内閣委員会 第11号
- 発言数
- 192 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1985/04/18
会議録
○中島委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本政弘君。
○山本(政)委員 きょうは、恩給法とは直接関連がございませんが、日赤の救護看護婦、それから旧陸海軍の従軍看護婦のことについて、率直に言って私、余り詳しくありませんが、教えてほしいと思うのですね。一昨日ですか、話を聞いておりまして若干納得のいかないものがありますので。 昭和五十四年、日赤の救護看護婦に慰労金を給付する措置がとられて、旧陸海軍の従軍需護婦についても同じような措置をすべきだということで五十六年に慰労金が給付された。そこでお伺いしたいのですが、給付期間について三年以上六年未満、六年以上九年未満、九年以上十二年未満、十二年以上十五年未満、十五年から十八年未満、それから十八年以上と六段階に分かれておりますけれども、今実際に該当している人員というのは一体旧日赤で何名になっているのか、あるいは旧陸海軍で何名になっているのか、この六段階に分けて教えていただきたいと思うのです。
○藤田(康)政府委員 ランク別の人員についてのお尋ねではないかと思いますが、五十九年度の予算ベースで申し上げますと、三年から五年、これは旧日赤が七百五十三人、旧陸海軍が八百四人。それから六年から八年まで、これが旧日赤が九十六人、旧陸海軍が二百二十八人。それから九年から十一年まで、旧日赤が二百十四人、それから旧陸海軍が八十八人。それから十二年から十四年までが旧日赤が四十三人。それから旧陸海軍が三十名。それから十五年から十七年、人員で申し上げますと旧日赤が九名。旧陸海軍が七名。それから十八年以上でございますが、旧日赤が三名。合計いたしまして旧日赤が千百十八名、それから旧陸海軍が千百五十七名、以上でございます。
○山本(政)委員 ちょっと失礼しますけれども、十八年以上、旧日赤が三名。旧陸海軍は何名ですか。
○藤田(康)政府委員 ございません。
○山本(政)委員 そうしますと、これは圧倒的に多いのは三年以上から六年未満ですね。六年から九年、十二年、十五年、十八年というふうに段階別に見ますと、勤務期間が長い人たちはもう非常に少なくなってきている。ですから、最高三十万円とかこういうことがありますけれども、平均をしてみますと十一万か十二万になるんじゃないでしょうか。一体どのくらいになりますか。
○藤田(康)政府委員 一人当たりの平均額でございますが、五十九年度の実績で申し上げますと十二万三千円でございます。
○山本(政)委員 そうすると、最高三十万というふうに言われているけれども、しかし実際の金額になると、要するに十万から三十万の間で分かれておるわけです。今お話があったように、十二万ということになると金額としては非常に少ないことになりますね。平均して一人当たり月一万円、こういう金額になるわけですね。しかも受給者がだんだん減ってきている。受給者が減る傾向というのは、年をとりますからだんだん亡くなる人たちもおる、こう思うのです。そういうことから考えると非常に少ない金額じゃないだろうか、こう思うのですが、そのことについてどういうふうにお考えになっているか。妥当な金額だとお思いになっているのかあるいは少ないとお思いになっているのか、これでも多過ぎるとお思いになっているのか、一体どうでしょうかね。
○藤田(康)政府委員 給付金の額につきまして算出の根拠についてお尋ねではないかと思っておりますが、これは先生お話しございましたように、旧日赤が五十四年から、旧陸海軍従軍需護婦が五十六年から始まったわけでございます。これは支給開始年齢に見合う昭和五十四年度ベースにおきます旧軍人に支給しております普通恩給の額を考慮いたしまして、実勤務期間の長短に応じましてその当時算出されたものでございまして、その後、先ほど申し上げましたような期間の経過がございますので、今回昭和五十五年を基準といたしまして五年間の目減り減らしをやらしていただいたということでございます。
○山本(政)委員 その経過はよくわかるのですけれども、僕が聞いていることは、平均して月一万円という金額は、一般的社会的な通念として低いと思いますか、高いと思いますか、ちょうどと思いますか、こう聞いているんですがね。そのお答えをひとつしていただきたい。
○藤田(康)政府委員 慰労給付金の性格に関する御質問とも絡むのではないかと思うわけでございますが、この慰労給付金は、戦時衛生勤務に長年御従事いただいた、こういうことに対します慰労の給付金でございまして、恩給といったような公的年金的なものとは性格を異にいたしておりまして、現時点においては適正ではないか、かように考えております。
○山本(政)委員 一般の兵隊さん、これは今度上がって幾らになりましたか。
○藤田(康)政府委員 兵の恩給につきましては、当室では恩給を担当いたしておりませんので、その額についてはつまびらかにいたしてないところでございます。
○山本(政)委員 私の記憶に間違いがなければ、一般兵の人たちは四十万を超していると思うのですね。私自身も兵隊に行きました。後藤田長官も陸軍主計大尉で御苦労なすったと思いますが、私も海軍主計大尉で多少の苦労はしたのですが、現地で私も経験しているのを見ると、将軍も兵も先に川を渡っていく、その中で、看護婦の人たちが、傷病の兵隊を担ぎながら後から行くという現状を私は幾度か見たわけですね。ですから、そういうことを考えますと、なるほどお話の中で恩給法上の性格になじまないという点があるけれども、その苦労を考えてみると、いずれにしてもこれは少ない金額じゃないだろうか、こう僕は少なくとも思うのです。そうすると、ほぼ適正であるというのは僕はどうも少しおかしいのじゃないか、もっと考えてもいいのじゃないかという感じがするのです。もう一遍その点をひとつ開かせてもらえませんか。
○藤田(康)政府委員 先生からお話がございましたが、従軍看護婦等が戦地で大変御苦労いただいた、この点については私たちも同感であるわけでございます。そういったような長年の特殊な勤務に対しまして、先ほどから申し上げておりますように慰労給付金という形で、値上げ前でございますと十万円から三十万円、実勤務年数に応じて給付をさしていただいておるわけでございます。どういう額が適正かというのはいろいろ議論があろうかと思いますけれども、現時点では、それが目減りしないようにということで、今年度一二・三%の値上げをさせていただいた次第でございまして、極めて厳しい財政状況下でございますが、そういったことをさしていただいたということで御理解をいただきたい、かように考える次第でございます。
○山本(政)委員 それじゃ、ちょっと観点を変えましょう。 慰労給付金の資格の要件ですが、一つは対象期間がある、資格の年限がある。それから受給の要件がある。それから支給期日がある。もう一つは他の公的年金との調整がありますね。それで、旧日赤の看護婦及び旧陸海軍の従軍看護婦としての期間が退職年金等の金額計算の基礎在職年に算入されているときは、この期間を慰労給付金の勤務期間から除く。つまりその理由というのは、重複給付を避けるためだということだろうと思うのですが、そうしますと、旧日赤の救護看護婦、それから旧陸海軍の従軍看護婦の皆さんで、年金の受給者でない人々が慰労給付金をもらっているということでそうなっているということが一つある。しかしもう一つは、同じ旧日赤の救護看護婦、それから旧陸海軍の従軍看護婦の間に年金を受けている人があると同時に、もう一つは受けてない人がある。そうすると、受けられない人に対してもっと政府としては配慮すべきじゃないだろうか、こういうふうに私は思うのですが、お答えは依然として同じお答えになるかもしれませんけれども、もう一遍ひとつ聞かしてくれませんか。受け取るグループが一つある、しかし同じ苦労して受け取れないグループがある、こういうのがあるのだろうと思いますから、その辺もう一遍聞かしていただけませんか。
○藤田(康)政府委員 恩給のことは余り詳しくはございませんが、看護婦長等判任官になっている方で恩給をあるいはもらっておられる方、同じ勤務形態でそういうこともあろうかと考えるところでございますが、そうでない方、判任官でなかった方、一般の看護婦等につきまして、先ほどから申し上げておりますように、大変御苦労をいただいたということはこれは先生のお考え方に対しまして私らも全く同感であるわけでございますが、そういう御苦労に対しまして、先ほどから繰り返しになって恐縮でございますが、十万から三十万という段階を区切りまして給付金を出させていただいておる、こういう次第であるわけでございます。 今回、それにつきましても目減りをしているじゃないか、こういう従来からのお話もございまして、五十五年を基準といたしまして一二・三%のアップをさしていただいた、こういうことでございますので、御理解を賜りたい、かように考えるところでございます。
○山本(政)委員 それじゃ、この恩給法の適用の問題について、日赤の救護看護婦の人たち、恩給法の適用の問題に関してずっと昭和五十年から国会で取り上げられてきた、私はこう思うのですけれども、その経過の中で、先ほど申し上げましたように五十四年にそれが実施をされた。その実施をされた経過の前段として、昭和五十三年六月十二日、第八十四回国会の会期末に当たって、各党の国会対策委員会の副委員長会談で、日赤従軍看護婦等の処遇問題の早期解決を図るために、「その範囲、内容等については各党担当者が速やかに協議する」ということで合意をしたと思うのです。そしてこの合意に基づいて、実は六月十六日に、各党から選任された六人の委員、これはいずれも衆議院議員でありますけれども、この六人の委員によって第一回の会合が開かれた。続いて七月三日、八月三日と三回にわたって協議、検討を重ねてきた。そしてその協議、検討を重ねた結果、処遇の対象、基準、方法等に関する基本的な考え方について意見の一致を見た。そしてつくられたのがこれです。これは写しでありますけれども。 それは「日本赤十字社従軍看護婦の処遇について」ということで、「日本赤十字社従軍看護婦の処遇については、各党代表よりなる懇談会において、以下三点の合意を得たので、政府は、昭和五十四年度よりこれを完全実施すること。」こうなっているのですね。そして三点あります。 「対象者は、陸海軍の命により、日本赤十字社が召集を行い、戦地、事変地において戦時衛生に勤務した看護婦とする。」これが一つです。第二点は、「恩給制度を準用し、」と書いているのですね。「恩給制度を準用し、戦地加算を考慮して、兵に準ずる処遇とする。」これは私は大変重要な項目だと思うのですね。第三番目は、「その措置については、特例として日本赤十字社において行わしめることとし、その財源はすべて国庫より支出する。」 昭和五十三年八月三日、これは六党協議であります。野呂恭一さん、金子みつさん、平石磨作太郎さん、受田新吉さん、柴田睦夫さん、中川秀直さんという各党代表の人たちが、こうやっている。 そうしますと、二番目の項目なんですよ。「恩給制度を準用し、戦地加算を考慮して、兵に準ずる処遇とする。」こういう一項目をどういうふうに考えているのか。単なる慰労金として考えていいのだろうかどうだろうか。しかも、これを踏まえて五十四年度に日赤の従軍看護婦の皆さんに対しては手当てがなされたと思うのです。そうすると、今申し上げた二項目のものが生かされて慰労給付金というものになってきたのだろうと思うならば、今さっきお話があったように、単なる御苦労さまでしたということだけではないのじゃないでしょうか。六党協議なんです。要するにこれは六党の確認なんですよ。ちゃんとこういうふうに文章になっているのです。だからそれを踏まえてできたものだったら、単なる慰労金という性格を多少でも超えているもの、そういう性格を持つものではないか、私はそう思うのですが、その点いかがでしょうか。
○藤田(康)政府委員 先生から御指摘のございました六党合意の中に、「恩給制度を準用し、戦地加算を考慮して、兵に準ずる処遇とする。」と定められておることは、先生御指摘のとおりであるわけでございます。ここにもございますように「準ずる処遇とする。」ということで、恩給法をずばり適用する、こういう形にはなっておらないわけでございまして、制度ができました創設当時からの考え方でございますが、繰り返しになって恐縮でございますが、日赤の看護婦さんに戦地で大変御苦労いただいたということに対しまして、先ほどから申し上げておりますが、十万円から三十万円の慰労給付金を出しておるということでございまして、その考え方の中には、例えば事変地とか戦地のとり方、あるいは十二年以上ということにしたこと、いずれも恩給制度に準拠いたしましてやっておるわけでございます。そういったようなことで、この六党合意から即この慰労給付金が年金的な性格を持つものだということにはならない、かように考えておるところでございます。
○山本(政)委員 僕は、恩給法をずばりそのまま適用しろと言っているのじゃないのです。ここだって、準用するということとそのまま適用とは違うわけで、この六党の協定の二項というのは、「恩給制度を準用し、戦地加算を考慮して、兵に準ずる処遇とする。」というわけで、恩給制度を適用しということは何も書いてない。だから、六党の協定に加わった方々というのは、その点はちゃんと踏まえての話だろうと僕は思うのです。と同時に、何回も、今国会だけではなくて前の国会からも、ずばり適用するのは恩給制度になじまないという話は私も伺っておるし、そして十分承知しているつもりなんです。だから、適用でなくて準用するということであるということをひとつ考えてほしいと思うのです。 もう一つは、兵の仮定俸給二十一号俸ですが、昭和五十五年に三・九六%、昭和五十五年には三・八%、昭和五十六年には四・八%、昭和五十七年には五・五%、そして五十八年は御承知のように見送られましたから、恩給についても改定の見送りがあって五十八年はこれが上がらなかった。それから五十九年は二・一%上がっているのです。六十年は三・五%上がった。 問題は、六年未満の兵に対する最低保障額というのは、この仮定俸給のアップ率よりか高いんですよ。考えてみれば、これは三・九六%、三・八、四・八というふうに上がっていますが、もう一つ問題なのは、昭和五十五年には四月に三十二万三千五百円だったのを三十三万五千八百円に上げているのです。そして六月にもう一遍上げているんです。三十五万に上げているんです。つまり、兵の恩給というものは一年に二回上げているんです。金額にして二回アップしているんです。昭和五十六年には同じように四月に三十五万だったものを三十六万六千八百円に上げているんです。そして六月には三十七万四千五百円にもう一度上げている。つまり年に二回、兵の恩給が上がっている。それが二年続いているんですね、五十五年、五十六年と。これは、そういうことを申し上げると語弊があるかもわかりませんが、政策的に上げていると思うのですよ。しかし、五十四年から施行された日赤の看護婦さんについては上がっていないという現実がある。これは幾ら何にしたって酷じゃありませんか。「兵に準ずる」と言っておって上げない。 繰り返し申し上げますけれども、私は適用しろということを言っているのではありません。しかし準用するにしても、兵については五十五年に二回上げておる。五十六年に二回上げておる。これは私に言わせたらまさしく政策的に上げているというほかはないのですよ。しかし、日赤の看護婦さんも兵隊さんと同じように苦労しているということは承知している、こうおっしゃっているんだったら、なぜこのことに対してそれでは考慮しなかったのですか。上げてないじゃありませんか。つまり五年間上げてない。片一方は政策的に二カ年にわたって二回のアップがある。幾ら性格が違うとかいっても、苦労ということに対してあなた方が配慮をすると言うのだったらば、それは余りにも酷過ぎやしないかというのが私の申し上げたい点なんです。いかがでしょう。
○藤田(康)政府委員 兵の恩給につきましては、最低保障額のアップがあるからかなり高くなっているのじゃないか、これについてのお尋ねではないかと考えるところでございます。 先ほどから申し上げておりますように、従軍看護婦に対します慰労給付金でございますが、その性格といたしまして、所得を保障するという年金的な性格のものではございませんで、今回措置をいたしましたのは、その性格は基本的には変えないけれども、できましてから陸海軍につきましては四年、旧日赤につきましては六年たっておりまして、そのまま放置することは大変気の毒である、こういうことにかんがみまして、その間の実質的な目減りを補てんする、こういう意味におきまして昭和五十五年を基準といたします消費者物価の一二・三%のアップをさしていただいたということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
○山本(政)委員 私は、兵が上がっているのが高過ぎやしないかということを申し上げているんじゃないのです。つまり「兵に準ずる」ということがあるんだったらば、それが基本にあってその上にこういう措置がなされているのだったらば、兵の方がこれだけ上がっているのだったらば、多少なりともそれに準じて上げていいんではないだろうか。しかも政策的に五十五年と五十六年にわたって二回、兵の方は最低保障額が上がっているということであれば、この最低保障額を上げるということはいいんですよ、しかし、それじゃ片一方は四年も六年もそのままほったらかして、今実質的な目減りがあるからとあなたはおっしゃるのですけれども、そういうことでそのまま放置しておってよかったのかどうかということをお聞きしたいのです。高いとか安いとか言っているのじゃないのです。大変御苦労したのを承知をしているというのだったら、あなた方がもう少しその点について配慮というか、考え得べき余地があったのではないのか。なぜ四年間、六年間そのまま放置をしておったのかということを私は申し上げているのです。その点いかがなんです。
○藤田(康)政府委員 重ねての御質問であるわけでございますが、先ほどから繰り返しになって恐縮でございますが、恩給等の年金的なものとは異なりまして、長年にわたりまして戦地で御苦労いただいたということに対します慰労給付金であるわけでございまして、そういう慰労給付金の性格から申し上げまして、今回大変苦しい財政状況下にはあるわけでございますが、その目減りを補てんする意味で一二・三%のアップをさせていただいたわけでございまして、この問題はそういう観点からのアプローチがあるべきではないか、かように考えているところでございます。
○山本(政)委員 そうしますと、昭和五十四年の兵の三十二万三千五百円、このときは日赤の看護婦さんは要するに十万円だったのですね。 それじゃお聞きいたしますけれども、もう一遍繰り返しますよ。昭和五十四年三十二万三千五百円、三・九六劣のアップ、昭和五十五年四月に三十三万五千八百円、三一八%のアップです。そして六月に三十五万にまた上がっている。昭和五十六年には四月に三十六万六千八百円に上がって、また六月に三十七万四千五百円、四・八%上がっている。そうすると、兵の最低保障額の上がりというのは、最低保障額というのは一体どういう性格を持っているのですか。しかも、その二回にわたって上がっているというのは、どういうことのために上げているのだろうか。
○藤江政府委員 お答え申し上げます。 最低生活保障は、恩給の生活を支えるという機能を充実させるという意味におきまして、設定されておるものでございます。
○山本(政)委員 人勧とか仲裁とかいろいろありますが、そんなことは離れて、そうするとこれは、生活の最低保障として四月に上げでまた六月に上げたわけですね。これは二回にわたって上げたわけです。その二カ月の間にそんなに生活の最低保障を考えなければならぬような事態が五十五年にあったのだろうか。五十六年にあったのだろうか。
○藤江政府委員 お答え申し上げます。 最低生活保障につきまして二段階に分けましたのは、最初の段階におきましては公務員給与の改定に準じますアップでございます。二段階目は他の年金等の均衡を考慮いたしまして特段の考慮を払ったということでございます。
○山本(政)委員 それでいいのですか。五十六年の四・八%というのは、他の給与の値上げに対応しているのだというふうにお答えになっていいのですか。もう一週確認いたしますけれども、アップ率はそういうふうになっていますか。
○藤江政府委員 四月にアップした分につきましては公務員給与のベースアップに準じたもの、第二段目が他の年金との均衡を考慮して特段の配慮をしたもの、こういうことでございます。
○山本(政)委員 他の年金との比較においてというのを、それじゃ具体的に説明してください。他の年金、例えば厚生年金とか国民年金とかいうものがありますね、それとの比較においてどういうふうになっているのか、ちょっと説明してください。
○藤江政府委員 ただいま具体的な数字を手持ちいたしておりませんけれども、御指摘ございましたように、厚生年金とか共済年金等とのバランスを考慮して引き上げたということでございます。
○山本(政)委員 消費者物価や何かのアップより、兵の仮定俸給のアップ率の方が高いですよ。そして、それよりももっと最低保障額は高いのです。 そうしますと、今度の四年ぶりとか六年ぶりの慰労給付金の金額のアップというのは物価上昇の相当分であるというお答えが一昨日あったと思うのですが、これは確かですか。
○藤田(康)政府委員 五十五年を基準といたしまして、五年間の消費者物価指数のアップを見たものでございます。
○山本(政)委員 そうしたら、五十九年の消費者物価のアップはもう決まっていますか、出ていますか。
○藤田(康)政府委員 確定ではございませんが、二・四%分を見ております。
○山本(政)委員 そうでしょう。あなた方は経済見通しで推定をして出しているだけでしょう。五十九年度の物価上昇率はまだ決まっておりませんね。あと二週間か三週間ずれば出るかもわからぬ。そういうものを除外をしてやっているということは、赤十字のあるいは陸海軍の従軍看護婦の皆さんたちに対しては、削られるだけのものは削っていこうという考えなんですよ。僕はそう思うのです。
○藤田(康)政府委員 別に他意はございませんで、予算編成当時得られます最新の資料ということで二・四%をとらせていただきました。
○山本(政)委員 私はこういうものをもらっているのですが、大変苦労したことを書いてありますけれども、あなた方が、御苦労だったということで慰労給付金で、さっきの御報告によれば例えば十八年以上の人、旧日赤で三名しかおらぬ、陸海軍の看護婦さんについて言えばゼロ、しかもその人たちが当初三十万円。そのころは六年未満の兵の最低保障額は三十二万三千五百円、六年たった今日、六年未満の兵の最低保障額は四十一万七千五百円になっているのです。ところが、旧日赤並びに陸海軍の従軍看護婦の方々は三十四万円である。つまり六年の間に格差がどんどん開いていっているのですよ。同じぐらいな比率で進むならまだしものこと、慰労金とはいいながら格差が開いているということについて、あなた方はその衝に当たる者として何の痛みも感じないのか、そのことを私はお伺いしているのです。おかしいじゃありませんか。 もとに戻りますけれども、「兵に準ずる」というのが六党の確認事項なんですよ。そして文書にまでされて、それを基本にして日赤の慰労金というのが初めてできたのでしょう。ところが、年を経るに従ってその人たちの格差が開いていく。しかも、私は二人の人に現実に当たっているのですよ。老後が心配だ、いわゆる公的年金をもらっていないのです。そうしたら、単なる慰労ということで、それだけの金額で済むものかというのです。物価上昇分というものを考えたのだったら、なぜ毎年毎年上げるということについて配慮ができないのだろうか。声が大きくなったら四年目とか六年目ということで改めて考えていく、それは為政者のする態度じゃないだろうと僕は思うのです。そのことをお伺いしているのですよ。もう一遍お答えください。
○藤田(康)政府委員 この慰労給付金につきましては、六党合意に基づいてできたことは先ほど先生御指摘のとおりであるわけでございますが、繰り返しになって恐縮でございますが、慰労給付金の性格といたしまして、所得を保障する、生活水準を保障するという年金的な性格を持つものではない、長年戦地で大変御苦労いただいた、こういうことに対しまして慰労給付金として支出をさせていただいているものでございます。 しかしながら、先生御指摘ございましたように、四年たち、六年たっておりまして、このまま放置をいたしますことは大変お気の毒である、これは先生と気持ちは同じでございまして、そういうことにもかんがみまして今回一二・三%のアップをさせていただいたということでございますので、御理解を賜りたいと考えております。
○山本(政)委員 恩給の受給者の推移を見ますと、昭和四十一年二百八十万人、これがピークなんですね。そして、五十三年には二百三十八万に減っているのですよ。五十七年には二百二十四万に減っているのです。つまり、年平均からいえば一%から二%恩給の受給者は減ってきている。人が減れば金額も減るわけですから、もしその気持ちがあれば、要するに多少でもそういうものを回す、回すという言葉はおかしいですけれども、そういうものがあっていいのじゃないかという感じがするのですね。お話があったように、日赤と旧陸海軍の看護婦さんで慰労金をもらっているのは合わせて二千人を超える程度でしょう。それだけの人に対して私は今申し上げたように配慮があっていいだろうと思うのです。 しかも、私一番わからぬのは、何か声が大きくなったら、要するに物価上昇に応じてとか社会経済情勢の変化にかんがみ、思い出したように上げていく、どうもその辺が納得いかないのです。社会情勢の変化というのは一体どういう変化があったんだろう。六年目に上げる意味というものと社会情勢の変化というものとのかかわりというのはそんなにあるのですか。私は、要するに、上げるということの理由づけに社会情勢の変化という漠然とした抽象的な言葉を使っているにすぎないんだろうと思うのです。だから、少なくとも毎年毎年上げるくらいなものがあっていいんじゃないですか。私、そのことを言っているのですよ。適用しろと言っているのじゃありませんよ。「準用」という言葉を使っているのは、それをちゃんと踏まえて、そういうことだろうと思うから私はそう言っているのです。 そして、こういう制度ができたのだったらば、そのできた背景というものをあなた方が承知をしているというのだったら、その精神は酌むべきじゃありませんか。それをなぜかたくなに、要するに同じようなお答えをしているのか、それが私は理解がつかないのですよ。もっとも、僕と違ってあなた方はまだ中学ぐらいだったからそういうことがおわかりにならぬのかもわからぬ。皮肉じゃありませんよ、率直に僕は言うのです。総理府長官ならおわかりになる、そんな気持ちがするほどに、六年間もほうっておくことはやはり怠慢じゃないか、配慮が足らないのじゃないか、私はこう思うのです。どうでしょう、毎年毎年そういうことについて配慮をするというお気持ちはありませんか。
○藤田(康)政府委員 先ほども申し上げましたが、先生からも御指摘がございましたように、日赤については六年、あるいは旧陸海軍については四年たっておりまして、その間相当の物価の上昇もございまして、このまま放置をいたしますことは従軍看護婦の皆さんに大変お気の毒である、こういうことで今回他のアップに呼応させていただいた、こういう事情にあるわけでございます。 今後の取り扱いについてのお尋ねではないかと考えるところでございますが、今回の値上げの経過を踏まえまして十分慎重に対応させていただきたい、かように考えておるところでございます。
○山本(政)委員 これも一昨日の答弁にあったようでありますが、五十四年の消費者物価を一〇〇とすると六十年の二月は二一・九%、五十五年の消費者物価を一〇〇とすると一二・九%、五十六年を一〇〇とすると七・六%。それで、今回のアップは消費者物価に相当する分だというお答えがあったようでありますけれども、繰り返しになりますが、要するに兵の仮定俸給のアップ率というのは、今の例をとって申し上げますと、五十四年から六十年では二六・一%に上がっているのです。だから、二一・九%をはるかに超えた二六・一%になっているのです。そして、要するに兵の仮定俸給のアップ率よりも現実の最低保障額はもっと上がっている、もっと高いのです。そうすると、私は少なくとも兵の仮定俸給のアップ率くらいは考えてもいいくらいに思うのですよ。それでもなおかつ、現実に兵が保障されている最低の額というものはもっと高いわけですからね。あなた方のお答えというのは依然として変わらぬわけだ。つまり恩給とは性格が異なるのだということで、依然としてそれは御苦労であったという慰労のお金にすぎません、こう言っている。口は悪いけれども、いわばお涙金と言ったらいいのかな。だけど、そんなものじゃないのじゃないかと僕は思うのです。 長官、失礼しました。時間を忘れておりまして。長官にひとつこれだけ知っておいてほしいのです。五十四年に、日本赤十字の従軍需護婦の処遇について六党の確認事項があります。そこに三点あるわけです。「対象者は、陸海軍の命により、日本赤十字社が召集を行い、戦地、事変地において戦時衛生に勤務した看護婦とする。」二は「恩給制度を準用し、」適用してはありません、「準用し、戦地加算を考慮して、兵に準ずる処遇とする。」「その措置については、特例として日本赤十字社において行わしめることとし、その財源はすべて国庫より支出する。」ということで、私が申し上げたいのは、恩給制度を適用しじゃなくて準用するということなんですよ。その辺を考えれば、今回の措置というのは要するに非常に怠慢になっている。怠慢ということが悪ければ配慮がないのじゃないか。少なくとも、そのことについて毎年考慮をするぐらいな姿勢があっていいのではないかということを今まで私は質問してきました。ですから、そのことについての官房長官のお答えだけをいただいて、用件があるようでありますから、御退席をしていただきたいと思います。
○藤波国務大臣 各党の合意があってこの制度が出発しているということを、今も勉強させていただいたところでございます。先ほど来、管理室長からお答えを申し上げておりますように、一つ一つの制度にはその制度、仕組みの性格と申しましょうか考え方がございまして、所得の保障を図るという年金的な性格を有するものではないとしつつも、非常に御苦労いただいた方々に対して特別に敬意を表していこう、慰労しよう、こういう給付金として性格づけられておるわけでございます。 それでは、例えばどういう基準で準用して金額を上げていくのかということになるわけでございまして、先生が今それぞれ御指摘をいただきましたように、物価も年々どれだけでも上がっておるという実態にあるわけであります。そうすると、何年もためておいてそれでいいのかというようなお話も全くそのとおりだと思うのでございます。 去年の夏であったと思いますが、日赤の林社長さんがお見えになりまして、五十四年、五十六年に出発をしてから随分時間がたった、その間に全然アップになっていない、もともと所得を保障するものではないという性格はよくわかっておるつもりだ、しかし、ずっと金額が動かないまま、恩給の方は兵などはどんどん上がっていくということと比較をするとやはりどうにも耐えられない気持ちになるので、少し時間がたってきておるから、この際アップすることを大蔵省とひとつ話し合ってみてくれぬか、こういうお話がございまして、大蔵省とよく話をいたしまして、先ほど来御説明をいたしておりますように、その間の物価上昇率ということを頭に置いてぜひアップをしてもらいたいというお願いをいたしまして、予算に計上する運びになった次第でございます。 その間に、いろいろな先生方の、また各党のいろいろな御指導や御助言を賜りましたことも、この機会にお礼を申し上げたいと思うのですが、それではどういう基準で準用していくのかということになりますと、これも慰労給付金という性格上、きちっとしたものとして位置づけることはなかなか難しいと思うのです。そうすると、説明する言葉といたしましては、いろいろ社会経済情勢の変化に即応いたしましてというような言葉にならざるを得ないわけでございますが、心の痛みを感じないのかということにつきましては、これは大いに痛みは感じておるわけであります。いろいろと財政状況なども含めて社会経済情勢がどのように変化していくのか、その中でこの給付金を差し上げることに至りましたいろいろな最初の経緯などもあるわけでございますし、考え方、気持ちもあるわけでございますから、それらを十分踏まえさせていただきまして、それでは年々物価は少しずつでも上がるからそのようにスライドをさせてはどうかということにつきましては、これは仕組みの性格上、なかなかそのようにいたしますとはお答えしがたいものがございますけれども、そのことは先生もよく御理解いただいておると思うのですが、今後とも、この制度が出発をいたしました経緯、考え方を十分踏まえまして努力をさせていただきたい。これまで怠慢であったではないかというと、怠慢でございました、こう私が言うのも、歴代官房長官初め皆さんに申しわけのないことでございまして、私の先代の官房長官もここにいらっしゃるわけでございます。これから政府はよく努力をいたしてまいります、こういう気持ちをきょうは申し上げることでお許しをいただきたいと思うのでございます。仕組みを大事にいたしまして、関係者の方々の御苦労に十分心を痛めながら今後対処させていただきたい、このように考える次第でございます。
○山本(政)委員 では、これだけあれして退席してください。 当初十万円だったわけですね。六年たって一万円上がって十一万円。これは最低の人たちですね。兵はどうかというと、三十二万三千五百円が六年たって四十一万七千五百円。大変な懸隔があると僕は思うのです。その辺はぜひ考えてほしいと思うのですね。長官どうですか。
○藤波国務大臣 六十年度予算におきましては、御存じのとおりの計上をさせていただいたところでございます。一生懸命骨を折ってやっとアップしたと思ったら、きょうもしかられまして、どうもつらい思いをいたしておりますが、これから、仕組みの考え方、経緯なども十分踏まえさせていただきまして、今後とも政府としては最善の努力をしていかなければならぬ、このように考える次第でございます。
○山本(政)委員 これで終わりますけれども、歴代官房長官もお見えでございますから、歴代の人もその点ぜひお考えいただいて、将来に対してひとつ配慮していただけませんでしょうか。 終わります。
○中島委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 附帯決議の問題ですが、本委員会ではここ十数年来、恩給法案の採決に当たりまして毎回、「恩給の実施時期については、現職公務員の給与より一年遅れがあるので、遅れをなくすよう特段の配慮をする」、それから「恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。」こうした附帯決議をずっと行ってきているわけです。しかし、今例示しました二点につきましてはいまだに実現していない。要するに政府と委員会の附帯決議の関係ですけれども、実現のために政府は誠実に対処すべきではないかというように考えておりますが、事は立法府と行政府との関係の基本にかかわる問題であるわけです。この問題についてまず大臣の所信を伺いたいと思います。
○後藤田国務大臣 政府といたしましては、国会の附帯決議の御趣旨をできる限り尊重して、その実現に努力すべきものである、かように考えております。
○柴田(睦)委員 それはいつも法案成立のときに大臣がおっしゃることでありますけれども、問題は、十数年来この問題が附帯決議でいつも書かれていながら、今日なお実現されていないということであるわけです。それ以上のお答えがないかと思いますので、次に移ります。 本委員会では、このほかに繰り返して「恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等その改善を図ること。」「扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。」それから、先ほど質問がありました「戦地勤務に、服した旧日赤看護婦及び旧陸海軍看護婦に対する慰労給付金の増額を検討すること。」こういう附帯決議を行っております。戦地勤務に服した旧日赤看護婦及び旧陸海軍看護婦に対する慰労給付金の増額の問題につきましては、先ほどの同僚議員の質問の中で御調助がありましたけれども、一と二の問題について、恩給局の方からこれらの実施状況と今後の対処方針を明らかにしていただきたいと思います。
○藤江政府委員 附帯決議のうちのただいま御指摘の二点につきまして御説明申し上げます。 まず、「恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等を図ること。」という点でございます。最低保障額につきましては、御承知のように、恩給の生活の支えとしての機能を充実させるという観点からいたしましてこれまで充実させてきたところでございまして、観点といたしましては、公務員給与の改定を基礎にいたしまして、さらに他の公的年金とのバランスを考慮しながらその引き上げを図ってきたところでございます。特に昭和六十年におきましては、普通扶助料及び公務関係扶助料等につきましての最低保障額について特段の配慮を行ったということでございます。 二点目の「扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。」という項目につきましては、普通扶助料の給付水準の改善につきましては、御承知のとおり従来から、基礎俸給の格上げであるとか算定率の特例であるとか加算年の金額計算への算入、あるいは他の年金制度にならいまして導入いたしました寡婦加算制度というふうな優遇措置を講じてまいったところでございます。したがいまして、普通扶助料の率につきましては、当初五〇%で出発いたしたものが現在では六六・一%、さらに改善後におきましては六七・八%というふうなことになるわけでございます。今年度におきましては、従来の引き上げに加えまして、厚生年金の遺族給付の間に格差がございますので、これを解消するという明確な目標を設定いたしまして特段の配慮をいたしたということでございます。さらに公務扶助料につきましては、その最低保障額につきまして、遺族加算を含めまして年額百四十四万円、月額十二万円の水準に達したということでございまして、今後とも、これらの給付につきましてはさらに充実させるようにできるだけの努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 では次に、行政改革に関連するわけですけれども、産業廃棄物処理と行政監察の関係について伺いたいと思います。 八一年度以降、行政改革ということで人事院勧告の凍結あるいは値切りが行われまして、それとあわせて恩給、年金の改定もまた凍結されたり抑制されてまいりました。公務員労働者や恩給、年金受給者など広範な国民は、臨調行革路線推進の拠点官庁である総務庁が、公務員給与や恩給など国民生活にかかわる事務事業を直接所管することに今不安を持っている、また疑問を持っているという状況であるわけです。 そこで、恩給問題とも重大なかかわりを持っております行政改革問題について尋ねるわけですが、その第一は、総務庁の中央計画監察の問題です。 総務庁の中央計画監察、これは最近は、臨調及び行革審の提言事項を中心とする行政改革の推進を主眼とするものにその重点が置かれているように見られます。そこで、昭和六十年度の監察業務運営に当たってはどのような基本方針で臨まれるのか、お尋ねいたします。
○竹村政府委員 昭和六十年度の監察業務の運営についての基本的な考えでございますけれども、これは監察業務の運営方針でありますとかあるいは中央計画の監察予定計画、こういったことで決めておりますけれども、行政改革が引き続きまして政府の最重要課題の一つであるということで、五十九年度に引き続きまして六十年度も、監察業務は行政改革の推進を主眼とするということで考えております。 それで、具体的なテーマに多少触れてみますと、許認可等の規制行政の簡素化あるいは特殊法人の活性化の問題、それから補助金事務手続の簡素合理化の問題、それから会館等公共施設の効率的な設置運営、これは公共施設をつくる場合にできるだけ複合的な施設をつくろうという趣旨でございます。そのほか郵便事業の合理化とか車検の問題、こういったことを取り上げますけれども、あわせまして国民生活の安全とか利便の確保に関すること、あるいは新規に行われた施策を大体五年たった時期に見直すこととしておりますけれども、そういったことを予定しております。
○柴田(睦)委員 その昭和六十年度の中央計画監察などの予定計画の問題ですけれども、各計画名と、また各計画ごとの予算額及びそれらの臨調、行革審の提言とのかかわり、こうした問題について明らかにしていただきたいと思います。
○竹村政府委員 まず具体的な計画名でございますが、先ほど触れましたけれども、そのほかで申しますと、例えば森林資源の整備の問題でありますとかあるいは海岸保全の問題、それから廃棄物の処理や再利用の問題、それから道路空間の有効利用といいますか、これは道路の掘り返しによる損傷の防止でありますとかあるいは共同溝を推進する、こういった問題であります。それから老人対策の実態調査、こういったことを予定しております。 それから予算の方でありますけれども、これらを合わせまして、調査関係に使います庁費とか旅費、これが約四億円でございます。
○柴田(睦)委員 今出ました廃棄物の処理・再利用に関する行政監察を予定されておられますが、この監察というのはどういう現状認識、問題意識というものを持って、どういう趣旨で計画されているのか、お伺いします。
○竹村政府委員 廃棄物につきましては、国民生活水準の向上でありますとかあるいは産業活動の活発化等に伴いまして量的に拡大している、それから質的な変化も進んでいる、こういったことで、その適正処理の確保ということが必要となってきております。それで、国や地方団体などにおきましては、処理が困難な廃棄物の増大でありますとかあるいは廃棄物の処理施設の立地難、さらには不法投棄等による不適正処理等の諸問題、こういった問題があるわけであります。それからまた一面で、廃棄物の減量化、さらには有効利用といったような課題を抱えておるわけであります。今度の監察は、こういった現状を踏まえまして廃棄物の適正処理を推進する、こういうことで調査を予定しております。
○柴田(睦)委員 お話にありましたが、廃棄物、特に有害産業廃棄物の処理をめぐって、これは法令の不備だとか、公的関与が消極的であるとか、あるいは排出事業者の自己処理責任が欠けているというようなことに起因いたしまして、全国各地でトラブルが起きているということが言えると思うのです。そういう中で、私がおります千葉県の場合は、県外から産業廃棄物の流入が続きまして、各地で、千葉県を首都圏の廃棄物埋立場にするのかという声さえ出てきて、大きな問題になっているわけです。 事例を挙げますと、千葉県の昭和五十九年版の環境白書の中にありますが、昭和五十七年に県内の廃棄物処理業者が運搬した廃棄物のうち、県外から持ち込まれたものが全体の四二%、それから県内の処理業者が仲介したもののうちで県外からのものが全体の八一%、最終処分したもののうち県外からの廃棄物は全体の四〇%、こういう統計が出ております。住民と処理業者、行政との間のトラブル、特にこれは最終処分場の建設をめぐって起きております。 例えば市原市の能満地区、千葉市の大宮町多部田地区、君津市の大谷地区、富津市の高溝地区、銚子市の小浜地区など相当重要な問題になっております。 そこで、廃棄物の処理・再利用の行政監察に際しては、この矛盾と問題が集中的にあらわれております千葉県の実態を調査するのが一番いい、調査すべきものだと思いますが、この点はどういうお考えでしょうか。
○竹村政府委員 今回の監察は昭和六十年度の第四・四半期に考えております。したがいまして、六十一年の一月から三月までに調査することになるわけでありまして、詳細はこれから検討しなくちゃいけないわけであります。 今、千葉県のお話が出ましたけれども、どこをやるかということはこれから検討することになりますが、一つの候補であろうというふうには考えております。
○柴田(睦)委員 厚生省の生活環境審議会から、昭和五十八年の十一月三十日に、「今後の廃棄物処理行政の基本的方策について」という答申が出されました。その中では、一般廃棄物処理施設の整備、処理が困難な廃棄物対策、生活排水対策、散在性ごみ対策、産業廃棄物の処理体制の充実、適正処理の推進、監視指導体制の強化、労働安全衛生対策の強化、専門技術者の確保といったことを柱といたしまして、廃棄物処理行政の基盤の強化を初め、廃棄物の資源化有効利用の推進、技術開発の推進、国際協力・国際交流の強化というような問題を提起しております。 特に産業廃棄物の処理体制の充実につきましては、第一に、産業廃棄物対策の基本として、適正処理に関し十分な啓発活動を実施すること。第二に、排出事業者の責任体制を明確にし、事業者みずからの処理体制の整備が推進されるよう一層の指導を行うこと。第三に、産業廃棄物処理業界の処理体制の充実を図ること。第四に、民間における処理を補完するため、公共関与による産業廃棄物処理事業の推進に努めること。こういうことが必要だとしております。 廃棄物の処理・再利用の行政監察については、生活環境審議会のこうした提言を念頭に置いて実施されると思いますけれども、この点の御確認をお願いいたします。
○竹村政府委員 生活環境審議会におきましては、かなり広い視野といいますか、包括的に基本的な問題を答申しているというふうに考えられますけれども、我々の監察は、先ほど申しましたようにこれからいろいろな詰めをするわけであります。ことしの年末ごろに監察の実施計画をつくる予定にしておりまして、それまでに決めることになりますけれども、それをまとめるに当たりましては、この答申の趣旨を十分念頭に置きまして、あわせて我々の方の調査体制とか期間の問題等も考えながら計画をつくっていきたいと考えております。
○柴田(睦)委員 次は厚生省に伺います。 産業廃棄物の最終処理場の建設をめぐる地域住民と処理業者、行政との間のトラブルに共通した重要な要因の一つに、処理業者や地方公共団体が十分な環境アセスメントを実施しない、しかもその結果を関係地域住民に公表しようとしないという問題があるわけです。栃木県の塩谷町のトラブル、これは県当局の姿勢が二転、三転して混乱を起こした。これが一つの典型例であるわけですけれども、千葉県内で起きているトラブルについても例外ではないようであります。 産業廃棄物、特に有害廃棄物の最終処分場がその周辺環境に及ぼす影響が大きいことや、処分場の管理を誤った場合重大な二次公害を惹起する危険性があることなどから見まして、国や地方公共団体は、安全性確保の見地から、場所の選定、確保について積極的に関与すべきではないかというように思っております。その際、業者に十分な環境アセスメントを行わせて安全性を立証させる、同時に、処理業者と国、地方公共団体はアセスメントの結果を含めて広く住民に情報を公開して、地域住民からも科学的な意見が述べられるわけですから、科学的根拠に基づいた合意を前提としなければならない。事は生活環境の問題ですから、そうしなければトラブルは解決しないということになると思うのです。このことについての厚生省の見解をお伺いします。
○伊原説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘の環境アセスメントは、廃棄物処分場による環境保全の点に関する住民の科学的不安の解消など、地元住民が施設設置に向けて合意をする上で、必要な調整手段として有効な制度であると考えております。 御承知のように昨年の八月、閣議決定に基づきまして、アセスについての要綱に基づく指導の準備が進められておるところでございますが、私どもといたしましては、廃棄物処理施設がいわゆる迷惑施設という形で受けとめられておるわけでございますけれども、他面、廃棄物処理、とりわけ産業廃棄物の処理と申しますのは、住民の生活環境の保全を図る上で極めて必要な施設でございます。そういった意味で、この施設の円滑な立地ということにつきましては従来から心がけておるところでございまして、アセスの問題も含めまして住民とのトラブルの防止ということにつきましては、施設設置者と住民との間で必要な調整が図られるよう、従来から地方公共団体を通じまして指導に当たってきたところでございます。
○柴田(睦)委員 さきに言いました市原市の能満地区あるいは君津市の大谷地区、富津市の高溝地区、それから千葉市にもあります。ここでは、周辺関係住民がいろいろな角度から反対意見を出している。特に市原市では市長さんまで反対しておるわけです。そういう状況でありますけれども、千葉県当局は処理業者の最終処分場建設届けを受理している場合もありますし、また受理の方向が進んでいるということもあるわけです。こうした県当局の態度、これがトラブルを続発させて問題をこじらせるという結果になっておりまして、これは非常に重大問題であると思います。今言われました厚生省の指導方針という面から見ましても、これはいささか問題のある県当局の態度であると思うわけです。こういう点につきまして、県当局の問題、調査をされて、しかるべき適正な指導なりあるいは助言なりを厚生省の方としても行うべきであるというように考えておりますが、厚生省の見解をお伺いします。
○伊原説明員 お答え申し上げます。 御指摘の千葉県の場合につきましては、県の方で要綱をつくりまして、一定規模の処分場につきましては住民合意等の必要な手続をとる体制をとっております。先生御指摘の市原その他の地区において非常にトラブルが生じておることは承知しておりますけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げました観点から、今後とも千葉県に対し住民との調整に努めるよう必要な指導を重ねてまいりたいと考えております。
○柴田(睦)委員 現行の廃棄物処理法では、廃棄物処理業というものを許可制にしております。これに対しまして、処分場の設置につきましては届け出制ということになっておりますが、このこともやはり住民と処理業者あるいは行政との間のトラブルを惹起する、そしてまたこじらせる要因の一つとなっているというように見ております。多くの自治体関係者からも、こうした法の不備を是正すべきだという意見が出されております。 実際の事務処理の面から見ますと、多くの都道府県で、設置届出書が提出される前段階の事前審査や事前協議の手続を設けたり、あるいは届出書に住民などの同意書の添付を義務づける、こうした工夫を行っているところであります。そういう中で埼玉県の場合を見ますと、この法の不備を補完するために、処理業者がその後も処理業の許可を得て処理業を営もうとする場合、業の許可手続の中に、処分場設置届出受理手続を含ませるという事務処理もしている例があるわけであります。 そこで、廃棄物の処理と再利用の行政監察に当たりましては、この設置届出制が問題になっておりますので、これを手直しをして、地方自治体が住民保護、環境保全の見地から強力な行政指導ができるようにしてほしいという関係者の声があります。非常に切実な声であります。このことを念頭に置きまして、こうした行政実務の実態についてもひとつ調査をされて、その結果に基づいて必要な改善勧告を行うべきだと考えております。まだ先のことのようでありますけれども、そういう態度で臨んでもらいたいと考えますが、御見解をお伺いします。
○竹村政府委員 今お挙げになられました許認可とか届け出は、それぞれの行政目的のもとに行われているのではないかと思われますし、その目的と手段とのバランスという問題があろうかと思います。廃棄物の処理につきましては、それを促進する面と適正に処理をするという両面があろうかと思うのでありますが、やはりその辺は主管省庁でまず考えていただくべき問題ではないか。我々の方といたしましては、先ほど申し上げましたように調査がこれからでございますので、今その辺について御返答を申し上げる段階にはございません。
○柴田(睦)委員 確かに主管庁の問題であるわけですが、そういう問題もあるということを行政監察の中においては念頭に置きまして、行政全体がよくなるようにすることに目標があるわけですから、やっていただきたいということを申し上げたいと思います。 次に、産業廃棄物の中でも特に有害廃棄物という問題がありまして、この処理が適切に行われなければならないということは当然のことであるわけです。この点につきまして、現行の廃棄物処理法令では、埋立処分に当たっての有害物質として水銀とその化合物、カドミウムとその化合物、船とその化合物、六価クロム化合物、シアン化合物、こうしたものを指定しております。そして、その検定方法といたしまして環境庁告示がありまして、溶出試験の方法によることを定めております。ところが、これらについても各方面からさまざまな改善意見が出されているわけです。 例えば有害物質の指定という問題について言えば、一定の条件のもとで六価クロムに化学変化する酸化クロム、また世界各国で問題になっておりますダイオキシン、こうしたものを加えるべきだということで、範囲を広げるべきだとする意見が強いわけであります。また、検定方法の問題では、溶出試験につきましても、長期間かつ過酷な自然環境のもとにおきましては、現実の化学的変化を必ずしも反映しないおそれがあるので、溶出試験ではなくて、あるいはこのことも必要でありましょうが、含有量試験も含めるべきである、そうしたものを含めて安全性確保のためにより確度の高い試験制度に改めるべきであるという意見も多く出ているところであります。 この点につきまして、市原市の能満の焼却場の廃棄物を、共産党の市原市の市会議員が房総環境技術センターに計量を依頼して分析いたしました。それによりますと、溶出試験では有害物質は検出されませんでしたが、今度は含有量試験をやってみますと、水銀、カドミウム、鉛、砒素、それとこれらの化合物、これは定量の限界というのがあるのに対して、この限界をオーバーしているわけです。例えばカドミウムまたはその化合物、これは定量限界〇・〇五に対して実に七・九〇、こういう結果が出ております。 行政監察に当たりましては、有害物質の指定範囲や検定方法に問題がないかどうか、こうしたこともやはり検討して洗い直す必要があるというように考えておりますが、この点はいかがでしょうか。
○竹村政府委員 ただいまの問題は、かなり技術的問題あるいは専門的な問題であろうかと思います。そういったようなことで、一般の監察調査の方法ではかなり困難ではないかというふうにお話を承って感ずるわけでありますけれども、この監察の実施計画をつくるまでに、その辺を検討いたしまして結論を得たいというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 世界的にもいろいろな問題があるわけです。アメリカのナイアガラフォールズ市で起きましたいわゆるラブ・カナル事件。この事件は、御承知だと思いますけれども、フッカー・ケミカル社がこの地区の運河、土地を自社の化学工場で発生したダイオキシンを含む産業廃棄物の投棄場所として使用しておりましたが、一九五三年に、このフォールズ市の教育委員会に、この土地をどんなトラブルが将来起きても一切責任は負わないという条件つきで譲渡いたしました。教育委員会の方は、ここに小学校を建て、残りの方は開発業者に売却して、業者はこれを宅地として分譲しました。その後、付近住民に流産や奇形児の誕生が続発するということかう、小学校の閉鎖、七百十家族、二千五百人の一時疎開という、これはもう社会的な大問題に発展した事件だと言われております。 こういう事件から考えてみますと、産業廃棄物による環境汚染が明らかになるのは、埋め立てが完了してから相当の年月を要する場合があるわけであります。また、現実に環境汚染が明らかになったときに、処理業者はもういないというような事態も当然予想しなければならない。ところが、現行の廃棄物処理法令で、これに基づく行政を見てみますと、こうした事態を予想したり、あるいはそういう場合の被害者救済という問題でも、長期的な展望に立った総合的な施策を実施するという、そういう点でもやはり法令に不備や欠陥があるというように見ております。こういう法令の問題につきましては所管の官庁ということになるかもしれませんけれども、やはり行政監察の実施に当たっては、こうした事態、事例、そういうものから法令の不備、欠陥の問題も見なければならないと思いますし、長期的、総合的な見地から将来に向かって禍根が残らないように、そういうような勧告を取りまとめるべきであるというように考えておりますが、この点についての見解を伺います。
○竹村政府委員 今度行いますこの監察は、廃棄物の適正処理を推進する、こういう観点から、処理の実態でありますとか施策の実施状況を調査することにしております。今御指摘になられました事例のほかに、例えば山間地等で廃棄物を埋め立てて、水源上の汚染の問題とかそういった問題があるというふうな話も聞いております。まだこの監察は実施するまで期間がありますので、先ほど御指摘になられました審議会の答申、いろいろありますので、幅広く勉強してまいりたいというふうに考えます。
○柴田(睦)委員 では次に、行政改革問題で、今後の推進課題についてどういう御見解であるか、聞いてまいります。 後藤田長官は、臨調行革路線推進の現状につきまして、まだ奥座敷には入っていない、その奥座敷の尤たるものは国鉄の分割・民営化だ、こう言っておられることが報道されておりますし、これ以外の重要なテーマとして、国と地方との役割、費用分担の調整を初めとする地方行革、あるいは経済的規制緩和や先導的科学技術開発、特殊法人改革などによって民間活力の活性化、あるいは行政情報システム整備や官邸機能の近代化、対外政策の処理体制、緊急事態対応体制の整備、こうしたことを柱とする内閣総合調整機能の強化、歳出構造の手直しによる思い切った歳出の削減などがある、こういうことを言われていることを我々は報道で知るわけです。 私は、臨調行革路線がますます強行されていくということには反対でありますし、行政改革を国民に奉仕する本来の方向に転換するように主張するものであります。我が党は、この立場からの提案もしているところであります。 中曽根内閣の、行政改革を進められるその行革内閣といたしましては、これから先どうなるかわかりませんが、秋の臨時国会あるいは来年の通常国会、何を重点として臨調行革路線を推進されていくおつもりでいらっしゃるのか。ひとつタイムテーブルをお示し願いたいと思いますが、長官いかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 これから先の行政改革のやらなければならない課題、これは今柴田さんがお挙げになったようなことを大体中心に進めていきたい、こういう考え方でございます。 そこでタイムテーブル、こういうことでございますが、当面の課題は、ことしの夏ごろまでに、国鉄再建監理委員会から国鉄の再建方策の御答申をちょうだいできるのじゃなかろうかと考えております。それから規制の緩和、この規制の緩和は、かねがね申しておりますように民間活力、ちょっと縛り過ぎておりますから、これをもう少し規制を緩和したい。ただ、そのときの考え方は、これは行革審に私の方からもこういう点はひとつぜひお考えいただきたいなという希望は表明してあるのですが、経済規制、これはできるだけ解除をするという方向で検討願いたい。ただ経済効率だけではいけませんから、やはりいわゆる社会規制、これは別途の観点で検討していただきたいということ。それからその次にお願いしてあるのは、機関委任事務、許認可権限の地方移譲、それから内閣機能の強化等についての答申が夏ごろまでにお出し願えるのではなかろうか。秋以降は、年末の来年度の予算編成期に差しかかるわけでございますが、これは今まで進めておりました通常の機構、組織、定員の審査のほか、審議会の提言を受けた具体的な方策を初めとして特殊法人の民間法人化、国、地方の費用負担のあり方の検討、これを踏まえた補助金の整理、こういったような各般の方策を推進する予定でございます。 これらが国会との関係でどうなるかは今にわかに何とも申し上げられませんが、法律改正を要するというようなものについては、間に合えば次の通常国会にこういった点についての法律改正案を御提案をしたい、かようなスケジュールを頭に描いておるのでございます。
○柴田(睦)委員 きょうは逐次御見解を伺うことにいたしまして、次に歳出カットということに関連する問題ですが、土光行革審会長がいつもおっしゃるのは、歳出カットのやり方の大部分は一律方式で構造的改革はほとんどできていない、こういうことを言われます。歳出カットの余地はまだあるのだ、こういうように宣言される。長官の方もやはり同趣旨の発言をいろいろな機会にされているように伺っております。政府は、これまで、行政改革ということで社会保障や文教などの各分野の制度改悪、政府の方は改悪と認めないでしょうけれども、制度を変えられる、それによって歳出削減が相次いで進められてまいりましたが、これから先、一体どういう分野でどのような構造手直しと歳出カットがやられるのだろうかということです。 土光行革審会長などは、社会福祉や農業施策の体系、義務教育費国庫負担制度の全面的手直し、あるいは国と地方の役割・費用分担の抜本的見直し、これをてことして歳出の大幅カットを断行すべきだということを主張しておられるようですが、政府も大体こういう方向で構造手直しと歳出削減をやられるというお考えでいらっしゃるのかどうか、お伺いいたします。
○後藤田国務大臣 第二臨調の行政改革についての基本のお考えは自立自助、受益者負担、民間活力、こういった三つの切り口で、行政全般にわたって聖域は設けない、こういうことで改革の御意見をおまとめになって、私どもそれを受けておるわけでございますから、私どもとしてはやはり行政全般についての改革をやりたい。したがって、それには制度、施策の根本にさかのぼった見直し、こういうことになるわけでございます。そういった結果が財政の再建に、改革にも役立っていくという考え方でございます。 そういうことでやりますと、制度全般を見直しますから、今おっしゃったような年金、保険あるいは教育といったものも当然対象になるわけでございます。これは補助金整理というものとの関連もございますから、やはりこういった点にもむだなものがあれば当然対象になるわけです。行政改革は、そういうことによって時代の変化への対応力を行政の組織あるいは運営の面でもつけていこうということでございますから、これはやはりやらざるを得ないと考えておるわけでございます。 そこで、今度の行政改革は御案内のように財政の改革と裏表になっておりますから、いわゆる行政改革だけでなしに行財政改革、こういうことで政府としては取り組んでおるわけでございます。 そこで、財政改革のやり方として、これもやはり制度、施策の基本に切り込まなければ財政改革もできませんから、土光さんがおっしゃるように、今までのやり方はどうも一律カットの方式で、制度、施策の基本にまで切り込んだやり方をやっていないのでないかといったような新聞記事は承知をしておるわけです。私、直接そういう御意見は聞いておりませんが、新聞記事だけでございますが、しかし、実際に今まで政府がやっておることはそうでないことはこれは御理解が願えると思いますし、先ほど言いましたように、政府もそういった一律カットだけでやるつもりはございません。ただ、財政の改革をやるという場合に、やはり一つの手法として一律カットというやり方もこれは私は一つの有効な手段ではなかろうか、こう思います。と同時に、今度は、もう財政再建で経費削減というのはここらで限度でないかという議論がございます。土光さんはそれに対して、そんなことはない、もう少し切り込めるという御意見、これは私、時々伺っておりますが、この点については私は土光さんと同意見でございます。本当に不急不要、惰性に流れているものといったような経費の削減はこれから先も相当やれる余地はある、ただ手法としてはいろいろなやり方があるだろう、かように、考えるわけでございます。
○柴田(睦)委員 今、大臣は行革に聖域はないということを言われましたが、この点は、土光行革審会長や稲山経団連会長なども、行革に聖域はないと堂々と言っていらっしゃるわけです。ところが、八二年度以降の予算の作成を見てみますと、この臨調型予算、財界の要望や臨調と行革審の一連の提言、軍事部門や経済協力、特に海外経済協力の問題です、それからエネルギー対策、さらにはアメリカの世界戦略と資本主義の構造的危機からの生き残り戦略に必要な行財政部門については切り捨ての対象から除外して、実際は聖域化しているというのが八二年度以降の予算の作成の傾向であるわけです。こうした矛盾を追及されますと、稲山経団連会長などは、聖域なしの真意として、聖域にするなというのは冗費があれば削れということだ、あるいは防衛費や経済協力費、エネルギー対策費などは必要があればふやせばいいんだ、こういわば開き直りというようなお考えを述べていらっしゃるわけです。長官が今言われました、また時々言われます聖域はないんだということも、こうした意味で言っていらっしゃるのかどうかお伺いをして、終わりたいと思います。
○後藤田国務大臣 私も、今回の行政改革は聖域なしに進めたい、こう考えておるわけです。要するにこの行政改革というのは変化への対応力を身につけなければならない、そしていわゆる行政サービスというものを強化していく、こういうことであろうと思うわけです。 今いろいろな御意見がございましたが、よく今度の行政改革は財界主導であるといったようなことを聞くわけですが、私どもが仕事を進める場合に、そんなことが世の中に通るはずがありません。私どもとしてはそういうことでなくて、どうすれば国民全体の幸せに通ずるのか、日本の国として今何をやるべきなのかということがあるならば、むだを省く、効率の悪いものを直す、その力を必要な面に向けていくということでなければならぬのではないか、こう考えるわけです。ならば、例えば今たまたまお話に出ました海外援助の問題なんかは、これは国際社会の中における日本の役割ということを考えれば、当然充実していかなければならぬ課題であろうと私は思うのです。しかし海外援助の中にも、やり方が悪いとか、やり方が不適当であるとか、むだがあるとかいうことになれば、当然私どもとしては検討の課題にせざるを得ない。こういう基本的な態度でやるのであって、特別な階層の方にどうこう、財界に奉仕するとか、そんなことはいささかも私としては考えておりません。
○柴田(睦)委員 きょうは長官の行革に関する御意見をお伺いすることにいたしまして、後日個別的な問題については意見を述べさせていただきたいということを申し上げて、終わります。
○中島委員長 午後一時から再開することとし、この際休憩いたします。 午前十一時五十六分休憩 ――――◇――――― 午後一時開議
○中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質既を続行いたします。渡部行雄君。
○渡部(行)委員 まず、時間の関係で内閣官房長官からお伺いいたします。 今度、昭和五十九年十二月二十一日付で戦後処理問題懇談会報告というものが出されたわけでございますが、この報告を見れば、まず恩給欠格者問題、それから戦後強制抑留者問題、そして在外財産問題等、問題を三つに分けて、その問題に限って結論を出されておるようですが、そのほかにもたくさんの戦後処理問題があると思いますが、その点はこの懇談会では議論しなかったでしょうか。その審議の過程をお聞かせ願いたいと思います。
○吉居政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、昨年の十二月二十一日に戦後処理問題懇談会から報告をちょうだいいたしたわけでございますが、この懇談会における検討の過程におきましては、実はいろいろな関係者の方々からも陳情や御要望も伺い、また関係者からもヒヤリングを行ったところでございます。 戦争といいますと、国民すべてが何らかの意味で損害をこうむるわけでございますから、いわば全国民がその意味では戦争の被害者とも言えるものでございます。そこで、戦後処理問題というものをどのようにとらえるかということによりまして非常に広くもなりますし、そうなれば、またこの懇談会ですべてを取り扱うということは実際上非常に難しいわけでございます。そこで、特に重要と考えられます恩給欠格者問題、それから戦後強制抑留者問題、それから在外財産問題というものの三つを中心にいたしまして、一般戦争被害ということも念頭に置きながら議論が続けられたわけでございます。 この報告におきましても、この三つの問題が中心にはなっておりますが、このような報告にまでまとめられる過程におきましては、冒頭申し上げましたように、いろいろな問題も念頭に置いてこのような御報告を我々としては受けた、こういう過程でございます。
○渡部(行)委員 いつも政府は、戦後処理問題に関して質問すると、国民はすべて何らかの形で戦争の被害者である、そして、そういう言葉の中で戦争損害というものを一緒くたにして考えているところに問題があるのですよ。判決もそうです。この「多かれ少なかれ」という言葉でごまかしておるのです。多かれと少なかれを一緒にされて、ここに公平というものができますか。我々は多かれだからこそ問題にするのですよ。少なかれの方は何も問題にする必要はないわけで、それを一緒にして考えるところに、そもそもこの戦後問題の矛盾があるのです。 それでは、戦争損害と言うが、戦地に行って戦死した人は戦争損害じゃないですか。あれはちゃんとお金を支払っているのでしょう。そういう同じ戦争損害でも、勝手に政府が解釈しては困ると思うのです。しかもこの処理懇の出した報告の中にも、「すべての国民が程度の差こそあれ何らかの戦争犠牲を被り、筆舌に尽くしがたい労苦を体験したという事実に着目すれば、社会衡平の観点からいって問題があろう。」と言っている。ところがこれは、ここでは「問題があろう。」と言っていて、最後には全部否定しているのです。この三項目について、その個人的な補償その他は必要がないと、したがって、そういうものは将来、記憶に残す意味で基金制度等を創設すればいいじゃないか。こんな人をばかにした結論を二年半もかかって、しかも一千五百万の予算を使ってこんなものを出したところに、私は問題があると思いますよ。恥ずかしくて普通なら出せませんよ、こんな結論を。しかも今言ったような、この三つ以外のものは戦争損害であるから一緒くたにしてそれも議論はしたが、しかしここには入っていない。しかもその他の問題、例えば旧満州軍の日本人あるいはその他の軍属の問題あるいは台湾人の旧日本軍の問題、そういうものがたくさん出て、現実に今、請願書が採択されているのじゃありませんか。そういうものを全く議論しないのと同じような報告書を出すというのは、国民に対する背信行為だと私は思いますが、その点はどうでしょうか。
○藤波国務大臣 特に国会など各方面におきまして、今申し上げましたシベリア抑留の問題あるいは軍人恩給の欠格者の問題、在外財産の問題などが大きな意見として浮かび上がってまいりまして、それらを受けて懇談会を設置いたしまして、いろいろな角度から御意見をお述べをいただいてきたところでございます。その間、今審議室長からお答えをいたしましたが、いわゆる戦後処理問題について、いろいろなその他の問題についても意見が出されまして、それらの中で、最終的には今先生のお手元にございますような報告書になってまとめられた。その間には、随分回を重ねていろいろな角度から御意見を出していただき、また委員間でもいろいろな御議論もいただいてきたというふうに私ども受けとめさせていただいておりまして、大変な御労苦の上に立ちまして今の報告書が提出をされたところでございます。その報告書に基づきまして、基金の創設に向かって検討を進めていくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。
○渡部(行)委員 そこで、私は、まず一つ確認しておきたいのですが、昭和四十二年の政府・自民党間でなされた合意事項というものがあるわけですが、これによれば、もう戦後処理問題はすべて完結したという趣旨のことが確認されているわけです。しかしながら、昭和五十六年十二月の政府・自民党合意は、これによって改めて戦後処理問題を検討せよ、こういうことでこの戦後処理懇ができたと思うわけです。また、昭和四十二年以降においても実際に戦後処理問題が一部手直しされる、そういう事実もあるわけで、そうなるとこの昭和四十二年の合意事項というのはその時点でもう失効したのではないか、効力を持たないのではないか。そして今は、戦後処理問題というのは五十六年の政府と自民党の合意事項が生きているというふうに解釈していいのではないか。こう考えますが、いかがでしょうか。
○藤波国務大臣 ただいま先生御指摘の昭和四十二年の自民党と政府の責任者との間で交わされました了解事項では、そのときは引揚者に対する特別交付金の問題が大きく浮かび上がっておりまして、そこで総額千九百二十五億円計上する、「本施策により在外財産問題あるいは引揚者に関する措置は完全に終了したものとする。」「本件措置をもってあらゆる戦後処理に関する諸措置は一切終結したものとする。」こういう了解事項になっております。 一方、ただいまも先生から御指摘がございましたように、昭和五十六年十二月に政府の責任者と与党の代表の方とのお話し合い、「政府・党合意」、こう申しておりますが、この文書でまいりますと、 政府としては、これまで、戦没者遺族、戦傷病者等について一連の援護等の措置を講じてきたところであり、昭和四十二年の政府・与党間の了解に基づき、戦後処理に関する一切の措置は終結しているので、新たな給付金等の特別な措置を講ずることは適当でないと考えているが、戦後三十六年を経た現時点において、いまなお一部に強い要望のある右の問題に関し、民間有識者による公正な検討の場を設け、これらの問題をどのように考えるべきかを検討することが必要であると判断するに至った。 こういう合意のメモになっておるところでございます。 ここでも一度「昭和四十二年の政府・与党間の了解に基づき、戦後処理に関する一切の措置は終結している」、こういうことをうたっておりますように、この政府と党との四十二年の合意はやはり生きておるもの、しかしなおいろいろ御意見があるので、どう考えたらいいかということをひとつ懇談会で検討してもらおうではないか、こういう構えになっておるところでございまして、四十二年の了解事項が一度御破算になっておるというふうには考えていないわけでございます。
○渡部(行)委員 私はどうもそこが理解できないのです。一たん終わったならば、その後につながるということは論理上許されないんじゃないでしょうか。終結すればもう何もその後にはないというのが終結だと思うのです。ところがどうですか、元従軍看護婦の処遇の問題にしても今度の戦後処理懇にしても、これはつながっているんじゃないでしょうか。それは政府の頭の中には、一応は一方的に宣言はしてみたものの、この関係者からの相次ぐ請願、陳情運動によって、どうしても何らかの形でこたえなければならない、そういうことを考えたので結局この処理懇を発足させて、そして国民の前に、おれたちは今もこうして努力しているんだという姿を見せようとしたわけではないでしょうか。しかも、自民党の元幹事長までやった方がこの超党派でつくっている議員懇談会の会長をやっているのですよ。そして、各三つの問題の議員懇談会の会長というのは皆自民党の大臣経験者だ。それがどうして、終わったという認識があるならばそういう責任ある立場に立てるでしょうか。これこそまさに馬の鼻草のように、国民に対して、今やってやるぞ、やってやるぞという格好だけ見せて、選挙に駆り出す一つのポーズをとっているにすぎないと私は思うのですよ。もしこんなことだとすれば、これはもう政治家として本当に許されないことだと思う。自民党の政治家というのは、大臣や幹事長をやっても見通しがつかないのでしょうか。これはできるかできないかの見通しもつけられない者が、どうして国の政治を担うことができましょうか。その点はどうですか。私は名前を出しても構いませんけれども、殊さら名前は今のところ伏せておいても官房長官は知っているはずですから、どうかひとつお答えください。
○藤波国務大臣 昭和四十二年に戦後処理に関する諸措置は終わった、こういうふうに政府と党とで合意をいたしておるところでございまして、その考え方は生きておるわけでございます。そのことは政府内、与党内全部よく了知のところでございます。 問題は、先ほど「多かれ少なかれ」という表現について先生からおしかりをいただきましたが、戦争では本当に多かれ少なかれ皆犠牲をこうむってつらい思いをしてきておりまして、その中でどういう方々が本当にお気の毒で、戦後処理をしなければならぬ対象として措置すべきであるかという、ここのところの公平さを確保するというのは非常に難しいことであろうか、こう思うのでございます。同時に、戦争によるいろいろな犠牲などが非常に大きかったものですから、すべての措置は終わった、こうしつつも、その後該当者の方々を中心にいたしましていろいろな御要望、御意見が出てくる。その問題を政治としてどのように受けとめたらいいのか、これもなかなか難しい問題かと思うのでございます。そういうところから議員連盟などが生まれまして、これらの該当者の方方の御要望を政治の側で受けとめて、これらを実現するようにという運動になっておるもの、このように考える次第でございます。 非常に難しい問題でございますので、戦後四十年たちましてもこういういろいろ難しい問題が浮かび上がってきておる。政府としては非常に対応に苦慮をしながら今日まで来ておるところでございまして、特に、先ほど来申し上げております軍人恩給の欠格者の問題、シベリア抑留の問題、在外財産の問題等につきましては特に大きな声として浮かび上がりましたので、懇談会を設けていろいろな御意見を聞いてきた、こういうことになっておる次第でございまして、基金の創設ということを中心として意見がまとめられましたので、その線で政府といたしましても対応していくようにいたしたい、こう考えて予算の計上をお願いをして、今日に至っているところでございます。
○渡部(行)委員 今度約一億五千七百万ですか、それだけの予算がつけられたようでございますが、最初この予算というものは、基金をつくるだけのためにつけられたのではなくて、個人補償を含めた万般の問題についての調査費、検討費、こういうことで約一億五千七百万の予算措置がとられた、こういうふうに聞いておるのですが、今の官房長官のお話によりますと、これは戦後処理懇の報告を受けて基金づくりのためにこの予算をとった、こういうふうに聞こえるわけですが、そうなると、今自民党のある議員さんたちが、我々の力でこの予算をとって、今度、あなた方の補償問題もこの中で解決する方向に進んでおりますよと、抑留者の方々にはがきをどんどん出しておるのですが、こうなるとこれはうそですね。どうなんですか。事実に反しますね。
○藤波国務大臣 戦後処理問題懇談会の報告におきましては、いわゆる戦後処理問題についてはこれ以上国において措置すべきものはないとするとともに、一方、関係者の心情に深く心をいたすという趣旨から特別の基金を創設するということをこの報告書の結論にいたしておるところでございます。これを受けて、検討と調査を進めるということで今般の予算化をお願いしてきたところでございまして、予算が成立いたしましたので、これを検討いたしてまいりますために特に対策室を設けまして、そして、いろいろ従来この問題について御心配になってきた方々の団体などもあるわけでございますので、これらの方々の御意見もよく聞く。それで、どのような規模でどのようにして基金を活用していくのかといったようなことについても、報告書で御提案はいただいておりますけれどもまだ全く白紙でございますので、どのように基金を設け、活用していくかということを中心にいたしまして検討を進めていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございまして、早速にその作業に入っていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
○渡部(行)委員 そうすると、どういう名称の機関だかわかりませんが、それを後で明らかにしてもらいたいと思いますが、そこではこの報告書に基づく基金のあり方というものを調査、検討していくんだ、こういうふうに理解していいわけでしょうか。もしそうなると、あの自民党の一部諸君が言っておる補償金も含めてというのは、うそだというふうにはっきりと認識してよいでしょうか。
○藤波国務大臣 懇談会の報告書の中に基金の創設がうたわれておるところでございます。今般、予算化をお願いいたしまして、そして総理府を中心にいたしましてこれを検討していくということは、基金の創設を中心といたしまして検討していく、こういう考え方でおるところでございます。 各方面からいろいろな御指導もございまして、どのようにして基金を創設し、また基金を活用していくということにするとしても、どういうふうな該当者の方々の実態になっておるのかというような事実関係などもわからなければ何を議論することもできないではないか、いろいろそんな御指導、御指摘もちょうだいをいたしてまいりまして、したがいまして、この基金の創設ということを中心として検討を進めてまいります中でいろいろな調査を進めていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
○渡部(行)委員 官房長官は時間が余りないそうですから、骨だけをまずお聞きいたしますが、今の御答弁は、若干ゆとりがあるように受け取れるようなお話だと思います。 それからもう一つは、アメリカに捕虜になった方あるいはイギリスに捕虜になった方が日本に帰ってきたとき、その条約上の責任ある署名があればそれに対して労働賃金を支払った事実があるわけですが、この事実は間違いありませんか。
○吉居政府委員 ただいまの先生の御質問は、第二次世界大戦後、外国から日本に帰国した日本人には、出発前に連合国から発行されました米国、オーストラリア、ニュージーランド及び東南アジアの通貨表示の現金預かり証によりまして、日本銀行の本店、支店等において換金することが認められていた、このことではないかと思うのでございますが、そのような方法は当時認められていたわけでありますが、実際にそれをどのように活用されたか、実行したかしないかといった点につきましては私どもつぶさにいたしておりません。
○渡部(行)委員 ここにその資料があるのです。これを読むと時間がなくなりますから、見て知っているはずですが、ちゃんとこれに兵隊の名前まで全部一人一人書いて、そしてその受け取るべき金額が記されているのです。 そしてまた、こういう文書もあるわけですね。私は横文字が読めませんからちょっとあれですが、件名は「戦時捕虜の所得」ということで、その二項に「合衆国陸軍支払い規定は、元戦争捕虜の各自の名において、支払われるべき総金額を明らかにし、現在準備中であり、受け取りしだい、大蔵省に送付する。 ジョン・B・クーレイ副官、大佐」こういう文書まであるのです。 それから大蔵省の文書の中には、今出したような全部の一人一人の金額まで書いて、それを支払った趣旨の文書もあるわけです。しかもイギリスについては、またこれは労務報酬として英軍から交付された個人計算カードで支払っているわけです。この事実は認めるでしょう。
○吉居政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたような事務は、当時引揚援護局が行っていたようでございますけれども、現在私ども問い合わせてみましても、その辺の事実がそうであるかどうか定かにしておりません。
○渡部(行)委員 そういうでたらめを言いなさんな。私は援護局にこの質問を通告して、援護局の人にどうなんだと言ったら、それは大蔵省で全部書類も保管してありますということなんです。その事実は援護局の方がはっきり認めているのですよ。あなた、でたらめなことを言いなさんなよ。私はちゃんと質問を通告して、そして資料のコピーまで渡しているんだよ。そんな勉強不足で、人の方に責任をなすりつけるようなことではしようがないじゃないか。
○浜中説明員 ただいま先生から御指摘いただきました御質問でございます。 捕虜に対する抑留期間中の賃金の支払い等に係る御指摘は、昭和二十一年三月三十一日付の「外国為替管理法施行規則または昭和二十年大蔵省令第八十八号の規定による制限並びに報告を免除する大蔵省告示」に係る御指摘かと思いますが、捕虜に係る就労金について、持ち帰り金制度の特例として、制限を超えて支払い得るよう措置されたということであろうかと思います。 本告示は、当時施行されておりました外国為替管理法令等に基づくもので、例えば、本邦に帰還する本邦人の持ち帰り金につき千円相当額以内の交換等を定めるとともに、「但シ俘虜タリシ者ニ付テハ俘虜タリシ期間中ニ於ケル収入金ニ付左ノ金額ヲ超エ其ノ支払ヲ受クルコトヲ得」と定めているものでございます。したがいまして、捕虜であった者につきまして、御指摘のような収入金あるいはそれを証するカード等に基づいて交換等を行うよう大蔵省から告示が出ているところでございますが、実際の手続等につきましては、引揚援護局の事務所等あるいは日本銀行の事務所等において行われたのではないかと推測されるところでございますが、厚生省等の御協力を得ませんと、この最後のところにつきまして確たるお答えを申し上げることができない、こういう事情にあることを御理解賜りたい一と思うのでございます。
○渡部(行)委員 これは証拠書類の文書まで出ているんだから、その確認ぐらいは私は今までのうちにできると思うのですよ。 それで、この捕虜の労働賃金についてはアメリカでは一日八十セント食費以外に支払ったといいますが、それは間違いありませんね。
○吉居政府委員 申しわけありませんけれども、ただいまのような内容につきましては私ども十分承知をしておりません。
○渡部(行)委員 これは後で調査して資料として出してください。 それから、この金の支払い方またはその証明書の出し方も、イギリスとアメリカでは違っているわけです。これは一体本当の所管庁というのはどこなんでしょうか。その取り扱いについてはっきりとした答弁をしてもらいたいと思います。
○吉居政府委員 その当時どこが主で行ったか、ちょっと今直ちに私わかりませんが、その辺は十分調べてみます。 今後この問題をどのようにして取り扱うかにつきましては、今後また関係省庁でよく相談をして対応していきたい、こう考えております。
○渡部(行)委員 それでは、予算上の勘定科目は何からこの支払いがなされているのか、そしてその支払われた対象人員は何名か、その支払いの総額は幾らか、それは国別に、アメリカの捕虜、イギリスの捕虜その他、そういうふうにして出してください。ひとつよろしくお願いします。 そして、官房長官にお尋ねいたしますが、アメリカやイギリスやあるいはオーストラリアの捕虜になった方が、一日当たりについて幾ら、あるいは一人総額でどれどれと明確に区分されて払われているのですが、それが事実だとすれば、いわゆる権衡の立場、公平の立場というところからして、これはシベリアの抑留者に対しても同一取り扱いをしなければならないと思いますが、その点はいかがなものでしょうか。
○藤波国務大臣 今審議室長からお答えを申し上げましたようによく調査をさせていただきたい。非常に古い記録になりますので、どれぐらい調査ができるかと思いますけれども、最善の努力をして調査をしてみたい、こう考えておるところでございます。 問題は、アメリカとかイギリスに捕虜になった者には補償がされているかどうかというところについても、事実関係もなかなか定かでありません。大戦後、日本に外国から帰国をいたしました日本人に対しまして、出発前に連合国から発行された米国、オーストラリア、ニュージーランド及び東南アジアの通貨表示の現金預かり証により日本銀行の本店、支店等において換金することが認められていた、こうされておりますが、シベリア抑留者にはこのような現金預かり証が発行されなかったというようなことは聞いておるところでございます。 問題は、アメリカとかイギリスとかと比較をしてどうかというお話でございますけれども、これはさらによく調査をいたしました上でないと何ともお答えのしようがございませんので、今審議室長から申し上げましたように少し調査をさせていただきたい、このように考える次第でございます。
○渡部(行)委員 そこで参考までに、イギリスに捕虜になった数は約五万六千名、そして支払われた金が七百六十万ポンド、こういうふうに言われております。それからアメリカは先ほども言いましたように食強のほか一日八十セント、こういうふうになっているそうでございますから、その辺の事実関係をひとつ明確にしていただきたいと思います。それは今みたいに大蔵省は逃げられないのですよ、いろいろと書類が次から次に出てきておりますから、よほど慎重な調査をしていただきたいと思います。それから、官房長官に特にお願いすることは、それは法律上はいろいろな関係があるでしょう。その国によって不備のところもありますし、また非常にきめ細かに法体系ができ上がっているところもあるわけです。そこで、日本には法律上の支払い義務がないからどうでもいいんだという理屈だけは、私はどうもいただけないのです。なぜかと申しますと、例えば台湾人元日本兵の問題にいたしましても、これは法律を超えた人道主義だと私は思いますよ。外国人が日本の天皇陛下をありがたがって「天皇陛下万歳」と言って死んでいった、そういう人たちを、今度戦争が終わって日本が負けて、あなた方は日本人でなくなったからどうでもいいという、こういう思想が本当にあなた、この人類社会で通用するでしょうか。これはいろいろ関係が出てくるとは思いますけれども、しかし、そういう基本的な人間として当然こうなければならないというものだけは、議員立法でも何でもつくってやればいいじゃないでしょうか。あなたは官房長官であると同時に衆議院議員なんだから、そういうことを考えていただきたい。藤波官房長官は非常に誠実な人であると私は思っておりますから、どうかその私のイメージを壊さないでください。お願いいたします。
○藤波国務大臣 お褒めいただきましてどうもありがとうございます。 こういう問題は、人道主義に基づきまして、大変御迷惑をかけたことに対して適切な処理をしなければいかぬというふうに、気持ちの上ではまさに先生御指摘のとおりに考えてこれから検討に入っていきたい、このように考えておるところでございます。 台湾人元日本兵の問題につきましても、この問題をどう考えるかという検討を進めていくことにいたしておりまして、予算が成立いたしましたので、早速に、総理府を中心にいたしまして関係省庁集まりまして、協議を進めていくようにいたしたいと考えておるところでございます。 問題は、そのような人道主義的な立場でこの問題を処理したいという気持ちで出発いたします協議の中で、外交上この問題がどういうことをもたらすか、あるいは財政上どういうことになるか、あるいはそのほかの国々との関係をどうするか、いろいろな問題が出てまいりますので、現実的に処理をしようと思います場合には、いろいろな角度から検討せざるを得ないという立場にありますこともまた御理解いただきたいと思うのでございます。 いずれにいたしましても、きょう先生からいろいろ御指導をちょうだいいたしましたことを頭に置きまして検討を進めてまいりたい、このように考える次第でございます。
○渡部(行)委員 それからもう一つは、世界の国国等の情勢を見ながらと言われましたが、この捕虜問題については、西ドイツあたりは立派に法律をつくって解決をしておるわけです。ですから、戦後処理は終わったのだというそこにこだわらないで、これだけ問題になっているものは一体何なのか、そこを本当にみんなが理解できるような結論を得て国民を指導するというなら話はわかる。しかもそれは政府と自民党との一方的宣言と言っていいようなものですから、民主主義の社会にあってはそういう手法というのはどうもいただけないのです。 ですから、ここで私は提案しますが、もう一度戦後処理全部、どういう問題があるんだ、これを本当に解決するにはどうしたらいいのか、こういうことで国会議員で議論してはどうでしょうか。よくいろいろな委員会だとか審議会だとか懇談会だとかをつくりますけれども、これは選挙で出てきた人たちじゃないのです。国会議員は国民から選ばれた代表なんです。この代表と本当に相談しないで、よその人と相談したって本当の話ができますか。そういう点で、もう一度国会挙げてこの戦後処理に関する全問題をひとつ検討してみる、そして明確な、だれもがこれではやむを得ない、わかったというような結論を出すべきじゃないかと私は思いますが、官房長官、どのようにお考えでしょうか。
○藤波国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、戦争によりますいろいろな犠牲は多かれ少なかれすべての日本人が負っておるものであると考えておりまして、戦後累次にわたりましていろいろ戦後の処理について努力をいたしてきておるところでございます。それらを踏まえまして昭和四十二年に政府・与党で、国として措置すべきことは終わった、こういうふうな合意に達してきておるところでございまして、今日でもなおいろいろな御意見が連日のように寄せられてきておりまして、実に心を痛めているところでございます。原子爆弾の犠牲になった人の問題をどうするのか、あるいはいわゆる内地、国内で戦災に遭って亡くなった方々の問題はどうするのか、いろいろとそれぞれのお立場によって御意見のあるところでございます。それだけに、これらの問題を全体を通じてどのように戦争によって犠牲になったことについての公平性を確保するかというのは実に難しいことでございまして、それが先ほどの、いい言葉ではないと思いますけれども、みんなが多かれ少なかれ犠牲になったところであるというような表現になっているところでございます。 しかし、なお、いろいろ御意見のあるところでございまして、今後、国会におきますいろいろな御論議などもよく傾聴させていただき、政府としても勉強させていただきたいと思いますが、それはあくまでも四十二年の合意の上に立って考えていかざるを得ないか、こんなふうに考えておるところでございますが、気持ちの上ではなお心を痛めつつ今後もよく勉強していきたい、こういうふうに存ずる次第でございます。
○渡部(行)委員 大変お忙しい時間をどうもありがとうございました。それではひとつ今後とも十分検討されることをお願いして、官房長官に対する質問は終わります。 次に、恩給法等の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。 まず、この年金改革というものは、最近あらしのように強烈に全問題が出ておるようでございます。そこで私は、この年金と恩給という問題、その生い立ちというものから考えて、もう一度ここで、恩給の意義、また恩給の性格というものをどう理解してよいのか、その辺をお伺いいたします。
○藤江政府委員 恩給の意義及び性格につきましては、先生御承知のとおり恩給法には別段の規定はございません。しかし、私どもとしましては、恩給は公務員が相当年限忠実に勤務して退職した場合、公務による傷病のために退職した場合、または公務のために死亡した場合におきまして、国が、その者との特殊な関係に基づきまして、使用者としてその公務員またはその遺族に給付するものでございまして、公務員の退職または死亡後における生活の支えとなるものであるというふうに解するのが相当と思います。 したがいまして、一定の拠出金に応じまして、保険数理の原則によって支給されます社会保険、あるいは資産その他あらゆるものを活用してなお生活に困窮する国民に対しまして最低生活を保障いたしますところの公的扶助とは、その考え方につきまして、沿革につきましてまた相違するものでございます。しかしながら、恩給の性格はこれらの社会保障とは異なるということではございましても、個々の問題の取り扱いに当たりましては、恩給の性格からくる基本的な枠組みにつきましては動かしませんけれども、社会保障的な考え方あるいは社会保障的な手法というもの、具体的に申しますと、例えば最低保障というふうなものは取り入れておるということでございます。
○渡部(行)委員 そうすると、年金はいわゆる拠出金によってその給付を受けるから保険制度として解釈していいが、恩給というのは忠実にその職務を遂行した公務員に対して国が恩恵的に支払うものだ、こういうふうに解釈していいでしょうか。したがって、社会保障というか国家補償というか、そういう性格のものだ、こういうふうに解釈していいでしょうか。
○藤江政府委員 恩恵という御指摘は必ずしも当たらないと思いますけれども、国家補償的なものというふうに解するのが妥当と思われます。
○渡部(行)委員 今社会保障制度審議会というのがありますが、そこで所掌しておる事項とこの恩給制度とは一体どういうふうに関係していくのか、その辺の関連についてお伺いいたします。
○藤田(恒)政府委員 社会保障制度審議会といたしましては、恩給制度というものを広い意味での社会保障の一環というような位置づけでもって考えておるわけでございまして、過去におきましても、年金制度との関係でいろいろ意見を申し述べているような経緯がございます。
○渡部(行)委員 今月の十日、社会保障制度審議会から内閣総理大臣に対して「公的年金制度に関する意見」というものが出されておりますが、この意見書の中に、「共済年金制度創設以来の最大の改革を行うに当たっては、いわゆる官民格差の要因となっている恩給制度についても、今回の改正との均衡を考慮し、スライドの在り方その他を含め速やかに不公平を是正する等の措置が望まれる。」と述べられているわけですが、この意見書に対する御所見を、これは総務庁長官にお願いいたします。
○後藤田国務大臣 恩給の性格をどう考えているのだということが基本になろうかと思うのですが、恩給制度は長い歴史的な沿革もあり、戦後は一方社会保障制度が充実をしてくるといったようなことで、恩給制度と社会保障の制度としての公的年金の関係がどうなるのだということは、お立場によって見解がいろいろ異なっておることも承知いたしております。 今日、私ども政府といたしましては、先ほど局長が申しましたように、恩給制度についてはいわば国家補償的な性格が強い、ただ他の公的年金とのバランスその他の点については配慮しなければならない、こういうような考え方に立っているわけでございます。 そこで、御質問の社会保障制度審議会から格差の問題について恩給について考えたらどうだ、こういうようなことでございますが、これは社会保障制度としてのお立場からそういう御意見だろうと思いますので、私どもとしてはやはり、公的年金と恩給とのバランスということは今申し上げましたようにある程度配慮しなければなりませんけれども、基本の性格について国家補償的色彩である、こういう考え方でございますので、バランスは考えまするが、公的年金と恩給を全く同じ扱いにするという考え方は持っておりません。
○渡部(行)委員 そこで、意見書の中にある「不公平」というのは一体何を具体的に指しているのか、まずここから聞いていきたいと思います。
○藤田(恒)政府委員 お答えいたします。 先生御承知のように、恩給制度というのは三十四年になくなりまして、公務員は共済制度に引き継がれております。従来、公務員の共済年金につきましては恩給のスライドに合わせて実質価値を維持してきたわけでございますけれども、今般の改正では共済制度は恩給との関係を断ち切るということになったわけでございます。具体的には物価スライドしか行わない、それからいわゆる官民格差、非常に高い額の年金があるわけでございますけれども、そういうものにつきましては、現在の通算年金方式という方式で計算した額が実際にもらっている額よりも少ない場合には、当分の間スライドを停止するというような措置を講じているわけでございますが、こういうことをいたしますと、恩給だけをもらっている人と恩給がもらえなくなって共済の方へ乗り移った人との間においてアンバランスが出てくるというのが一番大きな問題でございます。 恩給と共済でどうしてこういうふうになったかと申しますと、一番大きいのは、共済につきましては、年金なり掛金の算定が、実際の本俸ではなくて四十五万円という頭打ちがあるわけでございますが、恩給の方に行きますと、現在百万なら百万もらっている人はそのままそれで最終俸給として計算されるということがあるわけでございます。こういうようなことを今後打ち切りまして、全部四十五万という線に切るというようなことになりましたために、従来恩給と共済というものはバランスがとれていたわけでございますけれども、共済の側からそういう意味でスライドをストップするということになりますと、同じ文官、特に文官の高級公務員でございますけれども、従来バランスのとれていた問題がここでもって大きく崩れてくるというのが一番大きな問題ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
○渡部(行)委員 今後の恩給のスライドのあり方ということが指摘されているわけですが、今恩給というのは給与が上がるごとに上がるという給与スライド制をとっていると思いますが、ここでこういう指摘をしておるということは、逆に給与スライドから物価スライドに変えなさいということを指摘しておるのかどうか、その点について。
○藤田(恒)政府委員 恩給につきましては軍人恩給とか文官とかいろいろさまざまなものもございますし、額もいろいろ違っているということでございますので、一概に全部物価スライドにしろというような意味ではございません。共済年金との関係において不合理になるようなことがあればやらなければいかぬということでございまして、共済の方は物価スライドすらしない場合があるわけでございます。そういう意味において、それに準じたものについて恩給の方もスライドをとめるというような必要もあるのではないかというような御意見も一部に出ました。ただ、それはすべてについてとめるということではなくてごく高いところということで、全般的にどういうようなスライドのあり方にするということにつきましては恩給の方でもって十分お考え願いたい。ただ、そういうような均衡上問題があるということでもってこのような表現になっているわけでございます。
○渡部(行)委員 そこで、今度は、これは総務庁長官にお伺いしますが、国会でよく附帯決議というものを行いますが、この国会の附帯決議については政府はどのようにこれを受けとめておられるのか、また政府がこれにどの程度責任を感じておられるのか。附帯決議と政府の関係についてお伺いしたいと思います。
○後藤田国務大臣 当然のことながら、立法府の御意思でございますから、附帯決議あるいは御採択があった請願の処理、こういった問題については政府としてはその実現に向けて努力する、私どもかねがねそういう心構えで処理しておるつもりでございます。もちろんできるだけやるということでございまして、中にはとても無理であるなというものもあることは御理解を願わなければならぬ、かように思うわけでございます。
○渡部(行)委員 そこで、今度は具体的にお尋ねいたしますが、今度の法改正に当たって、昨年の四月二十四日に衆議院内閣委員会で決議されたこの附帯決議というものは一体どの程度反映されておるのか、その尊重の度合いについてお伺いしたいと思います。
○藤江政府委員 昨年、附帯決議をいただいたことにつきまして、本年の改正法で措置いたしましたことについて御説明申し上げたいと思います。 二項目ございまして、一つは「恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等を図ること。」という項目がございます。また「扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。」という御決議がございました。これは相関連いたしますので一緒に説明させていただきますけれども、まず普通扶助料について最低保障額を充実いたしているわけでございます。この点については、制度設定以来最初五〇%でございましたものが、その後現在では六六・一%という普通恩給に対する比率になっているわけでございますけれども、さらに本年度においては、厚生年金の遺族給付とのバランスということで、その水準に到達することを目標といたしまして、特段の増額をいたしているのが第一点でございます。 それから第二点といたしましては、公務扶助料について、長年の目標でございました遺族加算を含めまして月額十二万円を、特段の措置において到達いたしたということでございます。
○渡部(行)委員 そこで、恩給年額の改定は給与改善に連動すると考えでいいのかどうか、その点についてお伺いします。
○藤江政府委員 恩給法二条の二で実質価値の維持の趣旨の規定があるわけでございますけれども、その具体的な運用といたしまして、先生御承知のとおり、四十八年以来前年度の公務員給与のアップを指標といたしまして上積みしているということでございまして、制度的に当然連動するという仕組みにはなってございません。
○渡部(行)委員 制度的にはなっていなくても、実質的には給与改善に連動してきたと思います。しかも、先ほど言った附帯決議の中には「恩給の実施時期については、現職公務員の給与との遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。」こういうふうになっているわけですね。ところが、どうでしょう。今度の改正案を見てみますと、昨年は十一カ月おくれだったのを、今度はまた十二カ月おくれに逆戻りしているのですね。どこか改善されたところがありますか、支給時期について。逆に悪くなっているということはどういうことでしょう。
○藤江政府委員 五十九年度におきまして実施時期を一カ月早めたという理由につきましては、昨年のこの委員会でも御議論いただいたわけでございますけれども、五十八年度の恩給のベースアップが実施されなかったという特殊事情を考慮した特例措置であるということでございます。したがいまして、今回は、先生これも御承知だと思いますけれども、十月であったのが徐々に四月になった、その四月という原則に返ったということでございます。
○渡部(行)委員 四月が原則だというのはおかしな話じゃないでしょうか。一年おくれだということを議会は指摘しているのですよ。それを一年を早めて同時期に一体化して出せという、つまりこれは給与改定法とワンセットで出しなさいということだろうと思うのですよ、手っ取り早く言えば。それが一年おくれの四月が原則だなんてどこにかかっているのですか。何か法律にありますか。
○藤江政府委員 確かにそのようなお考え方はございます。ただ、先ほど来御説明申し上げておりますように、具体的な法二条の二の運用といたしまして、前年度の国家公務員の給与のベースアップを指標といたしたということを十年来継続いたしているわけでございまして、直ちに恩給の水準そのものが一年おくれではないと私ども考えている次第でございます。
○渡部(行)委員 そうすると、この附帯決議、これは誤りですか。
○藤江政府委員 ただいまも申し上げましたように、誤りということではございません。私どもとしては、種々検討の結果、現在のような措置を継続しているということでございます。
○渡部(行)委員 この性格というものと事情によってやむを得ないということは、異質の問題なのですよ。だから、仮に金がなくて、財政不如意でやむを得ず一年おくれにしておりますというなら、それはそれなりに理解できるのです。ところが、国会が決議してこれを一体化しなさい、一年のずれを直しなさいという場合には、これは全然異質のものなのですよ。そういう点はどういうふうにお考えですか。とにかく国会の附帯決議は附帯決議として理解できますが、財政の都合上こういうふうにしておるのならおりますと、そう言えば、私の方でも納得できるのです。
○後藤田国務大臣 別段、附帯決議が間違いであるとかなんとかということではございません。ただ、四十八年以来これは定着している制度なんですね。その定着した物の考え方というのは、恩給については前年度の公務員のベースアップを指標として直す、こういうことなんですね。ところが、五十八年は御案内のように五十七年の役人のあれをストップしたものですから、だからそれのあれとして、ともかく三月に一月分だけ入れた、こういうことで、これはむしろ例外で、やはり従来どおりの定着した制度に、今度は公務員給与のベースアップの率を恩給にも増額していく、こうしたわけですから、本来の原則に返った、こういうことで、別段国会の附帯決議が誤りなどと大それたことを言っているつもりはさらさらないので、やはり定着した制度として、指標として使っておる、かように御理解をいただきたい、こう思うのです。
○渡部(行)委員 なかなか長官の意味深長な答弁というか、どっちにも配慮した答弁のようですが、そうだとすれば、私は議会が請願採択をする場合あるいはこういう附帯決議を出す場合は、もっとはっきりとその立場を議会側に示して、そして議会と政府側のコンセンサスをなるべくとって、このような附帯決議が何年も継続されて出ておるわけですから、そうするとこれは国会無視じゃないか、こういうことにつながっていきますから、その辺は今後ひとつよろしくお願いしたいと思います。
○後藤田国務大臣 おっしゃるとおり、この附帯決議をいろいろな法案におつけになるときに、政府側は役人が出ていってできるだけおしかりを受けないようにといったような立場でやらなければならぬものですからこういったことになるのですが、私は本来、附帯決議のときには、おっしゃるように考え方の基本が、原理原則が違うといったようなものは、政府側もこれはこうこういうわけでございますからというような事情をよく述べていただいて、そして国会の方の御理解を願う、こういう処置にするのがベターだ、かように考えております。そのかわり、余りおしかりにならないようにひとつぜひお願いを申し上げたいと思います。
○渡部(行)委員 次にお伺いいたしますが、これは公務関係扶助料の最低保障額及び傷病恩給の年額はことしの四月、八月の二期に分けて引き上げられるようになっておりますが、これはどういう理由に基づくのか。仮にこの支払い時期を延ばすことによって、一つの値切り措置と言うならば、これは恩給の本旨に反するものと言わざるを得なくなると思いますが、その点についてはどういうふうなお考えのもとに二期に分けられたのか、御説明願いたいと思います。
○藤江政府委員 公務関係扶助料、それから傷病恩給につきましては、御指摘のとおり二段階といたしているわけでございます。四月にアップいたしますのは公務員給与のベースアップを基礎とするアップ分、八月からは特段の措置ということでございます。確かに御指摘のように、私どもも、附帯決議の趣旨等もございますし、事務処理上の簡素化という意味からいいましても、実施時期を一致させるということが適当であろう、また必要であろうというふうには考えているわけでございますけれども、他方、厳しい財政状況の中で私どもとしましてはできるだけの充実の努力をするという、いわばその財政状況と充実の努力との接点が、ちょうどその実施時期をずらせるという形で表現されたというふうに御理解いただきたいと思います。
○渡部(行)委員 財政状況が厳しい、厳しいと言われますけれども、私は不思議でならないのですよ。とにかく世界で二番目に金持ちだと言われて、どこからでも日本は金持ち、金持ちという攻撃を受けているのですね。金持ち過ぎているというので今困っているのじゃないですか。それなのに国だけがなぜ財政不如意なのか、窮屈なのか、私はその辺がどうも理解できないのです。 後藤田長官はとにかく日本の政治全体について精通しておると言われておりますから、どうなんでしょうかね、貿易の摩擦の中では働き者が悪者にされたり、そしてまた一方では、国鉄の財産なんというのは百兆円なんというものじゃないでしょう、あれは何百兆の財産でしょう。私は何にもたまげる必要はないと思うのですよ。それを政府が、非常に財政が窮屈だ、窮屈だと言うけれども、それは我々の側から見るとどうもつくり話のようにしか受け取れないのですが、長官はどうなんですか。この辺率直にお答え願いたいと思います。
○後藤田国務大臣 いや、そこが一番問題なんですよね。中大政府はもちろん地方の政府も本当にこれだけ豊かになっておる、ところが貧乏しているのは国と地方だ、これはいかにも理解がしにくいというのは、これは常識的にはあり得るのですが、そのお考え方が国民の皆さん方に浸透をし、しかも政府なり地方団体が国民に対するいわゆるサービスというもの、不満のないような仕事をするということになれば、そこらが解決の糸口になるのではないか、かように私は考えておるのです。 それから、八月実施の問題は文字どおり財政上の理由でございます。別段八月でなくて、できれば四月にして一向私は差し支えないと思いますが、これは現在の財政上の理由でございますので、その財政上の困難な中でともかく政府としては精いっぱいの努力をしたのだ、かように御理解を賜りたい、こう思います。
○渡部(行)委員 次に、厚生年金の遺族年金の最低保障年額が六十年四月から五十九万三千四百円となることに伴い普通扶助料の最低保障額を引き上げるものであれば、二段階実施とせずに四月から実施してはどうか、こういうふうにも考えられるのですが、これについてはどうでしょうか。
○藤江政府委員 普通扶助料の最低保障額の引き上げにつきましては、ただいま御指摘のとおり、厚生年金の遺族給付とのバランスを考慮してといいますか、その水準まで到達することを明確な目標といたしまして特段の上積みをいたしたわけでございます。御指摘のとおり、確かに同時期が望ましいということは万々そのとおりでございますけれども、ただいま大臣も申されましたような財政状況のもとでのやむを得ない措置というふうに御理解賜りたいと存じます。
○渡部(行)委員 これはもし答弁者がおられなかったら仕方ありませんが、おられたら、国家公務員等共済組合法の改革法案が今各審議会等で議論されておるわけですが、これの国会提出は大体いつごろになる予定ですか。わかっている人はだれでもいいです、私は政府に聞いているのだから。
○後藤田国務大臣 共済改革の法律案の閣議決定が大変おくれてまことに申しわけありませんが、もう出す直前の状況になっておりまするので、お許しをいただきたいと思います。
○渡部(行)委員 この共済年金の改革が物価を指標とした場合、これはやはり恩給にも影響が出てくると思いますが、この辺の、いわゆる共済年金の今後の物価スライドに移行していく中で、恩給との関係はどういうふうになるのか。今までだと大体給与のスライドになっておりましたから、どっちかというと上落下厚という一つの線が出ていたわけですが、物価スライドで一律に調整されますと、これからは上厚下薄という結果にならざるを得ないと思いますが、その辺についてお伺いいたします。
○藤江政府委員 恩給は、他の公的年金制度と沿革的、性格的に異なるものではございますが、しかしながら機能的には類似の点もございます。したがいまして、その点に着目しまして、臨調あるいは行革大綱におきまして、年金改正とのバランスを考慮するということが指摘されているわけでございます。もちろん、恩給制度の先ほど申しましたような独自性、あるいはすべてが既裁定者で新規参入者がないとか、受給者につきましても軍務という特殊な職務に従事した、しかも現在ほとんど老齢の方であるというふうな実態がございますので、それらの条件を前提としながらバランスを考慮するということでございます。 その段階で、やはり問題になりますのはスライドの問題でございまして、同じ元公務員である共済の方につきまして物価スライドになる、他の年金もあわせましてすべて物価スライドで足並みを合わせるとした場合に、ひとり恩給のみが物価スライドにならない、従来どおり給与スライドだというふうに言い得るかどうかということについては、大変な問題点であろうかと思うわけでございます。 その意味におきまして、これをもし仮に物価スライドにした場合にどうか。先生御指摘のように、現在の給与スライドでございますと公務員の給与の上昇傾向、つまり上薄下厚の傾向を引き写せる仕組みになっておりますけれども、物価上昇率でありますと一律アップ、したがいまして上下の格差が一層拡大するのじゃないかという御指摘は確かに当を得ていると存じます。 しかしながら、基本的には物価上昇率を使いながら、何らかの工夫によりましてそういう調整措置が可能かどうかということにつきましては、これもやはり私ども、一つの重大な研究課題として今後考えていかなければならない点であると存じているわけでございまして、例えば、他の年金制度におきまして財政再計算というものを五年おきにやって見直しをしているというふうなことがございます。これとは趣旨が逢いますけれども、例えば五年ごとに、今御指摘のような上落下厚というふうな形で手直しができるかどうかということにつきましても、これも一つの考え方でございますけれども、検討の余地があろうかというふうに思っているわけでございます。
○渡部(行)委員 次に、総務庁恩給局発行の「わかりやすい恩給のしくみ」の中で、加算年の一覧表があるわけですが、ここで取り上げた加算の種類及び加算の割合というのは、だれがどのような方法で決定したのか。しかも、抑留加算については戦後の昭和四十年につくられたものであるわけです。この抑留加算が一月につき一カ月と決められた理由については一体どうなのか。この点についてひとつお答えを願いたいと思います。 それから、時間がありませんからつけ加えて申し上げますが、こういう加算年というものを地域ごとにあるいはその種類ごとにいろいろ決められているわけですが、この基準になるのはどういう思想に基づくのか、その基準を明らかにしていただきたいと思います。
○藤江政府委員 加算年の仕組みにつきましては、これは戦前の恩給法令できめ細かく規定されていたわけでございまして、実質的には、事変の状況を最も掌握いたしております陸海軍が中心となりまして種々な検討をまとめまして、勅裁を得て内閣告示で公示したという手続を経ているわけでございます。 それから、次に抑留加算につきましてでございますけれども、御指摘のとおり昭和四十年に設定されたわけでございますけれども、これにつきましては、ソ連における抑留者その他、各占領地に抑留者がおられたわけでございますけれども、それらの実情を種々検討いたしまして、戦後のこの時点におきまして新しい加算制度を設けることの是非というものも含めて検討いたしたわけでございますが、その場合に、抑留期間につきましては、公務員としての在職期間ではございませんけれどもその勤務の延長とも見られる特殊な期間であるということ、それからその間非常に苦労されたということもございまして、恩給制度上の特例的な措置として踏み切ったわけでございます。その場合の基準といたしましては、他の類似の制度といたしましては、戦闘行為を前提としたものに類縁があるとは考えられませんので、一応辺陬・不健康地加算年の加算率、これは一月につき一月以内ということでございますが、実質的には三分の二カ月以下になっております。その最上限をとりまして、一月につき一月というふうな割り増し措置を講ずることといたしたわけでございます。 それから、最後の基準でございますけれども、現在必ずしもその点について明らかな資料はございませんが、激戦地であるとか、戦闘構成員であったとかいうふうなことがその基準要件となっていたというふうに考えられます。
○渡部(行)委員 この戦地加算を見ましても、これは激戦地と激戦地でないところでは皆違いますね。それはいわゆる戦闘の過酷の状態、戦死の数等々によってやはり考える起点が違ってきているものだと思います。抑留だって、これはどこでも同じに考えられたのじゃ全く問題にならないので、実態を知らないわけですよね。実態を知らないものがつくって立派なものができるでしょうか。納得いくものができるでしょうか。もっと実態を慎重に検討して、その上で抑留加算にしてもこの地域はどのくらいだ、戦闘以上にこれはひどい地域だ、そういう一つの評価がなされた上でこの加算年というものが考えられるなら了解できますけれども、今言ったような、何でもみそもくそも一緒にしたようなそういう考え方でやられたのでは、私は承服できません。したがって、今後、この加算というものは、過去においても戦前は実際の戦地を基準にしていろいろ考慮されているのですから、そういうものをもう一度見直して、そして戦後こういう敗戦によってできた最も悲しむべき抑留という問題についても見直す必要があると思いますが、その点はひとつ最後に長官のお考えを明らかにしてもらいたいと思います。
○後藤田国務大臣 この加算の問題については、各方面からいろいろな御意見をちょうだいをしておるのですが、今おっしゃったような趣旨で、軍人に対しては旧陸海軍省が一番掌握しておりましたからそれによってお決めになっているし、また抑留についてはそういった状況を当時考えて決められたと思うのですね。したがって、今いろいろな御意見がありますけれども、それを覆すだけの資料が遺憾ながら、これだけ長い年月がたってしまいますと確実な資料がいかんせん政府としてはっかみがたいということでございますので、当時の実態でお決めになったものを尊重してやっていくということが具体的公平性を確保するゆえんではないのか、かように考えているわけでございます。
○渡部(行)委員 今の御答弁はそのまま了解するわけにはいきませんけれども、時間が参りましたので、私の質問はこれで終わります。 どうもありがとうございました。
○中島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○中島委員長 この際、本案に対し、戸塚進也君外三名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の共同提案に係る修正案並びに柴田睦夫君外一名より、日本共産党・革新共同提案に係る修正案が、それぞれ提出されております。 提出者から順次趣旨の説明を求めます。まず、戸塚進也君。 ――――――――――――― 恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正 案(戸塚進也君外三名提出) 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○戸塚委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、原案では、施行期日について、傷病者遺族特別年金に係る遺族加算額及び恩給外所得による普通恩給の停止基準額の引き上げを除き、昭和六十年四月一日としておりますが、これを「公布の日」に改め、本年四月一日から適用しようとするものであります。 よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
○中島委員長 次に、柴田睦夫君。 ――――――――――――― 恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正 案(柴田睦夫君外一名提出) 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○柴田(睦)委員 日本共産党・革新共同を代表して、恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を説明いたします。 政府が提出した今回の法案は、恩給年額等の改定を、人事院勧告を値切って実施した公務員給与に連動させるという不当なもので、恩給受給者に一方的犠牲を強いるものであります。 恩給法では、恩給の改定は、国民の生活水準や公務員給与、物価その他の諸事情の変動に対応して、恩給額を改定すると規定されております。この趣旨に沿えば、人事院勧告を基礎に給付改善を行うのが当然であります。本修正案を提出する理由はここにあります。 次に、修正案の概要を説明します。 第一は、恩給年額計算の基礎となっている一般文官及び旧軍人のすべての仮定俸給年額を、八四年度人事院勧告による行政職俸給表(一)の改善傾向を従来方式に基づいて引き上げることです。 第二は、普通恩給と普通扶助料、公務扶助料、増加非公死扶助料、特例扶助料の最低保障額及び増加恩給と傷病年金、特例傷病恩給の年額並びに傷病賜金を、従来方式によりそれぞれ六・七%引き上げを行うことであります。傷病者遺族特別年金についても六・七%引き上げるとともに、遺族加算も政府提出法案同様に本年八月より引き上げます。 第三は、扶養加給を八四年度人事院勧告による扶養手当増額の例により引き上げることであります。 第四は、恩給外所得による普通恩給の停止基準額を従来方式によって引き上げることです。実施期日については、恩給局の従来方式による修正を前提にして取りまとめることとしたため、あえて本年四月からとしたのであります。 以上が、本修正案を提出する理由と修正案の内容と概略であります。 なお、本修正に伴う必要経費は七百八十億円と見込んでおります。 委員各位の御賛同をいただき、恩給、年金生活者の切なる願いにこたえて本修正を可決されることをお願いして、趣旨の説明を終わります。(拍手)
○中島委員長 これにて両修正案についての趣旨の説明は終わりました。 この際、柴田睦夫君外一名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。後藤田総務庁長官。
○後藤田国務大臣 ただいま共産党御提案の修正案につきましては、政府としては反対でございます。 ―――――――――――――
○中島委員長 これより討論に入ります。 原案及び両修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、これを許します。三浦久君。
○三浦(久)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、恩給法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。 本法案に反対する第一の理由は、本来人事院勧告どおり増額すべきであるにもかかわらず、恩給年額等の改定を、人事院勧告大幅切り下げの公務員給与に連動させたことであります。 恩給額の改定を規定した恩給法第二条の二では、「国民の生活水準、国家公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合に」恩給額を改定すると規定しています。この規定からでも明らかなように、恩給額の改定指標は、公務員給与の改定だけに何ら限定してはいないのであります。現に政府でさえ、これまでの恩給改定指標を、公務員給与だけでなく消費者物価指数にも求めてきたことがあるではありませんか。人勧値切りを理由に、恩給額の改定を低く抑えなければならないという根拠は全くないのであります。人勧値切りの公務員給与に恩給の改定を連動させた政府の今回の措置は、明らかに法の趣旨に反するものであり、人事院勧告どおり増額すべきであります。 第二の理由は、今回のこの措置が、大軍拡と財界奉仕のツケを、行財政のあらゆる分野で国民にしわ寄せをする、いわゆる臨調行革路線を最優先させていることであります。 自民党政府は、「行革の痛みを分かち合う」と言いながら、軍拡と大企業奉仕を聖域にしながら、国民生活分野、とりわけ福祉、文教予算等を大幅に削減をし、国民に総犠牲を強いています。世界経済の一割を占める我が国でありながら、福祉施策は極めて貧困であります。この貧困な福祉のもとで、恩給は老後の生活を支える貴重な施策の一つとなっており、このベースアップを値切ることは、二百二十万余の恩給受給者の切実な願いを真っ向から踏みにじる許しがたい措置であり、到底賛成できるものではありません。 以上、本法案に対する反対の理由を述べて、討論を終わります。
○中島委員長 これにて討論は終局いたしました。 ―――――――――――――
○中島委員長 これより恩給法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、柴田睦夫君外一名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、戸塚進也君外三名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○中島委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、宮下創平君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴切康雄君。
○鈴切委員 ただいま議題となりました自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について速やかに善処すべきである。 一 恩給の実施時期については、現職公務員の給与との遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。 一 恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等を図ること。 一 扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。 一 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制隈を撤廃すること。 一 外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。 一 現在問題となっているかつて日本国籍を持っていた旧軍人軍属等に関する諸案件(解決済みのものを除く。)について検討を行うこと。 一日満洲国軍内の日本人軍官の処遇問題について検討すること。 右決議する。 本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じて既に明らかになっておることと存じます。 よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
○中島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。後藤田総務庁長官。
○後藤田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を踏まえて今後検討してまいりたいと存じます。 ―――――――――――――
○中島委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ――――◇―――――
○中島委員長 次に、内閣提出、地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、合理化等に関する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を求めます。後藤田総務庁長官。 ――――――――――――― 地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、 合理化等に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○後藤田国務大臣 ただいま議題となりました地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、合理化等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 政府は、国、地方を通ずる行政改革を当面の重要課題の一つとして位置づけ、その推進に取り組んできているところであります。その一環として、昨年末の閣議決定「行政改革の推進に関する当面の実施方針について」において、臨時行政改革推進審議会の答申で指摘された地方公共団体に対する国の関与及び地方公共団体の組織等に関する必置規制の整理合理化事項について速やかに措置する旨、決定いたしております。 今回は、これらのうち所要の法律案を今国会に提出するものとされた事項及び同閣議決定において同様に措置することとされた地方公共団体に係る許認可等の整理合理化に関する事項を取りまとめ、ここにこの法律案を提出した次第であります。 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。 第一に、地方公共団体に対する国の関与の整理合理化に関する事項といたしましては、地方公共団体が事務を行うに当たって、法律によって義務づけている許可、認可、承認等のうち、関与の必要性が乏しくなっているものにつきましてはこれを廃止することとし、現行の関与の方式が過度なものにつきましてはこれを緩和することとする等、合わせて二十六事項を措置することとしております。 第二に、地方公共団体に対する必置現制の整理合理化に関する事項といたしましては、地方公共団体が事務を行うに当たって、法律によって設置を義務づけている特別の資格または職名を有する職員及び附属機関のうち、その必要性が乏しくなっているものにつきましてはこれを廃止することとし、必ずしも一律に設置を義務づける必要性が認められないものにつきましては地方公共団体の自主的判断によって設置できることとし、類似のものにつきましてはこれを統合または地方公共団体の自主的判断で統合できることとする等、合わせて二十四事項を措置することとしております。 第三に、地方公共団体に係る許認可等の整理合理化に関する事項といたしましては、臨時行政調査会の答申事項で未措置のもののうち都道府県知事が行っている理容師、クリーニング師及び美容師の試験の実施に関する事務を厚生大臣の指定する民間団体に行わせることができることとする等、合わせて六事項を措置することとしております。 この法律案は、以上のとおり、地方公共団体の自主性を尊重し、地域の実情に合った総合的、効率的な行政の実現及び事務運営の簡素化を図る観点から、地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、合理化等を行うため、十省庁四十一法律にわたる改正を取りまとめたものであります。 なお、これらの改正は、一部を除き公布の日から施行することといたしております。 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○中島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○中島委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。石川要三君。
○石川委員 総務庁長官にお尋ねいたしますが、私このごろ非常に太り過ぎておりまして、何とかスリムになりたい、こういう悲壮な決意のもとに、今時間があれば一生懸命体育館に行って汗を流しているわけです。ところが一向に目方が減らないですね。一月からずっとやってみても、けさも計ってみたが全然変わらない。いささか失望しているのですが、これはよく考えてみると私のやり方が悪いので、夕方やって、いい気持ちになって帰りに一杯飲んじゃうからいけないですね。これをやりながら私はつくづく、まさに行革というのはこんなものじゃないか。本当にこれはだれもが賛成で、だれもがもっとスリムになって健康体になりたいと国民はみんな思っておるのですが、さて、それをするには、食べ物の管理をしなければならない、運動もしなければならない、みんな苦しいことばかりなんですね。ですから、そうなるとやはりへこたれてしまう、こういうことでなかなか効果が上がらない。私はスポーツをやりながら、本当に行革というのは大変だな、言うはやすく行うは難し、まさしくそのとおりだ。そのお仕事をなさっておる後藤旧長官については、本当に懸命な努力をされておることにつきましては、私は深甚の敬意を表するわけでございます。 しかし、臨調も解散されまして、後に、最近は幾らか、行革というと、言葉は確かに使っておりますけれども、何となく少しくたびれてきちゃった。ましておや、貿易摩擦等の中においては、最近では、それはもういいかげんにした方がいいと言わんばかりの意見も出るし、むしろ内需拡大のためには違う処方せんもいいのじゃないかという意見もにぎやかに出ております。しかし、これについてずっと長いこと行革の問題と取り組んでおられます後藤田長官、今のこの時点において、行革に対する決意といいますか基本的な考え、偽らざる本音を、建前論じゃなくて長官の本音をひとつ聞かせていただきたい、かように思います。
○後藤田国務大臣 今おっしゃいますように、行政改革という仕事は大変な困難を伴うものでございます。内閣制度施行以来百年たっておるわけでございますが、この間、しばしば行政整理とか財政整理とかといったような名前のもとに何代かの内閣が取り組みましたけれども、なかなか成功を見ない、これが今日までの歴史的な実態であったと思います。しかし、今日のように世の中がどんどん変化をしていく、そうするとその変化に対応していかなければならない。民間であれば、もうからないからすぐに直さなければ倒れるということで改革が行われますけれども、役所の場合は倒産ということがございません。しかも、仕事の成果を評価する基準というものが民間と違って明確でない、こういったことから、勢いどうも役所というものは改革が手おくれになるとかあるいは改革すべきものをいつまでもしない、こういう実態があろうと思いますが、今日のように国際化の時代を控え、あるいは技術の高度化の時代を控え、あるいは急激な老齢化、こういうことを考えますと、やはり役所というものは国民の要望に応じて効率化、合理化を図って、その力をもって変化する時代へ対応していく、こういう組織の見直し、あるいは仕事の見直しをやらなければ到底国民の期待にこたえることのできる政府ではあり得ないと私は思うのです。困難は伴っておってもどうしてもやらなければならない。 しかし、何といいましても、民間の側においても今の制度で既得権を確保していらっしゃる方がある、あるいは当然のことながらその仕事をやっておる役人は大きな痛みを受けるということで、大変な抵抗がだんだん強くなってくるわけでございますが、行革は本当はこれからが正念場であるという強い決意を持ちまして、私どもは真剣に取り組まなければならぬ国民的な一番大きな課題ではなかろうか、私自身はさように考えておるのですが、仰せこういう大事業というのは、本来言えば一気がせいにやらなければいけない。ところが、これはどうしても時間的なゆとりがないとできない仕事でもある、そこにこの仕事の困難性もあるのではなかろうか。したがって、この仕事がうまくいくかいかぬかは、政府は全力を挙げなければいけませんけれども、やはり行政改革はどういうものであろうかということについての国民の皆さん方の理解と御支援がないと、なかなか達成が困難な仕事でもあるわけでございますが、何よりも私どもはみずからを正していくことを第一に考えまして、この仕事だけは全力を挙げて取り組ませていただきたい、皆さん方の格別の御理解、御協力も仰ぎたい、かように考えておるわけでございます。
○石川委員 基本的な考え方につきましては、大変明快にお話をされまして、私も理解いたします。 そこで、重ねてお伺いするのですが、とかく最近、貿易摩擦等が非常に大きくなった今日、それはむしろ、行革か、内需拡大がという択一のものじゃないと私は個人的には思うのですね。どれがどっちかというものではない、そういうものじゃないと思いますが、とかく国民は、何か新聞の活字だけを見ると、行革をなおざりにするのではなかろうか、あるいは遠ざかるのではなかろうか、あるいはまたむしろ貿易摩擦解消のためには内需拡大の方がいいんだ、行革というものは影が薄くなっても仕方がないんだ、どちらかのところにアクセントを置いて見がちだと思うのですね。この行革と内需拡大というのはどういう関連と見ていいのか、そこらは国民が非常に迷っていると思うのです。したがいまして、そういうことの点から見て、長官のもう少し具体的な御意見を聞きたいと思います。
○後藤田国務大臣 本来の行革というのは、いわゆる財政の改革、再建という問題とは理論的には私は別の問題だと考えているのです。行政改革というのは、与えられた条件の中で行政の組織を簡素合理化し、仕事のやり方を簡素化する、そうすることによって結果として財政負担が軽くなる、こういう性格のものだと私は思います。ところが、財政の再建というのは、今日御案内のような百二十二兆円の赤字の累積がある、財政そのものが機動力を失っておる、だからこの機動力を回復するためには、どうしたって厳しい財政措置をやって財政の改革をやりたい、こういうことなんです。本来、理論は別。 これは御案内のように、アメリカでも一九三八年でしたか、ブラウソローという委員会がこの問題で初めて取り組んだのですが、アメリカの行政改革はやはり金勘定は別だということをきちんと書いてあるわけです。しかし、この改革に取り組んだ鈴木内閣当時、異常な歳入欠陥ができましたから、日本の改革、つまり土光臨調の物の考え方は、行政の改革と財政の再建を一緒に進める、こういう立場で進んで今日まで来ている、私はそれなりに非常にいいことであると考えているのですが、そこらで、財政の再建問題と絡んで内需の拡大の問題が、経済摩擦に関連して出てきていると思うのです。本来、行政改革と内外の経済、つまり内需を振興しろというのと物の考え方は当然別だ、こう私は思っております。ただ、内需の拡大の必要性については、経済摩擦のある今日の状況から見れば、私は反対する人はいないのじゃないかなと思います。ただ、そのときに、内需拡大のために景気の振興とでもいいますか、財政資金に頼って内需拡大をやるべしという考え方は、今日の厳しい財政状況を考えた場合に、物の考え方を今一度考え直していただきたいというのが私の率直な感じでございます。 財政再建をやる手法にはいろいろある。ただ一つの手法だけで、例えば「増税なき財政再建」、できるわけないじゃないか、こういう議論がありますね。だから増税だ、こうおっしゃる。そんな短絡的な議論が一体成り立つのか。それじゃ私は聞きたいのは、増税をやって財政再建ができるのですか。増税をやればどこへ行ってしまうかといえば、それこそ歳出拡大に対する厳しい圧力の前に押し流されてしまうことは極めて明確なんです。だから、政策の選択の幅は非常に狭いものですから本当に難しいのです。難しいのだけれども、短絡的な物の考え方、あるいはただ一つの手段、方法で物を考えるのでなくて、内需拡大にはいろいろなものがあるのですから、それらの中からどれとどれとどれを取り上げるべきか、そしてどれが現在の財政状況から見て一番マイナス点が少ないのか、こういう点を真剣に政府も考えなければなりませんし、各政党でもぜひひとつお考えをいただきたい、私はさように考えているわけでございます。
○石川委員 今の御意見につきましては、私もそれなりに評価をしたいと思います。行革というものも、ある一時期だけやってあと終わりというものでは決してないわけでありまして、少なくともパーキンソンの法則というものがある限り、これはいつでもやっていかなければならない。特に今は、先ほど長官の御答弁にもありましたように、特別な一つの時期といいますか、極めて財政悪化の状況の中でありまして、しかも高度成長後の急激な膨張、そういうもののためのぜい肉を落とす時期でありますから、特にそういうことが指摘されますが、本来ならば、行政が存在する限り、パーキンソンの法則がある限りこれはおしまいになるべきものではない、私はこんなふうに思っております。 そこで、行革審が、現在の行革の実積というものは五合目だということを言われております。昨日も何か長官の答弁の中にもその点についてお話があったようでございますが、私ちょうどそれを聞いておりませんので、あえてもう一度お尋ねするわけでございますが、国民の目から見ると、行革というのは「こんにちは」と同じぐらい聞かされているわけですね。そのぐらいにもう耳にたこができるほど聞かされているのですが、行革というのは一体どの程度成功したか、実績ができたかということになると、なかなか目に見えない点が多うございます。そこでわからないので、どうも何かお経でも読まされているような感じを持って受けているようですが、実際問題として、行革の実績はどの程度、本当に五合目へ行っているのだろうか。先ほどの長官のお話ではこれからだ。これからだというとまだ入り口かとも思うけれども、行革審の方では五合目だというような表現もされておりますが、本音はどのぐらいなのでございましょうかということをお聞きしたいのです。
○後藤田国務大臣 今日までは、例えば定員の縮減とか組織の改編あるいは電電、専売の民営化とかあるいは特殊法人の統合整理とか、いろいろそれなりの成果は上がってきておる、かように私は考えているわけでございますけれども、しかしそれでは五合目まで行っておるのか、こういうことになりますと、行革審からはそういう御評価はちょうだいしておるのですが、私はそうは思っておりません。これはこれからが正念場だよ、しっかりやりなさい、こういう御激励である、かように私どもはあの御意見を承らさせていただいて、これからが本当に厄介なことになるのではないかな、こう私自身は考えております。 では、一体いつまで行けば五合目になるのだ、こういうことでございましょうけれども、ことしの地方行革、あるいは国鉄の改革、それから一番厄介なのは民活のための規制緩和なのですね。これは役人の権限そのものが減ってくるのですから、これは一口に「許認可整理」で言葉は簡単ですけれども、行革の中では、私ども長い間役人をやっておりますから、これは一番厄介だ、こう思っております。これらがある程度片づけばまあ六、七合目まで行ったのかなと思います。 私が今一番心配しておるのは、役人の諸君は一番痛みを受けるわけですから、私は本当に役人の立場はわからぬでないのです。ないのだけれども、これはやらなければならない。そうしますと、私ども政治の場にある者が一番注意しなければならぬのは、形だけはできたけれども中身が伴ってない、このおそれがありますね。したがって、ここらは私ども十分注意しながら、お役人の皆さん方の理解も得ながら、世論を背景にして今後とも引き続いてやっていきたい、かように考えているわけでございます。
○石川委員 きょうの長官の御答弁、私、かなり本音が出て大変うれしく思っております。 そこで、今のお話の中からまたさらにお聞きしたいのですが、案外、許認可などということは簡単なようで実は難しいのだ、役人が我慢してもらわなければ困るのだ、役人に痛みが一番多くいくというのですけれども、そこらは国民から見るとわからないのじゃないですか。 実際に確かに長い役人生活をされて、しかも現在、総務長官をなさっている後藤田長官の立場から見るとわかるし、またそれだからこそ名長官だと思いますけれども、国民から見ると、行革をやるのが、つねって一番痛みを感ずるのが何で役人なのだろうか、いや、むしろ我々じゃないかというのが国民から言いたくなるのじゃないかと思うのですが、そこをちょっともう一回説明していただきたい。
○後藤田国務大臣 これはまさに、国民の皆さん方から見ればもう当たり前じゃないか、一番痛みを受けるのはおれたちなので、役人はどこが痛いのだ、これは本当に庶民感覚だと私は思いますね。しかし、行政改革の直接の対象になって人間は減らされる、権限は減っていく、組織は小さくなるということになりますと、これはやはり役人諸君にとってみれば容易でないなという印象をお持ちになるのじゃなかろうかと思いますね。 民間の方の場合には二通りあるのです。それは一般論としては今先生がおっしゃったとおりなんですよ。ところが、今の例えば許可認可の中で、よそから来る参入者に障壁を築いているわけですからね。既得権を持っておる民間の方がたくさん各種団体がありますから、そういう立場から見ますと、一般論としては、行政改革というのは一体どういうことだ、当然総論としてはやってよろしいとおっしゃるけれども、いよいよ具体化ということになってくると、既得権者の利害との衝突ということになって、これはけしからぬ、こういうことになるわけでございまして、ここらをどう乗り越えていくことができるのかということが、行政改革の成否を決するところではなかろうか、かように私は考えております。
○石川委員 きょうはかなり時間も使われておりますので、なるべく短時間でやめたいと思いますから、細かく聞きたいのですけれども、それはちょっと不可能でございます。 そこで大臣にお伺いしますが、お伺いしますと、今回提案されているのが五十事項ですか、実際に行革審で出された内容は八十五事案ですかということを聞いておるのです。そうしますと、それがなぜ漏れてしまったのか、あとの残った三十五事案というものは一体今後どのようなことになるのか。それに対する政府の対応はどういうふうにされていくのか、その点をひとつ聞かしてください。
○竹村政府委員 ただいま御質問にありましたように、行革審から答申をいただいた事項は八十五でありまして、今回、国の関与と必置規制で、この法案に盛り込まれておるのは五十事項であります。その差が三十五でありますけれども、このうちの四事項は法律事項でありまして、残りの三十一事項が政省令、通達事項でございます。 法律でございますと、例えば牧野法の関係の改正がありますけれども、これにつきましては牧野法全体を見直す、その中で関与の問題も見直す、そういうことになっておりまして、今閣議決定では、次の通常国会にこれは提出する、そういうことになっております。そのほかの法律事項につきましても、いずれも方向が示されております。ですから、これに従ってこれから措置をとることになります。 それから政省令、通達事項につきましては、三十一のうち一事項を除きまして、原則として五十九年度中に措置するということを閣議決定で決めております。現在既に七割近くを措置しておりまして、残りのものもなるべく早く改正をしたいと考えております。
○石川委員 今回のこの法案をさらっと読んで勉強してみたのですが、そのときの私の感じは、中を細かく見ると、こんなことまで今まで何でもっと行革ができなかったのかしら、私も地方自治体の長をしたのですが、本当に驚く次第なんですね。今までの行革関連の法案でいろいろとやってまいりまして、その内容を全部調べてみると、みんな臨調とかあるいは行革審で一応答申が出たものを忠実に守っているわけですね。それでやってきた。しかし、考えてみれば大きなものがありましたね。たばこ専売会社をつくったり、電電会社をつくったりしたのは確かに画期的なことでありました。いい悪いは抜きにして画期的なことだと思うのですが、内容を見ると、もう本当に細かいこんなことは、何も行革審や何かで一々検討して、これをやりなさい、これを食べなさいなんてやらなくても、当然役所の中でできないものかなと国民は見ると思うのですね。特に、昔は行政管理庁ですか、今は総務庁という専門の役所があるのですから、なぜこういう細かいことを――私は、臨調とか行革審というものが本当にやっていただくのは、国鉄をどうするとか、専売公社をどうするとか、電電公社をどうするとかあるいは特殊法人をどうするとか、そういう大きな山のところだけを見てそれをぴしゃっとやってもらえばいいので、余り細かいところまであれをしなさい、これをしなさいとやると、かえって何だかちょっとおかしいような感じがするのですが、そういうことに対する長官の御見解をひとつお伺いいたします。
○後藤田国務大臣 私もおっしゃるとおりだと思うのですね。本当はああいう調査会というのは、大きな項目でどうしてもやらなければならない事項をきちんとやっていくというのが一番いいと私は思うのです。それ以外のことは、今までであれば行管庁があるし、今は総務庁があるのですから、それで片づければいいと私は率直に思います。それができないのが日本の政府の組織でございます。したがって、第二臨調には、行政全般にわたる改革意見を出していただきたい、こうお願いせざるを得なかったわけですね。そこで、本当に細かいことまで答申をいただいておる。しかもその答申の中身を見ますと、今先生のおっしゃるように、こんなもの何で今まで置いてあったんだというものがいっぱいあるのです。ところが、それ以外のものだってたくさんある。例えば許認可だけだって、調べてみたら一万件あるのです。しかも、そのうち第二臨調で取り上げたのは二百五十事項くらいしかない。あとはみんな抵抗せられて、さすがの第二臨調ももてあましたというのが、内輪の話ですけれども事実そうなんです。それくらい厄介なんです。 しかし、それではいかぬということで、巻き返し巻き返しやっていこう、こういうことでして、これは長年の日本の官僚制度のいいところでもあるが、やはり悪いところでもある。この際は、しかしこういう機会ですから、今は各省違いますよ、各省もすっかり考え方は変えてくれたと私は思います、もちろん抵抗もありますけれどもね、これはどんなことをしたってやらなければならないという気持ちに、だんだん各省の皆さん方はなってくれておる、こういう機会にどうしてもやるだけのことはやらさせていただこう、こう思っております。
○石川委員 本当にそのとおりだと思いますね。何でもかんでも臨調や行革審にお願いするなら、本当に各省庁なんか要らなくなっちゃうような気がするのです。今いみじくもそういうことに対する本当のお考えを聞かせていただきまして、本当に私も同感するものであります。 そこで、細かくなったついでに一、二の点についてお尋ねしたいと思います。 今回の法案の中に、環境問題について、何か今度は環境苦情相談員ですか、そういったようなものが必置から緩和されてまいりました。私もかつて環境政務次官をやったことがあるのですが、実際、環境の必要性ということはもう説くまでもないわけでありまして、グローバルに考えればこんなに大切な行政はないと私は思うのです。内需拡大であろうと景気浮揚であろうと何であろうと、常に頭に置かなければならないことは環境問題だと私は思うのですね。環境を抜きにしてそういうことをやったら最終的には人類の滅亡になるわけですから、したがって私は、環境なんというものはそう軽々に見るものではない、こういうふうに思っているわけです。 そこで、今回のこの改正によりましてそういうものが緩和されるということは、一見、何か緩和でいいような気もするのですけれども、果たしてそれが大丈夫なのか、環境問題が後退しやしないかという心配をするわけであります。環境庁、きょうは来ておりますか。この点について、それは本当に後退を意味しないか、大丈夫かということですね。 それからついでに申し上げますが、例えば環境問題は往々にして自然保護団体と行政側とのトラブルがいろいろ多うございます。自然保護団体が全部悪いとは言いませんけれども、何か特別な目的のためにやっているようなそういう印象を与える自然保護団体というのもかなりあるわけですね。そのために、不必要など言っては言い過ぎかもしれませんが、行政とのトラブルのために、実際にもっと進捗しなければならない行政がかなりのおくれを来す場合もある。したがって、そういうことを考えますと、私は、適正な環境問題の苦情処理機関をむしろ必置として置くべきではなかろうか、こんな感じもするわけです。今回の法改正の中でそれらの問題について環境庁として後退しやしないかということと、そういう問題解決のためにはむしろ必要ではないかと思うのですが、そこらについてはどういうふうな見解をお持ちですか。
○紀説明員 公害等調整委員会でございます。 ただいま先生御指摘の点は、公害紛争処理法に基づきまして、地方公共団体が公害紛争処理、公害苦情の処理をすることになっておりますが、その仕事に関して公害苦情相談員というのがおりますが、そのことであるかと存じます。 公害苦情相談員の制度は、地方公共団体が、公害苦情処理事務を効率的かつ有効に行うことができるよう、当該団体における公害苦情処理事務の直接の担当者を明確にし、これを一般にわかりやすい名称を付して公害の苦情に当たらせることを目的とした制度でございまして、その配置につきましては、地方公共団体の行政需要の動向等を勘案して、都道府県及び人口十万以上の市につきまして設置が義務づけられておりまして、今申し上げましたもの以外の地方公共団体におきましては任意設置となっております。 なお、全国に約三千五百人の公害苦情相談員が置かれておりますが、その大部分は地方公共団体の公害課の職員が兼務しておりまして、このほか、相談員の名称は持ちませんけれども、公害苦情の相談業務を担当している職員は約八千人ぐらい実態として置かれております。 それで、公害苦情相談員につきましては、昨年末の臨時行政改革推進審議会の答申におきまして、地方公共団体の自主性を尊重し、必置規制の整理合理化を図るため任意設置とするよう指摘されたところでございまして、当委員会におきましては、これを踏まえて検討いたしました結果、公害苦情相談員制度は、制度発足以来十五年を経ておりますし、特定の地方公共団体に限らず広く定着しておりまして、例えば任意設置とされている市町村におきましても、必要と判断する場合には自主的に設置されております。例えば五十八年度末には約四百名ございます。こういうことと、また公害苦情相談員が必置とされている地方公共団体におきます相談件数を見ますと、かなり少ないところも見られるというばらつきがあること、こういう事情にかんがみまして、都道府県及び人口十万以上の市に限り必置とする制度を改め、地方公共団体の実情に応じまして、その自主的判断により公害苦情相談員を設置するよう弾力的な制度とすることにいたしたのでございます。 法制定の昭和四十五年当時と比較しますと、地方公共団体の公害苦情処理体制は飛躍的に充実しておりますし、また積極的な取り組み等が見られる現状におきましては、公害苦情相談員の事務は今後とも円滑に行われるものと考えております。 なお、任意設置とした後におきましても、当委員会としましては、現在の公害苦情処理事務の行政水準を保持するように所要の指導等に努めてまいりたいと考えております。
○石川委員 今回の法改正は、内容が非常に細かい案件でございましてたくさんあるわけでございますから、その一つ一つについてもいろいろとお聞きをしたい点もございますが、そう細かく聞いても、しょせんは根本的な行革にどう取り組むかということが一番肝心ではないかと思いまして、本日は、そういうことだけで質問を終わりたいと私は思います。 最後に一つ、あくまでも行革の情熱を失わないで、この炎を消さないように最善の努力を期待いたしまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○中島委員長 次回は、来る二十三日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十分散会 ――――◇―――――