内閣委員会 第15号
- 発言数
- 176 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/06/04
会議録
○中島委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、合理化等に関する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川仁一君。
○小川(仁)委員 最初に法案にかかわって幾つか質問をさせていただき、その後それに関連した部分の質問をさせていただきたいと思います。 まず、この法案の中に事前届け出という許認可と変わった形のものがございますが、実務的に見ますと、許認可も事前届け出もほとんど変わりがないという感じがいたします。許認可の場合も最初に官庁等に地方から足を運んでいろいろ折衝をいたします。事前届け出もやはり同じような経過を踏む、こういうふうな形がありますだけに、今この法案の事前届け出を修正しようという状況はございませんけれども、事務簡素合理化の法案の趣旨からまいりまして、本当の意味の事前届け出、いわゆる事前協議を前提とする届け出ではなくて、本当に書類だけを届ければいいという事前届け出制度のように総務庁長官の御指導をいただくようにお願いしたいのですが、いかがでございましょうか。
○後藤田国務大臣 小川さんの御意見のように、今日の行政運営の実態から見ますと、事前の届け出ということになると実際上、許可認可と同じではないか、こういう御疑問が出るのももっともな御意見だ、かように私は思います。 こういった点は、それぞれの所管庁で、法の改正の趣旨が国の過剰介入というものを改めるという趣旨で今回改正をするわけでございますから、その趣旨を踏まえてやはり今までのようなやり方とは違った運用をしていただかなければならない。同時に、私どもは、こういった点について注意深く見守ってまいりまして、小川さんが御指摘になられたようなことにならぬように十分配慮してまいりたい。 ただ、基本的にはやはり、許可認可ということになりますと申請者とは別の人格の者が最終の決定権を握る、こういうことでございますが、事前であっても届け出ということになれば申請者みずからが意思の決定をする権限を持つわけでございますから、その間は私は相当なる過剰介入が是正せらるべきものであろう、かように考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、今日の行政運営の実態から見て、小川さん御指摘のようなことにならぬように政府としては十分注意してまいりたい、かように考えます。
○小川(仁)委員 ただいまのお話をお聞きして、事務簡素化の方向で御努力をいただくということに対しては非常に結構なことだと思いますが、同時に、実は今の行政をやっていく形の中で、非常に多くの通達、通知というものが出ております。これはどれくらい数があるかちょっと見当がつかないのじゃないか、こう言うほど多数でございます。しかもその中には、法律に対する有権解釈といいますか、法律に基づく直接的な指導という通知、通達もございますが、そうではなくて、法律には基づかないが、その省庁の指導方針その他で通知、通達をお出しになっているものがかなりあるように感じられます。 実は私も、この五月に一つのことを経験いたしました。特段法律に基づくものではありません。しかもそれは、昭和二十八年の通達がまだ行政的影響を非常に強く与えている、こういうものでございます。したがって、もし数もわかっておったらお知らせ願いたいのですが、通達というものに対してもう一度各省庁ごとに見直すか、あるいは法律に基づかないものは一応全部御破算にして、改めてそういうものが必要な場合には、事務簡素化の観点から総務庁と協議をして出すとか、こういう形をとらなければ、実際に地方の自治体は通知、通達で泣かされているわけでございます。それから民間企業もまた通知、通達で泣かされていますので、思い切った見直し、こういう問題をお考え願えないでしょうか。これは、今の行政が縄張り行政であり、あるいは中央集権的な行政だと呼ばれる一つの大岩な原因にもなっていると私は感じておりますので、この面についてのお考えをお願いしたいと思います。
○後藤田国務大臣 日本の行政でやはり通達行政、つまり法律の解釈その他であれば別として、それ以外の細々とした事柄について各省庁から各種の多数の通達が出て、それが今日の行政を煩雑にしておるという欠陥があることは御指摘のとおりであろうと思います。いわゆる行政指導とでもいいますか、これは地方に対する面、同時に民間に対する面も、余りにも過剰介入が過ぎるという欠陥があることは認めざるを得ないと思います。こういった点については、やはり今日のような行政簡素化というものが国民的な課題でございますから、各省庁とも、世論の批判あるいは国会の御論議、これらを踏まえてそれぞれ是正をしていただかなければならぬ、かように思いますが、私どもは、そういったことを政府の中で直接担当する役所でもございますので、今後ともそういう点については十分配慮してまいりたい。 ただ、一つつけ加えさせていただきますと、行革問題が出ましてから、各省庁ともその点は以前とはよほど変わって、意識の変革もだんだん進みつつある、こういった時期をとらえて、私どもとしても一層そういう点に留意してまいりたい、かように考えます。
○小川(仁)委員 お考えはわかりましたが、事務局の方で通達などの数みたいなものを把握しておられますか。 それからまた、具体的に通達等が出される場合に、御相談はないとは思いますけれども、一つの基準みたいなものをおつくりになってお示しになっているという状況がございましょうか。通達は事務次官から局長、課長に至るまで各階級から出ておりますので、本当に応接にいとまがないという状況がありますだけに、その点について総務庁として何か具体的な対策をおとりになる方法をお考えでございますならば伺いたいと思います。
○竹村政府委員 まず通達の数でございますけれども、法律だけで大体千五百ぐらいございますが、その施行を初め、ただいま御質問にありましたように非常にたくさんのものがあろうかと存じますが、全体で幾つになるかということについては私どもの方では現在のところ把握しておりません。 それから、いろいろ出すについての基準とか我々の方への相談とか、相談などはないわけでありますが、通達を出す場合の基準につきましては、それぞれ各省の文書担当といいますか、恐らくそういうところでいろいろ各省ごとのやり方等を決めておることと思います。我々としてその辺全体をつかんでいないという状況でございます。
○小川(仁)委員 各省庁ごとにお出しになるのを把握してどうこうということはなかなか難しいこともわかりますが、大変な数であり過ぎるのですね。しかもこれは、終戦直後あたりからのものが妙に生きておったりするというふうな、時代の変化とも合わない部分も出てきている。こういうものはどうでしょうか。さっき総務庁長官のお考えをお聞きいたしましたから一つの方向性はわかりましたが、一層強力にお進めいただきたいと、この機会にお願いをしておきたいと思います。 次に、許認可事務も今回出されたものよりも残っている数が大変多いわけでございまして、この前の九十四国会に衆議院の予算委員会に出された資料を見ますと一万四十五という数字が出ております。一番多いのが運輸省で、その次が農林水産省、それぞれお仕事の分野も広いからこうなるかと思います。それに比べますと、今回出された数は大変少ないわけでございます。いろいろ部内検討もあると思いますが、どうしても中央に権力を持ちたいという行政の考え方の中で、まだまだこれを廃止していいものが残っているような感じがいたします。 それで、今回の許認可の廃止だけでとどまらず、今後もこういう課題について取り組んで、許認可事項の廃止あるいは移譲をお進めになるおつもりかどうか。また行革審も、きょうの新聞を見ますと、中間報告を出そうとしておるようであります。機関委任事務あるいは権限移譲という問題も、今後また非常に大きな課題になると思います。 したがって、そういう課題を許認可の見直しとあわせて今後進めていただくわけでありますが、この際、地方六団体の要望あるいは地方制度調査会の報告、こういったようなものを十分御考慮になって国と地方の間の整理を積極的に進めていただきたい、こう考えますが、今後のこういう幾つかの仕事の進行状況といいますか進みぐあいというふうなものについてお考えを伺いたいと思います。
○竹村政府委員 許認可等の整理の場合に、一つは民間に対する許認可等の整理がございます。この点につきましては、従来から社会、経済の変化等に対応いたしまして政府としても不断の見直しをしてきたわけであります。それで、実情に合わなくなったものあるいは民間の自主的活動にゆだねることが合理的なもの、こういったものにつきまして、国民負担の軽減あるいは行政事務の簡素化あるいは民間活力の助長、こういった観点から累次にわたってその整理合理化を進めてきております。 数で申しますと、これは第一臨調以来でございますが、いろいろな答申等で指摘された事項が約七千九百ございますが、そのうち七千六百程度、これは廃止とか緩和とかあるいは手続の合理化、こういったものを全部含むわけでありますが、こういったことをしてきております。 さらに、さきの臨調答申で個別に指摘された事項が二百五十三ございますが、これについても現在までのところ七〇%余りの整理合理化をしてきております。残った問題についても引き続いて整理合理化を進めてまいりたいというふうに考えます。 それからもう一つ、許認可の関係で、国が地方団体の事務に対するもの、こういうものがございますが、これも今まで幾つかの例はございますが、今回の関与の整理、これを一括して行いますのは今回が初めてでございます。こういった問題については、今後もいろいろ社会、経済の変動、地方団体の事務能力の向上、そういったものを見ながらその整理合理化に努力をしてまいりたいというふうに考えます。
○小川(仁)委員 許認可問題にかかわることで、実は権限行使だけを前提にして非常にむだなお金を使ったり、後で予想した事態と百八十度も違うような結果が出たりしたという例がございます。 非常に古い話ですが、運輸省に許認可問題でお伺いしたいと思います。 今、花巻と羽田のいわゆる東京便、これは休止になりましたね。
○黒野説明員 東京-花巻線につきましては、五十七年の十一月の東北新幹線の大宮開業、これを機に需要が大幅に減りまして、その後のジェット化によりまして若干持ち直しましたが、五十九年を通じまして極めて低い輸送状況でございました。それがことしの三月の上野開業によりましてかなり乗客が減りまして、かような状況等を背景にいたしまして、本年の七月一日から来年の六月三十日まで一年間につきまして休止の許可をいたしてございます。
○小川(仁)委員 この便につきまして、当時、新幹線とのかかわりの中で、私が分科会で質問を申し上げているのです。ちょうど「ひかり」が西へ走った時期に、大阪から宇部あるいは広島の飛行便が休止になりました。したがって、花巻空港を必要以上に拡大し、そして飛行便を増大するという運輸省の考え方に対して、東北新幹線が通ったら東京-花巻間の飛行便はなくなるはずだ、こういう主張をしたのです。ところがおたくが、どういう計算かわかりませんけれども、新幹線が盛岡まで開通するという前提条件の上で「将来の花巻空港の需要でございますが、乗降客数が五十五年度で二十四万人、六十年度で五十七万人という数字でございます。」と、こういう計算をなさっている。ゼロと六十年五十七万人、えらい違いですね。計算もここまで間違うとこれはちょっと手のつけようがない。一体どういう計算でもってこういうゼロと五十七万人という違いが出てきたのですか。その計算方式なるものをあなた方の方でいろいろ申しておられました。「先ほどの数字をはじきました根拠については御説明申し上げたいと思います。」と言って長々お話しになりそうなので、分科会ではお聞きをしないで後で部屋に帰って聞いたのですが、絶対わからなかった。これはどういうことなんです。 そして、強硬に認可をし、岩手県で一番美田地帯と言われる水田をつぶして飛行場を拡大し、県立農業高校に猛烈な悪影響を与える等のことをやった理由も含めて話してもらいたい。 一つは、新幹線と飛行便の関係をどう考えているか。それから乗客数をはじき出したいわゆる係数というもの、方式ですか。それから、それらを含めて強引に許可していったあるいは実施していった理由について御説明を願いたいと思います。
○西村説明員 御指摘の点が三点あろうかと思いますが、順次御説明申し上げます。 まず、花巻空港の事業を行いますに当たりまして、私どもでどのような予測を立てたかということでございます。 これにつきましては、私どもでいわゆる総合交通モデルと呼んでおります大変大がかりな旅客流動の予測式がございます。内容的には、国民総生産などを説明変数といたしまして、将来的な全国の旅客流動量を出す、それを地域間の旅客流動に置きかえていきまして、さらに航空、鉄道等の分担関係をはじき出して、航空はこの空港で将来的にどの程度の需要が発生するというようなものを算出するわけでございます。これによりまして、先生御指摘のとおり五十五年度の予測が二十四万、六十年度で五十七万というような数字が出たわけでございます。 このような数字につきましては、私どもの附属機関でございます航空審議会というところで、学識経験者でありますとか航空事業者、こういった方々にお入りいただいていろいろ御審議願っておる場におきまして、五十一年九月に第三次空港整備五カ年計画というものの御答申をいただきました際、国内の総需要が五十五年で四千二百万、六十年で六千七百万という数字をいただいたわけでございます。その数字をベースにいたしまして、地域間に置き直しまして花巻空港の予測値を出したものでございます。(小川(仁)委員「なぜゼロになったのか」と呼ぶ)これは花巻空港全体の予測値でございまして、東京便だけを想定しているものではございません。花巻空港全体といたしましては、現在でも千歳便あるいは大阪便というものがございます。そして、さらに新しく名古屋便というものも設定されたわけでございます。 それのほかに、御指摘の点といたしまして新幹線との関係の問題がございまして、この点につきましても、運政審モデルは各機関別の配分モデルでございますから、当然新幹線との関係を、所要時間でありますとか運賃見通してありますとか、そういうものを入れてはじいておるわけでございます。新幹線との関係につきましても、総需要の中で新幹線にどの程度、航空にどの程度という分担関係をつくっておるわけでございます。 そのあたりの見通しが甘かったと言われれば、まさに御指摘のとおりのことではあるわけではございますが、当時予測しました時点におきましては、そのような関係をすべて盛り込んだ上で予測値をはじいておるわけでございます。
○小川(仁)委員 確かに大阪-花巻-千歳という一本の線があります。名古屋の緑もありますが、旅客利用予想数はどれくらいですか。 それからもう一つは、この時点で、山陽新幹線「ひかり」が西へ走った関係で、日本航空が一日十便、全日空が七便、計十七便あった大阪-福岡でさえ十三便に減らした。ローカルの場合は、これはおたくの答弁ですよ、広島の場合は開通前九便を三便にした。大阪-宇部については現在は休止しております。こういう事態をあなたの方で御答弁なさっている。したがって、東京-花巻便が休止になる運命にあるというときに、逆にあなたの方は、これは十便ぐらいにふえるという言い方をなさった。大変なお金を使ったと思います。しかも、運輸省の中に新幹線もあれば航空局もあるわけでございますから、総合交通政策の中でどちらをどう利用する、乗客がどう動くかということは、一つの省内でございますから、局同士あるいは課同士でお話しできたはずでございます。 今のお話を聞いておりましても、間違っておりましたということは一言もおっしゃらない。予測を立てたのでございますと、そこで終わっているのです。予測を立てた数字が六十年度で五十七万人。それはいろいろ事情がありましょう。例えば景気が悪くなったとかなんとかということもあるでしょうが、今二万人ぐらいの利用者でしょう。違い過ぎますよ、これでは。それで、そのとき答弁なさった方がおられるのかと聞いたら、もう定年でおやめになっておられないという。だれもそこのところは責任をお負いにならない。こういう計画を立てられて補助金をお使いになり、あるいは許認可の権限をお使いになる、こういうことは私たちはどうしても解せない、許せないことだと思います。間違いなら間違いだとはっきりおっしゃっていただいて、今後の計算の立て方なりあるいは計画の立て方なりに対して総合的に、あるいは具体的事実を含めて、こういう間違いをしないようにするというのであれば話がわかりますけれども、さっきの答弁では絶対納得できません。再度御答弁をお願いします。
○西村説明員 御指摘の点でございますが、私ども予測は大変大幅に狂ったという点は先生御指摘のとおりでございますが、航空輸送需要の全国的な動向から御説明申し上げますと、昭和五十年代の前半……(小川(仁)委員「余り長いそれじゃない、結果論で物を聞いているんだ」と呼ぶ)これにつきましては、五十年代前半は、私どもの予測どおり毎年一〇%以上の高率で航空輸送需要が伸びてまいりました。したがいましてかなり伸びるという前提であったわけでありまして、五十五年まではほぼ予測どおり当たったわけでございます。昭和五十五年以降になりまして、第二次オイルショックの影響でありますとかたび重なる運賃値上げ、あるいは五十七年に日航機の羽田沖事故というようなものがいろいろ重なりまして、昭和五十五年以降航空輸送需要が全体的に低迷を続けている、およそ四千二百万程度で伸びがとまっておる、そういう現状にございます。これは花巻だけに限ることではなくて、全国的に、私どもの当時の予測が、五十五年以降いろいろな経済事情などを反映いたしまして当たらなかったということでございます。 今後の予測などにつきましては、新幹線との関係などにつきまして、実績を前提にいたしましてより安定的な数字をもちまして、空港の整備に努めてまいりたいと考えております。
○小川(仁)委員 絶対間違いだったと言わないのだね。これが官僚というものの正体でしょうか。十分の一にもならないような利用率の存在をおいて、予測が違っておりましたのを経済動向のせいにする。私は経済動向を言わなかったのだ。新幹線とのかかわりで聞いたのですよ、あの時点で。そして後は、今その当時の答弁した政府委員がいませんからわかりませんというような話で物をやられておりますと、とてもじゃないけれども、むだ金の使い方とこういう無責任なやり方に対して、いかに総理が行政改革とかけ声をかけられても、どうにもならぬという印象がするわけです。 余り具体的な例で大変恐縮でございますけれども、長官、こういう例があるわけでございます。行政監察局としても、事前にその計画に手を入れてこれはおかしいと言うわけにはいかない立場もあると思いますけれども、政府の立場と運輸省の立場とが物すごく違ってしくじっても、予測はしたのだけれども、世の中の情勢が変わったからいたし方ないのだと逃げておられるという態度はどうしても納得できませんが、これをいつまでやっておっても仕方をいことですから終わりますけれども、今後、こういうふうに後でいろいろ言いわけをして逃げの答弁をなさるような状態の許認可、行政の執行という問題はやめていただきたいと思います。大臣、何か御感想がありましたら、よその省のことで大変恐縮でございますけれども……。
○後藤田国務大臣 飛行場の設置あるいは滑走路を含めた飛行場施設の整備、こういったものは、全体の航空需要というものを精密に計算をしてその上でおやりになっていらっしゃる、こう考えるわけでございますが、御質問の花巻空港の需要見通しについて大幅な見込み違いがあったということは、まことに政府としては申しわけなく、おわびしなければならぬ点であろう、かように私は考えるわけでございます。 ただ、恐らくや、滑走路の整備そのものは、航空需要も当然考えなければなりませんが、飛行機の安全ということで滑走路の延長ということもやらざるを得ない面があったのではなかろうか。これは私の考え方でございますが、いずれにいたしましても、大幅な見込み違いによって、財政はもちろんのこと、各方面に御迷惑をかけたということについては深くおわび申し上げ、今後がようなことのないように、こういった問題についてはできる限り正確な測定のもとに仕事を進めていくように政府において指導してまいりたい、かように考えます。
○小川(仁)委員 長官からおわびをいただこうとは思っておりませんでしたので、そう言われますとかえってこっちの方が恐縮するような次第でございますけれども。運輸省、今後いろいろな課題があると思いますよ。運輸省自身が、こういう御態度をとって、結果についての御反省をなさらなければ、今後のいろいろな行政にマイナスが出ると思いますので、改めて運輸省に御注意を申し上げておきます。 続いて文部省の方へお聞きしますが、今まで文部省が都道府県に教育長を派遣、派遣という言い方はあるいは適当でないかもしれませんが、送り出している数及び教育長以外の教育委員会の課長クラスに送り出している数、そしてなぜそのような人たちを地方の教育委員会にやや強引に押しつけあるいは送り出しているかという理由をお聞きしたいと思います。
○阿部政府委員 お答えを申し上げます。 過去いろいろ経緯がございますけれども、現在の時点で申し上げますと、これは都道府県並びに指定都市の関係でございますけれども、教育長で文部省から出向いたしましたものが二名、教育次長、部長クラスで出ておりますものが四名、課長クラスで出ておりますものが二十四名という数字になっております。 なお、これらにつきましては、いずれも現地の教育委員会から派遣方についての協力要請がございましたので、それに対しまして要望にこたえるということで行っております人事でございます。
○小川(仁)委員 教育長の送り出しあるいは課長クラスの送り出しというのは、教育長の承認制という問題に絡んでいることは、各都道府県が口をそろえて言っていることでございます。教育長の承認をもらうために課長を二人引き受けなければならない、あるいはいろいろ予算をもらうために教育長を引き受けなければならない、これが各都道府県の文部省に対する態度なのです。そういう態度であるということをお考えになったことはありますか。
○阿部政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、県側から県の教育委員会委員長さん等がお見えになりまして、ぜひ欲しいという御要望があって派遣をしておるものでございまして、私ども、こういった文部省から派遣をしている県、そうでない県であるということによりまして、教育行政の面あるいは財政援助の面で差別をするなどということは全くございません。
○小川(仁)委員 建前はそうなのですね。しかし、実態はただ一つ、教育長の承認という権限を文部省が握っているがゆえにこういう傾向が非常に出ている。この点は文部省、しっかり腹に据えておいてもらいたいと思います。 そこで、この教育長の承認問題についてお聞きいたしますが、今まで県の教育長を地方から承認を求められた場合に承認されなかった例がございますか、あるいは承認申請を一定期間文部省によって保留した形をおとりになって三週間後なり一カ月後に承認をする、こういう事態がございませんでしたか。私は具体的な一つの例を知っておりますだけに、この問題について今までも非常に注目して見てきたところでございますので、まず最初の二点について御説明を願いたいと思います。
○阿部政府委員 都道府県教育委員会からの教育長の任命についての承認申請に対して、ノーという回答をしたケースは一件もございません。 ただ、先生の御指摘にもございましたように、二、三のケースについて、御本人についての的確なデータが得られないとかあるいは地方において大変騒動が起こっているというようなケースにつきまして、この承認を保留をしたというケースは二、三ございます。
○小川(仁)委員 そのうち、どれでもいいから一つ具体的にお話しください。三つぐらいあったと思います。そして同時に、それは最終的には承認されたのかどうかということも御回答願いたいと思います。
○阿部政府委員 先生御指摘のケースは、一つは京都、一つは大分についてであろうかと思います。 まず大分の方は……(小川(仁)委員「岩手もある」と呼ぶ)岩手のケースは私は承知をいたしておりません。大分につきましては、教育次長の方を教育長に任命したいという申請があったわけでございますけれども、県議会でその教育次長等の更迭を求める決議が通過をするとか、あるいは県教組からも更迭の要望が出ているとか、いろいろ地元でもめごとがございましたので、しばらく事情を調べたい、様子を見たいということで保留をしております間に、県側から候補者の差しかえがあったというケースでございます。 また京都につきましては、やはり次長から昇任をされるというケースでございましたけれども、これまでの教育行政の現状等について少し伺いたいということで御本人の来省を求めましたが、お見えにならなかったということでその間保留をし、これも追って府の方から候補者の差しかえが出てまいったというようなケースでございます。 岩手の件というのは私はちょっと承知をいたしておりません。
○小川(仁)委員 岩手の件のことはここで申し上げませんけれども、おたくの方で、例えば京都の件もそうですが、文部省の行政と地方の行政の幾分かの食い違い、こういうのがあるとすぐ保留をする、こういう傾向がある。例えば、実は教育長自身の人選の前に、先ほどは事前届け出の話をしましたが、事前に資料を出させて事前に協議をして指導してそしておさめている、こういうふうな形が多いわけでございますが、こういう形の人選というのは地方自治体の権限を侵しているとお考えになりませんか。 例えば今県の役人の中で首長は公選です。議員の方はもちろん公選ですけれども、それ以外の役職員は全部議会の承認あるいは知事の任命等によって、必要な場合は中央からも官庁の方をお願いすることがあったとしても、その地方の自治団体の権限の中において人選等を行っている。教育長だけがただ一人、地方の役職員でありながら承認を受けなければならない。こういうことについて文部省、地方自治体の権限を侵している、特に人選問題について権限を侵しているとお考えになったことはございませんか。
○阿部政府委員 最初の件でございますけれども、私もこの職につきまして一年足らずでございますけれども、十件くらいのケースに遭遇をいたしておりますが、いずれも事前協議云々とか、こちらから求めたこともございませんし、先方からお話があったこともございません。教育委員長の方が申請書を持って、御相談と申しますか承認をしてくれということで見えているということだけしか私は経験がございません。 それから、後のお話の件でございますけれども、教育行政の場合にも、もちろん地方自治の尊重ということは大切なことであるということは当然のことでございますが、しかしながら、教育行政の場合には、憲法の二十六条で定められております国民の教育に対する権利義務、これを保障し実施をしていくという仕事でございますので、これは国と都道府県、市町村三者が協力をし、あるいは共同に責任を負いながら実施をしていくという性格のものであると考えておるわけでございまして、そういう見地から、他の行政とは若干別に、地方自治法のほかに特別法といたしまして地方教育行政の組織及び運営に関する法律というのが定められまして、特別の組織体制がとられておるわけでございまして、そういう意味で、地方自治とそれから教育行政の調整がこの制度で図られていると思っておるわけでございます。 なお、具体の運営に関しましては、私どもは、地方から出てまいりました候補者を、地方の意見を尊重するということを原則に持ちながら対応しているつもりでございます。
○小川(仁)委員 結果として地方の自主性を尊重しておられるということになると、地方自治の本旨に基づいて地方自治体の権限を大事にしているということでございましょうが、それだったらもうこの辺でこの制度をおやめになったらいかがですか。地方教育行政法ですけれども、あれだって国会で審議をした法律とはいっても、何日審議されたかぐらいは御存じの問題で、十分に深みのある審議をしたはずではございませんし、また国と地方の一体的な行政ということになりますと、農林省の問題も建設省の問題も通産省の問題も幾らもあります。厚生省の課題もあるわけであります。しかし、そういう場合の方は承認などということをとっておりません。教育だけが特別ただ一つ残っているということの意味は私はどうしても納得できませんし、あらゆる地方団体、地方制度調査会等も、これは許認可制の過度の適用であるということを指摘をしております。したがって文部省はこれを切り離すべきです。そうでなくとも、文部省というのは元来、行政機構というよりはむしろ指導機構あるいは指導、援助、サービスをする機構的な性格を持っているのが文部省で、他の省庁と性格がかなり違うはずであります。そういう文部省ができたときの当初の考え方からいいましても、このような承認制度というのは私は承知できませんので、次の許認可事項の際には、文部省の方から、地方自治体の権限を侵さないために、そして結果として地方自治体の推された方を全部承認しているという今までの経過を含めて御意見をお出しになって承認制度をなくする、こういう態度をおとりになることを希望して終わります。 続いて、臨教審の方がおいでになると思いますが、臨時教育審議会、昨年この委員会で決定をしたわけでございます。その際、同僚議員の皆さんからは公開という問題が非常に強く言われました。私たちも成立をさしたがゆえに興味を持っておりますが、新聞でしか知ることができない。たまにプリントを持ってこられたりパンフを持ってこられますけれども、そこに書いてあるものは討議の経過ではございません。新聞等の報ずるところによると、討論もかなり激しい、満身創痍になってもこれを阻止するなんということをおっしゃっている部会長さんもございます。討ち死に覚悟みたいな討論では教育には向かないわけです。国民はというと、そういう際立った対立みたいなマスコミの報道だけを信じまして、何か不毛の論議が行われているような印象を与えているのが実態でございます。 ですから、臨教審に余り期待しないという数字もきょうあたり世論調査で出ておりますし、同時に、きょうの朝日の世論調査によりますと「審議内容をもっと公開すべきだ」というのが四〇%、「改革に不安を感じる」というのが一六%、「審議が性急すぎる」というのが七%、こういった状況でございます。 そこで、私はぜひお願いをしたい。今ここで自由化がどうの、個性主義がどうの、個性化がどうのという中身をお聞きしようとしているのではありません。討議されたプロセスというか経過、そういうものが慎重に、討議経過が委員会なり国会に報告されることによってつまらない誤解を解く、そういう皆さんの道もあるだろうと思います。こういう意味で、経過を含めてこの審議を国会に御報告なさるお考えはございませんか。
○齋藤(諦)政府委員 臨教審におきましては、昨年の九月十四日の申し合わせで、審議は公開しないけれども会合の都度その概況を公表する、そういうようなことで、総会の場合には会長が、各部会の場合には部会長が新聞記者に対して会見をして説明をしているところでございます。それに従って記事が作成されるわけでありますけれども、なおそれだけでは十分でありませんので、御案内のように「審議経過の概要」というものを出されまして、それを十一月に(その1)を出し、去る四月二十四日に(その2)を出されて、ここでは、それぞれの審議がどのように行われたか、比較的詳しく公表されているわけでございます。 なお、四月二十四日の経過概要の(その2)の出た段階におきまして、会長並びに石川会長代理が文教委員会において質疑に対応させていただいた、こういうことで、できるだけよく内容が知らされるように努力をしているところでございます。
○小川(仁)委員 国会に呼ばれたから委員長が出てくるのではなくて、やはり委員長がみずから出てきて、対立したようなマスコミ報道の印象を、そうではございません、こういう経過を通ってこういう結論に到達しましたということを御報告なさるという、積極的なお態度をとることを私は要求いたします。 例えば学歴社会という問題につきましても、当初新聞を見ておりましたら、学歴社会はもうない、残っているのは国民の心理状態だというお話が出された。そしてちょっとたちましたら、今度は、学歴社会は依然としてある、こういうふうになる。これは転回の方式からいえば百八十度の転回です。こういう一つの転回というものを過程的に、経過的に、そして討論のポイントを押さえて御説明いただかなければ、臨教審なんというのは、あるときは「ない」と言って、あるときは「ある」と言ったり、人によって変わるのか、あるいはだれか有力な人が言えばそっちを向くのか、こんな印象だけを与えているのが事実だと思うのです。私は、ああいうパンフをいただきますけれども、それぞれの委員の方がお話をしておられるのが書いてある。それよりも、週刊誌や新聞を読んでいる方が中がよくわかるみたいな印象を与えている審議状況というものは、本当に教育改革というものを考えるならば非常に不幸な事態だと思います。 ぜひあなた方の討議内容を報告し、そして我々の質疑にも答えてほしい、こういうことを明確にお願いをいたしますから、お帰りになって、事務局なり委員会なりにお諮り願いたいと思います。このことは大事な問題だと思います。 例えば学歴社会云々の問題も、新聞等によると、最後には、根本的には生涯学習の社会を建設する中で解決されるべきものであるということでまとまった、こういうことになっております。何ですかこれは。何もないことなんだ。もっと分析すれば、社会を建設する中でというから社会変革でも意図しておられるのかと考えてみたり、どうにもしようがない、さじを投げたという感じが率直にするわけですが、もう思い切って新聞記者を入れて間違いのない報道をさせるなり、先ほど私が申し上げたように国会にみずから御報告をなさるなりという方途をお考えになるように、事務局の方から運営について検討をするようお願いしておきたいと思います。 さて、そういうお願いをして、もう最後になりましたが、行政改革、行政改革と言いますけれども、やはり官僚と官庁の縄張りが非常に大きいということが、非常に似たような施策と施設によって行われているということを一つの例として申し上げてみたいと思います。 今、臨教審でも問題になっております少年非行とか少年の健全育成という青少年の課題、この課題について見ますと、総務庁には青少年対策本部というのがありますが、そのほかに、警察にも文部省にも厚生省にもみんなこういう具体的な指導体制がある。さらに施設で見ますと、文部省には社会教育関係の青年の家、少年自然の家、児童文化センター、公民館、図書館、博物館というような施設がある。それから体育施設もある。ところが労働省関係でも、勤労青少年福祉施設として勤労青少年ホーム、勤労者体育施設、勤労青少年フレンドシップセンター、働く婦人の家、そして雇用促進事業というものにもそういう家がある。農林水産省にもまたある。厚生省にも児童館とか児童センター、児童遊園というふうなものがある。運輸省にもある。環境庁にも自然公園等がある。 こう非常に多くの類似施策といいますか施設が存在するということは、一面で市町村のそういう施設を充実させるのには役立っておりますけれども、場合によると、官庁それぞれの計画でおやりになりますから、早くいえば、公民館をつくるよりは農林省に言って多目的集会所をつくってもらった方が早いとか、下手に国道のバイパスを頼むよりは農林省に言って農道をつくってもらった方がいいとか、こういう知恵を各自治体が働かせる。むだな金とは申しませんけれども、そのことによって偏在が存在したり、指導上の無責任体制ができたり、指導上の混乱ができたりしている現状もあるわけでございます。こういう課題につきまして、長官のお考えをお聞きしたいと思います。
○後藤田国務大臣 最近は世の中が大変複雑になってきておりますので、以前と違って、何かの施策を講ずるといった場合に、一つの役所だけで完結するという仕事よりは、むしろ各省との関連のある仕事の方が大変多くなってきておるということは事実でございます。 そういった場合に、御質問のような今日の縦割り行政の弊害、これをどう除くかということは行政改革の大きな課題でございますが、今日までのところ、関係の閣僚会議を設けるなりあるいは関係各省庁の次官の連絡協議会あるいは局長レベル、課長レベル、こういったそれぞれの問題ごとに重要な課題については連絡調整を図って、縦割り行政の弊害を除去しようということで政府としては努力をしているわけでございます。 しかし、依然として御指摘のような弊害が色濃く残っておることは否定できません。こういうようなことでございますので、我々としては、何とかこの総合調整の機能が十分に発揮できるようにするにはどうすればいいのだといったようなことを今日行革審にも御審議をお願いしているわけでございますが、今後とも、御指摘のような点を頭に置きながら、行政のむだといいますか、あるいは関連行政機関が多過ぎることによって決定が遅延をするといったような弊害の除去に我々としては全力を傾けてまいりたい、かように考えております。
○小川(仁)委員 終わります。
○中島委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。小川仁一君。
○小川(仁)委員 総理には、御多忙のところ御出席ありがとうございました。 中曽根総理は、行管庁長官以来、行政改革についてのお考えをずっと一貫して述べております。私も、今回のこの法案を審議するに当たりましてここに持ってきておりますけれども、議事録等でそのお考えをずっと承知をさしていただいております。 そこで、それらの今までの討議の上に立って総理にお伺いをいたしますが、まず国と地方を通ずる行政改革、そしてまた地方分権を推進することは非常に総理は御熱心であると、今までの討議の中から私は拝見しております。しかし、今この時期、行革審がいろいろな報告をしておるこの時期が、どこかの新聞の言葉をかりて言えば「今世紀最後の好機」、こういうふうにも言われています。だがしかし、やはり中央官庁の抵抗とか縄張りあるいは各種の利害がありまして、なかなか地方自治の本旨に基づいた分権が不徹底であります。今回出された法案も、総理御承知と思いますが、一万件以上あります許認可事項の中のほんの一部でございます。もちろん民間の部分もありますから地方分権だけ、こういう比較はいたしておりません。こういうことを見てみますと、今後残ります機関委任の問題あるいは権限移譲の問題等含めて、この程度の許認可で終わってはいけない、もっと思い切って地方分権の体制をつくり出さなければならないと私は考えますが、総理の基本的なお考えを最初にお伺いいたしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 小川委員のお考えには私も同感でございます。行管長官時代から申し上げましたように、我々は今二つの大きな問題から来ている波の処理をやっております。一つは、明治以来、日本が途上国として先進国に追いつこうというところから、いろいろな助長、規制をやってきた。言いかえれば、統制国家的性格を持って国が機関車になってすべてを引っ張ってきた。したがって、帝国大学をつくって、官僚制度をつくって、そういうものが中央集権的なあるいは縦割り行政とか官僚政治の弊害というものまで来ている、これをもう直す段階に来ている。もう一つは、戦後の高度経済成長時代、これを通じまして政府が非常に膨大な量に膨張してきている。これは国も地方も同じであります。そういうような問題、二つの大きな波をこの際処理をして、簡素合理化、そしていわゆる小さい政府という形でもって行こう、中央から地方に離すもの、あるいは国から民間に離すもの、あるいは規制そのほかを思い切って簡素化して民活をやっていく、そういうような考えに立って行革をやり、いろいろ御審議を賜ったところでございます。 今回の法案は、その中の一つでありまする規制緩和、中央と地方の関係の再調整等を内容とするもので、私も内容を読んでみまして、今の時代にこんなものがあったのか、例えば伝染病予防法だとかああいうものを見まして、今さらながらの感を深くいたしました。もっともっとこれは進めていかなければならぬ。しかし、当面はまずこれを処理してお願いをいたそう。行革審におきまして機関委任事務の問題や中央地方の権限移譲、そういう問題を今鋭意やっていただいておりまして、それらが出ましたら第二弾としてまた進めていきたいと考えておる次第でございます。
○小川(仁)委員 今言ったお話は、ずっと前の議事録の中でもお考えを伺っておりますが、その際、我が党の横山議員が御質問申し上げましたが、官僚制度の弊害というものについて、明治維新以来、追いつき追い越せという態度の中では一つのプラスであったかもしれないけれども、現在の時代では害になっているとさえ言い切られ、また、特に縄張り意識が現在の日本の政治を非常に混乱させておるといいますか、総理は新しい観点で分権の力を強くする、縄張りをやめさせる、官尊民卑をやめさせる、こう言い切っておられます。 そこで、私も先ほど来幾つかの問題を出しながら、総理の前ではございませんでしたが、官僚のやり方のむだといいますか、あるいは無責任性というものを追及してきたところでございます。総理、どうでしょうか、この官僚制度というものに思い切ってメスを入れると、前におっしゃったお言葉を別段口実にするわけでもございませんが、あの御決意、今後どのような形で具体化がなされるか。特に総理というお立場は、前の行管庁長官と違って絶対的な権限をお持ちですから、ぜひこの官僚制度にメスを入れるという立場を具体的にお示し願えればありがたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 そのときにも申し上げでありますが、一面、日本の官僚制度というものはフランスと並んで世界でも非常に効率的な、立派に成果を上げておる官僚制度の一つである、私はそう思います。政治が非常に混乱をして、何とか抗争とかなんとかというものが随分起きたり、あるいは解散やなんかで随分国民の皆さんに御迷惑をおかけしておる間でも、行政の安定性あるいは国家に対する信頼性というものが揺るがないのは、やはり官僚制度の安定あるいは非常に官僚制度がしっかりしておって、優秀な官僚もおるし信頼感もあるし廉潔性もある、そういうような点の評価があるのではないかと思って、一方的に官僚あるいは官僚制度を責めることは能ではないと思います。 しかし、このような時代になりまして、その功罪をよく点検しながら、いいところを伸ばし悪いところを矯めていくということは大事であると思っております。その中で、今御指摘のように過度の中央集権あるいは縦割り行政の弊害、特に自分の官庁が天下であり世界であり日本であると思って、ほかの関係というものをややもすればネグレクトするという自分の官庁中心主義の考え方、そういうような考え方等はやはり直していかなきゃならぬ。それにはやはり官僚制度、要するに公務員制度自体の問題の点検も必要でございましょうし、運用上の問題も必要でありましょう。 よく各省が採用するのをやめて内閣で一遍に採用したらどうかという議論もあります。これもいろいろ功罪がありまして点検もしたところでございますが、今やろうとしておるのは、共同研修であるとかあるいは人事交流をもっと徹底的にやらせる、公務員については、特に上級職の者については二度くらいは外に出てほかの省庁の水を飲んでみる、そういうことを慣例化したらどうかとか、さまざまな構想がありまして、そういうようなこともやれるだけやっていきたいと考えておる次第でございます。
○小川(仁)委員 いろいろお考えのようでありますけれども、官僚制度の基本になる最大の欠陥は、補助金を含め、許認可事項を含めてそれぞれの官庁に非常に権限が強い、こっちの官庁からこっちの官庁に移したとしても非常に地方に対してあるいは民間に対して権限を持ち過ぎているのではないか、私はこういう感じがするのです。そして、総理もおっしゃったいわゆる官尊民卑的思想性がいつの間にかそういう中から人間の心の中に芽生えてくる、これを今の制度を切りかえないで直していくということは非常に困難なことだと思います。したがって、やはり先ほど申し上げましたように、補助金の問題、許認可の問題、機関委任事務の問題を総合的にお考えをいただいて、そして、今おっしゃられた課題に取り組むような姿勢をぜひ総理御在任中に徹底しておやりを願いたい、こう思うわけでございます。 また同時に、前の御討議の中で、情報公開の問題がございました。我が党の岩垂議員が御質問申し上げたのに対して、当時の中曽根行管庁長官でございますけれども、非常に明確な御答弁をいただいております。「情報公開につきましては、私は積極的な立場をとって推進してまいりたいと思っております。」云々、また「情報公開の分野は新しい行政の分野として私たちは積極的な立場をとっていくつもりであります。」こういうふうに情報公開というものに対する非常に積極的なお立場を表明しておられますが、なかなか情報公開は進んでおりません。地方議会の中で幾つか進んでいるところがありますが、特に進んでないのはこの中央官庁でございます。ぜひ情報公開、これを政府の責任ではっきりとお示し願いたい、あるいは政府自身の提案で情報公開法をこの国会に御提出なさる、こういったような御決意のほどをお伺いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 情報公開については、私は今も積極的な前向きの姿勢を堅持しております。やはり行政というものが国民とともに進んでいくということが民主的行政制度としては当然の帰結でございます。ただ問題は、個人そのほかの法人等のプライバシーの保護というものをどういうふうにやるか、あるいは国益の保護というものをどの程度まで認めるか、そういう問題とも関係をしておりまして、今地方公共団体が先行して幾つかのそういう先駆的な実験をおやりになってくだすっております。そういう意味におきまして、それらのことをよく見詰めつつ、今の情報公開に関する諸問題を検討しつつこの問題を前向きに取り上げてまいりたい、そう考えておる次第でございます。
○小川(仁)委員 先ほど、地方分権の問題にしても情報公開の問題にしても、非常に前向きな御答弁をいただいておりますから、そのお言葉は非常に素直に私ども受け取ってまいります。ただ、それがいつまでたっても実現されませんというと、当初素直な気持ちで受け取ったものが、何だ口だけか、こういうふうな批判に変わる可能性もあるわけでございますから、もちろん総理はその辺十分おわかりと思い、一つの決意を持っておやりになっておると思いますので、今国会には間に合いませんが、来国会は期待をしてお待ち申し上げております。 また、この情報公開につきまして、総理は、同じ御答弁の中で「政府の公文書等が適当なときに公表されるということは正しい歴史を裏づけていくためにも大変大事なこと」であります。こうおっしゃっております。また「アメリカにおきましてよく二十五年で外交文書が公表されておりますが、あれがやはり正しい歴史を伝える上に大きな役目を果たしており、日本も同じではないか」と、こういうふうにアメリカの例を引いてお話をしており、その結びとして「為政者がそれを国民の皆さんにお知らせしておくというのはやはり責任である」と思いますとさえ言い切っておられます。非常に積極的な御姿勢だと思いますし、外交文書にまで言及をされているということも大きな前進だと思います。 さて、去る五月二十二日にアメリカが対日、対中関係の外交文書を公表いたしました。サンフランシスコ条約発効時点のもので、日本が独立的地位を得るに際しての米国の対日基本政策の指針となった一連の文書でございます。私たちもうわさでは聞いておりましたけれども、この文書の中で、文書として正確に出てきたものの中に幾つかの問題がございます。例えば、日本有事の際の日米共同対処の指揮権を米側が握る問題、実質的にアメリカの要求をのんでいたのではないかと思われるような文書がそれであります。またその交渉の中で、当時の岡崎外相が、日本政府は憲法第九条の改正を検討している、こう言い切っているわけでございます。 前の発言と、これらのアメリカ政府の発表に関連して総理にお伺いしたいことは、ひとつ、この日本でも一定期間経過したもの、例えば二十五年あるいは三十年、こういったような外交文書は公表すべきではないか。また公表しても、以前に総理が言われたように、国民に正しい歴史を伝えるため為政者の責任として当然ではないか、こう考えるのですが、総理、外交文書の公開をお考えになっておりましょうか。あなたの在任中にぜひこういう積極的な行動に出ていただきたい、こう思いまして、御意見をお伺いする次第でございます。
○中曽根内閣総理大臣 情報公開を正しく行うことは、歴史を正確に子孫に伝えるためにも必要であると前から申し上げておりますが、今でも変わっておりません。 そのときそのときの正しい史料が国民の目の前に触れるということは、真実を伝えるということでありまして、よく共産党あたりで党史を書きかえたり何かをすることが時々ありますけれども、そういうような必要はない、(発言する者多し)そういう必要をなくすというためにも、国として正しい情報を国民の皆さんの前にさらすということは大事である、私はそう思っておるのであります。 日本でも、外交文書等につきましては、アメリカは二十五年でやっておりますが、たしか三十年ごとに外交文書等も公表しておるはずでございます。我々の方も同じように、そういうような外交文書等の公表も適切に行ってまいりたいと思っております。 アメリカが先般発表した行政協定時代のものにつきましては、私は新聞でそれを読みました。まだ現物を正確にとらえてやっておるわけではございませんが、やはりあれはあれなりに一つの価値と興味のあるものであると思って、よく検討に値するものであると思います。 日本側としては、日本側の史料を今整理中でございまして、適当なときにやるということです。しかし、あそこで指揮権について新聞でも報ぜられましたが、現在におきましては、アメリカはアメリカの軍の指揮権、日本は日本の自衛隊の指揮権、独立にこれを行使して上層部で調整しつつ進める、こういうことで日米間の了解はでき、また実行されておるのでございます。
○小川(仁)委員 どうも私の質問が別段挑発的だと思いませんでしたが、総理、少し質問に関連しない部分のお答えがあったようでございますから、この点はひとつお考えおきを願いたいと思います。 そこで、その指揮権問題や憲法についての考え方でございますが、例えば総理は憲法第九条を含む憲法改正論者である、こういうふうに時に新聞等でお伺いをいたしましたし、その言論の中でも、書いたもの等を見ますとそういう感じもいたします。この発表された当時の日本の外交文書の過程の中で、アメリカへ責任を感ずるような形で尾を引いてそういうことを御発言なさっているのではよもやないと思いますが、やはり何かああいう文書が出てまいりますと、日本の政府全体が負い目を背負っている、こういうふうな印象にどうしてもとれるわけでございます。私も新聞でしか見ておりませんから、それは十分な形での物の言い方はできませんけれども。 そういうことを考えますと、これはやはり、指揮権の問題にしても憲法の問題にしても、その時点における日本側の態度というものを明確に出さなければ、やはり政府はアメリカからの一つの圧力あるいはアメリカとの約束、そういうものがあって進んで、今の政治姿勢をとっているんだという印象を国民に与えていくと思います。ぜひ早い機会に外交文書の公表をお願いしたい。木戸日記だとか古くは原敬日記とか、そういうもので当時の政治を国民が知るということは、日本の国のこれは一つの悲劇でございますし、将来こういう道はとるべきでないと考えますので、ちょうどタイミングもよろしゅうございますし、問題も非常に大きな問題でございますだけに、ぜひこれは急いで、アメリカの発表した外交文書に対応する部分だけでも結構ですから御発表願いたいと、再度お願いを申し上げます。いかがでございましょう。
○中曽根内閣総理大臣 日本でも、外交文書の公表というものはある程度制度的に実行しておるところでございます。既に公表したものもあったと記憶しております。どういうふうに今行われているか、政府委員より御答弁申し上げます。
○北村(汎)政府委員 ただいま総理が御答弁されましたように、外務省は外交文書をできるだけ公開するという原則を昭和五十一年に立てまして、それ以来八回にわたって外交文書を公開してきております。原則としてこれは公開する、ただし、国益並びにプライバシーに関するものを除外するということでございます。
○小川(仁)委員 今まで公表されたものは、発表されても大して都合が悪くないような種類のものだけの発表のようでございまして、今回の外交文書で発表されたことは実は非常に大きな中味を持っておるわけでございます。したがって、それに対応して日本側がこうしたんだということを明確に出すことが、私は、日本の将来の政治を決定していく上に、また日本が本当に自主独立の道を歩む上に大事なことであろうかと思いまして、改めてお願いをし、次の問題に移らしていただきます。 さっきの指揮権の問題でございますけれども、日米安保協議委員会、これは外相、防衛長官、駐日大使、太平洋司令官等が集まっている委員会でございますが、ここの中で行政レベルの合意では、共同作戦計画の研究、共同演習の実施などが盛り込まれております。そして、最近日米制服レベルの中で作戦計画あるいは共同演習等が頻繁に行われております。共同演習等を見てみましても、実はアメリカの指揮権の中に日本の自衛隊が入って同一的行動をとりながら演習をしているという印象をぬぐうことはできません。日本とアメリカとの間で調整機関を設置して調整するといいますが、一たん有事になったときに調整なんということはできません。総理の御年配と私の年配は同じぐらいでございますが、戦争を経験した者にとって、そういう調整機関を置いて調整して有事に対処するなんということは、口では言えるけれども実際上あり得ないということはもう既におわかりのことだと思います。したがって、指揮権は既にアメリカに渡っているのではないかという印象を非常に強く、一連の会議あるいは行動を通して感じております。この私の感じが間違いであればいいと思いますが、総理、本当にこの指揮権問題について日本の独立性、自主性というものが保てる状態に現在あるのでしょうか。これをお伺いして終わりたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 指揮権問題につきましては、日本の独立が保てる状態にあります。これは、安保条約及び行政協定あるいはそれらに基づく日米のガイドライン等々一連の仕組みがございまして、それらの仕組みの中にはっきりと、そういうおのおのの系統でこれは行って、そして上層部において最終的に調整する、そういうことにしてあるのでありまして、日本の憲法その他をよく考えましてそういう措置を行っておるわけでございます。
○小川(仁)委員 そのお話では有事の際は絵に書いたもちになります、こういうことを申し上げて、これは一方的な申し上げ方で失礼でございますけれども、私の質問を終わらしていただきます。 ありがとうございました。
○中島委員長 日笠勝之君。
○日笠委員 ことし初めて総理もこの内閣委員会に出席されたわけでございますが、私も平素から直接総理にいろいろとお聞きしたいことが山ほどございますので、きょうはまず今日的課題につきまして何点かお伺いをしたいと思います。 第一点は、この秋臨時国会召集云々ということがとみに最近マスコミをにぎわしておるわけでございますが、総理は臨時国会開催が必要と思うかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 目下、通常国会におきまして法案の成立に全力を傾けておるときに、次の国会のことを云々するということは不見識であると思っております。
○日笠委員 八月の人事院勧告、それに伴う防衛費GNP比一%問題だとか国鉄再建問題、国際貿易問題、所得減税、政策減税等、いわゆる国民の関心が非常に高いもの、重要案件が山積みしておるわけでございますが、これらを先送りしないためにも、私としては断じてこの秋に臨時国会を開催すべきだ、こう思うわけでございますが、今の総理の御答弁をお聞きしますと不見識であるということでありますが、それではこれらの重要案件は今後どのように処理されていかれるお考えか、お聞きしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 国会が終わりましてから慎重に検討いたしたいと思います。
○日笠委員 それでは続きまして、既に報道されているところでございますが、五九中業でAWACS、空中警戒管制機やその滞空時間を維持する空中給油機を導入する構想があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○矢崎政府委員 五九中業は現在防衛庁内部におきまして作成の作業中でございますので、具体的な事業について現時点で個別に具体的な結論を申し上げ得る状況にはございません。
○日笠委員 新聞報道が先に出ておるわけでございますが、五九中業の計画は単なる防衛計画以上の重みを持つわけでございますが、この防衛費GNP比一%枠を総理は従来の答弁どおり守りたい、こういう計画であるのかどうか、進めていくのかどうか、お伺いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 守りたいと考えております。
○日笠委員 政府は国防会議をいつ開いてこの五九中業を決定するのか、これについてお聞きしたいと思います。 従来は、予定どおり七月、こういうふうに言われておりましたけれども、人事院勧告実施をする秋以降に延ばしたい、こういうふうな考えもあるかというふうに仄聞しておりますが、そろそろこの五九中業をいつ決定するか、決断の時期が来たと考えるわけでありますが、総理のお考えはいかがですか。
○中曽根内閣総理大臣 作業の進捗状況をよく見まして、慎重に考えていきたいと思っております。
○日笠委員 木で鼻をくくったような御答弁でございますが、とにかく短時間でたくさん聞きたいというのが私の趣旨でございますから、次に行きます。 SDI、いわゆるスターウオーズ計画でございますが、政府は研究参加の態度はいつごろを目途に決定をされますか。
○中曽根内閣総理大臣 SDIにつきましては、一月二日のレーガン・中曽根会談で、非核、核兵器廃絶のためのものである云々ということに対しまして、その研究について理解を示しました。ボン・サミットにおきましてレーガン大統領ともまた再び会見いたしましたが、状況をよく把握する必要があると、ロサンゼルス会談におきましても、常時情報を供給すること、そしてこれの展開等につきましては事前に協議するということを要望いたしまして、先方も応諾したところでございますが、その線に沿いましていろいろ実情を今調査して、アメリカからも関係者に来てもらって説明を受けたり、さらに当方もいろいろ状況を調べたり、ヨーロッパ方面の状況等も情報を入手したり、そういうことで今慎重に検討しておるところでございます。
○日笠委員 外務省首脳の、これはマスコミ報道ですが、秋の九月、国連総会のとき開かれるサミット参加七カ国外相会議において、参加するかしないか、白紙であるか、あわせて対応を表明する、こういうふうな報道が流れておりますが、大体めどとすれば秋の九月ぐらい、このように考えてよろしいのでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 いまだいつということを決めてはおりません。
○日笠委員 それでは仮定の話としてお伺いをしたいわけでございますが、もし政府が研究参加する、このように決められたならば、非核三原則、武器輸出三原則の国会決議もございますし、平和憲法を有する我が国においては少なくとも国会の承認を得るべきものと思うわけでございますけれども、その点総理はどうお考えですか。
○中曽根内閣総理大臣 研究参加するかどうかという問題は今こちらも検討しておるところでございまして、いつどういうふうにその問題を表明するか、まだ未定でございます。そういう状況でございますので、それ以上の御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、今までのSDIの説明を受けた範囲内におきましては、これは国会にかけて国会の審議を正式に必要とする法律やその他とは性格が違う、これは行政の範囲内においてやり得るものである、そう解釈しております。
○日笠委員 では続いて、去る五月二十八日、自民党総務会で、いわゆるスパイ防止法を単独で議員立法として国会に提出されることが承認されたというふうに報じられておるわけですが、総理はこれを積極的に推進されるおつもりかどうか。自民党総裁でもあるわけでございますし、いわゆるスパイ防止法を必要と考えておられるのかどうか、総理の御見解をあわせてお聞きしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 日本は世界でも有数のスパイ天国だと言われておりまして、そういう事件も我々の目の前で何回か経験したところであり、防衛庁の公務員がその誘惑に乗ってそういう過失を犯したという例もございます。そういう意味におきまして、特に防衛機密の保持という点は非常に重要な問題であると考えております。したがって、国益を守るために、そういうような外国がやっているような制度というものも日本においてはこれは検討すべき課題であると考えております。 自由民主党の内部におきましては、そういう意味において久しい間これを検討しておりまして、一応の段階においてそういう考え方が表へ出てきたわけであります。私はまだその法案の内容を詳しく説明を受けておりません。したがいまして、よくその法案の内容等を説明を受けましてから私の判断を決めていきたい、そう考えておる次第であります。
○日笠委員 では、行革関連絡みで、本題に入っていきたいと思います。 総理は三月十六日、参議院の予算委員会でございますが、我が党の鈴木一弘委員の質問に次のように答えておりますね。「現在の政治力をもっていたしましてはこの程度がいっぱいであると考えざるを得ない」、行革に対してそういうお考えでございます。また、もう一つの答弁は、「現在の諸般の情勢から見まして、この程度が今我々として与党と一体になってやり得る最大限であると、そういうふうに考えざるを得ないのでございます。」後藤田長官はこの委員会でも、この内閣最大の政治課題だ、全力を挙げて完遂する、これは三月二十六日、私の質問に対して御答弁されておられますけれども、長官の方の完遂というのは、これは全部やるということでございますが、総理の方の参議院の予算委員会での御答弁は、これ以上手いっぱいである、こういうふうな感じの御答弁が出ておるわけでございますが、それに関しまして一、二お伺いを申し上げたいと思います。 国鉄再建改革についてはこの七月に答申が出るわけでございますが、まだ全然手つかずの問題がございます。例えば国土庁、北海道開発庁、沖縄開発庁、いわゆる三庁統合問題、また、昭和五十五年に研究会が発足されて一度中間報告が出ておるだけのオンブズマン制度の導入問題、また、地方出先機関の八ブロック制の六十年度末を目途にした具体化、こういうふうな問題、プライバシー保護もございますが、それぞれ全部というわけにいきませんので、三庁統合問題について、総理は、中央省庁の統合問題についてはどういう決意で今後臨まれていくのか、お聞きしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 行革につきましては今議会ではこれがもう手いっぱいでございます、そういうことを申し上げました。さきに補助金の一括整理法等につきましても大変御迷惑をおかけもし、また現在においては共済組合の法律の御審議をお願いしておるところでございまして、非常に重たい荷物を幾つも背負ってきておるわけでございます。しかし、既に政府は臨調答申を受けまして行革のスケジュールにつきまして大きな閣議決定もしており、逐次それを推進しつつあるわけであります。今後の大きな課題としては、国鉄問題の処理がございますし、地方行革大綱に基づく地方行革の推進という問題もございますし、あるいは許認可そのほかの整理の問題、地方に対する権限移譲やそのほかの問題、中央地方との関係の調整の問題がございます。あるいは特殊法人の処理の問題もございます。認可法人も含めましていろいろ御指摘もいただいておるところであり、あるいはさらに引き続いて、人員の削減についても我々は常時取り組んでいかなければならない、そういう大問題があると思って、これらはさらに意を強めまして推進していくつもりであります。 三庁の統合の問題につきましては、これは今いろいろ部内におきましても検討いたしまして、とりあえずは連絡会議をつくりまして統合の実を現実的に上げられるように、効率化を考えてやっておる次第でございます。
○日笠委員 行革審内部のメンバーの方が、三庁統合については六十六年というふうな声も出ている、こういうように報道されておりますけれども、具体的にはいつごろまでというのはないわけですか。
○中曽根内閣総理大臣 これは総務庁長官にお尋ねいただいた方が適当であると思います。
○後藤田国務大臣 まだ新聞で拝読しただけで、そういう正式に意見は聞いておりません。
○日笠委員 では、今のところいつごろということははっきりしない、こういうように理解して、次に行きたいと思います。 二十一世紀の日本は高齢者が一二、三%、さらには二〇%を超すという超高齢化社会が来る、このように言われておるわけでございます。総理も高齢化社会ということについて大変関心が深く、意欲を燃やしておられるところでございますが、これは参議院の社会労働委員会で総理が言われておられますが、総務庁の「老人対策室を発展的に解消し、内閣直属の対策本部を新たに設置」したいという意欲を燃やしておられる、こういうふうな御答弁が出ておるわけでございますが、具体的に、その名称であるとかどういうふうな人物、総理みずからなるとか国務大臣クラスとかを本部長に据えられるのか、またいつごろを目途に設置する予定なのか、まずこの三点について具体的なお考えがあればお聞きしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 いわゆる老人対策本部というのはいかにも名前が古めかしいし、それから新しいこれだけの大きな時代が来ようとしておるのでありますから、それに対応する総合的な各省全体を網羅した、労働省も厚生省も文部省も総務庁も全部関係していることでございますから、そういう視野の広いものにしたい。 高齢化時代とか高齢者とかいうことですが、私は高齢という言葉も政治家としてはどうかと思うのです。社会学的にはあり得ると思うのですが、私は政治家として、むしろ長寿社会という名前の方がいいんじゃないか。高齢というか老人というのは何か迷惑な問題だとかいう印象を持ってはいけない、これは喜ぶべきことである。日本の平均年齢が世界最高水準に来たということは、政治の成功を意味するものであって、政治の総合政策の結果というものが年齢に延びてくるものなのでございます。そういう意味において、むしろ長寿社会というわけで長寿万々歳、おめでとうございます、そういう気分で私は申し上げたいと思っておる次第なので、名前につきましてもよく検討するようにと指示しておるところでございます。
○日笠委員 では、時間が来ましたので、最後に、仮称でございますが国立老人研究所、いわゆる老化の問題、老人病を総合的専門的に研究する機関、長寿でございますかこういうものも新しくつくられる予定といいましょうか、そういう意欲を燃やしておられます本部において、ひとつ検討していただきたい、このことを要望して、時間が来ましたので、終わりたいと思います。
○中島委員長 田中慶秋君。
○田中(慶)委員 まず冒頭に、五月二十四日、サイクロン、すなわち熱帯性低気圧による大変多くの被害がバングラデシュで出ているわけであります。死者二千八百名、行方不明五千名等々を踏まえながら、これからも数々の被害がもっと出るだろうと言われております。バングラデシュでは日本に対して救援を求められている現状を考えたときに、貿易摩擦や国際的な役割を果たすために、今積極的な援助を行うべきであろう、私はこんなふうに考えておりますけれども、総理の見解をお伺いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 バングラデシュにおきまして、先般のサイクロンによって多大の御被害があり、数多くのとうとい人命が失われたことにつきましては、政府として心から哀悼の意を表した次第でございます。 なお、同じアジアの国同士でもございますから、日本は世界のどの国よりも誠意を示す必要があるという考えを持ちまして、早速百二十万ドルのお見舞いを差し上げることを決め、大統領にも御通知申し上げたところでございます。今後も、先方とよく連絡をとりまして、できる限りのことをいたしたいと考えております。
○田中(慶)委員 政府もそのような施策をとられたということでありますけれども、さらに、総理がいつも言われております日本の経済を支えている多くの民間団体等々にも呼びかけが必要であろうと思いますが、その辺の見解もお伺いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 まさに同感でございまして、官民を挙げまして協力してまいりたいと思います。
○田中(慶)委員 続きまして、税制の問題について若干触れてみたいと思います。 御案内のように、総理が大変盟友とも言われておりますアメリカのレーガン大統領は、税負担の公平化等々含めて簡素化を目指し、税制の抜本的な改革を打ち出されたということを報道されております。少なくとも日本の場合においても、こういういろいろな問題が税の問題については話題を生んでいるわけであります。総理には、このレーガン大統領の税に対する考え方等々を含めて見解を述べていただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 私は、国会におきまして、将来、所得税、法人税等々の減税を行いたいと言明してきたところでございまして、そのように心がけておるところでございます。また与野党の書記長・幹事長会談の内容におきましても、この減税の問題に触れているところもあるわけでございます。そういう考えもありますから、今回のレーガン大統領の提出した税改革については重大な関心を持っております。 レーガン税改革は、一つは公正といいますか公平といいますか、簡素化、それから成長、そういうことを目指しておるようです。私は公平、公正、簡素、選択、それから民活、そういう五つの原則を前から示しておりまして、そういうものにのっとった減税を考えたいと申し上げておるところです。 レーガン大統領の考え方が、所得税については一五%、二五%、三五%の三段階に区切ってしまった、法人税についてはたしか三三%あるいはそれ以下にするということで、思い切った簡素化案を出して民活を非常にお考えになっておられると思っております。これにつきましては重大関心を持ちます。また我々の参考にいたしたいと思っております。また、アメリカ議会におきまして、この法案がどういう取り扱いを受け、どういう議論が出てくるかということも重大な関心を持って見守ってまいりたいと思っておるところでございます。
○田中(慶)委員 そこで、実は行政改革の問題も、今は税の問題がそれぞれ国民の中から要望されたり検討されているわけであります。特にこの徴税機構の問題等については、少なくとも従来から一元化等々含めて戦後税制の見直し等々が要求されたり検討されたり、あるいはまたそれぞれ行革の中でも論じられてまいったと思います。この徴税の一元化について総理の見解を伺いたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 中央と地方の徴税機構を一元化するということは難しいと思います。昔ならいざ知らず、今は地方の財政も非常に大きくなってまいりまして、種々の財源も持たなければならないという情勢でもございます。当面は中央の国税当局と地方の税務当局との間で資料、情報の交換等々円滑に行うようにして、できるだけ効率的に行う方が適当であろう、そういう方向で今進ませております。
○田中(慶)委員 特にこの徴税の関係で、例えば納税者の立場に立ってまいりますと、市民税なり県民税なり所得税なり、それぞれのところでもやはり事務の簡素化なりあるいはまた機構の簡素化が要求されているところだと思います。あるときはそれぞれの市民税の窓口に行き、あるときは県民税の窓口に行き、あるときは国税の窓口に行かなければいけない。納税者という立場で考えるならば、極めて現代にそぐわないサービスの悪さというものが指摘をされるのではなかろうかと思います。こういう点について総理はどのようにお考えになって、どのように受けとめられているのか、見解を述べていただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 その問題は古くて新しい問題なんです。ただ、一つはやはり地方の自治権というものとの関連を我々は考えなければならない。また、地方税は御案内のように制限外課税をやっておる場合があるし、法定外普通税をやっている場合もありますから、やはりこの問題は相互の連絡調整、資料の交換、こういうようなことでできるだけ負担を軽減するという方向で改革をすべきであって、これを一本にするということについては今直ちに賛成をいたしかねるというのが私の考え方でございます。
○田中(慶)委員 いずれにしても行政改革が現在国民の要望であることは事実であり、そういう中で今般もこの必置規制の問題が検討され、これからもまた行革審においてこの許認可の問題が検討されるわけであります。そういうときに、地方に対する権限の移譲というものを積極的に行うことが、まさしくこれからの行革をより推進することだと私は思います。そういう点で、総理は先ほど来のお話の中でも行革の問題に触れてまいりましたけれども、もっと積極的な形の中で行政改革を推進しなければいけないのではないか、こんなふうに私なりに考えております。 特に、これからの行革というものが事務の合理化、簡素化あるいは権限の移譲等々含めてこれを推進することは、すなわちスクラップ・アンド・ビルド、こういう精神でやっていかなければいけないのではないかと思います。ただ単に退職金の問題とか定員の問題、それも一つの方法だと思います。しかし問題なのは、今膨れ上がっておりますそれぞれの行政に対する、先ほど小さい政府とか言われておりますけれども、地方の時代あるいはまた地方分権と言われて久しいわけですが、しかし、それがこれからの行革の中で本当に最後の、これからが本当の意味での行革であろう、こんなふうに考えておりますけれども、その辺に対する総理の見解をお伺いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 中央地方の再調整の問題は、これからの行革の大きな目玉であり、我々も一生懸命やりたいと考えております。
○田中(慶)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
○中島委員長 三浦久君。
○三浦(久)委員 総理に、まず最初に、金鵄勲章の復権の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 政府は、生存者一代に限って着用を正式に認めるとの政令を閣議決定する方針を固めたというふうに報道をされております。ところが、この金鵄勲章というのは一体どういう勲章か。これは言うまでもなく、明治二十三年に明治天皇の詔勅で、天皇の威光を世界に示すための侵略戦争で武功抜群の軍人に授与されることになったものであります。それ以後、日清、日露そして太平洋戦争にかけての侵略戦争で、軍人たちに武功を競わせる、そして進んで死地に赴くようにさせる上で非常に重要な役割を果たしたものであります。まさに軍国主義のシンボルの一つであったわけです。そういうわけですから、昭和二十二年の五月三日に新しい憲法が施行されると同時に、この制度は廃止をされました。以後、金鵄勲章は政府によって無効なものというふうに取り扱われてきたわけであります。 私は、これは極めて当然の措置だと考えますけれども、あれから三十八年たった今日、政府はこの金鵄勲章を復権させる方針を固めたのかどうか、このことをまずお尋ねをいたしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 数年前に内閣委員会におきまして決議をいただきまして、その決議の内容につきまして、政府は誠意を持って慎重に検討をし続けているということで、決めたわけではございません。
○三浦(久)委員 今、内閣委員会で決議ということを言われましたけれども、これは請願の採択ですね。この請願の採択というのは大体全会一致というものが原則になっておりますけれども、このときのこの金鵄勲章復権の請願採択というのは、社会党、共産党が反対したにもかかわらず、自民党、公明党、民社党、新自由クラブの多数で強行されたものであります。これは本来であれば保留にしなければならない問題だと私は思うのですけれども、それはさておいて、中曽根総理は、個人的には金鵄勲章の復権については賛成派だということがしばしば報道されております。それで、この金鵄勲章を復権をさせた方がよいと考えておられるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げましたように、内閣委員会で請願が採択され、本会議でも採択された、そういう事実もありまして、政府としては慎重に検討をさせていただいておるということであります。
○三浦(久)委員 この請願の運動体は、日本金鵄連合会というものであります。この日本金鵄連合会は、請願の中で、生存受章者は高齢だ、余命幾ばくもありませんとか、それからまた、我々は一片の赤紙で召集された者であるとか、そういうことを言って世の同情を買おうとしております。そしてまた、我々は右翼ではないとか、また我々は軍国主義の復活を望んでいるのではないとか、そういうことを言っておりますけれども、しかし、実際にこの日本金鵄連合会の規約をごらんになってください。(「採択したじゃないか、国会で」と呼ぶ者あり)我々は反対しておる。 この日本金鵄連合会の会則を見ますと、どういうことになっておるか。自分たち一代限り、ちょっと有効にしてほしいというようなものではないのです。第四条に、「本会の目的は国家興亡の危機に際し、祖国のため生死を賭して、戦場に斗い殊勲を樹立した日清日露戦以来の忠勇義烈の先輩の遺志を継承し、是を永久に子孫に伝えると共に率先垂範、老いても尚祖国守護のため国難に赴かんとするものなり。これがため左記事項の実現を期す。」こうなっている。 これで、「一、明治天皇の制定し給うた金鵄勲章制度の復元と、受章者の栄誉および処遇の回復。二、教育勅語、軍人勅諭の徳目の奉戴実践。 三、英霊の顕彰、靖国(護国)神社の挙国崇持。 四、尊皇愛国心の昂揚、国防並防共思想の普及。 五、自主憲法の制定、自主国防体制の確立。」こういうことを目的としている日本金鵄連合会であります。こういう連合会が積極的に活動してそういう請願を採択させているわけですね。私は、こういう問題は検討にすら値しない問題だというふうに考えているわけであります。 まさにこの団体、今私がお話ししましたように非常に同情を買うような偽装はしておりますよ。しかし根っからの軍国主義者の団体じゃありませんか。まさに時代錯誤の集団だというふうに言わなければならないと思うのです。総理、今はあの戦前と全く原理原則が違う新憲法のもとでの政府です。その政府がこういう請願を復活させるということは、国民主権とか恒久平和主義、そういうものに反するというふうに私は思うのですが、総理はいかがお考えでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げますように、この問題については政府は慎重に検討しておる。先般、新聞にある種の記事が出ましたけれども、あれは間違った記事でありまして、政府が既に物を決定したというそういうことではございません。今も慎重に検討しているということであります。
○三浦(久)委員 これはちょっと時間外ですけれども、先ほど変な発言がありましたから一言言っておきます。 総理は、先ほど同僚議員の質問に対しまして、共産党が勝手に事実に基づかないで党史を書きかえているというような発言、全く関係のないそういう発言をされておりますね。時代とともに、新しい史料の発見等々によって党史をより正確なものにしていくというのは当然なことであって、我々は事実を歪曲したりまた事実を隠ぺいしたり、そういうようなことはしたことはありません。ですから、そういう中傷、誹謗発言に私は強く抗議をして、この質問を終わります。
○中島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○中島委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、合理化等に関する法律案に対して、反対の討論を行います。 軍備拡張、国民犠牲の臨調路線のもとで、地方行革の一環として提案された本法案は、いわゆる臨調行革を全国の地方自治体に拡大、促進し、教育、福祉などの行政分野の後退、縮小に拍車をかけ、自治体住民と公務員労働者に新たな犠牲を強いる法案であります。 臨時行政改革推進審議会の一連の意見や答申では、地方行革の具体的措置として地方自治体の職員の定員合理化、給与の適正化、民間委託の推進などを挙げており、特に社会福祉部門の民間委託、教職員の縮減など、住民が最もその充実を求めている分野について縮小、削減を強調しています。そして、このような地方行革を進める上で足かせとなっている国の関与、必置規制を廃止し、緩和することを主張しており、総務庁長官も質疑の中で答弁したように、本法案は地方行革の環境づくりのためであります。我が党は、住民犠牲の地方行革の環境づくり法案を到底認めることなどできないのであります。 また、政府は、本法案を地方の自主性拡大のためなどとも称していますが、自治省は、みずからの行革大綱を地方自治体に強要し、従わなければ交付税や起債での制裁を意図するなど、その実態は中央統制の強化にあり、本法案での自主性拡大は全くの形式論にすぎないのであります。 こうした法案のねらいとともに、その内容も、四十一法律、五十六事項を一括処理するという議会制民主主義上の問題もあり、さらに一部肯定できる措置もあるが、大勢は福祉、教育、衛生、環境、農水など住民生活に密接した行政部門の後退に直結する措置であるということです。市町村の社会福祉や児童福祉などの施設の休廃止を知事認可から事前届け出に、知事の市町村に対する児童福祉施設設置命令の廃止、民生委員の指導訓練に従事する吏員や社会福祉主事の必置規制の廃止、学校保健技師、公害相談員、統計主事、土地調査員、家庭用品衛生監視員、毒物劇物監視員などの任意設置化など、これらは福祉や教育の拡充のために必要な関与であり、あるいは専門分野の指導的役割を発揮し一定の行政水準を確保したり、公害や土地投機、有害物質や劇物毒物などから住民の暮らしと健康を守る役割を果たしてきた必置規制であり、これからも拡充が求められているところです。この規制の廃止や緩和が、該当する行政の縮小、後退をもたらし、住民と公務員労働者に新たな犠牲を強いることは明白であります。 なお、この後、提案が予定されている四項目を内容とする附帯決議について一言触れておきますが、我が党としては一、二、三の項目については賛成できる内容でありますが、四項については、本法案に直結する内容であり賛成できません。したがって、附帯決議についても反対することを表明し、本法案に対しての反対の討論を終わります。
○中島委員長 これにて討論は終局いたしました。 ―――――――――――――
○中島委員長 これより採決に入ります。 地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、合理化等に関する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○中島委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、宮下創平君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。元信堯君
○元信委員 ただいま議題となりました自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、合理化等に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、検討の上、善処するよう要望する。 一 国と地方の間の事務配分及び費用分担について、地方公共団体等の意見をも踏まえつつ見直しを図ること。 また、地方への権限の移譲に当たっては、地方自治の本旨に則り、地方公共団体の事務・事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないように適切な措置を講ずること。 一 地方公共団体の事務処理に対する許認可、承認等国の関与については、現地性、効率性及び総合性という基本的視点に立って今後とも不断の見直しを行い、国の規制については必要最小限にとどめるよう整理合理化を図ること。 一 国の機関委任事務について、地方に定着したものは地方公共団体の事務とするなど引き続き見直しを行うこと。機関委任事務に対する地方議会の関与、監査委員による監査の在り方についても検討すること。 一 法令等により地方公共団体に設置が義務づけられている行政機関、附属機関及び特別の資格または職名を有しなければならない職については、今後とも不断の見直しを行い、地方公共団体の自主的な行政改革の促進に資するように配慮すること。 右決議する。 本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じて既に明らかになっておることと存じます。 よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○中島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。後藤田総務庁長官。
○後藤田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を踏まえて今後検討してまいりたいと存じます。 ―――――――――――――
○中島委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○中島委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四十一分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十分開議
○中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を求めます。後藤田総務庁長官。 ――――――――――――― 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○後藤田国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 本年二月二十日、人事院から国家公務員法第二十三条の規定に基づき、国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申し出が行われました。この法律案は、この人事院の意見の申し出にかんがみ、国家公務員災害補償法について、所要の改正を行おうとするものであります。 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。 第一に、遺族補償年金の受給資格年齢を、夫、父母及び祖父母については六十歳以上に、兄弟姉妹については十八歳未満または六十歳以上にそれぞれ引き上げることにいたしております。なお、当分の間、職員の死亡の当時、その収入によって生計を維持し、かつ、五十五歳以上六十歳未満であった夫、父母、祖父母及び兄弟姉妹は、遺族補償年金を受けることができる遺族とし、この場合これらの者が六十歳に達するまでの間は、年金額を算定する際の遺族補償年金を受けることができる遺族の人数には含めないこととするとともに遺族補償年金の支給を停止することとしております。 また、これらの年齢の引き上げは、五年間で段階的に行うことにいたしております。 第二に、年金たる補償については、当分の間、人事院規則の定めるところにより、毎年四月における職員の給与水準が、最近の年金額が改定された年の前年における給与水準に対し、六%を超えて変動するに至った場合は、この変動率を基準として翌年四月以降の年金額を改定することにいたしております。 第三に、福祉施設に関する規定について、その趣旨及び内容を整備するとともに、その実施に当たっては、民間事業の従業員に対する福祉に関する施設の実態を考慮して行うものとすることにいたしております。 なお、以上の改正は、昭和六十年十月一日から実施することといたしております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○中島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○中島委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。元信堯君。
○元信委員 まず最初に、総務庁長官にお伺いをいたしますが、遺族補償年金の受給資格年齢を夫、父母、祖父母については六十歳以上に、兄弟姉妹については十八歳未満または六十歳以上にそれぞれ引き上げるというのが今回の改正の柱の一つ、こういうことでございましたが、そういう制限を行うのでなくて、むしろ制限を緩和する、撤廃するという方向で検討すべきだという意見もあると思いますが、どういう理由によりましょうか。
○後藤田国務大臣 職員が亡くなった後、遺族に対する補償年金については、元信さんおっしゃるように気の毒な立場でございますから、年齢なんてことは言わないでやったらどうだという御意見も私は一方にあろうかと思います。 ただ、この改正は、妻以外の者については、一般的に見て、稼得能力を欠くと考えられる六十歳以上の高齢者または十八歳未満の年少者を受給資格とする、こういうことになっておるわけですが、これは遺族補償年金が、被災職員の死亡で遺族が逸失した被扶養利益の補償と扶養の代替としての社会保障的な性格を有しておる、こういうことでございますので、その受給資格を職員が亡くなったときの遺族の稼得能力の有無によって制限をして、必要な者に必要な期間補償を行う、こういうことにしておるわけでございますが、こういった受給資格年齢の制限については官民ともに双方にらんでやらなければならぬわけですが、労災保険法も同じような規定になっておりますので、そういった均衡をも考えてこういった制限を設けた、こういうことでございますので趣旨を御理解をいただきたい、かように思うわけでございます。
○元信委員 本日は、加藤防衛庁長官の御出席をいただきまして、最近東富士あるいは那覇と、自衛隊の大きな事故が続いているわけでございますので、この問題について質問をしてまいりたいと思います。 東富士の事故は、直接人命にこそかかわりはありませんでしたけれども、着弾地をはみ出したばかりか、大きく演習場外へ飛び出すという、一つ間違えれば民間人の被害を起こしかねない重要な事故だったと思うわけであります。 まず、この事故の概要等について説明を承りたいと思います。本日は時間が短うございますから、どうぞ簡潔に御説明をいただきますようにお願いいたします。
○大高政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘の東富士演習場におきます戦車砲の誤射事故でございますけれども、五月八日の十五時三十分ごろ、東富士演習場の第三戦闘射場、畑岡と申しておりますが、ここにおきまして陸上自衛隊の東部方面隊第一教育団の第一機甲教育隊でございますが、ここに入っております第六十六期の初級陸曹特技課程学生二十九名でございますが、これに対しまして七四式戦車の実弾、百五ミリの粘着りゅう弾でございますけれども、これの射撃訓練を実施しておりましたところ、演習場の中でございますけれども砂沢橋というのがございますが、その付近の国有林で作業をされておりました沼津の営林署の職員の方から、二発の爆発音を聞いた旨の通報を受けたわけでございます。 このため、直ちに富士学校の隊員が付近を捜査したわけでございますけれども、翌日の五月九日の九時三十分ごろになりまして、発射地点から七千二百メートル前方の演習場外でございますが百メートルの国有林、これは雑木林でございますが、これに落下炸裂いたしておりました一発の弾痕を発見いたしたわけでございます。 さらに、残る一発の確認のために現場捜査を実施いたしましたところ、十六日の九時五十分ごろ、発射地点から七千二百三十メートル前方の今回は演習場内でございますが国有林、同じく雑木林でございますが、第一発見現場から北東に約一・五キロメートルの地点に落下炸裂いたしております弾痕を発見いたしたわけでございます。 これらの弾痕につきましては、弾着の方向、それから収集いたしました破片等を解析しました結果、いずれも五月八日第一機甲教育隊が射撃いたしました砲弾の弾痕というふうに確認されたわけでございます。 いずれの場合も人身に対する被害はなかったわけでございますが、正規の弾着地域外に砲弾が落下炸裂いたしまして、地元の方々に大変な不安を与えたことはまことに遺憾でございまして、深くおわびを申し上げる次第でございます。 当庁といたしましては、この種の事故の発生防止について常日ごろから措置を講じてきておるところでございますが、この種の事故は全く予想されなかったところでございますけれども、今回の事故にかんがみまして、原因を徹底して究明いたしまして、安全対策あるいは指導を強化しまして、こういった事故の再発防止に万全を期したいと考えております。
○元信委員 この事故にしても、それに先立つ那覇の事故にいたしましても、国会へは防衛庁からは何の御報告もないわけでございます。その前、たしか伊予灘の青島付近での飛行艇の墜落のときには御報告があったかというふうに思いましたけれども、ひとつ長官のこの事故に対する認識を承りたいと思うわけでございますが、あえて報告を必要としない軽微なものである、こういうふうに御判断されて報告されなかったのか。それともあるいは自衛隊、防衛庁の中に何か報告に関する基準があるのか。そこのところをちょっと伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 今回の事故は大変危なかったなという感じがいたします。全く予想外のことが起きたという感じでございまして、千五百メーターほどの着弾地であったわけですけれども、そこから予想外にその先五千メーターほど飛んでいるわけでございまして、そういうわけで、なぜこういうことになったのか、事故は紛れもなく自衛隊の弾でございますので、それがどうして予想できなかったのか、原因等をこれから徹底的に追及し、そして再発にならないように本当に真剣に科学的に究明しなければいかぬ、こう思っております。 事故を起こしましたことを心からおわび申し上げたい、こう思っております。 この件につきましての国会に対する報告の仕組みにつきまして、ちょっと今前回の事故の取り扱い等記憶いたしておりませんので、すぐ調べまして御報告いたしたいと思います。
○元信委員 自衛官が直接死んだときは、大事故だといって言ってくる。民間人に対してこういう危害が及ぶ可能性があったものについては全然報告もない。こっちから聞くまでは知らぬ顔というのでは困ると思うんですね。たまたま今回は人から五百メートルのところに落ちているわけですが、当たらなかっただけでありまして、極めて遺憾だと思います。 先ほどの教育訓練局長さんの御答弁の中に、雑木林に落下したなんておっしゃっていますが、私ども社会党は、きのう内閣部会で現地の調査をいたしてまいりました。立派に植林をされたところでございまして、雑木林だなんという認識では困るというふうにこれは申し上げておきたいと思います。 そこで、重要なことは事故の原因でありますが、大体戦車から目標まで千百メートル、それが先ほどのお話のように七千二百メートルの地点まで弾が飛ぶ。六倍も先まで飛んだわけですから極めて異常な事故であると思います。原因究明中とは思いますけれども、現時点で原因としてどういうことが考えられるか、御報告を願いたいと思います。
○大高政府委員 お答え申し上げます。 陸上自衛隊に設けられました事故調査委員会でございますが、これは東部方面総監部の幕僚副長が長になりまして、現在なお調査を続けておりますが、近日中に結論を得るというふうに考えてございます。 これにつきまして、まだ断定的なことはそういった状況でございますので申せないわけでございますけれども、現在までに調査いたしましたところからまいりますと、戦車砲あるいは砲弾の特性からいたしまして、直接、弾着地域外のいわゆる炸裂点、七千二百メートルぐらい前方でございますが、ここまで飛しょうした可能性はないというふうに考えております。しかし、現実に七千二百メートルを飛びまして弾着地域外に落下したわけでございまして、この原因を現段階で推定いたしますと、目標としております千百ないし千四百メートルの弾着地点でございますが、ここに一たん弾着した砲弾が何らかの原因で跳飛、はねまして、弾着地域外まで飛しょうしたというふうに考えております。
○元信委員 この事故に対する対策といいますか措置ですね。この事故の直接の措置について伺いたいと思いますが、営林署員から連絡があった、この時間がたしか十五時三十分と、こういうお話でございましたね。それで、実際にこの射撃演習を停止された時間はいつでございましたでしょう。
○大高政府委員 当日の射撃自体は十六時に終わったわけでございますけれども、さらに翌日射撃が続けられておりまして、翌日の午後一時ぐらいに、この第三戦闘射場からの百五ミリ戦車砲によります射撃は中止をしたというふうになってございます。 ただいま先生御指摘のように、五月八日の十五時三十分ごろ営林署の職員から通報を受けたわけでございますが、これは、たまたまその周辺を通りかかっておりました自衛隊員が通報を受けまして、射撃統制所というところにすぐに連絡をいたしました。射撃統制所の方で各射撃部隊に対しまして、当日この射撃を行っておりました部隊は五つぐらいあるわけでございますけれども、この部隊のすべてに連絡いたしまして、跳弾の発生等異常の有無を確認をいたすとともに、現地の捜索を実施したわけでございますけれども、当日非常に霧が濃くて、十七時十五分ごろこの捜索を打ち切っております。翌日全射撃部隊に対しまして、早朝、安全確認の再点検を指示いたしまして、前日に引き続いて捜索を実施いたしておりましたところ、九時三十分ごろになりまして、先ほど申し上げましたような地点に弾痕を発見いたしたわけでございます。この弾痕を調査いたしましたところ、第三戦闘射場から発射されました百五ミリの戦車砲弾であることが判明し、この段階において第三戦闘射場からの射撃を停止した、こういうことでございます。
○元信委員 そうすると、事故が起こって、それの通報があって、その原因が第三戦闘射場とやらから発射された砲弾であるということが確認される間はずっと演習を続けておった、こういうことですね。
○大高政府委員 先生御指摘のとおりでございます。ただ、射撃統制所の方では、全隊の方に確認をいたしまして、跳弾その他が出てないか、射撃の異常がないかということを確認し、さらに過去の例からいたしまして、七千二百メートルも跳飛するということについては前例がないことでございますので、ややそのあたりの判断について、必ずしもすぐに停止というところまで至らなかったと思うわけでございますけれども、現時点においてこれを見まするに、やはり少なくとも、営林署の職員の方から飛しょう音あるいは炸裂音を聞いたということでございますので、その時点において砲撃を中止し、捜索を徹底すべきであったろうというふうに考えております。
○元信委員 射撃統制所へ連絡をしたときに、射撃統制所では、その日跳弾とかそういうものは全くなかった、こういう報告だったわけですか。
○大高政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
○元信委員 そういたしますと、戦車から標的までは千百メートルあるいは千四百メートル、それぐらいの距離で射撃をしておって、命中したかしないかわからなかった。命中して、少なくともそこで炸裂をしておれば跳飛するようなことはあり得ないと思いますが、そのことは確認できない、こういうことですか。
○大高政府委員 この戦車砲の射撃をやります際には、これはちょうど新しく戦車砲を撃ち始める陸曹の学生でございますので、安全係がおりますし、それから戦車の中には車長もいるという形で射撃全般を見ており、安全も確認いたしておるわけでございます。 それからまた、撃ちました砲弾がどのような形で弾着をしておるかということにつきましては、二名の射撃の係がおりましてその弾の行方を見ておるというわけでございます。当日この二名の者が確認に当たっておりましたが、自分たちでは全弾の弾着を確認したというふうに言っておりますが、当日の状況を見ますと、果たしてそのとおり確認できたかどうかという点について疑問を持たざるを得ないという感じを持っております。
○元信委員 一キロメートル強の距離でありますし、弾が弾着して炸裂しますと直径約一メートルの火炎になる、こういうふうにきのう現地で説明を受けてきたわけです。そうだとしますと、双眼鏡どころか肉眼で見ても当然にそれらのことはすべて確認されるはずだと思うのです。二名の方がそれを監視しておったというわけですが、車長も見ていれば砲手も見ている。あるいは演習を監督している人がみんな見ているはずですが、みんなが見落とした、こういうことなんですか。
○大高政府委員 ただいま申し上げましたように、当日の射撃の際には二名の監視員が、これまた高倍率の眼鏡を使用して監視をしておったわけでございまして、一発ごとに弾着地までの曳光――この粘着りゅう弾、後ろに曳光剤をつけておりまして、使用している間は曳光が出るわけでございますが、この曳光、それから弾着地におきます閃光、炸裂音、それからまた砂煙、こういったものを観測いたしまして弾着を確認あるいは不発、こういった判断をやるわけでございます。 しかし、今先生御指摘のとおり予想もできないような事故があったわけでございまして、当日の可能性、現在各般にわたって調査をやっておりますけれども、見てみますと、一つには、当日は雲高が低かったわけでございまして約三百メートル、それから視程が三キロということで、千百ないし千四百向こうにございます目標までの曳光は確認できたと思われますけれども、そこで跳飛をいたしまして第二弾道を構成するわけでございますが、その曳光が霧の中に入って視認できなかったという可能性は否定できないかというふうに考えております。 それからいま一点として、事故の当時、他の部隊においても射撃中でございまして、その炸裂音と戦車の粘着りゅう弾の炸裂音、これを取り違えた可能性もある。それからまた、先ほどの二名の監視員が弾着の監視に当たっておったわけでございますけれども、あわせて採点もいたしておったという状況でございますので、必ずしも監視に専念できなかった面もあるのではないかというふうに考えております。
○元信委員 いずれにいたしましても、何十人もの人が見ていて着弾、炸裂したかどうかがだれにもわからない、これは極めて異常なことだと思うのです。したがって、今の戦車砲の実弾射撃訓練のあり方ですね、そういう確認もあわせて根本的に再検討しなければ安全は確保できない、こういうふうに考えます。長官、いかがですか。
○加藤国務大臣 今度の事故の発生、それからその後の処理等につきましていろいろ不手際があった部分があったと思います。それにつきましてまずおわび申し上げますとともに、今度の事故の再発防止のために、従来の発想では起こり得ないと思っていたことが起こったわけですから、そこにつきましても徹底的なメスを入れて、事故が再び起こらないように全力を挙げて究明に乗り出し対策を立てなければならない、こう思っております。 当初、事故が起きたときに初歩の段階での報告でも、まさかそんな飛ぶわけはないといった感じの最初の反応というものが下の方でもあったと思います。そういうことで、いろいろその後の処理等につきまして十分に機敏な処置をとらなかった部分があったのではないかなという感じも払いたしておりますので、そういった態勢も含めまして今後どのような対策をとるべきか、徹底的に努力してまいりたい、こう思っております。
○元信委員 安全性の確保についても、基地の周辺で破裂音が二発した。それを直ちに射撃中止に持っていかずに、自衛隊としては、どの部隊の弾だとがどの角度だとか、そんなことにこだわっておって、結局約一日その間経過をしておるわけです。その間弾が飛んでいった下を、演習場内とは言いながら一般の車両が通行する登山道が通っておりますし、演習場の内外にわたっては広範な国有林があって、営林署員が作業をしておるわけです。ですから、そのときの対応としては、とにかく着弾地以外で弾着の音がする、たとえそれがどこから撃ったものかわからなくても、直ちにその演習を中止するというのが基本的な態度であるべきだと考えますが、長官、いかがですか。
○大高政府委員 先ほど来申し上げておりますとおりに、非常に、と申しますよりは、粘着りゅう弾の跳飛、しかもそれが七千二百メートルに及ぶというのは全く初めての事故でございまして、そういったこと、それから、先ほど来申し上げましたように、全部隊に確認をとったけれども当面返事が来なかったということで、判断が甘かったのではないかと私どもも自戒をいたしておるというところでございます。
○元信委員 判断が甘かったというのではなくて、演習場の外あるいは弾着地外のところで着弾があったというような報告があったときは、何はともあれ、各部隊に照会するということ以前に、直ちに停止をするということが原則でなければおかしいと思うのですよ。そんなことをやっている間にどんどん撃っているわけですから。しかも、今回の事故の特徴は、あり得ない、あり得ないとおっしゃるけれども、二発こういうことが起きているということなんです。これが重要なことだと思います。 一つ伺いたいと思いますが、もし仮に営林署の職員の方から報告がなかった場合、この事故というのは発見されていたと思いますか。
○大高政府委員 その点につきましては、すぐに発見できたかどうか疑問であろうかと思います。場所その他から判断いたしまして、弾痕が存続いたしております間に不発弾の捜索その他を行えば、そういった弾痕があるということが判明したと思いますけれども、確実にそれが探知できたかどうかという点につきましては、疑問であると申さざるを得ないと思います。
○元信委員 いいかげんなことを言っちゃいけませんよ。弾着地外のところに不発弾処理だとか、ましてや演習場外にそんなものを調べに行くわけはないでしょう。要するに、たまたま弾着地から五百メートルのところに営林署の職員がいたから、それの通報でわかったわけであって、この営林署の職員がもし仮にそこにいなければ、永遠にわからなかったと思うのです。つまり、そんな跳飛なんということはあり得なかった、こういうことになったと思うのです。 今度、逆に言いますと、それでは、今までなかった事故だと再三おっしゃるわけです、予想もできないとおっしゃいますけれども、こういうことが何回かあって、だれもいなかったら、結局だれからも通報がなくてわからずじまいになった、こういう可能性を否定できないと思いますが、いかがです。
○大高政府委員 弾着地外で余り人の出入りしないような場所、演習場外、こういったところにつきましてもしそういうものがあり、一定の期間を経過いたしますと痕跡がなくなりますので、先生御指摘のようにわからないということもあり得ると思います。
○元信委員 このように、予想もしないとかあり得ないとかと言っておいでになりますけれども、実際には過去にかなりあったのじゃないか。実際、跳飛事故というのは初めてじゃないわけですね。実弾では初めてでしょうけれども、模擬弾では今までも何回か同様の事故があったというふうに聞いているわけです。 そこで、これらの事故に対する対策の一つとして、こういう事故が起こった場合はすぐ発表をして基地内外にそれを知らせていくということが重要になっていくと思いますけれども、今回の事故の発表は、地元に対する発表が大変おくれた、新聞等に対する公表に至ってはまだおくれた、こういうふうに承知しておりますけれども、その関係について御説明を願いたいと思います。
○大高政府委員 地元につきましては、十三日に御殿場市役所等に連絡をいたしております。それから、新聞につきましては十五日に発表をいたしておるわけでございますけれども、これは先ほど来申し上げておりますように、跳弾であるということの確認に手間取りましたこと、それからまた、最初の一発は翌日の九日に発見されたわけでございますが、第二発目につきましては十六日ということで、引き続き捜索を続行し実態の把握に努めておったというような関係もございまして、先ほど来長官からもお話がございましたように、もう少し早く処置すべきところ、手続がおくれてと申しますか、打つべき手がおくれておったことはまことに残念であるというふうに考えております。
○元信委員 つまり、すべて自衛隊側の都合なんですよ。音がした、それがどこの部隊かわからないから中止をしない、確かに自衛隊のものらしいとわかったけれども、場所がはっきりしないから、はっきりするまでといって報告を引き延ばす、原因その他についてわからないから新聞発表は一週間も遅延をする、こういうことでしょう。全く自衛隊サイドの御都合ばかりで事が進んでおって、国民の立場というものはとことん軽視をされているというふうに言わざるを得ないと思うのです。 事故の原因がどうであれ、まず事故が起こったことが確認をされればその時点で演習をやめる、そしてまずそのことを地元の関係者を初め世間に公表してわびる、これがなくてはいかぬのに、全部言いわけができるまでそれを延ばしているという態度は極めてけしからぬ態度であると言わざるを得ないと思うのです。今後こういうことが二度とないとは思いますけれども、ちょっと決意を長官から……。
○加藤国務大臣 先ほど申しましたように、事故が起きましたこと自体及びその後の処理につきまして、幾つかの点でいろいろ対処の仕方に問題があったのではないかというふうに私も思っております。その点につきましては私たちの方で深くおわびを申し上げたい、こう思っております。 例えば、その林野庁の方々からそういう事実があったと言われたときに、多分部隊の方では、そんなことは絶対にあり得ないだろうというような感覚で、最初それを信じないでいろいろな練習なんかを続けたんだと思うのですけれども、恐らく事故というものは、予想し得ることの範囲だったら事故は起きないわけですから、やはり予想できないことの中から事故というものが起きるわけですから、そういったときに、万が一のことをすべて計算の上で物を考え、そして演習を中止するという、そういう敏捷な態度が必要だったのではないだろうかなと思っております。その意味で、遺憾な部分があったと思っております。 したがいまして、今後、こういう事故が起きましたことを教訓にし、そして、事故というものは本当に計算しにくい、本当に頭では考えられない部分で起きるのだ、千百メートル撃って、そこからなおかつ六千百メートル飛ぶということが起こり得るのだということを十分に頭に入れながら、この射撃訓練のほかでも自衛隊ではいろいろ訓練をやっているわけですから、そういう部分で注意していかなければならない、こう思っております。
○元信委員 演習場内外に広大な国有林があるわけで、林野庁の職員が常時そこへ入って作業をしているようでありますけれども、林野庁としては、このような事態の中で職員の安全についてどのようにお考えでしょうか。
○宮下説明員 お答えを申し上げます。 今回の事案につきましては、職員の安全にかかわる重要な問題である、こういう認識を持ちまして、陸上自衛隊側に対しまして、以後このような事態が発生しないように万全な対策を樹立していただく、こういう考え方に立ちまして、現地の沼津営林署長並びに東京営林局長から申し入れたところでございます。 林野庁といたしましては、陸上自衛隊側におきまして原因の究明と安全対策についての結論が出され次第、よく検討いたしまして、国有林野事業に従事する職員の安全確保について十分な対策を講じてまいりたい、このように考えております。
○元信委員 当日ですが、第一発の音を聞いて、続いて二発目を聞いて、林野庁では早速基地へ連絡をした、こういうふうに聞いていますが、その間の作業というのはどんなふうにされましたか。直ちにやめて撤収されたのか、それともまた継続されたのか。
○宮下説明員 お答え申し上げます。 突然作業中にヒューという音で弾が飛んだということで、作業に従事していた職員も大変驚きまして、一たん休憩地のところへ下がって、後、担当区事務所というのがございますが、現地の事務所でございますね、そちらの方へ連絡をとる。その前に、先ほどお話がありましたように、たまたま自衛隊の方が通行したので通報した、このようになっております。(「作業をしたかどうかということ」と呼ぶ者あり)そのときは一時作業をやめて退避をしたわけです。通勤に使っておりますところのバスがございますけれども、通勤バスのところへ退避をした、このようになっております。
○元信委員 翌日の午前中はどうされましたか。
○宮下説明員 翌日につきましては就労をしております。それで、営林署なりあるいは担当区の主任にも連絡をとっております。
○元信委員 今御答弁のあった範囲で言っても、林野庁の皆さんもちょっと安全対策ということでは不十分な点があるのではないか、こう思うわけですね。 そこで、この安全対策について伺うわけですが、再発防止ということを言われましたが、具体的には一体どういう手段があり得るのか。跳弾というものはあり得ないとさっきおっしゃったわけでございますが、あり得ないと思っておったものがあったわけでございまして、技術的に跳弾そのものを完全に阻止する方法というのはありますか。
○大高政府委員 跳弾につきましては、特にこの弾着地域でございますが、ここに標的を設置する目標の設置区域というのがあるわけでございますが、この目標設置区域の環境というものが跳弾を起こす可能性があるわけでございます。 東富士におきましては、過去の事例に徴しまして、この目標設置区域については、適度の傾斜をつけまして跳弾を起こさないように配慮をいたしておるわけでございますが、今後、この調査結果をさらによく検討いたしますけれども、その弾着区域、目標設置区域でございますが、この周辺を補修することが必要であろうと思います。 また、この監視につきましても、先ほども申し上げましたように、二人で監視を行っておったわけでございますけれども、これをやはり二組程度に増強して、監視専門というような形で見ていく必要があろうかと思います。 また、標的を設置いたします場所につきましても、場所を限定して、いわゆる跳弾を発生しやすいような場所には標的を設置しない、すなわち斜面のところで跳弾の発生しにくい場所にするという配慮を当面やる必要があろうかと思います。 また、射撃の後でございますけれども、この目標設置地域の整地をきちっと行いまして、跳弾が発生するような余地をなくしていくことが必要でございましょうし、また、長期的には、この訓練弾そのものについても今後検討をやっていくというような着意も必要であろうかと思います。 いずれにいたしましても、調査結果の報告を待ちまして抜本的な対策を講じてまいろう、かように考えております。
○元信委員 答弁はなるべく簡潔にやってください。 斜面の問題ですとか標的の周辺の構造の問題とか、今幾つかのことをおっしゃいました。しかし、それは今までも十分注意されてきたわけでしょう、今までの経験にかんがみて。そうだとすると、さっき長官も言われましたように思いもかけぬ事故、こういうことで今回の事故が起きたんだと思いますから、安全対策というのは思いもかけないことが起きてもなおかつ安全であるということが必要だ、こういうふうに考えますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 先ほど言いましたように、予想できることの範囲内だったら人はそれを予防するわけですから事故にならないので、恐らく事故が起きるということは、考えられないようなことが起きるから事故になるのだろう、そういう精神で防止しなければならぬのだろう、こう思います。
○元信委員 そうしますと、この戦車砲の場合を考えますと、角度などを整えて一番理想的な条件で撃つと、大体一万メートルぐらい弾が飛ぶんだそうです。それくらいのエネルギーのあるものは、たとえ一キロのところの標的を撃ったとしても今度のように七千メートルぐらいは跳飛をする、跳飛しないようにいろいろ考えたつもりでも結果としては二発も跳飛する、こういうことでありますから、せめて一万メートルの中には人が入らない、どこへ落ちても大丈夫だ、そこまで考えておかなければ安全対策ということにはならぬと考えますが、いかがでしょうか。 〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
○大高政府委員 ただいま先生の方から、この戦車砲の最大射程でございますけれども、確かに射角を四十一度という状態にとりますと、現地の斜面で申し上げて一万メートルぐらいになるわけでございますけれども、これは実は、戦車の性能からして、非常な急斜面に戦車が停止をして撃たない限りそういうのはないわけでございまして、通常戦車が射撃いたします場所は、先生ごらんになりましたように、あそこで停止して射撃をやる、若干一度の角度はございますけれども、フラットな場所でございます。戦車砲は、最大に仰角をとりましても九度でございまして、さらに戦車の姿勢制御角、これがマキシマムで六度でございます。それから現地の姿勢が一度でございますので、全部で十六度でございます。十六度で撃ちました場合におきまして、最大はあの斜面でございますと五千四百というのでございますけれども、当日射撃をいたしておりましたのは、おおむね五度の角度で射撃をいたしておるわけでございます。したがいまして、相当な急な斜面のところに戦車を持ってまいって思い切り撃つという状態がない限りにおきまして、そこまで飛ぶということはないということでございます。
○元信委員 そんなことをつべこべ言うけれども、一番上へ上げたとしても五千メートルだと言うが、実際には七千メートル飛んだ。どういうことが起こるかわからぬわけです。本来、起こり得ないように水平に飛んで行った弾が、上へはね上がって七千メートル先に落ちたということですから、あなたが幾らそういうことはあり得ないと言ったってあったわけですから、やはりその持っている砲のエネルギー、その範囲の中は危険だというふうに考えるのが安全重視という立場からは当然じゃないですか。
○大高政府委員 ただいま先生御指摘のように、千百ないし千四百のところへ目がけて撃ちまして、非常にその角度が理想的な形で第二弾道を描く、まあ三十五度ぐらいになりますと七千二百メートルぐらいのところに到達する危険があみわけでございます。したがいまして、この第二弾道を構成させないようにということで、目標設置地域の斜面をきちっとした角度に整備するということが必要でございまして、当日、その目標設置地域の弾着場所がそういった状態にきちっと整備されておったかどうかという点が問題になるというふうに考えております。
○元信委員 そんなことじゃだめなんだよ。要するに、どんなことが起きても大丈夫というふうにしておいてくれなければとても安心はできません。それが理想的になっているとかなってないとか、どんどん撃つところですからそんなふうになりっこないのです。今までだって、なっていたと思ってこういうことが起きたわけですから、どんなことがあってもこれは大丈夫、そこから先はどうやったって弾は飛びません。例えば、撃ては地球の裏側まで届く可能性があるだなんて、そんなことを言っておるのじゃないんですよ、十キロまでは火薬の力があるのだから、その中はどうしても危険だというふうに見ておく、その態度というのは必要じゃないですか。あなたが言っているような技術的なことで解決できれば、事故というのは起きないんですよ。あり得ないことが起きるから事故なんです。そのための最低の歯どめとしても、推進薬が持っている力の範囲の中というのは危険である、こういうふうに見ておかなければいかぬのじゃないでしょうか。
○大高政府委員 ただいま私が申し上げました目標設置箇所でございますが、通称バックストップもしくは停弾堤と申しておりますけれども、ここは砲弾が当たりました際に確実に爆発するという角度等をいろいろ考えまして、基準的には十五度ぐらいの角度を保っておるわけでございますけれども、年間一万二千発近くの砲弾を第三戦闘射場の標的については撃っておる、あるいはまた降雨等によりましてその角度というものが若干甘くなっておった可能性もあるのではないかというふうに考えられておりまして、この点をきちっと整備をすれば、確実にその弾着した地点において炸裂ということを十分期待できるというふうに考えております。
○元信委員 あなたが十分に期待したってだめなんですよ。必ずそういうことが起きない、こういうことでなければ全く意味がないというふうに思います。この点は水かけ論になりますから先へ進みたいと思います。 これらの原因が十分に究明をされて、そして、安全について防衛庁は防衛庁としての対策はあろうかと思いますが、それが地元と合意がされる、それまでの訓練の措置というのはどういうふうにされますか。
○大高政府委員 現在、事故調査委員会で、ただいま申し上げましたような点、細部について調査を行っておるわけでございますが、結論が出ました段階におきまして、早急に地元関係者の方、その中で安全対策委員会というのがございますが、この対策委員会の方々に御説明し、御了承を得て、この第三戦闘射場の射撃の訓練を再開いたしたいと思っておりますが、それまではこの第三戦闘射場の射撃訓練というのは実施しないということで、現在に至っております。
○元信委員 以上で、戦車砲の誤射事件に関する質問は終わります。 次に、近く長官は訪米を予定されておるようでございますが、日米間に、防衛問題に限ってみましても随分懸案はあると思います。一々について伺いたいところでありますが、きょうはNLPの問題について、長官、アメリカへ行ってまたやいのやいのと催促されると思いますが、どのような態度でアメリカと折衝されるのか、そこについてお考えを承りたいと思います。
○加藤国務大臣 現在、我が国とアメリカとの間の防衛関係は非常に良好な状態にあろうと思っておりますけれども、その中で幾つかの懸案があることは元信委員御指摘のとおりでございます。その中でNLPの問題は、私たち、早急に解決しなければならない重大な問題であろうと思っております。 私たちは、日米安全保障条約の信頼性の確保のために、いわゆる着艦訓練の能力が落ちるということは大きな問題を残すと思いますので、着艦訓練ができる限りスムーズに行われるような条件をつくってあげなければならないと思っておりますが、それにつけましても、現在の厚木飛行場で行われております着艦訓練は、地域の方々に多大な御迷惑をおかけしていると思っております。正直言いまして、厚木飛行場というのは着艦訓練に現在は十分適した状態にあるとは思いません。したがってできるだけ早く、より被害の少ないところに着艦訓練の場所を探し求めなければならないし、また新設できないか、そんなことを考えておるところでございますが、私たちとしては、現在、できれば三宅島にお願いできたら、一つの有力な候補地であると考えておりますが、それに向けてできるだけ御理解いただくように努力している状況をアメリカには説明してまいりたい、こう思っております。
○元信委員 三宅島ということをここのところしばらく防衛庁あるいは防衛施設庁では言っているわけですが、三宅島の現状を見ましても、それがすぐそんなふうになりっこないということはよく御存じだろうと思います。そうしますと、それまでの間、内陸部、関東近辺にあります既設飛行場に対して分散して、それを肩がわりせよという話が前から出たり引っ込んだりしておるわけですが、その点については今度の訪米では何かお話しされますか。
○加藤国務大臣 現在のところ、それについて具体的に話し合うつもりはございません。 〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕
○元信委員 五十九年度一千万円、六十年度は二千万円と、ずっと調査費をつけて防衛施設庁では調査をしているようですけれども、このNLP問題の調査の現状はどういうふうになっておるでしょうか。
○平政府委員 お答えいたします。 五十八年度から調査費をいただきまして調査しておりますが、これは候補地について調査したり、航空写真あるいは地図を買ったり、庁費、旅費のたぐいでございます。専らそういう適地調査というような経費に使っておる経費でございます。
○元信委員 既設飛行場についてはそういう話をするつもりはない、それから三宅島でやろうと思うけれども三宅島も今のところは見通しがつかない、こういうことになりますと、その間、方針が出る間というのは結局どういうふうにされるおつもりですか。
○佐々政府委員 お答えいたします。 このNLPの問題の当面の対策でございますが、現在、御承知のように厚木のほか三沢と岩国で若干分散をして実施しておる状況でございますが、厚木の状況はかなり限界に達しております。私どもといたしましては、周辺の十万世帯、約三十二万の方々がいわゆる七十五WECPNL以上の範囲の中に入っておりますので、この地区に対する防音工事を急ピッチで現在進めておるという状況でございますが、進捗率は現在のところまだ三三%、こういうことで、六十年度はいただきました予算の三分の一以上を投入してこれを急ぎたいと考えております。また、アメリカ側とミッドウェーが入港する都度交渉いたしまして、必要最小限にしていただくようにする、あるいは土曜、日曜のフライトを遠慮してもらう、年末年始、お盆などはやめてもらう、こういうようなことで騒音被害をできるだけ軽減させながら、当分の間は厚木に御迷惑をかけながらやらざるを得ないかな。既存飛行場への分散ということでございますが、実際やってみますとどこも全部反対、こういうことで現実には非常に難しいことだろうと思っております。
○元信委員 既存飛行場に対する働きかけというのは、じゃ現時点ではもう断念している、こういうふうに見ていいですか。
○加藤国務大臣 私は、NLPにつきまして厚木の皆さんだけに御迷惑をおかけしてもいかぬなというふうには思っております。しかし、先ほど私も申しましたように、また佐々施設庁長官も申しましたように、その痛みをみんなで分かち合っていただければ一番いいわけですけれども、そのためには、例えば将来一体どうなるのかということが明確になっていませんと、ほかの地域も分散を引き受けていただくという気持ちにも恐らくならないし、またお話しし合っても、それは大変なことになってしまうのではないかと思います。 例えば、将来どこか、三宅島でも仮に新たな空港が設置できるという見通しが立って、それまでの間、飛行場ができるまでの間、例えば五年なり七年なり、また四年なり、何年かわかりませんけれどもその間にできる、そして、その間はみんな厚木だけに負担させるのは大変だから、みんなでその分散の可能性はないかということを話し合おうじゃないかというアプローチであるならば、私たちもお話に乗ってもらえる可能性なくもないかなというふうには思っておりますけれども、現在のように先の見通しも立たない、分散を引き受けたらずっとそこがNLPになるというようなことでは、恐らく周辺地域の皆さんにそれを引き受けてもらうということは不可能であろう。したがって何よりも最終的、恒久的な対策をしっかりと立てられる見通しをつけること、それがまずすべての大前提ではなかろうか、そんなふうに考えております。
○元信委員 アメリカへ行ってまたこの問題が話題になる。長官としては、一生懸命やっていますけれどもと、これくらいの話しかできないわけですね。アメリカでは既に、フォーリー大将、太平洋艦隊司令官が長官のところへも見えて、その問題は申し入れがあったはずだと思います。およそ約束事というのは、会うたびに、そのうち何とか、借金の返済みたいに、今はだめだけれどもまたそのうちというように言っておるというのが不信感をもたらす最大の原因だと思うのですね。できることはできる、できないことはできない、やることはいつまでにやる、こういうふうにちゃんと言わなければ、結局はお話にならないところか、ますますこじれていく、そういうことになろうと思うのです。 そうだとすると、今、日本の現状で見てまいりますと、三宅島もとにかく絶対反対であるということはこの前の選挙の結果から見ても明らかであるし、今長官からお話があったように、既存の飛行場に対しては、長期的な計画が立たない間は話はしない、こういう方針だとすると、これは結局いつまでたっても解決しない、こういうことにならざるを得ないんじゃないかと思うのです。 要するに、この狭い日本でNLPをやるということ自身に、現在も非常に大きなひずみが生じているわけでありますし、それをどんな形でどこへ持っていっても、ひずみが生じないというわけにはいかないと思うのです。アメリカのように国の中に広大な砂漠を持っている国とはどだい話が違うわけでありまして、結局、NLP問題というのは、そういう訓練の必要を減らしていく、すなわちアメリカの第七艦隊の航空母艦の日本寄港を減らしていくということで話をしない限り、いつまでたってもこの日米間の懸案、そのままの状態が続いていくというふうに考えます。 そこで、今度せっかくアメリカへ行かれるわけですから、ぜひこの日本国内の状況を率直に話をして、日本の国内ではとても無理だ、これはもうNLPの問題については当面解決の見込みはございません、こういうふうに言った方が、日米間にとってみてもよりベターであろうと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 私たちは、現在、日米安保条約に基づきまして、アメリカの方がこの地域において第七艦隊等を通じまして抑止力を働かせてくれていることは、日本の安全のために有益なことだと思っております。またそれがゆえに、私たちは、限定小規模の侵略にはみずからの力で対処し、そして、それを超えた侵略に対しては日米安保条約に基づくアメリカの援助を待つという、二本柱の我が国の防衛政策を立てられるのだと思っております。 したがって、この問題に入りますと、NLPの問題からさらに日本の防衛政策の基本にかかわってくる問題になろうかと思いますが、私たちの立場としては、この地域における第七艦隊の存在というものは、抑止力の効果、我が国の防衛に益するものだと思っておりますし、必要だと思っております。したがってそのためには、私は、寄港も必要でありますし、その寄港していを間に腕が落ちますと、パイロットがもう本当に、事実上着艦に失敗して死んでしまうということになってしまいます。 近年も、この担当しております佐々防衛施設庁長官が、NLP問題をお互いに話し合っていた、その米海軍のパイロットが、話し合った二、三日後、着艦に失敗して殉職してしまっているという事実等を見ますと、私たちとしては、着艦訓練はぜひ条件をつくってあげなければならない、こう思っている次第でございます。
○元信委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、この間の審議を通じて、やはり私は国土の狭さということを非常に感じます。この狭い日本の中で、あるいは飛び道具を使ってみたりあるいはこういう航空機を使ったりしますと、どうしてもそれが国民生活、国民の安全の方に直接的なしわ寄せとしてあらわれざるを得ない、こういうふうに思うわけであります。 したがって今後、防衛庁長官、アメリカとの関係もそうですし、また国内における業務の遂行に当たっても、この狭い国の中でひしめき合って一億何千万かの人間が住んでいる、こういう中でするということについて十分の御配慮をいただいて、我が国がとれるそういうものについてもおのずとそういう地理的な制約がある、そういう御認識の上に施策をお考えいただきたい、そんなふうにお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。
○中島委員長 次回は、来る六日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時三十五分散会 ――――◇―――――