農林水産委員会 第7号
- 発言数
- 214 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/03/26
会議録
○今井委員長 これより会議を開きます。 福田赳夫君外十一名提出、山村振興法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。島村宜伸君。 ————————————— 山村振興法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○島村議員 ただいま議題となりました山村振興法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 昭和四十年に制定された山村振興法に基づく山村振興対策につきましては、昭和五十年の法改正を経て今日まで、産業基盤や生活環境などの地域格差の是正等を図ることを目的として、各種の施策が推進され、一定の成果を上げてきたところでありますが、山村の現状は、依然として他地域との格差が解消されず、また若年層を中心とする人口の流出がなお続いているなど、極めて厳しいものがあります。中でも、自然的、経済的、社会的条件に特に恵まれず、かつ産業基盤及び生活環境の整備の程度が著しく低い振興山村の状況は一層厳しいものがあります。 一方、山村地域は、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全等に重要な役割を担っていますが、近年これらの役割の高度発揮に対する国民的要請が一段と高まってきているのであります。 このような実情にかんがみまして、本年三月三十一日をもって期限切れとなる本法の有効期限を延長いたしますとともに、山村の当面する新たな情勢に対処して、その内容の充実を図ることとして、ここにこの法律案を提出いたした次第であります。 以下、改正の主要な内容について御説明申し上げます。 第一に、法の有効期限を十年間延長することといたしました。 第二に、国は、振興の緊要度が高い振興山村の山村振興計画に基づく重要な事業の円滑な実施が促進されるよう配慮するものとすることといたしました。 以上が、山村振興法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○今井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○今井委員長 これより質疑に入るのでありますが、この際、私から、委員会を代表して、次の諸点について政府当局の見解をただしておきたいと思います。 まず第一は、振興の緊要度が高い振興山村に対する政府の今後の取り組みであります。 このたびの改正案によれば、国は、振興の緊要度が高い振興山村の山村振興計画に基づく重要な事業の円滑な実施が促進されるよう配慮するものとされておりますが、この追加規定の施行に当たっての政府の取り組みの考え方を明らかにされたいと思うのであります。 また、この追加規定により、従来の振興山村に対する施策が後退するようなことがあってはならないと考えておりますが、このことについての政府の見解を明らかにされたいと思うのであります。 次に、現在政府部内で策定作業中と聞いております、いわゆる四全総との関連であります。 今日の社会における山村問題は、単に地域住民の課題であるのみならず、国民的な課題であると考えられますが、四全総において山村地域をどのように位置づけようとしているのか、政府の見解を明らかにされたいと思うのであります。
○河本(嘉)国務大臣 山村の振興につきましては、山村振興法制定以来、山村の産業基盤や生活環境の整備のため各般にわたる振興対策が実施され、着実にその成果が上がってきたところでありますが、山村地域は、依然として厳しい状況に置かれております。とりわけ自然的、経済的、社会的諸条件に恵まれず、産業基盤及び生活環境の整備の程度が著しく低い山村においては多くの問題を抱えております。 国土庁といたしましては、これらの山村の振興のためには、関係事業の優先採択等により、事業の円滑な実施が促進されるようにすることが必要と考えております。このため、今回の改正の趣旨を十分に体して、関係省庁の協力を得て適切に対処してまいりたいと考えております。 また山村地域は、一般に農林産物の供給を初め、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全等、国民生活の全般にわたって極めて重要な役割を担っており、今後とも、こうした役割を高度に発揮させるため、引き続き、山村振興対策を積極的に推進する必要があると考えておりますが、御指摘の点につきましては、さきに申し上げました追加規定の対象となる山村に対する配慮のため、一般の山村の振興が図られないといったことのないよう努めてまいりたいと考えております。 次に、現在策定中の四全総との関連について申し述べます。 山村地域は、国土の約半分を占め、国土保全、水資源の確保等、国土管理面で重要な役割を果たしております。また、長期的な国土利用上の観点から考えましても、これらの地域を可能な限り生活や生産の場として活用していくことが不可欠であります。そのためには、農林業を初めとする産業の振興や生活基盤の整備を進めるとともに、豊かな自然など山村地域の持つ特質に価値を見出す都市住民の協力や参入を進めていくことが重要であると考えます。したがいまして、長期的視点に立って活力ある山村地域の実現を目指すことは今後とも重要であると考えており、四全総の策定に際しましても、この点も含めて十分検討を進めてまいりたいと存じます。
○今井委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○今井委員長 この際、本案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればお述べいただきたいと存じます。河本国土庁長官。
○河本(嘉)国務大臣 本法案の提出に当たられた議員各位の御努力に深く敬意を表するものであります。 政府といたしましては、山村の現状にかんがみ、本法律案についてはやむを得ないものと考えております。御可決された暁には、この趣旨を体して、山村地域の果たす重要な役割を踏まえつつ適正な運用に努め、山村振興対策の一層の推進を期してまいる所存であります。 —————————————
○今井委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。 福田赴夫君外十一名提出の山村振興法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○今井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○今井委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前九時五十一分休憩 ————◇————— 午後一時四十一分開議
○今井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅原喜重郎君。
○菅原委員 大臣に御質問申し上げます。 日本の養蚕業は御承知のように大変な危機にさらされておるわけでございます。このままでは千年から続いた日本の養蚕業がどうなるのか、危ぶまれるぐらいの状況でございます。つきましては、この縮小の一途をたどっている養蚕業に対しまして今後の振興対策、また、その方針を大臣からお伺いしたいと思います。
○佐藤国務大臣 菅原先生にお答えいたします。 先生御存じのことと思いますが、養蚕業というのは戦前は大変ウエートの高い産業であったわけです。特に戦後は、畑作地帯における農業経営に重要な作目という感じがしておるわけです。しかし、最近の養蚕業をめぐる情勢は、絹需要の大幅な減退により生糸需給の不均衡、それから蚕糸砂糖類価格安定事業団における膨大な生糸在庫の累積と事業団の財政の極度の悪化等極めて厳しい状況にございます。 このため、今後におきましては需給動向に即した繭の生産を行う必要があると考えております。特に、現下の厳しい蚕糸情勢のもとでは養蚕主産地の形成及び中核的養蚕農家の育成等により、足腰の強い低コスト養蚕の実現を図っていくことが大切であると考えております。そんなことで、繭生産対策としては、今後とも高能率な養蚕の展開可能な地域を対象にいたしまして桑園基盤の整備あるいは省力新技術の導入等による低コスト養蚕経営の育成、広域的生産流通施設の充実などの諸施策を重点的、集中的に実施し、また、蚕業改良普及組織による技術指導を行うことによりまして、主産地形成と中核的養蚕農家の育成を図ってまいりたいと考えております。
○菅原委員 足腰の強い養蚕業を育成、もっともなことでございます。しかし、構造改善事業その他で一時、桑園の造成が全国各地で行われたわけなんでございますが、何しろ新しい造園地というのは地力がまだ十分についておりませんし、心土をそのまま出した造成であるところが新規の中では大半であったわけでございますので、今どうしても、こういう桑園地の地力増進ということが問題にもなっているわけでございます。つきましては、地力増進のための融資措置等について政府として今後どのようにこれを強化していくのか、お伺いしたいと思うわけでございます。
○関谷政府委員 桑園の地力増進、先生お尋ねのように大変大事な問題でございます。特に造成後の桑園については、そういう問題があるわけでございます。 私どもとしましては、融資というお尋ねでもございましたが、補助事業関係では、私の局の生産振興総合対策の中で堆厩肥生産機械施設の導入を図るということで、地力増進のための事業をこれは一般的に実施しておりますが、養蚕産地につきましても特に桑園地力増強施設整備事業ということで堆厩肥舎等についての助成をしております。また、畜産の関係では、これは特に有機物の投入ということになりますと畜産のし尿の投入が大事でございますので、環境対策あるいは広域畜産環境対策、それから良質堆厩肥供給促進モデル、こういうようないわゆる耕種農家と畜産農家の連携を図るということで、関係の補助事業によりまして地力の維持向上に努めておるわけでございます。 〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕 さらに融資でございますが、今国会で御審議いただいております農業改良資金制度の再編拡充の一環として、養蚕技術総合改善資金、こういうものを創設しようとしておるわけでございますが、その中で、桑園の改植を前提にしまして桑の栽培方法を総合的に改善する場合、土壌改良資材、堆厩肥生産施設等も含めました経費につきまして無利子資金を創設する、こういうようなことも考えているわけでございます。 以上のことによりまして、特に桑園において大事な地力増進については今後とも一層努力してまいりたいと考えております。
○菅原委員 地力の増進は国土保全にもつながっていく問題でございますので、手厚い御指導をお願いしたいわけでございます。 次に、構造改善事業で基盤整備と施設整備が同時に行われたところがあるわけでございます。これは計画に基づいたわけでございますが、しかし新しい桑地からの採桑量が少なかったり、また施設が、整備と相まってすぐ同時の利用ができないというようなギャップがありまして、このことに対する農民の金利もばかにならないわけでございます。こういう負担について今後どのように国で対応しようとしているのか、お伺いしたいと思うわけでございます。
○井上(喜)政府委員 お答えいたします。 農業構造改善事業につきましては、御承知のとおり市町村が計画を立てるわけでございます。私どもといたしましては、そういう市町村が立てました計画に応じまして事業を進捗していくわけでございます。したがいまして、原則といたしまして市町村が希望する順序によりまして基盤整備なりあるいは施設整備が行われてきているのじゃないかと考えておりますが、一部の地域におきまして、必ずしもそういった手順が踏まれてないのではないかというような御質問かと思いますが、これからはそういう地元の実態を十分調査し、かつまた地元の意向も十分お聞きいたしまして、土地基盤整備事業と農業近代化施設等がうまくかみ合わされまして効果が発揮できますように、そういう形で農業構造改善事業を進めてまいりたい、このように考えております。
○菅原委員 次に、桑園を造成いたしましても、今後は、人力での桑園の管理ということはほとんど不可能になってきているわけでございます。つきましては、管理作業の機械化の推進ということが農民にとりまして最も重要なことでございます。私たち、養蚕農家に行きましても、機械管理さえできるならば、三、四人家族の人手で、また二町歩から三町歩平均の水田をつくっても、そう苦労なく一トンぐらいの繭生産はできるというふうなことも聞くわけでございます。このような観点から機械化の推進方策について政府の御見解をお伺いしたいと思います。
○関谷政府委員 お尋ねのように養蚕、その中でも特に桑園管理、栽培関係の労働時間の短縮、いわゆる省力化は大変大事でございます。現在この関係としましては、五十八年の生産費調査等では栽桑過程で十アール当たり三十二・五時間、桑の収穫が四十一・四時間、桑園管理労働時間、両方含めまして約七十四時間、こういうようなことでございます。これをどうにか短縮するということになりますと、まさにお尋ねのございましたような桑園管理の機械化あるいはその体系的な機械化ということが今後の低コスト養蚕あるいは省力的な養蚕経営の上で大変大事になるわけでございます。 この関係では、やはり収穫過程の能率向上が桑園管理の機械化の中で一番大事なことであろうということで、条桑収穫、要するに条桑刈り取り過程の機械化ということで条桑刈り取り機の導入ということを一つのポイントとして進めております。この関係の助成措置としましては、新地域農業生産総合振興対策の中の養蚕産地総合整備対策事業あるいは高生産性養蚕経営モデル事業、こういうような関係がいわばかなめになっているわけでございます。特に高生産性養蚕経営モデル事業においては共同利用の機械整備ということで、条桑刈り取り機とその格納庫、こういうようなものを助成対象にしているわけでございます。 さらに融資関係では、先ほど地力関係のところでお答え申し上げました養蚕技術総合改善資金で、こういう桑の栽培技術の総合的な改善をする場合に改植、地力増強からさらに条桑刈り取り機、こういうものも含めまして融資対象として取り上げていく、こういうようなことも考えておるわけでございます。 なお、農業近代化資金等の一般的な助成措置についても、この桑園管理の機械化については十分留意して取り上げてまいりたいということでございます。刈り取り機のことばかり申し上げましたが、桑園管理用トラクター及び作業機、こういうような汎用性のあるもの、この機械導入も非常に大事でございまして、今までかなり入ってきておりますが、これについては広く一般の融資措置の利用で、さらに導入されるように指導してまいりたいと考えております。
○菅原委員 この桑園管理作業の機械化の対応にどうしても欠かすことができないのが密植桑園の造成なわけでございまして、機械化のための密植桑園をぜひ進めていただきたいと思うわけでございますが、この密植桑園をする際、今までの桑園造成の本数より多くの苗の本数が要るわけでございます。この点についてはどのようになっておるのか。一応、密植桑園ということの進め方について、また苗の助成とかそういう点についてお聞きしたい、こう思うわけでございます。
○関谷政府委員 この密植桑園造成は省力化、生産性向上に非常に大事なことでございまして、先ほど申し上げました養蚕産地総合整備対策事業、高生産性養蚕経営モデル事業、さらに言えば養蚕技術総合改善資金、こういうものの中で機械化桑園の造成それから桑収穫機の導入、こういうものについても助成事業として取り上げているわけでございますが、その中で特に先生お尋ねのございました桑の苗代金、それから当然のことでございますが、桑園をつくるに必要な整地費関係、こういうものについては、これらの事業の事業費の中に含めて取り上げている次第でございます。
○菅原委員 次に、東北地方におきましても養蚕業は北上しているわけでございます。北上するにつれまして桑の霜害防止問題あるいは寒さによるいろいろな桑の病気、殊に胴枯れ病等は北部に行くほど蔓延するわけなのでございますが、こういう北部における新耐寒性の桑の品種も今、開発されているわけでございます。東北地方においてもユキシノギ、新剣持、そういう品種が開発されて威力を発揮しているわけなのでございますが、今後こういう北の地域における桑の自然災害防止対策について国に力を入れていただきたいと思う観点から、この対策について所見をお聞きしたいと思うわけでございます。
○関谷政府委員 桑の関係につきましては、お尋ねのございましたように気象災害による部分が多うございまして、特にその中でも凍霜害、これは御承知のように養蚕業に及ぼす影響が大変大きいわけでございまして、東北、北関東、東山、こういうような北寄りの地域では霜害防止対策あるいはその被害軽減対策というのが非常に大事でございます。 これは、一つは予防過程から取り組まなければいけないということで、基本的な予防体制としましては、各県の蚕糸の主務課のもとに技術指導所を中心としました地方予防班をつくり、現地では稚蚕共同桑園や集団桑園を中心とした現地予防班を組織する、これらの桑園凍霜害防除対策会議を開催する、こういうような一つの仕組み、体制を整備しまして、その中で気象予報伝達経路を確認し、あるいは重点予防対象桑園を設定するとか防除資材、機具を整備しておく、こういう体制と同時に、それぞれの地域の実態に即した霜害の予防法、これは御承知のように重油等を燃焼いたしましたり、散水するとか被覆する、こういうような方法がございますが、こういう適切な方法を適期に実施する、こういうような指導予防と実際の予防方法の適期実施、こういうことを指導しているわけでございます。こういう体制を整備しております。 最近は霜害はやや減ってはおりますけれども、やはり大事なことでございますので、例えば今年につきましても春、夏作の技術指導通達の中で的確な予報活動の推進それから技術指導所による予防技術の指導の徹底、さらに県では桑の生育状況の早期把握に努める、こういうようなことでございますし、また全国レベルの凍霜害等予防対策会議を開く、こういうようなことによりまして、適正な技術指導によりまして、特に北の地域におきます気象災害、凍霜害の防止には一層努力してまいりたいと考えております。
○菅原委員 なお、養蚕業の技術開発の中で欠かすことのできない問題といたしまして、殊に北の地域に行くほど大切なわけなんでございますが、稚蚕の人工飼育あるいは飼料育の研究開発、このことについて現状がどのようになっているのか、それから今後の普及推進について国はどのような方針を持っているのか、お聞きしたいと思います。
○関谷政府委員 稚蚕の人工飼料育でございますが、これは養蚕の合理化にとっては大変大事な技術でございまして、御承知のように飼育労働力が大幅に節減される、稚蚕用の桑が不要になりまして、それだけ桑園管理等の労力が不要になる、さらに言えば蚕作が向上し安定する、こういうような効果を持っているわけでございまして、これは一つの技術の実証、検証、さらに発展を図りますと同時に、パイロット事業を経まして五十四年度から普及段階に一応入っているわけでございます。五十九年度で見ますと、実施県が三十三都府県ございまして、一、二齢飼育の稚蚕人工飼料育で見ますと、普及率は二八%、こういうような水準でございます。 これは大変普及の速度は高まってきたわけでございますが、この過程で我々としても二つの問題がありまして、一つは技術面の研究開発でございます。これは蚕糸試験場を中心に、県の試験場も一緒になりながら実施をしているわけでございますが、その大事な点としましては、人工飼料そのものの性能の向上、例えば摂食性、食べやすいというかそういう性質、それから栄養組成、こういうものをさらに向上させる。それから、これはなかなか難しいと思いますが、桑葉の粉末を含まない実用飼料の可能性があるのかどうか。それから人工飼料の保存技術あるいは品質のチェックの方法、こういうものを開発する。それから飼育技術につきましても、本当に人工飼料に適した飼育技術を確立しなければならない。なお最近、蚕糸試験場等でお話を聞いておりますと、人工飼育、飼料育にかなり傾斜しました場合の蚕のつくります糸について、何か特性が認められるのではないか、こんな点まで含めまして、研究をさらに進めているわけでございます。 一方、普及の面におきましては、養蚕産地総合整備対策事業、こういうものがございまして、その中で稚蚕人工飼料調製施設、それから人工飼料育を行います稚蚕共同飼育場の整備、これらを事業内容の中で重点的に推進をしているところでございます。
○菅原委員 全く、現在養蚕業が、採算のある養蚕業を指導するというよりも、養蚕業そのものを存続させるということに意義が出てきたぐらいの養蚕業界の逼迫した現状でございます。こういう点で、ぜひこの養蚕をこれからも次の時代に受け継がせるためには、これを存続させるところの政策努力が必要なわけでございます。このためには、やはり生産団地を指定していくとか、あるいは私、養蚕農家をめぐってみまして、どの養蚕農家も養蚕単独ではもう既に維持できないという意識に立っておりまして、稲作との複合経営、その他小家畜を入れた複合経営、養蚕の蚕沙、蚕ぷんを利用したところの堆厩肥をつくる畑作への還元とか、そういうような複合的な体制で養蚕が現在保存されているというふうに見ているわけでございます。つきましては、こういう振興というよりもむしろ存続させるために最も大切な対策は何かということでお伺いするわけなんでございますが、その一つとして生産団地も話しましたが、このことについての政府の御見解をひとつただしておきたい、こう思うわけでございます。
○関谷政府委員 養蚕のいわば振興策の基本的な考え方でございますが、養蚕という一つの生産の特色からしますと、一つは、やはり養蚕を家族経営中心に一つの経営としてやっていくということでございます。その場合には、かねがね申し上げているわけでございますが、一つの中核的な担い手となるような中心的な養蚕農家を育成していく。もちろん、お尋ねにございましたように、そういう養蚕規模のかなり大きい農家といえども、養蚕専業だけではまいりませんので、一つの複合化、稲作のみならずいろいろな地域の畑作物との複合的な経営として成り立っていくというような、いずれにしましても養蚕の経営体というものをつくり出すということでございますが、その場合に、先生のお尋ねの団地化ということが非常に大事でございます。これが我々のもう一つの考え方でございまして、養蚕の、例えば稚蚕の共同飼育なり、あるいはできました繭の販売流通面なり、あるいは基盤整備なり、いろいろ考えましても、やはり養蚕が集約的に営まれます地域を造成していく、団地をつくっていく、そういう主産地形成的な視点がもう一つどうしても必要なわけでございます。 この点につきましては私ども、高能率養蚕地域というものを五十六年から設定をして、ここに集中的に養蚕振興施策を実施するということをやってまいったわけでございますが、最近の情勢を見ますと、いろいろ低コスト養蚕の早期実現あるいは桑園のまとまり、それから生産組織体制の整備、こういうことが大事でございますので、六十年度に入りましてから若干この高能率養蚕地域を見直しまして、非常に集約的な、いわば一つの共同部な体制による養蚕の能率化が図られていくというような対策として、これを見直していきたいということを考えております。 そのいわゆる団地でございますが、主産地たる新しい意味での高能率養蚕地域につきまして、桑園の基盤整備、省力的な新技術の導入、それから稚蚕共同飼育所その他の広域的な生産流通施設の整備、こういうようなことを含めました養蚕産地総合整備対策事業、こういうものを実施すると同時に、最初に申し上げました個別経営のいわば育成あるいはその共同化、こういうことを中心にしました高生産性養蚕経営モデル事業とか、あるいは農業改良資金に今度新設される予定の養蚕技術総合改善資金の活用、こういうようなこともいわゆる主産地形成なり団地化対策の一環として取り上げていくということで、そういう施策を集中的に実施しまして、足腰の強い、これからも養蚕に非常に傾斜をしまして、能率の高い養蚕ができるような団地形成を図っていきたいと考えております。
○菅原委員 さらに養蚕業の振興を図るためには、どうしても絹消費を増大させなければならないわけでございます。こういう点で、和装を中心とした絹の消費が大きく今日までの需要を担っていた。そういう状況からいたしまして、この和装の消費が伸び悩んでいるということが大きくまた養蚕業にも影響しているわけでございます。ついては、下着、インテリアとか、その他書画用の絹布とか、いろいろ絹の消費を伸ばす対策が必要でございます。これらの開発についての現況と消費状況をお聞きしたいと思います。
○関谷政府委員 日本の絹需要は世界で第一位の約三十万俵近いものを持っているわけでございますが、今その中で和装関係が実は九割程度を占めておりますので、現状では和装に傾斜しておるわけでございますが、お尋ねのように、和装以外の部分、洋装でありますとか、それから可能性としてはこれからの問題でございますがインテリア小物類、こういうような関係について、いわば一割部分でありますが、和装以外の部分の拡大を何とか図っていきたいということは、かねてから私どもも考えているわけでございます。これまでのところでは蚕糸砂糖類価格安定事業団の行っております新規用途売り渡しという中で、全体では二万俵ぐらい売り渡しをしているわけでございますが、この中で洋装関係で約一万一千俵近く、これは背広とかブラウス、ワンピース、海外見本市展示会、こういうようなものでございます。御承知のように、この中にはコート、スーツ類のようなこれから開拓する分野、現状では非常に合繊とかウール物が中心を占めておるわけでございますが、そういうものとの競合の中でシルクのコート、スーツ類、こういう洋装物を伸ばしていくというようなことでございます。さらに五千四百俵余りがインテリア小物類、これは絵の額とか壁がけ、カーテン、テーブルクロス、こんなものの新規用途の開発に充てられております。こういう関係でいろいろ研究開発が進められているわけでございます。 その関係でございますと、例えば蚕糸試験場では、実はきょうも大臣お召しになっておられますけれども、非常に縮むとか、そういうような従来の絹のやや欠点と見られるような点を改善しました新しい繊維の開発をしまして、それをコート、背広として使っていく、こういうようなことにも取り組んでおりますし、それから、これは民間の研究も含めてでありますが、例えばニットの下着関係では編み物の編み方とか糸素材の向上、染色の方法、それからインテリア類では、要するに脱色したりする変色の防止、虫食いの防止、それから書画用の絹布、いわゆる絵絹でございますが、これでは掛け軸にした場合の反りぐあいなどの表面のでき上がり、こういうような大変きめの細かい研究開発を各産地で進めております。この書画用絹布や今申し上げましたものでも生糸消費状況は大体年間で二百俵ぐらいあるのじゃないかということでございます。いろいろ期待がかけられるわけでございまして、コート、スーツ類のほかに例えばニット下着、こういう関係はかなり新しいものが出ていますが、ニット下着関係ではまだまだ緒についたばかりで消費量も伸びておりません。こういうようなことで状況を見ますと、私どもとしましてもこの和装以外の部分は非常に開拓すべき部分があるというふうに考えておりまして、こういう関係で国の研究機関あるいは県の研究機関と同時に、いわば民間のそういうことに取り組む努力をさらに開発、推進いたしまして、この面から絹需要の拡大に少しでも効果の上がるような努力を続けてまいりたいと考えております。
○菅原委員 次に、絹の需要増進について大臣にお伺いいたします。 実は岩手県で、くず繭からのつむぎづくりに補助を出したりいたしまして、この副業を伸ばそう、そういう努力をしているわけでございます。東北地方は雪の中では仕事がなくなりますので、もうけるとか損するとかを超えまして、出てきたくず繭を大切にし、また、冬の間の仕事をする、そしてそこから本当に農村工芸的なものとしてつむぎのようなものをつくっていく、こういうような形じゃないと複合経営をやっている農家といたしましては養蚕業を維持していくことはなかなか困難なわけでございまして、こういう努力をやっているわけでございます。つきましては、大臣の方でもこういう増進についていろいろ御方針があると思うわけでございまして、ぜひ、このことに力を入れていただきたいと思いますので、お伺いするわけでございます。
○佐藤国務大臣 先生にお答えします。 実は私も今、先生のお話を聞きながら、小さいころ私の祖母がくず繭を織って、たしか冬のちゃんちゃんこに真綿を後ろに入れる作業をしておった記憶を懐かしく思い出しておったわけでございます。確かに私の祖母は損得抜きで、あるものはもったいないなという形でやっておって、そういうものを私たち孫に着させておったような感じがしておったわけでございますが、そんなことで、先生御指摘のとおり絹の需要増進をどうするかということは一番大きな問題でございまして、実は先ほど農蚕園芸局長からお答えしたとおりでございますが、蚕糸政策の大きな柱の一つとして位置づけておりまして、現在も事業団在庫糸を活用した新規用途、販路拡大などというもの、値引き売却やあるいは絹の消費の宣伝及び啓蒙活動を積極的に推進してきたところでございます。 実は、私はこちらの農林水産省に来まして約百四、五十日、五カ月ちょっとでございますが、局長や皆さんと相談しながら一番何に向くんだろうかということをいろいろ研究しました。それから商店の方、消費者の方、デパートあるいは専門家にいろいろ聞きましたところ、実は値段との問題があるわけですね。もちろん絹のよさはございますが、絹の欠点もございます。先ほど局長が申し上げましたように新製品ということで、ずっとこれを着て頑張っております。なかなかいいですね。ただし、これは八月以降にこの洋服が出るということで、実は私は筑波の試験場にお願いして三着つくってもらいまして、今度は総理がサミットへ行くときに着てもらおうということにしておるわけです。そういうようなことですが、やはり下着類にしても価格が高いわけですね、正直言いますと。例えばワイシャツなども一着一万円弱、いいのは三万円する。そうしますと、ちょっと着れません。下着類なども一万円。そうしますと、やはりいろいろな先ほど局長の言った洋装品その他を含めて、洋服とかレーンコート、こんなものに一番向くのじゃないかというようなことで、そういうことを含めまして、いろいろな人の御意見を聞きながら、今言った和装需要だけでなくて洋装製品、インテリア製品など新しい分野の需要の喚起や販路の拡大を積極的に行うことが大切です。また、ひとつじゅうたんにしたらどうかというようなことで、いろいろな絹、生糸の需要をどうしたらいいかということをあらゆる角度から研究し、とにかく先生が御指摘のとおり、売ることが大切、売れることが大切、売れれば実は問題が解決するわけです。そんなことで絹の長所をもっと伸ばし欠点を直しながら価格をどうして安くするか、そんな形の中に新しい販路を求めたい、このように努力をしておるわけでございます。
○菅原委員 日本の養蚕業を発展させるというよりも、むしろ維持させるということに今、重点的な対策をしなきゃならぬのじゃないか、そういう切迫した気持ちでいるわけでございます。こういう観点から、今度また補助事業についてお伺いするのですが、どうも農林省のこの補助事業は規制が強いのじゃないかと思われるわけでございまして、農民のために融資事業を拡充して農民に自由に実施させる面にもひとつ御配慮をいただきたい、これが私の農家を歩いての感覚でございます。こういう点について今後どのようになされていくのか、お伺いしたいと思うわけでございます。
○関谷政府委員 補助事業も大事でございますが、農家の方の自主性、自主的な意欲で農業の改善をするという意味で融資をさらに活用すべきだ、拡充すべきだ、これはかねてから先生の御持論でもございますが、こういうような観点から見ますと、従来の補助事業には、非常に公共性の高いものあるいは共同で行うもの、こういうようなものは補助事業によるという特徴がございますが、反面、非常に内容的には要件をいろいろ設定することがございますので、まさにお尋ねのように農家の方が自主的に自分の経営を改善される場合には、むしろ、かなり幅の広い対象施設あるいは対象事業について融資措置を活用するということが大変大事であるし、また政策手段としても非常に有意義であるというふうに考えております。 こういう意味で今回、またさらに今後の御審議いただく法案の中でも、農林漁業金融公庫制度の改正なり農業近代化資金の改正なり、こういうことを通じまして、従来からございます金融措置の拡充改善を図っておるわけでございますが、同時に私どもの直接生産対策に携わる局といたしましても、今国会で農業改良資金助成法を改正するということを御提案しているわけでございます。これはまさに農業経営の状況から見ますと農業者の自主性、創意工夫、これを生かすことが非常に大事であるということで、この改良資金の無利子資金制度の再編拡充を図るということを予定しているわけでございます。 この中には、特に従来、技術導入資金ということで技術をいわば指定しまして、こういう技術を導入する場合に無利子資金を融資するということがございましたが、今度は生産方式改善資金というふうにこの技術導入資金を改めまして、生産方式という言葉にあらわれますような一つの技術の総合的な組み合わせによりまして農業生産の改善を図っていくということで、畜産、果樹、野菜、養蚕、こういう部門についての新しい生産方式改善資金をつくりますと同時に、規模拡大、農地流動化の面でも利用権の取得に必要ないわゆる小作料一括前払いのための農業経営規模拡大資金、これを設ける、こんなふうな制度改正によりまして、さらにその地域の実態に応じ、また農家の希望に応じた経営改善の努力が助長されるよう融資措置についても大いに拡充改善に努めてまいりたいと考えております。 〔玉沢委員長代理退席、委員長着席〕
○菅原委員 さらに、今後の養蚕業はやはり研究開発によって維持発展させなければならない要素が大きいわけでございます。こういう点では新しい素材の開発研究あるいは上蔟時期をホルモン剤等の開発によってピーク時をなくすとか、あるいはホワイトシルク、ソフトシルク、麻のような性質を持たせたシルクを開発するとか、毛糸のようなシルクを開発するとか、重要な研究の面があるわけでございます。この点に対しまして、政府に特段のこういうことへの配慮をお願い申し上げまして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○今井委員長 次に、滝沢幸助君。
○滝沢委員 委員長御苦労さまです。各委員どうも御苦労さま、大臣御苦労さまです。 蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する今回の提案でございますが、それに関し、あるいはまたそれに関連しまして、短い時間でありますが二、三お尋ねさせていただきたいと思います。 大体この養蚕業というのは神代の神話にも出てくるほどに古い、日本民族にとっては因縁の深いものでございます。しかし時代の変化、科学の発達の前には手も足も出ないというのが現状だと思うのです。私は昨年も三月五日の予算委員会でこのことを質問させていただいたのでありますが、四十一年にこの事業団が発足して以来、今日まで投入されました公的資金は都合幾らになりますか。
○関谷政府委員 四十一年度来ということではございませんが、最近の時点から、むしろ蚕糸砂糖類価格安定事業団のいわば使っております資金、こちらの面から見ますと、この中間安定の関係の勘定で資本金三十億三千万円、それから借入金が今年度末見込みで二千百二十五億円でございます。借入金は、御承知のように農林中央金庫からの借入金でございまして、こういう資金によりましてこの中間安定の価格安定業務を今日まで営んできておるわけでございます。
○滝沢委員 今お聞きのようないわば気の遠くなるような金が投入されても、なお蚕糸業界は満足をしない、生産農家も満足はしない、そして国もこのことが苦労惨たんの青息吐息ということで、三万両損という言葉はありますけれども、三者三様に苦労しておるのが今日のたどり着いたところであります。 事務的なことで大変恐縮でありますが、今この事業団に働いていらっしゃる職員の方々は合わせて何人でいらっしゃいますか。
○関谷政府委員 役職員の数でございますが、五十九年度におきまして役員が九名、職員百二十三名でございます。その職員のうち蚕糸関係者が三十四名でございまして、その他は砂糖類価格関係でございます。
○滝沢委員 今回の改正の理念をお伺いしようと思いましたが、時間がなんですから、これは言わすと知れたことでありましょう。 今度の改正を見ますと、異常変動防止措置というものが廃止をされるというのでありますが、今まで一度も発動されなかったように聞いておりますけれども、どうしてでしょう。価格の異常な変動がなかったからでしょうか。
○関谷政府委員 御承知のように、これは価格安定制度としましては当初は異常変動防止から始まったわけでございます。この異常変動という言葉にあらわれますような、比較的幅の広い範囲内で価格を安定させようということで始まったわけでございますが、その後四十一年に中間安定ということで、もっと狭い幅で真ん中辺で安定させるという中間安定帯が設けられたわけでございまして、この異常変動が四十一年以来一回も発動しておらない理由といたしましては、四十一年にこの中間安定が設けられました後は、むしろ中間安定で、狭い方の幅でもって安定させる方が生産者、需要者も含めまして望ましい、むしろ中間安定に大いに期待をかけられたわけでございます。そういう意味で中間安定措置を中心に運営してきまして、それより下に落ちることは買い入れによりまして防止をしてまいりましたので、結果としまして異常変動防止措置が一回も発動されなかったということでございます。
○滝沢委員 つかぬことをお伺いしますけれども、改正の要綱を見ますると、基準繭価の決定の措置を事業団の決定から大臣の御決定のように改正されているのでありますが、このようにすれば何か利点がありますか。
○関谷政府委員 これは従来の制度との関係で御説明をした方がよろしいかと思いますが、従来の異常変動の廃止されます方は、上の価格、下の価格とも大臣決定となっておりました。中間安定の方は、まさに中間であるからということで制度上は一応第二義的な扱いになっておった関係で、基準糸価というのは大臣が決めましたが、基準糸価に対応する基準繭価、こういうものは事業団に任せておったわけでございます。もちろん大臣のチェックはありましたが事業団に任せておりました。今度は異常変動がなくなりまして中間安定専らになりますと、価格安定措置としては従来の中間安定しかないわけでございます。そうしますと安定帯の上の価格、下の価格、それから下の価格にくっついております基準繭価、これがみんな制度上の唯一の価格になりますので、こういう一重の価格安定帯のときには、これは形式論といえば形式論でございますけれども、事業団決定ではなくて国が直接、農林水産大臣が決定をする、これが筋であろう、こういう考え方で大臣決定にいたしておるわけでございます。
○滝沢委員 いろいろとおっしゃっておりますが、手軽に在庫が手放せるように、そして一般財源からの肩がわりが簡単にできるようにというのが今度の改正のねらいではないか、こう思うのであります。 つきましては、時価に悪影響を及ぼさない方法で売り渡すというのは、具体的にはどんな方法をとることでございましょうか。
○関谷政府委員 法律上は、この関係のところのいわゆる在庫の特別売り渡しにつきましては、一般競争入札契約その他時価に悪影響を及ぼさない方法でと書いてございまして、趣旨はやはり価格安定帯というものが一方で設けられておりますので、それとの関係で、非常に時価を引き下げる、こういうような状況にならないようにということでございます。建前が一般競争入札契約でございますので、そういう関係から、最低価格を設定しまして、その最低予定価格の上で入札されたものから契約をしていく、こういうような売り方を考えておるわけでございます。 なお、これはもちろん時価に悪影響を及ぼさないようにということでございますから、需給関係、価格関係から事業団の売り渡しによって価格がどんどん下がっていく、こういうような需要の弱い状態では、おのずからその売り方については調整を加えられることが必要でございますけれども、通常の状態では、余り変動させるよりはむしろ定時定量と申しますか、普通の状態では定時定量で例えば毎月幾らという形で売り渡した方が、恐らく需給に対する作用は攪乱的ではなくて安定するのではないか、こう考えております。
○滝沢委員 従来物価は、その需要供給の関係においておのずから生まれるべきもの、それは一種の社会主義政策でございましょうけれども、このようなことで、操縦するのはなかなか難しいことでございます。これは血圧を理想の型におさめておくようなもので難しいことであります。 ところで大臣、今十一万四千戸前後というのでしょう。けれどもそのほとんどは百万未満の生産者だと思うのです。ちょっと聞きますると五トンで五百万くらい、これだけ生産していらっしゃる農家は百世帯くらいと聞いておりますが、もしもそうだとするならば、今日まで政府が努力されて、このような膨大な資金を投入してこられましたこの事業団のあり方は、果たして日本農政全体にどのようなプラスがあったか。ないしは繭を生産していらっしゃる、命をかけていらっしゃる方が百世帯、こういう方々のために今も菅原先生からいろいろと議論があったところでありますが、安易なる補助金政策、安易なる価格政策によって農家が、農政が将来展望が開けるという時代は終わったと私は確信して疑いません。新しい展望がありますか。
○佐藤国務大臣 滝沢先生にお答えいたしますが、実は養蚕業というのは既に御存じのことでございますが、戦前には非常な高い地位を占めて、戦後は低下しております。そういうことの中に農山村の畑作地帯における重要な作目という認識をしておるわけでございます。 そんなことで実は生糸については、先生からも既に御質問がいろいろありましたように三つの点がございます。その一つは、その最終製品である絹製品が奢侈品であるということで、需要が経済変動とともに大きく変動するということ、その次は、桑という供給調整の困難な永年性作物を基盤とするものであること、三番目には、製糸業者は中小企業が多く在庫調整能力に乏しいこと等から価格の乱高下が非常に生じやすい性格である。そんなことで蚕糸業については、先生御存じのことと思いますが、合繊の競合性の発達とか、あるいは海外からの輸入圧力の増大等の厳しい環境のもとに置かれていること、そんなことで、先ほど言ったような私の感覚のもとに、養蚕業の経営の安定と生糸需要の増進を図る上で事業団は大変大切な役割を果たしている、こういうふうに実は考えているわけでございます。
○滝沢委員 それで、結果として無慮四十五億を、これから何年間一般会計から持っていけばいいのか知りませんけれども、このようなことはしょせんいつまでも続くものではないと私は信じます。これはいつ、どのような形で、こういう事業団のあり方について終結をするお考えですか。大臣でなくては、こういう国策の大きなことは答えられないだろう。
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたしますが、先ほど言ったようなことで、養蚕業をどうして生かすかという観点のもとに、実はこの事業団を運営しておるというわけでございます。そんなことで今、先生から御質問ございましたが、私とすれば、先ほど私が申したようなことで、養蚕業についての認識と、それから農村における重要な畑作地帯の作物、こんな認識のもとに何とか養蚕を生かす方向で頑張りたい、こんなふうに考えております。
○滝沢委員 私が聞いているのは、この事業団はいついわゆる終結をするか、終わりを告げるかということです。私は今やこうなれば、繭をつくることを今後も継続していただく人と転作をしていただく方にきちんと分けて、そして農家がおのずからの力で立ち上がることのできるような、先ほど菅原先生からおっしゃっていただきましたようなむしろ合理的な融資の対策というものに切りかえる時期だと思う。 繰り返しますが、ただ単なる補助金、ただ単なる価格政策で農政の将来が展開できる時代は終わったという認識を私は持っておるのでありますけれども、重ねて、このことはいつ終結する気なのか、ずっと続ける気なのかどうか、その点。
○佐藤国務大臣 実は私は先ほど言ったようなことでございまして、例えば生産団地の育成とか、あるいは高能率生産地指定とかいろいろな手がございます。また、そういう形の中に例えば転業の必要もあるかと思います。私とすれば、やはり生糸の販路拡大は将来見込みがあると思います。そういう形の中で養蚕業をこれから続けていく上においては事業団の存在を無視できない、このように考えておるわけでございます。
○滝沢委員 では事業団はずっと続けられるというふうに理解していいですか、いいですね。
○佐藤国務大臣 養蚕業の続く限り事業団の存在価値は十分あると考えております。
○滝沢委員 納得できない点も多々ありますが、時間でありまするからこれで終わらしていただきますけれども、また機会をとらえて承らしていただきます。 委員長、御苦労さまでした。各委員さん御苦労さま、大臣どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。
○今井委員長 次に、中林佳子君。
○中林委員 私は、まず、今回の改正案が養蚕農家の経営だとか製糸業の経営にどんな影響を与えるかという点についてお伺いしたいと思います。 私の地元の島根県の養蚕農家の方の話をいろいろ聞いてきたのです。島根県は小規模の経営が多いのですけれども、これはその中でも大規模の経営をなさっていらっしゃる方からの話なのです。 全国的にもそうですけれども、昨年秋に二千円引き下げられたということで、それまでも赤字で経営が大変だった、二千円下げられたことによって、これでいよいよ養蚕をやっていけないというような状況が県下各地に出ていて困ったものだ。今、養蚕農家の人たちは高齢者で、ほかにかわるといってもかわりようがない。このままやっていたのでは国産の繭、絹というものはなくなってしまうのではないか、こういう大変なおそれを表明しておられましたし、これ以上の政府の養蚕農家に対する仕打ちはまかりならぬ、こういう強い憤りも訴えておられたわけなのです。全国的に見ましても、去年の二五%の繭の減産そして十一月の基準糸価の大幅引き下げで大変な経営危機になっていることは、これまでの審議の中でも明らかになったと思います。 繭糸価格安定法は、その目的に「蚕糸業の経営の安定に資する」こういうことを挙げているわけですけれども、今回の改正がこうした危機的状況にある養蚕農家の経営安定にどういうふうに役立つのか、お答えいただきたいと思います。
○関谷政府委員 昨年のいわゆる期中改定のお話もございましたが、結局、日本の絹需要というか、内需が減退し始めましたのが五十三年以降、この数年の間、急速な足取りで減ってまいりました。この間、価格安定制度はどうしていたかと申しますと、五十六年に基準糸価について五%の引き下げをやったわけでございまして、その後は何とか需給改善で対応しようということでやってまいったわけですが、五十九年度の二五%減産も含めまして、昨年秋、価格面でのいわば大変な低落が起きました関係から、価格安定制度としては、このままいけば在庫の増大のみでもって非常に価格安定制度自体が崩壊をするという危機に瀕している。一方、養蚕農家の方々がこの制度に寄せる期待は大変大きいものでございまして、まさに昨年の価格低落は制度不安という制度に対する不信の念から起きたわけでございます。 こういう状況を見まして、私ども今回の法律改正につきましては、まず、この安定制度というものをしっかり守っていくということで養蚕農家の方にも安心をしていただくということを基本に考えておるわけでございまして、そのために従来から行ってまいりました価格安定措置を堅持する、生糸の一元輸入措置も含めまして中間安定を中心に制度を立て直す、それから従来の買い入れによって重荷になっております在庫の処理の円滑化を図っていく、そのための損失補てんの受け入れも可能なようにする、こういうことで、一口に申しますと蚕糸業経営の安定のために非常に支障になります制度不安の解消、こういうことが今回の法律改正の一番主眼であろうというふうに考えております。
○中林委員 私は、今の養蚕農家の経営危機の一番の原因は繭の生産費が年々上昇していることにあると思うわけですね、そういう中で繭の価格がずっと低迷し続け、抑えられている。ですから農家の取り分が結局減ってきてしまうということにあるわけです。 農水省の統計で調べてみましても、五十四年以降の一キログラム当たりの繭の生産費と繭価格、これを比較してみるのですけれども、繭の生産費は、五十四年が二千六百九十円だったのが五十五年二千九百九十四円、五十六年三千三百八円、五十七年三千三百四十三円、五十八年三千四百二十八円。生産費の方は五十四年から五十八年にかけて七百三十八円、一キログラム当たり上がっております。それに引きかえて繭価格というのは、昭和五十四年二千百八十九円、五十五年二千百七十二円、五十六年二千五十九円、五十七年二千二百四十一円、五十八年二千五十八円。五十四年と五十八年を比較して百三十一円繭の価格は実は下がっているということですから、これは当然農家の取り分が随分下がっているということが、この統計からも明らかだと思います。 本来、蚕糸業の経営安定のためというのは何よりも糸価あるいは繭の価格の水準の引き上げ、これが一番大切だと思うのですね。昨年、二五%の減産が決まった直後に全養連が要望を出しておられるわけです。この中でも、今までの一万四千円の価格でもぎりぎりだということをおっしゃって「養蚕農家のねがう「制度堅持」とは、再生産可能な繭糸価格の維持と、日本の蚕糸業が存続しうる「生産基盤の確保」が図られることを大前提とした制度の堅持である。いいかえれば、この制度の運用によって、養蚕農家の経営が明るく開けることでなければならない。」こういうふうにおっしゃっていて、これ以後二千円も価格が引き下げられて壊滅的な打撃を受けるというふうになっているわけですね。ですから本当に養蚕農家の経営の安定に資するということであれば、価格は今以上引き下げるべきではない、むしろ上げるべきだと思うわけですけれども、この点についてはいかがでしょう。
○関谷政府委員 生産費調査の関係と価格との関係はお尋ねのとおりでございますが、一方、生産費の中にはいわゆる家族労賃部分あるいは資本利子、地代部分等も含まれておりまして、これがいわゆる所得部分になるわけでございます。そういうものも含めて考えますと、確かに最近の繭価の動向から見ますと、いわゆる一日当たり家族労働報酬でございますとかあるいは農業所得、そういう面から見ますと低下してはおりますけれども、ただ、絶対的に繭生産の継続が不可能になるような水準の農業所得なり家族労働報酬というところまでは来ておらないわけでございまして、昨年の期中改定の際も、こういう点を十分検討いたしまして千七百五十五円という基準繭価になっているわけでございますが、この関係でも、日本の繭生産というものが全く不可能になるという状態ではむしろなくて、かなりな規模の、やや上層、平均的な階層も含めまして一応最低限の所得はある、こういうような見通しのもとに価格改定をしたわけでございまして、現在のこの基準繭価がこれからの繭生産にどういう影響を与えるかについては、現在非常に見通しの難しいところでございますが、ざっくばらんに申し上げますと、今六十年の繭生産の規模をどうするかという問題について都道府県なり生産者団体ともいろいろ調整をしているわけでございますが、六十年以降について、いわゆる繭の生産意欲、生産数量というものを必ずしもすぐに落としていくということではなくて、昨年程度あるいはそれ以上の規模のものはつくりたいというような地域もかなり多いようでございます。こういうことをもって生産費がどうこうということを申し上げる気はございませんけれども、現在の繭価でもって日本の養蚕農家が全く繭生産ができなくなるというような状況ではないのではないか。むしろ今日まで推移しました需給、価格関係から見ますと、相当厳しいことではございますけれども、昨年の価格引き下げについては何とか我慢して、これで対応していただきたい、こういうように私ども行政当局としては考えておるわけでございます。
○中林委員 いろいろ述べられましたけれども、養蚕農家の中には、二千円引き下げられたことによってやむなくやめていかなければならない農家もあったわけですね、それは御存じだと思うのです。そういう末端の養蚕農家の状況を把握しないで、中規模あるいは大規模というのは残っているじゃないかとおっしゃるけれども、まさにそれがねらいだったのじゃないかと思えてなりません。 私が言いたいのは、生産費にはいろいろな条件が入っておりましてとおっしゃいますけれども、農家の方々の所得あるいは生活、それをはかるためには、生産費とか繭の価格とかというもので比べなければ比べるものはないわけですよね。ですから生産費云々ということをいろいろ条件を述べられるわけですけれども、それは言い逃れにすぎないと思うわけです。農水省の方にもいろいろ御要望が来ていると思うのですよ。去年、期中改定を行ったときにも、もうぎりぎりだという声も聞いておられると思うのですけれども、六十年度は一万二千円を割るようなことにはならないと、この委員会でも言明をされているわけですが、それ以降については、もう引き下げないんだという言明ができませんか。
○関谷政府委員 六十年度の基準糸価及び基準繭価につきましては、お尋ねのございましたように改正後の問題としまして、私ども昨年の期中改定後今日までの状況からしますと、これを維持すべきである、こういう考え方でございます。 その後、将来展望はどうかということについては、実は六十年という年は非常に大事な年でございまして、一万二千円という基準糸価、今度の法律改正後は安定基準価格でございますが、それを前提としました価格体系というものが成立しましてまだ間もないわけでございます。そういう状態で、その先のことがなかなか見通しにくい。我々としては、とにかく現在の一万二千円堅持ということで今年度推移するわけでございますが、その先どうなるかということについては両面の期待がございまして、需給関係が改善するという見方も全くないわけではございません。一方、こういう状況はなかなか改善しないであろう、そうしますと価格についても厳しい考え方をしなければならない、こういうことになりますので、現在の時点で六十一生糸年度以降の問題についてはなかなか見通しも難しい。むしろ今年度、六十生糸年度の中の需給関係、価格関係あるいは生産地の対応と申しますか、こういうものを注意深く見守りまして、我々としても一万二千円を堅持するという今年度の方針の中で来年度以降の問題についても慎重に検討し、決定すべきであろうと考えております。
○中林委員 局長の答弁を聞いていると私は農家の実態を反映していないと指摘せざるを得ないのですね。一日働いても本当に二千円にもならないような厳しい苦労を強いられている農家の人たちの声、実際に農家の人たちの状況をお聞きしますと、何とか合理化をし省力化もして生産そのものを上げていきたいという意欲を持って取り組んでいるのに、価格が引き下げられてとても大変だ、これではとても息子などにつくれということは言えない、だから自分たちは自分たち一代限りで終わらなければいけないような状況ではないか。伝統産業でもありますし、山間地帯の農業あるいは国土を守るという観点からしても、そういう人たちの意欲をそぐもので、こういう状況では本当に後継者が育たないと指摘せざるを得ないということを申し添えておきたいと思います。 今回の改正で繭と生糸の価格安定に関する制度が大きく変更されることになるわけで、その点についてお聞きするわけですけれども、これまでの異常変動防止帯の安定下位価格は、生糸生産費を基準としてその八割五分を下らない範囲において算定されていたわけです。現行の安定下位価格は、なぜそういう規定を設けられたのかということをお答えいただきたいと思います。
○関谷政府委員 異常変動防止措置の安定下位価格でございますが、これは文字どおり異常変動ということで、変動の異常と見られるような下限をとるということでございます。これが生産費に対しまして八割五分、さらに臨時の特例政令によりますと六割までの範囲を下らないように決めるということになっておったわけでございます。これが一つの下限の歯どめである、こういうふうに考えれば考えることもできるわけでございますが、反面、昭和四十一年中間安定措置が発足しました以後は、この安定下位価格の上の方の中間安定という措置に生産者側、需要者側全体の関心が集まりまして、狭い方の、より高い方の中間安定措置で価格安定をどうしてもしてくれ、こういうスタイルで二十年近く参ったわけでございます。 そうなりますと、むしろ中間安定措置が安定価格制度の実体である、こういうことになりましたので、制度の簡素化と同時に、一部の不安としましては、昨年の価格推移なども見ますと、本来、中間安定のところまででとまるべき価格が現物価格で安定下位価格のところまで落ちてきた、こういうふうに二重底は丈夫なようだけれども、初めの一重底の方がかえって軽視されて下の方に近づく、こんなような相場関係者の心理も働いたりしておりますので、むしろ中間安定措置を中心にしました価格安定制度でこれをしっかり守る、こういう体制に整えた方がよかろうというのが今回、異常変動措置を廃止した理由でございます。
○中林委員 そんなこと聞いていないじゃないですか。要するに現行の安定下位価格は生産費の八割五分を下らないものとする、こう決められたそのときの意図はどういうものかということをお聞きしているわけですよ。
○関谷政府委員 これは基準生産費の中の相当部分をカバーするということで決められたというふうに承知しております。当時の基準生産費の内容にもよりますけれども、生産費の中の相当部分をカバーするということで決められましたし、三十四年の臨時特例政令では六割になっておりますが、こういう場合にも、例えば所得的な部分は多少カットをする、こういうような考え方で比率が決められておるわけでございます。
○中林委員 それならば今回新たに改正されます安定帯の基準価格及び上位価格はどういう基準で決められるわけですか。
○関谷政府委員 私どもとしましては、提案理由等で御説明申し上げておりますような中間安定措置を実質的にもととした安定制度というふうに考えておりますので、今回の法律改正後の上位価格及び基準価格については、今やっております中間安定帯の価格水準の決め方を継承するのが一番妥当であろうと考えております。具体的には、従来の基準糸価につきましては、いわゆる需給実勢方式というものによりまして需給調整係数等を用いまして算定する方式が中心になっておるわけでございます。
○中林委員 今お聞きしますと、新しい制度の安定基準価格は従来の中間安定措置の基準糸価に対応して、決め方もそういうふうに準ずる、こう言われるわけですけれども、しかし、これまでの基準糸価というのは異常変動防止帯の中で定められることになっておって、現行の安定下位価格を下限として決められる。それは結局は基準糸価は生産費の八割五分の水準より高く設定される、こういうことになると思うのです。ところが改正案の安定基準価格は、これは御答弁の中ではおっしゃるわけですけれども、きちっと書いていないわけですから、生産費は何ら基準とせず、生産条件だとか需給実勢だとか経済事情だとか、こういった抽象的な表現で、いわばどうにでもなるというような状況で決められてしまうのではないかという危惧を抱かざるを得ないわけです。これは明らかに生産費を償うという現行の価格安定機能の基本を後退させるものになるのじゃないですか。
○関谷政府委員 従来の異常変動防止の下位価格が一つの歯どめになっている、それがなくなることの影響はどうかというお尋ねでございますが、従来の基準というか安定下位価格につきましても、今お答え申し上げましたとおり、いわゆる基準生産費の八五%ということで、基準生産費全額をカバーするという考え方にはなっておらないわけでございます。さらに、臨時の特例としましては六割を下らない額までで決められるということで、そういうふうな形で、基準生産費との関係で申しますと、必ずしもそれがいわゆる生産費カバーということではなかったということが一つございます。 一方、従来の基準糸価、今回の価格安定制度における安定基準価格でございますが、これは需給実勢方式と先ほど申し上げましたが、一定の期間における実勢価格と生産費の変化率、さらに需給関係をあらわします需給調整係数、この三つの要因から算定をするということになっておりまして、これは需給実勢といえば需給実勢でございますが、同時に、ある程度の期間を見ました生糸の需給安定という観点から考えておるわけでございまして、その中にいわゆる生産費が全く考慮されない、あるいは生産の面から申しますとむしろ相当重要な要素になるということは全く考慮されていないということではなくて、法律の表現にも「生産条件」と書いてございますが、むしろ重要な要素として入ってくる、こういうふうに考えられますので、一概に、いわゆる従来の制度におきます生産費基準がなくなったからといって、新制度のもとにおきます価格と生産費との関係でお尋ねのような不安が生ずるということはないのではないかと考えておるわけでございます。
○中林委員 生産費を全く考えないことはない、それをちゃんと考えているのだとはおっしゃるのですけれども、それならば生産費という項目をきちっと入れるべきだと思うのです。やはり今まで異常変動帯があって、それは生産費の、特別の場合六割までというのもありますけれども、大概がその八割五分というのが養蚕農家の方々にとっては一つの歯どめ策だ、中間帯というのはその中で決められてくるわけですから。今度はその両端を取っ払ってしまうということですから、下がればどんどん下がっていくというふうに、需給実勢とかそういうのを見たらやはり下がっていく方向しか考えられないのです。 今回の改正のベースとなった昨年十月末の繭糸価格安定制度に関する研究会の報告にもいわば率直に述べられているわけです。つまり生産費基準の安定下位価格の決定が需給実勢を考慮した価格安定帯の設定を阻害している。新たな価格安定帯は、需給の調整、生産事情、内外価格差の状況など総合的に考慮して決めよ。そして現実の価格水準がこの価格安定帯の中で安定的に推移できるようにせよ、こういうふうな指摘があって、これを正直に今度の改正案に盛り込んでいるとしか思えません。生産費基準をやめて、事業団が生糸買い入れの必要のない水準に安定帯を設定せよ、こういうことを言っているように思えるわけですね。 今度の改正案によりますと、大量の在庫処分が前提になるわけですね。放出が前提となって需給実勢を見るというのだったならば、もう放出一方でやっていくわけですから、安定帯というのがどんどん下がっていくように考えられるわけです。先ほど述べました研究会の報告では、内外価格差の状況というようなことも書かれているわけで、こういう点も価格を決める一つの考慮に入るのかどうかというのが一点です。事業団の在庫を一定を放出していくということになるわけですから、そういうときこそ異常変動防止帯というのが必要だと思うのですけれども、その点についてはどうでしょうか。
○関谷政府委員 安定価格帯制度における価格決定基準のかなり基本的な考え方にかかわるわけでございますが、従来の異常変動防止措置の生産費基準という点については、確かに言葉は生産費基準でございますが、反面、あくまでも異常変動でございましたので、これは政令に委任されて、その政令で八割五分とか六割を決めていたということにあらわれますように、異常性の判断については行政当局にそこは任されていたわけでございます。そういう関係で、それも歯どめであったではないかということでございますけれども、生糸というものの商品としての性質なり何なりを考えますと、やはり需給というものが一番大事である。これは生産者があり需要者があってそれで初めて価格が成り立ち、また物が売られるわけでございますので、そういう関係で今度の新制度のもとでの考え方が、需給実勢とかあるいは需給均衡、需給のバランスをとるという考え方が非常に強く出ていることは事実でございます。ただ、それがいわゆる需給の需任せということではなくて、繰り返しになりますけれども、需給の給の供給側には養蚕農家あり製糸業者があるわけでございますから、そういう供給面の要因というものが入ってくる。当然生産費も入ってくる。ただ、それが従来のような生産費の何割というような基準によって入ってこない、こういうような違いがあるわけでございますが、あくまでも需要と供給が、少し長期的な面も含めてバランスをとっていくということが制度の基本的な考え方であろうと思います。 その場合に、お尋ねの外国の価格の問題については、これはもちろん明文でそういうことを書いておるわけではございませんけれども、ちょうど他の繊維の価格関係等を考慮するということが必要であると同様に、いわば供給面の要因として、外国でかなり低い価格のものが売られておる、こういうような国際的な価格は全体の中に全く考慮に入らないということは言えないので、むしろ総合的な観点から決める中の、ウエートは何%ということは言えないにしても、全く考慮されないということではなかろうというふうに考えます。
○中林委員 大変なことだと思うわけですね。国際価格を考慮に入れるということになりますと六千円とか七千円とか、大変低い価格ですから、こんなことでは国内の養蚕農家は太刀打ちできないのはもう言うまでもないことです。ですから条文では除かれてしまったわけですけれども、生産費を償うというこの観点はぜひ貫いていただきたいということを申し添えておきたいと思います。 次に、今回のもう一つの改正点であります生糸売り渡し特例の拡大について聞くわけですが、事業団に大量の生糸在庫がたまって、それが価格低迷の大きな要因となっております。そのために事業団が買い入れ数量をふやさなければならないという悪循環を生み出していると思うのです。事業団の在庫生糸を何らかの方法で処分してほしいという要望も私どもも聞いておりますし、それはやはりやらなければいけないことだというふうに思います。しかし、問題は処分の方法だと思うのですね。大量に市場に放出すれば生糸相場に大混乱が起こるというふうに思います。 そこで聞くわけですけれども、今回、事業団が一定期間を超えて保有した生糸については、農水大臣の承認を得て、基準価格を下回るか、そのおそれがある場合でも売り渡すことができる、こういうふうにあるわけですが、それは、生糸価格が基準価格を下回って事業団が買い入れを実施中においても承認はあり得るのですか。
○関谷政府委員 在庫の売り渡しの仕方でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、私どもとしては、基本的にはこれは何か全く自分の関係のない人からしょった借金のようなものではなくて、過去の日本国内でつくられたものが従来の安定制度の中で買い入れられたのが主体になっているわけでございまして、これは生産者なり供給面でも何とか苦労をして処理していかなければいけない、いわば自分自身の借金であるというように考えなければならないと思うわけでございます。そういうことからしますと、今後の新しい安定制度と何とかうまく調和をしながら、この我々の持っておる借金というか在庫を処理していくという考え方に立ちたいわけでございます。そうしますと考え方としては、できるだけ需給に無理なく入っていくような一定期間、毎月幾らというような形で売っていくのがよかろうというように考えております。 ただ、これがお尋ねのように今後需給関係が不幸にして悪化しまして価格が非常に下がる、事業団買い入れまでしなければならないというような事態になったときの問題としますと、私どもとしては、そういう事態にはこの売り渡しは全部とめるか、あるいはかなり制限するか、いずれにしましても相当な調整を加えなければいけないことは事実だと思います。ただ、ここで申し上げますことは、事業団在庫、かなり期間がたっておりますのでこれを売り渡しました一方で、買い入れによって新しい糸が事業団に入ってくる、こういうような一つの物の動きのメリットもございますので、下がったら、買い入れをしているときは全く全然売り渡さないということでもないだろう。これはその時期の需給関係の状況をかなり慎重に見きわめて対処しなければならないということでございます。いずれにしましても在庫処理という必要性は認められるわけでございますが、価格安定制度との調和ということを、そういう場合にどうやって図っていくかということでございますので、価格の下がったような事態においては相当慎重な売り渡し数量の調整をしなければいけないと考えております。
○中林委員 そうすると慎重にやらなきゃいけないということは、買い入れている最中でも売り渡しはあり得る可能性があるという答弁ですね、今のは。そういうことを含んでいらっしゃるわけですね。これはもう大変なことで、価格低迷に大変大きな影響を与えると思いますけれども、もう一度局長、簡単に。そういうことはあり得るわけですね。
○関谷政府委員 そういう買い入れている一方で特別売り渡しをするという事態は、私どもとしては予想しておりません。確かに、そういうことはあってはならないはずでございますが、ただ、さっき申し上げました在庫糸がかなり古くなっているという状態のもとで考えますと、全くそういうことは考える、あるいは実行する意味がないんだということにはならないわけでございます。したがいまして、買い入れているときには全く売り渡しはしないんだということの大原則だけではまいらない場合もあろう、こういうことでございます。
○中林委員 そういうことをおっしゃるならば、本当に歯どめ策というものがなくなってしまうということで、農家にとっては大変だというふうに思います。大臣の承認を得ての条件として、「時価に悪影響を及ぼさない方法によって、」こういうふうにあるわけですけれども、その悪影響を及ぼさないということはどういうことなのか、どういう影響があれば悪影響というのか、それからまた、その方法とはどんなことを考えていらっしゃるのか、関係者が最も知りたいことでございますので、具体的にお答えいただきたいと思います。
○関谷政府委員 この時価に悪影響を及ぼさない方法の例示としましては、法律に一般競争入札契約ということが書いてございまして、考え方としては、文字どおり時価を非常に引き下げる、こういうような影響が見られます場合には、とめるなり、例えば一般競争入札契約でございますとそこで設定します予定価格等で配慮するなりしまして、時価の低落を非常に加速化する、こういうようなことは避けるべきだというふうに考えているわけでございます。 そういう意味で、売り渡しについてはそういう条件のもとで、慎重に対処をすべき事態、特に買い入れをしているような事態におきましては、何といっても原則としてはそういう場合に売り渡しをすることはなかろうというふうに考えますけれども、何度も申し上げて恐縮でございますが、その可能性は全く排除し得ないだろう、こういうようなことでございます。
○中林委員 改正後に事業団保有在庫が約十七万俵程度になると思うわけですけれども、これは大体どのぐらいな期間をかけて処分をなさろうとしていらっしゃるのか、これまでの委員会で余りはっきりお答えが出ていないのですけれども、ある程度の見通しは立てていらっしゃると思うので、おおよそのところで結構ですので、期間だけお答えいただければと思います。
○関谷政府委員 率直に申しまして、この全体を処理する期間については、私どもまだ一切、何年とかいうようなことは考えておりません。ただ、いろいろ前提として置きますと、余り長くては在庫処理に努力する意味もなかろうということで、もちろん、気持ちとしてはまさに時価に悪影響を及ぼさないように、安定制度の機能を損なうことのないように早くやりたいという気持ちはございますけれども、これは実際に法律のもとにおきまして対応する場合に相当慎重な対応を要すると思いますので、いずれにしましても、機械的にある期間を初めから設定をしてかかるということは適当ではなかろうと思っております。
○中林委員 はっきりはおっしゃれないと思いますけれども、農水省の方から説明をいろいろ聞きますと、数年ぐらいではないかというめどは持っていらっしゃるように思うわけですね。そうすると大体一年間平均的に、これも平均的にはいかないと思いますけれども、三万俵ぐらい放出になるのじゃないかと思うのですね。現在、昭和五十九年の我が国の生糸生産量は十八万俵で、輸入量は、保税加工分を除いて実際国内に出回る量は約五千俵、合わせて十八万五千俵前後になるわけですね。これに新たに事業団が放出した分、三万俵になるか二万俵になるか、それはいずれ、それに近い線だと思うわけですけれども、糸価に必ず悪影響を及ぼすと私は思うわけですけれども、その場合、具体的にはどのようになさるおつもりですか。
○関谷政府委員 糸価に悪影響というのは、判断の仕方はございますけれども、現在の安定帯制度がございますので、それを物差しにしまして、それが非常に機能が損なわれるような売り方、売るテンポではいけないだろう、こういうことでございます。ただ、それが具体的に毎月どのくらいとか、あるいは年にどのくらいの数字になるかということについては、本当のところ非常に予測が立てにくいというふうに考えております。 今までにいろいろ期間を設定してはどうかという考え方もございましたけれども、やはりその間の在庫処理までの期間は、これは過去の、先ほど借金と申しましたが、過去に国内でつくられたものがそれだけ在庫にあるわけでございますから、その間、生産の面なり何なりで、いわば価格の面なりで若干の不便は忍ぶ、というのは、これは従来の生産がそれだけ事業団に物が入った、事業団が買い入れたわけでございますので、いわば、そういうものが処理されるまでの間は、需給関係としてはかなり苦しい、やや弱目の状態で推移せざるを得ない。ただ、これはあくまでも価格安定制度を守りつつそういう難しい在庫処理に取り組んでいくということで、そのテンポにつきましては具体的な状況を見ながらのペース設定と申しますか、相当それをしなければならないと考えております。
○中林委員 そうしますと、今の御答弁でも生産にもというような言葉を出していらっしゃるわけですけれども、例えば二万俵とか三万俵とか売り渡しが出ますと、その分、国内の生産量を減らすこともあり得るということですか。
○関谷政府委員 生産の方はいろいろ指導はしておりますが、いわゆる生産割り当てというようなことは実際上不可能でございますし、従来もやっておらないわけで、あくまでも自主的な調整でお願いをしておるわけでございます。そういうことから申しますと、毎年幾ら処分するから生産の方を幾ら調整を加えるというようなことは実際上はできないわけでございまして、ただ現在の需給それから在庫の処理の必要性等から考えますと、やはり生産数量というもりは指導の内容としましては相当抑えていく、少なくとも従来のものよりはふやすことはできない、若干抑制ぎみにお願いをする、こういう気持ちとしての指導は今後とも続けていく必要があろうと考えております。
○中林委員 気持ちの指導というのは非常にわかりにくい言葉なんですけれども、私はやはり具体的に縮小の指導をなさるんじゃないかと思うのですね。そうすると結局、国内生産を削減させながら、その足りない分を在庫減らしで賄っていく、こういうことであれば結局養蚕農家にとっては非常に悪い結果をもたらすことになるのではないか。何のための在庫減らしなのかわからないというふうに思うわけです。 私も、先ほども言いましたように事業団の在庫がどんなにあっても構わないという立場はとらないわけです。今後の事業団の価格安定機能を正常に発揮させる上でも、何らかの方法による処分は必要だと思うわけですね。国内生産の現状維持を極力図りながら、かつ糸価に影響を与えない形で在庫を放出する、この一つの方法として、保税加工用の生糸、これは五十八年、五十九年度とも約二万俵あるわけですけれども、この輸入を大幅に減らして、そこに事業団在庫の糸を充てる、こういう考えは非常にいいと思うのですけれども、いかがですか。
○関谷政府委員 保税加工につきましては、これは保税して加工に充てられるという確認と申しますか、そこのチェックだけでございまして、数量的にそれを抑えて、それに事業団在庫を回すというのは、数量的な抑制は制度としても建前としても不可能になっております。 ただ、方針としてそういうことはできないか、事業団在庫を保税用糸に回してというか、つまり輸出用にかなり低い価格で回せないか、こういう御議論になろうかと思いますけれども、これはそこだけを見ますと、いわゆる補助金つき輸出になっていくという問題もございます。それから現時点で年間二万俵くらいの保税用糸が入っておりますので、現在入っている、いわば保税用糸を輸出している国との関係、これも出てまいります。そのほかに、保税用糸は御承知のように一キロ六千円台くらいの価格で入ってきておりますので、事業団の損失額というのは非常に膨大になるわけでございます。こういう関係から、そういう方法は私ども、議論する過程で幅広い議論の中にそういう議論も出てまいったことは承知しておりますけれども、実際的にはなかなかとれない方策であるというふうに考えております。
○中林委員 確かに財政負担はかかるわけですね。だけれども、実際に繭とか、そういう今の養蚕農家の抱えている国民的な意味合いから考えてみれば、私どももどのくらいお金がかかるかという計算もしてみたのですけれども、二十億円足らずではないかというふうに思うわけですね、新たに予算をふやすのは。そうしますと本当に国民的な観点での養蚕農業あるいは絹織物などを守っていくという観点からいけば、財政事情の問題だとかその他のことで、こういう保税加工用に在庫分を回せないという論議にはならない。そういう在庫処理の話あるいはそれによって養蚕農家も助かる、日本の伝統産業も守られるということであれば、その程度の財政負担というのは当然ではないかというふうに思います。 次に進みますけれども、今回の法改正の最大の理由として政府は、絹の需要の大幅な減退で生糸需給に著しい不均衡が生じた結果、事業団在庫が累増し、価格安定制度が十分機能しなくなったことを挙げておられるわけです。確かに需要が減ったこともあるのですけれども、何といっても生糸、絹織物の輸入問題、これを声を大きくして指摘をせざるを得ないと思うのです。 そこで聞くわけですけれども、繭の自主的減産が始まりました昭和五十六年以降五十九年末までの四年間の国内の生糸生産量、それから輸出向けを除く純国内需要量、それから生糸輸入量、これは保税加工分を除いてです、それから事業団の在庫増加重、この四年間の累計はどのくらいになりますか、暦年ベースで。
○関谷政府委員 まず輸入の方から四年間、五十五年から五十八年まででございますが、五十五年輸入が十三万八千俵、これは生糸、絹織物両方含めまして……。
○中林委員 今お聞きした点、ちゃんと申し上げていたんですけれども……。じゃ、いいです。 これは農水省の方から資料もいただいておりますけれども、実は今申し上げましたように昭和五十六年以降五十九年末まで、これは暦年ベースでですけれども、四年間の累計が国内の生糸生産量八十五万二千俵、それから輸出向けを除く純国内需要量が八十四万八千俵、それから生糸輸入量、これは保税加工分を除くわけですけれども四万六千俵、事業団の在庫増加量が三万六千俵、これは農水省の資料をいただいたので、いいと思うのですけれども、この数字を見る限り国内産と国内需要量がほぼ同じだというふうに私は思うわけですね。累計でわずか四千俵ほど違いますが、これは五十八年まででいきますと千俵の差というふうに、ほぼとんとんなんですね。したがって事業団の在庫量の増加というのは結局は輸入生糸にある、こういうふうに言えるんじゃないかと思うのですけれども、その点はいかがですか。
○関谷政府委員 数量的な関係だけから申しますと、そこのところが一致をするというような形になっていようかと思います。ただ、事業団の場合には、輸入量というものは、事業団に入ってすぐ出ますものと、過去に事業団が輸入をいたしましてそのまま在庫となってたまっているものとございまして、一方、買い入れの方は買った方でたまっております。そういうことで現在の在庫の中で見ますと、約十万俵超のものが国内の買い入れ数量の増加によるものでございまして、数字的な関係だけから申しますと先生のおっしゃるような見方も成り立つわけでございますが、現物の動きから申しますと、輸入したものが在庫としてたまっているという部分は全体の中では一部になるわけでございます。
○中林委員 それは、いろいろな操作上の問題はあると思いますけれども、今、生糸の生産を抑えていこうとする、官民一体とはおっしゃっても農水省主導型でそういうのが進められていく中で、決して抑えられるべき問題じゃない。結局、輸入がとまれば数量的には合うのじゃないか。数字はそうだとおっしゃるので、そうだと思うのですよ。これは糸だけじゃなくて絹の面から見ましても、五十八年度の内需は糸換算で二十八万九千俵、生糸の生産量は国内では十九万八千俵です。輸入が十万六千俵ですから、これを見ても国内産の生糸が過剰になる理由はどこにもないわけです。今、国内で繭の二五%減産を官民一体で進めて、基準糸価を二十七年ぶりに期中改定で大幅に引き下げる、こういう異常事態が進んでいるもとで、事業団の在庫が適正な水準になるまで緊急措置として輸入をストップすべきだ、こういうふうに思うわけですけれども、大臣いかがでしょうか。
○佐藤国務大臣 中林先生にお答えいたします。 先ほど局長も言ったとおりでございますが、結局、絹糸の輸入については自由化品目であり、また価格が安いというようなことで、いろいろな努力によりまして生糸の一元輸入制度の運営あるいは中国、韓国との二国間協議を通じて輸入の縮減を図っております。そんなことで絹織物は自由化された品目でございますが、現下の国際経済情勢などから見ますと輸入停止ということは極めて困難だと考えております。今まではそうですが、今後とも関係省庁の協力を得まして、関係国に対しまして我が国蚕糸絹業の当面する困難な事情について理解と協力を求めるとともに、現行の諸施策を活用して輸入量の縮減に極力努めてまいりたいと考えております。
○中林委員 自由化品目だから難しいということでは養蚕農家の納得は得られないと思うのです。先日、参考人の御意見もお聞きしたわけですが、ここで全養連の中島専務理事がきっぱりおっしゃったわけですね。在庫をなくせばやはり価格に影響が出ると考える、価格に影響を与えないで在庫をなくす道は輸入をストップする以外にないのだ、こういうことをきっぱりおっしゃっておりますし、それはほとんどの農家の人たちの総合的な意見です。輸入削減にはこれまでも努力をしたというふうにおっしゃるわけですけれども、国内の繭の自主的減産の始まった昭和五十六年と比べて輸入量は減ってはいないのです。暦年ベースで五十六年、五十七年、五十八年の輸入量を見ますと、ずっとふえてきております。会計年度で調べても横ばいかふえるかという状況なんですね。少なくとも生糸は事業団が輸入発注しなければ事実上輸入ストップになるわけです。これは五十六年度で保税加工分以外、事業団取り扱いの輸入がゼロであったことを考えれば、決して無理な話ではないと思うわけですね。しかも現在は、五十六年と比べても生糸需給が厳しい、そういう状況ですから、事業団発注は当分中止すべきだと思うわけですけれども、重ねていかがでしょうか。
○関谷政府委員 今お尋ねの数字の推移で、総体としましては、一元輸入生糸、要するに事業団の入れます生糸とそれから絹織物、二次製品関係では歩みが違うと思います。事業団生糸につきましては、お尋ねの中にもございましたように一元輸入という制度の運用のもとで、かなり厳しく制限をしておりますし、絹織物は、大体二国間協議が主体になるものはその線で抑制しておりまして、若干テンポは緩やかでございますが減っておる。一方、二次製品関係は完全自由でございますので最近かなり増加傾向にある。それから保税生糸も含めますと、保税生糸自身が最近の段階で、かつての一万俵台から今二万俵台まできておりますので相当ふえておる。こんな関係の集積されたものがトータルしますと何かいかにもふえているように見える、こういう関係ではなかろうかと思います。 そこで輸入抑制の問題でございますが、基本的には、生糸も含めまして中国、韓国との二国間協議という一種の自主規制というラインでの協力を求めるということで、日本の在庫事情なり生産制限の状況なりをいろいろ訴えまして、できる限り理解をしていただくという線で輸入を抑えてもらっているような次第でございます。 その中で生糸はどういうことになっているかと申しますと、昨年非常に価格低迷もございましたので、六月以後輸入をとめておりましたが、最近、二国間協議の中で、従来協議をしたけれども入っていないもの、五十八年とか五十九年、そういう約束をしたけれども入っていないものにつきましては、両国との国際的な友好関係の問題もございますし、政府間の問題としてこれを全く入れないというわけにはいかないということで、協議数量のいわば消化という状況で応じておるわけでございます。ただ、こういう状況でございますので、五十九年度に新規枠、協議枠を設定する、こういう問題については向こうの御理解を得て現在とめておるわけでございます。
○中林委員 大臣、ぜひ大臣に言ってほしいという声を実は農家の人から承ってきたのです。日本一の養蚕地帯の群馬を訪ねたときなんですけれども、養蚕団体や製糸業の関係者から話を聞く中で一様に強調されたことは、絹の需要は減る、事業団の在庫は放出しなければならない、しかし輸入を減らすことは相手国との関係で困難だ、したがって国内産を減らしてくれ、こういう言い方はだれだってできる、これは政治じゃない。だから国内産に犠牲を押しつける政府のやり方には、これ以上そういうことをやられたのではもう本当に耐えられない。外国との関係を優先させて、おれたち養蚕農民を見殺しにするつもりか、こういう訴えをぜひ大臣に聞いてくれとおっしゃるのです。そして輸入は当分ストップする、こういう約束をぜひ取りつけてほしいという要望があるのですけれども、いかがでしょうか。
○佐藤国務大臣 お答えいたします。 先ほどから局長が答弁しておるのは、いかにして日本の養蚕業を生かすかということで最善の努力をしておるということでございます。生産コストをいかに安くするかということで、養蚕農家の方たちにもいろいろな御努力をお願いしておる、国としてもできるだけのことをする、こういうことでお願いしておるわけでございます。今、日本の置かれた立場それから国際環境等を考えた場合、おっしゃる意味はよくわかりますけれども、輸入停止というようなことは難しいと考えております。そんなことで、先ほど私が言ったようなことでございますが、とにかく日本の置かれた現状をよく説明し、理解と協力を求めながら輸入の縮減に努力をいたしたい、このように考えておるわけでございます。
○中林委員 輸入を減らすことに努力はするけれども非常に困難だ、こういうことで結局、国内生産を減らしていくという結果がどういう状況になったかということは、もうこれまでの状況で明らかだと思うのですね。昨年の政府の強力な指導によって二五%の繭の減産を強行して、主産地の農業や経済に深刻な打撃を与えたということになっております。全国一の養蚕県の群馬で、昨年の繭減産による減収が七十億円にも達しているわけです。そうすると一戸当たり平均二十万円以上の減収となっているわけです。桑園面積が前年比で八百ヘクタールも減った上に、遊休化した桑園が県の控え目な調査でも六百九十三ヘクタールにも上っております。しかも晩秋蚕においては使用しなかった桑園が五千ヘクタールにも達して、アメリカシロヒトリが大量に発生してほかの農産物にも影響を与えた、こういう悪影響が出ている話を聞きました。農地と農業の荒廃、農村経済に重大な打撃をもたらしたこのような繭の一律減産は、来年度以降はぜひやめてほしいと関係者から強く訴えられたのです。 そこで聞きますけれども、政府は六十年度及びそれ以降の繭の生産調整をどのようにされるおつもりなのか、昨年のような一律減産の押しつけをなさるのか。生糸や絹の織物の輸入、在庫増のツケを、これまでのようなやり方で国内生産の減少という形で回すことはもうやめてほしい。やはり農家の方々がおっしゃるように、農家の犠牲で乗り切るようなことはやめてほしいとおっしゃっているので、その点ぜひ具体的に私は聞きたいと思います。
○関谷政府委員 繭の減産というか生産対策の今後の方向でございますが、昨年、五十九年産につきましては当時の大変厳しい需給関係から見て二五%減産ということをお願いし、全養連を中心とする生産者団体がこれに協力して、自分たちとしても団体の仕事として指導しよう、こういうことで結果的には約一八%の生産減、これはいろいろ気象的な要因も若干関係いたしたわけでございますが、それに落ちついたわけでございます。 六十年の繭生産につきましては年当初から各県それから生産者団体等、内々のいろいろ意見調整をしておりますが、全体としてはまだ方針を決めておりませんけれども、おおよその考え方としましては、やはり我々が想定する生産規模については、昨年、減産のいわば目標として四万七千五百トンにということを数字を出したわけでございますが、我々の目標を聞かれるならば、この四万七千五百トンよりは少ない数字にどうしてもならざるを得ないだろう、これは需要の動向等から見ますとどうしてもそういうことになる。ただ、昨年も実施しましたような生産者団体みずからの仕事として、いわば生産数量を割り当てていく、こういうような活動にまで今年度お願いをするかどうか、あるいは生産者団体としてもそこまで踏み込むかどうか、この点については現在協議調整中でございます。いずれにしましても来年度以降、六十年度以降も含めまして、やはり総体の生産規模の想定についてはやはり相当厳しい線で我々考えませんと、従来から起きましたような非常に需給の不均衡と、それによるまた価格の低迷、こういうようなことを招来するおそれがございますので、慎重に対処していきたいと思っております。
○中林委員 現在、養蚕をやっているところは残るべくして残ったところ、こういう厳しい状況の中でも何とか耐え得て残ったところだというふうに思うのですね。群馬に行ってもそうだと思いましたし、生産地である福島でもそうですし、私の地元の島根においても、やはり残るべくして残った人しか残っていないという状況なんです。養蚕地帯のほとんどは山間地、過疎地で、土地などもやせていて桑以外に適したものがないというところなんです。しかも担い手のほとんどは高齢者ということもありまして、新しい作物の導入とか経営転換というのは非常に困難な状況になっております。加えて、ほかの作物へといっても野菜だとか果樹などはもう過剰ぎみになっていて、群馬では野菜やコンニャクの生産者団体から、養蚕からの転換がこれ以上ふえては困るという陳情まで出ているほどなんです。政府は、こうした養蚕農家に繭をやめて何をつくれとおっしゃるのか。昨年の減産の際に政府は転換のための指針というものをお出しになったのか。農業振興を中心任務としている農水省が指導なさってやめろとだけは言えるんだけれども、ではかわるべきものを示すということは私は当然だと思うのですけれども、群馬で聞きますと、やめろという指導だけで、では何をという指導はなかった、こういう不満の声も実は聞いたわけなんですね。ですから昨年一体どういう御指導をなさったのか、お聞きしたいと思いますし、それから二五%の減産は各県にも配分されたわけですから、繭から一体何に転換して、どういう影響が出ているのか、その後つかんでいらっしゃればお聞きしたいと思います。
○関谷政府委員 五十九年のいわゆる減産につきまして、私どもとしましては全体の生産規模は全養連との間で四万七千五百トンと設定したわけでございますが、この場合のいわゆる転換先というか、問題については、こういうものにこの程度というような、いわゆる数量としてお示しするとかあるいは作目を挙げる、こういうような転換の指導は一緒にはいたしておりません。 これは従来の傾向を見ますと、養蚕、桑園がどういうふうにほかのものにかわっているかという状況についてはかなり地域差がございまして、今、群馬のコンニャクの例をお挙げになりましたが、県別に見ましても相当な差がございますし、全体としてはやはり野菜とか果樹が多うございますが、この辺の作目の選択の考え方としては、一つはやはりその地域で従来からある作目、それから養蚕農家といっても養蚕専業ではないものが多いわけでございますから、自分の経営の中に従来複合的に持っておった部門、少しそちらにシフトしていく、こういうようなかわり方が大部分であろうと思います。つまり地域あるいは農家単位で見ると今までつくられたものの中でかわっていくということのようでございまして、恐らくそういうものが実態であろうかと思います。 したがいまして、私どもとしてはそういう転換先をこうこうというふうに示すのではなくて、そういうことも含めて減産に対する調整がいきますように昨年も関係の資金の準備をいたしましたし、あるいは農業改良資金の重点的配分というようなことも通じまして、いわば農家の行動として生産の転換なりあるいは養蚕自身も合理化をしていくということに対する資金面での配慮はできるだけ図ってまいったわけでございます。養蚕部門それから転換先の部門も含めまして農業改良資金のような無利子資金、その他資金措置の面でのいわば配慮については今後とも十分に考えてまいるつもりでございます。
○中林委員 農家の人たちが求めているのは、やめろというならば資金対策ももちろん必要ですけれども、そうではなくて、それから以後、転換作物でちゃんと生計が立てられるかどうか、生計が立てられるような作物転換、そこまでの指導を求めているわけですよ。とにかく繭は減らして、後はどうにでもなれ、自分たちの頭で考えよというようなことでは、群馬のようにコンニャクなんかに転換してもらったら困るという、そういうコンニャク生産の農家の方から陳情が上がるという事態も生まれているわけなんですよ。ですから、これはもう資金対策をすればそれで十分みたいなことをおっしゃるのは無責任だと言わざるを得ないと思います。 しかも桑は四年前までは水田利用再編対策の奨励金支給の対象作物だったわけですよ。五十六年度を見ても米から桑へ何と千三百七十一ヘクタールも転換しております。わずか二、三年しかたたないのに桑をやめろということでは、猫の目農政という批判がまともに当たることではないかというふうに思います。これは群馬の例でも地域経済に大変大きな打撃を与えておりますけれども、もう一つ、山梨県の豊富村というところに行ってみたのですけれども、ここは耕地面積の七割が桑園という養蚕一色の村だったわけですね。ここで二五%の減産をやられますと村で何と二億円も減収されて大変な影響が出ているわけなんですね。ですから、いわばこうした政府主導型の、その後の対策のない減産は結局、養蚕はもうやめろ、安楽死せよ、こういうふうに言っていることにほかならないのじゃないか。 私の地元でも、今、本当に政府に手を打ってもらわないと品質のよい国内産はもう枯渇してしまいますよ、もう将来はありませんよ、自分たちは本当に質のよい繭を生産しているという自負は持っているけれども、これだけ採算がとれなくなり、輸入も減らされないということになればもう大変だということをおっしゃっておりました。農水省の方も養蚕というものが、ただそれが養蚕とか蚕糸業の問題だけじゃなくて山村の過疎化だとか農業と国土の荒廃など、国民全体にとっても決して軽視のできない事態を生み出しているわけですから、こういう意味合いからも本当に農家の人たちの不信感、これらを取り除いていくためにも大臣、現在残っている養蚕地域農家については今後とも維持発展ができる積極的な政策を施すべきだと思うわけですけれども、その点をお伺いしたいと思います。
○佐藤国務大臣 お答えいたします。 実は私は、一番問題は販路の拡大だと思っておりますが、前にもちょっと申し上げましたけれども、私は養蚕県の方に陳情を受けますけれども、養蚕県の方が陳情に来まして絹の洋服を着ている人はほとんどいないのです。絹製品を着ていない。それで実は私は、そんなことで果たしてこれで守れるんだろうか、こういう気がいたします。第一番に養蚕県の皆様方が自分たちのつくった絹を自分たちが使うんだという意欲をまず持っていただきたい。大体農林水産業は八百万ございますが、家族を入れて約二千五百万、こうした人たちの手によってまず守ることをお願いいたしたい。そういう形の中で先ほどから局長等が答弁したようなことで最大限これを維持発展させる努力をいたしたい、このように考えておるわけでございます。
○中林委員 もう質問時間が終わりましたので多くは言いませんけれども、養蚕県の人たちが絹製品を着てほしいとおっしゃるのは、安ければだれだって着ますよ。やはりコストの問題だし、それは流通にメスを入れていただかなければならないと思うのです。この雑誌で大臣が新珠三千代さんと対談していらっしゃる中で、大いに着てほしいという話をしていらっしゃって結構だと思うのですけれども、しかしコストが高いから売れないとおっしゃっているわけですね、大臣みずからが。私は、そうじゃなくて安ければ売れるということでございますから、そうするとこの委員会でも流通の問題、いろいろと複雑で大変だというお話がありましたけれども、やはりそこに思い切ってメスを入れられてコストを安くして、伝統産業である絹を国民が十分に着られるようにしていただきたいということを最後に申しまして私の質問を終わります。
○今井委員長 次に、竹内猛君。
○竹内(猛)委員 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案に関連をして質問をいたします。 まず最初に、たくさんの皆さんがもう既に質問をした後でありますけれども、この法案の性格というものについて、一体この法案はどういう性格を持っているのかということを基本的にお尋ねをしたいわけです。 これは在庫がふえた、消費が進まない、そして在庫処理のための財政的赤字がだんだんふえてきた。したがって昨年は基準糸価も引き下げたし減反もした。こういう状態の中で農林水産省の中と通産省に研究会を設けて、この答申によってこの法案を出してきたんだ、こういうふうな経過があります。これは緊急避難じゃないのか、こういうふうにまず第一に思うのですね。基本的に日本の蚕糸絹業の行くべき方向というものを指し示さないで、当面とりあえず緊急避難のためにこれをやるんだ、こういうふうな法案の性格としてまず考えられていいのかどうか、これが第一。 〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕
○関谷政府委員 緊急避難ではないかというお尋ねでございますが、確かに昨年から今日の法案の提案に至りますまでの経過を考えてみますと、こういうような制度改正が非常に緊急に必要とされるような事態であったことは事実であろうと思います。それは五十六年の基準価格引き下げ以来三年余を経過しまして、その間、需給改善に努めたけれども、どうも価格関係は思わしくなかった。やはり事ここに至って昨年の期中改定、さらに制度提案に至るこの動きは、非常に緊急性を帯びているわけでございますが、しかし、そうかといって今回の制度改正がいわば暫定的なものであるということではございませんで、やはり昨年の価格変動に見られましたような事態から見ますと、この際、繭糸価格安定制度の制度不安をなくす、こういうことで、先まで見た一つの制度のあり方を探る、その過程で在庫処理についても道を開いていく、こういう取り組み方にしなければいけないということで、動機においては緊急性に裏づけられておりますが、内容については、やはり日本の養蚕業の将来にとって不安のないような制度は、この際どういうふうにあるべきかという観点から考えたものでございます。
○竹内(猛)委員 そういうお答えがありますが、転換点に立っているところの我が国の伝統的産業であり、地域的には大体三分の二が農山村の中山間地帯に桑園というものがあるわけで、それで繭の収量から見ると、五十九年の段階では関東が四六・二%、東北が二三、東山地域が一三・六というように、全収量の八二%というものはこの地域においての生産量になっている。したがって、この地区においては特産地的性格を持っている。したがって、この地域の養蚕農家に対してこの法案が本当に光を与えるものであるのか、それとも依然として、また混迷とやみにいってしまうのか、こういう点については甚だ心配がある、大いに心配がある。この点についてはどうです。
○関谷政府委員 御指摘のございましたように地域産業として見て、特にまたその中でも山村、純山村地帯の産業として見ますと、非常に養蚕業のウエートの高い地域あるいはそういうウエートの高い農家があることは事実でございます。そういうことであるだけに、やはり価格安定制度としましては、先ほど申し上げましたが、かなり将来を見た、養蚕経営にとって一つも不安のないような制度の組み立てをしなければいけない。従来の制度が確かに繭糸価格の安定には寄与してまいりましたが、反面、こういう在庫の累増というような非常に不安事態をもたらしたことも事実でございますので、そういう観点から養蚕業に光を当てる、そこまでいくことが理想でございますけれども、少なくとも養蚕業の安定に寄与する、こういう観点から価格安定制度を新しくつくり直し、また、一元輸入制度は堅持し、在庫処理についてもその道を開いて、損失補てんも可能なようにする、こういうことで地域産業として非常に大事な蚕糸業の経営の安定に寄与していく、かねて法律の目的にもございますが需要の増進にも役立つように配慮していく、この法案のねらいはこういうことで考えております。 〔衛藤委員長代理退席、委員長着席〕
○竹内(猛)委員 将来に向かって何がしかを求めていこうということでありますけれども、もう既に各委員からも質問がありましたが、農林水産省が六十五年の長期見通しというものを立てて、今の現状との間で余りにも誤差があり過ぎる。したがって私は、この責任というものを明らかにしてもらわなければならないと思うのです。すなわち、言いかえれば四十年代の資料に基づいて五十三年を基準として六十五年を展望した「農産物の需要と生産の長期見通し」というものが出された。これは農業基本法の第八条によって、農政審議会の議を経て政府が責任を持って出したものですね。そういう中で農家はそれに従って生産をしてきたが、五十一年は四十六万五千俵の需要があったものが、基準年の五十三年が三十九万三千俵、こういうふうにだんだん落ちてきて、四十万俵というものを目標にしてきたけれども、まあ五十三年はほぼそれに達したわけですが、ところが五十八年には二十八万九千、六十四年には二十万俵そこそこにしなければならない、こういうことをしばしば本委員会でも答弁をされている。そうなると、当初四十万というものを見通して立てた計画、展望というものははるかに狂ってきている。 それだけではなしに桑園の面積においても、五十三年に十三万ヘクタールあったものが、そして農家も十八万七千戸のものが、五十九年には桑園は十万五千ヘクタール、農家は十一万四千戸と激減をする。一戸当たりの桑園面積は確かに九・二ヘクタールとふえているし、収量も若干はふえているけれども、収穫量は七万八千トンから五万トンへと四〇%も減ってしまった。他面、蚕糸砂糖類価格安定事業団の在庫というものが十七万俵以上にもなって、史上最高の在庫を擁する、そういうようなことで、二五%も減反をした。 そういうような状態の中で、この農政の誤りというものを正すために私は二つのことをこの際要求したい。 第一は、この長期見通しというものは狂っているのだから、これはもう即刻に直してもらいたい。こういうものがある限りは、これは政治責任ですよ。GNP一%というものは常に問題になるけれども、あれも閣議の決定だが、これも閣議の決定をしているわけだから、こういうものを早く直さない限り、これは大臣の責任だ。 それから第二番目は、この誤り、つまり誤差を生じていて農家の手取りは大いに減ってしまった。これに対する国の責任を明らかにしなければならぬ。つまり、政策をはっきりしたものにしていくということと、その間におけるところの財政的負担なり生産の転換に対する補償なりというものについて、やはり政治的にこれを処理をしていかなければならない。 この二つの点についてお伺いします。これは大臣から答弁を願いたい。
○佐藤国務大臣 竹内先生にお答えします。 生糸需要量から桑の栽培面積あるいは収繭量等については、全く先生の御指摘のとおりでございます。実は、この長期見通しの策定当時において需要横ばいと見通したのは、振りそでなどフォーマルな絹織物については十分な固定的な需要を見込んでいたと思います。また、成人女子人口が増加することが見込まれたこと等によるものでございますが、結果としては先生御指摘のようなことで、カジュアル着物等についての大幅な需要の減退を予測でき得なかったことが大きな原因であると考えております。いずれにいたしましても長期見通しが現状と大幅に相違していることは事実でございます。このような大幅な減少は他の農産物に例を見ないものであり、また、実は農林水産省が立てた予想のうち、こういうふうに狂ったのはこれ一つ、私はこう理解しておる。あと、たしか温州ミカンがかなり狂ったと思いますが、そういうことでございます。 そんなことで、実はこういう生糸自体にとっても全く経験のない、予期せざる事態であることを御理解をお願いしたいと思うわけでございます。
○竹内(猛)委員 まだはっきりしませんね。長期見通しというものは誤っていなかったというようなことをおっしゃるけれども、これは大いに誤っているでしょう。それから価格を引き下げて、その間におけるところの農家の手取り自体が非常に減少している。この分についてどういうような手当てを補償するかという問題については答えがないですね。
○関谷政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように大変大きな見通しの狂いがあったわけでございます。これは事後的に見ますと大変言いわけめいたことばかり出てまいりますが、やはり相当大きなこれだけの減少というのはなかなか見通せなかった、こういうようなことでございまして、特に和装需要関係のカジュアル着物等の狂いが多かったわけでございます。 その間のいわば政府の姿勢と申しますか、行政のあり方でございますが、これは、その辺の事態が明確に需要のいわば期待したとおりの足取りではないということから、対応を始めましたのは昭和五十六年産からでございまして、五十六年産以降、生産については抑制的な方針を出しまして指導し、さらに五十九年にこれを強化したわけでございます。 こういうような中で価格の低迷等がございまして、やはりそれぞれの年産として見ますと、従来は、その年の生産指導の面積なり、あるいはその年の価格の中でカバーしておったわけでございますが、五十九年に至りまして、当初二五%減産指導したにもかかわらず、需給関係、価格関係から昨年十一月の期中改定に至りましたので、これはやはり、年度当初に政策価格として基準糸価一万四千円を出しましたにもかかわらず、一万二千円ということで年度途中の改定でもございましたので、我々の見込みとしまして、その時期以後の生産量と見込まれます繭の量につきましては、大体当時の価格低落幅にほぼ見合うという考え方によります一種の損失補てんの交付金を、五十九年産繭につきましては御承知のように緊急対策で蚕糸砂糖類価格安定事業団から交付をした、こういうことでございます。年度年度としましては、この五十九年のような異常事態で年度途中になりますと、やはり年度当初にお示ししたことが目算が非常に狂ったことによる一種の政府の責任というものについて、今申し上げたような措置をとらなければならない、若干そのほか融資措置も講じましたけれども。 こういうことでございまして、全体の流れにつきましては、長期見通しの四十万俵という線が大きく狂った見通し違いの点については、これから十分こういうことのないように、今後の需要見通しについては慎重に対応しなければいけないと考えております。
○竹内(猛)委員 官房長、見えているから官房長からも答弁してもらいたいのですが、やはり果樹を取り上げても、あるいは養鶏の問題でも鶏卵でもブロイラーにしても、幾つかの点について長期展望というものがいろいろ問題になっている。だから、この際これらもあわせてひとつ再検討してもらいたい。 特に蚕糸絹業については、どちらかというと、こういうはずじゃないんだけれども、だんだん局地的な特産地的なものになってきていることはやむを得なくなっておるわけです。しかし日本に冠婚葬祭と神社仏閣というものがある限り、やはりどうしても絹の和装というものは必要なんだ。だから先ほどからも話があったように、適切な値段であれば需要というのがあるはずなんだ。にもかかわらず、それが非常に高いという印象というものがぬぐえない、そのために絹製品というものは高いんだ、こういう印象が入り込んでいる。これを大衆化するということについては後で提案もしたいと思いますが、そういう点でやはり生産者、消費者あるいは地域の人、それから専門家、学者、技術者あるいは製糸業関係の労働者、いろいろありますが、こういう人が入って、ここでとりあえず蚕糸絹業についての長期並びに中期年次計画というようなものを立てていかなければ、場当たり的に、ことしはこれでいいかもしれないけれども、その次はどうだということでは非常に困る。このことをぜひやってもらいたい。これは単に農蚕園芸局だけの問題ではない。官房の仕事、省自体の責任なのだから、ぜひお願いしたい。
○田中(宏尚)政府委員 長期見通しは、先生御承知のとおり単品単品というよりは、日本の狭い国土全体をどういうふうに持っていくかという総体についての六十五年を見通しての見通しを立てておるわけでございます。そういう中で、御指摘のとおり、ミカンでございますとか生糸でございますとかを中心にいたしまして、残念ながら長期見通しとかなり乖離した動きを示している物品があるわけでございますけれども、ただ、土地利用という点から言いますと大宗をなしております米なり大家畜というものにつきましては、若干の誤差はございますけれども、おおむね長期見通しの方向に向けた線上に現在のところ動いているわけでございます。 そういう点からいいまして、いろいろと問題が出てきていることは確かでございますけれども、現在の時点で六十五年の長期見通しを全体として直ちに見直さなければならないというふうには我々必ずしも考えていないわけでございます。しかし、個々のものについてはいろいろ問題ございますし、国全体としても四全総とかという全体の動きがございますので、そういう中で長期見通しの問題点なり、そういうものにつきましては事務的に検証を深めてまいりたいと考えております。
○竹内(猛)委員 今回の場合、国の責任で四十四億八千八百万円というものを特別会計をつくって努力されたことについては非常に努力したと思いますが、これは一年ぽっきりで終わってしまうものじゃなしに、毎年毎年この特別会計が作用していくものである、こういうぐあいに理解をしてよろしいか。
○関谷政府委員 先生お尋ねの四十四億八千八百万円というのは、事業団に交付します損失補てん交付金のことになるわけでございます。この四十四億八千八百万円という数字の考え方は、昭和五十九年度末の損失見込みが大体三百億円を少し超すぐらいになりますので、それに金利等も見込みまして、大体十年でこれを償還していくという考え方で四十四億八千八百万円という金額を出しておりますので、これにつきましては、毎年度の予算のことでございますけれども、今後ともそういう形で予算化をしていかなければいけない。これは予算の問題でございます。 なお、これはあくまでも昭和五十九年度末の損失に見合うものでございますので、六十年度以降、新規に損失が発生いたすことが見込まれておりますが、そうしますと、さらに補てん交付金ももっと大きな金額が必要になってくるということでございます。
○竹内(猛)委員 それはなお一層努力してもらいたいと思います。 次に、生産対策について大臣にお聞きしたい。 大臣の答弁を記録でいろいろ見てみますと、需要が伸び悩み、在庫がふえて赤字が累積したから、この際この法案を出して、中核農家をつくっていって、足腰の強い、コストの安い養蚕業を育成するのだ、こういうぐあいに言っておられる。だれにもそういう御答弁をずっとされている。また関谷局長は、一トンの規模の農家をつくっていこうとしばしば答弁されておる。 そこで、中山間地帯の山の中で、私のところでも筑波山ろくあるいは鬼怒川の河川敷が桑園です。およそ転作がなかなかできないところであり、一町歩といっても一枚で一町歩というわけにはいかない。一トンということになりますとどうしても一町歩の畑がなければできません。現在、十一万四千戸の養蚕農家がある。そして、一町歩農家というと一万二千戸くらいだ。極めて少数の農家ですが、そういうような農家で例えば一トンの繭をつくった場合、現在の価格で計算して粗収入で百七十五万円、生産費を引くと大体百万円ぐらいにしかならない。こういう農家では、一トンの繭をつくっても、これで家計がやれるというわけにはいかないのです。 先ほどから答弁を聞いていると、兼業なんだ、養蚕業だけではなくて兼業でいくのだ、こういうふうに言われている。それはそのとおりだと思うのです。それなら、どういうものと組み合わせるのか、こういう点まで指導してもらわなければどうにもならない。野菜に転作しろといっても容易ではないのです。何をつくるにしても頭打ちになってくる。そういう状態の中で足腰の強いと言われる中核農家を一体どうしてつくっていくのか、この生産対策に対してどのような構想をお持ちになっているのか、お聞きいたします。
○関谷政府委員 確かに、私どもの申しております例えば一トンというような中核的な養蚕農家にいたしましても、養蚕生産だけで所得が十分な水準に達するわけではございませんし、複合化というような措置が必要になってくるわけでございます。個々に見られます地域の条件に応じた複合経営のあり方、その姿というものは地域によって相当異なってくると思うわけでございまして、例えば地域によっては、これまた非常に難しい作物でございますたばこと相当結びついているとか稲作と結びついている、それから野菜、特にこれからの夏秋作の野菜のような所得の非常にいいもの、あるいは場合によっては果樹というように、結びつき方がいろいろございますので、複合経営の指導については画一的な基準は非常に難しいと思うわけでございます。 したがいまして私どもといたしましては、養蚕それ自体としてある程度の規模を持った専業的な農家と、規模の多少小さい、あるいは高齢者も相当含みましたような農家と一体となった主産地形成ということを養蚕政策としては考えるべきじゃないか。その過程で、共同部な養蚕なり稚蚕共同飼育という点で地域単位で対応していく。こういうことで、養蚕業全体としてあるいは地域産業として足腰の強い、低コストに耐え得る養蚕経営を育成していくという考え方と先ほどの複合化の指導という面と、両々相まって養蚕農家の経営安定あるいは所得安定を図ってまいるべきではなかろうかと考えております。
○竹内(猛)委員 そういうことであろうと思うのですが、そうなればなるほど、先ほど田中官房長からも話があったけれども、長期展望の中で蚕糸絹業の将来像を描きながら、こういう方向でやっていくのだということについても関係者が集まって十分に議論をして、それぞれが理解をし、納得をして進めていく、こういうことをしなければいけないのではないか、こういうふうに思うのですね。今までのように、進めてきたけれども、どうもうまくいかないから値を下げる。また値を下げた。亀岡農林水産大臣のときに基準糸価を下げて、また下げたでしょう。あのとき、値を下げれば在庫はうまくいくのだと言っていたが、うまくいかないじゃないですか。それでまた今度値を下げる。値を下げるということは生産者に対してそれだけ犠牲を強いるわけですよ。こういうことになるわけです。だから、それぞれの分野を代表する者が寄って十分に議論をして、それでやはりこれでいくのだ、最小限度の生産を守っていくのだ、こういうような意思をお互いが固め合うということでなければいけないんじゃないですか。そういうことについてぜひ進めてもらいたい。どうです。これは大臣だな。
○佐藤国務大臣 今、局長からいろいろ答弁しました、先生からも御指摘があったわけですが、実は、絹の需要がなぜ伸びないか。二つ理由があると思うのですが、その一つは価格が高いということです。もう一つは、絹には非常にいい点もありますが、欠点もあるということで、実はこの欠点は技術的に改良されていけると思います。例えば私が着ているこの洋服がそうでございまして、技術的には、伸縮性とかあるいはかさ高性とか、いろいろな点で改良されてきました。 ただ問題は、コストの高いのをどうするかという問題が基本的に実はあると思います。これが一つ販路の拡大を邪魔しておる。例えば先生のおっしゃった和装の問題でも、実はデザインで非常に手間がかかるわけですね。したがって絹自体はそう高いものではございませんが、それによってかなり高くなる。また、若い婦人は同じ柄よりか違った柄のいいものを着たい、こんな気持ちもあって高くなる。そんなことでございますので、どうしたら価格を安くできるかということが大きな命題であると思うのです。 そんなことで、先ほどちょっと先生に言ったようなことで、大変抽象的で恐縮ですが、養蚕主産地の形成とかあるいは中核的養蚕農家の育成、こういうふうにして足腰の強い、低コストの養蚕の実現を図るということが大切じゃないか。 また、先ほど先生がおっしゃった複合経営の場合、それは非常に難しい問題です、ずばり言うと。やはり各地域ごとに違う、それから全体の農業をどう見るか、そういう形の中に、どんな作物転換を図るとかいうことですが、これはやはり先生がおっしゃったようなことで、みんなで研究しながら、天候その他が地域で違ってくると思いますから、やはり地域に合ったような作物を指導していくというようなことでございますが、これは大いに努力していきたい、こういうふうに考えております。
○竹内(猛)委員 これは後でまたその問題が出るからね。 私はもともと養蚕農家に生まれて蚕を飼ってきたんだ。だから蚕の気持ちはよくわかるんですよ。絹の問題もよく知っている。よくわかりますから、それだけに養蚕業というものに対して愛情も感ずるし、それからやはりこれを日本の伝統的な産業としてつぶしてはいけない、どうしてもこれは守っていくべきものだ、こういうふうに思っております。 次には生産の価格の問題ですね。価格の問題で最大の問題というのは、やはり何といっても、二十年間発動はしなかったとはいえ異常変動防止措置というものが今度は廃止をされた。つまり価格決定の歯どめが取られてしまった。そういうわけで、まあ物の価格を決めるには、生産費を積み上げて生産者価格というものをちゃんと出して、そしてこれに対してどれだけの努力をするかというのが筋なんだ。ところが今度の場合には、生産条件、需給事情、経済事情その他等々を勘案をして決めるということは、これはまさに需給実勢価格というものであって、価格の決め方に対しては大転換になるわけですよ、いろいろ表現はありますけれどもね。だから農家にしてみればこれはなかなか大きな転換だな、こういうふうに思いますね。 そこで最終的には農林水産大臣がお決めになるということになるけれども、このことによって生産農家が不利にならないという保障についてはどうですか。
○関谷政府委員 異常変動防止措置そのものがなくなることは、異常変動の、いわば最後の底がなくなるという意味で農家の方から見てどうか、こういう問題がございますけれども、現実の動きは、これはもう先生よく御承知のように異常変動防止措置と中間安定の二重状態になりましてから二十年ぐらいたったわけでございますが、その間専ら中間安定ということに実態の関心が集まりまして、そういうことで異常変動というものが忘れられるというわけではございませんけれども、一番底にかなり低い価格があることが必ずしも相場形成あるいは価格形成の面でプラスではなくて、むしろマイナス的な作用もした。つまり、もう一つ底があるということで、去年の秋のようにその安定下位価格、異常変動の下限の方に現物価格が引き寄せられていく、こういう状態もあったわけでございます。また、異常変動防止措置も、今回廃止するから別に不十分だということをあえて言うわけではございませんけれども、生産費基準ではございましたが、八五%とか、特例としては六割というようなことで、相当低いところまで異常変動防止措置でも落とせるようになっていた、こういうようなことがございましたりしまして、やはり我々としては、一番繭糸価格安定制度で求められているものは何かというと、従来でいいます中間安定に当たります従来の基準糸価を下限とします安定、これが一番大事なので、現在で申しますと一万二千円でございますけれども、こういうものをしっかりと守っていく。それで需要面、生産面両面から見て不安のないような価格設定をして、それを守っていくということが、これからの繭糸価格安定制度としまして農家の方にも不安がなくなる、こういうような考え方に立ちまして、今回の制度改正を考えたような次第でございます。
○竹内(猛)委員 大変心配をしておりますから、心配のないように十分に支えをしてもらいたい、こういうことを要望をしておきますけれども、私は、なおまた非常に心配なのです。決してその心配が解けたわけではありません。 次の問題は、事業団の在庫処理の問題に関連をして、この在庫がふえたということは、一つは、需要が減退をしたということもさることながら、先ほど話があったように外国からの輸入というものがやはり依然としてやめられていない。確かに二国間協定があり、一元輸入というものがやられておるし、それから貿易管理令によってそれぞれ厳しくしていることもよくわかっておりますが、しかしながら、まだまだ、かつては青竹というようなものがあったけれども、外国から品を変えて、あるいは形を変えてこれが入ってきて、その圧力というものがやはり在庫をふやしているということになるんですね。在庫がふえれば、当然このふえた分だけは今度は生産者にしわ寄せをする、こういうことになるし、また、在庫処理のためには金もかかるというわけで、どうしてもこれが財政的な圧力になったり、生産者を抑えたり、生産者価格にしわ寄せをすることになるわけでありますから、どうしても外国の輸入というものについてこれを調整し、抑えて制限する、こういうことが当分の間できないかどうか。永久にしろというのじゃない。これだけ農家に犠牲をしょわせ、それから製糸家ももう大変減った。製糸の労働者も少なくなった。そして労働省は、その離職をする労働者に金をやってやめてもらうようなこういう処置をとっていて、なおかつ在庫がふえるわけですから、国内でいいあんばいにして在庫がふえたわけじゃない。やれるだけのことをやってふえているのですから、その期間においては、これはやはり一定の制限措置をとっていく。五万俵なら五万俵の段階に達するまでは計画的にこれを抑えていくということはできないかどうか。これはどうです。
○佐藤国務大臣 先生にお答えしますが、実は先生の御指摘のようなこと、先生も御理解を賜りながら何とかならぬかという御質問だと思いますが、つまり現在、日本の置かれた事情等を考えた場合、中国、韓国と一元的輸入とか二国間協定をやっておりますが、そんなことでできるだけ日本の国内の実情を話し、理解と協力を求めながら今、縮減に努力するということが精いっぱいでございます。実は局長中心に最大の努力をしておりまして、先生のおっしゃるようなことについて全力を尽くしておるということを御理解願いたいと思うわけでございます。
○竹内(猛)委員 そこで在庫処理の計画、今十七万俵あるでしょう、それを減らす計画というものが立てられているかいないかということが問題なんです。この在庫をどういうようにして五万俵の理想の形にするか、この計画が明らかにならない限り生産者の心配は絶えないし、輸入の方だけを抑えられない、そして在庫の方は余り減らない、これではどうしようもないでしょう。何とかこれをちゃんと年次で、この程度に減らしていくんだ、そのためにはこれくらいの財政的な支出もやむを得ないという、これくらいの計画はできないものかどうか。
○関谷政府委員 在庫処理の全体の年次計画については、理想としましては、そういうものがあることがいいという考え方もとれないわけではないわけでございまして、その方がかえって全体の見込みが立つ、こういう考え方もございます。しかし反面、従来の生糸価格形成あるいは需給関係の経験からしますと、そういういわば一定計画でずっといくという方針の発表が、かなり相場あるいは価格形成あるいは需給調整に重荷になりまして、むしろそういう機械的な処理をすることは非常にその反応で価格面にもよくないという見方もございまして、私ども、それではどうするかということになりますと、やはり現時点では、一定期間を設定して、これを機械的にというか、計画的にでございますが、一定期間にどうしても処理するという考え方はとるべきではないので、現実の需給価格の動きを見ながら、しかし余り変動的ではなくて原則としては毎月幾らというようなテンポを設定をして、それで相場に無理のないような形ではまっていく、こういう価格安定制度とうまく折り合いのつくような処理のペースをまず設定する、それをつかむということが法案の実施の第一の着手ではなかろうかというふうに考えております。 現時点で少し先の需給関係まで見通しまして、需給計画に即して売り渡しをしていくというのは一つの理想ではございますが、なかなか今の自由取引、自由価格形成のもとでは、どうもそちらの面のマイナスが大きいのじゃなかろうかということで、まず法律成立後の滑り出しとして、どういうようなテンポがいいかということを現実的につかむということが最初になすべきことだろうと考えております。
○竹内(猛)委員 今もお話がありましたが、やはり私は一定の腹づもり、見通しというものを立てていかなければ、また生産者に対して思わざるしわ寄せをして、減反あるいは価格の引き下げというものを——生産条件、需給事情、経済事情その他の諸事情なんというようなことになると、生産者に対してこれはいいというような条件は余りない、どうしても厳しい条件が生産者の方にしわ寄せをされてくるのではないか、こういう心配が依然として消えないわけです。だからこの際、やはりそれぞれが集まって在庫処理、輸入問題、生産問題、それから需要をどう拡大するかという問題を検討して、お互いが協力し合うということが必要だ、こう思うのです。 そこで、三月六日の本委員会で本案の審議中に、我が党の松沢委員が在庫処理について、捨てるかあるいは焼き捨てるか。抜本的な政府の対策を立てなければならないということを発言をされて、この審議中にこの問題について明確な答えが欲しいという強い要望があります。これに対してどのようにお答えいただけますか。
○関谷政府委員 在庫の処分につきまして、これは捨てるとか焼却するという形で、いわゆる廃棄という形で考えたらどうかという議論、これは別に、今までの検討の過程でそういうことはどうかという議論が一つもなかったかということではございません。私どもも、そういうことについて全く議論の外に置いたわけではございませんけれども、しかし現実的に考えますと、現状において、用途に応じ事業団から売れば使える、簡単に言えば使える状態にある糸を全く廃棄をするということについて、一つは、もちろん事業団の財政上の問題からしまして、今後売り渡しをしていくよりは損失が非常に大きくなるという問題がございます。それから、これは国民感情と申しますか、あるいは事業団というような国の特殊法人の行うこととしまして、簡単に言えば、そういう価値のあるものを、大量なものを、相当額なものを全くゼロに促してしまうということが納得されるかどうか、あるいは国の仕事の処理の仕方として適当かどうか、こういう疑問もあると思っておりまして、結論的には、今回に至ります検討の過程で出ました議論の一つではございますけれども、今後の方向としてこういうことを考えることは適当でないというふうな結論を私どもとしまして出しておる次第でございます。
○竹内(猛)委員 この松沢提案というのも、これは大事な一つの提案ですよ。在庫処理のために相当な金をかけてやることも一つの方針、しかし余り負担がかからないうちに決断をするのも一つの提案なのであって、これは乱暴な問題ではないと私は思いますね。そういう点で、なおこれはあわせて検討を求めたいことだというふうに、この委員会で私は申し添えます。 そこで次に、一定の期間、一定の時期に、また時価に悪影響を及ぼさないように放出をするという、一定の時期とはどのような時期を言うのか、時価に悪影響を及ぼさないということは一体何をもってそういうことを言うのか、これについて。
○関谷政府委員 まず一定期間という方でございますが、法文に書いてありますのは、一定期間を超えて保有しているものは特別売り渡しの対象とすることができるという規定でございまして、一定期間は、我々としては一年というふうに決めたらよかろうというふうに考えております。ただその意味は、一年を超えたものはこの法律のいわゆる特別売り渡しの対象になし得るということでございまして、一年を超えたら明くる日からどんどん売っていくという趣旨ではございません。 次に、時価に悪影響を及ぼさない方法につきましては、法律には一般競争入札契約でということが例示されております。これにあらわれますように、一応これ以下ではいかぬというような予定価格を設定しまして、それをこちらに持ちまして一般競争入札契約でやるというような方法が普通の状態としては適当であろうということで、先ほどの御議論とも関係いたしますが、我々としては現在の需給関係等から見て価格の足を引っ張るというようなことのないような一定のペース、毎月幾らというようなペースを当面設定しまして、俗に言う定時定量というような原則で売り渡しをしていく。ただ、価格の低落が非常に激しい場合には、これについての何か調整が必要になろう、こういう考え方を持っております。
○竹内(猛)委員 先ほど外国からの輸入の話をしたのですけれども、これについては我々は、一定の制限をするために臨時立法でもしてやらなければならないと考えている。これは自民党の中にもそういう考えがあったでしょう。一定の期間、永久じゃないですよ、在庫を処理するある一定の期間は輸入に対する調整、規制をするといういろいろな意見があったはずだ、まあ抑えつけてしまったらしいけれどもね。我々はそういう考え方を今でも持っている、これが誤りであるかないかということは、やがてわかってくるわけだけれども、この外国からの輸入の問題についてもう一度。
○関谷政府委員 輸入規制の問題については、これは私どもも非常に関心のあるところでございまして、今回の制度提案までも議論もされましたし、それから通商産業省において持たれました絹の関係の研究会、やはり十一月に結論を出しておられますが、その中でもかなりこの問題について研究をしておられます。全体的な方向としましては、これは生糸に限らず一般的な問題になるわけでございますが、特に生糸の場合には工業製品でもございますので、現在自由化されているものについて有効というか、かなり効き目のある輸入調整、国境調整措置を新設する、あるいは現在以上に規制を厳しくするということは非常に難しい、こういう状況にあるということでございます。 したがいまして私どもとしましては、先ほど大臣のお答えにもございましたように、現在ございますいわゆる二国間協議それから生糸の一元輸入措置、これを効率的に運用すると同時に、相手国に対しましては、日本の養蚕、製糸、あるいは需要の減退、こういうような非常に難しい状況をよく理解してもらって、できる限り協力してもらう、こういうような方向で対処せざるを得ないということでございまして、議論としましては、この輸入問題、いつも生糸の問題についてはつきまとう問題でございまして、大変大事な問題でございますが、現実的な対応としましては今申し上げましたような対応にならざるを得ない、こういうふうに考えております。
○竹内(猛)委員 この点でも、私どもはいまだに一定の外国からの輸入の規制の努力をすべきだということについては、依然として考え方を曲げていないということをこの際言っておきます。 それから、通産省並びに農林水産省に伺うわけですが、前々から需要の拡大という問題について、それぞれの団体と相図って何とかして絹製品の大衆化というものを、和装が九〇%であると言われておりますけれども、これを大衆化するということについてどういう努力をされて、そのためにどれくらい金を使って、何が問題であったか、こういう点について、それぞれから御報告をいただきたい。
○渡辺説明員 絹製品関係の需要の実態でございますが、ただいま先生からお話しございましたように、九割近くが和装需要だ。この和装需要が最近特に落ち込みが著しいということで需要減退が急速になっているわけでございますが、細かく見ますと、和装の中でもカジュアルの部門の落ち込みが非常に大きいということでございます。 そこで、こういった実態に対しまして私どもの方では、大宗を占めます和装の落ち込みをいかにして食いとめていくかというのがまず大きな課題としてございます。これは日本の伝統的な衣装でございますので、着用についての潜在的な希望と申しますか、そういうものは大変強いわけでございますが、現実に生活様式の問題でございますとかあるいは着用機会の問題でございますとか、そういうことで構造的な現象が見られるということでございますから、そういった着用機会をできるだけふやすためのいろいろなイベントでございますが、そういうものを生産者あるいは流通業者が一体となってやる、そういういろいろな事業に対しまして、政府の方でもそれぞれの支援措置をやっておるものがございます。 例を挙げますと、繊維工業構造改善事業協会の中に絹振興基金というものをわざわざ設けまして、そういった事業に対して支援をできる、そういうようなこともやっておりますし、そういう政府直接の支援とは別にいたしまして、流通業者の、例えば百貨店業界がシルクフェアのようなものを統一的なキャンペーン運動としてやりますものでございますとか、あるいは和服の振興会がいろいろな形での催し物をやるとか、そういった形での、とにかく潜在的な需要はあるんだということを前提としたキャンペーンのようなことをいろいろやっておるわけでございます。 そのほかに今後の新しい需要をどうやって開拓し、ふやしていくか、こういうものがございます。衣服で申しますといわゆる洋装分野でございますが、この辺は日本の場合まだ世界的に見ましても非常にウエートが低いということでございますから、努力次第によりましては今後一つの期待の持てる分野であろう、こういうふうに考えております。 したがいまして、この分野についてできるだけ商品開発を進めてそれを広げていくという努力が基本だろうということで、政府の方といたしましても、それぞれの織物産地に対しまして、新しい洋装分野での絹使いというものについて、いろいろな試作品をつくるというようなものに補助金を出したりいたしておりますし、それを実際に需要家につなげるという意味で、でき上がった製品を国内の展示会に持っていって実際にアパレルの関係の人に見てもらうとか、さらには、洋装分野でございますので外国にまで出かけていってその展示会をするとか、そういったことについてもそれぞれの予算措置を講じているわけでございます。 ただ、これは量的にはまだ少のうございますし、段階的にも緒についたばかりでございますので、今すぐ大きなウエートを持っているというわけではございませんが、こういう努力を積み重ねることによって新しい分野での需要も広がってくるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
○関谷政府委員 絹の需要増進についての私どもの関係でございますが、大きく分けますと二つございまして、一つは、蚕糸砂糖類価格安定事業団からの新規用途用売り渡しであります。これは五十七年に法律改正によって設けられた措置でございますが、現在まで約二万俵余りを売り渡しておりまして、その中に、和装関係四千俵ぐらい、洋装が一万八百五十二俵、これは背広、ブラウス、ワンピース、海外見本市展示会、こんなようなものでございます。そのほか絵額、壁がけ、カーテン、テーブルクロス等のインテリア関係で、五千四百二十三俵、この辺が主体を占めております。 それから、もう一つは畜産振興事業団で、今度法律によりまして金額的に拡充されますが、蚕糸業振興資金を使いました需要増進関係でございまして、これは昭和五十九年度で申しますと約一億五千万円ぐらいの決定をいたしておりますが、内容は和装及び絹製品の需要振興宣伝、それから養蚕地域で例えば養蚕農家婦人等を対象とした展示会、展示用資材の製作、それから絹製品需要促進のための各種の宣伝事業、それから和装の着装教育、着物の着方、マナー、こんなものを対象としましたビデオカセットの制作、配布、こういうようなことも実施をしております。 こういうような関係につきまして、今後とも両方の事業を大いに拡充し、またいろいろ工夫をして需要増進に寄与したい、こう考えております。
○竹内(猛)委員 前々から議論があるし、先般、小川委員も京都でいろいろ調査をされて、克明にここで述べられた記録もありますが、大臣は価格が高いと言われるけれども、コストはそう高くないでしょうね。確かに、外国から輸入するものは日本の半額だ。品物は若干落ちるけれども、値段は安い。つまり、やわらかいか、かたいかという問題でしょうね。それで一万四千円の原料が何カ所かを渡って歩くと六十万円になってしまう。ここに、中間マージン、卸というところに大変な問題がありはしないか。そこで、これはやはり高いものなんだという印象を大衆に持たしてしまっている。これを何とか大衆化して、和装というものは一人一着は持ったっていいじゃないか、男も女も。一億二千万の国民が、この間人口が発表された、そのうちの半分が一着ずつ持てば、これは大変ですよ。僕らは二着か三着くらい持っているから大きなことをここで言うのだけれどもね。私は今、物特の委員長だから、物価の委員会の中で取り上げて、ここではそれ以上のことは言わないが、問題は、消費拡大のために、筑波の蚕糸試験場で間場長を中心として今、大衆に向くようなそういう研究をしていますね、絹糸の。これは年間二千万で三年間で六千万、こういう研究をしている研究者の皆さんが失望しないように、お互いに通産省も農林水産省も需要の拡大のために官民挙げてひとつ努力をしてもらいたい、このことについての努力を要請するわけです。どうです。
○櫛渕政府委員 ただいま先生のおっしゃったように、筑波の蚕糸試験場では、新しい需要増進を図るというような見地から、和服以外の洋服や下着類、そういったものの生地に適するような新しい形質の生糸あるいは絹織物の開発に向けまして鋭意研究を進めているわけでございます。これまでもいろいろと成果が上がっております。今最も力を入れておりますのは、生糸と合成繊維、このより合わせによりまして従来絹の欠点とされていました摩耗性とか洗濯がしにくいとか、こういった形質がどんどん改善された新しい素材が開発されつつあります。 今度はこういった素材を中心にしまして洋服地、ワイシャツ、ブラウス、その他下着といったものに適するような新規の絹織物の開発に取り組んでいるわけでございますが、いずれにしましても、蚕糸試験場におきましては、これまでも大変輝かしい伝統がございますし、こうした新しい研究需要に対応するべく研究者は大いに意欲的に頑張っている次第でございます。
○竹内(猛)委員 もう一つ通産省に要請をしますが、輸入については、私たちは輸入を規制しようと言っているのですが、通産省の統計を見ると輸入は減っているという。なるほど面積から見ればこれは減っているような面積が出てくるけれども、重量からいえば減っているとは言えない、だから面積と重量両方を出されないと輸入が減ったとは言えない。そういう点では片手落ちじゃないか。平米だけじゃなしに目方の方でも同時にこれが減ったんだ、こういう証拠がなければ減ったことにはならない。これはもう時間がないので答弁は要らないから、そういうことを私は常に思っておりますし、これからもこれは十分に注意をしてもらいたいと思うのです。 そこで、あと二点だけ質問をしますが、一つは、先般私は群馬県に行ってきました。群馬県の沢田農協というところでは桑の実からジャムをつくっている、桑の実ジャム。一村一品運動という形で今各地でやっていますね。これは地域の創意でやっているわけだ。遊休桑園の中に桑の実がなる、その実でジャムをつくって、これはもう市販されています。これからは塚田ワインというものと提携をして、信州大学の繊維学部の協力を得て今度は桑の実からワインをとろう、今この事業に入っている。こういうように桑園そのものを壊さないで使っていこう、利用していこうというような運動がある。だから、ただ能もなく野菜にかえるとか何にかえるとか言わないで、その地域におけるところの特産物とかみ合わせながら、同時にこれを生かしていくということについて考えてもらいたいということが第一点。 それから第二点の問題は、価格決定の時期です。やはり本委員会で我が党の上西委員が、五月に価格を決定するというのは余りにもショックがきつ過ぎるじゃないか、今まで三月に決めてきたものをなぜ五月に決めなければならないのか、こういう点で、これは法律事項でありますから、そして後の方では三月にしよう、こういう答弁になっているから、この辺をもう一つ確実に、三月にするんだということについて、変えないんだということも明らかにしてもらいたい。この二点に対してお答えをいただきたいと思います。
○関谷政府委員 第一の、桑のいわゆる多目的利用ということで、ただいま御紹介のありましたような点につきましては私どもも勉強いたしております。特に群馬県の中之条の農協あるいは信州大学繊維学部の研究、こういうものに大変興味を持っておるわけでございますし、こういう桑の多目的利用については、これからも新しい観点から私どももこの研究の進捗に関心を持ち、またその実用化についても十分配慮してまいりたいと考えております。 それから第二の価格決定の部分につきましては、今回の改正で「五月までに」というふうに直しましたのは別に他意はないわけでございまして、ほかの制度の例にもよったような次第でございますし、これも取引上の関係もそう大きな影響はないと考えておるわけでございます。しかし、従来の価格決定時期の状況等を考えまして、価格決定時期につきましては従来三月に決定してきた原則を踏まえまして、養蚕農家に不安を生ぜしめないよう適切に設定していくことにいたしたいと考えております。
○竹内(猛)委員 最後に、今の問題は法律の事項でありますから、そこをぐっとかたく念を押して、ひとつ大臣の答弁をもらいます。
○佐藤国務大臣 お答えいたします。 時期の問題につきましては局長の答弁したとおりでございます。
○竹内(猛)委員 以上で終わりますけれども、今度の国会に出されている農林関係の法案を見ると、どの法案を見ても大変重要で、農業が曲がり角に来ているという形で非常に心配をしているのです。その中の先端を切って養蚕が出てきた。養蚕に光を当てるのか、やみに葬ってしまうのかという問題は重大な問題ですから、そういうことのないように、長期の展望と中期の見通しと単年度の計画を立ててもらいたいということを要望して、終わります。
○今井委員長 次に、駒谷明君。
○駒谷委員 各委員から各般にわたっての質問がございました。私、持ち時間三十分ということでございますので、重複する部分があるかもわかりませんが、要点に絞ってお伺いをいたしたいと思います。 最初に、需給の見通しの件でございますが、昭和五十五年の十月に作成をされ閣議決定が行われました「農産物の需要と生産の長期見通し」によりますと、昭和六十五年度の生糸の需要は、総需要量が四十万俵、これに基づく国内生産見通しは生糸が三十万俵、繭十万トン、このような見通しになっておるわけでございます。しかし、近年におきます絹の需要の減少、事業団在庫糸の圧力等による長期的な糸価の低迷、そういう状況から繭の生産動向は年々に減少をいたしておるのは御承知のとおりであります。特に五十九年度はさらに政府の指導により生産調整が強力に行われて、生産量が五万トンに落ち込んでいるという状況でございます。今回の繭糸価格安定法の一部改正、これによります新しい制度の運用いかんで蚕糸業にとって将来の展望に大きな問題が生ずるのではないか、そのように心配がされておるわけでございます。 需要の見通しについてどのような見解を持っておられるのか、まず御所見をお伺いしたいと思います。
○関谷政府委員 昭和六十五年度の「農産物の需要と生産の長期見通し」におきましては、五十三年基準の、これは私どもの数字のとり方と少し違うわけでございますけれども、需要については、当時の三十九万三千俵、基準年五十三年の数字をほぼ横ばいに置いたわけで、それで四十万俵と見通したわけでございますが、その後の需要の減退が非常に大きかったわけでございます。これはやはり当初の予測以上に生活様式の変化等によりますいわゆる着物離れ現象が進みまして、一方、国民所得もなかなか伸び悩みの時期、いわゆる安定成長の時期に入りまして被服費支出が非常に低下をいたしまして、どちらかというと安価な大量生産型の衣服が求められるようになってきた、こういうような関係。それから価格関係として見ましても、どうも和装物が相対的にやや高価格である、こういうようなことでございます。 これからの見通しをどう考えているかということでございますが、実はこれは非常に難しゅうございまして、現在の絹需要の九割方を占めております和装につきましては、どうもこれからも全体として減退、特にカジュアル着物と言われております小紋とかお召とかいうような系統のものは、やはり今までも減ってまいりましたが、もう少し減るだろう。反面、振りそで、留めそで、その他のフォーマルあるいはセミフォーマル物は大体需要が底がたいのじゃないか。そう思いますと和装需要の減退、一方で一割弱になりますが洋装需要の伸びにどのぐらい期待がかけられるか。これは全体の一割でございますが、正確に申しますと純洋装では五、六%ぐらいからになってまいります。 こういう関係でございますので、率直に申しまして需給見通しは非常に難しゅうございますが、今申し上げましたような和装の減ということだけにウエートをかけますと、現在三十万俵少し割りましたものが、さらに二十万俵台に近いところまで減っていくような見通しにどうしてもなってしまいます。そこに、和装中心の需要拡大の努力がこれからどれぐらい成果を上げるか。特に背広とかコート類とか婦人の高級な洋装、こういう関係での国内需要の伸びがどのぐらいに見込まれるか。これによりまして、和装だけで見ますと二十万俵台に近いというふうに見通されます需要の総体規模がもう少し期待が持てるということになるわけでございます。 いずれにしても大変難しいわけでございますが、一方においてかなり減るという悲観論がありますと同時に、やはり日本における絹需要というものはかなり強い、相当規模のものはずっと残っていく、こういうような考え方もございまして、いずれにしても、この点については関係者の意見を十分聞きながら鋭意需要の見通しに努めてまいりたいというふうに考えております。
○駒谷委員 和装については伸び悩みという状況であるし、特に洋装の関係は徐々に消費が上昇しているようでありますけれども、結局全体の需要量からいきますと余り伸びていない、そういう現況であります。 ちなみにお伺いいたしますが、五十九年度、これは三月までということでありますが、五十九年の一月から十二月まで、暦年でいきますとこの需要量はどれくらいに数量が出ておりますか。
○関谷政府委員 暦年で五十九年を見ますと二十七万九千俵、こういうことになっております。
○駒谷委員 五十八年度の需要量から比べてやはりこれは下回っておる。特にこの分については五十九年度二五%の減産という指導が行われたという点があるわけでございますけれども、先ほど、六十五年度の見通しについては大変厳しいけれども、数字的には把握しにくいという御答弁がありましたけれども、見通しとして、ことしの、いわゆる五十九年の暦年の需要量、これからの見通し等を見た上で、その数字からどの程度上回ると予想されるか、そういう点について、これを基準にした形での見通しを一遍お伺いしたいと思います。
○関谷政府委員 これは大体、年によって同じでございますが、最近の年次を見ますと、先ほど申し上げましたように、この二十七万九千俵に相当する内需の九割方が和装ないし和装小物という、特に和装関係でございます。そうしますと先ほど申し上げましたように、このまま和装の需要減退傾向が続くとしますと、どうもこれよりふえるというような期待はおよそ難しいわけでございまして、和装の需要減を今後の需要増進の努力によりまして洋装面等でどのぐらいカバーし得るか、こういうことになりますので、先ほども申し上げましたように和装の需要減だけに重点を置いて見通しますと、かなり二十七万九千俵よりまだ減っていく、こういうような見通しにどうしてもなってしまうわけでございます。
○駒谷委員 先ほどの御答弁の内容で、やはり絹の需要の減退あるいは海外からの製品との競合で、市場において大変厳しい現状になってきておるわけでございます。特にこの繭糸価格安定制度に関する研究会の報告におきましても、この生産対策についてでありますけれども、生産規模の縮小という問題、合理化、これは避けられないだろう、そういうような内容になっておるわけであります。 したがって、今後の生産対策についてでありますけれども、政府は主産地形成、中核的養蚕農家の育成、これは低コスト生産の実現を目指しての生産構造の確立を図るということがねらいでありますけれども、この構想についてはどのような生産規模農家を目指しているのか、あるいは地域の問題あるいはどれぐらいの養蚕農家戸数を考えているのか、具体的な構想等についてお伺いをいたしたいと思います。
○関谷政府委員 生産対策の関係では、短く申しますと主産地形成ということと中核的な養蚕農家の育成、この二つの柱を私ども考えておるわけでございます。 これは中核農家という農家の問題から申し上げますと、やはり今後の養蚕の中心的な担い手になります。我々としましては、現状等から見ますと生産規模で大体一トン以上ぐらいの規模を持っておるような養蚕農家の場合に、養蚕が主要作目となりましていわば地域の中心的な担い手になっていく。そういう農家だけではもちろん産地形成はできませんので、多少規模の小さい農家も複合経営として成り立つと同時に、こういう中核的な農家を中心にしまして一つの地域のまとまりとして、いろいろ共同飼育なり地域単位の施設を設置するなりしまして産地として団地化していこう、これがもう一つの主産地形成の考え方でございます。 これにつきましては、従来から高能率養蚕地域というものを設定しておりまして、これは一応の基準としましては桑園が三十ヘクタール以上ある、こういう幾つかの町村単位をまとめまして指定をしておったわけでございますが、やはり今後一層の生産性向上の見地から、さらに大規模な桑園規模、集団化桑園、こういうものを考えていくとしますと、この基準をもう少し引き上げまして、例えば六十ヘクタールぐらいにするというようなことで、この地域の基準についてはもう少し集約的な産地形成をねらう、こういうことが適当ではなかろうか。この辺の問題については、六十年度以降の生産対策の一つの中心的な考え方として打ち出していきたいと考えております。
○駒谷委員 兵庫県におきましても、かつては養蚕県と言われた地域でございますけれども、御存じのとおり現在四百戸余りに急激に減少しておる。兵庫県の、特に県北部において細々と養蚕業をやっていらっしゃる農家の皆さん方がおるわけであります。そういう人たちのお話を伺っても、将来に対しての見通しというか希望がない、このままでは私たちの伝統的な養蚕業はどうなるのだろうというような大変な心配を持っていらっしゃるわけであります。政府の見通しについても、どういうふうにやってくれるのかということについての見通しも我々は全然わからない、そういうふうな声を私たちは常に聞くわけでございます。 そういう点から、先ほども質疑の中にありましたけれども、六十五年長期見通しては四十万俵の需要量、これが現在では相当下回るであろう、そういうことで、需要の拡大ということにも大変力を入れて今進めておられるわけでございますけれども、中長期の見通しをはっきりと立てていくべきではないか。特に今回の場合におきましては、いわゆる在庫処理の関係で、現在十七万から十八万近い在庫糸を処理しなければならない。これは一定の期間を置いて放出する、そういう形になろうかと思いますけれども、そうなりますと長期見通しあるいは中長期見通しというものを政府として早急にもう一度検討して、改めてこの改正後におきます長期見通しというものを立てるべきではないか、全般的な内容等を通して考えなければならないのではないか、そのように思うわけでございますが、大臣、この点についてどのように考えておられますか、お伺いいたします。
○佐藤国務大臣 お答えいたします。 先生のおっしゃいます長期見通しにつきましては、絹の需要と温州ミカンが大きく狂ったと思っておりますが、この長期見通しというものは単品じゃなくて全体をどう見るかということでございます。そんなことで、全体とすれば大体うまくいっている、そんな感じがするわけですが、個々の品目については事務的に十分配慮していきたい、このように考えておるわけでございます。
○駒谷委員 在庫処理の関係について一点だけお伺いいたします。 計画的に在庫を処理していく、そういうことで、法律上に決められた形で今後放出をするという法律の一部改正案でありますけれども、この計画的な放出ということについて、どの程度の期間を考えておられるのか、あるいは事業年度別の売り渡し計画は、どの程度の数量を考えておられるのか、お伺いいたします。
○関谷政府委員 在庫処理について全体の年次計画のようなものを立てて、その数年の間に処理していくという方針を最初から予定する方がいいんだという考え方も確かに理解できないわけではないわけでございます。ただ、私ども考えますのに、現在、一万二千という基準糸価が設定されましてまだわずかな期間でございますし、六十生糸年度は実質的にその最初の生糸年度でございます。そういう関係からしますと、やはり基本的な考え方としては計画的にということで、原則としては毎月一定数量を売り渡すというような方式がよろしいと思いますが、ただ、どのくらいのテンポでいくか、どのくらいの数量でいくかという、その最初の出だしのところは大変大事だと思うわけでございます。 そういう意味では、まず当面はこの一万二千円という基準糸価、今度の新しい制度の安定下位価格でございますが、その状態のもとで、その制度と調和をしながら在庫処理を促進していくための売り渡しのテンポ、ペース、これをどうつかむか、我々としても当面の需給価格の動向をよく見なければならない、そういう意味で、今の時点で何年で全体を処理する、あるいはどうしても処理しなければならぬというような考え方で取り組むよりも、とにかく地道なペースで、需給関係も見ながら、まず出だしのペースをつかむということが大事ではなかろうかと考えておるわけでございます。
○駒谷委員 この期間についてはまだ考えていないということでありますけれども、十年あるいは十五年かかって処理する、そういう考え方もあるということでございますか。在庫を維持する費用として、倉敷料を含めて金利が一日に四千万ということで、今度の法律の一部改正の中でこの在庫処理というのが大きな問題になっているわけでございますけれども、大体どの程度の期間で処理をすべきか、そういう基本的な考え方は持っておられないのですか。その点はどうですか。
○関谷政府委員 十年、十数年というお話がございましたが、今の判断からしますと、確かにかなり長期のものにならざるを得ないというふうに見込むこと自体、大変長過ぎると思いますけれども、そうかといって、では何年だということを今設定することが決していいことだとは私ども考えておらないわけでございまして、こういう大きな在庫が需給関係、価格形成に悪影響を及ぼしているわけでございますから、気持ちとしては早く処分したいという気持ちがある一方で、しかし反面、それで元も子もなくなって、価格安定制度の方がこれによって破綻してしまうというようなことになってはいけないわけでございまして、その間の具体的な調和点の求め方については、まだ今の段階では余り固定的な考え方、何年というようなことを考えない方がいいのじゃないか。そういうことを言いますと、それを前提にしてかえって価格形成上いろいろマイナスになっていくということもございますので、繰り返しになりますが、新制度によります発足時点でのいわば売り渡しのテンポをどう設定するか、これは相当慎重に考えて、これがうまくいきますと、そういうテンポを多少調整をする形で割合順調に在庫処理が進むような展望もないわけではないというふうに考えておるわけでございます。
○駒谷委員 それから、この在庫処理につきましては時価に影響を及ぼさない方法ということでございますが、実勢価格という問題との関係でありますが、影響を及ぼさない方策について先ほども御答弁があったわけでございますが、改めてお伺いいたします。
○関谷政府委員 これにつきましては、法律には一般競争入札契約その他の方法でということが書いてございまして、ただいま申し上げましたが、一つは、需給状況を考慮して毎月当面一定量を一般競争入札契約に付して売り渡す、これによりまして市場がそういうものをいわば織り込み済みで安定をしていく、こういうような状態になるのが一つのねらいでございます。そういう意味で、一回の売り渡し量を余り大量にするということは適当でない、いわばそのテンポをどういうふうにするかということがございます。いずれにしましても、毎月定量原則ということを一つ立てたい。もう一つは、売り渡しの予定価格を最低限として設定しまして、これを超える応札があったときに売り渡すということでございまして、これは余り低い価格で売り渡さない、こういうことでございます。 こういうのが常時の事態でございまして、先ほど申し上げましたように私ども、こういうやり方で在庫が徐々にはけていく、こうなることを期待しているわけでございまして、もちろんその間、需給の不均等により価格が大変下がる心配もございますが、上がることなどがありましたときには、もちろんこの原則の例外としていろいろ調整を加えていく必要があろうというふうに考えております。
○駒谷委員 次に、輸入の問題でございますが、先ほどからも種々答弁があったわけでございますが、特に輸入の抑制という点について、事業団の在庫の処理という問題と絡めて現実に生産農家におきましては事実上生産調整が行われておる、そういう面からどうしても輸入量についてはこの期間抑制をしていかなければ、やはり生産農家に対しても、また蚕糸業者に対しても、そのことについての筋というものが通らないだろう、そういうふうに思うわけであります。現実には輸入に関する国際的ないろいろな諸条件というものがあって厳しいわけでございますが、特にこの輸入の量については年々減少して、努力をされている点については評価をいたしておるわけでございますが、今後の輸入についての見通し、そしてその対策についてお伺いをいたします。これは農林、通産両省からお伺いいたします。
○新関説明員 お答えいたします。 絹製品の輸入につきましては、我が国の置かれました国際的立場を踏まえまして、とり得る最善の方法というようなことで、従来から主要供給国ないし地域であります中国、韓国及び台湾との話し合いをしておりまして、数量の協定を結んで極力その数量の削減に毎年努めてきたところでございます。また、これらの二国間の協定等を補完する観点から、その他の国、地域からの輸入に対しましても、協定の脱法となりますような第三国での加工、第三国を経由してきたものの輸入等を防止するために、輸入貿易管理令等のきめ細かい措置を実はとっておるところでございます。この結果といたしまして、例えば絹織物で見ますと、その輸入数量は協定開始前の昭和五十年度と比較しまして現在約半分の水準にまで減少してきているということで、これはこの間の絹織物の生産の減少率を大幅に実は上回る削減、こういうことになっているわけでございます。 今後につきましても、先生からお話がありました蚕糸業あるいは絹業の厳しい実情というのがあるわけでございまして、主要供給国との話し合いを軸に絹製品の輸入数量の抑制に最善の努力を払ってまいる所存でございます。相手国におきましても、毎年この削減をしてきたということで、削減の余地は次第に狭まりつつある、こういうようなことになってきてはおりますけれども、引き続き削減の努力をしてまいりたい、かように思います。
○関谷政府委員 輸入問題につきましては、今お答えのございましたように、特に生糸も同様でございますが、主要輸出国の中国、韓国との二国間協議、それから特に生糸につきましては一元輸入制度がございます。これらの運用によりまして、極力輸入の抑制というか、そういう気持ちで私ども対処しているわけでございまして、実は最近の両国との協議の状況なども、内容的には、現在の日本の絹需要の減退、それに応じまして養蚕それから製糸それからさらに絹業、こういう面でも非常に生産を制限している、こういう状況を理解してもらうために状況説明をする、こういうことが主体になっておりますが、ただ生糸の場合には、従来五十七、八年あたりの約束しました数量のいわば消化という国際信義の問題がございまして、若干こういうものの処理が必要でございますが、全体としましては今お答えもありましたように、相当理解を得ながら輸入の抑制の方向で対処をしているわけでございます。
○駒谷委員 時間が参りましたが、絹の需要拡大の点につきましては、さきに我が党の水谷委員からるるお尋ねがあったところでございます。大臣、最後に、先ほども御答弁がありましたけれども、どうしても絹の需要の拡大をしなければ蚕糸絹業のこれからの経営の安定はない。この法律一部改正を行われますけれども、その改正をした基本的な問題はどうしてもやはり絹の需要の拡大ということになろうかと思います。政府は民間活力を導入しながら、いろいろな形で絹の需要拡大に今後も努力をしていただきたいわけでございますけれども、大臣からその決意のほどをお伺いして、終わりたいと思います。
○佐藤国務大臣 駒谷先生にお答えいたしますが、先生の御指摘のとおりでございます。 実は和服の需要が非常に減少してきているというようなことでございまして、今着ている私のこの洋服は筑波の試験場でつくりました日本では今たった一着というサンプルを着ているわけで、絹の非常な欠点でございます伸縮性あるいはてかてかする、かさ高性、こんな点を改良してつくったということでございます。そんなことで、そういうような試験研究をしながらよりいいものをつくるという努力が必要かと思っています。 それからもう一つ、先ほど先生からお話がございました絹の生産量の問題で、国内の生産量、輸入、それから事業団の在庫十七万俵、この三つをどうするかということが大きな問題ですが、私は輸入の縮減につきましては通産、農林で最大限努力したい、こう思っております。また、事業団の在庫十七万俵余につきましては実は二つの考えがあるのです。一つは、財政当局は早く高く売って赤字を少なくしたい、こういうことだと思います。それからもう一つ我が省とすれば、この特別に売り渡すことによりまして価格に影響があってはいけない、これをどう配慮するかということですが、基本的には価格を最重点に置いてやっていく、そのために特別勘定を設けて、ことしも一般会計で四十四億を出したわけですから、そういう意味でしておる。したがって価格を中心にやる、こう御理解願いたいと思います。 そんなことで、あとはやはり価格の問題ですね、先生御存じのとおり。実は私はデパートへ行って御婦人の下着から全部買いました。買ってずうっと見ましたが、やはりちょっと高いですね。だから、これをいかに安くするかということ。そういう形の中にやはり一番安いのは洋服とレーンコートですね、ずばり言うと。洋服は七、八万円から十万円、レーンコートは六、七万、やはりこれが一番向いていますね。 それからもう一つは、やはり先ほど基本的に言いましたような、農林水産業関係は約八百万ございます。家族を入れて二千五百万。この人たちがやはり自分の農林水産業を守るという立場で、できるだけつくって着ていただく、こういう姿が大切ではないかと思います。したがって、いいものをつくる、また販路の拡大をいたしますとともに、やはり農林水産業関係者がみんな買って、生糸、絹を守るんだ、ひとつこういう姿勢を持って頑張りたい、こういうように思っておりますが、何分の御後援を心からお願いいたします。
○駒谷委員 以上で終わります。
○今井委員長 次に、小川国彦君。
○小川(国)委員 大変遅くなった時間に恐縮でございますが、先般の私の質問に対する答弁の中で、ぜひこれは御見解を訂正願っておきたいという点がございます。それからもう一つは、この今回の改正の主要な点が、どう考えましても日本の養蚕業あるいは生糸産業の将来にとって重大な、非常に暗い影を投げかけている、そういう面ではやはり最終的に農水省の将来に対する見通しをもう少し明確にしておきたいということで、非常に短時間の中でございますが、ひとつ簡潔な御答弁でお願いしたいと思うわけであります。 まず第一点は、繭の生産費のカバー率の問題でございます。 三月六日の審議におきまして私は、三十箱以上の生産農家においても昭和四十九年以降生産費をカバーできていない、こういう実態を指摘したわけであります。それに対して関谷局長も、それはお認めになったわけでありますが、ただその論議の中で、生産費を実際に農家が支出した物財費や雇用労働費、それに償却費のみに限定して見れば、千七百五十五円の現在の基準繭価でもなお五百円がらみの収入がある、こういうふうに答弁されているわけでありますが、私どもは生産農家の厳しい費用の実態を見てまいりますと、この五百円がらみの収入があるという見方は非常に無理な見方ではないかというふうに考えるわけであります。どう考えて農水省は自給飼料とか家族労賃というものを生産費と認めない立場をとってこういう見解を出されたのか、生産費の算出については施行令、施行規則の中でその算出の方法が明確に規定されているわけであります。そういう前提で議論してきますと、一キロ五百円がらみの収入が確保されるという見方は非常に無理があるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。その点についてひとつ御答弁をいただきたいと思うわけであります。
○関谷政府委員 この問題につきましては、先生のお尋ねの趣旨と私の申し上げていることとは決して食い違いがないというふうに私は考えております。 繭生産費調査の中では、自家労賃それから資本利子、地代、こういうものを生産費と認めているわけでございまして、その生産費を現在の基準繭価がカバーし得てない、これは事実でございます。ただ、私がそこで手取りというか農家の収入というふうに申し上げましたのは、物財費、償却費のような、いわゆる所得計算上コストと認められるもの以外のもの、例えば家族労賃でございますが、これは生産費の中では一定の単価によりまして評価してコストというふうになるわけでございますが、税法計算と申しますか、所得という点では、農家が自分の経営で働きまして得ましたいわゆる労賃、報酬というのは手取りであり、もっと言えば所得になる、こういうことを申し上げたわけでございます。一つの同じことを両面から見るとそういうことになるわけでございまして、決して先生のおっしゃる趣旨に私の申し上げていることが食い違っているというふうには考えておりません。
○小川(国)委員 趣旨においては反していないという御説明は私もわかるわけでありますけれども、ただ問題は、養蚕農家の一日当たりの所得は三十箱以上で四千十円、これは地代まで含めた一日の総収入ということですが、さらにまた、家族労働報酬は三十箱以上の方で二千八百三十円という賃金になっているわけです。これを見ても、いかに養蚕農家の賃金が低賃金で計算をされているかということを私どもは肌で感ずるわけであります。確かに昭和五十八年の農村の臨時日雇いの賃金が六千円か七千円、実際は一万円からの手間賃というようなことから見ると、この養蚕農家の家族労働報酬が二千八百三十円というのは驚くべき低賃金じゃないか。そういうような実態にある養蚕農家に、そういう数字をもってしてこれを所得であると言うのは、もう本当に実態を超えた見方になってくるのじゃないか。 そういう点では私は、養蚕農家の今の手取り所得の実態がいかに厳しい状況にあるかということは、これはやはり農水大臣もあるいは局長も十分理解なすっていると思うのですが、どうもこの答弁を見ていると、あたかも養蚕農家に所得があるような印象を与えますので、その点についての御理解は当然あるもの、こういう判断で、その辺の見解をもう一度明らかにしていただきたいと思います。
○関谷政府委員 先ほどのお答えで申し上げましたとおり、例えば五百円なら五百円というものが、性質として、所得あるいは場合によりますと家族労働報酬という言葉で言われますが、そういう手取り額の意味を持っている。性質については、見方からしますとそういうふうになるわけでございますが、私の申し上げました額が、金額の方がこれで十分であるとか、もう全く心配がない、こういうことを申し上げているわけではございませんで、一日当たり家族労働報酬、先生、今御引用されたものをほかの畑作物等と比較しますと、もちろんかなり低い方の部類になっております。そういう意味で、額として十分であるということでは決してないと思いますが、ただ、そういういわゆる所得という性質を有する収入がないわけではない、こういうことを申し上げたわけでございます。
○小川(国)委員 この点議論を蒸し返してもなんですが、そういう実態の認識、やはり農蚕局長が養蚕農家の厳しさというものの実態を理解していただいている、私はこういうふうに理解をしまして、もう一つの次の問題にまいりたいと思います。 今日までの質疑の中で、基準糸価については今年も一万二千円を据え置いていくという見解を明らかにされたのですが、やはり三年、五年、長期の見通しに立ってこの価格を維持していける、養蚕農家に対してこういう安定的な見通しを与えることができるかどうか、この点はいかがですか。
○関谷政府委員 いわゆる基準糸価一万二千円でございますが、これは法律改正成立後できるだけ早く蚕糸業振興審議会に諮りまして六十年度の分を決めるわけでございますが、その場合に現在の水準を維持する方向で対処する、これは既にお答えをしたとおりでございます。 六十一年度以降、ややその先も含めました問題については、これは私ども考え方としましては、六十年度が一万二千円の糸価のもとでどういう需給関係、どういう価格関係、あるいは生産もどういうような方向をたどるかというのは、実質的にはこの年度が初年度でございます。そういう意味で、この状況を見きわめ、この六十年度の推移を見きわめたところで六十一年度以降の行政価格の水準についても考えなければいけないというように思っておりまして、今その先あるいはもっと先まで固定的に考えるということはかえってよくないのではないか。 いずれにしましても、ことしの六十年度の問題というのは、この一万二千円の基準糸価、いわゆる安定基準価格のもとで実勢糸価の維持を図っていく、こういうような努力をしまして、その以後の問題についてはまだその時点で慎重に検討すべき問題であろう、こういうように考えております。
○小川(国)委員 私どもが一番心配しておりますのは、今回の異常変動防止措置の撤廃とそれから十七万俵の放出、この二つの事実は、どう考えても繭糸の価格を下げていくという要因にしかならないわけですね。その場合に、皆さんの方でこういう法案を出してきても、少なくとも生産費の八五%を下らない最低繭価は保証していけるのか。こういう変動防止措置をなくしても、十七万俵を放出しても、この今まで防止措置があったときのような、守っていく実態というものは八五%を下らないという最低線を上回っていく、そういう裏づけなり保証というものは、皆さんの決意としてあるのかどうか、この点をひとつ。
○関谷政府委員 これは従来から生産費基準で八五%、これは臨時特例政令で特別の場合には六割を下らない額ということがあわせて決まっているわけでございますが、そういう生産費基準の異常変動防止措置というものでは不十分だということで中間安定が決められておるわけでございまして、この中間安定措置が、従来の実績で申しますと少なくとも価格安定については機能し得たし、ある意味では、そのもとでこういう在庫がたまったわけでございます。 そういうことからしますと、この中間安定措置というものに対する期待が非常に大きいということでございますので、その価格決定については、私ども需給状況等を見ながら十分慎重に決めてまいるつもりでございますし、いやしくも今後の需給の面から見て不安のないような水準設定に努めるということで対応してまいりたいというように考えております。
○小川(国)委員 不安のないような水準というものを、八・五割を下らない、こういうふうに理解していいですか。
○関谷政府委員 これは中間安定の従来の価格そのものが、もちろん異常変動の中ではございますけれども、やはり需給実勢というような考え方で対応してまいりますので、これがひとり立ちしましたときに従来の基準生産費との関係、八五%なり六割との関係でどういうふうになるかということは先の事態ということになりますけれども、私どもはやはりある程度の期間を見た需給の安定という場合には、供給面での、生産条件と法律に書いてございますが、生産費の要素というものはいずれにしても十分に勘案されるはずである。ただ、それが明白に何%であるかということは、その時期の需給状況に応じて生産費の勘案の仕方というものがいろいろ変わってくる、こういうことになるのではないかと思っております。
○小川(国)委員 将来に対しては非常に不安を残す材料を残しておる、私どもはこう言わざるを得ないと思うのです。 それから、時間がありませんからもう一つ、前回の委員会、きょうの委員会で、四万七千五百トンに近い数字に減反が行われざるを得ない、前回の二割あるいは二割五分に匹敵するような減反を続けなければならぬ、こういう御答弁なんですが、この五万トンを割って機織り業は成り立たないということまで言われている状況なんですが、やはり減反はせざるを得ないという状況ですか。
○関谷政府委員 従来の減反、減産と言われているものの性格でございますが、これは形としては、あくまでも五十九年度のものも全養連を中心とします生産者団体が自主的に繭の生産調整をする、こういうことでございまして、それが行政当局との考え方で数量的に四万七千五百トンということで一致をして実施をした、結果が二五%減ではなくて一八%減になった、こういうような性格でございます。 来年度につきましては、私どももこういう仕組みにまで実施をするかどうかということで、生産者団体の意向としては五十九年度と同様な取り組み方までは無理であるということでございますので、役所としましては四万七千五百トンあるいはもう少し下回るかもしれませんけれども、需給状況から見るとこの辺が生産の総体としての限度ではなかろうかという、いわば情報提供的な意味合いで、あるいは誘導的な意味合いで目標というものを考えなければいけませんが、五十九年度と同様な意味で生産者団体の仕事として生産調整に取り組むということは生産者団体自身の意向としても考えておらないようでございますので、今そういう方向で、役所としましてはあくまでも需給状況から見るとこの辺が限度だというめどを示すというようなことにとどめてはどうかという気持ちで、いずれにいたしましても生産者団体、県等と調整をしておるところでございます。
○小川(国)委員 これはひとつこれ以上の、自主減反といいながら実質的には上からおりてくるものでありますから、それがないことを強く要望しておきたいと思います。 それから十七万俵の処理をカバーする方法について、佐藤農林大臣はこの間こういう答弁をしているのですね。「実は、今の一つの問題は、価格がどうなるかという場合、例えば払い下げの場合に、仮に払い下げて価格に影響を与えるならば払い下げなければいいわけです。それで今度は国が財政負担を考えればいい。そうしなくちゃ価格なんて図れぬと思います。」こういう答弁をしているのですが、これは財政負担を行うという考え方を大臣がお持ちになっていらっしゃる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○佐藤国務大臣 小川先生にお答えいたしますが、実は私は事業団の在庫十七万俵につきましては二つの見方があると思います。その一つは、財政当局はもちろん早く高く売って赤字財政を少なくしたい、こういうのは当然だと思います。また我が省とすれば、これは生糸の安定価格を恒久化するためにつくった制度ということでございまして、仮に今の価格に多少でも影響があるようならば払い下げはしてはいけない、こう思っておるわけでございます。そんなことで、私は一万二千円の価格に多少でも影響あるようならば一俵たりとも払い下げ、放出はしない、こういう考えを持っております。
○小川(国)委員 その払い下げをしないという点はいいのですが、もう一つ、財政負担をしてもよろしい、こういう点はいかがですか。
○佐藤国務大臣 これは、今度は御存じのことのように特別勘定をつくりまして、このため、たしか一般会計から四十四億余赤字を補てんしたということでございまして、それは当然なことだと考えております。
○小川(国)委員 今後においてはいかがですか。
○佐藤国務大臣 同じ考えでございます。
○小川(国)委員 それから最後に、私は輸入をどうしてもストップしないことには今後の混乱と値下げは避けられないだろうと思うのですが、実績を見ますと、絹織物も二次製品も絹糸も実質的には減ってないわけです。通産省がいろいろ御努力をされているという話ですが、金額的に見ると、この三年間で見て二次製品などは二百七十億から三百十六億、三百二十四億とふえているのです。こういうことは、二国間交渉をやっていらっしゃるということなんですが、実質的には十万六千俵の輸入があるわけです。国内の生糸の十九万俵と事業団在庫の十七万俵を合わせただけでもう内需の二十八万俵に匹敵する数字になってしまうので、輸入の十万俵をストップしなければまたまた在庫がふえていくことは明らかなんで、これを抑制するという面では、通産省が思い切った措置をとっていくという強力な決意がなければならぬと思うのですが、通産省、実際に抑制のための努力、二次製品などで金額的に見ても上がってきているものを下げるという努力はなすっているのかどうか、今後なさる決意があるのかどうか、この点はっきりしていただきたい。
○新関説明員 お答えいたします。 絹製品の輸入に対する問題でございますが、現在、日本の置かれている国際的な立場ということで、この間も御答弁いたしましたように、絹糸なり絹織物につきまして主要供給国との間に話し合いをしまして毎年数量削減に努めてまいりまして、それから、そういう脱法的なものの輸入を防止するということでいろいろな政令上のきめ細かい措置をとっていることを申し上げました。絹織物につきましては、五十年度と比較して現在は半分以下の水準に達している、こういうことで、引き続きこういう努力をしていくということでございます。 それから、特に輸入につきまして競合ということでありますのは着物等の絹の二次製品に対しての問題でございます。私ども、主要供給国、特に中国、韓国、台湾からの和装の二次製品の輸入につきましていろいろ様子を見ておるわけでございますが、実は昭和五十五年の五月末から輸入貿易管理令に基づく事前確認制というものを適用しまして実態把握を行っております。これにふりますと近年、金額とか点数とか重量、いずれで見ましても増加する傾向は認められていない。例えば五十九年の上半期を重量ベースで見ますと、前年同期比で二四・五%もの減少、こうなっているわけでございます。 以上のことから、絹の中で和装というものが非常に大事でございますし、量も多い、ウエートが大きいわけでございますが、その和装二次製品の輸入の国内需給に及ぼす影響が、一応今のところは数量的にはそういうふうになっておるわけでございますが、先生からもお話がありましたとおり、関係業界からの危惧ということを私ども十分承知しておりますので、今後とも、こういう事前確認制というものを活用して、実は輸入動向を的確に把握してまいりたい、かように思います。
○小川(国)委員 時間が参りましたので、最後に農水大臣に。 今、通産当局の述べられた削減への努力、全国の養蚕農民を代表する立場からも、また、あるいは機織り業を維持していく立場からも、農水省として強く通産省に申し入れ、協議を重ねながら輸入削減への努力をされるように、この十七万俵の放出による影響を最小限度に抑え込むためにはまず輸入を抑えるしかない、この点に最後の努力をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
○佐藤国務大臣 今、通産当局から申したとおりでございますが、よくお願いし、一緒になりまして最大限努力したい、こう考えております。
○今井委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○今井委員長 この際、本案に対し、中林佳子君外一名から修正案が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。中林佳子君。 ————————————— 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団 法の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○中林委員 私は、日本共産党・革新井可を代表し、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法改正案に対する修正案について、提案理由及び趣旨を説明いたします。 今日、我が国の蚕糸業は長期にわたる生糸、繭価格の低迷と過剰による減産を余儀なくされ、養蚕経営からの離脱が続出するなど、かつてない危機に直面しています。 こうした危機を招いた根本原因は、長引く消費不況等による絹需要の減退の中で、養蚕農家には大幅な繭減産を強要しながら、依然として高い水準の生糸、絹製品の輸入を続けてきたことにあります。 また、輸入増等による蚕糸砂糖類価格安定事業団の生糸在庫累増を理由に、国産糸の買い入れ量を上回る在庫糸の放出を行うなど、事業団が本来果たすべき価格安定機能を事実上放棄してきた結果です。 したがって、今日の蚕糸業危機打開のためには、生糸、絹製品の輸入を厳しく抑えることと結びつけて事業団の過剰在庫を解消し、事業団の価格安定機能の強化を図ることが何よりも求められています。 ところが、政府改正案は、輸入はこれ以上減らせないことを大前提に、事業団の在庫解消を優先的に進めるため、国内繭、生糸生産の一層の縮少で対応しようとするものです。 そのため、第一に政府案は繭、生糸行政価格の算定を生産費基準から需給実勢をより重視したものに改悪し、大量の在庫糸放出のもとでつくり出された実勢価格に合わせた価格安定帯の設定、つまり大幅な引き下げに道を開くものです。 第二に、政府案は、二度と事業団在庫累増という事態を招かないことを至上命題として、一定期間保管した保有糸を糸価の相場にかかわりなく放出することとしていますが、これでは事業団の需給調整機能は一層後退することは明白です。 こうした政府改正案には到底賛成できません。 我が党修正案は、山間地の農業や地域経済に欠くことのできない役割を果たしている蚕糸や絹業を重要な地場産業、伝統産業としてしっかり守り、振興させる立場からのものです。 その第一は、生産費を基準とした異常変動防止措置を廃止し、需給実勢の名による価格安定帯の大幅引き下げに道を開く政府案の価格安定措置に関する規定を削除し、現行どおりとするものです。 第二は、法改正以前の事業団在庫糸に加えて、今後買い入れ、保管期間が一定期間を超えた生糸についても、事業団は特別勘定で経理し、この特別勘定に係る在庫糸の処分については、計画的に、時価に悪影響を及ぼさないよう売り渡すこととし、特に、その売り渡し先として、輸入が急増している保税加工用生糸の輸入を減らし、この在庫糸を置きかえることとするものです。 また、この保税加工用に置きかえる在庫糸の売り渡しと新規用途売り渡し以外の特例的な売り渡しは、事業団が国産糸を買い入れ中は停止することを明記するものです。 第四は、国内産繭や生糸の生産調整実施中や事業団の過剰在庫糸の処分中は、生糸、絹製品の輸入について特に厳しく規制するものです。 以上が修正案の提案理由と主な内容です。 委員各位の御賛同を賜りますようお願いいたします。
○今井委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。 この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればお述べいただきたいと存じます。佐藤農林水産大臣。
○佐藤国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府としては反対でございます。 —————————————
○今井委員長 これより繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、これを許します。上西和郎君。
○上西委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行おうとするものであります。 今日、我が国蚕糸業をめぐる情勢は内外ともに非常に厳しいものがあり、その結果、蚕糸砂糖類価格安定事業団の生糸在庫量は十七万五千俵に達するという極めて憂慮すべき事態を招いております。 このような事態に対して、養蚕農家はもちろん、製糸工場など関係者挙げての需給均衡化策がとられ、懸命の努力を続けているにもかかわらず、蚕糸業の前途はずばり言って悲観的だと断定せざるを得ません。 こうした情勢を明確に踏まえ、長い歴史と伝統を誇る我が国蚕糸業の基盤を確立するため、蚕糸業関係者は政府に対し繰り返しその対策強化を求めてきたのでありますが、今回提案された本法案の内容は、残念ながらこうした期待を大きく裏切るものと言わなければなりません。 以下、反対する理由を二点に分けて具体的に御説明申し上げます。 まず第一点は、繭糸価格の算定方法についてであります。 現行法に明記してある生産費を基準とするという規定がその姿を消していることで、これはどうしても承服できません。このことは、とりわけ全国十一万有余の養蚕農家にとっては痛恨事だと言えましょう。なぜ生産費を基準とした算定方法を削除したのか、その真意をはかりかねる、このところに本法案に賛成できない最大の理由が存在するのであります。 第二点は、輸入の規制についてであります。 事業団の生糸在庫量が異常に膨れ上がった原因の最たるものは、国内需要の減少にもかかわらず、無秩序と言ってよい絹織物等の輸入が累年続けられたことだと言ってよいでしょう。それなのに、本法案改正事項の中には、輸入規制の強化はさておき、条件つきとはいえ、事業団の在庫生糸をどう放出するかということを優先させている傾向が露骨にうかがえるからです。養蚕農家を初め蚕糸業全体の実情を見るとき、こうした当面を糊塗するやり方では到底納得することができません。 以上、大きく二点に分けて理由を申し上げ、本邦蚕糸業のさらなる発展のため抜本的な施策を早急に講じられるよう心から祈念して、反対討論を終わらせていただきます。
○今井委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○今井委員長 これより採決に入ります。 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、中林佳子君外一名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○今井委員長 起立少数。よって、中林佳子君外一名提出の修正案は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○今井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○今井委員長 この際、本案に対し、玉沢徳一郎君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。田中恒利君。
○田中(恒)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、繭糸価格安定制度が安定帯における価格の安定を通じ蚕糸業の経営安定を図ることを重要な目的としていることにかんがみ、本法の運用に当たっては、左記事項の実現に努め、蚕糸業の安定的発展に万遺憾なきを期すべきである。 記 一 新しい繭糸価格安定制度の下における今後の繭糸価格の決定に当たっては、養蚕農家等の経営状況、需要の動向を踏まえ、再生産が図られるよう適正に決定すること。 二 価格決定時期については、従来三月に決定してきた原則を踏まえ、養蚕農家に不安を生ぜしめないよう適切に設定していくこと。 三 特別勘定における事業団の在庫生糸の売渡しについては、実勢糸価の動向に十分配慮して行うこととし、特に実勢糸価が安定基準価格を下回り又は下回るおそれのある場合には、売渡し数量の調整に特段の配慮を行うこと。 四 生糸、絹織物等の輸入については、国内需給に重大な影響を及ぼすことのないよう、二国間協議等を通じて輸入数量の抑制に一層努めること。 五 絹の需要拡大を図るため、きものの大衆化、洋装分野を含めた新規用途の開発、研究等抜本的な需要増進対策を講ずるとともに、絹製品に至るまでの流通の改善合理化を図ること。 六 養蚕農家が安心して繭生産に取り組めるよう繭、生糸、絹織物等の中・長期需給見通しを早急に確立すること。 七 生産性の高い養蚕経営を確立するため、各般にわたる適切な生産施策を積極的に講ずること。 右決議する。 以上でありますが、決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の十分御承知のところでありますので、その説明は省略させていただきます。 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いいたします。(拍手)
○今井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 玉沢徳一郎君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○今井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤農林水産大臣。
○佐藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。 —————————————
○今井委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○今井委員長 内閣提出、農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。 ————————————— 農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置時別会計法の一部を改正する法律案 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案 農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○佐藤国務大臣 農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 農業改良資金制度は、昭和三十一年に発足して以来、農業事情の変化に対応して制度及び運営の改善を図りつつ、新技術の導入、農家生活の改善及び農業後継者の育成のための無利子資金の貸し付けを通じて農業経営の安定と農業生産力の増進に貢献してまいりました。 また、自作農創設特別措置特別会計制度は、昭和二十一年に発足して以来、政府による農地の買収、売り渡し等の経理を行う特別会計として自作農の創設及びその経営の安定に寄与してきたところであります。 しかしながら、近年、農業をめぐる情勢の変化には著しいものがあり、農業生産の再編成、土地利用型農業の経営規模の拡大、生産コストの低減等農業経営が直面する諸課題に対応して経営基盤の強化を図るため、農業改良資金制度の一層の活用を図ることが求められております。また、この制度は、都道府県段階で資金が回転する仕組みであるため、都道府県によっては資金余剰が生じ、あるいは不足が生じており、厳しい財政事情のもとで、資金の効率的利用を図ることが緊急の課題となっております。 一方、自作農創設特別措置特別会計制度については、農地等の売買に伴う差益がこの特別会計に累積し、相当額の剰余金を保有するに至ったため、この剰余金を、現下の農政上の大きな課題である農地保有の合理化のための施策に有効活用し、構造政策の強化に資することが適切であると考えられます。 政府におきましては、このような諸情勢にかんがみ、農業経営に意欲的な農業者が合理的な生産方式の導入、経営規模の拡大等を図ることを促進するため、農業改良資金制度について資金種目の再編拡充を行うとともに、資金の効率的利用が図られるよう政府の助成方法を変更し、あわせて農業経営基盤の強化に資する観点から、本資金制度及び農地保有の合理化のための措置に係る政府の経理を一般会計と区分して行えるよう自作農創設特別措置特別会計制度を改組することとし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。 まず、農業改良資金助成法の改正について御説明申し上げます。 第一に、資金種目を再編拡充して、新たに生産方式改善資金及び経営規模拡大資金を設けることであります。 生産方式改善資金は、現行の技術導入資金を再編拡充したものでありまして、従来の貸付対象である能率的な技術の導入のみでなく、作目や地域の実態に即し、農業生産の再編成やコストの低減等農業経営が直面する課題に対応して、普及を図るべき合理的な生産方式を導入するために必要な資金であります。 また、新たに設けられる経営規模拡大資金は、土地利用型農業の経営規模を拡大するため、農用地について賃借権等の利用権を取得するのに必要な資金であります。 第二に、資金の貸付事業を行う都道府県に対する政府の助成方法の変更であります。 これまでは、国は都道府県に対し、必要な貸付財源の三分の二以内を補助しておりましたが、今後は、これを無利子で貸し付けることとしております。これによりまして、今後は、国への償還金を再び都道府県への貸付財源とすることにより、都道府県における資金需要に応じた全国的な資金の調整を行い得ることとなるのであります。 次に、自作農創設特別措置特別会計法の改正について申し上げます。 この特別会計の名称を農業経営基盤強化措置特別会計とするとともに、その経理の対象を農業経営基盤の強化に資するための農地保有合理化措置及び農業改良資金に係る政府の貸付金の貸し付けとすることとしております。 また、これにあわせてこの特別会計における剰余金等の財源の有効活用に関する措置を講ずることとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 農林漁業金融公庫資金制度は、農林漁業の生産力の維持増進を図るため、農林漁業者等が必要とする長期かつ低利の資金を融通することを目的として、昭和二十八年に発足したものでありますが、以来、農林水産施策の展開の方向に即応して逐次制度の改善を図りつつ、今日まで農林漁業の発展に多大の貢献をしてまいりました。 しかしながら、最近の農林水産業を取り巻く諸情勢について見ますと、農林水産物の消費の伸び悩み、経営規模拡大の停滞等極めて厳しいものがあり、このような状況のもとで、農林水産業の体質の強化を図ることが重要な課題となっており、農林漁業金融公庫資金についてもこのような課題に即応した制度の改善が求められております。 また、農林漁業金融公庫資金につきましては、近年、利子補給等に要する補給金が著しく増加してきており、厳しい財政事情のもとで資金の効率的利用を図っていくことが求められております。 政府といたしましては、このような状況を踏まえ、農林漁業金融公庫資金制度について、農林漁業経営の育成強化及び農林漁業の構造改善を促進しつつ資金の効率的利用と制度の簡素化を図るとの観点に立って見直しを行うこととし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 第一は、農林水産施策の展開方向に即した制度の改善充実であります。 まず、農業経営の育成対策の強化を図るため、総合施設資金の貸付対象として自立経営を目指して段階的に規模拡大等を推進しようとする若い農業者等を追加することとしております。 次に、林業経営対策の強化を図るため、林業経営改善資金の貸付対象として林業経営の複合化のために必要な施設を追加することとしております。 さらに、生鮮食料品等の流通の近代化を推進するため、卸売市場近代化資金について、地方卸売市場等の仲卸業者を貸付対象として追加することとしております。 加えて、国産農林畜水産物の需要の増進を図るため、新規用途事業資金について、新規用途の開発及び加工原材料用の新品種の育成、導入に要する資金の融通の道を開くこと等の充実を行うこととしております。 第二は、制度の整理合理化であります。 農地等取得資金等の三分五厘資金については、構造政策等の方向に即して重点化を図り、その一部を五分資金とすることとしております。 また、農業、林業、沿岸漁業の構造改善事業の推進のための資金につきましては、制度の簡素化等の観点からこれを統合し、農林漁業構造改善事業推進資金とすることとしております。 さらに、財投金利等と連動して金利改定が行われてきた漁船、塩業、卸売市場近代化等の資金の法定上限金利を八分五厘に統一改定することとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。 農業近代化資金制度及び漁業近代化資金制度は、農業者、漁業者等に対する長期低利資金の融通を円滑にするため、協同組合系統資金の活用を図りつつ運用されておりますが、昭和五十八年末においてその融資残高は農業近代化資金がおよそ一兆二千九百二十八億円、漁業近代化資金がおよそ二千八百四十二億円に上っており、農業者、漁業者等の資本装備の高度化及び経営の近代化の推進に大きく寄与しているところであります。 これら両制度につきましては、制度創設以来、逐次改善を図ってきたところでありますが、最近における農業者、漁業者等の資金需要の大型化に即応して、その貸し付けの最高限度額を、それぞれ現行の二倍に引き上げることとし、農業者、漁業者等に対する施設資金等の融通をより円滑にすることとした次第であります。 以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○今井委員長 引き続き、補足説明を聴取いたします。関谷農蚕園芸局長。
○関谷政府委員 農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容について若干補足させていただきます。 まず、農業改良資金助成法の改正について御説明申し上げます。 第一に、技術導入資金を再編拡充して設けられる生産方式改善資金についてであります。 技術導入資金は、本資金制度の中心をなす資金種目として、昭和三十一年の制度創設以来、近代的農業技術の普及定着化を通じて農業経営の安定と農業生産力の増大に大きく貢献してきたところでありますが、近年における農政の課題に対処するため、これを再編拡充し、従来の貸付対象である能率的な技術の導入のみでなく、作目の転換、品質の向上、低コスト化等を図るための合理的な生産方式の導入に必要な資金として生産方式改善資金を設けるものであります。 その具体的な内容につきましては、政令において、従来の技術導入資金に加え、当面、畜産、果樹、野菜及び養蚕についておのおのその部門の課題に対応した資金を新たに定めることとする見込みであります。 また、新たに政令で定める資金の一部については、貸付限度額を標準資金需要額の百分の九十とし、償還期間も上限を七年から十年に引き上げることとしております。 第二は、経営規模拡大資金の新設についてであります。 我が国農業の体質を強化するためには、技術と経営能力にすぐれた農家を育成し、これらによって農業生産の相当割合が担われるような農業構造を実現していくことが重要であります。特に土地利用型農業は、施設型農業に比べ規模拡大が立ちおくれていることにかんがみ、従来から農用地利用増進事業等により、農地の流動化を促進し農業経営に意欲のある農家に農地を集積させるための施策を講じてまいりましたが、その一層の促進を図るため、経営規模拡大資金を新設することとしたもめであります。 その具体的な内容につきましては、政令において、小作料の一括前払いに要する資金とする見込みであります。 第三に、農業改良資金の貸付事業を行う都道府県に対する政府の助成方法の変更であります。 従来、この制度は、その財源の三分の二以内を国からの補助金の交付を受け、都道府県の特別会計において農業者に繰り返し貸し付けるという仕組みとなっており、いわば都道府県段階における回転資金であったのでありますが、資金需要の地域差及び年による変動から、未貸し付けの剰余金が特別会計に累積する都道府県がある一方、償還金で資金需要を満たせない都道府県があるという状況が見られるところであります。 このため、全国的な資金の効率的利用を図る見地から、今後は、毎年度の貸付必要額のうちその三分の二以内を国が都道府県に無利子で貸し付けることとしたものであります。 また、政府の助成方法の変更に伴い、都道府県の特別会計に関する規定及び既に都道府県に交付した補助金に関する規定を整備するほか、新たに、未貸付金のうち国の補助金に係る部分について自主的に国に納付できる道を開くとともに、この納付金も国からの貸付金の財源に充てることとしております。 なお、昭和五十九年度に予算措置として都道府県に補助しております畜産振興資金の貸付事業に係る都道府県の権利義務については、都道府県において農業改良資金の特別会計に引き継ぐことができる旨の措置を講じております。 次に、自作農創設特別措置特別会計法の改正についてであります。 第一に、特別会計の名称及び設置規定の改正であります。 農業経営の基盤である農地の買収、売り渡し等の経理を行ってまいりました自作農創設特別措置特別会計について、農業経営基盤の強化に資するための農地保有合理化措置及び農業改良資金に係る政府の貸付金の貸し付けに関する政府の経理を一体的に経理する特別会計に改組することとし、その名称を農業経営基盤強化措置特別会計に改めることとしております。 第二に、特別会計の改組に伴う経理規定の整備についてであります。 この特別会計において行う農業改良賢金に係る経理については、その償還金に相当する金額は、農業改良資金の貸付財源に充てることとしております。 また、歳出科目の追加に伴い、従来一般会計へ繰り入れてきた農地等の売買に伴う差益について、今後においては、この特別会計において使用するとともに、この特別会計における資金の効率的利用を図るため、農地等の売り渡し代金及び剰余金について課していた使途制限を廃止することとしております。 第三に、昭和五十九年度の決算剰余金の処理についてであります。 昭和五十九年度の決算上生じた剰余金につきましては、この特別会計の改組に当たり、これを積立金として積み立て、農地等の買収代金及び農地保有の合理化に関する事業の助成の財源に充てる場合に限り、これを使用し得ることとしております。 以上をもちまして、農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○今井委員長 後藤経済局長。
○後藤(康)政府委員 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容について若干補足させていただきます。 第一に、農林水産施策の展開の方向に即した制度の改善充実についてであります。 その一は、総合施設資金の貸付対象の拡大であります。 総合施設資金は、自立経営農家を育成するため、農業経営を総合的に改善しようとする農業者に対し各種資金を包括的に融通する資金制度として設けられたものであり、現在、自立経営を一挙に実現する者に対して貸し付けを行っております。 今回の改正は、農業をめぐる情勢の変化等により一挙に大幅な経営規模の拡大を図ることが困難となっていること等を踏まえ、今後の我が国農業の中核的担い手として期待される若い農業者が自立経営を目指して段階的に経営規模の拡大等を行う場合にも、総合施設資金を融通し得ることとしようとするものであります。 なお、この総合施設資金の貸付対象の拡大に伴い、貸付対象がこれと重複することとなる果樹園経営改善資金及び酪農・肉用牛経営改善資金につきましては、これを総合施設資金に統合することとしております。 その二は、林業経営改善資金の貸付対象の拡大であります。 近年における我が国森林・林業をめぐる情勢には極めて厳しいものがあり、木材需要の停滞等を背景とした木材価格の低迷、労賃、諸資材価格の上昇等から林業経営の収益性は悪化しております。一方、我が国の森林資源の状況は、戦後の造林による人工林がいまだ伐期を迎えていないことから、伐採による収入を期待し得ないのみならず、今後相当の期間において、保育、管理のための経費を支出していかざるを得ない状況にあります。 このような状況を踏まえ、林地取得及び育林のための資金を融通する林業経営改善資金につきまして、育林期間における林業経営の維持と林業生産活動の継続に資するため、特用林産物の生産等経営の複合化に必要となる施設資金を貸付対象に加えることとしております。 その三は、卸売市場近代化資金の貸付対象の拡大であります。 これまで卸売市場近代化資金のうち仲卸業者資金につきましては、中央卸売市場の仲卸業者が貸付対象となっておりましたが、近年、地方卸売市場の統合整備による市場規模の拡大等が進む中で、地方卸売市場における仲卸業者の機能の強化が求められている状況にかんがみ、中央卸売市場以外の卸売市場の仲卸業者についても本資金の融通の道を開くこととしております。 その四は、新規用途事業資金の内容の充実であります。 農林漁業の生産力の維持増進のためには、その生産性の向上とあわせて、農林畜水産物の安定的な販路の確保等を通じた消費の拡大を図ることが極めて重要であります。 近年の農林畜水産物の需要の動向を見ますと、加工食品、外食向け需要が増大している一方、全体としては需要が伸び悩んでおり、一部品目については過剰問題も生じております。 このような状況を踏まえ、国産の農林畜水産物の加工需要の増進を図る観点に立って、従来、でん粉の新規用途であるブドウ糖の製造加工の事業に必要な施設資金を融通してきた新規用途事業資金につきまして、新規用途開発の対象を、需給事情等から見て需要の増進を図ることが特に必要と認められる農林畜水産物とすることとしております。また、加工原材料用の新品種を使用する製造加工の事業を営む者に対しても本資金の融通の道を開くとともに、貸付対象資金について、施設資金のほか新規用途の開発導入及び品種の育成導入に必要な資金も融通することとしております。 第二に、制度の整理合理化についてであります。 その一は、三分五厘資金の融資の重点化であります。 農地等取得、構造改善事業推進、林地取得の三分五厘資金につきましては、その基本は維持しつつも、資金の効率的利用の見地から構造政策等の方向に即した重点化を図ることとし、その一部を五分資金とすることとしております。 具体的には、農地等取得資金につきましては当該資金に係る農地等の取得後の面積、農業従事の状況等に関し主務大臣の定める要件に適合する者、構造改善事業推進資金につきましては当該資金に係る事業に要する金額が主務大臣の定める額以上となる者、また、林地取得資金につきましては森林施業の実施に関し主務大臣の定める要件に適合する者に三分五厘の金利を適用することとし、それ以外の者については五分の金利を適用することとしております。 その二は、農業、林業、沿岸漁業の構造改善事業の推進のための資金の統合であります。 すなわち、制度の簡素化にも資するため、農業構造改善事業推進資金及び沿岸漁業構造改善事業推進資金と林業の構造改善事業の推進のための資金を統合し、農林漁業構造改善事業推進資金とし、この結果、これまで共同利用施設資金等で対応してきた林業の構造改善事業について計画的に推進することができるようにするものであります。 その三は、財投金利等に連動して金利改定を行ってまいりました漁船資金、塩業資金、共同利用施設資金、主務大臣指定施設資金、卸売市場近代化資金、新規用途事業資金及び乳業施設資金の七資金の法定上限金利の改定であります。 これら七資金につきましては、今後とも財投金利等の状況に応じた弾力的な金利改定を行っていく必要がありますので、これら資金に係る法定上限金利を過去の財投金利の推移に照らし八分五厘に統一改定することとしております。 さらに、現在では既に役割を終えたものとして事実上廃止されている沿岸漁船整備促進資金及び沿岸漁業協業化促進資金の二資金につきましては、今回これを整理することとしております。 このほか、公庫の理事及び監事の任期につきまして、特殊法人の役員任期の統一の方向を踏まえ、二年とすることとしております。 以上をもちまして、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○今井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 次回は、明二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十三分散会 ————◇—————