁判官というのはどういう方であろうかとお考えでしょうか。
○嶋崎国務大臣 非常に難しい御質問でございますが、憲法の七十六条の三項では「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひこと、こういう言葉が書かれておるわけでございます。したがって、法務大臣というような立場からこれらのことにお話し申し上げることが適当であるかどうかということはよくわかりませんけれども、考え方としては、やはり専門的なあるいは技術的な法律知識を十分にお持ちになっており、幅広い知識なり教養を備えた人格高潔な人物である、かつ、おのずから国民の皆さん方から公平な判断を受けられるような人、余りぴしっとした理屈じゃないかもしれないけれども、そういうことが理想的な裁判官像のすべてではないにしましても、考え方の基本として構想されるところではないかと思っておる次第でございます。
○三浦(隆)委員 今のお答えであると、法律の知識はもうあって当然という前提がございまして、その上で教養あるいは人格、公平な判断の可能な人というふうに理解してよかろうかと思います。とすれば、今の試験制度というかあり方だけですと、法律の知識はテストすることが可能であっても、一般教養だとか人格だとか云々というようなことはどのようにしてお調べになることなんでしょうか。これは大臣がお答えになるならばそれでもいいですが……。
○嶋崎国務大臣 私も司法修習生をやれば資格を得たわけでございましょうけれども、ともかくそういう知識を持っており、また司法修習生としてのいろいろな訓練の中あるいはそういう中でのいろいろな陶冶の過程において、そういう点についても十分判断をされるのであろうというふうに思っておるわけでございます。先ほど来、弁護士さんとそれから裁判官あるいは検察官等の採用資格というようなことも議論になりましたけれども、やはり官庁の場合には、ある程度そういう判断基準というものが、適当なものがあるのかどうかよくわかりませんけれども、そういうようなことを基準によって判断をするというチャンスがあり、弁護士さんの場合にはなかなかそういう点が難しい、そういうようなこともかんでおるのではなかろうかというようなことで御高説を聞いておったわけでございます。今後とも、これらの点についてはよく研究させていただきたいと思います。
○三浦(隆)委員 実は、次回にまた指紋の問題でいろいろとお尋ねをしたいと思うのですが、これまでの法務省の答弁というのは、一貫してとにかく法があるのだ、法に違反するものはだめなんだ、それだけのことでありまして、そのもとにおける外国人の、この指紋でべったりと塗って押すことの犯罪者扱いされることは嫌なんだというふうな気持ちを酌む力というか、そういうことが大変弱いのではないだろうか。まさに昔で言う法万能主義的なというか、そうなりやすい。ここには法律の知識はあっても、その人の人柄というか、そういうものが出てこないところにいま一つの混乱の要素があるのではないかと私は思うのです。だから、先ほど来質問しましたのは、司法というふうな、そういう専門な人が独立しないで、むしろ一般の大学であれその他であれ、もっと自由な交流ができて、そうした一般の人々の意見が上に反映し得るように、開かれた司法の制度へと今後変えていった方がいいのじゃないか。それが、むしろ当初、今陪審法は眠っておりますけれども、仮に陪審が復活するかはともかくとしまして、その趣旨にあったのじゃないかなというふうに思うのです。先ほど言いましたけれども、旧憲法の時代ではないのでありまして、国民主権の民主主義の時代ですから、圧倒的多くの人々が望むような、そうしたものが採用されるような、通るような、またわかっていただけるような裁判官、検察官の制度であってほしいというふうに願うわけです。そして、弁護士法で言う深い教養の保持、高い品性の陶冶、これは言わずともな、当たり前のことだというふうに思っております。 さて、漱石の弟子で寺田寅彦という人がおります、皆様御承知でございますが。その人の言葉の中にこんな趣旨のことがあったと思います。頭のよい人は足の速い人に似ている、人より早く目的地に着くが、途中で肝心なものを見逃すことがある、ということであります。今の試験制度ですと、試験に早く合格するということだけがすべてといってよくて、試験科目で評価されない、しかし裁判官として必要なものを身につけない、人として肝心なものを見落としてしまうことにならないかと心配することがあります。というのも、法律の試験が難しければ難しいほど、これで終わってしまいますと、法律のエキスパートとして、法万能主義者となって、いわゆる型にはまった官僚タイプの裁判官となってしまうのではないだろうか。むしろ裁判官は、法を支える人の人情とか、一般人と同じ世俗的なことも理解し得る人であってほしい、こう願うわけであります。そこで、司法試験にも、ペーパーテストや面接において、このような趣旨を生かせるような試験制度であるように今後検討していただきたいなと思うのですが、いかがでしょうか。
○菊池(信)政府委員 先生御指摘のとおり、司法試験の今の仕組みが果して将来有為な、伸びるいい人材、しかも人間的に豊かな人を十分吸収し得るだけの制度になっているかということについては、率直に申し上げて、相当問題があると思います。先生御存じのように、現在の合格者の平均年齢は大体二十八歳前後ということになっております。若い人たちの合格がますます困難ということになってまいっております。二十八歳前後ということになりますと、大学を二十二、三歳で卒業いたしました場合に、その後五、六年の受験勉強をして合格するというのが普通の姿だということになってまいるわけであります。現在在学生の合格の割合と申しますものは、大体例年十数%でございます。それも大体留年をした人が多いということになっております。それ以外の大部分の人は、司法試験を受けます当時無職ということになっております。その相当の部分はいわゆる司法試験浪人という形になるかと思います。司法試験というのは、この試験そのものは人格そのものの判定まではいたすところまではまいりませんで、まず必要な学識と応用能力を有するかどうかというものを判定するわけでございますが、やはり性質上どうしても法律科目が主体になってまいります。そうすると、法律の勉強ですから、長く勉強した人の方が有利になって、勉強の期間の短い在学生がなかなか入りにくいという結果になってまいります。 司法試験と申しますのが本質的には資格試験でございます以上、どの程度の法律知識を今有しているかということが大事であって、軽視するわけにいかないことはもちろんでございますけれども、同時に、あるいはそれ以上に、将来優秀な法曹となるにふさわしい資格とか資質とか能力を備えているかどうかということが極めて大事だろうと思います。大学卒業後も相当な期間不安定な環境の中で受験勉強を続けざるを得ないというようなことがしかも常態化しておるということ、これは法曹としての人格形成のあり方ということから見ましても望ましくないと思われますし、中には経済的な事情から中途にして志を翻してほかの分野に進まざるを得なくなるということが出てまいるかと思います。我が国のいろいろな分野の人材補給の方法というのが、その主たるルートを大学卒業者の新規採用というところに置いておるわけでございまして、そこのルートがほとんど、と申しますか、極めて多く閉ざされた状態になっておるということは、現在の司法試験の抱える大きな問題だろうと思います。したがいまして、この問題は、現在の試験をさらに改善して、今申し上げましたような将来有為の人たちをできるだけ早い時期にこちらに吸収することができるような制度にしなければいけないのではないかということで、年来いろいろ御意見もございますし、私どもも検討いたしておるわけでございます。 ただ、現在の司法試験の制度がこのままではいけないのではないか、手を加えなければいけないのではないかというところまではほとんどの方が一致いたしましても、それではどういう部分についてどういう方向への改正が望ましいかということになりますと、極端な言い方をしますと、いろいろな、あらゆる方向に意見が分かれてしまうという言い方をしてもよろしいわけでございます。例えば法律科目の負担を軽くすべきだという考えもあります反面、やはりこの試験の本質からいってもう少し法律科目をふやすべきではないかという御意見もあります。教養科目をふやすべきだというお考えもあれば、それもやめた方がよかろうという御意見もあります。短答式についても御意見の方向は分かれてまいります。 したがいまして、この司法試験の改善の問題は一私どもが抱えております年来の懸案の一つでございますが、先生御存じのように、運用上幾らかなりとも、そういう、単に法律の知識を問うのではなくて、物の考え、理論的な思考力あるいは応用力、それからリーガルマインドと申しますか、そういうようなものを問うような問題をできるだけつくることに心がけているというようなこともいろいろやっておりますけれども、この制度そのものの根本的なあり方につきまして、私どもといたしましても、従前からいろいろな方面の御意見を承って検討を進めてまいっておりますが、これまで、現実に立法上の方策として考えられたものにつきましても、相当強い反対があって、途中でそのままになってしまったというようなこともあるわけでございます。しかし、私どもとしては、なお、この問題については力を入れて、しかし慎重に検討し、改善の必要性について大方の御理解が得られるような努力をしてまいりたいと思っております。
○三浦(隆)委員 今、御答弁にもありましたように、司法試験に合格する人は二十八歳前後である。まさに、大学の学生の間からあるいは卒業してから一筋にわき目も振らずにそれだけ勉強して勉強して、なおかつ二十八歳前後までならないと試験には合格することができないのだということであります。ここでは、もし不合格になってしまったら、その司法試験浪人という人の前途はどうなるかと考えると、同じ年ごろの人に比較して、法律の知識はあるけれども、他のものはほとんど持ち合わせないという意味で、一般の社会人として生きるのに、むしろ大変に困難さがある。一筋に勉強した大変御立派な方なんでしょうけれども、ほかの道を歩むには本当にかわいそうなくらいに難しいことになるのじゃないかと思いますね。しかも、その数はおびただしい数に及んでいるのだということです。 逆に言うと、そうした苦労して苦労して取る人は、普通の新聞も読まない、テレビも見ない、別にそれはテストされないからですね、ただただ法律の勉強だけ打ち込めば打ち込むほど、普通の人と違った人格というか、お答えがあった円満な人格ではなくて、むしろゆがんだ人格を持つようになってきはしないか、あるいは先ほどの弁護士法で言うような「深い教養」などというものはしょせん垣根の花でありまして、深い教養を身につける前に、一条でも法律の条文・知識をということになってしまうのじゃないだろうか。 逆に言えば、そうした難関を突破した人に、この試験をどうしたらいいだろうかと言っても、これは答えは出てこない。やっとその難関をパスした人であればあるほど、司法試験をやさしくしようというか、言い方は語弊があるかもしれませんが、そのことにはまず納得させられない。少なくても少ない人数の裁判官、少ない検察官、少ない弁護士であって、この枠を広げてなるものか、やっとおれたちはここに入ったのじゃないか、むしろ発想としてはそうなってしまうのじゃないかというふうに思うのです。 ですから、実際の裁判官というのは極めて世俗的なことを扱うわけですから、世俗的なものをよく理解しなければどうにもならないのに、現実の今の試験制度は、世俗的なものを理解しようにもし得ない状況に入ってしまっているということであります。だから、先ほどのように法万能主義で、法律には一見合っているように見えながら、人の心をとらえることが難しい人ができてしまう。これと対照的なのが我々国会の方かもしれませんで、全く選挙民の方に目を向けておりまして、そこから少しでも目を離したら選挙自体が危なくなるということでは、民意をいかに国政に反映しようかと必死であります。 これに比べると、法務省の方を中心に、別に民衆の方に目を向け、顔を向けなくてもそういうふうになってしまう。むしろ、そういう自分たちの場を広げることに、ともすれば反対の方向すらとってしまうのではないか、そんなような気がしないではございません。むしろ一般的な広い教養を身につける、極端に言ったら、その司法試験を受ける人に、テレビ番組で今どんな番組をやっているか、適当なのを五つくらいテレビ番組を挙げてごらんなさい、仮にそんな簡単なテストをやれば、小学校、幼稚園でもすぐ答えられる問題が、二十八歳のこの合格者は答えられるだろうか。それだけを見ても、その一般常識というものが民衆にはあっても司法試験合格者にはなくなってしまう可能性があるのだということであります。ただ、たまたま弁護士は弁護人への依頼にこたえなければならないということで、後から一生懸命身につけようとするでしょうけれども、裁判官、検察官は果たしてそういう御努力ができ得るものだろうかというふうに思います。 次は大した質問ではございませんので、この世俗的なものの例として、どなたでも結構ですが、法務省なり裁判所の帰りに、いわゆる居酒屋に気楽に入ったことがございますか、カラオケバーに出入りして、歌でも気楽に歌っていることがございますか、あるいは御近所の人とどうやってつき合っておりますか、どなたでも結構でございますから、お答えいただきたい。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官でございましても、居酒屋に入る人間はもちろんございますし、カラオケバーが大好きな人間もございます。また、近所とのつき合いも、普通の裁判官は通常に行っておると考えております。 ただ、裁判官の場合、普通の人と同じようにやっていいと申しましても、その仕事からくるある程度の制約があることは事実でございます。それはどういうことかと申し上げますと、例えば中小都市の裁判所に勤務したりしておりますと、その裁判所が例えば引けてからどこか飲み屋へでも行く。そうすると、往々にしてそこの裁判所に係属している事件の当事者の経営している飲み屋とか、そういったようなケースがございます。そういう場合にはやはり相当程度の注意はしなければならないわけでございます。それからまた、余りに世間のひんしゅくを買うような場所へ出入りするということも、これは裁判官としては通常は避けていると思います。しかし、そういったごく例外的な場合を除きますと、裁判官でありましても通常の一般市民と同じような生活を裁判所の外ではしておるわけでございますし、また、そのことには何も問題はないと考えているわけでございます。
○三浦(隆)委員 同じようなことですが、最近、新宿の夜の町などというのを歩いたことございますか、あるいはパチンコ屋などに出入りしたことございますか。どなたでも結構です。
○櫻井最高裁判所長官代理者 私がどういう行動をしているかということでございますと、これはまた別問題でございますが、新宿の夜の町を歩いている裁判官も、パチンコ屋に出入りしている裁判官ももちろんあるものと信じております。
○三浦(隆)委員 風営法も改正になっておりますけれども、そうした関連もあって、そこでの違法の人を裁くということもあろうかと思うのですが、そういうところで働いている人が、なぜ働かなければならないのか、場合によってはなぜ違法を犯さなければならないのかということを考えたときに、法に違反しているということで処分するというか、それは仕方のないこととしても、そうしたいわゆる庶民というか、末端の人々の生きざまについても目の向けられるような幅広い人であってほしいというのが質問の主意でございます。 というのも、先ほど来言ったように、二十八歳になるまで法律の勉強だけで他のことに全く目を向けるいとまのない人ですから、普通の二十歳から二十八歳までといえば、人生の最も青年期でありまして、いろいろな楽しいこととか、いろいろなつき合いというか、あるわけです。それを全部みずから閉ざしてつらい勉強稼業一本で打ち込んできたわけですから、それなりに本当に大変な努力だと本当に心から敬意を表するのですけれども、それだけにそれが裏目に出るというと、法だけが頭にあって、法違反者の側というか、人情の機微から離れてしまうことになるのじゃないかということを恐れます。特に指紋押捺のこうした問題をめぐってそうしたいろいろなお答えを聞いていると、私にはそんな気がしてなりません。 それから、再び戻りますが、二十八歳まで勉強して、そしてそれでどうしてもだめだ、例えばもう十回受けてだめだ、いよいよあきらめて他に転職しようにもこの人たちを救済する道が大変乏しいということで、やはり司法試験のあり方というものももう少し考え直していいのではないかと思いますので、これはぜひとも将来御検討いただきたいということでこの問題についての質問はこれでとめることにいたします。——大臣、お願いします。
○嶋崎国務大臣 今、指紋問題と絡められてお話になりましたけれども、実は司法試験のあり方につきましては私たちもよそでいろいろな議論を聞いておりますし、また法務省の中でもそのあり方をどうするかということについていろいろな研究もし、また幾つかの改善をやってきておるということを聞いておるわけでございます。 そこで、先生、先ほど寺田寅彦の言葉で、頭のよい人は足の速い人に似ている、人より速く目的地に着くが、途中で肝心なものを見落とすこともあるというお話をされました。私はごらんのように非常にでっかい体をしているわけでございます。寺田寅彦さんの弟子に中谷宇吉郎さんという方がおいでになりまして、昭和十六年、戦争が始まる直前でございました、私はある機会で先生にお会いすることがありました。私は今よりもっと、二十キロも太っていたわけでございます。顔を見るなり、「健康なる精神は健康なる肉体に宿る」という話があるけれども、あれは間違いだ、大体健康なる肉体には健康なる精神というのはなかなか宿らないので、宿ってほしいという祈りを言葉であらわしたのが「健康なる精神は健康なる肉体に宿る」という話なんだよと話された。おまえなんかはこれから世の中を渡っていくわけだが、私は科学者として一生懸命努力をしてきた、いろいろな問題を考えていくときに、その考え方に突き当たったら突き当たったことで考え直して反省をし、努力をして積み重ねるという努力の中で科学的精神というものは養えるのだろうというようなお話をされた。頭がよいという話と頭が強いという話は違うのだ、頭がよいというのはてきぱきよくわかるのかもしれぬけれども、頭が強いというのは、そういう考え方にたえられるということだ、それにたえられるようなそういう体をつくることが大切なんだ、おまえなんかはこれから大いに考え方にたえられるような人間に成長した方がいいよというお話をされたのが、私の今までの処生訓になっておるわけでございます。 例は指紋の問題でお話になりましたけれども、私も生まれたのが温泉場でございまして、それからずっと育って今日まで来たわけでございます。世の中の事柄を一面的に割り切ってしまうというような草々な考え方はいけないということを考えておるわけです。これらの問題についても、事柄の性質をよく見きわめて判断をしていかなければならぬというふうに思っておりますので、余分であるかもしれませんけれども、お答えをしておきます。
○三浦(隆)委員 特に大臣からお言葉をいただいたわけですが、ぜひともその道で法務行政をやっていただきたい、こういうふうに思っております。 さて、大学なんですが、これまでの大学というのは実に閉ざされた大学でありまして、教授会などでも正教授だけが教授会メンバーで、助教授以下は一歩も入り得なかった。たまたま大学紛争がありましてから、助教授、あるいは講師、助手も問題によっては教授会に参加し得るようになりました。それでもまだまだ大学の教授になるとういうのは門戸が極めて狭く、大変なんですが、最近ある大学あたりでもって、社会人登用の道を開いて大学教授にお招きしようじゃないかというふうな動きが出ております。いわゆる大学の教授としての専門の知識はもとより大切なんですが、それよりも、仮に少し専門の教授よりも落ちたとしても、それ以上にすばらしい能力を、よさを社会人は持っていられるかもしれないということで、そうしたすぐれた社会人ならばぜひとも大学に招いた方が大学に新しい風もまた吹いてよくなりはしないかというふうなことで、実験的に各大学で今検討しているようでございます。 そこで、そうした発想がもし正しいとするならば、将来、法曹も社会人登用の道を開くことができないものだろうかなというふうに考るわけです。先ほどの質問とも関連するのですが、将来のあり方としてそうした法曹へ社会人登用の道を開くという考え方についてはいかがでしょうか。
○菊池(信)政府委員 先生お話しの、社会人の豊かな経験、幅広い識見と申しますか、そういうようなものをなるべく裁判の中に反映させるようにということは極めて結構なことだと存じます。 法曹への登用というふうにおっしゃいましたけれども、法曹という言葉を広い意味でとらえますと、現在、先ほど来話の出ております簡易裁判所への道ということはございます。それからさらに、現在でも、家庭裁判所あるいは地裁の民事あるいは簡易裁判所の手続の中には、調停あるいは参与というようなことで社会人の方のお力を極めて幅広くかりるという方向があるわけでございます。そういうことで、現在の法曹資格そのものの中に社会人の幅広い感覚を入れていくという方向がよろしいのか、あるいはそういう広い意味の補助機構のようなものを含めて、そういうものの中に入ることによって裁判の内容にそういうものを反映させていくという方向がよろしいのか、方向としてはそれぞれあることだろうと思います。 法曹資格の問題につきましては、これは極めて根本的な事柄にかかわりますのでなかなか難しいことだろうと思いますが、その補助機構等の問題も含めまして、全体として裁判の中により社会的な要素を反映させる方向ということは極めて結構なことでございまして、私どももこれからもその点の研究を十分いたしてまいりたいと思います。 〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
○三浦(隆)委員 次に、社会情勢の進展に伴いまして訴訟事件は複雑多様化、専門化、集団大量化等が顕著となってきているわけです。これらの事件の処理、解決を図るのに、一人の裁判官が全分野を担当するということが果たして可能なものなのかどうか、裁判官の受け持ち分野というのをちょうど医師のように、小児科とか外科とか分けるように公法部門とか私法部門とかお分けになった方がいいのではないかと思うのですが、これはどうなのでしょう。
○山口最高裁判所長官代理者 三浦委員御指摘のとおり、裁判所に係属いたします事件は種々さまざまなものがございまして、その内容も複雑多岐にわたるものですから、裁判所の構成を考える場合に二通りの考え方ができるわけでございます。 一つは、今御指摘のように、それぞれの分野を専門的に処理する裁判官で複合的に構成していくという考え方でございます。ただ、そのような考え方が実現できますのは、それぞれの分野におきましてその専門的な裁判官が処理するに足るだけの事件の数があることが前提になってまいります。大都市の裁判所、例えば東京のような裁判所になりますと、人事、行政、労働、手形、商事、破産、執行、調停あるいは交通事故、無体財産権というようなそれぞれのパートに分けまして、専門部を置いて処理しておりますし、大阪その他の比較的大きな裁判所でも専門部を置くとか、あるいはそういうような特殊事件につきましては一課部に集中するとかいうような形で処理をしております。小規模な裁判所に参りますと、専門部を設けるほどの事件がございませんために、あえて設けようといたしますと地方裁判所を幾つか統合しなければ不可能であるというようなことになりまして、これはちょっと実現が困難になろうかと思います。 他面、一つの考え方によりますと、裁判官は多くの異なる事件について問題点を的確に把握して、これを公平な立場で評価、判断できる能力を備えた、いわばオールラウンドの裁判官であるのが理想だ、専門的知識、経験については鑑定人なり鑑定証人なりの鑑定意見等によって賄えば足りるという考え方もあるわけでございます。二つの考え方の持っている長所をそれぞれ考えながら十分な配慮をしていかなければならないというように考えております。
○三浦(隆)委員 一昔前はお医者さんも一人ですべてをこなした時代があったのですが、今はそれではとてもだめだということで専門化されていると思います。今の法律も同じで、六法全書を見ただけでも大変なものでして、これを全部一人でやるなんということは本当にえらいことだろうと思うのです。それならば、ある程度分野を決めた方がいいのじゃないか、基本的にそんな気がいたします。 そこで、その次は、大学院を修了した者をもう少し司法試験で優遇する道はないだろうかということなんです。普通の学部よりも、大学院受験となるとそれ専門の二カ国語なりやらなければいけないし、また専門の勉強をしなければならないわけでありまして、そういう意味で、例えば大学院の中で民法コースあるいは刑法コースというふうに専攻した場合には試験科目の中から民法なり刑法は免除するとか、何らかの手を打ってもいいんじゃないかというふうに考えるのですが、それはどうなんでしょうか。
○菊池(信)政府委員 先生御指摘のような大学院の専攻科目との関係でこの問題が議論されたということは従前余りなかったようでございますが、側存じのとおり司法試験と申しますのは、裁判官、検察官あるいは弁護士となろうとする者が必要な学識及び応用能力を有するかどうかということを判定するためのものだということになっております。私ども、大学院の修士課程あるいは博士課程の実態が果たしてどのようなものであるかということは必ずしもつまびらかにしておりませんし、特に実務家として必要な学識の点は当然といたしましても、その応用能力という点の関係ではどういう実態なんだろうかということについて認識を十分持っておりませんので、その辺についての認識を、どちらの認識を持つかということで恐らく結論もある程度違ってくるかと思いますが、なかなかそこまで踏み切れるかどうか、問題がないことはないのではないかという気がいたします。 ただ、どちらにいたしましても、現在の実態を見てみますと、出願者については数がわかりませんが、司法試験の第二次試験合格者の中で大学院生の占める比率、したがって修了者ということではわかりませんが、いわば大学院在学中の者の占める数がどのぐらいになるかというふうに申しますと、非常に少ない数でございまして、昭和五十三年以来、各年いずれも一けたの数でございます。五十三年以来順に申しますと、五、七、八、二、六、四、三というような数になっております。相当少ない数ではございます。 ただ、司法試験の改善の問題につきましては、先ほど申しましたように従前いろいろな御意見が出ておりまして、私どもそういう御意見全体を含めましていろいろ検討させていただいておりますので、先生の今の御指摘の点もひとつ十分検討させていただきたいと思います。
○三浦(隆)委員 ぜひとも御検討いただきたいと思うのです。今、税理士さんがたしか大学院、修士課程を、商法なりもう一つ何か、二つ出ると自動的に資格が取れるというふうに思います。かつて司法試験もなくて、東大法学部だけで取れていたことを考えますと、大学院、大学のまさに法理、法学を専門にした者が、それだけでその資格を取得しても本来おかしくないかもしれないと思うのです。ということで、大学院で少なくともある科目を専門として専攻した以上、それはもう免除するという方向でぜひとも御検討いただきたいと思います。 また、特に外国人弁護士というふうなことが今問われようとしておりますし、裁判の中でも外国人相手の裁判というのがふえてくるかもしれないということで、幅広い教養、語学力なり知識というものが要求されてくると思います。 〔太田委員長代理退席、委員長着席〕 時間ですので、最後にもう一つお尋ねして終わりたいと思うのです。 司法試験に外国の国籍を持つ者が受験することは可能かどうかということであります。将来、裁判官、検察官になることはちょっとおかしていただきますが、将来弁護士になるんだということに限定をいたしまして司法試験を外国人が受けることは可能なのかどうか。
○菊池(信)政府委員 司法試験の受験資格の要件としては、日本国籍の保有は要件になってございませんので、可能でございます。現にこれまで相当数の合格者がございます。
○三浦(隆)委員 質問を終わります。
○片岡委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 最初に、定員法に関連して裁判所の予算問題。 予算編成作業の中で、概算要求につきまして閣議了解を行いますが、そのときに各省庁が留意すべき事項を定めるようになっております。最高裁判所はこの閣議が決定する閣議の了解に拘束されると考えでいいのかどうか、まずお伺いします。
○川嵜最高裁判所長官代理者 裁判所は三権の一翼を担っております機関でございますから、閣議の決定には拘束はされません。
○柴田(睦)委員 そういうことでありますが、最高裁長官は、概算要求に当たって裁判所職員の定員についてどのような要求をなさいましたか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 裁判所の場合もほかの省庁と同じでありまして、八月三十一日に概算要求を内閣へ送付するわけでありますが、その中におきまして判事九、一般職四十の増員要求をいたしました。
○柴田(睦)委員 今までの答弁を聞いておりまして、それも実態から見れば最初から抑えに抑えて控え目に請求されたと思うのですが、この最高裁判所長官の概算要求は一般大臣の要求と違って、一方は大蔵大臣に出す、最高裁長官の方は政府に出す、こういうふうに区別していることについてどういう意味を持っているとお考えでありますか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 裁判所は憲法上三権の一翼として独立した機関であるというふうに認められております。これを受けまして財政法が裁判の独立を支えるものとしていわゆる二重予算の制度を認めております。ただいま御指摘の点もその一環であろうと考えております。
○柴田(睦)委員 これは裁判所という三権の独立に対して財政上の独立性を保つ、また予算の減額によって政府が裁判所に干渉するとか三権分立の原則の趣旨を没却しないようにする、こういう意味を持っているということだと思うのです。 そこで、裁判所の概算要求の問題ですけれども、概算要求は政府に出される、政府の方はこれを調整のため大蔵大臣に送る、大蔵大臣が概算原案を決定する、そこで閣議にかけて概算決定するということであるわけです。ところが、現実に今出されております定員法を見ますと、裁判官九名はいいとして職員の四十名、これは減らされているわけです。マイナスになっているわけです。これは査定の中で削減されたものであるかどうかお伺いします。
○川嵜最高裁判所長官代理者 増員要求はただいま申し上げたとおりでありますが、一方におきまして政府が決定されました第六次定員削減計画というものがございます。この削減計画に裁判所も協力するよう要請がございまして、裁判所の運営に支障のない限度でこれに協力するということを決めておりまして、六十年度におきましてはこの第六次定員削減計画に基づく減が三十九であったわけであります。その後概算要求をいたしました後の時点におきまして国家公務員の定年制度の施行に伴って後補充をどうするかということが問題になり、政府の方におきまして後補充は真に必要やむを得ない場合を除いて原則としてこれを認めないという方針を出されたのであります。そして裁判所に対してもこれに応分の協力をしてほしいという要請がございました。いろいろ勘案をいたしまして後補充はマイナス三、後補充をしない数三ということでこれを受け入れた次第であります。したがいまして減が四十二になったわけでありまして、一般職だけで見ますと純減が二ということに相なったわけでございます。
○柴田(睦)委員 第六次の削減計画あるいは後任を補充しない、これは行政改革の問題で政府がやること、これに対して裁判所が右へ倣えをする、ここに問題があると思うのです。現実に裁判所が憲法に従って迅速な裁判を進めていく、国民のための裁判を進めていくということであれば、実際には今裁判所の中でももっと裁判官が欲しい、またそれと一体になる職員が欲しい、こういう要求があると思うわけです。 ところで、これは閣議決定に当たりまして最高裁長官は意見を求められるわけでありますけれども、この定員の問題につきましてどんな意見を述べられたのか、概算要求で出したものが現実に削られて職員の方はマイナス二になったという問題ですが、その問題についてどういう意見を述べられましたか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 財政法に定めてあります最高裁長官の意見と申しますのは、最終的には大臣折衝の段階で事務総長が長官の意向を受けて述べるということに慣例上なっております。今回の場合、先ほど申しましたような増員、それから減員で結構であるという意見を述べたことに相なります。
○柴田(睦)委員 結構であるということは、現実に述べられた事務総長としては本心にありますかどうですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 経理局長から申し上げたようなことでございますが、いわゆる予算の折衝と申しますのは、大変失礼でございますけれども、ちょっと一言申し上げさせていただきますと、いわゆる概算要求がございましてから概算閣議に至るまで各ランクといいますか、ランクごとにいろいろな項目について折衝があるわけでございます。柴田委員御指摘の人員の問題につきましても、当初要求をした後からすぐにもいろいろ問題がありまして、裁判所としてはここをどういうふうに考えるかということを先ほど申し上げました各ランクごとに折衝があったわけでございます。結局、私、事務総長としての一存ではなく、あくまでも最高裁判所長官としての意見でございますし、事、予算に関しましては重要な事項は裁判官会議に諮りまして長官の意見として伝えるわけでございます。ことしもそのようにさしていただいたつもりでございます。
○柴田(睦)委員 結局控え目にしてぎりぎりの要求をした、それが削られた、こういう場合こそ二重予算ということになるのではなかろうか、そのための規定ではなかろうかと思うのです。現に昭和二十七年には、田中耕太郎長官のときですけれども、付記させたことがあるわけです。その後はこれがない。こういうことを見ていますと、いろいろ聞いていることもあるわけでありますけれども、ぎりぎりの要求をしてそれが削られた、こういう場合付記をさせる、独立という立場から見れば。そのためにこういう条文があるのじゃないでしょうか。
○勝見最高裁判所長官代理者 財政法上に規定のございますいわゆる二重予算制度、これは裁判所に限らず独立機関に認められた制度でございます。裁判所という独立機関に与えられた権限というふうにもちろん私どもも考えております。例年の予算折衝に当たりましては、先ほど経理局長から申し上げたような趣旨で私どもに与えられているという趣旨を十分踏まえて各段階で折衝を重ねてきているつもりでございます。 今御指摘の、それではなぜ二重予算権を行使しないかという正面切ってのお尋ねでございますが、もちろん予算は国会で決めていただくことでございます。それから財政当局である大蔵大臣が日本国の財政を全責任を持って切り盛りしておるわけでございます。その際に裁判所としてどのような予算を要求し、どのような予算を組まれるべきかということを十分慎重に総合検討した上で、先ほどから申し上げておるような形で一応は概算閣議があったというふうに御理解いただきたいと存じます。
○柴田(睦)委員 先ほど言いました田中長官のときに付記をさせたということがあります。事務総長は田中耕太郎、二代目の長官、尊敬しておられる方ですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 ある意味では非常に個人的なお尋ねだと思いますが、私自身は、立派な学者であり、かつ立派な最高裁長官であられたというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 田中耕太郎さんの「私の履歴書」の中に裁判所の予算問題について書いてあるのがありますので、関係部分だけちょっと読みます。 裁判所予算に関しては「歳出見積りの減額の場合の「二重予算」提出の権限が認められている。」これは財政法十九条。「しかし、この権限は、今日まで伝家の宝刀以上のはたらきは演じなかった。」特に「与党が国会で絶対多数を占める場合には、つねに政府原案が採択され、二重予算は提出してもムダになることは確実である。」「この制度は、結局、有名無実に終るのである。我々は裁判所の予算が予算総額の一%にも及ばない現状を慨嘆せざるをえない。」これは昭和二十七年のころのことでしょう。「しかし裁判所は文部省と同様に現業官庁ではないから、必要な経費の獲得にははなはだしく不便を感ずるわけである。この点で長官は文部大臣よりも不利な地位にある。それは裁判所が政府から独立しており、長官が閣議に出席して意見を述べる機会をもたないからである。」こういうように書いてありますが、これについての見解ですが、余り時間がありませんので、要するに二重予算を出しても意味がない。現実にはこの財政法の十九条、会計検査院だとか国会とかありますけれども、そことも違って、司法の独立、こういうことを死文としないで——実際上、もう死んでしまっておる。これは田中さんから聞いた話ですけれども、結局、付記をさしたら後で大蔵省から毎年毎年ひどい目に遣わされた、こういうことを私聞いたことがあるのですけれども、もう裁判所の予算をつくるに当たって、ひとつ今の田中耕太郎さんの考え方についての見解と、裁判所の予算をつくるについて、今最高裁判所が考えている、特に政府に対して要求する問題、どういう点が問題か、こういう点についてお伺いします。
○勝見最高裁判所長官代理者 一概に、私、今お読みいただいたことに関して、一つ一つ意見を述べるのもいかがかと思いますが、二重予算制度についての御理解は、田中元長官のおっしゃるとおりだと思います。 ただ、私が先ほど申し上げましたように、予算は国会で議決いただく、それから財政は政府の大蔵大臣が国家財政を責任を持って切り盛りしているというふうなところで、その中にあって、独立している司法権の予算というものをどういうふうに持っていくか。田中さんが御指摘の、閣議に閣僚を送っていないという点が、当然に裁判所の予算がいわばだめな予算であるということについては、いささか私は問題があるのではなかろうかと思いますが、それはそれといたしまして、私どもの立場を十分私どもなりに考えて予算折衝を行い、かつ予算審議をお願いし、かつ予算関係法案の審議もお願いしているような立場にございますので、私どもといたしましては繰り返しになりますけれども、二重予算制度につきましては十分理解を持った上で行動しているつもりでございます。 なお、二十七年の際に二重予算権を行使したということはよく言われていることでありますが、現在残っている資料によりますと、どのような形で二重予算制度が——そこまでぎりぎり持っていって結局事実上妥結したのだろうと思うのですけれども、どういう形でいわば火の手をおさめたかどうか、ちょっと公式の記録にはございませんので、今田中耕太郎元長官がおっしゃっているようなことだったのかどうか、ちょっとその点私どもといたしましては正確には把握しておりません。余計なことでございますが、ちょっとつけ加えさせていただきました。
○柴田(睦)委員 今の点は昭和二十七年二月二十二日の予算委員会の第一分科会の議事録がありますけれども、それによりますと、結局付記した後で意見の一致を見る、要するにこのときは裁判所の工事の問題ですが、これを次年度に繰り延べる、裁判官の宿舎が予算から削られる、こういうような経過で一応話は一致したけれども、後で裁判所が宿舎がつくれないというような状況が、この議事録からはうかがえるようであります。 私は、裁判所の予算というものに対して、特に司法権の独立という問題との関連から、やはり裁判所がぎりぎりに今の状況——これは司法行政当局ですけれども、そこで考えると、せっかくそういう法律があるわけですから、この立場を本当にわからせて政府に納得させる、このことが必要である。そしてわからなければやはり法律に従って付記をさせる、それくらいの考え方を持たなければならないというふうに思うわけであります。付記をしたくない、そういうことであるならば、それだけ説得し、わからせなければなりませんし、そのために付記の必要がないようにするためには、ここでやはり法務大臣がさっき言ったように、長官は閣議に出られないわけですから、閣議では法務大臣は出られるわけですから、そういう意味では法務大臣がひとつそこのところは閣議で頑張って、裁判所の予算というものはこういう性質のものだ、これは認めてやらなければならないのだということで頑張っていただきたい。そういうように思いますが、大臣のこの点についての所見をお伺いして、この点は終わりたいと思います。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、裁判所の経費は独立して国の予算に計上するものとされておるわけでございます。裁判所の予算の原案は独立の機関である最高裁判所が全く独自の判断に基づいて内閣に提出することとされておるわけでございます。したがって、裁判所の財政当局に対する予備折衝も最高裁判所の事務当局がこれに当たるものであり、法務省当局はこれに介入すべき立場にはないことは事実であります。 ただ、裁判所の予算についても、最終的には先ほど御指摘になりましたように、予算を作成するのは内閣の責任であるわけでございます。内閣の意思決定の段階におきまして、法務大臣は閣議の一員として、また裁判所の所掌事務に最も近い関係にある法務を担当する大臣として、裁判所の正当な要求が正しく理解されるよう、そのための日常の努力を払うことは当然であると考えておる次第でございます。また御承知のように、各年度の予算を整理する場合に、きちっと一致をした整理をするという手続をとって事柄を処理しておる段階でございますので、本年度の予算編成についてもそういう点は問題がなかったと思うし、またそういう結果になっておると思うのです。 ただ、私自身もこの前も御説明申し上げましたけれども、ちょうど予算折衝の始まる二日前、たしか十二月二十三日の日ではなかったかと思いますけれども、事前の折衝を法務関係の予算についてやりました。その話はその話で済んだわけでございますが、それとは別個に、私自身はそういうところに直接発言する機会はないということを前提に置きながら、ぜひやはり裁判所の実情というものを大蔵の主計当局が十二分に調査をしまして、非常にいろいろな備品、事務の手段等において欠けるところがあるように私自身は聞いておりますので、そういう点については今後十二分に注意をして整理をしていただくようにという発言もしておいたことを、付言として申し上げておきます。
○柴田(睦)委員 次は、中国残留日本人孤児の就籍申し立て事件の審判に関連する質問に移ります。 どうぞ事務総長は……。 日本弁護士連合会が昨年十月二十日、人権擁護大会で中国残留邦人の帰還に関する決議というものをやっております。「何人も自国に帰る権利を有する。」これは世界人権宣言の精神を踏まえた文章から始まる。その立場に立って、結局国会及び政府に対して「残留邦人の日本国籍取得手続を速やかに整備し、早期帰還を実現すること。」それから「帰還者とその家族に対しては、自立を促進する特別の生活保障をするなどの特別立法を含む諸措置を速やかに講ずること。」この二点が要望れております。全部が法務大臣の所管ではないわけでございますけれども、法務大臣としてこの日本国籍取得手続を速やかに整備し、早期帰還を実現する問題、それから帰還者と家族に対して自立を促進する特別の生活保障をするなどの特別立法を含む諸措置を講じるように、この要望に対してはどのようにお考えでありますか。
○嶋崎国務大臣 ちょっと準備をしてきておりませんけれども、この問題につきましては中国に残留しておられる方々につきまして、戸籍その他が非常に明確なものとそれからそうでないものとに分けまして、一番問題は、戸籍が明確であってもたまたま所属がはっきりしてないというようなものについては就籍手続というものを必ずやらなければならぬということになっておりますし、戸籍がはっりしてないというような場合にはその手続は、どうしても就籍の手続を経なければならぬというような段取りに相なると思うのでございます。その両方につきまして、できるだけ前向きに対応していきたいということで考えておるような次第でございます。 それからもう一つの特別立法の問題につきましては、今直ちにそういう問題を考えておるというような状況にはなっておりません。御意見として承っておきたいと思います。
○柴田(睦)委員 法務大臣としても一層中国残留日本人孤児の肉親捜しに努力するとともに、孤児の日本への永住帰国や一時帰国にもより厚い施策を講ぜられるように要請しておきます。 そこで、本日の裁判所職員定員法の審議に関連して、身元が判明しなかった孤児、要するに自分のルーツが不明である孤児ですが、その就籍申し立て事件の処理についてお聞きします。 去年の三月二日にこの委員会で我が党の野間委員が、孤児が中国に在住のまま代理人を立てて就籍申し立てをするケースが増加する、特に東京家裁に増加するだろうから、人員確保を含めて体制を整備するように検討しなさい、こういうことを申し上げました。ところが最高裁の家庭局長は、管轄がどこになるかわからない、特定のところに集中することはない、今になってみれば、そのとき予測したにもかかわらず、全く言い逃れ答弁をしていたわけです。現実には、野間委員が指摘したように東京家裁に集中して今審判が大幅におくれているというのが現状であるわけです。さらに中国残留日本人孤児の就籍申し立て事件は増加の傾向を示していると思うのですが、その概要をひとつ簡潔に述べていただきたいと思います。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 中国残留日本人孤児の就籍許可事件の趨勢でございますが、昨年三月当時、確かに私としてはこの種の事件が集中的な増加傾向をたどるかどうかというようなことについてよくわからなかったのでございますが、その後の経過を見ますと、この種の事件は昭和五十七年が十件、五十八年が七件、五十九年が六十件、今まで三カ年通しまして合計七十七件となっておりまして、特に昨年の四月以降増加傾向が続いておる状況でございます。 そして、この種の事件が係属しております裁判所は東京家庭裁判所、浦和家庭裁判所、この二庁が多くの事件を受けておりまして、ほかの庁はごく数件あるいは一件というような状況になっております。 この事件受理の状況に対しまして、同じく三年間における事件処理の状況を見ますと、既済件数が二十九件ということになっておりまして、未済は四十八件でございます。既済事件の審理期間は、平均審理期間でざいますが、四・九カ月となっておりまして、未済事件の平均審理期間は四・二カ月というふうになっております。この種の事件におきましては、申立人が幼少時に親と生き別れになっているため、肉親に対する明確な記憶を持っておりませず、また手がかりとなる客観的な資料が乏しいというようなことや孤児や養親が中国にいる場合が多くて、裁判所としまして審問や調査が思うようにできがたい、こういう事情にあるケースが多いわけでございまして、結局証拠資料の収集に困難が伴うのが特徴でございます。こういうような点からしますと、この種事件の審理が、先ほど申し上げましたように既済事件で平均四・九カ月、未済事件で四・二カ月という状況はやむを得ないところではなかろうかと思います。特にこの種の事件の審理が大幅に遅延し、長期化しているという状況ではないように認識しております。
○柴田(睦)委員 五十七、五十八年度ごろは少なかったせいもあるでしょうけれども、非常に早く処理されてきたわけです。現在は、今おっしゃったように未済事件がたくさん残っている。ボランティア団体が運動を進めているわけですが、こういう人たちの話を聞きますと、担当裁判官、調査官、書記官は非常に熱心にやってくださる方も多い。ところが本人が中国にいる、あるいは立証をするための機関、関係者が中国にあったり、中国人のケースが多いというような困難なことがあってなかなか進まないということであるわけです。 そういう中で一つ問題は、弁護士を頼んでやる、そうすると委任状をつけるわけですけれども、この委任状の署名が本人の意思かどうかの確認が必要だ、こういう扱いを受けているようです。確かに民事訴訟の八十条には訴訟委任状を公証人に認証してもらうという手続もあります。しかし、現在の状況を見ますと、このボランティアの人たちに聞いてみますと、委任状を百七十通受け取っているけれども、まだ百通ぐらいは申し立てできない状態である、こういうことから考えてみまして、この立証をするために、私も三十年以上弁護士をやっておりますけれども、あなたの委任状を認証してきてくださいと言われたことは一回もないわけです。ところが、この問題に関しては、中国の、日本の公証人役場に相当するところの認証をしてこいと言われる。その立証のためには、孤児証明あるいは本人の供述書、養父母や隣人、職場など第三者の供述あるいは厚生省の孤児名簿の写し、さらには戸籍簿だとか結婚証明など、多くの書類が準備されなければならないわけです。こういう書類が整っておれば、あえて委任状を公証する、こういうことは必要ではないのじゃないかというように考えております。その点についての見解。 そして、一緒に言いますが、特殊な困難な状況下にある中国残留日本人孤児の就籍申し立てについては、裁判所並びに政府は特別の援助を検討してほしい、すべきじゃないかと思うのです。孤児本人や支援団体に過重な負担がかかる調査を押しつけるのではなくて、本来、就籍手続は職権確認で進められるものでありますから、調査員を中国に派遣する、これは、家庭裁判所の調査員でもいいでしょう、政府の機関の職員でもいいでしょう、本人や必要な重要証人を政府が金を出して呼ぶということでもいいと思うのです。中国政府の方だってやはり綿密な調査に基づいて日本人孤児と証明して、これも日本の政府が調査して認めているわけですから、調査に厳密さを要求されるにしても、これを孤児本人の責任にしてしまうというのは本末転倒であろうというように思います。そういう意味で、援助の手を差し伸べる。できるだけ可能な、早くできるような、希望をかなえるような、そして無理を言わない、そういうことが必要であると思うわけです。もう時間がありませんので、まとめて法務大臣の意見を聞きたいと思いますが、そういう問題について、閣僚の一員として、中国残留日本人孤児の就籍申し立てに関してどんな援助の手が差し伸べられるか、厚生大臣、外務大臣、こういうところと協議して、積極的に取り組んでほしい。取り組むことをお約束できるか、積極的に検討して取り組む、こういうことが約束できるかどうか、お伺いしたいと思います。
○嶋崎国務大臣 ただいまの御質問の件につきましては、関係省庁とよく連絡をして推進を図りたいと思います。現在までもそういう点についてはいろいろな整理を進めてきておりますし、事務手続的にも大分整理された段階にあるというふうに思っております。
○柴田(睦)委員 ちょっと時間がなくなりましたが、新聞によりますと、昨年の十二月十三日に最高裁事務総局家庭局が、少年事件担当裁判官協議会を開いたということが出ております。「協議会には全国の家裁から裁判官の代表約四十人が出席。少年事件の取り扱いについて、各家裁からの質問に、同家庭局側が考え方を示す形式で協議が行われたほか、部外秘扱いの「モデル試案」が配布された。」こういう記事が出ておりますが、この協議会の参加者、あるいは運営のやり方はこういうものであったかどうか、お伺いします。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 昨年十二月十三日に開かれました少年事件担当裁判官協議会の出席者、それから協議会の協議テーマについては、おおむね今委員御指摘のとおりでございます。協議テーマについて若干補足させていただきますと、この協議会では、少年事件における事実認定手続と軽微事件の処理、これを主要テーマとして協議がなされております。各庁からそれぞれ協議問題が提出されまして、その協議問題とあわせて、私どもの作成しましたモデル試案をめぐって裁判官の間で意見交換がなされております。
○柴田(睦)委員 今、家庭局の方からもテーマを出されたということですが、家庭局が出したテーマというのはどういうものでありましたか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 私どもの方からモデル試案を示しまして、そのモデル試案の内容について協議会出席者の意見を聞いた次第でございます。
○柴田(睦)委員 そのモデル試案というのは、今までこの委員会で問題になった軽微事案、これだけですか。ほかにもあるのですか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 モデル試案の中心的な内容は軽微事件等の取り扱いに関する処理手続でございますが、そのほかに身柄事件の取り扱い、試験観察に関する事項等も含んでおります。つまり、少年事件の通則的な事項の一部分を含んでいる次第でございます。
○柴田(睦)委員 そういう試案というものは、私が欲しいと言ったら、特別にということで、特別扱いということで、私は軽微事件の方をいただきました。僕の考えから見てもそのほかの部分がどうしてもあると思うわけですけれども、そういうものはなぜ全般的に公表、というか、そんな裁判所の内部にとどめおかないで広く意見を聞くために出さないのか、ちょっと不思議でたまらないのです。むしろ、今少年問題については重大な問題になっておりますから、裁判所内部だけの協議ではなくて、むしろ、このことを勉強している学者もいる、心理学者もいる、そうした人の意見を聞いてこの少年事件の扱いのモデルをつくって、そして、これはあくまでも一つの参考事例ですよ、それで各家庭裁判所で、東と西は状況が違う、北と南は状況が違う、田舎と町は状況が違う、一律にするのではなくて、別々に、それぞれ自分たちの状況に応じてこういうものを参考にしながら自分たち独自のものをつくりなさい、こういう形でやるのが当然だと思うのですが、このモデル試案というものは国会にも出せないものなんですか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 御指摘のようにモデル試案は部外秘扱いとしておりますが、モデル試案の内容は裁判手続の運用に関する事項でございまして、したがいまして、少年事件処理に責任を持っております裁判官を中心として、家庭裁判所の内部において十分検討を尽くすべき事柄であるというふうに考えております。裁判所部内において裁判官を中心としまして、自由な意見の交換を円滑に行いますためには、モデル試案を裁判所部内にとどめおき、裁判所部内限りのものとしておくのが適当であるというふうに考えるわけでございます。さらに、モデル試案は現に検討をしておる段階のものでございまして、これは検討の進行とともにその内容も修正されることが当然予測されるわけでございまして、この段階でモデル試案が外に出るということになりますと、種々の誤解を招きかねないわけでありますので、部外秘扱いとしているわけでございます。
○柴田(睦)委員 今の答弁は僕は非常に間違った考え方だと思います。 しかし、もう時間が超過して委員長に申しわけありませんので、これでやめて次の機会にしたいと思います。
○片岡委員長 林吾郎君。
○林(百)委員 午前中同僚議員からも質問がありましたけれども、マスコミでは手形詐欺事件と言っておりますけれども、支払い禁止の仮処分決定が続々と出されておるわけですけれども、これで新聞などの伝えるところによりますと、背後に大物の手形ブローカー等が暗躍していて、警察庁はこれの捜査をして追及するつもりだというようなことも新聞に出ておるわけなんですが、この事件の概要、特色、どういう組織でやっているかということは警察庁はどういうように握っておりますか、まず警察庁の答弁を聞きたいと思うのです。
○上野説明員 お答えをいたします。 御指摘の事件につきましては、昨年手形所持人の方からの告訴に基づきまして所要の捜査を行い、本年二月の二十二日に事件検挙に着手いたしまして、昨日までに被疑者五名を詐欺罪で検挙の上、引き続き捜査中のところでございます。 事犯の内容を申し上げますと、被疑者五名でございますが、共謀の上、約束手形及び為替手形、合計十四通の満期以降におきます決済を一時免れるために虚偽の借用証等の疎明資料を作成の上、昨年の五十九年七月に裁判所に対しまして、手形の処分の禁止あるいは支払いの禁止を内容といたします仮処分の決定を求める申請をいたしまして、裁判官をしまして申請の趣旨のとおりの仮処分決定をなさしめまして、同決定書を第三億務者であります銀行に送達、受領せしめまして、前記各手形の満期日以降その決済を一時免れさせ、手形金額相当額の支払いを一時することなく財産上の不法の利益を得たというものでございます。 ただいま申しましたように、二月の二十二日に着手いたしまして鋭意捜査に当たっているところでございまして、まだ強制捜査に入ったばかりでございますので、背景その他につきましては今後の捜査にまちたいということで、鋭意、現在、被害実態その他をあわせて、調査、捜査を進めているところでございます。
○林(百)委員 そうすると、この種の事件の捜査はなお継続している、さっき言われました五人の共謀というののほかにまだ存在しているということで捜査は続けているというように聞いておいていいのですか。
○上野説明員 ただいま申し上げましたように、つい先日、強制捜査に入ったところでございまして、先生御指摘のとおり、現在、他の犯罪容疑等につきましてもあわせて調査し、捜査を進めている、継続中ということでございます。
○林(百)委員 裁判所が詐欺の手段に利用されるということは重要な問題だと思うのですが、そこで、これは最高裁の方にお聞きしますが、新聞で報道しているところによりますと、大体、地裁の支部関係で、書記官も足りないし、裁判官も十分でないようなところをねらってやっているようなんですが、挙がっているところを見ますと、富山地裁の砺波支部だとか静団地裁の下田支部だとか釧路地裁の根室支部だとか、同じく釧路地裁の北見支部、那覇地裁の石垣支部、岐阜地裁の高山支部というように、要するに判事が足りない、あるいは書記官がその職務を果たすに、仮処分を果たすに事実関係も十分調査するとか、あるいは場合によっては口頭弁論を開くだとかそういうことができないところをねらって、素通りでやっているようなんですが、最高裁判所はこの問題についてどういうようにお考えになっていますか。
○上谷最高裁判所長官代理者 お答えいたします前に、一言お断り申し上げておきたいのでございますが、新聞紙等に既に被疑者として逮捕されたという報道もございましたし、それから振出人とぐるになりまして、いわゆる裁判所をだますような虚偽の報告書を書いて、保全処分の命令をだましてとった、このような報道がなされておるわけでございますけれども、これは確かにこういうふうな仮処分の申請を悪用するという悪い当事者といいますかそれがいるかもしれませんといいますか、されかねないという可能性はあるわけでございますが、私ども、実は本案等が起こされて最終的な結論が出たとかいうわけではございませんし、裁判所といたしましては、本当にこういうふうな必要があって仮処分をもらったのか、それとも虚偽の報告書をつくって、この種仮処分を申請して裁判所をだますというふうな形で処分をとったのか、この辺のところ、ちょっと真偽のほどは確認するすべがございません。 そういうことは別といたしまして、一般論として私どもの考えでいるところを申し上げさせていただきたいと思います。 これはもう申し上げるまでもなく、委員十分御承知のとおりでござい孝すが、この種の仮処分、本当に手形の騙取を受けた、あるいは割り引きをしてやると言って預けたのをそのまま持ち逃げされたというふうな債権者があります場合に、この種の仮処分の申請があるわけでございまして、そういうふうな本当の被害者である債権者の権利保護に欠けるところがあってはいけないわけでございますし、この種の保全処分の通例といたしまして、発令に緊急を要する事件でございます。そういう意味で、裁判所としては当事者から、特に債権者の方から提出されました報告書その他の疎明書類を審理いたしまして、当該申請理由について疎明があると認めれば、こういう趣旨の仮処分を出すということになるわけでございまして、そういう点で今の御指摘あるいはまた新聞報道等では、地方の裁判所のふなれであるとか、あるいは人員配備の手薄さにつけ込んでなされた仮処分の申請であるというふうに書かれておることがございますが、私どもといたしましては、それは必ずしも当たっていないのではないかと思います。これは私どもも一つ一つの事件でどの程度の審理をしたかということは、私どもの立場でそう調べるというわけにもまいりませんので、詳しい審理経過等を把握しているわけではございませんが、外形的に見まして、例えば面接等をして出しているというふうなところもあるというふうに報告を受けておるわけでございまして、それぞれの事例で例えば裁判官が配置されていないから、あるいはまた職員が足りないから審理がずさんになったということは決してないというふうに報告を受けておりますし、それに、裁判所といたしましても、この種の仮処分が出てきた場合に、今のお話でございますと、例えば債務者を審尋するとかそういうようなことをしてはどうかというお話もございましたが、実際問題、こういうようなのは債務者を審尋いたしますと現実には手形を処分されてしまうということも非常に多うございまして、なかなか審尋は難しいだろうと存じます。 これは具体的にどの程度の手続で仮処分を出すか、これは具体的には当該事件を担当なさいます裁判官の訴訟指揮上の御判断でございますので、私どもがとやかく申し上げるわけにはいきませんが、一般論として申し上げれば、やはり緊急性を要する仮処分でございますので、疎明等の資料がそろっておって特に不審がないということであれば、真実に保護されるべき債権者の救済に欠けるところがあってはならないということで、一応、仮処分命令を出して、後は異議にまつというふうなお取り扱いをなさる裁判所が多いように私は思っております。 そうは申しましても、現実に小さな裁判所がねらわれているではないかというふうなお話があるかもわかりませんが、これは、私どもとしてはこういうふうに申し上げたらおわかりいただけるのではないかと思います。つまり、例えば東京あるいは大阪のような大裁判所で専門部を置いておるところでございますと、実は大都会でございますので生き馬の目を抜くと申しますか、かなり悪質な債権者が申請に出てくるという事例も珍しくない、間々あるわけでございます。そういうふうなことになりますので、担当裁判官としても、どちらかというとふだんからかなり用心をしておる、事件の審理に非常に神経をとがらせているというふうに申し上げていいかと思います。それに引きかえまして、比較的地方の都市になりますと、一般的に債権者としてもそう悪質な債権者が出てくるということが多いわけではございません。そういう悪質な事例に出会うという経験が比較的少ないために、裁判所側も大都市ほど神経をとがらせないというふうな傾向があるいはあるかと思われます。そういうふうな点を裁判所を利用しようとする悪い債権者がいたとすれば、そういう裁判所をむしろねらうといいますか、そういう裁判所に持っていった方が保全処分をとりやすいという考え方から比較的地方の裁判所に出したということはあるいはあったかもしれないと思います。ただ、新聞等で報道されているところを見ましても、確かに地方の支部等が数は多うございますが、比較的東京近辺の裁判所にも出されておりますので、特別地方の審理が手薄であったからというわけではないと私ども考えております。ただ、こういうふうな事例で仮処分が悪用される例があるということは、確かに大都市の裁判所は比較的よく経験いたしますが、地方の裁判所ですとそういう経験が少ないかと思いますので、そういうふうな情報が不足していたというのが間接的な原因がというふうに言われれば、あるいはそういう面もあったかもしれない、そのように考えております。
○林(百)委員 それは、午前中の裁判所の答弁で、首席書記官に通達を出した、この点について注意する。どうして首席書記官に出すのですか。判断するのは裁判所で、決定下すのは裁判所ですね。
○上谷最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、判断をいたしますのは裁判官でございますが、この種保全事件等につきましては、書記官が受け付けの段階から、例えば疎明資料その他を整理し、裁判官のところへ届けます。それに、面接をする場合に、裁判官が直接事情を聞くこともございますが、特に地方ですと裁判官が法廷に入っている等のこともございまして、担当の受け付け書記官等に事情を説明して、そのまま当事者としては一たん帰って裁判所の判断を待つというようなこともございまして、裁判所の書記官がかなりこういうふうな事件の記録の整理等に補助的な役割を果たしておりますので、そういう点もございまして、各地の民事の首席あてに、このような新聞報道がなされたこと、それから東京地裁あたりの工夫例等をお知らせしたわけでございます。それから申すまでもなく主文の中身をどうするかあるいはまたこういう仮処分命令を発するべきかどうか、その際にどのようなことを考えるべきかというのはまさに裁判官の司法の御判断でございますので、そういう点も配慮いたしまして、私どもとしては、首席書記官を通じて、まず書記官にこういう悪用例が報道されていること、あるいは工夫例があることを心得ていただこうというふうな配慮をしたわけでございます。
○林(百)委員 それではこの仮処分決定の責任が書記官にあるようなものですね、あなたの答弁によると。資料やいろいろ、初めから書記官が全部整理する。それは、判断は裁判所がやると言っても、決定を出すだけですからね。そういう意味で、支部で素通りでこういう仮処分決定が出る。第一、あなたの答弁の第三億務者に対する支払いを禁止する——一体、第三億務者という抽象的な、当事者でもないし、特定の法人や人物でもない、第三億務者に対する支払いを禁止するなんという仮処分は、そうすると、日本じゅうにずっと広がることになりますがね。そういうような問題もありまして、そういう重要なことを書記官に責任を負わせる。しかも、書記官の手薄な支部がねらわれている。そういう中で、今度のこの法案は書記官を二名も減らすということについては、我々はどうしても納得できないというところへ持っていきたいわけですよ。まあ、それはそれでいいですけれども。持っていきたいけれども、また事実もそうなんですね。 そこで、首席書記官にどういう通達を出したのですか。
○上谷最高裁判所長官代理者 読売新聞でございましたか当初報道がございました後に、そのような新聞報道がなされた旨、それから各裁判所の中では主文例に工夫を凝らしている庁もある、その旨をお伝えしたわけでございます。 なお、先ほどのお話では、書記官に責任を負わせるというふうなお話でございましたが、私どもとしてはもちろん書記官に責任を負わせるというつもりで書記官あてに通知を流したわけではございませんでして、これはあくまでも当該裁判をするのは裁判官の権限でございます。裁判官の御判断でなされることは申すまでもないことでございます。 ただ、ちょっと一言、恐縮ですがつけ加えさせていただきますと私どもとしては、これは実は、全国各地にどこにいるかもしれない第三取得者というお話がございましたが、法律の解釈論といたしましては、第三億務者である支払い担当銀行に支払いを禁止いたしましても、仮処分はあくまでも仮処分債務者に対してのみ効力があることでございますので、仮処分債務者以外の第三取得者から呈示を受けた場合に当該仮処分の支払い禁止の効力が及ぶものではないというふうに考えておりますし、一般的にもそのように解されておるようでございます。ただ、そのような解釈は一方に訴訟法上ありながら、手形交換所の事務のお取り扱いあるいは当該仮処分の送達を受けました第三億務者である支払い銀行のお取り扱いが、そのような解釈にもかかわらず、実際にこのような仮処分が来ると手形交換所への不渡り届けをしない、そういう扱いがあるようでございまして、そこを悪用されている。そこに本来の問題があるのではないかと私ども思っております。先回りしてお話しするようになりますが、その点はひとつぜひとも御理解いただきたいと存じます。
○林(百)委員 民事局長さん、実情を知らないので、仮処分で素通りするようなのは書記官が事実上は全部準備しているのですよ。判事は署名して捺印する程度なんですよ。実際は書記官がこういう事案をしょい込むことになりますので、そういう意味で私は言ったわけなんですよ。 そこで、新聞を見ると、最高裁判所事務当局と銀行業界との間でこれに対する対策を協議しているというのですが、これは協議しているのかどうか、どういう内容の協議をしているわけですか。
○上谷最高裁判所長官代理者 特に私どもと銀行協会と協議をしているというほどのものでもございませんが、たまたまこういうような報道がきっかけになりまして、先ほども申し上げましたとおり、手形交換所における手形交換規則あるいはその細則の中の定めをはっきりしまして、この種仮処分があっても債務者以外の第三取得者からの呈示があればこれは不渡りを免れる理由にはならないという扱いになれば問題は解消いたします。したがって、そういう観点から銀行協会の方で御検討なさいまして、手形交換所の規則の細則の取り扱いぶりを改正したいというお話がございました。 この問題は、実はもう戦後間もなくから何度か議論されたことがございます。昭和四十年代にもこういうことが問題になったようなことがございまして、それらの議論を踏まえまして、東京銀行協会の方で手形交換所の規則の施行細則を改めて、こういう仮処分が来ても不渡りを免れることはできない、第三取得者からの呈示があれば不渡りを免れることができない旨を明確にする改正をしたいということでお話がございました。私どもといたしましては、そのようなお取り扱いをしていただけるならば、そちらの面からこの種仮処分を悪用するということも防止できるわけでございますので、非常に結構なことだと考えておるわけでございます。そのような改正のなされるいきさつにあることも各裁判所にお知らせすることにしたところでございます。
○林(百)委員 銀行局にお尋ねしますが、御承知のとおり、手形は形式的な表示が非常に重要視されておりまして、これには現金と同じ信用が付与されておるわけですから、これが詐欺の手段に使われてその支払いが仮処分で禁止されるというようなことになりますと、これは流通部門あるいは金融部門に大きな問題が起きてくるのではないか。動揺もあると思うわけですね。これを安定させなければならないわけなんです。盗まれたという手形に対する除権判決については、公示催告して六カ月の期間を設けて除権判決をするという慎重な態度をとっているわけなんですけれども、仮処分でこういうのがどんどん禁止されるということになりますと、これは流通部門、金融部門に大きな困難をもたらす一つの要因になると思います。 先ほど、最高裁の方とも相談していると言われましたが、銀行協会の側ではどういう相談をしているのか、また、その手形交換所の規則の細則を手直しするというお話がありましたが、銀行協会の方で規則の細則をどのように変えてこういうような問題を起こらないようにしようとしているのか、そこのところをちょっともう少し詳しく説明していただきたいと思うのです。
○北村説明員 お答え申し上げます。 ただいま最高裁の方からお話がありましたのとかなり重複する面があるわけでございますが、東京銀行協会といたしましては、今月十九日の理事会におきまして、先ほど来御指摘がございます手形支払い禁止の仮処分決定の不正利用を防止するため、交換所の取り決めを改正することを決定した次第なわけでございます。こういうふうな新たな対応につきましては、三月五日に東京銀行協会の臨時社員総会を開きましてそこで正式に決定をいたしまして、極力速やかに実施に移すという段取りになっておるわけでございます。私どもといたしましては、今回のこのような手形交換所の取り決めの改正は、今先生御指摘になりましたように、決済機能を中心といたします信用秩序あるいは経済取引の安定を確保するという観点から極めて重要な意味を持つものであるというふうに考えておりまして、今回とられます東京銀行協会等の新たな対応を今後とも見守っていく所存でございます。 なお、その具体的な内容でございますけれども、私どもが理解している点は次のようなものでございます。 手形の最終権利者が善意の第三者である場合は、手形振出人は交換所に提供金を積まない限り不渡りを免れることはできないという趣旨のものでございます。私どもが具体的に銀行協会から聞きましたものの表現といたしましては、東京手形交換所規則施行細則の七十七条というものがございますが、そこに、不渡り届提出不要の不渡り事由として次の不渡り事由を新設するということで、支払い禁止の仮処分決定の取り扱いを明確にしたということでございます。具体的には、手形面の最終権利者が仮処分決定主文中における債務者である場合に、この支払い禁止の仮処分というものにつきましては不渡り届提出不要の不渡り事由として取り扱う、こういう内容であるというふうに理解しております。
○林(百)委員 何だかよくわからないのですが、聞いておきましょう。 これはどうも最高裁の方へお聞きした方がいいかと思うのですけれども、手形の所持人が今のような犯罪の手段として取得したものであるか、あるいは善意で取得したものであるか。当然請求できる権限で、仮に悪意であっても手形上は請求できるわけなんですが、そういうものを区別するのはやはり審尋をするなりして慎重にやらなければ——こういう支部で、裁判官も恐らく常駐しているかどうかわかりませんし、ましてや書記官は多忙で、全司法の方では、とにかく書記官としての、あるいは職員としての責任を果たすには千五百人の増員が必要だということです。最高裁の方も、今年四十人の増員を予算上は要求したと言っているわけですから、そういう裁判所ではこれはもう防ぎ切れないような感じもしますし、慎重な審尋もしなくてすぐ通してしまう、手形を支払い禁止させてしまうというのは今後考えていかなければならないのじゃないか。そうでないと、向こうさんは知能犯ですから、そういう手薄なところをねらってやってくるということになります。裁判所が詐欺の道具に使われるなんということは司法上許されないことですから、私は簡単に見逃すわけにはいかないと思いますが、どうでしょうか。
○上谷最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたとおり、当該債務者に対してなされる仮処分でございますので、当該債務者から支払いの呈示がありました場合には支払いがなされないということはありましても、当該債務者以外の第三者からの支払い呈示でありますと、仮処分の効力から申しまして、支払いが禁止されることはございませんし、したがって、支払いがなされるべきであるというのが一般的な見解でございます。したがいまして、裁判所の主文としてもその点を明確にする意味で、債務者からの支払い呈示に応じてはならないということをはっきり書いている主文例もかなり多うございますし、今後は恐らくそのような主文例がより用いられるのではないかと思います。 先ほどからも申していますとおり、裁判所がこういう仮処分を出したから不渡りを免れたというわけではございませんでして、手形交換所の扱いあるいはそのもとにおける支払い銀行の扱いにむしろ問題があるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、仮処分裁判所といたしましては、具体的に当該仮処分債務者を審尋しなかったからこのような仮処分が出たというふうな関係にはないわけでございます。その辺のところはぜひとも御理解いただきたいと思うのでございます。
○林(百)委員 私の質問を正確に把握しておらないと思いますが、債務者の支払い禁止のこういう仮処分が出れば、これは手形を盗まれたとか詐欺で取られたとかいうことに備えるためのあれですから、しかしこんな簡単にどんどんどんどん支払い禁止の仮処分が通れば、善意に取得した、融資をしてやった手形所持人も債務者から支払いを受けないことになるじゃないか、だからそこのところはもっと慎重に裁判所は審尋をするなりする必要があるんじゃないか、そう言っているんですよ。あなたの言うことなんかもうわかり切っていることなんだ。そうでない危険があるから、裁判所は慎重にやる必要があるんじゃないかということなんですよ。
○上谷最高裁判所長官代理者 当該仮処分債務者に対する発令の関係では、もちろん、例えば当該仮処分債務者がつくりました報告書であるとか、あるいは債権者に対して差し入れております契約書でありますとか、あるいは念書でありますとか、そういうふうなものを当然取り調べているわけでございます。そういうふうな念書は、例えば自筆でありますとか、あるいは印鑑証明書等で十分誠実が認められるという場合にこういう仮処分を発しておるわけでございまして、その点をあいまいにして、いいかげんな仮処分を出すということは決してございません。
○林(百)委員 いいかげんな仮処分を出すことはないと言っても、意識的にそういうものを出すのが、債務者とツーツーで詐欺的にやっているというんですよ、この事件の内容は。だから、そういう詐欺的にやっている内容を見抜けないような裁判所は詐欺の手段に使われるのだから、そういうことのないように慎重な審尋なり何なりする必要があるんじゃないか。書いている筆跡がどうだからこうだからなんて、書類は幾らでもみんなの共謀でできるのですから。手薄な裁判所に対して共謀でやられているのだということが警告されているわけなんですよ。 警察にお聞きしますが、背後にまだ大物があるので捜査をしているというのですが、こういう犯罪は、今挙がったもののほかにある可能性はあるのですか。
○上野説明員 先ほど申し上げましたように、現在捜査中でございまして、確定的なことはまだ申し上げられる段階ではございません。そういうことで、今後の捜査を待って、そういう点もあれば解明していきたいということでございます。
○林(百)委員 それからもう一つ、こういう職員が足りないためにいろいろの矛盾が出てぎているので、例えばタイプの業務ですね。判決文中の事実認定の部分を外注で出しているということはありませんか。我々が聞いているところでは、名古屋の地裁では、医療過誤事件のカルテの部分を外注している。それから大阪の地裁では、ここ一、二年はないけれども、その前は、判決の内容を、まあ主文などはないようですけれども、外注しているというようなことで、職員のタイピストが足りないためにこういうことが行われているというのですが、これを最高裁は知っていますか。
○山口最高裁判所長官代理者 著名な事件でございますとか、大きな公安事件でございますと、判決書きの写しの要求部数が大変多くなってまいります。そういう印刷の都合等から、事実認定あるいは理由の部分等、外部で印刷する場合がございます。
○林(百)委員 出しているのですか。
○山口最高裁判所長官代理者 ございます。
○林(百)委員 判決の部分にしても、タイプを裁判所外に出すというようなことになりますと、これはもう意識的に内容を知ろうとすれば、どこのところをタイプに打たしている、どこのところを裁判所は重視しているなんということになると、裁判の内容が漏れちゃうんじゃないですか。幾ら職員が足りないからって、そんなことまでして裁判所がやっていたら、もう裁判所の機能は失われますよ。それまでして職員の増員をやめさせなければいけないのですか。全く意想外のことですよ。 それから、第一、タイピストが職員の中に何人いるのか、その数字をひとつここで出してみてください。 それと、もしワープロが裁判所の部門へ使われるということになると、一体タイピストの方はどうなりますか。それもひとつこの際答えていただきたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 お尋ねのタイピストの員数でございますが、千二百程度でございます。 それから、ワープロにつきましては、各高裁の事務局にそれぞれ一台ずつ配付いたしておりますし、最高裁でも若干使用いたしております。 以上でございます。
○林(百)委員 それじゃ、これで質問を終わりますが、もう一問。 なお問題になります点は、民事事件で、当事者負担で速記をやらしている。年間相当の時間がかかるということで、外部から速記を入れて、その費用は当事者負担にさせている、こういう事実がありますか。こうなりますと、裁判所の詳しい内容は、金があって速記者を入れることのできる者は速記ができるし、金がなくて速記を雇うことができない者は速記ができないということになりますが、こういう事実はあるのですか。金を出して、民事の事件で外から速記者を入れさせて、それで速記させることを許している、こういうことはあるのですか。そうすると、金のある者とない者で裁判を受ける利益に差が出てくることになるんじゃないですか。にこにこ笑っていますが、にこにこ笑っていていいんですか。答弁するのはだれですか。
○山口最高裁判所長官代理者 御承知のように民事訴訟法には、外部の速記を用いることができるという規定がございまして、外部速記につきましては戦前から用いられていたことがあるようでございます。現在におきましても、その規定に基づきまして外部速記が認められる例がございます。
○林(百)委員 それが乱用されますと、裁判の内容はみんなわかってしまうわけですよ。プライバシーも何もないことになるのです。その人と通じていれば、中へ入った速記者がみんな裁判の内容を外部に伝えちゃうのです。しかも、金のある人は入れることができる。だから、その規則があるからと言って、これをアトランダムにどんどん許していくということになると問題なんですよ。だから裁判所がこれに対して一定の規制をする必要がある。あるいは書記官を充実させて、書記官に十分公正な速記をさせて、そして原告、被告両方に公正な記録を読ませることができるという手段をとらなければ、これは危険じゃないですか。
○山口最高裁判所長官代理者 民間の速記者につきましては、これはやはりプロでございます。職業人として立派に通用している方々でございますから、いやしくも裁判所の法廷におきまして職業人として録取した内容を外部に漏らすようなことは絶対にないというように考えております。
○林(百)委員 委員長、これで終わりますが、速記のプロだから、金で雇われて、一定の人へその内容を漏らさないということがどうして言えるんですか。だから、結局これは書記官が足りないということなんです。書記官が足りれば、書記官ほど公正に裁判の記録をやる人はないんですから。そこへ頭を回さなかったら、あなたみたいにそんなことを言っていたら、金のある人は幾らでも外部から速記のプロを頼んで精密なものがわかる、金のない者はわからないという不公平が出てくるのではないですかね。
○片岡委員長 もう終わってください。
○林(百)委員 もうこれで終わります。終わりますが……。
○片岡委員長 横山利秋君。
○林(百)委員 ワープロが入られた場合に、速記者の方に犠牲がくるかこないか、そこだけ答弁を求めて、私の質問を終わります。
○片岡委員長 横山君。——まだ答弁するのですか。
○林(百)委員 ええ。それだけ聞いて、それで終わりです。
○片岡委員長 もういいじゃないですか。
○林(百)委員 いや、よくないよ。
○片岡委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○片岡委員長 速記を始めて。 横山利秋君。
○横山委員 各委員の質問を全部聞いておったわけではございませんけれども、私を初め各委員の質問を通じてひとつ最終的にただしたいことがございます。 本法案は極めて簡単な法案で、裁判官を若干名ふやし、書記官等を二名減員という簡単なものでございますが、それにもかかわらず本委員会は従来の例もなく二日間にわたって、きょうも遅くまで討議をいたしました。裁判所の諸問題についてさまざまな指摘をされましたが、最高裁は総括的にこの質疑を通じてどうお考えになっておりますか。
○勝見最高裁判所長官代理者 定員法の審議につきましては、非常に丁重な御審議をいただきまして感謝にたえない次第でございます。 審議の過程におきましていろいろな問題点の御指摘がございました。私ども司法行政に携わる者といたしまして、本法務委員会の席上で審議された事項について、私どもの立場でまたそれをフィードバックいたしまして、十分将来のあるべき裁判所の姿に持っていきたいと考えておる次第でございます。
○横山委員 特に下級裁判所の配置、施設、人員、執務体制などについて、個々の問題ももちろんでございますが、総合的に見直す急務が指摘されたと思います。ことしの予算はいたし方がないと仮にいたしましても、明年度予算に向けて計画を立てる必要性があると思いますが、いかがですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 申し上げるまでもございませんが、経済が非常に変動しております。また、社会生活が激変しております。そのような客観情勢下におきまして、国民の意識の面から見ますと、非常に権利意識が高揚しております。価値観も多様化しております。この中にあって、裁判所は出てくる具体的な事件を解決しなければならないわけでありますが、その種の社会の要請に従うべく、裁判所も大いに努力しなければならないと思っております。 ただいま御指摘がございましたもろもろの制度につきまして、私どもといたしましては、既に関係局長から御答弁申し上げておりますように、支部を含む簡易裁判所の適正配置の問題を提起しております。おかげさまで日弁連の方もまともに取り組んでいただきまして、いずれ御意見をお聞かせいただけるものと考えております。 このような具体的な問題の指摘を申し上げておりますので、これが昭和六十一年度の予算にどのように反映していくべきかどうかにつきましても十分検討して、予算要求を考えていきたいと考えております。
○横山委員 第三番目に、行革で人員縮減を言われる中でもなおかつ若干名ではありますが裁判官が増員されたことは大変意味のあることだと思います。しかし、書記官の削減についていろいろ今も質疑が行われたのですが、裁判制度は裁判官さえいればいいというわけではなくて、書記官から廷吏に至るまでセットで考えらるべきだと思います。司法行政の中における人員問題について今後どう対処をされるおつもりですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、私どもの仕事である裁判は裁判官だけで仕事ができるわけではございません。書記官を含めまして、一般職員との協力ということが当然必要になってくるわけであります。私どもの使命であります迅速適正な裁判を行うためには適正な人員が必要だというふうにもちろん考えております。 ただいま御指摘がありましたように、特に裁判事務につきましてはバランスのとれた増員要求、人員配置をしていくべきものと考えております。
○横山委員 司法行政の実態について政府内部、特に大蔵省の理解が不十分であるということを私は痛感せざるを得ない。しかし、同時に、裁判所の社会に対するPRもまた極めて消極的であると考えざるを得ません。私は法廷外、裁判外の民間における準司法機能あるいは法律に基づく準司法機能が最近非常に発展をしておるということを言ったわけでありますが、裁判所として調停センターだとか簡裁制度などの活用を図るようにもっと努力をすべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
○勝見最高裁判所長官代理者 まず、司法行政面でのPRの問題でございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、司法行政の衝に当たっている者として、裁判所のあり方につきまして関係省庁その他関係団体に対しまして十分な理解を得るべく努力はいたしておるつもりでございますが、ただいま御指摘がありましたように、まだ必ずしも十分ではない面があるように見受けられます。その点はますます私ども努力を重ねなければならないところだと考えております。 なお、事件処理の面でのPRの問題でございますが、これはいろいろな考え方があろうかと思います。横山委員からお尋ねがございました準司法機関ということにつきまして、先週の金曜日にお尋ねをいただいたわけでありますが、その際も申し上げましたように、憲法上司法として与えられている裁判所の機能がいわばぶち壊されるような形でその種のいわゆる準司法機関が運用されているとすれば、これは私どもとしては看過できないところでございますので、その辺は十分考えていかなければならないと思っております。
○横山委員 最後に、今私が挙げました四点について、法務大臣としても努力をひとつぜひ要望いたしたいのであります。 それから、ちょっと場違いかもしれませんけれども、この間私が質問をいたしました指紋の問題でございます。私ばかりでなくて同僚委員も質問しました後、御存じのように川崎市役所が告発をしないと決めた。私の地元の名古屋市役所も弾力的な運用をすると決めました。私が予言しましたように、とにかく大臣は縦割り行政の欠陥を挙げられましたけれども、坂の上から石が転がりだしたという感じが実態でございます。私はここで詰めてあなたの御答弁をいただこうとは思いませんが、少なくとも法務大臣としてこの際諸条件を勘案して善処をすべきではないか、そう思いますが、いかがでしょうか。
○嶋崎国務大臣 今御指摘がありましたように、さきの横山委員の御質問の後に、地方公共団体が告発をするとかしないとかいう、まだ正式に私たち報告を受けたわけではありませんので、その内容の詳細なことはもちろん十分承知をしておるわけではありません。ありませんけれども、私は、告発は公務員に課せられた法律上の義務であるということを考えますと、これを履行しないということはまことに遺憾千万なことである、今でもそう思っておるわけでございます。 したがいまして、今、制度の改正問題については、当時もお答えしましたように、いろいろな問題があります、こういう問題を議論するときに国内情勢ばかりじゃなしに国際的な情勢というものを十分判断をして検討していかなければならぬ。しかし、御承知のように五十七年に法改正が行われた、そのときにいろいろな改正が行われて、ことしは最初の大量切りかえの年に当たっておる。したがって、そういうことを考えますと改正をするというのはいかがかと思います。しかし一方、いろいろな議論があるということはよく承知しておりますが、また日韓の共同声明の中でも総理自身がこの問題について「引き続き努力する」と言っているような事実も踏まえて、今後制度面あるいは運用面について十二分の検討をしていかなきゃならぬ、そういうことを申し上げたと思うのです。そういうことを背景として、私たちはこの制度問題について検討することはもちろん検討していかなきゃならぬと思うのでございますけれども、今度の国会の中でそれを改正することはなかなか難しいだろうということを先ほど岡本委員からの質問にもお答えしたというのが経過であるわけでございます。 御質問の趣旨は、これらの問題、ちょうど坂の上から石が転げ落ちたような状況ですから、今後この問題について十二分に検討していけという御趣旨だろうと思うのです。それは当初申し上げたようなことで引き続いて検討していくことは我々も進めていきたいと思いますけれども、一方、やはりこれらの問題について法律的に違反をしているというようなことについては、法務省の役所と建前ということから考えてきちっと守ってそういうことは整理をしてもらわなきゃいけない。私はこの問題を考える場合に強くその点を意識しておるというような次第でございます。 また、在留の外国人の皆さん方も、そういう法の趣旨というものをよく理解をしていただいて、せっかく三十六万近い切りかえがある今日でございますから、冷静に対応していただくことを心から望んでおるというのが実際でございます。
○横山委員 もうこれ以上申しませんが、少なくとも小石がぼつぼつ転がり出したのが加速度がつくと私は予言をいたしておるわけでありますが、私は、法務大臣が自分の手でその処置ができるならいい。けれども、地方自治体の窓口、地方自治体がこの手足なんでございますから、あなたがどうお考えになっても別なところで事態が回転をしてしまうというところが一番苦しいところだろうと思うのです。したがって、政治的な決断をひとつさるべきであろうと御忠言を申し上げまして、私の質問を終わります。
○片岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 この際、暫時休憩いたします。 午後五時十五分休憩 ————◇————— 午後五時二十二分開議
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、供託法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。太田誠一君。
○太田委員 前回の改正は、国の財政再建に資するための特別措置として昭和五十七年度から昭和五十九年度までの三年間供託金に利息を付さないこととする措置を講じたものであります。今回の改正はその措置をさらに昭和六十五年度までの六年間延長しようとするものであるが、この理由及び提出の背景などを御説明願いたいと思います。
○枇杷田政府委員 ただいま御指摘ございましたように、昭和五十七年の四月一日から本年三月三十一日までの三年間供託金について利息を付さないということになっておるわけでございます。これは財政再建が予定されております五十九年度いっぱいまでは利息を付さないということでできたものでございますけれども、その後財政の状況は必ずしも好転をいたしませんで、現在でもできるだけ歳出の縮減を図らなければならないという状況下にございます。そのようなことでございますので、引き続き供託金についての付利停止を延長していただきたいというのが本法律案を提出した理由でございますが、これを昭和六十五年度まで延長するという理由につきましては、昭和五十八年の八月になされました閣議決定で六十五年度中までに赤字公債依存体質を脱却するということを目標として努力をするということが決定されておるわけでございます。その六十五年度いっぱい、すなわち昭和六十六年三月三十一日まで付利停止の措置を続けていただきまして歳出の縮減に寄与したいということが、六年間さらに付利停止を延長するということをいたした理由でございます。
○太田委員 今国会に別に提出されておりますいわゆる行革関連特例法はその措置の延長期間を一年間としているのに対し、供託金の利息についてのみその停止措置を六年間延長することとしたその理由は何でありましょうか、御説明をお願いいたします。
○枇杷田政府委員 行革関連特例法につきましては、ただいまお話ございましたように、三年間として定められたものをさらに一年間延ばすという法案として今国会で御審議を願うことになっていることと承知いたしております。この行革関連特例法の一年間延長というのは、例えば厚生年金の関係でありますとかあるいは児童手当の関係とかにつきましては六十一年度から抜本的な制度改革そのものを行うということが予定されているものでございます。したがいまして、その抜本的な改正がなされるまでの一年間だけ延長するということでございます。なお、そのほかの要素もあるようでございますけれども、それはそういう主なものの一年間延長ということに並べて一年間ともかく延長するという趣旨のようでございます。供託の関係につきましてはそのような事情がございませんので、先ほど申し上げましたように、財政再建の目標といたしております六十五年度いっぱいまで六年間付利停止を延長したいということでございます。
○太田委員 本法律案が付利停止の期間を延長するのは、国の財政の現状にかんがみて歳出縮減を図ることにあるというふうな御説明でありますけれども、このようにして付利停止を継続することにより歳出縮減にどの程度の効果をもたらすのでしょうか。
○枇杷田政府委員 見積もりといたしましては、今後六年間停止をいたしますと約百二十億円の歳出縮減が図られるという予測をいたしております。
○太田委員 前回の改正によって、従来の三年間についてはどの程度の供託金の利息の縮減が図られたのでしょうか。
○枇杷田政府委員 現在その三年間の最終年度が終わっておりませんのではっきりした実績としては出ておりませんけれども、推計といたしますと約四十一億円の削減が図られることになるものと計算いたしております。
○太田委員 今回の改正案でさらに六年間供託金に利息を付することを停止しようとしておるけれども、将来供託金利息を含めて供託制度全般について検討されるつもりがあるのかどうかをお伺いいたします。
○枇杷田政府委員 供託法自体にも古い法律でございますので検討を加えなければならない問題があるわけでございますけれども、そういう問題等も含めまして、今後六年の間に利息の関係はどうしたらいいかというふうなことも含めて今後検討を進めてまいりたいと考えております。
○太田委員 これで質問を終了いたします。
○片岡委員長 次回は、明二十七日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十八分散会