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102回国会衆議院1985/05/15

文教委員会 第10号

発言数
129
登壇者
10
会派数
2
開催日
1985/05/15

会議録

阿部文男自由民主党・新自由国民連合

○阿部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 まず、通産省の方にお尋ねをいたしたいと思います。  ソフトウエアプログラムは、当然法律が出ているわけですけれども、著作権法で言う著作物、そうきちんと理解しておられるのか、その根拠はどういうところにあるのか、まず通産省にお尋ねいたします。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 お答え申し上げます。  今回の法改正でございますが、本年二月に行われました世界知的所有権機関専門家会合における検討状況等に留意しつつ、本問題の処理の緊急性にかんがみ、当面の対応としては著作権法の改正によりコンピュータープログラムの保護を図ることとしまして、よりよい権利保護のあり方については中長期的視点からさらに検討を続けるということにしたものでございます。  お尋ねの点につきましては、一昨年十二月の産業構造審議会のソフトウェア基盤整備小委員会中間答申におきましても、コンピュータープログラムが著作権法で保護されていることを否定したものではございませんで、あくまでよりよい保護のあり方について種々の提言を行ったものでございます。  条文上の根拠等につきましては、むしろ所管省の方から答弁をお願いしたいと思います。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 ちょっとわからなかったわけですけれども、端的に聞きますと、ソフトウェアプログラムというのは著作権法で言う著作物であるのかないのか、こういうことについて端的にお答えください。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 著作物であると考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 通産省と文部省でいろいろと折衝の過程があったようでございますが、ただいまの答弁で、プログラムは著作権法で言う著作物だということでございますが、著作権法の第一条の「目的」のところにこういうぐあいに書いてございます。「この法律は、著作物並びに実演、レコード及び放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。」こういうことが書いてあるわけでございまして、著作物であるわけですから当然この目的に従って保護されるあるいは運用されるわけでございますけれども、これをきちんと、例えばプログラムは文化的所産であって文化の発展に寄与するという目的で保護されていくんだ、こういうぐあいにこの目的に従ってプログラムをきちんと考えておられるのかどうか、このことについてお尋ねします。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、今回の処理として、本問題の処理の緊急性にかんがみ、当面の対応として著作権法の改正により保護を図ることとしたわけでございまして、その限りにおきましては、先生御指摘のとおり、著作権法の目的の解釈に従いまして処理されていくというふうに理解をしております。なお、よりよい権利保護のあり方についてはさらに中長期的視点から検討を続けていくべきであるというのが私どもの考え方でございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 当面の対応、当面の対応と言われるわけですけれども、ちょっとすっきりしないのですが、さらにお尋ねします。  著作権法の第二条に「著作物」とはと書いてありますね。「著作物」とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」これが著作物の定義になっておるわけですが、プログラムはこの中のどこに属するのですか。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 思想または感情を創作的に表現したものでありまして、文芸、学術という範囲に属するものというふうに考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 ちょっとわからないのですけれども、思想または感情を創作的に表現したものでしょう、そして文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの。この中のどの範囲にプログラムは入っているのか、端的にお答えいただきたいと思うのです。ここで言う「創作的に表現」というのは、私どもの従来の解釈によりますと、人間の五感に訴えるものだという感覚を持っているのですけれども、プログラムは機械に対する指令の組み合わせをしているものにすぎないわけですよね。これが五感にどうやって訴えるのか。あるいは、外部に表現されなければならぬ。これは表現されないわけでしょう、プログラムは。そして、ほかの個人は知ることができない。こういうものが果たして著作物と言えるのかどうかということで、端的にここに例示してあってこの範囲の中のものをいうと書いてあるのだから、この範囲の中に入っております、こういうことで思想と感情の表現を行っております、人間の五感に訴えております、そういうぐあいに端的に答えてください。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 この著作権法の著作物の定義に入っていると考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 もっときちんと答弁しなさいよ。どれに入っているのだと言っているのですよ、どういうことでプログラムが思想、感情を創作的に表現しておるのかと。ここに書いてあるでしょう。文芸、学術、美術及び音楽、この範囲に属するものをいう。どこに属しているのか、それを聞いているのですよ。(加戸政府委員「委員長」と呼ぶ)通産省が合意したんだから。あなたのところにはもう一回詳しく聞きますよ。これは通産省に聞いているのですよ。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 プログラムというのは知的労作の所産だというふうに考えておりまして、そういう意味から創作的な表現と考えております。それから、あえて言えば学術に近いかと思いますが、文化庁の有権解釈でも、この文芸、学術、美術、音楽というのは一々分断して解釈するのではなくて、ジャンルとして一気にこれを解釈すると伺っておりますので、あえて言えば学術に近いかと思いますが、この一号に入っているというふうに理解しております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 知的労作だから思想または感情を創作的に表現したものだ、さらに、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものだ、こういう全体を総括した範囲の中に属するもの、強いて言えば学術に属するもの、こういう答弁があったわけでございますが、私は、非常に無理をした答弁で、これは間違いじゃないか、こじつけじゃないか、こういうぐあいに実は思うわけでございます。これは単に、例えばコンピューター、機械に対する指令の組み合わせにすぎないわけでしょう、プログラムというのは。これがどうやって表現されたものと言えますか、一般の人にはわからないのですから。私は、こういう意味におきまして、例えば一つの音楽をつくる場合のピアノだとかあるいはバイオリンだとか、そのくらいの位置じゃないのですか、プログラムというのは。そういう中で、やはりこの通産省の答弁は歯切れが非常に悪い。もともとあなた方はプログラム権法というのを独自につくろうとなさったわけでしょう。そのときにあなた方が言われたことは、こういうことを言われている。何としてもこのソフトウエアというのは経済的使用を前提とするものであって文化的な著作物とは本質的に違う、こういうことをあなた方は主張なさってプログラム権法というのをつくられたのじゃないのですか。そうしたならば、例えば、ここにもう一遍繰り返しますけれども、ソフトウエアは経済的使用を前提とするものであって文化的な著作物とは本質的に違う、こういう主張をなさったのですが、これを主張したときの根拠というのは何ですか。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のようにプログラムが本来的にそういうような性格を有しているというのは私ども認識しているわけでございまして、だからこそ一昨年そういう問題提起をしたわけでございます。ただ、先ほど申し上げました国際的な知的所有権機関の検討におきましても、各国著作権条約あるいは著作権法でカバーできるのではないかというのが大勢になってきております。それから、日本におきましても、裁判所等の判例におきましても著作物であるというのはかなり定着してまいりましたので、先生おっしゃった本来のプログラムの性格というのはあると今でも思っておりますけれども、著作物として解釈できるという認識に達したわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 そうしたならば、このプログラム権法を考えられましたときに、経済的使用を前提とするものだから文化的著作物とは本質的に違う、こうおっしゃったことは、今撤回をなさって、そうは考えていない、こう理解していいですね。  それから、もう一つ、そのプログラム権法の素案をあなた方がつくられましたときに、その目的の中に、コンピューターソフトウエアは経済財だ、いわゆる工業所有権に属するものだとしてこれをとらえて、産業、経済発展に寄与するために保護するのだ、こういう目的をつくっておられるようでございますけれども、著作権法にいいますと、文化の発展に寄与する。あなた方のこの論拠によりますと、産業、経済発展に寄与するために保護するのだ、こうなっておったわけでございますが、先ほどの点とこの点で、もうこの考え方はきちんと放棄したのだ、そうするならば、もう二度と再びこういう主張はしない、通産省はこういう考えであるのかどうかお尋ねしたい。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 先生御指摘の点のプログラムの性格というのは抽象、客観的なものでございまして、今でも先生御指摘のとおりだと思っております。ただ、私どもが申し上げましたのは、そういうプログラムの性格にかんがみて、立法論的に最善の保護の制度というのを考えるべきではないかというのを一昨年主張したわけでございまして、裁判所等の判例におきましてプログラムが著作物であるという判例がその当時もう既に出ておりました。そういうことで、そういうものを否定したわけではございませんで、解釈論として著作権法の著作物の対象であるということは従来から認めていたわけでございまして、当面そういう立法論的なアプローチは断念いたしまして、中長期的な検討をさらに続けていくというのが私どもの考え方でございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 著作権法という法律もなかなか国民にわかりにくい法律で、国民は余りなじんでいないわけですけれども、ましていわんやソフトウェアプログラム等理解が不十分な点が国民的にも私にもあるのですが、今お答えになったのを聞いてみても、通産省自体が非常に混乱しているというような気がしてならないわけでございます。そして結論的に、私は今の答弁を聞いてこう理解したのですが、結局、当面の措置としてこういう著作権法で保護するということには同意しているけれども、本質的には中長期的に検討してまた変わることもあるんだということで、一時妥協、一時避難ということで、本質はプログラム権法をつくられたときの考えと全然変わっていないような気が実はしてならないわけでございます。私が言いたいのは、やはり発足のときには、過去いろいろ折衝の段階があったにしても、著作権法で保護するということを決めた以上は、きちんと著作権法の目的なり定義なりに従ってすべての頭を通産省は整理をして、そのことによって今からやっていくんだとかたい信念でやらなければ、これはもともと不満です、変えたいと思っているんです、そういうような考え方でこの著作権法を改正して適用したって、私は運用はうまくいかないと思う。そういうことで今聞いておるわけです。だから、この際男らしくきちんと、著作権法で言う著作物だ、もう二度と再び文句は言いません、そのくらい言えなければうまくいかぬと思うのです。  そこで、もう一つ念のために聞いておきたいと思うのですけれども、あなた方の主張の中に、知的保有を優先させると産業の成長をおくらせるというような主張もあったわけですよ。そういう主張も消えておるのかおらないのか。例えば、今の考え方からいって著作権法で保護するのが最善だと思っておるのかどうかということを、最後に私の言ったことも含めて答弁してください。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 一昨年の私どもの主張でございますが、権利者の保護と利用者の利益のバランスが必要であるというふうに主張したものでございます。御指摘の点につきましては、当然、内閣提出法案として決定したわけでございますから、別に私ども先ほどから何か負け惜しみ的に言っておるわけではございませんで、現時点において最善の措置というふうに評価しておるわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 大体通産省が最善の措置と考えておらなければ、議論したって、また変えろ変えろなんて文句言ったらまた変えられたら、議論するのにも問題点を感ずるわけですから最初に通産省に聞いておったのですが、また後で聞きます。  今度は文部省にお聞きいたしたいと思うのですけれども、今通産省からお答えになったのですけれども、ソフトウェアプログラムが著作物であるという文化的な位置づけというか定義というか、そういうものをどう考えておられるのですか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 著作権法におきましては、著作物と申しますのは、先ほど先生も御指摘なさいました著作権法第二条の規定によりまして、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義がございます。この規定の意味自体は、人間の知的活動、頭脳労働という形でその人間の努力の精神的な活動の成果が外部に表現されたもの、しかも、ジャンルが今申し上げたような文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するという性格のものでございまして、そのこと自体が著作物であるかないかの判断のメルクマールでございます。それで、こういったものは人間の精神文化活動によって生み出されたものでございますので、著作権法第一条におきましてはそれらを「文化的所産」というような言葉で包括的に表現しておるわけでございます。  一般的に、著作物の中にはいろいろな産業分野に関連するものもございますし、著作物の目的、用途、性格というのはそれぞれいろいろな違いがございますけれども、例えば書籍の場合でございますれば出版産業、あるいはその他の産業で言いますと、放送産業あるいはレコード産業、映画産業、そういったものとすべて関連するわけでございます。  いずれにいたしましても、そういったある物の見方を側面的に見れば、経済、産業活動とも密接にリンクするわけでございますが、著作物そのものが生み出されたのは文化的な精神的な活動の所産であるという視点から、著作権法上はそういう考え方をとっているわけでございまして、そういう意味で、著作権法に言います著作物はすべて文化的な所産であるという把握の仕方をしておるわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 そうしたら、著作物とするゆえんのものは知的活動の所産、創作物だ、そのことだけで著作物だと認めておられるわけですか。知的産物、その表現が例えば機械に指令を与える、表現というのは人の五感にいろいろなことを訴えるわけでしょう。そしてやはり人間の内面的なものを訴える、そういうようなものをいろいろ文化的だと私は言うと思うのですけれども、そういう意味でプログラムを著作物とし文化的というこの定義の中に入れるとすれば、やはり知的産物だということだけですか。ほかにありますか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 先ほども申し上げましたように、著作物というのが人間の精神活動によってつくり出されたものである、そして、しかもそれは単なる思想または感情にとどまる限りにおきましては抽象的な存在でございまして、保護するよしはないわけでございますが、それが先生おっしゃいますように、外部に覚知し得るような形で客観的な存在として、ある意味では、難しい用語でございますが支持媒体というようなものに具現化されたものを著作物と言うわけでございます。  したがいまして、典型的な例は、小説とか音楽とか絵画といったような、紙の上に書かれキャンバスの上に描かれあるいは楽譜によって示されているというようなものでございますけれども、もちろんそういった覚知状態にあるものといたしましては、例えば磁気テープの中に入っているモールス信号でございましても、これは何の意味か専門家でなければわかりませんが、通信の専門家であればモールス信号を判読できましてこういう内容のものであるなということが理解できるわけでございまして、そういった成果物として具現されたものが何の用途に供されるものであるのかという点から申し上げますと、例えば設計図のような、建物でも自動車の設計図でも結構でございますけれども、そういった図面として表現されているものは図面の著作物として保護される、しかしその用途は何かと言えば建物をつくるためのものであり自動車をつくるためのものである。したがって、そういったつくられた著作物の用途、目的が産業の振興にあるのか、物品の製造にあるのかということとは関係なしに、人間の頭脳活動の成果として外部的に知覚し得る状態で表現され、かつ著作権法二条一項一号の定義に該当するものについて保護する、その結果がそれは何を意味するかと申し上げますと、人間の知的な精神文化活動の成果として生み出されたものを保護するのが文化の発展に寄与する、そういう考え方をとっているわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 著作権法というのは、先ほどもちょっと言ったのですが、なかなか国民に十分理解されていないわけでございまして、私も、いわゆる著作権法で保護する著作物というのは、やはり人間の精神面あるいは内面的な性格にかかわるものを外に表現したもの、さっきから言っております文芸、学術、美術、音楽、こういうものを大体著作物と理解してきておったわけでございまして、文化庁だってそれがほとんど大部分だと思いますし、それが伝統ある著作物だと私は思うのですよ。そういうところに今プログラムだとか何だとか同じ法律の中にどんどん入れてきたならば、例えばそういう中から、異物が入ったとは言いませんけれども、伝統ある著作物の保護というのがおろそかになるのではないか、それを大切にする心というのも害されるのではないか、こういうような気がしてならないのですよ。私はやはり、こういうプログラム等を文芸、学術、美術、音楽、こういう範囲に属するものとしてどんどん入れてくるということは、今言った伝統的なこういう著作物の保護というものに対して害するおそれはないかということを心配するのですが、これについてはどうですか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 もともと著作権制度が発足いたしました百数十年首、あるいは国際的には一八八六年のベルヌ条約が国際的な著作権保護の規範として成立して以来百年以上経過しておるわけでございますけれども、そのスタートの時点では小説とか絵画とか、いわゆる先生おっしゃいますような伝統的なそういった美術作品、文芸作品というものを保護する考え方でスタートいたしました。それで、時代の変遷とともに、写真ができ、放送ができ、録音あるいは録画と、いろいろな手段が発達いたしまして、それぞれのメディアの発達に伴いまして著作物の範囲というのは今まで存在しなかった概念が広がっていったわけでございますけれども、そのことによって著作権制度の保護レベルが下がったわけではございませんで、そういった共通規範の中にありまして新しくいろいろなメディアが出、あるいは支持媒体が出ることによって著作物の範囲が広がっていく、広がったものについてのそれぞれの特性に見合った特別措置というのはあり得ましても、従来の伝統的な著作物の保護の水準を下げるというような結果を招来してはいないわけでございまして、その意味では、著作物の範囲が広がっていくことによって伝統的な著作物の保護のレベルが下がるということは、過去歴史的にもございませんでしたし、また今後ともあり得ないことだと理解しております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 例えば、先ほども通産の方に聞いたのですけれども、ソフトウェアのプログラムが文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するということはどう考えてみたって無理があるようです。そして、先ほどから言われておりますように、文化の発展に寄与するのがこの法律の目的、通産省に言わせれば今はそう思っていないと言われるかもしれませんが、これはやはり産業、経済の発展に寄与するために保護するんだという考え方もあるわけでございまして、そういうことだったら、伝統的な著作物の保護を侵さないという面も含めて、この法律の改正をここに出す場合には、例えばこの法律の目的だとかあるいは定義だとか、そういうものまでよく整理をするとともに、ニューメディアの保護については、そういう今までの伝統的なところに当てはめるのではなしに、著作権法の中にどこかに一章ニューメディア保護というところをつくってそこできちっと整理をして保護をする、そういうことが伝統的なものの保護を侵害をしないし、そして解釈にも無理を感じないし、国民にもよくわかる、そういう意味で、本当はその目的なり定義なり、あるいはどこかにニューメディアに関する部分を一章つくってそこで保護するような抜本的な改正を出された方がよかったのじゃないかと思うのですが、今後そういう検討をされますか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 著作物の保護と申しますのは、日本国内におきます国内的な措置でありますと同時に、日本が加盟いたしておりますベルヌ条約、万国著作権条約の両条約、相互のダブりを除きましても日本と保護関係にある国が世界で百一カ国あるわけでございます。それらとの関係におきまして、著作物として保護すれば自動的に日本以外の百一カ国においても著作物としての保護を受けるという極めてすぐれた特質を持った条約関係、国際的な制度を前提として成り立っているわけでございまして、その意味において、いわゆる著作権条約上保護しようとしている著作物と別な制度をつくるということは、そのための条約関係の制定なりあるいは国際保護関係というのが不明確になるおそれもございますし、そういった中では、やはりこういった国際的な著作権条約をベースといたしまして、そこで保護しようとしているものの範囲の中で包含していくことによりまして、相互の国際的な著作物の流通なりあるいは保護関係の確立に資するという見地もあるわけでございます。先生おっしゃいますような、著作権法の目的あるいは定義というものにつきましては、それを特段に変える必要性があるかどうかという問題もございますけれども、少なくとも今回のソフトウエアプログラムに関しまして、著作権法の目的なりあるいは著作物の定義なりにつきまして、当然その中で自動的にカバーできる範囲のものであるという考え方で、今回の提案を申し上げさせていただいたということでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 国際的な動向も少し私も知っているのです。だから、私が今言っていますのは、国際的な動向から照らし合わせても、この著作権法というのをもう少し抜本的に改正する必要があるのじゃないかということで、国際的慣行とか条約とかに違反するような別なやつをつくれと言っているのではない。それにさらに合致するような抜本的改正というのが日本の著作権法にあるのじゃないかということを今指摘したところでございます。  それで、これはプログラムが結局著作権法に保護される著作物になったわけですが、例えば、このプログラムというのは文化財保護法の適用は受けるのですか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 先生御承知のように、文化財保護法と申しますのは、日本に伝わります伝統的な文化財を保護するという性格のものでございまして、したがって、過去千年前、五百年前、あるいは短くても二、三百年前といった古いものを保護する法律でございますので、現在著作権法では死後五十年または公表後五十年という保護期間を設けておりますために、著作権法上の著作物であるものが文化財として保護対象になるというケースはまずあり得ない、実務的にあり得ない状態でございます。  ただ、今申し上げましたのは著作権法上の財産権の問題でございますので、いわゆる著作者人格権と申しますのは未来永劫に残っております。著作者の死後の人格的な利益の保護という形で、例えば著作物の内容を著作者の意思に反して改変することは許されないという性格のものでございますので、例えば、文化財保護法によって保護されております国宝、重要文化財のような美術品につきまして、それを改ざん変更しました場合には、形式的には著作権法に規定しております著作者の死後の人格的利益を侵害する行為として刑事罰の対象になり得る事柄でございます。ただ、一般的には、生存期間中の著作物の改ざん変更とは違いまして、歴史的な時間の経過、時の経過の法理というものもございますので、昔のものが改ざん変更されたから著作権法に違反した、死後の人格的利益を侵害したものとして訴追されるというケースは具体的には余りないことだと思っております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 時間がございませんから、なるべく簡単に答弁してください。  そこで、文化功労者年金法、これは文化の向上発展に特に功績顕著なる者に年金を支給するということで、文化功労者年金法にプログラムの創作者、製作者というのはこれの適用がされるのかどうか。さらに言うならば、勅令の文化勲章、これに、プログラム製作者等が文化の発展に関して貢献があった、勲績があったという形で適用を受けるのか。文化功労者年金法とか文化勲章令とか、そういうものにプログラム製作者というのはやはり適用を受けるのですか、どうですか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 将来のことでございますが、すぐれたプログラムをつくり出した方につきましては文化功労者あるいは文化勲章が授与されるということは当然にあり得ると理解いたしております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 次に、先ほどちょっと出ましたが、通産省と文化庁両方に質問いたしたいと思うのですが、先ほど通産省からお話ございましたね、文化庁と通産省の合意事項というものがありますね。「コンピュータ・プログラムのよりよい権利保護の在り方については、国際的調和に留意しつつ、今後とも中長期的観点から、国内的及び国際的検討を行うことに両省庁が協力すること。」こういう合意事項があるわけでございます。  まず、つくらなければならなかったというのは、いろいろ話し合いの中から、通産の意見なんかもあったんじゃないかと思いますので、通産から先にお尋ねいたしますが、何のためにこんな約束、合意事項を取り交わしたのか、じゃここで中長期的に検討が予想されるものは何か、こういうことについてお尋ねします。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 今回の合意は、先ほど来御説明いたしましたWIPO、世界知的所有権機関での国際的な検討あるいはプログラム保護の緊急性等にかんがみ今回の合意に至ったわけでございますが、そのWIPO等との検討におきましてもいろいろ議論が出ております。そういう問題につきまして、そういう国際的な検討動向も留意しながらさらに勉強を続けていこうということでございまして、具体的には、例えば保護期間の問題あるいは使用についての権利化の問題等々についてはまだこれからいろいろ国際的にも議論が行われていくというふうに考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 今の点について文部省から……。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 ただいま通産省からお答え申し上げたこととほぼ同様でございますが、今回の法改正に当たりまして、これですべて完全なパーフェクトな決着を見たとは両省庁は考えていないわけでございまして、御承知のように、保護期間の問題についてはプログラム権法では短い期間の規定がございまして、我が方の五十年とは大幅な違いがございました。ただ、今回条約上の義務といたしまして五十年が義務づけられておりますけれども、今後国際的な動向といたしましても、五十年は長過ぎるのではないかという声は、ある国からも声を聞いておりますし、そういったことが国際的なコンセンサスになるという事態も考えられないわけでもございません。そういった意味で、今後、国内的あるいは国際的な動向を見ながら中長期的な課題として保護期間の問題をなお考えでいくということが一つ。それから、コンピューターそのものに対します利用といいますか、今申し上げました使用あるいは使用権というような事柄につきましてもまだまだ議論の余地のあり得ることでございまして、なおこの事柄も国内的、国際的に検討を続けて、将来の積み残しの課題として考えているという意味で今のような申し合わせをしたわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 保護期間の問題とかその使用権の問題とか、中長期的に検討するということでこういう合意をしたということでございますので、これも両省にお聞きしたいのですけれども、この中長期の検討の中には、コンピューターソフトウエアの法的保護について、著作権法以外の法律で保護する、こういうことがあり得るのか、あり得ないのか。検討したら、やはりこれはプログラム権法みたいなものをつくった方がいい、そういうことになるのか。いや、あくまでも著作権法の中で保護していくのだ、その期間だとか使用権だとかということであって、そういうことで、この検討というのは、著作権法以外の法律で保護するということはあり得るのか、あり得ないのか、このことについて通産省からまず……。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 その点は将来の検討課題でございまして、いろいろなケースが考えられると思いますけれども、今後の国際的検討の動向あるいはコンピューター技術あるいはプログラムの使用の形態等の発展動向等々によりまして将来決まってくる問題でございますので、今の時点では白紙でございます。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 ただいまの通産省のお答えとはニュアンスを異にするわけでございますが、文化庁といたしましては、あくまでもソフトウエアの保護は著作権法の枠の中で、著作権制度という枠の中で考えていく事柄だと理解しております。  それからもう一つ、国際的に見ましても著作権制度以外の独立した制度が汎国際的なものとして、国際的に共通するものとしてでき上がるという、あるいはそういったコンセンサスの方向に向かうという客観性も極めて少ないのではないかという理解のいたし方をしております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 ちょっと話題を変えまして、次の質問に入ります前に通産省にお尋ねしておきたいのですが、今の話を聞いてみますと、通産省と文部省、少し考え方が違うようですね。通産省は、著作権法の外で保護することも将来あり得る、文化庁の方は、いや著作権法の中でやるんだ、こういうことで違いがあるようでございます。それはまた後でお尋ねしますが、その前に、世界のソフトウエア産業界の現状について、技術とか生産とか貿易とか、そういう問題についてごく簡単に傾向だけを御説明願いたいし、特に日本とアメリカのソフト産業の比較、こういうものについて簡単に御説明ください。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 世界のソフトウエア産業の現状でございますが、生産高で申しますと米国の生産高が群を抜いて大きゅうございまして、あと日本、西独、英国等がほぼ同程度でこれに続いております。規模で言いますと米国の約四分の一というように承知しております。ただ、各国ともこのソフトウエア産業の伸びは大きゅうございまして、年率二割から三割というスピードで伸びていると承知しております。  それから、ソフトウエア産業の力といいますか、技術力でございますが、近年我が国のソフトウエア産業の技術力も急速に伸びてきてはおりますけれども、率直に申しまして米国に比し相当格差があるということは事実でございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 世界のソフトウエア産業の大体七割ぐらいをアメリカが押さえておるのではないか、少なくとも我が国の水準よりも五、六年先にアメリカの方が進んでおるのではないか、こういうぐあいに私も聞いておったのですが、今の答弁でもある程度わかるわけでございます。  そこで、また通産省にお尋ねしたいのですが、くどいようですけれども答弁がなかなかすっきりしないものですから重ねてお尋ねしたいのですが、プログラム権法(仮称)、これをあなた方が素案をつくられたときに、保護期間は十五年間というぐあいになっておりましたね。これに対しましてアメリカが、日本が短期間でアメリカのソフトの複製をして使用する、それができるようにするというねらいでこんなに短くしておるんだということが、アメリカ筋から相当批判があったということも聞いておりますし、報道もされておるわけでございます。そして、日本という国はよくアメリカのまねをする、だから、十五年間は、まねをして合法的にアメリカの技術とかソフト産業等について略奪する陰謀のための法律だとかいろいろと批判があったことを私は聞いておるわけでございます。そして、再三にわたってアメリカの方から著作権法で言う五十年にしなさいという要求が通産の方にあった、こういうぐあいに聞いておるのですが、こういう事実はありましたか。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 私どもの提案では、権利者とユーザーの利益のバランスというような観点からもう少し短い権利期間がいいのではないか、一つの目安として、特許法の十五年というのが目安になるであろうというような言い方をしたわけでございますが、その辺についてアメリカ側にいろいろ誤解があったのは残念でございますけれども、おおむね先生の御指摘のような批判がございました。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 ソフトウエアというのは、ほかの著作物と違って永遠不減のものではないわけですよ。絶えず新しいソフトが開発されていくわけですから、通産省は、五十年は長過ぎる、開発を妨げられるという考え方を当時持っておられたし、今も持っておられるのじゃないかと思うのですが、こういう点に対する考え方と、さらに、通産省の場合は、公共の利益になる場合はソフトウエアの使用権を強制的に開放させるという裁定制度を設けようじゃないか、こういうことも考えておられたわけでございます。そういうことで、先ほどからの答弁を聞いておりますと、やはりこの考えというのが全然なくなったわけじゃないという感じがするわけでございます。  それからもう一つ、文化庁、文部省との合意につきましても、本当に腹の底から合意したというのではなしに、私が報道機関等を通じて見ております場合に、文部省と話をして、なるほどこう著作権法でやるのがソフトの保護で一番いいんだというのではなしに、アメリカとの貿易摩擦の解消の道具にこれを使ってしまえという気があったんじゃないか、こういうぐあいに考えます。だから、現在におきましてもなかなか歯切れが悪い。そのあらわれとして、私が新聞報道等で見ておりますと、文部省と通産省が著作権法でやるのだ、いやプログラム権法でやるのだ、いろいろこういう話をしておる最中に、ちょうど市場開放問題をめぐりまして、エレクトロニクスの分野の日米の次官級会談がございました。私はどっちになるんだろうかと思っておりましたら、通産省の方が、新法の制定をあきらめました、著作権法にいたしますということを、そのアメリカとの次官級会談の席で初めて言明された、私が注意深く見ておりますとそういうことでございます。さんざん国民や何かを騒がせておきながら、そうして、そういうことを何ら日本国内には言わずに、最初に日米交渉の場をかりて著作権法にいたしますということを通産省は表明をなさいました。  これは、日米貿易摩擦の解消のためにこの著作権法問題、ソフトの保護問題で譲歩をしたのだ、アメリカが五十年と言うから五十年にしたのだ、そういうことで、日米貿易摩擦の解消のための道具、材料にこの法律のソフトの保護の問題を使ったのじゃないか、私はこういうぐあいに思われてならないわけでございまして、それが先ほどからの答弁の中でところどころ出てきておるようでございますが、こういう点について、通産のアメリカとの折衝の経過、過程等についてお知らせをいただきたい。

越智謙二通商産業省機械情報産業局企画官

○越智説明員 通産省といたしまして著作権法の改正によりプログラムを保護するという結論に達しましたのは、先ほど申し上げましたように、ここ一、二年間のWIPO等における国際的な議論の動向、あるいは本問題の処理の緊急性等、総合的に勘案した結果、このような解決が妥当であると判断したためでございます。  ただ、本件につきましては、御指摘のように著作権法の改正による解決を図りましたことについて、日米エレクトロニクス協議においても評価され、日米経済関係の改善に資するものであるのは事実でございます。ただし、当然これは文部省とよく相談をして対処した結果でございまして、今御指摘の日米エレクトロニクス協議にも当然文部省も同席されて話をしたわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 私は、この法律を審議するに当たりまして、やはり通産と文部とはきちっと腹の底から理解し合って、そしてきちんと合意をしてやるということが一番大切だと思うのです。そういう意味においてこの保護というのは、創作者の知的努力の結果というのは一生懸命頑張って努力をしてそういうものを創作するわけでございますから、そういうものが本当に権利として保護されていくということは実に大切なことだし、法的に保護されていくということが次の創作活動の発展につながっていくわけです。  そういうことを考えますと、通産が主張されておりますように、何か知的保有を優先させると、短絡的には産業の成長というのはおくれるのじゃないか、こういう心配があっていろいろ言われたこともあるわけでございますけれども、長期的に見れば、知的創作物を保護するということが次の知的創作の発展につながる、こういうことであるわけでございまして、それが著作権法のここで言う「文化の発展に寄与する」という精神になると思うのです。     〔委員長退席、船田委員長代理着席〕 そういう意味において、先ほど何か中長期的に検討してできればまたほかのところでやりたい。そういうことではなしに、やはり著作権法の精神を本当に理解し遵守する、そういうような形でソフトの保護というものを通産省も考えていただきたいし、文部省も毅然とした態度でもって今後この問題の話し合いなどにも取り組んでいただきたいということを強く要望をしておきたいと思います。  これは文部大臣、座っておられるばかりでございますが、今後のことについて、ずっと聞いておられたと思いますから、今の私の意見についてひとつ御決意のほどをお伺いしておきたいと思います。

松永光自由民主党・新自由国民連合文部大臣

○松永国務大臣 人間の知的作品についてその制作者の権利を保護する、それから使用、利用について独占的な権限を認める、それから模造、模倣を禁止する、こういった形で知的作品の制作者の権利を保護していくということは非常に大事なことなのでありまして、その保護の仕方として、著作権法による保護と、それから類似したものとしては特許権その他のいわゆる工業所有権等の立場による保護と、二つの分野があるように私は思いますが、この場合に、通産省は最初のうち、これは著作権法という形での保護よりは特許権の保護のような形の方が実情に合うのじゃなかろうかという見解を持っていらっしゃったのだと私は思うのです。と申しますのは、コンピュータープログラムというのは音楽とか美術とかそういうものとは少し違う面があるわけでして、それ自体としての価値というよりは新たな経済財を生み出すという面が非常に多いものですから、そういう特性を考えれば別の法律の方がいいのじゃなかろうかなという感じをお持ちであったのじゃなかろうかと私は推察をするわけであります。  ただ、考えてみますと、著作権の方は、もちろん保護期間は長うございますけれども、同時にまた、人間が独創的な考え方をして生み出された作品の場合には、類似しておっても独創的な研究の結果として出てきたものであるとするならば、それは著作権の方ではまねたものというふうにはならぬわけでありますが、しかし、特許法等の場合には、A、B、C、D、Eとか幾つかの要素がありまして、その要素が合致しておれば、仮に独創的な研究の成果としてそうなったとしても、合致している限りにおいては特許侵害、こうなるような面も実はあるわけでして、著作権法による保護と特許権による保護とは、保護を強くするような面もあるが、同時に弱くするような面も実はあったりいたしますし、そしてまた、新たな文化やあるいは技術の発展の面からいってもいろいろ相違点もあるわけであります。しかし、結果的に見れば、世界の大勢がコンピュータープログラムにつきましては著作権法に言う著作物だというふうにして、そして著作権法による保護にすることが妥当であるということで、各国がそうしてきておるという点、それからまた、その後のことを考えましても、世界の大勢がそうなっておるとするならば、日本としても、知的作品に対する保護法制をやはり世界の大勢に合わしていくということの方が、日本の今後の発展を考えた場合にも適当であるというふうに思われますので、原則的に言えば、著作権法による保護でもってこの問題は処理していくことが望ましい、そしてまた、その保護がきちっとなされることが、日本の文化の発展そしてまた通産省が主として所管していらっしゃる産業、経済の発展にも貢献するというふうに私は考えるわけであります。  ただ、保護期間等の問題がありますので、その辺につきまして世界の大勢が別の考え方になってくれば、これまたその時点で研究すべき課題であろうというふうに思うわけでありますが、そういう事態はそう近い将来には考えられないようにも私どもは考えておるわけでありまして、その意味で、この著作権法による保護の対象に加えていくことが妥当であるというふうに考えている次第でございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 やはり著作権法で本当にその精神を生かしたような格好で保護するということが私も一番いいと思います。  そういう意味で、そのことが国際的にもそういう方向に行っているわけでございますので、念のために、コンピューターソフトウエアの保護についてWIPOとユネスコがいろいろ検討しておるようでございますが、この中でいつごろまでに大体検討結果がまとまってそして大体内容はこういうぐあいになるのじゃなかろうかという、このソフトウエアの保護状況の世界的な趨勢について現状をお知らせください。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 国際的な動向といたしましては二つございますが、一つは各国の対応、一つが国際機関における検討の結果でございます。  国際的機関におきます検討の結果としては、本年の二月二十五日から三月一日にかけましてWIPO並びにユネスコの合同専門家会合がジュネーブで開かれまして、その会合におきまして、三十八カ国の参加がございましたが、一カ国が著作権法以外の特別法によって保護すべきであるという主張をいたしましたほか、態度保留の国が数カ国ございますけれども、大多数の国が著作権法制によって著作権制度の枠の中で保護すべきであるという意見であったわけでございます。  この結果を受けまして、本年の夏、WIPOあるいはユネスコのいわゆる政府間委員会とかあるいは調整委員会と言っていました役員国によります会合がございますが、その専門家会合の結果を受けまして、そういった意見を踏まえた形の今後の対応というのが出てくるわけでございますが、今後のスケジュールとして具体的にどのような形の勧告がなされるとかあるいは条約を制定の方向に向かうというようなことは、まだはっきりした見通しはございません。  ただ、世界の大勢がそんな状況であることを踏まえて、そういった方向でのいろいろな諸般の段階に推移していくものと思っておるわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 保護期間等は大体二十年ぐらいにしようじゃないかというような動きも国際的にもあるわけでございますが、そういう機会に、また通産省がほかの法にというようなことを言わぬように、ひとつよく話し合いをしてください。  話は次に移ります。  これは文部大臣にお尋ねいたします。  いよいよ我が国も高度情報社会、高度技術社会に突入していくわけでございまして、二十一世紀がそういう社会になることはもう明らかでございます。そういう高度情報社会、高度技術社会の中でコンピューターの発達というのは物すごいものがございまして、このコンピューターの発達によりまして大量の高速による情報処理が行われていく、そしてまた一方では、衛星や光ファイバー等に伴う電気通信、この結びつきが高度情報社会というものをつくっていっておるわけでございます。  ところが、日本の行政を見てみますと、情報処理の方は通産省が管轄しておるわけでございますが、衛星とか光ファイバーによる電気通信は郵政省が担当しておるわけでございます。高度情報社会、技術社会に行くに当たって、行政のあり方、対応の仕方というのはやはり今後非常に大切になってくるのではないか。文部省と通産省でソフトの保護についていろいろいきさつがあって、まとまったからいいようなものの、例えば、今後情報社会になるにつれ、情報処理の方の通産省あるいは電気通信の方の郵政省、それに文部省やほかの省庁も絡むと思いますけれども、各省庁がお互い縄張り争いをやっておってはそういう発展を阻害すると思います。また、少し曲がっていってしまうのではないかとも思うのです。ちょっと冗談めく言葉ですけれども、こういう高度情報社会、高度技術社会に縄張り争い——縄の話じゃないわけですから、そういう意味でやはり各省庁がよく話し合って、縄張り争いなんかはしてはいけない、こういうぐあいに思うのです。  例えば、今私どもの地域において見てみますと、地域情報化政策というのをいろいろな省庁がやっておられます。通産省で言いますとニューメディア・コミュニティーだ、郵政省に行きますとテレトピア構想だ、こういうことをやっている。中身を見てみますとまさに大同小異ですよ。カレーライスかライスカレーかの違いくらいしかない。こういうのをお互いの縄張りでやっているわけでございます。やはりこういう問題等につきましては、今度のこのソフトの保護の通産との話し合いなんかの例もあるわけですけれども、縄張りとかというような時代じゃないわけですから、高度情報社会に入るわけですから、各省庁よく助け合って連絡をとり合いながら、一貫した対策を立てていかなければいけないのではないか。地方におっていろいろ省庁から来るわけですから混乱するわけですよ。そういう点についての大臣の感想をひとつ求めたいと思います。

松永光自由民主党・新自由国民連合文部大臣

○松永国務大臣 各省庁が縄張り争いなどするという事態が仮にあるとすれば、それは決して好ましいこととは思いません。ただ、各省庁はそれぞれ本来の任務を持っておるわけでありまして、我が文部省の場合には、学術文化の振興、あるいは基礎的な研究を中心にした学術研究の推進、そしてまた、新しい社会、新しい情報化社会に主体的に対応し得る青少年教育その他の教育の問題、これが担当する分野でありますが、各省庁がそれぞれ自分の担当する分野を踏まえながら協力し合っていくということが望ましいことであるというふうに思います。  そして、テレトピア構想とかテクノポリスとかいろいろなものがございますが、テクノポリス構想のごときは通産、文部——やや文部の方が控え目ではございますけれども、協力し合ってやっておる事柄だというふうに実は思うわけであります。新たな高度情報、高度技術の産業を中心にして地域を発展させるということでは、基礎的には学術研究機関、あるいはその研究機関における人材の養成と産業の発展というものがうまいぐあいに組み合わされて初めて新たな地域の発展がなされるわけでありまして、ああいうものがうまく協力しながら協調しながらやっておるというふうに思うわけであります。  ただ、役所の今までの性格がありまして、文部省はどちらかと言えば地味な控え目な役所でありますが、通産省の方はやや積極的に仕事をどんどんしていく、そういう役所の性格がありますので、はたから見れば通産省中心的なことに見えるかもしれませんけれども、その基礎となるものは我が文部省が真剣に取り組んでおるというふうに理解をしていただきたいわけでありまして、テレトピア構想等につきましても、文部省としてもその所管する分野につきましては、他省庁と協力し合いながらいい結果が出るようにやっていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 わかったようなわからぬような答弁ですが、国民はだれでもそう理解しているのです。行政は何かと縦割りで横の連絡が不十分だとか協力状態が悪いというのは国民的常識になっているのだから、それならそれをきちっと認めて、そういうことのないようにやってもらわなければいかぬと思うのです。  たまたま今、例えば高度情報化社会に臨む、あるいは高度技術社会に臨む文部省の態度というものに一部お触れになりましたが、これは私も非常に大切なことだと思うのです。そういう意味において、今度の著作権法でも文化の発展と産業、経済の発展の調和をどこに求めるかというような議論になったのじゃないかと思いますけれども、少なくとも今回の著作権法では、社会の趨勢もそうでありますけれども、著作権法に言う「文化の発展」というのに重点を置いて法改正を出されたわけでございます。今後すべての面におきまして、ぜひ文部省の主体性を発揮していただきたいと思うし、結局文部省というのは、二十一世紀、高度情報社会、高度技術社会、どんな社会になっても、人間を幸せにする、豊かにするというのが原点なわけでございますから、例えば思想とか感情とか心、そういうものを大切にするという精神が著作権法の中にも入っておるわけでございますけれども、そういう人間を大切にするというところから物を発想してもらいたい。  それからもう一つは、やはり教育を担当しておるわけですし、差別があってはならぬ、人間の平等というものを大切にするということ。例えば情報を本当に一部分の者が握ってしまったら、ほとんど情報を持たない者は奴隷みたいになるわけですから、あらゆるものを決める、情報のいろいろな問題について民主主義的な手法で何でもやらなければいかぬわけです。そういう意味において、人間の平等とか民主主義というものを大切にする心ですね。それから、まさに平和でなければ人間の幸せも人類もなくなる、核戦争でも起きればなくなるわけですから、少なくともすべての高度技術とか高度情報というのは平和のために利用するのだ、そういうような平和の理念を基礎に置く、そしていろいろ発展を考えていく。高度情報社会に向かうに当たって、高度技術社会に備えるに当たって、こういうことを原点に置いてすべての政策を考えていかなければいけないのだということを、文部大臣は本当に声を大にして言う必要がある。これはあなたが一番言わなければならぬ、あなたの任務だと私は思うのですが、いかがですか。

松永光自由民主党・新自由国民連合文部大臣

○松永国務大臣 高度情報社会というのは、その社会になることによって人間がより豊かに、より快適な生活を享受できる、そしてより幸せになれる、そういう社会を目指すものでなければならぬというふうに思います。したがいまして、この高度情報社会に対応する基本的な姿勢としては、そうした社会に適切に対応しながら豊かな人生が送れる、そういう人間の育成が我々の務めであるというふうに思います。いたずらに情報が発展してその情報に振り回されるような人間であってはならぬし、またそういう社会であってはならぬわけでありまして、あくまでも、新しい社会、高度情報社会というものは、その社会に住む人々が幸せで豊かで、そして生きがいを感じながら暮らしていける社会でなければならぬというふうに思います。そういう社会を主体的につくり上げていくのが我々人間でありますから、そういう人間を育成していくことが文部省の責務であるというふうに考えているわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 そのための具体的な手段として、例えば人間を大切にするとか平等とかいう民主主義の問題、これは教育の上からもいよいよ民主主義教育というものを大切にしなければならぬと思うのです。それから、本当に核戦争でも起きたら人類というものはなくなっちゃうんだから、どんなことがあっても平和を守るんだという平和教育といいますか、そういうものが基盤にあって初めて高度技術も高度情報もその上に乗せなければ何にもならぬわけですから、そういう意味において、民主主義教育とか平和教育とかいうものについての主張を強くやる、平和、民主主義の主張を強くやる、そして各省庁がそういうところに基盤を置いて施策を立てるように考えさせるということが必要だと思うのです。平和とか民主主義にはお答えにならなかったようですけれども、どうですか。

松永光自由民主党・新自由国民連合文部大臣

○松永国務大臣 平和の重要なこと、民主主義をあくまでも守り抜かなければならぬということは当たり前のことなのでありまして、今の我が国の教育の場ではそれを前提にして教育がなされておるわけであります。ただ、具体的な、平和をどういうふうにして守っていくか、あるいは民主主義の基本原則とか基本的な仕組みとかそういった事柄等につきましては、児童生徒の発達段階を考えながら適切に教育をしていくべきものだというふうに考えておるわけでありまして、口で言う必要もないくらいに当たり前のことなんです。平和の重要さ、そしてまた民主主義を我々はあくまでも守り、貫き通していかなければならぬということ、これは当たり前のことなのでありまして、その前提の上で我が国の教育は進められなければなりませんし、文教に関する各般の施策も進めなければならぬ、これは当たり前のことだというふうに考えまして、それを前提にして私どもは施策を進めていくわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 その当たり前のことをお忘れになるということが私は問題だと思うのですよ。例えば、教育基本法に従って教育をする、この当たり前のことをしないから、それに外れるようなことをするから非行、暴力なんかが出てくる。そういう意味で、当たり前なことであっても、これは本当にどんなに言っても言い過ぎにはならないのです。そういうことをぜひ申し上げておきたいと思います。  次に、コンピューターソフトの開発の技術者養成のことについてお尋ねいたしたいと思います。  私どもが聞いておるところによりますと、我が国においては昭和六十五年までにコンピューターソフト開発技術者が六十万人ぐらい不足するのじゃないか、そういう資料を見たこともある、聞いたこともあるのですけれども、これに対する技術者養成の今後の計画と、いま一つは、今日、大学において、高校でもいいのですが、特に教育、研究の体制はどうなっているのか、こういうことについて御説明をお願いしたい。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 これからの社会が高度情報化社会に向かっていく、特にコンピューターの目覚ましい発展、普及ということに伴いまして、産業界はもとより広く国民生活全体に情報化が進んでいくということにあることは先生御指摘のとおりでございます。それに伴って、情報処理の担い手としてのコンピューターを開発したりあるいはそれを十分にこなします多様なレベルの人材を養成することが必要であろうかと思います。ただいま六十万人不足するということが言われているというような御指摘がございましたが、率直に申しまして、社会のこれからの需要がどの程度あり、それに応じてどれだけ計画養成をしていくかというような形での養成計画はただいまのところ持っていないわけでございます。具体的に、大学ではハードウエア及びソフトウエアのシステムの開発に当たります技術者あるいは研究者の養成ということで、主として工学部を中心にしました情報工学科あるいは計算機科学科等の情報関係学科があるわけでございます。現時点では、大学では国公私立を合わせまして六十七大学七十七学科ございまして、入学定員は五千二百六十名でございます。ほかに、短期大学でも情報工学科あるいは経営情報科というような学科もございまして、短期大学が国公私立を合わせまして入学定員で八百十五名、ほかに高等専門学校についても七学科二百八十名というような入学定員がございます。  なお、国立大学の関係について近年の状況を御説明申し上げますと、財政難を背景といたしまして国立大学の整備についても非常に窮屈な状況でございますけれども、例えば六十年度予算におきましては、名古屋大学の工学部で情報工学科四十人の学科を新設するとか、あるいは高等専門学校では商船高等専門学校について学科の改組転換というようなことを図っていく、具体的には、航海学科が二学科ございますようなところについで一学科を情報工学系の学科に改組転換をしていくというようなことで、それぞれ大学なり高等専門学校にはこういう分野の社会的要請が大変強いということを受けまして、私ども個別に対応してきておるわけでございます。  ちなみに、ただいま手元にある資料で申し上げますと、昭和四十九年当時は、先ほどの大学で申しますと、三十七大学四十四学科で、入学定員が二千四百九名でございましたものが、十年後五十九年度の数字で申しますと、六十四大学七十四学科で四千七百八十名ということで、入学定員その他の対応としてはここ十年来倍増に近い姿に持ってきているということで、そういう社会的な要請にこたえる現実の姿としてはそういう対応をいたしてきておるわけでございます。ただ、御指摘のように、これからもその点が非常に強く言われておるわけでございまして、私ども今後の課題といたしましては、実際に社会が要請をしているものに対してどれだけ大学等の高等教育機関で養成を行っていくべきか、それらの需要に応ずるということは、なお今後それぞれ専門家の方々にもお集まりをいただいて御意見を伺って、より積極的な対応もいたしていかなければならないか、かように考えておるわけでございます。もちろん、大学の教育の内容そのものの点もございますけれども、基本的には、私ども大学教育というものはやはり基本的な分野をまずしっかり身につけさせることに重点を置くべきだと考えておりまして、その上で展開をされるものではないか、かように考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 六十万人くらい不足するという点について今局長から答弁もあったわけですけれども、それに応ずるためにすぐ大学をどうだこうだということはいかぬと思いますが、そういう長期展望に立ちながら、養成計画というものは、大臣、十分検討していただきたいと思います。  次に、コンピューター教育についてお尋ねをしたいと思います。  技術がどんどん発達してきたわけでございまして、非常にコンピューターが小型化して、最近はもう一度この家庭でもというわけではございませんけれども、個人的に使用するに適したマイクロコンピューターなんかがどんどん出現してきておるわけでございます。こういうことは直ちに、国民の家庭の生活、職業上の生活、それから勉強する学習生活にも、この小型になったマイクロコンピューターが非常に影響を与えてきておるわけでございます。そういう点につきまして、我が国のマイクロコンピューター等を利用した教育の方法だとか教育内容あるいは教育における情報処理、こういうものを今どの程度教育の場で利用されておるのか、現状をぜひお尋ねしたいと思います。

高石邦男文部省初等中等教育局長

○高石政府委員 まず、現状を申し上げますと、昭和五十八年五月の文部省の調査によりますと、これは利用形態まで分析はしておりませんが、コンピューターを保有している学校は、小学校では〇・六%、中学校では三・一%、高等学校では五。六・四%というふうになっているわけでございます。  なお、学校でのコンピューターについては三つの側面があると思います。一つは、学習を展開する場合にコンピューターを利用するという観点、それからもう一つは、コンピューターそのものに対しての構造とか機能とかそういうものを理解させるような教育、それから第三点は、もろもろの学校の事務処理、経営情報処理、これをコンピューターで処理するという三点があろうと思います。特に重要なのは一、二の点でございまして、それを今後どういう形で学校の中で利用していくか、研究していくかということを今、協力者会議を開いて今後の利用のあり方についての検討を進めているところでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 学校や教育用に用いられるコンピューターのプログラム、これは著作権法に言います複製というのはどういうぐあいに取り扱われておるのですか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 学校におきまして授業の過程においてプログラムを利用する場合に、現在著作権法上は三十五条の規定がございまして、学校教育の目的のために授業の用に供する場合には著作物一般についての複製が認められております。しかし、ただし書きがございまして、その著作物の目的、用途あるいは複製部数、態様等によって著作権者の利益を不当に害する場合はこの限りでないということとされております。  したがいまして、学校においてプログラムを利用する場合にも、例えばその授業の過程での利用に供した結果すぐコピーを消してしまうというような措置をとる場合におきましては、三十五条の上で読むことが可能でございますが、その生徒全員のためにプログラムをとってコピーを残しておくということは許されない。その事柄、ケース・バイ・ケースで異なりますけれども、一般的には、例えば学校教材用の複製あるいはドリル、ワークブック等の学校における複製の形態に準じて考えてしかるべき事柄であろうと思っております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 大臣、好むと好まざるとにかかわらず、コンピューターを教育に使用するということは今後どんどん多くなっていくわけでございます。  そこで、その教育をするに当たりまして、先ほどから高等教育局長もちょっと言われましたけれども、本当に基礎的なことを大切に、枝葉の機器のいじくり方ということもある程度必要でしょうけれども、問題は基礎的な学力、基礎的な利用の仕方ということが教育上非常に大切ではないかと私は思います。基礎的なことがわからなくて、枝葉のことだけ、技術的なことだけということでは、すぐ使い捨てにもなるわけでございますし、本当の応用もきかないわけでございますから、コンピューターの学習あるいはコンピューターを利用する学習、こういうものは本当に基礎的な学習というのに一番重点を置かなければいけないのじゃないかと思います。  そういう点から、コンピューター学習の計画とかカリキュラムとかというようなものは、まだ今の学校の配置の状況の中では検討していないと思いますけれども、この間、何か社会教育審議会の教育放送分科会が答申か報告かを出しておるようでございますけれども、文部省としましても、こういうコンピューターを使う教育、コンピューター教育というものについては本当に徹底的に検討する必要があるのじゃないか、こういうぐあいに思いますけれども、大臣、いかがですか。

松永光自由民主党・新自由国民連合文部大臣

○松永国務大臣 学校教育におけるコンピューターの利用の問題でございますが、先ほど局長が答弁いたしましたように、学校の事務処理や学校管理の関係でのコンピューターの利用はもう非常に進んでおるわけでありまして、最も能率的になされるようにコンピューターを利用すべきである、この点については何の問題もないと思います。  問題は、コンピューターを利用しての教育方法の問題と、もう一つは、コンピューターの利用についての基礎的な知識を身につけるための学習、この二つの分野がいろいろ問題があろうかと思いますが、コンピューターについての理解や利用方法についての基礎的な学習というものはやらなければならぬと思いますけれども、どういう段階でどの程度やるべきかというのは専門家の研究の結果を得なければならぬと思います。  それから、もう一つの、コンピューターを教育の手段として使う場合のことでありますが、これは余りうまく使いますと、みずから計算しないで全部コンピューターで計算は頼んでしまうというようになりますと、ある場合には自分の頭を使わないで、自分で計算をしながら頭の知的な訓練をするなどという分野が少なくなっては困りますので、これもどういう使い方をすればそういう弊害なしに利用できるかという問題もあろうかと思いますので、この二つの分野につきましては、先ほど局長がお答えをいたしましたように、専門家による検討会議を発足させたわけでありますので、その結論を得た上、適切に対処していかなければならぬ、こういうように考えておるわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 コンピューター教育は本当に大切な問題だと思います。そういうときにいろいろ専門家の意見を聞くのも大切でございますが、問題は、教育の現場、子供の状況、あるいはそこにおる教師の状況、そして取り巻く父兄、地域の状況、そういう点を十分配慮しながら、本当に慎重にコンピューター教育について検討していただきたいということを申し上げまして、時間が来ましたので、質問を終わります。  以上です。

船田元自由民主党・新自由国民連合

○船田委員長代理 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時八分開議

阿部文男自由民主党・新自由国民連合

○阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤徳雄君。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 午前中の我が党の馬場委員の質問に関連をする事項がかなりあると思いますが、著作権法の一部改正の法律案に対しまして幾つかの点についてお尋ねをしたいと思います。  提案理由説明の冒頭で文部大臣が説明をしておられるわけでありますが、つまり「この法律案は、コンピューター・プログラムが著作権法により保護される著作物であることを明らかにするとともに、コンピューター・プログラムの特質に見合った著作権法の規定の整備を行い、プログラムの著作物の著作者の権利の一層適切な保護を図ることを目的とする」と冒頭説明されたわけであります。  さて、新聞を引用して恐縮でありますが、五月九日の朝日新聞の朝刊の「論壇」に非常に興味ある内容が投稿されております。「専門の裁決機関が必要 プログラム著作権の紛争は難解」という見出しであります。これは、会社役員であり、情報サービス産業協会企画委員の上野正見さんという方の投稿であります。プログラム著作権の紛争は難解であるし、専門の裁決機関が必要と、一貫してこういうふうな主張をしているわけであります。  彼は、「世界の法律学説の大勢にそって、保護法益の概念、侵害の態様、救済等について、一応の実定法上の根拠が与えられたこと自体が高く評価せられてよい。」として、業界人の立場から幾つかの点を実は指摘をしているのであります。  若干それを引用させていただきますと、その第一が、「文学作品や絵画、図案とは異なり、プログラム著作権は工業所有権の色彩が濃い。有用なプログラムの存在は、生産効率に直接に関係するし、またプログラムの開発費用が数億円、数十億円に及ぶ日時と人件費を要することになると、複雑、困難な紛争が頻繁におきることは想像に難くない。」と第一の点については指摘をしているわけであります。それから第二の点は、「コンピューターの基本的な知識は、最近かなりの程度に浸透してきたが、なお日進月歩のこの分野の知識は、通常の裁判官の常識と知識をはるかに超えている。まして、何十万語におよぶインストラクションの全部、または一部について侵害があったか否かの判断は、」「特に難しい仕事になるはずである。」と裁判官の問題にまで害は言及をして主張されているのであります。そして、「このことは、文学、絵画図案、写真のように、ある程度直感的に同一性が判断できる他の著作権と本質的に異なっている。」としているわけでありますが、御承知のとおり、文化庁の立場は、プログラムも著作物であり著作権法による保護の対象となるというので、現行の著作権法に適合するよう、提出されております一部改正で対応するという立場を文化庁はとってきたのだと思います。さらにまた、午前中からの議論がありましたけれども、通産省の立場といたしましては、プログラムは一種の経済財であり、その保護と利用には工業所有権に準じた特別立法が必要であるとして、プログラム権法を主張してきたことは、午前中の議論の中でもあるいは馬場委員の指摘の中でも実は明らかであります。折り合いがついて法案提出ということになったのだと思いますが、通産省のいろいろな見解も午前中お聞きをいたしました。特に、あの「論壇」にありましたその中身について、かなり今後いろいろな点について検討を加えなければならない点がたくさんあるのではないかと考えられますので、あの「論壇」に投稿された内容に対する文部省の見解をお尋ねをいたします。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 先生今御指摘になりました「論壇」の記事も読ませていただきました。確かに、コンピュータープログラムに関します紛争を想定いたしました場合に、内容が極めて高度に技術的、専門的でございますから、あそこの「論壇」で指摘されているような問題点というのは十分私たちも想定し得るところでございます。しかしながら、現在のところ、やはり最終的な紛争の決着というのは、両当事者の話し合いで決着がつかない場合は当然訴訟によって最終的な決着が図られるわけでございますし、その場合も、通例、証人とか鑑定人、参考人という形でそういった専門的な見地からの判断を、第三者の意見を聞いて裁判官が判断されると考えております。  ところで、著作権法におきましても百五条から百十一条までの七カ条の条文を設けまして、著作権紛争解決あっせんの制度を設けておりまして、この中で、著作権に関し紛争がございます場合には、両当事者の申請または一方の当事者からの申請に基づいて他方の当事者が同意いたしました場合には、著作権紛争解決あっせんに付することができる制度を設けておりまして、一応あっせん委員といたしましては三名で構成いたしておりますが、実務的には弁護士、学者並びに実務家の三者構成という形で現在処理をしている段階でございますし、プログラムに関する紛争が起きました場合には特にプログラムに関した専門家を登用することによってある程度の対応も可能かと考えているわけでございます。  ただ、「論壇」の中で、例えば特許庁には特許審判所があるからというような指摘もございますけれども、これは特許に関する両当事者間の紛争を解決するものではなくて、特許がおりた場合に、特許の無効の審判であるとか、あるいは特許が否定された場合の拒絶却下に対します変更を求める審判請求というような、特許庁の下しました処分に対しての争いをする審判所でございまして、いわゆる特許権そのものに関する争いについては現在裁判所にゆだねられているということでございますので、今申し上げた著作権紛争解決あっせんによって当面いろいろな問題の解決というのが簡易にあるいは実務的に早急に解決されるということを期待したいと思っております。ただ、事柄が、通常、大変高額な開発費用を投じたものでございますと、両当事者がお互いにそのあっせんによって受け入れるということが可能かどうか、実際問題としてはケースが起きてみないとわかりませんけれども、最終的には金額が大きいものについてはどうしても裁判所に頼ることになるという可能性が強いのではないかという感じはいたしております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 例えば、東京地方裁判所昭和五十七年十二月六日の判決、あるいはまた五十八年三月三十日の横浜地方裁判所の判決、そして五十九年一月二十六日の大阪地裁の判決等が載せられているこの中身は読みましたけれども、ただ、昭和五十三年から五十八年までのこの件数の推移を見ますと、年々その件数が高まってきているのですね。昭和五十八年現在では総数四十四件になっているはずであります。しかも、その内訳は複製関係が圧倒的に多い。こういう状態が棒グラフの中で明瞭になってきているわけでありますけれども、今日、紛争の現状を一体どのように把握をされているか、その二、三の事例をひとつ例示していただきたいと思います。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 文化庁におきまして承知いたしておりますのは、コンピュータープログラムをめぐる紛争事件の中でいわゆる著作権という観点からの紛争の事例等についてはある程度把握しているわけでございますが、現在までに著作権関係の紛争事件としてソフトウエア関係のものは総数で、私どもが把握しております数字が五十八件でございます。そのうち民事の事件が五十二件でございまして、既に終局的な判決がおりておりますのが、先生今御指摘ございました東京、横浜、大阪の三つの判例のほかに、本年三月八日に東京地裁の方から判決が出ておりまして、プログラムの著作権に関します紛争としての判決は合計四件になっているわけでございます。そのほかに、仮処分決定等によりまして事件が決着いたしておりますのが十二件ございます。さらに、いわゆる両当事者間の訴訟は提起されましたが和解によって事件が終局いたしておりますのが十四件、それから訴訟の取り下げが行われましたのが六件ございまして、したがって、現在民事事件といたしましては係属中の事件は十六件であるように承知いたしております。  それから、刑事事件といたしましては、プログラムの無断複製という観点から逮捕されました刑事事件が四件ございまして、それ以外に、著作権をめぐる紛争ではございませんが、プログラムの社外持ち出しといったような事件で、背任罪、横領罪に問われている事件で判決が出たのが二件ございます。その中で、プログラムの著作権関係の若干の傍論的な判断はございますが、直接的なプログラムそのものの著作権紛争事件ではないという意味でございますれば、トータルして一応五十六件というぐあいに理解いたしております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 そういたしますと、かなりの件数が決着がついたり和解あるいは取り下げ等が出されておるわけでありますが、今度の改正法が仮に通過をいたしまして適用されるとすれば、今後における紛争というのは減少の傾向にあると判断されますか、いかがでしょうか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 これは予測でございましてちょっとお答えしにくいわけでございますが、既存の事件が著作権があるかないかというような観点で争われた事例も多うございまして、特に、いわゆるデッドコピーといいまして原プログラムをそのままそっくりコピーした事件が相当数ございます。このような事例は、今回の法律改正によりましてプログラムが著作権として保護されることが明らかになりますれば減少の方向に向かうというぐあいに考えられますが、一方において、法律関係でございますので、模倣といいますか、デッドコピーではないけれども似たようなプログラムが発売された場合に、うちの著作権侵害だどうだというようなケースは依然としてあり得るだろうと思いますし、また、プログラムのこれからの開発利用の普及を考えますと、事例としてはやはり紛争事件は増加する傾向にあるのではなかろうかという想像をいたしております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 その点につきましては今後の推移を見ながら新たな判断をしてみたい、こう実は思っておるわけであります。  次に、別な質問に移りますが、アメリカが再三にわたって日本にもソフトの権利保護は著作権法によるべきものだと申し入れた、こう聞き及んでいるわけでありますけれども、もしそうだとすれば、その内容なり経緯が一体どういう状態だったのか明らかにしていただきたいと思います。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 具体的には、アメリカの方から申し入れ等がございましたのは主として通産省に対してでございまして、これは先生御存じのように、一昨年来通産省がプログラム権法構想を出し、当方が著作権法改正案構想を出してお互いに議論を繰り返していた段階でございますので、日本国政府としての案が固まったわけではございませんでした。ただし、通産省がプログラム権法構想を出されたということにつきましてアメリカが深い懸念を表明いたしまして、例えば日米間の貿易関係等の事務レベル会議におきましては、アメリカサイドから通産省あるいは外務省に対しまして、プログラム権法では困るというようないろいろな指摘、申し入れ等はあったわけでございますし、また、その間に文化庁も参加した会合でもそういった発言はございました。少なくとも、私ども承知しております限りでは、そういう日米間の事務レベル会議等で繰り返し繰り返しアメリカ側からの申し入れがあったという点は一つございます。それから、そのほかにもアメリカ政府の見解という形が、公式か非公式かちょっとその辺が定かではございませんが、一応文書としてアメリカ政府の態度が表明されたような経緯もございます。  内容といたしましては、アメリカ政府側が問題といたしましたのは、主として保護期間の五十年を短縮することについての異論、それから強制許諾制度、いわゆる裁定制度と申しますが、強制許諾制度を導入しようとしたプログラム権法構想に対する強い反発、この二点が大きな問題でございまして、基本的にはアメリカ側としては著作権法による保護を日本に要求し、もし日本が著作権法による保護をしなければアメリカにおける日本のソフトウエアの著作権保護を否定するというリアクションまでも想定したような言辞はあったわけでございまして、そういう意味で準公式あるいは非公式、いろいろな形でそういった見解等が繰り返し表明されたということでございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 その経緯については今お話がございましたけれども、短絡的にそういう理解をするのはどうかとは思いますが、今回の改正法というのは今お話がございましたとおりアメリカの主張にある程度沿ったもの、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 この問題につきましては、発想の違いもございまして、通産省側も文化庁側も、いずれもコンピューターソフトウエアのよりよいあるべき保護という考え方で案を練ったわけでございまして、その間意見の対立等がございますが、両省庁間で十分協議いたしました結果としてただいま御提案申し上げている案で通産省側も了解していただいたということでございまして、内容は、文化庁が昨年発表いたしました文化庁試案の中に若干の修正を加えながら、基本線としては昨年発表いたしました文化庁試案の線でまとめられておるわけでございまして、これは国内両省庁間の話し合いの結果としてまとめられたものでございまして、結果といたしますればアメリカサイドの主張が通ったような形ではございますけれども、しかしながら、それは国内の問題として文化庁と通産省両省庁が協議したものであって、決してアメリカの要求を受け入れたというものではないというぐあいに御理解いただきたいと思います。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 そういう答えをしなければこれは大変なことになりますから、そうだろうとは思います。ただ、午前中の馬場委員の質問に対して大臣が答弁をされました、つまり国際的な傾向である、こういう見解が示されたわけでありますが、今国会のこの改正による著作権法上の保護によって我が国が国際的に不利益になるようなことは考えられますか、考えられませんか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 午前中馬場先生の方にもお答え申し上げたわけでございますが、国際的な動向が、いわゆる欧米先進諸国が著作権の方向で進んでおりまして、そういった流れの中で、日本も国際社会の一員として同様な法制度で進むことを今回の法案で明らかにしようとするわけでございますので、コンピューターの特性に見合った若干の一部の措置、例外措置等はございますけれども、基本線は今の国際的潮流の中でいわゆる国際的な調和を考えながら御提案申し上げているわけでございますので、決して日本が国際的に不利になるというようなことはあり得ない法案だと考えております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 それでは、次に進みます。  公益性の高い使用の場合等のプログラムの著作物の利用または著作権者の専横の防止を図るため、著作権者の許諾権、貸与権等の行使について適正な対価等により許諾等を認める制度、つまり強制許諾制度、これは著作権法上認める必要がありますかありませんか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 著作権制度と申しますのは、国内制度であると同時に、日本が加入いたしておりますベルヌ条約、万国著作権条約といった両条約に規定いたします国際的な保護の義務を受けた体制である必要があるわけであります。その意味におきまして、特にベルヌ条約の中では基本的な権利というのを条約上明記いたしまして、例えば複製権であるとか、録音権であるとか、放送権、上映権、いろいろな権利が規定されておりますけれども、その場合の例外措置というのは具体的に条文で明示されておりまして、例えば録音権についての強制許諾制を認める、あるいは放送権については放送のための一時的な固定制度についての特例は認めるというようなことが条約上明記されておりまして、それ以外のものにつきましては、著作者の経済的利益を不当に害しない範囲でマイナーな例外を設けるということは条約上許容されますけれども、一般的にはそういった他の、例えば録音権で強制許諾制が規定されていることにつきましては、複製権の場合には強制許諾制が規定されていないという趣旨からいたしましても、条約上の義務として、複製権はマイナーな例外以外は強制許諾制を導入することは条約上不可能であろうという考え方に私ども立っておるわけでございます。その意味におきまして、複製権に関する例外的な強制許諾制度を導入することは条約上大いに疑義のあることだと考えております。  一方、国内的にそれではそういう公益上の必要性があるのかないのかという問題はございますけれども、それも国内的な必要性が仮にあったといたしましても、条約との関係における零細なしかもそれは理由のあるものとして著作権者の利益を不当に害しないものとして認められる範囲がどこまでであるのかということになりますと、実務的に、今申し上げた国内的な要請として出てきたものが条約と合致するということが極めて難しいというぐあいに考えられますし、そういった点で、今回の法案の中では強制許諾制、いわゆる裁定制度というのは導入しておらないという次第でございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 御承知のように、ソフトは日進月歩、そして絶えずつくり変えられ、よりよいものに変えられていく可能性は非常に強いわけですね。そこで、長い保護期間を設ければ確かに開発権は守られるかもしれませんけれども、新しいソフト開発が妨げられるという心配はありますか、ありませんか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 著作権制度と申しますのは、いわゆる工業所有権のような絶対的な独占権とは異なりまして、ちょっと言葉が難しゅうございますが、工業所有権の場合でございますと、あるシステムを開発して出願して登録を受ければ、別人が全く同様なものを考え出したとしても、先に出願し先に登録されているものが存在する以上そういったものについての実施権を持たない、つまりだれかが一つの考え方でつくり出したものにつきましては、後から開発を幾らしてもそれは実施できないというのが工業所有権制度の本質でございまして、そういう意味では私ども絶対的な独占権と呼んでおります。  一方、著作権制度の場合におきましては、相対的な独占権と申しますか、あるAという方がプログラムを開発してつくり上げた場合に、Bという方がそれと全く同様な原理で同様なシステムで同じ機能のあるようなプログラムを別個に自分で開発された場合には、これはAB関係は競合関係ではございませんで、Aにも権利がありBにも権利があり、それぞれ独立して実施できる、そういうような性格のものでございます。  こういった違いがございますがゆえに、工業所有権制度におきましては保護期間を、いわゆる絶対的な独占権であるがゆえに、例えば出願公告のときから十五年というような形で短い期間で切りましてそれを一般社会へ開放するという制度をとっているわけでございます。著作権の場合は、いわゆるデッドコピーとか模倣でなければ、別人が考え出した結果が同一の成果物があり得たとしても、それは前の人の権利を侵害するわけではないというような観点からいたしますと、保護期間自体は、そういう意味で原則五十年という立て方を変更する理由は今のところはないのではないかというのが私どもの考え方でございます。  なお、もちろん科学技術の進歩でございますから、すぐれたコンピュータープログラムが開発されてでも、それは社会、公共のためにあるいは国の産業の発展のためにも保護期間をもう少し短くして早く開放したらいいではないかという声があることも事実でございますし、こういった事柄につきましては、これからの中長期的な観点から、文化庁、通産省両省において、国際的な推移あるいは国内の考え方等も見守りながら、なお今後の課題として保護期間の問題については検討していくという形で、今回は保護期間五十年で提案さしていただいているわけでございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 開発者の許可なく特定のソフト使用ができないとなりますと、故意に競争相手を締め出すなど、公正な競争を妨げることにはならないかなど、そういう疑問が残るわけでありますが、その点についてはどうお考えでしょうか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 コンピュータープログラムにつきましては、ある一定の目的を達成するための計算をする指令の組み合わせでございますので、一つの目的を達成するための計算のプログラムとしては多種多様なものが幾通りもつくり得るわけでございます。その場合に、もちろん個々のプログラムについては相当多額な開発費用が必要でございますけれども、独自に開発をしようといった場合には、それは著作権で保護されるコンピュータープログラムの場合につきましては、先ほど申し上げましたような相対的な独占権であるがゆえに、何ら後から開発しようとする者の開発の妨げにはならない制度となっているわけでございます。  問題は、ここに既存のプログラムがあるから、その既存のプログラムを利用してもっといいプログラムをつくって売り出したいという場合に、前のプログラムを利用することについては、もちろん前のプログラムの権利者の了解が必要である。その点においては、言葉は悪うございますけれども、人のふんどしで相撲を取りたいといった場合には保護期間が長いことは非常に制約になりますけれども、自分で独自で開発するんだという考え方をとる限りは保護期間の長短は問題にならない。したがって、問題は、今、既存のプログラムがある以上、二重投資を避けて既存のプログラムが使えるようにすればいいじゃないかという考え方も一つの理論としてあり得るわけでございますけれども、これは、先般アメリカからもプログラム権法構想についてクレームがつきましたように、少なくともアメリカ側にとってみれば、自分のつくったソフトで、日本の企業が人のふんどしで相撲を取ることを認めると言うのは虫がいいという考え方もあるわけでございます。また、国際的な紛争の種にもなりかねない問題でもございますし、そういった点では、これからは、本来プログラムの保護期間が何年であればいいのかということを、五十年のままでいいのかどうかということを、時間をかけてそういった視点で検討すべき問題でありまして、後の開発者の開発を妨げるという視点からの検討問題ではないのではないかという感じがいたします。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 それでは、法第十五条に関係いたしまして幾つかの点についてお尋ねをいたします。  御承知のとおり、法第十五条「職務工作成する著作物の著作者」の項であります。いわゆる法人著作物の項がこの中にあるわけでありますが、コンピュータープログラムが企業等の法人の従業員により作成される場合が多く、また未発行、未発表、無名のものも多いという事態に合理的に対応し切れない面もある。よって、法人等における著作物の作成の実態に合理的に対処し得るよう、法人著作の規定の整備をするために第十五条に一項を加えたと説明されているわけですね。したがいまして、法人の名義で公表される著作物はもとより、無名で公表される著作物についてもその法人等となるということを考えますと、すべてこれは法人等にくくられてしまうのじゃないか、そんな感じもしないわけではありません。  実はきのうの朝日に「ソフトウエア開発の大手  三億円の所得隠す 全額が使途不明の裏金」というので掲載されています。この問題が質問の趣旨ではもちろんありません。しかし、実際に行われている状態が新聞の中で実はマイナス面としてあらわれてきているわけであります。例えば、きのうの所得隠しの問題の中身を読みますと、「大企業から委託されたソフトウエアの開発で急成長している業界大手の日本タイムシェアが」「子会社などと合わせ三億二千万円余の所得隠しを摘発された。」こういう事件のようであります。しかもずっと読んでいきますと、この「ごまかし所得額は、五十六−五十九の四年間で約二億二千万円。うち約二億円が所得かくしだった。」と伝えております。しかも「子会社、下請け会社に払う外注費を水増しし、あとで吸い上げる手口。」新聞はこう報道しているわけであります。この事件そのものを聞いているのじゃありません。つまり元請と下請の関係が現実的にはかなりあるんじゃないか、こういう類似した行為というものが。  この法案をよく読んでみますと、一つは契約行為であるということが明記されていますね。ひとつこの件について見解をお伺いしたいと思います。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 今回の改正案で十五条の二項の規定の追加を提案申し上げておりますのは、先ほど先生おっしゃいましたように、コンピュータープログラムの場合には、一般的には多数人が参加し、しかもつくられるプログラムが会社の名義で世の中に出ていくというケースは極めて少のうございまして、内部的な利用に伴う特別発注等によりまして特定の会社の中で扱われるということで、世の中に公表、発行の形で出ていくものではないものが多うございます。また、出版物のように、例えば特定の会社名、法人名で出版されるというようなものと違いまして、無名のものが多いという実態が一般的にあるわけでございます。そういうような場合に、職務に従事した職員がつくったプログラムであるにもかかわらず著作者は個人とするということが果たしていいのかどうかという問題がございまして、むしろ、プログラムの性格を考えました場合には、機能面というのが重要でございまして、個人の個性が著作者の人格としてそこに具現されているという性格の点は若干弱い面がありはしないか。そういった点を総合勘案いたしまして、今回、著作者がだれであるかという点につきましては法人等を著作者とするという十五条二項の規定を設けたわけでございます。  ところで、今先生御指摘ございました下請の関係でございますけれども、この場合も一般の著作物と同じように、例えば、A会社がB会社に対して下請としてこの著作物をつくってくれ、こういうプログラムをつくってくれといった場合に、作成されましたプログラムにつきましては通常は下請を請けましたB会社の著作物でございまして、Bが著作者になるわけでございます。しかし契約取引上は、恐らく多額の経費を出して委託しているわけでございますから、下請が製作した著作権は多分Aの方に譲渡されているのが通例だと思います。法律上は著作者としての立場はBに残るわけでございますが、著作権は全部Aに行ってしまう、そういうような関係になろうかと思います。  今先生御指摘になりました新聞記事との関係でございますが、著作権法上そういうことであり、かつ税金面でどのような措置をされるかということは著作権法とは直接はかかわりない事柄でございまして、また著作権法の今回の規定は悪用を助長するというような性格のものではないと考えております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 一つの事例にすぎないわけでありますが、しかし、この問題については非常に関心が持たれている中身である、実は私はこのように理解をしているわけであります。  さて、問題は別でありますが、社会教育審議会教育放送分科会が「教育におけるマイクロコンピュータの利用について」という報告を昭和六十年三月二十九日に発表されているわけであります。午前中の馬場委員の質問の中にも若干教育に関係する部分についての質問がございましたが、この報告の概要についてひとつ御説明をいただきたいと思います。

齊藤尚夫文部省社会教育局長

○齊藤(尚)政府委員 社会教育審議会の教育放送分科会の報告につきまして簡単に御説明させていただきます。  この分科会では、ニューメディアの発達あるいはマイクロコンピューターの普及というのが大変著しい、それが職場ばかりでなくて家庭や地域社会への影響もますます強くなるのではないか、そうとすれば、教育の面におきましてもこれに適切に対処することを考えていく必要があるという観点、それからもう一方では、マイクロコンピューターが教育方法の改善なり充実のメディアとしてこれからいろいろな可能性を持っているという観点に立ちまして、昭和五十八年九月から一般的、概括的な事項につきまして議論を重ねてまいりまして、その結果を整理して発表したのがこの報告であるわけでございます。  内容を簡単に申し上げますと、四つの章に分かれておるわけでございます。  第一は、「情報社会と教育」ということでございまして、この中では、教育におけるコンピューターの利用の意義でありますとか、教育におけるマイクロコンピューターの普及と利用の現状、さらには諸外国におけるマイクロコンピューターの教育利用の状況につきましてまとめてございます。  二番目は、教育におきますマイクロコンピューターの利用についてでございます。マイクロコンピューターの利用形態では、大きく言いますとCAI的な利用とCMI的な利用という二つのものがあるわけでございますが、学校教育、社会教育の両面にわたりましてその典型的な利用につきまして解説を行っているわけでございます。あわせて、教育利用に際しての留意事項、それからコンピューターに関します教育の問題、これは現在でも高等学校の職業学科、工業や商業の情報処理教育あるいは情報技術教育で行われているわけでございますが、とりわけ普通教育にこれをどういうふうに取り上げていくかということを検討すべき時期ではないかという指摘も行っているわけでございます。  それから三番目が、教育におきますマイクロコンピューター利用のための条件の整備についてでございまして、マイクロコンピューターの利用に関します評価でありますとか、利用方法の研究の促進、さらには研修の充実の問題、ソフトウエアやハードウエアの開発の問題等についてまとめてございます。  それから最後に、マイクロコンピューターの教育利用研修のカリキュラムの標準案でございます。コンピューターを有効に活用していくためには、できるだけ多くの教育関係者がコンピューター利用に関します知識や技能を備える必要があるわけでございます。その観点から、初級、中級、上級の三つのグループに分けまして、研修の目的であるとか研修時間、研修事項、そういうものにつきましてカリキュラムの標準的な案をまとめて公表しております。  これが報告の概要でございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 今の問題につきまして、ひとつ大臣の御見解をお尋ねしたいと思うのであります。  概括的な報告は今いただいたとおりでありますけれども、我が国の学校及び社会教育施設におけるマイクロコンピューターの保有率は、昭和五十八年五月現在で、小学校が〇・六%、中学校が三・一%、高等学校が五六・四%と、高等学校にいくに従ってその保有率は非常に高くなっているわけであります。そして、公民館が〇・八%、図書館が四・〇%、博物館が六・七%となっておりまして、コンピューターはさまざまな教育情報処理を行ったり学習者の学習理解を援助するなどに用いられていると具体的に報告されているわけですね。  そして、「教師の指導計画作成等のための利用」の項の中では具体的にその分野が記載されています。例えば学習指導計画の作成、授業の設計・実施、評価問題の検索、学習者の学習診断、授業過程の分析などのために利用する、こういう例が実は載せられておりまして、さらにまた保健データの処理や学習資料の管理などのために非常に利用があるという報告がこの報告書の中には載せられているはずであります。昭和五十八年五月現在での保有率がこのくらいでありますから、現時点ではもっと高まっているのではないかと思いますし、ここ二、三年あるいは数年を展望いたしますときに、このコンピューター利用と学習指導との関係が非常に深まってくるのではないか、こう思うわけであります。一つには財政の問題がもちろんあります。あるいはこれらのコンピューター導入によるところの効果の面も議論されるでありましょう。今後の展望に立って、この問題についての大臣の御見解を承りたいと思います。

松永光自由民主党・新自由国民連合文部大臣

○松永国務大臣 先ほど局長が御答弁申し上げましたように、この分科会の報告というものは、これからの情報化社会の進展を展望するとき、極めて時宜を得た報告だと受けとめております。ただ、局長の答弁にもありましたが、マイクロコンピューターの利用形態としては、第一が、学習者の理解を助けるために利用する、そういう分野と、もう一つは、教育情報処理あるいは学校経営等に利用する分野と、二つあるわけでありまして、後者の方についてはそれほど問題はない、大いにコンピューターの利用が促進されてしかるべきだと思われますが、前者については、教育的な配慮を考えますと、余りにも便利な学習用の教材等が出てくるということは、自分で計算はしないでコンピューターを使って答えを出してしまうというようなことが低学年の時代あたりから一般化してまいりますと、自分で計算をしませんからある意味では計算の処理その他について頭を使わなくなる、そういったことが果たしていいことなのかどうかという指摘も実はあるわけでございまして、我が国においてはそろばんというのが非常に普及をしておるわけでありますけれども、そのそろばんが自分の頭の訓練になる、そのことが子供の能力を開発するのに非常にいい結果が出ておるということで、アメリカあたりでは日本のそろばん教育などというのを参考にしておるという事情もあるそうであります。  したがいまして、前者の面については、どういう形態であるいはどういう段階からコンピューター利用による学習をしたらいいのかという問題があろうかと思いますので、専門家に検討をしていただいてその検討結果の報告をいただいて、それに基づいて適切に対応していきたい、こういうふうに考えるわけでございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 基本的な考え方をお述べになったのだろうと思いますけれども、確かに、今私が指摘をいたしましたように小学校段階では保有率が非常に少ない、それはおっしゃることが当たっていると私も思います。だから、小学校段階においては基礎学習が非常に重要だということを提唱されているのはその意味でありますけれども、高等学校にいくと五〇%以上も保有率がある、これは一体何を物語っているのかということを十分考えていただきたい、こう私は思っているのであります。  つまり、話は著作権とちょっと違いますけれども、いつか私もこの委員会で述べたと思いますが、今日の状況は高等学校を卒業しなければ就職さえもできないという状況である。かつて中学校卒業者が金の卵としてもてはやされた時代はもうとっくに過ぎてしまったわけです。同時に、社会に出ていった場合にコンピューター操作ができなければ仕事にならぬというような傾向だって十分考えられる、こういうふうに私なりに理解をしているところであります。そういう意味では、区別をされて御理解をいただいて、その対応についておくれをとらないような御指導をぜひ要望しておきたいと思います。  さて、次の問題でありますが、御承知のとおり、昨年四月二十七日に衆議院の文教委員会で著作権法の一部を改正する法律案が上がった瞬間に附帯決議をされたはずであります。この問題につきまして、日本音楽著作権・著作隣接権団体協議会からいろいろ要請の文書が届きました。それなりに悩みがあったり、あるいはかなり要望をお持ちだなと、これを読ませていただいて感じ取ったわけでありますが、特に私がお尋ねいたしますのは、その附帯決議の四項の問題であります。すなわち「録音、録画機器の急激な発達普及の実態と今後の動向にかんがみ、これらの機器に対して、諸外国の制度も参考にし、著作物の私的使用等のための複製について賦課金制度の導入など、抜本的解決を図るための対応をすすめること。」と決議をされているわけであります。ところが、先ほど申し上げましたこの団体協議会が主張しているのは二つあります。すなわち「経済的被害」と「日本の果たすべき国際的責任」の問題について主張をなされています。  時間もありませんから全部を紹介するわけにはまいりませんが、特に私がこの中で注目をしなければいけないと思いましたのは「経済的被害」の問題であります。「一年間に家庭内で約八十億八千万曲の音楽が無償で録音されており、これは作詞家・作曲家の年間の録音使用料の約十八年分に当たり、また、レコードの年間生産量の約十一年分に当たりますが、作詞家、作曲家、実演家及びレコード製作者ら関係権利者には一円のお金も入りません。このように、関係権利者が蒙っている経済的被害は莫大なものであり、作家などの創作意欲をそぐ結果となっております。」と主張されておるわけであります。  ところが、この主張をうのみにできないのじゃないかという疑問を私も持っておるわけであります。賦課金制度の問題があるわけでありますが、最終的には消費者に全部ツケが回ってくる危険性だって考えられる。こう考えますと、決議はいたしましたけれども、その取り扱いについては、そういう面を含めまして極めて慎重に取り扱わなければいけないと考えるわけであります。あの決議がなされて一年近くになろうとしているわけでありますが、この附帯決議に対して一体どのような今日までの進行状況があったのか、さらにまた、これをどのように進められようとしておるのか、文部省の御見解をお尋ねしたいと思います。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 先生ただいまお読み上げになられました附帯決議の趣旨を受けて文化庁としても誠心誠意対応している段階でございますが、ちょっと経緯的に申し上げさせていただきます。  昭和五十六年に著作権審議会の第五小委員会の方から報告をちょうだいしましたときに、この抜本的な将来の制度に対応いたします場合にはあくまでも関係者の基本的な合意の存在というのが必要であろう、そのために文化庁としても利害関係者の話し合いを促進してほしいという要望を受けまして、その後著作権資料協会に設置されました懇談会におきまして今日まで二十回の会合を重ねながら話し合いを進めてきているわけでございます。もちろん、その懇談会の中には、いわゆる録音、録画機器メーカーの代表団体でございます日本電子機械工業会がございますし、録音、録画用の機材、テープのメーカーの団体でございます磁気テープ工業会も入っておるわけでございまして、この両団体はどちらかといえば、もちろん機器、機材のメーカーでございますから、こういった賦課金制度その他の対応につきましてはどうしても消極的になるわけでございまして、その理解を求めながら話し合いを進めているという状況でございまして、一朝一夕にはいかないわけでございますが、ただ世界の大勢自体が、既に一九六六年に西ドイツで機器に対します賦課金制度を導入しました。これは先端的な制度であったわけでございますが、一九八〇年代に入りまして続々と機器または機材あるいは機器、機材の両方に賦課金制度をかけるあるいは課税制度を導入する等の措置で、現在十カ国が既にこういった対応を行っている。しかも、そのほかの国でもそれぞれ法案を提出中あるいは準備中というような段階にございますので、日本が世界最大の機器あるいは機材の生産国であるという立場も踏まえながら、国際的な非難を浴びないような方向での努力をする必要がございますと同時に、あくまでも国内的にこの問題が十分理解を得られ、無理のない形で制度に向かっていくということが必要でございますし、附帯決議の趣旨を踏まえながら、行政サイドとしても誠心誠意十分な努力を尽くしたいと考えておる段階でございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 同じ決議の第二項に隣接権保護の問題が実は決議をされているわけであります。実は、この前NHKのテレビを見ていましたら、ニュースだったと思いますけれども、映画館に機械を持ち込んでそれを写し取って、海賊版にしながら、それを大量に売っているというのがかなり報道されました。いろんな事件が存在するわけでありますが、そういう意味での著作権保護というのは非常に重要だなという感じをあのニュースを見て私は感じ取ったわけでありますけれども、その著作隣接権保護の徹底を図るための決議第二項の問題についてどうお考えでしょうか。

加戸守行文化庁次長

○加戸政府委員 附帯決議におきまして、一九六一年に制定されましたいわゆる隣接権条約への早期加入の検討を進めるように御決議をちょうだいしているわけでございます。この問題は長年の懸案事項でございます。既にイギリス、オーストリア、西ドイツ等の先進諸国を含めまして二十七カ国が加盟いたしておりますけれども、まだアメリカとかフランスといった大手の国が加入していない状況もございます。その中で、この問題についてどうしてもネックとなりますのは放送事業者側からの強い反対でございまして、具体的には外国レコード、実演家に対する支払いが増加するという点を懸念する気持ちがあるわけでございまして、なかなかはかばかしいはかどりをしないわけでございますが、本委員会で昨年御決議をちょうだいいたしましたのを受けまして、著作権審議会でもこの隣接権条約加入問題についての検討を第一小委員会において開始をいたしまして、現在までに関係団体からの一応の意見を聴取し、これから問題点の整理に入るという段階でございまして、方向として前向きへの努力を審議会としてもお願いをしているという段階でございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 そのほか著作権法の改正の問題につきまして幾つかお尋ねしたいとは思っておりましたが、あと時間が三十分余残っております。委員長、甚だ恐縮でありますが、実は私に対しては極めて緊急性のある問題でありますので、ちょっと議題とは離れますけれども、県立福島医大の汚職問題について文部省の見解を尋ねさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。

阿部文男自由民主党・新自由国民連合

○阿部委員長 よろしゅうございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 それでは、全国の各新聞あるいは地方版については特に連日的に掲載をされております。私の地元の非常に不名誉な問題でありまして、心悩ませているわけでありますけれども、設置者が県でありますだけに、本来県段階の処理が至当であろうというふうに実は私も考えておりました。ところが、連日の新聞を見ますと、文部省の見解が新聞で報道されたりあるいは文部省も判断をしなければならない幾つかの点等についての指摘もございましたので、そういう意味合いを含めましてお尋ねをしたい、こう思っているわけであります。  まず最初には、福島県立医大の汚職事件の経過の概要の説明をしていただきたいと思いますが、五月の九日に医大の事務局長が文部省を訪問して事件の経過の報告と謝罪に来たと新聞には出ておりますが、そういう一連の経過もありますし、その後の進展状況もあると思いますからお答えをいただきたい、こう思います。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 福島県立医科大学の医療検査に関しまして去る五月八日の新聞に報道されたわけでございまして、私どもとしてまことに遺憾に存じておるところでございます。  ただいまお話しのございましたように、文部省といたしましては直ちに大学当局から事情を聴取いたしたわけでございますけれども、現時点では、当事者が逮捕されておりまして、かつ関係書類も押収をされているというような事情もございますので、大学当局としても事実関係については必ずしも十分に把握できていないというのが現時点の状況でございます。  私ども報道されたところで承知をしている点で申し上げますと、去る五月七日に福島県立医科大学医学部の附属病院中央臨床検査部長阿部教授が、昭和五十八年から五十九年にかけましてスペシアル・レファレンス・ラボラトリー社の幹部から臨床検査の発注に関し便宜を図った謝礼として現金計三百六十一万円を受け取ったとの容疑で逮捕されたということが報道されておるわけでございます。  なお、同日、別の臨床検査会社の社長がこの贈収賄のために銀行口座を貸して贈収賄を幇助したという容疑で逮捕されたということが言われております。  これらの事態を受けまして、大学当局におきましては、五月八日に臨時の教授会を開催し、学長から事件の報告をいたしますとともに、教職員の服務規律の確保について厳重に注意を促すというような措置は直ちにとったわけでございます。  さらに、五月十四日にも臨時教授会を開催いたしまして、大学の管理機構全般について見直しを行うために学長を委員長とする委員会を設置するということが決定をされたということが報告をされております。  私どもとしては、大学当局に対してさらに事実関係を調査し適切な措置をとるよう指導をいたしておるわけでございますけれども、従来からも医学部にかかわる大学の服務規律の問題については当委員会においても何度か取り上げられたことがあるわけでございまして、それらを受けて、私ども、関係者に対して機会あるごとに服務規律の厳正な保持ということについては注意を喚起いたしておるわけでございます。  それらを受けて、私どもとしては全体的には改善の方向に向かっているものと確信をしておるのでございますけれども、たまたま本件は大阪における検査の体制についての捜査から摘発をされたように私どもは承っておりますが、まことに遺憾なことでございまして、私ども、国公立大学、特に医学教育関係者のさらに一層の反省を促して、国民の信頼を確保できるような対応を今後とも十分してまいりたい、かように考えております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 今お答えいただきましたように、大阪から飛び火したようであります。昨年の国会では大阪大学の医学部の問題について不祥事があり、私も幾つかの点についてただしてきたわけでありますが、どうも医大の問題になりますとなぜ大阪から出てくるのかなと私は疑問を持つわけなんであります。  しかし、ずっと調べてまいりますと、それは単に大阪から飛び火をしたという問題ではなくて、企業の体質もありましょうが、いわゆるスペシアル・レファレンス・ラボラトリー会社、通称SRL社、こう呼んでいるようでありますが、私の調査によりますと全国に四十の営業所を持っているのですね。しかも、新聞は公立病院などに食い込んでわいろ攻勢をかけていたと報道されているわけであります。そうなりますと、大体国立大学附属病院あるいは公立病院をねらい撃ちにしてわいろ攻勢をかけているというふうに判断がされるわけでありますけれども、このSRL社と契約を結んでいた国立大学あるいは公立病院が存在しているのかどうか、その点についてどのように把握しておられるのか、契約事実などを含めてお答えをいただきたいと思います。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 国立大学の附属病院における契約事務についてでございますけれども、事柄としては極めて多岐にわたっており、かつ個別の契約については大学の自主性にゆだねられているということが基本でございます。したがって、文部省として契約の相手方等の報告を受けるというような仕組みにはなっていないわけでございまして、御指摘のSRL社との契約の状況については把握はいたしておりません。  ただ、本件が報道されました以後、私どもとしても国立大学、具体の大学について、数大学について事実上照会をいたしております。SRL社との契約については、大きい大学について照会をいたしたわけでございますが、いずれもやはり検査の委託をSRL社とは契約をしている。数大学について具体に照会をした結果そういう状況でございますので、実態としては、これは相当大手の検査の会社のようでございまして、国立大学においても契約をしている事実はあるというぐあいに私ども承知をしております。  国立大学の契約事務の処理に当たりましては、もちろん関係法令に従って、学内における委員会等における審査というような手続を経まして慎重かつ適切を期するように、この点についても従来から指導し、各大学においてもそういう適切な対応をなされているものというぐあいに承知をしているわけでございまして、以上が国立大学の病院における現時点の状況でございます。  なお、その他の公的病院における契約の実態については、私どもは把握はいたしておりません。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 大手業者でありますから、契約を結んじゃならないなどということはないわけであります。要は、契約を結んだらそれを正規な手続に基づいてどう進行させるかということが大事なんであります。ところが、どの大学だかわかりませんけれども、かなり大きい五つ六つの大学をお調べになってのお答えでありますが、これはわいろですよなんて言ってお金を渡す人はいないのであります。研究助成費がなんかの名目で、額の差はあってもかなり四十の営業所を通して金がばらまかれているのではないか、こういうような状況も実は流されているわけでありますけれども、そういうこの会社の研究助成費等についてのお調べはあったのでしょうか、ないのでしょうか。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 各企業から大学等に対して奨学寄附金という形で手続を経て受け入れるということは一般にあるわけでございます。そういうような形で、SRL社の場合においても奨学寄附金というような形で正規の手続を経て各大学に寄附をされるということは事実上はあり得るというぐあいに承知をしております。  なお、具体の案件について個別に調査をいたしておるわけではございませんが、当たりました数大学等についてはそういう事実があるということを伺っております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 事件の進展がどういうふうになりますか、その推移を見ないと軽々に判断することはできませんが、それでは、多分福島医大はSRL社と大塚製薬株式会社とそれぞれ契約を結んでいるはずであります。年度別に年間契約額がおわかりでしたらお知らせいただきたいと思います。同時に、当該会社との契約開始時期はいつだったのかも教えていただきたいと思います。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 大学当局から事情を聞いたところによりますと、福島県立医大とSRL社との契約開始の時期は昭和五十二年十月ということでございます。また、福島医大と大塚製薬株式会社との契約開始時期は昭和五十六年九月というぐあいに報告を伺っております。  なお、最近四年間の両社との年間契約額でございますけれども、SRL社との間では、五十六年度が約五千七百万弱、五十七年度が五千四百万、五十八年度が六千二百万、五十九年度は見込みでございますけれども五千五百万弱というくらいの金額で、金額的には相当大きい金額になっております。  なお、大塚製薬の場合には、五十六年度が百万強、五十七年度が五百六十万余、五十八年度が一千万余、五十九年度の見込みが約八百七十万余というような金額になっているという報告を受けております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 確かにそのような金額のようであります。ところが、これを見て私は奇異に感ずるわけであります。企業でありますから競合が出てまいることは当然であります。ただ、SRLが大塚製薬と比べてかなりの契約の金額の差がある、ここに私は問題があるのではないかと思うわけであります。優秀な方に大きな契約をするというようなことも考えられますけれども、しかし、公平を期するあるいは疑惑を招かない、そういうことを判断するとすればいま少し工夫があってもよかったのではないか、これは私が考えることであります。  さて、そこで、検査委託の手続はどのようになっておられたのでしょうか。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 検査委託の手続についてのお尋ねでございますけれども、大学からの報告によりますと、同大学におきます検査委託の手続はおおむね、次のようなことで進められておるというぐあいに報告を聞いております。  まず第一に、中央臨床検査部におきまして委託の原案を作成し、次いで、各診療科の助教授クラスから成るワーキンググループによります検討を経、さらに各診療科の教授から成る部長会において決定をして、最終的に事務局において業者から見積書を徴収し業者を決定して契約をするというような手続がとられているようでございまして、これらの検査委託の手続そのものとしては、私どもとしては通例考えられる適正な委員会組織を設けて決定をされているものと承知をしております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 その説明のとおりに手続が進行していたと思いますかどうですか。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 私ども、大学から報告を聞いたところによりますれば、検査委託の手続に沿って処理をされたというぐあいに報告は聞いているところでございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 実態調査をしたわけではないでしょうから、報告をそのままお話しなさったと思います。ただ、私はここに問題が存在していることを指摘しておかなければなりません。今局長がおっしゃったような正式ルートに基づく手続であれば、仮に何か起きてもそこでチェックができる、こういうことでありますから、いま一度、次回お調べになるときその辺も踏み込んでいただいて、この部分について質問を留保いたしますから、どうぞお調べを願いたいと思います。  さて、五月十日付の朝日新聞の福島版でありますけれども、「SRL職員学内に常駐」「中検が派遣要請」、ここで文部省の見解が新聞談話として、「中立性侵すと文部省」、こういう見出しで実は出ているわけであります。このSRL社の女子職員を中検に派遣し、医大職員に立ちまじって検体の事前処理などをさせていたことが明らかになった。それで、文部省は「業者との癒着の温床ともなりかねず、よくない」、こう指摘していると新聞は報道しているわけであります。事実関係は一体どういうことだったのでしょうか。それに対する文部省の具体的な見解をお尋ねをいたします。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 大学側からの報告によりますと、五十二年十月からSRL社の派遣職員一名が中央臨床検査部に常駐をいたしまして、検体の受付や検査結果報告の各診療科への振り分けを行っていたという報告を聞いております。私どもとしては、一般的に申しますと、大学の仕事、業務と業者の仕事、業務については明確に区分をされるべきことは当然のことでございまして、また、契約に当たりましても当然公正な競争を確保することが望ましいと考えるわけでございます。  ただ、本件のように、実際に職員が参りまして受け付けをするというような事実上の事柄そのものが具体的に適当であったかどうか、あるいはさらに、それの今後の取り扱いと申しますか、そういうような事柄につきましては、第一義的には、本件については設置者でございます県当局においてやはり判断をすべき事柄ではないか、かように考えておりまして、私どもとしては、大学及び県当局の対応を見守ってまいりたいというのが基本的な考え方でございます。  それから、先ほど御指摘の検査の手続の点につきましても、最初にお答えをいたしましたように、本件についてはなお関係書類等が押収されておりまして、大学ないし県当局においても事態の把握が必ずしもまだ十分でないわけでございます。福島県立医科大学については、設置者でございます県当局においても当然本件についてしかるべき調査なりがなされて、今後、この問題についての責任の問題でございますとかあるいは今後の処理体制についての改善対策とか、そのようなことについて当然考えられるわけでございまして、設置者でございますまず県当局の対応を見守ってまいりたい、かように考えております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 ちょっと立ち入ってお尋ねいたします。  間々あるのかどうかわかりませんけれども、医療機器の導入、開発研究の問題であります。学内もしくは附属病院内に特定企業を入れて共同で医療機器の導入ないし開発研究をしていた事実がありますか、ありませんか。御承知でしょうか。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 具体的に、福島県立医科大学においてそういう医療機器の開発等が業者と共同で行われていたケースがあるかというお尋ねでございますと、そのことについては私ども承知をしておりません。ただ、一般的な最先端のと申しますか、そういう医療機器の開発等について、大学側とさらに具体にその仕事を処理する業者とにおいていわば最先端の研究開発を進めるということについて協力関係を持ちながらやっていくというケースは、一般論としてはあり得ることかと思います。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 それは一般論としてはあり得るかもしれません。しかし、それが学内もしくは附属病院内で行われる、仮にそういう事実が発生した場合については、望ましいのですか、望ましくないのですか。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 典型的なケースで申しますと、受託研究というような事柄、これは手続的に、必要な経費を計上し、企業がその経費を出すというような形で受託研究を行うというケースは、実際問題としては個別に行われることはあるわけでございます。  今御指摘の点は、企業と共同でと申しますか、その共同の形態についていろいろ実態を具体的なケースについて考えなければならないわけでございますけれども、共同の形態についてはいろいろ御議論はあろうかと思いますが、現実問題として、医療機器についても、最先端の研究開発を行うに際して共同して作業を行うという実態は存在し得るかと思います。もちろんそれらについて適切な管理運営なり、そういうような面で適切を期するということは当然のことでございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 これはいつか機会がありましたら具体的に指摘をいたしますから、きょうはこの辺でこの部分については打ち切っておきます。  さて、時間も少なくなってまいりましたから端的にお尋ねいたしますが、私の調査によりますと、幾つかの点が判明をしています。  例えば、逮捕されております阿部教授の場合、医大にいる日が非常に少ない、しかも所在がなかなかつかめないという日が多かった、こういう証言をする人がいらっしゃいます。そして、贈賄幇助の容疑で逮捕されている臨床検査会社総合医療開発協会社長高橋傑というのだそうでありますが、この総合医療開発協会に、学生の講座がある日を除いては、一週間のうち半分ぐらいそこへ行って助言指導していたという証言の事実が実はあります。あるいは月額相当の報酬をもらっていたのじゃないかというような話も出ているわけでありますが、既に贈賄幇助の容疑で逮捕されているこの医療開発協会の社長の高橋との関係、そして事案内容、これらについてもし把握されておりましたらお答えをいただきたいと思います。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 県立医大当局から事情を聞いたところによりますと、先ほどお答えしましたとおり、現時点では当事者との接触ができませんために、お話しの阿部教授と高橋社長両者の関係についての詳細は把握できていないというぐあいに私ども伺っております。  なお、阿部教授は、こちらに参ります前は東北大学医学部の講師をしておりましたので、私ども東北大学から状況を聞いたところによりますと、阿部教授は、昭和四十四年から五十三年にかけまして東北大学医学部附属衛生検査技師学校の非常勤講師をしていたということを東北大学側からは聞いておるわけでありますけれども、社長の高橋は、昭和四十三年から四十五年にかけて同校に在籍をしておった、したがってその間、この阿部教授の指導を受けていたということは考えられるのではないか、かように考えております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 お答えいただいたとおり証拠書類も押収されておりますし、それ以上のことは現在の時点ではなかなかつかみにくいだろうと思っております。それは後の機会にいたします。  さて、福島大学附属病院中央臨床検査部の教授、助教授、助手、それから職員等のスタッフ構成は一体どうなっておりますか。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 昭和六十年四月一日現在での中央臨床検査部のスタッフの構成でございますけれども、教授一名、助教授一名、助手二名、臨床検査技師長一名、医療技師二十七名、技能員及び用務員四名の合計三十六名というぐあいに伺っております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 臨床検査技師法、衛生検査技師法、こういう法律があるわけでありますが、この二つの法律によりますと、資格のある者以外は人体に手を触れることができない、こういうことになっているそうでありますが、間違いございませんか。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 御指摘の点はそのとおりでございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 そういたしますと、先ほどのスタッフ構成、お答えいただいたわけでありますが、この法律に基づいて人体に手を触れることのできる人は何人ですか。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 その点については、大学側から事情を聞きました際に具体的に伺っておりませんので、承知をしておりません。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 これは、例えば採血業務あるいは生理学的な検査、つまり脳波であるとか心電図に該当するそうであります。ところが、三十何人かのスタッフがおりますけれども、この臨床検査技師法と衛生検査技師法に基づいて人体に手を触れる人数というのはごく限られているのですね。ところが、先ほど私の調査で指摘したように、一週間のうちに半分もいない。いま一人の方だって仕事の関係で年じゅうついているわけにはいかない。そうなりますと、非常におかしな問題になってしまうのですね、これは。だから、その点私は指摘をするつもりはもちろんありませんけれども、この三十何人かのスタッフ構成がいるわけでありますが、いわば人体に手を触れざるを得ない採血業務や、あるいは脳波、心電図などを医師の指導監督のある場合についてはできるのだろうと思いますけれども、もし医師の指導監督がない場合、それ以外の人たちはこれをやることを許容されておりますか、おりませんか。できれば法的解釈もお願いいたします。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 具体のケースについて伺わないと申せませんが、一般論から申せば、資格のない者がそういうことに従事をすることはできないというぐあいに理解をしております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 もう時間もありません。あと一つ、二つで終わります。  医療機器選定にこの阿部教授が介入をして、購入決定に横やりを入れて白紙に戻す実力者ぶりを発揮した、新聞なんかこう報道しているわけであります。なるほど、これに基づいて私もいろいろ調べてまいりました。そうしますと、医療機器の導入選定の例えば福島医科大学の場合の手続は、予算要求があって、承認があって、現場検討に入る、こういう手続だそうであります。そして現場検討に入った場合については、直接仕事に携わっている人たちがその機械の二ないし三台を候補に、決めて、その中から一台を選ぶ。そして他の二台よりもどこがすぐれているかなどを記載して、選定理由書をつけまして、そして機種選定委員会にこれを提出して、そこで決定する、こういう手続になっているそうであります。ところが、実態は、現場検討をされて選定理由書までつける、普通はこれで機種選定委員会で自動的に決定というふうになるんだそうでありますが、突然ここで理由書の書きかえをさせられて、そしてまた機器選定のやり直しといいますか、別な企業からの機種を導入する、これは教授権限で行うというような実態も実は調査の中で明らかになったわけでありますけれども、医療機器の選定に介入したという事実を御承知でしょうか。

宮地貫一文部省高等教育局長

○宮地政府委員 大学側からの報告によりますと、一部の新聞に過去阿部教授が医療機器の購入に介入したというような報道がなされておるということでございますけれども、大学側としてはそのような事実は把握をしていないという報告を受けております。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 もうあと一、二分であります。もっと聞きたいことがあるのでありますが、時間を守る意味から最後にさせていただきたいと思いますけれども、決して好ましい状況ではございません。あってはならないことであります。県民医療あるいは国民医療を守っていくという立場、あるいは公立であろうと国立てあろうと、とにかく権威のある大学であり、そして附属病院であることは国民全体が認めているところでありますから、そこで信頼が失われてしまったときには大変な状態が発生するのではないか。一体こういう悪の温床がどこにあるのか、その原因を突きとめて、単にそれは福島医科大学の問題ではなくて、全国的な問題としてこれをとらえて文部省自体も行政指導をしなければいけない、実はこう思うのでありますが、最後に、大臣お聞きになっておりましたから、この点についての締めくくり的な大臣の御見解を承りたいと思います。

松永光自由民主党・新自由国民連合文部大臣

○松永国務大臣 公立医科大学で教育、研究あるいは診療に当たる立場の者が犯罪の嫌疑を受けて捜査当局から逮捕されるなどという事態が発生したことは、まことに遺憾なことであると思っております。県立医科大学でありますので、直接的には設置者である福島県が適切な対応をすべき事柄ではありますけれども、文部省としても、県立医科大学における学校運営というものが適切になされるように指導助言をきちっとやっていきたいというふうに考えておるわけでおります。  なお、一般的に言って、教育関係者の中でこうした不祥な事態が起こらないように今後とも適切な指導をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

佐藤徳雄日本社会党・護憲共同

○佐藤(徳)委員 以上で質問を終わります。委員長の御配慮に感謝申し上げまして、これで質問を終わります。  ありがとうございました。

阿部文男自由民主党・新自由国民連合

○阿部委員長 次回は、来る十七日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十八分散会

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