法務委員会 第4号
- 発言数
- 219 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1985/02/22
会議録
○片岡委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所勝見事務総長、山口総務局長、櫻井人事局長、川嵜経理局長、上谷民事局長、小野刑事局長、猪瀬家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○片岡委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び供託法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 まず、趣旨の説明を聴取いたします。嶋崎法務大臣。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案 供託法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○嶋崎国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、判事の定員を改めるとともに、裁判所の司法行政事務を簡素化し、能率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の定員を改めるものでありまして、以下その要点を申し上げます。 第一点は、判事の員数の増加であります。これは、地方裁判所における民事執行法に基づく執行事件及び破産事件並びに家庭裁判所における少年一般保護事件の適正迅速な処理を図るため、判事の員数を九人増加しようとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の減少であります。これは、一方において、地方裁判所における民事執行法に基づく執行事件及び破産事件、家庭裁判所における少年一般保護事件並びに簡易裁判所における民事訴訟事件、民事調停事件及び督促事件の適正迅速な処理を図るため、裁判官以外の裁判所の職員を四十人増員するとともに、他方において、裁判所の司法行政事務を簡素化し、能率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員を四十二人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を二人減少しようとするものであります。 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。 続いて、供託法の一部を改正する法律案についてその趣旨を御説明いたします。 供託法は、供託された金銭について利息を付すべきこととしておりますが、国の財政再建に資するための特例措置として、昭和五十七年度から昭和五十九年度までの間、供託金に利息を付さないこととされてきたところであります。 この法律案は、国の財政の現状にかんがみ、国の歳出の一層の縮減を図るため、いわゆる特例公債依存体質からの脱却の努力目標年次とされている昭和六十五年度まで、引き続き供託金に利息を付することを停止しようとするものであります。 これにより、昭和六十年度から昭和六十五年度までの六年間で合計約百三十億円の歳出の縮減が見込まれております。 以上が、この法律案の内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○片岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○片岡委員長 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。天野寺君。
○天野(等)委員 今回提出されましたこの裁判所職員の定員法でございますけれども、拝見をいたしますと、裁判官に関しましては九名の増、ところで裁判官以外の裁判所の職員につきましては二名の減ということになっておるわけでございます。これはまた後で詳しくお尋ねしようかと思いますが、今、裁判所、特に簡裁を中心にして、大変な事件増だということがこの法務委員会でもいつも問題になってきているところでございますが、この裁判所の、特に裁判官以外の職員が二名減という。これは聞くところによると、もう二十年あるいは三十年近くなかったことだということもお聞きするのですが、裁判所職員について定数を減員したというのは、前にはいつごろでございますか。
○菊池(信)政府委員 定員法の改正によりまして職員の減員ということがございましたのは、一番近くは昭和三十年に二百八十というのがございます。それからその前年の二十九年にも三百九十三というものがございます。
○天野(等)委員 そうしますと、約三十年、減員ということはなしにずっと来た。それが、裁判所、恐らくかつてないと言っていいくらいの事件増ではないかと思うのですが、この時期に減員というのは一体どういうことなのですか。
○菊池(信)政府委員 御存じのとおり、政府では、昭和五十六年に第六次の定員削減計画というものをつくっておるわけでございますが、その際に、司法部にもその御協力をお願いするということをしておるわけでございます。 裁判所におかれましては、もちろんこの閣議決定に拘束されるというものではございませんけれども、諸般の事情を考慮されまして、その計画の趣旨を理解されて協力をされるということになったようでございます。 しかし、御存じのように、現在の裁判所が抱えております事件の状況からいたしまして、裁判部門の職員を減らすことは適当ではないということから、他面、司法行政部門、いわゆる事務局の部門につきましては、一般行政事務と相通ずるところもございますので、裁判部門に比べますと事務の簡素化、合理化による能率化を図る余地がないとは言えないということから、司法行政部門の職員だけを対象として、裁判部門の活動に裁判所として見て影響を及ぼさないという限度で協力をされるということになったようでございます。その関係で、昭和六十年において三十九人の減ということがございました。 他方、昭和六十年につきましては、御存じのように定年制の施行に伴います退職者の後任補充につきまして、真に必要な場合を除いてはこれを行わないという政府の方針、閣議決定がございますわけですが、裁判所としましても、その関係でも御協力になるということで、本年限りの措置として、やはり司法行政部門から、これは技能労務職員ということでございますが、三人の減をなさるということで、合わせて四十二の減ということになりました。 他方、裁判部門で事件処理の充実強化のために四十名の増員ということがございますので、差し引き二名の減という形になっておるわけでございます。
○天野(等)委員 先日、この法案の審議についての参考資料というのをいただいたわけでございますけれども、それによりますと、「裁判官以外の裁判所の職員の増減員内訳」という表が十五ページに出ておりますが、裁判所書記官については十名の増、家庭裁判所の調査官については三名の増。ところが、裁判所事務官については十二名の減、技能労務職員については三名の減で、合計二名の減だというふうな表になっております。 裁判所事務官のこの減の項目を見てみますと、最高裁判所における司法行政事務の簡素化、能率化に伴う減員が三、高裁における同じ司法行政事務の簡素化、能率化に伴う減員が七、地方裁判所における司法行政事務の簡素化、能率化に伴う減員が十六、家庭裁判所における司法行政事務の簡素化、能率化に伴う減員が十三。実は司法行政事務の簡素化、能率化に伴う減員というのがかなり下級裁判所、特に地方裁判所、家庭裁判所の定員減という形になってきている。 まずお尋ねしたいのですが、この司法行政事務の簡素化、能率化に伴う減員というのは、どういう部門の職員を減らすことができるというふうにお考えになっていらっしゃるのか、具体的にお尋ねしたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 裁判所の司法行政事務と申しますのは、天野委員先刻御承知のとおり、裁判所の職員の人事でございますとかあるいは会計でございますとか、あるいは文書関係の総務事務でございますとか、そういう事務が主でございます。司法行政事務の簡素化、合理化と申しますのは、そういういわゆる事務局部門におきまして、例えば各庁に対する報告事項の整理をするとか、あるいは文書の取り扱い方法を改めるとか、さらにはゼロックス等の能率器具の活用によりましてその辺の合理化を図っていく。例えば、統計報告に関しましても、コンピューターの活用によりまして報告事項の整理もできますし、さらにはワープロ等のOA機器の活用によりましても省力化できるわけでございまして、ただいま御指摘の最高裁、高裁、地裁、家裁における司法行政事務の簡素化、合理化と申しますのは、そのような事務局部門における事務の簡素化、合理化でございます。
○天野(等)委員 最高裁、高裁の場合に、事務局部門とそれから司法行政部門というものがかなり分かれた形でなされているということはわかるのでございますけれども、地裁あるいは家裁、恐らくこの地裁の中には簡裁も含まれるのではないかというふうにも考えられるのですが、あるいは簡裁については事務官の減ということが考えておられないのか、これもひとつお尋ねしたいと思いますが、地裁、家裁において必ずしも司法行政部門とそれから裁判関係の部門とが判然と分かれているというわけにはいかないというところがあるかと思うのです。また、事実判然と分かれている、例えば会計課だとか庶務課というような形で確かに分かれている部門がありますけれども、そういうところで具体的に人を減らしていくということが実際にできるのかどうかといいますか、それでもって果たして裁判所全体の運営について支障なくやっていけるものなのかどうか。従来からも、こういう部門についてはかなりの人員、特に人員増を抑えてきたという経過はあると思うのですね。そういう中でいろいろ、いわゆるOA機器ですか、そういうようなものを導入してというようなお話もあるようですけれども、例えばワープロとかマイコンとかというようなものを導入することによって人を減らしていくという方針を最高裁としては現にお考えになっていらっしゃるのかどうか。その辺はいかがでございましょう。
○山口最高裁判所長官代理者 まず最初にお尋ねの、簡易裁判所の、いわゆる司法行政事務の簡素化、合理化に伴う減員があるかどうかという点につきましては、それは考えておりません。地方裁判所の事務局部門でございます。 それから、例えば給与計算にコンピューターを用いますとか、あるいは文書の整理にゼロックスを用いますとかということをいたしますと、必然的に事務量は減ってくるわけでございます。従来、手書きにしておりましたのが機械化で賄えるということで、それだけ省力化されるわけでございまして、減員の四十二名のうち二十名は、そういうことによって省力化されましたタイピストが二十名含まれているわけでございます。OA機器の導入によって人員の削減を図るかという点につきましては、ワープロあるいはコンピューター等のOA機器の導入によりまして、必然的に事務量に影響してくることがあろうかと思います。私ども、OA機器の導入によりまして直ちに定員削減をするというようなことは考えておりませんけれども、その導入後の状況を見まして、それだけゆとりが生じてきたというような場合には、やはりそれに相応した定員の見直しを図らなければならないというように考えております。導入即定員削減につながるものとは考えておりません。
○天野(等)委員 今のお答えですと、そうするとこの司法行政事務の簡素化、能率化に伴う減員三十九名ですか、これについては、今後OA機器等を導入して能率化、簡素化を図るということではなくて、既にそういう形で人が余ってきたといいますか、そういう部門については人が要らなくなってきた、そういう状況が現にあるんだということなんでございますか。
○山口最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、例えばゼロックス等の活用によりまして特に司法行政事務部門のタイピストにつきましては相当のゆとりが生じてまいりました。現に欠員も相当あるわけでございます。そういう観点から今回の減員を考えているわけでございます。
○天野(等)委員 今、現在の欠員というお話がございましたので、それに関係してちょっとお尋ねしたいのですが、同じ参考資料としていただきましたものの中に、十九ページ、「裁判官以外の裁判所の職員の定員・現在員等内訳」という表がございます。それを拝見しますと、実は事務官については欠員という状況ではなくて、逆に、全部合わせますと百十九名もの過員といいますか、定員よりも多いという状況、それから、これは最高裁にかなり過員が多いんだなという状況がわかるのですが、地裁でも七十五名の過員、家裁でも十一名の過員という形で、どうも、この表から見ますと事務官の定員を減らしていくという状況にはないのじゃないかというように思えるのでございますけれども、いかがでございますか。
○山口最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、法律案関係資料の過欠の状況におきましては事務官の過員の状況が示されておりますが、これは、タイピストも事務官でございますけれども、その他の事務官もございまして、これはいわゆる書記官の予備軍と申しまして、ことしの四月に書記官の方に、例えば書記官研修所の方へ入るとかそういう方々が含まれているわけでございまして、四月の時点になりますとかなりの過員が解消されまして、しかも減員を図っても妨げない状況になるわけでございます。
○天野(等)委員 今タイピストの欠員の問題がちょっとございましたので、お尋ねしておきたいと思うのですが、タイピストに関しては、現に欠員になっておるのかどうかという問題、それから今後ともワープロ等の導入によってタイピストを減らしていくというような方針をお持ちになっていらっしゃるのかどうか、その辺をお尋ねします。
○山口最高裁判所長官代理者 タイピストにつきましては、先ほども申し上げましたように定員と現在員との間には相当の乖離がございます。ワープロ導入によりましてタイピストを減らしていくかという点につきましては、これも先ほどお答え申しましたように、ワープロを導入したことによりまして印タイピストの定員を削減するというようには考えておりませんけれども、ワープロ導入後の状況を見まして、事務量等が減ってまいりまして定員の見直しをしなければならない段階にまいりますれば、そのときに考えたいというように考えております。
○天野(等)委員 裁判所の中でもタイピストという方たちは特殊な技能かと思うのですけれども、全体としてどうなんでしょうか、裁判所の中ではタイピストの職場はますます狭くなっていくんだというふうに考えざるを得ないのでしょうか。これはタイピストの方たちも不安感は持っていらっしゃるんじゃないかと思いますね。ワープロを積極的にどんどん導入していく、そのことで特殊技能としてのタイピストは必要じゃなくなってくる、そうなってきたときの問題というようなものを最高裁としてお考えになっていらっしゃるのかどうか、その辺を。
○山口最高裁判所長官代理者 御指摘の問題はひとり裁判所の問題には限りませんで、ワープロと従前のタイピストとの関係という一般的な問題ではなかろうかというふうに考えております。 人によりますと、ワープロが出現したことによりまして、将来はタイピストがなくなるんじゃないかというようなことを申す方もおられるようでございます。しかし、私どもといたしましては、現在の段階でワープロ導入によりましてタイピストの職場が著しく狭められるものかどうか、まだ十分その点につきまして判断できる材料が整ってないように思います。したがいまして、裁判所におきましても、ワープロの導入によりまして将来どうなるかということはまだ断定しかねる状況でございます。
○天野(等)委員 減員の方についてもいろいろまだお尋ねしたいことがあるのですが、時間もございません。 今度は、増員の方でちょっとお尋ねしたいと思うのですけれども、同じ参考資料の二十四ページあるいは二十二ページ、ここに五十六年度から五十八年度における地方裁判所の民事、刑事の新受件数と簡易裁判所の民事、刑事の新受件数というのが載せられてございます。 地方裁判所の方の、特に民事の新受件数を見ますと、昭和五十七年から昭和五十八年にかけて減っているということが数字からうかがえるわけでございますが、これはやはり昭和五十七年から施行された新しい裁判所法による事物管轄の変化ということに伴うものだというふうに私の方も考えるのですが、そう考えますと、今度は二十四ページの表の方の簡裁事件の増加がございますが、これはまた著しいといいますか、何とも申し上げようがないくらいの増加でございます。したがって、これは地裁、簡裁を含めた数字として理解をしていかなければ今の裁判所の現状を把握できないのじゃないかというふうに考えるわけですが、そういう点で、高裁はともかくとしまして、地裁、簡裁を含めた形で考えますと、私ちょっとこの表から試算をしてみたんですけれども、民事の訴訟の第一審の事件、昭和五十六年と五十八年とを比べますと、六万八千九百七十件の増、率で言いまして五十六年の訴訟件数を母数にとりますと三〇・八%くらい、三割ふえてきている。昨年との比較で言いましても一〇・六%、一割以上ふえているという状況だと思うわけです。こういう状況の中で今回お示しになられた定員の裁判部門における増というようなものを見てみますと、裁判所の書記官が十名、一応家裁をちょっと抜いておきまして事務官について二十七名でございますか、合わせて三十七名の増という程度の増でございまして、これは全国の地裁、簡裁というようなところの数から考えただけでも、それこそもう極めて微々たる増員にすぎないのじゃないか。この程度のもので処理をしていけるものなのかどうか、その辺について概括的にお話をいただきたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のように、簡裁の事件の伸びは非常に著しゅうございます。しかしながら、この事件の伸びは主としてクレジット関係、サラ金関係と申しますいわゆる消費者信用関係事件を中心に伸びているわけでございます。このクレジット関係事件あるいはサラ金関係事件と申しますのは、比較的定型的な処理になじみやすいわけでございます。例えば訴状のたぐいは定型的にやって非常にチェックを容易にする、それから判決書きにつきましても定型書式を用いてやる、しかも欠席判決率が非常に高いわけでございます。そういう意味合いからいたしますと、その他の訴訟事件に比べますと、ある程度ウエートの軽い内容のものではないだろうか。したがいまして、この事件の増加ほど負担はふえるものではないというように考えております。 そういう観点から、裁判事務処理につきましても、会同あるいは資料の配付、さらには例えば今のクレジット関係にいたしましてもサラ金関係にいたしましても利息計算とか割賦金額の支払い等にポケットコンピューターを活用するとか、種々省力化の方策を講じますことによりまして、先ほど申しました程度の増員で大した支障なく対応できるのではないかというように考えておるところでございます。
○天野(等)委員 この事件増の傾向ですけれども、今後どういうふうな推移をたどるというふうに予想をしておられますか。
○上谷最高裁判所長官代理者 事件の種類が何種類がございますので、分けて御説明させていただきたいと思いますが、まず簡易裁判所で非常に増加の目立っております事件といたしましては、いわゆるサラ金関係、貸し金関係の事件がございます。これは私どもの統計で、特にサラ金関係の貸し金を厳密には区別してとっておりませんので必ずしも正確なところはわからないわけですが、一応貸し金関係事件の、貸し金請求事件の伸びを見てみますと、昭和五十四年以来年々増加いたしておりまして、特に五十七年、五十八年と急増している状況にございます。恐らくその原因はいわゆるサラ金業者あるいはサラ金業者とは言わないまでも、あるいは信販業者で貸し付けをやっているというふうな業者からの請求訴訟がかなり多いのではないかと思われますので、こういう最近の事件数の伸びから見てみますと、今後とも事件がさらに伸びるのではないかというふうな見方が一つできると思います。ただ、委員も御承知のとおり、昭和五十八年に入りましてから貸し金業界の一般的な景気の障りということが言われ出しましたし、それから昭和五十八年の貸金業の規制等に関する法律が成立施行されまして、例えばその中で過剰貸し付けを禁止するというふうな規定があるとか、その他規制の条項が非常に厳しくなっておりますので、消費者の保護が十分に行われるということになっておりまして、そういう関係から、今度は事件数がやや減る方へ働くのではないかという要因も考えられるわけでございます。今そういうふうな時期でございますので、私どもとして今のところ昭和六十年あるいはここ数年先にどの程度の推移を示すか、ちょっとはっきりした見通しを持つのは非常に難しい段階でございまして、ここ当分の動きを十分注目したいと考えております。 それから、今度は同じサラ金関係の事件で、いわゆるサラ金調停の件数でございます。これも特に五十八年度に急激に増加しておることはお手元にございます統計表でもおわかりのとおりでございますが、これはいわゆる消費者側から救済を求めてくる事件でございまして、この事件の動向につきましては、正確な数字はまだ集計されておりませんが、概数で申しまして昭和五十九年度の動きはかなり上下いたしておる状況でございます。特に昭和五十九年の八月以降の件数を見てみますと、上半期に比べてやや少ないという状況が出ておりますので、見方によりましては頭打ちの状況になるのではないか、こういうことも言えると思います。ただ、これもまた過渡期の段階でございまして、先ほど申しましたように貸金業等規制法の効果がどこまであらわれてくるかという一つの見通しの問題でございますので、私どもとしては、もう少し動向を見ませんと将来の事件の予想について確信を持ったことはちょっと申し上げかねる次第でございます。いずれにしましても、サラ金調停を見る限りはやや頭打ちの傾向があらわれているということは言えるかと思います。 それからもう一つ、非常に事件が多いのがいわゆる信販関係の事件でございます。こちらの方は特に昭和五十七年、八年と激増している状況でございます。さらに、信販業者の消費者に対するいわゆる与信額の残高等を拝見しておりますと、年々かなり伸びておりますし、一般的にも信販業界が急激に成長しているということも言われておりますので、そちらの要因を考えてみますと、今後ともさらに事件数が増加するのではないかというふうな予想が常識的にはできると思います。 ただ、この点につきましても、実は昨年の十二月に割賦販売法の改正が施行されましてかなり規制が厳しくなっている面がございます。先ほどの貸金業等規制法と同じように割賦販売法の四十二条の三で過剰販売の禁止というような条項も設けられておりますし、消費者の信用調査を充実するようにというふうな規定もございますので、その面からは先ほどのサラ金事件と同じように減少する可能性もある、そういう要因が一つ考えられます。そういう点を考えてみますと、今後果たして今までほどに増加するかどうかということはかなり予測が難しいところでございまして、若干の増加は常識的には考えておかなければいけないと思いますけれども、そういう趨勢でございますので、こちらももう少し事件の動きを見守ってみたいと思っております。
○天野(等)委員 私も実は貸金業の状況はどういうふうになっているかということで大蔵省にも資料を要求してみたのでございますけれども、何分貸金規制法が施行されてから時間的にまだ間がないということで、登録業者等の件数は調べがついたのでございますけれども、取扱高の変化ということではまだはっきりとした数字が出てきておらないようでございます。しかし、貸金業者の、今度の新法になってからの改めての登録の状況を見ましても、昨年の十月末段階で三万三千百七十四、ことしの一月末段階で四万五千五百九というような件数になっているようでございますが、これは大蔵省に聞いてみますと、いわゆる銀行から信用金庫までの通常の金融機関の数は約二万ぐらいだということでございますから、その倍以上の貸金業の登録がなされているわけでございまして、消費者信用自体は恐らくこれからもますます広がっていくだろうという見通しは十分立つわけでございまして、その中で貸金業者がかなりのウェートを占めているという状態はそうは変わっていかないと思う。また、いわゆる金融業者からの融資を受けられない人たちが貸金業者というところに駆け込むわけですから、そうなってくると当然トラブルの数もいわゆる金融機関とのトラブルに比べたら比較にならないわけでございますから、そういう点からも、確かに一時のような形ではふえないかもしれないけれども、今後減少するということはなかなか考えられないのじゃないかというような気もするわけです。 それから、いわゆるクレジットの販売信用ですか、これもちょっと大蔵省の方から私、資料をもらってみたのですが、業者数はそんなにふえていない。クレジットカードを使った割賦あっせん業者が五十五年で百十五、五十七年に百二十四、五十九年に百二十八というふうになっています。ところが、取扱高を見ますと、これは毎年ウナギ登りに上がってきている。私も資料を見て驚いたのでございますけれども、五十五年に十兆八千二百四十七億、五十六年が十一兆九千三百二十五億、五十七年は十三兆五千八百七十八億、年々一兆円を超える増加額でございます。これは販売信用です。それから、そのうちの信販会社、これが一番事件としてはなるケースだと思いますが、信販会社が介在する取引の信用供与額というのは、これは五十五年で三兆五千五百二十億、五十六年が四兆五千四百三十九億、五十七年で五兆五千八百四十四億、これもまたもう大変な額でございまして、やはりこういう状況を考えてみたときに、今後裁判所に出てくるこの手の件数が減っていくということは、私はこれは到底考えられない。もちろん規制等が種々加えられてきているということはあるとしましても、やはりこういう状態が小さくなっていくだろうということは恐らく考えられないんじゃないかという気がするわけです。 その上で今度の裁判所の定員法ですね。従来の裁判所というものと、この消費者金融なりあるいはクレジットなりというようなことが社会的な事実になってきている状況のもとでの裁判所の仕事というものが量的に非常に多くなっていますが、質的にも少し変わってきているんじゃないだろうかという気がするわけです。その一番大きなあらわれは、同じこのいただきました資料の中で、二十六ページに、五十六年から五十八年における地方裁判所の破産事件新受件数、五十六年に三千二百二十一件だったものが、五十八年には何と一万七千八百七十八件、これは五・五倍以上でございます。四五五%の増加率。これはやはり裁判所の姿というものが今少し変わりつつあるんじゃなかろうか。それに対応した人的配置なり何なりというものをここで考えていかなきゃならない時期に来ているんじゃなかろうか。その点で私は、どうも今回の裁判所の定員法がやはり新しい事態に対応し切れていないんじゃないかという気がしてならないのでありますが、この点いかがでございますか。
○上谷最高裁判所長官代理者 ちょっと民事の観点から、先に私の方から御説明させていただきたいと存じます。 ただいま御指摘がございましたとおり、私どももいわゆる消費者信用関係の事件が急激に減少するというふうに考えているわけでは決してございません。ただ、今後も今までどおり同じような傾向で増加が続くか、あるいはある程度なだらかな線を描くかについて、まだ見通しを持ち得ていない。やや減少の方に向くか、その辺の見通しが十分持てていない、そういう趣旨で先ほど申し上げたわけでございます。 それから破産事件の方も、今御指摘のとおり急激に増加しておりますが、これが大部分がいわゆるサラ全自己破産でございます。それで、破産事件が対前年比で見ますと極めて激増しておりますことの原因の一つには、もともと事件数が非常に少なかったということもございますので、いわゆる伸び率そのものからいって裁判所全体の事務処理量に占める割合というものは必ずしもそう大きくはないということを御説明させていただきたいと思うわけでございます。 そして、事件処理という観点から申しますと、先ほど総務局長から説明がございましたとおり、クレジット関係の事件につきましては、いわゆる督促支払い命令事件、あるいはまた訴訟になりましても欠席判決率が非常に商うございますのと、それからいわゆる定型的な処理に親しむ類型的な事件でございますので、事件の増加そのものが事務量の増加と直接並行するものではないということでございます。それから破産関係も、先ほど申しましたとおり、いわゆるサラ全自己破産が多うございまして、裁判所の処理といたしましてはいわゆる同時廃止ということで終わる事件が年々増加しておりますので、裁判所として事務の増加があることはもちろんでございますが、事務負担がこの事件の増加そのままにスライドしているわけではない。事務局の立場からはそういう点一応説明させていただきたいと存じます。
○天野(等)委員 私は、だから裁判所の仕事にも質的な変化が来ているのではないかということを申し上げたんです。今、欠席判決が多い、サラ金関係の事件あるいはクレジット関係の事件、欠席判決が多いという話がございましたが、その場合に負担が比較的軽くて済むのは裁判官それから調書をつくります書記官、それは比較的少なくて済むかもしれません。しかし、送達その他の関係の事務についていえば、これは確実にふえるわけです。それから、この破産事件につきましても、そういう点で裁判官の手を煩わすという意味でいえばなるほどそれほどの事務量の拡大はないかもしれないけれども、しかしそこでもって行われている事務官の事務量の増大は、これは物すごいものだということ、これは恐らく現場を知っていらっしゃるからよくおわかりだと思うのです。 私、午後からちょっと私が調べました現場の状態をもとにして少しお尋ねしたいと思っておりますけれども、この事件増、これは裁判所の事務量はそんなにふえないんだというふうに考えていらっしゃる事務量というのが、裁判官の仕事ということだけをむしろ中心に考えていらっしゃるんじゃないか。今回のこの定員増についても、裁判官九名の増、私はもちろんこの裁判官九名の増が悪いなどと言うわけではございません。もっとふやさなければいけないんじゃないかと私は思っておりますけれども、しかしその中で一番この事件増の影響を受けているはずの裁判所事務官、ここが減らされていくということは、少なくとも増員という点で余り考えてもらっていないというのが今度の定員法の現状じゃないかと思うのですね。私はそこのところで、やはり裁判所というものがそういうかなり定型的な事務量としても非常にふえてきているとすれば、やはりそれを扱う人たちというものも当然これはふえていかなければならない。そのあれにこの程度の数字で追いついていくのかどうか。私が聞きました実際のあれは本当に大変な事務量で、毎日二時間の残業もしなければならぬというような状況もお聞きしております。そういう現状を踏まえた上での裁判所の定員についての御配慮ということをやはり強く要求したいと思うわけです。 確かにこの定員法、中曽根さんの臨調行革路線には大変素直に乗っていらっしゃって、優等生的なつくりかもしれませんけれども、しかし、それではやはり裁判所職員あるいは裁判所に対して新しいニーズを持っている国民の要求にこたえ切れないのじゃないか。あの臨調行革というようなものが出された時点で、こういう裁判所の急激な事件増というものは予測できなかった時期ではなかったろうかと思います。やはりこれはもう一遍、政府に対しても、一律の定員削減というようなことについて裁判所としては見直してもらわなければならないことがあるのじゃなかろうかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 天野委員御指摘のとおり、非常に事件が急増いたしておりまして、先ほど申しましたように、事件の増加ほど負担はふえていないというようには申し上げましたけれども、確かに送達等に関連いたします事務は数字に見合うだけふえるわけでございます。 そこで、先ほどちょっと申し落としておりましたけれども、特別送達の場合、不送達になりますと御承知の還付料の支払いの制度がございます。これが大変手間がかかるわけでございまして、私どもかねてから郵政省に対しまして還付料の制度を廃止できないものであろうかというように御相談いたしておりましたところ、今回、今国会に提出されました郵便法の改正が実現いたしますると、還付料の制度がなくなります。そのことによりまして、送達事務の面では非常に省力化できるわけでございます。 事件がふえておりまして、その状況は主として大都市並びに各県庁所在地の裁判所でございます。その裁判所の中でも、民事と刑事と比較いたしますと、刑事は比較的余裕がある。それからその周辺の裁判所と比較いたしますと、周辺の裁判所も比較的余裕がある。したがいまして、人員の適正な配置を図る、あるいは先ほど来申しておりますような事務の合理化、簡素化を図っていく、さらには能率機具、OA機器を活用するということによりまして、ある程度の対応ができるわけでございます。 増員の枠につきましては、やはり私どもといたしましても、現在日本が置かれております財政事情というものにつきましても配慮しなければならない。他面、裁判部門につきましては、適正迅速な裁判の実現という使命を果たすために、ここは削ることができないわけでございます。したがいまして、司法行政部門を削って裁判の方へ振り向けて、裁判の運営に支障なきを期したいということでこれまでやってきたわけでございます。 今後の事件の動向、今後の見通しにつきましては、先ほど民事局長が説明したとおりでございますが、私どもといたしましては、将来の動向を十分にらみながら、来年度以降も必要な増員には努めてまいりたいと考えております。
○天野(等)委員 私は、その点で、これは法務局の登記関係の事件の爆発的な増大というのは、あの区分所有の施行を機に、法務省も恐らく予想されなかったような爆発的な事件数の増大であったのじゃないか。それが今度提案されます登記特別会計なり、あるいはコンピューター化の法案になっていったと思うのですけれども、そういう点について裁判所としても今後の事件の動向というようなものを見定めた上での対応というものをしていかなければならない。この増加は、とにかくもう二年、三年続いているわけですよね。今後の見通しとして、増加率は多少鈍るかもしれませんが、そう減るだろうという見通しがあるとは思えない。ということで、やはりもう一遍根本的な検討を必要とする段階に来ているのじゃなかろうかと考えるわけです。今回の定員法だけでどうこうという問題ではございませんけれども、今後の問題としてやはり裁判所が、どういうふうな方向で事務量もふえ、国民の要求もふえていくのかということを見通した上での職員配置というものを考えていただきたいと思うわけでございます。 その点で、実は裁判所に勤務しております職員組合の皆さんの方からの最高裁判所に対する増員要求というようなものも出て、いろいろ話し合いも行われていると私も聞いておるわけでございますけれども、その点に入りますと少し時間が切れてしまいますので、少し時間が余りますけれども、割愛させていただいて、午後の冒頭からその問題をさせていただきたいと思います。それでは、とりあえずここで。
○片岡委員長 午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時七分休憩 ————◇————— 午後一時六分開議
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。天野寺君。
○天野(等)委員 午前中も少し申し上げましたけれども、裁判所の職員の定数といいますか、現在。員数といった方がいいと思うのですけれども、各裁判所ごとに全司法労働組合の方で増員要求を出して、最高裁の事務総局の方と話し合いを進めていかれたという経過があったと思うのでございますが、今度の定員法の中で、全司法労働組合の方で出しております要求がどういう形で考慮されてきているのか、その辺をまずお伺いしたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 職員団体から、事件増の状況を踏まえましてかなりの数の増員をするようにという申し入れがあったことは事実でございます。 私どもといたしましては、まず下級裁における事件の増加状況、それから現在の事件の処理状況、さらには事務の処理の合理化、効率化の程度内容、それに要する能率器具の利用状況という裁判所における事務処理全般、さらには給源の確保、そういうふうな点も考慮いたしまして、かつまた一方では、そのような職員団体の要求をも勘案しながら、適正迅速な裁判を実現する上で相当と考えました人員の増員を要求しているわけでございます。数字の面から申しますと、職員団体の要求するところと今回増員をお願いしておりますところとはかなりかけ違っておりますけれども、職員団体の要求の趣旨の期するところも、結局は事件増の中で職員に過重な負担を課することなく、適正迅速な裁判の実現に配慮すべきであるというところにあるのではないかと考えておりまして、その点につきましては、今回私どもがお願いしております書記官等四十名の増員措置というのも、ある意味では職員団体の要求にこたえているのではないかと考えております。
○天野(等)委員 確かに数字の上では大変大きな開きのようでございまして、これは昨年の五月二十五日に職種別の増員要求ということで全司法労働組合の方から出された数でございますけれども、一部、要求未確定というような裁判所もございますし、また、この数自体は、実はいわゆる定員という考え方よりは現在員ということでの要求のようでございますので、欠員補充の部分も入っておるかと思うのでございますが、ただ、数としますと、書記官でもって五百二十二名、事務官で五百十二名、タイピストについてもやはり六十八名の増員、その他いろいろな職種がございますけれども、全体として千五百二十二名の増員要求というような数で出てきているようでございます。この中には欠員補充という数がかなりあるといたしましても、現場で要求している数と今回の四十名という増の数というのはかなりの開きがあるのじゃないか。 その点で、私、一つ具体的な例で調べてみた数字があるのでございますが、これは盛岡簡裁のことでございます。事件増と職員の増というのはどういう関係になっているのかということで調べてみたのでございますが、これは一応盛岡簡裁の方からお聞きをした状況でございます。五十七年度、まず事件数の推移でいきますと、ハ号事件、一審事件でございますね、それが、訴訟事件が六百十二、それから調停事件が千百十七、それからロ号の督促事件が千六百十八というのが五十七年の数字で、五十八年が、ハ号の訴訟事件が千二百十九、ノの調停事件が四千三百七十九、ロの督促事件が二千百二十五、それが五十九年は、訴訟事件は千五百七十一、調停事件が三千百四十八、督促事件が二千八百六十四というふうに推移をしているようでございます。これを見ますと、やはりこの盛岡簡裁でも一審の訴訟事件が五十七年から五十九年までの間に二・五六倍という増でございます。昨年と比べましても二八・八%の増というような形でございますけれども、督促事件はやはり五十七年と比べますと七七%の増、昨年と比べましても三四・七%の増ということになっております。調停は確かに、先ほど民事局長の方からのお話の中にもございましたように、五十八年あたりが一つのピークだったようでございます。サラ金問題について調停をどう使うかということが弁護士会等でも問題になったこともございまして、ただ、これがなかなか実際機能しないということで調停は少し減ってきているのじゃないかなという感じもいたしますが。 この事件数の推移に応じて、それでは職員数がどういうふうに変わっているかといいますと、実は、五十七年度は課長一人、主任書記官一人、書記官三名、廷吏一名、事務官二名、タイピスト一名という構成でございます。五十八年度に事務官が一名だけ増員されました。そして五十九年度さらに事務官が二名増員されまして、現在事務官が五名。五十七年度から五十九年度まで事件数で二・五六倍という中で、ふえましたのは事務官が三名というだけでございます。督促事件にしましても、七七%というのは本当に倍に近いくらいの事件数になってきているわけでございまして、特に督促事件なんかは主に処理いたしますのは書記官、事務官というところでの処理、確かにその点で事務官の増ということはお考えになってはいるんだと思いますけれども、やはり大変な苦労を現場の職員の皆さんなさっているんじゃないかということがここからもうかがえるわけです。 実際の残業等の状況等もお聞きしてみますと、書記官の方、昨年十月から十二月までで平均して一カ月四十時間ぐらいの残業を消化しなきゃならない。そのほかに休日出勤、それから書記官特有のことだと思いますが事件の持ち帰り、自宅でもって仕事の処理をする。それも、ある書記官の方なんか、持ち帰りだけでも四十時間ぐらいの持ち帰りがある。これは、はかり方がなかなか難しいとは思いますが。実際、非常な残業をしながら処理をしているということだと思うのです。それで、こういう残業をしなければ事件処理がしていけないということ、しかも五時から七時まで二時間の残業が常態になっているというこの状況をこのまま維持していって、それが正常な状態なのかどうか。この辺のお考えをお聞かせいただきます。
○山口最高裁判所長官代理者 盛岡簡裁におきまして非常に事件が急増いたしまして、職員がかなり負担過重になっているという点は御指摘のとおりでございます。私どもも急激な異常な事件の伸びに留意いたしまして、なかなか人員の増加というのは即応できない面もございまして、今御指摘のように逐年増員はしておるわけでございますけれども、足らない点につきましては同じ盛岡地裁あるいは簡裁の中で比較的余裕のある部門から応援態勢等をとりまして、何とか事件処理に対応してもらうようお願いしてきたところでございます。 全国的な超過勤務の実態につきましては詳細承知しているわけではございませんけれども、若干の庁を調査いたしました。例えば地裁の破産執行、簡裁の民訴、調停等、事件が特に著しく増加していると思われる幾つかの庁、これは盛岡も含まれるわけですけれども、ある程度超過勤務の状況があるようでございます。多いところでは部門によりまして一日一人当たり二、三時間という庁もありますけれども、概して申しますと週一人当たり二、三時間という状況のようでございます。全員が残業を行っているわけでもございませんで、特定の部門に限られるようでございます。今後も、比較的事務処理に余裕のある部門から人員を配置がえするなりいたしまして、あるいは応援態勢をとる等の措置がとられるよう指導に努めてまいりたいと思いますし、事件数を見ながら所要の措置も講じたいと考えておるところでございます。今回の増員がお認めいただけます場合、盛岡につきましても相応の手当てはしたいと考えておるところでございます。
○天野(等)委員 残業等の状況なんですけれども、私もちょっと話を聞いて驚いたことがあるのですが、それは、大体いつも五人ぐらいの方たちが七時ぐらいまでは残業している。ところが、裁判所の暖房は五時で切れてしまう。その後は暖房がなくなってしまう。それで部屋に石油ストーブ二つ持ち込んで暖をとりながら残業を続けている。地域的にいいましても盛岡あたりの寒いところでございますから、なかなかそう簡単に暖まるわけでもない。暖まってきたと思うと七時ぐらいですから帰らなければならぬということになってまいります。そういうようなことで、人員増を抑えている、それを残業で何とか手当てをしながら事件の処理を進めていく、そういう状況の中で職員の人たちの健康の問題というようなものもやはり心配になるわけでございまして、もちろん全館暖房だろうと思いますから、なかなか暖房完備というふうにいかない点もあるのかもしれませんけれども、やはりこういう寒冷地の状況として何かお考えいただけるような点がないのか。また、こういう冷暖房というようなものについての具体的な処理は各地裁ごとに任されているのかなとは思いますけれども、やはりそういう点での予算の手当てという問題も考えていただかなければならないんじゃないかと思うのですが、こういう点について最高裁の方でどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 御指摘にもありましたように、暖房の仕方はその地域にもより、また季節にもよって千差万別でありますので、具体的にどういう方法で暖房を実施するかということは各庁の実情に応じて各庁が実施しているところでございます。これに要する経費、光熱料あるいは燃料費等はその庁の過去の実績を踏まえまして配付をしておるところでありまして、その経費が不足するために寒い思いをしなければならないというようなことはないのではないかと思っておるのであります。ただ、全館暖房の場合に五時に暖房を切るという扱いは、これはかなりのところで行われていると思います。これは経費の観点からもさることながら、ボイラーマンの執務体制の観点からもそういうことにならざるを得ない実情にあるようであります。そういうようなところでは御指摘のような石油ストーブで補うということでやっていただいているようでありますが、これが十分であるかどうかということについて詳しい実情は把握しておりませんけれども、職員の健康にかかわるようなことになっては大変でありますので、そういうことがないようにしていかなければならないというふうには思っております。
○天野(等)委員 基本的にはやはり残業なしに時間内で事務が処理できるという体制をつくっていただく、そのための人員の配置というようなこともやはり考えていただかなければならない、そういうことだろうと思うのです。ただ、私が申し上げるのは、やはり人員を抑えればそれなりの、そういう残業というようなものに附属しての経費もいろいろかかってくるのじゃなかろうか、そういう点の総合的な観点も必要になってくるのじゃないかな。それから、OA機器の導入という点についてもそれなりのかなりの費用を必要とすることだというふうに考えた場合に、そういう機器類に頼りながら裁判所の運営をしていくという方向がいいのかどうかということもまた考えてみなきゃいけないのじゃないかという気がするわけです。と申しますのは、裁判所の職員の場合にはある人数が確保されていれば、今もお話の中にしばしば出てくるのですけれども、忙しい庁に応援に行くとか、それからその他相談業務というようなことにも人を割いていけるというようなこともできるかと思うのですけれども、これをきちきちの人員にしてしまうということになると、そういう突発的なものについての支援の態勢というものがなかなか難しくなってくるのじゃないか、そういう点での人間の余裕というようなものもやはり十分考えておいていただきたいという気がするわけでございます。今回の定員法で不十分な点についてはぜひともまた御検討いただきながら全体としての定員の配置ということを考えていただきたいと思いますが、一応そういうことで定員の問題についてはここで終わります。 次は、これはあるいは冒頭に御所見をお伺いするのが妥当だったかとは思うのでございますが、いろいろな事情で後になりましたけれども、一昨日も実は法務大臣に、再審によって一たん死刑が確定した方たちが一転して無罪ということで救われたこの事例について法務大臣としてどういうふうなお考えをお持ちになっているかということをお聞きしたわけですが、この点については私はやはり最高裁判所としても裁判所全体といたしましても一つの問題ではなかろうか、こういう誤判事件あるいは冤罪事件というようなものがなぜ発生してきたのか、またそれをどういうふうにすれば今後なくしていくことができるのか、こういう点について最高裁判所としてはどういうふうなお考えをお持ちになっていらっしゃるか、ひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
○勝見最高裁判所長官代理者 無事を罰してはならないということは刑事裁判の鉄則であることは申し上げるまでもないところだと思います。一線の裁判官が、提出された証拠を全力を傾けて検討して慎重に事実認定をしているというふうに信じているものでございますけれども、御指摘のように、昨年相次いでいわゆる再審無罪、そういう事態が発生いたしました。私どもといたしましては、こういう事態を深刻に受けとめておるところであります。昨年六月の高等裁判所長官、地方裁判所長、家庭裁判所長会同におきまして寺田最高裁長官からの訓示がございましたけれども、その中でもいわゆる再審無罪のことについて触れているわけであります。こういう事態を契機といたしまして職責の重さというものを改めて認識して自己研さんを積み、かっこのような事態を再び起こさないように裁判する努力を傾けたい、また一線の裁判官はそのように考えているというふうに信じております。 なお、具体的な方策ということでございますけれども、昨年度の刑事裁判官の会同におきまして、事実の認定というテーマを中心にいたしまして全国の裁判官方が集りましていろいろ意見を交換し、最高裁の方からも意見を申し上げたところであります。今後もこのような機会をつくりまして、お互いの切磋琢磨ということを通じて、先ほども申し上げましたようにこのような誤判のないことを期待いたしたいというふうに考えております。
○天野(等)委員 実は、一昨日の法務委員会では、法務省の方ではこの免田、財田川、松山という三つの無罪事件について、最高検を中心にして具体的にどういう点が冤罪事件の原因になってきているのかということでの反省的な検討を加えるというようなお話があったわけでございますけれども、やはり最高裁判所としてもそういうような具体的な事件に即した検討をなさる、そういうおつもりがあるかどうか、その点いかがでございましようか。
○勝見最高裁判所長官代理者 私どもの立場といたしましては、天野委員御承知のとおりだと思いますけれども、具体的な事件につきまして具体的な資料を検討して、過去になされた裁判がどうであったかということを検討する立場にないということだけはひとつ最小限度御理解いただきたいと思います。 しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように深刻な事態というふうに受けとめておりますし、いろいろな形で検討さしていただいているつもりでございます。 〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
○天野(等)委員 もちろん裁判、裁判官独立でございますから、それを侵すような形での具体的な事件についての云々ということはないのだと思いますけれども、ただ私は、この三つの事件、非常に深刻な事件だと思うわけでございます。その点で最高裁判所には規則制定権、一種の立法権を持っておられるわけでございますし、やはり何か裁判における具体的な手続その他で、冤罪防止という点で考えていかなければならないような点の有無についての検討というようなものについてなさるおつもりはないだろうかということについてはどうでしよう。
○勝見最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、裁判所には規則制定権が与えられております。刑事訴訟規則の範囲内で誤判防止のために果たしてどういういわゆる立法ができるかどうかということについてもちろん検討すること、ないし的確な対策があればそういういわゆる立法をすることについてはやぶさかではございませんが、いろいろな問題点があるようでございますので、刑事局長から答えさせます。
○小野最高裁判所長官代理者 ただいま事務総長からも申し上げましたように、私どもこういう再審無罪というようなことを契機といたしまして、裁判官にお集まりをいただきましていろいろ御検討を願ったところでございます。これは会同だけではなくていろいろな研究会その他の機会を通じまして検討を重ねているところでございます。誤判というようなことにつきましては特に刑事裁判官としてその責任は非常に重いということでいろいろな角度から検討し、お互いに啓発し合っているところでございますが、私どもが今考えておりますところでは、これは何といたしましても要するに審理を充実するんだ、私ども裁判官としては法廷に出された証拠、それを十分に慎重に正しく評価するということ、これに尽きるのではないか。そうしますと、こういう何年もたってから新たな証拠が出るというようなことではなくて、何とかして第一審、少なくとも事実審の段階までにそういう証拠も提出していただく、そして私どもはそういう証拠で慎重に検討する、正しい証拠評価を行うということに尽きるのではないか。 ただいま訴訟規則のお話いろいろございましたけれども、訴訟規則では審理の充実については今までにいろいろ改正などを重ねてかなり充実しているように私どもは考えておるわけでございまして、要は今あります刑事訴訟規則の精神を受けて、それを活用して、それを何とか実行することにあるのではないかというようなことから、私どもは何とか今ある規則を活用していくことがまず先決ではないか、このように考えているわけでございます。
○天野(等)委員 刑事訴訟規則あるいは刑事訴訟法についても言えることかもしれないのですけれども、私たちどうも刑事裁判の実際の場で、本来的には例外的な事項であるはずのものがむしろ原則になってきてしまっているというような形で刑事訴訟法あるいは規則が運用されている部面があるのじゃないか。一番大きなものとしては自白とか供述調書の証拠能力の問題とかそういう点で、原則は原則、例外はやはり例外的なものだという観点をもっと裁判全体で貫いていただくことが誤判の防止につながっていくのではないかというふうに考えるわけです。この点でもやはり刑事訴訟規則の遵守ということをお願いしたいわけですが、反面で審理が非常に急がれる、特に裁判官の持っております事件数がかなり多いということもあるかと思いますが、審理が急がれる、それてどうしても例外的であるはずの書面審理がむしろ通常の形になってきてしまうという状態も決して否定し得ないのではないかというふうな気がするわけで、そういう点で刑事裁判については特に裁判官の確保といいますか、そういう点も一つの重要な問題になってきているのではないかと考えますが、いかがでございましょう。
○小野最高裁判所長官代理者 私ども考えますのに、今仰せのとおり法廷において証拠を取り調べる、法廷において心証をとるというのはただいまの訴訟法のまさに原則、基本でございます。私どもかねてから審理の充実ということでお集まりいただいて御協議いただいているだけでも、これは十何年か二十年にもなろうかと思います。それはまさにそういうことであって、法廷が書面の受け渡しの場になるというようなことではいけないんじゃないか。何とか法廷で心証をとるという方向でやるのが本当の刑事裁判の姿であるということで、そういう方向に向けて実行していただくようにお願いしているわけでございます。 ただいまお話ございましたけれども、事件が多ければ多いほど法廷の時間はむだにしない、家に帰ってゆっくり記録を読めばいいんだというようなことではなくて、法廷でまさに書証の告知、要旨の告知というものを徹底していただく。それは当事者の告知の仕方というようなものもいろいろ検討していただいて、要領よくやっていただくということが必要なわけでございますが、そういうことによってかえって審理の促進も図れるというふうに考えているわけでございまして、決して促進が先だというふうに考えているわけではございません。常々とにかく審理を充実しなければならない、それが先だということで、それがまた促進にもつながるというふうに考えているわけでございます。
○天野(等)委員 その直接主義という点も含めてですけれども、私、きょうは陪審制度というもの、誤判防止といいますか冤罪をなくすという面からあるいは裁判を国民の身近にというそういう観点から陪審制度というようなものについてもう一度考えてみる、そういう必要がないんだろうかという気がするのでございますが、法務省の方としてはこの陪審制度、この法務委員会でも何回か問題になったことがあるかと思いますが、こういう冤罪の防止、特に死刑から無罪へというこういう事態の中で陪審制度というものについて考えてみる、そういう余地がないものかどうか、いかがでございましょう。
○筧政府委員 天野委員御承知のように、陪審制度、主として英米で発達した制度でございますが、我が国におきましても、大正十二年に陪審法ができましてその後一時期施行されたわけでございます。昭和十八年以来は停止されて今日に至っているわけでございます。御指摘のように、最近誤判防止というようないろんな観点から、陪審の採用あるいは少なくともその検討というような主張が法律家の間その他でなされていることは十分承知しておりますし、それに対しまして、私どもとしても関心を持っておるところでございます。確かに陪審制度が国民と裁判を身近にするといいますか、国民と裁判を結びつける方法として一つの一定の意義を有するということはもちろんでございますけれども、いろいろ考えなければならない問題があろうかと思います。 二、三申し上げてみますと、昭和十八年に至るまでの間陪審法の実績が我が国では余り上がらなかったということ。その運用の実態を見ましても、ある時期は年間百件を超えた時期が一年だけございますが、おおむねその後は、昭和五、六年ごろは五十件前後になりまして、昭和十三年以後は四件とか一件とかというごくわずかの数で推移しておるということも、どうもその陪審は我が国に定着といいますか実績、機能は余りなかったんではないかと考えるわけでございます。 それからその後、停止をいたしましてからもう四十年ぐらいたっておるわけでございますが、その間陪審制度なし、現行の制度で我が国の刑事司法が運用されてきておるわけでございまして、現在我が国の一般国民感情としてこれに積極的な関心を持っているかどうか。例えてみますと、私あるいは天野委員も御同様だと思いますが、陪審というものは書面の上でしか存じておりません。全く身近に経験したことがないわけでございます。外国の映画等で見る以外にはないわけでございまして、それについては身近なものとしてどうも考えにくいという感じがございます。感じだけで物を言うわけではございませんが、問題点としては国民の間にそういう関心が深まっているとはどうもまだちょっと思えない。 それから、もちろん陪審制度をとるとなりますと、人的な、物的集中審議になりますから、いろいろな設備が前提になりますし、またその一定期間シャットアウトするということで、犯罪報道、新聞等マスコミ等から完全に遮断する、そういうことも考えなければならぬ、いろいろな設備、前提が必要になってまいります。 それから今の職業裁判官だけによる裁判制度と比べて、陪審制というものがどういうような積極的な利点があるか、利点がある反面、マイナスの点もあるのではないかということも考えてみなければならないと思います。誤判の防止ということに関して申し上げてみましても、刑事裁判における事実認定、これは犯罪という非日常的な歴史的な事実、これを複雑に錯綜した証拠を通じ、経験則によってそこから真実を認定するというわけでございますので、これがいわば素人の陪審よりも職業裁判官の方が適切な判断がなされるのではないかという考えもあろうかと思います。 それから、陪審制度を導入した場合、諸外国の例にもございますけれども、事実認定に関しては一審限りというのがほとんどの制度でございます。現行の日本におきますように刑事事件に関して三審、最高裁も入れますと三審という慎重、丁寧な制度でございますが、これを一回限りということになると、果たして国民感情あるいは誤判防止という観点から適当かどうかというようなことをいろいろ考えますと、難しい面があろうかと思います。しかし、現に諸外国でも行われていることでもございますし、どういう利益あるいは不利益があるのか、我が日本で採用する余地があるのかどうか、基礎的な点の研究は今後も続けてまいりたい、このように考えております。
○天野(等)委員 確かに日本の陪審法が総件数が少なかったということは言われるわけですけれども、ただ、もともとが日本の陪審法の場合に、限定つきのあれで、法定陪審にせよ、請求陪審にせよ、法定刑のあれによって陪審事件にかかる事件というものが限られておったということもあったかと思います。 ただ、実は最近、日弁連で昨年の十二月に機関紙で陪審の特集を出しております。それを読みながら感じたのでございますけれども、ここに載っております論文の中に、日本の陪審法十四年半の実績の中で、総件数が四百八十三件、陪審裁判を受けた人員が六百十一名、そのうち無罪になった者が九十四名、一五・四%あるのだ、無罪率が同時期の一般刑事事件は大体一・二ないし三・七%ぐらいだった、そういうことと比較してみて、やはり陪審無罪率というものが非常に高い。これはもとは何か最高裁の事務総局の「明治以降裁判統計要覧」からの統計のようでございますけれども、もちろん、無罪率が高いということだけがいいというわけではありませんけれども、私、これは陪審の場合の直接主義といいますか直接主義が、陪審の場合にはとにかく実際の原則としても、また運用上もかなり確実に行われていくということになるのだろうと思いますが、そういう点から見て、やはり刑事裁判の中での運用としての直接主義の強化というような点が、これからの刑事裁判にとっても必要なのじゃないか。その一番はっきりあらわれてきているのが陪審制度というような形、それと同時に、そこに素人を入れて、素人の感覚で証拠等を吟味して、それで結論を出していくという、納得させる裁判といいますかそういうようなものが陪審裁判というようなものにはあるんじゃなかろうか、それがやはり裁判を国民の身近なものにしていくという点で大きな意味があるんじゃなかろうかというような気がするわけです。日本の陪審法が成功を見なかったからということだけで日本には陪審制度はなじまないんだというふうには言えないのではないか。陪審員の問題にしましてもかつての陪審法、かつてのといいますか、今停止されておるわけですから現実には法としては存在しているのかもしれませんが、陪審法、いろいろな制限もありますし、これを改めて民主的な観点から考えてみるということも必要になってくるんじゃなかろうか。裁判所というものをもっと国民の身近なものにしていくためにも私、必要になってくるような気がするわけで、その点での御検討をぜひともお願いしたいというふうに思うわけです。この点については、裁判所自体としては裁判制度というものについては云々できないのかもわかりませんけれども、いかがお考えですか。
○小野最高裁判所長官代理者 この問題は立法論でございますので、ちょっと立場上差し控えさせていただきますが、私ども刑事局といたしましても、かつてから陪審制度というものについては研究を重ねているところでございまして、かつては司法研究などでいろいろ研究をしていただいたということもありますし、昨今ではいろいろな文献というようなものも検討は続けているところでございます。
○天野(等)委員 国民のための裁判所という観点で考えてみますと、もう一つ大きな問題は簡易裁判所の問題かというふうに考えられます。それで、時間もあとわずかでございますけれども、簡易裁判所の問題について二、三お尋ねをしてみたいと思います。 簡易裁判所の問題について、いわゆる適正配置という考え方からこの簡易裁判所の問題が取り上げられていく、それも確かに一つの問題だと思うわけですけれども、その前に、簡易裁判所というものがどういうふうな役割を担っているものなのか、また期待されているものなのかということについて最高裁判所としてどういうふうにお考えなのか、この辺からひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
○山口最高裁判所長官代理者 簡易裁判所につきましては、天野委員先刻御承知のとおり、比較的少額、軽微な事件を簡易な手続で迅速に処理をすることを目的として設立されたものでございます。特に費用が低廉で非定型的な手続で紛争の解決ができる調停手続というものを主として担当している、いわば国民の親しみやすい、利用しやすい裁判所という性格を持っていようかと思います、そのような性格に相応するような機能を簡易裁判所は果たさなければならないというように考えております。
○天野(等)委員 確かに地方裁判所とは一味違う性格を簡易裁判所というものは持つべきものだろうと思うのですが、そう考えた場合に、簡易裁判所の規模というものについてどのくらいの、どういうふうな規模が必要になってくるだろうか。現在一番小さいのは二人庁でございますかあるかと思うのですけれども、一人庁は論外といたしましても、ある程度の規模というものが必要になってくるものなのか、あるいは二人程度のものでもやりようによってはやっていけるものなのか、この辺についてはいかがお考えでございましょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 簡易裁判所におきまして、一定の事件数があることを前提にいたしますと、最小限度の規模といたしましては、書記官、事務官、廷吏、この三人が必要になってこようかと思います。ところが現実問題として二人庁というものがございます。あるべき姿からいたしますと決して好ましいわけではございませんけれども、一定の人員を全国的に配置いたします場合、事務量に応じて、事件数に応じて公平に分配しなければならないわけでございまして、極端に事件数の少ないところではそういう観点から二人庁というものも設けざるを得ない、やむを得ない事柄であろうかというように考えております。
○天野(等)委員 事件数に応じた規模ということにはもちろんなるんだと思いますけれども、一応三人程度の職員が配置できれば簡易裁判所としては機能していけるというふうにお考えでございましようか。
○山口最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の職員の適正規模と申しますのは、非常に難しい問題であろうかと思います。例えば理想的に申しますと、刑事、民事あるいは督促、さらには調停というような幾つかの部門がございますから、それぞれ専門の職員を配置するというのが望ましいかもしれませんけれども、やはりそれは事件数その他との見合いで考えなければならないわけでございまして、三人が適正であるというように申し上げているわけではございませんで、必要最小限度は三人であるということでございます。
○天野(等)委員 そうすると、事件数がそう多くないというふうに考えた場合には三人程度でも民刑両方を処理はしていけるだろう、そのほかに、これは裁判官は別でございますか、あるいは裁判官を入れてでございますか。裁判官を入れて三名か、裁判官を入れないで三名ということなのか、その辺もちょっとお答えいただきたい。
○山口最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたのは裁判官を除いて三名ということでございます。これはごく小規模の裁判所の場合ということであります。二人庁の存在はやむを得ないものとしてはございますけれども……。
○天野(等)委員 その場合に現実に起こっている簡易裁判所問題というのは、ある点では、先ほど午前中にも申し上げましたけれども、都市部における圧倒的な事件増、そのあおりを真正面から受けている簡易裁判所というものがある。それと同時に過疎といいますか事件数の非常に少ない簡易裁判所があるということになって一様ではないと思いますけれども、ただ、簡易裁判所本来の姿としては今日激増しているこの手の事件の処理ということも本来的に簡易裁判所としては考えておいていい姿だろう。本来的に簡易裁判所で扱ってちっともおかしくないもの、おかしくないと言うと変ですけれども、本来的に予定されているようなものだろうと思うのですね。それが考えていたよりは非常に急激にふえているということが問題なんだということでございまして、そう考えますと、やはり簡易裁判所のあるべき姿というようなものは、今の事件増にも耐え得るし、また非常に事件の少ないところでも住民の人たちの相談相手としての役割というようなものも果たしていかなければならないんじゃないかと思います。特に、事件が少ない過疎地帯というのはほかに法律的な素養を持った人たちも非常に少ないというふうに一般的には考えられるわけですから、そういう点で簡易裁判所の果たす役割というものも大きくなってくるだろうと思う。 そういう点も含めて、三人程度の規模で各地に、かなり人口の少ないところでも簡易裁判所をつくっていくことで簡易裁判所本来の使命が果たしていけるんだというふうにはお考えになりますか。
○山口最高裁判所長官代理者 裁判所の配置の問題は、やはり一定の社会事情を前提にして考えなければならない問題でございまして、現在、三人庁、二人庁、かなりの数がございますけれども、戦後の社会事情の変化によりまして、その裁判所における事務量自体がかなり減少しております。庁舎の維持管理あるいは事件の処理に最小限必要な員数として三人、二人と配置するわけでございますけれども、事務量からいたしますと、それでもかなりゆとりが出てくるわけでございます。先ほど御指摘のございました大都市部の簡裁におきましては、非常に事件が急増しておる。だから、裁判所の機能全体として見ました場合、かなりむらと申しますか、ひずみが出てきているわけでございます。そこで、現在の社会事情を前提にして見直せば一体どのような形になるであろうか、こういう観点から別途また考えなければならないわけでございまして、今ある姿が適正な姿であるというようには考えていないわけでございます。
○天野(等)委員 簡易裁判所の問題と同じように、家庭裁判所の出張所ですか、この問題もやはり考えなきゃいけないと思うのです。といいますのは、最近の傾向としての離婚の増といいますか、そういうものがかなり目立ってきているのじゃないかと思うわけです。まずこの辺の離婚絡みの調停とか訴訟とかの事件の経過、どういうものでございますか、推移はどうでございましょうか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問は、家庭裁判所出張所についての御質問かと思いますが、家庭裁判所出張所に係属いたします事件は、委員御承知のように家事審判及び家事調停に関する事務のみでございますが、その中で家庭裁判所出張所に係属するのは、甲類審判事件が八〇%以上超えておりまして、家事調停につきましては比較的少ない状況でございます。特に都市部のごく少数の出張所、これを除きますと、出張所の一般的、平均的な事件の姿としましてはかなり少ない状況になってきております。 〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
○天野(等)委員 甲類事件でいきますと、結局、典型的に多いのは何が多いのでしょうかね。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 甲類審判事件のうちで、相続放棄、子の氏の変更等の事件が中心的なものでございます。
○天野(等)委員 都市部では離婚事件、それから農村部といいますか地方へ行きますと相続関係の事件というのが、やはりそれぞれに多いのではないかというふうに考えるわけです。そういう場合の相談相手といいますか、駆け込みどころとしての家庭裁判所出張所の役割というものもやはり無視できないんじゃないか。離婚につきましても、私、ちょっと調べてみましたら、ここ十年間で年間一万件から一万五千件ぐらいずつ年々ふえているというのが離婚の実数のようでございます。五十六年に十六万件、五十七年に十七万件、五十八年に十八万五千件というような形でふえている。当然、離婚に伴う財産の問題あるいは子供の問題、そういうようなことが法律的な問題として出てきているんだろうと思うわけです。そういう場合にきちっとした相談相手としての家庭裁判所の役割というものは非常に大きいと思いますので、これらの点についても、やはり将来とも出張所の存在についてはなかなか無視できないんではないかというふうに考えております。 また、法務省としましても、区検、区の検察庁、この辺の状況はいかがなんでしょうか。区検での取り扱いの事件というのはどういうふうになっておりますか。
○筧政府委員 御承知のように、区検察庁は検察庁法二条に基づきまして各簡易裁判所に対応して置かれるということになっております。そういうように置かれておるわけでございまして、その区検の検察官は、主として裁判所法三十三条一項二号に規定する簡易裁判所の事物管轄に属する犯罪、窃盗及び罰金以下の刑に当たる犯罪でございますが、主としてそういう軽微な犯罪の捜査を行う。それから対応いたします簡易裁判所の管轄に属する事項について公訴の提起、遂行、裁判の執行を監督するというようなことでございまして、いわば比較的軽微な犯罪について、刑罰法令の適正かつ迅速な適用実現ということを使命といたしておるわけでございます。したがいまして、今申し上げました区検の機能を果たすに必要な人員を配置してその職務を全うしているところでございます。
○天野(等)委員 どういう事件が結局多いわけですか。
○筧政府委員 細かい統計資料を持っておりませんが、窃盗それから横領というようなものが多いと思います。 それから取り扱う事件といたしましては、地検等で捜査をいたしました結果罰金に処するのを相当ということになりますと、略式ということになりますと、いずれも区検の方へ送られます。結局そこで処理をするということになります。 今のは一般事件について申し上げましたが、それとあといわゆる道交法違反事件というものが主としたものでございます。
○天野(等)委員 区検というとどうしても道交法という感じがするわけでございまして、そういう点で言うと、また逆に区検というのはかなり一般の人に親しまれているというのは変な言い方でございますけれども、割と身近にある検察庁ではないかという気がするわけです。これも犯罪でございますから、その犯罪者の便宜を図るというのもあれかもしれませんけれども、しかし、交通事犯というものはある点ではだれでも犯す可能性のある事件というような気がするわけです。それだけに、この区検をきめ細かに配置をしておいていただくということも簡裁の役割と対応して重要な点なのじゃないかというふうに考えるわけですが、時間が参りましたので、簡裁問題につきましてはまた別な機会に取り上げさせていただきたいと思います。 きょうの質問はこれで終わらせていただきます。
○片岡委員長 小澤克介君。
○小澤(克)委員 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について若干お尋ねいたします。 配付いただきました資料によりますと、裁判官のうち判事ですけれども、判事の増員九名。これが、地方裁判所における民事執行法に基づく執行事件処理の充実強化に二名、同じく地裁における破産事件処理の充実強化に四名、家裁における少年一般保護事件処理の充実強化に三名、こういう振り分けがしてあるわけですけれども、これは文字どおりこの増員分がこのような仕事に専ら当たる、こういう予定になるわけでしょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 これまでもいろいろな柱を立てながら判事の増員をお願いしてきていたわけでございますが、その都度、増員の理由となっております事件の係属状況、処理状況を中心に判事の配置状況等もにらみながら、これらの事件処理の上で最も必要性の高いと思われる庁に順次増員措置を講じてきたわけでございます。今回の場合も同様な形で配置することになろうと思ます。 ただ、それぞれの庁で増員されました判事が具体的にどの事務を担当するかということになりますと、これは各庁にゆだねられておりますので、具体的にはその庁の部の構成など裁判官の配置状況を前提にしまして事件の分配が定められることになるわけでございます。したがいまして、例えば民事執行事件の充実強化を必要とする庁に増配置されました判事が必ずしも民事執行事件のみを処理することになるわけではございませんで、他の事件を処理することもあり得るわけでございますが、こういう増員措置によりまして、当該庁の戦力は全体としてアップすることになるわけでございまして、実際にはその庁の民事執行事件の処理に充実強化が図られるという結果になるわけでございます。
○小澤(克)委員 続きまして、同じ資料によりますと、定員と現在員、欠員の表がございますが、判事補については一名、これはネグリジブルだと思いますが、判事について三十一名の欠員ということになっております。これはどういう理由によるものでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 判事の欠員は、年度の途中で定年で退官していく場合、それから例えば公証人になるとか弁護士になるといった理由で退官していく場合があるわけでございます。もちろんごくわずかな例ではございますが、亡くなられる場合もございます。そうやって年度の途中で順次できていく欠員がありまして、昨年の十二月一日現在で三十一名という欠員ができているわけでございます。
○小澤(克)委員 そうすると、これは昨年というか現年度になりますか、年度発足時には定員を満たしていたということになるのでしょうね。
○櫻井最高裁判所長官代理者 こうやって昨年の十二月一日現在の欠員がございますが、この後、春までの間にもまた若干の欠員ができていくわけでございます。そうして、年度の初めに今度は判事補十年を経過した人が中心となって判事の充員が行われるわけでございます。
○小澤(克)委員 お尋ねしたのは、現年度の最初には充足していたのかということです。
○櫻井最高裁判所長官代理者 昭和五十九年の年度の初めには充員していたわけでございます。
○小澤(克)委員 この間に法務省へ転出されたというのはございますでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 法務省へ判事から転出していった者もございます。昭和五十九年で申しますと、判事が十名、法務省、検察庁へ転出いたしております。
○小澤(克)委員 裁判所から法務省への転出あるいはその逆、いわゆる裁判所と法務省間の人事交流がかなり盛んになっているということを聞いているわけでございます。 それでお尋ねしたいのですが、まずその実態でございます。裁判所から法務省へ、あるいは逆に法務省から裁判所へどの程度の異動が行われているのか。なかんずく、裁判所の行政部の裁判官が法務省において訟務検事になる例、あるいはその逆に訟務検事から行政部の裁判官になる例、それから捜査、公判担当の検事さんが刑事部の裁判官になる例、あるいはその逆に刑事部の裁判官が捜査、公判担当の、一般の検事という言葉があるかどうか知りませんが、訟務検事でない検事さんになる例、そういう実数がございましたら過去から挙げていただきたいのです。
○櫻井最高裁判所長官代理者 まず、裁判官が検察官になると申しますか、捜査担当の検事を含めて検事に転官する、あるいは検事が裁判官に転官するというその数でございますが、これは年度によってさまざまでございまして、裁判所から法務省あるいは検察庁の方へ転官していく数は、少ないときには二、三名という時期もございましたし、多いときには二十名を超えるような場合もございます。 お尋ねの、例えば裁判所の行政部の裁判官が訟務検事になっていくあるいは逆の場合、あるいは刑事部の裁判官が捜査担当の検事になっていくあるいは逆の場合、そういった場合の数は、把握していないと申しますよりも、実はそういった裁判所の行政部から訟務検事への転官という事例、そういう形での転官というものはないわけでございます。つまり、裁判官はさまざまな事件を担当いたしております。行政部を経験した裁判官がまた他の民事部へ移って、その上で検察官に転官する場合もございますし、また逆に、検察官あるいは訟務検事が裁判官になる場合でも、それは訟務検事から直接その裁判所の行政部に転入するわけではございませんで、裁判官としてやってきて、そうしてその裁判官の希望と配置の適性ということからその所属する裁判所においてその配置を決めていくというわけでございます。ですから、今おっしゃったような形での交流ということは行われていないと申してよいと思うわけでございます。
○小澤(克)委員 若干納得ができない点があるのですが、とりあえず年度を追って、裁判官から法務省へ、逆に法務省から裁判官へと、実数を挙げていただけますでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官から検事への転官の数でございますが、昭和四十年から申しますと、昭和四十年が八名、昭和四十一年が二名、昭和四十二年が三名、昭和四十三年、昭和四十四年がいずれも二名、昭和四十五年が三名、昭和四十六年が十名、昭和四十七年が十二名、昭和四十八年が七名、昭和四十九年が十六名、昭和五十年が二十名、昭和五十一年が十三名、昭和五十二年が十二名、昭和五十三年が二十二名、昭和五十四年が十四名、昭和五十五年も十四名、昭和五十六年が二十二名、昭和五十七年が十五名、昭和五十八年が二十名、昭和五十九年が二十六名となっております。 検事から裁判官への転官も大体その各年度の数に似たような数になっております。
○小澤(克)委員 検事から裁判官へ、この実数を言っていただけますか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 それでは、検事から裁判官への転官も申し上げます。昭和四十年が八名。昭和四十一年が三名、昭和四十二年が二名、昭和四十三年が六名、昭和四十四年が一名、昭和四十五年が四名、昭和四十六年が七名、昭和四十七年が九名、昭和四十八年が八名、昭和四十九年が九名、昭和五十年が十四名、昭和五十一年が八名、昭和五十二年が十一名、昭和五十三年が二十名、昭和五十四年が十七名、昭和五十五年が十四名、昭和五十六年が二十二名、昭和五十七年が十五名、昭和五十八年が十八名、昭和五十九年が二十五名となっております。
○小澤(克)委員 そのうちで、裁判官から検事になる場合でも訟務検事になる例は内数でどのくらいになるか、その逆についても内数でどの程度になるか、これも年度を追って実数を挙げていただきたいのです。
○櫻井最高裁判所長官代理者 まず裁判官から検事への転官の方の中の訟務担当検事になった人の数でございます。昭和四十年が五名、昭和四十一年が一名、昭和四十二年が二名、昭和四十三年はなし、昭和四十四年が一名、昭和四十五年が二名、昭和四十六年が六名、昭和四十七年が八名、昭和四十八年が三名、昭和四十九年、五十年がいずれも九名、昭和五十一年が六名、昭和五十二年が五名、昭和五十三年が十名、昭和五十四年が七名、昭和五十五年が十一名、昭和五十六年が十名、昭和五十七年が十名、昭和五十八年が八名、昭和五十九年が十四名となっております。 それから、検事から裁判官へ転官した者の中の訟務部検事からの転富者数でございますが、実はこれは急いで資料をつくりました関係もありますし、昭和五十三年以前の部分が把握できていないのでございます。そこで、昭和五十四年以降の分を申し上げたいと思いますが、昭和五十四年が七名、昭和五十五年が十一名、昭和五十六年が九名、昭和五十七年が九名、昭和五十八年が七名、昭和五十九年が十三名となっております。
○小澤(克)委員 そこで、先ほどお尋ねしたなかんずく行政部と訟務検事あるいは刑事部裁判官と一般の検事さんとの相互の交流というのは把握できないということでしたが、私の方で持っております数字で、裁判所から法務省その他の官庁へ転入した場合の中の地検検事、いわゆる捜査公判担当に転出した者が、昭和四十九年で判事補三名、五十年で判事補一名、五十一年判事補一名、五十二年判事補二名、五十二年で判事一名、判事補二名、五十四年は該当なし、五十五年が判事補三、五十六年が判事一、判事補四、五十七年が判事二、判事補なし、それから五十八年が判事補二。それで、四十八年以前はゼロでございまして、四十九年から五十八年までを合計いたしますと判事四、判事補十八、こういう数字があるわけです。今この場で確認しろといっても無理だろうと思いますが、これは多分間違いないだろうと思いますので、もし間違いがあれば後ほどまた何か訂正していただく機会を設けていただくといたしまして、これを前提に質問を続けたいと思います。 それから、今裁判官から一般検事への転出の例を挙げたわけですが、行政部と訟務検事間につきましては把握できないということでしたので、とりあえずの傾向を明らかにするために、現在の東京地裁なら東京地裁の行政部の方で過去訟務検事の経歴をお持ちの方が何名ぐらいいるか、おわかりになれば教えていただきたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 現在、東京地裁の行政部、裁判官が八名おりますけれども、その中で検事としての経歴のある者は二名でございます。その二名の中で訟務検事の経歴のある者が一名、それから訟務検事でない検察官の経歴の者が一名となっております。
○小澤(克)委員 同じく現在の東京地裁を代表例にとりまして、刑事部裁判官のうち、検事の経歴のある者が何名程度あるか、わかれば教えてください。
○櫻井最高裁判所長官代理者 東京地裁の刑事部裁判官は七十八名おりますが、その中で検事の経歴のある者は九名でございます。その九名の中で検察官としての経歴のある者七名、公害等調整委員会の経歴のある者が二名ということになっております。この検察官の経歴ある者七名の中には捜査を担当していた者もおりますし、またそれ以外の、例えば本省勤務の検事であった人も入っておるわけでございます。
○小澤(克)委員 今お答えいただきましたのを見ましてもかなりの交流があるということになりますし、かつまた先ほど挙げていただいた数字を見ますと、傾向としては昭和四十六年ころから急激にふえてきている、しかもだんだん増していく、そういう傾向にあるように思います。 それで、ひとつ伺いたいのですが、裁判所の裁判官は裁判所で独自に採用といいますか、任命は内閣がやるのですか、憲法に決まっておりますね。それから、法務省職員は法務大臣以下が恐らく任命するのだろうと思います。このような交流が行われるということは、裁判所と法務省間に何らかの取り決め等があって行われなければこういうふうにスムーズにはいかないのではないかと思いますが、その辺の実態はどうなっているのでしょうか。両方からお答え願いましょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官と検察官の間の人事異動の数、ただいま申し上げましたように年度によってかなりのでこぼこがあるわけでございますが、昭和四十六年以降二けたになってきておる。昭和四十五年以前にも二けたの時期はございますけれども、四十六年以降二けたになってきておるというのは事実でございます。 一体どういうわけでそういうことになったのかということでございます。これはいろいろな理由があったのだろうと思いますが、個々の異動した裁判官なり検察官についてのそういう人事をする必要があった事情というものを全部探ってみませんと正確にはなかなかわからないわけでございます。法務省の方でそれだけの需要があったということもあろうかと思いますし、また例えば公害等調整委員会であるとか国税不服審判所、そういった新しい民事の裁判官の働き場所ができてきたといったようなこともございます。 そういったいろいろなこともございますが、もう一つ考えられますのは、以前は裁判官から検察官になっていた人……
○小澤(克)委員 ちょっと、質問は、そういう相互の交流についてスムーズに行われているということは何らかの手続的な合意があるのかとお尋ねしているのです。何でそういうことが行われるのかという理由はまだ聞いていないのですが。
○櫻井最高裁判所長官代理者 手続的な合意ということでございましたら、そういうものはございません。
○小澤(克)委員 両役所間に全く合意がなくてそういう転出、転入が行われるとは考えられないのですが、今のお答え、間違いないですか。過去において当委員会で一定の合意があることを否定しない答弁をいただいていることもあるのですけれども、いかがでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 一人の検察官が裁判所に異動する場合あるいは一人の裁判官が法務省に異動する場合、これは本人が了承する以外にそれぞれの裁判所なり法務省なりがその点について了解をしていることはもちろん当然でございます。だから、そういう意味においての合意ということでしたら、これは個々の裁判官あるいは検察官をそれぞれ転官させるということについての合意はもちろんございます。しかし、何かそれ以外の恒常的な取り決めといったような意味での合意ということでしたら、そういうものはないと申し上げているわけでございます。
○小澤(克)委員 昭和四十九年三月二十九日付読売新聞に「判・検事 人事交流を本格的に」「”逆戻り”も保証」というような題名で「最高裁と法務省は、判事、検事の人事交流を図るための折衝を進めてきたが、二十八日までに基本的な合意に達し、四十九年度から実施することになった。」こういう記事がございまして、これに関連して昭和五十五年三月四日当院の当委員会で、これは勝見さんという最高裁長官代理の方が「御指摘の当時そういう話のあったことは聞いております。ただ、合意の内容が文書でどうのこうのという趣旨ではございません」 こういうふうに答弁しているのですが、文書ではなくても、両役所間に何らかの制度的なものをつくろうという合意が当然あったのじゃないかと思うのですが、いかがですか。この前の答弁は間違っていたことになるのでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 検察官から裁判官に転官されるというのは、これは何も昭和四十九年に始まったわけではございませんで、それ以前からもちろんあるわけでございます。ただ、その多くの場合は、裁判所へおいでになってそしてまた検察庁へ帰るということはなくてそのままでずっと裁判所においでになるという場合であったろうと思います。 昭和四十九年に何か合意があったのではないかということでございますが、それは昭和四十九年に、本来検察官として今後もやっていきたいという気持ちの強い方を受け入れるということはございましたし、その限りにおいて、そういった個々の人事を行う上においての合意はあったわけでございます。しかし、それをそれでは恒常的な制度として、例えば一定年数経過後は必ず戻していくとか、そういったような形での合意をしたわけではないわけでございます。三年程度で帰すというようなことは、それは先ほど少し御説明をしかけたことに関係するわけでございますけれども、余り長い期間裁判官から検察官に転官してそこに滞在するあるいは逆の滞在をするということは、必ずしも本来裁判官としてあるいは検察官としてやっていこうという人の場合には好ましくないのではないかということから、通常役人の異動は三年でございますので、昭和四十六年ごろ以降は大体三年でおいでになった方が帰っていかれるというようになってきているということでございます。
○小澤(克)委員 どうも質問がなまぬるいので、今のお話、どうもわかったようなわからぬようなので、はっきりした合意はないけれども三年程度で戻すという慣習が結局でき上がった、こういうことになるのでしょうか。それで、現在もそういうふうに行われているわけでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 正確な数が年々何名ずつであるかという点はただいま持ち合わせておりませんが、そういった趣旨で検察官から裁判官に転官してきておられる方、そのころ以降現在まで何人かずつはおいでになり、現在も裁判所で執務しておられるわけでございます。
○小澤(克)委員 質問は、三年程度でまた戻るということが現在も引き続いて行われておるんでしようか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 昭和四十九年ごろ以降おいでになった方で三年で帰っておられる方は多いと思いますけれども、そのまま裁判所においでになっておられる方もございます。
○小澤(克)委員 それで、実際の手続はどういうふうにやるのでしょうね。先ほども私ちょっと疑問に思って聞いたのですが、法務省と裁判所はもちろん行政機関と司法機関、全く三権分立といいますか独立した機関ですから、それぞれが人事を行えば、そうスムーズに受け取ったり渡したりというのはできないわけですから、何らか窓口を双方でつくって、今度は何人出したいんだが受けとってくれあるいはこっちで受け取りたいというような話し合いを当然やっての上しゃないとうまくいかないんじゃないかと思いますが、その辺実際にはどういうところが窓口になって、どういう手続で双方でやっているのでしょうか。また、本人からの希望を聞く、聞く前に希望を募るというような行動が行われているのでしょうか。その辺、いかがでしょう。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判所及び法務省の方にそれぞれその相手の方から来ている方がおられるわけでございます。そうして、毎年翌年度の定期異動計画を立てるころに、例えば法務省なら法務省の人事課が中心になりまして、そのほかにもちろん検事が所属している局等もございますけれども、その局なり現場の人事及び本人の意向をもとにして、来年度裁判所に復帰する予定の人について連絡してこられるわけでございます。それと同じように、裁判所の方でも、各人の希望及びその裁判所の中における人事の必要ということから、一定年数経過した人に戻っていただくあるいは出ていただくということで、最高裁判所の場合は人事局、法務省の場合は人事課が中心になりまして連絡をし、調整をして、その結果翌年度の定期異動における異動者が決まるということになるわけでございます。
○小澤(克)委員 それで、今お尋ねしたのですが、双方の人事担当者が特定の人に、おまえ今度行ってみないか、検察庁なら検察庁へ行ってみないかあるいは逆に二、三年裁判所で勉強してみないかというような勧誘というようなことは行われるのでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判所に関して申しますと、これはもちろん本人の常日ごろの意向というものも各所属長において確認いたしておりますし、そういったようなものとか、あるいは本人の過去の勤務歴であるとか、そういうものを前提といたしまして、本人の了承を得て、その上で候補者が決まるということになるわけでございます。
○小澤(克)委員 「東京地裁広報」に実際に裁判所から検察庁に出向——出向という言葉を使っているようですが、出向した方の感想文というのが出ておりまして、「初め検察官に転官し、東京地検で捜査と公判の事務に従事してみないかとのお話に接したときは、率直なところ、全く予期していなかったのでいささか戸惑いました。」というような文章がありまして、しかしそれを受けてやってみたというような体験談が載っているようなんですが、これからしますとかなり両役所ともが積極的にこの交流を進めているのではないかという印象を受けるわけでございます。 そこでお尋ねしたいのですが、なぜこういう交流を行っているのか、なぜ行わねばならなかったのか、あるいは何のために、どういう目的で行っているのか、これは裁判所、法務省双方からお答えいただきたいわけですが、特に法務省に関しましては、せっかく大臣おいでですので、大臣から直接お答えいただければありがたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 先ほど少し申し上げかけたところでございますけれども、法務省で勤務しておられる裁判官というのは、これはもう戦争直後から相当数おられたわけでございます。以前は行っておられる方が相当長期間勤務するというのが通例であったわけですけれども、しかしずっと年数がたっていきまして、昭和四十年代の半ばごろになると、法務省で勤務を続けるよりも裁判所に復帰して裁判官としての活動をしていきたいという方の数がふえてきたわけでございます。そういったことと、そのほか法務省の中の需要ということもあったろうと思います。そういったいろいろなことが重なりまして、昭和四十六年以降といいますか、昭和四十年代の半ば以降法務省から裁判所に戻ってこられる方というのが相当数に上る。また、そのほか、例えば公害等調整委員会であるとか国税不服審判所であるとか、そういった民事の裁判官の経験のある者に活躍してもらった方がいいようなポストもふえてきたということで自然と交流の数がふえてきたということになるわけでございます。 一度そうやって裁判官から検察官に転官する、あるいは逆の動きがあるということになりますと、一定年数経過いたしますと、当然またその後任を補充していくという必要は出てくるわけでございます。余り長期間行った先にとどまっているというのは、やはり気分の一新という意味におきましても、またその本人の経験を生かすという意味におきましても好ましくないのではないかということで、ある程度の年数が経過したところでまた戻ってもらうということが最近は行われていると申し上げてもよいと思います。 そうすると、それでは要するに前に動きがあったからしようがないからそれが続いていっているのかということになるかと思いますが、それはそうではございませんで、やはり裁判官がほかの世界の仕事の経験をするというのはそれなりに意味のあることであろうと思っております。裁判官は、我が国の場合、司法修習を終えてずっと裁判官としての仕事を続けるのが通常でございます。しかし、ほかの世界の仕事をする機会があるのならやはりなるべくそういった経験もしてもらって、そして視野を広げでまた裁判官に戻って活躍をするための助けにもしていただきたいというふうに考えられるわけであります。 そういう意味で、こういう形の異動というのは、必要ということもさることながら、それなりの意味があるのではないかというふうに思っているわけであります。
○小澤(克)委員 ちょっと今よくわからなかったので、何度も聞いて恐縮ですが、戦争後、本来の裁判官が法務省に多数いるというような状況があって、それが昭和四十年代半ばごろからもとの裁判所に復帰したい、こういう希望が出てきたので法務省から裁判所への異動が行われだというのが一つの要因である、こういうふうに今聞いたのですが、これは聞き間違いじゃないでしょうね。まず、その通りですね。——わからないのですが、戦前において採用された人というのは司法省でまとめて採用されたのじゃないでしょうか。そうすると、本来の裁判官とか検察官というのは一体何を意味するのか、ちょっとよくわからないのですがね。
○櫻井最高裁判所長官代理者 戦前の裁判官のことを申しておるわけではありませんで、戦後でも非常に古い期の方たち、戦争直後——直後と申しましても、もちろん一期の裁判官が昭和二十四年でございますから昭和二十四年以降ということになりますけれども、そういう古い時期に裁判所に短期間勤務してすぐに法務省へ行った方というのはたくさんおられるわけでございます。以前はそういう人たちはおいでになってから十年、二十年と法務省でそのまま勤務される方というのはたくさんおられたわけでございます。そのことを申し上げたわけでございます。
○小澤(克)委員 そうすると、戦前司法省で採用されたという意味ではなくて、戦後採用された人が裁判所で短期間勤務につき、その後法務省に移った、その人が裁判所に戻りたいということからこういう復帰するという事態がだんだん生じてきた。そうすると、逆に裁判所で短期間勤務し法務省に移ったときというのは、本人の意に必ずしも反してというと変ですが、法務省に骨を埋めるつもりではなく移った人がたくさんいたということになるわけでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 昭和二十年代に裁判官から検察官に転官する人が、裁判所当局と本人との間のどのような話で転出されたかというのは私どもにはわからないわけでございます。もちろん、嫌だ嫌だとおっしゃるのを無理に転官さしたということはないと思います。本人の希望とまでいかずとも、それは本人の意向には決して反しない形で行っておられるはずでございます。 それともう一つ、昭和二十年代に行った人ということを申し上げましたが、もちろんそれは一つの例として申し上げだわけでございまして、昭和二十年代にも三十年代にもたくさんの裁判官が行っているわけでございます。その中にはある程度の期間経過して帰ってこられた方もあるし、また長期間勤務してそのままで残っておられた方もある。昭和四十年代の半ばにその人たちで帰ってこられる方がふえてきたということを申し上げたわけでございます。
○小澤(克)委員 そうなると、ますますわからないのですが、それじゃ何で裁判所に一たん裁判官として採用された者が法務省に行ったんでしょうか。そのときどういう要因があって法務省に移ったのか、まずそこからお答えいただきましょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 昭和二十年代あるいは三十年代の人事についてさかのぼって私の方で調べてみませんことには的確なお答えはもちろんできかねるわけでございます。恐らくそれだけの需要というものはあったんだろうと思います。
○小澤(克)委員 そうすると、前提がわからないままに——裁判所に採用された者が法務省に移ったから、それが復帰したんだということにはならないでしょう。そもそもなぜ法務省に移ったのかについて昔のことだからよくわからぬと言いながら、そういう方たちが裁判所に復帰したのが要因であると言われても結局何のことかわからぬですよ。そうじゃないですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 何のことやらわからないのにおいでになったというわけではもちろんないのでありまして、ちゃんとそれなりの法務省における需要があり、そのポストにつくために本人の意向に反しないでおいでになったわけでございます。ただ、その時分は、例えば短期間ですぐに裁判所へ返すというようなことが余り行われていなかったというのは事実であるわけです。したがって、相当長期間勤務して残っておられる方というのはかなりたくさんあったわけでございます。
○小澤(克)委員 結局よくわからぬのです。頭が悪いのでわからぬのでしょうがないですけれども、逆に裁判所から法務省へたくさん行っていますね。これはどういう要因でしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判所から法務省へたくさん行っておりますのは、それぞれ先ほど申し上げたような人数の中で行っておられるわけでございます。その人たちが法務省の中のそれぞれのポストについておられるわけでございます。
○嶋崎国務大臣 先ほど来、私どもの意見も聞かれておりましたので、あるいは話を途中で折るようになってまことに恐縮でございますが、法務省の考え方を御説明申し上げたいと思います。 先ほど来から十分お話がありましたように、従来から、従来というか、私は古いことはよく知りませんけれども、戦後から裁判所と法務省との間の人事交流が行われてきたということは現実、事実であるわけでございます。私は、裁判官なり検察官の人事交流というのは法曹としての知識、経験を広めるという意味で非常に望ましいことであるというふうに思っておるわけでございますし、またそういう背景は、例えば外国の例で見ましても法曹一元化ということが一部言われるようなことがあります。それはそこまではとても日本の中では言っておれませんことは御承知のとおりでございますが、そういうことはあったことは事実でございまして、そういう意味で、私は人事交流をやっていくということは非常に必要なことだと思います。また、国民一般も、裁判官あるいは検察官に対して一般的に非常に高い認識を持っておるのではないかというふうに思っております。 それから、法務省の中の仕事を考えてみましても、御承知のように法務大臣が裁判所の関係の法案をいろいろここで御提出申し上げて審議をいたしてもらっておる経緯から考えられましても、例えば民事関係の仕事をやる場合、これは当然裁判所の裁判官をやられたような経験をお持ちの方にやっていただくのが適当だろうと思うし、あるいは人権擁護関係とかいうような仕事あるいはいろいろな司法制度の調査というようなことを分担をするというようなことにつきましても、そういう分野は法務省の仕事の中に十分あるわけでございますから、そういう中でやはり交流を行ってきているというのが過去の経緯だろうというふうに私思うのでございます。そんなことから考えまして、ただ単に従来からやっていたということだけを理由とするわけじゃなしに、先ほど申しましたようにいろいろな知識、経験を踏み固めるというような意味で相互の交流というものが非常に大切なことであり、またそういう交流を通じまして、それぞれ高い見識を持った方々でございますからそれぞれの部署できちっとした整理ができるだろうというふうに思っております。また、仮に具体的な事案についての問題となれば訟務の手続上のいろいろな問題になりまして、それはそれなりにきちっとした整理がついて行われておったと思うし、また今後もそういうことが行われるに違いないというふうに思っておる次第でございます。
○小澤(克)委員 今大臣から直接の御答弁をいただいたわけでありますが、要は裁判官の見識を広げるという意味で積極的な意味があろうという評価をし、またそのような目的で行っているのだというふうに理解したわけですけれども、これにつきましては私は相当批判を持っておりまして、それも後で申し上げようと思いますが、そのほかにも法務省の方で訟務部を充実する必要から訟務検事の供給源として裁判所にこの供給先を求めたという要因があったのではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 法務省の方で当時どのような訟務部充実についての必要性をお感じになったのか、そこらは私どもにはわかりません。先ほど申しましたようなことで、裁判所の方では帰ってきてもらった方がいいと思われる方が相当数あり、またその後任も送った方がいいということで送ったわけでございます。
○小澤(克)委員 法務省、いかがでしょう。
○岡村政府委員 法務省といたしましても、訟務事件が漸次増加することに伴いまして訟務部の充実はやはり図らなければならないわけでございます。そのためにはいわゆる本来の検事といいますか、検事からも訟務部の方に人員を回すというようなことで訟務部の増加を図っておるわけでございます。
○小澤(克)委員 供給源を裁判所に求めているのではないかと聞いているのです。
○岡村政府委員 裁判所から法務省の方に迎え入れます裁判官と申しますか、これは一つには検察官の欠員数がある程度あった、迎え入れやすい状況にもあった、こういう点が裁判所から法務省に迎え入れる数が増加した理由の一つに挙げることができると思うのであります。そういたしまして、法務省に迎え入れました裁判官あるいは本来の検察官をどういうポストにつけていくかということになりますと、これは法務省の人事政策ということになるわけでございます。
○小澤(克)委員 そこで、先ほどの大臣のお考えについて私なりの見解を述べましてまたそれについてお答えいただきたいと思うのですが、裁判官の見識、視野を広げるためにいろいろな仕事をやってもらう、この趣旨は私大変結構だろうと思うのです。比較的最近でしたか新聞社にしばらく裁判官が行かれたというような報道も耳にしたことがあります。大変結構だろうと思います。 ただ、これをもって先ほど大臣のお言葉の中に法曹一元の一つのあらわれであるというようなお話があったのですが、これは何かの勘違いではないかと思うわけです。法曹一元というのは、御存じのとおり英米法における理念でございまして、そこにおいては単に経験の豊かな方を裁判官に任ずるということではなくて、法の支配あるいは司法の優位という英米法の理念と一体のものというふうに理解しなければいかぬのじゃないかと思うのです。すなわち、行政府あるいは立法府も含めて国民の基本的人権についての侵害があれば裁判所に救済を求める、その場合は裁判所が基本的人権の擁護に当たる、すなわち行政機関といえどもあるいは立法機関といえどもその側面においては裁判所の判断に従わなければならない、これが法の支配であり法の優位、司法の優位だろうと思います。行政訴訟について司法裁判所の任務とされており、また違憲立法審査権が与えられておるのもそういうことだと思うのですが、そのような法制度をとる場合に、そこにおける裁判官像というのは行政府あるいは立法府に対しても批判すべきは批判するという確固としたものを持っている方が裁判官になるべきである。ということになりますと、国民生活の実態についてよく知っている、国民の生活実態について国民に生に触れて知り、経験を積んだ者、そして行政府、立法府に対しても批判すべきときは批判する、そういう視点をも、そういう感性を持ち得た経験豊かな人が裁判官になる、これが法曹一元の理念であろうと思います。したがいまして、上命不服の行政部において仕事をした者が、そこでの経験を積んだ者が裁判官としてより的確な広い視野を持ち得るということにはどうしてもならないのじゃないかというふうに理解いたしますし、要するに、経験豊かな者が裁判官になるべきであるというその経験豊かというのは、単に何らかの経験があればいいというその内容を捨象したものではなくて、その経験というのは国民生活の実態に十分触れたもの、そういう経験の質が問われているのではないかというふうに考えるわけです。したがいまして、本来の意味での法曹一元の理念とは全く合わないのではないか。 それから仮に、その経験の質について捨象するにいたしましても、一方的に行政部での経験のみをさせる、これはいわば片面的な、法曹一元という言葉を使うとすれば片面的な法曹一元ではないか。現実に、訟務検事として行政訴訟において国の立場を代理し、国民と対峙する立場にあった者が後に裁判官になるこういうことは国民の側からも司法に対する信頼を失わせるんではないかというふうに思います。また、実際に裁判官そのものが行政部において経験を積めばどうしてもそこに引きずられるといいますか、特に判、検事間の一体感のようなものが生じやしないか、そういう実質的にも影響を受けるおそれが十分ある。そういう意味から先ほどのような判、検事の交流の実態というものについては、極めて危険な要素を含むというふうに私は考えるわけです。大臣の御答弁のように、これを積極的に評価するということにはどうしてもならないのじゃないかと思うわけでございます。 そこでお伺いしたいのは、今後もこういう判、検事間の交流というものは続ける意思なのかどうか、これは裁判所、法務省双方からお尋ねいたしたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 法曹といいますのは、どのような立場で仕事をいたしましても、そのそれぞれの立場において全力を尽くしてやるというのが、それが法曹の特性であろうと思います。検察官の経験があった者が裁判官になった場合に、それは従来検察官として、公益の代表者として行動していた者であっても、今度は裁判官となれば公正な判断者としての立場として行動する、弁護士としてやっておられた方でもそれぞれその依頼者の立場というものを離れて完全な中立の判断者として行動する、そういうことができるような訓練を受け、そして、そういうように行動できる者が法曹であろうと思うわけであります。したがって、仮に一定期間、検察官として勤務したことがあるからといって、あるいは検事の身分を持つ、他の行政庁で勤務したことがあるからといって、裁判官になってから一定の立場に偏した判断をする、そっちに親しみを覚えて、そういうような行動様式をとるというようなことは決してないわけでございます。 もちろん、裁判官の中に検察官の経験のある者のみならず、弁護士の経験のある人もたくさん来ていただければ、それは非常に結構なことだと思っております。しかし、実際問題として、それはさまざまな生活上の問題、報酬の問題やあるいは裁判官になれば全国津々浦々に行っていただかなければいけないので、そういったようなこともあって、弁護士からなっていただくというのはできないわけでございます。あるいは一時期弁護士をやめて裁判官になるというのもたまにはございますけれども、しかし、今までの生活を一切変えて一たん退職してしまうというのも大変難しいことでございます。 そういった意味で、この検察官としての経験というのはそれなりに貴重な経験であろうと思いますし、今後これを拡大していくのかと言われれば、それは毎年毎年の個々の人事の問題でございますから、どのようになっていくかわかりませんが、例えばこれを縮小して最後はやめていくのだというふうに考えているわけではないわけでございます。
○岡村政府委員 私もただいまの最高裁判所の御答弁と同じ理解でございます。 国民生活の実態に触れて豊かな経験を持つという中には、法曹といたしまして弁護士活動を通じてそういう経験を持つということももとより含まれますが、同じく法曹といたしまして検察官としての分野で活動することによって、そういう経験を豊かにしていくこともできるわけでございまして、大臣からも御答弁のありましたように、裁判官と検察官との人事交流は有意義なものであると私ども考えておるわけでございますので、これは縮小するとかそういったことは今のところ考えておらない、こういうことでございます。
○小澤(克)委員 時間が来ましたので終わります。
○片岡委員長 横山利秋君。
○横山委員 朝からずっと続いておりまして、大臣初め政府委員の皆さんも、委員長もまことに御苦労さまでございますが、ひとつ気分を変えて質問をいたしたいと思いますから、御協力をお願いをいたします。 まず、最高裁にお伺いをいたします。 本来から言うと、長官の寺田さんに聞きたいところでございますが、これはなかなかお出ましが困難だということでございますので、事前にお話をしてありますから、長官のお気持ちを勝見さんが十分御存じであり、かつ長官の「新年のことば」や訓示については、あなたがお目通しと言うとぐあいが悪いかな、事前に下書きをおつくりになったりなんかしていらっしゃるだろうと思いますから、そのことについて質問しても勝見さん、よろしゅうございますか。
○勝見最高裁判所長官代理者 結構でございます。
○横山委員 自信満々だな、あなたが全部書いておるのですか。 この「新年のことば」、去年六月の訓示等をずっと拝見をいたしました。要すれば、時間によって多少の違いがございますが、長官の司法行政に関する一つの方針として、時代に適応した司法、裁判あるいは裁判所の適正配置あるいは裁判官の育成、最近の問題としては、死刑が無罪になったことということに重心が置かれておるように思います。 それについて、まずここに昨年六月、「また、死刑の確定判決を受けた者に対する再審において、相次いで無罪が言い渡されたことから、多くの論議を呼んでいることも御承知のとおりであります。」えらいこと言わしたなと思ったのですよ。ところがその後、じゃどうかということについて何ら答えらしいことが書いてない。「私ども裁判に携わる者としては、この際、その職責の重大性に改めて思いを致し、」ということだけで、言い渡されたんだから、これら裁判が誤判であった、大変申しわけなかった、これからお互いに気をつけようではないかとか、再審制度について一遍検討しようではないかとか、そういう答えが出てくると思ったら、答えをすかしておるというのは一体どういうことなんでしょうか。
○勝見最高裁判所長官代理者 先ほど結構でございますと申し上げましたが、長官の訓示及びその新年のあいさつについてちょっと申し上げさせていただきます。 長官の訓示行政の責任者である長官の名において年一回開かれます高等裁判所長官、地家裁所長会同の際に行われるものでございますが、中身につきましては、裁判官会議に諮りまして慎重に検討をしていただいた上で長官の名において訓示をいたすものでございます。それから、新年のあいさつは、司法行政の責任者たる長官の名においてやるものでございます。そういうことでございますので、先ほどあのようにお答え申し上げましたが、文言に即して御理解いただきたいというふうに思いますが、先ほど御指摘がございましたように、一応文案の作成にタッチいたした者として述べさせていただきたいと思います。 再審、誤判につきましての長官の訓示についてのお尋ねでございます。 私どもといたしましては、先ほど天野委員のお尋ねに対してお答え申し上げましたとおり、無辜を罪してはならないというのは刑事裁判の大鉄則であるわけであります。一線の裁判官は、証拠を詳細に検討して慎重に事実認定をして適正な判決をしているものと信じておるわけでありますが、昨年におきまして、いわゆる再審手続におきまして無罪判決が相次いで出たということにつきましては、深刻な事態として受けとめているわけでございます。 その対策ということでございますが、裁判官が本来の職責に従って刑事裁判をやるということに尽きようかと思いますが、それにつきましては、自己研さんは当然のことといたしまして、お互いの研さんということも必要なことだと思います。具体的に申し上げますと、先ほどもお答え申し上げましたように、事実の認定ということにつきまして刑事の裁判官の会同等を開きまして、十分に意見を交換したわけでございます。今後そういう機会をつくりまして、このようないわゆる誤判がないようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。 それから、制度の問題、それから先ほど天野委員から御指摘ございました規則の改正等の問題につきましては、刑事局の立場においてそれなりの検討を加えているところでございまして、長官訓示に具体的に……(横山委員「まだそこまで聞いていない。死刑の問題だけ聞いておる」と呼ぶ)ということでございまして、長官訓示にはまだ出てまいっていないということを御理解いただきたいと思います。
○横山委員 文章というものは、「相次いで無罪が言い渡されたことから、多くの論議を呼んでいることも御承知のとおりであります。私ども裁判に携わる者としては、この際、」かかることになったことについて十分に反省と検討を加え、今後かかることのないようにいたしたいと存じます、これが文章です。途中でおかしなことになっちゃったんですな。「職責の重大性に改めて思いを致し、」ということは文章になっておらぬ。そこのところが最高裁としてはなかなか言いにくいことではあろうと思う。あろうと思うけれども、行間に流れる物の考え方としては、長官も裁判官も、「多くの論議を呼んでいることも」胸にこたえておるぞということだと私は思うのですが、そういう意味ではないのですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、このようなことが二度とあってはならないということであるわけでございまして、私どもといたしましては深刻な事態であるというふうに受けとめておるわけでございます。
○横山委員 わかりました。 裁判官の育成についてしばしば言及をしていらっしゃる。昨年でありましたか、大分前でしたか、裁判官を新聞社に派遣をして短期間の社会勉強をさせたということを聞いておりますが、その後、新しい時代に即応する裁判官の育成としてはどんなことをしていらっしゃるのですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 長官の訓示には、例年のように若手裁判官の育成ということを先輩裁判官である高裁長官、地家裁所長に対して常に語りかけられているところでございます。今御指摘の研修の態様につきましては、その後もいろいろなことを考えて実施いたしておるところでございますが、具体的には人事局長からお答えいたさせます。
○櫻井最高裁判所長官代理者 これまでも何度か申し上げておりますけれども、裁判官の研修は司法研修所で担当をいたしております。司法研修所では昭和五十七年以降、専任の裁判官研修担当の教官を任命いたしまして、そしてそのスタッフが中心になってどういったことを研修していくのがいいかということをいろいろ研究いたしておるわけでございます。 現実に行われましたのが、先ほど委員御指摘の、例えば新聞社への派遣といったようなものもその一つでございます。そのほかに、例えばその派遣対象を新聞社だけでいいのかどうか、それ以外のところへも派遣するということを考えていいのではないかといったようなことから、現在さらに細かい点を検討中でございます。またそのほか、若手裁判官の育成というのは、単に研修所だけで行うのではなくて、日常の所属している裁判所の先輩あるいは部の裁判長といった方からのいろいろな薫陶を受けるということも必要でありますので、従来必ずしも十分に行われていなかったそういった裁判長クラスの研究会のようなものも行って、そしてなるべく日常のそういう意味での教育ができるようにいたしているわけでございます。
○横山委員 今までどおりのことをやっておるというのなら説明にならぬのです。いやしくも最高裁長官会議の議を経ておやりになる以上は、この「訓示」なり「新年のことば」の行間にあらわれるその趣旨というものがいかに実践をされておるのかということを、そこが本年の重点的な問題であるというふうに私は理解するのです。単に修身みたいに長官がお話をなさったわけではなかろうと思う。 この間もこの種の点については、法務大臣に重点は何かとお伺いしたのですけれども、最高裁長官としても、私がそうだなと思った四つの問題がどう行われておるのか、実践に移されておるのか。今までどおりを一生懸命やるということでは意味がないではないかという趣旨で御質問しておるわけですから、そのつもりで聞いてもらいたいと思う。 そういう裁判官の育成、そして教育をしておる中で、私は二つの例を出したいのです。 一つは、先般私の名古屋で、これは最高裁の答弁書ですが、 刑法二五条二項によれば、前に禁錮以上の刑に処せられ現に執行猶予中の者を再度の執行猶子に付するには、一年以下の懲役又は禁錮を言い渡す場合に限ることとされている。 本件においては、被告人は、昨年三月名古屋地裁半田支部で覚せい剤取締法違反により懲役十月執行猶予四年の判決を受け、現に執行猶予中の身であるのに拘らず、一年六月の懲役に処した上で再度の執行猶予に付したものであるから、明らかに右規定に違反するものである。 右のようなミスを犯すに至った原因については、定かではないが、推測するに、当該裁判官としては、一方では、当該事案については、諸般の情状から執行猶予を相当と考え、他方では、求刑通り懲役一年六月に処するのが相当と考え、その双方が念頭にあったため、誤って被告人が執行猶予中の身であること又は、前述の法律上の制限を失念したものではないかと思われる。まあこれは情けないことですな。裁判官が執行猶予を付してはいかぬ者を執行猶予にした。こんなことがどうして一体——裁判官が一人でやるのじゃないでしょう。合議でしょう。書記官がついておるでしょう。弁護士も検事も唖然たるものではなかったでしょうか。なぜこんなことが起こるのでしょうかね。
○小野最高裁判所長官代理者 この件は、ただいま御指摘のとおりでございまして、私どもとしても全く初歩的なミスでまことに弁解の余地もないと思っております。 ただ、この事件は、単独事件でございまして、裁判官一人でやったということでございます。それから、書記官が気づかなかったというお話もございましたが、裁判でございますので、法廷で宣告した後でなければ書記官のところにはわからないということでございます。 いずれにいたしましても、裁判官の重大な職責にかんがみましてこのようなことが起きたということはまことに申しわけないことだ、かように考えております。
○横山委員 それで、この処置はどうしたのですか。どうしたというのは、人事的にどうしたというわけでなくて、結論的にこの誤判をどうしたかという処置の問題です。
○小野最高裁判所長官代理者 判決を宣告いたしますともう訂正はできないわけでございますので、私どもの聞いておりますところでは、検察官が控訴されたということでございます。
○横山委員 裁判官のミスを検察官がしりをぬぐったという結果になるわけですね。法規的にはそれよりしょうがないということなんで、全くそんなことがどうして起こるのか、私はあきれ果てた次第でございます。 その次は、裁判官の訴追を要求された問題であります。 訴追状を見ますと、大阪の道下さんという裁判官でございますが、「大阪地裁第六民事部道下徹裁判官は、株式会社額田製作所の会社更生手続開始にあたり、管財人候補者と一体となって、総評全金から同額田製作所支部の脱退を強要し、ついに全金脱退をせしめるという不当労働行為を行った。」という事案であります。 これも詳細な説明は省略をいたしますが、要するに額田製作所の会社更生法手続に当たって組合を呼んで、給料は下げる、労働条件は悪くする。そこまではよかったのですが、全金を脱退しろ。そんなばかなことをと言ったら、いやそれを脱退しなければ話が合わぬのであかん、こう言って全金を脱退させて会社更生法手続を開始したということであります。裁判官というのは労働組合法を知らないのでしょうかね。この事実関係については極めて明白でございまして、争いの余地はありません。道下裁判官の主張、言い分というものは私は知りませんよ。知りませんけれども、いろいろなところの労働委員会なりあるいはそのほか、まあ訴追委員会の記録は余り言うのは私は避けたいと思うのですが、そこの調査におきましても、不当労働行為をさせたという事実関係については恐らく争い得ない。恐らく最高裁でもお調べになったと思うのですがね。そういうことは一体裁判官としては適当な措置でありましょうか。
○上谷最高裁判所長官代理者 まず事実関係について若干私の方から御説明させていただきたいと存じます。 今おっしゃったような事情で新聞でも当時報道されましたので、私どもとしてもその当時の事情がどういうのであったかということは報告は受けております。その報告によりますと、今御指摘になったのとは若干違いまして、実は御承知のとおり会社更生事件で管財人を選任する必要がございまして、あっちこっちで管財人の候補者を探しておった。その中の一人から、管財人に引き受けてもらうにはどういうふうな条件がなければならないかという条件が出されたわけでございます。その条件の中にただいまおっしゃいましたように、例えば労働条件の切り下げであるとかというようなことのほかに上部組合から脱退ということが入れられれば管財人を引き受けることも考えてよい、こういうふうなことがあったということでございます。そこで裁判所といたしましては、管財人候補者の一人から出されましたそういう管財人候補者の希望条件をそのまま会社側に伝え、あるいは組合側にも伝えた、そういうことでございまして、その際、もちろんその条件を受け入れてその人に管財人になってもらうか、あるいはもうそれはとても受け入れられないということでお断りになるか、これは自由意思であるということは明確にしてお伝えしておるわけですし、ほかに管財人候補者があれば推薦してくるという余地はいろいろあるわけでございます。そのようにお伝えしたという事実関係と私どもは報告を受けております。 ただ、これは現在、もう御承知と思いますが、労働委員会にも事件が係属しておりますのと、それから大阪地方裁判所に国家賠償事件として民事事件が係属しておりますので、その中で被告であります国の主張としては今申し上げたようなことを主張しておりますが、その当否を今私どもの方で現に係属中の事件について申し上げるということは実際の裁判に差しさわりがございますので差し控えさせていただきたいと思いますが、一応私どもの報告の受けておるところ、それから国側の主張として、被告として陳述しておるところはここで御説明申し上げたいと思いましてお話しいたしました。
○横山委員 あなたの言うとおりであったと仮にしましょうか。管財人が額田支部に、全金を脱退してもらわなければ管財人を引き受けぬ、こう言ったとしましょう。それを裁判官に管財人の候補者が言う。裁判官がそのときに、わかりました、あなたの言うとおり相手に伝えましょうというような立場が裁判官としてまず適当であろうかどうか。あなたの言うとおりであったとして、そこのところを私はただしたい。それはいけませんよ、私がそんなことを言える立場じゃありませんよ、私は労働法、法秩序の番人として裁判官です、そんなばかな条件を私が伝えられるはずがない、お断りをするとなぜ言えなかったか。裁判官が組合三役を呼んで、ここに記録があるのですけれども、「管財人候補者の考え方を知りたいので会わせてほしい。」道下裁判官「あわないだろう、債権者もこれくらいの事は考えるだろう。この条件でダメであれば取り下げが却下になる。」こう言っておどかしているわけですね、実際問題として。この記録は間違いありません。自分が仲介者であるとしても、仲介者として引き受けてはならぬことが、法律上、自分の職責上、ありそうなことだ。そのときに、そんなばかなことを言うな、もしどうしてもそれを言いたいなら、おれはそんなことは知らぬ、管財人候補者が、おまえが組合と話し合え、おれは知らぬことにしてほしいということならまだ恕すべき点がある。また仮に、そんなことはいかぬぞ、おまえ、そんなことをやったらおまえも不当労働行為で文句を言われるぞ、それは避けた方がいい、もし組合運営に意見があったならば、組合運営の改善についておまえは言うべきではないかというのが裁判官のよって立つべき立場ではないか。なぜそんなことを仲介をしたのか。
○上谷最高裁判所長官代理者 大阪で提起されております国家賠償事件において、原告側がまさに御指摘のような主張をしているわけでございます。これに対しまして国の方では、若干事実関係の認識も先ほど申し上げたように違うわけでございますが、別の観点で、不当労働行為あるいは違法な行為には当たらないという主張をしているわけでございます。両者の考え方が対立しており、現在事件になっておりますので、やはり事実関係をお調べいただいて裁判所の御判断をいただく以外にないと考えております。 あともう一つつけ加えて申し上げますと、道下裁判官の当該行為は、やはり会社更生事件でございますので本来の訴訟ではございませんが、非訟事件的な手続でございますが、やはり裁判官としての一種の訴訟指揮と申しますか、裁判官としての裁判権の行使の判断でございますので、私ども司法行政の立場から当該裁判官の裁判権の行使のあり方について、それがよかった、悪かったというふうな論評を加えるのもいささか、私どもの立場としてはいたしかねますので、その辺をひとつ御了解いただきたいと思います。私どもとしましては、その裁判の中で裁判所の判断が示されることによってこれに対する見方を明らかにされる、そのように考えておるわけでございます。
○横山委員 訴訟指揮についての裁判官の権限は知らぬわけではないのです。広範な訴訟指揮権というものがあることも承知しております。けれども、法律を破ることを訴訟指揮の中に入れてもらっては困る。法律を破ることの仲介をしてもらっては困る。そんなことは訴訟指揮にならぬと私は思っております。百歩も千歩も譲って、まあ会社更生法を何とかまとめてやりたいという気持ちが仮にあったとしても、このような社会的に疑念を生じさせる、国会で論争の舞台になる、そういう疑いをかけられるよう空言動をしてもらっては困る。その点ではあなたも同感でしょう。
○上谷最高裁判所長官代理者 いろいろ御意見があることは私どもも十分承知いたしておるわけでございます。(横山委員「人のことじゃない、あなたはどう思っているんだ。いかぬと思っているだろう。いいと思っているのか」と呼ぶ)私自身としては、先ほども申しましたように、大阪地方裁判所で被告が主張しておりますところでは違法な行為でないというふうに御紹介申し上げる以外にないのでございまして、私どもの方で裁判所の行為を、違法であるとかあるいは違法でないとかというふうに言うわけにはまいらないわけでございます。(横山委員「寺田長官の訓辞をあなたは読んでおるのかね」と呼ぶ)もちろん、長官の訓辞はよく読んでおります。
○横山委員 よう知っているか。 それじゃ勝見さん、あなたどう思いますか。
○勝見最高裁判所長官代理者 このケースにつきましては、私どもで事実認定をする立場にはございません。それからいろいろな意見のあろうことは、先ほど民事局長から申し上げたとおりでございます。現在の私の立場で、今横山委員お尋ねの件につきまして、まともにお答えするのは控えさせていただきたいと思います。
○横山委員 国会議員の質問にまともに答えない、そんなばかな答弁がありますか。国会議員の質問に対してまともに答えないで勘弁してくれと。委員長、どう思いますかね。委員長の見解を問う。侮辱だ。
○片岡委員長 それぞれの立場がありましょうから、よく考えてもう一遍答弁してください。
○勝見最高裁判所長官代理者 横山委員に対しまして、大ぶろしきを広げて、司法の独立とかなんとかと言うのは、これもまた控えますけれども、やはり裁判が独立であるということを前提にいたしまして、私ども、司法行政の衝に当たっているものでございます。 繰り返しになりますけれども、このたびの道下ケースにつきましては、見方によっていろいろな御意見があろうかと思います。しかし、現在のところ、先ほど民事局長からお答え申し上げたような事情下にありますので、現在の立場で私ども、民事局長を含めまして、私どもから道下判事の具体的な行動について申し上げることはやはり控えさせていただきたいと存じます。
○横山委員 先年、私が、裁判官の勤務評定をどうするかと言うたことがございます。その際に、おのずからなる評価という有名な言葉が、当時の事務総長からお話がございました。私は、裁判官といえども、やはり最高裁としてずっと眺めていらっしゃるだろう。裁判の判決がよかったか悪かったか、適当であったかなかったかということは、それは関与すべきことではないが、勤務評定はどうなさるかと言ったら、おのずからなる評価ということだ、おのずからなる評価というのは、単に裁判所内部だけでなくて、世間からも弁護士からも検事からも、社会的にも、ああ、あの人は立派な裁判官だというような評価が適切な評価だろうと。後で考えて、なかなか名答弁だったなと思ったんですよ。このおのずからなる評価という極めて常識的な評価からすれば、判決の誤判に至っては言語道断だけれども、このような不当労働行為を、仲介者としての役割をするということは、おのずからなる評価としては適当ではないと思いますよ。私の質問の趣旨は、寺田長官の言うところの、裁判官の育成とかあるいはそのほかの問題について一体どう趣旨が徹底し、それがどういうふうにあらわれてくるかという視点から申し上げたわけでございまして、もちろんお話しのように労働委員会なりあるいは裁判で裁判官が被告になってまた裁判されるというみっともないことにならないように、ひとつおのずからなる処置をお願いをいたしたいと思いますね。これは御答弁がないと思いますから、あなたの胸の中へおさめておいていただきたいと思います。 さて、今度は裁判所の適正配置の問題でございます。これも長官が声を大にして言っていらっしゃることであり、かつ、いただきますと、昭和五十九年一月、裁判所の適正配置について膨大な資料が出ております。よくもまあ、こうも時間をかけてお調べになったと思うほどの資料でございます。 今回、この裁判所定員法の審議がきょうから始まるわけでございますけれども、与野党通じて、このポイントになりますのがやはり簡裁だろうと思います。後の同僚議員の質問も先ほどの二人の質問も簡裁が中心に、重点になると私も思うわけであります。 そこで、まず前提として最高裁にお伺いしたいんですけれども、このごろ裁判所機構、司法行政の枠外で、準司法機関というものがここ数年来続出しております。法律上の、公取から労働委員会からあるいは建設審査会から、いろんな法律に基づいた準司法機能ももちろんでございますけれども、町の中へいきますと、離婚相談所だとか、あるいはサラ金相談所、交通の問題だとか、庶民的な問題が本当にたくさんあるわけですね。一方、簡裁も忙しいところでは爆発的な忙しさということになっておる。なぜ一体民間なり司法行政機関以外のところが発展をするのだろうかということを考えますと、一つは裁判所というのはいかめしくて、そして面倒で、時間がかかって、そして弁護士に頼むと弁護士料が高いだろうというような気持ちがありまして、この裁判機構外のものがどんどん発展をしておる、この傾向について裁判所はどうお考えになっていますか。 大臣、席を外しておられましたが、今申し上げておりますのは、裁判機構外で民間の準司法機能というものが、離婚から交通から何から何までどんどん発展しておる。それは一体なぜそんなことになっているのか。裁判所が面倒だ、時間がかかる、弁護士料が高いとか、何とかかんとかということだろう。町で例えば法律相談なんかやりますとわあっと来るんですよ。それほど法律の救助を求める庶民の問題点は極めて多いのにかかわらず、司法行政機関というものが十分それにこたえていないではないかということが私の質問の趣旨です。勝見さん、それはどうお考えになりますか。
○勝見最高裁判所長官代理者 御指摘の準司法機関の範囲いかんが問題にまずなろうかと思います。しかし、私の立場で申し上げさせていただきますならば、憲法で保障された司法の機能を害するような機関であることには反対でございます。 一方、具体的な社会事情を見ますと、今御指摘のようにいわゆる準司法機関に対する需要といいますかニーズが非常に高まっていることもまた事実だろうと思います。それが裁判所の機能、司法の機能が十全に発揮されていないためのものであるとすれば、私どもといたしましては十分その点を反省しなければならないと思います。 なお、具体的なそれぞれの準司法機関につきましては総務局長から答えてもらいます。
○横山委員 私は細部のことよりも基本的なことをお伺いしたいのですが、そこで裁判所の適正配置についてを拝見いたしましたところ、簡裁についてずっと資料が出ておるわけです。先ほどの同僚議員の質問もかなりそういうところに集中しておるのですが、そこでお伺いしたいのは、簡裁です。この統計によるまでもなく、爆発的なふえ方ですね。特にサラ金、クレジット関係が記録的な急増ぶりだと言われておるのですけれども、そういうことで簡裁を見直すということ、適正配置を含めて簡裁を見直すという雰囲気になっておるのですが、そこで二つの考え方があると思うのです。簡裁をどういうふうにこれから見直していくかということであります。 一つは、この簡裁の発足の歴史を私なりに考えてみますと、簡易に裁判を受けられる、駆け込み寺のように駆け込み裁判ができるようにする、民主的な簡単な制度で裁判が受けられるようにするという発足の歴史であったわけですが、どうもあなたの答弁を前取りするような気がしますけれども、最高裁のこれからの動きというものは、簡裁を強化する、集約するというようなことによって、何か小型地裁、権威づけ、体制づけ、そういうふうに今私が前提として置いた感覚よりもハイレベルな、小型裁判所的な方向をどうも考えておられるような気がするが、そんなことはありませんか。
○勝見最高裁判所長官代理者 今御指摘のような観点から簡易裁判所の見直しをするつもりはございません。
○横山委員 どっちの御指摘、私の指摘ですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 さようでございます。
○横山委員 私の言うとおりにするというの。
○勝見最高裁判所長官代理者 従来の簡易裁判所のありようにつきまして、抜本的な改変をするという趣旨のものではございません。
○横山委員 よくわからぬな。
○勝見最高裁判所長官代理者 それではもう一度申し上げさせていただきますが、簡易裁判所は比較的軽微、少額の事件につきまして迅速に、簡易にやるという裁判所であるわけでございます。したがいまして、発足当初から数につぎましても戦前の区裁判所よりはずっと多い数の裁判所が設置されたわけでありますし、簡易裁判所判事の資格も、いわゆる法曹有資格でない裁判官をもって充てるという形で発足したわけであります。その見直しにつきましては、長官訓辞を逆に引用させていただきますが、いわば時の流れといいますか社会事情の変更ということに応じて、現在の簡易裁判所のありようのひずみというようなものが余りにも大きいのでこの際見直してはどうかということで提案したものでございまして、簡易裁判所の当初の趣旨を変更して、いわゆる小型地方裁判所化ということを目標にしたものではございません。
○横山委員 時間の関係で私の言いたいことだけ言いますが、一つは、簡易裁判所で問題になりますのは、老朽の庁舎の問題がある。私の近くで亀山、鳥羽、津島、石油ストーブのないところが犬山、西尾、安城、先ほども同僚議員が冷房がない、暖房がないと言うておりましたが、お隣の法務局はあるのですね、簡裁はないのですよ、検察庁はあるのですよ。何を一体最高裁は大蔵省に予算要求しておるのか。同じ三者の中でも、法務大臣は予算要求のお手伝いをしておるかおらぬか知らぬが、あなたのところはみんな冷暖房あるんだ、お隣さんは冷暖房ないですよ。あなた、もう少し手伝ってやりなさいよ。本当にお気の毒のようなものですよ。小さい簡裁だから仕方がないでは済まされぬの。警察署全部あるの、検察庁全部あるの、こっちにないの、それは見るも無残ですよ。 それから、サラ金の民事事件が激増していますね。この激増を調べてみて、この間資料をもらったら、業者の申し立てる破産事件が極めて多いというのだ。ああそうか、私は借りた人が払えぬで持っていくのかと思ったら、業者が持っていくという。何てたいと言ったら、どうせ払えぬなら早く簡裁で処理してもらうと損金になる、税金対策になる、こういうわけですね。そうか、業者の救済対策をやっておるのか、これはちょっと余談のようですけれども、それにしても大変な数だな。もちろん自己破産のものもありますよ、ありますけれども、それがどうもやり方が板につかぬので時間がかかるという問題がある。それから簡裁にしても裁判所にしてもこのごろ調停センターについて余り熱意がないと言われているのですね。簡裁の仕事というのは本人訴訟もあるし督促もあるし略式もあるし、そういう弁護士の要らないやつがぎょうさんあるわけです。そういうことだから、調停センターなんか、もっと民間の準司法機関に対しておれのところでやったらというような意味において調停センターの活動ももっとしかるべきであっていいではないか。手続についても今まで簡素化してきたようではあるけれども、この際、簡裁民事手続法というようなものを提案したらどうか。 いずれにしても、簡裁について、今度単にあそこは仕事がないでここは仕事が多いで、こっちの人間をこっちへやってこっちをなくするというような形式的なことよりも、ひとつ簡裁を全体的に見直してみるというような考え方に立ってもらわなければいかぬと思うのです。今度法務大臣も、特別会計をえらい努力してつくられた、えらいものだと言ってこの間ほめたのですよ。それで法務局はコンピューターで意気込んでござるわ、民事局長張り切ってござるわ、何で最高裁も一つぐらいそういうことで張り切らぬか。このままではあかぬではないかと私は思うのです。この間全司法の話を聞いたら、最高裁人事局涌井給与課長から、五十九年度予算の施行見通しがついたというような記事なんですが、ここで得々と、ワードプロセッサーが高裁三台、地裁十八台、家裁五台、合計二十六台もらった、パソコンが配賦されて、全庁のバランスを考え今回は十二庁に配賦することにした、何とみみっちい話かしらんと私は思う。こんなこと、今ごろワープロを合計二十六台もらったと言って喜んでおるのですよ。喜んでおるが、私は悲しいわ。今どきこんなことで喜んでおっては最高裁や裁判所の近代化はなっておらぬということを私は逆に促したいと思うのです。ですから、この際、麗々しく出た裁判所の適正配置についての中身の中で、ひとつ大黒柱をつくって、老朽庁舎もこういう近代化も簡裁民事手続法等に至るまで大きな角度で一遍見直してもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 施設関係について大分お話がございましたので、まず申し上げます。 裁判所の施設は、御承知のとおり高裁、地家裁本庁につきましてはほぼ整備を終わっておりますし、支部も大体整備は終わっております。戦前、戦後の木造として残っておるのは簡裁に集中しておりまして、大体九十四ばかり整備を要するところが残っております。これがかなり老朽化が進みまして、中には建てかえの時期に来ているものもあることは十分承知しておりますけれども、先ほど来お話しの、簡裁の適正配置の問題は今三者協議の場で鋭意検討中であります。この検討の結果がそう遠くない将来出されるものと思いますので、それを見てやらないと、余計なことをやったことに場合によってはなりかねません。そういうところで、その結論を見守りながら簡裁の整備は進めていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。 冷房等も確かに簡裁についてはおくれております。これも今申しました施設の整備とあわせて進めていきたいと思っておりますし、現にそれとは関係なしに乙号支部等についてまだ整備されてないところが多いものですから、これを暑いところから順次整備をしつつあるというような状況でございます。 施設関係は以上でございます。
○山口最高裁判所長官代理者 ただいま横山委員御指摘のとおり、簡裁の配置の見直しをいたします場合におきまして、簡裁のありようにつきましていろいろ検討しなければならない問題があろうかと思います。 先ほど御指摘のございました簡裁民事手続法というのも一つの考え方であろうかと思います。発足当初におきましては自由な裁量で訴訟を運営していって、そのかわり控訴審では覆審手続でやるというような考え方も出される方もあったようでございます。現在督促規定はございますけれども、ほかに何らかの規定が設けられるかどうか、その辺のところも考えてみなければならないと考えております。 それから、御指摘のコンピューターの問題でございます。 OA機器の導入は裁判所においてはまだ微々たるものでございますが、これは拡充していかなければならないと考えております。しかしながら、コンピューターによる全面的な事務の合理化ということになってまいりますと、コンピューターに乗せるように事務そのものも変えていかなければならないという面が出てくるわけでございまして、現在の訴訟のあり方をかなり見直していかなければならない。そうなりますと、これは非常に大きな問題になってくるわけでございます。その辺のところも十分視点を据えまして今後検討してまいりたいと考えております。
○横山委員 私も長年国会議員をやっておりますが、各省の中で一番腰が重いのが法務省、さらに腰が重いのが裁判所なんです。事の敏速さを欠くわけです。まことに歯がゆくて、よくもこういうことで自分は法務委員をやっておるなというほど歯がゆいのです。しかし、今度大臣がとにかく民事局の登記関係について一つの大黒柱をぶっ立てて一つの峠を越えようとする、これはモデルだと私は思うのであります。法案のときには民事局の登記ばかりじゃありませんぜと言いたいのです。思うんですが、最高裁の法案はあなたの方の担当だが、一体予算は手伝うのですか、関係ないですか。大体憲法で最高裁は二重予算権というものを持って、政府がやったものに文句があったら、恐れながらと国会に訴え出ることができるわけですね。それができておっても一遍もそれを履行したことがない。いい問題がないのか勇気がないのかわかりませんけれども、司法統計年鑑を見ますと、「裁判所の民事事件の訴え件数が十年前の二倍以上で、前年より一六%、約三十万件、サラ金やクレジット関係の訴訟、調停の申し立てが五十八年から急増したので総訴え件数のほぼ半数、史上初めて二百万件、年内に消化できなかった未処理件数は初めて五十万件を超え、十年前のざっと一・五倍、この傾向は五十九年以降も同様と見られ、他の民事事件の処理にも影響が出始めたため、」こう書いてあるのですね。こういうときに何ぞか腹を据えてかからなければ百年河清を待つようなものだと思うのですが、法務大臣はどういう点でこのお手伝いをしてくれますか。
○嶋崎国務大臣 今、裁判所の予算の問題について御質問があったわけでございますが、御承知のように裁判所の経費につきましては独立して国の予算に計上するものとされております。裁判所の予算の原案は、独立の機関である最高裁判所が全く独自の判断に基づいて内閣に提出するということになっておるわけでございます。したがいまして、予算の具体的な折衝というのは私が担当をするわけではありません。しかし、私も、私たちの同期生が裁判官でたくさんいるわけですし、また裁判に関係している人もいるわけでございます。いろいろ話を聞いてみますと、やはり裁判の予算というのは事件の件数その他固定的なものを基準にしながら査定が行われるというような傾向が非常に強いわけでございます。私は聞いているところ、この裁判所の事務的ないろいろな施設あるいはいろいろなサービスの状況というのは非常に惨めな状態にあるということを私も間接的に聞いております。したがいまして、ことしの予算も予算に入る二日前か三日前かに事前折衝があったわけでございまして、実は私自身も登記会計の問題とか、あるいは使途の問題等についていろいろ話をしたのですが、そのとき折衝が全く終わった段階で、ついてはそういう話を私も十分に聞いております、人の所管のことですから私はとやかく言えませんけれども、やはりこの担当の主計官、裁判所の実態をよく見て適切な判断をしたらいいのではないかと私は思いますという発言をあえてつけ加えておいた経緯があるわけでございます。これからも、私も御承知のように内閣にいるわけでございますので、法務大臣として閣議のいろいろな運用の中でそれ自身に気を配っていくということは当然大切なことであるというふうに思っておりますので、直接的な立場はともかくとして、やはり法曹がうまく国民に受け入れられるような体制をつくるための努力というものは今後大いに進めていかなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
○横山委員 とにかく予算書を見ますと、この能率機械器具がたしか三・七億ですね。それから法案を見ますと、裁判官を数人ふやしたはいいけれども、職員を二人減らす、こういうことと、私が指摘しました裁判所のあり方、特に簡裁のあり方とは適合しておるだろうか、この法案と現実というものが少しも合っておらぬじゃないか、最高裁は一体何をしておるのだろうかという気がしてならぬのであります。 次へ移りますが、長官によくお伝えを願って決断を求めたいと思いますが、どうですか、事務総長。
○勝見最高裁判所長官代理者 数次にわたり御理解ある御意見を伺いました。私ども事務総局といたしましては予算の確保も重要な職務でございます。全力を傾注して予算獲得に努力してまいりたいと存じます。
○横山委員 次に、この間話題になりました少年事件処理要領モデル試案についてであります。このモデル試案を私もずっと拝見をいたしました。拝見した限りにおいては文章としては必ずしもどうこうとは思いません。けれども、こういうものを出す気持ちというものが世間から騒がれておるわけであります。こういうものを出す必要性というものが仮にあったかしらぬけれども、これは結局は均質、画一的処理ということになって裁判官の独立性を阻害し、裁判管理といいますか、いわゆる司法の合理化ということに堕してしまうのではないかというおそれを多分に持つわけでありますが、このモデル試案をお出しになって世間からも若干の批判を浴びたことについてどうお考えですか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 モデル試案を作成しました趣旨について御説明申し上げます。 家庭裁判所が取り扱います少年事件は、万引きなどに多く見られます一過性的な軽微な事件から複雑困難な事件まで多種多様でございます。複雑困難な事件につきましては綿密な調査を行う、一方、軽微な一過性の事件に対しては早期に少年に対して手当てを加え、それなりの簡略な調査によりまして早期治療を図るというのが少年法の掲げる少年の健全育成の理念に沿った処理というふうに考えているわけでございます。こういった方針に基づきまして、既に昭和四十年ごろから家庭裁判所の一部におきましては綿密な調査を要する事件とそうでない事件とを選別するなどの事件処理の工夫を行いまして適正な事件処理に努めてきておりまして、今日では家庭裁判所の大多数の庁においてこのような方針に基づいた事件処理を行っておりまして、その基本として事件処理要領を作成しておる状況でございます。そして、近年家庭裁判所の裁判官の間ではそれぞれの庁における処理要領をよりよいものにしていく必要があるということと同時に、各家庭裁判所の間の処理手続の格差をできるだけ解消して、全国的な処理手続の運用の標準化を図ることが望ましいとする意見が支配的でございます。 しかし、各庁が各庁限りにおいて標準的な内容の処理要領をつくっていくということは、全国的な情報の入手その他の面からいいまして実際上困難でございますので、かねてから裁判官の間では標準的な処理要領のモデルを家庭局において作成してもらいたいという要望が次第に高くなってきていたところでございます。そういうようなことから家庭局としましては、各家庭裁判所で処理要領を新たに作成したり、また既にある処理要領を改定する場合の参考に供する趣旨でモデルの作成を検討中なわけでございます。モデル試案は、こういったモデルを作成するためにあらかじめ各家庭裁判所の意見を聞くことが必要と考えておりますので、その意見を聞くためのたたき台としてこれを作成したものでございます。そういうような性格のものでございますから、これによって各家庭裁判所を拘束するというようなことはないわけでございまして、これをどう取り入れるか、またこれを取り入れるかどうかをも含めまして各家庭裁判所の自主的な判断にゆだねる性質のものとして考えておるわけでございます。そうしてこのことは、このモデル試案を各家庭裁判所に示すに当たりましても明確に説明を加えまして、誤解のないように配慮しているところでございます。 それから内容の点につきましても……。
○横山委員 内容はいいです。 一応御説明の御趣旨は私も想像いたしておりましたとおりでございます。ただ、そういうことを言っては失礼ですが、最高裁から処理基準として出されたものは地方の家裁においては金科玉条のように受けるのは何も司法機関ばかりでなくて、各省みんな同じようなものです。それが役人というものです。ですから、処理基準といっても結局は裁判基準といいますか結論基準、最終の処理の方式というふうになりやすいものだという指摘は当を得たものであり、日本における官僚主義というものを知ればそういうことになると私も想像せざるを得ないのであります。 それから今、順序を経てよう意見を聞いて、そしていろいろな人の意見も聞いて、下部機関の意見も聞いてとおっしゃいましたが、何か聞けば、新聞記者やあるいは全司法が見せてくれと言ってもこれは部外秘だと言って見せなんだそうじゃないですか。あなたの言うようなことだったら見せたらいいじゃないですか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、モデル試案は部外秘としております。部外秘といたしましたのは、理由は二つほどございますが、一つは先ほど御説明申し上げましたとおり、モデル試案は、これをいわばたたき台としまして裁判所部内の意見をこれから聞いていこうということを予定しているものでございます。内容は裁判の運用に関する問題でございますので、裁判官を中心とした裁判所部内の自由な意見の交換、これを円滑に行っていくためにはモデル試案を裁判所内にとどめておくということが相当であるというふうに考えたものであります。 〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕 それからもう一点は、現在、裁判所部内でこのモデル試案について具体的な検討を進めつつある段階でございまして、その検討が進む過程において、モデル試案の内容につきましても変更のあることが当然予想されるところでございます。現在そういう段階にありますモデル試案を公表するというようなことにしますと、あたかもこれが完成したモデルであるというような誤解を招き、また無用の混乱を起こすおそれもございますので、そういうようなところから部外秘扱いをしているわけでございます。
○横山委員 同僚議員もお聞きになってわかると思いますが、これは私が読んでも、私もまあ検討不十分かもしらぬけれども、こんなこと書いて何が一番問題かと思ってずっと探してみたけれども、そう問題になるようなことはない。それでもって各方面の意見を聞きたいと言いながら、これは秘密文書だと言うから余計におかしくなっちゃうんです。こんなもの、私だって秘密文書もらっちゃったわけですな、これ、あるところから。これは、わしはどうなるか。わしがもらったやつを処分するつもりかね、これ。こんなもの、もらおうと思えばどこでも何とかなりますよ。そういうものを秘密文書だ、秘密文書だと言うから、取扱注意と書いてあるから、何ぞ家庭局は考えてるんじゃないかという疑惑が生まれるのです。どうぞどうぞ皆さん御意見を聞かせてちょうだいと言って、これ読まれてまずいようなところがあるの。ないでしょう。私の勉強不足かね、まずいところあるかね。モデルと書いて、試案と書いてある。だから、あなたの言うように後になって変わるということは、試案と書いてある以上は当たり前のことじゃないの。そういうところが官僚的だと私は言うのです。考え直してもらわなければ困る、こういうやり方は。 次は、外国人弁護士について質問いたします。 先年、当法務委員会で日弁連と懇談をいたしました際に、いろいろと意見交換をいたしました。そして日弁連が、それでは来年の四月とそのとき言われたですか、去年のことになりますね、それまでに日弁連の試案をつくりましょうということと、それから現状は日米通商航海条約に違反しているとは思っていないという点についても意見の一致がございました。 そこで、きょうお伺いしたいのは、五十九年十二月九日、日弁連の外国弁護士対策委員会から日弁連の石井会長あてに答申が出されました内容を私もいろいろと検討いたしました。これについて法務省にお尋ねするのはちょっとおかしいかね。まず、お答えをなさるおつもりがあるかどうか。(菊池(信)政府委員「ございます」と呼ぶ)それじゃ答えてください。これをどうお考えになるか。
○菊池(信)政府委員 先生御指摘のとおり、昨年の十二月、日弁連の内部に設けられております外国弁護士対策委員会が、外国弁護士の国内での活動を認めるとした場合にどういう条件で認めるかということについての理事会の諮問に対して答申をいたしました。それが公表されておるわけでございます。日弁連に伺いますと、日弁連としては現在この試案をもとにして各単位会の意見を集約しておられる。一方、理事会の内部でさらにこの問題については審議をなさるということのようでございまして、本年のできるだけ早い時期には日弁連としての最終的な結論をお出しになるという御意向のようでございます。政府といたしましては、御存じのように、この問題については日弁連の自主的な御検討を尊重する、自主性を尊重して事に当たるという態度を持してまいっておりまして、現在もそのとおりでございます。 ただ、この日弁連の中の委員会の試案ということで、日弁連そのもののお考えというのはまたさらにこれからということになるわけでございますが、一つの公表されたものということでございますので、私どもも内部的に検討はいたしております。しかるべき機会に、私どもとして考えるようなことを具体的な内容について日弁連に申し上げるというような機会は得たいというふうに考えております。
○横山委員 今後まず筋道としてどういうことになりますか。日弁連案がまとまる。その間に政府側も意見表明をして、そして日弁連と政府側が仮に一致をする。そして、アメリカ側の要求はどういうものであるかわかりませんが、アメリカ側との接点は、アメリカのどういうところとそれから日本側のだれとが折衝をして合意に達するのであるか。それから、合意に達したとして、国会に提案するのは政府が、日弁連が。日弁連が提案というのはおかしいが、議員提案が。どういうルートでそれが処理されていくのでありますか。
○菊池(信)政府委員 先ほど申し上げましたように、日弁連としては本年のできるだけ早い時期に最終的な結論をお出しになる。その前提としていろいろ内部での御検討をしていらっしゃるということでございまして、その結論というものがいつの時期にどういう形で出てまいるかということは、私どもといたしましては現在まだ予測することはできない状態でございます。 ただ、それがある一定の制限、条件のもとで外国の弁護士の国内活動を認めるという、いわば積極の方向で出るということになりました場合に、その内容について私どももそれでまことに結構だというふうに考えられる内容であります場合に、法律の改正というものが政府提案という形になりますのかあるいは議員提案という形で——御存じのようにもとの弁護士法そのものが議員立法でできておりますし、その後も実質改正が大体議員提案でなされておるといういきさつもございますので、あるいは議員提案ということになるのか、その辺のところはまだ先のことになろうかと思います。 それから、その日弁連の結論というものが——実は日弁連の内部の意思決定のシステムというものも先生御案内のとおり非常に複雑でございまして、いろいろな方々が責任をお持ちになっていろいろなレベルでいろいろな御意見をお出しになってだんだんと集約されてくるという形でございます。ただ、そういう最終的な、要するに日弁連の結論というものが出ました場合に、私どもとして極めて望ましいことだと思っておりますのは、そういう御意見をお出しになる過程で、例えばアメリカ側も含む外国側の考えというものはどういうものであるか、あるいは国内的に、例えば今の関係の諸制度との関係などについての調整というものは果たして座りのいい形になっているかどうかということについては、私どもとしても意見を申し上げたいということになるのかもしれませんので、そういう国際的あるいは国内的意見というものが、日弁連の最終的な御意見、結論が出ます際には、いわばすべてそれをお聞きになって集約された形で出てきている。出てきた以上は、これはいわば国内一致の結論になるような形でお出しいただけるのが極めて望ましいと思っております。 したがって、例えば現にアメリカ側もあるいは先生御案内のとおりECもこの問題については関心を持っておりますが、それなりのこの試案についての意見も言えるチャンスがあったら言いたいというふうに申しておりまして、そういう意向を伝えてきておるということは、私ども日弁連に伝えております。したがって、しかるべき機会にアメリカ側あるいはEC等の外国側の意見も日弁連側に直接伝わるということにもなろうかと思います。そして、これから日弁連の御意見をお出しになって、それがいわばみんなそれでいけるという内容になりますような、そういう結論が出ます前に、おのずとアメリカ側の意向なども十分しんしゃくされた上で結論が出てくるのではないかと思っております。したがって、ちょっとごたごた申し上げて恐縮でございますが、要するに、日弁連側の自主的な御検討の中で先生おっしゃいました外国側の意向というものもそれなりにしんしゃくされて、そして結論が出される運びになるのではないかというふうに考えております。
○横山委員 本件は、今御説明のとおりに非常に経緯が複雑でございますから、ひとつ政府においても、懸案の問題でございますから、日弁連のイニシアの問題ではございますが、その間の援助協力について遺憾なきを期していただきたいと思います。 次は、法律扶助の問題であります。 先年、法律扶助につきまして、日弁連は十五億の募金をすることに相なりました。そこで、私ども法務委員が提唱いたしまして、総理を初め、各党の委員長並びに法務委員全員が募金をいたしまして、そして宣伝にも使ってくれ、一助にもしてくれということにしたことは、御記憶の方もあろうかと思います。しかるところ、募金をやられましたのは、わずかにたしか三億かそこらでございました。自来、法務委員の私どもの超党派の努力、法務大臣の努力にかかわらず、法律扶助に関する政府補助金は、たしか八千二、三百万円を少しも、一銭も上がらないという状況でございます。 法律扶助につきまして延々お話しすれば切りがございませんから申し上げませんが、法律扶助が必要視されており、かつはまた広範な皆さんから法律扶助の申し出があるにかかわらず、各地域の法律扶助協会、扶助活動は極めて不十分なところであります。 きょうは、外国における扶助の状況を御説明を願おうと思いましたけれども、時間がございません。恐らく政府側は十分熟知のとおりで、いろいろと法律扶助のやり方については違いがありますが、日本と近代諸国とは月とスッポンのような状況でございます。ここでまた法務大臣に来年は予算をふやしてくれと頼むようなことよりも、この際、落差のつくようなやり方を考えなければならぬと私は痛感をいたしております。それがいわゆる法律扶助法の成案という問題であります。 〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕 先年、法律扶助協会のいわゆる北川法案というものが出ました。出ましたところ、当初日弁連は余りいい顔をしなかったわけであります。そういうものをやりますと、法務省の人権擁護局がしゃなりしゃなりと表へ出ておれのショバが広まったと言って厄介、せっかいをするかもしれぬから、そんなものは余りいい顔をしないということでありました。けれども、そう言っておったって、それは運用の問題ではないかと私も言ったのでありまして、伝え聞くところによりますと、五十九年、昨年七月、日弁連の中間答申が出たようであります。北川私案と違うところは、この北川私案が協会を基盤にしておるのに、日弁連試案は協会を改組して特殊法人をつくるということのようであります。中間答申は、率直に言いますと、私にとりましてはやや理想案、北川法案はやや現実案に堕しておるという感じがしないわけではありません。しかし、いずれにしても、日弁連も重い腰を上げて法律扶助法の制定へ向けて前進を始めたというようなことが言えると思うのであります。 そこで、先ほど日弁連が横を向いたときの事情も含めて、政府に、法務大臣にその御意見を伺いたいと思うのですが、法律扶助の現状を打開して、より近代諸国にふさわしい法律扶助の展開をいたしますためには、どうしても単独法を制定して、そして法律の基盤によった事業展開をすることが適当であろうと思いますが、大臣はどうお考えでございましょうか。
○野崎(幸)政府委員 今、法律扶助協会の法律扶助法案、それから日弁連の扶助法案についてお述べいただきましたので、まずその点について事務当局から御説明を申し上げたいと思います。 先生も御承知のように、日弁連では昭和五十五年に法律扶助法案の要綱案を作成いたしました。これは日本法律扶助公団というものをつくって扶助事業をやっていこうという法案でございました。これに対しまして、法律扶助協会では昨年の五月に、今これも先生が御指摘になりました北川私案というものを作成いたしまして、人権擁護局の方にも一部これを届けてこられました。そのときのお話では、日弁連の案というものは扶助協会としてはいささか納得しかねるので、扶助協会としての案をつくった。この案を日弁連にこれから持っていって、両案のすり合わせをして、日弁連と扶助協会の方で統一した案をまとめたいというお話でございました。実はその後、日弁連におきましてどのような議論がなされているのかということにつきましては全く御報告がございませんでしたので、私どもとしては、今先生がおっしゃられました中間答申案というものもよく把握をしていない段階でございます。 現在は、今市し上げたような段階でございますので、私どもといたしましては、昭和二十七年に法律扶助協会が設立されまして、昭和三十三年から補助金を国から交付いたしまして、その育成に努めてまいっておるところでございますので、その線で法律扶助事業の発展のために尽力してまいりたいと現段階では考えておるところでございます。
○横山委員 答えにならぬじゃないの。だから、しゃなりしゃなりと出てはいかぬと言うのだ。 大臣にお伺いしていることは、今の法律扶助事業ではもうちっとも予算もふえない、何ぼ法務省人権擁護局なりあなた方が大蔵に言ってもだめなんだ、ここで百尺竿頭一歩を進めるためには落差を立てた物のやり方をせにゃいかぬ、しかも法律に根拠を置いてないじゃないか、おかしいじゃないか、だから、法律扶助法を制定するべく日弁連が統一案を持ってくるということであるならば、これを期待し歓迎し、政府としてもできる限りの援財をするということを言ってもらいたいということです。
○嶋崎国務大臣 ただいま局長の方からお話がありましたとおりでございますが、何しろ六十年度の予算の編成においては、重点を絞ったところが絞り過ぎたのかもしれませんけれども、この問題についてはいろいろな議論をしておりますが、弁護士会、日弁連の中で十分な意見が煮詰まっておって、そしてこれをどういう方向に持っていくかということについてのきちっとした整理が必ずしも十分にできてないというような実情であるものですから、私自身としては、当面大事なことは、協会の事業の安定的な発展をどのように図っていくかということが基本であると思うのです。ただ、そうした場合に、今非常に財政が困難なときですから、ことしの予算自身におきましては御承知のような結果に終わったわけでございます。 今後、これらの内容についてよく研究調査させるとともに、日弁連の中での論議というものをよく踏まえまして、今後どういうぐあいにその進展を図るべきかということを検討させてもらいたいと思っておる次第でございます。
○横山委員 言葉が濁っておるのですが、検討させてもらいたいという中に法律扶助法の制定についてもということは入っているのですか、入っていないのですか。
○嶋崎国務大臣 現在まだそういう気持ちが煮詰まるような状況になっておりませんので、私は、基本法を制定するということが今の段階で必要なのかどうかという判断も持ち合わせてないというのが現実でございます。
○横山委員 それは勉強不足ですね。人権擁護局長があなたの前に答弁をしてあなたを牽制したような感じを受けるわけですが、それは遺憾ですよ。私は年々歳々予算がふえておるならこんな文句は言いません。私どもが努力をしていなかったらこんな文句もまた言いません。私どもが超党派で非常に努力しても、出しっ放しで何らの実績も上がっておらぬ。あのときに、ありがとうございましたと言って、大臣以下皆さんが、国会が超党派で募金に応じてくださったことに、感謝にたえないというお礼まで言われたのですよ。それが予算上何ともなってないじゃないですか。ですから、来年になったらまたそれをふやそうかというお話はできぬ相談だと思うのです。しかも法律的な基盤を持っていないのだから、日弁連もこの際呼吸をそろえて統一案をつくろうと言っているのですから、それに対してあなたがやや消極的な態度というのは遺憾千万だと思いますが、それでもう答弁なしですか。遺憾千万のままで終わるのですか。
○嶋崎国務大臣 横山委員のお話ですからできるだけ耳を傾けてのみ込みたいと思っておりますが、確信のないことをここで結構ですと言う自信を現在持ち合わせておりません。よく研究させていただきたいと思います。
○横山委員 人権擁護局長、言語道断だ。質問通告しているのだから、おまえさんがちゃんと大臣にこのような答弁メモを出しているんじゃないの。その答弁メモに、それはちょっと待ってくれと書いたんじゃないの。けしからぬぞ。この次には人権擁護局長をもう一遍徹底的に糾弾をして、大臣答弁が、十分検討いたしました、やはり横山委員のおっしゃるとおりでございます、これから前向きにやりましょうというような答弁を得られるまでに、人権擁護局長を徹底的にやります。 次は、人権、狭山、再審基本法について伺います。 その前にちょっと、先ほど質問された天野委員が五十九年三月二日に、狭山事件に関連して質問をいたしました。その中で、「事件当初の犯行現場における血痕の有無の問題につきまして、その当時の資料が他のいろいろな状況からあるはずだということで、弁護団の方では開示してほしい」ということの質問に対しましては、
○筧政府委員 今御指摘の事実につきましては、早速調査いたしました上で対処いたしたいと思います。
○天野(等)委員 それじゃ、その点につきましではまた後に御調査をいただくということで、ここで打ち切りたいと思います。こういう議事録がございます。 本年一月十日、「請求人石川一雄にかかる強盗強姦、強盗殺人等再審請求事件につき、左記証拠の開示を請求します。」として、主任弁護人山上氏以下弁護人から、東京高等検察庁検察官に対して、殺害現場でのルミノール反応検査報告書を出してくれという請求書が出ております。 これは、隠した芋穴については、「ルミノール反応検査を実施させたところ何れも陰性にして血痕の陽性反応は認められなかった」と埼玉県警刑事部鑑識課警察技師松田勝が証言をしております。そして、「芋穴から約二〇〇メートルの「犯行現場」について、反応検査が実施されていないということはありえないことから、再審請求審段階で弁護人が右松田勝に面会したところ、同人は「殺害現場の雑木林についても夜間にルミノール反応検査をした。検査結果については、報告書もしくは実況見分の一環として提出している。」と供述している。」ということでありまして、これを出してくれと言っておるわけであります。 この殺害現場でのルミノール反応検査報告書があることは松田証言で明らかでありますから、その報告書の開示を求める。そのほか三点、合計四点の証拠開示請求書が出ております。昨年の天野委員の質問によって、当然これは出していただけると思いますが、いかがですか。
○筧政府委員 昨年三月でございますか、天野委員から御指摘を受けまして、またその後も御要望を承っております。これは第六次の御要望と思いますが、これにつきましては、昨年暮れに、そのうち一点は開示が相当であるということで開示をして、弁護人の方へお見せしたはずでございます。 それから、本年一月十日に、今横山委員御指摘のルミノール反応検査報告書ほか三点、合計四点についての開示の要請が東京高等検察庁にございました。このルミノール反応検査報告書を含めた四点につきまして、開示が相当であるかどうかということを現在東京高検で検討中でございますので、できるだけ速やかに結論を出したいというふうに考えております。
○横山委員 相当であるかどうかと言ったって、おわかりのように、これは重大な内容を持っておるのですよ。死体を隠した芋穴にはルミノール反応はなかった。それなら、殺したという雑木林についてこの検査をしたかと言ったら、した、と言っているわけです。本人の松田勝が言っているのですね。だから、あることは間違いないですね。どうですか。あっても出さない場合があり得るのですか。そういう場合はどういう場合ですか。
○筧政府委員 従来、何回にもわたって証拠の開示要求がございまして、その中には、現実に存在しないものもございます。弁護人の方の挙げております名称と一致しない——単に一致しないというだけで、ないと申し上げておるのではなくて、それに相当するものがないというものもございます。それから、あるものでも、例えば御要望のございます未提出資料のリストというようなもの、これは現実にはつくっておりませんが、例えば警察から送ってまいります送致書類の中に、送った書類あるいは証拠の全標目を掲げたその標目というような御要望もございますが、この点につきましては、捜査の過程でございまして、いろいろな関係人の御協力をいただいた結果がそこに出ております。したがいまして、これを全部開示することは、関係人の人権あるいはプライバシーの問題もございますし、ひいては今後の捜査の円滑な遂行という観点から相当でないという考えもあるわけでございます。 そういう意味で、今申し上げたような観点から、あるけれどもちょっとこれは開示は御勘弁願いたいというものもございますが、存在をし、かつ、今横山委員御指摘のとおりのような事実の確定に必要欠くことを得ないということでありますれば、公益の代表者としての検察官の立場から、その当否を慎重に判断した上で結論を出すということでございます。
○横山委員 これはだれが聞いてもおかしいですよ。今あなたは一般論で言っているのですが、私は具体論で言っているのです、芋穴については反応が認められなかったと。それなら殺害現場の雑木林は反応検査をしたのかと言ったら、した、こう言っているんですね。そういうことですから、これがいかに重要な要因の問題であるかということは私の想像にやぶさかではない。そういうものを、あっても出さぬということはどういうふうに理解をしたらいいかわからなくなってくるんですね。それは、被告側の有利なものは出さぬということなら、けしからぬはけしからぬが、それならそうではっきり言ってもらえばわかる。この種の問題で、あっても出さぬと。今刑事局長は、出さぬわけではない、一般論を言ったというふうに理解しますよ。出してくださいよ、これを。
○筧政府委員 ただいまのルミノール検査報告書、あることはもちろんあるわけでございます。したがいまして、その内容について現在検討中でございますので、その結果を待って御回答申し上げるということでございます。
○横山委員 まあ出すだろうと私は期待しています。これを出さなかったら承知せぬ。法案を全部ストップだ。ちょっと与党聞いておってよ、森さん。このルミノール反応を出さなかったら法案ストップ。 次は、まあこれもわかっている話ですが、石川一雄の未決勾留期間の通算の問題であります。 これは法務省、もう既に何回も議論があるから簡単に言いますが、服役後、つまり刑が確定してから十年でないと仮出獄の資格を有さない、これはあなたの見解ですね。これはわかっておりますよ。弁護団は、引っ張られてから、未決勾留を全部通算しろということですよね。その争いなんです。この争いについては、結局、言い合うばかりが能ではないと思うのです。言い合うばかりが能ではないけれども、一つの問題は、刑法に、未決勾留期間をその刑の中に通算するとも通算せぬとも書いてないんですね。たしか書いてない。それをあなたの方は、書いてないから合憲、合法だとして、刑が確定してから十年と通達した、こういうふうに私は理解しているのですが、どうですか、違いますか。
○筧政府委員 書いてある、ないということも大きな理由かと思いますが、解釈として、無期の場合でございますが、十年というのはやはり監獄に拘置して定役に服するという懲役の現実の執行を十年するという趣旨であるという解釈でございます。これにつきましては、裁判例は余りございませんが、ある高裁判例では、やはり有期刑の場合三分の一、無期の場合十年、その間の執行状況等を考えて仮出獄を審査するのが仮出獄制度の趣旨であるから、その趣旨からいって理解できるというような判断もございますけれども、そのような意味で、解釈としては、やはり現実の懲役の執行が始まってから十年、つまり確定から十年ということでございます。これも横山委員も御承知のとおりと思いますが、刑法改正草案では、その点を明文で別の解釈を立てまして、算入するという規定を草案には設けでございます。
○横山委員 ようわかっておるんだ。法務大臣、問題の焦点はわかっていますね。計算しますと、石川さんの場合は、法定通算は、石川側弁護人は、一九六四年三月十二日から七四年十月三十一日までで四千二百八十六日、十一年八カ月おるんだわ。ところが、刑事局長の計算によれば、一九七七年八月九日、最高裁決定、上告棄却の日から十年、だから八七年までおらなければいかぬ、こういう計算だ。大体間違いないね。そういう計算だ。十一年八カ月もおるのに、それはあかん、おまえは刑が確定してからだ、今まで監獄に未決でおったところはあかんという解釈。それで、刑法改正では石川の言うとおりになる。これは少しかわいそうだと思いませんか。二年や三年ならともかくとして、十一年も十二年もおって、おまえの刑が確定前のものは全部だめだよというのは、かわいそうだと思いませんかね。最高裁も「当番における未決勾留日数中四百日を本刑に算入する」とありますね。この四百日の解釈もまた違っておる。石川側と向こう側とは四百日の解釈もちょっと違うわけです。 しかし、いずれにしても、刑法改正のときには、未決勾留期間を算入すると改正法案にはなっておる。その趣旨というものは酌んでやっていいではないか。未決勾留期間を算入しないという解釈も、私どもは間違っておると思うのだが、刑法に書いてないから、向こう様の解釈も絶対間違っておるとは私もよう言わぬ。さりとて、未決勾留期間を算定をしてもいいという解釈も成り立つわけです、刑法に書いてないから。そういう状況なんですよ。だから法務大臣、そこのところを少し検討してくれませんか。
○嶋崎国務大臣 今御質問の点でございますが、改正をするとするならばどういうぐあいな考え方だというところは、それを読み込んで計算するというのですか、そういう形で運用したいというようなこと……。従来のいろいろな運用が、今刑事局長が答弁をしましたような形でずっと運用してきておるというようなことになりますと、やはり具体的には、私も、刑法改正を少しでも急いでやらなければならぬというような感覚でいる者の一人でありますけれども、やはり今の段階では、従来とのいろいろなバランスその他の問題もありましょうし、全体的な均衡というようなこともあるのでしょうから、よく研究はさせてみますけれども、改正草案の案ではそうなっているからそれでいけやという話には一概に乗り切れないところもあるのじゃないかというふうに思っている次第です。
○横山委員 二年や三年のことならそう言いません。けれども、十年近い、一九七七年に上告棄却で確定したんですね。それまで、とにかく十年近いものを——それで、もう一つ刑事局長に聞きたいのは、十年以上になったら仮出獄をできる、これはできるですね。それで未決勾留の期間というものは、何であなたのような解釈をするのかということであります。未決勾留の期間というものは、おれは罪は犯しておらぬ、あくまで争うということをやっておるということは、改俊の状がないということになりますか、服役態度がよくないということになりますか。仮出獄ができるということは、まあ当然のように改俊の状があり服役態度もいい、だから仮出獄させたるということになりますかね。ところが本人は、おれはあくまで無実だ、再審まで争う、最高裁まで争うといって頑張っておる人間は改俊の状がないという範疇に入るのですか、服役態度が悪いという範疇に入るんですかね。
○筧政府委員 服役態度の問題ではございません。したがいまして、本人は無実だと頑張るか、あるいは最初から罪といいますか事実を認めて争わない、罪を認めて争わない者の場合でも、先ほどの解釈は同じことになるわけでございます。その意味では、服役態度というような問題ではございません。というよりは、服役態度というその服役ではない。やはり刑の執行を受ける十年なり刑期の三分の一というものは「監獄二拘置シ定役に服ス」でございますか、苦役なんて言葉を使うとちょっと語弊がありますが、そういう定役に服するということが前提である。したがって、未決の状態で、監獄に拘置されてはおりますが、定役に服する義務は全くないわけでございます。したがいまして、そこに差異があるということでございます。
○横山委員 まあ話は、私も言葉遣いも違ったようでありますが、未決で拘置されておる長期間、あくまで争う、争ったということが、大体通俗的に言うと、恐れ入りました、えらい私が思うございました、これから罪に服します、早う罪を決めてくださいというようなことがいわゆる恭順だ、改俊の状だ、服役態度がよろしいというようなことであってはいけませんよ、もう死刑が無罪になったようなことも再三ございますから、そういうことはいわゆる改俊の状とか服役の態度とは関係ないというふうに私は理解したいと思うのですが、いいんでしょうね。
○筧政府委員 もし今の御質問が仮釈放の審査等のことでございますとすると、所管でございませんで、仮釈放の審査の際に、十年たてば資格ができる、資格ができても当然に許可になるわけではございませんで、いろいろ監獄の長なら長から上申があって、地方更生保護委員会で審査するわけでございます。そのときにどういうふうに判断をされるかについては、私ちょっとお答えいたしかねると思います。
○横山委員 これは大臣、ひとつぜひ御検討をお願いしたいことでございます、二年や三年のことならともかくとして、十二年にわたることでございますから。 それから、再審について伺います。 再審についてのポイントはもう極めて明白でございまして、ここで長々と議論をするつもりはございません。要するに六点でございますね。先ほどもいろいろ御質問がありましたが、一点が、再審開始の門を広げること。二番目は、弁護人が再審請求人と秘密に面会できる権利を保障すること。三つ目は、記録、証拠物を閲覧謄写する権利を保障すること。四つ目は、再審請求中または準備中の者の死刑執行を停止すること。五つ目は、審理を公開すること。六つ目は、検察官の不服申し立てを禁止すること。これが再審の問題なのであります。この問題について、先ほど法務大臣も刑事局もちょっと意見をおっしゃったんですが、再審それ自身について、一般的に改めてどうお考えですか、まず承りたいと思います。
○筧政府委員 再審制度につきましては、前々から何回もお答えを申し上げておりますとおり、基本的な問題、再審の構造、繰り返し申し上げるのは省略いたしますが、諸外国の立法例などを見ましても随分構造が違う。日本の今の三段階構造、これが適当であるかどうかというような基本的な問題を含めまして、ただいま検討をいたしておるところでございます。今委員の御指摘の六点につきましても、もちろん社会党、共産党の方から改正案が国会に出ておることでございましたので、私どもも十分その内容を見て検討いたしておるところでございます。 その大きい点だけ申し上げますと、現在のところでは再審の門戸開放といいますか、いわゆる六号の要件を広げるという点につきましては、諸外国の法制を見ましても、現在の我が国の再審要件が必ずしも狭いというふうには感じていないというのが現在の私どもの偽らざる気持ちでございます。 そのほか句点かございます。いわば手続といいますか手続的な問題、再審請求の手続をどういうふうにするか、その間の関係者の権利の保障をとこまで認めるかという点につきましては傾聴すべき御意見も中にあろうかと思っておりますが、個々につきましては現在まだ検討中で、結論を明確には出しておらない状況でございます。
○横山委員 六点の中の一つが、最近死刑が無罪になったことで改めて問題になっております。その六点目の検察官の不服申し立てを禁止するという問題であります。これはマスコミも梅田事件を機会に取り上げまして、問題提起をいたしておるわけです。 「再審開始決定は入り口の問題なのだから、検察側は再審裁判で主張すべきことは訴えるべきで、入り口でいたずらに時間をかけるべきではない」 だから検察官の不服申し立てを禁止したらどうか。 白鳥決定以降、弘前大教授夫人殺し、加藤老、米谷の三事件の開始決定については、検察側は抗告しなかったのに、五十四年の財田川事件以後、免田、松山の死刑囚再審事件と、徳島ラジオ商殺し、梅田の計五事件の開始決定では、いずれも抗告し、すべて退けられた。それだけに、検察側に批判が集中するのもやむを得ないだろう。 しかも、梅田事件では、獄中から梅田さんが第一次再審請求を起こす動きを示し、梅田さんを共犯者だと名指しした主犯者の供述が問題となり始めた矢先、主犯者の死刑が執行された経過がある。検察側に他意はなかったのだろうが、結果的に梅田さん側は事件のカギを握る者がいなくなったことで、再審開始決定まで、大変な労苦を強いられた。それで 免田事件で昭和三十一年に熊本地裁八代支部が再審開始決定を下しながら、検察側が即時抗告、福岡高裁も開始決定を取り消したことで、免田栄さんの「無罪」確定が二十数年も遅れたこういう事実関係ですね。ですから、事は簡単で、開始決定があった場合は検察陣はそれに待ったをかけるな、入り口で争わずに、裁判で検察側の主張をしたらいいのではないかということなのであります。 ちなみに西ドイツでは一九六四年から検察の抗告権を廃止しておるわけですね。これは私は妥当な西ドイツ政府のやり方だと思うのですが、いかがですか。
○筧政府委員 検察官の不服申し立て権の問題も重要な問題の一つであろうかと考えております。ただ、再審で、最初に言われますように、法的安定性と事件の具体的妥当性の調和ということが基本でございますけれども、検察官の不服申し立てを全部なくするということになりますと、違法、不当な決定に対して争う余地がなくなる。法的安定性の点から問題があろうかと思います。要は、今三件の例あるいは五件の例をお挙げになりましたけれども、その事件事件に応じて検察官として抗告すべきものは抗告する、抗告すべからざるものはしないということで適正な運用が図られるべきものというふうに考えております。 また、西独では確かに検事の抗告権は廃止されておりますが、御承知のようにドイツにおきましては事実審は一回限りであるということを含めまして、再審を含めた刑事司法法制は我が国と大きく変わっておりますので、その中の一つの制度として考えなければならない。直ちに我が国の三審制をとっております司法的な構造とマッチするかどうかという点は問題があろうかと思っております。
○横山委員 だから担当の局長とやり合うとちょっとも前進がないので、どうしても法務大臣の常識豊かな判断を求めざるを得ないのだ。もう言うことは決まっておるのだ。何を言うかはわしの方が知っておるのだ。それでは何にもならないんだ、やりとりでは。 大臣、こういうことですよ。裁判官が家の中に入れと言ったのに検察官が玄関で入るな入るなと言って妨害しておるのだ。文句があったら一緒に家の中に入ってきてやり合えばいいではないか。今の話をちょっと聞いておると、やり合う権利がなくなるといかぬと言うのだけれども、裁判官が、よし入ってこいと言った。入ってこいと言ったやつを玄関で、入るな入るなと裁判官を押しのけておるのですよ。それで二十何年押しのけたんだ。そんなこと空言わずに、入れと言うなら検察も家の中に入って、そこでおまえの言っていることは違っておる、おれの言うことは正しいとやり合って、それで裁判官が最終判断をする。それは再審開始決定というのは容易ならざることですよ。容易ならざることを裁判官が判断して、よしわかった、じゃ家の中へ入れと言ったのに、何でそうも妨害せなならぬ。血も涙もない、鬼か蛇だ。 常識豊かな法務大臣、ここで答弁をいただきまして私、この点の質問を終わりたいと思うのです。答弁が悪ければいかぬけれども……。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、日本の裁判制度は今御説明がありましたような段階を踏んだ三段階制をとっておるわけでございまして、そういう中で裁判の判決が出ているわけでございます。そういう中での再審の取り扱いになるわけで、ここのところ非常に不幸なケースがたくさん出て、その点はまことに遺憾千万であると思っておりますけれども、やはりそういう何段階の裁判というものを経た上での再審の問題でございます。したがって、今刑事局長からお話がありましたように、どこまでも、法的安定性をどういうぐあいに考え、かつまた具体的な事案の妥当性というものをどういうぐあいにうまく調整を考えていくかというような非常にぎりぎりのところの判断であろうと思っておるわけでございます。 私、今まで聞いたところでは、よそから見ますと日本の再審制度は割合うまくできておるんだというような話を余計聞いておるものですから、少し判断は迷っておるかもしれませんけれども、先ほど刑事局長からお話をしましたように、両党からもいろいろな意見も出ておるというようなこともありますが、そういうことも踏まえまして、今後とも十二分にこの制度自体を法務省としては検討してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
○横山委員 時間がなくなりました。もう二点。 部落解放基本法の問題でございます。 これは詳細は避けますけれども、残事業が非常にたくさんまだ残っておりまして、私もこの間、名古屋周辺で現地をいろいろ調査をしたわけでありますが、愛知県も残事業がまだまだ残っておることを認め、各関係府県におきましても部落解放基本法あるいはまた差別規制法等の制定を要望しておること極めて強いわけであります。これは法務省でなくて総務庁の所管ではございますけれども、人権擁護という立場におきまして法務省の絶大な協力、支援がなくてはこれはできないと思います。 まず総務庁からお答えを願うのですが、最近宗教団体が、神様、仏様、キリスト教、新興宗教、全宗教が先年来この差別と宗教という問題を提起いたしまして、組織をつくって、そうして同和問題について宗教界挙げでみずからの姿勢を正し、また壇家、門徒等についても教育、努力をすると言っております。大阪では、興信所に関する条例を立案いたしまして、興信所の調査の中に、部落の問題を調査の対象にしては相ならぬという条例をつくるというお話がございます。先年来「地名総鑑」が問題になっておりましたが、昨年、「地名総鑑」を購入ないしは発売をするというところがまだまだ出てまいりました。 車ほどさように、私どもこの種の問題が解消することが望ましいのですが、現実問題としては部落問題は有名な小説——明治以来今日に至るまで依然として我々の地域社会の中に根を張る問題でございますから、部落解放基本法並びに差別規制法を制定をすることについて、まず総務庁の意見を伺いたいと思います。
○佐藤説明員 お答えいたします。 同和問題の早期解決のためには地域改善対策特別措置法ということで、物的な事業の整備それから心理的差別の解消ということに努めておるわけでございますが、現在、法の有効期限があと二年というところに迫っておりまして、事業を計画的に推進する、こういう立場から、残り二年の期間内に残事業の計画的達成を図るべく最大限の努力をしているところでございます。 それで、法期限が二年という現状に立ちまして、法期限後の取り扱いについて、今先生がお挙げになりました基本法の制定をすべきであるというような御意見、その他いろいろ御意見が出ておるところでございます。しかしながら、その取り扱いについてはいろいろ議論があるところでございまして、今申しました事業の進捗状況なども踏まえながら慎重に対応していく必要があろうと思っております。
○横山委員 十分な時間がなくて残念ですが、これの実現に法務省もぜひ応援していただきたいと思います。 最後に、細かいことですが、先年当委員会で執行官の法律を制定いたしました際に附帯決議を満場一致つけました。その中で、現在の執行官を公務員とするようにその方向を示唆したわけでありますが、依然としてそのままであります。それで、恩給のついておる人なんですが、その基準が、基準号俸が決まっておるわけであります。ところが古い人がたくさんできて、もうそれでは低位に失するということに相なっておりまして、あの附帯決議が実践されていないという主張が寄せられてまいりました。したがって、執行官の雇用条件の確定と待遇の改善について要望いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。——関係者いなかったかな、裁判所……。
○上谷最高裁判所長官代理者 御指摘の問題については私どももかねがね十分承知いたしておりまして、その後も検討を続けております。まだ結論を得ておりませんが、附帯決議の趣旨に従いましてさらに検討をして、早期に解決したいと考えております。
○横山委員 善処すると言ってもらえば終わるのだったけれども、善処と言わないから言いますけれども、これは附帯決議ですよ、国会の意思ですよ。やらぬということは国会軽視ですよ。それだけは言うておきます。 では、長い間どうも……。
○片岡委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十分散会 ————◇—————