農林水産委員会 第20号
- 発言数
- 215 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/05/22
会議録
○今井委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上西和郎君。
○上西委員 私は、今次農業者年金基金法の改定に関し、基本的に反対の立場を堅持しながら、以下、順次質問をさせていただきたいと思います。 まず最初に、大臣にお尋ねしたいのであります。 くしくもあなたと同姓でありました、戦後の日本の歴史にさん然たる名を残しております今は亡き故佐藤榮作総理は、かつて総選挙に際し、農家の皆さん方にも恩給を保障しよう、こういう極めて明確な公約をお示しになり、それに基づいて当時全国二百万の農民の方々の悲願と言われた農業者年金が生まれた、このように私は理解いたしております。そうして、そのことが現在九十万人の加入者、さらにそれの半分程度になりますけれども、多数の受給者を生んで、現実に日本の農業を支えていることは疑うことのできない事実だと私は確信をいたしております。 ところが、今回お示しになったこの改定案の内容は、そうした農家の期待を完全に裏切るだけではなく、極端に言えば羊頭狗肉と言ってよい大変な改悪ではありませんか。これでは、果たして佐藤榮作元総理が安んじてあの世で安眠ができるのでしょうか。私は、そうした意味合いで、少なくとも、いやしくも先進国の一つにその地位を占めております我が国の総理がお約束になったことを、わずか十五年そこそこでこのように無残にもそれを踏みにじっていこうとされる、このことに対し、所管の大臣としてどのような御見解、御所存をお持ちなのか、まずそのことを明らかにしていただきたいと思います。
○佐藤国務大臣 上西先生にお答えいたします。 農業者年金制度というのは、先生御存じのことと思いますが、経営移譲の促進というのを通じまして四つの大きな役割を果たしていると思います。 その一つは農業経営の細分化の防止、それから経営の規模拡大、あるいは農業経営主の若返り、そういうことを通じまして農業者の老後保障の役割を果たしていると思います。しかしながら、農村社会における人口の高齢化あるいは兼業化の進展等によりまして、この年金を取り巻く状況は非常に厳しくなってきているのは事実でございます。 そういうことで、農業者年金制度につきましては、長期にわたる安定的な運営を確保するため、公的年金制度の改革の方向を踏まえまして、本制度がその使命をよりよく達成できるよう、給付と負担の適正化を図るなど制度の安定を確保するとともに、あわせて農業構造の改善を一層促進するための措置を講ずる必要があると考えておりまして、この法律案を提出した次第でございます。
○上西委員 では、ここに総務庁からお見えと思いますので、軍人恩給の問題について参考までにお尋ねをしたいのであります。 軍人恩給というのは、御承知と思いますが、昭和二十年八月十五日、大日本帝国敗るるの日から一たん姿を消し、二十八年の十月、法律百五十五号をもって復活をいたしました。約二十年かかって、戦陣訓の教えに背くとまで言われている抑留加算までつけた、戦前の軍人恩給制度は完全に復活をしております。この軍人恩給は今日の行革臨調のあらしの中で今後どのようにされようとしていくのか、農業者年金や年金統合法や、今まさにかけられようとしている共済年金と同じように、やはり鋭いメスをお入れになるのか、いやいや、そうではない、軍人恩給は断じて守り抜くという御決意なのか、総務庁に明らかにしていただきたいと思うのです。
○鳥山説明員 お答えいたします。 恩給制度は、現在論議になっております各公的年金制度とは非常に性格が異なっておりますために、今回の年金改革の対象とはなっていないわけでございます。したがいまして、私どもも今回の公的年金改革に伴いまして恩給がこれと一元化するというようなことは考えておりませんし、恩給の基本的な枠組みというものも変える考えは持っておりません。
○上西委員 誤解のないように申し上げておきますけれども、私は、軍人恩給は、やはり一身をささげて日本のために戦った方々、したがって、旧軍人軍属の皆さん方に対する一種の社会保障制度と思っておりますから、堅持されることは全面的に賛成なんです。しかし、日本のために努力をし、命を投げ出した者は決して軍人軍属だけではありません。私の同級生だって終戦直前、三日前に防空ごうに退避中、米軍機の直撃を食って即死をしております。そうしたところには日本政府は一円の補償もしていないのです。そうして、軍人軍属の問題だけは守っていこう、それはそれでいい。じゃ、軍人恩給を守っていこうとするならば、総理が直接お約束をなさった農業者年金をなぜ変えようとするのかと、これは担当局長、あなたに、やはりずばりお尋ねをしたいのであります。そのことはどうとらえ、どういう議論をされた上でこのようなあしき改定法案をお出しになったのか、このことであります。
○井上(喜)政府委員 ただいま総務庁の方から軍人恩給につきましての御答弁があったわけでございますけれども、この軍人恩給といいますものと、今回御審議いただいております農業者年金制度というのは基本的に違うというふうに我々は考えているわけでございます。 農業者年金制度は保険という仕組みを活用いたしました年金制度でございまして、被保険者の相互扶助を基本にいたしました制度でございまして、そういう被保険者が出します保険料を主たる給付の財源といたしているわけでございます。軍人恩給の場合には国家補償というような観点から全額国庫負担というようになっておりますし、また、その新規参入者、対象者が既に全部裁定を受けているというような状況のようでございまして、制度自身につきまして農業者年金制度と軍人恩給の制度は違うものと考えているわけでございます。 農業者年金制度につきましては、ただいま大臣の方から御答弁申し上げましたように、その環境といいますのが制度発足時点と比べてかなり変わってきております。全体的に高齢化が進んでいるわけでございますが、とりわけ農村の高齢化というのはかなり進行しておりますし、また経営移譲という点につきましても、当初予想しておりました移譲よりは相当多くの経営移譲が行われるというような状況でございます。 また、農業者年金制度が目的としておりました構造政策につきましても、兼業化の予想外の進展というような状況もあるわけでございまして、こういう新しい事態に対応いたしまして、農業者年金制度といたしましては長期に安定していく方策を検討せざるを得なかったわけでございまして、今回の改正案はそういう状況を踏まえまして、かつまた公的年金制度の改正の方向を踏まえました改正案といたしまして国会に提案をいたした、こういう次第でございます。
○上西委員 そのお答えはあなた方国家公務員の守備範囲の中では通るでしょう。加入しておる者はどうなりますか。保険を募集されて入ったのじゃないでしょう。佐藤総理が約束をされ、農業者の皆さん方に恩給を保障すると、明確に恩給と言っているじゃありませんか。これは厳たる歴史的事実じゃありませんか。軍人恩給が五十九年度の実績で二百二十万八千人の方々に約一兆六千億出されておる。国家保障だとおっしゃる。総理大臣が約束したことは国家保障じゃないのですか。あたかも生命保険か何かみたいに、加入者の保険料によって給付される、そんなことをあなた方がおっしゃるなら、一体国民は何を信じて暮らせばいいのですか。何を信頼して日本の行政に従っていけばいいのですか。私は、言葉じりをとらえるようでありますけれども、局長、あなたの今のお答えは極めて不満であります。軍人恩給が国家保障なら農業者年金は国家保障じゃないのですか、民間の保険と一緒なんですか、そう私は反論したいのです。その辺はもう一回明確におっしゃってください。
○井上(喜)政府委員 かつて佐藤総理大臣が農民にも恩給をというキャッチフレーズで言われたということは我々も承知しているわけでございますけれども、現在の老後保障といいますのは、自営業者の人たちにとりましては基本的に国民年金で行うということになっているわけでございます。そういうことで、自営業者であります農家に対する年金はどのような方法で仕組むべきかということについていろいろと検討がされたわけでございまして、その結果、これは農林省の内部におきましてもあるいは厚生省の側におきましてもそれぞれ検討された結果でございますけれども、経営移譲年金を主体といたしました政策年金として仕組むのが一番いいといいますか、また、そういう方法しか考えられないのではないか、こういう結論になったと承知をしておるわけでございます。 無論、農業者年金制度は、そういう政策年金としての位置づけだけではなしに、あわせまして老後保障というものもいたすわけでございますけれども、やはり一般的な社会保障制度の中での農業者年金制度でございますので、現在のような性格の農業者年金制度の仕組みと相なった、このように理解するわけでございます。
○上西委員 ここで押し問答していてもいたずらに時間の浪費ですから。 ただ、少なくとも大臣以下日本の行政を支えている、とりわけ農林水産省の首脳部の皆さん方は、そうした農業者の方々の痛いほどの気持ちはしっかと受けとめておいてほしい。このことがなければ、幾ら字面で、条文でやったところで納得はしませんよ、理解が届きませんよ。それが行政不信になっていく。私はそう思いますから、日本農業の前途を憂えるがゆえに、もう一遍その辺のことは初心に立ち返って、今後さらに一周の御検討をいただきたいと思います。 少しく具体的な御質問を申し上げます。 先般来各委員の皆さん方の御質問に答える中で、いわゆる経営移譲年金の支給漏れといいますか受給不能といいましょうか、そういった方々があるやに聞こえるわけですね。受給率九〇%幾ら。現実に一〇%なら一〇%の受給不能の方がおると仮定しますと、大まかにどういう方々がどういう理由で受給不能になっているか、少しく御説明いただきたいと思います。
○井上(喜)政府委員 農業者年金加入者で経営移譲年金を受けない方が約一〇%ございます。その一〇%の方につきまして農業者年金基金が行いました調査によりますと、後継者がいないというのが全体の五一%でございます。それから一生涯農業を経営していきたいというのが一九%でございます。さらに、財産は分与したくないという者が一四%、その他が一六%というぐあいになっております。
○上西委員 では、ここで局長にお尋ねしますが、後継者がいないためにもらえない、生涯農業をしたいという方は、いろいろ事情があってやむを得ぬからだと私は思うのですが、いずれにしても、この一〇%を減少させるために具体的な施策なりお考えはどうお持ちで、どういうことを現実におやりになったか、参考までにお答えいただきたいと思います。
○井上(喜)政府委員 経営移譲しない理由といたしましてただいま申し上げたような理由があるわけでございますけれども、後継者がいないというような人につきましては適当な第三者に貸すような方法もあるわけでございますので、そういったことを十分説明をしていくということ、あるいは制度自身について中身を十分承知をしていない加入者もいると思いますので、そういう意味では制度全体についての正しいPR、こういうことも必要ではないかと思います。
○上西委員 では、今次改正案の内容について順次お尋ねをしていきたいと思うのです。 まず第一点は、いわゆる経営移譲年金受給の際に、耕作反別を譲り渡す場合、特定譲受者の場合はいいが、それ以外、いわゆる被用者年金加入者の場合は五年間で四分の一カットをする。このことについてはどうしても私は納得できないのですよ。なぜそうしなければならないのですか。 現実に農水省の皆さん方は、日本農業を支えているのは専業農家の方が一つの柱であるけれども、第二種兼業農家の方々が果たしている役割も十二分に御承知なんでしょう。そのことを無視して、現実に保険料はずっと同額を徴収しておりながら、ある日突然、あなたの後継者は被用者年金加入者だからということではっさり切っていく。まさにペテンと言っていいやり方じゃありませんか。このことについてずばりお答えいただきたいと思うのです。
○井上(喜)政府委員 今回の改正案では経営移譲の相手先によりまして年金に格差をつけることになっておりますが、これはいわゆるサラリーマン後継者に対しまして、そうでない後継者といいますか経営を譲り受けた人と四分の一の格差ということでございますが、いわゆるサラリーマン後継者に対して全く評価をしないというわけではないわけでございます。全く評価をしなければ年金額そのものの支給が問題になろうかと思うのでございますが、原則的に経営移譲年金は支給するわけでございますけれども、一定の格差をつけたということでございます。 申すまでもなく、農業者年金制度は経営者の若返りでありますとか農地の細分化防止という目的を持っているわけでございまして、こういう目的に沿いましてより望ましい経営移譲を誘導していく必要があるわけでございまして、そのような意味から、今回農業者年金の被保険者と農業に従事する人に対しまして、その他の人よりも一定の加算金を認めたわけでございます。農業者年金というのは政策年金でございます以上、そういう目的に照らしまして政策適合度を基準にいたしまして年金額に差をつけたわけでございまして、これは年金の性格上、ある程度の差がつくということはやむを得ない措置ではないかというふうに考えるわけでございます。 無論、地域によって若干違うと思いますけれども、第三者経営移譲をいたしますような場合には原則的に格差のない経営移譲年金が受けられるわけでございますので、そういう点もひとつ御理解をしていただきたい、このように思うわけでございます。
○上西委員 それ以上はもう追及しません。いずれ我が党は修正案を出しますので、またそのときに議論をしたいと思いますが、ただあと一つずばりお尋ねします。 局長、現に受給中の方はどうなるのですか。現に受給中の方は、後継者が被用者年金のときはどうなるのですか。
○井上(喜)政府委員 既裁定者につきましてはその既得権を保護するということでございまして、その金額が保障されるわけでございまして、この格差の規定は適用されない、こういうことでございます。 なお、御承知のことと思いますけれども、この格差をつけますのも、五年のある意味では経過期間といいますか、五年間をかけまして段階的に四分の一の格差をつけていく、こういうことでございますので、急激に格差をつけるということについても一応の配慮をしたというぐあいに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○上西委員 そういうことをおっしゃると僕はまた反論をしたくなるのですよ。厚生年金は乗率千分の十を千分の七・五にするために二十年かけるじゃありませんか。あなた方は五年なんです。五年でこれをやろうとしているのですよ。悪いけれども他の委員の方々ももう一遍御理解いただきたいと思うのです。年金統合法の年金の計算方法は二十年の経過措置がある。あなた方は五年でやるのでしょう。そんなことは激変ですよ。それをそう局長がおっしゃっては僕はあえて反論したくなりますよ。どうなんですか、そこは。なぜ厚年よりか悪くしたのですか。
○井上(喜)政府委員 この格差をつけます理由につきましては先ほど御答弁申し上げたとおりでございますけれども、この格差のつけ方につきましても、すぐに実施をするというような方法もございましょうけれども、既に生活設計等をしておられる方もあろうかと思いますので、そういった点を配慮いたしまして五年間という一種の経過期間といいますか、段階的に格差をつけていく経過期間を設けた、こういうことでございます。
○上西委員 私は余りこだわりたくないのですけれども、あなたは厚年と同じようにいわゆる緩衝措置を設けて五年なんだとおっしゃるから、厚生年金は二十年かけて千分の十を千分の七・五にすみのですよ。だからそれを言っているのだ。あなた方は五年間で二五%を削るわけでしょう。だからそれじゃ激変じゃありませんかと僕は言っているわけです。だからその込もう一度しかと御理解いただきたいと思うのです。そうでないと加入者は憤激しますよ、農水省は何をやっているのだと。 これはあなたの言葉じりをとらえるわけじゃありませんけれども、今ほど年金に関する国民的関心が高まっているときはないのです。あなた方、大変な認識の差がありますよ。その辺ははっきりとしてほしいと思いますよ。あと一言おっしゃってください。厚年と同じようにとおっしゃったから僕はこだわっているわけだ。
○井上(喜)政府委員 厚生年金の場合には、御指摘のように二十年をかけまして給付を調整をしているわけでございますが、期間につきましてはもちろん違うわけでございます。これは年金の制度が違うわけでございまして、農業者年金につきまして、経営移譲年金につきまして格差を設けるというのはその政策適合度を判断をしてつけたわけでございまして、私どもといたしましてはおおむね五年ぐらいで調整をしていけるのではないか、そのように考えて五年としたわけでございます。
○上西委員 逆に言えば、政策年金だからこそ、むしろ厚年や国年のその処置よりかもっと緩やかにやるのが妥当じゃありませんか。至当だと思いますよ。だから、こうしたことについてもう限られた時間ですからこれ以上突っ込もうとは思いませんけれども、大臣、そういったところは今後のことも含めて十二分に御勘案いただきたいと思うのですよ。よろしいですか。 では、あと少し改定内容について突っ込んでいきますが、老齢年金を今度は厚年、国年の年金統合の絡みで全部単価を下げていきますね。その中でどっちも悪くなるわけです。経営移譲年金もダウンする、老齢年金もダウンする、国年はもちろんダウンしていく。基礎年金なんというのはこれは絵にかいたもちですから、ここで私は議論しようとは思いません。あれは絵にかいたもちだと言っていいのだから。五万円もらえるのはごくレアケースになりますよ。だから、そういった中でどっちも悪くなっていく。佐藤榮作さんを信じて、政界の団十郎の大見えを信じてやってきた方々は今大変なテクニカルノックアウトだ。そういう中でせめて老齢年金だけは引き上げるというような御覚悟はないのでございますか。そういうことは絶対不可能なんですか。
○井上(喜)政府委員 これもたびたび御答弁申し上げておりますように、農業者年金制度は国民年金の付加年金でございまして、したがいまして、農業者の老後保障といいますのは国民年金と相まって行う、こういうことでございます。 私どもといたしましては、農業者老齢年金につきましては、経営移譲年金のような直接的な政策手段といいますか、構造改革を進めるための直接的な手段としての性格を持っていないというふうに考えているわけでございまして、農業者老齢年金の額を、これまでのような算定方式を変えましてこれをさらに引き上げていくというのは困難と考えておるわけでございます。 また、この農業者老齢年金を引き上げますと、当然のこととしてその財源の手当てが必要になるわけでございますけれども、これは終身年金でございますので相当保険料を引き上げざるを得ないというような状況になるわけでございまして、今回の財政再計算におきましても、保険料は平準保険料よりもかなり低いところに設定するというような事情もあるわけでございまして、こういう保険料負担という点から見ても非常に難しいと考えている次第でございます。
○上西委員 では次に、従来から私たちが要求をしてきております農業者寡婦年金の創設についてはどうなんですか。農業者年金の目玉は経営移譲年金、この経営移譲年金を受給直前に、資格を満たしながら亡くなった場合とか、あるいは受給を開始していても若干の残支給月数が残っている、こういう場合に、国民年金の老齢年金と同じように残された未亡人、奥さんに、六十から六十五になるまでの五年間、その残支給月間については二分の一を支給する、こういうことで、やっぱり何といったって、後継者その他がおられるわけだけれども、当然受給すべき本人が死亡した場合に、残された未亡人に国民年金の老齢年金と同じように寡婦年金を創設する、これくらいのことは、こんな大改革をやるんだから、ささやかに、それこそ罪滅ぼしにと言っていいでしょう、それくらいのことは創設されるお考えはないのですか。
○井上(喜)政府委員 今御指摘になりましたようなお考えもあろうかと思いますけれども、農業者年金といいますものの性格上なかなか難しいわけでございます。国民年金の付加年金ということでございますので、農業者の配偶者の老後保障というのは国民年金によって行われるということになりますので、そういう御提案のような制度をつくっていくというのは非常に困難であるというふうに考える次第でございます。 今回の改定におきましては、そこまではいきませんけれども、死亡一時金の支給の対象を拡大をいたしまして、経営移譲年金を受給しておりましても、その者の死亡一時金といいますか、仮に死亡したとすれば給付される死亡一時金に満たない場合には、その既に給付を受けた経営移譲年金との差額を支給する、こういうふうに改正をいたしたわけでございまして、この点については私どもといたしましてはそれ相応の努力をしてこのような措置をとったのだということも御理解いただきたいわけでございます。
○上西委員 その死亡一時金との関係、私も理解していますよ。問題は、あなた方は妻を削ったわけでしょう。経営移譲年金の支給の条件の中から抹消したわけでしょう。二年前ですよ。削ったでしょう。妻は後継者にならなくなったでしょう。農業者経営移譲年金からは配偶者は全くオミットされているわけだ。これがやはり全国的に大変な波紋を呼んでいるのですよ。だから私はその罪滅ぼしにとあえて言いましょう。寡婦年金を創設するようなことは考えられないのか、こう言っているわけです。 これはもう余りこれ以上時間をかけていくわけにいきませんから次に移りますけれども、通算制度の問題です。 昨年私は、前任の森実局長に対して要望しました。農林団体に入ったときいわゆる農林共済年金に入る、あるいは進出企業等で厚生年金に入る。その間国年、農業者年金は当然自動的に脱退になりますね。そして後、一期二年や二期四年で交代をする、あるいはその進出企業は諸般の事情これあり、企業閉鎖、倒産あるいは撤退、こういうことがあった場合にまた再び農業者年金に帰ろうとすると年数が足りなくなる。こういう場合に、その他の公的年金に入った期間はみなし期間として通算をしたらどうかと言ったら、前向きに検討するとおっしゃった。その方が今理事長におなりになっているのだけれども。 ところが、農林漁業共済年金の方は認められる。これは本当の特定の方だけですよ。多数いるそうした地場の誘致企業、進出企業と、平たく言えばなるのですが、そういったところで被用者年金に入っていた方々をなぜ救済しようとしないのか。これはお金はかからぬわけでしょう、みなし期間なんだから。年金の計算は実保険料納入期間でやればいいわけだ。その辺については、なぜ特定の農林漁業共済年金の適用者にだけ絞ったのか、どうしても納得できません。この辺について明確にしていただきたいと思います。
○井上(喜)政府委員 今回の改正案で、農協の組合長等の常勤役員に就任した期間を農業者年金の空期間として通算をするという措置をとったわけでございますが、この場合に、どの範囲の人につきましてこのような措置がとれるかということを検討したわけでございますけれども、今申し上げました農協の組合長等につきましては、やはり原則的に農業者の中から選挙または選任されるというような団体でございますし、またそういった団体の性格上、農業経営を行っている過程でその農業者としての立場を持ちながら就任をしていく、そういった団体の役員であるわけでございます。そういう意味におきまして、農業のある意味では延長といいますか、そういうものとしてそういう役員の方をとらえまして、その役員に就任した期間を空期間として通算をする、こういうぐあいに相なったわけでございます。 今、例えば農村地域へ入った企業でありますとかあるいは農協等に勤務をいたします一般の職員、そういう人たちにつきましても、被用者年金に入っている場合、その期間を農業者年金の空期間として通算する、こういう御提案かと思いますけれども、こういった人たちにつきましては、明らかに農業からそういう企業なりあるいは団体の職員になる、こういう明確な意思決定をした結果そのようになっている、このように考えるわけでございまして、農協の組合長などと同様な状況にないと私どもも判断をいたしまして、そういう者に対する空期間の通算措置はとれない、このようにしたわけでございます。 逆に言いますと、現在の農協の組合長等につきましては農業の延長線上にある、そういうようなとらえ方から役員の就任期間につきまして農業者年金の空期間として通算する措置をとった、このような次第でございます。
○上西委員 そうなるとおかしいじゃありませんか。じゃ進出企業に働いている方々は農業をやめるのですか。耕作反別を手放すのですか。現金収入が欲しいから、ああいう会社が出てきた、そこへ行って、土、日、祝祭日あるいは夜、早朝一生懸命農業をやっていますよ。そういう第二種兼業農家が支えている日本農業の現実は農水省の皆さん一番よく御存じなんでしょう。 しかも、この空期間を認めたって農業者年金基金には一円も響かぬわけでしょう、年金の給付に当たっては。実加入期間で計算をしなさい、空期間だけを認めて資格を与えなさい、そのために最高二十年だ、もちろん段階制がありますから、わずか二年か三年とぎれたために経営移譲年金をもらえないというこの現実をあなたは見過ごすのですか。農水省はそれほど農業者に対して冷酷非情な措置をとるのですか。私は怒りに身が打ち震える思いがしますよ。なぜそんなことを放置するのですか。一円も金がかからない。だからせめてこのことくらいは通算措置をとっていいじゃありませんか。その改定は大臣、それじゃあなたの英断でこれくらいはお認めになったらどうですか。佐藤大臣、あえてあなたにお尋ねいたしましょう。 今、農業関係の団体の役員になる方々は農業を続ける、僕に言わせれば専従の理事長なんというのは大変多忙ですよ。地場の進出企業に働く者よりか農業する時間はうんと減りますよ。目の当たりに幾つも見ている。そうした方々はただ農協という農業関係にいるから認める、それはへ理屈じゃありませんか。もっと現実を見きわめ、加入者を、被保険者を救済する場に立って、せめてこれくらいのことは通算を認めていただけませんか、大臣。 私はこのことを重ねて大臣に一言、あなたの御決断で通算の中身を検討しよう、こういうお答えくらいやって、よくぞ佐藤農林水産大臣お答えいただいた、農業者年金加入者と喜びを分かち合っていただきたいと思うのですが、どうでしょう。
○井上(喜)政府委員 農業者年金の被保険者は、原則といたしまして常時農業に従事をしている、そういう農業経営主でございます。そしてまた、国民年金に加入をしている、こういった条件がつけられるわけでございまして、被用者年金に加入しております者は、仮に農業をやっているといたしましてもそれは農業者年金制度の対象から除外されるということが原則でございます。 したがいまして、今回の農協長等の役員就任期間につきまして空期間と認めましたのも、あくまでそういう原則から言えば例外的な期間であるわけで、例外的な措置であるわけでございます。農業者年金が政策年金ということであります以上、やはりそういう原則に沿って措置をしていくことが必要であるわけでございまして、その例外措置につきましても、そういった原則に照らしまして許容できる範囲内のものでなくちゃいけない、このように考える次第でございます。
○上西委員 大臣どうですか、一言ないですか。
○佐藤国務大臣 上西先生にお答えしますが、今局長の答弁したとおりで、やはり農協の組合長とそれからもう一つは例えば企業、他産業に就職する人との扱いはおのずからちょっと違うのじゃないか、私はこのように思うのですが、私は今の先生の質問わからぬことはございません、将来の検討課題にしていきたいと思いますが、現実は非常に難しい、このように御理解願いたいと思います。
○上西委員 じゃ引き続きまして、同じようなことになるのですが、後継者の必要な条件、あらかじめ指名した直系卑属のうちの一人、かつ農業経験三年以上を有する者、この三年を一年以上にせめて短縮するお考えはないのですか。
○井上(喜)政府委員 経営移譲をする相手方でございますので、当然農業を続けて行う人でないと困るわけでございますけれども、現在、経営を譲り受けるまでに引き続き三年以上農業に従事しているというのが要件になっていることは御案内のとおりでございます。これは租税特別措置法におきまして生前一括贈与についての納税猶予の措置が認められておりますが、これにつきましても同様の三年間の農業従事の要件というのが認められておりまして、制度的にこれと整合性を保つために三年ということにしているわけでございます。しかし、三年といいましても大学とか高等学校の農業に関する学科を学んでいた場合はその期間がその三年のうちに通算されますし、また農繁期だとか休祭日に農業に従事した場合にもその期間が含められるということでございますので、この三年という期間については相当弾力的な取り扱いをしているのが現状だと思うわけでございます。 しかし、実際考えてみまして、農業といいますのは自然相手の労働でございまして、一年だけあるいは数カ月だけ経験すればずっと継続していけるという性格のものでないと思うわけでございます。三年とか四年の経験の上に立って初めて農業をこれから続けていこうというような意思を持てる、そういう性格の業だと思うわけでございます。また、経営者、その経営の移譲をする側から見ましても、一年ぐらいの経験を持っている人に安心して果たして経営移譲ができるのかどうか、そういう点からも問題だと思うわけでございまして、この弾力的運用を含めまして三年ということでございますので、現行のこの三年以上農業に従事しているというのはいい線をいっているのじゃないかと理解しているわけでございます。
○上西委員 局長、農村の実態を見てくださいよ。帰ってきて三年以上という条件をおつけになっているが、帰ってきて後継者になろうという方々は小学校、中学校、高校在学中はおやじと一緒に農業をやっているんだ。ただ農業科だったか工業科、商業科、普通校かということは別にしまして、農繁期は引っ張り出されて家族ぐるみで農業をやっている連中ですよ。それは一年以上あればいいということにしてほしいというのは何も私が言っているだけじゃない。我が党が言っているだけじゃないのです。少なくとも、私の理解しているところでは、九州各県の市長会ではこれは決議されていますよ、強い要望事項で。市長会で決まっている。農業会議あるいは農業委員会会長会議などでも同じように要望されていることなんです。だから、税法上のこともいろいろあるでしょうが、少なくとも被保険者のことを考えるならば、三年以上を一年以上に短縮するという措置ぐらいはおとりになったっていいのじゃありませんか。 先ほど一〇%の中に後継者がいないためにが五一%あったが、二年以上ならよかったのに三年以上なかったからだめだというのが私は幾分があると思うのです。一年以上なら救済された方が五一%の中に出てくるのじゃありませんか。農業者年金の加入者に少しでも年金を支給する、その方向へのでき得る限りの努力というのがこういう具体的な問題で出てくると思いますので、先ほどのこととこの問題と二つを、あわせて大臣の先ほどの検討課題の中に入れていただいて、前向きにお取り組みいただきますように要望して終わります。 そして次は、保険料の値上げです。 今でさえ国民年金の保険料がどんどん上がり過ぎて、実質滞納、中には申請免除ということがある。国民年金の保険料と農業者年金の保険料の引き上げというのはほとんど一緒じゃありませんか。ほとんど同額上がっていきますよ。それを今度八百円上げようというのだからたまらぬですよ。この値上げももうちょっと緩和できないのですか。余りにも農家の経済を、家庭を直撃し過ぎますよ。
○井上(喜)政府委員 今回の財政再計算の結果、平準保険料の金額が、昭和六十二年一月一日現在で、五十九年度価格であらわしますと一万三千二百三十八円という金額になるわけでございます。このような高額になります原因は、高齢化が進んでおりますとか経営移譲率が非常に高くなってきておりますとか、かつての負担すべきというか、過去の分の保険料が後の方にずれ込んできているとかといった状況で一万三千二百三十八円というような高額になるわけでございまして、現在の保険料の約二倍というような水準になるわけでございます。私どもといたしましては、将来の年金財政のバランスをとるためにはこの金額がぜひとも必要なものでございますけれども、農家の負担能力等を勘案いたしまして、急激な負担の増大を緩和する必要があるという判断のもとに、昭和六十二年の保険料を八千円といたしまして、以後昭和六十六年まで毎年八百円ずつ引き上げることにしたわけでございます。 確かに農家の負担にはなっていくわけでございますけれども、全体の農家の負担という点から見まして、農業者年金の保険料につきましては、六十二年では年額にいたしまして農業所得の四・七%、それから夫婦二人の国民年金の保険料を含めましたその合計の保険料の負担について見ますと、六十二年で、これも年額で見まして農家所得の五・一%ということになるわけでございまして、負担の増加という点につきましては確かになかなか大変なことがあろうかと思いますけれども、この程度の負担であれば何とか負担していただけるのではないかと考えまして、今回のような保険料を改正案の中に入れた次第でございます。
○上西委員 農家の所得のとり方とか平均値の見方とかいろいろ分かれますが、それだけどうしてもやらなければならないとおっしゃるあなた方は、努力しなかったと私は言いませんけれども、なぜこれだけ無残にも国庫補助を打ち切られる、ぶった切られるということについて、悪いけれども黙視されてきたのかとあえて問いたいのですが、その辺についてはどうなんですか。
○井上(喜)政府委員 国庫負担につきましても負担の方法を今回変えることにいたしております。従来の拠出時の国庫補助十分の三を廃止いたしまして、経営移譲年金の給付について現在の補助率三分の一に六分の一をプラスいたしまして二分の一とするという改正案を出しているわけでございますけれども、この補助につきましても、農業者年金につきましては給付時と拠出時双方に国庫補助をしていたわけでございまして、ほかの公的年金の制度の中ではこういった助成制度はないということでありますとか、また公的年金制度の改正では国庫補助は基礎年金部分に集中するようになっているわけでございます。そういう意味におきまして、農業者年金に対する国庫補助につきましても政策年金に対する補助を明確化していく必要があったわけでございまして、経営移譲年金の給付に対する補助にまとめていったという経緯があるわけでございます。 私どもといたしましては、国庫負担が年金財政の中でかなり重要な位置を占めていることは十分承知しているわけでございまして、この十分の三を全部カットしてしまうことは問題があるということで、これにかえまして、当分の間ということで経営移譲年金の給付に要する費用の額の六分の一をプラスをする、こういうふうにしたわけでございます。国庫補助は現状に比べますと約一割弱ぐらいの減少に相なります。したがいまして、その程度の影響はあるわけでございますけれども、年金財政に大きな影響を及ぼすことはまずないものと考えておる次第でございます。
○上西委員 以上でこの改定内容についての質問を私一たん終わりますけれども、何か私の受け取りようか、あるいはひがみかもしれませんけれども、政策年金という言葉を使い分けている感じがしてしようがないのですよ、都合がよいときも悪いときも。だから、やはり原点に立ち返り、佐藤榮作元総理の本当に真実を吐露した、農業者の皆さん方に恩給をつくってあげますと言った、この初心を忘るべからずですよ。そのことにぴしっと視点を合わせた形で、農業者年金のこの大改悪をやったという後ろめたさを十二分に常に自覚をされながら対処していただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。 少し角度を変えて、厚生省社会保険庁お見えであると思いますので、少しくお尋ねしたいと思うのです。国民年金の障害年金の問題です。私、少しくそうしたことを手がけてきておるのでありますが、お尋ねしたいと思うのです。 人工透析の患者は施術後三カ月で障害年金が出ますね。人工肛門、人工膀胱造設者は造設後一年六カ月で障害年金を受給できますね。脳梗塞、脳血栓、脳卒中その他脳関係の病気で倒れたときは初診日から六カ月で年金受給対象になる、このように理解しておりますが、その辺若干御説明いただきたいと思います。
○植西説明員 お答えいたします。 国民年金の障害年金につきましては、原則といたしまして初診日から起算いたしまして一年六カ月を経過した日を障害認定日といたしまして障害の程度の認定をやっておるということになっておりますが、ただし、その期間内に傷病が治った場合はその日、それからさらに、症状が固定して治療の効果が期待できなくなった場合にはその期待できなくなった日がそれぞれ障害認定日になるというふうな取り扱いになっております。 ただいま先生の御指摘にありました具体的な例につきましては、全国的に統一的な運用を図る観点から、人工肛門につきましては初診日から一年六カ月を経過した日を認定日としておりますし、人工透析につきましては人工透析を受けましてから三カ月を経過した日というふうになっております。また、脳血管の障害につきましては、初診日から六カ月以上を経過した日をもって障害認定日とするという取り扱いになっております。
○上西委員 わかりました。 ここで局長、お尋ねしますが、経営移譲年金が繰り上げて受給できますね。国民年金の障害年金の受給状態になれば、加入期間を満たしておれば繰り上げてもらえます。これは御承知と思いますが、その数、現実どれくらいありますか。
○井上(喜)政府委員 五十八年度末現在で申し上げますと、総数が九百八十八名でございます。
○上西委員 以下要望になります。 私、その数が全部網羅しているとどうしても思えないのです、私の体験上。知らないのです。ざっくばらんに言って、市町村の農業委員会は農業者年金という意識が強過ぎて、国民年金の障害年金のことなんかなかなかない。だから、国民年金の障害年金、当然もらえる農業者年金加入者というのが随分落ちこぼれていると思う。また、経営移譲年金は六十歳からだというかたい先入観念を持っていますと、その方々に繰り上げてあげるということについて思いが至らないというのは、どうしても私人間である以上出てくると思うのです。これらについて十二分の周知徹底、指導を私は強くお願いをしたい。 あわせまして、土地改良区の役員などの問題について経営移譲年金受給者はだめだというのを、おととしあなた方は通達を出されたでしょう。この通達が漏れているんですね。私は、他の都道府県のあるベテランの農政の課長さんかごく最近そのことを全然知らなかったということも事実として具体的に耳にしております。だから、あなた方は通達を出した、連絡をとった、それだけではやはり足りないと思うのですね。折に触れては、やはりいろいろ会議もあるでしょうから、そうしたきめ細かな指導なり徹底ということを私は本当に重ねてお願いをし、とりわけ農業者年金の受給権のある方々がその支給漏れがないように格段の御配慮をお願いしておきたいと思います。 ここで角度を変えまして、水産庁がお見えと思いますが、漁業者年金についてちょっとお尋ねしたいのです。というのは、「農林水産省」でしょう。莫大な経費をかけて、そうして法律を変えてつくった。ところが、農業者年金はもちろんこの中に林業者は入るでしょう、特定の、一定の条件を持っていれば。漁業者は何もないわけですね。だから、漁業者年金についてはどのようなお考えをお持ちなのか。 特に、具体的に現在、わずか二億円の補助をつけて、六十年度で終わろうとしている、まあ漁業者年金というのが法的に正しいかどうかは別として、福祉措置について補助をやっていますね。これらについて今後どのようなお考えをお持ちなのか明確にしていただきたいと思うのです。
○斉藤(達)政府委員 お答えいたします。 漁業者に対する年金という問題につきましては、この農業者年金制度が発足する際にもいろいろ検討がなされたわけでございます。しかしながら漁業の場合、農業と違いまして業態が非常に多様でございまして、漁業従事者は約四十五万人と言われておりますけれども、そのうちの一部、十万人近くは例えば船員保険はバーされているというような問題がございます。 それからまた、それ以外の主として沿岸あるいは沖合の漁業者でございますけれども、漁業には漁業権漁業あるいは自由漁業それから知事許可漁業等いろいろございまして、農業の場合の農地に当たるような共通の指標が見つからない、なかなかそれができないという問題がございます。それからまた、例えば共同漁業権のように、経営権を移譲するということがそもそもできないというようなことがありまして、非常に難しいということで公的な年金制度というのはできておらないわけでございます。 しかしながら、既に先生御承知のように、漁業就業者というのは全体として数が減少しながら、しかも高齢化が進んでおる、後継者の育成が非常に大事であるということは十分私どもも、また関係漁業者団体も意識をしておりまして、そのような見地から五十六年から、御指摘の漁業者老齢福祉共済、俗称で漁業者年金と呼ばれることがございますが、これが発足いたしまして、これに対して、事務運営それから普及促進というような経費について補助を行っているわけでございます。 今後六十一年度におきましてどうしていくかという問題につきましては、やはりそういう後継者育成というような立場から今後のあり方について鋭意検討してまいりたいと思うわけでございます。
○上西委員 もうちょっと具体的に確たるお答えをいただきたいのですよ。六十年度で切れるわけですね。加入者はどんどんふえていますよ。私も漁協を回りますと漁業者年金というポスターをよく見るものだからいろいろお聞きしますと、相当加入者もふえてきておる。結局事務費その他がかるわけですね。今おっしゃるように六十年度、打ち切りになる。六十一年度以降この予算を確保するというお考えありや否やですよ。結果じゃありません。努力するお考えありや否やです。その辺が明確にならないと漁業者は安心しないと思いますし、漁業団体もいろいろ不安があると思います。水産庁後援でしょう。ポスター見てみましょう、私改めて今度。水産庁後援で、日本政府を信頼し切って入っているのだから、その方々に対してこたえる道が欲しいですよ。
○斉藤(達)政府委員 率直に申し上げますが、この制度というのですか、この漁業者の老齢福祉共済ができましたときに、六十年度までに加入者を十九万五千人ぐらいまで持っていきたいという目標を立てたわけでございます。先生からお褒めいただいたわけでございますけれども、今のところ実は八万五千人ぐらいにしかなっておらないわけでございます。それが十九万五千人に達したところで次の段階の見直しをやろうということでやってきたわけでございますが、そのような問題も含めまして今後のあり方を真剣に検討してまいるつもりでございます。
○上西委員 わかりました。 それでは私、最後に大臣に改めてお尋ねしたいのです。例えば今漁業者年金、俗称で言いますが、それが予定どおり入っていない。農業者年金だって、もとをただせば、「のうねん」の創刊号、これは私は何年も前に読んでいますよ。二百万農業者の加入を目指すということを初代理事長は明確に創刊号の中でおっしゃっているわけだ。それが現実九十万人でしょう、受給者のことは別にしまして。未加入者二十万人いるときのうも参考人おっしゃっていた。そういった現実があるわけだ。 では加入がなぜ伸びないのか。保険料が高い、給付が難しいということで伸び悩んでいる向きもあるでしょう。そこにさらに悪条件を課しているのがこの改定法案だと僕は言いたいのですよ。本当に日本農業の前途を憂え、農林水産業の前途を心配するならば、農業者年金などはよくしてこそ当たり前じゃありませんか。少しぐらい金をかけたって、国家保障なんだから、そういう形でやっていただきたいと思うのでありますが、これらを含めて所管の大臣として、佐藤大臣は農業者年金、今の漁業者年金のことを含めましてきちっとした御見解をお示しいただき、広く加入者全般あるいは受給者の方々に対する安堵感をお与えいただきたいと思いますが、御所存をどうぞ。
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。 農業者年金の今後の問題について一番大切なことは、長期的に安定した制度として維持することができるかどうかが第一点。それからもう一つは、そういう形の中に政策年金としての役割を高める観点から、給付と負担のあり方とか経営移譲年金の支給開始年齢等、そして先ほどからおっしゃいました、例えば寡婦年金の問題、所有権と使用収益権、そういう形で、この農業者年金は付加年金としていいかどうかという問題。実際、私の方の田舎へ帰りましても、奥さんが全部農業をやっているという実態があります。その姿で果たしていいだろうか。果たしてそういうことが日本の農業の前進に役に立つかどうか。 そういう形の中には、また資格通算措置、これも実は就業の機会、農家所得を見ますと大体平均六百四、五十万。地域によって違いますが、百万前後が農業所得。東北に行くと三割くらい高いですが、そういう形の中に、今の所得の中で、例えば専業か兼業か、そういう形で雇用が臨時か正式か、そんなことも含めてこういうのを一遍検討してみる必要があるのじゃないだろうか。したがって、農協組合長とは違いますけれども、やはり農業をやっておる、私の田舎へ行きましても、夏などは朝早く農業をやる、そういう形で時間通算するとかなりの時間になっている。それからまた従事期間等の問題につきましても三年を一年と御意見がございましたが、そういうことを見ておりましても、果たしてそういうことが日本の農業の前進に役に立つかどうか。そういうことを含めて、実はいろいろな問題がございます。 そういうことで、今おっしゃったような基本的枠組みに係る問題等について、部内に設けられております研究会等の場において十分検討いたしたい、このように考えております。
○上西委員 では最後に。 大臣以下皆さん方にいろいろ御見解もあるでしょう。しかし農業者年金は、農家の皆さん方にとってやはり自分たちの年金なんですね。年金というのは保険料を納めた者が当然もらえる、これが年金制度なんですから、そうした意味合いでこの農業者年金をきちっと維持存続させながら、大きく日本農業の発展にプラスする方向で、今後一層取り組みの強化をお願いし、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○今井委員長 午後零時二十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時三分休憩 ————◇————— 午後零時二十分開議
○今井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。武田一夫君。
○武田委員 まず最初に、大臣にお尋ねをいたします。 農業者年金の問題につきましては、これまで多くの皆さん方の質疑を通していろいろな問題点も指摘されましたし、参考人からもいろいろな御意見なり御要望等もお聞きいたしました。私たちも、現地やら関係者にいろいろとお話を聞きながら、その問題やらその内容の充実のための勉強をしてきたところであります。そういういろいろな御意見やら御要望を通して、私は数点にわたり質問したいと思うのであります。 農業者にとりましてはいろいろな制度があるわけでありますが、なかんずく一番関心を持っているのはこの農業者年金であるということは間違いない事実でありまして、それだけにこの制度の充実に対する期待は非常に大きいということでございます。 農民にサラリーマン並みの年金を、こういう強い要望がございまして、昭和四十五年五月に、農業者の老後の生活の安定を図る、さらにまた農業経営の若返り、経営規模の拡大促進、すなわち農業経営の近代化等の目的を果たす、そういう内容を込めた制度の発足がありました。これは発足して十五年、満十四年経過して、五十九年三月で加入者が約九十三万人、経営移譲年金の受給者が約三十三万人、農業者老齢年金の受給者が約十三万人となっている。そういうわけで、受給者から非常に喜ばれているということを踏まえまして、ますますこの内容の充実を我々は期待しているところでございます。 過去、この制度につきましては七回ほどの改正がありまして、そのたびごとに私たちは内容の前進が見られたということから評価して、この制度に対する協力をしてきたところであります・しかしながら、今回の改正に当たりましては、この中身を見てみますと農業者にとって厳しい内容のものがある。例えば保険料の引き上げの問題、支給額の削減の問題、国庫助成の削減の問題等がございます。ましてこの年金制度というのは、ほかの年金制度と違って政策年金としての意味合いが非常に強いということでありまして、農業構造改善の推進という点からは、やはりそうしたものの充実こそが若い後継者たちにとって非常に期待のあるものでもあるということ、いわゆる農業経営の若返り、近代化、充実ということを考えたときに、この年金の果たす役割は非常に大きいということを考えますと、これはやはり中身をもう一度考え直してほしいという面もございます。 その点を含めまして、大臣は、農業者年金の政策年金としての地位をしかと守って、この内容の充実を期して健全なる運営を今後していくという、そういうかたい決意はおありと思うのでありますが、その点の大臣の御見解をまず最初にお聞かせをいただきたいと思います。
○佐藤国務大臣 武田先生にお答えいたします。 農業者年金制度は、先生が先ほどおっしゃったようなことでございますが、経営移譲の促進を通じまして農業経営の細分化を防止し、あるいは経営の規模拡大、農業経営者の若返りの促進に寄与しますとともに、農業者の老後保障の役割を果たしております。しかしながら、農村社会における人口の高齢化とかあるいは兼業化の進展等いろいろございまして、農業者年金を取り巻く状況は非常に厳しい状況にあるということは先生御指摘のとおりでございます。 このため、農業者年金制度につきましては、一番大切なことは、長期にわたる安定的な運営を確保するということである。そんなことで、公的年金制度の改革の方向も踏まえまして、本制度がその使命をよりよく達成できるよう、給付と負担の適正化を図るなど、制度の安定を確保いたしますとともに、あわせて農業構造の改善を一層促進するなどの措置を講じまして、御期待に沿うように頑張りたい、こういうように思っておるわけでございます。
○武田委員 そこで、年金の内容をずっと眺めてみますと、確かに年金の成熟度が非常な勢いで進行してきたということ、それに財政事情が非常に悪化している。今大臣がおっしゃった将来の健全安定的な運営ということには非常に楽観を許さない状況であることは、我々も重々承知でございます。 しかしながら、それでもなおかつ、例えば年金の保険料の水準の改定、すなわち引き上げという問題を一つとりましても、その負担の農業所得に占める割合が相当高いものであるということを私は感ずるわけであります。これが相当な負担となっていくのではないかという点、こういうことを考えますと、やはり農業経済の状況やら政策年金ということを勘案した適切な保険料水準というものを確保することが必要であるということで、政府としては適切な保険料の水準というものをどの程度のものというふうに考えているのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。
○井上(喜)政府委員 年金財政の長期安定化という観点から申し上げますと、平準保険料を徴収するというのが一番適切でございますけれども、保険料を支払います農家の側から見ましたその負担にたえ得る保険料の水準というのは、また別のものがあろうかと思うわけでございます。 今回、六十二年の時点で、五十九年度価格でございますけれども、月に八千円という保険料を設定したわけでございますが、これにつきましては、六十年、六十一年の予想から申しまして、まず八千円というのはそう急激な保険料の水準とは考えないわけでございます。そういった点が一つございます。 それから、農業者年金の保険料の農業所得に占める割合でありますとか、あるいは農業者年金の保険料のほかに国民年金に加入しております。その保険料もございます。こういうものを合計いたしました保険料全体の負担額が農家の全体の所得に占める割合というようなものも勘案する必要があるわけでございますが、それらを勘案いたしますと、まず農業者年金の保険料につきましては、農業所得の中では四・七%ということでございますし、それに国民年金の保険料を合わせて、夫婦二人と計算をしての保険料の総額でございますけれども、この場合は農家所得の中で五・一%というような割合を占めるわけでございます。こういう水準であれば農家の側としても負担が可能ではないか、このように考えた次第でございます。
○武田委員 今、四・七%、五・一%というのはそう負担にならない適正な水準ではないかというような話でありますが、今後ともこの水準をずっと保っていくということは可能なのかどうか。例えば十三万一千円という農業所得の計算の基礎となったこの所得、これは今後変更というのはどうなのか。これはこのまま五年、五年という計算でやりますが、例えば農業所得がそうぐんと大きくなるというふうに私は思えないわけでありまして、そういうときに非常な苦心が出てくるのではないか、こういうふうに思うのです。昭和六十二年の合計金額が二万二千円ですよね。農業者年金は八千円、それから国民年金が夫婦で一万三千六百円、それから国民年金の付加金が四百円で合計二万二千円ですね。それを農業所得十三万一千円で割ると一六・八%、こういう計算になるわけです、負担額が。これでいくと随分高いのですね。さっきのは農家所得の四・七%、五・一%だろうと思うのです。だけれども、やはり農業所得というものを中心にして計算するのが筋ではないかというふうに私は思うのです。農業所得となれば——農外所得が非常にふえている、あるいはそういうものに期待するところが大きいということは、ちょっと筋違いではないかと私は思うのですが、その点どうなんでしょうか。
○井上(喜)政府委員 保険料負担を農家所得を基準にして見るかあるいは農業所得を基準にして見るか、幾つかの方法があろうかと思いますが、農業者年金につきましてはまさに農業所得というものを基礎にすべきであるというふうに考えるわけでございまして、農業所得の中のウエートとしてどの程度が適当であるか、あるいはどの程度まで負担が可能であるか、こういうようなアプローチが適切であろうと思うわけでございます。 ただ、国民年金の保険料につきましては、今指摘されましたようなお考えもあろうかと思いますけれども、これは農家の所得全体で考えてみる。つまり国民年金への加入といいますのは、農家個々で実情が違うわけでございますけれども、農家全体の老後保障というような観点から加入しているわけでございますので、農家所得を基準にいたしまして、その中でどの程度の負担割合といいますかシェアを占めているのか、こういうことを基準にして考えるのが適当ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
○武田委員 そうしますと、今回の改正では、経営移譲年金がサラリーマン後継者の場合は四分の一カット、五年間で二五%、こういうことをやる必要はないと思うのです。要するに、そういう後継者が農業をしながらほかの職業で稼いでくる所得というのは非常に頼りになるわけです。その総トータルの中での先ほど言った四・七、五・何%というのですから、こういう方々の貢献度というものは相当認めなければいけない。親にとっては、そういう子供さんがいるということは農業経営にとっては非常に重要な部分です。 ですから、そういうことを考えたときに、そういう子供さんを持っている親御さんの年金を四分の一カットしながらいく、カットの金額は、六十一年から期待どおりもらえる方が年間約三万三千円ほど減っていくわけですね。六十二年からの人は大体六万五千円、年間削られるわけですね。そんなのはしなくてもいいのじゃないかと思うのです。そういうことをやれば後継者は、そういうことだったら我々は幾ら加入促進と言ったって入らぬ、そういうような雰囲気をつくって、加入促進に非常に苦労するのではないか。 大体、保険料が上がる、それでなおそういうふうな経営移譲年金が削られるとなったら、今まで一生懸命努力して毎年二万七、八千人から三万人ようやく加入させている、しかも若年層は非常に少ない。きのうの質問でも、五〇%近くがぎりぎりいっぱい加入しない、それから一五%ほどが農業の将来に不安があって加入しない、九%ほどが要するに保険料が高いと言って入ってこない。これに今回のような改正になって、現地で促進する方々の苦労というのは並み大抵でないし、説明も、きのうから聞いているとパンフレットとかいろいろなことでやると言っているのですが、そんなもので、ちょっとやそっとでうんと言わないような状況になったときに、財政の収支の中で、加入する人が少なければ保険料が入ってこないわけですから、かえって後々年金の財政をますます悪化させていくのじゃないか、こういうふうに思うのです。 そういうことを考えれば、経営移譲年金の削減の問題なんというのは、そんなに性急にやらないで、四、五年くらい準備期間を持たせながらやっていったとしても一向に差し支えない、私はこう思うのですが、これは大臣、どうですか。私は大臣に聞きたいと思う。
○井上(喜)政府委員 まず経営移譲年金に格差をつける問題でございますけれども、農業者年金が経営移譲年金を支給いたすということは、農業の体質を強化していくということに絡めてのことでございます。経営移譲をいたしまして、若い経営者が十分な経営能力を発揮いたしまして能率的な農業経営をやっていく、また規模拡大も漸次していく、こういうような期待を込めまして農業者年金制度が発足をしたわけでございます。 最近の状況を見ておりますと、兼業化が急速に進展をいたしまして、経営移譲いたします場合にも、そういういわゆるサラリーマン農家に対する経営移譲がだんだんふえてきているわけでございます。私どもといたしましては、農業者年金制度の本来の趣旨に返りまして、こういった傾向に一定の歯どめをかけまして、農業に常時従事していきます農家に経営移譲が行われるように誘導していく必要があるのではないか、こういうことで今回経営移譲年金について格差を設けたわけでございます。 この格差につきましても我々といたしましてはいろいろな面から検討したわけでございまして、老後保障というような観点もございます。そういうことから、金額といたしまして五万円程度を最低のめどにいたしましてこの格差を考えたわけでございます。農村の内部におきましても、後継者が農業者年金に入っている場合と被用者年金に入っております場合とでは経営移譲年金の年金額につきましてやはり格差をつけるべきじゃないのかという意見も根強くあるわけでございます。農業者年金制度研究会におきましてもそのような御意見があったわけでございまして、いろいろな意見を総合勘案いたしましてこの四分の一の格差を設定した、こういうことでございます。 こういう格差の設定が今後の加入の促進ということに影響するのではないかということでございますが、私どもといたしましては農業者年金制度の趣旨を十分説明する必要があろうと思います。年金制度は一つの世代ばかりでなしに、その次の世代との相互扶助というようなことによって成立するものでございます。そういった趣旨あるいは農業者年金制度の持ちますいろいろなメリットがまだまだございます。そういったメリット等につきまして十分農家の方にPRいたしまして、加入の促進を図っていきたいと考えておるわけでございます。 最近の加入の状況を見ますと、ここ二、三年加入者数が若干ふえてきている傾向が見られるわけでございます。しかも加入の中身について見ますと若年層がかなり入ってきているという傾向があるわけでございます・このような傾向を考え、また実態に即しました加入者の促進を図っていく、こういうことで対応していきたいというふうに考えております。
○武田委員 昭和四十六年一月の加入者の六十六年、二十年加入したときの年金の月額を比較してみますと、現行のままですと七万四千二百円、それが改正後では六万五千百八十三円、これは八七・八%、二十五年になると九万二千七百五十円が七万一千六百七十五円、七七・三%というふうに、現行と改正後で随分もらう金が少ないのですね。やはりこれは今まで長年掛けてきた人にとっては耐えられないと思うのです。それは年金財政云々というかもしらぬけれども、一生懸命掛けてきた人たちの当初からのそういう御苦労、頑張ってきた人たちのことを思うと、これは本当に大変な問題だと思うのです。農業者の中でいろいろとあるという局長の話もあったけれども、それはそういうことはあることも我々知っているのですが、実際これだけはもらえるのだとみんな胸算用しているわけですよ。先ほども申し上げましたように、老後の設計の中でこれは重要な部分です。それをむしり取るということは、これは老人いじめも甚だしいと私は思うのです。 こういうことを考えますと、今後若い連中が、我々が今やっていったとしてもこういうことでまたやられるのじゃないか、こういうことを心の中に思っただけでも、もう絶対拒絶反応を示すのは間違いないわけです。まして、農業の将来に対して非常な不安もあるし、米の問題にしたって農産物の問題にしたって、いい環境は一つもない。そういうことを考えますと、私は将来ひょっとしたら、ほんの一部を除いてみんなサラリーマン農業の方に行かざるを得ないような状態になり得るような事態も到来するのじゃないかと心配する。 そういうことを考えると、専業農家や一種農家の中でまじめに農家をやっておる人たちはどんどん少なくなってきておるわけです。そうすると、やはりサラリーマン農家経営の子弟、こういう方々が非常に多い。こういう方々にやはり農村地帯の相互扶助という問題、近隣集落等におけるそういう相互扶助と、それから上下の老若の相互扶助と、縦と横との相互扶助がなければ年金というものはうまくいかないと私は思うのです。上と下だけではないと思う、やはり横の連携が必要になってくる、こういうふうに思うわけです。 ですから、私が先ほど言ったように、少し期間をずらしながら、ある程度の余裕を見ながら、納得のできる説明ができるような、そこで急激でなく徐々に、年金財政の健全な運営ということに対して御協力いただけないかという話の中で持っていくという方法をとるということにもっと力を入れるべきでなかったか。やはりこれから四、五年間、このまま経営移譲年金を削減しないでずっといったとしても、私はある程度の年月は支えていけるのじゃないかと思うのですよ。 今のこの計算で見ますと、資料をもらいましたが、六十一年の計算のときから、また六十六年に財政計算期というのですか、そのときが来る。そのとき、今のままで六十一年度から変わった内容でいくと約五千億という資産額が残っているというのですが、これは例えば経営移譲年金を全然変更しないで今までどおりやったとき、これはどうなりますか、その資産は。この収支はどうなりますか。
○井上(喜)政府委員 格差をつけないで給付を実施をしていった場合の収支の見通してございますが、単年度収支につきましては六十二年度で収支が逆転するわけでございます。それで、資産がなくなりますのが昭和六十九年度でございます。したがいまして、単年度収支につきましてはこの格差をつけました場合と同様でございますけれども、年度末資産につきまして、それが底をつく年度は現行の、現行といいますか、格差をつけました場合は昭和七十四年度を一応予定しておりますので、資産がなくなります年度がかなり前に出てくる、こういうことに相なるわけでございます。
○武田委員 六十九年度で一応資産がなくなるというわけですから、そうすると、今は六十年ですね、五年ということは六十五年ぐらいまでは何とかこれはある程度の資産が残っているわけですからね。そこから今度は説明をしながら、いろいろ加入をしながら、多少保険料の値上げ等々もやむを得ないと私たち思います。 それで経営移譲年金を、今度はその時点あたりから今御指摘のようなその四分の一云々というような中身でやっていったとしても、私はそう心配ないのじゃないか。もう来年もらう、再来年もらう人たち、あるいは二、三年後にもらう人たちを考えるという真心というか温かい心というのがないというところに、また農業者の本当のせつない、やるせない思いがあるのですな。一万円だって二万円だって、農家の家庭の中に入っていったら、これは大変貴重な収入なんですわ。まして経営移譲をして老後をそれでやろうという方にとっては、これは一年間に三万、五万、それが年数がずっとそれでいくわけですから、毎年計算していきます。そうすると、計算するごとに、ことしもしもらっていれば二十万円になったのに、銀行に預けておけば利子がついてこうなるんだという思いは、毎年、佐藤大臣の顔とか井上局長の顔を浮かべながら、またこのくらいになるのがこうだったと、これは農業に対するまことに冷たい仕打ちとしか映らぬと思うのです。 これは大臣、農林省の才覚によって延期することも可能だと私は思うのです。これは検討して、せめてこの程度、やはり農家の方々の大いなる期待に対するこたえとしては、私は善処すべきだと思うのですが、大臣いかがですか。
○井上(喜)政府委員 年金財政を健全化していくというのが、給付を長期に安定していくためにどうしても必要なことでございます。農業者年金制度につきましても、約九十万の加入者があるわけでございますし、三十数万人の受給者がいるわけでございます。こういった人たちに対して、将来、長期にわたりまして安定をした年金の給付が行われていくということがどうしても必要であるわけでございまして、そういう意味におきましては、年金財政を健全化をしていく必要があるわけでございます。 最近の年金財政の状況を見ますと、前回再計算いたしましたときよりも悪くなってきているわけでございます。したがいまして、前回以上に今回、年金財政の健全化が必要な時期になっているわけでございまして、確かに資産は六十年度末で六千億円程度ございますけれども、これをその資産があるというだけの理由でもって使ってしまいますと、将来いろんな問題が出てくるわけでございます。 私どもといたしましては、年金の格差がつきますけれども、一応格差がつきました年金を受給できる方の、その最低生活等も勘案した金額を考慮いたしまして格差を設定したわけでございますし、それからその格差をつけるのも、一定の猶予期間を置いてつけろというのも一つの御意見かと思いますけれども、私どもといたしましては、五年間をかけて段階的にその格差を広げていって、最終的には四分の一の格差をつける、こういうことにしたわけでございます。 こういった格差をつけるといいますことは、保険料を支払う立場からいいますと、将来的にかなり影響をしてくるところでございます。これから減ってきます年金加入者の保険料負担ということを考えましても、私どもといたしましては、今回格差を制度の趣旨に照らしましてつけたということでございまして、今申し上げましたそういう将来の保険料負担という点から見ても御理解いただけるのではないかというふうに考えるわけでございます。
○佐藤国務大臣 武田先生にお答えします。 今局長の答弁したとおりでございますが、今度の農業者年金の大きなねらいというのは、長期安定してどう維持するかという財政的問題が大きな問題の一つとしてございます。そんなことで、おっしゃることはよくわかりますが、今の財政ではなかなか難しいな、こう思っております。 それからもう一つは、農業者年金の被保険者に移譲する場合といわゆる未加入者に対する格差の問題でございますが、この問題につきましては、実は私は、率直に言いますと、これはやむを得ぬのじゃないだろうか。例えば最初から専業農業を選んだ人、途中から農業の道を選ぶ人、いろいろな事情があるかと思いますが、その辺は現行のいろいろな制度、やむを得ないのじゃないか。ただ問題は、格差が四分の一がどうかという問題は一つ議論になるかと思いますが、そう考えております。
○武田委員 それでは次にお尋ねします。 保険料を上げる、それで経営移譲年金のそういう削減もある。あと国庫補助についても総体的には五二%が五〇%に、二%ぐらい助成がカットされる。こういうようなことで進んでいった場合に、それじゃこの年金財政が好転して健全経営というか運営ができるという保証があるのかどうか、それはいつごろのことと判断しているのか、その点御説明いただきたい。
○井上(喜)政府委員 ただいまもお答えいたしましたように、単年度収支が赤字になりますのは昭和六十二年度でございます。それから、今積み立てております積立金がなくなると予想される年度が七十四年度でございます。これはいろいろな条件によって変わるわけでございますが、一応のある前提を置きましたらそういうことが出てくるわけでございます。 したがいまして、基本的にこの制度の財政を安定させるためには、今後根本的な検討を行っていく必要があるわけでございまして、これは今後の課題といたしまして、農林省内に設けております農業者年金制度研究会等におきまして鋭意精力的に検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○武田委員 局長が前に答弁の中で、加入者が現在少し減少の傾向、だけれども、いずれはふえてくる、反面受給者が減ってくる、そういうときがいずれ来るということを言っているのですが、これはいつごろの予想ですか。
○井上(喜)政府委員 私ども、これは一応の前提を置いての話でございますけれども、被保険者数の減少傾向はこれからも続くわけでございますが、これからの傾向といたしましては次第に緩和をしていくだろうというふうに考えておりまして、大体昭和七十五年度以降五十万人程度で推移していくのではないかというふうに見通しをしているわけでございます。 片や、受給権者の方は、これは制度発足の当初かなり特例措置等を設けまして加入を促進いたしました経緯等もございまして、今受給権者数が急速にふえておりますが、これもいずれ安定をしてくるわけでございまして、加入者と受給権者数のバランスが保たれてくるのじゃないかというふうに長期的には考えているところでございます。
○武田委員 そのころ、大体好転してこの年金財政の運営の面においても心配ないような一つのめどとして考えられる時期だというふうに伺ってこれはいいわけですね。どうですか。 そのことは今後の加入者にとっては非常に重要なことです。やはり先の見通しがわからぬということは、これは非常に心配なことであります。見通しがはっきりしていてもこういうふうにときどき見通しが暗くなるわけですから。わずか十五年くらいの間にこういうふうに大変な状態になったわけですな。七十五年というと、くしくもあと十五年ですな。そのときまた、十五年前はそうだったけれども、十五年たったら途端にまた目の前真っ暗なんというようなことになれば、これは大変なことで、今、言うなれば本当のでこぼこ道を歩いているようなものですから、きちっと舗装にしておいて、交通事故のないように、きちっと安全運転できるようにしていくのもこのときの今が大事だと思うわけです。その点ひとつ明確にしておいてほしいのですが、いかがですか。
○井上(喜)政府委員 ただいまの点につきましては、農業者年金制度研究会におきましてもあるいは国民年金審議会等におきましても指摘をされているところでございまして、なるべく早い時期に基本的な検討をするようにということでございます。私どもも、そういう趣旨を体しまして精力的に検討を進めてまいりたい、このように考えております。
○武田委員 次に、新規加入の伸び悩みの問題があります。 加入促進、大変な御苦労をなさって、参考人の皆さん、農業会議所の池田専務なんかも一生懸命やっておる状況です。るるお話しされたし、私の宮域県の場合なんかも農業会議の皆さん方が熱心に力を合わせてやっております。それでも非常に苦労が多くて伸び悩みだということでありますが、まだ早いと言ってなかなか加入しないという人が五〇%いる。この点に対する対応をまずどうするのかという大きな問題がございますね。半分以上がこれは早いということですから。だから、三十五歳までの若年加入には割引制度がありますが、この割引制度をもう少し優遇するとか、何とかやはりその点の知恵を絞ってこういう方々の加入を促進する、また、促進のために御苦労なさっている皆さん方にひとつ力を与えてやるようなものを考えつかないものか。今までいろいろと、この日のために研究、努力もなさったのだと思うのですが、そういう一つのお考えはございませんか、これは。どうでしょうか。
○井上(喜)政府委員 加入、特に若年層の加入促進対策が重要になってくるわけでございますけれども、今、そういう若年の後継者に対しまして保険料を割り引いているところでございますが、これは約三〇%の割引でございます。こういうような特典があるというようなことを十分PRもしながら加入促進をする必要があるわけでございますが、特に、未加入の理由が幾つかあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、その未加入の理由ごとに、つまり未加入者ごとにかなりきめ細かい説明をしていく必要があろうかと思います。年金制度の仕組みでありますとか、あるいは農業者年金のメリットというのもあるわけでございますので、そういった点を個々の人に即しましてわかりやすいような形で説明していく必要があろう、このように考えておるわけでございます。
○武田委員 時間が来ましたので最後に、この制度が発足以来今日まで、いろいろな制度改善の要求がなされてきまして、いろいろあるわけでありますが、特にその中で婦人の問題ですね。これはもう前の質問の方にもありましたが、やはり農業に専従する主婦等の年金への加入問題、要するに御婦人の農業に占める貢献度というもの、それをどうして高く評価して今度のこういう法改正の中において今まで特に要望されたものが手を加えられないのかという疑問が私はあるわけであります。こういうもの一つによき方向を提示できないということになれば、またまた農家の方々にとっては一層の不満が蓄積されることは私は間違いないと思うのでありますが、この際、この婦人の問題、しかとやはり農業の中に占める重要な位置として評価をしながら、その制度要求の中における重要な問題として善処してほしいと思うのでありますが、大臣から御答弁をいただきます。そして、私の質問を終わりたいと思います。
○井上(喜)政府委員 地権者でない婦人の加入につきましては前々から御要望をいただいているわけでございますけれども、農業者年金といいますのは適期に経営移譲を促進いたしまして、若い経営者によります経営、それから農地の細分化防止等を行っていくということでございます。そういう意味におきまして、農業をやっていることのほかに、どうしてもやはり地権者であるとかあるいはその後継者であるという条件が必要になってくるわけでございます。 婦人の場合には、現に農作業をしているという事実はございますけれども、こういいました地権者であるという点について、まだ農村の方でそのようなことが浸透しない状況にあるわけでございます。現在、兼業農家の主婦の方が使用収益権の設定を受けまして農業者年金に加入している道がございますけれども、私どもといたしましては、やはり何らかの形の所有権なりあるいは使用収益権を持つということがどうしてもこの制度の建前からいきまして必要ではないかと思うわけでございます。検討課題ではあるとは思っておりますけれども、そういった制度の建前からいって非常に難しい状況にございます。
○佐藤国務大臣 武田先生にお答えいたします。 局長が答弁したとおりでございますが、私は先ほどもちょっと答弁しましたけれども、私の田舎におきましてもほとんど奥さんが農業をやっているというようなこと、そんなことで、ただ、所有権がないからとかあるいは使用収益権をとっていないからということで、この制度で考えるのはどうだろうか。ただ、問題は、農業者年金制度というのが国民年金の付加年金という性格を持っていることから、制度になじまない点がありますが、今後の例えば負担と給付の問題を含めまして、いろいろ今我が省内に研究会を設けまして将来に向かっての検討をやろうとしております。その検討の中で十分この点は検討いたしたい、こう思っております。
○武田委員 研究会の話は何度も出ておりますが、私はその研究会が実情に合った、農業の振興に、農村の皆さん方の期待にこたえるような内容でもって出てくることを期待しております。そして、本制度が当初の目的のとおり、農業者の老後の保障のために、さらにまた農業経営の近代化を一層促進して、そして農業の振興のために大いに貢献する充実した制度として農業者から期待されるような方向での取り組みを深く切望をいたしまして質問を終わります。どうもありがとうございました。
○今井委員長 次に、中林佳子君。
○中林委員 農業者年金基金法が昭和四十五年に制定されて以来、既に七回の法改正が行われてきたわけですけれども、毎回この委員会で全会一致での附帯決議がなされてまいりました。一番最近の法改正は、昭和五十六年六月の第三回の財政再計算に基づく年金額や保険料の改定のときなんですが、そのとき、これは昭和五十六年四月二十二日の当委員会で決議されました附帯決議には、「農業者老齢年金水準の改善、農業に専従する主婦等の年金への加入及び遺族年金制度の創設等についても引き続き検討を進めること。」こういう項目が入っているわけですけれども、今回の改正案には、一部死亡一時金の掛け捨て防止の措置が取り入れられてはいるものの、基本的にはこの附帯決議の趣旨が全く生かされていないというふうに思います。 これはやはり、附帯決議がどういう重みを持つのかということを非常に疑念を持つわけです。全く国会軽視だと言わざるを得ないと思います。これまでの法改正のたびに当委員会で決議が繰り返されたことも盛り込まれておらないわけですので、決議とは全く、かえって今回の法改正は逆方向を目指すような、そういう中身になって、農民負担の増加などが一層大変になる、こういうことは、農水省として本当に真剣にこれまでの附帯決議を受けとめておられるのかどうか、私はこれが大変疑われると思います。 大臣にお伺いしますけれども、過去の附帯決議をどのように受けとめておられるのか、そしてまた、なぜその内容が今回の改正案に盛り込まれなかったのか、その点、御答弁いただきたいと思います。
○井上(喜)政府委員 附帯決議につきましては、その附帯決議を尊重いたしまして私どもとしてはいろいろな検討をするわけでございます。ただ、附帯決議のそういう中身がそのまま実現できる場合もございますし、残念ながらそれが実行できないというような場合もあるわけでございます。この農業者年金法につきましても、過去七回の制度改正の際に、今お話しのような附帯決議がなされたわけでございます。この制度改正におきましてもそういった附帯決議を検討いたしまして、我々としてもできるところはそれなりに努力をしたつもりでございます。 以上でございます。
○佐藤国務大臣 実は今、局長から附帯決議の個々についてお話をしたいと思ったわけですが、先生が御指摘になりました、例えば農業者老齢年金の引き上げとか、あるいは遺族年金制度の創設とか、あるいは婦人の加入等の問題等につきましては、いずれも制度の基本に係る重要問題でございます。そんなことで、年金財政への影響も大きいことから、省内に研究会をつくっております。その研究会で十分検討いたしたい、このように考えているわけでございます。
○中林委員 やはり附帯決議を全会一致でやっているのですから、本当に真剣に盛り込んでいただかないと、やはり国会軽視だと言われてもいたし方ない側面を持っているのではないかと思わざるを得ないわけです。 今回の改正案を見て私が思ったことは、これまで年金の制定当時から常に論議がされておりましたけれども、農業者年金はいわゆる構造政策推進の政策年金であるという側面と、それから老齢福祉の年金という二つの側面を持っていると言われてきたのですけれども、政策年金の性格が一段と露骨になりまして、老齢福祉の年金の側面が随分薄められているというふうに今回の改正案を見るわけです。 端的にそれを示しているのが国庫補助の実質切り下げの点ですね。この年金で、農業経営の近代化及び農地保有の合理化を進めるための経営移譲年金と、老後生活の安定をねらいにした老齢年金があるわけですけれども、今回の改悪によって老齢年金への拠出時の十分の三の国庫補助が廃止されて、一方、経営移譲年金への給付時三分の一の補助が六分の一加算されて、当分の間は二分の一補助へと、わずかながら引き上げられているわけですね。だから、全体で見るならば約一割近い補助金の削減がやられておるわけです。ですから、老齢年金への補助を打ち切って一方の経営移譲年金への補助率をふやすというのでは、農水省がおっしゃっていた当初の年金の性格からしても許されないというふうに私は思います。 法の目的にまでうたってある「農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上」、これが今回の改正案では一層後退させられたと言わざるを得ないので、法の目的に反すると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○井上(喜)政府委員 農業者老齢年金につきましては、もう申し上げるまでもなく、農業経営の近代化でありますとか農地保有の合理化というのを推進するための直接的な政策手段ではないわけでございます。したがいまして、従来から農業者老齢年金の給付につきましては補助は行われていなかったわけでございます。また、保険料の拠出時に補助が行われておりましたために、結果的に農業者老齢年金の受給権者も国庫補助を受ける、こういう形になったわけでございます。農業者年金制度は、申すまでもなく、政策年金としての役割を片や持っているわけでございます。そういう点から、農業者老齢年金に対しましてはただいま申し上げましたような直接的な補助はなかったわけでございます。 今回、拠出時補助にかえまして、経営移譲年金の給付につきまして従来からありました基本の三分の一補助に加えまして、当分の間六分の一の補助を上積みすることにしたわけでございますが、これもたびたび御答弁申し上げておりますように、政策年金としての性格を明確にするという必要があったからでございまして、これは、他の公的年金制度におきまして補助が基礎年金部分に集中するということを考え合わせいただければ、このようにならざるを得なかったわけでございます。
○中林委員 どんなにおっしゃってみても、結果的には、二つの目的を持った一方が薄められていって、一方の政策年金、構造政策の方向だけが強まっていく、この感は免れ得ないわけですよ。簡単に言えば、今回の法改正は、保険料をふやして、給付水準を国の補助を減らして引き下げていく、こういうことになるわけです。 そこで、当然農水省としても受給年金額のモデル試算をやっていらっしゃると思うわけですが、例えば国民年金を含めて農業者年金について三十五年加入した場合、国民年金は四十年ということになるわけですけれども、現行と改正後の水準の比較では総額でどのくらい年金額の削減になるのか、これについてお答えいただきたいと思います。
○井上(喜)政府委員 現行に比べてどのようになるかということでございますが、前提といたしまして四十六年一月から三十五年間農業者年金に加入した者が受け取る年金額は、六十から六十四歳までは月額七万八千百五十八円でございます。六十五歳以降は国民年金を含めまして八万五千三百四十一円となるわけでございまして、これは現行と比べますと、六十から六十四歳で五万一千六百九十二円、六十五歳以降につきましては四万八千百二十五円の減額でございまして、比率で言いますと六〇%、六四%となるわけでございます。
○中林委員 今局長の答弁でもおわかりのように、モデル試算ではありますけれども、六十から六十四歳までで五万一千円の減額、それから六十五歳以上になりますと四万八千円何がしの減額ということになって、私は大変な改悪だと言わざるを得ないと思います。今の物価指数で考えてみても、六十歳以上の方が七万円台あるいは八万円台で生活できるとは到底思えないわけですよ。ですから、こういう大変な改悪は私は断じて認められません。 この年金のあり方はもっと追及したいのですけれども、きょうは時間の都合がございますので、次に、特に婦人の年金問題の質問に移らせていただきたいと思います。 まず初めに大臣にお伺いするわけですけれども、日本の農業に対して婦人が果たしている役割、これをどのようにお考えなのか。当委員会でも私だびたびお伺いはしておりますけれども、改めて大臣のお考えをお伺いしておきます。
○佐藤国務大臣 中林先生にお答えいたします。 先ほどから何回も答弁しているようなことでございますが、農村婦人は農業生産や農家生活の面に大きな役割を果たすばかりでなく、農村社会においても重要な役割を担っております。このような婦人の役割が十分評価され、婦人の社会活動への参加が今後一層促進されることは、農業というか農村の発展のために欠くことができないものと考えております。 そんなことで、我が省といたしましても、婦人の地位の向上に努めるために生活改善普及事業を初めとするいろいろな施策を講じておりますが、今後とも一層こういう面での努力を続けてまいりたいと考えております。
○中林委員 大臣の大変力強いといいますか、頼もしい御発言があったわけですけれども、中身が伴わないとその大臣のお言葉も生きていかないのじゃないかと私は思うのですね。 私は、昭和五十五年三月五日のこの委員会で、農業者年金に対して婦人の年金加入者の実態について質問したことがございます。当時杉山構造改善局長が「加入者の総数は当然把握できておるわけでございますが、その内容がどういう構成になっているかということについてはまだ詳細な調査は行っておりません。」こういう御答弁をされて、その後、杉山局長も当時の武藤大臣も、すぐに調査する旨を約束されております。 ここで約束された調査、すなわち婦人の農業者年金加入の加入要件別の構成、例えば経営移譲した者が娘で経営主であるとか、あるいは不幸にして夫に先立たれた者が経営主であるとか、あるいは夫が厚生年金で妻が農業者年金に加入しているとか、こういうことがどうなっているかという調査を依頼したわけです。既におやりになっていると思いますけれども、おやりになっていれば、いつどのような形でおやりになって、その結果はどういうものであるのかということを簡単にお答えいただきたいと思います。
○井上(喜)政府委員 五十五年の七月に、婦人の被保険者が農地につきましてどういった権利に基づいて農業者年金制度に加入しているかを把握するための調査を六県において実施いたしております。女性被保険者等の実態調査という名称のものでございます。中身につきましては、農地に関連する権利といたしましては、所有権によるものが非常に多いわけでございます。それから配偶者との関係について申しますと、夫が被用者年金に加入している割合が高い地域では夫から使用収益権の設定を受けて加入している例が多い、こういう状況がわかるわけでございます。 それから、その後、今回の制度改正に際しまして、この五十五年の調査を若干補足するということで、農業者年金基金を通じまして婦人被保険者が農地についてどのような権利に基づいて加入しているかを同様に調査をしておりますけれども、この調査対象になりました女性被保険者につきましては、使用収益権の設定を受けて加入している者が二一%というふうになっております。主なるところはそういったところでございます。
○中林委員 私もその調査結果についてここに資料をいただいたわけですけれども、私これを見てびっくりしましたのは、昭和五十五年に私が調査依頼をした以前にも、調査の依頼を津川議員の方から実はなさっているわけです。それがずっとできないで五十五年におやりになったので、大臣もお約束なさった、佐藤大臣ではございませんけれども、当時の大臣までお約束になったものですから、もう少し生活実態にまで立ち入ったような調査が出てくるか、こういう期待を持ったのですけれども、調査対象がわずか三百九十人、しかも数カ所の地域を抽出したものだということで、わずかの人数の調査になっているわけなんですね。だから、わずかであるならばもう少し立ち入った調査ができなかったものかということを思うわけですけれども、あえてこのいただいた資料を見ましても、いつも農水省の方から、農家の婦人の農業者年金加入については、夫から所有権ないし使用収益権を設定してもらえば加入できるのだと繰り返し主張してこられたわけでございますけれども、農村における土地の相続関係だとか、あるいは所有権や使用収益権を妻に与えるということは今の慣習だとか慣例だとかそういうことからすれば、まだまだ行き届かないということが、この非常に不十分な農水省の調査からも明らかだと思うのです。 例えば、女性被保険者の少ない市町村の抽出調査で使用収益権による加入者がわずか九%、それから五十九年度の別の抽出調査で使用収益権、先ほど局長がおっしゃいましたように使用収益権が設定されているものは二一%にすぎない。こうしたことが反映して、農業者年金加入者に占める婦人の比率というものが昭和五十年には四・九%、これも非常に少ないわけですけれども、それをピークにして毎年下がっていって、五十九年には四%、こういうふうに下がっているわけですね。加入者全体、総数も下がっている中でなお率が下がっているということは大変な問題だというふうに思います。 そこで、なぜこのように婦人の加入が進まないのか、むしろ下がっているのか、その原因は農水省としてはどのようにお考えになっているのか。また加入促進のためにはどのような努力をなさってきたのか、具体例がありましたらお教えいただきたいと思います。
○井上(喜)政府委員 農業者年金への婦人の加入は、確かに、おっしゃいますように、漸次比率を下げてきておりまして、五十九年三月末で四%、三万七千人というぐあいになっているわけでございます。 この婦人加入者の割合の低下傾向でございますが、これは農業者年金の加入者の年齢別構成というのがございます。こういう平均的といいますか、一般的な年齢別構成に比べまして、女性の加入者が相対的に高齢である、より高齢である、高齢者の割合が高いということで、六十歳に到達いたしますと当然年金受給者になりまして脱退をしていくわけでございます。そういうことで減少をしてきているというふうに考えるわけでございます。逆に受給権者総数に占めます割合を見ますと、これは八・七%でございまして、約二万八千人でございます。これは被保険者数に占める婦人の割合の四%と比べてかなり高くなっておるわけでございます。 それから、最近の新規加入で特に婦人の状況を見ますと、これは五十八年度でございますが千七百二十人、新規加入者総数に占めます割合が六・〇%、それから五十九年度では二千四百十六人ということで、新規加入者総数に占める割合が八・六%ということで、これはかなり高くなってきているように私どもは考えるわけでございます。 それから、農村婦人の年金への加入促進の努力でございますけれども、現行の農業者年金制度は地権者とそれから後継者、こういうことを対象にしているわけでございまして、婦人がそのような立場にあります場合には男子と同様の促進のための努力をしていることと思うわけでございます。
○中林委員 いろいろ数字をお挙げになって、高い数字も、高いと言っても六%などというのは高くは全くないわけですけれども、四%よりも高い婦人加入者の数字をお挙げになってごまかそうとなさいましても、これは農水省が少しも、なぜ婦人の加入がふえていかないのかということを真剣に考えていない証拠だと思うのですよ。ですから、結果は婦人の加入が少ないというのはこれは歴然としていることですよ。そこに目を向けないでいろいろな数字をおとりになっても、これはごまかしたというふうに思います。 実は私、ここに関東弁護士会の連合会が「農業婦人の地位」というシンポジウムをまとめたものを持っているわけですけれども、これが昭和五十八年に実はこういうシンポジウムをおやりになっております。ここで農業婦人の実態調査、とりわけ農業者年金についての実態調査や意識調査ということを非常によく調べておられます。七百十六名を対象にアンケートをとっておられまして、それは非常にきめ細かい中身になっているわけですね。 民間の団体がこれだけ詳しい農業者年金に対する農業婦人の意識調査、実態調査をおやりになっているときに、農水省があの程度の不十分な調査でお茶を濁そうとされるのだったら、これは決して、いつも農村婦人の農業者年金に対する加入がふえるように努力をしますとおっしゃっても、空文句になると思います。どこがネックなのかということをはっきりお調べになるためには、もう少し念入りの再調査が必要だというふうに思いますけれども、大臣、約束していただけませんか。
○佐藤国務大臣 お答えいたします。 今、局長が答えたとおりでございますが、女性被保険者の全般的動向については大体把握できていると考えますが、御指摘の点を含めまして一遍調査をいたしまして、重ねて実態把握に努力したい、こう考えております。
○中林委員 続いて、その調査とあわせてひとつぜひ農水省として取り組んでいただきたいのは、ここに私、地元の農業会議でどのようにこの農業者年金について指導なりをなさっているのか、使っているパンフレットがあったらぜひ下さいということでお伺いしていただいたものが、この二つなんです。それは「農業者年金はあなたの年金です」というのと、「農業者年金加入促進のてびき〈一問一答集〉」、この二冊でございます。 この中でずっと調べてみましたけれども、婦人が加入できる条件、婦人について特別一項目でも起こしてあるかと調べましたら、全くないわけなんですね。農水省の方から別に、まだ資料はありますよということでこういうパンフレットをいただきましたが、こちらだけ、この分だけには婦人の農業者年金に加入する道筋といいますか、それが書かれてありました。しかし、それでも私はやはり非常に少ないと思うのです。 この関東弁護士連合会がお調べになった中では、こういう一項目が起こしてあるわけです。「一定の要件があれば農村婦人も年金に加入できることを知っていますか。」これに対して「知っていない」と答えた人、これが、農業者年金の存在を知っている中で実に九四%の人たちが知っていないわけです。つまり、農業者年金に婦人は加入できないと思い込んでいるのですね。 ですから、農水省がいつもおっしゃいますように、使用収益権の設定があれば婦人も加入できるのだということをもっと指導しなければ、今のように土地の所有だとかあるいは使用収益権みたいなその権利が若干婦人の方に移動していく、そういうことは今の日本の慣習、農村の実情からいえば、かなり積極的なこうした指導がなければ道が開かれないと思うのですけれども、そういう婦人の農業者年金への加入の道が開かれるのだというような行政の強力な指導、これをやっていただけますでしょうか。
○井上(喜)政府委員 農業者年金制度は、別に男だけとか女だけという制度ではございませんで、一定の要件に合致いたします農業者が加入できる制度でございますので、一般のパンフレット等につきましても、男女の区別をしないでごくありふれた説明をしているのではないかと思います。特別に女性だけを取り上げて解説する必要があります場合にはそういったこともしているかと思いますけれども、男女通じての制度でございますのでそういったこともしていなかったのではないかと思うわけでございます。 ただ、婦人の問題につきましては非常に関心が高いわけでございまして、決して婦人もこの制度の対象外ではないということについては、今後とも十分注意をして、そういう趣旨についてもよく徹底するようにしてまいりたいと考えております。
○中林委員 私は、婦人加入の問題だけ特別のパンフレットを一冊ぐらいつくられてもいいぐらいの問題だと受けとめております、今の実情から考えれば。ぜひその点を強く要望しておきます。 それから、加入の問題とあわせて次の三点、簡潔な御答弁をいただきたいと思うのですけれども、一つは厚生年金と同じように遺族年金制度をこの農業者年金にも導入すべきではないかという点。それから経営移譲の相手の要件ですけれども、直系卑属にその配偶者も含める、こういうことをぜひ改正の中に含められないかということ。三つ目に被保険者が死亡した場合、該当被保険期間の配偶者への継承を認める方策がとれないのか。とれるかとれないかそれだけで結構ですので、簡単に御答弁をいただきたいと思います。
○井上(喜)政府委員 まず、農業者年金に遺族年金を導入できないかということでございますけれども、これについてもたびたびお答えいたしておりますように、農業者の配偶者の老後保障は国民年金によって行われるという建前になっておりますので、農業者年金に遺族年金をさらに仕組むことは困難でございます。今回の改正につきましては、死亡一時金につきましてその支給対象を拡大をした、こういうことはいたしております。 それから第二点目でございますけれども、被保険者が死亡した場合に配偶者等がその地位を承継できるようにできないか、こういうことでございますけれども、年金制度におきましては一身専属的な性格のものが多いわけでございます。したがいまして、夫婦といえどもその地位を譲り渡すことはできないわけでございまして、これについても困難と考えております。 それから第三点目の直系卑属の配偶者を後継者移譲の相手方として認めるかどうかでございますけれども、現在の農村の実態からいいますと、直系卑属の親から経営移譲を受ける蓋然性が低いということから、直系卑属並みに後継者移譲の相手方とすることはできない、困難であると考えます。将来の検討課題であると思いますけれども、現状はそのように考えております。
○中林委員 最後に、このように具体的に提起をいたしましたし、この委員会でもその三点についてはいろいろと論議されてきたのですよ。大臣おっしゃいましたように、婦人は非常に今の日本の農業に対して大きな役割を果たしている、地域社会にも大きく貢献しているのだ、このように頼もしい発言をされていたにもかかわらず、内容が伴わないのです。 農業従事者の婦人たちは、男性と同等あるいは男性以上に働いておきながら老後の社会保障の制度というものは本当に保障されていない。夫の年金で間接的には一定の生活保障はあるでしょうけれども、自分が働いたその苦労が本当に報われるかどうかという点については全く道が開かれていないということで、本当に残念でなりません。 ことしは御承知のように国連婦人の十年の最終年ですよ。大臣もその所管の一端を担っておられます国内行動計画の総仕上げの年でもあるわけです。農水省がやらなければならない一項目、大臣も御承知だと思いますけれども、農山漁村婦人の福祉の向上、こういうことが挙がっているのです。ですから今回の改正案、私どもは改悪だと思いますけれども、本当に農家の負担がふえていくという状況の中で、せめてこうした婦人に対する何らかの農業者年金に対しての改善策、これをぜひ検討いただきたいと思います。大臣の婦人に対するお考えを裏づけるものとして、ぜひその御決意をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○佐藤国務大臣 お答えいたします。 第一番に、農業者年金というのは国民年金の付加年金であるということを御理解願いたいと思います。 そういうことで、今度の改正におきましても一時金の支給範囲の拡大等の措置をとったわけでございますが、ただ今後の問題としまして、婦人の加入とかあるいは遺族年金制度の創設等の婦人に対する措置につきましては、いずれも制度の基本に係る重要問題でございます。そんなことで、今我が省に将来のいわゆる財政問題を含めまして研究会をつくっております。そういう形で、年金財政に与える影響等も配慮しながら慎重な検討をいたしたい、こう考えております。
○中林委員 終わります。
○今井委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○今井委員長 この際、本案に対し、上西和郎君から修正案が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。上西和郎君。 ————————————— 農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対 する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○上西委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。 修正案は既にお手元に配付したとおりであります。 以下、案文の朗読を省略し、その内容を簡単に御説明申し上げます。 第一点は、経営移譲年金に係る年金額格差の導入規定を削除したことであります。 すなわち、改正案では、いわゆるサラリーマン後継者などに経営移譲した場合の年金額につき、四分の一の引き下げ格差を導入することとしておりますが、本措置は、農業者の老後の保障に支障を生じさせるだけではなく、年金制度のあり方並びに農村社会の実態等を全く無視したものであり、断じて認めるわけにはまいりません。 このため、修正案では、格差の導入を図る本規定を削除し、経営移譲した者に対しては、現行法どおり、すべて同額の年金を支給することとしております。 第二点は、農業者老齢年金の額を引き上げたことであります。 農業者老齢年金の額の引き上げについては、日本社会党は過去三回にわたり独自の修正案を提出した経緯があり、その理由と必要性は各要員が十二分に理解されているところと確信しております。 ところが、改正案の内容は、その額を逆に引き下げることとしており、関係者の期待を全面的に裏切るものとなっているのであります。 このため、修正案では、その額を二倍に引き上げ、農業者の老後保障の充実を図ることとしております。 第三点は、農業者寡婦年金制度を創設したことであります。 現行法は、婦人の年金加入が実質上制限されているとともに、遺族に対する保障も他の公的年金制度に比べ著しく立ちおくれており、その改善が強く要請されておりますことは御承知のとおりであります。 このため、修正案では、経営移譲年金の受給権者であった夫が死亡した場合において、六十五歳未満の妻があるときに、その妻が六十歳に達したときから夫の経営移譲年金の未支給期間の月数に相当する月分の農業者寡婦年金を支給する制度を設けることとしております。 第四点は、農業者年金の受給資格期間として通算する措置の対象範囲を拡大したことであります。 すなわち、農村地域工業導入促進法に基づき導入された工業に就業した後、一定期間内に当該工業に係る工場の移転または廃止に起因して離職した者について、その者の被用者年金加入期間を農業者年金の受給資格期間として通算する措置を講ずることとしております。 第五点は、保険料の引き上げ幅を縮小したことであります。 すなわち、改正案では、保険料の額を昭和六十三年以降昭和六十六年まで毎年八百円ずつ引き上げることとしておりますが、この引き上げ幅は、農家の負担能力をはるかに超えるものであり、かつ、他の公的年金の保険料引き上げ幅に比べても非常に厳しいものと言わざるを得ません。 このため、修正案においては、毎年の引き上げ幅を四百円に縮小し、農家負担の軽減を図ることとしております。 第六点は、国庫補助の引き上げであります。 すなわち、修正案では、以上の修正に伴う必要財源について、これを国庫補助の引き上げ等により措置することとし、このため、現行法の保険料に対する国庫補助の規定を復活させるとともに、新たに、農業者老齢年金の給付に要する費用の額の三分の一に相当する額を国庫負担する規定を設けることとしております。 このほか、政令事項ではありますが、後継者の年金への加入要件及び後継者に対する経営移譲要件となっている後継者の農業従事期間三年以上については、これを一年以上に短縮することを強く要求するものであります。 以上が修正案の内容であります。 何とぞ全委員の御賛同を賜りますようお願い申し上げ、趣旨説明を終わります。(拍手)
○今井委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。 この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればお述べいただきたいと存じます。佐藤農林水産大臣。
○佐藤国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府として反対でございます。 —————————————
○今井委員長 これより農業者年金基金法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
○田中(恒)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、政府提案の農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対して反対、日本社会党・護憲共同提案の修正案に賛成の討論を行うものであります。 昭和四十五年、日本社会党は、すべての働く農民を対象に老後の福祉の向上を目的とする農民年金法案を提出し、構造政策の推進を目的とした農業者年金基金法案に対し強く反対してまいりましたことは御承知のとおりであります。 その後十五年、農業者年金制度は、政府の意図した政策目的さえ達成されないまま、早くも財政的危機に直面し、制度の存続自体が危惧される状況に立ち至っております。年金財政悪化の要因は、本制度が経営移譲の促進という構造政策の推進にのみ力点を置き、加入者の大幅な制限を行っていることなどにあり、その責任は挙げて政府に帰すると言っても過言ではありません。 しかるに今回の改正は、公的年金制度の抜本的改正という大義名分に名をかり、年金財政の悪化を糊塗するため、給付水準の引き下げや保険料の大幅引き上げなどという各種の改悪を強行しようとするものであり、断じて賛成するわけにはまいらないのであります。 以下、反対の理由を、論点を絞り具体的に御説明申し上げます。 反対の第一点は、年金水準の大幅な引き下げであります。 すなわち、今回の改正案では、特定譲受者に経営移譲した者が受給する年金額の水準を現行水準の六〇%程度に引き下げ、さらにサラリーマン後継者等に経営移譲した者が受給する年金水準については、現行水準の四五%程度にまで引き下げることとしております。 本措置は、農業者の老後の生活安定に支障を与えるばかりか、農村社会の実情を全く無視した行為と言わざるを得ません。特に、同額の保険料を納付した者に年金額の格差を導入することは法的にも問題があり、本来平等を旨とする年金制度にあっては例を見ない改悪であります。 また、農業者老齢年金の水準引き下げは、農業者の強い要望を裏切り、かつ、国会の附帯決議を無視したものであります。 反対の第二点は、保険料の大幅な引き上げであります。 すなわち、改正案では、初年度の保険料を八千円とし、以降、毎年八百円の引き上げを行うこととしております。被保険者はこのほかに国民年金の保険料をあわせて納付することになっておりますが、近年の農業所得の低迷の中にあって、こうした高額の保険料は農家の負担能力をはるかに超えるものであります。今回の保険料の引き上げは、農民にも恩給をという本制度発足の趣旨に反するばかりか、今後の年金加入の促進を図る上で大きな障害要因となることは明白であります。 反対の第三点は、厳しい年金財政事情の中で、国庫補助の引き下げが行われることであります。 すなわち、改正案では、保険料の拠出時補助を廃止し、総体的な国庫補助率の引き下げを行っておりますが、このことは本年金制度をして政策年金として位置づけた政府の責任を全く放棄したものであり、断じて認めることのできない措置であります。年金財政の健全化を図るため、国庫補助の引き上げを行うことが政府の責務であります。 このほか、今回の改正では、関係者がかねてからその実現を強く要望し、かつ、国会においても幾たびか附帯決議として取り上げてきた事項、すなわち、遺族年金制度の創設、婦人の農業者年金制度への加入等については何らの改善措置も講ぜられていません。これらの事項は本来の年金制度のあり方から見て当然の要請であり、政府の怠慢こそ非難されるべきであります。 今回の改正案は、こうした農業者の期待を全く裏切るばかりか、制度の後退をもたらすものであり、断じて容認できません。 以上、改正案に対する反対理由を要約して述べてまいりましたが、そのいずれもが制度の根幹をなす重要な問題であり、日本社会党・護憲共同はその改善を図るべくただいまの修正案を提出したところであります。 修正内容は、昭和六十一年度において三百七十二億円の国庫補助を引き上げることにより、経営移譲年金に格差を設けないこと、農業者寡婦年金制度の創設、受給資格通算措置の改善、保険料引き上げ幅の圧縮など、いずれも農業者の切なる要望にこたえ、農業者年金制度の改善、充実のため時宜を得たものと確信いたします。 以上、政府改正案に反対の理由を申し述べ、日本社会党・護憲共同提案の修正案に賛成の態度を明らかにして、討論を終わります。(拍手)
○今井委員長 次に、津川武一君。
○津川委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、本案並びに修正案に反対の討論を行います。 第一に、本改正案は、軍拡と財界奉仕、国民生活犠牲の臨調路線に沿った年金制度の改悪の一つであり、農民の老後保障と生活安定に重大な攻撃となっております。給付水準を四割も切り下げるという、これまでになかったこの制度始まって以来の改悪です。他方、保険料の毎年の上げ幅を二倍とし、今ですら大変な農家負担を大幅にふやすものです。この改悪は自民党農政の展望のなさと相まって、農業者年金についての農民の不安を大きくし、ひいては同制度の存続に響きかねません。 第二に、農民負担の大幅増と引きかえに国庫負担の削減を図っていることです。我が党の試算、政府の答弁によっても、今後五年間で農民側は四百数十億円の負担増、国負担がそっくりその分減るということです。農民への一方的犠牲を強いるやり方は断じて許されません。 第三に、特定譲受者以外に経営移譲した場合に四分の一差をつけ、政策年金としての性格をむき出しにしています。本来、経営移譲の有無にかかわらず、農民に勤労者並みの年金支給は当然であり、ましてやその相手方の違いによって格差をつけるとは言語道断であります。 もう一つ反対の理由は、要望の強い農業専従の妻の加入、年金加入期間の配偶者への継承等の問題も本改正は取り入れておりません。 以上の具体的な理由で、我が党は本法案の撤回を強く強く求めるものであります。 社会党さんが一生懸命に出してくれた修正案も、現状維持、一定の改善項目を含んでいることは私たちも認めるにやぶさかではありませんが、農業者年金の根幹である経営移譲年金引き下げを認め、給付の切り下げをやるという本法案の核心となる改悪を基本的に正しておりません。同調できません。 最後に、我が党は、国と資本家の負担で六十歳から夫婦で十万円、単身者七万円の最低保障年金をつくり、その上に本人の拠出に見合った年金額が上積みされ、農民の老後が真に保障される年金制度の抜本的改善を目指して奮闘することを表明し、反対討論を終わります。(拍手)
○今井委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○今井委員長 これより採決に入ります。 農業者年金基金法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、上西和郎君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○今井委員長 起立少数。よって、上西和郎君提出の修正案は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○今井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○今井委員長 この際、本案に対し、島村宜伸君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。小川国彦君。
○小川(国)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本制度が農業者の老後の保障と農業経営の近代化等に果たす役割の重要性にかんがみ、左記事項の実現に努め、制度の長期にわたる安定的運営に遺憾なきを期すべきである。 記 一 年金財政の健全化を図るため、制度のあり方を含め国庫負担等各種の方策を検討するとともに未加入者の加入促進に努めること。 また、保険料については、農家の負担能力の実情、本年金の政策年金としての性格等を踏まえて設定すること。 二 特定譲受者以外の者に経営移譲した場合における経営移譲年金額の格差については、農業者の老後の保障等に支障を生じさせないよう配慮すること。 また、農業者老齢年金水準の改善に努めること。 三 農業のもつ家族経営体としての特性等を考慮し、経営移譲年金の受給権者が死亡した場合における遺族年金制度の創設、農業に専従する主婦等の年金への加入等について引続き検討すること。 四 後継者の年金加入及び後継者に対する経営移譲の際の農業従事要件の緩和について検討すること。 五 被用者年金に短期間加入した場合に農業者年金の受給資格期間として通算する措置について、適用範囲の拡大を検討すること。 六 本制度及び本制度と関連する各種公的年金制度の仕組等について、関係者に対する正確な知識の普及を図り、年金制度の適正な運営に努めること。 右決議する。 以上の附帯決議案の内容につきましては、質疑の過程等を通して委員各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。 何とぞ全委員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○今井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 島村宜伸君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○今井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤農林水産大臣。
○佐藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。 —————————————
○今井委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○今井委員長 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。 ————————————— 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件 〔本号末尾に掲載〕 ————◇—————
○佐藤国務大臣 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件の提案理由につきまして、御説明申し上げます。 国有林野の管理経営等を行う機関として、現在、全国に十の営林局及び四の営林支局が設置されておりますが、本省等に置かれる地方支分部局の整理再編成の一環として農林水産省設置法附則第八項において営林局の統合のために必要な措置を講ずるものとされております。 これを踏まえて、政府は、国有林野事業の改善を図るため、長野営林局と名古屋営林局とを統合し、営林局を長野市に、営林支局を名古屋市に置くこととしております。 この案件は、これに伴い、長野営林局の管轄区域を現在の名古屋営林局の管轄区域を含む区域に変更するとともに、名古屋市に名古屋営林支局を設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づく国会の御承認を求めようとするものであります。 何とぞ、慎重に御審議の上、御承認くださいますようお願い申し上げます。
○今井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○今井委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
○島田委員 ただいま提案をされました件について若干の質疑を行うものでありますが、ただ、私ども委員会の扱いとしては、提案をされてすぐ質疑に入るというのは異例な措置でございまして、これは慣行化されるべきものでないことをあらかじめお断りしておきます。 ただ、昨年の十二月以降、既に予算との絡みでこういう名古屋営林局の支局化という問題が世上の話題となっておりまして、その後の扱いにつきましてもいろいろな手当てが行われているというふうな経過等を考慮いたしまして、私どもとしても、この承認を求める案件に対しまして一定の論議をいたしたい、こう思っているところであります。 あらかじめそのことをお断りしながら、まず最初に、今回の名古屋営林局の支局化を初めとする統廃合について、その理由をただしておきたいと思います。
○田中(恒)政府委員 お答え申し上げます。 国有林野事業をめぐりましては内外ともに大変厳しい状況が続いておるわけでございますが、そういう情勢に対応するために、昨年国有林野事業改善特別措置法の改正がなされたわけでございます。これに基づきまして、昨年の六月に、昭和五十九年度以降十年間に自主的な改善努力を一層徹底することを基本とし、さらにあわせて所要の財政措置を講ずる内容の新たな改善計画が定められたわけでございます。 営林局の統合につきましては、この計画の中の自主的な改善の一環といたしまして、国有林野の経営管理の適正化を図るという上で極めて重要な課題であると認識をするわけでございますが、さらにまた、国の行政改革の一環といたしましてこれも避けて通れない課題であるということから、これを計画、実施することとしたものでございます。 なお、この際に考えましたこともあわせ申し上げますと、やはり現業組織としての現に果たしております機能が今後とも発揮されなければならないという観点から慎重に検討いたしまして、昨年暮れ、十二月二十九日の閣議決定におきまして、昭和六十年八月を目途に、長野営林局と名古屋営林局とを統合し、営林局を長野市に、営林支局を名古屋市に置くということに決めたところでございます。
○島田委員 ところで、この二つの局が統合されるということによりまして、地域的にも、守備範囲ですね、あるいは機能的にも、また事業的にも随分大きくなるようであります。このように大規模になるに及んでいろいろな不都合な面が出てくるという心配を私たちは持っております。こんな大規模な営林局で、しかも太平洋側から日本海側に抜けるような大きな営林局になるわけであります。従来も抜けてはおりますけれども、真ん中の一番急峻な地帯などがここに入るわけでありますから、適正な管理が果たしてできるのかどうかという点について若干の懸念を持つものでありますが、いかがですか。
○田中(恒)政府委員 現在は十営林局で管理をしておるわけでございますが、これらの営林局の業務の実態あるいは地理的条件等を総合的に勘案いたしまして、この中の二つを統合いたしました場合に、引き続きその統合された局が国有林野の管理経営を適正にかつ円滑に実施することができるかどうかという点から検討を加えたわけでございます。 統合いたしますと九営林局になるわけでございますが、長野、名古屋の統合をいたした場合の営林局の位置づけを見まするに、営林署の数におきましては九営林局のうち四番目、あるいは管理面積につきましてはちょうど五番目というふうに比較的中庸の規模の営林局が生まれますので、これらの管理経営につきましては十分可能であると判断をいたしまして計画をしたところでございます。
○島田委員 さらに、先ほどもちょっと触れましたけれども、大変急峻な森林地帯というのが多いわけでありますね、アルプスを持っておりますし。したがって、ほかの営林局管内の状況と比較してみますと、管理等については、かなり苦労の多い急峻地帯をたくさん抱えているという点では大変大事な営林局であり、また任務も大きく重い。とりわけ、これら統合によって国土保全上の問題点などが心配されるのでございますが、支障はございませんか。
○田中(恒)政府委員 お話にございましたように、名古屋営林局は中部山岳地帯をも抱えておりまして、国土の保全、水資源の涵養等の公益的機能の発揮につきましては大変重要な役割を果たしておりまして、治山事業等も重要な事業としてこれを実行しておるところでございます。 今回統廃合を実施するに当たりましてはこの点を十分に考慮いたしまして、現在名古屋営林局が果たしておりますこのような機能はそのまま確保されるように、名古屋営林局を営林支局として引き続き存置するとともに、管轄区域内の業務につきましては、従来どおり、営林署、担当区事務所、事業所等を通じて行うこととしたところでございます。したがいまして、今回の統合によりまして、そのような最前線におきます国土保全あるいは国有林野の適正な管理につきまして支障が生ずることはないものというふうに考えておるところでございます。
○島田委員 ないことを願うのでありますけれども、しかしなかなか山は険しゅうございますし、それから一昨年ですか、大きな災害が起こりましたね。ああいう災害が起こっても、空の上からぐらいしか行き来ができないというような地形的な特徴を持っている、そういう大きな営林局に今度なるわけでありますから、この点一つを考えてみても私はかなり心配が残るのでありますが、長官がないものと思うということでありますので、国土保全上万遺憾なきを期していただくように、ぜひひとつその目標を達成していただくことを強くここに求めておきたいと思います。 ところで、名古屋営林局というのはだてにできていた営林局ではございませんで、やはりそれなりの存在、存立の意義があり、意味があり目的があり、そしてまた歴史的にも名古屋営林局というのはそれなりに大きな役割を果たしてまいりました。また、私に言わせれば、かなり特徴を持った営林局として本当は残してほしかった営林局だと思っております。ですから、私どもはこの廃止あるいは統廃合には強い反対をいたしました。 とりわけ、木材の流通面で言えば、中部地方の経済のかなめであり、同時にまた我が国の銘木を中心にした流通の要衝の地点でもあります。ですから、こういう点で言いますと、国産材、外材それらすべてを含めましていわゆる重要な拠点局である、こういうふうに位置づけがされてきたし、また私は、この位置づけはこれから先もそんなに変わるべきものではないというふうに、名古屋営林局を幾度か視察をさせていただきまして、その特徴に対して一定の評価を持っていた一人でございます。 特に、このような地理的ないわゆる有利性を持っておる、重要な役割を果たしてきているこの名古屋営林局を支局化するということには、それなりの意味あるいは目的があった、そういう点で、冒頭にこの統廃合の理由というものを私は聞きました。 確かにいろんな理由があったのでありますが、最後に、後段のところで長官がおっしゃった行革路線、これに押し切られた格好になっているのでありますが、私は、今までこの営林局が果たしてきた役割というのがこれよりも後退するというような、支局化になるわけでありますから後退は免れないのでありますけれども、私が今るる述べてまいりましたような特徴ある、しかも重要な任務、役割、我が国の木林流通の拠点的な役割、また森林・林業の発展のかなめという、数え上げますと名古屋営林局はどこから見ても統廃合されるべき筋合いのものではないものが支局化されたということでございまして、私は、これの後退は極力避けるべきだ、こういうふうに思っているのですが、私の心配するようなことは杞憂にすぎないかどうか、この際長官の決意を伺っておきたい、こう思います。
○田中(恒)政府委員 先ほど申し上げましたような事由によりまして名古屋営林局を営林支局といたしたわけでございますが、この検討に当たりまして、やはりそれぞれの営林局の地域に果たす役割等につきましては改めて思いをいたしたと申しますか、十分内容の検討をいたしまして、支局化に当たりましても、名古屋の大きな特質であります、中部圏の経済の中心である、長く木材都市として重きをなしてきた、特に、今日の木材、林産業界が抱えております需要不振を打開する、そういう任務のためには格好の立地条件にもあるということから、名古屋支局には新たな需要開発センター、これは仮称でございますけれども、これを設置いたしまして、国有林材の流通改善はもとよりでありますが、ひいては国産材、木材全般の流通改善、需要開発をも担わしめるということに考えているわけでございます。 こういうふうな措置によりまして、営林局といたしましてこれまで果たしてきた機能の低下あるいは地元関係者に対しますサービスの低下は招くことがない、また招いてはならないということで関係者一同いろいろ考えているところでございますが、むしろこういう機会に、先ほどの名古屋の置かれた任務に十分力を注ぐということでこの問題に対応していきたいと思っておるところでございます。
○島田委員 さらに、支局化に伴う新しい機構がつくられようとしているようでございます。その目的と役割をこの際お聞きしておきたいと思います。
○田中(恒)政府委員 最近は、国有林に対しましていろいろ新しい要請が多くなっておるわけでございます。また、国有林もそれに対応していろいろやらなければならない任務もふえております。例えば、この需要が低迷している中でありますれば、国有林材のPRというものも非常に重要であります。また、国民の皆さんからの森林、緑に対します関心がだんだんと高まってくる、非常に高まっているわけでありますので、その中で国有林野事業の果たす役割を理解してもらうためにはどういうことをすればいいか。森林レクリエーションもございましょう、あるいは、分収育林、分収造林の制度をいろいろな対象に活用いたしまして門戸を広げていく、触れ合いの森などもそうでございますが、こういう新しい国有林と国民とを結ぶ制度を積極的に展開していかなければならないと思います。 そういうことのために、大都市にあり木材都市である名古屋営林支局におきましては、そういう任務を重点的に果たすには非常に適切な立地条件にあるということから、仮称、需要開発センターを設けたいというふうに考えておるわけであります。 この任務、業務といたしましては、やはり先ほど申し上げましたように、国有林材の流通改善、木材需要の開発のために大いに働いてほしい。さらに、ああいう都市にございますので、都市と山村との交流による森林レクリエーションあるいは分収育林等の事業を、需要を開発、促進いたしまして、効果的にこれを推進する組織として働いてほしいというふうに考えております。それを具体的にどういうしっかりした業務内容として定めるかということにつきましては、まだ内部検討をいたしておりますが、大体そういうふうな今申し上げましたような内容を盛り込んだ組織といたしたいというふうに考えておるところでございます。
○島田委員 第二次の営林署の統廃合で熱田営林署がなくなりまして、木材販売所という名前に変わったわけですね。私は熱田営林署に二度伺っておりますが、特にここは、先ほど特徴ある名古屋営林局ということを申し上げましたが、特に熱田は水中貯木場を持っておりまして、名古屋城の築城のときにつくられたと言われている運河みたいなのがありますね。そして、その水中貯木場を含めて大変大面積を持っておりました。 私は、これは大変特徴もあるし、こういうのを残しておくことはこれから大事な我が国の文化の保存にもつながるなというふうに当時考えたのでありますが、残念ながら、金に困って、営林署がなくなり、あそこも半分以上処分をしたというようなことで、歴史と、そういう大事な水中貯木場という特徴ある機構というものが失われてしまった。大変残念に思っておるのでありますが、現況はどうなっておりますか、ついでにちょっとお聞きいたしておきたいと思います。
○田中(恒)政府委員 先生のお話にありましたように、ちょうど熱田貯木場が白鳥貯木場という大変ゆかしい名前でございましたし、東京の旧猿江貯木場は江戸城の築城資材とか江戸市内のいろいろな修復用材等、大変長いそういう歴史のある貯木場がございまして、これまでは大変大きな効用も果たしてまいった。 その後、トラック輸送の発達でございますとかいろいろな条件によりまして、だんだん町中にああいう重量を積んだトラックが出入りをして仕事をするということはいかがなものかとか、だんだん郊外にそれが移るような傾向に実はございますけれども、熱田貯木場につきましては、何といいましても、あそこが水中貯材をするために材質が非常によく保たれるというふうな特徴もございまして、不況期にあそこに貯材することが、また材質低下も防ぎながら貯材できる、そういう弾力的な販売もできるという有利さが実はあったわけでございます。 ただ、また反面、いろいろな製材工場の乾燥能力の向上とかということもありまして、流通の中でああいう水中貯材方式が果たしてそれだけの効果を生み得るかどうかという点なども検討はしなければならないと思っております。 それからまた、今となりますと、熱田貯木場が名古屋市のちょうど真ん中、最高の立地条件のところになりまして、将来にわたりましてその条件下においてどのような貯材、販売業務をすればいいのか。立地的にはいいわけでありますので、そういうPR効果、宣伝効果のある業務をあそこで展開することもいいのではないかとか、その掘り割りを伝わらないでトラックが走るということはどうかとか、いろいろ問題もございまして、現在営林局におきましては、地元業界の中長期的な希望なども聞きながら、将来あの貯木場をどうしていくかということについては内部的な検討を進めているところでございます。
○島田委員 そうそう、言われれば、大変優雅な名前の貯木場だったというのを今思い出しました。 ところで、まだ半分ぐらい残っているわけですが、私はあのとき、私の地元からも銘木が集められておりまして、ナラ、イタヤカエデ、ああいう大変価値の高い木材が展示されておりまして、何か同時に入札場所として皆さんがあそこで木材の取引も行われるというような、そういう機能を持っていたように思いますが、この機能はそのまま残っておるわけですか。
○田中(恒)政府委員 現在も国有林材の定期的な入札が行われる場としては、恐らくあの地域ではあの貯木場だけであろうと思います。定期的な入札が行われまして、しかも、木材の利用方法につきましてはあの中京地区の業界の皆さんは大変すぐれた技術を持っておりますものですから、非常に活気のある、熱気のあふれた入札があそこでは毎月行われておるというふうな状況でございます。
○島田委員 そうでした。カツラなんかも、物すごいでかいのが私どものところから送り込まれてきていると当時説明を聞きまして、強烈な印象になって残っておるのであります。 そういうこともあって、先ほど御説明のあった名古屋営林支局化に伴いまして需要開発センターというものを、まあ仮の名前だそうでありますが、これを置いて一層機能の充実を図っていこうというお考えだろうというふうに受けとめます。 大変結構なことでありますが、しかし、今までいろいろ長官のお話を承ってきまして、私は、名古屋をなぜ営林支局になんかしなくてはいけなかったのかな、十が九つになる、たった一つぐらい、世の中なんて合理化、合理化だなんて言ったって、しょせんは矛盾と不合理で成り立っている部分だってあるわけでありますから、たった一局が物すごく国有林の合理化の上に貢献をするんだなどというふうには思いませんで、むしろ合理化が不合理になっている場合だってあるのではないか。こんなふうに思いますと、今回の名古屋の営林支局化というのは、私はまさにその典型的なものではないかというふうに思えてなりません。 ところで、これまでの統廃合、つまり北海道の四つの営林支局化、そして今度の名古屋営林局の支局化、これで五つ支局化され、営林署では既に十六の営林署が統廃合されました。今度、恐らくことしの秋ごろになるのではないでしょうか、既にもつの営林署の統廃合が、箇所づけはまだこれからでございましょうが、数の上では決められている。 私たちはこうした点を大変心配いたしまして、これまでの統廃合に際して、その都度林野にかかわります国会論議の場を通じまして附帯決議を行い、特に地元サービスの低下や職員の勤務条件の低下を招くことのないように、議論を通じても指摘をしてまいりましたし、また附帯決議でもこれを明確に指摘をしてまいったところでございます。これらの附帯決議の趣旨が本当に生かされているのかどうか、私は疑問なしとしません。今も申し上げましたが、合理化、合理化と言っているうちに逆に不合理化になっているのではないか、つまり、意識せざるうちに不合理な状態をつくり出しているのではないかというふうにも思えますが、いかがでしょうか。
○田中(恒)政府委員 昭和五十二年の最初のいわゆる特措法の際にも、あるいはその後五十九年の一部改正の際にも、国会におきまして附帯決議をちょうだいをいたしておるところでございます。 やはりその精神と申しますか、地元へのサービス低下を来さないように配慮すること、あるいは配置がえ等に当たりまして職員の処遇、勤務条件について適切な配慮を行うようにという内容でございましたけれども、そういう御趣旨を踏まえまして、例えば地元サービスに関することにつきましては、営林事務所の設置によって代替する、あるいは分室という形で対応をする、あるいは治山事業所を設けたり、時には事業課を設けるとか、いろいろそういう十分代替し得る機能の整備に努めたり、それから、その他の方法といたしましては、かねて地元から要望の多い林道でありますとか治山事業でありますとか、あるいは国有林の活用事案でありますとか、そういうことにつきまして極力前向きに対応するということをいたしまして、円滑な統廃合ができるように配慮をしたところでございます。 また、異動をやむなくされるところの職員に対しましても、希望を第一、第二、場合によっては第三希望まで聞き取りまして、業務実行上の要請もありますけれども、さらにそういう職員の希望についてもできる限りの調整を図り、円滑な配置がえができるようにこれまで努めてきたところでございます。
○島田委員 長官はそうおっしゃっておりますけれども、実際、私ども現地の声としては必ずしも地元住民が納得をしているとは思えない面もございます。中には強い不満を残したままになっているところもないとは言えません。そういう点では、あくまでも地元サービスの低下を来さない、それから職員の勤務条件に重大な支障を与えない、この二点は、私どもは今後も強く心してもらわなければならない点であろうかと思っております。 そして、支局化は当然であるというふうなことになりますと、これはますます国民の出づくり参加の道を我が方から閉ざすことになりかねません。行政の側からその道を閉ざしてはいけない。そう考えますときに、やはり地方を合理化していくというのはむしろもうやめるべきだ。そして、どんどん出づくりに国民の皆さんの参加と合意をいただいていく、こういうことのためには、地方にむしろ広げていくことが必要なんですから、支局化を図ったりあるいは営林署をなくしたりするということは、国民参加の道を閉ざしながら国民意識に逆行するというやり方になると私は思うのです。 ところで、大臣、これ以上、局を廃止したり統合したりするような、そういうスケジュールはもうお持ちにならないでしょうね。この点、確かめておきたいと思います。 〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕
○佐藤国務大臣 先ほど島田先生にお答えしましたが、長官が答えたとおりでございまして、昭和五十五年に改正された農林水産省設置法や五十九年十二月二十九日の閣議決定等に基づきましてこれは実施するものでございまして、現時点においては、これ以外の統廃合の計画はございません。
○島田委員 大臣を初め役所の皆さん方も、一番私どもの嫌な言葉をお使いになる、現時点ではとか、ただいまのところとか。そうすると、あした以降のことはわからぬということでありますね。これは私はちょっと困ります。これ以上九つの営林局をなくすようなことはスケジュールにはないのでしょうね、あってもらったら困る。 ここは大臣、やはりあなたの責任で、仮にそういう外圧がかかってきても阻止するという構えが欲しいということを含めて、この際、大臣のお考えを明確にお聞きをしておきたいと思うのです。
○佐藤国務大臣 お答えいたします。 実は、私はいつまで大臣をやっているかわかりませんけれども、私の在職中はそういうことはございません。
○島田委員 そういうことをおっしゃってはいけませんで、それは大臣、三年も五年もやれるなんてだれも思っちゃいないですよ。しかし、できれば二年や三年はやってほしい。農林水産大臣、あなただけではなくて、大臣の首のすげかえが余り早過ぎるので、行政の側、役所もついていけないし、国民もついていけない。だから行政が混乱する、それが国民にも混乱を与える、影響を与える、こういうことになる。 長くと言っても、そんなにとんでもない長くなんていったってそれは通らぬ話でございますが、もうあと半年もないのだからという気持ちを言外ににじませて、私、佐藤守良の責任を果たしますでは、それは個人的なお話でございますから、農林大臣としてこれはだめだと言ったら、次の大臣に申し送っていただくぐらいの気構えと決意がおありになりませんといけないのではないでしょうか。それが、大臣がかわったらどうなるかわからぬと逃げばかりでありまして、我々の方で心配していることがまさにそのとおりになっていくようではもう議論する意味もないわけであります。
○佐藤国務大臣 先ほどから言っておりますことでございますが、私の承知する限り、ということを言っておるかどうかわかりませんが、とにかく私の考えではこれ以上の営林局の統廃合はないと確信しております。
○島田委員 ところで、局ばかりではございません、ほかの機構等を含めまして統廃合の今後のスケジュールはどうなっておりますか。
○田中(恒)政府委員 組織機構の簡素化、合理化に関します全体的な流れでございますけれども、営林署につきましては五十二年の最初の計画時点で約一割を統廃合するという方針が決められまして、それが順次二回にわたり行われ、現在三回目の九署が計画されておる。途中におきまして、その年その年の行政改革の推進についての閣議決定の中で年次的な計画が定められておったわけであります。 営林局につきましても五十五年の農林省設置法の一部改正の際に定められまして、それが五十九年一月の閣議決定あるいは五十九年末の実施方針というふうに、何回も、その路線を固めると申しますか、そういう形で慎重に進められてまいった。そういう実行の過程におきまして林野庁も随分いろいろな経験、勉強を積み重ねてまいりまして、組織機構を簡素化するということは、今後とも私ども長くしょっていかなければならぬ任務でございますけれども、過去におきましていろいろ貴重な経験を積んでまいりましたので、それらを十分踏まえまして今後のことにつきましては慎重に考えていかなければならぬと思っております。 当面の計画といたしましては九営林署の統廃合でございますが、これにつきましても、内部的な業務といたしましていろいろな検討はいたしておりますけれども、これも、決定いたしますまでに地元に対します説明、意見の聴取等を十分行いまして、円満な実行ができますように最大限努力を尽くしていきたいと思っておりますが、スケジュール等についてはちょっとまだ御説明できる段階にはございません。すぐ差し迫ってという段階にはまだございません。もうちょっとおくれるかと思います。具体的なスケジュールをまだ定めてはございません。
○島田委員 まだ具体的には手をつけていないというお話でございますが、前二回の統廃合の際にも私ども強く申し上げましたが、長い歴史そして伝統に支えられ、また地域の住民の皆さんとは非常に親密的な、また期待の大きい役所として、その存在の重みは筆舌であらわし得ない営林署もたくさんあるわけでございます。そこを生木を裂くようにしてやるということは断じてやるべきではない。だから十分な話し合い、理解と協力が求められている。こういうことを大前提にして進めていく。私はこうした営林署の廃止に対しては断固反対であります。反対でありますけれども、どうしてもおやりになるあなた方の姿勢を阻止できないとすれば、最小限、地元の理解と協力が得られる、こういう前提を崩してまで強行することはもう許せないという気持ちを私たちは今も強く持っておりますので、この点については念を押しておきたいと思います。 ところで、ことしは国際森林年、総理初め国際森林年ということをスローガンにしていろいろなことをおっしゃっています。耳に新しいこともあり、あるいはまた言い古されたことの言い直しをおやりになったり、いろいろなことを言葉をかえておっしゃっているわけであります。しかし問題は、口で国際森林年を繰り返すだけではオウムと同じでございまして、これを実行に移すということが私は大事だと思うのです。もう半年になんなんとしておりますが、国際森林年の元年にふさわしい森づくり、あるいは森林の見直し、緑づくりが進められているのだろうかということになりますと、私はどうもいま一つぱっとしない感じがいたしてなりません。 何といいましても国際的な森づくりという大変大事な初年度でございます。この大事なときに機構の縮小を行うなんというのは、本当は時代逆行も甚だしい、むしろ緑に背を向けたやり方だ、私はこう思うのです。国際森林元年にふさわしい地域振興を含めて国有林の経営のあり方を問い直さなければならないだろう、私はこう思っているのでありますが、残念ながら国有林財政は厳しさを増すばかりであります。その認識において私は大臣とそう大きく変わっておりません。いや、ほとんど認識を一つにしているでありましょう。ただ、こうした大事な緑づくり、森づくりの中核的な、あるいは先駆的な、また模範的な役割を果たさなければならない国有林が、今日、財政の危機を迎えているということは国民にとって大変悲劇であります。ですから、私たちは母川国有林の財政再建を具体的にも提言をし、またそのときのトップに立っておられる農林大臣の決意を促してまいりました。 この際、大臣の所信を伺っておきたいと思うのでございますが、たまたま五月十九日の毎日新聞でありますけれども、東京の小平市に住んでおります八十七歳になるおばあちゃんが、自分でこつこつとためた二百万円の浄財を、私の北海道にトドマツの美林をつくる、こういうことで、「おばあちゃんの森」ですか、こういう名前でこの貴重なお金を拠出されました。これは東京小平市と同じ小平と書くのでありますが、北海道にオビラと読みます小平という町がございます。これは留萌にあるのでありますが、ここの町と姉妹関係を結んでおりまして、読み方が違っても名前が同じということで、おばあちゃんはそこに大変強い愛着を持っておられたようであります。 たまたまトドマツの森をつくろうという呼びかけが小平町民の間から起こってまいりまして、それを知ったおばあちゃんが、先ほど申し上げました自分のなけなしのとらの子二百万円を出しまして北海道に植林をしよう。特にこれは子孫に財産を残すためということではなくて、日本の現状を見ていますと、世界の樹木を、森を切り尽くしている、これでは文明国日本、あるいはまた世界の大事な仲間入りをしていこうとする日本の姿勢としては間違っているのではないか。そうやって世界の森を切り尽くしながら、国内的には荒れほうだい、これではどうも情けない、こうした緑が衰えていく危機感に駆られたそうでございます。 それで、子供たちにも孫たちにも、緑こそ人間の友達だ、毎日そうやっておばあちゃんが教えておられまして、それを口先で言うだけではなくて、今度は実行に移そう、こうお考えになった。ちなみに、この方は大変才媛の誉れ高い人でございまして、現在の青山学院大学の御卒業で、間もなく九十歳におなりになるという方であります。 しかし、こういう方が東京の真ん中に住んで、日本の緑、世界の緑を心配されているということは、一面ではありがたいうれしいことではありますが、一面では大臣、あなたに対して強い警鐘を鳴らしておる、忠告をしておる、こういう方たちから警鐘を乱打されるなどというのは、本当は大臣あるいは長官、行政に携わっておられる皆さん、僕も含めて大変これは無念なことでございましょう。そういう意味で、大変いい私たちに対する、孫、子供に残す教訓ばかりではなくて、政治家や行政に携わっている役人の皆さん方にも与える大変とうとい教訓ではないかと私は思うのです。これはぜひ生かしていきたい、こう思っているのです。 昨日の私の隣の多田さんのおじいちゃん、おばあちゃんの話といい、きょうのこの八十七歳の田村さんというおばあちゃんといい、私どもは本当にこうしたよい先輩からいろんなよい教えを受けながら、実はそれが自分の体にちっとも定着しないばかりか、口先だけはうまいことを言ってもなかなか行動に移すことができないでいるというのは、この際大いに反省すべきことではないか、こんなふうに思うのです。 国際森林年、どうかこの国際森林元年にふさわしい我が国の緑づくりに、たまたま時の大臣におなりになった佐藤守良という人の、今後、緑というものにかける情熱というものが明確に国民の皆さんにわかるようにするということが大事だ、この際、大事な点ですからあえて大臣にお尋ねをしたい、こう思ってこんな事例なども申し上げながら、その決意を伺う次第でございます。
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。 今の八十七歳の田村さんというおばあちゃん、大変ありがたいうれしい話でございます。そんなことで、今長官と話していたのですが、できればその人を訪ねて何か感謝の気持ちをあらわしたいな、こんな話をしておったわけでございます。本当にありがとうございました。 実は、今先生からも御指摘があったわけでございますが、国際森林年でもあり、また、最近の森林・林業に対する国民の関心が高まる一方、これを取り巻く環境が非常に厳しさを加えているということは先生も御存じのとおりでございます。 そんなことでございまして、国有林野事業がその課せられた使命を果たすために一番大切なことは、経営の健全性を確立するということだと思います。そんなことで、その一環として組織機構の簡素化、全理化は避けて通れない課題であります。 また、統廃合の実施に当たりましては、二つの大切な問題点があると思います。その一つは、国有林野事業の機能の低下あるいはまた地元関係者に対するサービスの低下を招くことのないように配慮してまいることが大切だと思います。 そんなことで、今後の国有林野事業の経営に当たっては、新改善計画の着実な実施により、経営の改善を図りながら、三つの重要な使命の達成に努力したいと思っております。その一つは、林産物の計画的な持続的な供給、また二つ目には、森林の有する公益的機能の発揮、三つ目には、農山村地域振興への寄与、こういう重要な使命を果たすべく、今後とも努力してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○島田委員 国有林の財政再建というのは大変緊急を要する点でありますが、これはまたもう少し時を改めて、時間をもう少しいただいて十分私の考え方も具体的に述べさせていただきたい、こう思っておりますので、その機会に譲りたいと思います。 たまたま毎年この時期になりますと、次年度の予算がそろそろ動き出すころではないかと私は思います。既にそれぞれの役所のセクションにおきましては、六十一年度予算の問題について検討が進められているのだろうと思うのでありますが、私は、昨年そして一昨年、二年にわたりまして、与党の皆さんとも国有林の財政再建についての意見交換も幾度かさせてもらいました。 これは十分とは言えないのでありますが、我が党の委員長と中曽根総裁、総理との間の党首会談においても、森の問題、緑づくりの問題、あるいは森林・林業を通して子供の教育の問題などなど、大変大事な点に絞りまして幾つか問題提起をし、そしてお互いの合意も一定程度得たところであります。また、その後は、書記長・幹事長会談、あるいはまた政策にかかわる部分もございますので、与党の政調会長あるいは我が党の政審会長、このレベルにおきます会談においても幾つかの問題提起をしてまいりました。 与党の皆さんからも、この点は大変重要であるという認識で合意をいただいているところでありますが、予算化となりますとなかなか難しい。しかし私は、まずそういう点が解決されれば、相当国有林の財政再建並びに我が国の緑づくりに大きく貢献するのではないか、今もその点では確信を持ちながら、六十一年度予算についても、この点はやっぱり重ねて主張し、政府当局における予算の段階において具体化できる十分なる検討をぜひお願いしたいものだと思っているものを、きょうは三点だけ申し上げたいと思うのです。それでお考えをお聞かせ願いたいと思っております。 何といいましても急がなければならぬのは間伐でございます。これも認識はもうほぼどこも一致するわけですね。戦後の造林地一千万ヘクタール、そして特にここ近年緊急に間伐をしなければならない面積が、政府・林野庁の発表によりましても百九十万ヘクタールある、こういうことであります。本格的には昨年から力を入れておるわけでありますけれども、それにしても、緊急を要する間伐にわずか五十億程度しかつかないのでは、とても私は事業が円滑に進むとは思われません。 ことしも既に相当間伐が六十年度予算で進んでいると思いますけれども、まず、この進捗状況というのがどの程度になっているのかお聞かせをいただきながら、私は大臣、これは国民的な課題と位置づけてもいいんではないか、そうでありませんと、言うまでもないことでありますが、間伐がおくれる、除伐がおろそかにされることによって、もう正常な成長を遂げていない林が、道路、国道を通っただけで目に入ってくるぐらいであります。いわゆるもやしみたいな木になっているのですね。これでは私は、せっかく国産材時代を迎えるという、そういうことが決して遠くない目の先に迫ってきているのに、このありさまでは、せっかくの国産材が全く無価値に等しいようなものになってしまう。これは何としても急がなければなりません。 そのために、ことし、六十年度予算で、先ほど申し上げました党首会談、政調・政審会長会談で、少なくとも政府・林野庁が要求している五十二億に、二十五億を積み増しして七十七億ぐらいは六十年度の予算で必要ですということを私は強調したのです。しかし、実現しませんでした。五十二億でした。 これは私はどうも残念なんで、ことしはぜひ間伐が進んでいって——今の予算のこういう状態でいきますと、長官がお考えになっているような短期間でとても間伐は促進しません。十年以上かかってしまいます。そんなことをやっていたら一千万ヘクタールの全体の間伐が大幅に落ち込んでしまうということになりかねません。ぜひ間伐促進を願いたい。 時間があと五分しかないという通告でございますから、一つ一つお聞きしているという暇がなくなりましたから、一遍にお聞きいたします。 もう一つは、子供に教育の場、森を開放しよう、それを私たちは教育森林という名目で六十年度の予算で明確に要求をいたしました。これは大臣、そんなにべらぼうに金がかかるものでないのですよ。私どもは五千万ぐらいあればと言いましたが、五千万あったら五十カ所は優にできると思うのです。まず調査をしていただきまして、子供たちが体を通して山を知り、そして、国民の森づくりにこんな若い子供たちにも参加を願うことによって、一緒になって親も山を見直すようになってくるでしょう。やはり国民の意識を森に向けさせる、緑にしっかりとくぎづけさせるということが私は大事だと思うのです。これをぜひことしは実現してもらいたいと私は思っています。 それから三番目は、国有林の財政再建でありますけれども、何といっても一般会計をふやしてもらわなければいかぬし、利子補給対策を含めて償還条件の緩和など、やらなければならないことが大変たくさんある中で、重点的に申し上げますと、こういう点が改善されていくということが当面国有林の財政再建に大変大きな効果を発揮する、こういうふうに思っておりますが、もちろん山の問題、これだけの予算要求で終わるものではございません。ただ、私は六十年度の今の予算を要求し、与党の皆さんとお話をさせていただきましたときに提起した三つの問題点は、ことしも、六十一年度の予算要求の段階でも忘れていただきたくない大変大事な課題であるという点で、きょうは三つに絞りました。その点だけを強調させてもらっているわけでありますが、いかがですか。
○田中(恒)政府委員 最初に、間伐に関連してでございますが、私どもの調査によりますと、緊急に間伐をしなければならない、緊急と申しますのは、この数年、例えば五年くらいの間にはぜひとも間伐を行わなければいろいろな危被害が出るおそれがあると思われますのが百九十万ヘクタールぐらいに考えております。したがいまして、年に平均四十万ヘクタールぐらいとお考えいただいてもいいのではないか。現在の実行水準が大体二十五万ヘクタールでございますので、ちょっとといいますか、大分足りないわけでございますが、現在の五十二億の間伐予算につきましては、地域の牽引車になるような、これが誘い水となってずっと周辺の間伐を促進していけるように機能してほしい。予算でもって全体の間伐をカバーするというのは非常に難しい点でありますので、牽引車になってほしい。 そのためには、伐採から最後の売れるところまでをカバーできる、昨年よりもずっとその辺では充実した、伐採から搬出、販売に至るまでのいろいろな施策を採用し得る新聞伐促進対策、そういうのを中心にことしは考えているわけでございます。 また、ことし林業をめぐる論議がいろいろ盛んになりました折に一番問題になりましたのは、やはり間伐のおくれでございまして、中長期対策の中でこれを手当てをしなければならないという強い御要請もありますので、現在、さらにどのような手段をもって間伐を実行することができるか、庁内でも検討を進めているところでございます。 次に、二番目にお話しございました教育森林でございます。大変幅広くいろいろ利用することのお話でございましたが、名前はどうあれ、私ども、特に国有林におきましてはそういうふうな御要請には極力こたえるように指導もいたしておりまして、やはり実際に造林、下刈り、あるいは単なる観察だけでもよろしい、そういう森林に触れることが大変貴重な教育効果があるということから、分収造林制度を入れてもよろしいし、分収育林でもよろしい、あるいは体験造林とか、あるいは単に、低学年であれば自然休養林の中を歩くといいますか、そういうふうな観察でも、自然観察林というものも設けられますし、いろいろな形で、その地域の本当の御要請を具体的に伺って、次代を担う青少年のためにどのように国有林を役立たせ得るか、あるいはこれは公有林におきましても、むしろ国有林よりも弾力的な対応が可能であるかと思いますが、そういう方向で次代の国民のための森林の活用にはこれまで以上に力を尽くしていきたい、名前はいろいろありましても、それを動員しまして、そういう目的のために活用してまいりたいと考えております。 〔衛藤委員長代理退席、委員長着席〕
○島田委員 長官、申しわけないが、時間が来ましたので、国有林のところはまた時を改めます。問題提起だけにとどめておきます。よろしゅうございます。 そこで、大臣に最後に、二千億か三千億か知りませんけれども、木材の関税の問題で、新聞にもそんな報道がありましたが、それは私は断固としてそういう金をどこからかでもとにかく集めるというか取ってもらいたい、そうやって国内対策をやってもらう、その決意だけひとつお聞きしておきたいと思います。
○佐藤国務大臣 今、長官が答えている最中であったわけですが、率直に言いますと、間伐材の問題でございますけれども、結局間伐材をどうして安く出すかというよりも、その前に林道、作業道の整備が必要だと思います。そんなことで、木材の価格というものを見ておりますと、原木代よりもむしろ輸送費が余計かかる、そういう形にしないならどうするかということで、大体今四九%が間伐の時期に来ていると思います、それをどうするかというのが総合対策でございます。 そんなことで、今の形でいけば、何とか総合対策を予定どおりやりたい、それには当然林道、作業道を含めて、コストをどう安くするか、基本的に実は大切なことは、今の木材の価格は五十五年に比べて低下していると言いますが、高いということです。木材の価格をどうして下げるか、それは輸送費を安くすることです。それはできるのです。そうすれば木材にも明るい未来ができる、こんなことをもちましてその総合対策を今鋭意検討中でございまして、御期待に沿えるように頑張りたい、こう思っております。
○島田委員 終わります。
○今井委員長 次に、吉浦忠治君。
○吉浦委員 私は、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件でお尋ねをいたしたいと思います。最初に、営林局の整理統合の問題についてお尋ねをいたしたいのですが、昨年、林野三法がかかりました折に、私どもは名古屋営林局管内を調査させていただきました。特に下呂営林署、または東濃ヒノキの本場でありますところの付知営林署等、大変意欲的に仕事をされている印象を受けてまいったわけでございますが、今回、その名古屋営林局を廃止をして長野営林局に統合ということで、新たに名古屋営林支局を設けるに至った経緯、また、何を基準にそのような判断をされたのか、この点をまず最初にお伺いをしておきたいと思います。
○田中(恒)政府委員 現在、十営林局があるわけでございます。これを一局を統合いたしますと九になるわけでございますが、その二つの組み合わせにつきまして、どのような新しい営林局が生まれてくるかということにつきまして、業務の実態あるいは地理的条件等を総合的に勘案して検討をいたしたわけでございます。 統合されました後におきましても、その国有林野の管理経営が適切かつ円滑に行われ得る態様であるかどうか等を見たわけでございますが、最終的に総合的な判断の結果決まりました現在の長野・名古屋案におきましても、統合をいたしましてできます新しい営林局が、いろいろな指標がございますが、例えば営林署の数におきましては九営林局のうちの真ん中辺の第四位、あるいは管理面積におきましてもやはり真ん中辺の第五位というふうに比較的中庸な規模の営林局として生まれますので、円滑な管理運営も可能であるというふうに判断をいたしまして現在の案にしたわけでございます。
○吉浦委員 そうしますと、今回の改正はいわゆる地方自治法の第百五十六条第六項の規定どこうなっておりますので、法の建前からいたしましてもいわゆる地方自治とのかかわりが問題だと思うわけでありまして、当然愛知県あるいは名古屋市等の関係各県及び市町村等の理解と協力を得なければならないというふうに考えるわけでありますけれども、その点どのように協力を得られたのか、お伺いをいたしたいと思います。
○田中(恒)政府委員 今回の統合を検討するに当たりましては、いろいろ関係いたします県当局あるいは県議会の関係者の皆さんを初め、地元の業界その他広く多くの方々から御意見を伺っていたところでございます。それぞれ長い伝統と地元に密着した仕事をしておる営林局でございますので、大変厳しい御意見がいろいろあったわけでございますが、今回の計画を実行せざるを得ない経緯等につきましてるる説明をいたしまして、理解を得るための最大限の努力を払ったところでございます。 また、決定いたしました後におきましても、広く地方公共団体等に対しましてはその経緯を説明して、理解と納得が得られますように最大限の努力をしたわけでございます。したがいまして、一〇〇%とまでは申せないとは存じますけれども、最大限の努力によりまして一定の御理解をいただいた。したがいまして、今日一定の御支援と申しますか、御了解を得られた形でこれを進め得る段階になったものというふうに考えておるところでございます。
○吉浦委員 やむを得ないところもあったのではないかと推察をするわけでございます。 したがいまして、今度はその名古屋営林支局の組織機構というふうになるわけでございますけれども、一部一課というのを削減するかわりに、需要開発センター、これは仮称のようでございますけれども、設けるというふうに聞いているわけでありますが、これにどのような機能を持たせて運営なさろうとなさっておられるのか、この点をお答えをいただきたい。
○田中(恒)政府委員 名古屋市が日本有数の木材都市であり、大生産都市であり消費都市であるというような条件から、現在の木材需要が非常に低迷しておるときでありますし、国有林材もPR活動を積極的に推進することが非常に重要であります。また、その材の販売のみならず、国民の皆さんからの森林、緑に対します関心が非常に高まっておる中で、国有林野事業の役割を理解していただく、そういう中から森林レクリエーションあるいは分収育林、触れ合いの森づくり等、国民と国有林とを結ぶこのような制度、これを積極的に外へ向かって展開していく。 そういう任務は名古屋の置かれました立地条件からして非常に地の利を得ておるという判断から、仮称でございますが、需要開発センターというものを設けまして、今申し上げましたような業務を担当し、推進させたいというふうに考えているところでございます。
○吉浦委員 局の削減とそれから支局の設置という機構改革でありますから、実質的にはそれほど変化していないのではないかというふうに私は考えるわけでありますが、これからの問題として、営林署の整理統合を九カ所行うということが既に閣議決定をされておるわけであります。これをどのようにされるおつもりなのですか。 さきに地方自治とのかかわりの問題をお尋ねをいたしたわけでありますけれども、営林署の方がむしろ私は過疎対策上深刻な問題をもたらすのじゃないかというふうに心配をいたしておるものでありまして、これこそ地方自治体のいわゆる理解と協力を得なければならない問題ではないかというふうに心配をいたしておるわけでありますが、どのようにお考えなのか。
○田中(恒)政府委員 これまで、五十三年度に九営林署、五十六年度に七営林署をそれぞれ統廃合を実行したわけでございまして、いずれも地域にとりましては古い、親しまれたと申しますか、そういう役所でありますので、大変貴重など申しますか、いろいろな意味で苦しい経験なども積み重ねてまいりまして、それらに関連いたしまして、国会におきましても、地元に対するサービス低下を防ぐ問題、あるいは関連する職員の労働条件の低下を招かない措置等につきまして決議をいただいておるわけでございます。 今後そういう経験を踏まえまして慎重に計画をいたしてまいりたいと思っておりますけれども、従来からの地元地方公共団体等の理解と協力を得る努力を、これまでの経験を踏まえましてさらに徹底をした上で計画をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○吉浦委員 昨年の十二月の閣議決定によりますと、六十二年度末までに営林署十九カ所の統合、それから診療所等の整理統合、それから林業講習所北海道支所の廃止、それから六十年度千五百七十人の定員削減、基幹作業職員等の新規採用停止、こういう措置が予定されているようでありますが、果たしてこの措置だけでいわゆる国有林野事業の収支の改善にどれだけ寄与できるのか。 守りの姿勢だけではいわゆる職員の士気の低下をもたらすのではないかというふうに私は心配をいたしておるわけでありまして、もっと需要開発の努力をすべきではないかというふうに考えるわけでありますけれども、この点どのようにお考えなのか、お尋ねをいたしたい。
○田中(恒)政府委員 さきに御指摘のありましたいわゆろ経営改善、合理化と申しますのは、大体身を切る性格のものでございますので、出血といいますか、非常に痛いと申しますか、やはりそれに耐えてでも合理化をしなければならぬというのは、経営効率を重んずる現業の使命と申しますか、大変つらくてもやらなければならないということでございますが、やはり職員に対しましては、現在の情勢のもとにおきましてはそういう身を切る努力も当面しなければならないという必要性、必然性を十分理解してもらってこれを切り抜ける、士気の低下をすることなくこれに立ち向かってほしいというふうに考えておりますが、単に切り込むだけの合理化でもって対応できるものではなく、積極附に打って出るという戦略も先生御指摘のとおり必要だと思っております。 それが特に収入の確保のための販売戦略にあらわれておりまして、最近におきますと、従来は一定のものを切って売っておりましたけれども、例えば、全部注文を受けてその仕様に従って生産するとか、材質の低下するときは生産をストップするとか、購買案内なども民業の知恵をかりた工夫を凝らすとか、特に販売につきましては大変積極的な努力をさせております。単に主要な木材の販売だけでなく、分収育林を広めるに際しましても、あるいは国有林野の総合的な利活用にいたしましても、外の要請と申しますかニーズをよくとらえていくように、打って出る積極的な経営改善についても十分これからも力を尽くしていきたいと考えております。
○吉浦委員 その分収育林制度についてちょっとお尋ねをいたしておきたいのですが、国有林野事業は既に一兆円の債務の累積があるわけでありまして、これの年間の金利だけを見ましても、仮に七・五%とした場合に金利だけで七百五十億円という負担がかかってきておるわけであります。国有林野事業の収支の改善は早急の課題ではないかと思うわけでありますが、その第一歩として昨年から始められましたいわゆる分収育林制度は今後その一助になるのではないかと思っているわけであります。 昨年、試験的に八百八口募集したところ、三・五倍の応募があったと闘いでおるわけであります。四億円の収入があったと言われているわけでありますが、国有林の七百五十四万ヘクタールのうち二百三十万ヘクタールが人工林で、その八〇%が植林後三十年以下のものと聞いているわけであります。そのすべてに分収育林制度を適用することはできないといたしましても、相当数がその対象となり得るのではないかと考えます。そうなりますと、国有林野事業の収支の改善は大いに期待できるのではないかと思うわけてすが、本年はどのような計画をお持ちなのか、この点をまず最初に伺っておきたい。
○田中(恒)政府委員 昨年、試験的に実施をいたしました際には、ただいまお話しございましたように、約三倍半の応募がございました。もちろんこの収入はいわゆる利子がつかないという非常な利点もございますし、将来は造林地の伐採量も非常にふえますので、それが今の苦しいときに前倒しの形で収入として得られるという利点があるわけでございますが、現在の外分の構成からしまして、形式的に林齢からのみ見ますと八割程度が非常に若い林齢でございますけれども、将来、主伐収入でそのときの国有林を管理経営しなければならない任務もありますし、市場の規模とか幅、深さと申しますか、果たして長期にわたってどういうものであるかという点につきましては、去年一年だけの経験でございますので、ちょっとまだ見定めかねる点がございます。 本年もそういう意味で、計画といたしましては約五千八百ヘクタール、これは全国の営林局、支局におきまして面積を五千八百ヘクタール、口数にいたしまして約二万一千口にしております。これを春と秋、二回に分けて公募したいと考えておるわけでございますが、これへの応募状況をよく分析いたしまして将来の可能な規模などが推定できるのではないか、今のところはまだちょっと見定めかねるというのが実情でございます。
○吉浦委員 林野庁は五万人の職員がいらっしゃるし、おやめになったOBの方が二万人いらっしゃると聞いておるわけでありますけれども、この方々にも何らかの御協力を得られるような方法はないのかどうかということを考えているわけです。 また、一口五十万という金額でありますので、これは容易ではないことはよくわかるわけでありますが、例えば郵便局とタイアップしたクレジット制度の導入とか、参加しやすいような方法で、状況をつくって大いに役立てていただければというふうに考えるわけですけれども、どういうふうにお考えでございますか。
○田中(恒)政府委員 この分収育林の構想が発表になりましたときに、退職者の団体から、自分たちも大変いい時代に国有林に働いた、今後輩は非常に苦労しておる、こういう制度に積極的に応募することによって応援の気持ちをあらわしたいということで、個人としての応募をなさった方ももちろんいるわけですが、さらに、多くを出せない先輩もおりますので、そういう全退職者が集まりまして団体をつくりまして、それはもう永久寄附という格好で回していこうということから、だんだん資金も数千万集まっておるわけですが、そういう団体として取り組む、個人として取り組むという二つの動きが退職者にもございます。 また、職員につきましても、直接この業務に携わっておる職員は一応できないことにはなっておるわけですが、自分が一生働く職場のことでありますのでこれに応募していきたい、昨年は民間の方が多過ぎましたので、割り込んではいけないので皆控えておりますけれども、これは職員からも相当の応募はあるものと考えております。 それからまた、なれた方のノーハウを活用すると申しますか、いろいろ銀行とか私どもには弘済会とか、そういう難しい販路開拓を代行し得るような、民業の活力を利用して広く販路獲得できるところもあろうかと思いますので、委託セールス方式ということも可能ではないか、これも採用できる見込みで今検討しておるところでございます。 また、一般公募ばかりですと大口の契約がなかなかできないということもございますので、非常に密接な関係のある、水で非常に関係の深い市町村とか電力会社などというところにつきましては随意契約の道も開けるのではないかということで事務的な詰めもいたしております。そういう手だてを講じまして、相当量の契約ができますように努力しておるところであります。
○吉浦委員 「隗より始めよ」という中国の古いことわざもございますけれども、佐藤農水大臣も何か先駆けて一口お求めになるようなおうわさを聞いておりまして、大変喜んでいるわけでございますけれども、その分収育林制度の内容についても、例えば複層林等を対象として途中で配当ができるようにするとかという充実の方法はないかどうか、そうして定着を図るべきではないかというふうに考えておるわけですけれども、その点、どういうお考えでございましょうか。
○田中(恒)政府委員 分収育林につきましては、農林大臣も、お孫さんのも含めまして六口の応募をしていただきまして、何とかうまくくじに当たるようにひとつ……。 今、複層林のことでございましたが、やはりいろいろな森林の機能を考えますと、従来のような単純な一斉造林、一斉皆伐方式の連続ではいろいろ問題が生ずるということも考えられますので、今後必要な地域、条件におきましては複層林施業を積極的に取り入れたい。これは国有林、民有林ともに、今後いろいろな総合的機能を発揮し得る施業として重要な位置づけをいたしておるところであります。
○佐藤国務大臣 先生にちょっとお答えいたしますが、今の先生のアイデア、非常にいいと思います。今、私は郵便貯金とか金融機関のクレジットは余り考えていなかったところであります。そんなことで、郵便貯金とかあるいは生保、損保、銀行業界に話しましてそことタイアップする、そういうことで、基本的には緑を守るということで御協力願うということでぜひ推進したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○吉浦委員 余り時間がございませんのでちょっとまとめてお尋ねをいたしておきたいのですが、環境保全と林業施策の整合性についてお尋ねをいたしたいと思います。 いわゆる林野事業と自然環境保護とのかかわり合いでございますけれども、ある意味ではこれは永遠の課題ではないかと思うわけであります。我が国に残っている原生林は、貴重な国民の財産として次の世代に継承していくべきものというふうに考えるわけであります。 先日も林野庁長官にお会いいたしまして、祖母傾山系の原生林の保護等について申し入れをいたしたわけでございますけれども、大分、宮崎両県にまたがる祖母傾国定公園の秘境と称されるところでありますが、奥深い現場にあって、薄い表土層を持つ急傾斜の岩石地帯に形成される原生林や天然林が、既に広域の伐採をされ、土砂あるいは岩石を流出させつつ、無謀な林道開設等が行われた形跡があるわけであります。予想を上回るそういう状態のようであります。 そこで、長官に申し入れた点で、こういうすぐれた景勝地や観光資源を初め、他に例を見ない貴重な動植物等も豊富に生息しているわけでありますので、こういう林業活動にあっては、これまでの姿勢を改めて、自然保護との整合性も考えなければいかぬのじゃないかというふうに考えているわけですけれども、どのように対処されるおつもりなのか、これが第一点。 それから、原生林等の保護区域を拡大強化する場合に、その経営管理に要する経費が大変かかるわけでございますから、これを独立採算制を原則とするいわゆる国有林野特別会計とは別枠のものとしてお考えになる必要はないのかどうかというのが第二点。 第三点に、今後の課題といたしまして、昭和六十一年度から実施予定のいわゆる地域施業十カ年計画の策定の折に、国有林は国民共有の財産であるという認識のもとで、事前に地元の住民なり自治体、自然保護団体等も含めまして関係情報を提供したり、あるいは必要に応じて十分な意見調整を行ってその策定をされなければならぬというふうに考えるわけでありますけれども、なるべく簡単で結構でございますので、この三点をまとめてお答えをいただきたい。
○田中(恒)政府委員 国有林の施業につきましては、昭和四十八年に大きな転換をいたしまして、自然環境の保全でありますとか形成でありますとか、そういうことに十分配慮した施業をするようにこれまでいろいろ指導をしたわけでございますが、実際に施業した結果、完全にその目的どおりにいかない、あるいは今考えまして問題なしとはしない事例等もあるわけでございます。したがいまして、今後は十分それらに気をつけまして、いわゆるきめ細かい施業を行う、施業計画においてもきめ細かく、あるいはそれを実行する営林署におきましても、地域を知悉した営林署として適地適木の仕事ができるようにさらに指導を強めてまいりたいと思っております。 それから、国有林の中には、おっしゃいました公益的機能の高いところもございますし、また学術上非常に貴重だというところもございます。それらが大変入り組んだような形でありまして、国有林としては一体的にそれを管理しておるわけでございますけれども、率直に言って公益的機能のみだというところも相当量あるわけでございます。 そういうところの管理経営に関する費用はどうあるべきか、負担はどうあるべきかということについては、一昨年来いろいろ議論もございまして、私どももこれから国有林の実態を世に知っていただく上でもそういう調査、検討がなされなければならないということから、昨年から、外部機関も活用いたしましてこの点の検討を進めておるところでございます。 それから、施業計画の樹立に当たってでございますが、これまでやはり地元の関係団体あるいは市町村等の公共団体に山の経営につきましての御意見を聞きながら、それを取り入れるべきものは極力取り入れるようにはしてきましたけれども、今日考えまして、必ずしもそれが十分とは言い得ない点もあったかと思います。関心も非常に高まっているところでもありますので、正しくそういう意向を把握できますように、現地の実情に応じまして適切な手段を講じてそういう意向の把握に努め、反映させるべく努力をしてまいりたいと思います。
○吉浦委員 最後に大臣にお尋ねをして、終わりたいと思います。本年はFAO理事会が決定いたしました国際森林年であります。我が国でも「君の未来 緑の地球」というスローガンを政府と民間団体が協力しながらその決定をして、記念事業を行うことになっておるわけでありますけれども、単に本年度だけのお祭り騒ぎで終わらせるわけでなくて、地に根差した国民運動にすべきではないかというふうに考えるわけであります。私どもも、党といたしましてジャパン・グリーン会議というものを設置いたしまして、都道府県にも同様のものを設置して、中央と地方が一体となって積極的に運動に取り組んでいるわけでございます。私の地元の千葉県においても、実態調査や講演会、あるいは青少年に対するアンケート調査等を企画しておるわけであります。 森林は国民全体の財産であります。これをいかに次の世代に受け継がせるかということは、ひとえに次の世代の青年にかかっていると思わなければなりませんが、くしくも本年は国際青年の年でもあるわけでありまして、森林を次の世代にどうかかわりを持たせるかは今後の重要な視点であると考えるわけであります。大臣の御所見をお伺いいたして、質問を終わりたいと思います。
○佐藤国務大臣 吉浦先生にお答えいたします。先生の御指摘のとおりでございまして、国民の理解を深め、また広く青少年参加のもとに、二つの点を中心に実はやろうということで、一つは国際森林年記念の森をつくること、それからもう一つは、記念シンポジウムや森林・林業展等を内容とする国際森林年グリーンフェスティバルを開催するほか、次代を担う中学生を対象としまして、森林・林業の役割を解読したビデオとか副読本を作成しまして配付する等の計画を実行しております。 森林・林業の問題は、先生御指摘のとおり息長く取り組む必要があるので、国際森林年を契機としまして、今後とも森林・林業に関する青少年層、一般国民の関心を喚起しつつ、我が国の林業の発展に努力したい、こう考えております。
○吉浦委員 どうもありがとうございました。
○今井委員長 次は、神田厚君。
○神田委員 長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件につきまして御質問を申し上げます。 国有林野事業の経営改善にとりましては、組織・機構の簡素合理化は、私どもは必要であるというふうには認識をしております。しかしながら、営林局は国有林経営の現業組織として、地域社会とのつながり、地元サービスの向上を図る必要がある、森林・林業の衰退に歯どめをかけ、その活性化のための役割は大変重要なものがあるわけでありまして、私どもはそういう立場から、営林局の削減ということにつきましては反対の立場をとり続けたわけであります。しかしながら、今回遺憾ながら名古屋営林局が支局化されるというふうなことになったわけであります。 営林局の持っております役割は、国有林野事業の基幹組織として主導的な立場から経営改善を推進をしていかなければならない、そういうものでありますが、今回の支局化がこのような使命を十分に考慮した措置なのかどうか、まずお尋ねをしたいと思うのであります。
○佐藤国務大臣 神田先生にお答えいたします。 国有林野事業というのは、三つの重要な使命を持っておると思います。一つは、林産物の計画的、持続的な供給、二つ目には、森林の有する公益的機能の発揮、三つ目には、農山村の地域振興への寄与といったような重要な使命を持っております。その使命を果たしていくためには、その経営の健全性を確立することが大切であると考えております。そんなことで、その一環として組織機構の簡素化、合理化は避けて通れないものがあると考えております。 そんなことでございまして、統廃合の実施に当たっては、先生から御指摘ございましたけれども、国有林野事業の機能の低下や、地元関係者等に対するサービスの低下を招くことのないように、十分配慮してまいったつもりでございます。今後とも、国有林野事業に課せられた重要な使命の達成に遺憾のないよう努めてまいりたいと考えております。
○神田委員 また、今回、この国有林野事業の経営改善に支障は来さないのかどうか、その点はいかがでありますか。
○田中(恒)政府委員 営林局は国有林野事業の現場を管轄する地方組織といたしまして、地域社会と密接なつながりを持っているわけでございます。また、国有林野事業の経営管理、事業実行を推進する母体としても非常に重要な使命を果たしているわけでありますが、この業務運営の能率化、経営管理の適正化等を進めている国有林野事業にとりまして、営林局はそのかなめとしての役割を果たしているわけであります。そのために、今回の営林局の統廃合に当たりましても、このような営林局の持つ機能が今後とも継続的に発揮されなければならないという必要がありますので、営林支局を設置してこれを行わしめるというふうにしているところであります。また、その担当する業務内容におきましても、これまでの国有林野事業の機能の低下あるいは地元関係者に対するサービスの低下を招くことがないように、十分配慮をしてまいる考えであります。
○神田委員 今回、名古屋営林局が支局化されるわけでありますが、全国の営林局の中で支局化の対象を名古屋営林局に求めたのはどういう理由でありますか。
○田中(恒)政府委員 現在、営林局は十営林局で国有林野を管理経営をしているわけでございますが、一局の統廃合を行いますと九営林局になるわけでございます。それで、統合された形のものが円滑にその管理経営がなされるような規模、態様であるかどうかにつきまして十分検討いたしました結果、長野営林局と名古屋営林局を統合した場合、ちょうど九つの営林局の真ん中辺、営林署数とか管理面積におきましても、それぞれちょうど第四位、五位というふうな中庸の位置に位するわけでございます。そういうことで、適正円滑な管理経営のなされる規模であるという判断から両局を選び、さらに現場の事業実行その他の情勢を判断いたしまして、本局を長野、支局を名古屋というふうに決定をした次第でございます。
○神田委員 今回の措置は行革実施方針に即してとられたものであるわけでありますが、今後への波及はないのか、今後また営林局の統廃合というような考え方が出されるおそれはないのかどうか、その辺はいかがでありますか。
○田中(恒)政府委員 今回の営林局の統廃合につきましては、経営改善の推進及び行政改革の一環として、昭和五十五年に改正された農林水産省設置法、さらに五十九年十二月二十九日の閣議決定等に基づき実施するものでありますが、現時点におきましては、これ以外の統廃合の計画はございません。
○神田委員 国有林野事業は、従来から経営改善を進め、今最も重要な時期に来ているわけでありますが、その中で、職員の職務意欲の高揚が大変重要な課題であるわけであります。一省一局削減的な画一的な統廃合は、このようにせっかく努力をしている職員の意欲を減殺させるものであり、国有林野事業の自主性に任せるべきではないかという意見もあるわけでありますが、この点についてはどういうふうにお考えでありますか。
○田中(恒)政府委員 組織機構を簡素化していくあるいは要員を縮減していくということは、いわゆる出血的なことでございまして、内部の者にとりましては大変厳しい、痛い措置でございます。したがいまして、拡大することは喜々として考えられましても、縮小というのは大変厳しいことでありますが、国有林野事業の置かれております現状からいたしまして、どうしてもこれは避けられない、これを実行して、その先にやはり簡素化された組織を実現しなければならない、そういう必要性につきまして職員、労働組合の皆さんの理解を得るように最大限の努力をする、そういう努力をどこまでも傾注をしていかなければならないと思っております。 なお、そういう避けられない道だという判断から、いろいろな計画をしているわけでございまして、単に国の行政改革に関する方針もございますけれども、それをやはり国有林野事業といたしましては受けとめて実行しなければならないという主体的な判断も加えまして、計画としては実行をいたしておるところでございます。
○神田委員 名古屋が支局化されるということでありますが、名古屋はもともと大変大きな木材の消費地でございます。そういう意味では、この立地条件を十分生かした形で、例えば木材需要開発センター等の拡充が必要だというような御意見もあるようでありますが、この点につきましてはどういうふうにお考えでありますか。
○田中(恒)政府委員 先生のお話にありましたように、名古屋は本当に大変重要な木材都市でございまして、加工技術におきましてもそれが大変すぐれておりますために、名古屋における市況は常に全国でも非常に高い水準で取引をされている、木材都市のように私どもは思っておるわけでございます。 これまでの全国一律の営林局におきましては、大体同じ組織でそういう地域の特徴というものが余りあらわれてはおらなかったわけでありますけれども、今回、営林局問題を掘り下げて検討いたしまして、名古屋を支局化やむなしという決定をいたしました際に、名古屋の果たすべき使命はやはりこの木材需要の開発拡大である、あるいは都市であるという条件から、国民に対して開かれた窓としてのいろいろな作用を期待すべきであるというふうなことを内部的にいろいろ検討いたしまして、現在、仮称でございますけれども、需要開発センターというものを設けたい。そこを、今申しました国有林材、国産材の需要開発に関する広範な業務、あるいは国民の緑、森林に対する要請にこたえた分収育林の制度をPR、普及するとか、触れ合いの森でありますとか、いろいろ国有林でも打って出る施策があるわけでありますけれども、それの外への窓口として十分機能させたい、はっきりまだどういう業務と決めてはございませんけれども、そういう方向で整備をしてまいりたいという考えております。
○神田委員 終わります。
○今井委員長 次に、津川武一君。
○津川委員 森林を一層発展させる、森林を守っていかなければならぬ、山村を振興をしなければならぬ、このときなので、名古屋の営林局を支局にするということに承認を与えることは、私たちとしてもできないわけであります。 そこで、若干の質問を繰り返して展開していきます。 ことしは国際森林年です。森林の荒廃を防ぎ、林業を活性化する上で特別な年になっております。その点で、国有林野事業の果たす役割は相当大きい、国内林業復興のイニシアチブを、国の事業である国有林野事業が先頭に立ってとらなければならないと思います。 そこで、この国際森林年に相応するような事業としてどんなものを計画し、おやりになっているかをまず尋ねてみます。 青森営林局でございますが、国際森林年をきっかけに、一つの事業として国際森林年記念の森を造成する、分収造林を広げる、分収育林を広げる、国際森林年記念樹を植える、青森ヒバを見る集いをことしは三十回やる、森林・林業展をやる、緑の相談コーナーをやる、こういう形のものを計画しておりますが、林野庁として国際森林年をどう計画されているか、明らかにしていただきます。
○田中(恒)政府委員 この国際森林年が昨年の暮れに決まりまして、十分な準備期間がなかったといううらみは実はございますけれども、発表されましてから大変広い関心が寄せられまして、これはやはり相当な事業をことしを契機としてしなければ、そういう御期待にも沿えない、特に国有林は七百五十万ヘクタールも全国に賦存しておりまして、これまでもいろいろな緑化とかそれの普及宣伝のことはやってまいりましたけれども、ことしを契機に、それを全部、さらに一段も二段も拡充強化をいたしまして、国際森林年記念という銘を打って外へ打って出よう、そういう期待も大変大きいんだということで、先生今お話しございました青森の例と似たような創意工夫を、全国の営林局あるいは営林署でもいろいろやってございます。 必ずやっておりますのは、この記念造林の植樹でありますけれども、それを山にばかり植えておりましたのが、町へ打って出てみたり、あるいは青少年対象、身体障害児を入れてみたり、各地の工夫を凝らしまして、しかもそれが線香花火に終わらないように、ことしを契機として継続していくというふうなことで、全国の営林局署は真剣に取り組んでおるところでございます。
○津川委員 線香花火にならないように、国際森林年にふさわしい事業をどしどし進めるように、私たちもその点で応援するにやぶさかでないことを申し上げて、質問を続けていきます。 もう一つは、ことしの外国に対する市場開放対策です。そこで、市場開放対策に関連してですが、国内木材、林業活性化対策を特に講ずることを政府は打ち出しております。そこでこの国有林事業についても特に特別な対策が打ち出されておりますが、従来の対策、事業に加えて特別に何を加えていくのか、これも具体的にお答え願います。
○田中(恒)政府委員 今回の措置は、林業、木材産業の深刻な不振の中で、森林・林業及び木材産業の活力を回復させるために、まず第一に木材需要の拡大、次に木材産業の体質強化、三番目に間伐、保育など森林・林業の活性化を中心にいたしまして、財政、金融その他所要の措置を当面五カ年にわたり特に講じようとしているものでありますが、この具体的内容につきましては、現在鋭意検討中でございます。
○津川委員 とにかく具体的なことはこれから検討すると言っておりますが、特に事業を起こす、やる、こういうことでございます。 今こうした国際森林年、林業活性化特別対策を控えているわけです。かてて加えて、名古屋営林局は中部圏の中で木材の大消費地を抱えたところであり、この廃止、支局化はどうしてもやっぱりこの国際年の事業や特別対策に支障を来しますし、名古屋の経済にも影響を及ぼすので、営林局を支局にするという気持ち、計画、方針はやめていただいた方が農水大臣としての責任にも合致すると思うのですが、大臣の所見を伺わせていただきます。
○佐藤国務大臣 津川先生にお答えいたします。 基本的に森林・林業に対する国民の関心が非常に高まっております。また、一方におきましては、先ほど林野庁長官が答えたようなことでございますが、木材を取り巻く環境は非常に厳しくなっておる。そういう形の中で国有林野事業がその課せられた使命を達成していくためには、一番大切なことは経営の健全性を確立することでございまして、その一環として組織機構の簡素化、合理化は避けて通れない課題であるというのは先生御存じのとおりでございます。 そんなことで、昭和五十九年十二月二十九日の閣議決定に即して、長野営林局と名古屋営林局を統合することとしたものでございます。統合の実施に当たっては、名古屋営林支局を設置するとともに、同支局において立地条件を生かした需要開発センターを設立する等、地域振興対策の充実に配慮することとしているなど、森林管理とかあるいは地元サービス等、営林局の果たしてきた機能に支障を及ぼさないよう措置するように努めております。
○津川委員 大臣の言葉ですが、私は納得いかないのです。今言われたことを懸命におやりになってきた、その結果が日本の森林の荒廃であったり、生産が落ちることであったり、事業が苦しくなっているという状態なんです。そこで、やはりそういうことではなくて、機構というものもふやす、人もつぎ込む、お金もつぎ込むということでなければならないことを指摘して、質問を展開していきます。 そこで、名古屋営林局のことについて、支局化と関連して木材需要開発センターが設置されると聞いておりますが、そのとおりでございますか。
○田中(恒)政府委員 そういう構想を現在持っております。
○津川委員 もう一つ、名古屋には、営林局の下部機構である木材販売事業所、その事業所と貯木場があると聞いておりますが、これもそうですか。
○田中(恒)政府委員 前身が熱田営林署でありました。現在が木材販売事業所であります。それはございます。
○津川委員 この木材販売事業所が名古屋市の公園緑地化構想の一環に組み入れられている。そこで、開発センターができても将来残るだろうかという不安がある。開発センターはできるだろうか、できても木材販売事業所が廃止されるのではないか、こういうことなんですが、この二つはともに残って仕事をすることになるのでなければならないと思いますが、どうでございますか。
○田中(恒)政府委員 名古屋市が、市制百年と思いましたが、その記念事業に熱田木材販売事業所の敷地に総合公園を設置したいというふうな新聞報道がなされたことがございます。それは承知いたしておりますけれども、またこれは営林局に対しましては何ら申し出もなく、市の方からも、具体的な内容は決定しておらないというお話でございます。 したがいまして、営林局といたしましては、現在の段階におきましては、今回の需要開発センターの業務は、熱田の木材販売所で行っておる業務とのいろいろ関連もございますので、同じ所属といたしましてこれを存続させていきたいというふうに予定をしておるところでございます。
○津川委員 最後の質問でございますが、営林署の統廃合なんです。 営林署を持っておる地元の自治体や関係住民が非常に不安になって、私たちのところにも陳情や要求に来ておりますが、林野庁にも行っておると思います。そこで、営林署の統廃合、私たちは反対で、やらしてはいけないと思っておりますが、林野庁がやるとするならば、その方針を明らかにしておいた方がいいと思うのです。 そこで、青森県の下北半島でございますが、ここは長官も実際の仕事で現地で指導されたこともありますし、長官の身内もここにはたくさんおりますが、ここでは営林署が七つあるんです。津軽半島に六つあるんです。こういうふうに営林署が集中しているところは統廃合の対象にされるのではないかという心配を地元ではかなり持っているのです。この一カ所に必要である営林署がまとまっているところを統廃合の対象にするのかしないのか、これが一つの問題でございます。 もう一つには、その営林署の規模でございます。津軽半島の増川という営林署、中里、金木、それから下北半島の脇野沢、佐井、大間、碇ケ関、これは管理面積が非常に小さい。伐採収量も少ないのです。先ほど、名古屋営林局を支局に落とすときにそういうことも兼ねて考えたと言っておりますが、こういう形の仕事が少ないところを統廃合する、この方針の中に組み入れているかどうか。これが二点。 第三点は、地域の人たちと密着あるところ、地域の人たちと協議ができるところ、そういう点で地域の応援体制があるところ、山村生活に極めて深く関連しているところ、ここはやらないが、そうでないところはやられるのじゃないかという三つの心配を持っているわけでございます。 ここいらで、営林署の統廃合、やってはいけないのですが、やるとすれば一つの方針を出さなければいけない段階に来ておりますが、いかがでございますか。
○田中(恒)政府委員 これまで、五十三年、五十六年と二度にわたりまして営林署の統廃合を実施してきたわけでございます。いろいろ考えますと因子はございますけれども、一つの因子をもって決定的に物事を決定するということ、そのようなことはこれまでもいたしたわけではございませんで、やはりいろいろな因子の総合的な判断となると考えております。 とは申しましても、またそれぞれの因子もそれぞれ重要である。お話にございました事業規模が小さいような場合には、どうしても営林署という組織を置いて管理しなければならないかどうかという点はやはり考えなければならない。しかしまた、そういう営林署機能を吸収し得るようなものが近距離にあるのかどうか、それからまた、歴史的な設置の経緯はどうか、あるいは一体管理いたしましても、ずうたいが大き過ぎて行き届かない管理となっては困るとか、統廃合がなされた後の円滑な管理を考えながら、今申し上げました事業規模でありますとかその距離的な関係でありますとか、統廃合された後の管理運営の難しさ、やりやすさと申しますか、そういうような点をやはり総合的に考えなければならないと思っております。 本年も九つという大変重い荷物を背負っておるわけでありますが、今申し上げましたような因子につきまして慎重な作業をいたしておるところでございますが、なかなかまだ特定し得るまでに絞り込んでおる状態ではないわけでございます。
○津川委員 これで終わりますが、営林署を廃止される地域については、地域の死活の問題なので、十分に地域と相談してやることを要求して、質問を終わります。
○今井委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○今井委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○今井委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○今井委員長 次に、内閣提出、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。 ————————————— 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○佐藤国務大臣 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 この法律案は、農林漁業団体職員共済組合による給付に関し、恩給制度、国家公務員等共済組合制度その他の共済組合制度の改正に準じて、既裁定年金の額の引き上げ等による給付水準の引き上げ等を行おうとするものであります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。 第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、退職年金等の年金額の算定の基礎となった平均標準給与を昭和六十年四月分以後、昭和五十九年度の国家公務員の給与の上昇率を基準として引き上げ、年金額の増額を行おうとするものであります。 第二は、退職年金等についての最低保障額の引き上げであります。これは、恩給制度の改善に準じ、退職年金、遺族年金等に係る最低保障額を引き上げようとするものであります。 第三は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○今井委員長 補足説明を聴取いたします。後藤経済局長。
○後藤(康)政府委員 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。 この法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。 第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、昭和五十九年三月三十一日以前に給付事由が生じた退職年金、減額退職年金、障害年金、遺族年金、通算退職年金及び通算遺族年金につきまして、その年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昭和六十年四月分以後、昭和五十九年度の国家公務員の給与の上昇率、平均三・三七%を基準として引き上げるものであります。 第二は、最低保障額の引き上げであります。これは、退職年金、障害年金及び遺族年金につきまして、年齢及び組合員期間の区分に応じ、その最低保障額を昭和六十年四月分から引き上げるとともに、遺族年金については同年八月分からさらに引き上げるものであります。 例えば、六十五歳以上の者の退職年金の最低保障額については、昭和六十年四月分以後八十万六千八百円から八十三万五千円に引き上げることとしております。 第三は、標準給与の下限及び上限の引き上げであります。これは、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額につきまして、その下限を農林漁業団体職員の給与の実態等を考慮して七万七千円から八万円に引き上げるとともに、その上限を国家公務員等共済組合制度に準じて四十五万円から四十六万円に引き上げるものであります。 このほか、所要の規定の整備を図ることとしております。 以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○今井委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。 次回は、来る二十八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四分散会 ————◇—————