法務委員会 第1号
- 発言数
- 249 件
- 登壇者
- 33 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1984/12/14
会議録
○片岡委員長 これより会議を開きます。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 このたび、法務委員長の重責を担うことになりました。衷心より光栄に存じて知るところでございます。 私はまことに不敏な者でございますが、幸いにして、本委員会におきましては法務関係に練達な方々がおそろいでございますので、委員各位の格別の御理解と御協力を賜りまして、円滑な委員会の運営を図ってまいりたいと存じておるところでございます。 どうぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。(拍手) ————◇—————
○片岡委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政等の適正を期するため、本会期中 裁判所の司法行政に関する事項 法務行政及び検察行政に関する事項並びに 国内治安及び人権擁護に関する事項について、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○片岡委員長 この際、嶋崎法務大臣及び村上法務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。嶋崎法務大臣。
○嶋崎国務大臣 一言ごあいさつを申し上げます。 このたび、図らずも法務大臣に就任いたしまして、法務行政を担当することに相なりました。内外にわたり極めて困難な問題が山積をしているこの時期に当たり、その職責の重大であることを痛感いたしておるような次第でございます。 私は、法務行政に課せられた使命は、法秩序の維持と国民の権利の保全にあると考えております。国民生活の安定を確保し、国家社会の平和と繁栄を図るためには、その基盤ともいうべき法秩序が揺るぎなく確立され、国民の権利がよく保全されていることが極めて肝要であると存じておる次第でございます。私は、こうした認識のもとに、法務行政の各分野にわたり一層の充実を図り、時代の要請に応じた適切な施策を講じて、真に国民の期待する法務行政の遂行に万全を期してまいりたいと思っておるような次第でございます。 もとより、これらのことは委員長を初め、委員各位の御理解、御協力なくしては到底果たし得ないものでありますから、どうかよろしく御支援、御鞭撻のほどを心からお願いを申し上げる次第でございます。 以上、非常に簡単でございますが、所信の一端を申し述べまして、ごあいさつといたしたいと思う次第でございます。よろしくお願いいたします。(拍手)
○片岡委員長 次に、村上法務政務次官。
○村上(茂)政府委員 このたび法務政務次官に就任いたしました村上茂利でございます。 時局柄、大任ではございますが、嶋崎法務大臣のもとに補佐役として、時代に即応した法務行政の推進のため、微力でありますが、最善を尽くしてまいりたいと存じております。何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げる次第でございます。 簡単ではございますが、一言ごあいさつといたします。よろしくお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
○片岡委員長 お諮りいたします。 本日、最高裁判所山口総務局長、櫻井人事局長、川嵜経理局長、上谷民事局長兼行政局長、小野刑事局長、猪瀬家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○片岡委員長 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 まず、趣旨の説明を聴取いたします。嶋崎法務大臣。 ————————————— 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する 法律案 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する 法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○嶋崎国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。 政府は、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。 第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給を増額することといたしております。 第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様、昭和五十九年四月一日にさかのぼって行うことといたしております。 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願い申し上げる次第でございます。
○片岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○片岡委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 きょうは、本来といいますか、裁判官の報酬と検察官の俸給の審議の日ではございますけれども、十二月中に一般質問の日もないということもありまして、一般質問的な要素を加味してもよろしいという理事会の協議でございますので、そういう意味を含めて質問を申し上げたいというふうに考えております。 私は、ほかの党のことにつきましてかれこれ言うべき筋合いのものでないということもわかっておりますし、それから言論の自由というものを最大限尊重する立場に立っております。このことはもう当然のことでございますが、いろいろ特定の裁判といいますか、そういうふうなものに対して支援をするとかあるいは介入をするとかというような印象をもし与えるようなことが政権党でありまする自由民主党にあっては、日本の民主主義の一つの危機であるというふうに私は考えるわけでございますので、そうした前提を踏まえましてまず法務大臣にお尋ねを申し上げたいのは、法務大臣はロッキード事件ということについてそれをどういうふうにお考えでありますかということが第一でありまするし、その捜査の全体の過程におきまして検察行政というものが適正に行われたというふうにお考えかどうか、こういうことをまず最初にお尋ねをさせていただきたい、かように存じます。
○嶋崎国務大臣 今回法務大臣という非常に重要な役割を示す大臣を仰せつかったわけでございますが、今お尋ねのように、非常に政治的に大きな問題になっているロッキード事件についてどういう感覚を持っておるかということでございます。 御承知のように、この問題につきましては第一審の判決が出ておるわけでございます。そういう過程で検察側は検察側としていろいろな立証に努力をして今日までまいったわけでございます。また、裁判所におきましても検察側、弁護側その他の意見も、また本人の事情聴取等も十分行いまして、そして第一審の裁判の判決が出ておる、そういうような状況でございまして、今は控訴審に進んでおるというようなのが実態であるわけでございます。したがいまして、これらの問題につきましてはやはり十分な裁判が的確に行われていくということがまず第一番目に大切なことであろうというふうに思いますし、それから法務大臣としてもそういう裁判が今係属されているという事態を十分認識して対応しなければいけないというふうに思っておるわけでございます。 二番目に、そういうことに対してどういうような感覚がというようなことでございますが、御承知のように、法務大臣は検察行政一般につきましてそれを指導監督する権限を持っておるわけです。国務大臣として国会に対しまして行政権を円滑に遂行していくという責任を持っておるわけでございます。検察行政につきましても法務大臣としてそういう責任を持っておるということは当然であるというふうに私は思うのでございます。 しかし、裁判の制度、司法権というのは三権分立というような建前から独立的な存在になっていることは皆さん方も御承知のとおりでございます。そういう事態でございますから、それに対応して、検察行政もある程度独立性というか、そういう特異な存在であるということに対応する対応を考えていかなければならぬということもまた当然であろうというふうに思っておるわけでございます。そういう考え方からしますと、法務行政の運用にっきましては、どこまでも不偏不党、厳正公平な立場で裁判が進行されていきますような努力を続けていかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。 ただ、そう申しますと、両方の関係はどういうぐあいに調整するのかという御意見も出てくると思うのでございます。したがいまして、御承知のように、検察庁法の中での規定もありますように、一般的な指揮監督権はもちろん法務大臣として的確に行っていかなければならない。しかし、個々の案件のいろいろな調査とかあるいは公訴あるいはそれの遂行につきましていろいろ物を言うということになりますと非常に問題がある。したがって、そういう場合には検事総長を通じて物を言うという建前になっておるわけでございます。そういう点を十分認識をしてこの問題にも対処をしていかなければならないというふうに思っておる次第でございます。
○稲葉(誠)委員 私のお聞きいたしておりまする後段ですね、この事件についての検察庁のやり方といいますか、捜査といいますか、そういう全体が適正に行われたというふうに大臣はお考えですかどうかということを私は第二にお尋ねしておるつもりなんです。
○嶋崎国務大臣 ただいま稲葉先生からお話のありました点でございますが、検察行政、これがどこまでもだれの目で見てもやはり客観的に公平であるということが一番望ましいことだと思うし、また、それに対応するところのいろいろな根拠規定というものがあるわけでございます。従来、私は引き継いで間がないからよくわからぬといえばそうかもしれませんけれども、日本の検察行政につきましてはそういう点に十二分の配慮をして今日まで努力をしてきたのに違いないと思うし、また、私は現在もそうであるように指導もしておるし、現にそういう状態にあると思っておるような次第でございます。
○稲葉(誠)委員 私は一般論をお聞きいたしておるわけではなくて、ロッキード事件に関する捜査に関して適正に行われたというふうにあなたは信じておられますかどうかということをお聞きしておるわけですよ。
○嶋崎国務大臣 適正に行われておると信じております。
○稲葉(誠)委員 私は最初にお断りいたしましたように、言論の自由というものを最大限尊重する立場にあります。これは当たり前のことなんです。しかし、現に行われておる裁判について、一つの政権党が介入するかのごとき印象というか疑惑といいますか、そういうようなものを国民に与えることは慎むべきことである、私はこういうふうに考えておるのですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
○嶋崎国務大臣 議院内閣制によって仕事をやっておるわけでございまして、ある意味ではそれらの連関関係がないというわけではないと思いますけれども、しかし、政権政党であるだけに、その処理につきましてはやはり十二分に配慮をしてやらなければいかないというふうに思っておる次第でございます。
○稲葉(誠)委員 政権党で何とかという委員会ができたわけですね。正式の名前は長い名前ですからあれですけれども、その中で特に問題となっておりますのは、私が問題にすることですよ、それは、ロッキード事件に関連をいたしまして、現在のその被告人の方、その方をも呼んでいろいろ聞きたい。いろいろ聞きたいというその中身は、私の仄聞するところでは、今はもう故人になられた方がいろいろその人に対して言われたとか言われないとかということを中心にしているらしいのですよ。これは私の仄聞ですよ。 ですけれども、いずれにいたしましても、現に裁判の被告人の方を呼んで何を聞かれるのかよくわかりませんけれども、それを呼ぶということは、もうそのこと自身で国民に対して大きな疑惑といいますか、政治の裁判に対する介入である、政権党の介入であるという疑惑、印象というものを与えるものである、私はこういうふうに考えるのですが、国民一般はそういうふうにお考えだと思いますけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
○嶋崎国務大臣 現にそういうことであるのかどうかということを私はまだ一度も承知をしておりませんから、全くそういうことは承知をしておりませんけれども、御承知のように、先ほど来お話し申しましたように、法務大臣でも個々の案件につきましては、個別的な問題については非常に慎重に扱わなきゃならぬ、そういう意味でああいう規定があるわけでございます。 したがいまして、現に裁判が係属をしておるというような案件につきまして、個別的にそれを処理するということは、我々の立場から見ますと、適当ではないのではないかというふうに思います。特に法務行政に絡む問題があるとするならば、私人としてもう卒業された人をお呼びになるというような形よりは、現に法務のお仕事を担当している法務省の方々が説明をするということの方が的確な処理ができるのではないか、私は一方そういうぐあいにすら考えておるような次第でございます。
○稲葉(誠)委員 それは既に法務省の審議官を呼んでおられるわけですね、いろいろお聞きになっておられますけれども。それはそれとして、ちょっとこれ、今私の申したことは新聞で報じられていることですし、それからいろいろな資料を拝見いたしておりますと、何を聞こうとしているのか大体見当がつくわけです。そういうような目的で現に裁判中の被告人を呼んで、そして現に進行中の裁判を、率直に言いますと有利にしようという意図のもとに仮にやられておるとするならば、そういうふうに常識的にとれるということになれば、これは政権党としてやるべきことではない、私はこういうふうに考えるわけですが、結論だけで結構ですけれども、大臣としてはいかがでしょうか。
○嶋崎国務大臣 結論と言われましたけれども、私もよく内容は承知しておりませんが、もともとは人権上の問題ということを中心に、御承知のように再審問題あたりが非常に大きな問題を投げかけまして、そういうことを中心にして発足をした委員会だというふうに間接的に聞いておるわけでございます。したがいまして、御想定のようなことをお考えなのかどうかということも、先ほど申し上げましたように全く知っておりません。 したがって、仮定の上の議論に相なるわけでございますけれども、仮定の上で、そういうことをお考えになって個別の事件について、何というか介入的な印象を受けるようなことをやっていただくことは好ましくない、私はこういうぐあいに思っております。
○稲葉(誠)委員 この問題につきましては、私は最初にくどく言っておりますけれども、言論の自由というものはもう最大限尊重する、他党のやっていることに介入するつもりは全くないということは再三申し上げているとおりですけれども、ちょっと今最初に言われた再審によりまする人権問題を取り上げる、これはもう結構なことなんですが、そこから話がだんだん別の方に行ってしまっているわけですよ。特定の裁判を有利にするために援助をする方向に向かっているような印象を私は受けるわけですが、いずれにいたしましても、きょうの直接のあれではございませんので、この程度にさせていただきまして、その後の推移を見させていただきたい。 いずれまた予算委員会なり何なりで質問をするということになるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。(「そうはいかぬ」と呼ぶ者あり)いろいろ今雑音が入っておりますけれども、これは今後の推移を見ないとわかりませんから、推移を見た中で問題がまただんだん出てくると思います。この委員会でも出てまいりますし、それから予算委員会その他でも出てくるというふうに思っております。 そこで、質問を変えるわけでございますけれども、内閣法制局にお尋ねをいたすわけです。 それは、定数是正をめぐりまして最高裁の判決があった。その後、高裁の判決が各地で起きておるということでございますが、その全体を通じて、言っておることの最大公約数といいますか、それは一体どういうふうに理解をしたら一番正しいでしょうか。
○前田政府委員 数多くの判決の定数配分規定に関します合憲、違憲の判断基準につきましては、基本となりますのは五十一年の最高裁判決があると存じますが、これを要約して申し上げますならば、国会が定められた具体的な選挙制度のもとにおける投票価値の不平等が憲法の選挙権の平等の要求に反することとなるかどうかは、その不平等が国会の裁量権の行使として合理性を是認し得るものであるかどうかによって決するほかはないというのが第一点でございます。 それから第二点といたしまして、上記の不平等が憲法の要求に反するに至った場合に、人口の異動の状態をも考慮して憲法上要求されている合理的期間内における是正が行われないときに、初めて定数配分規定が違憲と断定される。したがいまして、投票価値の不平等が選挙権の平等に反することになるかどうかというのは、合理性が是認されるものであるかどうかということと、それから、その状態が違憲となったからということで直ちに違憲となるのではなくて、その改正のための合理的な期間内に改正されたかどうかという二点によって決定されるべきであるというのが基本であると存じます。
○稲葉(誠)委員 私のお尋ねいたしておりますのは、それは最高裁のあれですが、各高裁で判決が出ているでしょう。多少ニュアンスは違いますわね。違いますけれども、それの中で全体に法律的に共通しておるものは一体どういうことなんでしょうか、それをお聞きしているわけです。
○前田政府委員 もちろん各判決によりまして多少のニュアンスの差はございますけれども、議員定数の配分に関しまして一番基本となりますのは、各選挙区の選挙人数または人口数と配分議員定数との比率の平等が最も重要かつ基本的な基準とされるべきものであるというのが基本命題であると存じます。
○稲葉(誠)委員 そういう最高裁の判決、高裁の判決を受けて、これは内閣法制局としての見解ですが、どういう法律をば作成といいますか、どういうふうに言ったらいいでしょうか、あれされたならば、こうした違憲の判決というか、そういうようなものを避けることができるというふうにお考えなんでしょうか。
○前田政府委員 議員の定数配分規定の改正問題につきましては、各党間において御論議が深められ、近く国会におきましても御審議が行われる段階にあると考えられますので、この段階におきまして行政府に属します者がとかくの意見を申し上げることは差し控えるべきだと存じますが、あえて一般論として申し上げますならば、先ほど来引用さしていただいております最高裁判決を前提として考えました場合、国会におきまして通常考慮することのできる諸般の要素をしんしゃくされまして、一般的に合理性を有するものと認められる議員定数の配分が決定されますならば、違憲の問題は生じないというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 それは抽象論としてはそのとおりで、今の段階でそれ以上のお答えはできないわけですよね。法案が出ているわけでもないし、それが政府提案になるか議員提案になるかわからないわけですから、今の段階ではそれ以上のお答えはできないでしょう。それはわかるのですけれども、そうすると、私の疑問といいますか、お聞きいたしたいのはこういうことなんですよ。 ある暫定的とも考えられる案をつくって仮に出して、それがあれされたとしても、来年の十月一日に国勢調査がありますね。それとの関連でまた直さなければならない問題、また最高裁なり高裁の判決と同じようなものが出てくる可能性というものが十分あるのではないでしょうか、こういうことですね。だから、今直したところで、また同じ状態のものが判決の中に出てくる可能性が直し方によっては考えられてくるのではないでしょうか、こういうことを聞いているわけですね。
○前田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、議員定数の配分に関します基本的な要素は、各選挙区の選挙人数なり人口数と配分議員定数との比率の平等でございます。ところが、この問題は、御指摘のように人口の異動によって変動することになりますから、人口の異動との関係におきまして常に検討されなければならないという宿命を持っていることは御指摘のとおりと存じます。
○稲葉(誠)委員 私の考えは、これはまたここで今あなたと議論してもあれですけれども、定数是正で、ある暫定的なことをやっても、もうすぐそれをやっても別のところは直らないわけですから、別のところで憲法違反の問題が起きてくるというと、部分的にじゃなくて全部が無効になってしまいますから。そうでしょう。それからまた来年に、今から言うと再来年になるか、そのころになると、また憲法違反の問題が出てくるのですよ。 だから、抜本的な改正をしなければ全然意味がないというか、国民にこたえることにならないのではないかということを私は考えているわけなんですが、もし内閣法制局としてそれについてお考えがあればお答え願いたいし、いや、それは内閣法制局は今の段階で聞かれても無理だというなら、これはそういうようなお答えでも結構です。
○前田政府委員 議員定数の配分の決定に当たりましては、最高裁の判決も判示しておりますように、人口要素以外にも諸般の要素を考慮すべきであるという点が認められているわけでございまして、そのような諸般の考慮すべき要素をどのように考慮されるかというのはまさに国会の御審議に係るところだと思います。 その点から申しまして、ある程度の裁量の幅というのがございますから、計数的な意味での不平等が直ちに問題になるということではないかと存じますけれども、私たちといたしまして現段階で具体的な案を持ち合わせておりませんことをお許しいただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 これは通常国会が再開されれば大きな問題になってくるところですね。これ以上今の段階で内閣法制局にお聞きいたしましても、それは率直に言いまして無理だというふうに私は考えますので、この程度で法制局関係の質問は終わらせていただきます。 それから、ついでと言っては恐縮なんですけれども、選挙のことに関連して、比例代表制度で福祉党の方が彩られたということについて、条文が、読みましてもよくわからないのですよ、非常に難しい条文で。しかし、それは議員立法なんだから自分の方に聞かれても困ると自治省の方は言われるかもわからないけれども、それは自治省の方で答えてください。それが一つ。 もう一つの問題は、比例代表で当選しなくて効力を持っている人がいますね。その人が次の、六十一年になりますか、比例代表に出て当選した場合に、一体この前の方はどうなるのか。あるいは衆議院に出て当選した場合、出た場合、当選した場合、いろいろあると思う。あるいは知事選挙に出て当選した場合といろいろあると思うのですが、そういう場合に前の方は一体どういうふうになるのか。どうもこれはわかったようなわからないところで、私は説明を聞いて大体わかりましたけれども、疑問を持っている人が相当いるわけですね。ですから、ちょっとその点についてお答えを願いたい、こういうふうに思います。
○浅野説明員 第一点でございますけれども、比例代表で当選された参議院議員の方が党籍をかわるとかあるいはある党をお出になるとかいう場合にどうかということは、そういうことをされましても議員の身分を失うという規定はございませんわけですから、そういう意味で議員の身分を失うことはないということでございます。 それから第二番目でございますが、比例代表選挙で名簿に登載された方、当選人となられた方は別にしまして、順番がそこまで来なかったためにいわば当選人とならなかった方のことを考えまして、その方が例えば衆議院議員に立候補されるということ、これは何の制約もございません。これはもちろん自由でございます。 それから、今度衆議院議員にその方が当選された場合も、衆議院議員としての当選そのものは別に問題ないわけでございますが、ただ、比例代表の方も名簿登載者になっておられるわけでございますから、繰り上げが行われたために衆議院の方と参議院の方と両方公職を持つようなケースも起こり得るわけでございます。そういう場合にどうするかという問題は当然起こるわけですが、その場合は御本人の選択によってどちらかにお決めいただくという形になるということでございます。基本的にはそういうふうにお考えいただければよろしいのではないかと思います。 それからなお、そういう別の公職におつきになっても、名簿登載者としての地位そのものは別になくならないということでございます。名簿に載っておる人であるということは変わらないということでございます。
○稲葉(誠)委員 私はどうもその点よくわからないのですよ。ほかの選挙、例えばこの次の比例代表選挙に出て当選したときには、当然前の比例代表の方の効力は失うわけでしょう。これは同じ参議院議員選挙だから当たり前の話でしょう。衆議院の場合は今言ったところですけれども、私はその場合は、これは議員立法だからどうもちょっとあれですけれども、ほかの選挙に出たこと自身でもう既に比例代表の地位を失うというのが理論的にはやはり正しいやり方ではないかというふうに思うのですよ。そうでしょう。これは森先生だってみんなそう言っている。私もそう思うのですよ。やはりどうもちょっとこの法律はおかしいのだ。まあそれはそれとして……(発言する者あり)しかし、自治省に聞いたって無理だよ。これは自治省がつくった法律じゃないもの。 とにかくこの法律はそういう点にいろいろおかしな点があるのですが、それはそれといたしまして、いずれどういうふうになるかわかりません。せっかくできた法律ですから、衆議院の方で参議院の法律について余りかれこれ言うのもこれまたまずいですからこの程度にしておきますけれども、どうも何だかよくわからないというか、そういう点が残ってきますね。その点だけを指摘させていただいて、結構です。 きょうは裁判所と法務省の方の質問でありまして、余りほかの方へ行っちゃってもまずいですから、それでお聞きするのですけれども、まず裁判所にお尋ねするのですが、裁判官会同というのがあるわけですね。これはどういう目的でやられるわけですか。
○山口最高裁判所長官代理者 稲葉委員よく御承知のとおり、裁判官が裁判事務を処理する過程におきまして、手続上の問題であるとか実体上の問題につきましていろいろ悩むわけでございます。そういう事件処理の過程において抱えておりますいろいろな問題点につきまして、裁判官が一堂に会しましてそれぞれ持っている問題点を出して、それについてどういうふうに考えればいいか、いわば自由な意見交換をいたしまして、そういうふうな意見交換を通じまして裁判官の知識を深めていく、いわば裁判官の研究あるいは研さんが裁判官会同の目的でございます。
○稲葉(誠)委員 じゃ、それに対してどうして最高裁判所が出席するわけですか。
○山口最高裁判所長官代理者 中央で行われます裁判官会同は最高裁判所がいわば設営の準備をいたしまして、それに関連するいろいろな資料の準備等もいたしまして、それで出席されました裁判官にそれを提供していろいと御説明を申し上げる、そういういわば会同を支える役割を果たしておるということでございます。
○稲葉(誠)委員 会同を支える役割はいいですよ。そこで出てくる問題というのは、裁判官が抱えておるいろいろな問題でしょう。その問題を出してきたときに、最高裁は一体どういう答えをしているのですか。そこが問題なんですよ。
○上谷最高裁判所長官代理者 若干会同、協議会の具体的な中身かと存じますので、私の方からお答えさせていただきたいと存じます。 今、最高裁判所の事務当局が答えるというお言葉でございましたけれども、先ほど総務局長から御説明いたしましたとおり、この会同あるいは協議会は各裁判官の研究が中心、したがいまして各裁判官の意見交換がもちろん中心でございます。ただ、私ども事務当局といたしましては、たまたま各地の裁判例あるいは学説その他刊行物、資料等を地方よりもより入手しやすい立場にございますし、それから全国の裁判所のいろんな事件の係属状況等もわかる立場にございますので、そういうふうな立場で皆様方の御協議に参考として私どもの方で手持ちの資料を紹介し、論点を整理し、場合によっては意見を申し上げるということもあるわけでございまして、決して私どもが各裁判官の質問に答えるというわけではないことを御理解いただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 今あなたが言われた、場合によっては意見を申し上げるという話が出ました。それが大事なところです。具体的に今までの会同の中で最高裁側としてはどういう意見を言ったことがあるのですか。 ちょっと質問が広過ぎるからあれだと思いますけれども、実は、労働事件の裁判官の会同もことしやったことがありますか。そこでいろいろな問題が出た。ある電機会社の人員整理の問題などについてその裁判官は非常に悩んでおられたのでしょう。そして、そのことについていろいろ問題が出たわけで、そうすると、最高裁側があなたが今言われた意見を言われたわけですね。そうしたらば、今までやっていたのと違った形で、その最高裁の意見に従って変わってしまったという例が具こういう仕組みになっているわけでございます。もちろん地裁の所長方におかれましても、そういうふうなそれぞれの裁判官の事件処理に関する統計というのはある程度は御存じではないかというように考えておりますけれども。
○稲葉(誠)委員 ある程度はと言ったって、各裁判官ごとの新受、既済と未済とがなければ統計ができないわけですから、まとまったものができないわけですから、それで所長が裁判官を呼ぶんじゃないですか。あなたのところはどうも未済が多いぞとかなんとかいって呼ぶと、ハッスルして急いでやるということになってきて、結局、所長は高裁の方に顔を向いている、また最高裁の方に顔を向いているということになって、国民不在ではないにしても、とにかくそういう点でいろいろな弊害といいますか、そういうのが出てきているように私には感じられるのですけれども、それはまたいずれあれしますけれども、どうも所長の役割というのは私よくわかりませんね。 それから、裁判官の成績がいいとか悪いとか、あるいはできるとかできないとか、それはどこでわかるのか。高裁に来れば、控訴して記録を読めば、これは大体わかりますね。僕らでもわかるぐらいだからわかりますけれどもね。 それはそれとして、せっかく入管局長おいでですから、お聞きしたいのですけれども、実はこのごろになりまして、今も裁判が起きているのは別として、永住権を日本に持っておる人の場合は、従来、再入国について、指紋を拒否していても−指紋を拒否というか、指紋を留保というか、どっちでもいいのですけれども、再入国が許可になっているのに、近ごろ再入国を許可しないということが起きている。これは法務大臣、聞いておいてくださいよ。法務大臣が再入国許可しないのですからね。法律的にはあなたが許可しないことになっているのですよ。そうでしょう。そういうのが近ごろふえているわけでしょう。これはどうもおかしい。 今までは指紋の押捺拒否ないし留保していても、それについて再入国を認めていましたね。それを近ごろになって許可しない士いうことが出ている。これに対して裁判が起きている。これはいわゆる他事目的でこういう処分、不許可にする、報復的な処分だということに考えられるわけじゃないですか。 実はこれは東京高裁の判例がありましたね。建国二十周年で向こうへ行く、朝鮮民主主義人民共和国へ行くときの処分についての裁判がありますね。十五民事部かな、近藤莞爾さんのところの判決がありますね。あれから見ると、憲法二十二条では、日本にいる朝鮮人でもそれについては憲法二十二条の適用があるんだ、それを制限するためには政策及び公益上の理由——公益というか公共の福祉というか、それが必要だということの判決がありますね。だから、そういうようなときに、指紋の押捺をしないからといってどうして報復的に再入国を不許可にするのですか。これは問題ですよ。 この点について、ある程度事実関係や何かはまずちょっとあなたの方から答えてください。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 指紋押捺拒否者が現在再入国許可を申請した場合においては、入管局としてはこれを許可しない方針でございます。この指紋押捺拒否者というのは、在留管理上非常に重要な法律である外国人登録法というものに規定された義務を履行しない人でございまして、我が国の出入国管理行政上非常に重大な問題であり、これを見過ごすわけにはいかない次第でございます。したがいまして、そのような人が再入国許可を申請した場合においては、人道上やむを得ないような事由がある場合以外においては、これは許可しない方針でございます。 ただいま委員が、昭和四十三年のケースでございますか、地裁及び高裁において結審されたケースを御指摘になりましたが、これは最高裁において訴えの利益なしということで棄却されておりまして、この地裁及び高裁の考え方は認められたとは考えておりません。 それから、私自身、外国人というのは日本へ入る入国の自由があるとは考えておりません。したがいまして、それを入国させるか否かということは入管の裁量の問題であり、これは何も我が国だけではございませんで、世界各国においても認められた考え方、そういうふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 今の訴えの利益なしとして最高裁で却下された。そのとおりですよ。訴えの利益といったって一定の目的の日にちでなければあれは意味がないわけですから、その日にちは過ぎちゃった、だから訴えの利益がないといって却下されただけの話でしょう。だから、高裁なりなんなりに出ている、今の憲法二十二条が適用になって、それを制限するためには政策なりあるいは公共の福祉に著しい違反がなければだめだということは生きているわけですよ。そういうふうな、ごまかしというと語弊があるかもわからぬけれども、こっちが知らない人だとそれで済んじゃうわけですよね。そういうごまかしに近いような答弁をしてはいけませんよ。訴えの利益がないというのは、そういう意味でやられたわけでしょう。 だから、今言った指紋押捺を留保したか何かしらぬけれども、今までは再入国を認めていたじゃないですか。それを今度は認めなくなったという事実はまずあるのかないのかということですよ。そういうことはちゃんとしなくてはだめですよ、ごまかしていては。
○田中(常)政府委員 今御指摘の最高裁のケースでございますけれども、委員御指摘のとおり、いわゆる建国記念日の日を過ぎてしまったために訴えの利益がないということで、これはそのとおりでございます。しかしながら、一審及び二審においてそういう考え方が示されたけれども、最高裁においてそれはそのとおりであるということが決まったわけではございませんで、また一審及び二審の考え方は私としては承服できないということでございます。これは出入国管理行政上非常に重大な顧慮をしなければならない、指紋押捺を拒否したという人はやはりマイナス要因としてこれを配慮しなければならない、これは日本国にとって明らかに好ましくない行為でございまして、だから、私としましてはこれは再入国を許可をするわけにいかないということでございます。 これを非常に簡単に申し上げますと、例えば在外公館においてある外国人が日本国へ入国ビザが欲しいという申請をしたとしまして、それで、その人が、私は日本国へ行ったら日本の法律は一切守らないつもりだというのでは、これは在外公館としてはビザを出すわけにいかない。実は再入国というのは、一遍外へ出てそして再び入国をする、本来なら実は入国申請を改めて在外公館にすべきなんでございますけれども、長いこと日本にいる外国人が短期間外国へ出て、そしてまた日本へ帰ってくるというときに、一々またもう一遍在外公館に行ってビザを申請するというのも外国人にとって不便だろうということでワンセットで再入国の許可をしたわけでございます。 したがいまして、外国人が日本国から出ていくということはこれはもう別に問題ないのでございますけれども、再び入国したいというときには、その人がどういう人なんだろうということを考えてしかるべきじゃないか、そう思っております。
○稲葉(誠)委員 今の話でいろいろ違うところがあるのですよ。私の聞いているのは、今まで指紋の押捺について拒否か留保かちょっとはっきりしないけれども、していても再入国を認めていた例があるでしょう、こう言っているのです。それについて今度再入国を認めなくなったというのは、来年の春から始まる、実際には八月か九月になるでしょうけれども、三十数万人の切りかえがありますね。それを見て、そしてそれとの絡みで再入国を認めない、こういうふうに変わってきたんではありませんか。 したがって、あなたは東京高裁の判決を認めないとかなんとかいうけれども、認めないという言葉はどういうのかしらぬけれども、意見が違うという意味かもわかりませんけれども、それはもちな計画なり何なりというものを明らかにしていただきたい、こう思います。
○山口最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の適正配置の問題につきましては、御承知のとおり、ことしの六月に日弁連、法務省、最高裁で行っております三者協議会で正式の議題として取り上げられました。あと七月、九月、十月、十一月と毎月協議を重ねているところでございます。簡易裁判所の適正配置をどのような基準で考えていくか、それからどのようなスケジュールで実施していくか、これは非常に難しい問題でございまして、いつも申し上げておりますように、法制度のいわば基盤にかかわる問題でございますし、国民各位の御理解もいただかなければならない問題でございます。 そこで、裁判所といたしまして、現在非常に交通事情がよくなっておりまして、隣接簡裁への所要時間というものも短くなっております。かたがた、裁判所によりまして非常に事件の多い裁判所もございますれば極端に事件の少ない裁判所もございます。大体事件数とか隣接庁への所要時間あたりをめどにして考えてはどうだろうかというようなことも申し上げているわけでございますけれども、まだ具体的基準をかくなすべしというようなところまで論議は煮詰まっておりません。したがいまして、今の段階で裁判所といたしましてこういう基準でこういうスケジュールでやるというところまでは詰まっておりませんので、今後さらに慎重に協議を重ねていきたいというように考えているところでございます。
○稲葉(誠)委員 今のお話の中で、国民各位の合意を得てという話がございましたね。それはどういう言葉だったか、十分な合意と言ったのか、十分というのがなかったのか、いずれにしても合意を得てというお話がありましたけれども、その点は間違いないことですね。
○山口最高裁判所長官代理者 この問題は非常に難しい問題でございまして、裁判所の集約化に賛成なさる方もおられましょうし反対なさる方もいらっしゃるかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、裁判所の集約化の必要性、適正配置の必要性について十分御説明申し上げまして、十分な御理解をいただけるように努めてまいりたいというように考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 私がいろいろ聞いたところでは、簡易裁判所を廃止することが、それをやった所長が、あの所長は行政的な手腕がある、あの所長は立派な、と言うか言わないかは別として、とにかく行政的な手腕があるということで、最高裁側から見ると評価が上がるということは私はあちこちで聞くのですよ。これはちょっと筋違いなので、そういうふうなことはあるのですか。
○山口最高裁判所長官代理者 裁判所法が制定されました後、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律が制定されました後現在まで、具体的に廃止になりました庁は、稲葉委員御承知のとおり、例えば札幌高裁函館支部とか、若干はございますけれども、今おっしゃっておられますのは庁舎の老朽化等に伴いまして簡易裁判所の事務を移転する、それをおっしゃっておられるのだろうと思いますが、事務移転に非常に御尽力いただきました所長さん方もいらっしゃるわけでございますけれども、それは所長として司法行政事務の一環としてそれをおやりになったわけでございまして、そのことによりまして特に評価をするとかしないとか、そういうわけではございませんで、着実に御自分の職責を果たしていただくというように私どもは評価いたしております。
○稲葉(誠)委員 だから、着実に所長の職責を果たすという所長の仕事というのは一体何なのか、これはまた僕にはよくわからないのですよ。これは前から何回も言っておるけれども、わからないのですな。何が裁判所長として着実に職責を果たしたことになるわけですか。
○山口最高裁判所長官代理者 一般的にお答え申し上げるわけでございますが、所長の役割は何かというふうに仰せになりますと、甚だ抽象的な申し方で恐縮ではございますけれども、裁判所法上は、司法行政の最終的な主体である裁判官会議を総括するというふうに定められているわけでございます。ただ、現実には、裁判官会議をそう頻繁に開くことも困難でございますし、司法行政上の問題の多くは迅速に対応する必要もあるわけでございます。例えば職員の配置あるいは指導監督、庁舎の維持管理、予算の執行等々を裁判官会議の委任のもとに処理する責任を負っているわけでございます。 一言で申しますと、それぞれの庁におきまして裁判事務が円滑、適正に遂行されるように側面から種々の配慮を加えていくというのが所長の役割でございます。
○稲葉(誠)委員 それは法律に書いてあるし、説明はそうなんですけれども、所長の実績というのは一体何によって判断するのですかと聞いているのですよ。それはみんなやっていることでしょう。わからないのですよ、それが。まあいいですけれどもね。 だから、一つは、今の簡易裁判所の適正——適正という言葉を使うのか、統廃合というのか何というのか、それを円滑にやるのが所長の一つの業績。それから一つは、未済事件をどんどん処理していくのが所長の職責というようなことにも常識的に考えられるのですね。だから、このごろの裁判の急ぐこと急ぐこと。 私は、民事事件がおくれるというのは裁判所よりもむしろ弁護士が怠慢なのが多いと思うのですよ。弁護士がその日の朝になって準備書面を書いて出して、そんなことをやっているからおくれるので、前もってちゃんとやっていけばそんなおくれっこないのですよ、裁判は。ここには弁護士いないですから大丈夫ですけれども、そうなんですよね。これは依頼者の関係もあれですけれども、前もってちゃんと準備していけばどんどん裁判は進むのですよ。 例えば、原告が訴状を出したときに、既にもう第一回期日の前に刑事記録の取り寄せをやっていて、それで第一回期日の前にコピーをとって送っていくとか、相手方にやっていくとかなんとかすれば、どんどん裁判は進むのですから、弁護士が怠慢で期日がおくれることが多いので、だから、私は裁判官の責任だとはいつも言っていない。ただ、結審してから判決を書かないのは、一年も二年もたって判決を書くというのは裁判官の責任だということは私は前から言っているのですけれども、とにかく急ぐのですね、このごろ。 とにかく、ろくに証拠調べしないでしょう。証拠調べの前に和解期日を入れちゃって、それで和解だ、和解だと言っている。和解をやってくれ、和解をやってくれと言って弁護士の事務所まで電話をかけてくる裁判官がいるでしょう。和解をやると早く事件が落ちて件数が減るからということかもわかりませんけれども、とにかく余り急ぎ過ぎて、そのことのためにかえって真実が発見できないというか、そういう傾向が確かにありますな。 そこで、私の聞いているのは、裁判官のいろいろな統計をとっているはずですよ。各裁判官別の手持ちの未済とかの統計をとって所長のところに出しているんじゃないですか。どうもそこのところ、要領を得ないわけですね。はっきり言わないのですけれども、どうなんですか、それは。
○山口最高裁判所長官代理者 統計の点につきましてでございますが、私どもが全国的な立場から司法行政を行ってまいります場合に、例えばある庁において事件が多いということになりますと、その庁の職員の増を図らなければならない。そういう司法行政上の必要から、民事事件あるいは刑事事件につきまして、新受、既済、未済というような統計の報告はいただいております。 もちろん、その基礎になりますのは、各裁判官ごとの新受、既済、未済というようなものが出てくるわけでございますが、それは、それぞれ地方裁判所あるいは簡易裁判所等におきましてそういうデータをつくられまして、それをもとに庁ごとにまとめたデータを私どもの方に送っていただく、こういう仕組みになっているわけでございます。もちろん地裁の所長方におかれましても、そういうふうなそれぞれの裁判官の事件処理に関する統計というのはある程度は御存じではないかというように考えており一ますけれども。
○稲葉(誠)委員 ある程度はと言ったって、各裁判官ごとの新受、既済と未済とがなければ統計ができないわけですから、まとまったものができないわけですから、それで所長が裁判官を呼ぶんじゃないですか。あなたのところはどうも未済が多いぞとかなんとかいって呼ぶと、ハッスルして急いでやるということになってきて、結局、所長は高裁の方に顔を向いている、また最高裁の方に顔を向いているということになって、国民不在ではないにしても、とにかくそういう点でいろいろな弊害といいますか、そういうのが出てきているように私には感じられるのですけれども、それはまたいずれあれしますけれども、どうも所長の役割というのは私よくわかりませんね。 それから、裁判官の成績がいいとか悪いとか、あるいはできるとかできないとか、それはどこでわかるのか。高裁に来れば、控訴して記録を読めば、これは大体わかりますね。僕らでもわかるぐらいだからわかりますけれどもね。 それはそれとして、せっかく入管局長おいでですから、お聞きしたいのですけれども、実はこのごろになりまして、今も裁判が起きているのは別として、永住権を日本に持っておる人の場合は、従来、再入国について、指紋を拒否していても−指紋を拒否というか、指紋を留保というか、どっちでもいいのですけれども、再入国が許可になっているのに、近ごろ再入国を許可しないということが起きている。これは法務大臣、聞いておいてくださいよ。法務大臣が再入国許可しないのですからね。法律的にはあなたが許可しないことになっているのですよ。そうでしょう。そういうのが近ごろふえているわけでしょう。これはどうもおかしい。 今までは指紋の押捺拒否ないし留保していても、それについて再入国を認めていましたね。それを近ごろになって許可しないということが出ている。これに対して裁判が起きている。これはいわゆる他事目的でこういう処分、不許可にする、報復的な処分だということに考えられるわけじゃないですか。 実はこれは東京高裁の判例がありましたね。建国二十周年で向こうへ行く、朝鮮民主主義人民共和国へ行くときの処分についての裁判がありますね。十五民事部かな、近藤莞爾さんのところの判決がありますね。あれから見ると、憲法二十二条では、日本にいる朝鮮人でもそれについては憲法二十二条の適用があるんだ、それを制限するためには政策及び公益上の理由——公益というか公共の福祉というか、それが必要だということの判決がありますね。だから、そういうようなときに、指紋の押捺をしないからといってどうして報復的に再入国を不許可にするのですか。これは問題ですよ。 この点について、ある程度事実関係や何かはまずちょっとあなたの方から答えてください。
○田中(常)政府委員 お答えいたします・ 指紋押捺拒否者が現在再入国許可を申請した場合においては、入管局としてはこれを許可しない方針でございます。この指紋押捺拒否者というのは、在留管理上非常に重要な法律である外国人登録法というものに規定された義務を履行しない人でございまして、我が国の出入国管理行政上非常に重大な問題であり、これを見過ごすわけにはいかない次第でございます。したがいまして、そのような人が再入国許可を申請した場合においては、人道上やむを得ないような事由がある場合以外においては、これは許可しない方針でございます。 ただいま委員が、昭和四十三年のケースでございますか、地裁及び高裁において結審されたケースを御指摘になりましたが、これは最高裁において訴えの利益なしということで棄却されておりまして、この地裁及び高裁の考え方は認められたとは考えておりません。 それから、私自身、外国人というのは日本へ入る入国の自由があるとは考えておりません。したがいまして、それを入国させるか否かということは入管の裁量の問題であり、これは何も我が国だけではございませんで、世界各国においても認められた考え方、そういうふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 今の訴えの利益なしとして最高裁で却下された。そのとおりですよ。訴えの利益といったって一定の目的の日にちでなければあれは意味がないわけですから、その日にちは過ぎちゃった、だから訴えの利益がないといって却下されただけの話でしょう。だから、高裁なりなんなりに出ている、今の憲法二十二条が適用になって、それを制限するためには政策なりあるいは公共の福祉に著しい違反がなければだめだということは生きているわけですよ。そういうふうな、ごまかしというと語弊があるかもわからぬけれども、こっちが知らない人だとそれで済んじゃうわけですよね。そういうごまかしに近いような答弁をしてはいけませんよ。訴えの利益がないというのは、そういう意味でやられたわけでしょう。 だから、今言った指紋押捺を留保したか何かしらぬけれども、今までは再入国を認めていたじゃないですか。それを今度は認めなくなったという事実はまずあるのかないのかということですよ。そういうことはちゃんとしなくてはだめですよ、ごまかしていては。
○田中(常)政府委員 今御指摘の最高裁のケースでございますけれども、委員御指摘のとおり、いわゆる建国記念日の日を過ぎてしまったために訴えの利益がないということで、これはそのとおりでございます。しかしながら、一審及び二審においてそういう考え方が示されたけれども、最高裁においてそれはそのとおりであるということが決まったわけではございませんで、また一審及び二審の考え方は私としては承服できないということでございます。これは出入国管理行政上非常に重大な顧慮をしなければならない、指紋押捺を拒否したという人はやはりマイナス要因としてこれを配慮しなければならない、これは日本国にとって明らかに好ましくない行為でございまして、だから、私としましてはこれは再入国を許可をするわけにいかないということでございます。 これを非常に簡単に申し上げますと、例えば在外公館においてある外国人が日本国へ入国ビザが欲しいという申請をしたとしまして、それで、その人が、私は日本国へ行ったら日本の法律は一切守らないつもりだというのでは、これは在外公館としてはビザを出すわけにいかない。実は再入国というのは、一遍外へ出てそして再び入国をする、本来なら実は入国申請を改めて在外公館にすべきなんでございますけれども、長いこと日本にいる外国人が短期間外国へ出て、そしてまた日本へ帰ってくるというときに、一々またもう一遍在外公館に行ってビザを申請するというのも外国人にとって不便だろうということでワンセットで再入国の許可をしたわけでございます。 したがいまして、外国人が日本国から出ていくということはこれはもう別に問題ないのでございますけれども、再び入国したいというときには、その人がどういう人なんだろうということを考えてしかるべきじゃないか、そう思っております。
○稲葉(誠)委員 今の話でいろいろ違うところがあるのですよ。私の聞いているのは、今まで指紋の押捺について拒否か留保かちょっとはっきりしないけれども、していても再入国を認めていた例があるでしょう、こう言っているのです。それについて今度再入国を認めなくなったというのは、来年の春から始まる、実際には八月か九月になるでしょうけれども、三十数万人の切りかえがありますね。それを見て、そしてそれとの絡みで再入国を認めない、こういうふうに変わってきたんではありませんか。 したがって、あなたは東京高裁の判決を認めないとかなんとかいうけれども、認めないという言葉はどういうのかしらぬけれども、意見が違うという意味かもわかりませんけれども、それはもちろん確定した判決でもありませんけれども、それはそうかもわかりませんけれども、だから、私の聞いているのは、前にやっていて今度やらなくなったではないか、認めなくなったではないか、それはどういう理由なんですか。来年の切りかえというものをにらんで、そして許可をしなくなったんだ、これは他事目的の行政処分ではありませんか、こう聞いているわけですよ。 これは大臣は行政科も司法科も両方通っておられるから詳しいでしょうけれども、後で考えておいていただきたいのですよ。これ、他事目的じゃないですか。そのことを目的とするのではなくて、別のことを目的とするためにやっているので、これは言葉をかえて言えば、報復的な行政処分ということになるのじゃないですか。
○田中(常)政府委員 指紋押捺拒否者が出始めだというのは最近でございますけれども、指紋押捺を拒否した人に対して再入国を許可しないということを始めましたのは、外国人登録法が二年前に改正されて以来でございます。その以前におきましては、非常に数の限られた指紋押捺拒否者があったということでございますが、指紋押捺を拒否しても地方自治体はその人を説得する、そのうちに恐らく気を変えて指紋押捺をするのではなかろうかということで、恐らくその二年以前の前においては、そういう人に対しても再入国は許可されたようなケースが一、二だと思いますけれども、あったのではないかと思います。しかし、ここ二年間、外国人登録法が改正されて以来は、このような人はやはり出入国管理行政上、非常にマイナスの要素であるということで許可しない方針でございます。
○稲葉(誠)委員 私が聞いておりますことにお答えがないのは、今言ったように、東京高裁の第十五民事部ですね、近藤莞爾さんのところの判決を引用しましたね、私が代理人になってやったのだから、これはあなた、よく知っておりますけれども、あのとき国の代理人が近藤さんから釈明を求められて弱り切っていたのを僕は覚えていますよ。それはそうなんでしょう。あの中に書いてあるでしょう。憲法二十二条は適用があるのだと、そして政策なり、公共の福祉に反するか否かということによって判断するのだということが書いてあるのですね。今言ったように、具体的にはどっちに入っていることなんですか。単なる政策の問題ですか。どうなんですか、そこら辺。 そういうふうなときでも基本的に憲法で認められていることだというのならば、あなた、あの憲法二十二条には日本国民とは書いてないでしょう。「何人も」と書いてあるのじゃないですか、憲法二十二条は。当然、適用があってしかるべきものじゃありませんか。そういう古い考え方ではいけないのじゃないですか。これは大臣、今すぐというわけにいきませんけれども、よく研究しておいてくださいよ。憲法二十二条はたしか日本国民とは書いてありませんよ。「何人も」とたしか書いてあったな。ちょっと待ってください。——「何人も」と書いてある。日本国民はと書いてないです。そうでしょう。 居住、移転の自由を有するわけですよ。「公共の福祉に反しない限り」と言ったって、公共の福祉ということの考え方ですけれども、単なる政策の問題だけですよ、それは。だから、こういうふうなことについては報復的な行政処分だと私は考えているわけです。しかし、それは今裁判で争われていることですし、あなた方としてはあなた方の答弁をしているのでしょうから、そのことについてこれ以上のことはお聞きしませんけれども、真っ向から憲法二十二条に該当しないとか、それからあの高裁の第十五民事部の判決は否定するとか一画期的な判決であることは間違いありませんね、立派な判決だと思いますが、そういう考え方は私は賛成しないです。 この問題については、今後大きな問題になってきますし、それから来年にあなた、指紋押捺拒否がどんどん出てきますよ、現実問題として。大臣、期間を限って五年間でしょう、限って指紋押捺なり切りかえ申請する、そして、そのときに刑罰をもってやるというのは世界で日本だけなんですよ。日本だけですからね、外国ではそういう法律がないのですからね。これは東大の大沼さんがそれをはっきり言っていますけれども、事実そうなんですよ。どうです、その点は。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 諸外国の法令を調べますと、いわゆる切りかえ申請があって、そのときに指紋押捺をはっきり明示的に規定してある法律というのは日本を除いてはポルトガルにあるだけでございます。それに準ずるものとしましては、スペイン、ウルグアイ、アルゼンチンその他南米の数カ国でございますけれども、携帯する登録証明書に有効期間が明示されておりまして、だから有効期間が切れれば切りかえ申請しなければいかぬということでございまして、そして、この切りかえ申請する証明書には指紋押捺欄がございます。だから実態上指紋押捺をさせるということでございます。 それから、例えば米国のケースでございますけれども、米国の基本的な考え方は、入国申請するときに在外公館において十指指紋を押せ、それで米国内において指紋押捺しなければならないという事態が生じた場合においては、そのときに同じように十指指紋を押せ、そういう考え方でございまして、米国のイミグレーションアクトにはそれ以上のことは書いてございません。 それじゃ、切りかえというものが米国にないのかといいますと、米国は非常に行政府の強い国でございますので、行政府の判断で実態上二年ないし三年ごとに登録証明書の切りかえが行われております。そして、米国は一時いわゆる米国内において切りかえするときに指紋押捺することについては廃止したことがあるのでございますけれども、一たび廃止しますと、非常に登録証明書の偽造、贋造、不正使用等々がふえるということを発見いたしまして、一九七七年から再び登録証明書に指紋制度を復活しております。これは米国のイミグレーションアクトにはどこにも書いてございません。したがいまして、いろいろ我々調べたところによりますと、行政府がやりたいということは、外国人に対していかなる負担をかけるか、いかなる制限をするかというのは、これはもう国の裁量の問題である、そういうことで行政府は新たに指紋制度を採用しておる、そういうことでございます。 ですから、委員のおっしゃるように、法律に書いてないとおっしゃられるとそのとおり書いてないのでございますけれども、実際上やられておる、そういうふうに了解しております。
○稲葉(誠)委員 私の聞いておるのは、一定期間に登録の申請を義務づけて、切りかえを刑罰をもって強制しているのは日本だけではありませんか、こう聞いているのですよ。ポルトガルとかなんとか言ったって、それは違うんじゃないですか、具体的な事例は。刑罰をもって強制している、こういう意味ですよ。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 法律にはっきりそういう場合に刑罰が明記されているかという御質問については、されているケースは私は今日まで見当たっておりません。 しかしながら、実はその罰則というのはこういう形でやっておるわけでございまして、例えば隣の韓国の事例なんかによく見えるように、在留を否定するということでございます。法違反をしている人は在留してもらわなくても結構であるということによって実際上抑止している、そういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 これで質問を終わりますけれども、大臣、外国人登録法全体の問題、殊に来年に登録切りかえでしょう。来年で一番多いのは大体八月から九月ごろになるかな、そのころですね。そのころ大体三十七、八万、どのくらいありますかな、四十万まではいかないかもわかりませんけれども、三十何万もあるわけですよ。そのときに指紋押捺の問題、それをするしないの問題でもってこれは非常に大きな問題になりますよ。 日本の場合は率直に言いまして在日朝鮮人という、戦前から日本にいて、自分の意思によらないで日本の国籍を離れた人が現実に多いわけです。約五十万くらいかな、おるわけです。在日外国人の八割はそうですから、それがえらい社会問題になってまいります。これについては外国人登録法全体、それからその運用、こういうものについては十分大臣に研究しておいていただきたいと思います。 これは、事務当局は事務当局ですよ、立場があるでしょうけれども、もっと大きないろいろな立場から大臣から考えていただきたい、こう思います。
○嶋崎国務大臣 ただいま指紋制度の問題についていろいろお話がありましたが、我が国に在留する外国人を正確に把握をしてその同一性を確認することは非常に重要なことであると私は思っておるわけでございます。したがって、現行の指紋制度は必要なものであるというふうに私は思っておるわけでございます。 とりわけ、あれは五十七年ですか、御承知のようにさきに制度改正をおやりになったときに、この問題についても随分御議論があったというふうに聞いておるわけでございます。それらの事跡を、勉強期間が短いものですから、より一層勉強させていただきたいと思っておりますけれども、私は基本的にやはりこの制度というのは維持をしなければならぬというふうに思っております。 したがって、基本的な方向はそういう考え方でございますが、今御指摘のありましたような非常に重要な切りかえ時期を迎えておる。それに関連して、さきに日韓の共同声明の中で、御承知だと思うのですが、慎重に検討を続けるというような言葉が入っておるわけでございます。したがいまして、この点については、ただ単に言葉に書いたということだけではなしに、やはり慎重に検討を続けていかなければならぬというふうに思っておる次第でございます。 しかし、これは何も在日の韓国人の皆さん方だけの話ではなしに、やはりあらゆる国々の人にも全部公平に適用されるというような考え方で物を考えなければならぬ性格のものであるというふうに思いますので、御指摘のところは十分研究させていただきたい。先ほど申しましたように、共同声明の考え方もありますので、引き続いて研究させていただきたいというふうに思います。
○稲葉(誠)委員 終わります。
○片岡委員長 天野寺君。
○天野(等)委員 私の方から、最初に、議題になっております裁判官の報酬、検察官の俸給に関する改正案についてお尋ねをしたいと思います。 まず大臣、先ほどの提案理由の中でも、この法案について、人事院勧告の趣旨にかんがみて、一般政府職員の例に準じて給与を改善する措置を講ずるのだというふうな説明でございました。 今度の給与法案を見ますと、三・二ないし三・五%くらいの幅での給与の引き上げという形になっておりますが、なぜこういう数字なのかということについての根拠あるいは理由をお話しいただきたいと思うのです。
○嶋崎国務大臣 今天野先生からお話がありましたように、一般職の職員の給与に関する法律及び特別職の職員の給与に関する法律、そういうことを中心にしまして御承知のように人事院勧告が行われておるわけでございます。我々としましては、人事院勧告の制度、こういう制度がある以上はできる限りそれが十全に達成されるということが非常に望ましいことであるというふうに思っておるわけでございます。 しかし、今、日本の財政的な事情等、非常に難しい問題が山積をしておることは皆さん方御承知のとおりでございます。そういうこともありまして、いろいろと研究を重ねた結果、さきの一般職の職員の給与に関する法律あるいは特別職の職員の給与に関する法律に準じて引き上げたい、そうしたバランスをとって、裁判官の報酬及び検察官の俸給につきまして、今御審議を願っているような法案を提出したというのが実際でございます。
○天野(等)委員 この裁判官、検察官の給与に関する法律については、法務大臣が責任を持たれて、この内容について、数字についても提案をしていくということだろうと思うのです。提案の中にもありますように、今年度の人事院勧告、六・四四%という引き上げの勧告が行われているわけでございますけれども、本来この裁判官、検察官等の給与についても人事院勧告に基づいて給与の引き上げが行われるべきものであるのかどうか、この点についてはいかがでございましょうか。
○菊池説明員 委員御案内のとおり、今回の裁判官の報酬の改定は裁判官報酬法の十条に基づくものでございます。十条の規定は、一般の官吏について生計費及び一般賃金事情の変動によって給与改定を行う場合には、それに準じた改定をしろという規定になっております。 それから検察官につきましては、御存じのように、その職責あるいは任用資格等の関係から準司法官的な待遇が従前から行われてきておるということで、裁判官に準ずるという形になっておるわけでございます。今回、一般の政府職員にっきましては、人事院勧告の内容とは幾分食い違いはございますけれども、人勧の趣旨を尊重し、かつ諸般の事情を考慮して改定が行われようとしておるということ、それに準ずるという形になっております。 憲法が相当額の報酬というものを裁判官について保障しておるわけでございますが、相当額の報酬というものの具体的な額につきましては、物価事情のみでなく、一般の給与水準、その中でも特に一般の公務員の給与水準、所得水準というようなものとの関連を考えて相当額というものは決まってくるものだと思われます。したがいまして、人事院勧告が給与の官民較差ということからある額を出しました場合に、それも一つの事情でございますが、それを考慮しつつ、一般の政府職員についてある内容の改定が行われたということに今度は準じていくという形になっておりまして、人事院勧告も一つの重要な考慮要素とは存じますが、そのほかのものも考慮して給与改定の内容が決まってくるのではないかと思っております。
○天野(等)委員 人事院勧告以外の要素というのはどういう要素を法務省としてはお考えになられますか。法務省としても人事院勧告というものを一つの要素として考える、それ以外の要素も同じように考えたというふうにおっしゃるのですか。
○菊池説明員 私の申し上げ方がちょっと言葉が足りなかったと思いますが、法務省として今回の裁判官の報酬改定を行います基本は、裁判官報酬法の十条の規定でございまして、十条に規定するところの一般の官吏についての給与改定が行われたということによって、それに準じていくという形で今度の改定を考えております。したがいまして、もろもろの事情というふうに申し上げましたのは、その一般職の給与改定がなされますについてもろもろの事情をお考えになって給与改定がなされたという部分について申し上げたつもりでございます。
○天野(等)委員 というのは、法務省としては何ら独自に給与について考えを法案に持ち込むことはできないんだということですか。
○菊池説明員 委員御案内のとおり、裁判官の報酬法においてそれぞれいろいろな具体的な額の定めがございますが、それぞれの額にっきましては、ほぼそれに相当する号俸が特別職あるいは一般職の俸給表の号俸に同じ額が規定されています。従前から、裁判官の報酬の改定につきまして、法律十条の準ずるということの内容につきましては、その金額的に対応しておる一般の政府職員の改定の額に準じていくといういわゆる対応金額スライド方式というものがとられておりまして、それは裁判官報酬法の十条の規定あるいは憲法の規定からして十分合理性のあるものだというふうに。思っております。 したがいまして、一般の政府職員について俸給の改定が行われた場合にその対応金額で同率で改定していくというのが法律の趣旨だというふうに思っておりまして、そういう意味で、準じて一般の政府職員の対応金額と同率の改定をしておるということになります。
○天野(等)委員 実際の給与表をつくるその手続をお聞きしているのじゃなくて、給与表をつくるときに法務省として、これは法務省の責任においてでき上がっているものなのか、法務省がそれなりの考えでもってつくり上げていくものなのか、それとも内閣あるいは総務庁が決定すればもう法務省にとっては何の考えも差し挟む余地はないのだ、何の発言権もないのだという法案なのか、この点について私はお尋ねしているのです。この点、大臣いかがですか。
○嶋崎国務大臣 先ほど御答弁いたしましたけれども、御承知のように、人事院制度が現にありまして、それを運用していく場合に現下の非常に厳しい財政事情等がありまして、そして御承知のような金額でことしは処理する、こういう建前になりました。それに関連しまして裁判官の報酬に関する法律に絡んで今御説明がありました十条の規定、これによりますと、「生計費及び一般賃金事情の著しい変動により、一般の官吏について、政府がその俸給その他の給与の額を増加し、又は特別の給与を支給するときは、最高裁判所は、別に法律の定めるところにより、裁判官について、一般の官吏の例に準じて、報酬その他の給与の額を増加し、又は特別の給与を支給する。」こういう扱いになっておるわけでございます。 したがいまして、先ほども申し上げましたように、こういう財政事情でありますので、人事院勧告の趣旨を十全に実行できないということは非常に残念でありますが、それで決まりました一般職の職員に対する給与あるいは特別職の職員に対する給与、そういう給与体系が一応決まりましたので、決まった場合にはその例に準じて報酬を決めていくというのが基本的な考え方だ。裁判官の報酬の場合、そういう規定になりますから、それに対応するところの検察官の給与についても一般の官吏の例に準じて処理をする。例がもう先行的に処理をされておりますから、それとバランスというか権衡をとって決めていくということに相なろうかと思っておるわけです。
○天野(等)委員 裁判官の報酬については、基本的には、裁判官報酬法の十条でも、最高裁判所が「一般の官吏の例に準じて、報酬その他の給与の額を増加し、又は特別の給与を支給する。」というような形になっておりますけれども、そうすると、最高裁判所としてはどういうふうなお考えてこの給与表をお受けとめになっているのか、その点をお伺いします。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官の報酬の制度というものをどのようにつくるかというのは大変難しい問題でございます。この問題につきましては、いろいろな考え方がございまして、例えば裁判官というのは、その職責上それほどの違いはないのだから余り細かい報酬の号俸の刻みをつくらないでわずかな号俸だけをつくっておくというような考え方、そしてまた、その号俸というものもうんと高いところに決めておくというような考え方も一方にありますし、また他方、現実の裁判官の任命状況を見ますと、裁判官は多くの場合は司法修習生から若い時期に採用されまして、そしてほぼ四十年間というもの裁判官の仕事に従事するわけでございます。したがって、それが余りに少ない号俸の刻みではやはり裁判官の経験、能力というものを反映しないものになっていくというような問題もございます。 現在の裁判官の報酬制度、その裁判官の現在の任命の状況というものと、裁判官の行政官とは一般的には違ったその職務と責任の特殊性というものを反映した形になっているのではないか。すなわち、報酬の刻みもそれほど多い形にはなっておりません。判事で八つの段階、判事補で十二の段階に分かれておりまして、それほど細かい刻みにはなっておりませんし、また、それぞれの号俸の額も、大体同年度の行政官と比較いたしますと相当な較差を持って定められております。 したがいまして、いろいろな考え方はあろうかと思いますし、また、改善していく余地というのはあるのかもしれませんが、現在の任用制度、裁判官の任命のシステムというものを前提といたします限り、ただいま御審議をいただいております裁判官報酬法は相当なものではなかろうかというふうに受けとめております。
○天野(等)委員 いや、私がお尋ねしているのは、今回の報酬の引き上げについて、三・二ないし三・五%ぐらいの幅で引き上げの給与表がつくられておる。この給料表自体は、最高裁判所はどういう形で関与をされてつくられているわけですか。その点をお尋ねしましょう。法務省が法案の提案者になっているわけでございますけれども、恐らくこの内容については、裁判所の要請というか、そういうものがあってでき上がってくるものだと思うのですが、いかがですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官の報酬の改定の根拠と申しますのは、先ほど来菊池司法法制調査部長から御説明がございますように、裁判官報酬法の十条に基づきまして、一般の官吏について俸給その他の給与の額を増加し、あるいは特別の給与を支給するときには、最高裁判所が報酬その他の給与の額を増加、または特別の給与を支給する、これに基づいているわけでございます。 裁判所といたしましては、具体的には、給与の改定の勧告が行われまして、一般の政府職員についての給与の改定が行われる段階になりますと、最高裁判所と大蔵省との間で折衝をいたします。もっとも、折衝と申しましても、先ほど御説明がございましたように、それぞれの裁判官の報酬の号俸は、それぞれ対応する一般政府職員の官職の報酬にスライドして上がっていくということになっておりますので、その上がっていく金額を確認いたしまして、そこで、その確認された各報酬の改定額につきまして法務省に立法の依頼をする、こういう順になっております。
○天野(等)委員 ということは、最高裁判所、司法部としては司法部の職員の、しかもその最も中心的な裁判官の給与について、全く独自性を持たずに、行政府の言いなりのそれでもっていつでも通らなければならないんだ、そういうふうなことなんですか。そういうことではないために裁判官の給与については、特に裁判官の給与についてのこの法案ができ上がっているわけでしょう。それはもちろん、政府の一般官吏の給与に準ずるということにはなっていますけれども、しかし、予算措置等についても最高裁判所が直接大蔵省と折衝をされてお話しになる。それが恐らく司法部の独立の一番の基本だろうと思うのです。その上で成り立っているのが司法部の職員の給与だろうと思うのです。 ですから、それについて司法部としても、一般官吏に準ずるとはいいながら、司法部の職員あるいは裁判官の給与について何%これを上げなければならないのかということについての考えは、これは裁判所としてもお持ちになるのが当然じゃないかと思うのですが、いかがですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官の報酬につきましては、憲法第八十条に裁判官は「定期に相当額の報酬を受ける。」というふうに定められております。問題は、そこに言います「相当額の報酬」というものがどのようなものであるべきかということであろうと思います。これはずっと以前から裁判官の報酬と、それからそのそれぞれが対応する一般政府職員の俸給額をにらんで、それをスライドさせて上げていくというシステムをとっているわけでございます。 問題は、その対応する政府職員というものをどういうふうに定めるかというそこのところがむしろ問題なのだろうと思います。委員のおっしゃっておられるのは、結局そういった対応する政府職員というものにそんなに縛られないでもう少し独自に決めていってもいいではないかという御趣旨であろうかと思いますけれども、これはいろいろな経緯から現在のような対応の仕方、例えば判事はすべて一番最下位の号俸を受ける判事であっても指定職の報酬を受ける政府職員と対応させるようになっておりますし、そこの対応の仕方は、私どもとしましては非常に高いところに対応させているというふうに理解いたしております。したがって、現在の制度を前提といたします限り、このような報酬額の改定の仕方は相当なものであろうというふうに考えている次第でございます。
○天野(等)委員 私が申し上げていることとどうもかみ合わないのですけれども、裁判官の報酬というのは、今もお話に出ましたように、憲法上相当な報酬を与えなければならないという規定があるくらいにやはり司法の独立として非常に重要なものだろう。まずそれが第一にあって、その上で給与を決めるための具体的な手続が、今までそれは一般官吏の例に準ずるということでスライドさせているというのは一つの技術論でありまして——なぜこういうことを申し上げるかと言えば、今回のように、これは同じ行政の一つの部門ではあるかと思いますけれども、ある程度独立した行政委員会的なあれを持った人事院が六・四四%の給与の引き上げが相当だという勧告をしている。これは一般官吏についてです。 そういう状況の中で、最高裁判所が六・四四%の人事院の勧告を無視されて、それでなぜ三・二ないし三・五という給与の引き上げをなさっているのか、それを提案されているのか、そこの理由を私はお尋ねしているのです。裁判官については憲法上の原則があるからこそこれをお尋ねしているのです。そこの点でお答えいただきたい。
○櫻井最高裁判所長官代理者 今回の報酬額の改定が人事院の勧告のとおりではなくて、それを下回って立案されているというのはおっしゃるとおりでございます。もちろん私たちは人事院の勧告どおりの改定が行われるということを希望する気持ちは持っておるわけでございますけれども、ただ、今回御審議いただいております法律案によりましても、裁判官の職務と責任に対応した報酬額、すなわち現在の報酬の号俸の刻みあるいは行政官の受ける俸給額との較差というものは十分に保たれておりますので、そういう意味で妥当なものと受け取るべきものと考えているわけでございます。
○天野(等)委員 ちょっと口を滑らせたのかもしれませんけれども、人事院勧告どおりの裁判官についての給与の引き上げを最高裁判所は望んでいらっしゃるわけですか。それを望んでいるにもかかわらず、この法案では平均三・四%というものにならざるを得なかった、最高裁判所としてはそれを望んでいるのだが、こういう法案にはならなかった、そういうことでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 勧告どおりの給与額の改定が行われるというのを希望する気持ちは持っているということは申し上げました。 ただ、この勧告をどのように実施されるかというのは、これは実は内閣あるいは国会でお決めになる問題でございます。 私どもとしましては、それが果たして憲法で定めてあるような「相当額の報酬」というふうに言い得るかどうかという、そこの観点からの判断をすればいい問題でございます。その点につきまして、先ほど来申し上げておりますように、それは報酬の号俸の刻みなりあるいは行政官の受ける給与との較差なり、そういった観点からしてこれは相当と言い得るものであろうというふうに考えているわけでございます。
○天野(等)委員 今のお話をお聞きしても、本当に最高裁判所が司法の独立ということについてどのくらい考えていらっしゃるのか、実に私、心もとないと思うのですけれども、例えば、例えばでございます、最高裁判所が今度の給与の改定について人事院勧告どおりの改定を望んでいる、しかし行政府である法務省が法案としてこれを削った場合に、予算上の問題としては、当然のことながらそのことが予算にも注記をされなければならないでしょうし、立法府としては、司法府のその希望を最大限に考えなければならないというのが立法と司法と行政の関係だろうと思うのです。それは給与法ですから、立法府が最終的に定めなければならない。しかし、司法府の出した予算要求に対してこれを行政府が仮に削った場合には、もう一度それについて、増額についても立法府は考えることができる権限があるわけでございます。そのことをやはり明記をしなければならないというのも予算法上の恐らく原則だろうと思います。 そういう意味で考えますと、今最高裁判所のお話にしましても、やはりそれだけ大きな独自性を持たされている、その中で決定をされていくことですから、国家公務員が三・四%だから、だからそれに従って私のところも仕方がないからというのでは、これは私は司法府の独立というものはないのじゃないかと思うのです。 それで、そのことについて、私は今度は、人事院が出された六・四四%という勧告がどういう基礎を持ったものなのか、この点について人事院からお尋ねをしたい。
○丹羽説明員 お答え申し上げます。 公務員給与を決定するに当たりまして考えなければならないことといたしまして、まず、公務員の給与は税金で賄われているということ、また一方におきまして、行政を担当する重要な職務を負っているということ、この両面から考えていかなければならないものと考えております。 このような観点から考えますと、公務員と同種同等の職務に従事しております民間従業員の給与との均衡を図るということが最も妥当であるということで、このことは大方のコンセンサスを得ているものと考えております。 そこで、人事院といたしましては、一般に民間給与が動きます四月の時点をとらえまして官民双方の給与を精密に調査、比較いたしまして、較差があればそれを埋めるよう勧告申し上げておるわけでございまして、本年の場合、その調査、比較の結果出てまいりましたのが六・四四%という数字でございます。人事院といたしましては、これを埋めていただくよう勧告申し上げたわけでございます。
○天野(等)委員 ということは、六・四四%の引き上げが公務員の給与について相当だということだろうと思うのですよね。それで、この勧告の意味ですが、これは政府が給与法案をつくる際の一つの資料を提供するにすぎない、そういう調査のための資料なのか。それとも、それとはまた別個の、人事院勧告という形で政府に対する一種指示といいますか、そういう性質を持ったものなのか。これについてはいかがでございますか。
○丹羽説明員 御承知のように、人事院勧告制度と申しますのは、公務員の労働基本権が制約されておることに対します代償措置として設けられております重要な制度でございまして、これはやはり勧告を完全に実施していただくのが筋であると思っております。
○天野(等)委員 先ほど法務省の方からの説明で、裁判官、検察官の給与の決定に当たっては、人事院勧告も一つの資料として使ったのではないかというふうな御説明があったわけですけれども、しかし、人事院勧告の性質というものは、決して単なる一つの資料というようなものではないだろうと思うのですが、この点についてもう一度お考えを、これは大臣から伺いましょう。検察官、裁判官の給与の決定に当たってこの人事院勧告が持っている意味は、単なる一つの資料にすぎないのか、それとも、そうではないもっと別な性質を持ったものなのか。これについてはいかがでございますか。
○嶋崎国務大臣 先ほど人事院の方からお話がありましたように、一般の、民間の給与とバランスをとって国家公務員の給与を決めていこう、そういう基本的な考え方にのっとって行われておる人事院勧告でありますから、またその意味も先ほど御説明がありましたようなことでございますので、ぜひその実現を図りたいという気持ちはやまやまであるわけでございます。しかし、御承知のように今は国の財政状態というのが非常に厳しい姿の中にある。そういう中で、どうその間のバランスをとるかというのは大変苦心をしなければならぬところであろうというふうに思います。そういうことの中で、先ほど来申し上げましたように、一般職の職員に関する給与、さらに特別職の職員に関する給与、いろいろな論議を積み重ねた中で今申し上げたような決定が行われてきたというのが事実であるわけです。 そういうことになりますと、今度は、それでは裁判官の報酬あるいはそれに準じて考えなければならぬ検察官の俸給というものをどう考えるかということに相なるわけでございます。お手元にお配りした資料でもおわかりだと思うのですが、従来は、それぞれの経験年数なり役職なりあるいは仕事の立て方なりということをずっと積み上げまして、特別職に対応するものについては特別職の一つのバランスということ、それから、それ以外の人につきましては一般職の職員の給与のバランスということ、そういうことを十分かみ分けて、そういう裁判官なりあるいは検察官なりの職責と対応する特別職なりあるいは一般職の職員との間の議論というものを十分詰めて、そして一つの俸給表というものができておるわけでございます。それを根本的に今改めるというようなことは、検討事項であるかもしれませんが、私はにわかにできる話ではないと思うのでございます。そういういきさつがあるわけでございます。 そういういきさつの中で、裁判官の報酬等に関する法律の第十条には、先ほどお話を申し上げたような規定があるわけでございます。したがって、それとのバランスで報酬を決めていくということに精いっぱいの努力を積み重ねられて裁判所の方でも御努力願ったし、またそれに関連して検察官の俸給も決めていこう、こういうことに相なっておるわけでございます。したがいまして、その点をひとつよく天野委員の方でも御理解を願いたいと思っておる次第でございます。
○天野(等)委員 これは一般官吏に関して三・四%、実際に平均三・三七%ですか、そういう形で給与法がつくられている。それがもとになって、結局裁判官、検察官についても同様な表が使われてくるということになっているわけだと思いますけれども、ではここで、もとの一般職の国家公務員についての三・三七%という給料表をおつくりになっている総務庁の方から、どういう根拠でそういう数字になっているのかということを伺いたい。
○中島(勝)説明員 五十九年度の人事院勧告の取り扱いにつきましては、先ほどお話がございましたように、人事院が八月十日に六・四四%の勧告を出されました。白米、政府といたしましては、労働基本権が制約されているということで、代償措置でございます人事院勧告を尊重しましょうという基本姿勢に立ちまして、数次にわたりまして給与関係閣僚会議を開催いたしました。厳しい客観情勢のもとではございますけれども、人事院勧告の完全実施に向けまして誠意をもって取り組んできたところでございます。 本年度におきましては、これまで維持されてきました良好な労使関係、あるいは給与改定の公務員の士気あるいは生活に与える影響等に配慮する必要がありました。そのほか、本年度の財政事件は例年予想されます追加財政需要がかなりあります。さらに、健保法の改正の施行遅延に伴いまして追加財政需要が相当規模に上るといった厳しい状況にございました。また、現下の経済社会情勢あるいは行財政改革を推進している中での国民世論の動向あるいは安定的に推移しております消費者物価の動向等の事情についても配慮する必要がございました。 しかしながら、五十七年度は実は実施見送りということを措置しておりました。さらに五十八年度は、給与改定も二・〇三%ということにとどまりました。ということで、給与改定の経緯、それから、その結果、五十八年度現在でございますが、給与改定後の官民較差、世上いわゆる積み残しと言われているものですが、四・三六%、約四・四%残っております。これがいつになったら官民較差の解消が図られるのかという職員の心理状態あるいは士気に大きな影響を与えておると思いますので、これを今後できる限り早く解消していくというめどを立てまして、いわゆる将来展望を示しまして職員に安心感を与える必要があるのじゃないか、こう考えたわけであります。 その場合、御承知のとおり厳しい財政事情その他がございますので、その兼ね合いを考慮しまして、少なくとも三年をめどといたしまして官民較差の解消を図るためには、本年度におきましては一・四%程度は改定後の官民較差の縮小を行う必要がある。それから、いわゆる本年度分と見積もられますのが約二%程度だと思いますので、合わせますと三・四%程度、こうなります。そういったことを念頭に置きながら、政府といたしましては公務員給与を取り巻く諸事情を国政全般との関連を考慮しまして幅広く検討してまいりました。 その結果、五十九年の十月三十一日の閣議決定でございますが、政府としてなし得る最大限の努力の結果といたしまして「五十九年四月一日から平均三・四%内の給与改定を行う」、こういう方針を決定したものでございます。
○天野(等)委員 結局、総務庁としては基本的には人事院勧告を完全実施する状態でなければやはり正常な、相当な公務員の報酬を支払っている状態ではない、そういうふうにお考えですか。
○中島(勝)説明員 先ほども申し上げましたが、人事院勧告といいますのは労働基本権が制約されている代償措置でございますので、完全実施に向けて最大限努力するということは基本的な方針でございます。
○天野(等)委員 いや、私がお尋ねしているのは、努力するかしないかではなくて、今の状態は正常な状態ではない、相当な報酬額を払っている状態ではないという認識があるのかどうかということをお尋ねしているのです。
○中島(勝)説明員 完全実施がされてない状態は異例である、こういうふうに認識しております。
○天野(等)委員 異例には違いないのです。異例ということではなくて、また言葉のようですけれども、総務庁でも完全実施に向けて何年かでもってこれを完全にしようというふうなお話がある。そういう考えがあるということは、今の状態は、少なくともことしの三・四%というこの状態はやはり相当な状態じゃない、だから、これを相当な給与というところに持っていかなければいけないのだ、そういうふうに考えているわけでしょう。それを端的にお尋ねしているのですよ。
○中島(勝)説明員 来年度以降におきましても完全実施されるよう最大限努力していく、こういうのが基本的な姿勢でございます。
○天野(等)委員 それではこうお尋ねしましょう。完全実施しなければならないというのは、これは総務庁にとってはやはり法的な一つの義務ということになってまいりますか。
○中島(勝)説明員 憲法上要請されているものだと考えております。
○天野(等)委員 憲法上の要請という非常に法的な状態だということのようでございます。 そこで、私は今度最高裁判所にお尋ねをしたいのですけれども、行政府の総務庁としてもこの今年度の三・四%というのは決して相当な額ではない、人事院勧告の六・四四%が完全実施されるということが憲法上の要請でもあるのだというお話でございました。その上に立って、最高裁判所では、裁判官に対して相当な報酬額を支払わなければならないというこの憲法上の要請をどうお考えになりますか。私は三・四%という数字ではこの憲法上の要請は満たされないのではないかと考えるのですが、いかがですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 先ほど来申しておりますように、裁判官の報酬の改定は報酬法の十条に基づいて行われているわけでございます。裁判官報酬法の十条は、一般の官吏について俸給額が増加される場合にこれに準じて報酬等を増加するのだ、法律の定めるところにより報酬等を増加するというふうに定めているわけでございます。したがいまして、今回の改定はこの裁判官報酬法の定めを前提といたします限り相当なものであろうというふうに考えております。 問題は、憲法の八十条の二項に書いてある「相当額の報酬」というのがどのようなものかということであろうと思います。そこに申します「相当額の報酬」というのは、これは非常に幅のある概念でございまして、要するに裁判官が与えられている国家の司法権を行使するという重要な高い責任を果たしていくにふさわしい報酬であるかどうかということであろうと思います。 その点につきましては、先ほど来申しておりますように、それが一般官吏との比較の上で相当程度の較差を保っている、そしてまたその体系も裁判官の責任の特殊性に応じた、細かい刻みではなくてある程度少ない刻みになっている、そういったことから考えて、今回御審議いただいております報酬法の改正案は相当と受けとめるべきものであろうと思っているわけでございます。
○天野(等)委員 おかしいと思うのです。この人事院勧告というのは、公務員から争議権を奪っている、その代償として行われている。裁判官には争議権も団結権も今認められていないわけですから、もちろん行政府の職員ではございませんから直接人事院の関係になるものではないにいたしましても、状況としては同じような状況で、裁判官と裁判所とが直接交渉して相当な金額を決めるということにはなっていないわけでございます。 これは当然のことながら行政府における一般官吏の例に従って行われているわけですけれども、そこの行政府の一般官吏が相当な給与を支払われていない状態にあるときに、それと同じでは、相当な給与を支払われるという憲法上の権利を持っている裁判官は、その場合には、行政府と同じ例に従っていたのでは憲法に反することになるのではないか、きょう出されているこの給与法案は憲法上の裁判官の相当な報酬というものにそぐわない法案になるのではないか、そういうことをお尋ねしているのですが、この点について法案をおつくりになられた法務省としてはどのようにお考えですか。
○菊池説明員 憲法の七十九条、それから八十条に「相当額の報酬」という規定がございますわけですが、この「相当額」が何かということにつきましては、物価事情だけではございませんで、裁判官の任用制度、国民一般の所得水準、生活水準、それから一般公務員の給与体系、給与水準というようなもろもろのファクターの総合判断の上で出てくることだろうと思います。また、相当程度幅のある概念であることも間違いないと思います。 したがいまして、人事院勧告の御指摘になるような内容の給与の官民較差あるいは物価の状況等の事情があったといたしましても、直ちに従前の、その勧告どおりの改定が行われないと憲法との関係で報酬の相当性が欠けるといういうふうになるものではなかろうと思っております。
○天野(等)委員 だから、そこの理由を私はお尋ねしているのです。人事院勧告を完全実施しなければならないというのは憲法上の要請だということを行政府も認めていらっしゃるのです。そうでしょう。ということは、その反面は、現在の状態が、給与という面から見て憲法の原則から外れている異例な状況だ。そうしたときに、もう一方で相当な給与を支払われなければならないという特別な憲法上の原則を持っている裁判官ですよ。この裁判官に対してはこれをまず満たさなければならない。 とすれば、国家公務員の一般職に関しては仮にいろいろな財政的な制約があったとしても、裁判官に関してはこの財政的な制約というのは理由にならないのじゃないかということなんですよ。それなら、三年後に較差を埋めるんだというようなお話が先ほどあったけれども、やはり裁判官については即時にこの較差は埋めなければならないものなんじゃないか、またそういう措置だって当然してしかるべきだし、できないことではないはずだということなんですが、この点についてはいかがです。大臣にお伺いしましょう。
○嶋崎国務大臣 ただいまのお話でございますが、御承知のように、総務庁の方からもお話がありましたように、できる限り人事院勧告の線に沿うような努力をしなければいかぬ、そういうつもりでいろいろと論議を重ねて今日まで参りました。そういう中で今度の給与改定法案が一般職及び特別職について決まったわけでございます。そういう中身につきましては、先ほど来申し上げましたように、この現下の非常に厳しい財政事情というようなものも十分考え、また一般の経済状態その他も十分考慮して、苦心をして、どちらかというと、ことし一年だけとってみると、従来のケースがあるわけでございますけれども、ある程度努力を積み重ねたような形で問題が解決されたということだろうと思うのです。 そこで、御指摘は七十九条なり八十条に書いてある「相当額」というようなところの問題でございますけれども、これは憲法上の一般的な規定としてそういう考え方が書いてあるわけです。しかし、御承知のように、我々がそれを実施するための法律、裁判官の報酬等に関する法律の十条には、先ほど来御説明しましたようなことが書いてある。そうなってきますと、それで決まったものが相当額に非常に当てはまらないのじゃないかという論理を言っておられるのだろうと思うのです。 しかし、御承知のように、裁判官なり検察官の俸給を決めるときには特別職なり一般職の人と十分なバランスをとって、どういう高さで事柄を決めなければならぬかということをさんざん議論をしてそういう整理がされておるんだろう、こういうふうに考えられるわけです。それに準じて上げておるということでございまして、今の規定の趣旨から申しまして、準じて決めたこの金額自体が相当額に当てはまらないというようなことにはならないだろう、こういうぐあいに考えており、またそれが今の法律制度の中での運用のぎりぎりの努力だろうと我々は考えておるわけでございます。そういうことでひとつ御理解願いたいと思います。
○天野(等)委員 これはもちろん裁判官の給与だけがいち早く憲法上の原則で人事院勧告を完全実施されるようにということであれしているわけじゃなしに、やはり憲法上の要請である人事院勧告の完全実施ということを今度の給与関係の五つの法律がすべてこれを無視している、その上に成り立っている法律だということだと思うのです。これは根本のところで人事院勧告を尊重していく、それが法を守る者のまず第一の努めだろう。一方で、ストライキをするな、ストライキ権はないんだというようなことを公務員労働者に向かって言い、そしてそれについて検挙をするとか、いろいろなそういうようなあれもしておきながら、また一方では、その代償措置である人事院勧告については財政的な事情というような事柄で給与を低く抑えてしまうというのでは、本当に法を守ることにはなっていかないだろうと思うのです。 そういう点でも、法を守る一番のよりどころである司法部がこれは何としても、人事院勧告があり、それが相当なものであるとしたら、やはりはっきりとそのことを要求すべきじゃないか、それが法を守る立場の司法の独立じゃないだろうかというふうに私は考えるわけです。そこから始まっていかなければ、法を国民に守らせるということもできないだろうと私は思うわけです。そういう点で、最高裁判所として人事院勧告を完全実施させるということが最高裁判所の立場としても重要ではないかというふうに考えるのですが、その点いかがでございましょう。
○櫻井最高裁判所長官代理者 天野委員からお励ましのお言葉をいただいたわけでございますけれども、先ほど来申しておりますように、もちろん人事院勧告が完全に実施されるということを希望いたしておりますけれども、ただ、私たちの報酬といいますのは人事院勧告と直接に連動するというわけのものではございませんで、裁判官の報酬法によって一般官吏の例に準じて増額されていくという性質のものでございます。 それで、憲法に定められた裁判官に認められております相当額の報酬というものは、私どもそれにふさわしい仕事をしていかなければいけないというふうに思っておりますけれども、そこに言う相当額といいますのは、単に生計費の変動だとか物価事情だとか、そういったものだけでは定まらないものがございまして、他の官吏の報酬とのバランスと申しますか、他の官吏の報酬との比較というものもその相当額を定めるに当たっての大きな要素であろうと思うわけであります。したがいまして、今回の報酬額の改定は、人事院勧告という観点からお考えになると完全なものということではないのかもしれませんけれども、しかし、相当の報酬というものは私どもこれによって保障されたと受け取るべきものであろうというふうに思っているわけでございます。
○天野(等)委員 一般官吏の報酬との較差があるからということでございますが、結局、裁判官の報酬という場合に、一般官吏の報酬とのつり合い、そして一般官吏の報酬というのは、これが今の人事院の考え方、政府の考え方だと思いますが、民間の人たちとのバランスということの考えの上に官吏の相当額というものが決まり、そうしてそれとのバランスの上で裁判官の相当額というものが決まってくるというのが今の考え方だと思うのです。そうして今のこの人事院勧告が完全に実施されていないという状況は、一般官吏と裁判官とのバランスはとれるかもしれないけれども、そもそも一般官吏と民間の働いている人とのバランスが崩れているという状況なんです。 それについて、これは異例な状況だというお話がきょうもここであったわけです。こういう異常な状態であるということを前提に考えたとき、今この給与法案は一般官吏の俸給が民間の人たちとバランスを保った、すなわち人事院勧告が完全に実施されている状態を頭に描いた上での、それが正常な状態なんですから、それを頭に描いた上での法の規定である。ところが、それが完全に満たされていないという異常な状態の中では、やはり裁判官にはこの裁判官の給与法の原則とはまたもう一つ次元の高い憲法上の原則があるのだから、やはりそれに従った給与法というものをつくるべきではないかというふうに私たちは考えているわけでございます。その点について、もう一度法務大臣から御答弁をいただいて終わりにしたいと思います。
○嶋崎国務大臣 ただいまの天野委員の御意見、御意見として十分承っておきたいと思っておる次第でございます。
○天野(等)委員 これで終わります。
○片岡委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時四十一分休憩 ————◇————— 午後一時三十二分開講
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。中村巖君。
○中村(巖)委員 まず最初に、当面の議題であります裁判官の報酬法の改正及び検察官の俸給法の改正の問題について御質問を申し上げたいと思います。 先ほどこの改正の理由について趣旨の説明があったわけでありますけれども、一般職の職員の給与に関する法律が改正になるということで今回の提案になったということでありますが、一般職の職員の給与の改定というものと裁判官の給与の改定というものとは必ずしも関連がないわけでございます。一般職の職員につきましては人事院勧告等に基づいて改定をしなければならないということがあるわけでありますけれども、裁判官についてはそういうことはないわけであって、その意味でそれが連動しなければならない根拠というものはないだろうというふうに思うわけでありますが、その点はそうであるのかどうかということ。 それから、それに関連があるというか問題になるのが裁判官報酬法の十条だろうというふうに思います。この十条には「一般のの官吏の例に準じて、」こういう言葉が使われているわけでございます。この十条の解釈として、一般職の職員の給与の改定があったならば即裁判官の報酬も改定をしなければならないものかどうか、あるいはまた「例に準じて」という言葉の意味として、対応する金額の一般職の公務員の給与改定があった場合には、その上げ幅というか、そういうものを等しくして裁判官の方の報酬も上げなければならないものかどうか、その辺の法律の解釈についてお尋ねを申し上げたいと思います。
○菊池説明員 一般の政府職員の俸給の改定がございました場合に連動するかというお話でございましたが、連動という言葉が適切かどうかはちょっと別といたしまして、お話のございました裁判官報酬法の十条が一般の官吏について、ちょうど今回のふうに、生計費及び一般賃金事情の著しい変動によって給与改定がなされる場合には準じなさいというふうに書いておる、この十条との関係で申しますと、やはり一般の官吏の例に準じた裁判官の報酬の改定というものが法律上要請されてくるという関係になると思います。 そのいわば準ずる仕方についてでございますが、従来やってまいりましたのと同様のやり方を今回もいたしたわけでございます。裁判官の報酬表というものは現在でも特別職、一般職の場合とは全く別個にできておりまして、そういう意味では独自の別個の給与体系が既にできておるわけでございます。ただ、その中の裁判官の報酬額の個々の特定の具体的な額は大体一般職、特別職の俸給表の中にもその金額において相当するものがちょうどあるということになりますと、現在のやり方では、それぞれの特別職、一般職の俸給表の対応する号俸の具体的な額についての改定と同じ額の改定をしていくというやり方でございまして、それを対応金額スライド方式という言い方をしておりますが、これが私ども現在の裁判官報酬法十条の解釈として相当なのではないかというふうに考えて、それに従って改定を従前も行ってまいってきており、今回も行いたいということでございます。
○中村(巖)委員 私は、裁判官報酬法の十条というものが、先ほど申し上げたように、「一般の官吏の例に準じて」という言葉を使っておりますけれども、これは必ずしも対応金額スライド方式というものを要請しているのではないというふうに思うわけでございます。 しかしながら、従来法務省なり裁判所の方では対応金額スライド方式というものによっていることは事実でございます。こういうふうなものによるべきであるという考え方が出てくるのはどういう理由によるのか、それはいつごろからそういうことになってきてしまったのかということをお伺いしたいわけでございまして、そういうふうなものに常によっているということになると、裁判官の報酬に対する考え方について司法府の主体性がないではないかということになると思うのですが、その点いかがでございましょう。
○菊池説明員 御指摘の裁判官報酬法十条の解釈といたしまして、私ども従前からとっております対応金額スライド方式というものではない解釈もあり得るのではないかという御指摘でございますが、それはそのとおりだと思います。この条文の解釈としてほかの解釈の余地がないかということで申せば、ほかの解釈ということもその内容によっては可能だろうと思います。ただ、御指摘のように、私どもとしては十条の解釈として従前からこの方式が一番適当ではないかというふうに考えてまいっておるわけでございますが、いつごろ知らその解釈がとられてきたかというお尋ねにつきましては、相当以前からだとは存じておりますが、私ちょっと今その時期について申し上げる用意はございません。 裁判官の報酬の定めについてのいわば自主性というようなものが、そういうやり方だとないような感じではないかというお話だったと思いますが、御存じのように、現在の報酬法そのものの立て方が特別職、一般職とは全く別個の独自の体系を既にとっておりまして、その体系の立て方が、三権分立制度がとられております現在の国政上の位置づけという意味での司法部と行政部それぞれの地位の位置づけにかんがみまして、それぞれの長である最高裁判所長官、それから内閣総理大臣というものを同額とする、それから最高裁判所判事、国務大臣というものをそれぞれ同額で対等の額の給与を受けるということにする、そういうことをいわば前提にいたしまして、裁判官のそれぞれのキャリアに応じて、地位、職責を考えて、行政官となった人に比べますとずっと優遇された格付のところにそもそも位置づけをしている。そういう仕組みそのものは、現在の憲法の予定します裁判官に相当額の報酬を支給すべきであるという考えの一つの実現の形だろうと思っております。 したがって、そういうものを前提にして、既に額において行政官に比べますと優遇された位置づけが与えられておるところのその裁判官の給与の改定について、特別職、一般職の給与の改定がありました場合に、個々の裁判官の報酬額の改定を額において行政官の同額の号俸の者のその改定額と同じくするというだけのことで、いわば同じになっておりますのはその具体的な額についてのことでございまして、その基本の位置づけが既に十分合理的な体系だというふうにいたしますと、その改定の額について同額の者と同額とするということ自身は十分合理性があり、かつ、やはり裁判官の報酬について独自性を持った一つの体系の立て方ではないかというふうに思っております。
○中村(巖)委員 対応金額スライド方式によっている限りにおいては、一般職の職員の給与の上げる率というものが例えば三・三七ないしは三。四、こういうことになれば、必然的に裁判官の報酬の上げ率というものもそれにほぼ等しいものになってこざるを得ないわけでございまして、そうなりますと、やはり私の言葉で申し上げれば主体性がないということになるわけで、一般物価の上昇の度合いとか、あるいはまた民間の給与であるとか、いろいろの職務の重大性の増大であるとか、そういうようなものを全く考慮されることがないということにならざるを得ないわけでございまして、そういう意味で、私は本来、その対応金額スライド方式というものをかなぐり捨てて、裁判官としては今日これだけの報酬をもらわなければその職務を全うすることはできないのだ、こういう立場でもって最高裁判所なりあるいは法務省というものが大蔵省と折衝をされるべきである、こういうふうに思うわけですけれども、その辺の考え方というものはおありにならないのかどうか、お伺いを申し上げたいと思います。
○菊池説明員 委員御指摘のように、先ほど私も申し上げましたように、十条の解釈としてほかの解釈があり得ないというふうには考えませんし、内容によっては十分可能な解釈があり得るだろうと思われます。 ただ、御存じのように、我が国の裁判官の制度というものがいわゆるキャリアシステムをとっておりまして、英米のような法曹一元の国でございますと、裁判官の給与体系というものが他の一般の公務員の給与体系と全く別に非常に離れたものとしてでき上がるようでございますが、我が国と同じようなキャリアシステムをとっております国では、ほかの国でもやはり一般の公務員の給与体系というものとのつり合いと申しますか、そういう対応のようなものが相当考えられることにならざるを得ないようでございます。 したがいまして、現在のキャリアシステムをとっております裁判官制度、任用制度の中で申しますと、やはり独自の給与体系を別につくりながら、それぞれの金額について一般職の方が改定される場合に、金額的に同額の者と同率の改定をしていくということそのことは、やはり現在の日本の裁判官の任用制度等から考えましても、それなりに十分の合理性があるように思っております。したがいまして、現在も従前からの対応金額スライド方式というものを維持してまいっておるわけでございますが、しかし、こういう制度の問題と申しますのは、いつももっといい制度がないかということを考えていかなければいけない筋合いのものでもございますので、私ども、これからも検討させていただきたいとは思います。
○中村(巖)委員 午前中の審議で法務大臣は、今回の報酬あるいは俸給の値上げ幅が今回提出の法案のようになるのは、国の財政が非常に逼迫をしている折からやむを得ないのであるというような御趣旨の説明をされましたけれども、その説明というのは、今の法務省の御答弁との間にそごがあるように思うわけで、財政事情が云々だからというのは必ずしもないのではないか。一般職の職員がこういう金額の値上げであるから必然的にこうなったのだ、こういうふうにならなければならぬと思うのでありますけれども、その辺、大臣いかがですか。
○嶋崎国務大臣 先ほど御説明申し上げたのは、御承知のように、ことしの給与改定の問題につきましては、人事院の勧告がありまして、それから政府の中でも十分な論議を積み重ねて今日まで参ったわけでございます。そういう中で現在の財政事情等を考えまして、そして大変財政の窮屈な折ではありますけれども、過去の実績から考えますと、本年限り区切ってみますと、相当奮発した金額を決めて、そういうことを基準にして一般職の職員に対する給与、それから特別職の職員に対する給与の法体系というものを設定したわけでございます。そういうことについて、まず第一段階として申し上げたわけでございます。 二番目には、そういう場合に裁判官の給与をどういうぐあいにして決めるのかということになりますと、裁判官の報酬法の第十条の規定がありまして、これでは、先ほども読み上げましたように、「一般の官吏の例に準じて、報酬その他の給与の額を増加し、又は特別の給与を支給する。」一般の官吏にそういう増額があった場合に、そういう規定が入っておるということでございます。したがいまして、今の法の体系から申しますと、それに準じて値上げをするというのが、ある意味での一つのルールになっておるだろうというふうに思います。 それから三番目は、そうした場合に相当額に当たるか当たらないかという問題でございます。憲法に言う「相当額」というのは相当幅のあるものであろうと思いますが、先ほど来説明がありましたように、裁判官の給与については相当高い格付を持っております。また、試験制度その他という背景もありますし、また司法権の非常な重要性というものを背景にして、そういう給与体系をつくる、そのときに相当高いランクのところに位置づけをされておる、そういう実態があるわけでございます。 したがって、先ほども申し上げましたように、特別職に対応し、あるいは一般職の非常に上位のところと対応するというような形にもなっておるわけでございますけれども、そういう形の中でスライドして決めておる。そのことは、従来、裁判官の報酬について十分勉強した格付というものがある。そういう格付に対応したところの金額の上がりというものをにらみながら、二番目に申し上げた準じたというところで決定をしておる。したがいまして、その相当額という言葉と実際の運用との間にそう乖離があるわけではないし、そこのところはひとつ御了承願いたい、こういう説明を申し上げたわけでございます。 そういうことでひとつ御理解を願いたいと思う次第でございます。
○中村(巖)委員 私も、憲法八十条二項に言う「相当額」というのは確かに幅のある金額であろうというふうに思うわけでありますけれども、裁判官の報酬全体を眺めてまいりますと、今回の上げ方の当否は別といたしまして、裁判官の給与それ自体が、諸般の状況を考え合わせても現時点で大変に低いのではないかというふうに思うわけでございます。 かつて秦野法務大臣の時代に、裁判官、検察官の給与についてはこれをさらに優遇するように根本的に見直しを図らなければならない、こういう国会でのお話がございましたけれども、現行の給与そのもの、体系はいろいろあるわけでありますけれども、それについて、現在、法務大臣としては根本的にこれを見直しをして優遇をする方向へ考えなければならぬというお考えはお持ちなのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○嶋崎国務大臣 秦野元大臣がどういうぐあいな御説明をしたか、私は実は承知はしておりませんけれども、先ほど来説明したことは、例えば特別職の給与あるいは一般職の給与との対応ということ。お配りしてある資料の四十七ページ、四十六ページくらいのところを開いていただくとよくおわかりだと思うのですが、最高裁判所の長官は内閣総理大臣と同じレベルだ。区切って申せばいろいろな言い方もあると思いますが、例えばその他の高等裁判所長官というのはどういうレベルにあるか。さらに、判事の皆さん方の俸給表というものをごらんになって、それに対応するところをよくお考え願うと、それなりに相当吟味したところに格付がされておるということ、この一般職なり特別職の職員の皆さん方の対応されるところを横にらみでよくにらんでいただくと、まあまあ相当勉強したランク付が行われているというふうに私は思うのでございます。 しかし、いずれこの給与問題というのは、世の中も変わりどんどん時代が移り変わって、いろんな検討事項というものが必要になってくることがあるかもしれませんけれども、現在のところ、私すぐ何かそれをにわかに今改定をしなければならぬというような気持ちにも一着任早々でよくわからないのかもしれませんが、そういう感じを持っておるわけでございます。
○中村(巖)委員 現在の裁判官の報酬法の報酬表というものを見てまいりますと、高裁長官以上を除きまして、判事におきましては一号から八号まで八等級に分かれておりまして、判事補につきましては一号から十二号まで十二等級に分かれているわけでありますけれども、それは、一般職の公務員に比べればこの等級の数が少ないということは事実でありますけれども、判事、さらには判事補というものをこういうふうに報酬の等級を分けなければならないという根拠と申しますか、そういうものが余りないんじゃなかろうかという疑いを私は持っているわけでございます。 先ほど来のお話の中でキャリアシステムというお話がございましたけれども、キャリアシステムであろうとあるいは英米のような法曹一元のシステムであろうと、やはり判事は判事であるわけでございまして、裁判官の中に、報酬の額が即階級差というわけではありませんけれども、そういうような等級を報酬によって設けるということ、ある部分についてはやむを得ないかもしれませんけれども、これほど細分化された多くの等級を設けるということは必要ないのではないかというふうに思いますけれども、その辺についてはどう船考えでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官の報酬の問題でございますので、最高裁判所の方からお答えをさせていただきます。 先ほど来おっしゃっておられます委員の御指摘でございますが、裁判官の報酬のあり方として、確かに委員の御指摘のような考えは十分成り立つわけでございます。私ども必ずしも十分に承知しているわけではございませんけれども、英米の裁判官の報酬の刻みというものはそんなに数多くないもののように思われます。 ただ、英米の裁判官の場合は、相当の経験年数を積んだ弁護士の中から、つまり相当高齢に達した弁護士の中から裁判官の任用が行われているわけでございます。他方我が国の場合は、裁判官、仮に判事をとってみましても、これは一番若いところは、司法修習生を終えて判事補になってから十年を経過した者、年齢的には三十五歳ぐらいの者が一番若いところでございますし、また、一番年をとったところ、一番経験を積んだところは六十五歳まであるわけでございます。 そのように幅の広い年齢層からできている裁判官を抱えている我が国の裁判所制度でございますので、その間を余りにわずかな数の刻みでもって遇するというのは、これはやはり各裁判官の持っている経験、力量というものを正当に評価したことにはならないのではないかというふうに考えられるわけです。 もちろん、裁判官の報酬は一般の行政官のように細かい刻みになっているわけではございませんで、そこはやはり裁判官の特殊な職務、責任に応じたものにするために、現在の裁判官報酬法に見られるような八つの刻みという、比較的刻みとしては少ない差ができているわけでして、そういった現在の制度は、裁判官の職務と責任の特殊性及び現在の我が国における裁判官の任用制度というものを反映した、そういう意味では合理的で現実的な制度ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
○中村(巖)委員 そこで、そうなると、一号ないし八号に判事について分かれておるということで、この号俸が上がるというか上位給に上がる、そういうものが経験年数というか在職年数によって決まっておるのか、今の御説明によるとそんなような感じもしないでもないわけでありますけれども、どういう基準によってそういうことになっているのか。殊に判事補の場合においては一号から十二号ということになりますと、判事補の期間というのは十年しかないわけでありますから、どういうふうにしてこういう各号俸に特定の判事ないし判事補を格付をしておるのかということをお伺いしたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官の報酬等に関する法律の第三条では、各判事、各判事補の受ける報酬の号は最高裁判所が定めるということになっております。最高裁判所は、全国の裁判官の受けるべき報酬の各号を決めているわけでございます。 どういう基準でかということでございますが、一番主たる要素は経験年数でございます。在職年数とほぼ同じことになってまいりますけれども、一年目の判事補と五年目の判事補あるいは十年目の判事補というものを比較いたしますと、やはりそれぞれその経験、力量等に違いが出てまいりますので、主として経験年数によりまして、一定の期間が経過いたしますと上の号に定めるというようにいたしておるのが通常でございます。
○中村(巖)委員 こういうふうに裁判官の給与についても、格付の仕方が若干違うにせよ、行政官と同じような昇給システムをとっているということは大変問題があるというふうに私は思っておるわけであります。 一つには、こういう報酬表そのものがいわゆるキャリアシステムというものを固定化をするんだというふうに思われてならないわけでございます。キャリアシステムがいいのか、英米方式で法曹一元を図って、弁護士ないしそのほかの仕事から裁判官を登用するということを中心に考えるのがいいのかということは、臨時司法制度調査会以来大変な問題であるわけでありますけれども、理想としては法曹一元というものを私どもは実現をしなければならないというふうに思っているわけで、そういうことからするならば、やはり報酬表そのものに今問題があると考えるわけであります。 ところで、そういう今のキャリアシステムの中で、終戦後間もなくの間は、いわゆる判事補からではなくて、弁護士そのほかから裁判官を任命をするということが多く行われておったわけでありますけれども、最近この傾向がまた非常になくなっておるというのが実態だと思うわけでありまして、最近、判事補外から裁判官を任用するということについての実態はどうなっておるのか、その辺についてお伺いをいたします。
○櫻井最高裁判所長官代理者 最近ということでございますと、過去十年間という資料をただいま持っておりますけれども、過去十年間で弁護士から判事に採用された者は三名でございます。
○中村(巖)委員 そういう実態であろうということは私も想像しておったわけでありますけれども、やはり今裁判所が弁護士から裁判官に登用するというか任用するということに対して熱心でないということ、それがためにそういう実態になっておるのではないかというふうに思うわけで、こういうことは大変によくないことであるというふうに判断をせざるを得ないわけでありますけれども、その辺のことについて、裁判所は判事補外から裁判官あるいは判事を任用するということに一生懸命努力をされておるのかどうか、その辺をお伺いしておきたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 法曹一元制度についての是非の問題は別といたしましても、私たちは、優秀な弁護士あるいは立派な学者から裁判官になっていただいて、そして各分野でのいろいろな知識経験をお持ちの方が裁判所で活躍されるようにしていただきたいという気持ちは非常に強く持っているわけでございます。その点について、私ども決して不熱心なわけではございませんで、そういった機会がございます場合には、もちろん熱心にお勧めすることもいたしておるわけでございます。 ただ、もちろん弁護士から裁判官におなりいただく場合、その裁判官の報酬の問題もあろうかとは思います。それも一つの要素ではございますが、しかし、例えば弁護士として立派に活動しておられる方がある場合に、ほんの短期間裁判官として執務をするということならあるいは別問題かもしれませんが、かなりの期間、あるいは場合によっては裁判官の定年まで勤務するというようなことになりますと、それは今までの立派な活動を続けておられる事務所を畳まなければならないわけでございますし、さらには、裁判所は全国各地に裁判官を配置しておりますので、転勤の問題等も出てくるわけでございます。そういったようなことで、やはり弁護士あるいは学者からおいでいただく場合には相当の決心をしていただかなければならないことになりまして、そういったようなことも大きな要素になって、なかなか任官者が得られないということではなかろうかと思っております。 ただ、それにしましても、私たちはそういった方に来ていただくことは熱望いたしておりますので、そういったお気持ちをお持ちの方についてはいろいろな面で配慮もし、また、そういう任官のお気持ちが多少でもあれば、それを実現できるようにいたしたいというふうに思っているわけでございます。
○中村(巖)委員 その辺のことで裁判所も努力をしていただかなければ法曹一元というのは本当に百年河清を待つ、こんなような状況になってしまうことだろうというふうに思います。しかし、その問題についてはこれでやめまして、別の問題に移ります。 今ちょうど予算についていろいろと各省庁と大蔵省との折衝そのほかが行われている時期であると思います。年末になれば政府原案ができる、こういう時期にあるわけでありますけれども、法務省としては今年度の予算要求をされている中でどういうことを重点項目にされておるのか、その点をお聞かせをいただきたいと思います。
○村田政府委員 昭和六十年度の当初の予算要求につきましては、第一に増員、第二に登記コンピューター化のための特別会計の設置、第三に事件処理等のための所要経費の確保、この三点を重点としております。 そのうちの第一の増員につきましては、近時の登記を初めとしたいろいろな分野での業務の事件増に対応した定員を確保するために総数で五百二十九人を要求しております。 第二の登記コンピューター化のための特別会計の設置につきましては、登記事件の急激な増加による弊害を抜本的に解決する方策としては、現行の登記簿によるブックシステム、これからコンピューターシステムに脱皮する以外に方法はないというふうに考えられますので、この経費を登記手数料によって賄うこととしまして、その歳入歳出を他の会計と明確に区分するために特別会計の設置を要求しておるところでございます。 第三の所要経費の確保につきましては、所掌事務を適正かつ円滑に処理するための経費といたしまして、一般の物件費で五百六十二億九千二百万円、それから施設の整備費といたしまして八十五億三千六百万円を要求いたしておるところでございます。
○中村(巖)委員 今御説明ありましたけれども、増員の要求については五百二十九人ということでございましたが、主としてどういう方面を増強しなければならないかということで、五百二十九人をどういう部分にどういうふうに振り向けるおつもりでお考えになられておるのか、お示しをいただきたい。
○村田政府委員 その内訳について申し上げますと、法務局、これは登記と訟務と人権がございますが、法務局に二百四名、それから検察庁百十二名、矯正官署、これは刑務所、少年院、少年鑑別所がございますが、総数で百六十七名、更生保護官署、保護観察所でございますが、これは二十二名、それから地方入国管理官署、入管局でございますが、これが二十四名というふうになっております。
○中村(巖)委員 法務局の問題でありますけれども、法務局の中で、殊に登記事務については今事務が非常に渋滞をしているということが言われておるわけでございます。あるいはまた施設設備の面におきましても老朽の庁舎等々、整備が非常に不十分である。そのために住民に対するサービスというものが低下をしておるし、さらにまた、そこで働く人たちの労働環境も非常に悪い、こういう実態であろうというふうに思うわけでございまして、私ども現実にそういうことを見ておるわけです。そのことについては先国会におきましても私が質問をさせていただいたわけであります。これは登記のコンピューター化あるいは登記特別会計というものとも関連をすると思いますが、今の登記の渋滞状況、この予算要求の中での二百四名の法務局職員を増員をすることによっても到底解消しないであろうというふうに思うわけでありますけれども、その辺のところはいかがでございましょう。
○枇杷田政府委員 ただいま御指摘がございましたように、現在登記所におきましては事務量が非常に多い。殊に持ち家が普及いたしました関係からだと思いますけれども、一般の国民の方が窓口に大勢おいでになるという状況でございまして、それに対応するような諸設備並びに人員が十分できていないという状況にございます。それの解決策の一つといたしましては職員の増員ということでございますけれども、ただいま会計課長の方から申し上げました二百四名の増員、これも実現にはなかなか困難があろうかと思いますけれども、その増員だけでは解決はできない。人手だけをふやすというならば数千という増員がなければいけないという勘定になるのではなかろうかと思います。したがいまして、増員は増員で大いに努力をしなければなりませんけれども、その他もろもろの総合的なことで対処をする必要があるであろう。殊に、ただいま話が出ましたように、コンピューター化によって抜本的な改善を図るしか道がないのではないかというふうな考え方に立っておるわけでございます。
○中村(巖)委員 そこでコンピューター化の問題でありますけれども、先国会で私が御質問申し上げた後いろいろ進展もあったかと思いますけれども、具体的に登記簿をコンピューターの中に入れて、謄抄本をそれによってすぐ引き出して交付をする、こういうシステムは技術的に現時点ですぐにと言ったらおかしいですけれども、可能な状況になっておるのでしょうか。いかがでしょうか。
○枇杷田政府委員 登記事務のコンピューター化につきましては、四十七年から研究を始めまして、机上では大体いけるのではないかというふうな段階に達しましたので、東京法務局の板橋出張所におきまして現場実験をしようということで、昨年からその実験に入っております。そして約一万筆個程度のものをコンピューターの方に記憶がえをいたしまして、そこでいろいろ処理をいたしておるわけでございます。そこで若干改善すべき点なども出ておりますけれども、全体といたしますと非常にスムーズにいくというふうな結果が出ておりますので、これならば本格導入に向けていくのについて技術的にも大丈夫だろうというふうな考え方が深まっているところでございます。
○中村(巖)委員 法務省はコンピューター化するためには登記についての特別会計をつくらなければならないというお考えのようでございますけれども、登記特別会計をつくらなければならない具体的な、数字的な理由というのはどういうところにあるわけでございましょうか。
○枇杷田政府委員 登記事務をコンピューター化しようといたしますと、現在全国で登記されておりますものは不動産だけで二億六千万筆個くらいございます。そのほかに会社関係が株式会社と有限会社を合わせましても二百万を超えております。そのようなものを磁気ディスクの方に記憶がえをするということは多額の経費を要します。そのほかにコンピューターの機械そのものの経費、またそれの維持の経費などがかかります。そういう点で試算をしてまいりますと、主要の登記所だけに限って計算をいたしましても、千八百億ぐらいのものが必要である。全国的にやれば四千数百億円程度の経費が必要とされるということになります。 そのような経費をどのようにして投入することができるかということでございますけれども、一方登記法、例えば不動産登記法で申しますと、二十一条の規定の中に、謄抄本とか閲覧の場合に実費その他いろいろな状況を勘案した手数料を納めるということになっております。そういうようなことで、登記所を利用される方々につきましてはそういう面で現在でも実費を負担していただいておるわけです。ですから、その出していただく費用をそのままそっくりと登記事務の維持、それからまた改善、そういうものについてつぎ込めるようにすることによって運営することが合理的であろうということでございます。また、先ほど申し上げました多額の経費を必要といたしますけれども、そのような経費も結局は登記制度を御利用される方々の利益に還元されるわけでございますので、そういう方に御負担をいただくということでこの制度を運用していくのが一番適切であろうという考え方から、経理区分を明確にいたしまして、そして手数料の収入によってコンピューター化を中心とする登記事務の改善を図るというふうな措置が適当であるという考え方に立ったものでございます。
○中村(巖)委員 現行の手数料収入というのは一般会計に入っているのだろうと思いますけれども、その金額、必ずしも私どもつまびらかにいたしませんけれども、その金額で法務省が御構想になっているところの登記事務のコンピューター化というものができるかどうかという、その辺のことを伺いたいと思います。と申しますのは、やはりそういう特別会計をおつくりになるとして、歳入が十分でなければ十分なコンピューター化はできないわけでありまして、その歳入を十分に図るということのゆえに諸手数料をさらに値上げをされるというようなことであっては、やはり国民としては困るわけでありますから、その辺のことについて、数字的に現在の手数料収入を維持することによって御構想が実現されるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○枇杷田政府委員 手数料の関係は昭和五十八年の実績で二百四十三億円上がっております。本年はそれが二百四十九億円、ざっと二百五十億程度のものが歳入として上がってくるのではなかろうかと思っておるところでございます。これだけでは、正直申し上げまして、コンピューターを大幅に早急に導入する経費を捻出するというわけには実はまいらないと思います。 したがいまして、若干の手数料の値上げをさしていただいて、そのかわり迅速に適正な形で謄抄本の交付ができるようにするということで考えてまいりたいと思っております。その値上げの関係につきましては、一挙にそういう多額のものを上げるというわけにもまいらないだろうと思いますので、まだはっきりと確定をいたしておるわけではございませんが、現在謄本一通が三百五十円でございますけれども、四百円くらいに値上げということをせざるを得ないかという考えております。
○中村(巖)委員 登記所の登記事務改善をされて、住民に対する十分なサービスをするということは大変必要なことであるというふうに私ども考えますけれども、なかなか今日の国家の財政緊迫の折から、あるいはまた行政改革の折から、特別会計を新たに設置をするということは非常に困難があろうかと思うわけであります。その辺で法務省に一段と御努力をいただきたいというふうに思うわけでございます。あわせて、その際に、サービスはよくなってもやはり料金が高くなるというようなことのないように、いろいろ御配慮をいただきたいというふうに思っているわけでございます。 そこで、その問題はこの程度にいたしまして、別のことをお伺いを申し上げます。今、私が仄聞するところによりますと、今国会において、法務省は司法書士法あるいは土地家屋調査士法の改正というものの法案を御提案になられるようでありますけれども、その法案の内容もいろいろあろうかと思いますが、その中に一つ司法書士ないし土地家屋調査士について登録のやり方の変更ということがあるやに伺っているわけでございます。 従来、司法書士、土地家屋調査士につきましては、法務局に登録をするというものであったところが、臨調の御指摘もあって、それは司法書士会ないし土地家屋調査士会に登録をするというよりなシステムに変更されるようでありますけれども、具体的にどういう内容になるのか、その辺、法案提出に先立って、先取りするようでありますけれども、司法書士の方あるいは土地家屋調査士の方で大変関心がありますので、教えていただきたいと思います。
○枇杷田政府委員 ただいまお話がございましたように、現在、司法書士並びに土地家屋調査士の登録事務は法務局で行っております。これにつきまして、御指摘のように臨調の方で、そういうものは委譲した方がいいのではないかというふうなこともございますので、その線に従って、現在どういう内容にするかというのを詰めておる段階でございます。 内容と申しましても、ただ簡単に言えば、法務局でやっております登録事務を司法書士の連合会、それから土地家屋調査士の連合会の方でその登録事務を取り扱うということに変えるわけでございます。そういたしますと、一種の行政権が委任されることになりますので、登録事務を扱う連合会と法務省との関係をどういうふうな関係づけにするかというようなところが問題になってくるわけでございます。 そういう点につきまして、現在、案を煮詰めておるところでございまして、案がまとまれば、この通常国会に改正案を提出をいたしたいというつもりで作業を進めております。
○中村(巖)委員 今の問題でございますけれども、司法書士連合会あるいは土地家屋調査士連合会というものは、それぞれ司法書士法なり土地家屋調査士法に今現在法定せられてあるわけでありますけれども、そこへ登録されるということになると、弁護士会と同じように単位弁護士会を経由して連合会へ登録をする、恐らくこういうような形になってくるんではないかというふうに思うわけであります。 その場合に、この連合会に対しては、法務省の監督というようなものが行われるようになるのか、またその監督の程度というものをどういうふうにお考えになられておるのか、その辺、弁護士会の場合においては弁護士自治でありますから、法務省の監督は及ばないわけでありますけれども、司法書士、土地家屋調査士の場合には、ある程度そういうことをお考えになっておられるんじゃないかというふうに思いますので、その辺どうなりますか、お聞かせをいただきたい。
○枇杷田政府委員 先ほどもちょっと触れましたけれども、行政権を委譲することになりますので、結局その行政権の内容につきまして、内閣が責任を負える程度の最小限の監督といいますか、つながりというものがなければならないということは当然でございます。弁護士会の場合には、ちょっと特殊な要素がございますので、そのとおりにいくということは私どもは考えておらない次第でございます。 ただ、両連合会とも、もともと自主的な運営をすべき団体でございます。そして臨調の答申も、そういう権限を委譲しろというのは、その会員が自主的にやることがふさわしいという意味も半ば込められていようかと思いますので、したがって私どもとしては、この際、両連合会に対する監督権限を強化しようというようなつもりはございませんで、先ほど申し上げましたようなことで、内閣が行政権の行使によって責任が持てる、責任を負うことができる限度の仕組みをどういうふうにしたらいいかということで今検討をいたしておるところでございまして、そういう問題と同時に、連合会の方の自主的なあり方というものも、尊重できるものは尊重しようという姿勢で考えておるところでございます。
○中村(巖)委員 今の点につきましては、司法書士そのほかの方で、連合会の自主性というようなものを尊重するような方向で法案を考えてもらいたいという強い要望があるようでございますので、御配慮をお願いしたいと思うわけでございます。 時間がなくなりまして新しい問題に入れませんので、この程度で私は終わらせていただきます。
○片岡委員長 三浦隆君。
○三浦(隆)委員 山崎内閣官房副長官にお尋ねをいたします。 本来、裁判官の報酬あるいは検察官の俸給等に関する法律の関連の問題としてお尋ねしようと思っていたのですが、お時間の都合もあるようですので、先に繰り上げまして、一、二点についてだけ簡単にお尋ねをしたいというふうに思います。 実は、いわゆるグリコ・森永事件についてでございます。江崎グリコでのことしの三月の事件発生当時からこの十月以降になりまして、この影響が食品流通業界に次第に波及してまいりまして、丸大食品、森永製菓あるいはハウス食品工業と、直接的に標的にされた企業は言うに及ばずいろいろと脅迫状などが送りつけられまして、対象企業の数は既に三十一社にも上っているやに伝えられておるわけです。これにつきまして、それぞれの企業の経営に対する影響がまず出てまいりました。 新聞の伝えるところでは「グリコは上期(四—九月)の売上高が百八十億円ダウン、上場以来初めての営業赤字を記録」したとありますし、森永は「事件が越年すると下期(十月—来年三月)だけで約百億円の経常赤字が出る見込みだ。」このようにも言われておるわけです。そういうことから、特に森永など雇用あるいは働く人たちの労働条件への影響が次第に深刻なものとなって広がってこようとしているわけです。今、各企業が少しずつでも賃上げなりあるいはボーナスのアップが言われようとしておりますときに、森永においては十二月賞与の支給額が二〇%のカット。本来十二月十日支払いのものが二十日に十日おくれでやっと支給される。あるいは臨時に働くパートの人たち四百五十名はこれで雇用が今ストップの状況にあるということであります。 こんなことで、今森永では労使挙げまして直接販売あるいは街頭販売ということで大変な努力をいたしております。それぞれの働く人たちの奥さんたちもいわゆる無償奉仕、あるいはまた働く人たちも残業手当その他を放棄するような形でとにかく大変な経営に対する労使の努力が続けられております。 一方で、こうした人々が警察への協力をしていることによって結果的には犯人に恨まれ、被害が増大化しているのではないかということから、警察に協力することへのジレンマというか悩みも真剣に抱えておられるようです。そんなことから、経営者に対しては恐らく株主の側から、あるいは組合の役員に対しては一般組合員の方から、一億や二億出せば、いわゆる金銭的解決を図れば森永が救われるじゃないかというふうな、これはもう切実な要望もあるかと思うのです。 その中にあって、いや、ここで屈服してはいけないんだと、森永の方でも大変強い決意を持ちまして、これも新聞の伝えるところですけれども、「「八十五年の歴史に汚点は残せない」と裏取引を拒否、消費者の支持を訴えてきた。」と、こうあるわけでございます。 また、仮にもし森永が犯人に屈服したとするなら、犯人が勝利したとするならば、同種の事件は恐らく今後後を絶たず続いていくことだと思うわけです。言うならば、国に対して不法に侵略を行っていこうとする国があった場合に、国家国民を挙げて一生懸命頑張っております、しかし頑張り切れない限界というものがあると思うのです。今まさに森永に対して不法な侵略が行われてきた、労使挙げて懸命に頑張っているわけです。今ここで森永をつぶしてしまうことは、他の企業もまたそれに追随する可能性を持ってくるわけでして、今私たちは、こうした社会悪に敢然として立ち向かっている森永労使に、心から敬意を表しながら、国を挙げて支援への態勢をとるべきなんじゃないか、そんなように思うのですが、政府はこの種の事件をどのように受けとめておられるのか、そのお考えをお尋ねしたいと思います。
○山崎(拓)政府委員 お答えいたします。 先生が、当該事件に対しまして政府はどのように考えているか、そういう御覧間であったと存じます。 当事件につきまして、私ども、先生御指摘のとおり被害企業が多数にわたっているという事情もございますので、百十四号事件と総称して申しているのですが、いわゆるグリコ、森永等の食品企業に対する脅迫事件でございますけれども、まことに理不尽かつ卑劣な犯行であって、心から怒りを禁じ得ない、そのように存じている次第でございます。 本事件は、食品に毒物を混入しスーパーなどにばらまく等によりまして食品の安全に危険性を生じさせるなどの手段によりまして、いわば不特定多数の国民を人質にして食品企業をおどし、金品を要求するという極めて悪質で特異な事件でございます。加えて、マスコミを巧みに利用いたしまして国民の不安感を増大させ、脅迫の効果を高めようとする、いわばマスコミ利用犯罪とも言える特性を持っておりまして、私どもといたしましては、大変許すべからざる犯罪である、そのように受けとめております。
○三浦(隆)委員 今、許し得ざる犯罪であるという御指摘がありました。まさにそのとおりでありますが、この犯人逮捕が、今月捕まえられるものか、来月に回るものか、春までに捕まるものか、夏までに解決し得るものか、いわゆる当てのない状況におるわけでして、労使挙げて頑張ってはいましても、当てのない戦いの中で、目に見えない敵と戦う中で大変疲れ切ってくるだろうと思うのです。しかも、この種の犯罪はまことに過去に類例を見ない新しい犯罪でございまして、そういう点では各種の法条にも不備が多々あろうかと思います。 具体的な点についてはまだ法務省なり他の方にお尋ねをしていきたいと思うのですが、この事件に関しまして「政府は十三日の政務次官会議で、グリコ・森永事件を発端にして食品業界全体が深刻な影響を受けている事態に対応するため、十四日にも」といいますからきょうでありますが、「当面の救済策をまとめることを申し合わせた。」というふうにございます。十四日はきょうでありますので、どのように具体的な救済策がまとめられたのか、あるいは、もしきょうまでまとめ切れていないとするならば、どのようにまとめようとされているのか、お尋ねをしたいと思います。
○山崎(拓)政府委員 お答えいたします。 先生が御指摘のとおり、本日午前十時に政務次官レベルにおきまして百十四号事件関連の企業救済措置のための第一回の連絡調整会議を開いた次第でございます。本日は、関係省庁から、当面とっております救済措置、対策等について報告をいたさせました次第でございますが、きょうその関係省庁出席をいたしておりますけれども、私が総括して申し上げますと、農水省におきましては、商品管理の徹底指導、職域注文販売の拡大等について対策を講じてきたところでございます。通産省におきましては、中小企業金融特例措置、中小企業体質強化資金助成による低利融資措置をとろうといたしております。それから、労働省におきましては、雇用調整助成金制度の適用、パート離職者の再就職援助、厚生省におきましては毒物劇物等の管理徹底指導と予防措置、また大蔵省におきましても、通産省とダブリますが、政府関係金融機関の関連融資、あるいは特定企業に対しまして納税猶予措置の検討等を行ってまいりましたし、またこれからも引き続きそのような対策を講じていこうという、現段階ではそういうところでございます。
○三浦(隆)委員 国は本来社会治安を維持して、そして民間企業の繁栄を図って、そこに働く人々の生活を確保するということが政治の基本的責務だと思うのです。そうしたさなかに今回のような事件が起きているということで、しかも過去に類例を見ないような新しい事態でございますので、これまでのありきたりな法規なり運用の枠を超えまして、端的には超法規的にとも、法が不備であるならばいたし方ないところでありまして、救済策というのを積極的に政府を挙げておとりいただくことをお願いしまして、官房副長官にあてての質問を終わらしていただきたいと思います。お忙しいところどうもありがとうございました。 そこで、本来の質問に移らしていただきます。 裁判官の報酬籍に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案についてでございますが、初めに、裁判官、検察官の報酬あるいは俸給法につきましては午前中からいろいろと既に質問がなされておりますので、その重複を避けまして最も重要であるなど思われる一点につきましてお尋ねしたいと思います。 その十五条によりますと、「判事及び簡易裁判所判事の報酬月額は、特別のものに限り、当分の間、第二条の規定にかかわらず、判事にあっては九十二万八千円、簡易裁判所判事にあっては七十六万円とすることができる。」こうあるわけでございます。この条文におきます「当分の間」としている理由、あるいは「特別のもの」とは何かということにつきましての御説明をお願いしたいと思います。
○菊池説明員 御指摘の裁判官報酬法十五条の、これは通常判事特号の報酬という言い方をしておりますけれども、その符号の報酬が設けられましたのは昭和三十四年四月一日からの給与改定の際でございます。これは、裁判官の報酬の現行の制度ができました当時からのいきさつを踏まえまして、その改定時における検察官あるいは一般職の職員との給与上の権衡というようなことを考慮いたしまして、特に判事一号の報酬月額を超える特別の報酬月額を定める必要があるというところから設けられたものでございます。認証官以上の裁判官、それから検察官、さらに特別職の職員、一般職の職員というものとの均衡を考えまして暫定措置というふうに位置づけておくという趣旨で、国家公務員の給与体系について将来全面的な再検討が加えられるときまでの暫定措置という趣旨で当分の間の特別の報酬という定めがなされたようでございます。 どういうような裁判官に対してこの特別の報酬月額を支給するかということは、結局最高裁判所が自主的にお決めになることでございますが、この十五条が立案されますときの考え方といたしましては、この「特別のもの」といいますのは、判事一号報酬を受けるに至ったときから相当期間在職をしておって、年齢も高い裁判官に限定をする、一応そういう運用が予想されておったようであります。私どもの聞いておりますところでは、現実に最高裁判所においてもそういうような趣旨での運用がなされておるということのようでございます。
○三浦(隆)委員 裁判官の問題が問われておりますので、関連いたしまして訴追委員会にお尋ねをしたいと思います。 記録によりますと、訴追審査事案統計表というのが昭和二十三年度から五十八年度まで私の手元にあるわけですが、この受理事案数を見ますと、大変際立った特色を二点ほど見ることができます。それは昭和四十五年と昭和五十三年に新しく受理した事案が大変に多いということなんですが、何か特別な理由があったんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
○青山裁判官訴追委員会参事 統計の点でございますが、先生御承知のように、訴追請求人側から持ってまいりましたものを私どもが受理している立場でございまして、合理的にこれこれだというふうに決めつける自信はございませんけれども、いろいろな社会の変動などがございまして、ある年次に接着して社会的な問題が起きているとか、そういうこととの関連で事件の増減ということもあるかもしれないと思っているわけでございます。
○三浦(隆)委員 といいますのは、一般的には例えば二十二件とかあるいは四十九件、七十件とずっと続きまして、ふえても大体百台あるいはまれに珍しくふえて二百台でありますが、昭和四十五年は六百十二件ということで際立って多いということなんです。ですから、何か特段の理由があったのかなと思わざるを得ないんじゃないかなと思いますが、何かなかったんでしょうか。
○青山裁判官訴追委員会参事 ただいま申し上げましたように、あるいは先生その年次の前後の社会的な諸問題などいろいろと詳しくお調べになっているかもしれませんけれども、それぞれ例えば司法に関連する問題あるいは何か裁判事件に関連する問題などの影響ということもある場合もあったのではないか、そういうふうに存じております。
○三浦(隆)委員 いろいろとお答えしにくい状況もあるかと思いますので深くはやめにいたしまして、次は同じこの資料によりますと、審級別・高裁管内別の被審査裁判官数という表がございます。その中で簡易裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、高等裁判所、最高裁判所とありますが、例えば簡易裁判所二百九十人、地方裁判所二千百六十九人、家庭裁判所百五十三人、高等裁判所千百四十五人、最高裁判所千二百七人と書いてあるわけであります。すぐに気がつきますことは、最高裁は十五人しかいないことを考えますというと、そこでの千二百七という数は、あるいは統計の誤りかなと思うくらいの大変な数に上っているわけでして、これはどういうふうに説明がつくのでしょう。
○青山裁判官訴追委員会参事 今先生の御指摘のように、例えば地裁、簡裁、それから高裁、最高裁というふうに仮に類別いたしますと、先生のおっしゃったように、最高裁判事に対する訴追請求事案というものが目立って数が多いのではないかという、先生のおっしゃるような結果になっているようでございます。 これは恐らく管轄と申しますか、地裁、簡裁がある地域だけを所管しているのと対比しまして、最高裁は全国の管轄でございますし、さらに上訴、控訴、上告という手順を重ねてまいりまして、事件の関係者とか敗訴の当事者とか、そういう方の不満、不服が一層深いと申しますか、そういう数字上の率といいますか、そういう点も第一審に比べて一層最高裁についてそれが高くなっているということが影響しているのではないか、そういうふうに思っております。
○三浦(隆)委員 これについてもいろいろとお尋ねしたいのですが、きょうはこの辺でとめておきます。 さて、またもう一度報酬あるいは俸給の問題に移りたいと思うのですが、法務省にお尋ねをいたします。 いわゆる原則的な問題ですが、改めて今回の裁判官、検察官の給与改定の趣旨はどこに、あるのか、御説明をいただきたいと思います。
○菊池説明員 今回、一般の政府職員について給与の改定が行われようとしておるわけでございます。その行われようとしております給与の改定は、生計費及び賃金事情の変動に基づくものということになりますので、そういたしますと、裁判官の報酬等に関する法律十条に申します「生計費及び一般賃金事情の著しい変動により、一般の官吏について、政府がその俸給その他の給与の額を増加し」という場合に当たることになります。したがいまして、その同条に申しておりますように、裁判官について一般の官吏の例に準じた給与の改定をする必要が生じてくるということになってまいります。 その準じ方の問題といたしまして、従前からやってきておりますように、裁判官のそれぞれの報酬額と具体的な数額において同等であるところの特別職あるいは一般職の俸給の具体的数額、その対応する数額の一般職、特別職の俸給の増額と同額の増額をしていくという対応金額スライド方式というものが一般の官吏の例に準ずるという法の趣旨に一番よく合致しているのではないかということで、今回も同様なやり方をしておるわけでございます。 一方、検察官につきましては、その職責が、司法権の発動を促すという意味で重要な役割を持っておりますことに加えまして、その任用資格が原則的に裁判官と同等になっておりますというようなことから、よく言われますような準司法官的性格を持っているということで、古くからその給与等について一般の政府職員とは異なるやり方がとられてまいりました。裁判官と同様なやり方が行われておりますので、今回もそういう同趣旨の改定をするということにいたしましたということでございます。
○三浦(隆)委員 裁判官にせよ検察官にせよ、生活をするためには、これはもう報酬あるいは俸給あるいは民間の給与と、どう名をつけましょうと大切なことでして、物価が上がっていけばそれ相応に上げていかざるを得ない要素があろう、こう思っております。ということで、これは官公庁に働く方だけではなく、民間も同じことだと思うのであります。 そこで、関連して、またグリコ・森永事件に戻させていただきたいのですが、今そこでは企業の存続そのものすら危ないところに追い詰められようとしてきているということで、これは大変なことだろうと私は思います。 まず、警察の方にお尋ねをしたいと思っておりますが、今回のグリコ・森永事件の特徴というのはどういうところにあるのでしょうか。
○藤原説明員 グリコ・森永事件の特徴でございますが、先ほど副長官からもお話がございましたが、大きく分けて二点ございます。 その一つは、食品に毒物を混入するなどいたしましてこれをばらまき、食品の安全に危険性を生じさせるなどの手段で多数の人命を人質にして、食品流通などの会社をおどしまして金員を要求するというパターン、これが一つございます。 それからもう一つは、これがさらにそういう犯行に際しまして、マスコミを最大限に巧みに利用いたしまして、国民の不安感を増大させるということで脅迫の効果を高めようとする、いわばマスコミ利用といいますか、悪用といいますか、こういう犯罪とも言える新しい形であるということで、これまでなかったこの種の形、こういうものが大きな特徴ではないかというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 昭和五十八年度の警察白書によりますと、日本とアメリカあるいは西ドイツ、フランスなどに比べますと、日本の犯罪率の少なさ、あるいは検挙率の高さというのは際立ったものがある、こう思うのです。 例えば殺人におきまして、日本とアメリカは、犯罪率が一・五対九・八、検挙率は九七・四対七一・六です。強姦につきましては、犯罪率が二・二対三五・六、検挙率は八九・三対四八・一、強盗は、犯罪率二・〇対二五〇・六、検挙率は八一一・五対二三・九、窃盗は、犯罪率一〇六六・六対五二二三・〇、検挙率五四・七対一六・九となっております。 これは日本の警察能力の水準の高さを示すものだと思うのですが、それにしましては、今回の事件が大変歯がゆい思いで国民全体は見ている、こう思うのです。現在捜査状況はどうなっているのか、事件解決への見通しはどうなのか、お尋ねをしたいと思います。
○藤原説明員 この事件の捜査状況でございますが、この捜査は、大きく分けまして大体二つの面からの捜査を行っているわけでございます。 一つは、基礎捜査と申しますか、通常の基本的な捜査でございまして、その一つの内容といたしましては、例えば先般公開いたしましたテープの声やビデオの男、こういったことにつきまして国民の皆様に協力をお願いしておりますような、いわゆる容疑情報に基づきます人の捜査、また二つといたしましては、タイプライターとかオーバーとか、さらには先般のコピー機とか、そういう関係のいわゆる物、ブツと申しておりますが、こういった遺留品を中心といたしましたブツの捜査、それから特に今回はこういった特別の都市化の進んだ広域な地域でございますので、いわゆるローラー作戦と称します特別巡回連絡による情報収集、こういった形の捜査を一つの柱としてこれを推進いたし、それぞれ対象事項についての解明を図っていっておるというところでございます。 それからもう一つの捜査でございますが、これは現場的な捜査と申しますか、犯人側からの現金授受の要求がありましたら、その機会を利用いたしまして、その現金授受現場における捕捉を目的とする現場逮捕、こういった形の現場的捜査でございます。ただ、この捜査は、過去に何回かのそういった現金取引の機会がございましたが、この犯人が異常に警戒心が強いということで現場にあらわれないというようなことで、この機会を検挙に結びつけることができなくて大変残念に思っておりますが、これまでの教訓を生かして、今後このような機会がありましたら十分に活用して、鋭意捜査を進めてまいりたいというふうに考えております。 ところで、この事件の見通しということでございますが、捜査でございますので、いろいろ状況が変化してまいるところでもございまして、いつまでにと申し上げることは、この種の業務の性格からなかなか困難でございますのでお許しをいただきたいと存じておりますが、警察といたしましては、今後さらに総力を挙げまして早期検挙に努力をいたしたいという所存でございます。
○三浦(隆)委員 とにかく森永で働く人たちはその生活のすべてをそこにかけて、一日も早い警察の逮捕を願っているわけですね。ひとつしっかりと頑張っていただきたいと思います。 なお、十一月十四日のハウス食品に対する現金持参要求があったときに、滋賀県警のパトカーが犯人と思われる者を取り逃がした、そんなミスも起こったやに新聞は報じておりますが、ひとつ十分に気をつけて早急な犯人逮捕へと頑張っていただきたいというふうに思います。 次に、厚生省にお尋ねをいたします。 まず第一点ですが、青酸カリなど毒物の管理は現在とのように行われているのでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
○小宮説明員 ただいま先生から御質問のございました青酸ソーダでございますが、厚生省の方で法律として所管しております毒物劇物取締法におきまして毒物に指定してございます。毒物に指定いたしまして、これらのものを製造する業者あるいは輸入する業者、販売業者、そういうものにつきましては厚生大臣から都道府県知事の登録に係らしめるというような法規制になっておりまして、そのほかに業務上青酸ソーダを取り扱う業者につきましても、取扱責任者の設置だとか、あるいは毒物劇物の表示の規定、あるいは交付手続なり譲渡手続の規制、それから、特に盗難とか紛失を防止するための処置が法律上義務づけられておりまして、いわゆるかぎのかかる場所に他のものと区別して保管するというような厳格な規定を設けて関係業者に管理を行わしておるわけでございます。 また、都道府県におきましても毒物劇物監視員という専門の監視員がおりまして、そういう監視員を通じまして、各取扱業者に対しまして年に定期的に立入調査をしまして、そういう保管管理状況が厳重に行われるようにという形で現場の指導を行っているという状況でございます。
○三浦(隆)委員 毒物管理の不十分さということからして今回の毒物利用による事件が発生したのでありまして、この種の事件というのはなお今後とも頻発するやもしれない、こういう状況にあるわけです。厚生省としては今回の事件に対してどのような責任を感じ、どのような対応策をなおとろうとしているのか、お尋ねしたいと思います。
○小宮説明員 今回の青酸ソーダに伴います一連の不祥事件につきましては、先ほど警察当局の方から御説明がございましたように、鋭意捜査が行われておるということで、私どもも重大な関心を持ってその推移を見守っておるわけでございますが、厚生省としましても、ただいま申し上げましたように、毒物劇物の管理という観点から、この種事件の発生を防止するという観点から、毒物劇物の厳正な管理という面で徹底していきたいというふうに考えております。 現在、都道府県にそのような毒物劇物の監視員がございまして、従来からそういう取扱施設の監視指導というものを行ってきたわけでございますが、今回の事件で非常に大きな社会問題になってきているというようなこともございまして、厚生省といたしましては、先般、各都道府県に対しまして毒物劇物の保管設備それから取扱量の点検あるいは譲渡、交付手続の厳守とかあるいは盗難、紛失事故の届け出等につきまして改めて関係業者に周知徹底を図るよう指導したところでございます。現在、都道府県におきましては、厚生省の方とも協力して各営業所の立入調査等を精力的に行っておりまして、地元の大阪とか、兵庫、京都などでもそういう取扱業者の現場の監視を強めておるというような状況でございます。
○三浦(隆)委員 とにかく毒物の管理体制に今後とも万全を期していただきたいというふうに思います。 次に、大蔵省にお尋ねをいたしますが、税の問題なんですが、今回の森永製菓やなんかに対しまして税法上とのような救済策をお考えになっているかという点についてお尋ねをしたいと思うのです。 一つには、新聞によりますと、国税通則法に基づきまして納付猶予の申請が出されているというふうに言っているのですが、その場合、その申請に対する扱いはどうなるのか、これをまず第一点お尋ねしたい。 それから第二点は、この国税通則法の猶予の条文は四十六条かと思いますけれども、そこに出されている例示は「震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により」というふうに書いてありますと、この条文ではいわゆる天災なんですね。今回のような人災というか、のような感じだと、ちょっと次元が違うように思いますが、こうしたものにどういうふうな論拠で拡張解釈で適用されようとするのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。
○加藤説明員 お答えいたします。 森永の納税猶予の申請でございますが、申しわけないのですが、税金の問題につきまして特定の企業について直接にお答えをすることは控えさしていただきたいのですけれども、この種の事案につきましての納税猶予の申請につきましては、私ども税務当局といたしましても、その企業の置かれた立場というものをよく理解できますので、通則法の法令の規定に照らして実情に即した適切な措置を講ずるということで、現在検討を鋭意進めておるところでございます。 〔委員長退席、高村委員長代理着席〕 それから、一応この種の事件に対する納税救済措置というのは、当面は納税の猶予の申請が考えられる、こういうことでございます。 それから第二点の国税通則法の読み方でございますが、先生御指摘のとおり、国税通則法の第四十六条の第二項の第一号に「納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にかかったこと。」というのが納税の猶予を認める要件として掲げられております。 この種の事件につきまして非常に狭く解釈すれば、なるほど自然災害ではございませんので、該当しないという読み方もできないわけではございませんけれども、「その他の災害」というものは必ずしも自然災害だけだというふうに狭く限定的に読まなければならないというふうには考えておりませんで、私ども、取り扱いとしましても、詐欺とか横領とか、そういったことで被害を受けた場合もこれで読むというふうな取り扱いが従来からございます。それから見ますれば、詐欺、横領の場合よりももっと今回の企業の場合は企業にとって不可抗力性が強かったというふうに私ども考えております。 以上でございます。
○三浦(隆)委員 結論はむしろ私は賛成なんですが、ただ、その説明ですね。「震災、風水害、落雷、火災」こういうふうに例示されて「その他」とあれば、これは明らかに自然災害だけしかないわけですね。ほかのものは出てくる余地がないくらいのものでありますが、しかし、もしそれだけではないのだ、広げるというならば、むしろ将来的にははっきりと法令を改正してわかりやすくした方がいいだろうと思います。特に今回の事例に限って言えば、予測し得ない本当に大変なことでありまして、むしろ、旧来の法令解釈では少し怪しくても今回の事例には積極的に取り組んで、ひとつ大蔵省としても救済策に立ち向かうのだというふうな答弁の方がすっきりするだろうと思います。 関連しまして、この一年間の猶予期間が過ぎましても、森永の収益は犯人が捕まらない限りはどんどん下がっていくのでして、一年待たれたら返せるかどうかというのは大変難しいところだろうと思います。そうした場合に、支払い不能のような場合にどのような対策を考えられるのか、お尋ねしたいと思います。
○加藤説明員 お答えいたします。 今、問題になっておりますのは、中間申告の法人税額というふうに聞いております。これは、中間申告のものは、決算が確定して確定申告をするときにその事業年度が欠損であるならば、一たん納税の猶予をされた中間申告税額については納税義務が消滅する、猶予しておいたものが消滅するということで、なくなってしまう、こういうことでございます。 もしこれが確定申告の税額ということであれば、それが納期限までに一時納付困難という場合には、原則として一年以内納税猶予を認めまして、一年たってもまだ納付できないやむを得ない理由が続いているという場合には申請に基づいてさらに一年延ばせる、こういう規定が通則法にございます。 以上でございます。
○三浦(隆)委員 済みません。ちょっと予告してない質問なんでどうかなと思いますが、現在、交通事故の場合ひき逃げに対しても補償が出されているということなんですが、今回のような事件の場合に、こうしたいわゆる企業に対する不慮の災難ですが、こうしたものに対する救済策となるような新しい保険制度というか、そういうふうなものは考えられないものですか、大蔵省にちょっとお尋ねしたい。——じゃ、この質問は次回に延ばすことにいたします。 次に、法務省にお尋ねをしたいと思います。今回、このグリコ・森永事件の犯人が逮捕されたと仮に仮定した場合に、現行法上とのような罰条が適用されて、実際とのくらいの刑期が予想されるのかという点、現在時点でお答えいただける範囲でお願いします。
○筧政府委員 お答えいたします。 何分、現在捜査中でございまして、事実関係の詳細が明らかではございませんので、断定はいたしかねると思います。 主なものについてだけ申し上げたいと思いますが、例えば江崎グリコの社長宅へ侵入して屋外に社長を連れ出して、連行して監禁して傷害を負わせて身の代金を要求したという点につきましては、監禁致傷あるいは身の代金目的拐取というふうな犯罪に当たるわけでございます。 それから、森永製菓の製造に係るチョコレート等に青酸ソーダを混入させた製品を配布するという旨を告知して金員を要求した事案、これは恐喝未遂でございますが、これはほかの各社いずれも同様の恐喝未遂罪が多数成立するわけだと思います。 それから、青酸ソーダを混入させた製品をスーパー等の店頭に配布した事案、これにつきましては、事実関係が定かでございませんので、何とも言えない面が多いわけでありますけれども、事実関係いかんによっては殺人未遂罪の成立もあり得るであろうということでございます。 さらに、これらの行為によりまして同社の製品の販売を困難ならしめた点につきましては、威力業務妨害の成立が考えられます。 それから、そのほかにも個々の行為、たくさんあるわけでございますが、工場等に放火した点は、建造物侵入あるいは建造物放火になりましょうし、その間、脅迫状を各社等へ送っております。これはそれぞれ脅迫になろうかと思います。それから、男女二人を監禁したというのも当然監禁罪の成立が考えられますし、各種の犯行でピストルを使ったというような事案もございますので、そういうものにつきましては銃砲刀剣等違反というようなことで、その犯人が何人がわかりませんけれども、それが複数の者、全部に関与しておるかあるいは分担しておるか、それによっても異なりますけれども、今申し上げましたような罪名がそれぞれに適用される。 今申し上げました中で一番重いといいますのは身の代金目的拐取、これが上は無期でございます。それから、拐取して身の代金を要求した場合、これも上は無期でございます。それから恐喝、これは長期十年、それから殺人未遂、これは殺人でございますから、法文上は、長期といいますか、上限は死刑があるわけでございます。それから威力業務妨害、これは三年以下というふうに、それぞれ罪名に従いまして刑期が異なるわけでございますが、御承知のように複数の犯罪を犯しました場合には併合罪の規定が適用になりまして、一番重い刑の長期の一・五倍といいますか、恐喝を二つ三つ重ねました場合には上は十五年になるわけでございます。そういうことを考えましてどれぐらいの刑になるかということは、これはどうもさらにいろいろな情状その他を見ませんと、何とも申し上げようがないわけでございます。 ただ、申し上げられますことは、現行法規に照らせば、もし犯人が検挙されて、真相解明して起訴がなされ、裁判になるというような場合に、現在の状況から判断いたしましても、それぞれの罪名について極めて情状の重い類型であるということは一致して言えようかと思います。そういう意味で相当の重罰になるのではないかと思いますが、どの程度ということまでは現段階ではちょっと申し上げかねる次第でございます。
○三浦(隆)委員 今回の一連の事件を見てみますと、毒物を混入しながら予告をするとか、かなり法規に詳しいというか、そんなような感じがするわけです。これに対して、現行刑法はしょせん明治の法規ですから、そういう新しい現代の犯罪に対応する、あるいは適切なというか、そういうふうなものがあり得るかどうか、今後とも事件の推移を見なければわかりませんが、問題があるような気がいたします。 刑法を補強した一つのものとして、例えば人質による強要行為等の処罰に関する法律というのが昭和五十三年にできております。これの第一条によりますと、「二人以上共同して、かつ、凶器を示して人を逮捕又は監禁した者が、これを人質にして、第三者に対し、義務のない行為をすること又は権利を行わないことを要求したときは、無期又は五年以上の懲役に処する。」しょっぱなから無期というふうなことをうたっておりますが、今度の江崎グリコのときの社長の監禁というか、そうしたような関連がどうなるのかと一つ思います。 それからもう一つには、同じく古い法規で、明法十七年に爆発物取締罰則というのができておりますけれども、爆発物じゃなくて毒物の混入というふうなことでの毒物取り締まり罰則とでも言うものが立法上可能なものか、ひとつこんなこともお考えいただきたいし、それから新しい乗り物としての航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律とか航空機の強取等の処罰に関する法律というのが生まれておりますけれども、航空機ではないですけれども、直接な暴行あるいは脅迫というよりも、毒物を用いることによって企業自体を危険な状態に陥れる、あるいは企業を倒産させるというか、そういう可能性が濃厚な場合、いわゆる航空機ではないですが、企業というものを対象にして、そういうものに対して毒物などをもって倒産させるような、そういうものに対する特別法というか、何か刑法上に一項を入れるとか、別な法規を考えるとか、新しい時代の新しい犯罪に対応するような姿勢、今後ともひとつ法務省の方にもお願いをしたいと思うのですが、いかがでございますか。
○筧政府委員 ただいま先生御指摘のように、今回のグリコ事件だけを見ましても、いろいろ新しい形態といいますか、の犯罪の類型がうかがわれるわけでございます。現行刑法も明治四十年以来でございますので、予想していない各種の犯罪が見られるわけでございまして、今御指摘の二、三のように特別法の形でできているものもございますし、刑法の一部改正で入れたものもあるわけでございます。いずれにいたしましても、社会の進展に伴いまして今後もさらにそういう新しい形態の犯罪が出てくることが予想されますので、私どもとしてもそれに対応すべく鋭意検討を続けてまいりたいと思っております。
○三浦(隆)委員 それから、仮に犯人を逮捕しまして犯人を極刑に処し得たとしても、企業の財産が減ったり、そのことに対しては企業にとっては何も救いがないのですね。現行法上、特別融資の制度その他は仮にあったとしても、困っている企業に対して積極的な補助金か何かを渡すというか救済資金を渡すというふうなものはないのですね。 それで特に、いわゆる一森永ではなくて、そういう新しい犯罪に対して果敢に闘っているような場合、一企業の森永としてとらえないで、何か今後資金的に救済する方法、そういうものがおってもいいんじゃないか。例えば昭和五十五年に犯罪被害者等給付金支給法というのができておりますね。いわゆる通り魔殺人のようなものに遭ったケースであります。旧来考えられなかったですが、現にそういうものが出てきているわけです。 まさにそうした通り魔殺人に遭った遺族からすれば犯人を殺してもやりたいというくらいの気持ちがあろうかと思うのですが、それを気持ち的にお金にかえてあるのですが、今度の森永に働いている労使の人々も、いわれなく通り魔のように大変な被害を受けているわけです。全く森永の責任じゃないわけです。こういう場合の救済の立法というものが現在ないのですけれども、例えば犯罪被害者等給付金支給法というのにもし倣うとするならば、「犯罪被害会社等給付金支給法(仮称)」というふうな名称の法律でもつくることによって、倒産なり経営不振企業の救援というか、そういうふうなものがこの種の事件に少しは救いになるんじゃないかと思うのですが、この種の立法についてはどんなものでしょうか、ちょっとお尋ねいたします。
○高村委員長代理 どなたにお伺いいたしますか。
○三浦(隆)委員 やはりこれは法務省でしょうな。当初は新事態についてということだったのでこれは政府にお尋ねしようと思ったのです。ですけれども、政府の方は副長官初め大変お忙しいようでお答えいただけないし、所管の方がどこかわからないのですが……。
○筧政府委員 先年通り魔等が発生いたしました際に、今御指摘の犯罪被害者等給付金支給法ができたわけでございます。これは警察庁の所管でできたわけでございます。その際に、いろいろ犯罪被害者に対する補償の問題が大いに論議されたところでございますが、なかなかその被害の範囲とか他の補償といいますか、保険、補償との関係とかというようなことで相当難しい問題があるということを論議した記憶がございますが、いずれにいたしましても、何らかの方法が講じられるならば講じられるべきであるというふうに思いますし、なお検討さしていただきたいと思います。
○三浦(隆)委員 所管が合っているかどうかわかりませんが、検討さしてほしいという、ぜひとも積極的に検討するようにお願いをしたい、こう思います。 次は中小企業庁の方にお尋ねしますが、今回のグリコ・森永事件にかかわる下請企業に対する救援策、どのようにお考えでしょうか。
○高梨説明員 関連中小企業者対策といたしまして、中小企業庁といたしましては、既に森永関連下請中小企業の動向の調査を行うとともに、政府系の中小企業金融機関に対しまして森永関連下請企業の金融面での要請について個々の実情に応じまして積極的に対応するように指導しておるところでございます。さらに、これに加えまして、森永関連の中小企業者に対しまして、本日付をもちまして中小企業信用保険法上の特例措置を適用するということで通産大臣告示を行ったところでございまして、この告示によりまして、森永製菓の生産量の縮小に伴って経営の安定に支障を生じている中小企業に対しまして、通常の信用保険限度額八千万円に加えまして別枠といたしまして八千万円まで利用が可能ということになっております。 〔高村委員長代理退席、委員長着席〕 さらに、これも本日付でございますけれども、森永事件の影響により経営の安定に支障を生じている中小企業者を中小企業体質強化資金助成制度の貸付対象とするということで、先ほど官房副長官からもちょっとお話がございましたけれども、各都道府県に対しまして中小企業庁長官の通達を出しております。 それからさらに今後の対応策でございますけれども、以上の対策は森永企業関連の中小企業に限った対策でございますけれども、もっと広くチョコレート、ビスケット等の菓子製造業及び卸売業に対しまして中小企業信用保険法上の不況業種の指定を行うことで現在検討をしておりまして、年内に通産大臣の告示を出すべく検討中でございます。さらに、下請企業振興協会というのが四十七都道府県にございまして、この振興協会を通じまして関連下請企業の要請に応じまして下請取引のあっせんを行うといったことを考えておるところでございます。
○三浦(隆)委員 労働省にお尋ねいたします。 今回のグリコ・森永事件に関連しまして、雇用保険法に基づく雇用調整助成金というふうなものが決まったようでございますが、その一つは、どういう状況にあるかという問題、もう一つは、今回の事件に関連してのパート労働者に対する雇用対策の問題についてです。それから、これは将来の問題で検討課題となるかと思いますけれども、これで本当に森永事件が済めばよろしいのですが、これ以上経営悪化ということになりますと、単に臨時、パートの問題だけじゃなくて正規に働く人々の生活への影響が出てくるかと思います。こうした場合の給与の補給あるいは失業対策、そうしたことについてもどうお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
○竹村説明員 お答えいたします。 雇用調整助成金制度というのがございますけれども、これは事業活動の縮小を余儀なくされた場合におきまして、労働者を休業さすとか、その間教育訓練を行うとか、また他の組織に出向さすとかいう形で雇用の安定を図るというためにそういう処置をした場合、そういう処置を講ずる事業主に対して必要な助成または援助を行うという制度でございます。したがいまして、休業等が行われるということが前提ということで現在適用ということにはなっておりますけれども、実際に休業が行われ、それに基づきまして申請が出たというケースはまだ出ておりません。しかしながら、制度の照会とかそういうものにつきましては二、三、私の方の出先機関に上がっておりますし、今後そういう問い合わせまたは実際の申請が出るケースも十分考えられるというふうに思っております。 二番目の御質問でございますけれども、現在、私どもで、特に森永に関連いたしましてパートの労働者が、先ほど先生御指摘がありましたように、約四百五十名、解雇といいますか仕事がなくなったという状況にございます。したがいまして、早速このパートの方々とお会いいたしまして職業相談といいますか、そういう処置も講じておるところでございますけれども、今のところ、このパートの方々の大半は森永製菓への復職を非常に希望していられるという状況にございます。 私どもで現在行っておりますのは、第一は、各工場ごとに就職希望者がいないだろうか、そしてまた、再就職に当たっての希望条件はそれぞれどういうことをお考えになっているかということをまず把握するための処置を講じております。 二番目といたしましては、そういう方々の就職先といいますか、再就職先にかかわりますいろいろな求人情報の提供とか、集団でいろいろ説明会なんかをいたしまして、再度就職する場合のいろいろな相談ということも行っておりますし、また、一人一人個別の職業相談とか職業紹介も行っております。 その結果、現在まで八名が他の第二の、森永以外のところに就職したという報告を得ておりますけれども、今後とも従来行っておりますような、今御説明いたしましたような対策を必要に応じて行うことにより、その再就職される御希望の方がいらっしゃいます場合は、その再就職が迅速に行われるよう対応してまいりたいと思います。 それから、第三番目の御質問でございますけれども、これは我々といたしましても、予測せざるいろいろな事件の影響で労働者が非常に影響を受けるということは、今回の事件がまさにこういう事件でございまして、私どももこの事件が起こりましたときから、特に労働者にどういう影響が出るだろうかということを非常に関心を持って見ておりまして、そのため、特に先ほど御説明いたしました雇用調整助成金ですね、これは従来大型倒産に限られて適用されるということで制度を運用してまいっていたものでございますけれども、それを今回特に江崎グリコ及びグリコ栄養食品の事件に絡みまして、関連下請中小企業にも影響が出る、したがって、その影響により、そこに働いている労働者の方々にいろいろな影響が出るということを懸念いたしまして、その指定基準を、急激かつ大幅な生産量の減少が生じている場合にも適用するというふうに、新たに指定基準を設けて対応したところでございます。 で、今後とも雇用の安定を図るという見地から、状況に応じまして、いろいろ現在持っております諸制度を活用いたしたいと思っておりますし、特に職業安定所その他、我々の職業安定機関と申しますか、そういうものを通じまして再就職の促進対策というものを十分強化してまいりたいと思っております。 いずれにいたしましても、各省庁と連携しながら、この事態の推移に応じまして、必要な問題にそれぞれに対処していくという姿勢で労働省としては対応してまいりたいというふうに思っております。
○三浦(隆)委員 旧来のいわゆる会社の経営者の失敗による倒産とか、そういうのと全く性質を異にした事件だというふうな観点からひとつ対応策を考えていただきたいと思います。 既に時間でございますが、最後に法務大臣から、閣僚の地位にある法務大臣として、今回の事件をどう受けとめられているか、一言お尋ねして質問を終わらせていただきたいと思います。
○嶋崎国務大臣 先ほど来十分政府側でも答弁をしましたように、今回の事件は非常に悪質で特異な事件であるというふうに思いますし、その影響するところも非常に大きな問題を包蔵していると思うのでございます。 そういうことを考えますと、我々としても、こういう、ただ単に掲名されたところだけじゃなしに、そのほかの食品業界にも非常に大きな影響を及ぼしているというような事実を考えますと、本当に許しがたい犯罪であるというふうに思っております。 したがいまして、一刻も早く検挙をするようにせっかくの努力をしなければならないというふうに思っておりますとともに、それに対応して生じておるいろいろな問題についても十二分の配慮を行っていかなければならぬというふうに思っている次第でございます。
○三浦(隆)委員 どうもありがとうございました。
○片岡委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 ちょっと順番の変更などで皆さんに御迷惑をおかけしましたことをまずおわび申し上げます。 最初に大臣に伺いますが、まず私の考えを申し上げますと、憲法では、労働者の生存権を確保する基本的権利として、すべての労働者に労働基本権を保障しております。それは代償措置ということなどによって代替できるものではないと考えております。政府の方では公務員労働者の労働基本権剥奪の代償と称して人勧制度を設けておられるわけですが、そうしながら、三年連続の凍結、抑制を続けておって、さらに今年度も大幅な切り下げを図ろうとしているわけです。 日本のこうした事態に対して、ILOは人勧制度に疑問を表明し、制度の改善勧告をしておりますし、これは国際的にも認められないことを政府は強行しようとしているということを意味すると思うわけであります。 人勧の切り下げは、政治的必然性として、裁判官や検察官も含めて、公務員労働者とその家族の生活に重大な打撃を与えるだけではなくて、ひいては広範な国民生活に影響を与えることになるわけであります。 法務大臣にお伺いしますが、自民党政府はことしもまた人勧を切り下げることにしましたが、法務大臣としては、こうした事態をどのように認識しておられるか、もう一度私にも答弁をいただきたいと思います。
○嶋崎国務大臣 御承知のように、今回の人事院勧告がありまして、それに対応するために政府の中でもいろいろと検討をして今日までまいったわけでございます。 御承知のように、過去の長い経過はありますけれども、本年に限って考えるならば、できるだけ、少しでも給与の引き上げ幅を大きくしようというような形で今日まで努力をしてまいったわけでございます。そういう観点から、今度の一般職の公務員に対するところの給与の改定、特別職の職員に対する給与の改定が行われるというようなことに相なったわけでございます。 それらの経緯については先ほど来申し上げたとおりでございますが、こういう代替措置を設けるのが適当であるかどうかというようなことになりますと、これはある意味では政治論であろうと私は思うのでございます。しかし、諸外国の実例というようなこともいろいろあろうと思いますけれども、こういう制度が存在する限り、できる限りその実現のために努力をしていかなければならないという気持ちは当然であります。しかしながら、現在日本が抱えている非常に財政窮迫の事態ということを考えますと、そういう事情というものをある程度整合してああいう答えにならざるを得なかったという事態は御認識をいただきたいと思っておる次第でございます。 そういう観点から、今問題になっておる裁判官あるいは検察官に対する報酬、給与の問題につきましても、一般職の職員に対する給与の改定、さらには特別職の職員に対する給与の改定法案に準じまして、裁判官の給与についてのスライド条項、十条の規定というようなことを援用しまして法案を提出をしておるというのが実情であるわけでございます。 そういう意味で、どうかこの法案の円滑な処理を心からお願い申し上げたいというのが私の現在の気持ちでございます。
○柴田(睦)委員 私の方から言いたいこともたくさんありますけれども、既に同僚議員から数々質問がありましたし、また後で村議員から質問があると思いますので、この問題はこの程度にいたします。 次は、法務省の刑事局長にお伺いしたいのですが、きのうの朝日新聞のトップ記事で自民政調の司法特別委の問題、「法務幹部から聴取」ということで記事が出ておりました。自民党政務調査会内の司法の公正に関する特別委員会のことであるわけですが、そこには現職幹部として法務省の濱邦久刑事局担当官房審議官が出席したということが書いてあるわけです。 そこで、まとめて伺いますが、一つは出席をした事実の有無、出席をするに至る経過、これは衆議院の公報を見ますと、例えば林修三さんだとか、石高泰さんだとか、あるいは佐藤欣子さん、こういう方の名前は既に公報にも出ているのですけれども、浅野一郎参議院法制局長あるいは濱邦久審議官、こういう人の名前は衆議院の公報には出ていないわけです。ですから、出席の経過もちょっとお聞きしたい。 二番目に出席の場所。これも濱さんの場合は、公報によりますと場所が変更になっております。どういう場所でやられたか。 三番目には、私的に出席したとありますが、公私の区別。私的であれば報酬が出るかと思いますが、そういう報酬はどうなっているのか。 それから四番目に意見の概要。これは簡単で結構です。 五番目に、その話について議事録あるいは講義をする場合のレジュメ、メモ、発言の要旨、そうしたものがあるかどうか。 この五つについて、時間が非常に限られておりますので、結論だけお答えください。
○筧政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、濱審議官が出席いたしております。本年九月二十八日の自民党政務調査会の司法の公正に関する特別委員会に出席いたしておりますが、その経緯は、同特別委員会から私どもの方へ、最近の再審無罪事件等人権が問題になっている刑事事件について法務省から説明を受けたいという御要請がありました。それを受けまして濱審議官が出席したわけでございます。蛇足でございますが、当時私が不在でございまして、刑事局長代理として濱君が出席したという経緯でございます。 場所は自民党本部、ちょっと部屋の番号は覚えておりませんが、自民党本部の中の一室と聞いております。 それから公私の別、これは公といいますか、何といいますか、私の方ではございません。私ども、各党の正式な機関から御要望がありますと、私どもの所管事項につきましては、可能な限り行って御説明をいたしております。その一環と御了解願えれば幸いでございます。 それから、意見の概要につきましては、概要と言えば、今申し上げましたように、向こうからといいますか、委員会からの御要請はそういうことでございまして、それに関連していろいろ意見を申し上げたわけでございますが、その内容にっきましては、この委員会が非公開で行われた自民党内部の委員会におけるものでございますので、私どもとしてその内容をお答えする立場にないことを御了解願いたいと思います。 それからメモでございますが、これは私も濱君から報告は受けましたが、特に議事録とか、そういうものは作成いたしておりません。 以上でございます。
○柴田(睦)委員 大臣にお伺いしたいのですが、この記事によりますと、当時の——当時というのはロッキード事件の検事総長、法務省刑事局長、最高裁長官の出席を求める計画があるというような記事があるわけですけれども、公務員の退職後における守秘義務の問題あるいは司法の独立との関連において、過去の捜査や裁判の問題を話をするということについて法務大臣はどう考えておられるのか。これも結論的にお話し願いたいと思います。
○嶋崎国務大臣 ただいま御質問のようなことは、新聞に一部報道されてあることは私は承知をしておりますけれども、全く聞いておらない事柄でございます。したがって、そういう計画があるかどうか自体も私は存じておらないわけでございます。 二番目に、こういう問題が議論されるときに、御指摘にもありますように、もう私人となられた方に対していろいろ法務関係の御質問をされるということはどうも適当ではないんじゃなかろうか。したがって、先ほども御説明申し上げておきましたけれども、そういうことがあれば法務省の方で事柄を受けて応対をすべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
○柴田(睦)委員 きょうは法案の審議ですから深くは入りませんが、来るべき行政問題のときに深く尋ねていきたい、きょうの答弁を踏まえて尋ねていきたいというように考えております。 次に、新聞などで盛んに書かれております生体腎臓移植の問題です。 私が切り抜いただけでも「生体腎臓、移植用に売買 大阪に公然あっせん組織」あるいは「「売買腎」関与医師は除名」「腎臓売買に怒り」、ほかにも二十枚ぐらい切り抜いていますが、こういうことで非常に社会問題になっていることだというように考えております。 刑法の二百四条、言うまでもなく、人の身体を傷害した者は十年以下の懲役または五百円——これは臨時措置法で十万円になるわけですが、以下の罰金に処す。傷害罪につきましては、殺人罪なんかと違いまして、被害者の承諾、嘱託、同意による場合の特例はないわけであります。シェークスピアのあのベニスの商人の場合のように同意があっても、違法性は減少するとはいえない、輸血の場合のように同意によって違法性が全く阻却される、こういう場合であるから、傷害事件については殺人罪のような特例規定はない、こういうふうに学者は説明をしておるわけです。 問題は、今緊急に腎臓の移植が必要である、そういう場合に、肉親の人たちが自分の子供を助けるために自分の一方の腎臓を提供しようという場合とは違っておりまして、自分の腎臓を売るから切り取ってくれ、こういう場合、しかもそれが売買の対象になっている。嘱託、同意があっても、このような手術をする者が仮に医者であっても、現行法体系のもとではやはり傷害罪を構成するものではないかと思います。 これだけ社会的批判が起きている中で捜査当局が動かないのはどういうことか、法務省はこれを放置しているのか、お尋ねしたいと思います。
○筧政府委員 生体腎臓の売買につきましては、柴田委員御指摘のような新聞記事を私も見て承知したところでございます。 その詳細な具体的な事実はまだ明らかでございませんので、断定的なことは申し上げられませんが、日本の法制では、御承知のように昭和五十四年にできました法律で死体からの腎臓移植ということについての法整備ができておるわけでございます。 ところが、それと違いまして、生体からの腎臓の売買ということにつきましては、その売買自体を処罰する法律はもちろんございませんし、今御指摘のように、被摘出者、出す方の承諾がなければ傷害になることは明らかでございます。承諾があった場合にどうなるかということでございますが、これにつきましてもいろいろな状況があろうかと思いますので、先生御承知の昭和五十五年の最高裁の判例におきまして、被害者の承諾があっても必ずしも傷害行為の違法性を阻却しない場合があるということは明言されております。 その場合に、最高裁の判例が挙げておりますのは、被害者が身体傷害を承諾した場合に傷害罪が成立するか否かは、単に承諾が存在するという事実だけではなく、右承諾を得た動機、目的、それから身体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度など、諸般の事情を照らし合わせて決すべきものであるという判断がなされております。 したがいまして、結論として申し上げるとすれば、個々の具体的な事案によって決するしかないのではないかというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 新聞を見ても、まさにサラ金の支払いのために自分の腎臓を売る、そういうものを手術する、こういうのが問題になっているのですから、一般論ではなくて、この問題はやはり刑事局としてはちゃんと調べなくちゃならぬということを私、要求しておきます。 時間がありませんので次に移りますが、次は最高裁判所の問題です。 全司法との交渉の中で、八四年の六月二十二日に、最高裁の事務総長の回答があります。「主とて大都市あるいはその周辺の簡裁において、民事事物管轄の改正に伴う事件増や信販関係事件増が目立っていること。また、地裁においても執行事件や破産関係の事件が相当大幅に増加していること。家裁においても少年一般保護事件や調停事件が増加していることについては十分認識している。」こうあるわけですが、最高裁は、この点現在も認識に変わりはありませんか。
○山口最高裁判所長官代理者 その点につきましては、現在も同様な認識に立っております。
○柴田(睦)委員 ところで、全司法労組の方はこの四月に、一般職の増員、欠員補充の要求として千五百二十二名の増員要求をしております。事件増の経過などから見まして、この要求は私は当然だと思っております。 先日、私は千葉の裁判所の状況を視察し、職員からいろいろ話を聞いてまいりました。松戸支部の職員の話ですけれども、職員も若干ふえたが、民事事件数の急増に追いつかない。庁舎が狭く、十坪の広さの部屋に十名の職員が詰め込まれて勤務している。冷房はなく暖房も弱い。当事者の待合室もない状態だ。 さらに、これは千葉地裁、簡裁ですが、民事の方で、執行関係のタイプは三名で負担が重い。受付は人手が足りず平日七、八時まで残業し、日曜出勤も多い。一名増をしてほしい。それから、執行に入って二年目の事務官が債権執行をやらされている。残業は恒常的にある。廷吏の方も事務を手伝っている。これは簡裁民事ですけれども、通常訴訟は立ち会い三人で、書記官は帰りが七時ごろになる。女性は家庭の用事もあり残業できないので、家へ持ち帰って帳簿づけや調書を書いている。地裁民事ですけれども、和解室がないので、司法修習生室を代用したり、ときには法廷でやっている。事務室も狭く、ロッカーに囲まれ、訪問者が入るところもない。それから会計の方ですけれども、保管金が千葉地裁は二十億円になっておって、扱い件数、扱い額がふえて大変だ。 今度は、家裁の方にまいりますと、調停、暴力事件、精神障害者事件などが増加して、恒常的に残業、これは六時半ごろまでやるし、土曜日は三時、四時、日曜出勤もあるという状況です。それから、家事の受付に書記官が一人も配置されていない。以前はベテランが配置されており、受付でチェックされ整理されてきたが、現在はどれもこれも持ち込まれるので仕事量がふえている。休暇もなかなかとれない。少年事件の方では、事件増で、特に身柄つきがふえている。暴走族など集団も多く大変だ。鑑別所も定員四十三名に五十数名入れられている。休日に調査書を書くのは当たり前になっている。手が足りないので、検察官送致など定型化された処理や、調査官が関与せずに書面処理されるものがふえている。適切な法運用ができない。これらのことが言われました。 こういう裁判所の実態の中で、最高裁は八五年度の予算概算要求における増員要求で裁判官九名、書記官十名、事務官二十七名、家裁調査官三名となっておって、従わなくてもよい政府の定員削減への協力分を差し引きますと、職員は結局一人もふえないという要求結果になっているもので、全く政府に追随する態度だと言わなければならないと思うのです。そういう点で、私は、最高裁判所が本当に独立性を持って政府迎合を改めるべきだ、本当に立派な裁判を進めていくためにはそういう態度をとるべきだと思いますが、所見を伺います。
○山口最高裁判所長官代理者 千葉地裁を初めといたしまして、地裁における民事執行事件、破産事件、それから簡裁における民訴、調停、督促事件が非常に激増しておりますことは委員御指摘のとおりでございます。それから、六十年度の要求におきまして裁判官九名、一般職四十名の増員要求をいたしておりますことも御指摘のとおりでございます。 他面、政府の第六次定員削減計画によりまして、私どもこれまでも協力してまいったわけでございますが、やはり裁判所も国家機関の一つでございまして、国の財政事情その他いろいろ勘案いたしまして、御協力できますことは、例えば司法行政事務におきまして報告事務の簡素化を図るとかあるいは機械化を図るといったような措置を講じまして、御協力できるところは御協力いたさなければならない。しかし、事件処理のために必要な増員要求はやっていかなければならない。必ずしも四十九名で十全とは思っておりませんけれども、現下諸般の事情にかんがみましてこの程度の増員要求といたしておるところでございます。
○柴田(睦)委員 そういう態度であるから裁判所というのはいよいよ忙しくなって、迅速な裁判の要求、この期待にもこたえられない、こういう結果になっているわけです。よく考えていただきたいと思います。 次に法務省関係ですが、御承知のように登記事件数は十年間で二倍というように急増しております。職員数はこれに対して増員されないで、この十年間に八%の増であるわけです。職場の実態を見てみまして、これは本当に深刻であります。 千葉支部の職員の意見の主なものをちょっと言ってみますと、千葉西出張所で残業は一週間に二回ぐらいで二時間か二時間半ぐらいやる。もちろん残業手当はつかない。本庁では巡回実地調査、これは需要の一〇%しか満たされていない。千葉全体で車が九台、広域実地調査用に船橋と市川に運転手付の車が各一台あるだけ。それから登記官がタイプ打ちで、これはキーパンチャーには就業規則があって一時間ごとに制限されるわけですけれども、これが一日じゅう打つことになって信号が黄色か非かわからなくなる、よく見えないことになる、こういうことを聞いております。 それから、千葉の営繕の問題。登記所関係三十九庁舎のうち十五庁舎が借り上げで、千葉県の南の方では木造が多くて東部は鉄筋が多くなっているのですけれども、これが狭い。年間三百九十万円の補修費ですけれども、一庁当たりにすると十万円にしかなりませんから、何もできない。それから、激務でありますために女性を採用しないのじゃないか、こういうふうに考えられているのが現状であるわけです。 これらの問題を解決するには結局増員が必要であります。全法務労働組合は法務局職員一万一千六百九十三名、保護観察官署九百名以上、入国管理局職員五百名以上、これを要求しております。千葉支部はこの中に四百五十八名入っているわけです。 そこでお伺いしますけれども、法務省も不足人員を調査しているということです。先ほど枇杷四民事局長から数千という表現がありました。枇杷四民事局長は我々同期の修習生の中で最もすぐれた修習生であったわけですが、数千ということは国語的に言うと五、六千を意味するわけですけれども、皆さん方の調査においてもそれくらいの人数が必要であるとお考えになっておられるかお伺いします。
○枇杷田政府委員 法務局の実情はただいま柴田委員の御指摘のとおりの状況でございまして、人手不足が最大の悩みになっております。これを職員の人手で換算しますと最小限との程度の増員が必要かということになりますと、最小限私どもは三千人を下らない増員が必要であろうというふうに考えております。しかしながら、そのような増員を図るということは現下の財政事情、定員事情からもまた至難なことでございますが、できるだけ増員を獲得したいということで、先ほどもほかの委員の方の御質問に会計課長が答えましたとおり、法務省におきましては増員を予算要求の最大重点事項ということで要求をいたしております。そして増員をできるだけ獲得するとともに、またほかの面で施設の充実であるとか、備品の整備であるとか、執務環境の整備とかいうふうなことも総合的にできるだけ手当てをして、幾らかでも職場環境をよくし、事務が適正迂遠に行われることを一歩でも前進させたいということで努力をいたしておるところでございます。
○柴田(睦)委員 先ほども御答弁がありましたが、五百二十九名を要求している、しかし第六次定員削減にかかわりますので、実際には法務局で七十名の純増ということになるわけです。総務庁が行いました行政監察の結果、窓口サービス調査で登記所がワーストワンということになっております。これは法務局の職員が質が悪いのではなくて、本当に職場の中で最も忙しい、そういう仕事を強いられている結果のあらわれであって、現場の職員がどんな気持ちでこのワーストワンの屈辱に耐えているのか、これを解決しなくちゃならないと思うのです。 そういう意味で、少なくともこの概算要求額、私はもっと要求してもらいたいと思いますけれども、大臣の立場からも少なくとも概算要求額、人員要求を一人たりとも削らせない、この決意をお聞きしたいと思います。
○嶋崎国務大臣 御指摘のように、現在の法務局の仕事を見ましても大変な繁忙にあるということは、私自身もよく見せていただいて、そう思っておるわけでございます。したがいまして、何とかこの増員を確保したいというような気持ちでおるわけでございますが、何しろ行政改革を進めておるという実態がありまして、精いっぱいの努力をしてみますけれども、なかなか難しい問題だなということを思っておるわけでございます。今後もそんなことで精いっぱいの気持ちで頑張ってみたいと思っております。 それに関連しまして、御承知のようにことしはコンピューター化を進めるという仕事をぜひとも実現をしたいというふうに思っておるわけでございます。その理由等については先ほど来説明してありますから申しませんけれども、一年間で二千三百万件も新しい登記事項がある、閲覧、照会だけで四億を超える件数がある、そういう実情があって、しかも年間の増加が千六百五十万件増加しておる、そういう事態は私自身も十分承知をしておるつもりなんです。 それに対応するのにはやはりある程度受益者負担という考え方も入れて思い切った改正をやらなければいけない、そういうことによってこの急場を何とか切り抜けたいというふうに思っておるわけでございます。もちろんそういう制度が入りましてからでも、急速にできるわけではありません。したがいまして、いろいろな内部の環境の整備その他についても相努めまして、余り誤りのない処理が、しかも的確に迅速にできるようなことを心がけて努力をしていかなければならぬというふうに思っておる次第です。
○柴田(睦)委員 時間が来ましたけれども、総務庁を呼んでおりますので、ちょっと一言だけ。 これは毎年行政サービス調査を行っておられるわけですが、それは大変いいことだと思うのですけれども、登記所がなぜワーストワンになったのか、人員不足が根本原因であることはもう明白であるわけです。そういう点から言いますと、ワーストワンの改善のために法務省と協議しているとは思いますけれども、現状のままでの改善を望んでいるんだ、こういうようなことで現場の労働者、大変怒っているわけです。もう精神主義と労働強化、こればかりだということで怒っているわけです。 そこで、総務庁としてもワーストワンの原因をひとつ明確にして、法務省と協力して、登記所の人員増を実現するように総務庁としても法務省に協力してもらいたい、この点、もう時間がありませんので、結論的に簡単にお答え願います。
○上谷説明員 御説明いたします。 確かに、御指摘のようにサービス評価調査におきまして、これで三回目になるわけでございますが、登記所の場合は評点が余り芳しくはございません。ただ、申し上げたいことは、私どもの評価調査は、五十五年の閣議決定に基づきまして窓口行政というものについての国民の評価をまとめまして、これをその窓口行政の改善の材料にする、こういう趣旨でその調査をいたしているわけでございますが、その原因分析というところまでは私どもの調査の範囲内では実はいたしていないわけでございます。 原因は御指摘のようにいろいろ難しい問題があろうかと思いますが、それにつきましては、各省各庁が窓口の行政の改善に向けまして自主的に努力をしていくということの参考のために私ども資料を提供いたしているわけでございまして、そういう点からいろいろな原因分析あるいは別途またいろいろな調査をいたしましたり、あるいはほかの事情も勘案をいたしましたりいたしまして、全体として窓口行政の改善推進を図っていくということであろうかと思います。
○柴田(睦)委員 要するに、人事院勧告の完全実施、それから検察官や裁判官に対してもやはりそれに準じた実施、そして今までの凍結、削減の回復、さらに庁舎の改善、これは国会請願で何回も採択されているわけです。それから裁判官、検察官の給与の場合、上原下薄が非常にひどいわけです。こういう点の改善措置、時間がありませんので答弁をいただきませんが、ひとつその点、十分に改善のために頑張っていただきたいということを申し上げて、終わります。
○片岡委員長 林吾郎君。
○林(百)委員 民事局にお尋ねします。 商法改正の大会社、小会社の区分、それから外部監査の方針が決まって法制審議会に審議をゆだねておる経過は、大体こういうことですか。五十八年七月三十日までに法制審議会商法部会は、中小企業に対し公認会計士や税理士による外部監査を義務づけることを内容とした大小会社区分問題の検討の方針を固めた、続いて五十九年五月九日、法務省は民事局の参事官の名前で大小会社区分立法及び合併に関する問題を公表した、それから、ことしの十二月十二日に法制審の商法部会は大小会社区分立法の制定に向けて本格的な検討に入った、大体こういう経過だと知っていていいでしょうか。
○枇杷田政府委員 おおむねそのとおりでございます。 ただ、中間で法務省が公認会計士、税理士の外部監査を導入するような方向に決定したという言葉があったかと思いますが、そのようなことはございません。そういうふうな案もあるので、各界の御意見も聞いて、どういうふうにして進めたらいいかということを考えておる次第でございます。
○林(百)委員 そうすると、税理士会やあるいは公認会計士会に、外部監査をする方針も含んでおる、そういうことも検討の中に入っているということは表明されたわけですね。
○枇杷田政府委員 法制覇議会の商法部会におきましてそのような方向でも考えられるじゃないかという御意見がありますので、その点について各界の御意見を伺って、その御意見が大体各方面から寄せられて、現在それを整理をしたという段階でございます。
○林(百)委員 自治省に政治献金の問題を、これが事実であるかどうか確かめたいと思いますので、委員長にこれを差し上げます。 大蔵省に聞きますが、TKC全国政経研究会というのはどういう性質の会か御存じですか。
○頼松説明員 お答え申し上げます。 TKCは税理士、公認会計士が組織する任意の団体であると承知しております。
○林(百)委員 政治団体ですか、任意団体ですか。
○頼松説明員 任意の政治団体であろうかと思います。
○林(百)委員 自治省にお尋ねしますが、この表で一例というのがありますね。政治資金規正でこれが事実かどうか確かめておいてもらいたいと私の方で言っておきましたが、これは事実このとおり記載されていますか。
○山崎説明員 お尋ねの件でございますが、TKC全国政経研究会につきましては昭和五十四年八月十七日に設立居がなされております。またTKC関信政経研究会につきましては、昭和五十五年八月四日に設立居がなされまして、それぞれ政治団体としての活動を行っております。
○林(百)委員 昭和五十八年度の収支報告書によって、ここに一例というのがありますが、このような事実が記載してあるかどうか、あした質問するから確かめておいてもらいたい、事実と違ってはいけないから、ということをお願いしておきましたが、確かめてもらえましたか。
○山崎説明員 御指摘の点についてお答えいたします。 まず、TKC全国政経研究会からでございますが、野田毅氏の指定団体であります野田会に対しまして五十八年に百万円の寄附がございます。それから、綿貫民輔氏の後援会に対しまして五十八年に百万円の寄附がございます。それから小泉純一郎氏関係、藤波孝生氏関係につきましてそれぞれ五十八年に百万円の寄附がございます。それから中曽根康弘氏関係でございますが、これにつきましてはTKC関信政経研究会の五十八年の政治活動費の推薦料の中に五十万円の記載がございます。これはいずれも五十八年の収支報告に記載されておるものでございます。
○林(百)委員 じゃ、これをちょっと刑事局と大蔵省に渡して聞きたいと思いますので……。 同僚の名前が出たり前法務委員長の名前が出たりしておりますが、この野田毅さんというのは、自民党の商工部会長に五十八年二月十五日に就任されております。綿貫さんは、我々よく知っておりますが、前任の衆議院の法務委員長でした。小泉君は衆議院の大蔵委員会の理事をやっておりました。あと中曽根、藤波両君は言うまでもないと思いますが、こういうところへ税理士会から、いろいろの性格があると思いますが、献金がある。 外部監査をするということは、公認会計士や税理士の業務の範囲が広がるという利便がつきまとうので、そういう法案を税理士会としては希望していると考えても不自然ではないと思いますが、これはどうでしょうか。大蔵省に聞きましょうか、あるいは民事局でも結構です。要するに、外部監査しますから、顧問の税理士のほかに外部の監査が入るわけです。公認会計士にするか税理士にするか、あるいは両方にするか問題があるにしても、あるいは金額によって区別することもあり得ると思います、まだコンクリートしていませんからね。しかし、いずれにしても業務の範囲が広がることにはなるわけでしょう、外部監査するということは。
○枇杷田政府委員 もし商法の中に外部監査を必要とするという規定が入りまして、それが義務づけられることになりますと、その仕事が当然新しく出てまいりますから、それに携わる方の仕事の量というものがふえるということは一般的に言えようかと思います。ただ、そのことが税理士の方にとって直ちに業務量がふえるということにつながるかどうかは若干難しい問題があるような気がいたします。私も業界の実態はよくわかりませんけれども、現在、商法上の外部監査をしておりませんでも、税務関係については税理士さんがおられるわけです。そこへ公認会計士か税理士……(林(百)委員「いろいろ説明しなくていいですよ。要するに仕事の範囲が広がるかどうかということです」と呼ぶ)それは、ある意味では広がることは間違いございません。
○林(百)委員 それでいいです、あなたが税理士のことまで言わなくても。要するに、税理士の所管の範囲がもし商法による外部監査をするとすれば広がるということは、これは間違いない。それが税理士の収入にどう影響するかということは、何も民事局長が言わなくても、税理士自身が自分のことですから考えていると思います。 そうしますと、私が心配するのは、この前、貸金業の規制等に関する法律や出資法の改正案、いわゆるサラ金業法と言われておるところですが、これがあるときこの業界から莫大な献金がなされたということが問題になりまして、それで法務省の刑事局の方も、どういう名目にしろ特定の目的をもって金銭を相手方に渡すということは、仮にそれが政治資金という名目であっても贈賄の構成要件に該当する場合もある、全部該当するとは言いませんけれども、そういう場合もあり得るという説明を、私が質問して答弁を得ています。 実は、私の方で調べましたところが、とりあえず調べただけでTKC全国政経研究会から約六十七件の献金が政治家の後援団体になされ、その総金額は六千万円になっているわけですね。私が心配するのは、国会に提案する法案を業界が金で買収することができもんだという考えで、こういうことがなされているというと、これは許しがたいことだと思うのです。国会に対する侮辱でもあるし、政治家の名誉に関する重大な問題だと思うのです。 そこで刑事局の方にお尋ねしますが、この前私が質問しました、政治資金という形であるにしても特定の事柄について請託をしたということになると、それは違法性があることもあり得る、考えられるということがありましたが、それはそういうように、以前これは刑事局長から答えていただいた答えですが、そういう考えを持ってもいいのでしょうか。
○筧政府委員 今、林委員から資料をいただきました。ここに百万円とか授受の、寄附でございますか、あるようでございます。この関係につきましては、どういう機会にどういう趣旨でこの寄附がなされたかということは明らかでございませんので、これは何とも言いようがないわけでございます。 今お尋ねの一般論として申し上げますれば、政治献金あるいは寄附という形をとりましても、当該公務員がその職務に関してわいろを収受した、職務に関して言うことでございますから、職務権限があり、その職務と対価関係にある、双方がそれを認識しておる、さまざまの条件がございますが、そういう構成要件を満たした場合には、形はどういう形をとっておっても収賄罪が成立する場合があるということは前回お答えしたとおりでございます。
○林(百)委員 それで、先ほどのように例はここに五つだけ挙げてあるのですが、いずれもこの法案と直接間接関係のある方々、法務委員長だとかあるいは商工部会長だとかあるいは大蔵の理事だとかいう、総理や官房長官は広範な権限を持っていますから、これはまたこれの解釈もあり得ると思いますが、そういうことでございまして、これはやはり政界を毒する可能性もあるわけですね。私はここで毒しておるとまでは言いませんけれども、毒する可能性があるわけです。 そこで、税理士法の四十九条の十七、それから公認会計士法の四十六条の十二によりますと、大蔵大臣は、税理士会に対しても公認会計士会に対しても、団体から報告を徴し、そして行う業務についてこれらの団体に対して勧告を与えることができる、または当該職員をしてこれらの団体の業務の状況もしくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。 税理士会にしてもあるいは公認会計士会にしても大蔵大臣が相当の監督権限を持っているわけなんですけれども、これは弁護士会とは違ってここに特色があるわけですが、この大蔵大臣の勧告権を行使して、もし法案を金で買収するような、あるいはそういう意図を持ってこういう行為をする、あるいはそういう疑惑を持つような、要するに、五十八年だけで六十七件、六千万円も税理士会から献金がしてあるわけですから、それで、ことしの十二月十二日には法制審議会の商法部会へ本格的な検討を入れてあるし、昨年の七月には部外監査をするということを含めて各界の意見も聴取しておるわけですから、六千万円もの献金を政界にしているということは、これは疑われてもやむを得ないのです。 これに対して大蔵大臣として勧告あるいは事実の調査、こういうようなことをぜひしてもらいたいと思うのですよ。これは政界の浄化のために、また国会の権威のためにしてもらわなければ困ると思うのですが、これは大蔵省ではどう考えていますか。
○中島(公)説明員 お答えいたします。 先ほど国税庁の総務課長からお答えいたしましたように、TKC政経研究会と申しますのは任意の団体でございまして、私ども大蔵省の証券局では、公認会計士について、公認会計士業務に関して監督する権限あるいは検査の権限等を持っておりますし、また税理士について国税庁の方でも同様でございますけれども、そういう任意の団体でございますので、我々の方で監督権が及ばない、そういう立場にないということでございます。
○林(百)委員 だめですよ、そんな言い逃れをしては。常識的に、TKC全国政経研究会というのは、これは税理士会や公認会計士の政治団体なんです。それで、予算委員会でも税理士会や公認会計士会の代表として参考人として呼ばれているのですよ。あなた、そんな認識じゃだめですよ。だから、この次までにTKC政経研究会が税理士会とあるいは公認会計士会とどういう関係があるかということをよく確かめて、責任ある答弁をしてくださいよ。 例えば、ここに、ことしの二月二十四日の予算委員会にTKC全国会会長、公認会計士・税理士飯塚毅君が公述人として呼ばれて、予算委員会の議事録にちゃんとあるのですよ。それをあなた、そんなばかなことを言っていたら、大蔵省は何のために検査権、勧告権があるのですか。この点調べて、この委員会ではっきりした答弁をしてください。それでなければ、あなた方も利害が一致して共謀していると言われても仕方がないでしょう。あなたはだれだか知らぬけれども、責任を追及しますよ。いいですか、もう一度答えてください。よく確かめてください。
○中島(公)説明員 お答えいたします。 先ほどの答弁の繰り返しになりますが、私どもが公認会計士を監督しておりますのは公認会計士業務に関してであります。公認会計士の方が私人としていろいろな活動を行うとか、そういったことについてまで私どもの監督権限が及ぶわけではございませんので、私どもは公認会計士業務に関しては監督する立場にございますが、それ以外の問題あるいは任意の団体について調査するという立場にはないということで御了解いただきたいと思います。
○林(百)委員 そんなことはあなた、詭弁ですよ。税理士が、公認会計士がTKCをつくっているので、それが献金しているというのは個人と団体が一体となってやっていることは間違いないじゃないですか。あなたそんな詭弁を大蔵省がやっていたらだめですよ。もっとはっきりして、この次までにTKCと税理士会、公認会計士会とはどういう関係があるか。任意と言っているけれども、この会の構成員は全部税理士と公認会計士ですよ。それで、税理士や公認会計士には勧告権があるのですよ、あなた方。この金がどこから出ているか、税理士会や公認会計士会から出ていることは明らかじゃないですか。それをよく調べて、この次にまた法務委員会へあなた方また来てもらいますから、はっきりさせてください。私どもの方も調査します。 それでは委員長、もう時間がありませんから次の問題に移りますけれども、長野県町村議会議長会から、地籍調査事業についてこういう陳情が出ているのですが、「さて、本事業の認可を受け推進し、毎年その完了した成果品は知事の認証を経て法務局に送付し、登記簿の表示が改められ正しい土地表示により広く活用されることとなりますが、法務局に送付してもそれを処理する法務局職員が少なく、関係市町村が人件費を負担して職員を法務局へ送りこまなくては、成果の活用が陽の目を見ないといった実態であります。」これで、「記」として「地籍調査事業の登記事務経費を地方自治体(市町村)にしわよせしないこと。」「管轄内登記事務の要請に対応できるよう登記事務職員の充実をはかること。」こういう長野県町村議会議長会の陳情があります。 長野県ではこの地籍調査事業をやっている自治体は四十四もありますけれども、こういう事実を知っていますか。陳情がわざわざ来ていますよ、私のところへ。
○枇杷田政府委員 ただいまお話しの陳情は私どもも承っております。そして、内容的にも、残念ながら法務局の方で人手が足りませんためにやむを得ずそのような市町村からも応援を受けておるというのが遺憾ながら実態でございます。
○林(百)委員 登記事件数が、細かい数字は言いませんが、甲号は、五十三年を一〇〇としますと五十八年は一一〇で一〇%ふえています。乙号事件は、五十三年を一〇〇とすると五十八年は一二五で二五%ふえています。ところが職員数はわずか二%しかふえてないのです。仕事量は甲号で一〇%、乙号で二五%、ところが職員数は二%しかふえてなければ、これは仕事ができないのは当たり前ですよ。やむを得ず地方自治体が乏しい財政の中からわざわざ一人職員を雇って法務局へ送り込まなければ法務局の登記事務はできないという状態ですね。 それで、自治体の方で部外応援者の数は、五十三年を一〇〇とすると一一三、一三%ふえているのですよ。職員はわずか三%しかふえないのに、部外からの応援が一三%、それで事件数は乙号が二五%、甲号が一〇%、これでは仕事ができっこないじゃないですか。なぜ職員の増員を要求しないのですか。乏しい地方自治体の財政に任せればそれでいいのですか、民事局は。そんなばかげた話はないでしょう。地方自治体で今財政がどんなに困難がおわかりでしょう。それを国の方がこんな仕事を、当然、あなた方のこの本を見れば、この地籍の仕事は私の方の民事のやる仕事ですと、ちゃんとこんな厚い本を出してその中に書いてあるのですよ。そして仕事は地方自治体に手伝わさせるなんてばかなことがどこにありますか。どうするつもりです。
○枇杷田政府委員 ただいま御指摘のような実態でございますので、私どもも大変申しわけない遺憾なことだと思っております。 そういう関係で法務局全体の増員につきましては、先ほども柴田委員からの御質問にお答えいたしましたとおり、法務省といたしましても最重点事項として要求をいたしております。これからもまた最大限の努力をしてまいりたいと思いますが、なお抜本的な改善策として、先ほど大臣からもお話しございましたように、特別会計を導入してコンピューター化も図りながら法務局全体の処理能力を高めることに努力をして、幾らかでも市町村側の方のそういった変則的な負担がなくて済むような状態に持ってまいりたいと思っております。
○林(百)委員 それでは法務大臣、御承知のとおりそういう実情で、あなたは閣僚ですから御存じでしょうが、地方自治体もことしは補助金を一〇%切られたり大変なんです。それを国の委任事務でもないし、こんな超過負担が生ずるような仕事を、法務省の人員が足りないためにこういうことをやっているわけです。これは国の、法務省の名誉のためにもこういうことは至急解消しなければならないと思いますが、その点で努力していただけましょうか、私のところへ陳情が来ておりますので、聞いておきます。
○嶋崎国務大臣 ただいま民事局長からお話がありましたように、現在の法務局関係の仕事というのは大変多忙になっていることは事実であります。ただ、特に地籍調査等につきましてはもう少し都市の近辺の方から、またそういうところはより問題があるので、そういうところからやってもらいたいものだなと思っておるのですが、どうも地方からそういう仕事が上がってきておるわけです。そういうことが各地域の皆さん方に大変御迷惑をかけておることに相なっておるのじゃなかろうかと私思っておるわけでございます。 しかし、いずれにしましても現在の多忙さというのは私も十二分に承知しておるわけでございまして、本年度の予算につきましてもできる限り増員等の対策について努力をいたしますとともに、ぜひともこれは根本的に問題を解決するのにコンピューター化しかほかに手がない、今までいろいろなことをやってきた結果がそういうところに落ちついてきたわけでございます。幸いにして日本語のワードプロセッサーというものができまして、本当に五十六年以後大変な研究を積み重ねて、ようやくそれが軌道に乗るような情勢に相なっておるわけでございます。したがって、こういう契機をとらえまして今後地方自治団体にそういう迷惑がかからないような努力をせっかくやっていきたいと思っておる次第でございます。
○林(百)委員 それでは法務大臣、あなた閣僚ですから自治省とも話をして、もしこういうことで費用を出しているとすれば——私たちが聞きますと、登記所では押す判こ一つ三千円くらいですが、その判ごまで地方自治体につくらせているというのですよ。私の方は予算がないから、つく判こができませんから、どうかあなたの方でつくってきてください。これは私どもが直接聞いているのですよ。ですから、そういう費用は交付税で見るなり、とりあえずあなたの方がそういうことのないようにしてくれればいいけれども、もしそういうような迷惑をかけているようだったら、交付税で見るなり、そういう措置をしてもらいたい。いずれにしても、自治大臣と話し合いをぜひしてもらいたいと思います。それはどうでしょうか。
○嶋崎国務大臣 そういう実態までは実は私承知しておりませんけれども、よく事実を調査しまして、必要があれば自治大臣ともよく相談をしてみたいと思っております。
○林(百)委員 これで終わりますが、最高裁、きょうは給与関係ですから、給与関係の質問を私準備しておりましたけれども、非常に具体的な事例になりますので、国会という場で質問することは御遠慮願いたいということで、お申し出のとおりいたします。 しかし、生涯を裁判事務にささげている職員のことですから、それが当然の——当然といいますか、あり得る俸給体系に組み込まれないということは本人にとっては非常に耐えられないことだと思うのです。どうかそういう事態を円満に解決するように、本人の言うこともよく聞いて、来年何か定年になる、退職する人だとかなんとか聞いていますけれども、そういう人に生涯を裁判所の事務に尽くしたことに対して誇りを持ってやめることができるような処置をぜひ講じていただくようにお願いして、これは答弁は要りませんから、私の質問を終わらせていただきます。
○片岡委員長 次回は、来る十八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十一分散会 ————◇—————