法務委員会 第3号
- 発言数
- 345 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/02/20
会議録
○片岡委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所櫻井人事局長、小野刑事局長、猪瀬家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○片岡委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政、国内治安及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、法務行政等の当面する諸問題について、嶋崎法務大臣から説明を聴取いたします。嶋崎法務大臣。
○嶋崎国務大臣 委員各位には、平素から法務行政の運営につき、格別の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。 この機会に法務行政に関する所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。 昨年十二月、当委員会において就任のごあいさつをいたしました際にも申し述べたところでございますが、私は、法務行政の使命は、法秩序の維持と国民の権利の保全にあると考えております。国民生活の安定を確保し、国家社会の平和と繁栄を図るためには、その基盤ともいうべき法秩序が揺るぎなく維持され、国民の権利がよく保全されていることが肝要と存じます。私は常にこのことを念頭に置き、全力を傾注して国民の期待する法務行政の推進に努めてまいりたいと存じます。 以下、当面の重要施策について申し述べます。 第一は、最近の犯罪情勢とこれに対処する検察態勢についてでおります。最近における我が国の犯罪情勢は、全般的には平穏に推移していると認められますものの、犯罪の発生件数は近時漸増の傾向にあり、これを内容的に見ましても、保険金目当ての殺人、身の代金目的の誘拐、金融機関強盗等の目的のために手段を選ばぬ凶悪事犯、店頭の食品に毒物を混入して国民生活に不安を与えもとともに関係企業に多額の金員を要求するなどの悪質事犯、コンピューターシステム等を利用した新たな形態の犯罪の発生を見ているほか、涜職、脱税等国民の社会的不公正感を助長する犯罪も後を絶たず、覚せい刑事犯が引き続き一般国民の間に広く拡散浸透しつつある上、少年非行も依然増加の一途をたどっております。また、過激派集団は、新東京国際空港第二期工事阻止を当面最大の闘争目標として、政党本部及び空港建設関連施設等に対する悪質なゲリラ事犯を反復敢行しているほか、これら過激派相互間の内ゲバ事件も依然としてその後を絶たない状況にあり、他方、右翼団体は、近時各地においてけん銃使用事犯を初めとする種々の不法事犯を敢行し、直接行動への志向を一段と強めているなど、今後の犯罪の動向には引き続き警戒を要するものがあります。 私は、このような事態に的確に対処するため、検察態勢の一層の整備充実に意を用い、適正妥当な検察権の行使に遺憾なきを期し、良好な治安の確保と法秩序の維持に努めてまいる所存であります。 なお、刑法の改正につきましては、かねてから政府案作成のための作業を進めているところでありますが、刑法が国の重要な基本法の一つであることにかんがみ、国民各層の意見をも十分考慮しつつ、真に現代社会の要請にかなう新しい刑法典をできる限り早期に実現すべく努力してまいりたいと考えております。 第二は、犯罪者及び非行少年に対する矯正処遇と更生保護活動に、ついてであります。 犯罪者及び非行少年の改善更生につきましては、広く国民の理解と協力を得つつ、刑務所、少年院等における施設内処遇と保護観察等の社会内処遇を一層充実強化し、相互の有機的連携を図る等、その効果を高める措置を講じてまいる所存であります。 そのためには、まず施設内処遇につき、時代の要請にこたえ得る適切な処遇の実現を図るとともに、仮釈放のより適正妥当な運用を図り、また、保護観察等の社会内処遇において、保護観察官と保護司との協働態勢を一層充実強化し、関係機関、団体との連携をさらに緊密にするなど、現下の情勢に即した有効、適切な更生保護活動を展開してまいりたいと考えております。 なお、監獄法の全面改正を図るための刑事施設法案につきましては、第九十六回国会に提出いたしましたところ、第百回国会において衆議院が解散されたことに伴い廃案となったのでありますが、同法律案は、刑事施設の適正な管理運営を図り、被収容者の人権を尊重しつつ、収容の性質に応じた適切な処遇を行うことを目的として、被収容者の権利義務に関する事項を明らかにし、その生活水準の保障を図り、受刑者の改善更生を期する制度を整備するなど、被収容者の処遇全般にわたって大幅な改善をしようとするものであります。 同法律案につきましては、昭和五十八年二月以降、昨年十一月までに、日本弁護士連合会との間に二十二個の会議を開催し、意見の交換を重ねてきたところであり、この意見交換の結果等を参考にし、法律案の各条項について慎重に検討を加え、必要な修正を行った上で、今国会へ再提出したいと考えております。十分な御審議を経て、早期に成立に至るよう念願している次第であります。 第三は、一般民事関係事務の処理、人権擁護活動及び訟務事件の処理についてであります。 一般民事関係事務は、登記事務を初めとして量的に逐年増大し、また、質的にも複雑多様化の傾向にあります。これに対処するため、かねてから人的物的両面における整備充実に努めるとともに、組織・機構の合理化、事務処理の能率化・省力化等に意を注ぎ、適正迅速な事務処理体制の確立を図り、国民の権利保全と行政サービスの向上に努めてまいったところでありますが、登記申請件数並びに登記簿の謄抄本の交付及び閲覧の件数は、我が国経済の発展に伴って逐年増加を続けており、そのため、事務がふくそうし、既に事務処理の遅延、粗雑化等の弊害も生じており、このまま放置すれば登記行政に重大な支障が生じかねないという事態に立ち至っております。このような事態に対処し、登記事務処理の適正・円滑な遂行を図るためには、早急に登記事務のコンピューター化を初め、登記事務処理体制の抜本的改善を図る必要があり、そのため昭和六十年度予算の政府原案において登記特別会計を創設することとされております。 なお、登記特別会計の創設に関連して、今国会に電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案を提出したところであり、十分な御審議をお願いしたいと考えております。 このほか、民事関係の立法につきましては、国の歳出の縮減を図るため、昭和五十七年度から昭和五十九年度までの間、供託金に利息を付することを停止しているところでありますが、国の財政の現状にかんがみ、さらに昭和六十六年三月三十一日まで右の停止期間を延長する必要があり、そのための供託法の一部を改正する法律案を今国会に提出したところでありますので、十分な御審議を経て速やかに成立に至るようお願いする次第であります。 また、いわゆる公共嘱託登記事件の適正迅速な処理に資するため公共嘱託登記受託組織を法人化し、並びに司法書士及び土地家屋調査士の登録事務を資格者団体であるそれぞれの連合会に委譲するため、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を今国会に提出すべくその手続を進めているところであります。 次に、人権擁護活動につきましては、国民の基本的人権の保障をより確かなものとするため、各種の広報活動によって国民の間に広く人権尊重の思想が普及徹底するよう努めるとともに、人権相談や人権侵犯事件の調査処理を通じて、関係者に人権思想を啓発し、被害者の救済にも努めてまいる所存であります。 中でも、いわゆる差別事象につきましては、関係各省庁と緊密な連絡をとりつつ、その根絶に寄与してまいりたいと考えております。 さらに、訟務事件の処理につきましては、国の利害に関係のある争訟事件は、近時の複雑多様化した社会情勢と国民の権利意識の高揚を反映して、社会的、法律的に新たな問題を内包する事件が増加しており、その結果いかんが国の政治、行政、経済等の各分野に重大な影響を及ぼすものも少なくありませんので、今後とも事務処理体制の充実強化を図り、事件の適正、円滑な処理に万全を期するよう努めてまいる所存であります。 第四は、出入国管理事務の処理についてであります。 国際交流の活発化に伴い、我が国に入出国する者の数は逐年増大し、また、我が国に在留する外国人の活動の範囲や内容も一層複雑多様化しており、出入国管理事務の重要性はますます高まっておりますので、このような情勢を踏まえ、国際協調の一層の推進を図りつつ、出入国者及び在留外国人の管理に関する事務の迅速適正な処理に努めてまいる所存であります。 最後に、法務省の施設につきましては、昨年に引き続き整備を促進するとともに、事務処理の適正化と執務環境の改善に努めてまいりたいと考えております。 以上、法務行政の重要施策について所信の一端を申し述べましたが、委員各位の御協力、御支援を得まして重責を果たしたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○片岡委員長 この際、委員長から申し上げますが、昭和六十年度法務省関係予算及び昭和六十年度裁判所関係予算につきましては、お手元に配付してあります関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承をお願いします。 —————————————
○片岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 ただいま法務大臣から所信表明がございました。拝聴をいたしまして、本国会における法務大臣の所信の重要な点がよくわかりました。とにかく今国会における法務省提出法案のうち、大臣の非常な御努力で登記特別会計が創設をされます。これは画期的なことでございます。いろいろ議論はございますけれども、この努力を易といたします。また、私どもにとりましては非常な意見のあるところではございますけれども、監獄法の改正、基本的には私どもも監獄法という名前を含めてこれは改正をすべきであると言っておるわけですが、極めて重要法案です。 これらを含めまして、法務大臣が並み並みならぬ努力でこの法務行政を担当されることについて御鞭撻をいたしたい、そういう前提をいたしまして今所信表明を拝見したのですが、前に法務大臣がどんな所信表明をされておるかということを住さんから嶋崎さんの所信表明なり訓辞を拝見したわけであります。人によっては、場所によっては違うものだなという気がいたします。私が一番感じましたことは、例えば住さんの力点になりましたのは、法秩序と国民生活を擁護するという言葉であります。嶋崎さんは、本年一月二十四日の検察長官会同においては、法秩序と社会主義を守るという言葉が特徴的でございます。今回この所信表明においては、法秩序と国民の権利保全を重要視するということでございます。いずれも重要なことではございますが、場所によっては国民の権利保全ということをおっしゃらない。共通しておることは、また憲法理念がないということであります。法務大臣としては、人権擁護、法秩序、その基盤となります憲法の問題について一言も言及をされていないことが私はどうも気になるわけであります。 そこでお伺いをいたしたいと思うのですが、嶋崎さんは憲法改正論者でございますか、改正反対論者でございますか。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、私たちが育ったのは戦争中、兵隊にも行った環境であります。戦後帰ってきて、学校に帰って、それから新憲法の時代にそれを勉強して卒業させていただいたという経歴を持っている人間でございます。そういう経験の中から現在の憲法というものが誕生した経緯がある。その経緯等についていろいろな論議があることは私たちも知らないわけではありません。ありませんけれども、現在の憲法の基本的な考え方には十二分の理解を持っておる人間の一人であるわけでございます。したがって、憲法の改正論者であるかと言われると、そうではないという方であると思っておる次第であります。
○横山委員 あなたは去年靖国神社公式参拝に参加されなかったようでございますね、いわゆる公式参拝。それは公式参拝が適当でないとおっしゃるつもりでございましたか、それとも御都合があって公式参拝をなさらなかったのですか。
○嶋崎国務大臣 たしか東京におらなかった状態であるだろうと思うのでございます。したがって参拝をしなかったということだと思います。
○横山委員 公式参拝云々については、またいろいろな地方自治体の行事においては判決が出ておりまして、この問題についてはよく御存じかと思うのですが、もし御都合がつけば公式参拝に出席をする意思があったのですか。それと同じようなことで、建国記念日に中曽根総理大臣は御出席をなさいましたようですが、法務大臣は御都合が悪かったのでしょうか。御都合がついても出席なさらない、こういう立場だったのですか。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、国務大臣の地位にある者であっても私人として憲法上の信教の自由が保障されているということは申すまでもないことであろうというふうに思っておるわけでございまして、そういう意味で神社、仏閣に参拝をするというのは全く自由であるというふうに私たち考えておるような次第でございます。従来、総理や閣僚の方が靖国神社に参拝されるというのもそういうような考え方で行ってこられたのが経緯だろうというふうに私は思っておるわけでございます。したがって、宗教心のあらわれとして神社に参拝をするというようなことは、当然私的な性質を有するものであるというふうに考えられますので、特に政府の行事として参拝を実施することが決定されておるとか、あるいは玉ぐし料の費用を公費で負担するというような事情がない限り、私人として参拝するということは自由であるというふうに私は思っておるわけでございます。 私ら日本人というのは、多神教の民族というのですか、育ったときから、私は浄土真宗でありますけれども、仏壇と神棚というのは常に掲げてありまして、両方お参りをして気持ちを新たにするというようなことで育ってきた環境にありますし、現在でもそういう気持ちというのは私は全く変わっておりません。したがって、靖国神社にも戦争に行ったときの同僚もたくさんあそこに祭られておるわけでございますので、個人としてお参りするということは過去にもありましたし、そういうことはあったわけでございます。去年の場合は、よく記憶はしておりませんが、そういう機会にちょっと東京におらなかったからということで参拝していなかったのだろうというふうに思っておるわけでございます。 それから建国記念日の関係につきましては、国の建国を記念するという意味でそれが休日になっておるわけでございますけれども、従来、私一度もそういうところに呼ばれたこともありませんし行ったこともなかったというのが実情であるわけでございます。ことしも前から人とのお約束がありまして、その約束事を実行するために東京都内に、はいなかったというような事情がありますので、行かなかったという経緯であります。何か通知は前の日ぐらいに連絡があったようでございますけれども、私も仕事でばたばたしておりまして、それは後から聞いたというような状況になっておる次第でございます。
○横山委員 もちろん、私も、靖国神社の裏に九段宿舎がございますから行き帰りちょっと頭を下げる、あるいはお宮様にもお参りする。うちにも大臣と同じように仏壇と神棚と両方ある。 ただ、法務大臣に要望したいのは、そうではあるが、同時に、日本国憲法の政教分離の基本的性格というものは、これは憲法理念の骨格をなしておるものでございますから、余人はいざ知らず、法務大臣としては、この憲法の骨格についてやはり毅然たる態度は堅持をしておいていただきたい、そう要望をいたしたいと思います。 それから、住さん、嶋崎大臣、それぞれの所信表明なり訓辞を通じて感じますことは、暴力団についての言葉が少しもないということであります。これは一体何ということであろうか。今のごあいさつの前文に、過激派集団が出てくる、右翼団体が出てくる、新しい犯罪情勢が出てくるけれども、暴力団のボの字もないというのは一体どういうことだろうというふうに私は不審でならないのであります。今、この後百日でけりと言われますのが山口組の問題であります。兵庫県内十一カ所に約二百名のお巡りさんが二十四時間体制で張りついている。この警備陣はそのほとんどがいわゆる一和会系の事務所に向けられておると言われます。タマがとられるのに——タマがとられるという意味はとにかく幹部が殺されるということになるのですが、あと百日はかからないというのがその道の関係者の多数派的な見方だそうであります。このままでは一和会系の組員がシノギ、つまり仕事ができなくなる。したがって経済危機に陥る。だれかが山広を売る。その限界が五十日から百日だと言われておりまして、まあ近畿地方を含めてグリコとこの暴力団の問題は今日の社会の恥部とも言われます重大な問題化しておると私は思います。 警察庁にこの際お伺いをいたしますが、私、最近の暴力団の動きというものを切り抜きでいろいろ集めたのでありますが、「女貸元を恐喝、二千万」「組長が市有地不法占拠」「十億円マンション権利証奪う」「短銃密造 約五十丁、暴力団に流す」等々市井の新聞にこの暴力団の記事が載らない日がないのでありますが、今全国的に山口組系を含む暴力団の実態についてひとつ簡潔に御説明を願いたいと思います。
○横尾説明員 お答えいたします。 最近の暴力団の取り締まり状況でございますが、警察は年々暴力団に対する取り締まりの強化に努めておりますが、その結果、昭和三十八年には約十八万五千人に上っておった暴力団も現在は十万人を割るところまで減少しております。今後も一層取り締まりを強化いたしまして暴力団の根絶を期する所存でございます。 ちなみに昨年の取り締まり状況を申し上げますると、暴力団員約五万人を検挙いたしまして、けん銃千七百二十九丁を押収いたしております。このけん銃押収数は過去最高であった昭和五十一年の千四百三十七丁を大幅に上回る史上最高の記録でございます。この結果、昨年の対立抗争の発生は二十九件、百九回にとどまりまして、一昨年の三十四件、百九十八件に比較いたしまして大幅に減少いたしました。しかし、今回の山口組組長ら襲撃事件の発生に端を発しまする対立抗争は、本日までに全国で十三件の抗争事件が発生しております。まだ小競り合い程度で本格的な抗争には発展いたしませんけれども、警察といたしましては抗争の拡大防止を図るため厳戒態勢で臨んでおります。
○横山委員 ちょっと今の政府委員に伺いますが、妙な話が伝わっておるわけであります。二月二十四日、もうじきでございますけれども、大阪府の歯科医師会会長選挙にその暴力団問題が絡んでおるといううわさが流れておるわけであります。会長選挙に、暴力団に金を流してそしてその会長選挙を有利にしようとしておるといううわさが流れ、それはデマだ、それは相手側の悪質な宣伝だということで、大阪の歯科医師会に怪文書まで出ておるわけであります。この点について何かお聞きになっておりますか。
○横尾説明員 現段階におきましては私ども承知いたしておりません。
○横山委員 私もデマだろうと思う一人ではありますが、まことしやかにこの怪文書が流れて、歯科医師会と言えば日本における三師会の重要な柱である、そういうところにそういううわさが流れるほど暴力団の日本の地域社会の中における暗々裏の影響というものははかり知れざるものがあると私は思う。十八万が十万になったといえども、今、先ほど申しました山口組と一和会のこの対立抗争はあと五十日から百日ぐらいで決着がされる。どんなに兵庫県内十一カ所、二百名の制服警官が二十四時間態勢でやっておっても何か起こるということがあちらこちらでうわさをされておるわけであります。そのような状況の中で、法務大臣の所信表明の中に暴力団のボの字もないというのは何か意味があるのでしょうか。
○嶋崎国務大臣 所信表明の中に暴力団関係のことを取り上げてなかったのは事実であります。しかし、私自身も着任以来府中の刑務所あるいは金沢の刑務所等を見せていただきまして、そういう中で暴力団関係の方々が非常にたくさん収容されておるという実態を十二分に承知をしておるというのが実態であるわけでございます。したがいまして、暴力団の取り締まりにつきましてこれを厳重にやっていかなければならないということは当然のことでありますし、できるだけ早期に検挙をする、また厳正な科刑を行うということの必要性があることは十二分に承知をしておるわけでございまして、この種捜査事案の処理につきましては検察当局も十二分な配慮をしなければならぬというふうに思っておる次第でございます。 ただ、所信表明の中で、御承知のように最近の犯罪動向の傾向というか、そういう中で主要なものを掲記をしたわけでございまして、決してこれをないがしろにしようなんという感覚は全くありません。現実この刑務所の状態というようなものを見まして、非常に深刻な状況になっておる。特に金沢の場合にはたしか六〇%程度そういう人が収容されておるというような事態であるということ、これはもちろん全国で一番高いという話を聞いておりますが、そういうことも承知をしておりますので、十二分にその処理につきまして検察当局も留意していかなければならぬというふうに思っておるような次第でございます。
○横山委員 おっしゃるように、この間矯正局長に聞きましたら、刑務所に収容されておる中で暴力団と覚せい剤それぞれ約二七、八%、それぞれ三割近い収容者が暴力団あるいは覚せい剤関係ですね。それは日本の犯罪の実態を物語っておると言っても過言ではないと私は思うのです。暴力団の問題についてはまだ機会を改めて具体的な問題を提起をいたしますけれども、少なくとも今日的な課題として、法務省として暴力団対策が単に行政上の問題でなくていろいろな法律上の問題についても何かひとつお考えを願わなければならぬことではないかと思います。 さて次に、同僚議員ではございますけれども、新聞にもう出てしまっておりますからあえて申し上げますが、藏内参議院議員の問題でございます。 藏内参議院議員が一昨年二月、防衛施設庁への用地売却話に暗躍して、仲介した不動産会社から中曽根首相への紹介料などの名義で二千万円をだまし取ったとして十二日に警視庁から東京地検に書類送検された事件でございます。これは警察が書類送検をしたというのでありますが、だまし取った疑いと断定した根拠は何でありましょうか。同時に、藏内議員の主張はどんなことでございましたか。
○上野(浩)説明員 お答えをいたします。 ただいま御指摘のありました件は、今般警視庁におきまして捜査いたしまして、二月の十二日に東京地方検察庁に送付したものでございます。 告訴の要旨につきましては、申し上げてみますと、五十八年の二月の初旬に、告訴人が処分権を有しておりました神奈川県の横須賀市内の山林等約五万坪を防衛施設庁へ売却するために藏内参議院議員等に売買あっせんを依頼いたしました際に、同議員等から横須賀の土地は間違いなく防衛施設庁で買い上げるようにしますと申し受けられをして、その場で一千万円の小切手二通を同議員に土地売買あっせん名目で交付したというものでございます。 私どもといたしましては、現在東京地方検察庁に警視庁が送付いたしまして捜査中の事案でございますので、ただいま先生御指摘の件につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○横山委員 本人がどう言っているんですか。
○上野(浩)説明員 お答えいたします。一御指摘の件につきましては、ただいま東京地方検察庁に送付いたしまして同検察庁で捜査中のことでございますので、その点につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○横山委員 私も、党は違いましても同じ同僚ということになるのでありますから、あなたの言うようにだまし取った疑いだ、そして書類を検察庁に送付しただけでは、本人の立場も考えてやらなければならない。本人が、これはそうではない、だましたわけではない、おれは返そうと思っておったけれどもまだ返せなかったんだという主張が恐らくあるだろうと思うのですが、そういう意味合いで、本人のためにも釈明を一遍聞いておきたいというわけですが、だめですか。
○上野(浩)説明員 お答えいたします。 何度も申し上げて恐縮でございますが、ただいまこの事件につきましては捜査中でございますので、答弁につきましては差し控えさせていただきたいと思います。
○横山委員 この種の事案については、法務大臣、大変私どもも気の毒だと思うのです。もし万一、警察がだまし取った疑いであるというのが事実であるならば、これはいたし方がない。いやしくも個人の政治生命にかかわることでございますから、あえて本人の主張はどうだったんだということを聞いてあげる道義上の立場があってしかるべきだ。もしそうでないなら、本人が国会で、こういう疑いをかけられたのは実はこういう事情があるんだと言う機会を与えてやるべきだと私は思うのですが、どう思いますか、あなたも自民党の代議士として。
○嶋崎国務大臣 何しろ藏内議員に関する件につきましては今月の十二日に東京地検が受理したというような状態でございますから、今後検察当局で所要の調査を十分進めていくということが基本的に大切なことであろうというふうに思っておるわけでございます。今御指摘のような事柄につきましても、これは事件として処理されておることでございましょうから、十二分にそこで調査をされて整理がつくものであろうというふうに考えておりますので、格別国会でこの問題を処理をするというような必要はないように思っております。
○横山委員 ちょうど今、政治倫理の問題が国会の重要な課題で、いわゆる行為規範というものが議運で討議をされておる最中でございます。政治倫理協議会でしたか、あそこにおいて大体与野党のコンセンサスが得られる行為規範——今御説明を受けたような理由だとすれば行為規範に全くぴたりと合ってしまうわけです。本人はどう思っておられるか知りませんけれども、本人の弁明があってしかるべきだと私は思うのでありますが、これは委員長、いかがでございましょうか。委員長から御本人に、弁明をされる意思があるかどうか、一遍お問い合わせを願いたいと思いますが、善処いただけますか。
○片岡委員長 国会での弁明ですか。
○横山委員 はい、法務委員会での……。
○片岡委員長 また理事会で御相談をして……。(「いや、それは参議院のことだから」と呼ぶ者あり)
○横山委員 いや、国会というのは参議院でも結構です。(「それは法務委員長に答えさせるのは無理だよ、参議院のことだから」と呼ぶ者あり)同僚議員として……。
○片岡委員長 速記をちょっととめて。 〔速記中止〕
○片岡委員長 速記を起こして。 横山君。
○横山委員 自由民主党の同じ党員でございますので、行為規範は与野党、衆参両院を通じて議論がされていることでございますので、自民党の同僚議員として御意見を例えたらどうか、私はこういうことで申し上げましたが、ひとつそれじゃ前へ進めましょう。 刑事局長にお伺いをいたしますが、この事件、今御報告があった藏内事件は刑法二百四十六条に該当をいたしますか。
○筧政府委員 今月の十二日に送付を受けたばかりでございますので、その内容についてはこれからその事実の解明がなされるものと考えております。先ほど警察の方からお答えがありましたが、本件は告訴をもって始まった事件のようでございます。告訴状には、詐欺罪に当たるという意味での告訴状が出されておることは事実でございます。
○横山委員 一般論としてでもいいですが、刑事局長にお伺いをいたしますが、仮に本人が、これは返すつもりであった、また順次返していくと言ったといたしましょう。しかし何らの担保がないけれども、意思だけは返す意思があるというときに、詐欺罪はどういう結果になりますか。
○筧政府委員 結局は事実認定の問題になろうかと思いますが、返済の意思並びに能力があれば詐欺罪は成立しないと思います。
○横山委員 この報道によりますと、多額の借金を抱えて議員歳費を差し押さえられるなど金銭トラブルが続く御本人であり、その有力支持者である告訴人、藏内さんの有力支持者である告訴人、それが支持者でありながらあえて告訴をするということは、五十五年の春に頼まれたこと、もう大分歳月がたっておる、それでも返さぬから思い余って告訴をした。告訴をしたのに対しておれば返す意思がある、おれは金がないわけではない、ないかあるかは知りませんけれども、そういう抽象的な言葉で詐欺罪が免れ得るものでしょうか。
○筧政府委員 一般論として申し上げますと、返済の意思並びに能力があるというふうに仮にその当該疑いを受けた人が主張いたしましても、それが客観的に裏づけられるということが必要であることは言うまでもないところでございます。
○横山委員 それから、中曽根さんの事務所でそれが行われたということでございますね。そして、どこまで報道が正確であるかどうかわかりませんけれども、一千万円はおれの仲介料、一千万円は中曽根さんに出す、このことが事実であったとしたらそれはどういう罪になりますか、そういう理由で収受をしたとしたら。
○筧政府委員 本件の具体的内容にかかわりますことについては、現段階ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、御承知のように詐欺の場合には虚言を弄し、相手がその虚言に基づいて誤信してその金品を交付するというのが詐欺罪でございますので、その言ったことにうそがなければ詐欺罪にならないことは当然でございます。
○横山委員 私の伺っているのはもし事実だとすればということで、一般論でも結構ですが、一千万円はおれの仲介料、一千万円は中曽根さんに対する献金ということは、これは返す意思がなくてもらったということですね。あっせん料は職務収賄ということになりませんか。
○筧政府委員 具体的な事実に関係いたしますので、この辺から先はちょっと答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○横山委員 自由民主党内では、大臣、聞けば辞職か離党か返済か何かせざるを得ないということを言われておるそうでございます。これは法務大臣としても、自民党の代議士としても、この種の事件にどういう御見解でございますか。
○嶋崎国務大臣 新聞等の報道によると、いろいろな人がお会いになっておるというような話を聞いておりますけれども、どうも一番相談しにくい相手は法務大臣だというようなことかもしれませんが、そういうことは全く承知をしていないというのが現実であるわけでございます。 いずれにしましても、私たちも同僚の議員としましてこの問題については非常に心配、憂慮をしているというのが現実であります。
○横山委員 政治倫理協議会で議論をしておる全くやさき、その行為規範が大体コンセンサスが得られるやさきの事件でございますから、私どもこの藏内事件というものが国民の納得できる措置を検察陣としてもしていただかなければ困ると思うのです。 書類送検、まあ証拠隠滅のおそれがない、あるいは逃亡のおそれがないから書類送検だということだろうと思うのですが、しかし何となく簡単に済ませられる結果になるのではないかという疑いが国民の中にあるわけでございますから、検察陣としては本件について慎重かつ勇気を持って対処してもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
○嶋崎国務大臣 何しろ政治というのは、国民の審判の中で議員が選ばれて、それによって逆用されているという現実があるわけでございます。検察庁当局としましても、できるだけ慎重にこの問題に対処するようにしていかなければならないというふうに思っておる次第でございます。
○横山委員 次に、グリコの問題についてお伺いをいたします。 与党の方ではグリコ・森永問題、流通食品に毒物を混入する事案について、別途法制化を考えられて、私どもにも御相談が非公式にもあるわけでございますが、それについて政府側に二、三お伺いをいたします。 私も今、グリコ・森永事件の現実的な問題を現刑法に当てはめたら法律上どんなことが言われるかという点について一応整理を頼みましたところ、十六項目の法律違反——身代金誘拐罪あるいは人質による強要行為等の処罰に関する法律、これは無期ないしは三年、五年以上の懲役、銃砲刀剣法違反、十年以下または百万円以下の罰金、殺人未遂罪、死刑または無期、毒・劇物取締法違反、三年以下の懲役または五万円、威力業務妨害罪、三年以下の懲役または二十万円以下の罰金、恐喝未遂罪、十年以下の懲役、現住建造物放火罪、死刑または無期もしくは五年以上の懲役、逮捕監禁罪、三カ月以上五年以下の懲役、その中の強盗罪、暴行罪が加わればまた別、住居侵入罪、三年以下の懲役または一万円以下の罰金、建造物侵入罪、これも同じ、器物損壊罪、三年以下の懲役または十万円以下の罰金、強要罪、三年以下の懲役、電波法違反、三年以下の懲役または五十万円以下の罰金、無線通信の妨害、五年以下の懲役または百万円以下の罰金、郵便法違反、五万円以下の罰金または科料、郵便物の没収、窃盗罪、十年以下の懲役、証券法違反、三年以下の懲役または三百万円以下の罰金、ざっと考えただけでも、今グリコ・森永事件の犯人がやっておりますことを現行法で照らし合わせますと、この約十六くらいの法律に該当すると思われるわけであります。 この法律と、それから与党でお考えになっている法律との比較をしてみまして、現行法で処分ができないということは余りないのではないかということが考えられるのでありますが、その点、政府側としてはどんなお考えでございますか。
○筧政府委員 現実に行われておりますグリコ・森永事件の犯人グループによるさまざまの行為がございますが、これにつきまして十六個でございますか、今横山委員御指摘の法令に触れる可能性があることは御指摘のとおりでございます。その中には殺人未遂あるいは放火のように死刑まであるもの、あるいは身代金誘拐あるいは人質による強要その他無期まで行くものもございますし、有期の懲役をとりましても、併合罪の加重で最高二十年までの法定刑ということになろうかと思います。そういう意味で、現在のグリコの犯人グループが検挙されました場合には、これらの法律が具体的な証拠関係等によってその成否が個々に確定されていくわけでございますが、相当部分について成立するのではないかというふうに考えております。したがいまして、今申し上げました法定刑の範囲内で、その情状等に照らして厳正なる科刑が行われ得るものと考えております。その意味におきましては、このグリコ犯人に対しますものとしましては、現行法令でそれ相応の対応ができるというふうに考えておるわけでございます。 ただ、今自民党内において立法作業が進められていると聞いております法案の内容を新聞等で見ますと、流通食品の中に毒物等を混入するという行為、これの社会的に与える影響等を考えて、それを防止するための総合的な観点からの特別措置法ということが内容のようでございます。 罰則の点について考えてみますと、飲食物に毒物を混入するという行為それ自体を処罰する法令は現行法ではないわけでございます。改正刑法草案に飲食物毒物混入罪というのが考えられておりますけれども、まだこれは草案の段階でございます。そういう意味で、グリコの犯人については、誘拐その他のいろいろな犯罪がございますので、現行法令で対応できるということではございますが、その中の一つの行為といいますか、中心になる今まで余り考えられなかった犯罪、つまり流通食品に薄物を混入する、それを利用していろいろ恐喝その他をするわけでございますが、そのもととなる流通食品に毒物を混入するという行為についての法制面での措置というものはやはり必要性があるのではないかというふうに考えております。 したがいまして、現在のグリコ犯に対する対応ということではなくて、今後、これを契機としてと申しますか、予想されるあるいは発生することがあり得べき流通食品に対する薄物混入、それに対する対策としての意味を持つものと考えておるわけでございます。
○横山委員 仮に、この与党の中でお考えになっている法律ができたとしても、今のグリコ・森永に適用遡及はできない、これは当然のことだと思いますが、今後起こり得べき問題ということにしてはいろいろな問題があるように思います。例えば与党でお考えになっている第十一「その他の罰則」ですか、第四で「流通食品への毒物の混入等がなされたこと、又は毒物の混入等がなされた飲食物が流通食品と混在されたことを知った者は、速やかにその旨を警察官に届け出なければならない。」そして第十一に、その「届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、二十万円以下の罰金に処する。」こうありますね。これは、だれかが毒物を流通食品に入れた、それを私が知った、何かの関係でわかった、わかった私がうっかりして届け出なかったというときには二十万円の罰金だ、こういうわけですね。 これは、事は簡単なようではありますが、その罰金刑を知った者に科するということですが、今日までの刑法の中で、そういう刑罰を第三者に科するという前例はあるでしょうか。
○筧政府委員 御指摘の点、まだ、今立法作業中ということでございますので、確定的には承知いたしておりませんが、今の犯罪といいますか、流通食品に毒物が混入されたということを知った者の協力義務と申しますか、届け出違反に対する罰金という点それ自体につきましては、流通食品がだれでも自由にどこでも買えるというその一般性といいますか、そこへ危険な毒を入れるということ、その行為の危険性ということを考えますと、それに対する一般人の協力を求め、それをある程度の罰則で担保をすることも一理あろうかと考えております。 現行法令でこの種の規定があるかどうか、ちょっと今思い出しませんが、典型的な例としては、爆発物取締罰則に、爆発物の犯罪を知った者は届け出なければならない、それに対しては刑罰をもって担保をする規定があったと承知しております。
○横山委員 爆発物の例があるというお話ですけれども、一般的に重い犯罪にしても軽い犯罪にしても、第三者がそれを知ったないしは知り得る状況にあった、おまえは知っておったろう、いや私は知りません、いや知らぬはずはないという問題が生ずる。そういう第三者に協力義務を課し、それに対して罰則をもって警察官の権限に加えるということは、極めて事は重大だと私は思うのです。極めて重大なことで、これが流通食品の問題だから、爆発物の例があるからこれもそうだということになりましたならば、そのことはいろいろなことに波及効果を及ぼす心配があると思いますが、ぞうお考えになりませんかね。私もまだ結論をつけているわけではないのですが、危惧を持っているわけです。
○筧政府委員 確かに今横山委員御指摘のように、この種の罰則については慎重に考えるべきであるという一面があることは否定し得ないと思います。 ただ、先ほど申し上げておりますように、流通食品、これが現行法で言う水道等に近いような危険性を持つ、毒物も健康に害があるというだけではなくて、いわば死に直結するような危険な薄物というものを限定して、そういう行為を防止するためにとの程度まで必要かという、そこの評価といいますか、判断によって結論が出てくるものと考えております。
○横山委員 このグリコ・森永事件を例として今後これを防止するための法令をつくるという発想が発表されましたら、各方面からいろいろな意見が出ておるわけであります。いろいろな意見の中の一つの特徴は、これはむしろ警察が捕まえられないという世間の批判をかわす結果になるのではないかという批判が社説やいろいろなところで出ております。そして、その批判の中には、例としてではありますけれども、制服の警官が、数万人か何か知らぬけれども、食品業者のところへ行って点検をする。そんな、何もわざわざお巡りさんが来ているよ、そこへ毒物を混入した食品を並べちゃあかぬぞ、捕まってしまうぞというような結果を及ぼしているのではないか。本当に捕まえるならば、格好よくお巡りさんが来とる、来とるではなくて、私服でこっそりやる。もっと警察らしい、本当に犯人を捕まえるやり方があるのではないか、格好だけつけているのではないかという、大変警察にはお気の毒のようなことではあるけれども、そういう批判がありますが、その点、警察はどう考えていますか。
○上野(浩)説明員 突然のお尋ねでございますので、私は担当ではないのでございますが、いろいろと御批判のある点につきましては承知しておるわけでございますけれども、やはり今回のような特別なものでございますので、何とか予防しなければいけないということと、あわせて、もちろん捜査は隠密でございますので、そういう面での強力な捜査もしなければいけない、両面でやっているのだろうというふうに考えているところでございます。
○横山委員 暴力団とグリコと両面相まって警察はかなえの軽重を問われておるのですが、余り責めたくないのですけれども、職務質問で捕まえられたかもしれなかったものを取り逃がしたり、世間に、おれはやったるぞというふうに大々的に制服警官を大動員して、交通のお巡りさんまで動員して食品業者の立入検査をされる。大変規模は甚大で広範囲で、そして世間の目についてはいるけれども、一体そういうやり方で本当に捕まえられるのかという批判がある。そこへこの法律をつくって、世間は知らないから、いかにもなるほどグリコが捕まったらこれでやれるんだというような印象を与えておるということについては、どうもやはり納得ができないような感じがいたします。法律論は、これは国会の別の問題でございますが、警察側としては全力を挙げて社会不安にもなっておりますこの種の問題について努力をしてもらわなければいかぬと思います。 次は、指紋の問題でございます。 私、法務委員をやっておるものですから、法務省になるべく味方をした見方をいつもしたいと思うのですけれども、どうもここのところぎすぎすする問題があちらこちらございますね。指紋の問題はもちろんでございますが、きょうの新聞を見たら、厚生省が中国孤児の受け入れをするという記事が載っておりましたね。中国孤児で家族がわからない人たちを永住させるという問題が厚生省の発表で出ていますね。一体これは何で法務省が一枚かんでないのかとも思うし、それから重要法案であります拘禁二法案につきましても警察との間がどうもぎくしゃくしているような気がするわけです。これは快刀乱麻のような立場で法務大臣の決断を願わなければならぬのです。 この指紋の問題はもう言うまでもございませんが、外務省が指紋押捺全廃というアドバルーンを上げている。後から法務省びっくらこいて、法務大臣がきのうでしたか、おとといでしたか、閣議の後でそんなつもりはないというふうに打ち消す。国民は、これは一体どうなっているのだという感じを持っておるわけですが、まず法務大臣の率直な御見解を承りたいと思います。
○嶋崎国務大臣 御覧間の指紋の問題につきましては、御承知のようにこの制度がとられてきた長い経緯があるわけでございます。したがいまして、この問題を考える場合には、国内的な問題だけじゃなしに国際的な問題というようなことも十二分に考慮に入れて判断をしていかなければならない問題であるというふうに思っておる次第でございますが、何しろ私たちこの問題を考える場合に、五十七年に法改正が行われまして、そして御承知のように三年を五年に変えるあるいは十四歳を十六歳に変える等々の改正が行われたわけでございます。そういう経緯を踏まえて、全会一致の形で法案が通過をしているという現実があるわけでございまして、その際に、指紋問題というのも十分に論議をされた経過があるやに私は聞いておるわけでございます。そういう事態だけに、やはりこの法律ができた以上、その法律の実施というものを着実に見るということが非常に大切なことではないか、朝令暮改のそしりを免れないというようなことにならない意味でも非常に大切なことではないかというふうに私は基本的には思っておるわけでございます。 しかし、御承知のようにいろいろな新聞等々の報道によってこの問題についてのいろいろな御意見があるということ、それも私は十分承知をしておりますし、加えまして、日韓の共同声明の中で「引き続き努力する」というようなことがうたわれた事実をも踏まえましてこの問題を考えていかなければならぬというような経過を持っておるわけでございます。したがいまして、私たちは引き続いてこの問題の重要性について法務省として、主管官庁でありますから、十二分にそれらの問題について論議を深めて今日まで来ておるというのが現実であろうというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、今後ともそういう情勢を十二分に見ながら、しかも過去の経緯というものを踏まえて判断をさせていただきたいというふうに思っておるというのが現実でございます。 一部断固の紙面の話をとやかく言うわけじゃありませんけれども、私は、こういう非常に国際的に影響のあるような問題を各省がどこがどうだとかここがこうだとかという論評をするというのは日本の縦割り行政のまことにまずい点だろうと、つくづく昨今その点を残念に思っておる次第でございまして、一々新聞の報道それ自体を前提にとられましてここで御質問されるのは御勘弁いただきたいと思いますけれども、私たちは、やはり協力一致してこの問題をどうして解決をしていくかということが基本的に大切なことであろうと思います。 かつまた、法治国家でありますから、きちっとした法律があるわけでございます。やはりそういう体制に意識を持って反対をされるというようなことであっては困るわけでございまして、そういう意味ではやはりきちっとした法秩序を守っていただくということが基本的に重要なことであり、また、そういう前提があってこの問題の前進が考えられるのではないか、私はそう考えておるわけでございます。 しかし、引き続き検討するというようなことになっておりますので、今後ともそういう事態を踏まえまして十二分に研究さし、またいろいろな意味での工夫をこらしていく努力を積み重ねていくことが大切であるというふうに思っておる次第でございます。
○横山委員 法務大臣の感懐を込めた御答弁はわからぬではございませんし、それから指紋を担当しておる法務省並びに地方自治体をおもんぱかってお答えになっている気持ちもわからぬではございません。また、縦割り行政の欠陥が、同時にマスコミの先走りは困ったものだという気持ちもわからぬではございません。けれども、お互いに政治家でございますから、坂の上から石はもう転がり出したということは疑いようのない現実の問題としてとらえなければならぬと私は思うのです。指紋押捺の是非論については、私は押捺全廃の社会党の法律改正提案者の一人でございますから、押捺がいいか悪いかという議論は一応別の機会にいたしまして、政治論として、坂の上から石が転がり出したやつはとめるにとめられないよ、その現実的判断をせざるを得ないではないかということをお勧めをいたしたいと思うのです。 この各紙が全部取り上げた「指紋押なつ全廃へ」あるいはまた「運用緩和策を検討 不携帯の扱いなど改善 「更新時は廃止」案も」「登録時に一回限り」「今年は現行制度で 将来の改正に含み」「「指紋押捺」見直し否定」等毎日毎日出てまいりましたものはだんだんだんだん大きくなっていく。そしてただ大きくなっていくわけでなくして、本年、三十七万人の人がこれを見ておる。反対運動をしておる人もこれを見ておる。だから、今日まででも、各地方自治体で押捺をしない、拒否をした、拒否をする人が加速度的にふえる。そして拒否された地方自治体の窓口では、あるところでは、もう既に御存じのようにほうりっ放し、あるところでは告発をするというばらばらでますます傷口が大きくなっていく、こういうことを私どもは想定をせざるを得ないと思うのですよ。そしてあなたも検討するとおっしゃっている意味は、この報道の中の一番最後の報道であります「今年は現行制度で 将来の改正に含み」ということをもしお考えになっているならば、三十七万人の人が押捺にどういう判断をするかということを考えれば、この際、決断をすべきのが混乱を防ぐ最善の道、でなければ次善策としても望ましいことだと私は思いますが、いかがでしょう。
○嶋崎国務大臣 今先生御指摘のような事情、特に新聞の報道等がそういうような方向にあって、石が山の上から転げ落ちておるという状況と判断をするのかどうかというところは非常に難しい問題だと思っているわけでございます。私たちもあらゆる情報というものをすべてキャッチしているわけでありませんけれども、そういう事態というものを十分踏まえていかなければならぬというふうには思っております。しかし、基本的な考え方は先ほど来御説明申し上げたとおりでございまして、現在の段階——五十七年に改正を行っている、しかも五年に延ばした、その五年目をことし迎えておる、それを全然やらないでまたその整理をどうするのかという判断をする、その基本の認識というのは私は非常に大切なことだと思っておるわけでございます。したがいまして、先ほど来答弁申し上げましたように、この問題、どこにあるかというような問題の意識で考えておるわけではないので、いろいろな意味でこの問題について注意を持っておるということは現実でありますし、そういうことを踏まえまして今後の判断を考えていきたいと思っています。
○横山委員 法務省並びに自治省おいでになっていますが、現在既に、告発をするかほうりっ放しにしていくか、地方でばらばらである。そして一方では、きょうの新聞に載っておりますように、イタリアの特派員が数次再入国許可の取り消しをされた。十九日の昼マニラから成田へ来たところ、もうおまえさんは今度出ていったら再入国を許可しないよ、そう言われたということで随所に問題が続出していますが、この随所に出ている問題について、法務省からそれは法律どおりに告発をしてもらわなければ困るという通達をお出しになるか。自治省は、そういうばらばらなことでは困るからどんどん法律どおり告発しろという通達をお出しになるのか。そんなことは油に火をかけるようなもので窓口を苦しめるばかりだと私は思うのですが、現在のばらばら情勢についてはこのまま推移を見守って、統一的な督励通牒は出さないというふうに理解してよろしいのでしょうか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 現在までの各地方自治体の対応ぶりにおいて若干統一性の欠けておるという面が存在することは事実でございますが、この問題は刑事訴訟法に定めますところの公務員の義務に基づく問題でございまして、外国人登録法の主管官庁たる法務省といたしましては、各関係地方自治体に対しまして再三にわたり告発を励行するように指導をいたしておるところでございまして、こうしたばらばらの状態を解消するためにも今後さらにその指導を強めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。この指導が現在までのところ口頭で行われているというのを文書で行うか否かという問題は一つ別の問題でございますけれども、その方針においてはそういう方向で処理してまいりたいと存じております。
○嶋崎国務大臣 今、入管局長からお話し申し上げたとおりでございまして、公務員の一般的な義務として、犯罪があった場合にどうするかという段取りがあるわけでございます。しかし、具体的に事柄を処理するということになりますと、御承知のように拒否されている事例というのはほとんど明確に我々も承知しておるし、警察当局も承知をしておるというような事態にあるわけでございまして、告発が前提条件になっておる処置ではないと思うのです。そこが法律的な解釈の問題と実態的な運用の問題とがあろうかというふうに思っております。 我々といたしましては、きちっと守るべきことは守っていただきたい、そのことはそのことで大切なことであり、そういう中でどういうぐあいの運用が図られていくか、行われていくかということが今後の問題を考えていく場合の重要な一つの柱になる、そういうことで事柄を考えていかなければならないのではないかと思っております。これで問題を荒立てるというような気持ちは全然ありません。
○横山委員 自治省、御意見ありますか。
○小島説明員 お答え申し上げます。 外国人の登録事務につきましては、これは機関委任事務ということで位置づけられておりまして、その系統の指導と申しますのは法務大臣の管轄に属するものでございます。 自治省といたしましては、かねてから自治体の現場において窓口でいろいろなトラブルと申しますか、現場が混乱しないというようなことについてできる限り法務省においてしかるべき措置をおとりいただきたいという態度でございまして、本問題について直接くちばしを入れる立場にはございません。
○横山委員 最後にもう一度法務大臣に伺いたいのですが、記者会見で「この国会で問題を整理することは、よほどのことでない限り難しい、と判断している。」と述べられたと伝えられておりますけれども、そのことは次期国会では何とかするというふうに判断していらっしゃるのか、もう一つは「よほどのことでない限り」ということは物理的にできないという意味なのか、どうなんですか。
○嶋崎国務大臣 この問題につきましては関係の各省があるわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、こういう重要な問題につきましては全体が一致した気持ちになって事柄を処理するという環境にならなければいけないということが一つあろうかと思います。また、この問題の取り扱いについては、政治をやっていらっしゃる皆さんの中でもいろいろな議論があることは事実であるわけでございます。したがいまして、こういう問題を解決する場合には、今度の国会の日時等から考えまして、それまでにいろいろな段取りを進めなければならないということになりますと、よほどそういう条件が整わない限りにおいては非常に難しいのではなかろうかというような感触で申し上げておったわけでございます。そういうことが一点。 それから、そういうことになるとそれじゃ次の段階はいつ改正するのだ、例えば次の通常国会にはその改正案を出すのかどうかということでございますが、これらの問題につきましてまだ事態の推移というものも見きわめたわけでは全然ございませんし、判断はよくつかないわけでございますけれども、そういうことをよく判断して考えなければならぬ問題でありまして、今いつ必ずその改正案を出すのだということを申し上げますような事態にはないというふうに認識しているわけでございます。
○横山委員 しかし、大臣、あえて苦言を申し上げますと、冒頭に申しましたように、非常な閣内の意見の対立と世間は受け取り、かつ国内ばかりではなくて、国際的な韓国との問題ということでありますから、これはすぐれて政治問題化しておるという認識をしてもらいたい。そして、大臣のおっしゃるようにこれからゆっくり勉強するよということでは済まされない問題であると私は思います。おっしゃいますように法務省と外務省と意見が違うということがいつまでも放置されていいものではありません。これは少なくとも関係各省と速やかに統一的な意思をまずつくらなければだめだと思います。私どもとしては、そこまでいったなら、もうこれから御異論があるようでありますが、政治御題化して坂の上から石が転がり出したようなものだから、これはとまらないのだ、とまらないなら三十七方人のこれからやる者が、なあにそんなものはそのうちに緩和されるあるいは全廃されると思っておる、思っておれば——そこを今大臣は、押捺してくれ、してくれぬでもそれは厳正に処分とまではいかないよというあうんの呼吸を示されたのですけれども、そういうような結果がどんどん起こるのですから、そのことを考えますと、速やかに関係各省で意思統一をしてきちんとした政府の方針を出す、できればこれは三十七万人に放ちに適用をする、敏速な方途によって全部解決するということになさる必要があると思いますが、大臣、もう一度お考えを承りたいと思います。
○嶋崎国務大臣 御質問のいろいろな問題点につきましては、御指摘のように、やはりこの問題に対してきちんとした対処の仕方をとっていかなければならぬというふうに思っておりますし、我々もそういうつもりで今日まで努力をしてきたつもりでございます。したがいまして、御指摘のように、そういう考え方の整理ということは基本的に大切なことであるというふうに思っておりますので、今後ともそういう点については十二分の努力をしていかなければいけないというふうに思っております。 この種の問題が非常に政治的な問題であるだけに、事柄の重要性、御指摘のように大切なことだというふうに思っておるわけでございますけれども、そういうことに対応する意味でも、その前提条件がきちっとするということがまず第一に大切なことであるというふうに思っております。そういう意味で、御指摘の点につきましては、今後とも十二分に配慮をし、努力をしていかなければならぬというふうに思っております。
○横山委員 次に、金大中事件について伺います。 金大中氏は、先般アメリカから韓国へ行く途次、日本に立ち寄りました。これはツーリストとして一日おっただけでございますから旅券の問題はないと思うのですが、かねがね金大中氏が言っておって、今回もまた言ったことは、日本政府としてはあの当時の事情聴取をしたいというのに対して、事情聴取に応じてもいいけれども、日本政府は誠意がないから言えばマイナス要因が残るだけであって、おれが本気であの当時のことを全部話したら、わかった、それじゃもう一遍いわゆる政治決着も見直す覚悟でやるという気持ちはさらさらないだろう、そんなところに事情聴取に応じられるかという気持ちのようであります。 日本政府は金大中氏に正式に事情聴取を希望したのですか。
○赤木説明員 お答えを申し上げます。 本年の二月七日に金大中氏が成田を通過された際に、警視庁の捜査員が新東京国際空港の中におきまして、直接金大中氏に対しまして、昭和四十八年八月に発生いたしましたところの金大中氏逮捕監禁略取事件の被害者として捜査に協力するという立場から事情聴取に応じていただきたいという申し入れをしたわけでございますけれども、同氏はこれに応ずる意思はない旨を明らかにされたところでございます。
○横山委員 理由は言いましたか。
○赤木説明員 金大中氏が申されましたのは、さきに警察が外務省を通じて米国滞在中の同氏に事情聴取の申し入れを行ったことに対しますところの昭和五十八年五月の回答の中で述べられました三つの条件といいますか、これに対する日本政府の正式な回答がなされていないという理由を挙げられまして、被害状況について聞かせていただきたいという警察の要諦には応じられない、こういうふうに申されたわけであります。
○横山委員 三つの要件とは何ですか。
○赤木説明員 警察といたしましては、昭和五十七年の十二月末に外務省を通じまして、当時滞米中の金大中氏に対して事情聴取の申し入れを行ったところでございます。これに対して、五十八年五月に文書をもって回答があったわけでありますが、その中で、一つは、拉致事件は日本政府が安全保護を怠ったために生じた、二つは、日本政府は真相解明を公約しながら政治決着をつけて自分の人権を無視した、三つは、一九八〇年に自分が死刑判決を受けたのは政治決着違反にもかかわらず、日本政府は韓国政府に対してこれを取り上げようとしなかった、この三点を挙げられたわけでございます。これに関する日本政府の姿勢を知る必要があるので、その回答がない以上は事情聴取に応じるかどうか確答はできない、かように述べておられるところでございます。
○横山委員 なぜ回答しなかったのですか。
○赤木説明員 これらの三つの条件というものにつきましては、総じて大変政治的な問題でございまして、捜査当局としてこれを判断し、処理することはできないわけでございますので、まことに残念ながら、本件はそういう形で断られても当然ということになっておったわけでございます。
○横山委員 金大中民はもちろん韓国の人でありますが、この東京のホテル・グランドパレスで白昼堂々と韓国の人たち、しかも政府機関とおぼしき人たちによって連れ去られる、内政干渉も甚だしい問題であって、ある意味では国辱事件でございます。しかも、金大中氏が日本におる以上は、この日本における警察がその身の安全を図るべき業務がある、そういう立場で、金大中氏の人権を守る立場で、当時の田中伊三次法務大臣が閣議で、金大中事件については政府としても厳たる態度をもって処すべきであると言ったことは、記憶に新たなところでございます。このたび日本に寄りながら、警察庁の要望に対しましても、今報告がありました三つの要件を挙げて拒否をしておるという状況であります。 大臣にお伺いをいたします。もし金大中氏を近き将来、私ども政党筋でも、あるいは知人でもよろしいのですが、招聘をいたしたい、もちろんそれは韓国政府の了解がなければできないことになると思いますけれども、日本側で招きたいというときに、政府側としてはどうお考えになりますか。
○嶋崎国務大臣 この問題につきましては、先ほど来説明がありますように、一応政治的な決着がつき、その前に韓国政府としてのいろいろな調査も行って、整理がされたというような経過を持っておるというふうに思っておるわけでございます。 今の御質問は、今後いろいろな事態の変化があって、そういうことに韓国政府も同意をして、問題が解決をした場合にどう対処するかという事柄でございますが、それこそ本当に政治的な決着を必要とするような問題でありましょうから、その段階において十二分に判断しなければならぬ事柄ではないかというふうに思っておる次第でございまして、現在、そういう前提の中でどう考えるかということを私の今の立場から申し上げる段階にはないというふうに思っておりますので、御了承願いたいと思います。
○横山委員 ちょっと伺いますが、金大中氏の判決の理由をどう思っておるかということでございます。一般犯罪ですか、政治犯ですか。日本政府はどうお考えになっておるのでしょうか。
○小林(俊)政府委員 ただいまの御質問は入国適格要作との関連かと存じますけれども、この問題については、いまだその入国適格要件すなわち入管法第五条に照らして適格であるかどうかという判断を必要とする事態が生じておりませんでしたので、現在までのところその点につきましても判断をいたしておりません。
○横山委員 だって、世間風知、国際的にも周知の事実ではありませんか。これが一般犯罪であるか政治犯であるか、今あなたも判断できないですか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 政治犯罪の定義につきましては非常に難しい問題がございまして、私どもでも部内で種々検討、討議はいたしておるところでございます。現在までの判断あるいは当時の協議の結果といたしましては、結局あらゆる法律に普遍妥当的に適用できる政治犯罪の概念あるいは定義といったものは難しいのではないか、むしろ現実的ではないのではないかというふうに考えられつつあるわけでございまして、関係法の法理あるいは立法の趣旨に照らして判断あるいは定義をつくらざるを得ないというふうに考えられつつあるということは申し上げることができるかと思います。したがいまして、例えば入管法第五条に申します政治犯罪の定義と犯罪人引き渡しに関して条約あるいは法律上引用されておる政治犯罪とが全く同じ定義によって合理的に適用し得るというふうには申し上げかねるのではないかというのが現在の考え方でございます。
○横山委員 そんなに小難しいことを言わぬでも、もう少し常識的に考えたらどうでしょうかね。大臣はどうお考えになりますか。同じ意見かね。もう少し常識的に答えてもらいたいと思う。
○嶋崎国務大臣 私自身も、判決全文というのはどうも入手してないようでございますし、要約的なものしか承知をしていないというような状況であるやに聞いておりまして、まだこの問題の具体的な内容について十分精査をしたというような経過を持っておらないというのが現実であるわけでございます。したがいまして、今事務当局から話がありましたように、十分実態を見きわめて事柄の判断をしていかなければならないものではないかというふうに思っておる次第でございます。
○横山委員 昨年大臣に、金大中氏に対するあなたの関心度合いを伺ったのですけれども、アメリカ政府が金大中氏に対して好意を持ち、かつ便宜を計らい、中には国会議員も同行して身の安全をはかるように努力をし、かつ韓国に入国してからも国務省がわざわざ、いい悪いは別として最大の関心を持っておる、今のところはいいけれども最大の関心を持っておる、何かあったら必ず物を言うよというような状況に対して、日本政府は金大中氏に対する配慮というものが余りにもなさ過ぎると思います。昨年あなたの御見解を伺って、あなたは関心を持っておるぐらいで御答弁になりましたが、アメリカ政府と比べてみてもう少し日本政府は、金大中氏の今後についてもし万一のことがあれば私どもにも発言権があるというようなことは言ってしかるべきじゃありませんか。
○嶋崎国務大臣 今回の韓国への帰国に際しまして、いろいろ空港での取り扱い等々につきましては、そういう取り扱いをしたことについて感謝の気持ちを持っておるというようなことを私は聞いておるわけでございまして、この種の問題につきましてはやはり日本としても、そういう犯罪が日本で起きたということについて大変な責任を感じておるわけでございます。警察当局においてもそういう気持ちというものを決して捨てないで今日までいろいろな意味での調査を進めておるというふうに承知をしておるわけでございまして、今後ともそういう努力というものを積み重ねていかなければならぬのじゃないかというふうに思っております。
○横山委員 金大中氏については、日本政府はいろいろな問題が起こったときに決して人ごとではない、自分のところの内政干渉があった歴史的な事実というものについてひとつしっかり胸にとめて善処をしてもらいたいと思う。 次は帝銀事件、平沢釈放の問題でございます。 いよいよ満三十年を獄中で過ごされることになりました。これはもう三十年も獄中にあって、しかも九十三歳になられたんですか、犯人であるかどうかという問題は一応さておくにいたしましても、三十年獄中におるということは予想し得なかった。法律も、法律の運用も予想しなかったことだと思うのです。そこで、いろいろなことはあるけれどもこれはひとつ善処すべきではないかということが翕然としてあちらこちらから持ち上がっておる。それは、事、平沢本人の問題ももちろんさりながら、三十年獄中に置くことの意味というものについて法律論からもあるいは人情論からも、いろいろな意味で議論が巻き起こっておることであります。 私、ここにアムネスティー・インターナショナルのあれでございますが、「一九八〇年五月二十、二十一日、ルクセンブルグにて開催の、第十二回ヨーロッパ法務大臣会議の死刑に関する決議第四号」「第十二回ヨーロッパ法務大臣会議に出席した法務大臣は、」「死刑が全人類の尊厳と人権一般に関連して重大な疑念を生じさせることを考慮し、近年ヨーロッパ会議加盟国各国において、法制上または事実上、着実にかつ明白に死刑全面廃止に向かっていることに留意し、死刑を全面的に廃止した多くの加盟国において、刑事政策上、否定的結果をもたらしたことがないことに留意し、」「究極的目標が加盟各国における死刑廃止にあることを考え、この問題の根元的重要性と、各国の事情や歴史における相違を考えあわせ、一、ヨーロッパ会議閣僚会議に対し、死刑廃止に関する新たなそして適切なヨーロッパにおける基準を確立する可能性に、ついて研究することを勧告する。」。 これは大変興味深く読んだわけであります。私は死刑廃止論者であります。もちろん、それにはいろいろな前提要件なり客観条件の問題がございますが、それはさておくといたしまして、先般来、一番著名なのは元最高裁長官である岡原さんが法律雑誌の中でいろいろ述べられておることを含めまして、この問題が随分方々で話題になっており、国会でも再三再四取り上げられておることであります。もちろん、法務大臣がこれに対して裁量権があるわけではない、指示権が法律上あるわけではないと思います。しかし、だれかが一遍議論をすることを持ち出さないとこのままに推移してしまう。みんなが言っていることだから、だれが一番この問題をまじめに責任者として考えるか、考えさせるかということが当面の課題ではないか。あなたに平沢を釈放しろと言ったところで、あなたは私、権限がないと言うに決まっている。中央更生保護審査会ですか、それが決めることだということも知っている。あなたに指示権がないことも知っている。けれども、それでもなおかつ、何か一遍知恵を出したいところだと思うのです。 それで、岡原さんの意見や、あるいはまたアンケートで出た答えを整理をされた人がありますね。それによりますと、結局犯人が判決があってもトンズラしておって、三十年たてば時効になるというのですから、トンズラしておった犯人が三十年で時効になるのならまじめに三十年刑務所におった人はあかぬのか。トンズラが得して、まじめに刑務所内におった人が損をするということはちょっとおかしいではないか。だから時効か、時効完成に準じた扱いをする。準じたというのは意味がいろいろあるのですけれども、それが第一です。第二番目は、恩赦その他で執行打ち切り、釈放。第三番目が、もうあなたが、えい、こんなことならおれが判こを押すと言うて、あなたが判こを今晩押してしまう。執行してくれ、あなたも、法務大臣になられて判こを押すことがあったかどうか知りませんけれども、さぞかしつらいことだろうけれども、そうすれば事は簡単。第四番目は、現状のままほかっておく。そんなことはおれは何もせぬ、もうおれは言い出すこともしない、そして平沢氏が獄中で何年先か死ぬのを待つ。最後が、再審を認めるという、この五つのうちのどれかをあなたは選ばなければならぬのだ。 あなたが全部権限を持っておるわけじゃないですよ。ないけれども、これだけ問題になっておることだったら、法務大臣として、自分の権限ではないけれどもそういう条件づくりを一遍やってみるというお気持ちになるべき政治家としての任務があると思うのですがね、どう思いますか。
○筧政府委員 お尋ねの点につきまして、個々の点につきまして事務当局から最初に御説明をさせていただきたいと思います。 最初の、一、時効またはこれに準じて釈放するという点でございますが、本件につきまして時効は完成しないという解釈を私どもとっておりますことは、これまでたびたび申し上げたとおりでございまして、そこで、これに準じてということも法律上は不可能であろうかと思っております。 それから、三の執行の点は、現在再審あるいは恩赦出願中でございますので、執行を差し控えているというのが現状でございます。 それから、再審を認めるかあるいは恩赦を認めるかということは、それぞれ裁判所あるいは担当の委員会の御決定でございます。その結果、再審で無罪になる、あるいは恩赦、特赦等になるという場合には釈放ということになろうかと思いますが、それ以外には釈放ということは私どもとしては考えられないというふうに考えております。
○横山委員 そんなことは知っておる。政治的判断を求めたのに、あなたが余分なこと言わぬでもいい。
○嶋崎国務大臣 お尋ねの平沢につきましては、現在高等裁判所で再審がなされており、現在審理中であり、また中央更生保護審査会に上申がなされておるというような状態になっておることは、御承知のとおりでございます。また、つい先ごろ五回目の恩赦が出されておるというようなことも新聞で承知をされ、また我々も承知をしておるというような状況にあるわけでございます。 今日までのいろいろな経緯を考えてみますと、裁判所において一定の結論が出ます。もちろんそれまでの捜査とか調査とかいうようなこと、あるいは裁判のいろいろな維持についての努力、また、刑の執行がされてからのいろいろな整理という意味で申し上げておるわけですが、その整理はやはり法務省の重要な仕事の一環であるというふうに私は思っておるわけでございます。 非常に不幸なことに、この三十年というのはどうも私の在任中の五月七日にいきそうだということで、ある意味でいろいろな意味での判断が迫られておるというのが現実であろうというふうに思うのでございます。私は、ある意味では非常に残念なことであろうというふうに思います。しかし……(横山委員「残念って、何が残念ですか」と呼ぶ)いや御承知のように、法務省の中で三十年間、これの処理が行われないで今日まで来ておるというようなことについては……(横山委員「それが残念ですか」と呼ぶ)もう三十年というのは先ほど御指摘になりましたように大変長い年月であるわけでございますから、その処理を図るということ、適切に行われるということは必要なことと思います。しかし一面、御承知のようにこの一定の期間、六カ月ですか、という期間が定められており、その間に再審が行われるとかあるいは恩赦の問題がいろいろ議論をされておるというような事柄がありまして、本当に平沢さんの場合にフリーになっているのは百二十三日くらいしかない、あとは必ずそういうようなことが継続的に行われておるというような事態があったわけでございましょう。そういうふうにいろいろな問題が積み重なって今日に至っておるのだろうというふうに思っておるわけでございます。 そういう意味合いから見まして、この時効問題というのはどういうぐあいに考えるのかよくわかりませんけれども、三十年というのがぎりぎりの時だというような議論をされますと、やはり法務大臣としては非常に深刻な判断をしなければならぬというようなことに相なろうと思うのでございますが、先ほど来申し上げましたように十七回目の再審が行われて、かつまた恩赦も四回目がまだ終わっておりませんけれども、刑の執行停止というようなことを前提にして五回目が出てくるというような状況にある中で、この判断、法務省が従来とっておる基本的な考え方を理念にして事柄を考えていかなければならないのではないかというふうに私は思っておる次第でございます。
○横山委員 こういう考えは、一、二確かめたいのですが、再審、恩赦出願中は法務大臣は大体死刑執行をしないというのは慣例ですか。
○嶋崎国務大臣 私も過去の詳細なことは存じ上げておりませんけれども、たとえ再審、恩赦があっても刑の試行をするということはあり得ることであるというふうに思っております。
○横山委員 それから五月で三十年になる前に、トンズラと比べて不利だという私の論理は、それはだめだと刑事局長は言うんですけれども、三十年トンズラした犯人と比較して、所内におっても三十年だったら釈放するという論理は成り立たない、その法理論は成り立たないと刑事局長は言うんですけれども、三十年過ぎたら考えられるということは法理論上成り立ちませんかね。
○筧政府委員 その点につきましては、平沢のようにその前提である拘置が続けられております場合には時効そのものが巡行しないという解釈でございますので、三十年でも三十二年でも三十五年でも変化はないということでございます。
○横山委員 九十三歳、極めて老齢、もう老衰の状況ですね。老衰のゆえをもって、あるいは時々病気になられるのですが、病気のゆえをもって考えるという方法はありませんか。
○筧政府委員 事務的に御説明を申し上げたいと思いますが、御承知のとおり死刑の執行停止ということはございますが、これは懐胎の婦女と心身喪失に至った場合でございます。単なる老齢というだけでは執行停止の理由にはならないというふうに考えております。
○横山委員 何で刑事局長がそんな答弁せんならぬかね。刑務所におって、例えば病気になったとか老衰でもう大変だというときには刑事局長抜きで相談をするんじゃないのですか。矯正局長はおらぬか。——まあいい。 法務大臣、私の気持ちはわかっておると思うのですが、繰り返し申しますけれども、あなたが今晩判こを押すか、それともあなたの在任中はもちろんだけれども、ほかっておく、獄中で亡くなられるのを待つか、どっちかをあなた自身は選ばなければならぬわけですね。そのほかの方法について私は考えてやってくれというわけですよ。それはあなた自身の職責というか権限ではないが、条件づくりに骨折ってくれと言っているわけですよ。それはすぐれて人道的、ある意味ではすぐれて政治的、別な意味の政治的かもしれぬが、そういうことだからひとつこの問題について骨折ってもらいたい。どうですか。
○嶋崎国務大臣 非常に難しい判断だと思いますけれども、やはり再審が現在行われておるという状況でありますし、また恩赦というような問題を考えるというような場合でも、現在でも無実を言っておられるというような御主張が変わっておらない、それをどういうぐあいに判断するかというのは非常に難しい問題だろうと思いますが、そういう事態もある。したがいまして、私はやはりその判断というものを現在の段階で待つのが今の状態から見てどり得るただ一つの道ではないのかなと、まだそこで決定的にそう思っているわけじゃないけれども、そういうような感じを持っておるような次第でございます。
○横山委員 まあ法務委員会であなたは、おれがやってやるということをなかなか言いづらいと思いますが、少なくとも中央更生保護委員長、その後どうでしょうかというような話もあるだろうし、それから非常に社会的にも大きな…題だから総理大臣にこういうふうにしたいと思うがどうだろうかとか、あるいは各方面の御意見も、学識経験者の御意見も聞いてもらうとか、これはさっきの諮問と違いますよ、諮問と違うんですから、あなたがそういう努力を、立場というか自分の権限外のことではあるけれども、各方面の意見を聞いて努力することは決して批判される問題ではないし、条件づくりが必要でございますから、ひとつお骨折りを願いたいと思います。よろしゅうございますか。
○嶋崎国務大臣 私自身も法務省の中における過去の経緯というのももっと勉強しなければならないところも非常に多いというふうに思っておりまして、相当大部のものも読ませていただいておるというような状況でございますが、そういうものも十二分に踏まえまして、今御指摘のような判断が立つのか立たないのか、そういうところも見きわめまして、私自身の行動というものを律していきたいというふうに思っております。
○横山委員 時間があと五分しかございませんから、民事局長に要望をいたしたいと思うのですが、時間がございませんから、こんな便法をお許し願いたいのです。私が言います数項目について次の法務委員会に文書で御答弁を配付を願いたい。よろしゅうございますか。 今度法律として出てまいりますコンピューターの問題につきまして、司法書士及び土地家屋調査士会内部でかなりの議論がございました。そして、表通りの議論よりも裏通りの議論の方がなかなか混乱をしておるようでございますから、その疑問とするところはどんなところであるかということを私が申し上げますから、時間の関係上、その疑問についてできたら次回の当法務委員会に文書でお答えを願いたい。 第一は、公嘱法人が設立されても、果たして受注がふえるという保証があるかという点であります。法改正により法人ができれば、積極的に、関係行政、例えば建設省や中央用対連へも、法務所管当局として、法人に嘱託登記を依頼するよう配慮と働きかけをなさるかどうか。 第二番目は、法務省退職者の受け皿に公嘱法人がなるのではないかという批判があるかどうか。 第三番目は、努力が重なると公嘱法人が肥大化してしまって、司法書士会なり土地家屋調査士会の指導の枠外に飛び出して、ひとり歩きをするのではないかという疑問に対してどうか。 第四番目は、従来、個人の司法書士会員が発注諸官公署に対する努力で公嘱登記を取り扱っているという既定の事実と実績があるが、この種の既得権的会員は、法人化によって仕事を取り上げられてしまうのではないかという点についてどう思うか。 第五番目は、登録事務の委譲は、国の行政事務の一部の委譲であるから、大切な資格登録を公証する責務が連合会に生ずるが、国のかかわり合いはあくまで指導と勧告といういわゆる行政指導の範囲内のものにとどまるか、それとも監督が厳重になるかどうか。 第六番目は、電子情報処理組織の導入による登記事務の処理の円滑化ということは、所管当局として、登記事務、すなわち不動産・商業法人登記など全般についてコンピューターシステムの本格化を決めたということなのか。両団体から評価委員会に委員も出しており、その検証結果で本格化するかどうかを決定しようとする従来の方針がここで転換あるいは跳び越えがなされることになるのかどうか等、極めて技術的な問題ではございますが、これが法案審査に当たって両団体の下部機構で議論がされておる。条文解釈の問題というのは、こういうような疑問があるために一部の皆さんの意見があるわけでございます。いかがでございますか。 これらについて、時間がございませんので、次回に委員長の御了承を得て文書で配付をお願いできますか。
○枇杷田政府委員 ただいまの問題点につきまして、文書を用意いたしたいと思います。
○横山委員 では、終わります。
○片岡委員長 午後零時五十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時八分休憩 ————◇————— 午後零時五十八分開講
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。天野寺君。
○天野(等)委員 先ほど嶋崎法務大臣の所信表明をお聞きしたところでございますけれども、実は私もこの所信表明をお開きしましてどうも一点物足りないというところがございます。先ほど横山議員の方から暴力団の問題について触れてないじゃないかというお話がございましたが、私はこの所信表明の中に——昨年財山川、あるいは免田、松山というような死刑の判決を受け、確定をし、それが再審の結果無罪になったというような非常に大きな事件がございました。また、ことしは、先日梅田事件というようなことでの再癖の開始決定もなされるようでございますが、冤罪事件といいますかあるいは誤判事件といいますか、こういう問題について、やはりこれの根絶を期していくということが私は法務当局としてまず第一に考えていただかなければならない事柄ではないかと思うわけです。その点についてこの所信表明の中に触れていらっしゃらない。これはどういうお考えてお触れにならなかったのか、また、そのことも含めて、この孤罪事件根絶ということでの大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○嶋崎国務大臣 先ほど御質問になった件でございますが、非常にそれを意識して、何というか私の話の中に入れなかったというようなことではないのでございまして、最近、この死刑という重大な事犯について再審により無罪の判決がなされ、それが確定したということ、さらに、重大事件について再審開始決定が最近出ておるというようなことにつきまして、大変遺憾であるというふうに思っておるわけでございます。 そんな意味で、今後種々の角度から真剣な検討を加えまして、反省すべき点は十分反省をして、今後このような事件が再び起こらないように十二分の配慮をしていかなければならないというふうに思っておるわけでございまして、この点につきましては検察当局の中でも、十分意識をして論議をされておるというふうに思います。
○天野(等)委員 言葉として遺憾の意を表明するということだけでは余りにも事柄が大きいことでございまして、本当に免田さんにしましても、この再審による無罪ということがなければ国家の手によって生命を奪われなければならない、そういう地位にあったわけでございます。なぜ奪われなければならなかったかと言えば、やはり捜査当局なりあるいは司法の当局にいたしましても、そういうことの誤判によって一人の生命が奪われる、まさに危機に瀕していたわけでございます。私はそのことについての反省というものは、これはもうし過ぎてもし過ぎることはないだろうと思いますし、やはり具体的に、なぜこういうふうな誤判事件というようなものが起こってきているのかということのその原因のところまでしっかりと法務当局としては追求をしていただいて、そして、それの原因の除去ということを考えていただかなければならないだろうと思うのです。 私は、この事件が何らかの形でたまたま起こったということではないと思います。また、たまたまということにしては余りにも結果は大きな事柄でございます。それについてどういうふうな検討をなさろうとしているのか、また、現にこの三つの判決から、法務当局としてはどういう教訓を得ていらっしゃるのか、その辺についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○筧政府委員 御指摘の再審無罪三事件、さらには梅田事件で再審開始決定が確定いたしまして、再審がこれから開始されるわけでございます。このような事態が棚次ぎましたことにつきまして、法務、検察当局もこれを深刻に受けとめて、反省の上に立って今検討を加えているところでございます。 再審無罪判決、三つございますが、事件によりその内容はいろいろ、一概にはお答えできかねる面がございますけれども、例えば自由あるいは鑑定の信用性というものが特に問題になっておるようでございます。結局は、捜査が徹底していなかったということに尽きると考えられます。そういう意味で、検察当局としても、これらの無罪判決に、ついてはいろいろな観点から検討を加えまして、物的証拠の収集保全あるいは自白の徹底的な吟味等、真相解明のための十分の捜査を実施して、的確な事実認定に基づく適正な処理を行う、さらに、充実した公判活動を通じて早期に適正な科刑の実現を図るという点でさらに特段の配慮を加えてまいりたいということでございます。 なお、具体的な検討の一例といたしまして、現在最高検察庁の中に再審無罪事件検討委員会というものを設けまして、私どもの方からも担当官が参加をいたしまして、免田、財田川、松山、その具体的な三つの事件につきまして、捜査の当初から再審、無罪判決に至るまでの全過程を通じまして、捜査、公判あるいは再審手続における問題点を検討しておるところでございます。それにつきまして、再審等に当たった検事等から報告を求め、あるいは資料を整備して、現在逐次その具体的事件について、どの点にどういう問題があったかということの検討を続けております。その検討の結果を得た上で、また今後の捜査、公判の参考の糧として万全の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
○天野(等)委員 再審の無罪判決が出ますといつでも新聞には決まり切ったように、自白の偏重ということが言われるわけでございます。また判決の中にもそういう点で、自白の証拠能力を否定するという形で無罪判決がなされていくというのが実態であろうかと思います。 そこで私は、あの免田、財田川あるいは松山というような事件に特に自白の偏重があったということなのか、あるいは捜査、訴訟の全過程をとってみてまだまだ自白偏重ということが刑事裁判の中に色濃く残っているのじゃないか、その辺について、法務当局としては大胆に捜査の方法なり訴訟の進行なりでこの自白の偏重を打ち破っていく、そういうお考えをお持ちになっていらっしゃるかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
○筧政府委員 今市し上げましたように三つの事件につきましては、その点ももちろん重要な解明点になると思いますが、今検討中でございますので具体的にはまだ結論は得ておりません。ただ、一般的に申し上げまして自白というもの、任意性及び信用性に富む真実の自白を得るということは事実の真相を解明する上で必要であるということは申し上げるまでもないことかと思います。しかしながら、自白というものにつきましてこれを偏重してはいけないということもまた当然のことでございまして、自白を得ました場合に、それのほかの客観的な証拠による裏づけあるいは自白の内容の吟味等を徹底して行うということが必要であろうかと思います。そういう意味で今後も自白に偏ることなく、自白の裏づけ、吟味を徹底的に行って真相の解明を図る、真実の究明に当たるということで参りたいと考えております。
○天野(等)委員 私は、まだまだ刑事裁判の実際の中での自白の占めている地位というものは非常に大きい、あるいは大き過ぎるのではないか、この点について、例えば自白調書の扱いについても、個々の自白とそれを裏づける証拠との直接的な関連性を持たせるとか、そういう範囲において捜査当局としても自白を証拠として考えていくとか、やはり自白の証明力も含めて、かなり思い切った手といいますか、むしろ自白を証拠の中で小さなものにしていく、そういう努力をなさるおつもりはございませんか。
○筧政府委員 先ほども申し上げましたように、真実の自白というものは真実解明のためにはやはり必要不可欠なものであろうかと考えております。これは小さい、大きいということではございませんで、自白を得た場合にそれをうのみにするということなく、あくまでも客観的証拠によってそれが真実であるという裏づけをとって、その自白の内容を徹底的に吟味するということが必要であろうかと考えております。
○天野(等)委員 私が申し上げていますのは、自白の一つ一つの事柄についてやはり客観的な裏づけを必要とするか、あるいは何らかの関連性があるような証拠があれば全体として自白を真実なものだということで認めてしまうかという問題であろうかと思うのです。その点について従来から、また現在の刑事裁判の実態が自白と客観的な証拠との間の関連性について、かなり弱い関連性であっても自白として認めてきている。証明力の問題かもしれませんが、証拠能力を認めてきているということがあろうかと思うのです。しかし、これは捜査の段階においても十分考えなければならない問題ではないかと私は思うのですが、自白があり、それに関連するような何らかの証拠がありさえすればその自白をもとにして捜査をし、それで直接的な関連性のないままに、客観証拠がないままに起訴し、訴訟を遂行していくというところにやはりこの冤罪事件の一つの大きなタイプがあるのじゃないか。それを避けていくということは刑事裁判のやり方としてはかなり大きな変化になっていくかと思いますけれども、そういう方向を目指しながら新刑事訴訟法の精神にのっとった訴訟を進めていくというところに踏み切っていただけないものかどうかということを申し上げているわけでございます。
○筧政府委員 先生のおっしゃる御趣旨はよくわかります。結局、個々の点で自白を得た場合に、それが捜査官にとっても完全にこれは真実である、信用性があるということを確信するに至るまで客観的証拠等によって裏づけ捜査を行うという態度は当然とられるべきものというふうに考えております。
○天野(等)委員 それから、再審事件についてもう一つ考えなければならないのは、有罪判決を受け、それが確定した者にとっても再審はやはり一つの大きな権利だということだろうと思うのです。もちろん法的安定性ということも国家の秩序という点では一つの重要なものかとは思いますけれども、しかし、一人の人間の生命あるいは一人の人間のかけがえのない拘禁された歳月、そういうようなものをなくすということ、そのために再審という制度があり、それを十分に生かし切れるように制度を整えていくということが、これは国民の権利を全うしていくためにやはりどうしても必要なことではないかと思うのです。そういう点で現在の再審に関する刑事訴訟法の諸規定にまだまだ不十分なところがあるのではないか。特に再審というものを本当に国民の権利として構成していないというような感を私は強く持つわけです。やはり再審の門戸を広げ、その再審の裁判の中でもう一度真実を争っていけるという形をとっていくべきではないだろうかというふうに私は考えるのでございますが、いかがでございましょうか。
○筧政府委員 再審制度のあり方につきましては、今先生御指摘のように、法的安定性と具体的な妥当性というものとの調和を図らなければならないという面で慎重に検討されるべきものであろうかと思っております。現在の日本の再審制度につきましていろいろ検討すべき点があるということは御指摘のとおりでございまして、私どもも再審制度そもそもの構造からもう一回見直して、外国の諸法制等も参考にしながら現在検討を続けているところでございます。 ただ、その門戸といいますか、再審事由の拡大につきましては、諸外国の再審事由と比べて我が国の現行制度の再審事由、六号が中心になると思いますが、これは必ずしも狭いものとは言えないというふうに現在考えておるところでございます。いずれにしましても、再審制度を検討すべきである、あるいは再審事由を拡大すべきであるという御意見のあることは十分承知いたしておるところでございます。さらに今後も検討を続けてまいりたいと考えております。
○天野(等)委員 先ほどの三つの無罪事件についても最高検の方で中心になって検討を加えておられるということでございますので、この点についても検討の結果をまたお聞かせいただきたいというふうに思います。なぜああいう冤罪事件が起こってしまったのかということについてはもう十二分な検討をしていただかなければならないことだろうと思いますので、この点についてはまだ機会がありましたら聞かせていただきたいと思います。 次に、午前中の質問の中にも出てまいりました外国人登録法の関係の問題でございますけれども、私この問題について、きょうの新聞にもちょっと問題になっておりました再入国許可、これとの関係でちょっとお尋ねをしたいと思います。 外国人が再入国の許可を求めた場合に、許可を与える基準というようなものがあるのでございましょうか。まずその点について。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 再入国許可の発給と申しますか許可を与えるということは、例えて言えば、入国に際しての査証の発給と同様に私どもは解釈いたしております。したがいまして、発給そのものの基準というものは、基本的には法務大臣の裁量行為であるというふうに考えております。
○天野(等)委員 いや、裁量ですから、この裁量についてある基準というようなものがあるのか。例え行政裁量だといいましてもある基準というものがあるのではないかということでお尋ねをしているわけです。あるいはそういうものはなくて、法務大臣の全くの任意な裁量だとおっしゃるのか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 法の建前は入国要件を定めてございまして、入国要件に該当しない者は入国を認めることはできないという、いわばネガティブリストになっております。したがって、こういうネガティブリストに当たる場合に再入国あるいは入国を許可することができないわけでございますけれども、その他の事例につきましては入国を許可することができるということでございまして、入国を許可することができるということについての基準と申しますか、いわゆるポジティブリストは用意してございません。
○天野(等)委員 そのネガティブリストはどういうようなものなんでございますか。
○小林(俊)政府委員 ネガティブリストは、例えば上陸拒否要件に該当する場合でございます。あるいはまず第一に、有効な旅券を所持している、これは入管法第三条にございます。あるいは入管法第五条にございます各項が上陸の拒否要件でございます。
○天野(等)委員 この再入国許可の問題については、たしか昭和四十何年かに東京高裁の判例があったと思いますけれども、四十七年ごろでございましたか、外国人といえども旅行の自由というものは持っているはずだ、したがって特別な何らかの国益を害するというようなことのない限り外国人に対しても当然再入国の許可を与えるべきだという東京高裁の判決があったと思うのでございます。これはやはり再入国許可の一つの基準になると思うのでございますが、いかがでございましょう。
○小林(俊)政府委員 先生御指摘の事案につきましては、さきに前入国管理局長から当委員会においてお答え申し上げたことがあったと記憶いたしておりますが、このケースは地方裁判所、高等裁判所で判決がございましたが、最高裁において、私どもから見ますと問題を正面からとらえた答え方ではございませんけれども、地方裁判所、高等裁判所の判決が覆されたケースであると記憶いたしております。したがいまして、入国管理当局といたしましては、この地方裁判所あるいは高等裁判所の判決の内容について意見を同じくするものではないというふうにお答え申し上げたかと存じております。
○天野(等)委員 ということは、外国人に対して、内国人と同じに旅行の自由はないということが基本的な考え方でございますか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 外国人の旅行の自由という表現は極めて広範にわたるわけでございまして、例えば日本国内に在留しておる外国人の日本国内における旅行は全く自由でございますし、また日本に在留しておる外国人が日本から出国する自由も全く制限を加えられておらないわけでございますから、そういう意味において外国人の旅行の自由を制限しておるということはこの関係においては出てこないと存じます。 問題は、一度出国した外国人が日本に入国することを認めるかどうかという問題でございます。この点につきましては、先ほど申し上げましたような法的な観点から法務大臣が裁量をもってその入国許可を与えるか否かの妥当性を判断するということでございます。 お尋ねの案件は、指紋押捺拒否に関連しての御質問であると了解申し上げますけれども、指紋押捺拒否という行為は、我が国の外国人在留管理の基本的な法律である外国人登録法の違反を公然かつ故意に行うということを指しておるわけでございまして、このようなケースにつきまして入国を認めることが適当であるか否かという観点から判断がなされたものでございます。
○天野(等)委員 先に見解を述べられたのだと思いますけれども、私はそういう判断に行き着くまでのこの判断についてお尋ねをしていきたいわけでございまして、一つ、日本に在留する外国人について国内の旅行は自由だということでございますが、外国へ出ていくという出国についても自由だということですけれども、しかしこの点で永久在留許可を持っている者についていえば、外国旅行もその人たちにとっては一つの当然の権利ではないでしょうか、この点についてはいかがでございましよう。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 先ほど触れましたように日本国におきます在留資格というものは出国の時点において中断あるいは終了するわけでございます。再入国許可という制度は、特に在留資格を終了させることなく入国することができるという、いわば法務大臣が付与する特典といってもよろしいかと存じます。この特典を付与するということは、再々申し上げましたとおり法務大臣の裁量行為でございまして、これが当然に現に永住権を持って当国に在留しておる外国人に与えられるものではないというのが基本的な態度でございます。
○天野(等)委員 それじゃ、こうお尋ねしまし占う。なぜ再入国の許可というような特典を在留外国人に与えておるのですか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 これは外地に一たん出国する在留外国人が改めて外地に存在する在外公館において査証取得を行うという手続を省くために、在留外国人の便宜のためにあるいは利益のために設けてある制度でございます。
○天野(等)委員 手続的にはそういうことかもしれませんけれども、再入国許可という形で在留外国人に対して広範な行動の自由といいますか、外国に行きまた帰ってくるという形でそういう行動の自由を認めている、それがまた日本における外国人に対する扱いの一つの基本的な姿勢といいますか、そういうものになっていると考えてもよろしいのじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 外国人の在留に関して便宜を図るあるいは利益を図るという点から認めておる、与えられておる、あるいは設けられておる制度であるということは事実でございます。しかしながら、その特典を改めて与えるかどうかというその時点におきまして別途の考慮があれば、その考慮が裁量行為に影響を及ぼすというのもやむを得ざるところかと存じます。
○天野(等)委員 外国人登録に指紋押捺を拒否した場合、指紋押捺拒否者に対して再入国を認めないというような方針をおとりになったのはいつごろからでございますか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 外国人の旅行の自由との関係で指紋押捺問題に先走り申し上げまして失礼いたしました。 ただいまの御質問に対するお答えは約二年前であるということでございます。
○天野(等)委員 なぜ二年前にそういうような方針を改めて出されたのでしょうか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 これは指紋押捺拒否という行動が一つの運動として社会的に大きな影響を及ぼすに至るおそれがあるというふうに判断されたからと承知いたしております。
○天野(等)委員 そうすると、一種公安的なといいますか、そういう配慮から行われている事柄でございますか。その外国人個人個人の利益あるいは権利の制限という観点からなされているというよりも、全体的に指紋押捺拒否運動が広がるのを恐れてそれでなされた措置だということになるわけでございますか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。上ただいま在留外国人の権利という言葉をお使いになられましたけれども、入国は国際法上も主権国家の裁量行為に属する許可事項でございまして、権利という観念とは必ずしも相入れない面がございます。そのこととはまた別にいたしまして、ただいま御質問の点につきましては、そうした全体的な動きがこうした行為に対する当局の評価に非常に大きな影響を与えたということは事実でございます。
○天野(等)委員 そこのところが乱やはりおかしいと思うのですよ。再入国を許可するかしないかというのは再入国を申請した人のその事情によってそれは許可、不許可ということがあり、また再入国をしなければならないそういう事情というようなものもあっての事柄であって、特に二年前にそういう方針が出されるまでは指紋押捺拒否者にしましても特別の支障なしに外国に行き再入国をしてくる。そのことで実は何ら不都合なところは起こってこなかった。ところが、それが指紋押捺拒否運動というものが広がってくる。それを抑えるためのいわば一つの手段としてこういう再入国を許さないというような大変意地の悪い政策がとられている。それは私はどうも解せない。やはり日本にとっての、これから日本が国際化していく、外国人の在留というようなものも非常に多くなってくるだろうと思います。そういう中で指紋押捺拒否はこれはこれで指紋押捺の問題でございます。それはそれとして切り離し、しかし再入国というのはそれとはまた別の次元の問題ということで考えるのがやはり至当ではないか。そういうふうに今までもやってきたわけでございますから。この辺のところはいかがでございましょうか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 出入国管理法上、これは我が国の出入国管理法に限ったことではございませんけれども、我が国を含めましていかなる国におきましても、在留管理と入国許可という問題の間にはかなり質的な相違がございます。このことが、法律上の条文の観点から申し上げますと、上陸拒否事由と退去強制事由の違いとなってあらわれているものと申し上げることもできると存じます。したがって、一たん出国した外国人の入国の問題と既に入国して滞在しておる外国人の取り扱いの問題との間にはかなり大きな相違があるわけでございます。そういう観点から再入国許可につきましても新たに入国する外国人という観点で我が国の利益に照らして判断をしておるということでございます。 今まで差し支えなかったではないかという御指摘もございましたけれども、その時点までの取り扱いにつきましては、当局といたしましても決してこれを放置しておったというわけではございませんで、その取り扱いをいかにすべきかということを検討はしておったということでございます。したがって、それまで無関心であったのが突然関心を持って非常にトラスティックなアクションに出た、措置に出たということではないのでございます。
○天野(等)委員 それではこういう観点からお尋ねしましょうか。 今、特に韓国籍の方たちの中で、指紋押捺拒否という形の運動と言っていいんでしょうか、そういう意見が強くなってきております。ことしじゅうに三十七万でございましたかの再登録ということで問題になってきております。この問題についても法務省としては指紋押捺拒否ということが大量に出てきた場合にどういうふうな態度をおとりになるつもりなのか、まずこの点からお伺いします。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 この点につきましては、午前中の質疑におきまして法務大臣からかなり詳細にお答えいただいたところでございます。押捺拒否という問題は我が国の在留に関する基本法に対する違反を公然かつ故意に行うということを意味するわけでございまして、私どもは極めて重大かつ深刻に受けとめておるところでございます。 これにつきましては、まず第一義的にこの窓口となります市町村におきまして押捺の定めに従うように説得を尽くすということをいたしておりまして、このためにその押捺拒否に対して直ちにアクションをとることなく、辛抱強く実際に説得の努力が行われておるのでございます。 しかしながら、相当の期間を経過した後になおかっこの押捺に応じないという場合におきましては、告発を経て捜査あるいは送検ということになる、要するに罰則規定の適用の手続が開始されるということになるわけでございます。
○天野(等)委員 今の局長のお答えの中にもありましたとおり、この指紋押捺拒否という問題については法務省は基本的には説得でいこうということでしょう。私はそうだと思うのですよ。これはやはり説得でいくというのが筋だと思う。一方でそういう筋を立てておきながら、それで再入国の問題についてはぴしゃっと窓を閉ざしてしまう、これはやはり説得という筋とは違うんじゃありませんか。やはり説得という筋を一方でとるならば、再入国という問題についてわざわざ嫌がらせをしなくたって、これはますます硬化するだけでしょう。こういうペナルティーを与えるから、だからおまえたち指紋を押捺しろという言い方ではなくて、やはりこれが必要なんだとすればその人に説得をしていこうという、私はこの法務省の立場は正しいと思うのです。それならば再入国拒否の問題についてもやはりそういう立場から考え直していただきたいというふうに考えるのですが、いかがでございますか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 説得が第一義的な立場であると申し上げましたとおりでございますが、遺憾ながら説得が功を奏しないケースが余りにも多くなりつつあるというのが現状でございます。したがいまして、私どもといたしましては、説得のみによってそれが功を奏しない場合に手をこまねいているというわけにはまいらないという認識を持っているわけでございます。
○天野(等)委員 ということは、状況としてはもう既に告発なしにも捜査なり何なりに踏み切るという状況になっているという御認識ですか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 この問題は捜査当局との関連も多い問題でございますけれども、私どもといたしましては、これら関係機関とも密接に協議、連絡をいたしまして、既に極めて長期間をその事態が生起してから経過している案件がかなりございます実情にもありますので、告発なしに捜査あるいは送検といった手続に移ることが当然あってしかるべきであるというふうな認識を持っております。
○天野(等)委員 それでは捜査という観点から刑事局長にお尋ねしたいと思うのですけれども、これは既に今の状況で考えて三十七万人の再登録ということを控えていて、今直ちに検挙していくというような方針をお持ちでございますか。
○筧政府委員 三十七万人か大量に拒否者が出るかどうか、まだ現段階では私どもちょっと承知いたしておりませんので、その点についてはちょっとお答えいたしかねると思います。ただ、押捺拒否することが罰則に該当することは明白でございますので、事案の実態に応じて適切な措置をとるべきものというふうに考えております。
○天野(等)委員 事柄はかなり具体的なことでございますか、また午前中の横山議員の質問に対する法務大臣の御答弁の中でも、今後ともやはりこの問題について検討を加えていく余地についても考えられるというような状況ではないかと思うのですが、私はやはり、午前中の大臣の御答弁の中にも、二年前に外登法の改正があり、二年間のいわば引き延ばしといいますか、再登録の引き延ばしという形が行われた、それが実際に適用されることなしにまたここで改められるというのはどうもおかしいのじゃないかというような御趣旨に私もちょっと聞いたのでございますけれども、私は、むしろその方がいいのではないか。二年前に再登録の期間を延長したという形で大きな混乱が起こるのをとにかく防いだ、その間に世論のいろいろな動向も見ながら、やはりこの際に思い切った一つの手を打っていただける時期なのじゃないか。そのためには、やはりまず在留外国人の方々に扱いの不公平がないような形でということも一つ考えておかなければならないことであって、今問題が起こっている中で、告発あるいは検挙というようなことで問題を刑事的に解決するのではなくて、説得というようなものを手段にしながら、そうしてやがて法改正というような方向に持っていけないものかどうかということなのでございます。 その段階の中で今起こってきている再入国の問題でございますけれども、この再入国の点についても、やはりもう少し実際の外国人の生活に即した対処の仕方をしていただけないものかどうか。特に再入国を申し出た者に対するペナルティーというような形でこの指紋押捺が出てくるというのは、どうも私は解せないわけでございます。きょうの新聞に出ておりました外国の通信社の方にとっては、これは再入国というのが自分の仕事をしていくためにはどうしても必要なことでございまして、再入国許可が得られない以上、恐らくあの方は日本で通信社、新聞社の仕事をしていくことはできないだろうと思います。同じようなことで、韓国等への往来というようなことで仕事をなさっている在留韓国人の方もかなり大勢いらっしゃる。そういう方たちにとって、やはりこの再入国許可を与えないというのは、生活の手段を奪われるにも等しい非常に大きなペナルティーだろうと思うのです。やはりその点にも十分な配慮が必要ではなかろうか。外登法といういわば一種の形式犯でございます。そのことによって生活の基礎まで奪われてしまうというようなことがあってはならないのじゃないか、そういう点でのもう少し温かい配慮というものがいただけないかということでございます。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。先生御指摘の点は、私どもとしてもちろん理解できなくはない点でございます。しかしながら、私どもといたしましては、ぜひとも現行の我が国の在留に関する基本法規は守っていただきたいということがあるわけでありまして、およそいかなる主権国家であれ、その国の現行法規に違反することを最初から堂々と公言した場合にその入国を認めるか否かというものは、極めて疑問でございます。これは我が国に関したことばかりではございません。したがって、そうした観点から、私どもといたしましては、そうした制約を付するということに伴う本人の不利益は承知の上で、なおかつその法律を遵守するということを前提として考えてもらいたいがためにこうした措置をとっておるのでありまして、関係在留外国人としてはその点に関する私どもの認識を理解してほしいと、私どもの方からお願いしたいところでございます。
○天野(等)委員 水かけ論的になってきますから私はこれでやめますけれども、しかし、二年前になって突然方針が変更されているというようなこと、従来は何の支障もなしに指紋押捺拒否者にとっても再入国を認めておったということ、そういう事情の中で二年前から突然の政策変更、それが押捺拒否者が大量に出ることに対する予防措置といいますか、それを抑えるための措置だというのは、やはり私は、いかにも国際的な観点から見ても決して好ましいことではないのじゃないかというふうに申し上げておきたいと思います。 次に、先ほど午前中も問題になりましたグリコ・森永事件の関係での特別立法の問題でございますけれども、ちょっと一言お尋ねをしておきたいと思いますが、このグリコ・森永事件、確かに世間の注目を集めておりまして、私たちも、一日も早く犯人がつかまり、そして市民の安全が確保されるということを望んでおるわけでございますが、そのために、このグリコ・森永事件の解決のために何らかの特別立法が必要だというふうに法務省としてはお考えになっていらっしゃるのかどうか、この点はいかがでございますか。
○筧政府委員 午前中も申し上げましたように、私どもといたしましては、このグリコ・森永事件の解決のために必要というふうには考えておりません。解決のためには、とにかく一日も早く犯人が検挙されて真相が解明されるということがまず絶対的に必要であろうと思っております。 ただ、今回の立法につきましては、この事件によってあらわれた流通食品に危険な毒物を混入するという非常に危険な行為、これが今後発生することも考えなければならないわけでございますから、それを予防するために、あるいはそういうことが起こった場合に適切な措置がとれるために総合的観点から特別立法を考えるということは、この種犯罪の今後の防止のために資するところがあるというふうに考えておる次第でございます。
○天野(等)委員 その点について、午前中問題になりました、毒物混入の事実を知った者の届け出義務というような形で捜査に一般市民の協力を得よう、協力を得ようというところまでは私も大変いいと思うのですが、当然のことだと思うのですが、これを罰則をつけて協力義務というところまで持っていくというこの考え方について、一つは、こういう形で市民に協力義務を持たせることでこのグリコ・森永事件を解決していこうというふうに考えられるのか、また、こういうふうな形の協力義務でこの事件の解決が図られていくものなのかどうか、この点はいかがでございますか。
○筧政府委員 この事件の解決のためにという趣旨でないことは、先ほど申し上げたとおりでございます。 ただ、現在の事件、なかなか検挙ができにくいということは一つ現実にあるわけでございます。今後同種の犯罪が起こった場合に、やはり同様に検挙は非常に難しいということが、今御指摘の協力に罰則を設けるということの理由の一つにはなり得るかと思います。 それともう一つは、その対象となっております流通食品に危険な毒物を混入するという行為、これが非常に危険な行為であるという、それに対する評価と、それから犯人の検挙がなかなか難しい事案である、今後起こりました場合に、そういう場合に、犯人を検挙するためにどこまで必要かということで、今の協力義務を罰則で担保するという考えはそういう点に基づいているものだろうと思い、それはそれなりに理由があると考えておるわけでございます。
○天野(等)委員 私は、市民の協力が義務にまでなっていく、罰則つきの協力義務にまでなっていくというところに非常にある危険性を感じるのです。これは午前中にもお話が出ました爆発物取締罰則ですか、あの法律に確かに、私も先ほどちょっと見ましたら、それに類似のことがございます。あの法律を見ますと、明治十何年かの太政官告示から始まった罰則でございますし、その後の改正も明治四十一年と大正七年の二回改正をしたきりという全く古色蒼然たる罰則。あれを読んでみましても、やはりあれは犯罪を告知しないと懲役だという形のものでございまして、そういう罰則もあるようでございますね。やはりこれは非常に国家主義的な思想に基づいた立法なんじゃないか。確かに爆発物というものが非常に危険なものであるかもしれないし、また今度言われている毒物についても非常に危険なものであるかもしれないけれども、やはり国の捜査に協力をしなければ罰則だぞ、罰金だぞ、あるいは懲役だぞというような、こういう考え方というものが近代的な捜査というものになじんでいくものなのかどうか。市民の協力を仰がなければならないのは、それはもちろんだけれども、やはり捜査というのはそういう納得の中でのことであって、警察に協力しなければ罰則というような考え方で捜査というものをやっていくのは、私は捜査の考え方としても間違っているのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。いかがでございますか。
○筧政府委員 先生の今の御意見のような考え方も確かにあろうかと思います。要は、先ほど申し上げましたように、今考えておられます行為の危険性、それと犯人検挙の困難さということを考えまして、罰金による罰則というものがそれなりに必要性は認められるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○天野(等)委員 この問題についても、私としては、やはりそういう形での市民生活に対する束縛というのは避けていかなければならないのではないかという私の見解を申し上げるにとどめておこうかと思います。 次に、今世上を騒がせておりますもう一つの事件、山口組対一和会の暴力団の抗争というようなものがございますけれども、そういうことであちこちで暴力団同士の抗争が起こっている。聞くところによりますと、刑務所とか拘置所、ここには相当多数の暴力団関係者が収容されている。そこでこの山口組対一和会の抗争関係というものが収容されている人たちの中にもあらわれてきて、そしてそれがお互い同士の抗争だけではなしに第三者を巻き込むというような、そういうおそれもあるのではないかと思うのでございますが、この点はいかがでございましょう。
○石山(陽)政府委員 ただいま天野委員おっしゃいますとおりでございまして、あの事件が報道されましたとき、私、二つのことをすぐ胸の内に浮かべたわけでございます。 一つは、ただいま委員仰せのとおり、この問題が刑務所内の対立抗争事犯に波及いたしまして、その他の無関係の一般受刑者の方にそういった影響が及びやしないか。それともう一つは、対立抗争自身が、派閥の関係者が対立抗争しております社会一般の現象が刑務所内に、いわゆる行刑施設内に及びやしないか。この二つを憂えたわけでございます。 現在、我が国の矯正施設は、受刑者だけで申しますと約四万五千名おりますけれども、そのうち二八・六%、昨年の暮れ現在でございますが、ですから大ざっぱに申しまして約一万三千人、暴力団関係の受刑者がおります。その間に拘置所が約一万人おりますので、大体その比率も同じようなものではないかと考えております。その中には、もちろん山口組系及び一和会系両方おりますので、数は全体的に申しますとそれほど多くはございませんけれども、当然そういった事態が所内に波及いたしまして、それによりまして所内の規律秩序を乱されたり、対立抗争によりまして巻き添えを食った無関係の一般受刑者その他の収容者に迷惑が及ぶ、こういうことがあってはならないわけでございますので、私どもといたしましては、あの事件を承知いたしました後、直ちに全国施設にはその旨警戒措置をとるようにということを内部的に指示いたしまして、目下対策といたしましては、一般の対立抗争事犯に関します各種の情報を我々施設側においてもできるだけ入手すること、それからいわゆる居室の指定、工場の出役、そういう関係におきまして対立抗争事犯が起きないように、対立しております派閥関係者たちをなるべく一緒にしない措置ができないか、あるいは警備用機器の充実に努めまして、そういったものの動静監視に十分努めてそういう事犯を所内に起こさせないようにする、それによって一般の無関係の受刑者たちにそういった心理的あるいは肉体的迷惑を及ぼさないようにする、これらの措置をただいまとらしておるという現状でございます。
○天野(等)委員 現在そういう対立抗争が刑務所あるいは拘置所の中にかなり持ち込まれておるという事案はございますか。
○石山(陽)政府委員 今回の関係の対立派閥の抗争というのは、あの事件後ただいままで一件も起きておりません。 ただ、過去には、あの系統の対立抗争ではございませんが、小さな事件でございますが、そういった施設内におきまして、一般社会で対立する派閥が、ただいま申しましたような状態で所内の作業あるいは舎房内というようなところでけんかをしたり口論をしたりという程度の小規模な反則事件を起こしたということは、何回かございました。
○天野(等)委員 山口組対一和会というのはかなり大規模な対立関係ではないかと思うのですが、それに関連しての、例えば収容者の房の移しかえとか収容場所の変更とか、そういうようなところまではお考えにならなくても大丈夫な状況でございますか。
○石山(陽)政府委員 ただいままでのところ、山口組系だけに限って申しますると、どうしても出身地の関係がございまして、関西地区の行刑施設にたくさん入っておるという現状で、関東以北には割に少のうございます。おっしゃいますとおりに、舎房関係で対立抗争の派閥同士を入れるということは非常に所内の規律、秩序維持の上におきまして問題を生じまするので、なるべくそれは舎房を変える等の措置は当然とっておるわけでございます。 それから、お話に出ましたその収容者を数の関係、質の関係いろいろな面から考慮いたしまして、同じ施設に置いておくというのがよくないのでほかの施設へ移そう、これはいわゆる我々の言葉で申しますと広域収容と申しますけれども、そういう措置をとることも過去にございましたし、これからまたそういう対立抗争事犯がふえました場合には、そういうことも考慮していかなければならないというふうに考えております。
○天野(等)委員 暴力団の対立で暴力団員自身がいろいろな傷害事件を起こすというようなことも、これはまた避けなければならないことであると同時に、ほかの収容者の安全ということもぜひ考えていただきたいというふうに思います。 それから、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、人権擁護局長にちょっとお尋ねしたいのですけれども、各都道府県の人権相談といいますか人権擁護委員の相談、そういうところで最近問題になっております学校暴力とか少年非行とかあるいはいじめっ子、いじめられっ子というような問題、こういうような問題についての相談というようなものがあるというふうにお聞きをしているのですけれども、この場合、人権相談という観点と、それから学校の教育という観点をどういうふうにつなげてやっていらっしゃるのか、学校に対する通知とかそういうようなものはなさっているのかどうか、その辺はいかがでございましょうか。
○野崎(幸)政府委員 ただいま先生の御指摘のいじめの問題でございますが、最近児童の間にいじめの問題が非常に発生しておりまして、その内容が次第に深刻化しつつあるということは最近の新聞などでも報ぜられるところでありまして、大きな社会問題となっておるところでございます。このいじめの問題は主として学校で発生いたしますことから、学校教育の問題に非常に深いかかわりがあるわけでございまして、文部省でもこの問題の解決のために非常に全力を挙げて取り組んでおられるというふうに伺っております。 ところで、いじめの問題は、学校教育の問題でありますとともに、同時に人権の問題でもあるわけでございまして、幼児あるいは少年期に始まるいじめの問題は、いわば差別にかかわる一番最初の問題であるというふうにも考えられるわけであります。そこで、人権擁護機関といたしましては、この問題に今後真剣に取り組んでいこうではないかということを考えておるわけでございますが、そのかかわり方につきましては、学校、行政の分野を侵すことなく、啓発を主といたしまして、そのいじめっ子が出ておる、あるいはいじめられっ子がいる環境、それから家庭あるいはその近隣の社会に対しまして、いじめというものがいかに人権の侵害になるものであるかということを訴え、みんなでこの問題を解決していくという方向を啓発してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○天野(等)委員 具体的にいじめられっ子といいますかそういう子供あるいは子供自身というよりはその家庭だと思いますけれども、家庭からの相談というのはあるわけだと思うのですが、そういう場合には学校にそのことを連絡はするのですか。
○野崎(幸)政府委員 これまでにいじめの問題が人権の問題として取り上げられたケースはなくはないのですけれども、これはどちらかといいますと、学校にお任せをしておったような状況がございまして、その数は極めて少のうございます。少ない例の中で、少ないながら人権問題として人権擁護委員あるいは法務局がかかわった事案では、その事案の状況に応じてその家庭にコンタクトをしたり、あるいは学校にその内容を通報したりして処理をしてきておるわけでございます。
○天野(等)委員 法務省の官署というと何となくいかめしい感じでございますから、学校の方としてはかなり拒否反応があるのじゃないかなという感じが私はするのです。要するに、この問題は学校の問題だから、法務省の関係するところではないのじゃないかというような拒否反応が出てくるような気がするのですが、この点はいかがですか。
○野崎(幸)政府委員 ただいま御指摘のようなことになってはならないと考えまして、既に文部当局ともコンタクトをいたしまして、お互いの分野を守ってこの問題に真剣に取り組んでいこう、そしてこれを解決するためには将来、お互いに協力してやっていこうということになっております。それで、新聞、雑誌等で見ておりますと、いじめの問題というものは、意外に担任の先生が気づいていないという場合があるとされております。しかしながら、私も子供がおるわけでございますけれども、子供は実はそのことを家庭に帰ってよく話題にはしておるようでございます。そこで、全国に一万一千五百おられます人権擁護委員はそれぞれの家庭があり、それぞれの地域に住んでおられるわけでございますから、自分のお子さんである、あるいはお孫さんである、あるいは近所の方からそういった情報を収集してくる機会にかなり恵まれておるわけでございまして、あるいはそういう情報を入手したときにそれを適切に処理していく、そして状況によっては学校に連絡をしていくということをいたしますれば、学校とも協力してこの問題の解決に進んでいくことができるのではないか、かように考えておるわけでございます。
○天野(等)委員 また、少年の問題とも関係して、もう少し時間をとってお聞きする機会があるかと思いますが、時間がございませんので、先に進ましていただきたいと思います。 きょうの新聞に出ておりました中国の残留孤児の就籍の問題でございますけれども、実は私、昨日この質問通告をいたします時点では、就籍して日本国籍を取得した者と取得しない者との差といいますか、違い、そのメリット、デメリットというようなことを考えて、その辺のデメリットを埋めることができないかということで考えておったのですが、きょうの新聞を見まして、その点は一挙に縮まったのだなというふうに読んだのでございます。従来厚生省の方で、たしか日本国籍を持っていれば帰国旅費等も支給するけれども、日本国籍を取得していない場合には帰国旅費等を支給しないというような扱いであったように聞いておるのですが、今度の中国との合意という形で、この点はどう解決されることになるのでしょうか。
○森山説明員 中国残留孤児の親捜しは厚生省も一生懸命やっておるわけでございます。この結果、身元が判明しないで中国にお帰りになった、しかしながら日本に永住をしたいという御希望のある方があるわけでございまして、こういう身元未判明の孤児の方の日本永住という問題につきましては、実は昨年の三月に日中間で合意をしておりまして、こういう人でも本当に日本に永住を希望するならば日本政府はこれを受け入れるという合意書を交換しているわけでございます。これは口上書という形で交換したわけでございます。それで実際の仕事のやり方とかそういうことを協議しておったわけでございますが、今回中国側から回答がありまして、日本側案のとおりやって差し支えないというお話でございました。 今後どうなるかと申しますと、つまりそういう方に対しましては私の方から案内状といいますか、今度こういう制度ができましたという案内を差し上げまして、お帰りになりたい希望の場合はこういう申請を直接厚生省にしてくださいというものを差し上げることにしております。それで、そういう申請を厚生省で受け付けましてそれを承認いたしますと、帰ってくる旅費、それから日本国内で定着する場合のいろいろな援護、これは従来の人と全く同じような援護をやるわけでございます。 従来はこういう制度が若干おくれておったわけでございまして、孤児の方の中でも非常に急がれて日本に定住したいという希望があったわけでございますけれども、これは中国との約束が、話し合いがまとまらないと日本政府だけでは動けなかったものですからもうちょっとお待ち願えないかということを申し上げておったわけでございますが、非常に急がれる方が中国におられる間に日本に代理人を立てて、家庭裁判所に就籍の許可をもらってお帰りになったケースが何件かございました。この場合は戸籍にその方の名前が載るわけでございますので、日本人ということで扱うわけでございまして、そういう方については制度発足前ではございますけれども、帰国旅費などを厚生省で支給した、こういう経緯でございます。
○天野(等)委員 今のお話にありました父母といいますか、身内の方が確認はできないけれども日本人であるということは確認できるという形で就籍をされる。しかもそれが、本人は中国にいて日本で代理人を立てて就籍ができるようになったということが、たしか去年のこの法務委員会でも問題になりましたが、その後、そういう件数というのはどのくらいあるものでございますか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 全国家庭裁判所における中国残留日本人孤児の就籍許可申し立ての受理状況でございますが、昭和五十七年は十件、昭和五十八年が七件、昭和五十九年が六十件、合計七十七件となっておりまして、そのうち、申立人が中国在住のままで代理人による申し立てがなされている件数は四十六件でございます。若干、取り下げ等で終わっている数件の事件に、ついて、果たしてこういう中国在住で代理人による申し立てか否か、不明のものもございますので、概数として御理解いただきたいと思います。
○天野(等)委員 今の数字を見ましても、恐らく昨年、爆発的に大きくなったということが言えるのだと思うのです。 ところで、今回の厚生省のといいますか日中間の合意ということで、中国にいて、強いて日本に代理人を立てて就籍をしなくても、日本人と同じ扱いをしていただけるようになるのかどうか、この点、もう一度ちょっと厚生省にお尋ねをしたいのですが、いかがですか。
○森山説明員 厚生省は援護という立場で仕事をしておるものでございますから、援護の立場でいけば、戸籍がなくても全く同様の援護をするということになっております。
○天野(等)委員 この点、法務省の入管の関係はどうなるのでございましょうか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 中国残留孤児という方々の中には、先生今御指摘のとおり、身元が判明して既に就籍を認められている音あるいは就籍を申請している者と、それから身元が全く判明しないで中国の旅券を持って日本へ入国しようとしている者と、大きく言って二つに分かれるわけでございます。 既に就籍の許可を得た者は、これは例えば北京の日本大使館その他中国の日本在外公館におきまして旅券を取得することができるわけでございますから、これは当然日本人として入国が認められるわけでございます。しかしながら、日本系の中国人であるというだけで身元の判明しない者につきましては、中国旅券を持って日本へ入国することになるわけでございまして、この場合には形式上は外国人として入国を認めるということになるわけでございますけれども、事案の背景がございますので、私どもといたしましてはできるだけその手続を簡略にして入国が促進されるように心がけてまいりたいと思っておりますし、既にそういう措置をとっているわけでございます。
○天野(等)委員 その場合、日本に永住する意思を持った場合に、一つは中国人としての外国人登録をするという方法と、それから就籍をするという方法、この二つになるわけでしょうか。身元がはっきりして戸籍がはっきりわかれば別ですから、就籍をするか、外国人登録をするかという問題ですが、外国人登録を一遍した場合に、その後、いや日本人として就籍したいということは可能なんでございますか。
○小林(俊)政府委員 これはあるいは民事局の方からお答えいただいた方がよろしいのかと思いますけれども、それは当然可能であるというふうに私どもは理解いたしております。
○天野(等)委員 そうしますと、どちらの方法を選んでも本人にとっては不利益にはならないというふうに理解してよろしいわけですね。
○小林(俊)政府委員 そのように御理解願って差し支えないと存じます。
○天野(等)委員 この問題もまだ戦後が終わっていないという感じの事件でございまして、私たちとしても一日も早く中国残留孤舟の家族の方が見つかるようにということでこれからも力を尽くしていかなければいけないんじゃないかと思いますけれども、法務当局でも、ぜひともこの点についての温かい御配慮をお願いしたいというふうに思います。 もう一点。これも午前中横山議員の方から質問がございました恩赦の関係でございますけれども、恩赦一般というふうに考えまして、恩赦の基準といいますか、これは帝銀事件の平沢さんについての関係なんでございますけれども、こういう場合は恩赦はだめなんだというような基準というものがあるわけでございますか。
○俵谷政府委員 お答え申し上げます。御案内のように、恩赦につきましては中央更生保護審査会におきまして本人の出願、上申権者からの上申、これに基づいて審理が行われる、その結果、理由がある者につきましては法務大臣に申し出がなされまして、大臣から内閣に閣議を招請されまして、その結果恩赦が決定される、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、この中央審査会におきましては独立して慎重に審理を進めるということになっておりまして、私どもその審理の内容につきましては具体的なことは承知いたしていない、もちろん関与もいたしていない、こういうことになっておるわけでございますが、審査会が審理を行いますときにどのようなことが行われるかということを法律の規定に従いまして申し上げてみますと、犯罪者予防更生法というのがございまして、その五十四条に恩赦の申し出を審査会がいたす場合の規定がございます。これによりますと、審査会が恩赦の申し出をなす場合には「あらかじめ、本人の性格、行状、違法の行為をする虞があるかどうか、本人に対する社会の感情その他関係のある事項について、調査をしなければならない。」こういう規定がございます。その規定のほかに調査を行う場合の規定が同じ法律の五十七条に定めてございまして、裁判所、検察官、監獄の長その他につきまして必要な記録あるいは書類、意見書等の提出を求めることができる、こうなっておりますので、これらをもとにいたしまして審理が行われるということになるのだろうと思います。したがって、具体的な基準があって、こういう場合にはだめということがあるかないか、その辺は承知いたしておりませんが、恐らくこのような規定のあるところからいたしまして、ここに書かれてあるような事柄が判断の要素になるんではなかろうか、かように考えております。
○天野(等)委員 と申しますと、自分の判決について一応認めるといいますか、不服申し立てをしているというような態度ということでは恩赦としては認められない、そういうことはあるんでございましようか。
○俵谷政府委員 さような判断自体も審査会において行われるということでございますので、私からお答えするのはいかがであろうか、かように考えます。
○天野(等)委員 審査会というのは随分秘密のベールといいますか何かわからない、幕の奥の方でやっているような感じがするのですが、しかし、本来どうなんでしょうか、もっとオープンに恩赦というものについてもそれなりの基準も示し、世間の目から見てもなるほどと納得されるようなそういう基準というものが公表されてもいいように思うのですが、いかがでしょう。
○俵谷政府委員 お答え申し上げます。 一般的な恩赦ということになりますとそういう問題が出てくる場合もあるだろうというふうに考えますが、恩赦はあくまで個別的な事件、個別的なもの、個別恩赦というのが中心でございますので、それぞれ具体的な事情があり、具体的なバック、背景なりいろいろな要素があるということでございますので、一概に基準というのはちょっと難しい問題ではなかろうか、かように考えます。
○天野(等)委員 それこそ何か私、むしろわからないところがあるのです、恩赦で減刑というようなこともあるわけですからね。死刑が罪一等減じられて無期懲役に恩赦でなるということもあり得るわけだと思うのですが、その場合の基準といいますかそういうものが余りにも漠然とし過ぎていると今度はかえって法的な安定性も損なわれるんじゃないか。再審なんかの場合にはそれなりの非常に厳しいあれがあるわけですけれども、恩赦という形で何か実際の刑罰権の執行が停止されたり取り消されたりすることになるわけだと思います。我々外から見ていまして、どうもこの恩赦の機構というものがよくわからないというふうになっているので、何かもう少しガラス張りの機構にこの辺を考えていけないものかどうか、この辺について、大臣、いかがでございますか。
○嶋崎国務大臣 ただいま恩赦の問題の御質問でございますが、私も就任しましてから内閣の方に進達した件数というものは相当の件数に上っておるというふうに思っておるわけでございます。個別的に詳細なデータを積み重ねてまいりまして、しかも五人の中央更生保護審査会の皆さん方が十二分の審査を遂げて結論を出されるという過程を経ておるわけでございます。その内容等については本当に一件一件、相当部厚い書類が回ってきて、私も事柄が非常に重要なものですからほとんど読ましてもらっておりますけれども、そういう意味では相当真剣にこの問題に取り組んで整理がされておるというような感じがするわけでございます。しかし、恩赦というものの性格から見ましてそれが個別案件ごとに非常に内容的に異なったものでございますから、それを何か一律に明らかにするような基準をつくるということは非常に難しい話だろうというふうに思って、個々の案件を見ておるというようなのが実態でございます。しかし、できる限り、これらの問題につきましても、審査会の委員の皆さん方が勉強されて、今まで長い伝統を持っておるわけでございますから、そういう中で的確に処理されておるのだろうというような——毎週のごとくある例えば閣議に我々出ますけれども、恩赦件数一回何件というような数字で出ておりますから、相当吟味をされてやっておられるというふうに私ども把握をしております。
○天野(等)委員 最後にお聞きいたしますけれども、今の恩赦のあれでいきまして、平沢さんの場合に、可能性としては恩赦の可能性はなくはないわけですね。これは最後、大臣から。
○嶋崎国務大臣 非常に難しい御質問でございますけれども、御承知のように、四回目の恩赦が今取り扱われておる段階で、さらに最近、刑の執行停止というようなことを理由として五回目が決着のつかないままに出るというような状態になっておる事態があるわけでございます。また、御承知のように、再審も今十七回目が進行しておるというような状況になっておるわけでございまして、過去のそういう事案の整理またそれに至るまでの長らくの経過というものを考えてみますと、なかなかそこで、個別案件のことですから予想のできることではありませんけれども、非常に難しい案件なのではなかろうかと、これは推測以上のことは全く言えませんけれども、考えておるような次第でございます。
○天野(等)委員 私、平沢の問題も、歴代の法務大臣がずっといろいろ苦慮をされた、しかし、その間に、そういうことのために三十年間死刑のための拘置という形でもってずっと置かれてきてしまった、拘束をされてきたという事実、これはある点で言いますと、やはり実質的には刑法にない刑罰を受けた、そういう感じもいたします。そういう点からも、この点についても、法務省としてもやはり何らかの手を考えていただけないかということをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
○片岡委員長 岡本富夫君。
○岡本委員 大臣の所信表明に対しての質疑をいたします。 午前中に、グリコ・森永事件についての若干の質問もございましたが、大臣の所信表明の中にもこの問題についてのことがございますので、もう少し詰めていきたいと思います。 こういう投書が私の方へ来ているのです。 毎日の仕事で多忙をきわめる私だが、二人の息子たちを買い物に連れて行けるのは、月一度あるかなしかである。私が子供たちをスーパーマーケットに連れて行くと、子供たちは生き返ったようにはしゃぎ回る。子供たちは菓子棚から、チョコレートを取り出したり、ポッキーを取り出したり、二人で予算に合わせて、指折り計算する。父親として、その姿は何ともほほえましいものだ。しかし、グリコ・森永事件から、そういった商品が撤去されて、非常に今では寂しいきわみだ、一日も早くグリコ・森永事件の解決をしてもらいたい、こういうような投書も来ております。 そこで、あえてきょうはこの問題について御質問を申し上げるわけですけれども、警察の方も非常に熱心にこの問題について頑張っていただいておる。末端の刑事さんなんていうのは一生懸命にこの寒いのに走っているわけですが、しかし、まだなかなか解決しない。この間の連休、制服の皆さんがどんどん回っている姿をテレビで見ておりましたけれども、午前中にそれに対して若干いろいろな話がありましたけれども、あれは非常に大きな抑止力になっておる。したがいまして、ことしに入りまして、バレンタインの前に東京と名古屋で相当な動きがありましたけれども、前のような状態でなくして、非常に慌てたような犯人の行為であったということは、非常に大きな抑止力になっておるのではないか。したがって、今後もどうかひとつ犯人の検挙をすると同時に、そういった国民の皆さんに危害のないように大いにまた頑張っていただきたい、私はこういうように考えるわけでございます。 そこで、我々としましてはやはり立法問題になるわけで、明日自民党の方から、私ども公明党もこのグリコ・森永事件の対策委員会というのをつくっておるわけですが、そこに立法の趣旨の大綱を持っておいでになるようでありますけれども、新聞報道を見ますと、自民党さんの今度の立法について、流通食品に毒物を混入したら懲役十年以下とか、こういう案が出ておるわけですけれども、けさほどは、現在の刑法でほとんど取り締まれるのではないかというようなお話でございましたが、刑事局長さん、もう一遍ひとつこの点について御答弁をいただきたいのです。
○筧政府委員 午前中申し上げましたように、現在犯行を継続しておりますグリコ・森永事件につきましては、現在まで新聞等で明らかになりました行為、これを現行法に照らしますと、身の代金目的誘拐あるいは現住建造物放火、殺人未遂、恐喝未遂、逮捕監禁致傷、強盗等、その他多くの罪名に当たる。その法定刑の中には、殺人未遂あるいは現住建造物放火のように死刑まであるものもございますし、それから身の代金目的誘拐等は最局刑無期がございます。それから、多くの強盗その他の点につきまして、これを併合罪で加重いたしますと有期の懲役でも上が二十年までいく。したがいまして、現在のグリコ・森永事件犯人が検挙されました場合には、今申し上げました法定刑の範囲内でそれ相応の刑罰を科し得ることが可能である。その意味で、現在のグリコ・森永犯人に対しては現行法で対応できると申し上げたわけでございます。それとは別に、今回、今までは余りございませんでした流通食品に危険な毒物を混入するという行為、これに対する将来の防止とか、それに対する処罰という総合的な観点から新しい立法措置が講ぜられつつあると聞いておりますので、それはその趣旨で、将来のこの種犯罪の防止にも資するところがあるであろうと考えておる次第でございます。
○岡本委員 もうちょっとお聞きしたいのですが、これは流通食品ですね。私たち子供の時分にネコイラズというのがありまして、まんじゅうの中に入れて置いておくわけです。ネズミが食べるとネズミがとれる、こういったものを過って食べた場合、これがこういうような今のグリコ・森永と同じようなことになるとちょっと問題ではないか、こういうふうに考えるのですが、もう一遍、局長さんどうですか。
○筧政府委員 今自民党で立法作業が進められていると聞いております法案の内容について、まだ私も詳細あるいは確定的なものを承知しておりませんので、新聞等で報ぜられている内容をもとに申し上げますと、まずあの場合には、流通食品、公衆の飲食に供するという形で流れている流通備品という限定がございます。したがいまして、スーパーからチョコレート等を買ってきて自宅に置いているものにだれかが毒を入れたという場合には、この犯罪とは関係がないわけでございます。それから、ネコイラズがこれにいう毒物に当たるかどうかはちょっと私自信がございませんが、仮に当たるといたしましても、今のように流通食品という概念から外れますし、あるいは過って食べた場合、その場合にネズミのために毒を入れた人の認識として、人が食べることもあり得るという認識があるといたしますと、未必の故意で殺人ということにもなりかねないわけでございます。そこは具体的な事実関係のいかんによろうかと思います。
○岡本委員 もう一つ、毒物の混入ということを警察へ通報しないと二十万円以下の罰金、こういうような報道でありますけれども、これは恐らくメーカーあるいはそういうところの裏取引を禁ずるためにこういうことをやるのではないだろうか、こう考えるわけなのです。そうでないと毒物が入っているというのはなかなかわかるわけがありませんから。わかればだれもそんなものは食べないわけですから。だから毒物を入れずにおどかされて裏取引をした、こういう場合もあるだろうと思うのです。そういう裏取引する場合は、恐らく警察に通報しないわけですから、そういうことで裏取引をした場合もこれに当たるのだろうか。あるいはまた裏取引をしないがためにこういうような二十万円以下の罰金というものを考えておるのだろうかということで、これはまだ苦慮しているわけですけれども、この点についても刑事局長さんの意見をちょっと聞いておきたい。
○筧政府委員 先ほども申し上げましたように、まだ確定的な案として承知しておりませんので断定的なお答えはできないかと思いますが、私の記憶によりますれば、あの法文では流通食品に毒物を混入した場合、あるいは毒物を混入した食品を流通過程といいますか流通の段階のところにまぜ込んだ場合、まぜ込んだということを知った場合の届け出義務であったように思います。もしそうだといたしますと、言うことを聞かないと毒物を入れるぞということを言われてそれを届けなかった場合には、今申し上げました意味での罰則には当たらないのではないかというふうに考えられるわけでございます。 それから、この種の規定が裏取引を防止するためという点は、これも立法例担当の方のお考えによるわけでございますが、私が横から考えますには、それよりもやはりそれによって、犯人の検挙、探知ということが困難な事案でございますので、そういう端緒を得て一刻も早くその犯人を検挙する、そのために一般人の協力を求める、それを罰金等の罰則で担保するという趣旨で、その結果として裏取引の防止ということになるかもしれませんが、直接はそういうことではなかろうかというふうに考えております。
○岡本委員 大臣、今やりとりを聞いておられまして、率直にあなたの御見解をお聞きしたいのです。まだ自民党さんの方がはっきりしていないというようでありますけれども、私どももこれに賛成あるいは反対ということをまだ決めておりませんので、法務省の意見をひとつここでお聞きしておきたい、こう思いまして質問を申し上げておるわけですが、大臣の御意見はどうでございましょうか。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、要綱の段階でございますし、私自身も新聞等によって承知をしておるというのが実態でありまして、これからどういう形で法案が整理をされるのか承知をしておりませんから、余り細かい内容についてお話し申し上げるのはいかがと思います。 しかし、御承知のように、現在問題になっているグリコ・森永事件にっきましては、先ほど刑事局長がお話しされたように、犯人を検挙してその実態を見なければわかりませんけれども、今まで報じられておるような事実が事実であるとするならば、それは十分対応できるというような感覚をもって見ておるわけでございます。しかし、将来の問題として考えてみますと、やはりこういう事犯が非常にどんどん出てくるというのは大変問題が多いところであろうというふうに思っておるわけでございます。 そういう意味合いから、今般自民党において取りまとめられた流通食品への毒物の混入等の防止に関する特別措置法案大綱というのを見ますと、御承知のように、森永・グリコ事件の社会的な影響というのは非常に大きいわけでございます。しかもこれはいろいろな意味でマスコミあたりまで動員をして、しかも社会的に非常に不安を与えておる。先ほどお話がありましたように、裏で整理をされたら事柄の整理もなかなか難しいというような問題もありましょうし、また、こういう問題を積極的に整理をしていくためには、やはり国民挙げていろいろな意味で援助を求めていかなければならぬ。そういう意味で、非常に社会的な影響が大きい事案であるというふうに思うのでございます。 流通食品に毒物が混入されることを防止するために、そういう意味合いから格別な立法をして社会不安を最小限度にとどめたいというような考え方でこれが考えられ、しかもそれを行うについて何か総合的な対策を設定する必要があるのではないかという考え方でこの法案が立案されたのだろう、これは将来の問題でありますけれども、そういうことを十分お考えの上にこの対策を考えられたのだろうというふうに思っておるわけでございます。そういう意味合いから申しまして、今後法案の整理がどういうぐあいに進むかよくわかりませんけれども、私たち非常に残念なことだと思うのですが、過去に刑法問題というのがずっと引き続きあるわけでございます。なかなかこれが政治的な日程に上っておりませんで、法務省として刑法についてどういう考え方をとるのだ、またそういう中で、こういう新しい時代に対応するものについてどう対応するのだという案を政治的にお示しをしてないというのは非常に残念だというふうに思っております。 そういう事態を前提にして考えますと、この立法を考えられた趣旨を我々は理解できるところではないかというふうに思っておる次第でございます。
○岡本委員 この問題は、本当に犯人グループは、もう国民を盾にとって、人質にとって、そうして警察に対しては言いたいほうだい、あるいはまた国民に対しても言いたいほうだい、やりたいほうだいというような感じで、私どもも、捕まえたら極刑にすべきだというような気持ちにもなります。しかし、何といっても犯人を逮捕しなければどうもなりません。 いずれにしましても、若干抑止力にもなるのじゃないかとも考えたのですけれども、この問題についてはひとつまだ私ども、これからいろいろと法務当局にもお願いをしてやってもらわなければならぬところがたくさんあるのです。 そこでまず、薬物、毒物、劇物、こういうものが簡単に入手できるということでありますと、またどんどん犯人がそれを使うということでありますので、これはたしか去年の十二月の十四日に三浦先生の方から厚生省に対して要望をなさっているのを私は議事録で読んだわけですが、厚生省、これに対する対策はどういうようになさったのか、ひとつお聞かせを願いたい。
○小宮説明員 お答えいたします。 毒物劇物につきましては、毒物劇物取締法におきまして保管管理あるいは事故の対策等につきまして所要の規制を行っているわけでございますが、昨年の十二月十四日、当法務委員会でもこの毒物劇物の適正管理につきまして御質問をいただいたわけでございます。 その後、厚生省といたしましても昨年の十二月二十日に都道府県知事に対しまして再度局長通達を出しまして、この種毒物劇物の製造業者に対します重点監視、特に毒物劇物製造業者等の企業内における管理体制の強化、あるいは盗難防止措置の強化等につきまして周知徹底を図りまして、各都道府県で現在毒物劇物監視員を動員しまして厳重な監視、指導を行っておるわけでございます。また、ことしになりまして一月の十一日に、近畿ブロックの毒物劇物担当者の打合会議におきまして、特に近畿ブロック地区における監視、指導の強化を図るというような情報の連絡会をやっております。また昨日、全国の都道府県の薬務主将課長会議がありまして、この毒物劇物の管理につきましては各都道府県の薬務主管課が担当しておりますので、その担当課長に対しましてさらに監視、指導の周知徹底を図るということで、さらに監視、指導の強化を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○岡本委員 そういった通達を出し、あるいはまた例えばあなたが今答えられた十二月の通達、この通達が今どの辺までいっているかというのを御存じですか。
○小宮説明員 通達につきましては、各都道府県におきまして関係の団体にさらに周知徹底を図るべく文書の連絡等を行っております。また、各都道府県におきまして関係業者を集めて講習会あるいは管理徹底上のいろいろな指導を行っておりまして、そういうような講習会あるいは立入検査等の指導を通じましてさらに末端への周知徹底を図っておるところでございます。
○岡本委員 現実を申し上げますと、十二月二十八日付で兵庫県の保健環境部長から薬剤師会あるいは薬種薬協会、メッキ工業の組合長、経済農業協同組合連合会長あてに通達が来ておる。それを薬剤師会は六十年の一月十日に受け取ったわけです。これをこれから会報に載せるわけで、今印刷しておるところなんです。そして二月末か三月の初めに薬局に配付する。マンマンデーといいますか、こういうような状態であるということをあなたは御存じでしょうか。
○小宮説明員 今先生御指摘の事実につきましては、きょう初めて聞かせていただきました。私どもといたしましても、都道府県を通じて関係業者の周知徹底を図るということでいろいろな会議を通じていろいろ指示しておるわけでございますが、今のような連絡が非常におくれておるという点につきましては、今後とも都道府県によく連絡しまして周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○岡本委員 毎日毎日、国民の健康を守らなければならぬというわけで警察では一生懸命動いておる。なのに、片一方の厚生省関係の問題ではなかなか大してはっきりした手を打たない。そのために、ことしの一月中旬、大阪の薬局から不審な女性が亜砒酸一キログラムを簡単に買われておる。これについてのチェックをいたしましたか、ひとつお聞きいたしたい。
○小宮説明員 ただいまの件につきましては、大阪府の薬務課を通じて報告をいろいろ受けております。 毒物劇物取締法におきまして毒物劇物の販売、譲渡をする場合には、毒物劇物の名称あるいは数量、販売、授与の年月日、譲受人の氏名、住所、職業等を記載しまして、さらに譲受人の印を押した上で販売、授与をするという規定になっているわけでございます。さらに厚生省といたしましては、そういうような法の規定以外に、常時取引関係にないような者に対して交付する場合にはその使用目的とか身元の確認をするようにということで従来から指導しておるわけでございまして、そういう観点から、先般大阪で起こりました亜砒酸の販売、授与の事件については極めて道徳な事態であったと感じておるわけでございます。 地元の大阪におきましても、関係業者に対しまして社長を呼んで厳重に注意するというような処置を講じまして、またその事件がありまして関係の販売業者を集めて講習会を再度やるというようなことで周知徹底の努力を図っておる次第でございます。
○岡本委員 これは報道ですけれども、私はまだ直接調べていないのですけれども、不審な女性から最初に電話が会社にあって、これから薬物をもらいに行くからと言ってすぐ女性があらわれた。その女性に身元を聞くとなかなか明らかにしなかった、それを渋った。しかし最後に書いて持って帰った。しばらくするとこの女性が来て、前の住所が間違っておったからともう一遍ほかの住所に変えていった。この会社の毒物の責任者がそこへ行って調べたところがそこは物置小屋だったということです。 こういった毒物を販売するについての規定あるいは罰則、それを監視する機構がきちっとできておるのだろうか。しかも今、去年からもう約十一カ月、去年の三月にちょうど私の選挙区の西宮でグリコの社長が捕まってからずっと世間でこんなに大きな話題になっておる。このときに、毒物劇物の取り扱いがこんなずさんなことでいいのだろうか、ただ^片の通達でこういうものが犯人の手に渡らないようにかちっとすることができるのだろうか、この点について私は非常に不信を感ずるわけです。これについて警察庁の方では何かお調べになったことがありましょうか。
○上野(治)説明員 お答えいたします。 お尋ねの件につきましては、事案は、一月十八日の午前中、大阪市東区の薬品製造販売店に対してあらかじめ電話で注文し、同日午後三時三十分ごろ、四十歳ぐらいの女性が同店にあらわれて、所定の用紙に氏名、住所等を記載して注文の亜砒酸二本を買って帰ったものでございます。これは三千二百円でございました。その後、一月二十一日の午後にこの女性が再び同店にあらわれまして、住所が間違っていたので書き直したいと言って、保管中の伝票の住所を訂正したというものでございますが、そのときの挙動から、同人が帰った後、売った店員が不審に思って同店の幹部に相談したところ、記載の住所のところに本人がいないということがわかって警察へ届けてきたという事案でございます。 その後、警察では、買った人の所在について鋭意確認の作業をしておるわけでございますが、内容が一万人分の致死量に当たる亜砒酸ということもございますので、それが社会的に与える危険、国民に与える不安というようなことを考えますと、従来に増して買った人が早く届け出て国民全体に安心感を回復させてほしいということで、捜査かたがたその買った人が名乗り出るのを待っておる段階でございます。
○岡本委員 住所も、名前も偽名かもわからない、そういう人が買って出たわけですから、こういうものを実は買いました、偽名でした、住所も間違っておりましたというようなのんきな届け出は恐らくないと私は思うのです。したがって、二度とこういうことが起こらないように——これでこういった毒物が犯人の手に入るならば、幾らでも事件が起こると私は思うのですね。 今警察の方では、キツネ目ですかあれで私の友達もよう似ておるというので捕まって、非常に効果があったらしいですけれども、いずれにしても犯人がこういうものを簡単に使用できないような監視あるいは行政、こういったものをもっと徹底せにゃいかぬ。わずか一遍の通達だけでは——それから各都道府県どうなっているかということを厚生省もここで答弁なさって、こういうふうに手を打っております、それでどうなったかということをきちっと、フィードバックといいますか、それでなかったら次の手は打てないのではないでしょうか。 大臣、お聞きになっておっていかがでしょうか、僕は厚生省ばかり責めるわけではありませんけれども。
○嶋崎国務大臣 例のグリコ・森永事件の問題につきましては、警察当局におきまして精いっぱいの努力を積み重ねて犯人検挙に全力を挙げておられるというふうに聞いておるところでございます。また我々としましても、この問題について非常な関心を持って、ぜひとも早期に検挙していただきたいというようなつもりでおるわけでございます。そういう意味で、今後ともその検挙に精いっぱいの努力を積み重ねてもらいたいと思っておるところでございます。 そういう際に、今お話があったような件、私も新聞で見まして、ある意味で非常にショックを受けたことであったわけでございます。やはりこういう時期だけにきちっとした処理が望ましかったなというふうに今思っておるわけでございますが、もう過ぎた事件でございますから、ぜひともその検挙のためにいろいろな努力をしていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
○岡本委員 もう一遍ちょっと厚生省に聞くのですけれども、こういった亜砒酸とか毒物を販売するときに、取扱責任者、何か資格のある人がやはり必要なんでしょうか、どうなんですか。
○小宮説明員 毒物劇物取締法におきましては、製造業者、販売業者、あるいは業務上取扱者につきまして、先生今御指摘のように、取扱責任者を置かなければいけないという規定がございます。主として薬剤師と応用化学を専門に出た者というのが大体資格になっております。
○岡本委員 それで、この場合、メーカーの名前を言って悪いですけれども、片山化学工業ですか、ここへ偽名で女性が買いに来た。そのときに女店員が売っているわけですね。そのときに薬剤師、あるいはその責任者は立ち会っていない。こういう場合はどういう罰則があり、またどういうことになるのか、この点、どういうふうに決めておるのか、ひとつお知らせ願いたい。
○小宮説明員 取扱責任者の責務といたしまして、勤務する事業所の毒物劇物の事故防止とか保管管理その他につきまして全般的に管理するという責任がございます。ただ、それぞれの個々の業務についてすべて取扱責任者を置かなければいけないという規定ではございませんので、個々の従業員に正しい指導徹底を図って正しい管理を行わせるという形になるわけでございます。 したがいまして、今回の大阪のメーカーの事件でございますが、これも取扱責任者自身はこの毒物劇物の管理自体の重要性というものを十分意識していたというふうに理解しておるわけでございますが、たまたまそれを取り扱う中の従業員の取り扱いが極めて不適切だったという点で、社内の管理体制あるいは取扱責任者の従業員に対する指導徹底、そういうものが不十分であったというふうに感じておるわけでございます。
○岡本委員 その場合、売った商店あるいは売った会社に対しての何らかのペナルティーとか罰則、あるいは規制というようなものがあるのかないのか。それがなければ、幾らでもこういうことは起こりますよ。今あなたが言っているように、購入に来た方の住所と名前を聞くだけで確かめないのであれば、おかしいなと思ったら警察に届ける、こればどこでも同じですけれども、おかしくないと思えばそのままになってしまうでしょう。この人なんか初め、あなたの住所と名前を書いて、判を押してくれと言ったら、しばらくためらったというじゃないですか。それでいいかげんな住所を書いていったわけでしょう。こういうことをきちっとしないと、私は必ずまた起こると思うのですよ。それでこの問題について厳しく申し上げておるわけなんですけれども、もう一度はっきりしたお答えをいただきたいのです。
○小宮説明員 その事業所におきまして、その取扱責任者がみずからの業務にいろいろ不適切があったという点はもとよりでございますが、その事業所の中で従業員が適切な取り扱いをしなかったというような場合には、その取扱責任者をかえるような命令をかけられる規定になっております。ただ今回は、大阪府の方としましては、そういう指導の徹底が十分でなかったということで、社長を呼びまして厳重に説諭したという処分で一応処置をしたというふうに報告を受けております。
○岡本委員 確かに会社の社長を呼んできちっと説諭した、始末書をとったかどうか知りませんけれども。問題は厚生省にもあると思うのです。厚生省は一片の通達だけで後どうなっているかという実態調査もなさってない。その姿が、私先ほど申しましたように、薬剤師会でこれから会報を刷って回すと言うのですよ、あなたの方の、厚生省の通達を。二月末から三月初めに印刷をしてこれから回すと言うのです。その間に起こる。普通のときと違うわけですね。毎日毎日がグリコ・森永事件でみんな頭が痛い。あるいはまた、警察官なんかこの寒いのに一生懸命に回っておる。そういうときにそのもとでありますところの毒物を、野放しに近いようないいかげんな取り扱いを今までやっていたに違いない。だからこういうことが起こっているわけです。その通達がきちっと行ってどうなったかということのこの後のフォローといいますか、これをやらずして私はこの問題は解決しないと思うのです。少し厳しく申しましたけれども、これは大事なことなんです。一生懸命にやる。犯人を捕まえる。ところが、犯人がすぐ購入できるようなものがあれば非常にぐあいが悪い。ちょうどピストルと一緒なんですよ。これはけん銃を探しているのと同じなんです。そういうことを考えると、もう少し真剣に頑張っていただきたいと思うのです。再度御答弁をいただきたい。
○小宮説明員 先生御指摘の各都道府県においてそれぞれの関係業者への周知徹底が十分でないということにつきましては、私どもも深刻に受けとめまして、今後とも都道府県と連絡を密にし、必要に応じて都道府県から報告を求めるなどしてさらに周知徹底を図ってまいりたいと思っております。 また、この事件につきましては厚生省としても非常に深刻に受けとめておりまして、全国の毒物劇物監視員、約二千七百名おりますが、そういうところの監視員を動員いたしまして、現在、主として青酸ソーダを取り扱っておりますメッキ工場あるいは金属熱処理業等の重点的な監視指導を行っております。また今後とも、販売業者も含めてそういう関係業者を集めて講習会をやるとか、そういうような形で周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。
○岡本委員 グリコばかりやっていると時間がなくなってしまうからあれですが、農林省来ておりますか、現在行っている対策をひとつここで御報告願いたい。
○増田説明員 農林水産省といたしましては、食品の生産、流通秩序の維持を図る観点から、大幅に流通チャネルが縮小いたしまして販売の減収に陥りました森永製菓の販売活動につきまして支援することにいたしまして、同社が行います職域注文販売等について各省庁、都道府県等に対して広く協力の要請を行ってきたところであります。職域注文販売の浸透によりまして森永製菓の販売高は当初の想定を上回ったものとなっておりますけれども、前年に比較いたしますと、通常の販売チャネルが制限されているということでございますので、売れ行きが大幅に減少しているということが引き続いておりますので、昨年に引き続きまして今後も森永の職域注文販売等を協力するということで、一月二十五日付で各省庁、都道府県等に対して再度協力を依頼したところでございます。 また、本事件によりまして森永製菓以外に菓子業界全体が、特にチョコレート、ビスケット、キャンディー類を中心にいたしまして大きな影響を受けております。この点につきまして、業界は需要回復のためのキャンペーンということで、「菓子の月間」というのを二月十四日から三月十五日にかけて設けまして需要回復のためのキャンペーンをやるということを企図しておりますので、農林水産省といたしましてもこれにつきましても積極的に支援をしていくことといたしております。
○岡本委員 私の方の尼崎にちょうどこの森永の工場があるわけです。グリコの社長もまた西宮に住んでおるわけですけれども、この尼崎の工場に今までパートで長年勤めておった人たちがみんな解雇になってしまった。それで、ある人は子供の教育に非常に支障を来したりあるいはローンの支払い、いろいろなところに支障を来しているわけでございまして、これについて労働省の方ではいろいろと手を打っていただいておるようでありますけれども、なかなか——今まではすぐそばに工場があってそこへ勤める、しかし遠いところへはとても行けないということでここに勤めていた人たちは今非常に困っておるわけなんですが、グリコ事件ばかりやっていると時間がありませんから、ひとつこれからさらに安定所を通じて督励をしてやってもらいたい、これだけ要望しておきます。 グリコ事件関係の人はもう帰ってください、よろしいから。 次に、大臣の所信表明の中にこういうのがあるのですね。「仮釈放のより適正妥当な運用を図り、また、保護観察等の社会内処遇において、保護観察官と保護司との協働態勢を一層充実強化し、」というのがありますので、これについてちょっとお聞きしておきたいと思うのです。 この「仮釈放のより適正妥当な運用を図り、」というのはどういうことを考えてここに大臣が所信表明をされたのか。あれは書いてあったから読んだのか、これをひとつもう一遍聞かせてもらいたい。 〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
○俵谷政府委員 大臣の所信表明の中に触れておられました「仮釈放のより適正妥当な運用を図り、」という点でございますが、事務当局から御説明申し上げます。 仮釈放と申しますものは、御案内のように、受刑者の円滑な社会復帰を助けるために、改俊の情ある者を施設内の処遇から社会内処遇に切りかえまして保護観察を実施する、そういうことによって社会に再適応させ、更生の促進を図ることを目的として行われるというものでありまして、これは統計的に見ましても実績から見ましても刑事政策的な効果があるというふうに評価されておるのでございます。例えば仮出獄者の再入所率を見てみましても、満期で釈放された者たちに比べますと相当に低いということになっております。この仮出獄者と満期釈放者の再入所率というものをちょっと数字を申し上げてみますと、仮出獄者でございますと再入所率は四・一%ぐらいでございますが、満期釈放者の場合には一二%ぐらいになっておるということで。かなりそこに差が見られるわけでございます。さようなことでこの仮釈放と申しますものは犯罪者の更生保護に有用である、こういうふうに考えられるわけでございます。そこで、仮出獄、仮釈放を積極的に運用いたしまして、社会復帰をさらに効率的に図っていくということが考えられておるわけでございます。 この仮出獄者はどれくらい出されておるか。そこで、仮出獄率というものを目安として考えてみますと、昭和五十七年ころの実績を見ますと、仮出獄率は、これは満期で釈放された者と仮出獄された者、これに対する仮出獄者の比率ということでございますが、大体五〇%でございました。つまり、言葉をかえて言いますと、二人に一人ぐらいが仮出獄、仮釈放になっているにすぎないということであったわけであります。これをもう少し活発に行いましてパーセンテージを少し上げていくということになりますが、大体五七%まで引き上げてもよろしいのではなかろうか、こういうようなことを考えまして仮出獄を積極的に行う。 同時に、この仮出獄の期間というのが問題でございます。刑期間近になりまして釈放いたしましたのでは、社会内に移しましても保護観察を実施する期間が短いということで更生の実が上がらないということになりますから、その仮出獄の期間ももう少し長くしていこう、こういうことでございます。その結果、最近におきましては従来より二カ月程度早く出してやる、そして社会内において十分な保護観察を実施することによりまして、再犯等を防止して社会復帰の実を上げるということを考えてきたわけでございます。ただ、この場合に問題になりますのは、あくまでも仮釈放、仮出獄をさせて適当な者についてこれを積極的に認めるということでございませんと、再犯を犯すおそれがある者が間違って釈放されるということになりますと、また重大な事件を起こすというおそれが生じてまいるわけでございますし、社会内処遇も難しい、こういう問題が生じます。そこで、この仮釈放をより適正に、妥当に、活発、積極化して運用するということになるわけでございます。さようなことで仮釈放制度を積極的に運用いたしまして、犯罪者の保護と更生を十分に図りたい、こういうのが第一点でございます。 それから、保護司さんとの関係で犯罪予防活動を活発に行っていく、こういう点でございますが、御案内のように現在の更生保護の制度は役所側の保護観察所、保護観察官が中心にはなりますが、これが保護観察を実施する、そしてその足りないところを民間の保護司さんに、これは法務大臣の辞令で委嘱がされるわけでございまして、いわば公務員ではございますが、無給という建前になっております。この民間の保護司さんと保護観察所、保護観察官との協働で犯罪防止の成果を上げていく、こういう建前になっておりますが、現在のところ保護司さんは全国で四万八千……(岡本委員「もうよろしい、そのくらいでよろしいわ」と呼ぶ)そういうことで実を上げることになっております。
○岡本委員 途中で話をあれして悪いのですけれども、ありきたりの話はよろしいからね。 そこで、仮釈放について、これは昨年の九月五日、京都西陣署の元巡査広田雅晴、まだほかにもありましたね。こういった、刑務所から出てすぐに犯罪を犯す。この間私テレビを見ておりますと、広島の拘置所の中のいろいろなことをテレビに出しておりました。そして、仮釈放しても五〇%ぐらいはやはり帰ってくるんだというような話をそこで聞いた。僕の聞き違いかもわかりませんけれども。こういうことは、仮釈放をするについての審査といいますか、そういうところに非常に手落ちがあるのではないか。昨年九月の新聞報道を見ますと、この広田については、裁判中に新左翼系の「人民新聞」に警察への復讐を宣言した文書を投稿したり刑務所で待遇改善を求める闘争を続けた事実、そういったことが刑務所から地方更生保護委員会にきちっと報告がなされていなかった、そのために誤った決定によって仮釈放されたというような新聞記事を読みまして、仮釈放について安易なやり方では非常に困るじゃないか、一般住民をすぐ人質にとってやられるというようなことがあっては話にならぬ。 「仮釈放、慎重期せ」という九月十九日の新聞を見ますと、吉田保護局長から審理を慎重にやってもらいたいという通達があった。こういう一片の通達だけで果たしてこういう事件を防ぐことができるのだろうか、こういうことを考えますと私は非常に疑問を感ずるわけですよ。したがって、こういった仮釈放をすることについては、更生させるためには仮釈放するのも必要だと思いますけれども、どこかで一つ一つチェックし、そして刑務所ともよく再チェックといいますかダブルチェックをして、これなら間違いない、これならいいだろうというようなところが必要ではなかろうかと私は思うのですが、その点、法務大臣、いかがでしょうか。
○嶋崎国務大臣 先ほど局長から説明がありましたように、施設内処遇から社会内処遇に切りかえるというようなやり方でこの仮釈放の問題は考えられておるわけでございますが、現実、仮釈放した人の再入所率というのは非常に少ないというような傾向になっておるわけでございます。しかし、ああいう不幸なケースもあったわけでございまして、さきに通達をしたようなことで趣旨の徹底を図っておるのが現実であるわけでございます。今後ともその取り扱いにつきましては、できるだけ社会復帰をさせるというような意味で仮釈放をやっていくということの重要性は忘れてはなりませんけれども、その取り扱いについてはきちっとした整理が進められるように努力をしていかなければいけないというふうに思っておる次第でございます。
○岡本委員 ちょっと中村委員に食い込んで申しわけないのですが、こういう報道があるのです。元刑務所長をやっておった日弁連の寺光忠弁護士さんはこう言っているというのですね。「刑務所当局は、残利一カ月とか九割服役終了などという段階になって機械的に仮釈放の申請を行うケースが多いし、地方更生保護委員会も委員が少なく、個々の受刑者の実態を把握できない」まま仮釈放をする。だから「仮釈放すべきでない者が早く出されたり、逆に必要もないのに長期間拘禁されるケースも目立っている」と指摘をされておるわけです。したがって、今大臣に私が申し上げましたのは、後の答弁がもう一つはっきりしなかったのですけれども、地方更生保護委員会で決定したものに対してもう一度法務省のどこかで、保護局でもよろしいから再チェックするというようなことができないものだろうか、あるいはそういう気持ちがないのか、これだけちょっとお聞きしておきたいと思います。
○俵谷政府委員 お答えいたします。 ただいまの問題でございますが、地方更生保護委員会におきましては、決定をいたしますと、本人に不利な決定処分でありますときには不服申し立てを中央更生保護審査会にするということになっておりますが、そうでない仮釈放、仮出獄等の決定が行われますとそのまま執行される、処分が許されるということになるわけでございます。ただ、その処分がされて社会内に出ますという場合には、これに対しまして出てから後の保護観察を行う、こういうことになりまして、保護観察所が遵守事項その他を定めまして保護観察を十分に行うということになります。もし仮にその後の行状が遵守事項に違反するというようなことになりますと、取り消しの申請、所要の手続を経まして再度施設に収容する、こういう運びになるわけでございます。 御指摘の京都の事件は、仮釈放になりましてわずか数日内にああいう事件が起きたわけでございます。大変遺憾ではございましたが、結果論からは遺憾な決定ということになりますが、何分仮釈放になりまして実家に帰る、そして保護司さんのもとにも出頭する、こういうような状況下に数日のうちにああいう犯行が犯されたということでございます。確かに本人はそういう犯行を犯すというような者でございますから、仮釈放を許すことは相当ではなかったと反省されるわけでございますけれども、その点は御指摘のように委員会におきます審理をより慎重に適切に行うということで対処いたしたい。さらにこの仮釈法の出願者等につきましては、事前に十分施設等に保護観察官も置きまして調査を尽くす、そして真に仮釈放に適する者であるかどうかという点の調査を十分に行う、本人あるいは刑務所当局、これらと十分会ったり説明を聞くというだけでなくて、検察官あるいは裁判所、警察等々にも関係資料あるいは情報をもらう、そういう意味で十分な連絡調整を図るということが大切だと思っております。そういう意味合いであの事件発生後通達を出しますとともに、機会あるごとに更生委員会あるいは保護観察所等に十分な指導を徹底しておる、こういう状況でございます。
○岡本委員 これでやめようと思ったのですけれども、大臣、私何でこんなことを言うかといいますと、広田だけではなく、またこのほかにも五十九年の七月には東京の杉並区で仮出所中の印刷工が女子中学生を刺したり、そういった殺人未遂事件がいっぱい起こるわけですね。ですから、今までよりももう少しチェックをきちっとして、そしてこういった事件を未然に防いでいくということが法務省に課せられた一つの責任ではないか、私はこういうふうに思って申し上げたわけです。
○嶋崎国務大臣 ただいまの委員の御指摘につきましては、その決定につきまして地方更生保護委員会でいろいろな決定をするわけでございますけれども、その際の資料の連絡、またそういう処分をしたときの後の処理等につきまして、これから十分な努力を積み重ねまして間違いが起きないように腐心をしていかなければならぬというふうに思います。しかし、非常にたくさんの案件になっておりますから、それを中央で処理をするのが適当であるかどうかということにつきましては、どうも私は、件数の状態から見まして中央でそれを処理するというのは余り適当じゃない、やはり地方の更生保護委員会の方で十分資料を集め、またその処理等につきましても保護司その他関係の皆さん方との十分な連絡の上で間違いのない処理をするように心がけていかなければならぬというふうに思っている次第でございます。
○岡本委員 これで終わりますけれども、大臣、そういったことをきちっと中央に報告させ、目を通すというだけでも相当きちっと間違いないものができるだろうと思うのです。 押捺制度につきましてちょっと御質問しようと思ったのですけれども、時間がなくなりました。そこで、外務省の方では御承知のように対韓国向けでしょうか、ああいった新聞発表をしておりますね。もうほとんど押捺制度を変えていこう。法務大臣の方はそうじゃないんだ。これは予算委員会の総括でも一遍はっきりした政府の見解を承らなければならぬと思っておりますから、ひとつ準備をしていただきますようにお願いして、きょうはこれで終わります。 どうもありがとうございました。
○森(清)委員長代理 中村巌君。
○中村(巖)委員 本日は午前中大臣の所信表明をお伺いをいたしたわけでありまして、大臣の所信表明は法務行政の全般にわたるところでございます。したがいまして、私といたしましてもお尋ねを申し上げたいことが多々あるわけでありますけれども、時間の関係上もございますので、二、三のことについてだけ本日はお伺いをしておきたいと思うわけでございます。 まず最初に、民事関係事務の中での登記事務の関係でございます。 これにつきまして大臣は所信の中で「登記事務処理の適正・円滑な遂行を図るためには、早急に登記事務のコンピューター化を初め、登記事務処理体制の抜本的改善を図る必要があり、」こういうふうにお述べになっているわけであります。「コンピューター化を初め」こういう修辞になっているところでありまして、そうなりますと、コンピューター化以外に登記事務処理体制の抜本的改善の方策というものがあるかのようにうかがわれるわけでありますけれども、ここでこのコンピューター化以外の登記事務処理体制の抜本的改善というのはどのような施策をお考えになっておられるのか、そのことをまず最初にお伺いをしたいと思います。
○枇杷田政府委員 コンピューターによりまして登記事務は抜本的に改善されることになろうかと思いますが、そればかりではございませんで、まず登記所の施設の改善をすること、それからコンピューター化が実現をいたしますまでの間の能率化、合理化のための能率器具の大幅な導入というような問題もございます。そのほか、窓口のサービスを向上させるために窓口の整理のための要員を確保するといったような事柄を総合的に考えて、抜本的な処理体制を改善するという考えでございます。
○中村(巖)委員 そこで、登記事務のコンピューター化というのが大きな問題になっているわけでありますけれども、近々、法務省の方でも、電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案、こういうものをお出しになられるようであります。 そのことはそのことといたしまして、あらかじめここで幾らかお伺いをしておきたいわけでありますけれども、今年度政府の予算原案によりますと、登記特別会計というものが創設をされる、こういうことになっておるわけでございまして、登記特別会計の予算というものも特別会計の予算書の中にあるわけでありますけれども、まず最初にお伺いしておきたいことは、この予算書を拝見をいたしますと一般会計の中にも登記事務処理の関係の費用というものが予算計上されておるわけでございまして、その金額は大体二百六十二億六千四百万円、こういうような金額。そのほかに、また特別会計の方に登記事務関係として歳入歳出ともに五百五十五億円、こういうふうになっているわけでございますけれども、なぜに、今年度は一般会計で予算計上されながら、同時に特別会計で予算を計上されているのか、このことをお伺いをしたいと思います。
○枇杷田政府委員 昭和六十年度におきまして、政府原案といたしましては登記の特別会計を創設することにいたしておりますけれども、その実施の時期が七月一日からということになっております。したがいまして、第一・四半期と申しますか、四月から六月までの間の登記事務処理経費は一般会計で賄うということになるわけでございます。したかいまして、一般会計にも相当額が計上されておりますし、あとの九カ月分は特別会計で処理をする、そういう形になっておるわけでございます。
○中村(巖)委員 そうすると、登記事務処理経費に関する限りは七月一日をもって区分して経理、計上する、こういう趣旨というふうに伺っていいわけですか。
○枇杷田政府委員 そのとおりでございます。
○中村(巖)委員 登記特別会計でございますけれども、今年度は歳入歳出ともにそれは一致をしているわけでありますけれども、五百五十五億七千三百万円、こういうことになって、そのうち、歳入のうちの一部は登記の印紙収入であるということで、その残余は一般会計からの受け入れだ、こういうことになっているわけでありますけれども、今後、これが六十年度の予算でありますけれども、六十一年度以降も登記特別会計というものは登記印紙収入と一般会計の受け入れとで歳入が構成される、こういう形になるわけでございましょうか。
○枇杷田政府委員 そのとおりでございます。六十一年度におきましても、いわば乙号事件に見合う額にっきましては手数料収入をもって賄い、その他の部分につきましては一般会計から繰り入れるという形で特別会計の歳入が構成されるということになります。
○中村(巖)委員 この登記特別会計が創設をされたことによって、確かに歳入の部分では登記印紙収入というものは、これは従来一般会計に繰り入れられていたものが特別会計に残るというか入るということによって、この部分、登記に関する限り収入がふえるというか、そういう格好になるわけでありますけれども、一般会計からの受入金というものがその分減るということでは、この特別会計をつくった意味がないというか、その登記事務に投ぜられるところの費用というものがふえないわけでありまして、やはり一般会計からの受け入れ分というものは従前の一般会計から登記事務のために支出をしていた金額よりも減らない、こういう建前でこの特別会計はつくられておるのでしょうか、どうでしょうか。
○枇杷田政府委員 結論的にはおっしゃるとおりでございますが、仕組みといたしましては、登記の手数料と申しますのはいわば実費をいただくということになるわけでございます。したがいまして、乙号の事務に見合うものが手数料収入で上がってくる経費に該当する、反射的にそうなるわけであります。したがいまして、一般繰り入れ分というのは、それ以外の、早く申しますと甲号事件処理分に相当するということになるわけでございますので、したがいまして手数料収入が上がったから当然に一般繰り入れ分がその分だけ減るというふうな関係に立つ性質のものではないというふうに理解をいたしております。
○中村(巖)委員 今年度登記特別会計の歳入の中で、登記印紙収入というのが二百四十八億四千二百万国会度計上されておりますけれども、この算定というものは従来の乙号事件、いわば謄抄本の交付、閲覧、こういうものの件数から算定された金額ということになりますか。
○枇杷田政府委員 おっしゃるとおりでございますが、若干つけ加えて申しますと、六十年度におきます乙号事件の事件数の推定をいたしまして、それに、実は七月一日から手数料の金額を若干値上げをいたしまして、それから郵政省の方で印紙を売っていただきますので、その郵政省に支払う手数料を差し引いた金額という形で二百四十八億円の数字が計上されておるわけでございます。
○中村(巖)委員 それはそうすると、会計処理上の問題としては、先ほどのお話で登記特別会計が七月一日をもって発足をするということになっておりますから、七月一日以前の部分については、乙号の手数料収入というものは収入の部分に計上されておらない、こういうことになりましょうか。
○枇杷田政府委員 四月から六月分につきましては、特別会計の歳入ではございませんで、一般会計の方の歳入に計上されております。
○中村(巖)委員 そこで、特別会計を発足させて登記事務処理自体をこれから抜本的に改善をするんだということでございますけれども、現在のコンピューター化の進展状況というのが、従前から伺っておりますけれども、現時点では余り進んでおらないように思うわけでございまして、東京法務局の板橋出張所でパイロットシステムというか、そういうものが発足をしているだけである。言ってしまえば「だけである」ということになるわけでありますけれども、今後どういうふうにこれを具体的に、六十年度においてはこうなんだ、六十一年度以降こういうふうにやっていくんだという計画は法務省で策定をされておられますでしょうか、またその内容はどういうことになっておりますでしょうか。
○枇杷田政府委員 登記事務のコンピューター化につきましては昭和四十七年から研究を進めておりまして、机上の研究では実施が可能であろうということから、現場での実験に五十八年の一月から移って、現在板橋でパイロットシステムを行っておるわけでございます。かなりの地区につきまして移行しまして稼働いたしておりますけれども、現在は登記法の改正がございませんので現在の登記法に合わせた形での処理でございますけれども、今までのところ、いわば順調に来ていると申しましょうか、専門家の評価もかなり高い評価を受けるという状況でございます。 したがいまして、これからの進め方といたしますと、まず板橋の出張所を企庁コンピューター化してみる。これも並行処理の形でございますけれども、並行処理でいってみる。同時に並行いたしまして、本番システムと申しますか、全登記所に及ぼすような形での、しかも登記簿との並行処理をするというような形ではないそういうシステムの開発をこれから進めてまいりたい。それから、商業登記関係についても今は全然手をつけておりませんので、このシステム設計にもかかってまいりたいということでございます。 なお、今後どういうふうにして拡大をし進めていくかということにつきましては、先ほど御指摘ありましたコンピューター導入による登記事務処理の円滑化法、後日御審議いただくことになると思いますが、そこにもあらわしておりますように、審議会において十分検討していった上で進めてまいりたいと思っておりますけれども、私どもの一応の目標といたしましては、二十一世紀になるまでには企庁のコンピューターが完成できることを目標に置いていろいろ試算をしてみようというふうなことはいたしております。したがいまして、十五年後くらいには遅くも企庁のコンピューター化を実施をいたしたい。そういうことを実施いたしますためには、あと二年くらい後には登記法の改正という段取りが望ましいのではないか、そういうふうなことを一応の目標にして考えておりますけれども、詳細な具体的なことは、先ほど申しましたように審議会の御意見も伺いながら進めていくことになろうかと思います。
○中村(巖)委員 登記法の改正がないといろいろ動きがたいこともあろうかと思いますけれども、現在のところの予測では、やはり登記簿そのものの形態というか、謄本の形態といってもいいのですが、謄本の形態そのほかも変わるようになるのかどうかということ。さらには、不動産登記に関する限り、今やられておる形では現在の謄本の形がプリントアウトされるようなシステムというか、そういうソフトだろうと思うのですけれども、またそれに応じてソフトというものも抜本的に変えていかなければならないものなのだろうか、その辺のことはいかがでございましょうか。
○枇杷田政府委員 現在は登記法が改正されておりませんので、現行法の建前に従った処理を板橋出張所でも行っております。したがいまして、謄本も、現在発行しております謄本すなわち現在の登記簿と同じスタイルで打ち出されるという形をとっております。しかしながら、白紙でコンピューターによる登記制度というものを考えますと、必ずしもそうでなければならぬということはないわけでございます。したがって、もっと合理的なやり方が考えられる余地はございますけれども、一方では長年なじんできた謄本の形というものがございます。したがいまして、コンピューターから出力されてくる証明書というか謄本というか、名前のつけ方が問題かもしれませんけれども、そのような文書はなるべく現在のなれたものに近いものがいいのではないかという観点もあろうかと思います。そういう面でこれからも、登記法を改正するまでの間には仕組みというものを考え、またそれに合わせたソフトをつくっていくということになっていこうかと思う次第でございます。
○中村(巖)委員 そうなりますと、板橋の場合は別といたしまして、そういう諸般の、局長のおっしゃる審議会そのほかの形の中で登記のあるべき形を探求していかなければならないというと、システムなりソフトのそういう開発自体にこれから先何年もかかるという状況になるのではなかろうかと思うわけで、現実に板橋以外の登記所においてコンピューターが導入をされて、そしてどういう形であれ謄本が申請者に交付をされる、そういう状況ができるのはいつごろになるというお見通しでございましょうか。
○枇杷田政府委員 二年後には登記法の改正をするような段取りにしたいということは先ほど申し上げました。そういうことになったときには、少なくとも板橋の出張所はそういう新法で動いていくという形になろうかと思いますが、なおその間にも、もし拡大といいますか、ほかの庁についても実施をするということが審議会の御意見も聞いた上で実現可能だということになれば、そういうこともあり得ようかと思います。しかしながら、当初はそんなにたくさんの出張所が一遍にということはあるいは無理かもしれないと考えておりますので、登記法の改正がなされた後にいわば本格的な移行作業が始まるというふうに考えておる次第でございます。
○中村(巖)委員 法務省が出しておられます登記特別会計の創設に関する「明日を開く 登記事務のコンピュータ化」というパンフレットがございますけれども、これの中に「稼動人員の推移予測」というのがございます。この中に、このままいけば十年後には七千二百人の人員が必要になると想定される、これをコンピューター化した場合には、十年後には乙号事務処理は千五百人ぐらいの人員で足りることになるのだ、こういうことが書いてあるわけでありますけれども、どういう根拠に基づいてこういうことをおっしゃっているのかお伺いをいたします。
○枇杷田政府委員 これは十年後の事務量を予測をいたしまして、それを現在の板橋でやっておる仕組みでの謄本、抄本の処理という形で計算をいたしますと、事務量としてはその程度のものに減るのではないかという予測を立ててそこにあらわしたものでございます。しかしながら、先ほどから御指摘がございましたように、まだ本当の形でのシステムというものがはっきり決まっておるわけでもございませんので、いわば現段階における本当の予測という意味合いでお受け取りをいただければ幸いでございます。
○中村(巖)委員 確かに登記事務というものを合理化をしなければならない。乙号事件だけに限りませんけれども、現在の登記事務関係の法務省の定員は一万人を若干超える、そのぐらいの数になっているわけで、これを何とか減らすことが必要だと思いますけれども、ただ、今のパンフレットにいうような形で、今のコンピューター化の状況では十年後にこれだけの人数で、乙号事務に関する限りでもこのくらいの人数で済むということは今の進捗状況ではちょっとないのではないか。今お答えのように、二十一世紀になってコンピューター化するのだ、十年後であれば進捗状況が、二十一世紀ということは今から十五年もあるわけでありますから、それからすればこれはちょっとオーバーに書き過ぎているのではないかというような気がしますけれども、その点、いかがでしょう。
○枇杷田政府委員 お手元のパンフレットは、概括的にコンピューターの効用みたいなものを御理解をいただくためにつくられたものでございまして、それほど厳密な計算に基づくものではないわけでございますが、そのパンフレットの計算は、十年間にいわば乙号事件の多い庁を約四百三十庁ほどコンピューター化したい。そうしますと、全国の乙号事件の八割はそこでコンピューターによって処理をされることになるということを前提にしておるわけでございます。四百三十庁と申しますのは全国の登記所の約三分の一の序数でございます。したがいまして、単に十五年といいましても、それを年数で平均いたしましても、十年たちますとかなりの序数になろうかと思いますけれども、いわば事務量の多いところから逐次やってまいりますとコンピューターの導入による効果というものは序数の割合以上に進むということは言えようかと思います。
○中村(巖)委員 この問題はまだまだお伺いをしたいところがあるわけでありますけれども、時間がございませんので一応この程度で本日のところはやめにしておくことにいたしまして、別のことをお伺いをいたします。 午前中からいろいろグリコ・森永事件の問題が言われておりますけれども、また、午前中来のお話にありますように、他党の方では議員立法でこのグリコ・森永事件に対処をするところの特別法の制定をしたい、こういう御意向があるようでありますけれども、私が考えますところによりますと、やはりこういうものは刑事実体法であります。刑事実体法というものが、事件があるたびにぽこぽこと出てくるというような状況というものは、刑事実体法全体系というものを考えたときに余り好ましくない状況。やはりそういう刑事実体法というのは刑法に一元化をされているのが望ましい状態ではないかというふうに思うわけでありますけれども、この点について法務省のお考えはいかがでございましょう。
○筧政府委員 確かに今中村委員御指摘のように、刑法的なものと申しますか、刑事実体法的なものは刑法に取り入れるのが望ましいということは御指摘のとおりだと思います。御承知のように、刑法改正草案におきましても、従来特別法でいろいろたくさんありますものを、さっきの爆発物もそうでございますが、いろいろな特別法を取り入れて刑法の中で規定しようという方針がとられているわけでございます。その趣旨も今中村委員御指摘のところであろうかと思います。 一般的にはそういうことであろうと思いますが、ただ、やはり時勢といいますか、その時点において特別な立法の必要性が生じた場合に、それは刑法の一カ条を持ってきて、刑法改正という形でやります場合もございますし、それから人質強要罪のように刑法的なものでございますが、特別法として定めた事例もございます。まあ今回のように、これは別にグリコ事件のためのものではもちろんないわけでございますが、それにあらわれましたように、流通食品に危険な毒物を入れるという危険な行為に対して総合的な観点からその防止策に特別立法を考える、その中に刑事実体法的な罰則も入るということも、今現在といいますか、それぞれの事態に応じて必要な場合もあろうかと思います。
○中村(巖)委員 既におわかりのとおりに、問題になっている改正刑法草案の中には第二百五条として「飲食物毒物混入」、こういういわば現行の刑法典を一部変えた、そういう構成要件があるわけでございまして、この構成要件をもってするならば、流通に置かれている飲食物に毒物を混入する行為も処罰が、これが現実に制定されれば可能であるわけであります。その場合に、二百五条によりますと、その法定刑は三年以下の懲役に処する、こういうことになっているわけでありまして、それと現在考えられている特別立法との刑の均衡というか、そういうことで非常に不均衡であるというふうに思われるわけでございまして、やはり刑法の中にこういう形で取り込むとするならば、その程度の刑に相当をすることになるのではないかというふうに思われますし、法務省が考えておられる改正刑法草案から見ると、何か今度考えられている特別立法というものは奇異な感じをお持ちになられるのじゃないか、こういうふうに思われるのですが、いかがでしょう。
○筧政府委員 御指摘のとおり改正刑法草案の二百五条の二項におきまして「多数人の飲食に供する物又はその原料に、毒物その他健康に害のある物を混入した者も、前項と同じ」、つまり三年以下の懲役という規定がございます。現行刑法では水道あるいは飲み水についての規定はございます。いわゆる食べ物についての規定はないわけで、そういう観点からこの改正刑法草案が考えられたものだと考えております。 ただ、今先生御指摘のように、二百五条三年以下の懲役というふうに軽くなっておりますが、その前提といたしまして「多数人の飲食に供する物」という限定と、それから「毒物その他健康に害のある物を混入」ということになっております。これに対しまして、現在考えられております特別立法の対象は流通食品ということでございます。それからもう一つは、単なる「健康に害のある物」ではなくて、毒物劇物取締法の別表一、一あるいは薬事法でございましたかに毒薬とか劇薬と指定されておるようなもの、そういういわば直接直ちに死に至る危険な毒物というふうに限定いたしております。申し上げるまでもなく、「多数人の飲食に供する物」というよりは流通過程に入っている物、これは子供でもだれでもスーパーに行ってぼっと金を出せばどんどん手に入る、そういうことで多くの人にそういう害の及ぶ危険が非常に多いわけでございます。そういう意味で、二重に限定をいたしました上で十年以下なら十年以下の懲役という法定刑を規定するということは、それなりに理由があるのではないかというふうに考えております。
○中村(巖)委員 一般的に「多数人の飲食に供する物」という中に流通に置かれた物も含まれることは当然でありますから、今の御議論はいただけないと私は思うのでありますけれども、そのことは議論は別といたしまして、そこで問題は刑法の改正の問題でございまして、刑法改正というものが昭和四十九年に法制審議会の答申があって、それからもう十一年を経過するというのにかかわらず全然成立をしない。これはいろいろな事情があるわけで、私もそれは承知をしているわけでありますけれども、その間いろいろのことがありまして、法務省の方では日本弁護士連合会といろいろ意見交換をされたというような経過もあったわけであります。しかしながら、この意見交換も昨年の六月に終わっているわけでございまして、意見交換の過程におきましても、法務省は、この改正の現実的な作業をするんだということでいろいろ言っておられたわけでございます。 昭和五十六年十二月二十六日に「刑法改正作業の当面の方針」というものをお出しになられまして、また保安処分についても「保安処分制度(刑事局案)の骨子」というものをお出しになられました。具体的にこの作業化を今しておるんだということを言われた。これが五十六年でありますから、それからもう四年近くにならんとしているわけです。この具体的な作業化は、現段階でどのくらい進展をしているのか、これをお伺いいたします。
○筧政府委員 御指摘のように、昭和五十六年十二月に「刑法改正作業の当面の方針」あるいは保安処分に関する刑事局案というものを日弁連との意見交換会の席上で発表といいますか示したわけでございます。その後、昨年六月まで合計二十数回にわたる意見交換会を開いたわけでございまして、その過程で、今申し上げました当面の方針あるいは刑事局案というものについても日弁連との間で活発な意見の交換を行ったわけでございます。 御承知のとおりでございますが、保安処分、あるいは治療処分という名前でもございますが、それについては日弁連の方は強く反対をしておられるということがございますし、それ以外にも、公務員の機密漏示あるいは企業秘密の漏示というような点を中心として、各規定について意見の対立している規定が多いわけでございます。それにつきまして昨年六月まで討議を重ねまして、一応双方の意見も交換を終わったということで、そこで打ち切りと言うと変ですが、意見交換会は終わりになったわけでございます。その後日弁連との間では、法務省として成案を得た場合に、ある程度の期間を置いて日弁連にも示す、意見があればそこで言ってもらうというような段取りになっておるわけでございまして、その後は私どもの方で、日弁連との数多い意見の内容を検討し、あるいは刑法学者との意見の交換の場も何回も持っております。あるいは関係省庁との間の意見の交換も行いまして、現在、さらにその作業を具体化すべく検討中でございます。 申し上げるまでもございませんが、やはり刑法が国民の日常生活に深いかかわり合いを持つ基本的な法律であるという点から、広く国民各層の合意を得るような内容にしたいというのが私どもの考えでございまして、それに沿って現在まで作業を続けておるわけでございまして、具体案の作成に向けて努力中ということでございます。
○中村(巖)委員 時間がなくなりましたので細かい論議をすることはできませんけれども、まあ作業をお進めになっておられるということについては多分そうであろうというふうに思うわけであります。大臣の所信表明の中にも、刑法改正を早急にやりたいようなお話もあるわけでありますが、ただしかし、どこまで作業が進んだのかということによってこれから現実的に法案として国会に提出をされる時期が決まってくるわけでありまして、今の状況では、なかなか刑法というものは今国会はおろか次の国会でもどうかな、こういうような感じがしないでもないわけでございます。 まして、一つだけ申し上げますと、法務省は保安処分、治療処分の関係につきまして五十八年二月十六日の日弁連との意見交換会の中で、治療処分の施設の関係は法務省所管の病院なんだ、こういうことを言っておられるわけです。そうなりますと、法務省所管の病院をお建てにならなければならない、獲得をしなければならない、こういうことになっているわけでありますけれども、どうも六十年度の予算を見ますると、そういうような経費が計上してないように思われるわけであります。そういう施設がないということになると、この保安処分、治療処分に関する限り、予算の裏づけのない立法になってしまうわけでありますから、立法化は難しいのじゃないかと思われますが、その点はいかがでございましょう。
○筧政府委員 確かに保安処分の施設につきましてはいろいろ問題があろうかと思います。厚生省との間でいろいろまだ検討は続けておるわけでございますが、厚生省所管のところの病院あるいは施設ということでないとしますと、私ども法務省の方で独自の施設をつくらざるを得ないということでございます。その点についても今関係省庁と協議をしておるところでございます。 〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕 その点もございますけれども、それが六十年度あるいは六十一年度の予算に計上されていないから立法化がさらに延びるわけでもないと思っております。法律をつくりまして、その過程でそちらの方の折衝も進めて、法律を国会にお願いをしてどれぐらいで可決、成立するか、これも出してみないとわかりませんけれども、さらに保安施設につきましても、仮に法律が提出いたしまして一年ないし二年で成立するとしましても、それはまたそこから先の話であろうかと思います。そういう運びになれば関係省庁とさらに話を詰めまして、それに合わせて施設を確保するよう努力を重ねていくということになろうかと思います。
○中村(巖)委員 これで終わりますけれども、なかなか刑法の改正問題というのはややこしい問題でございまして、現在のところそういうふうにいろいろ治療処分の問題も含めて難しいとするならば、日弁連あたりの考え方では、現行刑法を現代用語化する、そういうような形でとりあえず刑法改正をやったらどうかという意見であるようでございまして、こういう意見もあるということをお含みおきいただきたいと思います。 私はこれで終わります。
○片岡委員長 伊藤昌弘君。
○伊藤(昌)委員 申し上げにくいことを述べるようになるかもわかりませんが、一度お尋ねをしておかなければならないと考えておりましたので、何か御無礼な点があったらお許しをいただきたいと思います。 冤罪事件にかかわる捜査官と裁判官の人権観やみずからの責任感、みずからの人間形成に関すること、また、数々の判事の不正事件などからして、国民は司法不信を抱き始めております。残念ながら、立法府、行政府に対する不信はもちろん、最後の司法までもが不信を持たれることは、国が危うい。よって、この質問に対して、司法は本分を尽くしている、権威を保っているから御安心くださいと国民にわからせてほしいのであります。とかくうわさに上がった不祥事件はこれを最後にして、司法は凛然としていますと国民に説いてほしいのであります。こんな願いから私はお尋ねをしたいと思うのです。 申すまでもなく議会の質疑は双方のやりとりではなくて、国民に向かって国民にわからせる心で論戦をしなければならないと思いますから、よろしくお願いいたします。 さて、五十九年七月四日夕刻、ロッキード裁判の東京高等裁判所陪席裁判官松永剛元判事が、帰宅途中八重洲の本屋で二冊の本を万引きしたという。犯行を現場で見つけられた松永元判事は中央警察署で取り調べを受けて窃盗容疑で書類送検となり、かくて最高裁は裁判官分限法に基づいて七月三十日戒告の処分にしました。しかし、松永元判事は事件後早速退職を申し出ていたので、八月一日付で穏やかな依願退官を認められたとあります。およそ裁判官なるものは主権者国民を裁く、これほど崇高な権威を持つものはない。最高の権威に立つものであるが、そこにこんな万引きのやからがまじっていたとは全くたまげたことであります。 何しろこのたぐいのふらち事件は、さきには安川輝夫小倉簡裁元判事の女性被告誘惑事件、水沼宏旭川家裁元判事の乱酔暴行事件、板垣範之浦和家裁川越支部元判事のゴルフ場管財人との不正癒着事件らが発覚し、そのたびごとに国民を驚愕させたが、その処分はいずれも平然たる依頼退職とは恐れ入ったものであります。 そこで、国民の衝撃の大きさにかんがみ、なぜ懲戒免職にしないのであろうかとただしたところが、それには裁判官訴追委員会の議を要するが、既に退職した元裁判官には訴追委員会は機能しないという。この上は、害類送検を受けた東京地検が司法の威信にかけてこの松永容疑者を断固起訴するしかないと思いますが、しかしその後起訴したかどうか、私は調べておりません。古訓に、よしや政治が乱れても司法が凛然たり得ばその国はいまだ安全だとあります。裁判官の犯罪をあいまいにしたらもはやその国に救いはなくなると考えても考え過ぎではないと思うのであります。主権者国民を裁く崇高な権威に立つ裁判官がこういうことをするのですから、あきれてあいた口がふさがらない。一体今の裁判所の中はどうなっているんだろうかという考え方、気持ちが国民の側に出るのは当然だと思う。私のようなものでも、今の日本の裁判所の中はどうなっているんだろうな。そこで、私は当局にその考え方を一度尋ねてみなければならないと考えておる一人であります。 今、裁判所の中には厳然たる職場規律というものが至って薄くなっておるのであろうか、権威が失われ、綱紀は乱れ、サラリーマン化しておるのであろうか、自分勝手てんでんばらばらな職場雰囲気になっているのではなかろうかな、これは取り越し苦労であるならよろしいが、その辺のところもはっきり述べていただきたい。 実は、過日の当法務委員会におきまして私は裁判所の中の労働組合の問題にも触れました。私が申したのは、資本主義の憲法を有する国の裁判所の職員の労働組合がマルクス・レーニン主義を信奉し、反憲法運動方針を堂々と掲げて運動しておる、こんな雰囲気や風潮が裁判所の中に出ておる、資本主義憲法を持つ裁判所の職員がマルクスレーニン主義の反憲法思想の運動方針で活動しておる、それを何らたしなめることができないということは実におかしい。魚は頭から腐るといいますが、管理者に権威がなくなれば下は必ず乱れます、管理姿勢を正さなければならないのではないかと私は過日申し上げたことがあります。裁判所ですから、裁判所の精神とか裁判所の伝統というものが厳然としていなければならないと思うのです。伝統がなくなって、ただ月給取りのような雰囲気になってくれば権威もなくなるし、誇りもなくなるのではないか、誤った自由、平等によって上も下もない下克上的な傾向がもし裁判所の中にあるとするならば、改めていかなければならない。これは取り越し苦労あるいは考え過ぎかもわからないけれども、裁判官が泥棒する、裁判官がその他の不祥事件を起こす、これは一体どうなっているのですか。もちろん立派な裁判官もおられることは私はよく承知いたしておりますけれども、しかしこういう人が出るということはその職場は普通ではないと思いますが、ひとつこのことについてお答えをいただきたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 昭和五十年ごろから現在までただいま伊藤委員が御指摘になりましたような幾つかの裁判官の不祥事がございましたこと、そのとおりでございまして、私たちにとっては大変残念でありまた悲しい出来事であったわけでございます。ただ、私たち考えますのに、そういった事件が幾つかございましたけれども、それはそういった行為すべて裁判官としてあり得べからざる行為であり論外の出来事でありましたけれども、それは伊藤委員が御心配になるような風潮が裁判所の中にびまんしているということではないものと私たちは信じているわけでございます。 幾つかのケース、それぞれ残念なさまざまな理由があって起きたわけでございますけれども、それは例外的な出来事であり、裁判官のほとんど全員はやはり裁判所の昔ながらの伝統、気風、公正であり廉潔でありそして他から指弾を受けないという気風を最も大切なことと考え、そして裁判所の中に先輩も後輩に対してそういった気風の大切さというものを常に教え、個々の裁判官もそれなりの努力をしておるわけでございます、その中でそういった悲しい出来事が起きたということはまことに残念ではありますけれども、しかしとにかく裁判所の上に立つ者も、また若い裁判官に至るまで、そこらの裁判官の持つべき気質というものの重要性を十分認識して毎日努力をいたしておりますので、その点は御理解いただきたいと思うわけでございます。
○伊藤(昌)委員 本当にそういう気持ちでやっていただかなければならない。何といっても最高の崇高な権威者であると国民は見ておるのでありまするから。 そこで、細かいことを言うようですけれども、しかし最高の崇高な権威者ですから、間違ったことをしたならばそれだけの責任を負っていかなければいけない。示しの意味においてもそうだろうと思いますが、七月四日に事件を起こして七月三十日に戒告処分をした。二十六日も後から戒告処分にするというのは、戒告処分などというものはすぐにやらなければならないものであろうし、恐らくこういうたぐいのことは、悪いことをすれば退職願をすぐ出すに決まっておりまするから、退職願をすぐ出したからといってそれを受けてしまって、そして裁判官訴追委員会を開く時間がなかったから依願退職を受け入れだということでは、これもやはり無責任な人事の取り扱いのように考えられるのですね。裁判官はそれだけ立派な偉い人なんだから、偉い人が悪いことをしたならば、小物をひょっと逃がすようなそういう姿勢はどうか。堂々と処分をしていくということでなければいけないと思う。私は零細企業者ですが、零細企業者でも中小企業者でも、一生懸命働いて、そして関連倒産などで経済的にも痛い目に遭うこともあるのです。役人だけが特別な恩典にあずかるということは、これはやはりいけない。特に偉い人は自分に厳しく処していかなければいけないと思いますが、この問題はいかがでしょうか。訴追委員会を時間がかかるから開けなかったから依願退職にして軽くしてしまったというふうに見てもよろしいものなのか、これもひとつ国民にわかるように話してください。
○櫻井最高裁判所長官代理者 昨年の七月四日、東京高裁の裁判官が東京都内の書店で書籍二点を万引きしたという事件がございました。万引きをした書籍の金額等は、もちろんそれほど多額のものではなかったわけでありますし、通常の万引きの事案としては、それはそれほど重大というべきものではもちろんなかったわけでございますが、しかしそれは裁判官の犯した犯罪でございますから、裁判官としてはもう到底許されない出来事であるわけでございます。それは、もちろん裁判官の品位を著しく辱めたものとして裁判官弾劾法による訴追請求を行い、そして弾劾の裁判を受けるという場合であるというふうにも考え得るわけであります。 ただ、裁判官の懲戒につぎましては、訴追を経た上で弾劾裁判にかかる場合と、それから、同じように裁判官の品位を辱める場合であっても、裁判所法及び裁判官分限法に基づいて裁判所の分限裁判を受けて懲戒をする、二つの場合があるわけでございます。その個々のケースがどちらに当たるかというのは大変難しい判断でございまして、それはやはりその当該事案の詳細な事情に基づいてどちらかで処分を受けていくということになるのであろうと思います。本件の場合は、当時その裁判官は健康を害しており、そしてまたそのために非常に心理的、精神的に疲労し、憔悴している状態にあった、そのために、何と申しますか、魔が差したと申しますか、そういったようなことから起こした事案のように思われまして、最高裁判所の方で詳細に検討した結果、その犯行の原因と、それからそれまでの処分の前例等に照らした上で、大変苦しい選択ではありましたけれども、悩んだ上の選択ではありましたが、裁判官分限裁判による処分の方が相当であろうということでその処置をとることになったわけでございます。決して目に触れないようにということでこっそりとやったというわけでもございませんし、また時間がなかったがために訴追請求を怠ったというわけではないわけであります。
○伊藤(昌)委員 裁判官が体が弱いので精神的に少しノイローゼぎみになった。ノイローゼのような人は人を裁く能力はないわけですね。それならば、やはり研修とか休職を与えて体の養生をさせるということが、その人の上に立つ管理者としての当然な心配りだと思う。そういうことがないということを私はサラリーマン根性と言うんですよ。心配りということがなくちゃいかぬのです、偉い人は。そうかと思うと、さっき申し上げた、一つ一つ言うて意地悪言うわけじゃないけれども、女性被告を裁判官が誘惑する。考えられぬことです、そんなこと。考えられないことを何人かの裁判官がやるんだから、その次に悪いことをやる裁判官はもっとたくさんいるかもわからない、そうやって国民は疑いますよ。ですからよくその辺、後から研修の問題についてお尋ねしますけれども、本当に研修ということを考えてくださらなきゃ、日本の国は上から下まで乱れておるから裁判官にそれだけ完全な責任感を持たせということは無理だという論理は成り立たない。裁判官が最後のとりでですよ。と私は考えます。どうかよくお考えをいただきたいと思います。 それから、結果はどうなりましたかね、刑事処分は。
○筧政府委員 今、日時等をはっきり記憶いたしておりませんが、私の記憶に誤りなくんば、その後でたしか不起訴処分になったと思っております。
○伊藤(昌)委員 死刑台から生還をしました——一体そんなことがあるのだろうか。間違った裁判の恐ろしさ、国民の側から見たときですよ、何という未熟な裁判官なんだろうなという驚きと憤り、例えば免田事件に関与した裁判官は、第六次再審請求審までに六十余人、この六十名の裁判官は責任を持って真剣に一体審理したのであろうか。六十余人の専門家の裁判官が真剣に責任を持って審理したならば、こんな経過と結果が出るわけはないと思うのです、国民の側から見ると。そう思う。いろいろ本を見ますると、見込み捜査、別件逮捕、自白強要、間違った証拠に基づく第一審判決、その後形式的審理で死刑判決を踏襲した上訴審、誤判の責任についてその関係者は一体どう感じているのでしょうか、確信を持って死刑判決をしたのであろうか、あるいはそうでなくて安易な考え方で死刑判決をしたのではないのだろうかな、そういう素朴な気持ちで、心で、考え方でこれを国民は見ておると思う。 松山事件の斎藤さんは、警察のメンツや捜査員の立身、栄達のために証拠の捏造、でっち上げをすることは絶対やめてくださいとも述べているのであります。でっち上げ捜査があるとすると、その防止についてどうしたらいいかという所感も聞きたいし、これは古い時代は確かにそういうことがあったけれども、しかし今のような時代背景と以前はずっと違うのだから、今はそんなことは考えられませんよというならばまたそれはそれでもよろしいが、でっち上げというようなことを一体何でやるのかなどと思う、我々から見ると。我々は罪を犯した者を真人間にしてあげたいなという気持ちが起きるけれども、正しい人間に罪を着せたいなという、もしそういう考え方が捜査官にあるならば、これは本当に研修をして、人間形成の面からたたき直して研修をしていかなければいかぬと思うのです。口は人権だ、平和だ、自由だなんて勝手なことを言っているけれども、やることはそのように自分本位、そして人をいじめ尽くす、そんな考え方がもしまだ今でも捜査上に存在をしておるとするならば、これはよほど考えを改めてよく教育していかなければいけないと思うのですが、でっち上げ、でっち上げということを随分あっちこっちの本に書いてあるが、この問題についてどのような所感を持っていらっしゃるか、恐れ入りますが法務大臣、それから裁判所に……。
○筧政府委員 松山事件あるいはその他の再審で無罪になりました事件について、判決で捜査の不備等をいろいろ指摘されていることは十分承知しているところでございます。ただ、今先生御指摘の証拠の捏造とかでっち上げというようなことは行われなかったというふうに私ども考えております。しかし、捜査はあくまで公正に行われなければならないということは言うまでもないところでございまして、捜査官としてはあくまでその真実、事実を解明し、その真実を究明した上でそれに従った適正な処分なら処分というものの実現を図っていくというのがもちろん職務でございます。ただ、その捜査の過程でそういう批判を受けることが間々ありますので、そういう批判を受けることのないよう常に自戒をして、捜査活動の公正ということを常に念頭に置いて捜査に当たるべきものというふうに考えております。
○嶋崎国務大臣 ただいま御質問の件でございますけれども、検察当局はもちろんのこと、どこまでも公益を代表して事件の訴追をやるわけでございますから、どこまでも真実の発見をして、捜査、調査、告発、その事件の遂行、処理、真剣に取り組んでいかなければならぬということは当然であろうと思いますし、したがって御指摘のようなそういう気持ちで対処をしているというふうには、私は毛頭考えておらないつもりでございます。今後ともそういう意味では検察庁内の指導体制というものを固めまして、間違いのないような運用をやるように心がけてまいりたいと思っております。
○小野最高裁判所長官代理者 申すまでもないことでございますが、刑事裁判というのは、事実を認定いたしまして有罪ということになりますと、法の定めるところによりまして、死刑、無期というような非常に重い刑罰を初めとする各種の刑罰を科するということでございますので、裁判官といたしましては、その責任が非常に重いということで、その職責を全うすべく裁判に誤りなきを期して日夜努力を重ねているところでございまして、御指摘のような安易な考え方で裁判をするということは全くないものと確信しているわけでございます。ただ、昨今、免田事件、財田川事件、松山事件というふうに、相次いで再審公判によりまして無罪の判決が出されるという結果が生じましたことにっきましては、私どもといたしましても、深刻に受けとめているところでございます。無事を罰してはならないというのは、これは刑事裁判の鉄則でございまして、裁判官はこれまでも正しい事実認定というために全力を傾けてまいった、そして証拠を精査検討いたしまして、熟考に熟考を重ねて慎重に裁判をしてきたものと確信しておりますが、改めてその責任の重大さに思いをいたしまして、今後このようなことがないように一順自戒いたしまして研さんに努めるとともに、正しい事実認定を目指して努力し、また国民の負託にこたえなければならないというように考えております。 この点につきましては、昨年六月に最高裁判所で行われました長官、所長会同におきましても、最高裁長官が訓示の中で、特にこの点に言及されまして、「裁判に携わる者としては、この際、その職責の重大性に改めて思いを致し、常に公正中立の立場を堅持し、絶えず研鏡修養に努めるとともに、事件の処理に当たっては的確な事実認定と適切な法律判断に一層の努力を傾注して、適正迅速な裁判を実現し、国民の期待と信頼にこたえなければならない」というふうに訓示をされているところでございまして、私どもといたしましては、一層その決意を新たにしているところでございます。 なお、免田事件につきまして裁判官が六十余名も関与したじゃないかというお話がございましたが、当初の一審、二審、三審と最後の再審の公判の裁判所を椎成しました裁判官以外の五十二名の裁判官は、これは刑事訴訟法の四百三十五条で定めておりますところの再審を開始する要件があるかどうかという、いわば法律的な観点からの判断に関与したということでございます。特に第一次、第二次の再審請求は、その請求手続が法律の定める方式に違反したということで棄却されたものでありますし、また第五次の請求は、これは刑事訴訟法で同じ理由では何回も再審の請求ができないということになっておりますところを、第三次の請求と全く同じ理由であったということで棄却されているというようなことでございますので、その点をつけ加えさせていただきます。
○伊藤(昌)委員 その辺の法律判断も研究改善する余地があるのではないでしょうか。その法律でこうだということは建前だけれども、本当はそうでなくて、裁判の公正の問題だとか、いろいろ実務上の問題でできないということがあるのじゃないかと思う。本当に法律上で再審ができないのだというだけではないのじゃないかな、こう思うわけです。その問題も後で私が知っていることを述べさせてもらいます。 そこで、誤判の原因というのは捜査技術上の自白中心の捜査にあるとも言われておりまするけれども、そこでわからないのは、人を殺しもしないのに、なぜ殺しましたと言ってうその自白をするのでしょうかということですね。人を殺さないのに、私は殺しましたと何で言うのでしょうか、あるいはそれは調べ方に原因があるのか。やはりそういうことも裁判をする側、それから取り調べる側は取り調べられる方の側の心境にもなってあげなければ、公正な結果は出てこないと思う。相手の立場ということも考えてあげなければいかぬのじゃないかと思う。私が人殺しもしないのに人殺しをしましたと言って言うかなと思うと、それはどういう環境のときに言うのでしょうかね。そのくらいのことは専門家だから研究をしておられるでしょうが、ひとつ教えてください。
○筧政府委員 私も余り経験がございませんので、どういうときに自白を一本当はやっていないのに自白をするということもないわけではないと思います。ただ、それがどういう状況で行われるかということ、これも千差万別で一概には言えないと思います。ただ、私ども捜査をやっておりますときによく言われましたことは、たとえ自白をした場合でもその自白がうその場合もある、だから自白が本当の自白かどうかよく考えろ、ほかの物的証拠との比較検討も必要なわけでございますから、そういう点で慎重に当たれということは、繰り返し先輩等から言われたところでございますし、極端な例としてある先輩から言われましたことは、自白したら一たん、そうじゃないだろうとこっちからしつこく聞いてみろ、それでなおかつ自白するならば間違いないという場合もあるんだというようなことで、捜査官としては、自白をいたしましてもそれが本当ではないという疑いを残さないように、あらゆる面から吟味検討した上で真実の自白であるという確信を得た上でさらに捜査を進めるということが言われておるところでございます。
○伊藤(昌)委員 事件の真相解明と人権保障の理念を捜査また裁判担当官がしっかり持つということが一番大切なことであると思いますので、それをなお一層研修の上で徹底をさせていただきたいと思うのであります。 そこで、これも私にはよくわからないのですが、松山事件の第一審で斎藤さんに死刑の判決を下した萩原金美さんという裁判官が次のように述べているのです。「再審は被告人とその家族、さらに弁護人などにとってはもちろん、国家公共の見地からもぼう大なエネルギー、時間、そして管用を要求する。そのエネルギー等の数分の一でも、最初の第一審に投入されるならば、誤判のほとんどは未然に防止できるのではあるまいか。」ということになってまいりますると、裁判体制に問題があるということが言える。「再審制度の拡充も大切であるが、死刑にあたるような重大事件については、第一審の充実強化を真剣に考える必要があろう。そのためには、捜査段階の証拠の開示など、従来指摘されている諸点に加えて、この種事件を担当する裁判部の構成について特別の配慮をすることや、国費で有能練達な弁護人を複数つけて、しかも十分な弁護費用」を支給することなどの方策が早急に検討されなければならない云云。 こうなってきますると、裁判官そのものにも自信がなくなってしまっている。自信のない態勢で裁判をやらせているというように国民は考えてしまう。あなた方が裁判官としてこういうことをなるほどなと考えておられるとするならば、その辺のところを改革していかなければいけないんだと思いますが、あるいはこの元裁判官はいいかげんなことをおっしゃっておるんでしょうかね。このことについてどのようにお考えになりますでしょうか。
○小野最高裁判所長官代理者 この前のいわゆる旧刑訴法というものは、起訴状が出されますときに捜査資料は全部起訴状と一緒に裁判所に提出されまして、それを裁判官が記録をよく精査して法廷に臨むという制度であったわけでございます。戦後、新しい刑訴法ができまして、これはただいま行われている刑事訴訟法でございますが、これは考え方を異にいたしまして、要するに真実の発見は、検察官、被告人、弁護人の対立当事者が互いに証拠を法廷で出し合ってその中から本当の真実が発見できるんだ、こういう立場をとっているわけでございます。裁判所には起訴状が一つ送られてくるだけでございまして、裁判官は法廷に臨むに当たっては起訴状以外は見てはならない。一切予断を抱くようなものを見てはならないし、予断を抱いてはいけない。法廷には全く白紙の状態で臨んで、そしてそこで検察官から提出される証拠あるいは弁護人側から提出される証拠、そういうものを審査、検討した結果、いわゆる判断者として軍配を上げるんだ、こういう立場に立っているわけでございます。したがいまして、裁判所が自分から証拠を収集するというのは極めて例外的、補充的なこととされておりまして、いわば当事者主義と言いまして、訴訟活動を当事者の訴訟活動にゆだねているという立場をとっているわけでございます。 したがいまして、この萩原さんのおっしゃるところを私、考えますのに、裁判官は法廷外の証拠で判断するわけにはまいりませんで、法廷に出されたその証拠に基づいて判断するということでございますので、その法廷に出された証拠からこれはこうだという判断が出る。それは仮に有罪といたします。それがそのまま確定いたしまして、その後にそこで出された以外にもっと証拠があったんだ、これが再審で先ほど申しました四百三十五条で決めておりますような、無罪となるような明白な証拠が新たに発見されたというようなことで再審が行われるわけでございます。そうしますと、そういう新たな証拠があるんだったらそれはなぜその第一審の段階で出なかったのかということであろうかと思います。 私どもも、裁判というのは、これは特に第一審というのが非常に大切でございます。第一審で審理を尽くすということが非常に大切でございまして、その第一審で十分に両当事者が力を発揮する、また裁判所も気づけば釈明するなりなんなりして立証を促すことによって、一審を充実することによって立派な裁判を行っていくんだ、その必要があろう。私どもはかねがねから審理の充実ということを申しておりますが、それはまさにその萩原さんのおっしゃっていることと私どもの申していることと同じではないか、そういうふうに考えているわけでございます。 ただ、裁判所の構成とおっしゃることにつきましては、ちょっとどういうことをおっしゃるのかはっきりいたしませんが、弁護人の点につきましては、ただいまでも非常に困難な事件というようなことになりますと、通常は国選弁護人の場合一名でございますけれども、そういう場合には複数の弁護人を選任してやっていただくというような配慮もただいましているところでございます。
○伊藤(昌)委員 早急に改めるべきところは改めていただかなければならない。金の面だって大した金じゃないだろうと思うのですね。しょっちゅうそんなにあるわけじゃないでしょうから、金の面で改められるべきものであるならば堂々と改むべきところは改めていただかなければいけないのじゃないでしょうか。これは、本人の問題ではさることながら、国民の側から見てこういう結果が幾つも飛び出すということは実に国家のためによくないと思います。 そこで、第二次再審請求段階の昭和五十年秋、裁判所の勧告もあって検察側が提出をした裁判不提出記録の中に、弁護側がびっくりするような資料があった。それは鑑定資料のかけ布団の裏には血液が付着していないものと認めるという平塚鑑定書が裁判不提出記録の中にあったという。しかし、表に出たのは、今局長のおっしゃられました起訴状にありましたのは、三木鑑定、これは、八十数群の血痕がついていた。そうなってきますると、被告の無罪を証明する証拠が検察の手によって隠されていたんだと国民はまた疑いたくなってしまう。非常に不安なんです。まさか今こんなことはないと思いますけれども、こんなことが事実あったとするならば、事実破って捨ててしまっているのじゃないんだから、隠してあったとするならば、そういうところまで裁判官の目が届くような改良の仕方をしなければいけないのじゃないでしょうかね。裁判記録を細かく検討して申し上げるわけじゃない、一部分だけ取り上げたわけでありますが、もしそういうことがあるとするならば、そういうところまで目の届くようなことを考えなければいけないのじゃないでしょうかね。重大な問題だから、検事側のお考え方で隠されたんじゃたまったものじゃない。答えてください。
○筧政府委員 ただいまの松山事件についてのことでございますが、確かに判決の中で今御指摘のかけ布川の点あるいは鑑定の点について批判的な説示がなされているということは承知いたしております。しかし、これにつきましては、検察当局としては、その事実を調べました結果、証拠を秘匿したというような判示は必ずしも当を得たものではないということで、そういうことはなかったという判断に立っております。かけ布団の血痕の点につきましても、当初から付着しておったものだというふうに認定をいたしておりますし、それから今の平塚鑑定でございますが、この平塚鑑定は、東北大学の三木助教授の鑑定、それの予備鑑定的なものであり、その内容も三木鑑定と同じものであった、異ならないということから、二つ重ねて証拠申請する必要はないということで三木鑑定を提出し、平塚鑑定は提出しなかった。提出いたしませんので、開示する必要もないわけでございますから、それはそのまま持っておったというふうに理解いたしております。
○伊藤(昌)委員 しかし、国民の側からすると、その三木鑑定には血痕がたくさんついていたけれども平塚鑑定には血痕が認められなかったというのは、全然違う証拠ですよね。そして被告人に不利になるようなものは隠してしまったというふうに国民はとっている。少なくとも私なんかそのように、物を読んだりしてとっている。そのようにとっておりますからね。ですから、間違ったことであるならばそれにちゃんと反論していかないと、これは重大な問題だと思う。これは検察の権威にかかわることだと思いますね、大臣。ですから、どうしてこういう重要なことが、考え方がばらばらになってしまうのだろうか、こう思うのですがね。 そこで、裁判所にお願いをしますけれども、恐らく専門家の側からすると、自分の調べ方が不十分だ、こうもしたいああもしたいという問題が出てくるだろうと思う。それができるように改めていかなければいけない、こう思いますが、ひとつ御検討をしていただきたいと思います。 そこで、また少し嫌なことでございますが、再審事件に共通した問題点というと、今のように見込み捜査だとか別件逮捕とか、自白強要とか、証拠のでっち上げとか、それから科学鑑定の結果に検察側は無批判にそれを信じて、その上捜査の都合のよいようにこれを採用する、そういう検察に対する批判が今どんどん出ているわけですね。そういったことも間違っておるならば打ち消していかないといけない。検察の権威にかかわりますから、打ち消していかなければいけないと思うのです。 また、それをチェックできなかった裁判官の責任問題。蒸し返しになりまするけれども、証拠の認定は非常に難しいことがあるでしょう。しかしながら、その認定が確実になされなければ無実の人が処刑をされる。捜査官の責任は実に大きいけれども、裁判官の最終責任はなお大きい。捜査当局がどんなにうまくつじつま合わせをしても、どんな権威ある学者が鑑定をしたとしても、裁判官が被告人、弁護人の言葉をよく聞いて、証拠に基づいて一つ一つ確定していくならば、誤判などは生ずるはずはない。これは専門家がそういうふうに述べているわけです。そうであるならば、その過程について改むべきところは改めていかなければならない、当然そういう答えが出てくるわけであります。 また、こんな嫌なことを言う人がおるのですね。これは何人もいる。木にも書いてある。裁判官を誹謗するようなことになって済みませんが、もし違っておったら、やはりそういうことを打ち消してもらわないと困るのです。また合っておったら、改むべきところは改めていただかなければ……。裁判官には被告人は悪、捜査官は公正という偏見がある。すべてとは言いませんよ。だからでっち上げなどのとりこにもなってしまう。 この「国会議員」という第二十一、第二十二合併号を見ますると、法律家は、特有の論理、発想というものが身についていて認識を狭めている——本当にそうなのでしょうかね。裁判官は官僚的養成過程を経て任官し、それからも社会と隔絶された純粋培養基に植えつけられたようなもの。かなり経験を積んだ裁判官でも、その人が特別に修業をし、努力しない限り、社会との接触が積み重ねられていくことは望めない。ところが、裁判にあらわれる事実は、人間臭い社会の泥が渦巻く中から生じた問題である。だから官僚的風土とか純粋培養によってでき上がった人間では、主観的には善意でも、客観的にはとんでもない誤りを犯すことは考えられると思う。裁判する側とされる人間との間にあるギャップ付構造的には甚だ根深いと思われる、こう書かれておるが、裁判官に対する、辛らつだが妥当性もある批判と受け取ってよいものだとするならば——私も弁護士の方々に聞いてみたのですよ。そういう純粋培養的な法律一点張りの裁判官というのはかなりいらっしゃるものですかと聞いたら、やはりいらっしゃると言う。もしそうであるならば、なおさら研修に力を置いていかなければならないのではないでしょうか。 申し上げにくいことを申し上げましたが、これは私が考えるのでなくて、やはり国民がいろいろな書物を読んだり、人の話を聞くと、そういうことを言うから、そういうことを言われたら、やはりそれを直してほしいというのが、そして権威あるものに戻ってほしいというのが私の気持ちですので、こういうところでお尋ねして悪いけれども、ひとつ率直にお答えをいただきたいと思います。 〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
○小野最高裁判所長官代理者 まず最初に、先ほどお尋ねありました証拠評価の問題でございますけれども、証拠評価というのは非常に難しい場合がございます。仮に被告人の自白がありました場合に、その自白を信用できるのかどうかというようなことを考えてみます場合に、その書かれた調書だけでこれは信用できるかどうかといっても、それはまさに神ならぬ身でございますのでなかなかわからない。結局いろいろな証拠と突き合わせまして、対照いたしまして、そして総合的に判断していくということでございますので、そういう難しい事件につきましては、証拠資料というものがたくさんあればあるほど正しい判断が出てくるというように思います。確かに、ただいまのところは当事者主義ということで双方が有利な証拠をお出しになるというようなことでございますが、そういう難しい事件につきましては、裁判所の方でいろいろと説得などいたしまして、両当事者からできるだけ多くの関連の証拠を出していただくようにして、その多くの資料を突き合わせて、誤りなきようにということで努力して、運用上そうやっているのが実情でございます。 第二点の問題でございますが、憲法は、「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」裁判官の独立を保障しているわけでございますが、ここに書かれていることは、これはまさに裁判官の職責でもあるというふうに考えているわけでございます。裁判官は、法に従って中立、公正の立場から、虚心に証拠に基づいて事実を認定して判断しているものというふうに確信しているわけでございます。 裁判官は何かへんぱな、あるいは偏見を持っているのではないかという御指摘でございますけれども、先ほども申し上げましたように、ただいまの訴訟法は起訴状一本主義ということで、裁判官は起訴状だけを見て、本当に白紙の状態で、何物にもとらわれないで、予断を持たないで虚心に証拠を判断するんだということで努力しているところでございまして、御指摘のような偏見を持つ裁判官は全くないというふうに私どもは信じているところでございます。 なお、裁判官は法律だけを知っているのでという御指摘もございましたけれども、私ども確かに法律は勉強いたしましたけれども、特に刑事の裁判におきましては事実認定というものが非常に大切であるということで、法律よりも私どもが力を入れているのは事実認定でございます。とにかく、事実認定が間違ったらどんなに法律ができてもそれはもう正しい裁判ではないんだ、裁判の基本は正しい事実認定にあるんだということは、これは私ども先輩からも教えられましたし、私ども後輩にもそう言って事実認定ということに全力を注いでいるわけでございます。その事実認定をするに当たりましては、御指摘ありましたような法律だけではできないんでありまして、一般的な、社会的な常識もなければならないわけでございます。確かに裁判官というものは、先ほど人事局長も申しておりましたように、公正、廉直でなければなりませんし、また社会から何らかの指弾を受けるような行動というものは慎まなければならない、常に身を慎むに厳正でなければならないということがありますので、社会的な体験を何でもするというわけにはまいりません。一般常識、社会常識を養うということは必ずしも自分で体験しなくても、いろいろな勉強をする、研さんをすることによっても十分修得することはできるというふうに思っているわけでございまして、私どもは私どもなりに、そういうふうな常識的な判断ができるようにということで日夜努力しているところでございます。
○伊藤(昌)委員 本当に今のお考え方をもとにして指導、研修をしていただければ間違いないと思うのですが、これは言うだけでなくて本当にそういう考え方でやっていただきたいものだと思います。そうでないと、やはり人間ですから、少し油断をすればすぐ独断とか偏見が生まれるものでして、そうなれば虚像を実像と信じ込んでしまう場合があるでしょうから、我々以上に勉強していただかなければならないのが裁判官であり、また検察官であろうと思います。 そこで、先のことを心配をし過ぎると言われるかもわかりませんけれども、これからの若い裁判官——私は地方議員を長くやっておりましたから、今の義務教育の現場などについてはかなり調査をいたしておって、こんなおかしな教育をしておると十年、十五年先の日本は非常に危険だと思うわけです。子供たちに常識を教える学問、社会科、公民教科書なども実にでたらめ、どこの国の国民をつくるのかさっぱりわからない。歴史教科書、国語教科書、まず権利の主張一点張り。人の話を素直に聞こうなんというような教育は全くと言ってよいくらい木には書いてない。自己主張一点張りだ。そういう子供たちが今の偏差値がなんかの点数によって、中からできのいいのが秀才と言われでこれから裁判官になるかもわからない。そういう先のことなども考えていかなければいけないと思う。人間というものはいきなり変化するものではない。だんだん、だんだん間違った変化を来たしてしまうのですから、したがって、今の局長さん方のような良識を持った方々がその良識を本当に伝達をしていくという気持ちになっていかないと、間違った社会、間違った風潮に流されていってしまいまするととんでもないことになると思うから、それはひとつ今から心していただかなければいけないと思う。捜査官も同じだ。このごろ警察官などと話をしておるけれども、今から十年ぐらい前の警察官と今の警察官とはかなり人間性が違うです。悪く違っておる。それは全部教育であります。 皆様方でもおわかりでしょうけれども、私どものような昭和初期に生まれた者の物の考え方、国家観、社会観、それから昭和十数年代に生まれた方々の国家に対する考え方、それから社会に対する考え方、自分の立場についての考え方、それから昭和二十年代生まれ、昭和三十年代生まれ、たった十年の違いだけれども、随分考え方に違いがある。よりよい方に違いがあるならいいけれども、自己中心、悪い方に違いがある。特に昭和四十年以降に生まれた子供の教育などというものは実にそれはひどい。私は昨年の三月、衆議院の予算委員会で、学習指導要領と今の子供たちが使っている社会科教科書、歴史教科書について内容を明らかにしたけれども、文部大臣が後でおっしゃるには、確かにこんな教科書を使っていたら十年、十五年後の日本は危険だと言う。それなら直せばいいじゃないかということになるけれども、今は国定教科書じゃないからすぐには直せない。きょうは教育論議をするわけじゃありませんけれども、それは十年ごとにまるで違ってくる。 この前は十九歳のある娘さんに尋ねてみたら、今の若い子の考え方はわからぬと言う。十九歳の子が十五歳の子供を見て何を考えているかわからないと言う。そのくらい間違った教育の影響というものを受けているわけですね。したがいまして、これから十年先のあるいは十五年先の裁判官になる方々のことを考えて、これから十五年くらい後の裁判官に物を言わせると、恐らく今のような良識を持った御答弁はできなくなるかもしらぬですね。そこまで考えて若い人たちの研修に力を入れていかなければならないと私は考えるわけであります。 そこで、もう時間がありませんが、被告人の勾留、保釈に関する問題についてお尋ねしたいと思いますが、これは法律、規則の改正をしていただきたいと思うのです。 被告人の勾留は、人身の自由に対する著しい制約であり、有罪の判決があるまで無罪の推定を受ける被告人の地位にかんがみるとき、刑事訴訟法における勾留、保釈に関する規定は憲法が保障する基本的人権尊重の観点から十分に整備されるとともに、その運用についても努めて慎重を要し、できる限り早期に保釈をすることがその趣旨に沿うものと考えられる。 しかし、勾留が相当長期にわたると思われる事例も少なくなく、私は戸塚ヨットスクール問題をここで絞って言うわけじゃありませんが、例えば戸塚ヨットスクール事件における被告人戸塚は、再三にわたる保釈申請も却下され、その勾留は一年有半に及んでおり、一般市民の常識からも長きに過ぎ、過剰な身柄拘束ではないかと不審がられているほどである。これが刑事訴訟法にのっとってなされているとすれば、その法の規定と運用に問題があるのではないかと思料されるところであります。 ついては、左の諸点について政府の見解を承りたいのです。 被告人の勾留について現行刑事訴訟法第八十九条は権利保釈制度を設けている。しかし、この制度には大幅な除外事由が設けられ、その実態はいわば例外的保釈制度になっていると思われる。よって、この除外事由を整備し、特に証拠隠滅のおそれの項があるからといって安易にこれを適用するなどを改め、かつ保釈の請求があれば原則としてこれを許さなければならないこととするよう、我が国の現行制度を根本的に改正する必要があると考えますが、どうかということ。 〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕 二としては、否認事件、黙秘権行使事件、集団犯罪事件などは、審理に長期間を要し、また勾留による拘禁も長期化することが少なくないが、その長期化にもおのずから限界があるべきである。したがって、刑事訴訟法第九十一条は不当に長い拘禁について義務的保釈の規定を設けているが、本条はその限界基準については具体性に欠け、保釈の決定につき不均衡を生ずるおそれなしとはしない。よって、何をもって不当に長い拘禁を認めるかにつき、右の条項を改正して何らかの基準を明示する必要があると考えますが、いかがか。 三として、刑事訴訟法第九十条は、裁量保釈について規定するが、その裁量基準の規定がなく、ここでは人権保障上問題があると思われ、したがって人権保障を第一義に考えて裁量権を行使するよう本条の規定を改正する必要があると考えるがどうか。 なお、第九十条の運用についても、保釈決定の際、事案に応じて証拠隠滅のおそれ及びその防止という面を考慮して保釈保証金額を決定し、保釈の取り消し及び保証金の没収という威嚇により証拠隠滅を防止することもできるのでありますから、特に行為者において正当な行為との認識のもとに行われる類型の犯罪にあっては、即ち行為を正当と自負する確信犯には証拠隠滅の意思はむしろないものと見られるから、一般の犯罪とは異なり証拠隠滅のおそれも乏しいと考えられる。したがって、保釈の取り消しと保証金の没収という威嚇により証拠隠滅を防止し、裁量保釈をもって長期間の勾留を避けるべきであると考えますが、これらのことについて法改正についての希望を述べますが、これについての御答弁をいただきたいのですが、もう時間がないようですから、また次の機会に譲りたいと思います。よく御研究の上納得のできる答弁をしていただきたいと思います。それじゃどうもありがとうございました。
○片岡委員長 林吾郎君。
○林(百)委員 委員長、最初に委員会の運営ですが、自民党さんの方は時間は正確に言ってきますけれども、今、他の同僚からも語いがありましたが、今ごろになりますと自民党さんが三人で野党がこれ。採決すると野党の言うとおりになっちゃうのですよ。だから時間を正確に言うなら、ちゃんと自民党さんも出席を確保するなりあるいは五時過ぎというとみんな疲れてきますから、五時過ぎなら次に移すなら移すという配慮を今後ひとつ考えていただきたい。これは同僚議員からも話がありました。
○片岡委員長 注意を喚起しておきます。
○林(百)委員 もう一つ、今伊藤議員の質問の中に、裁判官が乱れると下が汚れて、下である労組はマルクス、エンゲルスを信奉して反憲法運動をしておると。これは全く根拠のない質問でございますので、これは公司法のことを言っておると思いますが、全司法は御承知のとおり裁判制度が、司法制度が職員はもちろんのこと判事さんも充実さして国民の期待にこたえるようにという運動を一生懸命しておりますので、職場の民主化も鋭意努力しておりますので、これは全く全司法の労組に対するいわれなき攻撃でありますので、私は厳重にこの質問に対しては抗議すると同時に、伊藤議員はよく実情をお調べになって、この質問は将来取り消されることをまず最初に求めます。 それじゃ私の質問に入ります。 そこで最初の質問ですが、きょうの朝日新聞の夕刊に、けさ朝日新聞大阪本社など在阪の報道機関に二十一通目のいわゆる二十一面相と称する連中の挑戦状が届いておる。この内容は、名古屋、東京に続いて十三日、バレンタインデーの前の日ですが、午後に神戸、大阪市内にも五個のチョコレートを置いて、そのうち三個は毒入りで警察がその事実を隠していると言っている。これに対して大阪、兵庫両府県警の捜査本部は、これは警察の不信をあおるものだという談話を発表したようでございますが、これについて警察はどのような事実をつかんでおりますか、ここで報告していただきたいと思います。
○藤原説明員 ただいま御質問の本日の朝日新聞の夕刊に載っております毒入りチョコの関係でございますが、そこに書いてありますように、本日在阪の報道機関三社ぐらいにその種挑戦状が参りまして、五個そういうチョコを大阪、神戸の各町五カ所に置いた、こういうことでございますが、私どもの方で一応捜査いたしましたが、その種の該当する事実はございません。
○林(百)委員 この内容を見ますと、犯人は挑戦状の中で神戸、大阪市内にチョコを置いた場所として、そごう神戸店前、これは神戸ですね。それから三宮駅、同じく神戸。天王子ステーションビル(大阪)。難波、虹のまち派出所の上、これは大阪。阪急、梅田駅、同大阪。この五カ所を挙げている。これまで神戸、大阪で見つかっていないのは警察が隠しとるからやと言っている。これは第一、こういう内容の五個のチョコレートを置いたけれども三個は毒入りだ、それは隠している、こういう内容の挑戦状が来たことは間違いないかどうか。それから、ここで犯人が挙げている五カ所の場所を捜査してみたかどうか、その点をはっきりしてください。
○藤原説明員 御質問の第一の挑戦状が来たかどうかということは、在阪の各報道機関に来たというふうに私どもは承っております。 それから、その場所を捜査したかどうか、こういう問題でございますが、そういった挑戦状の中に指摘されました場所については、一応ただいままで捜査した結果ではそうした該当の事実はない、こういうことでございます。
○林(百)委員 その挑戦状の内容に「わしら らい年まで つかまらへん」と言っている。こういう内容はあったのですか。
○藤原説明員 挑戦状の報道機関に来た写しを私ども入手いたしまして読みましたところ、そのような内容はございました。
○林(百)委員 そこで、 「けいさつ かくしとる」と名ざしされた大阪府警の平野雄幸・捜査一課長は「警察へ不信感を抱かせ、市民の不安をかきたてるためのデモンストレーションでしょう。それと、警戒の厳しい大阪、神戸に青酸チョコを置けなかった腹いせ」と受け止めている。十二日から十三日にかけて、東京、名古屋で青酸ソーダ入りチョコが相次いで見つかってから数日間、大阪府警にも「不審なチョコが放置されている」などの情報が計十八件も相次いだ。 そして十二日、十三日にかけて東京、名古屋で青酸ソーダの入ったチョコレートが相次いで見つかっていると載っているが、これは見つかっているかどうかということと、それから、大阪府警にも不審なチョコが放置されているなどの情報が十八件も相次いで警察へ報告されているということですが、これは事実ですか。
○藤原説明員 バレンタインデー前後、つまり今月の十二日でございますが、それ以降の二十一面相と称する犯人グループのその種の青酸チョコの関係につきましては、既に報道されておりますように、十二日から十三日にかけまして東京。名古屋で十二カ所十三個、うち毒入り八個が発見されたわけでございます。そのほかは現在まで発見されていない。発見されていない現在、そういった挑戦状が各在阪の報道機関に届けられた。そして、さらに記事で十八件、いろいろチョコレートの落としたものが届けられておるということでございますが、もちろんそういった届け出を受理しておりまして、これが二十二面相のグループによるいわゆる青酸チョコかどうかということについては、これの判断の基準は、毒入り危険とかいろいろシールを張っておりますが、そういったものは全然張ってないチョコレートであるということでございます。
○林(百)委員 挑戦状の中には、「東京なごやは十八こまいた うち十三こでた」と書いている。犯人のいうとおりだとすると、十二日から十三日にかけて東京と名古屋でみつかった毒入りなどのチョコは十三個なので、まだ五個残っていることになり、警視庁などで調べている。 そうしますと、東京、名古屋等で十八個ばらまいたうち十三個出たと言っていますが、これに対して警察の把握している実情はどういうことですか。
○藤原説明員 先ほども申し上げましたように、東京、名古屋で発見されましたものは十三個でございます。見つかって届け出があったわけでございます。それで、挑戦状には十八個となっておりますが、我々が受けたものは十三個ということでございます。
○林(百)委員 そうすると、十八個ばらまいた、この十八個についてははっきりしないが、彼らはそのうち十三個は見つかって五個はまだ見つかってないと言っていますが、十八個は問題があるとしても、十三個見つかったことは間違いないですか。
○藤原説明員 十三個見つかったことは間違いございません。
○林(百)委員 十三個、どことどこでどう見つかったのか。それから、その中には毒入りがあったのですか、なかったのですか。
○藤原説明員 十三個は、東京で九個、名古屋で四個。そのうち、名古屋の四個のうち二個は毒入り、それから東京の九個のうち三個が毒なしでございますから六つが毒入り。これは報道されておりますように、東京は中央通り沿い神田駅までのところの数カ所、名古屋は駅前から栄町の方にかけて数カ所置かれたということでございます。
○林(百)委員 犯人の言うとおりだとすると、十八個のうち十三個ですから五個残っているということになりますが、これはまだ警察当局では事実もはっきりしないし、それは見つかっているか見つかってないか。まいてないものは見つかるはずはありませんが、とにかく十三個だけは上がっているということですね。 わかりました。そういう事実ですが、 しかし警視庁では、その後新たな届け出はないし警察が隠すわけもなく、犯人のかく乱戦術とみている。ただ、まだ発見していなかったり、発見者が届け出なかったことも否定できないのでさらに調べてみるという。これは記事ですが、だからこれは十三個まいただけで、十三個上がっているから、犯人の言うようにまだ五個は上がってないのだとか警察が隠しているということはないが、発見者が届け出なかったことも否定できないのでさらに調べてみるという事実はあるのですか。
○藤原説明員 先ほど申し上げましたように、十三個の届け出はあったわけでございますが、あとについてはそういった届け出はありません。それで本日のそういった挑戦状の内容で、あと五個まいた、こういう挑戦状の内容でございますので、さらに警視庁ではそういった関係についての捜査を進めておる、こういう段階でございます。
○林(百)委員 じゃ、この五個が必ずしも警視庁の管内の東京とは限らないわけでしょう。
○藤原説明員 挑戦状では、東京から名古屋に十八個まいた、そして十三個見つかったということの記載がございますので、その五個については東京から名古屋というふうなことを犯人グループは指摘しておるのではないか、こういうふうに考えております。
○林(百)委員 そこで、この事件の根本的な問題に入りたいのですが、犯人は「わしら らい年まで つかまらへん」こういうことを言って全く警察を愚弄したようなことを言っているのですが、もうこの事件が始まってから十一カ月近くになるのですが、なぜこれについて犯人が捕まらないのか、あるいはその端緒すらまだ信頼できるものはつかめないのか、どこに問題があるのですか。
○藤原説明員 ただいま御指摘ございましたように、この事件は昨年の三月十八日、兵庫県の西宮市において発生したわけでございます。その後四月にグリコ本社の放火とかいろいろの形態の事件がその後累積されてきたわけでございます。警察といたしましては、大阪、兵庫、京都の各府県警察を中心に全国の警察の総力を挙げまして捜査を行っているところでございます。 そういったことで、ただいま御指摘のような問題でございますが、この事件は遺留品あるいはタイプ、使用しているタイプでございますが、そういった非常に大量捜査を行わなければならないという状況でございます。また、特別巡回といったようなローラーにいたしましても、これまた相当の対象者がおるといったようなこと、またこの犯人が現金の取引ということで現場に近づいてくる、こういった際にもこの犯人は非常に用心深い行動を重ねるということで、現場での逮捕がなかなか困難というか、逮捕に至らない、こういったようなことでございます。 ちなみに、そういった便乗犯でございますが、これについては現在四十件近い、三十数名のそういった事件について、これも相当緻密な便乗事件もございますが、そういったものはほとんど逮捕に至っておる、検挙に至っておる、こういうことでございますが、この事件だけはそういうことで非常に犯人グループが用心深いということで解明に手間取って捜査が長期化している状況でございます。 そういうことでございますが、現在遺留品を中心といたしました物の捜査とかあるいは不審人物に関する情報捜査、こういったものを中心に進めておりますし、ビデオ等の公開によりまして国民の皆様方からの情報も多数寄せられておりますので、それらの捜査を通じて一日も早く事件の検挙に向けて全力を尽くしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○林(百)委員 犯人が緻密な計画を立てて見つからないようにやるのは当たり前なんで、それを捜査するのが警察の任務でしょう。犯人が緻密だから捕まらないのですと言ったら、そうしたら警察の任務というのは全く軽んじられることになる。(発言する者あり)委員長、これ、うるさくていけませんから静かにするように言ってください。一警察出の議員でうるさくてしようがない。 それで、こういうことも言われているんですがね。これは警察の体質にあるんじゃないか。要するに警備保安中心の長い間の日本の警察の伝統が、こういう緻密な刑事犯を捜査するという方へ力が注がれていないし、またその方面に苦労しておる人に対して報いられるところがないんだ。今度のこのグリコ・森永事件も警備警察が乗り出してきている。しかしそれは刑事の関係者から言わせると、あれでは捕まらないじゃないかという意見もあるのですが、そういう警察の内部の矛盾が露呈しているというようなことはありませんか。
○藤原説明員 ただいま先生おっしゃいましたようなことも耳にしないわけではございませんが、警察の捜査といたしましては、ただいまおっしゃいますような公安主導であるとかあるいは刑事主導であるとか、そういった部門的主導ということではなくて、そういった重要事件でありますので各部門の総力を挙げて取り組んで偽る、こういうことでございますので、御指摘のような点は私どもはない、こういうふうに確信いたしておるわけでございます。
○林(百)委員 元の警察官がそう言っているんですよね。私はあそこに木を持っているんですけれどもね。警察の内部の人あるいはOBがそう言っているんで、それは必ずしも根拠のないことじゃないというように思うわけですが、そういう強い意見もあるということを警告しておきます。 それで、今度バレンタインデーでまかれたチョコレートに指紋はとられているんですか。
○藤原説明員 バレンタインデーで出ました青酸入りチョコでございますが、そういったものについては所要の鑑識活動を行っておりますが、そういった内容につきましては、現在捜査中でございますので答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
○林(百)委員 それで我々が不思議に思うのは、第一に名古屋高速道路の大津サービスエリアで、このとき身長百八十センチメートルに近い長身の目のつり上がったきつそうな男がいた。そういう男がいて、それを七人の警察官が見ている。これはどうして逃がしちゃったんですか。七人の警察官が見て……(発言する者あり)うるさいね、あなた方は。何言っているんですか。人の質問、黙って聞いていなさい。七人の警察官がいて、それで後になってこれは犯人だとわかっているのに、これを逃がしてしまうというのは大きな警察のミスじゃありませんか。これはどういうわけですか。 それが一つと、ついでに申しますが、それからハウス食品事件の夜、名古屋高速の白旗を出した地点のそばにいた盗難車ですね。この男が、予期せぬパトカーが出現して、その盗難車もそのまま置かれている。その中には遺留品として無線機がある、それからサファリハットもあった、こういう証拠も残っているわけですね。犯人も現認しておれば遺留品もある。それから指紋ももちろんとっていると思うのですね。それからビデオの写真ですね、西宮の甲子園にあるファミリーマートの。こういういろいろの、犯人も見ているし写真も出ている。遺留品もある。指紋もとっている。それで捕まらない、捕まらないとは一体どういうことなんですか。それを説明してみてください。
○藤原説明員 まず最初の質問でございますが、大津サービスエリアで百八十センチメートルくらい、キツネ目の男を七人の警察官が現認しながら逃がしたではないか、こういうお話でございますが、七人は行っておりません。そうしてこのときに、現認した人数はともかくといたしまして、七人は行っておりませんが、そういったいわゆる当時配属されておりました捜査員は、別の任務でそこに配属されていて、その別の任務を遂行する傍ら、そういった今御指摘の不審人物を見つけたわけてごさいますが、それも相当距離が離れておりまして、そしてそちらの方に近寄る前にその男が既に別の間道から逃げたような形になっておりますので、取り逃がしたとか、そういった事実は全然ない、こういうことでございます。 それから第二点の、ハウス事件の関係で、これは名神高速でございますが、栗東のインターの手前のところでございますが、ここで予期せぬパトカーの出現にその車が驚いて逃げた、これは盗難車であった、こんなことでございます。この中に確かに遺留品として無線機とかあるいはサファリハット、そういったものがありましたし、また先般の十月七日の西宮のFMマートのところでビデオの男がモニターカメラに映っております。そういったことはいずれも捜査としていろいろの捜査を尽くしておりますが、現在のこういったいろいろ大量生産の時代でございまして、その所有者を個々に特定する捜査というのは極めて困難な状況でございますが、なお現在そういったものを続けておる、こういうことでございます。
○林(百)委員 先ほど私の言ったOBもそう言って、もう本もお読みだと思いますが、鈴木達也さんですね、「山口組壊減せず」これにそのことが書いてあるわけですね。二百十ページのところに「どうして、こんな狂いが生じたのか。私は治安警察偏重をまずあげたい。」そのために自民党本部の放火事件も捕まらなければ、警察病院の放火犯人も捕まらなければ、そういう至るところに身内のところで——とにかく、皆さんがやじっていますけれども、その自民党の本部が火がつけられているのに、犯人も挙がっていないのに、私がどうしたかと聞いているのに文句言っている人がいますけれども、こういうことは警察の内部に問題があるのじゃないか。 実はきのう、大阪のゲーム賭博事件の判決があったのですが、裁判所が五人の被告と百何十名の懲戒処分について、これは単なる警察の、被告だけの問題じゃない、これは警察の内部に問題があるのだということを裁判所も指摘しているわけですね。だから、私の言うことが十分根拠のあることであるし、また市民の中でも警察に対する信頼をだんだん失ってきているのです。あそこのバレンタインのチョコレート事件の背後に市民の、NHKでいろいろのコメントをとってみたのですが、私たちは警察がどうあろうとチョコレートを買いますともう開き直っているのですよ。犯人に対して市民は抵抗しているのですよ、捕まえらないのは警察だけで。初めのうちは警察を冷やかしたり警察の不信を言っていましたが、もう市民は、警察はどうでもいい、私たちは自分で自分の意思を貫きますという情勢になっているのですよ。それほど警察が今、国民から非常に大きな不信を受けているということを……(「そんなことあるか」と呼ぶ者あり)そんなことがあるか、とんでもない話だ。大いにあるのですよ。裁判所までこう言っている。そのことを十分反省していただきたいと思うのです。 そこで私はお聞きしますが、警察がこういう状態で国民の信頼もないというときに、同じ捜査の一端を担っている検察庁としてはこの問題についてどういう考えをお持ちで、どういう対応をしているか、この際お聞きしておきたいと思うのです。
○筧政府委員 今回のグリコ・森永事件の捜査、現在とにかく犯人を検挙することが最大の課題であろうかと思います。事柄の性質上、現在主として警察当局において万全の努力を尽されているところでございます。検察当局といたしましても、本件の重大性にかんがみまして一刻も早い犯人の検挙と真相の解明を図るという観点から、警察当局と緊密な連絡をとりつつ万全の措置を講じているというふうに承知いたしております。
○林(百)委員 検察官の任務が公訴の維持というところに全力を尽すことは我々わかりますけれども、しかし独自捜査の権限もありますし、警察との協力の規定も刑訴にはありますし、それから検察官の指導権もありますし、これは公訴を維持するために必要な場合の指揮権ということもあると思います。いずれにしても刑事訴訟法では捜査の一端を検察庁は持っているし、それから警察との協力関係もうたわれておりますし、警察を指導する権限も持っているわけですから、この際、どういう対応をとっているのか、あるいは正式な会議を持たないにしてもこの問題について機会あるたびにいろいろと検察としての対応について相談をなさっているのかどうか、そのことをお聞きしたいと思うのです。
○筧政府委員 先ほど申し上げましたように、犯人の検挙が最大の課題であるという観点から東京地検あるいは大阪地検その他関係地検におきまして、それぞれの警察当局と随時緊密な連絡をとって捜査を見守り、時に物言を与えるというふうな体制をとっておるというふうに承知いたしております。
○林(百)委員 そうすると、検察庁としても重大な関心を持って警察と協力している、こう聞いていいですね。 それで問題は、大阪、京都、兵庫ですか、になりますと、高検も一枚かんでこないと、それぞれの検察庁の管内を総括することになりますから、これは高検としても重大な関心を持たざるを得ないと思いますが、警察が捕まえられない一つの理由としては、警察にはそれぞれの県警の縄張りがあるものですから、ここまでいくと違う県の管内だ、ここまでいくと違う県の管内だというようなことで捜査の一貫性が、努力はしているようですけれども、やはり長い間の警察の縄張りが、うまく連絡がとれないということにもこの捜査の一つの欠陥があるのじゃないかと言われておりますが、検察の方も今言った三県にも、滋賀県も入れれば四県ですか、またがっておりますので、高検の方としてもこれについては重大な関心を持っていただかなければいかぬと思いますが、その点はどうなっているんでしょうか。
○筧政府委員 御指摘のとおり大阪管内、多数の府県に及んでおりますので、これを管轄する大阪高検においても重大な関心を持っておりますし、さらに東京と名古屋等もございますので、最高検においてもこの事件については関心を持ち、関係地検からの報告を随時聴取していると承知しております。
○林(百)委員 けさほどから、自民党さんのこの犯罪に対する特別措置法の話がございましたけれども、現行法でもこれは十分に犯罪構成要件が充当されるし、それから殺人の未遂になりますと死刑、無期というようなものもあります。それから身の代金の誘拐事件になりますと無期もありますし、いろいろな犯罪類型がずっと該当することがあるわけなんです。先ほどから、流通食料に対して毒物を混入するということに対して、新しいシェアがあるんじゃないかというようなお話がありましたけれども、しかしこれは現行法でも十分できるので、この法案をつくったということと、この犯罪を捜査しこれを検挙するということとは何か関係があるのですか。これは将来のことに備えるということなんですか。今問題になるのは、どうしてこの犯人を速やかに逮捕するかということが問題なんで、こういう新しい将来に備えて立法したところで犯人が捕まるわけではありませんけれども、それはどういうことになるんでしょうか。
○筧政府委員 私の方で立案しているわけではございませんので横から見た感じでございますけれども、確かにこれから立法して過去のといいますか、現在行われております、あるいは行われました犯罪行為に対して適用する余地は全くないわけでございます。そういう意味で、本件を解決するために立法がなされるというふうには私ども理解いたしておりませんで、先ほどから申し上げておりますように、現行法にはない食品への毒物混入という行為に対処するために、将来に向かってでございますが、そのために総合的な観点からの立法措置が検討されておるというふうに理解いたしております。
○林(百)委員 この問題についてはひとつ検察も重大な責任の一端を担うことになると思いますし、ひいては検察の権威にもかかわると思いますので、検察と警察が一体となって速やかに犯人を逮捕し、この社会的な大きな不安を取り除いてもらうようにひとつぜひ努力をしていただきたい、こういうように思うわけです。 それから次の問題。 きょう大臣の所信表明があったのですが、大臣にお聞きしたいのですが、これはいろいろな事情もあると思いますけれども、私の方が自治省で調べましたら、大臣、これはどういう関係ですか、竹下蔵相から五十六、五十七、五十八年に約千七、八百万円くらいの献金があるわけですが、あなたは竹下君と何か特別な関係があるのですか。御承知のとおり、竹下君というのは田中派の非常に有力なメンバーでありますので、これと千七、八百万円の献金があるということになりますと、国民からいうと、何かロッキード事件に法務大臣が指揮権発動でもされるんじゃないか、こういう心配を持つ向きもあるわけです。まあ自民党内部の関係ですから、この際あなたの所信を聞いておきたいと思うわけです。
○嶋崎国務大臣 ただいまの御質問ですけれども、私は、政治の関係の分野と私的な生活というのを相当画然と分けてやっておる人間の一人だというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、嶋崎財政経済研究会というのは、これは名前が悪くて時々……(「総会屋」と呼ぶ者あり)そうです。京都の有名な人と間違えられまして、さっぱり献金の集まらないところでございますけれども、それなりに政治のことの処理につきましてはそこで処理をしているわけです。 今御質問の点は私も詳細にはわかりませんけれども、事実は、私二回目の結婚をしておるわけでございますが、事実上の仲人が竹下であるわけでございまして、そんな関係もありまして、政治団体の中で少し金の行き来があると思うのです。私の方が非常におくれておりますから、少し多くなっておるかもしれませんけれども、総じてみるととんとんになるような、そういう答えになっておるというふうに思っておる次第でございます。
○林(百)委員 それでは、記憶がないかもしれないからこれをちょっとお見せしておきます。どうぞこれを見てください、こんな関係のようですから。 そこで、ため押しをしておくが、まさかあなたが、こういう関係があるからということで、ロッキード事件に対する指揮権発動というようなことは考えておらないでしょうな。この際はっきり言っておいていただきたい。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、法務大臣としまして検察行政全体についての一般的な指揮監督権を持っておることは事実であるわけでございますけれども、司法権が独立の存在であるということを前提にしまして、それに対応する検察権もそういう独立性というものを持っておらなければならぬというようなことで検察庁法の十四条の規定もあるわけでございます。したがいまして、そういう事柄を処理をするということになれば、個別事件に関する限り、検事総長についての指揮権しかないわけでございます。そんなことを具体的に動かすというような気持ちは、私は全く持っておりませんことでございます。
○林(百)委員 天皇在位六十年というようなことが言われましていろいろなことが、恩赦というようなことも言われていますが、今、大赦で公訴の失効をさせるというような、そういう大赦の恩赦を行うような動きはないでしょうね。何かありますか。
○俵谷政府委員 お答え申し上げます。 私どもは全く考えておりません。
○林(百)委員 過去の例で、大赦になって、あるいは恩赦になって、贈収賄の公判中なのが公訴が失効するというような例はありますか。
○俵谷政府委員 先例を見ましたところ、さような例はございません。
○林(百)委員 ちょっとグリコ事件でもう一度警察にお聞きしますが、これで動員された警察官の総数とこのために要した費用、それがわかりましたらちょっとここで説明してくれませんか。
○藤原説明員 このグリコ・森永事件に動員されました警察官の数ということでございますが、具体的にその全部を計算するような仕組みにはなっていないわけでございまして、現在、実態といたしましては、大阪、兵庫、京都の各府県に捜査本部を置きまして、毎日、それぞれの捜査方針に基づく捜査活動、また特別巡回連絡、こういったことにおおむね二千人くらいの警察官が動員されておるということでございますし、また、週末には、やはりそういったスーパー等の警戒に全国で大体四万人くらいの警察官を動員して所要の警戒に当たっておるという実情でございます。 それから、第二点の費用の関係でございますが、このグリコ・森永事件についての費用にっきましては、超過勤務手当とかあるいは食糧費等の都道府県費、それと捜査費、活動旅費等の国費、こういった二つがございますが、これらについてその費用を特に事件ごとに区分して計算するという仕組みにはなっておりませんので、そういった点については明らかにすることができませんので、御了承いただきたいと存じます。
○林(百)委員 先ほど同僚議員から、偽造された自白が裁判に大きな影響を与えて、無実の者が死刑の判決まで受けて再審でようやく生き返っている、しかし、人生の大半、三十年近くも刑務所の中へ拘留されているというような、もう人生を全くむだにしているというような事件、免田、財田川、松山、徳島のラジオ商事件とか、それから旭川の佐藤事件というのがありました。 最近の新聞に出ておったのですが、これは、一月二十一日の公判で検察官が論告はしたけれども求刑ができなかったという旭川事件、佐藤被告ですけれども、この事件があって報道されていますけれども、これはどういう事情だったのですか。
○筧政府委員 お尋ねの日通近文営業所長殺人事件でございますが、殺人及び業務上横領によって旭川地方裁判所で公判審理中でございましたところ、本年の一月二十一日、いわゆる論告求刑の日でございますが、その際に検察官が、業務上横領については証明は十分である、しかし殺人については、被告人が本件の犯人であることについて疑いを差し挟む余地はないと確信するとしな、がらも、捜査官に対する自白調書等が証拠能力なしということで裁判所に証拠として採用されなかったために、併合罪加重の基準となる殺人の事実関係等について意見を述べ得なくなったということで、結局被告人に対し、いわゆる求刑を行わなかったということでございます。
○林(百)委員 自白調書と実況見分調書のようですけれども、それはどうして裁判所が採用されなかったのですか、どういう理由だったか。
○筧政府委員 この被告人調書に任意性がないということに尽きるかと思います。
○林(百)委員 そうすると、その自白調書というのは、警察の取り調べに基づいての自白調書ですか。
○筧政府委員 警察官に対する供述調書並びに検察官に対する供述調書、いずれもでございます。
○林(百)委員 起訴をしたけれども論告求刑ができないという事例は今までにありますか。
○筧政府委員 極めてまれでございますが、前例、たしか一、二件はあったかと思います。
○林(百)委員 そうすると、先ほど同僚議員からも質問がありましたが、免田、財田川、松山、徳島ラジオ南、それからさきの決定ですが旭川、いずれもこれは警察のつくられた自白調書がもとになって、死刑、大事な生命を失うところまでいっていますが、これは結局、捜査をする官憲が身柄の管理の官憲と実質的には同じだという、要するに代用監獄制度があって、それが偽った自白をつくる、温存の施設になっているということではないでしょうかね。 外国に、捜査をする官憲が身柄の管理までする権限を持っているという例が、私は一、二聞いておりますが、近代的な国家でそういう国があるかどうか。また、国際人権規約の中に、捜査のために逮捕した官憲は速やかに他の官憲に身柄を移して、そして、その、他の官憲の指示に基づいて身柄の管理をしろということがうたわれておるわけですが、どうして今度の留置施設法のようなああいう制度を維持しなければならないのでしょうか。そういうのは外国の例にどことどこがありますか。(「ソ連と中共じゃないの」と呼ぶ者あり)いいかげんな、行ってみたこともないのに要らざること言いなさんな、あんたは。委員長、困りますよ、自民党のこういうふざけたやじは。とめてください。これは警察畑出身なんですから、だから留置施設をつくりたくてつくりたくて困っているんだ。困りますよ、こういうやじは。
○筧政府委員 自白の任意性に関しまして、それがいわゆる代監と関係があるかどうかという点については、本件の裁判でもそういうふうな判断はなかったと思います。 それから、諸外国でどういうふうになっているか、私も今その詳細を承知いたしておりませんので……。
○林(百)委員 それではこれで終わりますが、刑事訴訟法でも、逮捕令状でもそれから勾留の令状でも、拘禁の令状でも、裁判官が出すことになっているわけですね。ところが、今度の留置施設法によれば、捜査権の一環として警察が身柄を管理するのは当然だ、そういうような、裁判官の刑事訴訟法で規定されている権限までを侵そうとしておるので、我々は当然この留置施設法のこういう代用監獄制度を認めるわけにはいきませんので、検察当局の方も、また最高裁判所の方も、そういう点を十分に研究されて、また外国の例、国際的な条約の例も十分研究しておいていただきたい。これを希望して、私の質問を終わります。
○片岡委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十五分散会