内閣委員会 第10号
- 発言数
- 332 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/04/16
会議録
○中島委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を求めます。後藤田総務庁長官。 ————————————— 恩給法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○後藤田国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 この法律案は、最近の経済情勢にかんがみ、恩給年額を増額するとともに、戦没者の遺族、戦傷病者等に対する処遇の一層の改善を図ろうとするものであります。 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。 この法律案による措置の第一点は、仮定俸給年額の増額であります。 これは、昭和五十九年度における公務員給与の改善を基礎として、昭和六十年四月から、恩給年額計算の基礎となる仮定俸給年額を増額しようとするものであります。 その第二点は、公務関係扶助料の最低保障額、傷病恩給年額等の増額であります。 これは、公務関係扶助料の最低保障額、傷病恩給及び傷病者遺族特別年金の年額を、昭和六十年四月から兵の仮定俸給のアップ率により増額するほか、同年八月からさらに増額を行い、公務扶助料については年額百四十四万円を保障するとともに、傷病恩給等についても相応の増額をしようとするものであります。 その第三点は、普通恩給及び普通扶助料の最低保障額の増額であります。 これは、普通恩給及び普通扶助料の最低保障額を、昭和六十年四月から兵の仮定俸給のアップ率により増額するほか、同年八月から、他の公的年金の給付水準等を考慮して、普通扶助料の最低保障額をさらに引き上げようとするものであります。 以上のほか、扶養加給の増額等所要の改善を行うことといたしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○中島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○中島委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。元信堯君。
○元信委員 恩給法等の一部を改正する法律案を審議するに当たりまして、きょうは、恩給の基礎になります人事院勧告の問題をひとつ御質問したいと思うわけであります。 その前に、きょうの出席政府委員に労働省には官房長をお願いしておいたはずでありますが、現時点で御出席がないようでございますので、その部分についてはあるいはしばらく留保ということになるやもしれませんので、あらかじめ申し上げておきたいと思います。 まず、政府の基本的な姿勢について承りたいと存ずるわけでございますが、ことしの人事院勧告の取り扱いについて、政府の基本的な考え方をまず総務庁長官からお願いしたいと思います。
○後藤田国務大臣 ことしの八月ごろだと思いますが、人事院がどのような御勧告を出されるのか今の時点でにわかに断定できませんが、人楽院の勧告が出れば、かねがね言明をいたしておりますとおりに、人事院勧告を最大限尊重して、この完全実施に向けて、広く目配りをしながら実現に向けて努力してまいりたい、かように考えております。
○元信委員 広く目配りをしてというあたりがなかなかくせ者じゃないかと思っておるわけでございますが、この際確認をしておきたいと思うのですけれども、政府の認識として、人事院勧告制度というものが労働基本権の代償措置である、そういうものとして尊重されねばならぬということについてはお変わりございませんか。
○後藤田国務大臣 そのとおりの認識を持っております。
○元信委員 代償措置としての具体的な手段はたくさんあるわけでありますけれども、わけても公務員給与がその勤務条件の基本にかかわる重要な事項であることにかんがみ、今後も人事院勧告の完全実施に向けて最大限の努力をするという政府の姿勢、これも変わりございませんね。
○後藤田国務大臣 そのとおりに考えております。
○元信委員 ところが御案内のとおり、ここ数年、人事院勧告に対する政府の取り扱いは、あるいは凍結、あるいは抑制、そういうことが続いているわけであります。非常に情勢は厳しいとおっしゃっているわけであります。特に給料表を、政府に言わせれば独自に作成するというような措置もここ二年ほどおとりになっているわけですね。こういう措置というものは、先ほど政府のおっしゃった基本的な姿勢から見るとあくまで異例なものであると言わざるを得ないというふうに思うわけであります。したがって、昨年、一昨年とった給料表の、我々に言わせれば改ざん、政府における作成等を含めて、こういう異例な措置からはできるだけ早く脱却して正常な姿に戻すことが政府の責務である、そういう認識ですか。
○後藤田国務大臣 政府は、人事院勧告があればそれを完全実施するというのが基本的な責務である、私はかように考えておるわけでございます。したがって、当委員会その他においてもお答えをいたしておりますように、五十七年度の完全見送り、これはやはり異例の措置である、私はこう認識をいたしておるわけでございます。五十八年、九年も遺憾ながら抑制せざるを得なかったわけですが、その際も、いわゆる積み残しを少しでも解消しようという精いっぱいの努力をしたという点はひとつ御理解をしておいていただきたい。 なお、俸給表を改定したということは、政府として抑制せざるを得なくなったときに、やはり人事院勧告というものの趣旨をできるだけ生かしたい。そこでこの配分等中身について、人事院勧告の俸給表を使わせていただいて、これに案分をして、政府としては俸給表をつくらざるを得なかった。この点も、私どもの気持ちとしては、人事院の勧告は全体の率の改定と同時に中の配分等についても政府としてはできる限りは尊重しなければならぬ、こういう基本線に立っておるのだ、この点を御理解しておいていただきたい、かように思います。
○元信委員 特に俸給表のあなたのおっしゃる言い方では改定ですね、この点については人事院勧告制度の根幹にかかわる問題ではないかと私ども思っておりまして、いろいろな抑制、凍結措置の中でもとりわけ遺憾のものだというふうに思っておるわけです。異例中の異例というふうに思うわけですけれども、異例と言いながらそんなものが一年、二年と続いていくということは非常によろしくない、こう思われるわけでありまして、こういう手段というのはなるべく早く脱却するという決意を承りたいと思います。
○後藤田国務大臣 異例の措置ということは、文字どおり異例でございますから、完全実施に向けて努力すると言う以上は、できる限り速やかにあるべき姿、通常の姿に戻したい、これが私の考え方でございます。
○元信委員 先ほど大臣は、ことしも完全実施に向けて最大限の努力とおっしゃいましたけれども、その最大限の努力というのは、こういう異例な措置から脱却するということに向けて払われる、こういう理解でよろしいですか。
○後藤田国務大臣 そのとおり理解をいたしております。
○元信委員 それでは、次に移りたいと思います。 これも政府の表現によると積み残しというものですが、私どもは積み残しなどというものはあり得ないというふうに思っておりますけれども、例の一昨年の藤波官房長官談話は今でも有効というふうにお考えでしょうか。
○藤井(良)政府委員 昨年の官房長官談話でございますか。(元信委員「一昨年も言い、昨年も同じようなことをしたでしょう」と呼ぶ)官房長官談話の趣旨は現在でも十分生きていると思います。
○元信委員 そうしますと、最大限の努力をすると言いながら、一昨年に三年段階実施ということをおっしゃり、一昨年、去年とそういうことをされてきたわけですが、そういうことにかんがみてみますと、ことしは人勧の値切りというものはあり得ないというのが先ほどの努力の決意というふうに私ども聞いたわけでございますが、総務庁長官、ことしは全国の公務員の期待にこたえて、人事院勧告の値切りなんということはあり得ないというふうに本席で決意を表明できますか。
○後藤田国務大臣 元信さんが一昨年の官房長官談話と言ったのは、一昨年は私でございますから、恐らく去年の官房長官談話だと理解をいたします。 これはその際に、あの中にも書いてあると思うのですが、いわゆる過去の積み残しというのは、五十七年の完全見送りというようなことがあって、ところが人事院の勧告というのは毎年毎年の官民較差を調べて勧告をするわけですから、実体的にはそれがそこに残っておる、こういう意味です。これは、先ほどお答えしたように速やかに解消したい。ことし人事院勧告があれば政府としてはあらゆる努力をして完全実施に向けて最大限の努力をする、こういうお約束をしておりますから、ことし出ればどうするのだという御質問であれば、最大限の努力をして完全実施に向けてやっていきたい、こう考えておるわけでございますが、それから先は例の昨年の官房長官談話の趣旨をひとつ御理解をしておいていただきたい、かようなことでございます。
○元信委員 現時点で質問をいたしますと、完全実施するかしないかは、勧告を見て、その時点で財政並びに国政全般の動向を勘案して、こんなふうになるんだと思いますが、もう少し踏み込んだ認識を承れればと思うのです。 といいますのは、結局は財政事情ということになるかと思いますが、財政事情なんというものは、今から夏にかけての間ぐらいにそうころころ変わるものじゃございませんね。そうしますと、その完全実施をするという決意は、財政事情のどういう指標に注目してなさるのか。そういう判断の基準みたいなものを今から伺っておきませんと、全国の公務員の皆さんも、一体ことしはどうなるのか。全く政府の恣意になるんじゃたまりませんから、その基準というものをできるだけ具体的に明示をしていただかなければならぬと思うのです。いかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 勧告の取り扱いの大原則は先ほど来お答えをしておるとおりでございますが、政府としては、人事院の勧告を受けますれば、労働基本権の制約の措置としての勧告制度があるんだ、同時に、良好な労使関係の維持、公務員の士気、生活への影響、現下の社会経済情勢、厳しい財政事情、国民世論の動向、こういったことを総合的に国政全般の上で判断をしながら行うということでございますけれども、先ほど来申しておるように、勧告の抑制措置というのはこれはあくまでも異例の措置である、したがってできるだけ早く通常の姿に返したい、これが私の基本的な考え方でございます。
○元信委員 政府は今、内需の拡大に取り組んでおいでになります。外国の物を百ドル買え、総理大臣も国民にこういう要請をしているやに承っております。そういうことになりますと、公務員もせめて百ドル分ぐらいは何とかせねばいかぬ、こう思うのが人情でありますけれども、一体それはどうすればいいのか。つまり、今、我が国は、諸外国からもっと内需を拡大せねばならぬと、やいやい言われているわけです。それなのに、その足元の公務員は、制度の趣旨に反してまで緊縮財政のしわ寄せを受けて購買力を低下させられる。こういうことになりますと、幾らテレビで勇ましく説明をしても、原資がなければどうにもならぬわけです。内需の拡大政策と人勧に対する引き締めは矛盾するように思います。どうでしょうか。
○後藤田国務大臣 見通しとしてこれまた異常な黒字の集積ということで、外国から日本経済の運営をめぐっていろいろな御要望がある。やはりこの際、日本としてはできる限りの内需拡大を図らなければならぬ、これは私は基本の物の考え方だと思います。 さて、そのときに、内需の拡大の具体的手段は何かと言えば、今元信さんがおっしゃったように、やはり六〇%近いものが国内での消費ですから、内需の拡大と言えばどうしても消費の拡大をしなければならない。となれば勤労者を初め国民すべての懐かげんをよくしなければならない、そうしなければ使わぬじゃないか。これは一つの筋論として当然だと思いますが、さて、それでは給与改善をすればそれだけで果たしてその金が消費に向かうのか、それとも貯蓄の増高に向かうのか、ここはなかなか判断の難しいところで、昨年の所得税、住民税の減税は一兆七千百億ばかりだったと思いますが、結果を見るとどうやら余り消費に向かわずしてこれは貯蓄に向かっておる。こういったこともございますから、これは経済政策全般の運営として本当の内需拡大というのは何かということを真剣に検討しませんと、給与だけ上げればそれが全部消費に向かうというのは少し短絡しておるのではないか。しかし給与がうんと上がれば使う金も多くなる、これは一般論としては当然だろうと思いますが、もう少し経済政策としては分析を十分にした上でないと、にわかにここでどうこうだ、こういうことは私は言いかねる、かように思います。
○元信委員 それは給料を上げれば消費に向かうということはにわかに言い切れぬと言えばそうかもしれませんが、しかし上げなければ消費が拡大しないというのはこれは当たり前なんですね。政府が言っていることは、要するに消費を拡大しなさいと言っているわけです。そうすると、賃金は改善しないけれども消費を拡大しなさいということは、要するに今まで国内で買っていたものを減らしてその分輸入をふやせ、こういうふうに受けとらざるを得ないわけですね。それでは内需の拡大にならないし、そうすると国内の産業に与える影響というものもまた非常に大きい。どうしても最初にやるべきことは所得をふやしてそれを今度消費に振り向ける、わけてもそれを輸入に振り向ける、これは政府の腕だというふうに思うわけですけれども、その一番最初のところをやらないでやたらに輸入をふやせというのは、国内経済に対しても非常に大きな影響を与えると思うのですよ。そういう意味で、政府がそう言うなら、まず政府の足元にある公務員の所得を拡大をする、これはどうしても必要な政策だということを改めて申し上げておきたいと思います。 次いで、人事院の総裁に伺いたいと思いますが、今蒸し返しになりましたけれども、政府の人事院勧告に対する取り扱いについて総括的に伺いました。人事院総裁、連年にわたる抑制をずっと受けてきているわけですけれども、総裁の所感をまず承りたいと思います。
○内海政府委員 今までもたびたび、当委員会その他におきましても御答弁あるいは私の意見を申し上げておるわけですが、先刻御存じのように、人事院による給与勧告というものは、労働基本権が制約されておる国家公務員に対しまして、いわば唯一の給与改善の機会として代償機能を営んでこの勧告を行っておるわけでありますから、何はともあれ、これを勧告申し上げた内閣及び国会におかれまして、これを最大限尊重して完全実施をしていただくということが、私ども責任を持って勧告を申し上げておる者の当然の期待であり、また私どもも、そういうものが実現いたしますように努力をいたしておるところでございます。 ただいま総務庁長官からも御答弁ありましたように、政府におかれましても、その結果は抑制というふうなことに終わったわけでございますけれども、最大限の努力をされておる、あるいはされる決心であるというふうに承知いたしておりますので、願わくは、それがさらに実現いたしますように、政府におかれましてもあるいはまた国会におかれましても特段の御協力をいただくことが私どもの願いであります。私どもまたそのために努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
○元信委員 完全実施を期待するとおっしゃるわけでありますが、人事院としては単に期待しているだけでなくて、政府に完全実施を実現させるために有効な手段というのは何かお持ちになっているわけですか。それとも単に勧告して、後は政府の努力を見守るということになるのか。何らかの手段というものを考えるべきではないかと思いますが、そこのところについて伺いたいと思います。
○内海政府委員 十分御存じのように、人事院というのは完全な独立というわけではございませんが、一応機能として政府から独立した機能を営んでおるいわば第三者的な機関でありますから、そういう立場からは厳正、公平に勧告の案をつくり、また勧告を申し上げる、また先ほども申しましたように、その限りにおいてこれが実現を全力を挙げて期していくということが私どもの務めであろうと思います。同時に、そういうふうな立場でございますから、その手段、方法においてはおのずから行政機関としての限界があることもやむを得ないもの、したがって、その限界の中において何を私どもがすることによってその実現をより強く期していくかという問題でありますから、これはいろいろな勧告の内容について政府に理解を求め、あるいは国会の諸先生方あるいは国会全体としての御検討に対してできるだけの私どもの努力をしていく、こういうことであります。 具体的にどういうふうな、何をということになりますと、国家公務員の給与というものは予算をもって定められ、そして国会に提案され、さらにまた勤務条件法定主義ということで、国会において最終的に御審議、御決定になる問題でございますから、その限りにおいて、私どもが何をなすということにおいてもやはり我々のなし得る限界がある、その限界の中においてはできるだけのことは私はしていく決心でおるわけでございます。
○元信委員 随分長い御答弁をいただきましたが、要するに今の人事院制度の中では、勧告を出して政府に八万手を尽くして改善を迫るけれども、政府がやらないと言えば制度上はどうしようもない、そういう制度である、こういうことですね。簡潔にひとつ。
○内海政府委員 先ほど御答弁を申し上げたとおりでございます。
○元信委員 人事院総裁は、昨日公務員共闘に対して春闘の交渉の回答を文書でなさったようでありますが、その中に「労働基本権の代償措置としての人事院勧告が、連年にわたって抑制されたことは、まことに遺憾である。また、このような事態が続くとすれば、人事院勧告制度の根幹にも論議が及ぶおそれのある重大な問題である。」こういう認識を示されているわけであります。全農林の事件に対する最高裁の判決でも、人事院勧告が完全実施されないということになりますと、労働基本権抑制の代償措置としての人事院制度というものは画餅に帰するおそれがある、こういう指摘もされているわけであります。人事院総裁が「人事院勧告制度の根幹にも論議が及ぶ」、こういうふうに回答をされたその認識、このところずっと抑制が続いているわけですから、ことしもまた抑制が続くというようなことになると、いよいよこれは人勧制度そのものを考え直さなければならぬ、そういう時期に来た、こういう認識でこれを書かれたのか、そこのところの認識を承りたいと思います。
○内海政府委員 その前に、公務員共闘の皆さん方には、今回の勧告あるいは勤務条件等に対していろいろ申し出がありましたので、事務当局においていろいろ検討させ、私からも口頭でお答えを申し上げたものでございます。 おおむねただいまおっしゃったような内容を御答弁申し上げておりますが、今お話しのように、やはり人事院勧告というものは、たびたび私が申し上げておりますように、代償機能としてこれはその行為を営み、その勧告というものはいわばその代償措置でございますから、これが守られるということによって初めてその意義が存するわけであります。したがいまして、それが連年見送られるとかあるいは抑制されるというふうな事態が継続しますれば、やはり最高裁判決にもありましたように人勧制度そのものの意味を問われることに至るわけでございますから、そういう認識のもとで、私どもは常に、人事院勧告というものを真剣に関係方面において御考慮を願い、そしてそれの最大限の努力をしていただいて、その実現を期していただくということを申し上げておるわけであり、そういうふうな考え方に基づきまして、今回も私の所見を申し上げておるわけでございます。
○元信委員 連年の抑制、これでもう何やかにやで六年、こういうことになるわけでありますが、人事院総裁、さっき私が質問をいたしましたのは、あなたの認識として、ことしももしそういうことになるとすれば、これはもう僕は、根幹に触れる論議ということをしないと全国の公務員の皆さん初め世界じゅうからやはり問題にされる、そういう時期に来ているのじゃないかと思うのです。したがって、総裁も今回、今おっしゃったようなことを言われたというのは、現状の認識としてそういう認識に到達している、そういう考えをお持ちであるかということを承っておるわけですね。現在、人事院勧告制度が、これ以上また抑制が続くようだともうもたない、こういう認識になっているのですか、まだ大丈夫だと思っているのですか。
○内海政府委員 そういうことの判断というものは、私一人が判断するだけの問題ではなく、やはりこれは内閣全体あるいは国会におかれましても御判断を願うべき問題で、今の御質問そのものに私が断定的な御答弁を申し上げるということはやはり差し控えなければならないと思いますが、たびたび申し上げておりますように、そういう抑制あるいは凍結というふうなことが繰り返し繰り返し行われるというふうなことになれば、やはりこれは勧告制度というものの基本に問題が出てくる。 されば、現状においてどうだ、こういうことでございますが、先ほどからも総務庁長官も、政府としても完全実施に向けて最大限の努力をするのだ、しておるのだという御見解でございますから、そういうことを考えあわせれば、今直ちに勧告制度というものが崩壊の危機に瀕しておるとは私は申し上げることはできない。これはやはり内閣御自身も御判断されなければならないし、また国会においても御判断をされなければならないもの、私どもはそういうふうに見ておりまして、どこまでも真剣に、勧告制度というものを維持存続させるための努力を関係の皆さん方で一緒になってやらなければいけない、こう思います。
○元信委員 もちろん、人事院制度をどうするかということは人事院総裁が考えることではなくて、内閣なり国会が考えるなんということは当たり前の話であります。私が承ったのは、人事院の責任者として現状をどういうふうに見ているかというふうに承ったわけですから、そこのところだけ御答弁いただければよかったと思うのですが、最後にそれらしき御答弁がありました。要するに、政府は努力をしているのだから、もう六年も抑制をしているけれども、政府が努力をしているから、そのことを見ていると制度の危機とは言えない、こんなようなお話だと思います。 ただ、私が思いますのに、政府が努力していると言っても、要するにこれは使用者内部の努力なんですよね。民間会社の団体交渉で言えば、総務部長が社長のところへ給料を上げろと一生懸命言っていますと言っているだけのことであって、第三者機関として大事なことは、そういう使用者内部の努力だ何だというようなことに着目するのではなくて、やはり客観的な第三者としての制度の機能というものにもう少しウエートを置いた物の見方をしていただかないと、第三者機関としての長として僕は困るのじゃないかと思うのですよ。あくまでも政府の内部のことばかりに目が向いて、あの人がこう言った、総務庁長官は大蔵省に、こういう努力をしているというだけでは、ちょっとぐあいが悪いのじゃないかなというふうに思うことを申し上げておきたいと思います。 もう一つ、この公務員共闘に対する回答の中で、ことしの給与改定に当たって「人事院勧告が完全実施されるよう努力するとともに、その制度化についても検討する。」こういうふうにおっしゃっていると思います。間違いありませんか。
○内海政府委員 今の人事院勧告の問題、その完全実施あるいは勧告制度そのもの等につきまする私どもの考え方は申し上げてきたところでございまして、あらゆる意味からこの完全実施をしていただかなければならない、こういうふうに思っておるわけであります。 さて、そこで、その完全実施を確保するために何か制度的に考えるところはないのかということは、この委員会におきましてもかつて御質問を受けたこともございますし、また、他のいろいろな機会にもそういうことの意見を求められることがあります。私どもも決してそういうことに無関心でおるわけではないという意味合いのことを私は申し上げておるわけですが、さて、しかし、先ほども申しましたように、この給与勧告というものは、第一義的には予算というもので国家公務員の給与が賄われるわけでございますから、これはやはり政府が提案される予算というものにおいて第一に問題がございますし、また最終的には、勤務条件法定主義のもとにおいて国会において御審議、御決定になる問題でございますから、さて、制度と申しましても、これはなかなか、具体的にどういうことをどうするというようなことは容易な問題ではございませんので、私どももいろいろな意味で勉強していき、調査していき、さらにどういうものが考えられるのか、いいことが考えられればこれは意見として申し上げることもできると思いますが、今現時点におきましては、何よりも、たびたび繰り返しておりますように、関係の機関あるいは関係の方々によってこれを完全に実施して、人勧制度そのものが問題なく存立していくようにやっていただく、これが一番大事な問題である、私どもはそういう意味合いを込めたお答えをしておるわけでございます。
○元信委員 せっかく総裁の回答の中に「制度化について」というふうにおっしゃっているわけですから、もう少し何らかの具体的な方策があると思ったのですが、そんなものは全くないということで、いささかこの点はがっかりをいたしました。しかし、こういうものが総裁の回答に出てくるというのは、それだけ政府の抑制が続いている、そうすると、この抑制に対して単なる要望だけしておったのではらちが明かない、そういう声が人事院総裁のところへもひしひしと押し寄せてきて、総裁としてもこう言っておかないととてもおさまらない、やはりただ要望するというだけでは困ってしまう、こういうことだろうなというふうに受けとめました。 ところで、人事院勧告の実施問題というのは、もちろん直接の当事者であります全国の公務員、それから一般にもそれが労働条件にはね返るところが多いですね。例えば各種協同組合の職員なんかも人勧準拠というのが多いわけです。さらにまた恩給、年金、こういうものにもはね返りますし、広範な影響を持っているのです。 そういう影響の中で見逃せないのが、国際的な問題だろうというふうに思います。我が国の貿易黒字に対して、国際的な批判というか非難というか、そういうものが沸き上がっている中で、日本の公務員というのは労働基本権を確保されていないにもかかわらず人事院勧告そのものだって値切られている、こういう非難というのは国際的にも高まることが予想されるわけですね。ことしのILO総会に対して政府がどのように対処されるかということをこれからちょっと聞いてまいりたいと思います。 ILO問題は、昨年来いろいろなところで議論になってまいりました。私も昨年十二月十三日に質問をいたしておりますし、同僚の野田、大出、角屋、各議員も予算委員会その他で質問しているところであります。 まずILOに対する基本姿勢について伺いたいと思いますが、日本は、ILO加盟国中、既に分担金の拠出の割合でいきますと第三位の地位を占めているわけですね。したがいまして、ILOの勧告等に対して積極的に日本はこれを支えていく、推進していく立場にあるというふうに思われているわけでありますけれども、ILOに対する基本的な態度について政府のお考えを承りたいと思います。
○中村(正)政府委員 ILOに対する拠出金という意味では確かに日本は第三位を占めておる、その点も重要でありますけれども、国際社会の一員として我が国がILOに参加する以上、ILOの精神を十分に尊重して従う、と同時に、ILOがその目的を達成できるように我々がサイドから支援をするということも必要かと思います。そういう積極的な姿勢でILOに対処していきたいと思っております。
○元信委員 日本政府はILOで確立された諸原則、つまり国際労働基準を尊重していく、その意志は間違いありませんね。
○中村(正)政府委員 条約を批准した以上その批准の義務に従う、これは当然でございまして、先生のおっしゃる意味においてはそのとおりでございます。
○元信委員 批准されていない条約あるいは勧告、この適用についても努力する義務があるというふうに考えるわけですが、いかがですか。
○中村(正)政府委員 法律的には批准をしたものに対してそれを遵守する義務を負うということでございますけれども、未批准条約につきましても、国内法制等の検討を加えた上で所要の修正を加えてできるだけ批准に向かって努力する、これが我々の姿勢であると思います。
○元信委員 それでは、ILOの結社の自由委員会の第一二六三号事件に対する二百三十六次報告、つまり日本の人勧問題についての報告に関して伺いたいと思うのですが、政府は、労働団体の提訴に対する政府の見解の中で随所に、政府は労働基本権の制限に見合う代償措置についてのILOの原則を承知しておる、こういうふうに言っているわけでありますが、承知しておるというILOの原則というものは一体どういうものか、政府の認識を承りたいと思います。
○中村(正)政府委員 先生の御指摘は恐らく人勧に絡まるものであろうと思います。ILOの諸原則というものはいろいろございますので、人勧に関する点を述べてみまするならば、ILOが繰り返しておりますように、人事院勧告が提出された場合には完全かつ迅速にこれを実施すべきである、こういう原則についてでございます。
○元信委員 労働基本権の制約について承っているわけでありますが、スト権の禁止の代償はILOはどういうふうに言っておりますか。
○中村(正)政府委員 スト権の制約というものはあり得るということは認めた上で、その制約に対してその代償措置を講じなければならないというのがILOの原則であります。我々の認識では、公企体職員に対する仲裁裁定制度、そして国家公務員あるいは地方公務員に対する勧告制度、これが代償措置である、こういうふうに考えております。
○元信委員 適切、公平、迅速な調停あるいは仲裁制度が確保さるべきであり、かつ、あらゆる段階で参加が保障され、そして裁定が当事者を拘束し、かつ迅速、全面的に実施されるべきである、これがスト権禁止の代償であるというのがILOの認識だと思いますが、間違いありませんか。
○中村(正)政府委員 確かに一般原則としてはそういうような文言で常に指摘しております。しかし、御存じのとおりILOには百五十数カ国が参加しておりますので、一片の文言によって各国を全部規律するわけにはいかないということで、いろいろな変化ということが認められておると存じます。我が国の人勧制度につきましては、例えば二百二十二次報告というのは五十八年に出ておりますけれども、そこにもいろいろ書いてございますけれども、百六十五項というところに、「過去においては、人事院勧告及び政府によるその後の実施が関係労働者にその労働組合権に対し課せられた制限の代償を提供していたものと委員会には思われる。」という文言がございまして、人事院勧告制度がこの代償措置であるとILOも認めておるというふうに考えております。
○元信委員 労働省の政府委員に申し上げますが、質問したことに対する答弁をお願いしたいと思います。いいですか。何も今の後段なんか質問しておりませんから、私は確認を求めたわけですから、そのことについて必要にして十分な答弁をお願いしたいと思います。いいですね。 さて、二百三十六次報告に対する政府の従来の答弁、これは僕はちょっと問題があるのじゃないかなというふうに思っておるのです。これは昨年も私は質問したわけでありますが、今お話のあった二百二十二次報告に対して二百三十六次報告というものは変化があったのじゃないか、制度の問題について突っ込んだことをILOは言っておるのじゃないかというふうに申し上げたところが、いや、そんなことはありません、毎年同じことを言っておりますよというのが去年の労働省の答弁でしたね。そのことについてもう一遍、結社の自由委員会が一体何を日本に対して勧告したのか、そこのところの認識をお聞かせいただきたいと思います。
○中村(正)政府委員 手短かにお答えさせていただきますと、いろいろな表現がとられておりますけれども、要するに人事院勧告の完全実施が重要であるということを強調する、しかしながら、もし仮に人事院勧告の不完全実施という事態が継続するならば制度の検討の問題も、というような御指摘があったというふうに我々は考えております。その考え方は、前国会においても私どもの方から述べましたと同時に、今国会においても同じような見解でおります。
○元信委員 そうしますと、ILOの認識というものは単に人事院勧告を完全に実施しなさいと言っているだけではなくて、抑制が連年にわたるのであればその制度についても具体的に再検討しなさい、こういうことを言っておるわけですね。
○中村(正)政府委員 私どものとらえ方というのは、事の経緯からいいまして、人事院勧告が完全に実施されなかった、それによって提訴が起き、それによって議論が起きたという経緯を考えますと、ILOが求めているのは、まず第一に完全実施である、そして先ほども申し上げましたように、それが仮に継続するならば制度の検討についても指摘するところがある、こういう指摘だと思っております。
○元信委員 その制度の検討について、ILOはどういうふうな制度でなければならぬというふうに言っていますか。
○中村(正)政府委員 文章は、二百七十五項のところにもございますし、また二百七十四項にも同じような指摘がございます。「政府が、公務員が現在享受していない基本的権利の適切な代償となり、また、これらの労働者が雇用条件の決定に参加できるような、公務における賃金及び労働条件の決定のための手続を確立することができるようにとの強い希望を表明する。」ここのところが制度に対する指摘であろうと思います。
○元信委員 総務庁長官に伺いますが、今労働省はそんなようなお話でしたが、連年にわたる抑制が続いていると新たな制度を検討せねばならぬ、そういう勧告がILOの結社の自由委員会から我が国に対してなされている。その認識では違いございませんね。
○後藤田国務大臣 まず最初に、人事院の勧告制度、この基本は政府としてはあくまでも堅持をしていきたい。したがって、人事院の勧告制度そのものの基本に論議が及ぶといったようなことのないように、そして、ただいま御質問のILOの勧告自体も、私の受けとめ方は、ともかくいろいろな表現は用いておりますけれども、完全実施が最重要課題である、したがって、もしそれができないというような事態になれば、これは給与決定の方式なりその他制度の問題についてもILOとしては検討方を強く希望する、こう言っておるわけでございますから、そういったILOの御懸念にならないように、政府としては、先ほど来申し上げておるようにこれはあくまでも異例の措置でございますから、通例の状態になるように、速やかに政府としては最大限の努力をしたい、かようなことでございます。
○元信委員 そこのところの認識ですが、二百三十六次報告では、確かに前段で完全実施しなければならぬというふうには言っておりますけれども、しかしILOは、人勧が完全実施されなければ新しい制度をとは必ずしも受け取られないというふうに思っているのですね。従来から、人事院勧告が完全実施をされようがされまいが、ILOはそういう見解だったのじゃないですか。
○中村(正)政府委員 ILOが、常に人事院勧告制度そのものについて疑いを持っていたとは考えておりません。
○元信委員 語尾のところがよくわからぬので、はっきり言ってください。
○中村(正)政府委員 ILOとしては、人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置として不完全であるということを常に指摘していたということではないというふうに考えております。
○元信委員 そうすると、例えば一つのケースで言うと、一九七三年の百三十九次報告というのがありますね。ここでもさっきあなたが読み上げたのと同じようなことが書いてあるわけですよ。この年には人事院勧告は完全実施されているわけですから、人事院勧告の完全実施とか抑制とかとは関係なく、ILOは、公務員の労働基本権の制約に対する代償措置というのはこうでなければならぬというふうに言っているでしょう。どうですか。
○中村(正)政府委員 確かに百三十九次報告でも同じような表現は見られますが、このときの経緯を簡単に申しますと、四十四年以前については、人事院勧告についても時期において完全実施がなかったという時代がございます。したがって、それを背景に、たしか四十五年でしたか四十六年ですか、公務員関係組合が再びそのようなことがあってはいけないということで争議行為に移った、それに対する懲戒処分があったということを背景といたしましてILOに提訴があった、こういう事件でございます。したがいまして、実施時期そのものについて過去において守られなかったということを頭に置きながらストライキをやったということを背景にして、ILOとしては、ILOがかねてから繰り返し言っていた原則をもう一度ここに指摘した、これが経緯でございます。したがいまして、確かに四十五年以降は完全実施されておりますが、この提訴の背景には、四十四年以前に完全実施されていなかったということを指摘しつつ提訴をした、こういうことでございます。
○元信委員 この辺まで来ると水かけ論といいますか、ブランシャールさんにでも来てもらって、一体ILOの真意はどこにあるのか、労働省や政府が言うように、人勧さえ完全に実施すればいいでしょうと言っているというふうには我々どうしても受け取ることができぬわけでありますから、そういう場所でも考えてあるいはやっていかなければいかぬ。そうでなければ、よその人の言っていることを、ああでもない、こうでもないと解釈して、それにいたずらに時間を費やすことになるだろう、こう言わざるを得ぬわけです。 仮にILOが、人事院勧告を完全に実施さえすればいいのだ、こういうふうに政府は言っておるわけでありますけれども、そうだとしても、将来安定的に人事院勧告が完全実施されるということがその前提になければいけませんね。いかがです、総務庁長官。
○後藤田国務大臣 その点は、先ほどお答えしたように、人事院勧告制度に対する御懸念、またILOの御懸念、そういった御懸念がないように、できるだけ速やかに政府としては勧告制度の完全実施に向けて努力をしたい、こう申し上げておるわけでございます。
○元信委員 昨年の官房長官談話で、六十一年にはいかなる困難があっても完全実施する、こういうお話でしたね。較差を解消するというのはそういうふうに私ども受け取っておりますが、間違いありませんね。
○後藤田国務大臣 それには前提がございます。その前提は、六十一年を待たずして六十年度においてもできる限り完全実施をいたします、しかしそれが客観情勢としてできない場合であっても歯どめをかけておる、こういうことでございます。
○元信委員 何せそっちの言ったことがかすんでしまいそうな時世ですから、とにかく六十一年のことも聞かざるを得ぬですが、六十二年はどうしますか。
○後藤田国務大臣 これは、六十二年度も完全実施に向けて最大限の努力をする、こういうことでございます。
○元信委員 そうすると、六十年は最大限の努力ですね。私ども最大限の努力というものに余り信頼を置いておらぬわけですが、六十年は最大限の努力、六十一年はどんなことがあっても完全実施。これは最大限の努力じゃないですね。どんなことがあっても完全実施ですね。そして六十二年からはまた最大限の努力に後退をする、こういうことですか。
○後藤田国務大臣 いついかなるときでも最大限の努力をする、しかし、六十一年度はいわゆる過去の積み残しがありますから、その積み残しについてはことしを下回らないように解消をしていく、こういうことを申し上げているわけです。それで計算をすれば、六十一年度では文字どおりの積み残しはなくなる、かように理解をしていただきたいと思います。
○元信委員 そうすると、六十二年度以降は、最大限の努力をしてみた結果、また積み残しが生ずる可能性をあなたは否定できないですか。
○後藤田国務大臣 その点は、国政全般との関連の中で広い目配せをしながら最大限完全実施に向けて努力をする、こういうことでございます。
○元信委員 一九六九年の十一月十一日に官房長官談話というのが出ていますね。それから、一九七〇年十二月九日に衆議院内閣委員会における答弁の中で当時の山中大臣は、人事院勧告がされれば、どんな内容であろうと「財政事情その他によって今後特殊な措置はとらない」ということを国会において約束をしたわけであります。それが今日このざまでありますけれども、それと同様の約束をするということはできないわけですね。どんな財政事情があっても六十二年度以降は完全に人事院勧告を実施していく、それが政府の責務であり、基本姿勢である、ここではそういうふうに言えないということですね。
○後藤田国務大臣 勧告制度に対する基本的な物の考え方は、今のお読みになったのは山中さんですか、山中さんと私は認識はちっとも変わっておりません。ただ、しかしながら、御案内のような今日の情勢、つまりは財政の再建という厳しい役割も担っておる、同時に、行政の改革ということで国民の各界各層に対してある意味において痛みを伴う施策を講じつつある、こういう客観情勢が当時とは違うということを私、頭に置きながらも、やはり六十二年度以降も広い目配せをして国政全般との関連の中で完全実施に向けて最大限の努力をしたい、かように私の考え方をお述べしているわけでございます。
○元信委員 結果として、その当時の山中総理府総務長官の約束は、あるいは凍結あるいは抑制によって破られたわけですね。ですから私ども大変遺憾だと思うのです。国会答弁というものがそんなにころころ変わって、そのことについてだれが責任をとったというわけでもない、こういうことは極めて遺憾千万だというふうに思うわけですが、今、後藤田さんがおっしゃったのは、その山中さんの約束と同じ約束だ、こういうことを言っておるわけですね。いいですか、もう一遍読みますと、「これは完全実施をしていく、」「これは」というのは人事院勧告ですよ。「財政事情その他によって今後特殊な措置はとらないというルールを、私たちは国民の前に明らかにしたものと考えております。」こういうふうにこのときは断言しているわけです。これと同じということですか。そうじゃなくて、財政事情その他を勘案しながらということになると、基本的なところで変わるわけなんですね。そこのところははっきり承りたいと思います。
○後藤田国務大臣 人事院勧告を尊重していく、こういう基本認識においては山中さんと私は同じである、こう申し上げているわけでございますが、当時と今日とは客観情勢が違う。違うけれども、六十二年度以降どうするか、こういう御質問でございますから、そういった厳しい客観情勢の中で、情勢は変わっておるが完全実施に向けてやはり最大限の努力はしたい、かようなことでございます。
○元信委員 完全実施について最大限の努力をしているというのは、ことしもそうするとおっしゃいましたね。去年もそうしたわけですね。その前もそうしたわけですか。要するに毎年やってきておるわけですね、最大限の努力を。最大限の努力をしなかった年はありますか。
○後藤田国務大臣 毎年最大限の努力をしておるつもりでございます。そこでですよ。そこで、いつまでも最大限の努力をすると言いながら抑制が続くということは、公務員諸君に不安感を与えるではないか、したがって六十年度は、別段、不完全実施の宣言だという御批判があるから、そういう批判を受けないように慎重な言葉遣いの中で、過去のいわゆる積み残しについては六十一年度までには積み残しをなくしたい、こういうことを申し上げているのですから、この政府の気持ちは御理解を賜ることができるのではなかろうか、かように思います。
○元信委員 そんなものはとても理解はできぬわけです。大体「積み残し」だなんという概念そのものを我々は受け入れることはできぬわけであります。毎年毎年官民較差を是正するように勧告するわけでありますから、それを毎年やるのが政府の責務であって、これがいつの分とか、これが積み残しの分だとかいうことは、人事院勧告では何にも言ってないわけです。そうですね、人事院総裁。
○内海政府委員 「積み残し」という問題は、総務庁長官も「いわゆる」という言葉をお使いになって「いわゆる積み残し」、こういうことですが、人事院といたしましては「積み残し」などという概念は持っておりません。これは毎年官民の較差を御承知のように極めて厳密な調査によって出しておる、その較差解消が常に実現するように、こう申し上げているわけですから、人事院においては「積み残し」というそういう概念はございません。
○元信委員 ですから後藤田さん、積み残しなんということをお考えにならずに毎年完全実施する、これができなければ不完全実施ということ、つまり値切り、労働基本権の代償措置を侵しておる、こういう認識に立ってもらわなければ困るわけなんです。それをいつまで分割して、遅くも六十一年、来年のことにまで言及するのだなんというのは、甚だもって制度をないがしろにしているものだと言わざるを得ないというふうに私どもは思っているわけなんです。 そこで、人勧制度に対する政府の基本的な姿勢、長期的な姿勢を承るわけでありますけれども、そうすると、要するに財政事情とか国政全般の事情を勘案しながら、将来にわたって、その人事院勧告制度というのは、あくまでもあなた方のおっしゃるところのそれこそ「いわゆる」だ、最大限の努力の対象にしかすぎないものなのか。絶対に守る、こういうことではなくて、財政状況あるいは行政改革、財政再建、そういうものを見ながら、そのときどきの財政事情によって適当に、あるいは抑制をしてみたりあるいは完全実施してみたり、そういう可能性がある制度というふうに政府は理解しているわけですか。
○後藤田国務大臣 今人事院総裁がお答えしましたように、制度的にはいわゆる積み残しなんというものはあるはずがないので、毎年の官民較差で勧告なさる。しかしその基本には、その根っこには、五十七年の完全見送りということがあれば、その分だけはこの勧告の中に当然入ってくるわけですから、だから私は「いわゆる積み残し」とこう申し上げている。それを、六十年度はそういうことのないようにできるだけしたいけれども、万々一それができなくても、六十一年度にはそういう「いわゆる積み残し」というものをなくしよう、積み残しをなくすれば完全実施になるわけですから。そういうことを私は申し上げているのです。 そこで、基本的に、人事院勧告制度はこれを完全実施するのが政府の責務である、私はそう考えているのです。しかしながら「いわゆる積み残し」がありますから、これをどのように解消していくのがいいのか。あなたがおっしゃるように毎年毎年、政府は完全実施に向けて最大限の努力をしますと言って、いつになったら「いわゆる積み残し」が解消するのかわからないということが、本当の意味で公務員の諸君に親切なのかどうか、やはり公務員の諸君には一応の目途というものをはっきりしてあげる方が、本当の意味で政府としては親切な態度ではないのか、こういうことで私は申し上げている。あなたがおっしゃるように、これが悪いと言うのならやめてもいいのですよ。しかしながら、それでは公務員の諸君は満足せぬだろう。今、ともかく六十五年度までの財政再建という厳しい措置をやっているわけでしょう。うっかりすると、公務員の立場に立ってみれば、これは六十五年度までそのまま引き延ばされるのじゃないかという心配だって私はあると思いますよ。だからこそ、これはみんな反対意見が強かったのですよ。強かったけれども、きちんとした政府の方針というものを立てて公務員の諸君に安心感を持ってもらう、この方が現実的な政府としての取るべき態度ではないのか。今の建前からいえば、不完全実施でないかとかいろいろな批判が出ることは私も初めから承知をしておる。承知をしておるが、これが現実的な政治の場における解決の方法としてはいいのではないか。こういうことでやったわけでございますから、この点は御理解をしておいていただきたい、こう思います。
○元信委員 六十一年までのことはそれこそ耳にたこができるくらいよく承りました。あなたの考え方もよく承りました。私が言っているのは、とにかく最大限の努力とかなんとかということじゃなくて、六十一年は絶対にやりますよということは後藤田さんが言い切った、こういうことですね。ですが、その先のことを言っているわけです。公務員の諸君の心配を、御不満をというようなことで心配されているようでありますけれども、しかし、全国の公務員も六十一年に完全実施がされればそれでいいやと思っているわけじゃないですよ。それがまた六十二年、六十三年、ずっと先々続いていくうちに、一たんは政府は四十五年でしたか、人事院勧告の完全実施を約束したわけですね、それがほごにされた、それでこういう事態を迎えていて、それをとにかくできれば六十年、できなくても六十一年には完全実施する、こう言っているわけですけれども、そこから先の問題というものについても当然心配はいくわけなのです。そこのところについて私はさっきから伺っているわけです。 もういいです、六十一年の前の話は。六十二年以降、努力だ何だということじゃなくて、これは制度的には、今ILOの勧告、結社の自由委員会の意見に対して政府はこもごも見解をおっしゃいましたけれども、それに照らしてみても、人事院勧告は、努力だ何だとかいうようなものではなくて、絶対に守るという決意が表明されねばいかぬと思うのです。それができないですか。
○後藤田国務大臣 この点も、先ほど来お答えしているように、人事院制度というものがある以上は、勧告があればこれを完全実施するのが政府の責務である、私はそう考えているのです。しかしながら、政府はやはりそのときどきの国政全般との関連ということは考えなければならない立場なのですよ。したがって、それらを含めながらも最大限完全実施に向けて努力をする、こう申し上げているわけです。
○元信委員 ここまで来るとどこまで行っても水かけ論ですね。要するに政府は、六十一年の完全実施だけは約束をしたけれども、六十一年以降は努力の対象であって、政府としてはこれを制度として完全に実施をするということについては財政事情、かつてはこう言ったですね、いかなる財政事情であろうともと勇ましく言い切ったわけでありますけれども、そういう言い方はできない、こういうことですね。
○後藤田国務大臣 国政全般との関連の中で完全実施に向けて最大限の努力をいたします、こういうことでございます。
○元信委員 そうしますと、先ほどのILOの結社の自由委員会の勧告とも関連をしてくるわけでありますけれども、政府はかねがね、人事院勧告を完全に実施すれば、これは人事院制度でスト権禁止の代償措置としては十分いける、こういう御判断であったようでありますが、今の後藤田長官のお話ですと、あくまで人事院勧告を完全実施するかしないかということはその年々の財政事情によって変わることであるから、スト権禁止の代償措置としては有効でない、こういう判断が出てくると思うのですが、いかがですか。
○後藤田国務大臣 何か元信さんの御質問を聞いていると、六十二年度以降政府は抑制を頭の中に置いておるんじゃないか、こういうお考えのようですね。私はそんなことを言っているのじゃないのですよ。やはり人事院勧告制度がある以上は、それを最大限尊重していきたい。したがって、六十二年度にどういう御勧告があるのか、そのときの客観情勢がどうあるかわかりませんけれども、やはり政府としては最大限人事院の勧告は尊重して完全実施に向けて努力をしたい、こう申し上げているのですから、これはやはり素直にひとつ御理解をしていただきたいな、別段抑制するなんて言っているのじゃありませんから、その点はひとつ御理解賜りたい、こう思います。
○元信委員 抑制というのが頭の中にあるのは、私でなくて後藤田さんじゃないかと思うのですね。抑制をしないと言うのであれば完全実施します、絶対します、財政事情に関係なくやります、こう言うのが筋ですよ。それをどうしてもおっしゃらない。ある場合にはこれは抑制しなければいかぬなというのがあなたの頭の中にあるからそういうことになるのですね。私の頭の中には抑制なんてありませんよ。私は、あくまで人事院勧告制度というのは完全実施だけが建前であって、財政事情その他に拘束されるものじゃない、こういうふうに思っていますから、どうぞ長官の頭の中から抑制だなどという考えは追い出して、追い出すと残るのは完全実施だけでありますから、この先は何があっても、どんなことがあっても、今度こそは絶対に食言などということがないように、完全実施でいきます、こういう答弁が出てくるのが筋だと思うのです。 ここのところを余り押し問答をしても仕方がありませんからちょっと先へ行きたいと思いますが、こういうことだけはちゃんと答弁してくださいよ。 政府は、人事院勧告制度があるから、ILOが今の日本の公務員制度はおかしいというふうに言ったとしても、完全実施してこれが成熟、定着しているというふうに今までも言ってきたわけですが、定着してないことは御案内のとおり。将来についてもこれがずっと続くという保証は与えられないというふうに言わざるを得ませんね。いかがです。
○後藤田国務大臣 それは、そんなことはないのじゃないですかね。やはりILOは、日本の人事院勧告制度というものを認めた上に立って、したがって完全実施をしなければいかぬではないかという強い勧告があったわけですね。その勧告が守られないようであるならば給与の決定その他の問題等について見直しを希望する、こう言っているのですから、政府としてはあくまでも完全実施に向けて最大限の努力をするわけですから、私は、別段ILOの御勧告と政府の今の考え方がそう食い違っているというふうには理解はしておらないわけでございます。
○元信委員 今の長官のおっしゃりようによりますと、それでいけば、毎年毎年完全に実施されるかどうかというのはその年の事情によって決まる、こうおっしゃるのでしょう。そうすると、制度の問題というのはその年によって変えるというわけにいきませんわね。制度というものはかなり長い期間安定したものでなくちゃいかぬ。ことしは人勧制度でいく、来年はやらない、この次の年はまたやる、こういうわけには絶対にいかない、そういうのはいわば自明のことだろうというふうに思います。そうしますと、将来、六十二年度以降のことについて私が何回伺っても、今、長官は最大限の努力ということ以外にはおっしゃらない、絶対に完全実施するということをおっしゃらない。絶対そんなことは考えていないと言うけれども、実際に理論上の可能性として言えば、財政上の事情で抑制するということは政府の最大限の努力にかかわらずあり得る、こういうことですわね。これは否定できませんね。どうですか。
○後藤田国務大臣 その点は、客観条件その他がありますけれども、基本は、人事院勧告制度がある以上はこれを最大限に尊重していく、これが基本の態度でございますから、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
○元信委員 そうじゃなくて、長官、あなたがおっしゃっていることを裏から見れば、抑制の可能性を理論的に否定できないということですね、こう言っているのですよ。どうなんですか。
○後藤田国務大臣 私は、抑制するとはちっとも言っておりません。
○元信委員 ちゃんと言ってくださいよ。完全実施をいかなる財政事情にあってもと、かつて山中総務庁長官がおっしゃった。そういう言い方はできぬとおっしゃるわけですね。そういうことは、財政的に完全実施できない可能性というものを否定できない。これはそうでしょう。嫌だろうけれどもちゃんと言ってもらわなければ困りますよ。
○後藤田国務大臣 私は、別段抑制するなんということは申し上げているわけではありませんけれども、元信さんがそういうふうにお詰めになるのなら、それはいかなる場合であろうとも完全実施をいたしますということはお約束はいたしかねる、こういうことでございます。
○元信委員 わかりました。 そこで、先の問題になるわけですけれども、そういう可能性を否定できない、そうすると人勧制度というものはそういう制度であるという認識にならざるを得ないわけですね。あるいは完全実施であったり抑制があり得る、こういう制度になりますと、ILOが言っていますように、完全実施がきちんと制度として機能しない以上は新たな制度に踏み込んで検討することが必要になってくるのじゃないかと思うのですよ。いかがですか。
○後藤田国務大臣 そういうことにならぬように完全実施に向けて最大限の努力をしたい、こう言っているのです。これは素直に受けとめていただきたいと思います。
○元信委員 だめですよ、そんなのじゃ。さっきから言っているように、制度というのは、ある年に完全実施をやったからことしはいいや、ある年に完全実施がされなかった、抑制がされたからこれは大変だ、こんなふうにはならないのです。理論的にその制度を見ていって、それをどういうふうに政府が考えているかということをよく詰めていって、やはりこれは不完全実施、抑制ということがあり得るな、あり得るということがわかれば、その制度というものはそういう前提、すなわち政府の財政事情その他を勘案した判断によって変動し得る、そういうものであるという認識に立たなければいかぬですね。そうですね。そうすると、我が国の人事院勧告制度をILOが言うように労働基本権制約の代償措置として効果し得るものに検討していかなければならぬだろう、再検討の時期に来ているだろう、これは当然の認識だと思うのです。あなたが言うように、努力はいいですよ。努力はやってもらいます。やってもらうけれども、その結果としてやはりだめだったという年があり得るということになれば、それはとても制度としてはそうはいかぬでしょう。いかがです。努力の問題とごっちゃにしないでやってください。
○後藤田国務大臣 そういうことがあり得ないように最大限の努力をする、私はこう申し上げているのです。ならば、ILOといえども、本当にどうにもならぬといったようなときに一年あるいは二年そういう措置があったところで、この制度はILOの違反であるなんて言わぬと私は思います。問題は、政府がどこまで誠意を持って努力をしておるか、こういうことじゃないでしょうか。私は、別段ILOが御心配になるようなことにならぬように政府としては努力するのだ、こう申し上げておるのですから、そこはひとつ理解をしてください。
○元信委員 どうも長官は、主観的な努力の問題と客観的に我が国の制度が国際的にどう見えるかという問題とを、あるいは意図的にごっちゃにして答弁をされているのじゃないかというふうに思います。 この問題、余り長くやるわけにいきませんからちょっと整理しておきたいと思いますが、今の政府の御答弁をずっと聞いてまいりますと、人事院勧告制度、六十年は最大限努力をする、六十一年は何があっても完全実施する、しかし六十二年以降は、最大限の努力はするけれども先にわたって完全に実施するというふうには約束しかねる、こういうふうに言い切られました。そういうことは裏返して申し上げますと、我が国の人事院勧告制度というのは将来にわたってまたしても抑制の可能性を残している、そういう制度であるという認識に政府としては立たれたというふうに私どもは申し上げざるを得ません。そうしますと、ILOが言っておりますように、私どもはILOは何も人勧の完全実施を前提として、完全実施が抑制される場合には新しい制度をなんというふうに言っているとは思いませんが、百歩譲って政府の認識に立っても、完全実施が抑制されるときには新しい制度をというふうにたとえ読んだとしても、これは将来にわたってそういう可能性を残したということは、今我が国の人事院勧告制度を再検討する時期に来ている、今の長官の御発言によって我我はそういう時代の入口に立っているのだ、こういう認識をお互いにしていかねばならないのではないかなというふうに思うわけであります。 そこで、ことしの人事院勧告の取り扱いについては、これはもうきょうはちょっと先の方まで踏み込んで申し上げましたけれども、あくまで完全実施が制度の根幹であり、そのためには、特に給与表の改定その他の問題についても、公務員労働者との間に実効のある合意がなされるようにぜひ最大限の努力をお願いしたいと思うのです。とりわけ異例な措置とおっしゃった部分については、異例というものが二年も三年も続くというようなことになりますと、根幹から我が国の制度に対する信頼も崩れるわけでありますから、その点についても十分配慮をされるように改めてお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○後藤田国務大臣 今の元信さんの締めくくりを聞いておりますと、人事院の勧告制度が見直しになるようなことになる、こういう前提で御意見を述べられたように思いますが、そのようにならぬように政府としては最大限の努力をし、人事院勧告制度は守りたい、そして同時にILOの疑念も解消したい、こういうことでございますから、そこは即断をしないようにお願い申し上げたいと思います。
○元信委員 終わりますと言ったけれども、そうおっしゃるなら、もうちょっと言わなければしようがない。 後藤田さんのお話では、とにかく政府の努力の結果、制度に対する問題というのは考えればいいじゃないか、突き詰めて言えばそういうことですね。ですけれども、私どもが言っておるのは、毎年毎年の事情に対する努力というようなことをその都度考えるというのは、筋違いだろうということです。制度の性格そのものを対象にしなければ議論というのはできません。そうすると、毎年毎年議論しなければならぬということになりまして、実効のある制度というものは確立されないわけですから、ぜひそこのところは混同されないようにお願いしておきたいと思うのですよ。どうしても完全実施できないというのであれば、努力するということはわかりますけれども、将来にわたって約束できないというのであれば、これはやはり制度を改めて見直すべき時期に来ているというふうに思います。 以上で終わります。
○中島委員長 関連して、小川仁一君。
○小川(仁)委員 恩給問題について最初に触れてみたいと思います。 今、公務員共済組合年金の改革が行われようとし、いずれは国会に提案されるという話を聞いているわけでございますが、現在共済組合の年金を受給している人、あるいは今後の該当者の中にもいわゆる恩給法と共済組合の接点といいますか、引き続いた形で存在している人たちがかなりおられるわけであります。また、数は少ないといいながらも、恩給だけでそれを受給している人たちもいるわけでございます。この公務員の共済年金の改正に当たり、恩給受給者あるいは恩給の対象になっている人たちがどのような改革の影響を受けるのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
○藤江政府委員 お答え申し上げます。 公的年金の一元化を展望いたしました改革につきましては、ただいま御指摘のとおり国民年金、厚生年金等につきましては国会で現在御審議中でございますし、共済年金につきましては近く提出ということで準備中でございます。 しかしながら、恩給につきましては、その沿革あるいはその基本的な性格につきまして、これらの社会保障としての年金制度とは異なるものでございます。したがいまして、年金の統合の対象からは外れているということでございまして、したがいまして、恩給は年金統合の一元化の措置はなされるべきでないというふうに私どもとしては考えているわけでございます。 ただ、しかし、年金の今の機能といたしましては、他の年金との類似性もございますので、これとのバランスを考慮するということも必要であろうかと思います。この点につきましては臨調答申等で触れておられるとおりでございまして、私どもとしては、これらとのバランスを考慮すべき点につきましてさらに検討を進めたいと考えているわけでございます。 ただ、しかしながら、恩給の性格が、ただいま申しましたように他の公的年金とは違うという点、それから現実の問題といたしましては、全部が既裁定者でございまして新規参入がないということ、それから恩給受給者の大半が戦務という特殊な任務につかれた方々が大部分でございまして、相当の老齢にほとんどの方が達しておられるというふうな特殊事情がございます。これらの特殊事情を踏まえた上で検討を加えたいというふうに考えておるわけでございます。
○小川(仁)委員 具体的に恩給の問題が日程に上っていない、こういうふうに考えていいのですか。
○藤江政府委員 ただいま申しましたように、臨調答申にもございますように年金改正とのバランスを考慮する、その見直しが必要ではないかという指摘があるわけでございまして、私どもといたしましては、機能的には確かに他の年金と類似の点もございますので、バランスを考慮するというふうなことについては検討いたしたいと考えているわけでございます。
○小川(仁)委員 臨調あるいは行革審の中で官民格差論というのが盛んに言われております。それは生涯給与を含めてでございます。したがってこの官民格差論の中に恩給部分が入っている。こういうふうに、いろいろな討議の結果、私が認識して、心配しながら実は申し上げているわけでございます。 恩給といっても二つあるわけで、いわゆる軍人恩給、それから文官であってしかも恩給対象者、その恩給対象者の中には、共済組合と恩給とつながった形で存在している人たち、種類が分かれているわけでございます。そうしますと、私は、官民格差論や生涯給与あるいはバランスの問題で、恩給に対しても必ずかなりの風当たりが出てくるという印象があるのですが、そういうふうなことに対しての具体的な傾向といいますか風潮といいますかあるいは討議といいますか、そういったようなものはないわけでしょうね。
○藤江政府委員 実態的に申し上げますと、ただいま先生が申されましたような官民格差の対象になっております恩給というのは、恩給から共済に引き継がれた方々、その方々の中で大変に高額な方がおられるということだと思われるわけでございまして、恩給だけの方につきましては、相対的に申し上げますとそれほど高額な方がおられないという実態がございます。 ただ、しかしながら、バランスとして私どもどう考えるかということでございますけれども、やはり給付水準についても相当の検討が必要であろう、その場合に何が対象になるかというと、今度の共済年金法につきましては物価水準を指標にとるというふうな形になるようでございます。したがいまして、同じ元公務員の年金制度でありますところの恩給が現在のように給与スライドでいいのかどうかということにつきましては、私どもとしては、これは重大な検討課題であろうかというふうに考えているわけでございます。
○小川(仁)委員 恩給と年金の継続した人たちについて、確かにそういう問題があると思います。賃金スライドから物価スライドへの移行という課題も、確かに検討課題があると思います。ただ、政府は、既得権には踏み込まない、こういうことを、この年金から恩給等を改正する際に明言しておられます。したがって、既得権にもし踏み込まないとすれば、賃金スライドから物価スライドへ移行するといったようなことも、これは既得権に踏み込んだことになってくる、こんなふうに考えるのですが、長官、この辺はどういう政府の態度なんでございましょうか。
○藤江政府委員 恩給のベースアップにつきましては、戦後いろいろな指標が使われたところでございます。物価が使われたり、あるいは物価と給与上昇分の一部が使われたりというふうなことがございまして、最終的には、四十八年以来、公務員のベースアップの率が使われるということで定着しているわけでございます。したがいまして、どのような指標を使うかということは、これは必ずしも御指摘のように既得権というふうなことではなかろうかと考えているわけでございます。
○小川(仁)委員 それから、一般の厚生年金や共済年金等におきましては、個人個人の計算をしながら、いわゆるその人が持つ一つの給与水準といいますか、こういう水準を見て、その水準が現状のいわゆる水準よりも高い人があれば、これをストップをしておく、そして水準に到達したときにそれからスライドをする、こういういわゆるスライドストップの形態がとられるという状況があるわけでございますが、恩給等にこの影響が出てくるという可能性はありませんか。
○藤江政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましては、新しい共済制度については確かにそのような措置がなされているわけでございます。ただ、私ども明確には申し上げられないと思いますけれども、今の段階としては、先ほど来申し上げておりますように恩給と他の年金とは本質的に違うものであるという前提に立ちまして、私どもとしては、ベースアップ等については、たとえその指標が異なる場合があり得ましょうともできるだけ尊重してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○小川(仁)委員 態度としてはわかりました。恩給の中にもさっき申し上げました三つぐらいの係累がありますから、それぞれ影響があるいは異なって出てくることもあるかと思いますが、私は、もう既に受給者になって退職しておられた方方、こういう方々に対しては現在どおりのスライド方式、あるいは増額をストップする、こういったような形はとるべきでないと考えております。そういう立場からぜひ今後とも御検討といいますか、こういう考え方を、今後出てくるバランス問題、官民格差問題というようなときに明確に政府の態度として主張していただきたい、これをお願い申し上げます。 それからもう一つ、戦後四十年でございます。軍人恩給を見ますと総体的に漸減の方向でございます。これは私の同年代にも、戦死をせず残っていて、恩給を受給している人たちもかなり存在し、お互いに、年老いてという表現は失礼になるかもしれませんが、苦労しておられる。ただ、そういう人の中にも、戦後のごたごたの中で恩給の再計算を欲している人、あるいはこの辺でもう一遍私の分を見直してほしいというような人たち、かなりおります。これは同僚議員の皆さんのところにもいろいろ陳情があるようでございますし、私のところにもございます。また、きのうでしたか、テレビで被爆者援護法の制定を求めて厚生省においでになった女の方の言葉が出ておりましたが、もう私たちは年だからあと五年か十年しか生きないだろう、死ぬまでに何とか被爆者援護法を考えてくれ、こういうお話もありました。非常に身につまされるような感じがいたしました。また、いろいろな団体から恩給の適用問題について、例えば旧満州棉花協会関係の人たちあるいは日赤従軍看護婦の人たちも恩給にと、こういったような形での御要求もあるようでございます。恩給小委員会でやれと言われればそのメンバーですからこれはやらざるを得ないと思いますが、ひとつここでお考え願いたいことがあるのです。 戦後四十年を機として、こういうふうな形がまだ存在するということは戦後が終わってないという印象を強くするだけに、どうかひとつこの機会に、恩給について今までその人たちが十分に処遇されていないと言って不満やあるいは陳情している人たちあるいは幾つかの団体に対して、この戦後四十年を機としてもう一度大きくあらゆる面から再検討していく、こういう状況をつくっていただきたい。今までの継続で来たのは引き受けるというのじゃなくて、もう一度不満な人があったら再検討してあげますからどうぞお出しください、そして検討する、あるいは幾つかの団体についても、その主張を全面的に聞いて政府として対処する最後の機会のような感じが私はするのです。こういうことを要望したいのですが、こういうことについてお考えはございませんでしょうか。
○藤江政府委員 ただいま御指摘の点は、いわゆる未請求者の掘り起こしの問題であろうかと思うわけでございます。恩給の裁定につきましては、御承知のとおり、本属庁の掌握しておりますそれぞれの軍人の履歴書に基づきまして裁定いたすということでございます。この本属庁は、陸軍軍人につきましては都道府県、海軍につきましては厚生省であることは御承知のとおりでございます。これらの本属庁におきまして、ただいま御指摘の掘り起こしにつきましては、それぞれの実情に応じた方法、例えば広報を使うとかあるいは相談窓口を設定して対応するとかあるいは受給者団体と協力するとかいうふうな形で実行されているのが実情でございまして、私どもとしてはこれらとさらに緊密な連絡をとりながら進めてまいりたいと思っております。 なお、加算改定につきましては、これは実は私どもの方に書類があるわけでございまして、まだ未請求者が相当の数に上られます。この点につきましては、私どもの方から未請求者のリスト等をこれらの本属庁に回付いたしまして、請求の促進に当たっているところでございます。 ただいま履歴書等、軍籍等と申しましたけれども、現在の段階では戦後四十年たっておりまして、確かにその当時に部隊等で焼却したもの等があって資料が得られないものもある、あるいは住所等につきましても当時の本籍地のみ記載されております。したがいまして追跡が困難だというふうな事情もございますけれども、私どもとしましては、これらの本属庁と今後十分に協議しながら検討を進めてまいりたいと考えているわけでございます。
○小川(仁)委員 今は、現行の制度の中でいろいろ御苦労しておられるということなんです。私は、現行の制度の中の見直し、大変御苦労をかけていると思います。私が経験したのでも、実は三年かかってやっと焼夷弾の形と頭に当たった傷跡が一致する、アメリカ軍の焼夷弾を見つけてきて三年後に解決したという状況のものもございました。そういう制度の中の苦労もあるが、同時に、政府として、これは総理府にお願いをすればいいことなんでしょうが、思い切ってこの機会に、最後の機会というふうな言い方は語弊がありますけれども、皆さん、こういういろいろな幾つかの課題があったら思い切ってこの際に政府としては見直しますからという物の言い方で、今ある制度より枠を広げた形で、その当時苦労した方々に呼びかけていくという政策あるいは考え方がないのでしょうかということをお聞きしたいのです。総理府、いかがでございますか。同時に後藤田総務庁長官も、こういう考えに対してそれはやった方がいいぐらいのお話をいただければ大変ありがたい、こう思ってお伺いする次第です。
○後藤田国務大臣 恩給の問題は、基本的には、そのほとんど多くが旧軍人の方、しかも今日相当な年配に達している方ばかりでございますから、政府としてはできるだけ温かい気持ちでこれに対応するということが政府の基本的な態度であろう、私はかように考えておるわけでありますが、今ここで、御提言のように、改めてここで全部申し出てこい、こういうことは気持ちとしてはわかりますが、さて、それが戦後四十年たってなかなかこれの実態が掌握しにくいというようなこともございますから、そういった一般的な呼びかけではなくて、いろいろな御要望がありますから、その御要望を受けながら、その処理については政府としては温かい気持ちでその認定をやっていく、これが私は基本的な考え方ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
○小川(仁)委員 わかりました。私らの世代の者としては、温かい気持ちということを含めて、今後恩給小委員会等でも討議はいたしますが、御対処をお願いして、恩給問題を終わりたいと思います。 引き続きまして人事院総裁にお伺いいたしますが、公務員共闘に回答を出されたようでございます。その一項に、「労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告が、連年にわたって抑制されたことは、まことに遺憾である。また、このような事態が続くとすれば、人事院勧告制度の根幹にも論議が及ぶおそれのある、重大な問題である。」この「根幹にも論議が及ぶ」ということは、人事院自身の認識の中からこういう言葉をお出しになったのでしょうか。
○内海政府委員 その問題につきましては、在来も私、この席でも御答弁申し上げたこともございますし、また、昨年の勧告をいたしましたときにも、その意見の中に、その言葉そのものは使っておりませんが、抑制あるいは見送りというふうなものが継続するということになると制度の基本にまで触れる問題が起きる、議論がそういうところに及ぶこともある、そういう意味からもぜひこれは完全実施に持っていくべきであるということを、勧告の中において意見として申し上げておるわけでございます。そういうものを私どもの一つの基本的な考え方として、今当面そういう問題にどうこうしておるというわけではございませんけれども、しかしながら、連年そういうふうなものが続くならばやはり人勧制度の基本にも触れざるを得なくなるような議論が出てくるのではないか、そういう意味で、そういうふうな意味合いの気持ちで申し上げておるわけでございます。
○小川(仁)委員 そうすると、人勧制度の今までの矛盾とかあるいはILO等から言われております労働者の参加とか、こういったようなことについては、みずからの認識として、人事院の勧告制度についての意見は人事院内部には存在しない、みんなよそから言われてくるよ、こういうことをおっしゃっているのですか、どっちなんですか。
○内海政府委員 先ほども申しましたように、昨年度の人勧に関する中においても、そのような言葉そのものは使ってはおりませんけれども、そういう趣旨に基づく考え方というものは述べておるつもりでおりますから、したがいまして単に外からだけの問題ではない。しかしながら、御存じのように外の意見というものも十分にこれは考えていく。要するに、外の意見が起こるということがすなわち極めてデモクラティックな我々の仕事のありようにかかわってくるわけでございますから、外に起こる意見には十分耳を傾けなきゃならぬ、そういうこともあわせて申し上げておきたいと思います。
○小川(仁)委員 御自身で、今の人勧、勧告制度ではなくて人事院の人事を含めたいろいろな制度の中で、根幹に論議が及ぶという言い方を含めてですが、こうした方がいいというお考えはありませんか。例えば人事院の勧告は当然のこととして仲裁裁定と同じような性格を持たせるべきだとか、あるいは人事官の中に、三人ほどおりますか、一人は労働者の代表をお入れになるとか、こういったことを内部でお考えになったことはありますか。
○内海政府委員 私、かつて申し上げたと思いますけれども、私どもは、現在の人事院勧告制度というものは発足以来多くの試練と経験を重ねて今日に到着しておるものでございまして、この制度は極めてすぐれた、もっと大げさに言うならば世界においても最も模範的な一つの制度である、このように理解いたしておりますから、今現在、人事院の内部におきましては、この現在行われておる人勧制度を何としても維持し、その維持するためには、政府におかれましても国会におかれましても完全実施に全力を尽くしていただく、そして実現していただく、ここにいわば焦点を絞っておる、こういうことでございまして、私どもがそれ以外のいろいろなことを人事院の中において論議として取り上げて考えるというふうなものではございませんで、繰り返しますが、この人勧制度を的確に守っていきたい、これが私どもの今の最大の努力の焦点でございます。
○小川(仁)委員 では私の方からお願いしておきますが、勧告されたもの自体が、現在でも内閣並びに国会、こういうふうに国会に対する勧告といったような特別の異例の措置をとっているわけであります。国会に勧告するということは他の場合には存在しないわけでございます。それをもう一歩踏み込んで、仲裁裁定と同じように、例えば人事院が出した勧告は公務員に対する代償措置として確実に守られるような法的措置をとるべきだということについての御検討、それから今後、人事院自身の人事官制度というものを含めて考えながら、そこには公務員労働者の代表の方も入れて、最終的な決定をする場合の審議あるいは決定、そういうものに参加させるべきだといったようなことについて、ひとつ今後部内で御検討願いたい。根幹に論議が及ぶおそれがあるということは対岸の火事じゃないのです。みずからの問題なんです。みずからの問題だとすれば、みずからも、私が申し上げた以外の幾つかの課題があるはずでございますから、内部で御検討願いたいということをお願いを申し上げておきます。 続きまして、この前人事院が上級試験合格採用者を対象に出されたアンケートがございますね。その結果を見ますと、「公務員を志望した動機」、幾つかございまして、「仕事の内容に興味をもつ」が六六・一%、「公共の為に仕事ができる」が四九・五%等書いてありますが、「給与・勤務条件がいいから」というのが〇・四%、非常に少ないようでございます。この数字に間違いがないと思いますが、そうしますと、現在公務員を希望している人たちは給与、勤務条件ということに対しては非常に否定的だ、こう考えていいのではないかと思いますが、どうですか。
○鹿兒島政府委員 手元に資料がございませんが、毎年上級職の採用者につきましてアンケート調査を実施いたしております。私の記憶によりますと、従来から給与についての期待感、特に最近のように人事院勧告の抑制等が続いておりますと期待感が低いというのが実情かと思います。
○小川(仁)委員 続いての調査の報告の中で、「給与は」という質問に対して「悪い」というのが八六・四%、圧倒的ですね。「退職金は」といったら「普通」だと言った人が四二・九%、「年金は」といったら「よい」が三四・四%、「よいと思う」というのが三三・六%、こんなふうに数字が出ております。給与は八六・四%が悪い、こういう認識でもって公務員になられたということは、月給は悪くても粉骨砕身、公務の仕事に働きますということでお入りになったのだが、それだけではないような感じもするのですね。いずれにしても、給与が悪いという認識がこんなに多いということは、この数字を見て、私は将来の公務員の採用とか士気に対して非常に問題が残ると思う。 さらに、その調査とは違いますが、「公務員への希望の変遷は」といっておたくで出された資料の中で、昭和五十三年と五十九年を比較しておられました。上級職について言えば、五十三年が一三・七%、五十九年が三・一%に落ち込んでいるのです。中級はといいますと、五十三年は一五・三%、五十九年は三・〇%、初級はというと、五十三年が一一・二%、五十九年が八・五%、こういう数字が出ているのですが、この数字は間違いございませんか。
○鹿兒島政府委員 その数字も任用局で調査いたしたものでございまして、私、手元に持っておりませんが、たしかそういう数字を出した記憶がございます。しかしながら、実際に公務員の応募状況等を見ておりますと、昭和四十二年当時とは違いまして、まだ十分な応募者があるという状況でございます。
○小川(仁)委員 この一つの傾向、これは政府としてもかなり考えなければならない問題だと思うのです。少なくとも一〇%台で希望者が落ちてきているという一つの指標の結果は、逆に公務員に対する魅力のなさかもしれませんが、その魅力のなさの中身にはいろいろな要素があると思うのです。その要素の中に、例えば一つは「給与は悪い」が八六・四%だってあるわけでございます。こういう状況は、今後の日本の行政というものを考えるときに私は非常に大事な課題だと思います。そこで、人事院総裁と総務庁長官、この数字からの御見解をいただければありがたいと思います。
○後藤田国務大臣 私も実は、小川さんと同じような心配は持っておるわけでございます。現状を考えてみますと、公務員の中にできる限り立派な人を求めなければならない、その立派な人が入ってくるような環境をつくらなければならぬというふうには考えているわけでございます。 ただ、現在の制度のもとで公務員全体の給与その他の待遇は、生涯給与等を含めて民間とのバランスということで今日に至っているわけでございます。これ以上特に公務員だけを民間と比べて優遇するということも、今日の社会情勢から見てはなかなか困難なことであろう、こう思いますが、先ほどの統計数字の御説明の中に、上級職が八六%くらいが給与が悪いと考えておる、こういうことですが、上級職で入ってくる人たちというのはお互い比較ができるわけで、それを比較してみますと、大体一流企業に行ける人が上級職試験に受かっていると思います。ところがこの人たちは、同窓会等でもよく比較をして若い人がいろいろ言っているようですが、大体七割でございます。こういった人の処遇は今日非常に悪くなっておることは事実でございます。 そこで、私はそういう点も心配をしておるのですが、先般東大の若い先生と話をしておったときに、私はこういうことを実は心配をしているのだがどうだ、こう聞いてみますと、待遇は悪いことを百も承知しておるけれども、それでも公の仕事につきたいという志望者が多くて、まだ質が低下しておるというふうには考えておらぬけれども、後藤田さん、もうここらが限度でございますよという大学の若い先生の話でございました。したがって私は、公務員の給与は、こういう厳しい客観情勢の中でございますから、今ここでこうすべきであると言うことは差し控えたいと思いますけれども、総人件費は抑制をする、これは人が多過ぎます。しかしながら、個々の処遇というものは政府としてはもう少し改善方に取り組まなければならぬのではないか、そういう時期に来ておるのではないかなというのが私の率直な感じでございます。
○内海政府委員 ただいま総務庁長官がお答えになりましたことと変わるところがないのでございますが、さらに申せば、公務員という職場が生きがいのある魅力ある職場であるようにということが極めて大事でございましょうし、また勤務条件というふうな面で、近代的な若い人たちですから、そういう人の期待するような合理的な勤務条件というものも必要だろうと思います。その中に給与問題も当然入ってくると思います。 いずれにしましても、いろいろな方策を講じてよりよき人材を公務に吸収していくことが非常に大事であろうと思います。
○小川(仁)委員 今採用している人の質が落ちているとは思いません。しかし、総務長官のこの辺が限度だというお話を聞いたということも、私は実感でそう思います。今の大学あるいは高校を卒業した若い方々の意識をもう一度我々年配の者は考え直さなければならない。それはただ単に公の仕事あるいは役所の仕事ということだけではなしに、はっきり言って給与の問題があります。それから具体的な課題としては、週休二日制その他の問題があります。そういう問題に今手をつけなければ、限度ですよという警告に対してこたえることにならないと私は思います。そういう意味で、ぜひひとつ、人事院はこれから公務員を希望なさる方に対応するようなあらゆる調査をなさっての制度的な勧告を、そして総務庁の方ではそういった立場からの人事院の勧告をもう腹を据えて完全実施する、こういう時期だと思うのです。 総務庁長官、先ほど以来のお話で、一つのみずからの手を縛ったとおっしゃったが、みずからの手を縛ったとおっしゃったこと自体が、こういう情勢だということが一面にはあるかと思うのです。一面にはですね。そういうことなんで、私はもう一年を待っている必要がない、こういう感じが強くするわけでございます。先ほど来の御答弁で伺っておりますが、どうでしょう、もう一年を待つ必要はないと私は考えるのですが、長官いかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 私も気持ちの中では小川さんとちっとも変わっておりません。したがって、勧告があればそういう気持ちを持ちながら政府部内においてできる限り完全実施をするように最大の努力はいたしたい、かように考えるわけでございます。
○小川(仁)委員 同じ気持ちだ、こう言われますと、そこのところではああ、そうかと思いますが、結果はどう出てくるかということになると、また一つ私自身の中に不安感がよみがえる。私たちだけではなしに、公務員の人みんなに不安感がよみがえる。後藤田総務長官ともあろう人がちょっとした不安を与えるような物の言い方をなさると、気持ちは一緒だ、こう言われてもなかなかすとんと落ちない面があるのです。しかし、気持ちは一緒だということに非常に大きなウエートを置いて私はお聞きし、人事院勧告を待ちたいと思います。 さて、今までの人勧問題に関する国会の議事録をあらゆる角度から私なりに読ませていただいて、分析いたしました。今言ったお話も、どなたもおっしゃるのです、総理でもだれでも。ただ問題は、その実行だと思います。 そこで読んでみますと、例えば「異例」という言葉、先ほども出ましたが、五十七年には「異例中の異例」、こういう言い方が出ております。五十八年、五十九年は「異例の措置」、こういうような言い方が出てくる。この「異例の措置」というのを、私なりに長い公務員の賃金のいろいろな状況の中で分析をしてみますと、「異例の措置」の中に四つの形があるように思います。 一つは、五十七年のようにぴしゃっと一切出さない、こういうのであります。これは「異例」というのじゃなくて、「異例中の異例」なんという表現には該当しない、もっと厳しい表現が適当だと思うのです。もう一つは手当の減少という形態がございます。よくこれは公労協の手法にも用いられております。それから三つ目の手法はといいますと、いわゆる人事院勧告の率、配分の抑制といいますか、政府の独自案作成という形態でございます。これが五十六年以降の三つの態様でございます。四つと申し上げましたあと一つは、四十五年以前の態様のいわゆる「異例の措置」でございます。これは実施時期の延長、こういう形で行われております。 一番先に言いました完全凍結というのは、これは「異例」どころか、もうめちゃくちゃの種類で、「異例」のうちに入らぬかもしれません。例えば五十六年の分にしても手当のカット、財源的に見れば余り大した財源じゃないのです。第四の実施時期の問題と絡めてみますと、これは七月から実施すればできるほどの財源でございます。それから、三番目の態様の率、配分の抑制という問題でありますが、これは五十八年、五十九年とやられております。人事院の勧告の中には二つの要素があります。一つの要素はいわゆるベースアップの率の問題があります。これは財源的なものに絡まると思います。もう一つは配分の問題があります。これは俸給表でございます。これはかって丹羽総務長官が、俸給表には手をつけない、こうおっしゃったものであり、やはりこの内閣委員会でも、俸給表についてはいろいろ厳しい論議が他の同僚委員から行われ、人事院の権限を侵しているのではないかという討論が行われたこと、これはもう長官も御承知のことと思います。 こういう「異例の措置」を何回も繰り返していくということになりますと、異例が常例になるというおそれもありますが、こういう「異例の措置」は、四つの態様のうち五十六年以降の三つの態様というのは、ある意味では人事院勧告を否定したことになっているのです。それは先ほどから申し上げましたように、率だけではなしに、いわゆる俸給表等の権限にまで踏み込んだという意味においてです。これでおやりになるというと、人事院勧告というものはもうめちゃくちゃに切って捨てられた、これを強い言い方をするならば、違った言い方をするならば、人事院勧告制度に対する政府の挑戦であり、否定である、前の三つはこうさえ言えるわけであります。 こういう形というのは人事院の形骸化を招くだけでなく、先ほど人事院総裁が言ったようにいわゆる根幹に触れる問題が出てまいります。四十五年以前の問題についていえば、まだ幾らかの救いが撃っております。こういうことを考えながら、私は「異例の措置」というのはもうここでおやめ願いたい。いろいろ申し上げましたが、これはもうおわかりのことと思いますけれども、人事院勧告制度を否定するような「異例の措置」というのはおやめ願いたい、こう申し上げますが、長官いかがでございましょう。
○後藤田国務大臣 今小川さんがお挙げになりましたように今日までの抑制措置、そういった四つばかりのやり方で政府はやっておるわけでございますが、いずれにせよ、こういったことはやはり異例の措置なんだ、したがってできる限り早く正常な姿に返したい、これが私の心底からの気持ちでございます。 ただ、御案内のような客観情勢がございますので、こういった異例の措置が続いておることは本当に残念に思います。できるだけ早くこういう措置をとることをやめて、人事院勧告があればそれを最大限尊重して、完全実施に向けて努力したい、私のこの気持ちは変わっておりませんので、この点はひとつ御理解を賜りたい、かように思います。
○小川(仁)委員 総務庁長官のお話を聞いていますと、公務員に親切な措置といったような、元公務員であり、大親分みたいな形で、面倒を見るような格好でお話をしていただいております。これは確かにその点はあろうかと思いますが、長官としてもう一つのお立場、いわゆる公務員労働者の権利、人勧の制度の問題、労使関係の問題、こういうお立場に立って、ひとつ今後公務員に親切な措置もお考え願いたい。たとえ政府、国会であっても、国民の基本的人権に対してまで踏み込むような絶対的権限はないはずでございます。したがって、時間がなくなってきましたが、そういう立場から、代償措置というものの性格を明らかにしていただきたいのです。代償措置の概念がいろいろ討議をしてみても具体性を持たないのですが、具体的に代償措置というのはどういうことに対応するものとして存在するのか、お聞かせ願えればありがたいと思います。人事院総裁にお願いいたします。
○内海政府委員 代償措置、これは、戦後は公務員というものが明確に勤労者として位置づけられておるわけでございます。その勤労者に対しては、労働基本権というものが法定されて確保されておる。ただ、公務員というものの任務、性格、要するに国民全体に奉仕するという公務員の任務、性格というものにかんがみて、特にそういう労働基本権というものが制約を受けたわけでございますから、そうなれば、本来は、そういうふうな労働基本権に基づいて労使の間で協定し設定さるべき給与等を含む勤務の諸条件というものを、人事院という第三者的な機関に法律がその任務を与えて、そしてその機能を覚ましめる、その機能の結果出てくるものがいわば代償措置であろう、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
○小川(仁)委員 ILOの結社の自由委員会第二百二十二次報告によりますと、代償措置というものは、スト権の否認、賃金を含む雇用条件等を決定するためいかなる交渉機構にも参加するいかなる権利も付与されていないことに対する代償措置だ、こう明確に言い切っています。違った言い方をしています、今の人事院総裁のお話を聞きながら。ストを背景にする団体交渉、協約の締結権、あるいは具体的な交渉権、こういうものが不可能にされている状態だと思うのです。公務員については交渉権も今正式には保障されておりません。しかし、具体的には事実としては行われておりますが、交渉権とか協約権というものも否定されております。こういったために、代償措置というものが要求されているものが制度として人事院に反映をし、そして人事院勧告が出される。それが守られないということは、やはり代償措置自体の不明確さあるいは代償措置自体の具体性を欠いている面があるからだと思います。したがって、今後はもっとより具体的に、先ほど申し上げました人事院に対する課題を含めて、ぜひこれは政府でも人事院でも御検討願いたい。特に日本ではILO八十七号条約が批准されておりますから、これとの整合性の中で具体性を持ったものとしてあらわれなければ、今後ともこういう論争が毎回国会の中で続けられるということを非常に遺憾に存じますので、御検討をお願い申し上げておきたいと思います。 そして、総務長官にお願いをしておきますが、もうおわかりのとおり政府は使用者でございます。公務員労働者は使われている者でございます。こういう立場もあるわけであります。そして議事録をずっと読んでみますと、総務庁長官は「苦渋の決定」、こういう表現を使われたところがございます。また一方、公務員労働者の方は、これまた連年の凍結、抑制において「苦難の生活」を続けております。どちらも苦虫をかみつぶしたような苦渋だ、苦難だなんというような顔でにらみ合っているということは、私は非常に不幸な事態だと思う。ここのところにも、長官が、元信委員の質問に対するお答えでございましたか、「私どもは腹を割ってお互いの意見を述べ合って」云々とあって、「公式、非公式を通じて密度の濃い話し合いをいたしておるのでございます。」とお話しもしておられましたが、どうかひとつ、私たちここでこういう質問をし、いろいろ申し上げるのも非常に大事なことではございますけれども、それ以前の課題として、長官あるいは政府の関係の閣僚の方々と使われている者の代表であります公労協また公務員共闘あるいは四団体とお話し合いの機会を、さっきの長官の言葉をかりて言えば「腹を割って」お話しをし、「密度の濃い」お話しをする、こういう状況をぜひ今後続けていただきたい、その方がこういう問題の解決の一つの早道でもある、こう私は考えるから、あえてお願いをしておきたいと思います。 もしそれについてお考えがあればお考えをいただきますし、なければ、ぜひひとつ長官、お話し合いの機会を早急につくっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○中島委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 ————◇————— 午後三時三十分開議
○中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
○鈴切委員 恩給法等の一部を改正する法律案についてでございますが、事柄の性質上、事務的な答弁が多くなるだろうと思いますけれども、せっかく総務庁長官が出席でおられますので、大臣に若干御質問申し上げて、恩給法に入りたいと思います。 まず、行政改革推進の基本姿勢について、総務庁長官の見解をお伺いしたいと思っております。 去る三月十六日の参議院の予算委員会における我が党の鈴木一弘議員の質問に対して、総理からこのように答弁があったわけであります。「現在の環境下におきましては最大限の努力をしてきていると自分では考えておるわけでございます。」云々で、「現在の政治力をもっていたしましてはこの程度がいっぱいであると考えざるを得ないのであります。」というような御答弁がありました。聞いておりますとまことに奇異な感じがしたわけでございますが、行政改革に不退転の決意で臨むと明言されました中曽根内閣として、このような総理の発言は、国民の期待を著しく裏切るようなものであると言わざるを得ません。 そこで、総務庁長官は、先般の総理の発言をどのように受けとめておられるのか、長官の基本的な考え方をこの際ただしておきたいと思います。
○後藤田国務大臣 行政改革の仕事はこの内閣の内政上の最大課題でございまして、国民の皆様方にも、内閣として行政改革に向けて全力を挙げて取り組むというお約束をしておるわけでございますから、総理のお気持ちもいささかもそれに変わったところはございません。私自身も変わった気持ちはありません。 ただ、現在は、行革審等からも五合目までだ、こういう御批評を賜っているのですけれども、実際は私どもは、これはこれから先が正念場だよ、しっかりやりなさい、こういう御激励の言葉と承って、これから先も全力を挙げたい、こう思っております。 御案内のように、従来から累次にわたる行革審の御意見等を受け、その都度閣議決定をして、その線に沿って着実に中央省庁の統廃合、合理化、さらには出先機関の整理、公社公団の統合・合理化、さらには定員の抑制、さらには保険、年金あるいは専売公社、電電公社の改革等、政府としては精いっぱいの努力をして今日に至っていると思います。総理の御発言は、こういったことを踏まえながら政府としてはともかく懸命の努力を今しておるんだ、こういう御趣旨で言われたもの、かように私は考えておるわけでございます。 ただ、今御質問にありましたように、あの後新聞の記事等を見ると、若干トーンダウンしたのではないかといったような印象を国民の皆さん方に与えたのではないか、こういう心配を私は持っておりますけれども、総理のお気持ちはさようなことでは絶対にない。私、いつ総理にお会いしても、ともかく後藤田さん、しっかり取り組んでもらいたい、僕も一生懸命やるから、こういうことを年じゅうおっしゃっておりますし、ときどき叱咤激励も受けておりますので、総理のお考えにいささかも変わったところはございません。この点は御理解を賜っておきたい、かように思います。
○鈴切委員 行政改革は非常に言うはやすく行うは難しいということは、過去の大変に長い歴史の中から証明されているわけでございます。ですから、中曽根総理が行政改革にかけている政治生命というものがトーンダウンするのじゃないかということは、国民のいつも関心のあるところです。ですから、今回の「現在の政治力をもっていたしましてはこの程度がいっぱいであると考えざるを得ないのであります。」こういうことが答弁の中に出てまいりますと、ああ、トーンダウンしたのじゃないか、こういうふうにとられるのは当然のことじゃないかと私は思います。 そこで先ほど、行革審が今政府がやっておるのは五合目であるということについては、総務庁長官は、それは言うならば大変激励の意味を含めて五合目だと言っておるのであって、あと五合目から後が大変な道のりなんだ。今まで私ども、政府がやってきた行政改革については、少なくとも機権に対する風通しをよくするという意味において整理をしたりあるいは若干合理化をしたという程度であって、中身の問題についてはまだまだこれから大変な道のりが残っているだろう、これが言うならば各省庁においても相当痛みを感ずる問題だろう、だからその痛みを感ずるということが各省庁から出てこない限りは、行政改革は通り一遍の状態であると私は思わざるを得ない。また実際に、中身一つ一つをとってもそんなような状態です。ですから、あとの五合目だということで、少なくとも行政管理庁を統合しておられるところの総務庁長官は、これはもう本当に並み並みならない決意で臨んで、そうして断行するという御決意がなければならぬと私は思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 おっしゃるようにこの仕事、なかなか容易でない仕事であることだけは間違いありませんが、しかし、この仕事が途中で挫折をするといったようなことであったのでは、内閣として国民に対して責任を果たしておるとは言い得ないと私は考えております。やはり全力を挙げてやりたい。 何しろ、おっしゃるようにこの仕事は大変難しくて、明治三十一年の大隈内閣、三十六年の桂内閣、大正二年の山本権兵衛内閣、昭和四年から六年までの浜口内閣、若槻内閣いずれも、その当時の社会、経済、財政状況を受けて、昔は行政整理あるいは財政整理という名のもとに今日言われる行財政改革に取り組んで、それなりの成果をおさめておる面もあるのですが、大体途中で挫折をしておるわけでございます。しかしながら、今日、日本が置かれておる高度の技術革新の時代、さらには国際化の時代あるいは急激な老齢化の時代、これらを考えますと、ここで行政改革が途中で挫折するということは、政府としては国民に対して申しわけないし、何としたってこの仕事だけは最後までやり抜かなければならぬ、私はかように考えると同時に、行政改革というのは、それでは土光臨調の答申があってその答申を全部仮に実行したとしてそれで終わりかといえば終わりでない。会社であればこれは損益計算で出てきますから、そうすれば、ぐあいが悪くなればその都度内部の合理化をやるのはあたりまえですけれども、役所の仕事というのは、仕事の評価の基準というものが御案内のように明確でないわけですから、どうしてもぬるま湯の中につかったようなことになって時代の変化への対応というものがおくれがちなわけですから、行政改革の仕事というものは、最近のように社会経済情勢が急激に変化する場合には、いつ、いかなるときにあっても絶えず政府としては心がけてないと納税者には申しわけない結果になるのじゃないか、やはりそういう心構えで今後とも取り組んでいきたい、かように私は考えておるわけでございます。
○鈴切委員 きょうの新聞を見ましたら、大幅な貿易黒字を生む日本の構造を内需拡大によって転換すべきだという声が米国などから強まってきております。さきに政府が発表しました市場開放策では実効が余り期待できないだろうという声もあります。政府・与党首脳会議の中で、国務大臣や党首脳の中で、今回の市場開放措置だけで米国の対日批判がおさまるとは思えない、内需拡大に取り組むべきであり、具体策を検討する必要があるという考えを明らかにしておりますけれども、後藤田国務大臣はどのような御所見でしょうか。
○後藤田国務大臣 この日米経済摩擦で、アメリカ側からいろいろな発言があることは承知をいたしておりますが、基本は、日本の経済構造に由来するという点もありますけれども、やはりアメリカの巨大な財政赤字、それに伴っての経常収支の赤字、そして何よりもそれらの関係で高金利・ドル高、これの是正を私は日本側としては強く要請すべきである。しかしながら、四百億ドル以上になる日本の黒字の縮小、それがための内需の喚起ということは、日本としても全力を挙げて取り組まなければならぬと思いますが、しかし、やはり日本が内需喚起をする際には、これはいろいろ外国からの御注文はあるでしょうけれども、一体それじゃ財政が主導してできるのかといえば、今日の財政にそれだけのゆとりがあろうはずがない。それで、財政というものはやはり何といっても行財政改革を進めるということでなければなりませんし、その上に立って、さて、それじゃ内需をどうするのだということになりますと、やはり今政府が進めておる諸般の総合的な施策を進めていく、つまりは民活であるとかいろいろやっておりますから、そういうようなことで対応すべきであって、財政によって内需の振興ということは今の時期には考えるべき筋合いのものではない、私はさように考えているわけでございます。
○鈴切委員 今大臣が言われました、いわゆる異常なドル高に対する高金利、これについては日本の国はもちろんのこと、やはりアメリカ以外の各国が一斉に、この問題については是正をすべきであるというふうにもっと声を拡大して言わなくてはならない問題だろう。意外とその点については、日本の黒字だけが取り上げられてかなり非難されているという状況です。しかし、それかといって、三百六十億ドルという膨大な黒字をそのままにしておくわけにはいかないだろうと思うわけですけれども、そこで公共事業の増大とか、それから景気刺激による消費拡大という、言うならば内需拡大の転換というのは、これは行革審の歳出増を厳しく戒めている方針の転換にも若干つながるというような点が出てくるわけでございますけれども、貿易摩擦を解消するには少なくとも内需拡大の中に、この方法もやむを得ないのじゃないか。そういうふうに判断されているかどうか、その点はいかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 党内にもいろいろ御意見がございまして、今御質問の中にあったような御意見を言う方もいらっしゃいます。ただ、私ども政府としましては、やはり今日の段階では、いわゆる臨調路線というものを守って、財政あるいは行政、これらについては既定路線で改革を進めていく。そしてその中で、第二臨調の御答申の中にもございますように、やはりいわゆる民活とかいろいろな点をお述べになっておりますから、そういった施策の中で解決するのが現時点においては私どもとしては適切である、かように考えているわけでございます。
○鈴切委員 そうしますと、いよいよまた六十一年度の概算要求の段階にも入ってくるわけですけれども、六十一年度はやはり六十年度と同じようなことを踏襲をしていきながら、いわゆる民間の活力を生かしていくという方向で若干でも内需拡大をしていくというふうにお考えなんでしょうかね。
○後藤田国務大臣 まだ来年度の予算要求はどういう方針でやるのか、これは私からお答えするのは適切ではないので、財政当局にお答えをしていただかなければなりません。したがってここで私がお答えするのはいささかおこがましい、そう思っておりますが、やはり来年度の予算編成に当たっても、今日の行財政改革のさなかであるということを考えれば、やはり厳しい予算の編成にならざるを得ないのではないかな、かように私は考えております。
○鈴切委員 その話はそれくらいにいたしまして、行政改革の重要なテーマの一つである特殊法人のあり方について若干お伺いいたします。 特殊法人は、本来行政機関が果たすべき機能の一部を企業経営的な観点から効率的に実施させるために設置しているものであり、その職員数は約九十万人と、国家公務員にほぼ匹敵するところであります。まあ言うならば、各省庁の別働隊、これが特殊法人であるというような存在であります。 しかしながら、先日、政労協から公表されました天下り白書では、相変わらずやはり高級官僚の特殊法人への天下りが後を絶たず、昭和五十六年八月二十五日に閣議決定をいたしました常勤役員の定数については、五十九年度までの間に常勤役員定数のおおむね二割を縮減するという内容についても、五十七年の四月一日で七百四十五名が五十九年一月一日で七百四名と、わずか五。五%しか減っておりません。それに加えて近年、特殊法人の経営のあり方についても各方面から批判の声が聞かれているところでありますが、今後の行革を推進する上で、特殊法人の経営の活性化は避けて通れない課題であろうかと思いますが、この点について総務庁長官はどうお考えでしょうか。
○後藤田国務大臣 もともと特殊法人というのは、御案内のように民間のいいところと役所のいいところをとってこういう制度をつくったわけですけれども、今日いろいろな批判があって、両方の悪いところをとっておるのじゃないか、こういう厳しい御批判があって、物によってはその御批判は当たらずとも速からずということがございます。しかし、これはそのままほうっておくわけにはいきません。そういうことで臨調等の御指摘があるのですが、政府としては特殊法人のいわゆる活性化については随分処置をいたしておりますから、今までとった処置については後で政府委員からお答えをさせたいと思います。 なお、同時に、特殊法人の場合は、活性化の方策と同時に統廃合もあります。そして、物によればこれは民間法人化してしまったらいいのじゃないかというものもございます。 それからいわゆる役人の天下りですね、これが国民の目から見てよく批判の対象になる。これは累次にわたって閣議決定等も行いまして、私は大体フィフティー・フィフティーには今日までなっていないと思います。しかしながら、ほぼそれに近い線まで、これは内閣の所管でございますが進んでおる、私はさように理解をしておる。わけでございます。その際に一番困るのは、実際は、特殊法人の待遇がよく皆さん方からはよ過ぎると言っておしかりを受けるのだけれども、さて、民間から採るとなりますと、あの待遇ではだれも来てくれないというのも実態なんですよ。そうすると勢い天下りになる。ならば私は、これは天下りで行って一向差し支えない。必要な才能のある人は行ってくれていいのだけれども、もう少し内部登用の道はないのかというふうに私は考えておりますが、いずれにせよ、特殊法人の問題について政府が今日まで取り組んでおる中身、姿については政府委員からお答えをさせたい、かように思います。
○竹村政府委員 ただいまの大臣の御答弁を具体的な事項で補足いたしたいと思います。 特殊法人の経営の合理化、活性化の問題につきましては、昨年の一月二十五日の閣議決定で政府としての方針を決めております。中身は、事業計画の内容の充実でありますとかあるいは重要事項の役員会の決定あるいは監事監査の活性化、さらには会計処理の標準化、こういった方針を決めまして、その方向に沿って逐次実行に移しつつあります。 総務庁といたしましては、特殊法人の経営の活性化を図るために、監察機能を活用いたしまして特殊法人を横割り的に共通的に制度を見ようということで、例えばこれは五十八年度に実施したのですが、監事監査機能の充実強化、こういった点を調査して勧告をしております。それから五十九年度には会計処理基準の標準化、これを調査いたしましてやはり勧告をしております。同じように、活性化のために大事であります業績評価などをする場合のめどになります事業計画の問題、これを六十年度の監察の計画に加えております。それから、個別的な特殊法人の活性化の問題につきましては、我々といたしましてはいろいろな分野の施策別の監察をしております。そういった中で、個別にその辺を見てまいりたいというふうに考えております。
○鈴切委員 特殊法人については国からの融資が約十七兆円、そして国からの補助金等が約二兆円というふうになっておりますが、その会計処理は適正かつ明瞭であることが強く要請をされております。 そこで、今お話がありましたように、特殊法人の会計処理の基準の標準化に関する調査ということを、昨年の十一月に、総務庁はいろいろと結果を発表されました。調査の対象の三分の二の法人が利益を各種引当金に内部留保したり、あるいは発生していない費用や収益を計上している法人があるなど、民間企業では考えられない会計処理をしているということが公表されておりますが、総務庁としては今後どのように関係各省に改善を求めていかれるのでしょうか。その点について長官はどうお考えでしょうか。
○竹村政府委員 ただいま御質問にございましたように、特殊法人の会計の処理の問題につきまして、できるだけ企業会計の基準を適用する、こういったことを基本といたしまして、わかりやすい財務諸表を作成する、あるいは資産、引当金の計上でありますとか減価償却を適切に行う、こういったことを関係各省に勧告をしております。 それの推進方策でありますけれども、関係省庁から勧告に基づく改善措置の状況につきましてどのように推進しているか、そのことを近く報告を求めることにしております。それでそういうことを通じてチェックをしたい。それから、回答をいただきまして、さらにその状況によりましてその後の改善措置状況、この報告をさらに求める予定にしております。 このようなことを通じて改善措置を図ってまいりたいと考えておりますけれども、あわせて、特殊法人の監事の集まりがございまして、これを特殊法人監事等連絡会議と言っておりますけれども、こういった場を通じまして勧告の趣旨を説明して、それぞれ特殊法人の中におきまして監事の立場からこの改善をしてくださいと、そのような努力をしておるところでございます。
○鈴切委員 長官、私、特殊法人についてはまだまだ経営の合理化とか活性化を図っていかなければならぬだろう、そのように実は思っております。臨調答申を推進する立場にある総務庁としては、今後引き続き特殊法人の実態を調査して、その改善に結びついていくということについて御努力をしていかなければならないと思いますが、総務庁長官はこの特殊法人についてもっとメスを入れていくべきだろうというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 今、政府が取り組んでおりますのはいわゆる民間活力の問題でございます。その民間活力の一つの柱が、がんじがらめになっておる民間に対する許可認可、これの規制の解除ということと、いま一つが御質問の特殊法人の活性化、こういうこと一でございますから、特殊法人は、今お挙げになったように大変な予算を使っているわけですし、これが能率を上げてないということになると申しわけありませんので、特殊法人の改革、効率化、合理化については今後とも力を注いでまいりたい、かように考えております。
○鈴切委員 それでは、本題の恩給についての御質問を申し上げます。 恩給制度は、いわゆる年金制度の初めとして、今日まで長い歴史の中で、幾多の法の改正を積み重ねながら今日まで来ているわけでございます。今回提案された恩給法等の一部を改正する法律案についてでありますが、六十年度の恩給改善については政府の基本的な考え方はどのようなことでしょうか、お伺いします。
○後藤田国務大臣 今回の改革は、恩給の実質価値といいますかそれの維持を図っていく、これが基本の考え方でございますので、公務員給与の改定に応じてそれを基礎として恩給年額を増額をしていくということ、これが一つでございます。それから二番目は、戦没者の遺族、戦傷病者等に対する処遇の充実を図っていきたい。三番目が、普通恩給及び普通扶助料の最低保障額を増額をして低額恩給の改善を図っていきたい。特に普通扶助料の最低保障額につきましては、他の公的年金の給付水準、厚生年金の最低保障額との均衡等を考慮しまして改善をしていきたい。こういうことを柱として、今回の恩給法の改革の法律案の御審議をお願いをしてある、こういうことでございます。
○鈴切委員 六十年度の恩給予算における恩給種別の受給者数、金額、人員の割合及び一般会計に占める恩給費の割合というのは、たしか五十八年、五十九年度よりは若干少なくなっていると思いますけれども、その割合はどんなふうになっていましょうか。
○藤江政府委員 ただいま御指摘の事項につきましての数字を御説明申し上げたいと思います。 年金恩給受給者の総数は二百二十二万三千人、恩給費総額にいたしまして一兆七千十億円でございます。 その内訳は、本人の受給いたします普通恩給が百十二万六千人、割合五一%。金額にいたしまして五千七百四十六億円、割合は三四%でございます。傷病恩給につきましては十一万六千人、五%。千八百七十八億円、一一%。遺族の受けます普通扶助料が四十七万三千人、二一%。二千三百六十億、一四%でございます。公務関係扶助料につきましては四十九万六千人、二二%。六千九百八十五億円、四一%。傷病者遺族特別年金一万二千人、一%。四十一億円、〇・二%となっております。 なお軍人、文官に分けますと、軍人が二百九万五千人、九五%。一兆五千七百八十四億、九三%。文官が十二万八千人、五%。千二百二十六億、七%でございます。 なお、一般会計予算に占める比率でございますが、前々年度及び前年度が三・四%でございましたけれども、六十年度につきましては三・二%となっております。
○鈴切委員 旧軍人の普通恩給については、短期在職者が相当数いることもあり、平均受給額が四十四万九千八百八十四円、月額にしまして約三万七千五百円であります。一方、文官の普通恩給については、大半が実勤務十二年の長期在職者であり、平均受給額は百十七万一千四百三十九円、月額で約九万七千六百円で、ともに十万円にも満たない状態であります。そう考えた場合、国家補償たる恩給としては若干低いのではないかという声があるのですけれども、その点はどういうふうにお思いでしょうか。
○藤江政府委員 普通恩給の場合に、年功によりますものは、御承知のとおり勤務年数と退職当時の俸給とによりまして額が決定されるわけでございます。したがいまして、勤務年数が短かったり退職当時の俸給が低額であるという場合には、これは恩給年額が相対的に低いということは、恩給の基本的な構造上、やむを得ないというふうに考えられるわけでございます。 しかし、先生御指摘のとおり、恩給につきまして生活の支えとしては低いのではないかというふうな御指摘も確かにあるわけでございまして、その点につきましては、私どもとしましては、御承知のとおり、普通恩給の最低保障の制度を昭和四十一年から設定いたしております。これは最初長期在職者のみでございましたけれども、その後、短期在職者につきましても、恩給依存度の高いと思われます老齢者とかあるいは妻子を対象として拡大したというふうなことがございます。 また、これも御承知でございますけれども、現職公務員の平均アップ率を従来使っていたというふうなこともございますけれども、五十一年以来、現職公務員の上薄下厚の昇給の改善傾向を反映させるというふうな措置も行っているわけでございます。 また、老齢者あるいは寡婦対策といたしまして、定率以上の算出率の特例というふうなものを採用するとか、あるいは仮定俸給格づけを四号俸アップするというふうな特段の措置を講ずることによりまして、これら恩給に対する依存率の高い寡婦とか老齢者に対する対策を強化してまいったというふうなことでございます。 なお今後とも、これらの最低保障等の充実につきましては、財政事情の苦しい折からではございますけれども、できるだけの努力をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
○鈴切委員 政府は恩給受給者の生活実態というものをどうとらえているか、これによって私は、これから政府としても恩給受給者の方々に配慮をしていかなければならない、上薄下厚というのもその一つであると私は思うのですけれども。そこで、例えば恩給だけで生活をしている人、あるいはまた仕事による別途収入がある人、あるいはまた家族に面倒を見てもらっている人、あるいはまた生活保護とか老齢福祉年金とか、そういうふうなものをもらって併給をして生活をしている人、いろいろあろうかと私は思うのですけれども、本当にそういう恩給受給者の実態を政府自体がどのように掌握をされているか。こういう点についてはどうなのでしょうか。
○藤江政府委員 恩給局では、毎年恩給受給者の生活状況を把握するという意味で、恩給の種類別に、家族構成であるとかただいまの収入の状況等につきましての調査を行っているところでございます。 〔委員長退席、戸塚委員長代理着席〕 それによりますと、これは先生のただいまの御指摘の趣旨に直ちに即するとは言えないかもしれませんが、と申しますのは、恩給収入を主たるものとその次の従たる収入というふうに、二つずつ丸をつけさせている、それを集計したものでございます。したがいまして、例えば普通恩給が主たる収入の者が何%というふうな場合にも、これは普通恩給が主であって、そのほかの収入もあるかもしれないということでございまして、普通恩給だけではないということで、その他の点についての調査は残念ながらございません。 一応数字を挙げさせていただきますと、旧軍人普通恩給受給者の世帯では、これは五十八年の調査でございますが、長期在職者では、普通恩給を主要な収入としている者が二八・五%、普通恩給を従たる収入としております者が五一・一%でございます。それから短期在職者では、普通恩給を主要な収入としている者が四%、それから普通恩給が従たる収入であるとしている者が四六・八%でございます。普通扶助料受給者世帯につきましては、五十七年の調査によりますと、文官では、普通扶助料が主要な収入としている者が三〇・四%、従たる収入としている者が四七・三%でございます。旧軍人では、普通扶助料を主たる収入としている者が一〇・七%、従たる収入としている者が五三・二%でございます。また、戦死者遺族である旧軍人公務扶助料受給者世帯につきましては、公務扶助料が主要な収入としている者が二八%、従たる収入としている者が六七%。それから次に、傷病恩給受給者世帯でございます。特に重度障害の増加恩給受給者世帯におきましては、増加恩給を主要な収入としている者が五九・七%、増加恩給が二次の収入であるとする者が三三・一%でございます。最後に、傷病年金受給者世帯につきましては、傷病年金を主たる収入としている者が一九・二%、従たる者が五五・八%でございます。 なお、参考までに、厚生省で国民生活実態調査というものを実施しております。これは五十九年の調査でございますが、恩給とか年金を受給しております者の調査を、高齢者の世帯を調査いたしておりますが、これで年金または恩給が一〇〇%であるというものが四〇%でございます。ただ恩給だけについては判明いたしておりません。 以上でございます。
○鈴切委員 やはり、恩給による受給者の方々の実態を調べるということが非常に大切なことだろう。全部が全部調べるということはなかなか難しいにしても、もう少しきめ細かくやりませんと、従とかあるいはそういうふうなことだけでは、本当の実態はわからないだろうと思います。 五十九年度の生活保護基準は、例えば夫七十二歳、妻六十七歳で二級地に居住する夫婦は月額十万七千四百円あるわけですね。そういうことから考えますと、確かに公的年金の二重払いはしないのが原則になっておりますけれども、一定限度額の範囲で併給することができるという特例なんかもあるわけでして、そうことを考えたとき、やはりどういう生活をされているかということの実態をもうちょっと調べていただいて、そしてそれに対処する恩給のあり方というものを検討する必要があるのだろう、そのように思うので、それを私どもとしては提案をしておきます。 さて、旧軍人の普通恩給については、実勤務三年以上で戦地加算を含めて十二年の短期在職者と、実勤務十二年以上の長期在職者に分けられますけれども、それぞれの受給者数、平均年齢、平均受給額はどういうふうになっていましょうか。
○藤江政府委員 ただいま御指摘の数字を御報告申し上げますと、普通恩給につきましての平均年齢は、文官七十八・六歳、軍人は六十七歳が平均でございます。 〔戸塚委員長代理退席、委員長着席〕 そのうち長期在職者が、文官につきましては八十・二歳、旧軍人七十四・五歳、短期在職者につきましては、文官七十二・八歳、旧軍人が六十七・〇歳でございます。
○鈴切委員 恩給受給者の高齢者が多くなってきておりますけれども、恩給受給者総平均年齢及び恩給種別の受給者の平均年齢はどのぐらいになっておりましょうか。
○藤江政府委員 ただいまの総平均年齢につきましては、文官、旧軍人を通じまして六十九・六歳、文官平均年齢が七十七・三歳、旧軍人平均年齢が六十九・一歳となっております。
○鈴切委員 恩給受給者の総平均年齢が七十歳、昨年よりも恩給受給者が五万九千人減少していること等を考えたときに、今後の減少傾向はさらに急激なものになるのではないかと予想されますけれども、政府は今後の傾向をどのように見ておられましょうか。
○藤江政府委員 失権者をどのように見込むかということは、いろいろな要素がございまして大変に難しい問題でございます。ただ、一応の試算といたしまして、厚生省人口問題研究所作成の静止人口表によりまして推計いたした数字を申し上げたいと思います。 五年後の六十五年には百九十七万四千人、七十年が百六十七万三千人、七十五年が百三十二万五千人、これが六十年予算数字の五九・六%に当たります。八十年が九十四万人、四二・三%でございます。したがいまして、これから推計しますと、およそ十七、八年で半減するというふうに考えてよろしいかと思います。八十五年が五十七万ということで、およそ六十年数字の四分の一でございます。
○鈴切委員 今のあれは、六十年の二百二十二万人を一〇〇%として、そういうことから六十五年、七十年、七十五年、八十年は何%ずつになるのでしょうか、その点は。
○藤江政府委員 ただいま、御指摘のとおり申し上げたつもりでございました。 繰り返して申し上げますと、六十年を一〇〇とした場合、六十五年が八八、七十年が七五・三、七十五年が五九・六、八十年が四二・三となっております。
○鈴切委員 そうしますと、二十年後ということになりますとかなり、今の平均年齢に足しても九十歳というふうな形になるわけですね。そうなった場合に、これから二十年後からは急激に、人間の寿命というものからしても、そんなに長くまで続くということは、今の常識的なことを言いますとなかなか考えられない。急にずっと減っていくというふうに考えてよろしゅうございましょうか。
○藤江政府委員 一応の推定といたしましては御指摘のとおりだと思います。
○鈴切委員 普通扶助料、すなわち普通恩給者の遺族が受ける年金ですけれども、普通扶助料の長期在職者に係る最低保障額は、現行の五十三万三千五百円を四月から五十五万二千二百円に増額し、さらに八月には一万三千七百円を上乗せして五十六万五千九百円にしようとしておるわけでありますけれども、八月から一万三千七百円上乗せする理由というのはどういうところにありますか。
○藤江政府委員 扶助料につきましては、当初、普通恩給の五〇%ということで算定いたしておったわけでございますけれども、五十二年から特別な上積みをするといいますのは、他の年金等とのバランスあるいは扶助料受給者の生活実態等からいいまして、特別な改善を行ってきたということでございます。その結果、最近では六〇%を超えるというふうな数字にはなってまいったわけでございますけれども、なお共済とか厚生年金の最低保障額に達しないというふうな実情でございました。したがいまして、この点につきましては、少なくとも厚生年金の遺族年金の最低保障額にできるだけ早い機会に到達させるというふうなことで、さしあたりまして、その差額の三分の一を特別改善として上げることにいたしたわけでございます。
○鈴切委員 厚生年金の遺族年金の最低保障額とのバランスをとるために今やっておられるわけでしょうけれども、どういうふうな是正措置をされていくつもりなんでしょうか。
○藤江政府委員 ただいま申し上げましたように、厚生年金遺族年金最低保障額との間に四万一千二百円の差がございます。当面それの三分の一を改善するというふうなことで、一万三千七百円の上積みをいたしたわけでございます。
○鈴切委員 そうしますと、今おっしゃいましたように四万一千二百円の差があるから、だからその三分の一ということであるとするならば、三年間で間違いなく厚生年金の遺族年金の最低保障額にまで引き上げるということについては保証されますか。
○藤江政府委員 ただいまの御指摘の点でございますけれども、厳しい財政状況下でございます。したがいまして、私どもとしては今の段階で明確に三年というお約束はできませんが、できるだけそのような措置をとるための努力を尽くしたいというふうに考えておるわけでございます。
○鈴切委員 せっかく四万一千二百円を三つにお割りになって、その差額の分を埋めようとするわけですから、当然三年間に是正措置を講じていくという姿勢がなければ三分の一という数字は出てこないわけですから、そういうことで是正措置を今後も続けていっていただきたいというふうに思います。 それから、傷病者遺族特別年金は六十年の四月分以降三・五%引き上げるほか、八月分以降、普通扶助料の最低保障額との均衡等を勘案してさらに引き上げる措置をとっておりますが、最終目標としてはどのくらいにまで引き上げていこうとされているのでしょうか。
○藤江政府委員 傷病者遺族特別年金につきましては、先生御承知のとおり、増加恩給受給者の遺族との均衡を考慮いたしまして、普通恩給の受給権のない遺族の方々に対しまして特例措置として五十一年に設定された制度でございまして、その後逐年改善されたという経緯をたどっているわけでございます。六十年度におきましてはただいま御指摘のような改善をいたしたわけでございます。 しかし、冒頭に申し上げましたように、この制度は普通恩給の受給権のない、いわば平病死された後の扶助料の権利のない方々に対して特別に設定されたというふうな経緯もございまして、恩給制度内の均衡というふうなこともございます。したがいましてこれを失しないようにということになりますと、普通扶助料の最低保障額の水準との均衡というふうなものを考慮しなければならないという事情がございます。ところで、先ほどおしかりも受けましたけれども、普通扶助料の最低保障額は今後最大限のアップの努力をいたすつもりでございますので、少なくともそれと連動してアップしてまいるというふうなことはお約束できると存じます。
○鈴切委員 恩給費の中の一時恩給は一万四千人で二億五千万円。それから一時金は六千人で九千万円計上されておりますけれども、この両者の違いはどういうところにあるのでしょうか。支給額はどれくらいになっていましょうか。
○藤江政府委員 一時恩給と一時金の相違でございますが、一時恩給につきましては、現在のシステムからいたしますと、引き続く実在職三年以上の者に支給されるということでございます。これに対しまして、一時金の方は、在職期間が引き続き三年というふうな要件はございませんで、三年未満であっても、再召集などによりまして集計通算すれば実在職年が三年以上になるという方々に対しまして支給されるものでございます。一時恩給の兵に対する給付につきましては、昭和五十年の改正によりまして設定されたものでございまして、それとの均衡を考慮してと申しますか、引き続かなくとも、自己の意思によらず御苦労されたというふうな事情も勘案いたしまして、断続しておりましても三年になられる方々に五十三年から一時金を支給するということにいたしたわけでございます。 一時恩給の方は年数によりまして算定数字が変わってまいります。これに対しまして一時金の方は、兵が三年の場合に一時恩給の場合一万五千百円かになるわけでございますが、それとの均衡を考慮いたしまして一律一万五千円ということにいたしておるわけでございます。
○鈴切委員 一時恩給や一時金をもらうための手続といっても、高齢者にとってみれば大変御苦労があると思うわけでありますが、手間暇かけてやっともらえた一時金あるいは一時恩給が一万五千円ぐらいでは、手間暇かけるよりももらわない方がよいといって手続をあきらめる人が相当いると聞いております。 政府は、一時恩給及び一時金の未請求者が当初の見込みでどのくらいいると見ていたのか、また現時点で何%ぐらいが支払いを完了したと見ておられるか、その点についてはどうなんでしょうか。
○藤江政府委員 一時恩給の対象見込み件数、これは都道府県、厚生省を通じて調査した数字でございますが約百八万六千件、それから一時金の対象見込み件数は約三十三万二千件でございます。六十年三月現在におきまして一時恩給の裁定をいたした件数は約六十二万七千件、一時金の裁定件数は約十二万四千件となっております。割合で申しますとそれぞれ五七・七%、三七・三%となります。
○鈴切委員 かなり面倒な手続をしなければならない、手間暇かけるくらいならもらわない方がよいというような人たちに対しまして、政府としてはどういうふうな取り組みをしておるのでしょうか。
○藤江政府委員 一時恩給につきましての請求手続等につきましては、私ども事務方としてはできるだけ簡素化するということでいたしておるわけでございます。しかしながら、兵籍にあったことの証明が実はなかなかつかないというふうな事情がございます。その背景といたしましては、軍籍簿等が終戦時に焼却されたということがありまして、書類がないケースが非常に多いわけでございます。したがいまして、私どもとしては、実態的に申しまして、書類を探求するのが困難な場合には戦友の証言等で補完するというふうな形で、できるだけ受給者の立場に立った措置をいたしているつもりでございます。しかし、ただいまの御指摘もございますので、今後改善等につきましてさらに検討させていただきたいと存じます。
○鈴切委員 年金改革と恩給の関係についてお伺いいたします。 既に厚生年金や国民年金は物価スライド制になっておりまして、従来給与スライド制であった国家公務員等の共済年金についても、物価スライド制を導入すべく改正案が提出されるのじゃないだろうかと言われております。恩給も給与スライド制になっているのでございまして、そうなってくると、恩給だけが別扱いとばかりは言っておられなくなるということで、恩給も影響を受けるのではないだろうかと言われているのですが、その点については政府はどうお考えでしょうか。
○藤江政府委員 恩給のベースアップにつきましては、四十八年以来、前年度の公務員給与を指標として使うのが最もベストであるということで定着いたしてまいっているわけでございます。しかしながら、ただいま先生御指摘のとおり、厚生年金、国民年金等にならいまして、共済年金におきましてもベースアップの指標が物価になるという見通してございます。そのように、同じ元公務員であった方々のベースアップが共済において物価指標をとるというふうな段階におきまして、ひとり恩給だけが公務員給与のベースアップ率を使うということにつきましては、これはいささか問題があろうかと思うわけでございます。したがいまして、私どもとしては、やはりその点につきましては今後の重大な検討課題であろうかと考えております。
○鈴切委員 それじゃ実は困るわけであって、恩給というのは国家補償的な意味もありまして、厚生年金や国民年金と性質が実は違うわけであります。ですから、やはり従来の給与スライド制を続けていくべきではないか、そういう考え方もあるわけなんですから、その点についてはどうなんでしょうか。
○藤江政府委員 恩給と他の年金とが本質的に違うものであるということにつきましては、私どもも先生同様、そのように考えているわけでございます。しかしながら、恩給の年金として果たす機能は他の年金と類似の点もあるわけでございます。しかも、先ほど申しましたように、同じ元公務員であった方の年金である共済年金が違う指標を使うという場合に、果たして恩給だけがそれでよろしいかということにつきましては、これはやはり私ども重大な問題点であろうかと考えざるを得ないわけでございます。
○鈴切委員 恩給で生活をしている方々の生活は決して楽でないわけですから、物価スライド等で処理されますと大変に受給がダウンするというおそれもあるわけですから、その点については十分に配慮していただきたいというふうに思います。 旧日赤救護看護婦等に対する慰労給付金の増額については、昭和五十五年度以降の恩給法改正案審議に際し、その増額を検討すべき旨の附帯決議が付されてきました。今回増額が図られるようになったわけでありますが、増額の内容はどのようなものであるか。慰労給付金が支給されるのは従来どおり六月と十二月ですけれども、四月分から増額されて支給されるのか。その点についてはどうでしょう。
○藤田(康)政府委員 御質問の慰労給付金でございますが、所得の保障を図るという年金的な性格を有するものでないので、増額は困難であると従来はしてきたところでございますが、措置がとられて以来、消費者物価の上昇もございまして、今回実質価値を維持する必要があると判断し、財政事情が極めて厳しい状況下にはございますが、昭和六十年の六月分から、過去五年間の消費者物価指数の上昇率一二・三%の改善を図ることといたした次第でございます。
○鈴切委員 慰労給付金が支給されるようになってから、旧日赤救護看護婦で六年、旧陸海軍従軍看護婦で四年たっておるわけでありますが、増額といっても名ばかりなもので、年一万から四万円という余りにも少額である。私はもっとこれは増額すべきではなかったのかというふうに思います。また、恩給法に準じてこの問題等も処置をされてきているわけでございますから、毎年やはり増額すべきであるというふうに考えておりますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
○藤田(康)政府委員 先ほども御答弁さしていただきましたように、本年の六月分から過去五年間の消費者物価指数上昇率一二・三%の改善を図りまして、実勤務期間に応じた慰労給付金の額を十一万円から三十四万円になるように措置をいたした次第でございます。 なお、先生お話しございましたが、実勤務期間が例えば三年から六年未満の者に対する慰労給付金の額の増額の幅でございますが、一万円と丸い数字になっておるわけでございますが、これは慰労給付金の性格にかんがみまして、端数整理により万円単位の額といたしたためでございます。 それから、恩給法に準じて毎年増額すべきではないかと、今後の取り扱いについての御質問があったかと思うわけでございますが、慰労給付金の増額につきましては、先ほども御答弁さしていただきましたが、財政事情が非常に厳しい状況下にあったにもかかわりませず、措置をとられて以来過去五年間に一二・三%という消費者物価の上昇がございまして、このまま据え置いておくことが大変お気の毒である、こういうことにかんがみまして、今回実質的価値を維持する必要があると判断をいたしまして、先ほどから御答弁させていただいておりますように、六月分から所要の改善措置を講じさせていただいたところでございまして、毎年増額するという考えは持っておらないところでございます。なお、今後の取り扱いについてでございますが、今回の増額の経緯等も踏まえまして十分慎重に検討いたしたい、かように考えておるところでございます。
○鈴切委員 六月からということでございますけれども、四月分からいわゆる増額が遡及されるということはないのですか。
○藤田(康)政府委員 支給の実施時期についての重ねてのお尋ねでございますが、慰労給付金は現在六月と十二月に前月までの分を支給する、こういう二回支給制になっておるわけでございます。六月からといたしましたのは、フルに今年度にかかってまいりますのが六月から、こういうことで、実質的には十二月支給分から増額する、こういう形にいたした次第でございます。
○鈴切委員 戦後処理問題懇談会について若干お伺いいたします。 昭和五十七年の六月三十日に発足した懇談会は、恩給欠格者問題あるいは戦後強制抑留者問題、在外財産問題の三問題を二年半かけて検討し、昨年の十二月二十一日、官房長官へ報告書が提出されました。新聞等の報道によりますと、政府は、三つの問題の救済や補償問題を検討するため総理府に戦後処理問題対策室を設置するとか、あるいは検討、調査の段階で個人補償の含みを持たせるといったさまざまなことが言われているようでありますけれども、戦後処理問題懇談会の報告の趣旨はどのようなものであったか、その点をもう一度確認したいと思います。
○吉居政府委員 ただいま先生からお話しございましたように、戦後処理問題につきましては、昨年十二月の二十一日に戦後処理問題懇談会から報告をちょうだいいたしたところでございます。 それで、この報告によりますと、いわゆる戦後処理問題、これはただいま先生が御指摘になりました三つの問題を中心にいたしましていろいろ議論をしていただいた結果でございますが、このいわゆる戦後処理問題につきましては「これ以上国において措置すべきものはない」とするとともに、関係者の心情に深く心をいたす、そういう趣旨から特別基金を創設するということを提唱しているところでございます。
○鈴切委員 懇談会の報告書では「特に重要な恩給欠格者問題、戦後強制抑留者問題及び在外財産問題の三問題について得た結論は、大要次のとおりである。」と言って、三問題以外は取り上げていないようでございますけれども、政府としては、この報告書をもってすべての戦後処理問題に終止符が打たれた、そのように解しているのでしょうか。
○吉居政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、この戦後処理問題懇談会の報告によりますと、これは戦後処理問題をいかに考えるべきかということについて、いわゆる恩給欠格者問題、それからシベリア抑留者問題、それから在外財産問題の三つの問題を中心に、一般戦災者問題につきましても留意しながら、二年半にわたって検討を行ってこられたわけでございまして、その報告におきまして、これも先ほど申しましたように特別の基金を創設するということを提唱しているところでございますが、およそ戦争というものは国民全体に対して何らかの損害を与えるものでございまして、そういう意味では全国民が戦争被害者と言えるかと思います。そこで、戦後処理問題というのをどのようにとらえるかというとらえ方によりましては、非常に広い範囲にまたがってしまうということにもなるわけでございます。したがって、戦後処理問題懇談会でこういうあらゆる問題を検討するということは事実上不可能でもございますし、また、戦後処理問題をいかに考えるべきかということを検討する場といたしましての懇談会の性格からいたしまして、外交上の機微に触れる問題などは懇談会の検討の対象としてはなじみにくいのではないか、こういうことから、実はこういう問題はこの懇談会の検討からは一応除外されているわけです。 したがいまして、ただいまの先生の、この報告によってすべての戦後処理問題に終止符が打たれるのか、こういう御質問に対しましては、戦後処理問題をどのように理解するかということにもかかってくる話でありまして、例えば外交上の機微に触れるような問題等はもともとこの懇談会で触れておりませんから、そういう問題についてはこの報告の中には含まれておらぬ、このように解釈しております。
○鈴切委員 そうしますと、この三つの問題を取り上げただけであって、戦後処理の問題については実際にはいろいろの問題があるわけですね、個個の問題があるわけですが、この三つの問題についての報告書であって、それ以外のものについてはまた問題が出たときには別途検討をする、こういうことですか。
○吉居政府委員 三つの問題が中心的なテーマであったことは事実でございますけれども、三つの問題を議論するに当たりましては、やはり一般戦災者との関係といったことも考えなければなりませんでしたし、さらに、三十数回にわたる議論の過程におきましては、実はいろいろなところからの陳情やらあるいは御説明やらを受けてまいったわけでございまして、そういう意味では三つの問題だけに絞ったというわけではございませんで、広い範囲でのいろいろなことも検討に加えながら三つの問題を中心にして議論された、こういうふうに理解しております。
○鈴切委員 報告書では、「今次大戦における国民の尊い戦争犠牲を銘記し、かつ永遠の平和を祈念する意味において、政府において相当額を出捐し、事業を行うための特別の基金を創設することを提唱する。」としておりますけれども、政府としてはこの問題を今後どのように扱っていくお考えなんでしょうか。
○田中(宏樹)政府委員 お答えいたします。 今後の検討につきましては、「戦後処理問題懇談会報告」の趣旨を実現するためどのような事業活動がふさわしいものか、また、戦後処理問題に関連するとも言えるいろいろな事業で現に他の省庁で実施している事業との関係をどう整理していくか、財源や事業規模をどうするか、基金の設立形態はどうするか等、検討調査すべき点がいろいろございます。関係省庁ともいろいろ連絡をとりながら検討してまいりたいと思っております。
○鈴切委員 六十年度の予算を見ますと、特別基金の検討及び調査に必要な経費ということで一億五千七百万円、総理府の中に室をつくって検討、調査を進めていくということでありますけれども、この一億五千七百万円というものの積算の根拠はどうなっていましょうか。
○吉居政府委員 御指摘のとおり、六十年度予算の中に一億五千七百万円が計上されたわけでございますが、そのうち人件費、事務費が五千七百万円でございます。これは、特別基金の検討及び実情調査に係る事務を処理するために四名の増員をお認めいただきました。その人件費やあるいはその他の旅費、庁費等が五千七百万円でございます。それから一億円でございますが、これは特別基金の検討調査費でございます。これにつきましては、先ほど来お話がありましたように、戦後処理問題というのは広範多岐にわたる問題でございまして、これらをこれから調査、検討していこうということを考えますと一億円が適当な額ではないかというふうに考えたものでございますが、いずれにしましても、この特別基金の検討、調査の具体的な内容、方法等につきましては、これから関係各省とも鋭意相談しながら詰めてまいるということに相なるわけでございまして、実際に実施をするときまでにこの具体的な内容を詰めていく、そして適切な執行を期してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○鈴切委員 対策室をつくってこれの検討、調査を行うということでありますけれども、恩給欠格者の問題等の三問題の関係者にしても実は大変に高齢になっておるわけですから、余りのんびりしたことは言えないだろうと私は思います。そういうことで、できるだけ早く結論を出してあげるべきではないかと思うのですが、政府はいつごろまでに結論を出そうとお考えになっていましょうか。
○田中(宏樹)政府委員 お話のございました特別基金検討調査室は、四月十日から発足をさせてこれに取りかかっておりますが、二段目の結論をいつごろまでということでございますが、さきの大戦終了後四十年を迎えまして、関係の方々が年々御高齢になること、あるいは戦後処理問題懇談会の検討に既に二年半の年月を要していること等、十分承知をしておるつもりでございますが、四月十日に発足したばかりでございますので、今の段階でいつ結論をということは明示できませんが、できるだけ急ぐということには十分意を用いたいと思っております。
○鈴切委員 事業を行うための特別の基金についても、基金のつくり方に始まり、額の設定をどうするか、また事業内容をどうするか、さらには事業の運営の仕方をどうするか等々、いろいろ問題がある。今後行われる検討、調査の問題でありますが、対策室をつくって検討する、または懇談会をつくって検討してもらうにしても、例えばこのようなものといった青写真的なもの、または骨格となるようなものが当然あるというように思いますが、その点についてはどのようにお考えになっていましょうか。
○田中(宏樹)政府委員 私ども特別基金検討調査室といたしましては、この予算の成立を待って、これから関係者の方と協議をしながら固めていきたいと思っておりますので、報告書の中身、意見をよく検討いたしまして、どういうことでこれまで論議をされたかということを十分踏まえまして対処してまいりたいと思っておりますが、今直ちにどうこうという青写真というものをお話しできないという状態にございます。
○鈴切委員 原爆の恐ろしさとか悲惨な体験等の風化を防ぎ、後世に語り継ぐものとして、広島には原爆ドームや原爆資料館あるいは慰霊碑等もあり、長崎にも平和祈念像や原爆投下地点に石碑が建てられておりますが、報告書で言うように、「今次大戦における国民の尊い戦争犠牲を銘記し、かつ永遠の平和を祈念する」という趣旨に沿って、全国民を対象とした記念となるようなもので国が直接管理し、運営しているものが何かありましょうか。
○田中(宏樹)政府委員 おっしゃる中身は、報告書で言います特別基金の事業につきましては、とうとい戦争犠牲が風化することを防ぎ、さらに後世の国民に語り継がれ、国民が戦争により損害を受けた関係者に衷心より慰謝の念を示すための何らかの事業ということで、方向が示されたわけでございます。今後この趣旨に沿いまして検討してまいりたいと思いますが、先生から今御指摘のありましたことでございますが、戦没者等の慰霊その他、それぞれの所管の省庁で行っている事業等は、従来からもやってきたものはあるというふうに思っております。
○鈴切委員 報告書で言うところの事業については、不幸にして亡くなられた方、また幸いにも生き長らえられた人も、ともに戦争被害者であり、両者をあわせた形で基金をつくり何か一つの事業を行うというように受け取られるわけでありますが、戦没者及び生存者に対しそれぞれ多彩な事業を行うことが望ましいと考えております。本来ならば生存者に対して個人補償が望ましいわけでありますけれども、一歩譲ったとしても、二度と戦争を起こさせないためにも、戦争体験の風化を防ぐとともに、後世に伝え残すものとして、例えば戦争記念館とか平和資料館というようなものをつくり、また戦没者に対しては遺家族やすべての国民の人たちが弔意を求める気持ちは十分理解できるので、国としてその気持ちを十分に反映した記念となるものをつくるべきであるというふうに思いますけれども、その点どうお考えでしょうか。
○田中(宏樹)政府委員 繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたような、報告書の趣旨に沿いますような事業の中身をこれから関係者と相談をしながら詰めてまいりたいと思っておりますので、先生の貴重な御提言も十分拝聴さしていただいて検討さしていただきたいと思っております。
○鈴切委員 そういうことを理由にして言うならば、靖国神社の国家護持とかあるいは公式参拝という考えに結びつけるということは、憲法二十条とかあるいはまた八十九条等から考えて問題があると私は思います、その点については。実は、我が国の無名戦士の墓とも言える千鳥ケ淵戦没者墓苑では諸外国に比べて余りにもスケールが小さい、そういうことが国民の中には言われております。そういうことから考えますと、外国の国賓等の参拝や全国民がひとしく弔意をあらわすことのできる大規模の国立の墓苑というものがあってもよいではないだろうかというふうに、私は検討する段階においていろいろと御提言を申し上げましたが、国民の多くの方々がそういう場所において国賓の方々を迎えられるというようなことは、国としてやらなければならない一つの大きな問題じゃないだろうかというふうに思うのですが、その点についていかがでございましょうか。
○田中(宏樹)政府委員 また繰り返しになるかもしれませんが、大規模な国立墓苑という御提言でございます。大変貴重な御意見と存じますけれども、何分にも特別基金で行います事業の内容につきましてはこれから検討していくことになりますので、現段階で何とも申し上げようがございません。今後の検討に当たりましては、御提言の趣旨がこの事業の中身にふさわしいものかどうかという点につきましては十分吟味をさしていただきたいと思います。ただ、先生も御指摘になりましたように、類似なものといたしまして千鳥ケ淵の戦没者墓苑等もございます。厚生省が礼拝行事も当たっているところでございます。この辺も十分連携をとりながら考えてまいりたいと思っております。
○鈴切委員 海外の無名戦士の墓とかそういうものについて若干調べてみたのですけれども、例えばアメリカにはアーリントン国立墓地に無名戦士の墓がある、あるいはカナダには戦没者記念碑、あるいは韓国には国立墓苑、あるいはフランスには無名戦士の墓、イタリアも同じ、ソ連も同じ無名戦士の墓、あるいはトルコにおいても立派なものがあります。そう考えてみますと、世界各国にはほとんどそれなりの無名戦士の墓ということで、国民がひとしく、あるいはまた私どもが行っても花束がささげられるような規模の立派なものができているわけであります。ところが日本の国は、第二次世界大戦でこれだけの犠牲を払っていながら、実際に今厚生省が所管をしていると言われた千鳥ケ淵の墓苑は、スケールが余りにも小さいといいますか狭いというか、果たしてそれがふさわしいかということになりますと、実は私は問題があるだろうというふうに思うのです。もちろん靖国神社でそんなことができるわけがないわけですけれども、そういうことで、少なくともこういうふうな戦後処理問題の検討がなされた以上、そういう点についてもう少し前向きに御検討を願った方がよいのじゃないかというふうに思うわけでありますが、最後に総務庁長官、私が申し上げたことを踏まえて御答弁をお願いしたいと思います。
○後藤田国務大臣 政府委員が先ほど来お答えしておりますように、この問題は戦後処理懇で一応の御提言を得ておりますから、その線に沿ってこれから検討すべき課題であろう、こう考えております。 靖国神社の問題も御意見に出ておりますが、これは国民の中で靖国神社にお参りすべきじゃないかという意見も大変多いわけです。しかし同時に、それはおかしいじゃないかという、コンセンサスを得ておりませんが、そういうことを考えますと、ここで千鳥ケ淵墓苑をもう少し大きくしたらどうだということについてはよほど慎重に我々は構えなければならない、かように考えます。
○鈴切委員 靖国神社の問題については、政府の法制局においても、これは問題だ、違憲の疑いが払拭できないということを言っているわけでありまして、宗教法人に国の財政的な援助を与えるということについては問題が残るわけでありますから、その点だけは申し上げて、終わります。
○中島委員長 田中慶秋君。
○田中(慶)委員 恩給法等の一部を改正する法律案を御提案いただいておるわけでありますけれども、これらについてそれぞれ質問をしてみたいと思います。 恩給の改正法案の内容に入る前に、恩給の種類、恩給受給者の実態についてまず御説明を受けておきたいと思います。
○藤江政府委員 昭和六十年度予算におきますところの恩給種類別の実態を御説明申し上げたいと思います。 昭和六十年度予算では、受給者総数二百二十二万三千人でございます。その種類別内訳といたしましては、普通恩給が百十二万六千人、構成比では五一%。傷病恩給十一万六千人、五%。普通扶助料四十七万三千人、二一%。公務関係扶助料四十九万六千人、二二%。傷病者遺族特別年金一万二千人、一%でございます。なお、旧軍人、文官に分けますと、旧軍人が二百九万五千人、九五%。文官が十二万八千人、五%でございます。
○田中(慶)委員 今、恩給受給者は二百二十二万三千人ということで明確になりました。それらの受給者は既に高齢化し、また戦没者遺族や戦傷病者は恩給だけで生活されているというのが実態ではなかろうか、こんなふうに思います。 そこで、恩給の改善ということが非常に期待されていると思うのでありますが、この辺の考え方について長官から御答弁をいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 今回の改正の趣旨については先ほどお答えしたとおりでございますが、やはり恩給制度というものは他の保険経理によってやるいわゆる公的年金制度とは性格が違って、国家補償的な性格を持っておると同時に、その多くが旧軍人またはその遺族の方々である。しかもこれはもう既裁定者でありまして、裁定未了者は別として新規参入者というものはない。しかも極めて高齢化しつつある。また、先ほどのお答えのようにだんだん減っていく。減っていくということはだんだんお年を召すということでございます。そういうことを考えますと、やはり恩給というものの実質価値が落ちるというようなことでは申しわけない。政府としてはできるだけ温かい気持ちでこの問題に対処しなければならぬ。これが私の基本的な物の考え方でございます。
○田中(慶)委員 今、長官から国家補償的な立場に立って今後も温かい考え方でということの御答弁をいただいたわけでありますが、新規参入はないわけですし、これからの暮らし等を考えてまいりますと、私は十分な保障、十分な年金の改善というものが要求されて当たり前ではないか、こんなふうに思います。今日の日本の繁栄とかあらゆることを考えてまいりますと、このような人たちの犠牲といいますかおかげで、今日の日本の繁栄があるわけですから、そういう点では恩給の改善が十二分にされても、いろいろな形の中での苦情や支障というのはあり得ない、こんなふうに考えております。むしろ逆に、この人たちが生活に困っているという訴えを聞くときに、私たちは本当に何とかしてやらなければいけないなということが優先になりますので、普通扶助料の最低保障の改善を含めてもっと充実した形であるべきではないかと思うのですが、その辺、最低保障の改善内容はどのようになっているか、明確にお答えをいただきたいと思います。
○藤江政府委員 普通扶助料の最低保障が四十一年に設定されました当時は、普通恩給の五〇%ということであったわけでございます。しかしながら、その後、他の年金の水準あるいは受給者の置かれております立場等を考慮いたしまして、五十二年から特別な上積みを続けてまいったというのが実情でございまして、現在では普通恩給の六六・一%相当額ということになっているわけでございます。 昭和六十年度におきましては、公務員給与の改定に準じまして三・五%引き上げたほか、厚生年金保険における遺族年金の最低保障額の給付水準に到達することを明確な目標として設定いたしたわけでございまして、その差額の三分の一を八月から上積みしたということでございます。その結果、昭和六十年八月からは普通恩給の六七・八%相当額となるわけでございます。なお、これに寡婦加算を加えますと八〇%を超えるという形になります。
○田中(慶)委員 今、遺族給付の改善についてとか最低保障の問題で考え方を述べられましたけれども、毎年附帯決議でその改善を決議されてきておりますが、今回の改善後においても、厚生年金における遺族年金の最低保障よりはるかに低い形になるのではないかと私は思います。さらに遺族の方の立場を考えてまいりますと、この格差というものは当然早急に考える必要があるのではないかと思います。例えば厚生年金との格差の三分の一相当を上積み改善したということは、その格差を三年間で計画的に解消するというのも一つの考え方ではないかと思いますが、三年間で解消できるというふうに理解していいかどうか、明確にしていただきたいと思います。
○藤江政府委員 私どもといたしましては、できるだけ早い機会に格差を解消するというのが当然の目標でございます。三分の一という数字を設定いたしましたのはただいま御指摘の趣旨のとおりでございますが、ただ、三年で完全に解消するかどうかというお約束につきましては、私ども、財政事情等もございますので明確にはお約束できませんけれども、財政当局には最大の熱意を持って折衝してまいりたいと考えておるわけでございます。
○田中(慶)委員 今、遺族給付の改善、少なくともこの委員会でも毎年附帯決議として改善しなさいということを明確にされているわけです。同時に、みずからが格差を早急に解決したいという答弁を今政府委員としてされているわけですけれども、しかしその反面において、三分の一だから三年間で完全にできるとは、財政事情云々ということで明確に言えないというわけですが、私はむしろこういうものはこの際明確にしておいた方がいいと思います。ということは、ふえていくわけじゃないのですから、財源的にしてもいろいろな関係からしても。私たちは、こういうことを含めてだれしもが、ここで格差を縮めたところであるいはまた上積み改善をしたところで、そう大きな問題はないと思います。そういう点を考えてまいりますと、三年間で明確にこの格差是正を行う。先ほど、人勧の問題でそれぞれ経過の説明をされたりいろいろなことがありました。その時点でもお話が出たように、例えば人勧については六十一年には完全にという、一時的ではあろうと思いますけれども、そういういろいろな姿勢というものが、財政の裏づけをとるにしても、私はやはり明確に必要なことだと思います。そういう点で、私は、この三分の一というものはましてや遺族給付の問題でありますから、明確にその辺についてはお答えをしていただきたい、こんなふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○藤江政府委員 恩給局といたしましては、御趣旨を体しまして全力を尽くす所存でございます。
○田中(慶)委員 財政当局でない悲しさもあろうかと思いますけれども、しかし全力投球でやるということですから申しませんが、ただ、私は、先ほど来申し上げているように、このような格差是正というものを改善しても上積みしても、額的にも今後たくさんふえていくというわけじゃありませんし、新規参入はそれこそ心配がないわけですから、そういう点では明確にこの辺を含めておく必要がある。あなたの方で全力投球でということでありますから、その辺は子としながら、本当に格差是正というものが一日も早くされることを強く要望しておきたいと思います。 同時に、中シナの派遣部隊で湘桂作戦に参加した方からの陳情を私は受けているわけでありますけれども、これらの陳情の中身をつぶさに検討させていただきますと、本当に同情の念にたえません。同時に、湘桂作戦は戦死者、戦傷者、あるいはまたこれらに対する損害というものを多数出し、まれに見る激戦地、こんなことを聞いております。にもかかわらず、加算年の問題、戦地戦務加算、要するにこの加算の問題でありますけれども、一カ月につき二月となっているのでありますけれども、このような激戦地の実態を考慮し、戦務加算年の最高である三月の加算に変更してはどうか。あるいはまた、そういう要求があるわけですけれども、これらの問題についてどのように考えられているのか、明らかにしていただきたいと思います。
○藤江政府委員 加算制度の仕組みにつきましては、先生御承知のとおり、戦前から恩給法令におきましてきめ細かく明確に決められていたわけでございます。それで、いわゆる戦務加算等の加算の程度であるとか、加算の認められる期間、またその地域等につきましては勅裁で定められまして、戦時または事変の都度等に内閣告示で公示されていたものでございます。 ところで、その実質的な内容につきましては、戦時におきまして事変の状況を最もよく把握しております陸海軍省を中心といたしまして、加算事由が生じた当時におきまして、種々の角度から十分な検討の上、決定されたものでございます。言うなれば、その当時におきましては、基本的な一つの約束事であったと言ってよろしいかと思います。したがいまして、これを今日の時点において改めて検討するというふうなことにつきましては、恩給制度の基本に触れるというふうなこともございますし、また、制度内部の均衡という点から見ましても適当ではないというふうに考えざるを得ないわけでございます。
○田中(慶)委員 それじゃ、重ねてお伺いしたいと思います。 この恩給制度やそれぞれの戦務加算等を含めて、スタートされてから何回となく中身の充実や、あるいはまたそれぞれの調査によってこの内容の充実を図ってこられたということも聞き及んでおりますし、そういうことが明らかになっているわけであります。今あなたの話では、こういうことを含めて全部考えてきたから、この中シナの問題についてはこれ以上考えられないのだ、こんなふうに受けとめたわけですけれども、過去にそれぞれの戦地戦務加算の見直しやあるいはまたそれぞれの検討をされた経過がないかどうか、明確にしていただきたいと思います。
○藤江政府委員 戦務加算につきましては、先ほど申しましたように陸海軍省を中心に十分な検討を経て、勅裁を経て内閣公示されたという、いわばその仕組みについては厳密な手続が踏まれていたわけでございまして、これについてもちろん変更されたというふうなことはございません。 しかしながら、戦後の特例措置といたしましては、沖縄等におきましては、これは手続が完結していなかった、進行中ではございましたけれども完結していなかったというふうな事情で、昭和三十九年に指定されているわけでございます。また、昭和四十年の改正におきまして、御承知のとおり抑留というものにつきまして、これは勤務期間ではないけれども、同様の苦労をされたとかいろいろの実態を考慮いたしまして設定された、いわば戦後の事情によるものでございます。そのほかの戦前の戦務加算を変更したというふうなことはございません。
○田中(慶)委員 今、戦務加算が二月が三月になって、こういう形の中で、この戦争によってそれぞれ恩給の問題を考えたときに、二月、三月、こういう形で過去に厳密にそれぞれやられたということでありますけれども、その後のいろいろな形の中での実態調査というものがあって、そして改善すべきは改善してもしかるべきではないか、こんなふうに私は思います。今の話では、過去にやったから、それは一〇〇%大丈夫だ、それを変更する考えはない、これでは余りにも、その過去の実態にもし誤りがあったならば、その責任はどこに問うか、こんなことを考えたときに、当然いろいろな形の中で見直しをされてもいいのではないか、こんなふうにも思うわけです。例えばそれぞれの実態調査を行ったということも聞いておりますけれども、その実態調査を行った結果について、もしお手元に資料があるならば御説明を願いたいと思います。
○藤江政府委員 昨年の参議院の内閣委員会におきまして、調査につきましての御議論がございました。私どもは、その御論議を踏まえまして厚生省に調査を依頼いたしたわけでございますけれども、その全貌を把握するような十分な資料は得られなかった、残念ながらそう申さざるを得ないわけでございます。しかしながら、請願書等が言っておられますような、厚生省に資料が残っております部隊につきまして調査いたしましたところ、この作戦において戦死されたと推定される相当な数の戦死者がおられたということは判明いたしておるわけでございます。
○田中(慶)委員 それでは厚生省にお伺いしますけれども、今局長からお話があったわけですけれども、この実態調査ということを明確に今お手元に資料があるならばお聞かせをいただきたいと思います。
○藤江政府委員 請願者の方が、戦没者等につきまして、例えば百十六師団歩兵百三十三連隊ということで、昭和十九年一月から十九年十二月までの間の戦死並びに戦傷死の計が千二十五名、戦病死が千三百二十五名、合わせて二千三百五十名というふうな事実があったということにつきましては資料の上で立証されたわけでございます。
○田中(慶)委員 そこでお伺いしますけれども、二千三百五十名近い人がとうとい生命を失っているのでしょう。そうですね。そこで、それぞれの激戦区の中での戦時加算を、何名だからこうであるとかそんなふうにしていいかどうかの問題である。これだけ亡くなっているならば激戦区として認めて、戦時加算を二月を三月に変えてもいいんじゃないか。過去にこうだからということであなたは御主張されているわけですけれども、この辺は明確に変えてもいいんじゃないか、こういうふうに思います。 いずれにしても、それぞれ今論議をさせていただきましたので、この辺について総務長官、一連の、今申し上げた実態調査もこれだけ明確になりましたし、戦時加算の問題あるいはまた先ほど申し上げた格差の問題等々含めて、長官から責任ある答弁をいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 湘桂作戦の戦務加算についての御陳情等は各方面から聞いております。また政府も、参議院でございましたか、どなたからかの御質問にお答えをしたと思います。そういうことを受けまして厚生省に湘桂作戦の実態調査をお願いをしたのですが、一部の部隊についてはなるほど相当な戦死者等が出ておることは事実でございます。しかし、いかんせん地域を指定をするというのは、実態を一番知っておった陸海軍省の調査を基礎にして戦地戦務加算がついているわけですね。それを特定の部隊について変えるということになりますと、当時の資料以上に正確な資料が整いませんと、これはなかなか実際は言うべくして難しい仕事であろう。私は、これは至るところにそういうことが出てくると思います。陸軍省はそういう全体を含めて、この中国大陸の地域はどう、あるいは沖縄はどう、あるいはこの南方の地域はどう、こう決めてあるわけですから、それを特定の部隊について改めて見直すということになると、戦後既に四十年、当時の資料もなかなか整いがたいということでございますから、お気持ちは十分わかりますけれども、この戦務加算年を改正するということは実際は大変難しい仕事である、ここらはぜひ御理解をしていただかぬとおさまりがつかないのではないかな、かように私は考えておるわけでございます。
○田中(慶)委員 いずれにしても現実にこれだけの激戦があって、そしてまた戦後、この加算が昭和四十年代にそれぞれ最終的な、抑留の問題とかいろいろなことで検討された時点もあったわけですから、それらを踏まえて、最終的にそういう点を含めて、素直に、余りこだわって拡大をする云云ということじゃなくして、激戦区であったところは激戦区であったような見直しをして、やはり老後の保障といいますかそういうことをちゃんとしてやる必要があるだろう、こんなふうに思いますので、いずれにしてもこういう問題を含めて御検討方をお願い申し上げたいと思います。 この問題について実は昨年の四月二十四日ですか、この委員会において附帯決議がされているわけでありますけれども、この附帯決議をどのように踏まえて、そして本年度の恩給改正等においてこれらについてどのような内容を含みながら具体的に実施をされましたのか。先般、昨年の四月二十四日、要するに政府が速やかに改善すべき事項として全部で八項目ほど附帯決議がされているわけであります。こういうことを含めて、これらについての考え方を明確に述べていただきたいと存じます。
○藤江政府委員 附帯決議をいただきました事項につきまして逐次御説明を申し上げたいと思います。 一つは、恩給の実施時期につきまして「現職公務員の給与との遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。」ということでございます。ところで、恩給年額の改定につきましては恩給法二条ノ二に掲げられておりますけれども、社会経済の諸事情の変動に対応しまして恩給の実質価値を維持することを目的とするものでございます。これらを総合的にあらわす指標といたしまして、四十八年以来前年度の公務員給与の改善というものにそのよりどころを求めているということでございまして、恩給年額の水準そのものがいわば一年おくれになっているというふうには必ずしも言えないと存ずるものでございます。 それから、実施時期の一本化につきましては、おっしゃるように確かにそのことが望ましいことは事実でございますが、現下の厳しい財政事情といった制約と、できるだけ改善内容を盛り込むということとの接点が、この時期がずれるというふうなことになっているわけでございまして、今後は、苦しい財政事情ではございましてもできるだけ時期を早めるように努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。 次に、恩給の最低保障額につきまして、「引き続きその引上げ等を図ること。」という項目がございます。最低保障の改善につきましては、公務員給与の改正の都度、他の公的年金の給付水準との均衡等を考慮しながらその向上に努めてきたわけでございまして、昭和六十年度においては特に、先ほども御指摘ございましたが、普通扶助料、さらには公務関係扶助料の最低保障額につきまして、特段の改善を行うことといたしているわけでございます。 それから三番目に、普通扶助料について、「さらに給付水準の実質的向上を図ること。」ということがございます。普通扶助料の給付水準の改善につきましては、扶助料の受給者の置かれている立場を考慮いたしまして、他に、基礎俸給の格上げであるとか加算年の金額計算への算入であるとか、寡婦加算制度の導入というふうな優遇措置をこれまで講じてきたところでございます。 また、先ほども御説明申し上げましたけれども、五十二年以来特別改善ということで上積みに努めてまいったわけでございまして、特に本年の改善におきましては、厚生年金の水準に到達するという明確な目標を設定いたしまして、引き上げの努力をいたしているわけでございまして、今後はさらに一層努力いたしたいということでございます。 それから次に、外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件につきまして、「速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。」という御決議がございます。未指定の外国特殊法人から、あるいは外国特殊機関から確かにいろいろな御要請があることは承知しておりますが、それらを個々に検討いたしますと、組織の沿革であるとか機関の性格であるとか、人事交流の実態等につきましては、既に指定されておりますものとは違いがある。また、内地におきまして、同種の国策会社等について見ますと通算が認められていないというような実情がございまして、これらとの均衡を考慮いたしますと、通算の対象にいだすことは踏み切ることはできないという実情でございます。 それから、「旧満洲国軍内の日本人軍官の処遇問題について検討すること。」という御指摘がございます。満州国軍人と外国政府職員機関の通算につきましては、満州国あるいはその他の特殊性、我が国公務員との人事交流等やむを得ない場合に限りましての特例措置として認めているものでございまして、これにさらに拡大して考えてまいるということは、恩給が日本の公務員を対象としたものであるという原則からいたしまして、適当ではないというふうに考えられるものでございます。 私ども所管の事項につきましては、以上でございます。
○藤田(康)政府委員 日赤の救護看護婦等に対する取り扱いのお話でございますが、慰労給付金につきましては、従来、所得保障を図るという年金的な性格を有するものでないということで、増額は困難であるということで対応してまいったわけでございますが、措置をとられまして以来四年から六年の期間を経過をいたしておりまして、その間に消費者物価の上昇がございまして、このまま据え置くことが皆さんに大変お気の毒である、かようなことを考えまして、今回、実質的価値を維持する必要があると判断いたしまして、財政事情が極めて厳しい状況にあることも考慮いたしまして、昭和六十年の六月から、過去五年間の消費者物価指数の上昇率一二・三%の改善を図ることといたした次第でございます。
○田中(慶)委員 附帯決議の問題についてそれぞれ考え方が述べられてまいりましたけれども、少なくとも、この委員会でそれぞれ附帯決議として、速やかに善処すべきであるということを申し上げてきたわけでありますけれども、まだこれらについてその考え方が明確にされていない部分もありますので、私は、これからもまた、これらの問題については皆さん方の考え方をより具体的に推進をさせていただくために申し上げていきたいと思っております。 特に、従軍看護婦等の問題、先ほど日赤の問題等について触れられたわけでありますけれども、昭和五十四年の恩給水準を考慮しながら、十万から三十万円を勤務年数に応じて支給措置を講じられておりますけれども、今申し上げられたような形の中での経済変動とかいろいろなことを含めて措置されているわけですが、実質的に給付金の価値そのものが低下をされている、こういうことも現実にはあろうかと思います。そういう点で、昭和六十年度においてその実現を見ることができたことはそれなりに評価をしますけれども、この慰労給付金の引き上げ根拠ということが明確ではないような気がいたしますので、再度この辺について答弁を願いたいと思います。
○藤田(康)政府委員 先ほども御答弁申し上げたかと思いますが、過去五年間の消費者物価指数の上昇率一二・三%の改善を図った、こういうことでございますが、その五年の根拠といたしましては、先生御案内のとおり、旧日赤救護看護婦については五十四年度から、旧陸海軍従軍看護婦については五十六年度から支給をいたしておりまして、両者に対する処遇は、その勤務状況が同じでありましたことから同様な処遇となっておるわけでございます。この増額に当たりまして、この処遇内容の均衡を崩すことは、措置がとられて以来の考え方の変更となるので適切でないと考えたわけでございます。したがいまして、両者の支給開始年の調和点五十五年を基準といたしまして五年間、こういうことで措置をさしていただいた次第でございます。
○田中(慶)委員 基準のとり方で、これらの問題については率その他が変わってまいります。今、五十五年という問題がありましたけれども、例えば基準の年次のとらえ方を五十三年、こんな形で、五十三年度を基準としてその後の物価の上昇に変動された形で引き上げるという、こういう前提になってまいりますと、この中身の問題もあるいはまた、今言ったような今回は一二・三%ですか増額しているわけですけれども、もっとより充実された形になるのではないか、こんなふうに思いますけれども、この辺の措置についてお答えをいただきたいと思います。
○藤田(康)政府委員 先生から五十三年度を基準としたらどうか、こういう重ねてのお尋ねであるわけでございます。先ほども申し上げましたように、慰労給付金は、措置がとられて以来、旧日赤救護看護婦については六年間、それから旧陸海軍従軍看護婦につきましては四年間が経過をいたしましたことから、両者に対する支給内容の均衡を考慮いたしまして、その中間をとって、対五十五年度消費者物価指数を基準とした、先ほど申し上げたとおりでございます。この慰労給付金につきましては、恩給その他の公的年金のようにこれによって所得を保障するという年金的な性格を有しないものでございますので、五十三年を基準にとるということにつきましてはいかがかと考えて、以上のような措置をとらせていただいた次第でございます。
○田中(慶)委員 今公的年金と性格は違うということでありますけれども、確かに性格は違うでしょう。しかし、この問題についても私は昨年も御指摘を申し上げてきましたけれども。慰労給付金のそれぞれの見直し等々を考えてまいりますと、公的年金とは性格を異にしても、現時点においてはそれぞれの見直しをされているわけでありますから、そういう点ではこの支給の問題等については公的年金に準じた形で行う、こういうことであるならば、五十四年の四月から実施されているわけでしょう、その辺の考え方からすると、現実には五十三年度を基準としてこの物価変動率をとることが一番ベターではないかというふうに考えるわけですけれども、再度この辺について質問さしていただきたいと思います。
○藤田(康)政府委員 再度のお尋ねであるわけでございます。 旧日赤救護看護婦あるいは旧陸海軍従軍看護婦に対します慰労給付金であるわけでございますが、これは、兵役義務のない女性の身でありながら、軍の命令によりまして戦地や事変地に派遣されて、そして戦時衛生勤務に従事したという特殊事情を考慮いたしまして、日本赤十字社が支給いたすことにいたしたものでございまして、これによって所得の保障を図るという年金的な性格を有するものではないという考えは、従来と変えていないところでございます。今回の増額に当たりましても、慰労給付金の実質的価値の維持を図っただけでございまして、これによって基本的な性格は変わりない、かように考えておるところでございまして、先ほど申し上げましたように、調和点をとりまして五十五年度からの消費者物価の値上がりを見さしていただいた、かような次第でございます。
○田中(慶)委員 兵役の義務がない人たちですよ。そしてなおかつ、軍の命令によってこの従軍看護婦の人たちはそれぞれ任務を果たされたわけです。そういうことであるならばあるほど、逆に中身の充実というものを余計してやらなければいけないんじゃないか、私はこんなふうに思うのです。考え方の相違かもわからないですけれども、兵役の義務があってということとは違って、兵役の義務のない人たちが軍の命令によって、そしてそれぞれ従軍看護婦としての目的を果たされ、そしてそのことが、これからのそれぞれの年金に大きな影響が出たのではまずいと思います。昭和五十四年の四月から実施されて、普通ならばその実施時点、あるいはまたその実施時点の積算根拠になった五十三年、こんな形の中で物価上昇を行った数値をそれぞれとるのは当たり前じゃないかと思います。五十四年から実施して、五十五年からの見直しというものについては、少なくともその辺の数値のとり方の理解というものはどうしても納得がいかない、私はこんなふうに思うのです。それは極端なことを言うならば、財政的に逆算をして五十五年からと、こんな形になったのではないか、こんな気がしてならないわけですけれども、その辺を明確にしていただきたいと思います。
○藤田(康)政府委員 再度のお尋ねであるわけでございますが、繰り返しになって恐縮であるわけでございますが、先ほどから申し上げていますように、旧日赤救護看護婦につきましては五十四年度から、陸海軍従軍看護婦が五十六年度から支給されておりまして、両者に対する処遇は、その勤務状況が同じであったことから同様の処遇を従来からやってきておるところでございます。これは先生御理解のとおりでございます。したがいまして、増額に当たりまして、この処遇の内容の均衡を崩すことはいかがか。旧日赤で申しますと五十四年からでございますから六年、それから旧陸海軍でございますと五十六年からでございますから四年、こういうことになろうかと思いますが、処遇の内容の均衡を崩すことは措置がとられて以来の考え方の変更になるので適切でない、かような考えに立ちまして、したがいまして、両者の支給開始年の調和点、五十五年ということで措置をさせていただいた、かような次第であるわけでございます。
○田中(慶)委員 これ以上ここでやっても、時間的な問題もありますけれども、ただ言えることは、今のお話でも明らかになったように、日赤は五十四年、旧陸海軍は五十六年、そしてその調和点が五十五年だ、はっきり申し上げてこれは根拠にならぬと思うのです。少なくともスタートされた時点、すなわちそこが積算根拠になったのですから、五十三年ごろから物価スライドの基本の基準点というものはそれぞれとるべきだろう、これには変わりないわけであります。あくまでもその調和点ということで五十五年というのは、少なくとも積算根拠にならない。妥協の産物か、予算の折衝の過程の総枠の裏付けの中で、こんな形になったと思うのです。そんなことを踏まえると、今のその五十四年というものについてあるいは五十五年からという問題については、その性格上、先ほど申し上げたように、兵役の義務がないあるいはまた軍の命令でという形でとうといそれぞれの人生がここで過ごされたわけですから、そういういろいろな過去のことを踏まえてやっても、はっきり申し上げて、ここでまたこんな形の給付金に対する一つの基準点が不明瞭な点であるということはやはりよくないと思いますので、これらについて今後の見直しといいますか、こういうことを含めて、いま少し、五十三年度を基準にすべきじゃないかという主張は私はこれからもしてまいりたいと思っております。 同時に、慰労給付金が、例えば日赤看護婦の場合五十四年からスタートされたわけです、既に七年。陸海軍の看護婦等についての慰労はもう既に五十六年からですから、そんなことを踏まえてまいりますと、もはやその役割というものは、年金としての役割に匹敵するのではないかと考えられますので、私はこういうそれぞれの問題を含めて考えてまいりますと、給付金というよりはむしろ年金化し法制化をしてはどうか、こんな考え方を持っておるのですけれども、この辺はいかがでしょうか。
○藤田(康)政府委員 先ほどから御答弁させていただいておるところであるわけでございますが、旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦に対します慰労給付金は、先生からお話がございましたように、兵役の義務のない女性の身でありながら、軍の命令によりまして戦地、事変地に派遣されて戦時衛生勤務に従事したという、特殊事情を考慮いたしまして出しておる措置であるわけでございます。これによって所得保障を図るという年金的性格を有するものでないという従来からの考えは変えておらないところでございまして、今回の増額をいたしましても、これは慰労給付金の実質的価値の維持を図ったということでございまして、これによって基本的な性格は変わったとは理解をいたしておらないところでございます。で、これに対しまして、先生から御提案ございましたような年金的な取り扱い、立法措置というのは考えておらないところであるわけでございます。
○田中(慶)委員 年金的な措置は考えておらないということでありますけれども、時代が大きく変わってきていることは事実であろうと思います。世の中の問題は、そういう点で発想の転換もする必要があろうと思います。現実に、毎年それぞれ加算をされたり見直しをされたり、そして、以前にはこの慰労給付金もつかなかったわけですけれども、それが現実についているわけです。今は年金がいろいろな角度で検討されている時期でしょう。そうであれば、これだって年金化の方向で将来考えられてもいいのではないかと私は思うのです。そういう点を含めて今後検討していただきたいと思いますが、再度いかがでしょう。
○藤田(康)政府委員 繰り返して甚だ恐縮であるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、戦時衛生勤務に従事したという特殊事情を考慮いたしまして措置をいたしたものであるわけでございまして、今回の増額によりましてもこの性格は変わっていないという考え方を持っておるわけでございまして、現在のところ年金的な取り扱いをするということは考えておらないところであるわけでございます。
○田中(慶)委員 この問題について総務庁長官、いかがでしょう。今、室長の方から、従軍看護婦の慰労金というものを年金の方向に将来させてはどうかという御提案を申し上げたことに対して、この問題について性格が違ったとか違わないとかいろいろなことを言っているわけですが、今の老齢年金にしても、またそれぞれの年金の問題についても、過去にはそういう制度がなかったわけです。また今、福祉がより充実されたりしている。そしてまた、先ほど申し上げたように、この人たちは戦地へ行ったりして、自分たちの青春をささげてすべて事に当たった人たちです。ですから給付金という性格よりは、これからの限られた老後の中で、法制化なりということで年金の方向に検討してはどうかということを私は言っているのです。長官どうですか。
○後藤田国務大臣 貴重な御提言だと思いますが、これは所管が総理府でございますから、やはり今総理府の政府委員からお答えいたしたとおりであろうと思うのです。私も戦に行っておりますから、いわゆる陸海軍の従軍看護婦さんは、当時判任官になっておればこれは官吏ですから恩給になっているのですね。ところが、判任官になっていない婦長さん以下は雇用人だから恩給法の適用がない、これは実体はいかにも領界が大変困難な内容である、私はそう思っております。それから、日赤の看護婦さんはもともと派遣看護婦ですから、これは恩給の対象にならないといったようなことで長い間議論があって、そして五十何年でしたか、双方ともようやく、恩給というわけにはいかぬが給付金でしたか、これで解決したわけです。 当時、看護婦さんが戦地でどういう活動をしたかというのは、私よくわかっているわけです。後方勤務の衛戍病院その他であればこれは別ですけれども、実際第一線で活動した看護婦さんというのは兵隊と同じですよ。そういうことで私は、私も随分陳情を聞きましたが、当時の実態を知っているだけに大変お気の毒だ、こう思いました。不十分であると思いますけれども、幸い五十年代に入って一時金ということで一応御満足を願っているわけですね。今日この方たちは相当な年配になっているということですから、そして同時に、これは附帯決議にたしかついておることですから、政府としてはこれは当然尊重して検討しなければならぬ、こういう問題であろうと思います。 ただ、総理府当局がおっしゃるように、今ここでこれを年金化するということについては実際はなかなか難しい問題だな、こう思います。しかし私は、こういう問題は政府としては勉強はしなければならぬ課題ではないのかなというぐらいの、今日この時点での私の認識でございます。ここらでひとつお許しいただきたい、こう思います。
○田中(慶)委員 今、総務庁長官からもお話があったように、もう第一線の軍隊と同じような働きをされたということで、やはり正直者がばかを見るようなことであってはいけないと思いますし、まして限られた中でこれから余生を送る人たちですので、より充実された形でやっていかなければいけないと私たちは思いますので、今の長官の、それぞれ今後の検討課題に値するということを子として、この問題については時間の関係もございますので私はこれ以上詰めませんけれども、そういう精神でやっていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。 続いて、戦後処理問題について質問をさせていただきたいと思います。 先ほども質問があったわけですけれども、戦後処理問題懇談会の結論が昨年末に官房長官に提出されまして、その概要について先ほど報告されたわけですが、重ねてその概要と、さらに昭和六十年度予算の中で一億五千七百万という形でついているわけです、こういう問題を含めて、この辺について明確に答弁を願いたいと思います。
○吉居政府委員 いわゆる戦後処理問題につきましては、昨年の十二月二十一日に、二年半にわたります御検討の結果、戦後処理問題懇談会から報告をちょうだいいたしたところでございます。 この報告によりますと、いわゆる戦後処理問題につきましては、これ以上国において措置すべきものはないとするとともに、関係者の心情に深く心をいたすという趣旨から、特別基金を創設することを提唱しているところでございます。 そこで、政府は、この報告を受けまして、六十年度の予算に今御指摘のように一億五千七百万円を計上いたしたところでありますが、この一億五千七百万円と申しますのは、そのうちの五千七百万円が人件費と事務費でございます。それから一億円が特別基金の検討及び調査に必要な経費、こういうふうになっております。この五千七百万円の人件費及び事務費は、特別基金の検討及び実情調査に係る事務を処理するために、四名の増員を認めていただきました人件費、それからその他の旅費、庁費等の事務費でございます。それから一億円につきましては、この戦後処理問題と申しますものが、恩給欠格者問題であるとかシベリア抑留者問題あるいは在外財産問題等を中心に、多岐広範にわたる問題をこれから検討、調査をするわけでございますので、そういう点にかんがみまして一億円が適当な額であろうというふうに考えたところでございます。 特別基金の具体的な内容をどうするかといったようなことにつきましては、今後関係省庁等ともいろいろ相談もし、検討をしながら詰めてまいりたい、かように考えておりますので、今一億円の具体的な内容はむしろこれから詰めていく、そういう意味では検討、調査に要する経費の枠である、かように考えておるわけでございます。 なお、この一億五千七百万円という予算を計上する過程におきまして、これは先ほど申しましたようにその懇談会の報告を受けてこのような額を計上したわけでありますが、三十五回にわたる二年半に及ぶ戦後処理問題懇談会の検討の過程では、関係者あるいは関係団体からいろいろと御要望あるいはヒアリング等も受けまして、これを受けて先ほどの報告がまとめられたわけでございます。
○田中(慶)委員 今、この一億円の中には調査費、検討費、それぞれの実情調査に当たる費用、こんなふうに理解していいんですか。
○吉居政府委員 一億円は特別基金の検討及び調査に必要な経費、こういうことでございます。
○田中(慶)委員 そうしますと、具体的にはこれから実情調査等々が明らかになって、そしてそれぞれの基金が別枠で、幾らになるかまだわからないけれども創設される、こんなふうに理解していいんですか。
○田中(宏樹)政府委員 おっしゃる方向で検討させていただきます。
○田中(慶)委員 今、これから別途それぞれ基金を創設するということでありますから、この際申し上げておきたいと思いますけれども、先ほどもそれぞれいろいろな形で検討されておりましたけれども、戦後処理という中には、例えば恩給欠格者の問題やシベリア抑留者の問題、在外財産の問題等々含めて大きくはこの三つですけれども、そのほかにそれぞれ山積する諸問題も幅広くあるということですから、その幅広くあるものの中については別途創設される基金の中で運用される、こういうふうに理解してよろしいですね。
○田中(宏樹)政府委員 私ども特別基金検討調査室といたしましては、戦後処理問題懇談会の報告の趣旨に沿って検討してまいりますので、あくまでもやはり中心問題は三問題であるというふうに理解をしております。
○田中(慶)委員 そうすると、実情調査費あるいはまたそれに基づいて実態調査を具体的にされて何かのものが明らかになってきたときには、私はその基金の中で運用すべきであろう、こんなふうに思うのです。ですから、今言ったようにこの三つがコンクリートされていたのでは、この精神が生かされないような気がするわけです。それは弾力的に実情調査をされた中で、戦後処理問題というのはその三つ、先ほど報告をいただいたように欠格者の問題、シベリア抑留者の問題や在外財産の問題以外にも、その実態調査、実情調査の中で明らかになったものをこの基金の中で運用する、私はそれが正当ではないかと思うのですけれども、今何かあくまでもこの三つに限るような話に聞こえたんですが、私の聞き違いであったならばそれでいいのですけれども、その辺を明確にしていただきたい。(「戦傷者もいますよ」と呼ぶ者あり。)
○田中(宏樹)政府委員 私の言葉足らずでございましたが、おっしゃるように審議室長からの御答弁にもございましたように、三つの問題を中心にしまして、一般戦災の問題も留意しながら検討の結果でまとまったという結果でございます。これの報告書の趣旨に沿って検討を進めてまいりますが、なお、先ほど御質問にもございまして御答弁申し上げましたように、特別基金で行います事業につきましては、ちょっとくどいのですが申し上げますが、とうとい戦争犠牲が風化することを防ぎ、さらに後世の国民に語り継がれ、国民が戦争により損害を受けた関係者に衷心より慰謝の念を示すための何らかの事業という方向が示されているわけでございます。この中身、事業の活動につきましては、これから検討させていただくということに相なりますので、中心にはいたしますが、目配りといいましょうか、それぞれこれからの検討課題というふうに御理解をいただきたいと思います。
○田中(慶)委員 これからの問題ですからこれ以上申し上げるのはなにかと思いますが、やはり一つの実態調査、実情調査というものがされるということが明確になれば、その具体的な細目があって、そしてそのお金が一億円なら一億円、こういう形に普通はなるんだと思うのですね。これからいろいろなことを含めてと、戦争における国民のとうとい戦争の犠牲を銘記し、かつ永遠の平和を祈念する意味でということでありますから、そういう点ではその趣旨を体しながら、私は、これらの問題について、この実態調査というものを幅広く行って、それが最終的にここの目的に沿うのではないかと思うのですね。戦後の平和あるいは永遠の平和、そしてそれが国民のとうとい戦争犠牲ということを観点にして、それぞれの個人差があるわけですから、そういう点では余りコンクリートにしない方がいいと思うのです。ですから、先ほども戦傷者もいるという発言もあるわけですし、いろいろなことが幅広く出るわけですから、これは余り三つにこだわる必要がない、私はそんなふうに思うのですけれども、再度この辺を確認だけしておきたいと思います。
○田中(宏樹)政府委員 繰り返すようですが、戦後処理問題懇談会の報告の趣旨に沿いまして、三問題を中心に、なおかつ、そこで定義づけられましたといいましょうか方向が指示されました先ほどの考え方に沿いまして、今後十分検討してまいりたいと思っております。
○田中(慶)委員 続いて、台湾人元日本兵について質問をさせていただきたいと思います。 台湾人の元日本兵問題について、今般検討調査費五百万円が計上されておりますけれども、その内容はどのようなものであるか、お伺いしたいと思います。
○吉居政府委員 政府はこれまでも、日台間の各種の問題につきまして、その解決を図りますためにいろいろ努力をしてきたところでございますけれども、日中国交回復によりまして日台間の国交が失われたこと、あるいは日本側の残置財産等全般的財産請求権問題等との関係もありまして、現在まで解決に至ってないわけでございます。 しかしながら、そのうちのいわゆる台湾人元日本兵問題に関しましては、一部に強い要望もございまして、そこで、この台湾人元日本兵問題についてどう考えるか、これを検討するための経費といたしまして、総理府の六十年度予算に五百万円が計上されたところでございます。六十年度予算が成立いたしましたので、これから関係省庁間でまず勉強をいたしまして、そしてどのような検討をしたらいいか、どういう方法でやったらいいかといったような方法、内容あるいは今後の手順等について協議してまいりたい、かように考えております。
○田中(慶)委員 実は私は、先般台湾に行く機会がありまして、これらの戦後処理の問題といいますか、元日本兵問題について向こうの人たちと話す機会もございました。非常に好意的ではありますけれども、これらの処置についての不満というのが多い。例えば日本では、はっきり申し上げて、軍人恩給もあればあるいはまたそれぞれ遺族年金もある、障害者年金もある。しかし、同じ戦争に参加をされた台湾の人たちは、これらに対して大変な不満がある。あるいは先般、私はたまたま韓国を訪問する機会をちょうだいして、少年野球の子供を含めてお互いに交流をさせていただいたわけです。韓国はもう既にこの問題は決着をされたといっても、多くの問題を残しております。特に政治的に決着された韓国の方が大変反日感情が強い、いろいろな問題を含めて。ところが、台湾の人たちというのは国交もないという中で非常に日本に好意的である。そういう点では、元日本兵問題というのはもっともっと優遇をしたりあるいはまたそれぞれの処置を講ずるべきじゃないか。聞くところによりますと、官房長官の私的諮問機関としてこれらの問題の予算措置について検討されるということを伺っておりますけれども、そういう問題を含めて検討されるのでしょうか。
○藤波国務大臣 この問題につきましては、今審議室長からお答えをいたしましたように、昭和六十年度の予算に五百万円が計上されまして、この問題をどう考えるかということを検討してまいります経費として予算化をいたしたところでございます。 どのようにこの検討を進めていくかにつきましては、今お答えをいたしましたように、予算が成立をいたしましたので、総理府が中心になりまして、関係省庁といろいろ意見交換をしながら今後の手順等についても相談をしていくようにいたしたい、こう思っておるところでございます。 今私が考えておりますのは、総理府を中心にいたしまして、関係省庁それぞれこの問題についての窓口と申しますか責任者と申しますか、検討してまいります担当がいろいろあるわけでございますので、それらの方々でひとつ検討するためのテーブルをつくりまして、そこへいろいろな方に来ていただいてこの問題についての御意見をお聞かせ願うというようなことにしていったらどうかな。ただ、従来ありますように懇談会というようなことで何回か会を重ねていろいろ御意見を述べていただくというよりも、総理府等が中心になって検討していく、こういう体制をつくって、そこへお出かけ願って意見を聞くようなことにしていくことでどうかな。外務省には外務省のいろいろな御意見がありましょうし、財政当局には財政当局のいろいろな御意見もありましょうしいたしますので、そんな構えで進んでいったらどうかな。こう思っておりますが、これもきょう私が申し上げてしまうよりも、どういうふうにしていろいろ検討しようかということをやっとこれから相談を始めるところでございますので、私の気持ちだけ申し上げたところでございますが、いろいろ手順なども相談しながら進んでいくようにいたしたい、こう考えている次第でございます。
○田中(慶)委員 この元日本兵問題については、戦後四十年たっておりますし、一日も早く解決されることが望ましいわけであります。 今、予算措置を含めて私的諮問機関の設置の話についてお答えがあったわけですが、例えば現在多数の私的諮問機関があり、逆に、その諮問機関がたくさんあるために問題の解決を長引かせているような形のとらえ方もされているわけであります。極端なことを言えば、これとは別に、私的諮問機関が少し乱用されているのではないか、こんなこともよく聞くわけであります。そういう点では、私は今回の私的諮問機関はそうではないと信じておりますけれども、しかし、そういう話を聞くと、やはり今の私的諮問機関というよりは、国家行政組織法八条に基づく公的機関として設けた方が国民の納得を得られる結果にもなるし、あるいはまた公的機関として設けられることがこの問題の解決をより促進するのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょう。
○藤波国務大臣 いわゆる八条機関には八条機関の非常に大事な意味がありますし、また、私的懇談会というような形で各方面の御意見を聞くという機会を持ちますこともそれなりのいろいろな意味があるか、こんなふうに考えておるところでございます。 いずれにいたしましても、これから総理府を中心にいたしまして関係省庁に集まってもらいまして検討を進めていくことになりますので、きょうの先生の御指導を十分体していろいろまた検討させていただきたい、きょうは御指導いただいたということで今後の検討を進めるようにいたしたいと思います。
○田中(慶)委員 せっかく、長い間問題になり、そしてこのたび初めて予算化されました。そして、私的諮問機関もそういう形を含めていろいろなことを前向きに検討されるということでありますので、この問題はできるだけ早急に解決をしていただきたい、こんなふうに思うのですけれども、過去にももう既にこれらの多くの問題について議論をされてきていると思います。そういう点では、まだ諮問機関が設置されてない時点でいつごろまでなどと言うことは大変せっかちかと思いますけれども、しかし、こういう予算が計上された以上、これらについての決意があるのではないかと思いますので、官房長官に決意を述べていただいて、また忙しい方でしょうから、それぞれお引き取りいただいても結構だと思います。
○藤波国務大臣 この問題につきましては、たびたび国会でも非常に熱心な御論議のあったところでございます。それらを受けまして今回五百万円の予算化をしたわけでございますが、今お答えをいたしてまいりましたように、この問題をどう考えるかということについて検討をしていくというための経費として予算化されたところでございますので、どのように進めていくか等につきましても、まだ今のところ全く白紙でございます。早速にひとつ、総理府を中心にいたしまして関係省庁に集まってもらいまして、手順等を相談することから始めてまいりたい、このように思います。 どんな手順で行くかでございますけれども、予算委員会等でも、予算が成立をしたら相談を始めます、こう申し上げてまいりましたので、終わりのところはどこへ行くことになりますか、今ここでは予測しがたいものがございますが、早速に相談を始めるようにいたしたい、このように思います。とにかく早く相談を始めて、そして手順等から順次ひとつ検討を進めていくようにいたしたい、このように考える次第でございます。
○田中(慶)委員 予算が五百万ですね。そういう点で、はっきり申し上げて、これは何年もかかる予算ではないと思うのだ。そういう点を考えてみますと、長官、端的に申し上げて、決断さえすれば、この問題の諮問機関はそんなに何回も数を重ねなくても、今日までそれぞれ国会で議論されてきたわけですから、早急にこの問題の解決にはなると私は思います。終わりがわからぬということですけれども、そんな何年も先に行く問題じゃないと私は思います。そういう点では、少なくとも今の予算額、過去の経緯、こんなことからすると、年内ぐらいにその結論が出されてもしかるべきであろう、私はこんなふうに思うのですけれども、再度その辺の決意のほどを聞かせていただきたいと思います。
○藤波国務大臣 確かに国会では再三御論議をいただいてきておるところでございますので、このことの重要性ということにつきましては政府としても十分頭に入っておるつもりでございます。しかし、政府部内にもいろいろな意見がございまして、それらをいろいろ意見交換をしながら検討を進めていく、こういうことになりますので、やはり事柄上慎重に検討していく必要はあろうか、こんなふうに思っているところでございます。 どうも、余り歯切れのいいお返事でありませんので申しわけないと思いますけれども、この事柄の重要性を十分頭に置きまして誠心誠意検討を進めていくようにいたしたい、このように思いますので、どうぞ御理解を賜りますようにお願いいたしたいと思います。
○田中(慶)委員 私は、台湾と韓国に行ってまいりまして、それぞれいろいろな調査をさせていただきました。長官、これはぜひ知っておいていただきたいわけですけれども、例えば韓国が日本に対するアンケートを千人の方に行って、日本をよく知っているという人たちはその中で約二〇%だそうです。年齢的に見ますと、その二〇%の中で五十歳以上の方が九五%以上。その九五%の人たちが、逆に今度は、本当に近い韓国で、これからの日本とよりパートナーシップを大切にして、文化や貿易やいろいろなことを含めてその実を上げていくのに反対という人たちがほとんどだそうであります。若い人たちは、逆にそういう点ではこれから大いに日本との交流を図るべきだという、こういうアンケート調査が出ているのですね。こういうことを見たときにも、韓国とは戦後処理といいますか、一つのこの問題については決着はついているわけですが、逆に台湾の場合については、日本をよきパートナーとしてというのが、結果は全然違うのです。国交がない台湾であっても、日本に対する親密度というのは大変高く出ている。逆に台湾の人たちは、日本をよく知っている、理解しているという人たちが非常に多い。そして、今後とも文化や貿易も含めてより連携を密にしていきたいという。逆なのですね。この人たちが非常に多いわけですね。これは、台湾の人たちは八〇%近いのです。 こういうことを考えたときに、戦争中の問題は一つの出来事として向こうは処理していただいておりますけれども、そういう中で、そういう国交という問題やいろいろなハンディキャップの中で、私たちは台湾の人たちのことを考えてやらなければいけない、それが今までの国会の議論だったと思います。そして今度予算化され、なおかつ、私的諮問機関をこういうふうに考えられている。私は公的の方がいいと言っても、それぞれのやりとりがあろうかと思います。そういう実情を踏まえて一日も早くやる必要があるだろう、こんなふうに私は感じたわけです。そういう点で、機関の決定を見て、あるいは答申を見てということになるわけだろうと思いますけれども、決断さえできれば、過去の経緯からすると、この問題の解決というのは一日も早くできる、こんなふうに私なりに考えております。そんなことを含めて、時間の関係もございますけれども、今それぞれの事情を申し上げましたので、そういう理解に既に官房長官は立っていると思いますけれども、その辺を含めてもう一度決断をお聞かせいただきたいと思います。
○藤波国務大臣 戦前から戦時にかけましていろいろな方々にいろいろな御協力をいただいてきたり、あるいは御迷惑をかけてきたり、それらの問題はずっしりと今の日本人の心のうちに非常に重みを持って迫ってきておるように思います。そのことは、従来も国会でいろいろ御論議をいただいてまいりましたそのことを本当に反すうするようにして、国会の御論議というものを政府としても十分認識をさせていただいておるところでございます。また、これから日本の国が生きていく上で、近隣諸国と本当にいろいろな角度から非常に親しい関係を持って進んでいかなければならぬということにつきましても、今御意見があったところでございます。この問題につきましては従来の経緯もございますし、予算が成立いたしまして、これから検討していくというところへ今差しかかっておるところでございますので、その検討の前もって私から自分の意見を申し上げるということはかえってどうかと思いますので、よく政府部内で意見交換をいたしまして検討を進めていくようにいたしたいと思います。 いずれにいたしましても、きょうは先生からいろいろ御指導いただきまして、どうもありがとうございました。その御意見も十分参考にさせていただきまして検討を進めさせていただきたいと思います。
○田中(慶)委員 大変貴重な時間をいただいて、前向きに、より今後期待されるような形で検討していただきたいということを要望して、その問題については終わらせていただきます。どうぞ、時間の関係でお引き取りいただいても結構でございます。 最後に老齢福祉年金、すなわち恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃するという附帯決議を付して、その後の処理という問題について先ほどもお話がありましたけれども、この問題をいま少し明確にお答えをいただきたいわけであります。 ということは、例えば国民年金の引き上げ額は三・四%でありますけれども、併給限度額の引き上げ額は三・三%である、こんな形で〇・一%違う。こういう問題やらあるいはまた、少なくともこの支給限度額撤廃ができないならばこういう問題を含めて同額であっていい、それが納得のいく線ではないかと思うのですけれども、これらの問題についてお答えをいただきたいと思うのです。
○渡辺説明員 恩給受給者に対します老齢福祉年金の支給限度額の改善の問題でございます。 老齢福祉年金は国民年金制度の中に位置づけられているものでございますが、本来、この国民年金制度は、他の公的年金制度の適用を受けられない者を対象にして発足したという経緯がございます。しかも、この老齢福祉年金というのはその中でも全額国庫負担で、高齢等いろいろな事情から他の年金を受けられない人のために設けられたという性格のものでございます。基本的にはどんな年金ももらえない人のために設けられたが、現実に定額の公的年金というものがあることから、特例的に一定の限度額まで併給をするという措置をとっているところでございます。 昭和六十年度におきましては、前年度に引き続きまして普通恩給の短期在職者の最低保障額とこの併給限度額の差を維持しよう、こういう考え方で五十一万五千円から一万七千円引き上げまして五十三万二千円といたしたところでございます。
○田中(慶)委員 時間も参りましたけれども、先ほど申し上げました〇・一%の根拠ということは今お答えをいただいてないようです。
○渡辺説明員 この限度額の改善に当たりましては、引き上げ率ということではございませんで、在来からの考え方に従いまして差額を維持する、せっかく普通恩給の短期在職者の最低保障額が改善されたにかかわらず、そのために福祉年金の併給額が減額してはいかぬ、こういう考え方でやっておるわけでございますが、率にいたしますと確かにわずかに下がる。しかし、先生御案内のことと思いますけれども、国民年金制度の中には、五年年金ですとか十年年金ですとか、掛金をそれぞれ掛けながら非常に低額な年金があって、しかもそういう方々は、五年年金でいいますと九十万人からの受給者がおりますけれども、老齢福祉年金は一切併給されない、こういうことになっております。こういった五年年金、十年年金の受給者との均衡ということも考えていかなければなりません。改善額について申しますと、そういう五年年金、十年年金の改善額よりは、今回の限度額の引き上げ額の方がかなり上回っておるという実態についても御理解をいただきたいと思います。
○田中(慶)委員 時間が来たからこれで最後にいたしますけれども、今まで普通は、国民年金やそれぞれの額の問題については、全体的な人勧とがそれぞれの問題の中で率で検討されてまいりました。今度の場合においては、たまたま〇・一%違うのは額の問題でということになろうかと思いますけれども、少なくとも、全体的な支給制限の問題やらいろいろな条件のある中で、これからの問題としてはそういう点では同率でやることが一番理解もしやすいし、あるいはまた国民がこれだけ格差がある、こんな感情にもならないと思います。そういう点では、同率ということを前提として今後検討されるように要望しておきます。 以上で終わります。
○中島委員長 三浦久君。
○三浦(久)委員 まず、官房長官にお尋ねをいたしたいと思います。 旧日赤及び陸海軍の従軍看護婦さんの慰労給付金の問題でございますが、長い間かかっていろいろ運動された結果、やっとことし上がったわけです。初めに、その増額の内容についてお尋ねをいたしたいと思います。
○藤田(康)政府委員 慰労給付金の増額の内容についてのお尋ねであるわけでございます。先ほど先生からお話がございましたが、従来は、慰労給付金は所得の保障を図るという年金的な性格を有するものではないということで増額は困難であるといたしてきたところでございますが、措置をとられて以来四年から六年の期間が経過をいたしておりまして、その間がないの物価上昇がございまして、このまま据え置くことはいかにも気の毒である、こういうことで実質的価値を維持する必要がある、こういう判断をいたしまして、財政事情が極めて厳しい状況下にはございますが、過去五カ年の消費者物価指数の上昇率一二・三%の改善を図ることといたしたものでございます。
○三浦(久)委員 一二・三%というのは、五十五年度を基準とした物価上昇率だと思うのですね。日赤の方はもう五十四年に慰労給付金が出ています。その他の陸海軍の従軍看護婦さんは五十六年から出ています。そうすると、何で五十五年度を基準にしたのですか。これは五十四年度を基準にすべきが相当だと思うのですが、どうでしょうか。
○藤田(康)政府委員 慰労給付金でございますが、先生からお話がございました旧日赤救護看護婦については五十四年度から、旧陸海軍の従軍看護婦については五十六年度から支給しているところでございまして、両者に対します処遇、勤務の状況が同じであったことから同様な措置をしてきたところでございます。増額に当たりましては、この処遇内容の均衡を崩すことは措置をとられて以来の考え方の変更になる、こういうことで適切でないと考えたわけでございまして、旧日赤につきましては六年、陸海軍については四年ということでございますので、両者の支給開始年の調和点五十五年を基準として措置をさせていただいた、このような次第でございます。
○三浦(久)委員 私は、この問題はかなり消極的だと思うのですよ。大体絶対額が少ないわけです。今度の増額だってほんのわずかなものです。ですから、なるべく増額が多くなるような措置を配慮してやるのが温かい配慮だと私は思うのです。ですから、五十四年度を基準にしてやってあけたらよかったと思うのですけれども、ちょうど間をとって五十五年を基準にして物価上昇率で一二・三%、いかにもみみっちいというか、もうちょっとおおらかにやってほしいというのが私の希望であります。 消極的な態度をとってきたということは、こういうことにも言えるのですよ。例えば毎年国会に請願が増額について出ているでしょう、それをもう四年ないし六年やってきてないということで。それから附帯決議が何回出ていると思いますか、官房長官。衆参両院で昭和五十四年以来、この従軍看護婦の問題については増額も含めまして十二回附帯決議が出ているのですよ。これは軍人や軍属や何かと差別するというのは合理性がない、みんなそう思っているからだと思うのですね。それからまた、地方議会からもやはり増額してやってくれという意見書が出されておりますよ。例えば岐阜とか福岡、東京、栃木、福島、長野、こういうところの県議会、都議会から意見書が出されております。それにもかかわらず、五十五年度を基準にして物価上昇率の一二・三%というようなやり方でしょう。 それに私、ちょっと調べてみたら、概算要求にこれを入れてなかったのですね。いわゆる概算要求の改要求で初めて入っているのです。何でこんなことになっているのかということです。周りがわあわあ運動してやむを得ずということもあるのでしょうけれども、最初から何で今年度の概算要求の中に入れなかったのかということ、私はそれをぜひお聞きしたいと思うのです。 それとまた、政府がこういう消極的態度をとっているということは、この慰労給付金についてどういう基本的な姿勢で取り組んできているのかということ、このことを官房長官にお尋ねいたしたいというふうに思います。
○藤波国務大臣 慰労給付金ということで、戦時中の特段の御労苦に対して慰労しようということで給付金をつけているところでございます。国会でもいろいろな御意見をお寄せいただいていることや、地方議会などでもいろいろこの問題について御心配をかけているということも十分心得てきておるところでございます。 問題はやはり今日の財政状況との関係もございまして、早い段階から大蔵省ともいろいろなお話もしながらきておったのでございますが、今日の財政再建、財政改革をやっております中で、気持ちはありましてもなかなか思うように財政措置ができない、こういう状況の中で推移をしてきておりまして、そういう意味では、先ほど来御指摘をいただいておりますように、アップ率にいたしましても極めて微々たるものではないかという御意見につきましても、あるいは早い段階からそういうことを予定をして動いてきたということではなかったのではないかというような御指摘につきましても、まことに申しわけないと思います。 いろいろな御意見をお寄せをいただきまして、日赤の林社長さんもお見えになりまして、いろいろと関係者の方々の気持ちも考え、特に戦時中に大変な御労苦をいただいたということを考えても、もうここ数年たっておるので、ことしはどうしても考えなければならぬと思います、こういう非常に強い御意見もございまして、決して政府はそのことを怠ってきておるわけではありませんけれども、こういう財政事情の中のことでもあり今日に至っておるが、それじゃひとつ思い切って六十年度で計上してもらうようにさらに大蔵省と話をしましょうというようなことで、予算計上になった次第でございまして、どうかその辺の事情もよくお酌み取りをいただきたい、このように考える次第でございます。
○三浦(久)委員 財政事情が大変厳しいと言いながら、軍事予算はどんどん増大するというのは私はけしからぬと思っておりますけれども、今回の増額は、ないよりはあった方がいいです。それは経済的な価値を維持するのだということなんですね。ところが、経済的な価値を維持するという観点であれば、私はやはり毎年の物価上昇率ぐらいは上げてやるべきであるというふうに思いますが、この点は官房長官、いかがお考えでしょうか。
○藤波国務大臣 先般来の御質問にもお答えをしてきたように承っておりますし、ただいままた管理室長からもお答えを申し上げましたように、所得を保障していくという性格のものでなくて、戦時中に大変な御労苦をいただいたので、特別にその御労苦に対してひとつ慰労をしようということで設けられております制度でございますので、毎年毎年年金のようにアップしていくというような考え方でなしに、差し上げております給付金、何年かたって、やはりこれでは失礼だろうなということで、各方面の皆さん方と御相談を申し上げながら、ひとつもう少し金額をふやさせていただこうかというようなことで運んでいく性格のものだろう、こういうふうに思うわけでございまして、今回もそういう気持ちを込めて六十年度の予算計上をしたという次第になっておりますので、どうかひとつ、その辺、この給付金の仕組みについての御理解をいただきまして、そういう事情の中で今後もできる限りやはり改善するように努力をしてまいりますということでぜひお許しをいただきたい、こう考える次第でございます。
○三浦(久)委員 政府は、所得保障とか生活保障という性格は持たせないと言うけれども、実際に要求をして今受給をしている人たちにとっては、これはもう生活保障的な意味合いを持っているんですね、わずかな額であっても。それはいろいろな人々の要求とか手紙とか、そういうものを見ればよくおわかりになります。 私は何よりも、まだこれがただの予算措置でやられているということですが、これは大変不安定であります、予算を組まなければそれで終わってしまうわけですから。そういう意味で、やはりもっと安定したものにしてやる。そのためにも制度化への道を開いてやるということが、かつての御苦労に報いる道ではないかというふうに考えておりますけれども、官房長官はいかがお考えでございましょうか。
○藤波国務大臣 今お答え申し上げてきておりますように、この給付金の性格からまいりまして、大変な御苦労をいただいたということ、そしてやはり、今給付いたしております金額で十分だというふうに考えているわけでは毛頭ないのでございますけれども、この仕組みの最初からの考え方を踏まえて今後とも進んでいくこと以外にないか、こんなふうに考えておるところでございます。 先ほど田中先生の御質問に対して総務庁長官からもお答えがあったようで、そのお答えを、今お隣に座られております総務庁長官からちょっとお聞きしたところによりますと、私が今お答えをしましたよりももう少し温かみのある答弁があったように今聞きまして、大変恐縮をいたしておるところでございますが、やはり一つ一つの仕組みにはその仕組みの性格がございますので、その中で最善の努力をしていく、こういうことでひとつ今後とも進んでまいりたいと思いますので、どうぞ御理解を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
○三浦(久)委員 今受給されている方々というのはもうかなりの年齢になっていらっしゃるんですね。それでもう病気になったり、いろいろな老人性の病気が出てなかなか働けない、大変暮らしに困っておるという切実な訴えも出てきております。私のところにこんな手紙も来ていますね。 青春時代の十数年間、唯々、お国のために身を粉にして働きつづけて参りました。現在老境に入り、働くにも思ふ様に働けず、不安がつのる毎日でございます。現在の日本の繁栄されたことを心強く思ふ反面、私共の青春は余りにも苦難の道であり、むくいのない青春だったのでせうか。赤紙召集をうけ、兵士と同様に命をかけて働いてきた私共でございます。兵士に準ずる様な措置を国の責任で行って下さいます様宜しく御願い申し上げます。 こういう手紙が来ております。私は、これはかなり切実な要求になっているというふうに思うわけなんですね。それで、先ほど総務庁長官は、制度化は難しいけれども、これから勉強しなければならない課題だろうとは思っております、こういう発言をされておられますね。ですから私は、これはやはりぜひ検討していただきたいと思うんですよ。軍人や軍属と本当に差別的な取り扱いをする理由は存在しないと思いますね。ただ、判任官だったとか雇い人だったとかいうようなことだけで差別すべき問題じゃないと思う。そんなことで差別すれば、それは制度の趣旨それ自身が没却されることになると思うのです。今後の問題として、この増額の問題とか制度化の問題もあります。これは当然ありますけれども、まだ問題があるんですね。 例えば外地派遣中の期間、国民年金とか厚生年金、これへ通算措置をするとか、それからまた対象戦地、これを拡大をするという問題があります。また未受給者の救済措置、こういう問題もございます。私は、こういうことを一つ一つやはり温情を持って解決をしていくということが、先ほど言われた、女性の身でありながら軍人と同じような働きを戦地でした女性の皆さんにこたえる道ではないかというふうに思います。その点をぜひひとつ実現をしていただくようにお訴え申し上げたいと思うのです。この点についての官房長官の御答弁をお願い申し上げたいというふうに思います。
○藤波国務大臣 今お手紙の御披露がございましたけれども、大変な御苦労をいただいてきた方々である。戦時中にはみんなが苦労をいたしましたけれども、そんな中で特に看護婦さんの方々が御苦労をいただいたということを心に置いて、やはりこの特別の給付金という考え方から出発をしたもの、こんなふうに思っておるところでございます。 いろいろ御指摘をいただきましたが、今後ともよく勉強もさせていただきまして、また努力もさせていただきまして、大変御苦労をいただいた方方のそのお気持ちにこたえていくようにしなければならぬというふうに思いますが、先ほども申し上げましたように、一つの仕組みは、その仕組みが出発した考え方がございますので、それをはみ出して新しい措置をということはなかなか難しいだろう、こんなふうに思います。思いますけれども、よく勉強させていただきたい、このようにお答え申し上げておきたいと思います。
○三浦(久)委員 それでは官房長官、この問題についての質問を終わりますので、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。 次に、総務庁長官にお尋ねを申し上げます。 国際青年年の問題ですが、国際青年年は一九七九年の国連第三十四回総会で決定をされまして、「参加、開発、平和」というものを基本テーマにしておりますね。国連の特別行動計画というのは、各政府に対しまして三十数項目にわたって具体的な指針を示しております。ところが、日本政府の対応というのは、いろいろお聞きしてみますと、各種の記念行事と普及啓発活動にとどまっています。日本の青年が切実に改善を求めています雇用であるとか雇用に伴うさまざまな問題、それから教育の問題、生活上の諸施策というものについてはこれを何ら具体的に実行しようとしていない、そういうふうに感ぜざるを得ないのです。 それで私は、これは総理大臣が国際青年年の推進会議の議長、総務庁長官は副議長でございますね、そういう観点でお尋ねをするのですが、この国際青年年に対する総務庁の取り組みがこういう記念行事的なものだけでいいのかどうか、基本的な国際青年年に対する取り組みの姿勢について、総務庁長官のお答えをいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 ことしが国際青年年ということで、国連提唱で各国それぞれの実情に応じていろいろな試みをやっていらっしゃるわけでございますが、我が国においてもこの国際青年年をどのように意義あるものにしようかということでいろいろ検討したわけでございますが、私どもとしては、一月にオープニングセレモニーをやりまして予算もつき、実は昨日お集まりをいただきまして、今後のいろいろなスケジュール等予算に伴う措置について検討したわけでございます。 私の基本的な考え方は、とかくこういった行事倒れ、これはやはりおっしゃるように、本当はもう少し具体的な成果が上がるような何かをやりたいという気持ちはあるわけでございます。ただ、教育とか雇用とかいろいろな問題につきましては、それぞれ従来から我が国においては措置がとられておるわけでございますから、今回は、おっしゃるような一応の青年に対する意識の変革とでもいいますか、そういう契機にしたいということで、いろいろな行事を考えておるわけでございます。 〔委員長退席、戸塚委員長代理着席〕 ただ、私は、その際にも、まあ私ども年をとっている者からよく聞くのですが、「今の若いもんは」という批判がすぐに出ますね。これはいけない。やはり今回のこの記念行事を契機として、若い諸君には、自分が置かれておる立場を自覚をしながら、この豊かな社会の中で何を自分たちの課題としてとらえてやるべきなのか、そして同時に、これだけ国際化の時代を迎えておりますから、青年交流等を通じて外国の事情も知ってもらうし、外国からも人に来てもらう。そして同時に、世界の中にはまだ発展途上国といいますか、大変貧困の中で苦しんでいる国もあるわけですから、そういう点もぜひ日本の青年に知ってもらいたい。したがって、交流の計画はことし予算にふやしておるわけでございます。 そういうようなことを一方でやりながら、同時に、今の若いもんというのは、豊かな社会ということは与件として与えられた条件の中で育っているわけですから、しかしそういった中においても、若者なりに、自分たちが何をすべきかという物の考え方を持って動いておる青年がおるわけですから、その点について私は、この年を記念して、大人に、つまり壮年、老年の人に、おれたちの若い時代はなんということを言ったのでは通用しないわけですから、そこらはもう少し青年の今日置かれておる立場というものを理解をして、世代間のギャップをできるだけなくしたい、こういうような趣旨でことしの国際青年年を意義のある年にしたい、これが私の今日の考え方でございます。
○三浦(久)委員 今の青年の置かれた立場を理解するという点は、私もそのとおりだと思うのです。ただ、後藤田総務庁長官の青年の置かれた環境というものに対する認識と私の認識とは、ちょっと違うと思うのです。今は成熟社会とか言われていますね。今、そういう観点から豊かな社会というものが与えられているというお話がありましたけれども、国際的に見てみますと、日本の青年労働者の賃金というのは発達した資本主義国の中では最低であります。学生を見ますと、学生の授業料はこの十年余りに二十倍ぐらい上がっておりますね。アメリカよりも学費が高いという状況になっております。 もう一つの問題は、予算委員会で我が党の佐藤議員が後藤田長官に質問をいたしました十八歳の選挙権の問題です。この問題も、世界的には圧倒的に——後藤田長官は、六〇%ぐらいは十八歳になっておりますねというような答弁をされておりますが、私たちの調べでは七二%強です。これがもう世界の国々で十八歳の選挙権になっております。 それで、私が一方的に言ってもあれですから、外務省にちょっとお尋ねしますが、世界各国の選挙権は何歳なのか、その状況をお答えいただきたいと思います。
○宮本説明員 御下問の件につきましては、外務省といたしましては系統的には調査いたしておりません。
○三浦(久)委員 「参加」というのは国際青年年の主要テーマの一つですね。「参加」の中でも、国政に参加する、政治に参加するというのは、これはまた非常に重要な「参加」の内容だと思いますが、そういう「参加」のいわゆる選挙権の問題について何ら調べていないというのは、ちょっと問題ではないかと私は思います。 自治省に私、聞いてみました。自治省は十一カ国、調べておるのです。十一カ国だけですね、これは少ないのですけれども。百六十八カ国あるわけですから十一カ国というのは極めて少ない、微微たるものですが、これを見ましても、十一カ国のうち十八歳で選挙権が与えられている国は九カ国あります。例えばアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリアがそうです。カナダ、オランダ、スウェーデン、オーストラリア、十一のうちの九つの国がもう十八歳になっているわけです。 〔戸塚委員長代理退席、委員長着席〕 それで、日本民主青年同盟というのが各国の大使館などに直接当たって調べた結果が出ておりますが、百六十八カ国中議会のある国が百十七カ国です。このうち選挙権が十八歳からというのが百一カ国です。そして十六歳、十七歳で選挙権が与えられている国も、わずかですがあります。それを含めますと百七カ国の国々が十六、十七、十八歳で選挙権を持っているという結果が出ているのです。これは七二%強になります。特に一九六〇年代から七〇年代にかけまして、イギリスとかスウェーデンとかカナダとか、そしてアメリカ、西ドイツ、フランス、イタリア、一連の発達した資本主義国で相次いで十八歳選挙権というのが実現をしてきているわけです。これはもう確かめるまでもなく事実であります。 後藤田総務庁長官は、この前の予算委員会の答弁ではかなり消極的な意見を述べられておりますね。その理由としては、民法上の問題もあるのだ。これは民法に確かに三条でしたか、二十をもって成年とするというのがありますね。それから刑事法の関係で、少年法の関係等々ありましょう。それから世論の動向などということもおっしゃっています。それから十八歳の政治意識という問題も言われていますね。それから教育制度全般の問題とかいろいろ言われて、各方面にわたって勉強しなければならないんだ、こういうことをおっしゃっておられますね。 確かに、今言いましたように民法では二十歳になっておるし、少年法では二十歳未満を少年というというふうになってはおるんですね。しかし、例えば未成年者でも結婚する場合は男は十八歳でいいわけでしょう、女は十六歳。ですから、いろいろ違うんですね。労基法は年少者は十九歳未満ということになっておりますが、十八歳以上は一人前の取り扱いになっておりますね。それから、所得税は既に十八歳以上の青年は納めているということで、いろいろ十八歳で一人前扱いしているのがあるんですね。ですから、その法律、法律によって、その政策目的に応じて、同じ少年という言葉を使っても、少年が二十歳になったり十八歳になったり十六歳になったりするんです。例えば児童という言葉を使っている法律はいっぱいありますけれども、児童福祉法では十八歳未満が児童なんです。道路交通法を調べてみましたら、六歳以上十三歳未満が児童なんですね。いろいろ法律によって違うんです。ですから問題は、十八歳で選挙権を付与するというのが現在の社会通念上妥当なのかどうか、そこに判断が帰着するんだろうというふうに思うのです。他の法律も参考にしなければならないでしょうけれども、基本的にはそこだと思う。 それで、十八歳でもって選挙権を与えるという結論が出た場合に、それでは二十歳で成年とするという民法の規定は十八歳にした方がいいのか、二十歳そのままでいいのか、そういう議論になっていくのではないかと思うのです。そういう意味で、私は、今の十八歳以上の青年というのは選挙権を与えるにふさわしい政治的な能力、政治的な判断力というものを持っているというふうに思うのです。外国の青年に比べて日本の青年が特別に劣っているというふうには思えないのです。この点、総務庁長官のお考えを承りたいと思います。
○後藤田国務大臣 確かに十八歳で選挙権を与えるという国が相当多いということも事実でございます。それからまた、国内法で見れば、おっしゃるようにいろいろな法律によって年齢が異なっておる。したがって、この問題は、政治的な的確な判断をすることができるかどうかというようなことを基本にして、これは参政権でございますから、そこを頭に置いて決めるべきであるというのは、私はおっしゃるとおりであろうと思います。 ただ、先般予算委員会でも申し上げましたように、民法上の問題というのは相当重要な要素、つまり自分が責任を果たして負い得るかどうか。刑法上の問題も同じだと思いますね。そういうことを考えますと、政治的な的確な判断ができる年齢が幾らかということになると、どうしても民法上の問題とか刑法上の年齢の問題を頭に置かなければならないのですね。それから教育の問題もありますし、あるいは世論の動向、それらを見なければいけませんから、私はやはり、この問題は勉強の課題だという認識は持っておりますが、相当慎重な配慮をしなければいけない。 三浦さんのところから、国際青年年に向かっての御提言をちょうだいいたしております。その第一項目がたしか十八歳で選挙権を与えるべし、こういう御提言でございますが、これはやはり慎重な判断を必要とするけれども、十八歳にすることはよくないなんて私は考えておりません。これは将来の大きな課題としてお互いに勉強しなければならぬ課題ではないのかな、私はこういう認識でございます。
○三浦(久)委員 勉強というのと検討というのといろいろ使い分けておられますね。この前の予算委員会では、国際青年年だからといってすぐ十八歳選挙権を検討すべきということにはならぬのだ、こうおっしゃいましたね。きょうは勉強ということを言われましたけれども、私はやはり検討すべきだと思うが、いかがでしょう。
○後藤田国務大臣 私はこの問題は相当慎重でなければならぬな、こう思っておるものですから、今の段階では勉強しなければならぬ課題である、私はこういう認識でございます。
○三浦(久)委員 後藤田総務庁長官は自民党に入党されておられるのでしょう。そうすると、自民党の入党資格というのは何歳か御存じですか。
○後藤田国務大臣 少し前から党員にした方がいいということで、たしか十八歳になっていると記憶いたしております。
○三浦(久)委員 確かにそうですね。ここへ党則を持ってきましたけれども、私どもの共産党も十八歳で入党なんですよ。そうしますと、政党に入党するということは政党の活動をするということでしょう、活動してよろしいということですから。そうすると、例えば自民党さんの党則を見てみますと、党員の権利とか義務とか書いていますね。そして、「党内の選挙権及び被選挙権を有すること。」というのがありますよ。それからまた、「党の使命、綱領、政策及び党則を守ること。」「党の決定した候補者を支持すること。」選挙運動をやれということですよ。ところが、今、公職選挙法では二十歳以上にならないとやってはいけないことになっていますね。選挙運動をやってはいけないのですよ。これは二十歳でもって選挙権を与えているからですね。十八歳で選挙権を与えないと均衡がとれませんよ。それに、自民党の党員は総理大臣を選ぶ権利があるわけでしょう。そうですね。総理大臣を選ぶことのできる能力を持っている十八歳以上の人々が、何で代議士を選ぶことができないのですか。これは一つの矛盾ですね。ですから、検討するということは、諸般の事情からそうせざるを得ないものだというふうに私は思うので、ぜひひとつ検討していただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょう。
○後藤田国務大臣 三浦さんのところの民主青年同盟というのは十八歳ですか。(三浦(久)委員「あれはもっと若いですよ。」と呼ぶ)もっと若いでしょう。それから、ピオニールというのは何歳からですか。(三浦(久)委員「いや、私が答弁するのはまだ早過ぎる……」と呼ぶ。)だから、いろいろ各党にはそれぞれの立場がありますから、自由民主党としては党員の資格は十八歳からと決めておるわけです。しかし、論理的に詰めていけば、三浦さんがおっしゃるように選挙権だって十八歳でいいではないかという御議論も出るとは思いますけれども、しかし、さればといって、今直ちに選挙権を十八歳にすることを検討いたしますと言うことは差し控えさせていただきたい、勉強する課題であるという程度でひとつ御理解をしておいていただきたい、かように思います。
○三浦(久)委員 押し問答してもしようがありませんけれども、しかし、民主青年同盟というのは政党ではございませんから、それはひとつはっきり頭に入れておいてもらいたいと思います。ごっちゃにしてもらっては困ります。 それで、今の質疑ではっきりしたのは、十八歳の選挙権がどういう国で実施されているのかということすらまだ調べていないということですが、これは大変私はお粗末なことだと思っているのです。ですから、ことしは国際青年年ですから、青年の置かれている客観的な状況というもの、こういう問題はやはり国際比較、例えば賃金がどうなっているとか初任給がどうなっているとかいろいろありましょう、そういう点についての国際比較というものをやるべきじゃないか。そういう認識をぴしっとした上で、この国際青年年に対してどういう施策を行ったらいいのかという結論が出てくるだろうと思うのですね。ですから、そういう青年の抱えている主要な問題点についての国際比較の調査をやはりすべきだというふうに私は思いますが、いかがでございましょうか。
○後藤田国務大臣 有益な御提言だと思います。検討させていただきます。
○三浦(久)委員 次に、国際青年年事業の推進方針、推進方針というのが出ているのですね。昨年に決定されておりますが、その推進方針と予算の関係についてお聞きしたいわけであります。 この推進方針というのは、去年の六月十八日に推進会議が決定したものであります。それで、この中に国内関係の施策としていろいろ九つばかり挙げられております。例えば「青年の自己の充実、向上に資するため、社会教育活動、芸術文化活動、体力づくり、スポーツ活動等を振興するとともに、これら活動を行うための多様な場の確保及びその利用の活性化を図る。」こういうのが九つばかりあります。全部読んでいると時間がありませんから省略いたしますが、ところが、この国内関係施策に関する予算がことしは去年よりも減っているのです。そういうものがたくさんあるわけですね。 例えば今言いましたスポーツ関係の問題にいたしましても、これは体育施設の整備、これの予算を見てみますと、去年よりもことしの方が二十二億九千九百万円少なくなっているのです。それからまた、職業訓練の問題もこの国内施策として挙げられておりますけれども、この青少年労働者の職業訓練に関する施策の推進、これも八億四千七百万ばかり減っておるのですね。それからそのほかに、例えば「青年の自然、環境及び国土に対する親しみと理解を深め、その保全の大切さを普及するため、各種事業を推進する。」というのがありますが、これに関連するものとして、公立青年の家・少年自然の家の整備、この予算がやはり今年度の方が一億五千百万円減っているのですね。 ですから、実際には、先ほど総務庁長官はもっと具体的に効果の上がるものにしたい、こういう願望を披瀝されましたね。ところが、実際にそれを推進する予算というのが国際青年年になって減っておる。これを聞いてみましたら、一〇%のマイナスシーリングの影響だというのですね。これじゃ、国際青年年に対する取り組みとしては私は何か口先だけであって、実際は中身のないものになってしまうじゃないかと思うのですね。この点についての総務庁長官の御見解を承りたい。
○後藤田国務大臣 おっしゃるように各省のいろいろな予算、やはり厳しい財政事情を受けまして一割削減という枠をはめられて、これはどこも聖域なしということでございましたので、減額をせざるを得なかったことでございます。この点は大変遺憾に思っておるわけでございます。 ただ、その中でも、国際青年年事業の推進であるとか、あるいは青年国際交流事業の促進であるとか、あるいは青年の海外協力隊の派遣事業、これは外務省でございますが、あるいはASEAN青年団招聘計画あるいは国際青年年信託基金へ、日本としてもそれ相応の、これだけの経済力がありますから拠金をふやしていくとか、そういう要所要所は、全体の枠は確かに一割削減を受けておりますけれども、一応やはり国際青年年ということを頭に置きましてそれなりの処置はとっておる。しかし、全体として一割削減を受けてこういった経費が減っておるということは、まことに私としては残念な結果である、こう考えておるわけでございますが、何しろ厳しい財政事情でございますから、そこらはひとつ御理解をいただきたい、かように思うわけでございます。
○三浦(久)委員 次に移らせていただきますが、厚生省にお尋ねをいたします。 日本遺族会というのがありますね。この日本遺族会から平和祈念総合センター基本構想というものが発表されております。これは一九八〇年度から毎年厚生省予算に調査費がつけられて、補助金として遺族会に出されてきた。そして、そういう補助金をもらって遺族会がいろいろ調査した結果、平和祈念総合センター基本構想というものが飛び出してきたわけでありますが、これまでの経過と現状がどうなっているのか、お尋ねしたいと思うのです。 なぜこの問題を聞くかといいますと、これは答弁の中で明らかになるだろうと思いますが、遺児への慰謝という理由で、実際は現在の日本の青少年を対象とした戦争歴史博物館というべきものなのですね。ですから、運用いかんによってはあの侵略戦争を賛美しかねない、そういうものになりかねない問題であります。それでお尋ねをいたしたいと思います。
○熊代説明員 戦没者遺児記念館の構想に関する御質問でございますけれども、昭和五十四年ころから、今次大戦で父親を失いました遺児の間で、父親を亡くしまして大変に困難な状況に置かれた、しかも昭和二十一年から二十八年までは遺族扶助料、つまり軍人恩給がストップされたということでございまして、非常に教育が必要な時期に十分な教育も受けられなかったりして、特に戦争によって厳しい被害をこうむっているのではないか、そういうことで、遺児に対しまして特別の慰謝を国が表明すべきであるという運動が展開されまして、それに対しまして財団法人日本遺族会から、この運動を昇華させまして、戦没者遺児たちと同じ体験を再び新しい世代に繰り返させない、そういうことを目的とした戦没者遺児記念館建設の要望が出されたわけでございます。これに対しまして、先生御指摘のように、昭和五十五年から五十九年まで補助金を支出いたしまして、戦争というものを十分知ってもらいまして、しかも戦争ということを十分知ることによって戦争をなくしよう、そういう趣旨を中心にいたしました遺族会からの報告書が提出されたというところでございます。これを受けまして、昭和六十年度におきましては、厚生省に有識者から成る懇談の場を設けまして、その遺族会から提出されました報告書を参考にしつつ、国として独自の立場でそのような施設の設置の必要性、あるいは必要ありとすればどのようなものをつくるかということの検討に着手する、このようなことになっているわけでございます。
○三浦(久)委員 そうすると、今までは遺族会に調査費という補助金を与えてやらせておった。今度は基本構想が出たから、今度は厚生省自身が調査費を予算として計上して、そして検討に入る、こういう段階でしょう。そうすると、今、この平和祈念総合センター基本構想というものを参考にしてとあなたは言われましたね。本当にこれは参考にするのですか。これはあなた、中身を読んでみましたか。こんなものを参考にしてもらっては困るのです。もう一回私は念を押しますが、この平和祈念総合センター基本構想というものを土台にしてそれで検討する、こういうのですか、ちょっとお聞きしたい。
○熊代説明員 遺族会から提出されました平和祈念総合センター構想も、一つの有力な資料といたしまして参考にさせていただきますが、国として独自にその必要性等を検討いたしたい、こういうように考えておるわけでございます。
○三浦(久)委員 それじゃ、私の口から言うのもなんだから、あなたから言ってもらいますが、この平和祈念総合センターの基本構想というのは、概略どういうものですか。
○熊代説明員 この平和祈念総合センターは、遺族会から提出されたものでございますが、私どもの理解しているところによりますと、その冒頭の趣旨にもございますように、太平洋戦争等の体験を絶後といたしまして、再びいかなる戦争にも巻き込まれず平和を維持したい、そういう動機に基づきまして、しかしこの構想自体は、戦争というものを十分理解しなければ戦争を廃絶することができない、そういう立場に立って書かれているものと理解しております。
○三浦(久)委員 ちょっと時間がないから私が言いましょう。今あなたが言ったのは、冒頭に確かに「再びいかなる戦争にもまきこまれずに平和を持続したいというのが、わが国の願いである。」こう書いていますけれども、中身は全然違うのですよ。これは我が国の願いで、遺族会の願いであるとは書いてない、そこが一つのみそだと私は思っていますけれども、中身は全然違うのですよ。 大体どういうことをやろうとしているのかといいますと、この基本構想を見ますと、まず六万坪の敷地でもって本館、これは史料館と展示館に分かれますね。史料館というのは読む戦争歴史館、そして展示館というのは観る戦争歴史館。それで、展示館というのは幾つつくるのかというと十つくるのですね。一般展示館というのは六、特別展示館というのが四つであります。そのほかに附帯設備として、記念公園であるとか記念会館というものをつくるのです。そして、この平和祈念総合センター基本構想によると、その敷地は後楽園球場の四倍になると書いてあるのですね、そして筑波科学万博の五分の一だ、それだけの敷地を確保するんだということがうたわれているのですよ。そして、これは橋本厚生大臣のときに調査費がついたのだろうと思うのですけれども、その橋本厚生大臣は皇居の北の丸公園の一角、そこを確保したいというようなこともおっしゃっておられるという報道があるのです、当時の新聞によると。これは、北の丸公園にこんなどでかい六万坪の平和祈念総合センターをつくるのですか、どうですか。
○熊代説明員 確かに北の丸公園というようなこともあったやに報道されておりますが、恐らく、この日本遺族会から出されました報告書は、そういうものを一応度外視いたしまして、理想的に言えば六万坪は必要である、そういう構想で出されているわけでございまして、国が検討する場合には、それを丸々うのみにしてするということではございませんで、国際社会、内外に与える影響、それから財政状況等も十分勘案いたしまして、全く新しい立場で検討するということになろうかと思います。
○三浦(久)委員 これは内容はとても問題があるのですよ。あなたもこれは読んだと思いますけれども、どういうスタンスでこれは書かれていると思いますか。例えば侵略をした、我々が東南アジアに侵略した、これは侵略ですよ、他民族の主権を侵害しているのだから。ですが、そういうことに対する反省の上にこの基本構想が書かれているのじゃないのです。この基本構想をそのまま読んでみますと、こんなことがあるのです。 これは「国際性」という項目のところですが、「第二次世界大戦の戦勝国のほとんどは、いぜんとしてドイツ及び日本を侵略・敗戦国とみなし、自らは正義・戦勝国という立場に安居して、なぜ自国が侵略されたかを究明するための研究を怠っている。とりわけて日本については、その近・現代の歩みに注目することが少ない。」こういうことが書かれているのです。何で自分が侵略されたかの研究をしろ、それを怠っておる、こういうことが書かれているのですよ。これは、侵略した側と侵略された側と全く同一視しているか、ないしは侵略をされた方も反省せいということでしょう。そういう観点に立っていわゆる歴史博物館というものを、これだけのどでかいものをつくろうとしているわけですね。これは恐るべきことであります。 それからまたこういうのもありますよ。戦争の「実証的で綜合的な知識の提供は、それらの断片的な知識、親族の物語について補強と修正の機会を与え、さらには先人の業績を通じて日本人としての情感と自覚をうながし、歴史の中における自身の位置を確認する手助けになることを確信する。」これははっきりは書いてないけれども、文章全体を読みますと、我々がかつてやったあの太平洋戦争というのは侵略戦争だ、侵略戦争だと言われて、亡くなった戦争犠牲者、その遺族の方々は肩身の狭い思いをしているだろうけれども、そうではないのだ、これは侵略戦争じゃなくて正義の戦いだったのだ、そういう立場としか私には思えないのです。 それで、あとどんなことがここに書かれてあるのかというと、ちょっと驚きますね。内容を紹介しますと、先ほど言いましたように、この基本構想の中には、展示館は、「史料館が「読む戦争歴史館」であるとすれば、展示館は、一般とくに青少年層の勉学・研究心を刺戟する基礎知識を与えるための「観る戦争歴史館」である。」と明記されていますね。そして展示物のリストを見ますと、戦時中の武器、兵器、戦闘場面の写真、そういうものがずらっと並べられるようになっている。そしてそれが、日清戦争、日露戦争からシベリア出兵から太平洋戦争に至るまで全部であります。これが一般展示館の六館です。ですから結局六館で、敗戦になったのは六館目ですから。一館から五館までは日清戦争、日露戦争、勝った勝ったのそういう大宣伝がやられようとしているのですよ、これによると。そして、この特別展示館のところでは、子供たちにいろいろ実物で実験してもらう、さわってもらうのだ、こういうことで、例えば軍艦「大和」、これをシミュレーターでやるというのです。乗ってもらってやるというのです。だから現場と同じ状況をつくり出そうというわけですよ。それから戦車「タイガー」の射撃装置、それから急降下爆撃機のJU87の爆撃装置、潜水艦雷撃装置、こういうものを全部シミュレーターでやるというのです。シミュレーターというのは、その当時の状況をそのままコンピューターで再現する装置ですよ。こういうものを青少年に実験させようというのです。こんなことが何で必要なんですか。 これは私は、戦争賛美の気持ちを青少年に植えつける以外の何物でもないと思うのです。爆撃機に乗せてみたり、軍艦に乗せてみたり、鉄砲を撃ったり、爆弾を落としたり、そういう実験を青少年にみずから体験させるなんというのはとんでもない話だと思う。これが何で遺族の慰謝になるのですか。遺族の慰謝というのは我々だって当然やらなければならぬと思っているけれども、戦争を賛美するような気持ちを青少年に植えつけるのが遺族の慰謝につながらないのは当たり前ですよ。そしてそのことは、法律的に見ても、教育基本法で言う平和的な国家及び社会の形成者をつくるのだというそういう精神にだって反しているじゃありませんか。そして、今あなた自身が最初に言った、この基本構想の冒頭にあった、いかなる戦争にも巻き込まれないようにするのだという理念にだって反しているような事柄なんですよ。こんなものを参考にして、これは仮称ですけれども、あなたたちは平和祈念総合センターをつくるのですか。こんなものを参考にしてはいかぬですよ。どうなんですか。
○熊代説明員 確かに先生御指摘のような記述がございます。しかし基本的には、例えば一節を読んでみますと、「太平洋戦争にかんしては、日本がおこなった侵略戦争であり国際犯罪だとする親方、あるいは日本が仕掛けられ挑発された戦争などの観察もある。」というように、両方の見方を掲げております。いずれにせよ、主観ではなくて事実を展示したいというようなことを言っております。 一々この細部に入ることは避けますが、いずれにしましても、これを参考にするというのはこれにそのまま従うということではございませんので、あくまで平和の目的と再び戦争を繰り返さないという趣旨にのっとりまして、参考とすべきものは参考とする、それから参考とせず切り捨てるべきものは切り捨てる、そういうことで検討させていただきたいと考えております。
○三浦(久)委員 こんなものを参考にしてはいけないと言うのです。今あなたが引用したものだって、「日本がおこなった侵略戦争であり国際犯罪だとする親方、あるいは日本が仕掛けられ挑発された戦争などの観察もある。」というのも、これは挑発されたら戦争をやっていいのですか。これはそういう感じがするでしょう。ですから、こんなスタンスでもって平和祈念センターをつくろうなんて、これは戦争祈念センターですよ。冗談じゃありませんよ。本当に侵略戦争に反省をして再び戦争を起こさないというのであれば、それならば、もちろん戦争と裏腹に戦争反対の運動だってあったのです、命をかけて戦争に反対して日本民族の平和をつくり出そうと思って闘った政党だってあった、民主主義的な人だっていっぱいおったのです、そのために牢獄に入れられて殺された人だっておるのですよ、そういう人々に焦点を当ててやるのが本当の平和祈念館じゃないんですか。それをまるっきり賛美する、日露戦争から太平洋戦争まで。これを見ると大変なものですよ。 例えば展示物でも、静的な展示物と動的な展示物と書いてますね。これは一々全部シナリオみたいに書いてある。それで、動的なというのはどういうのかというと、例えば南京の虐殺事件。どういうふうに構成するのか知りませんけれども、戦闘場面をばっとパノラマで映し出すとか映画を出すとか、それから兵隊の人形とか戦車とかがグッグ、グッグ動くとか、そういうような構想になっているでしょう、なっていますね。——遺児の慰謝というのであれば、遺児は日本人だけですか。中国にだって、朝鮮にだって、東南アジアにだって遺児はたくさんいるのですよ。こんな立場で平和祈念館をつくって、そして戦争を賛美するようなものをつくり上げたら、じゃ日本の軍隊によって侵略をされたそういう国々の遺児たちはどういう気持ちを持ちますか。これは外交上としても大きな問題に発展するだろうと私は思う。この前、教科書でもって「侵略」を「進出」に改めたというだけで、あれだけ大きな問題になったのですよ。 外務省にお尋ねしますが、私が今述べたような内容の戦争歴史博物館をつくるということ、そのことは外交上好ましくない影響を近隣諸国に与えると思うが、平和外交にとってマイナスになると私は思いますが、どういう御見解でしょうか。
○阿部説明員 この「平和祈念総合センター基本構想」によりますと、このセンターは、再びいかなる戦争にも巻き込まれずに平和を持続したいという願いを踏まえ、太平洋戦争に至る経緯の内的要因を探求し、将来の平和の維持と戦争防止に必要な教訓をくみ取るために、平和に対する冷静で総合的な研究、展示を行うことを目的としたものであるというふうに書いております。 実際に具体的な展示等が、先生御指摘のように日本が戦争に勝った模様を強調するものになるかどうかということは、今後具体的にどのように展示が計画されるか、それがどういう内容になるかをよく見ませんと、今直ちにどちらであるというふうには判断いたしかねると思います。
○三浦(久)委員 外務省はこの基本構想の全く一部分、まさに何というか、隠れみのにするような部分だけを読み上げてそんな答弁をしていますけれども、あなた、この中身を見てごらんなさいよ。こんなものをつくりましたら、それはもうアジア諸国の皆さん方は大変な騒動になるのじゃないですか。 私は、厚生省の動きを見詰めながら、これからもずっと追及していきますので、ひとつくれぐれもこういう基本構想を実現させないように強く要望して、時間ですから質問を終わります。
○中島委員長 次回は、来る十八日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時三十六分散会 ————◇—————