文教委員会 第6号
- 発言数
- 47 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1985/04/12
会議録
○阿部委員長 これより会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。田中克彦君。
○田中(克)委員 文部大臣の所信表明に対する質問でありますから、私は、まず最初に、昭和六十年度の予算に関連いたしまして、特に文教の角度から若干質問をしてまいりたいと思うわけであります。 もう既に、申し上げるまでもなく、大変厳しい財政事情の中から超緊縮型の予算として五十二兆四千九百九十六億という予算編成がされたわけであります。一般歳出につきましても三十二兆五千八百五十四億ということで、昨年に比べてこの一般歳出は三億円の減、こういう状況になっていることも御承知のとおりであります。一方、財政投融資につきましても二十兆八千五百八十億ということで一・二%の減、こういう状況の中で文教予算が組まれた。したがって、文教の場合にも四兆五千七百四十一億二百万ということでありまして、前年比〇・〇五%増という状況であります。国立学校につきましても一兆六千六十三億ということになっておりまして、これもわずかに〇・二八%の増という状況、特に財投については七百六十六億ということでマイナスの二・九%、二十三億円の減、こういう状況であります。 予算編成の際に新聞でも文教予算についていろいろ報道いたしました。しかし、この厳しい状況の中で四十人学級の凍結は解除された、私学助成がいわば前年度並みに確保されたというような評価すべき一面もありますけれども、今申し上げましたように全体的にはかなり厳しい状況になっております。この文教予算の編成の際に新聞報道の中で松永文部大臣は、「厳しい財政状況のもとで、私学助成、四十人学級などの重要施策についてマイナスにならなかったり、計画どおり行えるのは、自民党三役、文教部会、文教制度調査会の先生方が一生懸命支援してくれたからだ。教育改革に真剣に取り組んでいることが関係者に理解してもらえる予算だと思う。」こういうふうに文部大臣のこの予算に対する感想が報道されております。この予算編成に対して、文部大臣も一定の評価をしながら胸を張った形の意思表示をされているわけでありますけれども、まず最初に、そのことについて文部大臣から感想を聞きたいと思います。
○松永国務大臣 お答えいたします。 予算編成に当たった者がみずからその予算について評価を下すというのはいかがなものかと思いますけれども、やはりその予算の評価は国会や国民の皆さん方が下していただくものだというふうに思いますが、強いて記者の皆さん方から聞かれたものですから、しかも最終的な予算折衝が終わった段階でありましたので、先ほど先生御指摘のようなことをしゃべったことは事実でございます。 先生御指摘のように、六十年度の国の予算、一般歳出で三億三千六百万減額になっておる。文部省所管の予算では、これまた先生御指摘のとおり、一般会計二十億増、国立学校特別会計四十五億増、こういった形に実はなっておるわけでございます。しかし、文部省の予算の特色、すなわち人件費が七十数%ということでありますので、そのこともありますし、また全般的に国の財政状況が極めて厳しいということもございましたので、先生御指摘のように縮減せざるを得なかった面も幾つもあるわけでありますけれども、大変厳しい面のある財政状況の中で、教科書無償供与の継続あるいは四十人学級について前進することができた、自然教室推進事業も増額することができた、それにまた私学関係の予算、前年度大幅マイナスであったわけでありますけれども、ことしはマイナスにならずに前年度同額を確保できた、科学研究費は十五億の増額ができた、留学生事業の拡充も図ることができた、こういった点を考えますと、厳しい財政状況の中ではまずまずの予算になったのではないかというふうに思っておるわけでございます。これも、舌足らずの点もございましたが、文教に関係の深い方々の陰に陽にする御支援、応援のおかげであるということで感謝をしておるというのが私の偽らざる心境でございます。
○田中(克)委員 予算編成の段階で国民が最も関心を寄せたのは、いわゆる概算要求基準という形でマイナスシーリングを強要していた状況の中で、軍事予算だけが非常に突出した。したがって、この軍事予算とほかの予算とのバランス、軍事予算の他の予算に与える影響、そういう関係が最も重視され、特に教育とか福祉とかという面から見れば、この問題が最大の国民の関心事だった、こういうふうに言うことができると思う。 そこで、予算編成の復活の段階で、これは新聞も報道しておりますし、私も記憶があるのでありますけれども、自民党の金丸幹事長が、教育関係の予算の確保に理解を示して、教育はある意味では防衛予算よりも大事である、こう言った。しかし、自民党の幹事長発言がこういう形で報道をされているのに、文部大臣自体のこのことに対するいわば文部省としての立場の意思表示や考え方というものは、その面に限って具体的に示されることがなかった、こういうふうに私は思っているわけであります。したがって、さっき私が申し上げましたように、文部大臣として予算編成の段階でまずまずの成果だというふうに評価をされていますけれども、一面でこういう情勢の背景というものもあったわけでありまして、そのことについては文部大臣としてどういう感想を持っておられますか。
○松永国務大臣 幹事長というのは政府を支える与党の責任者でございまして、六十年度予算編成に関して党全体の立場で考え方を述べられたわけでございまして、文教予算の重要性を述べていただいたことは私どもとしては大変力強い、そういう感じを持ったわけでございます。その当時の情勢、例えば教科書無償給与の継続、あるいは四十人学級の前進、あるいは私学助成の予算、大変厳しさがあったわけでありますけれども、今御指摘のありました与党の責任者から文教予算の重要性について明言をしていただいたということは、大変ありがたいことであったというふうに思っております。予算というのは、国の財政状況の厳しさを前提にして、その中でいろいろな工夫をし、やりくりをして実際の面では編成されるものでありますから、党の責任者の文教予算の重要性に対する指摘というものがあれば、私どもも予算折衝の面で非常にやりやすくなったことは事実であります。その意味で、先ほども申したとおり、そういう多くの方々の御支援に感謝の念を持っておるわけでございます。
○田中(克)委員 私どもは、その言明の背景というものは、今大臣が言われるように、四十人学級の凍結解除とか、教科書の無償給与の継続であるとか、私学助成の前年度並み確保であるとかいうことを指して言っているのであろう、こういうふうに理解はいたしております。しかし、今回の予算で大変重要な点は、一々数字を申し上げませんが、公立学校の施設整備についても前年比一一・七%の減、学校給食施設設備についてもマイナスの一二・三%、定時制及び通信教育については御承知のようにゼロ、特殊教育介助職員の設置についてもゼロ、それから育英会の無利子貸与分については御承知のように三十五億二千万有利子化によって削減、国立学校の施設整備については一二%減、社会教育についても施設について一五%減、社会教育事業の充実についても三・四%の減、視聴覚教育の振興についても一〇・六%の減、民間社会教育活動の振興補助についても七・二%減、社会体育についてはやはり施設について一二%の減、学校の体育施設については一一%の減、指導者養成については六・七%の減、学校体育の充実については四・五%の減、文化芸術については、国立文化施設整備につきましては一一・二%の減、地方文化施設整備についても二五・四%の減、これは大まかなものだけ拾い出したものですけれども、いわば軒並みこういう状況になっているわけであります。したがってこういう状況の中で、一方、国立大学の入学金が十二万円から十五万円に引き上げられたこともまた御承知のとおりであります。 こういう状況を見まして、特に新しい問題点として指摘をしなければならないのは、教材費の国庫負担の除外という、いわば制度的に国庫負担法に大きく予算査定の段階で切り込まれた、こういうことの持っている意味というのは非常に大きい。したがって、これは補助金一括法の方の連合審査で私も質問を申し上げておりますから、くどくど重複はいたしませんけれども、今後この種の予算編成の状況の中で、国庫負担法からの対象除外にさらに切り込まれてくるということになると、これは文教予算としては大変な状況になるわけでありまして、教育に与える影響というのは極めて大きくなります。したがってそのことについて、こういう状況を踏まえて、既に八月になれば来年度の概算要求という時期を迎えるわけでありますが、改めて私は文部大臣の決意を伺っておきたい、こんなふうに思います。
○松永国務大臣 先生御指摘のように、いわゆる施設整備費補助、箱物に対する補助について相当の減額があったことは事実であります。こういった分野につきましては、箱物というのは整備がある程度進んでくれば増額傾向からやや減額傾向になってくるということも一つの理由でありますけれども、問題はその予算の中でどういうふうに効率的に整備を進めていくか、こういう問題があろうと思います。そこで、具体的な施設等の整備につきましては、いろいろ知恵を絞って県や市町村の要望にこたえるような事業の執行をしていかなければならぬと思っているわけでありまして、その面、事務当局で相当研究をしていただいているようでございます。 なお、学校施設の整備の関係では、先生も御承知のとおり、大規模改修について地域制限を撤廃して、その他の地域でも大規模改修について補助ができるというふうなことは一つの前進であったというふうに私は思います。 なお、教材費それから旅費等につきまして一般財源化したことについてのお話もございました。一般財源化を私どもが了承するに当たりましては、地方財政当局ともきちっと話を詰めまして、公費で支弁する教材費等につきまして前年度よりも減額がなされないように話をいたしまして、わずかでありますけれども財源措置としては前年度を上回る財源措置がなされるということになりましたので私どもも了承した、こういういきさつがあるわけであります。これからもそうした財源措置がさらに充実するように努力をしていくのが私どもの任務であるというふうに思っております。 なお、義務教育費国庫負担制度の中で教職員の人件費が制度の中核をなしているものでありますから、その中核につきましては、今後ともそれを維持するように懸命の努力をしていきたい、こういう気持ちであるということを重ねて申し上げておきたいと思います。
○田中(克)委員 今大臣の方から、文教予算に占める教職員に対する人件費の比率というのが非常に高いという状況の中で、予算編成の苦しさが説明されたわけであります。実は、予算編成の段階で、さっき申し上げましたように、軍事費との対比で非常に関心を集めたわけでありますが、当時一%枠の問題をめぐって議論が盛んであったときに、総理も加藤防衛庁長官も、三兆一千億を超えて前年比六・九%伸びた軍事予算の説明の際に、いわばこの軍事予算は非常に人件費の占める比率が高い、一兆四千百三十九億ということで四六%を占めている、施設設備が三二%で、装備費は二二%なんだ、こういうふうに説明をして、特にここ数年は六千人から七千人の退官を迎える人の退職金も含まれているんだ、こういうことがこの防衛費が伸びざるを得ない説明として外に向かって言われたわけであります。しかし、今大臣自身も認めておいでになるように、今回の文教予算の四兆五千七百四十一億というもののうちで、二兆四千三百三十九億六千五百万円というものは義務教育費の国庫負担金、こう考えできますと、七十七万人を超える教職員の占める人件費の比率というものは防衛費の比ではありません。そういう点から見ると、昨年と比べても七百億を超える金額が実質文教予算の中で切り込まれてきている、こういう状況になっていることを指摘をしなければならぬと思うわけであります。 したがって、私は、この教育費について、今大臣も大変前向きなお答えをいただきましたけれども、さらに今の厳しい状況の中で文教予算獲得について前向きでひとつ頑張っていただきたい、こんなことをお願いを申し上げておきたい、こう思うわけであります。
○松永国務大臣 先生の御発言、私どもに対する励ましの言葉でもあり、また御忠告でもあるというふうに受けとめまして、これからも一生懸命努力をしていく所存でございます。
○田中(克)委員 次に、臨教審問題について若干お伺いをしたい、こう思っております。 臨教審は、一昨日の十日に臨時総会を開いて、二十四日に発表するという予定であります部会報告について各部会が報告を提出をする、六月には第一次の答申をするという日程で作業を急いでいる、こういうように聞いております。昨年の九月に審議会が発足をして以来既に半年の議論が続いてきたわけでありますが、特に二十一世紀を目指す教育改革の問題として、教育の自由化、多様化あるいは国際化、情報化、人間化というような課題をめぐって大変活発な論議が続いております。教育の自由化ということが個性主義という表現に統一をされてきてはおりますものの、内容としては依然としてそのことが最大の課題だというふうに思うわけであります。 大変自由濶達な議論を重ねるということは私も結構なことだと思うわけでありますけれども、この所信表明の中に、大臣は臨時教育審議会の審議について、「私は、同審議会の審議が円滑に進められるよう、担当大臣として最大限の努力を払う」というふうに言われているわけであります。今まで報道されております審議会の運営は必ずしも円滑にいっていると私も思っておりませんけれども、そういう状況の中で、大臣としてこの円滑な審議のために大臣の立場でどのような努力が払われてきたのか、具体的にお答えをいただきたい、こんなように思います。
○松永国務大臣 臨時教育審議会の審議状況は、私は今まで政府関係の審議会等たくさん承知いたしておりますけれども、臨教審ぐらい審議の回数の多さ、それから一回ごとの審議時間数の長さ、それから審議方法についても自主的にお決めになり、そしてまた審議事項、検討課題につきましても自主的にお決めになり、そして公聴会も数回お開きになり、教育関係者からの御意見の聴取も、数からいっても量からいっても大変な量に上る方々から意見をお聞きになり、あるいはまた合宿集中審議などということもなさっておるわけでありまして、回数からいっても密度の濃さからいってもその熱からいっても、これぐらい充実した審議をしていただいている審議会は今までなかったのじゃなかろうかと思うぐらいの審議をしていただいているわけでありまして、本当に頭の下がる思いでございます。 そして、審議をしていただくに当たりましては、文字どおり自由な立場で闊達な御論議を積み重ねていただくというふうな私どもの姿勢でこれに対処しておるわけでありますが、そういうことで、その審議が自由闊達かつスムーズに行われるように、そして密度の濃いものになりますように、いろいろな方面で配慮をしながら今日に至っておるというのが実情でございます。 なお、事務局次長がおいでになっておりますので、詳しい点は必要があれば事務局次長から答弁をさせたいと思います。
○齋藤(諦)政府委員 臨時教育審議会におきましては、総会が既に十四回開かれておりますし、各部会が十七回ないし二十一回開かれておりますし、そのほか若干の合同会議等が行われているところでございます。部会は四つの部会を開いて、それぞれの検討課題を中心に現在取り進められているところでございます。 その間、総会として聞いた関係団体は五十六団体に及んでおりますが、そのほかに各部会が、現場の先生方とかいろいろな団体の関係者でありますとか学識経験者でありますとかにそれぞれお出ましを願い、並びに文部省そのほかの各省からの説明を必要に応じてアレンジされてきておる、こういう状況になっているところでございます。
○田中(克)委員 私が伺ったのは、今お答えをいただいたようなことは新聞でも広報でも「臨教審だより」でも承知はいたしております。文部大臣が円滑な審議をするために最大限の努力を払うと言っているので、今までの経過にかんがみて、大臣という立場でどのように円滑な審議のために努力をされたのかということを聞いているわけでありまして、審議されてきた現象を聞いているわけではないわけです。そこをお答えいただきたい、こう思うのですけれども、大臣、私の質問の意味がおわかりですか。
○松永国務大臣 文部省に対する資料の提出要求、それから関係方面との連絡、そしてまた合宿審議等をなさる場合のお手伝い、いろいろな方面であらゆる努力をしてきたのでありますが、これからも臨時教育審議会の審議につきましては、あらゆる御協力をし、その審議がスムーズに進められるように努力をしていく所存でございます。
○田中(克)委員 若干議論を前に進めたいと思うのですけれども、臨教審自体も論議を活発にして、その論議の内容というのを明らかにして、できるだけ国民の意見等もくみ上げる中で教育改革を進めるんだ、いわば建前の上ではそういうことを言われております。しかし、実際に今進んでいる臨教審の審議の状況を見ると、例えば受験地獄の解消だとか、暴力、非行化の防止であるとか、具体的な父兄の教育改革に対する期待や願い、そういうものとかなり違った次元で議論がされているという実感を国民は受けとめているのではないかと私は思うわけであります。 特に、この臨教審の中で自由化をめぐる活発な議論をするということで、いろいろ教育論議というのは十人いれば十人十色、百人いれば百色で百家争鳴の議論が必要であるし、またそれが当然だ、こういう言い方もあります。しかし、個人という立場にしろいずれにしろ、次々に飛び出してくるような提言、意見、こういうものに対して、むしろ教育を考える人たちの中にあるいはまた一般国民の中にも、戸惑いすら感じられるようなそういう現象もないとは言えないというふうに私は思っております。 それはどういうことかといえば、いわゆる教育基本法の見直し論から始まって、教育の自由化、個性主義といいましょうか、それから学校の設立の自由であるとか、学区外の撤廃であるとか、学校の選択の自由、塾の容認、果ては公立大学を私学化することの方が望ましいというような意見まで、さまざま出てきております。こういう個人的な見解あるいは意見とは言いながらも、審議会委員の発言であることに間違いないわけでありまして、そういう立場に立って、何を言っても議論だからいい、こういうことにはならないのではないか、私はこう思っております。 そこで、一つお伺いしたいのは、一月の三十一日に歴代の文部大臣と臨教審の代表が、この審議会で進んでおります議論の内容について意見交換をした。文部大臣も御出席になっているようでありますけれども、この機会というのは、さっき私が質問をいたしました円滑な審議を進めるための大臣の努力の一環ですか。
○松永国務大臣 今御指摘の会合には私も短時間同席をいたしておりましたが、この会議は、臨時教育審議会設置法案の審議の責任者であられた前大臣、そして臨教審の設置以後脚退任になるまで大変な苦労をしてこられた森さんが中心になられてその会議が持たれたと承知いたしております。私は前大臣ではありませんでしたけれども、臨教審の代表的な方と文教について経験のあられる先輩の先生方の懇談会でありましたので、短時間出席をさせていただいた、こういうことでございます。
○田中(克)委員 新聞の報道によれば、この機会に歴代の各文部大臣からも活発な意見が出て、私がさっき申し上げたように、自由濶達な議論とは言いながら、次々に飛び出してくる戸惑いを感ずるような新しい発想の意見に対して、国民が期待をしている教育改革の方向とは若干次元の違った議論が続いているのではないかというような指摘もあった、そういう新聞報道もあるわけです。したがって、私が文部大臣にお伺いをしたのは、円滑な審議が進められるように大臣として努力をする、その努力の一環としてそういう機会が大臣の努力でつくられたのではないかというふうに私は受けとめてお伺いをしたわけでありますけれども、そのことについて率直に大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○松永国務大臣 これは森前大臣の在任中に臨教審の先生の方から、文部大臣経験者の方と懇談をして御意見をお聞きしたい、こういったことがあったようでございまして、そのことを受けて森さんが、文部大臣経験者に連絡をし、そうして臨教審の部会長さん方であったと思いますが連絡をして、そうして持たれたのでありまして、その懇談会を持つについて御苦労なさった方は私ではなくして森前大臣でございました。
○田中(克)委員 わかりました。 もう一つ、議論を前に進めますが、よく言われておりますように、臨教審の設置の際には大変な議論がありました。特にその中では、教育基本法の精神にのっとり教育改革を図る、また同法に基づく教育の目的達成に資するために臨教審を設置する、こう第一条で設置の目的が明確に示されている。それに沿うものであるかどうかという議論が国会の審議の中でも中心的でありました。しかし、選任をされた委員の中には、以前からこの基本法の見直しや改正を主張する人たちも選ばれたという結果になりまして、そういう点から国会の中でもいろいろ指摘が行われたことも御承知のとおりであります。審議活動に入ってから、これらの委員の人が、公の場あるいは公の機会、公の紙誌、こういうものを使って発表している意見の中にも、同様そういう見直し論や改正論が出てきていることもまた御承知のとおりであります。 この臨教審広報、既に三号出ておりますが、この創刊号の中にさえ、天谷委員の提言として論文が寄せられておりまして、この見出しは、基本法見直しのために独断と偏見もあえて恐れずに大いに論争を呼び起こしたい、こういう形で掲載をされております。また、八四年の十一月の二日の朝日新聞の論壇には、有田委員の「臨教審の基本法論議は当然」という論文が載っていることもまた御承知のとおりです。しかし、臨教審が設置をされて、国会が昨年の十二月から始まって、いろいろな機会に総理や文部大臣に質問が行われている。そういう中では、再三の質問に総理も文部大臣も、基本法は変える考え方はない、こういうふうに明言をされているわけであります。そういうことになりますと、臨教審の設置法の第一条の、基本法の精神にのっとり、同法に規定する教育の目的達成に資するために臨教審を置くという考え方、この法の目的にそぐわない。こういうことになってきますと、国会の審議過程を振り返ってみますときに、こういう審議会のあり方そのものに大変疑問を持つし、また、ある意味では国会の論議が軽視をされているということにもなりかねない。国民の側から言えば、極めてそういう性格がわかりにくいということにならざるを得ないと思うわけでありますが、この点については大臣どうお考えですか。
○松永国務大臣 先生今御指摘のように、臨時教育審議会設置法第一条に、今回の教育改革は教育基本法の精神にのっとり、教育基本法の定める精神の実現を期して改革を行う、こうなっておるわけでありますから、したがって、教育基本法の精神にのっとり、その実現を期して教育改革の論議をする以上、教育基本法そのものについて、その意味するところはどういうことだろうか、その精神はどういうものなんだろうか、また、教育基本法の精神が今までにどういうぐあいに実現されているんだろうか、将来実現するためにはどうすべきなのか、こういった分野の議論は当然あるだろうと思うのですね。教育基本法の精神にのっとり、それの実現を期して教育改革を進めようというわけでありますから、もととなるものは、本当の意味するところはどういうものなのかということについて御意見をなさるというのは、何といいましょうか、むしろ真剣に取り組んでいる姿勢の一つのあらわれじゃなかろうかなというふうにも見える点も実はあるわけであります。したがいまして、私どもは、教育基本法の意味するところは何じゃ、どういうふうにすればその精神が実現できるのか、今までに実現したものは何か、必ずしも実現が十分でないものはどういう点か、こういった視点から教育基本法について議論があるということは、これはいけないと言うわけにはいかぬというふうに思います。しかし、総理も答弁しておりますし、私もしばしば申し上げておりますように、教育基本法に定める教育の理念、その精神、これはまことに立派なものであると私どもしんから思っておりますから、それを変えるという気持ちは毛頭ございませんし、今度の教育改革もこの精神にのっとり、その実現を期してやってもらいたいという気持ちはしばしば申し上げたとおりでございます。
○田中(克)委員 今の説明でも、大変現実の動いております情勢と乖離がありまして、納得がいきません。 さらにもう一つ、私は大変な問題を発見したわけでありますが、「二十一世紀を展望した教育の在り方について(第一次案)」ということで、金杉さんから一月二十三日付で試案が出ております。これを読んでみますと、教育憲章、教育宣言的なものが必要であって、臨教審が草案をつくって、国民討議を経て、国会が集約をし成文化する、国会決議として採択することが望ましい、憲章、宣言は基本法にかわる教育理念である、こういうふうに言っております。こうなりますと、ここで言うところの教育憲章あるいは教育宣言的なものというのは明らかに教育の基本理念であって、これを臨教審が起草して国会決議として採択することが望ましい——臨教審そのものは、国会で臨教審設置法の審議が行われて、それに基づいて設置をされた機関である。その機関が逆に、教育の基本理念は教育基本法に基づくものであるということが第一条の目的に掲げられているにもかかわらず、その基本理念を真っ向から否定する立場で、その起草を臨教審が行って国会決議にして採択することが望ましい、これはまさに私は法に定められた審議会の議論の範囲を逸脱しているものだ。いかに自由闊達な議論がいいとはいっても、こういうことになればそうならざるを得ないのではないか。だから、国民の側から見れば大変な混乱が生じている、こういうことになるのではないかと思いますが、このことについては文部大臣どうお考えですか。
○松永国務大臣 先ほども申し上げましたように、教育基本法に定める精神にのっとり、その実現を期して教育改革をするための論議をお願いするというのが臨時教育審議会なわけです。そうすると、教育基本法の精神とは具体的に言えば何であろうか、あるいは、教育基本法に書いてある文言等はたくさんあるわけでありますが、その意味するところは何であろうか、あるいは教育基本法に定める精神、理念の中で実現できているものはどういう点であろうか、いまだ十分実現されてない点はどういう点だろうか、そういったことを中心にした検討をされ論議をされるということは、教育基本法の精神にのっとって教育改革を進めるという立場からいえばあるべき議論である、むしろ、真剣に考えていらっしゃるからそういう議論が出るのじゃなかろうかというふうに私は実は思う点もあるわけであります。一般論からいって、熱心に検討をし議論をされる方々がいろいろな議論をなさるということは、教育基本法の精神にのっとって改革をするんだという大枠を逸脱しない限り、私どもの側で、これはよろしゅうございます、これはいけませんなどということは言う立場ではないし、むしろ自由闊達に議論していただきたいというふうに思うわけであります。 なお、私も、今先生おっしゃった方が議論の場でそういう議論をなさったということを承知いたしておりますけれども、私の理解するところは、教育基本法の精神を私は立派であるとしんから思っておりますが、個々の文字その他、必ずしも百人が百人同じような解釈をするとは限らないですね。私は私なりの解釈をするわけであります。そのことから、教育基本法の本当の意味につきまして必ずしも国民の合意があるとは言いがたい。だとすれば、国民の合意が得られるようなもっとわかりやすい文言等によって説明文的なものがあれば望ましいな、こういう御議論であったと私は承知しておるわけであります。法律の解釈、本当の理念はどういうものかということについて、ややわかりにくい点がないとは言えませんからね。そういう点をわかりやすく、みんなに異なった意見がないような形で、教育基本法の定める理念はこういうものなんだ、精神はこういうものなんだということを明らかにした方がよろしいのじゃないかという趣旨の議論だと私は理解をしておるわけであります。それであるとすれば、それなりに意味のある御議論だというふうに思うのであります。ただ、前の席でも申し上げたと思いますが、官製でそういったものをつくるという気持ちは私の方にはありません。こういうことでございます。
○田中(克)委員 文部大臣の答弁、せっかくいただきましたけれども、私どもどうもその点では実は納得がいきません。そういう意味で、円滑な審議をするために文部大臣の最大限の努力を惜しまないということでありますから、ぜひそういう点でのひとつ御努力をお願いしたい、こう私は思うわけでありますが、もちろん、審議過程の委員としての個人の意見あるいは見解、そういうものでありますから、二十四日に出てまいります審議会全体の集約されたものを私どもは踏まえてこれから議論しなければいけない、こう思っておりますから、きょうこれ以上深追いはいたしませんけれども、その点だけを要望申し上げておきたい、こんなふうに思うわけであります。 時間がありませんから、問題を先に進めさせてもらいますが、実は臨教審問題にもかかわってまいりますが、ひとつ具体的な問題で問題提起をしたい、こんなふうに思うわけです。 それは、長野県の松本市に松本歯科大学という大学が昭和四十七年に設立をされました。東京歯科大学の姉妹校という形で、大変創設当時関係者の方々が御苦労されて大学が設立されたようでありますが、残念なことに設立以来今日に至るも大学の運営が非常に不正常で混乱が続いている。また、文部省も経過からしてその指導に手をやいてきている、こういう事情がございます。したがって、長い問題でありますから細かい点は触れられませんが、はしょってその問題の経過等申し上げますので、文部省としてそれについて、私が申し上げるような経過を確認してもらえるのかどうか、またもし違う点があったら説明をいただきたい、こんなふうに思うわけです。 昭和四十七年の二月十八日に、松本歯科大学は設立登記の際、約三十億円の資産があると偽りの登記が行われて、その結果として公正証書原本不実記載・同行使罪となり有罪判決が下された。そしてさらに、昭和四十八年から昭和五十二年までの間実施した入学試験の際に、百二十名の定員を二百名以上にふやして、それらの入学生からは寄附金を徴収した。文部省は虚偽の過少報告をしたとして、その結果文部省が指導に乗り出し、理事長矢ケ崎康氏以下全理事は退任となった。五十二年の七月三十日付であります。これによって矢ケ崎理事長は、在職約六カ月だったけれども、退職金一億八千万円を受け取って辞任をした。矢ケ崎氏の後任として百束氏が昭和五十二年十二月一日付で理事長に就任をした。ところが、その新しい理事体制になって発足した直後の入試の際に、またもや父兄から二十四億円を超えた寄附を受け取り、このことはさきに辞任したはずの矢ケ崎康氏の指示によるものであった。そしてさらに、矢ケ崎氏の指示により百二十名の定員を百七十九人と再び増員をして入学をしたので、文部省は反省なしとして厳しく注意をした。さきに責任をとって辞任をした理事が三名も新理事体制により発足した中に矢ケ崎康氏の指示により復帰した。これらのすべての実情が文部省の知るところとなって、以来今日に至るまで、文部省は、松本歯科大学は正常な大学でないとして、助成金交付はもとより大学院の設置も認めず今日まで来ている。 このような経過の中で、文部省は行政指導として次のような項目を提示された。 新理事体制の中でいまだに採用になっていない林虎雄元長野県知事・参議院議員、那須毅信州大学学長推薦の学部長の二人を直ちに理事として採用すること。さきに辞任した矢ケ崎氏が今にして経営に関与しておることは許せないので、直ちに学校運営への関与をやめること。これはすべての行政指導に優先する。そして、さきに指導した八項目の完全実施。八項目というのは、理事長以下全理事の減給処分、適正な会計処理、経理に明るい常任監事一名の採用、評議員会の構成分野の適正、理事体制の整備、矢ケ崎前理事長の学校運営からの排除、入学者選抜方法の公正化、会計書類の提出、このようなことであります。 これらの行政指導が実行されない限り、文部省は同大学の正常化が認められないということであった。そこで、大学としては、検討の結果、矢ケ崎問題が解決しない限り文部省との再交渉ができないので、その後約三年間文部省との話し合いは持たなかった。ところが、たまたま昭和五十七年の六月に長野県出身の代議士の小川平二先生が文部大臣となったので、小川文部大臣経由によって文部省との交渉が再開をした。一度は十七回交渉が行われ立ち直るかに見えたけれども、ちょうどその折に矢ケ崎氏の不正がマスコミによって暴露されて、文部省当局はこれを重要視して、矢ケ崎氏の排除のない正常化はあり得ない、こういうことに確認をされた。かねてから文部省が主張していた林虎雄氏及び那須毅氏は、その後時間の経過もあってこの二人の就任は望めなくなった。したがって、この両名にかわる人物の採用をするということで、長野県知事の推薦する人を理事長にするということになった。 〔委員長退席、船田委員長代理着席〕 その次には、この指導を検討した結果、松本歯科大としては、矢ケ崎氏の指示を得て、昭和五十七年十二月二十三日に百束理事長、加藤学長等が正式にさきに示された行政指導を実施する旨の回答を文部省にした。ところが、その約一カ月後で矢ケ崎氏が一たん辞職を承知したものの、その態度を翻した。大学内で実権を握っている矢ケ崎氏の力によって逆に百束理事長は免職追放になった、これは五十八年七月三日付。これが当時新聞、テレビで大きく社会問題として報道をされた。 こういうような状況で推移をしてきたわけでありますけれども、昭和六十年三月の入試では、定員が百二十名に対して、四十三名と聞いておりますが推薦入学をしても、なお九十三名にしか達しない、こういうような状況に立ち至っている。しかも、十周年記念行事として建設をした大学の図書館、約十七億円だそうでありますが、この財源に充てるために、かつて発行していた学債十六億を父兄会が寄附をする決議をさせてこの財源に充てようと、昨年の夏父兄会の総会を開く段取りをしたけれども、大学の正常化を求める人たちの反対に遭ってこの計画は実現をしていないけれども、実情はそういう状況になってきているということであります。 以上が大体の今日までの経過でありますが、細かい点ははしょって申し上げましたが、長いことでありますから申し上げませんが、文部省はこういう経過について十分御承知だと思います。したがって、私が申し上げた事実経過について間違いがないかどうか、そのことを確認したいと思います。
○國分政府委員 松本歯科大学についてでございますが、ただいま先生御指摘になりました事実関係の経過につきましては、私ども未確認の部分あるいは承知してない部分が若干入っておりますが、大筋において御指摘のとおりであろうと思います。
○田中(克)委員 こういう問題と経過を持っている大学だけに、その後の実情についても文部省も関心をお持ちだろう、こういうふうに思います。 そこでお伺いしますが、現在矢ケ崎理事長の息子さん、長男の雅さん、実弟の章さん、大学内での立場はどういう地位にありますか。
○國分政府委員 大学の事務局次長という立場にあるというふうに聞いております。(田中(克)委員「実弟の章さん」と呼ぶ)大学の中において、事務局次長という職務権限以上にいわゆる実権というものがどういうふうになっているかという詳細については承知いたしておりません。
○田中(克)委員 長男の雅さんという人と矢ケ崎理事長の実弟の章さんという二人がいるわけですね。章さんはどういう立場にいますか。
○國分政府委員 弟さんについては承知いたしておりません。
○田中(克)委員 してないということであれば、要するにこの大学の、学校法人の主事に採用されています。 奥さんはどういう立場にありますか。
○國分政府委員 奥さんについても承知いたしておりません。
○田中(克)委員 五十四年から五十七年に募った学債、十年間で無利子、この学債を持っている人は約五百人、こう言われています。ここにありますけれども、五十四年、それから五十五年、五十六年、五十七年、一口の金額が百万円で最低三口、目標額四億円、これ四億円で四年間というと四、四、十六億、こういうことになりますが、そのことは事実ですね。
○國分政府委員 大学側の説明によりますと、学債を昭和五十三年度から五十七年度にかけまして募集いたしました。募集目的は教育施設充実のためということで、実際には図書館建設の経費に充てるということのようでございます。学校からの報告によりますと、これによりまして募集しました学債総額は五年間で十七億八千万余りというふうになっております。
○田中(克)委員 十七億八千万というと、私が聞いた話よりも金額はふえてきているわけですが、これは創立当初でしょうから、大学運営のために大変御苦労されているだろうということは容易に想像はできますが、それにしても、学生が入試に通っていわば入学時に納める納付金、この実情も掌握はされていると思いますけれども、五十四年に九百四十五万円、授業料から入学金から施設の整備拡充費とか実験費とかいろいろ含めてでありますが、そういう金額。それで、五十五年には一千二百五十万、五十六年には一千三百七十五万、五十七年には一千三百九十万、こういうように非常にアップ率も激しいし、納付金としては金額が非常に多い。 全国に歯科大学が十五校、十七学部あると聞いておりますし、私学助成をしていない大学といいますか、これが三校ある。この松本歯科大学はもちろんこの三校の中の一校で、私学助成をとっておりません。それがこういう実態になっているということは、大変私どもは疑問に感ずるわけです。他の歯科大学との比較等から見て、特にここには大学院もないようでありまして、未設置が全国で四校あって、いわばいまだこの大学院設置のめどのついていないのは松本歯科大だけだ。こういうことから見ると、その辺のことが、大学の正常な経営、運営のために考えてみると、大変に問題を含んでいるように思うわけです。この辺、ほかの歯科大学と比較してどうなんですか。 〔船田委員長代理退席、委員長着席〕
○國分政府委員 松本歯科大学の学生納付金は、先般私どもが六十年度の学生納付金を調査しました結果におきましては、初年度の納付金としては歯科大学としては一番高い学校でございます。 また、大学院の問題でございますが、大学院につきましては、現在私どもに設置の申請ということは今までございませんでした。
○田中(克)委員 なお、先ほど申し上げましたが、学生の入学の動向、こういうものを見ますと、昭和五十二年には志願者が八百五十七人、入学をした者が二百十一人。五十三年、五十四年と若干下がってきましたが、それでも六百人近い志願者が確保されていたのは昭和五十六年までで、五十七年には五百五十を割って五百四十八、五十八年には四百二十四、五十九年にはがくっと落ちまして二百七十二、六十年には先ほど申し上げましたように百二十八、こういう状況にまで落ち込んできている。このような学生の入学の動向からしても、今申し上げましたようなさまざまな要因がこういう状況にはね返ってきている、こういうふうに具体的な事実が示している、こう思うわけであります。そのことは文部省もお認めになりますか。
○國分政府委員 松本歯科大学に対します志願者の減少ということでございますが、志願者の減少にはいろいろな事情、背景があろうかと思いまして、一律にこうだと断定することはできないかもしれませんけれども、歯学部ないし歯科大学に対する志願者が、近年歯科医師の過剰問題というようなことも背景にございまして、全体として減少しているということがございます。ただ、松本歯科大学の場合、十年余にわたりますいろいろな紛争、あるいは大学院の未設置に伴います他の大学に比べての研究体制の不十分さというようなことが、志願者の数等にも影響しているであろうという想像はできようかと思っております。
○田中(克)委員 そこで、ちょっとお伺いするわけでありますが、先ほどからも申し上げましたように、大変長い経過があり、その間、新聞、マスコミ、テレビ等でも取り上げられた機会が数多くあったということで、この事件をめぐって、「矢ケ崎王国不正の構図」あるいは「悲劇の創立者群像」、こんな本が出版をされるような状況になっている。大変不幸なことだと私は思っているわけです。この本の前書きを読んでみますと、この中に矢ケ崎という理事長のいわば人間像が紹介されていまして、「業務上横領、背任、私文書偽造・同行使、公正証書原本等不実記載・同行使、統計法違反、歯科医師法違反等々」、八種にわたって取り調べを受けあるいは刑罰を受けている、こういうふうに紹介をされているわけです。こういう事件でありますから、私はできるだけ客観的に事実を確認したいわけであります。 そこで、警察庁にお伺いするのは、こうは言われておりますけれども、警察の関係でいわば取り調べをしあるいは送検をしたという事件はどれとどれで、どんな内容のものがあったのでしょうか。
○上野説明員 お答えいたします。 お尋ねの件につきましては、昭和五十二年七月に同大学の関係者から長野県警察に対しまして公正証書原本不実記載・同行使事実で告発がなされております。同県警察におきまして所要の捜査を実施の上、同年、五十二年でございますが、十一月に元理事長外二名を公正証書原本不実記載・同行使、背任、業務上横領及び有印私文書偽造・同行使の各事実で長野地方検察庁松本支部に送付または送致をいたしておるところでございます。 内容につきまして簡単に申し上げますと、公正証書原本不実記載の関係でございますが、これは、昭和五十一年の三月末現在におきまして同大学の総資産が百二十億円余あったようでございますけれども、それに対しまして、五十二年の七月の上旬と下旬に二回、百二十億あるにもかかわらず、八十四億円余あるいは後の方では百八億円余ということで内容虚偽の変更登記申請をいたしまして、長野地方法務局の塩尻出張所登記官をして学校法人登記簿の原本にその旨不実の記載をさせて、即時同出張所に備えつけさせて行使したというものでございます。 それから、背任の関係でございますが、これは元理事長外一名が、昭和四十九年三月ごろ同大学に入学をいたしました学生につきまして、昭和四十九年度から同五十年度前期分までの入学金、学費等合計一千二百万円余を不正に免れさせまして、もって同学校法人に財産上の損害を与えたというものでございます。 また、業務上横領の関係でございますが、これは元理事長が、昭和四十八年七月から同五十年十二月までの間、自己の裁判費用に充てるために同法人の会計から五百八十万円余を支出して横領したというものでございます。 最後に、有印私文書偽造・同行使の関係でございますが、これは、同理事長外一名の者が、昭和五十年九月ごろ開催されました第十回理事会の議事録、それと五十二年七月ごろ開催されました第十七回常務会の議事録、これを自己に有利になるような内容のものに偽造いたしまして、それを同大学法人室に備えつけさせて行使した、こういうようなものでございます。 なお、歯科医師法関係につきましては、これは四十七年ごろのことであったようであります。 以上でございます。
○田中(克)委員 同じく今の件で、裁判の結果判決が行われているということになる事件もあるようでありますから、それらのものがありましたら明確に示してもらいたい。なお係争中のものなどもありましたら、それはどういうものか、簡潔で結構でございますから法務省の方でお答えいただきたい。
○松尾説明員 お答え申し上げます。 ただいま警察庁の説明員の方からお答えした事件でございますが、長野地方検察庁松本支部は、昭和五十二年十一月一日に矢ケ崎氏について、ただいま説明のありました業務上横領、背任、その他の罪につきまして事件送致を受けておりますが、これら事件につきましては、昭和五十四年九月十七日に不起訴処分としております。なお、この不起訴処分につきましては、検察審査会が起訴相当の議決をなしておりまして、長野地方検察庁は同じ事件を再起いたしまして再捜査をし、昭和五十五年十月二十五日再び不起訴処分としております。 さらに、今申し上げた事件のほかに、松本歯科大学設立登記に際しまして公正証書原本不実記載・国行使の事実について罪ありとしまして、東京地方検察庁が昭和四十八年三月二十七日に東京地方裁判所に起訴している事案がございます。この事案につきましては、東京地方裁判所におきまして昭和五十一年十月二十五日、矢ケ崎氏を罰金五万円に処する旨の判決がなされまして、この裁判はその年の十一月九日に確定しております。 さらに、先ほど警察庁の説明員からちょっと触れましたが、歯科医師法違反事件がございまして、この事件は、昭和五十年十二月十七日に長野地方裁判所松本支部におきまして罰金二万円に処せられております。 以上でございます。
○田中(克)委員 時間が迫ってきてありませんから、多少はしょってお伺いをするわけでありますが、以上のような事実関係が明らかになったわけでありますけれども、そこで、文部省の方はこの大学の正常化を図るために三条件を示した。一つは、先ほど出ておりますように、知事あるいは信大推薦の理事にかえること、矢ケ崎の大学運営への不介入、それから五十七年度の財務計算書について公認会計士の認めるものを報告書として出すようにという三つの条件を示したということを聞いております。これはそのとおりであるかどうか。 それから、この正常化のための三条件を大学側が受け入れてその実現が図られた暁には、私学助成七億円、大学院の設置の許可、学生の定員増を保証する、文部省はこういう行政指導を行われてきたと聞いておりますが、このように理解してよろしいですか。
○國分政府委員 先生ただいま御指摘がございましたように、昭和五十七年十二月に三点について指導したわけでございますが、この三点のうち、財務計算書類に公認会計士の監査報告をつけて提出することということにつきましては提出がなされましたが、他の理事体制の問題、それから矢ケ崎前理事長が学校運営に関与しないことということについては、今日まで履行されていないという状況にあるわけでございます。 私ども、この大学につきましては、大学設置後の私立大学審議会によります実地調査、俗にアフターケアと呼んでおりますが、これを毎年実施いたしておりまして、五十八年度の実地調査に基づきます指導におきましても、不適正な学校運営を行った責任をとり辞任した矢ケ崎前理事長の学校運営への関与を排除すること、それから理事体制の整備を図ることということを重ねて指導しているところでございます。 これが履行されれば補助金が出せるのかどうかということでございますが、私どももまずもってこの不正常な体制を一刻も早く正常に戻してもらいたいという指導を続けるわけでございますが、その上でのことかと思いますが、その際に、学校運営がきちんとなったかどうかということを、補助金の執行は具体的には日本私学振興財団が行っているわけでございますが、そこにおいて厳正な審査の上対処することになろうかと思っております。 また、大学院の設置の問題でございますが、仮に申請が出てくれば、その内容が適正かどうか、あるいはまた学校運営体制が正常なものかどうか等を判断して対処することになろうかと思っております。
○田中(克)委員 文部省は、大体私が申し上げましたような行政指導に全力を挙げてきたけれども、公認会計士の監査報告をつけた会計報告書は出たけれども、ほかの条件は満たされていない、こういうことで、まだ正常化しているとは認められないという点ははっきりしたわけであります。 問題は、文部省が行政指導する場合には、この事件の持っている性格として、時間がありませんからはしょりますが、今まで九州産大とか国士館、あるいは東北福祉大、いろいろな私立大学の不正常な問題が出てまいっておりますが、これらはいずれも、経常経費の二分の一という多額な私学助成をもらっていながらなおかつ大学運営に正常でないものがあるという点で、文部省の行政責任も厳しく指摘をされたし、指導の強化が叫ばれたというケースだったと思うわけです。今回の場合は、逆に、私学助成の申請も上がってこない、強いて言えば私学助成を拒否をしている。そういいう状況の中で、文部省の指導や監督が行き届かない、徹底していかないという条件になっているのではないかというふうに私は受けとめるわけであります。私学助成をもらっていれば、私学法あるいはまた私学振興助成法あるいは学校法人会計基準というようなものできちきち監督、規制もできますけれども、それができないところに決め手を欠いているというふうに私は受けとめます。したがって、この現象というものは、私はさっき臨教審の問題をいろいろお伺いしたのですが、確かに自由化、個性化は結構だ、しかし、そういうことの中で学校経営に資本の論理や競争の論理というものが持ち込まれてきて、結局それが、今言うように私学助成も要らない、大学の自治あるいは自主性、私学の自主性、そういうものでやりますということになりますと、経営上その負担というのは学生や保護者の方に転嫁をされる危険があるということをこの事件が典型的に示している、こう私は見ているわけであります。そういう意味で、この持っている意味というのは非常に大きい。したがって、一日も早い正常化を図っていかなければならないと思いますけれども、いわば法律的な論拠をもって行政指導なり監督なり命令なり及ぶというところまでいければ問題の解決は早いと思うのですけれども、今文部省は、この経過と現実の上に立って、これからの行政指導で大学の正常化を一刻も早く進めるとすれば、どういう手だてをすればそのことが可能なのか、そのことについての考え方をお聞かせいただきたい。
○國分政府委員 文部省の指導のあり方の問題でございますが、先生御承知のように、私立大学は私学の自主性ということが尊重されておりまして、また制度的にも、文部省がこれを監督するあるいは命令する、指揮するということは認められてないわけでございます。 したがいまして、事件発生以来、私どもあらゆる機会を通じまして、時には私立大学審議会をも煩わしたりいたしまして指導を続けてまいったわけでございますが、今日までその指導が十分受け入れられないで、不正常な状態が今日なお続いているというのは大変残念に存ずる次第でございます。 今後の問題につきましても、制度的には先ほど申し上げたようなことでございますので、粘り強く正常化がなされるよう重ねて指導を続けてまいりたい、かように考えております。
○田中(克)委員 私もこの問題にかかわっていろいろ大学の資料等もいただきましたけれども、建学の理想というのは大変なものでありまして、そのことは大変結構なことだと実は私は思っております。しかも、ほかの大学と違いまして、歯科大学でありますから、言われているところの医は仁術、最高の道徳とモラルの要求される医者を養成する大学であります。この大学の実情が今申し上げたような実態にあるということは、医者を育てる大学のあり方として、こういう環境の中で本当に医者としてのモラルや道徳を持った学生が育つのであろうか。しかも、そういう点で今のようなことが続いていると、そこに就学している学生というのは名誉も大変傷つくであろうし、大学院も望んでいるでありましょうけれども設置がされない。そして、将来こういう状態が長引けば志願者も減る。そして、大学運営が非常に思わしくない方向に行くというようなことになりますと、今就学している学生たちが最大の犠牲者にならなければならぬのじゃないかと私は思うのです。大学の経営者や大学の教授陣というのは、その大学の運営や経営というものをめぐって確執、そういう考え方の相違、そういうものでの激しい対立が今日まで続いてきているということは現実でありましょうけれども、そのことは教育を受ける側の人たちの問題をもっと中心に考えたら、解決の仕方も見出せるのじゃないか、またそれを別にして、もし仮に争っているようなことがあるとすれば、そのことこそ問われなければならぬと私は思うわけです。この問題については、昭和五十五年ごろ国会で一度取り上げられたことがあるという記録を私発見しました。したがって、私が今回取り上げたのは五年ぶりということになりますが、今日なおかつそういう状態が続いているという現実を踏まえてみると、このことはもはや放置している時期ではないと私は思うわけです。ぜひそういう点から、文部省の積極的な問題解決への御指導をひとつお願いしたい、このように要望しまして、質問を終わらせていただきます。 —————————————
○阿部委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、来る二十四日、臨時教育審議会から参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、来る十七日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三分散会