文教委員会 第13号
- 発言数
- 250 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/05/24
会議録
○阿部委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、木島喜兵衛君外二名提出、児童生徒急増地域に係る公立の小学校、中学校及び高等学校の施設の整備に関する特別措置法案及び木島喜兵衛君外二名提出、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案の各案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。松永文部大臣。 ————————————— 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共 済組合からの年金の額の改定に関する法律等 の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○松永国務大臣 このたび、政府から提出いたしました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 私立学校教職員共済組合の給付については、共済組合設立以来、国公立学校の教職員に対する給付の水準と均衡を保つことを建前とし、逐次改善が進められ、現在に至っております。 今回は、昭和六十年度における国公立学校の教職員の年金の額の改定措置等に準じて、私立学校教職員共済組合法の規定による既裁定年金の額の改定等を行うため、この法律案を提出することといたしたのであります。 次に、この法律案の概要について申し上げます。 第一に、私立学校教職員共済組合法の規定による退職年金等の額を、昭和五十九年度の国家公務員の給与の改善内容に基づいて行われる国公立学校の教職員の退職年金等の額の改定に準じ、昭和五十八年度以前の退職者に係る年金について、昭和六十年四月分から引き上げること等といたしております。 第二に、既裁定の退職年金等の最低保障額を国公立学校の教職員の既裁定年金の最低保障額の引き上げに準じ、昭和六十年四月分から引き上げるとともに、遺族年金については同年八月分以後、さらにその額を引き上げることといたしております。 第三に、掛金等の算定の基礎となる標準給与の月額の最高額を四十五万円から四十六万円に引き上げるとともに、最低額についても七万七千円から八万円に引き上げることといたしております。 最後に、この法律の施行日につきましては、昭和六十年四月一日といたしております。 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
○阿部委員長 馬場昇君。 ————————————— 児童生徒急増地域に係る公立の小学校、中学校 及び高等学校の施設の整備に関する特別措置 法案 義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正 する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○馬場議員 ただいま議題となりました法律案について、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。 今、東京、大阪等人口急増地域では人口の社会増と自然増に押され、交通戦争、住宅不足と狭隘化、公害の多発、自然の喪失等、環境条件は著しく劣悪化しており、生活、労働、文化のあらゆる面で問題点を引き起こしています。 特に、学校では既にそのピークは越えたとはいえ児童生徒の急激な増加に伴う学級、学校の新増設計画がその実勢に追いつけないため、運動場をつぶしてのプレハブ教室の建築や特別教室の普通教室への転用、あるいは四十六名以上の学級編制等によって急場をしのいでいる学校が依然として目立っています。 こうした状況の中で、過大学級、学校はいまだに残存し、教室、職員室、運動場、校具等、学校の施設設備は不備のまま異常な形で教育活動が展開され、子供の遊びと遊び場は奪われ、子供同士の人間関係、子供と教職員の人間関係、教職員同士の人間関係は阻害されています。 こうした教育的対人関係の破壊、揺れ動く学校生活の中で、子供の学力の低下、校内暴力等、教育荒廃の現象は依然として大きな社会問題となっています。 一方、地方自治体では子供の学習権を守り、行き届いた教育を保障するためにも児童生徒数急増に対応しながら、学級、学校の新増設計画に取り組んでいます。 しかし、自治体においては、実勢に見合わない現行の国庫補助制度や地価の高騰、校地取得難等のもとで、膨大な教育財政の支出をもたらされています。このことはまた、ただでさえ危機的状況下に置かれている地方財政をますます圧迫し、一般行政水準を低下させる要因ともなっています。 それだけに、人口急増市町村の財政力をもってしては、正常な教育を行うための施設設備を確保することはもはや困難な状況下にあると言わなければなりません。 幸い、昭和四十六年度より児童生徒急増市町村に対する校地取得に係る定率補助制度が発足し、昭和四十八年度には校舎の新増設に対する国庫補助率の引き上げが行われることとなりました。 また、昭和五十九年度より過大規模校の分離促進に向けた用地取得のため一定の予算が計上されるまでに至りました。 しかし、これらの措置は一定の効果を果たしてきたとはいえ、いまだ当該市町村の要望を到底充足するまでには至っていません。また、公立高校新増設に対する国庫補助制度は、昭和五十一年度より発足し、その予算は増額されつつありますが、補助条件の制約があることや校地取得費が補助対象となっていないこと等もあって、高校の新増設計画に大きな障害点となっています。 これらの助成措置は、元来義務教育諸学校施設費国庫負担法の抜本的改正等により、その改善充実を図らなければなりませんが、当面、四十人学級の発足に伴う学級の新増設等人口急増地域や過大規模校に山積する教育上の諸問題点を解決するためにも、当該県市町村に対する特別措置を講ずることが緊急の課題となっています。 以上、児童生徒の増加地域における公立の小学校、中学校及び高等学校の施設整備に係る国庫補助制度の実情にかんがみ、これらの施設整備を一層促進するため、国の行財政上の特別措置をさらに拡充するための法的措置を講ずることとし、もって学校教育の円滑な実施を確保するため、本法案を提案する次第であります。 次に、本法案の内容の概要を御説明申し上げます。 第一は、この法律は、児童または生徒が急激に増加しまたは増加する見込みのある地域に係る公立の小学校、中学校及び高等学校の施設の整備に関し必要な特別の措置を定めることにより、学校教育の円滑な実施を確保することを目的としております。 なお、今回、別途提案いたしました義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案による過大規模校の分離、新設校整備費についても本法案による特別措置が適用されることになります。 第二は、この法律において児童急増地域または生徒急増地域とは、市町村における過去三年間の児童または生徒の増加数などを基準として各年度ごとに文部大臣が指定する市町村の区域を言うこととし、その指定期限は、指定要件失格後も二年間は有効としております。 第三は、第二の両急増地域における公立の小中学校に係る校舎及び屋内運動場の新増築費並びに学校給食施設及び水泳プールの整備費に対する国の負担率または補助率を四分の三に引き上げるとともに、生徒急増地域を通学区域とする公立の高等学校の水泳プールの整備費に対する国の補助率についてもこれを二分の一に引き上げることにしております。 第四は、国は、政令で定めるところにより、両急増地域の公立の小中学校の用地取得費についてその二分の一を補助するとともに、第三の公立の高等学校の用地取得費及びその校舎等の新増築費についてもその二分の一を補助することにしております。 第五は、国は、第三及び第四の児童生徒急増対策事業に係る地方債の資金について特別の配慮をすることとし、その元利償還金についてもこれを地方交付税で措置することにしております。 第六は、国は、児童生徒急増対策事業に係る用地取得を容易にするための税制上の優遇措置を講じなければならないことにしております。 第七は、地方公共団体は、その区域内で大規模宅地開発等が行われる場合において、特に必要があると認めるときは、その開発事業者に対し、公立の小中学校または高等学校の用地の確保を求めることができることとし、その場合の用地確保を開発事業者に義務づけております。 第八は、地方公共団体は、大規模宅地開発等に伴い公立の小中学校または高等学校の施設の整備事業を行う場合、財政事情等によりその事業を適時に行うことができないときは、その開発事業者に対してその事業の立てかえ施行の申し出をすることができることとし、申し出を受けた開発事業者は、その地方公共団体との協議に基づきその事業を行うものとすることにしております。 第九は、この法律は、昭和六十一年四月一日から施行することとし、昭和六十六年三月三十一日までの時限立法としております。 以上が本法案の提案の理由及び内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。 次に、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。 戦後の公立学校の施設整備は、焼失面積六百八十万平方メートルに及ぶ戦災校舎の復旧、六・三制発足に伴う新制中学の生徒五百万人を収容するための中学校施設の建設、ベビーブームによる児童生徒急増対策、高度経済成長に伴う大都市周辺地域の児童生徒急増対策、進学率上昇による高等学校生徒急増対策など、その量的整備が最大の課題として進められてまいりました。 これらの整備事業に対し、地方公共団体の過重な財政負担を軽減するため、戦後初めて国の補助負担制度が導入され、順次立法化されたのであります。義務教育施設については、昭和三十三年に本法すなわち義務教育諸学校施設費国庫負担法が制定され、国の恒久的な一部負担制度が発足し、その後の公立小中学校等施設の量的整備に少なからず寄与してまいりました。 このような量的整備は、児童生徒急増市町村や高等学校生徒急増都道府県にとって今後も引き続き必要でありますが、小中学校の児童生徒数が昭和五十七年度をピークに減少に転じた現在、今後の整備事業の重点を質的整備に置くべきであります。とりわけ児童生徒急増対策の後遺症ともいえます過大規模校の分離促進は緊急の課題であります。 昭和五十九年度現在、小学校については二十五学級以上、中学校については十九学級以上の学校をそれぞれ過大規模校としてとらえますと、公立小学校の場合はその一五・六%に当たる三千八百六十五校が、中学校の場合はその三二・九%に当たる三千四百十八校がそれぞれ過大規模校となります。 これら過大規模校については、教育活動や学校運営の面でさまざまな問題点が指摘されております。すなわち、校地が狭く、体育の授業、クラブ活動、学校行事が制約されること、校舎等の配置が複雑なものが多く、非常災害の場合が心配されること、音楽、理科等の授業を普通教室で行わざるを得ない場合が多いこと、教師と子どもの触れ合いや教師相互の意思疎通が困難であり、学校としての一体感が培われにくいこと、また、このことが校内暴力など多発する生徒の問題行動と無関係でないこと等であります。 次代を担う子供たちが、常に恵まれた環境で教育を受けられるよう学校施設など教育諸条件の整備充実を図ることは、教育基本法に定められた国や地方公共団体の責務であります。したがって、このような過大規模校における教育の現状にかんがみ、その分離を促進し、学校規模の適正化を図る必要があります。 現在、小規模校を適正規模に統合する場合には、本法により国庫負担の対象となりますが、過大規模校を分離する場合には、その対象とならないのであります。この際、その分離に伴う校舎等の整備費に対する国の負担制度を新設することとし、本法律案を提案する次第であります。 なお、学校教育法第三条に「学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、監督庁の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。」と規定されておりますが、義務教育の学校については、その施設設備の指針となるべき設置基準が未制定であります。このため、設置基準のかわりを本法の補助基準等が果たしているというのが現状であります。この際、教育施設の質的整備を進めていくためには、本法の改善もさることながら、速やかに適正な設置基準を制定する必要があることを付言しておきたいと思います。 次に、本法律案の内容の概要を御説明申し上げます。 第一は、国は、新たに公立小中学校の過大規模校を適正規模に分離することに伴って必要となる校舎または屋内運動場の新築費についで、その二分の一を負担することとしております。 第二は、この法律は、昭和六十一年四月一日から施行することとしております。 以上が本法律案の提案の理由及び内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○阿部委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。 ————◇—————
○阿部委員長 次に、馬場昇君外二名提出、公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準等に関する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中克彦君。
○田中(克)委員 公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準等に関する法律案の質問の第一陣でもございますし、また我が党からの提案でもございます。そういう立場に立って、限られた時間でありますが、問題点を絞って御質問をいたしてまいりたい、このように考えております。 最初に、まず、そういう意味から提案者に伺いますが、本法は国際障害者年よりなお以前から障害児教育のあるべき姿を求めて議員立法として提案、審議が重ねられてまいりました。その回数も数次に及んでいると聞いているわけであります。したがって、本法提案のあるいはまた今までの審議の経緯と今回の立法の趣旨、目的、そういうものについてまず概括的に明らかにしていただきたい、このように思います。
○馬場議員 お答え申し上げます。 この法律を立法する目的でございますけれども、障害児教育諸学校の教育の水準の維持向上にあるわけでございます。 主などういう立法をして維持向上に努めるかということを申し上げますと、まず第一に、特殊教育とか特殊学校と使われておるのですが、この呼称を変更したい、こう考えておるわけでございまして、我が国には歴史的や伝統的とかあるいは医学的無知によりまして障害者に対する差別意識というものがあるわけでございまして、そういう意識が特殊、普通ではないという言葉によってあらわれておるわけでございますので、この際、障害児教育、障害児学校という形で呼称を変更して、その差別的意識をなくしたい、こういう意図もあります。 それから、さらに、障害児教育では、普通の子供でも三つ子の魂百までといって幼児教育は非常に大切でございますが、特に障害児教育には幼児教育というのは非常に必要不可欠なものでございまして、そういう意味で障害児の幼児教育を充実させる、そういう意味で、定数法に幼稚部が入っていないわけでございますので、幼稚部の定数法をつくりたい、そういうことでございます。 さらに、障害児教育というのは、幼稚部、小学部、中学部、高校部と教育の一貫性というのは非常に必要でございますので、幼稚部に定数法を適用し、義務教育諸学校の定数法に入っております小学部、中学部、高等学校の定数法に入っております高校部、それを一本の幼稚園から高校までの定数法に連係を持たせてやりたい、こういうことでございます。 いま一つは、最近非常に重度とか重複障害児がたくさん入ってきておるわけでございまして、そのために、勤めております教職員の健康被害というのが非常に大きくなっております。こういう意味におきまして、そこに勤めております教職員の定数を改善いたしましてその健康被害をなくしたい、こういうことも入っておるわけでございます。 さらに、障害児教育に大切なのは、寄宿舎の教育、これはもう寝るところではなしに寄宿舎も教育の場だ、こうとらえて、寄宿舎を教育の場にしたい、そういうことで寄宿舎教諭等の配置もしておるところでございます。 今言いましたようなことを六年間計画で実行していきたい、こういうことでございます。 さらに、この問題については、質問者もおっしゃいましたように、もう既に一番最初に出しましたのは一九七九年、昭和五十四年です。それから七年間実はたっておるわけでございまして、第一回目に審議いたしましたのが一九八一年、昭和五十六年、いわゆる国連で指定いたしました国際障害者年、この年に我が日本国のこの国会でも障害者に対する決議を上げておるわけでございます。これは平等と完全な参加という意味で決議を上げておりまして、その決議の中でも、障害者にかかわるすべての法律とか制度とかそういうものを速やかに改善しなさいという決議もしておるわけでございまして、その決議を国会でされましたのが昭和五十六年五月二十八日でございましたが、その翌日の五月二十九日にこの委員会で第一回の審議をいたしました。それから一九八三年の五月十八日に第二回、そして昨年に第三回の審議をいたしまして、実は本日で第四回目の審議になっておるわけでございます。 今、全世界に障害者が四億五千万人ぐらいおると言われますし、我が国にも四百万人ぐらいおるわけですし、障害者の児童が九万人ぐらいおる。そこで五万人ぐらいの人が働いておる。こういう人たちはもう一日も早くこれを通してくださいと願望しておるわけでございますので、ぜひこれを早急に成立させたい、こう考えております。
○田中(克)委員 今御説明がありましたように、大変長い時間をかけてこの障害児教育の前進のために努力が払われてきているわけです。特に、戦後経済の発展とともに福祉対策とりわけ障害者対策、障害児教育、こういうものに関心が寄せられまして、最もこの運動として盛り上がったのは何といっても国際障害者年である一九八一年、昭和五十六年で、「完全参加と平等」をテーマとして衆参両院で国会決議等も行われ、これが運動を大きく前進をさせ、盛り上げてきた、こう思うわけであります。しかし、こういう際に行われた議論あるいは決議の中にもありますように、いわゆる福祉対策、特に障害者対策というようなものにつきましては、一朝一夕にこれを改善するということは大変難しい、一定の長い時間をかけて、そして長期にわたるたゆみないその努力が積み重ねられて初めて、この歴史的、伝統的偏見というようなものや医学的な無知による差別意識をなくし、あるいは障害者に対する十分な理解、思いやり、こういうものが育っていくんだということが言われてきたわけであります。 そこで、政府の方も、この障害者年にちなんで障害者年推進本部なるものを総理を本部長としてつくり、五十七年の三月二十三日には障害者対策長期計画なるものを決定をいたしております。この中に、保健医療、教育・育成、雇用・就業、福祉・生活環境の各分野に分かれてこの計画があるわけでありますけれども、特にこの教育・育成につきましても、今後十年間にわたる障害者対策の基本、こういうことで提示がされております。これは文部省十分御承知のことだと思うわけでありますが、さらにこれとは別に五十五年五月の九十一国会で定数法改正が行われ、その際に十二カ年計画も出てまいっておりまして、これに基づいて今後この計画を推進していくという方針は決められているわけであります。これは文部省の計画ということよりも、障害者対策の長期計画なるものは内閣を挙げての、いわば政府の責任における長期計画、こういうものであります。したがって、これとこの文部省自体が持つ定数改正のための十二カ年計画というものはもちろん整合性を持たせてあると思うわけであります。この計画に基づいて現状障害者対策を進めてきていると思うわけでありますが、必ずしもこれがここで言われるような計画どおりに推捗をしていない、こういう実態は指摘せざるを得ない、こう思うわけであります。 この計画の今後における推進方策につきまして、まず最初に、文部大臣の考え方をお聞きをしておきたい、こう思います。
○松永国務大臣 盲・聾・養護学校の学級編制及び教職員定数の改善につきましては、先生御指摘のとおり、いわゆる十二カ年計画の中で対処することとして、小中学部では五千百二十四名、高等部につきましては千二百九十八名の教職員定数の改善を図ることとしておるわけでございます。 なお、この改善計画は、先生御承知のとおり、昭和五十七年度以降はその実施を抑制するということになっておるわけなんでありますけれども、盲・聾・養護学校の教職員定数の改善については、その重要性を考慮して抑制することなく、抑制前の昭和五十五年、五十六年度と同様に教職員定数を毎年百五十人ずつ増員を図ってきたわけでありまして、今後ともこの問題の重要性にかんがみまして、着実な改善計画が実行されますように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○田中(克)委員 大臣、今五千百二十四人の増員計画があって百五十人ずつふやしてきた、こう言われるわけですが、八〇年から八四年までに七百五十名ふやしてみても、四千三百七十四人はまだこの計画からしても大きく立ちおくれをしているわけです。そういう点をもう少し率直に文部省の立場でも現状を認めていただいて、今後どうするかという決意を私は聞きたかったわけでありますが、そういう点では答弁非常に残念でございます。しかし、時間がございませんので、こういう点を指摘だけしておいて、質問を前に進めてまいります。 〔委員長退席、石橋(一)委員長代理着席〕 さっき提案者からも言われております。私どもは、今質問をするにつきましても、いわば障害児諸学校、こういうことで呼んでおりますけれども、文部省の機構の中にも初等中等教育局特殊教育課、こういうことで、特殊教育、特殊学校、こういう行政用語としてもこれは実際に通用をしているわけであります。この障害者年を機会にこれを改善すべきだという意見は、今提案者からの説明がありましたように、四回にもわたって法案が出され、その都度議論がされてまいりました。特に私印象に残っておりますのは、昨年この文教委員会に湯山勇先生が出席をしまして、この問題に先生としては十数年来の執念を燃やして要求を続けてきていたわけであります。しかし、昨年の討論の中でも一向に、従前の答弁の繰り返しであって、具体的な前進がないということで、先生大分憤慨をされました。その際に、特に委員長に対して善処を要望するということで要求がございました。その際の議事録を見ますと、委員長はこういうまとめをしているわけであります。「そこで、委員長といたしましては、次の機会に何らかの御発言ができるように前向きに検討をしていただきたいという要望をいたしておきたいと思います。」いわば、委員長が文部省に対して次の機会には前向きに検討をしなさいということで要望をしているわけであります。 したがいまして、ことしの場合は、私は前の議論をまた同じように蒸し返して同じことを言い合うというむだを省いて、去年こういうまとめになっていただいて、私の言いたいのは、実はこれは去年の五月十八日のことであります。私の記憶では、湯山先生が突如亡くなられたのは翌月の六月十七日のことであります。これはなぜ私が記憶をしているかといいますと、実は私の母親も五月十七日に亡くなりました。湯山先生がそのときに、私が質問を大変苦にしておりましたら、田中さん、親孝行はするものだ、すぐ帰って看病に行きなさい、私がかわってあげますよ、こう言って私を帰してくれたわけです。その先生がこのことに執念を燃やして議論をし尽くして、実は討論をした翌月、一カ月後に急速亡くなられているわけであります。私の立場からすれば、いわばこの湯山先生の遺志をやはり引き継いで、この会議で、次の機会にこのことについては前向きに検討して答えなさいという要求が委員長から出ているわけでありますから、私は、文部省にその責任の上からも、きょうの機会には、この特殊教育という名称を障害児教育、特殊学校という名称を障害児諸学校という形にこの機会に改めていくということについて、前向きなる答弁をぜひ聞かしていただきたい、こういうように思います。 〔石橋(一)委員長代理退席、委員長着席〕
○松永国務大臣 学校ではもちろんのこと、行政の場でもその他の場でも、差別的な用語は絶対に使ってはならぬ、私はそう思いますし、私自身そういう心がけで行動してきたつもりであります。問題は、特殊教育あるいは特殊教育課などという用語なんでありますが、これは学校教育で特別に手厚い教育をするという意味合いで使われておると思うのでありまして、差別的な用語とは必ずしも私どもは考えないまま四十年間経過をしてきた、こういうことでございます。 湯山先生の熱心な御指摘、私もいろいろな資料で承知しておるわけでありますが、しからば、障害児教育あるいは障害児学校というふうにつけた場合が果たして妥当なのかという問題が実はあるわけでありまして一行政の内部等の場合には、これは研究する対象、取り扱う行政の対象が、文字どおり心身の障害がある児童生徒を対象にした教育を受け持つ課でございますから、これは役所の内部では私はいいと思うのでありますけれども、外で使う場合には、意味のとり方によっては当初から、はながら、そこに行っている方は心身の障害がある方というふうにむしろなってしまうという面も実はあるわけでありまして、どちらが妥当であるか、にわかに判定しがたい面もあるわけです。 先ほど先生の御指摘にありました去年の湯山先生の御指摘の直後から、文部省では専門家に集まっていただきましてこの問題についての検討をお願いをしたわけであります。その結果としては、特殊教育という言葉にかわり得る適当室言葉がちょっと見出しにくいなというふうな御指摘も実は受けておるわけであります。私どもとしては、特殊教育あるいは特殊学校という名にこだわる気持ちはさらさらございません。国民の大部分の人が合意していただけるようないい用語がありますれば、改めるにいささかもやぶさかではないというふうなことなんでございまして、なお一層勉強していかなければならぬな、こういうふうに思っておる次第でございます。
○田中(克)委員 昨年の答弁から一歩前進した前向きな答弁ということで私も期待をいたしたわけでありますけれども、そういう具体的なものについて示していただけなかったのは非常に残念に思いますが、既に御承知のように、東京都あたりでは、もう障害児学校という形で、障害児教育という形で呼んでおりますし、また地方へ参りましても、それぞれの障害児諸学校が、学校の名称を特別の固有名詞をつけて呼ぶとか、あるいはまた、学級の場合は先生の名前をつけて何々学級と呼ぶとかというような形に、むしろ非常な細かい配慮をしてきていることは御承知のとおりであります。したがって、私は、地方の方がむしろそういう点で先取りをしてしまって、文部行政を預かる文部省の方がむしろこの問題については後追いをしているような、そういうことについて湯山先生は非常に憤慨されたのではないかというふうに思います。福祉に対する基本的な発想の問題点の議論へさかのぼれば、また基本理念の問題になって非常に時間がかかるでありましょうから、そのことをきょうやっている時間はございませんけれども、今文部大臣が、改めるにやぶさかではない、検討さしてもらいたい、こういうことでありますから、ぜひその検討を一去年議論してもう一年たっております。一年の間にどういう検討を具体的にされたのか、そのぐらいのことについてもお聞きができる、こう思ったわけでありますけれども、これは松永文部大臣の責任で、来年この問題でまた同じような議論を繰り返すなんというようなことにならないように、ぜひ本当の意味の前向きの姿勢をこの際要求をしておきたい、私はこんなふうに思います。 そこで、限られた時間でございますから、そういう注文をつけてまた前へ進めます。 実は、文部省の「学校基本調査速報」、五十九年五月一日現在のものでありますけれども、盲・聾・養護学校の学校数は合計で九百二校、生徒が九万四千八百七十一人、これらのことは大体わかっておりまして、これに対する教職員の配置数は総数ではわかっているわけであります。私は、この障害児諸学校に関係する寮母、事務職、現業、介助職員、こういうものについてその数をできたらこの機会にお伺いをしておきたい、こう思います。 なお、この中にはいわゆる国庫負担の伴うものとそうでないものと若干違いもあろうかと思いますが、でき得ましたらその内訳もあわせて聞かしてもらいたい、こんなように思います。
○高石政府委員 昭和五十九年度の学校基本調査でございますが、それによりますと、盲・聾・養護学校の本務職員は合計で一万四千四百三十九でございます。そのうち寮母は四千七百三十一でございます。事務職員は二千八百四でございます。現業職員、これは学校給食調理従事員、用務員、警備員その他の職員でございますが、これが四千九百三十四人でございます。それらのほかに学校栄養職員等は千九百七十人となっております。また介助職員については、全体のうち千二百五十七人が介助業務を担当する職員として報告されております。 県費負担の関係は助成局の方からお話し申し上げるかと思います。
○阿部政府委員 お答えいたします。 総数はただいま初中局長の方からお答え申し上げたとおりでございますが、その中で、事務系統の職員が二千七百四十七名、寮母が四千七百十名、学校栄養職員が五百二十名、合計七千九百七十七名というのが負担法対象者でございます。
○田中(克)委員 そのことはわかりました。 そこで、特に問題なのは、昨年も大変議論をしたわけでありますが、寄宿舎の寮母の実態というのはなかなか大変な現状にある、こういうことであります。特に、この寮母の増員計画というのは現状ありませんので、最低保障の小規模宿舎を除き実際にはふえていないという現状になっていることは御承知のとおりであります。一方、入所者の方は、最近は非常に重度あるいは重複障害児がふえていく傾向にあるということもまた御承知のとおりであります。したがって、そういうことから寮母の負担というのは非常に過重になってきている。それが証拠には、一面で男性寮母の占める率というのは逆に言えばふえつつある。これはどういうことかといえば、重度や重複障害児がいて寮生活などで事実上介護もしながら教育をする、こういうようなことになりますと、ちょっと体の大きい障害児になれば女性の手には負えない。こういう状況なども実際にはあるようでありまして、どうしてもそこには力のある男性の手が必要だ、こういう実情もあるようであります。 それから、前から言われていることでありますけれども、私はこの審査の前に養護学校などの現場も幾つか視察をしてまいりましたが、とにかく寮母さんが果たしている教育的役割というものは大変な意味を持っていると私は思っております。こういう重い障害児が受ける教育というものは、事実上それがそのまま、生活習慣を身につけてできるだけ自分で自分の身の始末ができるような訓練を繰り返して、それが将来の社会生活への自立につながっていく、そういう教育を中心にやるわけでありますから、これは学校の中にいるときだけが教育ではなくて、むしろ生活そのものが全部教育の場だ、こういうことになろうかと思っております。したがって、この寮生活の指導の重要性というもの、言いかえれば寮母が果たしている役割の重大さというものはもう少し直視をされなければいけないのじゃないか。 これは昭和五十八年の数字なんですが、四千七百七十八人のうちに、いわゆる男性寮母と言われる人が実際には三百一人おります。こういう現状。しかも、私いろいろと資料をいただきましたが、神奈川の調査にしても、長野県の調査にしても、私の県の山梨にしても、寮母の健康実態を調査した表を見ますともう大同小異であります。そして、特に腰痛、それから女の人の場合であれば生理の障害、それから切迫早産、流産、帝王切開、こういうものが非常に健康をむしばんでおります。その率も、いろいろな障害を合わせれば、いわば七八%の寮母さんがそういういずれかの障害に侵されている、実はこういう数字も出ているわけであります。これは細かく申し上げたいわけでありますが、時間がありませんから総括的に申し上げたわけであります。私はそういうことを前提にして、これから二つ問題点を指摘をして回答をいただきたい。 一つは、今言いますように、大体男性寮母なんという矛盾した言葉はないですね。寮母というのはお母さんのかわりでありますから、それが男性のお母さんのかわりなんというのは、言葉そのものとしても呼び方として矛盾しています。しかも、現場の中には男性寮母を必要とする、ふえつつある傾向、こういうものからすれば、この寮母の名称というのは、後から本法提案者の方から説明もあると思いますけれども、やはり私どもの立場からすれば、これは寄宿舎の教諭という名称と身分というものを、さきの教育的に果たしている役割や生活指導上の教育の観点から、これを身分も明確にすべきであるし、資格もそういうふうにすべきだと思うわけです。 それから、もう一つは、生活の問題であります。寮母の場合は教育職給料表の(二)表の三等級、こういうことでありますが、それ以外にも、二等のわたりにつきましても、各府県でそれがあるところもあり、ないところもあり、またわたりの仕方についても、同じ等級から渡るのに渡る先が違っていたり、それから宿直手当につきましても、寮母手当につきましても、あるところ、ないところ。それから金額につきましても、寮母手当のごときは月額支給で二千四百円、三千二百円、いろいろな形で実際にはいわばばらつきが物すごくあります。これはそのまま、この人たちの生活が、身分が非常に不安定であるということを端的にあらわしている数字ではないかと思うわけであります。そこで、そういう点をこの際改善をしていかなければならぬ、こう思うわけでありますけれども、文部省はこういう実態についてどう考えているか、今後のあるべき姿としてどうでなければならぬか、そういう点をひとつお答えいただきたい。
○高石政府委員 寮母の名称の問題でございますが、その名称を論ずる前に、まず教諭というのは一般的に免許状を有する者を教諭、こういうふうに言っているわけでございます。したがいまして、それと全く混同するような形の名称を使うことはどうかというふうに思うわけでございます。職務の内容が食事、洗濯等児童生徒の日常生活の世話、生活指導を主とする養育を目的として行われるわけでございますので、そういう点で、教諭という名前を使うことは免許状を有する者との混同を引き起こすというようなことから、いかがなものかと思うわけでございます。 ただ、男性の寮母の職務に従事をする方がふえているという現実の姿がありますので、この名称、呼び方については十分検討していかなければならないだろうというふうに思っております。
○田中(克)委員 これは後でほかの方の質疑の中でも提案者の方から考え方が示されると思いますので、時間が迫ってきておりますから、二つほど重要な問題についてだけ伺います。 次の問題点として、寮母の宿直問題、去年も大変議論をいたしました。そこで、労働省おいでになっていると思いますから、私は、昨年のこの討論をしたものを読み直してみてもなおかつ釈然としないわけであります。要するに、労働基準法第八条十二号の教育の業務、十二号の保健衛生、こういうことで、寮母さんは十三号に該当するということで宿直が許可をされています。その際に、私はその議論を蒸し返すということじゃなくて、労働省の答弁によればこういうことが言われております。完全に睡眠がとれることを前提として宿直は許可する、これが一つ。それからもう一つは、週一回が原則として基準である。それから、通常の勤務と同じような延長ならば許可はしない、こういう見解が示されました。したがって、急病とか火災とか地震とかそういう場合に、通常の勤務と同じような状況になった場合には、その分を宿直からまたカットして通常勤務として取り扱う、こういう見解が実は前回示されているわけです。その際に、その討論の後こういうように言っているわけですね。労働省自体も、通常の場合に比べてその緊張度が非常に高いことは事実だ、週一回だけを守っていただくように文部省にお願いをしている、定員が充足されない事情でそれを超える例も間々あるようだけれども、その点につきましては今後指導監督に十分に努める、こういう約束を去年の委員会でしたわけです。 私がお聞きしたいのは、いわば文部省とよく協議しなさいという私の質問に対してそう言ったわけですから、文部省にお願いをしているわけですね。週一回だけを守っていただくようにお願いしているわけですから、その点についてどのようなお願い、話し合い、こういうものが一体されたのか、その結果はどうなのか。 それから、そういう点につきまして今後とも指導監督に努めてまいりたい、こうありますが、私の調べた限りでは、去年の審議をした時点と、今日私が現場を回ってみた時点、何ら一向に改善された形跡はありません。むしろ厳しくなっている状況であります。そうだとすれば、労働省としても、いつどのような指導監督をどういう手だてで都道府県なり障害児諸学校にしたのか。それから、もし具体的にやった手だてというものがあれば、そのこともあわせて御報告をしてもらいたい。 同時に、文部省にもこのことはお伺いしたいわけですけれども、労働省からお願いをされて、具体的にどのような対応を文部省としてはとったのか、これを答えていただきたいと思います。
○菊地説明員 御指摘の点につきましては、社会福祉施設一般の問題にもかかわることでございますが、労働時間の問題について非常に多岐に、かつ深刻な点を抱えているということで、従来から重点対象として監督指導を行い、その是正を図ってきているところでございます。五十九年におきましては、先生の御指摘も踏まえまして、従来にも増して多数の事業場に監督指導を実際に行いました。五十八年の一年間における監督実施状況の分析も取りまとまりましたので、財政的な援助あるいは関係機関の指導というようなことも必要になってまいりますから、そのようなデータも含めまして、具体的にどのような解決策が可能なのか、それをさらに突っ込んでいきたいというように考えております。 方針といたしましては、地方段階に文部省初め都道府県の関係機関から成っております改善協議会という場がございますので、そこで各論的な詰めをやってまいりたいと思いますし、文部省とも基本的な方針について再度話を進めていきたい、かように考えております。
○高石政府委員 先生御指摘のように、寮母に関する宿直の状況というのは必ずしも週一回という実態でないというので、昭和五十九年五月一日現在でまずその実態を把握しようということで、十二県を対象にして抽出調査をしたわけでございます。これによりますと、寮母一人当たりの月平均の宿直日数は五・二ということでございますから、四をやや上回っておるという状況であることは御指摘のとおりでございます。 そこで、これについての改善につきましては、第五次の改善計画で、一つは、小規模寄宿舎の最低保障を八人から十人にするということが一つと、もう一つは、入会児童生徒四人につき寮母一人の基準を児童生徒三人につき寮母一人の基準に改善する、こういう計画を進めているわけでございます。したがいまして、そういう年次計画の進行による定数増等の措置と相まちながら、この問題については週一回を原則とするという方向に努力してまいりたいと思っております。
○田中(克)委員 昨年とことしとたった一年のことでありますから、現場の様子が直ちに目立つほど変わるということになることを私ども考えているわけではありませんけれども、とにかく文部省も現場へおりて現場の実態というものを少し見ていただきたい、私はこういうことを強く要求をしておきたいと思うわけです。 時間が既に来てしまいましたが、一つ重要な点が残っておりますので、ちょっと時間をオーバーしますが、質問をお許しいただきたいと思うのです。 それは、私は補助金一括法の際に連合審査へ参画をしまして、地方財政法第十条の問題を指摘いたしました。要するに、義務教育に対する国庫負担制度の問題であります。それはもう言われておりますように、義務教育の問題が国庫負担制度の第一号に一、二、三、こうありまして、国庫負担の対象になっているわけでありますが、今回この中から旅費と教材費を落とすということでこの法律改正が行われました。同時に、地方財政法の三十四条で、養護学校の旅費、教材費を同じように落としてそろえるという形の措置がとられたわけであります。しかし、御承知のように、この九条に決めてあります地方公共団体の事務につきましては当然全額地方公共団体が負担すべき性格のものであります。養護学校につきましては、当時まだ義務化されておりませんでしたので、三十四条の中に第九条の例外事項として特別に取り上げられた。これが三十四条の規定という形で義務教育の国庫負担と同じ形で扱われていたわけであります。 しかし、時間がありませんので結論の方から先にはしょって申し上げますが、その案文からしますと、要するに国がみずから進んで費用を負担しなければならないという第十条の規定と、それから第三十四条の方は、地方公共団体の事務として養護学校が位置づけられ、当分の間この費用を国庫負担していくという表現になっているわけであります。そうしますと、いわばさきの名称の問題、特殊学校を障害児学校と呼ぶというように、社会福祉や障害児教育に対する発想の転換をする時期に来ているということでありまして、今回の政府の答弁をかりれば、十条の中から旅費、教材費を落とすということは、この負担につきまして地方自治体に負担をさせることに制度として定着してきているから一般財源化するのだというのが政府の言い分でありました。三十四条の養護学校については五十四年に義務教育化されてきているわけであります。したがって、そうだとすれば、今回当然第十条の国庫負担の項目の中に取り込むべき性格のものである、そういうふうに私は思っているわけであります。そのことについて、私あれを読んでみましてもどうしても釈然としませんので、この辺についての自治省の見解をぜひお伺いしたい、こう思うのです。
○鶴岡説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、地方財政法の三十四条の四号の方で、義務教育の小学校、中学校に係ります教職員の給与、従来の規定でいきますと教材等の経費は国が全部または一部を負担するという規定になっているわけでございます。この規定が入った経緯は、先生御指摘のとおり、昭和三十一年に公立養護学校整備特別措置法ができました際に、その附則でこういう規定を置いたわけでございます。御案内のように、その当時義務教育化されていない等々の事情がありまして、第十条の規定の中に書くということよりは三十四条に書くということが立法上いいのではないかということでやったわけでございます。 御案内のように、五十四年に義務教育化されましたけれども、いわば地方財政法を改正した経緯になりました公立養護学校整備特別措置法がまだ引き続き残っておりますので、全く法理論的なお答えで恐縮でございますが、三十四条に引き続き規定を残すことが適当であろうという判断をして今日まで来ているわけでございます。今回、この旅費、教材費につきまして同化定着しているということにつきましては、私どもは養護学校の教育費に関しても同様に判断されるということでそういう措置を予算上もとらしていただき、この間成立しました一括法でそういう改正をしたわけでございます。
○田中(克)委員 もう時間がありませんから、あえてあれしませんが、もしそうであるとしても、国庫負担制度の場合には、経費の種目等従来法律にその負担根拠の規定を欠くものがあったり、負担区分が必ずしも明確でなかったというようなものもあったりして、そういうものを昭和五十年から五十一年にかけて関係法律の整備を行うとともに、地方財政法等の一部を改正する法律として国庫負担規定の一括整備を行ったという経過もあるように、いわばそういうものを全体的に整備をしていくことがこの際必要ではないか。だから、それを言っているわけでありまして、今後私ども十分この点は勉強いたしまして、また後の機会に討論さしていただきたい、こんなように思います。 質問は以上でありますけれども、私は、最後に提案者に注文をいたしておくわけでありますが、先ほどから明らかになっているように、これはもう四回目ですね。昨年の議論とことしの議論がどういうふうに発展しているんだということになると、それも余りかわりばえがしない。そういうことを繰り返していても、国会でこれだけの重要な問題を審議する意味が余りない、私はこういうように実は思っているわけです。したがって、そういうことからすれば、この機会にこれらの問題について今後、従前審議はしてもこれが継続審議に持ち込まれるあるいは廃案になる、こういう形でいわばしり切れトンボになっておる。一回、各政党、各議員、委員、こういう人たちの意思表示をする機会を私はぜひつくってもらいたい、こういうふうに思うわけです。 これは提案者としては委員長にも要求すべきことだ、私はこう思っておりますが、提案者はどのようにお考えですか。
○馬場議員 この法律が一日も早く成立しなければならないような重要な問題が、障害児の児童の教育の問題、そこで働いておる人たちの健康の問題でたくさんあるのですから、一日も早く成立してもらいたいわけでございます。 今おっしゃいましたように、実はこれ四回審議いたしまして、最初に提案してから七年たっているのです。そして、この委員会でも十数名の人が質問しているわけです。政府が出しましたものでもそのくらいやったら必ず結論を出しているわけです。そういう意味で、もう慎重審議を尽くした、この辺で成立さしてもらいたい、こういう気持ちでいっぱいでございますし、さらに、議会制民主主義からいいましても、政府が出した法律を大切にして、議員が出した法律を後回しにする、これは民主主義の基本に反すると私は思うのですよ。特に、諸外国の進んだところでは、議員が出した法律こそ先議する、優先するということもあるわけでございますから、これはぜひ私の方からも委員長にお願いをして、この機会に成立するようにここで結論を出していただきたい、そういう気持ちを持っております。
○田中(克)委員 質問は終わりますが、委員長、今提案者もそういう要求を強く持っているようであります。したがって、委員長の本法律案に対する扱いの問題について、委員長見解なるものをぜひ明らかにしていただきたい。
○阿部委員長 委員長より申し上げます。 田中委員の発言につきましては、極めて重要な問題でございますので、理事会において十分検討さしていただきます。
○田中(克)委員 終わります。
○阿部委員長 伏屋修治君。
○伏屋委員 さきに質問されました方と重複を避けながら、若干の質問を申し上げたいと思います。 まず最初に、障害者の数の実態、それからその教育に携わる教職員の実態、これは文部省と提案者との認識の差異はそれほどないと思いますけれども、文部省側と提案者の方から御説明をいただきたいと思います。
○佐藤(徳)議員 お答えをいたします。 まず、障害児数の実態でありますが、一九八四年五月一日現在の文部省「学校基本調査速報」によりますと、盲学校が七十二校、聾学校が百十校、そして養護学校が七百二十校となっています。 さらに、お尋ねのありました教員数でございますが、盲学校については三千三百五十四名、聾学校につきましては四千六百名、さらに養護学校につきましては三万二百三十八名となっているわけであります。また、これ以外に寮母、事務職員、現業職員が配置されておりまして、介助職員などを含めますと四万数千名の教職員が障害児学校に携わっている、こういう実態であります。
○高石政府委員 先ほどお答えいただいたとおりに認識しております。
○伏屋委員 一九八〇年の五月、九十一国会で一応政府提出という形で教職員の定数の問題が改正されておるわけでございますけれども、今回再改正をしたいという意図、そして再改正の要点、そのあたりを提案者に御説明をいただきたいと思います。
○馬場議員 今おっしゃいましたように、一九八〇年五月の九十一国会で教職員定数法が改正されたわけでございます。当然その中で障害児学校関係の改善も行われておりまして、十二年計画で教員、寮母合計五千百二十四名ふやすという改善計画になっているわけでございますが、これが非常に大きく立ちおくれておるのが現状でございます。先ほどもお話ございましたけれども、八〇年度より八五年度まで六カ年計画で毎年百五十人、計九百人の増員は行われておるわけでございます。 今、盲学校、聾学校は生徒も減少しつつある傾向でございます。そういう中で現場、学校には重度障害児、重複障害児がたくさん入ってきておるわけでございまして、学校現場の教育が非常に困難を増しておるわけでございます。そういう立場から言いますと、教職員、寮母だけでなしに、その実態に即応したあらゆる職種の人を配置する必要があろう、そして行き届いた教育をしなければならない、そういう意味であらゆる現業職員を含めまして増員をしよう、こういう計画で今出しておるところでございます。 もう一つは、もうちょっと我慢できない、こういう状態ならば先生方の体が壊れてしまって健康破壊されて、本当に障害児教育はどうなるのだろうかというくらい厳しい状況に今なってきております。この教職員の健康破壊というものは一日もゆるがせにできなくて、救済しなければならぬ。そのためには、教職員をたくさん配置する以外に方法はないのではないか。施設設備を充実するということもあるわけですけれども、そのポイントとして教職員の配置、学級定数を少なくして行き届いた教育をしよう、こういうもろもろのことを考えまして、法案にありますようにたくさんの職種を増員あるいは新設をしたいということで提案いたしておるわけでございます。
○伏屋委員 学級あるいは定員の問題に含まれてまいりますけれども、在宅の重度あるいは重複障害者の教育に関しまして、教員を派遣して教育を行っておるという実態、その中でその派遣教員がどれくらいの数であるのか、提案者の方から御説明をいただきたいと思います。
○佐藤(徳)議員 お答えいたします。 一九八三年五月一日の文部省の学校基本調査報告を調べますと、次のようになっているわけであります。いわゆる訪問教育学級でありますが、小学部については千二百三十四学級四千三百六十四名、中学部については八百四学級二千四百五十名、合計二千三十八学級、在籍児童生徒総数から言いますと六千八百十四名という実態でございます。
○伏屋委員 その在宅の重度・重複障害者を持たれる御父兄の皆さんは、派遣教員に対する感謝の気持ちはもちろんございますけれども、どうもその実態が、私の知る限りにおいては常勤講師とか非常勤講師という形でありまして正規の教員ではない、そういう不満が御父兄の中にもあるように私も聞いておるわけでございますが、そのあたりはどうお考えになっておられますか。
○佐藤(徳)議員 ただいま先生の御質問にありましたような実態を私どもも把握しているわけであります。したがいまして、極めて重要な問題でありますから、そういう状態からさらに前進をさせてこれらの問題について真剣に取り組むという考え方から、今次改正法案を提出していることを御理解いただきたいと存じます。
○伏屋委員 この法案の第十条に養護教員定数が定めてあるようでございますが、これはどういう御意図からそういう定数を決められて法案に載せられたのか、その辺の御説明を提案者からお願いいたします。
○馬場議員 養護教諭の問題でございますが、先ほどからるる申し上げておるわけでございますけれども、最近、重度とか重複児童の入学が非常に増加いたしておるわけでございまして、そういう人たちは健康の保持、回復、さらに医療保障的機能をつかさどる業務が増加しておる状況にあるわけでございます。そういう意味におきまして、この法律では盲学校、聾学校について各学部に一名、十一学級以上はさらに一名を加えておるところでございます。養護学校においては、各学部に二名、十一学級以上はさらに一名を追加する、こういうような内容で養護教諭の配置を充実させたいと提案しておるところでございます。 また、養護教諭の職務といいますのは児童の養護をつかさどるわけでございまして、それが基本的な業務であるわけでございまして、看護婦の業務とは基本的に異なるわけでございますので、私どもといたしましては、さらに看護婦の配置というものもこの法律の中で提案をしておるという状況でございます。
○伏屋委員 今の養護教諭のことはわかりました。また、看護婦の定数もふやすという意味もわかりましたが、学校警備員の数あるいは分校の定数配置ということについてもこの法案においては触れられておるわけでございますけれども、その辺はどういう御意図があるのか、御説明を願いたいと思います。
○馬場議員 学校警備員の配置の問題でございますけれども、盲学校、聾学校、養護学校等においては障害児の寄宿舎、寮等もございますものですから、その警備員というのは普通の学校の火災とか盗難を予防するという任務だけではなしに、夜間にいろいろな問題行動が起こるわけでございまして、そういうときの連絡あるいは家庭との連絡、いろいろな業務があるわけでございます。そういうことも含めまして学校警備員というものを配置いたしまして、夜間等においてもいろいろな突発事故その他が起きましたときにも万遺漏のないようにやりたい、こういうことで配置をしておるところでございます。
○伏屋委員 分校の定数配置についてはどうですか。
○馬場議員 後で数字を御説明いたしますけれども、分校も本校と同じにする、一校と見てすべての計算をしておるということでございます。
○伏屋委員 私はこの法案も見させていただきましたけれども、かなりの教員定数増につながってまいるということから考えまして、この法案が成立した場合どれくらいの費用が必要なのか、提案者はどういうふうにお考えになっておられますか。
○馬場議員 お答えいたします。 この法案は六カ年計画で二分の一の負担という原則でやっておるわけでございますが、計算をいたしますと、この法案が通過いたしますと、教諭で一万八千二百六十八人増員になります。養護教諭で四千九百六十五人の増員であります。寮母で三千七百八十二名の増員であります。事務職員が三千三百四十五名の増員でございます。それに教員の十二カ年計画の積み残し分を加えますと、一千八百十一億八百五十万円という費用が要るわけでございますが、その二分の一を国庫負担にするということと、六十一年度からの六カ年計画でございますので、当面六十一年度に必要な金はそれを六分の一にいたしました額ということであります。そういたしますと、六十一年度の負担金額は百五十億九千二百三十八万円ということでございます。
○伏屋委員 現行定数法では、定数計算は一応県単位でされておるようでございますが、具体的にはどのように積算されておるのか御説明いただきたいと思います。
○阿部政府委員 現在の標準法の計算方式でございますけれども、毎年五月一日現在におきまして各都道府県ごとにその県内の小中学校、盲・聾・養護学校ごとの学級別の数字をまた規模別に分類いたしまして、学級数にある率を掛けて計算するということになっておりますので、それぞれ所定の率を掛けまして県全体としての教職員定数の算定をするという方式にいたしておるわけでございます。掛けます率が〇・幾つとかいろいろ端数等もございますが、それを県全体として計算するということで、このでき上がった数字の範囲内で各都道府県が弾力的に各学校の実態等を見ながらそれぞれに定数措置をしていくということが可能だという点において、この方式は適切なものだと私どもは考えておるわけでございます。
○伏屋委員 提案者の方はどうですか、その問題について。
○佐藤(徳)議員 お答えをいたします。 今文部省の方から適切だという答えがありましたが、私どもは適切だとは考えておりません。つまり、県単位で行っている部分につきましては、他の義務制の定数配置と同じような状況をつくるべきだ、このように実は考えているわけでございます。
○伏屋委員 最近盲学校、聾学校の一部で生徒減少の傾向があるわけでございます。この生徒減少のある学校に対し、県教委の方から通達で、二、三学年を複式学級にしたり複式学年編制にする傾向があるようでございます。つまみ現象と言っているそうでありますが、このつまみ現象というものが学習指導上望ましくないと考えるわけでございますが、そのあたりは提案者の方はどう考えておられますか。
○佐藤(徳)議員 つまみという表現そのものが適切であるかどうか、私どももその表現の使い方につきましては非常に問題があるのではないかと考えておりますが、先生から今お尋ねがありましたように、通称つまみという表現を実際に使われているようであります。 そこで、本改正法案を提案した趣旨というものは既に御理解いただいていらっしゃると思いますけれども、考え方とすれば、現行の教職員定数法でも、障害児教育の部分は一学年一名でも在籍すれば一学級一学年編制として教員を配置する、あるいは教材費等学級単位に必要な予算が計上できる建前にしているわけであります。したがいまして、いわゆるつまみというのは学級編制及び教員配当に望ましくないと考えておりまして、今回の改正法案を成立させていただきますれば、基本的には今申し上げた考えに立って進行したい、こう思っております。
○伏屋委員 文部省の方は県教委のこういう指導方針に対してどうお考えですか。
○高石政府委員 第五次教職員定数改善計画では、一クラスの人数を今のところ一般の学級八人を七人にする、重複学級五人を三人にするということで改善計画を進めているわけでございます。したがいまして、仕掛けといたしましては、それをもとにして教職員の定数が積算されまして、そして各県ごとの定数が決められるわけでございます。その決められた定数の範囲内で、それぞれの学校でどういう形での教育、学級編制をやるかということは、それぞれ設置者の判断ないしは学校の判断ということになるわけでございます。その場合に、どういう形で学級編制をすることが児童生徒の教育効果を高める上でいいかということを判断した上で対応しなければならないということで、ある程度の障害の者であれば、八人となっているのを十人ぐらいまとめて教育してもいいというような実態があればそれでも構わないし、二人でもやはり一つの独立した形で教育する方が効果的であると考えればそういうことで対応してもいい。その一定の枠内でどういうような形での学級編制をし、教育効果を高めていくかということを文部省は一々チェックしない、設置者の判断、学校の判断にゆだねる、こういう態度でございます。
○伏屋委員 最近、高等部段階でも重度・重複障害児の方が増加している傾向でございますけれども、その中でその子供さんを持つ親御さんは、重複障害児の学級を高等部にも設置していただきたい、こういう強い要求があるわけでございます。その辺は提案者はどうお考えですか。
○馬場議員 憲法や教育基本法で、先生御承知のとおりにすべての国民は教育を受ける権利を持っておるわけでございますし、八一年の国際障害者年における国会の決議もそういう趣旨でも行われて、長期計画をつくってそういう人たちの権利を完全に保障する、平等と参加ということの上に立って保障しようということになっておるわけでございます。そういう意味におきまして、高等学校で重度とか重複の人がふえてくるという中で、その人たちの教育を保障する受け皿というのは高等学校でもぜひつくる必要があろう、積極的に推進していかなければならぬ問題だと私どもは考えております。
○伏屋委員 文部省のお考えをお聞きしたいと思います。
○高石政府委員 特殊教育諸学校における高等部の設置、特に重複障害学級の設置につきましては、各学校の設置者の判断にゆだねているわけでございます。そういう高等部等の学校を設けるに当たりましては、重複障害児にそういう教育機関をつくって教育することがより必要であり適切であると設置者が判断をした場合にそういう高等部をつくるということになろうかと思います。また、一面において、そういう障害児がもっと早い段階で自分の技能、技術を身につけた方がいいという進路指導をする場合もあるわけでございまして、そういう場合には職業訓練施設等への進路を勧めるというようなこともございますので、要は、その子供たちがどういうコースをたどることがベストのコースであるかということを判断してもろもろの教育機関が整備されなければならない、こういうふうに考えている次第でございます。
○伏屋委員 最後に、先ほど提案者の方も何度がおっしゃっておみえになりましたが、この法案が提案されて七年継続審議が繰り返されておるということについて私も不満を持つ一人でございますけれども、提案者の御意図はわかりましたので、文部省はこの法案成立に向けてどのようなお考えを持っておられるのか、また具体的な青写真等があれば御説明をいただきたいと思います。
○阿部政府委員 盲・聾・養護学校、特殊教育諸学校の学級編制、教職員定数の改善の問題につきましては、既に十分御承知のとおり、昭和五十五年度からの十二カ年計画というのを国会で御承認いただき、立法化をしていただきまして現在進行中でございます。この間、国の財政事情が大変厳しいというようなことから抑制措置等もある部分で講ぜられてまいりました。そういった抑制された中におきましても、特にこの特殊教育関係につきましてはできるだけの配慮をしてきた、先ほど大臣がお答えをいたしたとおりでございます。この国会におきましても、こういった財政事情の中で六十六年度までにこの計画を完成するということが本当に可能なのか、しっかりやれという御激励も随分いただき、御質問もいただいてきておるわけでございますので、私どもといたしましては、六十六年度までに現在の計画を法律にあるとおりに完成するということが最大の課題だと思っておるわけでございまして、そのために全力を尽くすということで対応させていただきたいと思っておるところでございます。
○伏屋委員 終わります。
○阿部委員長 藤木洋子君。
○藤木委員 国連障害者年の十年のちょうど折り返し地点の年に当たりましてこの法案を審議することの意義は極めて大きいと思います。第九十八国会にこの法律案が提出されましてから私ども共産党は、栗田翠委員の質問、また第百一国会では山原健二郎委員の質問を通じまして、障害児学校教職員定数の未充足問題を明らかにしてまいりました。 十二カ年計画終了時点を一〇〇として全国平均が九八%ですが、現行の定数法さえ満たしていない県が少なくないことを提案者はどのようにお考えでしょうか。
○馬場議員 先ほどから答弁いたしておりますように、十二カ年計画、現行法、これさえ満たしていない、非常におくれておる、遺憾なことだと考えておるわけでございます。教育現場というのはそんな悠長な状況ではないわけでございまして、私どもの提案しておりますこの法律を一日も早く成立させて、それを実行に移さなければ障害児教育というものは非常に大変な状況に陥っていく、こう考えておるわけでございます。
○藤木委員 昭和五十七年五月一日現在で八〇%台であったのが秋田、宮城、群馬、静岡、山梨、福井の六県でした。昭和五十八年五月一日現在で九〇%が三重の一県、それ以上九五%未満が山形、富山、石川、鳥取、香川、愛媛、大分、岐阜、奈良、和歌山の十県となっておりました。 文部省に伺いますけれども、未充足分の充足状況がその後どのようになっているか、お示しをいただきたいと思います。
○阿部政府委員 標準法で定めております標準に対しまして、実際にその水準に達していない県があるではないかという御指摘をこれまでしばしばいただいておるわけでございまして、私どももそういう御指摘等も踏まえまして、標準法の水準にまでぜひ達してほしいということで、かねてより全国の関係課長会議でございますとか、あるいは場合によっては個別にも指導等を行ってきたわけでございます。 最近の状況で申しますと、先生御指摘の五十七年当時に、全国的に見まして九八・七%という充足率であったわけでございますけれども、五十八年の五月、その後一年たった段階で九九・四%、それから、昨年五十九年五月一日現在では九九・八%というところまで全国水準としては上がってきておるわけでございます。そういった中で、なおまた十分でない県というのがあるわけでございまして、充足の割合が九〇%未満となっております県が六県、充足の割合が九〇%以上九五%未満という段階のものが十県というようなことでございますが、これらの県におきましても、それぞれ充足の割合を高めるという努力を約束し、現にその努力をしていただいてきておるところでございますので、今後ともさらに指導を重ねてまいりたい、かように思っておるところでございます。
○藤木委員 私どもの調査によりますと、石川、鳥取、香川、愛媛の各県は未充足分を充足するための教員増に取り組んでおられないのではないかというふうに考えられますが、実態はどうなっておりますか。
○阿部政府委員 具体の県についての御質問でございますけれども、例えば、県によりましてそれぞれその年度に学級数、教員数等の増加をしなければならないとかいろ。いろな事情等がございます。従来の充足率を積極的に下げようというようなことではなくて、新しくつくっていく場合になかなかそこまで追いつかないというようなケースもあるいはあるのかと思います。そういう意味で、年によって若干はでこぼこがあるということは私どもやむを得ないことだと思っておりますが、今御指摘のような県の場合で申しますと、例えば石川県の場合には五十七年のときに〇・九一であったものが五十九年では〇・九二九、〇・九三くらいになっているとか、あるいは鳥取県の場合には〇・八九九といったような段階であったものが現在〇・九六三というところまできているというようなこともございまして、この辺の県が先生御指摘のように必ずしも不熱心だというふうには考えておりません。
○藤木委員 しかし、極めて微増でございまして、これは実態に対応するようなことにはなっていないということを私は申し上げておきたいと思います。 私がさきに申し上げました十七県の定数未充足県のうち、福井、鳥取、香川県などでは、不足している教職員の定数の中に小中学部でさえさらに非常勤講師が配置されております。福井の場合、小中学部だけで十七名の非常勤講師がおり、高等部があるところでは十九名が配置をされております。これらの非常勤講師の数を加えましてもなお定数未充足になっているのですから、これは本当にひどい実態と言わなければなりません。このような実態を文部省は把握していらっしゃるのか。いかがでしょうか。
○阿部政府委員 常勤の者についての状況を把握しておりますので、非常勤がどれだけいるかということは把握いたしておりません。
○藤木委員 ですから、県はそれぞれ大変苦しい努力をしているということのあらわれだと思うのですね。私はこのような非常勤講師を正規の教諭に配置がえをして、正規の教諭の数で定数法の未充足分は充足されるべきだ、それが望ましいというふうに考えるものです。しかし、年次計画で定数法どおり教職員が配置されたといたしましても、現実はそれではやっていけない、こういう報告がなされております。 私の地元の兵庫県こやの里養護学校の実態を伺ってまいりましたけれども、非常勤嘱託介助員で補充をしている、こういう状況が出ております。しかし、介助員は週三十三時間という制約がございます。さらに登校、下校時のバスの添乗を毎日のようにやっているものですから、一時間はクラスをあけなければならない。これが実態なわけですね。障害児学校は一応障害別になっておりますけれども、重複障害が年々増加しているという現状の中で、今までの定数では対応できないところに問題があるのじゃないでしょうか。実態に見合った定数法を制定することは切実です。実態を正しく把握するための調査が急がれていることを重ねて申し上げておきます。 盲・聾・養護学校の現場の教職員の方々が陳情に来られまして、重度・重複児がふえる中で教員、寄宿舎の寮母などの中に腰痛などの健康破壊や妊娠障害が多くなっているという訴えを伺っております。私が訪問した阪神養護学校などの教育現場でも、重度・重複障害児がふえているというよりは、単独の障害の方が少なくてほとんどが重複障害になっている、そのために教職員の負担もまた大きくなっていると校長先生からもお聞きしてきたところです。 提案者にお尋ねいたしますけれども、教職員の健康の実態はどのようになっているのでしょうか。健康障害はどうか、あるいは妊娠障害についてはどうか、お答えをいただきたいと思います。
○馬場議員 お答えいたします。 私の手元に一九八三年の東京都の調査がございますが、それによりますと、腰痛症が非常に多いというのが出ておりまして、合計いたしますと四人に一人が医師の治療を受けておる、こういう統計が出ておるわけでございます。そして、この調査をしました時点におきましては、二十人に一人はずっと治療中であるという結果が出ておるわけでございます。その次に、胃腸病というのが非常に多いようでございまして、五人に一人が大体胃腸病を訴えておる。これは私も学校現場へ行って聞くのですが、子供の授業を終わった後は腰が立たないように疲れてしまう、こう訴えられる方がほとんどでございますが、そういうような中でまたいろいろな会議をやるとかたくさんの仕事が行われる、こういうことでございまして、本当に息つく暇もないというような忙しさでございまして、そういう疲れとかストレス、こういうことから胃腸病が非常に多くなっておるということが出ておるわけでございます。それから、産婦人科系統の疾患というのも、今妊娠障害のことを言われましたように非常に多うございまして、この調査では女性の一八%ぐらい、五人に一人ぐらいは妊娠異常、障害があらわれておる、こういうことでございます。これは寮母さんだけをとりましたらまた非常に多い、こういう状況になっておるわけでございまして、特に寮母さんの場合は月に六、七回宿直なんかをやるわけでございまして、そういう意味で、妊娠された方で産前異常を訴えられた方が三八%、出産のときの異常が三二%、産後の異常が一五%、こういう数字が寮母さんにおいては出ておるわけでございます。 昨年の神奈川県の調査が手元にあるわけでございますが、これを見ましても全然改善されていなくてますますひどくなっている。これは結論だけ申し上げますと、体の異常を訴える人が二人に一人になっている、こういう状況でございますし、特にその中で腰痛を訴える人が一番多くて三人に一人、妊娠者のうち四人に一人が流産あるいは妊娠障害が起こった、こういうことが出ておるわけでございます。 ちょっとほかのことですけれども、こういうことで養護学校等における先生方の勤務年数が非常に短いのです。そして、体が壊れてどうにもならぬから転勤をしていかれる、こういう状態になってあらわれているという状況でございます。 以上でございます。
○藤木委員 文部省はこのような教職員あるいは寮母の健康状態について実態を把握していらっしゃいますか。
○古村政府委員 養護学校の先生の健康状態についての調査というのを毎年やっているわけではございません。しかし、昭和五十四年に今のようなお話がございましたので全国的な調査をいたしたわけですが、いわゆる学校におきます職員の健康診断の項目からはちょっと外れた問題、腰痛とか頸腕症候群、そういった問題で特別に健康診断をやっている県からの状況を求めたという結果について御説明いたしますと、二十六県でやっておりましたが、そこにおきます数字では腰痛症が大体四・七%、頸腕症候群といいますか腕が痛くなるというのが一・〇%というふうな状況を把握いたしております。
○藤木委員 妊娠障害はどうですか。
○古村政府委員 妊娠障害については把握いたしておりません。
○藤木委員 毎年やっているわけではないとおっしゃいましたけれども、やはり毎年やっていただく必要があると思うのです。これはやる気になれば決してできないことではございませんので、実態をリアルに把握していただいて、その上に立った現状認識が大事ではなかろうか。調査に基づいて改善をしていくということが必要だと思いますけれども、ぜひ調査していただきたいと思います。 ただいま提案者のお話しになりました妊娠者の神奈川の例などは、四分の一までが流産などの障害に苦しんでいるというのは実に驚くべき実態でして、これは一刻もゆるがせにできない深刻な事態だと考えております。提案者は、このような健康破壊や妊娠障害をなくすあるいは減少させるためにはどのようにすればよいとお考えでしょうか。
○馬場議員 基本的には教職員の定数をこの定数法に従いましてふやす、そうしたら相当そういう健康被害というのは少なくなると私ども思っておるわけでございます。いま一つは、施設設備を充実し、立派にするということも非常に必要ではないかと思いますし、それからもう一つは、勤務条件を改善しなければならない。本当に、労働基準法なんかが適用できない、こういう状況なんかがあるわけであります。大きく言って三つ、教職員定数をふやす、施設設備を充実する、あるいは勤務条件を改善する、そういうことをやれば健康被害というのは少なくなると思っておりますし、それを集約した形でこの定数法にあらわしておるということでございます。
○藤木委員 私も、教職員をふやすこと、施設設備の改善が働きやすい職場にする、あるいは勤務内容の改善、加えて民主的な職場づくりといいますか、教職員がお互いに励まし合いながら力を合わせて解決を図っていけるような状況をつくっていくこと、これが大事であろうかと考えております。 最近、地方自治体の段階でこのような場合の措置といたしまして、女子職員の妊娠中の勤務軽減措置要綱というのをつくっているところがふえております。文部省は御存じでしょうか。知っていらっしゃれば、その県がどのぐらいあるか、県名を挙げてお答えいただきたいと思います。
○阿部政府委員 突然のお尋ねで私もよく承知いたしておりません。多分そこまでは把握いたしてないと思います。
○藤木委員 これはぜひ調べておいていただきたいと思うのです。私の知る限りでは、京都、東京、埼玉、神奈川、滋賀、大阪、高知、広島などで勤務軽減措置がとられております。 京都の場合ですが、障害児学校の教員、寄宿舎の寮母及び障害児学級の担任に対しまして、また東京の場合は障害児学校の教員と障害児学級の担任に対して措置が行われておりますけれども、その時間帯に非常勤の代替教員や寮母を都府の教育委員会が派遣する制度をつくっております。このようにして障害児教育の充実と教職員の健康、また出産の安全を守るための努力をしておられるわけです。 しかし、こうした勤務軽減措置をとっているところでも、寮母にまでこれを適用している例は極めて少なくなっております。私はこのような措置を地方自治体の努力にだけゆだねるのではなくて、国の責任で制度化し、実施されることが望ましいと考えております。文部省はこうした実態をぜひ御調査いただいて、調査結果に基づきまして実施するということを検討していただきたいのですが、そのようなお考えはいかがでしょうか。
○阿部政府委員 そのような事柄につきましてはできるだけ実態の把握には努めたいと思います。ただ、しかしながら、私どもは現在進行しております改善計画を進行していく、要するに教職員の定数をふやしていくということがいろいろな問題の解決、前進につながる問題でもございますし、まずはこれを片づけるのが一番大事だ、こういうふうに思っておるわけでございますので、当面はその課題、六十六年度までに年次計画の完成を期すということを第一義に考えたい、こういう気持ちであることに変わりはないわけでございます。
○藤木委員 把握をされるということでしたので、それはぜひやっていただきたいと思います。しかし、この今の年次計画が実態に合わないという声が現場から出ているわけですから、それには率直に耳をかしていただいて実態をしっかり見詰めていただきたい、そのことを重ねて申し上げたいと思います。 私は、ここで健康破壊や妊娠障害を減少させるために勤務内容の改善についてもお伺いをしておきたいと思うわけです。 特に、障害児学校寄宿舎の寮母の妊娠障害が五四%にも上ると訴えられております。妊娠者の半数を超えている人たちが障害で苦しんでいる。これは全くゆるがせにできない事実であります。この現象は一体何が原因だというふうに文部省はお考えでしょうか。
○古村政府委員 先生の方では五〇%を超える妊娠障害があるというふうなお話でございますが、先ほど私の方から申し上げましたように、妊娠障害についての実態を把握いたしておりませんので、それについての原因ということについても今ここでお答えするだけの知識は持ち合わせておりません。
○藤木委員 やはり調査していただかなければいけませんね。そうでなければ見解も示せないじゃありませんか。ぜひそれはやってください。私は深夜勤務が母体を保護する上でどんなに妨げになっているかを示している例だ、このように申し上げたいと思います。 山梨では週二泊から三泊しておられます。深夜勤の回数がふえますと障害がふえる傾向にございます。労基法上から申しますと、夜十時から翌朝六時までが深夜勤とされておりますけれども、障害児学校寄宿舎の性格からいって睡眠も仮眠も不可能な状態でございます。夜、夢遊状態で歩き回る子供を外へ飛び出さないようにしなければなりませんし、おねしょをする子の世話もしなければなりません。また、寝返りをさせてやらなければ自分で寝返りが打てない子、これらの世話が必要でございます。こうした子供たちの睡眠をしっかり保障するのが深夜勤の仕事の内容でございます。これが妊娠者にとってどんなに無理なことかということをぜひおわかりいただきたい、私はこのように思います。文部省が障害児学校現場と寄宿舎における妊娠者の実態を現実に即して把握していただき、適切な対応をされることをお願いいたします。 もちろん、妊娠者の勤務軽減を行うことで問題が解決するものではありませんで、教職員の定数増の実施によって解決されなければならないのは当然ですけれども、年次計画途上にもあり、ましてその年次計画どおりにやっても不十分だという現状をこのまま放置するわけにはまいりません。いかがですか、文部省は実態の調査と都府県の努力で進めている勤務軽減措置を促進するために援助を惜しまないでいただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
○阿部政府委員 先ほど来体育局長あるいは私からお答えしておりますように、できるだけ実態をつかみたいと思っております。ただ、その上でどういう対応をするか、国としてやるべきなのかどうかというようなたぐいの問題になりますと、これは設置者である都道府県がやるべきことであるかもしれませんし、それからまた、現に国の方としては定数改善を何とか実現をしたいということを考え、そのために全力を注いでいるという状況でもございますので、その具体にどう行っていくかというたぐいのことにつきまして国としてやるというお約束はいたしかねるわけでございます。
○藤木委員 都道府県が一生懸命やっているのだけれども不十分だという実態について私は申し上げたわけですけれども、これに対してはぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。 次に、障害児学校の規模についてですが、これには特段の定めがないわけですが、文部省は検討をされている、そのようなお考えだと伺っております。そこで、私は一つの例について述べさせていただきまして、検討材料にして役立てていただきたいと思います。 阪神養護学校は、小学部六十九名、中学部百五名、高等部百四十二名、その他在籍者であって訪問教育を受けている者十三人、合計三百二十九名の、障害児学校としては非常に大規模な学校です。この学校では職員会議はマイクを使って行われております。先生同士名前も覚え切れておらない状態です。運動場、プール、体育館も週一回ずつ割り当てて使用させているという状態です。先生は全校生徒の名前はもちろん覚えられませんから、そのために教師集団として生徒指導することができないということも訴えられております。こんな状態ですから、子供が学校から抜け出してもだれがいなくなったのかわからないということも起こるありさまです。普通中学であれば週二十四時間勤務のところ、この学校の中学部は週二十八時間から三十時間になっております。月四十時間の残業が当たり前という状況です。文部省はこのような障害児学校の規模をどのようにお考えでしょうか。
○高石政府委員 障害児の学校がどの程度が適正規模と考えるかということについては、実は文部省として一つのまとまった考え方を示していないわけでございます。その理由は、児童生徒の障害の状況は極めて多種多様でございます。したがいまして、形式的にその基準をつくるとすればこういう障害の子供の場合にはこうだという非常に詳細なものをつくっていかなければ意味がないわけでございます。要するに寸肢体不自由、精薄、その他盲・聾、そういう種類に応じてつくらなければいけない。しかも、その種類も程度に応じて考えていかなければならない、こういうことになりますので、画一的な基準を定めてこれが適正規模であるということを示すこと自体が、実は実情に沿わないという事態を生じかねないというふうに思っております。 したがいまして、要は、設置者が最も教育効果の上がるような形で学校規模を定めて運営してつくっていくということが非常に重要でございまして、そういう観点で、事例のような学校がかなりでかい学校でいろいろな運営上の問題があるとすれば、それはやはり最も教育効果が上げれるような適正規模に改善していくという努力は必要であろうと思うのです。したがいまして、一般的に文部省として画一的な設置基準、適正規模ということを今示すことは、かえって実態に合わない状況を巻き起こすということで、それぞれの設置者の良識と判断と、そして児童生徒の教育効果を考えてつくっていただきたい、こういうふうに思っております。
○藤木委員 今のお考えの根本的な点は私そのとおりだと思うのです。何も機械的、画一的にやることがいいというふうに私も思いませんし、しかしそれはあくまでも実態に即して改善をされなければならない。今の現状を放置しておくのは、それでは画一主義ではないのだからいいのか、そうはならないと思うのです。障害児学校におきましても実態に即した適正規模というのを定めるべきではないでしょうか。これを超えた場合には分離新設を進める必要があると考えております。もっとも、今おっしゃいましたように、設置者は県立ですから、国に対して分離新設の申し入れが県から行われた場合には、県に対して国が援助をするということになるのではないかと思いますけれども、国の助けがあれば障害児学校の過大規模校による非教育的な面の改善は大いに進むと私は考えております。ぜひ精力的に御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○高石政府委員 最終的には、どういう学校規模にすることが最も適切かという判断は、学校をつくる設置者自身がまずもって判断すべきだと思うのです。文部省がこういう基準を決めているからそういうふうにつくるというのじゃなくして、学校を管理運営する設置者の段階で判断されるべきである。したがって、そういう判断のもとに立って過大規模校の施設設備を分離して新たな学校をつくっていくというような申請を国に出された場合に、国がそれに応ずる対応ができるように措置しておくということが必要であると思います。 したがいまして、そういう意味では、新たな新設校をつくるとか分離していくというような場合には、そういうものは最優先的に補助金を出すというような仕掛けにしておりますので、形式的な基準は持たないけれども、設置者がそういう判断をして適正規模に改めていくという努力に対しては応分の援助措置が行われる、こういう仕掛けになっているわけでございます。
○藤木委員 大変結構でございます。どうぞ手厚い援助をしていただきますようにお願いを申し上げます。 このような状況の中で、中途入学を受け入れた場合の教職員の負担が大変だということも私伺っているわけです。五月一日付で教職員の定数が決まりますけれども、中途入学者一人受け入れて五人から六人になりますと、普通学校の四十人学級が五十人学級になったのに相当する負担増になるということが言われているわけです。そこで、五月一日に教職員定数を決める以外に、もう一度、例えば半年ぐらいたちましてから適正規模学級が維持されているかどうか、これをチェックする機会を設けて調整をすることはできないものだろうか。この辺、御検討していただくわけにはいかないでしょうか。いかがですか。
○阿部政府委員 これは特殊教育諸学校ばかりではなくて、小中学校も共通の問題でございますけれども、五月一日現在で学級数の認可をして、その学級数がその年度の学級数として決まる、それに対応して必要な教職員定数をはじいて国庫負担金を出す、こういう仕組みになっておるわけでございますけれども、その後、児童生徒数が変化をいたしまして、特に増加をした場合でございますけれども、学級編制が、例えば重複学級の場合、現在五人でございますけれども、一人ふえた、そうしますと、三人、三人の二学級ということで学級編制を変えるということがありました場合には、それに対してはそれに必要な定数上の措置はするというのが現行の制度でございます。
○藤木委員 そうしますと、その学級増を行うのは設置者ですか、それとも校長ですか。
○阿部政府委員 学級増を決定するのは設置者である教育委員会ということに相なります。
○藤木委員 次に、教職員が不足をしているために、介助職員の活用がやられているという例がふえているわけですけれども、これにつきまして国庫補助の対象から外され地方交付税措置がとられるということになりますと、一般財源化されますから、その確保は自治体任せということになろうかと思います。文部省は口頭で指導していらっしゃるように伺っておりますけれども、これは通達とかそういった形の文書による指導をすべきではないかと思うのですが、そのようなお考えはお持ちですか。
○高石政府委員 介助職員の国庫補助制度を改めまして、地方交付税による財源措置で地方に対する十分な財源措置を講ずる、こういう仕組みにしたわけでございます。 実は今までも国庫補助制度がありましたけれども、府県によりますと、介助職員という名前でなくして、ほかの職種の名前ないしは非常勤の形で運用する、いろいろ多様な使い方をしておりまして、介助職員というのは常勤の職員でなければいかぬ、それから職名も介助職員でなければいかぬというような制約があったので、国庫補助制度をつくっている段階でも県によっては全然申請ができないというような実態もあったわけでございます。今回は、そういうことを含めて地方交付税全体として十分な財源措置を一定の基準まではするわけでございます。 したがいまして、各都道府県におかれましては、従来の国庫補助の制度のとき以上の地方交付税による財源措置をしておりますので、財源的には今までよりも豊かになる。したがいまして、その範囲内で、それぞれの都道府県がどういう形で介助的な仕事を手助けする人たちを置くかということは、それは県の判断にゆだねたいということにしているわけでございます。したがいまして、そういう制度に切りかわり、そういう趣旨、これについては指導してまいりたいと思っております。
○藤木委員 その御指導が、やはり口頭ではなくて文書上行っていただきたいと思うのですよ。財源がふえたとおっしゃいますけれども、これは一般財源化ですから、適切に介助職員のために使用されるとは限らないわけです。ですから、その点はぜひ指導を強めるということをお願いしておきたいと思います。 訪問教育の充実につきましてお伺いをいたしますけれども、訪問教育の重要性は言うまでもありません。特に病院併設あるいは福祉施設に併設の養護学校については、教育条件が極めて劣悪なケースが目立ちます。これは問題だと思うのですが、例えばプール、体育館の設置率を昭和五十九年五月一日現在で見てみますと、養護学校全体では、六百六十四校中、プールは百九十八校で三〇%、体育館は四百七十校で七一%になっておりますが、病院併設の障害児学校は、百九校中十七校で一六%のブール、六十四校しかない体育館はまさに五九%、福祉施設に併設の学校になりますと、プールで一三%しかない、体育館は五一%しかない、こういう状況になっております。そして、訪問教育でも、兵庫県の上野ケ原養護学校では学級編制が七人などの状態も生まれております。 提案者にお聞きをいたしますけれども、こういう状況の改善、訪問教育の充実は緊急課題だと私思うわけですけれども、どのようにお考えか、最後にそのお答えを伺いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
○佐藤(徳)議員 御質問の中で御説明がありましたとおり、一つ、二つの事例ではございません、全国的な傾向にありますから、そういう点については、先生の御意見のとおり、法の改正もその趣旨に沿っておりますから十分の対応を迫りたい、こう考えておるわけであります。
○阿部委員長 江田五月君。
○江田委員 障害児教育の向上のためにいろいろと御努力をされて、さまざまな調査とそれから周到な配慮のもとにこういう議員提案をお出しになった提出者に、まず冒頭敬意を表します。それから、こういう議員提案をまじめにきちんと——もっとも、残っていらっしゃる委員の数はちょっと少ないようですが、議論をする当委員会のあり方について敬意を表したいと思います。 それにしても、どうも七年間にわたって継続審査、廃案というのを繰り返して、四回質疑でいまだにさあどういうことになるかという状況は、確かに議員提案、真剣に議論をしておるというものの、ちょっと寂しい感じがするわけですが、まずこの提案者にどういう感想をお持ちか、これを伺っておきたいと思います。
○馬場議員 先ほどから御質問もあっておるわけでございすが、今江田委員おっしゃいましたように、この法律を必要とする障害児学校の現状というのは御存じのとおりでございまして、そういう意味で、その障害児の教育を維持向上させるという上からも、これは一日も早く成立させてもらいたいと思うのです。それが一つ。 もう一つは、やはり先ほどから言いますように、この国会でもう七年間、四回にわたって審議して、これは通常の例であれば審議を尽くしておるわけでございますから、ぜひ採決をして通していただきたいのですが、その採決が行われないという点も問題だと思いますし、言われましたように、議員立法を大切にする、民主主義を大切にする、国民の意思を大切にするというそのルールがやはり踏みにじられておる、こういう状況でございます。 私どもは、今度のこの国会でぜひ成立させていただきたいということを各党の皆様、委員の皆さん方にも心からお願いを申し上げ、一日も早く成立させていただきますように心からお願いいたしたいと思っております。
○江田委員 実は、これは専ら私の個人的な都合で質問の準備の時間が非常に逼迫しておりまして、きょうは余り綿密な質問の通告をせずに質問をするということになってしまっておるので、あるいはお答えの方も微に入り細にわたってということがなかなかいただけないのじゃないかと心配をしておるのですが、まず障害児の動向、盲・聾、肢体不自由、精神障害、いろいろあるわけですが、この動向というものが一体どういうことになっておるか、これを提出者の方に伺います。
○馬場議員 動向としましては、盲学校、聾学校、ここに進学します生徒の数は年々減少しつつある、こういう傾向と理解しております。しかし、肢体不自由児とかそのほか精神とかいろいろ、いわゆる養護学校に入る生徒はそんなに減少していない。特徴的なのは、重度の障害児あるいは重複児、これが年々ふえておる、こういう状況と把握いたしております。
○江田委員 それはどういう理由でそういうことになってくるのでしょうか。
○馬場議員 これはやはり養護学校の場合、義務制じゃなかったのが義務制になった、そういうこともございますし、それからやはり障害児教育というものの理解が国民の中に、さらにはそういう障害者を持っております親の中に理解が深まっていって、ぜひ学校で教育を受けさせたい、そういうこともあると思いますし、さらには、先ほどから出ております訪問教育というものは、これはまだまだ充実しなければならぬわけでございますが、そういう教育を受ける者も生徒として数えるわけでございます。そういう意味で、国があるいは国民全体が果たしてその障害者を差別していないのか、理解があるのかといえばまた問題があるわけでございますけれども、少なくともこの学校にあらわれた状況の中ではそういうこと等も考えられるのではないか、こう理解いたしております。
○江田委員 一方で、養護学校の教育が義務ということになって、養護学校へ入ってくるようになった。他方、社会の見る目も随分開けてきたし、親の方も外に出すことにそれほど心理的抵抗が、ないというところまでまだいかないでしょうが、随分薄くなってきたということで、障害児がどんどん出てくるようになった。そういうことがあるのかと思いますが、提出者の方で把握をされている障害児の動向、そしてその動向のよって来るゆえんについては文部省の方はどうお考えですか。
○高石政府委員 まず、傾向を申し上げますと、盲学校の場合を申し上げますと、昭和四十一年の数字は約一万。これが五十一年の段階で八千八百、そして五十九年は七千。それから聾学校につきましても、四十一年が一万九千二百八十。これが五十一年が一万三千三百四十二、それから五十九年が九千七百十六、こういう傾向を示しております。これら盲学校、聾学校への進学者数が減少しているのは、そういう者が少なくなっている、端的に言うと盲者、聾者の数が著しく減少の傾向を示しているということがこの数字にあらわれている傾向だと思います。 それから、養護学校で申し上げますと、五十一年と五十九年との比較で申し上げますと、精薄が五十一年で二万一千四百四十六。これが五十九年で五万四百八十八、約二・五倍近くふえております。それから肢体不自由が、五十一年が一万七千七十三。これが五十九年が一万九千九百四十八。それから病弱が、五十一年が五千、五十九年が七千七百六。 要するに、養護学校系統のものは就学義務を課したということを契機にしてふえているということでございます。したがいまして、教育の対象数が、盲・聾については減少し、養護学校は義務化に従ってそういう学校への進学の数がふえている、こういうふうにとらえているわけでございます。
○江田委員 この動向の理由として義務化のことだけをお挙げになりましたが、社会の理解とかこういう点はいかがですか。
○高石政府委員 社会の理解も深まっておりまして、従来養護学校という学校がなかったということで、行きたくても養護学校になかなか進められなかったというのが、義務化で整備された。したがって、そういう学校に自分の子供を就学させて適正な教育効果を上げてもらいたい、そういう親の理解、そして社会の理解と相まってこういう状況になっていると思っております。
○江田委員 もう一つ、先ほど提出者の方でお触れになったかどうか。重度それから重複障害の者が随分増加をしておるのではないかというようなことが言われておるのですが、この点はいかがでしょう。
○馬場議員 私どもの調査でもその重度・重複児の数がふえておりまして、そういう人々も幼稚部から小学部、小学部から中学部、高校部とだんだん上の方にもふえておる、こういう傾向に理解しておるわけでございます。これもまた、今まで就学の機会に恵まれなかったそういう人たちが、養護学校が義務化いたしまして、そして学校で学びたいということで親もだんだん出してくるようになった、こういうぐあいに理解しております。
○江田委員 文部省の方ではどう把握をされていますか。
○高石政府委員 重複障害児の児童生徒数を見ますと、これも四十七年当時は三千二百三十三が生徒であったわけでございますが、五十九年度では二万三千七百一ということで、重度障害児が養護学校で教育を受ける機会が著しく拡大しているというふうに見ております。
○江田委員 盲・聾の場合には、比較的ベテランの教師があれば、例えば先ほどからいろいろ問題になっておる健康被害であるとかいうような問題がそれほどないのかなと思いますが、養護学校、特に重度あるいは重複障害の子供がこれほど大変な、ある意味で爆発的増加というような事態の中で、先生方が随分苦労をされているのじゃないかという推測は簡単にできるわけです。これはいろいろなアプローチの仕方があると思いますが、盲・聾、それから養護学校、それからできれば普通の学校も参考に、教師というのは一体どの程度の期間一つの学校に勤めておるのか、養護学校を何年ぐらいお勤めで転勤をされるのか、こんなような調査があったらお教えいただきたいのですが。
○馬場議員 お答えをいたします。 結論からいいまして、普通の小中学校、高等学校、それから盲・聾学校に比べまして、養護学校の先生方の一つの学校におります勤務年数というのは実はぐっと短くなっているわけでございます。先ほども申し上げましたように、本当に健康被害、これは肉体的にもあるいは精神的にもそういう被害が非常に多くなっておるというのも養護学校の特色でございまして、だから、長くおっては命がもたぬ、こういう形で転勤を希望されて出ていかれる、こういう傾向になっておるわけでございます。 ここに一つの資料がございます。これを見てみますと、これは八一年の資料で少し古いわけでございますけれども、全国的に調査したのが出ておりますが、今申し上げましたように、盲学校、聾学校というのはいわゆるベテランの先生というのが非常に多いのです。ところが、養護学校では五割前後が、半数を超すぐらいの先生方が障害児教育経験年数が四年未満になっておるわけでございまして、先ほどちょっと健康のことを申し上げましたが、大体三年ぐらいで腰痛が非常にひどくなって転勤希望を出されるというのが非常に多くなっておる、こういうことでございまして、大体四年未満の先生方が養護学校では非常に多い、こういうことになっておるわけでございます。 その理由というのは、先ほどから言っておられますように、介護なんかもするわけですから、非常に体の重い生徒なども手をとり足をとり体をとって教えなければならぬとか、その他に例を挙げれば数限りないわけでございますけれども、そういう状況の中で短くなっておる。これは障害者の教育にとっては非常にマイナスだ。こういう健康被害はないようにして、ベテランの先生が教えるという環境に学校もならなければいかぬのじゃないか、そういう意味でこの定数法の成立を望んでおるわけでございます。
○江田委員 今提出者の引用されました資料というのはどういう資料ですか。特定をしていただきたいと思います。
○馬場議員 これは教職員団体でございます日教組が全国的に調べました資料でございまして、八一年度全国規模の日教組の調査でございます。
○江田委員 私もその資料をいただいておりますが、これで見ますと、盲学校の場合が二十年以上のベテラン教師が一五・六%、十五年以上を全部足しますとざっと四〇%近く、聾学校も十五年以上が三五%強ですか、それに対して養護学校の肢体不自由児の場合が五年未満で四四%、その他の養護学校で五年未満が五七・七%というような極端な差を見せておるのですね。 文部省の方はそういう実情は把握をされておりますか。
○阿部政府委員 教員調査等を行っておりますけれども、そこまでのデータとしては持っておらないと思います。ただ、勤務の継続年数でございますとか、そういったことを考えます場合に、勤労の強度が強いという御指摘もございますし、それもないことではないと思っておりますけれども、ただ盲・聾学校等と比較いたしますと、学校としての歴史が極めて浅い、できてから三年とか五年とかということでございますから、五年未満がほとんどであるということも当然のことであろうと思うわけです。それから新しく採用された教員をまずはそういった特殊教育諸学校にふなれなまま入れてしまうという人事異動上等の問題もあろうと思います。いろいろなケースがございますので、その数字からすぐ結論にというふうにはいかないと思っておりますけれども、そういう問題がいろいろあるということは承知をしているつもりでございます。
○江田委員 確かに、この数字からすぐに皆労働がきつ過ぎるからかわっていくんだということだけを結論づけるのは危険かと思いますが、しかし、そうした傾向があることは文部省の方も否定なさらないし、否定できない。そこで何とかこういう障害児教育現場にもうちょっと温かい手を差し伸べることが必要なんじゃないか、こういってこういう提案ということになったんだろうと思いますが、私も養護学校を訪ねてみたり、そこの先生方の話を聞いてみたり、また親や子の話を聞いてみたりして、こういう今の状態を何とかしていかなければならぬと思います。 ところで、こうして議員立法をお出しのわけですが、どうもこの議員立法提出者が馬場先生、中西先生、佐藤先生で、あと賛成者の皆さんは日本社会党・護憲共同所属の会派の皆さんばかりです。ひとつこういうものをつくっていこうという場合に、いろいろな方法があるんだろうと思いますが、例えば俗に言う根回しというのですか、いろいろな会派をもう少し説得されて、提出者なり賛成者なりにもっと多くの会派の人たちを募るとか、そういう議員立法をいよいよ本当に成立させるために必要なさまざまの努力というのがあると思うのですが、どうもそうした点で、これはひが目かもしれませんが、ちょっと欠けておるのじゃないか。こんな言い方恐縮ですが、ひょっとしたら社会党と特別な関係にある日教組の皆さんの運動のためにやっているのじゃないかという、そんなような批判もあるいは出てくるかなという気がするので、この点についての御努力といいますか、これからどういう覚悟で御努力をされるかということを伺っておきたいと思います。
○馬場議員 例えば、今、日教組と出ましたけれども、私どもそういうところだけの意見を聞いて法律をつくったということよりも、本当に障害児教育の学校の現場の実態を十分把握いたしまして実はこの法律をつくり上げたわけでございます。最初、七年前に出しましたときには、日本共産党と私どもの社会党が共同で提案をいたした経緯もあるわけでございます。そしてまた、私どもとして、今言われましたように本当にすべての、最初の順序からいいますと野党ですか、これが賛成して共同提案していただくということが一番いいことだったとも思いますし、そういうことも実はしたいとも考えておるわけでございますが、いろいろのいきさつがございまして今回は単独になっておりますけれども、江田先生にもお願いして、この採決をするときにはひとつぜひ賛成していただきまして、各党賛成していただきまして成立していただきますように、そういう根回しはいたしますから、ひとつよろしくお願い申し上げておきます。
○江田委員 かしこまりました。 ところで、どうも七年もこういうぐあいですと、何か次第に、ある意味の無力感といいますか、せっかくこういうものを出しても結局数の力でやられてしまうじゃないか、そんな感じもみんなの中に広がっていくんじゃないか。それはかえって議員立法というものの信頼を傷つけ、ひいてはそれが政治不信にまで行ってしまうんじゃないか、そんな心配もあるのですが、七年の間この法律を出してこういう運動をやっていることによって、これ自体が法律にまでならないとしても、しかし、障害児教育の特に教員の定数であるとか学級の定数であるとかいうような分野で何らかの前進はあったんじゃないだろうかという気がするのですが、これはいかがですか。
○馬場議員 さっき言いましたように、この前定数改善が行われたわけでございますが、私どもが最初法律を出しましたのは、実は全体的な定数改善が行われます前に出しているわけでございます。あの十二年計画の中で障害児学校の定数改善なんかも幾分行われておるわけでございまして、やはりこういうものを提起して、その中の一部分というのは法律ができないまでも文部省その他の方で前進させた部分はあるということは実は理解をしておるわけでございます。 それから、もう一つは、言われましたように、やはり出したら何が何でも修正なんか一カ所でもけしからぬ、そういうような気持ちは全然ないわけでございまして、この段階では、ひとつこの辺でここだけを前進させてここは次に置こうかとか、そういう中身の修正というようなものは喜んで話し合って、まとまったところで前進させる、残った部分はまた後にするとか、そういう柔軟な態度というのは提案者の方も持っておるわけでございます。だから、今度の場合も、例えばここをこうしたら通せるじゃないかというようなお話とか詰めとか、そういうものも皆さんと、与党ともできればいたしまして、できるだけ現場の人たちが、我々の要望というのを国会がこたえてくれた、民主主義が生きているんだと思っていただけますようにやりたいと考えております。
○江田委員 この法律は、公立の障害児教育諸学校、現に今ある学校の学級編制と教職員定数に関することですが、こうしたことが大いに世間の議論になっていくというのは、やはり障害者の皆さんの、教育を受けたいという熱意、教育を受けようという努力が次第に向上してきておるということもあると思うのですが、私どものところに陳情が来ておりまして、視覚障害者のための教育関係のさまざまな団体、それから聴覚障害者のための教育関係のさまざまな団体の皆さんが一致して身体障害者高等教育機関をぜひつくってほしいという運動をもう随分長い間されているということなんですが、視覚障害、聴覚障害あるいはその他の身体障害の皆さんが普通の学校へ行くにもなかなか困難がある。そこで高等教育機関、せめて短大ぐらいはつくるべし、そういう要望も強まっていると思いますが、これは文部省の方に伺いますが、どういう動向に今なっておりますか。
○宮地政府委員 身体障害者の高等教育機関の準備状況についてのお尋ねでございます。 御案内のとおり、身体障害者教育の進歩といいますか、また身体障害者の学習意欲といいますか、それの増大ということも受けまして、高等学校段階に引き続いてさらに高等教育段階でもいろいろな対応をすることが言われておるわけでございます。従来からも、一般大学に入りますことにつきましても、私どもいろいろ具体的にも予算措置その他で対応はしてきておるわけでございますが、特に身体障害者のための新しい高等教育機関の設置についても、先生御指摘のようないろいろ関係団体からも積極的な対応を陳情その他を受けておるわけでございます。 従来の経緯でございますけれども、昭和五十二年度以来、予算的には調査の経費を計上いたしまして準備を進めてきておるところでございます。これまでの調査研究におきましては、視覚障害者と聴覚障害者を対象とする専門的な職業教育を行う三年制の短期大学を設置する基本構想がまとめられたところでございます。さらに現在創設準備室を——これは筑波大学に置いているわけでございますけれども、創設準備室を置いて、学識経験者によります協力者会議を設置して、従来の検討結果を踏まえて、具体的な学科の構成でございますとか規模など、さらに検討を深めているというような状況でございます。予算的な措置といたしましては、五十五年度からは設置調査経費、五十六年度からはさらに準備を進めるというようなことで、教官一名をそのために充てるというようなことを措置をし、五十八年度以来創設準備ということで進めてきておるわけでございます。関係者にいろいろ御意見がある点も私ども伺っておりまして、それらの点も十分踏まえながら積極的に対応してまいりたいと思っておりますが、現在財政状況大変厳しい状況下にございますが、私ども、創設準備の進捗状況といいますか、それの計画の具体的な中身を十分慎重に検討し、それらについては今後積極的に対応してまいりたい、かように考えております。
○江田委員 まだいろいろ伺いたいこともありますが、この身体障害者の皆さんもまた健常者と同様に、完全参加と平等、教育も受けられる、そして本当に人間らしい生涯を送れる、これはもう当然のことであって、これからもひとつ、我々も努力をする、文部省にも大いに努力をしていただくということにしたいと思います。 これで質問を終わります。
○阿部委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ————◇————— 午後一時三十五分開議
○阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 中西績介君外二名提出、公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
○馬場委員 提案者、大変御苦労でございます。まず提案者に御質問申し上げますが、この幼稚園の定数法を提出されました目的、既に数回議論もしておるところでございますが、現在までの審議の経緯についてお知らせいただきたいと思います。
○中西(績)議員 提出した目的につきましては、先般公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案として提案をいたしました際にも申し上げましたけれども、明治三十三年の小学校令で小学校の学級規模が七十人以下と定められた際に、幼稚園は四十人以下とされまして、以降八十年を超える歳月を経ておるわけでありますけれども、依然としてこの学級定数なりそれに伴う教職員の配置等が不十分であるということが明らかであります。そうしたことを受けまして、まず第一に、今までこれがなかなか進展をしなかったその大きな理由が、基準はございましても法律がなかったということもございますので、教育水準を高めるためにも何としてもこうした法律を策定すべきではないか、こう考えたわけであります。 特にその中でも、学級編制につきましては、四、五歳児について二十五名、三歳児については二十名、そして小規模幼稚園における混合学級におきましては十人だということをまず第一に掲げました。 さらに、定数につきましては、園長を必ず一園に一人置くということとあわせまして、学級数の一・五倍の教諭を配置をする。さらに、障害児につきましてはこれに加算をしていくという内容でありますし、養護教諭あるいは事務職員あるいは栄養、さらに学校給食調理員等々含めましてこの教職員定数をここで確定をしていただこう、そして、これを実際に策定をしていただきましたならば、五年間の年次計画でもって実施をいたしたい、こう考えまして、それに必要な経過措置を定めておるところであります。 特に、この審議の経緯でありますけれども、第一回目、昭和で申し上げますと五十七年の四月十四日に第九十六国会で提案され、質疑が行われました。そして二回目は昨年、五十九年の五月十八日に第百一国会でもってこのことが論議されました。このようにいたしまして既に三年を経過いたしまして、内容的には今最も要求されておる就学前教育をどう充実をさせるのか、こうした観点からぜひ実現をさせていただきたいと思いまして、こうした法案の提案をいたしておる次第であります。 以上です。
○馬場委員 今答弁いただいたわけでございますが、明治三十二年ですか三年ですか、小学校令が出て、そのときは七十人が小学校の定数だったわけでございますが、そのとき幼稚園も四十人だ。ところが、それからもう八十年ぐらいたっているのに、小学校におきましては現在四十人学級で改善が行われておるわけでございますが、幼稚園は全然改善が行われていない、こういうことでございますけれども、小学校はだんだん改善していくのになぜ幼稚園は改善しないのか、このことについてまず文部省にお尋ねをいたしたいと思います。
○高石政府委員 まず、一つは、幼稚園教育の実態が義務教育ではなくしてそれぞれの市町村の判断で幼稚園を設置されている。それともう一つは、保育所によって幼児教育が代行されているというような実態があること。それからもう一つは、私立の幼稚園が約八割近くを占めているというような実態。そこで、幼児教育を担当する公立幼稚園という部分だけの改善にとどまらずして、それは全体に、私立幼稚園にも影響をするし、それから、保育所が幼児教育を行っている、それとの関連もあるというような事情。それともう一つは、特に幼児教育の八割近くを私学が担当しているわけでございますので、結局、教職員の定数にはね返ってくるようなことになると父兄負担にはね返っていくというような問題、そういうもろもろの要因が重なり合って、現在まで四十人ということを標準にして決めておりますが、実際上の運営では、公立学校でももう少し四十人を割ってクラスがつくられている、また、私学でも三十人程度の学級編制が行われている、そういう実態が存在しているわけでございます。
○馬場委員 今の文部省の答弁を聞いておりますと、教育を受ける側の幼児、この人たちも人間として、特に小さいときの幼児教育の重要性、三つ子の魂百までと、人間形成で最も大切な幼児教育、そしてそれを受ける権利をまた子供、幼児は持っているわけでございますが、その教育を受ける権利を持っている子供、幼児というものは全然無視されたようなことで、例えば、義務教育でないからとか、あるいは市町村が設置しておるからとか、保育所とかかわりがあるからとか、私立幼稚園が八割だとか、こういうお話が今あったわけでございますが、公立の幼稚園というものを、幼児教育がうまくいくようにずっと定数でも改善していったならば、それにつれて市町村もやるだろうし、それから私立もやるだろう、そういう中から立派な幼児教育ができると私は思うのです。八十年間も、片一方は、小学校はずっと改善している、幼稚園はそのまま続いている、こんなことはちょっと考えられない。幼児教育というのは文部省の頭の中にはなかったと言ってもいいぐらいじゃないか、こういうぐあいに私は思うのです。そのことは、私だけじゃなくて、政府の機関たる行管庁だって、そのことを監査した結果文部省に勧告をしておる、改善をしなさいという勧告をしておる、こういうこともあるわけですが、これさえまた無視しておる。 こういうことを考えますと、文部大臣、幼児教育というものを何と心得ておられるのか、そういうことと、幼児教育というものの現状認識も含めて、将来をどう展望されているのか、こういう点につきまして、今の答弁を踏まえまして文部大臣のお考え、それからそれにつきまして提案者のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○高石政府委員 文部大臣から答弁申し上げる前に、もう少し実態のことを補足して申し上げてみたいと思います。 一学級当たりの在園者数、これは平均の数でございますけれども、五十九年度でいきますと、幼稚園が実態は二十九・〇、三十人をちょっと割っております。小学校が三十三・三、中学校が三十八・一というような状況でございまして、小中との比較においての実態の数は三十を割っているという状況でございます。
○松永国務大臣 幼児期というのは心身の発達段階におきましては最も大事な時期だと思うのでありまして、家庭において愛情細やかな母親から育てられ、しつけられる、そうして幼稚園において適切な集団教育を受ける、このことによって人間形成が立派に培われるということが望ましいわけでありますが、そういう教育がなされなければならぬという大事な時期が幼児期であるというふうに思います。その意味で、家庭における教育と並んで幼稚園等における幼児の教育というものは極めて重要であるというふうに私は認識いたしております。 先ほどから、七十年、八十年、幼稚園の学級編制の標準は四十人以下というのがそのまま続いているというお話でございますが、今局長からお答えいたしましたように、実態は三十人を切っておるような状況であるわけでありまして、四十人以下と定めておるのは四十人に近いことを前提としておるのではないのでありまして、その自治体の実情に応じて実際のところは三十人前後になっておるという状況なんでありまして、事実上は幼児教育の重要性にかんがみてそれぞれの地方公共団体でそれなりの努力をしていただいておるというふうに思っておるわけであります。
○中西(績)議員 先ほど文部省の方から答弁がありまして、私立が八〇%に上るとか市町村立てあるとか、父母負担拡大あるいは公立の部分だけでなしに私立に大きな影響を与えるということを言っておりますけれども、私、これは文部省の調査したものではないかと思いますけれども、「公立私立幼稚園収容人員別学級構成比の推移」、これを見ますと、五十九年まで出ておるわけでありますけれども、大体三十人以内というのが公立幼稚園の場合には五六・七%、私立幼稚園の場合が五七%に達しています。ですから、今言う、父母の負担が拡大をされるあるいは影響が強いなどと言ったって、私立だって六〇%近いものが既に三十人以内になっているという現状ですよ。だから、先ほどの答弁を聞いておりますと、ためにする、これを実施しないための答弁であるような感じがしてならないわけであります。ですから、こうした問題を解決するあるいは前に進むという積極的姿勢があるかないか。と申しますのは、その他のいろいろな教育内容などにつきまして、それぞれ各県教委に対する指導などについては一々呼びつけてとっちめているわけですからね。こういう問題については何かの会議のときにだけ要請する程度で終わっているわけでしょう。ですから、積極的姿勢があるかないかということが、この問題を解決するか否かの大きなかぎであろう、私はこう考えております。
○馬場委員 大臣、大臣の答弁を聞いてまた局長の答弁を聞いておって、幼児教育というものについては全く無責任だという感じがします。そして成り行き任せだという感じがするのですが、例えば小学校は明治三十二年からですか三年からですか、だあっと減ってきている。幼稚園は八十年くらい四十人ということでしょう。これは放置しておったという以外の何ものでもないし、今答弁があったように、積極的にやろうと思えば法律をつくってリードしなければならないし、法律をつくらなかったからこういうぐあいに放置しておった、こういうことにも実はなるわけであります。しかし、現状は三十人ですとか三十二名ですとかおっしゃっていますけれども、これこそ成り行き任せでそうなったのであって、何も文部省が幼児教育を充実しようと思ってそうしたわけではないわけでございます。またこれも平均でございまして、多いところはまだ四十人というところがあるわけですから、そういう点で成り行き任せというか、無責任というか、将来に対して責任を持って、展望を持って一生懸命やろうという意欲が全然感じられない、こういう気がいたすわけでございまして、やはり幼児教育は本当に大切です。非行とか暴力とかそういう点の芽生えというのは幼児教育を大切にしないというところからそういうのが出てくることも多いわけでございます。 そこで、これも両方に御質問いたしますけれども、文部省、今あなた方の基準は四十人だから、これでいいと思っているのだから、悪いと思っていれば変えるわけでしょうから、四十人で行き届いた教育ができると思っているのか思っていないのか。これは中身をはっきりイエスかノーで答えてください。四十人で幼児に行き届いた教育ができるかどうか。こういうことについてまず文部省にお尋ねして、現場の実情を御存じと思います提案者からもお答え願いたいと思います。
○高石政府委員 幼児教育を振興普及させなければならないということで、幼児教育のための振興十カ年計画をつくるとか、それから公立、私立の幼稚園の整備のための助成を出すとか就園奨励のための助成を出すというようなことで、幼児教育の必要性の観点に立って文部省としてそのための諸施策を講じてきたことは先生御存じのとおりだと思うのです。ただ、そこの学級編制とか教職員の定数関係につきましては、御指摘のような改善が今日まで行われていない、その指摘もそのとおりでございます。 問題は、四十人よりも特に幼児期においてはもっと数が少ない方がいいという実態があることは事実でございまして、先ほど申し上げましたように、二十九人というのがその実績の平均でございます。したがいまして、そういう方向での改善ということは、将来の方向としては当然目指していかなければならない問題であると基本的には思っております。 ただ、その際に、先ほども申し上げましたように、幼児教育を担当する私学が大体七五%、八割近く私学が幼稚園を経営しているという実態。そうなりますと、公立が先行して私学はついてこいと言うわけにいかない。むしろ、その最も中心の役割を担っている私立学校関係者、そしてそこに通わしている親たちの気持ち、そういうものの幼稚園の条件改善のための声がもう少し全体的に上がっていくということの雰囲気づくりが必要であろうと思うのです。そういう点で、我々は事務的に、幼稚園の私学関係者にもまた公立の関係者にも、四十人問題についてはもう少し具体的にやり得るような雰囲気づくりはやはりしていく必要があるのじゃないか、そういうことでの検討をお願いしたいということを幼稚園団体に対してはお願いをしているわけでございます。したがいまして、そういう態勢の雰囲気づくりと、もう一つは国の財政状況、そういうものとのかかわり合いがございますので、そういう地方交付税による財源措置を講じてきておりますけれども、そういうものとの関連を配慮しながらこの問題については進めていかなければならない、基本的にはそう考えているところでございます。
○中西(績)議員 今度こういう問題をやるということをお伝えしましたところ、何人かから現場の実態を訴えた手紙が来たのですよ。ちょっと長くなりますけれども、それを見ますと、一つは東京の台東区のある教師から、以前は四十人、四十三人を担当していたが、ここ数年園児数が減り、二十人から二十五人、今年は十九人の学級を担任して、一人一人の子供の様子がよく見えて、改めて園児の育ちそびれの状態を目の当たりにいたしまして、この四十人学級が幼児たちの育ちにとって適切でないことを痛感したという訴えをもらいました。 この中身をずっと見ますと、学級の幼児の中には、個人差があるとはいえ、四歳児時代に当然獲得されているべきこと、例えば運動をするに当たりましてもいろいろ多くの問題が出ております。片足けんけん飛び、けんぱ飛び、スキップなどが全くできない幼児が十九人中三分の一以上いること。また、きちんと座って教師の話が聞けず、途中ふらふら立ち歩いたり、順番を全く守らず飛び箱などをやってしまう子、ひとりでしか遊べない子、何をやっても自信がなかったり意欲的でない子が多いのが大変気にかかります。そして、特に幼児期におきましては、人格形成上自分本位にしかものがとらえられなかった子が、いろいろな生活の場面で友達とぶつかり合い、具体的な場面で教師が仲立ちとなり、相手には相手の考えや気持ちがあることを知らせていく、そのような積み重ねの中で感情の分化、コントロールを学んでいくことが大切なのではないでしょうか。そのとき教師の役割は重要であり、きめ細かい対話が必要になっていきます。現代の子供の非行化、単純化の要因の一つに、幼児期の教育のあり方が大きく影響していると言わざるを得ません。四十人学級ですと、教師の指示のもと、一斉的な活動が多くなりがち、幼児一人一人の努力の過程を見るよりも、できたかできないかの評価のみに陥りやすいことは否めません。つまずきを見つけ、励まし、できたよ僕も、という自信の積み重ねこそが自立した意欲的な子供を育てる基礎と思います。こういうぐあいに言ってきておりますし、さらにまた別の人からもこれに近い内容でもって具体的な現場の声として出ております。 特に、二十五名の学級になったという経験を持っている人から言わせますと、五十人受け持っておったころと比較しますと個々への指導が大変立てやすくなってきた、今までは見落としがちであったものがこうした面で一人一人を大事にすることができるようになったということを強調いたしておるわけであります。しかし、問題は、今度はもし今これ以上幼児が減ってくると、今のままだったら学級減でまた四十名に逆戻りをするわけですね。こういうことだって起こるわけでありますから、ぜひ早くしてほしいという願い等が出ておるということを申し上げまして答弁にかえたいと思います。
○馬場委員 今の手紙にもあるわけですが、教育というのは子供一人一人をよく見なければ、子供が見えなければ教育にはならぬわけでございまして、あの小さい子供を四十人、これは一人一人の子供は見えないわけです。そうしたら教育にはならぬわけですから、今例えば臨教審で自由主義教育であるとか、個性主義、個性の尊重だとか言っておるわけですが、これこそ行き届いた教育をしなければ、今議論されておるのは空理空論、何かしら教育を教育的に論じなくて政治的に論じてみたりあるいは経済的に論じてみたり、そういう論としか私には映らないわけでございます。 今、園児もどんどん減っているわけでございます。答弁にもあったのですが、また四十人に逆もどりということだって考えられるわけでございますから、この減っているときに定数をきちんとつくって、行き届いた教育、子供の見える幼稚園にする、こういうことはぜひ早くやらなければならぬ問題だろうと思います。 時間が非常に短いわけでございますので、次に移らせていただきますが、学級数しか先生がいないという幼稚園がほとんどと私は把握しておるわけでございます。学級数しか先生がいない、その先生が病気をする、あるいは労働基準法に従って年休をとるとか生理休暇をとるとかいろいろやりますと、その学級は先生がいない。こういうことで、学級数しか教員配当がないということは、実際問題として、教諭の働く人の権利とか労働基準法とかも認めなくてもよろしい、あるいはいないときは教育しないでもよろしい、こういうような姿に見えて仕方がないのですが、学級数掛ける一で、それだけの先生で幼稚園教育ができるのかどうか、これをまず文部省にお尋ねしたい。
○高石政府委員 学級数の教諭しかいないという園は、全体の約四〇%がそうでございます。この場合には、そのほかに園長というような職種が置かれているわけでございます。したがいまして、教諭が休んだ場合には園長がかわりに保育をするという形とか、ないしは非常勤の講師等によって対応するとか、いろいろな工夫を凝らしながらやっているわけで、必ずしも十分とは言いませんけれども、その人が病気で休んだ場合には身動きができない、幼児教育ができないという実態にはないと思っております。
○馬場委員 ちょっと幼稚園教育を放棄なさっているような感じですね。じゃあ、二人先生方が例えば労働基準法に従って休んだときには、園長は一人しかいないわけだ。幼稚園には園長のいないところもあるわけだから、そういうところはもう放棄にしかならぬわけです。非常勤だって、この先生がいつ病気になって休むかはわからぬわけだし、非常勤をしょっちゅう置くわけにはいかない。そういうつけ焼き刃的なことではもうお話にならない。そういうことを予想しながら、学級数掛ける一・五とかということでさらに行き届いた教育をしなければならぬと私は思うのですが、時間が余りありませんので、園長がいない園なんか考えられない、また学級数掛ける一なんという幼稚園は考えられないということは申し上げておきたいと思います。 次に、先ほどから私立が多いとおっしゃいましたけれども、今幼稚園に対する父母の負担は非常に大きいわけでございます。五十八年度文部省調査で、公立の小学校は十六万五千二百円、中学校は二十五万九千七百円、これが父母負担として出ておるわけですが、幼稚園になりますと、公立は十六万九百円、私立は何と三十万一千六百円の父母負担になっておるわけでございます。 こういう点について、私立が多い、だから文部省は責任逃れみたいなことをおっしゃいますけれども、私立幼稚園にやっている父母も日本の国民です。税金は当たり前に納めている。そういう中で、例えば小学校十六万、中学校二十五万、公立の幼稚園十六万、そういうときに私立の幼稚園にやれば三十万、倍以上。この教育費地獄、幼稚園地獄、幼稚園貧乏と言われるような状態を文部大臣はいかがしようと考えておられますか。
○松永国務大臣 先ほどから馬場先生は、文部省が幼稚園教育について成り行き任せでほっておいたみたいな話をしていらっしゃったわけでありますけれども、我々は幼稚園教育の重要性を認識しておればこそ、振興七カ年計画を立てて、父母負担の軽減という立場から就園奨励費をつくって国で補助するという仕組みをスタートさせ、年々厳しい状況でありますけれども、そのための予算を確保してきた。あるいは私立の幼稚園に対しては、私立の小中高、大学と同じように私立学校振興助成法という法律を、一部反対はありましたけれども、通過成立させて、それに基づく経常費助成を実行し、厳しい財政状況の中で六十年度も前年同額の予算を確保して、私立幼稚園に対する経常費助成をすることによってその反面の効果としては、父兄負担が過重にならぬような配慮をしてきておるわけであります。 問題は、財政との関係が出てくるわけでありまして、今提案されている案によりますと、大ざっぱな勘定で新たに四万人程度の教職員の増につながってくるわけでありまして、そうなってくると、小中学校の教員よりは年齢が若い人が多いようでありますのでそれは違うと思いますけれども、千億台の公費の増額が必要。また、これが私立の方に参りますと、全体として七五%が私立幼稚園でありますから、その割合でいけば教員数をふやしていかなければならぬということになってまいりますと、これまた数千億の父兄負担の増にもつながってくるという、父兄負担の増加の問題もあるわけでありまして、限られた財政状況あるいは国民負担ということを考えるならば、現実可能な中でできる限りの施策を進めていくというのが我々の立場なのであります。
○馬場委員 文部大臣がどう言ったって、何か枝葉のことを弁解しているような感じがしてしようがない。幼稚園教育を振興しようという意欲も我々は全然感じないのです。 私は、臨教審でどういうことをやっているのか、保育園と幼稚園の一元化の問題も聞こうと思ったのですが、時間が来てしまいましたので、最後に一つだけ文部大臣と提案者に聞きたいと思うのです。 前にこれを審議したときも、私も聞いておったのですが、前の森文部大臣は、社会党が出しておるのは大体において賛成なのだ、いいことだ、趣旨に反対はないのだ、ただし財政の問題がいろいろございましてというようなことで、このねらいとする思想といいますか、意欲といいますか、これには賛意を表して、あとは財政をどうやりましょうかと、その辺に非常に問題点を感じておったのでございますが、まず文部省、今提案しておりますこの法律について、どう文部大臣は考えておられるのかということと、それに対しまして、今まで出ましたことについて、ぜひこれを通していただきたいということを提案者は考えておられると思いますので、最後に、その辺のことについて御意見を間がせていただきたいと思います。
○松永国務大臣 公費の負担増は国民の負担がふえるということになるわけでありまして、この法律案によって受益する者も国民の一部だと思いますが、しかし、負担する者もまた国民であるわけでありますから、そのバランスを考えた場合におきましては、なかなか困難な問題だというふうに考えるわけでございます。
○中西(績)議員 先ほど文部省の方からの答弁などございましたけれども、私は、一つだけ忘れないようにしていただきたいと思いますのは、臨教審で意見を聞いた中で、全国国公立幼稚園長会の意見、これも全部、一学級の定数の引き下げというのが出ているわけですよ。そして、現行の四十名以下を、三歳児については十五名という、我々の案より五名低い案を提起しています。四歳児、五歳児は三十名以下ということになっています。それから、まだほかにたくさん、養護だとかいろいろなものがありますけれども省きまして、全日本私立幼稚園連合会という、これは幼稚園三団体が一本化された組織でありますけれども、ここでもそのことが明確に出ておるわけであります。それは「学級定員数を再検討し、設置基準を見直す必要がある。」ということを強く第一項にうたい込んでおるわけであります。そして、教員一人当たりの園児数を減少して教育効果を高めることが重要であるということをはっきりしております。 ですから、私たちだけでなしに、既に私立の幼稚園経営者すべてを含めましてそうした意見を持っておるということを知ってか知らずか、文部省はああいう答弁をいたしておりますけれども、私はぜひこの点を考えていただきたいと思います。 それから、公費負担がふえることは国民の負担増につながることだということを言いますけれども、予算は使い方によってふやすこともできるし減額することも可能なんですよ。例えば、行政改革問題が出てからこの四年間をずっと見ますと、教育費についてはわずか二・一%の伸びですよ。このことは何を意味するかというと、マイナス予算であるということなんです、四年間ですから。それじゃ防衛費だとか軍事費というのはどれくらいかというと二七・八%でしょう。あるいは海外開発援助費だとか、こういう私たちが今最も問題にしなくてはならぬような予算については膨大な予算をつけながら、ふやした分にまたふやすのですから、これは倍々ゲームですから、全く質が違うんですよ。 こうしたことを考えてまいりますと、このことに対して積極姿勢があるかないかによって結論が出るのではないだろうか。したがって、ぜひそうした点をすべての党の皆さんで御勘案いただいて、ぜひこれを通していただきたいと思います。 特に自民党の皆さんに私が申し上げたいのは、昨年でしたか、私立幼稚園に対する助成を三年間延長するときには、これは議員立法で提案したんですよ。そして、多数をもって強引にこれは通していったのですから、今度は少数であろうと、このことは採決をしていくなり何なり、ちゃんとけじめをつけていただきたい、こう考えております。
○馬場委員 大臣、あなた本当に公費をふやすことは国民の負担がふえるんだと、変なところでごまかして言っていますけれども、あなた予算を見てごらんなさい。文教予算なんというのは、総予算に占める比率が、この十年来、一四%ぐらいからだんだんだんだん下がって、ことしはもう九%を割ったでしょう。GNPに占める教育費なんというのは、諸外国の七%、八%より日本はずっと下しゃありませんか。使い方なんですよ。そういうことで、今も発言がありましたけれども、問題は金じゃないのです。これは本当に幼稚園教育をよくしようとする心の問題なんだ。意欲の問題なんだ。 そういう点で、時間が非常にございませんので、少し過ぎましたけれども、ぜひこういう点を考えて、前の文部大臣は、これはいいことだ、あとは金の問題で苦労すると。ところがあなたは、いいことだとも答弁しない。しかし、もう時間がないから、これだけ言っておきますけれども、十分ひとつ考えてやっていただきたいと思います。 終わります。
○阿部委員長 伏屋修治君。
○伏屋委員 先ほど馬場委員の方からの御質問もございましたけれども、私は冒頭に大臣の幼児教育についての御見解を承りたい、こういうふうに思います。
○松永国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、幼児期は人間形成の上で極めて大事な時期だというふうに考えております。昔の人はいいことを言ったと思うのです、三つ子の魂百までもと。したがいまして、幼児期にしっかりした家庭における教育やしつけ、そして幼稚園等教育機関における集団的な教育、これが人間形成の上で非常に大きな役割を果たすのでありますから、幼児期の教育はこれを重視して、そうしてより充実したものにしていく必要があるというふうに考えているわけであります。
○伏屋委員 非常に木で鼻をくくったような大臣の御答弁でございますけれども、それでは、国民の皆さんが幼児教育に対する大臣の見解というものに疑義を持たれるのじゃないか。極端に申し上げますと、教育の根幹はやはり幼児教育にあるのではないか、こう言っても私は決して過言ではないと思います。ともすれば、今表面化しておるところの校内暴力とかあるいは家庭内のいろいろな問題とかトラブル、いろいろございます。それのもとをただしていけば、やはり幼児教育にあるのではないか、私はこういうふうに考えるわけでございます。 今、この委員会の会議の席上に見える皆さん方は、それぞれお子さんを幼児からお育てになった経験者ばかりでございます。私もその一人でございますけれども、やはり自分の子供を育てる難しさというものは痛切に私も感じてまいりました。本当に自分の子供なりに、その子供が一日の中でどういう心の動きをしておるのか。その心の動きを敏感に親が察知して、そしてそれをほめ、あるいはまたしかり、そういうような中で初めて基本的な子供の性格形成ができてくる、こういうことを考えたときに、幼児教育の重要さというものはそこにあるのではないか。ここの定数の問題にしましても、やはり自分の子供一人の心の動きもなかなかつかみ切れない、そういう中で親の考えを子供に押しつけていく、しかも学歴社会である、大学入試の壁は厚い、こういう中で親は過酷な親の思いを子供に押しつけていく。そこに、今の教育荒廃の大きな要因があるのではないかと私は思います。 そういうことから考えれば、幼児教育というものにもっともっと視点を当て、そして大人が精力を傾けて幼児教育を振興していかなければならない。それが二十一世紀にわたる教育の大きな立て直しにつながっていくのではないか、このように私は考えるわけでございますけれども、大臣はその面について、今のような御答弁でなくて、もう少しお考えを具体的にお聞きしたいと思います。もう一度御答弁をお願いします。
○松永国務大臣 先ほど私の幼児教育に関する基本的な考え方は申したつもりでありまして、中身においてはつけ加えることはございませんが、一番大事なことは、子供が生まれて最初に接するのは母親でありまして、まず母親が自分の生んだ子供を本当の意味の愛情を持ってきちっと育てていくということから幼児教育は始まると私は思います。そして、その母親の言うならば協力者が父親である、そういうことで家庭内できちっとした教育をすることがまず第一。発達段階からいってもそうですね。 そして、早い人は三歳、遅い人で四歳あたりから幼稚園というところで集団的な教育を受けるわけでありまして、外と継続的に接しながら、訓練の場、教育の場、それが幼稚園から始まると思うのでありますが、その幼稚園で教師から幼児の発達段階に応じた教育がなされていく、これもまた人間形成の上で極めて大切であると思うわけであります。 家庭における子供の育て、しつけの問題でありますが、私はそう難しいとは思っていないのです。私自身も二人子供を育ててきましたが、昔からそれぞれの家庭で子育てというのはしきたりもありましょうし、おじいさん、おばあさんから受け継いだ育て方もあると思うのでありますけれども、要は、本当の人間らしい愛情を持って、先ほど先生も御指摘のありました、甘やかすだけが能じゃありませんから、守るべき規律なども子供のときからきちっと教え、しつけていく、そしてまたかわいがりもする、緩急よろしきを得て育てていくのが家庭における子育ての基本ではなかろうかなと思うわけであります。 なお、幼児に対して、それは過酷なことを要求したりすることは私はいかがかと思うのでありますが、親が子供の育ちぐあいその他を見ながら適切なアドバイスをし、また時には、それはいけないということがあればいけないことといいこととの区別をきちっとつけさせるような教育やしつけも大切なことであると思うわけでありまして、そういう意味では、家庭における教育と幼稚園における教育、そしてまた、幼稚園も四歳児、五歳児になってまいりますと社会とのかかわりも出てまいりますから、幼児が育っていく上で有害な環境等がないように、やはり社会全体も幼児の健全な育成のためにいい環境をつくっていくということも必要であろう、こういうふうに思うわけでありますが、そういうあらゆる面で幼児の健全な発達のために努力をしていくのが我々の務めであると思っているわけであります。
○伏屋委員 この論議で時間を費やしても申しわけございませんが、御家庭の母親の子供に注ぐ愛情、そしてまたそのしつけというのは非常に基本であるということは私も同感でございます。そういう中でも、今大臣もお二人のお子さんがあるとおっしゃいましたけれども、お二人のお子さんの性格はそれぞれ違うことは認められると思いますね。私も子供が二人おりますけれども、上の子と下の子とではおのずから性格が違ってまいります。考え方も違います。母親の同じおなかから生まれてきた子供であっても、そういうような性格の相違というものは自然に身に備わってくるわけでございます。ましてや幼稚園の教育の中で、家庭教育を経て幼児教育の最初の集団生活をする幼児にとりまして、少ないにこしたことはないと思います。今のように二人の自分の子供ですら知らず知らずのうちに違う性格形成を親がしてしまうというようなことから考えますと、そういうような家庭での性格のひずみが出ておる、幼児教育においてそれを正しい方向に是正していくということになれば、幼稚園の一学級当たりの人数は少ないにこしたことはない、このように私は考えるわけでございますけれども、その辺、提案者はどうお考えでしょうか。
○中西(績)議員 今言われました松永文部大臣のお言葉を返すわけではありませんけれども、結局、保育の時期——家庭、家庭と言いますけれども、両親が、特に女性の権利を認めるといたしましたならば労働するということを認めざるを得ないわけですし、そうしますと勤めに出ることになるわけですが、そうすると家庭ということにはならないわけなのです。少なくとも三分の一の時間は保育所なり何なりでこれをお願いするということになるわけでありますから、そうした中における零歳児から五歳児までの間における就学前幼児教育をいかにするかということの基本的な踏まえがないと、今いろいろ言われている問題について解明ができないのではないかということを私は申し上げたいと思います。 ですから、先ほど言われておりましたように部分部分の論議でなしに、根幹をなすその柱は何かということを中心に据えていただいた上で、幼児教育をどうするか。この前の論議の際にもございましたように、文部省も教育要領等を含みまして見直しをしなくてはならぬということを言い始めておるわけです。そうした大勢があり、しかも協力者会議なるものを設置いたしまして、既に専門的に論議が始まっておるはずなのです。では、なぜそういう論議が始まったかということを大臣が十分御検討願って、そうした部分についてのさらなる深い、温かみのある施策をそこからお出しいただければと思っております。
○伏屋委員 教育の最高責任者である文部大臣また文部省の方々も、日本国の国民の教育ということに対しての深い配慮を払っておられることは私もよく理解しておるわけであります。限られた財政の枠の中でいかに国民的な教育水準を上げるかということで御努力なさっておることはよくわかるわけでございますが、私が先ほど申し上げたように、幼児教育の重要性、教育の根幹にかかわる問題であるという認識に立って、限られた財政の中でもより積極的な姿勢を示していただきたい、私はこういうふうに要望したいと思うわけでございます。 さきの百一国会におきましては、森文部大臣も、これは教育基本法の第一条に示す人間形成の中で最も大事なところが就学前だというような認識をしておみえになります。そういうことを認識する流れの中でこれからの幼稚園の教育というものにスポットを当てていかなければならない。そういう意味からも、調査研究協力者会議というものの中でそういう論議もしていきたい、こういうような大臣答弁が先国会にあったようでございます。そういう面で、そういう調査研究協力者会議での論議の模様、あるいはどういう点から論議されたのか、そのあたりをお聞かせいただければと思います。
○高石政府委員 幼稚園教育要領に関する調査研究協力者会議を発足させて、今論議を進めているわけでございます。まだ結論をまとめる段階にまで来ておりませんが、一つは、実態がどうなっているかということで、保育内容全般にわたりまして、各園で行われている実際の調査をやったわけでございます。その調査の集計をもとにいたしまして、今後どうあったらいいかということを論議していくという後半の状況に差しかかっているところでございます。したがいまして、御指摘のように、幼児教育の重要性、そして幼児期における教育の役割の重要性、それを十分踏まえて今後の幼児教育展開のための示唆をいただきたい、こういうふうに思っているところでございます。
○伏屋委員 具体的なお話は何も聞かしていただかなかったわけでありますが、今論議のさなかであるということで、結論めいたことはお話がございませんでしたが、先ほど申し上げましたようなことも含めてさらに積極的な論議を推進してもらいたい、このように思います。 それから、小学校の七十人定員というのは、これは明治三十三年ですか、小学校の学級規模七十人以下と定められたときに、幼稚園は四十人以下とされた、こういう非常に長い歴史があるわけでございまして、先ほど馬場委員に対する答弁の中で、現実的には一クラス当たりの幼児数は三十名程度になっておるという局長の御答弁もあったわけでございますが、それともう一つは、今出生率も低下し、幼児が減少傾向にあるという今のときを考えれば、相変わらずこのような形で四十人以下、昭和三十一年ですかの設置基準の中でも四十人というふうになっておりますけれども、そういう現実に照らしまして、定数を非常に幅を持たせるのではなくて、現実に合わせて定数を変えていく、こういう御意思は文部省の方にはあるのですか。
○高石政府委員 現在の時点で直ちにその内容改善を進めるということは非常に困難であります。ただ、方向といたしましては、条件の改善というのは常に考えていかなければならない課題であるというふうに思っているところでございます。 したがいまして、先ほどの協力者会議等においても、そういう面での論議も今後行われていくであろうと予想しております。また、臨教審においても、幼児教育の問題が論議の対象にされておりますので、そういう場でも論議されていくと思います。そういう論議を十分踏まえた上で、将来の課題として、改善のために努力していかなければならないというふうには認識しているところでございます。
○伏屋委員 その辺がこれから論議されるということでございますけれども、現実に合わせて、やはり定数改正の法案も今出されておるときでございますので、積極的にこれは、提案者の方からすれば再提出してもらいたいという希望があるわけでございますので、より加速して審議をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 提案者の方はどういうお考えを持ってみえますか。
○中西(績)議員 今御指摘ございましたように、実態としては、先ほども申し上げましたように、約六〇%近くが公立、私立ともに三十名以下の学級になっておるという実態です。それとあわせまして、今言われましたように園児の数は年々減少の傾向にあるわけでありますから、これを二つあわせ考えてまいりますと、先ほどから出ておるような、私立幼稚園に大きな影響があるだろうとかいろいろありましたけれども、先ほど私立幼稚園の代表者の集まりの中での臨教審に対する要請の項目の中では、むしろ一学級の定数を下げてほしい、さらに、充実した教育が実施できるように一人当たりの園児数を減少させてほしい、こうした意見等、また、国公立の場合ももちろんでありますけれども、出ておる現状を考えてまいりますと、私たちが今期待をし、願っておるその中身というのは、決して間違いではないし、また多くの父母の願いでもあろうと思っております。 したがって、そうした立場に立ってこれを論議してまいりますと、やはり何と申しましても、条件としては、今までの論議の過程の中におきましても財政的に困難だということ一つだけが今残っておるわけでありますから、この財政的なものを、先ほど四万人増員をさせなくてはならぬとか、あるいはある人に言わせると一千四百億も増額させなくてはならないなどという説明がなされておるようでありますけれども、五年間の推移を考えてまいりますと、五年計画で実施をしたいということでありますから、一年にそのような膨大な予算が必要ではないし、また膨大な人員を配置する必要もないわけであります。今むしろ、臨時でたくさんの人を雇って、これを緩衝にして、依然として設置基準の中にございますように、三分の一以下であるならばそうした臨時の方を採用してよろしいということになっておるわけでありますから、そうした措置がとられておるということであれば、これをむしろ固定化することによって、さらにそこに収容できる人員を配置させながら、そして私の計算によると、先ほど大臣でしたかあるいは初中局長が言った四万人というのは、増員する分だけを出したのではないかと私は思いますよ。これからどんどん園児の数が減っていくわけですから、その分についての教諭の減員分についてはここでは触れておらないのではないかと思うわけであります。また、一千四百億そのものにつきましても、必ずしも一年間にそれが要るわけではありませんし、戦闘機なりあるいはP3Cを一、二機操作しさえすればこれは実現できる可能性のものであるというように認識いただければ、私たちは正面装備をここでは論議できませんけれども、本当に温かみがそこにあるかどうかということを考えていただければ、このことの実現性、可能性というのは私は大変大なるものがある、こう申し上げて、答弁にかえたいと思います。 〔委員長退席、白川委員長代理着席〕
○伏屋委員 その定数の四十という問題でございますけれども、市の条例などを見てみますと、四十人以上の学級定数というものを条例で定めている自治体もあるように聞いております。その実態は、文部省の方はどのように掌握をしておみえになりますか。
○高石政府委員 市の条例でそういうことを決めている実態を調査したことがありませんので、手元でわかりません。
○伏屋委員 早急に文部省当局も一遍調査をしていただきたいと思います。 提案者の方はその実態を掌握しておみえになりますか。
○中西(績)議員 この分につきましては、過密都市におきましてそうした状況があるということは聞いておりますけれども、それを個別的に今ここで申し上げる内容を持ち合わせしておりません。ただ、問題は、私立の幼稚園の場合にもそうした状況があるやに聞いてはおりますけれども、具体的な内容についてここで提示することはできません。
○伏屋委員 これは早急に調査していただいて、そういうような自治体があったら、文部省としましても積極的な指導をしていただいて、できるだけ定数は少ないことはいいわけでございますので、そういう方向で指導をしていただきたい、このように御要望を申し上げます。 それから、三歳児三十六人以上の学級、それから四十一人以上の学級もあったりしまして、いろいろ複合した学級編制がふえておる、こういうことも実態としてあるようでございます。それも皆、財政が苦しいということからそういうような複合学級というような方向をたどらざるを得ない、そういうところもあるようでございますけれども、そういうところでの教育効果というものは余り期待することはできない、このように私は考えるわけでございますが、そのような実態は掌握しておみえになりますか。文部省それから提案者から御説明いただきたい。
○高石政府委員 その実態も調査しておりませんので、具体的内容を承知しておりません。
○中西(績)議員 先ほどの質問でございますけれども、これは文部省の学校基本調査によるということでありますけれども、五十九年度は公立の幼稚園で四十一人以上が〇・二%、それから私立幼稚園の場合四十一人以上が四%あるのです。これは文部省が調査した結果なんですよ。今文部省はそうしたケースを持ち合わせていない、してないということを言いますけれども、これはどうかと私は思います、ここにございますから。これはきょうようやくもらったばかりですから、五十九年度の「学校基本調査速報」、この分についてまだ完全にあれしてございませんけれども、そうした中身が出ておりますから、この点はひとつ文部省にもう一度お尋ねいただければ——調査はしてあります。
○伏屋委員 今提案者の御説明がありましたけれども、文部当局の方はその実態調査をしておるという事実を踏まえて、それをもう一度御説明願いたいと思います。
○高石政府委員 先ほどは具体的にどういう市町村でそういう条例をつくって決めているかという質問でありましたので、具体的市町村名はわからないと……。ただ、統計的な数字として、全国で各府県を通じて文部省が全体的な数字の傾向を調べる、そういう結果のデータはあるわけでございます。したがいまして、その数字は先ほど提案者の方から説明のあったようなことでございます。ただし、具体的にここの市町村でそういうふうに決めているとか、そういうところまでの調査はしていないのでございます。
○伏屋委員 そういう実態があることは間違いがないわけでございますので、より幼児教育の重要性というものにかんがみながら、それに対しての文部省としての積極的な指導をしていただかなければならない、このように思うわけでございます。 そういう点で、もう一度局長から、そういう実態がわかれば、そういう実態があると考えて文部当局としては教育効果上マイナスであるという面での指導をどのように具体的に進めていくか、お答えいただきたいと思います。
○高石政府委員 これは四十人以下を原則とするわけでございますから、四十人を超えることは文部省の指導としても本来望ましいことでないのでございます。ただし、過密地域一都市地域で園児数が、どうしても公立に入れなければならない、教室をつくる暇がないという状態のときに、それを一人、二人入れていく、そういうような状況で四十人を超えるというような実態は存在し得ると思うのです。そういうものはやはりやむを得ない事情による条件でございまして、これが今後四十一人以上を恒常の姿にするというのであっては非常に困るし、そういうことについては指導してまいりますけれども、臨時的な、緊急避難的に入れた結果四十一人を超えているときがあった、それはやむを得ないと思っておるところでございます。
○伏屋委員 確かに、地方財政もかなり逼迫しておりますので、そういう施設に投資するだけの財政の余裕がないから、緊急避難的なそういう定数増ということもあると思いますけれども、我が国の行政の一番の欠陥は、どちらかと言えば縦割行政であると言われて久しいわけでありますので、そういう面、自治省ともよく検討を重ねて、やはり鉄は熱いうちに打てとよく言われますが、教育というものは瞬時もおろそかにすることができない、それだけに自治省の方にも強くそういうようなことを要望し、地方財政のために教育に欠陥が生じないような手当てを文部省としても積極的に進めていただきたい、このように思います。その面は御答弁結構でござます。要望といたしておきます。 それから、先ほど馬場委員の方からも御質問がございました、学級数と教師の数が同じであるということ、そして、教師がトイレにもあるいは電話にも行けない、また、ましてや年休をとることもできない、こういうような実情の中で、文部省としては専任園長を置こう、こういうような考えがあるように聞いております。専任園長の置けない兼任のところでは教師を一名増員する、そういうような方向で行政指導なさっておると聞いておるわけでございますが、その辺の進行状況がわかれば、御説明いただきたいと思います。
○高石政府委員 地方交付税による財源措置によって、幼稚園の教職員の給与、定数を保障しているわけでございますが、交付税における財源措置としては、プラス一の専任が置けるというような形で財政措置を講じているところでございます。したがいまして、そういうことを踏まえて、それぞれの幼稚園教育に支障のないような形で、少なくとも専任の園長が得られない場合にはそれにかわる人を置いて、教育上支障のないようにしてもらいたいというふうに思っているところでございます。
○伏屋委員 提案者はこのことについてどうお考えですか。
○中西(績)議員 特に私が申し上げたいと思いますのは、一園につきましてそれぞれ学級数に応じて教諭数が配置をされる、私たちが一・五倍ということをこの法案の中に盛り込みましたのは、先ほどもいろいろ出ておりましたけれども、全く年休がとれない、あるいは生理休暇がとれない、あるいは病気になっても休みにくい。挙げますと幾つものそうした問題が出るわけです。先ほども説明がありましたけれども、大体四〇%がそのような学級数、同じ教員の数であるということと同時に、加えて兼任の園長ですから、例えば小学校の校長が幼稚園に来て常時おるわけはありません。そうなりますと、それまで加えると、公立の場合には約八〇%がそういう実態に置かれておるということでありますから、これを何としても解消しない限り、これは大変大きな問題として残りますし、私たちぜひこの点をまず第一に手がけるような、この点は設置基準というのは法律じゃありません、省令ですから、文部省がその気になれば先ほどから申し上げるように実施できるわけですから、何でもよろしいから一つずつ解消していっていただければと願っております。 それから、さっきあれしました、学級の定員を市条例でやっておるところが一つわかりました。これは大分県中津市には大変相済みませんけれども、中津市の教員から手紙が来ておりまして、一クラス四十五人の定員のためということで手紙が参っているわけです。ですから、何としても、文部省の方でそういう緊急措置としてやられておるように言っておりますけれども、そうでないよという指導を強めていただければと思っています。
○伏屋委員 幼児教育の重要性にかんがみまして、何としましても文部省もその重要性を強く認識されるならば、具体的な一つの実現できるようなものがなければそういうことを本当に考えておられるとは思えませんので、そういう面を踏まえて具体的に、なるほど幼児教育の重要性というものを認識し、それに対しての具体的な手を一つ一つ打っておるな、そういうことが国民にわかるような姿勢を文部省の方も示していただきたい。このことを強く要望しまして、質問を終わります。
○白川委員長代理 藤木洋子君。
○藤木委員 公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案を提案されました提案者の日ごろの御努力に敬意を表しまして、質問をさせていただきます。 まず、この質問に先立ちまして、私午前中に大臣に伺いたいことが二、三ございましたのですが、この時間を少し拝借いたしましてお許しをいただきたいということを、最初にお断りをしておきたいと思います。 午前中、私は、主といたしまして障害児学校教職員定数の未充足問題について、障害児学校現場の教職員または寄宿舎寮母の健康障害や妊娠障害の実態につきまして、障害児学校の適正規模につきまして、そして訪問教育の充実につきましてなどの質問をさせていただいたところでございます。 この際、二、三の問題を大臣にお尋ねさせていただきますが、最初に、未充足問題です。現行の定数法を満たすこともやらないで年次計画の達成はなかろう、かように思うわけですが、定数法の未充足分は緊急に充足されるべきであります。大臣が積極的にこの問題解決のために御指導くださいますようにお願いいたしますが、いかがでございますか。 〔白川委員長代理退席、委員長着席〕
○松永国務大臣 公立特殊教育諸学校の小学部、中学部の教職員定数の充足状況に関する御質問でございますが、全国的には昭和五十九年五月一日現在で九九・八%でございまして、前年度が九九・四、前々年度が九八・七ということでございましたので、年々改善されておるところでございます。今までもこうした教職員の配置をきちっとやって充足率一〇〇%にするべく努力をしてきているところでありますけれども、今後ともその徹底を期して努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
○藤木委員 徹底を期してというところに期待を寄せまして、ぜひよろしくお願いをいたします。 次に、教職員、寮母の健康実態につきまして、体育局長から示されましたものは昭和五十四年度の調査に基づいたものでございました。これでは現状の実態把握にはならないわけですね。しかもその上、最も深刻な妊娠被害につきましては調査されていらっしゃらなかったわけです。そこで、大臣、この調査を誠意を持って進められるようにひとつお骨折りをいただきたい、かように思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○松永国務大臣 調査するということを念頭に置きながら検討してまいりたいというふうに考えております。
○藤木委員 今年度していただけますか。
○古村政府委員 本年度できるように努力いたしたいと思います。
○藤木委員 ぜひお願いをいたします。 それから、病院や福祉施設に併設をされている障害児学校の劣悪さは私からも述べさせていただいたところですけれども、プールや体育館の設置率が極めて低くなっております。そのことにも示されておりますように、教育条件の抜本的な改善が急がれております。 それとあわせまして、訪問教育の充実、これは文部省が本腰を入れて取り組んでいただかなければならない極めて大切な分野だと考えておりますけれども、この点での大臣の御決意を伺わせていただきたいと存じます。
○松永国務大臣 訪問教育に係る教員の配置増の問題だと思うのでありますが、この点につきましては、第五次学級編制及び教職員の定数改善計画の中では、対象児童生徒数を三人につき一人の割合で教員を配置することとなっておるわけでありまして、この第五次計画が完成を見た暁におきましては三人につき一人という割合になるわけでありますから、授業回数が現在の週二回が週三回程度の実施が可能になる、そうなるようにこの計画を着実に達成するよう努力してまいりたいと考えております。
○藤木委員 着実にもさることながら、極めて急いでいただきたいと思うのです。障害児たちは年々成長しているわけです。この成長に応じて教育がきちんとできますように重ねて御要望させていただきまして、午前中の質問を打ち切らせていただきます。 児章憲章はその前文で、「児童は人として尊ばれる。 児童は社会の一員として重んぜられる。児童はよい環境の中で育てられる。」とうたわれております。今日の幼児教育は改めてこの原点に立ち返ることが大切だと考えます。幼稚園、保育所はともに幼児の心身の健やかな発達に必要な多様で変化に富んだ活動を保障し、学校へ入学してからの教育の基礎を築く就学前教育施設として重要な役割を担っております。 まず最初に、幼児教育の置かれている現状をどう認識し、その中で公立幼稚園が果たしてきた役割をどのようなものであったとお考えか、提案者にお尋ねいたします。
○中西(績)議員 先ほど来論議いたしておりますように、幼稚園教育あるいは就学前教育の置かれている位置づけというものは今質問者が申されたとおりであろうと思います。ところが、御存じのように幼稚園教育振興計画なるものが二回にわたって立てられ、文部省が二十年間熱心に指導されたようでありますけれども、その実態は私たちが期待をする状況には立ち至っておらない。なぜかと申しますと、先ほどから私が申し上げておりますように、設置基準でしかないわけです。ですから、先ほど局長が申されておりましたように、例えば第三条は「一学級の幼児数は、四十人以下を原則とする。」という文言になっておるわけです。しかも、五条の二項には「三分の一の範囲内で、専任の助教諭若しくは講師をもってこれに代えることができる。」さらにまたその他の面も、第六条を見ましても、「養護教諭又は養護助教諭及び事務職員を置くように努めなければならない。」となっています。小中高全体を見渡してみましても、このような内容の設置基準はありません。なぜ幼稚園のみは、例えば五条の、三分の一以内助教諭、講師でよろしいのかということを問い直す必要があるのではないでしょうか。あるいは第六条のように、養護助教諭を置くように、しかも「努めなければならない。」という文言にあらわされておりますように、幼稚園の位置づけは、口を開けば教育は国家百年の大計だとか、就学前の教育は、昨年のここでの論議にもありましたように、教育基本法第一条を引用いたしまして、大変重要だということを言われてはおりますけれども、具体的な施策というものが全然そこにはなかったと言いますと私は言い過ぎかとは思いますけれども、大変おくれておった。さらにまた、少ない時代からどんどん園児がふえていった時代に、緊急事態として次々に設置をしていき、適正配置すらも行われずにやってきました。ですから、もう配分状況は、設置しておられる地理的な条件、そういうようなものから全部類推をいたしますと、本当に混乱の中にしかこの幼稚園教育は行われておらなかったとしか言いようがないと思います。しかし、だからといって、その役割は大変重要な役割を果たしてまいったわけでありますから、こうした、特に人格の土台を築くのが幼児期であるということを中心に据えて、幼稚園を経営される方、あるいはそこにおられる教師を初めとする多くの皆さん、あるいは父母の皆さん、あるいは自治体、行政者の皆さんも、一生懸命であったことは事実でありますけれども、少なくとも公立幼稚園の場合におきましては、教育内容の水準の向上だとか、あるいは教育条件の一定の維持だとか、日本の幼児教育の中核としての役割を今まで果たしてきたわけでありますから、私は、やはりここでぜひこうした標準法なるものを設定をしていただきまして、そしてそこを中心に据えながら、私立の皆さんも現状は六〇%を超える、三十人以下になっておる現状を考えますと、あるいはまた園児数がだんだん少なくなってきているという現状から考えますと、総合的にいち早くそうした体制をつくり上げていくべきではないだろうか、こう考えております。そうすることによって、ますますこの公立幼稚園なり、あるいは幼稚園の就学前教育の果たす役割というものがさらに充実し、高まっていくのではないだろうか。そのことが、先ほどから文部省の方も言われておる期待をする幼児教育像なるものがそこには実現できるのではないか、こう考えております。
○藤木委員 幼児教育の置かれている現状は極めて劣悪であり不十分であったにもかかわらず、その果たしてきた役割が大きかった、私もそのように思います。文部省も、これまで公立幼稚園が果たしてきた役割について大きいものがあったと御答弁をしてこられたところでございます。昭和四十七年度からの幼稚園教育振興計画、これはもう終わっていますけれども、その後も助成措置を続けてこられました。当初の到達目標に照らしまして、どの程度まで整備をされてきたのか、具体的に文部省の方からお答えをいただきたいと思います。
○高石政府委員 昭和四十七年度を初年度とする幼稚園教育振興計画を策定し、昭和五十七年度当初までに、希望するすべての四、五歳児を幼稚園に就園させるという目的で計画を進めてまいったところでございます。 現在の状況を結論から申し上げますと、昭和五十八年度で幼稚園に就園している子供が六三・八%、それから保育所に通っている子供が三〇・六%、合わせますと九十数%というのが幼児教育を五歳児については受けているわけでございます。四歳児について申し上げますと、五十八年度で幼稚園が五二・三%、保育所が三〇・五%、八二、三%に達しているというようなことで、全体的に幼稚園と保育所両方で見ますと、就園を希望する子供たちが幼稚園教育を学ぶことが保障されているというか、実現している、こういうふうに理解しております。
○藤木委員 しかし、当初目標に依然到達してはおりません。文部省はその目標自体、現時点でどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○高石政府委員 今おっしゃったのは幼稚園だけの就園目標、十カ年計画では七〇・五%、これを目標としたということはそのとおりでございます。しかし、幼稚園だけの問題じゃなくして、我々としては、保育所、幼稚園両方存在するわけですから、そのいずれかで希望する園児が就園できる状態になっておれば実質上の目標は達成している、幼稚園の落ち込んでいるものは保育所の方でカバーされている、こういうふうに理解しているところでございます。
○藤木委員 そうしますと、この目標自体は現在も維持をしていらっしゃる、こういうことですか。
○高石政府委員 ですから、幼稚園の就園目標七〇・五が実績としては六三・八という状況になっているわけです。それは保育所の絡みで、就園を希望する子供が、四、五歳児が全部就園できるという保障は現在実現している、こういうふうに理解しています。
○藤木委員 私が伺っておりますのは、この目標自体についてどのようにお考えか、この目標は適切な目標だとお考えかということを伺っているのです。今の時点で。
○高石政府委員 まず、実質上の目標は、四、五歳児で就園を希望する者が全部就園できるというのが実質上の目標でございます。したがって、これを係数で表現した場合に、幼稚園で何ぼ収容し、それから保育所でどれだけ収容するか、そういうことになろうかと思います。したがいまして、この数字自体よりも、実質目標を達成している、こういうことを説明申し上げているところでございます。
○藤木委員 今日、幼児は減少期に入っておりますけれども、公立幼稚園でこの五年間にどれだけ新増設をされてきたのでしょうか。また、休廃園になったのはどれぐらいございますか。
○高石政府委員 五年で各年度ごとに違うわけでございますが、例えば五十四年度でございますと、百二十一園新設されまして、統廃合による減が七ということで、差し引き百十四。これが各年次ごとに漸次減少してまいりまして、五十八年度で申し上げますと、新設園が二十九、統廃合園が九、純増が二十というような状況でございます。五十四年から五十八年まで、五十五が九十四、五十六が六十七、それから五十七が三十六、五十八が二十九、こういう形が新増設の状況でありまして、統廃合が、五十四が七、五十五が九、五十六が十八、五十七が六、五十八が九、こういう状況でございます。
○藤木委員 私立の場合はそれぞれどうなっているか、おわかりですか。
○高石政府委員 私立も五十四から五十八までの数字を申し上げますと、新設百八十、統合二十八、差し引き百五十二、これが五十四年。五十五年は新設百九、統廃合二十八、差し引き増減八十一。五十六年新設八十八、統廃合四十四、差し引き四十四。五十七年新設六十二、統廃合五十四、差し引き八。五十八年新設三十八、統廃合三十六、差し引き二という状況でございます。
○藤木委員 廃園あるいは統廃合が出ているわけですけれども、これは幼児減少期に見合った適切な対策を文部省が講じてこられなかった結果ではないでしょうか。その点で幼稚園設置基準が重大なネックになっていると言わなければならない、こんなふうに私思うわけですけれども、以下クラス定数についてお尋ねしてまいりたいと思います。 文部省は、クラス定数について四十人というのがベストだとは思っていないと答弁をしてこられました。だからといって基準見直しも困難だ、こういう態度をとってこられたわけですけれども、見直しが困難だという理由はどこにございますか。
○高石政府委員 検討していく、それは当然必要なことでございます。その結果それを改正して実現していく、それは困難であるということでございます。困難の理由というのは、先ほども申し上げましたように、私学における経営の実態、父母負担へのはね返りの問題等の原因もございますし、国、地方を通じた財政状況という状況の判断もしていかなければならないということでございます。そういう観点で今直ちに改正をしていくということは困難であるということでございます。
○藤木委員 私立幼稚園のことをいろいろ引き合いに出されておっしゃるわけですけれども、クラス定数がどうなっているのか、その実態を把握していらっしゃればお示しをいただきたいと思うのです。いかがですか。
○高石政府委員 これは幼稚園の平均でございますが、これも五年間で申し上げますと、五十四年三十二・六、五十五年三十一・五、五十六年三十・五、五十七年二十九・九、五十八年二十九・七、五十九年二十八・〇ということで、漸次一学級当たりの園児数は減少をしているわけでございます。
○藤木委員 実態で言いますと、例えば先ほども提案者の方からもお話がございましたように、東京都の場合、公立て三十人以下のクラスが五六・七%、私立はさらに多いわけです。五七%になっています。既に公私立とも三十人以下のクラスが過半数になっているわけですね。それについてはどのようにお考えでしょうか。
○高石政府委員 そういう実態に応じて一クラス当たりの園児数が減少していることでございますから、そのこと自体は結構なことだと思っております。
○藤木委員 文部省は、四十人はリミットであって、これより少なくともよいということを言ってきたんだから、地方自治体がその限りでやる分は構わないんだ、こんなふうな姿勢だったと思うのです。けれども、口でおっしゃるだけでそれに伴う財政措置がなされないまま来たわけですから、実際には四十人に拘束されざるを得ないという状況だったと思うのですね。その点はどんなふうにお考えですか。
○高石政府委員 幼稚園で就園されている子供が六三%程度、先ほどこう申し上げたわけです。市町村によりますとほとんど保育所しかない、幼稚園がほとんどないという市町村もあるわけでございます。そういう前提で国の財源措置をどうしていくかという場合の、地方交付税上の財源措置の問題があるわけでございます。 したがいまして、地方交付税上は一定の幼稚園があるという前提で、しかも、その幼稚園の一クラス当たり、そしてそれに応ずる教職員定数を計算する場合に、標準団体で言いますと、クラス数に校長、教頭プラス一の教員を配当できるような交付税上の財源措置が講じられているわけであります。したがいまして、その範囲内でどのような幼稚園をつくり、学級編制をしていくかということは、ある意味では地方の自治であるというふうに理解するわけでございます。したがいまして、国が全部指示しなければそのように動かないというものではなくして、現にそういう財源措置の上に立って地方公共団体は漸次一クラス当たりの人数を減少させているというのが先ほど来の御指摘の数字でございます。
○藤木委員 随分虫がいい話です。現状が幼児の数が減ってきたことで学級定数が減っているということをとらえまして、それは結構だ、しかし四十名定数のこの数を変える気はないというお考えというのは、これは画一主義ではないですか。私は、融通がきかないといいますか、四十人学級にしがみつくようなことはやめていただきたいと思います。文部省自身が幼児減少期は内容改善のチャンスだとこれまでも言ってこられたわけですから。ですから、見直しを検討するというお考えがあるのか、ないのか、いかがですか。一度はっきりしていただきたいと思います。
○高石政府委員 先ほども申し上げましたように、協力者会議ないしは臨教審においても幼稚園の問題は検討の課題にされているわけでございます。したがいまして、当然そういうところでも検討されていくべき課題であると考えておりますし、検討してまいられると思います。ただ、具体的にそれをいつどうしてやるかという点については、今の時点で直ちに実現しろと言われても困難である、こういうのが私たちの現在の姿勢でございます。
○藤木委員 幼児教育に対する文部省の主体性が全くないということを私は極めて残念に思います。 提案者に伺いますけれども、今のやりとりをお聞きになっていらっしゃいまして、どのような感想を持たれましたか。また、一クラス二十五人以下という提案が実施可能だという点について御説明をいただきたいと思います。
○中西(績)議員 先ほどからたびたび申し上げておりますように、文部省、行政当局がこの種問題について積極的にやろうとする意思がないという御指摘については、私も同感であります。私はここにすべて尽きておるような感じがしてなりません。 先ほども申し上げましたように、いろいろ教育内容等につきましても、県の教育委員会なりを呼び出して強い指示を与えておる文部省が、このような教育の原点と言われる幼児教育に際しては、そのような財政がわざわざ地方交付税で措置されておりながら、実際に使われておる金額というのは決算の上からいたしますとそれよりさらに少ない額になっておる。だのに、金は余っておるのに、そうした行政措置をせよという指導すらも強く行っておらないという結果がそこにあると思います。それは文部省一流の、法律というものがないからです、法だ法だと言うわけですから、その法律がなければそれに拘束されない、だから自由だという言葉をここで使いましたね。極めて自由なようだけれども、その中身というのは放置に近い内容ではないだろうか、私はこういうことを強く感じました。 そこで、問題の、一クラス二十五人以下の状態をつくり出していけるかどうかという問題でありますけれども、先ほども触れましたように、東京都の実態からいたしましても全国の実態からいたしましても、既に過半数以上が三十人以下になっておるということは事実なんです。したがって、実際これからの問題といたしましては、教員数にしても、公立の場合には退職者が相当出ておりまして自然減、それからさらに結婚などによって退職される方などを合わしていきますと相当数の減があると聞いております。それとあわせましてもう一つは、園児の数がどんどん減少しておるわけでありますから、自治体によっては既に二十五人以下を実現させておるところがあるわけですね。しかし、それがあったとしても、そのことによって財政的に自治体が困窮をきわめ、実施ができなかったという条件はなかったと思うのです。 さらに、私立幼稚園の例を挙げますけれども、私立幼稚園の場合におきましても、良心的にやっておられるところ、あるいはそこの幼稚園が実施しておる熱心さ、その教育的質の高さ、そういう表現がいいかどうかわかりませんけれども、真に園児を中心にして園児のための幼児教育、これを重視してやっておるところでは、そうした少数、二十五人以下でも成り立っておるという実態が現在あるわけであります。 したがいまして、先ほどから言っておりますように、四万人必要だからとか、減っていく分については全然加算もせずに、計算もせずに、ふえる分だけを今こうしてやっているわけですから、今お聞きいたしておりますと、私は、全くもって内容的にも大変残念な気がいたします。実際にやればできる、積極さが出てくれば可能だということを私は確信をいたしておるところであります。
○藤木委員 現実に半分以上が三十人以下のクラスになっているわけです。提案者から、他の委員の質問に答えて現場からの手紙の紹介がございましたけれども、私も幾つか聞いております。先生方は最初、三十人以下になったらどんなにか楽になるだろう、こんなふうに考えられたそうです。しかし、実際は楽にならなかった、こうおっしゃるのです。しかし今までと違ってきたのは、従来は目立つ子や気にかかる子にばかり目が注がれていた、そうせざるを得なかった。しかし子供たちが減ってみると、一人一人の生活が実によく見えるように変わってきた。これこそ行き届いた保育であり、幼児教育の望ましい状況ではないかというふうに私は思うのですが、こういった報告は随分数多く出ております。今も提案者がおっしゃいましたように、やろうと真剣に思えばできることだと私も考えます。 次に、公立幼稚園教員の給与問題についてお伺いいたします。 幼稚園教員の給与の教育職第日表適用問題は、何回も議論をされてきましたけれども、大きな前進が見られておりません。 そこで、提案者にお尋ねをいたしますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
○中西(績)議員 この問題については、さきの委員会におきましても相当論議をいたしたところでありますけれども、人事院といたしましても、教育公務員特例法第二十五条の五の規定を引用いたしましていろいろ説明がございました。 そこで、文部省自体も、昭和三十二年七月二十六日付初中局長通知で各県に指導いたしたわけであります。したがって、人事院が規定をしておる教育公務員特例法第二十五条の五の規定、この趣旨に反してはならないということをこのようにしてわざわざ通知しておるにもかかわらず、残念ながら実施されておるのは二〇%を割るという状況でしかありません。 ですから、この点は、やはり先ほどから申し上げておりますように、こうした標準法がない、これも一つの大きな理由になっておるわけであります。地方財政法に基づいて基準財政需要額、これをはじき出すわけでありますけれども、その場合に、地方交付税の中には項目がないわけですね。小中の場合あるいは高の場合にはちゃんとそれがありましてやりますけれども、「その他の教育費」の中にこれが入っておる、そういう実態がございますので、全く地方自治体の財政運用の中でも疎外された形のものが出てきておる。そして今度は、教育法なりで位置づけされておる教職にありながらも、また、このようにしてたくさんの通知なり確認がされておるにもかかわらず、地方自治体では逆に、これを地方自治体の職員と同じ取り扱いなりで処理しておるという実態等があるわけですから、やはり何といってもその基本になる標準法なるものをまず第一につくっていただく、そして地方交付税の中にちゃんと項目を明確にさしていく、そういう態勢がまず一つの基礎固めであろうと思っています。それができ上がった上で、さらにこうした就学前教育が大変重要だと言われておるわけですから、そのことを強調して、地方自治体の教育委員会指導なりを強めていくことによってその位置づけを明確にしていただければ、一定の前進を果たすことが可能だと私は思っております。 以上です。
○藤木委員 時間が参りました。しかし、私は、クラス定数を大幅に引き下げて必要な教職員数を確保する、こうしまして幼稚園教育を充実させるという立場に立たない限り、(三)表適用について指導されても説得力を持たなかろう、このように考えるわけです。 そこで、文部省も指導を重ねていると答弁をしてこられたわけですけれども、ほとんど見るべき変化が起こっておりません。 (三)表適用の市町村の数、園の数、教員数の最も新しい資料を御説明いただき、それの改善をどのようにされていくおつもりであるのか、その御決意を聞かしていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○阿部政府委員 公立幼稚園教員の給料表の適用の問題につきましては、かねてから御議論をいただいておるところでございまして、その際にもはっきりとお答えを重ねてまいりましたように、教育公務員特例法二十五条の五の規定によりまして、国の幼稚園教員の給与を基準として定めるのが当然であるということでこれまで指導を重ねてまいりました。 特に最近では、昭和五十三年の十月に人確法に基づく給与改定の通知をいたしました際にも、その点につきまして明確に初中局長通知ということで、幼稚園教員の給料表については、国立幼稚園教員に適用される国家公務員の教育職俸給表目相当のものを適用することが建前であるということを明確に示しておるわけでございますし、また、その後も、毎年何回もやっております給与、人事あるいは指導関係の主管課長会議等で、都道府県の担当課長を通じましてこの趣旨の徹底に努めているところでございます。 現在の適用の実態でございますけれども、手元に持っております資料がたまたま幼稚園数と教員数についての資料でございますが、教員数のうち一万四百五十二人、四二・四%の者が教育職俸給表日相当の給料表の適用を受けている。なお、幼稚園数について見ました場合には二千三百五十五園で、三八・五%が適用を受けている、他のものはまだ適用を受けるに至っていない、こういう状況でございます。 なお、引き続き、この問題につきましては文部省としては努力を重ねていきたい、かように存じております。
○藤木委員 市町村の数が漏れておりますが、おわかりになりませんか。
○阿部政府委員 ただいま市町村数は持っておりませんので、後ほど電話でもいただければお話し申し上げるようにいたしたいと思います。 〔委員長退席、船田委員長代理着席〕
○船田委員長代理 江田五月君。
○江田委員 教育の荒廃が叫ばれて何とか今の教育を立て直していかなければならぬというときに、教育の原点というのですか、一番最初の幼稚園教育、幼児教育について、何とかこれをもっとすばらしいものにしていくためにいろいろ知恵をお絞りになって公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案を提出されました提出者の皆さんにまず敬意を表し、同時に、こうした議員提案の法律にもきちんと審議の時間を割いております委員長と同僚委員の皆さんに敬意を表します。もっとも、表する同僚委員の皆さんがかなり少ないようではありますが……。 さて、実は、専ら私の責任でございますが質問の通告が十分できておらないところがありまして、あるいは微に入り細にわたってという答弁をいただくにはちょっと難しいところがあるのかと思いますが、できる限り提出者それから文部省の方でお答えを願いたいと思います。 まず最初に、これは蒸し返しのような話かもしれませんが大臣にお伺いをいたします。 幼児教育というものは一体何だ、どういうふうに認識をしておるのかということなんですが、結局幼稚園の教育は何をするのかがどうもはっきりしない。何か小学校の方から言わせれば、幼稚園で平仮名を覚えてくるとか算数の足し算を覚えてくるというふうなことはむしろやってもらわない方がいい、それは学校の方に任せてほしい。しかしどうも幼稚園の中では、実際にいろいろなそういう知識の伝達ふうなこともやっているところもあるようですが、一体幼児教育、特に幼稚園教育というのは何だと大臣はとらえていらっしゃるか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○松永国務大臣 個々の幼稚園では、今先生御指摘のように小学校一年生にやや似たような点まで教育をしておるところもあるようでございますが、私は、本来幼稚園というのは、まず子供が生まれて三歳ぐらいまでの間は主として家庭において、大部分の場合母親が言うなれば教師の役割を果たしながらしつけをする、あるいは母と子とのしっかりした愛情を基本にしてその他の分野にまで情操的な発達がなされる。そういう家庭における子育てを経て、三歳あるいは四歳、五歳の時代になりますと集団生活の中で協調性とか社会性などの芽生え、そしてまた特に大事なのは豊かな情操を培う、こういったことに重点が置かれるのが望ましいのではなかろうかと思うわけでありまして、人間として将来発達する場合の基本的な社会性、協調性あるいは豊かな情操といったものの芽生えをきちっと図っていくのが、幼稚園における教育の主たる内容ではなかろうかなと考えているわけでございます。
○江田委員 その社会性、協調性・情操の芽生えをつくっていくということですが、まさにそうだと思うのですけれども、子供が生まれてまず最初に、恐らくお母さんでしょうね、お母さんとの間で人間関係を持つというか人間の広がりをつくっていき、それが次第に家族に広がり、そして、やっと家族という一つの真綿でくるまれたような世界から外に出て世の中、社会に初めて出会う、これが幼稚園。子供がそうやって次第に社会化していく、社会的な存在になっていくということが非常に重要なんだろうと思うのです。ですから、幼稚園はそういう子供の社会との出会いの初体験。 さて、そういう観点から幼稚園の学級編制の人数というものを考えることができないだろうか。教師が一体どのくらいの生徒を把握し得るのかということも一つの重要な観点でしょうが、もう一つ、子供の側から、子供が一体どの程度の人数と友達関係をつくり自分自身の周りのソサエティーをつくることができるか。幼稚園児に四十人の子供と友達になりなさいと言ってもなかなかできないのではないか、社会の初体験ですからもっと小さなところからスタートしていかなければならぬのではないか、そんなことを考えれば、幼稚園の学級編制、子供の定員というのはとても四十人なんというものではたまらぬということになるのではないかと思うのですが、いかがですか。
○高石政府委員 今御指摘のような観点も一つの観点かと思うのです。例えば小中高等学校の子供を引きかえに考えた場合、個人の適性、能力によって非常に違うと思うのです。それじゃ、小学校で四十人を相手にできるか、高校生で四十人全部と友達になれるかということになりますと。そういう意味で、一人の子供の友達の範囲というか、それは個性がありますのでなかなかそういう点での客観的な合理的な数字というのは出しにくいというふうに思うわけでございます。したがいまして、幼稚園における保育をやる際にグループをつくらせる、そのときに大体数人単位ぐらいという形でつくらせているわけでございまして、クラスをそこまで落としていくというのは事実上非常に困難、やはり財政の状況とか歴史的な沿革によってある程度決められているというふうに思うわけでございます。
○江田委員 財政状況も考えなければならぬこともわかっておりますが、いろいろな考え方があると思うのです。いろいろな要素から総合勘案して決めていくのだろうと思うのですが、小学校でさえ四十人あるいは四十人をもっと割った数にしていきたいというのに、なぜ一体——幼稚園というのはその小学校よりももっと小さいわけですね。恐らく小学校でも、低学年と高学年で適正な学級編制の人数というのは違うと思うのですが、小学校で四十人というのに、なぜ幼稚園は同じような四十人でいいのか、小さな子供の場合はもっと少ない人数の方がいいのではないか。それは目が届かないからということもあるけれども、子供自身の方も少ない人数の方が社会化ということを達成していくためにその第一歩として妥当なんじゃないか、そんな考え方ができるのではないかと思うのですがね。
○高石政府委員 原則的にはそういう考え方に私も同感でございます。 そこで、もう一つは、小中学校の場合には義務教育国庫負担ということで国の負担制度とかかわり合っているというような問題、しかも義務教育ですから、すべての市町村に児童生徒がいる数は全部地方公共団体は責務として整備していかなければならない、そういうようなことで、ある意味では国の基準に従って財源措置をし、国のそういう改善に従って条件整備をしていくというような仕掛けにしているわけですね。公立幼稚園の場合には、給与は市町村負担であるということ、しかも幼稚園の数も市町村によって非常にばらつきがあるというような実態、そして地方交付税で財源措置をしていくということで、地方交付税上の財源措置は毎年努力をして少しずつ改善をしてきているわけでございます。 それから、標準の決め方も、四十人以下を原則とするということで、四十人で輪切りしてそれで全部編制しろという厳しい原則ではない。したがって実態は、三十人のところもあるし三十五人のところもあるというような状況にあるわけですね。したがって、小中学校の場合における具体的な政策展開と幼稚園における場合の対応策というのは、基本的立場に若干差があるということが一つあるわけでございます。 そういうことで、現在は地方交付税上による財源措置を充実することを通じて実質的に幼稚園の教育内容を高めていく、こういうことになっておりまして、そのネックになる原則がまだ四十人以下ということで、そこが改められていないのは問題だという指摘でございますので、そういう点については、今直ちには実現できないけれども、将来の方向としては十分そこを踏まえて考えていかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
○江田委員 私は財政のことをお尋ねするというふうにあらかじめ申しておきましたけれども、まだ財政のことは尋ねていなかったのですが、何かそっちの方までもうお話が入っているようです。 昨年五月十八日にこの委員会で公立幼稚園の学級編制及び教職員定数法について質疑をいたしましたが、そのときに、例えば一クラス一つの国となっている幼稚園の数とか、クラスの数と先生の数とが同じ幼稚園がどのくらいあるかとか、そうしたことを伺いましたが、その後一年たって、去年の数字と大分違った数字になってきておりますか、あるいは同じですか。どちらですか。
○高石政府委員 若干の違いがありますが、ほとんど同じでございます。
○江田委員 それから、幼稚園の教育のやり方も、例えば昔ならば一斉に始業時間があって、「チイチイパッパ」か「むすんで ひらいて」か知らぬけれども、そんなことを一斉にやってクラス運営をしていたのだろうけれども、最近はそういうことから次第に変わってきて、小さなグループごとにさまざまなことをやっている。あるグループは砂場で遊び、あるグループは縄跳びをやり、そういったくさんのグループがそれぞれにいろいろなことをやっている、教師はそれを全部に目を届かしている、そういう教育のやり方に変わってきておって、それだけ幼稚園運営というのは、教師にとってもちろん非常にバラエティーのあることになりますが、同時に大変な仕事ということにもなっている。これも恐らくこの一年の間に変わったことはないと思いますが、どうですか。
○高石政府委員 方向といたしましては、先生おっしゃるように、学級単位で活動するというよりも子供たちのグループ単位での活動という方向に流れているということで、そういう方向での実践活動が盛んになっているというふうに思っております。
○江田委員 そういうことを基礎に、もう既に大勢の同僚の委員の皆さんからお話がございましたが、公立幼稚園の学級編制それから教職員の定数をもうちょっと本当に幼児教育を考えた内容にしようじゃないかという法案が出されているわけですが、去年の質疑では、当時の森文部大臣は、この定数の問題になると財政の判断が非常に重要であるということでございまして、そこで財政のことを伺いたいと思うのです。 まず、幼稚園教育にかける公的支出というのはどういう仕組みによって出されるのか、国立の幼稚園の場合、公立の幼稚園の場合、私立の幼稚園の場合、それぞれに国なり都道府県、市町村なり、どういう仕組みでこの公的支出が出されていくのかということを、これはもう恐らく基礎の基礎でしょうから、教えていただけませんか。
○高石政府委員 まず、公立幼稚園について申し上げますと、公立幼稚園を市町村がつくるわけですが、その市町村がつくる施設設備それから人件費、これは市町村が負担しなければならない。そして、その市町村がつくる施設設備、人件費に必要なものは地方交付税によって財源措置をしていくということで、国からといいますか、文部省が直接市町村に対して補助しいるのは施設設備についてでありまして、人件費については地方交付税による財源措置である、こういうふうになっております。 それから、私立幼稚園は私立幼稚園の設置者が経費を負担し管理する、そしてそれに必要な保育科、入園料を保護者からいただくというのが原則であります。それに対して国は、法人立の幼稚園であれば経常費補助というような形で一定割合の助成が県を通じて行われるわけであります。その県が行う経常費助成に対して国が私学助成で県に対して助成していくというような仕組みでございます。 それから、公立、私立を通じて経済的に就園させることが困難な父兄に対しては就園奨励費補助というのを出しているわけであります。その就園奨励費補助は、市町村の事業として出しているわけでございます。市町村が予算を計上し、その一部、三分の一でございますが、国が補助金を交付するというような形で就園させる親たちの負担を経済的に軽減していく、こういう仕掛け、これが大まかな仕掛けでございます。 国立の場合は施設設備をつくるのは国がつくるわけで、それに対して一定の保育料、入園料を取るわけでございます。
○江田委員 それぞれに今年度の予算で幾らになっておるかというのはおわかりですか。
○高石政府委員 今申し上げた経費全体がどれくらいになるかということはちょっとここではわかりません。国が直接助成をしている幼稚園就園奨励費、これは百三十三億五千万でございますし、それから、施設設備に対しての公私立に対する助成が行われておりますが、これが私立の場合二十二億、公立の場合十七億程度の補助を行っているわけでございます。
○江田委員 公立の幼稚園の人件費に対する地方交付税による財政措置、それから私立の幼稚園に対する県を通じて行う私学助成、これはわからないのですか。
○高石政府委員 地方交付税の交付税の計算の仕方として、標準団体をつくりましてそこにいろいろな補正を加えるものですから、一定規模の何園ある幼稚園でどうだという数字を押さえて議論しないと、ちょっと的確な数字はわかりません。ただ、一人当たりの給与単価であるとかそういうのはわかるわけでございますけれども……。園長の場合に年額五百三十万、教頭の場合三百六十七万、一般教員の場合が三百二十九万、その他の職員三百十八万、これが交付税上の積算の基礎になっております。
○江田委員 今のは標準団体の行政経費の積算の基礎ですね。それを積算基礎として、そして教育費単位費用を出して、これを人口とかその他の係数で掛けて基準財政需要額を出すわけですか。そういうものを基礎にして後はいろいろな修正をして交付税額を決める、大体そんな感じで理解してよろしいのですか。
○高石政府委員 仕組みは御指摘のとおりでございまして、参考のために申し上げますと、昭和五十七年度における幼稚園関係の基準財政需要額は約一千億と一応出されているわけでございます。
○江田委員 昭和五十七年度の基準財政需要額というのは一千六十億四千六百十九万一千円、これがそうですね。今の数字は恐らく五十七年度地方教育費の調査報告書で自治省が算定された数字だろうと思いますが、これが五十四年度のときには出ていなかったですね。五十四年度から五十七年度に三年経過することによってこういう数字が出てきたというのは、何か特に事情があるのですか。
○高石政府委員 この調査報告は、五十七年度から実施するということで五十七年度に初めてこういう具体的なものが自治省から発表されるようになったのでございます。したがって、以前の数字はないわけでございます。
○江田委員 調査報告自体は五十四年度もあったのじゃありませんか。
○高石政府委員 そのもの自体はありましたが、幼稚園部分としてこういうふうに分けて出されたのは五十七年度からでございます。
○江田委員 幼稚園部分を基準財政需要額を算定してみることは可能であることがこれではっきりして、現に出されているわけですが、これを見ますと、これはどういうことなのですか。全国では基準財政需要額一千六十億と比較をして実支出額が一千八十九億ですから、一・〇三基準財政需要額よりも実際に支出した幼稚園に対する支出は多いということになります。しかし、中を見ますと随分でこぼこがありますね。一番ひどいのはどこでしょう。山梨県なんというのは基準財政需要額が五億五千二百万、ところが実支出額は八千八百九十万、指数で〇・一六、基準財政需要額の〇・一六のものしか実際には幼稚園に支出をしていない、そういうところがほかにも、栃木で〇・一七、長野が〇・二〇、大変な数字になっているのですが、どういうことでこんなに大きな格差が出るのですか。
○高石政府委員 私もこの数字を正確に分析しておりませんのでちょっとわかりませんが、感じで申し上げますと、公立幼稚園の数が著しく少ない地域が下回っているのではなかろうか、こういうふうに推測しております。
○江田委員 確かに、基準財政需要額の額が少ないところほど実支出額が少なくて比率が小さい、そして基準財政需要額が多いところは比率も高くなっているという点があるので、公立幼稚園の割合が少ないあるいは保育所と幼稚園との割合ということも関連をしているのかもしらぬけれども、それでも密度補正で補正されているのだろうと思うのです。にもかかわらずこんなに、〇・一七から多いところは一・三六とかいう大変な差が出てくるというのは、財政が問題だからこういう公立幼稚園の措置ができないのだという割には、何か財政が余りにもお粗末といいますか、幼稚園の方の財政の中身について、今の交付税の中身について、前々から御指摘があるようですけれども、例えば算定基礎にしても、市町村分、小学校、中学校、高等学校とその他の教育費で幼稚園分を算定基礎の中に入れていらっしゃる、それに対応して単位費用の方も市町村分のその他の教育費の中に幼稚園が混在してしまっている、したがって幼稚園というものがどういうふうに交付税で財政措置をされておるのかよくわからないという状態になっておって、そこで財政にどこにネックがあるのかというのが詰めていくとさっぱりわからぬことになってしまう、そんな状況があるように思うのですが、違いますか。
○高石政府委員 御指摘のように、その中身は、我々自身もまだ十分勉強しておりませんで分析が不十分な点がございます。それから、これはいろいろ複雑な仕掛け、仕組みになっているものですから、自治省から一定の資料をいただかないとなかなか精読できないというようなところもございます。いずれにいたしましても、この問題については今後十分勉強していかなければならないと思っております。 そして、なお、地方交付税上も幼稚園分は独立した費目で積算をしてもらえるように文部省としてはお願いしてまいりたいということで、今までも要望を続けてきておりますが、今後もそういう要望を続けてまいりたいと思っております。
○江田委員 今の最後の、要望をされているということですが、積算基礎は文部省の方でお出しになるのじゃないのですか。ですから、文部省の方が算定基礎について、市町村分は幼稚園を独立させれば、それで算定基礎だけは独立するのじゃないですか。そうでもないのですか。
○高石政府委員 これは最終的には自治省が決定するわけで、文部省はそれに対して要望していくということでございまして、文部省の要望がなかなか通らないということがいっぱいでございます。
○江田委員 ひとつ文部省、大いに頑張っていただかなければいけませんが、冒頭申し上げましたとおり、私の方も十分に通告をしておりませんでしたし、まだ勉強も十分でないので、ひとつ一緒に勉強していただきたいと思います。 提出者に伺いますが、財政上の理由でこれが困難であるということなんですが、しかしどうも、どういうふうに財政上の理由なのか、大ざっぱには何かそれは確かに人をふやすのだから金がかかるだろうということかもしらぬけれども、細かく詰めるとわからないのですね。そういう今の幼稚園財政ということについてどういうお感じをお持ちになり、さらに、提出者としては財政上の問題ということについてどう解決の提案を用意されておるか、この点を伺っておきたいと思います。
○中西(績)議員 先ほどもちょっとお答えをいたしましたけれども、財政上の問題として大変困難だということで、今まですべて文部省の方からは退けられるという態勢で進んできたわけでありますけれども、それでは実質的に財政問題だけかということで絞っていきますと、私はそうでもないと思います。 と申しますのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、二十年にわたる幼稚園教育振興計画を出しまして、あれは五十七年で終了したのではないかと思っていますけれども、この間における状況というのは、大体園児が増加をする時期、そしてしかも、希望しても幼稚園に入園できなかったという状況の中でたくさんの幼稚園を設置する。したがいまして、地方自治体にもそのことを要請をしたけれども、地方自治体の進展が余りないということもありまして、私立幼稚園が大変たくさんの数を占めるに至っています。それもまた一つの理由としておるようでありますけれども、先ほど私が申し上げましたような状況から勘案しますと、私立幼稚園の場合におきましてもそれが大きなネックになっておるとは思われません。 したがいまして、地方財政並びに国の財政ということに先ほどからの論議のように絞られてくるのではないかということになってまいりますと、じゃ果たしてそうだろうかということになりますと、先ほど私が説明申し上げましたように、もともと基準財政額をはじき出す基本になるべきもの、あくまでも小中学校の場合にはちゃんと法律で規定されておりますから、それを基準にし、しかも各市町村に固定された数が全部配置されておる。ところが、この場合には市町村によりまして大変な格差がある。したがって、その面からの計数上非常にはじき出しにくいというような意味のことも昨年自治省あたりは言っておったようでありますけれども、その背景になる基本的な法律がないということがやはり大きな問題点として指摘をされておりますだけに、やはりそうした法律をまず私たちがつくる、その上に立って具体的に各市町村段階におけるこうした内容を固定化させあるいは拡大をさせていくということ、このことが今一番重要ではないだろうか。そうした中で、今言われるような財政の問題につきましても、確かに行政改革論議からいたしますと、財政的には大変厳しいということが指摘されていますから困難だろうと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、予算をどのように私たちが最も効果的に使っていくかということを考えてみた場合に、財政問題一本でこのことを退けるという理由にはなり得ないのではないか、私はこう考えております。したがいまして、これから後、文部省の皆さんにも、具体的に自治省に対してこれを要請する場合の姿勢、構え、そこをやはりすっきりしていただきまして、強い姿勢でやはり要請をすると同時に、先ほども申し上げましたように、法律がなければ可能な部分から少しでも省令を変更するなりして実施をしていく、こういうように考えていただければ一定の前進を図ることができるのではないか、こう考えております。
○江田委員 子供たちが最初に社会というものを知る、社会性のいわば芽はえの非常に重要な場所が幼稚園ですので、そこがゆがんでおったら、これから失いい社会人になるわけはないので、我々も大いに頑張らなければならぬし、文部省もひとつ大いに努力をしていただきたいと思います。 質問を終わります。
○中西(績)議員 提案者として、一言皆さんにお礼を申し上げると同時に、お願いを申し上げたいと思います。大変勝手なことを申し上げましたけれども、皆さん方の、こうして審議する場をお与えいただきましたことに対して、最後にお礼を申し上げると同時に、一つだけお願いを申し上げたいと思います。 と申しますのは、現状をどう改善を求めていくかということの趣旨については、大方、皆さんいらっしゃいませんけれども、賛成をいただけるのではないか、こう思います。したがって、委員長にお願いでありますけれども、前回私、質問の際にも申し上げましたけれども、幼児教育小委員会をぜひ設置していただきたいということ、この点についても検討をするということをお約束いただきましたので、こうしたところもぜひ活発に討論をする場として、さらにこうした問題につきましても、この法案も含めてぜひ御討論をいただければと思っておりますので、いち早い小委員会設置をぜひお願いを申し上げたいと思いますので、最後に、甚だ勝手でございますけれども、お礼とお願いを申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
○船田委員長代理 次回は、来る二十九日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時八分散会 ————◇—————