農林水産委員会 第26号
- 発言数
- 117 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/06/20
会議録
○今井委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田誠一君。
○太田委員 今盛んにアクションプログラムという言葉が新聞紙上でも飛び交っておりまして、その内容についてはまだ漠として具体的な姿は見えてこないわけでありますけれども、我が国の農林水産業について、これまで我々から見ますと大変な勢いでもって枠拡大あるいは関税引き下げ、そういったことが行われております。我が国の農林水産業については、既にこれまで随分と自由化が急テンポであったと思うわけであります。 その中で、いろいろな意味で我が国の農業は、大変な悪条件下で農民が頑張ってくれて、今日の日本の農業の水準というものを維持してきたわけでありますが、国家目標としては、依然として今後ともある程度の自給率は確保するという国家安全保障上の見地もこれあり、また国土の保全の意味からも農業を守っていこうという姿勢が一つあるわけであります。その一方で、今回の一連の開放政策といったようなものは、我が国の農業が今後存続し得るかどうかということが危ぶまれるほど急であるわけであります。 そうであれば、国家の命運をかけてこの行動計画というものを策定をするということを中曽根総理も言っておられるわけでありますから、このアクションプログラムを思い切ったものにする、そして同時に我が国の農業も守るということであれば、その裏には国家目標として我が国の農業の体質を強化するということもまた掲げられているというふうに思わなければいけないと思うわけであります。ひとりこれは農林水産関係に携わる私どもだけではなくて、国家的な見地から予算編成あるいは今後の我が国の経済計画の中でも農業の位置づけをきちんとしていかなければ、このような内閣全体としての目標は達成をし得ないわけであります。 そこで、大蔵省にお伺いをしたいわけでありますけれども、このアクションプログラムも含めまして、これまでの枠拡大あるいは関税引き下げというものを踏まえながら、常ならざる決意でもって今後の農業予算あるいはこれまでの農業予算に対する考え方を一新してもらわなければいけない、我が国農業の体質の強化のために常ならざる判断でもって予算編成をしていただかなければいけない、国家的見地からそのように思うわけでありますけれども、大蔵省のお考えをお聞きしたいと思います。
○竹内説明員 ただいま御質問がございましたような国際的な環境のもとで、これからの中長期的な日本の農林水産業のことを考えますと、私どもも常日ごろ農林省とも議論しておるわけでございますが、太田先生の御指摘は全くそのとおりだろうと思います。もちろん財政事情がなかなか厳しいということはございますので、全体として縮減合理化を図れるところは図りつつも、同時にいわゆる足腰の強い農業あるいはコストの低減、規模拡大、そういういろいろな方策を通じまして、いわば産業として自立していけるような農林水産業、そういう方向に予算面でもできる限りの努力をしてきたつもりでございますが、これからもそういう方向で農林水産省ともよく御相談しつつ、努力してまいりたいと思います。
○太田委員 まことによい御答弁をいただいております。しかし、これはこれまでも努力をしてきたというお言葉でございますけれども、農林予算は各省の予算の中で最も減り方が激しいわけであります。それは一方で開放政策を最もスピーディーに進めながら、一方で農林予算の方がほかの省に比べて見劣りがするということであってはならないわけでありまして、ぜひ六十一年度予算については、各省に対して、開放政策を踏まえて金の方はこういうふうにつけるというふうな決意でもって臨んでいただきたいと思うわけでございます。特に前向きの予算については、そう幾つもの項目ではないわけでありますから、意欲的にそうしたものに厚く予算をつけるというふうな前向きのお考えで臨んでいただきたいと思います。どうもありがとうございました。 次に、アクションプログラムそのものについてでありますけれども、これまで新聞にも、きょうサービスの自由化についての報道がなされておりましたけれども、これまでの、農林水産関係の枠拡大あるいは関税の引き下げあるいは自由化、そのほかの非関税障壁の撤廃といった事柄についてどのように進めてきたか、それからまた、諸外国、特にECとの比較において我が国がどうであったかということを、もう一回確認の意味で、農水省の方からこれまでの自由化政策の沿革について、外国との比較でもってどうなってきたかということを簡単に概略を御説明いただきたいと思います。
○塩飽説明員 お答え申し上げます。 今お話がございましたように、長年にわたりまして我が国は基本的には自由貿易に即して行動するということで、具体的に申し上げますと昭和三十年にガットに加盟したわけでございますけれども、それ以降農林水産物の分野につきましても、国内の農林水産業の大変厳しい実情があるわけでございますけれども、御案内のようにケネディ・ラウンドあるいは最近におきましては東京ラウンドという多国間の貿易交渉がございまして、それを通じまして累次可能な限り農水産物の分野につきましても関税の引き下げあるいは輸入制限の撤廃、緩和というような措置を講じてきているところでございます。 また、最近の二、三年をとりましても、我が国独自の措置といたしまして、過去四回程度、対外経済政策の一環といたしまして農産物の分野につきましても関税の引き下げ等の措置あるいは東京ラウンドによる関税引き下げの前倒しの措置、そういったことを講じてきております。 その結果、先ほどECと比較してどうかというお話がございましたけれども、例えば農産品の平均関税率につきまして、我が国の農業と比較的条件が近いというふうに私どもが見ている、もちろん経営規模等についてはまだまだかなりな差がございますけれども、ECと比較をしますと、東京ラウンドが終結する前の一九七六年の時点で見ますと、平均で申し上げまして我が国の農産品の関税率は九・七%、それに対してECはその時点でも一二・九%だったわけでございます。それに対しまして、東京ラウンドの関税引き下げのすべての引き下げが終了いたしますのが一九八七年でございます。その時点での税率を比較いたしますと、平均で我が国は先ほど申し上げた九・七%が八・六%になるわけでございます。ECは一二・九が一二・三になるわけでございますから、東京ラウンドの前はもちろん、後においてもECの方がなお高い平均関税率になっているわけでございます。これは、ECの場合は御案内のように非常に数の多い品目につきまして可変輸入課徴金制度を講じておりますので、いわゆる狭義の関税のほかに課徴金も算入をいたした比較でございますが、そういう数字になっておるわけでございます。 それから輸入制限品目につきましても、例えば一九六二年に農林水産物では百三品目が輸入制限の対象になっていたわけでございますが、最近では二十二品目ということで、五分の一の数に減ってきております。そして二十二品目今残っておりますのは、御案内のように我が国の農業あるいは漁業上極めて重要な基幹的なものである、あるいは地域の経済の振興上極めて重要なものであるというようなものに限定されて二十二品目が残っているわけでございます。かつまた、これらの輸入制限対象品目につきましても、国内の需給事情を踏まえまして許す限り枠の拡大を図るということで対応してきておるわけでございます。 これに対しまして、輸入制限は諸外国にも実は相当程度残っているわけでございまして、例えばアメリカを例にとりますと、ガットでいわゆるウエーバーという手続がございまして、特別に免責を受けることができることになっております。酪農品ですとかあるいは落花生など十数品目がこのウェーバーによる免責を受けた上での輸入制限措置を講じておりまして、実態的には我が国の輸入制限と何ら変わらない措置が十数品目にとられている。それから食肉などにつきましても関係輸出国との間で自主規制の対象にしているというようなことでございます。また、ECにつきましても先ほど申し上げましたように大変広範囲にわたる品目につきまして輸入課徴金をやっている、あるいは一部の加盟国につきましては輸入制限措置が残っているというのが実情でございます。 そういうことを見ますと、総合的に見まして、我が国の農林水産物の関税なりあるいは輸入制限措置は諸外国に比較して決して高いものではないというふうな理解をしているわけでございます。
○太田委員 今改めてお聞きをいたしまして感想を持つわけでありますけれども、開放政策を進めておられる総理あるいは内閣において、この間も別の場所で指摘をしたことがありますけれども、どうも思い込みがあって、我が国の農業は頑迷固陋に市場を閉ざしている、そして保護主義に徹底をしておるのだというふうな思い込みがあるわけでありまして、そういう誤った考え方、誤解を、総理にしても認識を改めてもらわなくてはならないわけであります。 特に今の関税の話を聞いておわかりのとおり、現に日本よりもいろいろな面で条件的に恵まれている、地理的にも平たんな地域が多くて規模の大きい農業をやっておるECが、我が国よりも高い関税率にいまだにしがみついている。そしてまたIQにも匹敵をする輸入課徴金の制度を持っている。それをそのままにしておいて、世界全体の自由貿易を進めるために日本が率先をしてその犠牲を払うというふうなことは、世界全体の自由貿易体制のためにもこれはためにならないわけであります。 なぜこんなことを今、ほかの国に先立ってアクションプログラムをつくって、しかもその中では、ほのめかされるのは農産物も例外ではない、農産物も入れるのだということを言っているわけでありまして、それではアクションプログラムというものとニューラウンドの関係、新しくニューラウンドの交渉を来年から始めるというふうな話になっておるようでございますけれども、一体その関係はどうなるのかということがわからないわけであります。これまでケネディ・ラウンドにしても東京ラウンドにしても、そういう中で一つの国が突然その前の年に自分のところだけ関税引き下げをしたというふうな前例があるのかどうかということをお伺いをしたいわけであります。
○野上説明員 御説明いたします。 東京ラウンドそれからその前のケネディ・ラウンドに先立ちまして一国が事前に自由化措置をとって交渉に臨んだというような具体的なケースはございません。ただ、御承知のように、東京ラウンドに先立ちまして我が国がいわゆる黒字対策として暫定関税の引き下げを行って交渉に入っていったという経緯はございます。したがいまして、その結果、これはガットの技術論になりますが、東京ラウンドにおきます我が国の平均関税率の引き下げは、ガット税率から見ますと五割ということでございますが、実際の実行ベースから見ますと二割強の引き下げであったということで、その前に暫定税率を引き下げた分は東京ラウンドにおいては一応カウントされているということが言えるかと思います。 なぜ私どもが今率先して我が国から具体的なアクションをとってラウンドに臨むべきだと申しておるかというと、御承知のように我が国は多角的な自由な貿易体制に極めて強く依存しておるわけでございまして、現在のように保護主義が非常に台頭しておる中でこういった多角的な自由な貿易体制、いわゆるガット体制を維持していくということは極めて困難な状況にあります。その困難な状況において我が国が新ラウンドを主唱している以上、我が国としての積極的といいますか真剣な姿勢を裏づける必要があると考えているわけでございます。 こういった点にかんがみましても、例えば現在開発途上国は、新ラウンドで先進国はまじめに途上国のことを考えてくれるのかということを強く申しております。したがって、我々としては、やはり途上国に対しても我が国の真剣な交渉に臨む姿勢というものを打ち出して説得に努める必要があるかと考えております。そういった点から、我々としてもできる限りのことをアクションプログラムを通じて行い、それをもって我が国の新ラウンドに対しての真剣な姿勢を示すということにしたいと考えている次第でございます。 以上でございます。
○太田委員 今のお話ですけれども、我が国が東京ラウンドのときに積極的に関税引き下げの努力をした、しかも事前に暫定税率の引き下げまでした。特に農産物について見れば、先ほどの農林水産省の答弁のとおり我が国は既にECよりも低い関税率になっているものをさらに一%以上引き下げている。そしてECは、我が国よりも高い関税率から〇・六%ですか、我が国に比べれば随分と小幅の関税率の引き下げにとどまっているわけであります。 多角的交渉というのは、我が国がどうしたということよりも、外国が我が国の積極的な姿勢に対してどう対応したかということが問題であります。このようなアクションプログラムを今度つくって、そうしてそれを出してしまった、自分の手のうちを全部さらけ出してしまった。その後にニューラウンドで一体何を出すのだ、もう出すものはないじゃないか。そこはどういうふうに考えているのかさっぱりわからないわけであります。 これは、外務省全般を余り悪く言ってはいけないけれども、今までの交渉ということが、我々から見れば外交交渉になっていない。つまり、言われて自分がただずるずる引っ込んでいくばかりで、向こうの譲歩はどうやって引き出したのか。こちら側が譲るときに向こうの譲歩も引き出さなければいけないわけであります。そういうことを考えて、戦術というか戦略というか、ニューラウンドとアクションプログラムとの関係をぴしっと整理をしておいていただきたい。それから、野上課長がそういうことを言う機会がおありかどうかわかりませんけれども、総理にもその辺のことをよくのみ込ませていただきたいわけであります。 それではもう一つ伺いますけれども、今まで開放政策を進めていく中で、前例として、自由化あるいは国際協調のために我が国の特定の産業に大きな打撃を与えるということがわかっているときには、これまでほかの産業についても国際協調のために犠牲になってくれというときには、何かそれを補うための特別の予算措置があったというふうに私記憶をしております。繊維交渉の中で我が国の繊維業界が大きな打撃をこうむった。そのときに一体どの程度の規模のことを我が国として繊維産業に対して行ったのか、それだけを伺いたいと思います。
○渡辺説明員 繊維産業につきまして最も大きく問題になりましたのは、昭和四十六年当時のアメリカ向けの繊維製品の輸出規制の問題でございます。当初日本側の自主規制という形で行いましたが、その後政府間協定に基づく規制という形で実施いたしております。 この規制に伴います特別措置といたしまして、政府で過剰設備の買い上げと政府系金融機関等を通じます緊急融資措置というものを講じております。措置は四十六年の五月、十月、それから翌四十七年十月と三度にわたっておりますが、これらの措置を合計いたしまして、過剰設備の買い上げ措置として約五百五十億円、それから緊急融資の規模として約千三百五十億円、そのほかこれらの措置に伴います若干の措置が追加されて行われております。
○太田委員 何か金額がわからないのですが、総額幾らというのは……。
○渡辺説明員 先ほど申しました過剰設備、融資規模、それからその他の措置と、全部を合計いたしまして約二千億円でございます。
○太田委員 何か開放政策をやれば、そのくらいの金はそのためだけにでもつけてもらわなければいけない、特に物価も上がっているわけでありまして、繊維交渉は随分昔の話でありますから、何も日本は特に保護貿易をとっているわけではないわけてあります。余計なことをするのですから、それに対してはその分だけ何千億単位の予算措置を余計とってもらわなければいけないし、また物の考え方として、これは国民経済的に見て今後日本の農業を堅持していこう、一方でそれが健全に育っていくことが難しくなるような対外的な協調政策をとっていくわけでありますから、今後の日本農業の位置づけということについて経済計画の当局はどういうふうに考えているのか。 しばしば抽象的な数字、マクロのモデルだけを扱って、個々の産業についてどういう事情にあるのか、また、開放体制をとった場合どうなるかということまでなかなか注意が行き届かないような嫌いがあるわけであります。経済企画庁、特に今対外特命室というのですか、対外開放政策の推進の中心になっているというふうに聞いておりますけれども、その中で、一体将来の日本の農業をどういうふうに位置づけていくのかということをお聞きしたいと思います。
○阿部説明員 お答えします。 農業は、経済計画におきましては、活力ある経済社会の建設を推進する上で今後とも食糧等の安定供給なり健全な地域社会の建設、国土の保全というような重要な役割を果たしていくという位置づけでございます。こうした農業に課せられた役割を積極的に果たしていくというために「一九八〇年代経済社会の展望と指針」におきましては、農業の体質強化を図ることを基本としまして、構造政策の推進によります高生産性農業の実現、それから農業生産の再編成、こういったものによります食糧の安定供給の確保に努めることとしておるわけでございます。
○太田委員 政務次官から、アクションプログラムに臨むお考え、それから、これから日本農業をどんなことがあろうとも守っていくという決意表明をお伺いしたいと思います。
○近藤(元)政府委員 太田委員から先ほど来いろいろ御質問をお聞きいたしておりまして、共通の認識に立っておるわけでございます。御説のとおりに農業は生命産業であるわけで、国民の食糧の安定供給、その上に、自給力の向上というものは国会でも御決議をいただいておりますし、その認識の上に立って農林水産省も仕事をさせていただいておるわけであります。 先ほど来アクションプログラムについてのお話がございましたけれども、我が国の農業が前段申し上げたような立場をとる上に国際競争力に現状でどのように対処していくかということについては、まだ少し時間を要するところでなかろうかと認識をいたしておるところであります。ただ、現状我が国が置かれておる国際的な立場を認識しないわけではございません。しかしながら、農業については自給力を向上し国際競争力を維持するために時間を要するということの認識の上に立ちながら、我が国の農業を生かしつつ、これから慎重にひとつ対処をしていかなければならないという認識に立って作業を進めさせていただきたいと思うわけであります。
○今井委員長 次に、細谷昭雄君。
○細谷(昭)委員 私は、食糧管理法を中心にしまして米問題を若干、そして主に水産問題について質問をしたいと思います。 最初にまずお聞きをしたいと思いますのは、食管法は形骸化されておるというふうに言われて久しいわけでありますが、政府はこの批判というものをどう受けとめておられるのか、この点についてまずお答え願いたいと思います。 私は、食管法の三本柱というのは、一つは米麦の全量管理、二つ目は全量買い入れ、三つ目が二重価格制度だというふうに思っておりますが、果たしてこの三本柱が現在もしっかり立っておるのか、または倒れちゃっておるのか、まずこの認識からお伺いしたいと思います。
○山田(岸)政府委員 お答えさしていただきます。 食糧管理制度につきましては、事情の変化に即応して運営面の改善措置を図る必要はあると考えておりますけれども、国民の主食である米を政府が責任を持って管理することによりまして、国民の必要とする米を消費者に安定的に供給するといった食管制度の基本につきましては、これを堅持していく考えでございます。 今先生御指摘の全量管理問題でございますが、政府は、国内で生産されました米穀につきましては、その米穀の持つ必要性に応じまして政府が直接買い入れをするものとか、また、自主流通によりまして自主流通計画を認可する格好で管理しておるものとか、超過米のように流通規制を行う、こういった管理の態様は異なっておるところでございますけれども、その全量について管理を行っておる次第でございます。 また、全量買い入れ、この問題につきましては、食管法の第三条第一項の政府買い入れといいますのは、国民食糧の確保及び国民経済の安定を図るという食管法の目的を達成するために、政府が責任を持って米の需給や価格を調整する上で必要な米につきまして売り渡し義務を課す、こういうことになっておりますし、この趣旨は五十六年の法改正におきまして一層明確にされておる次第でございます。 さらに、二重米価の問題でございますが、食糧管理法上、米の買い入れ価格につきましては米穀の再生産を確保するということを旨として定めることになっておりますし、政府の売り渡し価格につきましては消費者家計の安定を旨として定める、こういうことになっております。その結果といたしまして両米価の間に逆ざやを生ずるということもあるわけでございますけれども、制度として両米価の間に逆ざやが存在しなければならないというようなものではないのではなかろうかと考えておる次第でございます。逆ざやは本来価格のあり方といたしましては不自然な面があるばかりではございませんし、また財政負担という問題もございまして、現在はその解消に努めさせていただいておる次第でございます。
○細谷(昭)委員 次長にお願いしたいのですが、時間が余りありませんので、簡単に答弁をお願いします。 第二は、私は、今の食管法が形骸化されておらないという言い方に対しては詭弁にすぎないというふうに思っております。自主流通米の問題一つだけ取り上げてみましても、この自主流通米制度、現状では政府買い入れ米との比率がだんだん接近して四七%に達しておるわけであります。これはまさに間接統制ではないかというふうに私は思うわけでありますが、昨年私ども社会党はそれぞれの地域の在庫量調査をいたしました。その際に、自主流通米というものについては政府はほとんど把握されておらなかった。私どもはこの目で確かめておるわけであります。したがって、今全量管理しております、こんなふうな言い方をしましても、我々はそう簡単に認めるわけにはいかないという事実を指摘したいと思うわけであります。 そこで、昭和五十六年に食管法の一部改正がありましたけれども、その当時、当委員会で松本食糧庁長官が、自主流通米制度の増大を懸念する声に対しまして、三分の一の枠を守りますという言明をしたわけであります。それが一体いつから外されてしまったのか、それについてお答え願いたいと思います。
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。 自主流通米が全流通量に占める比率につきましては、現在四割強ぐらいになっておるわけでございまして、どの程度の数量ないしは比率が適切であるのか、こういうことにつきましては、年々におきますところの流通の実態、需給の実態、それによって違うのではなかろうか、非常に厳密にこれを規定することは困難ではなかろうか、このように考えられるわけでございます。 と申しますのは、政府米の在庫量なり、また在庫しているものの品質、等級なりこういったものによりまして良質米への依存度、またそれがひいてはマル自への依存度、こういうようなことにも相なろうかと思いまして、厳密にどの程度までというふうな限界を引くことは非常に困難ではなかろうか。今先生御指摘の、松本元長官が三割程度とおっしゃいましたのは、当時の需給事情等から見てその程度というふうな御感触で答弁なさったのではないか、このように理解しておるわけでございます。
○細谷(昭)委員 次長の答弁はだんだん声が小さくなるほど自信がない、このように思うわけでありますが、自主流通米制度というものは、食糧管理法が厳然としてある以上はやはり三分の一という枠を守る努力をすべきじゃないか。それを需要の状況、国民の嗜好の変化に応じてどんどんなし崩しに崩していくというのはまさに形骸化そのものではないかと私は思うわけでありまして、この点については厳重に注意を喚起したい、こういうように思うので、食糧庁としましても、今四七%ですから、それをさらに拡大するのではなくて、下げるという努力をぜひ要望したいと思います。 第三点は、今年度の米価審議会の焦点は、自主流通米の中でも特に良質米奨励金の問題に手をつけられるかどうかになっておると言われております。そこで、お伺いしますけれども、現在、金額が千八百五十円、千五百五十円、千百円というふうに三段階になっておりますが、これを維持するつもりかどうか、端的にお答え願いたいと思います。
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。 自主流通米の良質米奨励金についてでございますが、近年において良質米の供給が増加しているという事情なり、また生産者の手取り水準の動向等から見まして具体的なあり方が現在問題になっておる、こういうように私ども理解しておるわけでございまして、自主流通米制度の健全な発展を図る、こういった基本的な立場に立ちながら、流通の実態等を踏まえましてその縮減合理化について現在検討しているわけでございます。なお、どういう結果に相なるかについてはまだ結論を得てない状態でございます。
○細谷(昭)委員 現行のこの金額があるからこそ単収の少ない病虫害に弱い良質品種をつくっているわけなんです。しかも、この自主流通米の中での保障というものが、作がいい悪いは別にしまして、これだけは保障されているという実態からしますと、これを切られることは良質米地帯の稲作に対する意欲を物すごく減退させることにつながっていくわけであります。絶対にこれは手をつけるべきではないということを特に要望したいと思います。諮問案に対しましては、これに手をつけるような一これは大体臨調、財政からの圧力でしょう。そういう財政や臨調からの圧力で、先ほど太田委員がお話しのとおり、それではだめだ、日本の農業を守る、日本の農民を守るという立場から対処してもらいたいということを強く要望したいと思うわけであります。 第四番目に、農家にとってまことに評判の悪いのが他用途利用米であります。これは三段米価という点で大変に問題があると私は思っているわけであります。ところが、残念ながら非常に悲しい現実ではありますけれども、一万八十円という三段米価にもかかわらず、なおかつ稲作地帯の農家ではこの作付を希望する農家が多いということなんです。極めて悲しい現実であります。これをして農林水産省が他用途利用米が歓迎されておるというふうに認識するとすれは大変な間違いであります。この点を私は指摘したいと思うのですが、この根本的な見直しをしてもらいたい。 見直しをしてもらいたいものは二つあります。一つは、他用途利用米を制度化する前に必要なことは、超多収米の早い開発と利用です。第二点は、一等米がもう八〇%にも達しておる。いわゆる他用途利用米として売り渡した米の中の八〇%が一等米なんです。秋田県の良質米地帯であってもその差は一万一千四百円なんです。一万一千四百円も損をして一等米を売り渡しておる、こんなばからしい話はないのですよ。したがって、これは規格を別枠に設けるべきである。この二つをぜひ再検討してもらいたい。この点を要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。 先生御指摘の第一点目の超多収穫米の開発の問題につきましては、私の方でも極力その開発を促進すべく現在研究方面で頑張ってもらっておる次第でございます。 さらに、もう一つの他用途利用米の新規格の設定の問題につきましては、集荷団体と実需者団体、この参加によりますところの検討会を昨今五回ぐらいにわたりまして開催して、技術的かつ実務的な観点からいろいろ検討を重ねてみたわけでございますが、参加していただきました関係者が納得し得るような結論が得られなかったような状態でございます。したがいまして、現時点で新規格の設定を行うことは困難であると思うわけでございまして、当面は現行の方式によらざるを得ないのじゃないか、こういうふうに考えておりますし、今回の検討の経過なり稲の新品種の開発普及の状況を踏まえ、今後さらに検討を深めていく、こういうことに研究会の方でもされておるわけでございます。
○細谷(昭)委員 最後に、これは次官にも強く要望したいと思うのですが、今のようないろいろな矛盾をはらんでおる第三期転作でございます。間もなく第四期に入っていく。昭和六十二年度からは第四期に入るわけでありまして、もう第四期こそ転作を、いわゆる減反をやめて、本格的に日本の食糧は日本でつくるという長期計画のもとにこれは策定すべきである。それまでにこういう矛盾というのを根本的に直すような、そういう段取りというのは、方向というのはもう示すべきだというふうに思うわけであります。これは要望でありますが、第四期転作について、第四期転作というかいわゆる第三期転作が終わった後の展望についてこれは明らかにすべきである。この後の委員会等で私はその点をただしていきたいというように思います。 最後ですが、政府の米価試算がもう行われつつあると思うのです。その際一つ指摘しておきたいことは、潜在生産量を基礎にしながら必要量算定をしておるという誤りでございます。この点はどうしても指摘しておかなければならないと思いますので、どうか来るべき審議会にかける諮問案に対してはそういう点を訂正していただきたい。こういうことを強く要望しておきたいと思います。 時間がありませんので、次の漁業問題に移らせていただきたいと思います。 まず水産庁の長官にお伺いしますが、かねて指摘されておりました遠洋漁船の違法改造の問題、これは運輸省、海上保安庁の一斉立入検査の実施という段階でありまして、その結果が明らかになったはずであります。どんな結果であったのか、そしてそれに対してどんな対策をとっておるのか、またはどうするつもりなのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。 運輸省の海上技術安全局から聞いたところでございますが、サケ・マス漁船につきまして臨検をいたしました隻数が七十九隻でございます。この七十九隻のうち違法改造が行われておりました隻数が六十八隻ということでございます。それで、これにつきましては本来直ちに原状に回復させる等の措置をとるべきところでございますが、ちょうどサケ・マスの漁期真近であったこともございまして、安全法に基づく検査は済ましまして、そのような点につきましては改善計画書を提出させて、漁期終了後直ちに措置をとるということで、とりあえずサケ・マスには出漁をさせた、そういう経過に相なっておるところでございます。
○細谷(昭)委員 今長官のあれは、違反率といいますか違法率は八六%に達しているわけであります。しかも七十九隻中五十八隻、大部分が東北なんですよ。六十八隻の中の五十二隻が東北。ほとんど東北に集中しておるという状況なんです。 そこで、今長官は安全対策、安全計画について云々というふうに話しておるのですが、改造命令を出しておるのでしょう、これは。
○佐野(宏)政府委員 安全云々と申しましたのは、運輸省の海上技術安全局におきまして船舶安全法の検査は済ました上で出させておるということでございます。 それから改造云々の話につきましては、これは先ほど申し上げましたように、改善計画書を提出させて、漁期終了後直ちに措置をさせるということにいたしております。
○細谷(昭)委員 長官、これは漁船なんですよ。運航上の点では、これは運輸省や海上保安庁がやるでしょうが、漁船の取り締まりについては、これは水産庁なんですよ。あなたはどうも人の話のような話をしているのですがね。違法改造した船が違法を摘発された。これは水産庁としては前から指摘され、この委員会でも指摘されておる問題でありまして、わかっておることなんですよ。そして今、運輸省やその他の官庁で指摘されたこの改造船の問題について水産庁としてどうするつもりなのか、そのことをお聞きしているのですよ。
○佐野(宏)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、漁期終了後、改善計画書に従って措置をさせるつもりでおります。
○細谷(昭)委員 これは一般に、一隻改造するには三千五百万から大体五千万ぐらいかかるというように言われておるのですよ。これをさらに復元するとなると復元改造費がかかるわけです。東北の中小の造船所というものは、これは大変にこうした漁船の改造のしわ寄せを受けておるというふうに言われております。今またこの復元命令を出されますと恐らく倒産する中小造船所がふえてくるのじゃないか、こういうように思われますし、業界の体質というものにも問題はありましょうけれども、莫大な改造費がかかるわけであります。政府はこれに対して何らかの手当てをする気持ちはありませんか。
○佐野(宏)政府委員 私どもとしては、漁船の建造、改造等につきましては農林漁業金融公庫なり漁業近代化資金なりの制度融資を用意をいたしてございますが、先生お尋ねの本件はそもそも違法な改造船を適正な漁船に戻すということでございますので、そのような目的にこのような制度資金を使うというわけにはまいらないのではないかと思っておる次第でございます。
○細谷(昭)委員 確かに、違法改造は文字どおり違法行為ですよ。しかし、これは莫大な費用をかけてやるはずがないんですね。なぜ一体こういうふうな莫大な金をかけてまで違法をわかっておって改造するのか、この原因があるはずなんですよ。水産庁としてはこの原因をどういうふうに分析しておるのですか。
○佐野(宏)政府委員 違法改造の内容につきましては、漁獲物の積載量をふやすために船の深さ、長さ、幅を広げる、それからまた、航続距離、航海日数をふやすために燃料タンクを増設する、そういうものがございますが、これらの違法改造が行われる事情といたしましては、少しでも漁獲を上げて採算を向上したいという漁業者の希望と、それから最近の国際漁業秩序に対する認識の不足、遵法精神の不足というようなものが結び合わさってこういう事態が起こっておるものというふうに承知をいたしております。
○細谷(昭)委員 今長官もお話がありましたとおり、やはり漁業をめぐる国際環境が変わった、これが第一の原因でしょう。それから生ずるところの漁獲高の減少。これは、漁獲高の減少を食いとめるためには裏作出漁がどうしても必要だ。さらに、密漁も実際としては生活を維持していくためには必要になってきているという状況。さらに、遠洋漁業従事者がたくさんおるわけであります。十五万から二十万人と言われております。この人力の雇用の問題というのもありまして、恐らくたくさんの費用をかけてまでもこういうふうに違法改造をせざるを得ないところに追い込まれておるというふうに思うわけであります。この点は長官と私は認識を同じくするわけであります。したがって、確かに違法でありますけれども、この違法というものは、漁民それぞれ、船主それぞれ、個人の責任であるというふうに言い捨てるには余りにも大きい問題であります。私は、これは単に違法改造だ直せと言うだけでなくて、どうしても何らかの措置が必要だというふうに思うわけであります。 例えば減船の問題でありましても、減船は現在、共補償をしておる、業界の共補償で何とかしておるという問題であります。北転船で離職されたこの従業者は、現在、七〇%が雇用保険、つまり失業保険で食べておると言われております。私は、このように違法改造をしたり減船をしたりするという者は、このような漁業環境が変化したということに対応できなかったというはざまにおる方々の問題だと思うのですよ。 そういう意味で、ぜひ私は、減船問題も含めて、今のこの違法改造に対する問題も、稲作と同様に政策的な減反という考え方から、何らかの点で、暫定的であれ、減船や改造、これに対する国家的な支援をすべきであるというふうに思うのですが、この点は全然考えておりませんか。
○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。 まず、違法改造問題と最近の国際漁業情勢という問題とは深くかかわり合いのある問題ではございますが、同時に私は、仕分けをして考えなければいけないというふうに思っております。と申しますのは、最近の国際的な環境の中では、このような違法な行動に出る漁業者に対して日本国政府が甘やかしておるという認識が関係国の間に非常に行き渡っておりまして、日本国政府が違法な行動をとる漁業者に対して対処の仕方に厳しさが欠けておるという認識が外国に広まるということは、漁業交渉上、我が国の立場を著しく不利にいたしまして、結果的に漁業者の皆さん方のためにならないというふうに私どもは思っております。したがいまして、このような違法な行動をおとりになる背景としてどういう事情があったかということは別にいたしまして、それ自体に対しては私どもはやはり毅然たる態度で対処することが、結果的に漁業者の皆さん方のためであるというふうに思っております。 ただ一方、最近の国際的な漁業環境が厳しくなっており、その中で我が国の遠洋漁業の現有勢力をそのまま維持しようとすればいろいろな形で無理が起こり、その無理が、国際漁業秩序を守っていくということと衝突をするような事態が生じがちであるということは、先生御指摘のとおりであるというふうに私どもも思っております。 例えば、先生言及なさいました北転船につきましてもまさにその典型的な例でございまして、微少クォータが縮小してくる中で従来どおりの勢力を維持しておるということは、どうしても微少クォータについてクォータ超過ということが生ずる危険を絶えず内包しておるわけでございまして、私どもとしてもそういう認識に立って北転船の減船問題を処理したわけでございます。 今後とも、先生御指摘のような現有勢力と国際的な漁業環境とが両立しがたいような事態が起こりました場合には、私どもとしては同様の心組みで対処する所存でおります。
○細谷(昭)委員 私も決して取り締まりを緩めろというふうに言っているつもりはありません。これはやはり、取り締まりの甘さというものが、反面、今お話がありましたとおり国際的な信用を失墜させておるということにもつながっておりまして、これはもう、きちっとして取り締まっていく。しかし一方、取り締まりによって生ずるところのいろいろな損害、生活を維持できない、そういう業界の問題、そういった問題に対しては温かい対策、両方が必要だというように私は強調しているわけであります。その点は長官も、恐らく今の趣旨がそのとおりだと思いますので、そういう硬軟織りまぜたきちっとした対策をぜひこれは政府の責任でやっていただきたい、このことを強く要望したいと思うわけであります。 次に、日本の漁業の現状というものは専ら漁業外交に依存しておるというふうに思うわけであります。日ソサケ・マスにしましても、先般アメリカが北太平洋のサケ・マスの全面禁漁、これを要求して、そして長官は応接にいとまがないわけであります。水産庁の長官なのか外務省の長官なのかさっぱりわからなくなっております。これほど現在の日本の漁業をめぐる問題というのは漁業外交に依存せざるを得ない、こういうふうに思うのですが、一体その点で、長官、実際に交渉してみてこれが正常だと思いますか。
○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。 現在、何と申しましても二百海里と母川国主義の時代でございますから、そういう意味では日本の漁業のあり方といたしましても、我が国の主権下にある漁業資源を開発してそれを適正に利用することによって我が国の漁業の根幹が成り立っておる、そういう状態にするのが本来あるべき姿であろうというふうに存じております。しかしながら、幸か不幸か、現実に外国の川で生まれたサケ・マスをとっている漁業者とか外国の二百海里の中で操業しております漁業者というものが現実に存在をしておるという事態でございますので、二百海里時代のあるべき漁業の姿ということはさておきまして、現実の問題としてそこで操業しております漁業者の運命に対して水産庁としてはできるだけのことはしなければいけないと思ってやっておるわけでございます。 でございますから、元来二百海里時代にふさわしい水産庁長官としての努力の配分の仕方としては、明らかに現在の私の仕事の状態というのは異常である、外国との交渉に偏り過ぎておるというふうに私自身自覚をいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、さしあたり危難に遭遇している漁業者がそこにいるという事態で、やむを得ずこういうことになっておると私は思っております。
○細谷(昭)委員 長官の胸のうちもよくわかるわけであります。問題は、捕鯨だとかサケ・マス沖取り漁業に代表される日本の伝統的な漁業というのは、やはり二百海里時代の到来ということからしますと時の流れとしてどうしても転換せざるを得ない状況に来ているのではないかと思わざるを得ません。我々社会党としましても、漁業の将来、日本の漁業政策をどうしたらいいのかという将来的な展望からしますと、海洋分割時代に対応して、遠洋から徐々に近海、沿岸漁業に重点を移すべきときが来ておると思わざるを得ないわけであります。認識としては恐らく今長官おっしゃったとおり同じだと思うのですね。 問題点はたくさんあるのですが、一九七七年、昭和五十二年の、日本も署名いたしました海洋法条約五十六条に、経済水域では沿岸国は天然資源を探査し、開発し、保存し、管理するため主権的権利を有すると規定されております。ところが日本の二百海里政策というものは、同じく昭和五十二年の第八十回国会での漁業水域に関する暫定措置法、これしかないわけであります。この暫定措置法はあくまでも暫定措置でありまして、当時のソビエトの二百海里宣言に対抗する目的で制定されたものでありますだけに、中身も急ごしらえで一貫性のないものであります。 当時私は国会に来ておりませんでしたが、議事録を拝見いたしました。当時の鈴木農林大臣に対して野党の各先輩議員が質疑をしておるわけでありますが、いろいろな不備を野党から指摘されて、目的に対しても文言が書き加えられたという経過をたどっております。第一には、この暫定措置法では二百海里水域内で日本の主権が確立されておらないという問題であります。第二には、資源の保存と管理というものが極めてぼやけております。第三には、韓国及び朝鮮民主主義人民共和国並びに中国、これなどが配慮から除外されておりますし、整合性を大変持たないものになっております。そのために、これは政令事項が大変に多いというのが目立っており、御都合主義の暫定法でしかありません。 問題は、海洋法条約を批准するつもりであるとすれば、暫定法ではなくて海洋法条約に準拠した国内法を一日も早く提案すべき時期に入っておるのではないかと思われるわけであります。この点、長官はどのような展望を持っておられるのか。国内法を整備する段階に来ていると私は思うのです。そして一日も早くこの海洋法条約を批准すべき時点に来ている。そうしないと、いつまでも外交官なのか水産庁長官なのかわからないような日を暮らさなければいけないと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。 まず、漁業水域に関する暫定措置法のかわりに国連海洋法条約五十六条に則した立法措置を講ずるということになりますと、五十六条の場合には「海底の上部水域並びに海底及びその下の天然資源」ということでございますから、「天然資源」の範囲自体が、私どもが所管しておりますもの以外に、マンガン団塊とか海底油田とかいろいろなものに及びますので、関係各省と御相談しなければ政府全体としての御意見を申し上げにくいようなことに当然なるわけでありますけれども、そういう限定つきであるということをお許しいただきたいのでございます。 漁業資源自体について見ますと、二条に書いてございますように、要するに「漁業水域における漁業に関する管轄権」を有しておるわけでありまして、「漁業に関する管轄権」というのは、海洋法条約五十六条で経済水域の中において沿岸国が行使する「探査、開発、保存及び管理のための主権的権利」のうちの漁業資源に関する部分と同じであるというふうに考えております。ですからそういう意味では、漁業資源に限って見ますと、「探査、開発、保存及び管理のための主権的権利」という書き方と現在の水域法との書き方で特にどうこうということがあるというふうに必ずしも思っておるわけではございません。 しかしながら、先生から御指摘がございましたように、例えば線の引き方の問題でございますとか、相手国、ある特定の国に対しては二百海里を適用しないことになっておるとかいう点につきましては、確かに先生が提起されましたように現行法が暫定的であるというふうに言われる問題点を含んでいるのだろうと思います。ただ、その問題はまさに難しい中でも最も難しい問題でございまして、先生がなぜそういう問題を提起されておられるかという根源のところは私はよくわかっておるつもりでございますが、そこのところがわかればわかるほど、かえって勇気のあるお答えをしにくい性質の問題であるということは御賢察を賜りたいと思う次第でございます。
○細谷(昭)委員 長官、水産庁内部というか政府部内にはこういう考え方があるのではないでしょうか。現状でそろばんをはじくと、現在こういうふうな状況であいまいにしておくことが日本の食糧の水産物を供給するためには便利だ、外国から入漁料を出して買ってきた方が国内の沿岸漁業、近海漁業に金をかけるよりもそろばんが合う、だから今のような点で、根本的な海洋法条約の批准も国内法の整備も、今のままにしてしなくてもいい、そういうそろばんをはじいた、いわゆるてんびんにかけた考え方が一貫して流れているのではないかと思うわけであります。今すぐに批准できるものでもないし、今言った国際環境の整備にはかなり時間がかかると私は思うのです。しかしながら、そういう姿勢、基本的に遠洋から近海や沿岸漁業、二百海里時代に対応する姿勢の確立を、根気よく一つずつ懸案を処理していくという方針が示されてしかるべきだと思うのです。だから、水産庁部内というよりも政府全体の部内としては、今言ったようなそろばんをはじいておるという節が見え見えだと私は思うのですよ。その点についていかがですか。
○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。 私どもは、二百海里時代において、我が国の管轄権のもとにあります。辺水域の漁業資源を基本に据えた、そういう水産業のあり方にしていかなければいけない、そういう基本認識については先生の御意見と食い違うところは何らないと思っておるわけであります。それから、私どもの現実の施策の面におきましても、つくり育てる漁業ということに私どもとしては最大の努力を傾注をしているつもりでございます。 ただ、先生からごらんになってどうも歯切れが悪いというふうにお感じになるところがあるといたしますれば、一つは、現実に操業し生計を立てている遠洋漁業者の存在ということを私どもとしては念頭に置かざるを得ないということが一つ。それからもう一つは、韓国なり中国なりとの関係につきましては、これはまた、漁業の分野自体につきましてもそう簡単に一刀両断的に処理ができる問題でもございませんし、さらに外交上の複雑な問題もございますので、そこのところについて勇気ある答弁をいたしかねておるということでございまして、基本姿勢について二またこう薬的な考え方を持っているということではないということをお答えをさせていただきたいと思います。
○細谷(昭)委員 これは特に次官にも考え方を最後に聞きたいと思うのですよ。私は、海洋問題、漁業問題というのは、もう海洋の自由時代から、まさに海洋分割の時代に入ったというふうに認識を持つべきじゃないかというふうに思うわけですよ。これは長官もそういう認識に立たなければいけないというふうに考えておられるようでありますが。 第二には、これまでの日本の漁政というものは、沿岸から沖合、沖合から遠洋へと、安い石油と高い魚価に支えられて、世界の隅々まで制覇をいたしました。それでとれるだけとるという乱獲体質というものが、冒頭に私が挙げましたいわゆる違法改造というものにもつながっておるのではないかというふうに思うわけであります。私は、こういうふうな時代は既に終わった、終わらざるを得ないというふうに思うわけでありますが、この認識はどうなのか。 第三は、日本の水産物というものは、今後、農畜産物と同様、国民食糧の安全保障として極めて重要な位置を占めてくるのだろうというふうに思います。したがって、こういう農畜産物と同じような規範で今後の日本のいわゆる水産物、漁業というのを考えるべきじゃないか、こんなふうに私は思うのですよ。それにいくまでの、これは急速には変えられません、かなり長い暫定的な経過措置が必要だと私は思うのです。そのためにはやはりかなりの政府資本、政府資金というものを投入しなければ、特に東北のような、北洋に従事されておる人力が十五万ないし二十万もおるという状況からすれば、大きな社会問題なんです。 そこで政府は、国内法を整備することにあわせながら、遠洋漁業従事者のこういう減船や、ないしは廃船も恐らく今後予想されるわけでありますが、多くの従業員の完全雇用の対策を含めて、保障というものを、長期展望に立ってやはり具体的に立てるべきじゃないか。こういう時期になっておるのではないかと思うのです。恐らく、十年、二十年後という展望を考えた場合に、今からそういう対策、漁政の基本的な方向というものをやはり確立しておくべきじゃないか、こんなふうに思うわけであります。これに対する長官並びに次官のお考えをお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。 まず第一に、公海漁業自由の時代というのはもう既に終わった、海の上はいろいろな線が引かれる時代に入っておる、そういう基本認識については全く先生の御高見のとおり、私どもも考えておる次第であります。それから、国民食糧供給の見地から見まして、水産物が農畜産物に伍して国民食糧の供給の上で重要な一役を担うべきものであるという認識についても、私どもも全く同様に考えております。 第一の点と重ね合わせて考えますと、その際、そこで言う水産物は、少なくとも基本的な部分は、我が国の沿岸水域での漁獲物が想定されるべきものであるというふうに考えておるわけでございます。私どもとしても、そういう認識に立ちまして、つくり育てる漁業ということに精いっぱい力を入れておるつもりでございます。 そういうふうに考えますと、遠洋漁業の将来というものにつきまして、この点は、あるいは先生から若干おしかりを受けるかもしれませんが、私どもとしては、現に遠洋漁業者及び遠洋漁業従事者がいる以上、彼らの操業を一日でも長く可能にできるように精いっぱい努力したいというふうに思っておりますが、客観情勢が極めて冷厳なものであるということは先生御指摘のとおり私どもも考えておりますので、その間に生ずる事態につきましては、私どもとしても従来からやってまいりましたけれども、今後とも引き続き適切に対処していく必要があるものと考えております。
○近藤(元)政府委員 今長官からもお答えをいたしましたし、また先生からの漁業を取り巻く今の内外の事情についての認識は実は一致をいたしておるところでございます。それが直ちに、法律の整備が今の時期か、もう少し先か、あるいは農業と同じような制度化が今直ちにというような状況かというところにつきましては、御案内のように二百海里経済水域ができてまだ日も浅うございます。魚を食糧としない国あるいは水産物から経済的な所得を上げていなかった国が、魚から、二百海里からお金になることの認識をまた新たにいたした二百海里だろう、こう思います。そして暫定法でも主権が主張できるような状態でありますけれども、必ずしもそのとおりにいっていない。私は、海に線引きがされて、海上のルールがまだ確立をしていない時期でありますけれども、予測をしたより以上に、実は当時の線引きをされた責任者からすれば厳しい状態に今直面をいたしておるのではないだろうかという感じがいたします。先生の御提案のような状態はやがて検討しておく必要があるだろう。 ただ、長官がお話し申し上げたように、新たなものじゃなくて、現実に、歴史的に長い間日本の国では遠洋において操業し、それがまた日本の伝統的な経済、文化の面にも大きな寄与をしておるという現実を踏まえつつ、私も政治家の一人として、先生のおっしゃるような新たな時代の海洋ルールをつくる、あるいは日本の沿岸、近海、遠洋ともどもが動物性の極めて良質なたんぱく質を提供しておる、それが今短期間に長寿国をつくったのではないだろうかという認識をしておる一人でありますので、先般も当時の大臣でありました鈴木前総理にもこの話を申し上げ、先生のおっしゃるような部分についても私からもお話を申し上げたら、必ずしも当時考えておったとおりに今はいっていないな、改めて検討する必要があるなどいう御見解を賜りましたので、私もまた先生の御発言のこの機会に改めて研究を進めてみたい、こう考えておる次第です。
○細谷(昭)委員 終わります。どうもありがとうございました。
○今井委員長 次に、水谷弘君。
○水谷委員 公明党の水谷弘です。 昨日、麦価の審議が行われまして、麦作をつぶしてもいいのかというような大変なお怒りの声が今生産者の方から出ております。四年連続の据え置き、このことについて私は大きな怒りを持っている一人でございますが、最初に政務次官にお伺いをしていきたいと思います。 政府も、四十九年以降、麦作誘導の価格対策とあわせて大変な御苦労をし、また努力をしてこられた、そのことはよくわかるわけであります。国内産の麦については三十五、六年ごろは三百七、八十万トンにも上っておったわけであります。それが四十八年には年産四十二万トン、このように大変な落ち込みをいたしました。当時、安楽死論までささやかれていたわけであります。 そこで、麦の生産は、四十九年以降、食糧安全保障論等の台頭や国際的な穀物需給の逼迫、こういうものを背景にして、四十九年産から麦の生産振興奨励金、こういう麦作の振興対策が講じられてきました。それまで減少傾向であったものが、大きく歯どめがかかってきたわけです。五十二年産以降、生産奨励金が政府の買い入れ価格に織り込まれ、さらに、五十三年度からは水田の再編対策において麦が特定作物に指定された、こういうことから五十三年度以降生産量は急増をしてまいりまして、百万トンを超えるところまでになってまいりました。作付面積を見ても、五十三年産から五十六年産までは大幅に増大しました。しかし、五十七年産以降は三十五万ヘクタール程度でずっと横ばいを続けております。 このような状況を見てみますと、五十七年以降四年連続の政府買い入れ価格の据え置き、どうも私は麦作を抑制していくような方向に政府は誘導しようとしているとしか考えられない。過去四年、赤字を原因に麦価の抑制が継続的にとられてきております。この食管の中における国内麦勘定のつじつま合わせのために麦作振興が逆戻りをしてきている、このように考えるわけです。せっかく芽生えてきたこの大事な麦作振興が損なわれてしまう。 このまま続いていったならば、大変な苦労をしながら麦作に一生懸命取り組もうという農家の皆さんがどんどん離れていってしまうのではないか、このように指摘をしておきたいのでありますが、政府は、我が国における農業の中で今後この麦作を一体どういうふうに位置づけていくのか、この点をまず冒頭、次官にお伺いいたしたいと思います。小麦については一一%、大麦、裸麦でも一五%というまだ大変低い自給率であります。そういう中で今後どのように取り組んでいかれるか、最初にお伺いをしておきたいと思います。
○近藤(元)政府委員 お答えいたします。 麦は大変厳しい状況から年々立ち直ってきておることは、先生御案内のとおりであります。 ここ数年、転作等の関連からも横ばいになっておりますけれども、政府といたしましては、土地利用型の作物で規模拡大に対してのメリットが十分発揮できる作物であるということが一つは言えると思うのであります。もう一つは、冬作物でありますから、稲、大豆等の作物との複合形態の中で確立をすることができて、また、土地利用型でありますから、機械施設等の高度化を図り生産のコストを下げることのできない作物でございますから、政府といたしましては増産体制に進んでいきたいと考えておるわけであります。 御指摘がございましたように、麦の自給率は低いことでございますので、総合的な食糧自給力の維持強化を図りつつ、需要動向もまた踏まえつつ、麦作の振興を図ることにいたしておるところでございます。特に、小麦を中心にして、めん類等で需要も拡大されて生産が追いつかない部分もございますので、それらを中心にして積極的に進めていきたいと考えておる次第でございます。
○水谷委員 国内麦の需給における中長期の見通し、具体的にお伺いをしておきたいと思います。
○近藤(元)政府委員 今後の生産の長期的な見通しにつきましては、六十五年を目標年次として、農産物の需要と生産の長期見通しの上に立って、作付面積は約五十一万ヘクタール、生産量にして約百八十万トンを見込んでおります。五十九年までにはほぼ見通しに沿った生産量となってきております。 特に、先ほど申し上げましたように内麦生産の中心として小麦が位置づけされておるわけでありますけれども、日本のめん用需要の全量自給を基本として、全体で百二十二万トンの国内生産を見込んでおるところでございます。
○水谷委員 現在三十五万ヘクタールでずっと横ばいを続けております。六十五年見通しで五十一万ヘクタールにまで持っていく。あと四年しかありません。五割増しまで持っていかなければならない。次官、本当にこの六十五年見通しの五十一万ヘクタールが達成できるとお考えでございますか。いかがですか。
○近藤(元)政府委員 目標に向かって最大の努力を払わせていただきたいと思います。
○水谷委員 今回のような諮問、そして答申、また過去三年間の経緯、これらを見ますと、とてもこの六十五年見通しの五十一万ヘクタールが達成できるような政府の取り組みではない、私はこのように指摘せざるを得ないわけであります。 今回の据え置きについても、一番大きな問題はいわゆる財政負担、政府の買い入れ価格、財政負担がこれだけ大きくなってきたという理由で抑え込みに入っているわけでありますが、やはり必要な財政投入というのは重点的に行っていかなければならない、このように考えるわけであります。 政府の買い入れ価格と財政負担についての基本的な考え方は改める必要があると私は思っておりますが、どのようにこの財政負担の問題を麦作振興とあわせて取り組んでおられるのか、お伺いをいたします。
○近藤(元)政府委員 麦の政府の買い入れ価格は、政府の売り渡し価格との乖離が相当大幅になってきておることは先生御案内のとおりであります。コストが逆ざやでトン当たり十四万三千円となってきており、このような大幅な逆ざや関係と近年における麦の生産の拡大により、国内産麦の管理に伴う財政負担は近年急速に増大をして、五十七年度以降は一千億を超えるものとなってきております。 国内産麦の管理に伴う財政負担は、国民食糧の安定的供給を確保し、総合的自給力の維持強化のためには必要な経費でありますけれども、また、内外麦を通じた全体の財政負担は、近年、内外麦コストプールの考えの上に立って麦の政府売り渡し価格の決定を行ってきているところでありまして、比較的少なくなっております。 しかしながら、国内産麦の管理に伴う財政負担が今後拡大していくことは、最近の厳しい財政事情のもとでは国民的理解を得るになかなか困難な部分もございます。したがって、今後の麦対策の方向としては、生産規模の拡大を図りつつ、生産性の一層の向上を図って、極力コストダウンに努めることといたしたい、こう思っているわけであります。 なお、政府の買い入れ価格の算定に当たっては、麦の生産性の向上を適切に反映していく必要がございますので、特段の配慮をしていきたい、こう思っておる次第でございます。
○水谷委員 年々財政負担がふえてきている、急増してきているということでありますけれども、これは当初からわかり切っている話でありまして、今ここでこれが議論になる問題ではなくて、たとえ財政負担が多くても、我が国の麦作を振興しなければならない、そういう観点からスタートをしてきているわけであります。今ここで財政の議論をすることは、麦作振興に対して後ろ向きである、私はこのように考えるわけであります。決して一千億は少ない金額だとは思っておりません。これは解消していかなければならない問題であることは事実であります。しかし、長期的展望に立って、これらについてはしっかり取り組んでいかなければならないと思うわけであります。 麦の生産振興奨励金についてお伺いをいたします。 昭和四十七年、穀物の国際需給の逼迫、これによって国際価格が高騰をいたしました。このような事態というのは今後ないとは言えないわけであります。そういう状況の中から生産振興の必要性が論議され、米価審議会においても具体的な対策を検討すべきという答申が出て、この生産奨励金が生まれてきた。 今パリティと生産奨励金の中で、いわゆる生産性が向上した分、この分をどんどん切っております。まだまだ麦作が定着したわけではない。本格的にコストダウンを目指し生産性を向上していくのはこれからの問題、そういうときに、この生産奨励金の取り扱いが当初の目的と意義から大きく離れているのではないか、このように私は思うわけであります。 そこで、この麦の生産奨励金について、この目的と役割、それから今後どういうふうにこれに対処していかれるのかお伺いをいたします。
○近藤(元)政府委員 麦の生産振興奨励金は、先生御案内のとおり、昭和四十七年度における国際穀物需給の逼迫を契機として、国内産麦の生産振興を図るために四十九年から五十一年産まで交付をされたものであります。それ以後、五十二年の米価審議会の決定の趣旨に従って、五十二年産以降生産振興奨励金に所要の調整を加えたものを政府買い入れ価格に織り込んできておるところであります。 〔委員長退席、田名部委員長代理着席〕 五十六年度以降は、この調整額の算定に当たって麦作の生産性の向上を反映してきておるところでもございます。 したがって、現行の調整額は麦の生産振興を図るため価格に織り込まれたものであり、今後とも、麦の生産の動向、生産性の向上等に配慮しつつ、適切な取り扱いを行っていくところであります。
○水谷委員 大変苦しい答弁のようでありますが、去年の調整額、生産振興のための調整額二千三百四十円、小麦一等六十キロ、ことしが二千二百六十九円、これはどういうわけなのでしょうか。本当に真剣に麦の生産を奨励しようという政府のしっかりした決意があるならば、こういうような操作は私は許してはならないと思うのであります。先ほどから申しておりますが、どうかひとつ次官、本格的に麦作の振興を図るために政府はもっともっと真剣な取り組みをしていただきたい、このように申し上げておきたいと思います。 次に、最近の麦の需要動向、需要は非常に多岐にわたってまいりますし、麦のいろいろな品種、そういうものにおいても大事な問題が出てきております。私は、生産農家が長期的な展望を持ってしっかり取り組んでいくのだという目標といいますか、地域別また麦の種類別、そういうものを明らかにしながら、各地域において生産指標というものを立て、その中で真剣な取り組みをしていただくようにしていかなければならない、こう思っているわけでありますけれども、この地域生産指標についてはどういうふうに取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
○畑中政府委員 全体の麦の生産と需要の問題につきましては政務次官からお答えを申し上げたわけでございますが、その六十五年の長期見通しを基本方針として示しておるわけでございますが、これを受けまして各地方農政局で「地域農業・農村の展望」というものを取りまとめております。さらに道府県が新地域農業生産総合振興対策というものをやっておりますけれども、その中で農業生産総合振興基本方針ということで中期的な目標を立てております。 数字上ではそういうものを一つの目安にして各地域で麦の生産振興が行われているわけでございますけれども、これはやはり数字だけの問題ではございませんで、それぞれの地域で麦についてのいろいろな条件が違います。気象条件も違いますし、いろいろな条件が違いますので、そういう問題点を明らかにするというようようなことも私どもやりまして、その結果に基づいて、今年度から地域別に具体的な指導をするような、そういう事業にも取り組んでおるわけでございまして、できるだけ地域の現実に合うような麦種あるいは品種を選んで生産の振興に努めるというような形で現在取り組んでいるところでございます。
○水谷委員 次の問題でございますが、耕地の利用率を向上させることは、狭い耕地の我が国にとっては大変重大な問題であります。また、水田利用再編対策における特定作物として転作麦の定着化を考えていかなければならない、このような水田裏作麦の作付拡大並びに田畑輪換を可能とするような土地基盤整備、これは大変重要な問題でございます。 昭和六十年度において、麦作振興につながる基盤整備が具体的にどのように進められているか、お伺いをしたいと思います。
○井上(喜)政府委員 お答えをいたします。 農業基盤整備事業の中におきましては、水田の汎用化というのが最も重点項目の一つでございまして、こういった水田の汎用化が麦作振興にもつながっていくわけでございます。 具体的に申し上げますと、特に排水条件の整備改良等が重要な条件になるわけでございますが、排水対策特別事業あるいは圃場整備事業、かんがい排水事業等の事業を実施をしているところでございますし、また、畑地の条件整備を行います畑地帯総合土地改良事業等も実施をいたしておりまして、全体の予算の中では相当大きなシェアを占めているわけでございます。 特にこの昭和六十年度におきましては、都道府県営の排水対策特別事業といいますのを向こう三カ年間継続して実施をいたすことにしておりますが、この事業は、水田利用再編対策の推進に資するということで、採択条件の引き下げでありますとかあるいは補助率を引き上げる、こういった中身の事業でございまして、全体として非常に苦しい予算の中ではございましたが、こういう事業をさらに延長して実施をいたすということにしておりますし、また、予算につきましても、前年比で一〇〇・二%という予算を確保いたしておるわけでございます。 ちなみに現在の整備状況を申し上げますと、五十八年三月末では、水田の総面積が二百九十八万九千ヘクタール、約三百万ヘクタールございます。その中で整備済みが百五万八千ヘクタール、約百六万ということでございまして、三五・四%というぐあいになっております。また、地下水が七十センチメートルより深くなっております水田が百九十二万ヘクタールございまして、これが水田面積全体の六四・二%を占めておるわけでございまして、麦作の可能面積は現実の作付面積をかなり上回る面積になっているということでございます。
○水谷委員 より一層の推進をお願いしておきます。 麦作振興の中でまた大事な柱になりますのは品質の問題でございます。品質の改善のためにこれまで真剣に取り組んでおられるわけでありますが、特に梅雨どきにいわゆる収穫時期がダブってくる、長雨が続く、そういう雨による害によって大変不良なものがとれる、こういう非常に厳しい気象条件の中で生産がされなければならない。 そういう状況の中で今強く望まれているのは、極わせ、そして多収穫、さらにはしま萎縮病等の病気に対する耐病性の向上、これが非常に大事になってくるわけですが、先般の委員会でも私質問をいたし、栃木県で特に大きく発生してきたしま萎縮病、群馬、茨城、北関東にわたって相当大きな被害を本年は出してきているわけであります。 このビール大麦のしま萎縮病に対する取り組みについて、一年前倒しで実需者と農水省が真剣な取り組みをしておられる、これについては大いに評価をいたすところですが、こういう問題は何も最近起きた問題ではなくて、前々から指摘をされ、その必要性が議論されてきておったわけであります。私は、もっともっと早く真剣にこの品質の向上のための取り組みをやっていただきたい。ただ、これは一年に何回もとれるものでありませんから必要な年数はかかるわけでありますけれども、より一層の高品質の品種の改善のために取り組みをされるように強く望むものでありますが、現在どのように取り組んでおられるかお伺いをいたします。
○櫛渕政府委員 麦類の品種改良についてでございますけれども、ただいま御指摘をいただきましたように、高品質、しかもわせで多収、しかも耐病性のあるもの、そういったところを麦類全体の重要な育種の目標といたしまして、これまでも国の機関と公立機関の連携の中で鋭意各地域に適する品種育成に努力してまいっております。その育種全体の体制は、我が国の麦の育種というのはやはり稲に次いで非常に重要な作物である、そういう立場から、北海道農業試験場を初めといたしまして全国六つの地域農業試験場と、先生の地元であります栃木県農業試験場等の、全国で四カ所の公立試験研究機関に指定試験地を設置いたしまして、そういうところでもって総合的に各地域に好適する優良品種の育成を進めてまいっておるわけでございます。これまでにいろいろと各地で良質なしかも耐病性のある、あるいはわせ、こういった優良品種が育成されてまいっております。 ちなみに関東地方につきまして若干御報告いたしますと、小麦でありますと、五十四年に育成をされておりますフクホコムギ、これはわせ、多収でありまして、しかもウドンコ病に非常に強い、こういうことで現在普及を見ているわけでございます。ビール大麦でございますと、先ほどの御指摘のように、最近非常にしま萎縮病が多発して問題になっておりますが、これにつきましては、既に二十年前からこのしま萎縮病に対する抵抗性の育種に取りかかっておりまして、中国から導入しました木石港という品種がそのしま萎縮病に抵抗性がある、そういう遺伝子を持っていることを発見いたしまして、ちょうど二十年かかって、今日関東二条二十二号が新品種候補として注目されている、そういう状況でございます。 なお、こういった病気というのはいろいろまた新しいレースが出現する心配というのがございまして、そういう観点から、さらにこの木石港以外の世界のほかの品種の中でしま萎縮に強い別の抵抗性遺伝子をさらにスクリーニングいたしておりまして、そういうものを土台にした育種も進めておりますし、全体として、先ほどの御指摘のように良品質、高品質といいますか、そういう観点からは、例えば南との関連では、穂発芽をしにくい品種、こういうものもつくっておりますし、赤カビ病対策等についても育種の面でもいろいろ努力しております。今後ともこういった方向についてさらに一層努力を続けたいと思っております。
○水谷委員 大変期待をしておりますので、しっかりお取り組みをいただきたいと思います。 次に、国内麦の政府買い入れ、いわゆる全量について流通契約が結ばれるように取り組んでいくことが非常に大事な問題であります。 〔田名部委員長代理退席、委員長着席〕 六十年産の麦の流通状況では、小麦では二十二万一千トン、大麦、裸麦では二万トンが未契約となっている、このように言われておりますが、未契約の発生しないように、円滑な流通契約が行われるためにより一層の取り組みが必要であるわけですが、どのような取り組みをしておいでになるか、お尋ねをいたします。
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。 国内産麦につきましては、総合的な食糧自給力の維持強化を図るという観点から生産振興に努めておるところでございますし、また、生産されたものにつきましては、従来から優先的な利用、こういうことを考えて実施しておるわけでございます。したがいまして、まず麦類の需要につきましては国内麦で供給し、不足するものにつきまして輸入麦を供給する、こういう考え方で対応しておりますし、今後ともこの考え方で臨みたいと思っておるわけでございます。 今、先生御指摘の流通契約の関係でございますが、国内産麦につきましては生産者と実需者との間で流通契約を結んでおりまして、その円滑な流通を図るために麦管理改善対策が実施されておるわけでございます。 この流通契約につきましてその実態を考えてみますと、生産段階でまず流通契約がなされるわけでございますが、その段階におきましては収量が最終的にどの程度に落ちつくか十分はっきりしない面もあるわけでございまして、生産者と実需者の契約は多少その間にギャップがある、こういった実態に相なっておるわけでございますが、収穫後におきます流通量がおおむね確定される段階におきましては、五十八年産麦、また五十九年産麦につきましても国内産麦は全量流通契約が完遂されるような結果になっておるわけでございまして、六十年産麦につきましてもこうした契約が行われるように、今後とも私ども生産者団体なり実需者団体なりにつきまして指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
○水谷委員 時間が迫ってきまして、まだ何点かございますのでちょっと順序を変えまして、外麦の輸入における問題についてお伺いをしておきたいと思います。 現状では小麦においては五百五十万トンからの輸入が行われている事実は明らかでありますが、このような状況の中で、今後とも国内麦に極力方向を転換していかなければならない。国内麦の生産を向上させ、コストダウンを図り、より振興していかなければならないわけでありますが、しかし現実としては外麦の輸入というのは避けて通れない問題。そこで、輸入先の安定確保、さらにまた輸入数量の確保、これについては長期的に非常に大きな問題になってくるわけであります。 その上に一番私が心配をいたしますのは、外麦の安全性の問題であります。各国の状況によって使用されている農薬は全部違います。日本で禁止されている農薬も栽培中に使われているということもあるわけです。そしてまた貯蔵の段階でも使われる。さらにまた輸送段階でも使われる。そして輸入検疫のときにも使われる。こういうことで、外麦の輸入における農薬の残留の問題については、もう過去何度も指摘をされてきた問題でありますが、この残留については国内でチェックする場所がない。アメリカにおいても最強の発がん物質と言われているEDBが検出をされて問題になっている。 こういうことを考えますと、長期的に安定した外麦の輸入と同時に、その外麦の安全性ということについては十分な配慮と対応をしていかなければならないと思うわけでありますが、これらについてどのように取り組んでおられるのか、現状の取り組みでよしとされるのか、お伺いをしておきたいと思います。
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。 まず第一点目の外麦に関します安定輸入の確保のための措置について説明させていただきます。 御案内のとおり、我が国が現在輸入しております主要国といたしましては、カナダ、オーストラリア、それからアメリカ、こういう国になっておるわけでございますが、そのうちカナダ及びオーストラリアにつきましては、それぞれの国または州において輸出を一元的に管理しておる機関があるわけでございますので、これらの機関と私どもが毎年年間の取引目標数量の合意を行うことによりまして輸入の安定的な確保に努めておる次第でございます。米国との間におきましては特別な数量取り決めは行っておりませんけれども、五十四年五月の大平・カーター会談で合意されました日米農産物定期協議を毎年行いまして、麦類の国際需給や貿易等についての情報、意見交換等を行い、安定的取引に資することにしておるわけでございます。 もう一つの御質問の点でございますが、輸入麦の安全性の問題でございます。 これにつきましては、厚生省が、いろいろと食品衛生法なり国際基準で定められました農薬の残留基準、こういうふうなものがございますが、これらの基準に基づきまして必要なチェックを行っておりますが、食糧庁といたしましても、厚生省の要請に基づきまして輸入時にサンプルを取り出しまして残留農薬の検査を行っておりますが、現在までのところ問題は生じていないような状態になっております。 また、このような対応のほかに、食糧庁といたしましては、輸入小麦についての残留農薬の問題が生ずることのないように、あらゆる機会を通じまして輸入を行っております業者なり関係国、アメリカなりカナダなりオーストラリアでございますが、この輸出業者なり生産者団体なりに注意を喚起しておりまして、今先生御指摘のような安全性の問題の生ずることのないように努力しておる次第でございます。
○水谷委員 時間がありませんのでこれはこれ以上議論ができません。残念ですが、いずれにしても、最後に申し上げておきますが、我が国の農業における大事な柱である麦作は現状の取り組みではとても振興はできない、私はそのように指摘をしておきたいと思います。より一層の振興に対する取り組みを最後にお願いをして、質問を終わります。
○今井委員長 次に、武田一夫君。
○武田委員 時間が余りございませんから、一、二問質問します。 今、同僚の水谷議員からも質問がありました麦価の問題についてお尋ねをします。 政務次官おいでですが、政務次官はこの間、世界食糧理事会に御出席されて、いろいろと会議で発言をなされた様子、伺っております。国としては、日本の食糧をいかにするかという重要な問題についていろいろな角度で一生懸命努力をされているわけでありまして、私たちはその努力は非常に評価するのですが、国際社会の中における日本というもの、もっと日本の力を、国力を強めるという面の配慮が非常に少ないのではないか、というよりも、政府全体としまして農林水産省をバックアップして食糧の問題に対して総力で取り組む姿勢がないような気がしてならない。 ですから、最近の麦価の問題にしましても、口では麦作振興を唱えるけれども腹は全く逆なんだ、これはどこに行っても農家の人が、自民党を一番支えている人たちが最初に言うのがこれです。これはやはり心に思っていることはこういうときにちゃんと出てくるんですな。日ごろ思っていることは必ず出てくる。ですから、そういう言葉がどこでも聞かれるというところに、農業の一つの大きな不信を今の政府がつくっているのじゃないか、こう私は思うわけであります。 努力した者にはそれなりにこたえをきちっとしてあげなければいけない。因果応報ということがありますが、よき努力を一生懸命した場合には、それに誠心誠意こたえるという姿勢が麦価や米価の中に出てこなければならないと思うのです。これは私はいつも問題にするのですが、それが財政上の問題とか外圧の問題とかというほかの条件のもとには無視されている。これは農家の皆さんにとっては一番心にじんと刺さる、農政の不信の主因だと私は思っているわけです。 そこで、今回のこの麦価の問題にしましても、生産性向上に努力をしましてコストダウンをしているというようなことを麦価据え置きの一つの要件にするんだということになるとすれば、それじゃ一生懸命そういう努力をしたのはどういうところで報いてくれるんだという、単純にどなたもお聞きしたい問題に突き当たるわけでありますが、政務次官としてはこういう基本的な姿勢についてどういうふうにお考えか、心情をひとつお聞かせ願えるとありがたいと思います。
○近藤(元)政府委員 一番頭の痛いところの御質問をいただきまして、正直――どちらかといえば自給力を高める最初の手法としては、価格によって生産意欲を向上していただき、そのときに奨励金というものが必ずついて出てくるわけでありますけれども、奨励金でありますから、奨励の目的が達成したときそれをどうするかということ、生産者に言わせればそれは価格だと認識をする、奨励をする方のお金を出す方は一定の目標が達成したらそれを削りたいと言う、そこのところが一番苦慮をし、交渉で難航し、実は頭を痛めるところでございます。 そういう意味合いからして、我が国でもどちらかといえば価格で生産を保障しつつ今日まで来ておるところでございます。ただ、奨励金の問題で、カットをするというときの議論が定着をしたかどうかというこの認識というのが一点また議論の対象に実はなるわけであります。そして、今まさに価格が麦価でもまた据え置かれたという感じがいたして、そして据え置くときに調整という名のもとに奨励金を一部カットをしたということであります。したがいまして、生産性を向上させて――今日まで向上してきたということは現実統計上もあらわれておりますので、そこのところで、財政事情は厳しいので目的の部分一部、そして生産に努力をした部分ということで、また奨励金も継続をしていくという状況で、価格の決定と奨励金の関係が実は保たれてきておるわけであります。 国際競争力を持たせなければならぬということの御指摘には私ども同感でございますけれども、単純に価格だけでございますと、なかなか国際的な価格は決して日本の価格は低いものではございませんので、その限りにおいては国際的な力を持たせるのには、先生からも御指摘をいただいておるように各種の手法があろうかと思います。規模を拡大していく、施設の充実をする、そしてコストを下げて農家の所得を維持をしていきたいという方向で、今、国際競争力に向かって努力をいたしておるところであります。 決して十二分な価格だとは思いませんけれども、この転換期でございますので、生産者からも御理解と御辛抱をいただいて、コストの軽減のためにまた御努力をいただき、所得の維持拡大を図るために両々相史って今後の振興に努めていきたい、そう考えておりますので、先生の御指摘の趣旨、御心情、全く同感でございますので、今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。
○武田委員 辛抱と言ったって、「しんぼう」のぼうのすれぐあいはもう大変なもので、ぼうが切れて車が暴走していったときの日本というのは、今考えただけでもぞっとするわけですよ。昭和四十八年のころのことを思い出してもらえれば、あのときは豆が上がり、小麦が上がり、ソ連が不作。アメリカは日本と契約をしていた契約を破棄までして、一番大事にしなければならない日本をそでにして、高い金を出したソ連に売るような国でもあったわけです、現実に。こういう歴史がもう一度ないという保証は一つもない。そういうときにやはり頼りになるのは我がうちの農家の皆さんでしょう。心棒だってちゃんと油を注いできちっと手入れして差し上げるならいいけれども、そういう余裕がさっぱりない。 そこで、転作を奨励した。そうすると、飼料作物、野菜、麦でしょう、今は。大体転作の二〇%は麦です。しかもそういう方々が一生懸命努力をしながら今日ここまで来た。しかし、据え置きの中で随分毎年要求しながら頑張ってきて、ことしこそはと思いながらもう四年ですね。冷害も四年続いたけれども、では来年、去年みたいに豊作になるかという、麦価の保証は何もない。それはやはり政府、農林省の心一つですわ。 お天気をよくするのも悪くするのも人為的にできる、空はできないけれども、麦価を上げて、あるいはまた適正な価格でもってそういう生産意欲をきちっとさらにかき立てながら希望を与える。希望の光は皆さん方ですよ。それをみずから光も放たず、雲からちかっとも太陽も出さないで終わるとなったら、農家の皆さん方は本当に意気消沈だけではない。ここのところを理解してもらわなければいけない。 しかも、見てみますと、都府県で約半数を占める三十アール未満の麦作農家の生産費は、小麦の場合六十キロ当たり一万五千五百三十一円になっていますよね。これが価格の据え置きになりますと一万一千九十二円ということです。こういう人は政府の転作指導に従って懸命にやって今日まで頑張ってきた人たちですよ。こういう半数も占める方々をもう切り捨てるのか、そういうのが自然と脱落するのを期待しているのか、そういう問題にも当面してくるわけです。まことに遺憾なことではないでしょうか。こういう方々の血みどろの努力というものを、さっきも私言ったけれども、本当に評価した米価あるいは麦価というものを政府の懸命な努力によってお願いしたい、こう私は思うのでございます。でなければ、麦作の振興とかあるいはまた定着というものは、これから政府が考えるような方向に行かない、とすればますます外国依存の度合いを高めなければいけないでしょう。 今、水谷委員からも話がありましたけれども、外麦を輸入するということについてはいろいろと問題もあるわけでありまして、極力国内で生産できるものは生産をしていきながら足らない部分を輸入するという方向よりも、だめならしようがないというような感じの方が強い。これでは本当の農業経営、日本の農業を守るという方向から踏み外している。アメリカの核の傘の下ということが言われていますが、食糧まで傘の下に入るのか、こういうことまで言われているだけに、そういうことではないのだという一つのあかしとして、今回の麦価については、再生産がきちっとできて生産振興が図れるような価格で農家の期待にこたえてもらいたい、私はこのことをお願いするのでありますが、次官、どうでしょうか。
○近藤(元)政府委員 今先生からるる麦価についてのお話がございまして、農家の方々の御苦労、心情を察するときには先生と同じような気持ちに実は立たされるわけでございますけれども、今財政は考えなくていい状況には全くなくて、やはり財政という一つの問題もあわせ考え、そしてまた一方では、農家に手取りをどうして維持をして御苦労に報いていくかということになると、今の国際価格あるいは国際競争力の立場から考えると、価格の値上げもさることながら、生産技術、規模拡大の方向に今政府として力を入れて積極的に進めていきたい、こういうことで、大変厳しゅうございますけれども据え置き諮問をさせていただいた、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思うわけであります。
○武田委員 次長に聞きますが、パリティ価格の上昇分を生産振興奨励金相当の削減をすることで据え置く、こういう考えだということですが、再生産確保の思想というのは形骸化されたということになりかねない、こういう点はどういうふうに農家の皆さん方に釈明していくのか。今後こういうことが続くならば、農家の人たちはまずます政府のやり方に不信と疑問を持つ、これは疑いない事実だと私は思う。非常に心配であります。その点についてどういうふうに考えていますか。
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。 麦価の算定につきましては、パリティ価格、こういうものを基礎といたしまして、さらに過去におきまして生産振興奨励金、これにある程度の調整を加えましたものを価格の中に織り込んでおるわけでございまして、今回も前年と同じように、その調整額部分につきまして生産性の向上を勘案してある程度調整をさせていただいた、こういう実態に相なっているわけでございますが、麦価それからまた生産費、こういった点について見ますと、麦作そのものが、ある場合には転作作物でございますし、ある場合には輪作作物それから裏作物、こういういろいろの農業経営における位置づけも異なっておりますし、また、それによる生産費も相当のばらつきがあるようなわけでございます。 また、さらには生産費につきましては、年々の気象災害その他、収量に相当の変動があることもございまして、生産費も相当振れておるわけでございますが、最近の数年間の生産費等を見てみますと、私どもの定めておりますところの麦価が第一次生産費を下回っているというふうなものは見当たらないわけでございますし、また第二次生産費とどうか、こういう点について見ましても、特定の、異常に収量が落ちた、こういった年次を除きましてはおおむねカバーされておる、こういうふうにも見ておるわけでございまして、再生産を確保する、こういう観点からは麦価としては適切なやむを得ない水準じゃないか、こう考えておるわけでございます。 さらに麦作の振興、こういう点につきましては、麦価ももちろんでございますが、そのほか生産対策なりまた流通対策、各般の施策を総合的に講じていく必要があるのではないかと考えておる次第でございます。
○武田委員 時間も来たのでありますが、今いろいろな説明がありましたけれども、これからさらに六十五年という一つの近い目標に向かって、また、第四期というものが二年後に迫っておるわけですから、転作等々を含めたいろいろな主要穀物のこれからの見通しも考えると、どうしても米と麦という両面からの価格の問題を含めて、あるいはまた規模拡大の問題を含め、あるいはまた生産性向上等々の問題を含めまして非常に重要な問題になってくるときに、いずれその問題はすべて現場で一生懸命働く農家の皆さん方にお願いしなくてはならない、こういうときがまた来るわけであります。 そういうときに、今まで一生懸命努力をしてきた方々ほど、正直言うと農政に対する不信が強いのです。まじめにやってくればくるほど経営が大変である、何か困ったことがあるときは守ってくれない、これじゃ我々はそういうものに従うわけにはいかぬ、そういう現場の声がどこへ行っても聞かれるわけであります。 今回のこういう麦価の問題につきましても、やはり十分にその状況を勘案した上で、農家の皆さん方が喜んで我々の力で日本の将来の食糧の生産をやるのだ、そういう力を、勇気を、希望を与えるような対応をしてもらいたい、私はこのことを切に要望して、時間も来ましたので、質問を終わります。
○今井委員長 次に、菅原喜重郎君。
○菅原委員 今年も米価の季節がやってまいりまして、これからホットな攻防が繰り返されようとしているわけでございます。去年は私もこのことにつきまして、生産費所得補償方式の立場で農業団体からの資料で論議をしたわけでございましたが、やはり政府は政府なりの資料をもって試算した指数で論議いたしますと、なかなからちが明かない。結局は政治加算的なむなしさが毎回米価が終わってみますとぬぐい切れないでずっと経緯してきた、こういうふうに感じさせるわけでございますが、しかし、一応今年も米価はどのように決めようとしているのか、政府の意向をまず尋ねてみたいと思うわけでございます。
○近藤(元)政府委員 本年産の米価につきましては、例年でありますけれども、需給事情、そして昨年の豊作がまた生産費に及ぼす影響等踏まえて、現在検討させていただいておるところであります。いずれにいたしましても、食糧管理法の規定に従って、物価その他の経済事情に配慮しつつ、再生産の確保ができるように、米価審議会等の意見を聞いて適正に決定をさせていただきたい、そう思っておる次第であります。
○菅原委員 さらに、本米審は七月三日、四日、七月五日には答申を受けて政府決定がなされるとも聞いておりますが、この期日はほぼ確定しているわけでございますか、お伺いします。
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。 本年産米の政府買い入れ価格に関しまして御審議いただきますところの米価審議会の開催につきましては、今までのところ、米価問題に先立つ米の生産なり流通なり消費等、米をめぐる諸事情につきまして御議論いただく、私ども前広米審と言っておりますが、その前広米審につきましては今月の二十六日に開催することに決定させていただいておるわけでございます。 なお、政府買い入れ価格につきまして御審議いただきますところの、いわゆる本米審というふうに呼ばれておりますが、その日程につきましては現在関係方面と調整を行っておるところでございまして、まだ決定されておらない次第でございます。
○菅原委員 実は、先ほども細谷議員の方から質問がありました中で、食管法の空洞化についての懸念が表明されていたわけでございます。自主流通米が半数近く出回るようになっている現在、四七%出回っておりますが、もう既に実情は間接統制の性格を強めているんじゃないか、こう私は思うわけでございます。 さらに、現政府米の類別等級価格体系では、まじめな篤農専業農家ほど上位等級米生産に意欲をそがれる価格差になっているわけでございますので、この点について政府の意向をただしてみたいわけなんでございます。 現在、一類一等六十キロ当たりの価格が一万八千九百五円、三類一等が一万八千五百五円でございまして、この格差が四百円になっているわけでございます。しかし、三類一等の整粒率は七〇%以上でございまして、三類三等の整粒率は四五%以上となるわけでございます。そこで、現在の決められている価格で整粒単価キロ当たりを試算してみますと、三類一等が三百七十六円三十一銭、三等が一キロ当たりの単価が高くなりまして四百五十三円十五銭という数値になるわけでございます。こうなりますと、上位等級米を生産するよりも多収品種の三類三等をつくった方が得策だ、こういう矛盾が出てくるわけでございますね。このことについて政府はどうお考えでございますか。
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。 米穀の売買価格におきますところの等級間の格差につきましては、生産面の事情、今先生御指摘の点であろうかと思うのでございますが、それと需要面の事情とを考慮して私ども決定することとしております。 具体的に申しますと、生産面の事情としては、検査規格に定められておりますところの各等級ごとの整粒歩どまりの格差、これを対象としておるわけでございますし、また需要面の事情につきましては、各等級ごとの精米、搗精といいますか精米の歩どまり、搗精歩どまりの格差を考慮して決定しておるような次第でございます。したがいまして、今先生御指摘の整粒歩合のみで格差は算定されてないことが一つ。 もう一つには、今先生御指摘の検査規格上の整粒歩合といいますのは、これは最低限の規定になっておるわけでございまして、実際、一等とか、また二等とか三等の実質的な整粒歩合の平均値は、今検査規格に定められておりますところよりも高いような実態にも相なっておる次第でございます。
○菅原委員 ちょっと答弁の意味がのみ込めないのですが、整粒歩合だけで価格差をつけているのじゃない、需要面格差も見ていると言うのですが、この需要面格差というのは一体どういうことなんですか。
○山田(岸)政府委員 需要面の事情につきましては、各等級ごとの精米歩どまり、搗精歩どまりでございますね、その格差を考慮して決定させていただいておる次第でございます。
○菅原委員 搗精歩どまりの格差を見るとなると、いわゆる整粒歩合の高いほど搗精歩合は高くなるのですよ。整粒歩合が低いほど搗精歩合は低くなるのですよ。そうすると、整粒歩合のいいものほどより一層よくなって、整粒歩合の低いものほどより下がるのですから、差がうんと出てくるのですよ。それなのに六十キロ一類一等と三類一等の差が四百円しかないということは、ますますこういう価格差は不条理だというふうに考えられませんかね。 「現行米価の重大なる不合理性」というのは、これは岩手県の江刺市農業協同組合の提言なんですが、私は大胆な提言だと思うわけです。今の食管法に対してタブー化されているときこういうまじめな提言が出るというのは、これは当事者にとっては大変な勇気のある提言だと思うわけです。この提言は政府の方にも提出しておりますので見ていると思うのですが、この提言によりますと、 現行の生産者基本米価設定の原点は、曽つて深刻な食糧不足の時代、雑穀・いも・南瓜の類まで主食とし、代用食で飢をしのいだ当時、勿論屑米は貴重な主食物であり、質より量が絶対必要で屑米価値が極めて高い経済事情の下で設定したものであり、品質・規格が価格に及ぼす影響が少い時代のものであった。その概念が継示された等級間格差比率で現在に至っている。 こういう前置きなんですね。 そうなりますと、当時の価格で決められた差は、今までの食管法の長い経緯の中で反省され、見直されて価格が決められてきたかどうかですよ。そういう経緯がありましたか、お聞きいたします。
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。 現在の等級間格差につきましては、昭和五十三年当時において、先ほど申し上げましたような整粒歩合だとか搗精歩どまりの格差、こういったものに着目して設定してまいったわけでございます。 この是正について検討するように、今こういうふうな先生の御意見であろうかと思うのでございますが、必要であるというふうには考えられるわけでございますが、そうした場合に、一等なり二等なり三等の各等級間のあるべき格差というものは何を基準として設定すれば最も適正なものになるか、また、その結果が今後の米の生産なり需要の両面に影響するというふうなこともございますので、十分そうした点も配慮しながら検討していかなければならない、このように考える次第でございます。
○菅原委員 全くこのことを取り扱いますと、売る方の側は高い方に格差をつけてもらいたいし、買う方の側は低く下げた方に格差をつけていきたい、こういうのが人情になりますね。ですから、私の質問が大蔵省あたりに聞かれると、それでは下等米ほど差を下げろというふうになるのですが、私は農民、生産者のサイドですから、そのサイドで、昭和五十九年一月の東京都の某小売店における十キロ価格の米の値段表がここにまた書かれているわけですよ。そうしますと、コシヒカリが十キロ当たり五千七百円、ササニシキが五千五百円、ブレンド品の上が五千四百円、中が五千二百円、下の方が四千八百五十円ですね。主婦連の消費者の価格別購入割合のアンケートで見ますと、大体平均五千円程度の米が買われているわけでございます。五千円でございますと、六十キロでございますから六倍しますと、五、六、三十で三万円。あと、コシヒカリの五千七百円でございますと三万四千二百円というわけでございます。政府米の方にはこういう自主流通米の上米は出回らないわけでございますが、政府米の一類一等というのが一万八千九百五円である。 だから、今の価格を上の方に政府でも考えて、まじめな農家は、それからおいしい米をつくりますとこれには多収穫米より大変な苦労、それから現実に五、六%という減収が、品種によるわけでございますから見通せるわけでございます。そういうところで努力するわけでございますので、こういう上の方への価格差改正ということを今後政府はどう考えているのか、このことをお聞きをしたいと思います。
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。 今先生の御質問の向きは、品質の問題でも、特に私ども政府買い入れ価格等におきましては、品質格差ということで一類、二類というふうに呼んでおりますが、五類まであるその類間格差に関係する御質問ではないか、このように思うわけでございます。 この類間格差につきましては、消費者の需要の動向に即応した米の生産なり流通の促進を図るとの観点から五十四年から導入されたものでございますし、その格差の設定に当たりましては自主流通米の価格にあらわれている格差によることとしておりますけれども、政府が買い入れる場合の米につきましては、自主流通米の上位の銘柄、先ほど先生御指摘のササニシキ、コシヒカリ、こういったものは少のうございまして、自主流通米の中でも比較的品位の低いもの、こういったものが政府の買い入れ対象になるわけでございます。したがって、政府の買い入れ対象となっておりますところの米穀と同一銘柄の自主流通米の価格差を基本といたしまして、さらに、従来銘柄米制度というのを持っておりましてその奨励金等も出しておりましたが、その銘柄米制度との連続性にも配慮いたしまして一応現在の類間格差というふうなものが設定されておるわけでございます。 このような類間格差を変更するというふうなことになりますと、一類だけでなく二類以下五類までの類間格差の問題につきましていろいろと検討しなければならないと考えられますし、現在の米の生産事情なりまた需要状況等を踏まえまして慎重に検討する必要があるのではないか、こう考える次第でございます。
○菅原委員 さらに、総生産流通量百六十万トンのササ、コシなのに、約三百万トンと推定されるこの種の表示の単一銘柄米あるいはブレンド米が出回っているのではないかというふうに推定されているわけなんです。これはあくまでも推定でございますから正確な数字ではないわけなんですが、しかし、いずれにしてもこのブレンド米とか混米というものは、その価格において消費者の不信を買っていることは事実でございます。このことに対する政府の指導はどのようにしていくか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○山田(岸)政府委員 今、先生御指摘の点につきましては、小売がお米を販売する場合の表示の問題というふうに私どもは受けとめておるわけでございまして、従来から表示制度の徹底を図るように各都道府県を通じまして指導してまいっておりますし、特に今御指摘のような良質米、ササニシキ、コシヒカリといった単品のものにつきましての表示方法について、より徹底して、偽りのない、いいものを入れ、かつ適正な表示が行われるようにということで指導してまいりたいと考えております。
○菅原委員 次に、他用途利用米の制度でございますが、現在の他用途利用米は、生産者個々の対応においても、品種、品質の問題あるいは作付調整、出荷検査等問題が多く、加えて同一物が三様の大きな格差で精算されていることは、生産者の混迷と不満をさらに増大する結果になっているわけでございます。 こういう意味で、実は我が党の方で備蓄問題を盛んに要求もしているわけなんでございますが、このような事情にかんがみまして、他用途利用の仕向け米は備蓄更新米とか下位等級米、さらには別規格の設定による買い入れ米等をもって充当して、緊急避難的なこの制度は廃止の方向に政府は努力すべきではないかと思うわけでございますが、この点いかがでございますか。
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。 他用途利用米制度につきましては、五十九年産米から発足したわけでございまして、生産者の皆さん方に御理解をいただきながら御努力をいただくには相当の時間もかかる、このように私どもも思うわけでございますが、より一層他用途利用米の重要性につきまして御理解をいただきながら、今後その定着を図っていきたい、このように私ども考えておる次第でございます。 と申しますのは、他用途利用米の用途が工業原材料用でございまして、その用途に向けましてやはり一定の数量を安定的に供給していく、こういうことがぜひとも必要なわけでございますし、政府の備蓄したものを何年間か古くなったものを回すとか、こうなりますれば保管料その他経費がかかりまして、また長く保管すれば安全性というふうな問題にも至るおそれもございます。やはりそうした主食用のお米の需給操作とは別個に、他用途利用米の生産の安定的供給という点につきまして今後とも配慮していく必要があるのではないか、こう考える次第でございます。 それから規格の問題でございますが、昨年も何か特別の規格は設定し得ないかという御意見等も多々ございまして、今年私どもは、生産者団体の方々なりまた実需者団体の方々なりにお集まりもいただきまして、数回にわたりまして技術的、実務的ないろいろの方面からの検討をしてまいったわけでございます。 結論的に申しますと、こうした方々の同意が得られるような規格が現在までのところなかなか見出し得ないという実態でもございますし、今後期待されますところの超多収穫米等の出回り、またその品質といったものとも関連いたしまして、今後さらにこの問題については検討を深めていく必要があるのではないかというふうに結論づけられておりまして、私どももその必要性を認めておる次第でございます。
○菅原委員 いずれにいたしましても合理的な価格政策をお願いしますし、同時に構造政策にも一層政府が重点的に取り組むよう要望いたしまして、質問を終わります。
○今井委員長 次に、中林佳子君。
○中林委員 まず初めに、昨日も私、大臣に麦価の据え置き諮問に対する抗議を行ったわけですけれども、政府がそういう姿勢でございますから米価審議会も据え置き答申をされたと思うわけです。決定が既にされたのかどうかは、ちょっと私、情報が入っておりませんのでわかりませんけれども、本当に農家の人たちの生産意欲をそぎ、農家の人たちの努力に報いないこういう決定をされるかもわからないことに対して強く抗議をし、そして引き続く生産者米価決定に際して同じような方向が打ち出されるならば、もうとんでもないことだということを重ねて要求をし、質問に入りたいと思います。 私は中海干拓問題について質問するわけですけれども、昨年六月に中海干拓事務所が作成いたしました展示用の航空写真のうち、弓浜地区の写真の一部が網目がかけられていたり、ほかの工区の写真が真上からのものであるのに、この工区のみが斜めから鳥瞰した航空写真となっている。これを干拓事務所で見たわけですけれども、こういう撮り方になったのはどういう理由からですか。
○井上(喜)政府委員 中海の干拓事業を現在進めているわけでございますけれども、工事全体の進捗状況を把握をいたしますとか、あるいはそういった状況を対外的に説明するために必要なものとして航空写真を撮っておるわけでございます。この目的は、干拓地の全景を撮るという目的でございまして、私どもといたしましては、そういう全体、全景が撮れておれば私どもの目的は達成するわけでございます。
○中林委員 そんなことを聞いているわけじゃないですよ。なぜそこの部分だけ、ほかの工区は真上から、しかも綱目がかけられたようなところはないのに、その弓浜工区だけがなぜ斜めからの鳥瞰になっているのか、網目がかかるような一部分があるのか、その理由について聞いているわけです。
○井上(喜)政府委員 私どもは、あくまでも全景を撮るということでございまして、撮り方について特に条件をつけているわけではございません。
○中林委員 私どもが調べましたところ、この航空写真を撮影した業者と航空自衛隊美保基地とが話し合ってそういう条件がつけられた、こういうことを聞いているわけなんですけれども、この事実についてはいかがですか。
○井上(喜)政府委員 私どもといたしましては、どういうような話が防衛庁と業者の方であったのかよくわかりませんけれども、その両者間で話があったということにつきましては聞いているわけでございます。
○中林委員 ですから、初めからそういう理由をおっしゃればいいわけでしょう。その部分だけ除いて、全景が振れれば結構でございますからどんなふうでもお撮りください、こんな姿勢で本当に展示用の写真パネルができるものですか。私は本当に隠そう隠そうとなさっているこういう農水省の態度に心から憤りを感じます。 私どもが聞いた話では、この網目がかかっているところは、美保通信所あるいは象のおりと言われるアンテナ群、そしてC1輸送機の格納庫や隊員宿舎、これを見えなくするために自衛隊が業者に圧力をかけた、こういうことになっているわけです。こういう写真に仕上げることについて農水省は事前に説明を受けているわけですか。
○井上(喜)政府委員 業者と防衛庁との間で話し合いがあったということは後で聞いたわけでございますが、どういう話をされたかについては我々詳細を承知していないわけでございます。そういうことで、私どもが事前にそういうことを承知をしていたということではありません。
○中林委員 こういう航空写真も大切な国費を使って行われている事業なわけですね。ですから、どんな写真になろうとも、それを業者に任せていたというようなことでは大変無責任だと私は思うわけです。ましてや、今この中海干拓事業というのは大変住民にとっても大きな問題になっているところなのですね。この周辺にどんなものがあるのか、こういうものが網目で隠されているという状況は許されないことではないかと思うわけですね。 ですから、今度のような結果から見て、農水省は当然防衛庁に対して抗議をすべきだと思うのですけれども、抗議をなさるおつもりはあるわけですか。
○井上(喜)政府委員 中海干拓の全景につきまして写真を撮るというのが我々の目的でございまして、基地の写真を撮るというのが我々の目的じゃないわけでございます。干拓地の全景が撮れておればよろしいわけでございまして、そのような契約になっているわけでございます。したがいまして、防衛庁にとやかく言うつもりはございません。
○中林委員 この問題の根底には、明らかに重要な問題が含まれているというふうに思います。ほかの工区についてはそういうようなクレームはどこからもついていないのに、この弓浜工区だけについて自衛隊から業者に対してそういう条件がつけられたということは、同じ国の機関であるべき防衛庁が一方の省に圧力をかけて修正させたということが放置され、しかもこれが今後拡大されていけば、これは戦前の軍機保護法下で行われた写真規制だとか写真修正、まさにそれと同じではありませんか。 そこで、防衛庁にお尋ねするわけですけれども、今回こういうような航空写真に条件をおつけになったのはどういう理由からなさったのか、そしてその法的根拠は何であるのか、また事前に農水省の方に了解を取りつけになったのかどうか、この三点についてお伺いします。
○堀川説明員 この件について農水省から連絡があって話し合ったということはございません。 この件につきましては、御質問のとおり、中海干拓事務所から航空写真の撮影の委託を受けました民間の航空測量会社より、美保基地に対しまして、航空写真の撮影のために美保基地上空を飛行することについて調整がございましたので、一般に自衛隊の施設の航空写真が撮影されあるいはそれが公にされることは好ましくないという立場を美保基地側は民間の測量会社に御説明いたしまして、理解を求めたことがあると承知しております。 しかし、お話があった美保基地の部分に網目がかけられているのは民間の航空測量会社の自主的な判断によるところでございまして、防衛庁が不当な圧力を加えたとか、そういうことはございません。
○中林委員 今、法的根拠はないわけですね。
○堀川説明員 法的にどうということはございません。
○中林委員 御協力を願って、御理解をいただいて、それは業者が勝手にやったことだなんということはとんでもないことですよ。同じ航空写真を撮って、ほかのところは全部ちゃんと写しておきながら、ここは自衛隊からまさしくそういう介入があったから業者もやらざるを得なかったというのが実態なんですよ。 しかも、今回の自衛隊の圧力によります航空写真からの美保基地の削除というのは、この中海干拓のパネル写真だけではなくして、三年前の境港市の「実測航空写真地図帖」でも同基地が灰色に塗りつぶされた経緯もあります。防衛庁は今後ともこういう圧力を業者にかけていくことになるわけですか。
○堀川説明員 先ほども申し上げましたように、防衛庁の方から民間の業者に対して不当な圧力をかけたりしたことはございませんし、これからもそういうことをやるつもりはございません。
○中林委員 それでは、業者に対して御協力を願うようなことも一切おやりにならないわけですね。
○堀川説明員 先ほど申し上げましたように、民間の業者より事前に調整がございました場合は、一般に自衛隊の施設の航空写真が撮影されたりあるいはそれが公にされることは好ましくないという立場から、民間の業者にこの立場を御説明いたし、理解を求めるということはこれからもございます。
○中林委員 まさにこれは戦前の軍機保護法に匹敵するようなことをもう既におやりになっているとしか言いようがございません。強くこのことに対して抗議を申し上げます。 次に、前回、六月十二日の当委員会でも質問いたしましたが、農水省の島根、鳥取両県に対する回答について、時間が余りありませんので、二点まとめて質問をさせていただきたいと思います。 一点は、この回答は、漁獲による窒素、燐の湖外への取り出しについて、何の論証もなしに「水質値に与える影響は少いものであった」、こういうふうに結論づけているわけです。しかし、これはコピーですけれども、この島根県水産試験場三刀屋内水面分場の「赤潮対策技術開発試験報告書」によりますと、シジミを初め漁獲による窒素、燐の湖外への取り出しが水質汚濁防止に大きな効果を発揮していることが明らかにされているわけです。 この報告書によりますと、宍道湖では、流入窒素の九・五%、流入燐の一四%を漁獲により取り出していると試算しています。この量は、莫大な資金を投入して完成させた宍道湖東部浄化センターの現在の回収量の、窒素で八・四倍、燐で十一・五倍に匹敵する量であることも指摘しています。しかも、シジミ漁はシジミかきとも言われるように湖底をかき回す漁であることから、こうした湖底の攪拌で酸素が湖底に届き、汚濁防止にも大きく役立っている、こういう結論まで出しているわけです。 この研究は農水省の委託を受けて行われたものである、これはちゃんとここに書いてありますのでそのとおりでございますが、そのことから考えまして、今回の回答は、みずから委託した研究結果をも無視したものだと言わざるを得ないわけですね。この委託した三刀屋内水面分場の報告書を無視されたのかどうか。それから回答の根拠になりました、要するに「影響は少い」というふうに判断されたデータは、どんな調査に基づいて行われたのか、そのデータがあればぜひ公表をお願いしたい、これがまず一点です。 それからもう一点、今回の回答で、溶出した下層の栄養塩が微弱密度流により塩水ポケットへ集水されるメカニズムについては「中間報告の水質解析シミュレーションには加味されていないが、定量的な把握については、淡水化試行において調査したい」、こういうことになっているわけですが、これは極めて無責任だと言わざるを得ないわけです。 このパンフレットで、微弱密度流が水質を浄化する効果があるということを大変立派な絵で説明して、これまでずっとこの絵を使って、中海・宍道湖も淡水化によってきれいになるとずっと宣伝されてきたものでございますけれども、しかし今回の回答は、やってみなければわからない、こうなっているわけなんですけれども、これはいわば微弱密度流によって水質浄化が効果が上がるかどうかわからないということをお認めになったものだと解釈してよろしいのでしょうか。 この二点についてお答えいただきたいと思います。
○井上(喜)政府委員 まず、シジミ漁などが現にあるわけでございますけれども、こういうシジミに含まれております窒素なり燐の回収量を水質解析をいたします場合に考慮していないわけでございますが、この理由につきましては、中間報告にもあるかと思いますけれども、シジミの中に含まれますこういった要素が、仮に取り出されなかった場合にどの程度水に溶け出すのかとか、あるいは、これを漁獲いたします場合に底をかくわけでありますけれども、今のお話のように酸素が溶出するということもあるかもわかりませんが、逆に燐とか窒素が出るということもあるわけでございます。さらに、シジミの中の窒素、燐が溶出いたしました場合に、動物プランクトンでありますとか、あるいは生物がそれを食べるということもあるわけでございますが、こういったことの定量的な把握が十分でない、こういうことから水質解析の場合に現に行われておりますシジミ漁についての考慮をしなかったわけでございます。 しかし、現にそのような漁があるわけでございますので、仮に現在とっておりますシジミをとらなくなりました場合に、それがしかも全部水質に影響する、つまり全部水の中にシジミに含まれております窒素、燐が溶ける、こういう前提で計算をいたしました結果を両県に示したわけでございます。 具体的な計算の方法としましては、三刀屋内水面分場で行いましたシジミ漁獲量によります。その量を基礎にいたしまして、湖外に持ち出されると考えられます窒素が一日百八十九キログラム、燐が一日十六キログラム、こういうことになっておりますので、これらが淡水化後は全部水中に溶ける、こういう前提で水質解析をしたということでございます。したがいまして、水質へ影響を与える湖の流域からめ流入負荷量、それから湖底からの溶出量に対してシジミの持ち出し量は、窒素で四%、燐で五・九%のウエートを持っているということで、これは三刀屋試験場のそういったデータでございます。 そういうデータをとっているわけでございますが、これが湖内での植物プランクトンの代謝の影響を受けるわけでございまして、具体的には研究会の方で使っております算定方式をもちまして計算いたしましたところ、中間報告の解析値が窒素で〇・五五でありましたのが、今のようなシジミから全部水中に溶出するという仮定で計算いたしました場合は、同じく〇・五五ppm、こういうぐあいになりますし、それから燐につきましても解析値が〇・〇三五、これが〇・〇三七ppmということでございまして、余り大きな影響を与えるというような結果にならないわけでございます。 それからあともう一つの質問は、微弱密度流のことでございます。 現在は中海の場合は、下層部につきましては下流から上流の方に流れがあり、上の方につきましては上流から下流に流れがあるわけでございますけれども、これが淡水化をいたしますと、全体の流れが湖底の勾配に沿いまして上から下に流れていく、こういうことになるわけでございます。しかも塩分躍層等がなくなりまして、大体全層が均一の水質になってくるわけでございますが、ただ下の方にわずかに濃度の高い水があるわけでございます。これが湖底の勾配に沿いまして中浦水門の方に流れていくということでございまして、中間報告では定性的にはこれが水質浄化に役立つということを言っているわけでありますけれども、さて定量的にどの程度の効果があるかということにつきましては、淡水化試行の段階で実施をしたい、こういうことを言っているわけでございまして、定性的には問題なく水質は浄化されるわけですが、定量的には実験段階で把握いたしたい、このように言っているわけでございます。
○中林委員 疑問な点が今の答弁でたくさん出てまいりましたけれども、この問題は引き続き追及していきたいというふうに思います。終わります。
○今井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時八分散会